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夜空「王様だーれだ」 星奈「はいはーい!あたしあたし!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:28:09.48 ID:Ki2EGvBwo
○ライトノベル『僕は友達が少ない』のSSです
○ネタバレ箇所があります。原作読んでおいた方がいいかも
○原作と食い違いがあったらゴメン
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:34:32.27 ID:Ki2EGvBwo
エピソード1:『王様ゲーム、ふたたび』

「王様だーれだ」

「はいはーい!あたしあたし!また最初に王様なんて、あたしにはやっぱり王の器が備わってるのね!」

抑揚の無い夜空の声に対してハイテンションで手を上げる星奈。

ここ聖クロニカ学園礼拝堂内談話室4では【第2回隣人部エクストリーム王様ゲーム】なるものが始まっていた。

「チッ…また貴様か」

「ふふん、今度は絶対に夜空にあたしの足を舐めさせるんだから」

実に残念なことを言いながら星奈は命令のくじの入ったティッシュ箱に手を入れる。

ルールは前回と同様、最初に各人が王様と@からEまでの番号が書かれたくじを引いていき、
王様になった人が命令の書かれたくじをさらにひいていく、というやり方だ。
命令をこういう形式にしないと明らかに暴走するヤツが何人もいるからな…。
3 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:38:09.58 ID:Ki2EGvBwo
「えーっと…3番がお笑いトークをする!」

なんと星奈の読み上げた命令は俺が書いたものだった。しかもその3番は俺!
前も同じようなシチュエーションがあったが、あのときはマリア以外の反応は散々だったな…よしいっちょ本気を出してやるか。

「最初からなんてものを引いてくれたんだ肉め…」

「んーなんつーか、ゴメン…」

うなだれる夜空と、ばつが悪そうに目を泳がせる星奈。
不可解な反応だが、フフフ…俺の新作お笑いネタ【悪の十字架】でこのゲームを盛り上げてやるぜ!

…5分後。

「あはははははははははは!あくのじゅうじかってあははははは!!!
 お、おもしろすぎるのだお兄ちゃんはお笑いの天才なのだ!ひゃははははははは!!」

抱腹絶倒するマリア。一方他の部員は…。
4 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:41:41.73 ID:Ki2EGvBwo
「おいどうしてくれるんだ責任とれ駄肉」

「うん、なんてゆーかホントごめん…」

「はぁ…理科、初っ端から疲れちゃいました」

「あにきのこのせんすだけはりかいしかねます」

夜空、星奈、理科、幸村は全員テンションが駄々下がっていた。
小鳩も俺に哀れみの眼差しを向けてくる…おいやめろ。

「なんでお前らはお笑いを理解してくれないんだ…」

頭を抱える俺に向かって、

「小鷹のセンスが残念なだけだ馬鹿。…じゃ2回目行くぞ」

夜空が淡々と言う。そして今度は俺が王様になった。
5 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:45:22.31 ID:Ki2EGvBwo
「命令は…王様が5番にパシリをさせる!…なんだこれ」

「わたくしがあにきのパシリになれるとは、なんたるこうえい」

5番を引いた幸村がわずかに頬を赤く染めている。…絶対これ書いたのこいつだろ。

「普段からパシらせているのにゲームでもパシリをさせるとは…お前は鬼畜王か」

夜空がなぜか蔑むような目で見てくる。…なんかすごく自分が悪人に思えてきたんですけど。

とりあえず俺は幸村に近くの自販機でコーヒーを買ってきてもらった。
6 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:49:17.80 ID:Ki2EGvBwo
そして3回目。王様は夜空になった。

「なになに、王様がネコミミをつけて『ネコミミモード♪にゃんにゃん♥』と3回言う…ってなんだこれは!!」

驚愕の表情を浮かべる夜空。こういう命令を書く変な奴は俺は二人くらいしか心当たりがない。

「夜空先輩、頑張ってくださいね」

懐からさっとネコミミを取り出す理科。犯人はコイツだったか…。

「な、なんでそんなものを貴様がもっている!?というかこんな恥ずかしいわけのわからんことできるか!!」

「王様の命令は絶対ですよ〜夜空先輩♪」

「王は国のちょうてんにたつそんざい。けっしてほうをやぶるようなまねはできませぬ」

理科と幸村がうろたえる夜空に向かって言う。
7 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:51:37.27 ID:Ki2EGvBwo
「うう〜………あー………うがー!クソッ!!やればいいんだろ!」

ヤケクソ気味にネコミミをつける夜空。そして半分涙目になりながら顔を真っ赤に染めて、

「……ネ、ネコミミモード………にゃんにゃん♥」

…。

………。

部室の時間が止まった。不覚にもちょっとかわいいと思ってしまった俺はとりあえずその沈黙を破るべくフルフルと震えている夜空に、

「夜z「ふおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

星奈が奇声を上げた。
8 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:53:18.36 ID:Ki2EGvBwo
「な、なにこれかわいすぎるんですけど!!??ハァハァ……夜空ぁ……ぐひひへへへへ」

星奈はよだれを垂らしながら興奮しまくっている。

「なんだこの気持ち悪い腐肉は……ていうかもういいだろ!3回もできるかこんなマネ!」

「ふーむ、夜空先輩がやると破壊力は恐ろしいものになりますね。……では理科もこのリビドーを発散すべく理科室へ行って来ます!!」

しばらくして戻ってきた理科はスッキリしたすがすがしい顔をしていた。
9 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:55:16.14 ID:Ki2EGvBwo
4回目。王様は小鳩に。

