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「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part4 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/10/15(土) 23:35:03.05 ID:0bFSe2xj0
「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」とは
 2ちゃんねる - ニュー速VIPで生まれた
 都市伝説と契約して他の都市伝説と戦ってみたりそんな事は気にせず都市伝説とまったりしたりきゃっうふふしたり
 まぁそんな感じで色々やってるSSを書いてみたり妄想してみたりアイディア出してみたりと色々活動しているスレです。
 基本的に世界観は作者それぞれ、何でもあり。

 なお「都市伝説と…」の設定を使って、各作者たちによる【シェアード・ワールド・ノベル】やクロス企画などの活動も行っています。
 舞台の一例としては下記のまとめwikiを参照してください。

まとめwiki
 ttp://www29.atwiki.jp/legends/

まとめ(途中まで)
 ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/urban_folklore_contractor.html

避難所
 ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/13199/

■注意
 スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
 本スレとはあまりにもかけ離れた雑談は「避難所」を利用して下さい。
 作品によっては微エロ又は微グロ表現がなされていますので苦手な方はご容赦ください。

■書き手の皆さんへ
 書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップ推奨(どちらも非強制)
 物語の続きを投下する場合は最後に投下したレスへアンカー(>>xxx-xxx)をつけると読み易くなります。
 他作品と関わる作品を書く場合には、キャラ使用の許可をスレで呼びかけるといいかもしれません。
 ネタバレが嫌な方は「避難所」の雑談スレを利用する手もあります。どちらにせよ相手方の作品には十分配慮してあげて下さい。
 これから書こうとする人は、設定を気にせず書いちゃって下さい。

※重要事項
 この板では、一部の単語にフィルターがかかっています。
 メール欄に半角で『saga』の入力推奨。
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2011/10/15(土) 23:36:32.72 ID:0bFSe2xj0
前スレ↓
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316003174/
3 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/16(日) 20:23:52.75 ID:b7dIKz4C0
前スレ>>998
>もうそれじゃ合体ロb(ry
あるぜ、「テケテケ」と「トコトコ」が合体した例が
だがあいつはエロを書かないんだ! エロ嫌いなんだ!
あの馬鹿弟があああああああ(雷に打たれました
4 :やる気なさそうな人[酒] [sage]:2011/10/16(日) 20:52:31.71 ID:6LN5WL0DO

てけてけととことこのダブルヒロインってことか
いつもは一人だけど二人きりになると二人に分かれるのか
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 20:54:46.06 ID:zjfg0ro/o
前スレ投下乙、そして新スレ乙ですよー
6 : 1ネタ [sage]:2011/10/16(日) 22:32:01.41 ID:SyCM9ccAO
【とある携帯の通話記録】


「生きてる?」

『いや…こりゃあ死んでるな』

「グシャグシャだろうしねぇ…」

『あぁ…これまた後片付けが面倒だな』

「いっそ焼いちゃう?」

『なっ、恐いことを言うんじゃない!』

「そんな怒らなくてもいいじゃない…ぷぅ」

『燃やすとか言うからだろうが!』

「別に爆発の痛みでも貴女は耐えきれるじゃん」

『流石に頭と心臓が無ければ復活出来ないんだけどっ!?』

「貴女のしつこい性格ならすぐに怨霊とかになれるよ」

『うっさい!…とりあえず破片集め頼んだぞ』

「はいはーい…おっ、有った有った右足」

『あっ…あと破片に防腐剤貼り付けといてくれ』

「へいへい…ゾンビも大変だねぇ」

『お前が私に持たせた携帯を爆発させなきゃ、こんな事にはならないけどな…ケッ』

「私は普通の人間だから自爆はちょっと、ね」

『まぁ、私も借り暮らしの身だから、あんま文句は言えないがよ』

「あ…ゴメン替えの服忘れちゃった」

『お、お前…わ、わた、私に素っ裸で帰れっていうのか!?///』

「うっそーびっくりした?…フフフ」

『お前、[ピーーー]…相討ちにしてでも[ピーーー]』

「貴女は既に死んでるから有利ね〜」

『はぁ…そろそろ電話代かさむから切るぞ』

「んじゃ、また後でねー」

ブツン…ツーツーツー


(続…かない)
7 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/16(日) 22:35:51.38 ID:b7dIKz4C0
1レスの人乙です〜
これまた自爆ネタかしらな
「爆発する携帯電話」と「ゾンビ」かな…面白いな
8 :赤い幼星 † 殺戮の為に生れしモノ:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/16(日) 23:22:05.42 ID:b7dIKz4C0
「み、見つけた………これで、この家の庭の破片は全部回収したぞ……」

民家の芝生を舐めるように何かを探していた黒服の男は、
虫眼鏡を片手に、掌にほんの僅かな大きさの獲物を置いて溜息混じりに宣言した

月光が冴え渡る深い夜
東区の住宅地の道端や民家等を、黒服達が血眼になって探している物
それは、昼間に行われたとある少年の戦闘によってこの一帯に散らばった「UFO」の残骸
大小様々な破片ですらも、何らかの都市伝説、若しくは最先端の技術で近未来兵器を作る切っ掛けになる可能性がある
それを阻止するべく弛まぬ努力を費やしているのが、彼等―――「組織」の黒服達である
彼等に割り振られたナンバーは…“R-No.”

「R-No.4、エリアE33の破片は全て回収したようです」
「分かった、大変だろうがその調子で、なるべく休みなく作業を続けるように伝えてくれ」
「Yes,ma'am」
「……いや、その返事は止めて貰えないか…;」

照れ臭そうにしながらも、黒服に対して偉そうな態度を取っているのは、白髪の巨乳の少女
R-No.の上位メンバーの一人であり事後処理班を統括している、R-No.4―レクイエム・リッケンバッカー

「流石に早いな…順調にいけば今夜中には終われそうだ」
「あらぁ、それは良かったですわ♪」

背後からの声に振り向くと、赤い髪の少女がにこにこと笑顔を振りまいてこちらに歩み寄っていた
R-No.0――ローゼ・ラインハルトである

「「「「あ、R-No.0!?」」」」」
「ローゼ、こんな所に来ていて良いのか?」
「てへっ♪ 蓮華ちゃんが怖いから逃げだして来ちゃいましたの♪
 …あ、皆さん敬礼なんて堅苦しい事なさらなくても宜しいですわよ;」
「貴様等ァ!! すぐに作業に戻れ!!」

背筋をぴんと伸ばしてローゼに敬礼していた者は、
レクイエムの一喝を受けて慌てて破片探しに取りかかった

「全く、油断するとこれだ…貴様も余り外には出てくるな、一 応 No.0なんだぞ?」
「あの、レクイエムさん? 『 一 応 』とはどういうことですの?」
「そのままの意味だが?」
「ぐすっ……レクイエムさんが虐める……」
「…嘘泣きは止せ;」
「それにしても、作業が順調そうで何よりですわ♪」
「(さっきの茶番は何だったんだ)ん、まぁな…あいつのお陰か」

ちら、とレクイエムが視線を向けた先
ぞろぞろと丸っこい饅頭型の謎のナマモノを引き連れたオレンジ色のツインテールの少女が、後ろ手にこちらに歩いてきていた
彼女はローゼ達の前までくると、手を上げてぴたりと立ち止まる

「ぜんたーい、止まるんだよー」
「「「「ホニョ!!」」」」
「はい、番号」
「ホニョ!」「ホニョニョ!」「ホニョホニョ!」「ホンニョコニョン!」
「よしよし、お利口さんなんだよー…あれ、ローゼさんも来てたの?」

R-No.7――ラピーナ・レスピーギ
本来彼女は物資調達班を指揮しているのだが、
今回は彼女の都市伝説が役に立つだろうという事で事後処理班に協力しているのだ

「お疲れ様ですわ、ラピーナちゃん♪」
「貴様達も、良く頑張ってくれた」
「「「「ホニョニョ!!」」」」
(う……か、可愛い……)
「ねーねーローゼさん、帰ったらクッキー食べよーよー」
「あらぁ良いですわね♪ でも蓮華ちゃんには内緒にして下さらない?」
「はーい」
9 :赤い幼星 † 殺戮の為に生れしモノ:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/16(日) 23:22:50.40 ID:b7dIKz4C0
女が三人寄れば姦しい…とはよく言ったものだが
秘密主義である筈なのに真夜中の住宅街で堂々と井戸端会議を行うとは、果たして彼女達は「組織」としての自覚はあるのだろうか
それが明確になるのは、この数秒後の事だ

「――――――――――――ッ!?」

ローゼの瞳の紫水晶が、柘榴石に変わる時
悪意が、音を立てて歩み寄る

「…ローゼさん、どうかしたの?」
「都市伝説ですわ、でも何処から――――――ッ下から!?」
「全員下がれ!!」

咄嗟に黒服達が道路の端に身を寄せた
気配の根源は、その中央から現れた
激しい機械音を轟かせ、大きな穴を開けて地中から現れたそれは

「……ロボット?」

どうみても、そうとしか形容できない物だった
人型ではなく、被災現場などで活躍しそうな、蛇型のロボット
その装甲は灰色がかった鏡のようであり、キャタピラのついたユニットが幾つも並んだその先頭に4基のドリルが円状に配置され、
各ユニットにはそれぞれ2基の機関砲が配備されていた

「む……4月に欧州に出現した謎の殺人兵器と特徴が一致するぞ?」
「そんな…これは「ミドガルドシュランゲ」!?」
「ローゼさん、何か知ってるの?」
「ドイツで研究のみに終わってしまった兵器ですわ…こんなものまで都市伝説になってらしたなんて…」

蛇型のロボット―――「ミドガルドシュランゲ」はまだその機体の半分を地中に潜ませた状態で、
先頭のドリルのついたユニットを頭部のようにして辺りを見回すような仕草を取る

《β10-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land&Sea-1935228…目標地点到達確認
 目標数…約400体……目標補足…UnitA,B,C,D,E,弾薬装填完了………任務開始》

冷たい女性のような機械音声が響き、機関砲が一斉に動き出す
最初に動き出したのは、ローゼだった

「くっ、『フォトン・ヴェール』!!」

赤光のカーテンが揺らめき、壁となって放たれた弾丸を全て受けきった
光の壁の発生源に気づいた「ミドガルドシュランゲ」は、ローゼ達の方に向き直った

《……Data認証…R-No.0,RoseReinhardt…R-No.4,RequiemRickenbacker…R-No.7,RapinaRespighi
 作戦一部変更…対象…R-No.0,他上位構成員2人》
「あら…好都合ですわ、こちらに標的を絞って下さったようですの」
「全員に告ぐ! ここは私達が食い止める! 貴様等は作業を続行しつつ、危険と判断したら即刻逃げろ!!」
「えー、ラピーナもやるのー?……仕方ないかも」

黒光りする機関銃の砲口が、ローゼ達に向けられる
10 :赤い幼星 † 殺戮の為に生れしモノ:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/16(日) 23:23:22.39 ID:b7dIKz4C0
《……射殺》

再び、10基の機関銃が火を噴いた

「『フォトン・ヴェール』!」
「『コンフィタティス』!」
「『妖怪“人”隠し』だよ!」

ローゼは赤い光に身を包んで攻撃を防ぎ、
レクイエムとラピーナはその場から姿を消して攻撃を躱した

《…目標消失……熱探知開始》
「今度はこちらの番ですわ! 『フォトン・クラッシャー』!」

彼女の伸ばした指先から、雷光を伴う赤く細い光条が発射され、「ミドガルドシュランゲ」に向かう
だがそれは、曇った鏡の装甲によって反射し、民家の塀を破壊する

「えっ……“光”の攻撃が効かない!?」
「貴様ァ! 私の仕事を増やすな!!」

「ミドガルドシュランゲ」の真上に現れたレクイエムが、軽やかに宙を舞って踵落としを命中させる
彼女の都市伝説「ヒエロニムスマシン」によって肉体強化がなされたその一撃は、機械さえもよろめかせる

「ごめんあそばせ!!」

ローゼも戦術を切り替え、赤い雷光を纏わせた拳を叩きつけた
「フォトンベルト」の能力で、レクイエムと同じように身体強化したその拳は、
またも機体をぐらつかせたが、両者の攻撃はただの一度も傷を与えた訳ではない

「ちっ、やはり硬いな……!」
《R-No.4発見…R-No.7未確認――――――――9時方向熱源反応感知》
「ミサイル発射だよー!!」

民家の屋根の上に立つラピーナが、白饅頭を使役して多弾頭ミサイルを発射させた
ラピーナの能力は、「妖怪○○隠し」
あらゆる物を隠すと同時に、隠した物を出現させる事が出来る
放たれたミサイルは全て「ミドガルドシュランゲ」に直撃し、住宅街に倒れ込んだ

「あ……ちょっとまずいかも」
「ちょっとじゃない! 貴様等、後で覚えておけよ!?」
「うえーん」
「お二人とも、まだ終わってませんわ!」

ローゼの言う通り、「ミドガルドシュランゲ」は再度起き上がり、出現した穴から這い出て全身を露出した
全長524メートルという巨大さが、見る者を圧倒させる

「うわ…おっきいかも」
「それに防御力も問題だ…光を跳ね返すらしいからな」
「えぇ、恐らく黒服の皆さんが持ってる光線銃も効かなかったものだと思いますわ………あ、れ?」

ローゼが何かに気づいたような頓狂な声を上げた瞬間、「ミドガルドシュランゲ」が新たな行動に出た
ユニットの内部から、弾薬の詰まったランチャーが飛び出したのだ

「ッ! また何か来るかも!」
《原子番号22金属元素製特殊弾丸……発射》

ランチャーから、金属製のビー玉のような弾丸が発射された
それはまるで雨のように、少女達に降り注いだ


   ...To be Continued
11 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/16(日) 23:29:43.99 ID:b7dIKz4C0
前半だけ上げてみた、後半は明日には上げてくれ明日の俺(無茶言うな

VIP時代に単発で上げた人工知能搭載水陸両用蛇型大量殺戮兵器が帰ってきました
沢山のフラグを抱えて帰ってきました
“彼女”の活躍に乞うご期待

ついでに、『β10以下略』は彼女の形式番号です
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 00:21:31.01 ID:v2o70oDp0
一レスの人乙ですぅ
これは良いほの…ぼの
良い……ほのぼの…だよね?
最近何か裏があるんじゃないかと怖い

影の人乙です
そうです自分が白饅頭ファン倶楽部の一人です
市街地で多弾頭ミサイルぶっぱなすとか序盤からキてると思います
というかβ以下略さんも市街地狙いなのか!!
13 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/17(月) 08:24:13.65 ID:snZP9hyP0
>>12
クラブ…だとwww
ラピーナはあれです、組織入る前は強盗紛いのことやらかしてたので(

βの狙いはねぇ…
任務を出した奴が何故このタイミングでローゼ達を襲撃させたか、ですね
14 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/17(月) 21:24:14.73 ID:m272KF+F0
今気付いたわ
β10の形式番号……ミスってるorz
修正

× β10-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land&Sea-1935228

○ β10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land&Sea-1935228

そういや意味書くの忘れてたから、避難所の裏設定スレに書いとくわ
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 22:40:32.87 ID:ZFMhwsCLo
投下乙ですー

ステルスで隠蔽するのにも人員調達や能力強度などに限界があると思うので、
可及的速やかにディバイディングドライバーの開発に着手していただきたいと思います
きっとF-Noならヤってくれるはず
16 :ふえやろう旅日記 [sage]:2011/10/17(月) 23:02:58.13 ID:dfH4RYfDO
皆様乙でした
景雄の人がこのスレを投下速度で支えているな…
機械の描写というか設定は楽しいよね
単発の人はよくまたネタが続くなあ…すごい
17 :ふえやろう旅日記 [sage]:2011/10/17(月) 23:05:07.87 ID:dfH4RYfDO
皆様乙でした
景雄の人がこのスレを投下速度で支えているな…
機械の描写というか設定は楽しいよね
単発の人はよくまたネタが続くなあ…すごい

えふなんばーならなんでもやるよ!!
18 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/17(月) 23:13:01.66 ID:m272KF+F0
>>16
>景雄の人がこのスレを投下速度で支えているな…
聞いて下さい先生
今日は投下できそうにないですorz
投げ出しやがって昨日の俺め……明日の俺に頼むか(以下無限ループ
19 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/17(月) 23:14:29.68 ID:m272KF+F0
>>16
>景雄の人がこのスレを投下速度で支えているな…
聞いて下さい先生
今日は投下できそうにないですorz
投げ出しやがって昨日の俺め……明日の俺に頼むか(以下無限ループ

>機械の描写というか設定は楽しいよね
設定は楽しい
でも描写はクソ難しいorz
しかもβ10が『生物のような機械』という矛盾したコンセプトなんで尚更書きにくい(じゃあ何故作った
20 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/17(月) 23:16:45.87 ID:m272KF+F0
何と言う事だ
連投確率2%の俺がこのザマかorz
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 23:20:29.66 ID:ZFMhwsCLo
>>19
>しかもβ10が『生物のような機械』という矛盾したコンセプトなんで尚更書きにくい(じゃあ何故作った
つまり機械の体のべーてんさんを裂邪がやらし……やさしくなだめてくれるのですねわかりました
裂邪は本当に見境無いな……正座待機
22 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/17(月) 23:31:14.73 ID:m272KF+F0
>>21
>つまり機械の体のべーてんさんを裂邪がやらし……やさしくなだめてくれるのですねわかりました
なっ、バレた!?

>裂邪は本当に見境無いな……正座待機
ローゼの戦闘書き終えたら、裂邪がβ10と出会うシーンを書く予定ですの
ついでに学校でのシーン書くので、そこで極くんをお借りしたり、新連載のキャラを先行で出してみたりしますの

裂邪は本当に見境が無いよ…それも今年で見納めさ
23 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/10/18(火) 09:34:52.62 ID:3wPijX2AO
>しかもβ10が『生物のような機械』という矛盾したコンセプト
れっきゅんメカっ娘萌えに目覚めるの巻ですねわかります

>ついでに学校でのシーン書くので、そこで極くんをお借りしたり
よろしくですの。
イタルは「ルルドの泉」の水を常時携帯しているので治癒もある程度可能です。
24 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/18(火) 12:20:07.71 ID:HCWRaN0G0
>>23
> れっきゅんメカっ娘萌えに目覚めるの巻ですねわかります
蛇型だけどメカっ娘で良いのかしら?www

> イタルは「ルルドの泉」の水を常時携帯しているので治癒もある程度可能です。
戦闘させる訳じゃないから安心してね!
まだ書いてないけど、キャラ間違ってたら申し訳ないの
なるべく登場話やチラ裏の資料とか凝視しつつ書くけどね
25 :ある日の夕暮  ◆nBXmJajMvU [saga sage]:2011/10/18(火) 17:12:08.45 ID:O9+ky8XF0
 それは、夕暮れ時、学校帰り
 少女…本条 薫、その正体は都市伝説DKGと、少年、本条 雄介が、住宅街の一角の公園のそばを通り掛かったときの事だ

「……ん?」

 ふと、薫の視界の隅に、公園の木に引っ掛かっている長い布……マフラーのような物が、目に入った
 誰かのそれが、飛ばされて引っかかったのか
 そして、そのマフラーに手を伸ばしている、小さな影

「…うー」

 小学校低学年くらいだろうか
 幼い風貌の少年だ
 木の下で、一生懸命に腕を伸ばしているのだが、マフラーに手が届かない
 少年の身長では、ぴょんぴょんと跳ねてみても届かない、絶望的な距離だ

「うー…届かない。うー…」
「そりゃ、お前の身長ではな」

 そして
 少年の傍らには、少女の姿もった
 恐らく、少年と同じくらいの年ごろだろう
 今時珍しい、和装の少女だ
 和装…どころか、完璧に着物姿
 漆黒の着物に赤い帯と言ういでたちの髪の長い少女は、猫耳のようにつけられたリボンをゆらゆらと揺らしながら、視線を木に引っ掛かっているマフラーに向けている

「仕方ない。俺が木に登ってお前のマフラーを取ってやろう」
「うー、ダメ!明日葉、絶対、木から落っこちて怪我する!うー!」
「OK、そこまできっぱり言い切られると傷つくぞこら。そんなに俺は運動神経なく見えるか」

 …どうやら、マフラーは少年の物で
 そして、少年と少女では、どうあがいても木に引っ掛かっているマフラーを取る事が出来ない、という状況のようだ
 少女が言った通り、木に登ればとれなくもないのだろうが、昨今は木登りもできない子供が多い
 あのちみっこ二人も、木登りは不得意のようだ
 と、言うか、少女の方はあんなぴしっとした着物姿では、たとえできたとしても無理だろう

 ………さて、どうしたものか
 あれなら、あの幼い少年少女なら届かないかもしれないが、自分達の身長ならば、届く
 うー、と声を上げているマフラーの持ち主らしき少年は、困っているような、泣き出しそうな、そんな表情をしている
26 :ある日の夕暮  ◆nBXmJajMvU [saga sage]:2011/10/18(火) 17:14:42.27 ID:O9+ky8XF0
 す、と自然と、そちらに足が向いた

「う?」
「おや」

 少年達が、薫と雄介が近づいてきている事に気づいた
 少年は、きょとん、と二人を見上げてきていて、少女は…どこかうかがうような、観察でもしているかのような視線を向けてくる
 く、と、雄介が少し背伸びして腕を伸ばせば、簡単にマフラーを掴むことができた
 ほら、と、それを少年に手渡す

「君の物なのでしょう?」
「うー!」

 ぱぁ、と
 少年が、瞳を輝かせた
 嬉しそうに、雄介のてからマフラーを受け取る

「うー、お兄ちゃん、ありがとう!」
「どうしたしまして」

 無邪気に、少年は礼を言ってくる
 なかなかに、素直な少年だ
 くひひっ、と、少年の傍にいた少女が、小さく笑う

「これはこれは、昨今、困っている人に手を差し伸べぬ者が多い中、関心な若者だ」

 幼い容貌に似合わぬ物言いをしながら、少女は雄介と薫を見上げてくる
 …その表情も、年相応と言うには大人っぽい…というか、どこか歳不相応だ

「子供が困っている様子を見捨てるのも、後味が悪いですから」
「…くひひっ、なるほど、なかなかに善人であると見た」

 雄介の言葉に、再び笑う少女
 ぺこり、頭を下げてきた

「俺の嫁を助けてくれた事、感謝しよう」

 と
 続けて、そんな事を言ってきて
 ………
27 :ある日の夕暮  ◆nBXmJajMvU [saga sage]:2011/10/18(火) 17:17:26.74 ID:O9+ky8XF0
 嫁?

「うー、違う。僕が明日葉のお嫁さんじゃなくて、僕が明日葉をお嫁さんにする!うー!」
「なんと。俺がお前を嫁にするつもりであったが、逆に嫁にされようとしていたとは」

 ………
 どうやら、可愛らしいカップルであったようだ
 と、言っても、どちらもまだまだ幼い
 …この関係がいつまで続くものかは、わからないが

「いや、と、言うか、普通は女が嫁だろ?それとも、この国は男も嫁になれるのか?」
「なぁに、法律なんて些細な問題でしかない」

 薫が口にした素朴な疑問に、しかし、少女はどこか不敵に笑って答えた
 いや、些細な問題ではない
 むしろ、大きな問題に思えるのだが

 もぞもぞ、そんな少女の隣で、少年は首元にマフラーを巻いている
 どこか寒そうだった首元が、それで暖かそうな姿へと変わった
 マフラーを巻いて、ちょうどいい格好になるようにしていたのかもしれない

「もう、飛ばされないようにね?」
「うー、僕、気を付ける。うー!」

 雄介に言われ、少年はこくこく、素直に頷いてきた
 何とも、素直な少年だ

 そうって、雄介と薫が幼い二人と触れ合っていると

「おーい、明日葉ー!」
「…む」

 少女の方を、呼ぶ声が聞こえた
 先ほどから少年が呼んでいた通り、この少女は「明日葉」と言う名前らしい
 苗字なのか、それとも名前なのかは、いまいちわからないが
 何気なく、少女を呼んだ声の方へと視線をやって

(……おや)

 そこにいた姿に、薫は見覚えがあった
28 :ある日の夕暮  ◆nBXmJajMvU [saga sage]:2011/10/18(火) 17:20:12.24 ID:O9+ky8XF0
 少なくとも、そこにいる三人の内、二人に

 …獄門寺 龍一、薫と雄介にとって、中央高校の先輩である少年と、その契約都市伝説である花子さんが、そこにいたのだ
 もう一人の少年は、見覚えがない
 龍一や雄介と同じ制服を着ている辺りを見ると、彼も中央高校の生徒だろう
 明日葉を呼んだのは、そちらの少年のようだ

「明日葉、そろそろ帰らないと、お姉さんが心配するんじゃないのか?」
「……なんと、気づけばすでにそんな時間か」

 呟き、明日葉が空を見上げる
 日が落ちるのが早くなってきた時間
 空は、大分暗くなってきていた

 龍一達が、こちらに歩み寄ってくる……ほんのわずか、龍一が警戒を滲ませている事に、薫は気づく
 いまだ、完全には警戒を解いていないのだろうか
 何とも、疑い深いものだ

「ほら、送っていくぞ」
「…くひひっ、では、真樹のお言葉に甘えようかね」

 明日葉は笑い、真樹と言う名前らしい少年に歩み寄った
 ととと、と、それと入れ替わるように、花子さんが少年にかけよる
 みーみー、と、無邪気な声を上げる様子は可愛らしい

「……何を、していた?」

 ぼそ、と
 そんな花子さんの無邪気な様子とは違い…龍一が、静かに薫達に問いかけてきた
 明日葉と少年と、何をしていた、という意味だろうか
 薫が答えるよりも、先に

「うー。おにーちゃんにマフラーとってもらったー!」

 ぴ!と、少年が元気に答えた
 明日葉が、それに捕捉する

「幸太のマフラーが悪戯な風に飛ばされて木の枝に引っかかってな。俺達では届かなかったそれを、こちらの親切で感心な若者にとってもらった」
「……そうか」
29 :ある日の夕暮  ◆nBXmJajMvU [saga sage]:2011/10/18(火) 17:22:11.66 ID:O9+ky8XF0
 幸太、という名前だったらしい少年と、明日葉の説明で、とりあえず龍一は納得したようだった
 ほんのわずか、警戒が緩む

「龍一、この二人と知り合いか?」
「……顔見知りでは、ある」

 真樹の問いかけに、ぼそりと答える龍一
 つれないね、と薫が苦笑するのだが、龍一はそれに対応してはこない
 …これは警戒しているせい、というより、愛想というものがかけているせいかもしれない

「では、真樹よ。このか弱い乙女をエスコートしてくれよ?」
「一人称が「俺」でしかも常時男言葉で話すお前を乙女としてカウントしていいかについては、後でお前のお姉さんも交えて話し合おうな」
「失敬な。どこからどう見ても清らかな乙女であろうに」

 どこが、とため息をついて、真樹が明日葉と歩き出す
 くるり、振り返って

「ではな、幸太。また明日、学校で」
「うー、明日葉、モテないおにーちゃん、バイバイ」
「龍一、幸太、またな……って、幸太、その呼び方いい加減勘弁してくれ。泣くぞ」

 うー?と、真樹の言葉に首をかしげている幸太
 …無邪気と言うのは、時に残酷である
 みーみー、花子さんも、真樹達に手を振っている

「…あいつ、花子さんには挨拶なしか?」

 ふっと違和感を感じ、薫が呟く
 真樹は、「龍一、幸太」、と言った
 今日あったばかりの自分達に対してはともかく、龍一と知り合いと言う事は、傍にいる花子さんの事もわかっているはずだ
 なのに、何故、花子さんの名前だけ呼ばなかったのか?
 …その疑問の答えは、すぐに帰ってくる

「……真樹は、花子さんの事は、知らない」

 ぼそり、呟くように、龍一は言った
 真樹にその言葉が届かないようにしているかのような、抑えられた声量だ

「知らない?こんなにお前の傍にいるのにか?」
「みー、花子さんの姿、普通の人には見えないの」
30 :ある日の夕暮  ◆nBXmJajMvU [saga sage]:2011/10/18(火) 17:24:05.84 ID:O9+ky8XF0
 薫の疑問に、今度は花子さんが答えた
 なるほど、と雄介が納得する

「都市伝説の事を知らない人には、見えないんですね?」
「み!」

 そうなの、と雄介の言葉に頷く花子さん
 なるほど、と薫も納得した
 …全ての都市伝説が、人々に常に認識されている訳ではない
 通常は姿を消している者とて、多いのだ
 花子さんは、そうやって、普段は姿を消している存在なのだろう
 もっとも、都市伝説の存在を「認識」している者には姿が見えるようだが

「うー、モテないおにーちゃん。都市伝説が実在する事気づいてない。うー」
「……気づかないのなら、それにこしたことはない」

 少し寂しそうにつぶやいた幸太の言葉に、龍一はそう答えた
 …その声に、どこか重い感情が混じっているように聞こえたのは、気のせいか

「……幸太。お前も、この時間、一人で出歩かない方がいい。送っていく」
「うー、じゃあ、僕、将門様のところに行くー!」
「……わかった」

 幸太の言葉に、龍一は頷いた
 行くぞ、と一言言って、歩き出す
 みーみーと花子さんが後を追って、幸太もうーうーと追いかける

「おいおい、後輩に挨拶はなしかい?」
「……学校町は、都市伝説が多い。当然、攻撃的な者もいる………気を付けていけ」

 薫の茶化すような言葉に、龍一は短く、そっけなく、そう答えた
 花子さんは、振り返ってばいばい、と無邪気に手を振ってくる
 軽く笑って手を振り返してやれば、嬉しそうにさらに手を振ってきた
 全く持って、龍一は花子さんの愛想の半分でも分けてもらうべきだろう
 薫が、そんな事を考えていると


「−−−−−仕方ないよ。龍一お兄ちゃんには、護らなきゃいけないものがあまりにも多すぎて………誰よりも、自分が背負うべき役目を重く受け止めてしまって、護らなければいけない対象が増えすぎて、気を張って生きなくちゃいけないんだから」

31 :ある日の夕暮  ◆nBXmJajMvU [saga sage]:2011/10/18(火) 17:25:08.73 ID:O9+ky8XF0


 まるで、その思考に答えるような、言葉
 幸太が立ち止まり……薫と雄介を、じっと見上げてきていた
 その表情に、先ほどまでの無邪気さは……完全に、消えている

「護らなければならないもの、ですか?」
「…そう。君達にとって、互いが大切な存在であるように………龍一お兄ちゃんには、大切で、護らなければならないと考える存在が、たくさんある。だから、ほんの少しでも警戒すべきであると感じたならば、どこまでも警戒して、気を張らなければならない。学校町を護ると言う、背負うべき役目が待ち受けているから、余計に」

 すらすらと、幸太は告げてくる
 話す様子も、先ほどまでとはがらりと変わっている
 無気力なようで、でも、何かに抗おうとしているような…何もかもに無関心なようで、しかし、全てを知ろうとしているかのような、そんな…

「……お兄ちゃんと、お姉ちゃんは。龍一お兄ちゃんと仲良くなれるかな?……きひひひっ」

 どこか、不気味に笑った幸太
 どういうことだ、と薫が問おうとすると

「……幸太、どうした?」
「うー、なんでもない!」

 龍一が声をかけた途端……幸太は、元に戻った
 無邪気に龍一の言葉に返事を返し…う!と、何か思いついたかのように、てととと、と薫と雄介に駆け寄ってきた
 そして、ごそごそ、お菓子の箱を取り出して

「うー、あげる!」

 と、薫と雄介に、箱から取り出したお菓子を渡してきた
 コアラの絵柄が書かれた、チョコレートをクッキーのような生地で包み込んだ菓子だ
 どちらにも、眉毛月のコアラの絵がえがかれている

「いいんですか?」
「うー、幸せおすそ分け、うー!」

 無邪気に笑う幸太
 それじゃあ、と雄介はそれを受け取った
 薫も、同じく受け取る

「またね!」

 最後に、そう言って
 幸太は龍一と花子さんに向かって駆けていく
 龍一は、幸太がついてきているのを確認しながら、ゆっくりと歩いて行っていた
 みーみーと、花子さんはその周囲をぐるぐる回り続けている

 何とも平和なその光景、しかし
 先ほどの、幸太の変貌したような、あの表情と声が
 どこか、違和感のように、二人の思考に引っかかったのだった





続くかどうかは知らない
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/18(火) 17:27:29.01 ID:O9+ky8XF0
さぁて、DKGの人に切腹焼き土下座だ!!orz
遅くなってごめんなさい!
そして、二人のキャラとか話し方間違っている予感満載でごめんなさい!!


さらに言うと、途中まで行数計算間違えていた今畜生!!
しばらく投下してないとすぐこれだよ!!
とりあえず肉じゃが作ってくる!
33 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/18(火) 18:22:42.18 ID:WSmndrOS0
>>32
乙!!
>さぁて、DKGの人に切腹焼き土下座だ!!orz
>遅くなってごめんなさい!
>そして、二人のキャラとか話し方間違っている予感満載でごめんなさい!!

そんな重い土下座しないで下さいwww
二人の話し方については、薫の話し方(と性格)は某特撮の破壊者をイメージ。
雄介は基本敬語だったりおちゃらけたりだったりハードボイルドだったり……もう色々変わるので、気にしないでいいです。敬語でOKです。
強いて言うならば、親しみのある敬語……ですかね?

にしてもこの雄介クールだなwwww
あんまりにもクールすぎて悔しいので、レジェンドハンターのが終わったらオチ書いても良いですか?www

>とりあえず肉じゃが作ってくる!

肉じゃが好きなんですか? 私もです。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/18(火) 19:24:45.57 ID:Rwp5YvGe0
何だこの寒さはくそう…

>>33
>強いて言うならば、親しみのある敬語……ですかね?
了解ですぜ!
ぶっちゃけ、彼の口調が一番自信なかったんだ!

>あんまりにもクールすぎて悔しいので、レジェンドハンターのが終わったらオチ書いても良いですか?www
wktk(全裸待機

>肉じゃが好きなんですか? 私もです。
あぁ、好きだとも!
35 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 20:41:15.21 ID:B6RNZA2P0
花子さんとかの人乙です〜
あれだね、久しぶりの花子さんとかの話は読んでて落ち着くし安らぐ
そしてこれまた久々の幸太節炸裂www新参者の登竜門的存在だよね!(どういう意味だ

てか幸せコアラ貰ったのか…これはつまり雄介×薫のセ○クスフラグ!!

>>33
>二人の話し方については、薫の話し方(と性格)は某特撮の破壊者をイメージ。
残念だったなカザリ!
花子さんとかの人は特撮はあまり見てないんだぜ!
確か最近見たのはティガ〜ガイアくらいだと聞いた

>>34
>何だこの寒さはくそう…
そちらはやはり寒いですか
こちらは桜が咲いてますよ
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/18(火) 21:22:01.86 ID:Rwp5YvGe0
>>35
>てか幸せコアラ貰ったのか…これはつまり雄介×薫のセ○クスフラグ!!
ちょっと待てぃ
幸せコアラはセ○ロスフラグアイテムじゃねぇよwwwwwwwwwwwww

>花子さんとかの人は特撮はあまり見てないんだぜ!
っふ…その通り
見ていた特撮で辛うじてちょっと覚えてるのはティガにダイナにガイアにコスモス
あと、カーレンジャーくらいかねぇ…
ライダー系はさっぱり見てなかったぜ

>そちらはやはり寒いですか
俺は冬用トレーナーの封印を解いたぞジョジョーーーーーォ!!!!
37 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 21:30:14.52 ID:B6RNZA2P0
>>36
>幸せコアラはセ○ロスフラグアイテムじゃねぇよwwwwwwwwwwwww
(裂邪>いや、あれは絶対それ系のアイテムに違いない
(ミナワ>懐かしいですね、ハジメテのあの日♪
(裂邪>あぁ、ミナワに「あーん♪」されて幸せコアラを口に放り込まれて
(ミナワ>その後裂邪に抱きしめられてキスを……///
(裂邪>あの時初めてミナワの胸触ったけど、衝撃的な柔らかさだったなぁ
    それとあの反応も忘れられない、可愛い声だった…今も可愛いけどね
(ミナワ>も、もぉ裂邪ったらぁ♡ それを言うなら、初めて[アァーン]を咥えた時の裂邪の反応も忘れられませn
(シェイド>オイ、イツカラココハ18禁ニナッタンダ
38 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/18(火) 21:32:58.79 ID:WSmndrOS0
>>35
>てか幸せコアラ貰ったのか…これはつまり雄介×薫のセ○クスフラグ!!
DKG「…………」
こ、殺されるぞ!! 逃げてー!!

>>36
>>花子さんとかの人は特撮はあまり見てないんだぜ!
>っふ…その通り

ならあれだ。偉そうな男ツンデレみたいな感じ。
ここで重要なのは、女のツンデレでみたいなあからさまなものではなく、雨が降っている中、ほらよと言いながら傘をつきだすみたいな男のツンデレなんです!!
はいここー!! テストに出るから線引いておくように!!
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/18(火) 21:35:22.11 ID:Rwp5YvGe0
本日20杯目くらいの紅茶うめぇ

>>37
>(裂邪>いや、あれは絶対それ系のアイテムに違いない
幸太「うー?それけー??」
明日葉「OK,そっから先は濃密な18禁の世界だ。良い子の幸太は知っちゃいけねぇ世界だぜぇ?」

>>38
>ならあれだ。偉そうな男ツンデレみたいな感じ。
なんとなく了解しましたの
40 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 21:39:22.46 ID:B6RNZA2P0
>>38
>DKG「…………」
(裂邪>まぁそう怒りなさんなって、まずは1回ヤってみたら?
    知ってる? 初体験の平均年齢って中3から高1なんだぜ?
    見た目もそんな感じだし丁度良いと思うけどなぁ
    もしかして怖いっすか? 殺しとどっちが怖い?
(シェイド>薫ト言ッタカ? 私ガ抑エル、構ワン殺セ
41 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 21:43:03.30 ID:B6RNZA2P0
>>39
>明日葉「OK,そっから先は濃密な18禁の世界だ。良い子の幸太は知っちゃいけねぇ世界だぜぇ?」
(裂邪>しかし話している張本人の年齢gモゴッ
(シェイド>ヤメロ、作者ガ社会的ニ死ヌ
42 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/18(火) 21:55:11.56 ID:WSmndrOS0
>>40

>裂邪>まぁそう怒りなさんなって、まずは1回ヤってみたら?
実は構想中。未s……未体験だから、期待しないで。
あれ? 本番って避難の方にあるのでいいんですか?

>(シェイド>薫ト言ッタカ? 私ガ抑エル、構ワン殺セ
DKG「……OK。そいつにパラレルワールドの自分と同じ末路を味あわせてやる」
ファントム「シェイド逃げろ!! 名前の表示が薫ではなくDKGになっている!! お前も巻き込まれるぞ!!」
43 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 22:01:33.09 ID:B6RNZA2P0
>>42
>実は構想中。未s……未体験だから、期待しないで。
安心なせえ、俺だって未経験だったんだ
wikiに本番行為上げてるけど全く参考にならないから、参考にするんだったら避難所の本スレに上げられないスレを片っ端から漁ってくと良いよ!

>あれ? 本番って避難の方にあるのでいいんですか?
Yes、sage推奨だから気をつけてね

>ファントム「シェイド逃げろ!! 名前の表示が薫ではなくDKGになっている!! お前も巻き込まれるぞ!!」
(シェイド>安心シロ、私ハギリギリデ逃ゲラレルシ、私ガ死ンデモ代ワリハイル
(裂邪>貴様命を捨てる気か!?ってこれじゃマジの敵キャラじゃん俺!?
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 22:13:13.67 ID:SV4mfNZ7o
そういえばシャドーマンって群体なのよね
たとえこのシェイドが死んでも第二、第三のシェイドが現れ裂邪にツッコミ続けるのだろう……
45 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 22:24:00.70 ID:B6RNZA2P0
>>44
>そういえばシャドーマンって群体なのよね
あんまり目立ってないけどね、出し過ぎると裂邪が疲労する設定つけちゃったんで
何とか群体っぽくしてやろうと思ったのが『シャドーズ・ラグナロク』だったのに、「教会」編以降全く登場せず
因みに「マヤの予言」編では裂邪の全フォーム(W仕様・オーズ仕様除く)(合計13フォーム)登場させる予定です

>たとえこのシェイドが死んでも第二、第三のシェイドが現れ裂邪にツッコミ続けるのだろう……
ツッコミだけが生甲斐かよwwwwwww
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/18(火) 22:39:07.49 ID:Rwp5YvGe0
>>41
>(裂邪>しかし話している張本人の年齢gモゴッ
明日葉「お前は「悪い子」なんだろ?幸太はピュッアピュアの良い子だからまだ知っちゃいけねぇぜ」

>>42
>DKG「……OK。そいつにパラレルワールドの自分と同じ末路を味あわせてやる」
薫ちゃん、落ち着いてぇ!?
幸太から受け取った眉毛コアラでも食って和んでくれ
ささやかな幸せが訪れるから
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 22:43:58.15 ID:SV4mfNZ7o
>>46
>ささやかな幸せが訪れるから
「ささやかな幸せ」が脳内で「ラッキースケベ」に変換された私はDKGにヘッドsh(タァーン)
48 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/18(火) 22:46:48.91 ID:WSmndrOS0
>>43
>Yes、sage推奨だから気をつけてね
かしこまりました!
……書けるかどうかもわかりませんが。

>(シェイド>安心シロ、私ハギリギリデ逃ゲラレルシ、私ガ死ンデモ代ワリハイル
ファントム「お前、男だよ……」←手を離す
DKG「……恐怖をその体に叩きこんでやる」←宇宙〇艦ヤマト召喚

>>44
>たとえこのシェイドが死んでも第二、第三のシェイドが現れ裂邪にツッコミ続けるのだろう……
……ツッコミ道を極めた都市伝説。カァっくいい!!

>>45
>因みに「マヤの予言」編では裂邪の全フォーム(W仕様・オーズ仕様除く)(合計13フォーム)登場させる予定です
おお!! あれだな、BLACKの全フォーム集合とかしてくれるのかな!? その時、不思議な事が起こった!!

>>46
>幸太から受け取った眉毛コアラでも食って和んでくれ
薫「……ん、気が変わった」
雄介「幸太ぁあああああ!! 怖い子かと思ってたけどいい子でよかったありがとう!!」
49 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 22:49:21.76 ID:B6RNZA2P0
>>46
>明日葉「お前は「悪い子」なんだろ?幸太はピュッアピュアの良い子だからまだ知っちゃいけねぇぜ」
(裂邪>突然犬の着ぐるみで現れるような奴に「悪い子」呼ばわりされとうないわ!?
    てか俺は良い子だろ…………いや、やっぱ「悪い子」で良いや

はい、シリアスモード入りましたー
50 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 22:55:47.34 ID:B6RNZA2P0
>>48
>……書けるかどうかもわかりませんが。
いつまでもwktkしてますの♪

>DKG「……恐怖をその体に叩きこんでやる」←宇宙〇艦ヤマト召喚
(裂邪>ええいままよ! 兵器使わなきゃ他人を殺せないようなババアに負けてたまるか!
    シェイド!ミナワ!理夢!ウィル!俺に力貸せェ!!
「「「「やだー」」」」
(裂邪>うわああああんお姉様お許しをおおおおおお(チュドーン
(シェイド>サリ気無ク「ババア」等ト抜カスカラダ

>おお!! あれだな、BLACKの全フォーム集合とかしてくれるのかな!? その時、不思議な事が起こった!!
それもやりたいけど、方法思いつかんから無理wwwww
どっちかっていうと『電王』みたいのがやりやすいか、別時間軸の裂邪を連れてきてそれぞれ変身、みたいな
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/18(火) 23:10:20.68 ID:Rwp5YvGe0
>>48
>雄介「幸太ぁあああああ!! 怖い子かと思ってたけどいい子でよかったありがとう!!」
幸太怖い子じゃないよ
時々豹変するけど基本的にはピュアピュアな良い子だよ


>>49
>(裂邪>突然犬の着ぐるみで現れるような奴に「悪い子」呼ばわりされとうないわ!?
明日葉「…おぉっと、それは「アンジェリカ」であって俺は「明日葉」だ。同じようで違うんだぜぇ?くひひっ」

>    てか俺は良い子だろ…………いや、やっぱ「悪い子」で良いや
裂邪に「翼にいい子いい子と頭を撫でてもらえる」権をプレゼンツ
52 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/18(火) 23:18:06.10 ID:B6RNZA2P0
>>51
>時々豹変するけど基本的にはピュアピュアな良い子だよ
(裂邪>そして魔法使いの権利を剥奪してくれるキューピッドでもある

>明日葉「…おぉっと、それは「アンジェリカ」であって俺は「明日葉」だ。同じようで違うんだぜぇ?くひひっ」
(裂邪>良いんだよ八つ当たりだから!
    そういや最近見ないけどリジェの奴何処行った?
(リジェ>(シナリオ書くのに忙しいんです、『俺は幻牙』やら『海月の唄』やら『仮面晩餐』やら『幽体少女』やら……1月の新連載多過ぎorz)

>裂邪に「翼にいい子いい子と頭を撫でてもらえる」権をプレゼンツ
(裂邪>花子たんとか瑠璃さんじゃダメですか……?
53 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:34:04.63 ID:nlEmM/m30
 時間は少し遡る――――

 薫――――DKGは、突如襲ってくる神話級の都市伝説達に、困惑した。
(……何故だ? 何で神話級の都市伝説がこんなに? ここまで古今東西の都市伝説だと、多重契約者か? ……この量とだぶりよう、多重契約ってレベルじゃないだろ)
 DKGも神話級の都市伝説は何回か殺した経験がある。しかし、ここまでの量だとさすがに死ぬ。百人からさらに孫悟空が影分身するものだから……もう目視で数えるのも難しい。
 誰だこんな都市伝説を送りつけてきたのは。どこぞの機関だ。
(……本気を出して、殺すしかないか)
 そもそも、神話級相手に手を抜いたことなど無いのだが。
 とりあえず、パンツァファーストを虚空から何個か取りだし、都市伝説の中央辺りに撃ち込む。山なりで射たれ、見事な爆発で都市伝説を吹き飛ばす。
 二、三人は消せたかも知れないが、絶対的な防御や恐ろしい反射神経で避ける。
 DKGが今まで神話級都市伝説に勝ってきたのは、カウンターでのクリティカルヒットを決める事ができたからである。
 だが、この人数相手では、クリティカルヒットどころかカウンターすらできないだろう。
 バンパイアあたりの集団なら、大剣やら機関銃で無双できるのだが、神話級の集団になると、勝つ手段すら思い付かない。
 だが、相手はそんな活路を思いつく隙も与えてくれず、雷やらグンニグルが飛んで来たり、如意棒が伸びてきたりと、信じられない早さで襲ってくる。
「大人げないな。それでも先輩か? 三歳児相手に焦りすぎだろ」
 避けられるものは避け、避けられないものはジャックブレードでいなす。
 いなした神話級の攻撃は、手がジンジンするどころか、もげてしまいそうだったが、なんとか耐えきった。
 だが、一つの雷の矢が避け切れず、DKGの眼前に迫ってきた。

 それを、DKGは無意識に放った雷でいなした。

 は? なんでだ? とDKG自身一瞬疑問に思ったが、契約したことにより、災害なども扱えるようになったのかもしれない。現に光線などは指先か出せるようになっている……これは災害などではないが。
(……どうする? 雷は出したばかりで、どこまで通用するかわからない。このまま逃げ続けても、いつかは追い詰められる。……いや、アイツなら)
 ふと、こんな時にファントム――――雄介の事を思い出してしまい、敵の攻撃をよけながら、慌てて頭から振り払う。
(ダメだ。アイツは俺が助けを求めれば、命をかけて俺を守り通す。そういう男だ)
 雄介と接していたのはごく短い時間だが、人の心を覗いてきたDKGには、嫌でも分かる。
(……それだから、アイツには頼れない)
 そうすれば、雄介に殺しの苦悩を味あわせることになる。それだけはしてはいけない。
 彼は自分の気持ちを理解してくれた。つまり、殺しの苦悩も理解しているということだ。
 端から見れば変な男にしか見えないが、困っている何かがそこにいるのなら、助けずにはいられない優しいヤツなのだ。そんな人を、これ以上困らせるわけにはいかない。
 DKGは虚空からブローニングM2重機関銃を二丁取りだし、都市伝説達を睨めつける。
「……お前ら、運が悪かったな。今の俺は、かなりヤバイ」
 機関銃の安全装置を外し、構える。
「殺す覚悟が、もうできた」
 引き金を、戸惑いなく、躊躇いなく、目を大きく開け、――――引く。
 三銃士達が弾丸を弾こうとするが、逆に剣が弾かれ、全弾丸が眉間をぶち抜き、カード――――には戻らず、血を吹き出しながら倒れる。
 その後ろに控えていたアーサー王達がエクスカリバーを鞘から抜き取り、悠然と歩いてくる。
「なかなかの迫力だな。だが――――まだ弱い」
 右手のM2重機関銃で足元を狙い、弾幕を作る。
 だがアーサー王達もずくに反応し、エクスカリバーで切り裂く――――直後に左手のM2重機関銃で、アーサー王達の頭を蜂の巣にし、後ろにばたりと倒れる。
 その余韻を残す暇もなく、DKGは周りを囲んでいる阿修羅達を回転しながら、M2重機関銃で余計に多い顔を吹き飛ばす。
 その姿は、美しく、可憐で、――――圧倒的な強さを誇っていた。
 それを見た、孫悟空、オーディン、ゼウス達は廃工場の屋根を突き破って飛びながら、遠距離攻撃を仕掛けることにした。
 その距離、約6000m。
「おい!! さすがの俺もそこまで届かないぞ!! 俺の能力補正5000mが限度だぞ!」
 空を飛ぶ都市伝説たちは、容赦なく槍、雷、如意棒などの暴風雨を落とす。
 その攻撃をM2重機関銃で相殺し、廃工場の物陰に隠れる。
(……今まで一気にあの高さまで飛ぶヤツなんていなかったからな。いてもその前に即殺。さて……どうやって殺そうか?)
 ニヤリ、と笑いながら、M2重機関銃を虚空に戻し、F-22を虚空から無理矢理取り出す。コックピットに乗り込むと、ハンドルを握る。
「安心しろ」
 DKGは、神話達に、告げる。
「全員殺してやるから」
 そして、現在に至る。
54 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:35:26.61 ID:nlEmM/m30

 さらに、それをファントムとローゼは圧巻されながら眺めていた。
「俺は武器については詳しく無いんだが、あれはフレアか?」
「……私もあまり知らないのですが、おそらくそうなのでは?」
「派手だな。あいつらしいぜ」
「レジェンドハンターはDKGを狙っていると聞きますが……あれに乗っているのは?」
「DKGだ。お前の想像通り、な」
「なぜ、レジェンドハンターはDKGを狙うのでしょうか?」
「レジェンドハンターの弟がDKGと契約したらしく、レジェンドハンターが嫉妬しているらしい」
「ブフゥ!?」
 ファントムの言葉を聞き、ローゼは思い切り吹き出してしまった。
「おい、なぜ吹いた?」
「いえ、だって!? DKGとの契約するためには条件があって、それは、絶対に不可能でしたもの!!」
 そういえば、ファントムがDKGのことを教えられた時、そんな事を教えられた気がする。
「……聞いたことはあった気がするが、忘れた。教えてくれ」
「……本当に忘れたのですの?」
「ああ、φNo.0程ではないがな」
「まあいいですわ」
 ローゼは右手の人差し指をピーンとたて、いつの間にかワイレッドの眼鏡をかけていた。
「DKGとは、契約の危険度としてもかなり高く、契約すれば、たちまち飲まれてしまう程らしいですの」
「それはどうやって調べたんだ?」
「こっくりさんなどの都市伝説で、十分に調べられますわ」
「なるほどな」
「そもそも、DKGと契約する事が不可能ですわ。彼女との契約条件というのは――――」
「――――殺し合い」
 ローゼが言う前に、ファントムが先に呟いた。
「知っているじゃありませんか! ワタクシが説明する必要って無かったんじゃありませんか!」
「今思い出したんだ。悪かったな」
 ファントムはさらっと謝るが、ローゼは納得していない顔をしている。
「……それにしても、DKGが契約したとは本当ですの? すでに飲まれてしまったのでは……」
「ああ、俺が契約したからその心配はない」
「あら、そうなんですの?」
「ああ、そうなんだ」
 二人は、F―22の活躍を眺めながら(この時、都市伝説の三分の二を撃ち落としていた)、しばらく沈黙する。
「ってえぇ!?」
「驚くのが遅い」
「いえ、だって、都市伝説が、都市伝説と契約したって!?」
「ああ、俺は都市伝説じゃなくて、人間だ」
「……ああ、そうなんですの……えぇ!?」
「いちいちリアクションが面白いな」
 そういいながら、ファントムは骸骨のマスクを外し、人の姿に戻る。
「……た、確かに普通の契約者ですわ。飲まれてもいませんし」
「そうなんですよ。まあどうしてこうなってしまったかは、組織にも実はわかってはいないらしいですけど。間違った説をどうどうと言っていまして。……いや、一部はあっていましたけど」
「あの……つまりどういうことですの???」
「まあ、都市伝説の力を自分の物にしただけですよ。……詳しいことは教えられないが、な」
 話している途中に骸骨マスクを被り、ファントムという都市伝説に戻る。
「……融合ではなく?」
「変身と言うべきか装着と言うべきか……それはわからないが、少なくとも、どこぞのNo.0や、シャドーマンの契約者の半融合ではないな」
「あなた、裂邪さんをご存知なんですの?」
「裂邪というのか、あのUFOを落としたのは」
「見てたんですの!?」
「ああ、UFOが学校町にきたというから、あのバカ兄貴が何かしたんじゃないかと、アメリカから千里眼でな」
「……冗談でしょう?」
「千里眼というのはな」
(アメリカというのは否定しませんのね……)
 ファントムのアメリカから一体どうやって見たんでしょか? ともローゼは思ったが、危ない橋を渡る事になりそうなのでやめておく。
55 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:35:56.66 ID:nlEmM/m30
 そんな時だった、F-22から逃げている都市伝説たちが、カードに戻り、空高く跳んでいく。
 そして、だ。その上から、どこか古い、飛行船が現れた。
「……あれは、ダ・ヴィンチの設計図からでも作ったか?」
「最近映画もできましたし、それの影響では? それと、空飛ぶ都市伝説でも流行なんでしょうか?」
 その飛行船の大砲から弾が発射されるが、F-22は簡単に避け、フレアをブチ込む。
 見事バラバラとなり、学校町のあちこちに飛んでいった。
「……組織、あの後処理任せた」
「民間人に仕事は頼まないのですが……DKGはファントムさんの契約した都市伝説なのですし、責任くらいとってほしいものですわ」
「さて、次はUFOでもでるか? それともラピタか?」
「……部下と私に仕事を増やさないでくれると助かりますの」
「俺の兄貴に言え」
 バラバラになった飛行船の中から、一枚のカードがキラリと光る。そこから大きな島と、海――――
「オイ待て。島なら分かるが海ってなんだ海って!!」
「……ラピュタどころでは無いんじゃありません?」
 ――――その名も、ネバーランド。
「……あのバカ! 即、殺してやる!」
「ああ……頭が痛くなってきましたの」
「雑談スレのラピタはフェイクか」
「メタ発言はお止しになって!?」
 だが、ネバーランドである。子供の国である。永遠の少年少女の島である。
「……は!! いえいえ、ワタクシったらハレンチな!!」
「お前やっぱりショタコンだろ。今ネバーランドの響きにやられてただろ」
「い、いいえ!! ワタクシの年齢ならショタを愛でても……」
「確か一〇〇過ぎじゃなかったかお前」
「もう少し若いですわ!! ……は!」
「自爆だな」
 ファントムは黒いコートをなびかせながらネバーランドを見る。
 F-22は容赦なくミサイルをブチこみ、水やら岩などが崩れ落ちている。
「……もう、書類の枚数とか考えたくありませんの」
「……両方俺の身内だ。とっとと捕まえてお説教だ」
「よろしくお願いします……あら? 両方?」
「まぁ、説明は後だ」
 黒いロングコートを両手ではためかせ、それは翼の様になびいた。
「俺は止めに行くが……一緒に行くか?」
 その言葉に、ローゼは当然とばかりに頷く。
「もちろん、ですわ。一般人を危険な目には、あわせませんわ」
「まぁ、書類に何て書くか考えておけよ」
「……忘れようとしてましたのに」

56 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:36:53.41 ID:nlEmM/m30

 その頃、DKGは突如現れたネバーランを睨みつけていた。
「……ネバーランド、ね。ここまでして、俺を殺したいか」
 F-22でネバーランドを撃ち落としにかかっているが、なかなかと頑丈である。
「こんな都市伝説とどうやって契約した――――」
 ゴォン!! と、突如F-22がバラバラになった。
 は? と思う暇もなく、DKGは外へ引きずり出される。
 その時、一瞬、緑色の服を着た少年を見た。
(――――ピーター・パンか!!)
 ジャックブレードと9mmベレットを虚空から取り出し、ピーター・パンを撃つ。
 が、すぐに避けられ短剣で襲い掛かりに来る。
 それをジャックブレードでいとも簡単に弾き、そのまま首をかっ切ってやった。
 ピーター・パンはカードになった。が、弾けて壊れてしまう。
 空に放り出されながらも、何とか勝利を手にしたDKGだが。
 重力には逆らえず、空の海の上にある海賊船に落ちてしまった。
「……痛っ」
 さすがに痛かったらしく、お尻をさする。
「やあ、ようこそ。夢の国へ」
 そのそばにストっと降りてくる男がいた。DKGは反射的に顔を上げると、

 その顔を鼻ごと思い切り踏みつけられた。

 ガッ!! と鈍い音が響き、その綺麗な顔がゆがめられる。
「この!!」
 DKGはそれに構わず立ち上がろうとするが、両腕、両足に、青く光った剣が貫通した。
 男――――レジェンドハンター、本条総司の陰陽術である。
「――――ッ!!」
 声にならない絶叫がDKGの口から洩れ、その顔は苦痛で歪んでいた。
「はじめましてDKG。僕の弟が許可したからって、本条名乗ってんじゃねーよ」
 ガッ! ガッ!! と、何度も何度も顔を蹴る男。その顔には、怒りしかなかった。
「お前ら都市伝説の所為で……僕のゆーは、どれだけ人生をめちゃくちゃにされなきゃいけないんだ!! うんざりだ! ゆーの前に出てくんなクソッ!!」
 段々と、容赦なく、目も、耳も、歯ぐきも、蹴りつける。
「……まあ、あいさつはこれぐらいにして、僕の名前を教えてあげよう」
 あいさつでこれ。酷い男もいたものだ。
「僕は本条総司。ゆー……雄介の血のつながった、正真正銘のお兄様さ。君の事は絶対に認めないけどね」
「……め……ちゃ、くちゃ、だな……」
「おや、まだ話せたかい。まあいいや」
 総司はどこからともなく金色の金槌を取り出し、手の中でくるくると遊ぶ。
「僕の式神をよく殺せたものだ。本来、死ぬ一歩手前でカードに戻って僕の元に戻ってくるんだけど……、君の能力の所為で、カードにも戻らず、死んでしまった。君に送った劣化品は、オリジナル程じゃ無いにしろ、上級の都市伝説でも死んでしまう……道具としては、優秀みたいだね」
 ゴン、ゴン、と金槌でDKGの頭を叩く総司。
「だけど、過去に何万人もの人間と都市伝説を殺してきたのに、ゆーのそばにいるってのが信じられない。……確か、本当は殺すのが嫌だったんだって?」
 DKGの髪の毛を根元から掴み、顔を覗きこむ総司。

「嘘つけ。笑ってたじゃないか」

 確かに、確かにDKGは笑っていた。守る為に殺すと決めた時、笑っていたかもしれない。だが、それは――――
「違うだなんて言わせないよ。君の本能が活発してきただけだろ。今までいやいや殺してきたと言いながらも、苦痛にしか感じないと自分の本能に嘘をつきながらも、本能は求めているんだよ。死を!! もっと死をよこせ!! ってね」
「ち、ちが」
「違うだなんて言わせないっつったろォがァ!!」
 ガン!! とDKGの顔を床に叩きつけ、黙らせる総司。
「……いいかい? 君は人の心に触れて感情が生まれたとか言っていたらしいね。そんな嘘、よくもいけしゃあしゃあといえたものだ」
 やめろ。
「そんな作り物で、感情ができるわけがないだろ! ロボットがそんな感情を持つ事はあり得ないように、君も同じさ!!」
 やめてくれ。
「建前を作って殺せば、許されるとでも思ったんじゃないかな!? はァふざけんな!! そんなヤツに普通の暮らしをさせてたらこの街は地獄に変わってしまうだろうね!!」
 お願いだから。
「結局、本能に君は勝てないのさ。その作り物の感情も、信用できない!! 過去はその都市伝説の本質を表す!! 道具がいっちょまえに感情を手に入れたってはしゃぐんじゃねえよ!!」
 やめてく

「作り物が、勝手に遊ぶな」

 ――――                                  ――――
 そのとき、DKGの感情は、崩れ落ちた。
57 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:37:47.83 ID:nlEmM/m30
 彼の言葉は支離滅裂だったが、彼女の弱点を見事に抉っていた。
 完全に生気を無くした目を見ると、総司は中に何の都市伝説も入っていないカードを一枚取り出す。
「まあ、僕の道具としては、使ってあげるよ。一生ね」
 そのカードを額につけようとした。
 シュッ!! と赤い閃光がカードに穴をあけ、シュシュシュシュッ!! と青く光る四本のダーツが、DKGを突き刺す青い剣を消した。
「……誰だい。邪魔をするのは?」
 船の帆の上に、赤い髪をなびかせた黒いスーツを着た少女と、黒いロングコートをなびかせた骸骨マスクを被った男がいた。
「組織のR-No.0と申しますわ。さっそくで悪いのですが、お縄を頂戴いたします」
「嫌だといったら?」
「それと関係なしで、こちらの方はヤル気満々のようですわよ?」
 ガッ!! と重力に任せた着地とは考えられない様な勢いで床に落ち、綺麗に着地する骸骨マスクの男――――ファントム。
「やぁゆー。久しぶりだね。元気にしていたかい?」
 親しげに、手を振りながらファントムに近づく総司。
 まるで、DKG――――薫を罵っていた事が、嘘だったかのように。
「失せろ」
 そんな男の顔に、直立したままで裏拳を叩きこみ、放物線を描き海に落とす。
 そんな事を気にせず、マスクを投げ捨て薫の元に駆け寄る。
「……遅れて、すいませんでした」
 ポツリと呟き、しゃがみ込んで薫を抱きしめる。
「……雄介、か」
 ファントム――――雄介が抱きしめた事に気がついたらしく、かすかに目に生気が宿る。
「なあ、俺は道具か?」
「違います」
 この違いますには、薫は安堵した。
「人間か?」
「違います」
 この違いますには、当たり前かと笑ってしまった。
「……都市伝説か?」
「違います」
 この違いますには、驚いてしまった。
「……じゃあ、何だ?」
「あなたは、本条薫。そして――――」
 いったん区切ると、雄介は少し照れを見せたが、今までにみた事が無いほど真摯な顔で囁いた。
「――――俺の女だ」
 物ではなく、女。
 いつも、いつも、雄介は薫を物扱いしなかった。いつも女だと言っていた。
 不安な時も、悩んだ時も、暴力を振ってしまった時も、雄介は嫌な顔一つせずそばにいた。
 そして、今も。
 薫も、そのぬくもりが段々と愛おしくなり、強く抱きしめてしまう。
「あなたがいなければ、もう私に生きる意味なんてありませんからね? ずっと一緒にいて下さい」
「俺の事、愛してるか?」
「ええ、愛しています」
 尚も真摯に答える雄介に、優しく微笑んでしまった。
「……俺もだ」
「……そうですか」
 二人は笑い合い、互いに、もっと強く、抱きしめる。
58 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:38:14.47 ID:nlEmM/m30
「どうして、私の周りには、アツアツのカップルしかいらっしゃらないのでしょう?」
 はぁ、と呟くローゼの拗ねた小言に、二人はビクッ!! と体を震わせ、ゆっくりと離れる。
「……すまん、忘れてた」
「……手を引いて連れてきたというのに、随分と扱いが酷いんですのね」
 プイッと怒りながら紅茶(どこから出したかは謎)をすするローゼ。

「……僕を忘れるって酷いな」

 ザバァン!! と海が割れ、ポセイドンと共に海から出てくる総司。
「雄介……、お前は、自分をそんな体にした、都市伝説が憎くないのか?」
「兄貴、俺は別に憎くんでない。気にしてもしょうが無いし、何よりあの体の力はもう抜けてる」
「裏切ったんだぞ!! 君の事を差し出し、逃げたんだぞ!!」
「人間、誰だって自分と愛しい奴が可愛いのさ」
「だからこそ!! 都市伝説は、人の道具であるべきだ!!」
「人は神に作られたんだ。神の道具になる気は無いだろ?」
「神は実在はする。だがそれは都市伝説としてでだ!!」
「俺達の手の届かないところで、思いつかないところで、人を生み出した神の存在を信じないのか?」
「今はそんな事を話してるんじゃない!! その都市伝説は危険なんだ!! 過去に何万人もの人間を殺したんだぞ!!」
「過去はそうだな。だが今はどうだ?」
「笑って、都市伝説を殺している!! 前より、酷くなっているんだ!! いつ雄介を飲み込むかもわからないんだぞ!?」
「そうだとしても、俺は薫を信じている」
「そう言って!! あの都市伝説にも裏切られただろう!!」
「俺は今でもアイツを信じている! まわりを疑い続けるより、信じ続ける事が、幸せな人生だ!!」
「裏切られたらどうする!? もし、全てに裏切られたら、雄介、お前はどうする!? そこの危険な道具に裏切られたら、お前はどうするんだ!!」
「こいつに裏切られるなら、俺はそれでも構わない!!」
「なぜだなぜそう言える!!」
「俺はこの女を愛しているからだ!!」
 二人は怒鳴り合いながら言い合ったのがよほど疲れたのか、肩で息をしながら睨み続けている。
「ここまで言ってもわからないのか……!!」
「そんな考え、理解したくもない頑固者!!」
 雄介は突如走り出し、そのまま船から海へ――――総司のいる場所に飛び出す。
 雄介は拳を握り、総司の顔を殴りつけて一緒に海へ落ちる。
「あのバカ!!」
「一体何をやってますの!?」
 ポセイドンはいつの間にかカードに戻っており、海へと沈んでいくのが見える。
「「だァアアアアア!!」」
 浅い場所から、二つの影が飛びだした。
 海の中から飛びだしてきたのは、雄介――――ファントムと、赤い仮面をつけり、金色の鎧兜の姿――――総司の姿が。
 その総司を見て、ローゼと薫は恐怖で体が震えた。
「何ですの、あの金色の兜鎧は……」
「呪いの鎧兜か、なんかだろ」
「私が言っているのは、そういう事ではなく!!」
「分かっている!! あいつの力が、普通じゃない―――――あの劣化版の神話共あわせてもの、何十倍の力があるってことぐらい、俺にもわかっている!!」
 そう、総司の鎧兜は、力が大きすぎる。最強とも言える二人が、恐怖するくらいなのだから。
「……これは仮説だが、もしかして、今持っている都市伝説の力を、一つにしたって事は無いか……?」
「……レジェンドハンターなら、可能かもしれませんわ」
 これは危険だと思い、二人が船から身を乗り出す。
「来るなァ!!」
 ファントムの叫び声に、ピタリと体を止める二人。
「……Redyは、紅茶でも飲んでゆっくりしてな」
「しかし!!」
「これは!!」
 ローゼの声を遮って、叫ぶファントムの姿には、ただならぬ雰囲気があった。
「……これは、ただの兄弟喧嘩だ」
 ファントムは、手を軽く振った。
「うわァァアアアアアアアアアア!!」
 それが合図かの様に、総司はファントムに向かって走ってくる。
 ここから先は、男の泥試合だった。
 能力を使えば、ファントムなどは簡単に消せるかもしれない。
 だが、これは戦いではない。喧嘩だ。
 喧嘩で使うのは己の身体のみ。装備は防具に過ぎない。
 二人の拳が交差し、互いの顔に拳が叩きつけられる。
 その力に、共に後ろに倒れこんでしまった。すぐに起きあがり仕掛けに入る。
 だが、早かったのはファントムの方。総司はまだバランスが安定しておらず、それについてファントムはその腹を蹴飛ばした。
「ガァ!?」
 総司はまたしても後ろに倒れこみ、ファントムはその顔を踏みつける。
 それだけでは止まらない。蹴る踏む蹴る踏む蹴飛ばす……ファントムの一方的な攻撃。
「お前は、薫を傷つけた!! その、倍、返しだァ!!」
 最後に総司の顎を蹴り上げる。総司の身体は、まるで大きな魚が吊るされているかのように飛ばされていた。
「うオリャァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
 ファントムも同じ高さに飛びあがり、身体の全体重を乗せ、全てを絞り出した渾身の一撃――――本気の拳を叩きこんだ。
 総司は砂浜まで飛び、赤い仮面も、金色の鎧兜も外れ、たくさんのカードがバラバラと落ちていった。
「……僕は、認め、ないよ。ゆー」
「お前の同意は、いらない」
 黒いロングコートのポケットに両手を入れ、フラフラとした足取りで船の方を振り向く。
「……帰りましょうか」
 ポケットから取り出されたその手には、金色の粉を零れ落とす、妖精――――ティンカーベルが握られていた。
59 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:39:42.34 ID:nlEmM/m30

「面舵一杯ー!! ですわー♪」
 海賊帽子を被ったローゼは、今、海賊船の舵をとっている。
 今いるのはネバーランドの海ではない。ましてや海でも無い。
 夕日が傾く、赤い大空である。
 その赤い空の中に、金色に光る海賊船が航海ならぬ航空をしているのだ。
「にしても、お前もロマンチックな事を考えるな」
「一度やってみたかったんですよ。……これが夜空なら最高だったんですけどねー」
「あら? なら夜空まで飛んでみます?」
「……そもそも、組織の人間として、ここまで派手にやっていいんですか?」
「……書類なら後で何万枚だって書いてやりますわっ!!」
 涙目になりながら、ローゼは舵を握っている。どうやら、現実逃避をしたいらしい。
「まあ、組織がいいなら私としては構いませんけどねー」
「俺も問題無い。舵とってもいいぞ?」
 二人の許可を得て、思い切りグルン!! と回す。
「面舵いっぱーい!! でーすーわー!!」
「「そっち左」」
 ローゼは現実逃避を楽しんでいる様で、やけくそ気味にオホホホホォ!! と笑い飛ばしている。
「……そういや、お前に兄貴っていたんだな。てっきり、一人っ子かと思ってた」
「さっきのを含めて上に六人程。全員異母兄弟ですけどね」
「そうか」
 イボ兄弟のイボってなんだ? と日本語にまだ疎い薫は、後に理解して苦笑いをする事になる。
「……なあ」
「何ですか?」
「お前、昔都市伝説と契約してたのか?」
「……まあ、してましたね」
 雄介は遠い目をし、夕日を眺める。
 それを見て、薫はしばらく。この事には触れないでおく事にした。
 雄介が、今までに見たことも無い、複雑な表情をしていたからだ。
 先程の喧嘩っぷりにも驚かされたが、そんなことが、どうでもなるくらいに暗い顔だった。
 どんな表情かすらわからない、そんな顔。
「今度、話せる時がきたら、話してくれ」
「いいですよ。その時は、ファントムのビギンズナイトもお聞かせしましょう」
 にっこりといつもの笑顔で話しかけてくる雄介に、薫もにっこりと、笑った顔で返した。

 See you next time ・・・
60 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:40:47.56 ID:nlEmM/m30
投下終わり。
……ああ相変わらずのカオス。組織ドンマイ。
花子さんのクロスの落ちはまた後ほど。
61 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:56:53.39 ID:9wXJc38Z0
DKGとファントムさんの人乙です〜
熱い、熱いぜこのバトル……才能分けて下さいorz
後処理に奮闘するR-No.書きたいなぁ、書けるかしら


そして俺も投下しちゃいます
62 :赤い幼星 † 殺戮の為に生れしモノ:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:57:54.67 ID:9wXJc38Z0
「『妖怪“皆の前にオリハルコンの塊”ぶつけ』!!」

ずどんっ!と3人の目の前に直方体の金属が落ちてきて、
甲高い音を鳴らしながら彼女達の代わりに弾丸を受けきった
「妖怪○○隠し」には、「妖怪小指ぶつけ」のような“隠す”以外の悪戯をする亜種がいる
その能力を、彼女は防衛の為に使用したのだ

「…ふぅ、助かったみたいだよー」
「ラピーナちゃん? この「オリハルコン」は何処から?」
「んーっと、「組織」の倉庫だと思うよー」
「後できちんと返してさしあげて」
「えー!?」
「当然だろ……」
《……攻撃失敗…攻撃方法変更,突撃態勢移行…照準,R-No.4》

直後、「ミドガルドシュランゲ」の先端の4つのドリルがそれぞれ回転すると同時に、
蛇のように持ち上げられた頭部が大きく仰け反った

「レクイエムさん!」
「あぁ、分かっている!!」
《…殺……殺……殺………》

ドリルが迫り、「オリハルコン」の壁を木っ端微塵に粉砕した
だがその先に狙いである筈のレクイエムはいなかった

《標的消失……対象変更…照準,R-No.0―――――》
「頼むぞラピーナ!」
「了解だよ!」

鉄蛇の身体は、完全に地面に接した状態
その隙を突いて、各ユニットに白い饅頭がよじ登り、機関砲に触れた

「『妖怪“機関銃”隠し』!!」

妖怪達が消えると同時に、154の機関砲台が一瞬にして消えた
いや、“消えた”というより“抉られた”と表現した方が正しいかも知れない
砲台のあった部位からは配線などが露出し、バチッ、バチッ、と火花が走る

《!?!?……損傷率40%…支障皆無,作戦続行》

再びランチャーが飛び出すが、もう遅かった
彼女達の反撃が始まる

「『トゥーバ・ミールム』!!」

レクイエムが召喚した無数の死霊達が刃の形を取り、「ミドガルドシュランゲ」に突き刺さる
狙いは無論、配線が露わになった大きく空いた穴の中
生命体のように悶える「ミドガルドシュランゲ」だったが、その時まだ自分が沢山の敵に狙われている事に気づいていなかった
屋根の上にずらりと並んでいるのは、バズーカ砲を持った白饅頭
その中には、ミサイルランチャーを構えるラピーナの姿があった

「3(トレ)、2(ドゥエ)、1(ウノ)……Vada(行け)!!」

ラピーナのゴーサインと共に放たれる弾、弾、弾
全てがレクイエムと同じく、抉られた損傷部
爆音に混じって、断末魔の様な機械音が響き渡る
63 :赤い幼星 † 殺戮の為に生れしモノ:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:58:34.22 ID:9wXJc38Z0
「これでトドメですわ!!」

赤く輝く翼を広げ、上空で待機していたローゼが叫ぶ
構えた両手には、強く輝いた赤光が宿っていた

「必殺! 『破滅のフォトン・ストリーム』!!!」

天地を貫くが如く伸びた真っ赤な光条は、定められた狙いを全く外す事なく弱点を射抜く
全長524メートル、重量にして約6万トンもの巨体が、アスファルトにめり込んだ
これだけの攻撃を受けても尚、鉄の蛇は未だに沈黙する気配を見せない
上体を起こし、ローゼ達にランチャーの砲口を向ける

「ちっ、流石にしぶといな……」
「うーん、もうこっちの弾薬が切れかけかも」
「あと一押しですわ、もう一度―――」
《……了解……任務達成確認,戦闘終了…撤退》

ランチャーを機体の中に仕舞うと、ドリルが激しく回転を始め、
今度は下を向いてアスファルトに穴を開け始める

「なっ、逃がしませんわ!」

上空から急降下し、その勢いで拳を振るうローゼ
だが、

「―――――――――――え!?」

それは大きく空振ってしまった
そこに、「ミドガルドシュランゲ」の姿は無かった
あの巨体が、忽然とその場から消えてしまったのだ

「…うー、どこ行ったのー!?」
「ローゼ!」
「駄目ですわ……気配が感じられませんわ」

かつん、と地上に降り立ち、ローゼは首を横に振る
レクイエムは舌を打ち、ラピーナは複雑な表情で首を傾げる

「……ねーねー、これって蓮華さんに怒られたりしないよねー?」
「「え?」」

粉々になった「オリハルコン」
大穴の空いたアスファルト
潰れた民家

「……あー、その……はい、怒られると思いますわ」
「ハァ……急いで直そう」
64 :赤い幼星 † 殺戮の為に生れしモノ:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/19(水) 00:59:07.37 ID:9wXJc38Z0
     †     †     †     †     †     †     †





とある艦内のモニタールーム―――

《コチラβ04-Sanger-Skybolt+Stealth-LaserGun-Sky-1936
 ボス、「UFO」ノ破片、並ビニ「ミュータント」ノ物ト思シキ細胞ノ一部ヲ入手シマシタ》
「ご苦労様…すぐに帰還して休むと良い」
《Yes,Boss》

大きなモニターが消え、通信が切られる
暗いその部屋で唯一の光は、小さなモニターの僅かな輝きだけ
そんな部屋に、白衣を纏った青年が一人立っていた

《……宜シカッタノデスカ? ボス》
「何の事だい? β01」
《β10ノ事デアリマス》
「あぁ、それなら大丈夫だよ。あれは僕の最高傑作だ
 上位ナンバーが何人いようと、そう簡単に壊れはしないさ
 尤も、壊れればすぐに作り直すだけ……だけどね」

暗がりに浮かぶ怪しい笑み
小さな光があるからこそ尚一層、その笑みは不気味に感じられる

「β01、進路を日本に向けてくれ
 β04と合流し、その後β10の連絡を待つ」
《Yes,Boss》
「フッフフフフフ……もうすぐだよ
 もうすぐ、この僕の…β-No.0の野望が達成される」

青年――β-No.0は、またも不敵な笑みを浮かべた


   ...To be Continued
65 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/19(水) 01:05:21.71 ID:9wXJc38Z0
気がつけば1時orz
明日ってか今日は裂邪の学校生活書く予定
久々に裂邪×ミナワが書けるぜ……ウヒヒヒヒヒ

β-No.0のCVは古谷徹さんで……もとい、蒼月昇さんでお願いします(
66 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/19(水) 01:19:21.08 ID:XwnZ/Iu20
ってミスったああああああ!?
β01じゃねぇよβ02だよてぃくとう!?orz
wikiで修正しますの…
67 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/19(水) 16:16:45.43 ID:nlEmM/m30
シャドーマンの契約者さん乙!!
……ああ、総司が蓮華さんに見つかったら殺されるかもやしれん……。

>熱い、熱いぜこのバトル……才能分けて下さいorz
そんな才能、私にありませんよ……。
後学のために、どこら辺が一番熱かったか教えて下さい。

>後処理に奮闘するR-No.書きたいなぁ、書けるかしら
というか書いてほしーなー。ローゼたんが蓮華さんに怒られてうぎゃー!! ってなったりな感じのを。
……私が出した三人は、組織の中の派遣部隊なものですから。
68 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/19(水) 17:09:07.11 ID:9wXJc38Z0
>>67
>……ああ、総司が蓮華さんに見つかったら殺されるかもやしれん……。
いや分からんぜ
蓮華ちゃんは戦闘力的に現在R-No.上位メンバーの中で2位くらいだけど、12月に3位に落ちるから
何が言いたいかと言うと蓮華ってその程d(死ぬギリギリの状態まで痛めつけられ続けました

>後学のために、どこら辺が一番熱かったか教えて下さい。
ここから絞れと申すか、お主もなかなか贅沢でござるな(何
俺的にはやっぱり兄弟喧嘩のシーンが好きよ
やっぱり男は殴り合いよね

(裂邪>悪かったな、どうせ俺は「レイヴァテイン」しか使ってませんよーだ

>というか書いてほしーなー。ローゼたんが蓮華さんに怒られてうぎゃー!! ってなったりな感じのを。
書けたら書いてみますの
まずは裂邪の学校生活書いて、いい加減『花鳥風月』も進めますわ〜
69 :夢幻泡影 † 平和なひととき:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/20(木) 00:06:14.28 ID:CP0K9NeH0
俺を夢から引きずり出してくれたのは、唇に触れた優しく温かいキスだった

「ご主人様、お早うございます♪」

目を開けると、宇宙一可愛い俺の嫁、ミナワの笑顔が見えた
無邪気な笑顔と朝日が眩しい
俺の一日は、こうして始まる

「ん…お早うミナワ、それと」
「えッうひゃんっ!?」

俺はミナワの背と首に腕を回すと、抱き寄せてベッドに誘う
ミナワの声は可愛い、顔も可愛いし容姿も性格も反応も何もかもが可愛くて愛しい
そんな彼女が朝からエプロン姿で目覚ましキスなんてしてくれるとね、心と下半身が元気になっちゃう訳で

「唯一無二の我が嫁に感謝を込めて…頂きます」

俺に覆い被さるような状態になった彼女に、俺はキスのお返しをしてあげた
舌と舌を絡め合い、互いの口の中の唾液を奪い合う

「ふあっ……や、やらぁもぉ、裂邪ったらぁ///」
「ウヒヒヒヒ、ご馳走様でした」

惚けた目をして涎を拭いながら抗議するミナワに、俺は陽気に笑いかけた
でもキスだけじゃ物足りない

「やっぱり御代わり」
「ひゃっ、あんっ、そこはらめぇっ♪」

何処を弄ったり揉んだりしているかは読者の想像にお任せしよう
あー、ミナワのここ柔らけー♪

「……マタ始マッタゾ、朝ノ儀式ガ」
「良いじゃありゃせんか、仲が良いのは喜ぶべき事でい」
「これは仲が良いどころじゃすまないと思うバクけどね、ナユタのターンバクよ」
『毎朝こんな光景を見てて君達は発狂しないのかね?
 …む、『ヴァイロン・オメガ』をシンクロ召喚しよう』
「ギャー!?」
「待てお前ら!? 幾つかツッコませろ!
 何で朝から遊戯王やってんだよ!?
 何でナユタが勝手に出てんだよ!?
 何で俺の試作ヴァイロンデッキ使ってんだよ!?
 誰だこいつにルール教えた奴!?
 てかリム事故りすぎだろ!? ガラ空きじゃねぇか、『ドラグニティ』だろお前!?」
「ヨク出来マシタ」
「うるさい!?」
「いやぁ、余りに暇だったからそこに置いてたベルトで試しに呼びだして即行でルール教えたバクよ」
「私が起きたのは朝4時くらいでしたけど、既にやってらっしゃいましたよ?」
「えっと……2時間以上も!?」
「飲み込みが早くて驚きでい」
『なかなか面白い札遊びだ、気に入ったよ
 あ、『プリズム』2枚を装備した『オメガ』で直接攻撃する』
「5200のダメージ……負けたバクorz」
『ギハハハハハ、もっと強い者はいないのか?』
「甘いバクよ……オイラは四天王の中でも小物……
 新勢力であるエクシーズモンスター『ヴォルカザウルス』を投入して火力を増したウィルのヴォルカニックバーンデッキ、
 『ガガガマジシャン』でエクシーズもアドバンス召喚も狙う黒のお兄さんの邪神デッキ、
 未だ勢い衰えない『トリシューラ』や『ブリューナク』が飛び出すお姉さんの氷結界デッキ……どれも結構強いバクよ?」
「まぁ、あっしは『ラヴァル』も入れやしたけどねぇ」
「私ノデッキハ未ダ改良ノ余地アリダガナ」
「私も『フィッシュボーグ-ガンナー』が禁止になってからちょっと……」
『そういえばこのデッキにもエクシーズモンスターが入っているようだな、次はこれも狙ってみようか』
「馴染み過ぎだろおい!? 言っとくけど俺はまだ許した訳じゃないからな!?」
『「「「「ツンデレご馳走さまでーす」」」」』
「ええい黙れ黙れぇ!!」

そんなこんなで制服に着替え、ミナワと一緒に1階の食卓に向かった
台所ではお袋が朝食を作ってくれていた

「あら裂邪、おはよ♪」
「お早う母さん」
「今朝もお熱ぅ〜いヤツ、やってたの?」
「っち、ちょっとお義母様!?///」
「少しは自重しろよ!?///」
「うふふ♪ 若いわねぇ〜」

いつもいつも、何でお袋には筒抜けなんだろうか
そんなことを考えながら俺はテーブルに着き、フレンチトーストにかぶりついた
70 :夢幻泡影 † 平和なひととき:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/20(木) 00:09:30.33 ID:CP0K9NeH0
     †     †     †     †     †     †     †




「じゃ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃいませ、ご主人様♪」
「シェイドちゃん、裂邪の事宜しくね♪」
「…裂邪ノ母君ヨ、ソロソロ『ちゃん』付ケハ止メテクレナイダロウカ?;」
「うふふ♪ あ、そうそう裂邪、帰ったらお遣い行ってくれない?」
「良いよ、メモに書いといてくれよ」
「ありがと、ついでにミナワちゃんとデートする?」
「母さんっ!?///」「お義母様っ!?///」

俺の朝はいつも騒がしい
まぁ明るい家庭だから良いんだけれども
正義は俺より早く出るから、一緒に登校する事はまず無い
普段7時に出る俺より早く起きて早く出てんだけど、
何かどっかで「恐怖のおっさん」と一緒に修行だの何だのやってるらしい
俺は力は無いけど個の力じゃなくて皆の力を信じてるからそんなのどうでもいいや

「ん、おーい藍那!清太!」

見覚えのある2つの後ろ姿に駆け寄る
一人はクラスメイトの水無月 藍那、もう一人はその弟であり俺の弟子(?)でもある清太だ

「たっ黄昏クン…お、お早う」
「師匠、お早うございます」
「おう、やっぱりお前ら早いなーw」
「そりゃもう、姉ちゃんの朝練を応援しなきゃなんないから
 体操着の姉ちゃんハァハァ」
「こら清太! 人前でそんなこと言うんじゃないの!」
「ごめんなさいっ!?」
「…ッハハ; んじゃ、俺日直だから、学校で!」
「うん、気をつけてね黄昏クン!」
「お前らもなー!」

手を振りながら、俺は学校へと向かった
ところで、藍那の顔がやけに赤かったけど、熱でもあるんじゃないのか?
後で保健室に行くよう勧めてみよう

「黄昏クン………///」
(くっそ、師匠マジもげろ!!)





