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唯「song for…」’ - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : [saga]:2011/09/19(月) 00:09:46.79 ID:zpH5/obAO
↓パート1

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311702650/
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/19(月) 00:12:37.18 ID:uoi+WvkSO
待ってました!!
3 : [saga]:2011/09/19(月) 00:19:37.55 ID:zpH5/obAO
梓「なにを……」

「なにをやってるんですか!?澪先輩!!!」


梓・姫子・エリは散らばって、澪に対し武器を構える
よって、拘束から解き放たれた曽我部もそのまま落下した


澪「まったく、お前らの馬鹿さ加減には呆れるよ。なぁ?ムギ」

紬「ええ、そうね」


どこからともなく、声だけが返ってくる


純「」バッ


純も空中に飛び出してきた


純「澪先輩……いつの間に操られて――――」

澪「操られてる?この私が、か?ゴミクズ風情が見くびるなよ」


澪は刀に付着した血を指ですくい取って舐める


澪「おえっ」

「やっぱり愚者の血はマズイな」

梓「嘘です………嘘ですよそんな……澪先輩まで私達を裏切るなんて。嘘だと言ってくださいよ!!」


4 : [saga]:2011/09/19(月) 00:21:20.20 ID:zpH5/obAO
澪「ハァー、馬鹿が相手じゃ疲れるよ」


片手で頭を抱え、話し始める


澪「ムギに裏切られたのを忘れたのか?学べよ」

梓「くっ………!」

澪「いいかお前ら、誰も信じるなよ。仲間だと認識してるヤツは全員、お前の命を狙っているぞ」

梓「!?」


残るメンバー達は疑心暗鬼に陥り、互いに素早く距離を取った


梓(あとこの中に……何人敵が―――)

ザシュァアッ!

瀧エリ「うっ……!?」

ズバッァア!

姫子「がはッ!?」

ザシュッ!

純「ッ……!?」


仲間同士で武器を構えて合っていたメンバー達は、見えないスピードで切りつけられ、次々に落ちていく


梓「み、みんな!」
(澪先輩は一歩も動いてないのに、一体何が!?)


そして魔の手は梓にも忍び寄る


ズバッ!

梓「……くッ!」ヒュ――ン

(ムギ先輩……か……)


落ちていく間際、ブロンドの髪をなびかせて刀を鞘に収める少女の後ろ姿が目に入る
少女はゆっくり、梓の方に振り向いた


?「………」スチャ

梓(ムギ先輩の眉毛が………消えた!?)

5 : [saga]:2011/09/19(月) 00:23:01.83 ID:zpH5/obAO
澪「おいおい早まるなよ、No.0」

?「あの、えっと、ゴメンなさい!」

「でも、もう時間ですので……」

紬「あら、もう集まったの?負(マイナス)の感情エネルギーは」


空中、澪のいる辺りに紬が姿を現す


?「はい、お嬢様!だから呼びに来たんですけど………」

紬「そうね。遊び相手もいなくなったことだし、もう行こうかしら」

律「……おい、待てよ」


6 : [saga]:2011/09/19(月) 00:23:53.66 ID:zpH5/obAO
床に倒れていた律は、立ち上がって3人を見上げる


律「澪………お前、本気なのかよ?」

澪「親友にも見抜けないことぐらいはある。お前は私の心の内を見抜けてはいなかったのさ」

「私の心の闇をな………」

律「……?」

澪「そうだな。あれは丁度、律達がさわ子先生と戦っていた時だ………」


7 : [saga]:2011/09/19(月) 00:27:47.82 ID:zpH5/obAO
――――かいそう・がっこう!



紬「澪ちゃん、早く逃げましょう!」タッタッタ

澪「ああ!」タッタッタ

(くそっ!私に力があれば………こんなのただの足手まといじゃないか!)

紬「………」



・・・・・・・



紬「ここまで来ればもう安心ね」

澪「そうだな」ゼー、ハァ ゼー、ハァ

紬「大丈夫?澪ちゃん。顔色が良くないみたいだけど………」

澪「ちょっと疲れただけさ。少し休めばすぐに―――」

紬「いいえ。それくらいじゃ、治らないわよ」

澪「え?ムギ………?」

紬「不思議に思わなかったの?何故、澪ちゃんの音解だけが高いリスクを要していたのか」

8 : [saga]:2011/09/19(月) 00:31:09.25 ID:zpH5/obAO
澪「どうしたんだ?……いきなり何を?」

紬「それはあなたの深層心理にある闇のせいよ」

澪「だから何を言って―――」

紬「その闇をコントロールできない限り、澪ちゃんにかけられた呪いは永劫、あなたを蝕み続けるわ」

澪「………何が言いたいのかは分からないけど、とりあえず私がすぐにバテたのは、エリザベスの呪いが続いているせいだ、と?」

紬「ええ」

澪「で、それを克服するには心の闇を断ち切らないといけないワケか………」

紬「無理よ。唯ちゃんが生きている内はね」

「私には全てお見通しよ。唯ちゃんの才能に嫉妬していたことも、梓ちゃんが羨望の眼差しを自分から唯ちゃんへ向けていったことへの苦悩も」

澪「………」

9 : [saga]:2011/09/19(月) 00:32:26.55 ID:zpH5/obAO
紬「自分以上に律ちゃんと仲良くなっていく唯ちゃんを妬んでいたことも」

澪「………やめてくれ」ボソッ

紬「今だって、力を失った自分とは対極的にどんどん強くなっていく唯ちゃんに―――」

澪「やめてくれッ!」

「……今はそんなこと関係ないだろ………どうしちゃったんだよ、ムギ」

紬「これがあなたの心の闇。どう?全て拭い去れるかしら?」

澪「ッ………!」

紬「でも安心して。澪ちゃんを縛り付ける全てのしがらみから、私が解放してあげるから」

『唯ちゃんに思い知らせてあげましょう。澪ちゃんの力を』

澪「!」

「………そんなこと……できるわけないだろ。唯は仲間だ」

紬「偽善者ぶらなくてもいいのよ。私も言わば、あなたの同類だもの」

澪「でも………」

10 : [saga]:2011/09/19(月) 00:34:53.48 ID:zpH5/obAO
紬「私に付いてくれば、律ちゃんのことも梓ちゃんのことも、全てが思い通りになるのよ」

澪「それでも私は………」

紬「……ハァ、もういいわ。無理やりなんて、したくなかったんだけど」スッ


紬は刀を取り出し、逆さに向けて澪に見せる


澪「何するつもりだ?まさか私を―――」

紬『“ 砕けなさい 鏡花水月 ”』キイィィィイン


不思議な旋律が鳴り響く


澪「なん……だ……コレ。体の内側から……ぐッ、ああああああああああ!」ガクッ


澪は自分の体を強く抱きしめ、その場にうずくまる


紬「フフ……醜い感情を引き出してあげるわ♪」

澪「うぐぐ……ぐ……」


身体の異変が収まると、澪は静かに立ち上がった


11 : [saga]:2011/09/19(月) 00:36:01.71 ID:zpH5/obAO
澪「………フフ……ハハハハハハッ!もう何も抑え込む必要はないんだな!」

紬「そうよ。これからは本来のあなたの思うまま、生きていいのよ」

澪「そうか。なら早速、唯のヤツを潰しに行くか」スッ…


背負ったエリザベスに手を掛けると、紫の気圧と共に楽器が刀の形状へと変化した


澪「お前も来るか、ムギ?」

紬「それはまだダメよ♪」スッ


先程のように、紬は刀を逆向ける


澪「やるつもりなのか?この私と―――」

紬『“ 砕けなさい 鏡花水月 ”』キイィィィイン!


しかし、完全催眠を受けたはずの澪に大して変化はない

12 : [saga]:2011/09/19(月) 00:37:01.16 ID:zpH5/obAO
紬(おかしいわね……)

澪「私には姑息なマネは通用しない。行くぞ!」ダッ!

紬(それなら―――)

澪「はあ!」ブン!

スカッ

澪「消えただと!?」

ドス!


澪の首筋に手刀が入る


澪「うっ……!」フラッ

ドサッ

紬「この状態なら、流石に効くわよね」スチャ

『“ 砕けなさい 鏡花水月 ”』キイィィィイン


気絶した澪になす術はなく、偽りの世界へと引き込まれてゆく


紬「負の感情が強い澪ちゃんなら、すぐに元通りになる心配もないわ。その時が来るまでは大人しくしててね」


紬は澪を背負い、和や憂の待つ生徒会室へと消えていった………

13 : [saga]:2011/09/19(月) 00:39:08.42 ID:zpH5/obAO
―――――――



澪「そしてさっき、全て思い出した」

「あの鏡花水月はお前達の催眠を解くと同時に、私の催眠を解くためのものでもあったのさ」

姫子「だから今まで、全然異変に気付けなかったのね……」ムクリ

純「澪先輩、唯先輩のことをそんな風に………」ムクリ

澪「何とでも言えばいいさ。だが唯だけは私が仕留める」

瀧エリ「まさか澪が敵だったなんてね。ビックリだわ」ムクリ

梓「HTTが……どんどんバラバラになっていく………」ムクリ


軽音部メンバーは全員立ち上がり、空中に舞い戻ってそれぞれに武器を構えた

14 : [saga]:2011/09/19(月) 00:41:42.28 ID:zpH5/obAO
ここまで!

パート1のあらすじとか、書いてなかったけどよろしいかな?
需要があったら記すんで、教えてね!

見てくれてありがと!

これにて失礼!
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 00:44:59.72 ID:NNW8GLYDO
乙Z乙

さすがさんじゅ汚い
16 : [saga]:2011/09/19(月) 00:45:25.61 ID:zpH5/obAO
あっ、明日の12時にさいかい!します
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/19(月) 00:45:59.23 ID:uoi+WvkSO
おつんこ
自分は前スレから見てたからあらすじはいいや
それよりも次回の更新日を教えてほしい
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 00:49:02.81 ID:QFIITvryo
あらすじはなくても大丈夫かも。
今日も面白かったです!
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 01:04:23.06 ID:6l4EqX8Ao
なんか活気づいてきたな
何故だかわからんが嬉しい
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 01:20:25.82 ID:r4knzafp0
ムギだけでも手に負えないのに増援だと…
21 : [saga]:2011/09/20(火) 00:30:54.90 ID:QsvFYxPAO
応援どうもです!
あらすじは無しの方向でいきますね

では、さいかい!
22 : [saga]:2011/09/20(火) 00:32:36.23 ID:QsvFYxPAO
紬「もうあなた達の中に裏切り者はいないわ。心置きなくかかってきなさい」チャキン!

?「あの、お嬢様。もう準備が………」

姫子「そこのアンタ!」

?「はいっ!?」ビクッ

姫子「ムギにそっくりなキミは何者なの?」

菫「あっ私、琴吹家でお世話になってます、斎藤菫と申します」

姫子「へぇ、なかなか可愛いじゃない」チャキン!

菫「ひィ!」ビクッ

ビュン!


姫子に怯んだ菫の横を、猛スピードで律が通過する


律「」ブン!

澪「フッ…」ブン!

ガキィィイン!

澪「お前には親友を殺す覚悟はあるのか?私は生きている限り、私は唯を狙い続けるぞ」ギチ ギチ ギチ

律「殺しはしねーよ。そんでもって、澪を止める」ギチ ギチ ギチ


23 : [saga]:2011/09/20(火) 00:34:13.68 ID:QsvFYxPAO
ヒュゥウウゥゥ……

パキパキ パキキ


冷たい風が吹いたかと思うと、次の瞬間には澪の腕が凍り付いていた


澪「チッ!」バッ


澪が後退すると、律の前に刀を構えた梓が現れた
次いで、純も参上する


梓「律先輩はムギ先輩をお願いします!私達の中でムギ先輩を倒せるのは先輩しかいません!」

純「澪先輩は私達がやります!」

律「梓、鈴木さん………」


律は少し高い位置にいる紬の方を確認すると、炎剣を2つに分かち、飛び去っていった


梓(相手が澪先輩じゃ、律先輩がまともに戦えるハズないから)チャキッ

澪「いいのか梓?後輩だからって手加減はしないぞ」

純「私達も、相手が澪先輩だからって手加減しませんよ!」ダッ!

澪「好きにしな!」ダッ!

梓(私だって、純だって澪先輩と戦うのは辛いよ。でもやるしかないんだ!)ダッ!


24 : [saga]:2011/09/20(火) 00:35:06.47 ID:QsvFYxPAO
・・・・・・・・



律「」ダッ!

紬「……」チャキ!

キィイン!


双刀で挑む律に対し、紬は片手で構えた刀で、斬撃を軽々と受け止めた


紬「フフ、私の準備したサプライズはどうだったかしら?」ギチ ギチ!

律「ああ、最高だぜ。ムギィ!」ギチ ギチ!


律はつばぜり合いのまま、右手の橙炎の刀を離すと、それを高く掲げた


律「“ 大噴火(エンライズ) ”!」ゴオオオオ!


2人の下方に巨大な炎の塊が発生し、溢れ出る炎が火柱となって2人を飲み込みながら、天井を突き破る………


25 : [saga]:2011/09/20(火) 00:36:55.66 ID:QsvFYxPAO
・・・・・・・・



姫子「相変わらず派手にやるわね、律ってば」

瀧エリ「ヒーメコ、私達もそろそろ行こうよ!」


2人の前には挙動不審の菫がいた


姫子「気をつけなよ、エリ。さっきちらっと聞こえたけど、この子No.0みたいだし」

菫「えっと、私、その……」オドオド

瀧エリ「………そうは見えないけど」

バヂヂヂ ヂヂ!


エリは全身に雷を纏い直し、光速で菫に向かって飛び出した

そして菫の首を掴み、勢いをそのままに部屋の壁を突き破って外に出ていった


姫子「もう!勝手にどこ行くのよ!」ダッ!


エリの後を追って壁に開いた穴から、姫子も外へと飛び出していく


26 : [saga]:2011/09/20(火) 00:41:29.77 ID:QsvFYxPAO
Dかん・おくじょう



屋上と言うよりは、屋根だった
雨は降り止んでおり、空は灰色の雲に覆われている

塔から出た後、エリに投げ飛ばされた菫は、体勢を立て直して屋根に着地した
エリ、そして後から出てきた姫子も屋根に降り立った


瀧エリ「さーて、さっきのお返ししないとねー」バヂヂヂ!


全身に纏った雷が激しく音を立てる


菫「はぁ、やるんですね」スッ


胸の前で、鞘に納まった刀を引き抜く


菫「いいですけど、あまり時間はかけられませんよ?」

姫子「それは好都合。こっちも、早くムギのヤツを倒さなきゃいけないからね」

菫「」ピクッ

「お嬢様には指一本触れさせません。あなた達はここで私が処理します」キッ

27 : [saga]:2011/09/20(火) 00:42:15.30 ID:QsvFYxPAO
姫子「怒った顔も、またステキよ」ゴゴゴ


姫子は紬に壊された鎖鎌に気圧を込める
すると、鎖鎌は綺麗に元通りとなった

姫子のアクセル・ドライブである大蛇魯酸(ダイダロス)、即ち蛇の象徴する再生は、姫子が有する能力の一つである

姫子は右手の鎖鎌を頭上でクルクル回転させる


姫子「それじゃ、始めましょうか!」ヒュン!


鎖鎌がジャラジャラと音を立て、菫に襲い掛かる
しかし菫は、鎌の軌道から身を逸らせた


姫子「そう簡単に大蛇魯酸からは逃げられないわよ!」

鎌「」クネッ

菫(!)


軌道を変えた鎌は、さらに菫を追尾する

28 : [saga]:2011/09/20(火) 00:43:39.50 ID:QsvFYxPAO
菫「」シュタッ!

ガキィン!


空中に跳躍した菫は逆さまの状態で、鎌を刀で振り払う


姫子「それでかわしたつもりなの!?」クイッ


姫子が手を引くと、弾かれた鎌が後方から、菫に襲いかかる
さらに姫子はもう片方の鎖鎌を菫の前方から投げつける


キィン キィン!

菫「」スタン!


一瞬で一対の鎌を叩き落とし、落ち着き払った様子で着地した菫は、鎖の部分に刀を突き立て、鎌の自由を封じた

直後、その後ろに黄色い閃光が迫る


瀧エリ「とぉ!」ブン!

パシッ!


前を向いたまま、素手でエリの雷拳を受け止める


29 : [saga]:2011/09/20(火) 00:44:27.83 ID:QsvFYxPAO
瀧エリ「やるね!ならこれはどうかな!」バヂヂヂ

ビリビリビリビリ


高電圧の電流が腕を伝って菫に流れる
しかし菫はびくともしない


菫「そのくらいは気圧でいくらでも防げます」ゴゴゴゴ

瀧エリ「あっそ」スッ


エリは菫に掴まれた拳を引き抜こうとするが、強い力で離されない


瀧エリ「ちょ……何よ!」

菫「」フッ!

ドスッ!


エリの腹部に膝蹴りがヒットする
さらに菫は、ダメージを受けて前のめりになったエリの首根っこを引っつかみ、突き立てた刀に向かって押し近づける


瀧エリ(え、ちょ―――!)


30 : [saga]:2011/09/20(火) 00:47:41.00 ID:QsvFYxPAO
ここまで!

次回はあさって、もしくは、しあさって。あさっての19時までに連絡入れます

見てくれてありがとう!

では、さらばです!
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 01:08:12.44 ID:0g1uIua6o
気がつくと展開が結構進んでる
まあ、それだけ読み入ってるってことか
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 02:17:49.11 ID:Nwba3xKIo
面白かった。
いよいよ佳境に入ってきたね。
唯の復活楽しみだ。
33 : [saga]:2011/09/21(水) 18:17:32.78 ID:oR8WzoDAO
今夜 12:30 頃から始めますね
34 : [saga]:2011/09/22(木) 00:32:41.28 ID:Qzc4uo2AO
『  再 解  』ズドドドド!!!
35 : [saga]:2011/09/22(木) 00:33:56.09 ID:Qzc4uo2AO
ピタッ


刃のすぐ手前で、エリの顔が止まった
間一髪の所、姫子が菫の手を掴んで止めていたのだ

菫は姫子を睨みつける


姫子「こわいこわい」

(さっきはダメだったけど、この至近距離なら蛇眼は使えるみたいね)

瀧エリ「おわっ!」ドスン!

姫子「エリ、私の武器回収してくれない?」

瀧エリ「はいよ!」


菫の手から逃れたエリは、くさびとして打ち込まれた刀を引き抜き、姫子に手渡す

姫子は菫から目を離さず、受け取った鎌をその首に宛てがう


菫「………」

姫子「相手が相手だけに生かしちゃおけない。悪いけどその命、刈り取らせてもらうわ!」


シュバッ!


血が宙に飛び散る


36 : [saga]:2011/09/22(木) 00:35:34.67 ID:Qzc4uo2AO
出血したのは………


姫子「くっ……!」フラッ


肩を押さえてよろけている姫子だった
菫にトドメを刺す直前、意思を持ってひとりでに飛んできた刀が、姫子の肩を掠めたのだ

姫子の視線が外れた隙に、菫は飛び下がって間を取る


姫子「その刀、特殊なタイプのようね」

菫「この楽器はお嬢様から頂いた我が家に代々伝わる家宝なのです」スッ


手元に戻ってきた刀を横向きに倒し、前に出す


菫「“ 七つの色彩ここに束ね 虹の輝き解き放て ヴァリュアブル・トランサー ”!」ゴオオオオ


菫が指で刀をなぞると、周りに気圧が吹き荒れ、刀身が七色に輝き出した


瀧エリ「キレーな武器だねー」

姫子「見とれてる場合じゃないよ」


37 : [saga]:2011/09/22(木) 00:37:45.59 ID:Qzc4uo2AO
風が止むと、菫は切っ先を2人に向けてきた


菫「そしてこれが私の、紬お嬢様への忠誠の証です」チャキ


姫子「キミも相当ムギに心酔してるわね」
(“ 忠誠 ”ね。確か前にも聞いたことがあるようなセリフだけど………)


――――斎藤「それがこの身体……紬お嬢様への忠誠の証“ ロイヤル・クラッド ”」


姫子(!)

菫「心酔、ですか。それは違うと思います」

「私は親戚であるお嬢様と共に、辛い環境の中を生きてきました。幼い頃、一族を皆抹消されたのです」

瀧エリ「それって、もしかして………」

姫子「どうやら彼女、和の話に出てた、ムギの一族の生き残りみたいね」

菫「あ、知っていらしたんですね。………それから生き残った私とお爺様、そして紬お嬢様の3人は、二度と同じ惨劇が繰り返されない世界にするために、必死に戦ってきました」

「そして今日、遂に宿願が叶おうとしているのです。それを、何も知らないあなた達なんかに邪魔させません!」


38 : [saga]:2011/09/22(木) 00:39:04.94 ID:Qzc4uo2AO
姫子(斎藤……お爺様……そうか、この子―――)


――――斎藤「紬お嬢様のこと………よろしくお願いします。それから――――」


姫子(あのおじーさんのお孫さんだったのね)

菫「どうしたんですか?早く武器を構えてください」


両手を下げている姫子を、菫は不審に思いながら見つめる


姫子「私さ、キミのことをおじーさんから頼まれてるんだけどね」

菫「!」

瀧エリ「おじーさん?」

姫子「最後の一言に、アンタのことよろしく、ってな」

菫「………そうですか。それではあなたがお爺様を………」ゴ ゴ ゴ ゴ

姫子「違う!おじーさんは私達に希望を託してくれたんだ!」

39 : [saga]:2011/09/22(木) 00:42:28.96 ID:Qzc4uo2AO
菫「私にとっては同じことです!お爺様を裏切らせて死に追いやったあなた達は許せません!」

瀧エリ「姫子、早く構えなって!やっこさん本気で来るよ!」

姫子「………わかってる」チャキッ

(説得なんて柄にも無いこと出来るワケないか。悪いねじーさん、お孫さんの息の根、止めることになるかもしれないよ!)ザッ!


ゴゴゴゴゴゴ !

姫エリ「はぁぁぁああ!」


2人は気圧を最大限に高め、菫に臨む


瀧エリ「ハイスピードで飛ばして行くよー!」バヂヂヂ

ビュン!

菫(さっきよりも速い!)


エリの速さは、もはや神速をも超えていた
菫ですらエリの姿を見失う程である


40 : [saga]:2011/09/22(木) 00:44:21.62 ID:Qzc4uo2AO
瀧エリ「“ 雷徒(ライト)レイザー ”!」バヂヂヂ

菫(上!?)サッ


エリは右手に全身の雷を集中させていた
そのスピードで放つ電撃拳は、残像で可視光線のように見えた


菫「“ コンバート・ネクサス ”!」

瀧エリ「遅い!」


バリバリバリ!ズガアァァン!

瀧エリ「手応えアリ♪」シュウゥゥ…


攻撃がヒットすると同時に生じた煙が、晴れてゆく

エリの攻撃は確かに当たっていた
ただし、菫にではなく………


瀧エリ「え、何コレ?」


虹色に輝く半透明の膜が、エリの攻撃を吸収していたのだ


菫「今の攻撃はかわせないと判断し、防御することにしました」


エリを見上げる菫の手からは、刀が消えてた


41 : [saga]:2011/09/22(木) 00:45:20.85 ID:Qzc4uo2AO
姫子「見たところ、その楽器が形態変化しているようね」バッ

菫「“ コンバート・ネクサス ”」スッ


菫が虹色の膜を手でなぞると、槍のような形状へと変形する

なぞった手をそのまま流すようにして槍を手にすると、飛び掛かってきた姫子に向けて思いきり突き出した


姫子「」ジャラン

ガキイィィン!

姫子「面白い楽器ね、ソレ」ギチ ギチ ギチ

菫「差し上げませんよ!」ググッ

ピシッ

姫子「!」
(ヒビが……!)

菫「もう一押し」グググッ

バキィイン!

姫子「くっ……!」

槍「」ヒュン!


双鎌を突き破った槍は、姫子の心臓目がけて突き進む


42 : [saga]:2011/09/22(木) 00:46:12.65 ID:Qzc4uo2AO
瀧エリ「とおお!」シュン

ドカッ!

槍「」ガキィィィン


姫子を捉えた槍は、エリに蹴り飛ばされて弾かれて軌道を逸らされた


菫「“ コンバート・ネクサス ”」ゴゴゴゴ


槍はまた変形し、アーチェリーとなって菫の手に納まる
そして息つく間を与えず、空中にいる2人に向けて弓を引く


菫「“ レインボー・シャワー ”」ヒュン!

バシュシュシュシュシュ!!!


一度弓を引くと、数百、数千の虹色の矢が一斉に放たれた


瀧エリ「わおっ」

姫子「逃げるよ!」ダッ


エリと姫子は二手に別れて空中を逃げ惑う
しかし、放たれた矢は目標を失うことなく、半永久的に追跡し続ける


43 : [saga]:2011/09/22(木) 00:47:10.57 ID:Qzc4uo2AO
瀧エリ「逃げてちゃ何も始まらないってか」ザッ

バヂバヂバヂ!


エリは体勢を変えて矢の雨に向かい合い、有りったけの力で電撃をぶつける


姫子「“ 酸の嵐(アシッド・ストーム) ”!」ヒュゴオオオ


姫子も復元させた鎖鎌を回転させ、菫の攻撃に応戦する
だが、その間にも菫は弓を引く手を休めてはいなかった


菫「無駄な抵抗もこれまでです!」バシュシュシュ!


さらに矢の数は増し、四方八方から空中にいる2人に、それぞれ襲いかかる


瀧エリ「多過ぎ……!」

姫子「防ぎきれない!」

ズドドドドドドド!!!


虹の海に2人は飲まれ、消え去った………


44 : [saga]:2011/09/22(木) 00:53:09.00 ID:Qzc4uo2AO
ここまで!

つぎ金曜日! ちなみに24時!

見てくれてありがと!


………投下量不十分でゴメンなさい

最終話までの構想はできてるんですが、圧倒的遅筆により思うように進みません

気長に付き合っていただければ幸いです

では、失礼!
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 01:46:58.26 ID:46F/z5pZ0

ムギの吠え面拝めるのはまだ先か
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/22(木) 02:46:10.43 ID:6q8XLuH1o
乙!
ゆっくり頑張って
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 04:28:59.62 ID:3n9vrg0po
面白いねえ
マイペースでどぞ!
48 : [saga]:2011/09/23(金) 20:53:48.67 ID:I8gsJRqAO
予告より遅れること30分、24:30から始めます!
49 : [saga]:2011/09/24(土) 00:32:02.77 ID:beVMCDRAO
とう・さいじょうかい!



澪「はあああっ!」ブン

梓「くっ……!」ブン

キィン!


空中で梓と純は、かつての仲間を相手に奮闘していた


澪「ハハッ、弱いなぁ梓。演奏の腕は認めてやるけど、戦いはまるでダメだな!」ガガガガッ

梓「うっ………」ギチ ギチ ギチ
(ただの一撃が……こんなに重いなんて!)

純「梓、かわして! “ 切り切り舞 ”!」ヒュオオオオ!

澪「ふん」ドカッ

梓「きゃっ!」ヒュ―ン


澪は梓を刀で押し飛ばすと、殺傷能力付きの暴風に対して刀を構えた


澪「吸い込め、エリザベス!」ズオオォォォ


純の起こした風は見る見るうちに吸収されてゆく

50 : [saga]:2011/09/24(土) 00:33:08.30 ID:beVMCDRAO
純「やっぱり効きませんよね………」

澪「もっとマシな攻撃はないのか?手応えが無さ過ぎるぞ」チャキン


パキキ パキパキ


腕と融合した澪の紫刀が凍り付いてゆく


澪「ん?」

梓「純、もう一度!」

純「梓、サンキュ!」バッ


開いた両手を前に出し、気圧を込める


純「“ 切り切り舞 ”!」ヒュオオオオ!

澪「これでエリザベスを封じたつもりなのか?救いようのない奴だ」ゴゴゴゴ

バリィィィン!

梓(音圧で氷を!)

澪「吸収だ、エリザベス!」バッ

ズオオオォォォォ

純「くっ!」


純の攻撃はことごとく吸収される
間接攻撃系の技は澪の前では全て無力に等しかった


梓「はぁぁあああ!」バサッ!


それでも梓は諦めず、水竜の翼を羽ばたかせ、澪に向かっていく

51 : [saga]:2011/09/24(土) 00:34:21.24 ID:beVMCDRAO
澪「何度向かってこようと無駄だ」

梓「“ 水帝流波 ”!」ドザアアアア!

澪「言っても聞かないか」スゥ―


澪の姿が薄くなって消えてゆく
標的を失った激流は放物線を描き、滝のように床に流れ落ちた

純「どこから来る!?」ザッ

梓「落ち着いて、純」

澪「フフ……見えない攻撃にどう立ち向かってくる?」


声が反響する室内では、発声源が特定できない


澪「どこから攻撃してほしい?右か左か?………それとも上か下か?」

梓(声に惑わされるな。落ち着いて考えるんだ。何か打開策があるハズ!)


梓はまぶたを閉じ、精神を集中させる


澪「前か後ろか………よし決めたぞ。後ろからだ」チャキン


52 : [saga]:2011/09/24(土) 00:36:16.74 ID:beVMCDRAO
梓(相手の姿が見えないと、“ 心眼 ”は使えない。なら何か、他に手は――――)

――――ぬし、聞こえるかの?ぬし!

梓(この声は………むったん!?)


梓の頭の中に、自身の楽器の声が響く


――――どうしたんじゃ?この程度の逆境なら、ワシの力でいつでもひっくり返せるじゃろうに

梓(簡単に言わないでよ。相手が見えなきゃ攻撃もできないし、上手く防御もできないんだよ。何か方法を考えないと………)

――――ぬしよ、知力で戦うのも否定はせん。しかし、ここは素直にワシの力を使うのじゃ

梓(どういうことなの?意味わからないよ)

――――思い出せ、ワシは水の神。全ての水はワシと………ぬしの支配下にある!


53 : [saga]:2011/09/24(土) 00:39:42.96 ID:beVMCDRAO
梓(全ての水は……私の支配下………)

(………!)

――――気付いたようじゃな。よかよか

スゥ――――


ムスタングの気配は消えていった


梓(ありがとう、むったん。そうだよ、全ての水は私が支配してるんだ!)チャキッ


梓は閉じていた目を開け、刀を構え直す


澪「何か思いついたらしいな。なら試してみるか」ダッ!


澪は姿を暗ましたまま、梓の背後から切っ先を向けて飛び出す
梓は前に構えたまま動かない


梓「………」

澪(どうせ何もできはしないがな。終わりだッ!)ビュン

キイィィイン!

澪「んなッ!?」


振り向き様に切り返した梓の蒼刀に、澪の紫刀は弾かれた
ただ、澪はまだ姿を現していないため、その姿を直接確認することはできない

54 : [saga]:2011/09/24(土) 00:40:40.76 ID:beVMCDRAO
澪「フン、まぐれに決まってる」サッ!


澪は再び気配を消し、周囲の空間に溶け込む


澪(次はあっちの方を狙ってみるか)ダッ


紫の刃が純に迫る


梓「純、真正面からくるよ!」

澪(何!?)

純「オッケー!」バッ


純が両手を広げると、風の暴風壁が現れ、澪の進行を阻止した


澪「チッ、どういうことだ。私の姿が見えているとでも言うのか?」


澪は下がって、2人との距離をとる


梓「先輩の姿は今でも見えませんよ。でも私は先輩の居場所を感知できます」

澪「一体、どうやって?」

梓「大気中の水分、ですよ」

「水の神――ムスタング。その力を使えば、あらゆる水は私の思いのまま」

「例え姿は見えなくても、空気中の水分に変化が見られれば、そこに澪先輩がいると分かるんです」

55 : [saga]:2011/09/24(土) 00:41:44.67 ID:beVMCDRAO
澪「そうか。その上、雨上がりのこの湿気………簡単に居場所を割り出せるってワケか」

梓「観念して姿を見せたらどうなんですか?澪先輩」

澪「…………」

ダッ!

梓「!」


澪は床に向かって急降下する


純「どうしたの梓!?」

梓「澪先輩が下に向かって―――しまった!」

澪「」ズニュウ!


澪は影の中に飛び込み、完全に気配を消した


梓「次は影の中からくるよ!」

純「えっ、でも空中にいれば安全なんじゃ………」


56 : [saga]:2011/09/24(土) 00:42:54.69 ID:beVMCDRAO
一方澪は、誰にも認識されることのない、裏世界とでも呼ばれるべき場所から攻撃の機会を伺っていた


澪(空中にいれば安全?甘いな………)

(それにしても、まさか“ C白銀の雲隠れ(カースドミラージュ・バニッシャー) ”が破られるなんてな。厄介な梓を先に仕留めるか)ズズズ…


澪は梓の背中、水竜の影から素早く姿を現した


梓「!」

澪「今さら気付いても、もう遅い!」ブン!

キィイン!

梓「………」ギチ ギチ ギチ

澪「!?」

(今の反応、まさか攻撃を見抜かれていた!?)ギチ ギチ

梓「正解ですよ」

57 : [saga]:2011/09/24(土) 00:46:48.94 ID:beVMCDRAO
澪「………私の心を読んでいるのか」

梓「はい。さっき澪先輩の位置を特定した時に、“ 心眼 ”で何を仕掛けてくるのか分かっていたんです」

澪「流石は梓だな。優秀な後輩がいてくれて嬉しいよ」

梓「まだまだ澪先輩には及びませんよ。私の憧れの先輩ですから!」ググッ

澪「!」

「………お前の憧れは唯じゃなかったのか?」

梓「唯先輩はまた別です。普段は不真面目でだらけてますけど、いざとなったら頼りになる。私はあの人のそういう所に惹かれてるんだと思うんです」

「あっ。い、今のはそういう意味じゃ、ありませんからね///」

澪「………やっぱりか」

梓「え?」

澪「やっぱりお前も唯を選ぶんだな!」ゴゴゴゴ!!!

梓「うっ!」

(これが音圧………耐え切れない!)


つばぜり合いになっている梓は、澪の音圧に圧倒されて押され始める

58 : [saga]:2011/09/24(土) 00:49:41.73 ID:beVMCDRAO
純「梓から離れろ!“ 切り切り舞 ”!」ヒュゴオオオ

澪「ナメるなァ!!!」ゴゴゴゴゴ

純梓「きゃああああああ!」


純が起こした旋風ごと、音圧が2人を吹き飛ばす


澪「“ C白銀の影遊び(カースドミラージュ・ナイトシャドウ) ”を破ったことまでは褒めてやる。だが、コイツはどうだ?」ドゴゴゴゴ!!!


澪を中心に、濃い紫色の音圧が部屋全体の空間を隅々まで支配してゆく


梓(何コレ……息苦しい)

純「梓!死んだ?」

梓「何て聞き方してるの、純………」

純「大丈夫そうだね」

澪「コレを見てまだ余裕でいられるか?」ゴゴゴゴゴ

梓純「!」サッ

59 : [saga]:2011/09/24(土) 00:51:10.98 ID:beVMCDRAO
梓と純が同時に振り返ると、澪がいた空間と澪とが融合していた
紫色の異次元空間に澪の顔だけが浮いているような光景だ


澪「“ C白銀の夢幻幕引き(カースドミラージュ・ナイトメア・クローズ) ”」


純「なッ……アレが……澪先輩だっていうの………?」

梓「澪……先輩………!」

澪「フフフフ………ハハハハハハハッ!恐ろしいか?この私がッ!?あ?」


その形相にも、もはや澪の面影はなく、完全に化物と化していた


純「闇の力にここまで侵されてるなんて………こんなの、私の尊敬してた澪先輩じゃないですよ!」

澪「そんなもの、知ったことか」

60 : [saga]:2011/09/24(土) 00:51:53.22 ID:beVMCDRAO
梓「………澪先輩を救うには、もう倒すしかないよ」

純「ちょっと待ってよ梓!」

梓「覚悟を決めなきゃ!澪先輩を救えるのは私達しかいないんだよ!」

純「………ッ!」ギリッ

澪「倒すだと?お前達が私を?それは傲りだ」

梓「先輩こそ、私達を見くびるなです」チャキン

澪「御託はいい。かかってこい!」

梓「言われるまでもないです!」バサッ

「はああああ!」ブン!


勢いよく飛び立った梓は、そのまま澪に切り掛かる


澪「かかったな」ニヤッ

グニャン

梓「!?」


梓が切り裂いた空間が歪み始め、気付いた時には、梓は黒紫の球体に閉じ込められていた

61 : [saga]:2011/09/24(土) 00:52:43.97 ID:beVMCDRAO
梓「出しやがれです!」

澪「先輩にそんな口聞いちゃダメだろ」ズズズ…


球体の上方に、澪の顔が出現する


澪「罰として梓には死んでもらうことにするよ」

梓「――――!」


ザシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ!!!


球体の中から何かを切り刻む音が聞こえてくる


純「あ……梓………?」

ザシュシュシュシュシュシュシュ………

シ――――ン


純「嘘……でしょ?………梓ァア!!!」

62 : [saga]:2011/09/24(土) 00:54:46.61 ID:beVMCDRAO
ここまで!

次回、未定。明日の昼頃に連絡します

見てくれてありがと!

さらばらば!
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 02:04:11.93 ID:7JfraDgp0

澪は 純「刈れ――風死」ルートか
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 04:34:42.90 ID:B4TQqUzio
おっつん!
65 : [saga]:2011/09/24(土) 13:20:30.15 ID:beVMCDRAO
こんばん12時スタートですじゃ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 15:59:37.82 ID:YilmigBno
いま、羽田空港。
これから田舎へ帰る飛行機に乗るんだ。
着いたら読ませてもらう。楽しみにしてるよ!
67 : [saga]:2011/09/24(土) 23:59:00.48 ID:beVMCDRAO
>>66
無事に到着できましたかな?

それでは、さいかい!
68 : [saga]:2011/09/25(日) 00:01:14.11 ID:OM/9XbuAO
Dかん・おくじょう!



バシュシュシュシュシュシュ!!


虹の矢が容赦なく姫子とエリに襲い掛かる
2人を飲み込んだ後も、菫は弓を引く手を止めはしなかった


菫「」バシュシュシュシュ!


もはや2人の生存は絶望的かと思われたその時、七色に輝くその光景に別の輝きが加わった


「エリ、準備はできてる?」

「いつでもオッケーさ!」

「なら、行くよ!」

姫エリ「“ アクセル・ドライブ/エクシード ”!!!」ゴゴゴゴゴ


数多の矢を吹き飛ばし、8本の鉤爪型の武器を装備した姫子と、全身に纏う電撃を解除したエリが現れた


姫子「“ 新羅零式――大蛇魯酸(ダイダロス) ”」

瀧エリ「“ 電姫の舞踏場(ラウンド・ラ・プリンセス) ”」

菫「………」


菫は弓を刀の状態に戻し、両手で構えた

69 : [saga]:2011/09/25(日) 00:02:33.01 ID:OM/9XbuAO
瀧エリ「目閉じててよ姫子!」

キラキラキラж * ж * ж

菫「?」


あちこちで、まばゆい光が輝き始める


瀧エリ「“ 光粒子のざわめき(フォト・ノイズ) ”!」ピカッ――――

菫「まぶしっ!」


強烈な光に、菫は思わず腕で顔を覆った
そこへ攻撃の機を得た姫子が飛び掛かる


姫子「ハァ!」ダッ!

菫「!」ブン!

キィイン!

姫子「アンタは私の獲物。もう逃さないからね!」ギチ ギチ ギチ

菫「………!」
(しまった!体が動かない!………でも)

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


姫子と目が合った菫は、動けないながらも気圧で押し返そうとする


70 : [saga]:2011/09/25(日) 00:04:27.62 ID:OM/9XbuAO
姫子「あがくわね。ならこれで少しは大人しくなるかしら?」


姫子が装備する8本の鉤爪の先端が、蛇の頭のように滑らかに変形した
そして、それらは菫の体に巻きついていく

さらに、その内の一本は菫から刀を取り上げた


姫子「これで抵抗できないでしょ?ゆっくり溶かしてあげる………」


菫に巻きついた鋼鉄の蛇達は、各々の体から強酸性の消化液を分泌する


菫「………ッ!!」ジュウウゥゥゥ
(熱ッ……!ぃ゙っ……きゃあああああ!!!)


姫子の蛇眼により、菫は声を出して叫ぶことすらできない


菫(……うぅっ……コンバート……ネクサス!)

姫子「ん?」


蛇にくわえられた刀の刀身が、霧となって消えてゆく

71 : [saga]:2011/09/25(日) 00:08:31.94 ID:OM/9XbuAO
瀧エリ「なんかヤバイの来るかも」


エリの予感は的中していた

バラバラに散った極小サイズの光粒子は姫子と、そしてエリの周りにも漂ってきていた


菫(“ 極光槍柱(オーロランス・レイ) ”!)

姫エリ「―――!」


拡散した光の粒子1つ1つが直線状に伸び、その周囲に存在するあらゆる物質を貫通する

姫子は急いで、鉤爪を防御形態へと変形させたが、どんな硬度の楯でも光の前では無力だった

電撃の鎧を解除しているエリもまた、なす術なく、その身に虹の洗礼を受けた


シュバババババババババ!!!

