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男 「幼馴染ちゃん、小学生から全く成長していない……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 02:54:33.68 ID:gSd8CrLP0
母「この子が、今日からお隣に引っ越してきた幼馴染ちゃん」

おさななじみ「はじめまして!」

母「ほら男くん、仲良しなくちゃだめよ?」

おとこのこ「わかった! おさななじみちゃんよろしくね!」






幼児期/砂場

おとこのこ「ふうふう」ペタペタ

おとこのこ「やった、できたー!」

おさななじみ「おとこくん、なにつくってるの?」

おとこのこ「あ、おさななじみちゃん。なごやじょうをつくってたんだー」

おさななじみ「うわあ、ほんものみたい! おとこくんすごい!」

おとこのこ「えへへ、ありがとう」

おさななじみ「がおおおおおお! げんしかいじゅうだああああ!!」ドバーン

おとこおこ「ちょ」

おさななじみ「ぷるとにうむをはきだすぞーーぶっふうううううう!!」ドシャドシャ

おとこのこ「うわああああ! ぼ、ぼくのおしろが、やめてえええええええ!!!!」
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 02:55:33.20 ID:gSd8CrLP0
小学生/自室


幼馴染「男くーん! あそびましょー!!」バターン

男「あ、幼馴染ちゃん。今日もぺドハン?」

幼馴染「うん! ぺドフィリアハンターポータブル!」


グヘヘ グヘヘ オジサントタノシイコトシヨウヨ
 
男「あ、フルティンコが近づいてきたよ。協力してたおそう!」

幼馴染「やだー。このはだかおじさん気持ち悪いし」

男「え、僕一人でたおせるはずないじゃないか」

幼馴染「あ! こっちくるなー!」

男「いや待って! わけわからないから! 逃げないでよ!」

幼馴染「むううう……あちょー!!」バシーン

男「ぎゃーーーー! 僕のディスクが空を飛んだーー!!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 02:56:19.94 ID:gSd8CrLP0
中学生/自室


幼馴染「男ー! 遊びましょーーー!!」バターン

男「うわっ! 幼馴染ちゃんノックぐらいしてよ!」

幼馴染「そんなことよりテレビ!! 始まっちゃう!」



イクゾ フラッグファイター!!

幼馴染「うんうん!」ワクワク

男「はは、幼馴染ちゃんはガンダムが好きだね」

ヒトヨンデ グラハムスペシャル!!

幼馴染「グラハムスペシャール!!!」ドゴッ

男「ごっふうううううう」ゴロンゴロン


男「……」ピクピク
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 02:57:28.30 ID:gSd8CrLP0
そして現在高校生/自宅


男「……ん」

男「本を読んでたら眠っちゃったみたいだ」

男「なんだか色々と恐ろしい夢を見た気がする……」

幼馴染「男ーー! 遊びましょーーーーーー!」バターン

男「……幼馴染ちゃん、他所の人の部屋に入る時はね、マナーとしてノックを」

幼馴染「これこれこれ! みてこのシール! あと二枚で第二弾も全部揃うんだー!」

男「ああ、よかったね幼馴染ちゃん……このおまけチョコまた僕が始末するのか……うっぷ」

幼馴染「きゃっほほーーーい!!」

男「……」



男 「幼馴染ちゃん、小学生から全く成長していない……」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 02:58:13.10 ID:gSd8CrLP0
誰得ですか? 俺得です。
のんびりだらだら自分でニヤニヤ。
マイペースで書いていくつもりです。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 02:59:32.73 ID:gSd8CrLP0
4月2週目/教室


先生「学年も変わったことだし、席替えをします。委員長、あとは任せた」

男(普段話さない人と仲良くなったりして……ちょっと不安だけど、楽しみだなあ)ドキドキ

幼馴染「はいはいはーーーーい!」

委員長「ん、幼馴染ちゃんどうしたの?」

幼馴染「私、男君の隣がいいでーす!!」

男「なん、だと」

先生「あー。んじゃ男と幼馴染、二人セットで」

委員長「よかったわね、幼馴染ちゃん」

幼馴染「うん!!」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 03:01:26.48 ID:gSd8CrLP0



幼馴染「ねーねー、教科書忘れたから見せて」

男「幼馴染ちゃんまた忘れたの……家を出る前にちゃんと確認しようって、いつも」

幼馴染「気にしない、気にしない。さ、机ぴたりーん!」ズズ

男「はあ、全く仕方がないなあ。ほら、今日はここのページからだよ」


男「……」

幼馴染「……」カリカリ

男「……」

幼馴染「……」サッサッ

男(あれ? 勉強嫌いの幼馴染ちゃんが真面目に、そんなバカな)

男(って僕の教科書に落書きしてるだけじゃないか!)

男「い、幼馴染ちゃん何てことしてるんだよ!」サッ

幼馴染「ん?」

男「うわあ……明治天皇になんてことを。げ、俵万智がヒゲ親父と化してる……これは酷い」

教師「……」

男「……え、あの、いや、この落書きはですね」

教師「その絵に関する解説は、後でゆっくり聞かせてもらうよ……職員室で」

__________
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/22(木) 03:40:24.14 ID:5poKGhxuo
高校生なのに心はロリとは…俺得だ
ちなみに体も成長してないのか、
アンバランスに巨乳なのか…どっちもいけるが
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/22(木) 04:33:07.60 ID:oqlKNIjxo
ふむふむ
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/22(木) 07:47:06.76 ID:olXl1ZoGo
むむむ、俺得スレだと
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/22(木) 11:00:22.36 ID:79/BkwaP0
これは期待
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/22(木) 18:13:04.04 ID:FdGKUetr0
性別が明記されていないからショタの可能性もあるぞ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 21:51:24.08 ID:dYnRRfZIO
ご、合法ロリ
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/09/22(木) 22:59:00.32 ID:gSd8CrLP0
4月3週目/通学路

幼馴染「じぃーーーーー」

男「ん? 空き地なんか見つめてどうしたの?」

幼馴染「すごくかっこいい犬がいる!」

男「かっこいい犬? それよりもほら、学校遅れちゃうから行かないと」

幼馴染「わんわんそれーーー!」ポイ ピュー ゴツ

男「あ! 駄目だよ幼馴染ちゃん! 犬に石なんて投げたらかわいそ」

グリズリー犬「……グルルルル」ヌゥ

男「え? 犬? これ熊じゃないの?」

グリズリー犬「フーッ、フーッ」ザリ

男「無茶苦茶怒ってるよこの熊……逃げなくちゃ! おさななじ」

キャハハハハハ クマサーン

男「はっや! もういなくなってる!」

グリズリー犬「ガウルルル!」シュタッ シュタッ

男「げえ! 僕の方に来た! とばっちりだよこれ!!」

男「助けてくれえええええええええええ!!!!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:00:23.53 ID:gSd8CrLP0
教室

幼馴染「おはよーございます!!」

先生「おう、おはよう。無事間に合ったみたいだな」

男「ゼェーー、ゼェーー、ゼェーー……し、死ぬ」

先生「男、今日はえらく疲れてるな。どうした?」

男「く、熊に追いかけられました……」

先生「熊? 何言ってんだお前」

先生「まあ、お前等の評定が悪くならないのは、先生としても嬉しいぞ」

先生「あ、ちなみに幼馴染の遅刻はお前の分としてカウントしてるから」

男「えー、またまたご冗談を」

先生「……」ニカッ

男「え? ……ま、またまた、ごじょうだん、を」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:04:05.84 ID:gSd8CrLP0
お昼

男「朝走り回ったおかげでお腹がペコペコだ」

幼馴染「男ー! お弁当ちょうだい! 早く! 早く!」

男「はいはい、今出すからちょっと待っててね」

男友「なんだ? 男、お前が作ってやってるのか?」

男「いや、今日は幼馴染ちゃんのお母さんだよ」

男「幼馴染ちゃんに持たせると、振り回してグチャグチャになるからって。預かってきたんだ」

男友「ふーん。お前も色々と大変だよな」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:05:36.03 ID:gSd8CrLP0
男「どれどれ、幼馴染母さんのお弁当おいしいんだy」カパッ

男「……」

男「……」パタン

男(な、なんなんだ今の? ハートマークの中に僕と幼馴染ちゃんの名前が……)

男(はっ! そういえば幼馴染母さん、渡す時ニヤニヤと……謀られた!!)

男(兎に角まずい。クラスの人達に見られたら……何とか誤魔化す手はないか!? 考えるんだ!)

幼馴染「うわあ! 委員長これ見てみて!」

男「まってええええええええええ!!!!」

委員長「ん、どうしたの? あら、可愛いお弁当ね」

クラス女「うわ、手が込んでるね。凄い!」

幼馴染「えへへへ。男が作ってくれたんだー」

男「え、何言ってるのこの子」

委員長「そうなんだ?」

男「ち、ちち、違うんだ! これはお母さんが幼馴染で僕が受け取って作ったのは」


委員長「男君。そのお弁当、オープンプリーズ」

男「……」カパリ

委員長「へえ、ほお」

クラス女子「なるほど、ねえ」

男「は、ははは」

委員長「……」ニヤリ

男「シクシクシク」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:06:32.99 ID:gSd8CrLP0
4月4週目/商店街

幼馴染「むーむー!!! 欲しいの出ない!」

男「また買うの? お小遣いなくなっちゃうよ? それしても、このガチャガチャ高いよなあ」

幼馴染「ここ! ここに見えてるのよおおお!」タンタン

男「見えてても出てくる所の仕組み上、あんまり関係ないよ。もう諦めよ?」

幼馴染「ほーら混ざれ混ざれ! ガッシャガッシャガッシャ!」ガッチャンガッチャン

男「こらこらこら! やめなさい幼馴染ちゃん!」

幼馴染「おもしろーい! あははは!!」ガッチャンガッチャ ドターーーン!!

男「ギャーーーー! 連結されてる台が丸ごと倒れちゃったよ!!」

男「店員さんがこないうちに、早く元に戻さないとまずい!」

トントン

男「何幼馴染ちゃん! ほら、そっちを持ちあげ」

店員「……」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:07:44.64 ID:gSd8CrLP0
男「ガチャ周辺の掃除をさせられた……」

幼馴染「ふんふんふーん!」

男「幼馴染ちゃんはいいよね……ご褒美とかいって欲しいやつ貰えたし」

男「僕が貰えたのなんてお叱りのお言葉だけさ、ハハハ!」


幼馴染「お、おおおおおおおお? こ、こ、これ」

男「ん? マクドナルド? 夕飯もあるし、やめた方がいいんじゃないかな」

幼馴染「このロボットみたいの欲しい!」

男「あー、ハッピーセットのおまけか。というか女の子向けはスルーなんだね」

幼馴染「店員さーーーん!!」ピューン

男「だ、だめだ……幼馴染ちゃんを止められない……」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:10:03.16 ID:gSd8CrLP0
レジ店員「いらっしゃいませ。店内でお召しがリになりま」

幼馴染「あそこのロボットください!!」

レジ店員「はい、ロボッ え、は、ああえと、ろ、ロボット?」

男「あ、すみません。ハッピーセット一つ、僕はポテトでいいや。ポテトのM一つ下さい」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:12:06.28 ID:gSd8CrLP0
幼馴染「バシュウウウウウウ ブイイイイイン」

男「……」ヒョイ パク

幼馴染「チーズバーガーおいひいねえ」ムシャムシャ

男「幼馴染ちゃんはいつも美味しそうに食べるなあ。へえ、大月見バーガーなんてあるんだ」

男「大菩薩峠みたいな響きだよね。取って付けたような大が」スカッ

男「あれ」スカッ スカッ

男「ぼ、僕のポテトがなくなっている!?」

幼馴染「……」

男「……幼馴染ちゃん、そのリスのように膨らんだ頬は、何かな」

幼馴染「……」ブンブン

男「今なら僕も怒らないから、正直に言ってごらん?」

幼馴染「……」コクコク

男「まったくもう。うちで夕飯食べられなくなっちゃうよ」

幼馴染「……」モシャモシャ

男「いや、幼馴染ちゃんは平気でもね、何故か僕が注意されるんだよ。分かってる?」ガミガミ





客1「あの高校生の男の子、一緒にいる子と目で会話してるぞ……」

客2「お、俺達も目でお話しちゃおうか?」

客1「んじゃ、これはどうだ?」パチ パチ

客2「も、もしかして客2愛してるとか!?」

客1「寄るなホモ、だ」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:13:53.38 ID:gSd8CrLP0
やっぱ題目が言葉足らずだったですか。
幼馴染ちゃんは心がロリなだけです。身体はすくすくと育っております。
そして残念ながら、ショタでもありませぬ。

基本的に幼馴染ちゃんと、彼女に振り回される男の日々が延々と続くだけです。
賢者タイムを求める方は、別のスレで俺と握手しようぜ!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 23:21:13.22 ID:0PKpCFV/o
いちゃいちゃはあるの?
でれでれとか
あるなら期待する
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/22(木) 23:24:22.91 ID:siygFfFVo
世間一般で言う池沼
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 23:43:57.71 ID:gSd8CrLP0
>>23
書き手が内容に関してペラペラ語ってしまうのは野暮なんじゃろうけど、
幼馴染が未成熟な精神である、という前提を以って語るならば、いちゃでれだろうね。
思春期のそれを期待しているとしたら、申し訳ないが、ご希望に沿えませんとしか言えません。

>>24
なるほど、言われてみれば確かにアレな人物ではあるね。
分かっていても、実際客観的に捉えるのは難しいもんだな。
指摘ありがとう。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 23:47:17.69 ID:8+lvnomSO
一度男にキレてほしい
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 23:56:16.48 ID:ay3XG8Oio
発達障害って言うんだっけ?
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 00:23:42.33 ID:Xm1mSLBO0
5月1週目/スーパー

幼馴染母「帰ってきて早々ごめんね男君。買い物に付き合わせちゃって」

幼馴染母「あの子、男君のことになるとどうも聞き分けが悪くて、ね」

男「いえ、僕も買いたい物があったし、それにいつもお世話になってますから」

幼馴染母「一番お世話になってるのはウチの子なんだけどね……」

幼馴染母「今更言うのもおかしな話だけど、本当の所、かなり迷惑してない?」

男「い、いえ、そんなことは……うーん……ははは……」

幼馴染母「ん、正直なのはいいことだぞ」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 00:24:38.15 ID:Xm1mSLBO0
幼馴染母「……男君の負担になっちゃってること、本当に済まないと思ってるわ」

男「あ、別に嫌って訳じゃないんですよ。その、確かに厄介事に巻き込まれることは多いけど」

男「なんだかんだで僕も楽しんでるのかもしれないな、って最近思うんです」

男「実際何かあると、そんなこと考えてる余裕もないんですけどね、あはは」

幼馴染母「……」

幼馴染母「男君。貴方を幼馴染という関係で縛ってしまっているとしたら……ごめんなさい」

幼馴染母「でも、もしそれだけの理由でなく……あの子に付き合ってくれてるのならば」

幼馴染母「これからも娘のこと、お願いしたいの。ふふ、親の我侭よね」

男「……」

幼馴染母「それにしてもどこいってるのかしら、あの子」

男「多分お菓子売り場じゃないかな。ちょっと見てきます」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 00:25:34.42 ID:Xm1mSLBO0
お菓子コーナー

男「いたいた。幼馴染ちゃん何か欲しいものでもあった?」

幼女「ううー」

幼馴染「むむー」

男「あー、二人が睨みあってる時点で状況理解できました」

幼女「このおねえちゃん、わたしのごーかいぶるーかえしてくれない!」

幼馴染「最初にさわったの私だもん!!」

男「こんな小さい子と本気でおもちゃ奪い合う高校生なんて、僕、初めて見たよ……」

男「ほ、ほら幼馴染ちゃん。お姉さんなんだからさ、ここはこの子に譲ってあげようよ。ね?」

幼馴染「いやー! 私はゴーカイブルーが欲しいのおおおお!!!」

男「こっちは駄目だ! しかたない、かくなる上はこの子を説得して……泣いていいかな」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 00:26:46.76 ID:Xm1mSLBO0
男「ね、キミ。あのゴーカイブルー、どうしても欲しい?」

幼女「……うん」

男「こっちのピンクなんてどうかな? 女の子っぽくていいと思うんだ」

幼女「でも、わたしごーかいぴんくすきじゃない……」

男「そう? 可愛らしい感じするし、似合ってる気がするんだけどな」

幼女「ほんとう? わたしかわいい?」

男「え、う、うん。可愛いよ」

男(なんだこれ、まるでナンパじゃないか! 違う、僕はロリコンじゃないんだ……)

幼馴染「……」

幼女「じゃあ、これにする!」

男「うん、いいこだね」ナデナデ

幼女「えへへ」

幼馴染「むううううう!!」

幼馴染「やっぱり私それがいい! 」

幼女「やだ! おにいちゃんがえらんでくれたんだもん!」

幼馴染「私も男の選んだやつじゃなきゃやだーーー!!」

ギャギャー

男「この場からさっさと立ち去りたい!! でも離れるわけにはいかないこのジレンマ!」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 00:27:21.79 ID:Xm1mSLBO0
明日はいっぱい書くぞおおおおおおお
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 19:00:22.99 ID:dtk6DQ4RP
合法ロリの卵だな
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 23:48:08.37 ID:Xm1mSLBO0
沢山書こうと思って一日。時計を見れば、あらびっくり。
自分は夏休み最後まで宿題をやらない人間だったことを、思い出した。

>>33
読んでくれてありがとう。
合法ドラッグみたいな、アングラ臭が漂ってていいですね。合法ロリ。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 23:49:58.32 ID:Xm1mSLBO0
5月2週目/教室

幼馴染「ねーねー男」

男「はいはい、今問題解いてる途中だから……もうちょっと待ってね」カリカリ

幼馴染「耳掻きして。ちゃんと耳掻き棒も持ってきたよ、ほら!」

男「そうかそうか、耳かきかー。虚数がiならそうなのかもなあ」カリカリ

幼馴染「男の膝枕だー!」ドテーン

男「ふむふむ。ベクトルで考えると。そして幼馴染ちゃんの顔! これは意外だ。ん? 幼馴染ちゃんの顔?」

男「うわっ! 幼馴染ちゃんいつの間に僕の膝に!? というかなんで!?」

幼馴染「さっき耳掻きしてくれるって言ったから、待ってるの」

男「え、耳掻き? そんなこと言ったっけ。それより、頭をどかしてもらっていいかな?」

幼馴染「男が耳かきしてくれるまでどかなーい」

男「いや、どかないって……だいたいここ、教室だよ? 二人仲良く耳かきなんてした日には」

男「……」

男「きょ、きょきょ、教室だと……はっ!」

ヒソヒソヒソ

クラス男1「幼馴染ちゃんが耳掻きお願いしてるのに……」

クラス女1「もしかして、あのまま膝から放り出す気?」

クラス男2「男って本当は薄情な奴だったんだな……」




男「なんだ……この、僕に降り注ぐ無数の刺々しい視線は。そんな目で見るな! やめれくれ!」

男友「男、諦めて耳掃除してやれよ。んなことで茶化したりする連中なんていないし大丈夫だよ」

男「それは嘘だな! どうせ僕達を見て、またニヤニヤするつもりなんだろう!」

男友「そんなことするはずないだろ」ニヤニヤ

男「目は口ほどに、とは言うけどね! 顔ですら丸分かりだよ男友」

幼馴染「男、早くやってー」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 23:51:38.32 ID:Xm1mSLBO0
コショコショ

男「……幼馴染ちゃん、ちゃんと耳掃除してる? かなり汚れてるよ」カサリ

幼馴染「むひひひひ」

男「女の子なんだからさ、もうちょっと気を使おうよ」スッ カリッ

幼馴染「また男にやってもらうからいいもん」

男「おばさんだっているでしょ? 僕なんかよりずっと上手いし」カリ カリ

幼馴染「男のがいい」ボケーッ

男「この、耳壁をこする感触がいいんだよなー」ズ ズズ

幼馴染「あふぃ……気持ちいいー」ダレー

男「あーあー、よだれ。ズボンに付いちゃったよ」



委員長「今日もなかよ」

男「話しかけてはいけない!!」

委員長「え、なんでよ?」

男「僕は今、全力で耳掻きに専念しているんだ! 何も見えない聞こえない!」


委員長「現実逃避ってやつか。分かるわよー」ニヤニヤ

クラス一同「……」ニヤニヤ

教師「……」ニヤニヤ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 23:53:14.22 ID:Xm1mSLBO0
5月3週目/部屋

パチン パチン

男「……」パチッ

幼馴染「うりゃ! それ!」カチャカチャ

男「……」カチッ

幼馴染「くううう! 倒せないー!」バタバタ

男「……ねえ。このダブルオー、幼馴染ちゃんが買ってきたものだよね」

男「僕はそれを作って、幼馴染ちゃんが横でゲーム楽しんで。何かおかしいとは思わないかい?」

幼馴染「だって、めんどくさいんだもん」

男「プラモは組み立てる過程も楽しみの一つなんだよ。ほら、一緒に作ろう?」

幼馴染「うーん、じゃあやってみる!」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 23:54:53.52 ID:Xm1mSLBO0
男「こうやって、ニッパーでパチッ、と切るんだ」

幼馴染「こう?」グルグル ブチッ

男「……今、手でねじり取ったよね。ニッパーを……いや、もうそれでいいや、うん」


男「で、ここの説明書に書いてある通り、組み合わせてくっ付ける、と」

幼馴染「ガチーン!」パキッ

幼馴染「あれ? なんかくっ付かなくなっちゃった。くっ付けぬぬぬぬぬぬ!」バキッ

男「……接着剤持ってくるから、何もしないでおとなしく待っててね」

幼馴染「はーい」



男「ようやく完成した……」

幼馴染「男の言った通り、作るのも楽しいねー!」

男「幼馴染ちゃん、プラモ結構持ってるよね。今までどうやって作ってきたの?」

幼馴染「パパに。パパ、女の子のお人形作るのも上手なんだ。ママに教えてあげたら、ニコニコしてた!」

男「おじさん……幼馴染ちゃん、なんてむごいことを……」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 23:56:51.82 ID:Xm1mSLBO0
男「そういえばさ、幼馴染ちゃんこれと同じの持ってなかったっけ」

幼馴染「あっちは普通のダブルオーで、こっちはトランザムモードなの」

男「僕からすりゃ、ただの色違いにしか見えないけどなあ。へー、胸元が点灯するんだ。……微妙にシュールだね」

男「でも僕はやっぱり宇宙世紀だな。特にこのジュアッグ!」ハー キュッキュ

男「ガシッとした両手の三連ミサイル! ともすればクトゥルフを彷彿とさせるような、のべっとした顔!」

男「んふふ、ジュアッグいいなあ。ジュアッグ」

幼馴染「トランザムバースト!!!」ガシャーン

男「ぎゃああああああああ!! 僕のジュアッグが空を舞ってる! い、いつの間に空中戦仕様に!!」






ジュアッグ『男君……今まで大切にしてくれてありがとう』

男「じ、ジュアッグ……」

ジュアッグ『皆アッガイやズゴッグで見向きもされない中、君は僕を選んでくれたよね。本当に幸せな毎日だった』

男「あ、あ」

ジュアッグ『もし僕が、再びプラモデルとして生まれ変わった時には……また、君みたいな子、に』

カッ      シャーン
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/24(土) 23:58:43.24 ID:Xm1mSLBO0



男「……」

男「……幼馴染ちゃん……いくら僕だって許せないものがあるんだよ……なんてことをしてくれたんだ」

幼馴染「はい、代わりにこのトランザムエクシアあげるから飾って!」

男「……」

幼馴染「これで男とお揃いだね。やった。嬉しいなえへへへ」

男「……」

男「……ああ、駄目だ。怒れない。そんなこと言われたら、そんな顔されたら。僕は怒れないよ、幼馴染ちゃん」

男「このやるせない気持ち、一体どうすればいいんだ」シクシク
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/25(日) 00:00:43.53 ID:NQAZ7yk80
5月4週目/保健室

ダダダダダダ

バターーーーン

男「おおお、幼馴染ちゃんが倒れたって!!!」


幼馴染「……?」パクパク

男「あれ? 倒れて苦しそうに寝込んでる幼馴染ちゃんはどこ?」


学校女医「保健室に飛び込んできて早々、何を物騒なことをいってるんだキミは」

男「体育の授業で幼馴染ちゃんが急に血を吐いて倒れて、そのまま保健室に担ぎ込まれたって……女子が」

学校女医「概ね間違ってはいないが……所々かなりの誇張が含まれているな」

学校女医「陸上の競技を行っている最中に立ちくらみを起こした為、大事をとって保健室に運ばれた」

学校女医「正しくはこんなところだ。話を聞く限り、恐らくは寝不足に因るものだろう」

男「そういや昨晩遅くまでゲームやってたとかで、妙にテンション高かったね……」

男「とりあえず大丈夫みたいで……本当によかった」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/25(日) 00:02:51.36 ID:NQAZ7yk80
学校女医「彼女の食べてるスナック菓子、実に効果てき面だったよ。おかげで会話が弾んだ」

学校女医「特にキミの話やらを聞けて、中々興味深かったぞ」

幼馴染「ふぉとふぉー! こっふぃこっふぃ!」モシャモシャ

男「あーあー、ベッドの上にお菓子こぼしちゃって」サッサッサ

幼馴染「ふぉとふぉもふぁべふ?」モサモサ

男「ほらほら、口に物入れたまましゃべると食べ物が飛び散るから!」

幼馴染「ごくん。あははは、男の顔にお菓子がいっぱい付いてる!」

男「くっ付いてるだけならいいんだけどさ、これハートチップルだよね。顔がニンニク臭いのやだよ」

幼馴染「はーーーーーっ」

男「うわ、くっさ! 女の子がそのにおい漂わせてるのは、流石に僕もどうかと思うな!」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/25(日) 00:03:53.48 ID:NQAZ7yk80
学校女医「……ぷっ、くくく」

男「あれ、何か変なことしちゃいました?」

学校女医「いや、すまない。キミ達は学校でも有名だからな」

男「え、今、なんと申しましたか?」

学校女医「キミ達は学校でも有名だからな」

男「なんてこった……」

幼馴染「やったー!!」

男「やったじゃないよ幼馴染ちゃん! 最近廊下歩いてても、妙に視線を感じると思ったら……ああああ」

学校女医「こういったケースでは、普通あまり良い目で見られることはないんだがね」

学校女医「今日間近で接してみて、なんとなく分かった気がするよ。キミ達は例外だという理由が」

男「はあ」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/25(日) 00:05:17.20 ID:NQAZ7yk80
学校女医「さて、私は少しここを空ける。暫くゆっくりしていくといいだろう」

幼馴染「ぐーぐーぐー」

男「幼馴染ちゃん既に爆睡しちゃってますね。色々とありがとうございました」

学校女医「キミも一緒にいてあげなさい。先生には伝えておくよ」

学校女医「変なことは……ま、キミ達に限ってそれはないか。それじゃ」

パタン






学校女医「……恋愛事にさほど興味もなく、バカップルなんぞ今まで煩わしく思っていたが」

学校女医「あの二人は……見ていて何故か胸が温かくなる。面白いな」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/25(日) 00:06:50.28 ID:NQAZ7yk80
沢山書けなかったけど、沢山ニヤニヤできた。うひっ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/25(日) 00:10:08.26 ID:NQAZ7yk80
見返したら>>40のトランザムダブルオーが、トランザムエクシアになってた。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/25(日) 00:53:32.29 ID:aRuP5+IAO
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/25(日) 01:58:09.21 ID:N9JwFH3Io
乙した
ニヤニヤが止まらない‼
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/25(日) 07:47:53.93 ID:AtAgsO2jo
まさか00好きとは…

この幼馴染…なかなかやる!
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 18:41:28.49 ID:MVXWFYyMo
勉強とかはどうなってんの?

精神的に幼いだけで能力的には案外普通とか
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 01:57:33.02 ID:9eSDbCfW0
おやすみなさい。

>>47 >>48 >>49 >>50
読んで下さってありがとうござります。

勉強に関してはご名答です。嫌いなだけですね。リアルではそれが能力に直結してしまう悲しさ。
学力に関する入学やら何やらは自問時にある程度補完してるけど、書く必要もないかなとバサリ。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 01:59:09.66 ID:9eSDbCfW0
6月1週目/水族館

幼馴染「ジョーズ! ジョーズを見に来たの!」

受付「ジ、ジョーズですか……」

男「す、すみません。この前映画を観て、いたく感動したらしくて。ははは……」

幼馴染「がおおおおおおお! ジョーズだぞおおおおお!!!」

並んでる子供「ぎゃーーー! このおねえちゃん怖いよー!!!」

男「くおらあああ!! 何やってんだ幼馴染ちゃん! すみませんすみません親御さん本当にすみません」


幼馴染「うひゃー! 水族館は真っ青だね!」

男「なんか最近、謝罪が板についてきてしまった気がする……」

男「さて、と。まず特別展を観てこっか。今は深海魚の特集」

幼馴染「ジョーーーズーーーーー!!!」ピューン

男「……は興味ないみたいだね」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:01:05.45 ID:9eSDbCfW0
サメコーナー

幼馴染「むーー。ジョーズいないー!」

男「ホオジロザメは水族館じゃ飼えないからなあ……」

男「でもほら、模型があるから。そっちを観て我慢しようよ」

幼馴染「どこ?」

男「あそこ、ぶら下がってるでしょ。実際に見るとやっぱり大きいね」

幼馴染「おーおー! じゃあ、あれに乗りたい! あそこから昇れるかも」タッタッタ

男「まてまてまてまて! お願いだからそれはやめて! 笑えないから!」


ペンギンコーナー

幼馴染「ぶっぶうううううう」

男「ガラスに張り付いてなにしてるの幼馴染ちゃん?」

幼馴染「ピングーだよ。ぶびいいいいい」

男「ピングーってそんな汚い鳴き声だったっけ……」

ゾロゾロ

男「なんだなんだ……ペンギンがこっちに群がってきたぞ」

多数のペンギン「クアアアアアアアア!!」ドカンドカン

男「げ、ペンギンが体当たりしてきた! 幼馴染ちゃん、なんかまずいよ!」

飼育員『おい、一体何が起きて ぐわああああ! 痛い痛いいたぎゃあああああああ!』

男「あ、ああ……様子を見に来た飼育員さんが……。いかん、この場から離れよう! ほら幼馴染ちゃん」グイッ

幼馴染「ぶべえええええええ」ズルズルズル

ワーワー 
タスケテクレー
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:05:17.14 ID:9eSDbCfW0
アザラシショー

インストラクター「それじゃあ、あっくんに握手したい子はいるかな!?」

幼馴染「私握手したーい! はーい!!」

インストラクター「ふふ、じゃあそこの可愛いお姉ちゃんに!」

男「凄いね。子供達が手を挙げてる中、全く違和感がないよ幼馴染ちゃん」



インストラクター「はい、じゃああっくんの名前を呼んで、握手をお願いしてみてね?」

幼馴染「アザラシー!」

アザラシ「……」

幼馴染「はい! お手しなさい!!」

アザラシ「……」イラッ

アザラシ「……」ペシン

インストラクター「あ、あら、あらあらあら! だ、大丈夫?」

幼馴染「……」

幼馴染「……このアザラシがぶった……うう」

男(こ、このパターン! 幼馴染ちゃん耐え)

幼馴染「うわーーーん! 痛いよー! 男ーーー!!」

ザワザワ ヒソヒソ
オトコッテダレカシラ

男「父さん、母さん。僕は今から断頭台に向かいます」



男「お詫びとかで色々貰っちゃって、なんか申し訳ないな」

幼馴染「魚のお人形もいっぱいだよ!」

男「ねえ……そのサメの顎骨、本当に部屋に飾る気なの?」

幼馴染「うん!」

男「幼馴染ちゃんが平気なら、それはそれで構わないんだけどね……」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:06:45.59 ID:9eSDbCfW0
6月2週目/大型ショッピングモール

トイザマス

男「さて、と。買い物は済ませたから……幼馴染ちゃんは相変わらずプラモコーナーかな」

幼馴染「んー。これも欲しい」

男「この前ダブルオー買ったばかりだよね。お金ないんじゃないの?」

幼馴染「少しは残ってるよー。500円」

男「500円か……ダブルオーは僕がもらっちゃったし、足りない分は僕が」

幼馴染「んーん、また男に連れてきてもらうから、その時自分で買う!」

男「幼馴染ちゃん、大人になったねえ。僕は嬉しいよ」サメザメ



幼馴染「ねえ、この後はどうするの?」

男「ムービーエックスに行こうよ。おばさんに二人で映画観て来いって、お金預かってるんだ」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:09:53.68 ID:9eSDbCfW0
ムービーエックス

幼馴染「私トランスフォーマーが見たい!」

男「うーん、トランスフォーマーはもう上映終了しちゃったからなあ」

男「アヘン坂からってのはどう? 人気のアニメ映画みたいだよ」

幼馴染「えー。なんかつまんなそう」

男「僕も詳しい内容を知らないんだよね。ちょっとパンフ見てみるか」

男「えーと。キャッチコピーは”下を向いて歩こう” 下落人生を歩む兄妹がケシの広がる坂で乱れ狂う」


男「なんだこれ……本当に児童映画? いいや、時間ないしもうこれに決めた」

幼馴染「ポップコーンとコーラ食べたいなー」

男「はいはい。じゃあ僕買ってくるからそこでま いや、一緒に並ぼう」




幼馴染「ねえ男ー」

男「ん? まだ映画は始まらないよ」

幼馴染「ポップコーン落としちゃった」

バラバラァ

男「面白いくらいに色々やらかしてくれるね、キミは」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:14:21.92 ID:9eSDbCfW0
男(このサイケデリックな映像と妙に気だるそうなBGM……頭がクラクラしてきた)

男(案の定、幼馴染ちゃんもウトウトしはじめちゃってるよ)

コツッ

男(ん? 左手? ああ、肘掛は隣の人と共有なんだよね。仕方ない。僕が手をどかそ)

ガシッ

お姉さん「あらー。可愛い子ねえ」

男(うわわわわ! 隣のお姉さんが僕の手を握ってきた!)

男(大人な女性の手! ごつくて、毛深くて、大きくて……なんだと?)

逞しいお姉さん「うふっ」



男「(おおお、おお幼馴染ちゃん助けて!!)」ギュギュギュー

幼馴染「んんー? どうしたの? こっちに身体押し付けて」

男「(隣の人がやばいんだ! ひああああまた手を伸ばしてきたよ!!!)」ギュギュー

幼馴染「うふふふ、男は甘えん坊さんだねえ」ギュー

男「(そうじゃな いや、とにかく席を交換してお願い!)」

幼馴染「うん。わかった」ヒョイ

男(た、助かった……)ドサ トス

男(ふうー。こういう類の人に狙われるとね、凄まじい絶望感が襲うんだよ)

男(なんか映画も観る気しないや。どうせ幼馴染ちゃんの頭しか見えないし)

男(この姿勢、他人が見たらびっくりするだろうなー。ライトが再び付いた時が、僕の最後なんだろうなーあははは)
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:15:59.57 ID:9eSDbCfW0
6月3週目

『幼馴染ちゃん、誕生日おめでとう!』

幼馴染「えへへへ、ありがとー!」

男「あの、おじさん、おばさん」

幼馴染母「ん、どうしたの?」

男「折角家族で誕生日のお祝いしてるのに、僕だけ呼んでもらって申し訳ないというか」

幼馴染母「あのねえ。そんな他人行儀されたらちょっと悲しいわよ?」

幼馴染父「そうだぞ男君。結納から第一子誕生に至るまで、キミの人生は既に決まっているんだ。逃がしはしないよククク」

男「え? え? 何の話をしてるんですか?」

幼馴染母「ああ、この人の言ってる事は気にしないで。ともかく、私達は貴方を家族同然に思ってるってこと」

幼馴染「男は私の家族だー!」

幼馴染父「……」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:17:33.49 ID:9eSDbCfW0
幼馴染父「ところでその袋の中、指輪かい? 婚姻届かい? そ、それとも」ガンッ

幼馴染母「さ、男君。余計なのは黙らせたから。タイミング逃がすとやりにくいしね」

男「ど、どうも……えと、幼馴染ちゃん、これプレゼント。この前一緒に出かけた時買ったんだ」

男「なんかダブルオーと似てて気になったけど、出たばかりだから持ってないかなーって」

幼馴染「せ、せ、セブンソード!!!!!」

幼馴染「きゃっほおおおおおう!! 男からプレゼントもらったよおおおおお!」

幼馴染母「よかったわね、幼馴染」

幼馴染「うんうん!! これ、一緒に作ろう! ほら男も私の部屋!!」グイグイ

男「うわ、幼馴染ちゃんそんなに手を引っ張らないで!」

ダダダダダ

幼馴染母「ケーキは……後でいっか」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:23:35.19 ID:9eSDbCfW0
幼馴染母「やっと寝たみたいね。男君から貰ったプラモデルの箱、大切そうに抱いちゃって。ふふ」

幼馴染父「俺の時にはあんな喜ばなかったのになあ。欲しい物下調べしたのにぐすん」

幼馴染母「何が貰えたからじゃなく、男君からのプレゼントって事が一番嬉しかったのよ、あの子は」

幼馴染父「そうか……」

幼馴染母「どうしたの? 難しい顔しちゃって。男クンに焼きもち妬いちゃった?」

幼馴染父「俺はあの二人が、あの二人で幸せになって欲しいと思ってるよ。さっき言ってた結納の件も本気だ。ただ」

幼馴染母「ただ?」

幼馴染父「今の関係のままでいいのかな、と思ってね」

幼馴染母「男君には迷惑かけっぱなしだからね……」

幼馴染父「そうだな。確かに、いや、でも違うんだ。そういうことじゃない」

幼馴染父「あいつは、俺達家族に対する愛情と、男君に向けるそれを、まだ混同している。程度に差はあってもな」

幼馴染父「いつかは気付くかもしれない。いや、気付くだろう」

幼馴染母「……」

幼馴染父「二人が一緒にいられる時間は減っていく」

幼馴染父「あいつが気付いたとき、男君は側にいるのだろうか。男君の側に誰か別の子がいるのだろうか」

幼馴染父「勿論、このまま自然に二人が付き合うようになる、ということも十分にある」

幼馴染父「それでも、それでも俺は不安なんだ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 02:26:41.11 ID:9eSDbCfW0
ニヤニヤというよりウトウトです。おやすみ。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/26(月) 03:27:32.24 ID:s/JM8p9AO
あらあら真面目な展開、乙
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 12:43:05.08 ID:h9rkM26DO
乙!!
幼馴染ちゃんが自分の気持ちに気づいたとき・・・か
どうなるのか胸熱だな
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/27(火) 06:17:17.93 ID:01HPXxBR0
たまには朝書いてみようと早寝した結果、十分に英気を養うことができました。
つまるところ、寝過ごしでございます。今日の夜は多めに書かねば。

>>62>>63
ありがとうございます。
ゴールを見据えて書いております故、今暫くのお付き合いをば。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/27(火) 06:19:03.90 ID:01HPXxBR0
6月4週目/通学路

シトシト

委員長「あら、今日は早いわね二人共。おはよう」

男「あ、委員長おはよう。幼馴染ちゃん朝から興奮しててね……」

幼馴染「おー、ここの水たまりすごく深い! ザバーン!」バシャバシャ

委員長「……なるほど。それでこんな時間に」

委員長「ところで、幼馴染ちゃんの格好。長靴にレインコートって、あれ狙ってるの?」

男「……」

男「最初はね、幼馴染ちゃんのお父さん、釣り用の防水服着せようとしてたんだ」

男「胸から下をすっぽり覆う、漁師さんが着てるようなの。分かるかな?」

委員長「ああ、ゴムっぽいつなぎのやつね。へー……え?」

男「幼馴染ちゃんがそれ着て登校する姿を想像してごらんよ……」

委員長「……」

男「僕の貸してるからブカブカだけどさ、幾らなんでも、それよかマシだよね」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/27(火) 06:21:27.95 ID:01HPXxBR0
テクテク

男「いつも思うんだけど、女の人って髪が鬱陶しくないの? 特にこの時期とか」

委員長「まあ、慣れだからね。首元とか濡れたりすると、確かにちょっときつ」バシャ

委員長「……」

幼馴染「きゃっほー! 委員長の顔に命中した!!」

男「お、幼馴染ちゃん……キミの無謀さにはたまに感心するよ」

委員長「随分と楽しそうねえ、お・さ・な・な・じ・み・ちゃん?」ガシッ グイイイイ

幼馴染「い、いひゃいいひゃい、やめふぇいいんひょー はなひへええ!」

委員長「まったくねえ、そういうことはこっちの男君にや」バッシャバッシャーン

幼馴染「鬼婆べーーっ」

委員長「……」ビッショビショ

男「あ、あはは、は。水も滴るような というか既に滴りまくって、ますね、委員長さん」

委員長「ふ、ふふふ…ふふ」

委員長「待てやコラァァァァァ!!!!」ズドドドド

幼馴染「うきゃああああああああ!! 男助けてええええええ!!!」ズダダダダダ

男「うわああああ! 幼馴染ちゃんこっちこないでよ!! 僕巻き添え嫌だよ!!」ダダダダダダ

ギャーギャー





男「……」

委員長「……」

幼馴染「……」


先生「お前等そんなずぶ濡れで、どうしたんだ一体……」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/27(火) 06:23:07.42 ID:01HPXxBR0
合計たったの四レスだと……!? 夜は眠れたんですけどね。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 00:20:08.63 ID:SPAr4ky40
6月5週目/図書室

男「まだこんなに出題範囲残ってるのか……試験も近いし頑張らないとなー」カリカリ

幼馴染「男も退屈そうなことしてるねえ。楽しい?」

男「毎回補習を受けてる人とは思えない余裕の発言だね、幼馴染ちゃん」

幼馴染「だってー。面白くないんだもん。眠くなるし」

男「僕だって勉強は楽しくないよ。でもね、今やっておけば将来きっと役に立つんだよ」クドクド

幼馴染「そんなの知らなーい。なんか面白そうな本探してくるー」タタタ

男「よく受験の為の勉強を馬鹿にする人がいるけど、そんなことは決してないんだ。色々な繋がりが」ネチネチ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 00:21:30.70 ID:SPAr4ky40




幼馴染「ねねねね、男。これ、すごそうな本持ってきたよ」

男「んー? 今問題といてる所だから、後にしてもらえるかな」

幼馴染「そんなこと言わないで、ほらほら! ウシシシシ」ズズイ

男「もー、強引だなあ。何々、稲川淳二心霊怪談実話集……僕がお化け大嫌いなの知っててやってるねキミ?」

幼馴染「その部屋に入った途端、いやあな感じがしたんです。疲れてたんでしょうねー、いいやって寝ちゃって」

男「え、何語りだしてるのさ……や、やめてよ幼馴染ちゃん……」

幼馴染「ふと目を覚ましたんですよ、真夜中。部屋の隅からみょーな声が聞こえるんですよね、クルルル、クルルルって」

男「ひ、ひいいい!! そんな声聞こえないよ! 聞きたくない!!」

幼馴染「あれ、鳥かな、でもなんでこんなところに、おかしいなー」

幼馴染「そしたら、ピタッ、とその声がすぐ後ろで止んだんです。なんだろう、どうしたんだろう」

幼馴染「次の瞬間、いきなり背中にゾゾゾゾーーーってきましてね。あ、これはまずい」

幼馴染「あとはもう消えてくれ消えてくれ! って、目をつぶって必死に祈ってたんですね」

男「消えてくれ消えてくれ!!!」

幼馴染「どれくらいしたのかなー。すっ、と気配がなくなって、ああもう大丈夫だ」

幼馴染「そう思って目を開こうとしたその時、耳元で」

図書委員「おい」

男「ぎゃあああああああああ!!! メガネの化け物だああああああ!!!!」

図書委員「誰がメガネの化け物ですってええええ!!?」

男「ひぃ!! 図書委員! こっちはこっちで怖い!!!!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 00:23:10.22 ID:SPAr4ky40
図書委員「あんたたち図書室で何騒いでんのよ! イチャイチャイチャイチャと!」

幼馴染「図書委員さん興奮しすぎだよ。鼻息ふんふん!」

男「(お、幼馴染ちゃんこれ以上刺激しないでよ!! この人怒ると面倒なんだ!)」

図書委員「さて、男。さっき随分と面白い事言ってくれたわね。メガネがなんでしたっけ?」

男「め、メガネの麗人です」

図書委員「白々しい嘘付いてんじゃないわよ。……どうやら超特別指導が必要なようね。あっちの部屋でお話しましょうか」グイッ

男「た、助けて幼馴染ちゃん……助けて!!」ズルズル

幼馴染「テムジンチーフご指導おねがいしますっ!」

図書委員「何言ってんの、アンタも一緒に行くのよ」ガシッ

幼馴染「いやだーーー! 怖いのいやーーーー!」ジタバタ

タスケテクレエエエエ
イヤダーイヤダー





バタン
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 00:26:14.27 ID:SPAr4ky40
7月2週目/商店街

男「今日のテストはどうだった?」

幼馴染「うん、全然できなかった!」

男「何で幼馴染ちゃんに聞いたんだろうね、僕。返ってくる答えなんて分かりきってたのに」

幼馴染「それよりもスタバツいこ。新しいフラペチーノのやつ飲みたいな」

男(せいぜい最後の晩餐を堪能するといいよ、幼馴染ちゃん。来週にはツケが廻ってくるだろう。テストのツケがね!)

