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唯「レトリック?」梓「文章の書き方みたいなものです」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 01:00:07.05 ID:5Wr0UCaz0

 はじめに

梓「これはあくまでも私(>>1)本人が復習のために書くものです」

梓「レトリックとは、広い意味で言えば人に話を読み聞かせるための学問です」

梓「発生は古代ギリシアから始まり、アリストテレスによって『弁論術』と『詩学』の二つの目的へ集成されて以来『修辞学』と名前

を変えて今日にいたります」

梓「弁論・詩学・修辞と身近ではない言葉を並べましたが、目標は『わかりやすい文章』です」

梓「どうして語り手として私が選ばれたかというと、不思議なことに私は何かを説明するのに適したイメージを持っているからです」

梓「不思議なことにと言いましたが、実はちっとも不思議ではないことに気付きます」

梓「それは、私というキャラクターが唯先輩というキャラクターと対になっている――つまり『無知』の対比となるように形成されて

いるという理由がすぐに見つかるからです」

梓「けいおん!を分解すると、レトリックの一つ――『比較』と『類似』の関係が多いことがわかります」

梓「比較と類似――これは文学における比喩の要素です」

梓「前置きが長くなりましたが、要するに『日本語の作文技術』を向上させるためのちょっとした講座です」

梓「この板に載せることで、SSを書く人のちょっとでも助けになればと思います」
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パンティ「ガーターベルト大丈夫かー」ストッキング「血が止まらないわー」 @ 2025/07/26(土) 02:27:49.65 ID:OmgbeFOdO
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うんち @ 2025/07/25(金) 23:18:36.55 ID:tsEvWZe2o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753453115/

天龍「イキスギィ!イクイク!ンアーッ!枕がデカすぎる!」加賀「やめなさい」 @ 2025/07/25(金) 19:40:58.85 ID:LGalAgLLo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1753440058/

(安価&コンマ)コードギアス 薄明の者 @ 2025/07/23(水) 22:31:03.79 ID:7O97aVFy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753277463/

ご褒美にはチョコレート @ 2025/07/23(水) 21:57:52.36 ID:DdkKPHpQ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753275471/

ビーノどっさりパック @ 2025/07/23(水) 20:04:42.82 ID:dVhNYsSZ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753268681/

コナン「博士からメールが来たぞ」 @ 2025/07/23(水) 00:53:42.50 ID:QmEFnDwEO
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4日も埋まらないということは @ 2025/07/22(火) 00:48:35.91 ID:b9MtQNrio
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 01:02:14.54 ID:5Wr0UCaz0

 目次

 1.わかりづらい文章とは

 2.言葉の並べ方と修飾

 3.比喩表現

 4.ストーリーの構成


 参考文献

 文章読本
 学問のすすめ
 レトリック感覚
 日本語の作文技術
 三島由紀夫レター教室
 キャラクター小説の書き方

 ぶっちゃけ、当SSを読む暇があったら上の本を読むほうがいいです。

 今日中に終わらせるつもりですが、一応の本スレの宣伝
 唯「だいにじ!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」
 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303652569/


3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 01:03:00.51 ID:5Wr0UCaz0

梓「それでは始めさせていただきます」


 第一章 わかりづらい文章とは


 私は鈴木が小林が中村が死んだ現場にいたと証言したかと思った。


梓「上はわかりづらい文章を説明する時に多く例にされる文章です」

梓「ちなみに、元の文章から更にわかりづらくするための修正を私自身が施しましたので、章終わりまでの宿題にします」

梓「上の文章で読み取れるものはせいぜい『私は思った』ぐらいでしょう」

梓「その認識で問題ありません。この文章は私以外の全員が『死んだ』に掛かる状態にあるからです」

梓「また、現代に多い『精神分裂病的な文章の読み方』をすれば『私は自分が死んだ現場に鈴木が小林が中村がいたと証言したかと思

った』などと読むことも可能です」

梓「この文章の問題点は『主語と述語が離れている』ことが原因です」

梓「これを意味の通りやすい文章にするには、まず主語と述語の関係を正しくします」

 私は思った/鈴木が証言した/小林が現場にいた/中村が死んだ

梓「以上の4つのセンテンス(まとまり)に分けてようやく状況がわかりました」

梓「しかし、これを並べ替えてもまだ意味が通る文章にはなりません」

梓「二つ目の問題点は『修飾する側とされる側の関係が曖昧』だからです」

梓「修飾とは『物事に文章上の特徴を与えること』です」

梓「例えば、『花』という物に『きれいな花』『小さな花』と説明をつけることが修飾です」

梓「文章中で主語ではない修飾語の人物がいます。それは中村です」

梓「つまり『中村が死んだ現場』と中村は『現場』を修飾する言葉なのです」

梓「あらためてセンテンスを整えます」

 私は思った/鈴木が証言した/小林がいた/中村が死んだ現場
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 01:04:26.79 ID:5Wr0UCaz0