姫エリ「きゃああああああ!」


桁違いの攻撃回数に、2人の身がもつはずはなかった

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/25(日) 00:10:13.22 ID:FHiNakQe0
やっと追い付いて支援。

こういうの好きだな〜。まとめサイトで早くまとめてほすぃ。
73 : [saga]:2011/09/25(日) 00:10:34.29 ID:OM/9XbuAO
ドサッ………

菫「ハァ、ハァ」スッ
(私、やりましたよ。お嬢様………)


姫子の拘束から解放された菫は、右手を広げる
するとそこに、霧散していた虹色光が集まり、刀が形成された

菫「“ コンバート・ネクサス ――癒しの鍵盤(ヒール・ボード)”」


刀はキーボードのようなものに形を変えた


菫「“ ヒーリング・メロディー ”」ポロロロロン♪


菫が旋律を奏でると、酸による火傷が見る見る内に治癒していった


菫「早く治してお嬢様を助けに行かないと!」アセアセ


74 : [saga]:2011/09/25(日) 00:14:45.03 ID:OM/9XbuAO
姫子「待ち……な………」

瀧エリ「逃げるなんて……卑怯だよ」


瀕死の姫子とエリは、力を振り絞って何とか立ち上がる


菫「………みなさんがお爺様にしたことは許せません。でも、私はみなさんにトドメを刺すつもりはありません。大人しく負けを認めてください」

瀧エリ「ここまで来て……そういうワケにはいかないでしょ」

姫子「全力で来るんじゃなかったの?それとも、No.0ってのは私達を殺す力もないのかしら?」

菫「…………」


菫は黙って俯く


菫「………こんなこと」

「もうイヤなんです!人を殺したり、殺されたりするのは!もうたくさんなんです!!!」

75 : [saga]:2011/09/25(日) 00:17:06.01 ID:OM/9XbuAO
姫エリ「………」

菫「私の両親も、親戚も理不尽な理由でみんな殺されてしまいました………復讐に取りつかれた紬お嬢様もおかしくなってしまいました」

「こんな醜い世界を変えるために、私は戦ってるんです!人殺しなんてこと、するためじゃないんです!!これ以上無駄に、私に誰かを傷付けさせないでください!!!」ウルウル


………スチャ


菫は刀を鞘に納めた


菫「お願いします。もう諦めて、刀を納めてください。結果は目に見えてます」

姫エリ「…………」


菫の懇願に、2人はしばらく言葉を失う


菫「分かってもらえましたか?」

瀧エリ「………まさか」

姫子「悪いね。私達はそれでも戦うよ」ジャキン!

瀧エリ「」スッ


8本の鉤爪の頭部が蛇となり、その口を開けてエネルギー波を溜める
また、エリは軽く握った右手を高く挙げた

76 : [saga]:2011/09/25(日) 00:18:04.24 ID:OM/9XbuAO
菫「…………」スチャ


菫は虹刀を抜刀して構える


姫子「“ 八岐大蛇の酸激(アシッドストーム・オクテスタ) ”!」ズギュウウウウ!

瀧エリ「痺れろ!“ 降雷幕(ライトニング・カーテン) ”」

キラキラキラж * ж * ж

バリバリバリッ!


螺旋軌道を描く酸の嵐と、絶対不可避の雷撃が菫に襲いかかる


姫エリ「はああああああ!」


さらに勢いを増す攻撃に、足場が崩壊しかかる


ドッゴオオオオオオオンッ!!!


最後に大爆発が起こり、辺り一帯が砂塵に包まれた


姫子「これで決まらなきゃ、お手上げね」ハァ、ハァ

瀧エリ「気圧が底をつきそーだよ」ハァ、ハァ

ヒュオオオォォォ………

77 : [saga]:2011/09/25(日) 00:19:12.40 ID:OM/9XbuAO
菫「今の攻撃が限界みたいですね」

姫エリ「!」


虹色の透過色の膜の向こうから、菫は平然とこちらを見て立っていた


姫子「ホント厄介ね、あの楯」

瀧エリ「やっぱり接近戦で行くしかないんじゃない?」

ド ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

姫子「なに……!?」

瀧エリ「くるしっ!」


有り得ない程に重い気圧が、2人を押し潰す

気圧の影響で、屋根には大きな亀裂が何本も生じていた


菫「忠告を無視した意味、分かってますよね………」ゴゴゴゴゴ


菫を守っていた半膜が昇華する


姫子「エリ、今なら!」

瀧エリ「“ 降雷幕(ライトニング・カーテン) ”」ж*ж*ж

バリバリバリバリ!


しかし電撃は、菫に届く前に気圧で相殺されて打ち消された

78 : [saga]:2011/09/25(日) 00:21:17.96 ID:OM/9XbuAO
瀧エリ「どんな気圧してんの!?」

菫「これまでの私は、本来の1/10程度の力しか見せていません。今から発動する技が、私の真の力です」スッ…


菫は右手を高く掲げた


菫「これが最後の攻撃です」

瀧エリ「キミにとってのね!」ザッ

姫子「アンタはアンタ自身の信念のために、私は仲間達のために。決着つけようじゃない!」ジャキン

菫「“ 七色の天葬剣(セブンスヘヴン・ワルキューレ) ”!」


空にかかった雲を裂き、想像を絶する大きさの、虹色に輝く大剣がゆっくり降りてきた

その大きさ故、まだ先端部分しか確認することができない


菫「この攻撃は私の全気圧の化身。アレを破壊できればみなさんの勝ちです」

「逆に言うと、破壊しない限り私は倒せません」

79 : [saga]:2011/09/25(日) 00:25:14.07 ID:OM/9XbuAO
姫子「………!」プルプル
(手が無意識に奮えてる。プレッシャーに押し潰されそうだわ)

瀧エリ「姫子………だいじょーぶ!」ニコッ

姫子「エリ?」

瀧エリ「だって私達にはまだ、“ アレ ”があるじゃん」ザッ

姫子「!」

「………まだ未完成だけど、やるしかないね」


姫子は全ての武器を解除する

バラバラになった鉤爪は、宙で一つの大鎌の柄へと形を変えた
さらにそこへエリの電撃が加わり、刃が形成される

姫子とエリは2人で武器を構え、空中に飛び出した


姫エリ「はあああああああ!!」

「“ ハルバード・ブレイカー ”!!!」

 カ ッ !


激しい光を放ち、空から迫り来る七色光の大剣と、電流ほとばしる刃が激突する

その後、広範囲に渡り、まばゆい光が全てを包み込んだ………
80 : [saga]:2011/09/25(日) 00:27:49.03 ID:OM/9XbuAO
ここまで!

明日も24時スタートの予定

見てくれてありがと!

さらばでございます!
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 02:17:27.79 ID:WNGTrmMB0

No1のあの強さからいって姫子達が0に勝てる道理が見当たらない…
下級生組でもムリだろうし澪律も戦闘不能になるだろうとして
土壇場でムギ説得側にまわってやられるってとこか?
唯はムギ戦にだけ集中してほしいし
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/09/25(日) 15:16:00.15 ID:l5wDSoZ5o
>>67
おかげさまで無事着いた!
田舎で読んでも面白かったww
83 : [saga]:2011/09/25(日) 22:19:29.72 ID:OM/9XbuAO
オレの書き溜めが………消えた!?

……明日の24時にさいかい!させてくだせぇ

本当にすまぬ!
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 22:21:43.39 ID:/29J8AYfo
なんてこと!?
連休最後の楽しみが奪われてしまった。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 00:40:19.34 ID:01gsIM8no
なん・・・だと・・・
無理しない程度にがんばっす
86 : [saga]:2011/09/27(火) 00:05:44.18 ID:GtKSUXOAO
お騒がせしました。申し訳ない

では、さいかいです!
87 : [saga]:2011/09/27(火) 00:07:30.14 ID:GtKSUXOAO
とう・おくじょう!



完全催眠を使ってもいない紬に、律は苦戦していた
紬の基礎能力が高すぎて、スピードが追いつかないでいたのだ


シュバ!

律「……ッ!」

ヒュン!

律「うぐっ……!」

ズバッ!

律「ぐあっ!」

紬「それ♪」ブン!

キィイン!

紬「!」ギチ ギチ

律「へ、ムギの行動パターン、だんだん読めてきたぜ!」ギチ ギチ


律は正面から、紬の刀を受け止めた


紬「………フフ、それは残像よ♪」

律「何!?」

ズバァア!


紬は律を背中から切りつける
深い傷を負った律だが、倒れることなく炎刀を握り、紬を睨んでいた


88 : [saga]:2011/09/27(火) 00:10:56.81 ID:GtKSUXOAO
律「卑怯な戦い方しやがって」

紬「これでも鏡花水月は使っていないのよ」チャキ

律「違う。トドメも刺さずに、ただ痛め付けるみたいな戦い方を卑怯だって言ってんだよ」

紬「律ちゃんの方こそ、さっきは大人数でかかってきたじゃない。それは卑怯じゃないって言うの?」

律「………ッ」

紬「いいのよ。そうしないと私には勝てないものね」

「だから私も、律ちゃんを痛めつける戦術で戦うことにするわ♪」

フッ!

律「!」


瞬間移動により姿を消した紬は、一瞬で律の目の前まで迫っていた
そして、振り上げた刀を律へと下ろす


律「くっ……!」ブン

紬「遅い」ヒュン!

ドシュッ!


律の右腕が、肩からごっそり切り落とされた

89 : [saga]:2011/09/27(火) 00:13:25.94 ID:GtKSUXOAO
信じられないものでも見るような目で、律は右肩に目をやる


律「いっ――――」

「うあああああああ!!」ドサ…


肩を押さえ、崩れ落ちる倒れる


紬「これで理解できたかしら?律ちゃんがいくら大層なことを言おうとも、力がなければ何もできない」

「そしてその力の根源とは即ち憎しみ。堕ちるとこまで堕ちなければ、世界は変えられやしないのよ」


屋上へ来る時に、律に開けた大穴へ向かって、紬は歩き出した


紬「弱者はそこで見ていなさい。世界が変わる瞬間をね」スタ スタ

律「……ま……て……よ」


律は、紫に燃える左手の炎刀を、地面に突き刺した

90 : [saga]:2011/09/27(火) 00:15:36.05 ID:GtKSUXOAO
律「“ 大噴火(エンライズ) ”」

ゴオオオオオオオ!!!

紬「………!」


直径数メートルの巨大な炎柱が、紬の足元から噴き出す

全身全霊を込めた一撃は、周囲の足場を熔かす程の火力を誇っていた


ボシュッ!


炎柱から、身を焦がした紬が飛び出す
流石の紬でも、この火力の前には無傷ではいられなかったようであった


紬「まだこんな力を隠し持ってたの?」シュウウゥゥゥ……

律「ちっとは効いたかよ?」ムクリ

ジュウウゥゥゥ


律は肩の傷口を、焼き焦がして止血した


律「覚悟しとけ。こんなもんじゃ、終わらせねーからよ」チャキン


紬へ向けて構えた紫炎の刀に、橙色の炎が覆いかぶさる
その炎は緋色に変色し、鍔(ツバ)のない鋭角三角形型の剣へと進化した

91 : [saga]:2011/09/27(火) 00:18:33.11 ID:GtKSUXOAO
律「これがクロスオーバー・チューニングの真の姿、“ 緋色の覇剣(スカーレット・クロス・セイバー) ”」

紬「」フッ


紬は高速で律の背後に移動する

紬「」ブン!

律「」サッ


律は上半身を屈め、横一線に切り裂いてきた刀を避けた
そこから素早く下段の回転切りを行う


紬「」フッ


紬は瞬間移動でその場から距離をとって、斬撃をかわした


律「おせぇよ」スッ

紬「!」


振り返るとすぐ後ろには、隻腕を体の横へ振りかぶった律がいた


律「」ブン!

澪「フフ♪」

律「!」

ピタ


律は紬に当たる直前で、刀を止めた
正確には、澪に扮した紬に動揺し、斬撃を止めざるをえなかったのだ

92 : [saga]:2011/09/27(火) 00:24:45.24 ID:GtKSUXOAO
紬「あまいわね!」ブン!

律「」サッ

スカッ!

律「」ズザザ


律はとっさに飛びのき、地面を引きずりながら後退する


律(見える。今ならムギの動きが見えるんだ………でも)

澪「どうしてんだ律?」

紬「やっぱり澪ちゃんの姿じゃ」

澪「戦いにくいか?」

律(偽者だって分かってても、やっぱり澪にだけは傷つけられねぇよ………クソ!これじゃ迂闊に手を出せねぇ!)

澪「行くぞ、律!」ダッ

ヒュン!

律「」サッ

澪「ハッ!」ブン、ブン!

律「」サッ サッ

澪「ハァッ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン!


超速の連続突きが律に襲い掛かる
だが律は、いっさい無駄な動きをせずに全てをかわし続ける


ヒュンヒュンヒュンヒュン――――

キィィイン!

澪「!」


弾き飛ばされた刀は、2人から少し離れた場所に突き刺さった

93 : [saga]:2011/09/27(火) 00:28:07.14 ID:GtKSUXOAO
律「」ブン!

澪「やめてくれ律!」

律「!」ピタッ

紬「フフフ……それぇ!」ブン!


紬は回し蹴りで律を蹴り飛ばす

律「ッ……」ヒュ―ン

「」クルン、ズザザッ…


律は空中で一回転し、体勢を立て直す


紬「面白いほど引っかかるわね。私は澪ちゃんじゃないって分かってるのに」

律「うるせー。ちょっと油断しただけだ」チャキッ

紬「本当に油断しただけかしら?」

律「何だと……?」

紬「律ちゃんは、澪ちゃんを切れないんじゃないの?」

律「くっ………」

紬「でもおかしいわね。澪ちゃんはあなたを刺したのに、それでも澪ちゃんを切れないというの?」

律「澪が私を切ったのは、ムギが何かしたからだろ」

紬「私は本来の澪ちゃんを解放しただけ。つまり澪ちゃんは、本心では大親友のあなたにすら、刃を向けるのをいとわなかったということよ」

94 : [saga]:2011/09/27(火) 00:30:11.67 ID:GtKSUXOAO
律「違うッ!澪はそんなことするヤツじゃない!」

紬「何を根拠に言ってるの?澪ちゃんの本性は、現に行動に表れてるじゃない」

律「違う違う違うッ!」

紬「………目の前の現実を受け止めず、都合のいいように解釈しようとする。あなたは弱い人間よね、律ちゃん」

「澪ちゃんという心の隙を突けば、その闘志すら簡単に折ることができる」

「あなたの言う“ 仲間 ”などというくだらないもののせいで、迷いが生じ、刃が鈍るのよ」

律「違う………私は仲間がいたからここまで戦ってこれたんだ」

紬「またキレイごとでも言うつもり?あなたの御託はもう聞き飽きたわ………それに」

「律ちゃんの言ってることは虚言、妄言に過ぎないわ。本当は自分でも分かってるんじゃないの?」

律「ちが――――」

紬「違ってなんかいないわ」スタ スタ


紬は執拗な言葉攻めで律を精神的に追い詰める
そしてゆっくり律に近づいて行く

95 : [saga]:2011/09/27(火) 00:32:32.97 ID:GtKSUXOAO
紬「綺麗に着飾った言葉で上手くみんなをまとめてきたつもり。だけど本当は、自分に言い聞かせていただけよ」スタ スタ

律「………!」

紬「自分に言い聞かせることで、平常の自分を保っていた。違う?」スタ スタ

律「…………」

紬「聡君が殺されて、HTTの絆もバラバラになって………。いくら気丈に振る舞っても、耐えられるハズないものね」スタ スタ

律「…………」

紬「本当は辛い、苦しい。けど自分が折れたら誰がみんなをまとめるのか?みんなバラバラになっちゃうんじゃないか?」

紬「そう。律ちゃんは部長という立場においても、見えない重圧をかけられていたのよ」スタ スタ

律「…………」

紬「今までよく頑張ってきたじゃない。だから、そんな律ちゃんにはご褒美をあげるわ」スッ…
律「………?」

紬「“ 砕けなさい 鏡花水月 ”」


律を取り囲むように、澪や聡、そして仲間達の幻影が現れる

96 : [saga]:2011/09/27(火) 00:36:04.98 ID:GtKSUXOAO
澪「律、もう頑張らなくてもいいんだ」

聡「オレ達なら、ずっとねーちゃんの傍にいるから」

律「………澪……聡……」

唯「律ちゃん、もう十分だよ」

梓「今までご苦労様でした、律先輩」

律「これは偽者だ………こんなもんに……誰が騙されるかよ」

さわ子「もう戦うのはやめにしましょう、律ちゃん」

律「にせ……もの………だ………」

姫子「ほら、いつまで武器構えてんの?」

瀧エリ「物騒だから、早く下ろしなよ」

律「くっ………!」

純「こっちに来れば、何でも律先輩の思い通りになるんですよ!」

いちご「嫌なことなんて、何もないから」

律「…………」

聡「ねーちゃんもこっちに来いよ!」

憂「こっち来れば、幸せになれますよ!」


97 : [saga]:2011/09/27(火) 00:37:10.47 ID:GtKSUXOAO
律「偽物の世界で……幸せになんてなれるわけねーだろ」

梓「例えそれが偽りの世界でも、残酷な現実を生きるよりはマシですよ」

律「辛い現実だからこそ、逃げずに立ち向かって生きてかなきゃなんねーんだ………」

紬「まだ言うの?もう痩せ我慢はしなくていいの。見てるこっちが辛いわよ」

唯「そうだよ、律ちゃん。大体そっち側には何があるってゆーのさ?ただ辛いだけじゃん」

純「もう無理しないでください」

律「…………」

澪「どうした律?早くこっちに来いよ」

梓「みんな待ってますよ!」

さわ子「このチャンスを逃したら、律ちゃんは永遠にそっちの世界で生きていくことになるのよ?」

律「………!」

98 : [saga]:2011/09/27(火) 00:38:12.96 ID:GtKSUXOAO
紬「私のプロジェクトは既に最終段階を迎えたわ。いくら頑張っても、もう止められやしない」

「だからさっさと諦めて、こちらの世界に来なさい」スタ スタ


紬は、俯きながら立っている律のすぐ傍で足を止め、炎剣を持つ手をそっと下げさせた


澪「そうだ律。それでいいんだ」


そして紬は、律の耳元で囁くように話しかける


紬「もう頑張るのはお終い。もうすぐ、全てが終わるんだから………」スチャ


刀を逆さに持ち、その力を解き放つ


紬『砕けなさい 鏡花――――』

律「………かかったな」ボソッ

紬「水げ――――!?」


視界の隅に、真紅に輝く炎刀が映る


ドゴオオオオオオオオオオオ!!!

99 : [saga]:2011/09/27(火) 00:41:06.17 ID:GtKSUXOAO
ここまで!

次は水曜の24時めどに見当をしてるよ。変更するかもしんないけど

見てくれてありがと!

おやすみんこ!
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 01:10:31.93 ID:sJ9Nuttg0
乙 
そういやムギは崩玉的なブーストアイテムあるのかしら
普通に音解でもいいけど
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 22:45:59.81 ID:4TQl2SOvo
乙乙
102 : [saga]:2011/09/28(水) 01:08:31.93 ID:BbjcEouAO
どうもです

明日再開するんですが、その前に1つ、お知らせ!

今更過ぎるんですが、このSSの時間系列は 唯・3年時 に、ていせい!

こっちの方がいろいろと都合がよろしいんですなぁ

ご迷惑おかけして誠に申し訳ありませんが、ご理解とご協力をお願いします

103 : [saga]:2011/09/29(木) 00:06:33.56 ID:C9n0klsAO
さいかい!
104 : [saga]:2011/09/29(木) 00:10:15.01 ID:C9n0klsAO
足場となっていた屋根は跡形もなく吹き飛び、空にはキノコ型の爆炎が上がる

爆発が収まった後も、辺り一面は大炎上していた


紬「うっ………けほっ、けほ」スタン


足場が無くなったため、もといた場所より少し上方の空中に、紬は着地した

服は所々が破けており、全身に相当大きなダメージを受けているようだった


紬「危なかったわ………一瞬でも気圧で防御するタイミングがずれていたら、今頃は………」


膝を折り、未だ燃え盛る炎を見下ろして一呼吸入れる紬

だがその後ろ、紬よりさらに上空からは大の字になって飛び掛かってくる影があった


紬「―――!」サッ

律「“ 炎縛鎖(エンチェイン) ”」ブン!


105 : [saga]:2011/09/29(木) 00:12:24.87 ID:C9n0klsAO
離れた場所から繰り出された斬撃からは、鎖状の炎が紬を捕えんと、何本も飛び出してくる
紬はそれらを切り落とそうとするが、切り裂かれた炎はまた繋がり合い、最終的には紬を締め上げた

また爆発を仕掛けた張本人である律も、衣服が数ヶ所、破けていた

紬の捕縛が完了した頃合いを見て、紬の前に降り立った


律「刀は使わせねーからな」ブン!


身動きを封じられた紬は、簡単に刀を叩き落とされてしまう
刀は地面に落下して行き、やがて見えなくなった


律「無敵の律ちゃんに、あんな小細工効かねーよ」

紬「ずいぶん上手く騙してくれるじゃない」

律「ムギにまともに攻撃できるのは、あのタイミングしかないと思ってな」

「だがな、卑怯だなんて言わせないぜ。お前はそれ以上に卑劣なマネをしてきたんだからな」


律は左手の炎を拳に纏わせた


律「今度はツッコミじゃ済まねーぞ。歯、食いしばれ」ゴゴゴ

紬「…………」

律「行くぜ」

パシィンッ!


106 : [saga]:2011/09/29(木) 00:13:49.81 ID:C9n0klsAO
拳で殴るのかと思いきや、律は紬の頬を力一杯ひっぱたいた


紬「………気が済んだかしら?」

律「まだまだ足りねーよ」

紬「あらそう。なら、気の済むまで叩きなさい。いくらで気が済むのかは知らないけど」

律「ムギ………テメェの方こそな」

「一体どれだけの人の人生を狂わせれば気が済むんだよッ!?」ガシッ


律は、紬の胸倉に勢いよく掴み掛かる


紬「………大いなる行いには代償がつきもの。彼らは平和の為の尊い犠牲になったのよ」

律「………ッ!」

紬「世界を統一するためには、障害や不安定要素は徹底的に廃除しなければならなかったの。これでも無駄に奪ってきた命は1つもないつもりよ」

律「たいそう危険な思想だこった。その狂った考え方も、ムギが抱えてる憎しみと関係あんのか?」

107 : [saga]:2011/09/29(木) 00:18:28.03 ID:C9n0klsAO
紬「確かに。あんな事件がなければこんなこと、思い付きもしなかったでしょうね………」


律は紬から手を離した


律「………私は執事のじーさんに誓ったんだ。お前を憎しみから救い出すってな」

紬「そんな甘い考えで私を生かしておけば、後悔することになるわよ?何があろうと私は止まらないもの」

律「だろうな。だからなムギ、私はお前を殺すよ」ゴオオオ


律は再度、左手に炎剣を出現させた


律「お前を苦しめるこの世の全てから……憎しみから解放してやる。そして憎しみの連鎖をここで、断つ!」

紬「本気で来なさい。簡単にやらせはしないわよ?」ゴゴゴゴ


紬は気圧を発することにより、炎の鎖を強引にちぎろうとする
108 : [saga]:2011/09/29(木) 00:20:18.09 ID:C9n0klsAO
律「これで終わりだ」


飛び下がって間を取った律は、左手の剣を空高く掲げた
すると律を中心に、炎の波紋が同心円状に何度も広がる

さらに、丁度律のいる真上の空間に重力場が発生したかのように、一点に炎が集まってゆく


紬(まるで小さな太陽ね。正面からぶつかれば間違いなくやられるわ………)


鎖はまだ紬を押さえ込んでいた


律「」シュタッ!


律は一歩下がって空を蹴り、前回りに一回転しながら球形の炎を切る


律「“ ストライク・ブレーザー ”!!!」ズドオオオオオ!!!


火球は、切られた箇所から炎剣に纏わり付いていき、律は勢いをそのままに紬に切り掛かる

その姿はさながら、緋く燃え上がる流星のようだった


律「うぉおおおおおお!!!」

紬(――――!)

ドゴオオオオオオオオオオ!!!


空を覆っていた雲が、爆心地の上空のものから円形に穴が開き、広がりながら吹き飛ばされてゆく
続いて山一個分ほどの炎の海が、夕暮れ時の空を赤く照らし出した

109 : [saga]:2011/09/29(木) 00:21:57.28 ID:C9n0klsAO
律「ハァ……ハァ。気圧をほとんど使い切っちまった」シュウウゥゥゥ…


大炎海の中立ち尽くす律は、音解まで解放が解けていた
この状態を保っているのが精一杯なのであろう、腕の炎も消えかかっていた


律「この攻撃なら完全催眠なんて関係ねー。近くにいりゃ、絶対巻き込まれてるハズだからな」

「それに、この炎は触れただけで灰にしちまう程の力を……持ってる……から……な」フラッ


めまいと同時に、律は膝を折ってしゃがみ込む


110 : [saga]:2011/09/29(木) 00:25:59.07 ID:C9n0klsAO
律「終わった……これで全部、終わったんだ………」

(さわちゃん、聡、じーさん。みんなの想いが私に力を与えてくれたんだ。ありがとうな………でも)


律は少し俯く


律(本当にこれでよかったのかな?ムギの魂は……救ってやることができたかな?)

(………いや、いいんだ。これで――――)スッ


ゆっくり立ち上がり、中央塔を見据える


律「さてと、次は澪の目を覚ましに行かなきゃな」ヒュン!

ゴオオオ


左手を振ると、緋い炎刀が出現した
改めて武器を手にした律は、空を蹴り、炎熱地帯から脱出する

そして、そのまま塔へと急降下しようとした


律(お別れだ………じゃあな、ムギ――――)

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

律(!?)

紬「お疲れ様でした〜♪」シャランラ♪


炎の向こうから、ボロボロの衣服を身に纏い、何ヵ所もの火傷を負った紬が出てきた

111 : [saga]:2011/09/29(木) 00:29:23.80 ID:C9n0klsAO
律「なんで……まだ生きてられんだよ!?」

紬「律ちゃんの限界の力ですら、私には到底及ばなかったというだけのことよ」スッ

紬「ほら、こんな風にね♪」


紬が近くに燃えている炎に手を伸ばすと、炎が避けるようにして消えて行く


律「嘘……だろ………」

紬「嘘と言えばさっき………」コツ コツ


紬は一歩一歩、律に近づいていく


紬「さっき律ちゃんは、私の創る世界が偽物だと言ったわよね?」

律「そいつが何だってんだ?」チャキッ

紬「偽物が本物を超えた時、どうなると思う?」コツ コツ

律「知るかよ」

紬「答えは簡単………」スッ


逆さに持った刀を前に掲げる

112 : [saga]:2011/09/29(木) 00:32:55.36 ID:C9n0klsAO
紬「偽物が本物に成り代わるのよ」ゴ ゴ ゴ ゴ

律「………!?」ゾクッ
(この気圧……異質過ぎる!こりゃあ、もはや気圧なんてモンじゃねー!)


あまりにもおぞましい気圧に底知れぬ恐怖を覚え、律はその場に立ちすくむ
この圧倒的威圧感の前では、たとえ律以上の強者であろうとも、一歩たりとも、いや、指一本動かすことができないであろう
律の頬を汗が伝う


紬『  音  解  』ズゴゴゴゴゴ

律「―――――ッ!」

「くっそぉぉおおおおおおお!!!」


背景の空では、太陽が夕闇に沈みかけていた………
113 : [saga]:2011/09/29(木) 00:35:34.08 ID:C9n0klsAO
ここまで!

次は、土曜あたり
正確な時間は追って連絡します

見てくれてありがとう!

さらばー
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 01:01:19.19 ID:mWwA0ibF0

ゆいー早く来てくれー
http://nicoviewer.net/sm13951824
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 12:02:38.15 ID:s7JduNFDO
ムギと澪のデスマスクを拝める日は来るのだろうか
116 : [saga]:2011/10/02(日) 00:47:39.81 ID:r5936lIAO
遅くなりましたが、さいかい!
117 : [saga]:2011/10/02(日) 00:50:07.51 ID:r5936lIAO
とう・さいじょうかい!



どこまで見渡しても一面が濃い紫で埋め尽くされている
澪の音圧により作り出された異次元空間に、梓と純は幽閉されていた


純「梓ァア!!!」


梓を閉じ込めていた黒紫の球体が霧の如く、消えてゆく

中には、全身血まみれの梓がうつぶせで倒れていた


純「」タッタッタッ


梓のもとへ急いで駆けつけ、抱き起こすが、既に息はなかった


澪「考え無しに突っ込んでくるからこうなるんだ」


嘲笑うかのような口調の澪は、純の上方で、上半身だけを歪んだ空間から出現させている


純「いやだよ……そんな……憂だけじゃなく梓まで―――」

(………!)


118 : [saga]:2011/10/02(日) 00:52:12.84 ID:r5936lIAO
澪「さあ、お前もあの世へ送ってやろう」


幾千の刀が宙に現れ、切っ先を向けて純をぐるりと囲む

妖しく紫に輝くその刃は、今にも襲い掛かってきそうな雰囲気を醸し出している


純「………」スッ


純は立ち上がって辺りを見渡し、状況を分析する


純(もしかすりでもしたら、呪いにかけられて五感を失うんだったよね………って、この数多過ぎ!)

澪「安心しろ。確実に仕留めてやるさ」

「“ C白銀の魔召来(カースドミラージュ・カースドコール) ”」

シュババババババババババ


刀が一斉に飛び掛かる


純「…………」

澪「フフ」

純「…………」

澪「フフフ」

純「………エヘヘ」ニヤッ

澪「フフフフ……―――は?」

パキパキ……パキキ


全ての刀が凍りついてゆき、勢いを失う
減速した氷塊は、純が起こした風で吹き飛ばされた

119 : [saga]:2011/10/02(日) 00:53:16.81 ID:r5936lIAO
澪「な………これはまさか―――」

梓「」バッ


澪の背後に氷の竜を纏った梓が迫っていた


梓「“  氷  閃  華  ”」ヒュン!

ズニュウウゥゥゥ

梓「!」
純「え!?」


澪ごと空間が歪み、渦巻き状にねじれていった
不発に終わった氷刀の斬撃は霜を散らしながら虚しく空を裂く

歪みと共に消えていった澪は、今度は2人の上方に出てきた


澪「なるほどな」チラッ


フェイクの梓に目をやると、ピキピキと音を立ててヒビが入った後、氷のように砕け散った


梓(一度きりのチャンスだったのに………!)

澪「相変わらずいい動きだ。だけどな、どんな攻撃を仕掛けてこようとも、お前達が私に傷を付けることは一度たりともない」

純(隙ができた………)スッ


純は澪から死角になっている後ろに右手を回し、風を操る

120 : [saga]:2011/10/02(日) 00:54:19.30 ID:r5936lIAO
澪「何故なら今の私はこの空間であり、この空間が私自身だからだ」

純(………“ 乱風絶刃 ”)ヒュオオオ…

澪「それに私には“ 音圧 ”がある。初めから結末は決まってい――――」

純「とりゃ!」ブン!

ヒュゴオオオオオオオオオオ


純は手の平で作った小さな竜巻を投げつける
すると、竜巻はあっという間に大型台風サイズに拡大し、澪を巻き込んでさらに成長する

竜巻の内部、台風の目となる部分では真空の刃が渦巻いており、澪はそこで攻撃を受け続いていた


純「よし!」グッ

梓「今度こそ……」


しかし………


澪「呆れた。これだけ言ってもまだ分からないなんてな……」

梓純「!」


荒ぶる風で中の様子は見えないが、確かな声が聞こえてくる

121 : [saga]:2011/10/02(日) 00:58:35.01 ID:r5936lIAO
バシュウウゥゥゥ

澪「………」ヒュオオオ


黒い竜巻で純の風を相殺させた澪は、何食わぬ顔でそこに居座っていた
やはり、その身体のどこにも傷など1つも見当たらない


梓「………っ!」チャキッ
(今見えてる澪先輩は幻影?ならどこかに本体が………)


梓は目を閉じて、空気中の水分を頼りに澪の気配を探る
だが、異次元空間そのものである澪に対してその行為は意味を為さない


梓(………何も感じない。なら“ 心眼 ”で目の前の先輩の正体を見極めてやるです!)


梓は再び目を閉じ、心を研ぎ澄ませる


澪「………!」
(精神に干渉してきたか!だが―――)

122 : [saga]:2011/10/02(日) 01:00:09.53 ID:r5936lIAO
〜澪の精神世界〜



精神世界に入った梓は、外の世界と同じ光景を目にしていた


梓「潜入成功!ってことは、あれはやっぱり澪先輩本体だったんだ」

「それにしても何もないなー。これじゃ、こっちに来た意味ないんだけど………」

澪「よう、梓」ズズズ…

梓「!」


澪は時空の渦から上半身だけを出し、梓の前に立ち塞がる


梓(どうして澪先輩がここに!?)

澪「おいおい、ここは私の世界なんだぞ。外と同じで、な」

梓「なッ!?」
(心まで読まれてる!)

澪「フフ、お前の考えが手に取るように分かるぞ」ニヤリ

梓(まさか心眼が破られるなんて………早くこの世界から脱出しないと!)

澪「人の心に勝手に入って来て、タダで帰れると思うなよ」バッ


澪は両手を梓へ向ける

すると、梓は不意に足首を掴まれたような感覚を覚えた

123 : [saga]:2011/10/02(日) 01:01:52.24 ID:r5936lIAO
梓「え!?何――――ひっ!」


足元には、紫色の亡者達が何体もうごめいていた

亡者共は梓にしがみついてゆき、身動きを封じられる


梓「くっ……お願い、むったん―――!」スッ


梓は刀を掲げ、冷気を放つ


澪「ふん、馬鹿め」

バリイィィン!

梓「え………!?」


頭上の刀が粉々に砕け散った
同時に身に纏った氷竜も消滅する

障害を失くした亡者達は、梓の体に這い登っていく


梓「いっ……いやー!離して!」

澪「前言撤回だ、梓。私はお前のことを買い被り過ぎていたみたいだ」

梓「うぅっ……!」ズニュウゥゥ
(逃げられない!)


梓は足元にできた渦に引きずり込まれてゆく

いくら抵抗しようとも、生身では亡者達を引きはがすことはできなかった

124 : [saga]:2011/10/02(日) 01:06:30.53 ID:r5936lIAO
澪「お前にはもう、カケラ程の興味もないよ。永遠の闇に葬り去ってやろう!」

梓「………ッ!」キッ


既に下半身は引きずり込まれていたが、上半身だけになっても梓は抵抗を続ける


梓(駄目だ………力が……入らない)


音圧の障気は、音楽の力を解放していない梓の体力を蝕み始めていた


澪「さようなら。不出来な後輩演奏者(アーティスト)」

梓(くっ――――)

(―――――!)


為されるがままに首の所まで引きずり込まれた梓は、澪の後方に人影を発見する

かなり遠くてはっきり見えないが、どうやらこちらに背を向けて倒れているようだ


梓(あれは――――)

亡者「ウォオオオ!」ガッ

ズルズルズル………

125 : [saga]:2011/10/02(日) 01:08:25.17 ID:r5936lIAO
ここまで!

次回の更新予定は、とりあえず、明日の24時までに連絡します

見てくれてありがと!

寝る!
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/10/02(日) 06:57:10.14 ID:2aWocmyvo
乙でしたー。
人影誰だか気になる…リタイアした誰かかな?
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 08:04:32.01 ID:4V+O/98w0

倒れてるのはHello Little Girl的な…?
128 : [saga]:2011/10/02(日) 23:23:47.41 ID:r5936lIAO
あと1時間弱でさいかい!

ただ、縄跳びで誤爆して放屁した時の放出量程度しか投下できないので、ご覚悟くだせぇ
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 00:03:22.19 ID:BFDl4ss7o
縄跳びで放屁しまったら、かなり短いがかなり大きな音が出るぜ!

楽しみにしてます
130 : [saga]:2011/10/03(月) 00:35:17.22 ID:iAo5MSwAO
さいかい!
131 : [saga]:2011/10/03(月) 00:38:03.93 ID:iAo5MSwAO
いじげんくうかん!



梓「…………」フラッ

純(………!)チラッ

「梓!」ダッ


バランスを崩して倒れ、奈落の底へと落ちて行く梓の元へと駆け寄る

腕に抱いた梓は虚ろな目を開けたまま、気を失っていた


純(何が起こったのかは知らないけど、まだ息も脈もある……ちょっと休ませれば………)

澪「そいつはただの人形になったのさ。二度と目は醒まさないぞ」

純「信じられませんね。今の澪先輩の言葉は」

澪「私の精神世界で梓を殺したんだ。体は生きてても、心はとっくに死んでいる」

「これで残るはお前1人だ。他の奴も今頃は始末されてるだろうからな」

純「梓はまだ死んでなんかいません!それに他のみんなだって!」ヒュオオオ


風のクッションに梓を乗せ、純は澪に立ち向かう


澪「目障りだ。一瞬で消し去ってやる」スッ


高く挙げた左手の先端に、黒い風が渦を巻いて吹き荒れる

132 : [saga]:2011/10/03(月) 00:40:24.00 ID:iAo5MSwAO
純「その技は……さっきの私の………!」

澪「思い上がるなよ。私の攻撃は低劣な気圧なんかじゃなく“ 音圧 ”だ。喰らえ――――」バッ

「“ C白銀の魔衝波(カースドミラージュ・イビルストーム) ”!」ヒュゴオオオオオ

純(くそっ……後ろには梓がいるってのに!)
「“ 乱風絶刃 ”!」バッ

ヒュゴオオオオオオオオオオオ


激突した2つの竜巻が凄まじい乱気流を発生させる


純「くっ!」
(押されてる……このままじゃ梓まで――――)


両手を竜巻に向けて粘るが、やはり音圧には敵わない
黒い渦は純の旋風を巻き込み、さらに大きさを増して迫って来た


133 : [saga]:2011/10/03(月) 00:41:02.47 ID:iAo5MSwAO
純「―――――!」
(こうなったらせめて梓だけでも!)バッ


片手を梓の方へ向け、風を使って梓を危害の加わらない所まで運ぶ

だが梓を運び終えた直後、純は竜巻の餌食となった


純「キャアァアアッ!!!」

ズバババババババババババ


顔を伏せて両手で体を庇うが、無惨にも全身を隈なく切り刻まれていく………


純(梓、ゴメン。来年軽音部に入るって約束、守れそうにないや………)

134 : [saga]:2011/10/03(月) 00:45:44.68 ID:iAo5MSwAO
ここまで!

次は明日の20時までに連絡します

見てくれてありがと!

オ ヤ ス ミ
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 06:46:05.66 ID:+bNJWrvVo
乙でした。
個人的には、純ちゃんの悲鳴は「うわあああ」の方がしっくりくるw
136 : [saga]:2011/10/03(月) 22:54:22.89 ID:iAo5MSwAO
連絡遅れてゴメン!
今日は調子が悪いから、明日の24時に再開します

>>135
ご指摘ありがと!

最近のきららのせいで純ちゃんのイメージが若干変わってきた
能内補完よろしく頼んます
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 21:02:24.32 ID:heflAhTj0
気圧=硬貨
音圧=金塊
紬、斎藤、律の巨大な気圧=札束
ってイメージだな
138 : [saga]:2011/10/05(水) 00:17:31.03 ID:0Z2MT2sAO
>>137
そうすると、そげぶーは五円玉チョコか子供銀行券ですかな?

何はともあれ、さいかい!
139 : [saga]:2011/10/05(水) 00:22:13.23 ID:0Z2MT2sAO
〜澪の精神世界〜



梓(………!)ハッ!


目を覚ます梓

音も光も感覚も何もない世界
梓は今、まさに“ 無 ”という言葉が相応しい状態にあった


梓(今、純の声が聞こえたような………それよりも私、どうなったんだろう)


意識だけが存在している奇妙な感覚に、梓は少し戸惑う


梓(もしかして私、死んだりなんてしてないよね)

――――大丈夫。梓はまだ生きてるよ

梓(!)


もはやどの器官で受け取っているのか分からない
だが確かに、声が梓に語りかけてきた


梓(その声は……)

パァアア――――――――

梓(ま、眩し!)


光が意識を別の場所へ連れて行く

140 : [saga]:2011/10/05(水) 00:26:46.38 ID:0Z2MT2sAO
気が付くと梓は、たくさんの縫いぐるみやクッションに囲まれていた

ピンク色の壁紙が印象強い子供部屋、そこはかつて澪が音解の修行時に訪れた場所だった


澪「よく来たな、梓」

梓「澪……先輩?」

「……ハッ!」サッ


さっきまでの戦いの記憶が脳裏をよぎり、梓は思わず身構える


澪「待ってくれ、私は本物だ!」アセ アセ

梓「どうでしょうね。私が油断したところを一気に突いてきたりして………ん?」


山積みになっているクッションの中、一冊のノートを見つける
梓は手に取って中身を確認する


澪「そ、それは!」

梓「えーと、『壊れやすいハート フリルで飾るたびキュンで鳴いちゃう』」

澪「や、やめろぉ」

梓「『 たとえばショコラより甘い甘い恋にいつか出逢う日を夢見てる………』」

(…………)

澪「見るなぁー!」ダダダッ

梓「え、あ、ちょっ」

ドスン!

141 : [saga]:2011/10/05(水) 00:32:04.81 ID:0Z2MT2sAO
梓「いたた……」サスリ サスリ

澪「あ、ゴメンよ、梓」

梓「だ、大丈夫です。そういえばここはどこなんですか?」


澪「私の精神世界だよ。ここだけはまだ、あいつに気付かれていないみたいなんだ」

梓「じゃあこの部屋にある物って全部………」

澪「///」ボン!

梓(この反応………)
「どうやら先輩は本物みたいですね」

澪「信じてくれるのかぁ!」パァッ

梓「なら、私が外で戦ってたのは誰なんですか?」

澪「実はそれも私自身なんだ」

梓「?」

澪「私はムギの力で、唯への嫉妬心を利用された。そうして生み出されたのが奴なんだ」

「エリザベス……私の楽器が教えてくれたんだが――――」

「音圧の領域に踏み込んだ上級演奏者(プロアーティスト)は、苦悩や葛藤、憤り……そういった負の感情(メンタル)エネルギーを背負うことになる」

「そして、それの増大が心の闇に繋がるんだ、と。多分、唯もそれに苦しめられていたんじゃないかと思う」

142 : [saga]:2011/10/05(水) 00:37:35.82 ID:0Z2MT2sAO
梓「………唯先輩が律先輩と戦ってた時ですか?」

澪「その時がピークだろうな」

「で、そいつとの戦いに負ければ、身体を乗っ取られてしまう」

梓「それじゃあ澪先輩は………」

澪「私は自分自身に負けた。フェイクを残して、醜い自分から逃げ出してしまったんだ」

梓(あの時倒れていた人影は澪先輩の技だったんだ)

澪「私が不甲斐ないばっかりに、梓達を危険な目に合わせてしまった………本当に済まない」


梓は首を横に振る


澪「梓………」

梓「澪先輩のせいじゃありませんよ。それに安心しました」

澪「?」

梓「あれが偽物の澪先輩でよかったです。先輩がみんなを裏切ったんじゃないと分かったから。それに」

「これならまた、元通りの澪先輩を取り戻すことができますから!」ニッコリ

澪「!」

「………ありがとうな、梓」

143 : [saga]:2011/10/05(水) 00:42:44.93 ID:0Z2MT2sAO
澪「正直、奴に勝つのは諦めていたよ。でももう逃げない!奴を倒して自分を取り戻す!」

梓「私達も、澪先輩を必ず取り戻してみせます!」

グラグラグラグラグラ

澪「!」

梓「地震!?」


揺れが収まると、壁に取り付けられた扉から障気が漏れ出てきた


ドア「」ギイィィ…

澪?「見つけたぞ」

澪「………!」
(しまった!もう気付かれたのか)

梓「お前は!」

澪「梓、早く脱出しろ!ここからなら外に出られるはずだ!」

梓「でも澪先輩が……」

澪「私に構うな!早く行け!」

梓「ッ!………分かりました」ダッ!