幼馴染「……なにニヤニヤしてるの? 気持ち悪いよ男」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 00:27:50.84 ID:SPAr4ky40
スター×クスコーヒー


幼馴染「このフラペチーノお願いします! で、こっちのカップに!」デデン

店員1「ぷっ」

男「い、いつの間にマイマグを……いや、それよりもカップにフラペチーノって……」

店員1「いいですよ、クスクス」


店員2「……」カチャカチャ グイーン

幼馴染「じーーーーーっ」

店員2「……あら?」

幼馴染「おおー! ギリギリまでいっぱい入ってる!」

店員2「うふふ。はい、どうぞ。こぼれない様に気を付けてね」

幼馴染「えへへ、お姉さんありがとー!」



店員1「ね、可愛いでしょ? たまにあの彼氏クンと来るのよね」

店員2「珍しいよね。うちに来る高校生のカップルって、妙に小慣れてる子が多いからさ」

店員1「あの二人、見てると面白いわよ」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 00:32:11.23 ID:SPAr4ky40



幼馴染「うええええ、これおいしくない!」

男「ミント&ミント抹茶フラペチーノペパーミントフレーバーか。ミント尽くしだね」

幼馴染「もういらな−い。男のそれと交換しよ」ヒョイ

男「あ、返してよ! 僕だっていらないよ!」

幼馴染「もう飲んじゃったもーん」ブクブクブク

男「な、なんということを……はあ、仕方ないなあ」

男「スタバツはたまに変なチョイスをしてくるんだよね。これも明らかに残念な空気が漂ってるけど……」クンクン

男「ぐは! 湿布くさっ! スースーするとか次元通り越して最早刺激臭だこれ!」

男「の、飲んでみるか……」ゾロォ

男「……不味いなんてもんじゃない……メンソレータムそのものを喉に流し込んでいるようだ……」

男「不本意だけど捨てさせてもらおう……店員さんごめんなさい」

幼馴染「ねーね、男、じゃあこれ一緒に飲も?」

男「え、さっき幼馴染ちゃんブクブクしてたよね。それ一緒に飲めって言うの?」

幼馴染「ほら、ストローこっちに挿してカップル!!」

男「勘弁してよ……。とりあえず僕これ捨ててきちゃうからさ、幼馴染ちゃんも」

幼馴染「だめー! 一緒に飲むの!!」ガシッ

男「こ、こら離しなさ な、なんだ? カウンターから強烈な視線が」

店員1(飲め……一緒に飲めッ!!!)

店員2(飲まずして明日の日を拝めると思うなよ少年……)



チュチュチュー

幼馴染「んふふふふ」

男「……」

男(味が分からない……いや、味わってはいけないんだ。何か大切な物を失ってしまう気がする)
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 00:32:52.84 ID:SPAr4ky40
おやすみなさい。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/09/28(水) 01:25:26.06 ID:0+VAfTnco
乙!!
男・・・負けるな!!
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/28(水) 15:12:48.64 ID:FhtOcYn8o
乙した

稲川ボイスで再生されたww
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:18:53.98 ID:2EFV3Ub/0
4周分一気に投下しようとしたけど、やはり無謀だった。


今回も読んで下さりありがとうございます。
>>75
男君の扱い酷いけど、彼自身も楽しんでる かな?
>>76
稲川はそれっぽい感じで文章にしてみましたが、そう言って頂けると嬉しいです。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:20:48.70 ID:2EFV3Ub/0
7月3週目/部屋

男「……」ペラ

男(……剣と魔法と魔物、宇宙人と邪悪な神々による戦いを描いた近未来SFハードボイルド)

男(この小説、何をコンセプトとしているのかさっぱり分からないよ)

男「……」ペラリ

男(それにしても平和だなあ……久しぶりに読書を堪能できてる気がする)

男(幼馴染ちゃんがいないからかもしれ)

幼馴染「…………」

男(いる……。おかしい、なんで今日はこんなに静かなんだ? しかも本まで読んでる!?)

男「ねえねえ幼馴染ちゃん。黙々と読書なんて珍しいね。何を読んでるの?」

幼馴染「んーとね、かいらくてん」

男「へー、快楽天か。幼馴染ちゃんも中々にお目が高いね」

男「……」

男「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!」ガバッ
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:22:20.53 ID:2EFV3Ub/0
男「どど、どこからこれを!!!!?」

幼馴染「そこのベッドの横に挟まってたよ」

男「うそつけーーーー! 厳重に巧妙に慎重に隠した快楽天が、そんな簡単に見つかるはずないじゃないか!」

幼馴染「ほおお、裸の女の人がいっぱいだねえ」

男「やめてくれ! 僕のけがれた部分を見ないで! なんでもするからもう許して!!」 

幼馴染「じゃあじゃあ……これと同じこと、してみる?」

男「え、ええええええ?」

幼馴染「男……」ズズイ

男「こ、これはまだ僕達に早いというか、その、心の準備がだね」

幼馴染「……」

男「お、幼馴染ちゃん……」ドキドキ

幼馴染「アックスボンバーーーー!!!!!」ドガーン

男「ごぶぉおおおお!!!!!!」ゴロゴロ
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:23:18.07 ID:2EFV3Ub/0
男「な゛、な゛にを゛……」

幼馴染「うりゃーーーー! バックドローーーーップボム!!」グワン ガゴン

男「ぎゃん!!! 後頭部から床に直撃!!!」バッタンバッタン

幼馴染「あはははは! プロレス楽しいねーー!」ギリギリ

男「ち、ちが……それちが ぐああああああ! 腰が、腰が砕けるうううう  うっ!!!」ゴキゴキ


男母『二人とも、夕飯できたわよ!』

幼馴染「はーい!」バタン

男母『あら、男はどうしたの?』

幼馴染『なんか寝ちゃったみたい』

男母『まったく、あの子もだらしないわね。先に食べちゃおうか』

幼馴染『うん!』





男「…………」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:24:50.55 ID:2EFV3Ub/0
7月4週目/教室
中間テスト結果

男「ご、ごてん……」

男「いくら遊び呆けてたとはいえ、この点数は酷い……」

幼馴染「……」

幼馴染「……」キュッキュ

男「幼馴染ちゃん……英語に500点なんて存在しないよ……」


男友「おーい男、この後カラオケに行かね? 委員長とかも一緒だぜ」

男「あ、いいね。夏休み目前だと何をするにしても楽しいなあ!」

幼馴染「私もいくー!」

男「幼馴染ちゃんはこの後補習でしょ? だから、散々勉強しておけって言ったのに……」

男「ま、大変だろうけど頑張ってくれたまえはっはっは」

幼馴染「……う」ジワ

委員長「……」クワッ

男「あ、なんだか僕も幼馴染ちゃんと補習受けたくなっちゃった! カラオケ行けないやごめんね!」

男「こ、これでいいですか? お願いだからその射殺すような目はやめて下さい寿命が縮むんです」

委員長「うむ、よろしい」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:28:23.17 ID:2EFV3Ub/0

幼馴染「男と補習! ほっしゅう!」

男「なんで僕まで補習受けなくちゃいけないんだよ……」

男「補習の教室はここでいいのかな」

男「失礼しまー」ガラッ


モヒカン「……」ギロォ

極悪面「あ?」

巨漢「誰だよ」


男「失礼しました」ガラ パタン

男「幼馴染ちゃん、教室を間違えたみたいだ。ここは猛獣の館だ」

幼馴染「何言ってるの? ここだよ」ガラガラ タタタ 

男「あ! 行っちゃ駄目だ!!」

幼馴染「モヒカーン!」グイグイ

男(この娘ッ子なにやっとんじゃああああ!!!!)

男「モヒカンの人ごめんなさい! 僕はどうなってもいいから、どうか幼馴染ちゃんの命だけは!!」


モヒカン「幼馴染ちゃんか。飴舐めるか?」

幼馴染「いるいる!」

極悪面「ほら。お菓子もあるぜ……」

幼馴染「いただきまーす!」

男「え、あれ? どうなってるの?」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:31:39.23 ID:2EFV3Ub/0
ガラッ

補習講師「さっさと席に座れ落ちこぼれ共。補習の時間だ」

巨漢「あァ? なんだこいつ? 調子に乗ってんじゃねぞコラ!!」グワッ

補習講師「ホアアアアアアッッ!!!」バシュッ

巨漢「ギャフッ!」ドサッ

補習講師「今回の補習を受け持つことになった、補習 講師だ」

補習講師「補習を始める前に一つ言っておく。貴様ら落伍者に人権など存在しないと思え」

補習講師「下らぬ戯言をほざくようならば、そこに転がっている虫けらのように……」ゲシッ

巨漢「う、あぁ……」ゴロリ

補習講師「この私の拳を、身を以って味わうことになるだろう。よく覚えておくんだな」

男(さ、最悪だこの世紀末教室! ここから逃げ出さないと!!)ソロソロ

補習講師「おい小僧、どこに行く気だ」

男「いいい、いえ僕は付き添いで来ただけでして、補習とは無関係の人間です。失礼しまし」

補習講師「そんなのは私の知るところではない。この教室から勝手に抜け出す事は許さぬ」

男(終わった……)
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:35:41.23 ID:2EFV3Ub/0
補習講師「では最初の問題だ。オリンピックの起源となった国を答えよ」

男(確かオリンピアが由来だから、ギリシアだよね)

補習講師「ほう、さっきの小僧。中々挑戦的な目をしているな。言ってみろ」

男「……ギリシアじゃないですか?」

補習講師「……ッふ」

男(え、なにその笑い方!? 凄く腹立たしいんだけど)

幼馴染「はーい!!」

補習講師「よし、幼馴染。貴様はどう出る」

幼馴染「中国でーす!」

補習講師「正解だ。よく学習しているな」

補習講師「始皇帝時代、兵士は賊との戦いに備え悪臨比躯(おりんひく)と呼ばれる競技で肉体を鍛え合ったのだ」

男(はああああああああああ? 何言ってんだこの講師!?)

ザワザワ

不良1「……すげえな幼馴染ちゃんは」

不良2「とんでもねえ天才がいたもんだぜ……」

男(毎回補習受けてるのに全く効果ないと思ってたら……こいつらが原因か!)
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/29(木) 00:36:52.96 ID:2EFV3Ub/0
もう一話分書き溜めが出来たけど、キリが悪いので明日。おやすみなさい。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 01:21:28.58 ID:i0e1PNhIO
普通はレイプされるわな
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 01:51:28.38 ID:JYq3ZUpHo
乙乙

>>86
エロ本の読み過ぎ
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/29(木) 02:07:13.74 ID:kpkUK2m8o
民明書房かよおい
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/09/29(木) 04:11:13.82 ID:QU/90pNAO
テムジンてバーチャロンだっけ?、スパロボでしか知らんが
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:22:57.36 ID:8UUSO6Yh0
新しい朝が来た。希望の朝だ。朝に投下すると、損した気分になりますね。
まるでたまりにたまる書類のようだ。

読んで下さった皆様、ありがとうございます。
>>86 >>87
いきなりそっちの展開に持っていったら、逆にシュールになるかもしれませんね。

>>88
中国と答えていれば大抵正解になります。

>>89
スパロボにおけるバーチャロンのモーション再現度は異常だと思う。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:24:06.13 ID:8UUSO6Yh0
7月5週目/市民プール

男「夏休みだから子供が多いなあ」

幼馴染「えい」ガッ ボシャン

男「おほおおおおおおおおおおお!!! 冷たい死ぬ死ぬ死ぬ!!!!」

幼馴染「あははは! パクパクしてる池の鯉みたい!」

男「何するんだよ幼馴染ちゃん! いつもいつも! きいいいい!」バチャンバチャン

ガキ1「あそこのお兄ちゃんバカじゃないの」

ガキ2「子供だよねー」

男「い、言うに事欠いてバカだと!? このガキ! ちょっとこっちに来なさい!!」ザバアアア
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:25:53.76 ID:8UUSO6Yh0



男「このプール監視が行き届いてるねー。すぐに飛んできたよ」

幼馴染「子供を追い回すなんて男も大人気ないねえ」ゴロンゴロン

男「よ、よくも抜けぬけとそんな台詞を……」

幼馴染「しらなーい」ゴロゴロ

男「……さっきから何してるの? 床汚いよ?」

幼馴染「ここのプール冷たいから。あったかくて気持ちいいの」

男「そうかい。僕は熱いよ。灼熱だね。プールサイドに立って反省なんて前代未聞だ」

男「あの、監視員さん、もういいでしょうか? え、駄目? ガキの親が怖い? 最近はうるさいですもんね、ははは……」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:28:10.63 ID:8UUSO6Yh0


男「お昼にしよう……今日は僕のおごりだ」

幼馴染「やったー!」

男「ほら、ドリンクバー見てきてみなよ? 色々あるよ」

幼馴染「はーい」タタタ

男「……」

男「さて、行ったか」

男(さっきはよくもやってくれたね幼馴染ちゃん)

男(このパスタにタバスコを……そおら)ドボドボドボ ドパパパパ

男(くっくっく……炎天下でのあの苦しみ、少しでも味わえ! 僕は悪党だなァ)
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:29:52.00 ID:8UUSO6Yh0
男「あ、おかえり幼馴染ちゃん。さ、早くパスタを食べちゃいなよ」

幼馴染「ただいまー。メロンソーダにした! あ、でもグレープも飲みたいな」

男「そうかそうか。じゃあパスタを食べてからまた飲み物を取りにいきなよ」

幼馴染「やっぱりグレープも取ってきちゃおう」

男「いや、グレープなんかより今すぐパスタを食べたほうがいいよ」

幼馴染「なんで急かすの? ちゃんと食べるから大丈夫だよ。変なの……ん?」

男(げ、気付かれたか? 相変わらずの野性的勘、油断ならない……)

幼馴染「これなんか嫌なにおいがする。男のラーメンとこうかーん」サッ

男「なっ!? そんな馬鹿な!!」

男(……)

男(とでも言うと思ったかい? 大間違いだよ。これ位既に想定済みさ。胡椒まみれのラーメンを啜るがいい!)

男(僕はこのパスタでも食べながら、キミの悶え苦しむ様を眺めさせてもらうとするよ)


幼馴染「いただきます!」ツルッ

男「いただきます」ニヤリ ズルッ



二人「……!!!」クワッ






店員「店長、あそこで客が転げまわってますが……例の二人です」

店長「やらせておけ」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:32:36.99 ID:8UUSO6Yh0
8月1週目/郊外の森

幼馴染「カブト虫捕りに行きたい!」

男「いってらっしゃーい」

幼馴染「男も行くの!」

男「やだよ……今日は熱中症警報も出てるし、せめて別の日にしようよ」

男「こんな日は冷房の効いた室内で、のんびりしてる方が有意義だと思うな」

男「ほら。この涼しい部屋から外を見下ろす優越感! たまらないね」

幼馴染「さっきから一人でブツブツ言ってどうしたの?」

ジリジリジリ

男「あれ? 涼しい部屋は? なんで僕外にいるの? てか暑いよ幼馴染ちゃん!!」

幼馴染「仕方ないなあ、僕もいくよって、虫捕りに来たんでしょ?」

男「ああ分かってたさ! 分かってたともさ! 現実逃避くらいさせてくれよ!」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:33:49.42 ID:8UUSO6Yh0
幼馴染「クワガタ見つけた!」

クワガタ「……」カサカサ

男「どれどれ……これ本当にクワガタ?」

ゴキブリ「……」カサカサ

男「うわあああああああああああ!! ゴキブリじゃないか!!!」

男「ほら! 早く手を離して! さわっちゃ駄目!」

幼馴染「えー」 ポイ

男「ごぎゃああああああああああ!! 顔に!!! とと、取って取ってえええ!!」

幼馴染「さっき男、さわるなって言ったよ」

男「急に物分りよくならなくていいから!! お、おおお、おおおおおおおお」ゾゾゾゾゾゾ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:37:52.89 ID:8UUSO6Yh0
男「恐ろしい目にあった……あれは僕の一生のトラウマになるだろう……」

幼馴染「カブトムシいないね。昔はもっと捕れたのに」

男「この辺りも開拓が進んでるからなあ。とりあえず、樹液の出ている木を探してみよっか」

男「木を傷付けて意図的に出すことも出来るけど、枯れちゃうから好ましい行為とは言えないんだ」

男「昆虫業者の人達は気にしないんだろうね。これなんかさっき削ったばかりの様な」

幼馴染「ぬううう!」ガリ ガリ

男「妙に新しいと思ったらキミか!! 僕の説明全く聞いてなかっただろう!?」

幼馴染「これやると樹液が出てくるんでしょ? どうかんしかーん!」

男「一応聞いていたことは認めるけど、なんで情報の取捨選択がそんなに偏ってるの……」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:39:32.03 ID:8UUSO6Yh0
幼馴染「あ! あそこに凄いハチがいる!」

男「あれは……オオスズメバチだね。刺激しない方がいい。離れておこう」

幼馴染「そりゃー! 捕まえた!!」パサッ

男「母さん大変です、この人狂ってます」


男「そんなの捕まえてどうするのさ? 本当に危ないよ」

幼馴染「家で飼う。派手でカッコイイし」

男「警戒色っていう言葉を知ってるかい、幼馴染ちゃん」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:41:34.69 ID:8UUSO6Yh0



男「今日の収穫を見てみよう。虫かごには」

男「ヤマトゴキブリ1匹、オオスズメバチ1匹、マイマイカブリ2匹、ゲジ2匹」

男「……地獄絵図だ。どれ一つとして安全牌がない」

男「本気でこれ飼う気? ゴキブリ持ってったらおばさん泣くだろうね……」

幼馴染「ううー。じゃあゴキブリは逃がす。ばいばい」

男「ついでにその虫かご落として全部逃げられたりしてくれないかな」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 07:46:42.26 ID:8UUSO6Yh0
カァーカァー

幼馴染「ふんふんふふーん」ブンブン

男「そんなにカゴ振り回したら虫が死んじゃうよ。僕としてはむしろ本望だけど」

男「それにしても大分変わったなあ、ここ。数年前まで林ばかりだったのに」

男「見慣れてた景色がいきなりなくなってるってのは、なんか、少し寂しいね」

幼馴染「あれー? ハチが弱ってきちゃった」

男「……会話をスルーされるのも、なんか、少し悲しいね」


幼馴染「男はこのままずっといてくれるの?」

男「熱でもあるのかい? ちょっとおでこ触らせて」

幼馴染「ちーがーうーもーん! さっき言ってたでしょ。寂しいって」

男「言ったには言ったけど……それがどうかしたの?」

幼馴染「わかんない。なんとなくそう思っただけ」

男「そっか。正直あまり実感は沸かないかな。特に考えたことなかったし」

男「でも夏休みはまだあるしさ、出来るだけ一緒に遊べるよう努力するよ、はは」

幼馴染「夏休みの後は? そのもっと後は?」

男「んー……まあ、今までと同じようになるんじゃない?」

幼馴染「うん。じゃあそれでいい。いこ! はい」パッ

男(手を繋げと? よく考えたらゴキブリ触りまくってたよね、そっちの手)

男(……ま、いっか)
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/30(金) 15:28:43.19 ID:07kwt/Jco
ゴキちゃんはらめええええ
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/09/30(金) 20:58:55.04 ID:YPa4T/zpo
虫取りは夏の早朝にやるもんなんだけどなあ。まあ、それはいいとして。
支援だ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:44:13.82 ID:bdJBZA5/0
おはようございます。

今回も読んで下さってありがとうございます。
>>101
虫の味という本でゴキブリを調理してましたが、クレイジー。
>>102
展開上昼にしましたが、確かに朝方が常套ですよね。ちなみに私は夜派でした。
ライト片手によく捕りにいってた場所が、実は心霊スポットだったと知ったのは大分後のこと。
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:46:39.72 ID:bdJBZA5/0
8月2,3週目/山

男「この前の虫捕りに感化されて山に行きたくなったと?」

幼馴染「うん! ハイキングに行ってみたいなー」

男「ハイキングかあ。幼馴染ちゃんも山登りに目覚めたんだねえ」

男「この時期は緑も多いし、案外悪くないかも。行ってみようか」

幼馴染「うん!」

男「今回は僕もちょっと楽しみだな」



奥穂高 ナイフリッジ


ヒュオオオオオオオオオ

男「な、なんで僕達はこんなところにいるんだ……」

男「……」チラッ

男「足場の両脇がどこまでも突き抜けてる……一体何メートルあるんだこれ……」

男「刃の上を歩くような、ナイフリッジとはよく言ったものだよ……」

幼馴染「どうしたの?」タッタッタ

男「ちょちょちょ! 足元ガタガタしてるからここ! 動き回らないで!」

幼馴染「必死に岩にはり付いちゃって、死にかけてるセミみたい」

男「縁起でもないこと言わないでよ! のおおおお、またグラグラと」

幼馴染「先いっちゃうよ?」タタタ

男「放っておいてくれ。僕はずっとこうしていたいんだ……」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:48:14.90 ID:bdJBZA5/0
男「大体、湿原とか木漏れ日溢れる山を想像してたのに岩ばかりじゃないか」

男「もういやだ……やっぱり帰る。帰ってやるぞ僕は!」クルッ

絶壁「……」

男「……」

絶壁「ぼっちゃん」

男「な、なななななな」

絶壁「そこから一寸足を出してごらんなさいな。美味しそうなストロベリィをお一つ、作って差し上げますよ」

絶壁「さアさア、こちらにいらっしゃいぼっちゃん」

男「ひいいいぃいいいい!!!!!! ま、待って幼馴染ちゃん僕を置いてかないでええええ!!!」ガランガラン
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:49:58.04 ID:bdJBZA5/0
男「かつてこれ程までに死を覚悟したことがあっただろうか……」

幼馴染「つかれたー。早く休みたい」

男「僕も今日はさっさと寝たい……おじさんの地図だと、この辺に泊まれる所があるはずだけど……」

男「あ、あれかな」

避難小屋「……」ドンヨリ

男「……大丈夫ここ? ボロボロというか、禍々しいというか、僕泊まりたくないよ」

幼馴染「おじゃましまっす!!」ガラッ

男「……キミはなんの迷いもなくパンドラの箱を開けていくね」



ホウウォウ……オオゥ……

幼馴染「外で変な鳴き声がするね。フクロウ?」

男「フクロウってこんな高山帯にいたかなあ」

オオオオオ オアアアアアア!!!

幼馴染「おお叫んでる! 見にいってみようよ!」

男「いやフクロウだなこれは。間違いない。さっさと寝よう」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:51:57.28 ID:bdJBZA5/0

ドン ドンドン

男(ん……なんだろう。こんな真夜中に。他の登山者? ……それにしては遅すぎるような)

男「あ、開いてますよ」

ドン!

男「ひっ!」

$%&『アケロ』

男「ここ、怖い怖い怖い怖い!! 幼馴染ちゃん助けて!!」

幼馴染「ぐがーーー」

ドガンドガンドガン!!

$%&『アケロ』

男「うわうわうわうわううわああああ!! 開けたら死ぬ、確実に死ぬ」

幼馴染「んむう? どなたですかー?」

ガリガリガリガリガリガリガリ

$%&『アケロ アケロォォォ』

幼馴染「あければいいの?」

男「うおおおおおおおおおおお!!!! 開けちゃ駄目だあああああああ!!」ガシッ





翌朝

男「一睡もできなかった……」

ガラ

男「……このおびただしい数の、三本指の足跡はなんだ?」

男「扉が爪痕で真っ赤だ……まさか血じゃないよね。は、はは、ははは」

幼馴染「男ー、麺がのびちゃうよ」

男「いつも幼馴染ちゃんは元気だなあへへへ」フラフラ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:53:52.94 ID:bdJBZA5/0
山荘

男「やっと人気のあるところまでたどり着いた……」

オーナー「おや、こりゃ可愛い登山者組だね」

幼馴染「おじさんこんにちは! お腹すいちゃった」

オーナー「はいはい、お嬢ちゃんこんにちは。少ししたら食事を用意してあげるからね」

オーナー「それにしても……随分と変な場所から出てきたが、道にでも迷ったのかい?」

男「今日は向こうの山の遭難小屋から出発したんですけど……あそこやばいですよ」

オーナー「なんだって? あんたら、あそこに泊まったのか?」

男「え?」

オーナー「ここ数年、あの遭難小屋周辺で妙な事件が多発してるんだ」

オーナー「あそこに泊まった登山者がな、消えちまうんだよ。荷物だけ残してな」

オーナー「遭難者遺体の一時保管場所としても使ってた時も、度々仏さんがなくなる事はあったが……」

オーナー「まあ、無事でよかったよ」

男「」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:56:25.72 ID:bdJBZA5/0
帰宅/電車内

幼馴染「電車からの景色って楽しいねえ」

男「ぐーぐー」

幼馴染「男、ほらあれ!」

男「うう……山が、山が迫ってくる……」

幼馴染「……寝ちゃった?」

テクテク トス

幼馴染「景色見えないけど、男の隣。むふふ」




男母「あら、おかえりー。随分とたくまし……やつれた?」

男「左肩が妙に重いんだ。何かに憑かれてしまったのかもしれない……」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/01(土) 06:57:31.39 ID:bdJBZA5/0
目標地点までもう少し。
よい週末を。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/01(土) 22:56:11.37 ID:ujsXU4QLo
こええよ、怖いよ、怖いです乙
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/02(日) 09:05:43.23 ID:TMsgmqLNo
まさかのホラー


乙んこー
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:20:21.03 ID:nRXayeJj0
貪るように眠ったら夕方でした。週末は回復タイム。

>>111 >>112
ご感想ありがとうございます。
不条理ホラーは書いてみたいところですが、ここでは人気ないかもしれませんね。
一番ないのは文章力じゃねえの? という点はご愛嬌。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/02(日) 22:22:11.73 ID:oslnQiCPo
いや、別にあんまり引っ張らなければ良いんじゃないだろうか
登場人物がホラー展開でぎゃーぎゃー騒ぐのはギャグとして面白かったりするし、面白かったし
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:22:26.92 ID:nRXayeJj0
8月4週目/地元祭り

幼馴染「りーんご飴がーあかーい」ムシャムシャ

男「そんな無造作に食べてたら落としちゃうよ?」

幼馴染「ムシャムシャ ん、こぼれちゃった」

男「ほら言わんこっちゃない……うわあ、手がベタベタじゃないか」

男「あーあーあー、浴衣にも垂れちゃってるし。折角おばさんが用意してくれたのに……」

幼馴染「へへへへ」

男「へへへじゃないよ、もう……手だけでも洗いに行こう」



男「ほら、手を出して。ついでに口元も」ゴシゴシ

幼馴染「んふー」

男「幼馴染ちゃん、もう少ししっかりしなくちゃ駄目だよ?」

幼馴染「えー」

男「僕だっていつまでもこうしてやれるわけじゃないんだからさ」

幼馴染「ずっといてくれるって言ったもーん」

男「僕は今とんでもない虚偽と捏造を垣間見たよ」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:23:47.66 ID:nRXayeJj0
男友「お前ら、こんな所に来てまで愛を誓い合ってるとは恐れ入ったよ」

男「あ、男友。偶然だね。誰かと一緒に来てるの?」

男友「ん? ああ、今んとこは俺一人だけど」

幼馴染「ソロ討伐お疲れ様でーす!」

男友「」

男「なんてえげつないことを……」

男友「そ、そうさ独り祭りさ。一人はしゃいじゃってさ。いいさ、哂うがいいさ。どうせアドホックは常にoffさ」シクシク

男「そ、そうだ、男友も一緒に見て回ろうよ」

男友「二人で祭りを存分に楽しみたまえハハ……ほらこれ、カキ氷無料券使ってくれよ。じゃあな」フラフラ

幼馴染「男友ばいばーい!」

男(すまない男友……今度お昼でもおごるからね)
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:25:50.66 ID:nRXayeJj0


幼馴染「おやじー! ここのシロップ全部入れて!」

男「幼馴染ちゃんチャレンジャーだね。本当に食べられるの?」

幼馴染「え? 男の分だよ?」

男「待てい。人のを勝手に頼まないでよ。しかもなに、その注文!?」

親父「仲がいいねお二人さん。よっしゃ、たっぷり入れてやるよ。持ってけドロボウ!」ドボドボ

男「こらこら親父! そんなことで気前いいところ見せなくていいから! うおおお、赤青黄緑黒紫が」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:27:23.25 ID:nRXayeJj0

男「……」

幼馴染「わおー、すごい色! ゾンビがこんなの吐いてたねー」

男「お願いだから食欲を削ぐようなこと言うのはやめて……」

男「これを口にするのか……前もこんなことあった気がするぞ……」シャリ

男「うげえ……甘さ通り過ぎて苦いよこれ」

男「幼馴染ちゃん、ほら、あーん。カップルだよー」

幼馴染「いらなーい」プイッ

男「ちっ!」




男「ちょっと気分が悪くなってきた。トイレに行って来るよ」

幼馴染「いってらっしゃい」

男「いいかい? ここから絶対動かないでね? 絶対だよ?」

幼馴染「はいはーい」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:29:23.24 ID:nRXayeJj0
男「やっぱり居なくなってるううううううううう!!!!!!!」

男「そもそも幼馴染ちゃんにじっとしてろとかいう事自体が間違いだったんだ」カチッ

プルルル プルルル ガチャ

男「あ、もしもし? 今どこに居るの?」

幼馴染母『男君? あの子この携帯置いてっちゃったのよ』

男「あっはっはっは! 今日も絶好調だね幼馴染ちゃん!!」


男(ああどうしよう、もし危ない人達に連れてかれちゃったりしたら大変だ)

男(まずいぞまずい、幼馴染ちゃんの身に何かあったら、僕は僕は)

『迷子のお知らせをいたします。○○からお越しの幼馴染ちゃんが 男ー!! 色々食べもの貰ったよ!』

男「ジーザス……」

『その男君って幼馴染ちゃんの彼氏? ん? いつも一緒に遊んでるよ? へえ、仲良しなんだね』

『いつも男の部屋に行ったりして、この前はプロレスやった! へ、部屋でプロレス!? うん、抱きつい』

男「このアナウンサーなにやってんだああああ!! やめろおおおおおおおおおおお!!!」ダダダダダ
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:32:05.87 ID:nRXayeJj0



男(ちくしょうあのアナウンサー。校内どころか地区単位の大恥じゃないか。なんてことしてくれたんだ)

男(それにしても、だ)

幼馴染「むにゃむにゃ……」

男「重い……漫画とかで軽々と女の人背負ったりしてるけど、ありゃ嘘だね!」

男「はぁ。頭撫でられまくったおかげでソースやら水あめやら髪の毛ベタベタだよ」

幼馴染「ん……男ー……」スゥスゥ

男「……」

男「……お休み、幼馴染ちゃん」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:33:55.24 ID:nRXayeJj0
8月5週目/部屋

男「いや、ね。こうなることはわかってたんだ。夏休みの間遊び通してたものね」

男「この一つも手をつけていない課題。一つもだよ!」

課題「……」ズズーン

幼馴染「ごんぶとだねえ」

男「他人事みたいに言ってるけど、これ全部幼馴染ちゃんの分だからね」


男「ひとまずそっちの読書感想文やっておいてよ」

男「英語とかの課題は……致し方ない、面倒な部分は僕がある程度手をつけておくから」

幼馴染「うん、ありがと!」

男「この甘やかしも悪いんだろうなあ……さて、さっさとやっちゃいますか」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:36:20.91 ID:nRXayeJj0
男「……」カリカリ

幼馴染「終わったー!」

男「え、もう終わったの? 無茶苦茶早くない? ちょっと見せてよ」

男「羅生門の方はこっちだね、どれ」

男「『男の人が雨で寒そうでした。おばあさんも裸で多分寒かったと思います。面白かったです』」

男「読書感想文舐めとんのかきみィ!! しかもこれ、最初と最後の数行しか読んでないでしょ!?」

幼馴染「読んでると眠くなってくるんだもん」

男「羅生門なんて短編中の短編なのに……」

男「つ、次はこころだ……まったくもって期待はできないが……」

男「『先生の死による奥さんと私の関係は男尊女卑を示唆しており、これは村上春樹の作品にもオマージュとして』」

男「幼馴染ちゃん……すごいよ、ちゃんと理解してる!! まさか、ここまで書けるなんて」

幼馴染「えへへへ」

男「って、これ僕の感想文まんまじゃないかおい!! 何がえへへへだよ!」


男「その問題集は穴埋めだけだから、何とかなるでしょ」

幼馴染「らんらんらららんらんらん」スラスラスラ

男「お、中々快調だね。得意分野にでも入った?」チラッ

男「中国、中国、中国……全部中国ッッッ!!!」

男「あのアホ講師め……幼馴染ちゃんに無駄な知識を与えおって……」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:37:30.56 ID:nRXayeJj0



深夜

男「結局、僕がこうやって幼馴染ちゃんの課題をやるわけだよ」

幼馴染「ぐがーーー」

男「人のベッドで気持ちよさそうに寝てるなあ……憎らしいほどにね!」

男「僕どこで寝ればいいんだろう……それよりこれ終わるの?」

男「あー、もう面倒だ。自分の丸写しでいいや」ヘラヘラ










翌日

先生「二人とも、補習決定おめでとう!」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 22:43:41.17 ID:nRXayeJj0
>>114
必死に投下しててすぐ返事できませぬでした。すみません。
アドバイスありがとう。もう少しそっちの方向でも書いてみればよかったかな。
ちょっとネタバレになるけど、もう少しで次の展開にシフトさせる予定なんすよね。


蛇足になるけど、こんなだだsageしてる中、わざわざ読んで下さって感謝っす。
ちょっと早いけどおやすみなさい。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/10/02(日) 22:47:13.74 ID:sNJBZAdZo
乙。面白いです。発想元は素直ヒートですね
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/02(日) 22:52:48.70 ID:oslnQiCPo

補習おめでとう!
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/03(月) 00:34:47.89 ID:itGNy/YAO
乙おめでとう
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 01:36:56.16 ID:M4sJqDTSO
今追い付いたがいいなこれ
sage進行にしなくてもいいのに
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/03(月) 15:59:11.54 ID:uwjZXSYPo
撲殺天使ドクロちゃんのドクロちゃんと桜くんで再生される
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/04(火) 22:01:33.01 ID:etcbVopAO
期待
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:34:29.34 ID:em1MA/nx0
朝投下するつもりがいつもの時間。
だからといって量が増えてるわけでもございやせん。

いつも読んで頂きありがとうございます。二人への謝辞も。
>>125
素直ヒートが分からないので調べてみましたが、母音を連呼するやつですね。
暑苦しいのは好きです。
>>128
再評価して下さり感謝。上位100辺りは魍魎の跋扈する、恐ろしい世界だと聞き存じております。
>>129
ピピルピーとかいうやつですよね。ヒロインみたいな子が下痢で悶絶してませんでしたっけ。
オリ系は各自でキャライメージを補完できるのがいいところだと思います。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:36:18.82 ID:em1MA/nx0
9月1週目/博物館&美術館

科学博物館

男「夏休み終わったはずなのに混んでるよなあ」

幼馴染「あっちの動物園行きたいなー」

男「構わないけど一人で行ってね。補習の見学レポート書かなくちゃいけないんだから」

幼馴染「ぶぅぅう、男っていじわるだよね」

男「何とでも言ってくれ。僕は今日から鬼になるんだ! ほら行くよ」グイ

幼馴染「いきたくないーーーー」ズルズル


館内

男「博物館なら幼馴染ちゃんもそんなに飽きないでしょ?」

幼馴染「あ、ガチャガチャがある! これ一個買っていい?」

男「いきなり売店向かうんだ。え、もしかして既に今日は楽しかったねムード?」

幼馴染「この秋田犬が欲しいなあ」ガラガラ ガシャン

幼馴染「……ヒゲのおじさんが出てきた」

男「縄文人と犬か……でもほら、犬も付いてるし。よかったじゃない?」

幼馴染「じゃあこっちのおじさんだけ男にあげるね」

男「いらないから……おじさんかわいそうだからセットで持っておきなよ……」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:37:54.59 ID:em1MA/nx0
野鳥ゾーン

男「へえ。これを押すと鳴き声が聴けるんだ」ポチッ

メジロ『チル チルチル チルッチ』

男「メジロって意外と人懐っこいよね。実際は図々しいだけなんだろうけど」ポチッ

ウグイス『ホー ホケキョ』

男「こっちがホケキョか。ウグイスとホトトギス、つい間違えちゃうんだよな」ポチッ

ホトトギス『ケッキョ ケキャキョキャ』


幼馴染「うりゃ全押しー!!」バチバチバチーン

メグイギス『チルケキョキャキャキャキャ キャケッキョ』

男「こらーーー! またキミはそんなことをして!」

メグイギス『ケキャガ ガガガガガガガ ガ ウゲウゲウゲ』

幼馴染「わー、なんかすごいことになってるよ!」

男「おいおい、鳴き声がおかしくなっちゃったぞ……」

男「ちょっと! 幼馴染ちゃんこっちに来なさい!」タタタタ

幼馴染「うひゃーーーー!」スタタタ




子供「お母さん、これ鳥さんの声が聴けるんだって!」ポチッ

メジロ『モルスァ……モルスァ……』

子供「わあ、メジロってこんな声で鳴くんだ!」

母「ふふ、また一つ勉強になったわね」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:39:47.19 ID:em1MA/nx0
恐竜ゾーン

幼馴染「でかーい!」

男「映画とかでその大きさは知ってたけど……思ってた以上だなあ」

男「これ、ティラノサウルスだよ。実は鳥類みたいに羽毛があったって説も最近出てるらしいね」

幼馴染「ティガレックス……」フラフラ

男「待ちなさい」ガシッ

男「幼馴染ちゃん、今何をしようとしていたのかな?」

幼馴染「ん? な、なんのこと?」キョロキョロ

男「目を泳ぎまくってるね……キミの企んでることなんて手に取るようにわかるよ」

男「どうせ、うおおーティガレックスだあかくごーとか言って蹴ったりつもりだったんでしょ?」

幼馴染「むうう、そんなことしないもん」

男「博物館の展示品はね、壊したら冗談じゃ済まされないんだからね?」

幼馴染「わかってますよーだ」

男「本当にわかってるのかねえ……え、なんで三葉虫の化石持ってるの?」

幼馴染「さっきそこで落ちてた」

男「その辺に転がってるはずないじゃないか! あーもー! ほら謝りに行くよ!」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:40:42.82 ID:em1MA/nx0
FoodCourt

男「既に一日分の精神力を使い果たしてしまったよ……」

幼馴染「こっちのサンドイッチはたまご!」キャッキャパクパク

男「……午後は美術館か。幼馴染ちゃんにはきついだろうな……」

幼馴染「ごくん……男と一緒ならどこでも楽しいよ」

男(……これだけならば可愛げもあるんだけどね)
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:41:51.25 ID:em1MA/nx0
美術館

中世アート

男「さて、鬼門の美術館だ……」

男「幼馴染ちゃん騒がないようにね。ここは博物館より厳しいから」

幼馴染「この絵の男の人ハゲてる」

男「ハゲって……これはトンスラって言うんだよ。お坊さんみたいなものかな」

幼馴染「じゃああのおじさんもトンスラだ、トンスラ!」

客「……」ツルッ

男「ブフォッ……ぷくくく、幼馴染ちゃん、そんなこと言っちゃ……ぐふっ」

客「……」ギロリ

幼馴染「おーおー、なんか赤くなってきたよ。風船みたい」

男「ふ、風船……も、もうだめだアッヒャヒャヒャヒャ!!」

幼馴染「あ、こっちに近づいてきた。職員さん? 男に用? うん、ばいばーい」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:43:44.39 ID:em1MA/nx0
現代アート

幼馴染「このピカソって絵が下手だね。適当に書いてるだけなの?」

男「大抵はそう思うよね、うん。これはキュービズムって手法なんだ」

幼馴染「ほうほう」

男「色々な視点や角度から見たものを一つの形で表現してるんだ。すごい発想だよね」

幼馴染「ふむふむ」

男「一歩踏み込んで、動物とか昆虫の様々な視点を……って幼馴染ちゃん、話聞いてる?」

幼馴染「なるほどなるほど」

男「……幼馴染ちゃん?」

幼馴染「それはそれは」

男「……立ったまま寝ていらっしゃる」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:46:26.92 ID:em1MA/nx0
近代アート

美学教授「このように、中世に比べより肉感の強い傾向にあるのが近代の裸婦画であり」

男(大学の講義かな。直接美術館でもやったりするんだ)

幼馴染「裸の女の人だよほら! こっちにお尻向けてる!!」

女子大生達「クスクス」

男(……今回は他人の振りをさせてもらうよ。一人で恥をかいてくれ)

幼馴染「そういえば男の持ってた漫画にもいっぱいあったよね」

男(まて……幼馴染ちゃん何を言い出すつもりなんだ?)

