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心理掌握「嘘つき?褒め言葉ね」インデックス「むー!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 04:57:41.70 ID:VZOT3y4t0
もしもインデックスを拾ったのが第五位の心理掌握だったら


食蜂が登場する前に一度、立てたことがあるスレです
その為、心理掌握は>>1のオリジナルキャラとなっています

以前のスレを読んでくださっていた方々、多くの支援のいただいていたのに未完結のまま挫折してしまい本当に申し訳ありませんでした
今度こそ完結をさせようと思い今一度、最初から立て直します


こんな感じでよろしくお願いします
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 04:58:41.72 ID:VZOT3y4t0
『おなかすいたんだよ…』

『ここまで逃げれば…』

『…おなかすいたんだよ…』


心理掌握「……」

私は人の心の中を読むことが出来る能力者
まぁ、心を読む以外にも精神に関することは何でも出来るのだけれどね

心理掌握「(ていうか…)」

『おなかすいたんだよ…』

心理掌握「(あの子どんだけおなか空いてるのよ…)」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 04:59:21.07 ID:VZOT3y4t0
普段、私は人の心の中なんて醜いだけだからイタズラに覗いたりはしないんだけど、その日出会った少女だけは特別だった

『おなかすいて死にそうなんだよ…』

だって、その少女は銀髪のシスターさんだったんだもの
そんな珍しいモノを見つけちゃったら人間どうしても興味が出ちゃうじゃない?

心理掌握「…何か食べ物、買ってあげようか?」

インデックス「えっ?」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:00:04.93 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「お腹すいてるんでしょ?何か食べ物買ってあげようか?」

インデックス「ホ、ホント!?」パァッ・・・

『め、女神様が現れたんだよ!!』

女神様か
悪く無い響きね
でも…

心理掌握「ウソ」

インデックス「えっ?」

心理掌握「ウソです。本当は買ってあげません」

私はよく嘘をつく人間だ

インデックス「……」

インデックス「…!?」ガーン

わかりやすく動揺してる
見てて面白いわね、この子
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:01:08.38 ID:VZOT3y4t0
インデックス「こ、困ってる人にウソをつくなんて酷いんだよ!!この嘘つき!!」

『この嘘つき!!』

心の声と言動が一致してる…
あらあら…
相当な怒りを買っちゃったみたいね…

心理掌握「ごめんなさい。言い方が悪かったわね」

インデックス「えっ?」

心理掌握「ちゃんと食べ物は食べさせてあげるわ。でも何かを買うんじゃなくて…ホラ…」スッ…

私は近くにあったファミリーレストランを指差して

心理掌握「あそこのファミリーレストラン、今バイキングをやってるの」

インデックス「バ、バイキング…」ジュルリ…

心理掌握「ほら、この1000円だけでお腹一杯食べることが出来るわ。これ、あなたにあげるから好きなだけ食べてきなさいな」

インデックス「ホ、ホントに!?」

心理掌握「ええ。もちろん」

『やっぱり女神様だったんだよ!』

もちろん、バイキングなんてウソだけど
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:02:20.26 ID:VZOT3y4t0
インデックス「ホントに…もらっても良いの?」

心理掌握「ええ。はい、どうぞ」グッ…

そういって私は少女の手に1000円札を握らせる

インデックス「あ、ありがとうなんだよ…あなたは命の恩人なんだよ…」ウルウル…

心理掌握「あはは、そんな大袈裟な」

本当、大袈裟
だって1000円分の食事しか奢ってあげられないわけなんだし
そこのファミリーレストラン、お金が足りないとどうなるんだろう?
皿洗いのアルバイトでもさせられるのかしら?

インデックス「ねぇ、もし良かったら…」

心理掌握「ん?」

インデックス「貴女のお名前を教えて欲しいな?」

『私に優しくしてくれた恩人さんの名前が知りたい!』

あらあら…
私のことを微塵も疑いもせずに感謝してる…
流石はシスターさんって感じね
ちょっと罪悪感、なんて感じて無いけど
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:03:11.64 ID:VZOT3y4t0
名前ねぇ
これも偽名で良いかしら
いやでも良い時間潰しになったし感謝の意味を込めて名前ぐらいは本当の・・・

心理掌握「ええ、構わないわよ」

心理掌握「私の名前は…」

心理掌握「御坂美琴(みさか みこと)」

インデックス「みことだね!」

心理掌握「ええ」

…やっぱり偽名で良いか
そう思って私はとっさに私の通っている学校の知り合いの名前をあげた
まぁ知り合いと言っても疎遠に近いものだけど

インデックス「ありがとう、みこと」

インデックス「貴女のことは忘れないんだよ」ニコッ

インデックス「貴女に神のご加護がありますように…」

ふふっ
本場のシスターさんにお祈りしてもらってますよ本物の御坂さん
良かったですね
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:04:43.96 ID:VZOT3y4t0
インデックス「それじゃあ私はもう行こうかな…おなかペコペコだし…」

心理掌握「うん。それじゃあたくさん食べておいで」

食べるだけならいくらでも食べられるからね
偽りのバイキングのおかげで

インデックス「うん!本当にありがとうっ!」ニコッ

あら、眩しい笑顔ね
やっぱりちょっと悪いことしちゃったかな、なんて微塵も思わないのが私という人間だ

インデックス「またね!みこと!」

またね、か
まぁ無事にファミリーレストランでの皿洗いのアルバイトを終えたらまた遊んであげてもいいかな
容姿に惹かれて心を読ませてもらったけど中々に楽しめたし

心理掌握「ええ、またね。えーと…」

あっ、そういえばまだこの子の名前聞いて無かったな

インデックス「私は、インデックス!!バイバイ、みこと!!」

心理掌握「……」

『インデックスだよ!!』

…目次?
でも言動も心の中も一致してた…
外国じゃあ普通なのかしら…?
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:05:22.00 ID:VZOT3y4t0
――――――――

私は自称目次さんを見送った後、とある公園へと足を運んでいた

美琴「…げっ」

心理掌握「あら?ごきげんよう」

美琴「…アンタがこの公園にいるなんて珍しいわね…」

『うわー…私、コイツ苦手なのよねー』

この出会い頭に「げっ」とか言ってしまう、品の無い方
この方が先ほどお名前をお借りした『本物』の御坂美琴さん
決まった時間にいつもこの公園の自販機の前にいる私のご学友
先ほどはこの人の名前を勝手に騙ってしまったものね
ちゃんと謝っておかないと…

もちろん、そんなことは微塵も思っていないけれど
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:06:18.32 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「珍しいなんてことないわ。私だってこの公園の自販機の商品好きなのよ」

そう言って私は傍にあった自販機に硬貨を投入し目当ての商品を購入する

美琴「うわっ…いちごおでん…」

心理掌握「甘くて美味しいのよ?」

これはホントだったり
私はこのいちごおでんを購入する為によくこの自販機を利用している
だから公園にいるのは珍しいことではない
ただ、こうして御坂さんと鉢合わせするのは珍しいことで

『相変わらずコイツのことは何から何まで理解出来ない…』

心理掌握「……」

心理掌握「ええ、私もよ」

心理掌握「不細工なカエルのキャラクター好きの美琴さん」

美琴「…!そうやって人の心の中をズケズケと読んでくるその能力も含めてね…!」

心理掌握「知ってて読ませてるんじゃなくて?」

そんな偶然鉢合わせた私達はとっても仲良し
もちろんウソ
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:07:14.51 ID:VZOT3y4t0
美琴「それにねー!毎回言ってるけどゲコ太のどこが不細工だって言うのよ!?」

心理掌握「…全部?」

美琴「…!!」

美琴「そう…アンタ私に喧嘩を売ってるわけね…」バチッ…!

御坂さんの周囲に電流が走る
比喩表現じゃなく本物の電流

心理掌握「あら?第三位様が格下相手に能力を御使用になられるの?」

御坂美琴さんは学園都市で7人しかいない最高レベルの能力者、超能力(レベル5)の1人だったりする

美琴「安心して。アンタを格下だなんて思っていないわ…」

心理掌握「あら、光栄」クスッ

美琴「だから全力を出してあげるっ…!第五位の心理掌握!」バチバチッ…!

『もう頭にキたんだからっ!その余裕綽々な面に恐怖を刻んであげる!』

私も実は最高レベルの能力者の一人だったり
これはホント

しかし御坂さんたらすぐ熱くなっちゃうんだから
あんなに電撃を纏って…
それに争い事は醜くて嫌いなのよね
どうしたものかしらね
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:08:34.77 ID:VZOT3y4t0
美琴「さぁて…もう謝ったって許さないんだからねっ!」バチバチッ…!

御坂さんを纏う電流が目に見えて強大なものになっていることがわかる
そう、御坂美琴さんは学園都市最大の雷使い
ついた異名が『超電磁砲(レールガン)』

心理掌握「ふふっ…いつ見ても品の無い雷ね」

美琴「っ!こんの…!!」バチッ…!!

御坂さんが私に向けて雷を放とうとする
なんて短気な人なのかしら

でも、無駄よ

美琴「…!?」

『アイツに向けて電撃が撃てない…!?』

心理掌握「貴女は私の能力についてご存じのはずなのに全くというほど警戒してる様子がありませんでしたね?」

『…そうか!!しまった…この距離だと…!!』

心理掌握「ええ…」

心理掌握「私の能力の領域です」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:09:32.47 ID:VZOT3y4t0
美琴「くっそ…!!」プルプル

私の能力は学園都市最高の精神系能力
その名を『心理掌握(メンタルアウト)』
その用途は記憶の読心・人格の洗脳・念話・想いの消去・意志の増幅・思考の再現・感情の移植などなど
つまり精神関することなら何でもアリ
そして今は…

心理掌握「今、貴女にとって私は最も尊い存在」

美琴「誰がアンタなんかのこと…!」

心理掌握「なら、電撃を撃てば良いでしょう?」

美琴「ぐっ…!」

人の心をひきつける魅了(チャーム)を御坂さんにかけた
御坂さんは今、私のことが大好きで仕方がない状況になってるの
口では悪態をついても私のことが大好きだから無意識に脳が私への攻撃をセーブしちゃっているわけ
この能力は相手との一定の距離を保った状態で尚且つ数秒間の間、目を合わせないとかからない能力
けれど御坂さんたら、公園で偶然出会ったことに驚いて油断しちゃったみたい

純粋な戦闘じゃ敵わないけど、こうなったら主導権はこっちのもの

心理掌握「私ね、争い事は嫌いなの」

心理掌握「能力を解いてあげるから今日はこれぐらいで許してもらえないかしら?」ニコッ
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:10:34.80 ID:VZOT3y4t0
美琴「…くぅっ…!!」プルプル…

『誰がコイツに負けを認めたりなんか…!!』

心理掌握「……」

心理掌握「第三位のプライドってやつかしら?」

『序列なんて関係ない…!!アンタに負けを認めるのが気に入らないだけよ…!!』

心理掌握「…そう」

心理掌握「でも、ここで負けを認めておかないとそのとくだらない理由のせいで取り返しのつかないことになっちゃうわよ?」

心理掌握「貴女は今、私には無抵抗の状態なんだから」

心理掌握「言ってる意味、わかる?」

心理掌握「―――完全に心の中、全てを支配されてお人形に、なんてことだって出来るのよ?」

心理掌握「それとも貴女も私の派閥の一員にでもなりたいの?」

私の周りは取り巻きがたくさんいる
いわば私は女王様

でも、みんな大切なお友達
私の能力で従わせた大切な大切な…ね
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:13:19.80 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「さぁ、負けを認めるか、私の派閥になるか?どちらがお好み?」

美琴「……!!」

『ここは一旦素直に負けを認めたふりをして魅了を解除してもらう…っていうのが一番良いんだろうけど』

心理掌握「当然、私にはお見通し」ニコッ

美琴「くっ…!!」

心理掌握「…まだ決められないの?それなら強制的に私の派閥に入ってもらうことになるけど?」

心理掌握「第三位様を屈させたとなると、ますます私の株が上がるわね」クスッ

『…そんなの絶対に願い下げ!!!』

心理掌握「…じゃあ心の底から負けを認めてくださいな?」

心理掌握「でなければ本当に…」

『あー!!!さっきのウソツキ!!!』

心理掌握「嘘つき?褒め言葉です」

心理掌握「……」

心理掌握「えっ?」

今の心の声は…?

美琴「……」

『な、なにあの子…?もの凄い勢いでこっちに…』

『さっきはよくもー!!』

心理掌握「この声は…」

御坂さん以外の心の声が聞こえてくる
なんだか記憶に新しい声だ
心の声が聞こえた方を振り返ろうとした、時には既に遅かった

インデックス「バイキングなんてよくもウソついたくれたんだよっ!!」ガブッ

心理掌握「っ!?」

その心の声の主は既に私の頭に思い切り噛みついていた


そんな心の声の主との運命の再会
この再会から私の物語が加速していくことになるとはこの時は知る由もなかった
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:14:41.21 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「いたっ!?痛い!?」

インデックス「うー!」ガジガジ

な、なんでこの子がここに…
この子は今頃ファミリーレストランで皿洗いのアルバイトをするハメになってた
はずじゃ…

『バイキングだって嘘をつかれたせいで追われるハメになっちゃったんだよ!』

心理掌握「……」

…食い逃げ?
シスターのくせにやることが大胆…

インデックス「このうそつきー!!」ガジガジ

心理掌握「…って痛い痛い!!離れなさい!」

インデックス「ちゃんと懺悔するまで離さないもん!」

美琴「……」

『修道服を着た女の子が心理掌握の頭に噛みついてる…』

『・・・いまいち事態が把握出来ないけど』

『きっと何か恨みでも買ったんでしょうね…』

『心理掌握の性格の悪さは折り紙付きだから…』

ええ
自負しているわよ、御坂さん…って痛い痛い!
この子思い切り噛み過ぎ!
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:15:33.96 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「わ、わかった!謝るから離れて…!!」

インデックス「むー?ホント?」ガジガジ

心理掌握「本当!だから早く…!」

『いたぞ!さっきの食い逃げシスターだ!』

心理掌握「…ん?」

彼女を引き剥がそうとする間もなくまた別の声が聞こえてくる
今度は心の声は男性の声だ

店員「やっと見つけたぞ!食い逃げ犯!」

インデックス「わっ!?さっきのファミレスの店員さん!?追いつかれちゃったんだよ!」

ああ、彼女が食い逃げしたファミリーレストランの店員さんか
なら彼女を引き渡して今度こそ皿洗いを…

インデックス「みこと!逃げるんだよ!!」ザッ…

心理掌握「えっ?」

美琴「えっ?わ、私?」

彼女が私の頭から離れる
そして彼女にとっての「みこと」は私のことだ

インデックス「ほらっ!早く」グイッ…!!

心理掌握「わっ!?」

頭から離れた彼女はおもむろに私の手を掴んで、そして走り出した
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:16:17.50 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「ちょ、ちょっと…!?」

インデックス「ぐずぐずしないでっ!」ダッ…!

店員「待て!逃げるな、そこの二人!!」

な、なんで私まで一緒になって逃げなければならないの?

心理掌握「は、離しなさい…!」

私は彼女の手を振り払おうとする

インデックス「早く!走って!」グイグイ…!

心理掌握「うぐ…」

だが、それは不可能だった
自慢では無いが私は能力を使わないと非力な少女そのもの
無駄に腕力のある彼女にはまるで抵抗することが出来なかった

それならば洗脳系の能力を使って止めさせれば良いだけのこと、と思うのが普通だろう
しかし私の『心理掌握』も無敵では無い
読心以外の能力は「目を合わせる」「頭に手を触れる」などの条件がついてくるのだ
そして今は彼女と目も合わせることも出来ない、頭に手を触れることも出来ない状態にある
手を掴まれた今、完全に私は彼女のなすがままなのだ
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:17:22.98 ID:VZOT3y4t0
美琴「……」ポカーン

美琴「ちょ、ちょっと!アンタ、まだ勝負は…!!」

『私に能力をかけたまま何処に行くつもりよ!?』

ちなみに先ほど本物の美琴さんにかけた魅了の能力
これはあくまで私に攻撃をさせない為だけの感情操作であり私の言うことを聞いてくれる洗脳能力ではないので私が危険な時に助けを求めることが出来るわけでもない
だから…

心理掌握「きょ、今日はここまでよ…!ちょ、そんなに強く引っ張らないで…!!」

インデックス「はーやーく!!グズグズしちゃダメなんだよっ!!」グイグイッ…

…今はとりあえず彼女と一緒に逃げるしかないみたい
御坂さんが自称目次さんに電撃を撃ってくれるなら別だけど流石に短気な御坂さんもそこまではしないだろう

美琴「ちょ、ちょっとー!!本当に行っちゃうわけ!?」

『せめて能力を解いてからにしなさいよね!!』

能力を解いたら私に攻撃をしてくるじゃない
大丈夫よ
魅了は私との一定の距離が離れたら自然と解除されるから

インデックス「ほらっ!みこともちゃんと走って!」

しかし、やれやれね…
面倒なことは嫌いだというのにまた面倒なことに巻き込まれちゃうなんて…
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:18:34.47 ID:VZOT3y4t0
〜〜〜〜〜〜〜〜

インデックス「な、なんとか巻いたんだよ…」ハァハァ…

心理掌握「……」ゼーハー…

どれだけの時間を走ったんだろうか
イヤ、ほんの数十秒だったのかもしれない
それでも基本体力の無い私にはそれだけの時間を走るのはかなり酷なものだった
全く…
こんなことになるなら素直にきちんと御馳走してあげるべきだったわね…

『全速力で走ったらおなかへったんだよ…』

心理掌握「……」

少なくとも1000円以上はさっきのファミリーレストランで食べてきたのよね?
少食の私にはその心の声は聞き間違いでは無いかと思ってしまった

インデックス「…ねぇ、みこと?」

インデックス「あそこのお店でちょっと休憩したいかも…」

そう言って彼女はすぐ目の前にあった喫茶店を指差した
どうやら聞き間違いでは無かったらしい

心理掌握「……」

心理掌握「…別に良いわよ」

―――嘘だけど。って言うのが本来の私だが、この時は私も冷たい飲み物でも飲んで休憩したいのが本音であった
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:19:25.93 ID:VZOT3y4t0
〜〜〜〜〜〜〜〜

インデックス「…ハムサンドにオムライスに、あっ!あとこのジャンボチョコレートパフェも食べたいかも!」

心理掌握「……」

心理掌握「…私はアイスティーを」

店員「はい!かしこまりました!少々お待ちくださいませ!」

インデックス「…今度はちゃんと御馳走してくれる?」

心理掌握「そうしないと私も食い逃げの共犯になっちゃうじゃない…」

一緒に逃げた時点で既に共犯みたいなものかもしれないけれど…

心理掌握「ていうより、本当にそれだけ全部お腹に入るの?」

インデックス「うん!美味しかったら余裕で入るんだよ!」

『うん!おなかぺこぺこ!!』

心理掌握「……」

この子、胃袋が宇宙にでもなっているんじゃないかしら…
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:20:22.68 ID:VZOT3y4t0
そう言えば銀髪のシスターなんて物珍しかったからってだけで心の中を読んでみたけれど、彼女のこと、まだ名前と常時お腹ペコペコって以外は何もわかっていないのよね
あっ、でも…

―――ここまで逃げれば…

一番最初に心の中を覗いた時にそんなことを言っていたような…

心理掌握「……」

…他のお店でも食い逃げしたのかしら?

インデックス「はぁー…しかしみことに嘘をつかれたせいで二重に追われるハメになっちゃったんだよ・・・」

自称目次さんが溜め息混じりにそう呟く

心理掌握「…他のお店でも食い逃げしたの?」

インデックス「むー!流石の私もそこまでいやしんぼじゃないかも!!」

違ったようだ
じゃあ、誰に?
そう聞き返そうとするより先に、心の声が聞こえてきた

『食い逃げじゃ無くて魔術結社に狙われてるんだよ!』

心理掌握「……」

…魔術結社?
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:21:09.41 ID:VZOT3y4t0
インデックス「私を追っているのは…!」

心理掌握「…魔術結社」

インデックス「魔術結社…」

インデックス「…って、えっ?」

『あれ?私、声に出してたかな?』

ええ、心の声は丸聞こえよ
けれど…

心理掌握「…魔術結社ってなに?」

それが本音だ
魔術って魔法とかそっちのこと?

インデックス「あっ、えっとね」

『うん、多分無意識に声に出してたみたい』

インデックス「魔術結社、マジックキャバル」

インデックス「私の持ってる10万3000冊の魔道書を狙っているの」

『10万3000冊の魔道書を狙っているの』

心理掌握「……」

言動と心の声の一致
なるほど
彼女は可哀想なシスターさんだということがわかった
もちろん「頭」がだ
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:21:57.43 ID:VZOT3y4t0
私は魔術なんてモノは当然信じていない
むしろ信じる方がおかしい
だってここは科学の街、学園都市なんだもの

心理掌握「10万3000冊の魔道書?」

しかし面白いので私はその妄想話に付き合ってあげることにした

インデックス「うん。世界中のありとあらゆる魔道書10万3000千冊」

インデックス「私はそれらを全て記憶しているの」

『今、全部私の中にあるの』

心理掌握「……」

心理掌握「凄いわね。全部貴女の頭の中に入ってるんだ?」

インデックス「うん。だからそのせいで…」

心理掌握「なら…」

―――私の能力は精神を司る『心理掌握』

心理掌握「私が全部消去してあげればもう追われることもないんじゃない?」

インデックス「…えっ?」

記憶の消去だって容易い
こんな妄想話に真顔でそう返してみたりして
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:22:30.36 ID:VZOT3y4t0
インデックス「私の中の10万3000冊の魔道書を消去…?」

心理掌握「ええ。全てを消してしまえばもう貴女が追われることも無いんじゃないかしら?」

私にとって他人の記憶操作は容易いものである
仮に彼女の妄想話が本当であるならば、その頭の中に詰まっている全ての記憶さえ一気に消去出来る
精神に関して私の『心理掌握』に出来ないこと存在しないのだから

心理掌握「―――私なら貴女のことを解放してあげられるわよ?」

またも真顔で私はそう言い放つ
だって、もしも彼女の話が妄想話じゃなくて真実ならば大変なことじゃない?
力になってあげたい

―――なんてことは微塵も思っていない
私はお人好しでは無いのだ

基本的に面倒なことは嫌いだし自分の利益に関わらないようなことに労力は使いたくない
じゃあ何故彼女に記憶の消去について真顔で言い放ったのかって?
そんなの決まっているじゃない


―――記憶の消去と称して精神に細工をする為に
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:23:13.16 ID:VZOT3y4t0
魔術というものが本当に存在するならば
彼女が魔術師に本当に追わているというのであれば

―――彼女自身も魔術師というのであれば

魔術?
世界のありとあらゆる魔道書を全て記憶?
改めて考えてみても少し頭の痛い少女が作りだした誇大な妄想話にしか思えない

―――でも、全てが本当に真実だったら?

私の好きなものは嘘以外に2つある
これは本当

支配することと面白そうなこと、だ
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:23:53.08 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「…どう?嘘だと思って私に貴女の記憶を預けてみない?」

心理掌握「きっと幸せになれるわよ」

嘘、では無い
私の大切、そして従順な「お友達」としてね
すぐ派閥のみんなとも仲良くなれるはずよ

インデックス「……」

インデックス「…ぷっ」

心理掌握「えっ?」

目次さんが不意に吹き出した
やっぱり妄想話だった?
そして妄想話にまんまとノッてきた私がおかしくて吹き出した?

インデックス「あはは!いきなり真顔になって何を言うのかと思えばー」

インデックス「10万3000冊の魔道書を一気に消すなんて出来っこないかも!」

いや、そういう意味では無かったみたいだ
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:24:27.32 ID:VZOT3y4t0
『みこともおかしなことを言うんだよ!』

心理掌握「……」

どうやら逆に私が彼女に妄想癖のある痛い女の子だと思われているようだ
そんな「痛い」私を目次さんがケラケラと笑う
この、私のことを

―――その姿は

インデックス「出来るものなら試してみればいいんだよ!」フンス!

―――なんとも自信に満ち溢れたもので

心理掌握「……」

心理掌握「…そう」

心理掌握「じゃあ遠慮なく試させてもらおうかしら」

―――ちょっと頭にきちゃった
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:25:08.41 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「じゃあ、ちょっと頭に触れさせてもらうわね?」スッ…

そう言って私は彼女の頭に手を伸ばす
記憶操作や洗脳は対象者の頭に触れることが発動条件であるから

インデックス「はーい、どうぞなんだよ!」

『みことったら出来っこないのに無理にしようとしちゃってー』

すぐにその考えは改まるわよ
いや、終わった頃には何を改めるのかもわからない状態になってるだろうけど
そんなことを思いながら私は彼女の頭に手を乗せようとした

―――乗せようとしたのだ

心理掌握「…!?」バッ…!

インデックス「……?」

『あれ?手を伸ばしたと思ったら引っ込めちゃった?』

そう、私は反射的に手を引っ込めてしまった
何故かは自分でも理解が出来ない
何かに恐怖した?危険を感じた?
それさえもわからない

―――今のは一体…
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:25:55.98 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「……」

インデックス「…どうしたの?お顔が真っ青だよ?」

『具合でも悪くなっちゃったのかな?』

心理掌握「えっ?」

目次さんが私の顔を覗き込む
私は今、そんな表情をしているの?

心理掌握「……」

心理掌握「…ねぇ」

インデックス「ん?なぁに?具合でも悪くなった…?」

思っていたことをそのまま口に出し、そして心配そうな表情で私のことを見つめる目次さん
やっぱりシスターさん
優しい子なのね

心理掌握「ううん。何でも無いわ、貴女の頭に触れようと思ったら大きな虫がいてね」

心理掌握「私、虫が嫌いだから反射的に手を引っ込めちゃって…だから顔を真っ青になったんだと思うの」

心理掌握「すぐに治るわ」

インデックス「そう?本当になんでもない?」

『大丈夫ならそれでいいんだけど…』

心理掌握「ええ、何でも無いわ」

どれだけ優しくても私を嘘をつくけれど
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:26:41.34 ID:VZOT3y4t0
インデックス「そっか!大丈夫ならいいんだ!」ニコッ

目次さんが屈託の無い笑顔を私に向ける
嘘も偽りも無い笑顔
こんな裏表の無い彼女

―――あぁ、どうやらそういうことみたい

インデックス「えっと?それじゃあもう一回、頭触ってみる?」

『仕切り直しということで!結局何も起きないだろうけど!』

心理掌握「……」

心理掌握「…いえ、やめておくわ。きっと何も起きないもの」

インデックス「えっ?」

―――だから彼女はずっと自信満々だったのだろう
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:27:19.46 ID:VZOT3y4t0
インデックス「そう…?それなら良いけど…」

『やめちゃったんだよ。案外あっさり折れちゃった』

『まぁ、仮にみことが本当に特殊な力を持っていたとしても』

『結局歩く教会が受け流しちゃうんだけどね!』

全て真実なんだ
彼女の話したことは全て真実

魔術も存在するんだ
私の知らない世界が
私が支配しきれない力というものが

面白そうで、そして支配してみたいもの
それらは妄想なんかではなかったようだ

―――手にしてみたい

少しプライドは傷つけられたけど許してあげるわ目次さん
最終的に貴女が私のモノになれば
貴女の世界の全てを私が思うがままに出来るようになれば、ね
まぁ、でも…

―――許してあげるなんてのいうのは嘘かもしれないけど
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 05:28:05.88 ID:VZOT3y4t0
一度区切ります
今までの続きはまた夜にでも投下しようかなと思うのでよろしくお願いします
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/09(金) 07:25:19.87 ID:a0eAd2oNo

食蜂のキャラはオリジナルのままで行くのか
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/09(金) 07:46:44.35 ID:3Xx8SAKeo
待ってたよー!
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/09(金) 10:32:44.88 ID:KJZNImAv0
なにこれおもしろい。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/09/09(金) 11:53:38.43 ID:/FoTi069o
おお、立て直したか、
もうこないかと思ってた。待ってた。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/09(金) 12:39:38.51 ID:CaB90Kd/o
よくぞ戻った
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/09(金) 16:12:58.40 ID:sYS45XeAO
おかえりなさい!
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/09(金) 18:12:32.79 ID:0pErs1oSO
立て直し乙!!
待ってたよ!
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:00:21.70 ID:VZOT3y4t0
―――魔術と魔術師

その存在は確かなモノ
退屈な毎日の中でそんな面白そうなモノに突然に出会えるなんて世の中まだまだ捨てたものじゃないわね

―――それに

心理掌握「……」ジッ…

インデックス「ん?なぁに?」

その長い銀髪に緑色の瞳
よく見ると凄く美しい

そう、私は男性も女性もイケる両刀だったりする
まぁ、嘘だけど

本当は生粋のレズビアン
男は見た目も心も醜くてみんな嫌いだ
だから私は女子校に通っているし派閥のお友達も全員可愛い女の子

こうやって改めて顔を見ると目次さんはとっても好み
しかも魔術という得体の知らない力を持っているとなると更に魅力的
だからずっと私の傍で可愛がってあげたいな
その為には…

インデックス「?」

『なんだろう?ジッと見られてるけど…』

ところで彼女がさっき心の中で言っていた歩く結界とはなんのことかしら?
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:01:18.52 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「あぁ、いや「歩く教会」って何かしらって思ってね」

心理掌握「その修道服のこと?」

インデックス「あぁ、歩く教会のこと?」

インデックス「うん!歩く教会はこの修道服のことだよ!」

インデックス「その強度は絶対でその防御力は法王級の結界…」

インデックス「……」

インデックス「…あれ?」

『私、歩く教会のことを口に出してだっけ…?』

心理掌握「ええ。心の中でね」

インデックス「あー…そっか。心の中で…」

インデックス「…えっ?」

『心の中ってどういうこと…?』

心理掌握「そのままの意味よ」ニコッ

さて、良い機会だしそろそろちゃんと自己紹介でもしましょうか
いつまでも「御坂美琴」さんのままでいるのも癪だしね
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:02:29.16 ID:VZOT3y4t0
〜〜〜〜〜〜〜〜

インデックス「人の心の声が聞こえる…?」

心理掌握「ええ。私は生まれつきそういう能力を持っているのよ」

生まれつきなのは嘘だけど

インデックス「どうにも信じがたい話なんだよ…」ムー…

『その能力自体もそうだし、本当だとしても歩く教会が受け流すはずだし…』

心理掌握「私の読心能力は効果範囲が全身だからね」

心理掌握「顔や手の露出も隠せば聞こえなくなるんじゃない?」

人の心を声を聞く読心
この能力には特別な条件は無い
私が能力を発動し展開すれば、その領域に少しでも触れた人間の声は全て聞こえてくる
まぁ、もちろん全部が全部聞こえたらうるさいだけなので任意にその人物だけ遮断というのも出来る

インデックス「むー…そんな都合の良い…」

『でも…実際本当にこうして私の心の声を読まれてるわけだから、その能力を認めざるを得ないんだよ…』

心理掌握「良いじゃない、心の声を読むくらい。別に貴女に危害を加えるわけでも無いんだし」

インデックス「でも、心の声を読まれてるって思うとなんか複雑なんだよ…」

心理掌握「大丈夫よ。もう能力は解除したから。今、貴女の心は聞こえないわ」

インデックス「…ホント?」

『ホントに?』

ええ、もちろん嘘
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:03:42.01 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「そんなことよりも目次さん」

インデックス「む!目次じゃなくてインデックス!バカにしてるね!?」

心理掌握「そんなバカにしているわけじゃないわ。愛称よ愛称」

インデックス「むー…」

『愛称でもちょっとイヤかも…』

目次さんがむくれて不満顔をする
あぁっ…
すっごく可愛い…

心理掌握「そう?残念…じゃあインデックスさん」

インデックス「うん、それがいいな!」

心理掌握「うふふ…それでね、インデックスさん」

インデックス「ん?なぁに?」

心理掌握「貴女はこれからどうするつもりなの?どこかに行くアテはあるの?」

インデックス「うーん…出来ることなら近くの教会にでも匿ってもらおうかなって思ってるんだけど…」

『教会らしきものが全く見つからないんだよ…』

それはそうでしょうね
この学園都市は科学の街
宗教がらみの施設は皆無に等しいわ

…とりあえずアテが無いってことで良いのよね?

心理掌握「それだったら…」

心理掌握「私が貴女のことを匿ってあげよっか?」

インデックス「えっ?」

―――まぁ、アテがあるって言ったところでイヤでも引きとめちゃうけどね
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:04:38.25 ID:VZOT3y4t0
インデックス「みことが…私のことを?」

心理掌握「あっ、ごめんなさいね。みことって言うのはやめてもらっても良いかしら?」

インデックス「えっ?でも、みことの名前はみこと…」

心理掌握「嘘です」

インデックス「えっ?」

心理掌握「みことって言う名前は嘘でした。私は本当はみことという名前ではありません」

インデックス「……」ポカーン

インデックス「…!?」

『バイキングだけじゃなく名前までウソをつかれていたの!?』

心理掌握「はい、その通り。心の中で思っている通りよ」

インデックス「心の中…って、あー!!??」

心理掌握「うふふ」

インデックス「さっき解除したって言ったのにー!!」ムキー

心理掌握「はい、ごめんなさい。嘘でした」

インデックス「むむむむー…!!」ワナワナ

インデックスさんが怒りで震えている
そんな姿も可愛らしいわね
あっ、でも油断したらまた噛まれちゃうかも…

インデックス「こ、この嘘つきー!!!」ムキー

―――嘘つき?