     †     †     †     †     †     †     †





登校、そして俺は廊下を歩いて3階の教室へ
思えば俺も中学3年生、2月には高校受験が控えている立派な受験生です
俺としては中央高校を狙っている訳で
最近の高校受験は早々落ちないらしいけど、ノー勉はまずいよなぁと感じつつ少しずつミナワに数学と物理を教えて貰っている
ところで何故試験教科に保健が無いのだろう
性教育に関しては多分どの中学生よりも詳しいと思うんだよ、俺

「裂兄ぃ、お早う」
「ウヒッ!? な、何だ漢か脅かすなよ!?」
「ごっごめんなさいっ!?」
「いや謝んなくても良いよ!?」

長い黒髪ストレートの似合うセーラー服の少女――――に見えるが騙されてはいけない
こいつは正真正銘“男の娘”、俺の従兄弟である神崎 漢だ

「あれ、でもいつもより早くないか?」
「うん、その、今日僕も、日直だから……」
「……あぁ、そういやそうだった」

俺のクラスは男女1組で日直をやるルールになっている
信じられるか?
漢は生物学上“男”なのに、この学校は社会的にこいつを“女”としてしまっているんだ
どうなってんだこの学校、いやどうなってんだこの町は
ともあれ、俺は漢と並んで教室へ向かった……待て誤解すんな、彼女じゃねぇからな!?


   ...To be Continued
71 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/20(木) 00:12:38.23 ID:CP0K9NeH0
このままじゃ何も上がらないんじゃと思ったので

というのはただの口述
全く頭が回らない……てか頭痛い息苦しい
後半はいよいよ極くんをお借りします、鳥居を探すの人に色んな意味で先行土下座orz
72 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/20(木) 07:59:57.73 ID:Bg6Z2fe10
冷静に考えると
7時に朝練ってクソ遅いよな…orz
wikiで修正せねば
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/20(木) 08:25:59.25 ID:AkhBQL4ho
7時から朝練開始、なら割と普通だと思うけれど
出欠とる時間によっても変わってきそうだの
シャワーの有無もあるし

逆に目の前が学校なら7時に家出ても平気そう
74 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/20(木) 08:33:44.30 ID:Bg6Z2fe10
>>73
意外に普通なのね、5、6時くらいが普通かと思ってた
恥ずかしながら、運動部じゃなかったのでorz
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/20(木) 08:43:57.51 ID:AkhBQL4ho
6時開始ってかなり気合入れてると思うけどどうなんだろね
大会前とか夏休み中ならやってそうだけれど
季節によっては放課後は暗くなるから練習時間が短くなる→朝やる、みたいな
(そういう場合、大概は走りこみとかの体力づくりでしごかれるけど)

あとは学年にもよるんじゃないかな
一番下っ端だと始める前に道具やグランドorコートの整備しなきゃいけなくて
先輩揃う前にやらなきゃいけない→15分ぐらい先に来なきゃいけない
気合が入っていて早く来る顧問や先輩いる→だりぃ……ってなるとか
76 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/20(木) 08:49:19.35 ID:Bg6Z2fe10
しまった、中3だから運動部卒業じゃんwwwwwww
そこを修正しときますorz
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2011/10/20(木) 08:57:44.37 ID:AkhBQL4ho
ワロタ、図書館で受験勉強設定にでもしたら良いんじゃww
78 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/20(木) 09:50:48.35 ID:Bg6Z2fe10
>>77
そういうことにさせて頂きますの
教えていただいたことは今後の参考にしますorz
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 23:26:09.87 ID:JRuznSTSO
今wikiの単発ものを数えたら二割が自分のだった
がんばろうと思った
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 23:34:02.17 ID:8OJvhpsMo
単発ものを数えてみたら全部で210ちょいあった
まけられないと思った
81 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/21(金) 08:22:44.39 ID:lc/Mv8gW0
単発もの読んでたら1日が終わった
勝てないと思った
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 13:56:48.98 ID:FfTlayGAO
単発ものまとめてたら半日が終わった
もっと読みたい
そう思った
83 :旅日記 [sage]:2011/10/21(金) 18:08:49.94 ID:GpSEVe3DO
少し覗かないと流れに追い付けない
ロリ巨乳で淫乱な実の妹とスレンダーで若く美しい未亡人とか俺のヒロイン選択センスは狂ってるなあ
84 :花子様の人たち [sage]:2011/10/21(金) 19:07:56.18 ID:yP2ftl5h0
>>83
狂ってないよ!!
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/21(金) 20:00:04.22 ID:CyI6RJ720
なぁに、ヒロイン選択が親友(♂)かチキンな吸血鬼(♂)と言う話の構想を最近している俺と比べれば
86 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 20:22:35.80 ID:b8pv1s4p0
我が作品のヒロイン

『夢幻泡影』:外見1○歳のビッチ
『赤い幼星』:ショタコン
『神力秘詞』:男の娘 or 実兄を愛でる妹
『邪気殺し』:実の姉を愛して止まない弟
『仄暗い魂』:スレンダーなワイルド系ロリ
『花鳥風月』:厨二病スレンダー or スポーティ美乳 or 巨乳お嬢様

こうして見ると案外普通だなぁ俺
もっとハジけたヒロイン書きたいな
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 20:25:15.43 ID:GpSEVe3DO
良かった…
俺は的もダッんだね
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/21(金) 20:25:57.63 ID:CyI6RJ720
まともの定義とは一体……うごごごごごご
89 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 20:34:34.73 ID:b8pv1s4p0
しまった、弟がヒロインになってるorz
このスレ的には何ら変わった事じゃないけど修正

『邪気殺し』:弟想いの姉 or 主人公を溺愛する素直ヒート P.S.今後ヒロイン追加予定
90 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 20:37:17.83 ID:b8pv1s4p0
“まとも”の定義ねぇ……
愛されやすいことじゃないかしら(マテヤ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/21(金) 21:11:16.01 ID:CyI6RJ720
突っ込み待ちだったなんて言えない(そして、ここに投下する予定の話の事じゃなかったなんてもっと言えない)
92 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 21:18:51.22 ID:b8pv1s4p0
>>91
>突っ込み待ちだったなんて言えない(そして、ここに投下する予定の話の事じゃなかったなんてもっと言えない)
全裸待機してた俺の想いは何処へ(シラン
道理で吸血鬼に心当たりが無いと思ったら…
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/21(金) 21:23:48.82 ID:CyI6RJ720
>>92
主人公格が野郎でヒロイン候補も野郎しかいない野郎だらけを全裸待機…だと…
そうか、シャドーマンの人……そうか……
94 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 21:38:45.52 ID:b8pv1s4p0
>>93
>そうか、シャドーマンの人……そうか……
ウヒヒヒ…俺の性欲はとっくにクライマックスだぜ(マテヤ
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 21:51:18.27 ID:Jt1iUOV3o
>>91
>突っ込み待ちだったなんて言えない(そして、ここに投下する予定の話の事じゃなかったなんてもっと言えない)
なんかもうこのスレではわりかしなんでもありだと思うの
まともな人なんていなかった
96 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 21:57:28.89 ID:b8pv1s4p0
>>95
>まともな人なんていなかった
今ならまだ間に合う
俺の可愛い弟に謝りなさいっ♪
97 :電車でGO(代理) [sage saga]:2011/10/21(金) 22:35:43.92 ID:b8pv1s4p0
「はじめまして。今日から車掌見習いをやらせていただきます、和田 千穂です」
「よう新人さん、今日が初めてか?」
「はい。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」

 電車に乗り込みつつ、先に待っていた先輩に挨拶をする。……おっと、忘れてた。

 みなさんこんにちは、そして始めまして。和田千穂です。
 職業はご覧の通り鉄道勤務。立派な女車掌を目指して頑張ります。どうぞよろしく。

「俺は轟 命だ。よろしく。」

 私の目の前のおっさn……先輩の名前は「トドロキ ミコト」というらしい。
 轟はよくわかる。だが、どう見ても「ミコト」なんて洒落た名前は似合いそうにない。
 「幸三」とかがよく似合いそうだ。「トドロキ コウゾウ」。うん、なかなかいいじゃない。
 これからよろしく、幸三さん。

「ところで和田ちゃん、幽霊とか怪奇現象は信じる口かい?」
「はい?」

 いきなり「和田ちゃん」と呼ばれたことも気になるが、突然何を言い出すんだこの人は。
 世間話にしても突拍子なさすぎだろう。

「いやまあ、見たことはないですけど……。」
「はっはっは!そうかそうか。じゃあ、これから頑張れよ。」
「はぃ?」

 "じゃあ"ってなんだ、"じゃあ"って。
 車掌たるもの、幽霊くらいは見えるようになれってか?
 初めて知ったぞそんな条件。
98 :電車でGO(代理) [sage saga]:2011/10/21(金) 22:36:13.88 ID:b8pv1s4p0
 そうこうしているうちに、出発時刻が近づいてきた。
 始発とあって乗客はまばらだ。半分はサラリーマン、四分の一は朝帰りと思わしき若者。そして残り四分の一の有象無象。

 朝早くからお疲れ様です、サラリーマンの皆さん。
 こんな早朝からどちらに行かれるんですか、有象無象の皆さん。
 平日に朝帰りとはおめでてーな、若者ども。リア充全員爆発しろ。

「おいおいどうした怖い顔して。」
「えっ?ああ、いえ、別になんでもないです。」

 どうやら顔に出ていたらしい。
 あぶないあぶない。あんな奴らでも一応お客様だ。大事にしなくては、うん。

「緊張してるのか?今日は見てるだけでいいから、まあ気楽にいこうや。」

 いや緊張してるわけじゃないんですよ。ただ奴らが妬ましくてたまらないだけで。

「多分、そのうち面白いものが見れるから、期待して待ってな。」
「面白いもの…ですか?」
「ああ。びっくりすること間違い無しだぜ。」

 はて、なんだろう。この時期なら紅葉並木とかだろうか?
 この沿線にそんな見所があった記憶は無いけど……。

「さってと、和田ちゃんの初仕事だ。気張っていきますか!」

 その言葉と同時に、車両のドアがぷしゅうと音を立てて閉まる
 警笛を短く鳴らし、電車がゆっくりと動き出す。
 こうして、私の初仕事が幕を開けた。
99 :電車でGO(代理) [sage saga]:2011/10/21(金) 22:36:45.99 ID:b8pv1s4p0
   ・
   ・
   ・

 先輩は電車最後部の運転室に座り、ときたまアナウンスを流す。
 私はその姿を見てるだけ。正直暇だ。
 おっさんは何度目かのアナウンスを終えて私へ向き直る。あ、おっさんって言っちゃった。

「なあ和田ちゃん、この電車の名前、知ってるか?」
「ええ、確か『イノイチ』でしたよね。」
「ああ。『いの一番』をもじってつけられたらしいが、いったい何が『いの一番』なのやら。」
「……古めかしさでは一番だと思いますが。」
「はっはっは、ちげぇねえ!」

 目の前のおっさんが豪快に笑う。勤務中だってこと忘れてないか?
 だが笑いたくなる気持ちもわかる。
 この電車、正直言って『ボロい』。

 使ってるモーターは旧式だし、外装はところどころメッキがはがれてるし、ドアに至っては開かないところまである。
 その開かないドアに『このドアは開きません』との張り紙がしてあることも、ボロさを助長させている。
 てか直せよ。ドアが開かないとか電車としてダメだろ。
 監査とかどうやって通ってるんだよ。

「うっし、和田ちゃん。そろそろいくか。」
「仕事ですか?」
「いんや、アレは先頭のほうが見やすいからなぁ。先頭車両に移るぞ。」

 おっさんの言った『アレ』とは、出発前に言っていた『面白いもの』のことだろう。
 それを見るがために見やすいところに移動するとか。勤務中だぞおっさん。
100 :電車でGO(代理) [sage saga]:2011/10/21(金) 22:37:24.67 ID:b8pv1s4p0
「ああそうだ。ちょっとこれ、やってみろ。」

 そういって何かを手渡された。
 手の中にすっぽりと納まる小さな機械。いわゆる『数取機』という奴だ。

「使い方はわかるか?それで先頭車両まで客を数えてくれ。」
「はい、わかりました。」
「数は間違っても気にすんな。適当に何人くらい、ってわかってりゃいいから。」

 なんというアバウトさ。機械を使う意味がまるでない。
 まぁ、やれと言われたことには素直に従っておこう。日本人ですから。

 おっさんの後に続いて先頭車両まで歩き出す。
 間違っても気にするなとは言われたが、やるからにはしっかりやらせてもらう。
 というか、この乗客数で間違はしないだろう。

 電車の音にまじり、足音と数取機の音を響かせながら、先頭車両に向けてひたすら歩く。
 そして、先頭車両の運転席に到着し、全6車両のカウントが終了した。

「どれ、ちょっと見せてみ。」
「はい。どうぞ。」

 数取機をおっさんに差し出す。
 するとおっさんは、ポケットの中からもう一つの数取機を取り出した。
 おっさんはそれと私の数取機を見比べると、にやりと笑った。

「ほれ、見てみな。」

 そう言って私に二つの数取機を見せる。
 私の数取機は”44”と出ている。
 対しておっさんの方は……”31”?

「え、私、間違えてました?」
「いや、合ってるよ。」
「いや間違ってるじゃないですか。」
「あんたに才能があっただけってことさ。気にすんなって最初に言ったろ?」

 何の才能だよ。ボタンを押し間違える才能か?
 携帯で打ちまつがいしやすい才能か?
 なんの役に立つってんだよそんなの。

「……和田ちゃん、あそこ見てみな。」

 おっさんが静かに私に呼びかける。
 その指差す方向を見ると、進行方向上方に橋が見えた。
101 :電車でGO(代理) [sage saga]:2011/10/21(金) 22:37:52.43 ID:b8pv1s4p0
「陸橋……ですか?」
「ああ。んで、あそこに座ってる奴、見えるか?」

 目を凝らして見ると、陸橋のふちにワンピースの女の人が座っていた。
 細い体に赤いワンピースがよく似合……って危ない!あそこから落ちたらこの電車に轢かれ……



 女の人が飛び降りた。
 電車が迫る。
 声は出なかった。
 女の人と目が合った。
 笑っていた。



 女の人がぶつかる寸前、私は床にしゃがみこんで目をそらした。
 しかし、人が電車にぶつかるような音はしなかった。警笛も鳴らなかった。
 ただただ、電車の振動のみが何事も無かったかのように響いていた。

 疑問と恐怖を胸に、恐る恐る目を開けると……

「あら、この子新人さん?」
「おう、今日からな。よろしく頼む。」
「初めまして。私は宮本 暦。あなたのお名前は?」

 全身血まみれで青白い肌をした女の人が笑いかけてきた。
 その姿を最後に私の視界は真っ黒に染まった。

「……あら?気絶しちゃったわよこの子。」
「ったくしょうがねえなぁ。この子は和田……あー、下の名前なんだっけ和田ちゃ……あ、気絶してたんだっけか。」
「随分と繊細な子ね。まあいいわ。目が覚めたらゆっくりご挨拶させてもらうから。」
「そうしてくれ。んじゃ、終点までお付き合い願いますか。」

 車掌と気絶した車掌見習い。そして生きてる客と生きてない客を乗せた電車は、今日も何事も無く定刻どおりに運行中。


【終】
102 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 22:38:26.60 ID:b8pv1s4p0
以上、代理終了ですの
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 22:41:05.79 ID:Jt1iUOV3o
代理感謝です
ホントにもうこの回線は……もう……

>>96
しゃどーまんのひとしってるか
ひかりかがやくたいようはまぶしすぎて、ちょくしすることができない
まともな人なんていなかった(目逸らし)
104 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/21(金) 22:52:58.41 ID:b8pv1s4p0
>>103
>まともな人なんていなかった(目逸らし)
つまり見る事が出来なかったとwwwwwww
105 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/22(土) 10:35:35.20 ID:mI9VXsCm0
代理乙ですー

>>95
>まともな人なんていなかった
僕はソフトなマゾヒストで、百合好きなロリコンであることを除けば、概ねまともな人間だよ?
あ、でもソフトマゾな百合好きロリコンと言っても、まともなレベルだからそれを含めてもまともなのかな?
まぁ兎に角、大王の人の次くらいにはまともな人間だと思ってるよ?
106 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/22(土) 12:12:11.37 ID:FpLM/8Tj0
>>105
それなら俺だってロリコンショタコンブラコンシスコン百合薔薇レ○プ獣姦大好きなことを除けば至ってまともだよ!?
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 12:33:21.36 ID:nEOWejsDO
自分の一部を否定して得られる「まとも」になんの価値があるのだろうか
変態でもいいじゃない、人間だもの
108 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/22(土) 14:55:56.84 ID:pAJQcO4d0
やっぱり変態が一番だねっ☆
と言う訳でこれからも変態作者として変態キャラを量産してやるぜ♪
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 15:06:02.00 ID:FsMhiKFZo
×:変態が一番
○:そのままの君が一番
110 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/22(土) 22:14:01.14 ID:8OoOu+Bj0
>>109
や、やだっ、急にそんなこと///
111 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/23(日) 09:29:01.79 ID:dRRvO9f/0
>>106
除くもの多いwww
でも確かにそれならまともだね!
>>107
なるほどつまり…
結論:私はまともな百合好きマゾロリコン(紳士)である!
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 20:38:35.77 ID:rTo0Q0tp0
昨日避難所に書き込んだ者だが、一応纏め終わったような気がするから投下したいと思うけれど

構わない?
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 20:42:56.33 ID:0VPnfdNpo
>>112
勿論でございますとも
よろしくお願いします
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 20:46:23.05 ID:rTo0Q0tp0
まだ勝手はよく判らんし、お目汚しになるかもだけど、よろしくおねがいござい





街の一角にある暗い路地裏、普通なら建たないような場所に不釣合いな建物が建っている。

【片桐探偵事務所】

でかでかと掲げられたその看板は、怪しい暗がりをほんの少しだが、窓から漏れる光以外の要因で、一帯の雰囲気を明るくしている。
縦に長い階段が壁中に張り巡らされている、独創的な事務所のリビングで、テレビの前の大きなソファーは一人に占領されていた。
頬杖を付きながらテレビを見る彼女は、その手の番組がやるには少し速すぎる日時に、其れを見ている。

「フ○ーゼやっぱり良いねぇ、主人公も良いけれど風城って奴も面白いね、気に入った」
「オ○ズの時もそんなことを耳にしたような気もするが、気のせいだったかな?」

その手の番組を見るには少しだけ大きすぎる容姿の少女、長い銀髪を器用に纏め上げ、刺された髪留めの如く釘付けになっていた。
その彼女の元に、番組の楽しみを掻き消す喧しい足音をたて、昇ってくる人物が一人、その人物は瞬く間に彼女の元へと駆け寄り番組の映像を掻き消した。

「見たまえ君!この前の仕事の報酬で凄い物が届いてきたんだ」

なにやら面倒な大きさの物体を翳し、テレビを見る隙間も無い

「あー、ウッサイ!せめて1m右くらいは離れなさいな、今カメレオン倒すところなのに見逃したじゃない!」
「そんなことよりコレを見たまえ、狐か何かだろうか、何かの特撮おもちゃか?」

手の込んだ機械的な包装?が施されている箱に入った、綺麗なまだら模様の研磨された岩石の置物のような物体
独特のフォルムの狐のような形をした謎の物体が、嬉しそうな青年とは打って変わって彼女の眼に映る。
まだ聞こえてくる番組の音声をよそに、目の前に近々と寄せられた物体に対し、彼女は胡散臭そうに小さな銀色の眉を寄せその意を表した。

「ふん、どっかのマイナー番組の玩具じゃないの?」
「報酬金と一緒に玩具、しかも特撮ものとは中々変わった趣向をしているとは思わないかね」
「まぁそれはそれとして、よくもまぁフ○ーゼやってるときに売ったものだねぇ、此処の業者」

文句をいいつつもテレビそっちのけで物体をまじまじ眺める。だが彼女は一つ不可思議なことに気付く

「でも、普通こういうのは商品の箱に入れる筈だよねぇ、幾ら手の込んだ包装とはいえこんなにメカメカしいのはおかしい
もっと中身に力を入れなさいよ」
「確かに言われて見ればお金と箱は、別々だったような気もしなくも無い・・・しかしあの依頼人もこのご時世、不思議なものを送ってくる」
「何かのDXセットにしてはしょぼくれてるねぇ、中身がアレな癖に箱だけはごてごてしてるし、案外危ないものだったり」
「君の反応から見ると大した物ではないようだ、少しがっかりだ」
「なんかそれ胡散臭いから適当に置いときなさいな、爆発したら嫌よ」
「確かに重さからして危なそうだ、でも報酬は報酬、せめて窓辺りには置いておいておこう」

怪しさと胡散臭さを放つそれを人物から取り上げテーブルへと移動させた。
青年は箱を持ち上げ、中身を見つめ残念そうに近くの小さなソファへ腰掛ける。
二人分のため息をソファが吸い取ったような気がした。

「あ〜フ○ーゼ終わってるじゃない・・・録っておいて良かった」
「今から見るのかい?なら何か淹れてきてあげよう」
「・・・有り難う、それならコーヒーがいい」

どうやら彼は彼女に気を利かせコーヒーでも入れてくれるようだ。
普段何時も、何を考えているかは判らない表情だが、面白いものを見つけてくると真剣な眼差しになる。
オカメが般若になるくらいギャップがある表情だ。あくまで例え話だが

「創真、どうせならミルクもおねg」

ピンポーン

「はい、少々待って下さい」

とてもタイミングが悪い、とでも言いたげに彼女の眉が上へ吊りあがる。

「嫌な予感がする」

キリワケ
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 20:48:00.64 ID:rTo0Q0tp0
客間に当たるソファに遂になるように一人の少女、青年、そして向こう側に見知らぬ中年男性が一人
目の前で素朴なティーカップから湯気が立つ、真剣な眼差しの3人はカップを持ち同時に啜る、因みに中身は紅茶である。
カップ中身に対して少しだけ少女の眉間が上に吊りあがった。

「それで、依頼の件ですが、妻を捜して欲しいのです。」
「却下だ。」
「あぁまた、始まった。」

即答する青年に少女は顎を上げ頭を押さえる。

「判りました、他を当ります。」
「ちょっと、せめて話だけでも聞きなさいよ」
「唯の浮気だ、この手はそう相場が決まっている。NTRだ」
「探偵にあるまじき発言ね、あんたもこんな路地裏で人気の無い場所まで来たんだから、せめて訳だけでも聞かせてよ」

厳しい表情で鞄を持ち、帰り支度をし掛けていたところを少女が何とか引きとめ、再び真剣な眼差しで中年男性が訳を語る。

「居なくなったのは2ヶ月前で、とても綺麗な満月の夜のことでした。」
「夜、ありがちだな」
「少し口を閉じてなよ」
「偶々残業が残り夜遅く家へ帰ってきました、家の中は暗く流石にもう寝たのかと思い
事前に留守番電話に残っていたメッセージで、晩飯を作ってもらったんです。ですが・・・」

口うるさい創真の行いに関係なく、男の表情が曇る。

「リビングへ向かうとドアの向こうは物が散乱していて、私のために作ってくれたと思われるラップがかけてある皿は割れていました。
寝室には誰もおらず布団は畳んだまま、キッチンの向こうには裏口が有り、リビングとキッチン以外部屋も無事で裏口だけが破壊されていました。」
「ふむ、空き巣にしてはかなり派手だ。他のものへは手を付けず破壊された裏口・・・興味深い」
「まるで大きなものが慌てて出て行ったみたいねぇ」
「言われて見れば、壊れたドアの周りに平行に並んだ足跡が沢山あった様な・・・」

彼女の発言に、男性の顔が思い出したように納得する。

「しかし、相手が大きいとなると厄介だな」
「血痕とか無かったよねぇ、もっと他に手がかりは?」
「・・・かなり壊されていましたが、血痕は見当たりませんでした。それで、受けるんですか?」
「此処まで話しておいて性が悪い、まぁ其処までいうのなら頼まれてやらんでもない」
「それじゃ受けましょう」
「勝手に決めないで貰いたい、まぁ君がそういうのなら受けることには変わりないが」
「あなたは仮にでも探偵でしょう、ありがちな仕事だからこそ請けなさいな」
「結果が判るような事に首は突っ込みたくない」
「そんな事いって、どうせ受けるくせに」
「それでは家へ来てください、現場まで案内します。」

面倒くさそうな創真を余所に依頼は成立し、男性が鞄を持ち立ち上がり鞄から携帯を取り出す。
それを見て話を合わせる様に、相馬たちも携帯を取り出す。

「それでは、今夜の八時に落ち合いましょう、住所は○丁目の○号の○○番地、地図は後で添付しておきます。」
「よろしくお願いします」

一人で怪しげに考え込む創真を余所に、男性を玄関まで見送る少女

「御免なさいねぇ、あれでも頼りにだけはなるんですよ、あいつは」
「それでは」
「はーい、お気を付けて」

中年男性が背を向け手を振りながら、路地裏の闇にへと去って行くのを見送ると、ゆっくりとドアを閉める。
後には事務所のおかげで少しだけ明るい闇が、静かに広がっていた。

「しかしあの人こんな路地裏までよく来れるねぇ、それだけ本気なのかなぁ、普通じゃ受けてくれなさそうな物騒な話だったし」
「案外当てが無かっただけかも知れない、このご時世君が言う物騒な話の一片に入るそうだからね」
「そりゃ世間知らずだけど、創真よりは愛想に自信があるよ」
「大体愛想やら立場やら理解に苦しむね、傲慢なのは流石に嫌いだが」
「そう思うならまだ捨てたもんじゃないね、捨てる気は無いけど」

愛想について問われやれやれと、下らなさそうに鼻で笑わらう創真、薄っすらと創真に笑いかけると彼女はソファに戻り
テレビのリモコン片手に、すっかり忘れてそのつもりで飲んでいた冷めた紅茶を飲み、眉を吊り上げ噴出しかけた。

「レモンティーにミルクはやっぱり合わ無い、好きになれないねぇこの味」
「すまない、ふとした拍子に忘れてしまったのだ、許せ」
「別にいつもの事だし、紅茶より先に慣れたよ」

無理をしているのかしていないのか、好きに慣れないと言っておきながらまた紅茶を啜り
聞き手とは逆のリモコンを器用に使い録画の続きを見る、彼女の表情はほんのり和らいだ。

116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 20:49:55.49 ID:rTo0Q0tp0




日も落ちきった夜22時、街灯照らす夜道歩く二人、大きいほうはケータイを弄り小さいほうは、大きな紙を広げ右へ左へ首と紙を回す

「しかしこれはどうすれば読めるのかねぇ、感覚で覚えるのならともかく、こういうの使うのは苦手だねぇ」
「安心したまえよ、そろそろ目的地だ」
「くぅ…」

携帯と道を交互に見ながら興味が無さそうに、紙切れと格闘する彼女の疑問をあしらう、創真の態度に対しさっさと地図を折り畳み、むすっとしながら歩幅を大きく速く歩き始めた。
だが創真は彼女を余所にマイペースに歩き続ける、そのうち一本のオレンジ色の棒が見えると彼女は自信満々に棒の元へと駆け寄った。

「もういい、こんな紙切れ無くたって標識さえ見ればどうにかなる」
「ああ、そうだ」
「そうさ、そういうもんだ、もう○○番地だから此処を右に曲がれば・・・」
「あそこだ」
「わ、判っているよそれ位は・・・どうせ其処を曲がれば直ぐそこにあるよ」

オレンジのカーブミラーの立つT字の突き当りを得意げに体を右に曲げた彼女を余所に、創真青年は一軒の二階建ての家の前に立つ

「さて、そろそろこっちへ着たまえ、もう目の前だ」
「えっ、そうねぇ此処よね…此処」

創真が洒落た鉄柵に取り付けられたインターホンを鳴らす音に隠れ、せかせかと青年に寄り恰も其処に居たように振舞う
暫くしてインターホンからブツッと音が鳴り、男性の声が聞こえてくる。

「あーどうも、今開けるので少し待ってて下さい」

再びブツッと音が鳴り男性の声が消えた。
その後どたどたと床が踏まれる音と共にスーツ姿の男性が玄関のドアを開け、鉄門の閂を外した。

「さぁ、上がってください」
「どうも、お邪魔します」
「ふむ」

玄関は綺麗に掃除されており、上品な靴箱の上には可愛らしい置物等が女性的に、かつやり過ぎない程度に置かれていた。
話に聞いた時期よりも置かれた期間が新しく見え、置物には埃が拭取られた後がちらほらと見られた。
軽く会釈して上がる彼女とは反対に、ジロジロと行儀悪く部屋を見回す創真

「良いねいいねえ、よっぽど奥さんを大事にしているみたいだ」
「君も好きだね、そういうの」
「ところでさっきから行儀悪いんじゃない?、なにか変なものでもあったのかい?」
「何か気になることでも?」
「いや、まだ何も、それより現場が見たい」
「ああそうです、現場はこの廊下の先の先です」

男が廊下を先導しまずキッチンへとたどりつく、状況は酷く換気用の窓は割られ縁が歪められ、湾曲しているのを頑張って補修した後が見受けられる。
何者かによって付けられた傷跡は壁を抉る様に有り、ガスの元栓が無事なのが不思議なくらいだ。
道具や食器は傷を隠すように見栄えよく置かれているものの、所々に付く傷のせいでキッチンとしての清潔感が台無しである。

「成る程酷い有様だ、鈍器でも持ち歩いていたのか」
「それにしては割れ方がまばらねぇ、こう、引っかいた後みたいな」
「確かにそれらしい痕はある、少なくとも人間業には見えない」
「このご時世何が遭ってもおかしくはないけれど、怪物っぽい何かですら縄張りというのは判るはずだしねぇ」
「おまけに窓の壊し方から、屋外から入ってきたということは今のところ無さそうだ、捻じ曲がってはいるが欠片は残っているのだ、人が出るには危険すぎる」

はっと思い出すように男性はその場を後にし間も無く戻って来た。

「そういえばキッチンの周りにこんなものが」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 20:51:57.21 ID:rTo0Q0tp0
その手には長く太い焦げ茶色の毛の束が掴まれている、毛には埃が付き人毛にしては細すぎたり少し太すぎる物もある。
男性から毛の束を創真が受け取り慎重に扱う

「人の毛にしては少々太すぎる、毛根まで付いている辺り引き抜かれる感じか」
「この狭いキッチンの中で、殴り合いなんて出来そうに無いとは思うけれど、そういえば奥さんの髪毛の色は何色ですか」
「茶色です、亜麻色に近い色でとても綺麗で艶があります」
「奥さんの色とは少し違う、埃は被ってはいるが縮れていない辺り手入れはされているな、犯人は女性でこれらは見せかけてやったものなのか、いや・・・まさか」
「何かわかったの?」
「いや・・・」

創真が口ごもると同時に、男性が裏口へ向かうよう促す、キッチンから少し離れた裏口へ案内される彼ら

「先程話していた場所です、状況は同じですが犯人は、此方から出て行ったようです」
「確かに、キッチンと比べてそれほど壊されていない」
「一直線で此処から飛び出て行ったみたいねぇ・・・何かが走った後みたいに」

裏口は文字通り吹き飛ばされており、扉の蝶番が引き伸ばされるように捻じ曲がっている、彼女がすぐさま扉跡まで駆け寄りしゃがんで細かく調べ始める。
だが直ぐに創真の方を振り向き首を横に振り、扉跡からの証拠は見つかりじまいだった。

「扉は似たようなもんだね、話していた通り此処から出ていったって事しか分からない、でも良い物が見つかったよ」

床を調べていた彼女が立ち上がり床を指す、フローリングが引き伸ばされ、何か鋭利なもので縦に引き裂かれた、否、引きちぎられた廊下がぽつぽつと平行して、まるで何かが走行するよう比例して並んでいる。。

「人間ではないのは確定したようなものだねぇこの縦線、でっかい狼でも踏み込んだみたいに爪痕が目立つ」
「狼男にさらわれたとでも言いたげだね、窓に月でも映って猪突猛進といったところか」
「確かに窓が付いてました、でも見えるような位置には月は無いですよ、少なくとも裏口からは見えません」
「誰かが誘導したというのはどうだろう、2人程度が狼男を裏口まで誘導した、なぜ物を壊したり誘拐したのかが謎だが」
「動機はともかくまずは犯人を捜しましょう、奥さんの居場所も調べなきゃならないだろう」
「出来れば速く安否が知りたい、どうにかして割り出せませんか」
「無いわけではない、ただし少しだけ時間がかかる」

裏口を指差し、そのまま腕を立て2という数字に変え、創真が答える。

「次の満月を待つのだ」
「流石に長すぎる、いち早く判りたいのにそれでは困る」
「だがこのまま当ても無いのに、闇雲に探し回るよりかはとても効果的だ」
「もしそんな大きなものを飼い馴らしている奴が居るのなら、矢鱈滅多外に出すはずも無いだろうし」
「他にもある事はある、事によっては犯人を割り出す手間が省けるかもしれない」
「狼男って確定してるのね、創真らしくも無い」
「あそこまで大きな傷を何回も付けるのは人間業とは程遠い、少し興味が出てきたようだ、居たら居たで捕まえてみようと思う」
「…死亡フラグにしか聞こえない」
「・・・それで、策というのは何です?」

焦りを抑える男性を彼女がなだめ、落ち着いた男性と共に面倒臭そうだが、何処か自信に溢れる創真の話に聞く耳を立てる。

「まず屋根に小さな灯台を作ってもらおうと思う、出来るだけ高い位置に、うまく光を拡散できるよう、反射板は入念に引き伸ばしてくれ」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 20:54:05.74 ID:rTo0Q0tp0
紙とペンに設計図らしき情報をすらすらと書き込んでいく、内容は小さな塔を作り鏡とアルミホイルを組みあわせ、小さな灯台を作るというものだった。
その上に満月の様に模様の付いた丸いライトを取り付け光で誘導するというものだ。
余りの胡散臭さに噴出しそうになる彼女だが不思議と説得力が感じ取れた内容だった。

「まぁ月っぽくするって言うのは伝わるけど、私の目には廻る玩具にしか見えないよ」
「作るに当って明日材料を買出す、集合も明日にしたいと思う、貴方は家にある物で十分だこの通り集めてきてくれ
それに問題は結果だ、少なくとも自信が無ければ無茶なことは言わないよ」
「わかりました、本当に頼みますよ」
「まぁ今まで失敗は無いし、流石に作ってみなきゃ分からないねぇ・・・」

設計図に描いてある余りに簡素な造りの装置に多少の不安はあるが、藁にも縋る思いで創真に頼むしかなかった。



そして翌日、男性宅、昼

工具やら何やらで膨らんだ鞄を担がされてもなお平然と歩く彼女を余所に、手ぶらで腕を組み地べたを眺め続け考える創真
その扱いに眉を吊り上げ不満そうに睨みつける。

「流石に労働量が違う気がするけれど、少しぐらい持ってくれてもいいんじゃない?」
「別に問題は無いだろう、現にとてもスムーズに到着した。」
「流石に不自然よ、これ、後ろ指指されるのは創真だから」
「所謂児童虐待ってところか」
「ふんっ!」
「よっと」

児童という言葉に結び付けられた彼女の小突きを、余所見をしながら手馴れた動きでひょいと避ける。
少し頬を膨らませる彼女を一先ず置いて、インターホンを鳴らし男性を呼び出す。

「来ましたね、さぁ頼みますよ」

男性は門の閂を外し迎え入れる準備をし、来たる時間の為に彼らを迎え入れた。

「お邪魔しまーす」
「さて、さっさと済ませてしまおう」

玄関の淡い光を目指して創真が手ぶらで先導する、その後を重い荷物を前に担ぎ、早く行けと仕返し交じりで荷物を彼女が背中へぐりぐりと押し付けた。
その様子に男性が少し驚きながらも、何処か微笑ましいその場面に笑みを浮かべ、奥へ進み先に客間を整えていた。

「それで一応言われた通りには用意できましたが」

少し間を置き客間、ソファに3人が向かい合うよう座り中央にあるテーブルには、彼女が運んできた荷物と男性が用意してきたと思われるアルミホイル、中華鍋が置かれていた。
客間には本来無いものばかりで、材料の素朴さから一見すると家族水入らずで末の娘の為に、工作をしているようにも見える。

「では早速始めるとしよう、時間は有意義に使わなくてはね」
「何か違う気がするのは私だけだろうかねぇ、創真氏」
「ええと、ビーチボールに延長コードに、ん?いつかのよく判らない箱じゃないか、何時こんなところに入れたのか・・・まぁいい」

設計図を広げ、鞄を開き、工具を取り出し、材料に手を付け、作業は着々と進んで行いった。
どれくらい時間が過ぎたのか、気付けば外は夕暮れの終わり、日は落ち辺りが宵闇で包まれようとしている。
住宅街にはぽつぽつと明かりがつき、並ぶ昼の独活の大木達に明かりが灯った。
その住宅街に、一際目立つ球体がある家の屋根に付けられている、球体は明るいオレンジの光を帯び、塗られている塗料の斑が球体を満月のように見せている。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 20:56:35.70 ID:rTo0Q0tp0
「・・・ふぇぁ?もう外が暗いの、創真ぁ今幾つよ」

すっかりソファで寝ていた彼女は、客間にぽつんと一人で毛布を掛けられさっきまで眠っていた。
すこしぼぉっとしているようだが、辺りに立ち込める不可思議な刺激臭に徐々に眠気が薄れていく、よく今まで眠れたものだ。
目の前には先程までしていたであろう作業の後が見られる、臭いの元はどうやらテーブルの上にあるバケツかららしい

「うへぇ、酷い臭い、口の中に残りそうだわ・・・」
「おうい、そろそろ目覚めたまえー、そろそろ実行に移すぞ」

喧しく叫びながら創真がやってくる、そのまま鞄を持たせ彼女を連れて行き屋上まで上らせた。
昇り終わったとたん眩く淡い光が二人を照らす、そこに先に居た男性が長い影を伸ばし、ほんのり逆光を放ちながら座っていた。

「全く酷い扱いね」
「良いじゃないか、丁度絶景も見れる」
「さて、問題の時間です、しっかりと頑張ってもらいますよ」

男性の洒落た(?)心意気に、創真への不満はほんのり消えた。
その横で不満の種の当の本人は、ひっそりと図っていたように笑った。

「確かに絶景ねぇ、何か引っかかるけれど」
「それでは気長に待とうではないか、後は気長に待つだけだ、それに今夜は鍋だ」
「だからガスコンロなんて持ってきたのね、でも中華なべで・・・何作るの?」
「もちろんちゃんこだ、君の好きな油揚げも用意してあるぞ」
「何・・・だと・・・?」

油揚げという単語に眼の色を変え、彼女の不満の釣り上がり眉が瞼と共に、喜びに満ち持ち上がる。
その眼は何処か輝いているようにも見えた。

「ちゃんこですか、良いですね、うちにも牛肉があったと思うので持って行きますね
それと、此処まで昇るのはお辛いでしょう、良かったら持ってきますよ」
「それでは好意に甘えて、冷蔵庫の2段目にあるので箱後と持ってきちゃってください」
「あいさっ」

彼女は鞄を軽々担ぎそそくさと梯子を降り、素早く下へ向かった。

「油揚げぇ・・・へへぇ・・・油揚げ、ぅえぇぇ」

下から曇った声でそんな不気味な声が聞こえた気がした。
男性は苦笑いをしながら、星も無い夜空を見上げて、妻を思いながら現実逃避に浸っていた。

「どうか、無事で居てくれ・・・」

やはり逃げては居なかったようだ、男性の太ももにはまだ中身の入った柿の種の袋が、クシャクシャになって置かれている。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 21:00:19.23 ID:rTo0Q0tp0
男性が一息つくの時、遠くの別の家の屋根に何か大きな影が、此方に向かっていることを男性が捕捉する。

「おーい!ちょっと来てください!遠くから何か来ます!」

影は逆行に照らされ容貌がよく見えない、だが確実に影が精密にそれの形作をり、徐々に此方へ向かって行来ることがわかる。

「ようやくお出ましのようだ」

首の無い、否、猫背の毛むくじゃらのシルエット越しに見える、がっしりとした骨に纏わり付くであろう筋骨隆々な極めて太い肉塊、腰には何か布切れのようなものが巻きついており、猿人にも見える。

「大猿・・・?」
「いや、勘が正しいのなら、急いで大蒜と銀製品を持ってきたほうがよさそうだね」

影がさらに近づきその容貌と予感が的中する、涎が滴り落ちる赤い歯茎と剥き出しの長い狼牙、その顔つきと顎は確りとした凶暴なイヌ科の其れである、偽の月に向かい近づくその影はまさしく狼男

狼の咆哮が辺りに轟々と響き渡る

「!?・・・間が悪いというか、待っていたと言うか」
「おうい!大蒜持ってきてくれたまえ!」
「それとキッチンを出て右の妻の部屋からスプレーを持ってきてください、鏡棚の二段目に制汗スプレーがある筈です!」
「場は引き受けたと、無茶するねぇ、無事でいなさいよ」

空気が震える程の咆哮に近隣の民家に光が灯る、それでも彼女は全く動じず、冷静に冷蔵庫から油揚げとビールチューブの大蒜を取り出し、鞄に詰め込む
そしてキッチンを出て右へ曲がり、すぐ其処にある一番近い扉に向かっていった。
一方屋上、偽の月を背にしながら、迫り来る怪物のプレッシャーに押されつつある創真らに、雄叫びを上げ向かってくる怪物は相馬たちを捕捉し、爪先に力をいれゆっくりと走り出す

「成る程、成功といえば成功だ」
「こいつが・・・アイツを・・・アイツを!」
「とにかく、今は分かれるのが先のようだ、僕は右に!貴方は左に!」
「・・・っ」

怪物は、彼らではなく偽の月に一直線に向かい破壊を試みる、2m強はあるだろうその巨体から繰り出される以外にも素早い突進、一般人では到底敵わない
一直線に此方に向かってくる、ならば二手に避けるしかない狙われているのなら尚更だ、二人は左右に跳び、ギリギリで回避する。
怪物は無我夢中で偽の月を捻り始め、火花を散らしながらあっと言う間に壊れた、このままでは危ない、でも手元に何も無いため今のところ策が無い、万事休す・・・

「拙いね、彼女を荷物全部抱えていってしまったようだ」
「荷物なら此処にあるよ」

丁度梯子の位置に立つ彼女は絶妙なバランスで其処に立ち、自信の身の丈の半分はある鞄を軽々屋根に置く
ジッパーを勢いよく引き中からスプレーと大きなネットを取り出すと、ネットを相馬へと投げ、大蒜を男性へと投げる。
そして彼女は屋根へ跳びスプレーを持ちながら、怪物との間合いを詰め未だガラクタと化した偽の月にじゃれ付く怪物にスプレーを顔面付近へ噴射した。

「創真はこれ使って、貴方はこれっ」

この間約12秒、創真はすかさずキャッチし慣れた手つきで絡めとる、男性のほうは少し反応が遅れてしまう

「暫く大人しくしててねぇ、すぐに終わらせる、創真ぁ!ネットお願い」
「了解!」

怪物の反応が追いつき多少防がれてしまったものの、しっかりと入る場所へは入ったようで、怪物は悶え始める
腕を振り回し眼を擦りその場でのた打ち回る、そこへネットが投げられ怪物がのた打ち回る事により絡まり動きが鈍くなってゆく

「ネットの方は任せたまえ、狼君のほうの動きは任せる、狼の糸巻きといったようにしてくれたまえ」
「任された、後はこうふわっとっ」

間合いを取りつつヒット&アウェイの要領で、スプレーを有りっ丈振りまき徐々に体力を奪ってゆく
だが体格に比例してスタミナは多く、バテてはいるものの未だに暴れ続ける。

「そろそろネット頂戴、後は任されるから」
「そら、任せたっ」
「はいっ・・・大人しくしなさいな」

彼女が踏ん張り腰に力を入れ更に絡ませるため周りを廻り始め、縄に噛み付き始めていた怪物に追い討ちをかける

「ラストスパートね、これで大人しくなりなさい・・・ふんっ!」

怪物が屋根にしがみ付くのを利用し普通では有り得ない力でネットを捻りながら、時折フェイントをかけて周りをぐるぐる廻る
縄と化したネットを引きながら徐々に間接、口を締め上げ最後には簀巻きに近い縄の塊が出来上がっていた

「一丁上がり、疲れてしまえばこっちのものね、犬猫は巻けば可愛くなると思うけどなんか可愛くないね」
「ふむ、四肢は狼の其れなのにやたらと人の様な風貌をしている、興味深い」
「捕まえましたか、手がかりを、やっと・・・」

縄を締め上げ固い結び目を作る、怪物は今にも噛み付かんと彼女らを獣のそれで睨みつける。

「そういえばなぜ腰の位置にだけ布が巻いてあるのだろうか」
「布?」
「この布は・・・まさか」

121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 21:01:08.10 ID:rTo0Q0tp0
男性は布を見た途端蒼白し、その場に膝から崩れ落ちる

「これは、妻のよく着る服の柄・・・ああ、そんな」
「っ・・・」
「これは・・・」

妻の遺品が眼に映り顔を伏せパニックに陥り放心状態の男性、唯無表情に怪物を見つめ続ける彼女
ただ創真一人は興味深そうに怪物の腰を眺めていた。
そして二人の表情を余所に、デリカシーの欠片も無く彼女に聞く

「なぜこの布切れは腰に巻かれているんだ?」
「見て分からないの・・・見て」
「ああ見たさ、しかし何故スカートを身に着けているんだ、人並みの事が出来る風貌には見えないのだがね」
「何が言いたいの」

創真は怪物の腰に指を刺し、かろうじて見える服の残骸の締め付け部分を見せる。

「少なくとも対峙をして気付いたのだが、こいつの知能は人以下だ、この巨体で傷も付けずに服を着れると思うか?
仮に着れたとして内側から膨らむことは無いのではなかろうか、途中で破けるのが関の山だ」
「・・・まるでこの狼が奥さんみたいな言い草ね」
「どういうことですか!妻は、妻はどうなったと言うんですか!」
「まだ何ともいえない、あくまで人狼と似ているだけだからね」

その時、人狼に巻きつく縄にヒュンと何かが当たり、網を捻り作られた強固な縄がいとも簡単に断ち切られる。
とたん、人狼は起き上がり憤怒し屋根を殴りつけながら雄叫びを上げ、彼女を睨みつける。

「ありゃ?」
「な、何が起こったのだ!」
「縄!?縄がどうかしたんですか?」

人狼との距離は大体1m前後、狙いはどうやら彼女らしくすぐさま詰め寄り、彼女を屋根へ捻じ伏せその巨腕で力任せに押さえつける。
罅割れる屋根、押さえつけられる彼女、だが彼女は両腕を使い受け流し、身動きは取れないものの何とか凌ぎ切っているが、耐えるのも時間の問題だろう

「くっ・・・いい度胸じゃない、そっちがその気なら今すぐ捻じ伏せてやろうじゃない」
「強がるんじゃない!少し待ちたまえすぐ追い払う、大蒜とそれとスプレー!」

出来る限りの手を尽くそうと苦手なものを一気に突きつける手に出る創真、そばに有った二つの抵抗手段を拾い上げ人狼に向かい対処する。
チューブを開け力の限り握り中身を押し出し、同時にスプレーを顔面に有りっ丈振りかける、間合いが近いのが幸いしたかすぐに行動でき、人狼はすぐに悶えはじめ彼女は解放されすぐさま間合いを詰める。
だが人狼は更に暴れ一瞬動きが止まった後に一番近くに居た創真に詰め寄り、拳で殴りつけた。
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 21:03:29.00 ID:rTo0Q0tp0
「うぁっ・・・!?」
「創真ぁっ!」
「相馬君!」

そうまは吹き飛ばされ屋根から落ちる寸前まで飛ばされた、意識はあるようで立ち上がろうと腕を上げるもすぐに倒れてしまう、それ以降ぐったりしており彼女たちが呼んでも返事が無い
人狼は次に彼女へと標的を定めたようで、少しずつ向かい歩いてゆく、そこに男性は駆け寄り彼女の前に立ち、盾のように人狼の前に立ちはだかる。

「なぁ、もうやめてくれお前がおまえなら私が判るだろう、やっと帰ってきたんだ、お帰りくらい言ったらどうだ
なぁ、さっさとこんな事やめて一緒に帰ろう」

少しづつ、少しづつ男性は人狼へと近づいていく不思議と人狼は何もせず話を聞いているようにも見える。

「此処へ帰って来れたんだ、忘れたわけじゃないだろう?元に戻る方法はこの方たちが探してくれる。
だから安心して帰ってきていいんだよ、ほら」

男性がすぐ其処まで近づき、抱擁をする為腕をめいっぱい広げる。
だが、人狼の眼には正気は無く容赦ない腕を男性に向け薙ぎ払った、そのあと何事も無かったように人狼は踏み出し彼女の元へと向かう。
男性は少し飛んだ後、ポケットから小さな箱が虚しく零れ落ちた、男性は吹き飛ばされたにも拘らず残った力を振り絞り弱々しく立ち上がる、しかしその言葉は力強く人狼に告げられた。

「ちゃんとそのままにしてある、だから何時でも待ってる・・・」

告げ終えた後、力無く倒れる男性を見届け、彼女は小さな拳を握りゆっくりと力強く歩み寄る。

「あぁもう・・・台無しだね、せっかくのハッピーエンドが、2ヶ月も帰ってこなかったアンタの大切なものをそのままにして
あんな物騒なところにまで来て頼んできた、そしてやる事をやってしっかり帰ってきた、でも何なのさこの様は」

歯軋りの後ダンッと足を踏み鳴らし、屋根に皹を入れる。

「誰さ、こんな事をしたのは、私の楽しみを奪うのは誰だよ」

皹を蹴り上げ、それなりの大きさの瓦礫として吹き飛ばし人狼の頭部に命中させる。
少し怯んだ様にも見えるが、それが切欠で人狼も彼女に襲い掛かる。

「もし仕組まれたことなら質が悪いね、こんな事するのもなんだけれど、ホント不快にさせてくれるねぇ
スパイスも程ほどにしないと反感を食らうよ」

人狼は屋根を割るほど一気に踏み込み、彼女に向け爪を振りかざす、だが彼女は振りかざす時点で紙一重で避け
腕の中心を掴み、一気に背負い、体格差の為蹴り上げて勢いを付け叩きつける。

「病院で入院、相部屋で笑顔で再会、悪くない!」

その後追い討ちに、腕に肘で蹴りを入れ続いて腹を踏みつける。
だが筋肉が邪魔をし、思ったようにダメージは入らない、人狼はすぐに片方の空いた腕で足を掴み逆さづりにする。
それでも動じない彼女は手を蹴り続けるが、人狼は動じない

「っ・・・中々タフね、ご褒美が見れるのならまだ軽いもんだよ」

彼女の抵抗が一通り終わると、そのまま彼女を叩きつけ足から首へと持ち手を変え締める。

「くっ・・・負けるわけには・・・・・・いかないのさ、例え相手がどんな奴であろうと報酬が待ってるんだ・・・私の欲しい取って置きの・・・」

彼女が諦めすに人狼の太い指を握り締める中、抵抗虚しく徐々に太い指が食い込んでゆく・・・絶体絶命、まさにその言葉が似合う状況だ

「(あぁ・・・追い詰められるほどどんどん諦めたくなくなる・・・色んなものが欲しくなる、そういえば創真にまだお礼をいってなかったっけ)」

薄れ行く意識の中、数少ない持ち合わせた記憶がループする走馬灯のように流れてゆく、記憶の断片を閲覧するたび今までやり残した事をやりたくなる
こんな時だからこそ今まで世話になってきた奴の顔が浮かんでくる、無愛想で捻くれていて変わった事にしか興味を持たない、それでも一言礼くらいは言いたい
流れ廻る記憶を繰り返し繰り返し見せられ、無念の中意識が朦朧としていく、だが彼女を叩き起すような喧しく奇妙な音が聞こえてくる。

「カンジル、イノチ・・・オイシイ、ウマイイノチ、スクナイガトテモイキガイイ、モッタイナイ」

落ちている鞄がガタガタと揺れる、雑音にも近いその声にもならない音の主は鞄を引っ張り上げながらすっと浮き上がり、青白い炎を放ちながら鞄を溶かし地面へ落下させた。
辺りには合成樹脂を焼いたような嫌な臭いが立ち込め、宙に浮いたその物体は人狼に剛速球の如くスピードでぶち当たり、腹部にダメージを与え首を絞めていた腕を腹へと誘導し、その場にしゃがみ込んだ
彼女は屋根にぺたりと落され、喉を押さえながら立ち上がり息をしようと咳をする。

「何が・・・起きたの?変な音が聞こえてからそれから・・・?」

彼女の目の前にあるのは、いつか事務所に届いた胡散臭い鉄箱だった、鉄箱と露出した狐のオブジェは青白く熱光を放ち、形が崩れた今にも溶け出しそうな鉄箱を尻尾で支えながら彼女に近づく
金属を溶かすほどの熱と奇妙さ以外、こういう物は何か不可思議な雰囲気を漂わせているものだがオブジェからは何も感じられない、まるで手品か何かで浮かせた胡散臭い物体のように

「何なのさこれは、何をさせたいんだ」

問いかけなければいけない、そんな気がした

「ホシイモノガアルノナラ、コノナカミヲツカミトレ」
「中身・・・」

既に焼け爛れかろうじて箱の面影を残す鉄屑の中に、何かの液体が入った棒状の物体が見える。
金属が溶けるに値する温度の中、中の液体はまるで惹かれあうかのように、点滅しながらほんのり光を放つ
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 21:07:24.95 ID:rTo0Q0tp0
「判ったよ、欲しいものをくれるのなら・・・受け取ろうじゃない」

試験管を思わせるような独特のフォルムをしている棒はアルファベットでFの文字が刻まれている
棒を取ろうと腕を伸ばす、だが熱すぎる熱気が行く手を阻む、それでも手を伸ばしやっとの思いで棒を掴む
掴んだ瞬間周りの鉄屑が急激に温度を上げる、熱い、少し蒸気がかかったかもしれないでもそれで欲しい物が手に入るのなら安いもの
掴んだとして無茶が出来なければ意味がないと棒を掴んだ後一気に引き抜く

「っぁ・・・く・・・っふん、バッドエンドなんてお断りさ、私はその情景が欲しいだけだ、どんなに頑張っても報われずこれで終わりでハイチャンチャン、少なくとも私は嫌いだね」
「セイゼイタノシミニシテイル、ウ・・・マイモノハハ・・・アト・・・ニトッテオ・・・・・・カナ・・・・・・イト・・・ナ・・・」

棒を完全に鉄屑と隔離する、同時に狐のオブジェは光を失いゴトリと鈍い石らしい音を立て、先程の恐ろしい熱量を放っていたものとは思えない
うまい物とは何か、とても気になるが今はそれどころではない、人狼の休憩は済み拳を打ち鳴らし雄叫びを上げる

「さぁ、第2ラウンドと行こうじゃない・・・でもこれ何に使うんだろう」

その棒は掌に収まるサイズで、円筒状の機械の先端には接続端子のようなものが付いている、少し前に似たような物を見たことがある彼女だが
屋根に落ちたオブジェも気になる、あれだけの玩具っぽさを出しておきながら何も無いのはおかしい、だが今は考える暇も時間も彼女には無い
己の勘を信じオブジェを拾い上げバックルのように変形させ、腰の腹、丁度ベルトのバックルが有りそうな位置に翳す

「まさか仕事でこんなのを使うことになるなんて、でも嫌いじゃないから良いよねぇ!」

居候してから欠かさず見続けているものがある、初めてそれを見た彼女は一種の閃きの様なロマン溢れる感情を感じ
自身の存在しない記憶に対する不安を打ち消してくれたその番組、彼女は今それに近いものに成ろうとしている
その憧れに応える様に狐のオブジェからベルトらしき帯が、彼女の腰に巻かれる、その反応に確信する様に棒を翳しオブジェの尾へと差し込み、待機する

FOX

オブジェから電子音が響き棒に記されたFの意味を答える。

「変身ッ・・・」

棒の挿さる尾を左へレバーの要領で引き、その動作と同時に青白い炎が彼女の周囲を巻き上がり、まるで木を炭に変える過程を逆巻きにするように、服がメカニカルなスーツへと変換される
白い装甲、接合部に装着し、首には分厚い装甲、のっぺらぼうの白面を造り寝ている耳を起き上げると、隈取に鮮やかな紅を映えさせ、一つの鋭い尾は九つに裂け7つは腰へ、残りは首の装甲に2本付けられ風に靡く
その姿はさながら狐、尾は9本、まさしく九尾、ヒールで背を伸ばしてるのは内緒だぞ

「欲しいもの有りっ丈下さいな」

人狼に指を刺し、告げる、人狼が彼女へ向かい走り出し拳を振りかざすが、彼女はあえて立ち向かい拳を片手で押さえた
狼は力み拳を押し付けようと更に踏み込むが、彼女に対してまるで意味がない、鬩ぎ合いの最中、人狼の額を見て気付いたことがある

「何か刺さってる・・・ガラス?にしては少し分厚くて形が均等だねぇ、深く刺さっているようだけど血が一滴も出ていない・・・」

ガラス片らしき物体は深々と人狼の額へと刺さっている、人間で言うなら即死レベルだ、にも拘らず動きは鈍る事無くぴんぴんしている。

「不死身なの?・・・いやもしかするとこれのせいで貴女は・・・だとしたら決まりね」

もしかすると、その可能性に賭け、彼女は決める

「此処まで来ると微妙な心境ね、ま、いいや、貴女も待たせてる人がいるだろう、彼の為にも早く戻ってきてあげてよ」

拳を掴み上げ、巨体を軽々と上空へ放り投げ、腰の刃を一本抜きベルトの棒を引き抜き、尾に開いた穴へと挿入して投げられた人狼の後を追い飛び上がる。

maximum power

電子音が鳴り響き、白い刃に赤い光が線となり刃を駆け巡る

「これでハッピーエンドにしよう、私はそれを欲しがってるんだ」

恐らく15mは有るであろう現在位置の高さの人狼を追い越し踵に刃を取り付けると、そのまま一回転をし、足の刃を錘に勢いを付け落下していく、その軌跡は炎の輪の様に廻り人狼に踵落としを喰らわせる
何かが割れる音と共に人狼はそのまま急降下し屋根へと叩きつけられた、彼女はそのまま着地し人狼のもとへと駆けつける

「大丈夫なのかなぁ、幾ら人狼といっても流石にやり過ぎた気がする、本場なら爆発とかして終わるものだけどねぇ」

舌を垂らしゆっくりと息をしてぐったりとした人狼の額の額を見やる

「傷がない、気のせい・・・なわけないか」

額のガラス片?は予感どうり砕け何故かその痕跡も消えていき、見る見るうちに人狼の体格が縮小していった
しばらくすると何事もなかったかのように寝息を立て始め、後には身を包んでいた伸びきった服を毛布代わりに掴み、亜麻色の髪をした全裸の女性が気持ちよさそうに眠るだけだった

「おかえりぃ〜、今日はオムライスだよ」
「大事は無さそうで良かったけど、一応3人とも病院行かないとね、やれやれ」

ベルトの尾を上げ棒を引き出すと、装甲は燃えて跡形もなく消えてゆき代わりに服が残る、こういうときに見ていた番組の知識が役立つと思って見なかった
2ヶ月間とついさっきまで、嵐のように暴れていたとは思えない女性、とても平和的な寝言にやれやれと溜息を付き微笑む彼女
まずは奥さんを担ぎ寝室へ移した後屋根で伸びている二人を翌日、奥さんと一緒に病院へと搬送した

第一幕、オオカミオトコとソウグウ

以上でテスト終わり
お眼汚し、失礼
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 21:44:30.79 ID:J3z39hyIo
投下乙ですー
4人目のライダー……か
最初の方で探偵物だと思ったらバトル物だった
狼男を平然と認めてるところを見ると、普段から都市伝説相手に契約無しで挑んでたんだろうか
主人公の都市伝説についての説明は2話以降に?
相馬と創真はどっちが正しいのかしら
最初の方で主人公達の名前について、地の文とかで説明してあると親切かもしれない


あとどうでもいいけれど
>犬猫は巻けば可愛くなる
どんな感性だよ!と突っ込ませてもらう
125 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 21:53:41.81 ID:xFQl7hgz0
乙です〜
やばいこれはやばい面白い
戦闘シーンが熱過ぎてのめり込む
というか仮面ライダーのそれを見てる気分だったぜ
これは続きが楽しみで仕方がない


>>124
>4人目のライダー……か
あれ、そんなに少なかったっけこのスレ?
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 22:01:10.83 ID:J3z39hyIo
>>125
明日真くん(スカル)、夜行くん(オーズ)、裂邪くん(電王)
しか浮かばなかったけれど、他にもいたかな?
そしてこの子は……本編見たことないから曖昧だけれどダブルかしら
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 22:09:48.35 ID:rTo0Q0tp0
おお、途中から見てる人は居ないと思っていたがそんな事も無かったかのかな?

とりあえず有り難う、この手は初めてなので参考にします

>4人目のライダーか〜云々
まだやる気があれば探偵物と平行していく・・・事が出来ればいいです

>普段から都市伝説相手に〜
無契約でなんだかんだやってきたけど偶々ヤバイのに遭っても
創真の機転と発想で何とか切り抜けられてるような感じ

実は裏設定そんなに纏ってなかったり、彼女の名前は決まってるけどまだ出さない


>どんな感性だよ!
芋虫猫で調べると多分幸せになる
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 22:12:48.78 ID:rTo0Q0tp0
リロード忘れた

>>125
面白かったかどうかはともかく、褒められるとは思わなかった

>ダブルか?
どちらかと言うとアクセル
129 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 22:14:54.33 ID:xFQl7hgz0
>>126
>しか浮かばなかったけれど、他にもいたかな?
このスレで初めてライダーに変身したのは「合わせ鏡のアクマ」の契約者なのーネ
あとAAを挙げれば笛の人の久慈灸さんはタジャドル、明尊くんはカブトだったか
例外としてアイゼンボーグ(見た目はアイアンマン)もあるね(システムはフォーゼ似


(裂邪>変身ポーズと前口上は確かに『電王』だけど、俺はライダー名乗って良いんだろうか…?
※彼は人型以外も変身できるので悩んでます
※でも『キバ』が鳥になるし、『アクセル』はバイクになるから何らおかしくないのかも……

>そしてこの子は……本編見たことないから曖昧だけれどダブルかしら
メモリ(仮)1本と考えると『スカル』や『ジョーカー』、『エターナル』に近いところはありますね
しかし装甲が完全オリジナルなのに、忠実に説明されてるから脳内に浮かびやすかったところがこれまた凄い
130 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 22:20:17.09 ID:xFQl7hgz0
>>127-128
>おお、途中から見てる人は居ないと思っていたがそんな事も無かったかのかな?
丁度投下終わった時刻に来たというのを念の為報告(せんで良い

>実は裏設定そんなに纏ってなかったり、彼女の名前は決まってるけどまだ出さない
ということは、名前が何かキーになるのかしら?

>どちらかと言うとアクセル
何故俺は>>129で『アクセル』を挙げなかったのだろうかorz
ところでアニマルフォーム(仮)に変身(変形?)とかは…(ワクワク
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 22:28:53.06 ID:J3z39hyIo
>>127-128
>実は裏設定そんなに纏ってなかったり、彼女の名前は決まってるけどまだ出さない
なるほど、そういうスタイルなのですね
相馬/創真も似たようなギミックなのかしら

>芋虫猫で調べると多分幸せになる
調べた。一枚目のサムネで噴いた
こんなジャンルがあったとは……広いなぁ、猫萌え界隈

>どちらかと言うとアクセル
ふっ、ライダーものに詳しくない私にはわかるはずもなく……思い付きで適当なこと言うもんじゃないね

>>129
>このスレで初めてライダーに変身したのは「合わせ鏡のアクマ」の契約者なのーネ
>あとAAを挙げれば笛の人の久慈灸さんはタジャドル、明尊くんはカブトだったか
ああ、言われて思い出した。確かにそうだった

>(裂邪>変身ポーズと前口上は確かに『電王』だけど、俺はライダー名乗って良いんだろうか…?
あ、いや、変身後の姿とかじゃなくてシステム的に(ベルトのバックルにパスケース)
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 22:29:46.14 ID:rTo0Q0tp0
>名前がキーになるのか?
ええものすごく、ものすごく

>アニマルフォーム(仮)
モチーフ狐なので、装甲辺りがバイクもどきに化けるかも
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 22:34:39.41 ID:rTo0Q0tp0
ベルトギミックはそそる、変身アイテムがベルトじゃなくなったのは何時からだったかなぁ・・・

>>131
そうまはただの変換マツガイだったり、いやお恥ずかしい
134 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 22:45:31.35 ID:xFQl7hgz0
>>131
>ああ、言われて思い出した。確かにそうだった
因みに蓮くんは後々ナイトになるとかならないとか笛の人が仰ってたぜ

>あ、いや、変身後の姿とかじゃなくてシステム的に(ベルトのバックルにパスケース)
(裂邪>なるほどそういうことね
    因みに俺はバイク乗れないので、代わりにバクに乗ってたりする
(理夢>主、それツッコミ待ちか?