女子大生1「え、写真じゃなくて漫画の?」

女子大生2「その話、ちょっと興味あるかも」

幼馴染「うん。かいらくてんって名前。あ、ほらあそこにいる」

男(おいやめろ! やめろおおおおおおおおおおおお!!!)

幼馴染「男ーーー! こっちだよーー!」

男(ああ……全てがゆっくり動いてる……時が見えるって聞くけど、走馬灯のことだったんだね)






先生「ハゲ、ティガレックス、かいらくてん……こいつら何処で何やってきたんだ???」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:49:05.81 ID:em1MA/nx0
9月2週目/歯医者

デンタルクリニックブードゥー

幼馴染「いいいいいいやああああああああああ!!!!!」

男「そんなところにしがみついて……予約の時間に間に合わないよ」

幼馴染「いやいやいやいやいやなのおおおおおおおお!!!」

男「いつもお菓子ばかり食べてるから虫歯になるんだ。無理にでも連れていくよ」ガッ

男「ふぬぬぬぬぬ!!! なんて力だ……ッ」グイイイイイ

幼馴染「絶対にいやあああああああ!!!!」ズズズズー


ミュータンス菌「いらっしゃいませ、こちらに保険証をお入れください」

男「……なんですかその悪魔みたいな、エイリアンみたいな格好」

受付「お子さんが怖がらないようにって、院長が考案したコスプレなんですよお」

男「怖がらないどころか大人だって腰抜かしますよ……」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:53:42.10 ID:em1MA/nx0
待合室

幼馴染「はっはっ……ひっひっ……」ガクガクガク

男「幼馴染ちゃん、ほら落ち着いて。本でも読もうか」

男「どれがいいかな……『私の愛したネクロノミコン』、『復活の屍者』、『地獄の底で雄叫びをあげるマモノ』」

男(酷いな……しかもこの歯医者、よく見たら木彫り人形だのお面だの、怪しげな飾り物だらけだし……)

受付「次の方、幼馴染さん、幼馴染さんどうぞ」

幼馴染「やっぱりいやあああああああああ!!!!」ダッ

男「あ、逃がさないよ!!」ガシィ

幼馴染「たすけてえええええええええええええ!!」ズルズルズル

男「僕も一緒についててあげるから……ッ! 観念しなさい!」


治療室

院長「ほう。この子が次のクランケか。活きがよさそうだ」

幼馴染「……」ブルブルブル

男「幼馴染ちゃんの虫歯なんですけど、確かそんな悪くなかったですよね?」

助手「んと、そうですね。初期よりは若干進行していますが、通院の継続は必要ないと思います」

男「よかったね。すぐ終わるみたいだよ?」

幼馴染「……ほんと?」

院長「果たしてそれはどうかな」

院長「歯肉を切開した後、顎の骨を削り膿などを完全に除去する必要があるかもしれない」

幼馴染「ぎゃああああああああ!! 殺されるうううううううう!!!!」

男「ちょ、ちょっと! あまり怖がらせないで下さいよ!」

院長「おや、これは失礼。怖気づく子を見ると、ついワクワクしてしまってね、クックックック」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:56:41.59 ID:em1MA/nx0
院長「それでは治療に移るとするか」

院長「さあ口を開けてごらん?」グイ

幼馴染「いぎぎぎぎぎぎぎ」

院長「ほうーら、痛いのは最初だけで後は楽になるから。全てが終わった後にね」キュィィィィン

幼馴染「ぐぐぐぐぐぐぐぐうう」

院長「それじゃあいくよ、はあはあはあ」キュィィィィィィ

幼馴染「がっぶううううううう!」

助手「きゃーーーー! 院長!!」

男「うおわあああああ!! 何院長に噛み付いてるんだよ!!!」

院長「おお、おお、見たまえ助手くん! 私の手が真っ赤に燃えているぞ!」

助手「院長それは自分の血です! 早く洗って消毒しないと!!」

幼馴染「ぶええええええええええええええん!!!」

男「あわわわわわ! 幼馴染ちゃん、チョコ! ほらチョコあげるから泣かないで!!!」

幼馴染「ムシャムシャ  びえええええええええええええ!!!」

助手「あなた! 治療中の患者さんにチョコなんてあげないで下さい!」

院長「ひらめいたぞ……この乙女の唾液と私の血液を使い、邪神を呼び覚ます儀を行おうではないか!」


ギャギャギャギャーーーー





男「幼馴染ちゃん……この歯医者さんにくるのはもうやめようね……」

幼馴染「……」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 23:58:01.10 ID:em1MA/nx0
カタカナとひらがなの目立つ二週だった。
おやすみなさい。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/04(火) 23:59:08.75 ID:kr19c8ebo
乙!!
てか歯医者怖すぎwwww
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2011/10/05(水) 00:24:57.78 ID:90MizRqoo
乙です!
本気で素直ヒートになってきたね。まさに俺得
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 01:36:35.55 ID:GaYd2w3IO
すっかり忘れてたが幼馴染ちゃんも男も高校生なんだよな…

かわいいやつらめ
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 13:33:32.87 ID:9KNqcRzIO
なんか男が可哀想になってきて胸が痛い……
C
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/05(水) 22:31:13.05 ID:NCMq38f/o
>>129
俺と全く同じこと考えてる奴がいる
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:03:35.64 ID:qtDk4Md10
日付変わりそうだったので一週分だけ投下です。
明日は悪夢の三週投下。そして空気も読まず全レス返答。

いつも読んで下さってありがとうございます。テンプレっぽいけど違います、はい。
>>143
あまり癖の強いサブキャラを出すと、そこを中心に回ってしまうのが難しいですよね。
>>144
すみません、もしかしたら期待裏切っちゃうかも。
>>145
こんな高校生いるわけねえだろ、とか言われなくてよかったです。嬉しいです。
>>146
男君は苦痛に思ってないんじゃないかな。
とはぐらかしはさておき、その感想は今後の重要なキーになってます。
>>147
どくろちゃん人気ですね。まさかのパクリ疑惑が! や、そんなことはないですけど。
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:05:05.23 ID:qtDk4Md10
9月3週目/部屋

TV『台風は未だ強い勢力を保ったまま北上し』

ビヒュウウウウウ ガタガタガタガタ

男「すごい風……家全体が揺れてる」

男「休校なのは嬉しいけど、ここまで酷いと不安だよなあ……おや?」

人影『……』ゴソゴソ

男「誰だろう。台風対策でもしてるのかな。わざわざこんな時に酔狂な人もいるもんだね」

幼馴染『……』モソモソ

男「……」

男「まったキミかよおおおおおおおおおおお!!!!」ダダダダダダ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:06:53.42 ID:qtDk4Md10
男「幼馴染ちゃーーん! こんな時に外にいると危ないよ!!」

幼馴染「あ、男! 空がすごい速さで動いてるよ!! どきどきするね!!」

男「僕は恐怖でドキドキだよ! 早く家の中に戻ろう!」

幼馴染「いひひひひ! この日を待っていたのです!」サッ

男「黒いゴミ袋なんか出して……今度は何を企んでいるんだ……」

幼馴染「飛べない豚はただの豚だーーー!!」バサン

男「ちょ、なにしとるの!? あ、ああ、身体が浮いてる浮いてる!!!」

幼馴染「いってきまーーす!」フワッ

男「こんにゃろーーーーーーーー!!!!」ガシッ

幼馴染「あれー? 男も飛びたいの?」

男「ぐおおお止まらないいいいいいいいいい!!!」ズズズズズズ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:10:05.73 ID:qtDk4Md10
ゴオオオオオオオオオオ

男「とんでもない所まで来てしまった……」

幼馴染「うわあ、川がドバドバなってる」

男「氾濫しかけてるね……危ないから離れたほうがよさそうだ」

幼馴染「ねねね、あそこほら」

男「なに? 雨も強くなってきたから帰るよ」

幼馴染「おじさんが水浴びしてる」

男「んなばかな……」

老人「ほう……ふむ……」

男「ちょっとおじさん! 危ないですよ!」

老人「ああ、田んぼの様子を見に来ていたんじゃ」

男「様子もなにも辺り一面池ですよ? 変なフラグ立たない内にそこから出ましょうよ」

老人「わしゃもう疲れた。どれ、一服するかの」

男「下半身水に浸かってる人が何のん気なこと言ってんですか!?」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:11:13.95 ID:qtDk4Md10
男「とにかくこのおじさんを助けなくちゃ!」

男「僕がおじさんを掴むから、幼馴染ちゃんは後ろから引っ張って!」

幼馴染「はーい!」

老人「すまんのう」

男「ぐぬぬぬぬぬ!!」

幼馴染「ううううううう!!」

男「うぎぎぎぎぎ え、どこ掴んでるの幼馴染ちゃん!?」

幼馴染「えいえいえーーーーい!!」スポーン

男「ごわああああああ!!!」ボシャーン

幼馴染「あれ、男のズボン脱げちゃった」

老人「知っとるぞ。こりゃ犬神家の一族じゃな」

佐清「…………」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:12:51.27 ID:qtDk4Md10
老人宅

嫁「父を助けて下さって本当にありがとうございます。なんとお礼を言ってよいか……」

男「いやあ、スケキヨになるところでしたよあっはっはっは」ギロ

幼馴染「雨もっと降れー」

旦那「この天気だし、うちで一晩泊まっていってもらったらどうだ?」

嫁「それは名案ね! 是非そうしてもらいましょう!」

男「いえ、それはちょっと見ず知らずなのに申し訳ないというか、ご迷惑になるというか」

嫁「どうせ天気はこれから更に酷くなるし、あ、なんなら親御さんに連絡します?」

男(うーん……こういうのはどうも断りにくいな……)
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:14:51.44 ID:qtDk4Md10



嫁「ほら、もっと食べていいのよ? まだまだ沢山あるからね」

幼馴染「うん! 私から揚げ好き!」ムッシャムシャ

男「幼馴染ちゃん。遠慮しろとは言わないけど、もう少しおしとやかに食べようよ……」

旦那「気にしなくていいよ。これ位の食べっぷりのが、嫁も作り甲斐があるだろうしね」

男「……そういえば、お子さんとかはいないんですか?」

旦那「ああ……皆大きくなって、出てってしまったよ」

男「えと、あの、嫌なこと聞いてしまって……ごめんなさい」

旦那「いや、謝るのはむしろこちらの方だよ。泊まっていけだなんて無理を言ってしまって」

旦那「嫁も普段はあんなにはしゃぐ性質じゃないんだが……やはり寂しかったのかもしれないな」

男「……」

旦那「や、どうも辛気臭い話をしてしまってすまない。年をとるとどうもね」

旦那「まあ、もっと大人になって子供を持てば……っとまた説教じみてしまったな、はは」

男「いえ、僕もその、なんとなく分かりますから、大丈夫です」

旦那「……キミは同じ年頃の子に比べてしっかりしてるね」

男(子供、か……)

幼馴染「おひひいー」

嫁「ふふ」ニコニコ

男(……)
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:17:36.05 ID:qtDk4Md10



嫁「ここが寝室よ。他人の家で落ち着かないかもしれないけど」スッ

男「あれ、布団が一つしかありませんけど……」

嫁「それじゃ、二人とも頑張ってね!」タッタッタ

男「……は? え、あれ、なぜ急に濃厚な展開に? さっきまでのほのぼのは何処へ?」

幼馴染「男、こっち!! そしてここ、ここ!」バンバン

男「何の疑問も抱かないキミのその純真さに僕は尊敬を抱きつつもやはり残念な子だと言わざる得ない」



幼馴染「むふふ、あったかいー」

男「あ、あまり引っ付かないでよ」グイ

幼馴染「えー、なんで?」ギュギュー

男「や、やめたまえキミ! これ以上近寄らないでくれ!」

幼馴染「むう、なんでそんなこと言うの? もっとくっついてやるー!」ギュギュギュギュー

男「お、お願いだからやめて下さい僕もう色々と死にそうなんです」シクシク
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:19:41.22 ID:qtDk4Md10
男「ぐ、ぐるじい……」

幼馴染「すやすや」

男「だ、抱きつくってレベルじゃないぞこれは……」

男「ともかくここから脱出しないと死ぬ……肉体的に」

男「ぐぬぬぬ! はなせええええ!!!」グイイイイ

幼馴染「いやだーーすぅすぅ」ガシッ

男「うおおおおおい! 余計に絡み付いてきたよこの子!」




男「な、なんとか魔の手から逃げ切ることができた……」

男「ひとまずこの部屋から出よう。喉も渇いた」スタッ

幼馴染「ぐーぐー……逃がすかぁ」ガッシリ

男「ひぃッ!! 足を、足をつかまれた!! あああ、あり地獄だあああああああああ!!」ズルズルズル






アアアアアアアアア

旦那「ほう、二人ともやはり若いな」



翌朝

嫁「昨日は随分とお楽しみだったようね」クスクス

幼馴染「うーーーん! よく寝た!」

男「……」ボロッ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 00:20:51.80 ID:qtDk4Md10
少しずつ塩分濃度を下げて、目標着地点へと降下していきます。
おやすみなさい。
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/07(金) 08:51:40.87 ID:JrXqkz08o
発達障害の子の相手は周りの理解がないと難しそうだな
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/07(金) 11:09:45.58 ID:gIKYICKWo
逆に周囲の理解が得られれば、幼馴染ちゃんのように上手くいくのだな
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/07(金) 12:50:45.03 ID:stYQuInDO
この幼馴染ちゃんを赦せる男は・・・


やっぱ惚れた弱みか
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/08(土) 00:21:36.01 ID:+CemFoNf0
うげうげうげ、帰宅が遅くなりすぎて書ききれません。
2週分はほぼ完成してますが、区切りが悪くなるので明日の夜まとめて3週分投下するつもりです。
ごめんなさい。

>>158 >>159 >>160
読んで下さってありがとう。
この世界に住む方々のまなざしは、現実よりも優しいです。
リアリティを追求して書いたなら、あまりの悲しさにきっと俺の心はブロークン。
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/08(土) 01:45:05.04 ID:rf/U0FDYo
乙です
本来障害者と接する苦労話になりそうなのにほのぼのとした流れで大好きです
明日の夜を楽しみにしてます
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/08(土) 23:56:06.90 ID:+CemFoNf0
日付変わるまでに全部投下できるかな。

>>162
読んでくれてありがとうです。
当初あまり考えずにキャラメイクしていたのですが、色々と考察して下さって恐縮でございます。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/08(土) 23:56:47.64 ID:+CemFoNf0
9月4週目/教室

委員長「男君、今日掃除当番お願いしちゃってもいい? ちょっと用事があるから」

男「いいよ。じゃあ、僕はそのまま幼馴染ちゃんの家に行けばいいのかな?」

委員長「そうしてもらえる? 出来るだけ追いつけるようにするけど。ありがとね」

男「なんなら僕も付き合おうか? 別に急いでるわけでもないし」

委員長「いえ、大丈夫よ。幼馴染ちゃんも寂しがってるでしょうし。早くお見舞いに」

男「幼馴染ちゃんがねえ……委員長心配しすぎなんじゃないの?」

委員長「いいからさっさと掃除を済ませて行け」ギロッ

男「は、はひいい! 速攻で掃除をすませますううううう!!」シュタタタタ
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/08(土) 23:57:31.44 ID:+CemFoNf0


男「委員長は強引だよ。だから幼馴染ちゃんにも鬼婆とか言われるんだ」

委員長「なんか言った?」

男「ゲッ、いつの間に!? そそそうだ、用事は無事すんだの?」

委員長「ええ、おかげさまで。それにしても幼馴染ちゃんが風邪をひくなんてね」

男「台風の中走り回ってたからなあ。バカは何とかって言うけど、そんなことなかったねあはは!!」

委員長「男君も一緒にいたんだっけ。それって男君が馬鹿だったってことじゃないの?」

男「……」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/08(土) 23:58:31.88 ID:+CemFoNf0
ピンポーン

『はーい』

ガチャ

幼馴染母「あ、男君……と、委員長さんでしたっけ?」

委員長「こんにちは。幼馴染さんのお見舞いに来ました。あ、これ、ささやかなものですけど」サッ

幼馴染母「あら、気を遣わせちゃって……ありがとう」

男(い、委員長まさかさっきの用事というのは……ちくしょう裏切ったな!? 僕は手ぶらかよ!)キッ

委員長「……ふっ」ニヤリ

幼馴染母「あの子に直接渡してあげれば喜ぶんだろうけど、風邪をうつしちゃっても悪いし……」

委員長「あ、大丈夫ですよ。幼馴染ちゃんより頑丈ですから、男君」

男「どうせ僕は馬鹿だからね!! まあ委員長だって平気じゃない? ウイルスすら避けて通ると思うよ」

委員長「あ?」

男「ほらその眼光! そんな眼をするのは最早人間じゃないや! 物の怪! 妖怪鬼ババアだ!!」

委員長「いい度胸ね。おばさまの後ろから出てきて、もう一度その台詞を吐いてごらん?」

幼馴染母「うふふふ。あの子、多分今部屋で寝て」

ドドドドド

幼馴染母「ないわね……」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/08(土) 23:59:20.60 ID:+CemFoNf0
幼馴染「あ゛ー、いいんぢょうとおどごー!」

委員長「幼馴染ちゃん具合はどう? 喉の調子が随分悪いみたいだけど……」

幼馴染「ごれおもじろいよー! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー」

男「すごいね幼馴染ちゃん、デスメタルみたいだよ。ヴォオオオオオオオオ!!」

幼馴染「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」

委員長「二人して何やってんのよ……はい、これお見舞いのカレー」

男「それが匂いの元かー。よかったね。幼馴染ちゃんの好きなカレーだよ……ってカレー!?」

委員長「なによ? 好きなものを持っていってあげた方が嬉しいでしょ?」

男(この人も大概だな……)

幼馴染「おおお、がれーおいじぞう!」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:01:06.20 ID:ScW7kzLq0
幼馴染部屋

委員長「ねえ……あの牙みたいなのなに?」

男「ああ。あれサメの顎骨だよ……まさか本当に部屋に飾ってたとは……」

委員長「……ずらっと並んでるのはプラモデルよね」

男「幼馴染ちゃん、ガンダム好きだからね……」

委員長「女の子らしい部屋を、とまでは言わないけど……もうちょっと可愛らしい物はないの?」スッ

委員長「……」

男「可愛らしい女の子の人形達を見つけてしまったようだね……それはおじさんのだよ」

男「隠し場所に苦労してるんだろうなあ。おばさんに見つかると捨てられちゃうし……」

委員長「見なかったことにしておくわ……」スッ

委員長「それにしても色々とあるわね。特にこの剣みたいなのを持ってるやつ、特別製?」

幼馴染「あれー、いいんぢょうごれほじいの? ごれはおどごからもらっだものだがらだめだよ」

幼馴染「あ、でもごっぢならいいよ。たいせづにじであげでね!」ヒョイ

委員長「え、ええ……ありがとう」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:02:58.71 ID:ScW7kzLq0
トントン カチャ

幼馴染母「折角持ってきて下さったから、持ってきたんだけれど……カレー」

男(おばさんもなんともいえない顔してるな……)

委員長「あ、私はそろそろ帰りますので」チラッ チラッ

幼馴染母「??……ああ、なるほど」

幼馴染母「委員長さんをお見送りしてくるから、二人でカレー食べちゃって」ポイ ポイ

幼馴染母「ああーーっと、スプーン二つとも落としちゃった。一つしかないから仲良く使ってね」

委員長「それじゃ二人とも、また学校でね……ムフフ」

男「なんて茶番だ……」



幼馴染「がれーたべだい! ほらあーーん」

男「喉痛めてるのにカレー食べて大丈夫かな……少し待ってね。味見してみるから」パク

男「うおおおおおおおおおおおおおおお!! かれええええええええええええええええ!!!!!」

幼馴染「がれーががれーだっで! おもじろいウギャギャギャ!!」

男「みず、水をくれえええええええええええ!!!!!」バタバタ

幼馴染「ごれでいいならあるよー。くぢあげてー」ヒョイ ゴバゴバゴバ

男「うがががががが」グビグビグビグビ

男「はぁはぁはぁ……水を飲んでも辛さが取れない……あの委員長覚えてろよ……」

男「幼馴染ちゃん助かったよ。少し生温かったけど。ミネラルウォーター?」

幼馴染「あー、ごれわたじのみずまぐら」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:04:22.27 ID:ScW7kzLq0
9月5週目/コンビニ

男「幼馴染ちゃん、買いたいものは決まった? 早く帰って寝ないと明日きついよ」

幼馴染「んんー、ちょっと待ってて」フリフリ

男「そもそもアイスが食べたいって言うからこんな真夜中に来たのに……また食玩か」

幼馴染「これかなー? うむう……少し軽いし、やっぱり違うかも」ガサガサ

男「何してるの?」

幼馴染「こうやって箱を振るとね、何が入ってるか分かるんだー」

男「そんな盗賊みたいなスキルを向上させないでくれよ……」

幼馴染「どっちにしよう……ええい、こうなったら最後の手!」グリグリ

男「うわ、売り物に指突っ込んじゃ駄目だよ! 両方とも買ってあげるからセコイことはやめなさい!」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:06:22.77 ID:ScW7kzLq0
アリガトウゴザイマシター


モヒカン(色違い)「へへへ……」

肩パッド「クク……」ニタァ

上半身裸「……」

男(げえ……怖い人達がとぐろ巻いてる……見ないフリをしよう)

男「幼馴染ちゃん、ほら行こう」

モヒカン(色違い)「おい、ニイちゃん」

男(ギックウウ!!)

男「な、なんでしょうか……?」

肩パッド「水と食料を置いてきな」

男(み、水と食料? 何を言ってるんだこの人は……)

幼馴染「お腹すいてるの? これいいよー」ヒョイ

男(ちょ、食玩に付いてるガムなんて渡したら余計激昂しちゃうじゃないか!!)

モヒカン(色違い)「お、おおおおおお!」

肩パッド「ヒャッハー! 三日ぶりの食事だぜ!」

上半身裸「お、俺にもよこしやがれ!」

男(大丈夫かこの連中? なんか可哀想になってきたぞ……)

男「あの……もしよろしければこっちも食べます? ジュースもあるけど」ガサガサ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:08:04.97 ID:ScW7kzLq0
゙ルゥウウウン ブルウウウウウン

上半身裸「なんだァあのバギーは?」

補習講師「……」グオオオオオオン

モヒカン(色違い)「お、おい! こっちに突っ込んでくるぞ!」

補習講師「……」ドッシャアアアアアアア

上半身裸「うわああああああああ危ねえええええ!!!」ゴロゴロゴロ

肩パッド「あ、あいつイカれてやがる!!!」

補習講師「……」キュルキュルキュル グワアアアアアアアン

肩パッド「ひいいいい!!! またきやがった!!」

モヒカン(色違い)「助けてくれ!!!!!」

男(ひ、ひどすぎる……)

ブオンブオンブオオオオオオオオン
ウオオオオオオオオオ
グワアアアアアアアアアア
イデエヨオオオオオオオオオ
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:09:41.71 ID:ScW7kzLq0
男「蜘蛛の子を踏み潰すような勢いで追い払ってくれてありがとうございます……」

補習講師「お前等こんな時間に何をしている? 深夜の徘徊は禁止されているはずだぞ」

男「ちょっとコンビニに用事があって……それに近所だったから……すみません」

補習講師「ふん、まあいい。今日は大目にみてやる。幼馴染もいることだしな。優秀な生徒には寛大なつもりだ」

幼馴染「わーい!」

男「……」

男「それにしても先生……随分とまたワイルドな服装ですね……」

補習講師「これは私服だ。いつ核戦争が起きてもおかしくない世の中だからな」

男(この人、よく教師になれたよな……)

補習講師「時間も時間だ。なんなら家まで送っていくぞ」

男「いえ、遠慮しておきます……」

幼馴染「ええー? 乗りたいのにー」

男(あんな騒音車で近所走られたら迷惑になっちゃうよ……)



男(そういやあの講師、何買いに来たんだろう? もしかして人には言えないような本とか……ぷぷぷ)

男「どれ……」ソーッ

補習講師『……』サッ スタスタ

男「コミックバンチ……そして他は見向きもせずにレジ一直線……」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:11:52.10 ID:ScW7kzLq0


幼馴染「こんな時間に外を歩いてると、なんだかわくわくするね」

男「新月だから真っ暗だよね。もっと月が満ちれば、影も出来ていい雰囲気なんだけどな」

幼馴染「ねえねえ、月にはウサギがいるって本当?」

男「ん? 幼馴染ちゃんも夢のあること考えるんだね。いるかもしれないなあ、ふふ」

幼馴染「それでからだを鍛えてるんでしょ!? マッチョうさぎのピーター!」

男「え、なんだって?」

幼馴染「そして敵は夢も希望もない無慈悲なドブネズミの王国!!」

男「えーと、その話は誰から聞いたのかな?」

幼馴染「さっきの先生! 色々詳しいよねえ」

男「そんなのデタラメだから真に受けちゃ駄目だよ。あの人、ちょっと頭がおかしいんだ」

幼馴染「ん、男が言うならそうする。じゃあ本当のこと教えてー」

男「まず、なぜ月とうさぎかと言うとだね……」


175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:13:28.24 ID:ScW7kzLq0
10月2週目

男母『……』

男「うん……分かってるよ」

バタン



男「やー、今日も秋晴れだなあ。空が青いや」

男「……ほんと、青いな」
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:15:26.01 ID:ScW7kzLq0
繁華街

幼馴染「どしたの男、変な顔して?」

男「いきなり変な顔とは失礼だなキミ! 特別に整ってるとは言わないけどさ!」

幼馴染「うー、別にそんなつもりで言ったんじゃないのに」

男「あ……ごめん。こりゃとんだ勘違い野朗の匂宮だねハハハ!」

幼馴染「本当に変なの……」




男「……」ボケー

幼馴染「男? 早く食べないとハンバーグ冷めちゃうよ?」

男「……はっ! そ、そうだ僕は冷や飯が好きなんだ! こうやって冷ましてるのさ!」

幼馴染「じゃあ私ももらっちゃお」ヒョイ

男「あ、こら! 僕が今から食べようとしていたポテトを!」

幼馴染「んふふふ」ムシャムシャ

男「くっそー! こうなったら幼馴染ちゃんのも奪ってやる! なんかよこせ!!」カッ

男「って、ニンジンとインゲンしか残ってないじゃないか!!」

幼馴染「ニンジンとインゲンきらい。どうぞどうぞ、あげるよ。ほい、ほい」サッサ

男「いらないよ! 好き嫌いしないでちゃんと食べなくちゃ駄目だよ!」

幼馴染「よこせって言ったり、いらないって言ったり、男もわがままだね」

男「ぐぬぬぬぬぬ!!!!!」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:18:00.38 ID:ScW7kzLq0

ゲームセンター

幼馴染「このクマ欲しい!」

男「グリズリーシリーズ……嫌な思い出がよみがえって来たぞ……」

男「一回やってみようか」チャリーン

クッククマクマクマクマクマックマ

男「なんか苛立たしい音楽が流れてきたな……」

ウィーン スカ

幼馴染「ああー」

ザマアアアアアアアア

男「この筐体、無茶苦茶腹立つね」



幼馴染「男、もういいよ。沢山やってるでしょ? お金もったいないよ」

男「でもこれ、欲しいんでしょ?」

幼馴染「そうだけど……」

男「待ってて、もう少しで取れそうだから」

男「フフフ……機械の分際で……この僕を怒らせたことを存分に後悔させてあげるよ!」


178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:19:30.62 ID:ScW7kzLq0
幼馴染「クッククマククマー」

男「な、なんとか致命傷で済んだよ……へへへへ」

男「……」

男「幼馴染ちゃん……あのさ」

幼馴染「ん? あ、このクマさんありがと! お金いっぱい使わせちゃってごめんね?」

男「え、ああ。いいよ。幼馴染ちゃんが喜んでくれれば、うん」

幼馴染「それじゃまた明日ね! ばいばーい!」

男「……うん、また明日ね。 ……ばいばい」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/09(日) 00:21:23.72 ID:ScW7kzLq0



幼馴染「ママ、ただいま!」

幼馴染母「お帰りなさい……大丈夫、幼馴染?」

幼馴染「なにがー?」

幼馴染母「……もしかして、何も聞いてないの?」

幼馴染「んー? なんのこと? それよりこのぬいぐるみ! 男にとってもらったんだ!」ブンブン

幼馴染母「そう……」

幼馴染「さっそく部屋に飾るのよー!! えへへクマさん」


幼馴染母「幼馴染、大事なことだからちゃんと聞いて。男君ね」



幼馴染母「男君の家ね……今月中に引っ越しちゃうのよ」











幼馴染「…………え」



トサリ
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/09(日) 00:26:10.17 ID:ScW7kzLq0
10月2週目をリアル日時と合わせるよう調整しましたが……マイルールなので気にしません。

この後は暫くビターな展開が続きます。
前半のカオスストーリーを評価して下さった方々には興ざめかもしれません。
ご容赦を。

よい区切りなので、久しぶりのぶっ放しジャーマンageッッ!!
おやすみなさい。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 00:45:52.85 ID:hi21xI9IO
うん何となく予想してたよ……
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/09(日) 00:56:53.08 ID:DgVJL1qBo
この展開はいつか来るかも?と・・・
乙でした
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/09(日) 01:11:47.97 ID:mHJwcHFbo
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/09(日) 01:40:57.76 ID:Ek1GJXgio
乙!

今後の展開が楽しみだ
・・・お腹いっぱいになりそうな気もするがwwwwwww
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/09(日) 02:31:01.69 ID:2St12V//0
ククク、ざまあ見やがれ
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 02:37:18.95 ID:l+aARXhIO
2人がドクロちゃんとドクロちゃんの男主人公の声で再生される
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/09(日) 05:24:09.11 ID:Ac17zGX5o
乙した
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/10(月) 23:42:13.37 ID:x1VR8yCY0
絞りきった雑巾を更に絞るような地獄のギャグパートも終わったし、あとはシリアス一辺倒楽勝だぜえへっへっへ。

すみません調子こいてました難易度高すぎ笑えない。


ここまで読んで下さって、ありがとうございます。
>>181 >>182
所々にそれっぽい影を落としてましたが、あからさまだったかもしれませんぬ。
>>184
お腹いっぱいに関しては私も同意見です。前半よりもかなりそぎ落として進める予定。
今までが歩きだとしたら、これからは池の岩を飛び飛びに、的な。
>>185
万物はその見方や位置によって多様に変化する。
プラトンさんは神殿の支柱にでも寄りかかりながら、そんな事考えてたんですかね。
想定した読まれ方ではありませんが、とても貴重な感想です。ありがとうございます。
>>186
どくろちゃんの感想が多いですね。
ちなみに〜天使と聞くと、私は布袋の気まぐれ天使を連想してしまいます。あ、どうでもいいですね。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/10(月) 23:43:26.16 ID:x1VR8yCY0
10月3週目/教室

先生「幼馴染は今日も休み、か。どうしたもんかね。男、様子とか分かるか?」

男「その……一応迎えには行ってるんですけど、どうも部屋に閉じこもっちゃってて……」

先生「そうか……多分例の件だろう? 色々慌しい中、お前に任せきりで悪いな」

男「……別に大変じゃ、ないです」

先生「あ、幼馴染の欠席分な、ちゃんとお前に回してるから安心しとけ」

男「えっ? ちょっと待って下さいよ! まだそんなこと言ってるんですか!?」

先生「ははは」

男「はははじゃないよ! このインチキ教師! 聞いてるの!?」

委員長(……)
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:44:53.71 ID:x1VR8yCY0
休み時間/教室

委員長「男君、少しお話いいかしら?」

男「どうせ嫌だといっても無理やり聞くんでしょカレー大将軍」

委員長「この前のことまだ根に持って……そもそもあのカレーそんなに辛かった? 私には物足りないくらいだけど……」

男「味覚障害者め……委員長なんか辛いものばかり食べて痔になっちゃえばいいんだ」

委員長「おいコラ、女の子に向かって痔とか喧嘩売ってんのか?」

委員長「……はぁ。くだらない無駄口はいいとして、幼馴染ちゃんのことよ、幼馴染ちゃん」

委員長「引越しの事もそうでしょうけど、何かあったんじゃないの?」

男「……」



幼馴染『ううううううううう!!』

幼馴染母『夕飯時にごめんなさい、この子がどうしても聞かなくて……』

男母『男、あんた幼馴染ちゃんに説明しなかったのね……』

男『……』

男母『うちの旦那の転勤先ね、どうも暫く戻れそうにないから、だったら向こうで一緒に暮らそうって事になって』

幼馴染『それって……どこなの?』

男『……北海道だよ』

幼馴染『ほっかいどおおおおお!!!? そんな遠くに行ったら、男と会えなくなっちゃうよ!』

幼馴染『やだ! やだやだやだ!!!! そんなのいやあああああああ!!!』

幼馴染母「ちょっと、幼馴染! 男君が困ってるじゃないの!」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:46:50.18 ID:x1VR8yCY0
男『……』

男『…………』

男『僕は引越し先でグルメツアーを敢行するんだ。海の幸を堪能させてもらうよ』

男『冬は寒いけど、雪も沢山降るから楽しいだろうなー。スキーし放題!』

幼馴染『ず、ずるい!!!』

男『毎日雪かきもして充実する日々になるんだろうね。ワクワクしてきたぞ!』

幼馴染『それはつまらないと思う』

男『え、ああそうね……』

男『まあ、幼馴染ちゃんには写メくらいは送ってあげてもいいかなァ?』

男『写真の先にあるご馳走の数々に、せいぜい涎を垂らして枕をぬらすがいいさ!』

幼馴染『むううううううううううう!!!!』

男『ん? どうしたね幼馴染ちゃん? 悔しくて口もきけないといったところかい?』

幼馴染『男のバカーーーーー!!!!』

男『グホアアッ!!』



男「……幼馴染ちゃんだからね。いつものことじゃない?」

委員長「……男君?」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:48:14.04 ID:x1VR8yCY0
委員長「ともかく、このままはいさようならって訳にはいかないでしょ」

委員長「高校の間はこっちに残ったりとか、何とかならないの? 一人暮らしするとか」

男「……」

男「委員長は幼馴染ちゃんの為だけに、僕にここに残れって言うの? 自分勝手過ぎない?」

委員長「なっ! そういうことじゃないでしょ! 私は幼馴染ちゃんが可哀相だから」

男「可哀相ってなにさ。そんな風に思うなら、委員長が面倒見てあげてよ。僕が転校したら」

委員長「!!……男君……貴方最低ね」



男友「ありゃ相当だな。いつもの怒り方じゃねえぞ」

男「ぼ、僕は思ったことを言っただけだ……」

男友「カッコイイ台詞を言ってるがよ、足がガクガクしてるぜ男!」

男「男友だってズボンの前濡れてるよ。それもしかして漏らしたの?」

男「ち、違う! これはあれだ! ほら、ジュースこぼしたんだよ、ジュース!」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:50:20.53 ID:x1VR8yCY0
翌日/幼馴染宅

幼馴染母「男君、おはよう」

男「おばさん、おはようございます。幼馴染ちゃん、今日はどうです?」

幼馴染母「なんとか部屋からは引っ張り出してきたんだけどね……」

男「僕のせいで……ご迷惑おかけしちゃってごめんなさい」

幼馴染母「あの子が我侭なだけよ。こんな時にまで男君のこと困らせて」

幼馴染母「……男君、あのね」

男「はい」

幼馴染母「パパと話し合って色々考えてみたんだけど」

幼馴染「……」

幼馴染母「あら幼馴染、ちゃんと学校行く準備してきたのね?」

男「幼馴染ちゃん、おはよう」

幼馴染「……」

男「あの、おばさんさっきの話は?」

幼馴染母「あ、いいのよ。また今度ね。それじゃこの子のこと、お願い」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:51:41.18 ID:x1VR8yCY0
幼馴染「むっすうううううう」

男「幼馴染ちゃんほら行くよ。遅刻しても結局僕だけ減点されるんだから」

幼馴染「やだもん! 私はゆっくり行きたいの!」

男「そう。じゃあ僕先行ってるよ」

幼馴染「あ……」



男「おはよう」

男友「よう、男」

男友「あー、今日も幼馴染ちゃんは来ないのか?」

男「おいてきたよ。少ししたら来るんじゃないかな」

男友「え、マジかよ……」

委員長「……」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:53:02.42 ID:x1VR8yCY0
お昼

男「はい、これ今日のお弁当。それじゃ」

幼馴染「……どこいくの」

男「僕は男友と食べるよ。暫くは会えなくなるからね」

幼馴染「わ、私も」

男「幼馴染ちゃんは委員長達とでも食べたら? 今度からそうした方がいいと思うよ」

幼馴染「う……」

男友「お、おい男いくらなんでも……」

委員長「男君」

男「なに? …………ッ」

委員長「痛い? でも幼馴染ちゃんはもっと痛かったでしょうね」

委員長「ほら幼馴染ちゃん、こっちで私達と食べましょ?」

幼馴染「ひっぐ……うぅ」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:56:07.89 ID:x1VR8yCY0
放課後

幼馴染「あれ、男は?」

男友「男ならさっき帰ったよ。幼馴染ちゃんもいなかったから、一緒に帰ったと あ、走っていっちまった」

男友「あの二人……大丈夫かな」



幼馴染「男! まってよ! なんで先に帰っちゃうの!?」

男「来たんだ。これからは一人で帰る時も結構あるだろうし、慣れておいた方がいいんじゃないかな」

男「ほら、男友とか委員長なんかどう? 委員長はともかく男友はいつも一人っぽいしね」

幼馴染「そんなの知らない! 私は男と帰りたいの! ずっと、ずっと一緒にいてくれるって言ったのに!!」

男「僕は、そんなこと、言ってない。いられる時まで……そして、それが来週になっただけだよ」

男「そろそろ自立すべきだと思ってたんだ。×××僕、は、もうキミの面倒を見ることは、出来ない」

幼馴染「ぐすっ……男のいじわる!!! もういい!!」













男「…………」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:58:19.46 ID:x1VR8yCY0
そろそろ見直しタイムとかも入れた方がいい気がしてきた。
おやすみなさい。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/11(火) 00:06:30.20 ID:mKps5MLM0
メシウマ!
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 00:10:28.11 ID:03PacxKSO