144 : [saga]:2011/10/05(水) 00:43:43.96 ID:0Z2MT2sAO
澪?「逃がすものか」スッ


空間と融合し、上半身だけの偽者
彼女が手を伸ばすと、紫の音圧が壁や床を侵食しながら梓に近付いて行く


澪「やめろ!」ダッ

キィン!


2人の澪が刀を交える


澪?「お前も馬鹿な奴だ。私に勝てないのは分かっているだろう?」ギチ ギチ

澪「何もせずに諦めるくらいなら、例え勝てない相手だろうと最後まで戦ってやる!」ギチ ギチ


澪の妨害により、梓は脱出に成功する


澪(上手くいったみたいだな。梓、頼んだぞ!)

145 : [saga]:2011/10/05(水) 00:45:36.23 ID:0Z2MT2sAO
ここまで!

明日の24時までに、また連絡します

見てくれてありがと!

ありがと!
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/10/05(水) 05:51:54.41 ID:V5FoCOhvo
>>145
乙でした!
なるほど展開が巧みだ…続き楽しみにしてます。
147 : [saga]:2011/10/05(水) 21:30:05.93 ID:0Z2MT2sAO
き、今日のじゅ、12時にさ、さ、さいかいするんだなぁ
148 : [saga]:2011/10/06(木) 00:11:51.94 ID:NZztAplAO
さいかい!
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 00:13:12.80 ID:GfaabaMpo
再会!ワクテカ
150 : [saga]:2011/10/06(木) 00:14:11.31 ID:NZztAplAO
いじげんくうかん!



梓「」パチッ

(よかった。戻ってこれたんだ)


梓は風に煽られ、宙に浮いていた
解放は解けている

また、遥か遠方には巨大な黒い竜巻が猛威を奮っていた


梓(純が危ない!)


梓は相棒のムスタングに手を掛ける


梓(待ってて純、今助けに行くから)

『  音  解  !!!』ズゴオオオオ!


バサッ!

151 : [saga]:2011/10/06(木) 00:15:46.47 ID:NZztAplAO
その頃純は………


ズババババババババババババ

純(そろそろ……限界かな)ビュウウウ


朦朧とする意識の中、攻撃を受けながらも残りわずかな力で逆風を作り出し、必死の抵抗を試みていた


「………はぁぁあああ!」

純(?……何だろう)


暴風の外から何かが近付く気配を感じとる


梓「“ 氷 閃 華 ”!」ヒュン


蒼い光を放つ彗星が嵐の中心部へ飛び込んできた


純「あず……さ……!」

梓「はぁああああ!」ブゥン

パキパキパキパキ!


自分を軸に刀を一周させると、荒ぶる風が、刀が通過した部分から凍り付いていく


澪「チッ、もう戻ってきたか」


澪の前にはキラキラ輝く氷柱が完成していた


152 : [saga]:2011/10/06(木) 00:18:20.26 ID:NZztAplAO
こおりのなか!



純「梓が無事で……よかった」


梓に支えられている純は、氷の床に寝かされる

2人は氷柱の内部に開けた空洞に身を潜めていた


梓「ありがとうね。純が私を遠ざけてくれたおかげで、まだ私は戦える」

純「へへ……この貸しは……後で返してもらうからね」グッタリ

梓「もう、こんな時にまで………」
(こんなになるまで無理して………。早く手当てしないと)


澪『おい!いつまで待たせるつもりだ?』


急かすように、外から澪が呼びかけてくる


梓「すぐに戻る。だから行ってくるよ」

純「1人で………大丈夫なの?」

梓「私の心配はいいから、ゆっくり休んでて!それに、一人で戦うわけじゃないから」

純「?」

梓「澪先輩も戦ってるんだよ。私達と一緒に」

153 : [saga]:2011/10/06(木) 00:19:36.07 ID:NZztAplAO
梓「さっき先輩の精神世界に侵入した時、本物の澪先輩に会ったんだよ」

純「本当…に……!?」

梓「うん!だから唯先輩の時みたいに戦いに勝てれば、おそらくは」

純「澪先輩を取り戻せる!」


ピキピキッ

梓純「!」


高濃度の音圧が氷の壁を侵食する


梓「行ってくるね」


梓は亀裂が入った箇所を眺めると、純を残して歩き出した

154 : [saga]:2011/10/06(木) 00:22:03.55 ID:NZztAplAO
こおりのそと!



バリイィィン

澪「出てきたか」

梓「………」


氷柱の一部に開けた穴に立ち、澪を見上げる梓


澪「さっきは命拾いしたな。脆弱者の原種が私から逃げおおせていたおかげでな」

梓「………」

澪「まあ、お前が生き延びれるのも時間の問題―――――」

スパァッ

ブシュウウウウ!

澪「なッ!?」


突如澪の右肩に斜めに入った切れ口から、勢いよく血が噴き出す

精神世界で戦闘中の本物の澪が繰り出した一撃が、現実世界にリンクしていたのだ


梓「脆弱者?一体誰の話をしてるんですか?」バッ


澪と同じ目線の高さまで飛翔する梓
ゆっくりと刀を掲げ、全身から気圧を解き放つ

傷を押さえる上半身だけの澪は、蒼い光を放つ梓の神秘的な姿に見取れていた


155 : [saga]:2011/10/06(木) 00:23:05.38 ID:NZztAplAO
澪(何をする気だ………?)

パキ…パキキ……パキパキパキ


紫一色に染まる空間に氷のフィールドが形成されてゆく
床、壁、天井と出来上がって行き、見渡す限り一面の氷雪世界が降誕した


梓「“ 氷河期の再来(グレイシャス・メモリー) ”」ビュゥウウウ!


冷たい風が2人の間を吹き抜ける


澪「こんなものを作るために気圧を消費したのか?とんだ無駄足だな」

梓「」チャキッ、ブン!

バサッ


傾けた刀を振り下ろし、氷の翼を羽ばたかせて澪に向かって行く


澪「学習能力の無いヤツだ………」

「“ C白銀の暗無絶光(カースドミラージュ・ナイトハザード) ”!」バッ


時限の狭間から現れた漆黒の闇が、津波となって迫り来る


梓「“ 氷帝流波 ”!」ブン

ズドドドドドドドドドド


雪崩が大波となって、闇の波動を迎え撃つ

156 : [saga]:2011/10/06(木) 00:26:41.94 ID:NZztAplAO
ドバァアアアアアアッ

澪「技の威力が上がった?この大雪原では地の利が味方をしていると言うのか」

梓「その通りです。何も、無駄に気圧を使ったわけじゃありません!」ググッ


押し込むように刀に力を入れると、雪崩の威力がさらに増した


澪「だが忘れたわけじゃないよな?私には―――――」


闇の力が押し返し始める


梓「くっ……!」

澪「音圧があるってことをなァ!」

ゴオオオオオオオオオオオ


轟音と共に雪崩が飲み込まれた


澪「格の違いを思い知れ」

梓「それはこちらのセリフですっ!」ヒュン

澪「!」


澪の背後で刀を振りかぶる梓
振り返る暇さえ与えず一気に振り下ろす

シュバァッ

157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 00:27:52.48 ID:GfaabaMpo
>>154
>澪「まあ、お前が生き延びれるのも時間の問題―――――」

これだと逃げられる事前提発言にとれそうだよ
茶々入れごめん。
158 : [saga]:2011/10/06(木) 00:28:16.58 ID:NZztAplAO
背中を切られた澪は空間移転し、梓との距離を十分にとる


澪(バカな!ここでは私は無敵の存在………それなのに、切られただと!?)

梓「油断し過ぎですよ。私が近付いたことにすら気付かなかったんですか?」

澪「チッ、ナメた口を聞くな!」
(まさか原種が私の中で抵抗しているせいなのか?)

梓(始めて攻撃が当たった。これならいける!)


澪「………たった一度当てたくらいで調子に乗らないことだ」

ズ ズ ズ………

梓(!)


澪の近くに生じるいくつもの歪み
そこから紫刀と融合を果たした腕が伸びて出てきた


澪「五月雨霞・千手の陣」ジャキン


梓「」ビュン


刀を前に突き出し、高速で突き抜ける
折りたたんだ翼が、その姿を小さな彗星のように見せる


梓「“ 氷 閃 華 ”!!!」
159 : [saga]:2011/10/06(木) 00:29:17.66 ID:NZztAplAO
澪(速度も上がっているな)


澪は滑らせるように両手を動かし、刀を操作する
刀は一点で交わり、澪を護る盾となる


ヒュン  ガガガガガッ!


バキバキと音を立てて砕けてゆく刀


澪「………ッ!」

梓「いっけぇえええええ!」


しかしこの場は澪が凌ぎきった

シュウウゥゥゥ……

澪「」ニヤッ

梓(止められたっ!)

ヒュン シュバババババババ

梓(――――!)


直ぐさまカウンターの乱れ突きが襲い来る


梓「………っ!」サッサッサッサッ

澪「いつまで避け続けられるかな?」シュバババババ

梓「」サッサッサッ――

バサッ!


梓は大きく宙返りをし、斬撃の雨から逃れてみせた

160 : [saga]:2011/10/06(木) 00:31:00.59 ID:NZztAplAO
梓「ハァ、ハァ」
(ダメだ。正面からじゃ攻撃が届かない)

澪「どこを見ている?」

梓「ハァ、ハァ……え?」


梓の死角から、澪の刀が左足を狙っていた


ザクッ!


気付いた時には太ももを後ろから貫かれていた


梓「っ―――!」
(さ……刺された……!)


視点を澪に戻す
すると視界が霞んで見えた


澪「もちろんその刀にも音圧の呪いがかかっているぞ」

ススッ…

梓「うっ!」


刀を引き抜かれ、負傷した足を押さえる


梓「こうなったら……五感全てを無くす前にやってやるです!」ダッ


真っ直ぐ、刃の森に突っ込んで行く


梓「はぁあああ!」ブン!

キィン、キィン、キィン!

刀「」ブン
刀「」ブン
刀「」ブン

梓「っ……!」ササッ

刀「」ブン

スパッ

梓「くっ!」

刀「」ヒュン
刀「」ブォン
刀「」ブゥゥン

スパッ ザシュッ ズバァアッ!
161 : [saga]:2011/10/06(木) 00:34:05.02 ID:NZztAplAO
時間が経つにつれて刀傷が増えていく

次第に動きは鈍り、斬撃を空振りすることもしばしばあった


梓「ゼー、ハァ、ゼー、ハァ」


バテてきたせいか、肩で息をしている


澪「さっきの一撃がラストチャンスだったんだ。もう二度と私を倒す機会は無いぞ!」

梓「ハァ、ハァ」
(聞こえない……何を……言ってるの?)

澪「………反応がないな。聴力を失ったか。それに――――」

梓(あ……れ……?澪先輩が何人もいる)


梓の視覚はさらに狂い始めていた


澪「視覚もそろそろ限界か」スス―


宙をなぞるように手を動かすと刀が連動して移動する


梓(まだ……まだ……!)チャキ!


紫刀が群れを為して梓に近付いて行く

ろくに目も見えない梓はそれに気付かない
刀を構えたまま固まっている


梓「ハァ……ハア……」

澪「やれ」

刀「」ヒュン
刀「」ヒュン
刀「」ヒュン
刀「」ヒュン
刀「」ヒュン

ザシュ! ドシュッ! ズバッ! ドス!

ズバァァアアア!!!
162 : [saga]:2011/10/06(木) 00:36:03.33 ID:NZztAplAO
ここまで!

次回は多分、あさってです!
あさっての20時頃に連絡します

見てくれてありがと!

ありがとー!
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 00:37:31.73 ID:D36RSkP/o
乙でした!
やっぱりバトル熱い!
164 : [sage]:2011/10/06(木) 01:37:56.66 ID:NZztAplAO
>>157
ご指摘どうもです

澪「お前が死ぬのも時間の問題」
的なことを言いたかったのです
“ 死ぬ ”と言う言葉を避けようとした結果、おかしなことになりました

読みにくくてごめんなさい!
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 05:40:46.36 ID:sF7v8SXDO
おつお
澪のなかで澪が闘ってるみたいなくだりは若干ハァ!?ってなった
いやお前詞書いてうだうだしてただけやん
166 : [sage]:2011/10/06(木) 07:33:16.74 ID:NZztAplAO
>>165
・解説
精神世界のグッズは全て記憶の一部

戦闘描写はなかったけど、澪はニセモノにフルボッコでやられてます

………ってつもりでした
それを伝えられない>>1は天に召されるべき
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/06(木) 20:31:05.25 ID:jC0ayr01o
敗走した後メルヘン部屋に避難してその後詩を書いてたって描写がない限り
詩ノートはもともと部屋にあったもので実際は部屋ではずっと
どうやって悪澪を退けようかと考えてたんだろうなと読めたけどな俺は
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/07(金) 05:05:23.89 ID:IDDxFkUno
精神世界の本人はふるぼっこされても死 ぬことはないのかな
そうなると完全に乗っ取られて戻れなくなるのか
169 : :2011/10/07(金) 20:50:21.19 ID:eERTibOAO
ごめんなさい。今日はお休みさせていただきます

明日の24時にまとめて投下します!

170 : [saga]:2011/10/09(日) 00:39:30.57 ID:CB4v4H2AO
遅れてごめんよぉ

再開するよぉ
171 : [saga]:2011/10/09(日) 00:41:47.97 ID:CB4v4H2AO
こおりのなか!



ピシッ!


分厚い氷の壁に亀裂が入った


純「梓………」


氷柱の中にできた空洞
その中で純は仰向けに倒れていた


純(梓の気圧が下がってきてる。助けに行かないと!)


起き上がろうとするが、手足すら動かない


純(動け……動いてよ私の体!)

(私はもうこれ以上、大切な親友を失いたくないんだよ!お願いだから動いてよ!)


やはり、体を起こすことさえ叶わない


純(何で……何で動いてくれないの………!)

(悔しい。こんな時に立ち上がることもできないなんて。情けないよ)


ヒュウゥゥゥ……


微かに風が吹き渡る

172 : [saga]:2011/10/09(日) 00:44:19.35 ID:CB4v4H2AO
純(力が欲しい。梓を、みんなを守れる力が………!)


ヒュウウゥゥゥ


また風が吹く


純(私は――――)

「私はみんなを守りたいんだァ――――ッ!!!」

ビュォオオオオオオオ!!!

純「!?」


黄金の風が吹き荒れる
風は純の周りを巡遊し、その身に纏わり付いてゆく


純「これは………?」
(身体の底から力が溢れてくる!)


軽くなった体を起こし、両手を見つめる


―――――貴様に新たな力を授けてやろう

純「この声は!」


自身の楽器が語りかけてくる


―――――演舞者の最後の力、覚醒させてみよ!

ビュォオオオオオオオオ!!!
173 : [saga]:2011/10/09(日) 00:47:46.33 ID:CB4v4H2AO
いじげんくうかん!



梓「………」


広大な氷原の上空
無数の刃に四肢を刀に貫かれた梓

もはや勝利は絶望的なものとなっていた


澪「触覚も無くしていたか。よかったなぁ。痛みも感じずに死ねるんだぞ」スッ


トドメには澪自らが刀を振り上げた


澪「感謝するんだな。この私に――――」ヒュン

ドガアアアアアアアン!!!

澪「!」


巨大な氷の柱が砕け散った


ガラガラガラ……

純「」ザッ

澪「お前は………」


崩れ落ちる残骸の中に立つ純
金色の風に、下ろした髪をなびかせている


純「梓は返してもらいますよ」ビュゥウウウ


一陣の風が吹く


澪「くっ………」


澪が覆った顔を上げると、純の腕には梓が抱えられていた


174 : [saga]:2011/10/09(日) 00:49:10.44 ID:CB4v4H2AO
純「今、治療するから」ヒュウウゥ


風の寝台に梓を寝かせる
金色の風が優しく梓を包んでゆく


梓「じゅ……ん………」

純「貸し、また1つ増えたね」

梓(目が見えてきた………感覚が戻ってきてる!)


傷付いた身体が癒えてゆく


ジャキジャキジャキン


千の刃が一斉に構えをとる


澪「お前にも呪いはかけられていたハズだ。何故立っていられる?」

純「さぁ?どうしてですかね」

澪「………チッ」イライラ

純「それじゃ、特別に教えてあげましょう!」バッ


開いた両手を前へ突き出す


純「………はぁぁあああああ!」ビュオオオオ


気圧と黄金の風
2つの力が手中で交わり刃となりて姿を現す


純「“ アクセル・ドライブ/エクシード ”!」

ヒュゴオオオオオオオオオ!!!


純を起点として吹く突風
風が止む頃には全ての傷を完治させた純がいた


純「“ 烈風迅雷――暴風王(バイオレンス・ストーム) ”!」ヒュゴオオオオ!

175 : [saga]:2011/10/09(日) 00:52:15.83 ID:CB4v4H2AO
澪「風の刃か。面白い」

純(これが………私の新しい力!)

梓「純、それは………?」


治療を終えた梓が並び立つ


純「これは梓や澪先輩、みんなを救うための新たな力。いくよ梓!」チャキッ!


煌めく風の刃を澪に向ける


純「“ 烈風陣 ”!」バッ!


振り上げた刀が技の合図となる
行列を為す複数の竜巻が天から澪に降り注いでゆく


澪「」ススッ…

刀「」ジャキジャキジャキン


刀の一部を防御にまわす


純「」ダッ
梓「」バサッ


左右から澪を挟み込む
竜巻を防御しているため澪のガードは手薄になっていた


澪「」バッ


両サイドにそれぞれ手をかざし、刀を操り迎え撃つ


176 : [saga]:2011/10/09(日) 00:57:13.00 ID:CB4v4H2AO
純「おりゃぁああ!」ブン

キィン

梓「はぁああ!」ヒュン!

ギュィイン

カァン、キィン

ヒュッ ガガガガッ!

ブン サッ シュッ

シュバババババババッ

サササッ サッ ヒュン!


切っては防がれ、防いでは切り返す
一進一退の攻防が続く

そして、ついに―――――


梓純「はぁああああああ!」ブン!

バキィィイイン!

澪「なにッ!?」


紫刀を砕き、2人の刀が澪を捉えた


ズバァッ!
シュバッ!


2つの斬撃が交差する


澪「くっ……くぅっ!」


澪は呻きながら2人に手を伸ばす


梓純「」サッ

シュバッ!


2人が後退した直後、直前までいた場所に無数の刃が突き立っていた


純「危ない危ない」

梓「行ける。今度こそ行けるよ!」

澪「一度ならず二度までも……貴様r――――」

ザシュッ ズバズバズバッ!


精神世界の澪からの斬撃
澪の体の至る所から血が噴き出す

177 : [saga]:2011/10/09(日) 01:00:50.07 ID:CB4v4H2AO
澪「がはっ………ヤツめ……」

――――澪「もうお前の好きにはさせないぞ。私の中から消え去れ!」


梓と純の攻撃が応えたのか、内面世界での澪が勢いづく


梓(澪先輩も順調みたい)
「純、次の一撃で終わらせるよ」チャキッ

純「オッケー、梓」チャキン

澪(消え去れ、だと?消えるのは――――)

「お前の方だァ――――!!!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

梓純「!」


音圧の旋風が吹き荒れる


純「音圧が上がった!?」

梓「純!澪先輩が………」


紫刀と融合した腕
手首のから肩にかけて赤紫色の刻印が伸びていく
その様は、かつて澪が“ 呪い ”と称したものと酷似している


――――澪(まずい、意識が飛ばされる!)


澪の中から、オリジナルの存在が掻き消されていく


ミオ「ぅぉぉおおおおお!」ゴゴゴゴ


痣が首を伝って伸び、顔の左半分に紋様を描く


――――澪(うぐっ!うわぁあああああ!)


抵抗も空しく、澪の意識は彼方へ飛ばされた


178 : [saga]:2011/10/09(日) 01:03:59.24 ID:CB4v4H2AO
ミオ「アハハハハハッ!消した!消した!消してやったぞ!」

梓「一体何が………?」

ミオ「原種の存在を取り込んでやったんだよ!これでもう逆らえまい!」

純「そんな!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


氷雪原に地響きが起こる


純「今度は何!?」

ドゴゴゴゴゴゴ!!!

ガラガラガラガラガラ!!


梓が生み出した氷河の世界が崩れゆく
それにより四方から雪崩が迫り来る

梓は翼で身を包み、純は風の障壁でそれぞれ身を守る
雪崩はそのまま果てなき闇へと落ちて行った


ミオ「やはりこの景色の方が心地いいな」


赤紫一色に染まった異次元空間
梓が氷を展開する前とは違い、空間全体が赤みを帯びていた


179 : [saga]:2011/10/09(日) 01:07:53.15 ID:CB4v4H2AO
純「本格的にマズイ雰囲気だね」

梓「澪先輩は……もう取り戻せないの……?」

ミオ「もう取り戻せないさ。ザ・ン・ネ・ンだったなぁ。フフフ……」

(さて、これから最終段階に―――)

―――ドクン!

ミオ「ぅぐっ!?」


澪に異変が起こる
右手で胸を押さえて俯いた


梓純「?」

澪「…………」

「…………梓、純」

純「!」

梓「澪先輩!?」


人格が交代した


澪「最期に1つお願いがあるんだ。聞いてくれないか?」

純「最期って、何を言って――――」

澪「“ 私を殺してくれ ”」

梓純「!!!」

澪「今ならまだ、音圧無しでも攻撃が通用する!だから今の内に早く!」

梓「そんなのイヤです!自分を取り戻すまで闘い続けてください!」

純「私達は絶対に諦めません!だから澪先輩も――――」

澪「」フルフル


静かに首を横に振る

180 : [saga]:2011/10/09(日) 01:12:49.25 ID:CB4v4H2AO
純「澪……先輩……」

澪「もう手遅れだ。ヤツと私の融合が始まってしまった。音圧を完全に支配するつもりらしい」

「取り返しがつかなくなる前に早く」

―――ドクン!

澪「ぅぐっ!」フラッ


澪は再び胸を押さえる


――――ミオ(まだ邪魔をするか!どけぇ!)


入れ代わる人格


ミオ「私はこれより完全体になる。お前らごときに止められてたまるかッ!」


ジャキジャキジャキン!

刀「」ザッ
刀「」ザッ
刀「」ザッ
刀「」ザッ
刀「」ザッ


それぞれ、刀身に赤紫のオーラを纏わせている


純「………梓」

梓「言わないで。分かってるから………」チャキッ!

純「………うん」チャキッ!


決心が揺らがないように、刀を握る手に力を込める
無論、澪を手に掛けることに対する決意である

181 : [saga]:2011/10/09(日) 01:37:05.84 ID:CB4v4H2AO
ミオ「ヤツらを滅ぼせ!“ 月光斬波 ”!!!」

刀「」ブン
刀「」ブン
刀「」ブン

梓「………」バサッ
純「………」ダッ

刀「」ブン
刀「」ブン


次々に刀が振り下ろされる
赤紫の衝撃波、斬撃の雨が降り注ぐ


ズギュウウウウウウ

梓「」サッ

ズドドドドドドドド

純「」サッ


衝撃波の間をギリギリでかい潜る
2人は着実に澪に近付いていた

ミオ(完全体でない今、攻撃を受けでもしたら………)

梓「」ザツ
純「」ザッ


連なる紫刀が群れを為し、壁のように立ちはだかっている
2人はその手前までたどり着いた


ミオ「やめろ………来るなァアアアッ!!!」

ズドドドドドドドドドドドドドド!!!


攻撃が一層激しさを増す

182 : [saga]:2011/10/09(日) 01:38:40.64 ID:CB4v4H2AO
純「」ダッ!


純が単体で立ち向かって行く


純(澪先輩。あなたの願い、私達が聞き届けます!)
「“ 太古の息吹(ロスト・クローザー) ”!!!」ブン

ヒュゴオオオオオオオオオ!!!

振り下された風刀
刀身が竜巻となって衝撃波とぶつかり合う

嵐の威力は凄まじく、空気摩擦により発生した雷が入り混じる程であった


梓(私だって!)ゴゴゴゴ


解放した気圧で髪止めが弾け飛ぶ
ツインテールを下ろした梓も飛び出す


梓「“ 氷 閃 華 ”!」ヒュン!


純の隣から梓も攻撃に加わった
氷の力を得た竜巻は、さらに勢いが加速してゆく


ミオ「なんだ……これは……」


月光斬波が軽々と押し返される
衝撃波を打ち消した烈風は刃の砦に倒れかかる


ミオ「一体なんなんだ………」


刀は嵐を吸収することなく、塵となって消滅していった

183 : [saga]:2011/10/09(日) 01:39:38.73 ID:CB4v4H2AO
ミオ「こっちは音圧なんだぞォ!!それなのに何故貴様らごときがァアアアッ!?」

純「私達に音圧はないけど」梓「信じ合える仲間がいる!」

梓純「これが絆の力だ!!」

「“ ラ グ ナ ロ ク ”!!!」ポロポロ


涙を流す2人
自分達が最期に澪にしてやれる精一杯をぶつける


ズドドドドドドドド!!!

ミオ「ヤメロォ――――――!!!」


無防備となった澪に神の審判が下る


ズギュウウウウウウウウウ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ズドドドドドドドドドォオオオオオ


同調を果たした梓と純の気圧
その力は音圧をも凌駕する


ミオ「ギャァァアアアアアア!」


断末魔を上げる紛い者
やがてその叫びも、唸りを上げる嵐に飲み込まれた

終末の風は空間全体に拡散し、カタストロフィを迎える………
184 : [saga]:2011/10/09(日) 01:42:28.24 ID:CB4v4H2AO
ここまで!

>>183 でミスがあったけど、ここは目をつぶっていただきたい

見てくれてありがと!

それではまた明日の24時に!
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/09(日) 01:43:52.39 ID:GcJRTDASO
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 03:17:51.70 ID:cpTn5Hfq0
さらばサンジュ
ベースは純ちゃんがいるからいいよね
そういやりっちゃんも隻腕じゃドラムできないねぇ
ということは…
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 19:40:42.01 ID:mRhSjdyIO
ラグナロクさんぱねぇっす
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 20:26:38.65 ID:mUf7CwwHo
乙でした!
純ちゃんがナウシカぽくてかっこよかった。
こういう技名ってよく考えるよね ブリーチ読んでないけど技名はオリジナルなのかな
189 : [saga]:2011/10/10(月) 00:17:45.93 ID:bn+TERtAO
さいかい!
190 : [saga]:2011/10/10(月) 00:20:11.96 ID:bn+TERtAO
・・・・・・・・



梓「ハァ、ハァ、ハァ」

純「ハァ、ハァ………梓」

梓「ハァ、ハァ……何?」


澪の消滅と同時に、赤紫の世界はゆっくりと収縮を始めた

まだ空間内にいる2人
解放は解けてはいないものの、かなりの気圧を消費していた


純「」ジ―

梓「な、なに?」

純「………やっぱ何でもない」

梓「なにそれ?」


自分達の目標であり、憧れである澪を超えた2人
その目に悲しみの色はあれど、強い光が宿っていた


梓「気になるじゃん。教えてよ」

純「何でもないったら何でもないよー♪」

梓「じゃ、いいや」

純「えっ」

梓「だって純が考えてそうなことって大体分かるし」

純「私が単純ってこと!?」

梓「それもあるけど………」

「多分私も純とおんなじこと考えてるから」

純「………そっか」
(当然だよね。悲しいのは梓だって同じなんだ。でも)

梓(私達は澪先輩のためにも立ち止まってはいられない!)

梓純(こんな悲しい戦い、早く終わらせなきゃ!)

ズズズズ‥‥‥


異空間はさらに縮まっていく

191 : [saga]:2011/10/10(月) 00:21:27.22 ID:bn+TERtAO
純「でさ、梓」

梓「今度はなに?」

純「どうやってここから抜け出すの?」

梓「知らないよ。澪先輩を倒したら戻れると思ってたんだけど………」

ズズズズ‥‥‥

純「さっさと出ないとさ、何かヤバイような気がするんだけど」


異世界の収縮はもちろん、視覚的に捉えることはできない
2人は感覚で危機を察知していた


ズズズズズ‥‥‥

純「手当たり次第に攻撃してみる?」

梓「ラグナロクでも何ともならなかったじゃん」

純「だよね」

ズズズズズズ‥‥‥

純「このまま出られなかったりして」

梓「そういうこと言わないでよ」

ズズズズズズズ‥‥‥

ズオオオオオオオオオ!

梓純「!」


赤紫の音圧が突風となって吹き荒れる


純「梓!アレ!」

梓「!」


純が指差す先に風が集まってゆく
集まった音圧は繭(マユ)のような楕円形の球体になった

192 : [saga]:2011/10/10(月) 00:22:47.01 ID:bn+TERtAO
ドクン‥‥ドクン‥‥‥‥

梓純「」ゾクッ


不気味な鼓動が耳を通して伝わってくる


『惜しかったなぁ。お前たち』

梓「なッ!」

純「その声は」


繭の中から聞こえてくる声
澪はまだ倒れてなどいなかった


ミオ『絆の力か。音圧を超えてみせるとは、敵ながら感心するよ』

『だがお前達は遅すぎた。私の最終進化を許してしまったんだからなぁ』

梓「最終……進化………?」

ミオ『そう。私は今、この空間を構築している音圧を我が身へと取り込んでいる。お前達ごとな』

ズオオオオオオオオオ!

梓純「……!」

ミオ『そしてその全てを吸収し尽くした時、私は完全体へと進化を遂げるのさ!』


赤紫の繭は胎動を続ける

193 : [saga]:2011/10/10(月) 00:23:41.63 ID:bn+TERtAO
梓「目の前のアレをどうにかするよりも先に」

純「早くここから出ないと!」

ミオ『それは不可能だ。音圧を持たないお前達ではこの世界からは抜け出せない』

梓「そんな!」

純「く………!」

ズギュオオオオオオオオオ!


さらに強まった吸引力に耐え切れず、2人は繭へ吸い込まれていく


純「わっ!」

梓「きゃぁ!」
(そんな……澪先輩も、純や自分すらも救えないで終わるなんて………)


・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・

―――――いくよ、憂

―――――うん、お姉ちゃん

ピシッ!


繭の上方に、ガラスに入ったヒビのように空間に亀裂が生まれた
しかし、誰もそれには気付かない

194 : [saga]:2011/10/10(月) 00:29:29.50 ID:bn+TERtAO
ミオ『アハハハハハ!私の力の一部となるがいい!』

純「わぁあああっ!」

梓「きゃあああっ!」


バリィ―――――――ン!


ミオ『!?』

梓純「!」

唯「」バッ!


赤紫の異空間
その一部が粉々に砕け散る

黒衣に身を包み、黒刀を振り上げた唯が飛び出してきた


唯憂「“ 響 牙 天 衝 ”!!!」

ギュオオオオオオオオオオオ!
195 : [saga]:2011/10/10(月) 00:32:42.94 ID:bn+TERtAO
ここまで!

次の更新予定日は火曜日に連絡させていただきます!

見てくれてありがと!

ほな、さいなら
196 : [saga]:2011/10/10(月) 00:35:54.13 ID:bn+TERtAO
>>188
技名は、パクリもあるがしかし、ほぼオリジナルのつもりです!

ふとアイデアが頭に浮かんではすぐ消える、まるでシャボン玉のようなものなのですよ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/10/10(月) 00:53:22.03 ID:KDH0pyi2o
乙です、遂に唯憂きたー!
次回更新が楽しみです。
それにしても、ミオしぶといな。
198 : [saga]:2011/10/11(火) 22:38:54.16 ID:d19gDfaAO
次回は2日後の23時頃から!

以上!
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) [sage]:2011/10/11(火) 22:42:09.32 ID:QtQNUXhKo
了解、楽しみに待ってるよ
200 : [saga]:2011/10/13(木) 23:05:54.12 ID:UyoGsioAO
ほな、さいかい!
201 : [saga]:2011/10/13(木) 23:06:52.83 ID:UyoGsioAO
白黒入り混じった衝撃波
放たれた斬撃は梓達と繭との間に入り、一瞬だけ両者間の空間を切断した

つまり、梓達は音圧の吸引の影響から逃れたわけである


ミオ『平沢………唯ィ!!』

唯「あなたの相手は後だよ」


唯は直ぐさま2人を抱え、外の世界へ飛び出した

202 : [saga]:2011/10/13(木) 23:10:50.34 ID:UyoGsioAO
とう・さいじょうかい!



律と紬の戦いで崩れた落ちた天井
瓦礫の山となったそれは床を埋め尽くしていた


唯「」バッ
梓「」ヒュン
純「」ダッ


次元の裂け目から帰還した3人は残骸の上に降り立つ


純「やった!戻ってこれたんだ!」


久々の外の世界では、音圧で満たされた異世界に比べ、身体が軽く感じられた


純「ん〜、空気がうまいっ!」

梓「のほほんとしてる場合じゃないでしょ」

唯(憂)「そうだよ純ちゃん。まだ戦いは終わってないんだから」

純「唯先輩に言われたー」ガーン

唯(憂)「純ちゃん、今のはお姉ちゃんじゃなくて私だよ?」

純「ん?お姉ちゃん……?」

梓「唯先輩、何言ってるんですか?」


唯(憂)は一瞬目を閉じ、また開く


唯「エヘヘ、今喋ってたのは何と、憂なのです!」フンス

203 : [saga]:2011/10/13(木) 23:12:22.82 ID:UyoGsioAO
梓純「?」ポカーン

―――憂(お姉ちゃん……私が説明するから)

唯(お願いします!)


唯は一度目を閉じ、憂に身体の主導権を譲る


唯(憂)「梓ちゃん、純ちゃん。信じられないかもしれないけど、私の魂は今、お姉ちゃんの中にあるんだ」

「これのおかげでね」


憂は首元で光るペンダントを手に取り、2人に見せる


純「あっ、そのペンダント!」

梓「な、なに?」

純「憂と唯先輩の……ご両親の形見だよね」

唯(憂)「」コクリ


大事そうに両手でペンダントを握りしめ、頷く


唯(憂)「純ちゃんは知ってるよね。私のお父さんとお母さんが演奏者の研究をしてたってこと」

純「うん。あの時は冗談だって鼻で笑ってたけど、全部本当のことだったんだよね」


純は数ヶ月前、組織のNo.2に会ったことを思い出す


204 : [saga]:2011/10/13(木) 23:16:18.85 ID:UyoGsioAO
唯(憂)「それでね、お父さん達が残してくれたこのペンダントには、私にもよく分からないけど不思議な力があるみたいなんだ」

梓「じゃあ憂がここにいられるのも、それのおかげ………」

唯(憂)「多分そうだと思――――」

ガバッ!

梓「」ギュッ

唯(憂)「あ、梓ちゃん!?」

梓「憂……本当に憂なんだよね?」プルプル

純「」ダッ


梓に続き、純も憂に飛びついた


唯(憂)「純ちゃんまで………」

純「う、憂………うわぁあああああん!」ブワッ

唯(憂)「梓ちゃん、純ちゃん………」ギュッ


再会の喜び
3人は互いに抱き合い、涙を流す


梓「ゴメンね憂………私、私は憂にヒドイことをっ……!」ポロポロ

唯(憂)「ううん、私の方こそ梓ちゃんに……みんなにヒドイことして……グスッ……ごべんな゙ざい゙!」ポロポロ

純「ホントによかったよぉ!もう二度と会えないって……思ってたから」ポロポロ


―――唯(よかったね、憂。みんなと仲直りできて)

―――(それに、お姉ちゃんは嬉しいよ。だって憂にはこんなに想ってくれる友達がいるんだもん)

205 : [saga]:2011/10/13(木) 23:18:26.24 ID:UyoGsioAO
シュウウウゥゥゥゥ


空間の裂け目より漏れ出す赤紫の霧


―――唯(憂、あんまり長く喜んではいられないみたいだよ)


ピシィ! パキパキパキッ!


音圧世界へと続く穴の中から、卵の殻が割れたかのような音が聞こえてきた


『遊びは終わりだ』

憂梓純「!」

ズオオオオオオオオオオオ!


裂け目から勢いよく噴き出す赤紫の音圧
弧を描きながら地面に降り注いぐ


梓「な……なに……?」


降り注ぐ激流の中に人影が見える


バサァアッ!


その人物は右肩の辺りから巨大な黒翼を広げ、音圧の滝を振り払った


ミオ「………」

梓純「!?」ゾクッ

ズバァッ!
シュパッ!


右腕を持って行かれた梓
腹部を引き裂かれた純

それぞれ傷口から噴水のように血が噴き出す


206 : [saga]:2011/10/13(木) 23:22:24.50 ID:UyoGsioAO
純「あれ……えっ?」

梓「なによ……これ」

唯(憂)「梓ちゃん、純ちゃん!しっかりして!」ユサユサ

梓純「!」ハッ


憂に揺すぶられた2人は我に帰る

2人は自分の身体を確認するが、今受けたように感じた怪我などどこにもない


唯(憂)「大丈夫!?2人とも!」

純「えっ、なに今の?」

梓「まさか……殺気!?」サッ


澪の方を振り返る


ミオ「………」


2、3メートル程もある羽の無い片翼を広げて立っている澪

赤紫刀と融合した左腕から顔に延び、独特の紋様を描いている
例の痣はさらに複雑化していた

瞳孔は紅く輝き、鋭い眼光を放っている

207 : [saga]:2011/10/13(木) 23:23:42.11 ID:UyoGsioAO
純「勝てる気がしない………」プルプル

梓「………」プルプル
(足がすくんで動けない!)

ミオ「どうした、何を怯えている?」スッ


澪は一歩、前に踏み出す


梓「ひッ!」

純「こ、来ないでよ!」

ミオ「フフッ」スタ スタ

梓「い、いやぁあああああ!」

ギュウッ

唯「」ダキッ


恐怖に取り乱した梓を抱きしめる唯


唯「大丈夫だよ、あずにゃん」

梓「唯………先輩?」

唯「」スッ


唯は梓から離れ、地面に突き立てた黒刀を手に取る


ミオ「平沢唯、まさかお前の方から来てくれるとはな。捜す手間が省けたぞ!」ビュオオオオ

梓「きゃっ」

純「うっ」


吹き荒れる突風に、梓と純は顔を覆う

208 : [saga]:2011/10/13(木) 23:24:55.20 ID:UyoGsioAO
唯「2人は下がってて。巻き込まれないように、出来るだけ遠くに」

純「待ってください!私達は残りの気圧は少ないですけど、まだ戦えます!」

梓「それに唯先輩1人でなんて無茶ですよ!」

唯「1人じゃないよ。私には憂がいるからね」

ミオ「唯の言う通りだぞ。ここからは上級演奏者(プロアーティスト)同士の戦いになるんだ。お前達は邪魔だ」

梓「くっ……!」


音圧を持たない2人は言われるままに後退する


梓(今の澪先輩、さっきまでとは明らかにレベルが違う。もう私や純じゃ、どうにもならないよ)ザッ…


澪との距離を十分に取った梓
しかし、それでもなお後ずさりをする

身体の芯に染み付いた恐怖心が梓をそうさせるのだ


梓(唯先輩、憂………絶対に死なないで!)

ゴツン

梓(?)


引いた足に何かが当たる


和「う……うぅ………」

梓「の、和先輩!」

209 : [saga]:2011/10/13(木) 23:27:14.56 ID:UyoGsioAO
ここまで!

次回、土曜の23じ

ご閲覧、誠にありがとうございました

では失礼!
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 23:59:39.12 ID:2sU7vX7Vo
いやぁー楽しみ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/14(金) 02:54:36.31 ID:Vzfo8fVvo

澪変貌時の脳内BGM
http://www.youtube.com/watch?v=Uc5wxO8NEo8
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 05:41:52.71 ID:Kr8g9BNNo
>>209
唯に助けられた事への純と梓の描写が抜けてるような?

しかし、久々の唯憂の活躍が嬉しい!
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 12:45:16.87 ID:K3y7fl5ko
確かに、間一髪助けられて最初のせりふが↓だもんなw
礼くらい言ってほしいw

>純「やった!戻ってこれたんだ!」

>純「ん〜、空気がうまいっ!」

>梓「のほほんとしてる場合じゃないでしょ」
214 : [saga]:2011/10/16(日) 00:07:18.22 ID:Msa8redAO
>>212
>>201の最後の一行でまとめたつもりでした
分かりにくくてごめんなさい!

>>213
“ 礼ならいらない。だってオレ達仲間だろ ”のノリではダメですか?
そうかダメか。うん、ダメか
脳内補完でお願いします!

じゃ、さいかい!
215 : [saga]:2011/10/16(日) 00:09:13.17 ID:Msa8redAO
―――――――――――



一方、唯は両手で握りしめた刀を澪に向けて構えていた
フルチューニングはしていない


ミオ「この時を待っていたぞ。貴様をこの手で抹殺できる、この時をなァ!」

唯「………」

ミオ「どうした?早く音圧を解放しろ」

唯「あなた相手にフルチューニングはいらないよ」

ミオ「フン、好きにしろ。だが――――」バサッ!


右手を地につけ、前かがみに低い姿勢になった澪
翼を大きく広げ、今にも襲い掛かってきそうな雰囲気をかもし出している


ミオ「後悔することになるぞ」

唯「」チャキッ

ミオ「はあっ!」ダッ
唯「」ダッ


2人は同時に飛び出した

216 : [saga]:2011/10/16(日) 00:12:26.95 ID:Msa8redAO
唯「“ 響牙天衝 ”!」ギュアアアッ

ミオ「」サッ


地を駆けながら放った斬撃
澪はそれを悠々とかわす


ミオ「かすりもしないな」ヒュン


左手で繰り出された高速の突き
唯は横に向けた刀で防御する


ミオ「このままへし折ってやろうか?」ギチ ギチ

唯「………」ギチ ギチ

ミオ「何とか言えよ」バサッ

唯「!」
 (翼で……!)