心理掌握「うふふ、褒め言葉ね」

だって私にとって嘘は美徳だもの
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:05:47.40 ID:VZOT3y4t0
〜〜〜〜〜〜〜〜

店員「お待たせしました!ご注文の…」

心理掌握「アイスティーは私。残りは全部この子に」

インデックス「……」ブスー

店員「ぜ、全部ですか…はい…」

心を読む必要無いくらい驚いているわね
まぁ私も驚いたけど

店員「ごゆっくりどうぞー…」

私の前にはアイスティー
そして残りのハムサンド、オムライス、ジャンボチョコレートパフェがインデックスさんの前に置かれる

インデックス「……」ブスー

あらあら…
まだ不機嫌モードみたいね

心理掌握「ほら、食べましょう?お腹ペコペコでしょう?」

インデックス「……」ブスー

『ウソつきとはお話しないもんっ!』

心理掌握「心の中で会話は出来るけどね」

インデックス「…!!」キッ…

心理掌握「あぁ、ごめんなさい!そんなに睨まないで!」

インデックス「ふんっ!」プイッ

ふふっ、まるで子供ね
ますます愛らしいわ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:06:54.52 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「ねぇ、機嫌直してもらえないかしら?」

インデックス「……」ブスー

『もう絶対に許してあげないんだからっ!』

心理掌握「また、いつでもご飯奢ってあげるし…ねっ?」

インデックス「……」

『…ホントにもうウソつかない?』

心理掌握「ええ。もちろん!」

嘘だけど

インデックス「……」

インデックス「…じゃあ、貴女のホントのお名前を教えて欲しいな?」

『そしたら許してあげるんだよ…』

心理掌握「名前?ええ、もちろん教えるわ!」

心理掌握「じゃあ改めて本当の自己紹介をするわ」

貴女と私はこれから先、ずっと一緒にいることになるわけですもの…
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:07:32.71 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「私の名前は『天美 心(あまみ こころ)』」

心理掌握「常盤台中学所属の中学2年生の14歳」

心理掌握「改めてはじめまして、インデックスさん」ニコッ

インデックス「……」

インデックス「…今度はホント?」

『ホントのお名前…?』

心理掌握「ええ、本当の名前よ」ニコッ

これは嘘じゃない
私の名前は天美 心
常盤台中学所属
レベル5の第五位『心理掌握』
嘘と楽しいことを愛する常盤台中学最大の派閥を束ねる女王サマ

―――そしてレズビアンで好きな女の子はインデックスさん…なんてね
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:08:43.55 ID:VZOT3y4t0
インデックス「…じゃあ、こころ?」

心理掌握「ええ、こころよ」

インデックス「……」

心理掌握「……」

インデックス「こころ!ジャンボチョコレートパフェ追加なんだよ!」

心理掌握「ええっ!?」

この大きさのパフェをもう1つ…?
高さだけで30pはあるのに…

『怒ったらお腹減ったんだよ!!』

心理掌握「……」

でも、怒りは治まったみたい
許してくれたのかしら?
良かった…

―――私はプライド傷つけられたことをまだ根に持ってたりするけどね

インデックス「今日はとことん付き合ってもらうんだからっ!!」

この様子なら素直に付いてきてもらえそう

―――安心してねインデックスさん

これから先、誰であろうと貴女には指一本触れさせたりはしない…
愛でて、傷つけ、壊したりするのも私だけに許された特権なんだから…
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:09:32.14 ID:VZOT3y4t0
インデックス「…じゃあ、こころ?」

心理掌握「ええ、こころよ」

インデックス「……」

心理掌握「……」

インデックス「こころ!ジャンボチョコレートパフェ追加なんだよ!」

心理掌握「ええっ!?」

この大きさのパフェをもう1つ…?
高さだけで30pはあるのに…

『怒ったらお腹減ったんだよ!!』

心理掌握「……」

でも、怒りは治まったみたい
許してくれたのかしら?
良かった…

―――私はプライド傷つけられたことをまだ根に持ってたりするけどね

インデックス「今日はとことん付き合ってもらうんだからっ!!」

この様子なら素直に付いてきてもらえそう

―――安心してねインデックスさん

これから先、誰であろうと貴女には指一本触れさせたりはしない…
愛でて、傷つけ、壊したりするのも私だけに許された特権なんだから…
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:10:39.96 ID:VZOT3y4t0
〜〜〜〜〜〜〜〜

インデックス「ぷはぁー…大満足なんだよー…」

『ごちそうさまっ!美味しかった!』

心理掌握「……」

ハムサンドにオムライス
そしてジャンボチョコレートパフェも2杯とも完食…

心理掌握「貴女の胃袋自体が魔術そのものね…」

インデックスさんはわりと小柄な女の子
その容姿だけを見たら、そう呟きたくもなる

インデックス「こころはアイスティーだけで良いの?このパフェ凄い美味しかったんだよ!」

『こころも食べてみたらいいかも!』

心理掌握「私はそんなに入らないわよ…」

ちなみに私も私も中学生にしてはわりと小柄な方
そして見た目通り少食なので本当にそれだけの量も食べられない
これは本当

インデックス「こころ、ちゃんと食べないと大きくなれないよ?」

心理掌握「食欲過多もどうかと思うけれどね…」

…余計なお世話よ
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:12:08.40 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「…まぁ、貴女の食欲のことなんてどうでもいいのよ」

インデックス「ん?」

心理掌握「それよりも…さっきの話の答えはどうかしら?」

インデックス「えっ?話の答え?」

『話ってどの話?』

心理掌握「―――私が貴女のことを匿ってあげようか?って話よ」

インデックス「あっ…うんと…」

心理掌握「どう?行く場所も無くて困っているんでしょう?歓迎するわよ」

インデックス「……」

『そう言ってくれるのは嬉しいけど…でも…』

心理掌握「迷惑、になるだなんて思っていないわ」

インデックス「!!」

心理掌握「大丈夫よ。私、こう見えてもこの街じゃ結構強いのよ?」

心理掌握「貴女と出会ったのもきっと何かの縁だと思うし…」

心理掌握「それに何だか貴女のことを放っておけないのよね」

心理掌握「だから…私に貴女のことを守らせてくれない?」

インデックス「…こころ」

インデックス「こころは…優しいんだね」

心理掌握「ふふっ…そんなこと無いわよ」

―――私利私欲の為の発言だもの
まぁ、守りたいというのはある意味で嘘じゃないけれどね…
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:13:15.18 ID:VZOT3y4t0
インデックス「…それでも、やっぱり迷惑になると思う」

心理掌握「そんなこと無いわ。責任を持って貴女のことを…」

あら、意外と意地っ張りね
貴女に拒否権は無いというのに

インデックス「……」

『…魔術はこころが思っているよりもずっと驚異的な存在なんだよ』

ええ、心得てるわ
だから我がものにしたいのよ

インデックス「…こころは」

心理掌握「えっ?」

インデックス「…こころは、私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」

彼女は優しく微笑みながら、私に問う
それはまるで聖母のように
慈悲に満ち溢れてた微笑みとはこのことを言うのだろうか

『私に親切にしてくれた、こころを巻き込むのは…』

心理掌握「……」

優しい彼女ならではの脅し文句のつもりかしらね?
常人ならそんな問いかけに戸惑いの表情の一つでも見せちゃうんでしょうね

―――けれど、私は揺れない

心理掌握「ええ、どこまでも。地獄で天国でもね」

心はもちろん、表情一つ変えずにそう言い放つ
…嘘だけど
表情は変わっていたわ

―――笑顔にね
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:14:19.10 ID:VZOT3y4t0
インデックス「こ、こころ…」

『どうして赤の他人の私の為にそこまで言えるの…?』

心理掌握「…こうして一緒に喫茶店に入ってお茶した仲じゃないの」

インデックス「えっ?」

心理掌握「貴女と私はもう友達でしょ?」

インデックス「あっ…」

心理掌握「困っている友達を放っておくことなんて出来ないわ」

―――自分で言ってて反吐が出そう
嘘だけど

心理掌握「それとも…友達だと思っているのは私だけかしら?」

インデックス「そ、そんなことないっ!そんなこと…」

『こころは、友達なんだよ…!』

心理掌握「……」

…能力なんて使わなくても楽勝ね
まぁ、友達だとは思っているけれどね
嘘だけど半分本当

―――まぁ、近いうちに本当の友達になれる日が来るでしょうけど
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:15:19.31 ID:VZOT3y4t0
インデックス「…ありがとう。そんな風に言ってくれるなんて思ってもみなかった」

『ここまで言われたら、もう断れないんだよ…』

そう
それで良いのよ
最初から選択肢はYESだけなのだから

インデックス「けど…」

心理掌握「ん?」

インデックス「私の存在が重荷になったらすぐに言ってね?」

『無茶はしてほしくないから…』

心理掌握「…優しいのね」

インデックス「えっ?」

心理掌握「大丈夫よ。私、無茶することは好きじゃ無いもの」

これは本当
じゃあ、私が今からしようとしていることは?
当然、無茶だなんて思っていない

心理掌握「私を信じて?貴女は余計なことを考えなく良いから?」

インデックス「こころ…」

『本当に…ありがとう…』

貴女のことは私が必ず守るわ
誰にも渡さない
なんて、まるで正義のヒーローみたい

―――どこまでも歪んでいて目を背けたくなるようなヒーロー

ふふっ、なかなか素敵じゃない?
まぁ、私は自分で自分が歪んでいるだなんて思っていないけれど
そういう意味じゃ私は純粋な正義かもしれないわね
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:17:17.09 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「さてと…そろそろお店出ましょうか?」

インデックス「あっ…うんっ。ごちそうさまっ」

心理掌握「良いのよ。私、お金だけはたくさん持ってるし」

これは本当
レベル5ともなると一般の都市でなら一生遊んで暮らせるだけの額を所持してるもの
大量に奨学金が支給され研究への貢献料もいただけたり
まぁ、レベル5とか関係無しに元々私は名家のお嬢様なんだけれど

インデックス「こころはオジョーサマなの?」

心理掌握「そんなところかしらね」

お嬢様じゃなくて女王様とお呼びなさいな
…なんてね

インデックス「じゃあ、私がこれからお世話になるところって結構凄かったり…」

心理掌握「そうね…見た目だけなら恥ずかしくない程度ね」

私と御坂美琴さんが通っている常盤台中学には女子寮がある
寮というよりは洋館に近い感じだけどね
私はその寮の一室に入寮として日々を生活している
まぁ、そんなことはどうでもいいのだけれど…

心理掌握「問題は寮監なのよね…」

その常盤台中学女子寮には鬼の寮監がいたりする
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:18:14.33 ID:VZOT3y4t0
インデックス「りょーかん?」

心理掌握「あっ、ううん。こっちの話よ」

常盤台中学女子寮に勤めている寮監
鬼の寮監と恐れられている女性
この人が規則とかに恐ろしいほど厳しい人なのよね

だから素性もわからない怪しさ満点のシスターさんを連れて行って
「一緒に暮らしてもいいですか?」
なんて、まず許してもらえないだろう

まぁ、許してもらえなくてもイヤでも許してもらう…
っていうのが私の当然のやり方なんだけれど
どうもその寮監、とても強いみたいなのよね

なんでも過去にレベル4の能力者3人も相手して瞬殺してみせたとか
しかも丸腰で

速攻で肉弾戦に持ち込まれたりすると厄介なのよね
私は体育会系は苦手だから…

うーん
隙を見て洗脳するしかないかしらね?
まぁ、良いわ
方法は歩きながらでも考えましょう

心理掌握「それじゃあ、行きましょ?」

インデックス「あっ、うんっ!」

心理掌握「……」

考える時間はたっぷり、ありそうだしね


『…店を出るのか』


聞こえてたのよ、ずっと


―――どこかの誰かさん
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/09(金) 20:19:37.64 ID:K2pJ7hSk0
復活キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
個人的な意見だけど、最後らへんにレベル5ではない食蜂さんを登場させて欲しい。
「彼女は――正史ではレベル5心理掌握と言われている少女だった――」
まあ、この心理掌握と食蜂さんの絡みが見たいだけなんだけどね。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:20:36.72 ID:VZOT3y4t0
――――――――――

喫茶店を出た後、私とインデックスさんは先ほどいた公園へと足を運んでいた

インデックス「こころのお家はこっちの方にあるの?」

『ファミレスの店員さんから逃げてきた公園に戻ってきたんだよ』

心理掌握「ええ。この公園を抜けて、ちょっと歩いた場所よ」

インデックス「そっか!じゃあ私とこころが最初に会った場所の近くなんだね!」

心理掌握「ふふっ、そういうこと」

『…少女一人ぐらい、訳無いことだけど念には念を入れておこう』

心理掌握「……」

インデックス「…?こころ?」

心理掌握「…ねぇ、インデックスさん。あれを見て」スッ…

インデックス「えっ?」

私が指差したその先にインデックスさんが目を移す

インデックス「…あ、あれは!?」

―――その先には

『あの、おじさん!公園で美味しそうなものを作ってるんだよ!』

そう、鯛焼きの屋台
鯛焼きは私の大好物なので、つい指を差してしまった

もちろん『つい』なんて嘘だけど
あっ、鯛焼きは好き
これは本当
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:22:09.20 ID:VZOT3y4t0
インデックス「こ、こころ…!あれ…!」

インデックス「すっごく美味しそうかもっ!!」

心理掌握「ええ。私もそう思うわ」

インデックス「うんっ…!よだれが出ちゃうかも…」ジュルリ…

『食べたいんだよ…』

…さっき、あれだけ食べたのに
甘い物は別腹ってことかしら?
むしろ本当に胃が二つあったりしそうだから怖いわ

―――どちらにしても彼女が大食らいで良かった

心理掌握「インデックスさん、はい…これ」スッ…

インデックス「えっ?」

そう言って私はインデックスさんに1000円札を手渡す

インデックス「えっ?こ、これって…」

心理掌握「食べたいんでしょう?買ってきなさいな。待っててあげるから」ニコッ

インデックス「こ、こころ…!」ジーン…

『ちょっとウソつきだけど、やっぱり女神様かもっ…!』

インデックス「あ、ありがとうなんだよ…!なんてお礼を言ったら良いのか…!」

心理掌握「あぁ、でもその代わり一つ頼まれごとをしてもらっても良いかしら?」

インデックス「ふぇっ?頼まれごと?」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:23:09.15 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「ええ、鯛焼きを買ったお釣りでこの先にある販売機でいちごおでんって商品をおつかいしてきて欲しいの」

心理掌握「私、ちょっと歩くの疲れちゃったから一息入れたくて…頼まれてくれるかしら?」

インデックス「なんだ。そのぐらいお安い御用かも!喜んで買ってくるんだよ!」

心理掌握「本当?ありがとう。ゆっくりで良いからね?」

インデックス「うん!それじゃあ行ってくるね!」トテトテ…

インデックスさんが鯛焼きの屋台へと歩き出していく
鯛焼きを買う時間、その奥の自販機まで行って戻ってくるまでの時間

―――そして

『インデックスが一人に…?だったら…』

―――さっきから、五月蠅いのよ貴方

『…!?頭の中から声が…?』

ほんの数分
けれど数分もあれば充分

―――出てきなさいな。貴方が魔術師さんでしょう?

『…まさか、あの少女の…!?』

読心能力を展開したところ近くにいる魔術師さんは彼一人だけみたいだしね
本当は片時も彼女を離したくは無いのだけれど数分だけ我慢してあげる

―――インデックスさんのいないところで貴方に聞いておきたいことがあるからね
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:24:07.41 ID:VZOT3y4t0
『彼女の名が出るということは…』

ステイル「…驚いたね。どうやら頭に聞こえてきた声は本当に君の仕業らしいね」

ステイル「これが『能力者』の『能力』ってやつかな?」

そう、これも能力の一つ
精神感応(テレパス)という己の思考を相手に読ませる能力
私の場合、人の心の中も読めるから言い換えると念話能力ね

―――まぁ、そんなことはどうでもいいのよ

心理掌握「ようやく『直接』話しかけてきてくれましたね、魔術師さん」

ステイル「…彼女から色々と聞いてるみたいだね。自己紹介の手間が省けて助かるよ」

貴方の心の声も色々と聞かせてもらったのだけれどね
『直接』って言葉にアクセント付けたのに気づいてもらえなかったのかしら

…しかし魔術師って人物はみんな彼みたいな人なの?

その魔術師さんは2mは超えるであろう長身だった
派手なアクセサリーに赤い長髪、それに咥え煙草
顔はわりと整っているかしら?
結構私好みの男性かも…

―――なんて大嘘。吐き気するほど私にはその姿が醜く映る
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:24:36.86 ID:VZOT3y4t0
『彼女の名が出るということは…』

ステイル「…驚いたね。どうやら頭に聞こえてきた声は本当に君の仕業らしいね」

ステイル「これが『能力者』の『能力』ってやつかな?」

そう、これも能力の一つ
精神感応(テレパス)という己の思考を相手に読ませる能力
私の場合、人の心の中も読めるから言い換えると念話能力ね

―――まぁ、そんなことはどうでもいいのよ

心理掌握「ようやく『直接』話しかけてきてくれましたね、魔術師さん」

ステイル「…彼女から色々と聞いてるみたいだね。自己紹介の手間が省けて助かるよ」

貴方の心の声も色々と聞かせてもらったのだけれどね
『直接』って言葉にアクセント付けたのに気づいてもらえなかったのかしら

…しかし魔術師って人物はみんな彼みたいな人なの?

その魔術師さんは2mは超えるであろう長身だった
派手なアクセサリーに赤い長髪、それに咥え煙草
顔はわりと整っているかしら?
結構私好みの男性かも…

―――なんて大嘘。吐き気するほど私にはその姿が醜く映る
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:25:39.38 ID:VZOT3y4t0
『追跡だけのつもりがまさか気づかれていたとはね…』

『やれやれ…僕は追跡戦は苦手なんだけどな』

『まぁ、魔術をわざわざ使わなくてもこんな小柄な少女一人どうとでもなる』

『そして、そのあとはインデックスの回収だ』

『神裂もすぐにこちらに来るだろうし』

ほらね?
『少女』だから?
この短絡的な思考回路からして男は醜い

それにね、インデックスさんは、もう私の『友達』なの
他の誰でも無い私の『友達』
…私からを奪うんですって?
笑えない冗談ね
殺してやりたいぐらいに

…なんて嘘
女の子が物騒なこと言っちゃダメよね
私、人殺しはしたくないし…
だから…

―――壊してあげる
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:26:37.62 ID:VZOT3y4t0
ステイル「僕は彼女を回収しなければならないんだ」

ステイル「だからそこを退いてもらえるかい?」

心理掌握「……」

ステイル「…それは否定と受け取っていいのかな?」

ステイル「でもね、悪いけど僕は目的の為なら手段は選ばないんだ」

『彼女の為なら僕はどんな小さな障害でも全力で叩きつぶす』

ステイル「力づくでも文句は…!」タッ…

―――彼が私に

心理掌握「…そうね。お互い恨みっこなしにしましょうか」

ステイル「…!?」ザッ…

『な、なんだ…!?何故僕は足を止めているんだ…!?』

―――向かっては来れませんでした
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:27:44.04 ID:VZOT3y4t0
心理掌握「さて…インデックスさんが戻ってくるまで、あまり時間は無いわ…」

ステイル「…くそっ!なんなんだこれは…!!」グッ…!

『何故彼女に向って踏み出せない!?』

―――答えは簡単

魅了能力
感情操作で貴方にとっての私を尊い存在にした
だから貴方は私を傷つけるような行為は出来ない
どんなに傷つけたいって思っても本能がブレーキをかけてしまうの

それに気づけない鈍感な貴方
なかなか可愛いわよ
ええ、もちろん大嘘だけど

ステイル「くそっ!動けっ…!!」ガクガク…

…聞こえてないかしらね?
精神感応で脳に語りかけてあげたんだけれど
まぁ、動揺したくなる気持ちもわからないではないけど

心理掌握「でも、私は貴方の質問にしっかりと答えました」

心理掌握「だから貴方も私の質問に早急に答えてくださる?」

インデックスさんには聞けない質問
インデックスさんにはきっと答えられない質問
喫茶店にいた時からずっと聞こえていた

心理掌握「―――記憶の消去。タイムリミットとはなんのことかしら?」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:29:11.17 ID:VZOT3y4t0
ステイル「くそっ…!くそぉっ!!」グググ…

心理掌握「……」

…聞いて無いわ
はぁ…
諦めの悪い男はより醜くて愚かな存在よね…

―――けれど

『あの日僕は何一つ忘れずに彼女の為に生きて死ぬと誓ったんだっ…!!』

『彼女の元へ行かなければ…!!』

『でなければ…彼女は…』

…改めて問いただす必要も無さそう、ね
まぁ、これ以上インデックスさんについて何かわからないことが出てきても、また違う魔術師さんに答えてもらえば良いだけだし

心理掌握「―――だから、お別れの時間です」

名残惜しいけれど
まぁ、嘘だけど
惜しいのは時間だ
もうそろそろインデックスさんも戻ってくる頃だろう

心理掌握「あぁ、そうだ。聞いて無いかもしれないけれど…」

心理掌握「最後に一つだけ良いことを教えてあげますよ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:31:02.36 ID:VZOT3y4t0
ステイル「うぉぉぉっ…!!!」グググ…!

『イン、デックス…!』

心理掌握「彼女のことを想う気持ちは良くわかるわ」

心理掌握「貴方だって彼女のことが好きみたいだし」

心理掌握「彼女の命の重さの価値を知っているのもよくわかるわ」

心理掌握「…でも、自分の命の重さの価値は知らないみたい」

心理掌握「自分の命の価値もわからない貴方に彼女の命の価値は語る資格は無いわ」

心理掌握「自分を犠牲にしてまで守る…なんて愚かな行為だわ」

心理掌握「死んでしまったら、もうそれでおしまいなんだから」スッ…

彼にこちらから歩み寄る
しかし彼から私に触れることは出来ない

ステイル「ぐっ…あぁっ…!!」ギリッ…!

『インデックス…!!』

心理掌握「私は貴方のことが嫌い」

心理掌握「でも、彼女を想う気持ちに免じて祈りを捧げてあげるわ」

心理掌握「…せめて彼女に抱いた淡い想いに抱かれて」



―――安らかな生き地獄を



そして私は彼の記憶、感情の全てを抹消した
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:31:28.34 ID:VZOT3y4t0
ステイル「うぉぉぉっ…!!!」グググ…!

『イン、デックス…!』

心理掌握「彼女のことを想う気持ちは良くわかるわ」

心理掌握「貴方だって彼女のことが好きみたいだし」

心理掌握「彼女の命の重さの価値を知っているのもよくわかるわ」

心理掌握「…でも、自分の命の重さの価値は知らないみたい」

心理掌握「自分の命の価値もわからない貴方に彼女の命の価値は語る資格は無いわ」

心理掌握「自分を犠牲にしてまで守る…なんて愚かな行為だわ」

心理掌握「死んでしまったら、もうそれでおしまいなんだから」スッ…

彼にこちらから歩み寄る
しかし彼から私に触れることは出来ない

ステイル「ぐっ…あぁっ…!!」ギリッ…!

『インデックス…!!』

心理掌握「私は貴方のことが嫌い」

心理掌握「でも、彼女を想う気持ちに免じて祈りを捧げてあげるわ」

心理掌握「…せめて彼女に抱いた淡い想いに抱かれて」



―――安らかな生き地獄を



そして私は彼の記憶、感情の全てを抹消した
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:33:00.63 ID:VZOT3y4t0
『 』

記憶、感情の抹消
つまり大脳を破壊すること
彼に判断や運動の命令などの高度な心の動きはもう出来ない

けれど呼吸機能の調整が出来る能幹の機能は残っているから自発呼吸は出来る
運動姿勢を調整出来る小脳の機能も残ったままだから立ち尽くしてはいられる
まさに生きた人形

『『あの日僕は何一つ忘れずに彼女の為に生き彼女の為に死ぬと誓ったんだっ・・・!!』』

心理掌握「…ふふっ」

―――嘘つき

忘れちゃったじゃない
私、嘘吐く人は嫌い
もちろん私は例外だけどね

心理掌握「守れない誓いなんか最初からするものじゃないわよ?」

なんて、もう彼にはそんな言葉は届かないわよね
私が能力で感情と記憶を復元してあげない限りは、ね

―――そんな面倒なことしてあげないけど
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:33:59.99 ID:VZOT3y4t0
しかしこの時間帯の公園は人通りが少なくて良かったわ
大男が可憐な少女の前で立ち尽くしている光景なんて見る人が見たら風紀委員(ジャッジメント)に通報されてもおかしくないようなものだからね
騒ぎになる前に早々に立ち去らないと

『…いちごおでんって美味しいのかな?』

それにインデックスさんの心の声も近づいてきたことだしね
インデックスさんの視界に彼が映らないように私の方からインデックスさんに向かって行きましょうか
説明するのも面倒だしね

―――でも

『ステイル…?あの少女…』

『情報が無い…迂闊に接触するのは…』

『…しかし最優先事項はインデックスの回収…』

『インデックスが近くにいる今、ここでの撤退は…』

―――そういうわけにもいかないようね?

新たな心の声
凛とした女性の声
まだ声は遠いけれど着実にこちらへと近づいて来ている

今のところ姿は見えない
けれど彼女は私の姿が見えてるみたいね

逃げる、なんて選択肢は用意されてないみたい
やれやれね
でも、ちょうどいいわ
記憶の消去はともかくタイムリミットについてはちゃんと聞き出せてなかったからね

―――精神感応を展開

―――さぁ、お話しましょうか
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:35:28.27 ID:VZOT3y4t0
『…!?今のは…?』

『…空耳?』

―――御機嫌よう。貴女がもう一人の魔術師さんですか?

『いや…空耳では無い…ハッキリと頭の中から…!』

『少女の声…もしや…』

―――ええ、私が貴女に語りかけています

『……』

『…相手に己の思考を読ませて、そして己自身も相手の思考を読んで会話ですか』

『器用な特技を持っていますね…』

―――あら、理解が早いですね
感情だけが先走っていた赤い魔術師さんと違って冷静な方なのかしら?

インデックス「こころ、おまたせ!」

心理掌握「…っと」

この声は愛しのマイシスター
心の声じゃなく直接声をかけられた
そんな当たり前のことがちょっと嬉しかったり
…なんてね

『……』

『…あの表情…インデックスは随分と彼女に信頼を置いてるようですね』

ええ、羨ましいでしょ?
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:36:31.35 ID:VZOT3y4t0
インデックス「はいっ!約束のいちごおでん!おつかいしてきたんだよっ!」スッ…

心理掌握「あぁ、ありがとう。御苦労さま」

労いの言葉をかけ目当ての物を受け取る
私だって感謝の気持ちぐらいは持ち合わせている
これは本当
持ち合わせているだけで滅多に表には出さないけど

インデックス「タイ焼きのお礼だもん!なんの問題も無いんだよ!

本当、素直な良い子
彼女の前でなら私も素直になれる
嘘だけど
でも半分本当かも

インデックス「ところでこころ、ずっとあっちの方を向いてたけど何か…」

インデックス「…!?」

『あの赤い髪…!!』

ステイル「   」

あら
気づいちゃった
まぁ、気づかないって方が無理よね
さてと。どんな言い訳が良いかしらね

『……』

―――あぁ、もう一人の魔術師さん、会話を中断しちゃってごめんなさいね?
ちょっと待っていただいてもよろしいかしら?
私なら逃げたりはしないから

『…構いません。私も出来るだけ事は穏便に済ませたいものですので』

―――話がわかる人で助かります

『…冷静な少女だ』

『こういった会話だけでも隙を感じさせない…只者では…』

『ここは話をしつつ彼女の情報を引き出したい…』

ええ、同感よ
貴女もどうもさっきの魔術師さんとは格が違うみたい
会話だけで聞きたいことを吐き出してもらうわ
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:37:42.23 ID:VZOT3y4t0
インデックス「こ、こころっ!!」バッ…!

心理掌握「えっ?」

インデックスさんが私の前に出て、そして私を庇うように手を広げる

インデックス「お願い!こころには手を出さないで!」

インデックス「私の友達なのっ!!」

インデックス「私なら、どこにでついていくから…だからっ…!」

『こころに酷いことはさせないんだよっ!!』

心理掌握「……」ポカーン

ステイル「   」

インデックス「…!!」グッ…

…もしかして、この木偶から私を守ろうとしてくれているの?
やだ、凄く可愛いじゃない

―――けれど

心理掌握「…大丈夫よ」ナデナデ

インデックス「…ふぇっ?こころ…?」

彼女の前に出て頭を撫でる

心理掌握「その悪い魔術師さんは私がもう既にやっつけちゃったから」ニコッ

―――貴女を好きにしていいのは私だけなんだから出過ぎた行動は取らないようにしてほしいな

『「私なら、どこにでもついていくから…だからっ…!」』

そんな台詞、次に言ったら許さないんだからね?
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:39:03.00 ID:VZOT3y4t0
インデックス「えっ…?やっつけたって…?」

インデックスさんが呆気にとられた表情をする
そりゃそうよね
立ち尽くしている男を指差して「やっつけた」なんて、いきなり言われても何が何だかわからないわよね

心理掌握「まぁ、心の中を読みながらちょいちょいっと」

心理掌握「『こんな小さな少女に負けた…!?』ってショックで気絶してるのよ、彼は」

それっぽい嘘をつく
だって記憶や感情を破壊する能力についてはまだ黙っていたい
私は彼女の中でまだ『優しい、こころ』でいたいもの

インデックス「そ、そうなの…?」チラッ

ステイル「    」

『…確かによく見たら生気が無いかも』

心理掌握「だから、心配しないで?」

心理掌握「それに私は誓いは必ず守る人間だもの」

インデックス「…誓い?」

心理掌握「地獄でも天国でも、ついていく…」

心理掌握「貴女のことは私が守るってね」ニコッ

インデックス「あっ…」

『こころ…』

インデックス「うん…ありがとうっ…」

『こころは本当に強かったんだね…』

あぁ、もう
そこは「強い」「弱い」とかじゃなくて「大好き」「愛してる」でしょ?
次、間違えたらお仕置きね
嘘だけど
いや嘘じゃなくて良いかも

さてと、赤い髪の魔術師さんのことはこれで本当におしまいにしてと…

―――メインイベントに入りましょうか
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:40:25.00 ID:VZOT3y4t0
インデックス「じゃあ、こころ!早くこの場を去った方が…!」

『気絶から目覚める前に!』

心理掌握「……」

心理掌握「…大丈夫。しばらくは覚めないわ」

立ち去ろうとしようとしたインデックスさんに言葉でそう制す

インデックス「…えっ?」

―――さて、お待たせしました
本当に待ってていただけるなんて随分と律儀な方ですね

『……』

『…二つほど質問があります』

『まず…貴女はステイルに何をしたのですか?』

―――ステイルさんとはこの魔術師さんのことですか?
なに、記憶と感情の破壊。彼を壊しただけですよ

『感情と記憶を…!?貴女は…』

―――先に手を出したのは彼の方です
あぁ、一応釘も刺しておきますね
記憶と感情の復元は可能です
けど貴女が私に手を出すようなことが、それは叶いません
精神復元能力は私だけにしか無い能力です

『…取引を持ちかけようということですか』

―――ええ、本当に理解が早い方ですね
貴女が私に手を出さないのであれば私もインデックスさんには手を出しません
私は彼女のことを大切に思っていますので
そして今とは言いませんが廃人状態となったステイルさんの記憶と感情の復元をすることも約束しましょう

真っ赤な嘘
ステイルさんには一生そのままでいてもらうつもり

『…この場は私に引けということですか』

―――ええ、そこのオブジェと共にね

『…!!』

―――あら?今の言い方は気に障りました?でしたら、ごめんなさいね

悪いだなんて欠片も思ってはいないけれど
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:41:25.48 ID:VZOT3y4t0
『…私に貴女のことを信用しろと?』

―――でも、現にインデックスさんが私に信頼を置いてるのはわかるでしょう?

『……』

『…二つ目の質問です』

『インデックスをどうするつもりですか?』

『返答次第では貴女を見逃すわけにはいきません』

『例えステイルを犠牲することになったとしても…』

―――どうする?物騒なことを聞きますのね
そんなに私のことが信用出来ないのかしら?

『私には貴女がとても歪んている人間のように思えますので』

歪んでいる、か
ふふっ…褒め言葉として受け取っておくわ

―――そうね、そう見えてもおかしくないかもしれないわね
彼女の魔導書を狙っているわけでは無く彼女を助けようとして、やむを得なく彼女を回収しようとしている優しい貴女には・・・

『…!ステイルから聞き出したのですか…?』

―――直接聞き出したわけじゃないわ
だから、まだわからないこともあるの

けれど、一つだけわかったことがある

―――タイムリミットを迎えると彼女は命を落とす…合ってるかしら?

『…!!』

―――私からも質問させてくださいな
そのタイムリミットとはいつなのかしら?
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:42:31.01 ID:VZOT3y4t0
『もうそこまで知っているのですか…』

―――ええ、それでいて彼女を救おうとしているのよ
さっきも言ったけど
少しは信用してくださらない?