「レイシス・ヴィ・フェリシティ・煌が命じる…6番は、1分間ブリッジせよ!!」

ブリッジ…あの体操で反り返るやつか。地味にキツそうだなこれ。

「あ、あたしね。小鳩ちゃんに命じられたらなんだってするわ!…よっと」

そういって星奈はブリッジの体勢に。ぷるんと揺れる肉がすごく…目立ちます…。

すると傍で見ていた夜空が何やら嗜虐的な笑みを浮かべて、

「お、こんなところにイスがあるぞ。よっこらせ、と」

「って夜空あんた何してんのよ!!ぐおおおぉぉぉぉぉ…!」

星奈は夜空が座った状態で全身を震わせながらもなんとか1分間やり遂げた。凄い。
10 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 14:57:51.00 ID:Ki2EGvBwo
5回目の王様はまたもや星奈。

「1番が王様に目を潤ませながら『お姉ちゃんダイスキ♥』と言う!い、い、1番は誰!?小鳩ちゃん?小鳩ちゃん?」

どうみても小鳩に言わせるために星奈が書いたとしか思えない…。そしてその1番は。

……………俺でした。

「お、お、お、お姉ちゃん…ダイスキ♥」

「キモ」

星奈が即答する。お前が書いたやつじゃねーか!!他の奴も「うっわ…」とドン引き状態。

…泣きたい。
11 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:03:27.37 ID:Ki2EGvBwo
6回目は平仮名で書かれた般若心経を読むというものだった。王様は再び小鳩でマリアが読んだ。
般若心経を読むシスター、なんともシュールだった。

7回目。王様は幸村で引いた命令は『6番が一番近くのファーストフードショップで銃で撃たれた真似をして、
手のひらを見ながらなんじゃこりゃああ!!と叫ぶ』という精神的にキツそうなものだった。
俺は3番…あーよかった。本気で安堵する。

「ぎゃはははは!そんなバカな命令やらされるかわいそうなヤツは…ってあたしかい!!」

星奈が見事なノリツッコミを決め紙を床に叩きつける。

そして、またしても付添い人として俺は星奈を生暖かく見守ることになった。
12 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:05:44.09 ID:Ki2EGvBwo
近くのワック。

「いらっしゃいませー」

「…………パーン!うっ!!」

腹を抱えてうずくまる星奈。店員はどうしたらいいのかわからない表情をしている。そりゃそうだ。
そして星奈はよろよろと立ち上がると、

「なんじゃあこりゃあああ!!」

すげー本当に言った…。周りの客が引きまくっている中、俺はある意味尊敬していた。

「お前すごいな…」

「もう絶対あのワック行けないわ…うぅ……」

星奈はマジ泣きしていた。
13 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:07:54.93 ID:Ki2EGvBwo
8回目の王様は理科。「早口言葉で『隣の客はよく柿食う客だ』をきちんと10回言う」という地味めの命令だった。
指名を受けたのは小鳩。

「となりのきゃくはよくかきくきゃきゃきゃ!」

うまく言えず赤面してうつむく小鳩。

「こばとちゃんか〜わ〜い〜い〜♥」

星奈はニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべている。

「うぅ〜あんちゃん…」

結局小鳩は一度も早口言葉を成功させることができなかった。
14 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:11:29.73 ID:Ki2EGvBwo
9回目。

「えー、おーさまだーれだ」

夜空がどこか投げやりな感じで言う。正直、俺も少し飽きてきた。

「あははははは!ワタシが王様なのだ!!」

未だにテンションの高いマリアが引いた命令とは…『1番と3番と5番が100メートルを全力疾走する』というものだった。

「ふふっこのあたしが神のような美しい走りを見せてあげるわ!」

「ふん、私が醜い豚肉に負けるわけがない」

「あにきのためぜんしんぜんれいをかけてたたかうしょぞんです」

指名された星奈と夜空と幸村が三者三様のコメントをする。しかし別に競争でもないのになぜ3人ともやる気マンマンなんだろうか…。
15 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:19:01.74 ID:Ki2EGvBwo
グラウンドへ移動する隣人部一同。コーンを何本か借りて、だいたい100メートルだろうという場所に配置し、線を引く。
そして順位をきちんと判定するため(本来そんな必要はないんだが)ゴール横に立つ俺。

「いきますよー、位置について…よーい」

理科がなぜか持っていた運動会で使うようなピストルを放ち、3人が一斉に走り出す。

やはりスポーツ万能の星奈が一番速い。その大きなお…いやダブルメロンをぶるんぶるん揺らしながら他の二人に差をつけている。
夜空は星奈ほど速くないものの、走るフォームがとても綺麗だ。
そして最後を走る幸村は…なんというかターミネーターに出てくるロボット?のような独特な走り方だった。

結果、星奈が1位、夜空が2位、幸村が3位に終わった。

「さすがあたし!ふふん愚民共、常に頂点に立つこの女神柏崎星奈様に跪きなさい!」

満面の笑みの星奈。こいつ全然疲れてないし…すごいなオイ。
16 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:21:58.50 ID:Ki2EGvBwo
「はぁはぁ…っく、この淫乱肉め……!!」

息を切らしながら星奈をにらみつける夜空。

「あらあらぁ?負け犬終わコン夜空ちゃんがなんか言ってるわね〜?
 ねぇねぇあたしに負けて今どんな気持ち〜?どんな気持ち〜?」

「ぐぬぬぬぬ…!くぉの……!!」

かなりイラッとくる星奈の挑発に対して夜空は悔しそうに歯噛みする。

…なんでこんな一触即発の状態になってるんだ。

「あにき、まことにもうしわけございません…このたびのふけい、はらをきってわびるしょぞん」

「そしてどこまで命かけてるんだお前は…」

それから夜空と星奈の罵り合いがしばらく続いた後、俺たちは部室へ戻った。
17 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:24:03.78 ID:Ki2EGvBwo
続く10回目の王様は俺で、『コーラを一気飲みする』という命令。