 私は思った/鈴木が証言した/小林がいた/中村が死んだ現場


梓「中村を若干遠ざけたのは、中村がセンテンスとして別物になったからです」

梓「中村は現場とくっついたことで、修飾語になりました」

梓「最終的な文章はこのようになります」


 中村が死んだ現場に小林がいたと鈴木が証言したのかと私は思った。


梓「あくまでも言葉の順序を入れ替えただけですので、まだわかりづらい点はあります」

梓「三つ目の原因は『助詞が連続している』ことです」

梓「助詞とは、単語の後に付いて方向を決める言葉です」

梓「中村ガ・小林ガ・鈴木ガ――カタカナにした『が』が助詞になります」

梓「助詞が連続すると前のセンテンスと後ろのセンテンスが同一の立場であるように錯覚します」

梓「実際には中村は死んでいて、小林はその近くに立ち、それを鈴木が隠れて見ていたという図式なのに『中村が小林が鈴木が』と書

かれると、まるで三人が並んでその場に立っていると決めつけてしまうのです」

梓「そう言った誤解を避けるために助詞を使い分けます」


 中村の死んだ現場に小林がいたと鈴木に証言されたのかと私は思った。


梓「四つ目の問題点を挙げるために助詞以外にも変えたところがあります。『証言された』です」

梓「四つ目の問題点は『過去形の連続』です」

梓「文章は『中村の死んダ小林がいタことを見ていタ鈴木の証言があっタことを聞いタ私が思っタ』ことです」

梓「伝言ゲームがおかしくなっていくのと同じで、過去に過去を重ねると読み手の意識が曖昧になっていきます。漫画で過去編の登場

人物が更に回想するのと同じです」

梓「これを回避するためには現在形を入れることですが、そうすると文章はここまで変化します」


 中村が死に至るまで現場には小林の姿があったと鈴木が証言しているという話かと私は思った。

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 01:05:02.63 ID:5Wr0UCaz0

梓「第五の問題は『この文章は第五の人物がいる』という点です」

梓「『という話かと私は思った』という文末ではっきりわかるように、『鈴木の証言を聞いた部下の話を又聞きしている私』なのです」

梓「おまけに『鈴木が証言したことではない』という否定の文章です」

梓「最終的に、この状況は会話文で成り立たせたほうがいいということになります」


「中村の死んだ現場に小林がいたそうです」

「それは鈴木が証言したことか?」

「いえ、違います」

「じゃあ、どこからその話が出てきたんだ」

「それがですね……<中略>……ということなんです」

「なんということだ」


梓「以上のような文章になるはずの状況です。これを一文で表そうとしたことがそもそもの失敗だと気付きます」

梓「ただし、あくまでもこの一文だけを引っ張ってきての話です」

梓「それまでに読ませてきた展開しだいでは『私は鈴木が小林が中村が死んだ現場にいたと証言したかと思った。』という文で通じる場合があります」


 滝壺は絹旗が麦野がフレンダが死んだ現場にいたと証言したかと思った。


梓「このように登場人物を変えるだけである程度判断できる場合もあります」

梓「もちろん、判断できるだけであって、読みづらいことに変わりはありません」

梓「最大の錯覚は『始めから全て解っている作者がこれで解るだろうと勘違いすること』です」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 01:07:52.33 ID:5Wr0UCaz0

梓「第一章は以上で終了です」

唯「私は一言も喋らなかったね!」

梓「でも、読者的には唯先輩が正座して聞いているような構図が浮かんでいたと思います」

唯「言葉のマジックだね!」

梓「仮眠して起きたら続きを書きます」

唯「ばいば〜い!」



 宿題の答え

 私は鈴木が小林が中村が死んだ現場にいたと証言したかと思った。

梓「次章の話題である言葉の並べ方を変えました」

 私は小林が中村が鈴木が死んだ現場にいたと証言したかと思った。

梓「朗読すると違いがわかりますが、前者のほうが明らかに読みにくいです」


梓「つっこみどころはたくさんあると思います。どんどん指摘してください」

梓「それでは」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 01:30:04.91 ID:20M7P4nWP
本多さんの日本語の作文技術ベースか
しかし文章表現本マニアとしちゃ、石黒さんのよくわかる文章表現の技術が入ってないのが気になる
読者視点重視という点において、あれ以上の本はない
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) [sage]:2011/09/20(火) 02:12:11.45 ID:3P1tJqRAo
確かに連続して助詞の「が」を使われると錯覚してしまうな

私は—鈴木、小林、中村の3人全員が死んだ場所にいたと証言したかと思った

こんな風に並列関係になる
しかし、これには足りない要素があり「誰が」死んだのかが分からない
一応それ以外は文脈で推測できるとしても分かりづらい
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 15:31:06.35 ID:kB9IfcbFo
難しいけどすてきなスレだ

ところで『文章読本』っていろんな人が書いてるけど、誰の文章読本がいいかな
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 23:09:55.43 ID:5Wr0UCaz0