救おうとしているのは本当なのだから

インデックス「…こころ?ボーっとしてどうしたの…?」

―――私にとっても彼女は大切な『お友達』ですからね

『……』

『タイムリミットは3日後午前0時です…』

『それまでに…』

―――彼女の記憶を消去しなければならない

『…それすらも理解しているのですね』

―――でも、もう1つわからないことがあるわ
何故彼女の記憶を消す必要があるのかしら?
それも魔術と関連しているのかしら?

『…その様子でしたらインデックスの知識についてもご存じですね?』

―――ええ、10万3000冊の魔導書を記憶しているのよね

『その通りです。彼女は完全記憶能力の持ち主』

『その能力が彼女の命を蝕む要因となっているんです』
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:43:13.22 ID:VZOT3y4t0
『人間は普段、いらない記憶を消しながら生きています』

『そうでなければ人間の脳はパンクしてしまうのです』

『けれど彼女は例えどんな些細なことであっても忘れることはできない』

『だから…』

―――脳の容量がパンクする前に記憶を消して命を守る、か

『ええ…だから私やステイルが1年ごとに彼女の記憶を消していたのです』

…どうやら嘘じゃ無くて本気で言ってるみたいね

だとしたら

―――貴女はただのバカね

『なっ…!?どういうことですか!?』

そのままの意味に決まっているじゃない
本当のこと

―――あり得ないのよ、そんなことは
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:44:06.10 ID:VZOT3y4t0
『あり得ない…?』

―――ええ、どうやらご存じ無いようね?
人間の脳の仕組みというものを

―――人間の脳は140年分の記憶なんですよ
例えインデックスさんがどれだけの知識を頭の中に詰め込んだとしても『パンク』することなんて絶対にあり得ない

精神を司る私の知識
これは嘘なんかじゃない
全てが真実だ

『そんなバカな…!?けれど時がくればインデックスはまた苦しみだす!』

『それは彼女の記憶を消さない限り治まることは無かった!!』

―――大方、そういう仕組みを作った黒幕でもいるんでしょう
貴女を騙し続けた狡猾で計算高い女が
魔術結社の上の人間だったりして

『…!!』

『私は…今まで…』

彼女を傷つけ続けたことの罪悪感でいっぱいってところかしら
同情してあげるわ
嘘だけど
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:45:30.22 ID:VZOT3y4t0
―――ねぇ、とりあえず今は私にインデックスさんを預けてくださらない?
3日後午前0時(タイムリミット)が来るまではね
私、こう見えても精神関する能力のスペシャリストなの

『……』

―――その時にでもまた直接お会いしましょうよ
ええと…

『…神裂火織です』

『…もう1つだけ良いでしょうか…?』

―――なにかしら?

『何故上の人間が女性だと…』

―――狡猾で計算高いのは女性だって相場が決まっているのよ

むしろ女性じゃないと支配する気も起きないわ

『…よくわかりませんが、貴女が言うと妙に説得力がある…』

『…しかし勘違いしないでいただきたいのですが、私はまだ貴女という人間を信用していない』

『けれど、もし貴女のインデックスを救いたいという気持ちが本物であるのならば…』

『貴女の力を期待したい…』

―――ええ、その期待には必ず応えてあげる

『それまではインデックスは預けます』

『ただし貴女が不穏な動きを見せるようであれば、その時は…』

―――ええ、覚悟しておけということね


覚悟をするのは貴女になるかもしれないけど、ね
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/09(金) 20:47:05.50 ID:VZOT3y4t0
一度区切ります
続きはまた明日昼頃にでもと思います

食蜂とこころは全くの別人だと考えて読んでいただけたら嬉しいです
では、また!
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/09(金) 21:23:51.67 ID:K2pJ7hSk0

このssの食蜂さんは普通の女子高生でもしているのかな?
個人的にはモブでもいいから出して欲しいな。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/09(金) 21:32:17.49 ID:Vk+pwgnAO
>>83
>>1
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 07:59:10.83 ID:1RdFBg7+0
神裂火織さん
彼女もまた赤い魔術師さんと同じ感情が先走った程度の低い人間だったみたい
…ガッカリね
もう少し頭の切れる人間かと思っていたのに
私、頭の悪い人間は嫌いなの
本当のこと

これは直接お会いした時にもしも私の好みだったら教育してあげる必要があるわね
私色に染まった素敵な『友達』にしてあげるの
そして、いつまでも隣に置いておいてあげる
…なんて、嘘
これから先、私の隣はインデックスさんでいつも埋まっているの

しかしインデックスさんの命の仕組みを作りあげて下の人間を騙し続けた魔術結社の人間、か
自分の利益を得る為なら手段は選ばない思考の持ち主みたい
人を騙して嘲笑う…
ふふっ、なんだか私と似ているわ
仲良くなれそうね

―――まぁ、あり得ないけどね
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:00:19.99 ID:1RdFBg7+0
私の予想だとステイルさんや神裂さんもそれなりの地位はありそうだから、その上にいる彼女は魔術結社のトップってとこかしら?

つまり彼女の全てを支配し、我がモノにした時、私は…ってとこかしらね

インデックス「こころ…?」

彼女は貴女のモノでは無く私の『友達』

心理掌握「あぁ、ごめんなさいね。ちょっと貧血でボーッとしちゃって…」

そして、事が終われば貴女も私の『友達』にしてあげる…
待っていなさいな、魔術師さん

インデックス「えっ?貧血…?それって大丈夫なの…?」

『こころ、小さくて細いから貧血だとすぐに倒れちゃいそうなんだよ…』

心理掌握「……」

小さくて細いのは貴女も同じでしょう
あっ、でも若干私の方が身長低いみたい…
…若干よ、若干
パッと見は同じぐらいなんだから
嘘じゃなくてホントなんだから
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:01:30.64 ID:1RdFBg7+0
インデックス「どこかで休憩しよ?ほら、いちごおでんもあるし…」

『気分が良くなるまでどこかで座ってた方が…』

心理掌握「ありがとう。でも、もう平気よ」

インデックス「…ホントに?」

心理掌握「うん。心配かけてごめんなさいね」

インデックス「それなら良いんだけど…」

本当に純粋で優しい子ね
そんな彼女の純白の心を踏み荒らすのは私だけに許された特権
訳のわからない仕組みで私から彼女を奪うなんて絶対に許せない

心理掌握「……」スッ…

インデックス「…ふぇっ?こころ…?」

彼女の頬にそっと触れる
誰よりも愛おしい彼女に向って誓う

心理掌握「貴女は、必ず私が守るわ」

『『彼女の為に生き彼女の為に死ぬと誓ったんだっ…!!』』

違うわ
彼女の為に生きて

心理掌握「ずっと『友達』でいましょうね」

―――彼女と共に生きるのよ、永遠に
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:02:19.22 ID:1RdFBg7+0
インデックス「こ、こころ…」

『突然なんだろう…』

『でも嬉しいな…出会ったばかりの私にこんなにも優しくしてくれるなんて…』

『私も、こころとずっと友達でいたい…』

ええ、その想いには応えてあげる
貴女の命を救ってね

しかし記憶を消さなければ命を落としてしまう仕組みか
それこそ魔術そのものの力なんでしょうね

記憶を消去したり復元させたりするだけなら私には容易いこと
しかしインデックスさんの知識に触れることは即ち私の身を脅かすものでもある
喫茶店で感じた異変
あのままインデックスさんの記憶や知識に触れていたら私は…

きっと魔術を扱わない人間が魔術に触れること自体、禁忌の法則なのだろう
だとしたら私自身の能力で彼女の命を救うのは難しいか?

―――ならば直接、魔術結社のトップを叩く?

トップを叩き、従わせればインデックスさんの命も記憶も保障されるのでは?

そもそも魔術結社のトップもインデックスさんを自分の下に置いておきたいが為に魔術で彼女を縛っている
彼女が命を落とすことは望んでいないはず
交渉する余地はありそう
名前やら居場所は神裂さんに聞いて…

心理掌握「……」

―――まぁ、そんな考えは全部嘘ってことで
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:02:47.82 ID:1RdFBg7+0
インデックスさんの命を救うことが最優先事項
これは当然
魔術結社のトップであろうと人間ならば私の能力で簡単にひれ伏せさせることだった出来るだろう
けれど…

―――興味のあるものから目を背けるのはイヤなの

危険なことや面倒なことは避けていきたいのが私という人間だ
でも私はいずれ魔術という力を手に入れ、そして支配するつもりでいる
そんな思想を持った私が今そこにある魔術の脅威から目を背ける?
あり得ないわ

魔術結社のトップなんて叩こうと思えばいつでも叩ける
だったらメインディッシュで良いじゃない?
魔術を束ねる彼女を支配してゴール、が一番理想だと思うの

ふふっ
そんな好奇心旺盛な理想家で嘘つきな私が一番面倒くさい人間かも
そんなこと思っていないけど

―――その脅威さえ支配してみせる

心理掌握「さぁ、そろそろ帰りましょうか」

そう、それは、私の理想の通過点に過ぎないのだから
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:03:27.14 ID:1RdFBg7+0
――――――――

―――インデックス達はこの場を…

神裂「……」スッ…

ステイル「     」

神裂「ステイル…」

『『記憶と感情の破壊。彼を壊しただけですよ』』

インデックスと少女が離れたのを確認した後、私は少女に『壊された』ステイルの傍まで足を運んだ
自発的に呼吸はしている
しかし呼びかけても無反応
生きているはずなのにまるで感情の無い人形の様だ

彼女、ステイルを壊した少女
彼女は精神を司る能力者ということらしい

意思の伝達、読心
…精神の復元も可能と言っていた

インデックスの記憶を仕組みを一瞬で見抜き、そして自身に任せてくれというあの自信
本来なら安心して頼りにしておきたいところ
しかし不安も残る

―――彼女は善人なのか悪人なのか
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:04:00.16 ID:1RdFBg7+0
インデックスを救いたいという気持ちは信じても良いはず
インデックスも彼女を信頼しているし、何より騙されていた私に記憶の仕組みをわざわざ教えてくれた
彼女がインデックスの命を救う気は無く、只利用しようとしているだけなら私に記憶の仕組みを素直に教える必要も無い
それこそ私の存在に気付いた時にステイルと同じく私を廃人しようとしてきたはずだ

―――しかし、そう思わせる為の狂言だとしたら?

思考越しに感じた彼女の態度は至って冷静なものだった
しかしに同時に何処か狂気の様なものさえ感じていた

―――まるで今の状況を楽しんでいるような

―――嘲笑いながらステイルを壊したのでは無いか?

そんな考えが過ってくる
本当に私は彼女にインデックスを任せても良かったのか?

けれど、いざとなればいつでも奪い返せる
彼女が不穏な動きを見せれば彼女を始末することだって厭わない

―――それがインデックスを再び苦しめる結果になるとしても

…そうならない為に心の奥底で彼女に期待をしているのだろう
だから仕組みを見抜いた彼女にインデックスを預けた

―――少なくとも私ではもう彼女を救うことは出来ないから
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:05:01.74 ID:1RdFBg7+0
――――――――

その建物は学園都市の第七学区に存在する
近代的な街並みの中に建てられた石造り三階建ての洋館じみた建物
古めかしくは見えるが貴族さながらの雰囲気を持つこの建物こそ…

インデックス「ここがこころのお家…?」

心理掌握「ええ、そうよ」

インデックス「ほわぁ…」

『ホントにこころはオジョーサマだったんだんだよ…!』

私が入寮している常盤台中学学生寮である

インデックス「こんな立派なところにお世話になって良いのかな…?」

心理掌握「ふふっ、まだ中も見てないのに立派だなんて」

インデックス「だ、だって…」

『想像してたのよりずっと凄かったんだもん!』

確かにありふれた風景の中に大きな洋館…なんてのは想像しにくいかもね
私にとっては最早当たり前の光景だけど

それにしても、インデックスさんはまだ遠慮がちなのね
お世話になって良いに決まってるのに

―――今日からここは貴女と私の愛を育む檻になるんだから
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:06:20.42 ID:1RdFBg7+0
心理掌握「さぁ、遠慮はしないで良いのよ?」

心理掌握「本当の自分のお家だと思ってくつろいでくれれば良いんだから」

インデックス「う、うんっ…」カチコチ

『友達のお家とはいえ緊張しちゃう…』

あん、初々しいな
大丈夫、優しくしてあげるから…
嘘か本当かは自分でもわからないけどね

私とインデックスさんは玄関へと足を運ぶ
玄関を入るとホールに出る
階段と左右に向かう廊下があり、中身も正に貴族の邸宅のような雰囲気になっている

インデックス「うわぁっ…」

『外とは…べ、別世界なんだよ…』

確かに寮内と外を比べたら同じ国とは思えないかも
まぁ、インデックスさんがどれだけ日本に慣れてるのかは知らないけれど

心理掌握「さぁ、正面の階段を昇るわよ。その先に・・・」

『あれは…天美か』

心理掌握「…っと」

私は口を噤み足を止める
そうそう、そうだったわね

寮監「天美、戻ったか」

寮監「ん?後ろの彼女は?客人か?」

―――まずは前戯を済ませないといけないわね
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:07:10.49 ID:1RdFBg7+0
インデックス「ふぇっ…!?え、と…」

『な、なんだか怖そうな女の人なんだよ…』

うん、そうね
お堅いスーツに逆三角形の眼鏡
鋭い眼つき
かなりキツい第一印象を受けちゃうわよね
実際性格もかなりキツい
そんな彼女こそ、この寮の寮監である
ちなみに私の好みとは正反対
だって29歳の萎れた花には興味は無いもの

心理掌握「ニ〇一号室、天美 心。只今戻りました」ペコッ…

そんな行き遅れ相手だけど私はお行儀良く一礼をする

寮監「うむ」

『天美はいつも礼儀正しいな』

『同じ超能力者として御坂にも見習って欲しいものだ』

寮監は規則にとても厳しい人
つまり規則を守る人間、礼儀がしっかりしてる人間を好む
私は常にその両方を意識している
もちろん表面上だけ
変に目を付けられたくも無いしね
行き遅れの相手なんて面倒だし

ちなみに御坂さんはよく規則を破るそうで目を付けられちゃってるみたい
まぁ、私の知ったことでは無いけれど
生き方が下手だなって思うだけで

寮監「それで、天美。後ろの彼女だが?」

インデックス「あっ、そ、その…私は…」

心理掌握「……」

―――さてと、どうしたものかしら
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:07:41.92 ID:1RdFBg7+0
本来、インデックスさんと学生寮で暮らす際にまずは寮監をどうにかしておく必要があった
インデックスさんを部屋に置いた後に寮監の近くまで行き隙を見て洗脳、記憶操作などをして恰もインデックスさんは元々学生寮の住人だった、という事実を作るつもりだったけど・・・
まさか玄関で鉢合わせちゃうなんてね

読心能力で予め寮監が近くにいたことも予想するのは可能だったけれど…
領域範囲を広げたままでいる状態ってやっぱり疲れちゃうのよね
狭めた結果がこれだけど

まぁ、それならそれで寮監に能力をかけて取引に持ち込めば良いだけの話かもしれないけれど相手は丸腰で能力者を瞬殺してしまうような人間だ
あの御坂さんでさえ完封されたいうのだから正面からの精神操作も自力で解いてしまうかもしれない
そんなことはまずあり得ないとは思うんだけど…

寮監「天美?」

そんなことも可能にしてしまうようなオーラがこの人にはどことなく漂っている
ホントに無能力者よね?

心理掌握「あっ、彼女はですね…」

そうなると私の取る行動は1つだけだ

心理掌握「迷子なんです」

インデックス「ふぇっ!?」

寮監「迷子だと?」

―――当然、嘘で言いくるめる
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:08:17.08 ID:1RdFBg7+0
心理掌握「はい。中央公園のベンチで彼女が不安そうな顔をしてるところを偶然見つけて気になって声をかけたのですが・・・」

心理掌握「どうも彼女は学園都市に迷い込んじゃったみたいなんです」

心理掌握「見ての通り彼女は異人の方なので頼れる身寄りの方もいない」

心理掌握「日本の勝手もわからない」

心理掌握「まだ幼い少女なので自分が何処から来たのかも覚えていない」

心理掌握「そんな彼女の心は不安な気持ちでいっぱいだと思います」

心理掌握「風紀委員や警備員の方に預けておくのが最善かとは思ったのですが・・・」

心理掌握「きっと少しでも打ちとけることの出来た私と離れるのは彼女の不安を倍加させるだけかと思って・・・」

心理掌握「だから、少しの間は彼女を私の部屋で過ごさせてあげたいんです」

心理掌握「ある程度彼女が落ち着いたら一緒に彼女の身元をちゃんと調べて元のお家に帰してあげられるようにしたいと思いますので・・・」

心理掌握「だから、どうか!私の部屋に彼女を同居させることを許可していただきたいのです」

寮監「ふむ…」

―――さて、こんな感じでいかがかしら?

インデックス「……」ポカーン

『べ、ベンチ…?迷子…?』

大体合ってるでしょ?
いや大体間違ってるかしら?
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:09:31.65 ID:1RdFBg7+0
『異人で素性のわからない修道服を着た少女…』

『ましてや学生でも彼女を寮の住人として迎え入れるなんてことは…』

『だが、しかし…』

寮監「天美」

心理掌握「は、はい」

寮監「…彼女にも規則通りに生活してもらう」

心理掌握「…!でしたら!?」

寮監「お前のことだ。それぐらいの責任は果たせるだろう」

心理掌握「はい!私が責任を持って彼女に寮での正しい生活、規則を…!」

寮監「うむ。それならば構わん」

寮監「寮の風紀を乱すようなことさえ無ければ私は特に言うことは無い」

心理掌握「あ、ありがとうございます!」

『こんなにも幼いのに身寄りの一人もいないのは相当不安だろうしな』

『彼女に優しくしてやった天美だけが今の彼女の支えなのだろう』

『それを引き剥がすほど私も鬼ではない』

心理掌握「……」

随分とあっさり上手くいったわね
鬼の寮監と言えども情には厚いみたい
元々子どもも好きみたいだしね
ふふっ…
能力なんか使わなくても人間の心理コントロールなんて容易いものね

―――ホント誰もかれも皆、単純思考なんだから
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:10:23.19 ID:1RdFBg7+0
寮監「朝の生活リズムについても後でしっかりと教えておくように」

心理掌握「はい。了解しました」

寮監「うむ。あぁ、そうだ。白い修道服の君」

インデックス「えっ?わ、私かな…?」

寮監「そうだ。今、返事をした君だ」

寮監「私はここの寮の責任者だ。君の名前を聞いておきたい」

インデックス「わ、私の名前はインデックス…」

寮監「……」

『目次…変わった名だな。異国では普通なのか?』

偽名とは思わないところがまたお堅い性格よね
寮監は嘘とか大嫌いなんだろうな
私の本性バレたら大変なことになるわね
もちろんどんな時でも騙し通すけれど

寮監「うむ。それでは天美、頼んだぞ」スッ…

そう言い残し寮監がその場を後にする

心理掌握「はい。お任せください」ペコッ…

そして私はその後ろ姿にインデックスさんとの同居の許可をいただけたことの感謝の気持ちを込めて一礼

―――まぁ、感謝なんて微塵もしてないけど
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:11:45.02 ID:1RdFBg7+0
さてと前戯も終わったところで、ここからが永遠とも言える本番の始まりね
まぁ、まだ済ませなきゃいけないこともあるけれど、これからはいつもずっと一緒だから本番と言っても過言では無いわよね

心理掌握「…さてと、インデックスさん。お部屋まで行きましょうか」

心理掌握「…って」

インデックス「……」ムスー

心理掌握「…インデックスさん?」

…あら?
なんだか不機嫌…

『…私、別に迷子になってたわけじゃないもん…』

『ベンチでションボリしていたわけじゃないもん…!』

えっ?
そこって気にするところなの?

『こころと初めての出会いだったのに適当なこと言われたんだよ!!』

インデックス「こころのウソつきー!!!」ガブッ!!

心理掌握「いたぁっ!?」

思いっきり腕に噛みつかれる…って痛い痛い!?
そんなに怒ること!?

心理掌握「……」

…私との出会いのことを大切な思い出として考えてくれてるってことかしら

『『ええ…だから私やステイルが1年ごとに彼女の記憶を消していたのです』』

思い出を大切にする、だなんて私はそんな乙女チックな人間では無い
でもね、それでも…
残り3日間で必ず彼女の命を蝕む原因を見つけ出し彼女の全てを守ってみせる
命も記憶も失わせたりはしない

―――私のことを少しでも忘れるだなんて絶対に許さないんだから
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:12:49.66 ID:1RdFBg7+0
―――――――

心理掌握「この寮での朝の生活規則は午前七時に起床して午前七時半に食堂へ集合」

心理掌握「まぁ、インデックスさんは私の部屋で一緒に生活するわけだからこれを破ることはあり得ないけどね」

インデックス「つまりこころと一緒に起きて、こころと一緒にご飯を食べれば良いわけだね!」

心理掌握「ええ、その通り」

寮監と別れた後、私とインデックスさんは寮則について会話しながら二階へと続く階段を昇り始めていた
この階段を昇った先に私の部屋、今日からインデックスさんと共に暮らすこととなる二〇一号室がある

心理掌握「あっ、ちなみに私の部屋は元々一人部屋だからベッドは1つしか無いんだけど…」

心理掌握「私は床で寝るからインデックスさんは構わずベッドを使ってね」ニコッ

二○一号室は一人部屋
ベッドは1つ

―――これらは嘘では無くて本当

インデックス「えっ?私が一人でベッド使うの?」

心理掌握「ええ。私から一緒に暮らしましょうって誘ったんだから当然…」

―――そんなことは思っていない

インデックス「1つのベッドで一緒に寝るのはダメなの?」

インデックスさんが足を止めてそう私に問う

―――そう、欲しかったのはこの言葉
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:13:52.49 ID:1RdFBg7+0
心理掌握「えっ、一緒にベッドで?」

インデックス「うん。こころの部屋なのにこころがベットで寝ないのはおかしいと思う!」

心理掌握「うーん…でも一緒に寝ると狭いわよ?」

―――狭い分だけ良いんだけど

インデックス「こころさえ良ければ私は全然構わないんだよ!」

インデックス「むしろ、そうじゃないと気が引けちゃうかも…」

インデックス「かと言って、ベッドがあるのに私が床で寝るのもなんか納得いかない…」

インデックス「だから一緒に寝よ?」

心理掌握「……」ハァーッ…

インデックス「…?こころ?」

『なんかこころの息が荒く…』

インデックスさんて本当に純粋
言葉も心も
あぁ、本当に可愛いな
可愛いな可愛いな可愛いな可愛いな
可愛いな可愛いな可愛いな可愛いな

―――本当に愛しくて、憎たらしくて

―――困ったわ、興奮してきちゃった…
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:15:21.29 ID:1RdFBg7+0
もちろん私は最初から二人で1つのベッドを使う気満々だった
インデックスさんに抱きつきながら毎晩夜を過ごすの
あぁ、夜なんて明けなければ良いのに

しかし予定通りとは言え、いざあまりにも純粋に『一緒に寝よ?』なんて直接言われたら興奮の高まり具合が半端じゃないわね・・・
つい息が荒くなっちゃった…
身体も熱い…
こんなのはしたないわ…
今はまだセーブをかけておかないと…

―――興奮よ、鎮まれ

心理掌握「……」

心理掌握「…ふぅ」

『心理掌握』を使って自身の気持ちの昂りを抑える
ホント、便利な能力だわ

―――便利でとても都合が良い能力

インデックス「……」

『落ち着いたんだよ…』

インデックス「…こころ?」

心理掌握「そうね…インデックスさんがそう言ってくれるならお言葉に甘えちゃおうかな」

心理掌握「一緒に寝ましょうか?」ニコッ

インデックス「う…うん…」

『いつものこころなんだよ…』

『さっきのはなんだったんだろう…?』

思春期の女の子はみんな好きな人の前ではああなっちゃうのよ
いつか、その未熟な心と身体に覚えさせてあげるからね
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:16:15.94 ID:1RdFBg7+0
心理掌握「さてと…階段を昇り終わったらもう、すぐそこよ」

心理掌握「行きましょう?」

インデックス「あっ、うんっ」

私たちはまた再び階段を昇り始める
ていうか、階段で立ち止まって興奮とか冷静になってみれば結構危険な行為よね
ゾッとしちゃう
嘘だけど

階段ももうすぐ終わり
その先には楽園が…

『…帰って来たわね。似非優等生』

…って、あら?
もうすぐ楽園に辿り着くというのにそれに似つかわしくない品の無い心の声が聞こえてきたわ?
私は足を止める

インデックス「ふえっ?こころ?」

心理掌握「あら、門限より前にご帰宅なさってるなんて珍しいこともあるのね?」

美琴「そうかもね・・・私がアンタと寮で会話してるのも含めてね…!」

常盤台のエース、御坂美琴さん
そういえば彼女も二階の住人だったわね
だったら偶然鉢合わたりもするか
まぁ偶然というよりは必然的な待ち伏せ感じが凄いけれど

美琴「ちょっと付き合いなさいよ」

『公園での借り…返すんだから!』

―――ホント、面倒な上に空気も読めない人
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:17:31.48 ID:1RdFBg7+0
心理掌握「イヤ…と言ったら?」

美琴「はい、そうですか…なんて言うと思う?」

心理掌握「……」

美琴「……」

インデックス「…こころ?」

美琴「…えっ?」

『…あれ?この子、さっき公園で心理掌握の頭に噛みついてた修道服の…?』

『こころの友達なのかな?』

『でも、なんだか険悪な雰囲気なんだよ…』

御坂さん正解
インデックスさんハズレ

美琴「…アンタ、この白い修道服の子、どしたの?」

当然の疑問でしょうね
さっきまで私の頭に噛みついていた異人の少女が当然の様に寮の階段を昇っているんだもの
でも…

心理掌握「教えてあーげない」

美琴「…なっ!?」

『コ…コイツ…!!』

そんな冗談1つで御坂さんがワナワナと震える
もちろん怒りでだろう
いやね、すぐにキレる若者って感じで
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:18:50.46 ID:1RdFBg7+0
美琴「アンタってホンットに性格最悪よね…!」

心理掌握「イヤだ、照れますわ」

美琴「…やっぱり一度、叩きのめさないと私の気が済まないわ!」バチッ…

美琴「殺したりはしないから安心しなさい…!!」バチバチッ…!!

飛び散る電流
あぁ、完全にキレちゃったみたい
はぁ、本当に短気ね
周りに寮生がいないのが救いってところ?
いたら大騒ぎだわ

心理掌握「寮での能力の使用は寮則違反よ?」

美琴「表に出れば良いだけでしょ?まだ門限まで…」

インデックス「あ、あの!」

唐突にインデックスさんが声を上げる
もしかしてまた私を庇おうと?

美琴「あぁ、アンタ。コイツから離れてた方が良いわよ巻き添えを…」

ふん
近くにいようが離れていようが彼女には指一本触れさせないわよ
傷の一つでも付けようものなら…

インデックス「私の名前はインデックスなんだよ!」

心理掌握「えっ?」

美琴「……」

美琴「…へっ?」

…自己紹介?
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:20:11.89 ID:1RdFBg7+0
インデックス「私はこころにご飯を食べさせてもらったり魔術師をやっつけてもらったりもしたの!」

インデックス「それで私はこの街では身寄りもいなくて住む場所も無くて…」

インデックス「そんな私にこころが危ないから一緒に住もうって言ってくれて…」

インデックス「こころは私の恩人なの!」

インデックス「嘘つきでイジワルだけど優しい人なの!」

インデックス「だから短髪もこころのイジワルを許してあげてほしいの!」

インデックス「あとで私がこころによーく言っておくから!」

美琴「……」ポカーン

心理掌握「……」ポカーン

御坂さんがインデックスさんのことを質問してきたけど私が
『教えてあーげない』
なんて返したから、御坂さんが私にイジワルされて怒ったと思って自ら自分のことを御坂さんに教えて、この場を収めようとしたってことで良いのかしら・・・?
私の為に争うのはやめて!的な?

心理掌握「……」

なにそれ可愛い
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:21:16.41 ID:1RdFBg7+0
美琴「……」

『なんか…気が抜けたわ…』

美琴「…今日は見逃してあげるわ」

美琴「でも、明日は!必ず借りを返すんだからね!」ダッ…

そう言い残し自分の部屋の方へと踵を返す御坂さん

インデックス「うーん…まだ怒ってるみたい…」

インデックス「こころ!なんで友達にあんなイジワルしたの!?」

隣でプンスカ怒るマイシスター

心理掌握「実はそういう挨拶なのよ」

そして構わず嘘をつく私

インデックス「それはウソかも!本気で怒ってたもん、あの短髪!」

うーん
流石にちょっと苦しかったかしら
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:22:39.38 ID:1RdFBg7+0
インデックス「もー!ウソもダメって言ったでしょ!」

インデックス「ウソをつくこころは私キライだもん!」

心理掌握「これから一緒に住むのに嫌われるのは困るな…」

これは本当

インデックス「だったらもうウソとイジワルはダメ!人を傷つけるだけだよ!」

インデックス「もうしない!って約束して欲しいな!」

インデックス「そしたら聖母のように優しい私がこころの罪を今回だけは赦してあげるかも!」

心理掌握「わ、わかったわ…両方もうしないわ…!」

インデックス「…ホントに?」

心理掌握「ホントに!」

インデックス「…絶対?」

心理掌握「絶対!」

インデックス「……」

『本当にこころはしょうがないんだよ…』

『私だってこころのことキライになりたくないもん…』

インデックス「…ちゃんと誓いは守ってね!」

心理掌握「ええ!必ず!」

―――破ると思うけど

とりあえず再び許しをもらえて良かったわ
でも、この様子だと三度目は無いかも…
気をつけなくちゃ!
なんて、思ってないけどね
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:23:32.39 ID:1RdFBg7+0
――――――――

階段を昇り2階に上がれば目的の場所はすぐそこにある

心理掌握「はい。今日からこの二〇一号室が私たちのお部屋よ」

インデックス「わぁっ…!」

『お部屋も高級ホテルみたいかも…』

『こんなお部屋に一人で住んでたなんて贅沢過ぎるかも…』

そうね
まさに貴族の邸宅の一室と言っても過言では無いかもね
照明もシャンデリアだし
ここまでお金をかけてる寮も中々無いでしょうね』

インデックス「あっ、あのベッドがこころのベッドかな?」

インデックスさんが部屋の奥に位置するシングルベッドを指差してそう尋ねる

心理掌握「ええ、そうよ。毎日あのベッドで寝てるの」

先ほど嘘をつくな!とインデックスさんに釘を刺されたので素直にそう答える
まぁ、嘘のつきようが無いだけだけれど

インデックス「そっか!じゃあこれからは毎日一緒に寝るんだね!」

インデックス「確かに二人で寝るにはちょっと狭いかもだけど…」

インデックス「くっついて寝れば問題無しだね!」

心理掌握「……」

…くっついて
くっ、マズい…
また、気持ちが昂ってきちゃった…
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:24:25.61 ID:1RdFBg7+0
心理掌握「…ふぅー」

―――深呼吸

―――『心理掌握』による興奮の抑制

心理掌握「……」

落ち着いた
興奮を抑えきれなくなって相手を無理矢理、なんていうのは醜い
好きな人を前にそんな野蛮な真似はしたくない
それに好きな人となら強姦よりも和姦の方が絶対に気持ち良いもの
興奮は来るべき時が来たら高めれば良い
今はまだその時では無い…

インデックス「わぁ、ふかふかだぁ」フニフニ

心理掌握「……」

ベッドを手で押しながらはしゃぐインデックスさん
…あぁ、もう可愛いなぁ
この手で壊してしまいたい

心理掌握「……」ハァーッ…

―――呼吸が荒くなる

って、だからまだ早いのよ
落ち着きなさい、私

…私って好きな人の前じゃ案外ウブなのかも
意外な一面を発見、なんてね
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:24:51.64 ID:1RdFBg7+0
インデックス「ねぇねぇ、寝っ転がってもいいかな!?」

心理掌握「ええ、構わないわよ」

インデックス「わぁっ!」ポフッ…!

ベッドに倒れこむインデックスさん
大丈夫、もう興奮しない
ちゃんと能力で鍵をかけてある
鍵を開けた瞬間、大変なことになりそうだけど

ていうより、彼女との愛の営みについて考えるのは後々
私には興奮するよりも先にするべきことがある

―――彼女の命を蝕む仕組みを発見し、そして排除する

彼女の命の期限は3日後の午前0時
つまり残された時間は約80時間
長いようで僅かな時間しか残されていない
それまでに…

でも実は仕組みを発見することだけなら容易かったりする

―――『心理掌握』を展開

心だけで無く貴女の過去もちょっと覗かせてもらうわね
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:25:30.71 ID:1RdFBg7+0
インデックス「ふわぁ…」フニフニ…

『枕もふかふかなんだよ…』

―――対象の過去の場景を映し出せ

インデックスさんを見つめながら私は能力を展開する
読心能力(サイコメトリー)の応用
その者の持つ心の声じゃなく、その者の持つ記憶を読み取りを開始する
インデックスさんの肉体の記憶を読み取り、過去にその肉体に何があったのかを映し出す
心の声と同じく対象が少しでも領域に触れたら発動する能力なのでインデックスさんの歩く教会は無効化
顔や手が露出してるからね

心の声を聞くのと同じく彼女の知識そのものに触れるわけでは無いので私の身の安全は保障されるでしょう

―――さぁ、何が見えてくるかしら?
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:26:13.97 ID:1RdFBg7+0
―――インデックスさんの肉体の記憶を遡る

―――喫茶店でジャンボチョコレートパフェを食べる彼女

―――私に心の中を読まれてると知ってビックリする彼女

―――バイキングなんて嘘をつかれて私に噛みつく彼女

―――お腹が減ってるところに私に声をかけられた彼女

今日1日の彼女の思い出が私の頭の中へと映し出されていく

―――ここから先は私の知らない彼女の肉体の記憶

―――魔術師に追われ、逃げまどう彼女の姿

そこから先は常に魔術師に追われ逃げ続けるインデックスさんの姿だけが延々と映し出されていた
数々の危機を乗り越え、
そして私と出会ったことでやっと安息を得ることが出来たのね

辛かったわね
でも、もう大丈夫よ
誰にも貴女を苦しめさせたりなんかさせないから

私以外にはもう誰にも触れさせやしない
嘘じゃない
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:27:11.44 ID:1RdFBg7+0
―――そして更に彼女の肉体の記憶を遡る

―――1年ほど遡ったのだろうか

―――熱に魘されているのか倒れこんでいるインデックスさんの姿

―――そして、その周りには二人の男女

―――男性の方は赤い髪の長身、先ほど私が壊したステイルさんだ

―――もう一人の女性、彼女が神裂火織さんだろうか?