ドカッ!


左翼で叩き飛ばされた唯
刀を地面に突き立て、飛ばされた勢いを殺しながら地面を引きずられる


ミオ「」ビュン


体勢を立て直そうとする唯に、すかさず飛び付いて行く


唯「」ザザザ…チャキッ
 (なんとか間に合っ――――)

ミオ「どこを見ている?」ガシッ

唯「!?」


何とか体勢を立て直し、反撃へと転じようとした唯
しかしその頭は、反応する間もなく前方から鷲づかみにされた


ミオ「はぁあああっ!」ビュン

ドガァアアッ
ドガガガガガガガガガッ


唯を壁に打ち付け、引きずりながら空へ高く上昇する

217 : [saga]:2011/10/16(日) 00:14:44.88 ID:Msa8redAO
ガガガガガガガッ

ズォォォ……

ミオ「ん?」

唯「“ 響牙天衝 ”」ボソッ

ギュァアアアアッ!


0距離からの反撃
壁に引きずられながら放った斬撃は辺りを白黒に染める


ミオ「全く効いてないぞ」

唯「ハァ……ハァ……」


澪は少し離れた所で滞空していた


唯「」ダッ


呼吸を整えた唯
壁を強く蹴り、澪に向かって飛び掛かる


唯『響牙………』スッ


振り上げた刀
その刀身には白と黒の気圧が集まる


唯『  天  衝  !』ブン!

ギュオオオオオオオオ


衝撃波を纏った斬撃を振り下ろす

だが、それは澪の紫刀に軽々と受け止められた

218 : [saga]:2011/10/16(日) 00:17:37.79 ID:Msa8redAO
ミオ「音圧でなければ私を切ることはできない。それくらいは分かっているんだろ?」ギチ ギチ

唯「もちろんだよ」ギチ ギチ

ミオ「なら何故音圧を使わない?小手調べのつもりか?」ギチ ギチ

唯「………」ギチ ギチ

ミオ「なら無理にでも引き出させてやる」ブン

唯「!」


澪はつばぜり合いを押し切り、唯を吹き飛ばす


ヒュ―――――ン ドゴオォン!

唯「うっ………!」


壁に大の字でめり込む唯
澪はさらに上空へ移動し、唯を見下ろす


ミオ「おいおい、これでも手加減してやってるんだぞ」

唯「………っ!」キッ

ミオ「全力で来い、平沢唯。お前の力の全てを捻り潰し、絶望の淵へたたき落としてやる」

唯「勝手に………言ってなよ」ムクリ


壁から離れた唯
空を蹴って駆け上がり、澪と対峙する

219 : [saga]:2011/10/16(日) 00:23:04.18 ID:Msa8redAO
ミオ「まだ解放する気はないらしいな」

唯「これから先もフルチューニングは使わないよ」ズオオオ


刀身に響牙天衝を留める


ミオ「なら仕方ない――――」ヒュン

唯「!」


一瞬で目の前に現れた澪
飛び出してきた勢いをそのままに、すれ違い様に傾けた紫刀を唯の首へ近づける


ミオ「死ね」ヒュン

―――憂(お姉ちゃんは私が守る!)


瞬時に意識を交代させた憂

身体を後ろに大きく反らし、ブリッジの体勢で刃から逃れた


ミオ(気圧が変わった?)


澪は方向転換し、憂を見据える


―――唯(憂はでてこないで!)

―――憂(でもこのままじゃ………)

―――唯(お姉ちゃんの言うことが聞けないの!?)

―――憂(!)ビクッ

―――唯(あっ、ごめん)

――――(………もう憂が傷付くのはイヤなんだよ。お願いだから下がってて、憂)

―――憂(お姉ちゃん………)


再度、憂は目を閉じる

220 : [saga]:2011/10/16(日) 00:25:19.46 ID:Msa8redAO
ミオ「気圧が元に戻ったな。何があった?」

唯「あなたには関係ないよ」チャキッ

ミオ「フン」ダッ


澪は音速すらも超える、驚異的な速度で迫ってくる


ミオ「はあっ!」ブン

唯「」ブン

キィィイン

ミオ「」ブン ブン ブン

唯「」キィン キュイン サッ

カァン ヒュン サッ

キィン ガキィイン ギュィィイン


火花を散らしながら何度も交わり合う刀

澪の猛攻に対し、唯は受け流すようにして対処し続ける
澪の斬撃が重過ぎて、そうしなければ耐えられないからだ


ミオ「これでもまだフルチューニングしないのか?」ブン ブン ブン

唯「………ッ!」サッ サッ キィン

ミオ「答える余裕もないか」ブン ブン ブン


防戦一方の唯をさらに追い詰めていく


ミオ「つまらないぞ」ヒュン!


目の前の澪の姿が消える


唯(どこに!?)キョロキョロ

ミオ「ここだ」ガシッ

唯「!!」


後ろから後頭部を掴まれ、地面に向けて一直線に投げ飛ばされた


ヒュ―――――ン ドガァァアァアアン!!!

221 : [saga]:2011/10/16(日) 00:26:53.78 ID:Msa8redAO
梓「唯先輩!」


唯達の下方で待機する梓と純、そして和

純が操る金色の風により、3人は体力を回復させていた


和「押されてるわね、唯」

純「どうして唯先輩は音圧を使わないんだろう?」

梓「………あっ」

――――律「分からないのか?お前、楽器に見離されたんだよ」


暴走した唯に律が言い放った言葉
梓は記憶を辿り、思い出す


梓「“ 使わない ”んじゃなくて“ 使えない ”のかも」

純「どして?」

梓「“ 楽器に見離された ”って律先輩が言ってたの、覚えてる?」

純「そっか。じゃあ唯先輩はもう………」

和「でも音解を使えてる状況から、楽器と心が通じ合ってないワケじゃなさそうよ」

梓「?」

和「使えない理由は他にあるんだと思うわ」

222 : [saga]:2011/10/16(日) 00:29:44.33 ID:Msa8redAO
和「音圧を扱う者の精神状態は、あらゆる感情に過敏に反応し、左右される」

 「憎しみの感情で音圧を使用すれば………」

純「前みたいに暴走するってことですよね?」

和「そう。そして今、唯の中には憂がいるでしょ?もし次に唯が暴走すれば、憂の存在はどうなるか」

梓「憂を失うのが怖くて、フルチューニングができないってことですか」

純「でも澪先輩を止めるにはフルチューニングが絶対必要になるじゃん。今のままじゃ勝つどころか、相手にすらならないよ!」

和「この戦い、唯の覚悟次第で勝敗が決まるわね」

梓「………」

グッ


拳を握りしめる梓
ただ見守ることしかできない悔しさに拳を震わせる

223 : [saga]:2011/10/16(日) 00:33:38.49 ID:Msa8redAO
ここまで!

次は月曜か、火曜辺りで!
23時を目処に再開します

見てくれてありがと!

では、さよーならー
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 03:46:31.50 ID:QpDIRwjn0

音圧、仙術チャクラ並にウゼェww
まだ副将も大将も残ってんのに中堅に苦戦してて大丈夫なのか?
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 08:01:31.85 ID:OVtRCHi+o
面白かった!
強さ的には、唯憂はまだまだこんなもんじゃないだろ。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/16(日) 09:21:30.93 ID:1ZJx9QT/o
ミオうぜえwwww
粘るねぇ
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/16(日) 09:33:36.69 ID:RAYA+2hoo
ちょっともどかしくなった さっさと決着付けて欲しいんだが
よく考えたら元ネタになったブリーチももどかしいな
228 : [saga]:2011/10/18(火) 20:55:01.58 ID:IXQCLiwAO
もう1日だけ待ってくだせぇ

>>227
ヤベェ イライラを溜めてきてしまったようだ

明らかに脱線しかかってるのは自分も感じてるんで、軌道修正に勤めます

ハッキリ言ってくれてありがと!

明日の23時、さいかいします!
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 22:07:57.73 ID:oPtdHlbDO
やったか!?→やってないの法則は一回の戦いで一回までだな
何度もやるとやっぱりなぁ
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/18(火) 22:18:15.85 ID:TzIQ4gYYo
でも元ネタのブリーチはそんな感じだよなww
231 : [saga]:2011/10/19(水) 23:22:32.26 ID:YW0Zi8cAO
さいかい!
232 : [saga]:2011/10/19(水) 23:26:15.54 ID:YW0Zi8cAO
・・・・・・



ヒュ―――――ン

ドガァァアァアアン!!!

唯「ぅあっ……!」


澪に飛ばされ、勢いよく地面にたたき付けられた唯

床は深く抉れ、蜘蛛の巣状にヒビが入っていた


―――憂(お姉ちゃん!)

唯(大…丈夫……だよ。憂………)

―――憂(うそ!無理して強がらないでよ!)

――――(………どうしてフルチューニング、しないの?)

唯(!)

―――憂(私、知ってるよ。私のせいでお姉ちゃんが全力で戦えないこと)

―――(お姉ちゃんは一緒に戦おうって言ってくれたけど、これじゃただの足手まといだよね、私)

唯(違うよ!憂は足手まといなんかじゃ―――)

―――憂(違うって言うなら、私のことは気にしないで全力で戦ってよ!お姉ちゃんがやられてるのは見てられないよ………)

唯(イヤだよ………フルチューニングは……できないよ)

―――憂(お姉ちゃん!)

唯(フルチューニングで憂が消えちゃうかもしれないんだもん!そんなの絶対にイヤだよ!!!)

ミオ「気を抜くなよ」ヒュン


刀を突き出し急降下してきた澪
唯は地面に叩きつけられた衝撃で動けない


唯「―――――!」

ヒュン ドゴオオオオオオン!


辺りは砂煙に包まれる

233 : [saga]:2011/10/19(水) 23:28:23.52 ID:YW0Zi8cAO
ミオ「逃がしたか」

唯(憂)「」チャキッ


煙が晴れると、そこには両手で刀を構えた憂がいた


ミオ「その気圧、妹の方だな」

唯(憂)「………」

ミオ「フン、姉妹揃ってつれない奴だな」

唯(憂)「あなたがお喋りなだけです」

ミオ「チッ、人をイラつかせる所まで同だとはな」

―――唯(憂!)

唯(憂)(いくらお姉ちゃんのお願い事でも、これ以上は我慢できない)

    (お姉ちゃんにフルチューニングするつもりがないなら、私が代わりに戦うから!)

ミオ「」ビシッ


澪は憂を指差した


ミオ「言ったハズだぞ。音圧を持たない者は邪魔だと。平沢唯を出せ」

唯(憂)「お姉ちゃんに手は出させません!」ゴゴゴゴ


憂は刀に白い気圧を纏わせる
そして地面を蹴って飛び出した

234 : [saga]:2011/10/19(水) 23:31:05.88 ID:YW0Zi8cAO
唯(憂)「」タタタッ

ミオ「愚かな。“ 月光斬波 ”!」ブン

ズドドドドドド!

唯(憂)サッ

ミオ「“ 月光斬波 ”!!」ブン ブン ブン

唯(憂)「」サッ サッ サッ


駆けながら、素早く右へ左へ平行移動する


ミオ「すばしっこい奴め」


電光石火の如き速さで駆ける憂
ついに澪の眼前まで辿り着いた

唯(憂)「はぁあああ!」ブン

ミオ「フン!」ブン

ドドドドドドドド!!!


周囲の瓦礫が吹き飛ばされて行く

白い気圧を纏った憂の刀
そして紫の月光斬波を纏った澪の刀が交わった


ミオ「………音圧を持たないお前が、なぜ私と同等の力で押し返してこれる?」ギチ ギチ

唯(憂)「………」ギチ ギチ

ビキビキビキッ!


2人の周りの地面に円形のヒビが入る

235 : [saga]:2011/10/19(水) 23:34:02.63 ID:YW0Zi8cAO
唯(憂)「」ググッ

ミオ「くっ………」ギチ ギチ


見事に互角だった2人の力
だがそのパワーバランスは徐々に崩れて行く

身長差のある澪を、憂は力で押し始めた


ミオ「なんだと!?」ギチ ギチ

唯(憂)「“ 響牙天衝 ”」

ズギュァアアァアァッ!


高密度の巨大な気圧の塊

憂が放つそれは、唯のものとは比べ物にならない程の大きさだった


―――唯(私の響牙天衝よりも……すごい!)

煙「」モク モク

ボフッ!

ミオ「」バサッ

唯(憂)「」ダッ


爆発で舞い上がる煙
その中から翼を広げて出てきた澪
そしてそれを追う憂

2人は刀を交えながら、そのまま空中へと上昇する


キィン キィン


憂の相手をしながら、澪は後ろ向きに上昇している


唯(憂)「」ヒュン

ミオ「……!」サッ


憂が突き出した刀は、澪の髪をかすめた


唯(憂)(惜しい!あとちょっとで――――)

ミオ「」クルン!


澪は宙返りをすることで、一瞬で憂の下側に回り込む


唯(憂)(!)

ミオ「“ 月光斬波 ”」ブン

ズドォオオオオオオオオ!

236 : [saga]:2011/10/19(水) 23:39:32.37 ID:YW0Zi8cAO
――――――――――



純「憂――――!」

和「憂!」

梓「そ……そんな!」


優勢だった憂までもが澪の手に落ちた

その光景を目の当たりにした梓達は、もはや黙って見ているわけにはいかなかった


梓「確かに音圧がない私達は無力。だけど」

 「私達にだって、まだできる事はあるはずだよ!」

和「梓ちゃん………」

純「やっぱ黙って見てるだけなんて、ムリだよね」


2人は恐怖を拭い去り、闘志を奮い立たせる


純「助けに行こう。唯先輩を、憂を!」

梓「」コクリ

和「私も戦うわ」

梓「え?和先輩の力はムギ先輩に奪われたんじゃ………」

和「私達の力の根源である“ 気圧 ”。何がそれを生み出しているのか知ってるかしら?」

梓「………?」

和「それは“ 心の強さ ”よ」

梓「心の強さ?」

和「そう。気圧は使用者の心の強さで決まるのよ。例えば、誰かを守りたい、と心の底から願った時とか………」

純「あっ!そういえば私のアクセル・ドライブも、梓を守りたいって強く思った時に進化しました」

237 : [saga]:2011/10/19(水) 23:42:02.03 ID:YW0Zi8cAO
和「その場合は正(プラス)の感情エネルギーが作用したのね」

梓「正ってことは、負(マイナス)の感情でも………」

和「もちろんそれも、気圧を高める要因になるわよ」

 「今の澪が、そのいい例ね」

純「……で、それと和先輩の無くした力とどんな関係が?」

和「今までの私は、ムギから与えられた負の感情エネルギーで力を使っていたのよ。だけど能力自体は私のもの」

 「私の能力には莫大なエネルギーが必要だけど、唯や憂を守りたいという思いの力があれば、少しくらいは使えるわ」ゴゴゴゴ


百聞は一見にしかず
和は気圧を解放してみせた


純「ホントだっ!」

梓「………!」ゴクリ

和「これで文句はないでしょ?」スッ


瓦礫に埋もれた刀を手に取り、梓と純の隣に並ぶ


和「それじゃあ、行きましょ!」

238 : [saga]:2011/10/19(水) 23:49:55.97 ID:YW0Zi8cAO
―――――――――



空中で、澪に首を絞められている憂

音圧の斬撃、月光斬波をもろに受けた憂は、意識を保っているのがやっとの状態だった


ミオ「対等に戦えているとでも思っていたか?」

唯(憂)「………っ」
    (息が……でき……ない)

ミオ「唯を守りたい一心がお前を強くしていたようだな。だがこれが力の差だ。お前では唯を守れない」

 「そうだ、お前をもっと痛め付ければ唯が出て来るかもしれないな」パッ


首を絞めていた右手を離すと、憂はそのまま落下して行く


ミオ「」ビュン!


真っ逆さまに落ちて行く憂の隣に、ピッタリと張り付く澪

翼を広げ、憂を弾き飛ばす

さらに澪は方向転換し、真横に飛んで行った憂を追い掛ける


ミオ「早く出て来い、平沢唯!」ブン

ドスッ!

唯(憂)「ぐふっ……!」


右手の拳が憂の腹部にめり込む

そしてまた飛ばされた憂を、澪が追う

239 : [saga]:2011/10/19(水) 23:52:48.12 ID:YW0Zi8cAO
―――唯(憂が私を拒絶してるから交代できない!)

ミオ「さっさと出て来ないと」ブン

ドカァッ!

唯(憂)「ぅ………」ヒュ―ン

―――唯(や、やめてよ!もうやめてよ!憂が死んじゃう!)

ミオ「妹ごと死ぬことになるぞ!」ビュン


憂に迫る澪


―――唯(憂――――!)

パキパキパキ

ヒュオオオオオオオ!

ミオ「ん!?」


澪の行く手を阻む氷と風の双璧


梓純「はぁぁあああ!」ビュン


澪の下方から2人の刃が迫りくる

和「私もいるわよ!」バッ


さらに後方には刀を振りかざす和の姿


唯(憂)(ぁ……梓ちゃん……純ちゃん……!)

―――唯(それに和ちゃんも!生きてたんだ!)


憂が飛ばされた先に渦を巻いて吹いている金色の風
それがクッションとなって憂を優しく受け止めた


梓純「これで終わりだァー!」

「“ ラ グ ナ ロ ク ”!」ギュゴオオオオオ

和「“ ヘブンズ・ロード ”!」ズギュゥウウウン


和が切り裂いた空間には時空の裂け目が発生し、そこから光の波動が飛び出してきた

そして梓と純が放った轟く神の息吹
それらが同時に澪を襲う

気圧がほぼ全快している梓達の攻撃は、以前のものより格段に威力が増していた

240 : [saga]:2011/10/19(水) 23:59:15.40 ID:YW0Zi8cAO
ミオ「くどいぞ、お前達」スッ


軽く握った右手をゆっくりと挙げる
そして、指を鳴らす動作をする


キイィィィィィイイン

梓「……?」

純「なんなの?」

和「これ……は?」


パチンと音を立てるはずの指は、代わりに不思議な旋律を鳴り響かせる

耳鳴りのようなこの音が鳴り響く間、周りの音が全て静まり返っていた
時がゆっくり進んでいくように感じられる


ミオ「“ C白銀の無音凱旋(カースドミラージュ・サイレントパニック) ”」


技名が唱えられた次の瞬間、目に見えない“ 何か ”により3人の攻撃が霧散していく


純「なッ……!?」

梓「私達の………ラグナロクが!」

ミオ「………」


梓と純を見下ろし、睨み付ける澪


梓「なにをしたんですか!?」

ミオ「気圧と一線を画す音圧で、お前達の気圧を断ち切った。ただそれだけのこと」

 「言い換えれば、この技の影響下にあるお前達は気圧による攻撃ができない」

241 : [saga]:2011/10/20(木) 00:07:22.63 ID:3cMjcZEAO
和「気圧がなくても戦えるわ!」バッ


澪の背後から、刀を振りかざして接近する和

だが、見向きもされずに翼で地面に弾き飛ばされた


ミオ「和も案外馬鹿なんだな。気圧があっても勝てない相手に、ましてや気圧無しの状態でどう戦うと言うんだ」

 「………それと、そろそろ出て来たらどうなんだ?」


振り返った澪は上空を見渡す


紬「あら、もう見つかっちゃった♪」ヴウゥン


律を肩に担いだ紬が、蜃気楼のように姿を現した


ミオ「………」


左腕を失い、瀕死の重傷を負っている律
彼女の姿を見るなり、澪は表情を曇らせる


ミオ「………それからお前もだ」


紬の隣からも、同様にして菫が現れた

巨大な発射台が付いたボウガンのような武器
俗にバリスタと呼ばれる、虹色に輝くそれを前にし、菫は射出準備に入っていた

また、菫は己の能力で、先の戦いで傷付いた紬と自分を、既に完全回復させていた


242 : [saga]:2011/10/20(木) 00:09:45.30 ID:3cMjcZEAO
ミオ「何のつもりだ?」

菫「不安定因子を排除すること、それが私がお嬢様から授かった至上命令です」

紬「音圧を持つ上級演奏者はプロジェクトの邪魔なの。だから、元々あなたと唯ちゃんには死んでもらうつもりだったのよ」

 「それにしても使えないコマよね、澪ちゃんは。あなたが唯ちゃんと潰し合ってくれるのを期待してたのに」

 「もう私が直接手を下すことにするわ」ブン


肩から降ろした律を、澪に向けて投げ飛ばす


律「」ヒュ―ン

ポスッ


澪の腕の中に収まる律
彼女は既に虫の息だった


澪「………」

律「みぉ……か?」

澪「………」ブン


澪は何も言わずに梓へと律を投げる


梓「わ、ちょ!」アタフタ

ポスッ

律「どいつも……こいつも……怪我人を何だと……思ってんだ」

梓「律先輩、喋らないでください!」


梓の小さいな腕の中に抱えられた律
彼女は静かに首を横に振る


243 : [saga]:2011/10/20(木) 00:12:16.70 ID:3cMjcZEAO
律「目も見えねぇんだ……もう……ダメみたいだ」

純「な、何言ってるんですか!?」


金色の風と共に純も駆け寄ってくる


梓「純!早く律先輩を!」

純「もうやってるよ!」ヒュオオオ


風が律を包む


律「そうだ……梓……お前に言っておく……あるん…だ」

梓「律先輩」ウルウル

律「次期部長は……お前だ、梓」

 「これから…お前……軽音部……」

 「たの……ん……」ガクン


律の首は力無くうなだれた


梓「じ、冗談じゃないですよ………こんな、こんな形でなんて……嫌ですよ」

 「ちょっと、ちゃんと聞いてるんですか?律先輩?」ユサユサ


気が動転した梓

何度も何度も律を揺すり、起こそうとする


純「梓!もうやめなって!」ポロポロ

梓「グス……ぃゃ……ゃだ」ポロポロ

 「い、イヤァアアァアァア!!!」


梓の叫びが壁で反響し、こだまする

244 : [saga]:2011/10/20(木) 00:16:22.84 ID:3cMjcZEAO
ミオ「おい、お前!」

梓「グスッ………?」ポロポロ

ミオ「一時休戦だ。そいつらを連れてさっさと失せろ」


梓達に背を向けている澪
その表情は確認できないが、握った拳が震えていた

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

紬菫「?」

梓純「!」


澪の周囲を赤紫の音圧が渦巻く


ミオ「いいだろう。唯の前にまず貴様から消してやる」チャキッ


崩れ落ち、今は無き天井
その辺りに立っている紬

澪は刃を彼女に向ける


紬「眠っていた正の感情が表に出かかってるわね。正と負が調和する前に始末しないと。ね、菫?」

菫「はい、お嬢様」ガチャッ ジャキン


菫はバリスタを操作し、澪に照準を合わせる


菫「“ オーディン・バリスタ ”!」ドゴォオン!

ズキュゥゥゥウウウン!


射出された弾は虹色の残像を残しながら、下方の澪へ飛んで行く

菫の攻撃は澪の音圧で消えることはなく、有効だった


ドゴオオオオオオオオ!!


澪を爆心地とし、十字架状に爆炎が燃え上がる

245 : [saga]:2011/10/20(木) 00:18:43.86 ID:3cMjcZEAO
ボフッ

ミオ「」バサッ


炎の中から飛び出した澪

紬のもとまで一直線に飛翔する


菫「紬お嬢様!」バッ


バリスタを刀に変形させ、紬を庇う

紬「菫は下がってなさい」チャキッ

ミオ「はぁああああ!」ブン

紬「フフ♪」ブン

ガキィィイイン!

ドォォオオオオン!


ぶつかり合った刀が起こす衝撃
空気をピリピリと振動させる


紬「菫、唯ちゃんの始末をなさい」ギチ ギチ

菫「分かりました!」ダッ


菫は梓達の元へ向かって急降下する


紬「化け物になっても律ちゃんの死には反応するのね」ギチ ギチ

ミオ「貴様ァ………」ギチ ギチ

 「“ 月光斬波 ”!」カッ

紬「させないわよ♪」スッ


衝撃波が放たれる直前、紬は澪の刀にそっと手を触れる


ミオ「――――!?」

ズドオオオオオオオ!


月光斬波は暴発し、術者の澪だけが逆に衝撃波に飲み込まれた………

246 : [saga]:2011/10/20(木) 00:21:15.90 ID:3cMjcZEAO
ここまで!

次回はもっと進めます 展開を
見てくれてありがと!
では、また明後日あたりに!
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 00:47:57.01 ID:CJrwir2v0

りっちゃん日に二度死ぬことになるとは…
しかしりっちゃん好きだけどさすがにもう生き返んなくていいわ
ワンピ並みに陳腐になるし仮にまた生き返らせてあとはムギを説得して
改心したとしてもそれまでの罪を償わなきゃならんからどの道HTT完全復活なんて無理だし
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 01:54:26.45 ID:LFwc3BMdo
乙乙。
いまは黙って見守ろう。
249 : [saga]:2011/10/21(金) 10:18:05.43 ID:/n+zJuuAO
今夜12時!

その前に1つ質問!

菫はプライベートでは紬のことを何と呼ぶんでしょうかね?
やっぱりお嬢様?

割と真面目に答えてくれると嬉しいです
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 12:00:11.20 ID:LDvvehNCo
お嬢様だと思ってる〜って昨日もどこかで聞かれたデジャヴw
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/21(金) 17:27:16.95 ID:hA1YPkPlo
原作で「お嬢様に叱られる」って菫が思ってるシーンがあった気が。
252 : [saga]:2011/10/22(土) 00:10:58.06 ID:gT4YgDaAO
お答えいただきありがと!

>>250
何だ俺か
あのまま行くと、姐者を採用してた

では、さいかい!
253 : [saga]:2011/10/22(土) 00:13:33.67 ID:gT4YgDaAO
――――――――――



菫「」ビュン


七色に光る刀
標的である唯を目掛けて、菫が降下する

純が作り出した風に乗り、唯は宙に浮いている


―――唯(憂、起きて!)

唯(憂)「ぅ………」
    (身体の感覚が……ないよ………)


澪から受けたダメージにより、憂はまだ動くことができなかった


菫「コンバート・ネクサス」

 「“ 一角鋭槍(シンギュラル・スピアー) ”」


刀が槍へと形状変化した

菫は風を切って憂との距離を縮める


菫「」ヒュン!


突き出された槍は憂の胸を捉えて………

254 : [saga]:2011/10/22(土) 00:15:33.63 ID:gT4YgDaAO
キィイイン!

梓純「」ギチ ギチ


2人掛かりで槍の勢いを殺す


菫「退いてください」ギチ ギチ

純「あんたが退きなさいよ!」ギチ ギチ

梓「死んでもここは通さない!」ギチ ギチ


2人が菫を押さえている間に、純の風が憂を床へ運ぶ
丁度、律が眠っている辺りへ憂は降ろされた


梓「“ 氷竜衝 ”」パキパキキ

純「“ 太古の息吹(ロスト・クローザー) ”」ビュオオオ


澪が離れたため、気圧の制限はもう、かかってはいない
思う存分技を繰り出す


菫「」サッ


凍り付き始めた槍を引き、素早く後ろへ下がる

冷気の波動と黄金の風が追尾するが、槍をクルクル回転させて防いだ


菫「邪魔立てしなければ、あなた達に危害は加えません。ですから大人しく唯さんを渡してください」

純「そんな簡単に憂と唯先輩を渡すワケないでしょ」チャキッ

梓「もう誰も犠牲になんてさせない………」

 「律先輩から受け継いだ部長の名にかけて!」

255 : [saga]:2011/10/22(土) 00:17:34.56 ID:gT4YgDaAO
菫「さっきの方達と同じような答えですね。本当に残念です」ザッ


菫は虹槍をゆっくり回転させ、それに気圧を込める


菫「コンバート・ネクサス――“ 二角鋭槍(ブリリアント・ツヴァイ・ランサー) ”」シャキン


槍の両端が刃に変わる
大きさも鋭さも、バージョンアップが施されていた


菫「あの……風使いのあなた、その力はさっきの方達と同じもののですよね?」

純「“ アクセル・ドライブ/エクシード ”のこと?」

菫「やはりそうですか。なら最初から本気で行きます」

純「そういえば、アンタがここにいるってことは、エリ先輩と立花先輩は………」

菫「ご察しの通りです」

純「………そっか」

梓「…………」

―――あずにゃん♪

梓「くっ……!」


笑顔で微笑みかけてくるエリの姿が脳裏に浮かぶ
梓は目をつむり、涙を堪える


梓「………覚悟しててよ」

 『手加減できそうにないから!』

ビュオオオオオオオ!!!

ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


荒れ狂う冷風が場を凍らせる………

256 : [saga]:2011/10/22(土) 00:23:28.37 ID:gT4YgDaAO
〜唯の精神世界〜



どこまでも真っ白の異空間

横たわる憂を腕に抱く唯

地面はないが、気圧で作った足場に腰を下ろしていた


唯(もう何度目だろう。また憂が傷付くのを止められなかった)

憂「ぉ……ねぇ……ちゃん」

唯「」ギュッ


憂の意識は精神世界からも消えかかっていた

現実世界に比例して、唯が抱きしめる憂もボロボロの状態になっていた


憂「私ね、お姉ちゃんを信じてるよ……お姉ちゃんならフルチューニングを成功させられるって」

唯「でも憂が」

憂「もし消えることになったとしても、後悔なんてしてないから」

 「だって、もう一度お姉ちゃんに、梓ちゃんや純ちゃんに会えたんだもん」ニッコリ

唯「………」


俯き、黙り込む唯

257 : [saga]:2011/10/22(土) 00:29:06.15 ID:gT4YgDaAO
憂「お姉ちゃんには、たくさんの守らなきゃいけない人達がいる」

唯「憂を犠牲にしてなんて守るものなんてないよ」

憂「………私は一度、お姉ちゃんに刃を向けた。お姉ちゃんの妹失格なんだよ」

唯「違う!憂は永遠に私の妹だよ!」

憂「ありがとう。ならお姉ちゃんにも覚悟が出来るよね。妹の、私と同じ覚悟が」

唯「あっ………」

憂「もう、いつまでもそんなんじゃ、めっだよ」

唯「う、ういぃ………」ウルウル

憂「私の憧れの、自慢のお姉ちゃんなら絶対にできる!だから勇気を持って一歩踏み出そう?」


憂は身体を起こし、唯の手を優しく握る
そして真っ直ぐ唯を見つめる


唯「…………」


唯は憂の手を握り返すと、2人一緒に立ち上がる


唯「ゴメン、やっと決心がついたよ。フルチューニングを使う決意がね」

 『憂もみんなも、私の力で守ってみせる!』

258 : [saga]:2011/10/22(土) 00:35:30.98 ID:gT4YgDaAO
とう・さいじょうかい!



ドサッ……


地面に落ち、意識を失う純


梓「純!」ハァ ハァ


空中で菫と交戦している梓
圧倒的な実力差に、梓の敗北はもう目に見えていた


菫「」ダッ


両刃の付いた槍を構え、ハイスピードで梓に突っ込む


梓(は、速い―――)

菫「終わりですよ!」ブン

ギュァァアアア!

梓菫「!」


梓に切り掛かる寸前、下から飛んできた白黒の衝撃波が菫に襲い掛かる


菫「コンバート・ネクサス!」


虹の半透膜に保護される菫
響牙天衝を防ぎきった


唯「」バッ


唯は、梓達が立っているのと同一平面上の一地点に着地する


259 : [saga]:2011/10/22(土) 00:37:25.00 ID:gT4YgDaAO
梓「唯先輩、出てきちゃダメで―――」

唯「あずにゃん!」

梓「は、はい!?」

唯「まあ、見ててよ」チャキッ


右手で突き出した黒刀
そして左手を右腕に添える


唯「私の覚悟をね!」ゴゴゴゴ

 「“ フルチューニング ”!」

ペンダント「」キラン

ドオオオオオオオオオ!!!


唯を中心に逆巻く、白く黒い音圧
それらは唯を包み込み、巨大な柱となる


ズバッ!

唯「」チャキン!


音圧柱を切り裂き、右腕と刀が融合した唯が登場する

ヘアピンが外れているせいか、唯の面影が憂と重なって見える


唯「さっさと終わらせるよ」ダッ

菫(――――!)


音速で菫に近付く唯
黒刀を突き出し、先手を打つ

菫は虹膜の盾を構えてはいるが………


260 : [saga]:2011/10/22(土) 00:42:18.38 ID:gT4YgDaAO
菫(この楽器じゃ音圧は防げない!)
「コンバート・ネクサス!」


菫はとっさに虹膜を槍へと変形させ、槍を回転させて防御を試みる


唯「甘い!」ブン

ガキィイイン!

槍「」クルクル ヒュ―ン


弾き飛ばされ、宙を舞う菫の虹槍


チャキン!

唯「」スッ

菫「っ……!」


唯は菫の首筋に切っ先を宛てがう

憂の力を得た唯は、No.0をも圧倒する


菫「トドメを刺さないのですか?」

唯「うん。そのつもりだよ」

菫「………あなたも大概、甘い方ですね!」タッ!


黒刀を振り払い、高く跳躍する
さらにそこから体を半回転させ、逆さまの状態で宙を舞う虹槍を引っつかむ


菫「コンバート・ネクサス!」


槍は刀の姿に戻る


菫「」スタン


唯の斜め上方に着地した菫
刀を思い切り天へぶん投げる


菫(お嬢様のために………)
 「“ 七色の天葬剣(セブンスヘヴン・ワルキューレ) ”!!!」


虹刀は先端から、七色の光の粒子となって消えてゆく
そして、エリと姫子を葬り去ったあの聖剣が天から姿を現した

その大きさ故、剣は塔の壁を破壊しながら唯を目指して進行する

261 : [saga]:2011/10/22(土) 00:44:35.54 ID:gT4YgDaAO
ドゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

菫「あなたが上級演奏者であろうとも、これで必ず仕留めさせていただきます!」

唯「…………」


一方、心眼を使う梓は、打開策を導き出すため菫の思考を読み取る


梓(この攻撃はあの子の全気圧そのものなんだ………。なら、これを壊せば私達の勝ちってことになるけど………)

 (……いや、唯先輩と憂ならきっとできる!)


梓は視線を大剣から唯へと移す


梓「唯先輩!アレを壊してください!」

唯「分かったよ」サッ


迫り来る天剣を見上げると、すぐに刀に音圧を込める


ズズズズズ………


白い気圧、憂の力も混ざっていた


唯「悪いけど、一撃で終わらせるよ」ズズズ


十分な力を纏った刀を振り上げる
そして――――


唯憂『 響 覇 天 衝 !!!』

ズギュァァアアアアア!!!
ドギュゥォオオオオオオ!!!
262 : [saga]:2011/10/22(土) 00:46:55.46 ID:gT4YgDaAO
白と黒の衝撃波が二重螺旋の軌道を描きながら、天剣に激突する


菫(私に負けは許されないっ!)
 「はぁぁああああ!」バッ


両手を剣に向けて振り下ろし、技の威力を上昇させる


ピシッ………

菫「!?」


大剣の先端に亀裂が生じる


ピシピシピシッ!


一度入った亀裂を止める術は無く、先端からどんどん亀裂が広がってゆく


菫「ど、どうして!?」

唯「憂の能力、“ 音鎖爆砕――ストラトキャスター ”の力だよ」

 「“ 相手の気圧を巻き込んで、さらに技の威力を高める ”。ここまで言えばもう分かるよね」

梓(そっか、あの大剣は気圧の結晶。なら響覇天衝が巻き込む対象はあの大剣そのものだから―――)


ズギュァァアアアアアア!!!
バリィィイイイン!


虹の大剣は粉々に砕け散ってゆく………

263 : [saga]:2011/10/22(土) 00:48:32.35 ID:gT4YgDaAO
ここまで!

明日の24時までには連絡入れます
あわよくば、再開します

見てくれてありがと!

ららばい!
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/10/22(土) 00:50:03.40 ID:xQdSzoZCo
良かったよー
無理せず頑張れ!
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 01:19:49.16 ID:37yB3DPr0

律「良かった 今のキミになら 任せて 逝ける」
266 : [saga]:2011/10/23(日) 00:10:24.99 ID:V2fvD/HAO
ちびっと落としてすぐ消えます

さいかい!
267 : [saga]:2011/10/23(日) 00:14:12.75 ID:V2fvD/HAO
菫「そん……な……」フラッ


全ての気圧を失った菫
宙に立つ力さえなくなり、朦朧とする意識の中、落ちてゆく


唯「」ダッ!

ドサッ!


落下を続ける菫は唯に受け止められた
その後、瓦礫だらけの床に降ろされ、寝かされる


梓「唯先輩!」スタン

唯「あずにゃん、この子をお願い」スッ


唯は背を向けて立ち去ろうとする


菫「待って……ください」

唯「」ピタ


立ち止まり、振り返る唯


菫「あなたを倒せなかった私は、お嬢様にとってもう用済みです。だから……お願いです」

 『 私を殺してください 』

梓「!」

唯「………」

 「………ムギちゃんとは、1度だけ刀を交えたことがあるんだ」


紬に憂を殺された直後の戦い
唯は辛い記憶を辿り、語り出す


唯「その時にムギちゃんの本心が伝わってきたんだよ。平和のために本気で一生懸命なんだって気持ちがね」

 「そんな考えをしてる人が、自分の1番身近な大切な人を簡単に切り捨てるハズないよ」

菫「…………」

268 : [saga]:2011/10/23(日) 00:16:42.29 ID:V2fvD/HAO
唯「だからキミはまだ生きなくちゃダメだよ。ムギちゃんのためにも!」

菫「お嬢様の……ために?」

唯「うん」コクリ


唯は優しい表情で頷いた


唯「そろそろ行くよ。早くムギちゃんを止めなきゃね!」

菫「あ、あの!」

唯「?」

菫「紬お嬢様をお願いします!お嬢様を、もとの優しかった頃に――――」

唯「任せなさい」フンス

タッ!


唯は強く地面を蹴り、崩れ落ちてがらんどうになった天井の、遥か上に跳び去った

269 : [saga]:2011/10/23(日) 00:19:48.62 ID:V2fvD/HAO
とう・じょうくう!



ドォォオオオン!
ズドドドドドド!


赤紫色に輝く衝撃波
夕闇に染まる空を何度も照らす


ミオ「ハァ、ハァ」

紬「適当に打っても当たらないわよ♪」

ミオ「くそっ……」チャキッ

 「“ 月光斬波 ”!」ズドドド

紬「」サッ


肩を反らせ、斬撃をわざとすれすれの所でかわす

鏡花水月は発動していない
紬は飽くまでも気圧だけで戦っている


紬「あなたは唯ちゃんに憧れ、そして嫉妬していたのよね?」

ミオ「いきなり何を言い出す?」

紬「唯ちゃんもそうだったわ。憂ちゃんを殺された怒りで、私に向けた刃が鈍っていた」

 「結局、あなたは唯ちゃんと同じだったのよ」

ミオ「ヤツと一緒にするな!」ダッ


紬に切り掛かる澪
だが、あっさりかわされる


紬「ほら、こんなにも簡単に避けられるんだもの」

 「内心では、律ちゃんの死に相当動揺してるんでしょ?」スッ


手にする刀を逆さに向ける


紬「送ってあげるわ。律ちゃんと同じ方法で、同じ場所へ………」

 『 音 k ――――』ゴゴゴ……

唯憂「“ 響 覇 天 衝 ”!!!」ズギュァアアア

270 : [saga]:2011/10/23(日) 00:21:30.50 ID:V2fvD/HAO
白黒2色が入り混じった斬撃
紬を下方から狙い撃つ


紬「」タッ


宙を蹴って後方に回転跳びをする紬

回転跳びを数回繰り返し、さらに距離をとる


紬(菫の気圧が感じられない………まさか)

唯「………」チャキッ


唯は澪を背にし、紬の前に立ちはだかる


ミオ「邪魔だ……どけ」

唯「やられそうになってるクセに、何言ってるの?」

ミオ「余計なお世話だ」チャキン


唯の隣に肩を並べ、紫刀を構える


唯「私を倒すんじゃなかったの?」

ミオ「勘違いするな。お前は後で必ず始末する」

紬「上級演奏者が2人もね………。いいわよ、まとめて相手してあげる」
 (お願いだから無事でいて、菫。すぐに片付けてそっちに行くから)

唯「行くよ!」ダッ

ミオ「私を敵に回したこと、後悔させてやる」ダッ

紬「………」ザッ


三つ巴の戦いが、夕闇の空の下、勃発する………

271 : [ saga]:2011/10/23(日) 00:23:54.78 ID:V2fvD/HAO
ここまで!

明日の20時までに連絡入れます
見てくれてありがと!

サラーバ
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2011/10/23(日) 00:25:42.30 ID:ijm35DSMo
乙でしたー、いよいよ佳境かな。
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 01:17:55.90 ID:FISuGBon0

紬「破血蜜色の午後が過ぎてく〜♪」
274 : [saga]:2011/10/23(日) 19:19:10.98 ID:V2fvD/HAO
※業務連絡

今夜12時、さいかい!
275 : [saga]:2011/10/24(月) 00:32:23.04 ID:WvYcGELAO
さいかい!
276 : [saga]:2011/10/24(月) 00:35:37.13 ID:WvYcGELAO
とう・さいじょうかい!



梓「純、純!起きてよ!」ユサユサ


気を失い、床に倒れている純を揺すり起こす
梓は解放を、始響までに解いていた


純「……ぅ……う〜ん……んー」

 「ふっかーつ!」ガバッ

梓「ちょっ」ゴチン☆

梓純「いたっ!」サスサス

梓「いきなり起きないでよ………」

純「ゴメンゴメン」

菫「あ、あの……」


力を失った菫
身体を起こせるまでには回復していた


純「ア、アンタはっ!」

梓「待って純。この子にはもう、戦う力は残されてないよ」

純「でもこの子は立花先輩やエリ先輩を………」

梓「それは違って、実は――――」

菫「ゴメンなさいっ!」ペコリ

 「許していただけないのは分かってます。でもせめて謝らせてください」

 「私にできるのはこれくらいしかないですから………」

純「………」

277 : [saga]:2011/10/24(月) 00:44:21.60 ID:WvYcGELAO
梓「実はね、先輩達はまだ生きてるみたいなんだ」

純「え!?どゆこと?」

梓「ね?」

菫「あ、ハイ。あの方達には、しばらく動けない状態になっていただいただけです」

 「やっぱり私には……人を危めたりすることなんて………」

梓「そんなこと、もうしなくていいよ」

純「そっか。そうだったんだ」

菫「で、でも私、皆さんに――――」

ポン!