委員長より断然男の主張が正しく見える
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2011/10/11(火) 00:28:08.66 ID:xqMoOG8C0
>×××僕
なんじゃこりゃ
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/11(火) 01:29:14.73 ID:P7mWPBuzo
幼馴染みは可愛いけど委員長うざいな
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 01:49:15.87 ID:xgsobkySO
他人にだけリスクを押し付け、当然の主張を糾弾する事しかしない委員長は死ぬべき
家の都合なのに一人で残れとか、あかの他人のお前が言う事じゃねえわな
家賃や食費、光熱費なんかも余分にかかるのに、それを負担する覚悟があるのかよ
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/11(火) 05:52:34.95 ID:YHqrxFcAO
シリアス入ったか、幼のageがどうたら見たかったのに
爺さん呼び捨て、MSより堅い防壁、何か武器はの三点以外は及第点だったんだが自分的に
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/11(火) 07:19:30.58 ID:hRzaP5m7o
>>192
最後は男友だよね?
二人そろってその状態だとさすがに・・・ww

>>200
そこはいつも「○○ちゃん」と呼んでたのけど
初めて幼馴染の名前を呼び捨てにした気がする
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/11(火) 13:02:52.27 ID:tKSi5e/AO
男さんちょっと厳し過ぎないですか
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 19:35:35.33 ID:qeo5/2KIO
愛のムチってもんよ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/12(水) 05:08:02.02 ID:Zr2Hs/p6o
池沼…?
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 09:32:40.26 ID:Je2ktgVpo
離れても一人で生きてけるように愛のむちなんだよ
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [saga]:2011/10/13(木) 19:13:11.82 ID:rC72R04Q0
ちょっと目を放している間に急にシリアル展開に
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/13(木) 19:20:11.02 ID:0WtIvcz8o
>>209
うまそうな展開だな
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:08:14.31 ID:8UnNYl6Q0
とある二人の会話に手こずり、一日投下が遅れました。悩んだその長ったらしい問答は結局お蔵入り。
上っ面の言葉といいたい本質に踊らされてふらりふらり。

多々の感想ありがとうございます。
ネタバレ的に、一切レスなしで最後まで突っ走ろうと思いましたが、無理。

>>198
ごめん、素で吹いた。
>>200
本来そこには接続詞が入りました。
やべ、種類によってニュアンス大分変わる→隠そう。歌詞とかでよくあるね×××→これでいいや!
>>199 >>201 >>201
そのように描いてしまった私が一番極悪なのかもしれません。
委員長ごめんなさい。靴舐めましょうか?
>>203
すみません、何度も読み直しましたが、自分には理解できませんでした。
何か深遠なる意図を以って書いてくださったのだとしたら、ごめんなさい。
>>204
見直しタイムとか言った傍からやらかしてますね。すみません。
丁寧に読んで下さってて、本当にありがたいことです。×××に対する考察、それでもよかったな……。
>>205 >>206 >>207 >>208
この回の男君、かなりの会話文をあえて削っています。
やりすぎかなと思ってましたが、ご意見を頂き、やはりよかったと勝手に完結しました。
>>209 >>210
あまり噛み砕いて読んではいけません。
言い回しや誤字の嵐に、もう我慢できない!
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/14(金) 00:10:35.14 ID:8UnNYl6Q0
屋上

男友「委員長、今日も迎えに行ったみたいだな」

男「そう……」

男友「そうって……幼馴染ちゃんのこと、あのままでいいのか?」

男「いいんじゃない? お昼とか帰りとかも、世話を焼いてるみたいだし」

男「男友みたいに一人になることはないだろうから、僕としては安心だけどね」

男友「さらりと人が傷付くことまぜてくるよな……まあいい、それは一先ずおいておこう」

男友「お前、本当の所はどうなんだ? 委員長もヤケクソになってる部分はあるが、やりすぎじゃないのか?」

男「……」

男友「……言いたくないなら言わなくていいけどよ」

男「……」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/14(金) 00:11:16.96 ID:8UnNYl6Q0
男「幼馴染ちゃんのこと、委員長が一番見てくれてると思うんだ」

男「何だかんだいって、結局大変な事を押し付けちゃった。……嫌われちゃっても仕方ないね」

男「ごめん、委員長」

男友「男、お前は……」

男「幼馴染ちゃんが、今までと変わらない生活を」

男「僕がいなくなっても、いままでみたいにまた笑って過ごしてくれたら、嬉しい」

男友「……」


男「……時間がないんだよ、もう」
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:12:15.83 ID:8UnNYl6Q0

幼馴染『男のバカーーーーー!!!!』

男『グホアアッ!!』

幼馴染母『幼馴染! 男君になんてことを! ごめんなさい……こら待ちなさい!』

男『……』

男母『……』

男母『さて、男。何であんな言い方したの? 理由によっちゃあ私も許さないわよ』

男『……』

男母『……言えないこと?』

男『……幼馴染ちゃん、すごくショックを受けてた。怒ってたけど、多分それ以上にもっと』

男『……』

男『もし僕が悲しんでたら、幼馴染ちゃんも悲しむと思う』

男『もし僕が笑っていても、それでも幼馴染ちゃんはやっぱり悲しむと思う』

男『だったら……いっそ嫌われた方が、うぐっ……幼馴染ちゃんは別れが辛くなくなるだろうから、ぐす』

男母『そっか……』
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:13:12.43 ID:8UnNYl6Q0
男母『男、あんたは小さい頃から幼馴染ちゃんと一緒だったよね』

男母『それが、こんなことで全てなくなっちゃうなんてもったいないと思わない?』

男母『場合によっては、幼馴染ちゃんをもっと傷付けてしまうかもしれないのよ?』

男母『私は、あんたのそのやり方間違ってると思う』

男『……』

男母『男……幼馴染ちゃんのことが大事?』

男『うん……』

男母『……分かった。だったら、口出ししない』

男母『その代わり、今のあなたにとって何が一番大切なことなのかを見つけること』

男母『期限は短いわよ。一週間精一杯考えて、そして動き回りなさい』
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:14:43.40 ID:8UnNYl6Q0



部屋

男「まだ部屋が片付かないや。身に覚えのないものもやたらとあるし……幼馴染ちゃんめ」

男「そういやいつも僕の部屋で遊んでたんだね……いつも、いつも」

男「このダブルオー……幼馴染ちゃんと作ったんだよな」

男「……はは、いい加減に組み立てたから酷い出来だこりゃ」


『男の言った通り、作るのも楽しいねー!』

『これで男とお揃いだね。やった。嬉しいなえへへへ』


男「……」

男(一番大切なこと……僕にまだ分からないんだよ……幼馴染ちゃん)


幼馴染宅

幼馴染母『幼馴染! 男君の引越しは明日なのよ!? 本当にいいの!?』

幼馴染母『部屋に閉じこもって……くだらない意地を張るのもいい加減にしなさい!』





「………………」

「あしたなんて こなければいいのに」
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:15:39.29 ID:8UnNYl6Q0
引越し当日/近所

男「今日でこの町ともお別れかあ……」

男(別れが辛くならないように……ね)

男(結局は幼馴染ちゃんを泣かせて、僕は何をやってるんだろう)

幼女「あれ、おにいちゃん?」

男「ん? キミは……えっと、前スーパーで会った」

幼女「うん! ちかくにすんでたんだね。えへへへー」

男「あの時は無理言っちゃってごめんね。我ながら大人げなかったと思うよ」

幼女「そんなことない。おにいちゃんがえらんでくれたごーぴんく、だいじにしてるよ」

男「そうかー。よかった。そういってくれると助かるよあはは」

幼女「いまおへやにかざってあるんだけどね、ぜんぶあつめちゃった!」

男「……僕はキミの将来に関してそこはかとない不安を感じているよ」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:16:21.87 ID:8UnNYl6Q0
幼女「……おにいちゃん、なんかかなしそう。どうしたの?」

男「悲しそう、か……うん。そうだね。多分悲しいんだと思う」

男「僕さ、あの時一緒にいたお姉ちゃんと喧嘩しちゃったんだ。全部……全部僕が悪いんだ」

幼女「ふーん……」

幼女「ね、あのおねえちゃんがすきなの?」

男「好き? え、うん。好きだよ……」

幼女「わたし、おとうさんもおかあさんもだいすきだよ!」

幼女「でもねー、ほかにもすきなひといるんだ」

男「へー。好きな人が沢山いるのはいいことだね。お友達かい?」

幼女「それはひみつ! でね、そのひと、わたしのことかわいいっていってくれたんだ」

幼女「そのひとがえらんでくれたものは、わたしのいちばんのたからもの!」

男「中々ませたガキだな。最近の子はどうも大人びてて恐ろしいよ……」

幼女「……おにいちゃんって、もしかしてにぶいひと?」

男「鈍い? 僕も色々苦労してるんだぞ。これでも気を遣える人間だと自負してるよ、ふっ」

幼馴染「あっそ……」
219 :>>218の最後幼馴染→幼女 [sage saga]:2011/10/14(金) 00:17:42.40 ID:8UnNYl6Q0
幼女「ねえ。おにいちゃんは、おねえちゃんがすき?」

男「え? だから、好きだけど……」

幼女「おとうさんよりも? おかあさんよりも?」

男「そりゃ、親と幼馴染ちゃんは……」

男(……親と幼馴染ちゃんは違う。何が違うの?)

男「……」

男「……」

幼女「んー、そんなにむずかしいことかな?」

幼女「おとうさんとおかあさんはふわーってしててぱーっとしてて」

幼女「おにいちゃんもふわーってしてるんだけど、でもくーってするの」

男(ふわ? ぱー? くーっ? ……同じだけど同じじゃない)

男(…………)

男(……そうか、分かった)

男「そうなんだ……大切なことって。そうだったんだ」

男「ごめん、僕今から行かなくちゃいけない。ありがとう。えーと……」

幼女「ようじょだよ! ちゃんとおぼえてね!」

男「うん。幼女ちゃん……本当にありがとう」

幼女「よかったね!」

男(近すぎたのかもしれない。もっと同じ目線に立つべきだったのかもしれない)

男(こんな簡単なことに今までずっと気付けなかったけど、でも間に合ったんだ)

幼女「いってらっしゃい!」




幼女「……ばいばい、お兄ちゃん」
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:19:10.01 ID:8UnNYl6Q0
幼馴染宅

男「おじさん、おばさん! 幼馴染ちゃんは?」

幼馴染母「あの子、男君が引っ越す日だっていうのに部屋から出てこないのよ」

男「そっか……」

幼馴染母「まったく……今呼んでくるからね」

男「あ、このままでいいです。できたら後で……今まで辛く当たっちゃったことごめんって、伝えてくれれば」

幼馴染母「そんな……会えなくなるなら、それこそ直接伝えた方がいいでしょ?」

男「もしそれで泣かれちゃったら、僕自信がないので……ってちょっと我侭ですよね」

幼馴染母「……男君、この前言いかけたことなんだけど……」

幼馴染母「そのね、もしよかったらウチに下宿してもいいのよ?」

幼馴染母「部屋も空いてるし、男君なら全然問題ないから……」

男「……ありがとうございます。僕、幼馴染ちゃんと一緒にいたい」

幼馴染母「そう! だったら」

男「でも、ごめんなさい。折角のお誘いなのに……ごめんなさい」
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:20:50.22 ID:8UnNYl6Q0
幼馴染父「……どうしてだい?」

男「僕、大切なことを見つけたんです。やっと。遅すぎたのかもしれないけど」

幼馴染父「……」

男「それで、きっと幼馴染ちゃんとの関係、今のままじゃいけない気がして。今更かな、あはは」

幼馴染母「!!」

男「だから、一度距離を置いてみるのも……意味があるんじゃないかって思うんです」

男「あ、これ。幼馴染ちゃんに渡しておいてくれますか?」

男「これ、初めて一緒に作ったプラモなんです……なんか恥ずかしい台詞ですね」

幼馴染父「でも、いいのかい? 男君が持っていた方がいいと思うんだが」

男「幼馴染ちゃんに……持っていて欲しいんです。僕には、もう必要ないから」

幼馴染母「必要ないって……」

幼馴染父「いや、分かった。これは幼馴染に渡しておくよ。転校先でも頑張ってくれよ」

幼馴染母「ちょっと、あなた……」

男「はい! それじゃ……おじさん、おばさん、今までありがとうございました。また、いつか」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:22:23.99 ID:8UnNYl6Q0



幼馴染父「またいつか、か……。」

幼馴染母「……本当にいいのかしら。あの子はきっと……」

幼馴染父「ああ。この後は暫く苦労するだろうね。でも、俺達はあいつの親だろ?」

幼馴染父「彼がまた幼馴染に手を差し伸べてくれるのならば、それまで支えてやればいい」

幼馴染父「その時まで待ってるよ、男君」




男母「おかえり……そろそろ出発するけど、もういいの?」

男「うん。全部が全部上手くいったわけじゃないけど、今はこれでいいんだ」

男母「及第点ってとこか。でも……ふふ、見つけたみたいね」

男(幼馴染ちゃん……僕の気持ちがもっとはっきりしたら、必ず戻ってくるよ)

男(だから、それまでは……さよなら。またね)
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:23:29.36 ID:8UnNYl6Q0
ここでfinとか書いたら綺麗に終わりそうな感じですが、まだ続きます。あと3回くらい。
俺の望む究極のニヤニヤまであと少しだ! おやすみなさい。
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2011/10/14(金) 00:40:15.66 ID:7ARH7kgm0
ゴーピンクが繋いだ絆、か…………
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/14(金) 01:30:24.91 ID:/BJ2M2VJ0
乙かれさん
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/14(金) 01:44:13.69 ID:U2JIAz7AO
>>218で幼馴染みが部屋から出てきてる件について
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 01:55:23.70 ID:mMrsYxOSO
>>226
馬鹿野郎、部屋で地図帳を見てたらたまたま阿蘇山が目に入って、思わず男に届くぐらい大声で呟いちゃっただけに決まってるだろ
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 02:01:01.51 ID:RhoIc1oIO
>幼女「……おにいちゃんって、もしかしてにぶいひと?」

>男「鈍い? 僕も色々苦労してるんだぞ。これでも気を遣える人間だと自負してるよ、ふっ」

>幼馴染「あっそ……」


!?
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 02:06:42.49 ID:rVV1aP+yo
>>226->>228

ちゃんと>>219の名前欄見てやれよ…
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 02:09:33.43 ID:pVRjKRm3o


反応してるのが全部もしもしという気持ち悪さ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 02:14:18.22 ID:rVV1aP+yo
この時間だからな
もしもし片手に布団で2ch ってヤツもいるだろう

>>1 乙です
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 09:33:38.94 ID:svRQOq7Zo
えんでぃんぐまでなくんじゃない
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 12:08:57.82 ID:e5v3jXuIO
ゴーカイピンクェ…
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/14(金) 18:00:03.55 ID:SPfvoOvb0
メシウマだったのにメシマズの匂いがしてきたでござる
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 18:03:47.08 ID:EJRgzTNpo
イエローの方が可愛いと思うの
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:35:27.95 ID:Y3zyRpvf0
期日を設定しないとダラダラ全く進まないことが発覚した!
投下後に自ら縛りを科します。

>>224 >>233 >>235
戦隊物はメインヒロインよりも、もう一人の女性が……ってケース多いですよね。
中学の頃からその説を熱弁していた友人は、もしかしたら天才なのかもしれない。
>>225->>231
見直しタイムどうの言った傍から、全くやってないことが早くも露呈してしまいました。
恐ろしい話です。……や、すみません。ちゃんとチェックして下さってありがとう。
この幼馴染は阿蘇山をちゃんと読めるかどうか不安ですね。
あと、先日初めて携帯から見てみたんですが、上に出てくるエロエロなバナーが気になって仕方ない。
>>232
もし貴方様の心を揺さぶらせることが出来たのならば、とても光栄です。
>>234
またあなたか!!! 折角なのでメシウマ番外を2レスくらい捧げようと思ったのですが……。
投下の時間が迫ったため無念断念。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/16(日) 23:37:38.47 ID:Y3zyRpvf0
11月1週目/元男宅前

ご近所「あら、幼馴染ちゃんじゃない。空なんか見上げて、どうしたの?」

幼馴染「んー……」

ご近所「こんな所で立ってると風邪ひいちゃうわよ? 制服だと身体も冷えるでしょうし」

幼馴染「大丈夫だよ。そんなに寒くない」

ご近所「若いのね……見てるのって、あの部屋? ○○さん引越しちゃったから今は誰も……あっ」

ご近所「ははーん、男君か。彼も罪作りな子ねェ。こんな可愛い子を置いてくなんて」

幼馴染「……」

ご近所「ウチのバカ息子ならノシつけてあげるから、いつでも言って頂戴ね」

ご近所「あーゾクゾクしてきた……幼馴染ちゃんも早く家に帰るのよ?」


幼馴染「…………」
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:38:51.97 ID:Y3zyRpvf0

幼馴染「ただいまー」

幼馴染母「おかえりなさい。随分寒そうな顔してるわね……」

幼馴染「男の家にいたんだよ」

幼馴染母「男君の家って……中に入ったの?」

幼馴染「ううん、外から部屋みてた」

幼馴染母「……」

幼馴染「男……メールも電話も、ほとんどくれないんだ」

幼馴染母「そう……」

幼馴染「嫌われちゃったのかな」

幼馴染母「幼馴染……嫌ってなんていないわよ、男君は」

幼馴染「そっか。よかった。手を洗ってうがいしてくるね」

幼馴染母(男君……これが本当に正しいの?)
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:40:04.00 ID:Y3zyRpvf0
部屋

幼馴染「むむ、むむむむむむ……」

幼馴染「ぐがーー、フォーチュンとストレングスが倒せない」

幼馴染「もういいや、別のゲームやろっと。久しぶりにペドハン(3rd)かなー」

『幼馴染ちゃん、協力プレイなんだから一人で突撃しちゃ駄目だよ』

幼馴染「……」

幼馴染「……あ、そういえばパパが新しいプラモデル買ってきてくれたんだ」

幼馴染「このガンダム女の子みたい。髪の毛あるしリボン付けてる」

幼馴染「さてー、ニッパーでちゃんと切り取るんだよね」

幼馴染「パチパチ、パチパチ めんどくさいからブチブチー」

幼馴染「……」

幼馴染「……つまんない」
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:40:55.25 ID:Y3zyRpvf0
11月2週目/教室

委員長「おはようございます」

幼馴染母「おはよう委員長さん。あの子のこと、ありがとね」

委員長「いえ、私の好きでやってることですから……気にしないで下さい」

幼馴染「委員長、おはよー」

委員長「幼馴染ちゃんおはよ。それじゃ行こっか」

幼馴染母「あ、あとこれ。委員長さんお願いね」

委員長「わかりました。いつもお疲れ様です」

幼馴染「お弁当?」

委員長「そ。今日も一緒に食べましょ」

幼馴染「うん」
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:43:06.07 ID:Y3zyRpvf0
教室

男友「心配したけど、大分落ち着いてきたみたいだな」

委員長「……あの子、時々ね」

委員長「今貴方が座ってる席を見て、不思議そうに首を傾げてるのよ」

男友「え!? も、もしかして俺の事を気にしちゃったりとか!?」

委員長「目障りって点では気にしてるかもしれないわね」

男友「……」

先生「そこ、男の席だったからな。まだ実感がないんだろう」

委員長「先生」

先生「本当に大切な人と別れたりすると、暫くはそんなもんだよ」

委員長「じゃあ、幼馴染ちゃんは……」

先生「委員長、お前男と喧嘩したままなんだろ。先生、仲直りした二人が見たいなー?」

先生「あ、ちなみに仲直りしても委員長ルートとかないから安心しろ」

委員長「はぁ?……別に私は……」

男友(……)
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:44:00.75 ID:Y3zyRpvf0
11月3週目/繁華街

委員長「今日は『地下鉄』に寄っていきましょ。幼馴染ちゃんはサンドイッチ好き?」

幼馴染「サンドイッチ? たまごとか好きだよ」

肉食系クラスメイト女子「アタシは肉だね、肉! 血のしたたるような牛肉とかたまらないわー!」

草食系クラスメイト女子「この野蛮人め……くさいくさい! ケモノくせーんだよお前!」

肉食クラ女「んだとォ? アンタこそ青臭い葉緑体女じゃないか! 家帰って光合成でもしてなよ」

委員長「二人とも醜い争いはやめなさい。どうせバカみたいに食べるんだから似たようなもんでしょうに」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:46:40.23 ID:Y3zyRpvf0
サンドイッチチェーン『地下鉄』

幼馴染「私このたまごが食べたい」

店員「パンはどちらにしますか?」

幼馴染「??」

委員長「あ、おまかせでお願いします。私も同じで。二人は決まった?」

肉食クラ女「ローストビーフにクリームチーズとミートとベーコンを5倍トッピングでマヨネーズたっぷり」

店員(なんだその注文……。5倍? フットロングか?)

店員「サイズは……ロングで?」

肉食クラ女「違う……パーティトレイだ……」

店員「え……っと、皆さんでご一緒のメニューということでよろしいでしょうか?」

肉食クラ女「何言ってんだ? アタシ一人で食べるに決まってんだろ」

店員「す、すみません……」

草食クラ女「私これね、これ」

店員(ど、どれだ……手を突き出されてもわからんぞ……)

店員「ア、アボガドべジーですね?」

草食クラ女「テメェの眼は節穴か? この四つ指さしてんの見えねーのかよ。これを2倍だ」

店員(指4本で同時注文だと……)

草食クラ女「あとポテトM5個な。面倒だからテイクアウト用の袋に全部入れて」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:48:33.06 ID:Y3zyRpvf0


肉食クラ女「ね、ね。幼馴染ちゃん、アタシのあげるからさ、それ少し食べさせて!」

幼馴染「ん? いいよ。はい」

肉食クラ女「へえー。アブラは少ないけどこれもうまいじゃんムシャムシャムシャ」

草食クラ女「お前の食べ方きたねーんだよ。原始人でももっとマシに食えるっつの」

肉食クラ女「はぁ? アンタの顔のがよっぽど汚いし。ほらムッシャムッシャムッシャ!!」

幼馴染「顔汚れてるの? じゃあ拭いてあげるね」

肉食クラ女「アハハハ! 幼馴染ちゃんほんとかわいいな。ほれあーん」

幼馴染「あーん。モグモグ」

草食クラ女「抜け駆けしやがって貴様! くそっ……おい幼馴染ちゃん私のも食え!」

委員長(品位が致命的に欠如してるのはアレだけど、うまくやってるみたいね……よかった)
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:49:58.07 ID:Y3zyRpvf0



委員長「あの二人の胃袋、どういう構造してるのかしら……」

幼馴染「ねえ委員長」

委員長「ん、なぁに?」

幼馴染「ありがとう」

委員長「どうしたの急に?」

幼馴染「いつも迎えに来てくれたり、お昼一緒に食べてくれたり、それに帰る時も」

委員長「かしこまってお礼なんて、幼馴染ちゃんらしくないわよ」

委員長「それに、友達ってのはそんなことでお礼を言い合うものじゃないでしょ?」

幼馴染「うん……あ、ここまでで大丈夫だよ」

委員長「そう? 気を付けてね。それじゃまた明日」

幼馴染「ばいばーい」


委員長(なんだろう……さっきの幼馴染ちゃんは、どこか……)

委員長(私の思い過ごしだといいのだけれど……)
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:51:15.73 ID:Y3zyRpvf0
11月4週目/学校

学校女医(ん? あそこにいるのは……)

学校女医「幼馴染君、久しぶり。元気にしているかね?」

幼馴染「保健室の先生。こんにちはー」

学校女医(……あまり顔色がよくないな)

学校女医「失礼、少しおでこを触らせてもらうぞ」

学校女医(……熱や火照りはない。また寝不足か? いや、恐らく……)

幼馴染「……」

学校女医「とりあえず保健室にきなさい。先日中々いい物が手に入ったんだ、ふふっ」
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:53:02.57 ID:Y3zyRpvf0
保健室

学校女医「どうだね、このたまごかけごはんスナックは?」

幼馴染「生っぽい味がしておいしくないかも……」

学校女医「そ、そうか。キミになら分かってもらえると思ったのだが……」

学校女医「この関東風、無駄に再現度が高いんだ。フリトレーの迷走ぶりは今にはじま」

幼馴染「……」

学校女医「……オホン。本題に入らせてもらおう」

学校女医「最近寝不足とか、食欲不振とかそういうことはないかね?」

幼馴染「ちゃんと食べてる……よ」

学校女医「……そうか、やはりな」

学校女医「率直に言わせてもらうが、キミの不調の原因。男君だろう? 話は聞いているよ」

幼馴染「……」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:54:41.46 ID:Y3zyRpvf0
学校女医「物心付く前から一緒にいた相方が急にいなくなったんだ。ショックを受けるのも無理なかろう」

学校女医「ま、今生の別れというわけでもないし、どうしても会いたいならば会えるんだ」

学校女医「連絡手段だって、今ならいくらでもあるだろう。携帯とか、メールとか」

幼馴染「……」

学校女医「……いや、すまない。どうも恋愛事には疎くてな。一般論みたいなアドバイスしかできないんだ」

学校女医「……」

学校女医「その、恋愛で一つ伺いたいんだが、キ、キキキスをするというのは、やはり男に責任を取らせる手段となり得るのか?」

幼馴染「え、そうなの?」

学校女医「なに!? その反応、も、もしかして違っていたのか? 不味い、不味いぞ。だとしたら私は大恥を……」

幼馴染「先生汗がダラダラでてるけど大丈夫?」

学校女医「い、いやなんでもないんだ。なんでもない、ハハハハ……」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/16(日) 23:56:49.87 ID:Y3zyRpvf0
学校女医「と、とにかくだな。健全な精神と肉体は食によって成り立つ」

幼馴染「このお菓子でもいいの?」

学校女医「む! う、うるさいこれは別だ! フリトレーの新製品を賞味できるならば健全などどうでもいいんだ!」

幼馴染「顔が真っ赤だよ。動揺ドキドキ?」

学校女医「はぁはぁ……キミは思ったよりも厄介な子だな」

学校女医「まあいい。ちゃんと食事をとるように。それだけでもふさいだ心持ちも大分楽になるぞ?」

幼馴染「……はい」
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/17(月) 00:01:02.03 ID:y3ulqoLq0
11月5週目/自宅

幼馴染「ごちそうさま」

幼馴染母「また? ここのところご飯残してばっかりじゃない」

幼馴染「お腹すいてない……」

幼馴染母「そんなことしてると身体壊すわよ? ほら、ちゃんと食べなさい」

幼馴染「いい。いらない」

幼馴染母「幼馴染! あんまり我侭言うとママも怒るわよ!?」

幼馴染父「まあまあ、ママもそんなに怒ってると血管が切れるぞ?」

幼馴染母「パパ! そんなふざけてないで注意しなくちゃ駄目でしょ!」

幼馴染父「いやあ、父親ってのはどうも娘に弱くてねえ」

幼馴染母「あんたら二人は……いい加減にしなさい!!」

幼馴染「もういい! ママなんて嫌い!!」

幼馴染母「幼馴染! ちょっと待ちなさい! はぁ……」

幼馴染父「あらー、ママさん嫌われちゃ ゲフッ」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/17(月) 00:07:27.94 ID:y3ulqoLq0



幼馴染父「箸で人をさすなんてよくないぞ。刺すのはもっとよくない」

幼馴染母「あなたが悪いんでしょ。あんな時に茶化す親がいるもんですか」

幼馴染父「今まではそれでも特に問題なかったじゃないか。違うかい?」

幼馴染母「……やっと、大丈夫だと思ってたのに。特にここ一週間、またあの時みたいに」

幼馴染父「こんな時、男君はどうやってあしらってきたんだろうね」

幼馴染母「……ひょっとして、男君にはとんでもない負担を強いてきたんじゃ……」

幼馴染父「そうかもしれないな」

幼馴染母「でも、それでもやっぱり……無理にお願いしてでもこっちに戻ってきて……」

幼馴染父「で、また男君に気苦労を押し付けるのかい? とんだ親がいたもんだ」

幼馴染母「そんな、そんな言い方!!」

幼馴染父「俺は彼を信じたいんだ。あの日の彼の目、見ただろ?」

幼馴染母「目とか……そんなこと言われたって分からないわよ……」

幼馴染父「男ってのはそういうのに憧れるもんだよ」

幼馴染父(とはいえ……流石にそろそろ厳しいぜ、男君)




幼馴染「ハチ、元気ない。もう秋だっけ」

幼馴染「ママに嫌いって言っちゃった。あとで謝らないとね……」

幼馴染「……」

幼馴染「ほら、逃げていいよ。ずっと虫かごに入れたままでごめんね」

スズメバチ「……」


幼馴染「男も……   だったのかな」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 00:12:09.78 ID:F5ge7PSDO
なんかもういろいろとあれだな
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/17(月) 00:13:01.10 ID:y3ulqoLq0
予定では残り3話です。17〜18日にひとつ、20日までにひとつorふたつ、22日までにラスト投下。
それではおやすみなさい。いつも読んで下さって感謝。最初に書き忘れてました。失敬。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 00:16:51.14 ID:hHWi//sBo
乙乙。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/17(月) 00:16:53.83 ID:lAlF6g/Uo
乙でした。すっかり幼馴染が大人しくなってしまって別人のようですね。
ちょっとかわいそう。
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 00:16:56.35 ID:hHWi//sBo
乙乙。
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 00:21:11.24 ID:hHWi//sBo
うわ、連投すまん
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/17(月) 00:26:18.73 ID:oClvysC2o
父さん・・・
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 01:31:40.13 ID:lBDzOggIO
うちの施設にいる障害者まんま幼馴染と同じような言動だわ
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/17(月) 01:49:57.35 ID:PgDv2L2r0
プークスクス
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/18(火) 13:39:24.80 ID:Y8MVn38io
乙したああああ
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/18(火) 15:55:40.61 ID:1wjigGu90
       iイ彡 _=三三三f           ヽ
        !イ 彡彡´_ -_=={    二三三ニニニニヽ
       fイ 彡彡ィ 彡イ/    ィ_‐- 、   ̄ ̄ ヽ     し  ま
       f彡イ彡彡ィ/     f _ ̄ ヾユ  fヱ‐ォ     て  る
       f/ミヽ======<|-'いシ lr=〈fラ/ !フ    い  で
       イイレ、´彡f        ヽ 二 _rソ  弋_ { .リ    な  成
       fノ /) 彡!               ィ     ノ ̄l      .い   長
       トヾ__ら 'イf     u    /_ヽ,,テtt,仏  !     :
       |l|ヽ ー  '/          rfイf〃イ川トリ /      .:
       r!lト、{'ー‐    ヽ      ´    ヾミ、  /       :
      / \ゞ    ヽ   ヽ               ヽ /
      ./    \    \   ヽ          /
   /〈     \                 ノ
-‐ ´ ヽ ヽ       \\     \        人
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:36:30.46 ID:PQqwpNcj0
何とか期日までに投下。予定表なんて大嫌いだ。
次が一番大変になるのに、私はなんという縛りをしてしまったんだ!

>>252
前半見ていきなりコレだと、なんだこりゃ状態でしょうね。
ですが、全て予定通りッッ!!!!
>>254 >>256 >>257
思いは伝わりました。ありがとうございます。
と、その日はやたら重かったですよね。度々苦悶の表情を浮かべながら書き込み完了を待ってました。
>>255
男がどれだけ大事だったかということを表現したかったのですが、ちいと行き過ぎたかもしれません。
だがしかし、今回投下したのを読んで下さったら、お前何言ってんのとなることうけあい。
>>258
父さんは扱いが難しいです。この人動かしたら全部解決してしまいそうで。
>>259 >>260
不謹慎な発言かもしれませんが……。
もし私の文章で何がしかのリアリティを感じて下さったのならば、それはそれで嬉しいです。
>>261
よく見かける乙コメの方ですね。
そうだとしたら、毎回本当にありがとうございます。
>>262
そのAA及び使い方は、男君の気持ちをまっこと如実に表現していると思います。
私も、あとはキーボードに両手をそえるだけ……じゃダメですね。はい。
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/18(火) 23:38:06.94 ID:PQqwpNcj0
12月2週目/自宅

委員長「幼馴染ちゃん、入るわよ?」

幼馴染「委員長……」

委員長「学校、また行きたくない気分になっちゃった?」

委員長「あの馬鹿二人も心配してるしさ、私も、その寂しいし……あ」

委員長「目が真っ赤……もしかして、泣いてたの?」

幼馴染「んーん、泣いてない……委員長来てくれて嬉しかったよえへへ」

委員長(まただ……なんでそんな笑い方をするのよ……)

幼馴染「ねね、これ、男からのメールなんだ」

委員長「男……君と連絡が取れたの?」

幼馴染「たくさんあるでしょー?」

委員長「……」

委員長「なによこれ……ずっと前のメールばかりじゃない……」

幼馴染「これ見てるだけでも、男が近くにいる気がするんだ」

委員長「幼馴染ちゃん、あなた……」

幼馴染「あとほら、男が引っ越す時に持ってきてくれたの。ダブルオー。委員長知ってる?」

委員長(このままでは)

幼馴染「こっちのセブンソードも一緒に作ったんだよ。誕生日にくれたんだあ」

委員長(このままでは、幼馴染ちゃんの心が壊れてしまう……)
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:39:21.33 ID:PQqwpNcj0
12月3週目/水族館

男友「寒い……マジで寒いんだけど……」

委員長「館内に入るまで我慢しなさい」

男友「幼馴染ちゃん、本当にここに来たいって言ったのか?」

委員長「ええ。どこか行きたい所があるか聞いたら、水族館って」

委員長「家に閉じこもったままにさせてるくらいなら、この際何処でもいい……」

男友「でもまあ水族館か。観たいもんでもあんのかな」

委員長「……視えるモノだったらいいんだけどね」

男友「なんだそりゃ?」

委員長(きっと、以前ここには……)
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:41:01.63 ID:PQqwpNcj0
サメコーナー

男友「サメコーナーか。幼馴染ちゃん、結構マニーなんだな……」

幼馴染「サメの映画って面白いんだよ。今度教えてあげるね」

幼馴染「あ、ほら見て! まだジョーズが飾ってあ……」

幼馴染「……」

男友「??」

委員長(やっぱり……)


ペンギンコーナー

幼馴染「……」

男友「随分熱心に観てるな。俺もペンギン嫌いじゃないけどよ」

委員長「男友がペンギン好きってのも意外ね」

男友「ピングー好きだからな。ナスナー!」

委員長「ピングーってそんな変な鳴き声だったかしら……」

『ピングーってそんな汚い鳴き声だったっけ……』

幼馴染「!!」

男友「え? どしたの幼馴染ちゃん? 俺何か変なこと言った?」

幼馴染「……なんでもない」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:42:13.55 ID:PQqwpNcj0
アザラシコーナー

インストラクター「ごめんなさい、今はアザラシショーお休み中なの」

インストラクター「ほら、あっくん謝りなさい。あの時お姉ちゃんを叩いたでしょ?」

アザラシ「……」

幼馴染「いいよ。多分私が悪かったんだよね」

アザラシ「……」

幼馴染「怒ってくれる人がいるだもん、大切にしなくちゃダメだよ」

アザラシ「キィ」

幼馴染「ん……なでてくれてるの? ありがとうね、アザラシ」


インストラクター「……あの子、何かあったの?」

男友「……ずっと一緒にいたおさななじみが引っ越しちゃったんですよね」

男友「あとは、まあ色々……説明していいものか」

インストラクター(……あの時一緒にいた男の子かしら)

インストラクター「部外者の私が言うのも失礼だと思うけど、不味いよ」

インストラクター「事情があるにせよ、何とかそのおさななじみの子と会わせてあげるとかさ」

男友「……」

委員長(私は……私がしなくちゃいけないのは……)
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:43:52.16 ID:PQqwpNcj0
帰り道

委員長「幼馴染ちゃん、私間違っていたのかもしれない」

委員長「男君のこと何とかするから、もうそんな」

委員長(そんな、悲しい顔をしないで)

幼馴染「……男は」

幼馴染「私の事をずっと助けてきてくれたんだ」

幼馴染「でも、その分だけいっぱい迷惑かけてたのかもしれないね」

幼馴染「私もっと自分で頑張らなくちゃいけないんだと思う……だけど」

幼馴染「……」

幼馴染「委員長、男友。来週からちゃんと学校行くから大丈夫だよ」



男友(男……まだなのかよ……もうこれ以上は無理だぞ)
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:48:33.51 ID:PQqwpNcj0
12月4週目/学校調理室

実習担当「今日はクリスマスにちなんで、ケーキを作ります」

実習担当「材料にあんこを使いましょう。洋菓子一色などクソ食らえ」


委員長「幼馴染ちゃん、初めて作ったの? 結構上手じゃない」

幼馴染「うん。頑張ったよ。男に見せたかった……な」

委員長(……ッ)

実習担当「ほう、つまり大切な人を想って作ったというわけですね」

幼馴染「……」

実習担当「ではラッピングでもして、後でその方に食べさせてあげるといいかもしれません」

委員長「ちょっと! 先生やめてください!」

実習担当「んんん? 何か間違ったことでも言いました?」

幼馴染「……いない」

幼馴染「……食べさせてあげたいひと、いない」

クラ男「じ、じゃあ俺が貰っちゃってもいいかな?」

肉食クラ女「テメエはアタシの拳でも食らってな!」

クラ男「モボモガ!!」

幼馴染「うっ……くう……」

幼馴染「ぐす……男……やっぱりいや……いないといやだ」

委員長「お、幼馴染ちゃん……」

幼馴染「あいたい……男にあいたいよう」

幼馴染「ひっく……うわああああん!」

委員長(ダメだ! 私じゃこの子を、幼馴染を……!!)

委員長(男君! もし貴方が怒ってるなら、謝るから!! だから) 

委員長(だから幼馴染を助けてあげて! お願い!!)
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:49:50.57 ID:PQqwpNcj0
12月5週目/地元

男「こっちはあったかいなぁ……まあ向こうは寒いからね。死ねる寒さだよあれ」

男「……そんな経ってないはずなのに随分懐かしいや」

男「できればもう少し時間が欲しかったんだけど……そんな時間はなかったんだ」

男(……ごめんね、幼馴染ちゃん。僕、また独りよがりになっちゃってた)

男「さてと、それじゃ行こう。覚悟はできた。今日は……長い日になりそうだ」
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 23:51:31.74 ID:cY92ioJOo
よしよしよし、頑張れ男!
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:52:43.85 ID:PQqwpNcj0
この回が最下層となります。あとは気合入れて上げてくだけです。
20日までにひとつorふたつ、22日までにラスト投下。状況によっては、22日に一括投下も考え中。
おやすみなさい。
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 23:54:39.14 ID:LIO7HJiDO
乙!!

男・・・これに関しての代償は大きいぞ・・・
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 23:55:03.53 ID:cY92ioJOo
乙っした!