―――片方の裾を根元まで切り取ったジーンズに大きな胸が窮屈そうな小さなTシャツ

―――歳は結婚適齢期は過ぎてる感じね

―――つまり淫乱熟女…私の好みじゃないわね

なんてことを思ってるうちに、その二人がインデックスさんに向かって何やら唱えているかのような姿が映し出される
なるほど、これが記憶消去かしらね?
インデックスさんの熱に魘されているかのような姿は彼女の命の期限が近付いているのを表すサインだったようね
つまりインデックスさんは2日後には、今の様な姿になってしまうのかしらね

―――けど、今知りたいのはそんなことでは無い

―――更に記憶を遡っていく
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:27:42.82 ID:1RdFBg7+0
―――そして更に彼女の肉体の記憶を遡る

―――1年ほど遡ったのだろうか

―――熱に魘されているのか倒れこんでいるインデックスさんの姿

―――そして、その周りには二人の男女

―――男性の方は赤い髪の長身、先ほど私が壊したステイルさんだ

―――もう一人の女性、彼女が神裂火織さんだろうか?

―――片方の裾を根元まで切り取ったジーンズに大きな胸が窮屈そうな小さなTシャツ

―――歳は結婚適齢期は過ぎてる感じね

―――つまり淫乱熟女…私の好みじゃないわね

なんてことを思ってるうちに、その二人がインデックスさんに向かって何やら唱えているかのような姿が映し出される
なるほど、これが記憶消去かしらね?
インデックスさんの熱に魘されているかのような姿は彼女の命の期限が近付いているのを表すサインだったようね
つまりインデックスさんは2日後には、今の様な姿になってしまうのかしらね

―――けど、今知りたいのはそんなことでは無い

―――更に記憶を遡っていく
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:28:25.34 ID:1RdFBg7+0
そこからしばらくはまたインデックスさんが魔術師達に追われ逃げまどう映像が映し出された
魔術師達は彼女を傷つけて、苦しめて
今、私がその場にいたら二人とも粉々に破壊しちゃうでしょうね
一人はもう破壊しちゃったけど

なんだか私の中でインデックスさんの存在って凄く大きなモノになってるわね?
最初は魔術という未知の力を手に入れる為だけの存在だったはずなのに
やっぱり性格が純粋だし顔も好みだからかしら

―――今なら彼女の為に命も投げ出すことだって、

なんて、嘘だけど
そんな見え透いた嘘を心の中で吐き捨て再び過去の映像に集中する

―――ん?

肉体の過去の映像に初めて見る人物が鮮明に映し出された

―――美しい金髪にベージュの修道服

―――年齢は18歳前後だろうか?

―――そもそも、この場所はどこだろうか?

―――場所の移動までは読み取れなかったが少なくとも、ここは日本では無いわね

そしてこの映像はインデックスさんの肉体から見た過去映像
先ほど視点が金髪の女性から全く動かない
インデックスさんがジッと彼女を見つめているのか
はたまた、インデックスさんは意識が無い状態なのか

―――その答えはすぐに映し出された
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:29:10.69 ID:1RdFBg7+0
読心能力で映し出した過去映像には音が無い
だから過去映像の人物が何かを喋っていても何も聞こえないし、インデックスさんの言動も読み取れない

―――だけど、この女性が魔術結社の人間だということだけはハッキリとわかった

金髪の女性はインデックスさんに何かを施している
無抵抗のインデックスさんに

修道服に女性
そうか、彼女が魔術結社のトップということなのね
だったら…

―――更に過去の映像を鮮明に映し出せ

―――何が見える?

―――首輪…?

―――これはインデックスさんに元々付けらていたモノでは無く…

そして、次に映し出された映像は紋章
そしてその紋章はインデックスさんの…

・・・どうやらインデックスさんの命の仕組み、
そして同時にそれを解除する為にすべきことさえも見つけることが出来たみたい、ね

―――『心理掌握』の解除

まずは神裂さんともう一度お話する必要がありそう
…それまでは、

インデックス「ふかふかー…」ゴロゴロ

この幸せな一時に私も癒されるとしましょうか
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 08:30:23.45 ID:1RdFBg7+0
一旦区切ります
コピーミスった…

食蜂さんが登場した今でも天美心のままのこのSSを楽しみにしてくれる方々いてくれて嬉しいです
ありがとうございます!
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 11:34:09.36 ID:vVgTxmyIO
まだ待ってるんだよ!
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/10(土) 11:51:02.35 ID:WTtYYpKAO
こころんかわいいよこころん。
食蜂さんが登場するまでは色々な心理掌握があちこちに居て面白かったな。
でも大抵ちょい役だったから主役として出てるこのSSには改めて期待。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/10(土) 13:30:27.02 ID:kWsMGWBN0

ここのスレの心理掌握・天美心はいいんだけど、この世界の食蜂操祈はどうなっているんだろう?
個人的な考えだけど最後らへんに女子高生(または中学生)として生きている食蜂操祈が出てこないかな・・・
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/10(土) 14:14:09.61 ID:TTr5UpKjo
>>121
そういうのは作者が決めることで読者がしつこく要望出すもんじゃないだろ
脳内補完しとけー
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/10(土) 14:40:38.91 ID:kWsMGWBN0
>>122
わかったよ。舞ちゃん
イメージで補完しておくよ。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/10(土) 16:33:59.07 ID:EmSQLikt0
上条さん出してほしいな…どんな形でもいいから本編に食い込んでほしい…





へんなこといってごめん心理掌握に恋愛系のフラグを立ててほしかったんだごめん
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:22:11.92 ID:1RdFBg7+0
―――首輪と紋章

必要な情報は揃ったと言っても良いでしょうね
あとはそれらが意味することを魔術師である神裂さんに分析してもらい仕組みの解除方法を知る
出来れば今後の為に私が直接解除したいところだけれど、魔翌翌翌力を持たぬ私にそれは可能かしら?

最優先すべきはインデックスさんの身の保障
そして私の身の保障
魔術という力を支配する為の通過点とも考えたいところだけど、成す術も無くお互い共倒れなんてシナリオはあってはならない
焦りは禁物

とりあえず時間はまだ残されている
明日にでも神裂さんと再コンタクトを取って、このことについてじっくりと話をしたいところね

というわけで今夜は、そのことは一切忘れてインデックスさんとの二人きりの時間を楽しみましょうか…

心理掌握「あっ、そうそう。夕食の時間なんだけど…」

心理掌握「…って、インデックスさん?」

インデックス「…くー」

心理掌握「……」

…ベッドで熟睡しちゃってるわ
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:22:57.36 ID:1RdFBg7+0
インデックス「…くー」

心理掌握「……」

よっぽど疲れてたのかしら?
でも無理も無いか
来る日も来る日も逃亡の日々
安息なんて無かったものね

…しかし

インデックス「…ん」

…なんて可愛い寝顔なんだろう

心理掌握「……」

―――寝込みを襲ってしまおう

なんて醜い考えはもうしない
興奮の抑制は既に済んでいる
インデックスさんとはこれから先じっくりと愛を育んでから、その行為に及びたい

心理掌握「……」

―――愛、か
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:23:41.19 ID:1RdFBg7+0
確かにインデックスさんは大切な『お友達』で私好みの女の子
誰よりも愛おしい

…愛おしい
どう、愛おしいの?
可愛がりたくなる愛おしさ?
大事にしたい愛おしさ?
誰よりも?
自分よりも?

可愛いなんて思うことはあったけど、それは私の欲を満たすための可愛さ
派閥のみんながそうだ
『好き』だけど特別な思い入れは無い

そもそも愛おしいなんて表現したのって、いつ振りかしら?
むしろ初めて?
私、そんな感情を無意識に?
何の疑問も持たずに?

インデックス「…くー」

心理掌握「……」

この数時間前に会ったばかりの少女に?
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:24:42.31 ID:1RdFBg7+0
確かに他の女の子と比べたら特別な思い入れはあるかもしれない
顔は好みだし、何よりも他の子には無い魔術という特別で魅力的な力を持っている
そう、私は元々彼女の魔術に惹かれて…

インデックス「…むー…こころのうそ…つき…」

心理掌握「…!」

インデックス「…くー」

寝言、か

心理掌握「……」

…そっか
私はその服装や顔、そして魔術にも惹かれていたけれど、
それ以上に惹かれていたものがあった

―――今まで出会ってきた他の人とは違う彼女の、

―――そして私は彼女のことを本気で、

―――なんて、そんな気持ちは嘘

―――いや、嘘かどうかわからない?

―――私、は、
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:25:19.75 ID:1RdFBg7+0
インデックス「…ぐー」

起こすのを躊躇ってしまうぐらい安らかな顔で眠っているインデックスさん
夕食の時間まではぐっすりと寝かせてあげましょうか

じゃあ、私はどうする?
そろそろ寮生もちらほら帰ってくる時間帯だし誰か他の子のところにでも遊びに行く?
いや、それは無しかな
今はずっとインデックスさんの近くにいたい

インデックス「…うにゅ」

心理掌握「……」

ふふっ
心を司る私が自分の心情を理解出来なくなってしまうなんてね

インデックス「…ん」

―――いや、そもそも私は、

心理掌握「……」

私は『心理掌握』を展開する

―――遠い記憶を呼び起こす
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:26:11.80 ID:1RdFBg7+0
―――――――
―――――
――――

これは『天美 心』が学園都市で能力開発する前の記憶
『天美 心』が今よりももっと、小さな少女だった頃の記憶


―――そして、まだ、

―――『私』が『天美 心』じゃなかった頃の記憶


『真実』と『嘘』


『真実』の『天美 心』は、この身に閉じこめた
いや、自ら閉じこもった?


今は『心理掌握』である『私』が毎日のように『天美 心』として活動してるから、どちらとも言えるわね


―――そう、『嘘』の『天美 心』が
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:26:45.28 ID:1RdFBg7+0
じゃあ私は『天美 心』じゃないのかって?

―――ええ、そうよ

―――ううん、嘘

―――わからないの

―――私は『天美 心』だけど

―――本当の『名前』を知らないの


あの頃の『天美 心』に『私』はいなかった


―――解離性同一性障害


『私』は『真実』の『天美 心』が心的外傷から逃れようとした結果、


―――防衛機制として生みだされた別人格なの
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:27:22.79 ID:1RdFBg7+0
『私』がいなかった頃の『天美 心』
素晴らしく大きな家に『天美 心』は住んでいたわ
『天美 心』の父親は事業主で当時それなりに名が知れていたっていう企業の経営していたの


衣・食・住
何一つ不自由が無い
正真正銘のお嬢様だったわけね
いや違うわね


―――不自由が無い『はず』だった


『天美 心の』生活の記憶を『私』の能力で何度振り返っても
何故だか『天美 心』が笑っている過去映像は一片も映し出されることは無かった


―――あの頃の『天美 心』にとっての一番の幸せと言えば


―――父親が自分に暴力を振るわないこと、だったのかしらね
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:28:06.31 ID:1RdFBg7+0
『天美 心』は物心ついた時には既に父親に身体的を虐待を受けていた
父親は『天美 心』の母親にも同様に暴力を振るっていた
そんな毎日

鬱憤を晴らす為だったのかしらね
なんの鬱憤?
くだらないものよ
父親の企業が倒産したってだけの話
『天美 心』に物心がつく前にね

家にこもるようになる父親
そして始まる暴力


―――いたい、もうやめて


こんな思いはもうしたくない
ただひたすら願い続ける日々


―――だけど、そんな少女の願いも空しく打ち砕かれるの
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:28:38.06 ID:1RdFBg7+0
ある日、日に日にエスカレートする夫の暴力に耐えきれなくなった母親が家を出て行方をくらましてしまったの
娘である『天美 心』を置いて、一人でね

ふふっ、酷い女よね
よりにもよって大切な娘を置き去りにしてしまうんなんて
もう人との関わりを持ちたく無かったのかしら?

いなくなった母親
『私』の身体の記憶にある『天美 心』の母親は彼女に暴力を振るったりはしなかった
食事は作ってあげるし、お洋服を洗ってあげたりもしてたわね
『天美 心』を想っていたからこそ、かしら?


―――まぁ、親子の思い出はそれだけしか無かったみたいだけれど


母親と過ごした思い出
一緒になって暴力を受けてる人、としか『天美 心』は認識していなかったみたい
母親と一緒に食事したり、母親が洗濯したお洋服を着ていることに疑問や感謝も感じていなかったようで


―――只、父親の暴力から逃れられている時間だとしか思っていなかった

―――『天美 心』は

―――愛、という感情を知らなかった
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:29:16.97 ID:1RdFBg7+0
『私』の身長は他の人よりも一回り小さい
同じく小柄なインデックスさんと見比べてもハッキリとわかるほど
身体も酷く華奢で病的に見えるかもしれない

実際、病気らしいけれどね
家族の愛情不足、劣悪な環境が原因で起こる


―――愛情遮断症候群による低身長


言ってしまえば成長ホルモンの分泌が悪い
そしてそれが今に至ってしまったわけね
だから胸も未だにぺったんこ
まぁ、特に気にしてるわけじゃないけど


―――そんな『今』の『私』の身体を作り上げた『天美 心』


ちょっと脱線しちゃったわね
再び『天美 心』の記憶を振り返りましょうか


―――愛を知らない彼女、母親が行方をくらました後はその後一体どうなったのでしょうか
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:29:51.28 ID:1RdFBg7+0
母親が家からいなくなって、まず『天美 心』が思ったこと


―――なぐられるじかんがおおくなる


実際はその通りだったわ
母親に暴力を振るっていた分の時間が『天美 心』に上乗せされてね


―――もうやめて、もうやめて


でも、それを決して口に出すことは無かった
声を出して泣くこともしなかった
そんなことをしたら、きっとまた殴られてしまうから


―――がまん、するしかない

―――いつか、きっとおわりがくる


そして遂に『天美 心』への暴力が終わりになる時が来るの


―――『真実』の『天美 心』へのね
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:30:38.15 ID:1RdFBg7+0
とある夜のこと
今日も変わらず父親に殴られ続けた『天美 心』の一日が終わり彼女は自分の部屋の布団のもぐり込んだ


―――あしたがこなければ、いいのに


就寝前、『天美 心』はいつもそう考えていたの
明日が来なければ明日は殴られないから


『天美 心』が赤ん坊の時から彼女の為に用意されていた部屋
この空間もまた『天美 心』にとって『父親がいない場所』として一つの幸せの時間だった


―――その安らぎの空間が彼女を、


―――まさか、壊してしまうことになるなんてね
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:31:08.73 ID:1RdFBg7+0
『天美 心』の父親は毎日のように『天美 心』に暴力を振るっていた
しかし必要以上に痛めつけたりはしなかった
母親が逃げたしてからも今度は自ら彼女に食事を与え続けるようになった


―――さぁ何故でしょう?

―――答えは簡単



―――がちゃん

『天美 心』の部屋のドアが開く音
その音に『天美 心』は酷く驚きました
自分が布団の中に入っている時は外が明るくなるまで誰も自分の部屋のドアを開けたりしない

今までずっと、そうだった
なのに誰か部屋のドアを開けた
そして足音が近づいてくる



―――どうして、なんで?



―――父親が『天美 心』を必要以上に痛めつけなかったのは

―――『天美 心』を誤って死なせてしまったら

―――それはそれは可愛らしい自分の娘と性交が出来なくなってしまう醜い欲望からでした
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:31:38.41 ID:1RdFBg7+0
どんどん近づいてくる足跡


―――こわい、こわいよ


けれど逃げ出せない
恐怖で動けない


―――うそだ、うそだ

―――おふとんにはいってるときは

―――あのひとは



そして、その恐怖は『天美 心』の遂に布団の中に入ってきて、
『天美 心』の未熟な肉体へと触れた


―――いやだ…

―――や、だ…

―――や


『いやあああああああああああああああああああああ』


―――そして、それが全ての引き金となったのよ
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:32:01.56 ID:1RdFBg7+0
『心、今日からお前がお母さんの代わりだ』


『…えっ?』


生まれて初めて聞いた言葉だってことは覚えている
でも、その意味がわからなかった

目の前の人も誰だかわからない
ましてや今、自分がいる場所、


―――そして『私』が何者なのかさえも

―――目の前の人が言ってる『心』って意味も

―――とりあえず、その時に理解出来たのは

―――『私』は目の前の人に衣服を脱がされ裸にされていたことだけだった
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:32:30.64 ID:1RdFBg7+0
―――――――
―――――
――――

心理掌握「……」

出生時に持っていた本来の人格『基本人格』
その『基本人格』が衝撃的な精神的なショックを受け呼び起こした人格


今、『天美 心』として普段活動を行っている『心理掌握』
『嘘』の『天美 心』
それが『私』


―――ふふっ、そうだったわね

―――貴女も感情のことについてわからないことだらけだったのよね

―――幸せな時間は『好き』だけど『愛』は知らない

―――私たちってそっくりだったのね

―――ふふっ、記憶を呼び起こしてみて良かった





――――ねっ、『こころ』?
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:33:14.00 ID:1RdFBg7+0
心理掌握「…さてと」

―――心理掌握の解除

これ以上の記憶を辿る必要は無いわね
あとは『私』が『天美 心』となって『心理掌握』になるだけのお話


―――ねぇ、『こころ』そのお話は貴女に聞かせたことがあったかしら?

―――…うん、そうね

―――何度もあったかもしれないわね

―――私が『心理掌握』となったあの日から…


インデックス「…くー」

心理掌握「……」

ぐっすりと寝ている
この幸せそうな寝顔

インデックス「うにゅ…」

ふふっ
この寝顔だけ見てたら本当にただの可愛いだけの少女よね

―――とてもその運命を大きな鎖に縛られている少女には見えないわ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:33:53.76 ID:1RdFBg7+0
インデックス「…うーん」

心理掌握「……」

私はインデックスさんが寝ているベッドまで移動した
この時の私は一体どんな表情をしていたのかな


―――私は彼女の身体を起こし

―――そして、抱きしめた


心理掌握「……」キュッ…

インデックス「……」


―――でも、やっぱりわからない

―――この感情が他の女の子たちと同じ、可愛いから『好き』なのか

―――特殊な力を持つ異端の存在として『好き』なのか

―――はたまたその両方か

―――それを超えた『愛』なのか
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:34:23.76 ID:1RdFBg7+0
答えは出てこない
今の私の気持ちをやはり理解することが出来ない
まぁ『私』も『こころ』もお互いに『愛』を知らなかったんだから当然かしらね

インデックス「…こころ?」

…いや、違うのかな


―――『愛』や『愛しい』という感情を言葉では理解しているけれど、

―――理解には限界がある

―――その限界を超えて『愛』が存在している

―――それが私に芽生えたのだとしたら

―――それは、


インデックス「…ねぇ、こころ?」

心理掌握「えっ?」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:35:23.49 ID:1RdFBg7+0
インデックス「どうしたの…?」

あら…
どうやら起こしちゃったみたいね…
でもまだ夢と現実の区別がついていないのか、その瞳はまどろんでいるかのよう
抱きしめてることにそれほど疑問も持っていない感じね

心理掌握「ごめんなさい。起こしちゃったかしらね」

インデックス「ううん…」フルフル…

首をふるふると弱い力で振るインデックスさん
寝起きの子供そのものの可愛さね

インデックス「わたし、寝ちゃってたんだ…」

心理掌握「もう少し寝てていいわ。お夕飯の時間になったら起こしてあげるから」ナデナデ

私は子供をあやすように優しくインデックスさんに言葉をかけ、そっと頭を撫でる
何も不思議なことは無い
極々『普通』の行動をしたつもり

インデックス「あっ…」

―――したつもりだったんだけど

心理掌握「ん?どうしたの?」

インデックス「今のこころ…凄く優しい顔してた…」ニコッ…

心理掌握「えっ?」

―――その『普通』は私にとっての『普通』じゃ無かったことに今、気がついたわけで
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:36:03.66 ID:1RdFBg7+0
インデックス「…うん、もう少しだけ寝かしてもらおうかな…」

インデックス「おやすみなさい…」

インデックスさんは、そっと目を閉じ

インデックス「……」

インデックス「…くー」

そして再び眠りについた

心理掌握「……」

―――お夕飯の時間になったら起こしてあげるから

別に不思議な言葉では無い
夕飯になったらインデックスさんを起こしてあげる
それだけのこと

でも、言葉を発した時の私
あの時の私は『嘘』も『真実』も何も考えず、

―――無意識にその言葉を発していた
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:36:33.71 ID:1RdFBg7+0
―――そして、

『今のこころ…凄く優しい顔してた…』

優しい顔、
私は『作り笑い』さえも意識していなかった
自然と柔らかい笑みを浮かべていたのだろうか?


―――それって一体、どういう顔なの?


優しさ…
人を助けてあげること?
人を応援してあげること?
優しい顔って、そういった場面で出る表情のこと?

でも、そう言った時って見返りは求めるものよね?
私なら、優しい『嘘』に騙されてあたふたしている姿を見せてくれるだけで良いけれど

…おかしいわね
私の中でまた、わからないことが出来てしまった
『優しさ』もまた私が支配する『感情』の一つであるはずなのに


―――いや、おかしいのは

―――その感情に対して意味を考えてしまう私自身なのだろうか?
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:37:03.11 ID:1RdFBg7+0
私は自分自身に必要だと思わないことには興味は無い
『優しさ』を利用して楽しむことは多々あるが『優しさ』の本当の意味についてなんて全くもって興味なんて無かった

むしろ本当の『優しさ』なんて存在するの?
醜い心で溢れかえってる、この世界で?
下心が存在しない優しさを持った人間がいるの?


―――理想的な美しい心を持つ人間

―――存在するとすれば

―――それは『心理掌握』によって生み出されるものだ

―――だけど、


インデックス「…くー」


―――なんの疑問も持たずに彼女の気持ちを『優しい』と感じていたことがあった


心理掌握「…わからない」


―――ねぇ、『こころ』

―――『貴女』はこんな気持ちになったことがある?
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/10(土) 22:39:03.04 ID:1RdFBg7+0
一度区切ります

このSSの結末の構想はほぼ出来ていますが、このSSの中の食蜂さんについて考えるてみるのも面白いかも
上条さんは…うーん…

それではまた!
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/09/10(土) 22:53:46.87 ID:MnWBFMYQo
乙 
このssの心理掌握は退廃的な同性愛の描写がよく似合うと思うから、上条さんはなんか違う気がする
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/10(土) 22:57:02.71 ID:kWsMGWBN0

上条さんは最後らへんに美琴に追いかけられて「不幸だあああああああああ」っていうシーンぐらいでいいよ
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/11(日) 01:24:09.61 ID:z8FyTOl5o
なんかみた事あるスレタイだと思ったらやっぱりあんただったのか
支援せざるをえない
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/09/11(日) 01:24:36.62 ID:z8FyTOl5o
なんかみた事あるスレタイだと思ったらやっぱりあんただったのか
支援せざるをえない
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 14:56:44.71 ID:COctxUMUo
今更だけど美琴にみさきちの能力きかないんじゃなかったっけ?
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/11(日) 19:29:32.35 ID:uQSkl+xm0
>>154
ここの心理掌握は食蜂操祈じゃないから電気信号以外の方法で人の思考を聞いたり操ったりしているかもしれない・・・(作者もそこまで考えていないだろうし)
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/09/11(日) 21:02:49.43 ID:5n5CYYSAO
こころんとみさきちは別物として楽しんでるから問題ない
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:19:49.13 ID:jjYYFnjI0
―――――――――

数時間後、私はインデックスさんを起こして彼女を寮の食堂にまで連れてきていた
夕食の時間だからね
基本的に寮生は朝食時と夕食時は食堂に集合して食事を行う、というのが決まりである

インデックス「わぁー…こころ!これ美味しそうだね!!」

心理掌握「あら、今日のメインは「黒毛和牛フィレ肉のロティ フォワグラのポワレのせ」なのね」

インデックス「くろげわぎゅう?」

それにインデックスさんのことだから夕食時にちゃんと起こしてあげないと後で噛みつかれそうだものね
「食べ物の恨みはこわいんだよー!」って感じでね

心理掌握「それよりも私はデザートの紅茶のショコラの方が楽しみかな」

今日の夕食は高級フレンチ
「食」にもこだわるあたり流石はお嬢様学校ってところかしら
だけど正直食べ飽きちゃったな
もう少し庶民的な料理が食べたいわ
でもショコラは好きよ、美味しいから

インデックス「こころ、くろげわぎゅうってなぁに?」

心理掌握「あぁ、美味しいお肉のことよ」

インデックス「わぁっ!」

インデックスさんの顔が綻ぶ
まさか黒毛和牛の説明をして喜ばれる日が来るとは夢にも思わなかったわ
まぁ正直、適当な説明だけど
私はお肉好きじゃないから、これもある意味嘘かしらね?
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:20:40.68 ID:jjYYFnjI0
しかし、夕食時だから当然他の寮生も帰ってきているわけなんだけれど

「修道服の女性…?」ヒソヒソ…

「天美様と仲がよろしいみたいだけれど…」ヒソヒソ…

まぁ予想通りというか、なんというか
寮生はインデックスさんに興味津々
予め周りの『読心』を切っておいて正解よね
うるさくなるだけだから

「何故、さも当然のようにこの食堂に…」ヒソヒソ…

「直接お聞きになってみようかしら…」ヒソヒソ…

面倒だから説明させないで欲しいわ
どうせ後で寮監からの説明もあるでしょうし

インデックス「まだ食べちゃダメなの?」

心理掌握「みんな揃ってからね」

インデックス「そっかー…」

しかし周りは気にせず食べ物を見つめるインデックスさん
昼間あれだけ食べたのに、もうお腹が空いてるの?

『すっごくおなかすいたんだよ…』

…私の分のお肉、分けてあげようかしら
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:21:34.03 ID:jjYYFnjI0
「あの…お姉さま?」

心理掌握「はい?」

けれど、「説明するのが面倒」というそんな私の願いも空しく一人の寮生が私に話しかけてくる
私の派閥に所属している女生徒の一人である

心理掌握「あら、どうしたの?」

「あっ、その…」

彼女は私の『お友達』の中でも可愛がっている女の子の一人
見た目も小柄で可愛らしいからね
何より派閥に所属する女の子の中でも特に私のことを慕ってくれているからね

「そちらの…お姉さまのお隣にいる方は…?」

「見たところ寮生の方では無いようなので気になってしまい…」チラッ…

インデックス「確かにこっちのショコラも美味しそうなんだよ…」

「……」

あらあら…
もしかしてインデックスさんに嫉妬かしらね?
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:22:13.52 ID:jjYYFnjI0
『読心』の領域を広げ、彼女の心の中を覗き込んでみる

「……」ギリッ…

『この修道服の女・・・お姉さまと親しい雰囲気だけど…』

『私だけのお姉さまなのに…!』

あら、困ったわね
最早嫉妬を超えた憎しみに近い感情じゃない
ていうか、女の子が歯軋りなんてするものじゃないわ
醜いわよ

―――まぁ、私が彼女をこんな風に教育したんだけれどね

彼女は所謂『お友達』
『心理掌握』で、その『心』を支配された私の忠実な愛玩人形
常に私のことだけを考え私の為に尽くしてくれる

―――ホント、純粋な人ほど能力の効きが良いのよね

しかし『心』を支配したからと言って彼女自身に意思が無いわけでは無い
私への忠誠心だけを植え付けただけなので本来の彼女の人格はそのままである

『お姉さまから離れなさいよぉ…!!』

だから彼女の憎しみに近い嫉妬心は元々の彼女の深層心理の中にあった感情だと思われる
ふふっ
女の嫉妬って怖いわね
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:23:02.52 ID:jjYYFnjI0
「…お姉さま?」

心理掌握「あぁ、ごめんなさい。ボーっとしてて」

心理掌握「隣の彼女のことよね?」

「…はい」

―――私の『恋人』

なんてストレートに言ってみるのも良いけど、
逆恨みでインデックスさんに危害を加えるような真似をされたら堪ったものじゃないわ
ここは素直に知り合った経緯を説明するのが…

インデックス「ねぇねぇ、こころ!これは何かな?」グイッ…

心理掌握「わっ…!?」

「…!?」

突如インデックスさんが私の腕を掴み絡んでくる
普段見掛けない料理に興奮しているのね
それは白身魚のカルパッチョにメロンを添えたものよ

それよりも今、この状況で私の腕に絡んでくるのはマズいわね
絡んでくる行為自体はとっても嬉しいことだけれど

「……」ワナワナ…

『こ、この女…!!』

ほらね
もう怒りが頂点に達しちゃった
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:23:51.34 ID:jjYYFnjI0
「…そこの貴女!!」

彼女が怒号する
食堂内がしーんと静まりかえり、

インデックス「…ふぇっ!?」

『なんかいつの間にか凄い睨まれてるんだよ…』

インデックスさんも鬼の様な形相をした彼女の存在に気づく
しかし状況をまるで把握出来ていない表情ね

「お姉さまから離れなさい!!」

これはもう何を言っても聞かない状態ね
『感情操作』で怒りを鎮めましょうか


―――でも、そう思った時には既に遅かったの


―――パァン!

小気味良い音が食堂内に響く

インデックス「…あぅっ!?」

心理掌握「…!!」

「ふー…ふーっ…!!」ギリッ…

―――インデックスさんは彼女に思い切り頬を叩かれてしまった
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:24:35.06 ID:jjYYFnjI0
インデックス「い、いたっ…!?」

『い、今、叩かれたの…?』

『どうして…?』

頬を抑えるインデックスさん
今も状況は理解出来ていない様子

インデックス「ううっ…」ジワッ…

叩かれた頬は赤く染まって、
そして目にはうっすらと涙まで浮かべている

「…!」ギロッ…!

『貴女が悪いのよ…!!』

そしてインデックスさんを叩いた彼女は悪びれてる様子は無し、と
しかもインデックスさんのこと今も睨みつけてるし


―――さて、この状況


―――とても、許されたものじゃないわね
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:25:25.98 ID:jjYYFnjI0
心理掌握「…ねぇ、貴女」

「…はっ!?私ったらお姉さまの前ではしたない…」

「な、なんでしょうか、お姉さま!」

先ほどの出来事はまるで無かったかのように生き生きと笑顔で答える彼女
やはりインデックスさんを叩いたことを悪びれている様子は無い
自分の行為を醜いと恥じてはいるようだけれど

しかし元気溌剌とでもいうのかしらね、こういう表情は
その笑顔はとても可愛らしくて私好みではあるけれど、


―――『心理掌握』を展開

―――『対象』の確認


―――発動


「ところでお姉さま、彼女のことなんですが…」

「…!?」

「あ、あっ…!?」

「あぁぁぁぁぁぁっ!?」ガクッ…

突如頭を抱え蹲る彼女
まぁ、当然よね
だって貴女の行為とその笑顔は


―――私の逆鱗に触れてしまったんだもの
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:26:25.22 ID:jjYYFnjI0
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

金切り声で叫び、
頭を振り、
何かを必死に振り払おうとする彼女

―――無駄よ

―――私の『心理掌握』によって生み出された『感情』を自力で振り払うことは出来ないわ

精神の全てを支配する『心理掌握』
当然、相手との感情とてその例外では無い
相手の感情を『恐怖』と『不安』で埋め尽くしパニック発作を起こさせた

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

インデックス「ど、どうしたのかな…?いきなり蹲っちゃったけど…」

『凄く辛そうに叫んでるけど大丈夫なのかな…?』

心理掌握「……」

叩かれた自分の心配より叩いた相手の心配、か
本当に聖母ね、貴女は

「いやぁっ!!!いやああああああ!!!!」

でもね、彼女は許されないことをしてしまったの
こうなって当然のことをしでかしてしまったのよ


―――だから誰かに心配してもらう価値なんて無いの、彼女には
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:27:06.38 ID:jjYYFnjI0
小柄で笑顔が可愛くて、
子犬の様に私に懐いて、
ベッドの上では涎が出るほどの心地よい嬌声を聞かせてくれた貴女

「あぁぁぁぁぁっ!!!!」

私の一番のお気に入りだったわ

―――インデックスさんと出会うまではね

インデックスさんは貴女とは比べモノにならないほどに魅力的な女の子なの
そして、私は彼女に対しての自分自身の心理がわからなくなってきている
こんなの初めてのことなの

「うあああああ…あぁぁぁっ!!!」

貴女に私の心理を乱すことが出来る?
出来ないわよね?
所詮その程度なのよ
愛玩人形じゃ私の『心』までは奪えないの


私の『大切』な人に許可無く手を出した罪は重いわ
彼女は『私』だけのインデックスさんなのよ


―――さぁ、壊してあげる
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:27:55.98 ID:jjYYFnjI0
「あ、あっ、いあぁぁ、ぁぁっ…!!!」

苦痛に歪んだ表情を浮かべる彼女
汗、涙、涎に塗れている

―――実に醜いわ

「ひぐっ…!あぁ、う、ぅぅぅぅ…!!!」

その嗚咽も耳触りよ
昨日まではもっと可愛い声で鳴いていたのにね

『お友達』だった人に対してこんなこと思う私って残酷?
悪魔?
いや、そんなこと無いわよね?