梓「第二章の前にちょっとしたゲームをしようと思います」

梓「用意するものは大学ノートとペンだけです。ノートは罫線が入っていればある程度の大きさのものでいいです」

梓「ノートに五十音を上下左右にそれぞれ1マスずつ間隔を取って書いてください」


  あ い う え お

  か き く け こ


梓「用意ができたら、五十音の一文字ずつの上に『人』などの一文字の主語を書いていきましょう」


 人あ人い人う人え人お

 人か人き人く人け人こ


梓「ゲームと言えるものでもありませんが、単語の後に繋がる助詞などを見つけることができます」

梓「あるいは、『人こ』という組み合わせから『人っ子一人いない』というような文を発見することもできます」

梓「言葉の組み合わせは無限の如き有限ですので、いろいろ楽しんでみてください」

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 23:10:29.41 ID:5Wr0UCaz0


 私は鈴木が小林が中村が死んだ現場にいたと証言したかと思った。


梓「例文が読みづらいのは言葉の順序がまずおかしいからです」


 第二章 言葉の並べ方と修飾


梓「一枚の紙があります。それはこんな紙です」


 白い紙
 横線の引かれた紙
 厚手の紙


梓「ただ並べれば以下になります」


 白い横線の引かれた厚手の紙


梓「この文章だと『横線が白い』という誤解を生む恐れがあります。紙といえば白、横線といえば黒が普通ですが、誤解を生む可能性

がある限り、この文章はわかりづらいものになります」

梓「とくに、現代の『精神分裂病的な文章の読み方』を強要するような小説には、黒字に白文字の手紙などいくらでも出てくるでしょ

う」

梓「人によっては『白の紙に濃い白の横線が引かれてある』などと読むかもしれません。後になって線が黒だとわかっても、それまで

は『余計な設定らしきもの』をイメージさせ続けるので、読む側に意識できないストレスを与えることになります」

梓「このような誤解を避けるために、語句を並べ直します」


 白い厚手の横線の引かれた紙

 厚手の白い横線の引かれた紙

 厚手の横線の引かれた白い紙

 横線の引かれた白い厚手の紙

 横線の引かれた厚手の白い紙



梓「下にいくほど誤解の少ない文章です。上のほうがどのような誤解を生むかは各自で考えてください」

梓「『厚手の』『白い』『横線の引かれた』の3つはそれぞれ『紙』を修飾する修飾語ですが、厚手と白いは『句』で横線の引かれた

は『節』になります」


梓「文章は『節を先に、句を後に』するのが誤解を生みにくくなります」


梓「また、『長い修飾を先に、短い修飾を後に』することも、誤解を少なくする書き方です」


梓「他にも、細かいことはいくつかありますが、長いセンテンスの順に文章を作れば基本的に問題はありません」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 23:11:49.78 ID:5Wr0UCaz0


梓「修飾=レトリックとは、文章を飾るためのもの――アクセサリーです」


「あ、それいいわね!」

 キュルケが微笑む。
 キュルケは、ルイズにも呟いた。

「あ、それはいいわ」

 ルイズも頷いた。
 三人は一斉に才人の方を向いた。
 才人はなんだかとても嫌な予感がした。


梓「レトリックのない文章は味気のないもので、読者に義務感を与えてしまいます」

梓「そして、作家の文章力を評価しやすい部分です」

梓「今日身に着けるアクセサリーは手持ちの化粧箱から出すしかないのと同じで、修飾の語彙が少ない作家は修飾の少ない文章を多く

書いたり、同じ修飾語を何度も使いまわすことになります」

梓「デートに来る相手が毎回同じアクセサリーや服を着ていては新鮮味がなくなり、百年の恋もさめます」

梓「また、場違いな装飾を施しても同様で、アウトドアにダブルのスーツ、夜景ディナーにマジックテープの財布を持ってきても疎んじられてしまいます」

梓「若いもの書きさんが病気のように言う『語彙が足りない』は、自分の文章に修飾が足りず、書いている文章に自分自身が飽きてしまっているからです」

梓「書いている途中にいきなり先の文章が浮かばなくなった、読み直して物足りないなどと思った時の大抵は修飾が足りていないと思ってください」

梓「修飾が足りていない原因は自身の記憶がストックしている修飾語が出尽くしていたり、出し入れしすぎて飽きてしまっているからです」

梓「いろいろもったいつけましたが、要するに読書をしろということです」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/20(火) 23:12:49.72 ID:5Wr0UCaz0

梓「読書といわれても、ライトノベルは駄目だという話をよく言われます」

梓「大抵はそれに大した説明をつけられることもなく、ただ駄目だと言われるだけなので、私なりに説明をしてみます」


梓「ライトノベル作家が書く文章は、三番煎じ四番煎じの文章である」

梓「作家が小説に引き出せる修飾は、作家が記憶にストックしている語彙のうちの何万分の一である」


梓「ということだと思います」

梓「文章の修飾はアリストテレスの時代から始まっています。それから何万分の一と引かれた言葉がハイネやゲーテによって使われ、それを読んだ森鴎外や夏目漱石が日本文学を書き、その後の太宰治、武者小路実篤、三島由紀夫と吸収されて、北方謙三はじめ井上ひさしなどの現代作家が起こしてライトノベル作家の手に渡っているのです」

梓「この間にいったい何億、何兆の言葉が忘れられているのかわかりません。ライトノベルが駄目と言われる所以はこの辺りの失われたレトリックにあるのでしょう」

梓「かといって、いきなりレトリックの天才、シェイクスピアを読んでも星のように散りばめられた修飾を全て理解するのは難しいことです」

梓「読書をするのはいいことですが、同じ年代のものを何冊も読むよりも、一つ昔、また一つ昔と掘り下げるように読むのがいいと思います」

梓「以下に、年代別に作家と代表作を挙げていきます。参考にしていただければと思います」


 2000年代(若年層全盛)
 トリニティ・ブラッド 吉田直
 イリヤの空・UFOの夏 
 ダ・ヴィンチ・コード ダン・ブラウン
 4TEEN 石田衣良
 代筆屋  辻仁成