純は菫の肩に手を置く


純「いいっていいって!」

梓「もう済んだことなんだし、これ以上は謝らないで」

菫「ぁ……皆さん……」ジワッ

純「ちょ、ちょっ!」アタフタ

梓「な、泣かないでー!」アタフタ
278 : [saga]:2011/10/24(月) 00:46:09.18 ID:WvYcGELAO
・・・・・・・・


純「そういや、キミは何て名前だったっけ?」

梓「斎藤……菫ちゃんだよね?」

菫「ハイ、そうです」

純「う〜ん、菫……菫……スミーレ?」

 「スミーレ!」

梓「いや、何言ってんの?」ジトー

純「いや、だって何かスミーレって感じするじゃん。ねっ、スミーレ!」

菫「え?あ、ハイ……」
 (私のことなんだ………)

純「思ったんだけどさ、スミーレがいてくれれば、琴吹先輩も改心してくれるんじゃないかな?」

梓「確かに。お願いしてもいい?スミーレ?」

菫「私にできることなら何でも………」
 (何か定着してる!?)

純「よし!じゃ、早速上に――――」

菫「でも」

梓純「?」

菫「私を含めて誰も、お嬢様を変えることのできる人はいないと思います」

 「私はこれまでずっと、お嬢様の1番近くで生きてきました」

 「私とお嬢様は従姉妹同士で、幼い頃はよく遊んでもらいました。あの頃の紬お嬢様は本当に優しかったんです………」

梓「でも、あの事件がムギ先輩や、スミーレの人生を狂わせたんだよね」

279 : [saga]:2011/10/24(月) 00:48:50.74 ID:WvYcGELAO
菫「ハイ………」

 「その事件から先も、私はお嬢様とずっと一緒にいました」

 「だから分かるんです。何があってもあのお方は決して止まらないって」

梓「でもさっき、ムギ先輩をお願いしますって、唯先輩に………」

菫「紬お嬢様を解放してあげて欲しいんです。憎しみが渦巻くこの世界から」

梓「スミーレは、本当にそれでいいの?」

菫「お嬢様を救うには、もうそれしかありませんから………」

純「待った!まだ希望は捨てきっちゃダメだって!」

ドォオオン! ガラガラガラ………

梓純菫「!?」


爆発が起こり、壁に大穴が空く


姫子「ハァ……ハァ、純の言う通りよ」

瀧エリ「姫子〜、あんまりハデに動かないでよぉ〜」

梓「エリ先輩!」
純「立花先輩!」


こちらに向かって歩いてくる姫子とエリ
エリは姫子に肩を貸りながら、足を引きずっている


姫子「アンタのお爺さんだって、私達に希望を託してくれたんだ」

菫「お爺様………」

梓「行こう、スミーレ。私達と一緒に!」スッ


にっこり微笑み、菫に手を差し延べる


菫「……ハイ!」スッ


差し出された手に、手を延ばそうとしたその時――――

280 : [saga]:2011/10/24(月) 00:54:31.35 ID:WvYcGELAO
ジジ……ジジジ………

梓純菫姫エリ「!」


フロアの中央に突如として現れた円形の電磁波
横向き輪を作り、床から数メートル浮いている

また、電流環の周から伸びた電流が円の下方の一点に集まり、エネルギーがそこへ集中してゆく


純「な、何アレ?」

姫子「また新手!?」

菫「そんなハズありません!こちらの戦力は、お嬢様と私で最後なんですから!」

バリバリバリバリ! カッ―――――


強烈な光を放ち、辺り一帯が真っ白になる


梓純菫姫エリ「!!」


梓達は思わず顔を覆い隠す


バジジ……ジジ……ジ……

?「………」


黒いローブを羽織り、フード深く被った人物
消滅した電流環の下、電流が集中していた辺りに膝を折ってしゃがんでいた


梓「だ、誰……ですか?」

?「………」スッ


その人物は静かに立ち上がる

背丈は高くも低くもなく、ローブの下から覗く細くくびれた足から察するに、成人女性のようであった

281 : [saga]:2011/10/24(月) 00:56:10.94 ID:WvYcGELAO
姫子「黙ってないで答えなさいよ!」

?「………」


梓達の問い掛けを無視し、謎の人物は上を仰ぎ見る


?「あの子達は、まあいっか」

梓純菫姫エリ「!」

純(い、今の声って……)

姫子(少し大人びた感じもするけど……)

梓(間違いない、この声。でもそんなハズ――――)

ススー……チャキン!


ローブから伸び出た刀
下に向けた刃がキラリと光る


?「みんなにお願いがあるんだ」

 『死んでくれないかな?』

282 : [saga]:2011/10/24(月) 01:01:05.47 ID:WvYcGELAO
とう・じょうくう!



唯ミオ「はぁぁああああ!」ブン

紬「」ブン!

キィイン!


振り下ろされた2振りの刀を同時に受け止め、跳ね返す紬


ミオ「はあっ」ブン!


上段に横一閃する紫刀

紬は腰を落としてかわすが、中段には唯の刀が迫っていた


紬「っ!」ブン

キィン!


立てた刀で防御する


ミオ「ガードが甘いぞ!」バサッ

ドカッ!


黒翼で弾き飛ばされる紬
空中で宙返りして体勢を立て直す

唯と澪は、今さっきまで敵対していた者同士とは思えないほどの、絶妙なコンビネーションで紬を攻め立てる


スタンッ


紬「流石は上級演奏者ね。唯ちゃんも、さらにレベルが上がってるじゃない」

ミオ「その物言いは何だ?まさか私達に勝つ気でいるんじゃないだろうな?」

紬「それはこちらのセリフよ、澪ちゃん?」


互いに睨み合う2人

283 : [saga]:2011/10/24(月) 01:03:21.67 ID:WvYcGELAO
唯「………そうだ、ムギちゃん」


紬は視線を唯に向ける


唯「1つ確認しておきたいことがあるんだ」

紬「何かしら?」

唯「私と憂の……お父さんとお母さんを殺したのはムギちゃんなの?」


少し驚いたような表情をする紬


紬「そういえば、以前にも同じことを聞かれたような気がするわ。確か……憂ちゃんからね」

唯「それで、どうなのって聞いてるんだけど?」

紬「私は知らないわ」

唯「嘘つかないでよ。お父さんとお母さんがムギちゃんの会社で演奏者の研究をしてたこと、知ってるんだよ」

紬「確かに、唯ちゃんの両親な演奏者について研究していたわ」

 「あの人達には、演奏者の限界を引き出すあるプログラムを開発させていたのよ」スッ


紬は人差し指を唯の胸元へ向ける

284 : [saga]:2011/10/24(月) 01:08:30.37 ID:WvYcGELAO
唯「………?」

紬「あなたのそのペンダント。それが私の作らせたプログラムよ」

 「全世界の統一。それを確実に成就させる為に、幾つものシナリオを用意していたの。そのシナリオの内の1つで、そのペンダントがキーアイテムになっていたのよ」

 「エネルギー不足が解消した時点で、それは既に用済みになっちゃったんだけどね」

唯(演奏者の……限界を引き出す?)

紬「唯ちゃんが以前より強くなっているのも、それのおかげ。つまり」チャキッ


切っ先を真っ直ぐ、唯へと向ける


紬「それを壊せば唯ちゃんの力は容易く崩れるのよ♪」ダッ

唯(コレを失えば、憂が消えちゃう)ギュッ


胸元のペンダントを強く握る


唯「そんなこと、絶対にさせない!」ダッ


ペンダントから手を離し、両手で刀を振るう
飛び出した唯は、速攻で紬に切り掛かって行く


ミオ「止まれ唯!そいつは――――」

ドクン!

ミオ(!?)フラッ


胸を押さえてよろける澪


紬(ついに正と負の心がバランスを崩したようね。アレはもう使えないわ)

285 : [saga]:2011/10/24(月) 01:12:32.59 ID:WvYcGELAO
唯「はああああっ!」ブン!

ズバァアア!


縦に振り下ろされた黒刀
肩から斜めに切られた紬はバランスを崩し、落下していく


 『砕けなさい 鏡花水月』

唯「!」


響き渡る紬の声


ガシッ!

唯「うっ……!」


直後、唯は目の前に現れた紬に首を締められ、宙に持ち上げられる
落下したはずの紬はいつの間にか消えていた


―――憂(お姉ちゃん!!)

唯「ぅぐっ……!」
 (ヤバイよ、動けない!)


完全催眠をかけられた唯は、身体の自由を奪われた

左手で唯を締め上げる紬
右手の刀を左脇の辺りへ引き付ける


紬「ふふふ♪じゃあ遠慮なく壊させてもらうわ♪」

 「あなた達姉妹の絆をね♪」スッ

唯「ゃ…め……て――――」

バリィィィィィン!


横一閃に振り切られた刀
夕闇の中で光り輝いていたペンダントを、見事に粉砕する


紬「お1人様、おーしまい♪」
286 : [saga]:2011/10/24(月) 01:14:46.85 ID:WvYcGELAO
シュウウゥゥゥ


唯の身体から抜け出ていく白い気圧

紬が唯から手を離すと、唯はその場に崩れ落ちた


唯「ぁ……あぁ………」


絶望に打ちひしがれる唯


紬「せっかく憂ちゃんと再会できたのに、もうお別れね」

 「でも安心して。直ぐに会わせてあげるから♪」スッ


紬は切っ先を唯の胸元へ向ける


紬「それじゃあ――――」

 「さ・よ・う・な・ら♪」ヒュン!

ザシュッ!

287 : [saga]:2011/10/24(月) 01:18:07.09 ID:WvYcGELAO
胸を貫く刀
刃を伝って滴る紅血


澪「っ……!」

唯「澪………ちゃん?」


紬を背に、両手を広げて唯をかばう澪


紬「あらまあ、自分の身を犠牲にして唯ちゃんを守るなんて。倒すべき相手を忘れたのかしら?」ススッ

ガシッ!


紬が引き抜こうとした刀を、澪が両手で掴んで阻止する
澪の左手と紫刀との融合は解けていた


紬「あがくのは止しなさい。醜いわよ?」ズリュッ

澪「がはっ……!」


紬が無理に引き抜こうとしたせいで、澪は吐血する


澪「悪いな、ムギ。少し唯と話をさせてくれ」


刀は心臓付近をかすめている
澪には、そう長くの時間は残されていない

288 : [saga]:2011/10/24(月) 01:21:59.72 ID:WvYcGELAO
澪はその場にへたり込んでいる唯に語りかける


澪「ゴメンな、唯。私が不甲斐無いばかりに………ごほっ!」ドバッ

唯「み、澪ちゃん!」

澪「話を……続けるぞ」


澪の口元を伝う一筋の血
それでも澪は話し続ける


澪「唯も“ 上級演奏者(プロアーティスト) ”だから……分かるよな?」

 『今の私達じゃ、絶対にムギは倒せない』

唯「………」


相手の気圧で、その力量を測ることのできる上級演奏者
それは音圧の域に足を踏み入れた者だけの特権であった


紬「あら、ちゃんと理解してたのね」

澪「でも唯ならムギを超えられる。私はそう信じてる」

唯「私が……?」

 「ムリだよ………憂がいなくなっちゃったんだよ!?私だけの力じゃ何も――――」

澪『唯だけの《 演奏術(フルチューニング) 》を見つけるんだ!』

289 : [saga]:2011/10/24(月) 01:23:11.21 ID:WvYcGELAO
唯「私だけの……フルチューニング?」

紬「何の話をしているの?唯ちゃんもあなたも、すぐに死ぬんだから何を言っても無駄なんだけど」シュッ

澪「ぅあっ……!」


紬は一気に刀を引き抜く
澪は膝をついて傷口を押さえる


唯「澪ちゃん!」

ドカッ!

唯「うっ……!?」ヒュ―ン


澪に駆け寄った唯は、腹を殴られ後方に飛ばされる

その先には円形の時空の裂け目が出現していた


和「ハァ、ハァ。間に合ったみたいね」


異次元への入口付近には、刀を掲げて能力を行使する和がいた


唯「和ちゃん!?」ヒュ―ン


唯はそのまま吸い込まれるように、異空間の中へ消えて行く


澪「唯、必ず未来を救ってくれ!」

唯「澪ちゃん!和ちゃ――――」

ズズズゥゥゥ………


和が刀を振り下ろすと、空間の裂け目は口を閉じた


290 : [saga]:2011/10/24(月) 01:26:44.74 ID:WvYcGELAO
和「唯に手は出させないわよ」

紬「それで唯ちゃんを逃がしたつもり?鏡花水月であなたを操れば―――」

和「こうすれば問題ないわ」バキンッ


いとも簡単に折れた刀
和は自ら力を放棄した


紬「………まあいいわ。唯ちゃん1人が生きていた所で、私の計画が破綻するわけでもないし」

澪「それはどうだろうな」シュタン


紬から離れ、和の隣に瞬間移動する澪


紬「………」


紬は目を細め、澪に睨みを利かせる


紬(澪ちゃんの刀が消えている?それに、傷が塞がりかけてる。これは………)

澪「なあ、ムギ。どうして手を抜いたような戦いをするんだ?」

紬「手を抜く?何のことかしら?」

澪「とぼけるな。最初から音解を使っていれば私達を瞬殺できたことくらい、分かっているんだぞ」

紬「………だって、そうしないとつまらないじゃない。あなた達が弱過ぎるんだもの」

291 : [saga]:2011/10/24(月) 01:27:58.22 ID:WvYcGELAO
澪「………そうか。でもな、1つ言っておく」

 「私にはお前の本心が見えているんだぞ」

紬「………」

和「澪?」

澪「唯を仕留め損ねたのも、わざと――――」

紬「黙りなさい!!!」

スチャッ!


紬は逆さに向けた刀を掲げる


紬「もう何も喋らなくていいわ。今すぐ死になさい」ゴゴゴゴ

ヒュオオオオオオオ!


負の感情(メンタル)エネルギーで満ちた気圧が、風となって吹き荒れる


和「何なの、この気圧は!?」ゾクッ

澪「そんな馬鹿な………ありえない。絶対音感でも測りきれないなんて!」ゾクッ

紬『  音   解  』ゴゴゴゴ


闇はさらに深く、そして濃く、星1つ見えない夜の空を支配してゆく………

292 : [saga]:2011/10/24(月) 01:29:30.18 ID:WvYcGELAO
おーしまい

次の更新はちと先になる
3日以内に連絡します

見てくれてありがと!
サイナラー
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/24(月) 02:02:29.47 ID:vy4MnADSo
話がややこ(ry盛り上がってまいりました
さてどこまでインフレして誰が生き残るやら
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/24(月) 02:21:41.30 ID:IDJJqs2ko
王道だが熱いな
295 : :2011/10/26(水) 22:57:16.49 ID:ENqH7kGAO
前回から3日経ちました………が、申し訳ない。
まだ更新できません。サーセイ

次回は2日後!

296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/30(日) 13:59:02.92 ID:x4Z20Buoo
鹿賀丈史「私の記憶が確かなら既に2日経過しているのだが」
297 : [saga]:2011/10/31(月) 18:56:15.12 ID:vj0EIduAO
>>296
目に見えるものだけが全てではない
感じるのだ。2日という時間を己が心で……!


‥‥今夜12時あたりにぼちぼち始めます
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 19:32:30.54 ID:zPv/iWiSO
1:荒巻@管理人 ★ :2011/10/31(月) 03:16:48.58 ID:??? AA
本日2011年10月31日から翌日11月1日にかけて
VIPServiceの専用サーバを全て新しい鯖へと交換します。

従って本日中は書き込みやアクセスに大きな制限が出る可能性があります。
作業が影響するサービスは次の通りです。

sukima.vip2ch.com
hirame.vip2ch.com
fsm.vip2ch.com
wktk.vip2ch.com
nullpo.vip2ch.com
ex14.vip2ch.com

作業進展状況はここに随時レポートされます。

ではでは、作業開始します



引っ掛かるかな?
299 : [saga]:2011/11/01(火) 17:15:07.26 ID:qKl61BZAO
お、鯖が復活なさったか

昨日の分を今夜12時に投下します

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 18:49:54.80 ID:OxhJguFio
気長に待ってるよん。

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
301 : [saga]:2011/11/02(水) 00:13:01.98 ID:Izl820HAO
おっしゃ! 始めるでぇ〜

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
302 : [saga]:2011/11/02(水) 00:17:08.54 ID:Izl820HAO
いじげんくうかん!



和が作り出した別次元の異空間

遥か彼方、至る所で瞬く星々
美しい輝きを放つ銀河の数々
そこは、果てし無く広がる宇宙のような造りになっていた

その中をあてもなく漂う唯
フルチューニングは解け、黒刀は右手に納まっていた


唯「………また何もできなかった」


刀を握る手に、力はない


唯「………ぅ」

 「うわあああああああああああ!!!」


込み上げる感情がはけ口を求め、喉を伝って外へ飛び出す
唯の叫びは、広大な闇の世界に虚しく消えて行く


唯「……もう何もする気にならないや」


仰向けに漂いながら、星を見上げる


唯「助けてもらってばかりで……みんなを……守れなかった」ジワッ

 「憂、お姉ちゃんね……憂とした約束、守れなかったよぉ」ポロポロ

 「うっ……ヒック……グスン」ポロポロ


―――また泣いて立ち止まるつもりなのかい、唯?


心の中に直接語りかけてくる声



サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
303 : [saga]:2011/11/02(水) 00:20:38.54 ID:Izl820HAO
唯「グスッ……ギー太?」

―――ギー太(みんなは何を思って唯を逃がしてくれたんだい?君はみんなの思いを裏切って、また立ち止まるのかい?)

唯「そんなこと言ったって、今回ばかりはもう、どうにもならないよ!」

 「あんな気圧……たおせっこないよ。しかも、ムギちゃんはまだ力を隠し持っている」

 「それに比べて私は………。憂がいても勝てなかったのに、私1人でなんて……ムリに決まってるよ」

―――ギー太(僕は言い訳を聞いているんじゃないよ。君自身はどうしたいのか、と聞いているんだ)

唯「私は……私は………」

 「私はムギちゃんに勝ちたいよ!勝ってみんなとの約束を、私達の未来を守りたいよっ!」

―――ギー太(そうだよ、唯。君はこんな所で立ち止まるわけにはいかないんだ)

――――――(目を閉じてごらん。今こそもう一度、自分を見つめ直すんだ)

唯「うん」ギュッ


唯はギー太に言われるまま、まぶたを閉じる………



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304 : [saga]:2011/11/02(水) 00:25:07.53 ID:Izl820HAO
〜唯の精神世界〜



赤と黒の2色が織り成す混沌とした空間
普段の、白一色の世界であった面影は、消えていた


唯「この雰囲気……初めて来た時とおんなじだ」


気圧で作った足場の上に、唯は立っている
また、背中のギターケースには、楽器の状態のレスポールが収納されていた


 「久しぶりだね。我が主、平沢唯」

唯「!」サッ


唯が振り返ると、その先には自分と全く同じ恰好の、同じ顔をした少女がいた


唯「あなたは………」

ユイ「そう、私はアナタ自身の闇の部分」


少女は唯と同じ声で話す
唯は、まるで鏡に映った自分と話をしているかのように感じる


唯「あれ、あなたって女の子だったの?」

ユイ「最初は違ってたけどね、今はそうだよ」

 「私の人格は、アナタの心の闇に合わせて変化を繰り返して行ったんだ」

唯「心の闇に合わせて……変化する?」


唯は思い出す
目の前のこの少女が、最初は憂の姿をしていたこと
そして丁度その頃、憂が唯の倒すべき敵として立ちはだかっていたことを



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305 : [saga]:2011/11/02(水) 00:28:21.98 ID:Izl820HAO
ユイ「そして、私は段々アナタに近付いていってるんだよ」

唯「私に……?」

ユイ「そして今、私はアナタの姿でここにいる」

 「それが何を意味してるのか、分かるかな?」

唯「………分からないよ」

ユイ「思い出してみてよ。自分の仲間に手を出した時のことを」

唯「!」

――――「憎しみの力が馴染んでくる……アハッ、最高の気分だよぉ」

唯「………」

ユイ「1度闇に落ちたアナタは、既にこちら側の人間」

 「つまりそれは、アナタ自身の存在が心の闇だってことを表してるんだよ!」

唯「!」

ユイ「さらにそれは同時にあることを意味している」

唯「どういうこと……?」

ユイ「アナタを倒し、この私が新たな平沢唯となる時が来たってことだよ」ニヤッ

唯「そんなッ!?」

ユイ「アナタはもう十分苦しんだじゃん。後は私に任せなよ」

 『全て私に任せて眠ってなよ。永遠にさぁ』ニヤリ

唯「」スッ


唯は背負ったギターケースに手を伸ばし、楽器を取り出す



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306 : [saga]:2011/11/02(水) 00:32:11.67 ID:Izl820HAO
ユイ「へぇー、やるつもりなんだ。また負けるかもしれないのに」

唯「私は負けないよ。ムギちゃんを止めるまでは立ち止まれないから」

 「だから、あなたも倒してみせる!」

ユイ「………なら仕方ないよね」スッ


唯に遅れて、闇の人格も楽器を手に取る


唯ユイ「」サッ


それぞれ右手でギターのネックを掴み、頭上に掲げる


唯ユイ「“ 行くよ ギー太 ”」ゴゴゴゴ


2人の周囲を渦巻く気圧
楽器は巨大な出刃包丁にも似た刀へと姿を変えた


唯ユイ「」チャキン!


さらに、降ろした刀を前に突き出し、左手を右腕に添える


唯「あんまり時間がないんだ。最初から全力で行くよ」

ユイ「言われなくても分かってるよ………」


一瞬の間が生じる
そして――――


唯ユイ『  音  解  !!!』ドゴゴゴゴ!!!



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307 : [saga]:2011/11/02(水) 00:34:32.75 ID:Izl820HAO
黒い気圧が各々を包み込む


チャキン!

唯ユイ「“ 音鎖天征――ギー太 ”!」


風に黒衣をはためかせ、構えた刀の切っ先で互いに相手を捉える


ユイ「全力で来るんでしょ?ならもちろん、まだ解放するんだよね?」

唯「そのつもりだよ」スッ


再び音解と同様の構えをとる唯
黒い音圧が、突き出した黒刀を取り巻く


唯「“ フルチューニング ”!」ゴゴゴゴ

ユイ「かかった♪」ボソッ

唯「えっ?」ゴゴゴゴ

―――ドクン!

唯「うっ!?」

ズ オ オ オ オ オ オ


唯の身体から溢れ出す黒いオーラ
フルチューニングは失敗し、音圧が暴走を始める


唯「なに……コレ」ガクン


唯は片膝をつき、左手で胸を強く押さえる



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308 : [saga]:2011/11/02(水) 00:35:56.66 ID:Izl820HAO
ユイ「残念だったね。フルチューニングは失敗しましたー!」クスクス

唯「なにを……したの?」ズオオオ

ユイ「私はなーんにもしてないよー」

 「あなたが勝手に失敗しただけ♪」

唯「う……あ゙ぁ゙……!」ドサッ

ユイ「消える前に教えてあげよう。何で失敗したのかを」スタ、スタ


うつぶせに倒れた唯に、ゆっくり近付いて行く


ユイ「フルチューニングは、絶対音感を応用し、高次元の音圧を従える超高等技術」

 「だけどそれにはリスクが伴う」

 「それは、絶対音感を媒介にした術者のコンディションが、感情(メンタル)エネルギーに大きく左右されること」

 「周りを見てみなよ。負の感情で満ちた、この精神世界を」

唯「うっ……」ズオオオ


混沌とした唯の世界
そこにあるのは光ではなく、絶望の色だった



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309 : [saga]:2011/11/02(水) 00:38:34.10 ID:Izl820HAO
ユイ「こんな所でフルチューニングなんてしようとすれば、今みたいになるのは当然」

 「制御できない闇の力が、たちまちアナタ取り込んで行くよ」

唯「くっ……」キッ


唯は顔を上げ、もうひとりの自分を見上げる


ユイ「さっきは憂がいたから、失敗することはなかったんだ」

 「だけどその憂は、もういない」スタ、スタ

ピタッ


偽者は唯の前で立ち止まる

制御不能の黒い音圧
暴れ狂ったように唯の周囲を渦巻いている


ユイ「ふふふ、私が手を下すまでもなかったね♪」

唯「………まだ」

ユイ「ん?」

唯「まだ私は……終わってないよ」スタ…


暴走した音圧を身に纏い、何とか体を起こす唯


唯「終わるわけには……いかないんだよっ!」ゼーハァ、ゼーハァ



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310 : [saga]:2011/11/02(水) 00:39:10.58 ID:Izl820HAO
チャキン!


刀を前に突き出し、再びフルチューニングを試みる


ユイ「止めなよ。どうせまた――――」

唯「“ フルチューニング ”!」ゴゴゴゴ

ズオオオオオオオオ!!!


猛威を振るい、逆巻く黒い暴風
黒よりも暗い暗闇に、唯の姿は沈んで行った………



サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
311 : [saga]:2011/11/02(水) 00:42:00.95 ID:Izl820HAO
今日は非常に眠い! だからここまで!

続きは明日の夜、12時ごろ!

見てくれてありがと!
サラ婆〜


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312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/02(水) 01:10:28.70 ID:ud1RDE2Wo
ギーグとのバトルを思い出した

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313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/02(水) 01:11:05.20 ID:ud1RDE2Wo
ギーグとのバトルを思い出した

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/02(水) 02:58:16.73 ID:0jeUQwiro
ムギの能力が
格下に完全催眠
相手の憎しみを自分のエネルギーに変える
だったか
だから最低でも素の実力でムギを上回ってかつ無の境地に達しなきゃならんわけだ
315 : [saga]:2011/11/03(木) 00:07:46.86 ID:3lTN8xCAO
最下位!
316 : [saga]:2011/11/03(木) 00:13:39.72 ID:3lTN8xCAO
とう・じょうくう!



ザシュッ シュバッ ズバァァアッ………

澪「っ――――!?」ブシュウウウ

和「………ぁ」ブシュウウウ


飛び散る鮮血
無惨にも全身を切り刻まれた澪と和
それは紬が“ 音解 ”を唱えた直後、一瞬の出来事だった

律の時と同様に、一体何が起こったのか2人には理解できなかった
それ以前に、自分が切られたということさえ、一瞬理解できなかった


和「えっ……私……」フラッ

ヒュ――――ン


地面に向かって真っ逆さまに落ちて行く


和(ああ……私、死ぬのね……)

 (唯……あなたは………)


―――――――――
――――――
―――

317 : [saga]:2011/11/03(木) 00:15:39.07 ID:3lTN8xCAO
澪「の、和ァ………くっ!」ガクン


腰を折ってひざまずく澪は、片膝に手をつき、上半身を支える


紬「うふふ、また1人いなくなっちゃったわね。澪ちゃんのお友達♪」

澪「お前の……せいだろ」ゼーハァ、ゼーハァ

紬「私のことが憎い?」

澪「違うと言えば……嘘になるな」ハァ、ハァ

紬「醜い感情ね。今のアナタのその姿のように」

澪「だけどそんな私も……紛れもなく私自身なんだ!」ゴ ゴ ゴ ゴ


澪から発せられる、重くのしかかるような重圧


紬「!」

 (この感じ、唯ちゃんが暴走した時とおんなじ!)

 (音圧よりもさらに上の……)

ポワァアアン


パープルに輝き始める澪の体


澪「これは………?」


澪は自分の両手を見つめる

318 : [saga]:2011/11/03(木) 00:17:39.13 ID:3lTN8xCAO
―――ミオ(ようやく聞こえるようになったか。私の奏でる旋律が)

澪(!………うん)

―――ミオ(ふん、まあまあマシになったんじゃないか。今のお前になら………)


偽澪の意識が澪の中に溶け込んでゆく


澪(……お前の力、借してもらうぞ)ギュッ


澪が目を閉じると、新たな演奏術の極意が、不思議な音色とともに頭の中に流れ込んできた


澪「………見えたぞ。私だけの新たな境地がっ!」パチッ

紬「なんですって?」


紬は想定する
自分にとって最悪のパターンを


紬(まさか、このタイミングで進化するというの?)

 (《 最上級演奏者(トップ・プロアーティスト) 》に!!)

澪「ムギ……行くぞ!」

バサァッ!


澪は折り曲げた片翼で身を包む
紫色の光を内包して

319 : [saga]:2011/11/03(木) 00:18:47.12 ID:3lTN8xCAO
紬(ハッタリじゃなければ、澪ちゃんの刀が消滅したことも、私の心を読まれたことも辻妻が合うかもしれない)

 (何せ、最上級演奏者は空前絶後の究極の境地だもの。どんな力を使っても不思議じゃないわ)

スチャッ!


紬は刀を下ろし、澪の方へ歩を進める


紬(とはいえ、澪ちゃんは既に虫の息。殺すなら今ね!)ヒュン


音の速さで澪の上方に移動する
刀を振り上げており、すでに切りかかる準備は万端だ


紬「さっさとくたばりなさい」ブン!


紬は、澪がさらなる進化を遂げる前にトドメを戦いに終止符を打とうとする
だがそれは、ひと足遅かった


澪ミオ「最終演奏演撃(フルチューニング・ザ・ラストナンバー)……」

カッ!

紬「!」


澪から発せられたまばゆい閃光
同時に四方へ衝撃波を撒き散らす

320 : [saga]:2011/11/03(木) 00:23:12.86 ID:3lTN8xCAO
紬「っ!」スタンッ
 (間に合わなかった……)


紬は後方へ飛び下がり、衝撃波を回避していた


煙「モクモク」

スゥ―――――


紫の煙が晴れゆく


澪『 霧雨時雨――エリザベス !』

紬「その姿……!」


そこには、怪物化をする前の姿の澪が立っていた

手には刀どころか、戦うための武器も何も持っていない
もちろん、紬から受けた傷もそのまま残っている


紬「あら、どうやら進化に失敗したみたいね♪」

澪「そんなこと無いさ。嘘だと思うなら試してみればいい」

紬「そうさせてもらうわ……」スッ


刀を掲げる紬


紬「“ 砕けなさい 鏡花水月 ”」キィィィイン

澪「………」

紬(ふふ、これでしばらくは動けない♪いい夢見ててもらうわよ)スタ、スタ

澪「………」

紬「」スタ、スタ

澪「効いてるとでも思ったか?」

紬「!?」

澪「それは残念だったなっ!」ダッ

321 : [saga]:2011/11/03(木) 00:27:23.63 ID:3lTN8xCAO
紬「っ!」チャキン


勢いよく飛び出した澪


紬(武器もなしで飛び込んでくるなんて―――)

澪「来い!エリザベス!」バッ


澪が左手を胸に手を当てると、そこに紫の光が集まってゆく

澪は刀を振り切るように、それを一気に引き抜いた


紬(光の結晶が刀に!?)


紫の発光刀を、澪は全力で振り下ろす


澪「はああああああ!」ブォン!

紬「くっ!」ブン!

バキィィイン!


小枝のように、いとも簡単に折れた紬の刀


ズバアァァァアッ!

紬「………ッ!」フラッ

澪「私の勝ちだな、ムギ」

322 : [saga]:2011/11/03(木) 00:28:38.76 ID:3lTN8xCAO
紬「ふふ……忘れた……の……かしら?」


口端から血を流しながらもなお、紬は余裕の表情を崩さない


紬「私はすでに………」

 「“ 音解 ”を使っているのよ♪」ニヤリ

澪「!?」

ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


澪の両サイドに、超巨大な鋼鉄の壁が現れた

遠くから確認すると、縦長のドームを2つに分割したような形になっている

また、一面のトゲがびっしりと、壁面を埋め尽くしていた


紬「“ 血濡れの処女(ブラッディ・メイデン) ”」スゥ―――


そう言い残すと、紬の姿は薄くなって消え去った


ゴゴゴゴゴッ!!!


死の棺に閉じ込めんと、2枚の壁が澪に迫る


澪「ムギの能力では幻影までしか生み出せないハズだ」

 「こんなもの、私には効かな―――」

ズドォォォオオオオオン!


棺桶のふたが閉まる………

323 : [saga]:2011/11/03(木) 00:31:36.70 ID:3lTN8xCAO
キュイン キュイン

バリイィィィイイン!!!

パラパラパラ………


クロスに切れ込みが入り、地獄の鉄檻は粉砕された


澪「びっくりした………」

 「まさか、ムギが実体の技を出してくるなんて―――。!?」

紬「ふふ、驚いた?」


いつの間にか背後に瞬間移動していた紬
澪の背中にピッタリくっついている
深々と突き刺した刀を、鍔(ツバ)の辺りまで押し付けて……


澪「なッ……いつの……間に……」

紬「ごめんね澪ちゃん。あなたが上級演奏者でなければ、殺さずに済んだんだけど……」スス―


紬の刃は、今度は確実に澪の心臓を貫いていた

紬が刀を引き抜くと、澪は重力の作用で落下してゆく


澪(律、どうやら私もここまでみたいだ)

 (できるなら私も、律と同じところに………)ヒュ―ン


―――――――――
――――――
―――

324 : [saga]:2011/11/03(木) 00:35:49.96 ID:3lTN8xCAO
紬「あっけない最期だったわね。でも」

 「あなたは素晴らしい素材だったわ。おかげで興味深いデータが取れたんだもの♪」


日没は遠に過ぎ、夜の闇が支配する空の下、ひとりたたずむ紬
遥か下方へ落ちて行った澪を見下げ、ほくそ笑む


紬「正の心と負の心。相反する2つの精神が、私を倒すという目的のもとで調律(チューニング)され、境界を失なった」

 「それが最後の演奏術といったところね」

 「………それにしても、早く決着がついてよかったわ」

 「相手の心の闇を利用して発動する鏡花水月。どんな人間にも闇は必ず存在するはずなのに、澪ちゃんには効かなかった」

 「つまり澪ちゃんは、演奏者も、人すらも超えた領域に至っていたということになるわ」

 「それに私の奥義、血濡れの処女(ブラッディ・メイデン)は本来、この世の物質では壊せない技」

 「もしも戦いが長引いていれば、恐らくは………」


紬は首を振る


紬「所詮、終わったことよ。もう考えるのは止しましょう」クルッ


紬は体の向き変え、菫のいる塔の内部へ向かう

325 : [saga]:2011/11/03(木) 00:37:29.67 ID:3lTN8xCAO
とう・さいじょうかい!


天井は崩れ落ち、壁もほとんどが崩壊している最上階のフロア

点滅をくり返す壊れた照明

暗い室内の様子はよく見えず、フロア全体が不気味な雰囲気に包まれていた


紬「」スタン!

シ―――――ン


床に降り立つ紬
だがそこには、何者の気配もなかった


紬「菫、出てきなさい。菫?」スタ、スタ

コツ、コツ、コツ


静まり返った部屋に反響する紬の足音


紬「菫?どこにいるの……?」スタ、スタ


異様な雰囲気に不安を覚える紬
少し歩くと、部屋の中央付近に辿り着いた


紬「………!」


そこには、予想だにしない光景が広がっていた

326 : [saga]:2011/11/03(木) 00:41:52.84 ID:3lTN8xCAO
横たわる梓達
そして一面の血の海

紬はしばらく、驚きに声を出せないでいた


紬「……すみ……れ?」


視界の端に横たわる、受け入れられざる現実
紬は自分の目を疑った


紬「菫!」ダッ!


はっと我に帰り、即座に菫のもとへ駆け寄る
そして両腕で抱き抱える


紬「菫!返事をなさい、菫!」ユサユサ

菫「……ぉ嬢……様?」


刀によるいくつもの切り傷
滲み出た血が紬の手に付着する


菫「ごめん……なさぃ……。私、もう……」


菫には、まだ微かに息があった

327 : [saga]:2011/11/03(木) 00:43:24.60 ID:3lTN8xCAO
紬「い、イヤよ。勝手に死ぬなんて誰が許したの?」

菫「紬お嬢様………」スッ


最後の力を振り絞り、紬に手を伸ばす


紬「すみ―――」スッ

スカッ


だらりと垂れ下がる菫の手
紬が伸ばした手は、虚しく空を掴む


菫「」

紬「……れ」

 「…………」


紬はしばらく黙り込む


紬「………仕方のないことよ」

 「そうよ。菫も斎藤も大義のための犠牲になったのよ」

 「だからこれは……仕方のないこと……」


自分に言い聞かせでもするように、独り言をつぶやく

紬は菫を腕から降ろし、立ち上がる
菫の頬には、キラリと光る一滴のしずくが残っていた………

328 : [saga]:2011/11/03(木) 00:45:20.80 ID:3lTN8xCAO
・・・・・・・・・



紬「……それにしても、一体誰がこんなことを」


間を置いて、少し冷静を取り戻した紬
周囲の惨状に、今一度目をやる


紬「ここにいた全員がもう死んでる。ある1人を除いて」


瞳を閉じ、心当たりのある人物を頭に思い浮かべる


紬「平沢唯。できるとすればあの子しかいない………」

 「菫、あなたの無念は必ず晴らしてあげるからね」


雲間から顔をのぞかせる赤い月
暗闇の中の紬を妖しく照らし出す………


329 : [saga]:2011/11/03(木) 00:50:03.95 ID:3lTN8xCAO
誤爆した。
>>328を以下に置換してくだせぇませ
330 : [saga]:2011/11/03(木) 00:50:57.02 ID:3lTN8xCAO
・・・・・・・・・



紬「……それにしても、一体誰がこんなことを」


間を置いて、少し冷静を取り戻した紬
周囲の惨状に、今一度目をやる


紬「ここにいた全員がもう死んでる。ある1人を除いて」


瞳を閉じ、心当たりのある人物を頭に思い浮かべる


紬「平沢唯。できるとすればあの子しかいない………」

 「菫、あなたの無念は必ず晴らしてあげるからね」


雲間から顔をのぞかせる赤い月
暗闇の中の紬を妖しく照らし出す………



HTT 滅亡篇  完

――――――――To be continued
331 : [saga]:2011/11/03(木) 00:54:56.78 ID:3lTN8xCAO
ここまで!

時間的に変化があるので区切りました
第三章・前編 が終わったみたいな感じです

次回の更新は遅くなるかも
また連絡します

……ということで、見てくれてありがと!

さいなら〜
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 01:02:15.72 ID:V7InTe2oo
なん・・・だと・・・?
とりあえずお疲れちゃん
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/03(木) 02:23:16.17 ID:+d3RpWfro
おつ!
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/03(木) 08:07:44.83 ID:s1tUQ+4i0
救世主信代に期待
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 11:48:50.38 ID:L73WjoFSO
>>1生きてる?
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/19(土) 00:10:36.09 ID:vXph7klJo
生存報告、しましょうか
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/19(土) 01:27:45.65 ID:TgTpVDAOo
腑抜けスレ主を煽り続けていく〜♪
338 : [saga]:2011/11/19(土) 15:59:48.51 ID:/DWo5EeAO
みんなすまねぇ!
今夜10時あたりにちょいと投下しやす
339 : [saga]:2011/11/19(土) 16:03:15.25 ID:/DWo5EeAO
>>337
ホラ、おれってさ、腑がないだろ?
だからアレなんだよ……うん。
340 : [saga]:2011/11/19(土) 22:25:15.03 ID:/DWo5EeAO
たいへん長らくお待たせしやした
早速本編に移りマスオ
341 : [saga]:2011/11/19(土) 22:27:45.65 ID:/DWo5EeAO
とうきょう・じょうくう!



ヘリ「バリバリバリバリ」


琴吹邸での戦いから半日が経過していた
東の空には日が昇っている


紬「まだ着かないの?」

操縦士「もうすぐで到着します」

紬「そう、急ぎなさい」


紬はヘリに乗り、とある場所へと向かっていた


操縦士「ご覧ください。見えてきました」


遠くに見えるのは武道館
この日、紬は武道館周辺の一地帯を完全封鎖していた


紬「この辺りでいいわ。送ってくれてありがとう」スッ


紬は刀を納めた鞘を取り、扉を開ける


操縦士「ご武運を」ビシッ

紬「」バッ!


操縦士の敬礼を背に、紬は大空に向かってダイブした

342 : [saga]:2011/11/19(土) 22:32:55.29 ID:/DWo5EeAO
・・・・・・・・・


はいこうじょう!



紬「」スタンッ


紬はとある廃工場の近辺に着地した

周囲には空き地が広がっており、廃墟のような建物も何件か見受けられる
そんな殺風景な場所だった

武道館へ行くにはまだ距離がある


通行人「お、お、おい。アンタ今、空から……」

紬『 砕けなさい 鏡花水月 』チャキッ

キィィィイイン

通行人「あ、あれぇ………」フラッ、バタン


幸いにも人気が少なかったため、ヘリから飛び降りてきたことは簡単にごまかせた


紬「」チャキン

スタ、スタ


左手の鞘に刀を納め、歩きだす紬
壊れた鉄製の扉をくぐり、工場内へ入って行く


343 : [saga]:2011/11/19(土) 22:38:33.01 ID:/DWo5EeAO
紬「」スタ、スタ


酷く荒れた工場内部

ねじ曲がった鉄柱
割れた窓ガラス
スプレーによる壁のラクガキ
いかにも不良の巣窟といった感じをかもし出している


紬「」スタ、スタ…ピタッ


山積みにされた廃材の前で立ち止まると、刀を抜いて軽く振り下ろした


紬「」ブン!