私は軽く周りを見渡す

―――『読心』の領域範囲、操作

『あの子、天美様の気に障ることをしたのね・・・』

『自業自得ね』

『お姉さまが正しいに決まっているもの』

うん、そうよね
物分かりの良い『お友達』ばかりで私、幸せ
なんてね
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:28:43.03 ID:jjYYFnjI0
「あぁぁっ…!!う、あああああっ!!!」

蹲り、頭を抱え、必死に何かに抵抗しようとしている彼女
ふふっ
苦しいのね


―――大丈夫、すぐ楽になるわ

―――貴女の全てと引き換えに、ね

―――いや、全てはダメかしら?

―――事が大きくなり過ぎたら私が寮で生活出来なくなってしまうものね

―――なら、壊すのは感情だけにしておけば、


私は彼女に向けて、手を差し出そうとした

―――けれど、

インデックス「ねぇ、大丈夫!?」タッ…

心理掌握「…!?」

「あぁっ、ううっ…!!あ、あぁぁっ…!!!」

インデックス「…どうしたの?」

蹲っている彼女にインデックスさんが駆け寄り、彼女に優しく語りかける


―――そのせいで私の手は行き場を失ってしまったの
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:29:41.48 ID:jjYYFnjI0
「ひあっ…!!う、うぅぅぅっ…!!!」

インデックス「私の声、聞こえるかな…?」

インデックス「ねぇ、こころっ…!この子、どうしたちゃったのかな…?」

インデックス「凄い苦しそうだよっ…」

『心配なんだよ…』

心理掌握「……」

インデックス「何処か横になれる場所に運んであげた方が良いかも…!」

インデックス「ねぇ、こころ…!」

心理掌握「…どうして」

インデックス「えっ…?」


―――どうして貴女は彼女のことを心配しているの?
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:30:13.94 ID:jjYYFnjI0
―――彼女は貴女のことを叩いたのよ?

―――その行為はとても罪深い

―――だって、そうでしょ?

―――彼女は得手勝手で貴女のことを傷つけたの

―――インデックスさんに『私』が奪われると思った

―――ただ、それだけの理由で何も非も無い貴女のことを

―――そんな罪深き彼女は裁かなければならない

―――周りのみんなもそう思っているわ

―――そもそも彼女は勘違いしてたの

―――私は彼女だけの『私』になった覚えは無い

―――可愛い愛玩人形の一つとしか思っていなかった

―――そんな私はインデックスさんのことだけを想っている

―――それなのに、

インデックス「こころ…?」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:30:52.74 ID:jjYYFnjI0
―――どうしてそんな彼女に対して貴女は負の感情一つ、覚えていないの?

―――許せないでしょ?

―――憎い、って思うでしょ?

―――貴女は彼女に傷つけられたのよ?

―――それなのに、どうして?


―――でも、それ以上に

―――そんなことを想っている私自身は一体何なのだろう?


―――私もファミレスでプライドを傷つけられた時には、

―――インデックスさんのこと、許せないかもって思ってた

―――結果としてインデックスさんが大切な人になった今でもそう

―――むしろ、それが人間誰もが覚える当然の感情だと思っている

―――正しいのは、いつも、私

―――『心理掌握』の『天美 心』

―――けれど、そんな私の心を今現在満たしているのは

―――怒りでも喜びでも無い

―――むしろ人間の『心理』に対して初めて覚えたであろう



―――『戸惑い』と『疑問』だったの
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:31:29.98 ID:jjYYFnjI0
―――この私が

―――『心理掌握』であり『天美 心』である『私』が

―――『感情』の理解に追いつけない

―――私は『天美 心』じゃないの?

―――『天美 心』なら人の深層心理

―――『嘘』も『真実』も掌握出来るはずでしょ?

―――それなのに『戸惑い』を覚えて

―――『疑問』も覚えて


―――そんなの私は『私』じゃない

―――じゃあ、



―――『わたし』は一体『何者』なの?
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:32:04.11 ID:jjYYFnjI0
―――――――
―――――
――――


―――どこにいるの?

―――どこからこえがきこえてくるの?

―――くらくて、わからない

―――なにもみえないし、だれもいない

―――だけど、このほうがいい

―――いたくないし、こわくないから

―――おなまえ?

―――こころ

―――あまみ こころ



―――おねえちゃんは、なんておなまえなの?
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:33:17.25 ID:jjYYFnjI0
―――――――
―――――
――――

心理掌握「…わたしは」

心理掌握「……」

心理掌握「あ…れ…?」

ここは…私の部屋?
私、ベッドの上で横になっているの?

心理掌握「い、たっ…?」

ゆっくりと身体を起こす
酷く頭と首がズキズキと痛い
なんなの、これは?


―――それに今のは、夢の中…?

―――今の夢は『私』と『こころ』が…


「…こころ?」

心理掌握「あっ…」

インデックス「良かった…目が覚めたんだね…」

彼女の声と姿を確認したと同時に思考が現実へと戻ってきた
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:34:31.39 ID:jjYYFnjI0
さっきまで私とインデックスさんは食堂にいた
あの時、私はインデックスさんの頬を叩いた愚かな人形に罰を与えようとしていたはずよね?

だけど、インデックスさんが彼女に駆け寄ったせいで私は動けなくなって…
その後は…?

インデックス「こころ、大丈夫…?首とか痛くない…?」

不安げな瞳で私を見つめるインデックスさん
ちょっと潤んでるのが可愛いくて仕方が無い

でも、流石に今はその表情に悦に入って場合では無い
まだ今の状況を把握しきれていないのだから

心理掌握「私は、一体…?」

わざとらしくまだ意識がハッキリしていない感じでインデックスさんに問いかける
そんな私の状態にインデックスさんの瞳の不安の色がまた若干だが濃くなる
可愛い

インデックス「こころ、覚えてない…?」

インデックス「こころはりょーかんに首を思いっきりゴッキン!ってされたんだよっ…!」

心理掌握「……」

なるほど
全てが把握出来たわ
これほどわかりやすい説明も無いわね
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:35:19.85 ID:jjYYFnjI0
インデックス「それで、気絶したこころをこの部屋にまで運んで」

寮監『明日の朝一番、天美に私のところまで来るようにと伝言を頼みたい』

インデックス「…って」

心理掌握「…そう」

まさか私が寮監の存在に気づけぬまま気絶をさせられてしまうなんて
彼女を壊すという感情だけが先走ってたせいで周囲に上手く気を配れなかったのね
我ながら、らしくないミスだわ


―――なんて嘘

―――あの時は途中から彼女のことなんて、


心理掌握「ありがとう。了解したわ」

インデックス「……」


―――ねぇ、『こころ』


インデックス「…こころ」

心理掌握「ん?なにかしら?」


―――やっぱり『私』は、


インデックス「…あの子が苦しんでたのは」

インデックス「全部こころがやったことなの…?」


―――『真実』の『天美 心』にはなれないのかな
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:36:04.21 ID:jjYYFnjI0
―――――――
―――――
――――

―――貴女のお名前は?

『こころ』

『あまみ こころ』

―――はじめまして『こころ』ちゃん

『おねえちゃんはだあれ?』

―――私?

―――お姉ちゃんもね

―――『こころ』ってお名前なのよ


初めて『こころ』とお話したのは『私』が学園都市を訪れ『心理掌握』という能力に目覚めて少し経ってからのことだった
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:36:46.18 ID:jjYYFnjI0
『私』が『天美 心』の主人格として目覚めてから、どれ程の時が経った後だったかな
もう覚えていない
毎朝、毎晩と『私』の『父』と名乗る男に抱かれる
代わり映えのしない日常を送っていたからね

でも、そんな日常でも『辛い』『苦しい』と思ったことは無かった
ただ『父』と名乗る男が『気持ち悪い』とだけは常々思っていたわ

そんな『父』は目覚めたばかりの『私』に向かって何度も『こころ』と呟きながら『私』の身体を触ってきた
『私』はこの時に初めて、『こころ』というのが『私』の『肉体』の名前なんだということを理解したの

だけど、それ以外のことは何もわからない

自分が何故、ここにいるのか
自分が何故、自分の名前もわからないのか
自分が何故、裸で抱かれているのかさえも

そんな疑問に満ち溢れた中で突如痛みが突き刺さる
『天美 心』は父親を相手に処女喪失をしちゃったの

つまり『私』は生まれたばかりなのに汚されちゃったわけなのよね
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:37:27.25 ID:jjYYFnjI0
生まれたばかりの『私』は自分のことについては何も理解は出来なかったけど物事を考える能力はあった
小さな肉体とは裏腹に精神年齢は高かったの
それでも自分の精神年齢が何歳か、なんてことはわからなかったけれど


『私』は『父』の娘であり『父』に性的虐待を受けている
『母』は見当たらない
『私』はきっと『母』の代わりなんだろう
『母』は死んでしまったのか、こんな『父』を見兼ねて逃げたのか
抵抗しようにも身体が痛い、『父』に痛めつけられていたんだろうか
そして何故、私は今初めて『父』の存在を認識したのだろうか?


ふふっ
とても小さな少女が考えるようなことじゃないわね
でも犯されていることよりも自分が何者なのかの方が、その時は気になって仕方が無かったんだもの
だけど『父』に何かを質問することは無かった
『虐待』なんかする父親に口を聞いたところでも反感を買うだけで、また痛めつけられると思ったから

それにご飯は食べさせてもらえたし、お風呂にも入らせてもらえたからね
『父』に犯されることは気持ち悪かったけど諦めとして割り切っていた

だけど日に日に『父』の『私』に対する性欲、性的行為時に浮かべる表情の気持ち悪さに嫌気がさしてくるのよね
生まれながらに男嫌いの同性愛者だったのかしらね、私
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:37:59.60 ID:jjYYFnjI0
そしてある日の朝、ついに『父』の気持ち悪さに耐えきれなくなった私は『父』の目を盗んで檻の中から脱走したの
行くあてもお金も無かったけれどね
それでも、今よりずっとマシになると思っていた
だって気持ち悪い父親に抱かれる時間が無くなれば自分が何者なのかを考える時間が増えるから
だから、ひたすらに走ったわ
遠くを目指して

だけどやっぱり今までロクに外に出ていなかった、『父』に身体を痛めつけられていたのが祟ったせいかしらね
すぐに体力が底を尽きちゃったの

ここが何処だかわからない
もう一歩も歩けない
叫ぶ力も残されていない
目も霞んできた


私は結局『私』が何者なのかさえ、わからずにこのまま消えてしまうのか


―――そんなの、イヤ

―――『私』は一体誰なの?

―――それとも最初から『天美 心』だったの?

―――誰か、教えてよ

そして、そのまま『私』はゆっくりと意識を失っていった
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:38:33.79 ID:jjYYFnjI0
次に『私』の意識が目覚めた時、私の目に最初に映ったのは白い天井だったの
ベッドの上で仰向けの状態?
つまり家の中?
いや、家の中とは雰囲気が違う

―――鼻につく薬品のにおい

―――ここは、病院?

『あっ、目が覚めましたか?』

誰かが『私』をかける
女の子の声だった
私はゆっくりと顔を声のする方へと向けた

『貴女は、誰?』

お医者様?
いや、そんな風貌には見えない
その女の子はピンクの可愛い服を着た小さな女の子
11〜12歳程度だろうか?
この『肉体』よりは年上に見える

『大丈夫ですよ、こころちゃん』

『これからは先生のお家にずっとお泊まりさせてあげますから!』

『えっ?』

後に私が『心理掌握』となった時に知るのだけれど、このピンクの服の女の子は、
…いえ、この女性は『天美 心』の母親の旧友ということらしいのよね
どう見ても幼女にしか見えないのに

そんなピンクの年増幼女に連れられて『天美 心』の学園都市という場所での生活がスタートするの
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:39:09.24 ID:jjYYFnjI0
『私』が何処なのかわからない道端で意識を失った時
そんな『私』の姿を偶然見つけ学園都市まで送り届けてくれた人物がいた
それが『天美 心』の母親だった

自分と一緒にいると危ない、と娘を気遣ってか
はたまたもう誰とも関わりたくない、と自身の防衛の為か
その真偽は知る由も無いのだけれど

『だけど貴女のことをお母様は大切に想っていらっしゃいますよ』

なんでも年増幼女に『天美 心』のことをよろしくお願いします、と泣きながらお願いしたとのこと
そんな彼女はどこにそんなお金があるのか『私』の養育費も毎月のように多額の額を年増幼女のもとに送ってきた
それは『私』をまともに学校に通わせたいという願いからだったのだろうか
まぁ、そのうち仕送りはピタリと途絶えて年増幼女も彼女と連絡が取れなくなったみたいだけれど
だいぶ無理をしたのでしょうね

『もちろん先生も実の娘だと思って、こころちゃんのことを大切に想っていますよ!』

年増幼女の一人称は先生
幼女の外見で職業はまさかの高校教師
しかも、お酒や煙草も嗜んでるっていうから詐欺よね
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:39:48.58 ID:jjYYFnjI0
年増幼女は『私』にとても優しくしてくれたと思う
まぁ、いきなりオンボロのアパートに連れて来られて

『今日からここが貴女のお家です!』

なんて言われた時はビックリしたけれど毎朝毎晩とご飯は作ってくれたし、いつも笑顔で話しかけてくれた
母親の名前は出すけれど『天美 心』の家庭事情には深くは触れないでいてくれた

そんな彼女が『私』は嫌いじゃなかったと思う
年齢に反してその外見はとても可愛かったし

『こころちゃん、先生と洗いっこしましょう!』

『天美 心』の身体に出来た痣を気遣ってか優しく身体を洗ってくれる彼女
だけど痣についてもまた彼女は一切触れなかった
戸惑いこそあったけど、そんな彼女と過ごす日々は苦では無かったので『私』は素直に彼女のお世話になった
あの頃の生活よりはずっとマシだと思えたから

それに生活の変化といえば『私』は学園都市での生活で『天美 心』の秘めたる才能も開花させることが出来た
そう、学園都市には人に超能力を発現させるためのカリキュラムがある
そこで『私』が得た能力は心理系の能力
過去の背景があるにしろ、出来過ぎよね

そして何度目かの能力のレベルを測定する為の身体検査
私はレベル5、最高レベルの能力者へとたどり着くことが出来た

―――『心理掌握』としての『私』が誕生した瞬間ね
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:40:36.41 ID:jjYYFnjI0
『心理掌握』として目覚めた時、『私』は生まれて初めて嬉しいと感じたかもしれない
だって精神に関すること全てが自分の思いのまま
人の心の声は聞こえるし、人の感情も記憶も操れる


―――そう、

―――感情も記憶も操ることが出来る

―――ならば自身の記憶さえも

―――『真実』の『私』を知る為に


『私』の本来の目的は自分自身が何者なのかを知ること
心理系の能力者を得た時、ただそれだけを目指して努力してきた
だから『私』は一度も試したことの無い、自分自身の肉体に能力を発動することになんの躊躇いも無かった


―――『心理掌握』の展開


『天美 心』の記憶の再現を開始する
演算に狂いは無い
しかし過去の情景が一向に映し出されない
真っ暗闇
何故?
理解が出来ない

そう思っていた時、


『ここはどこ…?』

『まっくら…』

少女の声が頭の中から聞こえてきたの
そう、私が

―――『真実』の『天美 心』を目覚めさせた瞬間なの
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:41:38.22 ID:jjYYFnjI0
―――――――
―――――
――――

心理掌握「……」

インデックス「こころがあの子のことを苦しめたの…?」

その通り
だけど私は嘘つきだ
そう問われたら否定で返すのが、いつもの私

『こころが…あんな酷いことを…』

それにもしも素直に肯定しちゃったらインデックスさんに嫌われちゃうだろうしね
嘘をつかない理由なんて…

『『ウソをつくこころは私キライだもん!』』

『『だったらもうウソとイジワルはダメ!人を傷つけるだけだよ!』』

『『もうしない!って約束して欲しいな!』』

心理掌握「……」

―――ねぇ、『こころ』

心理掌握「私は…」

―――『私』はやっぱり

心理掌握「何もしていないわ」

―――これからも『嘘』のままみたい
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/11(日) 21:43:13.11 ID:jjYYFnjI0
一度区切ります

こころちゃんには凄い感情移入してました
なので必ず完結させます
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/12(月) 23:14:47.57 ID:trYx7l+AO
おつ
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:54:05.71 ID:U3Lw++HK0
―――――――
―――――
――――

『私』はあの日『心理掌握』を『天美 心』の肉体に発動し『天美 心』の肉体の記憶を映し出そうと試みた
『真実』の『私』自身を知る為に

けれど過去の情景は映し出されない
演算を誤った?
ううん、そうじゃない

『ここはどこ…?』

『まっくら…』

頭の中から声が聞こえてくる
今にも消え入りそうなか細い幼い少女の声

『なにもみえない…』

『うごけない…』


―――『私』と『こころ』


あの日は『私』が『天美 心』の『真実』と『嘘』の存在を確認した日だった
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:54:54.50 ID:U3Lw++HK0
『くらい…』

『でも、』

『からだ、いたくない…』

『どうしてだろう…?』

初めは幻聴なのかなと思ったわ
それが自分自身の肉体に能力を発動したことによる副作用とも考えたの

―――だとしたら、過去の情景が映し出されないのはどうして?

けれど、そう思考した時、幻聴という説はすぐさま否定されたわ

『…?』

『だれか、いるの…?』

―――えっ…?

『おんなのひと…?』

『でも、どこからこえがきこえてくるの…?』

だってその声は『私』の思考に反応して語りかけてきたんだもの
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:55:35.99 ID:U3Lw++HK0
―――私の思考に、反応している…?

『また、きこえてきた…』

『どこにいるの…?』

『私』の頭の中から聞こえてくる声
その声が『私』の思考に反応しているのはどうやら間違いでは無かったみたい
『私』が思考するたびに声もまた反応を示していたから

『だれもいないの…?』

『まっくらだから、わからない…』

『戸惑い』を感じているかのような声色
『恐怖』や『不安』なども、その声色から読みとれる
でも、

『でも、』

『からだ、いたくないし…』

『パパもいない…』

どこか『安心』さえも読みとれる
そんな声色でもあった
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:56:13.13 ID:U3Lw++HK0
『私』自身を知らない『私』
映し出されない記憶
頭の中から聞こえてきた声

―――もしかして、この声は

『また、きこえてきた…』

―――うん、貴女の声も聞こえるわ

『えっ?』

『いま、はっきりきこえた…』

『だれ…?』

『どこに、いるの…?』

当然の疑問
しかしその答えを声の主に理解出来るよう説明するのは難儀なことだろう
だから、

―――大丈夫。安心して

―――ここは夢の世界なの

『ゆめの、せかい?』

―――ええ、そうよ

―――貴女は今、夢を見ているの

『私』は『嘘』はついた
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:57:08.30 ID:U3Lw++HK0
『これは、ゆめのなかなの?』

『でも、まっくら…』

『なにも、みえないよ?』

その声の主の幼さ故だろうか
『夢の中』と聞いて少し声に明るさが僅かながら灯ったように思えた

―――今、貴女が見ている夢はね不思議な夢なの

―――貴女は何にも見えないし動けないけれど

―――私の声が聞こえてたくさんお話することが出来る

―――そんな夢の中なの

『…ゆめのなか』

そんな私の嘘にうわごとのようにそう呟いて反応する少女の声

―――こんな夢の中は怖いかしら?

私は穏やかに頭の中に思考を語りかけていたわ
この時は無意識だったけど世話好き年増幼女にお世話になった影響かしら?
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:57:36.72 ID:U3Lw++HK0
『・・・ううん、こわくない』

『このままがいい・・・』

『だって、』

『パパ、いないから・・・』

―――そう

疑惑は確信へと変わっていった
父親の存在に脅える少女
そして『心理掌握』を発動して聞こえてきた声
ならば、この声の主は、

―――ねぇ、

―――貴女のお名前は?

『…おなまえ?』

―――ええ

『…こころ』

『あまみ こころ』

『私』をこの世に生み出した
『天美 心』本来の人格

『真実』の『天美 心』

―――はじめまして『こころ』ちゃん
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:58:15.97 ID:U3Lw++HK0
おねえちゃんはだあれ?』

『ゆめのくにのひとなの?』

―――私?

『私』は『天美 心』では無かった
『天美 心』の肉体で『私』の人格が記憶喪失を起こしたわけでは無い
『天美 心』の肉体には本来の人格
『真実』の『天美 心』が存在した

じゃあ『私』は一体誰なの?
『天美 心』の『父親』の虐待によって生み出された『私』
今、この肉体の主人格である『私』は

―――お姉ちゃんもね

―――『こころ』ってお名前なのよ

―――夢の国の女王様なの

段々と快感になっていく
『私』自身がそうだから?

そうね
さしずめ『私』は


『私』は『嘘』をついてばかりの
『嘘』の『天美 心』かしらね
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:58:52.97 ID:U3Lw++HK0
『こころとおんなじおなまえ』

―――ええ、同じ名前ね

『こころもおねえちゃんとおんなじおなまえだから、ゆめのなかにこれたのかな?』

この少女が『私』を目覚めせ、生まれたばかりの『私』が性的虐待による処女喪失をすることとなった張本人
けれど『私』は、

―――ふふっ、そうかもしれないわね

子供の戯言に優しく付き合う
『私』は『こころ』に対して代わりに虐待を受けるハメになった『恨み』や自分自身を存在を理解出来ていることの『妬み』などは一切感じなかったの

―――同じお名前だから私たちはいつでも夢の中でお話出来るの

『こころたちだけ?』

―――ええ、そうよ

むしろ『感謝』をしたわ
どうしてって?
決まっているじゃない
だって『こころ』のおかげで『私』は、

―――私たち以外に他に誰もいない世界よ

『嘘』をつく快感を知ることが出来たのだから
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 04:59:43.05 ID:U3Lw++HK0
――――――――

自分自身の肉体の記憶を『心理掌握』で呼び起こそうとすることで『こころ』の人格が呼び出され解除すると『こころ』の人格は眠りに入り次に目覚めるまでの記憶は失う

相変わらず自分自身の過去の情景は映し出されない
それは『こころ』が目覚めた状態でも同じこと

だけど、構わなかった
『私』はもう『私』自身が何者なのかには興味は無くなっていたの

だって『私』は『天美 心』を騙る『嘘つき』で精神のエキスパートである『心理掌握』
つまり人の心を自由自在に出来る
これほど誇らしいことは無いわ


『ひぃ、ぎゃぁぁっ…!?』

『あ、あぁ、あああぁっ!!!』

ちょっとした休暇を利用して『私』が生まれた『檻』へと帰省
あれから数年の時が経っていたから、もしかしたら勝手に腐乱死体にでもなってるんじゃないかなとも思ったけど奴は腐りながらも生きていたわ

『私』の姿を確認にするや否や気持ち悪い笑みを浮かべて飛びついてこようとしたんだけどね

『う、うわぁああぁあぁっつ!!??』

数秒後には無様に泣き叫んでいたわ

『な、なんだぁぅうぁぁ…うっぁ!!?』

のたうちまわる『天美 心』の『父親』
そう
一切の躊躇いも無く『私』は『心理掌握』で彼の『感情』を『絶望』一色に染め上げた
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:00:31.34 ID:U3Lw++HK0
『ひぃっつがぁ、あぁぁっ!!?』

『天美 心』の『父親』は、


喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて
喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて
喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて
喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて
喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて
喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて喚いて


歪み切った、その表情はあの頃と変わらず気持ち悪い


『私』は『嘘』をつく快感を知ることが出来た以外にも『こころ』に感謝してることがあった


『あっぁあぁあ、っあぁあ!!!!』


歪んだ存在、醜い存在を壊す快感


―――『こころ』

―――この力はね、

―――世界を綺麗することが出来るの

―――理想の、世界に


『さようなら、お父様』
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:01:09.84 ID:U3Lw++HK0
―――――――
―――――
――――

心理掌握「私は何もしていないわ」

心理掌握「私だって彼女が突然苦しみだしたから驚いていたのよ?」

心理掌握「だけど寮監は私の仕業だと勘違いして…」

心理掌握「私はたまたま彼女の傍にいただけなのに…」

心理掌握「酷い濡れ衣だわ…」

感情の理解?
『私』が何者なのか?
嘘をつかない約束?

そんなものどうだって良いじゃない
そもそも『私』はインデックスさんが可愛くて、そして魔術という力を手にしてみたくて彼女を側に置いているの

『私』はいつだって『私』がしたいように行動する
もちろん全ては己の利益の為に
己を追いこむような真似はしない

インデックス「本当に…?」

『ウソじゃない…?』

―――だから人の想いなんか簡単に裏切れる
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:02:01.96 ID:U3Lw++HK0
インデックス「ウソじゃない…?」

心理掌握「ええ、嘘じゃないわ」

心理掌握「だってもう嘘はつかない、ってさっき約束したばかりだものね」

インデックス「……」

『こころのことを信じたい…』

そう、『私』のことを信じて

インデックス「でもね…」

人に危害を加えるような『私』は嫌いでしょ?

インデックス「みんな、こころがやったって言ってたの…」

『私』のことを信じたいんでしょ?

インデックス「こころを怒らせたから、あんな風になったんだって…」

貴女は『私』にずっと騙され続けられればいいの

『こころが気絶したら、あの子は落ち着いた…』

『それにみんな、言ってた…』

インデックス「こころは人の心の中を読むこと以外にも…」

だから、ねぇ

インデックス「人の心を操ったりすることが…」

心理掌握「信じてよっ!!」
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:02:51.65 ID:U3Lw++HK0
インデックス「…っ!?」ビクッ…

心理掌握「…あっ」

あれ?
『私』感情のセーブが出来ていない
この『私』が無意識に声を荒げるような真似をするだなんて
先ほどの食堂の件と言い、らしくないわ
一体どうしたっていうの?

インデックス「あ、あの…」

『こころを…怒らせちゃった…』

インデックスさんはそんな感情的になった『私』に酷く驚いてしまった様子
今にも泣きだしてしまいそうな曇った表情で『私』のことを見ている
とても可愛いけれどこんな表情をさせる予定は無かったので素直に堪能出来ない

インデックス「こころ、ごめんなさい…」

でも、そんな失態をよそにどうやら

『私、最低なんだよ…』

『友達なのに…』

『こころのことを疑っちゃった…』

『私』のらしくない失態は結果的には吉に転んだみたい
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:03:56.21 ID:U3Lw++HK0
インデックス「こころ…私…」

インデックスさんの大きな瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる
『私』に対する罪悪感からだろうか
本当に優しい子なのね

この状況は予想外だけど上手く利用しない手は無い
彼女に対して今、『私』が取るべき行動は1つ

心理掌握「…いえ、私の方こそごめんなさいね」

心理掌握「大声なんて出しちゃって…」

心理掌握「怖かったでしょう?」

インデックス「ううん…」

首をふるふると振って否定するインデックスさん
そんな彼女を『私』はそっと優しく抱きしめる

心理掌握「私って人の心を読む能力があるせいか…」

心理掌握「どうしても人の言葉の一つ一つに神経質になっちゃうところがあって…」

心理掌握「それがお友達の言葉だったら尚更で…」

心理掌握「だから…」

そして耳障りの良い言葉達を並べて彼女の心の中に入っていこうと試みる
そうすれば、

インデックス「ううん…ごめんね…」

『友達のことを信じてあげるのが友達だよね…』

ほらね
簡単でしょ
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:04:46.48 ID:U3Lw++HK0
インデックス「私、こころのことを疑っちゃって…」

心理掌握「ううん…もう大丈夫よ…」

心理掌握「信じてもらえるならもう…それだけで良いから」キュッ…

『私』は軽く微笑みながら抱きしめる力を少し強くする
当然、作り笑いだ
いや、上手く事が進んだからこそ出た微笑みかもしれないわね

インデックス「こころ…」

インデックス「うん…」

『こころはやっぱり優しいな…』

『周りのみんなが言ってたことは気になるけど…』

『やっぱり誤解だったんだね…』

そう
誤解だったのよ
貴女にとって『私』は意地悪だけど優しい『お友達』の『こころ』なの

例え偽りの関係でもね
その関係がお互いの幸せなのよ
そして、これからも永遠にこの関係は崩れないの

『私』だけのインデックスさんなんだから嫌われるような真似を『私』の側から離れてしまうようなことはあってはいけない

その為には『私』はこれからも嘘をつき続けて彼女の心を『私』へと引き留める
『嘘』の『天美 心』として
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:05:46.53 ID:U3Lw++HK0
インデックス「こころ、本当にごめんね…?」

心理掌握「ふふっ。もう大丈夫だから気にしないで?」

心理掌握「ねっ?」

インデックス「…うんっ」

インデックスさんの表情に少し明るさが戻った
暗い表情も素敵だけれどやはり幼さ残るその笑顔が堪らなく可愛らしい
まぁ、表情だけで無く彼女は口も耳も髪の毛…
いえ、インデックスさんを構成するその全てが可愛くて愛おしい

いずれ、そのスベテを『私』が優しく激しく濡らし尽くして…

心理掌握「ぁん、はぁっ…」

やだ、『私』ったら
ちょっとした軽い妄想だけで絶頂しそうになっちゃった
誰かを濡らすとか以前に『私』自身がちょっと濡れぼそっているじゃない
はしたないわ
小さく吐息が漏れちゃったけど聞こえてないわよね?
まぁ、聞こえてても構わないけれど

興奮を落ちつけてから下着、取り替えないと…
あれ?
そういえば、それ以前に…

心理掌握「ところでインデックスさん」

インデックス「ん?なぁに?」

心理掌握「お風呂、まだ入っていないわよね?」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:06:16.49 ID:U3Lw++HK0
インデックス「お風呂?」

インデックス「お風呂は…しばらく入る機会とか無かったから…」

インデックス「も、もしかしてちょっとくさいかな!?」アセアセ

魔術師さん達から逃げてたんだから、お風呂にゆっくり入ってる時間なんて無いわよね
でも、女の子がそれじゃあいけないわ
汚すなら綺麗な身体を汚したいもの

心理掌握「それだったら、あそこの浴室を使うと良いわ」

そう言って『私』は部屋の奥の扉を指差す
その扉の先には浴室がある
身体の小さな『私』には大き過ぎるぐらいの湯船で当然のジェットバス完備
流石は常盤台ね

インデックス「えっ?い、いいの?」

心理掌握「当たり前じゃない。私たち同じ部屋で生活してるんだもの」

インデックス「…わぁっ!ありがとう!」

『久々のお風呂なんだよっ!』

インデックスさんの顔が一気に綻ぶ
ふふっ
お風呂で喜ぶなんて女の子ね
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:06:57.27 ID:U3Lw++HK0
心理掌握「お風呂のお湯は食堂に行く前に溜めておいたはずだから、すぐに入れるわ」

インデックス「うんっ!」

『あっ、そうだ!』

インデックス「こころもお風呂まだだよね?一緒に入ろ?」

心理掌握「……」

これ以上に無い魅力的なお誘い
彼女の裸体を記憶に焼きつける絶好の機会
興奮も最高潮で身体が快楽に支配されていくのがわかる
そう、だからこそ

心理掌握「ごめんなさい。私はお風呂って一人で入るのが好きなの」

心理掌握「だからお先にどうぞ?」

ここは断るの
お楽しみは後にとっておけばおくほど、きたるべき時が来た時に今までに溜めてきた興奮が一気に爆発して極上の快楽へと変わるの

インデックス「そっかー…それなら仕方ないんだよ」

『人それぞれ好みはあるだろうしね!』

そう
人それぞれ好みの『性癖』っていうのがあるのよ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:07:44.31 ID:U3Lw++HK0
インデックス「でも、私が先で良いのかな?」

心理掌握「ええ、私は入浴時間がちょっと人より長いし…」

インデックス「そっか!じゃあ、お言葉に甘えるんだよ!」

インデックスさんが浴室の方へと移動する
浴室の扉を開け
そして閉めた
それをしっかりと確認とした後に、『私』は

心理掌握「やだ…さっきより溢れだしてる…」クッ…

自身の秘部を下着越しからまさぐり始めた
意中の相手がすぐ側にいる興奮と切なさからか今も拭い取れないほど量の愛液が漏れている

でも、そんな感情の中に支配された中で行う自慰って
とっても気持ちが良いのよね…
もしかしたらインデックスさんに見られてしまうかもしれない
それがまた『私』の性欲を増幅させるの

――あぁ…早く、愛しあいたいなぁ…

そうして『私』はインデックスさんが浴室から出てくるまで5回の絶頂を迎えた
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:08:49.01 ID:U3Lw++HK0
――――――― 

インデックス「…すー」

心理掌握「……」

ぐっすりと寝ている
なんてキュートでなんて無防備な寝顔なのだろう

心理掌握「…うふふっ」

こんな寝顔を見せられて理性を保てるほど『私』は大人では無いわ
もう限界
悪戯しちゃうんだから

心理掌握「…ふぅー」

インデックスさんと一緒に過ごす初めての夜
そんな愛する人との記念すべき初めての夜なのに『私』ったら…

そう
彼女が眠りに落ちているの良いことになんと彼女の唇を、

インデックス「んーっ…」

心理掌握「…ぷにぷにしてる」ツンツン…

夜通し指で突っつき続けたの
ええ、それはもう夜明け前まで
だって可愛いんだもの
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:09:33.26 ID:U3Lw++HK0
インデックスさんと出会って初めての夜
彼女とは約束の通り一緒のベッドで夜を過ごした

インデックスさんはすぐに眠りについてしまったけれど『私』ときたら彼女が側にいる興奮からか目が冴えっぱなし
結局、夜明けまで彼女の寝顔や寝息にイカされ続けた

インデックス「こころ、顔が赤いけど風邪…?」

心理掌握「大丈夫。ただの肌荒れよ」

でも昨日の夜、一番グショグショに濡らされたのはインデックスさんのお風呂上がりの後の一コマ


心理掌握『寝巻はこれを…下着とかは洗濯しちゃっても…』

心理掌握『って、あら…?脱衣所に下着が見当たらないけど?』

インデックス『下着は身につけてないよ?』


修道服の下には何も身に着けないという決まりでもあるのかしら?
つまり修道服を一枚をひん剥いたら生まれたままのインデックスさんの姿が現れるということ

心理掌握「……」

あら、やだ
また湿ってきちゃった
幼児体型のくせに敏感過ぎて困りものね
気持ちの悪いお父様にそういう風に開発されちゃったのかしらね?
このままじゃ『私』も下着の替えが無い意味でインデックスさんと同じ状態になってしまうかも
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:10:25.42 ID:U3Lw++HK0
心理掌握「寮監には朝一番に呼びされていたのよね?」

インデックス「うん。そう伝えてくれって頼まれたよ」

心理掌握「朝一番ってことは朝食前のことよね…」

心理諸悪「仕方ないわ…ちょっと寮監室まで行って昨日の誤解を解いてくるわね」

インデックス「わ、私も一緒に行っても良いかな!?」

インデックス「一緒にこころの誤解を解くんだよ!」

心理掌握「……」

残念ながら彼女に対して能力を使用したのは誤解じゃないのよね
寮監も『私』の言い訳なんてきっと聞く耳、持たないだろう
全てを見通した上で『私』のことを気絶させたはず

しかし『私』は普段は品行方正の優等生
下手に言い訳をせず誠意を持って謝るフリをすれば間違いなく簡単に許されるはず
だから、ここは

心理掌握「ありがとう、嬉しいわ」

心理掌握「でも、この問題は私がケジメをつけるべき問題だから」

心理掌握「だから良い子でお留守番してて?私なら大丈夫だから」

インデックス「うー…こころがそう言うなら待ってるんだよ…」

『私』に騙されているインデックスさんとは一旦離れ離れになる
とっても心苦しいけれどね
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:11:12.60 ID:U3Lw++HK0
――――――― 

『私』はインデックスさんの頭を一撫でした後、自室を出て寮監室へ向かって歩き始めていた

心理掌握「寮監室って結構遠いのよね…」

こういった部屋から部屋への移動の時に微妙に距離があるのがお嬢様学校の寮の欠点
もう少し歩幅の小さい『私』に優しい構造にしてもらいたいものだわ


そう心の中で愚痴をこぼしながら歩きながら、ふと思う
朝を迎えた
つまりインデックスさんと出会って一日が経つのね

もう?
まだ?