 90年代(女流作家全盛)
 つめたいよるに 江國香織
 くっすん大黒 町田康
 バルタザールの遍歴 佐藤亜紀
 本の運命 井上ひさし
 剣客商売 池波正太郎

 80年代(二極化時代)
 スローカーブを、もう一球 山際淳司
 ダーティ・ペアの大冒険 高千穂遙

 戦後
 仮面の告白 三島由紀夫
 2001年宇宙の旅 A・C・クラーク
 O・ヘンリ短編集
 麻雀放浪記 阿佐田哲也
 走れメロス 太宰治
 老人と海 ヘミングウェイ
 眠れる美女 川端康成

 ロシア文学
 永遠の夫 ドストエフスキー
 クロイツェル・ソナタ トルストイ

 イギリス文学
 ジーキル博士とハイド氏 スティーブンソン
 シャーロック・ホームズ ドイル
 嵐が丘 エミリー・ブロンテ
 マクベス シェイクスピア

 ドイツ文学
 若きウェルテルの悩み ゲーテ
 イタリア紀行 ゲーテ
 水妖記 フーケー


梓「ざっと棚から読みやすいものを漁っただけです」

梓「また、著名な作品(戦争と平和)などは、完成された作品として要するに難解なので除外しました」

梓「実は代表作よりも若さで勢いをもった処女作や落ち着いた次期の晩年作品のほうがずっと親しみやすかったりします」

梓「おもしろいのは『水妖記』『マクベス』『永遠の夫』『眠れる美女』といったところで、まんま中身はラノベと変わりません。水妖記は精霊・ウンディーネを有名にした話ですが、中身はとんでもないヤンデレラノベです。っていうかラストはマジで怖いです」

梓「こんなところで第二章は終わりにしたいと思います」

梓「>>7さんのような素敵な本を紹介してもらおうというのもこのスレの目的です。購入して読みたいと思います」

梓「それでは」
14 :携帯から>>1です [sage]:2011/09/20(火) 23:32:18.67 ID:0qQRqY/AO
>>9
今回挙げた文章読本は谷崎潤一郎のものです

ただ、文章の書き方の本をまるで読んだことがないなら、本田勝一の「日本語の作文技術」と佐藤信夫の「レトリック感覚」を読めば当SSが書きたいことの全てが書いてあります。

私の目的は読んだ内容を改めて書き写すことで自分の中に刻み込むことなので、書いています。その上でせっかくならとこちらに載せています。

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/20(火) 23:33:33.37 ID:gn6FWgjSO
文章くらい自由に書かせてくれや

こんな「書き方講座」とかやっても、肝心の内容がクソなら、文章が上手くてもクソ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 23:37:47.60 ID:UQQtyZQDO
これはそういった強制じゃないだろ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/09/20(火) 23:45:44.44 ID:5f28XPhAO
2001年宇宙の旅ってそんなに読みやすかったか?

夏への扉やニューロマンサーのほうが解りやすかった気がするわ
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 23:52:45.25 ID:YX9a11GHo
肝心の内容が良くても文章がクソなら残念な仕上がりにしかならんわけで。
途中出てきた服の例えに似てるな。
中身も大事だが、まずは見た目からだろう。

そして、どこかの胡散臭いファッション講座よりもずっと、ここの文章講座は目に見える効果を出せると思うよ。


マクベスは翻訳ものなのに、やたら言葉選びが綺麗で驚いたな
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/20(火) 23:55:10.18 ID:gn6FWgjSO
それもそうか


ただ、この>>1が書いてる他のSS

くっそつまんねー(笑)
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/20(火) 23:55:54.51 ID:gn6FWgjSO
>>18
じゃあ、この>>1の言う通りにしろってか
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/20(火) 23:56:31.88 ID:gn6FWgjSO
>>1も強制させるつもりか
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2011/09/20(火) 23:57:32.87 ID:gn6FWgjSO
何本もSS抱え込む暇あんなら、さっさとどれか完結させろや
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 23:59:25.42 ID:V2nXVIERo
私は第三者ですが…
何レスも消費せんとまとめて書き込んだらいかがかしら?
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/21(水) 00:36:57.83 ID:mVJo8nmZP
>ライトノベル作家が書く文章は、三番煎じ四番煎じの文章である

文章が数番煎じになるのは、何もライトノベル作家に限ったことではないと思うけど。
誰であろうと文章を書くなら既にある文章体型を参考にせざるを得ない、というか、
三番煎じ四番煎じにならないようにしろとか、新しく独自言語を作れというのかと。

過去の英知を受け継いで、さらに発展させて洗練させていくもんじゃねーの、文化って

昔の本を読めとか、酷い老害臭が漂ってくるんだが……

あと、日本語の文章書く参考に翻訳本を持ってくるってどうなのよ
向こうの言葉と日本語は文法違うし、そもそも翻訳家は外国語のプロであって日本語のプロじゃないし、
参考にするなら絶対日本製の本を参考にするべきだと思うが。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/21(水) 10:26:26.32 ID:QGXdvhDDo
>>24
>過去の英知を受け継いで、さらに発展させて洗練させていくもんじゃねーの、文化って

>昔の本を読めとか、酷い老害臭が漂ってくるんだが……

この2行の間に何があったんだ?
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 14:12:52.09 ID:CGULvOipo
おそらく、今の作品は昔の作品の英知を取り込んで洗練されているから、わざわざ昔の作品を読む必要性は薄い。…と言っておられるのではないでしょうか?