「くっ……なんで私なんだ……」

夜空が顔をしかめる。

「いいなー夜空!ワタシも飲みたいぞー!」

恐らくこれはマリアが書いたんだろうな…。

「「夜空(先輩)の〜ちょっといいとこ見てみたい!それイッキ、イッキ!」」

星奈と理科がよくわからない節をつけて夜空を煽る。

「…くぅ〜…クソッ!」

ペプツ缶に口をつけて飲んでいく。
18 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:27:19.16 ID:Ki2EGvBwo
「………!けほっ、けほっ」

5秒ほどで夜空はむせてしまった。…やっぱりまだ炭酸苦手なんだな。
少し涙を浮かべている夜空。
ちょっと可哀想に見えるが、同時にかわいいと思ってしまった…普段とのギャップのせいかもしれない。

すると、星奈が夜空のほうへ向かって、

「もうしょうがないわね、あたしが代わりに飲んであげるわよ!」

「肉…お前……」

潤んだ瞳で夜空が星奈を見つめる。これって結構いい友情物語なんじゃ…。

「よ、夜空と間接キ、ス……うぇへ………」

変態じみた小声を俺は聞き逃さなかった。俺の期待返してくれ。
19 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:29:42.15 ID:Ki2EGvBwo
11回目。王様は幸村で『2番が3番の肩を揉む』という命令。
というわけで俺は理科の肩を揉むことになった。

「お前めちゃくちゃ肩こってんな…」

理科の肩は恐ろしいほどにカチコチに凝っていた。デスクワーク多そうだしなぁこいつ。

「小鷹先輩がお望みなら、胸も揉んでいいんですよ?」

「アホか」

パシッと頭をはたき、肩揉みを続けていく。

「んあんっ!ひゃうん!」

「変な声出すな!普通にできんのかお前は!」

あえぐ理科と周りの冷たい視線に耐えつつ、どうにかミッションをやり遂げた。
20 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:33:05.80 ID:Ki2EGvBwo
「そろそろ疲れてきたな…」

今回かなり色々させられていた夜空が疲れた顔で言った。

「そうですね、次で最後にしましょう」

理科が同調する。

一同くじをひく。王様は夜空になった。

「えーっと…2番がみんなの前で胸をみせ……っておい!な、なんだこの破廉恥な命令は!!」

顔を紅潮させる夜空。これ前もあったよな…書いたのは確か星奈だったと思う。
もしかしてこいつ小鳩の胸を見たいがために…いやいやさすがにそこまではないだろう、と信じたい。
21 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:35:14.75 ID:Ki2EGvBwo
「に、2番は誰だ?」

夜空が問いかけると、おもむろに手を上げたのは…星奈だった。

「うぅ〜絶対あたしには当たらないと思ったのにぃ…!」

「……ふっ、くはははは!これはいい!」

哄笑する夜空。

「………マジでやるの?」

「当たり前だろう。王の命令は絶対だ…たとえ貴様が神であろうとな!」

「小鷹は追い出してもいいわよね?」

「は?『みんなに見せる』ってあるだろう?王の命令は絶対だ、貴様が神であろうとな!」

やたら王を強調する夜空さんマジぱねぇっす。
22 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:37:22.28 ID:Ki2EGvBwo
「えっ、ちょ、ホントにやるの!?」

狼狽しながら周りをキョロキョロ見回す星奈。

「王様ゲームで王に逆らうのは、残念ながら無理ですね」

「王の命令はぜったいでなければなりません。国がほうかいします」

理科と幸村が追い討ちをかける。

「うぅ〜〜〜……」

「早くしろ、肉」

「う〜〜あ〜〜〜……」

「ハヤクシロ」

「だーーーーーーっ!!わかったわよやればいいんでしょ!神が創ったこのあたしの素晴らしいボディをしっかり見なさい愚民共!!」
23 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:41:31.21 ID:Ki2EGvBwo
えっ…マジかよ。いや何度か星奈の肉は柏崎家や海でチラッと見たことあるものの
こういう場所でそんなこといきなりされてもまだ心の準備が

「って何を逃げようとしてるんだお前は」

夜空に腕をつかまれる。

「逃げるわけじゃないぞ!これは戦略的撤た」

「“みんな”が見ないといけないんだ…日本語わかるな、小鷹」

「……はい」

夜空の鋭い牽制の目付きに俺は結局抗えなかった。
24 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:45:16.47 ID:Ki2EGvBwo
セーターを脱ぎ、シュルシュルとタイを解いていく星奈。

頬を紅く染めて、彼女はゆっくりとブラウスのボタンを外していく。

おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい………。

なんか自分でも怖いくらいにドキドキしてるんですけど!

そして露わになったのは…ラベンダー色の上品そうなフリルのついたブラジャーだった。
小さな花柄の模様が同時にかわいらしさを演出している。

……それくらいの感想が述べられるほどにガン見している俺。
これは本能的なものだ、どうか許して欲しい。
25 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:48:47.12 ID:Ki2EGvBwo
「うぅ〜…ど、どうよ!このあたしの完璧な造形美は!!」

ほとんど涙目になりながらブラジャー姿で胸を張る星奈。胸がぶるんと揺れて非常に精神衛生上よろしくない。

「相変わらず凄いですね…星奈先輩は…」

「チッ、いましましい卑猥な乳牛め…」

「せなのあねご、まじぱないです」

理科、夜空、幸村が驚愕やら嫉妬やら賞賛(?)の表情で言う。

「星奈のおっぱいおっきいなー!!早くワタシも星奈みたいにおっぱい大きくなってお兄ちゃんにほめられたいのだ!!」

「ぶっ!な、なんでそこで俺の名前が出てくる!?」

慌てる俺。
26 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:51:34.87 ID:Ki2EGvBwo
「えっ?お兄ちゃんはきょにゅう好きじゃなかったのか?」