どちらでも良いわ
これから先にあるのは「永遠」だって決まっているもの

けれど昨日は一日だけで色々なことがあったわ
インデックスさんと出会ったり、魔術師さんを壊したり、年増に首を痛めつけられたり、


―――『感情』についてわからなくなったり

―――『こころ』との出会いを思い出したりもしたわね
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:12:03.77 ID:U3Lw++HK0
過去を振り返るだなんてことは久々の体験だったと思うわ
『私』が『私』として目覚めた過去や『こころ』と初めてお話した過去

『天美 心』という少女の基本人格は間違いなく『私』の中にいる『こころ』
『私』は『天美 心』では無い『嘘』の存在

『心理掌握』で『天美 心』の『肉体』の過去を『読心』しても過去の情景は映し出されず代わりに『こころ』の人格が目覚める
『真実』の『過去』に触れているという意味では、その現象に『私』自身は何も疑問は感じていなかった

けれど『肉体』では無く『天美 心』の『脳』に『心理掌握』を発動すれば今までに『天美 心』や『私』が体験をしてきた過去の記憶が映し出されることに最近になって気がついたの
最初は驚いたわ
だって能力応用の実験をしてる最中にたまたま起こった偶然の産物なんですもの

『私』が『お父様』を壊したりした記憶はもちろん、『こころ』が『父親』に壊された記憶までもが映し出された
この頃にはもう『私』は『嘘』である自分自身を受け入れていたから『私』が何者なのかなんてことはどうでもよくなっていたけれど『こころ』の過去には興味があった


『私』をこの世に生みだした『真実』の『天美 心』の過去に
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:12:39.82 ID:U3Lw++HK0
荒れた『父親』
暴力を受ける『母親』と『娘』
逃げ出す『母親』
怯える『娘』
『娘』の部屋に入る『父親』

そして、

『私』が生みだされた

『私』が『天美 心』の『肉体』に呼び起こされた瞬間
その記憶も当然の如く映し出された
この情景が改めて『私』が『嘘』の存在だと言うことを教えてくれる


―――『こころ』が一度も『笑顔』を見せず『愛』を知らずに生きていたということも


そして、この情景を見るたび『お父様』を壊して良かったと思わせてくれる
醜いモノは抹消しなければならない
美しく、可憐なモノだけを残し、『私』色に更に美しく汚すの


『…ううん、こわくない』

『パパ、いないから…』

『こころもおねえちゃんとおんなじおなまえだから、ゆめのなかにこれたのかな?』


―――『こころ』

―――もう何も怖いモノなんて無いのよ

―――これからの『天美 心』はずっと幸せでいられるの
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:13:46.89 ID:U3Lw++HK0
―――――――― 

心理掌握「…いかなる罰をも受ける覚悟です!」

心理掌握「本当に…申し訳ありませんでした!!」ペコッ…

誠心誠意を込めた謝罪、のフリ
当然誠意なんて籠って無い
罰なんて受ける気も更々無い

寮監「…天美、私は常盤台の寮監である以上、寮の規律というものを常に一番に考え、深く重んじている」

寮監「私はお前のことを常に規則を守り、礼儀もしっかりしている寮内で模範的な生徒だという認識をしていた」

寮監「お前は…その期待を見事に裏切ってくれた」ギロッ…!

心理掌握「はい…彼女にはもちろんのこと…」

心理掌握「私のことを信頼してくださっていた寮監の期待を裏切ってしまったこと…」

心理掌握「本当に許されることでは無いと…」

もう
なんて目で睨んでくるのよ、この行き遅れの強面
そんなんだから小じわが増えてしまうのよ
なんて、嘘
増えてるのは白髪だ
結構ストレスが溜まってるのね
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:14:44.95 ID:U3Lw++HK0
寮監「…しかしだ」

心理掌握「…えっ?」

あら?
もう説教はおしまい?
案外早かったわね

寮監「話を聞く限りではお前だけに非があるわけでは無いようだ」

寮監「お前に能力を受けた当の本人もお前に対して申し訳ないという気持ちでいっぱいだと言っている」

心理掌握「…あの子が、そんなことを…」

最初から『私』に非なんて無いわよ、失礼しちゃう
そしてあの子も『申し訳ない』って気持ちだけで自分の愚かな行為が許されるとでも思っているのかしら?

寮監「そして、私に言い訳の一つもせず謝罪するその姿」

寮監「常盤台寮生の名にふさわしい…評価に値すべき姿だ」

心理掌握「そ、そんなこと…」

堅苦し過ぎて息が詰まりそう
そしてあまりに予想通りの展開過ぎてつまらない
これだから年増は困るのよ
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:15:40.78 ID:U3Lw++HK0
寮監「天美、今回限りだ」

寮監「次は無いと思え」

心理掌握「えっ…!?あ、あの…罰とかは…?」

寮監「何度も言わせるな。今回限りだ」

寮監「それに私とて暇ではない」

寮監「生活指導は御坂や一年の白井だけでだいぶ時間を割かれてしまうからな」

心理掌握「寮監…ありがとうございます…!」

感謝の気持ちを込めて一礼
当然、嘘だけど
まぁ、案外早く終わらせてくれたという意味では感謝かしら

心理掌握「今後はもう二度とこのようなことは無いように…!」

寮監「うむ」

心理掌握「それでは、失礼します!」

一礼して寮監室を後にする
年増臭にあてられて気分が悪いわ
早くインデックスさんと同じ部屋の空気を吸って治療しないとね
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:16:32.33 ID:U3Lw++HK0
心理掌握「それでは、失礼します!」

寮監「うむ」

寮監室を後にした天美の姿を見送りながら、ふと考える
天美は14歳にしてはとても小柄な少女だ
140p前後というところだろうか

顔の方も小学生と言われてもまるで違和感の無いほどのあどけない顔つき
髪は天使の輪が出来るほど艶やか

天美は礼儀正しく、規律も守る
私も礼儀正しく、規律も守る

天美は多くの寮生から慕われている
しかし私は多くの寮生から恐れられている
この差はなんだ?

やはり見た目の印象なのか?
天美みたいな幼さ残る見た目だと皆、取っ付きやすいのだろうか

寮監「……」

今度、天美にシャンプーとスキンケアはどうしているのか聞いてみるか…
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 05:17:34.31 ID:U3Lw++HK0
一度区切ります

初見の方も前から見てくださっていたかった方も遠慮なくご意見やご要望があったら書いていただけたらと思います

それではまた!
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/09/13(火) 07:20:20.21 ID:69hs9qr/0
乙です。楽しませてもらってます。
そういやインデックスの『首輪』の破壊はどうすんだろ。
破壊は出来るかもだけど上条さんいなきゃ立ち向かえないよね。
どこぞのロリコンとかメルヘンとかおばさんならともかピーンポーンおっと誰か来たようだ。
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 08:24:19.04 ID:cWXOdtfIO
前回の続きも気になるから早くそこまでいってくれーと思う自分と
じっくり読みたいからこれくらいのペースがいいよなと思う自分のパラドックス!!
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/13(火) 16:06:32.22 ID:7WygMcda0

そういえば、この心理掌握はどんな理論で相手の脳を覗いたり操ったりするの?(詳しく考えていないならいいんだけど・・・)
あと仮に上条さんを出すにしても、最後ら辺に美琴に追いかけられて「不幸だあああああああああ」っていうシーンぐらいにしてほしい。

221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:14:51.73 ID:WlHi/cnD0
―――――――― 

インデックス「じゃあ、りょーかんの誤解は解けたんだね?」

心理掌握「ええ、ちゃんと話したら伝わったわ」

インデックス「それなら良かったんだよ!」

午前七時三十分
『私』とインデックスさんは食堂にて朝食をとっていた
これが寮で決められている朝の生活リズム

心理掌握「それにしても…」

インデックス「こころ、スープのおかわりは自由なの?」

心理掌握「ええ。バイキングだし」

今朝の朝食はバイキング
パン、スープ、魚、肉と揃っているけれど『私』はサラダと紅茶だけで充分
朝から炭水化物や油物は気持ち悪くなっちゃう
しかし、そんな『私』を横目に…

インデックス「こころ、このパン美味しいんだよ!」モグモグ…

インデックス「パンもおかわりしていいのかな?」

心理掌握「ええ…バイキングだし…」

インデックス「わぁっ!」

インデックスさん、貴女はとっても可愛いわ
でもね、暴食な女の子は『私』は好きじゃないかも
本当に罪深い子ね
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:15:43.08 ID:WlHi/cnD0
インデックス「このオムレツも美味しいんだよ!!」モグモグ…

「あのシスターさん…オムレツ3つ目よ…」ヒソヒソ…

「なのに、どうしてあんなに細いの…」ヒソヒソ…

インデックスさんは昨日に引き続き今朝も注目の的だった
みんな若干引いてるわね
それもそうよね
食後のプリンを食べて満足かと思ったら、またオムレツに手を伸ばすんだもの
彼女のコレステロール値はどうなってるのかしら

ここまでくると流石の『私』も動揺しちゃう
食事終了まで、もう少し時間あるし紅茶のおかわりでもいただいて少し気持ちを落ち着けましょうか

心理掌握「ちょっと紅茶のおかわりをもらってくるわね」

インデックス「うんっ!いってらっしゃい!」

『私』はそう言って席を立ち、ドリンクコーナーまで足を運んだ

「天美様、紅茶でしたら私がお淹れいたしますわ!」

心理掌握「あら、ありがとう。じゃあ、お願いするわね」

ドリンクコーナーで『私』ことを心から慕ってくれている『お友達』が声をかけてくれる
みんな『私』のことを気遣ってくれるの
これがいつもの日常

「貸して。私が淹れるから」

「えっ?」

でも、その日は少しだけいつもの日常と違ったの
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:16:22.59 ID:WlHi/cnD0
「御坂様…?」

美琴「ほら、カップ貸して」

「あっ…」

『私』の『お友達』からカップを奪い取る少女
短髪の茶髪に凛とした瞳
御坂美琴さんである

心理掌握「…あら?どういう風の吹きまわしかしら?」

いつもならあり得ない光景
『私』のことを毛嫌いしてるはずの御坂さんが朝食時に『私』に声をかけてくるだなんて
しかも『私』の為に紅茶を淹れてくれるですって?

美琴「アンタ、アールグレイだっけ?」

『私』の問いには無視
その態度、気に食わないわ
でも、いつもみたいにその言葉には『敵意』を感じない
だから『私』は素直に、

心理掌握「…アールグレイのアイス。ミルク大目で」

美琴「はいはい」

文句一つ垂れず言われた通りに紅茶を淹れ出す御坂さん
その真意はわからない
ちょっと不気味ね

心理掌握「……」

―――『心理掌握』を展開
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:17:14.61 ID:WlHi/cnD0
何を企んでいるのか知らないけれど、
『私』の前では丸裸
その心の内、覗かせてもらうわ

けれど、

『アールグレイはストレートの方が美味しいと思うのよね』

心理掌握「……」

美琴「ほら、これで良いでしょ?」

心理掌握「えっ、ええ…」

…下心無し?
まさか本当にただの親切で『私』に紅茶を淹れてくれたの?
昨日今日で一体どうして?
頭でも打ったのかしら?
思わず声に動揺が出てしまったわ

美琴「はい、どうぞ」

心理掌握「ど、どうも…」

呆気に取られて、つい素直に手渡されたカップを受け取ってしまう
そんな光景を見てか周りの寮生達は、

『御坂様と天美様が仲良くしていらっしゃる…』

『何かのイベントかしら…』

『私』を含め、寮生のみんなが驚きを隠せない様子
それほど『私』と御坂さんが朝食時に接触してる光景は珍しい
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:18:01.24 ID:WlHi/cnD0
美琴「あっ、そうだアンタ」

心理掌握「…!何かしら…?」

…あら
やはり何か下心があったみたいね
それでも無ければ御坂さんが『私』に紅茶を淹れてくれるだなんて…
おかしいと思ったのよ

美琴「アンタ、今日なんか予定ある?」

インデックスさんと一緒にいると予定で埋まっているわ
どうやら、これは決闘の申し込みってところかしら?
きっと昨日の決着をつけたいのね
本当に野蛮なんだから…

美琴「時間あったら、すぐそこの公園まで付き合いなさいよ」

『あそこの自販機のジュースを買いに行くわよ』

心理掌握「……」

えっ?
ジュースを買いに行く?
それだけなの?
いや、そんなはずは無いわ…
もっと心の内を見せなさい

美琴「まぁ、別に公園じゃ無くても良いんだけどさ」

『ちょっと話がしたいのよね』

…『私』と話がしたい?
『私』に何か文句でも?
だけど相変わらず『敵意』や『闘争心』は感じられない
本当に一体全体何なのよ?
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:18:36.25 ID:WlHi/cnD0
美琴「で、アンタの予定はどう?」

心理掌握「……」

普段ならすぐさま適当な嘘をついて断っているところ
しかし、これは普段の出来ごとでは無い
あの御坂さんが『私』と出掛けたいと言っているの

御坂さんの『真意』が読み取れない
本当に不気味で仕方ないわ
だけど、この状況は今までに体験したことない
ちょっと面白い状況なのかもしれない

もしかしたら付き合ったら付きあったで面倒なことが起こるかもしれない
けれど『敵意』を感じない以上は、さほど悪い結末にはならなそう

それに『私』自身、今日はインデックスさんをお留守番させて外に出る用事もあった
だから、ここは…

心理掌握「いちごおでん…奢ってくださるかしら?」

美琴「それぐらいは自分で買いなさいよ…」

ここはこの状況を受け入れてみようかしらね
面倒なことになりそうだったら、すぐに逃げれば良いしね

そんなことを思いながら御坂さんが淹れてくれた紅茶を一口
丁度良い濃さ
そしてミルクの比率までもが完璧だった
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:19:05.70 ID:WlHi/cnD0
―――――――― 

朝食を済ませた後、『私』はインデックスさんに御坂さんと出掛けてくることを伝えた

インデックス「みこととおでかけしてくるの?」

心理掌握「ええ。昨日あんなことがあったわけだし…ちゃんと謝って仲直りしたくて」

インデックス「そっか!じゃあ、私はお留守番してた方が良いね!」

心理掌握「うん。ごめんなさいね」

謝る気なんて毛頭無し
仲直りをするほど元々仲良くは無い
インデックスさんは四六時中、『私』の側に置いておきたい

でも、御坂さんと出掛けるのとは別にインデックスさんがいない方が都合の良い用事もあった
それは神裂火織さんとのコンタクト
彼女とはいざインデックスさんの命を救う前に一度直接話をしておくべき存在
きっと彼女もそう思っているはず

だから心苦しいけれど、ちょっとの間離れ離れ
けれど誤解しないでね?
決して浮気とかじゃないんだから

心理掌握「お昼過ぎには戻れると思うわ」

心理掌握「バスルームやベッドは自由に使ってて良いからね」

インデックス「うんっ!ありがとう!」

『こころはやっぱり優しいこころなんだよ!』

あぁもう、一々可愛いんだから
心の中を甘噛みされてる感覚だわ

心理掌握「それじゃあ、行ってくるわね」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:19:36.17 ID:WlHi/cnD0
―――――――― 

寮を出て少し歩いたところにある公園
『私』の大好きな、いちごおでんの自販機が置いてある公園
昨日、御坂さんと偶然鉢合わせて、そしてインデックスさんに頭を噛みつかれた公園

そんな公園に意外な組み合わせの二人
『私』と御坂さんだ
そんな意外な組み合わせの『私』たち
そんな二人が公園で何をしているのかというと、

美琴「アンタ、またいちごおでん…?」

『いちごはともかく、なんでおでんなのよ…』

心理掌握「良いじゃない。私はこれが好きなんだもの」

美琴「このヤシの実サイダーとか美味しいわよ?」

心理掌握「炭酸は嫌いなのよ」

美琴「アンタって結構好き嫌い多いわよね…」

これまた意外にもベンチに座ってジュースを飲みながらとりとめのない話をしているだけだった
まさか御坂さんとこんな風に落ち着いた雰囲気の中で話をする日が来るとは思いもしなかったわ
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:20:20.06 ID:WlHi/cnD0
美琴「ヤシの美サイダー美味しいのに」

『甘いモノが好きならヤシの実サイダーもイケると思うんだけどなぁ』

心理掌握「……」

公園についても、やはり御坂さんの心の中から下心的なモノは感じ取ることが出来ない
本当に『私』とただお出掛けをして、ただ話がしたいだけなのかしら?

心理掌握「ねぇ、御坂さん?」

頭の中が不可解な疑問に満ち溢れ、堪らず『私』は口を開いた

美琴「ん?なによ?」

心理掌握「貴女…一体どうしたっていうの?」

美琴「へっ?どうしたって…なにが?」

心理掌握「…貴女は私のこと嫌いなはずでしょ?」

心理掌握「なのに、どうして私をお出掛けに誘ったりしたのかしら?」

心理掌握「昨日みたいに争う気も無さそうだし」

美琴「……」
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:20:56.52 ID:WlHi/cnD0
『私』が『心理掌握』を使用せずに他人の『真意』を確かめようとするなんてこと今までにあったかしら?
いや、きっと無いわね
そんな面倒なことはしないわ

だけど今は仕方ないじゃない
心の声を聞いても『真意』がわからないんだもの

美琴「……」

美琴「まぁ…アンタのことは嫌いよ」

『性格は最悪だし』

心理掌握「……」

どうやら相変わらず『私』のことは嫌いらしい
その言葉に嘘は無い

心理掌握「じゃあ、どうして?」

新たに当然の疑問が生まれてくる

美琴「いや、まぁ嫌いっていうか苦手って言うか…」

美琴「昨日よりはアンタのこと嫌いじゃなくなっただけよ」

心理掌握「…はい?」
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:21:31.83 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「…意味がわからないわ」

美琴「アンタさ、昨日寮監にしばかれたんだって?」

『食堂で能力をおおっぴらに使っちゃってさ』

イタズラっぽく笑う御坂さん
ていうか、なんでいきなり昨日の話になるのよ?
『私』のことが嫌いだって話をしていたのに

心理掌握「…それは誤解よ」

美琴「いやーまさかアンタが寮監にしばかれる日が来るなんてねー」

美琴「寮監の前では仮面優等生を崩さなかったアンタがさ」

『私』の嘘は徹底無視
なに?
もしかして昨日の『私』の失態を馬鹿にする為にお出掛けに誘ったの?
いや、でも最初からそのつもりなら食堂で話しかけられた時点で心の声に出るはず
今、御坂さんが昨日のことを話しているのは『偶然』そういう話題になっただけなの?

美琴「面倒事は嫌いじゃ無かったの?」

『普段の心理掌握なら考えられないわよね』

わからない
御坂さんの『真意』が
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:22:09.67 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「…何が言いたいのかしら?」

美琴「普段のアンタは何か問題を起こすにしても、こっそり陰に隠れてやるような奴だったじゃない」

美琴「面倒やリスクを何よりも嫌う…」

美琴「己を守る為なら息を吸うように嘘を吐く…」

美琴「私の中で打算的な奴って印象だったわ」

美琴「そんなひねくれた性格のアンタが私は嫌いだったの」

心理掌握「……」

そうよ
『私』は嘘つきよ
平気で人を利用して平気で人を壊す
わかりきったことでしょう?

美琴「そんなアンタがさ」

美琴「あのシスターの為に自分の損得も考えずに行動したって聞いた時は流石に驚いたわ」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:22:46.50 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「私が損得を考えずに…?」

己の損得を考えない?
この『私』が?

美琴「そりゃあさ、アンタの能力をむやみに人に使うのはどうかとは思うけどさ」

『まぁ、私も黒子に何度も電撃を浴びせたこともあるし…』

美琴「だけど、あのシスターのことを守る為に食堂でおおっぴらに能力を使ったんでしょ?」

美琴「あの場にいた子達が言ってたわ」

美琴「シスターのことをぶった子に対してアンタが能力を使ったんだって」

美琴「今まで通りのアンタなら能力を使うにしても寮監に見つかるリスクを恐れて、あとで安全な場所に変えてから能力を使ったりするはずなのに」

美琴「そんなアンタが昨日は寮監に見つかるリスクも考えずに能力を使ったわけじゃない」

そんなことは無い
リスクは考えていた

心理掌握「…ちょっと油断をしていただけよ」

美琴「アンタが油断する…っていうのはまた変な話よね〜」

心理掌握「…!!」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:23:30.31 ID:WlHi/cnD0
美琴「そんな睨んだりしないでよー」

心理掌握「…普段からこういう顔よ」

美琴「別にアンタのことを馬鹿にしてるわけじゃないのよ」

『心理掌握は他人なんて気にしない…』

ええ
その通りよ

『どこまでも打算的な奴だと思っていたけど…』

そうよ
『私』はそういう存在なの

美琴「それだけ、あの子のことが大切だったんでしょ?」

心理掌握「……」

大切?
そうね
とっても可愛い『私』だけのインデックスさんだもの
だけど一番に大切なのは『天美 心』という『私』自身

美琴「自分よりも大切だって思えたからこそ、とっさの行動に出たんじゃないの?」

それは『私』の機嫌を損ねたからであって…
インデックスさんに手を出されたから『私』はついに機嫌を損ねて…


…あれ?
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:24:11.04 ID:WlHi/cnD0
美琴「アンタの性格は最悪だって今でも思ってるけどさ」

美琴「アンタも誰かの為に自分を犠牲したり出来るのね」

誰かの為に自分を犠牲?
そんなものは愚かな行為
赤い魔術師さんみたいになっちゃうじゃない

美琴「そんなアンタのことをちょっと見直した」

美琴「少し嫌いじゃ無くなったわけ」

『心理掌握も感情だけが先走ったりしたりするのね』

美琴「なんか前に比べてアンタさ」

美琴「人間の熱を持った少女って感じがするわ、うん」

美琴「結構とっつきやすくなったわよ」

感情だけが先走る?
そんな激情にかられた行動、醜いだけだわ

でも、あの時、私は…?

心理掌握「私は…」

感情が先走って…?
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:24:42.96 ID:WlHi/cnD0
美琴「アンタって取り巻きとか多いけどさ」

美琴「正直どこの子に対しても心から接している感じがしてなかったわけで」

美琴「なんかアンタの人間関係って機械的な印象があったのよね」

美琴「でも、昨日の話を聞いてさ…」

美琴「あのシスターがアンタに良い影響でも与えたのかしらね?」

心理掌握「わ、私は…」


『私』は『心理掌握』
名前は『天美 心』
『天美 心』から生まれた『嘘』の『天美 心』
嘘つきで打算的で楽しいことが好きで面倒を嫌う


そうよね?
そうでしょ?
わかってるの

―――なのに

心理掌握「あの時の、私は…?」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:25:22.66 ID:WlHi/cnD0
あの時の『私』が彼女に能力を使った時の『心情』
彼女を心配するインデックスさんの姿を見た時の『心情』

心理掌握「わか、らない…」

美琴「…ちょっと?どうしたのよ…?」

美琴「顔色、悪いわよ…?」

『私、なんか変なこと言ったかしら…』

わからない
『私』の感情がわからないの
『私』は『心理掌握』なのに、わからないの

心理掌握「あ、あぁっ…!!」

美琴「ちょ、ちょっと!アンタどうしたのよ!?」

頭が痛い
心の声も聞こえない
『心理掌握』で治してしまえば良い
でも、なにをなおすの?
どうやって、なおすの?
わからない

どうして、わからないの?
『わたし』は『心理掌握』でしょ?
それとも、もしかして『心理掌握』じゃないの?
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:26:40.76 ID:WlHi/cnD0
『私』は『心理掌握』じゃない?
『ワタシ』、『嘘』の『天美 心』じゃないの?

じゃあ『嘘』の『天美 心』じゃなかったら『私』は一体誰なの?

あの頃と同じ
ワタシが何者なのかわからずに、ただ犯され続けたあの日々と同じ

イヤよ
私は『嘘』でも良いの
『嘘』だけど『天美 心』なの!
『心理掌握』ってみんなから呼ばれているの!!
ここに存在、しているの!!


―――『こころ』

―――ねぇ、『こころ』

―――『私』、ワタシは…!!!


心理掌握「…っ!!」ドクンッ…!

美琴「アンタ大丈夫なの!?ねぇっ…!」

心理掌握「……」

美琴「熱は無いみたいだけど…病院に…!」

心理掌握「…だあれ?」

美琴「えっ…?」

心理掌握「おねえちゃん…だあれ…?」
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:27:13.09 ID:WlHi/cnD0
ソイツの性格は最悪そのもの
人を見下し、平気で嘘を吐き、損得でしか動けない
そんなソイツのことが私は大嫌いだった

けど、そんなソイツにも少なからずイイところはあったみたいなのよね
自分のことを省みず誰かの為に行動するなんて、ほんのちょっと見直しちゃったわけで
それに規則破ったことで寮監にしばかれたなんて話も聞いたら何か親近感湧いちゃってね
私、自慢じゃないけど頭より手が先に出るタイプだから頻繁に寮監にしばかれたりしてるし

正直、今もソイツのことは嫌いだけど以前よりは嫌いじゃない
ソイツとは絶対に交われない水と油の関係だと思っていたけど、昨日の話を聞いたら一度普通に話をしてみたいなって思った

別に友達になりたいとかじゃないのよ?
単に私を特別扱いしない話相手が欲しいなって思っただけ

一番嫌いなのよね
レベル5ってだけで後輩や同級生から特別扱いされたりするの
なんか距離を感じるっていうの?
私は神様か!って感じ

寮監にしばかれたソイツを小バカにしてやろう
嘘ばかり吐いてるソイツの本音とか聞いてみたい
同じレベル5だから私を特別扱いせずに接してくれるはず

ソイツを初めて散歩に誘って話をしてみようって思った理由はこんなとこ
だけど、そのソイツが今ねー…

心理掌握「おねえちゃん…だあれ…?」

私、御坂美琴との慣れない日常会話に頭が混乱したのかどうも壊れちゃったみたい…?
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:28:03.45 ID:WlHi/cnD0
美琴「お、おねえちゃん…?」

何を言ってんのコイツ…?
頭を抱えて蹲ったと思ったら、私に向かって「おねえちゃん」って…
もしかして体調悪い演技をして騙された私をバカにするつもりとか…?

心理掌握「……」キョロキョロ…

いきなりの「おねえちゃん」に呆気をとられる私をよそに辺りを見渡し始める心理掌握
その表情からは不安と戸惑いの色が読み取れる

心理掌握「…おそと?」

心理掌握「おうちじゃない…」

心理掌握「でも、ゆめのなか、じゃない…」

心理掌握「あかるい…」

美琴「……」

今、私の目の前にいる少女は『心理掌握』の『天美 心』
それは間違いないはず
なのに、その言動が演技だと思えない

そう
私の目に映る今の心理掌握の姿は。
迷子になってしまった幼い女の子のようだった
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:28:56.97 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「ここ、どこ…?」

美琴「……」

演技だと思えない
つまり演技じゃない
むしろこれで演技ならコイツのことを尊敬してやっても良い

だとすれば、今のコイツは…

美琴「…ねぇ?」

心理掌握「…!」ビクッ…

私の声に反応したのか『心理掌握』の身体が小さく跳ねる
…怯えているみたい
私は出来るだけ優しい口調を意識して『心理掌握』に語りかける

美琴「お姉ちゃんのお名前は、みこと」

心理掌握「…えっ?」

美琴「みさかみこと、よ。お姉ちゃんのこと、だあれ?って聞いたでしょ?」

心理掌握「あっ…う、うん…」
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:29:42.01 ID:WlHi/cnD0
同じ学校の同じ寮に住む寮生相手に私の自己紹介

心理掌握「……」

その寮生は私の名前を今、初めて聞かされたかのような反応を見せる
表情は相も変わらず不安げ
しかし例え不仲でもお互いにそれなりに有名人
本名ぐらいは覚えているはず

美琴「…私の自己紹介はおわりっ」

美琴「次は貴女のお名前を教えてほしいな?」

心理掌握「…えっ?」

ほぼ考えはまとまっている
その考えを結論付ける為に今度は『心理掌握』に自己紹介を求める
正直、きっかけや原因はわからない
だけど今のコイツは間違いなく…

心理掌握「……」

美琴「……」

しばしの沈黙が続く
今の状況を理解出来ない戸惑いからか、視線を泳がせたり、そわそわしたりする『心理掌握』
そんなコイツをただ黙って見つめ答えを待ち続ける私
決して急かしたりはしない

やがて、そんな私の姿に観念したのか、はたまた私が敵では無いと判断してくれたのか、
『心理掌握』が上目遣いでおずおずとその口を開いた
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:30:45.50 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「…こころ」

心理掌握「あまみ…こころ…」

美琴「……」

『あまみ こころ』
その名前は『心理掌握』の本名である『天美 心』と考えてほぼ間違いない

じゃあ、コイツは『心理掌握』なのか?
それはきっと半分正解で半分外れだろう

今のコイツは幼少期の『天美 心』
つまり精神が幼児退行をしてしまって幼少期以降の記憶を失っている状態だと考えていいはず
そう考えれば私のことを『おねえちゃん』と呼んだり私の自己紹介に対する反応にも納得がいく

美琴「ありがと。こころちゃんね」

心理掌握「…うんっ」

とは言っても、私がそう勝手に結論付けたところで何の解決にもなりはしない
『心理掌握』が突然幼児退行してしまった原因はわからない

それに何より私にとって『心理』や『精神』は専門外
この状態を治療することは私には出来ない

心理掌握「……」

美琴「……」

『心理掌握』の『天美 心』ならまだしもね…
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:31:56.21 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「あっ、あの…」

美琴「……」

さーてと、これからどうしたものかしら?
やっぱりここは病院に連れていくべき?
流石にこの状態で寮で生活するのは…

心理掌握「あのぅ…」

美琴「……」

『心理掌握』が連れてきたシスターのこともあるし…
結局寮監に説明したところで…

心理掌握「あっ、あのっ…!」

美琴「…へっ?」

今、私呼ばれた?
微かに『こころ』ちゃんの声が…
いや気のせい…?