軽い気持ちの短い書き込みで、自分の主張を相手に正しく伝える場合とか、何かを理屈で説明したい場合とかは、アリストテレスの考えが参考になるのは確かだぞ
日本語との文法の違いを差し引いても効果はあると思う

嫌みに思えるかも知れないけど、俺の書き込みは意味不明かな?

ただ、初めから日本語で書かれた書物の、音の響きのすばらしさが理解出来るのは日本人の特権だから、日本人の書いた本を読む事には賛成するよ

長い書き込みでスマンね
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 16:33:43.50 ID:wfZ2ARYPo
>>14
サンキュー
こんど読んでみる
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/09/22(木) 00:17:23.37 ID:bQowi8pAO
>>24
何番煎じだから駄目じゃなくて、三番煎じ四番煎じであるが故に
言葉の修飾が失われてきているのが問題、という事だと思うよ
ライトノベルが駄目と言われる所以云々と結論づけているし
まぁうまく一文で表すのは難しいってこったな
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 02:56:47.29 ID:P8fdadeMP
翻訳家は「外国語のプロ」であると同時に「日本語のプロ」である場合も多いよ。
コピーライターの本で美しい日本語のお手本として「翻訳本」を薦めているものがあったし、
実際に読んでてみても古典的名作に劣らないと思える文章も多い。

それに村上春樹に代表されるように「翻訳調」の文体が今の文学界で一定の幅を効かせている以上、
翻訳本を読むことにはそれなり以上の意味があると思う。

ついでに言うと、レトリック(言い回し)は言語の壁を越えるものもあるからね。
言語の壁を越えるということは「リズム」や「音の響き」に縛られない言い回しであるということ。
どういうレトリックが壁を越えることができるかを勉強するのはとてもいいことだと思う。


しかし、
ライトノベルが駄目だと言われる理由自体はレトリックより「ストーリー」や「イラスト」にあるだろうね。
仮に沙翁並の文章力でライトノベルを書いたとしてもライトノベルの評価は覆らないだろうし、
そもそも沙翁並の文章力を持った人がいて、その人がライトノベルを書くとしても、今のライトノベルと同じような文章になるんじゃないだろうか。
過去の叡智を受け継いで洗練させていく〜という>>24の指摘はある程度正しくて、
現代ライトノベルを支えている文章は「効率よく中高生に物語を吸収させる」という一点において沙翁さえ上回っていると思う。

最後にひとつ、現代ライトノベルで色々やってる人もいるよ。
西尾さんとか文体に構造を練り込んだりして、なかなか面白い事になってると思う。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/24(土) 23:59:40.56 ID:kkzQdjyd0

梓「第三章の前に可能な限りレス返しをしたいと思います」

>>18さま
梓「実は本棚かとったのはあったのは海底牧場で、早い話が夏への扉を失念していました。たしかに宇宙の旅よりも夏への扉のほうが

SF入門としてふさわしいですね」

ID:gn6FWgjSO関連さま
梓「わざわざ私のSSを読んでもらってありがたいことです」

梓「文章の自由は誰にでもあります。ただ、私はこう書きたい、この人のような文章を書きたいと思い、それならばこんな書き方が良

いと教えてもらったことをこの場で復習しています」

梓「SSについてですが、たしかに私の立てたスレはここを含めて3つあります」

梓「そのうちの一つは依頼を出して、このスレも少なくとも一週間以内の次回更新には終わらせる予定なので、ご容赦願います」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/25(日) 00:00:36.49 ID:HRiSiDFV0

>>24さま
梓「語弊のある書き方をしてしまい、痛念の限りです」

梓「ライトノベルを読むことは決して悪いことではありません。私もラノベは大好きです」

梓「ですが、文章を学ぶ上でライトノベルばかり読むのは良くない。そう言いたかったのです」

梓「読み比べればはっきりとわかることですが、谷川流先生や西尾維新先生などの一部の例外を除いて、ライトノベルの修飾の種類は

文学作品とは比較にならないほど少ないのです」

梓「だからといっていきなり志賀直哉の坂を走っても、旧い日本語との相違にストーリーを追うのがやっとで、文学を楽しむ暇なんて

ありません。ハルヒや秀吉がチアコスで応援しているならまだ頑張れますが、侘しい石造りの坂道です」

梓「しかし、その坂道を賀東先生も鎌池先生も通ったのです。どういう訳か奴等は私たちが全力疾走している横をのんきに歩いてしか

も先にゴールしているのですが」

梓「ライトノベルを読み、大衆小説を読み、文学、古典と段階的に時代をさかのぼることで、古典作品のレトリックを楽しむことがで

きると私は言いたかったのです」

梓「私の好きなライトノベル作家はこの本を読んで勉強して作家になったのか」

梓「私はそういう心持ちで昔の本を読みます。そしてたまにラノベに使われている表現を発見して楽しくなります」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/25(日) 00:02:54.05 ID:HRiSiDFV0