無邪気にマリアはカミソリのように鋭い質問を投げてくる。

「そ、そりゃ小さいよりは……おっきいほうが……いいんじゃないでしょうか……」

大は小を兼ねるって言うし…何言ってんだ俺。

すると、星奈はジト目で俺のほうを見ながら

「………………変態」

「なんでじゃ…」

男の子ですから…しょうがないじゃないですか。うん、しょうがない。
27 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:53:35.79 ID:Ki2EGvBwo
「じゃ、次はその下着を外せ、肉よ」

そしてとんでもないことを言い出してきた三日月夜空さん。

「「……は?」」

星奈と俺が同時にハモる。

「な、な、なに言ってんのよバカ夜空!!もう胸は見せたからいいでしょうが!!」

「いや…それはブラジャーであって本物の胸とは言えない。君はどう思うかね?志熊氏」

「うーん下着姿を胸と言い張るのは確かに無理がありますね。やおいをボーイズラブと言い張るくらい無理があります」

何やら意味不明なことを言い出す夜空と理科。
というかこれ以上続けたら俺の理性が外的圧力によって粉々に粉砕される恐れがある。
28 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:55:38.81 ID:Ki2EGvBwo
「するとやはり志熊氏は下着も外す方が妥当という考えなわけですな?」

「そうですね。D・V・D!D・V・D!」

なんだこの流れ…。

「ちょちょっと待ってよ!ブラまで取ったら丸見えじゃないの!!」

「おやおや?『神が創ったパーフェクトなボディ』なんだろう?なぜ恥ずかしがる必要がある?」

うわー容赦ねぇ…。まぁ自分が神だと憚らない星奈の性格も原因だろうけど。

「うぐぐぐ……た、たしかにそうだけど……」

プルプルと顔を真っ赤にしながら震えている星奈。
29 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 15:57:39.95 ID:Ki2EGvBwo
俺としてはほんとに無理しなくていいんだぞ?ほら、コーヒーでも飲め。あ、でも手許にないな。

「じゃ俺コーヒー買ってくるから」

「待てといっている」

がしっとまたもや夜空につかまれる。

「…いい加減勘弁していただけないでしょうか」

懇願する俺。

「ふむ…まぁ巨乳好きが悪化しても困るしな…」ボソッ

「ん?なんか言ったか」

「な、なんでもないバカ!とりあえずお前は後ろを向いておけ」

俺はほっとする。…正直ここから立ち去りたいレベルだけどな。
30 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:03:09.38 ID:Ki2EGvBwo
「まったく面倒だな…ほら、肉早く脱げ」

「うくっ……わ、わかったわよ!!…小鷹あんた見たらわかってるでしょうね!?」

涙とドスが混じった声で星奈が言う。俺は精神を安定させるために目を閉じ、座禅を組んだ。ポクポクポク。

そしてブラジャーを外す音が聞こえる。…なんで聴覚は鋭くなるんだろうな。

「ほ、本当に脱ぐとは…さすが歩く猥褻物、淫乱カレイドスコープ…」

「以前横縞の温泉で拝見しましたが…凄まじいインパクトですね…」

「まじぱねぇです」

「おおー!おっぱいでけー!!すごいなーあははは!!」

「くぅ…うちだって絶対おっぱい大きくなるもん…」

後ろから色々聞こえるけど、俺は座禅に集中する。
31 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:07:42.65 ID:Ki2EGvBwo
「ふ、ふふ、ふふふ…!あたしのこの完璧なボデーに見惚れているようね!
 ま、まぁ結局持たざる愚民共は神であるあたしにひれ伏すしかないわけだし!?あはは、あはは!」

そう言いながら声が裏返っている星奈。

「にしても、星奈先輩こんなに胸大きいのに乳輪もキレイなピンク色だし形もよくてうらやましいです。
 乳首も陥没してないし…」

集 中 で き る か ! !

理科の言葉によって俺は完全に心を空にすることが不可能になった…なんてことを…。

「ぎゃー!!な、な、なにいいい言ってんのよ!?あーもう終わり終わり!しゅーりょー!!」

星奈が叫ぶ。

その後、雑念の溢れた頭で禅を組むこと数分、ようやく俺は目を開けることを許された。
32 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:11:14.45 ID:Ki2EGvBwo
「…実に不愉快な気持ちになった」

憮然とした表情で夜空が言う。

「うー……恥ずかしくて死にそう……ひっく」

そして泣きじゃくる星奈。自称神でも自分の胸を公衆の面前で晒すのは相当こたえたらしい。

「ふん、さっさと死んでしまえこの淫奔ダッチワイフ、汚らしい肉塊め。産業猥褻物として速やかに処理されろ」

「なんでそんなボロカスに言われないといけないのよぉ!バカ夜空ーーーー!!」

そう言うと星奈は泣きながら部室を出て行った。夜空はたぶん嫉妬してるんだろうなアレの大きさに…。

星奈がいなくなり、王様ゲームは終了。部活もお開きとなった。
33 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:15:03.67 ID:Ki2EGvBwo
部室内には俺一人…と星奈のカバン、そしてセーターもろもろ。
いつも思うんだが、なんであいつは置きっぱなしで飛び出ていくんだろうか。

少しして、部室の扉がキィーと開く。

「…あ、小鷹」

星奈は俺と目が合うとトコトコとセーターに駆け寄り、それをもぞもぞと着た。
なんだか小動物を連想させる光景だ。

「ほれ、カバン」

「ん……ありがと」

「…………」

「なによ」
34 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:17:24.07 ID:Ki2EGvBwo
「……まさかお前から普通の感謝の言葉をきけるとは」

「どういう意味よ!?」

こいつと出会った頃なら『ヤンキーの癖にやるじゃない』とか『褒美に足を舐めさせてあげる』とか
訳のわからんお礼かすら疑わしいお礼で返されていたに違いない。

「ずっと前にプール行ったときもあたし『ありがとう』って言ったわよ?覚えてないの?」

「あー…そういえば」

今思えば、あのときのお礼の言葉はとても大きな意味合いがあったのかも、しれない。
35 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:20:03.41 ID:Ki2EGvBwo
「……ふん、まったく」