美琴「…って!?」

心理掌握「……」ショボン…

凄いションボリ顔してる!?
やっぱり呼ばれてたっぽいわ!
うわ、なんか罪悪感…
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:33:05.17 ID:WlHi/cnD0
美琴「ご、ごめん!私のこと呼んだかな?」

心理掌握「……」コクン…

黙って頷く『こころ』ちゃん
あー…
唇噛み締めてる…
泣くの我慢してるのかな…?
控えめな子なのね『こころ』ちゃん…

美琴「本当にごめん…それで、なにかしら?」

心理掌握「…あのね」

美琴「うん」

心理掌握「こころ…ずっと、ゆめのなかにいたの…」

美琴「夢の中?どんな夢?」

心理掌握「まっくらでなにもみえないの…」

心理掌握「でも、パパがいない…」

美琴「パパ?」

『心理掌握』のお父さん、で良いのかしらね?

心理掌握「それでね、いつもおはなししてくれるの」

美琴「えっ?あっ、うん。誰がかな?」

心理掌握「こころおねえちゃん」

美琴「…えっ?こころ?」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:33:56.25 ID:WlHi/cnD0
美琴「こころって…こころちゃんのおねえちゃんのこと?」

心理掌握「ううん、こころとおんなじおなまえなの」

心理掌握「ゆめのくにの、じょおうさま」

美琴「……」

じょおうさま…
同じ名前…?
それって…
いや、でも子供の夢の話なわけだし…

心理掌握「いつもゆめがおわるとプツンってなってね」

心理掌握「でも、またすぐにおねえちゃんがおはなししてくれるの」

心理掌握「こころも、おねえちゃんも」

心理掌握「こころってなまえだから、ゆめのなかでおはなしできるの」

心理掌握「こころたちだけなんだよ」

美琴「こころちゃんたちだけ…」

真っ暗
父親がいない
同じ名前じゃないといられない夢の世界
夢の終わり、でもまたすぐにお話してくれる女王様…

もしかして、そういう考え方もあるのかな…
今の『心理掌握』は幼児退行、ってわけじゃなくて…?
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:35:18.53 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「ずっと、おねえちゃんとゆめのなかでおはなししてたのに」

心理掌握「いまはおそとであかるいの…」

心理掌握「こころおねえちゃん、いない…」

美琴「……」

心理掌握「みこと、おねえちゃん…」

美琴「…えっ?な、なぁに?」

心理掌握「こころをおうちにつれていかないで?」

美琴「…えっ?」

心理掌握「おうちは、いやなの…」

心理掌握「おうちは、パパが…」

心理掌握「パパ…」

心理掌握「パ…ぱ…」

美琴「…こころちゃん?」

様子がおかしい
『こころ』ちゃんの顔色が明らかに悪くなっている
これはさっきの『心理掌握』と同じ状態…?
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:36:06.97 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「あぁ、あっ…やぁっ…」

心理掌握「い、い、やぁっ…!」

美琴「…!こころちゃん!?」

今度はハッキリとわかる
『こころ』ちゃんは酷く怯えている
『天美 心』の中で今、何が起こっているの?

心理掌握「ひ、ひっぐ…ううっ…」

美琴「…!」

でも、考えるのは後よ
私の目の前には必死に涙を堪えながら苦しむ『こころ』ちゃん
まずは彼女を落ち着かせてあげないと
まだ精神は幼い女の子なんだから

美琴「こころちゃん…!」

私に出来ることは彼女が落ち着くまで優しく抱きしめてあげることぐらい
そう思って私は彼女に向って手を差し出し『こころ』ちゃんの身体に触れようとした

心理掌握「…!?」

心理掌握「あぁぁっ、あっ…!?」

心理掌握「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

―――その行為は『天美 心』にとっての引き金だった
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:37:43.50 ID:WlHi/cnD0
美琴「…!?」

私は驚きを隠せなかった
今までずっと控えめな声で喋っていた『こころ』ちゃんが耳を劈くような金切り声で叫んだのだから

心理掌握「…!」ガクッ…

美琴「…!こころちゃんっ!!」

地面に倒れ込む『こころ』ちゃん
私はそんな彼女を抱き起そうとして…

…抱き起そうとしたのに動きを止めてしまった
だって『こころ』ちゃんがあげたさっきの金切り声は、
私が彼女に触れようとした瞬間に…

心理掌握「あ…ううっ…」

美琴「…こころちゃん!」

どうやら気を失っていたわけでは無いみたいだ
あのまま抱き起していたらきっと彼女はまた…

心理掌握「……」

ゆっくりと顔を上げ、うつろげな眼差しで私のことを見る『こころ』ちゃん
少し…落ち着いたのかな?
でも、本当に悪いことをしてしまった
ちゃんと謝らなくちゃ…

美琴「こころちゃん、ごめん…私…」

心理掌握「御坂…さん…?」

美琴「…えっ!?」

『心理掌握』は幼児退行したわけじゃなくて、
『心理掌握』は1つの身体に2つの独立人格を持つ多重人格者なのかもしれない…
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:39:41.27 ID:WlHi/cnD0
心理掌握「御坂…さん…?」

心理掌握「…あぅっ!?」ズキッ…

頭が痛い…?
ボーっとする…
視界もぼやけてる…
『私』は…気絶してたの…?

美琴「御坂さん…って、こころちゃん…貴女…」

心理掌握「えっ…?こころ…?」

『こころ』ちゃん…?
『私』に対して言ってるの…?
御坂さんが…?

美琴「いや…アンタ…」

美琴「心理掌握、なの…?」

心理掌握「…何を、言っているの…?貴女は…?」

『私』が『心理掌握』…?
そんなの、当たり前じゃない…
御坂さんの言葉の真意が理解不能だわ…

『心理掌握』が解除されている…
もう一度、展開して御坂さんの言葉の真意を…

―――『心理掌握』をてんか…

心理掌握「…あぐっ!?」ズキッ…!

なに、よ、いまの…?
また、痛みが走って…
演算に集中が…

なんで…
なんで、こんなに頭が痛いのよ…
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 01:42:24.78 ID:WlHi/cnD0
一度区切ります
以前はここらへんで、内容が理解しにくいという意見をいただいたんですが実際どうでしょうか?

あと、このSSの心理掌握の能力の原理は常識が通用しない感じです
嘘です
本当は脳波に直接…とか考えていたんですが美琴さんの電磁バリアに否定されたのでどうしようって感じになりました

それではまた!
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/14(水) 07:33:15.47 ID:L2wcaODro
そろそろ険しいところキタ━━━━(゚∀゚ )━━━━!!!!
>>1乙!!
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/14(水) 07:41:55.94 ID:lZoXf1WAO
乙。面白いよ
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 07:32:52.23 ID:1GLWgGtK0
おい、どうした>>1
水曜日まで一日ごとに来ていたのに・・・・完結するの楽しみにしていたのに・・・・
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:10:43.68 ID:+KpZR++70
心理掌握「うぐっ…!」

頭が酷く痛む
演算に集中が出来ない
それに身体全体も重く感じて吐き気もする
いきなりどうしてこんなことに…


―――まるで『私』の身体じゃないみたい…


美琴「ちょ…!?大丈夫なの!?」

心理掌握「…頭が…痛いの…」

心理掌握「ねぇ…御坂さん…」

心理掌握「私…気絶してたのかしら…?」

能力の展開は諦める
演算する余裕が無い
だから『私』は御坂さんに何も見えない状態のまま問いかける
正直、喋るのも辛いし面倒なことだけど『私』自身の為に仕方ない

美琴「……」

沈黙
何かを考えているのだろうか?
だけど読み取ることが出来ない
彼女の『真意』を

やがて、御坂さんが口を開く

美琴「…『アンタ』は」

美琴「『心理掌握』なのね…?」
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:11:47.74 ID:+KpZR++70
心理掌握「…『私』は…?」

『私』の問いかけとは裏腹に御坂さんが先ほどと同じ言葉を投げかけてくる
『私』が『心理掌握』なのか?ということを確認するかのように

今、『私』の目に映っているのは先ほどと同じ景色、同じ相手
そして己の身体自身も同じ声、同じ思考であると認識出来ている
つまり『私』は『心理掌握』
『嘘』の『天美 心』であることは間違いないはずに決まっている


―――だけど、御坂さんの言葉はまるで


心理掌握「…私が意識を失っている間に」

心理掌握「私以外の誰かがいたような言い方ね…?」


―――そう、『私』だけど『私』じゃなかった誰かが…


美琴「…そうね」

美琴「『アンタ』のはずなのに『アンタ』じゃない女の子と喋っていたわ…」
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:12:52.22 ID:+KpZR++70
心理掌握「……」

『私』であって『私』で無い
つまり御坂さんはこの『肉体』とはお話はしていた
『天美 心』の『肉体』と
だけどその相手は『私』では無い

―――そういえば御坂さんは先ほど『私』に対して…

美琴「…アンタは『心理掌握』で間違いないみたいね」

今度は確信を持ったかのように御坂さんが『私』にそう言い放つ

美琴「だったら単刀直入に聞くわ…」

美琴「私も遠慮が無い方だしさ」

心理掌握「…なにかしら?」

―――『私』のことを『こころ』と呼んだ

美琴「…『アンタ』は『アンタ』とは違う」

美琴「『あまみ こころ』の存在は知っているの?」

つまり『私』の意思とは関係無しに、

―――『肉体』が『こころ』の人格へと切り変わったというの?
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:14:03.57 ID:+KpZR++70
心理掌握「『あまみ こころ』…」

美琴「……」

心理掌握「それって…私のことでしょう?」

美琴「…それ、本心で言ってる?」

心理掌握「……」

『嘘』の『天美 心』であり『心理掌握』
それが『私』自身だと、そう思って生きてきた
だから、当然この質問には…

―――でも、今は

心理掌握「…どうかしらね」

心理掌握「今は…わからないの…」

心理掌握「『天美 心』の『肉体』で活動する『私』が一体何者なのか…」

美琴「…!じゃあ…」

心理掌握「…御坂さん」

心理掌握「貴女は『こころ』とお話したのね?」
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:15:50.65 ID:+KpZR++70
美琴「…そっか」

美琴「…『アンタ』自身は『こころ』ちゃんのことを認識してるのね」

心理掌握「……」

『こころ』が『外』のセカイに…
ずっと『私』の『夢』のセカイで眠っていた『こころ』が…?

美琴「…『心理掌握』…『アンタ』は…」

心理掌握「御坂さんっ…!」

美琴「…!?な、なによ…?」

つい声を荒げてしまう
だって『こころ』は、
あの子は…!

心理掌握「あの子…怯えていなかった…!?」

美琴「…えっ?」

心理掌握「『こころ』はずっと『夢』のセカイで安心していたの…!」

心理掌握「『外』のセカイになんて出たら、あの子はまた『父親』に…!!」

心理掌握「『父親』にっ、あっぐっ…!?」

美琴「…!?『心理掌握』!?」

また、酷い頭痛が襲ってくる
頭が、割れそう
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:16:56.98 ID:+KpZR++70
心理掌握「く、くぅっ…!」

段々と視界も霞んでくる
息も、苦しい
やがて耐えきれなくなり『私』はついその場に倒れ込んでしまう

美琴「『心理掌握』!」

御坂さんが『私』の側に駆け寄り倒れ込んだ『私』のことを抱き起してくれる

心理掌握「…く、くあぁっ…」ハァハァ…

抱き起してもらうなんて大きなお世話
けれど抵抗する力が今の『私』には無い
肉体に力が入らないの

―――意識が、次第に遠のいていく…

美琴「…!!」

御坂さんが『私』に対して何か言ってるのかしらね…?
薄っすらと口が動いているのがわかる
でも何も聞きとることが出来ない

心理掌握「……」

恐らく『私』の人格はまた、

―――『こころ』の人格と交代される
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:17:24.66 ID:+KpZR++70
『私』が『こころ』と初めてお話をした時から『こころ』が『天美 心』の主人格として行動することは今まで無かった

何故なら『私』が『心理掌握』で『天美 心』として活動していたのだ
己の精神状態さえコントロール出来る『私』が意図して引きずり出したりするのならともかく、『こころ』が自力で『天美 心』の主人格になることはあり得ない

仮に『こころ』に『私』と同じ精神をコントロール出来る能力があったとしても『こころ』は自ら夢の国にいることを望んでいた
外の世界には『父親』がいるから
夢の国は安全な場所で痛い思いはしないから


―――じゃあ、何故人格が交代してしまったの?


人格が交代されたのは恐らく『私』が御坂さんの言葉に動揺したのが、きっかけだと思われる

あの時の『私』は自分の感情がわからなくなってしまい。
『心理掌握』なのに『私』自身の感情が理解出来なくなって、

―――そして、『私』自身が誰だかわからなくなってしまった
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:18:15.83 ID:+KpZR++70
自己の混乱
突然の『こころ』との人格の入れ替わり
『こころ』に精神を支配する能力は無い
人格交代の間の『私』の記憶喪失
『私』自身、能力の使用といい、この肉体での身体の自由が利かなくなっている

心理掌握「……」

『私』は解離によって目覚めた本来は存在しなかった人格
『天美 心』の『嘘』の人格だ

そんな『私』はずっと『天美 心』の肉体で活動し続けていた
己のサジ加減で醜いモノを壊したり可愛い子と絡み合ったり平気で嘘をついたり…
それはもう好き勝手やってきたわ
『私』にとってどれも楽しいモノだった

それから、『こころ』ともお話したり…
インデックスさんとも出会い…

…でも、それらは全部『私』が『こころ』によって目覚めさせられたから体験出来た出来事であった・・・

…あぁ、もしかしたら


―――『私』は魔法にかかっていたのかしらね…?
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:19:23.56 ID:+KpZR++70
『天美 心』の人格状態が本来の肉体の所有者『こころ』一つのだけのものになろうとしている?
だから『私』は『私』自身に混乱を覚えて不意に意識を失ったりもした?
『心理掌握』の使用が出来なくなってしまったの?

だとすれば、このまま『私』が意識を失った時、『私』はもう…
なんて、こともあり得ちゃうのかしらね?
『嘘』から『真実』へ…って

ふふっ
まるで、シンデレラね?

『私』は『こころ』に魔法をかけてもらって『心理掌握』となり楽しい時間を過ごし、
そして今、その魔法が解けてしまう時間が来てしまったって感じかしら?


―――シンデレラは0時を過ぎて魔法が解けてもお姫様のままでいられた


美琴「…!!」

心理掌握「……」

御坂さんは変わらず『私』に対して何かを叫んでる感じ
だけど、その声はやはり『私』には聞こえないのよね
逆に『私』の声は御坂さんに届くのかしら?
『私』は喋ることが出来るかな?


―――『天美 心』の人格状態が一つになり『こころ』が基本人格であり主人格となった時、

心理掌握「…御坂、さん」

心理掌握「…こころ、の側にいてあげて…」

心理掌握「それ…と…インデックスさんを…」

―――『私』の人格は、一体どうなって…?

そこまで考えるよりも先に、『私』の意識は再び闇の中へと消えていった
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:20:47.18 ID:+KpZR++70
―――――――
―――――
――――

『―――お姉ちゃんもね』

『―――『こころ』ってお名前なのよ』

こころ、おねえちゃん…

『―――同じお名前だから私たちはいつでも夢の中でお話出来るの』

『―――私たち以外に他に誰もいない世界よ』

ゆめのくに
こころと、こころおねえちゃんだけのくに
まっくらだけど、こころおねえちゃんがいつもはなしかけてくれる
いたいおもいもしないし、こわいおもいもしない

こころは、ずーっとここで…

『…ここ、ろ』

…!?
いまの、こえ…
おねえちゃんのこえじゃない…!

『…心』

おとこのひと…!
この、こえ、きいたことある…!
うそだ、だってこのくにには、こころたちだけしかいないのに…!

『心…』

『今日からお前がお母さんの代わりだ』

どうして…
パパ、が…!?
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:21:59.82 ID:+KpZR++70
―――――――
―――――
――――

心理掌握「や、あぁぁっ…!?」ガバッ…!

美琴「…心理掌握!」

インデックス「…こころっ!」

心理掌握「…はぁっ…あ、ぁっ…」

心理掌握「あ…あ、れ…?」キョロキョロ…

美琴「……」

私、「御坂美琴」は先ほどまで同じ常盤台の寮生である「心理掌握」こと「天美 心」と二人で近所の公園まで出向いていた
「天美 心」とは本来水と油の関係にあったんだけど「天美 心」がちょっとした不祥事を起こしたのをキッカケに案外アイツは良い話相手になってくれるんじゃないかなと思って、今回私の方から公園の散歩へと誘ってみたのだ
ホントに軽く話をしてみようかなって程度の誘いだったの
そんな軽い気持ちで誘った散歩だったんだけど…

心理掌握「あかるい…」

心理掌握「ここは、おへやのなか…?」

その散歩中に、ちょっとした大事件というものが起こってしまったのよね
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:23:01.15 ID:+KpZR++70
美琴「…目が覚めた?」

心理掌握「…!?」

突然声が聞こえてきたせいか、「天美 心」の身体がピクンと小さく跳ねる
そして、恐る恐るベッドの上から声が聞こえてきた方にとその小さな身体を向ける

心理掌握「…!」

美琴「……」

「天美 心」が私の存在に気づく、

―――よりも前に

インデックス「こころっ…!」

この子は「天美 心」と寮で同室をしているシスター
って言ってもこの子はうちの寮生では無いんだけどね
まぁ、「天美 心」が拾ってきたネコってところかしらね?
とりあえず…

美琴「アンタはまだちょっとタンマ」

私は「天美 心」に今にでも飛びかからんとしてるシスターを手で制する

インデックス「ちょ、ちょっと何するの、みこと…!?」

美琴「コイツの身を心配しているのはわかるけど、アンタはまだ出てきちゃダメ」

そう、シスターはまだ今、私たちの目の前にいる「天美 心」に接触してはダメ

心理掌握「……」

何故なら私の目の前の「天美 心」が今、どっちの「天美 心」であるのかまだハッキリしていないから
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:24:05.93 ID:+KpZR++70
心理掌握「……」

美琴「……」

目の前の「天美 心」が『心理掌握』である「天美 心」のままなら何も問題は無い
だけど、もしも、

心理掌握「…みこと、おねえちゃん…?」

「天美 心」が不安げな表情を浮かべながら私の顔を見つめる

美琴「…!」

もしも、目の前の「天美 心」が『心理掌握』では無い「天美 心」だったとしたら

美琴「…こころちゃん?大丈夫?」

心理掌握「…あっ」

私のことをしっかり認識したのか「天美 心」の表情から若干だけど不安の色が薄れたような気がした
先ほどまでは明らかに状況が把握出来なくて、まるで怯えている状態だった
自信家で女王様気取りな『心理掌握』である「天美 心」が、そういった状態になることはあまり想像がつかない

心理掌握「みことおねえちゃん…」

美琴「…うんっ」

それに何よりも私に対しての「おねえちゃん」
間違いない
今の「天美 心」は『心理掌握』では無い

もう一人の「天美 心」
幼い少女である『こころ』ちゃんだ
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:25:11.92 ID:+KpZR++70
心理掌握「みことおねえちゃん…」

美琴「……」

目の前の「天美 心」は『こころ』ちゃんだった
『心理掌握』から『こころ』へ
「天美 心」の中に存在している人格が交代されたのだ

そう、私が先ほど述べていた散歩中の大事件とは目の前で「天美 心」の人格が交代され、尚且つそのまま意識を失われるというものだった

心理掌握「…あ、あの…」

美琴「大丈夫。安心して」

美琴「ここはお姉ちゃんのお部屋だから安心で安全よ」

そして私は意識を失った「天美 心」を、この常盤台の寮まで運んできた
病院?
それも考えたんだけどね、

もしも『こころ』ちゃんの人格が病院で目覚めて、最初に視界に入った人が『こころ』ちゃんの知らない人だったら

心理掌握『おうちは、いやなの…』

心理掌握『おうちは、パパが…』

…ましてや男だったら
それを考えたら、寮に運び込んで私がすぐ側にいてあげることが最善だと思った
何よりここは女子寮だ

それに、

心理掌握『…御坂、さん』

心理掌握『…こころ、の側にいてあげて…』

…まぁ、頼まれちゃったしね
…仕方ないっていうの?
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:26:02.18 ID:+KpZR++70
心理掌握「みことおねえちゃんのおへや…?」

美琴「うん、そうよ」

本当は嘘
この部屋はニ〇一号室
「天美 心」の部屋だ
だから今、『こころ』ちゃんが身を預けているベッドも「天美 心」のベッドである

けれど「こころちゃんのお部屋」と、真実をそのまま伝えてしまうのは禁句な気がしてならなかった
「自分の部屋」=「自分の家」=「父親がいる」という等式が『こころ』ちゃんの中で成り立ってしまいそうで

心理掌握「…こころのおうちじゃない?」

美琴「…うん。お姉ちゃんのおうちよ」

心理掌握「こころ…さっきまで、おそとに…」

美琴「…途中でこころちゃん眠っちゃったの」

美琴「だから、お姉ちゃんのお部屋で寝かせてあげようかなって」

心理掌握「…そうだったんだ」

美琴「…うん」

『こころ』ちゃんを刺激をしないように言葉や行動には細心の注意をはらう
ふとしたキッカケで、また『こころ』ちゃんを苦しませるような真似をしてしまうかもしれないから
本当はすぐにでも公園でのことを謝りたいけど、その時の状況を今は鮮明に思い出させまいと言葉は閉まっておく

だからと言って『心理掌握』の人格を放っておくわけにもいかない
それはわかっている

だけど今は目の前の「天美 心」の側にいてあげる
安心させてあげることが第一である
今の私はそう考えることにした
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:27:01.40 ID:+KpZR++70
心理掌握「…あ、あの」

美琴「ん?どうかした?」

おずおずと私に声をかける『こころ』ちゃん
それに対して私は必要最低限の言葉で優しい口調を心がけて応答する

心理掌握「あのね…あの…」

心理掌握「あ…う、うぅっ…」

心理掌握「ひ、ひっぐ…ぅ!」

美琴「…!!」

しかし突如泣きだしてしまう『こころ』ちゃん
また無意識のうちに『こころ』ちゃんの触れてはいけない部分に触れてしまったのだろうか
もしくはその前兆なのか

心理掌握「うぅっ…あ、うぁぁん…!」

どうすればいいのだろう
なんて声をかければ良い?

今の「天美 心」は小さな女の子の精神状態
言葉を見つけるよりも先に小さな子供相手ならまずは優しく抱きしめてあげるのが一番だと思ってる

だけど出来なかった
何故なら公園で泣きだした『こころ』ちゃんの身体を抱きしめようとした、あの時・・・

心理掌握『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!!!』

『こころ』ちゃんは大きな金切り声を上げて意識を失ってしまったのだから
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:28:13.52 ID:+KpZR++70
心理掌握「ひっ…うぁぁ…あぁぁっ…!」

美琴「…っ」

どうすれば良いのかわからない
目の前で泣いている女の子を前にして声をかけてあげることが出来ない
抱きしめてもあげられない

どうすればいい?
どうすれば…?

インデックス「……」

インデックス「…ねぇ?私のこと忘れてるんじゃない?」

美琴「……」

美琴「…えっ?」

ああ、そういえば手で制したまま放置してたわね…
けれど後でちゃんと説明はしてあげるつもりだった
さっき手で制したのはシスターが『こころ』ちゃんの身体に触れてしまうことを恐れての行動

悪気があったわけで無い
ちゃんと考えての行動だったわけなんだけど…

美琴「正直、忘れてた…」

インデックス「〜っ!!」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:29:38.02 ID:+KpZR++70
インデックス「そうやってハッキリ言われるのも頭にくるかも!!」

美琴「ご、ごめん…ほんのちょっぴりだけだから…」

インデックス「むー!」

今にも噛みついてきそうな勢いで憤怒するシスター
いや、本当に噛みつかれてしまうかもしれない
『心理掌握』も頭を噛みつかれてたし

心理掌握「うっ…あ、ぁぁっ!」

美琴「…!」

って、シスターとそんなコントみたいな真似をしている場合じゃないのよ
泣いている『こころ』ちゃんに私は今、何をしてあげるべきなのか…

再び思考に入る、よりも先に

インデックス「…みこと、どいて!」グイッ…

美琴「…えっ!?ちょ…!?」

シスターが私の身体を押しのけて『こころ』ちゃんの側へと駆け寄って行ってしまった
そして、

心理掌握「うっ、うぅっ…!」

インデックス「こころ…」

心理掌握「うぅっ…うっ…?」

美琴「だ、だめっ…!」

止めようとした時には、もう既に遅かった
シスターは泣いている『こころ』ちゃんのことを抱きしめてしまった
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:31:01.09 ID:+KpZR++70
インデックス「……」キュッ…

心理掌握「…ひ、ひぐっ…」

美琴「あぁっ…!」

優しく『こころ』ちゃんのことを包み込むシスター
その姿はまるで聖母を思わせる

けれど、やってしまった
完全に『こころ』ちゃんの身体に触れてしまっている
これじゃあ、公園の時と同じだ
『こころ』ちゃんにまた酷く苦しい思いを…

美琴「…って、あれ…?」

インデックス「こころ…大丈夫だよ」

インデックス「大丈夫だからね」

心理掌握「…あ、ぅっ…」

美琴「……」

金切り声を上げない…?
それどころか泣きやんでいる…?
まだ、ちょっと鼻はすすってるけど…

心理掌握「……」

いや、もう完全に安心しきっている
つまり抱きしめる行為自体は禁忌では無いの?

じゃあ、何故私が触れようとした時には…

美琴「……」

私だったから、とか…?
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:32:46.03 ID:+KpZR++70
心理掌握「……」

心理掌握「…あ、あのっ…」

インデックス「…落ち着いた?」

インデックス「それとも、もうちょっとこうしてる?」

心理掌握「…え、えっと…その…」

インデックス「ん?なぁに?」

心理掌握「おねえちゃんは…だあれ…?」

インデックス「……」

インデックス「…えっ?」

心理掌握「こころのこと…しってるの…?」

インデックス「……」

インデックス「…みこと」

美琴「……」

シスター相手だから安心出来る…?
それとも私の身体から放出されてる微弱な電磁波が『こころ』ちゃんにとっての禁忌…?
ダメだ…
考えがまとまらなくなってきた…

だけど、しっかりと理解出来ることも当然ある
まずは『こころ』ちゃんの側にいて安心させてあげること
そして、

インデックス「みことっ!」

美琴「…ふぇっ?」

インデックス「さっき、二人でおでかけしてる時に何があったのか…」

インデックス「私にもきちんとわかるように一から説明してほしいかもっ!」

美琴「……」

「天美 心」を救うのには私一人だけの力じゃ足りない、ということだ
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/16(金) 17:33:25.64 ID:+KpZR++70
一度区切ります

お待たせしました
来週から物語の続きが始まります
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/16(金) 17:53:54.65 ID:O++cC3zZo
ようやく新規の部分に入るのか・・・?
楽しみだぜぇ
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/16(金) 19:48:29.92 ID:1SRpWV5AO
今日は久しぶりにバーチャルボーイでもするか
278 :なすーん [なすーん]:なすーん
                     __        、]l./⌒ヽ、 `ヽ、     ,r'7'"´Z__
                      `ヽ `ヽ、-v‐'`ヾミ| |/三ミヽ   `iーr=<    ─フ
                     <   /´  r'´   `   ` \  `| ノ     ∠_
                     `ヽ、__//  /   |/| ヽ __\ \ヽ  |く   ___彡'′
                      ``ー//   |_i,|-‐| l ゙、ヽ `ヽ-、|!  | `ヽ=='´
                        l/| | '| |!|,==| ヽヽr'⌒ヽ|ヽ|   |   |
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                   r|__     ト、,-<"´´          /ト、
                  |  {    r'´  `l l         /|| ヽ
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                             |          | |
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/17(土) 20:38:28.43 ID:3OOE+XZCo

とうとうここまで来たか
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 16:51:22.39 ID:mKtmjbOIO
wwktk
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:50:28.74 ID:ACvnZZUi0
――――――――

インデックス「人格の…交代?」

美琴「ええ。多分、ね」

『心理掌握』である「天美 心」は、もう一人の「あまみ こころ」という人格を認識していた
もしかしたら二重人格を演じているだけで私のことを騙して馬鹿にしようとした、って線も考えていたけどさ


心理掌握『…ちょっと油断をしていただけよ』

心理掌握『…こころ、の側にいてあげて…』


例え演技でも『心理掌握』が他人に己の弱い部分を見せるなんてことは考えにくい
いや、ありえないと言っても良い
だってアイツは完全自分主義者なのだから

だから、あの時『心理掌握』が言った言葉は心から出た本心
余裕を無くしてしまった女の子の、
自分よりも誰かのことを気にかけた熱を持った人間が発した本心

私、御坂美琴は今、そんなアイツの力になってやりたいって思う

私自身もまた、自分よりも誰かの為にって想いが理解出来るから
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:51:15.27 ID:ACvnZZUi0
インデックス「それって…こころの中にまた別のこころがいるってこと?」

修道服を身に纏う小さな身体をした少女が部屋のベッドの方へと目を向ける
そこにはシスターよりも更に小さな可愛らしい少女の姿

美琴「ねぇ、こころちゃん?」

心理掌握「…?」

心理掌握「…なぁに?」

美琴「こころおねえちゃんは、ゆめのくにのじょおうさま」

美琴「…だったっけ?」

心理掌握「あっ、うん…」

心理掌握「こころおねえちゃんは、こころとゆめのなかでおはなししてくれるの」

美琴「そっか、そうだったわね」

心理掌握「…うんっ」

美琴「…ってこと」

インデックス「じゃあ、今のこころは、こころとは違うこころ…」

『心理掌握』の中のもう一人の人格
「あまみ こころ」である
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:52:19.62 ID:ACvnZZUi0
「あまみ こころ」もまた、『心理掌握』の「天美 心」という人物の存在を認識していた
ただし認識と言っても「あまみ こころ」と『心理掌握』とではお互いの認識の仕方が異なっていた

心理掌握「でもね…」

心理掌握「さっきの、ゆめのなか…」

心理掌握「おねえちゃん…いなくなって…」

美琴「そっか…だから悲しかったんだ…」

心理掌握「…っ、ぐずっ…」

美琴「あっ…」

美琴「…ごめん、シスター…もっかい、あの子のことを…」

インデックス「……」

インデックス「仮に人格の交代の話が本当だとするなら…」

インデックス「みことは子どもの扱いがヘタクソかも」

美琴「うっ…」

認識の仕方が異なる理由
「天美 心」は中学生の少女
けれど「あまみ こころ」の精神年齢はまだ幼い少女であるということだ
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:53:06.07 ID:ACvnZZUi0
そう、幼い少女なのだ
だから先ほどからの私とシスターの会話なんて彼女からすれば何のことやらだろう

インデックス「こころ、大丈夫だよ」

そんな幼い「こころ」ちゃんの隣にシスターが腰をかけ彼女を優しく抱きしめる

心理掌握「…あっ」

インデックス「誰もいなくなったりなんてしないよ」

インデックス「きっと、もう一人のこころは夢の中で寝ちゃってるんだと思う」

心理掌握「えっ…?」

心理掌握「…こころおねえちゃん、ねちゃったの?」

インデックス「うん。眠かったから寝ちゃったの」

インデックス「だから起きたら、またお話することが出来ると思うな!」

心理掌握「……」

心理掌握「…うん」

美琴「……」

さっきまで、ぐずっていたのにすぐさま落ち着いた表情を取り戻す「こころ」ちゃん
その身を完全にシスターへと預けている
その様子を見ていると、どうもシスターの側は安心が出来るらしい
「あまみ こころ」とシスターは今さっき、初めてコンタクトを取ったばかりなのに
「天美 心」の「肉体」が覚えているのかしら?


それとも、本当に単に私が子どもの扱いが下手なだけ…?
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:54:03.83 ID:ACvnZZUi0
インデックス「ねぇ…みこと」

美琴「…ん?なに…?」

「こころ」ちゃんをぐずらせてしまったことに若干のショックを受けている私に「こころ」ちゃんをあやすのが上手なシスターが問いかけてくる
いや、別に悔しいとかそんなんじゃないのよ?