思ったんだけど、学校町で自転車持ってる人います? 描写あんまり見た事ない気が

>>132
>ええものすごく、ものすごく
これはマイリスに入れざるを得ない(マテ
色んな意味でwktkしてきたの

>モチーフ狐なので、装甲辺りがバイクもどきに化けるかも
想像するだけで鼻血が…(何故だ
そういやこのスレで女性変身者はこの娘が初めてかな?
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 22:50:05.65 ID:J3z39hyIo
昔は「ベルトは変身の象徴」だったと思うが、最近のライダーは「ベルトは変身の道具」になってる気がしてならない
クウガ、アギトは完全に前者だった
龍騎はまだ前者だったと思う
555からは「変身ベルト」って物体を装着してアタッチメントを取り付けて変身……みたいな形に変わっていったと思う

それが悪いってわけじゃないけれど……Blackの変身カッコいいなぁ(逃避)
136 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 22:57:35.45 ID:xFQl7hgz0
>>135
>昔は「ベルトは変身の象徴」だったと思うが、最近のライダーは「ベルトは変身の道具」になってる気がしてならない
『龍騎』に近かった『剣』もまだ許せたよなぁ…いや、あれはどうなんだろうか
あとは本当にベルトは飾り状態だった
でも『電王』はカッコいいから許す

昔に戻ると『X』と『アマゾン』はベルトで変身じゃなかったな…結構新鮮で良かったけど
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 23:01:14.81 ID:rTo0Q0tp0
>そういやこのスレで女性装着者〜云々
もっと増えてもいいと思うけどね女性変身者、メカ娘と被るから余り使われないのだろうか

>555からは「変身ベルト」って物体を装着してアタッチメントを取り付けて変身
たっくんはもとから怪人だったからしょうがない、アレは怪人用武装だし
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 23:05:56.50 ID:rTo0Q0tp0
>そういやこのスレで女性装着者〜云々
もっと増えてもいいと思うけどね女性変身者、メカ娘と被るから余り使われないのだろうか

>555からは「変身ベルト」って物体を装着してアタッチメントを取り付けて変身
たっくんはもとから怪人だったからしょうがない、アレは死人用武装だし
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 23:06:29.46 ID:rTo0Q0tp0
>そういやこのスレで女性装着者〜云々
もっと増えてもいいと思うけどね女性変身者、メカ娘と被るから余り使われないのだろうか

>555からは「変身ベルト」って物体を装着してアタッチメントを取り付けて変身
たっくんはもとから怪人だったからしょうがない、アレは死人用武装だし
140 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 23:08:17.37 ID:xFQl7hgz0
>>137
>もっと増えてもいいと思うけどね女性変身者、メカ娘と被るから余り使われないのだろうか
女性変身、やろうと思って出来たのがライダーじゃなくてペルゼイン・リヒカイトだったでござるorz
仮面は仮面なんだけど……なんだかなぁ
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 23:11:00.57 ID:rTo0Q0tp0
何だこの酷い有様は
142 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 23:18:46.21 ID:xFQl7hgz0
>>141
何があったし
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 23:22:55.82 ID:J3z39hyIo
SS速報にはよくあること
>>135も一度書き込み失敗したけれど、ほっといたら5分後くらいに書き込みされてましたし
書き込み失敗=数分後の未来のスレに書き込み成功 みたいに考えてる
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/23(日) 23:22:59.69 ID:rTo0Q0tp0
>>142
2連ならよく有るけど3連は初めてだなぁと、いや大したことは無い
145 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/23(日) 23:26:47.73 ID:xFQl7hgz0
気づかなかった、3回レスされてたのかwwwww

>>143
>書き込み失敗=数分後の未来のスレに書き込み成功 みたいに考えてる
一番厄介なのは
画面が変わらずずっと読み込み状態が続いてるっていう状況orz
146 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/10/23(日) 23:59:20.73 ID:5r+BWo8c0
投下乙でした
ヒールで背を伸ばしているとか……俺が興奮してブヒブヒ言い出しちゃうじゃないですかー
自分より背が高い女性萌えと背が低いのを気にしている女の子萌の俺が豚になりますよええ

変身システム搭載人数がヤヴァイ
明日君のスカルって地味にベルトについて何も書かれてないんだよな
変身した後腹部防御用に適当に生えてきているってことにしておこう
明日君の魂はあくまで仮面にこそあるし
あの仮面が人間と化物の間に一線引いているんすよ
147 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:13:14.47 ID:oRjp3ZF50
雄介「何故ですか!! なぜこの仮面ライダーの流れで私の話題が出てこないんですか!!」
薫「……お前、仮面ライダーを連想させるシーンなんてあったか?」
雄介「くっ……!! 作者がベルトの描写を忘れたり、まだ設定や過去を隠しているからこうなったんですか……!!」
薫「変身方法とか、ベルト使ってないだろ」

ちなみに、雄介はマスクを被る他にも、変身できたりする。
最新話では、マスクを使った変身はしてなかったりする。(マスクを投げ捨てたけど、拾わないで海の中で変身している)
……ベルトで変身すると通常の変身より力が強くなるけど、実はある物が犠牲にならないといけなかったりする。
148 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:18:12.39 ID:Ui1GXBdJ0
あ、それと投下乙。
みんな変身かぁっくいいな。

雄介「……どうせ俺なんか」
薫「何ヤサグレてるんだ。面倒くさい」
雄介「笑ったなぁ!? 今俺を見て笑っただろ!!」
薫「笑えるか!!」
149 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:19:25.73 ID:TTBUcfBr0
あとちょっとで投下開始
150 :夢幻泡影 † 平和なひととき:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:24:03.13 ID:TTBUcfBr0
【前半:>>69-70


「そういやお前、高校どうすんの?」
「えっと、一応中央高校志望だけど…」
「なんだお前もか。しっかしあれだな、点数マイナスの悪夢から逃れられると思うと心底ほっとするよな」
「れっ、裂兄ぃ、人の悪口は良くないってば」
「よお裂邪、神崎」
「お早う黄昏くん、神崎さん」

振り向くと、制服の(当然だわな)男女が2人、にこやかに挨拶してきた
クラスメイトの仲橋 光陽(ナカハシ コウヨウ)と、その幼馴染の松葉 美菜季(マツバ ミナキ)だ

「あ…仲橋くん、松葉さん、お早うございます」
「おっすゲンガー、今日も夫婦揃ってのご登校ですか」
「だからゲンガー言うなっ!?」
「そっそれに夫婦じゃないから///」

順を追って説明すると
俺はこの仲橋 光陽のことを“ゲンガー”と呼んでいる
由来は勿論、ポケモンのゲンガーだ
何故かというと、「GENGA HA NAKAHASHIKOYO」という都市伝説がありまして
初めて名前を聞いた時にそれを思い出したのと、単純に髪型がゲンガーに似てるからだ
因みにこの2人は都市伝説と無関係のようだ、少なくとも契約はしていない
あと夫婦呼ばわりしてるのは、このゲンガーは美菜季の家に居候しているから、というガキのような理由で
ゲンガーの両親は彼が幼い頃に他界していて、2人の友人だった美菜季の父親が身寄りの無かった彼を引き取ったのだそうだ
何で朝っぱらからこんな湿っぽい解説をしなきゃならんのだ俺は
ついでに美菜季の親父さんは喫茶店の店長だ、俺もちょいちょい行ってたりする
だからこの状況で『夫婦』発言すると自分に返ってくるのをふと忘れていた事に気がついた

「お前だって、彼女いるのに浮気なんてして良いのかよ?」
「浮気ィ? 誰と?」
「いや、神崎とに決まってるじゃん」
「お前しばくぞコラァ!! 言っとくけどこいつはおとkムグッ」
「オト?」
「あ、あのっ、ぼ、僕のお父さんは小さい時に死んじゃってるから……」
「うん、知ってるよ? それで、光陽と意気投合したんだよね」
「そ、そうそう、あはははは……そ、それじゃ」

苦しい
口を塞がれたまま、俺はそのまま引きずられるようにして2人から離されていった
暫く歩いていくといよいよ死にそうになったので、漢の腕を振り払った

「おっ、お前殺す気か!?」
「だ、だって! 僕が男だって分かったら、僕が変な人に見られちゃうからっ!」
「実際変な人だろうが! そりゃ、まぁ、お前は、ほら、可愛いよ? 可愛いけど男は男だろ!?」
「か、可愛い、だなんてっ……や、やめてよぉ……」
「バカやめろっ! 照れるな顔を赤らめるなっ!?」

くそっ、何で男だって分かってんのにときめいちまうんだよ!?
……朝は人が少ないから、ここで襲いかかるの一興か?
何気なさそうな素振りで周囲を見渡す
ダメだ、人いたわ

「おう、お早う極」
「あ……お、お早うございます、新田さん」
「お早うございます」

素っ気なく挨拶を返してきたのは新田 極、俺の同級生
こっちは契約者だけど、何と契約してたっけな、「ルルドの泉」と……危なげなお姉様だったっけな
あんまし自分の事は語らない、というか人付き合い悪いし言葉に心が篭ってないってのか、
冷たいと感じられる事もあるので何かと敬遠されがちなんだけど俺は気にしてない
漢はこの通り、怖い印象があるのか子供みたいに俺の後ろに隠れてぷるぷる震えてるんだけど

メタな話すると鳥居を探すの人に感謝せざるを得ない
そして、いつか必ずノイたんをこの手で抱きしめてみせるぜウヒヒヒヒヒ
因みにこの3行はwikiには掲載されないので悪しからず

「相変わらず微笑ましいですね。風紀が乱れないと良いですけど」
「硬ぇ事言うなよ、恋愛は自由だrって違う違う違う何言わせてんだ!?」
「れ、裂兄ぃが勝手に喋ってたような…」
「やかましいっ!」
「ひゃんっ!?」
「やりすぎて先生にどやされても知りませんよ。というか、今日は日直じゃなかったんですか?」
「そうだった! 行くぞ漢!」
「え、あ、ま、待ってよ裂兄ぃ!」

俺達は急いで教室に走った
ところで気の所為ならそれで良いんだけどさ
極と話してると、あいつの目がなんか獲物を狙う猛獣の目かそれに近いものに見えるんだけど
151 :夢幻泡影 † 平和なひととき:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:24:42.36 ID:TTBUcfBr0
「あ、神崎さん、今度僕と一緒n」
「すまん!間に合ってる!」
「あの、裂兄ぃ? 今のは僕への――――」
「良いんだよ!」

特に漢に対して……と思ってたんだがどうやらそうでもないらしい
うん、気の所為なら良いな、気の所為なら
とにかく、俺の学校生活はいつもこうやってドタバタしながら始まる
昼休みは酷いもんだ
漢と一緒に歩いているだけで背中に麻夜ちゃんの膝蹴りが突き刺さって保健室へ直行したり
かなり運が悪い時は、望ちゃんにパンかジュースを奢らされるか現金持ってかれたり
今なら、かの有名なそげぶの高校生に同情できるかも知れん
まぁ、そんな酷い一日だからこそ、放課後が楽しみだったりするんだよなぁ






     †     †     †     †     †     †     †





「ん〜、これで全部だったか?」
「えぇと……はい、大丈夫です」
「有難う、それじゃレジに行こうか」
「はい、ご主人様♪」

放課後
俺はスーパーマーケットで、お袋に頼まれた買い物をこなしていた
勿論、我が愛しの嫁であるミナワと一緒に

「あー、俺達も結婚したら、子供も一緒に連れて買い物に来るんだろうなぁ」
「やだっ、も、もぉ、ご主人様ったらぁ……気が早すぎますよぉ///」
「そうか? まぁ確かに、18にならなきゃ結婚できないけど……って、ミナワ、お前幾つだ?」
「へ?………そ、そうですね、幾つになるんでしょう?
 というか、都市伝説って年齢あるんでしょうか?」
「だよな、ローゼちゃんみたいに都市伝説に飲まれたんなら分かるけど、純粋な都市伝説って……
 ま、いっか、それこそローゼちゃん達「組織」に聞けば分かるだろ」
「そうですね;」
「でもあと3年かぁ、そんなに待ちきれないなー」
「私はそれまで花嫁修業でもしてますね♪」
「じゃ、まずは子作りの練習だな」
「もぉ〜///」

我ながら、これは外でする話じゃないな
これが日常茶飯事だと知られたらどうなることやら
でも、俺はこの時間が一番癒される
ミナワと2人っきりでいられる時間
辛い事や苛立った事、嫌な事があっても、彼女の笑顔を見るだけで、声を聞くだけで何もかも忘れられる
現実逃避だと非難されても良い
俺はこの瞬間が……いや、ミナワが好きだから
それは揺るぎない真実だから

「……ご主人様、どうかされました?」
「え、あ、いや、別に? お前に見惚れてただけだよ」
「もぉ、調子良いんですからぁ♪」

レジでの支払いを終え、買った物をエコバッグに詰めながらミナワは笑った
そうそう、この顔が好きなんだよ

「よいしょっと、終わりました」
「ん、有難う、じゃあ俺が持つわ」
「いえいえ、私が持ちますから」
「今日は荷物多いだろ、重い物をお前に持たせる訳にはいかないよ」
「ご主人様に荷物を運ばせるなんて、私には……」
「よし分かった、なら2人で持とう」
「はい、ごしゅjへっ!?///」
「嫌ならお前をお姫様抱っこして帰ろうか」
「れ、裂邪のばかぁ///」

ミナワは観念したようで
結局、バッグの取っ手を俺が左手で、彼女が右手で持って帰ることにした
未だにミナワの頬は真っ赤に染まっていた
152 :夢幻泡影 † 平和なひととき:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:25:51.78 ID:TTBUcfBr0
「えへへへ……や、やっぱり恥ずかしいですぅ///」
「今更これくらいどうって事ないだろう?
 覚えてるか? 去年『フェアリーモート』でローゼちゃん達とケーキ食べてた時――――」
「きゃあああああああ!? ら、らめっ、その話はらめぇ!?///」
「あとはそうだなー、今年の初詣は着物姿のお前と人混みの中で……」
「ぐすっ……裂邪のいじわるぅ………」
「ご、ごめんごめん、俺が悪かったよ;」

泣いちゃった嫁の頭を撫でる
泣いてる彼女も好きだけど、やっぱり俺は笑ってて欲しい
それでもこうしてちょっと虐めたくなるのは、やっぱり俺にはSっ気があるからだろうか
そんな事を考えながらスーパーを出ると、空が燃えているように真っ赤になっていた

「わあ、綺麗な空……」
「あぁ……あ、そうだ、ミナワ、あの場所へ行ってみないか?」
「あの場所?っわ、ち、ちょっと裂邪ぁっ!?」

バッグ越しにミナワの手を引いて、人目のつかない日陰の方へ向かった

「シェイド、例の場所に『シャドーダイブ』」
「オイ、オ遣イハ良イノカ?」
「んじゃ荷物はお前が先に置いてきてよ。俺は暫くしたら帰るから」
「面倒ナ……了解シタ」

俺はミナワと一緒に影の中に飛び込んだ
影の中は良い
どんなに距離があろうと、目的地には一瞬で辿りつける
昔はこの中に入るのでさえ気分悪いわ疲れるわで大変だったが、今ではこの通り
飛び出してみれば、景色は町の中から町の外になる
北区にある山の頂上付近だ
この辺りは開けていて、邪魔な木が生えていない
だから、ここから見る景色は絶景だ

「わあ……あ、また言葉が出なくなっちゃいました;」
「ッハハ、言葉に表せなかった程綺麗だったって事にしとこう;」

暫く2人で夕陽を見つめる
煌々と沈みかける太陽は、空を赤に、大地を金に染め上げている
この町に海があったらもっと綺麗だったろうなぁ
そんな贅沢は言わないつもりだけど
ずっと夕陽を見ていると、気分が良くなって、つい、ミナワを抱き寄せた

「ふあっ……れ、裂邪?」
「ごめん、何となくこうしたかったから…雰囲気ぶち壊したかな?」
「…いいえ、こういう方が私は好きです
 それと、その…………き、キス、とか、ど、どうですか?///」

只でさえ陽光で赤いのに、一層顔を赤くするミナワ
そんな上目遣いで訴えかけないでくれ
心臓ごと奪われてしまいそうになる

「ウヒヒヒ、折角2人きりだし、キス以上のことでも良いけど…?」
「ホントですか? 去年は『ないわ〜』って仰ってたじゃないですか」
「いやぁお前がノリ気だと思わなかったから、俺は外でも良いよ。でも出すもんは中に出すけどね」
「あ、その、今日は……危ないです///」
「あらら、じゃあ後ろにしようか、それともゴムつけようか?」
「うぅ………き、キスして考えましょうよぉ」
「お前どんだけキスして欲しいんだよw」
「どんな形でも良いから、今すぐ裂邪が欲しいんですぅ♪」
「ええい贅沢な奴め♪」

夕陽をバックに、俺とミナワの視線が合い、徐々に距離を詰める
長く伸びた2つの影は、やがて一つになった
と、なかなか良い雰囲気だったのに

「………ミナワ、」
「はい、分かってます……都市伝説、ですね」
「すぐそこだな、かなり小さいから気付かなかった…お前はどう思う? 俺には戦意が無いように思えるが」
「というか、動いてないみたいですけど……行ってみますか?」

ミナワの提案に頷いて答え、俺達は気配の感じる方へと歩いた
本当にすぐ近く、数歩歩いた先の茂みの向こうからだった
草を掻き分け、気配の根源を探す

「「あ!」」

見つけた
2人で身を乗り出してその元に駆けつける
だが見つけたものは、不思議なものだった
153 :夢幻泡影 † 平和なひととき:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:26:27.55 ID:TTBUcfBr0
「……これって…おもちゃ、ですかね?」
「うーん、にしては重厚感があるな…」

ピッタリな表現は、灰色がかった金属で出来た“蛇型のロボット”
大きさとしては、トミカくらいの大きさの奴が70〜80個くらい繋がってるような
キャタピラのついた箱状の物体が電車みたいに連なって、先頭車両にはドリルがついてる感じ
おもちゃにしては出来過ぎてるし、何よりこの“気配”
さっきから探ってるのだが、どうもゴチャゴチャしてて分かりにくい気配だ
こんな感覚は初めてだな……一体何なんだろう
あと気になったのが

「ん、これ、石が詰まってるな。壊れた部分に入り込んだのか」
「あ、ホントですねッてご主人様何を!?」
「大丈夫だよ、何も起こらないって」

俺は蛇型のロボットのボディに詰まった小石を取り除いた
その時だった
石を取り出した後の傷口が、何もなかったかのように見る見る内に復元…いや、“再生”と言った方が正しいのか?
とにかく、それは元の形に戻っていった
と同時に、蛇は起きあがり、キョロキョロと辺りを見回した
驚くミナワを庇うようにして、俺は彼女と一緒に立ち上がる
蛇はこちらを見据えると、暫くじっと睨むようにしていた

「ご、ご主人様…」
「待て、まだ大丈夫だ」
《……生体反応確認…該当Data,皆無》
「「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」」

まさか喋るとは思ってなかったわ
いや、そりゃまぁこっちは変な生き物や変な剣が喋ったりするけどさ
しかし何やら怪しい雰囲気、どうやら俺達を敵と見做しているらしい

《目標補足……攻撃態勢移行》
「まーまー待て待て落ち着け、俺達は敵じゃない」
《問答無用》
「えらく武士っぽい奴だな……あれだ、俺達は一応恩人だぞ?」
《……恩,人?》
「あの、ご主人様?」
「まぁ、俺に任せとけ
 そうそう恩人だ恩人、何かゴミが詰まってたからそれを取ってあげたんだ、そしたらお前は起きあがった
 ここに俺が来なかったら、永遠に動けないままだったぞ?
 ほら、そんな物騒なもん仕舞って、何か話そうや、平和に」

金属の蛇は暫し悩んでいるようだったが、
機関砲らしきものを下げると、ゆっくりとこちらに近づいてきた

《……会話mode移行………移行,完了
 救助サレタ事,恩ニ着ル,デアリマス》
「お、ちゃんと喋れるのか、ちょっとあれだけど
 礼なんて良いよ、それより分かって貰えて何よりだ」
「す、凄いですね……あの、お名前とかあるんですか?」
《形式番号ハ,β10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land&Sea-1935228,デアリマス》
「………へ?」
「うん、もう1回言ってくれ」
《β10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land&Sea-1935228》
「よし分かった、β10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land&Sea-1935228?
 面倒だからビオで良いな?」
《ビオ? 自分ハβ10-MidgardSchlange――――》
「良いんだよ、お前は今日からビオ! 少なくとも俺はそう呼ぶぞ!
 俺は黄昏 裂邪だ、宜しくな」
「わ、私はミナワと申します」
154 :夢幻泡影 † 平和なひととき:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:27:57.31 ID:TTBUcfBr0
《……理解不能,何故貴官ノ名ヲ明示スル,デアリマスカ?》
「面白い事訊くなぁ、気に入ったぞ、俺と契約しようぜ」
「ご主人様!?」
「冗談だよ; そりゃあビオあれだよ、もう俺達は友達だろ?」
《友達?》
「そ、お前は俺達に名前教えてくれたんだし、そのお返しに俺達も名前教えただろ?
 互いに自分の事を教えあうってのは、相手を信じてるってことだろ?
 お前は俺の事を信じてくれたから、俺達もお前を信じてる
 なら、俺達はもう友達じゃん」
(何だか強引な気もしますけど;)
《……貴官ハ人間,自分ハ機械,デアリマスガ》
「関係無いよ、俺なんかみょうちくりんな生物と人魂が家族だぜ?」
「そ、それは理夢さんとウィルさんが可哀想です…」
「ごめん、後で謝っとくわ、In my heart」
「心の中でですか!?」

ヒヒヒ、と笑っていると、ビオは何だか訳が分からなさそうに首(?)を傾げていた
こうして見ると案外可愛いかも知れん

《……理解不能……シカシ興味深イ,デアリマス》
「そうか、じゃあ―――――――」

もっと色々話したかったんだけどなぁ
何かに気づいたように、ビオは咄嗟に反対方向を向いた

《…通信受信……了解,直チニ帰還スル,デアリマス》
「帰還?」
「何だ、帰っちまうのか……まだ名前しか聞いてないのになぁ」

呟くと、ビオはちらとこちらを見た

《……Tasogare Retsuya…Minawa……input完了》

とだけ言い残して、ドリルで穴を開けてその場から姿を消した
山に残ったのは小さな穴だけ。でも、その姿だけは、俺の目と、心に強く残った

「……ご主人様、どうして“ビオ”なんですか?」
「ん、あぁ、特に深い意味は無いんだけどさ
 最初に“β10”って言ってただろ? それで、1文字ずつ似た形のアルファベットに置き換えたんだ
 βはB、1はI、0はO…“BIO”、これでビオになる……それと、」

茂みから出て、もう一度夕陽を見に行った
もう燐光程度しか見えない、完全に沈む一歩手前だった

「何かさ、機械に機械っぽい名前つけるのって嫌じゃん?
 それにあいつ、何か機械っぽく思えなかったんだよな。あれが一種の生き物みたいに見えたんだ」
「生き物、ですか?」
「うん、心を持った生き物に
 まだちょっと不安定だけど、いつかきっと感情豊かになるんじゃないかな
 そんな願いも込めて…『バイオ(生物)』から取ってみた、なんてね
 あーやっぱ俺ネーミングセンスないよなーw」

「『電王』の見過ぎかな?」等と自嘲していると、後ろから優しく抱きしめられた
そのまま俺はゆっくりと振り返ると、彼女は笑っていた

「裂邪の名前、とても良いと思いますよ?
 私にくれた“ミナワ”という名前も、私はとても大好きです♪」
「…そっか、有難う、ミナワ」

そっと、俺は彼女を抱き返した
夕日は完全に沈んだ。昼が終わり、夜が始まる

「子供が生まれたら、その子の名前も裂邪が考えて下さいね♪」
「むぅ、困ったなぁ、何人生まれるか分かったもんじゃないし」
「それどういう意味ですかぁ///」
「ウヒヒヒヒヒw まぁ、まずは子作りの練習だな」
「さっきの続き、ですね…それじゃあ、早くぅ♪」
「分かった分かった」

ようやくこの時が来た
闇の中でもはっきりと見えるあどけない唇に狙いを定め、
俺は己の唇を、彼女のそれに近づけた――――――

「早ク帰ルゾ、モウスグ夕飯ダ」
「寝る前にしよっか;」
「そうですね;」

こうして、俺の一日は幕を閉じる


   ...To be Continued
155 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 00:31:09.00 ID:TTBUcfBr0
『夢幻泡影』最後の(?)ほのぼの回終了っと
鳥居を探すの人には土下座してもしきれないレベルで謝りたいorz

予定より早く裂邪をβ10に接触させてみる
ようやくビオの名前が出せた、これで問題なく雑談で名前を言える
156 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/24(月) 00:43:37.47 ID:60Pj05LB0
書き忘れ
ゲストキャラのゲンガー、もとい光陽くんは1月からの新連載で活躍予定なので期待せずにお待ちを
因みに嫁の名前の由来は、エンジュジムのマツバさんと、その彼氏のミナキさん
157 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/10/24(月) 15:23:03.07 ID:uM1eThfAO
 花子さんとかの人乙です。
 もう幸太くんも明日葉ちゃんもどっちもお嫁さんでいいよ!
 DKGとファントムさんの人乙です。
 薫ちゃんの人の心とゆーさんの愛情に全俺が泣いた
 シャドーマンの人乙です
 なにこれ裂邪もげろまじで
 なにこれ漢ちゃん可愛いマジ可愛いちょっとうちでも借りたいかもええもちろんスライディング土下座させていただきますよ
 ライダー少女の人(って言っていいのか?)乙です。なんで戦う少女ってこんなに萌えるんだ。

 そしてこちらはあまり進んでない。何故だ。
158 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/10/24(月) 15:25:30.50 ID:uM1eThfAO
「おかしいな…」
 ノイちゃんが飛び出して、すぐに追いかけたはずなのに。
 しばらく歩き回っても、彼女の姿が見あたりません。
  焦って周囲を見回すと、視界の端をひらりと見慣れた水色のワンピースが過ぎりました。
「ノイちゃん!」
 後ろ姿が見えた公園に駆け込み、小さな肩に手をかけると、彼女がぱっと振り向きます。
「あ、柳!」
 まだ目は赤いけど笑顔だし、声はいつも通りの元気なノイちゃんで安心した、その矢先。
「はろろーん」
 間延びした声の方を振り向くと、なんともまあ派手な身形の少女が缶ジュースを手にして立っていました。
 ツインテールに結わえられた長いピンク色の頭髪は、
赤い薔薇の花が付けられたヘッドドレスと呼ばれるアクセサリーで飾られていて。
 裾にぐるりと、薔薇と十字架の意匠が施された黒いドレス。
 その裾はまるで子供の描くお姫様のドレスのようにふんわりと広がり、
 そこかしこにいかにも繊細そうな黒いレースがあしらわれていました。
 所謂ゴスロリ、ゴシックロリータと呼ばれる服装だという事は、女の子の服には疎い俺でも判ります。
 年の頃なら14、5歳ほどでしょうか。色白で華奢な、なかなか可愛らしい少女です。
 勿論ノイちゃん程ではないですが。
 彼女がこんなドレスを着たら、なんて爆発的にプリティなんだろう。
 よし、今度「LORIQLO」に行って是非一揃い整えておこう。
「にやにや気持ち悪いですよ浅倉柳」
 気が付くとゴスロリ少女のたいそう生暖かい視線が俺に注がれていました。
 少女は缶ジュースを一本ノイちゃんに手渡し
「どうぞ、ノイ。お近づきのしるしですよ」
 ノイちゃんににっこり笑いかけると、すぐ側のベンチに座り、自分も缶ジュースを開けました。
 つられるように俺たちもベンチに腰を下ろします。
159 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/10/24(月) 15:29:20.13 ID:uM1eThfAO
「……?」
 なんなんでしょう、この子。
 そういえば、ノイちゃんを追いかけてこの公園に入った時には、彼女以外の人の気配は無かったはず。
 …じゃ、この子はいつここに現れたとかなんで俺たちの名前を知っているとか
 考えれば考えるほど、頭の芯が冷えていきます。
 この子には関わらない方がいいという訳の分からない予感に駆られて、
 もう帰ろうとノイちゃんに手を伸ばそうとした、その時。
 ふと、俺のシャツの裾が軽く引っ張られました。
「大丈夫だよ、柳。この子、悪い子じゃないよ」
「そーですよ。ボクは悪い子ではありません。」
 しれっと言い放った少女はノイちゃんに向き直りました。
 「ボクと友達になりませんか?」
 …これはまた唐突な。
 ますます胡散臭いものを感じた俺は、さっさと帰るが吉と判断し、ベンチから立ち上がりました。
 ところが。
「あたしと…?」
 なんだかノイちゃんが、頬を染めていますが。
「いいのかな?あたしで?」
 それOKなの!?こんな怪しい人でもいい程友達が欲しいの!?
 俺という生涯の伴侶の立場は何処!?
 待ってノイちゃん、笑顔で握手なんか交わさないで!?お願い俺を捨てないでえぇぇぇ!!
「ボクは新宮 幻です。不束者ですがよろしくですよ」
 俺はよろしくされたくないですよ。
「うん!よろしくお願いします」
 ノイちゃんはぺこっと実に可愛らしくお辞儀をしました。
 「ね、なんであたし達のこと知ってるのかな?」
 ひたと見つめるノイちゃんに、少女はにっ、といたずらっ子のような笑みを浮かべて一言
「秘密です」
 えぇ〜!?と納得の行かなそうなノイちゃんの不満顔をさらっとスルーしてジュースを呷ると、
空になった缶をゴミ箱へ放り、立ち上がりました。
「じゃ、ボクは今日はこれで」
 それだけ言うと、現れたのと同じくらいの唐突さで、
 「にいみや まほろ」と名乗った少女は何処へと去ってしまいました。
160 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/10/24(月) 15:33:57.05 ID:uM1eThfAO
 お近づきのしるし、飲んじゃって良かったのかなあと、
 無邪気に首を傾げるノイちゃんに、俺はいつものように笑いかけることが出来ません。
「ね、柳。幻って、なんだか不思議な子だね」
「そう…かな」
 ただ挙動不審なだけだ。
 でも、初めて友達が出来たとはしゃいでいるノイちゃんに、そんな事言えやしない。
 こんな事ならいやな予感がした時、さっさと公園を出てしまえば良かったのに。
 やっぱりあの子は危険だった。
 俺しか知らない、知らなかったノイちゃんの世界に侵入した『友達』という異分子。
 嫌だ。嫌だ。嫌だ。
 心が痛い。息が少しずつ詰まっていく。
「柳?」
 ノイちゃんの声すら茫洋と聞き逃す程、どす黒い感情に飲み込まれていた俺を
 すぐ近くで上がった叫び声が現実に引き戻したのです。
 
 
 
続く
161 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 17:07:19.54 ID:TTBUcfBr0
鳥居を探すの人乙です〜
おぉう、これは不穏な空気
幻ちゃんかぁ、ボクっ子いいなボクっ子
苗字を聞いて実際に『新宮』に住んでるからドキッとしたのは秘密(ぁ
そして戦闘のヨカーン

>>157
> なにこれ裂邪もげろまじで
(裂邪>物語の70%が“もげろ”で出来てる『夢幻泡影』を宜しくね!

> なにこれ漢ちゃん可愛いマジ可愛いちょっとうちでも借りたいかもええもちろんスライディング土下座させていただきますよ
時間軸さえ教えて頂ければいつでもOKですよ〜(←キャラレンタルの過程が当スレ中一番面倒臭い奴
162 :悪党と黒服 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/24(月) 22:58:35.01 ID:4nL1N1pko
 エレベーターの他に階段もあったのだろう
 どこからともなく踏み込んできた黒服の一人が、沙々耶を抱きすくめていたメイに駆け寄ってくる
 助けに来たのか、そう沙々耶が思った瞬間
 手にした警棒のようなものでメイが殴り倒される
 沙々耶から引き剥がされ、床を跳ねるように転げてぴくりとも動かなくなるメイ

「『ウィンチェスター・ミステリー・ハウス』の契約者、沈黙。確保します」

 手際良く拘束衣に捻じ込まれていく小さな身体
 その素材は奇妙な紋様が描かれており、都市伝説能力を阻害するものである事は容易に想像ができた
 そして頭部には、申し訳程度に呼吸ができそうな穴だけが開いた、頭部全体を覆う鉛の仮面が被せられてがちりと施錠までされる

「待ちなさいよ、あんたら……メイに……何するのよ……」

 掠れた声でそう囁くも、それはばたばたと作業を続ける黒服達には届かない

「被害者らしき一般人少女、確保します。治療の後に記憶処理を実行予定、本部の処置室の準備を要請」
「了解」
「待てって……言ってるでしょ……」

 止める事も何もできない
 担ぎ上げられ運ばれていくメイを目に焼き付けながら、沙々耶の意識はそこで途絶えた

―――

「あーもー、何であんたら過激派の連中は、いちいち癪に障るやり口なのかなぁ」

 二人の少女を荷物のように運ぶ黒服達の前に立ち塞がる、息を切らせた少年の姿
 その服装は彼らと同じ、黒いスーツと黒いサングラスの黒服スタイルである

「悪いけど、その子らの保護は俺らが『第三帝国』から正式な要請を受けてるんでな。手加減してやるから、大人しく後始末だけして帰るんだな」

 ぐいと突き出した左の拳
 その甲に鳥居の形をした紋様が浮かび上がる
 続けて腕を包むように浮かび上がる五十音の平仮名、0から9の数字と、はい、いいえ、男、女といった文字
 それらが腕を離れ広がり、鳥の翼のように大きく広がり

「こっくりさんこっくりさん、おいでましたらまず一発!」
「はいなー!」
「ほいさー!」
「ちょいやさー!」

 少年の肩に浮かび上がる、狐、狗、狸の耳と尻尾を生やした三人の幼い少女の姿
 少年が右手に握り込んでいた十円玉を指で弾き上げると、空中でぱしりと掴んで弓に矢を番えるように後ろへと引き絞る
 手の甲から垂直に浮かび上がった鳥居の紋様をターゲットサイトのように覗き込み、正面に立っていた黒服の額に狙いをつけると

「射撃系か!」

 即座に散開し、壁や瓦礫の陰に身を隠す黒服達
 だが

「おい、お前の頭」
「なに……いっ!?」

 先程、ターゲットサイトに捉えられた黒服の額に浮かび上がる『はい』の文字
 それが何かを確認する間も無く、その文字の場所へと寸分違わず十円玉が直撃した
 弾丸のような速度で飛来した十円玉は、何事も無かったかのようにちゃりんと床の上に落ち、その一撃を食らった黒服はそのままどさりと倒れ伏した

「一度ターゲットすれば自動追尾か」
「ターゲットされるな、遮蔽物を利用して仕留めるぞ」
163 :悪党と黒服 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/24(月) 22:59:12.70 ID:4nL1N1pko

 その言葉に、少年はにやりと笑う

「こっくりさんこっくりさん、物陰に隠れてる過激派野郎は全部で何人だ!」

 その声と同時に、壁の陰にいた黒服の目の前に獣耳の少女達がいきなり現れる

「ぜんぶでー!」
「しちにんー!」
「だよー!」

 現れては消える獣耳少女が、黒服達の額をぺちぺちと叩いていき
 その額には先程の黒服のように文字が浮かび上がる
 それらの文字はそれぞれ一文字ずつ、『ぜ』『ん』『ぶ』『で』『7』『に』『ん』

「たーげっとー!」
「ろっくおーん!」
「れっつしゅーと!」

 一瞬で少年の元に戻った少女達
 少年は先程と同じように十円玉を引き絞り、放つ
 十円玉は空中で軌道を変え、正確に『ぜ』の文字が浮かび上がった黒服の額を強打し昏倒させる
 跳ね返った十円玉は勢いを落とす事なく、続けて『ん』の文字が浮かび上がった黒服に牙を剥く
 そして、二枚目の十円玉がちゃりんと床に落ちた時
 少年以外の黒服は全員撃ち倒されていたのだった

―――

「待てって言ってんでしょうが!?」

 沙々耶は意識を取り戻すと同時に、勢い良く立ち上がりそう叫んでいた
 の、だが

「ここ、何処よ」

 温かく、湿度の高い空気
 狭いようで広い空間は妙に音が響く
 立ち上がった身体はやや熱い程度のお湯で濡れそぼっており
 そして何より、沙々耶は全裸だった

「……お風呂?」

 そこは石造りの露天風呂
 ただ湯船と洗い場より遠くが湯煙で隠されて、何も見えないという点が異様に不自然ではあるのだが

「……お風呂では……静かにするべき」

 ぼそり、と
 そう呟いたのは、沙々耶の傍らで湯にとっぷりと使った女

「お風呂は……清潔さのためもあるけど……心身の癒しのためのもの」

 そう言われて、沙々耶は気付く
 骨の髄まで染みていたような疲労感が無くなっている
 そして、ざっくりと切られていたはずの太股にも痛みは無く、その傷跡すら無くなっている事に

「治って、る?」
「疲労回復……打ち身……切り傷……何でも効く……それが……お風呂の……温泉の癒しの力」

 勿論、実際の温泉にそんな出鱈目な治療効果は望めない
164 :悪党と黒服 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/24(月) 22:59:39.65 ID:4nL1N1pko
 これは彼女、Z-No.4126の契約都市伝説『癒しの秘湯』の効果である

「私がもう治ってるなら、メイは……私と一緒にいた子は!?」
「そっちも……私の同僚が保護してる……過激派の連中は……未だにこそこそ活動してるから……困る」

 はふうと息を吐き、ずぶずぶと湯に沈んでいくZ-No.4126
 鼻先まで湯に沈み、吐く息でぷくぷくと泡を立てながら、仁王立ちしている沙々耶にちらりと視線を向ける

「……何?」
「……胸……おっきい」

 ぷくぷくと泡が弾ける音に混じって漏れる、羨望の声

「世の中……温泉の効能に豊胸なんてのは……都市伝説でも無い……美肌とか若返りはあるのに」
「牛乳飲むとか揉んでもらうとか、そういう都市伝説ならゴロゴロあると思うけど」
「……他の人にしてもらうのは……恥ずかしい」

 そう言うとZ-No.4126は、ぶくぶくと頭まで湯に沈んでしまう

「それはともかくとして、保護してくれてる子はどこ? 心配掛けたくないから、顔合わせておきたいんだけど」
「Z-No.592が……色々事情を聞いてる……騒動の原因……放っておくとまずいらしいから」

 ざぷりと頭を上げて語るZ-No.4126の言葉に、沙々耶の顔が苦渋に歪む
 安全が確保されたせいか、それとも風呂の効能のせいか
 やや気が抜けていて忘れかけていた、ヴィッキーの顔が脳裏に再び浮かび上がる

「あの女か……『組織』の方でどうにかしてくれるのはありがたいけど、とんでもなく厄介よ?」
「でも……誰かがどうにかしなきゃ……いけないでしょ……それも……できるだけ早く」

 ドクターの研究成果は、元々『組織』のHナンバーとの協力体制で完成させたものだ
 それが奪われて悪用されようとしているのならば、奪還に協力するのも当然といった話らしい

「敵の正体や……居場所が不明瞭らしいけど……丁度……そういうの探すの……得意なのがいるから」

 そう呟いたその時
 湯煙の向こう側で、がらりと引き戸を開く音がした

「おーい、話ついたぜー! 俺、これからその悪党探してシメてくるから、『第三帝国』の子達は宜しく頼むわー!」

 ずかずかと浴場に踏み込んできた少年、Z-No.592の姿に、沙々耶とZ-No.4126の表情がびしりと固まる

「あ、まだ済んでなかった? 悪い悪い」

 わたわたと目隠しをしようとする獣耳少女達だが、そんな事を気にした様子もなくにかりと笑う
 その笑顔に、頑丈そうな檜の手桶が飛来し豪快にめり込んだ

「……お風呂に……服着て入ってくるな」
「あ、突っ込むところはそこなのね」

 ぶっ倒れて目を回すZ-No.592を、ざぷりと湯船から上がったZ-No.4126が、襟首を掴んでずるずると引き摺っていく

「あなたは……もう少しゆっくり……お湯に浸かっていって……私は……こいつを仕事に戻らせるから」

 ぺたぺたと濡れた足音を立てて、湯煙の向こうへと消えていく二人の影
 それを見送った沙々耶は、ふと気が付く

「そういえば、どうやって出るんだろうここ」

 Z-No.4126の特殊空間である浴場は、Zナンバーの詰め所に繋がっており
 浴場の出入りを知らせる呼び鈴の存在を知らずに全裸で出て行った沙々耶のせいで、Zナンバー男性陣が大慌てをする事になったのであった
165 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/24(月) 23:03:21.17 ID:4nL1N1pko
前回までのお話は
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316003174/924-925
をご参照下さい
更に前は過去ログまたはまとめWikiにてどうぞ

過去のモブを使い回したり思いつきのキャラをなんとなく出してみたり
キャラのイメージ絵も描き終わってないのにまた増やした事に気付いて頭を抱える今日この頃
166 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 23:25:32.94 ID:TTBUcfBr0
三面鏡の人乙です〜
助かったみたいで何よりだけど、メイたん殴った奴を屈辱的に殺したい
許可下りたらハイテンションで殺したい……時間的に多分無理かもorz
しかしこの「こっくりさん」なかなか面白いな
あと秘湯の子が可愛い(
167 :花鳥風月 † 風は薫る:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 23:33:08.29 ID:TTBUcfBr0
「……ふふふ、まぁいい、今日も退散させて貰うとしよう」
「おっさん!また逃げる気なの!?」
「そのおっさんと呼ぶのは止めて頂こうか。私の名はケセド…覚えておきたまえ」
「覚える気なんてないわよ!」
「喰らいやがれ!!」

光と炎が同時に放たれた時、
その標的となった、黒いマントを羽織った初老間近の男性―――ケセドは、
対峙していた「ロータス・ワンド」の契約者である百花達の目の前から姿を消した
否、厳密に言えば、彼は一瞬にして我々の住むものとは違う世界、所謂“異世界”へと移動したのだ
ケセドが今立っているのは、ただ闇が広がる真っ黒な空間
唯一の光は辺りを漂う青白い人魂のみ

「……くっ、またしても、あの小娘に………」

拳を握りしめ、先程の戦闘を回顧する
怒りを露わにする彼の元へ、忍び寄る影

「おや? ケセド様、また敗れたのですか? “慈悲”のセフィラは、私達が貴方に慈悲を向ける事で満たされるのでしょうか」
「…マルクトか」

足元まで届きそうな艶やかな黒髪を揺らす、妙齢の女性
その右の太腿には、ケセドの左腕にあるような十の真円が描かれており、一番下の円が小豆色に塗り潰されている
マルクトと呼ばれたこの女性
彼女こそが、この空間の生みの親―――「六道」の契約者

「どうかしたのですか? この町に来てから、セフィラの集まりが悪いのは貴方だけですよ?」
「黙れ。まだ、あの独特の空気に馴染めないだけだ。今度こそ、邪魔の無いようにセフィラを集める」
「しっかりして下さいね……セフィロス様のお怒りを買う事の無いように」

“セフィロス”
その名が出た瞬間に、ケセドの身体が大きく飛び上がったと同時に、脅えるように震え始めた

「………せ、セフィロス様が、いらっしゃるのか?」
「先程までは居られました。しかし、すぐに出て往かれましたよ」
「そう、か……」
「あれれれ〜? 誰かと思えばケセドじゃん、クッヒヒヒヒヒヒ…」
「ふぉっふぉっふぉ、こっ酷くやられたそうじゃのぅ」

聞こえたのは老人の声と少年の声
闇の奥から、黒いローブに身を包んだ、白い顎鬚を蓄えた老人と、
小学校中学年程度の、眼鏡をかけた少年が歩み寄ってきた

「コクマー、それにゲブラー…お前達もいたのか」
「一仕事終えた故、少し休憩にのぅ」
「クッヒヒヒ、それにしても最近ホント仕事してないじゃん、やる気あるのかなー?」
「貴様ッ…ゲブラー、俺を愚弄するのか!?」

少年―――ゲブラーに向かって、食い入るように詰め寄るケセド
飢えた獣のように唸る彼を、マルクトが制止した

「止めて下さい。仲間割れなど、セフィロス様に知れたらどうなるか」
「………ちっ、覚えておけ」
「おー怖い怖い」
「ふむ、しかしなかなか面白そうじゃのぅ、小童の分際で儂等に盾突くとは……
 どぉれ、明日にでも儂が遊んでやろうかのぅ」
「コクマー様が? 子供相手に“知恵”のセフィラが集まるとは思えませんが」
「ふぉっふぉっふぉ、なぁに、軽い腕慣らしじゃよ」
「ふん、お手並み拝見と行こうか」
「偉そうに言うじゃん? 負け犬の癖にさー」
「このっ……!!」
「何度も言わせないで下さい。明日は貴方も邪魔が入らないのですから、“慈悲”のセフィラの収集に専念出来るでしょう
 一刻も早く、全てのセフィラを集め、セフィロス様に献上するのです
 我等がセフィロス様の為に」





     †     †     †     †     †     †     †




.
168 :花鳥風月 † 風は薫る:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 23:33:57.67 ID:TTBUcfBr0
「ふーん、じゃあ都市伝説は、強くなったり長生きしたりしたいから、人間と契約するの?」
「うん、凡そそんな考えで大丈夫かな」
「何よそれ、あたしが子供っぽいみたいじゃない
 誰が幼女体型よ!?」
「ま、まだ何も言ってないし思ってもいないから;」
「…そ、そう? なら良いけど」

キノ爺との戦闘があった日の翌日、紅坂家の百花の部屋にて
百花は、自分よりも都市伝説に詳しそうだった白鷺 玄鳥に、都市伝説や契約についてのレクチャーを受けていた
実はこの2人、自宅がかなり近い、どころではなく隣同士なので、会うのはそれ程苦にならない
幼い頃は互いの部屋の窓を開けて話したりもしていたのだが、高校生にもなってそんな事出来る筈もなく
喫茶店などに行って友人に見つかると色々ややこしくなることもあって、渋々彼女は玄鳥を家に呼んだのだった
親の冷やかしを受けながら

「と、ところで、なんかごめんね、うちのお父さんとお母さんがあんなこと言って…気ぃ悪くした?」
「ううん、気にしてないよ」
「そう? なら良いけど…」
「それより、ちょっと嬉しかったかな」
「え?」
「ほら、子供の時はこうしてよく遊んだけど、大きくなってから話す機会も少なくなって
 ちょっと昔を思い出したっていうか」
「ッバ、バカじゃない!? べ、べべべべ別に、都市伝説に詳しかったら玄鳥じゃなくても良かったんだから!
 で、でも……ま、まぁ、久しぶり、だしぃ? ゆゆっくりしていけば?」
「うん、そうする」

にこっ、と微笑みかける玄鳥を見て、思いっきり顔を赤らめて目をそむける百花
因みにこの部屋にいるのは、百花と玄鳥の2人だけである
玄鳥の相棒であるコロとモッケは、今頃学校町の空を悠々と飛び回りながら喧嘩している事だろう
密室空間で2人きり―――その事実が、百花の心臓を高鳴らせる
その時、携帯電話の着信音が鳴り響く
漫画では胸からハートマークが飛び出したのだろう、びくんっと大きく飛び上がりながらそれを取り出したのは、百花だった

「………風音から? どうしたんだろ………もしもし?」
《あ、萌黄野 風音です、百花ちゃんお願いします》
「はい分かりましたー、おーい百花ちゃッってあんた今あたしのケータイにかけてるでしょうがぁ!?」
《そうだった、おはよー百花》
「もうお昼過ぎてるけど」
《そっちに向かってるんだけど、今大丈夫か知りたいんだぞ》
「え? 今?」
「どうかしたの?」
「ん、風音がこっちに来るみたいなんだけど、どうしy」
「お邪魔しまーす」

がらっ、と部屋の窓が開け放たれる
現れたのは、現在進行形で百花と通話している筈の萌黄野 風音だった

「ってあたしに決定権は無いのかいっ!? てかいつもいつも何処から来てんのよあんたはっ!?」
「え、何処って、俺の家からだけど」
「分かっとるわ! わざわざ窓から入らなくてもいいでしょうが!」
「えー、屋根伝いに走ってくる時は着地すると脚に響くから窓からの方が良いんだぞー」
「屋根伝いに来ることが根本的におかしいのよ!!」
「萌黄野さん、こんにちは」
「ッ!? し、白鷺…………ご、ごゆっくりだぞっ!!」

ぴしゃり、窓が勢いよく閉められた

「待てやこのド天然ンン!? 誤解よ誤解! というか何と誤解してんのよ!?」
「いや、あの、まさか白昼堂々とそんなことするなんて思ってないんだぞ」
「隠し事出来ない奴かい!?
 …良いから、用事あるんでしょ? 上がりなさいよ」
「改めてお邪魔しますだぞー」
「Just a minuts!! 土足土足!!」
「え?……あ、そっか、雑巾無いか?」
「そこまでして土足でいたいの!?」
「…あ、ごめん、アメリカと間違えたぞ」
「あんた未だに日本の海越えた事無いでしょうが!!」

……とまぁ、見ての通り
風音は少し頭があったかい子である
169 :花鳥風月 † 風は薫る:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/24(月) 23:34:30.24 ID:TTBUcfBr0
「ぜぇ、ぜぇ………で? 用って何よ?」
「そうそう、家の倉庫を掃除してたら、変なもの見つけたんだぞ」
「変なもの?」
「それ、僕も見て良いかな?」
「勿論、ちょっと待って」

突然、風音はぐいっ、とTシャツの裾をたくし上げた
ぽとり、何かが床の上に落ちる
アニメでよく見るような、巻物だった

「これこれ、これなんだぞ………って、白鷺?」

彼女の視線の先、玄鳥は必死に両手で目を覆っていた
百花はそこまでやっていないが、流石にドン引きである

「…何があった?」
「こっちが聞きたいわよ!? 明らかに見えちゃいけない物見えてたし!?」
「ん?………あ、ブラするの忘れてたぞ///」
「違うわよ! あんたブラしてッ……あ、合ってるわ」

何とか玄鳥を宥めると、ようやく本題に入った
広げられた巻物をまじまじと見つめる百花と玄鳥

「……ん〜、何て書いてるのか分からない…」
「でもこの字、漢字の『忍』に見えないかな?」
「ニン?」
「『忍者』の『忍』だよ」
「い、言われてみればそうね……見えなくもないわ」
「てことは……これってもしかして、患者の履物?」
「はい坊や、ちゃんとスリッパ履きましょうねーってちゃうわ!」
「もんじゃの漬物?」
「何かそれまずそう! じゃなくて、忍者の巻物だってば!」
「そうそう……で、それなのか?」
「断定はできないけど、その可能性はあるよ」
「おー、なんだか高く売れそうな気がするぞー」
「え、売っちゃうの?」
「ううん、爺ちゃんがいらないって言うから、俺の宝物にするんだぞ」
「あ、そう;」

何やら上機嫌に鼻歌を歌い始める風音を他所に、
百花と玄鳥はこそこそと内緒話を始めた

「…ねぇ、あの巻物って……」
「うん……多分、都市伝説だと思う。今のところは、危険じゃなさそうだけど…」
「どうする? 風音まで物騒な事に巻き込むのはちょっと……」
「僕も同じ気持ちだよ、でももう少し様子を見てから―――――」
「何の様子?」

ドキッ!と心臓が強く脈打った
どうやら風音は何も聞いてなかったようだが、その無知の攻撃は2人に効いていた

「そうだ、百花、昨日はごめん、お詫びにケーキ奢るぞ」
「ホント!? やったぁ!」
「あ、僕も行っていい? 誕生日にいられなかったから、僕もお詫びで
 僕の分は自分で出すから」
「気にしなくていいぞ、白鷺の分も俺が出すぞ」
「な、何だか悪いなぁ……」
「それじゃ、れっつごー」
「待ちなさい! 窓から外出しようとしない!」


   ...続く
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2011/10/24(月) 23:45:29.60 ID:uEnCLrHn0
進路オールクリア?
171 :吸血鬼、拾いました [sage saga]:2011/10/24(月) 23:53:42.37 ID:uEnCLrHn0
 呼吸が、乱れている
 足がもつれてきている
 …だが、立ち止まるな
 止まってはいけない
 逃げろ、逃げろ、逃げろ、逃げろ…

 月の下、息を切らせて青年は走る
 真っ赤な、血のような色の髪をした、西洋人らしき青年だ
 瞳の色も、同じように真っ赤
 すらりと長い手足をばたつかせるように動かして、何かから逃げるように走っている

 …逃げるように、ではない
 逃げている
 追いつかれたら、殺される
 青年の顔には、そんな恐怖が滲んでいた

 追いかけてくる
 追いかけてくる
 それは、クルクル回りながら、クルクル転がりながら、追いかけてきて

「−−−−っ痛!?」

 っび!と
 それが、青年の足元を駆けた
 その瞬間、青年の脚に裂傷が走り……青年は、そのまま足をもつれさせて転んでしまった

 …追いつかれた

「……ぁ」

 クルクル、クルクル
 回るそれは…「蛇」に見えた
 己の尾を咥え、フープのような形になって転がる蛇…フープスネーク
 猛毒を持っている、と伝えられている
 幸いと言うべきか何と言うべきか、青年に与えられた裂傷は、フープ状になって転がるフープスネークが産み出した鎌鼬のような現象で与えられた傷である為、毒は与えられていない

 ……フープスネークが、鎌鼬を生み出すと言う言い伝えなどあるか?
 否、ない
 ならば、何故、このフープスネークはそんな事が出来たか?
 それは、簡単だ

「追い詰めたよ、黒服さんっ!」
「……っ!」

 契約者がいるから
 ただ、それだけの理由

「よくやりましたね、倫子」
「えっへへー」

 黒服の女に撫でられ、無邪気に笑っている少女
 クルクル、フープスネークは転がり、少女の足元に向かった
 …この少女が、フープスネークの契約者なのだ

「さぁ、追い詰めたよ、吸血鬼!」
「っひ……」

 少女の言葉に、青年は怯えた声を出した
 顔に浮かぶのは、ただただ、恐怖

「……っご、ごめん、なさい…………殺さ、ないで………!」
「駄目ですよ」

 黒服の女は、静かに告げる
 がたがたと震え、体を縮みこませている青年を冷たく見下ろしながら

「貴方は吸血鬼。人にあだ名す存在です…「組織」として、貴方を処罰します」
「ゃ………俺、は、人は、襲わない……っ襲いたく……ない……」

 黒服の女の言葉に、青年は震えながら答えた
 …確かに、青年は吸血鬼なのだ
 人の血を糧とする生き物
 ……しかし、青年は己のその宿命を否定していた
 実際、もう数百年単位で、青年は人間の血を吸っていない…それでも青年が生き続けられているのは、この青年が吸血鬼としてそれなりの力がある証拠なのだろうか

「そんな言葉、信じられるとでも?」
「悪い人は、皆そう言うんだよー!」

 …青年の言葉を、黒服の女も、少女も信じない
 くるり
172 :吸血鬼、拾いました [sage saga]:2011/10/24(月) 23:56:16.39 ID:uEnCLrHn0
 フープスネークが、青年へと狙いを定める

「殺しちゃえっ!」
「………!!」

 クルクル、転がってくるフープスネークから、青年は逃れようとして…しかし、足に走った激痛に、動きを封じられてしまった
 …逃げられない
 ここで、殺される
 迫りくるフープスネークの姿に、青年は恐怖に駆られて目を閉じて


 ぱっ、と
 血が、辺りの道を汚した


 ぴぴっ、と
 青年の頬に飛んでくる、返り血

「……ぇ」

 恐る恐る、青年は目を開けた
 …飛び込んできた、真っ赤な光景
 己に向かってきていたはずのフープスネーク
 それが、切り刻まれた状態で、青年の視界に飛び込んできたのだ
 フープスネークの体から飛び散ったらしい血が、辺りを汚している

「え…な、何!?」
「……!」

 少女と黒服の女が、警戒の視線を向けてくる
 その視線が、己の後方へと向けられている事に気づいて、青年はそろそろと視線をそちらに向けた

 …日本人と、青年と同じ、西洋人だろうか
 西洋人らしき方は、その手に西洋剣を握っていた

「やぁ、大丈夫か?」

 日本人の方が、青年に声をかけてきた
 どこか気楽で、緊張感のない声
 …そんな日本人とは対照的に、西洋人の方はゆっくりと、青年に近づいてくる

「……ぁ、あ」

 かたかた、震え続ける青年
 …西洋人の持っている剣が血で染まっている
 フープスネークを切り殺したのは、西洋人の方のようだ

「何者です?」

 黒服の女が、乱入者二人を睨み付け、問うた
 すると、日本人はくっく、と笑い、答える

「お前達の敵だよ………強硬派」

 すたすたと、日本人も青年に近づいてきた
 青年は、ますます怯え、逃げ出そうとして…逃げ道などない事に気づく

 黒服の女とフープスネークの少女
 日本人と、剣を持った西洋人
 …自分は、挟み撃ちにあっている

「ほら、大丈夫か?」
「−−−−っひ」

 手を、伸ばされて
 青年は体を縮みこませ、短く悲鳴を上げた
 がたがた震えたまま、懇願するように叫ぶ

「っこ、殺さ、ないで………!俺は、人を襲わない、殺さない………殺したく、ない、襲いたくない………っ!」
「ふん、よくもまぁ、ぬけぬけと」

 黒服の女が冷たく告げる
 フープスネークの少女も、きっと青年を睨んで告げる

「悪いことを認めないのは、もっと悪いことでーす!」
「っち、違う……違う、信じて……!」

 縮こまっている青年は、ぼろぼろと涙を流していた
 殺される、と言う恐怖から
173 :吸血鬼、拾いました [sage saga]:2011/10/25(火) 00:03:38.15 ID:JNZqkSXP0
 信じてもらえない悲しさから

 自分が、人間じゃないから
 化け物だから、吸血鬼だから
 誰も信じてくれないし、誰もが自分を殺そうとしてくる
 自分が、人間じゃなくなったから、吸血鬼になってしまったから
 ……自分は、ただ、殺されるためだけにしか、生きられないのだ

 ぼろぼろ、泣きながら、ただただ「信じて」と言葉を繰り返すその青年の頭を

 ……ぽん、と
 優しく、撫でてくる、手

「……っ?」
「大丈夫、俺達は、お前の味方だよ」

 日本人が、優しくそう声をかけてきた
 …剣を持った西洋人は、青年の横を通り過ぎ、青年と黒服の女たちの間に割り込んだ
 す、と剣を黒服の女たちに向ける

「ねぇ、強硬派の黒服と契約者?こいつは、こんなにも怯えているんだよ。どうして、信じてやれないんだ?」
「信じるだけ無駄だからだ」
「…酷いこと言うね。そうやってお前達は、無実の都市伝説も殺すんだね」

 よしよし、と
 日本人は、まるで子供にでもするように青年の頭を撫でてくる
 戸惑ったように、日本人を見上げる青年
 日本人はにこり、青年に笑いかけてくる

「大丈夫、お前を怖がらせているものは、俺達が「なかった事」にしてあげるよ」

 なぁ?と
 日本人は、剣を持った西洋人に声をかけた
 西洋人は青年たちに背を向けたまま、こくりと頷く

「なっまいきー!私達が間違った事する訳ないじゃない!」
「そうかな?………「仕方ないから」と、一般人を巻き込んで殺すのも、相手の事情を聴かずに問答無用で殺すのも、間違ってないかな?」

 少女の主張に、日本人は問いかける
 本当に、正しいと思っているのか?と

「幼い子供を洗脳するようにして、道具みたいに使い捨てるのも、全部全部正しいのかな?」
「当たり前じゃない!だって、私達は無力な一般人のために戦ってあげてるんだから!!」

 少女が叫ぶと、少女の傍らに新たにフープスネークが生まれた
 どうやら、少女が生きている限り、いくらでもフープスネークを生み出せるらしい

「私達を否定するって事は、悪者だよねっ!じゃあ、死んじゃ」

 え、と
 少女の言葉は、最後まで続かなかった

 ばたん、と
 少女の、真っ二つになった上半身が……地面に、落ちる
 それと同時に、生み出されたばかりのフープスネークは、ふっ、と…まるで、初めから存在していなかったかのように、消え失せる

 その様子に、青年は短く悲鳴を上げた
 眼の前で、命が殺された
 その事実に、恐怖する

 西洋人の持つ剣は、さらにさらに、血で濡れていた

「っち……!」

 状況不利、と見たのだろうか
 黒服の女が、空中へと飛んで逃げ出した
 背中から生えた翼は、蝋でできているように見える

「「イカロスの翼」に飲まれた黒服だったか……うん、まぁ、夜なら使っても問題なさそうだよな」

 黒服の女を見上げ、呟く日本人
 …にやり、と
 笑みを浮かべ、西洋人に告げる

「でも、お前なら逃がさないよな」
「………」

 剣を持った西洋人は、その切っ先を黒服の女に向けた

 ぽふぽふ、ぽふぽふ
174 :吸血鬼、拾いました [sage saga]:2011/10/25(火) 00:12:56.21 ID:JNZqkSXP0
 日本人は、怯えて震える青年の頭を撫で続けながら、どこか楽しそうに問いかけてくる

「なぁ、お前。「カラドボルグ」って知ってるか?」
「……っし、知らない……ごめん、なさ…」
「あぁ、謝らなくてもいいよ、大丈夫…とりあえず、さ。あいつが契約してるってか、させられたのは、それなんだよ」

 西洋人が、剣を振るう

「その刃、どこまで届くと思う?」

 届くはずのない相手に向かって振るわれる刃
 そう
 届くはずがないくらいに、黒服の女は高い高い位置を飛んで、逃げようとしていたのに

 すぱぁんっ、と
 その胴体は、切り裂かれ………赤い血をまき散らす

「…虹の、端から端まで、さ」

 楽しげに笑う日本人
 西洋人の持つ剣……カラドボルグは、真っ赤に真っ赤に、染まっていて

 切り裂かれ、落下していく黒服の女
 しかし、その存在は、途中で、初めから存在していなかったかのように消滅して
 ただ、ただ
 辺りに、血の雨が降っただけだった

「…さて」

 す、と
 日本人は、座り込んでいる青年と視線を合わせるように屈んできた
 にこり、笑いかけてくる

「お前、俺と契約しないか?」
「……!?」

 びくりと、青年は体を震わせる
 怯えたように後ずさろうとするその体を、日本人は青年の腕を軽くつかんで制してきた

「何も、逃げなくても」
「……っご、ごめんなさい………契約、は、駄目だ…」
「どうして?」

 ふるふると、青年は首を左右に振った
 駄目だ
 契約は、できない

「俺は、器には余裕あるよ。今は何とも契約してないから」
「……駄目だ、契約、するのに…………血が、いるから……」

 そう
 都市伝説との契約には、様々な条件がある
 吸血鬼たる青年との契約に必要なのは……「血」
 青年が、相手の血を飲むことで契約が成立するのだ

「…人間、傷つけたくない………だから、ダメ……!」

 血を飲むには
 咬みつかなければいけない
 その肌に牙を立てなければいけない
 だから…契約は、できない
 青年は、人間を傷つけたくないのだ
 傷つける事を、拒絶しているのだ
 …だから、契約できない

 震えながら、半分泣きながら告げてくる青年の言葉に
 んん、と日本人はやや考えて

「あー、ちょっと、カラドボルグ貸してくれ」

 と、西洋人に告げて

「………」
「あ、こら、無視すんな」

 ぷい、と西洋人にそっぽを向かれていた
 仕方ない、と言うように日本人はため息をつくと…懐から、小さなナイフを取り出した
 それに気づいた西洋人は、驚いた様子で日本人に手を伸ばす
 だが、それよりも、早く
 日本人は、己の指先を軽く…本当に、軽く…傷つけて
175 :吸血鬼、拾いました [sage saga]:2011/10/25(火) 00:20:52.76 ID:JNZqkSXP0
 つぅ、と、そこから血を流した

「っ何を……!」
「だって、血がいるって言うからさ」

 初めて、声を発した西洋人
 日本人は、どこまでも軽い調子でそう言って
 …その、血を流す指先を、青年に向けてきた

「ほら、血はやるよ。だから。契約しよう?」
「………!」

 人間を傷つける事を拒絶した青年
 その青年に、日本人は自らを傷つけ、血を与えようとしている

 …じっと、青年は日本人を見つめた
 恐怖と、不安と、疑問が混ざった表情で

「……して」
「うん?」
「どう、して……俺と、契約するんだ…?」

 青年の、その問いに
 日本人は、やはり軽い調子で…しかし、どこか真剣な調子で、答える

「お前が、強硬派の被害者だから、かな」

 あいつらの被害者だから、と
 日本人は、そう言ってきた

「よほど怖い目にあったんだな?…大丈夫。これからは、俺が護ってやるよ。お前の怖いモノ、俺が全部「なかった事」にしてやるから」

 誘う声
 誘う血

 ぽたり、と
 青年の目の前で、血が流れる

「さぁ、おいで」
「………ぁ………あ」

 差し出される、その誘惑に
 長く、長く、血を得ていなかったその体は、耐えられずに

 −−−ぴちゃり、と
 青年は、その流れる血を、舐めた


 どくんっ、と
 体中に、力がみなぎってくる


「さぁ、俺と、契約してくれる?」

 問われた、その問いかけに
 ぴちゃぴちゃと、指に舌を這わせ、血をなめながら、青年は頷いた








 これが、初めての出会い
 吸血鬼の青年が、「組織」の強硬派と過激派を憎む二人に拾われた物語の始まり

 彼らが、この後どうなったのかは
 まだ、誰も知らない










fin
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/25(火) 00:22:46.78 ID:JNZqkSXP0
教訓:書きながら投下しているときは別の作業を終わらせましょう
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/25(火) 00:27:54.14 ID:MCscgWVg0
書きながら投下とかどうやるんだ
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/25(火) 00:30:27.06 ID:JNZqkSXP0
>>177
え、そのまま
テキストとかに書き込みながらこっちにコピペして投下していくだけの作業
179 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/25(火) 00:34:20.19 ID:7dX5o5Kao
>>166
> 助かったみたいで何よりだけど、メイたん殴った奴を屈辱的に殺したい
ははは、モブなんて誰が誰だかわかりませんから無理ですww

> あと秘湯の子が可愛い(
ブロブの時に適当にでっちあげた番号をそのまま使う事になるとは思いませんでした
でーんわーはーよいーふろー

>>176
> 教訓:書きながら投下しているときは別の作業を終わらせましょう
長くなると流石に大変ですやねぇ、乙ですよー

>>177
> 書きながら投下とかどうやるんだ
暇な時の単発とか、普通に専ブラの書き込み窓にちょいちょいとですね
まとめの時に見落としたりするのが難点
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/25(火) 00:35:46.64 ID:JNZqkSXP0
っつか、リアルタイムで書きながら投下とか別に珍しいことじゃないと思ってた
181 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/25(火) 00:51:29.59 ID:oUTn12lM0
くっ…何か適当に殺したい
内臓がにゅるにゅる飛び出す程度なら本スレおkだよね、ってかこっちはグロおkだったか

花子さんとかの人乙です〜
これが例の…あぁ、吸血鬼たんかぁいい
カラドホルグときたかそうきたか、実はナユタの契約都市伝説の案にあったんだよなぁ(
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/25(火) 00:58:50.27 ID:JNZqkSXP0
>>181
名乗ってないのにばれるレベルで見抜かれる俺は隠密作業に剥いてない悔しいビクンビクン


いやね、こっち用のキャラじゃなかったのにちらつかせたの罪悪感なのでこっち用にちょっと設定直して書いてみたんだ
問題は、あの三人元々こっちで使ってたとある三人をカードワースで自PCに使うように設定治して使ってた連中で、それをさらにこっち用の設定に直すという作業をしているので正直設定がカオs(ry

っつか、吸血鬼男だぞ
外見20代前半大柄男子だぞいいのか
183 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/25(火) 08:05:53.29 ID:oUTn12lM0
>>182
実は前に発言してたヒロインの話を覚えてただけで(ry
男でも良いです、掘られる妄想してたらあぁんイクぅ♪(やめろ
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/25(火) 12:54:06.27 ID:PlArCmZE0
>>183
ヒロインの話した時も名乗った覚えないんだがどんだけわかりやすいの俺
185 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/25(火) 13:01:00.23 ID:oUTn12lM0
>>184
男がヒロインの作者なんて唯一無二じゃないですk(焼き尽くされました
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 13:22:09.26 ID:Pz6EMz4AO
マジレスすると句読点
187 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/25(火) 13:26:10.06 ID:oUTn12lM0
>>186
あとあれですよ
花子さんとかの人って、オノマトペだけで一行になってる事が多いような
あの表現が好きで真似しようと思ったら、俺には活かし切れなかったorz
188 :あの野郎旅日記 [sage]:2011/10/25(火) 21:42:39.32 ID:+y+JLH3k0
男同士の濃密な友情描写といえばあの方しか居ない
すげえ勢いで進んでいておっつくのに苦労な今日この頃
メジャーなのよりマイナーな都市伝説使った方が皆輝くよね!
メジャーだとなんかやり尽くされている気がして自分としても書きづらいし
189 :花鳥風月 † 風は薫る:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/25(火) 23:50:43.24 ID:W03MselO0
【前半:>>167-169



     †     †     †     †     †     †     †





「んふふふふ♪ 美味しいケーキのバースデー♪」
「むぅ、白鷺がいてくれて助かったぞ…;」
「あはは…こんな出費になるのは僕も予想外だったけどね;」

日も暮れ始めた頃、3人は戦場から戻ってきた
陽気に歌を歌いながらスキップをしている百花とは対照的に、
風音と玄鳥は己の財布を覗いて苦虫を噛み潰したような顔でとぼとぼと歩いている

「2人ともありがとね♪ また来年も……あ、今度はお正月に……うーん、今年のハロウィンでも良いなー♪」
「もう勘弁して欲しいぞ……ショートケーキ5皿、チョコレートケーキ2皿、モンブラン4皿にミルフィーユ3皿……
 あの小さな身体に1万円以上のケーキが……奢るなんて言った俺が馬鹿だったぞ」
(あ、そういうのはちゃんと覚えてるんだ;)

百花を先頭に、家路を辿る3人
すると、突然百花のスキップが止まった

「ん? 百花?」

返事は無い
ただ、前方を見続けている
風音が玄鳥の方に視線を向けると、彼も同じような状態になっていた
恐る恐る前方を見ると、そこには黒いローブを羽織った如何にも怪しげな老人が立っていた

「ふぉっふぉっふぉ、楽しそうじゃのぅ、若人は元気が一番じゃ」
「? なぁ、あのじーちゃん知り合いか?」
「契約者……!」
「風音! 逃げて!」
「へ?」
「おやおや、そちらの娘さんは契約者で無いのかのぅ?………それは好都合じゃ」

にやっ、と老人が笑うと、ローブの中から左腕を露出させる
その左肩には、真円が規則的に並び、上から2段目の一つが灰色に塗り潰されたタトゥーがあった

「ッ! あれって……あんた、おっさんの仲間でしょ!」
「おっさん…む、ケセドの事かのぅ?」
「誰よそれ!」
「いや、合ってるよ;」
「ならその通りじゃ。儂の名はコクマー、“知恵”のセフィラを満たし、セフィロス様の完全復活を願う者」
「名前なんてどうでも良いわよ! 訳の分からない言葉ばっかり並べて、目的は何なの!?」
「あのー、さっぱり話が見えないぞ」
「萌黄野さん、早く逃げた方が―――――――」
「逃げて貰っては困るでのぅ」

左手の人差し指と中指を立て、胸の前に差し出し何やらぶつぶつと呪詛を唱えるコクマー
その時、何処からともなく青白い発光体が現れ、彼の周りを浮遊する

「おぉ、初めて見たぞ人魂」
「何暢気な事言ってんの!?」
「魂を呼び出した……?」
「ふぉっふぉっふぉ、儂は「降霊術」と契約しておってのぅ
 儂の元に、人間を含めた様々な生物や、この世で息絶えた都市伝説の魂魄を呼び寄せる事が出来るのじゃ
 まぁ、これだけでは何も出来ないんじゃが……」

ちら、とコクマーは視線を近くの電柱に目を向け、口角を上げて深く頷いた

「死して尚この地に彷徨い続ける憐れな魂……其方に新たな肉体を与えよう」

立てた指を狙った方向に向けると、発光体が真っ直ぐに電柱に向かい、ぶつかって消えた―――否、“融け込んだ”
その瞬間、電柱が激しい光を放ち、その姿を徐々に変えてゆく
コンクリートで出来た“身体”は蛇のように撓り、雷光を放つ電線が触手のように幾本も蠢いている
頭部と思しき先端部分には赤く輝く結晶体が2つあり、鋭い大顎と涎を垂らす大きな口があった

「バァァァァァァァリバリダァァァァァァァァァァァァ!!!」

怪物の咆哮が、雄々しく町中に轟いた
190 :花鳥風月 † 風は薫る:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/25(火) 23:51:16.10 ID:W03MselO0
「っな、何あれ!? あんなの有りィ!?」
「アノマロカリス……もしかして、「スカイフィッシュ」!?」
「左様、電信柱に「スカイフィッシュ」の魂魄を定着させた……宛ら『雷電飛魚』と言った所かのぅ」
「何だかダサいぞ」
「あんたまだいたの!?」
「むぅ、若人の趣味は分からん……さて、手並み拝見と行こうかの」

化物の触手から、激しい音と共に雷撃が発せられる

「やばっ!? 封印解除! 『スィギア・レウォルフ』!!」

ペンダントを手に取って「ロータス・ワンド」の力を解放し、光の盾を作り出す
雷撃は盾に阻まれ、横道に反れてゆく

「コロ! モッケ!」
「心得た!」
「もっけけけけけけ!! 一丁殺ってやらァ!!」

上空から、2羽のフクロウ―――コロとモッケが飛来し、
コロは光の壁を作り出して玄鳥と風音を包み込み、モッケはどす黒い炎を作り出して化物にぶつけた
しかし

「―――――――ッれ!?」

炎はアスファルトに直撃して消える
化物の姿は、何処にもなかった

「き、消えた!? 一体何処に―――――――」
「百花! 左だぞ!!」

え、と声を漏らしながら、杖の先端に光を込めて振るう
結果は大当たり、顔面にクリーンヒットした化物は、大きく吹き飛ばされてアスファルトを滑る

「あ、当たっちゃった……す、凄いじゃない風音!」
「えへへへ、これくらい朝飯前だぞ!」
(「スカイフィッシュ」は高速で動くUMAなのに、その動きに追いつけていた……
 並みの動体視力じゃない……萌黄野さんって一体…?)
「ほぅ、なかなかやりおるな。だがこれしきの事」

化物は再び飛び上がると、周囲に雷撃を放った
またも光の壁を生成し、身を守る

「へへーんだ、当たんないわよそんなの!」
「ッちょ、姉ちゃんよォ! 俺もそん中入れてくれよォ!」
「これくらい当たっても平気でしょ?」
「テメェは鬼か!?」
「隙有りじゃ」

直後、化物の姿が一瞬にして消える
と思えば、がつっ、がつっ、と鈍い音を立てて何かが百花の壁にぶつかってきた

「こ、これって……しまった!?」

百花の誤算
壁を作っている間は、その状態を保つ為に魔力を維持しなければならない
今この状態で攻撃しようとすれば、盾が消え、敵の攻撃を諸に受ける
逆にこのまま守り続けても、反撃が出来ない

「っも、百花!!」
「小僧! 何とかしろ!」
「わァーってらァ、クソ爺!! 『怪火・煉獄の陣』!!」
191 :花鳥風月 † 風は薫る:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/25(火) 23:51:47.13 ID:W03MselO0
モッケが黒い炎を当てずっぽうに投げつける
だが稲光が発せられ、それらは相殺して掻き消えた

「ちィッ、これじゃあ止めらんねェぞ!?」
「ふぉっふぉっふぉ、攻撃の手を緩めるでないぞ」

化物の手数が増えてゆく
光の壁に、徐々に罅が入り始めた
たらり、百花の額に汗が流れる

「くぅ………もう、限界…………」
「ふぉっふぉっふぉ、これでまず一人目じゃ」
「やめろぉ!!」

風音の怒声が響く
コロの結界から飛び出した彼女を、玄鳥が必死に呼び戻そうとした

「っ萌黄野さん! 外に出ちゃダメだ! 早くこっちに―――――」
「嫌だ! 俺は逃げない! 俺も一緒に戦うぞ!!」
「か……風音………」
「ん? ふぉっふぉっふぉ、何を言い出すかと思えば…
 契約者でもない人間が、この儂を討ち倒せるとでも思っとるのか?」
「確かに、俺には百花やじーちゃんみたいな、不思議な力は持ってない…
 でも! 目の前で戦ってる友達を見捨てて逃げるくらいなら! 戦って死んだ方がマシだぞ!!」

風音の強い想いに応えるかのように
彼女の懐から、先程の巻物が飛び出し、眩く輝きながら浮き上がった

「……え?」

ぽかん、としている風音だったが、
暫くして首を左右に振ると、気を引き締めて巻物を見据えた

「…頼む。お前が本当に忍者の巻物なら……俺に力を貸してくれ!!」

がしっ、と巻物を掴みとる
腕を通して彼女の身体に熱が流れるような感覚が広がった
う、と呻き声を上げるが、すぐに熱は引き、代わりに力が溢れてきた
192 :花鳥風月 † 風は薫る:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/25(火) 23:52:20.45 ID:W03MselO0
「……まさか……契約したのか?」
「今助けるぞ百花! 『忍法 分身の術』!!」

特撮の忍者で見るようなお決まりのポーズを取ると、
風音が2、3、4……10人にも増え、地面を蹴って高くジャンプした

「「「「「「「「「「喰らえ! 『忍法 金遁の術』!!」」」」」」」」」」

10人の風音が同時に手裏剣を投げ、無数の刃の雨となる
見事命中、手裏剣は化物の電線を切り刻み、放電が出来なくなった

「ミミフクロウ! さっきみたいに炎を飛ばすんだぞ!!」
「俺ァモッケっつゥんだよォ!! 『怪火・煉獄の陣』!!」

再び黒炎の雨を降らせるモッケ
今度は阻まれる事もなく、炎は化物に命中した
爆音を響かせ、化物は失速し地面に叩きつけられた

「バァリバリダァァァァァァァァ!!??」

防ぐべき攻撃が止んだことにより、百花が光の盾を解除する

「ありがとう風音! 後は任せて!」

くるくると「ロータス・ワンド」を回し、両手で持って構える
先端の蓮の花に、光が集まり始める

「聖なる光よ、善なる輝きよ
 憎悪、怨恨、悲哀、殺意、邪悪なる意思を全て討ち祓い、その者の心を清め洗え!
 百花繚乱! 『グナブ・ギブ・レウォルフ』!!」

巨大な眩い蓮の花が射出され、化物を飲み込んで覆い尽くす
ぱっ、と煌めく花弁が散った時、そこに異形の化物の姿は無く、ただ電柱が横たわっており、
青白い発光体が、空の彼方にすぅっ、と消えていった

「……ふぉっふぉっふぉ、成程、ケセドが苦戦するのも無理はないのぅ」
「お爺さん、まだあたし達とやる気?」
「これ以上は好き勝手させないぞ!」

百花は蓮の杖を、風音は手裏剣を構える

「そうじゃのぅ……今日のところは、ここで退散しようかのぅ
 そもそもはただの小手調べ……良い物を見せてもろぅたし、良しとしよう」

にやりと笑いながら、老人――コクマーの姿は、その場から忽然と消えた

「また消えた…昨日のケセドっていう人と同じだ」
「どうせ性懲りもなく来るんじゃないの?……それより、」

百花は風音に向き直り、その両手を強く握り締めた

「あんたすっごいじゃないのぉ! さっきのどうやったの!? ねぇねぇさっきの何なの!?」

目をキラキラ輝かせながら、彼女は風音に詰め寄った
えー、と風音は困ったような顔つきで後頭部を掻いた

「えーと、どうやったかは俺も詳しく分からないけど……」
「多分、「忍法」だと思うな。 ほら、『分身の術』とか『金遁の術』とか」
「でもそれ、都市伝説になるの?」
「実際に出来た訳じゃないから、都市伝説化しても無理は無いと思うよ」
「「えっ、忍者って分身しないの!?」」

見事なまでにハモった2人
このままモジュレーションして2人の組曲を響かせてしまいそうな勢いである

「……契約者よ、これは正直に説明するべきかどうか判断に迷いますな」

笑い転げるモッケを他所に、コロが溜息混じりにそう耳打ちする
玄鳥はただただ、苦笑するしかなかった

   ...続く
193 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/25(火) 23:57:01.07 ID:W03MselO0
ここ暫く人が少ない所為か達成感がない(ぁ
そんなこんなでようやく3話目完成、風音ちゃん降臨でしたっと
『「忍法」は都市伝説じゃねぇだろ!』ってツッコミは一切受け付けない、「魔法」と何が違うってんだ(コラ

次の第4話で『花鳥風月』のレギュラーメンバー勢揃いの予定
第5話でロリコンに会わせたら、「マヤの予言」編の準備に取り掛かりますの
194 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/26(水) 00:49:06.21 ID:6PCgJPsn0
>>193
乙です!!
相変わらずいいキャラしてるなぁ。うんうん。
忍者? 陰陽師がいるんだから大丈夫ですよ!!
テレビのヒーローとかも、子供の信じる心で都市伝説化するんじゃないかと考えてますし。

ああ、そういやそろそろかクロス企画……。

だがその前に投下!!
195 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/26(水) 00:49:42.48 ID:6PCgJPsn0
※ある日の夕暮 の続き

 空飛ぶ海賊船で現実逃避をしていたローゼは、突如部下からのお説教というラブコールをうけ、しぶしぶと山の裏に海賊船を下し、涙目で部下の元に走っていった。
 その前に、雄介と薫はメールアドレスや電話番号を交換していたりするのだが。
 そして、これはその後の出来事の、続きである。
「……何だったんだろうな。あの子供」
「そうですね」
 薫は違和感を覚えたまま、帰路を歩いている。
 だが、雄介は眉毛月のコアラのお菓子に関心が行っているらしい。
「なあ、このお菓子がどうかしたのか?」
「ええ、まあ」
 それに、先程から雄介にも違和感がある気がするのだが、薫の気のせいだろうか?
「これは、某お菓子会社メーカーの、レアものです」
「ん、そうなのか?」
「ええ、普通は眉毛は描かれていないのですが……二つも出るなんて、あの子は相当のラッキーボーイのようです」
「ラッキーボーイね……」
 その様な感じには見えなかったが、雄介がいうならそうなのだろう。
「それに、このコアラを食べると、幸運が訪れるとも言われています」
「……そう言われてみれば、都市伝説の気配を微かに感じるな」
「感じるんですか」
「感じるな」
「そうですか」
 やはり、どこか冷たい気がする。一体どうしてしまったのだろうか?
「今のお前、どこかおかしいぞ?」
「どこがです?」
「何だか、感情が抜けたロボットみたいだ」
「先程の事で、少々考え事をしてまして……」
「さっきってあれか? あの目つきの悪い男の事か?」
「……ああ、そっちもありますが、これは自分の問題なので」
「…………」
 と、言う事は、だ。雄介は恐らく、あの兄について考えているのだろう。
 喧嘩とはいえ、都市伝説のぶつかり合いだ。どこか大けがをさせてしまったという罪悪感。
 それに、あの兄はどこまでも追いかけ回すだろう。自分を、道具にするか、殺すまで……。

「ああ!! すいませんが先程の愛してるの『俺もだ』って、結局恋人確定って事なんですかー!?」

「そっちか!? お前さっきのシリアスクールカリスマ空気は何だったんだ!?」
「……すいません。脳の70%をそちらに使っていたものですから、大体しか覚えてないですはい」
「お前の脳はどうなってるんだ!?」
 今思い出した。雄介というバカは、空気を読まずに自分と本条薫という女の為にしか動かないという事を、薫は思い出してしまった。
 これはKYというレベルではない。絶対狙っている。
196 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/26(水) 00:50:26.19 ID:6PCgJPsn0

「それで、どうなんですか? あの〜返事?」
 あははははははは、と笑いながら頭を抱えている雄介。
 対して薫は、はぁ……とため息をつきながら頭を抱えている。
 だが気を取り直し、自分の顔より高いところにある雄介の顎を掴み、少し顔を赤くしながら、ちゃんと雄介の目を見ながら。
「……普通に恋人の愛してるって意味で受け取っておけ」
 薫は顎を突き離し、つかつかと顔を赤くしながら先を歩く。
 その言葉を聞いた雄介は、一気に顔を赤くし、サッと恥ずかしがって後ろを向いてしまう。
「おい!! さっさと帰るぞ!!」
「は、はい!」
 雄介は薫の隣を歩き、互いに手をつないで、夕日を背に歩きだした。


197 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/26(水) 00:50:52.03 ID:6PCgJPsn0

「そういえば」
「ん?」
 だが、そんな空気に耐えきれなかったのか、雄介はもう一つ気になっている事を話し始めた。
「あの時、先輩……龍一さんでしたっけ?」
「ああ、あれがどうした?」
「明日葉ちゃんが『この二人と知り合いか?』って聞いた時に、龍一先輩は『……顔見知りでは、ある』と答えました」
「だな」
「……あれって、自分の事も入っているんですかね? 顔見知りに。私がファントムだって気が付いていたんですかねぇ?」
 学校でもあいさつ程度ですし、と補足した。
 だが、それはないと思う。彼は都市伝説ではなく、自由に都市伝説になる事ができる身体能力の高い人間だ(屋根の上を普通に飛びまわっているので、高いと思う)。
 普段の彼には都市伝説と感じるものは無く、ファントムと比較すると、声もたたずまいもまるで違う。
 よって、ありえないと思うのだが……もしかしたら分かっているのかもしれない。
「でもまあ、いい人そうで安心しましたけどね」
「……警告しただけで親切ってのは、解釈が少し大きすぎないか?」
「いいじゃないですか。そういうふうに考えても」
 相も変わらず、雄介はのんきだ。
「だが、あの幸太って子供は実はサバよんでるな。猫どころかチワワ被ってるだろ」
「引っかかるものはありましたけどね」
 二人はそんな話題も、幸せそうに、笑顔を浮かべながら話していた。
 まだ見ぬ未来へ、歩きながら。