不機嫌な声で早足で歩き出す星奈についていく。

外はすでに夕日に染まっていて、すれ違う生徒の数もまばらだ。

「ね、ねぇ…小鷹?」

「ん?」

「こ、小鷹は…その……やっぱり、む、胸がおっきい女の子のほうが好きなの?」

「……………は?」

いきなり何を突拍子もないことを言い出すんだこいつは…。

あまりにびっくりしすぎて廊下に放置されてた机にぶつかりそうになったぞ。
36 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:29:10.49 ID:Ki2EGvBwo
星奈は頬を赤らめてなにやら俺のほうをチラチラと見ている。

「いや、ま、その、なんつーか普通の一般男子高校生としては、
 その、より大きいものに興味がいくのは、ごく自然なことではないかと…」

俺はしどろもどろになって答える。

「ふーん…そ、そうなんだ……えへへ……」

星奈は俯きがちに、はにかんで笑う。

左手が微妙にガッツポーズになっているように見えるのは気のせいだろうか。
37 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/02(日) 16:32:01.16 ID:Ki2EGvBwo
そして二人でバス停まで歩く。俺と星奈は別々の方向になるので、ここで別れることに。

「じゃあ、また明日ね。……バイバイ」

そのときの星奈の笑顔はどこか子供っぽく純粋な感じで、正直とても可愛かった。

…小鳩に対するニタニタ笑いとは全然違うな、などと思いつつ俺は反対方向のバスに乗るのだった。
38 : ◆EverDUcEIY [sage]:2011/10/02(日) 16:37:03.87 ID:Ki2EGvBwo
これにてエピソード1終了です。
読んでいただいた方どうもありがとうございました。
SS速報で書くのは初めてなんで不安でいっぱいですが、ぼちぼち続けていけたらと思ってます。
次は来週くらいに投下できればと思います。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/10/02(日) 16:37:57.92 ID:xP358Ug5o
(・∀・)イイネ!!
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/02(日) 16:43:59.11 ID:P+53d1xAO
これは期待

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/02(日) 18:36:16.81 ID:XAw+7gJho
乙です。

肉可愛いよ肉。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 18:43:41.53 ID:be10wA9+0
おつおつ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 19:06:07.38 ID:ySWp676IO
うぉー(´Д` )小鳩ちゃんペロペロ(^ω^)
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 19:11:43.75 ID:ouSp265SO
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/02(日) 22:00:16.72 ID:iZXYimaH0
どこかで見たような気が……

とにかく乙
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/02(日) 22:32:48.60 ID:QgpQR/P3o
>「ん?なんか言ったか」

小鷹ェ…
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/03(月) 04:10:14.57 ID:iyG8yqBgo
ん?なんか言ったか
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/03(月) 07:07:05.68 ID:Bm8LkuuGo
最新刊では理科が可愛かったので理科ssが増えるといいとおもいます
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 11:39:45.37 ID:5nN0d5Uio
ん?なんか言ったか
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2011/10/03(月) 15:48:14.28 ID:4xqFI7Rt0
期待
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/06(木) 23:29:58.01 ID:GVPee7w10
え、なんだって?
52 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:03:55.06 ID:H4jknAxho
前回と同様、ちょっとエロネタがあります。
>>1に入れればよかったかなー…スイマセン

つーことでエピソード2はじまるよん
53 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:06:46.01 ID:H4jknAxho
エピソード2:『ホラゲ部』

ある日の放課後、部室に向かっていると携帯の着信音が鳴った。
見ると、理科からメールが来ていた。

タイトル:ホモが嫌いな女子なんていません!

本文:ちょっと急な用事ができちゃいまして、3日ほど部活を休みます。

まあぶっちゃけると、とあるBLゲーム開発会社が絶賛修羅場中なのでその手伝いに行くというだけなんですけど。

あ、そういえば『穴があったら入りたい』っていう表現、一文字変えるだけですごくエロスが(以下読むエネルギーを使うのが惜しいので略

よくここまで支離滅裂な文章を書けるなぁと俺は感心しつつ、隣人部が集う談話室4のドアを開けた。

すでに来ていた夜空・星奈・幸村に理科が休むことを伝え、いつもと同じようにダラダラと過ごしていると。
54 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:08:57.68 ID:H4jknAxho
「ねぇ……あんたたち、ホラゲってやったことある?」

星奈が唐突に尋ねてきた。

ホラゲ?……海にぷかぷか浮いてるあれか?

「そこのヤンキー、超サムいんだけど」

星奈がジト目で見てくる…お前はエスパーかよ。

すると夜空が反応し、

「前に部活でやらなかったか?あの男達のアツイ友情と青春を描いた感動作品だろう?」

「そーそー!あのむさくるしい筋肉ダルマ共がやたらとかっこいいセリフを吐いて…ってそれは『ホモゲ』でしょうが!?」

星奈が華麗なノリツッコミを決める。最近こいつはこういう方面に才能があるんじゃないかと思ってきた。
55 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:12:08.11 ID:H4jknAxho
…このままでは話が進まないので俺が切り出す。

「ホラーゲームな。一時期ハマってたけど…最近はまったくやってないな」

「ホラー…ゲーム?なんだそれは」

「襲ってくるゾンビやモンスターから逃げたり、そいつらを倒したりしながらストーリーを進めていくゲームのこと。バイオアラートとか有名だな」

俺は夜空に説明する。

「よくわからんが…何が楽しいんだ?そんなめんどくさいゲーム」

本当に理解できないといった様子の夜空。

「まぁ、楽しい要素があるのかは微妙だな…けど友達とかとやったら盛り上がりそうだよなぁ。ああいうゲームは」

「そうそう!今あたしがプレイしているギャルゲでもホラゲで女の子との仲がぐーんと縮まったのよ!」

知らんがな。でも久々にやってみるのもいいかもな、と少し思った。

「ふむ……よし、将来友達ができたときの為にやってみるか、ホラーゲームとやらを」
56 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:15:25.01 ID:H4jknAxho
そんなわけで次の日。星奈が下僕(クラスの男子)から献上させたホラーゲームソフトを持ってきた。
夜空はその中の一つを手に取ると、