インデックス「こころの今の状態は理解出来たよ」

インデックス「正直、人格の交代なんて正直信じにくい話だけど…」

インデックス「こころが嘘をついているとは思えないもの」

インデックス「だから…」

インデックス「こころの側にいて安心させてあげないとだね!」

美琴「…!」

美琴「…そうね」

美琴「私もそう思うわ…」

『心理掌握』が気にかけて『こころ』ちゃんが気を許すのもわかった気がする
このシスターこそ誰よりも自分以外の誰かの為に、って心を持った少女なんだ
それを側にいるだけで感じさせてくれる心の持ち主

美琴「……」


心理掌握『それ…と…インデックスさんを…』


安心しなさいよ、『心理掌握』
アンタが守りたいって思った二人
必ず私が守ってみせるから
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:54:42.30 ID:ACvnZZUi0
――――――――

心理掌握「すー…」

インデックス「あれ…?」

インデックス「こころ、寝ちゃった…?」

美琴「泣いたり安心したりの繰り返しだったから疲れちゃったのかしらね…」

ずっと「ゆめのなか」で眠っていたのに、目が覚めたら、「おねえちゃん」のいない「おそと」だったわけだ
精神的な面での疲労は大きかったことだろう

美琴「夕飯の時間まで寝かせておきましょうか…」

インデックス「うん、そうだね」

シスターがそっと、こころちゃんの身体をベッドの上に倒してあげる

インデックス「こころの身体、凄く軽いな…」

美琴「まぁ、アンタよりもちっこいしね」

ちなみに「こころ」ちゃんは自分の「肉体」の変化にまだ気づいていない
これが二人の「こころ」の認識の違い
『心理掌握』は人格の交代を自覚出来ているが「こころ」ちゃんは出来ていない


このことによってまた一つ、大きな問題が出てくる


『心理掌握』である「天美 心」の人格が今、どうなっているのかわからないのだ
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:55:17.72 ID:ACvnZZUi0
「天美 心」の人格状態が『心理掌握』であれば何も問題は無い
アイツの能力なら、自分の中に眠っている「こころ」ちゃんの状態を確認することは容易いことだろう

しかし「こころ」ちゃんは違う
同じ「肉体」の人格だとしても、やはり今の「天美 心」とは「別人」なのだ
幼い少女である彼女に能力の演算はまず不可能だろう

つまり「天美 心」は今、無能力者も同然だ
それは即ち『心理掌握』の人格状態がどうなっているのか確認することが出来ないということ

普通なら「こころ」ちゃんと同じように「肉体」の中で眠りについている、と考えられる

けれど、はっきりと「そうだ」とは言い切れない

何故なら…

インデックス「あっ。そうだ、みこと」

美琴「ん?なに?」

インデックス「おでかけの時に起こったこと…」

インデックス「もう少し詳しく聞きたいかも?」

美琴「……」

美琴「…そうね」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:55:53.38 ID:ACvnZZUi0
二人の人格が交代する時、『心理掌握』の意思とは無関係に人格は交代していた
『心理掌握』は頭を抱え蹲り苦しんでいた

今まで学校生活や寮生活の中で『心理掌握』の人格状態が変わったなんて話は聞いたことは無い
つまり初めてのケースということで間違いは無い

ただの解離現象なら『心理掌握』の能力でセーブをかけることが出来るだろう
しかし『心理掌握』はそれをしなかった
いや、出来なかった?

美琴「……」

美琴「ねぇ、シスター…」

美琴「これは、もしもの話よ…」

インデックス「えっ?」

そう、もしもの話
私の憶測に過ぎない

それでも、
否定しきれない
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:57:05.50 ID:ACvnZZUi0
『心理掌握』の人格状態での「肉体」の自由が利かなかったこと
『心理掌握』の人格が交代する間際に「こころ」ちゃんとシスターを私に託したこと

そして、

心理掌握『さっきの、ゆめのなか…』

心理掌握『おねえちゃん…いなくなって…』


美琴「……」

美琴「アンタと初めて出会った時の「天美 心」は…」

解離性同一性障害のゴール
それは「肉体」に存在する「人格」が一つに「統合」されること

そう…
『心理掌握』という人格は…

美琴「もう、存在…していないかもしれないわ」

「天美 心」という本来の人格によって生み出された、
限られた時間の中でしか存在が出来ない人格だったのかもしれない
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:58:26.66 ID:ACvnZZUi0
インデックス「私と「初めて」会った時の「こころ」が、いない…?」

美琴「あくまでも、もしかしたら、ね…」

インデックス「……」

美琴「……」

言葉が、止まる
大きな瞳のシスターとのにらめっこ状態
お互いに無表情のにらめっこ

心理掌握「…すー」

しかし、にらめっこはすぐに終わりシスターが私から視線をべッドの上で眠りについてる「こころ」ちゃんへと落とす
そして、呟くように

インデックス「…ごめん、みこと」

インデックス「私、みことの言ってる意味が、よくわからないよ…?」

インデックス「だって、私たちの目の前にいるのは…」

インデックス「「こころ」でしょ…?」
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 03:59:03.12 ID:ACvnZZUi0
美琴「……」

美琴「そうね…」

その通り
今、私とシスターの目の前にいるのは「天美 心」そのものだ

美琴「だけど…」

美琴「幼い少女である「あまみ こころ」」

美琴「中学生の「天美 心」じゃない…」

インデックス「そんなのはわかってる!!」

シスターが、拳を握りしめ叫ぶ
その表情と声色からは怒りを感じ取れる

インデックス「わかってるもん!」

インデックス「今の「こころ」が子どもの「こころ」だってことも、ちゃんと理解してるもん!」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:00:00.51 ID:ACvnZZUi0
インデックス「どうしてかはわからないけど…」

インデックス「「こころ」の人格が入れ替っちゃったんでしょ?」

インデックス「つまり「こころ」の中には二つの人格があるってことでしょ?」

美琴「……」

その通りだろう
「天美 心」の中には『心理掌握』の「天美 心」
『こころ』ちゃんである「あまみ こころ」
の二つの人格が存在する

インデックス「それだったらさ…」

インデックス「私と出会った時の「こころ」は今…」

インデックス「「こころ」の中にいるってことでしょ…?」

インデックス「人格が交代しているんだから…」

インデックス「そういうことだよね…?」

美琴「……」

二つの人格の交代した状態のは間違いない
だけど、もう1つの…
『心理掌握』の人格は…

インデックス「だから…」

インデックス「「いない」なんて言い方はヘンだよ、みこと…?」

薄く微笑むシスター
しかし声は震え、その大きな瞳には涙が溢れていた
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:00:58.79 ID:ACvnZZUi0
心理掌握「すー…くー…」

インデックス「「こころ」は、ここにいるよ…?」

インデックス「ベッドで寝ているのは子ども「こころ」かもしれないけど…」

インデックス「私の知ってる「こころ」も、この子の中で一緒に寝てるもん…」

インデックス「そうだよね、みこと…?」

インデックス「ちょっと言葉を間違えちゃっただけだよね…?」

美琴「そうね…」

美琴「アイツは寝ている可能性だって、あるわ…」

インデックス「や、やっぱり…そう…」

美琴「だけど」

シスターの言葉を遮る

美琴「「存在していないかもしれない」は取り消さないわ」

インデックス「…!!」
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:01:36.21 ID:ACvnZZUi0
インデックス「…みことのバカっ!」

パチンっ!
小気味良い音が部屋に響く

美琴「…っ!」

シスターに頬を平手打ちされて
けれど、怒りも驚きも感じない
私は打たれた方の頬を手で押さえながら、ただシスターを見つめ、そしてまた言葉を紡ごうとする

美琴「アイツと出掛けた時のこと、話すわね…」

美琴「アイツはね…」

インデックス「…つき」

美琴「えっ?」

しかし、今度はシスターに言葉を遮られてしまう
そんなシスターの発した言葉
たった一言
それでも重みを持った一言

インデックス「嘘つきぃぃっ!!!」

それは、悲鳴だった
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:02:11.94 ID:ACvnZZUi0
美琴「…っ!?」

思わず、たじろぐ
シスターの声、表情
それらはあまりに痛切もので私は言葉を失ってしまった

そんな私を余所にシスターは叫び声を上げ続ける

インデックス「嘘つき!嘘つきぃっ!!」

「嘘つき」

その一言を、繰り返しながら

それは、私に向けての言葉なのか?
それとも「天美 心」に向けてなのか?
はたまた、その両方か?

しかし、そんなことを悠長に考えている場合では無い
半ば狂乱しているとも言えるシスターのことを落ちつかせないと!

美琴「シ、シスター…あ、あのね…」

美琴「あの…」

だけど、言葉が見つからない
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:03:03.80 ID:ACvnZZUi0
美琴「くっ…」

まだシスターに「天美 心」の人格状態について話すのは早過ぎたか?
もちろん人格の交代がされていることでは無い
その交代された片方の人格の行方についてだ

けれど、
たった1日ちょっとと言えども、
「天美 心」の側にいたシスター
例え憶測とは言えど、彼女には話しておくべきだと思った

美琴「……」

公園での「天美 心」とのやりとりを思い出す


心理掌握『おうちは、いやなの…』

心理掌握『おうちは、パパが…』

小さな少女である「こころ」ちゃん


心理掌握『今は…わからないの…』

心理掌握『『天美 心』の『肉体』で活動する『私』が一体何者なのか…』

心理掌握『『こころ』はずっと『夢』のセカイで安心していたの…!』

『心理掌握』である「天美 心」


これらの会話から、
「天美 心」の肉体の本来の所有者は「こころ」ちゃんの人格だと考えて間違いないだろう
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:03:45.28 ID:ACvnZZUi0
『パパはいや』

『こころおねえちゃん』

恐らく「こころ」ちゃんは幼いながらにして自分の父親に身体的虐待、性的虐待などを受けていたのだろう
その苦しみ、ショックから別の人格を呼び起こし、入れ換わった

それが『心理掌握』である「天美 心」
生み出された別人格だからこそ、自分が何者なのかわからないと言う発言をし、肉体の本来の人格である「こころ」ちゃんを私に託した


心理掌握『『外』のセカイになんて出たら、あの子はまた『父親』に…!!』


『こころ』と『心理掌握』

どちらも「天美 心」であり、そしてお互いを認識している

『外』と『夢』の中で


心理掌握『さっきの、ゆめのなか…』

心理掌握『おねえちゃん…いなくなって…』


突然の人格の切り変わり
そして『夢』の中でいなくなった『心理掌握』

だからこそ私は「天美 心」の人格が一つに統合され、
本来の人格では無い『心理掌握』という人格が消えてしまったという憶測をしたのだ
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:04:42.55 ID:ACvnZZUi0
インデックス「嘘つき!うそつきぃ!!」

涙を流し、力いっぱいに叫び続けるシスター
廊下にも聞こえる程の大きな叫び
しかし幸い今の時間帯は寮内に人が少ないので誰かが何事かとノックしてくることも無いだろう
そもそもレベル5であり女王サマである『心理掌握』の部屋を、そう気軽にノック出来る寮生はそうはいない
寮監は別だけどね

心理掌握「…ん、んー…?」

美琴「あっ…」

心理掌握「……」

心理掌握「…おねぇちゃん?」

ベッドの上で眠っていた「こころ」ちゃんが目を覚ましてしまった
寝ぼけ半分なせいか目を擦りながら、ぼーっとした表情でこちらの方を見ている

インデックス「嘘つき…ウソツキぃ…!」

しかし構わず、ただただ同じ言葉を繰り返し叫ぶシスター
けれど叫び過ぎたせいかその声は段々と擦れ弱々しくなっている

心理掌握「…うそつき…?」

とは言え「こころ」ちゃんが目を覚ましてしまったのだ
かける言葉が見つからずとも、このままにしておくわけにはいかない
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:05:38.81 ID:ACvnZZUi0
美琴「シ、シスター…とりあえず一旦落ちきましょ…?」

美琴「その、こころちゃん…起きちゃったし…」

「こころ」ちゃんが起きたから
それ以外の言葉を見つけることが出来ない自分に腹が立つ

インデックス「ウソつき…ウソつきぃ…」

尚も弱々しく、涙声でそう繰り返すシスター
それはもう叫びでは無く呟きだった

美琴「うん…そうよね…」

仮定とはいえ、元々は私の話がシスターを傷つけてしまったのだ
ならば、最初にかける言葉は決まっていた

美琴「…ごめん」

やっと見つけた言葉はたった一言、謝罪の言葉の
心まで響かなくて良い
ただ心からシスターに対して伝えたいと思った

インデックス「……」

インデックス「…みこと」

美琴「…!」

美琴「な、なにかしら?」

目の前の現状に落ち着きを取り戻した?
思いっきり叫んだらスッキリした?
それとも、も、もしかして私の声がシスターにとか・・・?
と色々な可能性が考えられるがシスターが落ち着きを取り戻し、またしゃべり始めた
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:07:31.57 ID:ACvnZZUi0
インデックス「ねぇ、みこと…」

美琴「うん…」

インデックス「「こころ」はね…」


心理掌握『だから…私に貴女のことを守らせてくれない?』

心理掌握『ええ、どこまでも。地獄でも天国でもね?』


インデックス「…って」

美琴「…心理掌握が」

インデックス「だけど、「こころ」はもう・・・いないかもしれないんでしょ…?」

美琴「……」

なるほど
だから、「嘘つき」か…

守ることが出来ない約束…か…
私は、どうなんだろう…?
「心理掌握」との約束を本当に守れるのかしら…?

インデックス「だから、ね…」

美琴「…?」

あれ…?
気のせいか?
シスターの息が荒く、顔もいつの間にか紅潮しているような…

インデックス「みことも…ここ、ろに…」

美琴「…!!」

がくっ、と前に倒れるシスター
気のせいじゃない!
ハシッ、とその小さな身体を受け止める
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:09:16.88 ID:ACvnZZUi0
美琴「っと…だ、大丈夫!?シスター!?」

インデックス「……」

間一髪、受け止める
しかしシスターは私の声は耳に届いていない様子
息は荒く浅く、とても辛そうな表情をしている

美琴「一体どうなってるのよ…」


『心理掌握』とシスター
『心理掌握』とこころちゃん
魔術師に狙われるシスター
魔術師をやっつけた『心理掌握』 
『心理掌握』とシスターの約束


それらが関係あるの…?
『心理掌握』だけじゃなく「シスター」まで体調が悪くなったりしてることも…
ていうか、そもそも魔術師ってなによ…!?

心理掌握「あ、あの…」

美琴「あっ、こころちゃんは良いのよ。おねんねしてて?」

心理掌握「で、でも…おねえちゃん…」

美琴「いいから、ね?こころおねえちゃんに会えるかも!」

心理掌握「う…じゃ、じゃあ…」

ベッドに潜り込む「こころ」ちゃん

心理掌握「おやすみなさい…」

美琴「うん、おやすみ」

美琴「私ならここにいるから安心してね」

心理掌握「…うんっ、おやすみなさい…」

美琴「……」

シスターの身体をこころちゃんの隣にそっと寝かせる
小さい同士、1つのベッドで丁度イイ感じだ
ただシスターの表情は相も変わらず苦しそうだ
後で何か冷たいタオルでも用意しなければ

美琴「…しかし」

美琴「魔術師…か…」

もしも本当に存在するのであれば…
シスターと『心理掌握』に大きく関わっている人物であるとするならば…


私は一度ソイツとコンタクトを取ってみる必要がありそうね…
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/20(火) 04:11:02.30 ID:ACvnZZUi0
一度区切ります
ここまでが前スレまでです!
ここまでで何かわからないこととかあれば気軽に書いていただけたらと思います


次回木曜日から書けなかった物語の続きを書いていこうと思います!
それでは!
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/20(火) 07:45:23.60 ID:uLW77CVwo
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ

楽しみに続きも待ってるんだよ!
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 11:47:46.91 ID:K8hCz/2Xo
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/09/21(水) 19:41:25.03 ID:kcDzTJNmo
待ってた>>1
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:55:16.16 ID:H7j6lpnd0
美琴「……」

『心理掌握』とシスターとの出会いの経緯を簡潔にまとめると

『心理掌握』は魔術結社とやらに追われ狙われているシスターと偶然にも出会い保護
シスターの側にいて守ると誓った『心理掌握』
『心理掌握』は既に魔術師とやらの一人と交戦し撃退

美琴「けれど追っ手の魔術師はもう一人いる、か…」

美琴「しっかし…」

美琴「魔術、ねぇ」

ここは科学の街、学園都市なのよ
魔術?
呪い?
馬鹿馬鹿しいわ
夢の世界の話は夢の中だけでやってほしい

心理掌握「…すぅ」

インデックス「はぁ…ふぅ…」

美琴「……」

美琴「夢、か」
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:55:43.31 ID:H7j6lpnd0
そうね
私は夢を見ているのかもしれない

心理掌握「くぅ…」

美琴「……」

いや、私『も』夢を見ているんだ
白昼夢ってやつ?

だって、そうでしょ?
昨日までは偶然公園で出会っただけでお互いの能力をぶつけあってたような最悪の仲だった私と『心理掌握』なのに一夜明けた今日には同じ公園で喧嘩をするどころか『みことおねえちゃん』って呼ばれて目の前で泣かれちゃう始末よ?

そしてそんな彼女のことを部屋まで送って介抱してあげる私
昨日までのことを考えれば今、起こっている出来事は非現実的だ

インデックス「ふぅ…ふぅっ…」

美琴「……」

シスターの額に乗せた濡れたタオルを変えてあげる
アンタ『も』『心理掌握』が側にいてくれて良い夢を見ていた途中だったのにね
『心理掌握』はどっかに行っちゃうわ、いきなり体調崩してぶっ倒れるわで一気に悪夢に変わっちゃったわね

美琴「うん」

美琴「今、ここは夢の世界なのよね」

夢を見ている自分を自覚出来る
だったら、

美琴「夢の内容を自分で変えちゃうことだって出来るわよね?」

今、見ているこの夢
どうせなら覚めた時に、「良い夢だった」って言いたい
なら、その為の行動を起こさないといけないわね
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:56:12.43 ID:H7j6lpnd0
―――――――― 

美琴「…さってと」

「良い夢」で終わらせるための行動その1
シスターを狙っているという魔術師達とコンタクトを取ること

理由としてまず、ソイツらがシスターを狙っているのであればシスターと接触をさせる前に手を打っておきたいということ

それに、いくつか聞きたいこともある
何故シスターを狙うのかと言えば、そう
シスターについてはわからないことがたくさんある

『心理掌握』が興味を持ち、守りたいと願ったシスター
彼女は一体何者なのか?
あの小さな少女は一体どんな運命の中で生きているのか?

そして急に体調を崩したシスター
偶然?
にしては出来過ぎじゃない?

美琴「……」

美琴「『心理掌握』なら、偶然かどうかもわかるんだろうけどね」

けれど今、この夢の中には彼女はいない
アイツはアイツでまた違う夢を…

美琴「…いや」

同じ夢を見ているかもしれない
偶然出会えるかもしれない

美琴「夢の中、だしね」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:56:38.57 ID:H7j6lpnd0
とは言っても魔術師達とコンタクトを取る為に寮の外に出たのは良いけれど実際、顔はもちろん名前さえも知らない
恐らく向こうも私のことなんて知らないだろう
当然何処にいるのか、なんて見当もつかない

美琴「とりあえず、学園都市をしらみつぶしに捜すしかないかしらね…」

美琴「シスターの格好があんなだから魔術師の格好もそれっぽい感じだったら助かるんだけど…」

そんなあてのない捜索
事情だって呑み込めていない
でも、だからといって行動を起こさないわけにはいかない

美琴「私が初めてシスターの姿を確認したのは『心理掌握』とあの公園でモメた時だったわね…」

美琴「いきなり走ってきたかと思ったら『心理掌握』の頭に噛みついて…」


インデックス『このうそつきー!!』ガジガジ

心理掌握『…って痛い痛い!!離れなさい!』


美琴「…ふふっ」

美琴「ホント、不思議な子よね」

美琴「あの『心理掌握』を自分のペースに巻き込んだりしてさ」

美琴「……」

美琴「…公園、ね」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:57:10.86 ID:H7j6lpnd0
―――――――― 

美琴「最近はこの公園に来てばっかりね、私…」

私は再び寮の近くの公園まで足を運んでいた
シスターの姿を確認し、『心理掌握』と散歩し、こころちゃんと出逢ったこの公園
普段は飲み物を買いに来る為だけに使う公園だったのに…

美琴「随分と思い出深い公園になっちゃったわね…」

美琴「…しっかし、人がいないわねー」

時刻はもう夕方
人通りが少ないのも仕方ないかな
これじゃあターゲットを捜すって言うよりも人を見つけなきゃいけないって感じね

美琴「まぁ、でもそのぶんさ」

美琴「誰かがいればイヤでも気づいちゃうものよね」



美琴「ねぇ?いつまで私の後を付けてんの?」



神裂「…気づいていたのですか」
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:57:47.15 ID:H7j6lpnd0
美琴「私が寮を出ておおよそ3分後ぐらいに付け始めたでしょ」

美琴「私を付けるってことは『心理掌握』やシスターが寮にいることは把握しているのかしらね?」

美琴「教えてあげるけど、こんな近くで気配を出されてて気づかない奴なんて私以外でもいないわよ」

美琴「アンタ、尾行とか出来ないタイプでしょ?」

神裂「そうですか…」

神裂「確かに焦る気持ちから隠せないものがあるは事実…」

神裂「それが押し出されてしまったのかもしれませんね」

美琴「……」

その女は長身で長髪にポニーテール
凛とした顔立ちで服装はTシャツに片方の裾を根元までぶった切ったジーンズ
…ついでに胸が無駄に大きい

美琴「…正直、私のイメージとはだいぶ違うんだけどさ」

美琴「一応聞いておくわよ」

美琴「アンタ、魔術師ね?」

駆け引きなんてしている時間は惜しい
ストレートにそう言い放つ

神裂「…どうやらある程度の事情は把握しているようですね」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:58:27.66 ID:H7j6lpnd0
美琴「事情?そんなものを把握しちゃいないわよ」

美琴「むしろアンタに最初から全部わかりやすく説明して欲しいところよ」

神裂「……」

美琴「まぁ、イヤと言われても説明してもらうんだけどさ」バチッ…

軽く電撃を散らす
魔術師の目的はシスターだ
初めから話合いでどうにかなるだなんて思っちゃいない
私自身、当然のことだけどシスターを受け渡す気なんて無いからだ

神裂「そうですね…」

そして『心理掌握』ともう一人の魔術師が交戦した以上、この魔術師だってシスターを手に入れる為に手段は選んでこないはず
まずは素直になってもらう為に黙らせないと…

神裂「私としても無駄な争いは避けて通りたいところです」

神裂「答えられることは全て答えましょう」

美琴「…えっ?」

そんなあっさり…?
普通、漫画やアニメならここで熱いバトル展開とかそういうのになるんじゃないの…?

神裂「その交換条件と言ってはなんですが…」

神裂「私も貴女にいくつかお聞きしたいことがある…よろしいでしょうか?」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 08:59:07.06 ID:H7j6lpnd0
―――――― 

美琴「…神裂火織さんね」

美琴「貴女は本当に私と争う気とかは無いのね?」

神裂「極力はそのつもりです」

神裂「貴女がインデックスに危害を加える存在…となると話は別ですが」

美琴「……」

本当にこの神裂火織さんは現時点では私と争う気は無いみたい
それどころか…

美琴「神裂さんはシスターのことを大切に想っているみたいね…」

神裂「…ええ」

神裂「彼女のことはいつだって大切に想っていました…」

美琴「…あのシスターは一体なんなの?」

美琴「大切に想っているのなら、なんで追いかけまわしたりしてるのよ?」

神裂「…あの少女からは聞いていないのですか?」

美琴「あの少女…『心理掌握』…天美 心のこと?」
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 09:00:16.19 ID:H7j6lpnd0
神裂「天美 心と言うのですか…」

神裂「ええ…貴女がインデックスや魔術の存在を認識しているのであれば」

神裂「その彼女で間違いないでしょうね」

美琴「……」


確かに『心理掌握』はシスターやら魔術やらの事情を把握している


神裂「…貴女の質問に答える前に私からも一つよろしいでしょうか?」


そう


神裂「…無駄な争いは避けて通りたいと言った手前でこのようなことを聞くのも無粋かもしれませんが…」


『心理掌握』である天美 心が


神裂「彼女のことを信頼しても…」

美琴「貴女の知っている天美 心は」

神裂「えっ?」

美琴「今は、シスターの傍にはいないわ」
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/22(木) 09:02:11.42 ID:H7j6lpnd0
ここまででお願いします!

長らくお待たせしました
完結へ向けて少しずつでも諦めず更新を続けようと思います

ちなみにヒロインはインデックスとこころちゃんです

それでは!
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 09:41:40.91 ID:qkgKMJMIO
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 16:33:49.71 ID:/tiIa1g10
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
それにしても当初では考えられないほど活躍中の美琴さん・・・・
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2011/09/22(木) 20:19:27.93 ID:UCFtgSh7o

庇護する側に回ると性格が男前になるな、美琴ww
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/28(水) 22:44:55.15 ID:jf0/2exGo
頑張って、>>1さん
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/29(木) 17:09:40.31 ID:1HzVWfay0
お待たせしてます
次回投下は明後日土曜日予定です
今しばらくお待ちください
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/02(日) 05:49:10.77 ID:mwqxFv3j0
遅れています、すいません><
明日夜までには投下します
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 11:38:29.88 ID:aGQqqgEIO
わっふるわっふる
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 16:16:35.22 ID:Nw6063BIO
????(?D??)
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 17:43:08.71 ID:l9Uh1yb0o
今更だけどトリつけて欲しい
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富士山) [sage]:2011/10/06(木) 22:33:27.32 ID:hDcHT+zJ0
おいおい、もう約束までとっくに過ぎてるぞ。
結局完結出来ないのか・・・・・生存報告ぐらいはしてほしかったわ・・・
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/06(木) 23:27:53.95 ID:CCASdNT2o
明日っていつさ!
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/11(火) 07:08:05.83 ID:7ujvPFDdo
きたか…!!

  ( ゚д゚ ) ガタッ
  .r   ヾ
__|_| / ̄ ̄ ̄/_
  \/    /





きてないお……(´;ω;`)ブワッ
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:07:36.60 ID:26fzMWAR0
―――――――― 

神裂「人格の交代…」

神裂「つまり、今の彼女は…」

神裂「『天美 心』でありながら『天美 心』では無いということですか?」

美琴「そういうことになるわね」

神裂「……」

神裂さんが訝しげな表情をする
そりゃ人格交代なんて話、いきなりされても信じられないわよね

神裂「…それが彼女の狂言という可能性は?」

その可能性は考えた
人を小馬鹿にして楽しむのが本来の『心理掌握』の姿だったんだから


―――でも


心理掌握『…御坂、さん』

心理掌握『…こころ、の側にいてあげて…』

心理掌握『それ…と…インデックスさんを…』
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:08:36.11 ID:26fzMWAR0
美琴「残念ながら0%ね」

今の『天美 心』はそうじゃない
はっきりとそう言い放つ

神裂「……」

神裂「そうですか…」

神裂「そうなると彼女にインデックスを預けた意味が無くなってしまいますね」

話が切り替わる
とりあえずは『心理掌握』の人格交代という現実を受け入れてもらえたのかしらね
しかし、それよりも…

美琴「シスターを預けた?」

シスターの回収が魔術師達の目的だったんじゃないの?
だから、もう一人の魔術師も『心理掌握』と交戦して…
それなのに『心理掌握』に『預ける』?

美琴「…今度はこっちが質問をする番ね」

美琴「シスター…」

美琴「インデックスは一体、何者なの?」

美琴「神裂さんにとって、彼女はどういう存在なの?」
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:09:04.96 ID:26fzMWAR0
―――――――― 

美琴「命のタイムリミット…?」

神裂「ええ…2日後午前0時…」

神裂「それまでにインデックスの記憶を消さなければ」

神裂「彼女は命を失うのです」

神裂「…これを1年周期に行う」

神裂「そうすることで彼女の命を保っていられたのです」

美琴「なによ、それ…」

美琴「それこそ信用していいの?って話よ…」

神裂「事実です」

美琴「それよりも記憶を消すって一体…!」

神裂「そうするしか方法が無かった…」

神裂「たとえ…彼女を傷つけることになってでも…」

美琴「……」
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:09:33.03 ID:26fzMWAR0
神裂「…このことは『天美 心』にもお話しました」

神裂「結論から言うと、インデックスの命の枷は術式によるもの」

神裂「私は騙されて記憶を消し続けていた…」

神裂「そのことを『天美 心』に指摘されたのですが、だからと言って他の解決方法があるわけでは無い…」

神裂「だから私は『天美 心』の力に期待することにしました」

神裂「彼女は人間の精神について膨大な知識を持っているようなので」

神裂「ですが…」

神裂「今、その『天美 心』が存在しない」

神裂「インデックスをこれ以上、預けておく意味も無い」

神裂「インデックスは予定通り、回収し…」

美琴「……」

―――記憶の消去?

美琴「ダメよ」

―――そんなこと、あっちゃいけない
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:10:03.03 ID:26fzMWAR0
神裂「…元々、無関係な貴女に止める権利があるとは思いませんが?」

神裂「仮にインデックスに情が湧いたのだとして彼女を想っての言動だとしても…」

美琴「…!」

神裂「インデックスの命を最優先する…これ以上のものがありますか?」

神裂「手荒な真似はしたくありません…インデックスの元まで連れて行っていただけ…」

美琴「…っけんじゃ」

神裂「…?」

美琴「ふっざけんじゃないわよ!!!このど素人!!!」

神裂「…なっ!?」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:11:12.33 ID:26fzMWAR0
美琴「無関係?情が湧いたぁ!?」

美琴「そんなものっ!関係無い!!」

美琴「1人の女の子が苦しんでいる!」

美琴「だったら救ってあげればいいじゃない!!」

神裂「っく…!」

神裂「そんなもの!出来るならとっくに…!!」

美琴「アンタはただ諦めてるだけ!!」

神裂「…っ!」

神裂「…私だって救えるなら救いたい!!」

神裂「けれど…!!

美琴「大切なんでしょ!?シスターのことが!!」

美琴「問題点は見つかってんのに、ちょっと無理難題だからって最初から諦めてちゃ何も始まらないじゃない!!」

神裂「…!!」

美琴「シスターのことが大切なら最後の最後まで足掻きなさいよ!!!」

美琴「ちょっと長いプロローグぐらいで絶望してんじゃないわよ!!」

美琴「いい加減、物語を始めなさい!!神裂火織!!!」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:11:45.41 ID:26fzMWAR0
神裂「……」

神裂「…貴女は強い人ですね…」

美琴「…そんなことないわよ」

美琴「私は何もしないまま諦めるって考えが嫌いなだけ」

美琴「それに私だったら」

美琴「思い出が消えちゃうの、イヤだもの」

神裂「…!」

美琴「神裂さんもきっとそうじゃないかな?」

神裂「……」


インデックス『かおりー!』

インデックス『かおりのこと、だいすきだよ!』


神裂「……私は…私はっ…!」

美琴「……」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:12:13.80 ID:26fzMWAR0
神裂「うっ…ぐっ…!」

神裂さんの目からとめどなく流れ出す涙
共に過ごしてきた仲間の記憶を自ら消し、敵対する
その辛さは計り知れないものだろう
いや、きっと計りきれない


―――だからこそ、もう終わりにしなくちゃいけない


シスターは普通の女の子だ
彼女はこれから先も笑ったり、怒ったり、泣いたりと…
当たり前の毎日を過ごし思い出を作っていかなきゃいけない

そしてそれはシスターだけに言えたことじゃない
神裂さんや私もそう


―――『天美 心』と『あまみ こころ』も


思い出を作る為に思い出を消さなきゃいけないなんて法則
そんなものぶっ壊してやんなきゃいけないわよ


―――精神の法則を捻じ曲げる


―――それが出来るのは


美琴「神裂さん…『心理掌握』は『存在』していないだけで」

美琴「『消滅』って決まったわけじゃないの」

美琴「だからあと二日…」

美琴「アイツのことを、信じて欲しい」


―――アイツが絶対救ってくれるから
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/14(金) 03:15:26.03 ID:26fzMWAR0
ここで区切ります

本当に遅れて申し訳ないです
予告してこのザマでした…
真面目に学校行ってたら馬鹿なのでやはり補習を受けてました…

しばらく美琴さんに主人公やってもらってましたが大変お待たせいたしました
ついにここまで来たので何が何でも完結されます

それではまた!
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/14(金) 08:28:09.59 ID:fOxt7h4Po

こころん復活フラグきたか…wwktk
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 09:44:28.71 ID:czKMcJSUo
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 10:54:16.90 ID:o36JO5aIo
心理掌握と美琴のダブル主人公、
インデックスとこころのダブルヒロインって感じか
いいねいいね痺れちゃうねwktk
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/14(金) 12:17:25.85 ID:luLSUKiAO
上条さんの説教スキルをいつの間にかラーニングしてる美琴マジイケメン。
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/26(水) 19:01:21.09 ID:II4Q7PF90
上条「はぶられた」 (´;ω;`)
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) :2011/10/31(月) 19:17:42.19 ID:ugCHgM7AO
携帯からすいません>>1です

一週間休みが出来たのでこの間にたくさん更新出来たらと思います
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/31(月) 19:35:37.09 ID:V8T0yYRAO
美琴の説教は何か見てて腹立つ

何故だ
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 11:49:45.76 ID:iiIMpiPIO
キタ━━━━(゚∀゚ )━━━━!!!!

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 16:02:59.34 ID:nOfGpRMIO
ん?まだーむ?
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/28(月) 00:55:06.33 ID:DGkiTvx8o
まだかな?
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/29(火) 02:52:57.20 ID:oiwH2Is80
早くかいてくれぇー
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 08:35:15.01 ID:4vf4TeLIO
マダー?
349 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 08:53:45.64 ID:86sOEvpIO
まだ?
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/09(月) 22:11:50.21 ID:GmzSWApNo
マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 08:38:36.88 ID:b5tYEh9DP
>>1さんや、SSはまだかいのう
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/17(火) 23:27:27.75 ID:DfHyQuvYo
マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
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