ズドオオオォォォン


吹き飛ばされた廃材の下から、床に取り付けられた扉が現れた

紬は刀をしまい、扉を持ち上げる


紬「」ギィィィ…


扉の下には地下へと続く階段がのびていた
明かりはついておらず、真っ暗闇で奥は見えない


紬「」コツ コツ コツ


先の見えない闇の中を、紬は一段一段降りて行く………

344 : [saga]:2011/11/19(土) 22:40:34.95 ID:/DWo5EeAO
階段を下りきると、電気がひとりでにつき始めた
果てしなく長い廊下が手前から順に照らされてゆく

廊下の造りは入って来た場所からは想像もつかないような、近未来的な造りになっていた
まるでSF映画の宇宙船に出てくるようなデザインだ

通路の両サイドには、曇りガラスでできたオートドアがいくつも備え付けられている


紬「」コツ、コツ


静寂を破るものは紬の足音のみだった
外部からの音はいっさい聞こえてこない


紬「」コツ、コツ…ピタ

 「この部屋ね」スッ


無数にある扉の内1つを前にして、歩みを止める
そして壁に取り付けられたパネルに手をかざす


パネル「ピピッ、ニンショウ カンリョウ。 ロック ヲ カイジョシマス」

ガチャン、ス―――


ロックが解除された扉は自動で開き、紬を迎え入れる


345 : [saga]:2011/11/19(土) 22:55:39.58 ID:/DWo5EeAO
紬「」コツ、コツ、コツ


奥行きのある室内は、左右の壁全面が透明なガラスでできていた

そして、つきあたりに設置された巨大なスーパーコンピュータからは圧倒的存在感を感じとることができる

コンピュータの側面には、3面に分かれた巨大モニターが光っており、中央モニターの下には操作パネルが取りつけられてある


紬「」コツ、コツ、コツ


黙々と奥へ進んでいく紬は、窓ガラスの外を歩きながら見渡す

すると何とその下方には、地下とは思えないほどに縦横とも十分なスペースを有した空間が広がっていた

ズラッと一面に並んだ筒状のガラス管装置
何千何万、いや、それ以上の数え切れないほどの数の装置が、積み重なって並んでいた

1番上に積まれた装置からは天井へとチューブが伸びており、どこか別の場所とつながっているようだ


暗黒物質「コポコポ……」


人ひとりが優に入れそうな装置の内部には、正体不明の黒い物質が漂っている

346 : [saga]:2011/11/19(土) 22:57:46.32 ID:/DWo5EeAO
コツ、コツ、コツ……ピタッ


コンピュータの前にたどり着いた紬
パネルに触れ、慣れた手つきで操作する


紬「さすが菫ね。もうここまで準備ができてるなんて」カタカタカタ


はたから見れば何の作業を行っているのか皆目見当もつかない

モニターには複雑な数式やグラフ、座標などが映し出されている


ビ―――、ビ―――、ビ―――

紬「……?」カタカタカタ…


突如鳴り響く警告音
モニターには《 WARNING 》の文字


アナウンス「ケイコク ケイコク、シンニュウシャ ハッケン」

紬「…………」

バゴオオオォォォン!!!


部屋の入口が豪快に吹き飛んだ

347 : [saga]:2011/11/19(土) 22:58:58.87 ID:/DWo5EeAO
 「そこまでだよ、ムギ!」

3年2組&モブs「」ドン☆


砂煙舞う入口付近には、桜高の生徒が集結していた

その数総勢100人以上
皆、それぞれに武器を手にし、戦闘体勢に入っていた


紬「あなた達、一体どうしてここにいるのかしら?」

木下しずか「山中先生が教えてくれたんだよ」

清水響子「自分の命と引き換えにね……」


348 : [saga]:2011/11/19(土) 23:01:23.28 ID:/DWo5EeAO
※モブキャラ参考資料

http://wiki.aniota.info/1289162958/

http://dic.nicovideo.jp/a/けいおん!モブキャラ
349 : [saga]:2011/11/19(土) 23:03:29.91 ID:/DWo5EeAO
============



さわ子「ハァ……ハァ……」

斎藤「もはやこれまでのようですね」ゴオオオ


さわ子の能力をコピーした斎藤握った拳には紫色の炎が灯っている


斎藤「それでは次で終わりに――――」

さわ子「待って!」


地に膝をつき、斎藤を見上げるさわ子は、タンマをかける


さわ子「最後に1つ、いいかしら?」

斎藤「……何でございましょう?」

さわ子「ムギちゃんは一体どこで計画を成就させようというの?」

 「この近くからは負の(マイナス)エネルギーの脈動が感じられない」

 「だからムギちゃんは別の場所で総仕上げに入るハズなのよ」

350 : [saga]:2011/11/19(土) 23:06:26.37 ID:/DWo5EeAO
斎藤「その答えは私の口からは申し上げられません」

 「ただ、紬お嬢様は『 私達の夢の場所 』とおっしゃられていました」

さわ子「夢の……場所……」

 「………!」ハッ

斎藤「お気付きになられたようですね。しかし無駄ですよ」ゴオオオ!

さわ子「それはどうかしら?」


さわ子は服の内側に手を忍ばせ、さっと小型マイクを取り出した


斎藤「!」

さわ子「聞こえるかしら?」

しずか『大丈夫、聞こえてますよ!』

さわ子「時間がないから手短に話すわよ。これからムギちゃんが向かう場所は――――」

斎藤「させませぬぞっ!」ブン!


斎藤が拳を突き出すと、紫色の豪火でかたどられた龍が飛び出した

斎藤「終わりです!」

火龍「ギャォオオオ」

しずか『この音って……さわ子先生!?』

火龍「ギャォオオオオ」

さわ子「“ 武道館 ”よ!!」

ゴ オ オ オ オ オ オ オ オ !!!

しずか『せ、先生!?先生ーーーーーー!!!』

351 : [saga]:2011/11/19(土) 23:09:48.07 ID:/DWo5EeAO
===========



しずか「それを最期に先生からの連絡は途絶えた」

紬「斎藤……しくじったわね」

岡田春菜「それでこっちに来てみたら、どこかの特殊部隊みたいな人達に道を塞がれちゃってるし」

モブA「でも立ち往生してたら、離れた所で気圧を感じてね」

紬「!」

――――通行人「お、おい。アンタ今、空から……」

――――紬『 砕けなさい 鏡花水月 』チャキッ

紬「……後をつけて来たのね」

 「でもまあ、別にどうでもいいわ。あなた達は所詮、実験体程度のただの人間」

 「何人もいたところで、私の計画には何の支障は出ないもの」
352 : [saga]:2011/11/19(土) 23:11:03.15 ID:/DWo5EeAO
佐藤アカネ「それはどうかな?」

紬「なんですって?」

モブB「確かにHTTに比べれば、私達じゃ力不足かもしれない」

モブC「でも学校での戦いがあってから、私達は私達なりにできる事を頑張ってきた」

モブD「HTTが頑張ってる姿を見て、私達だって力になりたいって思ったから!」

ド ゴ ォ ォ オ ン!!!

ガラガラガラ!


天井が崩れ落ち、大穴が開く
開いた穴から降ってきたのは――――

353 : [saga]:2011/11/19(土) 23:14:56.02 ID:/DWo5EeAO
信代「ウォラァアアアッ!」ブォン!

紬「!」ブン!

ギィィィイイン!

紬(腕が痺れる……何なのこの威力!それに――――)ギチ ギチ ギチ

信代「オラオラオラ、どうしたよ?」ギチ ギチ ギチ


信代は上からのしかかるように、刀で紬を押し潰す


紬「くっ……」スッ


紬は素早く軸足を半歩下げ、斬撃を下へ受け流す


ズ ド ォ ォ オ オ オ ン!!!

煙「」モク モク

紬「」タンッ タンッ タンッ シュタン


紬は後方に数回、回転跳びをして間をとる
そして前方の信代を見据える


紬「見違える程に痩せたわね。ダイエットでもしてたのかしら?」


かつてはふとましかった信代の姿
しかし今や彼女は標準以上に望ましいスレンダーな体型を手に入れていた


信代「夏の間に特訓してたのはHTTだけじゃなかったってことよ」

 「その結果、私がどれだけ減量したのか教えてやろうか?」

紬「…………」

信代「13kgや」

354 : [saga]:2011/11/19(土) 23:16:22.16 ID:/DWo5EeAO
ここまで!

見てくれてありがと!

ではまた明日の晩に
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/19(土) 23:37:21.96 ID:vXph7klJo
13キロw
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 23:41:43.52 ID:WKGCHVjxo
信代クッソワロタwwwwwwww
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) [sage]:2011/11/19(土) 23:57:48.85 ID:MMkczdavo
おつおつ
信代ちゃん…w
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/20(日) 00:33:28.00 ID:ZI+Iq96xo
>>353の展開は笑ったwwww
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/20(日) 01:21:27.56 ID:cI8cjkYdo
紬「嫌だわ、早くすり潰さないと」
なんつーかヤケになってないか主ww
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/20(日) 05:13:23.97 ID:9HWBMnn1o
じ ゅ う さ ん き ろ ww ww ww
361 : [saga]:2011/11/20(日) 22:11:14.59 ID:ySTRnSzAO
さいかい!
362 : [saga]:2011/11/20(日) 22:12:33.97 ID:ySTRnSzAO
〜唯の精神世界〜



唯「“ フルチューニング ”!」ゴゴゴゴ

ズオオオオオオオオ!!!


制御できない闇の音圧は、主人を飲み込みドーム状の半球体となる


ユイ「あははっ、まさか自分から負の力に取り込まれようとするなんてね」

 「このままベースの子みたいに、化け物になっちゃいなよ」

ズ オ オ オ ォ ォ


球体は中止部に向かって収束し、小さくなってゆく


ユイ「あはははっ………アレ?」

オ ォ ォ ォ ‥‥‥


黒球が小さくなるにつれて、はっきり見えてくる唯の姿


唯「フルチューニング、成功だよ」チャキン!


右手と融合した刀
その切っ先を、もうひとりの自分へと向ける

363 : [saga]:2011/11/20(日) 22:17:46.56 ID:ySTRnSzAO
唯「ムギちゃんを倒すために、私は新しい力を手に入れなきゃいけない」

 「悪いけど、あなたを倒させてもらうよ」

ユイ「………」
 (気迫で無理やり闇を抑えこんだというの?)


今の唯からは歯止めが効かなくなった音圧は感じられなかった


唯「行くよ!」タンッ!


宙を蹴って跳躍し、上から相手を攻める


唯『 響覇―――』ズズッ


振りかぶった刀に音圧が集まる


唯『  天 衝  !』ズオオオッ

ユイ「っ!」タッ


偽唯は横に受け身をとり、すんでの所で回避する


唯「まだまだ行くよっ!」ズズッ


唯は空中で、すでに次の攻撃の準備をしていた


唯『 響覇天衝 !』ズオオオッ

364 : [saga]:2011/11/20(日) 22:19:28.73 ID:ySTRnSzAO
先程よりも巨大な衝撃波
避けきれないと悟った偽唯は、刀で受け止めようとする


ズオオオオオオオッ!

ユイ「っ!」ギチギチギチッ


刀が悲鳴を上げるがごとく軋む


唯「これでトドメぇっ!」ズズッ

唯『 響 覇 天 衝 !』ズギュアアアッ


3発目の響覇天衝
ありったけの力で斬撃を飛ばす


ユイ「――――!」

ドオオオオオオオオオオン

唯「ハァ、ハァ」スタン


響覇天衝の残存音圧が、辺りを黒く染めている

着地した唯は様子をうかがう

365 : [saga]:2011/11/20(日) 22:22:16.92 ID:ySTRnSzAO
 「そんなものなの?」

唯「!」

ズギュァアアア!


前方の暗闇の中から不意に飛んできた衝撃波

唯はとっさに横に避ける


 「全然ダメだね。音圧の使い方をまるで分かってないよ」

ズン!


足音が大きく響く

 「見せてあげるよ。本当の《演奏術(フルチューニング)》ってヤツを」

ドドドォォオオオオ!!!


残存音圧による黒い霧の中から、天に向かって黒柱が立つ


ビュォオオオオオオ!

唯「うっ……」


同時に吹きはじめた強風のために、唯は顔を覆う

やがて風がおさまると、偽者を包んでいた音圧も柱もキレイさっぱりなくなっていた

366 : [saga]:2011/11/20(日) 22:26:27.80 ID:ySTRnSzAO
 「グルルル………」

唯「その姿は!?」ゾクッ


狐、もしくは狼のような姿の、前傾姿勢を保った四足歩行の黒い魔獣

消えた刀の代わりに、両手には鋭くとがった長いツメが生えていた
漆黒の音圧が衣となって、メラメラと燃える炎のように体の表面で揺れている


ユイ「ふふ、驚いた?憎しみという名のバケモノ。それが私の正体だよ」


周波数の若干異なる2つの声が、うなりを作って1つの声を成している


ユイ「あのベースの子も怪物化してたよね」

 「あれは自身の闇に負けた者の成れの果ての姿だよ」

唯(音圧の質で薄々は感じてたけど、あの澪ちゃんはやっぱり本物の澪ちゃんじゃなかったんだ……)

ユイ「じきにアナタもこうなるから、覚悟しておいた方がいいよ」

367 : [saga]:2011/11/20(日) 22:30:46.53 ID:ySTRnSzAO
唯「……でも澪ちゃんは、最後に自分を取り戻したよっ!」

ユイ「それは少し違うかな」

 「ドラムの子の死が、正と負の2つの人格の目的を一致させた」

唯「? ? ?」

ユイ「だからあの時は2つの人格が共鳴を―――」

唯「」ぷしゅ〜

ユイ「……理解できてないでしょ?」

唯「あ、あぅ……」

ユイ「どちらにしろ、これ以上は私達には無縁の話だよ」ザッ

ズン!


魔獣が一歩を踏み出すと、辺りの空気が震えるのが分かった


ユイ「さあ、早くかかってきなよ。この私を倒すつもりなんだよね?」

唯「」チャキッ

ユイ「まあ、そんなの不可能なんだけどさ」

唯「それでも私はやってみせるよっ!」

ダッ!


先に飛び出したのは唯
それに続いて魔獣も飛び出した
368 : [saga]:2011/11/20(日) 22:35:20.18 ID:ySTRnSzAO
唯「とりゃあああ!」ブン

ユイ「はっ!」ヒュン

ギュィイン!


刀とツメがぶつかり合い、火花を散らす


ユイ「」ヒュン ヒュン ブォン

唯「っ!」サッ ガッ キィン


偽唯は両手のツメと尻尾を駆使し、唯に連撃を浴びせかける
しかし唯も負けじと反撃する


唯「………!」ブン ガキィン ヒュン

ユイ「フフッ♪」ヒュン サッ ブン!

唯「」ブン
ユイ「」ヒュン

ガギィィイイイン!


つばぜり合うツメと黒刀


唯「……くぅっ!」ギチギチッ
 (おんなじ力で押し返してくるッ!)

ユイ「ホラっ!」ヒュン!


フリーになっている片手を、唯めがけて突き出す


唯「」タッ!


唯は宙を蹴って後方に大きく飛びのいた

369 : [saga]:2011/11/20(日) 22:43:25.63 ID:ySTRnSzAO
ユイ「逃がすかッ!」タッ


高く跳躍した偽唯
宙返りをうちながら、尻尾を大きく振り回す


ユイ「喰らえ!」ブォン!


尻尾に纏った音圧を、黒い針状の飛び道具に変え、唯へと飛ばす


トゲ「」ヒュン
トゲ「」ヒュン
トゲ「」ヒュン

唯「っ!」シュタッ

シュタッ シュタッ シュタン!


唯は後転を繰り返し、襲い来る黒針をかわす


トゲ「」ヒュン
トゲ「」ヒュン

唯「」ブン

キィン キィン!


かわし切れない針は刀でたたき落とした


ユイ「やるねぇ」スタンッ

唯「ハァ……ハア……」チャキッ


実力はほぼ互角
一進一退の攻防が続く


ユイ「ここまで私の動きについてきたのは褒めてあげる」

 「でもね、それだけじゃ琴吹紬はおろか、私にすら勝てないよ」

370 : [saga]:2011/11/20(日) 22:46:23.66 ID:ySTRnSzAO
ユイ「仮に私に勝てたとしても、この先の戦いで必ず死ぬことになるね」

唯「そうならないように、あなたを倒して力を手に入るんじゃん」

ユイ「逆に聞くけど、いつ、誰がそんなことを言ったの?」

唯「えっ?それは……」

ユイ「まあ、成長できるかどうかはアナタ次第なんだけどね」

唯「ど〜いうこと?」ポカン?

ユイ「これ以上は教えないよ」

唯「ちぇっ、もういいよっ」ダッ

タタタタタッ


暗黒世界を疾走する唯


唯(ただ倒すだけじゃダメだってこと?なら一体どうすれば――――)

ユイ「どこ行くの?」シュン!

唯(!)サッ


振り返ると、すぐ後ろに待ち構えていた偽唯の影


ユイ「迷いは心に隙を生む」

 「闇はいつだってアナタのそばにいるんだよ」スッ…


掲げた右手に集まる黒い障気


唯(やばっ――――)


唯は急いで体勢を立て直そうとする
が、もう間に合わなかった


ユイ『 響覇天衝 !』ズギュアアアッ

ズギュォォオオオオオオオオ!!!

―――――――――

――――――

―――

371 : [saga]:2011/11/20(日) 22:49:02.06 ID:ySTRnSzAO
※訂正

>>370 唯のセリフ2つめ
力を手に入る→入れる

372 : [saga]:2011/11/20(日) 22:51:38.47 ID:ySTRnSzAO
ここまで!

いつものことながら、誤字脱字等々ごめんなさい

次回は来週末までには連絡します

見てくれてありがと!
んじゃ失礼=3
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/21(月) 20:46:54.65 ID:fmYx3+nRo

とりあえず以前出てきた男口調の黒ギー太?と
今の尾獣闇ユイはどういう関係でどう違うんだ?
374 : [saga]:2011/11/21(月) 22:22:55.73 ID:uVbLh4uAO
>>304 辺りより

・「表の人格と対極をなす偽唯が、だんだん本者に近づいていってる
→仕舞いには表の人格を乗っとるぞ」
みたいな流れになっておりました。
性別が男だったのは“ 対極の存在 ”だというのを強調したかったわけで

・尾獣ユイはフルチューニングで闇解放!ヒャッハーしてる状態です。
以上全員同一人物です

ややこしい上に投下のスパンが長すぎたせいだ。申し訳ない!
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/27(日) 00:43:02.24 ID:rVA6fWh0o
きたアあああああああああああああああああああああ
376 : [saga]:2011/11/27(日) 06:09:11.89 ID:L4xsDaDAO
>>375
もちつこう

毎度遅くなってしまいすまないと思ってます

今日は12時と23時の二回に分けてお送り致します

377 : [saga]:2011/11/27(日) 12:35:08.30 ID:L4xsDaDAO
ちかけんきゅうじょ!



アカネ「“ 露染め切り ”!」シュバッ!


アカネの刃は水滴を飛び散らせながら紬に迫る
だが紬は半身を反らせ、余裕をもってそれを回避する


紬「ハズレね」

アカネ「今よ、響子!」

パキキ…パキパキパキ


水滴が凍りついてゆく


紬「これは……」
 (氷雪系の楽器!)

響子「“ 舞え 袖白雪 ”」

ピキ―――ン


紬を内部に取り込んだ氷柱が完成した

378 : [saga]:2011/11/27(日) 12:41:09.70 ID:L4xsDaDAO
アカネ「やった!?」

響子「今度こそ……!」

紬「また ハ ズ レ よ」フッ

アカネ響子「!!」


手にする刀を提げた紬は、何事もなかったかのように2人の背後に立っていた


ブシュウウゥゥ!

アカネ「なんで…まだ生きて…… !?」フラッ

響子「あれ…は……!」フラッ

信代「」カチ―ン

アカネ響子「」バタン


すでに倒れた他の生徒たちと同様に、2人もまた力尽きた

今や、戦うことができるのはほんの数名しかいない
大多数の生徒は、完全催眠により味方同士で傷つけ合い、倒れていった


ピキピキッ、バリィ―――ン

信代「てめぇ……よくも……!」

紬「………」


氷を割って出てきた信代
しかし紬は信代に目もくれず、背を向け静かに立っている


信代「お前ら!一気にたたみみかけるぞ!」

春菜「オッケー」ゴ ゴ ゴ

379 : [saga]:2011/11/27(日) 12:45:27.09 ID:L4xsDaDAO
春菜「“ アクセル・ドライブ――クリスタル・エッジ ”」チャキン


解放した春菜は、サーベルと呼ばれる片刃の曲刀を手にしていた
その刀身は、碧く透き通っている


しずか「“ アクセル・ドライブ――幻獣召喚(ファンタジック・ゾーン)”」バッ


しずかが刀を掲げると、目の前の地面に円形の魔法陣が浮かび上がった


しずか「カモン、“ 一角翔獣(ユニコーン・ウィング=ペガサス)”!」

幻獣「ヒヒ―ン!」バサッ


名を呼ばれると同時に、頭に一角を生やした有翼の馬が、魔法陣の中から飛び出してきた


信代「“ アクセル・ドライブ――酒鬼神(バッカス・マキシマム)”」ゴ ゴ ゴ…


信代はその右拳に、全気圧を集中させる


モブs「」チャキン!


解放が使えない他のメンバーも、いつでも切りかかれるよう刀を構えて待機していた

380 : [saga]:2011/11/27(日) 12:47:58.36 ID:L4xsDaDAO
紬「………」

信代「いつまでも後ろ向いてんじゃねーぞ!」ダッ

春菜「これで決める!」ダッ

しずか「お願い!」

幻獣「おk」バサッ


信代を筆頭に3人の攻撃が連続で紬に襲いかかる


信代「ウォオオオラァアアア!!!」ブォン

春菜「はあっ!」ブン

幻獣「ヒヒヒ―ン!」ダダダッ

紬「……遅すぎるわ(ボソッ」

信代「ぁあ!?」

ド ゴ オ オ ォ ォ ォ ン


砕け散った壁や床が、土煙となって視界をふさぐ


モク モク モク……

スタン!


ひとり、煙の中から出てきた信代
拳に溜めた気圧は全て消費しきっていた


信代「てこずらせやがって」

モク モク モク………

 「いい“ 夢 ”は見れたかしら?」

381 : [saga]:2011/11/27(日) 12:52:12.57 ID:L4xsDaDAO
信代「!」


正面のコントロールパネルの上
紬は足を組んで、平然とそこに座っていた

また、さっきまで漂っていたはずの煙は消えており、部屋に残る戦いの痕跡も一切なくなっていた

突然の出来事に頭がついていかない


信代「な…いったいなにを――――」

ドサッ

信代「!」サッ


背後の物音に振り返ると……


モブs「」

春菜「」フラッ

しずか「」フラッ

ドサッ………

信代「!?」


次々に倒れていく仲間達
気づけば残るは信代1人となっていた

382 : [saga]:2011/11/27(日) 12:56:36.58 ID:L4xsDaDAO
信代「チッ、あたしらは始めからテメェの手の平の上で踊らされてたってワケか」

信代「だがテメェを潰すにゃ、あたしだけ十分だ」ザッ

紬「やめておきなさい」ススッ


低く冷たい声

うつむき加減の紬は、台座からはなれ、信代に近づいていく


紬「私ね、今………」

コツ コツ コツ

紬『 も の す ご く 機 嫌 が 悪 い の 』ギロッ

383 : [saga]:2011/11/27(日) 12:57:29.38 ID:L4xsDaDAO
んじゃまた晩に!
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 13:22:38.47 ID:MWDNXjfUo
唯誕スペシャル回かと思ったらかすりもしなかったでござる。
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 13:47:01.32 ID:fLQl3WdFo
ギンが見たら頭抱えるくらい対催眠の戦術や対抗策がないな
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 20:11:36.93 ID:l3BanMuDO
バランスとか何も考えずにバカみたいに紬だけ強くしてるんだから
対策も糞もなくね
387 : [saga]:2011/11/27(日) 23:12:14.74 ID:L4xsDaDAO
〜唯の精神世界〜



ユイ「“ 響覇天衝 ”」ブン

ズギュァァアアア!


ツメが描く軌跡が衝撃波となって、唯へ向かって飛んでいく


唯(避けきれない――――)

ズァァァァアアア!!!


黒い音圧は容赦なく、唯の身体を切り刻む


唯「ハァ…ハァ……」

ユイ「とっさに響覇天衝を出してダメージを軽減したか………」

ユイ「いい判断だね。直に当たってたら、今頃バラバラになってたよ」


圧倒的な力を誇る闇の人格
その前に唯はなす術もなく、次第に傷ついてゆく


唯「ハァ……ハァ……」

ユイ「これで分かったでしょ?私を倒すのは不可能だってことが」

388 : [saga]:2011/11/27(日) 23:24:36.02 ID:L4xsDaDAO
唯が攻撃の手を止めると、魔獣もまた、動きを止めた


ユイ「古来より人間は、憎しみや欲望といった負の感情に負け続けてきた弱い生き物」

ユイ「他人の心の闇だけじゃない。自らの闇にさえ、勝てやしないんだ」

唯「………?」

ユイ「まあ、仕方がないことなのかもね。負の感情エネルギーはこの世で唯一絶対の力なんだもん」

ユイ「……そして私は、その闇の力の象徴。アナタは弱き人間の象徴。つまり――――」

ユイ「アナタは絶対に、私を倒すことはできないんだよ」

唯「っ……!」

ユイ「それでもまだ“ 諦めない ”つもり?」

唯「………私は諦めない」

唯「どれだけ無理だと言われても、絶対に乗り越えてみせるよ!」

ユイ「……どうやらまだ痛め付け足りないみたいだね」

389 : [saga]:2011/11/27(日) 23:28:35.23 ID:L4xsDaDAO
ユイ「ならかかっておいで。もっともっと、極上の痛みを教えてあげるからさ」

唯(!)

――――ユイ「全力で来るんでしょ?ならもちろん、まだ解放するんだよね?」

――――ユイ「さあ、早くかかってきなよ。この私を倒すつもりなんだよね?」

唯(まただ。また攻撃を誘ってきてる)

唯(どうしていつも、自分からは仕掛けてこないんだろう?)

ユイ「どうしたの?じっとしてちゃ、何も始まらないよ」

唯「分かってるよ!」チャキッ
 (ちょっと危ないけど、絶対音感でなら何かわかるかも)スッ


刀を構え直した唯は、まぶたを閉じ、感覚を研ぎ澄ませる


唯(……よし、次で確かめるっ!)ダッ


目を閉じたまま、唯が飛び出す


ユイ「やっと動いた」ダッ


漆黒のオーラを身に纏い、四脚で駆け出す獣
瞬く間に距離を縮めると、鋭爪を振りかざした


ユイ「バカ、目も開けないで向かってくるなんて」

ユイ「死ねっ」ヒュン!

390 : [saga]:2011/11/27(日) 23:35:03.98 ID:L4xsDaDAO
唯「その攻撃、見えてるよっ!」ブン!

ユイ「え!?」

ギュィィイイン!!


こすり合わさる2人の刃


ユイ「……! そうかお前、絶対音感で私の動きを先読みして―――」ギリリリッ

唯「」ギリリッ ヒュン!


ツメの勢いを殺した唯は、瞬時に刀で切り返す。が、しかし―――


ユイ「」サッ

唯(避けられた!?)

ユイ「戦闘スキルはだいぶ上がってきたね。でも1つ、大切なことを忘れてるよ」

ユイ「私がアナタ自身だってことを………」ググッ

ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ


身を丸めて縮こまった偽唯は、体の表面に膨大な量の負のエネルギーを溜め込む


唯「これは……!?」

ユイ「アナタのやろうとしてることなんて」

ユイ「全部お見通しなんだよッ!!!」バッ

唯「――――!」

ズゴァァァァァァアア!!!


幾重にも重なって繰り出された響覇天衝
衝撃波は 360°あらゆる方向に向けて放たれ、空間全域を浸蝕してゆく………
391 : [saga]:2011/11/27(日) 23:37:05.51 ID:L4xsDaDAO
ここまで!

つぎ、明日の24時

見てくれてありがと!

392 : [sage]:2011/11/28(月) 22:57:01.18 ID:uKDwvfVAO
今日は無理だす

なので明日の24時に……
393 : [saga]:2011/11/30(水) 00:48:06.39 ID:a2LZh4JAO
・・・・・・・・・・



唯「」フラッ ドサッ…


偽唯による激しい攻撃の末、ついに唯は倒れてしまった

全身に負った深い傷
衣服の破けた部分からは、傷ついた肌が露出している


ユイ「あなたが強くなればなる程、それに比例して私も強くなるんだよ。それから―――」

ユイ「心をふさいでる相手に絶対音感は通用しない。私の心は読ませないよ」

唯「ぅ……」ムクリ
 (勝た…なきゃ……勝た……なきゃ……)


かろうじで意識だけはまだ残っていた

無理やり身体を起こそうとするが、バランスを崩して倒れてしまう


唯「くぅ……!」ドサッ

ユイ「無理に動かないことをオススメするよ。もっとも、もう何もしないでも勝手に死んじゃいそうだけど」

シュウウゥゥゥゥ


フルチューニングが解け、腕と刀が分離した


ユイ「終わったね。アナタの負けだよ」

394 : [saga]:2011/11/30(水) 00:52:27.98 ID:a2LZh4JAO
唯「………」

ググッ


限界など、とおに越えている
しかしまだ諦めず、唯は刀を握る手に力を込めて、もう一度立ち上がろうとする


ユイ「………なんで(ボソッ」

ユイ「なんでそうやってアナタはまた立ち上がってくるの!?」

唯「ハァ……ハァ……」


満身創痍の唯
刀を立てて体を支え、やっとのことで立っていた


ユイ「わからないの? アナタは私に負けたの! アナタが弱いから、力がないからっ!!」

唯「………」

ユイ「アナタがそんなんだから、憂も仲間も、誰ひとり救えなかったんだよ……自分さえもね」

唯「………」

唯(どうしてあの子……あんなに悲しそうな声をしてるんだろう?)

――――ユイ「でも大切なことを忘れてるよ。私がアナタ自身だってことを」


ふと頭をよぎる偽唯の言葉


唯(あの子が……私自身……… !)

395 : [saga]:2011/11/30(水) 00:55:54.08 ID:a2LZh4JAO
ガッ! ズザザッ…ズザザッ…


刀を杖代わりにして、唯は足を引きずりながら黒獣に近づいていく


ユイ「……もういい。そんなに私に消されたいならお望み通りに消してあげる」

ズザザッ…ズザザッ…

唯「」ハァ、ハァ

ユイ「……」

唯「」ハァ、ハァ

ユイ「……」

ダキッ!

唯「」ギュ〜

ユイ「なッ!?なにを―――」

唯「やっぱりだ」

唯「やっぱり何も攻撃してこないんだね」

ユイ「!」


抱きつくと同時に唯は刀を手放した
すると唯の解放は全て解け、ボロボロの制服姿に戻った


ユイ「何をしてるの!?離れてよっ!」ジタバタ

唯「さっきの戦いの時も、キミからは絶対に手を出してこなかったよね」ギュ〜

唯「どうしてなんだろうって、ずっと気になってた。でも、あなたのおかげで気付いたよ」

ユイ「私のおかげ……だって?」
396 : [saga]:2011/11/30(水) 00:58:26.61 ID:a2LZh4JAO
唯「あなたは本当は私と戦う気なんてなかったんだよ」

唯「私が刃を向けたりなんかしたから、同じようにあなたも攻撃してきたんだよね?」

ユイ「………」

唯「心を閉ざしてたのだってホントは私のほう。だから絶対音感でも心が読めなかったんだ」

唯「でも今ならわかるよ。あなたの気持ちが」

ユイ「勝手なこと言わないで!だいたい、私は――――」

唯「淋しかったよね、苦しかったよね。 あなたを分かってあげられるのは私しかいないかった。それなのに私はずっとあなたを拒み続けてきたから」

唯「……ゴメンね」ギュウッ

ユイ「!!!」


闇の衣がパラパラと音を立ててはがれてゆく


397 : [saga]:2011/11/30(水) 01:01:03.19 ID:a2LZh4JAO
ユイ「うっ…グスッ……どうして……どうして……」

ユイ「忘れたの?私はアナタの仲間を傷つけてきたんだよ!? それに何より……アナタを傷つけてきた!」ポロポロ

唯「あなたも私とおんなじなんだね」

ユイ「……?」ポロポロ

唯「怒りや憎しみに取り憑かれる苦しみ、私も知ってるよ。だから私はその苦しみからあなたを助け出してあげたいんだ!」

ユイ「!!!」

唯「あなたがつらい時には、ありったけの優しさで包んであげるよ!」ギュウゥ〜

ポワァァァアン


どこからともなく光が差し込む

いつしか周りの景色は明るくなっており、あたたかい光に満ちていた

398 : [saga]:2011/11/30(水) 01:03:20.34 ID:a2LZh4JAO
唯「あなたは私で、私もあなた。良い部分も悪い部分も、全部まとめて平沢唯っていう1人の人間なんだ」

ユイ「私はアナタでいてもいいの?」

唯「うん!もちろんだよ!」

パァァァア!


強い輝きが2人を包み込んでゆく

全く同じ外見の2人の少女
その内の片方、涙を目に浮かべている方の姿が、徐々に薄くなって消えていく


ユイ「……平沢唯」

唯「な〜に?」

ユイ「………」



   「ありがとう」


―――――――――

――――――

―――

399 : [saga]:2011/11/30(水) 01:05:36.30 ID:a2LZh4JAO
ツギ アス 24 ジ ゴロ

ミテ クレテ アリ ガ トウ
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/30(水) 01:13:31.95 ID:FbApZmLvo
オツ カレ サマ 
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) [sage]:2011/11/30(水) 01:26:44.63 ID:/CTy4hQao
乙です。
唯ちゃんがとうとう唯ちゃんらしくなった!
402 : [saga]:2011/12/01(木) 00:24:33.24 ID:vsAw8rRAO
……チャン オネーチャン

唯「z z Z」スヤ スヤ

オネーチャン オキテー

唯「う〜ん」ムクリ


唯は、気だるそうに体を起こしながら目を醒ます


唯「あれ? 私、いつの間に寝ちゃってたんだろう……」ゴシゴシ

憂「おねーちゃん、やっと起きてくれた!」

唯「え? あ、あれ?……憂?」パチクリ

憂「私だけじゃないよ!」

平沢母「唯」ニッコリ

平沢父「久しぶりだね、唯」

唯「お父さん、お母さん!? なんで? どうして? ここって私の心の中なんだよね? あれ……?」ぷしゅ〜

憂「お姉ちゃん!?」

平沢母「落ち着いて、唯」

平沢父「とりあえず深呼吸だ」

唯「ひーひー、ふー」

憂「お姉ちゃん、それちがうよ!?」

唯「ほぇ?」

憂「……ふふふ」クスクス

平沢母「ふふ、もう唯ったら」

平沢父「アハハ、全く唯らしいな」

唯「……あぅ///」

403 : [saga]:2011/12/01(木) 00:25:55.29 ID:vsAw8rRAO
平沢父「まあ、何はともあれ君はよくやったよ、唯」ポン

唯「え……?」

平沢母「ちゃんと自分自身と向き合って、闇の心を克服できたわね」ギュッ

憂「頑張ったね、お姉ちゃん」ギュッ


父は唯の頭にそっと手をのせ、母と妹は唯を優しく抱擁する


唯「お父さん……お母さん……憂……」ウルウル


唯の瞳から自然と涙がこぼれ落ちた


平沢母「あらあら。甘えん坊さんの唯ちゃんのことだから、すぐに大声で泣き出しちゃうかと思ってたんだけど」

唯「もう……泣かない……グスッ……我慢するよ」ゴシゴシ

平沢父「唯もちゃんと成長してるんだね」

憂「お姉ちゃんはいつだって頑張ってるんだよ!」

唯「えへへ……///」

404 : [saga]:2011/12/01(木) 00:31:50.22 ID:vsAw8rRAO
平沢父「………再会を喜ぶのはこの辺にしておいて、悪いけど、こっちの話を始めるさせてもらうよ。僕たちにはあまり時間が残されてないからね」

唯「えっ……時間がないって……」

平沢父「僕たちのことは憂から聞いてるね?」

唯「うん。お父さんたち、もう死んじゃってるんでしょ?」

平沢母「でも唯が持ってたペンダントが、また私たちを引き合わせてくれたのよ」

――――憂「実は紬さんに刺されたあの時、魂の一部をペンダントに封印されたの」

唯「魂を封印するペンダント………」

平沢父「そう。このペンダントは言わば、魂の保存容器。魂の一部を、固有の周波数をもつ波動に変換して、ペンダントに封じ込めたのさ」

唯「だけどあのペンダントはムギちゃんに……」

平沢父「アレは壊されて初めて真の効力を発揮するんだ」

唯「え!?」

405 : [saga]:2011/12/01(木) 00:34:13.38 ID:vsAw8rRAO
平沢父「砕けたペンダントは最後の持ち主に力を宿す」

憂「どうしてそんな仕掛けを?」

平沢父「敵の力はあまりにも強大だ。せっかくの強化アイテムも壊されては意味がない」

平沢父「だが、形のない状態に留めてしまえば、例え破壊されようとも関係ない、だろ?」

平沢母「唯ちゃん達の力を信用してなかったわけじゃないのよ」

憂「それだけ紬さんが強いってことだよね?」

平沢父「ああ。でも僕らが造り上げたプログラムも負けちゃいないさ」

唯(!)

――――紬「あの人達には、演奏者の限界を引き出すあるプログラムを開発させていたのよ」

唯「……ムギちゃんから聞いたよ。ペンダントの力のこと」

憂「演奏者の限界を引き出すためのプログラム。それが唯一、紬さんに対抗できる手段なんだね」

平沢母「そうよ。ただし、その力を従えるには1つ条件があったの」

平沢父「それは、心の闇を克服すること」

唯「………」ゴクリ

406 : [saga]:2011/12/01(木) 00:36:08.08 ID:vsAw8rRAO
憂「……じつは私達、お姉ちゃんが戦ってる姿をずっと見てたの」

唯「そうだったの!?」

憂「助けてあげられなくて、ごめんね? でもこれはだけは、お姉ちゃん1人の力で乗り越えなくちゃいけない試練だったから………」

平沢父「でも君は立派にそれをやり遂げた」

平沢父「そしてそれを成し得た時、こうして僕達が君の前に出てこれるようプログラミングしていたんだ」

平沢母「唯ちゃんなら必ずやってのけるって、信じてたわ」

平沢父「さすが僕達の娘だよ。なっ、母さん♪」

平沢母「ねっ、あなた♪」

イチャ♪ イチャ♪

憂「もう〜、お父さんもお母さんも話が脱線してるよ……」

シュゥウウゥゥゥ‥‥‥

唯「お父さん、お母さん!?」

憂「体が……!!」

407 : [saga]:2011/12/01(木) 00:41:05.75 ID:vsAw8rRAO
平沢母「残念だわ。もう時間だなんて……」

唯「お別れ……なの?」

平沢父「どうやらそうみたいだね」


次第に薄れていく2人の姿


憂「………ぃゃ(ボソッ」

唯「憂?」

憂「そんなのいやだよ! お父さんにもお母さんにも、まだまだお話ししたいことがたくさんあるのに!!」ウルウル

平沢父「憂………」

平沢母「憂ちゃん……」

憂「私達をおいて行っちゃうなんて……ひどいよ……」グスン

ギュッ

憂「!」

唯「あったかあったか」

憂「お姉……ちゃん……うっ、グスッ」ポロポロ

平沢母「ごめんね。あなた達にこんなつらい思いをさせちゃって」

唯「」フルフル


唯は首を横にふる

小刻みに震える妹を抱きしめながら、唯もまた、静かに泣いていた

408 : [saga]:2011/12/01(木) 00:42:25.45 ID:vsAw8rRAO
平沢父「力のことは、楽器が詳しく教えてくれるはずさ」


消滅していく2人の姿は、もうほとんど見えなくなっていた


平沢父「唯、憂。君たちの力で必ず世界を救ってくれ」シュウゥゥ

平沢母「お願いね。唯ちゃん、憂ちゃん」シュウゥゥ

唯「」コクッ

憂「………うん」ポロポロ


    「「愛してるよ 唯、憂」」


シュウウゥゥゥ‥‥‥

409 : [saga]:2011/12/01(木) 00:45:02.36 ID:vsAw8rRAO
唯「……行っちゃったね」

憂「……お姉ちゃん」

唯「ん?」

憂「ごめんね。私、取り乱しちゃって……」

唯「ううん。憂はいつでも私に甘えていいんだよ」

唯「なんたって、私は憂のお姉ちゃんですから」フンス

憂「お姉ちゃん……」

憂(やっぱりお姉ちゃんはすごいよ。 こんなにも簡単に、私を安心させてくれる。 私を暖かい場所へ連れてってくれる)

憂(ありがとう、お姉ちゃん)

410 : [saga]:2011/12/01(木) 00:49:46.26 ID:vsAw8rRAO
・・・・・・・・



憂「お姉ちゃん、私はもう大丈夫だから……その……そろそろ離してくれないかな///」

唯「えー、なんで〜?」

憂「お姉ちゃんったら、すっごくきつく抱きしめてくるんだもん。ちょっと恥ずかしい……かな//」

憂(というより顔が近いから恥ずかしいんだよ〜///)

唯「むぅ、憂は遠慮せずにお姉ちゃんに甘えてればいいの!」

ギー太「悪いけど、その辺にしておいてもらえるかい?」

唯憂「!」


抱きしめ合う唯と憂

その2人の前に、赤みを帯びたオレンジ色の光が集まり、唯愛用のギブソン・レスポールが出現する


唯「ギー太!」パッ

トテトテトテ

憂「あっ(行っちゃった……)」


唯はギー太の姿を見るや否や、一目散に駆けていった

411 : [saga]:2011/12/01(木) 00:51:31.96 ID:vsAw8rRAO
唯「ギー太ぁ!」ダキッ

ギー太(やれやれ、またこのパターンか……)

憂「あ、あの……」トテトテ

ギー太「ん、君は妹の憂ちゃんだね」

憂「はい。姉がいつもお世話になってます」ペコリ

ギー太「初めまして。僕は唯の楽器、ギー太だよ」


ギー太「早速だけど本題に入るからね。ギターを出してくれるかい、憂」

憂「えっ、私ですか?」

唯「どうして憂が?」

ギー太「まあいいから、念じてみてよ」

憂「……わかりました。やってみます」


そう言うと憂はまぶたを閉じ、心の中で自分のギターの姿を思い浮かべた


憂「むむむ……」


するとギー太の時と同様に、今度は黒い光の粒子が集まり、憂のストラトキャスターが出現した


憂「わぁ、私のラットンだ!」
412 : [saga]:2011/12/01(木) 01:09:31.92 ID:vsAw8rRAO
ギー太「よし、これで条件はすべて整った」

唯「条件?」

ギー太「まずは第一段階目のステップ、それは演奏者の頂点、《 最上級演奏者(トップ・プロアーティスト)》に至ること」

ギー太「この領域に到達するためには、まず2つの要素が必要だったんだ」

ギー太「@“ 心の闇を受け入れること ”、A“ 並外れた戦闘能力を身につけること ”の2つをね」

ギー太「唯はさっきの戦いで、すでにこの2つをクリアしている」

唯(そういえば……)

―――ユイ「戦闘スキルはだいぶ上がってきたみたいだね」

413 : [saga]:2011/12/01(木) 01:11:21.68 ID:vsAw8rRAO
憂「……あの、最上級演奏者って初めて耳にしたんですけど」

ギー太「正負の感情。 その境界をとり払い、無の境地に達した者。 その者こそが、最上級演奏者」

憂「そっか。 紬さんの始響は対象者の負の感情を利用するから……」

ギー太「その力をもってすれば、鏡花水月の始響を打ち破ることさえ可能なのさ」

唯「ふむふむ……」

ギー太「だが、それだけでは琴吹紬は超えられない」

ギー太「彼女の“ 音解 ”を超えることは、ね」

414 : [saga]:2011/12/01(木) 01:12:51.31 ID:vsAw8rRAO
唯「ギー太はムギちゃんの音解を知ってるの?」

ギー太「いいや、それは僕にも分からないよ。 ただ、彼女からは、僕らの想像を超える未知の力を感じたんだ」

憂「それに対抗するための、第二段階目のステップがあるんですよね?」

ギー太「そういうことさ」

唯「それで、私達は一体何をすればいいの?」

ギー太「第二段階目のステップ、それは……」

唯憂「………ゴクリ」


ギー太「きみ達2人の魂を完全調和(フルチューニング)させることだ!」

415 : [saga]:2011/12/01(木) 01:14:14.00 ID:vsAw8rRAO
こ こ ま で

次回は土日のどちらかに!