私事だが明後日入院しちゃうんで、次の投下はまだしも、結末は退院してからでないと読めそうもない。

が、期待している!
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/19(水) 00:00:02.21 ID:3jnZyjo8o
乙乙。

なんかいろいろ心が痛くなった……
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 00:11:34.57 ID:QnmTVLst0
>>271 >>274
明後日までに完結させます。
他の方へのレスは次の投下時に。失礼しました。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 00:23:07.59 ID:Yip1oILJo
>>276
いや、まて そんな無理して早く書けなんていう意味じゃなくてだな
戻ってきてからゆっくり読むから、頑張って完結してくれよ 的な
あわててハンパになってもイカンからな。自分のペースで最後まで書き上げてくれれば嬉しい。

でもそんな風に言ってくれる>>1の心意気も嬉しい。ありがとう。
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 21:22:23.71 ID:T0C2NfwDO
いつまでも子供じゃいられないよなぁ
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/19(水) 21:33:11.82 ID:j00ugnLAO
登場人物の考えてることがイミフなのは俺だけじゃないはず
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/19(水) 21:37:28.29 ID:d0KG+kLno
>>279
そこは気にするなよ
委員長と両親は嫌いだけど
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/19(水) 21:45:02.59 ID:CR5L0pydo
感情移入しすぎて同じ舞台に居るつもりで接してたら腹が立つ言動も多いが
一歩下がって落ち着けば結構色々考えさせられるよ
序盤のドタバタも軽く楽しめて好きだがシリアス展開も重い中に面白さを感じてる
ただこのまま鬱展開で終わったら立ち直る自信無いけどなww
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/20(木) 14:29:48.40 ID:QHAlyQA9o
いいところでおわったなぁTT
続きハリーハリー
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/20(木) 17:03:47.46 ID:gEOm7+HRo
乙した
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 00:02:21.53 ID:t6f6aNZIO
20日までに一本っていったじゃないですか〜
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/21(金) 23:17:25.38 ID:hgMplrLI0
oh...20日までに、入院予定の方へ完結提供する予定が……。すみませぬ。
皆が寝静まった頃に投下します。20日と22日分を合わせた最終。書き終れば!!
また、登場人物の行動が分かりにくいという意見がありましたため、簡単な説明も併せて載せておきます。
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/21(金) 23:22:16.92 ID:8/Ly30hko
おぉ来たか
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/22(土) 05:46:33.76 ID:scmVbpgW0
うおおおおおおおおおん!!!! 途中で寝ちゃいました!
キリいいところまで投下して、また寝ます! 残りは起きてからで勘弁してつかぁさい。
などと抜かしつつ、レスをシコシコ書いてました。

>>271 >>274 >>277
入院前に完成するどころか、投下予定ギリギリ状態です。
本当に申し訳ありません。貴方様がまた無事退院できる日を祈り、頑張って書き切ります。
>>273
男にはこの後、最後まで頑張ってもらうことになります。
>>275 >>278
展開の為とはいえ、幼馴染を過酷な状況に追い込んだ私はとんでもねえヤロウだ!
>>279 >>280
伝えたいことを隠せ、秘せとばかりにやってきましたが、それを通り越して説明不足となってしまいました。
両親と委員長を悪役仕立てにしてしまったのも。己の不徳の致すところです。指摘ありがとう。
>>281
こう読んでもらいたい、と思って書いてること全てを汲んでくださって嬉しい限りです。
鬱エンドにはしないつもりなので、ご安心下さい。自分もニヤニヤ出来なくなる。
>>284
すみません、すみません。余裕こいてました。
22日完結は確定なので、何卒最後までお付き合いを。
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/22(土) 05:49:23.45 ID:scmVbpgW0
登場人物設定(引越し後)

・男
引っ越して以降、親しい地元知人との連絡を絶っています。
男なしの世界でも幼馴染に上手くやっていって欲しい、という思惑でしたが、それが裏目に……。
また、幼馴染とのこれからの関係に、何かとても強い決心を抱きつつあるようです。

・幼馴染
男と会えぬ日々に、彼女も変化を見せはじめました。
依存脱却と自立を少しずつ理解し始めたものの、そこに男がいないという事実は変わりません。

・委員長
売り言葉に買い言葉。自分が幼馴染を支えてやらねば、と躍起になっています。
しかし、日に日にかげりを見せていく幼馴染に彼女は……。

・男友
男の本心を知る、数少ない人物。
どうやら、たまに男と連絡を取り合っているようですが……。
これは、男が地元に戻ってくることと繋がります。

・幼馴染両親
お母さんは、以前の明るさを失いかけている幼馴染に心を痛めていました。
そして、男の幼馴染に対する包容力が尋常ではないこと、その必要性を改めて知る事となります。

お父さんは男の、幼馴染に対する想いに変化が生じた事に気が付きました。
それが何かの形になるまで、出来るだけ見守り続けるスタンスをとるようです。

まだわかんねえよボケ! って場合は完結後にでも。
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/22(土) 05:50:31.35 ID:scmVbpgW0
12月5週目/地元駅前

幼馴染「男だーーーーー!!」

男「ゲフッ! 久しぶりの衝撃、心地よいやら痛いやら!!」

幼馴染「ふふふふーーー」

男「感極まってるとこ申し訳ないけど、すこーし離れてくれるかな? 流石にこの抱擁体勢は……」

幼馴染「……わがまま言ったら男に嫌われちゃうもんね。わかった……」

男「……」

男「いや、やっぱりこれでいいよ。その代わり腕でいいかな? 歩きにくいしね」

幼馴染「……うん!」

男「それじゃ、いこっか」
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/22(土) 05:52:24.78 ID:scmVbpgW0
繁華街

幼馴染「北海道ってどれくらい寒いの?」

男「家の中はそれ程でもないけど、外はきついよ。まあ、慣れなのかもしれない」

幼馴染「洗濯物をふりまわせばそれで乾いちゃうんでしょ? 便利だね北海道」

男「幼馴染ちゃん何処の話してるの? いくらなんでもそこまで寒くないから……」

幼馴染「そうなんだ」

幼馴染「……今の学校は楽しい?」

男「楽しいというか、忙しいね。周りは全く新しい環境だから、やっぱり気も疲れるよ」

男「でも、新しい学校の皆は親切だし、それなりに充実はしてると思う」

幼馴染「……」

男「……」

男「なんか、もっと遊べるようなとこに行けばよかったんだろうけど……ごめんね」

幼馴染「そんなこと、ない。男といるなら楽しいよ」

男「よかった。久しぶりにこうやってさ、幼馴染ちゃんと歩いてみたかったんだ」

幼馴染(……じゃあ、じゃあなんで)

男「あ、そこの甘味処に行こうか。僕、あそこの久寿もち好きなんだ」
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/22(土) 05:53:35.11 ID:scmVbpgW0
某甘味処

店長「いらっしゃいませー。あら、男君と幼馴染ちゃん。久しぶり」

男「どうも……」

店長「おやおやー? 幼馴染ちゃん辛気臭い顔してるね。別れ話なんて許さないわよ?」

幼馴染「……」

男(この人、やたらと絡んでくるんだよなあ……ちょっと苦手だ)


男「僕は久寿もちセットをお願いします」

店長「ほほー。高校生なのに中々いい趣味してるわねえ」

幼馴染「私はこのあんみつセットがいい」

店長「なるほど。幼馴染ちゃんは王道か。いいねー、王道!」

男「店長、注文したんだから早く行ってくださいよ……」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/22(土) 05:54:53.42 ID:scmVbpgW0
幼馴染「えへへ、おいしいな」

男(よかった。なんか変な感じだったけど、元に戻ってくれたみたいで)

幼馴染「ん? どうしたの?」

男「幼馴染ちゃんが食べてるところ見ると、なんとなく幸せというか、嬉しいというか」

幼馴染「……なんで幸せなの?」

男「え、いや、なんでってそれは……」

幼馴染「……」

幼馴染「ねえ、男。どうしてこっちに戻ってきてくれたの? いつまでいてくれるの?」

男「うっ……今日は質問だらけだね。いや、全てに答える義務があるんだけどさ、僕には」

幼馴染「いっぱい、聞きたいことあるから……」
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/22(土) 05:56:48.91 ID:scmVbpgW0
男「えーと、一応、明日には帰るつもりなんだ。年末で色々と慌しいから」

男「それで、戻ってきたのは幼馴染ちゃんのこと聞いて……男友が知らせてくれたんだ」

幼馴染「……なんで、なんで私には今まで全然連絡してくれなかったの?」

男「……」

幼馴染「引っ越す時、どうしてあんないじわるなことしたの?」

男「……ごめん」

幼馴染「やっぱり、私が迷惑でいやになっちゃったから……」

男「あ、違うんだ。いやだなんて、絶対そんなことない! 僕は幼馴染ちゃんが……」

店主「……」

男「幼馴染ちゃん、場所を変えようか。ここの店主が強烈な視線で見ているよ」

店主「チイッ!!」

男「先に会計済ませてくるよ。準備して……」

幼馴染「……」

男「えーと、袖掴まれてると動けないんだけど……」

幼馴染「……いなくなっちゃいや」

男「……わかった。じゃあ一緒に。ね?」
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 10:54:37.68 ID:4eHrRoTDo
乙、某入院した者です。
これ読むために、たった今、一時外出許可もらって帰ってきましたwwww

退院してきてからゆっくり読むからね。あせらず完結まで頑張って下され!
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 11:02:54.22 ID:bWlsOOXuo
なんというSS愛だwwwwww
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/22(土) 11:28:15.53 ID:B152UOaA0
そうして二人は別々の道を進むのであった……
メシウマ
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 11:46:08.18 ID:qQD5C1MDO
>>294
アンタ・・・漢だぜ
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 11:53:36.25 ID:4eHrRoTDo
>>295
おもしれーんだもん、これ。続き気になっちゃってもう

>>297
うん、まぁ漢かもしれんけども、頭は悪いな。自分でもバカだなと思うわ。

てなわけで病院帰るわwwwwww んじゃまたwwwwww
>>1 頑張ってなー
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/22(土) 12:26:05.91 ID:F67DFq3ro
>>298
お前馬鹿だと思うがその行動力は羨ましいと思うよwwww
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/22(土) 14:39:43.70 ID:r5ETpJeAO
一気読みしちまった。
前半のバカ騒ぎがあるからこそ、後半の展開が胸に痛く響くな……。
幸せな結末が待ってる事を祈る。

これ漫画で販売されてたら一定の人気はえられそうだな。
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 16:33:57.65 ID:fvKWi2cDO

>親しい地元知人との連絡を絶っています
男友
>たまに男と連絡を取り合っているようですが……。
???
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/22(土) 17:11:38.19 ID:ToA878PAO
なんかレスしてる奴らのノリが中学生でキモい
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 00:47:12.20 ID:ABmgjhGIO
おらーでてこい>>1ガンガンAA略



無理しないで下さい
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:41:56.55 ID:4SzW1LTP0
まだ22日の28時だから俺の大勝利!!!
……ごめんなさい。予想以上に手こずりました。
当初幼馴染が泣くはずの場面で、男がいつの間にか泣いていた。なんということでしょう。

>>294 >>298
貴方のレスを見なければ、もっと早く投下していたことでしょう。
そして後悔するところでした。ありがとう。月並みな言葉ですが、入院生活頑張って下さいね。
>>296
キミと僕は違う道を行く でもこれはきっとハッピーエンド ってとこですかね。
貴方の本心が何処にあるのか分からないけど、最後まで読んで下さって本当にありがとう。
>>300
仰るとおり、当初から前半のバカ騒ぎを後半のシリアスに効かせるつもりでした。
上の方(>>281)のように、意図を読み取って貰えると凄く嬉しいです。
>>301
よく読んでおられますね。お恥ずかしい限り。
(殆どの)親しい地元知人との連絡を絶っています に修正をばお願いします。指摘感謝。
>>302
この前自分が中学生の時の作文を読んだんですが、いや、これが酷い。
リアルで唸りながら転げまわりましたよ。
>>303
投下予定を指定しておきながらの、この不始末!
無理をしてでも頑張ったので許して下さい……。
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/23(日) 04:44:57.10 ID:4SzW1LTP0
公園

男「この公園、幼稚園の頃よく遊んだんだよなあ。なんか狭く感じるね」

幼馴染「……」

男「……そこのベンチに座って話そうか。何か飲み物とかいる?」

幼馴染「……いい」


男「さっきの話だけどさ……。幼馴染ちゃんに連絡できなくて、本当にごめん」

男「幼馴染ちゃんと一度距離を置いて、どうしても考えたいことがあったんだ」

男「それに、僕がいなくても皆と上手く付き合って欲しいと思ったから……」

男「でもその事で、男友にも、委員長にも、おじさんおばさんにも嫌な思いさせちゃった……」

幼馴染「……」

幼馴染「私……すごく悲しかった。男が引っ越しちゃって、メールも電話もくれなくて」

幼馴染「少しして、男にたくさん迷惑かけてたことに気が付いて、だから自分でも頑張ってみようって」

幼馴染「でも、やっぱりダメだった。男がいないと、辛いよ……」

幼馴染「男は、私の事嫌いなの? もしそうなら、私……」

男「……僕は」
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:47:05.03 ID:4SzW1LTP0
男「僕は、幼馴染ちゃんのこと……好きだ」

幼馴染「私だって……男のこと好きだよ」

男「……おじさんやおばさんよりも?」

幼馴染「……そんなの、比べられないよ」

男「そっか……やっぱりか……」

男「……」

男「幼馴染ちゃん、僕、実は告白しようと思ってる子がいるんだ」

幼馴染「え……」

男「その子と付き合うことになっても、幼馴染ちゃんとはずっと一緒にいられるから大丈夫だよ」

幼馴染「……いや」

男「……どうして?」

幼馴染「わからない……わからない! でもいや!」

男「……その気持ちが、僕の好きって意味なn」

幼馴染「そんな気持ち、関係ない! 男はずるいよ!」
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:48:09.28 ID:4SzW1LTP0
幼馴染「パパがいて、ママがいて! そして男がいて!!」

幼馴染「いままでみたいに一緒にゲームしたり、プラモデル作ったり、外で遊んだり」

幼馴染「それで年をとって、死んでも、もし生まれ変わっても! それでも……男のそばにいたいの」

男「幼馴染ちゃん……」

幼馴染「私はそんな男が大好き。それじゃ……いけないの? ダメなの?」

幼馴染「教えてよ……男」

男「……」

男「…………」

男「僕、本当は今日すごく大事なことを伝えるつもりだったんだ」

男「クリスマスにかこつけて、ほら、指輪なんか用意して。安物なんだけどね」

男「でもこんなもの……!!」

幼馴染「あっ……」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:49:12.19 ID:4SzW1LTP0
男「この数ヶ月、皆を振り回して、幼馴染ちゃんを悲しませて」

男「それでいて決心だと覚悟だとか……独りよがりで浮かれて」

男「幼馴染ちゃんは、僕のことこんなにずっと想ってくれてたのに!」

男「結局僕は、幼馴染ちゃんのことちっとも理解できてなかった!!」

男「僕は……なにをやってたんだろう」

男「……」

男「あ……」

幼馴染「うふふ……こうしてるとあったかいね」

男「幼馴染ちゃん……」

幼馴染「私は男がこうやって近くににいるだけで幸せなんだよ?」

幼馴染「男が私のこといっぱい考えてくれたなら、すごくうれしい」

男「ごめん……幼馴染ちゃん、ごめんよ……」

幼馴染「よしよし」






「僕も……幼馴染ちゃんが大好きだ」

「じゃあ、両思いだね」

「うん……」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:50:00.85 ID:4SzW1LTP0



男「まさか幼馴染ちゃんの胸で泣くとはね……とんだ失態だよこれは」

幼馴染「むむむ、失礼だよ男! 男がいない間、私だって成長したんだから!」

男「成長……ねえ」

幼馴染「……」

幼馴染「本当に帰っちゃうの……?」

男「うん。そこはどうしようもないから……でも、また必ず戻ってくるよ」

幼馴染「メールも電話も、たくさんしてね?」

男「うん」

幼馴染「また寂しくなったら、すぐ来てくれる?」

男「うーん、それはちょっと……」

幼馴染「……」

男「わかった! わかったからそんな悲しい顔しないで!」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:51:01.40 ID:4SzW1LTP0
男「さて、今夜はどうしようか。さすがに今から帰るのは厳しいし……」

幼馴染「それなら私の家に泊まっていけばいいよ!」

男「傍から聞くととんでもないセリフだな……」

幼馴染「??」

男「ごめん、僕が悪かった。キミはその純真さを忘れちゃいけないよ」

男(これが幼馴染ちゃんならば、それでいい)

男(好きって定義は僕と違うのかもしれないけど、たどり着く場所は一緒だったんだ)
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:52:12.36 ID:4SzW1LTP0



幼馴染「ねえ、そういえばすごく大事な事ってなんだったの?」

男「そ、それは……幼馴染ちゃんとこれからも一緒にいられる為の、その」

男「高校生の僕としてはね、その覚悟を決める為に時間が欲しかったわけですよ」

男「まだ結婚とか、そういうのは早いと思うけど、僕はおさな むぐ!」

幼馴染「……ん」

男「……」

幼馴染「……」

幼馴染「えへへ……こうすれば男の人に責任を取ってもらえるって、保健の先生が言ってたんだ」

男「……」

幼馴染「これで問題なしだね! あれ、男顔真っ赤だよ?」

男「お、幼馴染ちゃんだって同じじゃないか……」

男(幼馴染ちゃん、その顔は反則だよ! と、とても直視できない……)

幼馴染「ねね、さっき投げちゃった指輪どうするの?」

男「あー……もう暗いし、とても探せる状況じゃないね……勢いとはいえ、もったいないことを」

幼馴染「うううううう」

男「……また買ってあげるよ。それまで、待ってて欲しい」

幼馴染「約束だよ? ずっと待ってるからね?」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:53:32.96 ID:4SzW1LTP0
幼馴染宅

幼馴染「ママ、パパ、ただいま!!」

幼馴染母「幼馴染おかえり……うまくいった?」

幼馴染「……うん」

幼馴染母(……この子、こんな顔も出来るんだ……)

男「お、おじゃまします……おじさん、おばさんお久しぶりです」

幼馴染父「おっと、これは飛んで火にいるなんとかとやらだ。もう逃がさないぞケヒヒ」

男「あの、色々とご迷惑おかけしちゃってすみません」

幼馴染母「それは私達の方よ。あなたにどれだけ負担かけていたかも知らないで……」

幼馴染父「空気読めなくてごめんよ……」

男「僕は負担だとか、決して思ってません。これからだって幼馴染ちゃんを」

幼馴染「男がね、指輪を買ってくれるんだって! 楽しみ!」

男「待ってええええ!! こんな場でそれを言っちゃ駄目だああああ!!!」

幼馴染母「あら」

幼馴染父「ほうほう! そいつはめでたいな!! さて、祝言はいつにしようか!!」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 04:58:41.55 ID:4SzW1LTP0


幼馴染父「男君、ありがとう。あの子に気付かせてくれたんだね」

男「……もしかしたら、そんなことは関係なかったのかもしれません」

幼馴染父「ふむ……」

男「幼馴染ちゃんは、おじさんも、おばさんも、僕も、皆大好きなんです」

男「家族とか異性とか、そういったもの全部含めて、その上で僕を好きって言ってくれたんだと思う……」

男「もっとあたたかくて大きな……んん、何ていえばいいんだろう」

男「……好きとか愛してるって、色々難しいですね」

幼馴染父「……」

幼馴染父(それはきっと……老熟した夫婦が得ることのできる愛の形だ)

幼馴染父(あの子は、俺達夫婦よりもずっと先にいたってことか……驚いたな)
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:02:40.15 ID:4SzW1LTP0
1月2週目/教室

幼馴染「委員長おはよう!」

委員長「幼馴染ちゃん、おはよう」

委員長(すっかり元気になって……本当によかった)

委員長「それにしても男の奴、さっさと帰りやがって……」

幼馴染「なんか用事でもあったの?」

委員長「男友から全部聞いてね……少々痛めつけてやろうと思ってたんだけど……」

委員長(謝るタイミング、なくなっちゃったじゃない……)

男友「その分、全部俺に回ってきたってわけですね。手とか足が変な方向向いちゃってるんだけど」






2月1週目



3月1週目


315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:04:54.77 ID:4SzW1LTP0
4月2週目

委員長「幼馴染ちゃん、何見てるの?」

幼馴染「料理の本! 男が戻ってきた時、作って食べさせてあげたいんだ」

委員長「へー。幼馴染ちゃん、随分積極的になったわね」

幼馴染「今までたくさんお世話になったから、私も何かしないと!」

委員長「すっかりいい子に育っちゃって……あたしゃ嬉しいよ」

幼馴染「ねね、委員長料理できるの?」

委員長「む。出来るわよ……カレーとか、カレーとか、カレー」

幼馴染「男、カレー嫌いらしいよ……一緒に色々覚えよ?」

委員長「それも悪くないわね。私も挑戦してみますか」

幼馴染「いひひひ、楽しいね ん? 委員長泣いてるの?」

委員長「……何で私が泣かなくちゃいけないのよ」

委員長(……油断した)

委員長(私はずっと、この子とこんな関係になりたいと……)
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:10:51.50 ID:4SzW1LTP0






4月1週目

幼馴染「おかえりなさい!!」

男「ただいま、幼馴染ちゃん」

幼馴染「これからはまた一緒なんだよね? ね?」

男「うん。こっちで下宿して大学に通うことになるからね」

幼馴染「じゃあまた男とたくさん遊んだりできるんだ! きゃほーい!!」

男「程ほどにね、あはは……」

男「そういえば、幼馴染ちゃんは専門学校だっけ」

幼馴染「うんうん! 調理の勉強をしに行くんだー」

幼馴染「男の為に色々料理を覚えたんだよ。今日も準備してたの!」

男「ほおー。それは楽しみだね。にしても、幼馴染ちゃんが料理を、ねえ」

幼馴染「ほら、はやくいこ!」

男「うわっと、手を引っ張らないで!」








317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:11:58.16 ID:4SzW1LTP0












6週目の6月

花嫁控室

幼馴染「ムシャムシャ」

委員長「まあ、なんとなく分かってたけど、大学出てすぐ結婚とは……」

幼馴染「もっと早くてもよかったのに、男が嫌がるんだもん」

委員長「ところで……プラモデルやらぬいぐるみやら、どうするのこれ?」

幼馴染「これ全部、大切なものだから……一緒に見に来て欲しかったの」

委員長「ふふ……可愛らしいこと言うわね」

幼馴染「委員長も早く結婚できるといいねー」

委員長「……憎らしいことも言うようになったわね」
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:13:30.37 ID:4SzW1LTP0
スタッフ「失礼します。幼馴染さん、そろそろお時間ですが」

幼馴染「はーい! それじゃ委員長、行ってくるね!」

委員長「あ、待って。ほら、クリーム口に付いたままよ。拭いてあげるから」

幼馴染「えへへ。ありがと!」

委員長「あなたは相変わらずなんだから……」

幼馴染「……委員長、本当にありがとう」

委員長「何を今更言ってんのよ……さ、ほら行きなさい」

幼馴染「いってきまーす!」

委員長「こらこら、慌てていくと……」

幼馴染『うきゃっ!』

スタッフ『だ、大丈夫ですか?』

幼馴染『いたたた……あ、男ーー!!』

スタッフ『うわーー! 勝手に新郎さんの所に行かないで下さいよおおおお!!』


委員長「まったく……高校の時から全く成長してないわね」

委員長(……でも、それがあの子の魅力。私達が捨ててきちゃったものを、あなたは持ってる)

委員長「さて、と。私も二人の挙式を拝みにいくとしますか」






パタン
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:18:03.03 ID:4SzW1LTP0
4月3週目

公園

男の子「ふじおかたんけんたーい! もりにとつにゅうします!」

男の子「がっさがっさごそごそ!」

男の子「ん? なんだろうこれ」


男の子「おんなのこちゃん」

女の子「なあに?」

男の子「これなんだかわかる?」

女の子「んん??」

男の子「んんん??」

女の子「あー! わかった!」

女の子「これをこのおゆびにいれるとね、およめさん!」

男の子「うわー! じゃあぼくもおんなのこちゃんのおよめさん!」

女の子「やったあ! じゃあやくそくだよ! それまでこれ、たいせつにするね!」

男の子「うん! ずーっといっしょになれるといいね」
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:20:12.18 ID:4SzW1LTP0
女の子「ままー、おとこのこくんにこれもらっちゃった」

女の子「およめさんとおよめさんになれるんだよ!」

「お嫁さんとお嫁さん?? 何をもらったの?」

女の子「はい、これ。すぐかえしてね?」

「あら、指輪? 随分古いけど……このイニシャル……まさかね」

「ふふ。ほら、大切にするのよ?」

女の子「うん! じゃあまたおとこのこくんのところにいっていくる」

「いってらっしゃい」

「……」

「……素敵な関係よね」


「全ての幼馴染みに、幸あれ」

おしまい
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 05:24:16.18 ID:qaxtGjQDO
乙!最後の女の子の母親は委員長と予想!
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 05:25:56.50 ID:jHEvGpGK0
こんな時間まで起きてて良かったぜ!
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:26:54.01 ID:4SzW1LTP0
終わりです。俺得ニヤニヤがついに完成ッッ!!
最後まで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。
相も変わらずワカンネ、などの疑問質問ありましたら、出来うる限りお答えします。

まだ書きたいことあるけど、今日はひとまず寝る! おやすみなさい!
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/23(日) 05:30:26.12 ID:4SzW1LTP0
あ、すぐさまの感想が!! 読んで下さって感謝です。
>>321
委員長っぽいけど、実は委員長じゃないんです。
ずーーーっと未来の公園。一応、お話に出てくる人物です。
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 05:53:25.03 ID:qaxtGjQDO
想像にお任せじゃなく、明確なキャラクターがいるのか。
なら後気になったのはあの子…しかしいつイニシャルを知ったか…

>お話に出てくる人物です。
アザラシのあっくん!は人物じゃないかww
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/23(日) 08:21:11.41 ID:utaHJKEd0
乙!
保険室の先生だと思った
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/23(日) 08:36:50.68 ID:+y+4njfuo
乙でした!

そうか保健室の先生がいたか。なるほど
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/23(日) 08:37:11.33 ID:06a436cAO
普通に幼馴染がお母さんやってるんだろうと
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 09:14:21.55 ID:84524EhIO
大人になって、、、

父さん嬉しいぞ!
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/23(日) 10:53:01.77 ID:BL5CHzIZo
最後ちょっと駆け足気味だった気がしないでも無いですが本当にお疲れ様でした。
最後のママは幼馴染かと思ったけど>>324の反応だと幼女なのかな?
また次の話も期待してます。
331 :名無しNIPPER [sage]:2011/10/23(日) 11:48:04.75 ID:mAvxiUXAO
ホクホク
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/23(日) 13:03:36.24 ID:k/DBjzcAO
幼馴染が奔放さと純粋さ無邪気さをちゃんと残したまま成長したのが凄い胸にじんわり来た。
引越しがなければ、大学もずるずると男の金魚のフンになってますます依存するばかりだったろうし。
本当に良かった。

くそう、俺にはなんでこんな幼馴染みが……
いや、おれには男みたいな菩薩の包容力を持って無いから無理かなw
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/23(日) 13:16:28.80 ID:u7PVwVSWo
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/23(日) 13:36:37.94 ID:oTl1FYRm0
なんだろうこの敗北感
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 14:21:01.04 ID:ABmgjhGIO
>>1
更新早くて楽しめた
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 15:22:16.77 ID:XDKELXwDO
乙!!!!

幼馴染ちゃんがかわいすぐるwwwww
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/23(日) 20:19:20.46 ID:iwhAhWYAO
乙!
男友が若干不憫(笑)だが、面白かった
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/24(月) 00:02:43.61 ID:+i/UqJSm0
沢山の感想ありがとうございます。
読んで下さっていた方がこんなにいたことに、驚きと喜びを隠せません。隠しません。
巷では完結後に色々書くことをよしとしない傾向があるようですが……そんなの知ったことか!!

>>321 >>326 >>327 >>328 >>330
一番最後のお母さんは、幼女です。もっとキャラの差別を図るべきでした。
男君は初恋の相手、やっぱり記憶に残るほど印象深かったんじゃないですかねー……後付けすまんぬ!
最後が駆け足気味だったということ、私も十二分に自覚しております。いわんや読者の方々をや。
次回書くことがありましたら、その辺に注意したいと思います。ご指摘ありがとう。
>>322
リアルタイムでの感想ありがとうございました。投下直後にレス数が違っていると、興奮します。
>>329
私も嬉しいぞ!! 腹というか頭痛めて生み出した作品は、自分の子供みたいなもんですよね。
>>331
私のSSが他人の心なり身体を暖めることが出来たのならば、コレ幸い。
>>332
丁寧に読んで下さってありがとう。進学と引越しの件をここまで解釈してくれる人がいるとは……。
ちなみに、私には幼稚園最後に引越し→高校で再会 という幼馴染がおりました。いただけです。無常だ。
>>333
ありがとうございます。そっけないお返事になってしまいましたが、決してそんなつもりはありません。
>>334
最後までお付き合いしてくれてありがとう。
気が向いたらメシウマ以下次レス
>>335
後半の更新グダグダは本当に申し訳ない。出来ないことは言うもんじゃないね!
>>336
自分ではずっとそのつもりで書いていましたが、常に不安でした。そう思っていただけて嬉しいです。
>>337
自分の書くSSは、なぜか男友が悲惨な役回りに……。でも、友達思いのいい人なんです。

へへへ、全レスしてやったぜ!!
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/24(月) 00:10:05.97 ID:+i/UqJSm0
ここからは頂いた意見も参考に書いていく、蛇足ってやつです。煮詰まり次第即html化依頼。
ちなみに本ルートとはあまり関係ありません。

1.男、他のクラスの女子に告白される
少しだけ心が成長した二人のお話。ドシリアス。
2.幼女が参戦
低次元における男争奪戦。悪夢のような二人に振り回される男。
3.従妹が参戦
ツンデレ従妹が参戦するお話。悪夢のような二人に振り回される男。多分素直ヒートとやら。
4.廃墟に行く
補習の一環で何故か廃墟に行くお話。悪夢のような連中に振り回される男。カオスホラー。
5.二人が結婚して1000年後
遠い未来の、とある人たちのお話。
6.男が引っ越して10年後
すれ違ったまま時が過ぎたお話。激鬱。
7.リクエスト
続けて読んで下さる素敵な方用のお話。さっさとhtml化依頼だせでもいいです。

5,6辺りは多分書く前に依頼出しちゃうだろうから、脳内補完してください。ダハッ!

それではここまで読んで下さった皆様、最後まで本当にありがとうございました。
また次の作品を書くことがありましたら、お手柔らかに。
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 01:57:13.43 ID:fVWoxp0IO

幼馴染ちゃん、本当に成長しなかったな…



可愛すぎる
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/24(月) 02:03:20.53 ID:T1j1Rtmao
で、出遅れたっ

乙した

最後まで可愛い幼馴染でした!面白かったですありがとう




この幼馴染に鬱はきついぜ
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/24(月) 03:04:26.73 ID:r6uKUV7AO
男の菩薩の包容力がないと幼馴染を受け止めきれないけど、
幼馴染が無限の愛で男を包み込んでいるからこそ、男も負担に感じないんだろうな
一見共依存っぽいけど、根の部分でお互いに相手を第一に思いやってる素晴らしい愛の話だ
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/24(月) 03:04:58.91 ID:r6uKUV7AO
男の菩薩の包容力がないと幼馴染を受け止めきれないけど、
幼馴染が無限の愛で男を包み込んでいるからこそ、男も負担に感じないんだろうな
一見共依存っぽいけど、根の部分でお互いに相手を第一に思いやってる素晴らしい愛の話だ
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/24(月) 03:07:54.20 ID:r6uKUV7AO
男の菩薩の包容力がないと幼馴染を受け止めきれないけど、
幼馴染が無限の愛で男を包み込んでいるからこそ、男も負担に感じないんだろうな
一見共依存っぽいけど、根の部分でお互いに相手を第一に思いやってる素晴らしい愛の話だ
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/24(月) 05:15:00.13 ID:xn0JVddVo
3回も書かなくちゃいけない事だったのか
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/24(月) 07:39:31.87 ID:EOn004oyo
大事なことだったんだな
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/24(月) 20:40:34.77 ID:kHoYQ2EYo
おお、後日談が来るのか。これは超楽しみ。しばらく楽しめそう!
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2011/10/24(月) 21:45:04.72 ID:bLjBkRobo
番外編も楽しみといえば楽しみだが正直>>339を見る限り
4と5と7(内容次第)以外は俺には合いそうに無い気がしてる

5とはちょっと違うが似た感じのものだと
火浦功の「ポータブルラジオの夏(だったと思う)」という短編SFは未だ心に残る名作だな
とりみきの漫画版もお薦めww
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/24(月) 22:16:09.16 ID:wOuSGTAZo
7番の「男と幼馴染と息子と娘」をよんでみたいれす
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/24(月) 22:37:01.69 ID:kHoYQ2EYo
じゃ、俺もリクエスト。
委員長のモノローグを聞きたいな
本編とはまったく別の話でもいいんで
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/24(月) 23:24:14.33 ID:SIIcLCZ70
7の俺が就職する話
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 12:09:18.57 ID:Ds3qLgIIO
3
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/26(水) 01:09:20.09 ID:kFCMRHKD0
>>340 >>341
乙レスありがとうございます。
最初の頃は幼馴染の評判悪くて泣けましたが、そのように言って頂いて嬉しい限りです。
>>342->>346
細かい部分まで書いて下さった感想は私としましても甘露です。
3回どころか10回でも物足りない。
>>347
途中で、やっぱあんとき止めるべきだったな、と言われないよう頑張ります。
>>348
ポータブルラジオの夏はレイブラッドベリ的な叙情感がありますよね。
つまり5は、別の方向性で勝負しなければいけなくなった、ということだ! あ、ちなみに4は半分ギャグです。
>>349
本来結婚の時点で二人のストーリーは止まっているのですが、何とか書いてみます。
>>350
委員長の一人称視点による地の文、ということでいいのかな。
予定を立ててた一つをそのテイストにしますね。ぶっちゃけ地の文なんて書いたことないので、期待せず……。
>>351
冗談で書いたつもりなのでしょうが、そうはいかないよハッハッハ!!
>>352
幼女編と被りそうな気がして切捨てましたが、何とかやってみます。
従妹キャラがまだ定まっていない。

ここまで書いて何が言いたいかというと、難易度が大幅に上がってしまったということだ!!
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/26(水) 01:13:16.44 ID:kFCMRHKD0
現状
-済
幼女が参戦
低次元における男争奪戦。悪夢のような二人に振り回される男。

以下、投下予定順

1.男、他のクラスの女子に告白される
少しだけ心が成長した二人のお話。委員長視点のモノローグ。
2.廃墟に行く
補習の一環で何故か廃墟に行くお話。
3.>>351が就職するまで
このスレに書き込んだ後のお話。
4.従妹が参戦
ツンデレ従妹が参戦するお話。悪夢のような二人に振り回される男。
5.二人が結婚して1000年後
遠い未来の、とある人たちのお話。
6.男と幼馴染と息子と娘
三十路を迎えた二人のお話。

ひとまずリクエストは締め切ります。ごめんなさい。
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/26(水) 01:17:47.99 ID:kFCMRHKD0
幼女が参戦/デート
自宅

男母「はい、いえこちらこそ。何かあったら死んで詫びさせますので!」カチャ

男「……」

男母「あんた、まさか幼女ちゃんに手を出すつもりじゃないでしょうね?」

男「いや、向こうの家から誘ってきたんだけど……」

男母「とりあえずさっさと行きなさい。幼女ちゃん待たせてるんでしょ」

男「はあ。分かったよ」


男(僕、あの子に何か気に入られるようなことしたかなあ……)

幼馴染「あ、男だー。どこ行くの?」

男(げっ、幼馴染ちゃん……毎度ながら恐ろしいタイミングだ)

男「い、いやあ、そこのコンビニにちょっとね」

男(この後ろめたさは……一体なんだろう……)

幼馴染「コンビニ? 男、それお出かけ用の格好だよねえ」

男(ちっ!! こんな時だけ無駄に洞察力を発揮してくるね) 

男「そそ、そのついでに本屋にでも寄っていこうかなーと」

幼馴染「じゃあ私も! いこいこ!」

男「駄目だ! それは駄目!! 僕もたまには一人で出かけたい気分なんだ。またねおさなn」

幼馴染「いやだー!!!」ガシッ

男「な、何するんだ! はっ」

通行人1「……見ろよあれ。だいしゅきホールドってやつだろ」

通行人2「まさかリアルでやる人間がいるとはな……」

男「うわああああああ!! 幼馴染ちゃん離れてよ! 人が見てるから!!!」

幼馴染「やだやだやだ私も一緒にいくううううううううううううううう!!!」



近所息子「今日は父さんも母さんも一緒の朝ご飯だね!」

近所父「はは、お前も嫁さんもらってこんな家庭を築くんだぞ?」

近所母「あなた、まだその話は早すぎですようふふ」

イクウウウウウウウウウウウウウ

家族「……」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:19:38.05 ID:kFCMRHKD0
幼女宅

ピンポーン

幼女「わー! おにいちゃんd     なんでおねえちゃんもいるの?」

男「よ、幼女ちゃんこんにちは……このお姉ちゃんも一緒に連れてっていいかな、ははは……」

幼馴染「あれええ? 男、コンビニと本屋に行くんじゃなかったの?」


電車内
ガタンゴトン

幼女「おねえちゃん、せきにすわっていいよ」

幼馴染「やったー! 幼女ちゃんありがとう」

男「幼女ちゃん、子供なのに偉いね」

幼女「えへへー。そのかわり、てをつないでてねおにいちゃん」

男「うん、いいよ」ニギッ

幼馴染「む!? むむむむむ!!」

幼馴染「やっぱり私も立つ! 男と手をつなぐ!」ガバッ

幼女「おねえちゃん……こどもみたいだよ。しずかにすわってれば?」

幼馴染「私子供じゃないもん。だから幼女ちゃんに席譲るよ! ほら!」グググ

幼女「わたしおにいちゃんのよこがいいの!!」グウウウウウ


ヒソヒソヒソ

男「お、お願いだからやめて……」
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:21:38.69 ID:kFCMRHKD0
某遊園地

幼馴染「うわー! 遊園地久しぶりだー!!」

幼女「おねえちゃんどこいこっか!」

男「さっきまで喧嘩してたのに、現金だよねキミたち……」


着ぐるみ猫「やあやあ、夢の国にようこそだにゃ」

幼女「きぐるみねこさんだ!」

着ぐるみ猫「かわいい姉妹だにゃ。いい子には風船をあげるにゃよ」

幼馴染「ほほー。この首って動くんだー」

着ぐるみ猫「な、何するんだにゃ」

幼馴染「それーー! 首ぐるぐる!」

着ぐるみ猫『ぐわああ!! ま、前が見えない苦しい!! 誰か助けてくれ!!』

幼女「ねえ、このねこさんおかしい。ふつうにしゃべりはじめた」

幼馴染「じゃあこれ取ってみよ! とりゃー!」スポーン!

親父「ひーーーッ!!」

幼女「おじさんがなかからでてきたよ!」

親父「と、とんでもねえ娘っ子だこいつら!!」スタッタ

幼女「あー! にげた!」

幼馴染「猫を返せーーーー!!!」



男「まるで幼馴染ちゃんが二人いるようだ……めまいがしてきたよ……」
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:23:16.98 ID:kFCMRHKD0
午前

男「さーて、まずはどこに行こうか」

幼馴染「あっちの建物でゴーカイジャーのショーがやってるみたいだよ!」

幼女「あ、わたしもみたい!」



『山賊戦隊サンカイジャー ヒーローショー』

男「なんか違うような気がするんだけど……」

『女子供も容赦しない! 僕たちの合言葉は身包み置いてけ!』

幼馴染「ひゃー! 楽しみだねえ幼女ちゃん!」

幼女「うん! ごーかいじゃーじゃないけどいいかも!」

男(……まあ二人が楽しんでるなら別に構わないけど……)

男(……いかん、朝早かったから眠くなって……き……)
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:26:03.51 ID:kFCMRHKD0
赤『今日のお宝大発見!!』

青『あそこの幼女、俺のストライクゾーンだぜ! 小学生以上は対象外ですフヒッ』

緑『一緒にいる高校生っぽい子もたまらなかったりするんですなあ……ゴクリ』

幼馴染「うわ、なんか鼻息あらくして近づいてきたよ! 男助けて!」ギュ

幼女「ひっ……おにいちゃんこわい」ギュギュ

男「ぐーぐー……」


赤『こ、この男! 女二人をはべらせやがって……』

青『レッドが……レッドが血の涙を流している!?』

緑『二人に挟まれて幸せいっぱいってか……へへへ ちくしょう』


サンカイジャー『許すまじッッ!!』


赤『この少年は地球侵略を狙うリア獣! 僕たちが阻止しなくていけない! ステージの上で決着だ!』

赤『よし! ブルー、グリーン! いくぞ! とうっ!』タッタッタ

青・緑『とうっ!』ズルズルズル

男「むにゃむにゃ……引っ張るのはやめてよ幼馴染ちゃん……んあ? ど、どこだここ!?」

幼馴染「男ー! がんばれー!」

男「なんだなんだなんだ? ステージの上? 何がなんだかわからない!」

赤『必殺技を受けてみろ! サンカイブラスト!!』

赤(けっけっけ……もげて爆発しやがれ!!)

パン パパン! 