「そういやマヤ文明がそろそろ世界が終るとか予言してなかったか?」
「この町なら本当になりそうだからやめて下さいっ!!」

 世界が終らなければ、続く……
198 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/26(水) 00:52:16.90 ID:6PCgJPsn0
投下終了。
龍一君は雄介がファントムだと本当に気付きそうだから怖い。

投下配分を間違えたのは秘密なのだぜ!!
199 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/26(水) 01:01:38.75 ID:m+8W/TpE0
DKGとファントムさんの人乙です〜
そうだしまった、『赤い幼星』の方で後日談書くんだった……間に合わなかったらごめんなさいorz
しかしとうとう薫たんがデレた……だと……!?
本格的に雄介もげろもげろもげろ(消されました

そして地味にフラグがwwwwwwww

>>194
>相変わらずいいキャラしてるなぁ。うんうん。
相変わらず……だと………
そんなに良いキャラ書いてるだろうか、俺wwww
変態しか書いてないイメージが強い(ぁ

>ああ、そういやそろそろかクロス企画……。
あと2日間でまず『花鳥風月』を2話書かなければならないという…
先生、今4話書いてるけど、もう眠いです……orz
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/26(水) 01:31:46.02 ID:K//oHeiU0
午後3時、昼より少し遅い

狼オトコの一件から4週間、夫婦の体調も良くなり、創真の傷も殆ど治り
左手の小指と腕の骨を折ったようで、腕を巻きつけた包帯を首からぶら下げている
じわじわちびちびした痛みに苛々しながら、虚しく自身にぼやいていた

「ああ全く、なぜあの時の僕は左腕を下にしながら転んだのだ、しかしこれは中々過ごしずらい」
「まぁまぁ、屋根から落ちなかっただけでも良かったじゃない、少し腹が減ったねぇ、何か食べに行かないかい?」
「左手を使わないものを頼むよ」
「それは判ってるけど、片手で食べれるものに重いものなんて有ったかねぇ?」
「別に重くなくても構わないのだがね、乳製品なんてどうだ、特に君の場合…」
「それ以上は怪我人でも容赦しない」

懐に余裕もあり、中身は欲望の免罪符が重なり合いながら犇めき合える状態だ
彼らは行く当ても無くとぼとぼと車が行き渡る国道端一本道を、渡る渡る渡る
駐車場、酒屋、焼き鳥屋と続き、歩きながら読書をする彼を余所に、途中暇そうにする彼女ももう限界に近づいた頃
距離、ほぼ500mの所に有る商店街らしき入り口に、レストランが見えると同時に、彼女は嬉しそうに彼の手を引き店へと走り寄った

「もうお腹が限界ね、庁が分け隔てなく縮まりそう・・・創真ァッ!とっとと行くよッ!」
「あっ、ちょ・・・少し待ちたまえ、今いいところなのだっ・・・ちょっ」

創真の持つ本が風に靡くほど引っ張られ、本に掛かるブックカバーが外れ掛ける、そんな事お構いなしの彼女は
そのまま店へと入店し偶然にも待合場に人が居なかったため、そのまま開いた席へと少し気になる客の視線が誘導した
突然の事と彼女の表情に少し引き気味の店員に創真が注文をして、奥のカウンターテーブルへ座る
彼女はそのままテーブルへと突っ伏し、力尽きるように脱力した、創真は何事も無かったかのように本を読む

「君は何時もこういう所で派手にやり過ぎる、もう少し場を弁え給えよ」
「その事については謝る、でもね」

しばらく突っ伏していた彼女が生き返るように起き上がり、げっそりした表情と共に丁度届いた注文の品を見る
シーフードグラタンとチーズケーキ、果てはミルクセーキ、見渡すばかりの乳製品は、げっそりとした彼女の表情を横目に向かせた

「遅すぎる昼ご飯にしては、拷問だろう?これ、せめてミルクセーキじゃなくてコーヒーミルクにして欲しかった」
「君の為だ、それに好き嫌いに対しては拷問とは言わない、あれらは大抵虫のせいだよ、香辛料のビンの中で蛾が飛んでたり蛆が湧いたり」
「食事中にそんな話よして、まいいや、頂きます」

きょとんとする創真にああまたこのパターンかと、嘘をついている様子もからかわれている様子も無く半ば諦める彼女、銀色の眉を吊り上げながらグラタンを頬張る

「やっぱり、乳製品は駄目ね、舌に合わない」
「そう云いつつも匙が進んでるじゃないか、やっぱり・・・いや、なんでもない」
「やっぱりなにさ、こうしてきちんと食べれてるじゃない」

口ごもる創真を怪しみながらも我慢して苦手なものを口へと運ぶ、ミルクセーキを飲み終えたところで
後ろの席から世間話が聞こえてくる

「最近ここらも変にぶっそうよねぇ、山なんてそんなに大きくないのに熊が出たり、最近では竜を見たなんていう人も居るよ」
「ここら辺は田舎じゃ無いと思ってたんだけどなぁ、ここらにもでっかい狼のお化けが出たっていうし、気をつけないとなァ」
「それじゃ田舎って言うより辺境ね、まぁ今に始まった話じゃないけどね」
「でも人間を化け物にしてる奴らが居るらしくてさ、この前友達がそれ観たらしいんだけど、変な格好したやつらが道端のおっさんにに変な刃物みたいなの刺したら
そいつが、トカゲっぽくなってどっかいっちまったんだよ、なんかしらね?」
「蜥蜴男なら知ってるけど、その話はよくわかんない、人間がそれにされちゃうの?」
「らしいけどよくわからない、ブッ刺さったら急に格好が変わって蜥蜴みたいになったってさ」

それから延々と話が続き、話題がコロコロ変わる、恐らく学生だろうか
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/26(水) 01:33:00.54 ID:K//oHeiU0
その話を聞きながら創真は、本を読まずに持ちながら疼くように携帯を弄りだし、不敵な笑みを浮かべガッツポーズをする
良心からの乳製品攻めを耐え抜いた彼女は、紙ナプキンで口を拭き押さえごく自然にけぷっと月賦する、自分の月賦の臭いで少し戻しそうになった

「蜥蜴男、本当にそんなものが居るのか?・・・しかも巷で囁かれる普通のものとは違う、興味深い」
「そうね・・・仕事が増えそうね、特にサービス残業が」
「気になるんだ、前の夫婦だって2ヶ月前から奥さんは普通に過ごしていたと言うじゃないか
本物の狼男に噛まれた訳でもなかった、何か切欠があってそうなったのだろう」
「例えばどんな?」
「そうだね・・・改造されたとか、いや、君の観る特撮物じゃ有るまいし・・・対峙して見て何か思い当たるものは無かったかな?」

創真の疑問に答えようにも、どこか説明があやふやな彼女、余程不思議な出来事だったらしく眉を吊り上げながら上を向き
挙動不審に腕を振るジェスチャーにもならないジェスチャーをした

「う〜ん、思い当たる節ねぇ・・・頭に何か刺さってたような、こう、ガラスみたいな塊がグサっと」
「頭に?」
「そう、脳天直撃、人間でなかったら死んでたろうね、いや怪物でも死ぬ」
「ふぅむ・・・」
「あの時は必死でさ、行き成りベルトは飛んでくるわ、特撮ヒーロー張りに変身するわでよく判らなかったのさ」

変身の単語を聞いた瞬間、創真が人差し指の関節に顎を乗せせせら笑いする

「幾らなんでも変身は無いだろう、夢でも見ていたんじゃないか?一度捕縛できた相手だ、君なら何とかできたろうに」
「少なくとも素手じゃ無理さね、肉が厚すぎる」
「まぁいい、変身したのなら証拠を見せたまえ」

先程の笑いの表情が失せ、打って変わって真剣な眼差しで見つめながら、手のひらを見せ五本全部の指を上げ下げ
それをみて彼女はにやりと笑い、鍋を持ったようにジェスチャーし、手のひらへと置いて要求した

「今日おでんね、餅巾着多目、昆布で縛った奴」
「了承した、だからほれ」

その動作を無視するように更に指を上下、表情はいたって真面目だが、どこか強請る様にも感じられた

「こうなると聞かないね、ほんと、えっと、あの置物は・・・あ、たぶん家にあるよ」
「なら帰ろう、今すぐにだ」
「えぇ・・・ちょっ、鍋の具材は?愛しの餅巾着は?」
「まだこの時間だ、どうにでもなるだろう」
「ならんよもう16時、少なくとも創真が急いでくれなきゃ卓に着くのは22時は超えるよ」

呼び鈴を鳴らし、会計表を受け取ると、そそくさとカウンターへ向かい済ませると、急いできた道を戻る



場所は変わって事務所、いつも特撮物の録画ビデオを見ているテレビの前のソファで彼女は座る
安楽椅子に座る創真は前かがみになりながら船漕ぎを繰り返し、テーブルの上に置かれているそれを凝視する

「成る程、何時かのこれが君の身の危険を護ったと」
「護られたかどうかは正直微妙だけど、現に体は此処にある」

狐の形をした岩石のそれと光を放つ棒状の端末は、あの時ののような頼れる雰囲気は無く、唯の玩具にしか見えない
創真はそれを胡散臭がりながらも、興味深いようで、眼を細めながら頷く

「少し、持ってみてもいいかい?」
「何を今更、観るなら観るで速くしてね」
「判ったよ、えっとまずはこれから観ていこう」

まずはと端末を取る、表面にはアルファベットのFが刻まれ中の液体は
色を変えながらとろとろと端末内部を流れている、どこか試験管を思わせる風貌のそれは

「確かこの形、何処かで見たことがある・・・たしか、遺伝子実験用の試験管だ、これを作った奴は何がしたかったんだ」

創真が端末を彼女に近づけると、今まで色が一定しなかった液体の色がまるで、持ち主を選ぶように青白く変わり点滅する
案の定、彼女から離すと色はまた不定になり光が消える

「どうやら君に反応しているようだが・・・何故だ?」
「判るわけが無いでしょう、生まれてこの方記憶の隅にもこんな物は見た記憶が無いよ」

次に狐のオブジェの方に手を伸ばし掴む、だが掴んだその瞬間創真に異変が起こる
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/26(水) 01:34:28.48 ID:K//oHeiU0
次に狐のオブジェの方に手を伸ばし掴む、だが掴んだその瞬間創真に異変が起こる

「な・・・何なのだこの臭い、硫黄?それにしても酷い臭いだ・・・それに、眩暈が・・・」
「今すぐそれから手を離しなさいな!」

徐々に血の気が引き様子のおかしい相馬を見て、驚いた彼女は急いで奪い取る
奪い取ると創真の血の気も良くなって行き、少し疲れた様子を除けば何事も無かったかのように振舞えるようになったようだ

「今のは何だね?硫黄の臭いがしたのだが、何かしたのかね?」
「硫黄?その事はよく判らないけど、顔色がどんどん悪くなるのだけは判ったよ、大丈夫?」
「だが、この通り元気そのものだ」
「それで、何かわかったことは有る?」

創真に駆け寄り、肩を貸すことを提案する証として彼女が腕を貸し出す
でも彼は腕を押し戻し立ち上がる、彼女は心配そうに創真を見つめて押し戻されるように戻す

「そうだ・・・何か妙な感じがした、こう、何かを吸われるような感覚がした」
「吸われる?この置物に、何を吸われるのさ」
「そうだね・・・よく判らないが、生きた心地がしなかったのは確かだ、そういえばこの置物を見て思い出したのだが、君は殺生石という物を知っているか?」
「殺生、投石でもするの?」

「そんな訳無いだろう、殺生石というのは近づいたら皆死ぬ、そんな石らしい、伝承によれば九尾の狐がそこで倒されて死ぬ間際に石に化け
毒を吐いて近づく生き物の命を皆奪ったそうだ、その後砕かれて世に広がったとされている
栃木県に現物が有るらしいが、そこは危険なガスが沸く公園でね、近くで温泉をやっているらしい」

「なんで温泉なのさ、殺生石は狐が化けたものじゃないの?」

普通ならそんなにおかしくも無いよく有る伝承だが、疑問があるのか不思議そうな反応を示す彼女
その様は正に世間を知らない其れで、普通なら唯の言い伝え、と割り切れたりそっぽを向かれるが、彼女の場合はそうもいかないらしい

「君は本当にそんな物を信じていたのか」
「何故って現物があるのに嘘だと判るのさ?現に此処に実物があるじゃない」
「殺生石が砕かれた年には火砕流があったのだ、それに昔からあそこは火山活動が活発で
今じゃ収まってはいるが、殺生石の毒の元になったであろうガスはまだ出ているのだ、殺生石があっても九尾が居たという証拠にはならない」

伝承を信じたがる彼女は、胡散臭いものは簡単に信じるなと戒めるように歴史上の出来事を連ねる創真に
サンタクロースは本当に居ると言って聞かない子供のような振る舞いをする彼女を
年の離れた兄のように言葉の最後に気をつけ給えと付け加え、宥める

「むぅ・・・でも、これが殺生石だとするなら、なぜこの事務所に届けられたのさ」
「それを僕が知るわけ無いだろう、恨まれる当ても無いし、余程の事でもなければ面倒ごとには突っ込まない」
「嘘おっしゃいっ、その面倒事に首を突っ込む仕事に就いてるのはどういうことなのさ、余程の物好きじゃなきゃこんな所に依頼なんて来ないよ」

創真は当然だと言わんばかりに胸を張り、理由を語る

「僕の興味が引けば依頼を受ける、先程レストランで話しをしていた学生の内容に繋がりそうな事件が体験できればそれで良い
そもそもこんな所に来る物好きだからこそ、やりがいの有る仕事が請けれるのだろう」
「野次馬なんてやってるつもりは無い・・・」

彼女は思い返すように俯く、その行動に対し創真は問いかける

「君は野次馬をしていたのかい?」
「そうじゃない、絶対違う、唯、不完全燃焼は大嫌いなのさ」
「だろう?僕だって少なくとも楽すぎる仕事は嫌いだよ」
「何でさ」

怪しそうにソファから創真を見上げる、そして創真は彼女に対して笑いかけながら口にする

「鈍りたくないからね、そのせいで有意義な物が観れなくなるのは困る
人間の常識なんて高が知れてるんだ、常識の外が見たい」
「結局自分の為じゃない」
「君だってそうじゃないか」
「それもそうねぇ、でも自己満足じゃハッピーエンドなんて観れないよ」

ふと彼女が上を見る、壁に掛かっている時計を見るためだ、結構長く事務所に居た気がするからでも有る

「19:50分?」
「そうだ、今日はすき焼きにでもしないか?」
「断る、何故ならちゃんこが待っているからだ」
「確かそんな事を言っていたような気がする、それよりもう8時じゃないか、そろそろ買い出しに行かなければ拙いのでは?」
「具は餅巾着以外認めない、絶対に」

眼を細めた笑顔のままで創真の右腕を引き、厚い財布を鷲掴みにしながら創真を引き摺る
左腕がどうなろうと彼女にはお構いなしのようだ

「ちょっ・・・クレジットカードなどが曲がってしまうが言いのかい?」

その言葉に一度静止をした後に財布を懐に入れ事務所を無言で出た
後にスーパー内の油揚げと餅を棚の中身ごと掻っ攫いながら、閉店時刻ギリギリの店内を引き摺り回される創真だった

一寸した生活場面 其の1
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/26(水) 01:45:57.88 ID:K//oHeiU0
続くって加えた方が良いのかな?これ
204 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/26(水) 02:25:34.87 ID:Ws2CzSt70
乙です〜
ほう、殺生石とな…創真くんじゃないけど興味深いね
そして何やら陰謀の予感も……続きが気になりすぎる!

因みに、『続く』みたいな表記は自由ですぜ
入れてらっしゃらない方もちらほらいますし
ただ、投下後に「投下終了です」みたいなレスを忘れずに
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/26(水) 02:57:48.28 ID:K//oHeiU0
おk、次から気をつけますぜ
206 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/26(水) 11:20:12.92 ID:Ws2CzSt70
話題がなさすぎる…
そういや、新たな変身キャラを作りたいんだけど、
何か斬新な変身機構とかありゃせんかね?
ライダー風が多いから、もっと別な奴にしたいのよ、ビーファイターとかシャンゼリオンとか牙狼とか
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/26(水) 12:30:47.32 ID:zavepiMAO
一回変身する毎に変身した人の命を戦闘終了時に奪うぼくらの方式
は、ナユタっぽいな
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/26(水) 12:45:17.09 ID:SG7vqbJa0
変身な…
魔法少女風に一瞬全裸になる変身一押し


男の場合?
知らん
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 12:59:30.21 ID:P+TXcCgDO
変身方式
電話に出たら変身とかどうよ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/26(水) 13:11:35.76 ID:SG7vqbJa0
電話ボックスに入って変身…

って言おうとしたら最近電話ボックス減ってるんだよね
そして、電話ボックスの中が丸見えな日本じゃダメか
211 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/26(水) 14:06:25.06 ID:m+8W/TpE0
帰宅、皆ありがとう、そしてありがとう

>>207
『ぼくらの』ってそんなだったのか……それで『アンインストール』か
面白いけど確かにナユタに似てる…惜しい、ナユタなんて出さなきゃよかった(ぁ

>>208
>魔法少女風に一瞬全裸になる変身一押し
頂こう
でもこれは『花鳥風月』に頂こう(←やはりエロが無いと続かないと悟った

>>209
>電話に出たら変身とかどうよ
何それ面白そう、元ネタとか補足とかありましたらkwsk

>>210
スッパマンとショッパマンかwwwwww

>って言おうとしたら最近電話ボックス減ってるんだよね
いや、学校町なら結構あると思う
公衆電話の都市伝説もあるし………待てよ?

「あはははははは!!真っ赤に染めてやるよあはははははははは!!」
「くっ、電話ボックスさえあれば……あ、あった!」

バタンッ

「よし、早速変身だ―――」

プルルルルルルルルル

「ん、電話だと?……もしもし?
《           死            ネ            》


こういう罠を受けやすいと…良さ気(マテ
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/26(水) 14:36:09.46 ID:SG7vqbJa0
>>211
どちらにせよ、中身が見える電話ボックスで変身したら…もし、お着替え方式の変身だったら、公開生着替えになってしまう


電話ボックスで変身と言えばスーパーマン
213 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/26(水) 14:47:25.15 ID:m+8W/TpE0
>>212
スーパーウーマンにすれば良いんですね分かりますん(ぁ

てか、スーパーマンの存在忘れてたよorz
スッパマンの元ネタだよね、よくよく考えると
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/26(水) 15:02:49.11 ID:SG7vqbJa0
>>213
あえて嫌がらせの如くおっさんでやるのではなかったのか

スッパマンとか懐かしすぎておじさん涙が出るぜ
215 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/26(水) 15:35:39.78 ID:m+8W/TpE0
>>214
>あえて嫌がらせの如くおっさんでやるのではなかったのか
おっさん主役の話も書きたいけどねぇ
描けないんですよ、おっさんの絵orz

>スッパマンとか懐かしすぎておじさん涙が出るぜ
平成版の悟空が出る話は良かった
DBで同じ展開があったが、まさか逆輸入するとは……
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/26(水) 15:47:02.00 ID:SG7vqbJa0
>>215
平成版のDrス○ンプはタロサの髪型がリーゼントじゃないからなぁ…と思ってしまうおっさん世代


これだけだとあれなんで変身的話題を出すならば、動物の毛皮をまとってその動物に変身とか
217 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/26(水) 15:57:15.40 ID:m+8W/TpE0
>>216
>平成版のDrス○ンプはタロサの髪型がリーゼントじゃないからなぁ…と思ってしまうおっさん世代
俺はみどり先生に違和感を覚える
いや、平成版の方が綺麗だけど、てか当時は恋をした(ぁ
声は皆口裕子さんだったかな?

>これだけだとあれなんで変身的話題を出すならば、動物の毛皮をまとってその動物に変身とか
猫に変身して「これぞまさに猫を被る、なんつって」とか(やかましい
冗談はさておきそれも面白そうな、使えそうな奴探そうかしら
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 18:02:42.91 ID:P+TXcCgDO
ワシントン条約で戦えなくなるヒーローか…
219 :花鳥風月 † 月は満ちる:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 00:12:28.72 ID:ub4e6lu60
「―――――――で、都市伝説は強くなったり長生きしたりする為に、人間と契約するの! 分かった?」
「うん、分かったぞ」
「……ホントに分かってるの?」
「うーん、やっぱり全然分かんないぞ」
「どっちよ!?」
「あはは; まぁ、仕方ないよ、僕も最初は全然分からなかったし;」

明くる日、百花は玄鳥と一緒に、風音に都市伝説について教えていた
今日3人が集合したのは玄鳥の家である
この日は彼の両親は朝から外出していた為、百花の両親のような冷やかしを受けずに済んだのだった
という裏話はさておき、都市伝説講座は意外にも難航していた
ご存じの通り、風音は少し頭の中身が可哀想な事になっているのもあるが、
元より風音は覚える事が苦手だったりする……とは言え、金銭が絡むと物覚えが良くなるのだが

「もっけけけけ! くノ一の姉ちゃんも馬鹿だし乳デケェしで最高だなァ! 派ァ手に気に入ったぜェ!」
「…小僧、下品な発言は慎め」

因みに、今回は玄鳥の家なので、コロとモッケも参戦している
と言っても、喧嘩しかしていないが

「あァん? 俺が何言おうが勝手だろうがクソ爺!!」
「軽々しい発言で相手の心を傷つける事もあるのだ、それくらい分かれ」
「テメェ今日という今日は焼き殺してやらァ! 覚悟しやがれ!!」
「おーやれやれー」
「やめなさいっ!? あんたも煽って無いで止めなさいよ!?」
「ほ、ほらコロ、モッケ、ご飯あげるから」

何処から持ってきたのだろうか、玄鳥は2匹の生魚を摘んでコロとモッケに食べさせる
2羽は静かになり、嘴をいっぱいに広げて、上を向いて生魚を丸呑みにする

「………………………ングング」
「………………………ングング」
「「あ、可愛い」」
「食べてる時は大人しいんだけど…;」
「ゴクッ……あ゙ー美味かった。けどよォ、偶にゃネズミとか食ってみてェもんだけどなァ」
「ね、ネズミなんて食べるの?」
「我々フクロウは猛禽類であるが故、致し方ない」
「ん? ネズミならあるぞ、買ってこようか?」
「…萌黄野さん、ネズミなんて何処かに売ってるの?」
「売ってるぞ、ペットショップで1匹1000円くらいで」
「それハムスターでしょ!? やめなさいよ!」
「何で?」
「単純に可哀想でしょうがっ!?」
「………あ、あぁそっかぁ」
「えぇそうよ、全く風音ったら」
「日本に野性のハムスターいないから、まずいかも知れないからな」
「あんた馬鹿ぁ!?」
220 :花鳥風月 † 月は満ちる:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 00:12:58.92 ID:ub4e6lu60
風音の相変わらずの抜けた発言に、思わず苦笑する玄鳥
と、何かを思い出したように、彼は顔を上げた

「そうだ、萌黄野さん」
「ん?」
「昨日、百花やコロ達を見ても、殆ど驚いてなかったように見えたんだけど……もしかして、都市伝説の事知ってた?」
「そういえばそうね、私は初めて見た時腰が抜けそうだったけど」
「いやぁ、最初は俺も驚いたぞ、電柱のお化けが出た時は
 でも百花と白鷺が不思議な力使ってたから、最近は皆持ってるもんだと思ったぞ」
「何かそれ大きな誤解っ!?」

盛り上がっている時、ピンポーン、とインターホンが鳴った

「はーい…ごめん、ちょっと待ってて」
「うん、その代わりにこの子達借りるわよ」

コロとモッケの羽毛をもふもふし始める百花と風音を背に、
玄鳥は部屋を出て階段を下りていき、玄関に着くと靴を履いてドアを開けた

「すみません、お待たせ致しましt」
「くろぴーーーーーーー♪」

瞬間、玄鳥の目の前が真っ暗になった
ばたんっ、と勢い良く玄関先で倒れた事と、何かに抑えつけられて息ができない事だけは分かる
苦しい
彼は助けを求めるように、右手で床を叩いた

「騒がしいわね、何があったのよ玄鳥ッ……っ!?」
「白鷺ー、コロとモッケに餌あげても良いかッ……っ!?」

音を聞いて駆けつけた百花と風音は絶句した
目の前には、派手な白いドレスを着た、自分達と同い年くらいの見知らぬ少女が、玄鳥に伸しかかっていたのだ
しかも、玄鳥はその顔を少女の豊満なバストで抑えつけられており、呼吸が困難になっていそうだった

「ムグッ、ムムムグゥ〜〜〜〜〜!!??」
「くろぴー♪ とっても会いたかったの♪」
「「きゃあああああああああああああ!?」」

すぐさま少女を引き離し、手際良く玄鳥を救出する2人
けほっ、こほっ、と彼は数回咳をした後、数回深呼吸してようやく落ち着いた様子だった

「ッハァ、ハァ………し、死ぬかと思った;」
「く、くろぴー、大丈夫なの?」
「あんたがやったんでしょうが! 一体誰なのよあんたっ!?」
「月夜、何で君がここに……?」
「えへへへ、くろぴーに会いたくて来ちゃったの♪」
「…白鷺、知り合いなのか?」
「紹介するよ、僕の従姉妹、蒼樹 月夜(アオキ ツキヨ)」

きょとんとした表情で、少女―――月夜は可愛らしく唸りながら、首を傾げる

「くろぴー、この人達は誰なの?」
「あ、俺は萌黄野 風音だぞ」
「……あたしは紅坂 百花、玄鳥の幼馴染よ」

風音は陽気に、百花は陰気に自己紹介する
じーっと、月夜は百花の顔を見ていた

「………何よ、文句ある?」

何故か不機嫌そうに返す百花
実際、今の彼女は不機嫌だった
彼女としては、別に好意を抱いている相手に従姉妹が居ようが構わないのだが、問題は月夜という人物なのだ
現れて早々、玄鳥に抱きついて押し倒したかと思えば、
自他共に認めるつるぺたボディである自分の目の前でその胸の大きさを自慢するかのような行為
全てが百花には気に食わなかった
その怒り、妬み、嫉みが溢れ出した結果が、この修羅の顔である

(うわぁ………こんな百花見た事ないぞ……)

彼女の幼馴染である風音でさえドン引きするレベル
221 :花鳥風月 † 月は満ちる:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 00:13:30.82 ID:ub4e6lu60
そんな痛々しい視線を送りつけられた当の本人は

「…………ぐすっ……」
「「「え?」」」
「ふえええええん、この人怖いの、怖いのー!!」

盛大に泣き出した

「うわっ、ち、ちょっと、別に泣かなくてもっ……」
「あーぁ、百花が泣かしちゃったぞー」
「うるさいっ!?…あーもーあたしが悪かったわよ!」
「えっと、ここじゃ難だし、とりあえず部屋に連れて行こうか;」






数分後、再び玄鳥の部屋
月夜がようやく泣き止んだ頃に、百花が目を反らしながらも申し訳なさそうに口を開いた

「あの、その……さっきはごめんね
 でも、あんたまだ玄鳥には謝って無いし、それだけは、その、はっきり言っておくべきだと思うな」
「ひっぐ……うん、ごめんなの、くろぴー……」
「いや、気にしないで。それより、いらっしゃい」
(今言うのか;)
「ありがとぉ……あ、コロたんにモッケちんも、こんにちは」
「ホー」
「ホー」

もふもふと、2羽の頭を無邪気に撫でる月夜
「ん?」と声に漏らしながら、百花はこっそりと玄鳥に耳打ちする

「ねぇ、あの月夜って子は契約者じゃないの?」
「え………えっと…ちょっとややこしい話になってくるんだけど、厳密に言えば……」
「なぁ、月夜は何処から来たんだ?」
「北海道のお家からなの。この町に別荘を建てたから、暫くこっちにお引っ越しするの
 それで、くろぴーに会いたくて勝手に抜け出してきちゃったの」
「おぉ、遠路遥々ご苦労様だぞ」
「……別荘?」
「あ、まだ言ってなかったね
 月夜は、蒼樹財閥の御令嬢さんなんだ」
「蒼樹財閥ぅ!?」

その名を聞いて、百花は盛大に腰を抜かした
ぎょっとした表情で、首を傾けながら風音が問うた

「百花、トレーニングしてるか? 足腰弱すぎるぞ」
「っちょ、驚かないの!? 蒼樹財閥よ蒼樹財閥!
 世界にその名を轟かせる超大金持ちよ!?」
「へぇ、金持ちなのか、凄いぞ月夜」
「えへへへ、なんだか照れちゃうの」
「うわぁ、馬鹿ばっか…逆に驚いた私が馬鹿みたいに思えてきたわ
 ところで気になったんだけど、何で『くろぴー』なの?」
「あぁ、『玄鳥』って『玄い鳥』って書くでしょ?
 それで、『くろ』と鳥の鳴き声を合わせて、『くろぴー』って呼ばれてるんだ」
「へぇ…………何か良いわね」

ぼそっと呟いたが、それを玄鳥に聞かれそうになって若干焦る
と、その時、またふと何かに気づいたような顔をする百花
ほぼ同時に玄鳥も、同じ事を思い出した

「あんた逃げ出してきたの!?」
「それってまずいんじゃない!?」
「んー、大変なの?」
「大変に決まってんでしょ! 家族とか、御令嬢さんならボディガードみたいな人が探し回ってるよ、きっと!」
「じゃあ、見つからないようにこの町を探検したいの♪」
「あらそーなの? それじゃあ皆で南区に行きましょうkってアホかぁ!?」
「そ、そうだよ、お父さんやお母さんが心配するから…」
「ならケーキでも食べに行くか?」
「わーいケーキなのー♪」
「やったー!またケーキだー♪」

玄鳥は頭を抱えた

   ...続く
222 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 00:15:07.38 ID:ub4e6lu60
ごめん、なかなか進まなくて結局こんな事にorz
明日こそは……明日こそはこの話書き終わって、第5話を書き終える……
そしてスムーズに「マヤの予言」編をスタートさせる!
223 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/27(木) 00:26:27.64 ID:RgbP5u3b0
>>222
乙&ファイトっ!!
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/27(木) 00:59:58.48 ID:5lmcI7JZ0
シャドーマンの人乙です

最近のハムスターは1000yenで売られてるのか・・・
225 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/27(木) 01:09:11.66 ID:u6VSCCa60
>>223
ありがてぇ…抱きしめていいですk(消されました

>>224
実は、小学生の時に見た公☆の値段がそうだったのを覚えてただけで
今幾らくらいか知らないのorz
226 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/27(木) 01:12:00.63 ID:u6VSCCa60
ところで
そのつもりは全くなかったのに、月夜がロリっぽくなってしまった…誤算orz
おしとやかな姉さんキャラの予定だったのに

227 :やる気なさそうな人 [sage]:2011/10/27(木) 09:29:44.94 ID:/W8eeMDDO

>>226
それはシャドーまんの人だから仕方ない
228 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/27(木) 09:41:37.91 ID:u6VSCCa60
>>227
ええい、ロリから離れようと思って連載した作品なのにぃ!?orz
第2形態はロリっぽくない…はず
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/27(木) 19:15:21.90 ID:PAFG/Du50
>>228
こう考えてみようか。

「作品内に女の子を出さなければロリっぽさは消える」

こう考えれば何の問題もない……それでも男の娘とかでロロリっぽさが消えなかった場合、それはもはや君の逃れられぬ業だ。
230 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 20:05:54.75 ID:ub4e6lu60
>>229
>「作品内に女の子を出さなければロリっぽさは消える」
翼くんや直希さんのように男をヒロインにしろと申しますか(ぁ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 20:27:26.55 ID:a5tA+VtKo
ヒロイン不在の物語を書けばいいのでは
232 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 20:30:00.03 ID:ub4e6lu60
>>231
1回試したのよ、『那由多斬』で
俺の精神が長続きしなかったわ(そりゃストーリーの問題だろ

ヒロイン不在か……ダメだ想像できない
というかロリっぽさを無くす為に女性すら出さないようにって俺どんだけ酷いのよwwwwww
233 :花鳥風月 † 月は満ちる:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 22:18:26.87 ID:ub4e6lu60
【前半:>>219-221

     †     †     †     †     †     †     †





結局、南区のデパートで半日以上遊んでしまった4人
既に日は沈み、月は出ているようだが雲に隠れて今は拝めない
今日は風音も玄鳥も、百花の所為で財布が寂しくなる事は無かった
それもその筈、全て月夜がクレジットカードで支払ってしまったからだ
奢ると言い出した者が奢られるのも如何な物かと思うが、風音は小さい事は気にしない性質なので問題無い

「月夜、どうだった?」
「うん!とっても楽しかったの♪」
「そっか、喜んで貰えて何よりだぞ」

上機嫌に真っ白な日傘をくるくる回しながら、月夜は満面の笑みで答えていた
そんな姿を見て、百花はしみじみと

「…なんか、お金持ちのお嬢様って、ひん曲がってて最低な奴ってイメージあったけど…月夜はそうじゃないね」
「まだ小さい内から、お金よりも大切なものを知って育ったからね、月夜は」
「お金より大事なもの?」
「百花だって、沢山持ってるでしょ?」

ん〜、と考え込んでしまった
暫くして、「あぁ、」と納得したような声をあげると、玄鳥に柔らかに肘鉄砲を当てた

「ところで、もう夜だけど、何で日傘差してるの?」
「あ、それは――――――――」
「おやおや、御友人が1人増えておるのぅ、ふぉっふぉっふぉ」

しわがれた声
黒いローブを着た老人が、突如4人の前に現れた

「ッ……こ、コクマー!?」
「じーちゃん、また来たのか!」
「? 誰なの?」
「すっごく悪い人だから、月夜は安全な場所に逃げて!」
「もう前置きは要らんじゃろう、手短に往かせて貰う」

コクマーは左手を差し出し、指を2本立てて呪詛を唱える
ふわり、彼の傍に青白く輝く人魂のようなものが現れた

「死して尚この地に彷徨い続ける憐れな魂……其方に新たな肉体を与えよう」

人魂は一点のずれも無く、月夜が持っていた傘に融け込んだ

「きゃあっ!?」

驚きの余り、日傘を空中に投げる月夜
それは突風に煽られて更に高くへ舞い上がると、光を放ってその形を変える
開いた状態で巨大化し、白かった傘布が真っ黒に染まり、2枚の毛むくじゃらの翼が生え、2つの目が怪しく輝いた
傘の心棒はぐにゃりと波打つようにしなやかに曲がって、持ち手の部分にも毛が生えて尻尾のようになる

「バァァァァァァァリバリダァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「か、怪物………!?」
「ほっとんど昨日とおんなじシチュエーションじゃない、デジャヴュ?
 ていうか今度は何よ、カラスの都市伝説!?」
「あれは………多分、「モスマン」だよ!」
「苔男か?」
「『MOSS』じゃなくて『MOTH』! ふざけてないで、行くわよ皆!」

百花はペンダントを手に取り、「ロータス・ワンド」を顕現させる
玄鳥は指笛を吹いて、「コタンコロカムイ」のコロと「たたりもっけ」のモッケを呼び寄せる
風音は忍者の構えを取って、「忍法」で手元に手裏剣を出現させる

「え、え? み、皆……?」
「月夜、ここでじっとしてて! コロ、月夜をお願い!」
「心得た!」
「っしゃァ! 行くぜ姉ちゃんよォ!!」
「言われなくてもやるわよ!」
「了解だぞ!」
234 :花鳥風月 † 月は満ちる:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 22:18:54.74 ID:ub4e6lu60
黒い炎、白い光、そして手裏剣が上空の化物に向かって飛んでゆく
化物は漆黒の翼を煽いで突風を生み出し、全てを弾き返した
その強い風は、地上の百花達のところにまで吹きつけた

「くぅっ………す、すごい風…………!」
「ふぉっふぉっふぉ、下りてやるが良い」
「バリバリダァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

主人の命令に従い、化物は高度を下げると、その尻尾を使って地面を強く叩きつけた
辺りにアスファルトの破片が飛び散る

「光よ、命の輝きよ、世を覆う闇を振り祓え! 『トゥキャプミィ・レウォルフ』!!」
「「忍法」はこんなことも出来るんだぞ! 『忍法 一刀両断』!!」
「もっけけけけけけ!! 『怪火・灼焔地獄』ゥ!!」

百花は光を宿した杖を振るい、化物にぶつけようとするが、長い尾で弾き返されてしまう
風音は「忍法」で何処からともなく刀を出現させ、振りかぶるが寸での処で躱され、同様に壁に叩きつけられた
モッケの攻撃は翼で受け止めるが、僅かにダメージを与えた程度であり、その直後に吹き飛ばされてしまった

「くはぁっ!?………こ、こいつ…………!
「昨日のよりも、遥かに強いぞ…!?」
「ちィっ…んなの洒落になんねェ!」
「ふぉっふぉっふぉ、儂が本気を出せばもっとスムーズに行ったのじゃが…
 まぁ良い、続けるのじゃ」
「百花! 萌黄野さん! モッケ!」
「み、皆が……お、お願いコロたん! 私は良いから、百花ちゃん達を守ってあげて!」
「し、しかしそれでは………」
「安心せい、誰も守らせはせぬ」

化物の赤い目がぎらりと光る
直後、コロが小さく唸ったかと思えば、彼が作り出していた結界が破裂するように消えた

「ッ!? こ、コロ!」
「す、まない………「モスマン」の呪いが………」
「バリバリダァァァァァァァァァァァ!!!」

撓る尻尾を振り上げ、強く叩きつける
玄鳥は咄嗟にコロと月夜を抱き寄せて回避し、事無きを得た

「痛っ………つ、月夜、コロ、大丈夫?」
「う、うん、私は―――――――くろぴー後ろ!!」
「えっ!?」
「遅いのぅ、頂きじゃ」

雲が晴れ、月の光に照らされた、尻尾を振り上げる化物
玄鳥は逃げようとしたが、脚を怪我した事と、月夜やコロを置いていけないという良心がそれを阻害する

「玄鳥ぇ!!」
「白鷺!!」

百花達の、涙を交えた声が空しく響く
老人が怪しくほくそ笑んだ時、高々と構えられた尻尾が勢いよく振り下ろされた









「――――――――――どうして?」








ぴたり、化物の尻尾の動きが止まる
235 :花鳥風月 † 月は満ちる:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 22:19:32.13 ID:ub4e6lu60
正確には、“止められて”いる

「むぅ………?」

コクマーの表情に僅かな曇りが見え始める
その視線の先には、尻尾を止めた張本人が立っていた
白いドレス、耳元までの黒い髪、豊満な胸―――――蒼樹 月夜だったのだ

「え……つ、月夜?」

百花も風音も驚きを隠せなかった
ただ、玄鳥と2羽のフクロウは、その表情を歪める

「…………どうして、なの?」

月夜がまた口を開く、と同時に尻尾を掴んだ腕に力が入る
その雰囲気は、先程のような無邪気なもので無く、邪悪と言っても過言でないくらいにどす黒かった

「どうして、玄鳥を虐めるの?
 どうして、私の玄鳥を傷つけようとするの?
 玄鳥が貴方に何か悪い事をしたの?
 証拠は? いつ? 何年何月何日何時何分何秒?
 答えられないの? ねぇ、はっきり言ってよ
 どうして私から光を奪おうとするの?
 どうして私の大好きな人から光を奪おうとするの?
 玄鳥を虐める人は、傷つける人は、大っ嫌いなの」

言葉を重ねる毎に、徐々に徐々に腕の力が強くなっていき、
遂にはそのか細い指が尻尾に喰い込むまでに及んだ
そして

「玄鳥を虐める人は皆…………死んじゃえばいいの」

力を込め、思いっきり腕を引く月夜
びちゃり、僅かに滑りを伴った深紅の体液が辺りに飛び散り、甲高い叫び声が轟いた

「バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!???」
「うるさい」

彼女はその見た目とは裏腹に途轍もない跳躍力を発揮し、化物の頭上に来たかと思えば、
夜の闇の如き禍々しいオーラを放つ拳を、化物の眉間と思しき場所に叩き込む
飛行していた化物は、さっきまで己が百花達にやっていたように 地面に叩きつけられた
尻尾を失いバランスを崩しながらも、もう一度離陸を図るが、今度は左の翼をもがれた

「これでもう大人しくしてくれる?」

月夜はにんまりと、満月の笑みを浮かべ、拳を振りかぶり、
そのまま力任せに化け物の眉間を殴りつけた

「死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ、死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ!!!!!」

何度も、何度も、何度も何度も何度も、怒りと憎しみのままに殴り続ける
化物の身体から血が噴き出し、真っ白だったドレスが真っ紅に染まる

「な……何よ、あの子…………う、うぷっ」
「あれも、都市伝説なのか……?」

呆然とその光景を眺めながら、各々疑問を投げかける2人
そんな事も構わず、月夜はぐちゃり、ぐちゃりと既に虫の息となった化け物を殴り続ける
じゅる、と頬に飛んだ血飛沫を舐め取った

「うふ、うふふふふふふ………悪い子はもっともっともぉっとお仕置きしなくっちゃなの
 ……んー、でも、玄鳥に汚い血がかかったらいけないの…
 そぉだ、ここにこのゴミのお墓を作ってあげたら―――――――――」

ぎゅっと背後から抱きしめられ、彼女の手と言葉が止まった

「……………………ぅ、ぁ」
「月夜、もう、やめて……僕は、大丈夫だから」

玄鳥が優しく、そして悲しげに、彼女にそう囁いた
月夜は血で赤く染まった拳を解き、だらりと腕を下ろす

「く…ろ、ぴー………」

力が抜け、気を失い倒れそうになった彼女を、そのまま玄鳥が抱き止めた
236 :花鳥風月 † 月は満ちる:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 22:20:09.71 ID:ub4e6lu60
そっと彼女の頭を撫でた後、百花に向かって叫んだ

「百花!今だ!」
「あ、お、OK!」

立ち上がり、すぐさま「ロータス・ワンド」に光を宿す百花

「聖なる光よ、善なる輝きよ
 憎悪、怨恨、悲哀、殺意、邪悪なる意思を全て討ち祓い、その者の心を清め洗え!
 百花繚乱! 『グナブ・ギブ・レウォルフ』!!」

お決まりの呪文を唱え、蓮の花の光弾を弱り果てた化物に命中させる
化物は光に包まれ、「モスマン」の魂を浄化し、元の日傘に戻った
ただ、ぼろぼろになっていて使い物にならなさそうだったが

「…………成程、これはとんだ誤算じゃったのぅ………じゃが、これから楽しめそうじゃわい」

ぶつぶつと独り言を零し、老人の姿はその場から消えた
構う事無く、百花は風音と共に玄鳥達の元に駆け寄った

「玄鳥! 大丈夫!?」
「うん、ちょっと脚を擦り剥いただけだよ」
「月夜は……?」
「疲れて眠っちゃったみたい。そっとしておこう」

すぅ、すぅ、と寝息を立てる月夜のその顔は、今朝と同じく無邪気なものだった
百花はとうとう、玄鳥に疑問をぶつけた

「…ねぇ、月夜の契約都市伝説って何なの?」
「僕も分からないんだけど……多分、「月の光を浴びると気が狂う」、だと思う」
「あー、そういえば月が出た瞬間に性格が変わったぞ」
「それで、夜も傘を持っていたのね」
「ううん、“持たせてた”んだ」
「「え?」」
「蒼樹嬢には、何故か能力発動中、つまり月の光を浴びた後の記憶は無いようなのだ」
「初めて知った時はビックリしたけど、止める方法があるから、
 僕があれこれ事情をつけて、何とか暴走するのを防いでたんだけど……」

玄鳥の言葉が止まる
もう一度、百花は月夜に向けて視線を落とした
恐ろしい―――――――心から、彼女はそう思った

(この子も、玄鳥のこと……………)

いつか、最悪の形で彼女と向き合う日が来るんじゃないか
首を左右に振って下らない考えを払拭し、やや上ずった声でようやく口を開く

「ほ、ほら、いい加減もう帰ろうよ
 月夜だって、血塗れのままじゃ可哀想だし」
「そ、そうだ、でも家に着替えなんて……」
「着替えなら、俺が持ってくるぞ」
「え? あたしの方が家近いじゃない」
「でも、百花の服、月夜じゃ入らないと思うぞ?」
「胸が小さくて悪かったわねっ!?」

ははは、と笑いつつ、風音は民家の屋根を跳びながら一度自分の家に向かった
2人のやり取りを見て、何とか玄鳥も心が落ち着かせて、百花と共に月夜を抱えて自宅へと歩き出した
この後、玄鳥の両親が月夜を見て双方共に気絶してしまったのはまた別の話

   ...続く
237 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 22:38:59.44 ID:ub4e6lu60
あれだな
ヤンデレは書いてて楽しいな
果たしてこれがヤンデレと呼べるかどうか甚だ疑問だが
238 :花子様のひとたち [sage saga]:2011/10/27(木) 23:00:32.86 ID:ohh4y8KY0
>>237
ヤンデレにカテゴライズされても大丈夫だと思うぜ。
血みどろフルボッコにするヤンデレ大好き。
もう敵が固形じゃなくなり始める前の動きが俺の脳内でDBだったわ
殴って吹っ飛ばした方向に先回りしてもう一発ってアレできそうなきがするの
239 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 23:13:09.59 ID:ub4e6lu60
>>238
ヤンデレと言えば血かなー、という安易な考えで書いたというorz
因みに月夜覚醒後の脳内BGMは↓
ttp://www.youtube.com/watch?v=zv_oUuz4H58

>もう敵が固形じゃなくなり始める前の動きが俺の脳内でDBだったわ
プリキュア風の筈がどうしてこうなった!って感じwww
240 :花子様のひとたち [sage saga]:2011/10/27(木) 23:23:32.83 ID:ohh4y8KY0
>>239
なんか男らしいな。熱血なノリにヤンデレ、これはなかなか…

まあ、プリキュアがDBっぽいし
241 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/27(木) 23:38:05.76 ID:ub4e6lu60
>>240
>なんか男らしいな。熱血なノリにヤンデレ、これはなかなか…
戦闘BGM大好きなの
他のキャラも専用の戦闘BGMを幾つか考えてたり
裂邪はフォームによって違うから幾つも持ってるという主人公(笑)補正

>まあ、プリキュアがDBっぽいし
ですよねーwww
でもプリキュアって血が出ないじゃない
242 :花鳥風月 † 邪は裂ける  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 01:43:43.82 ID:vpwNyp620
様々な出来事がありつつ、長かった夏休みが終焉を迎え、
中央高校にて、新学期がスタートした





――――――――のだが、





「どうなってんのよあたし達の学校はぁっ!?」

始業式のあった日の放課後
制服姿で南区の繁華街を歩きながら、彼女―――紅坂 百花は叫んだ

契約者になると、都市伝説や他の契約者の気配が分かる事があるという
彼女はまさにそのパターンなのだが、その所為で色々ショックを受けていた
久しぶりの学校は、都市伝説の気配で充満していた
入学した4月から7月までの4ヶ月、よくもこんなところで普通に授業を受けたりしたものだと自分を感心した
まず、契約者の数が多すぎる
それは先輩だったり同級生だったり、はたまた教師だったり
果ては校長先生までが契約者である

「荒神先生、高元先生、後樹先生、エトセトラ、エトセトラ……出道校長まで契約者だったなんて……」
「ま、まぁ、そうじゃなくてもこの町は都市伝説が多かったし、仕方ないと思うけど;」
「現実は受け入れるべきだぞー」
「あんた達は何とも思わない訳!?」
「始めは僕も驚いたけど、すぐに慣れるよ」
「気にしても仕方ないしな」
「ハァ、あんた達は楽天家過ぎだと思う………」
「でも神経質だとすぐに疲れちゃうの」

横から口を挟んだのは、制服姿の蒼樹 月夜だった
実は彼女、今学期から中央高校に転校してきたのだ
しかも偶然、百花達と同じクラス
因みに彼女には都市伝説の存在をきちんと話しているので、その話題に関しては何ら問題は無い
まだ、彼女自身の契約都市伝説の事は話していないのだが

「少しくらい神経質になっても良いと思うんだけどなー!?」
「「「何で???」」」
「もう良いわよ知らない!!」

何故か怒り出す百花に、全員が首を傾げた
ふと、月夜が視線を反らすと、新しいおもちゃを見つけた子供のように、ぱっと笑顔が輝いた

「月夜、どうしたの?」
「えへへへ♪」

ちょいちょい、と指で何かを指し示す
全員がそちらを向くと、ファッション専門店のショーウィンドウの前で、カップルが仲睦まじく話していた
カップル、とは言え、年齢はまだまだ子供だった
少年の方は中学生くらいで、学校帰りだろうか、制服姿だった
少女は青い髪の小学校高学年のように見え、どちらかというと兄妹のようだったが、会話の内容は正しくカップルのものだった

「ミナワならこれとかも似合いそうじゃん」
「えぇ〜!? こ、こここれもやっぱり派手すぎますよぉ///」
「お前なぁ、女の子は一度くらい着飾った方が良いぞ?」
「で、でもぉ……こ、これ結構高いですよ?」
「値段は気にするな、お前が喜んでくれたら何でも買うよ」
「……い、やっぱりダメです、ご主人様に悪いですから……」
「んー、いつも控えめな値段の服しか選ばないから、どうかなーと思ってたんだけどなぁ…
 ま、いっか、お前は服の値段関係無く、何着ても可愛いし♪」
「ひゃんっ/// も、もぉ、人前ですよ?///」
「いーじゃんいーじゃんスゲーじゃん、もう慣れたっしょ?」
「うぅ……そ、それはそうですけどぉ///」
243 :花鳥風月 † 邪は裂ける  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 01:44:13.13 ID:vpwNyp620
聞こえるようにわざとやってるのか、その場にいる人間の半数が「もげろ」と言いたくなる光景
玄鳥も風音も、月夜につられて思わず笑みを零した

「なんだか、こっちまで和やかになるよね、人が仲良くしてるところって」
「そうだな……なぁ、百花はどう思ッ」

だが百花は違った
その表情、目つき、オーラ、何もかもを漢字2文字で表すとしたならば、それは間違いなく“嫉妬”
10年以上も付き合いのある想い人に未だに心中を明かしていない彼女からすれば、
それは一種の挑発行為、否、宣戦布告のように思えた
必死に宥めようとする玄鳥達の声も聞かず、腕を撥ね退けてずかずかと2人に近づいていった

「そこの2人ィ!!」

少女はびくっと跳び上がって少年に隠れながら、
少年は平然とした様子で少女を庇うように百花を見た

「…中央高校の花の女子高生さんが俺達に何か用ですか?」
「さっきから見てたらイチャイチャイチャイチャと! 苛つくのよ!」
「はっはぁ〜ん、さては姉ちゃん彼氏いない歴=年齢か?
 それで年下の俺が彼女とイチャラブってるのを見て逆恨みと
 そういうの、DQNって言うんだけど、知ってる?」

少女が止めようとするが、少年は「大丈夫大丈夫」と逆に制止する
爆発寸前だった百花の怒りが、とうとうビッグバンを起こした

「ああああああああ!! もう良いわ、あんたも契約者なんでしょ!? 戦いなさい!!」
「「はぁ!?」」

これには外野にまわっていた玄鳥と風音も度肝を抜かれた

「へぇ、姉ちゃんも契約者か、都市伝説は引かれ合うってのはマジだな、それ自体が都市伝説ってレベルで」

少年はその場にしゃがみ込むと、己の影に手を突っ込んだ
ぎょっとする百花に構わず、中からベルトを取り出し、腰に巻いて金色の四角い物体を掴む

「ご、ご主人様、宜しいんですか?」
「下がってろミナワ、ご指名は俺だ」
「ふん、子供だからって容赦しないわよ!」
「お、おい百花、本気でやるのか!?」
「黙って見てなさい! こいつだって、あのおっさんと爺さんの仲間かも知れないでしょ!?
 契約者全員が味方だなんて限らないのよ! それを皆気楽に考えちゃって!
 あたしが正義だってこと、分からせてやるんだから!!」

ペンダントを手に取り、握りしめる百花

「光の力を秘めし杖よ、真の姿を我の前に示せ。契約の下、百花が命じる……封印解除!!」

ひょい、と軽く手の中のものを投げると、ペンダントが「ロータス・ワンド」として顕現し、
百花は再びそれを掴んでくるりと回して構えた

「暗闇より出でし者達を、閃光の力を借りて掻き消さん!
 紅き花、ここに咲く! 我が名は魔導少女クリムゾンブロッサム!!」

約2名が頭を抱えて呆れている
そして約2名―――月夜とミナワは目を輝かせていた
244 :花鳥風月 † 邪は裂ける  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 01:44:39.74 ID:vpwNyp620
「わお、結構面白そうな都市伝説じゃん
 俺としては遊んであげたかったんだけどなー、お前は俺を怒らせた」
「はぁ?」
「俺がこの世で最も嫌いな言葉は――――――――“正義”だ!!」

手に取った金色のパスを空中に投げる
それが落下してベルトのバックルの真ん前に来た瞬間、ぴたりと宙に止まり、
《レイヴァテイン》という電子音声が流れ、バックルの水晶体が黄金色に輝く

「……変、身」

パスが一瞬だけ植物の枝のような形を取ると、直後に金色の液体に変わり、少年の身体を包み込んだ
徐々にそれは、各部に鋭利な刃物の装飾が施された眩い鎧となった

「わあ、綺麗なの♪」
「え、あれも都市伝説なのか?」
「信じられない……あんな都市伝説聞いた事ないよ……」
(変身か……良いわね、考えておこうかしら)

暫しそんなことを考えてから、彼女は蓮の杖の先端に光を宿した

「光よ、命の輝きよ、世を覆う闇を振り祓え! 『トゥキャプミィ・レウォルフ』!!」

杖を振りかぶり、百花は少年に向かって先制攻撃を仕掛ける

「ウヒヒヒヒヒ、挨拶は真っ向から受けようか……『真・黄昏地獄拳』!!」

少年は右手で拳を作ると、黄金色の雷光を走らせ、迫る百花の攻撃を攻撃で返した
爆破音と痺れるような衝撃が広がり、2人は互いに吹き飛ばされるがすぐに態勢を整える

「くぅっ! 罪無き人々に害をなす者よ、罪無き世界の平和を脅かす者よ!
 今こそその悪に染まりし穢れた心を、身体を、魂を、光に変えて闇に融けなさい!
 我は汝を裁き、汝に罰を与える者なり!」

杖の先端に光が凝縮され、それが大きな光の花を咲かせる

「舞い散れ、『イャル・レウォルフ』!!」

ばっ!と光の花が散ったかと思えば、花弁が光の刃となり、軌跡を描いて少年に向かう
しかし少年は、鋭い爪で空を裂くように腕を振ると、衝撃波を発生させて刃を相殺させる

「っ!? ふ、防いだ!?」
「ヒハハハハハハ! そんなもんかぁ? 攻撃ってのは……こうすんだよぉ!!」

両掌を内側にして合わせ、胸の前に構えると、掌の間にエネルギーの塊が発生する
それを頭上に大きく振りかぶり、

「滅ぶのはお前だ! 『クェーサー』!!」

フリースローの要領で光弾を投げつける
咄嗟に、彼女は呪文を唱えて光の盾を作り出し、攻撃を防いだ
繁華街のド真ん中で激しい爆風が生まれる
光の盾は彼女を守ったが、光弾の威力が強すぎたのか、ぼろぼろと崩れてしまった

「っ……『スィギア・レウォルフ』を破壊するなんて、やるじゃない」
「ウヒヒヒヒヒ、「レイヴァテイン」の破滅の力を受け切る奴は初めてだぜ
 何だろうな、あんたと戦ってると凄く楽しい気分だ、ぜぇ!!」

少年は拳を振り上げ、百花に飛びかかった

「それは奇遇ねぇ……あたしもおんなじ気持ちよ!!」

百花もまた、光を纏った「ロータス・ワンド」を叩きつけた
ぶつかり合う拳と杖は再び激しい衝撃を生み出した
玄鳥達も、立っているのがやっとだ

「うぐっ……つ、玄鳥、あいつら止められないのか!?」
「そうしたいんだけど……他の追随を許さないって、こういうことじゃないかな……!」
「うぅ、2人とも頑張って欲しいの!」
「「何で!?」」
245 :花鳥風月 † 邪は裂ける  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 01:45:18.59 ID:vpwNyp620
互いにまた間合いを取る百花と少年
ところが、百花の表情からは疲労の色が見え始めた
少年は顔こそ見えないが、呼吸が荒いのが分かる

「ヒ、ヒヒヒ……次が正念場だな」
「そうみたいね……これで、終わらせる!」

少年は全身に雷光を纏い、地面を蹴って高く跳び上がって、煌めく雷光を伸ばした右脚に集中させる
百花は呪文を唱え、杖の先に眩い光の力を集約させ、巨大な蓮の花を咲かせる

「『究極!ゲシュペンストキック』!!!」
「百花繚乱! 『グナブ・ギブ・レウォルフ』!!!」

今日一番の、町全体を震わせる程の爆音が轟き、爆発を生み出した
がちゃ、と金属音を鳴らして煙の中から落ちてきた少年は、落下直後に鎧が元のパスに戻った
百花もその場でへたり込んでしまい、手から零れ落ちた「ロータス・ワンド」はペンダントに戻ってしまう

「っはぁ、はぁ………あ、あんた……結構、やるじゃ、ない………」
「……ヒハハハハハハハ……姉ちゃんも、な」
「ご主人様!」「「百花!」」「百花ちゃん!」

各々が、己の心配する者の元へと駆け寄った
支えられながら、よろよろと2人は立ち上がる
と、少年が最初に口を開いた

「よし、もういいだろ……出て来いよおっさん!」
「おっさん?」
「……何故私をおっさんと呼ぶのだ?」

建物の陰から、黒いマントの男が、巨大なゴキブリの怪物を連れて現れた

「あれは確か……ケセド!」
「誰だあのおっさん?」
「知らないの」
「……コホン、コクマーの報告通り、確かに人数が増えてる……そちらの2人は報告に無いが」
「仲間だって言いたいなら俺達は違うぞ、今戦ったところだ」
「ふん、まぁいい……人間共に虐げられたその憎しみを解き放つがいい!」
「モエルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥワァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「くっ、こんな時に……いい加減にしなさいよね!」

百花はもう一度、「ロータス・ワンド」を顕現させた
が、戦闘の直後である為、身体がふらついている

「無茶しちゃダメだぞ百花、ここは俺が――――」
「ううん、あたしがやらなきゃ……」
「すっげぇ、なんかザケンナーみたい。何の都市伝説だろ」
「ナケワメーケにも見えますね」

『ザケンナー』、そして『ナケワメーケ』
その言葉の意味を知っているのは他でもない、『プリキュア』視聴者のみである

「っね、ねぇねぇ! 『プリキュア』見てるの!?」
「へ? あ、うん、毎週見てるよ」
「なぁんだぁ、早く言ってくれたら良いのにー! 『スイート』最高よね、メロディ超最高!」
「ほぅ、俺はキュアビート一択だな、ミューズは露出が少なすぎる」
「リズムも良くないですか? あの決め台詞、私は好きですよ♪」
「あー『気合のレシピ、見せてあげる』っていう奴? いいよねあれも! でもあたしはやっぱり『ここでやらなきゃ女が廃る』に惚れたわー♪」

さっきの戦闘は何処へやら
百花はかなり嬉しそうに、少年と少女と3人で『プリキュア』の話で盛り上がっていた
246 :花鳥風月 † 邪は裂ける  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 01:45:45.43 ID:vpwNyp620
「……モエルーワ?」
「…構わん、殺れ」
「そうだ姉ちゃん、ここであったも何かの縁、いっちょ“あれ”で片付けない?」
「え、もしかして、“あれ”ですか?」
「良いわね“あれ”! やろうやろう!」
「「「“あれ”って?」」」

百花は「ロータス・ワンド」に光を溜める
少年は再び「レイヴァテイン」を呼び出し、それをステッキにして先端に雷光を纏わせる
少女は何処からともなく先端にリング状の装飾が施された青い杖を手にした

「「「駆け廻れ! トーンのリング!」」」

3人同時に、杖で大きく円を描き、
百花は白い光、少年は黄金の雷光、少女は七色のシャボン玉で大きな輪を作り出した

「「「プリキュア! ミュージックロンド!!!」」」

3つの輪は地平を走り、ゴキブリの怪物を捕縛して、フラフープのようにくるくると独りでに回る
それを見た後、3人はまたも同時に、杖を頭上に上げ、振り下ろす

「「「三拍子! 1、2、3……………フィナーレ♪」」」
「モッ…モエルゥゥゥゥゥゥゥゥワ―――――――――――――――」

本日何度目かの花火が上がった
怪物はその姿を消し、爆煙の中からゴキブリが現れ、路地裏の中に消えていった

「…………久々の戦闘なのに出番これだけか……」

何故か哀愁を漂わせながら、彼はすぅっと消えていった

「やったぁ! そうよ、やっぱり『プリキュア』を愛する者に悪い奴なんていないのよ!」
「そうそう、『プリキュア』最高! 『プリキュア』万歳!」
(こいつら……どんな神経してるんだぞ;)
「…あ、ご主人様、お時間が…」
「マジ? あうち、もうこんな時間か。またね姉ちゃん、今度会ったらミューズの正体について語ろうや」
「楽しみにしてるわ! あ、あたし、紅坂 百花っていうのー!」
「俺は黄昏 裂邪! じゃあなー百花の姉ちゃん!」

互いに名乗り、手を振って別れを惜しむ2人
こうして、奇妙であり且つ混沌とした友情が、芽生えたのだった

「…ところで、さっきの技って何なの?」
「ハァ!? じゃあ今からあたしの家で『プリキュア』観賞会よ!」


   ...続く











「ぐえっ、レクイエムさん、マジすいませんでした」
「やりすぎだ馬鹿者!! 少しは働く身にもなれ!!」


   ...今度こそ続く
247 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 01:47:25.91 ID:vpwNyp620
間に合った、疲れた、俺は寝るぞジョジョ〜
今日帰ってきて地球が残ってたら、「マヤの予言」編スタートさせる
248 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/28(金) 02:05:53.60 ID:fa7oAbh20
毎回恒例書き忘れ

花子さんとかの人、三面鏡の人、八尺様の人に土下座orz
249 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/28(金) 09:35:39.23 ID:fa7oAbh20
ついでに
『フィナーレ♪』の時のポーズは
百花=メロディ
ミナワ=リズム
裂邪=ビート
で妄想して頂ければ
しかし人前で『プリキュア』の真似をする辺り裂邪って………
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 12:21:57.71 ID:lw7JivHDO
誘ってるよね
251 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/28(金) 12:50:04.64 ID:fa7oAbh20
>>250
やっぱそっちかwwwwwww
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 16:45:13.65 ID:P2qDmeWAO
頭のいいキャラを書きたい!
設定上ではなく物語的上で頭よく振る舞えるキャラをだ!

地頭が足りないか!?
253 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 17:01:43.16 ID:vpwNyp620
>>252
>設定上ではなく物語的上で頭よく振る舞えるキャラをだ!
俺も書きたい
何もかもを数式で導き出すような天才キャラとか書きたい
だが俺は数学が苦手だったorz
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 20:59:30.88 ID:P2qDmeWAO
>>253
俺も数学できないww
まあなにができるのかとか言われても、ね!
せめて話を終わらせられる論理的な頭が欲しい
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage saga]:2011/10/28(金) 21:09:11.77 ID:hEBbNTO60
頭のいいキャラってやつぁ、作者の頭がよくないと書けないもんさ…


俺?
俺はもう頭いいキャラ書くの諦めてるからいいんだ
思わせぶりな事言わせるので精いっぱいさ

そして、何故最近の俺のパソコンは「こと」をやたらと「古都」と変換したがるのか
256 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 21:15:01.47 ID:vpwNyp620
>>254
>せめて話を終わらせられる論理的な頭が欲しい
そうそう、そしたら推理物とか書けるようになって楽しいのに
先生…『ファイ・ブレイン』みたいな話が書きたいです……

>>255
>思わせぶりな事言わせるので精いっぱいさ
俺だってそうですとも
いや、思わせぶりな事すら言ってないかも知れぬorz

>そして、何故最近の俺のパソコンは「こと」をやたらと「古都」と変換したがるのか
きっとローマに行きたいんでしょう
群馬に連れていってあげなさい(マテ
257 :夢幻泡影 † X-DAY〜前編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 23:38:26.43 ID:vpwNyp620
2011年10月28日午後4時頃、学校町東区の住宅街にて―――――

「あ、あの、麻夜ちゃん? もうちょっと機嫌良くなってくれると有り難いな〜と」
「黙っててよ変態さん!!」
「ウ、ヒヒ…酷いな;」

普段通り黒尽くめの服を着ている黄昏 裂邪は、まだ制服姿の従姉妹・神崎 麻夜を連れて歩いていた
決して援助交際ではない
繰り返す、決して援助交際ではない、断じてない

「だって怪しいもん! どーして突然変態さんとお買い物なんて行かなきゃなんないの!?
 にぃにぃは信用してるけど、私は絶対信じないから!!」

どうやら、裂邪が買い物に行こうと提案したらしい
麻夜はそれには大反対だったのだが、漢の勧めで仕方なくついていったのだった
それでもご機嫌斜めの彼女に、裂邪は引き攣った笑顔を向けていた

「……あー、やっぱり、本当のこと話そうかな?」
「ホントの事?」
「俺がこうやって麻夜ちゃんを誘った理由」
「ふん、どーせにぃにぃのいないところであーんなことやこーんなことするんでしょ?
 その前に血だらけにしてやるもん!」
「俺は犯罪者か……違うから、ちゃんとした理由があるんだよ
 漢と一緒に話し合ったんだからな」
「にぃにぃをたぶらかして、どういうつもりなの――――――」
「10月28日、何の日か知ってるか?」
「…………え?」

それは今日の日付だった
最初は何の事だったか分からなかったが、麻夜はすぐに思い出した

「…私の、誕生日?」
「正解。それで、漢がお前の為にバースデーケーキ作りたかったんだとさ
 でも、どうせならサプライズした方が良いだろ?
 だから、こうして外に連れ出して、帰ってきたらハッピーバースデー!っていう寸法だったの
 全部あいつの提案だぜ? 喜んで欲しかったんだろうな、お前に……たった一人の妹に、さ」
「え……に、にぃにぃ……私の誕生日、覚えて………」
「まぁ、一応これから俺がプレゼントでも買ってやろうって事になってるんだけど、何が欲しいかッって麻夜ちゃん!?」
「ぐすっ………あり、がと…………にぃにぃ……………」

ぽろぽろと、大粒の涙を流し始める麻夜
彼女を宥めようと、裂邪は歩み寄って頭を撫でようとしたが、

(……これは、俺の役目じゃないよな)

と思い、肩をぽんと叩いた
258 :夢幻泡影 † X-DAY〜前編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 23:38:55.52 ID:vpwNyp620
「…ばらしちまってごめん
 嬉しさとか半減しちまうだろうけど、あいつの気持ち、受け取ってやってくれないかな?」
「……うん、分かった。大好きなにぃにぃのケーキ、すごく楽しみ」
「よし、じゃあ改めてデパート行こうぜ、プレゼント何が欲しい?」
「飴で良いよ、もうすぐハロウィンだし、食べたらゴミしか残らないし」
「ぐっ……心臓に毒舌が突き刺さる…………」

苦しそうな演技をする裂邪を見て、麻夜は思わず、笑った















―――――――――――――――――見つけた















どっ!と強い風が吹き抜けた
裂邪は向かい風に顔を覆ったが、それはすぐに止んでしまった

「うひゃあ……すげぇ風だな、麻夜ちゃん気をつけろよ――――――――お、おい?」

隣にいた筈の麻夜に話しかけた
だが、そこに彼女の姿は無い
259 :夢幻泡影 † X-DAY〜前編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 23:39:21.69 ID:vpwNyp620
「ち、ちょっと、放してよ変態さん!」
「るっせぇガキだな、大人しくしやがれ!!」
「この少女…非契約者か。道理で心の器が巨大だ……素晴らしい」

そんな話し声が聞こえ、すぐさま裂邪は前を見た
麻夜が、男女4人組に捕まっていた
1人は赤いダウンコートを着た、白髪交じりの壮年の男性
1人は暴れる麻夜を抑えつけている、パンク風のチャラチャラした金髪の青年
1人は冷たい目をした冷静そうな20代後半程の男性
1人は長い黒髪を揺らす、口数の少なそうな妙齢の女性

「なっ………おい、お前ら! 麻夜ちゃんを返せ!」
「あぁ? 誰だテメェ、人間の分際で俺達に気安く話しかけんじゃねぇよ!!」

金髪の青年が右手を振るうと、突風が生まれて裂邪を吹き飛ばす
地面にぶつかるギリギリのところで、彼の影から無数の黒い腕が伸び、彼を支えた

「大丈夫カ?」
「あ、あぁ、助かった………くそっ、何なんだあいつら!?」

裂邪が4人を睨みつけると、その内の一人―――壮年の男性が前に出て、軽く会釈をする

「すまんな、こちらの「フラカン」が無礼な事をした……許して欲しい
 申し遅れたが、私の名は「ククルカン」。聞いた事くらいはあるかな?」
「「ククルカン」………『マヤ神話』の創造神が何でこんな場所に、それと麻夜ちゃんに何の用だ!?」
「実は、今日が“予言”を実行する日になっていてね……その為にこの少女をお借りしようと」
「ッ!?………予、言…って……まさか………」
「くくるくくくくくく……人類の皆様はご存じかな? そう――――「マヤの予言」だ」

「マヤの予言」
マヤ文明において用いられてきた長期暦が、ある日付で終わっていることから誕生した、
「ノストラダムスの大予言」に続く終末論の事である
終焉を迎えるその日付は幾つも存在するが、最も有力とされたのが、“2011年10月28日”

「…成程、厄介ナ事ニナリソウダナ」
「くそっ、よりによってそんな……だが、まだ麻夜ちゃんをどうするかとは繋がらない!
 どうしてそいつなんだよ!?」
「これはこれは、好奇心旺盛な少年だな…もうすぐ破滅すると言うのに
 まぁ、冥土の土産に教えて差し上げるのも良かろう…
 「イシュムカネー」、「イシュピヤコック」、例の物を」
「はっ」
「…………」

20代後半の男性――「イシュムカネー」と、妙齢の女性――「イシュピヤコック」が、
互いに手を取って力を込めると、アスファルトが割れて植物が伸び、
その植物に持ち上げられて、円形の石板が姿を現した

「ッ……「アステカ・カレンダー」か……!」
「私達は「太陽の暦石」と呼んでいるがね
 これこそが「マヤの予言」の本体であり、要でもある
 この「暦石」が持つ強大な力によって、予言に記された人類滅亡を現実のものと出来るのだが…」
「…エナジーガ感ジラレン……単体デハ何モ出来ナイト言ウ事カ?」
「ご明察。「暦石」の強大な力を発揮する為には契約者が…皮肉にも、これから滅ぼすことになっている人間が必要なのだよ
 それも、「暦石」の力に耐え得る強靭な身体と、巨大な器を持つ者に限られる
 その条件に当てはまった生贄……失礼、破滅の巫女が、この少女だったのだ
 しかし奇遇だな、『マヤ』というのかね、この少女は?」

「ククルカン」は麻夜の頬に触れようとしたが、彼女はそれを撥ね退けた

「触んないでよ、変態さん!!」
「…くくるくくく、威勢が良いな」
「ッテメェ…“神”を何だと思ってやがんだぁ!?」
260 :夢幻泡影 † X-DAY〜前編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 23:39:48.51 ID:vpwNyp620
麻夜を捕獲していた青年――「フラカン」が、怒りに任せて彼女を地面に投げつけた

「痛っ…!」
「やめろフラカン、この少女は「暦石」の器にするのだぞ?」
「うるせぇ! もう我慢ならねぇ、人間ってのはどいつもこいつも―――――――」
「お前は人間を何だと思ってんだ!!」

「フラカン」の言葉をそっくり返して飛び込んできたのは、右腕に黒い影を纏わせ、巨大な拳を作り上げた裂邪だった
黒い拳は「フラカン」の顔面に直撃し、大きく仰け反った
彼から放れ、麻夜は一瞬でも逃げようとしたが、今度は「イシュピヤコック」に捕まってしまった

「やっ、放してってば!!」
「………無理」
「おいお前ら、神だか何だか知らねぇけど、麻夜を置いて馬鹿な事止めてとっとと消えろ
 さもなきゃ………全員俺が滅ぼしてやる」

金色のパスを構え、怒気を込めて言い放つ裂邪
やれやれ、という風に肩を竦めて大袈裟に呆れる「ククルカン」に、
「イシュムカネー」が消えそうな声で提案した

「……僕が黙らせようか?」
「必要ない、目的は果たした……このまま我々は退却しよう」
「待てよククルカン……俺ァそのガキに用がある」

ようやく起きあがった「フラカン」が、怒りを露わにしながら前に出た
彼を中心に旋風が巻き起こり、それは徐々に強くなり、拡がってゆく

「どいつもこいつも神を侮辱しやがって……
 良いか人間、俺は“神”だぞ? 嵐の神「フラカン」様だぞ?
 テメェ等ゴミを創ってやったのは“神”である俺達だって分かってんのか!?」
「知るか! それで殺すんだったら結局意味ねぇじゃねぇか!
 それだったら最初から作んじゃねぇよバーカ!」
「ッ……今馬鹿にしやがったな? したよなぁ??………ぶっ殺す!!」

その間、一体何秒しか経ってなかったのだろうか
気がつけば裂邪は、先程自分が殴り飛ばした筈の「フラカン」に腹部を殴られていた

「かはっ………!?」

―――――――速い!?
そう思った束の間に蹴りを受け、今度は裂邪が吹き飛ばされた

「……ちぃっ、伊達に“神”は名乗ってねぇか……カキ氷より厄介かもな」
「おいおいどうした? もっと楽しませろや人間!!」
「ミナワ!理夢!ウィル!!」

《ドリーム》
《ファントム》
《バブル》
《レイヴァテイン》
《インフォーム!!》

何処からともなく、ミナワと理夢、そしてウィルが現れ、裂邪は黄金の鎌を携える
既に全員が戦闘態勢に入っていた

「いつでも行けますよ、ご主人様!」
「こいつぁ手応えありそうでい!」
「ん? 主、ナユタは呼ばねぇのか?」
「絶対呼んでやらねぇ! それより敵は一応『マヤ神話』の神だ、最初から本気で行くぞ!」
261 :夢幻泡影 † X-DAY〜前編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 23:40:22.05 ID:vpwNyp620
裂邪とミナワが理夢に飛び乗ると、シェイドが裂邪と理夢を包み込み、ウィルが理夢の翼となって背に羽ばたく
「レイヴァテイン」を巨槍に変え、風を切ってそれを構えた

「「「「「『シャドーズ・ウトガルド』!!」」」」」
「へっ……れ、裂兄ぃ……!?」
「ほぅ、あんなことも出来るのか?」
「楽しい奴だなぁ、だがそんなんじゃ俺の怒りは収まらねぇ!!」

「フラカン」は先程と同じように、目にも止まらぬスピードで拳をぶつけようとした
が、裂邪達はそれとほぼ同等の速さで躱してみせた

「何っ……俺の攻撃を避けただと!?」
「ヒハハハハハ! 所詮は追い風を受けた程度のスピード!
 シェイドで筋力を補助し、ウィルで加速力を上げた理夢の速さ、舐めんじゃねぇぞ!」

裂邪が黄金の槍で、ミナワが起爆するシャボン玉を付けた『バブロッド』で攻撃を仕掛ける
「フラカン」は持ち前の速さで難なく避けていくが、ウィルが飛ばした火炎弾幕をもろに受けた
しかし、それほどダメージは受けていないようだった

「「フラカン」ハ“風”、“嵐”、“炎”ヲ司ル神……炎ハ殆ド無力ト言ウ事カ」
「くぅ、面目ねぇ旦那ァ!」
「と言う事は、氷もダメですね……」
「俺様としちゃあ夢を見せてやりてぇが、あんだけ風を起こされちゃあな……」
「弱気になるな! 勝たなきゃならねぇんだよ、この戦い!
 あいつは………漢は、麻夜の帰りを待ってんだよ!!」
「ふらっふらららららららら!! 帰りだぁ? まだ取り返せると思ってんのかよ!?
 “神”を舐めんのも大概にしやがれ!!」

右腕に雷鳴轟く暗雲が宿り、それを差し出して一気に解き放つ
途方もない量の水流が途轍もない勢いで噴き出し、裂邪達を飲み込んだ

「知ってたかぁ? 俺は“神”を侮辱する人間共を1回洪水でぶっ殺してんだよ!
 愚かで間抜けな人間数億人をぶっ殺したこの俺にぃ! 弱小都市伝説ばっか連れ歩いた一契約者が勝てると本気で思ってんのかよぉ!?」

水が引いていくと、そこには融合状態が融けてしまった裂邪達が倒れていた
麻夜が駆け寄ろうとするが、「イシュピヤコック」が尚も彼女を離さない

「………弱小、だと?」

水を滴らせながら、裂邪はゆっくりと立ち上がり、
未だに闘志を漲らせた目を「フラカン」に向けた

「俺が弱いのは分かるよ、俺が貶されんのなら良いよ
 だがこいつらを馬鹿にする奴は、例え神だろうと俺が許さん!
 こいつらは、俺と一緒に今まで色んな敵と戦ってくれた優秀な仲間―――いや!家族だ!
 お前みたいに弱い人間を殺すだけの、脆弱な野良都市伝説みてぇな奴とは訳が違う!!」
「……あぁ?」

再び、重い拳が裂邪の腹に刺さる
262 :夢幻泡影 † X-DAY〜前編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 23:41:00.72 ID:vpwNyp620
込み上げた酸い液体を堪えたが、堪え切れずにそのまま戻してしまった

「立場分かってんのかテメェ? やられてんのはテメェの方なんだけどなぁ?
 テメェみてぇなバカがいるから俺達が働かなきゃなんねぇんだ、そこんとこ分かってんだろうなぁ!?」

「ケホッ………一々殺さなきゃ解決できないようなら、最初からやるんじゃねぇ、っつうの」
「っテメ―――――――」
「もうやめてよ、裂兄ぃ!! それ以上やったら、本当に死んじゃう………!
 私の事は、もう良いから……にぃにぃに、「ごめんね」って、伝えて――――――――」
「ふざけんなぁ!!!」

びくんっ、と麻夜の小さな身体が僅かに跳び上がる
裂邪は口の中の唾液を吐き捨て、口を拭ってそのまま続けた

「何でお前が謝らなきゃなんねぇんだよ……お前が一体何したんだよ!
 どっかの偶像にふざけた理由で狙われて、付き人がしっかりしてねぇから捕まって……お前はただの被害者だろうが!
 謝るべきなのは………俺の方だろうが……」
「ぅ……れ……裂、兄ぃ………」
「絶対に取り戻す。絶対にプレゼント買ってやる。絶対に、漢に会わせて、誕生日を祝う!」
「……ふらっふららららららららららららら!!!
 バァッカじゃねぇの!? ガキ同士の約束の為に“神”に挑んで命を捨てるってのか!?
 んなバカ初めて見たぜ……ふらっふらららららららららら!!」
「命をゴミとしか思わねぇ神なんざぁ、俺は神とは認めねぇ!
 そんな神、こっちから願い下げだ!!
 お前ら邪神が、この世界をぶっ壊すってんなら……俺は喜んでお前ら神々に対して宣戦布告をしてやる!!」

その瞬間だった
シェイドが黒い影に、ウィルは赤い炎に、「レイヴァテイン」は黄金の水に、
そしてミナワと理夢の身体が、それぞれ青く細かい泡と白く濁った煙となり、
裂邪を中心にして、五色の雷光を走らせながら渦を巻き始めた

「あぁ……? 何が始まるってんだ?」
「『夢』……『幻』……『泡』……『影』……そして『滅』………
 5つの“無”を司る都市伝説を、俺の中に注ぎ込む……!
 崩壊せし者達よ、【黄昏(ラグナロク)】に集え!!!」

白、赤、青、黒、金
五色の渦が裂邪を覆い尽くし、禍々しい球体を作り出す
それは暫くうねりながらやがて白、赤、青、黒の4色となり、4対の翼となって拡がった
翼の中から現れたのは、黄金の鎧の戦士
四色の翼を織りなしたその姿は、神と見紛う美しさを放っていた

【『コラプサーズ・ラグナロク(崩壊せし者達の黄昏)』………俺達、君臨!!】


   ...To be Continued
263 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/28(金) 23:44:52.22 ID:vpwNyp620
あっぶねぇ、間に合わないかと思った
因みに今までの前と後に分けてたりしたけど、あれはただの宿題提出で、今回はガチで前後二編構成
後編は裂邪が強かったり弱かったりします(アレ?