416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 03:06:38.17 ID:1v5g+NYMo
お つ か れ ち ゃ ん
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) [sage]:2011/12/01(木) 08:14:07.46 ID:JpQ0SPqQo
唯憂いちゃいちゃきた!!
憂ちゃんは、両親と同じところには行ってなかったってことかな。
唯憂フルチューニング、楽しみです。
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/01(木) 13:31:28.44 ID:yKf5yE7eo
以前の状態は一つの体で共闘してただけみたいなもんだからな
律みたいに力を完全融合させなければ新たな段階には進めまい
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/12/04(日) 00:53:28.96 ID:gSc2CDDM0
追いついた!>>1乙!

唯の覚醒に期待ですなぁ。
420 : [saga]:2011/12/05(月) 00:30:35.63 ID:KPERcPFAO
ちかけんきゅうじょ!



ドサッ

信代「」


信代、戦闘不能


紬「確か最初に言ってたわよね?“ 私達じゃ、力不足だ ”って」

紬「それを知りながらここに来たということは、あなた達の目的は差しずめ、この装置の破壊といったところね」

スチャ


紬は刀を鞘に戻し、コントロールパネルの方へ歩き出す


紬「残念だけど、それをするにもまだ、あなた達では力不足よ」スタ スタ

アカネ「………フッ」

紬「……何がおかしいのかしら?」

アカネ「まだ……気付かないの?」

春菜「私達じゃ、装置の破壊すらできないなんてこと……百も承知なのよ!」

紬「ますます分からないわ。一体何を言って……」

ビ―――、ビ―――、ビ――――

紬「!」


メインディスプレイには赤で大きく表示された“ ERROR ”の文字

421 : [saga]:2011/12/05(月) 00:33:00.48 ID:KPERcPFAO
紬「ハッキング……なるほど、これが真の狙いだったというわけね」

しずか「私の知り合いに、その道に詳しい子がいてね………」

〜〜〜 奥田「」クイッ キラン☆ 〜〜〜

響子「私達は全員、ムギの気を引き付けるための囮だったってワケ」

紬「こちらの技術力を嘗めないで頂戴。こんなことしても、時間稼ぎにしか―――」

三花「それで……十分だよ……」

信代「時間さえ稼げりゃ……あたしらはお役御免なんだよ……!」

しずか「私達にはまだ最後の希望……唯が残されてるからね!」

紬「」ピクッ

422 : [saga]:2011/12/05(月) 00:33:48.84 ID:KPERcPFAO
砂原よしみ「私の能力、未来予知で確かめたの。唯は必ず帰ってくよ。新たな力を携えて!」

紬「ならその未来は決して訪れはしないわ。だって、唯ちゃんは私が―――」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


計り知れない力を持つ何者かの気配を感じ、紬は身震いする


紬「この感じ……まさか!」

ススッ


紬は刀を半刀身だけ引き抜き、部屋全体に催眠をかける


紬「私が戻るまでの間、あなた達は眠ってなさい」

キィイイイン‥‥‥

423 : [saga]:2011/12/05(月) 00:37:32.77 ID:KPERcPFAO
ぶどうかん!



がらんどうの観客席
そして、武道館の中央に設置されたライブのステージ


ガコン、ス――――


ステージ付近の床が開き、地下通路を抜けてきた紬が現れる


紬「誰も……いない」

タッ タッ タッ!


ステージの上に駆け上がる紬


紬(どういうこと? あれだけの気圧、ごまかせるはずないのに……)

ピシピシッ

紬「!」サッ


突如、空間に亀裂が入る


ピシピシピシッ…… バリィ―――ン!

424 : [saga]:2011/12/05(月) 00:39:47.78 ID:KPERcPFAO
※参考画像

http://mup.vip2ch.com/dl?f=25674

425 : [saga]:2011/12/05(月) 00:41:22.00 ID:KPERcPFAO
こ‥‥こ‥‥まで

つぎは‥‥あさっての‥‥‥予定です
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/05(月) 00:43:35.07 ID:iG6y/bkEo
>>425
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 18:25:40.59 ID:AErAyMjXo
おつ
るろ剣の志々雄vs蒼紫思い出した
428 : [sage]:2011/12/07(水) 00:38:22.25 ID:tuNPjbbAO
すまぬ。今日はむりです

木曜日までには再開するので待っててくだせぇ
429 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 11:49:56.70 ID:pII7X3jho
まだか
430 : [saga]:2011/12/12(月) 22:52:07.66 ID:S82jukjAO
刀と融合を果たした右手
袖の破けた黒衣

少し大人びたような顔立ちからは、唯と憂の面影が重なり合わさって感じられる


唯「………」

紬「あなた……本当に唯ちゃんなの?」

紬(押し潰されそうなほどの気圧。でもさっき感じたものとは少し違う)

唯「」スッ


唯は紬の問い掛けを無視し、まぶたを閉じた


唯(あずにゃんやみんなの気圧が感じられない……)


今や唯の気圧探査範囲は全世界にまで及んでいた


唯「ムギちゃん、あずにゃん達はどうしたの?」

紬「死んだのよ、1人残らず全員ね」

唯「!! ……ムギちゃんがやったの?」

431 : [saga]:2011/12/12(月) 22:57:36.88 ID:S82jukjAO
紬「それを聞きたいのはこっちの方よ! 答えて、菫をやったのはあなたなの!?」

唯「菫ちゃん? ……ムギちゃんに似てるあの女の子のこと?」

唯(そういえば、あの子の気圧も感じられなかった)

紬「今さら隠さなくてもいいから正直に話して」

唯「私じゃない。私は誰も殺してなんかないよ!」

紬「白々しい嘘を…… いいわ、戦いの中で無理やり吐かせてあげる」ススッ…

チャキン!


切っ先をまっすぐ唯に向け、狙いを定める


紬「“ 砕けなさい 鏡花水月 ”」

ダッ!


楽器の解放とともに猛スピードで駆け出す紬
射程範囲内まで一気にふみ込み、右手の刀をふり切る

432 : [saga]:2011/12/12(月) 22:58:05.53 ID:S82jukjAO
紬(もらっ―――)

唯「」スッ…


唯は静かに左手をかざす

すると、ふり切られた刀は吸い込まれるようにして唯の手の中に収まった


紬「! ………フフッ」

スゥ―――


煙のように消えていく紬
唯が捉えたのは幻影だった

唯の真後ろからは、本物の紬が刀を振り上げ迫っていた


紬(完全催眠による二段攻撃、避けられはしない!)ブン!

キィ――ン

スドォォオオオオ!!!


交差する刀
その衝撃は武道館全体に行き渡る


唯「」ギチギチッ

紬「!?」ギチギチギチ


死角からの一撃を、唯は振り返らずして受け止めた

433 : [saga]:2011/12/12(月) 23:03:24.02 ID:S82jukjAO
紬「」タッ!


紬は反射的に飛びのき、唯との間をとる


紬(鏡花水月が破られた。これは澪ちゃんの時とまったく同じ!)

紬(なら今の唯ちゃんも最上級演奏者ってこと!?)

唯「そんな小細工、私には通用しないよ」

紬「……今のはほんのあいさつ代わりよ。唯ちゃんにも見せてあげるわ。私の本当の力を」

ズ ズ ズ ズ ズ ‥‥‥

唯(!)


紬のまわりに、禍々しい気が漂いはじめる


紬「そしてこの力であなたを葬り去る!」

┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙ ┣゙


これまでとは桁違いの気圧が解放される

建物全体が、ガタガタと大きく揺れ動く


紬「“ 音解 伊邪那美の奏(イザナミノカナデ) ”!」

キィィィイイン


辺りに立ち込める闇が、その刀身に吸収されていく

434 : [saga]:2011/12/12(月) 23:05:04.11 ID:S82jukjAO
紬の気圧を吸った、ガラスのような半透明の刀身
その内部では謎の黒い物質がうごめいていた


唯(あれがギー太の言ってた、ムギちゃんの未知の力……)


紬「“ 始響 ”が相手の負の感情を利用するのに対し、“ 音解 ”は私の負の感情を利用する」

紬「つまりこの“ 音解 ”では、私は私自身に完全催眠をかけるのよ」

唯「………」

紬「『そんなことしてどうするの?』とでも言いたそうな顔ね」

紬「この能力にはまだ続きがあってね………」

スタ、スタ


紬は落ち着き払った様子で、一歩ずつ唯に近づいていく

435 : [saga]:2011/12/12(月) 23:08:29.41 ID:S82jukjAO
紬「催眠による幻を、すべて現実のものへ変えてしまうの」フッ

唯「!(さっきよりも速い!)」


一瞬で唯のふところに潜り込んだ紬
すぐさま刀を唯へと向ける


紬「」ヒュン!
唯「」タッ


一撃目をかわしつつ、唯は地面を蹴って空中へ退避する

紬はすかさずそれを追う


紬「スピードも……」シュバババババババ!


容赦なく浴びせかけられる剣撃の嵐
唯も刀で応戦するが、押されるばかりで反撃できない


ドォオオオン!


刀同士がぶつかり合うたび、衝撃にたえられなかった観客席やステージが吹き飛ばされていく


キュィイン!

唯「」ギチギチッ

紬「パワーも……」グググッ

唯「……っ!」ギチギチッ

紬「すべてが私の望むまま! 唯ちゃんなんて所詮私の相手じゃないのよ!」グググッ

唯「」サッ

紬「!」フラッ


唯はつばぜり合った刀を受け流すように引き戻し、バランスを崩した紬へ間髪入れずに切り返す

436 : [saga]:2011/12/12(月) 23:10:26.85 ID:S82jukjAO
パシッ

唯「!?」

紬「甘いわ、唯ちゃん♪」


紬は唯の右手を受け止め、完全に勢いを殺した


紬「私の、この神に等しい力に抗うことの愚かしさを―――」

スッ…


刀を高くかかげ、勢いをつけて振り下ろす


紬「知りなさい――!」ブン!

パシッ

紬「っ!?」


振り下ろした刀は、唯の空いた左手に掴まれていた


唯「甘いよ、ムギちゃん……」


唯は瞬時に紬の手を振り払う
そして―――


唯「はぁっ!」ブン!

ズバァァアアッ‥‥‥!

437 : [saga]:2011/12/12(月) 23:13:48.14 ID:S82jukjAO
また明日に!
438 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 00:54:12.93 ID:kZQaxZV4o

唯「その幻想をぶち殺す」
439 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 07:49:10.90 ID:pQaEEKc0o
乙でした。
今日の投下はきっと幻想じゃない!
440 : [saga]:2011/12/13(火) 23:32:40.99 ID:4Nb8XD/AO
肩から斜めに切りつけられた紬

致命傷を受け、地面に落ちてゆく……はずだった


紬「やるじゃない、唯ちゃん」

唯「!!」


紬はステージの上に立ち、そこから唯を見上げていた

不敵な笑みを浮かべ、何事もなかったかのように振る舞っている

また、傷を負った方の紬はいつの間にか消えていた


紬「言ったでしょ。『 すべてが私の望むまま 』って」

唯「」スタンッ


唯もステージに降り立ち、紬と対峙する


唯「音解の秘密、そんなにしゃべってもいいの?」

紬「だって知ったところでどうにもならないでしょ? 今みたいに」

紬「それよりもむしろ、知ることによって絶望してもらわなきゃ♪」ニコッ

紬「……菫が味わったのと同じようにね」ギロッ

441 : [saga]:2011/12/13(火) 23:38:51.07 ID:4Nb8XD/AO
紬は憎悪の念を込め、鋭い目つきで唯を睨みつける


唯「………」

紬「本当の絶望を味わうのはまだまだこれからよ」

パチン!

指が鳴るのと同時に、真っ黒な液体がステージからブクブクと湧き出てきた

液体はやがて人型になり、唯を囲い込むように数体に分かれた


唯「み、みんな!?」

律澪梓純和「」


オリジナルと見紛うほど完璧に複製された演奏者たち
皆それぞれ刀を手にしている


紬「やりなさい」

律澪梓純和「」ダッ!

唯「っ!」チャキッ


唯は気を引きしめ、刀を構えなおす


律「」ブン!
澪「」ブン!
純「」ブン!
和「」ブン!

唯「」サッ


重心移動で後ろに下がり、連携攻撃をかわした唯

だが、下がった先の足元には氷のステージが広がっていた


梓「」

唯「くっ…!」パキキキ‥‥


氷に触れた箇所から、唯の体は徐々に凍りついていった

442 : [saga]:2011/12/13(火) 23:40:47.55 ID:4Nb8XD/AO
タタタッ

純律澪「はあああああっ!」バッ

ヒュォオオオ!

ゴオオオオオ!

ズドドドドド!


風と炎と紫の衝撃波が、一斉に唯に襲いかかる


唯「―――!」

ドゴォォオオオオン!!!


小道具などを巻き添えに、ステージの一部が豪快に吹き飛んだ


モク モク モク‥‥‥

唯「……」ジュウゥゥ


唯の黒衣は大部分が破れており、火傷を負った肌が見えていた


律澪梓純和「」ザッ


5人は唯を取り囲むように、再び円形の陣を組み直した

443 : [saga]:2011/12/13(火) 23:52:47.73 ID:4Nb8XD/AO
紬「どうして抵抗しないの? 斬ればいいじゃない。菫やみんなを殺した時と同じようにね」

唯「例え偽者だとわかってても、やっぱりみんなに手は出せないよ」

紬「………」

唯「ムギちゃんもわかってるハズだよ。みんなを殺した犯人が私じゃないってことは」

紬(!)

唯「それと―――」

チャキンッ


唯は刀を前に突き出し、そこに左手を添える


唯「あなたの夢幻(ユメ)はもう見飽きた。見せてあげるよ。私“ たち ”のフルチューニングを……」



==========

======

===



唯「私たちの魂を……」

憂「フルチューニングさせる?」キョトン


ここは唯の精神世界
澄み切った白い空間が無限に広がっている


ギー太「そう。これまでのフルチューニングとは違い、2人の魂を完全融合させる」

444 : [saga]:2011/12/13(火) 23:55:44.49 ID:4Nb8XD/AO
ギー太「ただし、この力を使っていいのは1度きりだ。それ以上は君たちの心体がもたない」

憂「もしそれ以上使うと、私達はどうなるんですか?」

ギー太「存在そのものが消えてしまうだろうね」

唯憂「……!」

ギー太「だから必ず一回までで決着をつけるんだ。いいね?」

唯「うん!」

憂「……」コクッ

ギー太「よし! じゃあ準備ができ次第、始めようか」

唯「えっ、始めるって?」

ギー太「憂ちゃんはわかってるみたいだよ」

唯「」チラッ

憂「よいしょ」

ジャ―ン♪


憂はギターを肩に下げ、チューニングを行っていた


唯「…… !」ハッ


唯も同じく、ギターを手にとりチューニングを試みる


唯「そうだよ。やっぱり私たちにはこれしかないよね! 行くよ憂、ギー太!」

憂「うん、お姉ちゃん!」



==========
445 : [saga]:2011/12/14(水) 00:02:43.27 ID:XTd2p3VAO
唯(憂)「“ 二重魂奏(シンクロソウル・フルチューニング)”!」

ギュイ――ン♪

ズ ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ


黒と白のオーラが二重螺旋の軌道を描き、唯の姿を包み込む


紬「っ!(な、なんなのこれは!!)

ズァァアアアッ!


周囲に拡散したオーラは、幻影たちを次々に消していく


紬(闇の力が浄化されていく……! 唯ちゃんは最上階演奏者すらも超えたというの?)

紬(それに、かすかに感じるこの気圧は憂ちゃんのもの…… でも憂ちゃんはあの時確かに―――)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


紬「ふふふ♪じゃあ遠慮なく壊させてもらうわ♪」

紬「あなた達姉妹の絆をね♪」スッ

唯「ゃ…め……て―――」

バリィィィィィン!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


446 : [saga]:2011/12/14(水) 00:11:33.18 ID:XTd2p3VAO
紬(あのペンダントもろとも、憂ちゃんの力も奪ったはずなのにっ……!)

   「そのくらいで、私たちの絆は断ち切れないよ」

ボウッ


螺旋状のオーラが消え、中からでてきた唯

ユラユラと優雅に燃える炎のように、黒と白の音圧が揺れている
それらは黒衣と同様、コートとして纏われていた


紬「! その姿……それに―――」

紬「刀が消えている……!」

唯「おいで、ギー太」


融合が解けた右手を、体の横へそっと伸ばす
すると、身に纏ったのと同質の音圧が、唯の手の中に集まり始めた

そして集まった音圧は、刀の形をなしていった


唯「この刀は私たちの心の刃。身も心も、完全に楽器とひとつになった証だよ」

紬「嘘よ! 最上階演奏者の上なんて存在するわけ―――」

唯「最初に言っておくね。この刃はムギちゃんに届くよ、って」チャキン

紬「………」

447 : [saga]:2011/12/14(水) 00:14:19.13 ID:XTd2p3VAO
紬「……ふふ、何を言ってるの? 見え透いた嘘はやめてね、唯ちゃん」

唯「」スッ

紬「だって今の私は―――」

唯「」フッ

ズ ギ ュ ア ア ア ア ア!!!


軽く振り下ろされた刃

縦に放たれた衝撃波は、その大きさ故に武道館の天井すらも突き破るほどだった


モク モク モク‥‥‥

紬「ハァ…ハァ……」


一瞬で全身がボロボロになった紬

額や、体の各所から血を流していた


紬「なんで……攻撃が……当たって……」ゼーハァ、ゼーハァ

紬(それだけじゃない。私の全気圧を使っても……防げなかった!!)フラッ

ガッ!


紬は床に刀を突き立てて、傷ついた体を支える

448 : [saga]:2011/12/14(水) 00:17:49.42 ID:XTd2p3VAO
紬「ハァ…ハァ……いったい何をしたっていうの!?」

唯「私はただ、“ 刀を振った ”だけだよ」

紬「なッ!?」


驚きに目を見開く紬


唯「“ 心の闇を斬る力 ”。これが私たち平沢姉妹の力だよ」

紬「……なるほど…ね」スッ

ズ ズ ズ ズ ズ ‥‥‥


刀から手を離し、どうにか自力で立ち上がった紬

その周囲から、研究所にあった装置の中身――例の暗黒物質が、霧のように湧き出てきていた

漆黒のオーラは傷を癒しながら、ヘビがとぐろを巻くがごとく紬に纏わりついていく


紬「この地はね、負の感情エネルギーがもっとも通りやすい場所なの。言わば地脈のようなものね」

紬「だから私はプロジェクトの終着地点にここを選んだ……」
449 : [saga]:2011/12/14(水) 00:22:01.51 ID:XTd2p3VAO
紬「確かに唯ちゃんは素晴らしい力を手に入れたわ。でも私の力はそれ以上よ」

唯「何をするつもりなの……?」

紬「全ての負の力をもって、唯ちゃんを倒すのよ!」ズズズ…

ヒ ュ ゴ オ オ オ オ オ ッ ! ! !


霧が完全に紬を覆い隠すと、突如嵐のような突風が吹き始める

そして、轟音を鳴り響かせる風の中心に黒い気圧の柱が出現した


ゴォォオオオオ!


天井を突き抜けた柱はそのまま雲を通り越し、天にまで到達する

柱のまわりには黒雲が渦巻き、空は黒みがかった赤に染まっていった


   「“ アンリミテッド・フルチューニング ”」

シュウウゥゥゥ‥‥‥


柱が消え、紬の影がうっすらと見えてきた


紬「“ 伊邪那美の羽衣――霓裳羽衣(ゲイショウウイ) ”」

唯「……!」


解放した紬は、黒に輝く羽衣を纏っていた

その羽衣の美しさは天女の姿を彷彿させる

450 : [saga]:2011/12/14(水) 00:24:37.79 ID:XTd2p3VAO
ここまでじゃ!

次回はあさってを予定してます
最低3日以内には連絡するよ

見てくれてありがと!

451 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 00:36:50.93 ID:Wef2L+Q1o

紬「世界一嫌いだと言ってくれ」
452 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 11:21:29.60 ID:NDAYCzceo
乙でした。
センスのあるコメントの後だとコメントし辛い…
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/12/14(水) 13:25:16.25 ID:ZRSs/sGR0
乙です!

楽しみにしてま〜す
454 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 19:47:18.54 ID:Wef2L+Q1o
>>452
鰤から引用しただけなんで気にせずどうぞ
455 : [saga]:2011/12/16(金) 01:20:15.87 ID:t8GGs+MAO
紬「私の能力は負の感情エネルギーに頼ったもの。だからさっきの攻撃、唯ちゃんの剣が私に届いたのね」

唯「……ムギちゃん」

紬「でも唯ちゃんが心の闇を斬れるのなら、私はそれを上回る闇を従えるまでよ!」

唯「もうやめようよ、こんなこと!! そんな深い闇を纏ったらムギちゃんが―――」

紬「例えこの身が滅びようとも、私はこの世界を変えなきゃいけないの」

紬「もう二度と新たな絶望を生み出さないためにね」

唯「……っ!」

紬「行くわよ」ダッ

ビュン!


紬は弾丸のような速さで、唯に向かって飛んでいく

唯は刀を振るい、それに対応する


ヒュン! ガッ、キィン!

シュバッ ブン キィン!

唯紬「」ブンッ!

ギュォオオオオ!!

唯紬「……ッ!」ギチギチギチッ


刀と刀の激しいぶつかり合い

剣が交わり合う毎に巨大なエネルギー波が生じ、その影響で建物がどんどん崩れ落ちてゆく

456 : [saga]:2011/12/16(金) 01:25:33.34 ID:t8GGs+MAO
唯「はあああっ!」ブン!

紬「はぁっ!」ブン!

ズギュォオオオッ!!

唯紬「」ギチギチッ

紬(……何なのかしら? 刀が触れ合う度に感じる、冷たい心の闇を溶かされていくような、この感覚は)ギチギチッ

唯「はああああっ!」ギチギチッ

紬(これも唯ちゃんの力だというの?)

キィィイ――――ン!!

ピカァアッ!!

唯紬「!?」


突如発生した鋭い閃光

長時間のつばぜり合いのために、エネルギー波が暴発し、2人をそれぞれ吹き飛ばした


紬「ハァ、ハァ……」

唯「ハァ、ハァ……」


吹き飛ばされた2人は今、距離をおいてステージの上で膝をついている

熾烈を極める戦いに、2人とも疲労の色が見え始めていた

457 : [saga]:2011/12/16(金) 01:31:30.26 ID:t8GGs+MAO
紬「唯ちゃん」スッ

唯「……なに?」


紬は立ち上がると、唯の名前を呼んだ


紬「私はどうやら、唯ちゃんのことを誤解してたみたいね」

唯「?」

紬「唯ちゃんの剣には薄汚れた感情なんて感じられなかった」

紬「それどころか伝わってきたのは温かい心。その心が、唯ちゃんの強さだというわけね」

唯「……ならムギちゃんには、私の戦う理由も伝わってるのかな?」スッ

紬「………」

唯「未来を守るためとかじゃないんだ。私はただ、ムギちゃんを救うために戦ってるんだよ」

紬「………」

458 : [saga]:2011/12/16(金) 01:33:02.86 ID:t8GGs+MAO
唯「今日は何の日か覚えてる? 本当なら私たち、今頃文化祭でライブをしてたんだよ」

紬「でも私達が立っているステージはHTTの目標・武道館。あんなのただのホワイトボードの落書きに過ぎないけど……皮肉ね」

唯「っ! ……私はムギちゃんの本当の心の内が読めたよ! あの優しかったムギちゃんが本当の姿なんだって、はっきりわかった!」

唯「ムギちゃんがこんなことするなんて絶対間違ってるよ!」

紬「……唯ちゃん」


まぶたをすっと閉じた後、紬は唯を見つめ直す


紬「私の心が本当に読めたのなら……わかってるでしょ?」

唯「! ……やっぱり戦うしかないんだね」チャキッ

紬「そう、それでいいのよ」チャキッ

459 : [saga]:2011/12/16(金) 01:35:00.13 ID:t8GGs+MAO
武器を構え、互いに向き合う唯と紬
それぞれ楽器の力を最大限にまで高める


唯「いくよ、ムギちゃん」ジリッ… タッ!


音速を超える速さで飛び出した唯

それに対し、紬はその場で舞うように刀を振るう

すると解放時と同様に、黒い霧が螺旋状に紬の体に纏わりついていった

だがしかし、すでに唯の攻撃は目と鼻の先まで迫っていた


唯「はぁっ!」ブン!

ズ ギ ュ ァ ア ア ア ア ッ !


館内に溢れ行き場をなくした衝撃波が、壁や天井を突き破り、建物の外へ漏れ出した

460 : [saga]:2011/12/16(金) 01:36:50.67 ID:t8GGs+MAO
しばらくすると衝撃波の残光が消え、土煙も晴れ渡っていった


 「闇の衣による絶対防御。唯ちゃんに崩せるかしら?」

唯「!」


霧の盾に身を包まれた紬は、ほぼ無傷の状態だった


唯「負の感情の力なんてムギちゃんには似合わないよ。そんな衣、すぐに引きはがしてあげる」チャキッ

紬「でも唯ちゃんはそろそろ限界なんじゃないの? 気付いちゃったのよ。唯ちゃんの弱点に」スッ


紬は人差し指を唯へ向ける


紬「唯ちゃんは刀を振る度に、身につけた音圧を消費していたのよね?」

唯「………」


唯が纏う音圧のコートは、両袖の部分がなくなっていた

裾も半分くらいが消えており、丈が大分短くなっている

461 : [saga]:2011/12/16(金) 01:41:09.51 ID:t8GGs+MAO
紬「悪いけどこの勝負、私が勝たせてもら―――」ダッ

―――(ドクンッ)

紬「うっ!? …ゴホッ!」

唯「ムギちゃん!?」


突然吐血した紬は、胸を押さえてその場にうずくまる


紬(これが……膨大な負の感情エネルギーを扱った……代償なのね)フラッ


紬は再び立ち上がると、ふらつきながらも唯に向かって駆けていく


タタタッ シュタッ

紬「」ブン!

唯「っ!」ブン!

ガキィィイン! ドゴォン!

ヒュン サッ シュバッ! ズギュァア!

ド ゴ オ オ オ ン ! ! !


空中でつばぜり合う2人


紬「ハァ、ハァ……」ギチギチッ

唯「もうやめて! これ以上続けたら本当に死んじゃうよ!」ギチギチッ

ドカッ!

唯「うっ!」

ヒュ――ン‥‥ドゴォン!

462 : [saga]:2011/12/16(金) 01:42:33.50 ID:t8GGs+MAO
紬「やめなさい……敵の心配で油断なんてして」

ガラ ガラ…ドスン!

唯「ムギちゃんは……ハァ、ハァ…敵じゃないよっ! 私の大切な友達だよっ!」

紬「!!」

唯「ハァ、ハァ…」

紬(……唯ちゃん、こんな私をまだ“ 友達 ”と呼んでくれるのね)スタンッ

紬(でも私は―――)

チャキッ


紬はステージに着地すると、静かに刃を唯へ向けた


紬「どんな犠牲を払ってでも自分の使命を貫き通す。今までも、そしてこれからも、それは変わらないわ」

唯「ムギちゃん……」

紬「どうやら私も限界が近いみたい。だから次の攻撃でお終いにするわね」

ゴ ゴ ゴ…… グラ グラ グラ グラ グラ!!!

唯「!?」


まるで大地が恐怖しているかのように、激しく地面が揺れ動く

激しさを増す揺れに、床には地割れが生じ、壁や天井は崩れ落ちていく

463 : [saga]:2011/12/16(金) 01:46:51.55 ID:t8GGs+MAO
唯「そっか。ムギちゃんがそのつもりなら、私もこれで最後にするよ」ザッ


音解の構えをとった唯は、目をつぶり、右手に全ての力を集中させる

纏った音圧も、腕を伝って刀に流れていく


紬「やらせない!」

ガシッ!


唯の足首を掴む数本の黒い手

しかし唯は動じない


ズォォオオオオ!!!


さらに地面から、無数の黒い腕が伸びてきた

唯はそのまま全身を拘束されてしまうが、それでもやはり動じない


紬「あなたは最高の演奏者よ、唯ちゃん。私をここまで追い詰めたのは唯ちゃんが初めてだった」

紬「だからこれはそのお礼。私の最高の技でフィナーレを飾ってあげる……」

ドバァッ!!


逆向けの滝のように、割れた地面から噴出する黒い霧

唯のまわりに何本も立ち上った
464 : [saga]:2011/12/16(金) 01:52:04.38 ID:t8GGs+MAO
紬「“ 血濡れの処女〜汚れた罪〜(ブラッディ・メイデン―ダーティ・シンズ)”」

シュバババババッ!

唯「―――!」


霧の柱から黒い十字架が次々に飛び出し、唯の体に突き刺さっていく

唯の体が黒一色に埋め尽くされると、霧が唯を飲み込んで、黒い正方形の箱に形を変化させた


紬「まだよ」

ザシュシュシュシュシュ!!!


地面から突き出てきた無数の槍
容赦なく箱を貫いていく


ゴゴゴゴ…


そして地中から出てきたのは、不気味な威圧感を放つ鉄の処女

ギギィと音を立てながら扉が開く


紬「チェックメイト」

ガコン!

バキッ ゴキッ グチャッ メキメキ!


鉄棺の内部で起こる惨劇が、聴覚を通じて伝わってくる

465 : [saga]:2011/12/16(金) 01:54:14.96 ID:t8GGs+MAO
しばらく経つと音は止み、辺りは静まり返った


 「 ・ ・ ・ ・ ・ 」

紬「……さよなら、唯ちゃん」


独り言のように呟く紬

心なしか、浮かない顔をしているように見える


紬「邪魔者はみんな消した。これでやっと―――」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

紬「! ……まさか」


ガタガタと振動する鉄の処女
次の瞬間、鉄棺は木っ端微塵に吹き飛んだ

466 : [saga]:2011/12/16(金) 02:05:58.89 ID:t8GGs+MAO
紬「唯…ちゃん……」

唯「………」


音圧でできた白と黒の炎が揺れる中、姿を変えた唯が立っていた

見た目が大きく変化しており、腰までのびた艶やかな黒髪がひらひらと風になびいている


紬「まだ、まだ私には闇の衣が―――」

唯(憂)「大丈夫。この一撃は必ずムギちゃん(紬さん)の心に届くよ」スッ


持ち上げた手に集まる、漆黒の音圧
線のように、細く黒い刃を形成した

そして唯は狙いを定め、刀を振り下ろす


唯(憂)「“ U & I ”!!!」ブォンッ

紬「!!!」


音も光も何もかもが、全て闇に飲み込まれていく……

467 : [saga]:2011/12/16(金) 02:07:52.31 ID:t8GGs+MAO
ここまで!

次回、日曜日に投下します!

468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/12/16(金) 13:25:16.91 ID:Qfoi+npR0
やっぱ最高だな。

続き楽しみにしとるよ(`・ω・´)ゞ
469 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 20:47:52.93 ID:H6kZW6ZUo
おつおつ
決着用BGM
http://www.youtube.com/watch?v=eoMrkPLBuCs
470 : [sage]:2011/12/18(日) 22:27:16.36 ID:y/R2qeVAO
明日まで しばしお待ちを!

>>469
ステキなBGMをどうもです
471 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 22:28:04.79 ID:FAlxp5vKo
舞ってます!
472 : [saga]:2011/12/24(土) 02:04:05.32 ID:7asZ663AO
――――――――――
―――――――
――――
――



クルクルクル‥‥ガッ!


地面に突き刺さる刀

ピシッとヒビが入ると、そこから闇の障気が抜け出ていった


紬「いったい……何が起こったの?」


闇は消え去り、後には全壊した建物と、その場にへたりこむ紬がいた


 「全部終わったんだよ」

紬「!」


音解状態の姿に戻った唯が、ゆっくり紬に近づいていく


唯「今の技で、ムギちゃんが抱える負の感情を全部切り落としたんだ」

唯「憎しみの呪いはもうなくなったんだよ、ムギちゃん」

ポンッ

紬「……!」


紬の肩に、そっと手を乗せる


紬「私、私は……」

唯「何も言わなくていいよ。ムギちゃんのこと、私にはちゃんとわかってるから」


唯はしゃがんで紬と同じ目線に合わせる

473 : [saga]:2011/12/24(土) 02:09:19.01 ID:7asZ663AO
唯「琴吹グループの悲劇が、優しかったムギちゃんを歪めてしまったんだ」

唯「そして琴吹グループへの復讐を誓った。初めはそれだけでよかったんだよね?」

紬「………」

唯「でも気付いた時には、自分じゃ止まれなくなっていた。復讐を遂げた時点でムギちゃんの心は歪みきってたんだ」

唯「そしていつしか、関係のない人達も巻き込んでさらに大きな事をしようとしていた」

唯「だから自分より強い誰かに殺してもらうことで、自分を止めようとしてたんだよね?」

紬「………」

唯「演奏者の研究も、お母さん達に研究をお願いしたのも、全部そのためだったんだ」

唯「でも自分が死んで全部終わらせるなんて、そんなの悲しすぎるよ……」

紬「後戻りなんてできなかった。全てを終わらせるには……それしか方法がなかったのよ………」

紬「お願い唯ちゃん。私にトドメをさして」

唯「!」

紬「私は……律ちゃん達や憂ちゃんを、そして数え切れない程の人達を手にかけたのよ! こんな私に生きる価値なんて―――」

474 : [saga]:2011/12/24(土) 02:13:16.53 ID:7asZ663AO
パシン!

紬「っ……」


頬を抑える紬


唯「なんで……どうしてそんな悲しいことを言うの?」ウルウル

紬(!)


唯は涙を流していた


唯「律ちゃんや澪ちゃん、憂やあずにゃんも……それに和ちゃんもさわちゃんも菫ちゃんだって」

唯「みんなみんな、ムギちゃんを取り戻すために頑張ってきたのに…グスッ……どうしてそんなこと言うの?」ポロポロ

紬「唯ちゃん……」


紬の視界も涙でにじむ

475 : [saga]:2011/12/24(土) 02:16:10.31 ID:7asZ663AO
唯「生きて罪を償おう? そしてまたいつか、一緒に演奏しようよ!」

紬「………うっ…グスッ」ポロポロ

紬(唯ちゃん……―――)

ゾワ ゾワ ゾワ

紬(!! この気圧は!)

唯「ね? ムギちゃん―――」

紬「唯ちゃん危ないっ!」ドン!

唯「えっ!?」

ドサッ

唯「いたた……いきなり何す――」

ポタ…ポタ…


紬の胸を貫く刃から、赤い血が滴り落ちる


唯「……る…の?」

紬「」

ドサッ‥‥


倒れた紬の向こうには、黒いローブを羽織った謎の人物

フードで隠れた素顔は見えない
476 : [saga]:2011/12/24(土) 02:18:25.79 ID:7asZ663AO
突然の出来事に頭がついていかず、唯はその場で硬直していた


―――憂(お姉ちゃん、紬さんが!)

唯「…ハッ! ムギちゃん!」ダッ


唯は急いで紬のもとに駆け寄る


一方、謎の人物は紬の刀のほうへ離れていった


?「完全催眠の力、返してもらうよ」チャキッ

キイィィイン


地面に突き立つ紬の刀に、刃を軽く触れさせる

すると紬の刀から、黒い霧が乗り移っていった

紬の楽器は力を失い、キーボードの姿に戻った


?「遂にきたんだ、この時が。これで未来をかえられる!」

477 : [saga]:2011/12/24(土) 02:23:35.96 ID:7asZ663AO
またあした!
478 : [saga]:2011/12/25(日) 07:22:50.77 ID:rSrptTrAO
――――――――



唯「しっかりしてムギちゃん!」ダキオコシ

紬「ごめん…ね……唯ちゃん……ゴホッ!」

唯(血がこんなに……!)

紬「私、みんなに取り返しのつかないことをして……当然の罰よね?」ポロポロ

唯「し、死んじゃダメだよ! また一緒に演奏しようって言ったじゃん!」


紬は黙って首を横に振る


紬「唯ちゃんが、私のことを友達だって呼んでくれた時ね……」

唯「うん」ポロポロ

紬「本当に嬉しかった。私はずっと絶望と復讐の中で生きてきたから」

紬「ありが…とう……唯…ちゃん」

唯「ムギ……ちゃん?」

紬「」

唯「………」

グラ グラ グラ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ !!!

唯「!」

ズギュウウウゥゥゥゥン


天に向かって立つエメラルド色の光の柱

黒ローブの人物が掲げる刀から延びていた


?「“ 天地開闢(ビギニング・ザ・ラウンド) ”」

カッ!!!


灰色の雲の上から強烈な光が放たれる

天に昇ったエメラルドの光が、世界を、地球全体を包み込んでゆく‥‥‥

479 : [saga]:2011/12/25(日) 07:29:32.99 ID:rSrptTrAO
―――某都会



「おい、なんだよアレ!」

「ん?」

「空が……」

「な、なんかヤバくない?」

ザワ ザワ ザワ‥‥‥

「うっ、頭がイテェ!」

「私も……うぅ」フラッ

ドサッ

「おい、しっかりし――うあっ!」バタン

ドサッ ドサッ バタッ ドサッ
‥‥‥




―――紛争地域



ヒュ―ン ドゴオオオオオン!

「「うわああああっ!」」

「もう無理です、抑えきれません!」

「くっそ! 敵の拠点は見えてる。でもこれじゃあダメなんだろ!?」

「隊長、飛行部隊からの通信です」

『東の空が……うぐっ!』

『ザザーーーー』

「おいどうした!? 応答しろ!」

「東の空って…… あれはオーロラか!?」

「でも何故こんな場所にオーロラが……うぐっ!」フラッ

「」バタン

ドサ ドサッ ドサッ‥‥‥

480 : [saga]:2011/12/25(日) 07:30:42.12 ID:rSrptTrAO
―――某国家最高機密会談



円形に並べられた席に座っているのは、某大国の最高決定機関


「もう奴らを野放しにはできません」

「これ以上は国家の威信に関わってきます」

「我々には琴吹グループがついています。何の心配もございません」

「閣下、早急にご決断を!」

「……やむを得んな。宣戦布告だ。今すぐ準備に取りかか―――」

「閣下、ボソボソ……」


閣下と呼ばれる男性の耳元で、小声で情報を伝える黒服


「何だと!?」

「いかが致しましたか?」

「皆様、モニターをご覧下さい」ピッ!

『中継)ご覧下さいこの空を。西の空から東にかけて、ご覧のようにエメラルド色のオーロラのような光がかかっています。』

『そして突然発生したこの光と何らかの関係があるのでしょうか。世界各地で次々と人が意識を失うという現象…が……』フラッ

『だ、大丈夫ですか○○さ……』

ザザーーー


映像はそこで途切れた


「な、なんということだ!」

「琴吹グループ……まさか独断であのプロジェクトを……うっ!」

「うあっ、なんだこの痛みはっ」フラッ

「頭が…割れるように痛い!」フラッ

ドサッ バタン バタッ バタン‥‥‥

481 : [saga]:2011/12/25(日) 07:34:46.51 ID:rSrptTrAO
ぶどうかん!



?「」スッ


黒ローブの人物は、掲げた刀を静かに下ろした

光の柱はすでに消えていたが、空はまだエメラルド光に覆われていた


?「」スチャッ


黒と白で描かれた抽象画のように複雑な模様の仮面を、フードの下に装着する


?「ヤットダ、ヤット成功シタンダ……私ノ実験ガ」


変声機を通して聞こえる無機質な声


唯「ムギちゃん、ちょっと横になっててね……」スッ


唯は腕の中で眠る紬を寝かせると、刀を手にとり立ち上がった


唯「すぐに戻ってくるから!」ダッ

482 : [saga]:2011/12/25(日) 07:37:19.89 ID:rSrptTrAO
唯「ふん!」ブン!

?「」サッ


あたかも最初からわかっていたかのように、すれすれの位置で肩をそらし、かわす

そこから唯の腹部に強烈な蹴りを入れ、瓦礫の山まで吹き飛ばした


ドォオン!

ガラ ガラ ガラ‥‥

唯「うっ……(今の、完全に動きを読まれてた!)」

―――憂(大丈夫!? お姉ちゃん!)