「どれもこれも暗くて気味の悪いパッケージだな…」

「あんたも暗いしちょうどいいんじゃない」

「黙れクソ肉」

「ふぎゃっ!?あにふんのよっ!!」

夜空の華麗なる高速ハエ叩きが星奈の鼻に強襲ヒットする。

「とりあえず、これからやってみるか」

夜空が選んだのは昨日俺が挙げていたバイオアラート…のHD版。
パッケージには『初代バイオを最高レベルのグラフィックで完全再現!貴方はこの恐怖に耐えられるか?』という謳い文句が書いてある。
57 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:20:18.13 ID:H4jknAxho
ゲーム機にディスクを挿入する。しばらくするとなんともおどろおどろしいタイトル画面が出てきた。

「なんだこの気持ち悪い目玉は…」

「ていうかちょっと待ちなさいよ。なんであんたが最初にプレイする流れになってんのよ」

コントローラーを持つ夜空に、星奈が不満そうに言った。

「えーっと、NEW GAMEでいいのか小鷹?」

「ムシしないでよぉ!!」

涙目の星奈に俺は、

「夜空がゲームオーバーになったら星奈がプレイする、それでいいだろ」

「仕方ないわね…ま、どうせゲームのヘッタクソな夜空のことだし、それで勘弁してあげるわ」

「ふん、見くびるなよ。貴様に譲ることなくエンディングまで行ってやる」

なぜか自信ありげの夜空だが、さすがに初心者にそれは無理じゃなかろうかと俺は思った。
58 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:23:18.39 ID:H4jknAxho
NEW GAMEを選択し、次は難易度の選択。

「まずはイージーモード…」

「あらあらぁ?夜空ちゃん簡単なほう選ぶんだぁ?よっぽど腕に自信がないのねぇくすくす…」

「黙れバカ肉!」

「ふぎゃっ!」

ハエ叩きが星奈のデコにヒットする。このアイテム、もはや夜空の必需品になっている気がする。

「この私がイージーなんて選ぶわけないだろう!当然ノーマルモードだ!」

いきなりノーマルで大丈夫なのか…?そしてキャラ選択は男の方が強そうという簡単な理由で男キャラを選んだ。ムービーが始まる。
59 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:29:12.05 ID:H4jknAxho
『1999年8月…俺たちガンマチームは―――――』

「だるい」

問答無用のスキップ。おいィ!?

「おいムービー飛ばしたらストーリーわからなくなるぞ?」

驚く俺に、夜空はしれっとした顔で、

「ホラーゲームというくらいだから、ゲームの売りは恐怖演出なんだろ?ストーリーなんてわからなくても問題ない」

確かにそういう考え方もあるかもしれんけど、作ったスタッフ涙目じゃん…。
どうも釈然としないまま、ゲームスタート。
60 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:33:38.81 ID:H4jknAxho
…30秒ほど経過。
夜空が操作しているキャラクターは、ロボットみたいな動きであっちへ行ったり、こっちを向いたりしている。

「えらい挙動不審だな…」

「なんかキモイんだけど」

俺と星奈の率直な感想に対して、夜空は顔を赤くしながら、

「う、うるさい!まだ操作に慣れてないだけだ!」

その後しばらくカクカク動作を続けた後、ようやくキャラがまっすぐ歩き始めた。
ステータス画面を開く。

「こいつナイフしか持ってないのか…どんだけ無防備なんだ」

「筋肉バカって言葉はこういう奴にぴったりね」

「いや、最初から装備が豪華だったら面白くないだろ…」

一応ツッコミを入れる俺。
61 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:52:24.03 ID:H4jknAxho
そして扉を開ける。この次の部屋に移るまでの演出がなかなか怖い。

廊下に出て奥へ向かって歩くキャラクター。突き当たりのドアはカギがかかっていた。

仕方ないので、手前に向かって移動する。すると突然ムービーが入り…。

ゾンビが人間をグチャグチャt

「ぎゃあああああああああああああああああ!!!」

星奈の絶叫。こっちがびびるわ!

「……っ!!」

夜空も驚愕の表情で画面に見入っている。
62 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 19:57:21.27 ID:H4jknAxho
ムービーが終わると、ゾンビはゆっくりと立ち上がり、襲いかかってきた。

「え…ちょ、な、これは」

「ぎゃー!ぎゃー!ぎゃーあふっ!?」

夜空がハエ叩きで星奈を鎮圧する。

「うるさいクソ肉!!っていうかど、ど、どどうすればいいんだ!ひとまずに、逃げ」

壁に向かって走り続けるオッサンキャラ。夜空は完全に混乱している。

「だあああああっ!くそっ!そうだ、ナイフで…!」

ナイフを振る前にゾンビに噛まれる。がじがじ。

数回当てるもゾンビは倒れず、ゲームオーバー。完。
63 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 20:16:03.97 ID:H4jknAxho
「………」