疑似クロスはもうちょっと待っててね
介入OKの時は宣言致しますので
多分日曜日頃には準備できるわ
264 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/29(土) 00:30:30.47 ID:ylgCCo6D0
寂しいからついでに
シャドーマンの人は変な笑い声を書く事に定評がある訳が無い

「ククルカン」も「フラカン」も、自分の名前から取って笑わせてみた
笑い声って考えるの難しいけど結構楽しい
個人的にはなるべく『ONE PIECE』と被らないっつかパクらないようにしてる
265 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 06:16:00.59 ID:7EJMb1SB0
シャドーマンの人乙ですー

>>264
>シャドーマンの人は変な笑い声を書く事に定評がある訳が無い
テケリリテケリリなんて笑い声そうそう思い付くようなもんじゃないからそこは誇って良いと思います!
266 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/29(土) 11:06:11.24 ID:xqzECNFt0
>>265
あれかwwwwwww
あれはねぇ、「ショゴス」には独特の鳴き声があるって書いてたから、
何とかして活かせたかったんだけど…まさかあんなことになるとは
267 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 18:20:18.56 ID:7EJMb1SB0
「戦う漫画家達」
中央高校、漫画研究部の部員の一部は、歩きながら漫画のネタを探している
「貴様等ッッ! 何か良いネタは見つかったか?」
独特の立ち方と独特な台詞回しそう言うのは部長の新希浩彦(あらきひろひこ)。好きな漫画はジョジョの奇妙な冒険、である
「私は、まらみちゅかってにゃいぃわ」
呂律の回らない喋り方で答える彼女は部員の御佐倉 南乞(みさくら なんこつ)。好きな属性はふ●なりである(しかし作者がふ●なりに全く興味がない、というか寧ろ苦手な上、エロを書く気が全くないため、この設定が生かされることはないだろう。この学園では設定なんてなんの意味も持たない)
「相変わらず呂律が回ってナイナイナイアガラね…」
綾乃ギャグでツッコむ彼女は七森海月(なもりみつき)。好きな漫画はゆるゆり、そして本人もレズビアンである
「俺も見つかってないわ。つーか漫画描くのめんどくさい。いや寧ろ生きていくのがめんどくさい。チーズ蒸しパンになりたい」
ダルそうにぼやく彼は宙智栄昭(そらちひであき)。好きな漫画は銀魂である。甘いものとマヨネーズと辛い物が好きな生活習慣病予備軍である
「僕もまだ見つかってないよ。何か見つかるといいけど」
冷静に言う彼は大庭洋(おおばひろし)。好きな漫画はDEATHNOTEと、とっても!ラッキーマンである
「ティヒヒ、わたしもまだ見つかってないですよー」
不思議な笑い方で言う小柄な彼女は碧城優女(あおきうめ)。好きな漫画はひだまりスケッチ、好きなアニメはまどか☆マギカである
「だけどオラワクワクしてきたぞ! どんな面白ぇネタが見つかるのか!」
やけにテンションが高い彼は酉岾彰(とりやまあきら)。副部長で、好きな漫画はドラゴンボールとドクタースランプアラレちゃんである
優女「きゃあ!?」
突然優女が何者かに襲われた。赤い毛布に包まった怪しい男だ。その男の毛布に優女が包まれた
南乞「うめひゃぁん!」
しかしそんな南乞の叫びも遅く、優女は魔界に連れ去られてしまった

―魔界―
『ケケケケケケ! これでまた俺のコレクションが一つ増えた…。さぁ、俺の玩具にしてやるよ』
優女「こんなのってないよ…あんまりだよ…」
『じゃあ先ずは大人しく喰らっとけ』
そういって、どこからか取り出した刃物を投げる『赤い毛布』
優女「っ…え、えいっ!」
突然、優女の体が麺のようなもの…焼きビーフンに変わって散らばり、刃物を全てかわしてしまった
『チッ…! てめぇ契約者か…!』
優女「うん。そうだよ。『蒼樹うめの主成分は焼きビーフン』っていうの」
『くそ…だが! レッドフレイム!』
何故か『赤い毛布』の手から炎が飛び出し、優女を襲う
優女「きゃ…! うぅ…熱いよ…」
『ここは魔界だ。そして俺はここの主だ。俺は! 俺が許可した人物だけは! この世界で魔法が使えんだよ!』

―現世―
浩彦「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 『俺は赤い毛布に包まった怪しい男を見た思ったらいきなり碧城が消えていた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何が起きたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」
洋「まぁ、恐らく『赤い毛布』って都市伝説で、その能力で魔界に連れ去ったんだと思うけど」
彰「それならオラに任せてくれ! オラの契約都市伝説『鳥山ロード』。オラとオラの許可したものだけが通れる目的地までの道を作り出せるからな!」
『鳥山ロード』。漫画家、鳥山明は愛知から空港で出版社と原稿のやり取りをしていたわけだが、その空港への往復が不便だったため、上京を考えていた。
しかし、巨額納税者である鳥山が愛知から離れるのは困るため、とある自治団体が鳥山の自宅から空港へ直結する専用の道路を作った…そんな都市伝説である
栄昭「んじゃどうするよ。無論優女は助けるとして、あの『赤い毛布』のヤローは?」
南乞「もちろん私達のぉおお優女ひゃぁんをしゃらったんらもん。ボコボコにしゅるのぉおおよお゛お゛お゛ぉ」
海月「ちょっと何言ってるのか分からナイナイナイアガラよ…。でも決まってるわ。みつき達の仲間を傷つけた奴は一人残らず――」
268 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 18:20:51.29 ID:7EJMb1SB0




                    海月「――罰金バッキンガムよ」
269 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 18:21:20.89 ID:7EJMb1SB0




                    海月「――罰金バッキンガムよ」
270 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 18:22:00.66 ID:7EJMb1SB0
―魔界―
優女「…でも。魔法が使えるのは貴方だけじゃないんだよ。マミさん!」
「ティロ・フィナーレ!」
優女が叫ぶと、どこからか中学生にしては胸の大きい、金髪ツインドリルの少女が現れ、『赤い毛布』をリボンで縛って巨大なマスケット銃で撃った
『かはっ…なんだ!?』
優女「ティヒヒ、知らないの?『見滝原町のモデルは群馬県』なんだよ? 」
『見滝原町のモデルは群馬県』。まど☆マギの舞台、見滝原町は現実の群馬県がモデルである、という都市伝説。
これにより優女は、まどマギに登場する魔法少女や魔女を、最大で5人まで召喚することができるのだ。しかし、ワルプルギスの夜とクリームヒルトはそれ1体までしか召喚できず、ワルプルギスは2週間に1回、クリームヒルトは1ヶ月に1回しか召喚できない。
また、女神まどかは召喚すると、戦った後酷い頭痛と疲労と筋肉痛に襲われ、2週間は寝込んでしまう。しかも、2ヶ月に1回、一人しか召喚できない。また、自分が魔法少女になることもできる
『ぐ…毛布のお陰で痛くはねぇ…。痛くはねぇけど許さねぇ! 来い!』
『赤い毛布』が叫ぶと、どこからともなく沢山の魔物がやってきて…優女に襲い掛かった
優女「っ! ほむらちゃん! 杏子ちゃん! さやかちゃん! 織莉子ちゃん! 数が多すぎる…!」
黒髪ロングの暁美ほむら、赤髪ポニテの佐倉杏子、青髪ショートの美樹さやか、銀髪ロングの美国織莉子が現れ、魔物と戦う
『ケケケケケケ! 全然足りねぇよ! このままじゃジリ貧だなぁ?』
そんなことを言いながら、瞬間移動で『赤い毛布』は優女の後ろに現れ、蹴飛ばした
優女「きゃあ!」
『ケケケ! どうやら不意打ちだと『蒼樹うめの主成分は焼きビーフン』とやらは使えねぇみたいだなぁ? じゃ、死ね』
魔法少女達が捌ききれなかった魔物たちが、怯む優女に容赦なく襲い掛かる
『ケケケケケケケ! ま、形くらいは残してやっから安心しな!』
醜く嗤いながら叫ぶ『赤い毛布』。優女は能力を発動しようとするが、間に合わない…
???「…時よ止まれ! ザ・ワールド! …そして時は動き出す」
瞬間、優女を襲っていた魔物は皆ナイフで貫かれていた
『!? チッ、仲間が来やがったか…。だが、幾らなんでもやられるのが早すぎる…!』
催眠術や超スピードなんてチャチなもんじゃ断じてねぇ早さで退治された魔物達。
結論から言ってしまえば、これをやったのは新希浩彦である。『荒木はスタンド使い』。ジョジョの作者荒木飛呂彦はスタンド使いである、という都市伝説。浩彦はこれにより、ザ・ワールドの時間停止を使って魔物を撃退したのだ
浩彦「貴様かッ? 俺達の仲間の優女を攫ったのはッ!」
彰「返答しだいでは容赦せんぞ…!」
洋「君は…僕が裁く」
海月「みつき達の優女ちゃんに酷いことしたわよね? 罰金バッキンガムされる覚悟はできてるんでしょうね?」
南乞「絶対に許しゃにゃいぃ!!」
栄昭「俺達の大切な仲間を襲う奴ぁ…黙って見過ごす訳には行かねぇ!」
とんでもなく格好良く登場する漫研部員達
優女「みんな…助けに来てくれたんだ…!」
海月「ええ! 優女ちゃん、これで安心アンコールワットよ! さぁ、みつきの胸に飛び込んでおいで!」
栄昭「やってる場合か!」
『な…なんだてめぇら…?』
あまりの濃すぎるメンバーにたじろぐ『赤い毛布』
浩彦「おっと! 自己紹介がまだだったなッ! 漫画研究部部長、『七人目のスタンド使い(ラッキーセブン)』、新希浩彦だッ!」
彰「オッス、オラ同じく副部長の酉岾彰! 『竜が如く(ドラグーンロード)』って呼ばれてるぞ!」
洋「同じく部員、『三國無双(トリプルミーニング)』の大庭洋だよ」
海月「みんなのハートにドッキューン☆ 『光の4剣士(セルフカルテット)』七森海月だぴょん♪」
「「「「…………」」」」
空気が凍った。
海月(あれー…? もしかして今のは…痛い?)
栄昭「こほん。えー…上に同じく『未来神話ジャーヴァス(フューチャーパーソン)』、宙智栄昭だ。よろしくゥ〜…」
南乞「お゙ぉおォおんにゃじく、『白川三姉妹におまかせ(ミサクランゲージ)』御佐倉南乞(みしゃくらにゃんこちゅ)らよお゛お゛お゛ぉ」
優女「そして同じく、『天外魔境(チダマリスケッチスイッチ)こと碧城優女だよっ!」
『なんだ!? 最後から二番目の奴は全く聞き取れなかったぞ!? …まぁ、どうでもいいか
何人増えたところで同じことだ! ここは俺の魔界(フィールド)! 端っからてめぇらに勝ち目はねぇんだよ!』
大きく叫び、炎の魔弾を飛ばす『赤い毛布』
271 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 18:22:34.56 ID:7EJMb1SB0
浩彦「『ウェザー・リポート』ッ! 天気は大雨暴風!」
突如、大雨と暴風が巻き起こり炎を消してしまった。新希浩彦の契約都市伝説、『荒木はスタンド使い』の能力である
『なっ…畜生…毛布がぬれて上手く動けねぇ…』
海月「えへへへへ、今がチャンスよ! 食らいなさい、なもブレード!」
唯の出刃包丁である
『な…な…
ケケケ! 引っかかったなアホが!』
そう言うと、至近距離で毛布から棘を飛ばした
海月「きゃあ!?」
南乞「きゃぁあああ あぉ! みちゅきひゃぁん!」
『まだまだぁ! ズタズタに引き裂いてやる! 魔剣・レッドクロス!』
毛布の中から取り出した、特に何の変哲もないサーベルで海月を切り裂く『赤い毛布』
海月「きゃ、あ…」
『ケケケケケケケケケ! 一人死んだなぁ? どうだよあの痛いレズ女がやられた気分は!?』
彰「痛いレズ女…海月の…海月のことかァああああああ!!! 『鳥山ロード』!!!」
『ケケケケ…ぐはっ!』
突如、目の前に現れた彰に殴り飛ばされる『赤い毛布』。『鳥山ロード』の能力で『赤い毛布』までの自分専用の道を作ったのだ
海月「みんなー!みつきまだ死んでないよ!? なもトリプルキック!」
『グボァ!!!』
上空から突然現れた海月が『赤い毛布』にとび蹴りをした。三人で
『な…てめぇ…生きてやがったのか! …だが、確かに剣で切り裂いたはず…!』
海月「『なもりは4人いる』のよ? 一人死んだくらいじゃ死なないわ。さらに言わせてもらうとね…。みつき達は、斬ったくらいじゃ死なないわ!」
海月「「なもアタック!」」
『がはぁ!』
今度は、さっき斬られて死んだはずの海月たちが2人で『赤い毛布』に体当たりした
『な…なぜ生きてるんだ! ふざけるな! 人間の分際で…!』
海月「『なもりは分裂するクラゲ型生物』なの。じゃ、改めて名乗らせてもらうわね…」
海月A「見えざる不憫な主人公! なもレッド!」
海月K「主人公以上に主人公な影の主人公…というか光の主人公! なもイエロー!」
海月Y「クールなイエローのストッパー。なもブラック」
海月T「ブラックに憧れるガチレズ腹黒乙女! なもピンク!」
海月「…って言っても全部みつきだけど! 5人揃って…」
海月’s「「「「「ゆるゆり戦隊、なもレンジャー!!!」」」」」
後ろでカラフルな爆発は…なかった
『ふざけやがって…! 死ね!』
海月Aに向かって魔弾を飛ばす『赤い毛布』。しかし…
海月A「\アッカリーン/」
魔弾は海月Aの体をすり抜けた
『何!? コイツ攻撃が当たらないのか!?』
海月K「食らえ!」
『ぎゃあああ!!』
海月K「…安心しろ。峰打ちだ」
海月Y「倒せよ!」
『てえめぇらァ…なめやがって…! 俺は都市伝説だぞ! てめぇら人間ごときに…!』
272 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 18:23:27.35 ID:7EJMb1SB0
そう叫び、今度は栄昭に炎を飛ばすが…
栄昭「よっと」
簡単に避けられてしまった
『ちっ…外したか…。ならこれで…どうだ!』
爆発する大量の魔弾を飛ばす『赤い毛布』
(ケケケ…バーカ、この魔弾はフェイクなんだよ。コイツが魔弾に気をとられてる隙に後ろから…)
栄昭「…バレバレなんだよ」
後ろから奇襲をかけようとした『赤い毛布』に、栄昭の木刀が炸裂する。『空知は未来人』の能力で未来予知をしたのだ
『がはぁ!!! て…てめぇええええええ!!! もう怒ったぞ! ここは俺の魔界! 全滅呪文をとにゃえてへぇええぇ゙やるのぉおお!!』
叫ぶ『赤い毛布』の呂律がおかしくなる
『にゃ…にゃんらこれは!? うまく喋れねぇ!』
南乞「『みしゃくら語』よお゛お゛お゛ぉ。他人のぉおお口調をみしゃくら語にしゅるのぉおおことがれきるのぉおお」
『にゃにいぃってるかわからねぇ!』
非常にシュールな会話である
洋「安心しなよ。君の言葉も聞き取れないから。じゃ…『キラー・クイーン』!」
洋の姿が浩彦そっくりになる。そして、洋の投げた岩が『赤い毛布』に当たり…爆発した
『ぁあああ あぉ゛ぁあああ あぉ゛ぁあああ あぉぁあああ あぉぁあああ あぉ゛! てめぇ…何しやがったのぉおお…』
洋「何でもかんでも人に聞こうとせず、少しは自分で考えたらどうだい?」
洋の契約都市伝説、『大葉つぐみ=ガモウひろし=鷹野常雄』。自分が見たことのある人間、及び人型都市伝説に変身し、その能力をコピーできるのだ
いわばFEシリーズの『コマンド』のようなものである。ちなみにバグることはない
優女「洋さんすごい! わたしも頑張っちゃうよ! 」
そう叫ぶと、見る見るうちに優女が巨大な怪物に変身し…歩いていく
『にゃ…何らよこれは! 俺は都市伝説らぞ! 『赤いぃ毛布』らぞ! てめぇら人間にゃんかに…人間にゃんかにぃいぃぃぃっよぉおお゙いぃぃぃっよぉおお゙!』
優女「ウェヒヒヒ、『赤い毛布』さん、さよなら!」
『あ』
ぷちっ。『赤い毛布』は優女に踏み潰された。あっけない決着である
浩彦「どうやら倒したようだな。よくやったぞ碧城ッッ!」
優女「ティヒヒ、ありがとうございます」
彰「んじゃ、帰るか!」
こうして、『赤い毛布』を倒した戦う漫画家達は、『鳥山ロード』に乗って家に帰っていくのであった…




                          続く…
273 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/29(土) 18:41:44.71 ID:7EJMb1SB0
うわー二重投稿しちゃったー…
ともかく投下完了です
274 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/29(土) 20:38:05.92 ID:ylgCCo6D0
ソニータイマーの人乙です〜
カオスすぎるwwwwwwwww何だこいつらwwwwwwwwwwwww
しかし「鳥山ロード」久々に聞いたわwwwww
275 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/29(土) 23:34:58.54 ID:ylgCCo6D0
避難所の猥談スレの盛り上がりが半端ないな……
こっちには人いないのかしら
276 :その時一陣の風が走る笛野郎 ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/10/29(土) 23:40:55.44 ID:e4NL603v0
【ラップトップハッピネス 第六話「ヴァージンロード」】

 幸せは身近な所にあるものだと人は言う。
 だが私には分からない。

「れんさん、これから何処に行くの?」
「んー、とりあえず北海道に観光にでも行こうかな」
「お仕事は良いの?」
「昨日終わらせたばっかりだよ」

 れんさんは車の中についたテレビを見てため息をついている。
 とある有名な政治家が殺されたらしいのだ。

「しっかしわかんねえなあ……」
「何が?」

 れんさんは悲しいという感情が分からないのだという。
 私は思う。
 彼は悲しいという感情を持っていない訳ではないのだと。
 彼は何かのきっかけで悲しいという感情を捨てようとして上手くできなかっただけなのだ。
 だってそうじゃなかったら私を拾おうとなんて思わない。
 私なんて。

「この政治家のおっちゃんよー、自分がやってることに罪悪感が無かったみたいなんだよなー
 普通の人間って他人をあんな積極的に不幸にできるものなの?
 俺と同じ人種だったのかなあ?
 だとしたら下弦ちゃんの命令とはいえ殺すのも勿体なかったかなあ」
「私には分からないです、その人と会ったこと無いですから」
「まーそれもそうか」

 普段の彼はどこか世間から浮いたような雰囲気を醸し出している。
 全てがどうでもよくて、全てがどうにでもなって。
 生きるも同じ、死ぬも同じ、クラシックを嗜み、下手な絵を描き、古い本を読む。
 
「そういえばテレビだとニュースわかりづらくない?
 ラジオに変えようか?」
「大丈夫です、見えなくてもなんとかなります」

 嘘だ。
 私には目が見える。
 そもそも彼と会った時から眼は見えた。
 嘘をついたのだ。
 そうでもしないと彼に捨てられそうな気がして。
 憐れむべき少女で居続ければ彼が哀れんでくれそうな気がして。
 何故私は彼に執着しているのだろう。
 私は彼に恋してる。
 彼から何かを得たくてしょうがない。
 私は彼が好きだ、彼が優しい人だから。
277 :その時一陣の風が走る笛野郎 ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/10/29(土) 23:42:53.56 ID:e4NL603v0
「北海道、まずどこへ行ったものか
 函館、あそこには中々旨いハンバーガーショップがある
 札幌、駅前から少し歩いた所にある食堂が美味しいんだよなー
 途中の東北はスルーしようかと思ったが山形にも寄るかい?
 月山という山があってね、あそこの頂上近くには雪が夏でも残っている
 ただブヨが少し五月蝿いけどね
 それだって寒いからそれほど数は居ないし
 ああそうだ、山形といえばげそ天ソバと玉こんにゃくだ
 あれは非常に旨い」
「詳しいんですね」
「うん、世界中旅して回るのが趣味だからね」

 でもそれだけじゃない。
 優しいだけの、下弦さんのような偽善者ならば沢山居た。
 彼は自分が泥を被ることも恐れない。
 私の為に自分の手を汚してくれる人は今まで居なかった。
 強くて、優しくて、私の行くべき道を一緒に探してくれる。
 隣に立っていてくれる。

「外国にも行ったんですか?」
「イタリア、ノルウェー、ロシア、トルコ、あとは北朝鮮にもこっそり入ってみたな
 どこも中々面白かったぞ」
「言葉は?」
「俺、実は英検2級なんだ」
「勉強できたんですね」
「一度高校で大問題起こして推薦取り消されてさあ
 その後浪人して予備校通って、大学入った後はそこの先生の伝手でバイトで家庭教師やってたから」
「問題?」
「いやー、むかつく教師をぶん殴ったんだよね」
「へぇ……」
「退学食らわなかったのが奇跡だったわ……」

 意外だ。
 少なくとも今の彼からは考えられない。
 でも……
 
「時々、とてつもなく熱血になりますよねれんさん」
「うーん、そうなの?」
「私と一緒に寝てくれるようになった時だって
 あんなに真面目な顔して色々言ってくれたじゃないですか」
「ああ、ムキになっちゃって格好悪かったな」
「そんなことないです、叱ってくれる人が居るのって幸せだと思いますよ」
「そうかな……」
「熱いれんさんも浮世離れしたれんさんも私はどっちも好きです」
「うーん……」

 分かんないや、と言って笑う。
 彼は気づいていない。
 今自分が悲しそうな笑顔をしていることに。
278 :その時一陣の風が走る笛野郎 ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/10/29(土) 23:43:21.06 ID:e4NL603v0
「誰かを好きになったり、誰かから好きになられたりってさ、きっつくない?」
「そうですか?」

 私にはそれは当たり前のことだった。
 でも本当に初めて人を好きになれたのはこれが初めてだと思う。

「何かを大事にしたら失ってしまう……気がする」
「何もかもなくしても、何かを無くした気持ちは残ります
 そしたらそこからまた出発……できたらいいなあって思います」

 れんさんが小さく笑う。

「できるさ、お前ならできる」
 
 自分ができるとは言わない。
 彼が前に言っていた。
 自分は誰かを救えなかったと。
 
「れんさんも、できるとおもいますよ」

 でも、貴方は私を救ってくれた。
 だから私の初めてを、貴方に捧げます。
 
【ラップトップハッピネス 第六話「ヴァージンロード」 to be continued】

279 :その時一陣の風が走る笛野郎 ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/10/29(土) 23:46:57.13 ID:e4NL603v0
復活
というより修行先の話が終わる目処がついたの
恋する乙女書くのが苦手なんだよなあ
「どう考えても男に都合良い描写だよね」
「恋するっていうか狂愛するって感じだよね」
って心の声がヒャッハー
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 00:03:00.84 ID:SNwLqrfdo
乙です
この二人の今後の関係性の行方が楽しみです
281 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 00:08:06.64 ID:PIXcqhxH0
笛の人乙です〜
やべ、泣けてきた……くそぅ久しぶりの笛の人は一味違うぞ

> だから私の初めてを、貴方に捧げます。
この文凄く好きだわ、グッとくるわ
エロじゃないってのもまた(少なくとも俺にとっては)新鮮で良い
サブタイはこういうことだったのね

>>279
気が早いかもしれないけど
お帰りなさいませ、ご主人様♪

>恋する乙女書くのが苦手なんだよなあ
1回女性にインタビューしたいよね
ってか1回女性になってみたいよね
それくらい知りたい、世界三大神秘の一つだわ乙女心
282 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/30(日) 00:15:18.18 ID:1W8+99800
笛の人乙ですー!

それにしてもこっち人居ないな…今のところ3人だけ?
283 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 00:18:29.49 ID:PIXcqhxH0
>>282
ROM専の人は分からんが、多分そのくらいかしら
ここ暫く人が来ないよなぁ……
ぶっちゃけると、引っ越し前の方が盛り上がった気がする
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/30(日) 00:21:06.17 ID:ggtlh42/0
頭痛に耐えながら眺めてる奴なら此処に、真似したいでも頭痛いでも休めない

それと笛の人乙です、先読みしようとする魅力が作品に欲しい
285 : ◆mGG62PYCNk [sage]:2011/10/30(日) 00:27:00.84 ID:SNwLqrfdo
ってか笛の人他のとこでも書いてたりするのか、すごいな
いくつも掛け持ちはできない
286 : ◆mGG62PYCNk [sage]:2011/10/30(日) 00:28:01.35 ID:SNwLqrfdo
ってか笛の人他のとこでも書いてたりするのか、すごいな
いくつも掛け持ちはできない
287 : ◆mGG62PYCNk [sage]:2011/10/30(日) 00:29:55.84 ID:SNwLqrfdo
ってか笛の人他のとこでも書いてたりするのか、すごいな
いくつも掛け持ちはできない
288 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 00:30:48.01 ID:PIXcqhxH0
>>284
>頭痛に耐えながら眺めてる奴なら此処に、真似したいでも頭痛いでも休めない
お大事にですの
無理せずに今日はハバネロ食べて早く元気になって下せえ
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 00:31:31.55 ID:SNwLqrfdo
油断すると連投してしまうww
290 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 00:32:03.43 ID:PIXcqhxH0
>>284
>頭痛に耐えながら眺めてる奴なら此処に、真似したいでも頭痛いでも休めない
お大事にですの
無理せずに今日はハバネロ食べて早く元気になって下せえ
291 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 00:33:15.72 ID:PIXcqhxH0
おかしい、俺も引っかかったorz
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/30(日) 00:40:41.96 ID:ggtlh42/0
>>298
ハバネロは[ピーーー]る、この前ドラッグストアで買った69円のハバネロ味のスナックがトラウマ
293 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 00:44:39.56 ID:PIXcqhxH0
>>292
え、そんな文章にまで[ピーーー]って入るの!? 何だったんだ気になる


ハバネロはやっぱり人を選ぶなwwww
嵌る人はドハマりするけどね、俺はもう毎日食べたいレベル
…今ふと考えた、あれにマヨネーズつけて食べたら美味しそうだなやってみよう(
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga sage]:2011/10/30(日) 00:46:30.42 ID:X896iG4e0
増え野郎も掛け持ちはキツイっす
だからどちらもまあある程度区切りをつけてと言うか
向こうはあんまり人居ないし始まってまもないらしいからある程度自由に書けるので修行に最適だっというか
1つだけ言えるのはラップトップの二人組には幸せになってほしいッス
ちなみに政治家の暗殺の件ではさりげなく橘さんと再戦してます
295 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/30(日) 00:56:23.33 ID:1W8+99800
>>292
ハバネロは死ねる、だと思われる

僕もハバネロは苦手だなー…柿ピーはすきなんだけど。
あのチョコでコーティングされた柿ピーも大好き。でも何故か家族には不評…僕の舌がおかしいのか?
296 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 01:03:49.91 ID:PIXcqhxH0
>>295
>ハバネロは死ねる、だと思われる
あーなるほど、その発想は無かったぜサンクス

>あのチョコでコーティングされた柿ピーも大好き。でも何故か家族には不評…僕の舌がおかしいのか?
大丈夫、君の舌はおかしくない
ただ家族全員が涙流して「からい」と訴えたのを平然と「お代わり」し始めたなら舌を疑った方が良い(※実話
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/30(日) 01:08:22.85 ID:ggtlh42/0
>ただ家族全員が涙流して「からい」と訴えたのを平然と「お代わり」し始めたなら舌を疑った方が良い(※実話

舌蕾は刺激物で衰えるっていうからなぁ、少し壊れたのかも
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/30(日) 01:09:23.47 ID:ggtlh42/0
舌→味蕾だった、一応直しとく
299 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/30(日) 01:25:35.58 ID:1W8+99800
>>296
その点は問題ない。何故なら家族が涙を流すほど辛いものは、僕は食べることすら出来ないからだ!
ちなみに未だに寿司はさびぬきしか食べられないぞ!(自慢にならねぇ)
逆に甘いものは家族が頭痛を訴えるレベルの物を普通に食べられるぞ!
…ちなみに家族曰く、『辛い柿の種が甘いチョコと一緒になってるのが理解できない』らしいんですよ。そこがいーんじゃねーか!って思ったし、言ったんですけど、理解されなくて…
良かった、僕の舌は正常だったんですねっ!
300 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 01:34:02.69 ID:PIXcqhxH0
>>297
>舌蕾は刺激物で衰えるっていうからなぁ、少し壊れたのかも
味蕾「あへぁん♪ もっとぉ、もっとからいのちょぉらいぃ♪」

こうですか分かりません><(マテヤコラ
そうか味蕾って衰えるのか、道理でハバネロの味が落ちてきたような気がしたら……
あれ、それってやばくないか俺の舌
どうしよう

>>299
>そこがいーんじゃねーか!
あぁ、そこが良いんだよな!
バニラアイスにワサビ突っ込んでも美味しいよな!
玉子豆腐にチリソースかけても良いじゃんかよなぁ!
ごめんなさい引かないで下さい(※やはり実話
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/10/30(日) 08:51:19.35 ID:X896iG4e0
やばいわーワルズ・ギルさまいいキャラしてるわー
前半は憎たらしい小物だったのに
今では憎めない雰囲気が出てると言うか
302 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/30(日) 09:06:18.60 ID:UwViiP8R0
>>301
もう降板だと思うと胸が熱くなるよな…
303 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/10/30(日) 09:37:47.99 ID:1W8+99800
>>300
>バニラアイスにワサビ突っ込んでも美味しいよな!
ごめんワサビは無理
…でもワサビアイスを食べたいなら、御殿場か小山に来ることをお勧めするぜ!
その付近のICに『ワサビソフト』なるものが売ってるはずだから!
…食べたことはないけどな!
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 09:38:20.90 ID:xVdWIoxDO
>>302
うわああああ!
305 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 10:57:48.70 ID:PIXcqhxH0
>>303
>その付近のICに『ワサビソフト』なるものが売ってるはずだから!
マジすか、それ食べたいなぁ
だが、遠いorz

>>304
謝るから落ち着けwwwwwww
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/10/30(日) 21:31:38.46 ID:X896iG4e0
【月見里邸の優雅な日常7〜花子さんの日常〜】

「おはよー」
「おはよー」

 私は目を疑った。
 と思った所でもう一度目を疑った。
 皆見えていないのだろうか。

「あれ?どうしたんですか花子さん」
「なんか体調悪そうだよ」
「いや、なんでもないの」

 さっきから私の視界に写っているこの文字が。
 私の思考を写しとるかのように空中で乱れ舞う文字。
 あー、あー、マイクテスト。
 うわっ、見えてる。
 なんだよこれ……。

「そういえば夢生は?」
「んーなんか警察に捕まったって。」
「小さい女の子を自宅に連れ込んでいたとかなんだとか……」

 どうやら今日はセクハラ魔神にあわなくて済みそうだ。
 いや待て、日頃からやれ作者が〜地の文が〜とか分けのわからないことを言っていた奴ならば私の今の状態もなんとかしてくれるんじゃ……

「そういえば私用事思い出したから今日ちょっと休むね。」
「えー、花子さん居ないと学校の階段にならないじゃん!」
「とりあえず空襲で焼け死んだ子供の霊の子達に代役頼んどいて!
 本当に急ぎの用事なのよ!」

 私は学校を出てとりあえず留置場に走る。
 基本霊体なのでわんこやにゃんこにしか見えていないはず。
 壁を幾つもすり抜けながらまっすぐに警察署へ向かった。
 しかしその途中、壁に突然ぶつかった。

「え?」
「おい18番“ガンバトル”どこに行った?」
「しらねーよ、多分“PEACE MAKER”でも読んでるんじゃないの?」
「どこで」
「仮眠室だろ」
「あー!あいつ居ないとこの先の話進まないじゃん!」
「じゃあお前探してこいよ63番“昼ドラ”」
「やだよ、俺はこれから主人公の義理の妹が実は主人公の実の親父とできていて、
 むちゃくちゃ腹立つ顔で『お母さんって呼んでもいいんですよ?』って言うシーン書くんだから。
 で、主人公の腹違いの妹と共謀して主人公の憧れの人を別の男とくっつけようとするんだ。
 その妹の方は実は主人公が好きで二人は一時的に同盟を組んでいる訳よ」
「ワケガワカラナイヨ」
「ったくもおこれだから27番“日常”は……」
「何なのこの人達……」

 辺りを見回すと不健康そうな顔した男たちがパソコンに向かってタイピングをしている。
 誰かが私の肩を叩く。
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/10/30(日) 21:32:04.98 ID:X896iG4e0
「こーんにちわ!お嬢さん!どこから迷い込んできたんだい!
 僕は16番“ロリコン”だ!3番の“萌えエロ”さんのところで仕事してるよ!
 ところで君素晴らしいツルペタっぷりだね、ランドセル背負ってお兄ちゃんの小学校に登校しないかい?
 僕が君のツルペタボディで作るゲレンデでスキー学習だ!レッツゴー!」

 男の一人が私に向けてルパンダイブで飛び掛ってくる。

「変態ダー!」

 と、そこでその男の額に風穴が空く。

「おいこら16番“ロリコン”!てめえまた仕事さぼってんのかおらぁ!」
「うるせえなあ91番“人妻”、犯罪者のくせに真面目ぶってんじゃねえぞ」

 ロリコンは犯罪ではないのだろうか?
 いや、犯罪だ。(反語)

「うわー、ロリコンがなんか言ってるわー
 やだもう、俺ちょっとフェイトちゃんとチュッチュしてくるわ」
「は?フェイトちゃんは俺の嫁だし」
「逝ってよし、フェイトちゃんはなのはさんの嫁だ。」
「うるせーぞファッキンシープ共!」
「なんだよ21番“百合厨”」
「俺はntrが嫌いなんだ!次妙なこと言ったらてめえら全員ぶっ殺す!」
「ntrは良いだろntrは……」
「俺はお前のそういう所が嫌いなんだ63番!
 てめえなんで昼ドラ展開ばっかり書くの?死ぬの?」
「21番“百合厨”、お前は哀れな男だ
 カップリングに心を奪われキャラ自体を見ようとしない
 そんなことだからマミさんをデブキャラ扱いしかできないんだよ」
「デブはデブですからwwwwwwww」
「あ゛?」
「殺すぞガキが……」
「女性はスレンダーな体型が最高なんですなwwwwwデュッフフwwww」
「おいこら30番“ツルペタ”、21番“百合厨”の味方をするつもりか?」
「デブさんがマミってことは確定的に明らかでござるよヲッフォフォウwwwww」
「……ごめん、僕も正直マミさんは無いわ、ゆまタソ一択だろ……」
「16番“ロリコン”てめえ!」
「ユマニータイムはっじまっるよー!」
「――――――終了――――――」

 なんだこいつら
 お互いを番号で呼び合っている
 しかも早速険悪なムードだし!
 私は一体どうすれば良いの!?
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/10/30(日) 21:32:36.54 ID:X896iG4e0
「おまえらチッタァ静かにしねえか!」
「やべっ、1番“燃え”さんが怒ったぞ!」

 うわっ、なんか奥からダンディな奴が出てきた。

「おっぱいが大きい女の子はなあ……HPが高いんだ」

 あ、帰った。

「なにしたかったんだあの人……」
「とりあえずそれっぽいこと言ってひきこもってばかりだよな」

 お前らにもわかんないの!?

「とりあえずマミさんディスった奴表出ろ」

 あ、何人か立ち上がった。
 なんか殴り合いまで始めた。

「ついでに長門を劣化綾波とか言ってた奴も表出ろ」

 うわ、全員立ち上がった。
 
「てめえら……」
「落ち着け29番“貧乳”!ヘタなことやったらぶっ殺されるぞ」
「かかってこいやあああああ!」
「「「「「「YEAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!」」」」」」

 すげえ……乱闘が始まった

「はがないの同人だと肉ばっか人気だけどさあ」
「なんだ77番“黒髪ロングストレート”」
「なんで夜空ちゃんはあんな感じなの?
 ねえ教えてよ54番“むっちり”」
「そりゃあおまえ、盛るべき肉をたっぷり漏れる肉の方が……描いてて楽しいだろ」
「くそっ……!
 ところでお前マミさんバトルに加わらなくて良いの?」
「俺が参加したらマミさんがデブ扱いになるだろ?」
「男だよあんたは……」
「紳士と呼びな」

 マイペースで作品書いてる奴らも居るし。
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/10/30(日) 21:33:03.60 ID:X896iG4e0
「あー、性欲持て余す」
「ほら57番“ロキノン”、財布から金くすねて来たから綺麗なお姉さんのいる店に行ってきなさい」
「ふざけんなよあの店綺麗なおねえさんの写真しかねえよ……
 でもありがとう92番“ヒップホップ”」

 綺麗なお姉さん居る店に行くために執筆サボる奴居るし。
 ここから出ようと思っても出られないし。
 ん?
 あれー、そこの貴方誰ですか?
 見えてますって、やたら文字が浮かんでいる空中の板みたいな場所から覗いてる貴方。
 あれ?消えた?
 こんどはそっちか!
 待て!


【少々都合が悪いことが起きたのでお待ちください】



「花子さん大丈夫!?」
「あ、あれ?私は……」
「急に寝ちゃったからびっくりしたんだよー?」
「え?」

 私の顔を心配そうに覗き込む皆。
 てけてけちゃんが私の手を握っている。

「いやーあれだぜ花子ちゃんよー
 あんまり無茶しちゃ駄目だぜ?」
「あれ、デブ人間あんた確か逮捕されてた筈じゃあ……」
「何言ってんだよーそんなこと有るわけ無いじゃん」
「そうだよ花子さん、夢でも見てたの?」

 訳がわからない。
 私は、アハハハ冗談だよと笑ってもう少し眠ることにした。

【作品中一部に世界の乱れが生じたことをお詫びいたします】
【この作品でお馴染み狐面の男でした】
「僕からもお詫びするよ、ごめんね皆」

 夢生があらぬ方向を向いてなにかつぶやいている。
 皆には見えていない。
 訳がわからない。

【月見里邸の優雅な日常7〜花子さんの日常〜つづく】
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2011/10/30(日) 21:40:49.13 ID:X896iG4e0
なんか思いつきで書いちゃった
公開している
お休みなさい
311 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/30(日) 22:11:19.60 ID:s6de1MRG0
メッタメタwww
なにはともあれ乙です!

>公開している

……してますね。WEBで。

それはそうと、シャドーマンの人擬似クロスマダー?(・∀・)っ/凵⌒☆チンチン
312 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/30(日) 22:33:09.82 ID:s6de1MRG0
 ある日、少女と少年――――本条薫と本条雄介は、ソファで読書をしていた。
「俺の能力は『殺す為なら何だってやってのける』みたいな感じなんだよ」
「突然ですね。何かあったんですか?」
「お前のバカ兄貴の所為で神話……といっても劣化した都市伝説と戦っている時に、雷が出たんだ」
「別におかしくないと思いますよ? 落雷死で説明がつきますし」
「今までは、俺は道具を使わなければそういう現象が起こせなかった」
「じゃあ契約した事による、能力の向上ですよ」
「……俺の事をバカにしてるのか? それくらいは考えていた」
 そこでだ、と間と本を置き、雄介と顔を近づける。
「どこまでやれると思う?」
「……どこまでも?」
「俺はボケがほしかったんじゃない」
 雄介の顔を突き離すと、顔を逸らし、頬杖をつく。
「だから、グンニグルとか、ライトセィバァとか、宇宙戦艦ヤムァトとか出せるとか、そういう話をしたかったんだ」
 薫は虚空から筒状の何かを取り出し、指でくるくるとまわし始めた。
「いや、さすがにライトセィバァは……」

 ブォン、と筒状の物体から白いビームのような刃が作り出された。

「嘘だぁ!? え? じゃあ何ですか? それでRXのリボリュケインとかも可能ですか!?」
「ああ、あの爆発するヤツか? 多分できるだろ」
「……本格的にチートになりましたね」
「まあ、俺だからな。できない方が不自然だ」
 薫はいとも簡単ににライトソード(薫命名)をクルクルと回し、得意げな顔を見せる。
313 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/30(日) 22:33:43.62 ID:s6de1MRG0

「じゃ、じゃあじゃあ!! 神話上の武器は!?」
「ならコレなんてどうだ? ――――ハラダヌ」
 薫はハラダヌ――――インドの神話伝承、叙事詩ラーマーヤナにでてくる神弓。ハラダヌの弓。八台の荷車に載せて運ぶほど重いというそれを、いとも簡単に虚空から取り出した。
「嘘ですよね!? 都市伝説が都市伝説を作るだなんてありえませんよ流石に!?」
「まあ、形だけのものだが、それなりに使える。まあ花子さんとかは無理だけどな」
 さすがに都市伝説は具現化することはできず、普通に薫が対都市伝説用の武器などと同じ扱いらしい。
「じゃあ、魔女みたいなのに変身はできないんですか?」
「いや、変身はできないが、コスプレの類は簡単にできる」
「こ、コスプレ……?」
「変な妄想はするな。なぜかは知らないが、前からできてた。まあ服を買わずに済んだのは俺にとって得だったがな」
 それは多分、服装で薫の魅力を引き立たせ、路地裏に誘って殺す……という事に使えそうだが、彼女はそれに気が付いていないらしい。
「質問! 他にはどんな事ができるんですか?」
「炎を出したり水を出したり風で物を切ったりとか、大自然の力も使えるようになった」
「……もう無敵じゃないですか。まさに敵なしでしょそれ!?」
「殺すための力だからな、威力の制御が難しい」
 ため息をつき、不安げな顔を見せる薫。
 それもそうだ。彼女のコンプレックスは、『殺し』をコンプレックスとしているのだ。心の傷口のレパートリーが増えてもうれしくないだろう。
「銃器って威力制御してるんですか? あれ?」
 …………………………。
「……揚げ足をとるな」
「でも本当のことですよね?」
「うっさい!! お前は揚げ足とってそんなに楽しいか!!」
「憂鬱そうな顔をしているあなたより、怒っているあなたの方が可愛らしいです」
「ごまかされるかドアホォ!!」
「あれれー? ちょっといじくっただけでそこまで怒るって、普段の威厳はいずこへー?」
「……オイ、ちょっとそこになおれ」
「断固拒否します」
 雄介はサッと走りだし、逃げるように部屋の中を舞う。
「オイコラ待て!!」
 薫はすぐさま走りだし、無駄のない走りで追いかける。
「待てって言ってるだろ!!」
「ふっふっふ、なら捕まえて見て下さいっ!!」
 薫の不安は走りと共にどこかへ消え去り、それに代わるように雄介を追いかける。
 今となっては当たり前の光景。
 薫は怒りながら、こんな日常が続けばいいと願う。
 もう、殺し合いなんてうんざりだ。
 この男と、一緒にいたい。
 薫は、二度と離すまいというかのように、雄介を強く抱きしめた。
「……俺から逃げるなよ?」
「もう二度と逃げませんから、許して下さいよ?」
「俺の心は寛大だぞ? もう許す」
 そして二人は、笑いあった。

 そんな二人を覗く視線が、鏡から発せられていた。
『リア充爆発しろォ!!』
「「ダルマはもう出てくるな」」

 世界があれば、続く。
314 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/30(日) 22:37:52.09 ID:s6de1MRG0
最後に出てきたのは二話のだるまさんが転んだの都市伝説。
オチが思いつかなかったからこれで勘弁してください!!

今回やりたかったのは、薫の能力はどれくらいまでできるの?
って事と、ただ単にいちゃいちゃさせたかった。

シャドーマンの契約者さん、日曜日は後、一時間半しか残ってませんよ!!
ファイトっ!
315 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/30(日) 23:02:06.95 ID:PIXcqhxH0
それが聞いてくれよ……
何故か分からんが全然やる気が起きないでやんの
一応あとちょっとで裂邪殺せるんだけどさ
ローゼの介入は下手したら1レスで終わるから、ささっと終わらせちゃえるかしらな

その後感想書きますの
316 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/10/30(日) 23:53:21.70 ID:s6de1MRG0
>>315
雄介「よし、ここは薫さんっ!! はいっどうぞー!!」
薫「……ふぁいとー」
317 :夢幻泡影 † X-DAY〜後編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 00:47:54.36 ID:JZ28s7pX0
黒と白、赤と青
四色の翼を揺らめかせ、羽ばたかせ、黄金の天使は神々しくそこに存在していた
飛んでいるというよりは浮いているといった感じで、脚は地面に接していない
ただ静かに、漂うように、何かを狙う獣の如く隙を見せない

「……ほぅ、飲まれた……いや、“飲み込んだ”、か?
 成程、今回の人間達はなかなか面白い。滅ぼすのが勿体ないとさえ感じる」
「あぁ? 冗談だろ、もうこいつらの未来はとっくに決まってんだよ!」

身体に突風を纏い始める「フラカン」
彼が動き出そうとする刹那に、裂邪は右手をゆっくりと上げ、人差し指を伸ばしてぴたりと止めた
様子を見る為に止まってしまった「フラカン」だったが、それは大きなミス
煌びやかな光条が指先から幾本も発せられ、彼を襲った
すぐに反応して回避を試みたが、1発だけ肩を掠めてしまった
ぱっ、と紅い華が咲き乱れる

「当たった…!?」
【…「レイヴァテイン」の力………】
「テメェ……また俺の身体を傷付けやがったなぁ!?」

拳に風を纏わせ、「フラカン」は怒りに任せて突風の如き速さで裂邪に迫った
しかし、彼の目の前に透明な何かが現れ、行く手を阻んだ

「なっ………!?」

そのまま勢いで殴り付けると、ぽよん、と物体は大きく波打ち、拳を弾いて破裂した
どうやら、大きなシャボン玉だったようだ
彼はそれを生成し、盾の代わりに使用したのだ

【今のはミナワの力だ……これが、ウィルの力…】

背に生えた赤い翼が激しく燃え盛り、小さな炎が飛び出して、雨となって降り始める
「フラカン」は風を発生し、それを全て払い除けた

「まだ分かんねぇのかぁ!? 俺にそんな攻撃が通用する訳―――――ッ!?」

裂邪を見た瞬間、「フラカン」の目が激しく泳ぎ始めた
眼前に、敵は“3人”
いつの間にか増殖した黄金の天使が、拳を振り上げて迫ってきた

「くっ、幻影か!? どこまで神を侮辱すればッあがぁっ!?」

攻撃は背後から
“3人”の裂邪は何事もなかったかのようにフェードアウトし、
代わりに確かな存在である裂邪が、うつ伏せに倒れる「フラカン」の背を蹂躙した
318 :夢幻泡影 † X-DAY〜後編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 00:48:21.27 ID:JZ28s7pX0
「うぐっ……テ、テメェ………!?」
【これが、理夢の力……!】

脚を放し、眩い雷光を纏った脚でもう一度踏みつける
「フラカン」の身体はアスファルトに作り上げたクレーターの中心に僅かにめり込んだ
さらに裂邪は地面を抉りながら、彼の身体を蹴りあげる

「がはっ!?」
【そして、これが……シェイドの力!】

右手で背の黒い翼に触れると、右腕に影が纏わりついて黒い刃を生成する
裂邪は蹴りあげた「フラカン」に目掛けて飛んでいき、その腹を貫いた
赤い血飛沫が飛び散り、口から血を噴き出す「フラカン」
黄金の鎧が、血と夕陽で紅く染まる

「ッおぼぁっ!?」
【どうだ? お前が“弱小”と罵った都市伝説の力は………!!】

刃を引き抜き、血に塗れた傷口に蹴りを入れる
「フラカン」は再び吐血し、空中で反りかえって仰向けに倒れた

【ウヒヒヒヒヒ…お前は神だからって奢り高ぶり過ぎなんだよ
 自分の行動全部に自信を持ち過ぎる。だから隙だらけだ
 『油断大敵』って言葉はすげぇな……“神”にとっても、油を一滴も零さないようにってのは難しかったか?】
「黙れ………黙れぇ!!!」

起きあがり、左掌から風と炎を凝縮した弾丸を発射する
空しくも、それは裂邪が作り出したシャボン玉と共に壊れて消えた
一瞬怯みながらも、何度も何度も同じ攻撃を繰り返す
ある弾は火炎弾と相殺し、
ある弾は実体の無い幻影を通過していき、
ある弾は影の刃によって斬り裂かれ、無力化する
肩で呼吸し始めた「フラカン」は、言葉も出せず、ただ息を荒げるだけだった

「……………!?」
【…打つ手無し、か………お前、それでも“神”か?】

黒い翼を巨大な爪に変え、「フラカン」の肩を抉りながら捕縛する
宙ぶらりんの状態になった彼の傷を、炎を纏った拳で殴りつけた
苦悶の色を強めた声が、一帯に響き渡る

【ウヒヒヒヒヒヒヒヒヒ……ヒハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!
 良いザマだなぁおい!? あんなにバカにしてた人間にボコボコにされてどうよ?
 そりゃあさぞ屈辱だろうなぁ! ヒッハハハハハハハハハハハ!!】
「テ、メ………人間風情がぁ…………っ!」
【まだ元気そうだな? んじゃ、その元気を命と共に】

空いた掌に黄金の光を集約し、雷光を走らせるそれを「フラカン」に向けた
彼を捕らえる影の腕に一層力が篭り、真っ赤な血がどくどくと溢れ出す
「フラカン」の目は未だに闘争心剥き出しだったが、光は既に消えかけていた
そんな彼の“黄昏”を見て、裂邪は小さく嘲笑った

「ち………き、しょ…………」
【ヒハハハハ……さあ、これで最期(レッツト)だ――――――】
「そこまでだ」
【あぁ? 良い所なんだから邪魔すんッ……ま、麻夜!?】
319 :夢幻泡影 † X-DAY〜後編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 00:48:57.78 ID:JZ28s7pX0
裂邪が驚愕の声を上げ、捕縛していた「フラカン」を投げ捨てた
そこに立っていたのは、「イシュピヤコック」に捕まっていた筈の麻夜だった
だが、どうも様子がおかしい
終始一言も話さず、ただ俯いているだけの彼女に、裂邪は嫌な予感を持ち始める

【…おい! 麻夜に何しやがった!?】
「申し訳ない。そちらで勝手に遊んでくれていたお陰でスムーズに事が進んだよ」
「ッ!? 麻夜、おい麻夜! 俺の声が聞こえるk」
「違う」

焦りの混じった裂邪の声を遮るように、少女の声が冷たく静かに辺りに響いた
その声は他の誰の物でもない、紛れもなく神崎 麻夜本人の声だった
計らずとも、裂邪の読みは当たってしまった
最悪の形で

「我は「太陽の暦石」………石板に記されし滅びの予言を成就する者也」
【う、嘘だ………嘘だ!?】
「くくるくくくくくくくく……残念ながら真実なのだよ
 君も知っている通り、私は“創造神”………この世の全てを生み出した神だ
 私に創り出せない物は何も無い……人間と都市伝説の“繋がり”も同じだ」

「ククルカン」の話も聞かず、裂邪は彼に向かって、「フラカン」に放つ筈だった光弾を構えた
鼻で笑いながら対峙しようと一歩前に出る「ククルカン」だったが、す、と彼の前に小さくか細い手が阻んだ

「下がれククルカン、我にさせろ」
「ッ………宜しいので?」
「肩慣らしには丁度良い……それにこの身体、なかなか興味深い」
【お前……麻夜の身体から出ていけ!!】

掌から放たれる金色の光弾は、真っ直ぐに麻夜――中身は「太陽の暦石」だが――の元へ飛んでゆく
本来なら麻夜の身体を傷つける行為だが、裂邪には考えがあった
「レイヴァテイン」は“破滅の枝”の名の通り、破壊を司る北欧神話の武器
つまり、「ククルカン」という都市伝説が創造した契約の繋がりを、木っ端微塵に粉砕しようというものだった
だがその思惑が、逆に木っ端微塵に砕かれる事となる

「第一の破滅……『カイーナ』」

麻夜が右腕をゆっくりと上げると、彼女の周囲のアスファルトが罅割れ、破壊されて3つの影が飛び出した
飛び出した者のうちの一つが、裂邪の光弾をもろに喰らい、跡形もなく消滅した

【何っ………あ、あれは!?】

裂邪が見たもの
それは、金色にも見える毛並みに、黒と黄の美しい梅花紋が点々と描かれた毛皮を持つ獣
ヒョウにも似ているが、これはジャガーという生物であり、ネコ科の肉食獣としては有名である
「太陽の暦石」に記された、4つの太陽の世界の破滅
その一つは、『ジャガーによって食い殺される』というものだった
これは、その能力で生まれたのだろう
だが、彼が驚いたのはそんなことではなく
ジャガー達が、人間のように二足歩行していたことだった

【まさか………麻夜の「幼気」を使いこなして………!?】
「やっひゃひゃひゃひゃひゃ、真に滑稽であり傑作……
 小僧、この醜い畜生共と遊んでやってくれ」

人型のジャガーが襲いかかる
裂邪は火炎弾を拡散させて牽制するが、流石は獣、身軽に攻撃を避けてゆき、
逆に裂邪の周りをぐるぐると素早く回って翻弄した
まず1匹が、裂邪の懐に潜り込み、鋭い爪で鎧を穿とうとした

【こんな奴等………遊びにもならん!!】
320 :夢幻泡影 † X-DAY〜後編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 00:49:53.10 ID:JZ28s7pX0
爪が触れる寸前に、影の刃がジャガーの腕を斬り落とす
怯んだジャガーの頭を鷲掴みにし、裂邪は「レイヴァテイン」の力を込めて地面に叩きつけた
ぐちゃり、という鈍い音と共に、1匹目のジャガーが絶命する

【あと1匹………そこか!】

背後から飛びかかるジャガーの気配を感知し、そこに向けて左掌をばっと広げた
ジャガーの身体が、空中でぴたりと止まる
いや、止まった訳ではない
透明な球体――――シャボン玉に閉じ込められ、その場に停止するどころか、
それはゆっくりと確実に地上から離れてゆく

【シャボン玉飛んだ…屋根まで飛んだ…】

静かに、彼は歌い始める
童謡の「シャボン玉」
ふわり、ふわりとジャガーは飛んでいき、いつしか天まで届かんとしていた
抜け出そうと必死に暴れるジャガーだったが、何をやってもシャボン玉は壊れない

【屋根まで飛んで……壊れて消えた】

歌い終わった瞬間に、シャボン玉はようやく破裂して消滅した
閉じ込めていたジャガーと共に

「む……成程、確かに今回の人間は面白い
 しかし「レイヴァテイン」にしては威力が小さいな……まぁ、そんな事はどうでも良い
 傀儡とは言え、我が生み出した者を壊したのだ…裁きが必要だな」
【っは、何が裁きだ! 裁かれるようなことやってんのはお前らだろうが!!】

4対の翼を羽ばたかせ、影の剣を携えて麻夜に迫る
麻夜はただ、それを見て怪しく微笑んでいた

【引きずり出してやる……麻夜の中から、お前を!!】
「なら我は貴様の内臓を引きずり出してやろう………第二の破滅、『アンティノラ』」

麻夜の拳を、鋭い風が耳を劈く様な音を響かせて渦を巻き、
裂邪が振り下ろした黒い刃を掻き消しながら、その拳は彼に牙を剥いた

【―――――――――――――がはぁっ!?】

黄金の鎧は裂邪の腹部ごと貫かれ、僅かに形が液状になりかけていた
真っ紅な血が流れ出し、麻夜の腕を紅く染める

「……この程度、か………どうも何か“邪魔な物”が纏わりつく……何だこれは?」
【ごふっ………邪魔な、もの………?】
「…良い、直に慣れるだろう。その前に」

裂邪の腹から腕を引き抜く
一層多量の血が溢れ出した彼を、軽々と投げ捨てた
放り投げられた衝撃で、またも血を噴き出す裂邪

【おぐぅっ……!?】
「どうした、フラカンにも同じ事をやっていたみたいだが……やはり苦しいか?
 なに、案ずる事はない………もっと苦しませてやろう」

両手を広げて構えると、掌に炎が集まり、巨大な火球を作り出す
近づく者全てを焦がす勢いで燃え滾るそれが狙いを定めるのは、やはり裂邪

「第三の破滅……『トロメア』」

業火は彼女の手を離れ、金色の天使を焼き尽くす
少年の断末魔は、炎が激しく燃え盛る音に飲まれて掻き消された

「やっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!
 しまったな、少し加減を間違えたようだ……もう少し遊んでやりたかったのだがな」
「…「太陽の暦石」よ、そろそろ場所を変えましょう」
「そうだな、この身が馴染むまで……そして力が高まるまでは遠い
 イシュピヤコック、あのボロ雑巾…フラカンを連れて来い」
「………了解」
「何か勘違いしてねぇか?」

炎の中からの声に、麻夜は咄嗟に振り向いた
めらめらと燃え盛る炎の海に、確かに裂邪は立っていた
黄金の鎧を身に纏って
しかし、先程のように翼は生えておらず、鎧の形も僅かに違う
321 :夢幻泡影 † X-DAY〜後編〜  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 00:50:19.87 ID:JZ28s7pX0
「…生きておったか、しぶといな」
「おや? 先程貴方が飲み込んだらしいお仲間がいないようだが?」
「ッヒヒヒ………死ぬのは俺一人で十分だ
 全員、ここじゃない場所に送り返した」
「………やひゃっ………やっひゃひゃひゃひゃひゃ……
 そうかそうか、なかなかに馬鹿で愚か……だが気に入ったぞ」
「…何を?」

「ククルカン」の問いに答えず、麻夜は一歩、一歩と裂邪に歩み寄りながら、
不敵な笑みを浮かべて彼に問うた

「小僧……我と共に滅びを見ないか?」
「……は?」
「貴様にチャンスをやろうと言っておるのだ…悪い話ではない筈だが
 貴様、「水晶髑髏」を知っておるか?」
「……それがどうした」
「あれは13の「水晶髑髏」を集めた時、宇宙万物の力を手に入れる事ができるのだ
 その力を手に入れれば、例え人間だろうとそこの神も、下手をすれば我でさえも滅ぼせるだろう
 そこで、だ………この娘と貴様の2人を生かしてやる代わりに、「水晶髑髏」を破壊してはくれぬか?」

思わず息を飲む裂邪
それを黙って聞いていた「ククルカン」が押し入った

「「太陽の暦石」、人間などにそのような事を………」
「この小僧は“人間”とは一概に呼び難い…強いて言えば“化物”に等しい
 我々の意向も理解しておるだろう
 どうだ小僧? もう一度言うが、これは貴様にとっても」
「断る!!」

はっきりと、裂邪は言い放った
大きく深呼吸した後、彼はさらに続ける

「俺と麻夜の“2人だけ”を生かす? 人間を舐めるのも大概にしろ!
 麻夜にはなぁ、俺なんかとは比べ物にならないくらい大切な奴がいるんだ!
 俺とだけ生き残ったって、麻夜は絶対に喜ばない!
 俺だってそうだ! シェイドやミナワ、理夢、ウィル、両親や弟、友人、恩人、失いたくないものが沢山ある!
 人間ってのは皆そうだ! 一人や二人生き残ったって何の意味もない!
 だったらいっそ全員仲良く滅ぼされた方がマシだ!
 だからってこのままぶっ殺される気は毛頭無い! お前らをぶっ潰して、絶対に明日を掴み取ってやる!
 明日を夢見る人達の希望をぶっ壊す訳にはいかねぇんだよぉ!!」

その瞬間、裂邪を中心に強い波紋が広がった
一瞬の事だったが、それは「ククルカン」達をも震え上がらせた
そして、裂邪の鎧を、炎が纏い始めた
その輝きに勝るとも劣らない、金色の炎

「俺の全身全霊を……この一撃に賭ける…………!!!」

金の焔は裂邪の身体を覆い尽くし、黄金の巨鳥が降り立ったかのように燃え盛る
彼は麻夜に向けて―――否、倒すべき敵に向かって、拳を振り上げた

「うおおおおおおおおおおおおおお!! 『ゴッド・フェニックス』!!!」

その様は、まさに“不死鳥”
黄昏の陽の如き色をした不死鳥は、「太陽の暦石」が操る麻夜の身体を砕かんとした

「……つまらん。期待しておったのだが…致し方無い」

麻夜の右手に拳が作られる
最後まで、彼女は裂邪を嘲笑っていた

「最終破滅………『コキュートス』」

その言葉を最後に、裂邪の意識は途絶えた


   ...To be Continued
322 :シャドーマンの契約者@どうせ俺なんて…  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 00:53:34.11 ID:JZ28s7pX0
くぅ、ローゼ参入話が書けなくて残念だった……
でもその話はかなり短いので、ノリ気だったら『赤い幼星』『神力秘詞』『邪気殺し』の3本投下するかも
ノリ気だったらね
323 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/31(月) 01:28:53.67 ID:iieOi2Tw0
さて、読み終わったぞ
笛の人乙です〜
メタなんてレベルじゃねぇぞこれwwwwwww
どこまで行くんだ月見里邸wwwいいぞもっとやれ♪
DKGの人乙です〜
お、かおるん強化のおさらい回か
都市伝説召喚キタwwwww 因みに都市伝説が都市伝説生み出すのは意外に事例多かったり
324 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/10/31(月) 01:38:04.71 ID:iieOi2Tw0
捕捉っと
『カイーナ』『アンティノラ』『トロメア』は、SRWOGのジュデッカの技から取りました
大元はダンテの「神曲」かな
そういや参考BGM張るの忘れてた…いいよもうふえええええんorz
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 08:50:17.24 ID:L0I+dJXSO
Trick and treat
326 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/10/31(月) 21:29:25.83 ID:noMia4fb0
DKGの人乙でした
なんでもありだと……
しかし殺さないための力ならば全力で殺されにいって手加減させたくなるな
俺が本気で殺されに言っている間、お前は俺を殺せない!みたいな
とかおもってたら今週のジャンプで使われちまいましたよ
シャドーマンの人乙でした
れっきゅん……
俺は信じてるよ
れっきゅんが氷塊の中から
竜の紋章を輝かせて復活することを……
327 :シャドーマンの契約者@どうせ俺なんて…  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 21:38:04.45 ID:JZ28s7pX0
>>326
>竜の紋章を輝かせて復活することを……
元ネタが分からんwwwwwwww
復活はするよ
2度負けて3度立つよ(
328 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 21:55:56.46 ID:JZ28s7pX0
ありゃ、名前変えんの忘れてたorz
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/31(月) 22:31:22.07 ID:pxExe36E0
投下しよう、構いませんね
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/31(月) 22:34:04.62 ID:pxExe36E0
月の光が照らす住宅街の裏手、昼間はそれなりに人が通るものの夜になるとめっきり人が通らなくなる

「はぁ、今日も疲れた、アイツのせいで全く持って不愉快な一日だった」

この一体には巷で有名な不審者や怪物が出るらしい等と何時から誰が口走ったのか、街灯が数本しかない為そんな噂話ができても仕方が無い

「あの変態教師、何故選りにも選って何故私に近づいてきたのか、学校が終わるたびに毎日毎日強化合宿だの課外授業だのふざけた事ばかり・・・
他の奴らに愛想が良いから益々質が悪い、周りの奴も周りの奴よ優しいだの何だの言いながら、良い評価を付けてくれるだの優しいだの、裏でやってることを知る奴なんて居ない」

その裏道に一人、中学生だろうか、にしては背が高い、普通ならばこの暗闇の中、少なからず恐怖心を抱き無意識にでも避けるのが比較的安全で堅実な人間だ
ましてや闇に飲まれる対象の主である子供が、恐れではなく怒りを抱きながら夜道を歩く
セーラー服のスカーフタイを皺くちゃになるほど握り締め、喧しく歯軋りを立て、明かりが眼鏡に反射し表情を隠した
そんな女子学生であったが、唐突に行為を止め、落ち着いたように立ち止まる

「でもそんな事はもう良い、そろそろアイツも熟れ時、私のご馳走になる・・・それまでの辛抱」

先程までと打って変わって不適に笑う、まるで何かを待つように

「おぉやっと来た、やっと有り付ける、この前のは邪魔が入ったせいで巧く行かなかったけど」

背後から物音がし、物陰から大きな体躯をした巨大な蜥蜴が姿を現す、蜥蜴は徐々に彼女に近づいて行くも女子学生を襲うような真似をせず、傍まで来るとそのままひれ伏した
蜥蜴は大きな人のような体躯をしており、強靭な鱗を備え鋭い爪牙を持ち、蜥蜴というよりは恐竜のそれに近い顔つきをしている、首元には大きな緋色の結晶が刺さっているが蜥蜴はぴんぴんしている
腕や足には内側から引き裂いたような敗れ方をした質の良い布切れが、窮屈そうに締め付けられていた

女子学生は胸倉に有るネクタイの残骸らしき紐を掴み、耳であろう穴に息が当たる程度まで手繰り寄せる

「やっぱり限界が近い・・・さっきから疼いてしょうがない・・・あぁ全くあの取り囲んでいた奴といい、なんであの街付近にはこうも変なのしかいないのか、あぁ腹立たしいッ」

前にもこのような事をしていたのだろうか、失敗したであろう前回のこの行為に腹を立てながらも、自身を落ち着かせる
抵抗もしない蜥蜴の喉元の結晶に噛み付くと、結晶は光を放ち崩れながら塵になり、彼女の中に吸い込まれて行き無くなってゆく
それに比例するよう蜥蜴の体が縮んで行き、全裸の中年男性が跪きながらその場へと倒れた

「これで済むと思わないことだ、貴方は葱を背負った有用な鴨なんだから、このあと無事に帰れればの話だけれど」

女子学生は、動かない男性を気の済むまで踏みつけ甚振ると唾を吐き捨て、月明かりに照らされた白髪を揺らし立ち去る
後には、月の照らす闇の中伸びたスーツの切れ端を体に被せた男性が夜道に残るのみだった


夜空に浮かぶ丸い丸い月、月の光は生物を魅了し祭事や生活の糧としての役割
精神を狂わせる一因としての危険な一面をも持ち合わせ、果ては世界滅亡の時期を探り出すのにも使われている場合も有る
今宵の月は、誰の為に照らされるのか





331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/31(月) 22:34:34.66 ID:pxExe36E0
月光も届かない路地裏でひっそりと佇む場違いな建物、窓に掛かるカーテンから暖かな光が漏れ
人らしき小さい影が一生懸命に通り過ぎる

事務所のキッチンにて、着る物は割烹着と三角巾、腰まで伸びる長い銀色の髪をクリップを使い纏め上げる
痒みは少なく巧く行った、首元がわさわさしてなんだか楽しい

「ふむ、こうして見ると余計に・・・これ以上は止そう」
「私の台詞を取った、判ってるのねぇ」

創真が案の定それらしい反応を見せる、少しは私も気にしていることだ
何かを持つようなので少し邪魔をしてやろう

すかっ

「これは・・・うぉっ、やはり作り物ではないようだね、此処まで来るといろいろと興味深いね」
「創真も少し鍛えたらどうさね?」

お化けと呼ぶに相応しい大きな西洋南瓜を辛そうに運ぶ創真、今日はそういう日だ
運ぶ様は何処か滑k・・・頼りないがこれでも日頃、余程の事が無い限り私に色々教えてくれたりする

だが、それ以外は本を読むか怠けるかで家の中に篭りきりのため聊か頼りない、仕事では妙に冴えているのに

それはそれとし手に持つ包丁を南瓜と見比べる

「あぁこれ思ったより苦戦しそうねぇ・・・叩き割るのは少し厳しいか」

これでは人が熊に立ち向かう程度に無茶がある、だがその程度で諦める私ではない

「流石に無茶じゃないか、幾ら君でも・・・」
「大丈夫大丈夫、こっちは金属だ、先は尖ってるんだし創真の習った通りに行けば・・・」
「好きにしたまえ、くれぐれも力加減を間違えないように」

そうだ、何時も通りやればいい、いつも通り・・・いつも通り

重い緊張感が場を包む中、徐々にお化け南瓜中央に皹?・・・切れ目が順調に入ってゆく

「よし、巧く行ってる、このまますーっと・・・」
「少しづつ、少しづつだ」
「わかってる、今・・・うまく、行くから・・・」
「待ちたまえ!それ以上やったら!」

ぎちぎちと包丁が軋む、だが構わない、このまま裂け目を入れたらそのままかち割ればいい


メキと金属音が響く

332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/31(月) 22:35:27.82 ID:pxExe36E0
「言わんこっちゃ無い」
「・・・・・・」
「そんな顔をしても包丁は元には戻らない、ほら、此方のを使いたまえ」

無表情で縦に潰した様に曲がった薄刃包丁を持ち、呆然と立ち尽くす彼女
創真が差し出す大きな包丁を押し返し、無言のまま曲がった薄刃包丁だったものを力いっぱいに振り下ろす

白い軌跡の跡に、野菜を切る時の独特の音が鈍く響き、思惑通り南瓜が二つに割れていた、切り口がギザギザなのはご愛嬌
幸いまな板も傷一つ無い、奇跡的と言うべきか

「清々しい気分でガッツポーズをしたいのは判るが」
「そこから先は言わないでっ」

確かに割れている、片方は3分の1サイズできっちり、曲がった包丁が多数の面で光を乱反射
さっさと南瓜をテーブルへと移し、さっさと種を刳り貫く、所謂現実逃避だ

「やれやれ、出来る事は出来るんだがね、強引なのが玉に傷か、次は中身を刳り貫いてボウルに入れよう」
「潰すのは任せなよ」
「構わないが電子レンジを使った後でならね」

好きなだけ潰せないのは残念だが、理由があるのだろう、よく判らないが仕方が無い
創真が水洗いをし、電子レンジに入れる・・・


――それから電子音楽が何度も鳴り響く


創真が爪楊枝を取り出し、欠片を突付きまわる

「よし、頃合か」
「創真?」
「こうしなければ柔らかくならんのだ、唯闇雲に潰すのは料理として余りよくない」

何か巧く誤魔化された気がする、潰してから暖めても良かっただろうに

「余り残念そうな顔をしないでくれたまえ、電子レンジでやったほうがざらつきが少なくなるからね」
「電子レンジは分子を揺らして暖めるって奴かい?」
「そういうことだ、それにこの方が甘くなる」

「ほう」

甘いという単語に眼を輝かせる、なら仕方が無い、ボウルから香る匂いに免じて放っておくことにしよう
さて、次は南瓜を磨り潰しペースト状にする作業だが、なにやら創真は手に怪しい箱を持っている

その白黒斑模様に背筋が凍りついた

「そろそろ慣れも必要だと思ってね、スープにしようと思う」
「牛乳は本当に必要なものなのかい?代用品は何か無い?」

救いの手は何か無いのか、一つでもいい、何か望みは・・・

「この作り方しか知らないからしようが無い」

完全に絶たれた

「君の為だ諦めたまえ」
「ぅぐ・・・」

項垂れながらも南瓜を洗いに行く、創真の厚意であることはわかっている
だが何故選りにもよって牛乳なのか、創真の好物だが悪意が感じられない以上関係は無いだろう

箱の柄を見て以来料理を作る気力が失せた、調理をする音が少し怖い

その後出来上がったスープは牛乳のせいで食べずらく、食が進む創真が少し羨ましく感じた
南瓜の甘みは感じ取れるものの、風味が邪魔をし結局味がよく判らなかった

「ご馳走様、そしてご愁傷様」
「ぅぇ・・・」

背凭れに寄りかかりながら口をあんぐりあけ、脱力し天井を見上げた
ふと、残り粕が舌を滑る

「・・・普通よりは抑え目なのね」
「栄養食だからね、食べてもらわないと」

創真がスープを啜る音が響く

有り難う
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/31(月) 22:36:45.52 ID:pxExe36E0






その頃

「次は誰が良いだろう、アイツには暫く刺せないし・・・目立たない人が良い、嗅ぎ付けられない為にも」

暗闇の中、何かを引き摺る鈍い音と共に彼女は現れる
闇の中活動する為か趣味なのか服は黒く、髪は月光で銀色に輝く

「トリック・アンド・トリートなんてこのご時世流石にベタだし、あまり遊ぶような事じゃない」

先程の夜道とは違い人通りが多い、だがこの時間人は疎らに通り場所によっては街灯の意味が無い程暗い
彼女の言う遊ぶ為にやることじゃない事をするには持って来いだ

まだ湯気の立つコーヒーの缶を持ち、ベタだが信頼できる曲がり角の電柱の陰に隠れ
獲物を狙う狼が如く身を潜め、大学生辺りだろうか、少し疲れた様子だがはきはきと歩いている

標的が見つかったようだ

「あれは生きが良さそうだ、生きが良いのは嫌いじゃない、念には念を入れて面倒だから成熟の早い奴にしよう」

急ぐようにコーヒーを飲み干し、少し苦そうにした後

「でないと」

青年が、曲がり角を通り過ぎた頃、懐から黒い岩石と朱色の光を放つ棒のような端末を取り出す
暗くて造形はよく判らない、だが辛うじて朱色の光で照らされほんのり見えるのは

「邪魔した奴を捻り潰さ無きゃならない」

イヌ科の動物のような小さな彫刻、それを腰前付近へと移動させ・・・

wolf

電子音声が響く後、黒い影が纏わり付く様に何かが包むように見える、周りの影のせいかとても判り難い
対象の青年は何か悪寒がしたかのように振り向く、だが直ぐに安堵し進み始めた


――直ぐ後ろで観られているのに


青年は恐怖の叫び声を上げ、それきり彼の声は聞こえなかった

「何時からだろう、なんでこんな事しなきゃいけなくなったのか、全くもって腹立たしい・・・」

代わりに

「狼男よりは成長が速いと良い、その方が苛々しなくて済む」

狼ともライオンとも似つかない姿の獣が、鈍い咆哮を上げるだけだった



続く


学校町でも比較的都市伝説が少ない地域でのハロウィンの何気ない風景

試験的に一人称視点混ぜる、本編織り交ぜる必要はあったのだろうか
334 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 23:01:16.39 ID:JZ28s7pX0
乙です〜
新キャラ登場か、これはまた盛り上がるな
かぼちゃスープ久しく飲んでないなぁ腹減った(マテヤ
しかし楽しげなハロウィンは多いけど、怪しげなハロウィンの話は早々無い気がして新鮮ね!