唯(これくらいどうってことないよ)ムクリ


瓦礫を押しのけ、仮面の人物と対峙する


?「ハジメマシテ、ト言ッタトコロカナ。平沢唯」

唯「あなたは……何者なの?」

?「私ニ名前ナド無イ」

唯「」ピクッ

唯「…………ないでよ(ボソッ」

?「イキナリデ悪インダケド、大人シク捕マッテクレナイカナ?」

唯「ふざけないでよ! なんでっ、なんでムギちゃんを刺したりしたの!?」ポロポロ

483 : [saga]:2011/12/25(日) 07:39:35.42 ID:rSrptTrAO
?「随分動揺シテルネ。琴吹紬ハ、アナタヲ庇ッテ死ヲダンダヨ」

?「マア、最終的ニハ消エテモラウツモリデイタンダケド」

唯「!」

唯「……」プルプル


唯の中に沸々と、怒りの感情が沸き上がってくる

しかし、唯はどうにかそれを抑えこんだ


?「負ノ感情ヲ 抑エ込ンダカ。無ノ境地ニ達シタ辺リ、流石ダネ」

?「ソレニシテモ、ヤハリ アナタダケニハ 効カナカッタミタイダネ」

唯「どういう……こと?」

?「タッタ今、地球上ニ生キル 全生命ニ 完全催眠ヲカケタ所ナンダケドネ」

―――憂(それって……)

唯「まさかムギちゃんの計画を!?」

?「ソウ。全人類ハ今、私ノ支配下ニアルノサ!」

―――憂(そんなっ!)

484 : [saga]:2011/12/25(日) 07:41:05.41 ID:rSrptTrAO
唯「ならあなたを倒して―――」

?「無駄ダ。コノ催眠ハ 永久ニ解ケハ シナイ」

唯「う、うそだ!」

―――憂(ね、ねぇお姉ちゃん、空が……)

唯「え? ……!」


世界中で起こっているのと同じように、エメラルド色のカーテンが空一面にかかっていた


唯「な、なにあれ……?」

?「アノ空ヲ覆ッテイルモノコソ、 愚カナ人類ガ生ミ出シタ 負ノ感情の結晶」

?「私ガ消エテモ アレガ消エルコトハ ナイ」

?「コノ世界ニ 人間ガ生キテル限リハネ!」

唯(憂)(……っ!!)

?「デモ安心シテヨ。コレデ未来ハ救ワレタンダカラ」

唯「………何を言ってるの?」

?「ン?」

485 : [saga]:2011/12/25(日) 07:42:58.06 ID:rSrptTrAO
唯「私達の未来をメチャクチャにしたのは、あなたじゃん!」

?「フフ……アナタハ 何モ分カッテナイ」

唯「あなたの言うことなんて信じない。私はあなたを倒して未来を取り戻す!」チャキン!

ビュン!


一気に加速した唯
相手をかこんでに素早く動き回り、影分身を作り出して敵を翻弄する


?「……」

唯「(うしろからなら……)“ 響牙天衝 ”!」ブン

ギュァァアアア!

唯(憂)(やっt ―――)

?「」バサッ!


ローブを翻し、衝撃波をそっくりそのまま唯へと反射する


唯「っ!!」シュタッ

ズギュォオオオッ!


唯はとっさに空中へ飛び出し、真正面からの反撃を回避した

それと同時に今度は上から切りかかる


唯「はああああっ!」ブォン

スッ‥‥


唯に向けて手をかざす仮面の人物
唯の斬撃はあっさり止められてしまった

486 : [saga]:2011/12/25(日) 07:47:12.34 ID:rSrptTrAO
唯「!?」

?「コンナモノデ私ハ切レナイヨ」

ガシッ

唯「むぐっ…!」


唯は顔面を片手でつかまれ、そのまま地面に打ちつけられた


―――憂(お姉ちゃん!)

唯(つ、つよすぎる……)

―――憂(それだけじゃない。あの人、一度も武器を使ってなよ)

―――憂(お姉ちゃん、もう一度あの力を使って!)

唯(それだけはだめだよ! もし2度目を使えば私達は)

―――ギー太『存在そのものが消えてしまうだろうね』―――

―――憂(でも今はそうも言ってられないよ。このままじゃ何もできずにやられちゃう!)

487 : [saga]:2011/12/25(日) 07:48:08.61 ID:rSrptTrAO
唯(………覚悟はできてるんだね?)

―――憂(お姉ちゃんと一緒なら何も怖くないよ)

唯(………わかった。もう一度やろう)

?「急ニ 大人シクナッタネ。ヤット捕マル気ニナッテクレt―――」

ズ ギ ュ ォ ォ ォ ォ オ オ オ


間欠泉のように噴き出てきた白黒の音圧
柱のようにそびえ立ち、唯にさらなる力を与える

仮面の人物はさっと飛びのき、難を逃れた


唯(憂)「“ 二重魂奏(シンクロソウル・フルチューニング)”」チャキン

488 : [saga]:2011/12/25(日) 08:05:41.42 ID:rSrptTrAO
ここまで!

次回、未定
489 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 12:18:50.67 ID:+CRGzpS0o

唯「軽音部は晴れときどき大荒れ…!いいね!イイ人生だよ!」
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/12/25(日) 13:31:59.54 ID:KsWQWGka0
乙!

やっぱ最高ですわ
491 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/25(日) 23:17:08.57 ID:WscwlyDgo
なんで去年もやったのに今年もクリスマスとかやってんの?
意味わかんねんだけど
492 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 03:22:45.48 ID:pP7mWUj/o
あけおめことよろ
暇だから私見で強さ順

唯憂奥義≧完全唯憂=全開紬>音解紬≧最上級唯=最上級澪>紬>闇澪=唯憂>菫≧斎藤>和≧澄炎律
>エクシードエリ>エクシード純>エクシード姫子>憂>さわ子>13k減信代>梓>いちご>その他クラスメイト
493 : [sage]:2012/01/12(木) 23:04:29.73 ID:kFVPv7kAO
あけおめ!

生存報告だけで申し訳ないんだが、もう少しの間だけお暇をください

494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 04:50:41.05 ID:aCQyAz1mo
待ってるー
495 : [saga]:2012/01/25(水) 13:26:07.74 ID:hXp9HoiAO
?「イイノ? コレデ アナタハ消エルコトニナルンデショ?」

唯「……どうしてそれを知ってるの?」

?「私ノ存在ハ アナタ達ノ言葉デ言ウ 神ナンダヨ。私ニ知ラナイコトナドナイ」

唯「ふざけないで! あなたなんか」ダッ

唯「誰の神様でもないよ!」ブン!

?「」チャキンッ

ド ド ォ オ オ オ オ !!!

唯「っ!」ギチギチッ

?「……」バヂヂヂッ


つばぜり合う2人の周囲に飛び散る、紫の電撃


唯(何かおかしい…この人の刀からは何も伝わってこない)

唯(もうひとりの私の時みたいに、心を閉ざしてるんじゃなくて)

唯(まるで“ 心がない ”みたいな。こんなことって……)

サッ


2人はいったん離れ、もう一度ぶつかり合う

496 : [saga]:2012/01/25(水) 13:28:26.22 ID:hXp9HoiAO
唯「はあっ!」ブン

ヒュン ヒュン ガキィン!

?「」シュバッ

キュイン ギュァアアッ

唯(! ……何だろう。この人からほんのちょっぴり、別の誰かの気圧を感じる)ヒュン サッ

?「」ブンッ シュバッ バヂヂッ

唯(刀がぶつかる度に、だんだんはっきりして…… !この気圧―――)ブン ガキィン サッ

シュタン!


唯は距離をとって少しはなれ、斬撃の応酬にピリオドを打つ


?「」シュタン

唯「あなたの刀から、あずにゃん達の気圧を感じたんだ……」

唯「あなたが……あなたがあずにゃん達をやった犯人だったの?」

?「……」

唯「ちゃんと答えてよ」

?「ソノ通リ」

唯「! ……やっぱり」

?「ソレダケデハナイ。平沢夫妻ト琴吹一族ノ抹殺ヲ命ジタノモ、コノ私ダ」

497 : [saga]:2012/01/25(水) 13:30:55.02 ID:hXp9HoiAO
唯「なっ!?」

?「モウ少シ話シテオクト、コレマデノ戦イハ全テ、コノ私ガ裏デ コントロールシテイタノサ」

唯「!!!」


―――憂『私を苦しめた罪……死んで償ってもらうよ!』

―――和『唯、そこで大人しくしてなさい』

―――さわ子『オマエらが来るのを待っていたーーー!!!』

―――紬『 友 達 を 裏 切 る の が 夢 だ っ た の 〜』


頭の中に甦るのは、かつて自分と戦ってきた者達との記憶


唯「今までの戦いは…全部あなたのせい……だっていうの?」

?「琴吹紬ノ過去ニ、何モ疑問ヲ 感ジナカッタノカ? 琴吹紬ノ親ガ……裏ノ 人間デモナイ一般社員ガ、タカガ仕事ニ失敗シタダケデ 一族ヲ皆殺シニサレルワケガナイ」

唯「………」


憂と1つになった唯は、憂の記憶をたどり、紬が話した生い立ちを思い返す

498 : [saga]:2012/01/25(水) 13:40:13.21 ID:hXp9HoiAO
?「表ニハ 必ズ裏ガ アルヨウニ、ドンナ人間ニモ 必ズ裏ノ姿ガ存在スル。ソシテ ソノ裏ノ姿トハ、心優シイ人間ホド深ク醜イモノ」

?「ソコデ私ハ 琴吹紬ニ 白羽ノ矢ヲ立テ、利用スルコトニシタ」

?「“ 琴吹氏ガ失態ヲ犯シタ ”トイウノハ、奴ヲ復讐ヘト駆リ立テルタメノ適当ナ 口実サ」

?「私ノ見込ンダ通リ、琴吹紬ハ ヨクヤッテクレタヨ」

唯「……そんな理由でムギちゃんは……今までずっと、苦しみながら生きてきたんだ」

唯「ムギちゃんがどれほど辛い思いをしてたのか、あなたに分かるの!?」

?「アア、分カルヨ。痛ホドネ」

唯「えっ?」

499 : [saga]:2012/01/25(水) 13:42:05.29 ID:hXp9HoiAO
?「荒廃シタ未来ノ世界ヲ 私ハズット1人デ生キテキタ」

?「破滅ノ未来ヲ救ウタメニ、ズット、ズット……」

唯「……破滅の未来って何なのさ」

唯「そんなの全部嘘に決まってる!」バッ


唯が音圧刀を突き出すと、周囲に白と黒のオーラがうねり始めた


唯「一気に終わらせるよ」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


オーラが唯の姿を覆っていく‥‥はずだった


(ドクンッ)

唯「っ!?」


突如、胸に走る激痛
一瞬足元がふらつく


唯( U&I はもう出せないか……なら――)スッ


右腕を上げ、身に纏った音圧の全てを手の中に集中させる。そして―――


唯(憂)「“ 響覇天衝 ”」

ギ ュ ォ ォ ォ オ オ オ オ ‥‥‥

500 : [saga]:2012/01/25(水) 13:45:30.57 ID:hXp9HoiAO
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



パラ パラ パラ‥‥


音を立てて落ちていく、割れた仮面の欠片
破れたフードの下の素顔が、徐々に明らかになっていく


唯「ハァ、ハァ…… !(そんな……今のでたったあれだけ!?)」


刀を逆さまに持ち、切っ先を地面に向けた状態で、唯の一撃に耐えきっていたのだ


?「仮面が壊れちゃったね」パラパラ‥‥


口元があらわになり、今度は目のあたりまで仮面の崩壊が進んでいく


唯「ハァ…ハァ……」

?「」パラパラ‥‥カランッ


最後の破片が地面に落ちた


唯「!? ……うっ…うそ……!」


音解の状態に戻った唯は、目に飛び込んできた光景に愕然とする

そこに立っていたのは‥‥

501 : [saga]:2012/01/25(水) 13:49:05.00 ID:hXp9HoiAO
唯「わた…し……?」


ふわふわの栗色ロングヘアー

背丈も今の唯より少し伸びており、大人びた雰囲気を醸し出している


未来唯「私は未来のあなた自身、そして人類最後の生き残り……平沢唯だよ」

唯「ぇ……ぁ……そん…な」

未来唯「破滅の未来を防ぐために、時を越えてやって来たのさ」

唯「うそ…だ……そんなの……」

未来唯「嘘じゃないよ。現に私は今、“ 心の闇を切る刃 ”を防いでみせた」

未来唯「私もあなたと同じ“ 無の境地 ”に至る者。無の境地をもってすれば闇の力を制すことができる」

未来唯「だからさっきの響覇天衝は、私には通用しなかったんだ」

502 : [saga]:2012/01/25(水) 13:54:06.20 ID:hXp9HoiAO
唯「……そんなの」

唯「そんなの信じられないよ。今までのことが全部、未来の私の仕業だったなんて……」

未来唯「都合の悪い物事を否定し、愚かにもそれらから逃避しようとする。人間の持つ悪い傾向だ」

未来唯「でもね、どんなに目をそらしても、現実は消えたりなんかしない。幻なんかじゃないんだよ」

唯「………」

(ドクンッ)

唯(憂)「っ!(まただ……!)」


胸を押さえ、苦しみだす唯


未来唯「……どうやら限界がきたみたいだな。ちょうどいい、消える前に教えておいてあげるよ。この世の未来を」チャキッ

カッ!!

唯(まぶし――――)


刀身がエメラルドに激しく輝き、唯の意識を持ち去っていく‥‥‥

503 : [saga]:2012/01/25(水) 14:03:00.75 ID:hXp9HoiAO
―――‐―――‐―――

――‐――‐――

―‐―‐―



唯(ここは……?)


どんより曇った灰色の空
住宅街の上空を、戦闘機が数機、飛行している

家屋の大半は無残にも破壊されており、炎や煙が上がっていた


唯(ひどい……みんな燃やされたんだ……)


唯は上空から見下ろす形で、頭の中に流れ込んでくる映像を見ていた


未来唯(ここは未来の桜ヶ丘。第三次世界大戦によって荒廃した姿だよ)


唯(そんな………)


未来唯(私の生きた時代では、文字通り、世界中で戦争が行われていた。法も秩序も何もない、民間人まで容赦なく巻き添えにした最悪の戦争がね)

唯(…………あっ! あそこにいるのって)


平沢夫妻と2人の少女
四人は迫りくる火の手から、必死に走って逃げていた

504 : [saga]:2012/01/25(水) 14:04:23.77 ID:hXp9HoiAO
平沢父「くそ! 車さえ奪われなければ!」タッタッ

平沢母「ごめんなさい。私のせいで……」タッタッ

平沢父「君のせいじゃないよ。僕がしっかりしてなかったからだ」タッタッ

唯「ハァ、ハァ…そうだ、ギー太がまだ家に……」クルッ、タッタッタッ


唯は来た道を振り返り、3人とは正反対の方向へ駆け出した


憂「お、お姉ちゃん!?」


憂は唯の行動にいち早く反応し、唯のあとを追って駆けていく


平沢父「お、おい唯!」

平沢母「待って憂ちゃん! どこへ行くの!?」

憂「お父さん、お母さん。お姉ちゃんは私に任せ―――」タッタッ

ドゴォオオオン!!!

唯「わっ!?」
憂「きゃっ!?」


2人の後方で、突如大きな爆発が起きた

爆風により、唯と憂は数メートル先に吹き飛ばされる‥‥‥

505 : [saga]:2012/01/25(水) 14:07:16.20 ID:hXp9HoiAO
・ ・ ・ ・ ・


唯「うっ、 いたた……憂、大丈夫?」ムクリ

ヒック グスン……

唯「憂?」


すり傷だらけの体を起こし、後ろを振り向く


唯「…………へ?」


その先に広がっていたのは、綺麗な円形にえぐり取られた地面

そこに父と母の姿はなかった


憂「グスッ……お、お姉ちゃぁん……お父さんとお母さんがぁ!」ポロポロ

唯「う……そ………」ガクン


――――――――

―――――

―――


映像が暗転し、場面は次の舞台に変わった


唯(今度は……けいおん部の部室だね)


いつもの軽音部メンバーに憂を加え、6人が部室に集まっていた


澪「グスッ、うぅっ……パパ…ママ……」ポロポロ

律「なんで……なんでこんなことに……」

梓「………」


かがめた膝に顔をうずめ、泣きじゃくる澪

両手足を床につき、絶望に打ちひしがれる律

生気のない目でぼんやりと空を見つめる梓

そこに、普段の見慣れたみんなの姿はなかった
506 : [saga]:2012/01/25(水) 14:11:35.47 ID:hXp9HoiAO
紬「生き残ってるのは私達だけなのかしら……」

唯「ねぇムギちゃん」

紬「なぁに、唯ちゃん?」

唯「ムギちゃんはどうして私達と一緒に残ったの? お家の人と一緒に逃げてれば、ムギちゃんだけでも助かったのに」

紬「この世界にはもう安全な場所なんてないわ」

紬「仮にそうじゃなくたって、私はひとりで逃げるよりも、唯ちゃんたちと一緒にいることを選ぶわ♪」

唯「ムギちゃん……」


まともに話ができる紬だけが、唯の唯一の救いだった


憂「梓ちゃん」ユサユサ

梓「」

憂「梓ちゃん……」ユサユサ

梓「」

憂「……お返事、してよ」ウルウル

紬「憂ちゃん」

憂「はい…?」

紬「梓ちゃんは目の前でご両親とお友達をなくしてるの。今はそっとしておいてあげた方がいいんじゃないかしら?」

憂「……分かりました」

507 : [saga]:2012/01/25(水) 14:13:39.71 ID:hXp9HoiAO
・ ・ ・ ・ ・ ・


唯「」スッ


唯は立ち上がると、部屋の中央に向かって移動した


唯「みんな、演奏しようよ!」

紬「唯ちゃん?」

憂「お姉ちゃん?」

律澪「…………」

梓「………こんな時に何言ってるんですか(ボソッ」

唯「こんな時だからこそだよ! いつもみたいにみんなでお茶して演奏してさ、それから―――」

梓「やめてください! 唯先輩に私の何がわかるんですか!? 私のことなんかもう……ほっとおいてくださいよ!!」

唯「ほっとくなんてできないよ。私もあずにゃんとおんなじだから」

梓「えっ?」

唯「私も目の前で、お母さん達をなくしてるんだ」

律澪梓(!!)

508 : [saga]:2012/01/25(水) 14:16:49.64 ID:hXp9HoiAO
唯「それにね、ここにいるみんなが同じように辛い思いをしてる。だから、あずにゃんは1人じゃないんだよ?」

梓「唯先輩……」

憂「そうだよ、梓ちゃん。頼りないかもしれないけど、私も一緒にいるから」ニギッ

紬「私もいるわよ♪」ムギュ

梓「ムギ先輩、憂……」

梓「唯先輩、ごめんなさい。私、ひどいこと言って」

唯「ううん、いいんだよ」

梓「………唯先輩、やりましょう、練習!」

唯「あずにゃん!」

律「私も唯に賛成だ。みんながこんな状態じゃ、何も始まらないしな!」

唯「律ちゃん!」

律「ほら、澪も早く行こうぜ!」

澪「グスッ……」コクリ

唯「澪ちゃん!」


それぞれ楽器を手にとり、演奏の準備に取りかかる


唯「それじゃあいくよ、みんな!」

律「ワン、ツー、ワンツースリーフォー」


〜〜〜〜〜♪

509 : [saga]:2012/01/25(水) 14:20:44.85 ID:hXp9HoiAO
ジャーン♪

憂「わぁ〜」パチパチ

律「いやー、久々に演奏したにしては上出来だな!」

梓「もう、律先輩のドラムは走り気味でしたよ」

律「アハハ……やっぱり?」

梓「それに唯先輩のギターはもっとひどかったです」

唯「あぅ…」

梓「でも、なんだかいつもの私達に戻れたような気がします」

澪「そうだな。どんな時、どんな場所にいても、私達は私達でいるのが1番だ」

唯「私たちはどこに行っても、放課後ティータイムなんだよ!」

紬「よかった♪ みんな元気がでてきたみたいで♪」

律「………そうだ、これだよこれ!」

唯澪紬梓憂「?」

律「みんな、世界を旅してまわろうぜ! 私達の音楽でみんなに希望を与えるんだ!」



――――――――

―――――

―――


再び目の前が暗転する


未来唯(それから私達はいろんな場所を旅した。どんな絶望の中でも、決して希望を手放さなかった)

唯(………)

未来唯(旅を続けるうちに、私達は大勢の人達に支持されるようになっていった。それと同時に各国の戦力は衰え、戦いも収束していった)

未来唯(でもそれは遅すぎたんだ……)

510 : [saga]:2012/01/25(水) 14:22:16.42 ID:hXp9HoiAO
―――

―――――

――――――――


次の場面は、放課後ティータイムが瓦礫の上で野外ライブを行っているところだった


ジャーン♪

唯「ありがとうございましたー!」

キャー キャー ワー ワー

紬「今回も大成功ね♪」

澪「この調子で頑張っていけば、いつかきっと私達の日常も!」

律「ああ! 取り戻してみせるさ、必ずな!」

憂「みなさん、お疲れ様でした」

梓「憂もお疲れ様。ギターの腕、さらに上がってきたじゃん」

憂「えへへ/// そうかな?」

梓「そうだよ。私も追い抜かれそうなくらいだよ」

憂「でも、お姉ちゃんの方がすごいよ?」

梓「そうだよね。最近の唯先輩は本当にすごいよ……」


2人は、観客に向けて大きく手をふる唯を見つめる


梓「以前の唯先輩とは比べものにならないくらい、上手くなってる」

憂「それだけお姉ちゃんが一生懸命になってるってことだよ」
511 : [saga]:2012/01/25(水) 14:23:51.42 ID:hXp9HoiAO
憂「お姉ちゃん、もう誰も悲しまないように、みんなを笑顔にしたいって言ってたから」

梓「そうだったんだ……」


ゴゴゴゴ…

梓憂「?」

グラ グラ グラ グラ

梓憂「きゃっ!?」

紬「地震よ!」

律「今日だけで何度目だよ。ホント勘弁してほしいぜ」

澪「戦争の影響で自然界のバランスが完全に崩れてしまったんだ」

澪「最近の異常気象も、ぜんぶそれが原因だ」


グラ グラ グラ グラ

唯「あわわっ!」

律「うわっ!」

梓「なんか、おかしくないですか?」

澪「ああ。いつもならとっくに揺れはおさまってるはずなのに……」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


地面に大きな亀裂が入る


キャー

ジメンガッ!

ニゲロー!


割れた地面の下に待ち受ける、灼熱の熔岩
落ちていった人々を、次々と飲み込んでいく

512 : [saga]:2012/01/25(水) 14:31:02.19 ID:hXp9HoiAO
タスケテクレー!

シニタクナイヨー!


澪「ひいぃぃ」

唯「ど、どうしよう」

憂「こわいよ、お姉ちゃん」ギュッ

律「……逃げるぞみんな」

梓「逃げるって、どこに逃げるっていうんですか!?」

律「と、とにかく走るんだ!」

紬「律ちゃんの言うとおりよ。ここから離れた方がいいのは確かね」

梓「わ、わかりました!」

タッタッタッ


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

律「うわっ!」クラッ


ピシピシ ピシッ

ガラガラガラガラガラガラ


大地が裂け、律たちの足場が崩れ落ちる


梓「えっ、うそ!?」

紬「きゃあっ!」

澪「うわあああ! 律ーー!」

律「くそっ、澪ーー!」


後ろを走っていた唯と憂だけは足場の崩壊からのがれた


憂「梓ちゃーーーーーん!!」

唯「みんなぁーーーーー!!!」

513 : [saga]:2012/01/25(水) 14:32:56.85 ID:hXp9HoiAO
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

憂「っ!?」クラッ


さらに強い揺れが2人を襲う


ズガガガガッ

憂「亀裂が迫ってきてる! お姉ちゃん!」

唯「うそ……だ………アハハ……うそ……だよね?」

憂「しっかりして、お姉ちゃん!」ユサユサ

唯「うそだ……うそだ……うそだ……」

憂「もう間に合わないっ……!」

ズガガガガッ

憂「……えいっ!」バッ

唯「へっ!?」ドサッ


憂に突き飛ばされる唯
すれ違い様に、落ちていく憂の表情が目に入る


唯「う……い?」

憂「」ニコッ


憂は最期に満面の笑みを浮かべていた


唯「ういっ!」バッ

スルッ‥‥

唯「っ!!」


とっさに伸ばした手は、憂の手をかすめるだけに終わった


唯「あ……あぁ……ぁ………」ガクン


唯「うわあああああああああ!!!」


―‐―‐―

――‐――‐――

―――‐―――‐―――


514 : [saga]:2012/01/25(水) 14:33:50.93 ID:hXp9HoiAO
映像はそこで途切れ、唯の意識は現実世界に戻ってきた


唯「これが……私たちの……未来?」

未来唯「そう。そして本来、あなたも辿るはずだった未来………」

唯「“ 辿るはずだった ”?」

未来唯「この日、私以外の人間はすべて死に絶えた。そしてその日から、私は残りの人生をすべて研究に費やしてきた」

未来唯「音楽がもつ真の力を見つけ出し、その力で何度も過去にさかのぼり、歴史を改ざんし続けた」

未来唯「膨大な時間にたえられなかった肉体は捨て、過去の自分を依り代に転生をくり返したりもしたよ」

唯「……!」

未来唯「この若く美しい肉体も、そうして得たもの」

唯「そんなこt」

未来唯「それができたからこそ、あなたが直面するはずだった滅びの時を遅らせることができたのさ」

515 : [saga]:2012/01/25(水) 14:35:19.36 ID:hXp9HoiAO
未来唯「……ただ、それもただの時間稼ぎにしかならなかった」

唯「破滅の未来はどうしても防げないってこと?」

未来唯「」コクリ

未来唯「世界が悪意に満ちた時、終焉は必ず訪れる。いかなる方法をもってしても、それは止められなかった……」

唯「………」

未来唯「でも1つだけあったんだよ。未来を救う最後の手段が」

唯「それがこんなことだっていうの!?」

未来唯「そうだ」

未来唯「人間が悪意を生み出すのなら、すべての人間を管理し、負の感情を生み出さないようにすればいい!」

未来唯「神も救いもないこんな世界なら、もうこの私が“ 神 ”となって全人類を支配するしかないんだよ!!」

唯「そんなっ!」

未来唯「あなたも未来を生きていれば、いずれは同じ結論に至ったはずだよ」

唯「私はちが―――」

未来唯「なぜなら私は未来のあなた自身なのだから」

唯「…っ!」

516 : [saga]:2012/01/25(水) 14:36:35.77 ID:hXp9HoiAO
未来唯「……そしてこの世界に来た私は、琴吹紬を利用すべくあえて能力の一部を分け与え、裏で障害となるもの全てを排除してきた」

唯(あんな辛い過去があったなんて…… なにも言い返せないよ)

未来唯「琴吹が私の技術を応用して作り出した“ 演舞者 ”のシステム。あの程度ならまだしも、平沢夫妻の研究は無視しておくわけにはいかなかった」

唯(言い返せるわけないよ……)

未来唯「だから彼らにも消えてもらった」

未来唯「そして今、琴吹紬から回収した力で宿願は果たされた……」

未来唯「これが真実。すべては破滅の未来を救うためなんだよ」

唯「………」

(ドクンッ)

唯「っ!」ガクン

シュウゥゥ‥‥‥


地面についた両手が、指先から黒と白の煙となって消えていく

517 : [saga]:2012/01/25(水) 14:37:19.83 ID:hXp9HoiAO
未来唯「力の代償だ。お別れの時間だよ」

唯「うっ……」

未来唯「転生のストックとしては惜しい身体だけど、しかたないか」

未来唯「さよなら、平沢唯―――」

カッ!

未来唯「!」


唯の身体が突如輝き、黒と白の2つの光に分離する

分離した光は、それぞれの色の衣を纏った少女に変化した‥‥‥
518 : [saga]:2012/01/25(水) 14:40:23.05 ID:hXp9HoiAO
ここまで!

次回の更新もだいぶ遅くなると思うので、悪しからずご了承を!
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 18:47:53.92 ID:5abg4j9DO
おかえりんこ

ここまで「迷走」って単語が似合うSSはそうないぞwwww
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 23:11:16.52 ID:KpUW/aqGo
いちおつ!

やっぱ面白いな

続き舞ってるよ
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/26(木) 01:24:27.44 ID:iT6u5fFzo

憂「ターミオネーチャン」
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/06(月) 02:59:23.17 ID:8qRZ8t6zo
続きまだか!
523 : [saga]:2012/02/12(日) 18:59:41.30 ID:HNFhhRwAO
唯「う、う〜ん」

憂「うぅ……」

唯「あれ、私……?」

未来唯(“ 存在が消える ”とは“ 魂が融合した存在ではなくなる ”ということだったの…?)

未来唯(だが、これも想定内だ)


憂「お姉ちゃん、私たち……」

唯「うん、生きてる……生きてるよ!」

ジリッ…

唯憂「!」

未来唯「喜んでるヒマなんてないよ。あなたたち演奏者には―――」

ダッ!

未来唯「消えてもらう!」ビュン

憂「っ!」バッ


憂は相手の動きにすぐさま反応し、唯との間に割って入る


ギイィィン!


憂「っ!(重い…!)」ギチ ギチ!

未来唯「音解ごときで刃向かってくるとはね……」グググッ

未来唯「身の程を知れ!」ブン!

憂「きゃっ!」ヒュ―ン

ドオォォン‥‥!


壁までいっきに吹き飛ばされた憂は、そのまま瓦礫に埋もれてしまった

524 : [saga]:2012/02/12(日) 19:02:38.94 ID:HNFhhRwAO
唯「ういーーー!」

未来唯「他人よりも自分の心配をしたら?」バッ!

唯「っ…!」サッ

ギュィン!

未来唯「剣を介して相手の心の内が読める。それが一流の演奏者」ググッ

唯「うっ……」ギチ ギチ!

未来唯「今のあなたからはまったく闘志が感じられない!」ズアッ!

唯「うあっ!」


つばぜり合いに負け、唯は数メートルほど飛ばされる


未来唯「臆したの? この私の力に」スタ スタ

唯「うぅ……」ムクッ

唯「そうじゃ…なくて……」

未来唯「……」スタ スタ

唯「わからなくなっちゃったんだよ。私はいったいどうしたらいいのか」

唯「だってあなたは未来を救うために今までずっと戦ってきたんでしょ? どんなに苦しくても、ずっと1人で!!」

未来唯「……」スタ スタ

唯「そんな……そんなの私なんかが邪魔できないよ。していいはず……ないんだよ……」ガクン

未来唯「」スタ スタ

ピタッ


両手を地につき、うなだれる唯
そのすぐ前で未来の唯は立ち止まった

525 : [saga]:2012/02/12(日) 19:03:33.17 ID:HNFhhRwAO
未来唯「そうか……あなたは私の話が理解できてるんだ」

未来唯「ならば神から、あなたが為すべきことの“ 答え ”を授けてやろう」

唯「答え?」


さっと顔を上げる唯


未来唯「簡単なことだ。それは―――」スッ


右腕とともに刀を掲げる


未来唯「あなたが死ぬこと」ヒュッ

唯「ぁ―――」


振り下ろされた刃に反応できず、唯は死を覚悟した。その時―――

526 : [saga]:2012/02/12(日) 20:56:30.86 ID:HNFhhRwAO
  『 響 牙 天 衝 』ズギュアアアア!!

未来唯「っ!」タッ


不意に後方から飛んできた白色の衝撃波
未来唯はとっさに飛びのく


憂「ハァ…ハァ…」

唯「憂!」

未来唯「………」

憂「お姉ちゃんには……傷つけさせません!」

ダッ!


唯の後方、瓦礫の上から勢いよく飛び出し、憂は傷ついた体で果敢に立ち向かっていく


憂「はぁっ!」ブン

未来唯「」ヒュン

ズガガッ キィン ズドオオオ!

唯「憂……」


完全に戦意を喪失した唯は、ただ静かに2人の攻防を眺めていた

527 : [saga]:2012/02/12(日) 21:00:01.07 ID:HNFhhRwAO
憂「ハァ、ハァ(体力が…もう……)」

未来唯「」ブン!

憂(しまっ―――)

ガキィィイン!

憂「うっ…!」ズザザザ…

唯「憂!」タタッ


唯はすぐさま憂のもとへ駆け寄り、抱き起こす


憂「ハァ、ハァ……うぐっ!」

唯「むちゃしないで、憂」

憂「ごめんね…お姉ちゃん。あと…ちょっとで……あの人の動きに……ついて行け――っ!」


苦しそうに肩の傷を押さえる憂


唯「もう…いい……」

憂「えっ? お姉…ちゃん?」

唯「もう…戦わなくても…いい……だから」

唯「一緒に死のうよ」

憂「!?」

唯「これ以上、誰かが傷つく必要なんてないんだよ」

憂「な、なにを言ってるの?」

唯「憂がこれ以上傷つくのは見てられないよ!」ジワッ

憂「………」

528 : [saga]:2012/02/12(日) 21:02:21.95 ID:HNFhhRwAO
スッ‥‥


憂は起き上がると、おぼつかない足取りで前に進みだした


唯「うい! もう止め「お姉ちゃん!」」

唯「!」

憂「何が正しいとか、どうすればいいとか……本当の答えは、誰かに聞いたり、教えられるものじゃないんだよ」

憂「答えはいつだって、自分自身の中にしかないんだから!」

唯「…! でもそんなの……私なんかじゃ見つけられないよ……」


唯「それに憂はあの人を倒すっていうの? 未来を救おうとして、ずっと1人で頑張ってきたんだよ? それなのに、その邪魔をするっていうの!?」

憂「……私の心はもう、決まってるから」

唯「えっ…?」

憂「“ お姉ちゃんの笑顔を守りたい ”。それが私の答えだよ」ニコッ

唯「!!」

憂「だから私は、何があっても迷わない」チャキッ


憂は目の前の相手に向き直る

529 : [saga]:2012/02/12(日) 21:25:14.53 ID:HNFhhRwAO
未来唯「平沢憂、どうやらあなたも私の完全催眠をはねのける“ 例外 ”みたいだね」

憂「闇に囚われた私に、お姉ちゃんが光を差してくれたんです。あなたの技は、もう私には効きませんよ」

未来唯「なるほど。心の闇はすでに制し終えているということか」

未来唯「だが、それだけでは神を倒すには到底及ばない」

憂「あなたは神さまじゃありません。あなたも……私のお姉ちゃんです!」

憂「だからお姉ちゃんの間違いは……妹である私が正します!」チャキンッ!

530 : [saga]:2012/02/12(日) 21:28:25.13 ID:HNFhhRwAO
未来唯「笑わせないで。私の……世界でたったひとりの妹は……もういない。この私の目の前で死んだんだよ!」

唯憂「!」

未来唯「それに、私はある事実に基づいて自らを神と名乗っている」

憂「ある…事実……?」

未来唯「1つ、話をしておこうか」


未来唯「私はあらゆる時間軸に干渉を続け、研究を進めてきた」

未来唯「でも、どれだけ歴史を変えようとも、その影響を受けずに必ず人類最後の1人となるまで生き残る特別な存在がいた……」

憂「それって……」

未来唯「そう。それが―――」スッ


指した指先が唯の方へ向けられる


未来唯「平沢唯、あなたのことだよ」

唯「わたし…?」

未来唯「そして私はさらにその中の生き残り! タイムパラドクスすら跳ね退け、人類全体をより良い未来へと導く存在! この私こそが、まさに神と呼ぶに相応しい存在なんだよ!」

唯憂「!!」

531 : [saga]:2012/02/12(日) 21:29:55.74 ID:HNFhhRwAO
未来唯「神は唯一絶対の存在。盾突き逆らうことなど許されない」

憂「……」ジリッ‥ ビュン!

ガキイィィィイン!


目にも留まらぬスピードで飛びかかっていった憂
即座に反応してきた未来唯に受け止められ、つばぜり合う


憂「やっぱりあなたは間違ってる!」ギチ ギチ

未来唯「……」ギチ ギチ

憂「私が―――」ググッ‥

憂「あなたの目を覚まさせてあげます!」ブンッ

ズギュァァアアアッ!


・ ・ ・ ・ ・  ・ ・  ・
532 : [saga]:2012/02/12(日) 21:30:48.74 ID:HNFhhRwAO
全身全霊をかけ、未来唯にぶつかっていく憂
唯は地面にへたりこみ、2人の戦いを遠くから眺めていた


唯「……」

―――未来唯『破滅の未来を防ぐために、時を越えてやって来たのさ』

唯「………」

―――未来唯『神も救いもないこんな世界なら、もうこの私が“ 神 ”となって全人類を支配するしかないんだよ!!』

唯「っ…………」

―――未来唯『すべては破滅の未来を救うためなんだよ』

唯「…………」

―――憂『何が正しいとか、どうすればいいとか……本当の答えは、誰かに聞いたり、教えられるものじゃないんだよ』

―――憂『答えはいつだって、自分自身の中にしかないんだから!』

唯(!)ハッ!

―――憂『“ お姉ちゃんの笑顔を守りたい ”。それが私の答えだよ』

唯(……憂)


‥‥グッ!


刀を握る手には、自然と力が入っていた


唯(私は……私は……!)

533 : [saga]:2012/02/12(日) 21:33:18.75 ID:HNFhhRwAO
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



憂『 響 牙 天 衝 !』ズギュアアア


憂は飛び出すと同時に、刀を地面に這わせながら斬撃を放った
すると、たちまち砂煙が辺りを覆っていき、憂の姿が視界から消える


未来唯「……」

バッ!

未来唯「後ろか…」チラッ

憂「」サッ


発光する純白の刀を振りかぶった憂が、今まさに刃を振り下ろさんとしていた


憂『 響 牙 天 衝 !』ズァアアア!

未来唯「」タンッ


地面を軽く蹴り、後ろに飛びのく未来唯


未来唯「」バサァッ

バシュゥン!


飛びのくと同時に翻したローブで、響牙天衝は掻き消された


砂煙「モク モク モク‥‥」

未来唯「これが狙いか…」


後方には、まださっきの砂煙が舞い上がっていた

憂の攻撃を防ぎはしたものの、未来唯はそのまま煙の中へ入ってしまった


憂「」ダッ!


すかさず憂も煙の中へ飛び込んでいく

534 : [saga]:2012/02/12(日) 21:37:15.18 ID:HNFhhRwAO
憂・未来唯「」ブン!

キュィイン!

未来唯「陽動に使った砂煙でさらに視界を潰してくるとはね。無駄のない戦い方をする……」ギチ ギチ

憂「っ……」ギチ ギチ

未来唯「実力差が開きすぎている者同士でも、同じ悪条件下で戦えばいかにアドバンテージをとれるかが勝負の鍵となってくる。この砂煙はそのために発生させたみたいだね」ギチ ギチ

憂「それだけじゃありません」ギチ ギチ

未来唯「?」

キラン☆


視界不良の中、2人を正方形に囲うように四頂点が光る


憂『 四天崩陣 』

ゴ ォ ォ オ オ オ オ!!!

未来唯「!?」


突如として煙の中から立ち上がる光の柱
憂と未来唯は四方を光の壁に囲まれた

535 : [saga]:2012/02/12(日) 21:49:01.21 ID:HNFhhRwAO
未来唯「煙を発生させた直後、あの一瞬で仕掛けていたのか……私を追い詰めため……?」ギチ ギチ

憂「私の気圧の性質は、“ 相手の力を吸収し、自分の力でブーストをかけて倍返しにする ”能力なんです」ギチ ギチ

未来唯「それがどうしたの? あなたにはもう、気圧が残されていないのはわかってるんだよ?」ギチ ギチ

憂「確かに、響牙天衝がちょうどあと一回分くらいです。残りはすべて、この結界に使いましたから……」ギチ ギチ

未来唯「この結界に? ……まさか!」ギチ ギチ

憂「もう手遅れですよ」ズズズ‥‥

536 : [saga]:2012/02/12(日) 21:50:27.40 ID:HNFhhRwAO
未来唯「そんなことをしたらあなたも…! 私と心中でもする気なの!?」ギチ ギチ


憂の刀に白いオーラが宿っていく


憂「たとえ差し違えてでも、それでお姉ちゃんを守れるなら本望です」ズズズ‥‥

未来唯「……ッ!」

憂『 響 牙……』


――さよなら、お姉ちゃん――


憂『 天 衝 !!! 』カッ!

ド ゴ ォ ォ オ オ オ オ !!!


ゼロ距離で炸裂する超特大サイズの衝撃波

その直後、結界内部では絶えることなくいくつもの連鎖爆発が起こり、巻き起こった白い爆煙に2人の姿は沈んでいった………
537 : [saga]:2012/02/12(日) 21:52:16.70 ID:HNFhhRwAO
続く!

次回、2週間後!

見てくれてありがとう!
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/13(月) 03:09:17.14 ID:WkW2/QJRo
脱線具合がパネェw
今度は2週間後か、ちょっと長いな
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/14(火) 03:52:33.96 ID:ekI3xVpJo

憂「自分で自分を決められるたった一つの部品だ、失くすなよ」
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 23:55:40.94 ID:U+3Kxpcd0
破道の1カ月過ぎ
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 22:48:52.71 ID:qflClRiSO
生きてるか?
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 06:35:49.59 ID:Lgs851F6P
縛道の2カ月過ぎ
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/29(日) 12:45:24.25 ID:xC4Siqygo
期待age
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/29(日) 23:44:21.19 ID:epziLS+lo
生存報告も無いのが辛い
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/02(水) 19:18:45.46 ID:lrGnEhVu0
こんな長い間>>1の書き込みが途切れたのは初めてだよな
どうしたんだろう
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/02(水) 20:41:12.64 ID:JfCNRanlo
心配になってくるな・・・
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/03(木) 23:29:51.57 ID:+jIWvLoKo
展開が思いつかなくても生存報告すればまた2カ月構想練れるんだからなんか書こうぜ
ここまで書いて投げるのはもったいない
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/04(金) 02:08:21.88 ID:99WaPn38o
本当に死んでないよね?
待たせてる事は気にしなくていいから報告をしてほしい……
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/06(日) 21:55:13.12 ID:koXkYVM5P
これはもうだめかもわからんので締め貼っときますね
http://www.youtube.com/watch?v=fJ2j44IoVUo
311.22 KB   
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