男「あち! あちちちちち! やめてくれええええ!!!」

青『まだまだあ!!! このTNT爆弾スラッシュも食らいな!!』ピュー

緑『ギャッ!!』ブオアッ

赤『ぎゃあああああ!!! 俺の頭に引火した!! ファイアヘッドオオオオオ!!!』

青『うわ! レッド! こっちに転がってくるな! ぐおおおおおおお!! もえるうううう!!』

ドン ドドーン

観客親父「すげえ! ダイナマンだ! ファンサービスよすぎだろこれ!」

ドガーン ボカーン
ギャアアアアア


幼馴染「面白かったねー!」

幼女「うん!」

男「な、なんだったんだ一体……」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:28:13.37 ID:kFCMRHKD0
お昼ごはん

男「幼女ちゃんは何が食べたい?」

幼女「お、おにいちゃんとおなじのでいいよ」ジーッ

男(このお子様ランチが食べたいんだな……)

男「うん。じゃあ僕はおk」

幼馴染「おこのみ焼き二つくださーい! 私と! 男の分!」

男「お、おこ……」

幼女「……」ジワッ

男「お、幼馴染ちゃん! 少しは空気を読んでよ!」

幼馴染「えー? 私なにかした??」

男「あー……そういえばキミはそういう子だったね……」


男「おかげで僕はお好み焼きとお子様ランチの二つを食べることになった」

幼馴染「男は食いしん坊だね」

男「残したら幼馴染ちゃんにも食べてもらうからね」

クイクイ

男「ん?」

幼女「あのね……おにいちゃんに、その、あーんしてもらいたいの」

男「はは。いいよ。ほらあーん」

幼女「はむ。むひひ」

幼馴染「ぬ!」

幼馴染「男、男!!」

男「ん? 何幼馴染ちゃん」

幼馴染「あーん! ぱく!」グイッ

男「……」

幼馴染「私も男にあーんしてもらった!」

幼女「むっ!」

男「待て! 今僕の手を無理やり口に持ってったよね?」

幼馴染「しらなーい! 男に食べさせてもらったんだもん!」
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:29:44.38 ID:kFCMRHKD0
午後

幼馴染「あれ乗ろうよ、あれ!」

男「えーと、あれ? ジェットコースター『けごん』」

男「……もうね、これ名前からしておかしいよ」

男「それにほら、幼女ちゃんが乗れないし」

幼女「……」

男「僕と幼女ちゃんで待ってるからさ、乗ってきなよ」

幼馴染「やだ! 男と一緒に乗る!」

男「そんな我侭言わないでよ……それとも、幼馴染ちゃんと幼女ちゃんが待って僕一人乗るとかあはは」

幼女「おにいちゃん、いってらっしゃーい」

幼馴染「男、楽しんできてね!」

男「え? そのノリは何? キミ等もしかして僕を嵌めたの?」
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:32:32.17 ID:kFCMRHKD0
けごん 乗車口

男「なぜ僕は素直に言うこと聞いてるんだろう……」

男「それよりもこのジェットコースター、どんな構造してるんだ……無理だろこれ」

従業員「きししし、お客さんよく来たね。ここは黄泉の入り口だよ」

男「なんですかあなた……」

従業員「いやあ、縦横無尽に駆け巡るレール。天にも昇る心地なんだろうなァ」

従業員「これに乗れるなんて、おまいさん幸せモンだよ?」

男「はあ? だったらあんたこれに乗ってみてくださいよ! ほら! ほらほら!」

従業員「やなこったい。あたしゃまだ死にたくないんでね。物騒なこと言わないでおくれ」

男「言ってる事無茶苦茶じゃないですか! ここからさっさと帰して下さい! 僕は乗りたくない!」

従業員「ああうるさいお客さんだねェ。さっさと乗りな! 大情際の悪い」ドゲシッ

男「ぐあ!! 何するんだ ん? なんだこれ」ウィーン ガチャ

従業員「ああ、このジェットコースターね。座ると安全バーが自動的に降りるようになってるんでさ」

従業員「逃げようったってそうは問屋が卸さないよ、ケタケタケタ」

男「ぐおおおおおお! 動かない! これを外してくれええええええ!!」

従業員「ま、精々念仏でも唱えておくんだね。そいじゃ失礼さん」


男「す、すみません! ちょっとこれ外すの手伝ってくれますか?」

隣の男「うひゅへへへ、しましまのぶどうをかじったらそらがうかんでしたを見下ろしてたうまそうだなあ」

男「ゾゾゾゾゾゾゾ! この人色々とまずいよ! 駄目だ! こうなったら前の人に」

男「あ、あの!」

前の男「前の女さん、また来世でも会えるといいね」

前の女「今度こそ前の男さんと幸せになりたいな……」

男「ひぃいいいい!! こっちは無理心中ぅぅぅ!!!!」

『ただいまよりけごんが出発いたします。現世とのお別れの挨拶は済みましたか?』

男「あ、あああ、ああ助けて、助けて幼馴染ちゃん……」

『10,9 フェイントで0はい発射!』ズゴオオオオオオオオオオオオオ

男「ぎいえええええええええええええええええええええええええ」

男「ぐぼああああああああああああああああああああああああああああ」

男「あがががああああああああああああああああああおおおおおおおお」



幼馴染「うわー! ジェットコースターが苦しんでる蛇みたい!」

幼女「おにいちゃん、おおきいこえでたのしそうだね!」
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:35:25.58 ID:kFCMRHKD0



帰り道

男「今日は精も根も尽き果てた……いや、今日も、だな」

幼女「でね……」ヒソヒソ

幼馴染「ふむふむ……」コソコソ

男「今度は何を企んでるんだねキミ達……」

幼馴染「ねね、男ちょっとこっち来て!」

男「いやだなあ……幼馴染ちゃんが嬉々としてる時は不安なんだよ……」

幼馴染「幼女ちゃんがね、今日遊んでくれたお礼をしたいんだって!」

幼女「えへへへ。おにいちゃん、ちょっとしゃがんで?」

男「ん。これでいい?」

幼女「それでね、めをつぶっててもらえる?」

男「はい。めをつぶったよ」

幼馴染「いいって言うまで、開けちゃ駄目だよー」

男(いきなり蹴りとか入れられたら、僕泣くよ……)

男「……」

幼馴染・幼女「「……」」チュッ

男「……」

男「な、ななな、なななにななにを」

幼馴染「へへー。私もしちゃった」

幼女「おにいちゃん、きょうはありがとね!」

男「」

幼女「あれ、おにいちゃんおかしくなっちゃった」



自宅

男(この前は色々と疲れたなあ)

男(あの二人を毎日相手にしてたら身体もたないけど、たまにはいいかもね)

男「ただいまー」

二階自室「……」

男(幼馴染ちゃんでも来てるのかな? 今日は用事あるって先に帰ったはずなんだけど……)

タッタッタ カチャ

男「幼馴染ちゃん帰ってたんだ。どうしt」

幼女「あ、おにいちゃんおかえり!」

幼馴染「幼女ちゃんに男の家教えてあげたんだ。よかったね!」

幼女「うん! これでおにいちゃんとまいにちあそべるね!」

男「は、ははは、は……」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/26(水) 01:37:31.51 ID:kFCMRHKD0
次回投下
2.男、他のクラスの女子に告白される
少しだけ心が成長した二人のお話。委員長視点のモノローグ。

地の文になるため少し時間がかかるかもしれませんが、出来る限りいつものペースを保ちたい。
と夢想しつつおやすみなさい。
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/26(水) 01:39:07.10 ID:MvEmiTtxo
男爆発しろ
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2011/10/26(水) 01:42:23.36 ID:XoYNKzs90
俺ちょっとこの男を山に埋めてくるよ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/26(水) 03:19:03.68 ID:54w8cMDu0
いや、俺はこの男なら許せる。ああ、許せる……。
うん、男よケツを出せ、それで許す。
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 20:30:35.38 ID:FWPjFrQIO
残業しながら一気に読んだ
おかげで充実した残業できたよ!
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/26(水) 21:31:06.09 ID:Qdf3E2VVo
>>368
率直に言って残業していない件
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 22:51:47.58 ID:UjE+PUgDO
ダイナマン知ってるとかワロタ
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 22:53:39.38 ID:UjE+PUgDO
ダイナマン知ってるとかワロタ
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 03:46:38.54 ID:zVx/UQjEo
一気に読んでしまった…
明日も朝から仕事なのにorz
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 11:11:48.91 ID:nU5BvjOBo
>>1 乙!
病院帰りの俺が通るぜ。そしてまた病院に戻るぜ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 01:14:39.06 ID:bUZxY3HQ0
予想以上に難しくて、時間かかりすぎちゃいました。
台詞形式のように、勢いだけでなんとかなるものではない。

>>365 >>366 >>367
リアルでこんな人いたら私も許しませんね。
犬の糞とか、多分椅子に置いたりしてね。チキンと呼ぶがいいさ!
>>368 >>369 >>372
お仕事を犠牲にしてまで、読んで下さってありがとうございます。
私達がSSを読んだり書いたりしてるなんて、職場の連中には想像も及ぶまいケヒヒ!!
>>370
ダイナマンは私の世代ではないけれど、やたらと爆発するみたいですね。
とりあえず爆発させとけ、みたいな。
>>373
病院を抜け出せる余力があるようで、なによりです。
私ももう少し粘ります。貴方様も完全退院出来る日まで養生下さいませ。
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/30(日) 01:16:52.18 ID:bUZxY3HQ0
あぶない。書き忘れるところだった。
話の展開上、少し改変しました。
2.男、他のクラスの女子に告白される→男、後輩の女子に告白される

失敬。
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:21:50.60 ID:bUZxY3HQ0
 一年と半分。これが長いのか短いのか分からない。
 彼と彼女が培ってきた時間には遥かに及ばないけれど。
 相対的には男君よりも私の方が、幼馴染ちゃんのそばにいる。と、思いたい。


 リクエスト分:男が後輩の女子に告白されました



「男のやつ、ラブレターもらったんだって?」

 休み時間が始まるや否や男友が近づいてきた。
 まるで呼吸をするかのように、馴れ馴れしく私に話しかけてくる。
 クラスではどうも、この男と私がとても仲のよい関係、ありていにいえば付き合っていると思われているようだ。
 彼とのつながりはあくまで幼馴染ちゃんに関することだけであり、その認識は甚だ迷惑であるが、今重要なのはラブレターの件だ。

「男君がラブレター? 私知らないわよ。そんなにモテたっけ、彼」
「あいつ、面倒見がいいからなあ。幼馴染ちゃんのこといつも世話してるしよ。 
 傍からすれば、頼りがいがあるとか見えたりすんじゃねえの?
 ……いや待てよ。つまり俺も面倒見のいい所を見せれば、モテモテになれるってことなのか!?」

 下らぬ妄言を垂れ流し始めた男友を尻目に、その頼りがいとやらがある彼へ眼を向けた。
 相変わらず幼馴染ちゃんとじゃれあっている。ラブレターの気配なぞ微塵もない。のん気な男だ。
 ことの詳細を問い正すことにした私は、彼の席へと向かった。
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:24:23.41 ID:bUZxY3HQ0

「男君、ちょっといい? ラブレター貰ったって本当?」
「いい、委員長いきなり何を言い出すんだねキミは!!」

 絵に描いたような彼の取り乱しよう、やはり後ろめたいのだろうか。

「さっき手紙みたいのいじってニヤニヤしてたけど、ラブレターだったんだねえ」
「幼馴染ちゃんまでいつの間に!? 僕のプライバシーはどこへいった!」

 なるほど。幼馴染ちゃんには伝えていなかったのか。二人の反応がそれを如実に語っていた。
 
「私としては、あなたがラブレターをもらえるなんてこと自体が奇跡に思えるんだけど」
「委員長、今僕は傷付いたよ! 前々から思っていたけど、委員長は極悪非道な心の持ち主だよね!」

 私のことを極悪非道だなんて、言ってくれるじゃないの。面白い。
 言葉をこめた私の視線に彼はひるんだようだが、懲りもせずにさらに吠え続ける。 

「ま、委員長なんかには分からないかなァ。
 ラブレターを貰うということはね、男にとって非常に重大なことなんだ。ロマンなのさ!」

 ついに僕にも春がきたんだ、などと抜かしつつ男性のロマンを力説する男。
 なんといやらしい顔だ。少しムカついた。横には幼馴染ちゃんがいるというのに。
 私は更にこの男をからかってやることにした。

「同じ女性の立場として助言しておくけど、
 行かないほうが身のためよ。多分それ、果たし状か何かの類に違いないわ」
「物騒なこと言わないでよ……ほら、こんなに可愛い文字! そんなはずないじゃないか」

 ぎょっとして手紙を振り回し、これを見よといわんばかりに私に見せ付けてくる。
 なるほど確かに、いかにも女の子ですといった文字がちらちらと見える。

「あら、私なんかに中身見せちゃっていいの? そういえば事件あったわよね。
 女の子みたいな文字を書いて、男の人をだましてたって」
「なっ、僕が手紙を見せるように仕向けたね!? ……なんて狡猾なんだ!」

 キィキィとわめきたてる彼を意識の外に放り出し、私は考える。
 あの手紙は、まあ本物だろう。男はまさか受け入れることはあるまい。幼馴染ちゃんがいるのだから。
 しかし、彼にはどうも優柔不断なところもある。もし、相手の子が強気だったら。
 私は不安になった。これは先手を打つ必要がある。
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:27:26.99 ID:bUZxY3HQ0

「その手紙、メアドも書いてなかった? さっさと断りのメールを出しちゃえば?」
「え、なんで? 直接会うつもりだけど。いくらなんでも、それは失礼すぎるよ」
「元々付き合うつもりもないんだから、相手も後腐れがなくていいじゃない
 向こうもその辺を想定してってことでしょ?」

 つい剣呑とした言葉で私は彼に突っかかってしまう。自分でもいけないとは分かっているのだけれど。
 やはり快く思わなかったのだろう。彼は相応の言葉を返してきた。

「断るとか後腐れとか、何で勝手に決めるんだよ。第一、委員長には関係ないじゃないか」
「なんですって!? もしかして、あなた」

 幼馴染ちゃんのこと捨てる気?
 感情にまかせ、続けて口に出しそうになる言葉を、私はなんとか飲み込んだ。
 最近、彼について気が付いたことがある。
 真剣でいて、それでいてどこか悩むような表情をしばしば見せるようになったのだ。

「…………」

 それが、この顔だ。こんな時、私の内にある怒りやら憤りやらがしぼんでしまう。
 彼が考えていることは、きっとあの子のことだから。
 
「はぁ……。分かったわよ。分かった。今だってどうせ、幼馴染ちゃんのこと考えてたのよね。
 あなたの本心、しっかり伝えてくるのよ?」
「ありがとう委員長。僕も言い方悪かったよね。ごめん」

 私は、男のこの殊勝な態度も苦手だ。胸をざわつかせる。
 だから、いつものように私は冷たい、冷たく見える笑みを浮かべ、次のようにごまかす。
「万一にも承諾なんてしたらどうなるか、その時は覚悟しておきなさいよ」
 瞬く間に青くなる彼。実にコロコロと変わる顔色だ。楽しい。揺れた心が、また収まるところに収まった気がした。
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:31:21.65 ID:bUZxY3HQ0
 
 それでもやはり、どこか落ち着かない気持ちで迎えた放課後。
 先生との話し合いを終えた私が教室に戻ると、そこには幼馴染ちゃんがいた。
 夕暮れと教室、そして窓辺に立つ彼女。この光景は私の目に、酷く不釣合いなものとして映った。

「幼馴染ちゃん、どうしたの?」
「男のこと待ってるんだ。先に帰っていいって言ったけど、待っていたいから」

 なんと切ない話だろう。彼が受けるであろう告白の行く末を、教室で待っているのだ。
 そこまでの経緯が、例え彼女の望んだものであるにせよ。
 仮に二人が恋人同士であるならば、ノロケのひとつでもあったかもしれない。
 けれども彼とこの子の二人には、まだそういったつながりは、多分ない。

「いつもみたいに、わがまま言ってもよかったのよ? 
 あなたが思ってる事をきちんと説明すれば、男君だって行くのをやめたんじゃないかしら」

 彼を引き止めなることができなかったくせに、なんて白々しい慰め方だ。
 しかし、彼女は少しだけ微笑んで、ゆるゆると首を左右に振った。

「男はちゃんと返事するから。多分私がいやだって言っても、行っちゃうと思う。
 でも、それでいいんだ。それが男なんだもん」

 そう。彼はそんな人。私だって、私だって本当は分かっていた。

「これでも私、男のこと沢山知ってるんだよ? えへへ」

 どこか誇らしげに胸を張るその姿は彼女相応の可愛らしさがあり、そしてそのことが殊更に痛々しい。

「そうよね。幼馴染ちゃんは男君のこと一番知ってる。
 男君だって、幼馴染ちゃんのことを一番分かってる。だから、心配しなくても大丈夫よ」
「うん……」

 先程の違和感が何なのかを、私ははたと理解した。それは彼女が憂いを帯びているからなのだ。
 憂い。彼だけではなく、この子も成長している。そのことが彼女にとって良いことなのか、悪いことなのか。
 でも、これだけははっきり言える。私にとって非常に好ましくない状態が目の前にある。私は彼女の悲しむ姿を見たくない。

 だから私は、今から少しだけ道から踏み外れたことをする。彼ならば極悪非道ストーカーとでも呼ぶのかしらね。
 男君。ごめんなさい。でもあなただって、幼馴染ちゃんの悲しい顔、見たくないでしょ?

「そんなに気になるなら、こっそり見に行っちゃおっか? 待ち合わせの場所、私知ってるの」
「気になるけど、でも……」
「ふふ、男君は笑って許してくれるわよ。幼馴染ちゃんは仕方ないなあ、って」

 なんだかんだと理由をつけて、結局私も聞きたいんだという気持ちは、心のうちにしまっておこう。
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:36:19.91 ID:bUZxY3HQ0
 二人のやり取りがちょうど始まる頃合に、私達はそこに到着した。

「来てくれたんですね。ありがとうございます」

(幼馴染ちゃん、声出しちゃ駄目よ)

 こくりと頷く彼女を見届け、私達は茂みへと身をひそませた。
 ここからだと様子は見えないが、声は聞こえる。耳を澄まし、二人の会話に聞き入った。

「こんなところに呼び出してまで伝えたかったこと、あの、その。分かってるとは思うんですけど」
「私、お、おと、男先輩が!」 
「んくっ……男先輩のこと、好きなんです。その……付き合って頂けますか?」


「ありがとう」

 しばしの沈黙の後、男はポツリとつぶやいた。

「少し聞きたいんだけど、どうして僕なんかを、その、好きになってくれたの?」
「先輩って、その、色々と有名じゃないですか。幼馴染先輩のことで」

 バツの悪そうな顔をしている男がありありと目に浮かんだ。

「二人がいつも一緒にいるのを見かけて、最初は仲がいいんだなって。その姿が楽しくていつも目で追っているようになって」
「でもそうしてみると、男先輩は幼馴染先輩のこと、とっても大切にしてて、振り回されててもいつも優しい目で見てて」
「友達には絶対に無理だって止められたけど、私だって二人の間に入るのはすごく大変なことだって知ってたけど」
「だけど、どうしても伝えたかったんです。男先輩が……それくらい本当に好きになっちゃったから」

 彼女は一息に言い切ってため息をつく。あの子の想いは本物だ。
 彼が幼馴染ちゃんを大切にしているという事を知ってなお、彼に想いをぶつけたのだ。並大抵の覚悟ではない。
 もし私が同じ立場だったら。彼女のように振舞う勇気があるだろうか。
 ここまで言われて、好意を抱かれて。普通の男性ならばひとたまりもないだろう。好きな人が別にいたとしても。

「本当、ありがとう。そんな風に、僕を見てくれてたなんて。でも、駄目なんだ。
 僕は、キミの期待する返答をすることはできない」

 そう、彼は普通の男性じゃない。それは……

「やっぱり……幼馴染先輩のことですよね」

「さっき、キミも言ってたよね。幼馴染ちゃんは、とても危なっかしいんだ。
 目を離すどこにいってしまうかわからない。何をしでかすかもわからない。
 きっと、いつも僕が付いてないといけないんだろうな。もしかしたら、ただの思い上がりかもしれないけどね」
「でも僕がそうやって見ていてくれることを、幼馴染ちゃんも見ていてくれると思う。
 それだけで、僕嬉しいんだ」

「私だって! 私だって、先輩の事ずっと……」

 心を落ち着かせるためだろうか。彼女は一旦言葉を止めた。
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:42:47.75 ID:bUZxY3HQ0
「私、今からとても嫌なこと言います」
「男先輩の、幼馴染先輩に対する好きって、親みたいな感覚で好きってことじゃないんですか?
 異性として好きだったら、そんな気持ちにならないんじゃないんですか? 
 だって、恋人同士だったらもっと……そんな関係って違うと思うんです」
「ごめんなさい。本当に嫌な女ですよね……でも、私、諦めたくないんです」

「幼馴染先輩のこと、どう想っているのか、できたらはっきり、教えてください」

 私はこの問題に関して、恐らく完全に部外者だ。
 それでも、彼女の直情的とも言える告白は心に刺さる。
 じゃあ、じゃあその当事者である幼馴染ちゃんは?
 いやな予感がして振り返ろうとした時、見えた彼女の手が震えていることに気が付いた。私はその手を握ってあげた。
 これくらいのことしかできないけど。これくらいのことでも、彼女の心が幾らかでも和らいでくれるならば。
 効果があったのかは分からない。けれども、彼女は強く、私の手を握り返してきた。


 長い空白が過ぎ、彼は再び口を開いた。

「……正直、僕にもよく分からない。全然答えになってないよね。僕がいることで幼馴染ちゃんが笑っていてくれるなら、それでいいんだ。
 今はまだ親とか恋人とか、はっきりした事は言えない。けれど。少しずつそれがどういったものなのか、見つけて行きたいとは思う。
 うん。なんか少しずつ形になってきた気がするよ。そうだ。僕は幼馴染ちゃんが好きだ。多分好きなんだろう。
 質問されて、ようやく気付いたってのも情けないな」

「お友達から、ってことも……駄目ですか?」

「……」

 彼は答えない。

「もし、もし先輩の隣に幼馴染ちゃんがいなかったら?」
「幼馴染ちゃんがいなかったら? そうだね……その時は、僕もそこにいないと思う」

 よどみなく答える彼。彼女はもう言葉を出さない。出せないだろう。
 残酷だ。これは私が望んでいた結果のはずなのに、あまりにも残酷だ。
 胸が苦しい。同情でも、憐憫でもない。
 あの子を通して、私は彼を見ている。それはきっと……。
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:46:45.64 ID:bUZxY3HQ0

「僕、こうやって女の子から告白されたのって初めてなんだ。凄く嬉しかった」
「そんなこと言われたら。だから言わないで、ください。私、私先輩のこと、もう」
「こんなに好意を寄せられて、なのに僕はなにひとつ受け入れることが出来ない……最低な男だよ」
「いえ。男先輩だったから。やっぱり男先輩でよかった。
 ここに来てくれて、直接言葉で伝えてくれたから」
「後輩ちゃん……」
「あ、顔あげちゃだめです。今の私、その酷いかお、だか、ら」
「……ごめん」

 握っている手から伝わる震えはまだ止まらないけれど。
 だけど、それは決して先程の不安や恐れからくるものじゃない。
 ぽたり、ぽたりと、隣にいる彼女の足元に作られていく染みが、私の棘だった心を皮肉にも和らげていく。


 女の子が立ち去った後も、男はただ何もせずそこに立ち呆けていた。
 見ちゃいましたよ旦那、なんてふざけて出て行ける雰囲気ではなかった。
 私は急に、この覗き見という行為が、何か酷く汚いものに思えてきた。
 未だ泣き止まぬ彼女の手を引き、私達はそくささとその場を立ち去った。
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:50:39.41 ID:bUZxY3HQ0


 幼馴染ちゃんの目元は少し赤付いていた。ずっとこすり続けていたのだろう。
「ほら、泣いてちゃ可愛い顔が台無しよ」
 未だに涙をたたえている目を、ハンカチで拭いてやる。
 彼はこのことに気付くだろうか。間違いなく気付くだろう。
「男君の気持ち、分かってよかったわね」
「うん……うん」
 しきりに頷く彼女は、やっぱり可愛らしかった。私の見たい彼女がここにいる。
「さて、と。幼馴染ちゃんはまた教室に戻らなきゃ。今一番男君が会いたいのは、あなたのはずよ」
 これで先に男君が教室に戻って、そこに誰もいなかったら、さすがに可哀相だ。想像して、ちょっと笑えた。
「わかった! 委員長ありがとう! また明日ね!」
「またね、幼馴染ちゃん」

 陰りを増した夕空が、校舎へとかけて行く彼女を薄く照らす。
 それでも、先ほどよりもずっと輝いて見えたのは、私の目の錯覚では、ない。

 この後教室で待ち合わせた二人が、どのような言葉を交わすのかには、とても興味があった。
 が、覗き見をした件も含め、その気にはなれなかった。きっと、それは私が立ち入ってはいけない瞬間なのだ。

 帰途につく傍ら、しきりに思い出すのはやはり先程のことだ。
 去り際にちらりと見えた相手の女の子。泣いていた。
 その一方、幼馴染ちゃん。彼女も泣いていた。
 二人の流した涙は、私の脳裏に強く焼きついている。

 そしてもうひとつ。男君のこと。
 彼はあの場に直接足を運び、そしてあの子に関する全てを拒否した。
 きたんなく言えば、幼馴染ちゃんの為に後輩のあの子を切り捨てた。
 その行為は、どれだけ辛かったのだろう。男は優しい。
 優しい彼が自らに向けられた好意を踏みにじることは、どんなに苦しいものか。
 確かに男も泣いていたのだ。涙を流すことだけが、泣くことではない。
 果たして、告白したあの子は男のことを諦めることができたのだろうか。
 彼女は、間近で彼の心の姿を見てしまった。もしかしたら、諦めるどころか今以上に……。
 それは、私が恐れていたことに違いない。
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:54:06.66 ID:bUZxY3HQ0

 恐れていたこと? 何を? 私は立ち止まって振り返る。今二人がいるかもしれない方向を。
 何故か、とても不快なものが頭をよぎった。
 もし、男の隣に幼馴染ちゃんが居なかったら、私は……。
 思いかけて、苦笑した。
 あの二人が一緒でないことなんて、想像できない。想像してはいけないのだ。
 二人が別々の道を歩んでいるなんて、すごく嫌だ。

 それは要するに、私は二人が仲良くしている姿が好きということなのだ。
 幼馴染ちゃんがいて、その隣で男君がいて。そしてそれがどこまでも続いて。
 今頃二人は、肩でも寄せ合って家へと向かっているのだろうか。
 私の心をよぎった不快なもやもやは瞬く間に霧散した。

 今度、幼馴染ちゃんと一緒に買い物にいこう。
 何かをしゃべりながら、フラフラと意味なく街を歩いたりするのも、いいかもしれない。
 どこかで食事をして、くだらない事でふざけあって。
 男君は、その時彼がいたら。そうだ、それも悪くないだろう。三人で一緒。とても、悪くない。
 これが、青春の正しい有り様であるかは分からない。私達高校生としては幼すぎるような気もする。

 でも、こんな形の好きがあったっていいだろう。そう思わない?
 季節にしては少し暖かい風がふいた。
 その風は少しうるさくなった髪をたなびかせ、そして少しの高揚感を運び、
 誰にともいえぬその問いを夜空へと舞い上げていった。 

fin
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/10/30(日) 01:57:20.35 ID:bUZxY3HQ0
終わりです。地の文とモノローグの差がイマイチ分からず書いちまいましたが、
どんなもんだったでしょうかね。

次回投下予定:廃墟に行く
補習の一環で何故か廃墟に行くお話。

今回は疲れた。地の文の難しさを十分に堪能致しました。おやすみなさい。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/30(日) 02:34:16.33 ID:3pbtOpCAO
切ないのお……
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 06:15:09.81 ID:dr/rzPZDO
乙!!

素敵なモノローグだったよぉ〜

てか男格好良すぎでホレテマウヤナイカァァァァァ
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/30(日) 08:02:54.50 ID:kzzx2twio
おつでござる
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/30(日) 08:06:31.86 ID:0W6+QYB2o
この後、幼馴染と男がどうなったのかを考えると!乙!
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/30(日) 08:52:12.31 ID:YuwwIt2+o
乙乙です。
委員長のモノローグをリクエストしたのは俺です。いいもんが聞けた。
良かったです。
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/30(日) 09:55:41.92 ID:LOVn3ao8o
乙!!
委員長うざいなぁ
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2011/10/30(日) 14:30:35.60 ID:85BiMxDA0
追いついた!!

いやあ、いい話だなあ

早く結婚した後の話が見たいな
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 19:04:19.34 ID:8LRoZ1YCo
>>1 乙!

手術も終わり、無事本日退院してきたぜ。
これで何の問題も無く集中して読める。
楽しみにまっているぞ!!
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 20:09:52.21 ID:a7BOuTJto
>>393
お前に乙!
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 21:17:56.46 ID:8LRoZ1YCo
>>394
サンクス!!
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/01(火) 00:16:49.15 ID:Li9hy+iIO
>>393
むりすんなよ
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 14:19:18.73 ID:3UazklGZo
>>396
ありがと! 大丈夫のハズだ!
医者のお墨付きももらったしな。
自宅療養→職場復帰までは、のんびりと読ませてもらう。

>>1 じゃないから個別レスはこの辺で。 >>1 が来るのを待つわ。

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/11/02(水) 22:46:08.98 ID:V+p5GZrD0
地の文はスイコウしないと危険ですね。
見直したら大惨事。


>>386 >>387 >>389
ありがとうございます。
男君をスマートに書きすぎた気もします。
>>390
なんだかんだで、モノローグを書く練習になりました。
リクエストありがとうございます。
>>391
委員長うざがられすぎわらた。
私のキャラメイクもさながら、やはり個々人における『委員長』のイメージもあるのかな。
>>392
結構長くなってしまってるのに、ここまで読んで下さってありがとう。
結婚後の話まではもうちっとあるので、それまでお付き合い下さいませ。
>>393
無事退院されたようで何よりです。
養生がてら、楽しんでいただければ幸いです。
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 22:51:11.82 ID:V+p5GZrD0
今回の投下:廃墟に行く
補習の一環で何故か廃墟に行くお話。

ちょいと忙しくて全部書ききれませんでした。半分くらい嘘ですけど。
残りは明日に投下いたします。

折角のホラーなので、今回幾つかの神話と体系を取り入れてみました。
なんぞ分からんって時は、明日の投下に併せて解釈も書いておきます。
ってここまで書いて、よく考えたら全部投下しないのに解釈も何もないねハハ!
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 22:52:25.28 ID:V+p5GZrD0
補習の一環で何故か廃墟に行くお話。


旅館いざよい

男「くっそー。あのアホ教師め。また幼馴染ちゃんを巻き込んで……どこが強化合宿だよ」

委員長「なんで私まで一緒に行かなくちゃいけないのよ」

男友「でもタダで旅行できるわけだしな……俺としては楽しみだよ」

男「二人ともごめんね。僕一人じゃあの連中手に負えなくて……」

男友「ところで男、ここにいらっしゃる方々なんだが……」


モヒカン「くだらねェ」

極悪面「合宿とかアホか」

巨漢「ダりいな」


男友「なかなかどうしてワイルドな方々とお知り合いなんですね……」

男「僕は殆ど面識ないけど、幼馴染ちゃんは仲良いみたいだよ……」
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 22:53:48.43 ID:V+p5GZrD0
男の泊まる部屋

男友「部屋割りは男と一緒か。幼馴染ちゃんのがよかったろ。悪いな」

男「いや、これでいいよ。同じ部屋にされても、色々まずいでしょ」

男「まあ、あっちには委員長がついて」

『貴様等ーーーーーーー!!!!!』


男友「……なんだ?」

男「あれは……先生の声だな。どうせロクでもないことだから、無視した方がいいよ」

男友「気になるな。いってみようぜ!」

男「あ、男友! 仕方ないなあ、もう」


モヒカン・極悪面・巨漢「……」ボロボロォ


男友「あ、あの。先生、どうしたんでしょうか?」

補習講師「生意気にも部屋でタバコを吸っていたのでな。身分というものを思い知らせてやったところだ」

補習講師「こいつ等には、どうも学生としての自覚が足りぬようだ」

補習講師「……確か、この近くの森に廃墟があると聞いた。ふむ。心身を磨くには絶好の場所だな」

男「あ、そうですか。僕たちは勉強でもしつつ待機してますねいってらっしゃーい」

幼馴染「廃墟!? いきたーい!」キラキラ

委員長「どうしたの?」

男「いつもいつも全てが悪い方向に向かってるね、へへへ……」
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 22:55:18.62 ID:V+p5GZrD0
夕暮れ時

ゾロゾロ

男「合宿で教師が率先して廃墟の病院とか頭おかしいんじゃないですかね」

補習講師「己の肉体を強化して更なる成長を遂げる合宿。何一つとしておかしいところはあるまい」

男「先生……強化合宿を何かと勘違いしていませんか?」

委員長「ねえ、この先生大丈夫なの?」

男「いや、駄目だと思う」


男友「そういや廃墟の病院といえばよ、あの噂知ってるか? 院長の猟奇殺人ってやつ」

モヒカン「あぁ。院長だかの気が狂って、患者殺しまくって自殺した話だろ?」

極悪面「は、ガキくせえ話に興味あんのかよモヒカン」

モヒカン「んだとコラ? 走り屋仲間からそういうのよく聞くんだっつの」

補習講師「貴様の歳で走り屋か。その話、後で詳しく聞かせてもらおう」

モヒカン「ちっ。極悪面、てめーのせいだぞクソ!」

巨漢「おい。そ、その病院の話もっと聞かせてくれよ」

極悪面「お前怖がりのくせに首突っ込みたがるのな」

巨漢「うう、うるせえ! 聞きたいだけだ! 俺は怖がりじゃない!」
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 22:57:26.11 ID:V+p5GZrD0
委員長「話からして、院長が自殺して病院も経営破綻。放置の結果廃墟となったってとこ?」

男友「え、ああ。まあ、そんなことが起きたら病院も潰れちまうよな」

男友「それでその病院、廃墟になってから少しして気味の悪い噂がたち始めたんだ」

モヒカン「開かずの手術室か」

男友「そう。そこの手術室、院長が猟奇殺人を行った現場らしくてね」

男友「縁起悪いというか、不吉だというか。事件の後コンクリートで固めて、埋めちまったらしいんだ」

男友「結局倒産しちまったから、そうする意味もなかったんだけど」

補習講師「つまりそのコンクリートごとぶち抜けば良いわけか」

男友「は、はあ。そうですね……」

男友(なに言ってんだこの先生)

男友「で、ポイントなのが『手術中』のサインランプだけはそのままになってるってこと」

委員長「それが赤く点灯するってことか」

男友「うん。ある時間にいくと、赤い『手術中』のランプがともっているんだ」

男友「そのランプが消えるまで待つと、そこに扉が現れて……って話だ」

巨漢「扉が現れたあとはどうなるんだ?」

男友「いやあ、その後の話は俺もちょっと……すんません」

モヒカン「俺知ってるぜ……ある日若い数人のグループがな、そこへ肝試しに行ったんだよ」
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/02(水) 22:58:30.45 ID:7oZ9VnGG0
巨漢萌え
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 22:59:18.89 ID:V+p5GZrD0
モヒカン「ワーワー騒ぎながらその手術室があった所に辿りついたんだけど、案の定ランプは点いてなかった」

モヒカン「やっぱな、ってことで白けて帰ろうとしたが、一人だけバカなのがいてな。そこに残ったんだ」

モヒカン「心配しつつも、そいつを残して皆メンバーの家に戻った。それで深夜になって」

モヒカン「その、残った奴から携帯があったんだ。『ランプが点いた!』って」

モヒカン「仲間は、どうせ俺達をからかうつもりで既に帰ったんだろうって笑ってたんだがよ」

モヒカン「その後、全然連絡付かなくなっちまって。さすがに不安になった頃、またそいつの携帯からかかってきた」

モヒカン「やっぱりな、ってことで安心して出たら、全然知らねえ声がしゃべりはじめた」

モヒカン「『○○さんの治療が終わりました。お引取りにどうぞ』とな」

モヒカン「それ以降は、また電話しても全く通じねえ。なんかやばいぞ、って思った仲間は翌日警察連れてそこに行ったんだ」

モヒカン「例の場所に携帯は落ちてた。が、どの部屋を探しても、そいつはいない」

モヒカン「どこいったんだろうと首を傾げてると、仲間の一人が悲鳴上げながら走ってきた」

モヒカン「全員で仲間の飛び出て来た方に行ってみたんだ。そのずっと先にあったのが霊安室な」

モヒカン「そいつはその霊安室で、身体を解剖された状態で発見されたそうだ」
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 23:01:02.10 ID:V+p5GZrD0
男「あーあー! 聞こえない聞こえない!」

幼馴染「きかざるきかざる! 私もきこえなーいうきゃきゃきゃ!」

委員長「くだらない話ね。それって都市伝説とかネットロアの類でしょ?」

巨漢「ら、楽勝だぜ……」ガクガク

男友「委員長はさめてますなあ……」

補習講師「その院長とやらは強いのか?」

男友「いや、強いのかとか言われましても……というか院長て」

モヒカン「まあ、この面子で一人残ろうとかいうバカは」チラッ


委員長「そんなの嘘っぱちじゃない。私なら待って鼻の内明かしてやるわよ」

補習講師「どんな強いやつが飛び出てくるのか楽しみだ」

幼馴染「男、どうしたの? 顔真っ青だよ? おなか痛い? 手術室入る?」


モヒカン「……笑えねぇな」





『ふ……い ……ぐ……ふ』
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 23:03:52.98 ID:V+p5GZrD0
廃墟への道/森の三叉路

カァ カァ バサバサ

老婆「おんや? 若い方がぞろぞろと。こんな夕方にどこさ行くね?」

男「お婆さんこんばんは。こんな時間にお騒がせしてすみません」

老婆「最近一人が多いでな。こうやって話せるだけでも楽しいもんさ」

老婆「ところで、この辺りは昔からよくないこともあるでな。夜遅くにうろついちゃいかんよ」

男「ほら! 聞いた? 現地のお婆さんだってこんなこと言ってるんだよ!? やっぱり行くのやめようよ」

男「って、みんな冷たいなあ。行っちゃったよ」

老婆「ちょい、ちょいお兄さん」

男「はい?」

老婆「ふうむ……おまいさん以外、どうも毒気にやられとるようじゃね」

男「毒気? ああ、あの人達からなら毒気あてられっぱなしですよ」

老婆「ほれ、これもっていきんさい」

男(この実なんだろう。梅かなこれ。まあそれはいいとして……こっちのわら人形みたいのはなんだ……)

男「えっと……お気持ちは嬉しいんですけど、さすがにいただけないで」

幼馴染『おとこー! 先いっちゃうよーー!!』

男「うわ! みんな置いてかないでよ!!!」

老婆「お兄さん」

老婆「あけたらちゃんとしめるんじゃぞ?」

男「え? はあ……」
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 23:05:33.02 ID:V+p5GZrD0
病院「……」ズズーン

補習講師「ここが俺とお前達のサンクチュアリとなるわけか。悪くない」

幼馴染「わくわくするねー」

男「わくわくなんてしないよ! 何がサンクチュアリだ! 不法侵入じゃないか! あー、いやだいやだ今すぐ帰りたい」

委員長「あら、帰ってもいいのよ。真っ暗な中、一人で森を歩くことになるけど」

男「委員長! キミ意地悪だよね! ほら、ないの? あーもう仕方ないわね私も一緒に帰ってあげるわよみたいな!?」

委員長「ない」

極悪面「お、俺も一緒に帰ってやってもいいんだぜ?」

男友「うほっ」

補習講師「入り口もいい具合に壊されてるな。正面から正々堂々と挑むぞ」

幼馴染「それじゃいきましょー!」ガシッ

男「うわあああああ、そっちにはいきたくないいいいいいいいい!!!」ズルズル
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 23:08:16.96 ID:V+p5GZrD0
病院内

男「おおおおお、最悪の雰囲気だ……」

幼馴染「向こうの角から、動くベッドキコキコさせて看護婦さんが来るんでしょ?」

男「こないよ! そんなのゲームの中の話だからやめてくれ……」

モヒカン「お。恒例の落書きじゃねえか。俺達もしてこうぜ」

男「キミ等みたいのが廃墟を荒らすんだろうね……」

幼馴染「ほらほら、男!」

男「なに? 幼馴染ちゃん、あの連中のマネなんかしちゃだめだよ」

『男参上』

男「ちょ!! 何してるんだよ!! よりによって僕の名前を!」

委員長「折角だから苗字も書いておいたわよ」

男「委員長おおおおおおおおお!! キミはそんな子じゃなかったはずだぞ!!!!」

委員長「幼馴染ちゃんが楽しんでるし、いいじゃない」

男「よくないよ! 僕が落書きしたみたいじゃないか! だいたいね、自分の名前書く馬鹿なんていないから……」

男「ほら! スプレー貸して!! 消さないと」シューシュー

幼馴染「あー、人のこと注意して自分もやってる。ずるーい」

男「ええいうるさいうるさい! こんなのこうしてやる!!!」








『あ……す……なふ……ん』
410 :>>408の極悪面→巨漢 [saga]:2011/11/02(水) 23:12:01.87 ID:V+p5GZrD0
院内通路

男「うっ!!」

幼馴染「どしたの?」

男(トイレに行きたい……しかしこんな場所でトイレなんて、まっぴらごめんだ)

男(でもこの耐え難い尿意はどうにもならないぞ……どうしよう……)

男「ね、ねえ男友。トイレに行きたくないかな?」

男友「いや別に……なんだ、トイレか?」

委員長「私達この辺の部屋見てるから、その間に行ってきていいわよ」

男「え、ちょっと待ってよ。もしかして僕一人でトイレ行くの?」

巨漢「……」ニヤニヤ

男(こ、こいつッ! ご愁傷様みたいな顔して優越感に浸ってる!!)
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 23:13:33.41 ID:V+p5GZrD0
トイレ→・・・

男「……」

男「……」

男「……」

男「怖いから目をつぶって歩いていたら、よく分からないところに来てしまった……」

男「い、いやだ……一人はいやだよ……」

??「あの」

男「うっほああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

??「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!」
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 23:16:28.31 ID:V+p5GZrD0
廃墟マニア「いやあ、ビックリした」

男「あの状況でびっくりしない人なんていませんよ……こんなところで何してるんですか、ってお互い様か」

廃墟マニア「いやあ、俺廃墟の写真とか撮るのが趣味でね。夜だと綺麗なの撮れるかなって」

男「よくこんなおぞましい場所を一人でウロウロできますね……」

廃墟マニア「あまり意識しないようにしてるからなあ。慣れりゃ、まあそこまで怖くはないよ」

廃墟マニア「それに、キミだって一人だろう。俺のこと言えないんじゃないか?」

男「いえ、その一緒にきた人達とはぐれてしまって……」

廃墟マニア「ふぅん。興味本位でこういう所くると危ないよ。足元も注射とかガラスとか結構落ちてるしね」

廃墟マニア「床が落ちて怪我する時もあるし、甘く見ない方がいい」

男「仰るとおりです……クレイジーな連中が多くて困ってますよ……」

廃墟マニア「そういえば、今日は月見えてる?」

男「あれ、どうたったっけ。出てたような。んー、外真っ暗だし……多分新月ですね」

廃墟マニア「赤い月が出てる時は、神様が不在なんだってね」

男「は?」
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/02(水) 23:19:41.06 ID:V+p5GZrD0
廃墟マニア「うん。この辺に住んでる年寄りの人達から、そんな話聞いてさ」

廃墟マニア「迷信だとはいえ、やっぱ気になるじゃん? 新月でよかったねあはは」

男「そうですね……」

男(ちくしょう。また嫌な知識を得てしまった……)

廃墟マニア「俺はそろそろ帰るけど、キミと知り合いも気を付けるんだぜ」

男「できれば僕もご一緒したいなあ、なんて……は、はは」

廃墟マニア「こらこら、お友達を置いていっちゃだめだよ」

男「せ、せめて皆が見つかるまでご一緒してもらえませんか……」

廃墟マニア「ほら、あそこでチカチカ光がみえるけど、あれじゃない?」

男「あ、ほんとだ。なんか随分離れちゃったんだな……」

廃墟マニア「ま、もしもの時があってもなんだからさ、一応外の入り口のところにライト置いておくよ」

廃墟マニア「それじゃ、キミも気を付けてね」

男「はい。色々ありがとうございました。それじゃあ」タッタッタ







廃墟マニア「……」
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/11/02(水) 23:20:49.88 ID:V+p5GZrD0
今日はここまで。残りは明日投下します。おやすみなさい。
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 23:34:36.49 ID:iEULB1Nqo
乙!
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 23:41:39.52 ID:FFohQ1aDO
乙!
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/03(木) 02:13:57.13 ID:dRaimW6A0
巨漢萌え
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/03(木) 11:00:02.31 ID:tB7hp1Hmo
ぬるぽ
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/03(木) 11:02:16.68 ID:tB7hp1Hmo
ぬるぽ
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県) [sage]:2011/11/03(木) 18:09:18.61 ID:4PEVIVL4o
ガッ x2
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/11/03(木) 23:39:09.61 ID:EvNkeCjp0
危ない。また約束の期日を越えるところだった!
本来一つや二つのスレを消化する必要のあるものを、ミニマムサイズで詰め込みました。
地文もないし、読んで下さってる方にゃなんだかよう分からんね。こりゃあいかんぜよ!