>試験的に一人称視点混ぜる、本編織り交ぜる必要はあったのだろうか
良いんじゃないかしら
俺はこういうの大好きです
335 :悪党と怪人 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/31(月) 23:08:46.59 ID:FfnJa8Gwo
 ぴん、と
 金属を弾く澄んだ音が響く
 空中踊る十円玉をぱしりと掴み取り、くいと引き絞る

「こっくりさんこっくりさん、ヴィクトリアとかいう女の隠れ家はこの先か」

 その言葉に応じて、三Z-No.592の肩に群れていた人の獣耳尻尾の少女達がぱっと散開し、頑丈そうな鉄扉に群がっていく
 少女達が嬉しそうにぺしぺしと扉を叩くと、扉に『こ』『の』『と』『び』『ら』『の』『さ』『き』という文字が浮かび上がっていく

「ひのふの……八文字か、充分だな」
「がんばったよー」
「ほめてほめてー」
「あとでなでてー」

 腕に群がる少女達から、爆発的に膨れ上がった霊力が十円玉に注がれる

「いちげきひっさーつ!」

 狐少女の号令と共に放たれた十円玉は、轟音と共に冷凍用の倉庫ほどもある鋼鉄製の扉を易々とひしゃげさせ、建物そものを揺るがせた

「お、吹っ飛ばなかったか。すげぇ頑丈」

 辛うじて曲がった極太のビス数本で壁にぶら下がっていた扉を、豪快に蹴り飛ばすZ-No.592
 暗い下り階段を、壁に引っ掛かり表面を削りながら転げ落ちていく扉だったもの

「さーって、お邪魔しますよーっと」

 ポケットに手を突っ込んで、じゃらりと十円玉の量を確認し
 Z-No.592はきゃいきゃいとはしゃく少女達を率いて、階段を軽い足取りで降りていく
 あちこちが落ちた扉に削られへこまされたコンクリートの階段を、こつこつと
 どこか色合いのおかしい照明に照らされて、深く深くへと

「あー、なんつーかこれ、アレかな」

 表向きは古臭いビルでしかなかった建物の地下に、洞窟でもくり抜いて最新の軍事基地でも差し込んだかのような、ちぐはぐな通路が伸びている光景
 無意味に無駄に無闇に、あちこちでちかちかと明滅するランプ
 Z-No.592はぽんと手を打つ

「悪の秘密結社、ってやつか」

 通路の先に、じわりと浮かび上がるように現れる、黒い全身タイツのような姿の戦闘員達

「正義の味方ってガラじゃないんだけどね、俺」

 質量を感じさせない、奇妙なステップで向かってくる戦闘員達に、くいと腕を突き出して

「まあ、アレだよ。乗ってやる」

 十枚ほどの十円玉を握り込み、Z-No.592は叫ぶ

「こっくりさんこっくりさん! どうせこいつら、一発でぶっ倒せんだろ!」
「はったおせー!」
「ぶったおせー!」
「ですとろーい!」

 飛び交う狐、狗、狸の少女達が、戦闘員の額に、左胸に、次々と触れて『はい』の文字を浮かび上がらせ

「それじゃあまとめて! さようならっと!」

 その手から放たれた十円玉は絡み合うような軌道で通路を縦横無尽に駆け、戦闘員達の頭部を、胸を、容赦無く貫いていく

「個も持たねぇがらんどうの雑魚が引っ込んでな!」
「じゃあ、雑魚でなければいいのね?」

 ぱきん、と
 乾いた音を立てて、十円玉の一枚が真っ二つに割れる

「ようこそ、我ら『悪の秘密結社』の秘密基地へ」

 満面の笑顔で両手を広げ、心の底から歓迎の意を表した、似た面影を持つ数人の女
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/31(月) 23:08:59.10 ID:pxExe36E0
>>334
言い出せない、投稿した日が偶々ハロウィンで、その為に急遽南瓜用意して割烹着着せたなんていえない
337 :悪党と怪人 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/31(月) 23:09:30.26 ID:FfnJa8Gwo

「あんたがヴィクトリア? ああ、あんた『達』かな?」
「ええ、近しい方々からはヴィッキー、もしくは教授と呼ばれています。以後お見知り置きを」
「んで、後ろの毛色の違う連中は?」

 Z-No.592が放った十円玉を叩き割った何者か
 その姿は、人間の造形に昆虫の外殻を貼り付けたような、不気味な姿
 戦闘に立つ一人は、すらりとした赤い鞘翅を背負った女性のような姿をしており
 大きな複眼に覆われた頭部と、人の面影を残した頬から顎のラインを隠すように覆う甲殻が、僅かに震える

「ネエ」

 感情の篭らない声が、二の句を告げる

「ワタシ、キレイ?」
「『口裂け女』みたいな文言だな。まーフォルムは綺麗だと思うぜ、嫌いじゃない」
「キレイナノ? コレデモカ!」

 口元を覆っていた甲殻がばくんと開き、昆虫らしい大きな顎がぎちりと開く
 床を蹴り滑るように迫り来る赤い昆虫人間
 その腕を覆う甲殻が変形し、蟷螂のような鎌が、蟹のような鋏が現れる

「オマエモオナジカオニシテヤロウカ!」
「まるっきり『口裂け女』じゃないかこいつ。お前、何しやがった」

 視線はヴィッキーに向けたまま、赤い昆虫人間の刃を掻い潜り懐に潜り込み
 普段は腕を支点に弓のように開くこっくりさんの台紙型の力場を、親指と人差し指の間に展開して、パチンコのように十円玉を番える

「こっくりさんこっくりさん、虫っぽいこいつの装甲薄いのはどこだ?」

 ぽつぽつと、赤い昆虫人間の腹部に浮かび上がるいくつかの『お』『な』『か』の文字

「悪いが、手加減できそうなほど余裕のある力量差じゃなさそうなんでな」

 ずどん、と
 鋭い衝撃音と共に赤い昆虫人間の身体が浮いて、突っ込んできた勢いそのままに空中に放り投げられ、通路に叩きつけられ転がったまま動かなくなった

「もう一回聞くが……こいつらは何なんだ?」
「我々の悲願ですよ」

 ヴィッキーは笑顔のまま、苦労して作り上げたものを見せびらかすように、興奮を隠さず語る

「『悪の秘密結社』には、やはり怪人が必要でしょう?」
「今まで作れてなかったのかよ」
「殺して、死体から自分を模した『フランケンシュタインの怪物』を作ってはいたんですが……それはただの死体人形ですからね」

 ねー、と顔を見合わせて肩を竦め合うヴィッキー達

「やっと私の趣味に合う方法で怪人を作るための技術を手に入れて、もう嬉しくてたまらないんですよ」
「随分と趣味が悪いこったな」
「そりゃあもう、『悪の秘密結社』のプロフェッサーたる者が、趣味が悪くないとダメでしょう?」

 そう言うとヴィッキーは、きらきらと淡く輝く結晶体をポケットから取り出す

「これ、何だと思います?」
「俺に質問をするかね」

 するりと十円玉を取り出し、腕に展開した台紙の上に置く

「こっくりさんこっくりさん、あれ何だ?」

 その言葉に反応して、十円玉の上に手を置いた少女達が、やや戸惑いを浮かばせながら十円玉を動かしていく
 十円玉が指し示した文字は『と』『し』『で』『ん』『せ』『つ』

「都市伝説?」

 続けて少女達が指し示したのは『は』『な』『こ』『さ』『ん』という文字

「花子……さん」
338 :悪党と怪人 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/31(月) 23:10:24.69 ID:FfnJa8Gwo
 その言葉に反応して、結晶体を持ったヴィッキーの後ろで、他のヴィッキーがぱちぱちと手を叩く

「優秀な都市伝説と契約しているのですね。素晴らしい」
「あんたに誉められても嬉しかないけどな……それが『花子さん』ってのはどういう意味だ」
「文字通りの意味ですけどね?」

 手のひらの上で結晶体を転がし、弄びながらくすくすと笑い声を上げる

「都市伝説の人間化の研究、ご存知ですか?」
「それをかっぱらった馬鹿を叩きのめすために来たんだけどな、俺は」
「まあ研究内容を知っている前提でお話させてもらいますよ? 都市伝説の人間化というのは、手っ取り早い話……都市伝説の意志と記憶、つまり『魂』を取り出して保存、残る都市伝説要素のエネルギーを材料に人間の身体を構築するという錬金術です」
「らしいな。それが怪人を作る事にどう繋がるんだよ」
「簡単ですよ。『魂』を取り出した後のエネルギー、都市伝説としての存在そのものを結晶化したものが、これです」

 ヴィッキーがぱちんと指を鳴らすと、背後に控えていた怪人がすいと道を開け
 戦闘員が、一人の若い女を引き摺ってくる

「この結晶を、人間と合成するとどうなると思います?」
「……っ! こっくりさんこっくりさん、あいつの――」

 Z-No.592が言葉に紡ぐよりも早く
 ヴィッキーの手の結晶は、焼けたナイフがチーズに刺さるかのように、するりと女性の後頭部に差し込まれる

「あ、ああああああ、ああああああああああああああ」

 がくがくと震えながら、頭を押さえ身体を丸める女性

「契約という共生をするにせよ、呑み込むという支配をするにせよ……そこには互いの意志が存在しますが。それを介在しない場合、都市伝説というエネルギーに都市伝説という個が存在しない場合」

 ぷちり、ぷちりと
 ぎちり、ぎちりと
 音を立てて、女性の身体が変貌していく

「人体は、都市伝説というエネルギーを排除しようとします。強固な意志があれば充分可能なのかもしれませんが……例えば、脳改造などで命令を聞くだけの木偶人形などの場合」

 髪の毛が抜け落ちて、頭部を覆う黒いおかっぱにも見えなくもない外骨格
 肌が変質して盛り上がる甲殻の胸部を走る赤いラインは、吊りスカートの名残か

「本能と肉体が都市伝説エネルギーを拒否し排除しようとするものの、それは体表に留まりながら内部に浸透し……やがて変質したまま一体となるわけです」

 腰周りに鎧のようなスカートのような甲殻が広がり
 出来上がった『もの』は、『トイレの花子さん』をモチーフにした『怪人』としか言えない代物だった

「まだ一人につき一つの都市伝説しか埋め込めませんが。この結晶を複数埋め込めたり、取り外し可能にしたりするアタッチメントも製作中ですからご期待下さいね」
「なるほどね……こりゃまあ確かに、放っておくとやばそうだ」
「あなたの後ろのそれも、放っておくとまずいんですが。修理してはダメですか?」
「悪の秘密結社の怪人なんて、倒されてナンボなんじゃないのか?」
「それはそうですが。ではそのままで」

 ヴィッキーがポケットから取り出したスイッチをぽちりと押し込むと、Z-No.592とヴィッキーの間に強固なアクリル板のような障壁がシャッターのように下りてくる

「最近はただ消滅するだけの怪人が多いですが……昔の特撮の怪人って」

 にたりとヴィッキーの笑顔が歪む

「死ぬと、爆発するんですよね」
「なっ――」

 直後に、背後に感じた熱波と衝撃が
 Z-No.592の全てを飲み込んだ

―――

 辛うじて、意識だけはまだあった
 だがその身体が原型を留めているのが不思議なぐらいの有様は、見ずともに判る

「こっくりさん、こっくりさん……俺、あとどんだけ、持つ?」

 あわあわと泣きそうな顔をしている狐、狗、狸の少女
 だが問われた事は問われたままに返すしかできない彼女達は、ただ十円玉を動かすだけしかできない
339 :悪党と怪人 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/31(月) 23:11:09.33 ID:FfnJa8Gwo
 綴られた文字は『あ』『と』『ご』『ふ』『ん』

「……うっし、んじゃその五分で……こいつら全部、ブッ潰す」

 Z-No.592の脳裏に浮かぶのは、目を覚ました途端に親友の心配をし
 そして、友人の無事を知らされると、今度は悪の存在を必死で伝えようとしていたメイの姿
 都市伝説に呑まれかけ、その力と存在を否定されかけてなお、何処かの誰かに向けられる悪を止めて欲しいと懇願するその姿

「あの子に……心配かけらんねぇからな……きっちり……片付けてやんねぇと」

 赤くぬめる指先で、焦げて歪んだ十円玉を掴み
 突き出した腕に、弓状の力場を展開する

「こっくりさん、こっくりさん! あのクソ女は、間違いなく悪い奴だな! そして……怪人どもは、止めてやるべきだな!」

 涙目の少女達が目にも留まらぬ速さでヴィッキー達に迫り
 その場に居る『悪の秘密結社』側の者、その全ての全身に余す事なく『はい』の文字を刻み付ける

「くたばれ、地獄で懺悔しろ」

 放たれた数十枚の十円玉は、ドリルのように渦を巻き
 先程の爆発に耐えた障壁をあっさりと打ち砕き、通路そのものを抉り取り、そこにある全てを粉微塵に粉砕していった

―――

 重い地響きが伝わってくる様子に、さほど動じた様子も無くスピーカーの向こうで大首領がふむと唸る

《大丈夫かね、この基地は?》
「大丈夫でしょう。大首領の間はおろか、この研究室にすら届きませんよ」

 笑いながら、ヴィッキーは一抱えほどもある大きなガラス容器を引っ張り出す
 それは大小様々なケーブルが容器の内部まで続いており、それに詰められたものに接続されていた

「あの黒服の少年は少々勿体無いですが、実験段階の怪人を相手に遊んでもらって、データを収集する事にします」

 ガラス容器の中には、大量のケーブルやチューブが接続された、ミイラのような老婆の首が溶液に漬されていた
 それは、『ヴィクター・フランケンシュタイン』と契約したオリジナルのヴィクトリア

「さて、魂を移し変える技術が手に入った事ですし、実験も充分にしたので活用させてもらう事にしますよ。『フランケンシュタインの怪物』に任せ切りでは、『私』も面白く無いでしょうから」

 そう語りながら、やや表情に残念そうな色を隠せない様子もある

「できれば、エルフリーデ女史か……メイちゃん、沙々耶ちゃん、いずれかの肉体が欲しかったですね。かつて善良な人間だった肉体を乗っ取るとか、悪の華でしたし」

 溜息を一つ吐いて気を取り直し、ヴィッキーはいつもの調子に戻り
 紋章の刻まれたレリーフの、大首領の声を伝えるスピーカーに向かってヴィッキーは深々と頭を下げる

「『私』のより一層の忠誠と悪意にご期待下さい、大首領閣下」
340 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/31(月) 23:15:37.78 ID:FfnJa8Gwo
前回までのお話は
>>162-164をご参照下さい
更に前は過去ログまたはまとめWikiにてどうぞ

投下宣言してなかったのでお話に割って入ってしまったようで申し訳ない限り
自分の時事ネタは避難所のエロスレでやったからもういいよね!(待てコラ)

というか悪の秘密結社は夏の終わり頃、繰の話(投下できないスレにて)は夏の話という現状
執筆ペースを上げたいですorz
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/31(月) 23:28:37.12 ID:pxExe36E0
悪の秘密結社かぁ、やることがえげつないからこそ映える

書いてみたい

>投下宣言〜
お気になさらず、私もリロードし忘れたのが悪いわけですし
342 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/10/31(月) 23:41:17.44 ID:FfnJa8Gwo
>>341
> 書いてみたい
いきなり組織丸ごと潰されたりしなければばんばんOKですよー
『フランケンシュタインの怪物』なヴィッキーはたくさん居るので、なんぼ死んでもOKですしww

無論、こいつら以外にも悪の秘密結社は存在するでしょうし
自分なりの悪の秘密結社を作ってみるのもまた一興かと

> お気になさらず、私もリロードし忘れたのが悪いわけですし
どうも色々注意力が足りてないもので
こちらも気をつけます
343 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/10/31(月) 23:52:43.72 ID:JZ28s7pX0
三面鏡の人乙です〜
ってZ-No.592ーーーーーーーーー!?
こ、これはどっちだ、そのまま死亡か生存フラグか!?
しかし良い化物描写だ、俺の『花鳥風月』の化物達はどうしてもガキっぽくなるのよねorz
344 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/01(火) 00:08:12.93 ID:a+2bwBwjo
>>343
> こ、これはどっちだ、そのまま死亡か生存フラグか!?
くくく、一体どうなるんでしょうねぇ(訳:まだ考えてません)

ちなみに怪人は古式ゆかしいショッカーの改造人間みたいなイメージで
ちなみに結晶体云々はいくつもの都市伝説の力を換装して変身する平成ライダーのノリにできたらなぁという妄想の産物
345 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 00:12:47.74 ID:qeXEW6iz0
>>344
>くくく、一体どうなるんでしょうねぇ(訳:まだ考えてません)
来たよ来たよ、これはフラグだ生存フラグだ!
(というと死亡になっちゃいそうだけど俺は信じる)

>ちなみに結晶体云々はいくつもの都市伝説の力を換装して変身する平成ライダーのノリにできたらなぁという妄想の産物
新ライダーぞくぞく登場!
ある意味じゃライダーというよりドーパントとかゾディアーツの方が近いか?(
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 11:06:51.86 ID:W7bxGuDDO
いやー、やっぱいいわ
ドクターの人の話は読んでてゾクゾクする
これは負けてらんないぜ

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347 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/01(火) 12:26:17.84 ID:wz+gDKnw0
あぁ、サーバ移転してたのか
管理人様乙ですとここで言っちゃう(

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348 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/01(火) 13:21:08.68 ID:h8Vdo/QAO
投下された皆様乙ですー
どれも目が離せねーですよ!

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349 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 20:35:58.96 ID:qeXEW6iz0
てす

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350 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 20:36:52.73 ID:qeXEW6iz0
「…………弱い」

10月28日、日が完全に落ちて星が瞬き始めた頃
血の海に倒れ伏した少年―――黄昏 裂邪を見下しながら、
神崎 麻夜の人格を乗っ取った「太陽の暦石」がぽつりと呟いた

「無理も無いでしょう。特異とは言え、所詮は人間ですので」
「いや、小僧ではない、我の方だ」
「……は?」
「直前に力が抜けたような感覚がした………何かに後ろ髪を引かれたような感覚だ
 お陰で小僧に留めをさせなかったようだ」
「まさか……小娘の意思が残っていると?」
「あくまで可能性だがな…まぁ、直に抑え込めるだろう
 イシュピヤコック、フラカンの容態は?」
「…………まだ、息があります」
「なら良い、後で治してやれ。新たな人間の創造に不可欠だからな
 だがまずは…………」

麻夜は掌を広げて裂邪に向けると、
掌から水が溢れ出し、大きな球体となった後に一気に圧縮されて小さな弾丸となる

「しかし便利な身体だ……やっひゃひゃひゃひゃひゃ、捨ててしまうのが勿体無い
 兎角、ゴミは掃除してやらんとな……最初の犠牲者だ、あの世で知人達が来るのを待つと良い
 今度こそ、さらばだ小僧………第四の破滅、『ジュデッカ』」

勢い良く放たれる、水の弾丸
『洪水を起こす』能力で本来出現させる筈だった水を凝縮した一発
約1トンの水に押し流された場合、自動車でさえも変形してしまうらしい
これがそれ以上の水だとしたら、どうなってしまうのか
だが、その答えが分かる前に、水の弾丸は一瞬にして蒸発した

「―――――――――――――――む、」

何かを感じ取り、麻夜は夜空を見上げた
赤く輝く翼をはためかせ、黒いスーツを着た赤髪の少女が、ゆっくりと舞い降りた

「黒服……「組織」の方かね?」
「ええ、R-No.0…ローゼ・ラインハルトと申しますわ」

燃え滾るマグマのような赤い目で、彼女は麻夜、そして「ククルカン」達を睨みつける
彼女の身体からは、真っ赤な雷光がバチッ、バチッ、と音を鳴らして火花を散らしている

「………やっひゃひゃ…貴様、「フォトンベルト」の契約者か?」
「流石にご存じの様ですわね…………「マヤの予言」、貴方の破滅を阻止しに参りましたの」
「阻止だと?……面白い事を言う、世界破滅系都市伝説が、同じ系列を止めると言うのか?」
「目には目を、破滅には破滅を、ですわ」
「やっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……そうか、気に入ったぞ小娘」

と言うや否や、麻夜は踵を返してローゼに背を向け、
「ククルカン」達へ撤収の合図を手で送った

「っま、待ちなさい! ここで逃がす訳が―――――」
「我とその少年、どちらを優先するのだ? 「組織」よ」
「ッ……!?」

ちら、と裂邪を見るローゼ
ここで逃がせば、人類破滅を開始するかも知れない
しかし、今裂邪を見捨てれば……
彼女は強く、唇を噛みしめた

「やっひゃひゃひゃ…案ずるな、貴様等には猶予をやる。精々最期の時を足掻くが良い」

次の瞬間、麻夜達の周りを炎が包み込むと、それは彼女達の姿と共に一瞬にして消失した

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351 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 20:37:42.04 ID:qeXEW6iz0
辺りを見回した後、すぐさまローゼは裂邪の傍に駆け寄り、衝撃を与えないようにそっと抱き起こした

「裂邪さん! 裂邪さん!!」
「………………うぶっ、ろ、ローゼ、ちゃ…………」
「良かった、今すぐ「蝦蟇の油」を……」
「ローゼ、ちゃん………ご、め……お゙ぁ゙っ!」
「無理にお喋りにならないで、本当に死んでしまいますわ!」
「ま……や………麻夜、が………」
「…大体の状況は掴めました。遅れてしまって、本当に何と申し上げればよいか…
 ワタクシ達が気づくのがもう少し早ければ、こんなことにならなかったのに……
 麻夜ちゃんは必ず、ワタクシが…「組織」が全力を上げて、無事に保護してみせますわ」
「ぁ…………た、の…………ぅ」
「ッ! 裂邪さん!!」

ローゼが「蝦蟇の油」の入った瓶を取り出したが、
その前に裂邪は、深い闇の底に墜ちていった

「……手が冷たい………血を流し過ぎてますわ、別な場所へ運ばないと――――――――ッ!」

何かの気配を感じ取った
咄嗟に振り向くと、月明かりで出来た影の中から、複数の影が飛び出した
裂邪の契約都市伝説であるシェイド、ミナワ、リム、ウィル、
そして彼の弟――黄昏 正義と、その契約都市伝説「恐怖の大王」

「み、皆さん………」
「っ!! ご、ご主人様!!」
「お兄ちゃん……! ひ、酷い怪我………」
「申し訳ないけれど、裂邪さんは深刻な状態ですわ
 すぐに「組織」管轄の病院へ向かいますので、話はそこで詳しく聞かせて頂けるかしら?」
「……アァ、無論ダ」
「それと……正義さん、漢ちゃんの連絡先、教えて頂けませんこと?」
「分かった、ちょっと待ってて」








     †     †     †     †     †     †     †







山奥――――――

「ここで良い。フラカンの治療を」
「…………了解」

闇が広がる山林の中
麻夜―――「太陽の暦石」は、そこで足を止めて「イシュピヤコック」に命令を下した

「ついでに、ここを拠点にせよ。その方が都合が良い」
「しかしそれでは、余計な邪魔が入る可能性が御座いますが?」
「何処にいても最後には「組織」などの輩が我を消しに来る
 ならばいっそ、ここで迎え撃った方が早いだろう
 …………そうだな、あの小僧のような者が現れても困る」

一人で納得するように頷き、麻夜はその場にしゃがみ込んで、そっと地面に手を触れる
すると、一帯の土に無数の土竜塚が出来上がったかと思えば、
中から1体ずつ、人の形をしたジャガーが飛び出した
ジャガー人間の大群は、一斉に町の方へと向かった

「くくるくくくくく、貴方も甘くなられましたな」
「なに、暫く遊ぶだけだ……歯向かう者は皆、徹底的に潰せば良い」

やっひゃひゃひゃ、と彼女は不気味に笑い、
両手を広げて天の闇を仰いだ

「さぁ、人類破滅の秒読みの開始だ………もう、誰にも止められはせん」

2011年10月28日午後6時頃
学校町全域にジャガーの怪人が現れ、住民を襲い始めた
終焉へのカウントダウンが今、始まった


   ...To be Continued

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352 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 20:38:42.79 ID:qeXEW6iz0
しまった、名前変えんの忘れてたorz
避難所に上げてた奴(加筆修正版)ですの

さてと、病院のシーン書いてくるわ

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353 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/01(火) 22:17:50.77 ID:YS/U5Cfi0
>>352
乙!!
シャドーマンならぬジャガーマンか……。
クロスはどのタイミングで?

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354 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 22:31:45.56 ID:qeXEW6iz0
>>353
>シャドーマンならぬジャガーマンか……。
誰がうまい事を(

>クロスはどのタイミングで?
有難う、完全に言い忘れてたわ


ジャガーを町中に開け放ちましたので
ヒャッハーしたい人は存分にヒャッハーしちゃって下さいませ(訳:者共であえ、であえ〜ぃ!
ジャガーのスペック
●高い身体能力
●アスファルト程度なら粉砕可能な腕力・脚力
●鉄くらいなら傷をつけられる鋭い爪
●弱点はキウイフルーツなどのマタタビ科植物(マテヤ

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355 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/01(火) 23:01:02.40 ID:a+2bwBwjo
>>354
> ヒャッハーしたい人は存分にヒャッハーしちゃって下さいませ(訳:者共であえ、であえ〜ぃ!
恐ろしさを強調するために犠牲者を出しまくればいいわけですね!

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356 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 23:03:50.47 ID:qeXEW6iz0
>>355
>恐ろしさを強調するために犠牲者を出しまくればいいわけですね!
む、ただ倒されるよりそういうのも面白いかも(ぁ

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357 :神力秘詞 † 人類滅亡:アバンタイトル  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 23:43:13.65 ID:qeXEW6iz0
「っはぁ、はぁ……はぁ………こ、ここ、かな………」

手を膝につけて息を切らす少女、のように見える少年――神崎 漢が辿りついたのは、とある病院だった
以前海水浴の時に知り合った「組織」のR-No.0―というのは彼も知らないのだが―であるローゼ・ラインハルトから、
『大事な話がある』と連絡を受け、大急ぎでここまで走ってきたのだ

「麻夜と、裂兄ぃのことで、って……2人に、何かあったって事………?」

頭の中で沸々と湧きあがる不安と恐怖
それらを何とか振り払おうと、ぶんぶんと頭を左右に振って、
「よし、」とだけ呟き、一歩前に踏み出した
その直後

「漢兄ちゃん!」
「え……せ、清太くん?」

肩まで伸びた髪を乱しながら漢の元に走ってきたのは、
この季節に半袖半パンという如何にも活発そうな格好の少年――水無月 清太だった

「す、すっごく嫌な予感がして、ここまで走ってきたんだけど……
 漢兄ちゃん、ここに何があるか知ってるのか?」
「え、いや、その……僕は、ローゼさんに呼ばれて、今来たところだから………」
「そうだったんだ――――あれ、麻夜姉ちゃんは?」
「うん、その麻夜についての話を」
「お前だな、神崎 漢は」

知らない少年の声
その声に反応して、2人は病院の方を見た
入口の自動ドアの前に立っていたのは、黒スーツを着た、清太と同い年くらいの、髪の短い少年だった

「え、えっと……君は……?」
「来い。中でローゼさんと……黄昏 裂邪が待っている」
「ッ!? れ、裂兄ぃが……あ、あの、麻夜は?」
「…自分で確かめろ」

くいっ、と指で誘うようなジェスチャーをし、少年は自動ドアをくぐって院内に戻った
しかめっ面を浮かべながら、清太は不機嫌そうに尋ねた

「何だよあいつ、感じ悪いな……漢兄ちゃん、どうすんの?」
「……確かめなきゃ。裂兄ぃと麻夜に、何があったのか………」
「…そうだよな。ねぇ、俺もついていって良いかな?
 俺も、この悪い感じの正体を知りたいから」

一瞬だけ笑みを見せて頷くと、すぐに真剣な表情に戻り、
漢は清太と共に、少年の後を追って自動ドアをくぐった









                【 神 力 秘 詞 】
              十二之巻 〜人 類 滅 亡〜


   ...To be Continued

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358 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/01(火) 23:45:10.44 ID:qeXEW6iz0
ここまで書いて睡魔に襲われたので寝る準備するわorz
明日はこの続きを書いて………お、明後日祝日じゃん、存分に書けるぜヒャッホウ

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359 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/02(水) 01:12:37.36 ID:5E+8TBTAO
シャドーマンの人乙なのですよ!
ふふ…れっきゅんと麻夜ちゃん不在の隙にイタルを漢ちゃんに近づけさせたいなー
まだあんまし考えてないけど

>ジャガーを町中に開け放ちましたので
ヒャッハーしたい人は存分にヒャッハーしちゃって下さいませ
了解なのですよー
連中知的能力とか五感のようなものは持っているんでしょうか?

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360 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/02(水) 06:28:43.52 ID:krwWRiWC0
シャドーマンの人乙ですー
361 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/02(水) 07:51:55.29 ID:m89/4+i30
>>359
戦闘のセンスに関しては、知的な個体と野性的な個体がある、という今考えた設定(ぁ
あと人語は話せませんね…あ、鳴き声どうしよ…
五感はネコと同等レベルくらいです
362 :やる気なさそうな人 [sage]:2011/11/02(水) 08:54:24.52 ID:qyHZ30qDO

人語話すやつ居たら
きっとそいつの名前はグインだと思う



ところで学校町には
キウイを人と投げ付けあうキウイ投げ祭をする団体は


無いか
363 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 00:09:21.36 ID:EpG6pDTB0
ジャガーの鳴き声は
『ババリバリッシュ!!』
でお願いします(

>>362
>きっとそいつの名前はグインだと思う
OK、元ネタ分からんwwwww

>キウイを人と投げ付けあうキウイ投げ祭をする団体は
どんな団体だよwwwwww
いや、学校町なら割と居そうだけどwwwwww
364 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/03(木) 00:26:41.07 ID:sVmGBROAO
>人語話すやつ居たらきっとそいつの名前はグイン
グイン・サーガ懐かしいなwwww
そんな奴が居たら味方に引き込んでみたいもんだ
365 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/03(木) 00:33:57.02 ID:sVmGBROAO
>ジャガーの鳴き声は
『ババリバリッシュ!!』
でお願いします(
把握しましたー

366 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/03(木) 00:43:14.30 ID:m5A5Kcq+0
>『ババリバリッシュ!!』
おーけー
把握したのだぜ!!
367 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/03(木) 01:07:56.42 ID:AL4vfqW80
(裂邪>誰か阻止しろよ、ゼクロムだぞゼクロム!?
(シェイド>…裂邪ノ発言ガ理解デキナイ者ハ、試シニ検索シテミルトイイ
      如何ニ作者ガ手抜キカヨク分カル
(ミナワ>『ンバーニンガガッ』も要チェックです!
(リム>『ヒュラララ』ってのもあるバク
(ウィル>あとは『さからららららららら』ってえのも
(裂邪>それは違う
368 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/03(木) 01:09:29.96 ID:m5A5Kcq+0

 ある日、少年と少女――――雄介と薫は、マンションの一室で、テレビ観賞をしていた。
「あーつーくぅ! なーるぅ!!」
「うるさい。近所迷惑だ。黙ってみろ」
「……イーっ」
「返事は?」
「はい」
「よし」
「お前、今俺を笑ったかぁ? 画面の外で笑ったよな?」
「黙らないとこれでブチ抜くぞ」
「はい」
 突然立ち上がり大声で歌い出す雄介を鎮めた薫は、雄介から目を離し、テレビの方に向ける。
「にしても、何で急に全ライダーのビデオ一斉観賞なんてヤル気になった?」
「いやー、偶にアクションのおさらいをと思いまして、薫が来る前はいつも見てました」
「……そうかい特撮オタク」
「いやいや、そんなオタクだなんて立派なもんじゃ……」
「オタクは立派なモンじゃないだろ」
 シュパッとクッションを投げられ、ドターンと倒れる雄介。
 薫は気にせず何十台ものテレビに目を向ける。
「恋人に流石にこの扱いはいかがなものでしょうか!?」
「恥ずかしいから言うな」
「そ、それはどういう意味で!? ツンデレ!? それとも後悔!?」
「言わせるな恥ずかしい」
「どっちー!?」
369 :DKGとファントムさん クロス  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/03(木) 01:10:14.75 ID:m5A5Kcq+0

 雄介を弄って楽しんでいると、妙に胸騒ぎを感じた。
 雄介が構ってちゃんモードにでも入ったか?
 いや違う。これはそんな物ではない。
 ベランダの方向を見る。そこには、既にファントムになった雄介の姿があった。
「ジャガーロードが出てきたぜ?」
「冗談を言っている場合じゃない」
 ベランダから身を乗り出し、下の様子を確認する。
 ジャガーロード……ではなく、ジャガー人間がいた。
「……確か、マヤ文明の残した石版には、ジャガーが世界を滅ぼすとかなんやらが書いてあったらしいな」
「俺がアイツらを討伐する。薫、お前は寝ていてくれ」
「待てバカ」
 ファントムはベランダから飛び降りた。が、飛ぶ過程で薫にロングコートを掴まれ、ガコン!! とベランダの柵に頭をぶつけてしまった。
「……何をするんですか」
「キメたところ悪いが、俺も行くぞ」
「殺すが嫌なんでしょう?」
「我がまま言って世界が滅ぶのってのは、滑稽にも程がある」
「世界が滅びるって、そんな大げさな――――」
「お前もわかってるだろ。あれ、都市伝説ってレベルじゃない」
「…………」
 ファントムはしばらく無言だったが、マスクの下で口を開く。
「わかりました。無理はしないようお願いします」
「ああ、一瞬で終わらせる」
 ファントムは今度こそベランダから飛び降りて地面に着地し、霧から青く光る白い刀を取り出す。
「オーイ! 危ないから避けろよ!!」
「はい?」
 上を見ると、多目的巡航4連ミサイルランチャー『ギガント』を構えた薫――――DKGの姿が。
「それG4の――――!?」
「それドカン」
 一つのミサイルがこちらに向かって発射され、電光石火の速さで遠く離れる。
 ドガァン!! と派手な音が響き、ジャガー人間達は吹き飛んだ。
「おっ、意外と渋いな。……それとも威力間違えたか?」
「何やってるんですか!! ちょ、それ」
「アンノウンこれで一気に殲滅できただろ原作では」
「そういう事ですか」
370 :DKGとファントムさん クロス  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/03(木) 01:11:03.53 ID:m5A5Kcq+0

 ベランダから話していたDKGだが、スタッと地面に降りたってファントムと話している。
 そんな事をしている間にも、ジャガー人間達はザザザと増えてくる。
「……おしゃべりは終わりだ。さっさとかたずけるぞ」
「わかりました」
 DKGは左手にM240機関銃、右手にライトソードを装備。
 対してファントムは、青く光る白い槍を霧から取り出した。
「Attack!!」
「とォッ!!」
 DKGは左手のM240機関銃で周りを薙ぎ払い、懐に入ろうとしてきたジャガー人間は右手のライトソードでたたっ切る。
「この剣、意外と使いやすいな」
 M240機関銃を虚空に戻し、ライトソードの装備だけでどこまでやれるか、試してみる。
 右から襲ってきたジャガー人間を左斜め上から切り落とし、そのまま回転して、後ろに回ってきたジャガー人間の腹を抉り切る。
「しばらくはこれだけで行くか」
 団体戦では確かに機関銃などは便利かもしれないが、近距離だと扱いに困るので、こちらだけの方がまだ簡単に倒せるかもしれない。
 ライトソードはどこからでも切れるので、刃の向きを考える必要は無い。本気で殺すにはちょうどいい。
「はァッ!!」
 ファントムは飛んで後ろの敵に前の敵を攻撃させ、その敵の喉を突き刺す。
「……刺すのは止めておくか」
 槍を霧に戻し、青く光る白い刀を取り出す。
「こっちの方が相にあう」
 襲い掛かってくるジャガー人間の腕を掴み、ぐるりと他のジャガー人間にぶつけてそれらの体勢を崩し、まとめて切り捨てる。
『『『ババリバリッシュ!!』』』
 それでも、ドンドンドンドン現れるジャガー人間達。
「変な鳴き声ですね」
「ああ、気持ち悪いからさっさと始末するぞ」
「了解」
 DKGはライトソードを上から切り落とす、避けられるもクルリとその後ろ首を斬り、他のジャガー人間の手首を掴んで同じく首を斬る。
 ファントムは手前の敵が突き出した腕を首を傾けるだけで避け、斬り上げる。
 だがそれを見て何かを学んだのか、空中から襲い掛かってくるジャガー人間達がいた。
「薫!!」
「任せろ!!」
 DKGはファントムを足蹴にして思い切り跳躍し、空中から襲い掛かるジャガー人間達をライトソードで綺麗に一閃する。
 着地する際にもジャガー人間を真っ二つにし、その後ろから襲い掛かってくるジャガー人間を、ファントムが斬り捨ててカバーする。
「サンキュー」
「お互い様です」
 完全無敵。
 二人に似合う言葉は、まさしくそれだった。
『『『ババリバリッシュ!!』』』
「まだ来るか」
「百鬼夜行より厄介かもしれませんね」
 二人は己の刃を構え、ジャガー人間達を斬り捨てていく。
 ジャガー人間にも恐怖はあるのか、それを見てたじろいでいく。
「「さっさと殺されろ」」
 二人の目は、妖しく光った。

 Help me ・・・
371 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/03(木) 01:13:24.32 ID:m5A5Kcq+0
……ふ、とりあえず書いてみた。
二人は強いけど、総司(レジェンドハンター)との戦いで疲れてるから、スタミナ不足気味。
誰か助けに来てもらえると助かります。

後シャドーマンの契約者さん、ジャガー人間の元ネタがわかりません。
372 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/03(木) 08:38:00.37 ID:SwwW/wtM0
 −−−−−どごっ!!
 一体のジャガー人間が、殴り飛ばされ壁に激突する
 一瞬、動きが止まったそれに…人間大、否、それ以上の大きさの蛸が襲い掛かり、その肉体を喰らっていく

「……んー……」

 ぶんぶん
 ジャガー人間を殴り倒した彼…否、彼女?いや、彼だろうか
 男のような、女のような、中性的な外見をしたそれは、手に持った獲物を軽く振った
 まるで、軽すぎて扱いにくい、とでも言うように

「菊っ、後ろ!」
「…ん」

 菊、と呼ばれたそれに、背後から他のジャガー人間が飛びかかった
 しかし、菊は人間離れした反射神経で手に持っていた獲物……どこぞから引っこ抜いた道路標識を振るい、それを叩き落とす
 じゅるり
 新たに生み出された人食い蛸が、叩き落とされたジャガー人間に襲い掛かる
 人食い蛸を生み出した水城は、菊の背後を護るように駆け寄り…小さく、舌打ちした

「くそ、何体いやがるんだ」
「……たくさん」

 そう
 町中に放たれているジャガー人間
 「組織」や「首塚」など、多数の組織が対応しているのだろうが
 …どれだけの数がいる?

「……鬼?」
「いや、鬼じゃなくてジャガー人間らしいけど、「組織」からの連絡によれば」
「……街の住人を、襲う、なら、鬼」

 ぼそぼそと、呟く菊
 長い前髪で隠された顔、表情はよく見えないし、声にも感情が籠りにくい性格の為、何を考えているのかは不明だが…
 一応、怒っているらしい
 人々を襲う、ジャガー人間に
 それを放った、何者かに

「……鬼、退治」

 ごぅん!!
 轟音をあげながら、振るわれる道路標識
 ジャガー人間は殴り倒され、血飛沫を飛ばす

 人間離れした怪力
 獄門寺 菊は都市伝説契約者ではあるが、この怪力は契約によって手に入れた物ではない
 本人曰く、「魔法使いからもらった力」
 …そして、獄門寺家と言う、少々特殊な歴史を持った家の分家の生まれであるが故の、賜物
 それが、思う存分、振るわれる
 ジャガー人間を殴り倒すのに使用された道路標識が、その怪力に耐えられず、べきゃりと折れた
 ぺい、と、菊は使い物にならなくなったそれを投げ捨て、他の武器を探す

「今度、菊の力に耐えられそうな武器、悠里さんに頼んで探してもらうか?」
「……太くてかたくて丈夫なのが、いい」

 わかった、と頷きながら、水城は己の契約都市伝説の力を振るう
 己の両親を殺した存在にして、己が生き延びるために必要であった、その力を
 じゅるり、水城のコートの裾から、袖から、次々と人食いの蛸が産み出され、ジャガー人間達に襲い掛かっていく
 「タコは水死者を食べる」
 その都市伝説は、水城が契約した事により、陸上を自在に動き回り、水死者だけではなく命ある者全てを喰らう化け物へと化している
 それを生み出し、操るのが水城の力だ

 菊の怪力と、水城が産み出すタコは、ジャガー人間達を次々と葬っていく
 ……と

「………ん」
「どうした?」
「……手助け」

 す、と菊が指差した先
 そこには、刃を構え、ジャガー人間達と戦っている、高校生らしき男女の姿…一方は仮面をつけている…が、あって

 そちらを、手助けするつもりなのだろう
 菊のその意思を、水城も読み取って

 二人は、進路に立ちふさがるジャガー人間達をなぎ倒しながら、その二人の元へと駆けて行った


to be … ?
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/03(木) 08:40:23.24 ID:SwwW/wtM0
さぁて、シャドーマンの人様とDKGの人様への、切腹土下座タイムだ!!orz
菊&水城参戦+二人がDKGの二人に手助けに向かいました
どう反応してくれるかわかんないから、反応はDKGの人に丸投げさせていただきます!

あ、一応、菊の外見は龍一を成長させて中性的にした感じ、と伝えておきます
衣服はパンクファッションか英国風スタイルかどっちか
374 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 09:04:26.23 ID:hTBo4nFz0
>>367
堂寺「『ぱるぱるぅ!!!』なんてのもギャップがあっていいんじゃない?」
光輝「『……ぐふぐふぐふ!』なんてのもあるよ? 非伝説だけど」
小奈美「『きょううん』ってのも縁起が良さそうでいいわよね」
疾風「『グギュグギュグギュグゥグゥ!!』もいいんじゃないかな? うろ覚えだけども」


DKGの人乙ですー!
375 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/03(木) 09:20:36.16 ID:sVmGBROAO
DKGの人乙なのですよー
本条夫妻ってば鬼神!すげぇ鬼神!
でもってデレた薫ちゃんの可愛さは別の意味で鬼神!
花子さんの人乙でしたー
これまた頼もしい人が参戦だぜ!
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 11:09:13.97 ID:56g9xaODO
皆様投下乙です

さて今日は文化の日ですね
ということで文化的な生活をしましょう
レッツ・創作!
377 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 11:16:27.27 ID:iqxyFipL0
                「ミイラ兄妹」
どうもこんにちは。考古学研究部所属の真未伊 木乃(まみい もくのり)だよ
どうもこんにちは。同じく考古学研究部所属の真未伊 未来(まみい みらい)よ
木乃「ねぇ未来」
未来「何、木乃?」
木乃「今日って10月28日じゃん?」
未来「そうねー。10月28日ね。こっちの世界では」
木乃「いや、こっちの世界とか言っちゃだめだよ! 確かに現実ではもう11月日だけど…」
未来「木乃だって現実ではとか言ってるじゃない」
木乃「ははは…。ま、とにかく。『マヤの予言』によると今日が世界の滅びる日じゃない?」
未来「そうね」
木乃「…やばくね?」
未来「やばいわね」
ちなみに、僕達は。私達は。双子です
木乃「どうしよ」
未来「どうしましょ…。あ、そうだ。晶髏先輩。晶髏先輩なら…」
木乃「ああ、水晶髑髏の先輩だね。でも、この前聞いたらまだ2個しか集まってないって言ってたよね…」
未来「そうね」
木乃「まずいよね」
未来「まずいわ」
ちなみに、僕達は。私達は。中央高校1年生です
木乃「…でもさ、ノストラダムスの大予言は外れたよね。1999年に人類滅亡ってやつ。そう考えると大丈夫なのかな?」
未来「でもここ学校町よ? 怪異と怪奇の溜り場よ? もはや町そのものが心霊スポットよ?」
木乃「…やばいね」
未来「やばいのよ」
木乃「学校町だからね」
未来「そうね。今都市伝説に襲われたって全くおかしくないもの」
『そうじゃな。そしてお前さんは死ぬ』
未来「そうそう、こんな感じで―――ってえぇ!? 『給食おばさん』!?」
『そう、その通り。『給食おばさん』じゃ。と、言うわけで…今日の給食の食材になりな!』
名乗るや否や、私―未来に向かって包丁を投げてくる『給食おばさん』。(未来に向かってなんて書くとすごく前向きに見えるのは私だけだろうか)
未来「! 『天狗のミイラ』!」
私の足元から、死体のような天狗―天狗のような死体が出現し、風で包丁を吹き飛ばす
『ちぃ、しくじったか。ならばこれだ!』
未来「!?」
『給食おばさん』の鍋から白い液体…シチューが飛んでくる
『今日のメニューはシチューになりまぁす! お残しは…許しまへんでぇ!』
未来「ッ! 『天狗のミイラ』!! 『人魚のミイラ』と『河童のミイラ』も行って!」
人魚のような死体と河童のような死体も召喚し、シチューを防ごうとする私。でも、液体のシチュー…屍チューは防ぎきれない!
ちなみにこのミイラ達は私の契約都市伝説、『架空生物のミイラ』によって出したものなんだけど…。ああ、せめて雪女のミイラでも居れば…!
そんな風に切羽詰まっていると、私に向かっていた屍チューは、突如凍ってボロボロ崩れた
木乃「『ミイラの呪い』。僕の存在も忘れないでよ」
今のは僕の契約都市伝説『ミイラの呪い』。その中でも、割と有名な呪いのミイラの『アイスマン』。それの『凍死説』を応用した技である
『ちぃ! またしても…! ならば直接!』
言うや否や、包丁を構えて私の方に向かってくる。まずい! ミイラ達は屍チューを防ごうとしてたから間に合わないし、唯一間に合うであろう天狗は体が折れてて動けない!
それに私の運動神経のなさじゃあ間に合わない!
ちなみに私の体育の成績は万年2! 唯一スタミナが人並み以下あるくらい! だけど、頑張って避けないと…!
未来「うぅ…!!」
体を横に動かし、避けようとした私だが、速く動くという能力もない『給食おばさん』の包丁がいともたやすく私の頬を掠める。痛いよぅ…!
『ひゃはひゃはひゃは! 弱い、弱いねぇ! さぁ、次はあんたの番だよ!』
今度は木乃の方に。僕の方に走ってくる『給食おばさん』。しかし…
『!? 体が…重い?』
さっきの動きが嘘のように、『給食おばさん』の動きが鈍くなる。だから、簡単に避けられる!
『何なんじゃこれは! あたしの、あたしの体が!』
未来「心配しなくても解説してあげるね、おばさん。『ミイラ取りがミイラになる』って知ってる? まぁ私の契約都市伝説なんだけど、
私が攻撃されたときに自動的に発動する都市伝説なの」
正確には、明確な敵意、殺意などを持って攻撃された場合、なんだけどね。
未来「そしてこの能力の影響を受けた者はみぃーんな! 私と完全に同じになる! 速さも、強さも、賢さも、器用さも、
能力も…。ちなみに契約都市伝説の能力を使えるのは人間だけだから、実質貴方は無能力ね。そう、外見以外の何もかもが私と同じステータスになる! さぁ、これで貴方は私に勝てなくなったわ。
日が経ったシチューのように。腐って溶け出した死体のように。ドロッドロの泥沼試合にしかならないわ。それでも続けるの? 降参するなら今のうちよ?」
『誰がするかよ…! 条件はあんたも同じだろう…! あのミイラ達もまともに動かせる状態じゃあるまい! そして、同じステータスなら…』
包丁を構え、私に向かって来る『給食おばさん』。
『武器を持っている方が強いに決まっているだろう!』
未来「しまっ…」
木乃「だから僕も居るってば。『ミイラの呪い』」
木乃が。僕が包帯で包丁を絡め取り、『ミイラの呪い』の能力で『給食おばさん』の足を地面に沈めて未来を。私を助ける
木乃「『ミイラの呪いでタイタニック号沈没』。割と有名な話だよね」
『く…あんた…邪魔を…するなぁ!!!』
『給食おばさん』が地面から足を抜き、僕を蹴ってくる。不意打ちだったから反応が遅れて避けきれなかったが、未来と同じステータスになっている蹴りなのでほぼノーダメージだ。
そして、蹴られたことで僕の体から包帯が飛び出し、『給食おばさん』を包み込んだ。そして…
378 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 11:17:13.36 ID:hTBo4nFz0

きゅうしょくおばさんは ミイラになっちゃった!▼

『から…体が…カラカラに…乾燥…』
未来「何それ駄洒落?」
木乃「【審議中】」
未来「【審議中】」
木乃・未来「【否決】!」
木乃「それじゃあいこうか。『ミイラの呪い』、アイスマン!」
冷気を飛ばし、ミイラ化した『給食おばさん』を凍らせる僕。ちなみに僕の契約都市伝説も『ミイラ取りがミイラになる』だけど、未来のそれとは少し能力が違う。
それは、『自分に直接攻撃してきた相手をミイラにする』。つまり、ポケモンBWの特性『ミイラ』と同じような能力なのである
『あ…あ…お残…し…は…』
そしてついに、『給食おばさん』は顔まで凍った。僕は冷凍ミイラと化した『給食おばさん』を蹴飛ばし、バラバラに壊す
木乃「知ってるかい? 11月2日は死者の日なんだぜ?」
そう言って最後に、僕は『給食おばさん』の顔を踏み潰した
未来「ふぅ、疲れちゃったぁ」
木乃「そうだねぇ」
未来「それにしても、世界終焉は大丈夫かなぁ?」
木乃「まずいねぇ。晶髏先輩に相談してみようか」
未来「そうねー」
そんな風に10月28日。僕達は。私達は。世界の終焉を、終末を憂いながら。帰路へ就くのでした…





                      続く…
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 12:36:49.40 ID:b+ykcvCDO

ミイラ盗りがーってただの諺じゃね
380 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/03(木) 12:50:35.35 ID:sVmGBROAO
>>379
現代はそうでも、語られるうちにこぼれていった「伝説」があったかもしれないんだぜ!

ソニータイマーの人乙です
みなさん戦闘描写がすげーテンポいいですね
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) :2011/11/03(木) 13:01:21.47 ID:HSjiBh+To
こういうスレで慣れ合いイラネとは言わないけれど(人少ないし)
あんまスレタイの趣旨から離れちゃうのはちょっと・・・
って思うことは時々あるかもねえ
他の能力者バトルやりたければそっち系のスレあるしね
382 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 13:07:43.99 ID:hTBo4nFz0
>>379
なお、ミイラを取るためには墳墓の中に入ったり、砂漠を越えたりする必要があることから危険がつきまとい、ミイラを探す人間が行き倒れることもあった。彼らの死体がどれほどの確率で自然乾燥によりミイラ化したかは不明であるものの、このことを指してミイラ取りがミイラになるという言葉が生まれたという説がある。(ウィキペディアより引用)
があったので都市伝説として扱ってもいいんじゃないかな? と判断しました
383 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 15:28:11.51 ID:EpG6pDTB0
>>374
>疾風「『グギュグギュグギュグゥグゥ!!』もいいんじゃないかな? うろ覚えだけども」

(ネッシー>グギュグバァ!!

のことかしら




そして話書きつつ投下分読んでくる
384 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 15:55:59.37 ID:EpG6pDTB0
まずは早くも滞っててごめんなさいの土下座orz

DKGとファントムさんの人乙です〜
勉強することは大事だ、特撮見て勉強するのは正義や裂邪もやってたなぁ懐かしい
しかしまだ疲れが残ってたか、まぁあれだけの戦闘だったから仕方ないな……

花子さんとかの人乙です〜
俺のお菊さんが来た! これで世界は平和だ!(マテヤ
かおるん達との絡みもwktk

ソニータイマーの人乙です〜
ミイラシリーズか、なるほどこれは面白い
そして野暮なんですけど……占い師と少女の人が『聖 未来(ヒジリ・ミライ)』というキャラを出してたので、『未来』はちょっとまずいような(最近見ないけれど

>>371
>後シャドーマンの契約者さん、ジャガー人間の元ネタがわかりません。
ジャガー人間自体は元ネタなかったり
イメージはそうですね、雄介くん達が言ってるようなジャガーロードとかの怪人系でしょうか
鳴き声は前述の通り『ポケットモンスターブラック/ホワイト』で登場した黒陰ポケモンゼクロムのものです

>>379
>ミイラ盗りがーってただの諺じゃね
まぁ諺の中にも、由来が真実味の無い話が幾つかあるので一概に否定はできない
故事成語とかだとそういう話の集まりだし
>>382みたいな話があるんだったら、問題無いんじゃないかしら
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/03(木) 16:13:05.94 ID:HSjiBh+To
メジャーな諺の(存在自体が)ドマイナーな元ネタがフォローなく入ってた
結局これで下手うったということでは

諺有りだと「弘法も筆の誤り」とか「棚から牡丹餅」とか
元ネタの逸話無視で解釈はいるとまたチートが溢れそうww
386 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 16:21:01.24 ID:EpG6pDTB0
>>385
一応、俺は諺はなるべく避けてるけどね
「言魂」ってのがある以上、諺系の都市伝説も多くて仕方ないと思う訳ですよ
最悪の場合は、批判が多くても「言魂」の派生とかで対応できるし
「病は気から」とか「名は体を表す」とか……他登場済みあったかしら
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 16:41:01.75 ID:mu8wA51oo
故事成語や民間伝承にまつわる話はありだと思うのです
でも単に昔の人が考えた上手い言い回しを持ってこられるのはもにょる
388 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 16:48:44.65 ID:hTBo4nFz0
>>383
>(ネッシー>グギュグバァ!!

>のことかしら
いえ、ミルホッグのミルホッ君のことです

>>384
そして野暮なんですけど……占い師と少女の人が『聖 未来(ヒジリ・ミライ)』というキャラを出してたので、『未来』はちょっとまずいような(最近見ないけれど
ふむ、そうですね…。同じ名前の人間くらい結構居ますし(特にたくまとか漢字すらかぶることもあるでしょう)、
クロスして聖ちゃんとこっちの真未伊が会うときにでも、『名前が未来どうしなので意気投合する』なんてネタにもできそうだから問題ないかな? と解釈してしまったのですが…
やはり占い師の人に確認を取った方がいいですね…
それでだめだったら、『本当は実莱っていうの。自分の名前なのに間違えちゃった!』みたいなドジっこキャラにするか、
『ねぇ、そういえば未来の名前ってみくって読むんだよね?』
『え…? あ! そういえば! 』
『まったく、自分の名前の読みを間違えるなんて相変わらず残念な頭だよね』
『何をー! 私だって九九の七の段言えるのよ! なめんな!』
『いや寧ろ言えない方がおかしいよ!?』
というアホの子キャラにするかしますので許してください
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/03(木) 16:56:16.04 ID:HSjiBh+To
>>387
ぶっちゃけ諺程度だとなにを今更Lvの感はあるんだけどね
だってvip時代だかにラスボス?に草薙の剣だか神話系だしてた人すらいた訳でww
もうそれF○teでやりゃ良いじゃんって笑った記憶があるwwww
一応ガン○ムとか仮面ラ○ダーとか現代の商業作品がモロとかじゃなきゃ言い訳できるけどね

まあ、あくまで一応な訳で・・・この辺りの感覚のズレは結構やばい
応用が利かない題材のバトル漫画末期に突っ込み所満載のキャラが出てくるぐらいやばい
390 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 16:59:56.72 ID:hTBo4nFz0
本日2度目の投下。休みの日はたくさん書けていいですね


                  「新聞部の活動6」
どうもお久しぶりです。一一です。CoA編以来ですね。CoAでの詳しい話は後日書きますのであしからず。では、ここからは3人称視点でお送りしましょう
一「情報が手に入りました」
CoA事件が解決し、またいつもの活動…『都市伝説は実在する』という都市伝説の作成に戻る新聞部達。その部員の一は、部員達に何かを伝えるようだった
真「ほう。それはどんな情報なんだ?」
一「以前僕達が貼った新聞を剥がした化学の先生…荒神秀先生の契約都市伝説が判明しました」
郵記「すごいですよね。なんだったんですよね?」
相変わらず変わった口癖である
一「ええ。『夜動く白骨標本』と『踊る人体模型』です。『ホルマリン漬け』ではありませんでした。ちなみに骨格標本は性別的には女性らしいです。
さらに先生には狂気的に先生を慕う弟さん…所謂ヤンデレですね。がいて、彼は『コーラを飲むと骨が溶ける』と契約しているらしいですよ」
文子「なるほど…」
一「でも、このくらいの情報は探そうとすればいくらでも見つけられる程度のものです。つまり、本題はここからです」
一呼吸置き、
   ... . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
一「以前、僕達に忠告をした黒服。あの組織の情報を持ってきました」
真「…何?」
などと、普通の人間であれば。否、異常な人間であっても耳を疑うようなことを、一は平然と真顔で言い放った
真「どういうことだ? 黒服の組織の情報は最上級機密のはず。万が一情報を知ってしまったら消されかねないくらいの…。
いくらお前といっても、そう簡単に手に入れられるようなものでは…成る程。それが異常(アブノーマル)の異常たる所以か」
一「はい、その通りです。理屈で説明できるけど、理屈が通用しない異常。ただ、そうなるからそうなってしまう。それが異常者(ぼくたち)ですよ」
郵記「え? 何の話ですよね? あぶのーまる? いじょう? 何なんですよね、それ?」
真「そういえばお前には言ってなかったな。異常ってのは、一部の人間だけが生まれつき持っている才能、能力のようなもので、
例えば言語能力が異常なほど優れているとか、例えば情人に見えないものが見えるだとか、見た物全てを記憶できるだとか―そういった才能のことを言うのさ」
郵記「なるほどですよね…」
一「ちなみに僕の異常は見聞探し(インフォメーションハンター)。あらゆる情報を収集する異常な情報網です。
僕がその気になれば、大抵の情報は集められますよ」
隣の家の夕飯のおかずから、逃走中の指名手配犯の現在位置まで。如何なる情報も集めることができる、そんな異常。尤も、限度はあるし、見つけようとしなければ唯耳が早いだけになるのだが。
一「…では、話を戻しますね。黒服の組織。都市伝説の種類としては『メン・イン・ブラック』に分類され、都市伝説に関しての事件の処理などをする組織らしいです。
大きく分けて穏健派、強硬派、過激派、中立派(日和見派)の四つに分かれていて…まぁこれは思想の違いによるものでしょうね。
穏健派は組織外の者にも寛容で、被害者の意思を極力尊重します。強硬派は危険度によって応対は変わりますが、基本的に組織の敵相手には容赦しません。過激派は強硬派よりさらに過激で、組織の敵は即・抹殺です
そして中立派は、組織外の者にもある程度寛容ですが、少し危険な場合は観察・監視。そして、危害が無視できない場合は容赦なく殲滅します。
そして組織内にはA〜Zの種類がいて、それぞれに番号が振り分けられています。
そして、組織の黒服には2種類…即ち元々『メン・イン・ブラック』という種類の都市伝説である純粋な黒服と、都市伝説に飲み込まれたことで都市伝説化した黒服が居るわけです。
以前僕を襲った黒服は黒服H-No.360。本名は広瀬 宏也。飲まれた都市伝説は『エロイ人は髪が伸びるのが早い』です。変態が服を着て歩いているような存在と囁かれていますね。ちなみに、逢瀬佳奈美さんと交際している、との噂がありますがどうでもいいですね。
文子さんの所に来た胸が大きい黒服は恐らくD-No.962。本名は大門 大樹。無駄に巨乳、という文子さんの談から予測しました―尤も、巨乳というのは元より無駄なんですけど。胸と前科は無い方がいい。常識ですね」
一 一は貧乳萌えという、今までほとんど使われなかった設定が今頃出てくる。覚えてる人なんて居るのだろうか?
一「閑話休題、彼が飲み込まれた都市伝説は『夢の国の地下トンネル』と『夢の国の地下カジノ』。このまま飲まれれば『夢の国の黒服』になるところでしたが、『夢の国の地下カジノ』との契約を解除したことで代わりに『組織の黒服』と化しました。
ですがそのせいで、『組織の黒服』でありながら『夢の国の黒服』が混じっているという非常に稀有な存在になってしまいました。それが幸か不幸かは彼にしか知りようがありませんけどね。
ちなみに彼…即ち男性なのに文子さんの所に来たときは胸の大きい女性だった、という件については恐らくマッド・ガッサー事件が原因でしょう。覚えてますよね?」
真「ああ」
一「『マッド・ガッサー』…毒ガスではなく女体化ガスを使う風変わりな『マッド・ガッサー』。そのガスに当てられて女体化したものらしいです。ちなみに今はもう男性に戻ってるそうですが。
それと、彼は女性がどんなにアプローチしても気づかない程度に鈍感らしいですが、それはどうでもいい情報でしょう。
あと、上位メンバーが1人を除いて全員幼女で、『幼気』と呼ばれる不思議な力を使うR-Noが存在するそうです」
391 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 17:01:46.17 ID:hTBo4nFz0
真「なるほど、流石お前だ。これでボク達はさらに都市伝説を広めることができるわけだ…!」
郵記「僕も『記者の勘』を駆使して頑張るんですよね!」
文子「あの…」
真「ん? どうした?」
文子「私、さっきから『なるほど…』と『あの…』しか喋ってないんですけど! 大丈夫ですよね!? 私の存在忘れてませんよね!? 空気化してませんよね!? \アッヤリ〜ン/なんて言われませんよね!?」
\アッヤリ〜ン/\ハーイ!/。うん、流行らない。パクリだし。流行ってはいけない気さえする
文子「私お団子じゃありませんしバズーカのように髪を飛ばしたりできませんよ!?」
『大丈夫ですよ、文子さん』
慌てふためく文子の肩に、ぽんと手を置き、言う『天狗の新聞』
『私は、これが今回初めての台詞ですから』
文子「天狗ちゃん…」
なにやら、台詞の少ない者どうしで奇妙な友情が芽生えたようである
真「さて…。一。他に、ボク達に報告することはあるか?」
一「はい。今日は10月28日ですよね?」
真「ああ、こっちの世界ではな」
一「そして、今日10月28日は『マヤの予言』で世界が終わる日。なのでそれについて調べておきました。
『マヤの予言』による世界の終焉。これは時限爆弾的なものではなく、人為的な…否。神威的なもののようです。
『マヤ神話』の神々が地上にやってきて世界を終焉させようとしています。判明しているメンバーは『フラカン』、『ククルカン』、『イシュムカネー』、『イシュピヤコック』…そして、『太陽の暦石』です」
文子「また豪華なメンバーが揃ったものね…」
一「さらに『太陽の暦石』には『マヤの予言』に記されている世界終焉の予言の現象を起こす能力を持つそうですが、単体では無力で。契約者が必要のようです。
そして、その契約者になったのは…否。契約者にされたのは、神崎麻夜。精神も殆ど『太陽の暦石』に乗っ取られたようです」
文子「成る程ね。『千里眼』で見たら遠くのほうにジャガー人間が居たけれど、それもそうなのかしら?」
一「ええ。『マヤの予言』の終末説のひとつ、『ジャガーに食い殺される』ですね。終末論のジャガーなだけあって、アスファルトを粉砕する程度の腕力・脚力。そして、鉄くらいなら簡単に傷をつける程度の鋭い爪を持っているそうです」
真「…で、どうするんだ? ボク達は全員非戦闘要因だぞ。そんなパワフルな都市伝説に対抗するのは難しいぞ」
一「ええ、分かっていますよ。ですが僕たちは新聞部です。相手が都市伝説だからこそ、僕たちが新聞部だからこそ、対抗する手段があります…!」
ニヤリ、と笑い言う一
一「僕もさっきあのジャガーに遭いましたが、僕の武器では何もできませんでした。もうどうしようもなく、死を覚悟した僕は、偶然持っていたマタタビをジャガーの顔に投げつけたんです」
郵記「なぜ、そんなものを偶然持ってたんですよね…?」
一「すると、いくら終末論のジャガーと言ってもネコ科のようで。マタタビに酔って怯みました。なのでその隙に逃げて僕は助かったわけですが…。
そう、あのジャガー人間の弱点はマタタビなんです。つまり、この弱点を利用しない手はありません…!」
一の言わんとすることを理解したのか、ニヤリと笑う真
真「…成る程、捏造か…!」
『捏造?』
一「ええ、その通りです。終末論のジャガー男。それだけ聞くとどうしようも無いほどに厄介ですが、それでも都市伝説であることに変わりはありません。
そして都市伝説は人間の噂から生まれるものです。創造神―なんてことをよく言いますが、そんな人類を創ったとする神でさえ、所詮は人間の創作物に過ぎませんし、人類創造も人間の作った設定でしかありません」
などと、『フラカン』が聞いたら100%怒るであろうことを、『フラカン』以外の神であっても不愉快に感じる罰当たりなことを、平然と言う一
一「つまり、相手が都市伝説である限り、僕たち人間が噂を流せば後からいくらでも設定は付け加えられるんですよ…!」
文子「成る程、そう言うことね…」
郵記「非契約者で新聞部取材担当の一先輩らしい考え方ですよね…!」
『え? え? え?』
周りの全員が理解しているのに自分だけが理解できていない状況に、慌てふためく『天狗の新聞』
文子「天狗ちゃん。口裂け女の弱点はポマードよね? あと、犬が苦手って説もあるわね」
『ポマード…犬…弱点…。…! 成る程、そういうことですか!』
のどに刺さった魚の小骨が取れたように、すっきりした表情を浮かべる『天狗の新聞』
一「どうやら皆さん理解したようですね。そう、『ジャガー男の弱点はマタタビである』。この情報を利用して。脚色して捏造して、ジャガー男に新たな弱点を付与するんですよ!
極論を言えば、僕たちが『世界を終わらせようとするジャガーを倒す狼のヒーローが居る』…という噂でも流せばジャガーは倒せるのでしょうが、そんな根の葉も無い噂を流すのは、火の無い所に煙を立てるのは非常に難しいでしょう。
なので、事実を脚色して弱点を付与します。具体的には、『ジャガー男にマタタビ科植物を塗った武器で傷を付けるとその内毒が回って死ぬ』、『ジャガー男の心臓か脳にマタタビ科植物を塗った武器を当てると、即死する』、
『ジャガー男の目にマタタビ科植物の粉末かエキスをエキスをかけると目が見えなくなる』、『鼻にかけると鼻が利かなくなる』、『マタタビ科植物の粉末か、マタタビ科植物を焼いたときに発生する煙を吸わせると体が麻痺する』などの噂を流すんです」
真「くく…やはりか…。よし、記事の作成はボクに任せたまえ! どうせ殆どの人間がジャガー男に遭うのだろうから、今回は都市伝説に関わる者にしか読めないような細工はしない!
学校町中の、いや、学校町外の者でさえ噂するくらいに人を引き込む記事を書いてやるさ…!」
文子「そして写真撮影は私に任せて頂戴。『千里眼』でマタタビに怯むジャガーを確実に撮影して、ちょっぴり写真も改造して、部長の記事の信憑性を底上げするわ…!」
郵記「そしてジャガーに襲われる人間探しは僕に任せて欲しいんですよね! 『記者の勘』でいち早く事件を察知するんですよね!」
一「皆さん…ありがとうございます…。そして噂の伝達度合いの調査は僕にお任せください。僕達で力を合わせて1日で…否、数時間でこの噂を広めてやりましょう!」
「「「「おー!!!」」」」
こうして、新聞部達も新聞部らしい方法で、世界終焉と戦うのであった…。頑張れ新聞部、負けるな新聞部! 人類の明日のために!
「ねぇ、知ってる? あのジャガー男にマタタビを塗った刃物をさすとね…。苦しみだして死んじゃうんだって…」
「マタタビを焼くと近寄って来ないらしいよ?」
「友達の友達から聞いた話なんだけど、マタタビを顔にかけると見えなくなるんだってさ…」
新聞部の書いた記事は、新聞部達の蒔いた噂の種は、早速周りに広まっていた…




                            続く…
392 :祝 ☆ 小 康 状 態 [saga]:2011/11/03(木) 17:20:06.27 ID:DMapltNi0
【前スレ>>21-24

「午後7時のニュースの時間でっす!
 学校町東区の喫茶店『兎の尻尾』にカスタネットを所持した全裸の男が押し入り
 カスタネットをひとしきり鳴らしながら乱舞した後、帰っていきました
 店主によると特に通報はしなかったとの事です
 そして次のニュースでっす!
 ハロウィンの大規模キャンペーンかっ!?はたまた特撮のプロモーションかっ!?
 学校町の全域に肉食獣とも動物怪人とも付かぬ謎モンスターが跋扈しています!
 これは一体どういう事なのでしょうか?
 現場の空木さーん!!」

『げ、現場の空木です!
 私が学校町の警察署に突撃取材したところ
 知らないし何も言う事は無いの一点張りで叩き出されました!
 現在私は学校町南区を歩いていますが、特に謎モンスターを見たという話は聞きません
 私自身もまだ見ていないので何とも言えません!
 また、現在までに何人かの人にインタビューをおこないました!
 北区診療所の女医さんは出張中という事でお話を伺えませんでしたが
 診療所の男の人に早く帰れと言われました!
 続いて、隣町の辺湖市猟友会会長に話を聞くと、
 『ジャガーだか何だか知らんが、大和撫子たる日本のJKに手を出したら殺す』と
 猟友会の皆さんも猟銃を手に戦意満々といった雰囲気でした!
 さらに、南区でホテルを経営している江良井さんによると、PMイレブンからAMファイブにかけて
 ハロウィン限定コースを絶賛展開中との事です!』

「という事は空木さんもまだ謎モンスターの姿を見ていないんですね!
 うーん、これは気になりますね!」

『あれ、何だかさっきから人の気配がしないんですけど‥やだ、何あr‥‥い、嫌ぁぁぁぁっ』 ブツッ

「う、空木さーん!?どうしました空木さーん??
 ‥‥これは一体どういう事なのでしょうか?空木さんはデスクを担ごうとしているのか!?
 謎が深まりますねえ‥‥」
393 :祝 ☆ 小 康 状 態 [saga]:2011/11/03(木) 17:21:52.81 ID:DMapltNi0
「担ぐも何も
「その現場の空木とやらは
「ジャガー人間とやらに襲われた訳だが」

南区の商店街から外れた小路
マイクや機材がアスファルトに転がっている中
制服の少女は民家の塀にもたれるようにして失神していた

散弾銃を構えた男子高校生がそんな少女を眼だけで見下している
その横には同じく男子高校生が大砲のような一眼レフを構え
少女を様々なアングルから撮影していた
二人とも東区高校の制服である

「この制服は‥‥工業高校の奴か」

「正解だよチミぃ、多分無線部の部員でありましょうなあ」

ショットガン男子の問いに、アスファルトに横這いになってシャッターを切り続ける男子が答える
カメラ男子はぎつぎつに中身が詰まっているらしいDパックに
指貫グローブ装備、頭にはハチマキ状のバンダナという
一昔前の典型的なオタクそのものの格好だ

「いいねいいねチラリズム!
 しかも怪人に襲われて失神しているというシチュがグッとクる!
 ムホッ、しかも大人めの顔して黒のショーツとはまたポイント高いっ!!」

彼らの背後にはアスファルトにジャガー人間が突っ伏している
光に包まれ始めたという事はそろそろ死体も消滅するという事だろう

「最後に学生証をハイケーン
 おっ、この娘まだ1年生かあ、空木昴タン!よし覚えた!」

「そろそろ行くぞ
「こいつは放っておいても大丈夫だろう
「連中はまだその辺をうろついているだろう」

「ぬぅ‥‥でもこの状況チミも楽しんでるんじゃろ?」
394 :祝 ☆ 小 康 状 態 [saga]:2011/11/03(木) 17:24:59.50 ID:DMapltNi0
「当たり前だ
「こんな機会は滅多にない
「しかも町中に溢れかえる
「ラグナロク的な雰囲気
「たまらない
「そういうことだ」

ショットガン男子は耳に掛かったイヤホンを外した
先程まで無線部のニュースを傍受していたのだが
キャスターがあっさりと次のニュースに移ったからだ

「マイクに何か喋ってみるかい?」

一眼レフ男子が悪戯小僧の様に目を輝かせながら、ショットガン男子に尋ねる

「興味がない
「お前もやめておけ
「面倒なことには巻き込まれたくない」

「分かってるさ友よ!」

一眼レフ男子は両手を大げさに上げてその気が無い事をアピールし出す

絶叫が響いたのはそんな時だった

「おっ、今の声は?」

「恐らくすぐそこだ
「物のついでだ
「見に行ってやろう」

二人は失神した少女をそのままにしたまま
光に包まれたジャガー人間の死体に見向きもせず
そのまま絶叫の聞こえた方向へと進んでいった

【不明】
395 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/03(木) 17:27:55.43 ID:hTBo4nFz0
小康状態の人乙ですー
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/03(木) 17:43:29.89 ID:HSjiBh+To
午後7時のニュースはアレしか思い浮かばないけど
え、あれ、学校町が全国放送とか色んな意味で放送倫理に抵触するんじゃね?
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/03(木) 17:53:40.83 ID:fSEpUinXo
クロスしようと思ったところへピューと吹くジャガーマンというのが頭に浮かんでしまって
シリアスが書けなくなって脳をリセット中
398 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 18:03:03.93 ID:EpG6pDTB0
>>396
よーく見ると
学校町のニュースしかやって無いから
ケーブルテレビって線も考えられる

無いか、無いな


ソニータイマーの人乙です〜
おっほう、これで民間人も安泰ね!
しかし何故偶然マタタビ持ってたんだwwwwwww

トイレで飯食ってた学生書いてらっしゃった人乙です〜(長ェ
何て変態カメラマン、空木さんは今後出るのかしらな
続きもwktkせざるを得ない



俺はもうちょっとで書き終えるぜ!
多分23時までには!(遅いわ(予防線だよ予防線
399 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 18:05:05.91 ID:EpG6pDTB0
すまん、書いた傍から飯落ちorz

>>397
別にシリアスに書かなくてもいいのよ!?
逆にギャグチックなのを所望したい、俺もうスゲェ心折れそう、裂邪の馬鹿野郎(何があった
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/03(木) 18:34:16.55 ID:HSjiBh+To
>>398
世俗に疎い馬鹿共、もとい都市伝説向けの教育番組なんてあるかもしれない

「はじめてのニンゲンシャカイはじまるよー」
「わぁい^^」
「お姉さん、今日はなにを教えてくれるの?」
「はーい、今日はお金についてです。
 私が持ってるこれが10円玉でこっちが100円玉」
「この紙で出来て存在自体が薄っぺらいのは2千円札なんだよね」
「へー、ひかげものはどこにでもいるのねえ」
「ある意味ボクたちのなかまみたいなものだね」
「ところでお金にはいくつか注意することがあります」
「どんなことー?」
「食べられません」
(……あー、そっからかあ)


一部の契約者にはバラエティ番組として人気を博しているだとか
401 :祝 ☆ 発 売 延 期 [saga]:2011/11/03(木) 21:11:06.23 ID:DMapltNi0
「それで
「先程聞こえた
「絶叫している奴は」

「ふひっアイツらでござるw」

ショットガンを構えた男子と一眼レフを構えた男子が現場に到った時
そこに居たのはジャガー人間に捕まったカップル一組だった
着ている制服からして商業高校の連中のようだ

「やめろおおっ離せコラァッ!」

「やめてくれよぉぉぉ俺食っても美味しくないですからぁぁぁ」

「ババリバリッシュ」「ババリバリ「ババリバリッシュ!!!」」

珍妙な咆哮と共にカップルの男の方が引き倒される
女の方は気丈にもジャガー人間の羽交い絞めから逃れようと荒ぶっている

「そこのお前らぁぁぁぁ」

男子二人組の存在に気づいたのか
ジャガー人間に押さえ込まれた男の方が顔を向けて絶叫した

「そこのキモオタ共ぉぉぉ俺達をとっとと助けろぉぉぉ
 マリンとはまだ一発もヤってねぇんだよぉぉぉ」

「リア充でござるな」
「紛うこと無きリア充だ
「捨て置くか」
402 :祝 ☆ 発 売 延 期 [saga]:2011/11/03(木) 21:12:11.50 ID:DMapltNi0
男子二人組はリア充に背を向けた

「ババリバリッシュ!!」
「ババ‥‥ババリバリッシュ!!」 ビリビリィッ

「ひぃぃぃ」

布を引き裂く音が響く
ショットガン男子は首だけ捻って後方を見た
男の方が馬乗りになったジャガー人間に上半身の制服を引き剥がされている

「お願いだから喰わないでぇぇぇぇ
 そこのお前らぁぁぁぁ助けて下さいぃぃぃぃ」

「てめぇら大輔に何するつもりだコラぁッ!!」

とうとう泣き出したのか男の声が甲高くなった

「お前達リア充を助けても
「俺達には何のメリットもない
「そういうことだ
「さらば」

叫ぶでもなくショットガン男子はカップルに告げる

「た、助けて下さい!
 こいつら急に襲い掛かって来て!
 お礼はしますから!!」

二人の存在に女の方も気づいたのか大声で助けを求めてくる

「どうするぅチミぃ、男はともかく女の方を見捨てるのは
 いくらリア充もげろとはいえ、紳士としてどうかと思いますぞw」

「ふむ」

二人組は再びカップルとジャガー人間へ身体を向けた
403 :祝 ☆ 発 売 延 期 [saga]:2011/11/03(木) 21:13:09.87 ID:DMapltNi0
「ではこうしよう
「おいそこのお前
「そうだ男の方だ、お前だ
「お前の持っているお宝画像を全て寄越せ
「それで手を打ってやる」

「ここで解説するナリ!!
 お宝画像というのは学校町に通う
 小・中・高の女子を激撮した静止画・動画一切のこと
 ‥‥とひとまず定義しておくでござるwww早い話がお宝画像よこせっつってんだよバーローwww」

「お宝画像!?
 大輔アンタそんな物持ってるの!?」

「しっ知らな「ババリバリッシュ!!」ビリビリッ 「ひぃぃぃぃっ「ババリバリッシュ!!ババリバリッシュ!!!」

男の方はとうとうズボンまでも引き裂かれた
全裸になった男に対し興奮しているらしいジャガー人間は天に向かって雄叫びを上げ始めた

「わ、わっ分かった!!分かったから!!
 ちゅ、中央高校のっ、学園祭激撮盗撮二百連発っ
 これを全部渡しますからっお願い助けてぇぇぇ」

「大輔ぇぇぇぇっお前ぇぇぇっ」

「乗った!
「それで手を打ってやる!!」

ショットガン男子は男の方へ突っ込む様に走り出す
敵と認識したのか、男を押さえていたジャガー人間が
迎撃するように男子へ跳びかかる
404 :祝 ☆ 発 売 延 期 [saga]:2011/11/03(木) 21:14:13.84 ID:DMapltNi0
「遅い」

ショットガンの発砲音が鼓膜を殴りつける
ジャガー人間は頭部の血肉を飛び散らせながら
中空からそのままアスファルトへと叩きつけられた

「ババリバリッシュ!!」「ババリバリッシュ!!!」

女を捕まえていたジャガー人間もまた一気にショットガン男子へと距離を詰める
だがしかし

「この全然可愛くない
「ケモ人間の首が
「みーんな吹っ飛ぶといーな」

ショットガン男子の声と共に
シャンパンの栓が飛ぶような小気味の良い音が響く
直後、その場に居たジャガー人間は皆、地面に崩れ落ちた
何故か頭部が無く、頸からは赤い噴水が強弱付けながら噴き出している

「ドゥフフ、高島の『ケサランパサラン』は相も変わらぬ凶悪度ですなあ」

「他の連中とは
「そもそも鍛え方が違う
「この程度は
「どうでもないことだ」

「ひっひぃぃぃぃぃひっ人殺しっ」

「これは人ではない
「都市伝説だか何だかはよく知らんが
「殺せば消滅するから、少なくとも人ではない
「さあ、約束通り、お宝画像を寄越してもらおうか」
405 :祝 ☆ 発 売 延 期 [saga]:2011/11/03(木) 21:16:22.95 ID:DMapltNi0
ショットガンを持った男子は
物言わぬ死体と化したジャガー人間をまたいで
ゆっくりと男の方へ近づいていく

「ひっひぃぃぃぃぃ」

男は引き裂かれた服と一緒に投げ出された携帯を掴むと
中からメモリーカードを引き抜き、放るようにして男子へ渡した

「どうも‥‥」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ」

男は声にならぬ悲鳴を上げながら先程まで服だった布きれを握り
路地の奥へと走っていった

「あっ待てぇぇぇ大輔ぇぇぇぇぇ」

女がその後を追いかける
その場に残ったのは、光に包まれ始めた無数のジャガー人間の死体と
ショットガン男子、そして一眼レフ男子だけだった

「ドゥフフフ、一件落着でござるなww」

ショットガンの男子は、一眼レフ男子へメモリーカードを渡した

「今すぐにでも
「中身を調べられるか?
「屑を掴まされていたら
「流石に萎える」

「無理でござる、今モバイル持ってないから
 今日はもうまっすぐ家に帰った方がいいすな」

「潮時というわけか
「まあ今日はこの程度か」

『ちょおおおおおおおおおッッと待ッッたあああああああああッッ』

突如、拡声器を用いたような大音声が耳をつんざく
身体中に音圧を感じながら二人が声の方を向くと
メカメカしいロボットのようなガラクタが路地を占拠していた

「ドゥフッ!何時の間に!!」

『貴様らだなああああああッッ東高のおおおおッッ屑どもはああああああッッ』

ちなみにそのガラクタの頂上部分からは
何とも貧相なキノコカットの男の頭がはみ出ていた
よく見れば、ガラクタの腕と思しき部分には何かが抱き抱えられている
工業高校の制服を着た、先程失神していた女だった

【不明】
406 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 21:47:18.71 ID:EpG6pDTB0
早くも空木さん再登場で嬉しい限り
おぉ、「ケセランパサラン」の契約者だったのか、こいつぁスゲェや!
しかし今後どうなるんだ、てかキノコカットwww
407 :神力秘詞 † 人類滅亡:本編  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 21:56:38.19 ID:EpG6pDTB0
かつん、かつん、と甲高い音が幾つも廊下に響き渡る
病院というものはどうも静かで、何処か殺伐とした雰囲気が漂っており、あまり好きに慣れない人間も多い事だろう
漢も清太もそういうタイプの人間であり、身体中の緊張を何とか解そうと考え、
黙々と先導している少年に、漢が代表して話しかけた

「あ、あの……その………えっと………」
「…栄 日天だ」
「ロン、リーティエンさん、ですか? か、変わったお名前、ですね」
「そうか?……まぁ、オレ達からすれば、日本人の名前も十分変だと思うが」
「え、兄ちゃん外国人なの? にしては日本語上手いね」
「……何年生きてると思ってるんだ」
「へ?」
「は?」

驚きとも、納得がいかないようにも思える声を出して、2人は首を傾げた
ちらと振り向いて、少年――日天は反応を伺って、口を開く

「……もしかしてお前等、ローゼさんから何も聞いてないのか?」
「ろ、ローゼさんと、何か関係があるんですか?」
「…分かった、今の事は忘れろ」

日天は前を向くと、また黙って歩き始める
小さな声で「しまった」と呟いた気がしたが、恐らく気のせいだろう

「……着いたぞ。この部屋だ」

ぴた、と歩を止める日天に習って、漢達も立ち止まった
番号札は、404号室
声に出して、漢は疑問の色を浮かべた

「? 漢兄ちゃん、どしたの?」
「…日本の病院って、『4』は殆ど使いません、よね?」
「鋭いな。この階は一般人は来られないようにしてある」

こんこん、と日天が扉を叩く

「R-No.3。神崎 漢、並びに………」
「あ、俺、水無月 清太」
「……水無月 清太というおまけを誘導しました」
「おまけ!?」

部屋の中から「どうぞ」とだけ聞こえ、日天はドアノブを捻って扉を開けた
息を飲み、部屋に踏み入ろうと一歩前に出ようとした漢
だが、その前に目だけが先走り、部屋の光景を見て驚いた

「―――――――――――裂兄ぃ!?」

ベッドに寝込み、点滴を受けている彼――裂邪の傍に駆け寄る漢
彼に続いて清太も、まだ信じられないといった表情で見ていた

「う、嘘だろ……師匠が、どうして………」
「こんなの…一体、誰がこんな事を…?」
「「マヤの予言」、ですわ」

声がした方を見ると、赤い長髪を揺らす黒服の少女――ローゼ・ラインハルトが立っていた
その背後には裂邪の弟の正義と、その契約都市伝説「恐怖の大王」
そして、酷く沈んだ表情をしている裂邪の契約都市伝説の面々がいた

「ローゼ、さん……?」
「「マヤの予言」って…あの人類滅亡説の!?」
「今日…10月28日は、その予言が成就される日だから、それが現れたみたいなんだ
 それと戦って、お兄ちゃんは……」
「そんな……じ、じゃあ、麻夜は!? 裂兄ぃと一緒にいた筈じゃ―――――」
「麻夜ちゃんは…「マヤの予言」、その本体である「太陽の暦石」の契約者にされてしまいました
 ……こんなことを言うのは嫌なのだけれど……裂邪さんを傷つけたのは……」
「そ…そんな……そんな…………」

パニック寸前の状態で、頭を抱え涙声になり震える漢
だが、彼よりも先に

「―――――――――――ごめん、なさい………」

どさり、とその場に崩れ落ちる者がいた
裂邪と共に「太陽の暦石」と戦った、ミナワだった
彼女はスカートの裾を強く握りしめ、ぽろぽろと涙を零し始める

「私が………私が、弱かったから………皆の足を引っ張って……それで、麻夜ちゃんが……
 あや、さん…………ごめんなさい……………」
「ミナワ、ちゃん……」
「ぐすっ……私…………皆を守るって、約束したのに………」
「…自分ヲ責メルナ。力不足ダッタノハ……私モ、同ジダ」
408 :神力秘詞 † 人類滅亡:本編  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 21:57:28.42 ID:EpG6pDTB0
「くっそ、自分が情けねぇぜ…ぁんで生かしやがったんだ、あの馬鹿主が……!!」
「面目ねぇ…面目ねぇ、漢の旦那……」
「み、みんな……」

きゅっと唇を噛みしめ、小さく首を左右に振り、
彼は無理矢理に笑顔を作って応える

「僕は、大丈夫だから。皆は麻夜を助ける為に頑張ってくれたんだもの
 ……ありがとう。弱くなんかないよ、君達はそんなに―――――――」
「弱いのは…………この、俺だ」

全員の目がベッドに向かう
上半身を起こし、酷く咳き込んでいる裂邪の姿がそこにあった

「裂兄ぃ…!」「師匠!」「っご主人様!」

慌てて、正義とローゼが彼の身体を押さえようと、
両肩を抑えてベッドに寝かせようと誘導する

「お兄ちゃん!そんな身体で起きちゃダメだよ!」
「正義さんの言う通りですわ! 今はまだ、安静にしてらして下さい!」
「ふ、ざけんな……俺の所為で麻夜が利用されるってのに………何で寝てなきゃなんねぇんだよ!!
 約束、したんだよ………! あいつに、プレゼント買って、帰って……漢と、一緒に……誕生日を………う、うぐっ!?」

真っ白なベッドが、鮮やかな紅に染まる
いよいよ漢も見ていられず、彼を宥めようとした

「っもう、いいよ、裂兄ぃ! そこまでしなくても………今は、自分の身体を大事にして―――」
「あ、や……」
「…?」
「ご………めん………約、束………守、れ……………なかっ………………」

裂邪の力が抜け、頭と腕がだらりと垂れ下った

「ご主人様ぁ!!」
「っ日天さん!今すぐライサちゃんと救護班を!」
「今やるところだ!……ライサ! 至急404号室に来てくれ!!」
「…裂兄ぃ……ごめんね、辛い想いをさせて……」

目に涙を浮かべる漢
だが彼は拳を握りしめ、涙を拭って再び裂邪を見据えた
その目は、どこか男らしい、勇ましい目付きだった

「……裂兄ぃの気持ちは、ちゃんと受け取ったよ
 麻夜は、僕が……絶対に、助けてみせるから」

彼は、強く誓った

「………ダガ、ドウシヨウト言ウノダ?」

暫しの間をおいて、問題を提起したのはシェイドだった
そのまま、彼は話を続ける
409 :神力秘詞 † 人類滅亡:本編  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 21:57:56.49 ID:EpG6pDTB0
「相手ハ世界破滅系………ソレモ“10月28日”トイウ事モ相マッテ、奴ノ力ハ最大限発揮サレル筈ダ
 実際ニ拳ヲ交エ敗レタ事ヲ理由ニスル訳デハ無イガ………アノ「マヤの予言」ニハ到底太刀打チデキルトハ思エン
 仮ニ、コチラニ「恐怖の大王」ヤ「フォトンベルト」等、同ジ世界破滅系ノ都市伝説ガ揃ッテイルトシテモ、ダ」
「ッ…し、シェイド、んな言い方はねぇだろ」
「ですが、正論ではありますわ。それに、裂邪さんとの戦闘では、本気を出していないとも考えられます」
「“出せなかった”…とも考えられるがな」

被さるように話を振ったのは、大王こと「恐怖の大王」
深刻な表情で、その意味を語り始めた

「確か「太陽の暦石」は『猶予をやる』と言ったのだろう?
 その言葉と、少年の兄と戦闘した事実がどうにも引っかかる
 「ククルカン」共が人類を滅ぼす為に「太陽の暦石」の契約者を探していたのなら、
 契約者を手に入れた今、すぐにでもそれを実行すれば良い筈……少なくとも、俺ならそうしている」
「ということは………エネルギーを溜めている、みたいな感じかな?」
「断言は出来ん。が、はっきり言えるのは、あいつは“遊んでいる”と見た」
「……それが本当、だったら………もし本気を出したら、いつでも僕達を……ううん、世界中の人々を………」
「人々を救う…つまり人類滅亡を防ぐ……そんな素敵な方法が、もしもあったら………

全員が押し黙る
頭の中で、様々な方法を編み出しては破棄して、を繰り返し
部屋は溜息と唸り声、心臓の鼓動と心電図モニターの電子音が混ざり合ったものが響く
そして、それを打ち破る声は、意外にも小さかった

「……俺、知ってる」

それは、恐らくこの部屋で最も若い存在
水無月 清太のものだった

「せ、清太くん、何を……」
「知ってるんだよ、俺…人類滅亡を止める方法を!」


   ...物語猶続
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/03(木) 22:10:42.28 ID:HSjiBh+To
    |┃
    |┃三    ,ィ, (fー--─‐- 、、
    |┃.    ,イ/〃        ヾ= 、
    |┃   N {                \
    |┃  ト.l ヽ               l
 ガラッ.|┃ 、ゝ丶         ,..ィ从    |
    |┃  \`.、_    _,. _彡'ノリ__,.ゝ、  |     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |┃三 `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ    <  話は聞かせてもらったぞ!
    |┃.    |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ     |   人類は滅亡する!
    |┃三  ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐'  ,ン       \____________
    |┃      l     r─‐-、   /:|
    |┃三     ト、  `二¨´  ,.イ |
    |┃     _亅::ヽ、    ./ i :ト、
    |┃  -‐''「 F′::  `:ー '´  ,.'  フ >ー、
    |┃    ト、ヾ;、..__     , '_,./ /l
411 :シャドー  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 22:52:09.54 ID:EpG6pDTB0
そういや返事忘れ

>>388
>いえ、ミルホッグのミルホッ君のことです
あぁ、そっちもあるのか
BW未プレイだから知らなかったのorz

>ふむ、そうですね…。同じ名前の人間くらい結構居ますし(特にたくまとか漢字すらかぶることもあるでしょう)、
実際、被っても未処理なキャラがいたりする(『葵』とか
読みは被っても漢字が違ったりでスルーされてたりもする(『みずき』は現在3人

>クロスして聖ちゃんとこっちの真未伊が会うときにでも、『名前が未来どうしなので意気投合する』なんてネタにもできそうだから問題ないかな? と解釈してしまったのですが…
確かにその手のネタは面白いけど、双方同意の上での方がやりやすいとは思うなぁ

同じ名前で頭が痛かったのはこの間の「三つ巴」編……あれは苦しかった(それは違うだろ
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/03(木) 23:07:29.92 ID:Lk1s5wQBo
シャドーマンのひと乙です
影男の人のキャラ全員集合な感じですね!
413 :シャドー  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 23:12:18.58 ID:EpG6pDTB0
>>412
>影男の人のキャラ全員集合な感じですね!
まだまだこれからだぜ
頑張って4人揃えた『花鳥風月』のキャラにも出て頂きますし
あともう皆忘れたであろう、日天の嫁も登場します
ついでに単発に出したキャラの内6人を本編初登場させる予定

予定・設定・話の流れは思いつくのに
話の細かいところ(要は地の文・台詞等)は全然思いつかないんだよなぁ……ちくせうorz
414 :シャドー  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 23:13:13.71 ID:EpG6pDTB0
ごめん、7人だったorz
415 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/03(木) 23:38:28.76 ID:m5A5Kcq+0
皆さん乙です!!