呆然と『YOU ARE DEAD』の赤い文字を眺める夜空。心ここにあらず、という表現がぴったりだと思う。

「……クソゲーだな」

「結論出すの早すぎだろ…」

確かこのゲーム、男キャラでプレイするのは相当難易度が高かったような。イージーモードにすればよかったのに…。

すると、星奈は急に勝ち誇った表情になって、

「ギャハハハハハなっさけないわねぇ夜空!!一匹も倒してないのにやられるとかどんだけヘタクソなのよ!やーいへたっぴー!」

「うるさい歩く公衆便所。貴様なんてビビりまくっていただろうが!」

「ビ、ビビビるわけないでしょ!ふん、このあたしが本物の神プレイってのを見せてやるわ!!」

今度は星奈の番になる。夜空と同じ条件でスタートする。少しは妥協しろよ…。
64 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 20:20:20.47 ID:H4jknAxho
開始してまたもや夜空と同じように奇妙なカクカク歩行を続けるおっさん。

「なんなのよこいつ!!ちゃんと動きなさいよ!あたしを冒涜してんの!?」

「操作キャラにキレんなよ…」

血の気の多い星奈をなだめる俺。少ししてまっすぐ歩くようになった。

そして例の場面で。

「ぎゃああああああああああ!!」

「だからうるさいと言ってるだろうが!」

がじがじ。ゲームオーバー。

「なにこのクソゲー…超ムカツクんだけど。ディスク割ろうかしら」

物騒なことを言い出す星奈。一応世界でも有数の売上を誇っていると思われるホラーゲームがひどい言われ様だ…。
65 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 20:32:48.54 ID:H4jknAxho
「よし、これでバイオアラートはクソゲーという結論が出たな!じゃ次は…」

夜空が手に取ったのは、『霊 赤い蝶』というタイトルが書かれたやつだった。

これは俺もプレイしたことがない。

「なんつーか、あんまりホラーっていう感じがしないな」

パッケージを見ると、二人の女の子が描かれている。どっちかというと星奈がいつもやってるようなギャルゲに近そうな雰囲気だ。

「なかなかいい感じじゃないこれ!さっきはあんたが先にやったんだから、今度はまずあたしからね」

「チッ……まぁいいだろう。貴様の無様なプレイを期待している」

さっきのバイオと同じようにNEW GAME→NORMALと選択…ってまた難易度ノーマルかよ!

「ふふん、山は高ければ高いほど良いのよ!」

いや、そんなドヤ顔でサムズアップされても。
66 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 20:39:47.73 ID:H4jknAxho
嫌な予感しかしない中、オープニングが始まる。

『お姉ちゃん…いつも約束してたよね…ずっと、一緒だって』

「てい」

横から身を乗り出した夜空が見事な動作でスキップボタンを押す。

「なにすんのよっ!?」

「こんなもの、時間の無駄だ」

抗議する星奈に向かって淡々と夜空が言う。

場面が切り替わると、いつのまにやら暗い森のようなところで一人の少女が突っ立っていた。
わけわからん…。
67 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 20:52:58.83 ID:H4jknAxho
「ああもう!これじゃ話のつながりわかんないじゃない!」

「いいからさっさと始めろ。まさかもう怖がってるのか?」

「んなわけないでしょ!ったく…」

ひょこひょこと走り出す操作キャラクターの少女。

「…なんでこいつはこんなに走るのが遅いんだ?」

夜空が不思議そうな顔で言う。確かにかなり遅い気がする。

「むさいオッサン操作するよりよっぽどいいわ。かわいいし」

きっぱりと言う星奈。

俺はパッケージに挟まっていた説明書に目を通した。
どうやらこれはゾンビなどではなく、霊を退治するゲームらしい。…タイトルのまんまだなおい。
そして武器となるのはカメラ。これで霊にダメージを与えられるようだ。
68 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 21:00:18.33 ID:H4jknAxho
「どうしてカメラで霊を倒せるんだ?」

夜空は首を傾げている。

「いや俺に聞かれても…」

たぶん色々複雑な事情があってそういう力が宿るようになったんだと思う…知らんけど。

にしても、赤い蝶か…。俺は星奈の髪飾りに目を向ける。

「ん?なに?」

「いや、青い蝶だったらそれと一緒だな、と思って」

「安心しろ小鷹。あれは蛾だ」

「違うわ!!」

星奈は顔を真っ赤にして怒っている。蛾て…。
69 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 21:07:10.27 ID:H4jknAxho
なんてやっているうちにいかにも霊が出てきそうな怪しい家に到着。
…雰囲気が凄いなこれ。昼間でも入るのに度胸がいりそうなレベルだ。

風化の進んだ、暗い家屋を探索する。

10分ほど経って、ようやく武器であるカメラを入手した。ボタンを押すと、ファインダーをのぞいたような画面になった。
どうやらこの画面で霊を撮影するとダメージが与えられる仕様らしい。

「じゃ、これでバンバン悪霊共を倒せばいいわけね!!よーし…」

星奈が意気込んで扉を開けた次の瞬間…女の霊がドアップで目の前に現れた!

「ぎゃ「ひゃあんっ!!」

……………。
70 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 21:14:17.93 ID:H4jknAxho
なんか今すごくかわいい悲鳴が聞こえたような…。

頬を赤く染めている夜空。え、もしかして今の夜空が……?

普段の低めの声からは想像しがたい甲高い声に思わず驚く。こいつこんな声も出せるのか…。

絶対星奈はバカにするんだろうなと思っていると、

「よ、よよよ夜空の萌えボイスキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!」

難儀なことに悶えていた。こいつ小鳩だけじゃなくて夜空に対しても色々と残念になってきたなぁ…。

「ねぇもっかい今のやってよ!ねぇお願い!」

「うるさい黙れ触るな!っくぅ…………」

羞恥からか涙目になる夜空。俺はこういうのもアリだと思うけどなー…。
71 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 21:38:49.07 ID:H4jknAxho
で。