>>404 >>417
キャラ出しすぎで不良三人の区別よくわからなくなり、その為の苦肉策でした。
>>418 >>419 >>420
ガッしてくれてありがとうございます。
ちなみにぬるぽ、私の知る限り四つほどの意味合いがあります。果たして、どのぬるぽなのか。
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:40:46.74 ID:EvNkeCjp0
男友「あれ、お前どこ行ってたんだ?」

男「いや、まいった。迷子になっちゃってさ。そういえば変な人がいたよ」

男友「変な人? つかトイレから出てこなかったはずだけど……気のせいか」


手術室前

男友「扉があってよかったな。ランプも点いてないぜ」

男「さっき手術室がどうの物騒な話してたくせに、よくこんなとこ入る気になるね」

男「ほら、鍵閉まってる。もう諦めてもう帰ろうよ」

補習講師「アタァァァァァァ!!」バーン

補習講師「よし、これで開いた。さあ院長、出て来い!」

男「……」
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:42:05.29 ID:EvNkeCjp0
手術室

モヒカン「いかにもって感じだな。おい、手術台あるぜ。ちょっと寝てみろよ」

巨漢「や、やだよ! こんなとこ早く出よう!」

男「ここで昔手術したりしたって事実がもうね……巨漢さんの言うとおり早く行こうよ」

委員長「奥にもう一つ扉あるわね。なにかしら、紙みたいなのが沢山貼ってあるけど」

男「制御室か何かじゃないの? どうせ何もないからさっさと帰るよ」

幼馴染「お札みたい。ほら、はがしてきた」ヒョイ

男「お札ぁ? 明らかにいわくありげじゃないかこれ……」

極悪面「どうせ誰かのイタズラだろ。けっ、むしり取ってしまえ」ベリベリベリ

男「げ、なんという罰当たりなことを!」


『ふ……い ……ぐ……ふ』

『あ……す……なふ……ん』

『いあ!……と……す!』
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:43:28.21 ID:EvNkeCjp0
ギィィィィィィィ

男友「扉が勝手に開いたぞ……なんか様子が変じゃないか?」

委員長「懐中電灯照らしても、中が暗くて分からないわね」

男「あわわわわわ……どうみてもやばいよこれ」

極悪面「なにビビってんだ。俺が見てきてやるよ」スタスタ

巨漢「お、おいやめた方がいいって……」

極悪面「……真っ暗だな……いや、というより夜空のような、星が」

極悪面「…………」

巨漢「極悪面?」

極悪面「#$%&!!”@*’||」フラフラ

モヒカン「大丈夫か極悪面! こいつおかしくなっちまったぞ!」

幼馴染「ね、何か面白いものでもあるの?」

男「ない! いっちゃだめ! 意地でも行かせないよ!」ガシッ

幼馴染「もー。そんなにつかまなくたっていかないよ」

「……」ヌゥゥゥゥゥ

男友「な、なにか出てきたぞ……あの赤いの……え、手?」

ベチャ

赤い塊『う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛』
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:44:56.56 ID:EvNkeCjp0
男「ち、ちちち血! 肉が!! 上半身だけ!!! 顔!!」

巨漢「きゃあああああ!!!! グロテスクまじかんべん!!!!」

委員長「冗談でしょ……」

赤い塊「ア ア……ザース……マ」

幼馴染「あざーすだって! いい人なのかもしれないよ!」

男「んなはずないだろがあああああ!!!!!」

モヒカン「やべえ、逃げるぞ! おい巨漢、極悪面担いでくからこっち持て!」


ガチャン

補習講師「よし、手術室の扉は閉めた。背水の陣ここに完成せり!」

全員『アホ教師どけええええええええ!!!!』ドカーン

補習講師「くっ……俺ごと扉を吹き飛ばすとは、やるようになったなお前ら」

補習講師「まあいい。こいつが院長か。修行の相手としては申し分ない!」

フハハハハ カカッテコイ!!



委員長「なんなのよあれ! 作り物か何かじゃないの!?」

モヒカン「はっはっはっ……くっそ重い!」

巨漢「仕方ねえだろ! こいつでかいんだよ!」

男友「はっはっ……幼馴染ちゃん背負って、お前力持ちだな」

幼馴染「きゃははは! 男すごーい!」

男「ぜえぜえぜえ……ごめんしゃべる余裕……ない」


『待ておい!』ダダダダ

委員長「ちょっと! なんかこっちに猛スピードで走ってくるわよ!」

男「ひいいいいい!!!! 怖いのいやだあああああああ!!!」バヒューーーン

男友「うお!! 男はえーーーーー!!」

補習講師「待ておい! 何とか追いついた! あいつ強いぞ!」

男友「ひいっ! 先生血塗れじゃないっすか!」

補習講師「今の俺では敵わん! 出直して更なる鍛錬が必要だ!」

モヒカン「とりあえず外まで一気に走るぞ!」

委員長(あの二人、先に外に行ってればいいけど……!)

ワーワーギャーギャー
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:47:46.04 ID:EvNkeCjp0



男「はぁっ、はぁっ……どこだここ。皆とはぐれちゃったよ……はぁ」

幼馴染「携帯も無理みたい。圏外になってるねぇ」

男「……うう、なんでこんなことに。早く家に帰りたいよ」シクシク

幼馴染「ね、男」ポンポン

男「……幼馴染ちゃん、慰めてくれるのかい? こんな時だけど、いやこんな時だからこそ僕は」

幼馴染「んん。違う。ほら上、さっきのすごいのがいるよ」

男「んあ? なんだって? よ、よくきこえなか」

ヒュー ドチャ

赤い塊『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』

男「」
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:48:46.83 ID:EvNkeCjp0
幼馴染「なんかこれ怖いよ。男はやくいこ」

男「……ごめん、無理だ。腰抜けた」

男「お、幼馴染ちゃんだけでも走れるでしょ?」

幼馴染「えー。やだ。じゃあ私今度背負うよ」

男「無理無理! ほら! いったいった! はやくいって!」

幼馴染「いやだいやだいやだーーー!! こうなったら引きずってくもん!」ズルズル

赤い塊『イヤダイヤダイヤダイヤダ……』ベタ ベタ

男「お、お願いだから本当に、あ、あああ。もう駄目だ……幼馴染ちゃん離れて!」ドンッ

赤い塊『カラダ…ヲ…××チョウダ……イ』スッ

男「ッッッッッッッッ」

バチィ

赤い塊『アアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛』

男「……ッ」

男「え、なんだ? どうしたんだ??」

赤い塊『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛』

男(ポケットが光ってる……これ、お婆さんにもらった人形……バラバラになっちゃったけど、もしかして)

赤い塊『ギエアアアアアアアアアアアアアアア』

男「うっひいいい!! こっちくるなあああああああ!!!」ポイポイ

赤い塊『くとぅウェェk;よふぁそとーgpp@kl@@』ズルズルズル

男「ひっ、はっ、はっ……いっちゃった……」

幼馴染「何投げたの?」

男「……」
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:50:21.79 ID:EvNkeCjp0



男「肩借りちゃってごめんよ。重いでしょ?」

幼馴染「うん、重いけど嬉しいから平気だよ」

幼馴染「さっき、私のこと助けようとしてくれたしょ? かっこよかったよえへへへ」

男「あー、その、まあ色々切羽詰ってたからね、はは」

チカッ チカッ

男「あ、向こうの方に光が見える。さっきの人が置いてってくれたやつかな?」

幼馴染「あそこにいけば帰れるの?」

男「うん。きっとそう。いこっか」

男(まさか追ってこないよね?)チラッ

通路「……」シーン



病院入り口

男「なんだかここに来たのが、ずっと前に感じるよ……」

男友「あ、二人ともここにいたのか!」

男「男友! みんな無事だった?」

男友「え? まあ無事っちゃあ無事だが。先生は頭ぶつけたみたいで怪我したけど、大丈夫だろあの人なら」

男友「皆で二人のこと探しにいったんだけど、そろそろ戻ってくるかな」

男「それまずいって! 化け物みたいなのまだいるから危ないよ!」

男友「化け物ぉ? ははーん、俺を驚かそうとしてるな?」

男「いや、そうじゃなくて! 幼馴染ちゃんも見たよね!?」

幼馴染「んーんー、よく覚えてないや!」

男「そんなバカな……」

ゾロゾロ

委員長「幼馴染ちゃん! と男。よかった、携帯も繋がらなくてどうしようかと」

男「ね、委員長! 委員長はさっき見た、あれ、さっき見た……」

委員長「なによ?」

モヒカン「どうでもいいけどこいつ、ここに放り投げてっていいか?」

巨漢「極悪面の野郎、散々人をチキン呼ばわりしたくせに……自分で気絶して世話ないぜ」

男「うーん。なんか記憶があやふやに……なんだったんだろう」

補習講師「さて、そろそろ帰るか。今日は月も出ていて明るい。いい夜だな」
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:51:53.31 ID:EvNkeCjp0



数ヵ月後

某工事中の道路

DQN「うー、さみ」

DQN「……」ジョロロロロ

シーン

DQN「人気のない路肩の工事現場ってのも気持ち悪いな。灯りだけピカピカしやがって」

看板「……」

DQN「へ、この白々しいおじぎの絵、むかつくんだよ」ガンッ


スッ

DQN「ん? なんだ?」

DQN「……」

DQN「車に戻るか」

ススッ

DQN「……おい、誰かいるのか?」

DQN「なんだよ……」


ユラッ

赤い塊『  』

DQN「ひっ! 化け物、ばけもの!!!」ガシッ ズデン

DQN「た、たすけてたすけて あああああああああああ」ズルッ ズルッ

アアアアアアア グシャ 

…………
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:53:42.84 ID:EvNkeCjp0
TV『今回の事件に関して、どのように思いますか?』

TV『そうですね。皮を剥いで……心臓を……過去アメリカでも起きた……異常者の……』

男「うえ。物騒な事件だな……ここからそんなに遠くない場所だし……」

幼馴染「あれえ? ニュースなんてみてるの? それよりもこっちのアニメがいい!」プチッ

男「あ! 幼馴染ちゃんは全く自分勝手だなあ……」ブツブツ



夜 補習講師宅/アパート

補習講師「今日の授業も有意義であった。明日に備えて書類の整理でもしておくか」ガサッ

補習講師「ん? なんだこの束は? 札か? はて、鞄に入れた記憶なぞないが……」

補習講師「何かが引っかかる。思い出せん」

ドン ドンドン

補習講師「こんな時間に誰だ。しかもわざわざドアを叩くとは」

補習講師「はっ! まさかこの俺の家に対しての道場破りか! くく、面白い!」

補習講師「それならば遠慮はしないぞ。さあかかって来い!」

ドン ドンドンドン

補習講師「貴様が開けぬのならば、俺から開けてやる!!」

ガチャ

end
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/03(木) 23:55:32.21 ID:EvNkeCjp0
次回投下予定:>>351が就職するまで
このスレに書き込んだ後のお話。

最早誰が得するのか以前にこのスレと関係あんのかって話ですが。
出されたものは、全部美味しくいただかせてもらいます。おやすみなさい。
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/04(金) 00:00:27.45 ID:LyUpCPTxo
乙!!

補修講師と化け物の一騎打ちがどうなったのかが気になるぜ・・・・


てか次回作wwwwwwwwwww
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 00:05:48.28 ID:Gw8KLD9DO

面白かったけど怖さが足りない
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/04(金) 00:06:07.22 ID:zB9QAPHIO
スレッド立てたが続き書き込めん
どうすればいい
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(茨城県) :2011/11/04(金) 00:21:09.92 ID:3wwjy9Xj0
携帯端末機から>>1です。
>>434
この時間は無茶苦茶重いので、落ち着いてから書くといいですよ。
他に原因がある場合はわからない、ごめんなさい。
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/11/08(火) 00:20:06.94 ID:aDYrtuWQ0
色々調べてたら、また投下が遅れた! で、その成果があるかと言えば。
コブラ、細部を粗探ししちゃだめ。SSは心で読むのよ。

>>432
本当はさらにこの後の話も書いたんですけど、方向性が決まっちゃうのでカットしました。
次回作に関しては、無駄な頑張りようを見せてしまうことになりそうです。
>>433
ギャグ路線とホラーは相性が激悪でしたね。もうちょっと暗くすればよかったと反省しております。
そんなことより今回、実はクトゥルフと日本書紀と言霊信仰と都市伝説を融合したんですよ! え、聞いてないって?
いや違う、そういうことじゃないんだ。 聞 い て く れ
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:21:05.70 ID:aDYrtuWQ0
今回投下予定:>>351が就職するまで
このスレに書き込んだ後のお話。
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:22:58.86 ID:aDYrtuWQ0
自室

351「7の俺が就職する話……っと」カタカタ ッターン!

351「ほれ、リクエストしてやったぞ。書いてみれ、へっ」

351「あーーー! 明日面接あんのに無駄な時間過ごしちまった!」

351「やっべ、自己アピールが全然まとまらねえ……どうすっか」

351「……待てよ。さっきのSSには愛がどうの書いてあったな……これは使える!」



翌面接日/面接室


面接官「愛?」

351「はい! 貴社に対する愛を大切にしたいと思います! 例えば苦境に立たされたり、つらく」

面接官「いや、ちょっと待って下さい。そんな漠然とした事を言われても困るんですよねえ」

351「あ、すみません……」

面接官「それよりも、351さんは大学を出てから経歴がないみたいなんだけど、その間何をしていたんですか?」

351「え、そ、それは……バイトとか、してました」

面接官「バイトねぇ。正直、今ウチが欲しいのは即戦力なんですよね。加えてまともな実務経験もないというのは……」

351「……」

面接官「はぁ……。ともかく、結果は来週中までに通知しますので。もう帰っていいですよ。お疲れ様」

351「ありがとうございました……」
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:24:11.51 ID:aDYrtuWQ0


351「くそっ。なんだあの面接官。人の話全部聞きもしねーで」

351「……愛なんて所詮奇麗事じゃねえか。現実には通用しねえんだよ」

バタン

351「かーちゃん、ただいまー」

母「おかえり。面接、どうだった?」

351「駄目だったわ。面接官性格悪くてまともにできなかったよ」

母「あんたは気の弱いところがあるからねぇ。とりあえずお疲れさま。夕飯できてるよ」


351「今日の夕飯何?」

母「ふふん。ほら、あんたの好きなから揚げだよ。色々大変だったろ」

351「採用されたとかなら分かるけど、面接受けに入っただけだしなあ……」

母「就活してくれるだけでも嬉しいもんなんだよ。ほら、冷めないうちに食べちゃいなさい」

351「なんつーか、俺としても気まずいもんがあるぜ……」


TV『年金支給の開始年齢引き上げが論点となり……また……による医療負担の……』

351「これからは80もありえるのかー」パクパク

母「あんたの世代は大変だね。就職難やら将来への不安やらで」

母「だからこそ、しっかりと職に就いてもらいたいもんなんだけど」

351「どうせ俺が年金貰う頃には今の制度も日本の経済も崩壊してるだろ」

351「俺だけじゃなく、フリーターだの派遣社員が更に多数占めるようになっちゃうと思うよ」

351「まあ、俺は今くらいの生活でもそれなりに満足してるから大丈夫よ」

母「はあ……まったくのん気なんだから」
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 00:24:55.62 ID:3Ccdg4sDO
いあ!いあ!はすたあ!
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:25:39.03 ID:aDYrtuWQ0
部屋

351「さーて、今日もオンゲすっかね」カタカタ

......login


三五一『こん^^』

メンバー女1『あ、三五一さんきたー!』

メンバー男1『三五一さんこん^^』

メンバー女2『三五一さんいないとまともに狩りできないからよかった><』

三五一『www』

三五一『仕事でおそくなりました^^; ごめ><』

メンバー男2『うし、んじゃ三五ーさん来たし、今日も狩りいくべ!』


351「やっぱここは落ち着くなあ」

351「働いたって遊ぶ時間がなくなっちまうんだ」

351「こうやって楽しめる、ほどほど人生がいいんだよ。贅沢なんかいらね」
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:29:22.42 ID:aDYrtuWQ0


母「あんた、またネットのゲームでお金使ったね? 請求書来てるわよ」

351「ああ、俺の給料から引いといてよ」

母「そんなくだらないことしてるからちっとも貯金が増えないじゃないの」

351「金あったらあったでまた違うことに使うんだしさ。人それぞれじゃん」

母「私のパートは家計に消えるってのに、生意気言うねこの子は」

351「ほいほい、んじゃその分も俺のから差し引いといて」

母「そんなこと言える程稼いでないでしょうが……」

351「そのうち職でも決まったら沢山入れるからさ、待っててくれい!」

母「この前の面接も不採用だったのに、随分と強気だこと……」


母「そういえば従妹の××ちゃん、今度結婚するらしいわよ」

351「へえ。小さい頃はよく遊んでたけど、もうそんなになったんだな」

母「あんたもそういう子とかはいないのかい?」

351「まともに職も就いてないのに、のん気に付き合ってられねえよ」

351「最近は結婚しない連中も増えてるらしいよ。結婚したらしたで、お金かかるしね」

母「やれやれ……果たして私が生きているうちに孫を見ることができるのやら」
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:30:16.75 ID:aDYrtuWQ0
部屋/ss速報閲覧中

351「こいつ馬鹿じゃねーの。マジでリクエストのこと書こうとしてるし」

351「こんなこと必死になって、そこまで面白いのかねえ。辛いだけだろうよ」


『♪〜♪』


351「ん? なんだ?」


母寝室

351「あれ、そのオルゴール箱まだ持ってたんだ」

母「お前が生まれた時、記念に買ったものだからね」

『♪〜♪』

母「こうやってたまに聴いてるだけでも懐かしさに浸れるのよ」

351「また辛気臭いことを……」

母「そういや一度、振り回して壊したことなかった?」ギロ

351「うっ。そんなこと覚えてねえよ……」
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:31:17.53 ID:aDYrtuWQ0
週末/スーパー

351「今日は週末だからかーちゃんに酒でも買ってってやるかね」

351「かーちゃんビールとか好きじゃないんだよなー。またジンだな」

351「いつもはこの肉喰いのオッサンだけど、たまには高めの青ビンにするか」

351「うし。ライム、トニック、お洒落氷も買ったし、あとは適当につまみっと」


自宅

351「ただいまー。今日は弁当貰ってきたよ」

母「おかえり。あら、じゃあ夕飯いいのね。よかったわ」

351「あとほら、お酒も買ってきた。着替えたらジンライム作るよ」

母「あんたの作るジン、美味しいから楽しみだよ」

351「あー? んなの誰が作ったて変わらねえよ、へへ」

母「そういうもんなのよ」


母「あんたも週末に母親と一緒に晩酌とは、ちょっと寂しくない?」

351「今更親に反抗するような年でもねえよ。家族で酒呑む方がよっぽど気楽さ」

351「それに社会に出たら付き合いとかで、こういった機会もなくなっちまうよ。ある意味働いてなくて良かったね的な?」

母「なに適当なことを言ってんの。ほら、□□君とかは? 最近遊んでないみたいだけど」

351「□□かぁ。大学の友達とかもみんな社会人になっちまって……その、会い辛いというかさ」

母「人脈ってのはかなり重要よ。折角知り合えたんだから大切にしなさい」

351「へいへい。ま、そのうち連絡してみるよ。ジンのお代わりいる?」

母「あ、じゃあもう一杯作ってもらおうかな」

351「ほいきた。今度は強めにライム搾っておくね。香りある方が好きだったでしょ?」

母「……この子はそういう気配りだけはしっかりして……」
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:33:01.31 ID:aDYrtuWQ0
土曜日/家

351「ふあああ。ねみぃ。明け方まで狩りしてたからだるいな」

351「おはよっす。朝ごはんなに?」

母「ごめん、作ってないのよ。どうも頭が痛くて……適当に冷凍品温めて食べておいて」

351「風邪? かーちゃんにしては珍しいね」

母「人を何だと思ってるのよ……風邪薬はどこ置いたかしら」

351「スーパーに用事あるから、ついでに風邪薬と熱冷ましでも買ってくるよ」

母「うん。お願い」


母「……ッ」


ドラッグストアー

351「かぜぐすり、かぜぐすりと。これでいいか」

351「後はこの熱冷まし用のシートだな。ついでに栄養ドリンクも買っておこう」

351「用事は……このスナックでも買ってくか。超激辛ハイパーマニアックだってよ。食べさせたら面白そうだ、ウヒヒ」

351「こんなもんか。さっさと帰ろう」


351「ただいまー。風邪薬買ってきたぜ」

351「あれ、いないな。風邪ひいてるのに出かけたら悪化するよ……」

351「居間にいるのかな。おーいかー」カチャ

母「……」

351「……かーちゃん?」

351「かーちゃん!!」
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:34:32.23 ID:aDYrtuWQ0
病院

351「あ、かーちゃ……母は大丈夫でしたか?」

担当医「えーと、○○さんの息子さんですか?」

351「はい……どうも風邪気味だったみたいで。その、そんなに酷かったんでしょうか?」

担当医「……」

担当医「先ほど頭部のCTとMRI検査を行ったのですが、その結果、脳に進行型の悪性腫瘍が発見されました」

351「し、腫瘍……?」

担当医「急を要するため、直ちに摘出手術の必要があります。こちらに同意のサインを頂いてもよろしいですか?」

351「そんな……」





447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:36:04.76 ID:aDYrtuWQ0
自宅

ガチャ

351「ただい……誰もいないんだったっけ」

351「腹減った……ずっとかーちゃんに付きっきりで何も食べてなかったからな」

351「コンビニで弁当でも買ってくるか」


バイト先

351「なんか落ち着かない。買い物がてらバイト先覗いてくるか」

店長「いらっしゃいませー。お、351君か。親御さんが入院したんだって? 大丈夫?」

351「……ええ、まあ」

店長「他のバイトの子なら裏にいるよ。挨拶してくかい?」

351「そうですね。んじゃ失礼します」

351(誰かと話すと、やっぱ気が和らぐな)

351「どもーs」


バイト仲間2『351さん、いつまでこのバイト続けるんだろうね』

バイト仲間1『この前も採用蹴ったみたいなこと言ってたけどさ、嘘くさいよねあれ』

バイト仲間2『一人だけ年食っててさ、なんかやりづらくて』

バイト仲間1『向こうは気にしないっつってもこっちが気にするんだっつーの』


351「……」

351「…………」
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:36:58.46 ID:aDYrtuWQ0
店長「あれ、もう帰るのかい?」

351「ちょっと用事思い出しましたので……あ、二人には俺来たこと内緒で。なんか恥ずかしいから」

店長「恥ずかしい? いや、別に構わないけど……」




351「結局スーパーの弁当か。まあ大差ないんだけどよ」

351「……」パクパク

351「……」パクパクパク

351「……腹減ってるのに旨くねえな」

351「……一人だけ年食って、か。悪いかよ」
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:38:00.25 ID:aDYrtuWQ0
自室

......log in

351『こん』

メンバー女1『あ、三五一さんこん^^ この前インしてなかったけど、どうしたの??』

351『ちょっと忙しくてインできなかったんだ』

メンバー女1『そなんだー。お仕事大変なんだね。頑張って><』

メンバー女1『いつもゲームでお世話になってるし、何かあったら気軽に相談してね』


351(……)

351(もう、見栄を張り続けるのにも疲れた……この子なら……)
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:38:58.11 ID:aDYrtuWQ0
三五一『メンバー女1さん、ちょっといいかな』

メンバー女1『ん? なに?』

三五一『俺、仕事とか言ってたけどさ、本当はバイトなんだ。恥ずかしい嘘ついててごめん』

メンバー女1『え……へー。それでどうしたの?』

三五一『なんか、誰かに聞いてもらいたかったんだ。メンバー女1さんなら、優しいから……それで』

351「うちの かーちゃんが ガンで にゅういんしちゃ」カタカタ

メンバー女1『メンバー女2へ あの人やっぱニートなんだって。あんだけオンしてんだもんね。マジうけるww』

メンバー女1『あ、』

メンバー女1『あ、ごめんなさい>< そういうことじゃなくて』

メンバー女1『メンバー女2へ やっば、あいつにごばくった』

メンバー女1『ちが、すみません』

531「……」

三五一『今日は落ちますね』

......log out


351「……」

351「もうログインできねーな。ニートじゃねっつーの」

351「けっ、丁度いいや。あんな連中と一緒にいたくもねえし」

351「……」

351「はぁ。居場所なくなっちまった」
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:40:13.17 ID:aDYrtuWQ0
病室

351「よ、元気そうだね。調子はよくなった?」

母「大分楽になったよ。いや、まさか手術するとはね」

看護師「○○さん、具合はどうですか?」

351「あ、こんにちは。いつも母がお世話になっております」

看護師「こんにちは。こちらは息子さん?」

母「まったく、職にもつかないバカ息子でねえ。一応就職活動はしてるみたいだけど」ギロリ

351「おいかーちゃん! 余計なこと言わないでくれ!」

看護師「うふふ、仲がいいんですね」

351(俺が就職すれば、かーちゃんの不安がなくなる。そうすれば病気だって……)

351(……よし!)


そのまたあくる日病室

351「今度企業面接と市役所の試験受けるんだ」

母「試験? 勉強してる姿なんてずっと見てないけど、大丈夫なの?」

351「ああ、受ける連中は高卒とかも多いし、なんとかなるよ」

母「またあんたはそうやって油断する……試験までにしっかり勉強しなきゃ駄目よ」

351「どうせ問題もたいしたことねーから。問題集買って一気に詰め込むさ」

母「期待しないで待っておくわ……」
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:41:24.11 ID:aDYrtuWQ0

面接室

351「はい。母がガンで入院してしまったんです。だから、その分支えになっていきたいと思っております」

面接官「キミが母親のことで苦労してるのは分かったけど……そんな湿っぽい話されてもなあ」

面接官「それにね、君は母親が病気じゃなかったら、特にこの会社に思い入れもないってこと?」

351「そ、そういうわけじゃ……」

面接官「資格も経験もない、当社に入りたい明確な理由もない。他をあたった方がいいんじゃない?」

面接官「余計な事かもしれないけど、そんな動機じゃ何処受けても採用されないと思うよ」

351「……」


351「ちくしょう……」

351「早く就職してかーちゃんを安心させてやらないと……」



市役所試験会場

試験官「それでは試験を開始してください」

351(問題自体はそれほどでもないな)

351(この程度ならなんとかなりそうだ!)



試験官「残り30分になりました。」

351(やばい、まだ半分以上残ってやがる。ペース配分失敗した。練習しとくべきだったか……)



試験官「はい。そこまで。筆記用具を置いて、用紙を裏にしてください」

351(だめだ……全部終わらなかった……)



351「……」トボトボ

351「俺、自分が思ってたよりずっとアホだったんだな……」
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:42:54.19 ID:aDYrtuWQ0
担当医室

351「グリオーマ?」

担当医「はい。グリオーマと呼ばれる、脳の神経に由来する腫瘍なんですが」

担当医「○○さんはグレード4といわれる、極めて悪性のものであることが分かりました」

351「……」

担当医「放射線療法やお薬による化学療法がありますが、費用がそれなりにかかります」

351「どれくらい、かかるんですか?」

担当医「当病院で入院治療を行った際の見積もりですと……このような感じに」サッ

351「……え……こんなに!?」

担当医「以前の保険制度ならば負担は少なかったのですが……色々変わりましたからね」

351「そんなに……払えません……」

担当医「個室ではなく一般病棟ならば、若干値段も下がるんですけど、空きがないんですよね……」

351「じゃあ、どうすれば……」

担当医「……」

担当医「……○○さんのケースでこういったことをお勧めするのも気が引けるのですが、在宅療法と緩和療法、もあります」

351「緩和療法?」

担当医「これはいわば、痛みなどを和らげ、穏やかに療養を行うことに主流を置いた療法となります」

担当医「先ほどの放射線や薬による治療は、きつい副作用などがありますからね」

351「……つまり、治療を行わないってことですか?」

担当医「……乱暴な言葉でいうと、そういうことになるかもしれませんね」

351「そんなこと、俺が、はい分かりましたなんて言えるはず、ないじゃないですか……」

担当医「……やはり、本人様にも伺いを立てた方が宜しいのではないですか?」

351「……」
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:45:22.60 ID:aDYrtuWQ0
病室

母「そう……悪性なのね。定期健診、こまめに受けておくべきだったわ」

351「でもほら、放射線とかの治療すればまた治るからさ。諦めずに頑張ろうぜ」

母「……いや、私はこのままその在宅療法ってやつをとらせてもらうよ」

母「かなり進行してるじゃない? 痛い思いまでして私は長生きもしたくないからね」

351「なんで……」

母「在宅療法なら自宅に戻れるんでしょ? 今の体調なら退院も出来そうだし、家でゆっくりしたい」

351「……」



自宅

母「……なんとまあこのゴミ、お弁当とかばかり食べてたでしょ?」

351「うーあー。料理できねえから仕方ないんだよ……」

母「それじゃ退院祝いってとこで、久しぶりに手料理食べますか」

351「いや、俺は嬉しいけどよ。折角なんだから、普段食べられないものとかさ……」

母「この際だから、お前も一緒に料理を覚えなさい」

母「他にも書類とかの手続き……色々あるわよ」ニヤ

351「うっ……」


自室/SS速報

351「こいつ更新止まったまんまだよ。口だけか」

351「早く書けってんだ。俺を就職させるんだろ?」

351「……」

351「書いてる奴が誰でもいい……お願いだから就職させてくれよ……もう時間ないんだよ」
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:47:44.63 ID:aDYrtuWQ0
自宅

351「かーちゃん。俺、来週からバイト増やすよ。運送の仕分けもやるんだ」

母「そんなにバイトしてお金ためて、どうするの?」

351「いや、暫く一人で暮らしてたら色々考えちゃってさ」

351「これからのこと考えると、もっと稼いでおきたいじゃん?」

母「無理すんじゃないよ?」


バイト先コンビニ

店長「こっちとしては慣れてる君のが都合はいいけど……こんなにシフト組んじゃって大丈夫?」

351「はい。これでお願いします」

店長「……どうしてもお金が必要なのかい?」

351「……そんなに長い間……長い間、じゃないけど、今は必要なんです……」

店長「分かったよ。こちらで都合はつけておくから。大変だろうけど頑張ってね」

351「ありがとうございます!」


夜勤/運送仕分け

351「はぁ、はぁ……きつい……」

おっちゃん「兄ちゃん頑張るね。なんか欲しいもんでもあるんかい? 若いと車とか、色々金かかるからな」

351「……」

351「本当にして欲しいことは買えなかったけど……できることはあるから、それが多分欲しいものです」

おっちゃん「中々面白いこというねェ。大学出てるんだっけ? やっぱ違うな」

351「高校を卒業して就職した人も沢山いますからね。どんな大学出たって、俺みたいにブラブラしてるやつより、ずっと……」
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:48:58.33 ID:aDYrtuWQ0
自宅

351「……ただいま」

母「おかえり。どうだい? 庭も大分すっきりしたろ?」

351「かーちゃん、そんな外で動き回ってちゃ駄目だって。必要なら俺がやるから」

母「いいじゃないの。私ガーデニング好きなの知ってるでしょ?」

母「パートでずっと忙しかったからね。時間もできたんだし、自分の趣味くらいさせてよ」

母「それにほら、あんた不精で庭もバサバサにしちゃうの分かってるから。今の内に整えとかないと」

母「あ、でも私がいなくなったらちゃんと庭の管理もするんだよ?」

351(いなくなったらなんて……言わないでくれよ……)
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:50:40.13 ID:aDYrtuWQ0



緩和病棟

351「かあちゃん! また倒れたって!」

母「……」スゥスゥ

看護婦「351さんこんばんは。投与したお薬が効いてきたので、今お休みになられてますよ」

351「よかった……」

看護婦「うん……落ち着いたけどね。ちょっと。でも……」

351「……この前は向こうの病棟にいたけど、また担当になったんですか?」

看護師「本当は管轄違うから無理なんだけどね、そこはまあ色々と、って訳よ。いひひ」

351「……その、いつも母のお世話して下さって、本当にありがとうございます」

看護師「ううん。これが私達のお仕事ですから」

351「お仕事だとはいえ、こうやって母が手厚く看護されてるのは、すごく嬉しいです」

351「ここに来て俺みたいに思ってる人、きっと沢山いると思います」

看護師「……」

看護師「ちょっと失礼なことお聞きしちゃいますけど、351さんって確か、就職活動中なんですよね?」

351「え、ああ。就職活動って言うとそれっぽいけど……まあフリーターですよ、はは」

看護師「看護師って興味ありませんか?」

351「看護師? 医者ですか……俺、そういった知識も経験もないから……」

看護師「経験はなくても大丈夫ですよ。社会人でも、専門の学校で研修を受けて看護師になった方もいらっしゃるし」

351「……」

看護師「本当に大変だけど、やりがいはあると思いますよ。あ、お給料はあまり期待しないでね? えへ」

351「そっか……今度、調べてみますね。情報ありがとうございます」
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:52:32.22 ID:aDYrtuWQ0
別の日の緩和病棟

351「あ、かーちゃんおはよう。今日はどう?」

母「うん。おはよ。今日は少しだけ、気分がいいみたい」

351「よかった。じゃ、そろそろバイトの時間だから行くね。何か欲しいものある?」

母「今のところは、特に」

351「そういえば、昨日親戚の人達が来てたんだ。覚えてる?」

母「ん……どうだったかしら」

351「……」

351「ほら、十億万石まんじゅうだってさ。後で食べてよ」

看護婦「うまい、うますぎる」

351「のわっ! 看護婦さんそれよく知ってますね……」

看護師「……351さん、大分顔色が悪いみたいですよ? 大丈夫ですか?」

351「……えっと、最近バイトがいそ」

『あの人やっぱニートなんだって。あんだけオンしてんだもんね。マジうけるww』

351「……いや、なんでもないです。一人で食事してるから、栄養偏っちゃってるのかもしれません」

351「それじゃ、かーちゃんのことよろしくお願いします」バタン


母「あの子、急にやる気出しちゃったみたいでね。毎日バイトに明け暮れちゃって」

母「もっと早いうちからそれくらいやってくれればよかったんだけど」

母「とりあえずは、身体を壊さないか、ってことだけが気がかりだわ」

看護師「……」
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:53:58.07 ID:aDYrtuWQ0
タッタッタ

看護師「351さん、ちょっと待って下さい!」

351「看護婦さん。どうしたんですか?」

看護師「先ほどお母さんにお聞きしました。朝から夜遅くまで、ずっとバイトしてるんですって?」

351「……」

看護婦「そんなことしてたら、貴方まで倒れちゃいますよ」

351「……」

看護婦「今はお金なんかよりも、お母さんのが重要でしょ?」

351「……母がこの緩和病棟にいるの、俺がお願いしたんです」

看護婦「……そう」

351「親父に早く死なれちゃって、ずっと一人で俺を育ててくれてたんだ。大学だって行かせて貰って」

351「なのに俺は、家にいるだけで、家事の手伝いすらしない。ごくつぶしですよね」

351「かーちゃんが癌になってようやく必死になり始めたのはいいけど、このままじゃ、多分社会人になった姿すら……」

351「だから、せめて俺の稼いだお金で、出来るだけいい部屋に入院させてあげたいんです……」

351「きっとここが母の、最期までいることになる場所だから……」

351「……」

看護師「……話してくれてありがとう」

351「ちょっと傷付いたことあって、本当の気持ちは言いたくなかったけど」

351「看護婦さんに話せてよかった。なんか、すっきりした。俺こそ、その、ありがとうございます」

351「……前、このお仕事のこと教えてくれましたよね? 俺も、看護師さんみたいになりたいな」

看護師「……」
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 00:56:42.06 ID:aDYrtuWQ0
自宅

351「ずっとかーちゃんの病室で泊まってたから、家あけっぱにしちまった」

351「結構ホコリってたまるもんなんだな。ちゃんと綺麗にしておかないと」

351「よし、掃除機でも引っ張り出して本格的にやってみっか!」

351「庭も……掃除しておくかねえ」





351「ぜーぜー……出来合いもんばっか食ってたから、どうも体調がよくねえ。休憩だ」


自室

351「あれ以来、ずっとゲームやってなかったな」

351「いきなりいなくなって迷惑かけちまったかもしれない。挨拶だけしておくか……気が重い」

......log in

三五一『……こんにちは』

351「あれ、俺のいたギルドがなくなってる」


メンバー男3『あ、三五一さん! 久しぶりっす!』

三五一『メンバー男3さん、お久しぶりです』

メンバー男3『全然ログオンしてなかったけど、どうしたんすか?』

三五一『うん。ちょっと色々あって……俺のギルド、どうなったか知ってます?』

メンバー男3『解散しちまいました。女1と女2っていましたよね』

三五一『……うん』

メンバー男3『あいつら三五一さんがいなくなってから急に仕切り始めたらしいんですよ』

メンバー男3『んで、アイドル気取りで引っ掻き回してあっちこっち迷惑掛けて晒されて』

メンバー男3『ブログも炎上、そのままギルド解散させていなくなっちまいました』

メンバー男3『ぶっちゃっけあのギルド、三五一さんで成り立ってたようなもんだからなあ』

三五一『そっか。教えてくれてありがとう。俺の装備とかゴールド、全部あげるよ。多分このまま引退するつもりだし』


メンバー男3『えー! 引退だなんて言わないで下さいよ。別に顔見せるだけでもいいですから』

三五一『もう決めちゃったので。皆には、会ったら俺が謝ってたって伝えておいて下さい』

メンバー男3『なんだかなー。三五一さんやめたら悲しむ人結構いると思いますよ?』

三五一『どうだろうね……俺、そんな人間じゃない……』

メンバー男3『とにかく、装備とか金はいらないです。また戻ってきた時必要になるっしょ?』

三五一『戻ってくるつもりはないけど……でも、ありがとう。そういってもらえて、俺は嬉しい』

メンバー男3『そんなとこが三五一さんらしいんだよな。うん、また絶対に戻ってきてくださいよ。待ってますから!』


461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:01:28.54 ID:aDYrtuWQ0
バイト先コンビニ

351「ありがとうございまし、た……」フラッ

客「あの、大丈夫ですか店員さん?」

351「あ、すみません。大丈夫です。ありがとうございました」

351(身体はちょっとずつ慣れてきたけど、それでもさすがに寝不足だ……)

バイト仲間1「351さん、そこまで無理して働かなくたっていいんすよ」

351「いや、暫くは稼いでおきたいから。心配してくれてサンクス」

バイト仲間1「……ちっ。んじゃはっきり言わせて貰いますけどね」

バイト仲間1「あんたがシフト組みまくったおかげで、俺と仲間2がやりにくいんだよ」

351「……」

バイト仲間1「いつまでも先輩気取りしてねえで、とっととやめてくんねーかな」

351「……ッ」

店長「おや、二人で何を話してるのかな? 仕事中は出来るだけ私語厳禁なんだけど」

バイト仲間1「あ、すんません。シフトの件で351さんと相談してたんすよ」

店長「シフトの件ね。そのことだけど、そろそろメンバーの組み換え考えてるんだ」

351「……」

バイト仲間1「そっすか! よし、んじゃもっと自由に組ませてもらえるのかな!」

店長「キミと仲間2君、学業が疎かになってない?」

バイト仲間1「え、そんなことないっすけど……」

店長「そっちに響いても困るから。二人分の募集しておくんで、決まるまでに考えておいてね」

バイト仲間1「え……」

351(店長さん……)
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:03:00.36 ID:aDYrtuWQ0
緩和病棟

351「今日は少し外に出てみようか。看護師さん、いい?」

看護師「ただでさえ具合がよくないのに、駄目に決まってるじゃないですか!」

看護師「……といいたいところだけど、いくらか落ち着いてきてますからね」

看護師「何かあったら、必ず連絡してくださいよ!」


カラカラ

351「いい天気。車椅子って以外と便利なんだな」

母「……外の空気は、やっぱり違うね」

351「入院した時はもっと緑だったのに、すっかり紅葉しちまった」

351「……そういや、よく旅行行こうって言ってたよね」

351「あん時は照れくさくてやだったけど、今度行こうぜ」

351「その為に今バイトして金ためてたんだ。楽しみにしててくれよ」

母「……そうかい。ありがとね」





463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:04:47.90 ID:aDYrtuWQ0
緩和病棟

351「いやだ……見たくない……」

看護師「……後悔しますよ? 目をそらしたって、事実は変わらないんです」

351「……看護師さん、酷いよ。俺、かーちゃんの死ぬところなんて、いやだ」

看護師「……人工呼吸器は外しておきました」

351「そんな!? なんでそんなことするんだよ!」

看護師「貴方の母親がお願いしたから。だから、早く行ってあげて。今彼女の意識があるのは、貴方と話したい為なのよ」

351「……くっそ!!」


母「351かい? なんかやつれた?」

351「かーちゃんだってガリガリだぜ……」

母「ふふ……親子揃って、ね」

母「またから揚げ作ってあげるから……沢山食べて栄養つけるのよ」

351「うん、うん」

看護師「351さん、もう……」

母「就職は、うまくいったかい?」

351「……ああ、やっと採用された。だから安心してくれよ。今度から社会人だ」

母「……お前は、優しいね」

母「……」

母「あのオルゴールの箱ね……後で見て」

母「……」

母「……スゥー」

看護婦「……」

看護婦「本日△時××分、○○さん……ご臨終です」

看護婦「351さん……」

351「看護師さん、分かってます。分かってるよ」

351「でも、ちょっとだけ、このままでいさせて……おねがい、だから」





464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:08:09.71 ID:aDYrtuWQ0
自宅

351「オルゴール」

『♪〜♪』

351「時計みたいに止まらなかったか。なら、俺が死ぬ時かもしれないな」

351「通帳と印鑑……手紙だ」カサッ
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:10:34.66 ID:aDYrtuWQ0
『あんたがこれを見る頃には、私は多分いないと思う。

こんな使い古された常套句を書くのも、結構恥ずかしいわね。


通帳、お前名義に変えておきました。保険に入っていればもっとおりたんだろうけど。申し訳ない。

あまりぜい沢させてあげられなかったのは心残りだけど、その分貯金してあるから勘弁ね。

これだけで一生過ごすのは厳しいかな、でもまあ老後の足しにはなるんじゃないかしら。


病気のことね。治療するのが嫌でお前捨てて逃げたみたいだけど、違う。

どうせ末期だったんだ。このまま入院生活を続けて貯めたお金すり減らすのも馬鹿らしかったから。

癌め、ざまあみろってところさ。だからお前は変に気に病んだりしちゃ駄目よ。


あとね、あんたがバイトして入院費用稼いでるのね、お母さん知ってたよ。

それだけで十分嬉しかった。だから、口出ししないで甘えさせてもらった。

ミルって哲学者知ってるかい? 大学出てるあんたなら、それくらい知っておかなくちゃね。

よそ様が海外旅行させてもらった、やれ新しい家建ててもらっただの聞かされたけど。

掛けたお金とか、そういうことじゃない。大事なのは気持ちだよ。

お前が私の為に、真剣になって稼いでくれたって事実が、本当に嬉しいんだ。

それだけでもお前を育ててきた甲斐があった。

親孝行できなかった、なんて馬鹿なこと思うんじゃないのよ?