ところで花子さんの人さん。菊さんの武器薫が出しましょうか?
もしいいなら、形とかどういうのがいいか教えて下さい。
416 :花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/03(木) 23:54:13.35 ID:XE1ZeqUA0
皆様乙ですの!

>>415
>ところで花子さんの人さん。菊さんの武器薫が出しましょうか?
>もしいいなら、形とかどういうのがいいか教えて下さい。
菊「……太くてかたくて大きいの」

菊は、武器を扱うスキルははっきり言ってありません
ザ・力任せに振り回すだけです
武器なかったら、道路標識引っこ抜いたりバス亭振り回したりバイク放り投げるような奴なので
武器を出してくださるなら、とりあえず怪力でぶん回しても壊れない打撃武器だしてあげてください
417 :花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/03(木) 23:55:04.61 ID:XE1ZeqUA0
皆様乙ですの!

>>415
>ところで花子さんの人さん。菊さんの武器薫が出しましょうか?
>もしいいなら、形とかどういうのがいいか教えて下さい。
菊「……太くてかたくて大きいの」

菊は、武器を扱うスキルははっきり言ってありません
ザ・力任せに振り回すだけです
武器なかったら、道路標識引っこ抜いたりバス亭振り回したりバイク放り投げるような奴なので
武器を出してくださるなら、とりあえず怪力でぶん回しても壊れない打撃武器だしてあげてください
418 :花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/03(木) 23:55:37.19 ID:XE1ZeqUA0
油断してたやっちまった(二重投稿)orz
419 :シャドー  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/03(木) 23:56:01.43 ID:EpG6pDTB0
>>416
>菊「……太くてかたくて大きいの」
兄貴の皆さんがアップを始めました

>武器を出してくださるなら、とりあえず怪力でぶん回しても壊れない打撃武器だしてあげてください
金棒・鉄骨・兄貴とかですね分かります
420 :邪気殺し † Mayan profecy  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/04(金) 00:13:14.58 ID:Os8vcD8/0
「……俺、知ってる」
「せ、清太くん、何を……」
「知ってるんだよ、俺…人類滅亡を止める方法を!」

清太の言葉に真っ先に喰いついたのはローゼだった
肩を掴んで、食い入るように彼を問い質す

「っそ、それは一体何ですの!? 是非教えて頂けませんこと!?」
「ろ、ローゼさん、落ち着いて」
「……も、申し訳ありません、ワタクシとした事が……」
「い、いや、別に……そ、それより、「水晶髑髏」って知ってる?」
「名前そのまま、水晶で出来た頭蓋骨のオーパーツ、だよね」
「そうそう、それと契約した契約者とこの町で出会って、
 2012年までに13個集めて世界滅亡を防ぐみたいなこと言ってたんだ!
 確か………髑水 晶髏、だったかな?」
「……成程、確かにそれなら止められるかも知れん」
「でも、俺が出会った時はまだ1つしか持ってなかったような………」
「「水晶髑髏」は、下手をすれば世界中に散らばっている代物…そんなの、一人で13個全て集めるのは不可能…
 清太さん、その契約者が何処にいらっしゃるか分かって?」
「そ、それが…出会ったのも1回きりだし、電話番号聞いてた訳でもないから…
 多分、気配を探れば見つかるか、向こうからやってきてくれると思うけど」
「申し訳ないけど、今すぐ探してくれませんこと?
 日天さん! ロビィちゃんに連絡して至急「水晶髑髏」の捜索依頼をお願いして!
 念の為、蓮華ちゃんに各地の「水晶髑髏」所在予測ポイントの割り出しを!」
「あぁ、分かった!」

再び携帯電話に番号を打ち込み始める日天
急いで部屋を出ようとする清太を、漢が引き止めた

「ま、待って、何処にいるか、分かるかも知れない」
「え…ほ、ホントか!?」
「うん、ちょっと待ってて」

漢が右手の人差指で漢字を空書きし始めた直後だった
ばたんっ!と勢い良く病室のドアが開かれる
青い髪の幼い少女を連れて入ってきたのは、豊かな胸を持つ白い髪の少女だった

「ローゼ! 敵が動き出したぞ! 外を見ろ!!」
「なっ……!?」

がらっ、と部屋の窓を開け、全員が覗き込んだ
人の形をしたジャガーの大群が、町の中を跋扈している

「あ、あれって………「太陽の暦石」の……!?」
「如何ニモ…我々トノ戦闘デモ、アレヲ出現サセテイタ」
「私は戦闘班と共に行くつもりだ、異論はあるか!?」
「……ありません、ですが……死ぬ事のありませんように」
「ふふ……無論だ」
「レクイエムお姉様……」
「ライサ、裂邪を頼んだぞ」
「…うん、分かった! お姉様も頑張ってね! お怪我は全部、私が癒してあげるから!」

青い髪の少女――ライサの頭をぽふっ、と撫で、
白い髪の少女――レクイエムはその場から忽然と消えた

「くそっ、俺も探さなきゃいけないのに……これじゃ遅くなっちまう……」
「皆、窓から離れろ!」

日天が叫ぶと、指示通りに全員が窓から距離を取った

「画竜、点睛!!」

スケッチブックに描かれた龍の睛を打ち、それを外に向けると、
絵から4枚の翼を持った図体の大きな龍が飛び出した
日天はその背に飛び乗ると、清太に手を差し伸べた

「え……」
「乗れ、空からなら、ジャガーも来られない筈だ」
「あ…ありがとう!」
「日天さん、お気をつけて」
「あぁ、後は頼む」
「清太くん、日天さん、その契約者は今、東区の何処かにいるみたい…!」
「分かったぜ漢兄ちゃん! じゃあ、行ってきます!」

龍は羽ばたき、夜空を舞う
清太と日天の2人は、「水晶髑髏」の契約者――髑水 晶髏を探しに、東区へと向かった

   ...see you NEXT
421 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/04(金) 00:15:35.59 ID:Os8vcD8/0
ホントはこれで1話の筈だったんだけど……
あまりに短いから追加を考えてます、晶髏くんとの合流シーン
と、日天はここでおさらb(焼き払われました
422 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/04(金) 00:21:23.71 ID:z/pBILrw0
>>416
OKです。
ドでかい棍棒でも用意します。
423 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/04(金) 00:51:43.39 ID:z/pBILrw0
ってああ!! 何で今まで気がつかなかった俺よ!!
シャドーマンの人乙です!!

>と、日天はここでおさらb(焼き払われました
……無理しやがって
424 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/04(金) 00:55:58.74 ID:dmsPSCDn0
シャドーマンの人乙ですぅー!
425 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/11/04(金) 04:52:21.22 ID:VJcH492AO
ソニータイマーの人再び乙です!

小康状態の人乙です
これはいいリア充もげろ
そしてケサランパサランつえー

シャドーマンの人乙です
>と、日天はここでおさらb
な、なんだってー!
426 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/11/04(金) 04:54:26.35 ID:VJcH492AO
>>158-160の続きです。

 叫び声が聞こえてきた路地から、中学校の制服姿の少年が転がるように飛び出してきました。
「うわ!」
「痛って!」
 危うくぶつかりそうになり、すんでの所で身をかわすと、
 少年はバランスを崩して小脇に抱えていた子供ごと倒れ込みました。
「わりぃ!」
 少年の足元には、絹を思わせる質感の細い紐が絡まっていて、
 懸命に解こうとしてはいますが、なかなか上手くいかない様子。
「大丈夫……やっ!?」
 一瞬の出来事でした。
 手伝おうとして手を伸ばしかけたノイちゃんの身体に全く同じ紐が巻き付き、
 あっという間に二人とも路地の奥へと引きずり込まれて行き…
「ノイちゃん!?」
 あわてて後を追って路地に入った所を、迂闊なことに俺までがこの紐に捕らわれてしまいました。
『あれ?ガキが増えてるぜ』
『都市伝説の気配が増えたわね。契約者?』
『………』
 複数の声。ドイツ語。声のした方を振り向くと、黒いスーツの白人の少年。
こいつが紐の操り主で、もう一人やはり黒スーツの、こちらは若い女。
「やめろ!そいつらは関係な…!」
 少年の声が途切れると同時に、全身が締め上げられ、思わず呻き声が漏れました。
「ノ…イ…ちゃん!」
 ノイちゃんが。
 俺でさえ息もできない程なのに、ノイちゃんの小さな身体ではとうてい耐えられないに違いない。
 紐を切ることも解くことも出来ないまま這いずっていくと、彼女の喉に忌々しい紐が絡みついていて。
 どうしよう。どうしよう。どうしよう。
 耳障りな女の高笑いが響いている。くそっ。
 せめて声が出せれば。助けを呼ぶか、都市伝説を使えれば。
『流石は噂に名高い『学校町』ね。野良都市伝説やら子供の契約者がゴロゴロしてるなんて』
『ははははは!どんなにもがいたって『グレイプニル』を千切る事なんて出来ないさ!せいぜい』
 少年の声が唐突に途切れ、俺たちを拘束していた紐が光となって消えていきました。
427 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/11/04(金) 04:57:53.85 ID:VJcH492AO
 急いでノイちゃんを抱き起こすと、しばらくせき込んでいましたが、やがて呼吸が落ち着くと、俺にすがるように抱きついてきました。
 俺のシャツの袖を握る指が、わずかに震えていて。
「やな…ぎ」
「大丈夫。もう…」
「しにがみ…が…」
 はっとして黒服の少年がいた方をみると、彼はうつ伏せに倒れたまま微動だにしませんでした。
 そしてその傍らに新たな影が。
 大きな鎌を携え、黒いぼろけたローブから覗く、その顔は髑髏。
 
 所謂死神と呼ばれる存在
 いわく、アヌビスであり、タナトスであり、ヘルであり、イザナミであり

 グリム・リーパー
 
 〈無慈悲な収穫者〉と呼ばれるそれは、本来は名すら持たなかった死の擬人化。
 既に黒服の少年は、その命を〈彼〉の大鎌によって刈り取られてしまった事でしょう。自業自得ではありますが。
「やなぎ…」
 しがみ付くノイちゃんが震えているのは、死神が恐ろしいのではなく
『そう…契約者はその娘なの』
 自ら人を殺めてしまう事に対する恐れ
『なあ、知ってるか?』
 女は怪訝そうな表情で、俺を見て。
『しゃっくりが100回続くと死ぬんだってな』
 途端、女の喉からひくっひくっと不自然な音が漏れ、驚愕に見開かれた瞳が俺に向きました。
『日本ローカルの都市伝説だから知らなかったか?
ともかく、100回より前に止めないと死ぬぞ。止まれば助かるから、せいぜい頑張ってくれよ』
 女は忌々しげに舌打ちをして、俺たちに背を向けて消えていきました。
428 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/11/04(金) 05:00:50.64 ID:VJcH492AO
「もうやめて」
 ノイちゃんの普段とは違う、低く抑えられた声。
 彼女の方を見ると、死神が鎌を振り上げています。
 これが振り下ろされた時、再び命が刈り取られる。でももうここには。
「もう敵はいないの。誰も殺さないで」
 彼は沈黙を保ったまま。
 振り上げられた鎌が、わずかに身じろぎするように揺れました。
「やめてっ!!」
 ノイちゃんが叫ぶと、死神はしばらくの間、俺たち全員を交互に見つめていましたが、やがてその姿は消えました。
「ノイちゃん、もう大丈夫。よく頑張ったね」
 こくこくと頷くノイちゃんの背後に、事の発端となった中学生が近づきました。
「えーっと、俺のせいで、すんません」
 話を聞いてみると、先程の黒服達には全く心当たりはないとの事。
「無抵抗のこいつに乱暴してたんで、抱えて逃げようとしたんすよ」
 よく見ると、彼が小脇に抱えていた子供は、人間の赤ん坊程度の大きさの人形。
 キャベツ畑人形と名乗った彼にも心当たりはないようで、
 彼らが何者で、なぜ襲われたのかは迷宮入りになりそうです。
「ノイちゃん、とにかくいったん家に」
 帰ろう、と立とうとした所で、右足首に激痛が走りました。
「〜〜〜!!」
「柳、大丈夫!?」
 どうやら挫いてしまったようで、ノイちゃんが必死に肩を貸してくれようとしますが…
「…う〜、重い〜」
 ぺたんと地面に座り込んでしまいました。
「俺でよければ、家まで肩貸します」
 田中 彼方(かなた)と名乗った中学生くんが送ってくれることになり…
「なあチビ、お前俺のこと覚えてるか」
「彼方の事?………!!思い出した!」
 ノイちゃんは頭から湯気を立てんばかりの勢いで、先日の無断外出の際に絵が下手だと笑われた事を話してくれました。
 失礼な。ノイちゃんの絵は芸術です。極くんだって
「まあ写実主義だけが美術ではないですからね。キュビズムとかシュルレアリスムとかの類だと思えば」
 と誉めていたぐらいなんですから。
「ノイ・リリス!」
 急ぎ足で近寄ってきたのはムーンストラックでした。
 よほど走り回ったのか、この季節に赤毛の先から汗の滴をしたたらせています。
429 :俺の彼女を紹介します ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/11/04(金) 05:04:47.86 ID:VJcH492AO
 彼はノイちゃんの頭にぽんと手を置くと
「…心配したんだぞ」
 いつもの叱り飛ばすような調子でないという事が、彼がどれだけ心配していたかを伺わせて。
「…ごめんなさい」
 彼が何を心配していたか、本当はノイちゃんにもわかっています。
 死神の発動に気付いている筈だと。
 四年前、八歳だったノイちゃんは、死神を暴走させ、飲まれかけている。
 それは彼女の精神コントロールの問題なのだそうで、
 彼女が死神を契約者として受け入れ、〈彼〉を服従させるだけの強さを持つまで、守らなければと。
「でもムーンストラック、あたし、今日、がんばったよ」
 ノイちゃんは少し嬉しそうでした。
「死神があたしを乗っ取ろうとするのは、もちろん恐いよ。
 でも、彼方とお人形からお礼を言われたとき、あたし、うれしかった」
 人を殺したいとは思わないけど。と付け加えた後、うまく言えないと言って頭を抱えてしまいます。
 ムーンストラックは少し目を細めて
「そうか」
 とだけ言うと、再びノイちゃんの頭に軽く手を置きました。
 やがて新田家が見えてきたところで、彼方くんはじゃーまたな、と帰って行きました。
 ノイちゃんは何か考えるところがあったのか、いろいろ本やビデオを見ながら
 ムーンストラックに何かを教わっていた様子。ちなみに俺は
「ヒミツ!」
 と残念ながら閉め出されてしまったため、リジーさんの手伝いで家事に勤しみました。

 少なくとも未だこの時は、世界に忍び寄る破滅の足音には、俺は気付いていませんでした。


「俺の彼女を紹介します」終
430 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/04(金) 06:50:02.61 ID:dmsPSCDn0
俺の彼女の人乙ですー!
431 :1レスネタ [sage]:2011/11/04(金) 07:31:26.40 ID:xMmaKFOSO
ふと少年が目を覚ますと、隣で少女が寝ていた。
いつも同じベッドで寝ているのだから、当然なのだが。
少年はその顔を見ながら、可愛いな、と思いながら、その頬にキスをした。
少女の頬から唇を離すと、少女の目が開いている事に気がついた。
気恥ずかしくなって、少年は目をそらすと、少女は少年の方に顔を向け、目を閉じた。
その意味をすぐに理解し、少年は今度は唇に、キスをした。
「夢を見ました」
十数秒後、二人の唇が離れると、「予知夢」の契約者である少女はつぶやく。
「何かあった?」
「『ベットの下の殺人鬼』がこの下にいます」
少女がそう言うと、ベッドの下からズルズルと男が這い出してくる。
ばれているなら隠れている必要もないと、出てきた殺人鬼はその手の斧を二人に振り下ろそうとして、
「 次は活けづくり〜活けづくりです。」
そんな声を聞く。
そして、「猿夢」の契約者である少年が少女の「予知夢」に忍び込ませた小人達によって、未来で殺人鬼がすでに切り裂かれていた時刻になった。
そうして、なんの前触れもなく殺人鬼はバラバラになっていた。
「終わり?」
「うん」
少年の問いに少女は頷き、二人は見つめあう。
兄妹は、また二人だけの世界に戻っていった。
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/04(金) 12:46:37.40 ID:ZPImqlF/o
兄妹のいちゃいちゃっぷりを見せ付けられた挙句
解体された殺人鬼の苦労が偲ばれる
433 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/04(金) 17:45:32.09 ID:Os8vcD8/0
鳥居を探すの人乙です〜
暴走する「死神」………いいなぁ、そういうシチュエーション
やろうとして盛大に失敗した男がここにいるorz

1レスの人乙です〜
やだ、この兄妹良いわ最高だわ、だが兄よ俺に代われ(次は〜活け造り〜

>>432
>解体された殺人鬼の苦労が偲ばれる
全くだwwwwwwwwww
434 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/04(金) 19:06:02.13 ID:dmsPSCDn0
1レスの人乙でーす!
真久良「まさか僕達以外にも夢系都市伝説兄妹が居たなんて…!」
夢見「今度是非顔をあわせたいわね、夢の中で…!」
真久良「でもこの人たち兄妹でなにやってんの!?」
夢見「まったくよ、流石の私もこれは…」

疾風「僕は殺人鬼さんに全面的に味方します! リア充爆発しろ!」


あ、シャドーマンの人様ー。
清太君たちと合流する前に、晶髏がもうひとつ水晶髑髏を見つける話を投下したいのですがよろしいですか?
435 :ソニータイマー/携帯 [sage]:2011/11/04(金) 20:31:44.46 ID:URu5lfZDO

                       「3つ目の水晶髑髏〜桃色の水晶髑髏〜」
清太達が病院に居た頃、水晶髑髏の契約者、髑水 晶髏は東区に居た
髏「うわあああ! やばいよやばい今世紀最大にやばい! 世界滅びる日今日じゃん! 」
『カタカタカタ…あーもう終わったなぁこりゃあ』
『残念ですけど、それが現実でしょう』
晶髏「いや、まだ滅びてないよ!? 諦めないでよ! 諦めたらそこで世界終了だよ?」
『だがよー、もう10月28日、世界終焉の日だぜ?』
晶髏「うん、まぁ…そうなんだけど。でも、まだ確かに世界はあるし、僕たちはピンピンしてるよね?」
『そういえばそうですね…』
晶髏「つまり、世界の終焉は時限爆弾的に訪れるのではなく、何者かの手によって…おそらく『マヤの予言』という都市伝説によって引き起こされるんだよ。
つまり、それまでに13個集めれば間に合うってことさ」
『…! なるほど!』
晶髏「え、もしかして気づいてなかったの? ま、そんなわけだからとにかく探そうよ」
希望を胸に、歩き出す晶髏
『あー…そういえば言い忘れてたんだが』
晶髏「なに? ヘッジス?」
『俺達『水晶髑髏』には水晶系都市伝説を探知する力があるのは知ってると思うが、その範囲は『水晶髑髏』を集めるほど広がるんだ』
『今は私と『ヘッジスの水晶髑髏』の2つですので、学校町の1地区…つまり今は東地区全体まで探知できますね』
晶髏「成る程、そうだったんだ…」
『そして、契約者さんの『黒水晶のパワーストーン』。コイツで俺達の潜在能力を引き出せば、更に範囲が広がると思うぜ』
晶髏「! 確かにそれはありえるかも…! 試してみよう、『モリオン・アウェークニング』」
『黒水晶のパワーストーン』の力で、『ヘッジスの水晶髑髏』と『ソクラテスの水晶髑髏』の潜在能力を引き出す晶髏
『…おい、かなり範囲が広がったぜ』
『ええ、都道府県単位にまで広がりました』
晶髏「すごい…! これなら見つけやすいかも!」
『そしてさらに朗報だ。この地区、向こうのほうから反応があるぜ』
晶髏「今回はだいじょうぶなんだろうね?」
『だから保障はできねぇって』
こうして、反応のある方に向かう晶髏たち
『この近くだぜ』
『もうすぐです』
晶髏「よし、行ってみよう!」
反応がだんだん強くなる。そして…
『このあたりから反応があるぜ!』
晶髏「ここは…マンション?」
晶髏たちが着いた場所は、幽霊マンションだった
晶髏「それで…どの辺から反応がある?」
『マンションの裏のほうからですね。行ってみましょう』
晶髏「…不法侵入になるかもしれないけど、世界を救うためなら仕方ないよね」
そう言って、マンションの敷地に侵入し、水晶髑髏を捜し始める晶髏
晶髏「どこかな…」
『左の方から反応があるぜ』
晶髏「えーと…! これだ!」
植木鉢の間に、ピンク色の水晶髑髏があった…
『ああ、確かにこいつから反応があるぜ…』
晶髏「ピンク色…ということはつまり、『薔薇水晶髑髏』…!」
『つまり、『薔薇水晶髑髏』…』
晶髏の言葉を真似て、ピンク色の水晶髑髏、…薔薇水晶髑髏が言う
『貴方が私の契約者なのですか…?』
晶髏「そうだよ。僕はマスター・スカルこと『ヘッジスの水晶髑髏』の契約者、髑水晶髏。よろしくね」
『そして俺が『ヘッジスの水晶髑髏』だぜ』
『私は『ソクラテスの水晶髑髏』です。以後お見知りおきを』
『あ…『薔薇水晶髑髏』です…。親しみを込めて『ばらしー』と呼んで頂いても構いません…よ、よろしくお願いします…』
舌っ足らずでクールな声で、自己紹介する『薔薇水晶髑髏』
晶髏「よろしくね、ばらしー」
『よろしく…では、契約を…』
『薔薇水晶髑髏』との契約を開始し、完了した
『あ…ちなみに私の能力はパワーストーンとしてのローズクォーツの効能、『治癒能力』です…』
晶髏「治癒能力?」
『ええ、契約者様…。体の傷も心の傷も治療できます…。あと、恋愛感情を司っています…』
晶髏「なるほど…。じゃ、改めてよろしくねばらしー。さ、世界を救う旅に出かけますか!」
こうして、3つ目の水晶髑髏、『薔薇水晶髑髏』を見つけた晶髏。さあ、これで残りは10個! 果たして世界滅亡は防げるのだろうか!?


続く…
世界が滅びる、当日…
436 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/04(金) 20:46:24.63 ID:Os8vcD8/0
ソニータイマーの人乙です〜
ごめんなさい、返事が遅れて本当にごめんなさいorz
3つ目キター! つまりこれから10個集めれば良い訳か、了解ですの!
今日中に清太との合流、書けるか俺………とその前に息抜きのMHP3を(書けやコラ
437 :ソニータイマー/携帯 [sage]:2011/11/04(金) 21:53:57.37 ID:URu5lfZDO
>>436
>今日中に清太との合流、書けるか俺………とその前に息抜きのMHP3を(書けやコラ
モンハンは僕が代わりにやってあげるから安心して書いてくれたまえ!
438 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/04(金) 23:55:30.86 ID:VJcH492AO
1レスネタの方乙でした〜
やっぱり兄×妹はジャスティスだな

>暴走する「死神」………いいなぁ、そういうシチュエーション
ノイには死神に飲まれるフラグが、作者には失敗フラグが立ってますww

ソニータイマーの人乙です
ピンクの水晶髑髏とかかぁいい…!
439 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/05(土) 00:41:11.98 ID:qwvL8uM+0
>>438
貴方も兄×妹の良さが分かりますか
お茶でもご一緒しませんこと?(


今日は気分が良い
念願の雷狼竜の碧玉を手に入れて【裂雷】が完成したので超清々しい
てかエスカドラかっこいい(何の話してんだ
440 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/05(土) 00:42:12.87 ID:qwvL8uM+0
>>438
貴方も兄×妹の良さが分かりますか
お茶でもご一緒しませんこと?(


今日は気分が良い
念願の雷狼竜の碧玉を手に入れて【裂雷】が完成したので超清々しい
てかエスカドラかっこいい(何の話してんだ
441 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/05(土) 00:46:25.76 ID:QUudpCwP0
仮眠したら頭の中の構想が吹っ飛んだ、ネタも見つからん

それにしても蝿の都市伝説ってそんなに無いのね
442 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/05(土) 01:08:24.25 ID:qwvL8uM+0
やっと表示された、てか何で二重投稿になってんの

>>441
あるある、俺もよく構想吹っ飛んで結局違う展開で妥協して
後から思い出すのよねorz

ハエは少ないなぁ
「スパニッシュフライ」と「ベルゼブブ」しか思い付かねぇorz
ハエを操る能力なら、「黒いキューピー人形」とかがあるか
443 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/05(土) 01:27:54.03 ID:QUudpCwP0
ベルゼゼブ出すとなると結構やり過ぎる気がするし・・・スパニッシュフライって甲虫だったのか

いろいろ難しいね、見つけたときの嬉しさは半端無いが
444 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/05(土) 01:32:52.86 ID:u1A01N2AO
>お茶でもご一緒しませんこと?(
美味い茶が飲めそうですなぁ

>仮眠したら頭の中の構想が吹っ飛んだ、ネタも見つからん
もう一回寝て夢の中からネタ発掘なんだぜ!
「次は〜活け作り〜」
445 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/05(土) 01:38:10.99 ID:QUudpCwP0
>「次は〜活け作り〜」
ちょww少し眠りかかってた所になんてものを、おかげでカシマレイコまで思い出してしまったじゃないか
446 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/05(土) 07:15:08.77 ID:hj/cCsXe0
兄×妹とか姉×妹とか最高ですね!

>>441
『ハエは音速で飛ぶ』って聞いたことあるよ!
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 08:01:31.00 ID:XzAT/RODO
>ベルゼブブ
なあに、このスレでは神殺しなんて日常茶飯事
登場人物が神でも悪魔でもいっこうに構わないんだぜ
448 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/05(土) 10:54:49.67 ID:qwvL8uM+0
そういや、「スカイフィッシュ」ってその正体はハエな訳だけど
そういうのはどうかしらな
449 :やる気なさそうな人 [sage]:2011/11/05(土) 11:59:48.80 ID:i8xV3xZDO

「アンチ・フォークロア!
 スカイフィッシュの正体は蝿だ!」

「何ぃ! オレのスカイフィッシュがただの蝿になっただとぉ!」

なんだこれ
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 12:18:49.99 ID:h+vGpL0DO
スカイフィッシュってコウイカとアノマロカリス足して割ったようなやつじゃないの?
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 12:50:48.22 ID:5GdObIDSO
カメラにスカイフィッシュとして写ってる白い影の正体は蝿って話ではないかと
452 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/05(土) 13:26:01.44 ID:lFHRoRat0
>>451
そういうことそういうこと
確か上田が一時契約してた「スカイフィッシュ」は姿がハエだった筈(※うろ覚えです

>>449
>「アンチ・フォークロア!
なんかそれいいなwwwwwwwwwww
と思ったら、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ってことだよな……ウヒヒ(

>>450
>スカイフィッシュってコウイカとアノマロカリス足して割ったようなやつじゃないの?
昔流行したイメージ図はそうだったよね
俺は『花鳥風月』ではアノマロカリスの方だけ使ったけど
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 14:19:55.14 ID:XzAT/RODO
そういえば、欧州では昔、ハエがコレラだかペストだかをばらまくと信じられていたとか

体内に蛆を宿してマゴットセラピーによる高速治癒とか考えたけれど、適当な都市伝説がベルゼブブくらいしか思い当たらぬ
454 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/05(土) 16:37:07.02 ID:hj/cCsXe0
>>449
>「アンチ・フォークロア!
説「僕と同じタイプの都市伝説か…!」

>「何ぃ! オレのスカイフィッシュがただの蝿になっただとぉ!」
「だが予測済みだ! 蝿は音速で飛行する!」

「な…アンチフォークロアに対応しただと!?
だが甘い! 蝿は航空力学的に考えて飛ぶことはできない!」

「何ぃ! オレの蝿が墜落した!」

…なんなんだろうね
455 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/05(土) 21:14:23.12 ID:AvyGGQo70
 DKGはファントムと戦いをカバーしながらジャガー人間を斬っていく。
「俺が美しいからってな、集まり過ぎだ!!」
「薫に触れようとするやつがいるなら、俺がさっさと殺してやるよ」
 ファントムはDKGの背後にいるジャガー人間の顔を蹴飛ばし、横にいるのを斬り上げて着地する。
「お前さっきから体術使ってるけど他に能力ないのか?」
「あるんですけど、今まで殺してきた魂を13個冥界から呼び出さなければ……」
「よし、俺が作り出して……てなんだそれは!?」
「説明しよう!! ファントムは、今まで封印してきたアンデットと融合する事により――――」
「ダディアナサンオンドラギッタンデスカー!! って言えば満足か!!」
「戦いながらそんな大声で話すと体力無くなりますよ?」
「お前のせいでな!! せーの」
「はいっ」
「「らァッ!!」」
 派手にジャガー人間を斬り上げ、ドミノ倒しの応用でジャガー人間達は倒れ……はしてくれず、とっさに避けられる。
 DKGと(マスクの中で)ファントムはニヤリと笑い、袖に隠していた自動拳銃で、とっさに避けたせいでバランスの崩れたジャガー人間の眉間をブチ抜く。
「御信用で貰っておいて助かりました」
「初心者にしてはコントロールがいいな。褒めてやるよ」
「いえ、自分の武器の中にも自動拳銃っぽいのがあるんで」
「……もういい。ツッコミしても無意味な気がしてきた」
 はぁ……、とため息をついていると、轟音が響き、ジャガー人間達が一気に吹き飛んだ。
「「……は?」」
 飛んできた方向を見ると、壊れた道路標識をジャガー人間に投げつけ(投げつけられたジャガー人間は首が折れて倒れた)、新しく道路標識を抜く人間の姿があった。
 都市伝説ではなく、人間が。
「人間ですよね? あれ」
「あれは人間だろ。多分」
 先程までは気がつかなかったが、そうとうにすごい事をやっている気がする。
 中性的な面立ち……誰かに似ている気もするが、衣服はパンクファッションと言ったところか。
 ゴキャ!! と道路標識は折れながらも、一生懸命に戦っている。
「……手助け」
 ボソッと呟いたその言葉を聞き、二人は戦いつつも思考が硬直した。
 人間が都市伝説を助けるなんて、大した自信だ。
 もしかしたら自分が襲われるかもしれないというのに。
 その人間は進路に立ちふさがるジャガー人間達をなぎ倒しながら、二人の元へと駆けて行った。
「おい!! そこのお前!!」
「……ん?」
「コレ使え!!」
 薫は虚空から3mを超えるメイスを取り出し、回転を付けて思い切り投げる。
 あ、少しマズイかも、と思ったが、その人間は問題なく、軽々と持ち手を取った。
「俺達の事を手伝ってくれるのか?」
「……ん」
 またしてもボソッと呟くような声だが、力強く頷く。
「ならくれてやる!!」
 DKGは、彼(彼女?)に力強くライトソードでジャガー人間を斬り飛ばす。
「疲れてるなら、あまり力を入れない方が、いい」
 ドゴォン!! と轟音を響かせながらメイスを振り回す人間は、少しDKGに気を使っているらしい。
「心配するな、日常茶飯事だからな。疲れが取れたことなんてないさ」
 アメリカにいたころはこれよりもっとひどい事があったが、それは頭の棚にしまっておく。
「ところで、お前獄門寺龍一を知っているか?」
 ファントムが唐突に、そんな事を聞いてきた。
「……なぜ、今?」
「少し似ている気がしただけさ。匂いもな」
「……知ってるの?」
「先輩だよ。俺の高校のな。そっち可憐なRedyは、命も助けたぜ?」
 助けたより試されたと言った方が正しいが、少し気になったので、若干引き気味でDKGは呟く。
「……お前匂いフェチかよ」
「引かないでー!! 匂いフェチじゃないから引かないで下さい!!」
「今更だが、お前ファントムになると、俺以外の人間には少しクールに話すよな」
「スルー!? 匂いフェチスルー!? それとクールじゃなくてハードボイルドと言って下さい」
 突如戦いながらの夫婦漫才を初めてしまい、中性的な面立ちの人間に、隣の人が話しかける。
「……なあ、こいつら本当に助けるのか?」
 そんな彼に二人が一言。
「「お前誰だよ?」」
「気づいてなかったのか!?」
 ショックを受けたらしいく、騒乱の中、少しの間硬直していた。

 花子さんの人に続く……
456 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/05(土) 21:15:27.06 ID:AvyGGQo70
花子さんの人……遅くなってごめんなさい。
オチとかこんなのになってしまうのが私の欠点。

ああ。銀魂が頭から離れない……!!
457 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/05(土) 21:38:50.71 ID:u1A01N2AO
DKGとファントムさんの人乙ですー
458 :花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/05(土) 21:40:40.47 ID:mZSTR/ry0
DKGの人乙っしたー!
お二人さん実はけっこう余裕だろwwwwww
そうだよね、普通の人間は道路標識引っこ抜くなんてできないよね(遠い目
匂い………だと
龍一と匂い似てるとか言われたら菊、喜ぶじゃないですかやだー!
水城……ほろり
菊にいいこいいこしてもらおうね、今すぐ(戦闘中です

反応はちょっと待ってねー!
運が良ければ今夜中、運が悪ければ一週間以内にでも!!
459 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/05(土) 22:05:56.99 ID:hj/cCsXe0
DKGの人乙ですー
花子さんの人、頑張ってくださいー
460 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/05(土) 22:11:20.17 ID:AvyGGQo70
>>458
>お二人さん実はけっこう余裕だろwwwwww
体力はあるんですけど、総司を能力全開で潰しにかかったので、能力方面は消耗してます。
ファントム本当は影分身でけど、使ってないのがその証拠。

>匂い………だと
あれですよ。体に流れてる血のにおいと魂の匂いですよ(タブン

>龍一と匂い似てるとか言われたら菊、喜ぶじゃないですかやだー!
喜ぶんかいwwwww

>水城……ほろり
>菊にいいこいいこしてもらおうね、今すぐ(戦闘中です
すいません。キャラを掴もうとwikIを読んで菊の方で精いっぱいで、水城さんは書き終わって初めて思い出した。

>反応はちょっと待ってねー!
>運が良ければ今夜中、運が悪ければ一週間以内にでも!!
今夜……だと!?
ふぁいとー!!
461 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/05(土) 22:19:57.22 ID:lFHRoRat0
>>460
>喜ぶんかいwwwww
お菊さんは獄門寺家の分家ですからねぇ
本家の、しかも跡継ぎと似てるって言われたら喜ぶのも無理ないでしょう
と勝手に分析してみる

そして乙です〜
しかし強いな、何がって疲労している事を感じさせない戦い方ってなかなかできないと思うのよ
1回上田や望ちゃんと戦ってみて欲しいz(マテヤコラ
462 :花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/05(土) 23:25:55.58 ID:mZSTR/ry0
っしゃ、他に書かなきゃいけないもん書いてきた
今から集中して、ってもう11時……だと……

>>460
>すいません。キャラを掴もうとwikIを読んで菊の方で精いっぱいで、水城さんは書き終わって初めて思い出した。
大丈夫です、ミツキは菊がいいこいいこしますから

>喜ぶんかいwwwww
>>461のシャドーマンの人の推理が大体当たってます

菊は、龍一の事を本家の跡取りとして、深く尊敬しています
かなり強い忠誠心も持ってますね
そんな彼に似ていると言われるのは、菊にとってとても嬉しいことなのですよ
463 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:26:38.50 ID:N/JnGL8fo
「さて、今日はこんなところで勘弁してやっか」
「……ありがとうございまし、た……」
「だらしないぞ」
「んなこと言われたって仕方ないだろ。こっちだって逃げるのに必死なんだよ」

 至村さんに都市伝説の説明を受けた翌日は都市伝説の能力の判別方法を教えてもらった。
 その翌日は都市伝説や契約者との戦い方における注意点を。
 さらにその翌日は契約していない非能力者との戦い方を。
 そして今日は――実戦。
 その辺に落ちていた棒切れを手渡され、ひたすら打ち込まれた。
 体中血だらけ痣だらけになったが、至村さんに首筋を叩かれると不思議と痛みも痣も消えた。

「素質も無けりゃも才能も無い。後は鍛錬次第だな」
「どれだけやればいいの?」
「そいつは決まってるだろ、どれだけもこれだけもねえよ。
 ――そうさな、都市伝説と関わらずに過ごしたいなら脚力を鍛えて逃げまくるしかないだろうな」
「そんなあ……そうだ、引きこもるってのは?」
「家の中も危険だけどな。『隙間女』や『ベッドの下の男』、ネットをやってりゃ『赤い部屋』なんてのもいるし。部屋の中で逃げ切れるか?」
「うう……」
「いつも通り生活して危ないのには関わらないってのが上策だろうな」
「逃げる前提の話か」
「あったりまえだろ! 怖いもん! 超怖いもん!」
「都市伝説と都市伝説は惹かれ合うって言ってな。これから先都市伝説に関わらず生活するなんてのは無理な話だぞ」
「マジで?」
「超マジ。『人面犬』、お前さんもここで野良やってたんなら聞いたことくらいあるだろ?」
「ああ。一説によるとこの町が契約している都市伝説って話もあるな」
「ちなみに契約解除して都市伝説の記憶もなくなった人間が再度都市伝説と関わる確率は六割だそうだ。この数字を多いと感じるか少ないと感じるかはお前さん次第だ」
「それは信用できる話なの?」
「さあな、うちのリーダーが言ってた」
「リーダー? そう言えば〈ゲーム王国〉とやらを造ると前に言っていたな」
「俺らのリーダーさ。昔〈組織〉とやりあったらしくてな。その時に聞いた話らしい」
「……〈組織〉とやりあっただと?」

 至村さんの言葉に『人面犬』が眉を顰める。
 見た目おっさんなのに犬って良く考えればシュールだよなあ。
 いつの間にか慣れてしまった自分にもビックリだ。
 今でこそ慣れたけど、都市伝説が実在して知らないところで戦ってるって話は眉唾もんだ。
 もしかしたら同じ工業高校の奴の中にも契約者がいたりして。
 ……流石にそんなことになってたら契約者のバーゲーンセールになっちゃうか。
 でもなあ、都市伝説がこんなにメジャーだったとは知らなかった。
 もしかして妖怪とかも都市伝説の括りに入ってんじゃないの?
 んなわけないよなあ……いや待て、そう言えば前に『人面犬』がそれっぽい話しをしていたような。

「ちょうど良く北海道に転勤になったから〈組織〉の眼を逃れたって聞いたな」

 どうでもいいことを考えていると話は進んでしまっていたらしい。
 なんだかシリアスな雰囲気を醸し出してる『人面犬』を意外そうに見る至村さん。
 至村さんも謎が多いけどそれ以上に『人面犬』も謎が多い。
 謎というか存在自体が不思議世界の住人だけど。

「おい」
「ん?」
「前にてめえを襲った黒服――〈組織〉には関わるなよ」
464 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:27:25.14 ID:N/JnGL8fo
「いつかは関わるとは思ってたけどこんなに早くなるとはね」
「戯けたことを」

 A-103が飛ばす苦無を避けながら錨野が笑う。
 雨霰の如く彼らに降りかかる苦無の数、およそ五十。
 錨野同様に高城も避け、残りのふたりはその場から動かない。

「――イリアス」
「出番だよ、シルビア!」

 嘉藤の背後から現れた鋼鉄の剣を握る優男が、いつの間にか中元の隣に立っていた妙齢の美女が、飛んできた苦無を全て弾き落とす。

「こやつらは敵か?」
「ああ。ぶっ殺してかまわねえぜ、イリアス」
「楽しませてもらおう。いつぞやの黒服のようにすぐに死んでくれるなよ?」
「どうせ『NINJA』あたりだろうが、そんなことはどうでもいい。遠慮も容赦もしなくていいと言われてるんだ。その通りやらせてもらうぜ」

 イリアスと呼ばれた男がA-103へと白刃を振り下ろした瞬間、四人の黒服の中で一番大柄なA-102が間に割って入る。
 白刃を防いだのは成人男性の身長ほどもある大太刀。

「我の剣を防ぐか」
「太郎太刀に防げぬものは無い」

 イリアスの鋼鉄の剣を防いだA-102が笑う。
 大太刀の長さをものともせずに振り払い、イリアスとの距離を取る。
 その隙にすでにA-103は後方へと退避を終えている。

「太郎太刀……? 真柄直澄、いや、真柄直隆か?」
「ほお、私を知る者がいるとはな」
「同一人物説か!」
「如何にも。『真柄直隆・真柄直澄同一人物説』。私は真柄直隆でもあり真柄直澄でもある。――さて、イリアスとやら、貴殿はどんな都市伝説だ?」

 イリアスから視線を逸らさずにA-102――朝倉義景が家臣、たったひとりの真柄兄弟は口元に笑みを浮かべる。
 袈裟懸けに襲いかかる巨大な太刀の軌道を力任せに剣で逸らし、口から吐き出すは灼熱の炎。
 炎に包まれんとするA-102を救ったのは突如巻き起こった一陣の風。
 A-104の起こした風はA-102を救うのみならず、鋭利な風の刃となりシルビアと中元を襲う。
 シルビアは動じる様子無く、緩慢な動きで上下に開いた両の掌底を風の刃に当て、くるりと時計回りに一回転。
 たったそれだけの動きなのに風の刃は霧散した。
 中国拳法がひとつ、太極拳の動きである。
 中元はその様子を横目で見つつ、忍者刀を持つA-103に向かう。
 逆にシルビアに見向きもせずに走り出したのは嘉藤だ。
 狙いはひとつ――動く様子のないA-109。

「イリアス、武器を貸せ!」

 嘉藤の言葉に呼応するかのように嘉藤の足元から赤い刀身の剣が出現した。
 走る勢いを殺さず剣を引き抜き、A-109へと殺到する。
 A-109も落ち着いた様子で懐から玩具のような銃――黒服の標準装備のひとつである光線銃を取り出し乱射する。
 右へ左へ避け、一閃。
 A-109の体は両断される――はずであった。

「大体わかりました」

 傷ひとつないそのままの姿で静かに告げるA-109。

「イリアスとシルビアどちらもゲーム系の都市伝説です」
465 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:28:01.25 ID:N/JnGL8fo
「ゲーム系?」

 イリアスの乱撃を大太刀ひとつで振り切ったA-102が問う。

「一度本部に戻りデータベースで照合する必要がありますが恐らくはガセネタとして扱われていた都市伝説です」
「江良井卓と同種か」

 江良井卓の契約している都市伝説『×ターン以内に斃せばエスタークが仲間になる』はゲーム発売後に子供達の間で広まったガセネタである。
 能力はその名前通り、エスタークの召喚。
 江良井卓との同種。――ゲームのキャラであるイリアスとシルビアの召喚。

「ネタが割れてもどうでもいい」
「バレたからって困ることじゃないしね」

 A-109の指摘に驚く様子も見せず、嘉藤と中元が並ぶ。
 その横には契約した都市伝説のイリアスとシルビア。

「俺の契約都市伝説は『ドラクエ8のラスボスは主人公の兄イリアス』」
「こっちは『スパルタンXを二十四周クリアするとシルビアが襲ってくる』って都市伝説さ」
「能力はイリアスの召喚とシルビアの召喚。それがバレたからといって何ら不都合は無い」

 どちらも能力ありきの都市伝説ならば己の契約する都市伝説が割れてしまうと戦闘が不利になるだろう。
 だが、どちらの能力もゲームキャラの召喚。
 江良井の能力と同じく、戦闘に不利はない。

「そっちは同一人物説と『NINJA』がふたり。君は『ラプラスの魔』や『アカシックレコード』ではなさそうだけど検索や知覚に特化した都市伝説っぽいね」
「否」

 A-104の体が闇の中に消える。
 同時にA-103が流水のような動きで中元に迫る。

「遅い!」

 A-104の姿が消失した辺りより左側に剣を突き立てるイリアス。
 どこからか聞こえてきた鈍い金属音は剣を防いだ音だろう。

「闇に属する我に闇の攻撃が通じると思うな」
「中国四千年の歴史に流れ水くらいじゃあ勝てると思わないでほしいな」

 同じく、左手で忍者刀を防いだ中元。
 愉快そうに、子供のように錨野が笑う。

「〈ゲーム王国〉が建国したら王国内に〈日光江戸村〉を造ろう。どうだい、君達も〈組織〉なんか辞めて僕らの仲間にならないか?」

 そうすることが当たり前のことのように、勧誘の手を差し伸べる。
 嘉藤も、高城も、中元もこの勧誘に手を握り返した。
 ある時は喧騒賑わう喫茶店で。
 ある時は誰もいない夜道で。
 またある時は血に塗れた一室で。
 手を握り返さなかったのは江良井卓――ただひとりだけ。
466 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:28:34.07 ID:N/JnGL8fo
 不思議な男だとA-102は考える。
 彼は元人間ではなく都市伝説そのものだ。
 彼らA-100からA-110までは、A-100を頭とし、独自に動いている集団だ。
 その誰もが元人間ではなく都市伝説そのもの。

『真柄直隆・真柄直澄同一人物説』であるA-102はもとより、A-103は『忍者服部半蔵』、A-104は『忍者猿飛佐助』。
 それぞれ元は別のナンバーに所属していたがA-100が引き抜いてきた。
 だからといって忠誠心がないかと言われると答えは否である。
 彼らがA-100に引き抜かれた最大の理由、それはA-0への絶対の忠誠にある。
 まだ誰も顔を見たことがないと言われる〈組織〉のトップであるA-0――全てはA-0のために。

 総ての都市伝説を〈組織〉の管理下に。
 総ての契約者を〈組織〉の力に。
 総てを〈組織〉に。

 全てはA-0のためだけに。

 非人道的な人体実験も人道的な支援も〈組織〉のために行なう。
 A-0の考えではなく、A-0のために尽くす。それが全て。

 無私。

 A-0のためなら彼らは何も持たない。
 主義も主張も時間も空間も。己の姓名も他の生命も。
 もしも彼らを分類するなら過激派よりも狂信派と呼ぶに相応しい。

 その彼らに対し、仲間になれなどという勧誘。
 今まで敵対してきた者達の中にも勧誘してきた者はいた。
 命乞いのひとつとして、断わられるであろうことを予想しての勧誘だった。
 だが、眼前に立つこの男は。
 本気で言っている。
 仲間にならないかと。

 だが――A-102の答えはひとつ。
 今までの誰にも返した答えを。

「否」

 この一言を口にする。
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 23:28:56.51 ID:/CR8T1xvo
あえて上田とのコメディを期待してみる
上田の女性関係とか人生論とか聞いた薫ちゃんたちがうわぁ……ってなって上田がドヤァッってしてる様子が浮かんだ
468 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:29:22.17 ID:N/JnGL8fo
「そうか……残念だよ」

 首を振りながら溜息を吐くと、彼らを見据える。
 先刻までの愉快そうな笑みは無い。その眼はどこまでも冷酷に、残酷に。

「みんな」

 一言一言を静かに。

「彼らを」

 告げる。

「殺せ」

 イリアスの右手に業火の塊が浮かぶ。

「メラ――ガイアー!」

 A-102へと振り下ろすと同時に立ち昇る狂炎の柱。
 先刻と同じくA-104から起こる突風を防いだのはシルビアの回す両の掌。
 突風はきれいな太極図を描き、掻き消えた。
 A-103の手から放たれた苦無をイオで回避し、そのままA-103へと殺到。
 身を躱すべく足に力を入れた瞬間、中元の拳が膝をありえぬ方向へと折る。
 そのまま左腕を絡め取り、横へ。
 体制を崩したA-103の右手を槍を手にした嘉藤が貫き、地面に縫い付ける。

「まずは一殺」

 イリアスの、バイキルトで強化された豪腕がA-103の身体を――喰らう。

「次はどいつだ?」

 地面から引き抜いた槍をそのままA-103の額に突き刺して動かぬことを確認した嘉藤がA-102を睨む。
 睨まれた当人は眉ひとつ動かさずにまだ手にしていた光線銃を構えて撃ちだす。

「次はてめえか――!」

 嘉藤が動くよりも走り出したA-102。
 巨大な刀を二刀――太郎太刀と次郎太刀。
 重量をものともせず二刀を構え、そのままイリアスへと斬りかかる。
 一刀は防いだが、もう一刀はイリアスの肩を割った。

「グッ……がああ!」

 思わずイリアスが落とした剣を拾い上げたのは中元。
 苦し紛れに吐いたイリアスの炎をその剣に纏わせて逆袈裟に一閃。
 闇の中から現れたA-104がその身に棒手裏剣を連射する。
 棒手裏剣を受けて威力を失った燃える剣は難なく弾かれ、飛び込んでいったシルビアの行く手を防ぐべく太郎太刀が迫る。
 分身の術により嘉藤も行く手を遮られるも、イリアスは左肩を押さえてどうにか距離を取る。

「〈ゲーム王国〉建国者のあなたは動かないのですか?」
「んー、きみが動かないからね。きみ達も聞いての通り、高城くんは今回大事な任務があるから動けない。
 彼らはあの三人を相手してるし、もしきみが動いたらきみの相手をするのはこの僕ってワケさ」
「あなたが動かないのなら好都合です」
「そんなことよりいいの? きみのお仲間は殺られちゃったよ」
「そうですね」

 顔色ひとつ変えず、A-109はA-102に呼びかける。
 撤退です――と。

「ここいらが潮時か。――退くぞ」
「御意」
「逃げられると思ってるのかよ!」
「無論」

 懐から取り出したのは記憶消去装置。
 一般人相手にならばその名の通り記憶を消す。
 都市伝説、契約者相手には意味をなさないそれを躊躇わず作動。

 赤光は目眩ましとなり、彼ら〈ゲーム王国〉の面々の網膜を焼く。
 視力が戻ってきた彼らが見たものは地面に突き刺さる苦無と棒手裏剣。そして戦闘の跡を色濃く残す血溜りであった。

「うーん、実に鮮やかな撤退だね」
469 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:30:04.81 ID:N/JnGL8fo
 戦闘が行なわれていたのと同刻。
〈ゲーム王国〉建国のメンバーである新居忠は公園にいた。
 場所は四日前に高城が江良井と黒服を閉じ込めた場所である。
 彼が戦闘に参加しなかった理由――幽閉した異界出入口の監視。

 一度能力が発動してしまえば高城には『アメリカ村』で何が起きているかを知ることはできない。せいぜいが出入口が開いたか閉じたかがわかる程度だ。
 自らの意思で出入口の開閉は可能だが、開けた場合に江良井が生きていたら出てくる可能性がある。
 高城は現実世界の一日が『アメリカ村』内で三年過ぎるように設定した。
 幽閉されてから四日。単純に十二年の時を江良井は過ごしていることになる。
 都市伝説も封じられ、十二年の月日を異界で過ごせるとは思えないが、万が一ということもある。
 江良井卓と相対した者ならば感じる不安――生きて戻るという可能性を完全に否定できない。

 とはいえ、すでに四日。
 見えぬ異界に何ら変化はない。
 ――所詮は杞憂に過ぎないか。
 異変が起きたのはそう考えた時である。

 空気が――震えた。

 どこからか聞こえる何かを叩く音。
 頬を振動する空気が叩く。

 まずい!

 そう思うと同時――宙が割れた。

 紙を破いたような亀裂。
 この世界と異界との裂け目。

「ここは……あの公園か?」

 江良井卓が十二年の時を越え、四日振りに学校町の地を踏みしめた。

「ど……どうやって……」

 信じられぬものを見た眼で新井が震える。

「あそこに行った時に初めて見たポケモンがホウオウで助かった」
「どういう……」
「『アメリカ村』か『アジア村』か知らんが、あれはレアなポケモンが出てくるという都市伝説――ガセネタだ。
 ホウオウが飛び立つのを見た俺は、ここなら空間を破る力を持つポケモンがいると踏んだ。
 お前の年齢ならポケモンは子供のゲームとしか認識していないだろうな。パルキアと呼ばれるポケモンの名を聞いたことはないか?
 そいつが持つわざ、あくうせつだん――亜空切断。空間を切り裂く技だ。――異空間を切り裂くくらいは容易なことだろう?」
「だが、そう簡単に……」
「時間はかかったがな。見つけてしまえば後は捕らえるだけ。理には適っているはずだ」

 あるモンスターが老教授のメガネケースの中に入り込んだことから、衰弱時に縮小して狭いところに隠れるという本能が発見された。
 そこから試行錯誤の上製作されたのがモンスターボール。
 また、地方によってはぼんぐりという木の実で捕獲していたこともあり、ぼんぐりをボールに加工する職人も存在する――という設定である。
470 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:30:53.06 ID:N/JnGL8fo
 ゲームの中に入り込んだ江良井は、ゲームの設定に則ってモンスターと徒手空拳で戦い、捕らえた。
 そこから先は異界を切り裂くモンスターを探すだけである。
 江良井にとって幸いだったのが高城の都市伝説が子供達の間で伝えられた通りだったことだ。
 レアなモンスターが出てくる――子供達の間では何匹までという制限は無い。
 伝説と呼ばれるゲーム上では一体しか手に入らないレアなモンスター。それらが一体ではなく数体存在していた。
 パルキア以外の伝説クラスのモンスターとも数え切れないほど遭遇している。
 正式なモンスターボールを有していない江良井は自生している木の実を加工し、簡易的なボールを作成。数え切れないほどの失敗を繰り返した上、ようやく目的のモンスターの捕獲に成功した。

「捕獲後に行なったことは空間の境界がどこかを見極めることだった。あの世界は延々と広い空間のように見せかけてある一点でループしていることに気が付けたのは偶然だがな」
「だからといって……そんなことできるはずがない!」
「時間は無限にあった。戦うための力を得ることすらもな」
「……力を得る?」
「あれはポケモン同士を戦わせて経験値を得て強くするゲームでもある。何も捕らえるだけがゲームの楽しみだけじゃないということだ。
 次から次に出てくる仕様のせいで実戦には事欠かなかった。お蔭様で多種多様の敵への攻略法も編み出すことができた」

 十二年であり、四日間の時は江良井を強くするための時間となった。
 逆境を糧に。
 言葉にするのは簡単だが生半可な精神力でできることではない。

「説明はこれで終わりだ。次は俺が質問させてもらおうか。見たところ俺が閉じ込められてからそう時間は経っていないようだが、今は何年の何月何日だ?」
「……今は平成二十三年の――」

 問いに答える新居だが、ふと違和感を感じた。
 江良井が過ごした時は年数にして十二年。四日前、彼は三十代だったはずだ。
 それなのに、今いる江良井はどう見ても四十代には見えない。
 それどころか以前一度だけだが見た時よりも若々しく、まるで二十代のような精悍さではないか。

「その若さは一体……?」

 新居は知らない。
 一千年に一度目覚め、三つの願いを叶えるモンスターがいることを。
 高城の空間を破る直前に江良井が叶えてもらった願い――亜空切断に異界を破る力を与えること、今の記憶をそのままに二十年前の肉体に戻すこと、捕らえたモンスター全てを逃がすこと。
 かくして願いは叶えられ、江良井は無事に戻った。
 十二年の記憶と技術をそのままに、江良井が二十代の頃の肉体を取り戻して。

「説明は終わりと言ったはずだ。俺からの最後の質問をさせてもらう――お前は敵か?」

 諦めたような笑みを口元に浮かべ、問いに応えるように新居は静かに構えた。
 江良井への敵対を禁じていた錨野に侘びることはできないだろうとの覚悟を決めて。


471 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:34:26.64 ID:N/JnGL8fo
投下終了。
若干バグっぽいですが江良井復帰です。
どうして一対一ではなく乱戦を選んでしまったんでしょうかね、書きにくくて仕方ない。

>>467
投下宣言を忘れてしまったばっかりに申し訳ありません。
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 23:37:12.46 ID:/CR8T1xvo
fack me... リロードしろよ自分……
投下乙です
敵の能力をこうやって利用するとは……やってくれるぜ江良井さん
473 :花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/05(土) 23:40:06.73 ID:mZSTR/ry0
葬儀屋の人乙でしたー


そして…すまぬ、DKGの人…眠気、限界…
一週間以内に………必ず………
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/05(土) 23:49:14.70 ID:PQb88B/Go
>> 一千年に一度目覚め、三つの願いを叶えるモンスターがいることを。

ギャルのパンティおくれ!
475 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/05(土) 23:54:21.81 ID:N/JnGL8fo
==、,-、  、ヽ、 \>   ,,  '''\ _
メ゙ヽ、\ ̄""" ̄--‐   、 \  /ゝ、\
=─‐\\‐  /─'''''ニ二\''' |レレゝゝ、\
 ̄く<<く >, ゙、/<三三二\ ̄\ゝゝゝゝゝゞ''ヽ、       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<<<<〈__入 ゙、く彡三三三二ヽくゝ\メメメゝ、_ゝ、\     | >>474
くく<<<<<< ゙、 ゙、ミ三三二ニ─ゝゝゝゝゝ,,,,,,,、 '( ゙''ヽ、ヽ、   < だが断わる
くくくくくく彡‐ヽ ゙、ミ三三二ニ'''くくゝゝ_ゝゝ、\\_,>」ノ,    \_____
く く く く く 彡゙、゙、三三二ニ‐くゝ、/ ,,,,,,,,メメゝヽ''''"ゝゞ丶、  
二─二二彡彡、゙、三三二==くメゝ/   ゙'ヽ、メゝゝゝゝゝゝゞ''ヽ-、,,,,,,_
‐'''" ̄ \彡彡ミ、゙、三二=''"く<メ/::      \''-、メメゝゝゝ_ゝ 、 ,,、ヽヽ
、  ,,,,- ゙彡//ヾ、三二= くゝ/:::....      \>∠レ-,-‐ニ二メヽ''ヽ ノ
 ゙ヽ、,,,-‐//_///,,、゙、三二=  ゙、 ""'''      ヽ>//レレヽ,,___  /
-,,,,,,-‐'''"""/////,,ヽ ゙、三二─ ゙ヽ.         //-ヘヘ,、 レレレレノ
''"      ,l|"////ノ,、\彡'''''‐-ニ,、 ::::::::::,,,,,,,,//    ゙ヽフ/|/| レ'
      /ゝ、/ヽ|ヽレ,,゙ヽ、゙''ヽ、,,,,,,_ヽ''ニ='',,-'"、─-,,,,,_   ̄"'ノ
     /メ / レ/,''"へへべ''─---- ̄-メヽ"ゝゞゝヽ、  >---''"
    /ヘヘ、|//ヘヘヘヘヘヘヘヘ,,-イ ̄ | ̄"'''-ニニニ二-''"
   /ヘヘ∧/./フヘヘヘヘヘヘヘ,/イ  /  /   /    ゙ノ\、\
   /ゝゝ| / /メヘヘヘヘヘヘ/'" |  /  /  /    /  \\
  /ゝ /|‐/ /フヘへヘヘヘ/∧  /-'"-'''"__,,-''"    /     /、\
 //|_| /./へへへヘヘ、// |/      \_,,,,-‐'"    /  ゙、.゙、
'"/ヽ"/'"へへヘヘヘヘ//  ノ          \    ,,,,-‐'"    ゙、゙、
.ノ //へへヘヘヘヘ//ヽ ./            ゙、''""      ,,/、゙、
/-"へへヘヘヘヘヘ//  |‐"              \_,,,,,,,,-‐'''"   | |
へへへへヘヘヘヘ//ヽ ノ                ゙,         | |
476 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/05(土) 23:57:49.11 ID:hj/cCsXe0
葬儀屋の人乙ですー!
堂寺「いいなー『ゲーム王国』。僕も行きたいなー」
477 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/05(土) 23:58:51.23 ID:lFHRoRat0
葬儀屋の人乙です〜
こうして見るとゲームの都市伝説って結構多いなぁ
そして卓さんすげぇwwwwwwww
新居さんの運命や如何に……

>>467
>上田の女性関係とか人生論とか聞いた薫ちゃんたちがうわぁ……ってなって上田がドヤァッってしてる様子が浮かんだ
ありありと浮かんだわwwwwwwwwwwwww

>>471
>どうして一対一ではなく乱戦を選んでしまったんでしょうかね、書きにくくて仕方ない。
乱戦は俺も苦手……書いてる内に自分が訳分からなくなるorz
478 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/06(日) 00:08:49.63 ID:yy23Q77Ro
>>476
>堂寺「いいなー『ゲーム王国』。僕も行きたいなー」
ゲーム王国についてはもうしばしお待ちを。
ゲーム王国建国の理由が明かされるのはもうちょっとだけ後かな?

>>477
>乱戦は俺も苦手……書いてる内に自分が訳分からなくなるorz
頭の中に思い描く乱戦を文字にすることの難しさったらもう。
479 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 00:14:08.73 ID:vfaO3MIo0
>>478
>頭の中に思い描く乱戦を文字にすることの難しさったらもう。
構想中→これなら笛の人に匹敵するぜヒャッハー!

執筆後→………なんか違う………orz
480 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/06(日) 00:19:49.70 ID:gYMBIOcz0
>>477
>乱戦は俺も苦手……
僕も苦手…そもそも乱戦するほど沢山の敵を作れない…
味方キャラならいっぱい作れるんだけど…
キャラを作ると愛着が沸いてきてどうしても味方サイドにしたくなっちゃうんだよ!

複数vs1はよくやるんだけどね

>>478
>ゲーム王国についてはもうしばしお待ちを。
楽しみにしてます!
堂寺「わくわく…服を着て待ってるよ!」
481 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/06(日) 00:19:51.03 ID:yy23Q77Ro
>>479
>執筆後→………なんか違う………orz
あるあるwww
482 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage]:2011/11/06(日) 00:38:02.99 ID:emZAJUU00
>>477
>乱戦は俺も苦手……書いてる内に自分が訳分からなくなるorz

自分は好きですよ、乱戦。
……でも確かに、表現が難しいですよね……。
話の都合上、私の場合多くて、敵の扱いが酷くなってるのがこまる。
やっぱり少ない方がいいよねー。

薫「……俺銃器好きなのに、そのシーン手を抜いてるよなこの作者」
雄介「……七人の異母兄弟の設定なんか放ったらかしですよ」
薫「……えっち」プイッ
雄介「えっちなのは父ですから!! 顔を赤くして私から目を背けないでー!!」

雄介のは違う!!

後、花子さんの人。
無理をせずにお願いしますね。
483 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/06(日) 01:04:57.49 ID:PdxcYErAO
葬儀屋の人乙ですー

>頭の中に思い描く乱戦を文字にすることの難しさったらもう。
ですよねー
自分は状況描写だけでいっぱいいっぱいになってしまうorz

>執筆後→………なんか違う………orz
そしてさらに時間が経ってからこういう風に書いた方がよかったのに自分のバカバカと…

ソニータイマーの人、新聞部ネタにいささか便乗させていただきました
シャドーマンの人、裂邪くんの名前を借りました。
ご両人に全力で土下座!orz
484 :【拡散希望】 ◆Lmu5xA0.Bo [sage]:2011/11/06(日) 01:07:30.37 ID:PdxcYErAO
 2011年10月28日。
 新田家は平穏無事にはいささか程遠かった。
「どっかいっちゃええええ!!!!」
 ノイの騒がしい…否、「地獄の声」に複数のジャガー人間が薙ぎ倒されたのを皮切りに、
 庭でジャガー人間と新田家の住人が乱戦状態になっていた。
「お嬢ちゃんは下がってて!一緒に焦げても知らないわよ?」
「…イタル様に危害を加えようとする敵」
 飛縁魔の炎で大抵のジャガー人間が焼き払われ、なお動くものはリジー・ボーデンの斧の餌食になる。
 光となって四散したジャガー人間を見て、これなら自分の出る幕はないかとムーンストラックは肩をすくめた。
 自身で戦う力を備えていない柳と極は二階から様子を見ながら、
 怪我人が出た時に備えて待機という運びになっている。
「飛縁魔やリジーさんといい、ノイちゃんといい、女性は強いね」
 家中のペットボトルを集めてきた柳が感心したように呟いた。
「ええ」
 極が言葉少なに肯定しながら「ルルドの泉」の水をペットボトルに詰めて行く。
「あれは何なんだろう。都市伝説には間違いないけど、今まで聞いたことがない」
 柳も極も首を傾げていたが、極がふと思い当たったように視線を外に向けた。
「『マヤの予言』と関わりがあるのかも知れませんね」
「『マヤの予言』?」
「ええ、ここ暫くから学校でも噂になっていまして。なんでも今日世界が滅びるとか」
 こうなるとわかっていたら興味のない噂話でも耳を傾けておけばよかったかなと極は残念がった。
 不意に極の携帯が光り、メールの着信を知らせる。
「誰だ?こんな時に」
 おそらく町中ジャガー騒ぎで、メールなど打っている余裕のある者などいるだろうか。
 そもそも自分にメールを寄越す者など滅多に居はしない。
「もしかして…黄昏君か?」
 極の予想は外れていた。
 見たことのないアドレスで送られてきたメールのタイトルは【拡散希望】
「チェーンメールか」
 文面には
『ジャガー男にはマタタビ科植物!マタタビ科植物を燃やしてジャガー男を撲滅するオフ開催』
 馬鹿馬鹿しい、といささか脱力はしたが、効果のほどを見てみたいという好奇心は否定できない。
 極は柳にメールの文面を示した。


続く
485 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/06(日) 01:10:21.79 ID:PdxcYErAO
あれ?トリが違ってら
キー間違えたみたいです
486 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/06(日) 08:48:47.33 ID:gYMBIOcz0
鳥居の人乙ですー!
487 :邪気殺し † Mayan Prophecy:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 10:56:08.67 ID:vfaO3MIo0
【前半:>>420

     †     †     †     †     †     †     †

「………どうだ、見つかりそうか?」
「うぅん……セキエ、お前どんな感じ?」
「反応ガ強クナッテキタ、恐ラクモウ少シダ」
「そっか、兄ちゃん、もうちょっと先だってさ」
「…今何が喋った?」
「え? あぁこれ、「水晶は邪気と吸収する」っていう都市伝説なんだ」
「セキエ、ト呼バレテイル」
「……珍しいな、意思を持った物品系か……蓮華さんが喜びそうだ」
「レンゲさん?」
「何でもない、それより捜索を続けてくれ。オレは都市伝説の気配は大雑把にしか読めないんだ」
「おっとそうだった」

再び、目的の人物を探すべく神経を研ぎ澄ませる清太
地上からの獣の呻き声も、空中で龍の翼が風を切る音も、
一切が耳に入らないくらいに、ただ一人の契約者の気配を探る
町には「太陽の暦石」によって召喚されたジャガー達が跋扈している為に、気配が混雑している
それでも、彼はカードを引き当てた

「――――――っし、多分見つけた!」
「“多分”? 確率はどれ程だ?」
「97%くらい!」
「まぁまぁだな………分かった、後は頼んだぞ」
「おう、任せとけって―――え?」
「「応龍」! 病院に着くまではこの少年の指示に従ってくれ!」
「きりゅりりゅりしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

2対の翼の龍――「応龍」がその名の如く主人の依頼に応えると、
当の主人である日天は、立ち上がったかと思えば地上へと文字通り身を投じた

「っちょ、日天兄ちゃん!?」
「オレはこいつらを片づけてくる! お前は、今やるべき事を優先しろ!」
「で、でも……」
「世界の未来は…お前に託した! 画竜点睛!!」

清太に言い残し、地上すれすれの所で赤い鱗の胴の長い龍――「銭塘君」を呼び出し、迫りくるジャガーの群れに業火を放った
住宅地に、爆音が響いた

「………死にに逝くみたいな言い方するなよ…絶対帰って来いよ、兄ちゃん」

呟いて、清太は「応龍」にスピードを上げてくれるように頼む
先程よりも風を裂く音が甲高くなり、景色すらもゆっくり見られなくなる
それでも、気配だけはしっかりと捕らえていて

「……ッ! 「応龍」!ここで下りて!」

雄叫びをあげ、龍は地上に向けて急降下を始める
真下には、ジャガーに囲まれた1つの影があった
ジャガー達が一向に動く気配を見せていないところを見ると、どうやら催眠か何かで制止されているようだ

「晶髏兄ちゃん!!」
「君は……清太くんじゃないか、久しぶりだね」
「こんな時に何を暢気な!? 良いから早くこの龍に乗って!あんたの力が必要なんすよ!!」
『カタカタ、新しい「水晶髑髏」を見つけたのか?』
「今はまだ……でも協力してくれる人達がいるんだ!
 1人で探すより大勢で探した方が良いし、何よりあんたがもしここで死んだら、止める方法が無くなっちまう…
 頼むから、協力させてくれ!」
「というか、こっちがお願いしたいところだったんだ」

よいしょ、と清太の後ろに乗る晶髏

「――――って案外すんなり…」
『カタカタ、何せ今日が当日だしな。美味しい話にゃ乗っとかねぇと』
『急ぎましょう、今は一刻を争います』
『13個……き、今日中に揃うでしょうか……?』
「え、何か増えてる!?」
「あ、君に出会った後に2つの「水晶髑髏」を見つけたんだ。だから今僕が持ってるのは3個」
「あと10個か……間に合うと良いけど……!」

「応龍」は夜空を駆ける
“滅びの刻を止める”……その意思を背負って
「水晶髑髏」は、残りあと10個…

「ところで、協力してくれる人達って?」
「……俺もそれ聞いてない」


   ...see you NEXT
488 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 10:59:43.51 ID:vfaO3MIo0
ソニータイマーの人に焼き土下座orz
晶髏くん、ヘッジス、ソクラテス、ばらしーたんのキャラが間違ってたら申し訳ないorz

予定より早い気がするけど、日天さんを戦場に送りこみました
この後お別れ会です。嘘です
その代わり、お帰りなさいが待ってます
489 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 11:12:03.26 ID:vfaO3MIo0
鳥居を探すの人乙です〜
どの作品でも、やっぱり女性は強いなwwwwww
戦うノイノイかぁいいよノイノイハァハァ
そしてマタタビ作戦実行フラグか…!?