梓「外国語の小説では参考にならん、という意見ですが、文法はたしかに違います」

梓「ですが、レトリック――ものの捉え方に違いはありません。むしろ日本と諸外国の感性の違いに圧倒されます。それは自分が井の

中の蛙であることを思い知らされ、見聞を広める百の機会です」

梓「運命の赤い糸で結ばれた二人どうしが始めて逢った時、日本の遠慮は会釈をするか意識しあうだけですが、外国のロマンスでは遮

二無二構わず手を取り合って踊り始めます」

梓「初対面だというのにこの二人はなんてばかなんだろうか、しかしそれほど二人は深く結ばれているのだ」

梓「その感性がロマンスという日本には数の多くない文化です」

梓「また、外国人の話やものの考えを知らないで、小説内に外国人を出せる訳がありません」

梓「イタリア人なのに思慮深い人だ。と表すときに、ならばイタリア人らしいイタリア人はどんな人なんだ? と聞かれて答えられな

いのはいけないことです」

梓「どうしても翻訳は駄目だということなら、是非とも辞典を片手に原書を読んでください。私もやりました。挫折しました」

梓「本当は二時間でレス返しをした上で三章を書きたかったのですが、無理でした。次回はおそらく水曜日か木曜日でしょう」

梓「また今回も誤解を招きそうな文章ですが、それでは失礼致します」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:47:59.15 ID:yZIA3ns20

 「琴吹紬は母性的だ」


梓「暗喩まで書いた文章が全てバグりました」


 第三章 比喩表現


梓「文章を商品棚に『並べる』『飾る』ことをしてきました」

梓「次にするべきことは『売り込む』ことです」

梓「どんなに優れた品物でも客に必要だと思ってもらわないと買ってもらえません」

梓「必要ない商品でも身近なものに思わせて親近感を持たせて購入を促すというセールスの一つの手段です」

梓「比喩表現は『キャラクターにしか認知し得ない事物を読者が認知できる事柄に例えることで意味を通じやすくする方法』です」


 「この刀はよく切れる」


梓「刀が切れるのは当たり前ですが、何まで切れるのかが想像できません」

梓「人によって刀に切られるものは『人間』『獣』『藁束』などイメージが違います」


 「この刀は鉄を泥のように切ることができる」


梓「人間よりもずっと固い鎧兜まで切り裂いてしますイメージが伝わります」

梓「比喩ではありませんが修飾を加えてみましょう」


 「平賀才人が振る全ての刀は鉄を泥のように切ることができる」


梓「切るのはあくまでも刀ですが、強さは扱う人間のものになります」

梓「『〜のように』『〜みたい』という表現が『直喩』という形式です」


 「琴吹紬は母のような人だ」


梓「実際に母ではないことから、ムギ先輩が持つやさしさと温かみが伝わります」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:48:52.57 ID:yZIA3ns20

梓「『〜のように』『〜みたい』という表現が『直喩』という形式です」


 「琴吹紬は母のような人だ」


梓「実際に母ではないことから、ムギ先輩が持つやさしさと温かみが伝わります」


 「琴吹紬は母と呼ぶべき人だ」

 「琴吹紬は私の心の母だ」

 「私の心の母が言う」


梓「下へいくにつれて『暗喩』に変化しました」

梓「『ある事物Aを事柄Bに完全に置き換えて表す形式』が暗喩です」

梓「やや曖昧な言い回しになる直喩に対して、断定する書き方になる暗喩は言葉としての力が強くなります」

梓「その分、以後の拘束力が強くなるので、安易な使い方はお勧めしません」

梓「逆に言えば、直喩と暗喩を使いこなせる人が名文書きと呼ばれる人でしょう」

梓「上のように、物語の始めは直喩で表し、だんだんと暗喩へ近づけていってクライマックスで暗喩に変えるというやり方もあります」

梓「これは相手の人物が主人公の中でだんだんと大きくなっていくことを表現する代表的な手法で、恋愛小説で使われることが多いです」

梓「直喩→暗喩ではないですが、武者小路実篤の『友情』では大宮がはじめ杉子にそっけなくしていた呼び方も終わりに近づいて親しみを持つようになっていくことで、読者の高揚感を煽ることを演出していました」


 「我が愛する天使よ。パリへ来い。お前の子どもの頃からの写真をぜんぶおくれ」


梓「私の『友情』が本棚のどこへ消えたのか誰か教えてください」


 「琴吹紬だからムギ先輩」

 「ムギ先輩はお母さんみたい」

 「ムギ先輩は母だ」

 「ムッハー」


梓「直喩と暗喩の関係がわかれば比喩はここで終わりにしていいものです」

梓「しかし、私が表現で最も好きなものが『換喩』です」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:50:29.14 ID:yZIA3ns20

梓「私が表現で最も好きなものが『換喩』です」

梓「換喩は文章上での『あだ名』を決めて置き換えることです」


 アベル。神父。のっぽ。丸眼鏡。銀髪。クルースニク。

 エステル。尼僧。少女。星。聖女。テロリスト。

 レオン。巨漢。浅黒い神父。無精髭。囚人。ダンディライオン。


梓「私が文章を読んできた中で吉田直先生ほど換喩を使いこなしている人はいません」

梓「登場人物の共通する換喩を用いて同時に動かし、かつ換喩に含まれない人物を動かすことでその人物にスポットを当てる」

梓「状況に応じてふさわしい換喩を取り出すことで人物の心理状態まで感知させる」

梓「アベルを表すのにのっぽの神父と書けば緊張感なく慌てふためく様子が書けるし、銀髪の神父と書けば引き締めている感じがします」

梓「他にいる数少ない換喩使いに『撲殺天使ドクロちゃん』のおかゆまさき先生もいます」

梓「ドクロちゃんを『天使』と表すのに『撲殺・アホ・暴力・悩殺ボディ・無邪気』などと修飾して表現としてのランクを一つ上げています」

梓「皆さん勘違いしていますが、おかゆ先生は『わざと狂った文体にしている』のです。それは本人も『既存の文章ではドクロちゃんは書けない』と言っていますし、実際わかりやすさとしてはわかりやすすぎて頭からっぽにされるぐらいのものです」