相続とかの手続きは専門家がいるから、その辺に相談しなさい。

ネットで調べれば色々出てくるでしょう。お前の得意分野だしね。

何か分からない事あったら、お母さんの姉妹を遠慮なく頼るんだよ。

あ、ネットゲームでまたお金使っちゃ駄目だからね。


細々とした書類の書きかたを教えなかったのは悔やまれるね。ちょっと過保護だったかもしれない。

色々言いたいことがありすぎて、まとまりが悪くなっちゃった。

少し宗教くさいけど、またいつか会える日がくると、お母さんは信じてるよ。

だから悲しんじゃいけないよ。

ちゃんと料理するのよ。

最後。就職、就職と口を酸っぱくして言ってたけどね、お前が不幸にならないなら、

今のままでもいいよ。楽しく生きてくれれば、私は満足だから。

追伸。この手紙みて泣くんじゃないよ。ずっと上で見てて、笑ってやるからね』


クシャ……


351「があじゃん……お、おれは……金なんがより……があぢゃんに、があちゃんにすごしでもいぎてで、ほしがった」

『♪〜……♪』
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:13:39.31 ID:aDYrtuWQ0






理事長「それで、看護師になりたいと?」

351「母が苦しんでいた時、看護師の方々が色々とケアしてくれました」

351「でもケアしてくれたのは母だけじゃなく、私自身に対してもでした」

351「辛いのは患者さんだけじゃなく、その家族の方々も同様なんですよね」

351「だから、私もあの時に助けてくれた看護婦さんのようになりたいんです」

351「俺みたいな人がきっとたくさんいるから。その時に支えてあげることができれば、と」

理事長「……」

理事長「貴方の仰る動機は分かりましたが、実際それだけではやっていけませんよ」

351「……わかってます」

理事長「精神だけでなく体力、患者さんを抱えたり、時には排泄の始末までします」

理事長「既に経験済みかとは思いますが、看取ったりということもね」

351「……」

理事長「……二年間。まずは准看護師からですね。研修は大変ですよ」

351「じ、じゃあ」

理事長「私達は貴方を待っています。沢山勉強して、またここに戻ってきて下さい」

351「ありがとうございます!」



理事長「先程の男性、あの子の言ってた例の彼ですか」

面接官2「はい。アルバイトで入院費用を支払っていたらしいですね」

理事長「理想は語るけど苦労を知らない。根性はあっても思いやりが足りない」

理事長「最近はそういう方が多い。でも彼は、きっと両方とも兼ね備える経験を得ることができた」

理事長「いつか、新しい看護婦達を指導する立場として、必要になる時がくるのかもしれませんね」
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:14:55.86 ID:aDYrtuWQ0
飲み会

521(合格者同士の懇談会か……こういう席は、どうも苦手だ……)

男1「そういえば、みんなはどうして看護師を志望したの?」

男2「俺は誰でも受けることできるからって理由かな」

女1「私は、やっぱり看護婦さんが憧れだったからだね」

女2「人のお世話するの好きだから、なんとなく自分に向いてるのかなーって」

男1「521さんはどうしてなろうと思ったの?」

521「俺っすか……えと、母が凄くお世話になって嬉しかったから、俺もそうなりたいなって」

男2「おやおや? 521さんってもしかしてマザコン?」

男1「あーん? 男2さんだって超テキトーな理由じゃねえか」

男2「うっせ! 男1だって看護婦さんとウハウハとか下心丸出しのくせによ!」

ギャーギャー


521「じゃ、俺はここまでで失礼しますね。二次会、楽しんできて下さい」

男1「そか。んじゃね。これからよろしく!」

男2「シーユーマザコンボイ!」

女1「調子にのってんな」ゲシッ

男2「いて! 何すんだよ!」

521「はは。それじゃ、これから二年間よろしくお願いします」

男2「おう! 一緒に頑張ろうな!」
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:20:52.44 ID:aDYrtuWQ0
女2「531さん!」

531「……あれ? 一緒に二次会行ったんじゃなかったの?」

女2「うん。私も帰ってきちゃった」

531「そか……」

女2「さっきの男2さん、悪気があって言ったつもりじゃないから。気にしないで」

531「うん、分かってる。みんな、いい人達だね」

女2「521さんの志望の動機、すごく素敵だと思うんだけどな。それをあいつー、マザコンとか」

531「いや、実際マザコンかもしれないよ。母にべったりだったからね。もう甘えられないけど、今だって多分」

女2「……だった? もう?  もしかして521さんの」

531「だからもし、俺の今の気持ちをマザコンと呼ぶのなら、俺はマザコンで構わない」

女2「……」

531(今までダラダラと過ごしてきちまった。どれだけの時間を無駄にしたんだろう)

531(でも、でもその人生をクズだったなんて思わないよ)

531(かーちゃんは俺をここまで育ててくれたんだ。その人生がクズだんて、俺は絶対に認めない)

531(……)

531(俺、これからはもっと一生懸命生きるよ。いつかこの仕事にちゃんと就いて、そしてもし誰かに感謝される時がきたら)

531(その時は、それはかーちゃんのおかげですって言ってやるんだ)

531(かっこいいだろ? 俺だけじゃなく、かーちゃんまで感謝されるんだ。楽しみだよね。待っててくれよ)

531(……愛してるぜ、かーちゃん)



終わりではなく、>>531のはじまり
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/08(火) 01:27:29.28 ID:aDYrtuWQ0
最後の方の351の名前が無茶苦茶になっとるワラタ。眠気のイタズラということで。
親類と死は補正強すぎてインチキですね。ゴッドオブトイレットもビックリ。

>>440
はすたあ くふあやく ぶるぐとむ
ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい! あい! あい!

次回投下予定:従妹が参戦
ツンデレ従妹が参戦するお話。悪夢のような二人に振り回される男。

ツンとデレ、手垢にまみれたキャラにするか、自分の新しい解釈にするか。
That is the question.
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/08(火) 01:34:18.12 ID:mwUrt29ro
よく書き上げたなwwwwwwwwww乙
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 02:16:27.23 ID:PYlywTJIO
乙すぎるwwww
472 :!ninja [sage]:2011/11/08(火) 04:00:48.14 ID:4X9rkeRNo
乙の一言に尽きるWWWW
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 07:22:12.27 ID:/hO4jRwDO
乙!!
まさかこのスレでカーチャンネタを読めるとはwwwwwwwwww
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/08(火) 09:15:12.81 ID:gRS6BVedo
悔しい!こんなので感動するなんて!>>1乙!
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/08(火) 10:29:33.27 ID:S+srDBmAO
乙すぐる!!
むしろ本編より良かったと思ったのはきっと俺だけであろう…
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 15:24:41.17 ID:VwwxujCgo
しまった泣いた……乙!!
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 17:56:26.97 ID:DNNq8PAIO
>>351
オラオラでてこいよ>>351!!

いちおつ!すげえな!
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 18:17:21.32 ID:pZyXDQqIO
かーちゃんはきたねーよ…。・゜・(ノД`)・゜・。
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 20:00:12.48 ID:Be1jH5xDO
いくらssでも他人の母親死なすなよ
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/11/08(火) 20:45:27.19 ID:c7C0GTzio
泣いた。これは反則すぎるぞ・・・・
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/08(火) 21:52:52.33 ID:YptUXOLAO
良く考えたら>>351の父親もお亡くなりになってたぞ
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/11/08(火) 22:16:18.86 ID:cUSC8qr00
ちょっとちがうけどなんか俺と似てて笑えなかった

本編は終わったの?
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/09(水) 08:39:32.24 ID:IOD65FrAO
本編は終わってる
今投下されているのはサイド+安価ストーリー
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/09(水) 08:40:23.82 ID:IOD65FrAO
本編は終わってる
今投下されているのはサイド+安価ストーリー
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/09(水) 08:40:55.88 ID:IOD65FrAO
すまん、ミスった
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/11/14(月) 00:12:19.04 ID:mkAPs/dJ0
従妹のイメージ、かっこよく言えば笑顔を引き出すのに一週間近くもかかってしまった。
今日中に書き終えることは厳しそうなので、14日月曜の23時頃投下いたします。

>>470->>478 >>480
感想ありがとうございます。
前回の最後でも書きましたが、設定がずるいっすね。私が書くという必然性はそこに入っていない。
>>479
多分私が貴方に返すべき言葉は、すみませんとかごめんなさいとかじゃなく、ありがとうだと思う。
>>481
父親が生きていたら、酒飲み博打借金暴力の嫌なキャラとなっていたかもしれません。
そして351は完全にグレるか、ひたすらしっかりした人間になるかの二択に。難易度激増。
>>482
あなたとは美味しくお酒を一緒に飲むことができるかもしれない。
>>483
ご説明ありがとうございます。
多分、従妹〜の回が本来html化依頼のラインだったのだろう、と考えております。
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:04:23.61 ID:mkAPs/dJ0
@ツンデレ=好きな人にはデレデレ、他の人間にはツンツン
A素直ヒート=好きな人に暑苦しい程の想いをぶつける

@+A=今回投下予定:従妹が参戦
ツンデレ従妹が参戦するお話。悪夢のような二人に振り回される男。
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:04:55.51 ID:mkAPs/dJ0
従妹母『いいですか、従妹。本当に好きな人にだけ自分を見せればいいのです』

従妹母『他の人間にまで愛想を振りまく必要はありません。一途を貫きなさい』

従妹母『このこと、ゆめゆめ忘れてはいけませんよ?』

いとこ『はい、おかあさま』






現代/某女子高

教師「今日は従妹さんの登校最終日となります。皆さんご挨拶は済みましたか?」

教師「従妹さん。転校先でも周囲に惑わされず、淑女たる振る舞いを常に心がけるのですよ」

従妹「はい」

教師「……貴女が蛮族の巣窟へと足を踏み入れねばならぬことを思うと、とても心が痛みます」

クラス女子「ああ、かわいそうな従妹さん」シクシク

教師「艱難辛苦を乗り越え、大きく成長してまた戻ってくる日を私は待っています」

従妹「はい」
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:05:51.98 ID:mkAPs/dJ0
下校

女子1「向こうの学校に行っても連絡してね。これ、私の携帯番号だから」ピラッ

従妹「ええ」

女子2「あ、あなたいつの間に携帯を!? ならば私は自宅ので」

従妹「それじゃ、さよなら」バタン

ブフォーン

女子2「……」

女子1「従妹さんってこんな時でもクールよね」

女子2「でもそこにあこがれちゃう」ビクンビクン

女子1「そんなだから、従妹さんも余計にそっけないんだと思うよ……」



運転手「お嬢様、本日もお疲れ様でした。今日でこの学校ともお別れですね……」

従妹「……」

運転手(……やはり寂しいのだろう。親しいご学友とも離れてしまうのだからな)

従妹(……)

従妹(……)ニヘラア

従妹(……やっと)

従妹(やっと、会える)

従妹「男ちゃんに会えるんだあああああああああ!!」

運転手(お、お嬢様が狂っちまっただ!!!)
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:07:02.49 ID:mkAPs/dJ0
男/自宅

母「明日だっけ。従妹ちゃんが隣に引っ越してくるの」

男「うん。両親が海外に行っちゃうから、その間幼馴染ちゃんの家で預かるんだって」

母「確か、従妹ちゃんの家って相当の資産家だったわよね。こっちに編入する必要なんてあるのかしら」

男「詳しくは知らないけど、従妹ちゃんたってのお願いらしいよ」

母「お金持ちの考えてることはよく分からないねぇ」

男(従妹ちゃんか……昔はよく幼馴染ちゃんと三人で遊んだなあ)



おとこ『ふたりともどうしたの?』

おさななじみ『いとこちゃんがかみのけひっぱる!』

いとこ『おさななじみちゃんがたたいてきたからわるいんだよ!』

おとこ『けんかしちゃだめだよ。ぼくもいっしょにおてつだいするから、ほら、なかよくしよ?』

いとこ『……おさななじみちゃんがおとこちゃんのおよめさんやくとった』

おとこ『え?』

おさななじみ『わたしこどもいやだもん! おとこのおよめさんやくがいい!』

おとこ『おままごと? ぼくそんなことしてたの、ぜんぜんしらなかったんだけど……』

おさななじみ『どっちがおよめさんかおとこがきめてよ』

いとこ『おとこちゃんがえらんでくれたら、わたしもそれでいいよ』

おとこ『なん、だと』

おさななじみ『はやくー! おっよめさん! おっよめさん!』

いとこ『おとこちゃんがわたしのおっとで、おさななじみちゃんがこどもだよね?』

おとこ『あわわわわわわわわ』



男(……ここから先の記憶がない。いやな予感がするぞ……)
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:07:57.89 ID:mkAPs/dJ0
朝/幼馴染宅

幼馴染母「男君、おはよう」

男「おばさんおはようございます。えっと……こちらは従妹ちゃんのお母さんですね。お久しぶりです」

従妹母「ごきげんよう男君。お久しぶりね。本日から暫く娘がお世話になると思いますが、どうかよろしくお願いします」

男「転校って色々大変ですよね。従妹ちゃんが一日でも早くこちらに馴染めるよう、僕や幼馴染ちゃんも手助けしますので」

男「だから、安心して海外でのお仕事頑張ってきてくださいね」

従妹母「……」

男「でも、いいなあ」

従妹母「え?」

男「従妹ちゃんのおと……旦那さんのことが好きで一緒について行くんですよね?」

男「夫婦として長年付き添っててもそんな関係が築けるのって、その、素敵だなって、はは」

従妹母「……なるほど。あの子が……のも確かにうなずけますね」

男「??」

従妹母「男君。あの子、従妹が一人っ子なのはご存知ですわね?」

男「ええ、まあ……」

従妹母「それで最近ね、男の子も欲しいなって思ってましたのよ」

従妹母「現実的に考えて、従妹に婿入りさせるという線に落ち着いてしまうのですよね」

従妹母「もしそうならやはり、私もあの子もお気に入りの殿方が一番ですわよね?」チラッチラッ

幼馴染母(チィッ! 目をつけられたようね……これは拙い)

幼馴染母「それは残念、男君は既にうちの子が貰う予定でしてねぇぇぇ!!」ググググ

従妹母「何を仰ってるのかしら姉さん、この子は我が家の跡継ぎにさせる予定ですのよ」グイイイイ

男「ごああああああ!!! 痛い痛い! 身体がちぎれまっする!!」ギリギリギリ
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:08:58.94 ID:mkAPs/dJ0
通学中

男「いててて……タコ人間を体現してしまうところだったよ」

男「あの二人、仲悪いの? なんかさっき異様に目が血走ってたけど……」

幼馴染「んー? 昨日は仲良く話してたし、そんなことないと思うけど?」

男「嫁とか婿とか、縁起でもないこと言ってたな……」

男「まあ、それはいいんだ。幼馴染ちゃん、今何時か分かる?」

幼馴染「えっとー、門が閉まるまであと五分だねえ」

男「いやあ、遅刻決定なのに平然としてるなんて、僕たちも図太くなったもんだねえ」

幼馴染「門の先生も怒らないで開けてくれるから、安心だね!」

男「……僕の出席日数はどうなっちゃうんだろう」

男「はあ。転校初日から遅刻姿晒して、従妹ちゃんも幻滅するだろうね……」

幼馴染「従妹ちゃんってどんな子だったけ??」

男「……。幼馴染ちゃん、それ何かの冗談だよね?」 

幼馴染「ええーい、冗談ではないー!」

男「本当に忘れちゃったの? 昔よく遊んだじゃないか……」
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:10:21.89 ID:mkAPs/dJ0
教室

先生「よし、この前から言ってた転校生だ。なんと、○○女子付属から来たんだぞ」

クラス男「お嬢様だぜ」ヒソヒソ

クラス女「お、お嬢様よ」コソコソ

先生「従妹さんは幼馴染のイトコということで……つか、あいつらまた遅刻か……」

先生「まあいい。それじゃ従妹さん、自己紹介と挨拶を一発頼む」

従妹「……」

従妹「従妹です」

先生「……」

従妹「……」

先生「……」

先生「……あの、他に何か言うことあるかな?」

従妹「ありません」

先生「そ、そうか。ともかく、みんなよろしくな……」

従妹「……」キョロキョロ

先生「ん? どうした?」

従妹「男ちゃんは?」

先生「お、おとこちゃんんん?」


ガラッ

幼馴染「おはようございまーす!」

男「流石だよ幼馴染ちゃん。遅刻者とは微塵も思わせない登場だね」

従妹「お、おお、おおおおお」

男「ん? あ、従妹ちゃん。久しぶりだね。見ないうちにすっか」

従妹「男ちゃあああああああああああああん!!!」ドヒューン



幼馴染宅

幼馴染母「従妹ちゃん、いきなりこっちの生活に放り出しちゃって大丈夫?」

従妹母「男君がエスコートして下さるでしょうから、心配はしておりません」

幼馴染母「まあ、男君がいればなんとかなるとは思うけど……」

幼馴染母「あと私もあまり言えた口じゃないけど、従妹ちゃんの教育方法間違ってない?」

従妹母「私は何処に出しても恥じない子となるよう、育てたつもりですよ」

幼馴染母(……男君、申し訳ない)
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:11:44.43 ID:mkAPs/dJ0
教室/休み時間

委員長「男友、死んだ魚のような目をしてるわよ」

男友「くくく……またか。また男さんかよ。教室で抱き合いやがって。あ? 俺には抱き合う子はおろか、友達すらいないでしょってか?」ブツブツ

委員長「こうはなりたくはないわね……」


従妹「幼馴染ちゃん。久しぶり」

幼馴染「従妹ちゃんはじめまして! よろしくね!」

従妹「……」

グイイイ

幼馴染「い、いひゃいいい なにふるのおおおおお」

従妹「バカ」

男「い、従妹ちゃんそんなことしちゃ駄目だよ! 幼馴染ちゃんが失礼なのは分かるけどさ」

従妹「ねえねえ男ちゃん! ほら! 携帯電話買ってもらったんだよ! これでいつでも連絡が取れるね!」

男(なんという変わりよう……今まで携帯持ってなかったのか。やっぱり前いた学校って厳しかったんだなあ)

幼馴染「ふーんだ。私だって持ってるし。男の番号とアドレスだってあるもん」

従妹「……私だって教えてもらうし」

幼馴染「むっ! はい、これが男の番号とアドレスだよ。さっそく電話してあげてにひひひ」

従妹「なんで? まあいいけど」

従妹「……」ピピピ

プツッ

従妹「男ちゃん聞こえてる!? 私だよ!!」

男友「も、もしもし」

従妹「……」

男友「……」

従妹「履歴、今すぐ消して」

男友「はい……」シクシク
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:13:20.70 ID:mkAPs/dJ0
授業中

教師「さて、脳における記憶を語る上で、外せない二つの部位があるわけですが」

教師「その一つがアミグダラ、面白い響きですね。どこのことか分かりますか?」

教師「折角ですので、今日転校してきた従妹さん。答えてみてください」

従妹「扁桃体です」

教師「ほう……よくわかったね。正直答えられないと思っていたが、さすがだ」

クラス「おお……」ザワ


従妹「……」クルッ

男(……なんだ?)

従妹「……」キラキラ

男(何かを期待するような目を向けて……まさか、僕に褒めろというのか?)

男「……い、従妹ちゃんよくわかったね。すごいや」

従妹「やったああああ!!! 男ちゃんにほめられた!!!」

男「あ、あは。あははは……」

幼馴染「うー……せんせーい! 私も答える!!」

教師「う、うむそうか……それじゃ幼馴染さんにも答えてもらおう」

教師「先ほど挙げた二つの部位、一つは扁桃体だ。じゃあ、もう一つを答えてくれるかね?」

幼馴染「立方体です!!」

教師「……」

クラス「Oh……」ザワ


幼馴染「……」クルッ キラキラ

男(え、幼馴染ちゃんも? いや、そもそも答え無茶苦茶なんだけど……)

男「お、幼馴染ちゃんはもっと勉強しようね……」

幼馴染「なにそれ!? 従妹ちゃんはほめたのに私は怒るなんておかしいよ!」

従妹「おかしいのは貴女の頭」

幼馴染「私の頭おかしくないもん! むううう! 男が悪いんだよ! 私のこともほめてよ!」

男「な、なんで僕のせいになるんだ……」
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:14:58.54 ID:mkAPs/dJ0
お昼

クラス女子1「従妹さん、一緒に食べません?」

従妹「男ちゃんと食べる。ごめん」スタッ

クラス女子2「あららー。早速嫌われちゃったねェ」

女子1「男の野郎……お嬢様とお近づきになるという、私のささやかな夢を……」

クラス女子1「ほひょー、目から血を流してるよこの子!」


従妹「男ちゃん一緒にお昼ご飯食べよう!!」

男「他の女子に誘われたみたいだけど、よかったの?」

従妹「いいのいいの。男ちゃんと食べたいから!!」

男「転校してきたばかりだし、折角の機会だから仲良くしなくちゃ」

男友「まあいいじゃねえか。男と食べたいって言ってるんだしよ。それに、お嬢様がどんなの食べてるか気になるぜ」

従妹「……」カパリ

委員長「あら、思ってたよりも普通のお弁当ね」

従妹「ほら、男ちゃん食べてみて! おかずの交換ってしてみたかったんだ」

男「そ、それじゃ一口もらおうかな……」パクリ

男「こ、この牛肉……ッ!? ふくいくたる香りと口に広がって溶ける濃厚な肉のうまみ! まさにA5の高級和牛ッ!!!」

従妹「あ、今男ちゃんが食べたのは、レイトーヒンって名前らしいよ」

男「……」

幼馴染「わー、男恥ずかしいあははは!」

男「う、うるさい! こういったものは気分が大事なんだよ!」

男友「い、従妹ちゃん、俺も少しもらっていいかな??」

従妹「……」

従妹「……はい」ヒョイ

男友「……こ、この銀紙って食べ物だったんだな……へ、へへ、なんだか歯がキンキンするぜ」ムシャリ

委員長「あなたも懲りないわね」
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:16:22.94 ID:mkAPs/dJ0
男「幼馴染ちゃん、ほら口元汚して」ゴシゴシ

幼馴染「えへへへ」

従妹「……なにそれ」

幼馴染「ふっふーん! いつもやってもらってるんだよ!」

委員長「この二人、学校では有名だからね。追いつくなら大変よ、従妹さん?」

従妹「……」

従妹「わかった」

従妹「私の気持ちもみんなに知ってもらえばいいんだよね男ちゃん!」タタタタ

男「あ、従妹ちゃん! ……いっちゃったよ……」


男「戻ってこない……ちょっと心配になってきた。探してこようかな」

『続いての曲は ちょっとそこどいて え、だれですか うるさいどけ なにいっ い いってれぼおおおお!!』

男「い、従妹ちゃんだ……放送室にいったのか。何をするつもりだ……」


従妹『私は男が大好きよおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』

男「ブフォォォォ!!」

従妹『わたくしこと従妹は、○年×組の男ちゃんが、大好きでえええええええええええええすううう!!』

男「だ、誰かこの放送をとめてくれえええええええええええ!!!!」

幼馴染「あーーーー!! ずるーーーい!!! 私もやる!」タタタ

男「きゃーーーーーーーー!! お願いだからもう本当に勘弁して!!!!」
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:18:40.36 ID:mkAPs/dJ0



男「ローマは一日にして成らずというけどね」

男「たった半日で、僕は女たらしなどという冠を頂いてしまったわけだよ……」

従妹「ほら、帰ろう! 男ちゃんとの下校、楽しみにしてたんだから!!」

男(従妹ちゃんってこんな子だったっけ……どこかに頭でもぶつけたんだろうか……)


男「従妹ちゃん、前の学校でもこんな感じだったの……?」

従妹「男ちゃんと話す時だけ! お母様が教えてくれたんだよ!」

男「従妹ちゃんのおばさんが? うーん……」

男(朝話した時はすごくまともだったけど、どうなってるんだ?)

男「そういえば幼馴染ちゃん用事があるんだっけ?」

従妹「うん。誰かを待ってるみたい」

男「へえ。委員長かな」


教室

幼馴染「むむむ、男遅いよ−」

委員長「あら。幼馴染ちゃん何してるの?」

幼馴染「男がお腹壊しちゃって戻ってこないんだって。待ってるんだけど……」

委員長「男君なら、さっき従妹さんと一緒に帰ったみたいだけど……」

幼馴染「ええーーーー!? ずっと待ってたのに酷い!」

委員長「……ふふ、そう。なるほどね。面白いことしてくれるじゃないの、男クンは」
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:20:43.26 ID:mkAPs/dJ0
下校中

従妹「あ、あれは何?」

男「あれはゲームセンターだよ。お金を出してゲームを楽しむところ」

従妹「ぬいぐるみとか沢山貰える場所!?」

男「まあお金使えば貰えるってことになるかもね……」

従妹「今度行ってみたいなあ」

従妹「じゃあ、あの、立って食べてる人達は??」

男「ん、あそこは立ち食いそばって言って、すぐ食べてすぐ出られる仕組みなんだ」

従妹「立ってお食事できるんだね! すごい! すごいすごーい!」

男「出かけたりしなかったの?」

従妹「うん。あまり外出させてもらえなかったから……」

男「そうだったんだ……じゃあこれから色々見て回ろうか。暫くはここで生活するんだし、時間は沢山あるよ」


マクドナルド

店員「いらっしゃいませ。店内でお召し上がりになりますか?」

従妹「店内? どこで?」

店員「ええと……では、ご注文はお決まりですか?」

従妹「注文? 何?」イラッ

男(あ、ちょっとオロオロしてる。プププ)

従妹「よくわからないから全部出して」

店員「ぜ、全品ですか!?」

従妹「これで足りる?」サッ

店員(ブラックカードだと!! こ、この金満主義者め……)

男「うわうわ! 従妹ちゃん変な注文しないで!!」


従妹「この黄色い揚げ物、おいしい!」

男「一つ一つ紙で包んでポテト食べるなんて、お行儀がいいね、ははは……」

男(……果たして従妹ちゃんに、このようなジャンクフードを食べさせていいものだろうか……)

従妹「ふぁああ、男ちゃんとこうしていられるなんて幸せだあああ!」

男「だ、大丈夫かい? なんか鼻血がたれてきてるよ!?」ゴシゴシ
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:22:31.08 ID:mkAPs/dJ0



男「少し遅くなっちゃったね。そろそろ帰ろうか」

従妹「青く光ってて綺麗なお城、あれなんだろ??」

男「んー、あれはね」

男(なぬ……ラブホテルじゃないか!)

男「あ、あれは大人が嗜む貴族の社交場でございます、お嬢様」

従妹「そうなんだ! ちょっと寄ってみよ!?」

男「むむむ、それは……あそこは男女の密会所でありまして、僕たちのような子供にはですね」

従妹「ほらほら、いこうよ男ちゃん! 少しなら私もマナー知ってるから大丈夫だよ!!」ズズズー

男「ひいいい! マナー知ってる子がそんな強引なことしちゃいけません!!!」

通行人「やだ……あの男の子、ホテルに連れ込もうとしてる……」

通行人「最低ね……通報してやろうかしら」

男「まてまて!!! この構図みてどう解釈したらそうなるんだキミら!!」
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:24:07.20 ID:mkAPs/dJ0



男自室

ガチャ

男「ふー、今日は疲れたな。従妹ちゃんも楽しんでたみたいでよかったよ」

幼馴染「おかえりー」ムスッ

男「はいはいただいま、幼馴染ちゃん」

男「……」

男「なんで幼馴染ちゃんが……まあそれはいいとして、やけに機嫌が悪いですね……」

幼馴染「私に嘘付いて従妹ちゃんと遊んでたんでしょ? ひどいよね」

男「え……なんのこと?」

幼馴染「従妹ちゃんが言ってたもん。私も一緒に帰りたかったのに」

男「なんだかよくわからないけど、ごめんね……」

幼馴染「んー、じゃあ今度のお休みに出かけよ? 私と男だけで!」

従妹「幼馴染ちゃん、白々しい」ヌッ

男「い、従妹ちゃんいつの間に!?」
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:25:42.81 ID:mkAPs/dJ0
従妹「男ちゃんの部屋に行ったって聞いたから、私も来ちゃった!」

従妹「ここが男ちゃんの部屋なんだね! すううううううううううう!」

男「従妹ちゃんのイメージ崩壊するからそんな深呼吸やめてください!!」

幼馴染「ねね、従妹ちゃん。ここの本棚の裏に面白い本があるんだよ」

男「会話の流れ丸無視でいきなり僕の命を刈り取るような行為はやめてええええええ!!!」

幼馴染「えー。それじゃあ、こっちのPC! このフォルダを開くと……なんと!」

男「真・流星胡蝶剣ッッッッッッ!!!」バキーン

PC「ガガガガガガ」

幼馴染「あー、PC壊れちゃった。もったいないよ」

男「従妹ちゃんにそんな穢れたものを見せないでおくれ」シクシク

男(なんて恐ろしい子だ……人のトップシークレットを悉くピンポイントで引き当ててくる!)




従妹「スヤスヤ」

幼馴染「ぐーぐー」

男「二人とも人のベッドで寝ちゃったよ……」

男(こうやって見ると似てるよなあ。やっぱりイトコ同士なんだな)

男(従妹ちゃん、今日は本当にはしゃいでたから、疲れちゃったんだろうね)

幼馴染「むふふふふ」

男(幼馴染ちゃんは相変わらずだな……)
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:27:10.86 ID:mkAPs/dJ0
幼馴染宅

幼馴染父「さて……」

男「二人のことを伝えに来ただけなのに、何故僕は幼馴染ちゃんの部屋にいるんだ」

幼馴染父「まあまあ、女性ばかりで私も寂しいんだ。今夜はゆっくりと男同士、語り合おうじゃないか!」

男「僕も帰って宿題とかやらなくちゃいけないんですけど……」

幼馴染父「……うちの子と従妹ちゃん、今日一日接してどうだった?」

男「……二人とも、とても純粋なんだけど、とても似てるんだけど、やっぱり違いますよね」

幼馴染父「うん、まあそんなことはどうでもいいんだ。今回はこの娘達のことさ」サッ

男「なんて強引な……ってこの人形、まだ隠してたんですね。しかも増えてるし……」

男「僕には魅力がよく分からないんですけど、どこがいいんですか?」

幼馴染父「まずフィギュアの素晴らしさはなんと言っても立体的かつ物理的な満足感があることだね」

幼馴染父「二次元の画面では味わえない存在感が心を満たしてくれるんだよ。二次元嫁とかいってるけどありゃ駄目だ」ペラペラペラ

男(しまったあああ!! やぶ蛇な質問をしてしまった!!!)


504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:28:29.00 ID:mkAPs/dJ0
幼馴染父「でね、物には魂が宿るという言葉があるが、これはフィギュアにも言えることで」

男(おじさんいつまで話し続ける気なんだろう……もうかれこれ二時間は経過してるぞ……)

男「お、おじさんもう分かったよ。フィギュアの素晴らしさはよく理解できましたから」

幼馴染父「ふむ、そうか。私としてはまだまだ全然話し足りないのだが……」

幼馴染父「そこで男君に相談なんだがね」

幼馴染父「もしウチの子と結婚すれば、この全てが君のものになる。どうだい?」

男「いや……どうだいと言われましても……」

幼馴染父「ううむ。男君はフィギュアをまだ分かりきっていないようだな。ちょっと見ててくれ」

幼馴染父「この制服を着た女の子。仮にAとしておこう」

幼馴染父「この子のスカート、なんと取り外すことが可能だ」

幼馴染父「これを外すと……」パッ

男「こ、これはッ!!!」

幼馴染父「その者青き衣をぬぎすて金色の野に降り立つべし」

男「失われし大地との絆を結び、つ、遂に人々を青き清浄の地に導かん」

幼馴染父「ふふ、男君もだいぶ分かってきたじゃないか。だが、まだ甘い。スカートを外して悦に浸るのは初級者のすることさ」

幼馴染父「我々上級者にもなるとそのあからさまな行為が鼻につく。だからこうやって」パチッ

幼馴染父「再び元の状態に戻す」
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:29:35.34 ID:mkAPs/dJ0
幼馴染父「さて。ここに先程のAとガラス張りの机がある。男君、きみはこの二つで何が出来ると思うかい?」

男「ポーズを整えて飾るとかですか?」

幼馴染父「ふふ……まずAを机の上に置こう」コトリ

幼馴染父「そして素早く机の下にすべりこみ!」スルゥ

幼馴染父「こうやって上を見ると!!」クワッ

幼馴染父「まさにパノラマ島綺譚!! どうだ、こんなことだってできるんだぞ!!!」

男「へ、変態だあああああああああああああ!!!!!」

幼馴染父「嗚呼……これは極楽浄土だ……人でなしに欲情する背徳感!」

男「お、おじさん……ちょっと横を見てください」

幼馴染父「ん? なんだね男君。今大事なところなんだ。邪魔をしないでくれないか」

男「いや、それどころじゃ……ああ、もう横見なくても大丈夫です」

幼馴染父「おや? よく見たら極楽浄土にママの顔が見えるぞ」

幼馴染父「な、なんとママは桃源郷の住人だったのか!」

幼馴染母「……」

幼馴染父「……」

幼馴染父「……」ガタガタガタガタ
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2011/11/14(月) 23:31:17.18 ID:mkAPs/dJ0
幼馴染母「男君も、なにやら楽しんでいたみたいじゃない? パパみたいにぐっすり眠りたくないわよね?」

男「は、はひぃいいいい!!!」

幼馴染母「ま、男君も無理やり付き合わされた部分もあるでしょうし。これにサインするだけで許してあげる」

男「ん? なんですかこれ?」

幼馴染母「気にしない気にしない、メモみたいなもんよ。ほら、さっと書いちゃって!」

男「……幼馴染ちゃんの名前も書いてあるんですけど」

幼馴染母「あー、大丈夫。あの子の名前が書いてある紙があっても、何の不思議もないでしょ?」

男「僕の苗字が、おばさん達と同じになるみたいなんだけど……目の錯覚ですかね……」

幼馴染母「あ、あら。そうかしら。とりあえず書いてくれたら解決すると思うから、早く」






翌朝学校

委員長「男君はまだ来ないようね」

肉食系クラスメイト女子「どれだけ楽しませてくれるかねえ」ボキボキ

草食系クラスメイト女子「幼馴染ちゃんに恥をかかせた代償、高くつくからな、男」ゴキッゴキッ
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/11/14(月) 23:36:17.84 ID:mkAPs/dJ0
従妹ちゃんが中途半端になってしまった。肉いためとトン汁で豚肉がダブッた的な。
あまりに不遇なので、いつかしかるべき場所で、彼女を補完させてあげるつもりです。


次回投下予定:二人が結婚して1000年後
遠い未来の、とある人たちのお話。

構想に対し、私の知識や書く力が全く追いついていないのは何とも恐ろしい話です。
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(西日本) [sage]:2011/11/15(火) 00:00:47.00 ID:Bx23xFddo
乙!
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/15(火) 03:06:44.78 ID:Z4tMhWxz0
一気読みした!
すっげーおもしろい?

次が楽しみやわ?♪
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/15(火) 18:28:36.74 ID:S6LZGWbL0
乙!
従妹のその後が早くみたいです
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 09:30:04.80 ID:65D/bY3IO
乙〜
従妹が入ったらさらにカオスになって…
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(広島県) [sage]:2011/11/17(木) 22:38:58.73 ID:iKeNeJPto

続きが気になる!
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/24(木) 03:37:20.82 ID:LRhy5+7DO
age
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県) [sage]:2011/11/24(木) 18:19:15.66 ID:2GO+M3nJ0
>>513なぜageたし
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/27(日) 23:01:05.06 ID:Hv0Fqqu90
まさか…更新が1000年後?
516 :名無し [sage]:2011/11/28(月) 02:49:39.44 ID:NgtVGCyDO
続きが気になって眠れません><
517 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage ]:2011/12/14(水) 23:31:13.59 ID:C7H+eme4o
一ヶ月動きなしか
518 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 02:15:35.73 ID:ZX4KYhPOo
HTML化される前に・・・帰って来てくれ!
519 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 04:41:07.61 ID:aKRaa25jo
小学星か
520 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/27(火) 07:13:18.05 ID:posN65Ph0
何日裸で過ごせばいいんすか?
はよ
521 : 【中吉】 :2012/01/01(日) 11:17:50.48 ID:DqwI5oGGo
年が明けたわけだが

吉以上なら一週間以内に更新
522 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 12:15:01.01 ID:7HHC/EgX0
俺白紙引いたことあるから大丈夫だよ
523 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/02(月) 03:57:12.48 ID:8VP7JFXOo
>>521
よくやった
524 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 03:41:22.52 ID:yrLnnqbRo
明日から仕事なのに一気に読んでしまった…
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/08(日) 19:18:47.92 ID:E5EUSwLDO
去年のssの中でもトップクラスに好きだったから更新早くしろ下さい
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/12(木) 01:05:37.91 ID:AEiysx04o
読み返して、>>264,>>269の委員長の心の声で涙出た
めずらしく何度も読み返したくなる一作だ
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/26(木) 06:01:13.72 ID:9i5WFUeso
なんかいいなー
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 10:23:03.94 ID:tr8xhHYSO
まさかの次回投下がリアル1000年後とか
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 18:43:09.04 ID:OWP5Y+eko
時は来た・
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国) [sage]:2012/02/06(月) 11:00:49.97 ID:NIky6ykAO
今1から一気に読んだ
スレ民が混沌としてるな
リアルタイムで参加したかったぜ…
従妹編の男友の扱いに2回噴いた
続きwwktk
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