「…お前は何やってるんだ?」

しょぼんと大人しくなった夜空に代わって俺は星奈に質問する。
このゲーム、主人公である妹を操作し、それに姉がついてくる形になっている…わけだが。

「お姉ちゃんを撮ってるのよ。見てわかんないの?」

「そういうゲームじゃねーだろこれ!霊を撮れよ!」

「だって全然出てこないし…お姉ちゃんかわいいし。あ、これってお姉ちゃん階段に上らせたら下から…ぐひ」

「変態かお前は……」

俺はこめかみを押さえる。そんでもって、いよいよ霊との初戦闘。

「きゃあ♥お姉ちゃんかーわーいーいー♥」

怖がる姉に対してカメラを構える妹(星奈)。まるで戦闘していない…。
72 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 21:44:44.34 ID:H4jknAxho
十回ほど撮りまくったあと、

「あーもーこのババア鬱陶しいわね!あたしの華麗なるカメラさばきを食らいなさい!」

そういうとあっという間に悪霊を倒してしまった。何気に上手いなこいつ…。

それから星奈は順調にゲームを進めていった。
バイオアラートと比べるとノーマルでも難易度はそれほど高くない。
回復アイテムも多く、武器もカスタマイズできて強化できる。

いい感じだな…と思った矢先に、それは起こった。

階段を下りていると突然降ってきた………霊が。

「んぎゃああああああああああああ!!」

「おわぁ!」

思わぬ不意打ちにみっともなく俺も叫んでしまう…上から降ってくるとかどんな発想だよ…。
73 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 22:02:34.20 ID:H4jknAxho
「とんでもないなこのゲーム…ってあれ?」

ふと横の星奈を見ると、どうも様子がおかしい。声をかけても固まったまま。

俺が頭の上にハテナマークを浮かべていると、いきなり星奈はガバッと立ち上がり部屋のドアへ駆けていった。

それを見た夜空は重々しい口調で、

「………………貴様、もしかして……『もらした』……のか?」

立ち止まって、ギ・ギ・ギと機械のような動きでこっちを振り向く星奈。心なしか顔が青ざめているように見える。

………マジすか。

……………………。

…………………………………………。
74 : ◆EverDUcEIY [saga]:2011/10/08(土) 22:06:41.82 ID:H4jknAxho
長い長い沈黙の末、

「べ、べつに今日ちょうど『あの日』だからよかったなんて全然思ってないんだからーーーーーっ!!」

泣きながら星奈は部室から走り去っていった。

「あいつ……アホだろ……」

なぜか夜空は顔を赤くしてうつむいている。なんなんだいったい……。

「なぁ夜空。『あの日』って……」

「それ以上言うとお前の品格をどん底まで落とすことになるぞ…やめておけ」

なんの忠告だよ…。
その後、後ろで黙って見ていた幸村(こいつに声かけられた時が一番ビビった)にもホラゲーをプレイしてもらい、本日の部活はお開きとなった。

…結局俺は見てるだけだったけどな。
75 : ◆EverDUcEIY [sage]:2011/10/08(土) 22:14:27.57 ID:H4jknAxho
というわけでエピソード2終了です、読んでいただいた方ありがとうございました。

アニメの感想をちょっと。お肉様がかわいかった!OPの幸村がエロかった!
小鷹がイケメンすぎる気もするけど…あれはあれでいいのかも。

3連休の間に次を投下できたら、と思ってますが無理な場合また来週になると思います。
それではまたー
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/08(土) 22:51:20.12 ID:MCxfDeuRo
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2011/10/08(土) 23:09:22.06 ID:DysbkkEOo
乙乙
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2011/10/09(日) 15:17:33.69 ID:V0Eo3DQpo
安定の理科
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 00:56:56.36 ID:95w6+XHSO
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/10(月) 01:14:22.95 ID:t4JHT/zU0
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/29(土) 20:39:43.59 ID:aHY1sJuPo
・・・まだー?
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/10/31(月) 00:47:49.82 ID:5dH7naG40
まだー
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 02:10:19.21 ID:tchmRzva0
数少ないはがないSSなんだから書いてくれよ……
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/31(月) 07:17:08.85 ID:1kjR/aW+o
上げるなよ期待しちゃうだろ
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/01(火) 18:37:40.50 ID:dT+r+tL40
マリア……ハァハァ

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 01:25:13.89 ID:g+UtPjfgo
+   +
  ∧_∧  +
  (0゚・∀・) ワクワクテカテカ
  (0゚∪ ∪ +
  と__)__)   +
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 01:10:06.01 ID:8lgwRJvMo
まだか
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 01:26:57.49 ID:L/8nZDey0
おいまだか
生存報告だけでもしれ
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/15(火) 13:39:22.20 ID:3z7tcm0G0
立てたのならちゃんと最後まで書けください
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 22:46:48.88 ID:6cAZ0Ge8o
まだかよ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 16:17:27.79 ID:Z4DmktxIO
まだー?
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/12/06(火) 00:48:41.32 ID:tmAR16q00
間に合わなくなっても知らんぞー!
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/12/06(火) 14:46:05.56 ID:HKO/Q5NT0
星奈のおもらしペロペロ
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/12/07(水) 18:14:33.22 ID:8V5k9p5K0
>>1は写真を撮られて成仏しました
95 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 16:54:12.11 ID:HYvbwKpDO
舞ってる
96 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 00:19:06.39 ID:rVDkMnuV0
俺も舞ってる
97 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:44:53.80 ID:L4Qydxia0
1週間って何日だっけ?
98 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:30:08.62 ID:AI5QLKtU0
>>97
バカだなあ
365日だよ
99 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 23:11:54.66 ID:UzkXB3iN0
さすがに遅いな
100 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 23:17:14.47 ID:FyM/2ly5o
まだ3時間しか経ってないじゃないか
101 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 01:41:56.57 ID:HukR20dBo
あんたの返信の速さに驚きだよ
102 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 01:38:44.04 ID:6jC8ARfZ0
あんたの時間という概念に対する認識に驚きだよ
どこをどう見たらまだ3時間なんだ
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