梓「あと、バクマンでも今同じようなことしてますが(それもラッキーマンでやったことですが)昔の一発ネタをここぞという場面で出してくる処理能力は驚嘆に値します」

梓「ドクロちゃんは理解する必要がないストーリーですが、分解すると文章・構成の質がかなり高い作品であることがわかります」

梓「ただ、狂わせすぎて本当に狂ってしまった文章も多少なりともあるので、その辺りの区別がつくようになるのも凄い本ですね。伊達にピンクの表紙じゃないです」


梓「さて、比喩表現を3つやりました」

梓「本当は堤喩というのもあるのですが、意識して使うものでもないので省略します」

梓「ぶっちゃけギブアップです」

梓「という訳ですが、このまま終わるのもあっさりしているので、優れた比喩という例をあげていきたいと思います」


 ロボットアニメは比喩の宝庫


梓「まずタイトルの前によくつく四字熟語。これが既に暗喩です」


 機動戦士・無敵鋼人・装甲騎兵・超時空要塞

 赤い彗星・くろがねの城・蒼き鷹・白兜

36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:51:08.10 ID:yZIA3ns20

梓「さて、装甲騎兵ボトムズの秀逸な次回予告は有名ですが、これらも美しい比喩が満載です」

 ロッチナの手を逃れたキリコを待っていたのは、また地獄だった。
 破壊の後に棲み着いた欲望と暴力。
 百年戦争が生み出したソドムの街。
 悪徳と野心、頽廃と混沌とをコンクリートミキサーにかけてぶちまけた、
 ここは惑星メルキアのゴモラ。

 次回『ウド』

 来週も、キリコと地獄に付き合ってもらう。


 敵の血潮で濡れた肩。
 地獄の部隊と人の言う。
 ウドの街に、百年戦争の亡霊が蘇る。
 パルミスの雪原、ミヨイテの宇宙に、
 無敵とうたわれたメルキア装甲特殊部隊。
 情無用、命無用の鉄機兵。
 この命、金30億ギルダンなり。
 最も高価なワンマンアーミー。

 次回『レッド・ショルダー』

 キリコ、危険に向かうが本能か。


 百年戦争とリド、素体、キリコ、ウド、パーフェクトソルジャー。
 縺れた糸を縫って、神の手になる運命のシャトルが飛び交う。
 アストラギウス銀河に織り成される、神の企んだ紋様は何。
 巨大なタペストリーに描かれた壮大なるドラマ。
 その時、キリコは叫んだ、フィアナ、と。

 次回『絆』

 いよいよ、キャスティング完了。


梓「そして、稀代のネタ曲『勇者王誕生!』を見てみましょう」

 怒れ 鋼のサイボーグ
 赤いたてがみ金の腕
 光り輝くGストーン
 地球の希望をまもるため今こそ立ち上がれ
 空間湾曲ディバイディングドライバー
 走れ 頑強ロボ軍団
 赤いまなざし銀の胸
 獅子の絆はGストーン
 宇宙の未来救うため今こそ発進だ
 鋼鉄粉砕ゴーディオンハンマー

梓「小節のほとんどが主人公の獅子王凱にかかります」

梓「獅子王凱と言えば!?に続いて言うことが出来る節が揃っています」

梓「本当はけいおん!の歌詞からいろいろ取りたかったんですが、意外と比喩が少ないもので、一つだけを取り上げることができないもんでした」

梓「っていうか、あれらの歌詞は全体そのものが澪先輩です」

梓「澪先輩を町で見かけたら『やぁ、ふわふわ時間』とか呼べばいいんです」

梓「唯先輩なんて『ごはん』でいいんです」

梓「私ですか?」

梓「……『天使』と呼んでいただければ」フッ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:53:43.67 ID:yZIA3ns20


 マジハロを超えるのはマジハロだけ――マジカルハロウィン2

 マジハロは、マジハロを超える――マジカルハロウィン3


梓「ストーリーは面白くなり続けなければいけません」


 第四章 ストーリーの構成


梓「基本は『起承転結』と『序破急』です」


 起…物語の始まり。何が起きているのか、何をすべきなのか、誰が始めるのか。そして何が起きそうなのか。

 承…起で始まった問題を解決していく。その上で新たな問題が発生すればそれも解決していく。

 転…ある程度の問題が解決した時に、新事実、新展開を持ち出し、物語を大きく動かす。

 結…物語は誰が何のために起こし、その結果、何が変わったのかを示す。


 序…静かな調子で始め、物語の世界観に五感を透析させる。

 破…序で覚えさせた世界観に危機を与え、焦燥感を煽る。

 急…序破でペースアップさせてきた読者をハイスピードでゴールに連れていく。


梓「起承転結は持ち上げて落とし、序破急はひたすら速度を上げて駆け抜けるようなイメージとして私は捉えています」

梓「今のSSはともかく、私は物語を構成するときは大きな起承転結の各章の中にもう一つ起承転結を作ります」

 起 承 転 結
 | | | |
 起 起 起 起
 承 承 承 承
 転 転 転 転
 結 結 結 結

梓「第一章四節といった形で十六部構成を基本にします」

梓「これを原稿用紙300枚程度で換算すれば、一章が1/4で70枚、一説が更に1/4で20枚程度です」

梓「20枚程度の物語を十六書けば一つの長編が完成すると思えば、割と気が楽になります」

梓「例えばSS速報では最大80行なので、行空けをしても8レスで1話が終わります」

梓「実際に80行限界まで使う人も少ないので、もっとレスは多くなります」

梓「これだけ書いたなどという自画自賛で次の気力に繋がります」

梓「ついでに、多くの人はメモ帳にSSを書くらしいですが、メモ帳とMSワードの違いを挙げます」

梓「私は台本形式の時はメモ帳、普通の小説の時はワードを使います」

梓「メモ帳は軽くて余計なギミックがないし、横書きなので2chに載せる文章を書くには適しています」

梓「ワードの利点は何より行指定、文字指定、枚数確認、縦書きが出来ることでしょう」

梓「台本ではない文章を書くならやはり自分が確認する意味で縦書きが読みやすいです」

梓「一応、小説はワード、台本はメモ帳というプロも多いらしいです」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:55:31.47 ID:yZIA3ns20

 ストーリーの整理

梓「私が使うものは大塚英志先生が利用する『カード法』です」

梓「用意したプロットから1場面ずつカードにしておくものです」


 場面1 場所 薬局

 時 三月中旬 ある日の放課後

 登場人物 1国枝香織 2店員

 プロット1 国枝香織は新しくできた薬局が目にとまり、花粉症がひどくなってきたのを思い出して目薬を買いに入る。
 そこで店員に勧められた目薬を買い、その場でさすと外に出る。

 伏線 店員は組織の研究員である。
 読者に伝えるべき情報 目薬の謎のマーク。


梓「大塚英志先生の『キャラクター小説の書き方』で紹介された『カード法』の抜粋です」

梓「私はこの後に、実際に書いた小説の内容で読者に伝わる情報を裏面に書くことにしています」

梓「わりと偶然でもないようで、16部に分けた節をカードにすると3〜5枚になります。16節のストーリーが40〜60枚のカードになるのです」

梓「使用する紙はB5を4つに切り分けたB7サイズが整理するにも付け足すにもちょうどいいです」

梓「あくまで私が使い続けている方法ですので、いろいろ探してみて自分のやり方を探すのがいいです」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:57:41.91 ID:yZIA3ns20

 人物のアイデンティティー


梓「3、4年くらい前に妙にはやった言葉です」

梓「アイデンティティーは自己同一性。つまりは当人の歴史の積み重ねです」

梓「創作者は本人にしかわからないはずのことも作っておかなければならないからしんどいです」

梓「どこかの大学かのシナリオ講座で配布されて使いまわされまくったキャラクターメイキングテンプレートを貼ります」


 名前 性別 年齢
 現住所 住居
 家族 父親 母親 兄妹姉妹
 職業・学校 部活 その他活動
 月給・小遣い 最終学歴
 趣味 特技 癖 長所 賞罰 病歴
 恋人 友人
 味方 敵

 容姿
 性格
 夢
 約束
 秘密
 コンプレックス
 過去の事件
 トラウマ
 幼年期
 重要な小道具
 
 登場時の状況
 中盤の展開
 結末の状態

 得た(る)もの
 失ったもの


梓「オリジナルキャラクターを作るときはこれを使えば大抵は解決できます」

梓「他に以下のようなものを作るとより良いですね」

 キャラ年表
 相関図
 住所、舞台の設定

梓「年表なんかも実際に作ると案外早く終わるものです」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/09/29(木) 20:58:17.09 ID:yZIA3ns20

 終わりに


梓「今日の新聞にこのような見出しがありました」


 曽我さんら拉致関与か


梓「まるで曽我さんが拉致を行ったかのような書き方です」

梓「当然、日本人ならばそんなことはないとわかっていますが、那由多一ということもあって読んでしまいます」

梓「これはわざと誤解を招く文章にして見た人に開かせる目的があります」

梓「個人的には、週刊誌ならともかく新聞ではと思いますが、一つの方法です」

梓「人間、突っ込みどころのないものはつっこめないものです」

梓「穴があったら突っ込むのが男だと流竜馬さんも言っています」

梓「文章につっこみを入れるのは正しいことです」

梓「文章でもストーリーでも解釈でもおや?と思ったら突っ込んであげましょう」

梓「かく言う私も、レスこじきなのでありました」

梓「それでは、皆様に恵まれた文章ライフがあらんことを」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 21:33:50.76 ID:WzHJNEZ90
>>1
乙!なかなか興味深く読ませてもらったよ。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/30(金) 02:51:37.69 ID:/D9513Cdo
ためになったぜ

唯ちゃんどこいったw
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 23:44:04.88 ID:bG7SBTVm0
乙!
難しくてよくわからなかったことばっかりだったけど読んでよかった。
カード法、使ってみようと思った!
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/01(土) 20:54:22.91 ID:9x5DuRHuP
おもしろかった
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