>>480
>複数vs1はよくやるんだけどね
複数vs1はやり易いよね
『夢幻泡影』はちょいちょいやってたなぁ
と思ったら今でもやってるな…

1(味方)vs複数(敵)ってケースは意外と少ない?

>>481
そして改めて笛の人や八尺様の人やその他皆々様方の戦闘シーンを読んで感涙すると(
そして「か……勝てない………」と独り呟いてみたり

>>482
>話の都合上、私の場合多くて、敵の扱いが酷くなってるのがこまる。
俺もそんな感じです

「理夢! 『夢現』!」「OKィ!!」
「ウィル! 『プロミネンス』!」「がってんでい!!」
「ミナワ! 『アンビリバブル』!」「はいご主人様!」
「シェイド! 『闇誘拐』!」「了解シタ」

これで戦闘シーン終わるからなぁ(何だと

>薫「……えっち」プイッ
うはぁっ、かおるんかぁいいかおるんペロペロかおるんハァハァ

>>483
>自分は状況描写だけでいっぱいいっぱいになってしまうorz
状況描写書けるだけマシです
俺は殆ど台詞しかないですorz

>そしてさらに時間が経ってからこういう風に書いた方がよかったのに自分のバカバカと…
あぁ、ありすぎて泣いたorz
490 :ソニータイマー/携帯 [sage]:2011/11/06(日) 13:12:32.59 ID:RDJ12jSDO
シャドーマンの人乙ですー!ご利用ありがとうございます!
晶髏とヘッジスとソクラテスとばらしーのキャラは大体合ってると思いますよ!(自分でも掴みきれていない)
あと、ソクラテスの笑い方は『カラララ…』に決めました

ちなみにばらしーのキャラはローゼンの薔薇水晶をモデルにしてるんだけど、見たことないからよく分からないんだよなぁ…
491 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 15:38:14.82 ID:vfaO3MIo0
>>490
>(自分でも掴みきれていない)
なん……だとwwwwwww

>あと、ソクラテスの笑い方は『カラララ…』に決めました
残りの11個の笑い声が楽しみネ(ぁ

>ちなみにばらしーのキャラはローゼンの薔薇水晶をモデルにしてるんだけど、見たことないからよく分からないんだよなぁ…
何故見た事ないキャラをモデルにしたしwwwwww
むぅ、つべか何処かで登場シーン転がってないかしら
492 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/06(日) 16:59:52.60 ID:EkRQHJqN0
 ぺふ
 頭に触れた、手の暖かさ

「……ん」

 ぺふぺふ
 菊が、あの馬鹿デカイメイスを持っているのとは反対の手で、こちらの頭を撫でてきているのだと、水城は気づいた
 …慰めようとしているのかもしれない、こちらを
 こんな状況でこんな行動をとるか、と思うが…菊の考えなど、どうせ自分は読めないのだ
 菊は、さまざまな意味で、「普通」とは少し違うらしいのだ
 もっとも、水城本人も、「普通」など、よくわからないが…

「って、菊、危な…」
「……ん」

 横から飛び掛かってきたジャガー人間
 それを、菊は片手でメイスをぶん!と振るい、叩き落とした
 そちらを、見てすらない
 飛びかかってきた気配に、殺意に反応して攻撃しただけだろう
 …そして
 菊はちらり、視線を、先ほど助けた相手に向けた
 高校生らしい二人
 が、一方はマスクをかぶっているし、もう一方は、今、菊が持っている巨大なメイスを出した相手だ
 どちらも、都市伝説か、都市伝説契約者なのだろう

「…若、の、後輩」

 ぼそり、菊が呟く

「………助ける」

 ごぅん、と、轟音が鳴り響く
 周囲のジャガー人間を、菊は片っ端から殴り飛ばし続けている
 …うっかり、周囲の塀とかも壊れているが、まぁ、この程度問題ないだろう
 どうせ、後で「組織」が直すのだ
 少なくとも、水城はそう告げられている

 菊の力任せの戦いを、半ば呆れて見ていた、水城に…一体のジャガー人間が飛びかかった
 獣が人を襲う時のように、その牙が、爪が、水城の首元に迫って

 −−−−−じゅるり

 その攻撃は、ぬめぬめとした、柔らかいものに受け止められた
 水城の、軽く開いたコートの喉元から……巨大なタコが、溢れ出していて
 それが、ジャガー人間の攻撃を体で受け止めたのだ
 じゅるじゅると、巨大なタコはそのままコートから這い出て、ジャガー人間の体を絡め取り、貪り食いだした

「ありがとうな」
「うん?」
「菊が扱える武器を、出してくれて」

 あの怪力のせいで、並の武器は耐えきれずにすぐに破壊されてしまうのだ
 菊の怪力に耐えられるだけの武器、強度は十分だ…それでもって菊の力で殴り飛ばされるのだから、ジャガー人間達はひとたまりもないだろう
 そんな武器を出してくれた少女………DKGに、水城は礼を告げた
 己の恩人の、あそこまで嬉しそうな姿を見る事ができたのだ
 先ほど、存在に気づかれていなかった事など、苦にならない

「本家の若君に似ていると言われて、菊もうれしいようだし」

 −−−−−−じゅる
 じゅるり
 水城のコートから、次々と人食い蛸は這い出てくる
 菊が取りこぼし多分のジャガー人間に、タコ達は次々と襲い掛かって行っていた

「菊が手助けすると言ったのだから、俺もお前達を助ける」

 「組織」からの命令は、ジャガー人間達を倒せと言う事だが
 この二人を助ける事と、その命令とは矛盾しないだろう
 そう考えて、水城は改めて、菊のサポートに入ったのだった






to be … ?
493 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/06(日) 17:01:59.15 ID:EkRQHJqN0
…………さて(DKGの人に、熱した剣山に向かって紐なしバジー焼き土下座をする構え
いやね、本当ね!!
お二人のシーンほとんど書けなくて申し訳なくてなorz

とりあえず、気づかれていなかったけど水城は元気です
菊がいいこいいこしてくれたし、菊が嬉しそうなんで、それでいいみたいです
この頃には、水城も菊が「嬉しそう」だというのがわかるくらいにはなっているようです
よくわかるよね、表情見えないし見えても無表情に近いし声にも感情こもらないのに
494 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/06(日) 17:38:22.03 ID:P4AANB6N0
>>493
乙です!!

>とりあえず、気づかれていなかったけど水城は元気です
いやーよかったよかった。彼の事素で忘れてたから、良い子いい子くらいはご褒美ないと報われないですよね。

>この頃には、水城も菊が「嬉しそう」だというのがわかるくらいにはなっているようです
>よくわかるよね、表情見えないし見えても無表情に近いし声にも感情こもらないのに
もう結婚すればいいのにね(ぇ

さて、冗談はともかく、続きは……さて、どう進めようか?

と、とにかく!! 今週中には!! 投下します!!
495 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/06(日) 17:45:25.92 ID:gYMBIOcz0
花子さんの人乙ですー!
496 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 23:16:00.38 ID:vfaO3MIo0
花子さんとかの人乙です〜
あぁん、お菊さんかぁいい、俺も撫でてー(
さぁて面白くなってきたぜ



そして投下しますの
497 :花鳥風月 † 今宵は騒々しく  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 23:16:33.05 ID:vfaO3MIo0
「えへへへ、このイルカちゃん可愛いの♪」
「そう言って貰えると、100円玉13枚消費した甲斐があったぞー」
「……ねぇ玄鳥、月夜って一応お嬢様よね?
 良いの? こんな時間まで下々の庶民達とゲーセンなんか……誰が下々よ!?」
「じ、自分で言ったんじゃないか…;
 それと、ご家族の方には僕がついてるってことで了承を得てるよ」
(そんなのでOK出るんだ…)

日も落ち、街灯が点き始めた住宅街
百花、玄鳥、風音、月夜の4人は、まだ制服姿のままゲームセンターから帰路についていた
月夜はやはり日傘を差しながら、満足そうに大きな水色のイルカのぬいぐるみを抱きしめており、
その傍で風音は己の財布の中を物寂しげに見つめていた

「にしても今日は静かね、何か起こりそう」
「おいおい百花、不吉なこと言うなよ;」
「くろぴー、私怖いの」
「も、百花、月夜を怖がらせないでよ」
「(うわぁ羨ましい私もあぁやって言って貰いたいなぁ)
 ごめんごめん、でもホントに嫌な予感がしたから――――――――」

ずざ、と何かが降り立つ音がした
一同は脚を止めると、音は雨のように次々と鳴り響く
音の主達は喉の奥からぐるると唸ると、声を揃えて雄叫びを上げた

「「「「「「ババリバリッシュ!!!」」」」」」
「っな、何よあれ!?」
「また怪獣……!!」
「ヒョウの化物だぞ」
「惜しい、あれは多分ジャガーだよ;」
「ん? 違いなんてあるのか?」
「強いて言うなら斑の大きさかな
 ヒョウよりもジャガーの方が斑模様が大きいんだ
 因みに、チーターはそのどちらよりも小さくて、殆ど黒い点にしか見えないんだよ」
「へぇ〜、流石白鷺、詳しいぞー」
「何暢気に生物の授業やってるのよ!?」

人の姿をしたジャガーの化物達が、群れを成して歩み寄る
百花達は背後を取られないようにする為、4人で背中合わせに立ち敵を見据えた

「また“こっくり”と“けれど”の仕業か?」
「…コクマーとケセドかな…; ううん、少し違うみたい」
「うぅ……」
「おーっほっほっほ、諸君、ここはあたしに任せて!」
「「「え?」」」

百花は首に提げたペンダントを手に取って、握りしめて拳に念を送った

「光の力を秘めし杖よ、真の姿を我の前に示せ。契約の下、百花が命じる………封印解除!!」

拳の中のものを投げると、それは光に包まれ、
瞬時に蓮の飾りが先端についたカラフルな杖――「ロータス・ワンド」に変化した
さらに彼女は蓮の花を、天に向けて高々と振り上げた
498 :花鳥風月 † 今宵は騒々しく  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 23:17:14.86 ID:vfaO3MIo0
「パ・レットゥルフ・ラテプ・ストゥル・エイト!
 鮮やかなる蓮の杖よ、光の力を以て主の身体を護り給え!!」

「ロータス・ワンド」が強い輝きを放ち、
一瞬百花の着ている服が消えたかと思えば、光と共に新たな衣装が現れ、彼女の身を纏った
全体は白地、花弁をモチーフとした赤いフリルが随所に見られ、その所為か脚を覆う黒タイツが目立って見える
胸のブローチ、ツインテールの根元の髪飾りにもそれぞれ蓮の装飾が成されていた

「暗闇より出でし者達を、閃光の力を借りて掻き消さん!
 紅き花、ここに咲く! 我が名は魔導少女クリムゾンブロッサム!!」

ジャガー人間でさえも呆然と見ている前で、
彼女は自慢げにポーズまで決めてさも嬉しそうにニタニタと笑っていた

「……うふふふ、決まったわ
 ねー皆ー、これ良いでしょー? この間裂邪くんと出会ってさ、『変身って良いなー』って思ったりしてね、
 それでそれで、「ロータス・ワンド」の魔法で衣装とか出せないかなーとか考えてたらホントに出来ちゃって♪
 あたしは赤が好きだから、キュアブルームとかキュアルージュとかを参考にしたんだけど、
 キュアパッション大好きだから黒タイツだけはどぉーしても外せなくってさぁ!
 ところで黒タイツってやっぱり女の子だけに許された武器だと思うのよ
 もうそれを穿くだけで何かこう、女性の魅力が引き立つと言うか、大人に近づく背伸びと言うか、
 何だろう……そう、色っぽいの! 色っぽくなるのよ!
 白タイツとは全然違う! 比べ物にならない色っぽさがここにあるのよ!
 でも綿製のよりは化学繊維とかで少し脚が透けて見える方が良いんだよね
 これは一種のチラリズムって感じかな? ちょっとしたエロティック、みたいな
 まぁそんな訳で黒タイツには拘りがあって採用したのよ!
 個人的には100点満点中99点くらいは取ってると思うんだけど、
 もしかしたら白と赤とは合わないかなーとか思って……………………………って、どうかしたの?」

尚も解説を続けるつもりだったらしいが、振り返って3人の反応を伺った瞬間にようやく止まった
風音と月夜がそれぞれ片手で、玄鳥の両目を隠していた
玄鳥も心なしか、顔が赤くなっている

「ねぇ、一体どうしたのよッ…………も、もしかして………見えてた?」
「完全に見えてたぞ、裸」
「丸見えだったの」

まだ気づいていない読者は、百花が呪文を唱えた辺りをもう一度読み直してみよう
確かに、服が一瞬消えている
その時、彼女を遮るものは、無い

「いやああああああああああああああ!? エッチ!変態!痴漢!性犯罪者!!」
「か、勝手に脱いだのは百花じゃないか!?」
「人の事痴女みたいに言わないでよ!?」
「痴女さんなの?」
「うーん迷うところだぞ」
「迷うな!!」
499 :花鳥風月 † 今宵は騒々しく  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 23:17:42.42 ID:vfaO3MIo0
何やら揉め始める4人
よくもまあこんな茶番に付き合いきれるものである。ジャガー人間は

「………ババリバリッシュ?」
「…バ、バリ、バリッシュ?」
「ババリ…バリッシュ」
「バ、ババリバリッシュ!」
「バッ、バリバリッシュ!?」
「ババリバリッシュ!!」
「「「「「ババリバリッシュ!!!」」」」」

いよいよ痺れを切らしたのか、再び各々が雄叫びを上げた

「あぁそうだ忘れてたわ、皆準備は良い?」
「俺はOKだぞ」
「月夜、僕から離れないで!」
「うん!分かったの!」

風音は何処からともなく手裏剣を出現させる
玄鳥は甲高く指笛を鳴らすと、一陣の風と共に2羽のフクロウが飛来した

「もっけけけけ! ようやく参上ってかァ!?」
「契約者、この者共は並では無いぞ」
「分かってる! モッケは百花と萌黄野さんの援護を! コロも2人と、月夜を守って―――――――」

ぱさ、と何かが落ちる音が彼の耳に入った
布とプラスチック、そして金属が混じったような音
顔を青ざめながらも恐る恐る振り向くと、玄鳥の悪い予感は当たってしまった
月夜の無邪気な瞳が、邪気を帯びたものに変わり、イルカのぬいぐるみを足元に落とした

「あ、あの……月夜?」
「玄鳥を虐める人………皆、皆…………殺してやるの…………」

彼は頭を抱えるが、ここでこの間のように宥めてしまうと余計に危険かも知れない
それでも戦わせたくないという思いとがぶつかり合ったが、とうとう彼は妥協してしまった

「……玄鳥、良いの?」
「うん、今は少しでも戦力が必要だと思うし」
「それじゃ、遠慮なく」

杖に魔力が宿る
輝く壁が張られ、どす黒い炎が散る
手裏剣の嵐が巻き起こる
月光を浴びた魔女が空を舞う
2011年10月28日6時過ぎ―――――――戦闘、開始


   ...続く
500 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/06(日) 23:31:34.68 ID:vfaO3MIo0
まずは『花鳥風月』から戦闘へ……つっても開始しただけで本格化は後程だけど
次は何書くか、順番的に『神力秘詞』かな


【余談】
『パ・レットゥルフ・ラテプ・ストゥル・エイト』=“The Lotus Petal Flutter Up”(文法が違う?ごめん、辞書で適当に調べて並べただけですorz
501 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/07(月) 00:16:20.47 ID:/TeOsXCn0
シャドーマンの人乙です、バリバリッシュに毎回吹いてしまうwwww


さて、これから投下します
502 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/07(月) 00:18:06.56 ID:/TeOsXCn0
シャドーマンの人乙です、バリバリッシュに毎回吹いてしまうwwww


さて、これから投下します
503 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/07(月) 00:19:07.17 ID:/TeOsXCn0
ホームセンターにて、ハーモニカ調に誤魔化された何処かで聞いたことのあるような曲が流れ
区分けされたコーナーと天井からぶら下る色とりどりの看板、何処か土の匂いが漂いそうな区画では

「えっと、腐葉土と種・・・」

疎らに居る老若男女が、棚を前に腰を屈める

「それと、栄養剤」

園芸フロアの看板が張られる場所に居る彼女も、今日はその一員のようだ
今日は、何時も隣に居る兄のような青年は居ない

「創真め、買い込むのは構わないが、ちゃんと世話するんでしょうねぇ」

手当たり次第に頼まれたものを手に持った籠に入れ、この商品達の先を案じる彼女
育てるといっている本人が非常にマイペースな為、遠い所を眺めながら彼女は溜息を付く、棚の前で

ある程度籠に商品を入れたところで、メモを取り出し眺める
順調に読んでいた彼女だがある部分で目を細めメモを回転させ始めた

「何さこれ・・・読め、ない、電気?」

往生際悪く暫く、眼を細めながら連続した手首のスナップが始まる、数回スナップするたびに眼はどんどん細まり、肩を落胆させた
戸惑う彼女、此処は連絡すべきだろうか、籠を置きキュロットのポケットからスマートフォンを取り出す
キュロットの膨らみがほんの少しだけ回復したような気がする、早速スイッチを押しスリープモードを解除しようとする

「電池が無いじゃない」

ケータイでは割とよくある事で、決まってタイミングの良くない時にばかりこうなる
苦笑いをする彼女はケータイを元の場所に戻し、スカートは再び虚しく垂れ下がる

「兎に角、ランプのようなものを買えばいいと・・・別にいいか、それで」

籠を持ち上げ、早足で棚の間を抜けて角を曲がろうと飛び出す、同時に彼女の目の前にいきなり陰が現れ

「あぅっ」

「うぁっ」

がしゃん どちゃちゃ
504 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/07(月) 00:19:54.64 ID:/TeOsXCn0
籠のぶつかる音が響き、重い音や軽い音が響き、人が二人程向かい合うように倒れていた
双方同時に起き上がり、何処をぶつけたのか痛いと言いながら服を払う

「っあぁ・・・これはまた派手にやらかしたねぇ、すまないね怪我は無いかい」

視界の邪魔になる髪の乱れを適当な手櫛で直しながら、落ちたものを拾いに行く彼女
向かい合った人物も、拾いに行くが機嫌が悪いようで、彼女の手を無愛想に払い物を籠に入れ始める

「いい、自分で拾う」

眼鏡をクィッと持ち上げ、表情を隠すように光を反射させそっぽを向いた
彼女同様髪が乱れたのか手櫛で直しながら、人物は黙黙と物を拾う
髪は銀色で所謂外人顔ハーフだろう、外見は中学生くらいか、彼女の髪の色ととてもよく似ている

横目から視線を感じた彼女は、はっと気付き彼女は目を逸らした
無意識の内に見とれていたようだ、少し変な汗をかいた

「貴方さっきからどうしたの、私の顔に何か付いてるの?」
「・・・いや、なんでもないよ、大した事じゃない」
「・・・・・・」

一瞬間を置いて少し彼女も動く、せめて自分の周りの物だけでも拾おう

自分の周囲のものを回収しながら気付く、此方からも見られている
先程から眼鏡の横目からチラチラと視線を感じる

「・・・」
「・・・」

両者自分の購入予定物をしゃがんで拾いながら、何故か沈黙する
互いの眼の焦点が揺らめきながら全身をくまなく観察する

「(さっきからどうしたんだこの人は、この人と何処かで合った事があるのかねぇ、そうだとしても今は覚えてない・・・仕方が無い)」
「(銀髪?ここらじゃ珍しくないだろうけど、この色・・・何か引っ掛る、このチビと合ったこと有ったかな?)」

そして最後の一点、両者は眼を見た、間合いはおよそ立つ人3人分

それと同時に思い切ったように立ち上がる彼女、見上げる人物

「「あなた、何処かで会わなかった?」」
505 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/07(月) 00:21:44.53 ID:/TeOsXCn0
考えていたことは同じだったようだが、お互い口篭り警戒しているのかまた沈黙

「あなた・・・何処かであった事があるかい?」

コホンと咳払い、切り出したのは彼女から、その問いに答える人物

「奇遇ね、つい同じ事を考えていた途中よ、質問で返すようで悪いけど貴方何処の国の人?」
「いきなりどうしてそんな事を・・・えと、実はよく判らない、この町の人間かもしれない
少なくとも国籍は日本だね」

歩み寄りぐっと無表情を近づけてくる人物、顔を見回すように眼球が動き戸惑う彼女
観察されてあまり気分が良いものではない

「かもしれない?どういうことよ、私と同じ銀髪、まるで私じゃない
それによく判らないって何よ、自分の出生くらいはわからないの?」
「・・・・・・」

人物は余程素性が知りたいようで、知らないという単語を聞いたとたんに異様に食いついてくる
まるで相手のほうが、自分ですら知らない彼女の素性を知っているかのように

「銀髪なんて今時珍しくも無い、本当に知らない、私が言えるのはこれだけ」

不審感を抱きつつも少し興味はある彼女、欠如した記憶に何か関係しているのか
もしかしたらと内心揺らぐ、だがそんな儚げな期待に乗る彼女ではない、相手と会ったのはこれが初めてなのだ

「それとも、何かを知ってるの?」
「仕方ない・・・」

荷物を入れ終わった自分の籠を移動させ、棚の間へと下がる人物
余程見せたくないのか、それとも罠か

「貴方、こういうのは知ってる?前に貴方みたいな銀髪の奴がこういうのを持っててね
もしかしたら貴方も持ってるんじゃないかって思ったの、見覚えない?」

そして徐に懐から石を取り出す、小さな拳大の丸い石で珠に纏わり付く狼のオブジェが眼を引く
何処と無く彼女の持つ狐のオブジェのような独特の雰囲気がある

その雰囲気を少なからず彼女も感じているようで、少し驚いてしまった

「知っているようね、貴方これがなんだか判る?」

表情を読み取った人物、透かさず目を逸らす彼女

「少なくとも、使い方位は・・・」
「ならこれが何故手元に有るか判る?他人がまともに触れないこれが何故私たちの手元にのみ有るか」

暗示するように懐に指を差す彼女

「・・・詳しく聞かせて、それと別に持ってる筈だよ、それにぶっ挿す変な棒の事も一緒に」
「やっぱり合ってた、私の目に狂いは無かったようね」

警戒心より興味が勝り、付いていくことにする彼女
彼女らが持つそれが、彼女の出生に係わる手掛かりなら、尚更欲は強くなる

その他にも少なくとも彼女は自分を護る術を持っているのだ、その自身が見事に抑制心を砕く
懐に入れて持ち歩く辺り彼女らしい

「それじゃあ少し食堂にでも寄らない?勿論自腹で」
「しっかりしてるねぇ・・・」

彼女達は商品を入れ終えた籠を持ち、レジへと向かった


続く





中々話が進まない締まらない、ちょっと迷走気味なのかもしれない

彼女らの名前は次かその先でばらします
506 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/07(月) 00:50:27.33 ID:DZDtsk110
狐の人乙です〜
一気に核心に迫った感じ! 色んな意味で興奮するぅ!(マテヤ
そして名前判明か……ドキドキ
中学生ハァハァ

>>501
シャドーマンの人は化け物の鳴き声に全力を注いでます(キリッ
因みに、今日上げた『邪気殺し』の「応龍」の鳴き声はレックウザ
というか日天の召喚する東洋龍はレックウザにする予定
西洋竜は近々発表(実は過去にチラッと出てる
507 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/07(月) 09:23:55.50 ID:4c/eIL8AO
シャドーマンの人乙です
やっぱ変身少女はいいよなぁ

花子さんとかの人乙です
菊さんとかアーサーとか無口青年ってかぁいいの

◆diJd5qb.8.の人乙です
毎回工作っていうか技術的な発想に感嘆してます

そしてマタタビオフ会場を方位学で決めようとしたけど鬼門遁甲付け焼き刃じゃ難しすぎる
なんかネタ探してこよう
508 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/07(月) 14:30:28.72 ID:RLw/ONuD0
皆様乙ですのー!



今更気づいたんだが、菊も水城も堂々と龍一の事「若」って呼んでて家の事を隠そうとしている龍一の努力台無しだった
まぁいいや

>>494
>いやーよかったよかった。彼の事素で忘れてたから、良い子いい子くらいはご褒美ないと報われないですよね。
しかし、18超えた男へのご褒美がいい子いい子と言うのm(タコに食われました

>もう結婚すればいいのにね(ぇ
水城「っつか、菊の性別どっちだ」
菊「?」

>>496
>あぁん、お菊さんかぁいい、俺も撫でてー(
菊「ん」(ぺふぺふぺふ

>>507
>菊さんとかアーサーとか無口青年ってかぁいいの
アーサーはともかく菊が男かどうかはっきりしなくてごめんね!
菊はもう「性別:菊」で通しているのが俺
幼少期に菊と一緒に風呂入った事ある龍一とか悠里なら、奴の性別わかるはずなんだが
509 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/07(月) 15:11:40.62 ID:DZDtsk110
>>507
変身少女最高ですよね♪
というか戦うおにゃのこ大好き
気がつけば連載8作中3作がおにゃのこ、1作が男の娘が主人公で半分が戦うおにゃのこ状態な俺
新連載は5作中4作が女性主人公……どうしてこうなったorz

>>508
安心なさい、まだ本条夫妻は『若』という呼称に気づいていないか、気にしていないと思われる
というかあの二人って他人の事に興味持たなさそう(どういう意味だ

いや、互いに互いの事しか考えられないみたいな感じd(ドッカーン!!
510 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/07(月) 15:16:52.08 ID:DZDtsk110
書き忘れ
お菊さんの撫で撫でゲット〜♪
ついでに俺のこk(グシャァ


あともう一つ
DKGとファントムの人様、そして花子さんとかの人様
近々、本条夫妻やお菊さんのところに厨二病魔導少女持っていっていーですかっ(もう限界だろ
511 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/07(月) 22:20:16.65 ID:5mViYz8K0
皆さん乙です。

>>508
>今更気づいたんだが、菊も水城も堂々と龍一の事「若」って呼んでて家の事を隠そうとしている龍一の努力台無しだった

そういえばそうですね。
薫「今度龍一先輩にあったら、からかってやるか」ニヤニヤ
雄介「若ー!! って学校で呼んでやりましょう」ニヤニヤ

やめんか

>>509
>安心なさい、まだ本条夫妻は『若』という呼称に気づいていないか、気にしていないと思われる
>というかあの二人って他人の事に興味持たなさそう(どういう意味だ

雄介「いや、私は知ってますよ。大きな勢力は組織のデータベース的なので知ってます。
   薫の前じゃ知らないふりですよ。余計な心配はかけさせません」

>いや、互いに互いの事しか考えられないみたいな感じd(ドッカーン!!

薫「……ふざけるのも大概にしろ」ハッ
雄介「えー……私薫以外の事を考えた事が無いんですけど」
薫「知るか」
雄介「ツンデレさんめー☆」
薫「絶対に違う!!」

>>510
>近々、本条夫妻やお菊さんのところに厨二病魔導少女持っていっていーですかっ(もう限界だろ

私は構いませんよ。花子さんの人が良ければ。

雄介「厨二病魔導少女って、流石にそれはちょっと……」
薫「お前人のこと言えないからな。都市伝説になるくらいのイタさ」
雄介「それを言わないで下さいお願いしますっ!!」
512 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/07(月) 22:22:40.69 ID:6f7CytqV0
>>509-510
>いや、互いに互いの事しか考えられないみたいな感じd(ドッカーン!!
>ついでに俺のこk(グシャァ
毎度毎度、無茶しやがって…

>近々、本条夫妻やお菊さんのところに厨二病魔導少女持っていっていーですかっ(もう限界だろ
別にかまいませんですぜ
菊は気にしないだろうし
水城は盛大にひくかもしれないけど

>>511
>薫「今度龍一先輩にあったら、からかってやるか」ニヤニヤ
>雄介「若ー!! って学校で呼んでやりましょう」ニヤニヤ
龍一が嫌そうな顔するのが目に浮かぶぜwwwwww
513 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/07(月) 22:48:08.22 ID:u78x5Ca40
>>511-512
>私は構いませんよ。花子さんの人が良ければ。
>別にかまいませんですぜ
お二方ありがとうございます♪
今週中には書きたい所存(遅い

>>511
>薫「今度龍一先輩にあったら、からかってやるか」ニヤニヤ
酷ぇwwwwwwww

>雄介「いや、私は知ってますよ。大きな勢力は組織のデータベース的なので知ってます。
そういえばそうだったorz

>薫「絶対に違う!!」
ツンデレかおるんハァハァ(またまたドッカーン

>雄介「厨二病魔導少女って、流石にそれはちょっと……」
(百花>うっさい!? ヒーローみたいなコスプレしてるあんたには言われたくないわよ!(※同級生
(風音>どっちもどっちだと思うぞ
(月夜>どっちもどっちなの

>>512
>菊は気にしないだろうし
そうか、お菊さん相手には↓これができるのか

(百花>…あー! 『カナリア』の店長さん! 何で戦ってるの!?テユーカチカラモチナノネー

>水城は盛大にひくかもしれないけど
まぁ、仕方ないね☆

(百花>仕方なくないっ!? 身体からタコ出す方が正直引くわよ!?
514 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/07(月) 22:55:35.23 ID:6f7CytqV0
>>513
>ツンデレかおるんハァハァ(またまたドッカーン
無茶を続けやがって・・・

>(百花>…あー! 『カナリア』の店長さん! 何で戦ってるの!?テユーカチカラモチナノネー
女の子なら知ってる可能性があったな、そう言えばwwwww
…そして、菊の店ってコスプレ一歩手前の衣装も売ってたな
魔法少女っぽい衣装も扱ってるかもしれん(何

>(百花>仕方なくないっ!? 身体からタコ出す方が正直引くわよ!?
水城「何だと!?使った後は食えるし便利なんだぞ!?」
 人とか色々食った後の蛸を食うなって突っ込んだら負けの世界
 …実は、水城って頭の残念さ(特に学力関連)が、はないちもんめの人の在処並なんだよねぇ
515 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/07(月) 23:10:34.71 ID:u78x5Ca40
>>514
>無茶を続けやがって・・・
(今度は瑠璃ちゃんが撫で撫でしてくれると信じて……)

>女の子なら知ってる可能性があったな、そう言えばwwwww
未だにそういう展開が無かったような気がしたから、よくよく考えればこれはチャンスかも
うわぁ書く意欲湧いてきた、でも眠いorz

>魔法少女っぽい衣装も扱ってるかもしれん(何
(百花>……普段着も良いわね(ボソッ

>水城「何だと!?使った後は食えるし便利なんだぞ!?」
(百花>下品! 何であんたみたいなのが店長と一緒にいるのよ!

この会話、本編で使えそうだな……メモしとこう(
516 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/07(月) 23:21:23.92 ID:tbPYsRfC0
ネタ書けぬままに鼻風邪による眠気でおやすみなさいませ(またぶり返した馬鹿

>>515
>(今度は瑠璃ちゃんが撫で撫でしてくれると信じて……)
ははっ、瑠璃の性格を考えてみるんだ

>(百花>下品! 何であんたみたいなのが店長と一緒にいるのよ!
菊「……家族」
 水城の頭をぽふぽふ撫でながら言うよ
 手が返り血で濡れていたら適当に拭いてからぽふぽふするよ
517 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/07(月) 23:28:06.64 ID:u78x5Ca40
>>516
>ネタ書けぬままに鼻風邪による眠気でおやすみなさいませ(またぶり返した馬鹿
お疲れ様でした〜
俺も同じくネタ書けぬまま寝るとしよう(←元気な馬鹿

>ははっ、瑠璃の性格を考えてみるんだ
いや! 俺は信じるぞ!
いつか瑠璃ちゃんが何かの拍子に俺に対してデレてくれるって信じてるぞ!

(裂邪>抜け駆けか馬鹿作者! 瑠璃さんがデレるのはこの俺だ!
(ミナワ>……(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

>菊「……家族」
(百花>……家族なら仕方ないわね
(月夜>移り変わりが激しいの
(風音>まさに咲いては枯れる花と同じだぞ、百花は
(玄鳥>それはちょっと悲しい例えかもね…;

「マヤの予言」編書き終わったら、もうちょっとドロドロさせたいな
518 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/08(火) 00:01:30.45 ID:/lhZiKFL0
>>513
>ツンデレかおるんハァハァ(またまたドッカーン

DKG「……次はどこを吹き飛ばされたい? 腕か? 足か? それともついていても使う日が来ないぶら下がってる汚物か?」
ファントム「に、逃げろ!! 死ぬどころじゃ済まないぞ!!」

>(百花>うっさい!? ヒーローみたいなコスプレしてるあんたには言われたくないわよ!(※同級生

雄介「失礼な。まだ本編では出ていませんが、仮面ライダーの役者目指してプロダクション通ってるんですよ。お遊びではなく、将来の為に真剣に取り組んでいるんです」

ちなみに作者も目指してます(ぇ

>>514
>水城「何だと!?使った後は食えるし便利なんだぞ!?」

雄介「たこ焼きにしましょう」
薫「タコ無理イヤだ。タコなんて食えるか」
※アメリカでは、悪魔の魚とタコは言われています。

>>516
>>(百花>下品! 何であんたみたいなのが店長と一緒にいるのよ!
>菊「……家族」

雄介「……そういう家族って、羨ましいな……。うちのバカ兄貴共は……うわああああああ!!」
薫「お前の過去に何があった!?」

>>517
>(裂邪>抜け駆けか馬鹿作者! 瑠璃さんがデレるのはこの俺だ!
>(ミナワ>……(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

雄介「……目移りするなんて、それでも夫か。俺と薫を見ろよ。夫婦の鏡だ」
薫「誰が夫婦だ変人」

そういえば、シャドーマンの人には本条夫婦って固定されてるな……。
それと、運が良ければ、作品もう少しで出せるかも。(期待はしないで運悪いから
519 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/08(火) 00:16:57.18 ID:d6hheEgk0
>>518
>DKG「……次はどこを吹き飛ばされたい? 腕か? 足か? それともついていても使う日が来ないぶら下がってる汚物か?」
脚で! 腕があれば抱きしめられるかr(腕が吹っ飛びました

>雄介「失礼な。まだ本編では出ていませんが、仮面ライダーの役者目指してプロダクション通ってるんですよ。お遊びではなく、将来の為に真剣に取り組んでいるんです」
(百花>羨ましい限りね。プリキュアは声じゃないと出演できないのよ!!
(裂邪>夢無ぇなおいw

>ちなみに作者も目指してます(ぇ
じゃあ俺、いつか貴方の戦闘をサポートする役に(←将来の夢:声優

>※アメリカでは、悪魔の魚とタコは言われています。
イカもそうらしいね、確か前に避難所で同じ話題が挙がったのよ

>薫「お前の過去に何があった!?」
これはwktkポイントだな!

>雄介「……目移りするなんて、それでも夫か。俺と薫を見ろよ。夫婦の鏡だ」
(裂邪>それはどうかな? 俺とミナワは出会った時から相思相愛、絆の強さなら将門にだって負けないぜ
(ミナワ>もぉ、裂邪ってば調子に乗り過ぎですよ♪
(漢>(さらっと凄い事言ったよね、今……)

>そういえば、シャドーマンの人には本条夫婦って固定されてるな……。
いや、実はスマホで打ちやすかっただけだという(ぁ
PCではかおるん&雄介くんで統一してますの

>それと、運が良ければ、作品もう少しで出せるかも。(期待はしないで運悪いから
でもwktkするの
520 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/08(火) 00:30:41.01 ID:/lhZiKFL0
「ありがとうな」
「うん?」
「菊が扱える武器を、出してくれて」
 突如お礼を言われ困惑するDKGだが、気付かれなかった男――――水城はそこは気にしていないらしい。
「本家の若君に似ていると言われて、菊もうれしいようだし」
 −−−−−−じゅる。
 じゅるり。
 水城のコートから、次々と人食い蛸は這い出てくる。
 菊が取りこぼし多分のジャガー人間に、タコ達は次々と襲い掛かって行っていた。
 それを見て苦笑いを浮かべるDKG。
 アメリカでは、タコは悪魔とも呼ばれている生物で、以前痛い目にあった事があるので、DKGはさらに苦手意識が強くなっている。
「菊が手助けすると言ったのだから、俺もお前達を助ける」
 かっこいいのだが、契約しているのがタコなので、DKGは何とも言えない。
「どうかしましたか?」
「……いや、何でもない。心配するな」
「そうですかっと!!」
 ファントムはDKGに襲ってきたジャガー人間を斬り上げ、それを踏み台にして高く跳ぶ。
 ガッ!ガッッ!!ガガガッッッ!!! とジャガー人間の頭を、池に浮かぶ蓮のように踏んで一周飛び回ったかと思えば、風のごとく走りだし、すれ違いにジャガー人間達の胴を斬り刻む。
 それに負けじと、菊は巨大なメイスを力一杯に振り回し、DKGを上から襲い掛かるジャガー人間達を叩き落とす。
「悪いな」
「……若、の、後輩、当然」
 若と後輩の部分を強調しながら、コクリと頷く。
「そういや、武器はそれで大丈夫か? 細かい調節もしてやれるぞ」
「これ、大丈夫。ありがとう」
 お礼を言われる事に耐性のないDKGは、頬を左手でポリポリとかいて、右手でジャガー人間を斬り飛ばしながら照れる。
「……それに、若、の、後輩、これ、以上、迷惑、かけられ、ない」
 後輩といっても、別に部活の先輩後輩の関係ではないが、あえて言わないでおく。
 それにしても、先程から龍一の事を若と呼んでいるようだが、どこぞの侍の若頭でもやっているのだろうか?(それならあの目つきも納得できる)
 今度学校の中にでも会ったら、若ぁ!! とでも呼んでやる事にしよう。
 そんな事を考えながら、菊と息を合わせてにジャガー人間達を薙ぎ払った。

 to be・・・
521 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/08(火) 00:33:34.89 ID:/lhZiKFL0
短かくてごめんなさい。
しかも前半は花子さんの人のを抜粋しているという……。

さて、薫の機動戦士の攻撃を受けながら土下座を死に行きます。

シャドーマンの人か花子さんの人、後は任せます。
522 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/08(火) 00:53:09.04 ID:d6hheEgk0
DKGとファントムさんの人乙です〜
タコで萎えるなwwwwwwww気持ちは分かるけどwwwwwwwww
照れるかおるん可愛すぎる、やっぱりこの子は純粋なツンデレキャラだわ

>>521
>しかも前半は花子さんの人のを抜粋しているという……。
クロスは大体抜粋になっちゃうので仕方ない
俺も自キャラ視点書く時は、台詞とかはコピペしますし

>シャドーマンの人か花子さんの人、後は任せます。
花子さんとかの人が先に動くと見た
俺はその後書くとしよう(ぁ


ところで寝るって言っておきながらPCやってる俺を見てくれ、そして罵ってくれかおるんorz
523 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/08(火) 01:35:26.67 ID:8zrwiMFAO
>幼少期に菊と一緒に風呂入った事ある龍一とか悠里なら
おっきくなってもいっしょにおふろにはいるといいの!

DKGの人乙です〜
薫ちゃんたら良いツンデレ

> 今度学校の中にでも会ったら、若ぁ!! とでも呼んでやる事にしよう。
無茶しやがって…いやするのはこれからだけど
524 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/08(火) 19:44:44.82 ID:/lhZiKFL0
>>522
>照れるかおるん可愛すぎる、やっぱりこの子は純粋なツンデレキャラだわ
>>523
>薫ちゃんたら良いツンデレ

薫「だから、俺はツンデレじゃない」
雄介「ユーデレです」キリッ

>無茶しやがって…いやするのはこれからだけど
したら斬撃飛ばしてきそうだな……誰にも見えない感じで辺りをスパっと。
525 :花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/08(火) 19:59:18.27 ID:bb9WdvN60
DKGの人様乙ですの
だよね、タコ苦手だよね!(わかってて水城向かわせた人

>>517>>521
>いつか瑠璃ちゃんが何かの拍子に俺に対してデレてくれるって信じてるぞ!
【それはない】(赤文字宣言

>しかも前半は花子さんの人のを抜粋しているという……。
問題ないんだぜ、特にセリフ面
セリフはどうしても抜粋になっちゃうから、それ以外のところを以下に自分の文章で書けるか
それが、クロスの時、書き手に求められる技量な予感がしないでもないの

>>518>>522>>524
>雄介「たこ焼きにしましょう」
菊「…タコ焼き」(包丁用意
水城「新鮮なら刺身でもいいんだが」
紫苑「あんた達、人食ったタコを食べる事前提で見るの止めなさい」

>花子さんとかの人が先に動くと見た
>俺はその後書くとしよう(ぁ
HAHAHA、こやつめ

>したら斬撃飛ばしてきそうだな……誰にも見えない感じで辺りをスパっと。
龍一「……そこまではしない」

>>523
>おっきくなってもいっしょにおふろにはいるといいの!
龍一「……そんな歳ではない」
悠里「二人で入れるような広い風呂が家になくてね」
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/08(火) 20:03:20.49 ID:bb9WdvN60
(レスミスに気付いたが見なかったことにする)
527 :悪党と改造人間 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/08(火) 22:57:42.39 ID:bmabbc04o
「Z-No.592が探索に向かってから既に三日が経過しておりますが、完全に音信が途絶えています。返り討ちに遭ったと考えるのが妥当かと」
「そうか」

 Z-No.0、漸賀斬九郎は眉を顰めて溜息を漏らす

「無理にでも何人か連れていかせるべきだったか」
「そうでもないと思うわよ」

 斬九郎の机に腰掛けて、足をぷらぷらと揺らしていた小夜が呟く

「あの子の能力は、一種の占い。心の奥底では察知していたはずよ……何人で行っても無駄だって」
「ならば何故、一人で行った?」
「解決できる可能性があったかもしれないから、でしょ。他人の平穏のためにわかっている無茶をするのが、うちの組織に多いタイプなのよね」

 小夜は、きしりと苛立たしげに爪を噛む

「私が万の幸運を与えたところで、億の不運が被さればどうしようもない。誰か一人を兆の幸運で守ったところで、他の多くが百の不運で命を落とす。一か全かの能力なんて使い勝手が悪いといったらありゃしないわ」
「それでも、無いよりはずっとずっと多くの奴らを守っていられるのだろう?」

 斬九郎の手が、そっと小夜の頭を撫でる

「やはりお前は、昔から何も変わらず優しいな」
「掬い上げたものを一粒も零したくない、欲張りなだけよ」

 斬九郎からぷいと顔を逸らした小夜は、報告に来ていた黒服とばっちりと目が合った
 頭を撫でられて嬉しそうにはにかんでいた顔がぴしりと固まり、羞恥の真紅に染め上げられる

「あなた、まだいたの!? というか、いつまでいるのよ!?」
「いえ、まだ報告が残っていまして」
「だったらさっさと済ませなさいよ! 暢気に駄話を聞いている余裕のある状況なの!?」

 わたわたと手を振り、斬九郎の手を払い除けて佇まいを取り繕う小夜

「で、残る報告というのは?」

 顔色一つ変えずに続きを促す斬九郎に、黒服はぺらりと書類を捲る

「彼の……Z-No.592の消息について、当事者のメイ・ゴスリング嬢と沙々耶・マイツェン嬢から経過報告の要請が」
「研究資料の奪還を依頼をされた身だからな。失敗の報告はせねばならんだろう……後で俺が直接診療所に報告する」
「よろしいのですか?」
「責任者は俺だ。部下が戻らない以上は、俺が報告しなければいかんだろう」

 そう言って関を立ち、執務室を出て行く斬九郎
 依頼の失敗そのものよりも、部下を亡くした事や、依頼者の苦悩や恐怖に心を痛める上司の顔に、報告に来た黒服は首を傾げる
 まだ番号もついてない、自分が何の都市伝説に呑まれて黒服になったかも、まだよく思い出せずに事務仕事をこなしている、黒服になったばかりの彼女には、そういった心の機微は理解できない

「小夜さん」
「なぁに?」

 一人机に座ったまま、傍らに置かれていた湯飲みに口をつけている小夜に、黒服が問い掛ける
 恥ずかしい顔を見られたせいか、どこか仏頂面で無愛想に答え

「No.0のどの辺りが異性として好意的なのでしょう」
「ぶぷっ!?」

 小夜の口から毒霧のように緑茶が噴霧された

「げほっ……あんた、ねっ……下っ端黒服のくせに……どうしてそういう……」
「Zナンバーズ及び、小夜さんの存在を知る各種部署の黒服諸氏から、No.0への報告任務から戻る度に様子を尋ねられるので、少々気になりまして」
「……一度、運気の供給カットどころか、全部利息つきで回収してやろうかしらこの『組織』」

 涙目で咽る小夜の背中を、優しくさする黒服

「失礼しました。以後この質問に関しては禁則事項として判断いたします」
「そうしといて……あとこれについて質問してきた奴について、リスト作っておいて」
「了解しました。明朝までには仕上げます」
「……明朝まで掛かるような分量なの?」
「他の雑務を六時間以内に終わらせれば深夜までには」
「……急がないから、本職を優先しなさい」
「了解しました」

 深々と一礼した黒服が退室するのを確認してから、小夜は机の下に置いてあったぬいぐるみに、八つ当たりの拳をぽすぽすと叩き込むのだった

―――

「目が覚めましたか?」

 ぼんやりとしていた意識が、その一言で急激に現実に引き戻される
 即座に身を起こそうとしたのだが、腕、足、腹にがちりと硬い感触があり、拘束されているという事が容易に想像できた
528 :悪党と改造人間 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/08(火) 22:58:13.66 ID:bmabbc04o
「何故……生きている」
「私がですか? それともあなたがですか?」
「両方、だ」

 鼻歌混じりに、手術道具に見えなくもない奇妙な器材をがちゃがちゃと片付けているのは、ヴィッキー
 硬い感触の手術台のようなものに拘束されているのは、Z-No.592

「まず私について。私は別に一人じゃありませんでしたから。お出迎えは5人ぐらい出したはずですが」
「……なるほどな。事前に数も確認しておけば良かったよ」
「ちょくちょく増やしてますから、事前の調査はあまり意味が無いですよ」

 死の淵で思考がまともに回っていなかったらしい、とZ-No.592は舌打ちする
 例えあの場に居たものを皆殺しにしたところで、沢山居るのであればどこかしらに予備がいるのは当然である

「次に、あなたについて。私が、私や怪人の残骸を回収調査に来た折にあなたも見つけましたので。ついでに回収しました」
「何故、敵である俺を治す?」
「死体に敵も味方もありますか? 死体は私にとって、須らく『材料』ですよ」

 がちゃりと器材を作業台の上に置いて、ヴィッキーは拘束されたままのZ-No.592に近付いてくる

「ちゃんと直したら魂が戻ってきちゃって蘇生しちゃいましたけれど。まあ頼まれた事に対しては上手くいったので結果オーライです」
「もう一つ質問だ……誰に、何を、頼まれた?」

 ぺたり、と
 Z-No.592の頬に、ヴィッキーの冷たい手のひらが触れる

「あなたの契約している都市伝説に、あなたを直してくれと」

 禍々しい、期待に満ちた笑顔がヴィッキーの顔に浮かぶ

「あなたを直してくれるのなら、なんでもするというから」

 眼前に差し出された結晶体は、白色、栗色、黄金色が綺麗に混ざり合った斑模様で
 その色は、いつも周りではしゃいでいた、彼女達の毛並の色と同じで

「その構成エネルギーを差し出してもらいましたよ」

 胸中にあった空虚感で、契約が失われている事には気付いていた
 目の前に居る女の研究内容も、語られた分は理解していた
 拘束されていなければ、即座にヴィッキーを殴り掛かっていただろう

「力を……都市伝説を取り出した後に残る『魂』をどうするか、お前は言ってなかったな」
「おや、そちらに出向いた私達は説明してませんでしたか。質にもよりますが、大抵はそのまま破棄しますがね」

 結晶をちらつかせたまま、開いた手でZ-No.592の身体を艶かしく撫で回す

「都市伝説存在の構成エネルギーではなく、魂のエネルギーでも人体構成使えるか。そういう実験をやってみたわけです。結果はご覧の通り」

 ぎしりと手術台に上がり、Z-No.592の上に馬乗りになるヴィッキー

「記憶だの意識だの、そういう不純物の除去に手間は掛かりましたが……人体の基礎部分があれば充分に使える事が判りました」

 脇腹の辺りに手をついて、唇が触れ合いそうなほどの距離まで顔を近づけて

「というわけで、彼女達の『魂』はもう何処にも存在しません。あなたの身体を再構成し魂を引き戻すための燃料のなって燃え尽きて、煤ほどの滓すらも残っていません、完全消滅です」

 興奮の混じった吐息に鼻腔をくすぐられ
 Z-No.592は首を僅かに捻り、その稼動域を確認すると
 頭を思い切り振り上げて、ヴィッキーの顔面に額をめり込ませた
 無様にひっくり返り、そのまま手術台から転げ落ちるヴィッキー

「いい反応です。やはりそれぐらい元気でないと、ここから先で困りますからね」
「……先……だと?」
「それも説明してませんでしたか、私達は。都市伝説の構成エネルギー結晶を、消費する事なく力を引き出し、換装が可能となる改造人間の製作ですよ」

 歪んだ鼻骨を直しながら、ヴィッキーは笑う

「あなたを直す傍ら、試しに人間でやってみたんですが……どうも人間は結晶体と混ざりやすくて。適度に都市伝説存在である『黒服』の方が、濃度というか浸透率というか、そういう意味で丁度良さそうなんですよ」

 手にしたままの結晶体を、その手のひらの上で弄びながら

「大人しく従っていてくれれば……彼女達の力だけは、存在を確かなものとする最後の一欠片だけは、手元に残りますよ?」

 人のかたちをした悪意は
 嬉しそうに
 楽しそうに
 そう囁いた
529 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/08(火) 23:02:50.52 ID:bmabbc04o
前回までのお話は
>>335,337-339をご参照下さい
更に前は過去ログまたはまとめWikiにてどうぞ

うちの子らもジャガーさん戦線に巻き込まれた話を書こうかと思ったけど
決着ついてない話ばっかりで秋口にどうなってるかわからん奴ばっかりだという罠
誰を普通に戦えるキャラが少ないともいうけどな!(爆)
530 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/08(火) 23:32:54.31 ID:d6hheEgk0
三面鏡の人乙です〜
わぁい、今日も三面鏡の人は平常運航だったzっていやああああああああああああああああああああああ!?
何故「こっくりさん」殺たし、何故殺たし!?(殺してねぇ

小夜たんだけが唯一の安らぎ……あぁ俺もぽふぽふしたい、斬九郎もげろ千切れろ掘られろ(マテヤ

>>529
>誰を普通に戦えるキャラが少ないともいうけどな!(爆)
久しぶりに
呂布さんとかどうですかね?(ぁ
531 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/09(水) 00:13:26.02 ID:d/HNRgoKo
>>530
> 何故「こっくりさん」殺たし、何故殺たし!?(殺してねぇ
あのこっくりさんの能力だけ結晶化して残ってて意思や記憶の類は一切残ってませんから
死んだというか消えて無くなったというかそんな感じ?

> 小夜たんだけが唯一の安らぎ……あぁ俺もぽふぽふしたい、斬九郎もげろ千切れろ掘られろ(マテヤ
斬九郎は庇護対象としか思ってませんけどな!ww
うちの野郎どもはこんなのばっかりです

> 呂布さんとかどうですかね?(ぁ
あいつはわざわざ描写しなくても騒ぎが収まるまでずっとどっかで無双してるだろうしww
適度に酷い目に遭わせられるキャラじゃないと面白くないじゃないですか(待てコラ)
532 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/09(水) 01:31:32.99 ID:jdhyRwhAO
三面鏡の人乙ですー

>死んだというか消えて無くなったというかそんな感じ?
あーん三面鏡の人のキチクー
ヴィッキーの憎まれ役っぷりが光りすぎてるよ!
533 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/09(水) 01:45:56.74 ID:L9yUhapzo
皆さん乙です。
近頃の話題はジャガー人間戦線(三面鏡の人命名)ですねわかります。

そんなわけで自分も投下します。
534 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/09(水) 01:46:29.72 ID:L9yUhapzo
 幼少の頃に見たテレビの、特撮ものというジャンルの中で。
 人型の肉食獣。――彼らは怪人と呼ばれた。

 学校町に放たれたジャガー人間もまた、怪人の部類に入るのだろうか。
 ジャガーよりも速く、ジャガーよりも硬く、ジャガーよりも強く、ジャガーよりも残忍に夕闇が迫る学校町を疾る。
 彼らは人の知能を持つのか否か。
 本来群れることのないジャガーとは違い、ジャガー人間は数体から十数体の群れで行動をしていた。

 鋼鉄をも容易に切り裂くその爪が狙うは「ただの」人間。
 未だかつて見たことのない脅威に足が震え腰が砕け、その場に立つことすらかなわないのは子供を連れた母親。
 ごくり、とジャガー人間の内の一体が唾を飲み込んだ。
 土の中から生まれた彼らは知っている。
 目の前の人間は餌であることを本能で理解している。

 何体かのジャガー人間が黄色の風となり、母親とその手に抱かれた赤子を襲う。
 何が起こったかわからぬまま、強い衝撃を受けて転がる母親と手から落ちた赤子。
 泣き叫ぶ赤子を守ろうと手を伸ばしたのが母親の本能によるものならば、ジャガー人間の行動は本能からは遠いところにあった。
 口元に獰猛な笑みを浮かべて、赤子に向かって伸びる手をその足で踏みつけた。

 ぶつり。

 鉄をも切り裂くその爪で母親の手足の腱を切る。
 四肢を封じた上で母親を仰向けに転がし、ゆっくりと服を縦に切り裂く。
 喉元に鋭利な爪を当てると滲み出てきた血はぷつぷつと赤い玉を作り出す。
 獰猛な笑みが淫靡な笑みに変わる。
 彼らはこの状況を楽しんでいた。

 それまで聞こえていた赤子の泣き声が不意に止まる。
 別のジャガー人間が揃えた五指を赤子に突き立てていた。
 母親の視線のその先で。

 母親の絶叫。
 いっそ狂えたら良かっただろう。それができないのは自身の体に刻まれる爪の痕。鋭利な痛みが母親の精神を繋ぎ止めていた。
 発狂しそうなほどの叫びが心地良いのか恍惚の表情を浮かべ、喉元の爪を真っ直ぐ下に正中線に沿わせるかのように下ろす。
 皮膚がめくれ、裂ける血管、流れる血、収縮する臓器。
 ピンク色の「中身」に舌舐めずりさえする姿は人のものでも獣のものでもなかった。
535 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/09(水) 01:47:26.02 ID:L9yUhapzo
 母子の身に突如起こった理不尽な出来事。
 しかし、ジャガー人間は知らない。
 己の身にも理不尽な出来事が起こる可能性があることを知らない。
 先刻まで、この場でのピラミッドの頂点は彼らジャガー人間だった。――先刻までは。

 黒服の男が、母親を切り裂いていたジャガー人間を左足の蹴りのみで吹き飛ばした。
 いつの間に現れたのか、突然そこに現れた黒服に、驚くジャガー人間の群れ。

「ザオリク、ベホマ」

 わずかな言葉で赤子を蘇生させ、母親を完治させた男は、ふたりを庇うようにジャガー人間の前に立ち塞がった。

「赤ん坊を抱いてこの道を走って逃げろ」
「え? で、でも」
「逃げてる最中に黒服に会ったら助けを求めろ」
「でも、あなたは、え、でも」
「ここには応援が来る。――赤ん坊にまた死んで欲しくなかったらさっさと行け」
「は、はい!」

 黒服を気にしつつ何度も振り返りながら、母子は走り去った。
 母子は知らない。黒服のピオリムという呟きを受けて自身の速度が向上したことも、ジャガー人間が黒服から放たれる殺気によって動けなかったことも。
 ともあれ、この場においてのピラミッドの頂点は入れ替わり、一方的な殺害劇が幕を開けた。

「動かないなら勝手にやらせてもらう」

 動けぬジャガー人間の間を恐れることなく悠々と通り、一体の右手を掴んで下に引いた。

 ぶちり。

 肩から下が一気に引き抜かれ、血が噴出する。
 やや遅れて左腕が引き千切られる。

「アアアアアアアァァァァアアァァァァァアァァァァァァ!!」

 悲鳴を上げ、逃げ出すジャガー人間。
 だが、ジャガー人間は間違っていた。悲鳴を上げる暇があるなら逃亡すべきであった。
 逃亡の二歩目を踏み出すべく前に出した脚も引き千切られ、転倒。
 黒服は容赦せず、残る片脚を両手で掴み、立ち尽くすジャガー人間に叩きつける。
 動き出したジャガー人間の懐に飛び込み、正中線に沿って手刀。
 体に刻まれた線に両の指を当て、そのまま左右に開くとどれだけの力が込められていたのか容易にジャガー人間は真っ二つに裂かれた。
 膝を砕き、バランスを崩したジャガー人間の両脚を抱えてそのままジャイアントスイング。
 周囲のジャガー人間はおろか、電柱、壁に頭部を叩きつけてもその勢いは止まることのない超回転。
 頭部が砕け散り、脳漿が散らばり、回転が止まる頃にようやく別のジャガー人間達は行動を開始した。
 耳を切り飛ばし、眼を抉り、鼻を削ぎ、肉片が飛び散ったのは全て別々のジャガー人間だ。

「お前達はあの親子を意味もなく弄び殺し傷付けた。同じことをされても文句は言えないな――もっとも、畜生如きが言葉を話せるわけもないが」

 周囲に漂う血臭に惹かれたのか、どこからともなく現れるジャガー人間の群れ。
 彼らへの黒服の行動はシンプルなものであった。

 殺害。

 斬殺であり、殴殺であり、焚殺であり、扼殺であり、暗殺であり、射殺であり、毒殺であり、縊殺であり、抹殺であり、撃殺であり、格殺であり、
 圧殺であり、謀殺であり、要殺であり、必殺であり、禁殺であり、磔殺であり、誅殺であり、捕殺であり、轢殺であり、密殺であり、屠殺であり、
 絞殺であり、爆殺であり、銃殺であり、刺殺であり、撲殺であり、薬殺であり、畜殺であり、焼殺であり、虐殺であり、鏖殺であった。

 徹底的に殺して殺して殺して殺して殺し尽くした。
 逃げるものも立ち向かってくるものも何もできないでいるものも押し並べて平等に殺した。
 自らの行動は善でも悪でも構わない。

 ジャガー人間は母子を理不尽に傷付け殺した。
 その瞬間、ジャガー人間は彼の敵となった。

 辺り一面が赤黒い血で塗り潰される頃、ようやくジャガー人間の群れはいなくなった。

「後始末ぐらいは〈組織〉がやるだろ」

 母親へ告げた応援云々は母子をこの場から立ち去らせるために吐いた嘘だ。
 最初からひとりで現れた黒服は誰も当てになどしていない。

「っと、メールか……拡散希望? ――知るか阿房が」

 見知らぬアドレスから送られてきたチェーンメールを中身を読むことなく削除して、黒服――江良井卓は帰路へと着いたのであった。


→夢幻泡影に続く
536 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage saga]:2011/11/09(水) 01:59:57.86 ID:L9yUhapzo
投下終了。

シャドーマンの人に土下座!
土下座を超えた土下座中の土下座!真・土・下・座!
ただの江良井無双でした。
ジャガー人間を無駄に残虐に変えちゃうし、一体何匹殺したんだこれ。

ちなみに江良井は暴れるだけ暴れて家に帰りました。
シャドーマンの人のお邪魔はしませんのでご安心ください。
母子に関してはお任せします。黒服による記憶消去でも出番なしでも構いません。お好きにどうぞ。

それにしてもクロスは緊張するなあこれ。
これから先クロスする時も今回みたく誰とも絡まないようにひっそりと参戦させます。
537 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/09(水) 09:41:21.88 ID:969CwSNV0
葬儀屋の人乙です〜
卓さんかっけぇ……
お母さんと赤ちゃんが助かってよかったの
丁度今『赤い幼星』書きかけなんで、そっちで保護致しますわ

俺もいい加減ジャガー人間殺したい(←実は作中3匹しか殺してない
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 14:40:44.94 ID:OZbJ0vrDO
あにきーどうしよー
ここ最近諸事情のためスレに来てなくて流れがわかんねーよ…
539 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/09(水) 14:51:35.80 ID:969CwSNV0
>>538
10月28日から、「マヤの予言」をネタに偽クロスやってます
そういやまだまとめてないけど…夢の国の時と比べて規模小さいからなぁ
540 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 17:30:20.04 ID:RFQqgOwh0
 獄門寺 菊は、どちらかと言うと無口な部類に入る人間である
 必要な事以外は口にしない……どころか、必要な事すら、口に出さない事も多い
 考えるより先に行動すると言う面が強いせいもあるのか、口に出すよりも先に行動に移してしまう場合が多いのかもしれない
 顔半分が長い前髪で覆われているのと、元々わりと無表情なのとが手伝い、その感情は他者に伝わりにくい
 そんな菊が、普段より饒舌になっている
 それだけ、菊が機嫌がいい事がよくわかる
 …わかるからこそ、水城は余計に、菊の力になりたいと願う
 一応、水城は今回、「組織」の命令でこの現場に来ている
 今、水城を動かしているのは「「組織」からの命令」と、「菊への忠誠に似た感情」の二つだ
 水城の「組織」と菊への依存度は高い
 そもそも、水城は生きていく上で、何かに依存してしまう度合いが強いのだ
 自分を拾ってくれた存在に捨てられたくない、ただただ、その一心で行動する
 「組織」から見捨てられたくない
 だから、与えられる命令に従う…彼の所属が強行派や過激派であったならば、とうの昔に使い潰されている事だろう、そうでないのは、ちょっとした幸運だ
 だから、菊の力になろうとする、自分のような存在に、家族のように接してくれる菊に
 そうやって強く依存する反面、依存対象以外への興味が極端に薄い、と言うのが、水城の欠点だろう
 事実、水城が産み出す人食いタコを見て苦笑いを浮かべているDKGの様子に、彼は一切気づいていない

(……戦わなければ)

 一匹でも多く、ジャガー人間を葬らなければ

(役に、立たないと)

 強迫観念のように、水城は己に言い聞かせる
 だから、見落としてしまう
 己の体力の、限界と言う物を


 …水城の、「蛸は水死者を食べる」の能力は、そのタコにさらに生きた人間すら食らわせると言う能力を附属し、それを生み出すと言う能力だ
 無から生み出すのではなく、己の肉体から生み出す…どのように生まれているのかに関しては、水城は話したがらない
 ただ、常に水城が丈の長いコートを纏い、素肌を露出したがらないのには、体中に負った傷を診せたくないと言う理由以外に、タコを生み出す様子を診せたくない、というのもあるようで、見ていて気持ちのいい生まれ方ではないのだろう
 …その生まれ方はさておき、タコを生み出す際、水城の体に負担はかかっているのか否か?
 ……負担は、かかっている
 一匹生み出すたびに、体力を消耗しているのだ
 能力を扱いなれているおかげで、かなりの数を生み出しても問題はないのだが、やはり限界はある
 限界を超えれば体は動かなくなるだろうし、それでも無理をしてタコを生み出し続ければ命に係わるだろう
 だが、水城はその限界を忘れてしまうことが多い
 己の身をないがしろにしがちな点も、水城の弱点なのだろう

「………」

 その、水城の弱点を
 決して、付き合いが長い訳でもない菊は、既に気づいていた
 だからこそ、戦いながらも、ちらちらと水城を気にする
 …まだ、大丈夫そうだ
 が、このペースでタコを生み出し続けていては、危ないだろう
 その事実を、どう水城に伝えるか?
 …前述したが、菊は必要な事すら、口に出さない事も多い
 単に、言葉で物事や感情を表すのが苦手だ、と言うせいもある
 今の菊も、どう伝えるのが水城を一番無理させずにすむだろうか、水城の心を傷つけずに済むだろうか、その答えがわからない
 ……よって
 菊は、もっともシンプルな答えに到達する

 自分が、一匹でも多く、ジャガー人間を葬ればいい、と

「……ん」

 ずんっ!と
 いったん、メイスを置いた菊
 手身近にたまたまあった、「それ」に手を伸ばす

「…危ない、から、下がって」
「え?」

 菊に言われ、ファントムはDKGと共に、菊の後ろの方へと下がって…
 ……菊が手を伸ばした「それ」を確認し、強い疑問を覚えた
 「それ」で、何をするつもりなのか、と

「なぁ、何を」
「よいしょ」

 ひょい
 ……はっきり、言おう
 「それ」は「よいしょ」などと軽い掛け声とともに持ち上げるようなものではない
 ついでに言うと、ひょい、なんて言う、可愛らしい音と共に持ち上げられるものでもない
 菊が持ち上げた物、それは
 ………大型の、バイク
 それを持ち上げ、菊が視線を向けた先
541 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 17:31:10.83 ID:RFQqgOwh0
 そこからは、ジャガー人間達が群れを成して菊達の元へと駆けてきていて

「おい、まさかそれ」
「とう」

 ぶんっ!!と
 DKGが何か声をかけようとするのとほぼ同時
 菊は、その大型バイクを、力いっぱい、ジャガー人間達の元に向って放り投げた
 はっきり言おう、「とう」なんて軽い調子の声とともに投げていいものではない、それは
 投げつけられた大型バイクに、一体のジャガー人間が押しつぶされた
 …そして
 どうやらそれは、燃料がたっぷり入っていたようで…


 −−−−っどごぉん!!


「おー」
「いや、「おー」ですませられるかっ!?」

 のんきな声を出した菊に、DKGが突っ込む
 …どう見ても爆発炎上しています、本当にありがとうございました
 爆発と炎は、ジャガー人間の群れを盛大に巻き込む

「……一網打尽」
「確かに一網打尽だけど、盛大にこの辺りの民家が火災に巻き込まれそうなんだが」
「……何とかなる」

 ファントムの突っ込みにも、菊はあっさりとそう答えた
 …はっきり、言おう
 菊の常識は、時として危うい
 傍に突っ込みがいないと追いつかないとも言う

「これで。この辺りのジャガー人間は全部仕留めたか?」
「……多分」

 水城の言葉に、頷く菊
 周囲に、新たなジャガー人間の姿は見えない
 …この爆発と炎である
 新たなジャガー人間が近づいてくるかもどうか
 このまま、ジャガー人間達を始末し続けるのならば、場所を移動した方がいいだろう
 いや、そうじゃなくとも、場所を移動すべきだ
 火災に巻き込まれたりしかねない
 移動の為にも、いったん手放したメイスを拾い上げている菊に、DKGが告げる

「なぁ、一網打尽にするんだったら、爆弾とか出してやったんだぞ?」
「……使い方、知らない」

 だからって、大型バイクを投げつけてもいいものかどうか
 いや、菊的には大型バイクそのものを射撃武器扱いでぶん投げただけかもしれないが…それはそれで問題である
 だからと言って、銃などの射撃武器を渡されても、菊は扱えないのだ
 そういった物の扱い方を習える環境ではあったのだが…力加減がうまくできず、壊してしまうのであきらめたのだ
 よって、菊としては「手身近にあったバイクを投げる」と言うのが最善の答えだったのである
 常人では理解できないだろうし、理解しない方がいい答えである

 メイスを拾い上げ…菊は、じ、とファントムとDKGを見つめる

「……だいじょう、ぶ?」
「は?…まぁ、俺達はまだまだいけるぜ?」
「……無理、は、っめ」

 まるで、子供にでもするように、そう言った菊
 龍一の後輩、と言う事で、二人の事を心配しているのだろう
 …菊にとっては、水城も、ファントムとDKGも、三人とも「保護対象」なのだ


 ………だからこそ
 菊は積極的に、目の前に現れるジャガー人間をつぶしにかかるだろう
 その身を、それらの返り血で染め上げながら






to be … ?
542 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 17:33:39.92 ID:RFQqgOwh0
さて、DKGの人と、ここに魔法少女を派遣してくれるらしいシャドーマンの人への焼き土下座タイムである
菊がはりきってごめんなさい
わりと体力余裕そうな菊ですが、所詮人間なのでハッスルしすぎると後半体力きつくなるだろう事はお伝えしておきます
水城も長期戦向いてないしな、駄目だこいつら

とりあえず、菊はこの場にいる三人が危険な状態になったら体はって護るよ
水城も菊が危なくなったら体張って護るよ
大丈夫です、二人とも死ににくいから
初戦人間だから、死ぬときは死ぬけど
543 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 18:55:06.54 ID:I6val7tE0
花子さんとかの人乙です〜
お菊さんの可愛さに磨きがかかっている……流石は花子さんとかの人(マテ
しかし雄介くんとかおるんは前回から疲労してたけど、水城さんも疲労しかけか……どうしよっかなぁ(ニヤッ

>>542
>初戦人間だから、死ぬときは死ぬけど
つまり初戦が都市伝説なら超死に難く…なんて言う冗談はさておき
不吉なこと言っちゃらめぇっ!?
544 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 20:18:53.67 ID:wayf4wTz0
>>543
>しかし雄介くんとかおるんは前回から疲労してたけど、水城さんも疲労しかけか……どうしよっかなぁ(ニヤッ
>不吉なこと言っちゃらめぇっ!?
(ニコッ
545 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/09(水) 20:37:20.83 ID:JuhJVp/a0
花子さんの人乙です!!

>>543
>しかし雄介くんとかおるんは前回から疲労してたけど、水城さんも疲労しかけか……どうしよっかなぁ(ニヤッ
>不吉なこと言っちゃらめぇっ!?
(ニコッ
546 :鬼の血筋と人食いタコ  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 21:05:54.96 ID:wayf4wTz0
>>545
前回同様、お二人の様子をほとんど書けなくてごめんよぅ
そして、突っ込み役に回っていただきましたの……自キャラが、盛大な突っ込み役不足でしたね(遠い目

>(ニコッ
全く持って、このスレには自キャラにどSな作者様が多いですね



ちなみに、俺は一応回復役待機させてますからね
どSじゃありませんよ、俺はどMですから
547 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 21:55:02.38 ID:I6val7tE0
そんな私はサディスティックマゾヒスト
虐めるの大好き虐められるの大好き

そしてちょこっと投下
548 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 21:56:30.46 ID:I6val7tE0
「…清太さん、日天さん……無事だと良いのだけれど……
 ライサちゃん、裂邪さんの容態は?」
「うぅ、ちょっと苦しそう」
「もしかして、さっきの血が喉の中で固まってるんじゃ…」
「あ、ぼ、僕に任せて」

漢が人差し指を使って空書きすると、空中に『癒』という字が浮かび上がり、
その字は裂邪の喉元に侵入するようにすぅっと消えたかと思えば、
代わりに紅い液体の玉が現れて、ぽん、と間の抜けた音を立てて消えてしまった

「……息が整ってる! 凄いね、ありがとうお姉ちゃん!」
「お、お姉ちゃん?;」
「あのねライサちゃん、この人はお姉ちゃんじゃなくて―――」
「やめておけ少年」

思わず、ローゼはくすっと小さく噴き出してしまった
―――頼もしい人達ですこと
彼女は、正義や漢を見てそう感じた
こんな状況で――「マヤの予言」のこともあるが、それ以外にも
正義は兄を傷つけられ、漢は妹を攫われて
なのにも関わらず、2人はとても落ち着いているように見えた

「……じゃあ、僕…行ってくる」

静かに立ち上がり、彼――漢は、か細い声ではっきりと言い放った

「ッ……聞くまでもないと思いますけど、どちらへ?」
「…麻夜のところへ……って言いたかったけれど、僕一人じゃ、行けそうにないから……
 今は、手が届く範囲で、町の人を守りたい」
「漢くん、僕も一緒に―――」
「ううん…正義くんは、ここで裂兄ぃについていてあげて」
「で、でも……」
「それに…正義くんなら、僕に出来ない事も、出来るかも知れないから」
「え? そ、それってどういう事?」

正義の問いに、漢は微笑み返しをして、ドアを開けて病室を出ていった
何を言うでもなく、それを静かに見守るローゼを、大王は僅かな疑問が混じった目で見る

「…良かったのか?」
「えぇ、漢さんの気持ちはワタクシも分かっているつもりですわ
 どうするべきか、相当悩んでらっしゃったことも……」

ちらり、彼女は窓の外に目を遣った
何人もの契約者や都市伝説が戦っているであろう、暗い戦場を

「……今日が終わるまでには………必ず止めてみせますわ………!」
549 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に:前(入れ忘れorz  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 21:58:30.70 ID:I6val7tE0
     †     †     †     †     †     †     †





―――「組織」本部

「R-No.6、現状報告を」
《ぜぇ、ぜぇ……ここもダメだったみたい………何処にも無いよー「水晶髑髏」!!》
「…やはり契約者の協力を得た方が早そうですね…
 分かりました。指示があるまで、暫く待機していて下さい」
《ヤッホー!! ねぇねぇ、R-No.69とあんなことやこんなことやってて良い!?》
「それは許可しません」

がちゃり、受話器を置いて深い溜息を吐く蓮華

「全く……本当に馬鹿ばっかですね、R-No.は……
 R-No.2、R-No.4、R-No.5、R-No.7、R-No.8、R-No.9の6人が戦闘に出向き、
 R-No.3、R-No.10、そしてR-No.0が病院にて待機……
 上位メンバーが全員出払ってるなんてどういう了見ですか
 唯一残っていたR-No.6の身にもなってあげちぇ欲しいものです……捜索の指示を出したのは私ですが」

独り言をぶつぶつと垂れ、こほんと咳払いを一つして、
椅子をくるりと回転させて背後を見た

「さて、どんな調子ですか?」
「ち、ちょっと待って欲しいかしら! 突然話しかけられたら集中が途切れるかしら!
 ………ふむふむ、「組織」じゃないフリーの契約者や、「首塚」の構成員の一部があの怪人と各地で戦闘中かしら
 「組織」の構成員の中でも、R-No.を筆頭に頑張ってるかしら
 あと、ジャガーにマタタビを云々かんぬんっていう内容のチェーンメールが出回ってるかしら」

ぺらぺらと、学校町の現況を報告しているのは中学生くらいの少女だった
道化師のような華美で滑稽な衣装を纏った、怪しい風貌の少女
彼女の名は、ローゼマリー・ラッツィンガー
「ニバス」という悪魔と契約した、元「教会」所属の契約者だ

「…なるほど、分かりました。引き続き監視を行って下s」
「それにしても人使いが荒すぎるかしら
 折角外の空気が吸えたと思ったらいきなり重労働なんて信じられないかしら
 「組織」はそんな酷いところだったかしら!? 見損なったかしr」
「うるさい」

バシィッ!!
蓮華の腕から植物の蔓が伸び、鞭の如く操ってローゼマリーにぶつけた
ネコが蹴飛ばされたような声をあげて、彼女はその場に倒れ込む
起き上がろうとするローゼマリーの顎をくっと掴んで、蓮華は鬼の形相を彼女の顔に近づけた

「ひっ………」
「メルセデス・オラーリャに捨てられ、「教会」の裏切り者扱いにされ、
 行き場のなくなった貴方を引き込んだのは我々R-No.だと言う事をお忘れですか?
 言わば貴方はR-No.の……それも、リーダーがあのザマなので実質私の所有物ですよ
 『情報操作ができる』だの『情報を司る』だのという能力を高く買って有効利用してあげてるんですから、
 少しは『ありがとうございます』だとか『感無量でございます』だとか言ってみたらどうなんですか?
 よくも抜け抜けと愚痴ばかりが並べられますね、それでも「教会」の端くれですか?
 感謝する相手は神だけですか? 人間や恩人には感謝の気持ちは捧げられないんですか?」
「うぐっ………あ、ありがとぅゴザイマス」
「はぁ? 聞こえませんねもう一回遣り直しです!!」
「ひゃあっ!?」

ビシッ!バシッ!!
二度、三度と蔓の鞭がローゼマリーの身体に打ちつけられる
次第に服が破れ始め、とうとう泣き出してしまった
クスッ…と、彼女は短く笑い、口角を上げて頬に手を当て、その声をうっとりと聞き惚れていた
読者の殆どが忘れているだろうが、蓮華はドSである
相手を痛めつけたり傷付けたり、泣いている声を聞いたりするのが大好きな残念ロリである

「ひっぐ………スライムに襲われたり蔓で殴られたり………路頭に迷って死んだ方がマシだったかしら…………」

憐れローゼマリー
彼女の受難はきっとこれからも続く


   ...To be Continued
550 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 22:01:48.39 ID:I6val7tE0
きゃあ、蓮華の台詞が一部大変な事にorz

×  唯一残っていたR-No.6の身にもなってあげちぇ欲しいものです……捜索の指示を出したのは私ですが」

○  唯一残っていたR-No.6の身にもなってあげて欲しいものです……捜索の指示を出したのは私ですが」


そして花子さんとかの人に紐無しバンジー焼き土下座orz
頂いていたローゼマリーたんを今更活躍させようという企み
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/09(水) 22:13:00.69 ID:36SmNo3do
さりげない幼女的表現をボクは見逃していませんでした
552 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 22:20:49.88 ID:I6val7tE0
>>551
無かった事に!無かった事にぃ!!orz
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/09(水) 22:40:33.60 ID:36SmNo3do
幼女化! 周囲をやたらと幼女化するスタンドじゃなくて都市伝説はどこですか!?
ラブコメの定番じゃないですかー!
554 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 22:58:20.36 ID:I6val7tE0
知らんかった
こんなのあったのね↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%B9%E3%81%AE%E6%88%A6%E5%A3%AB

「テスカトリポカ」は知ってたけど…

>>553
>幼女化! 周囲をやたらと幼女化するスタンドじゃなくて都市伝説はどこですか!?
去年だったか
裂邪を「バックベアード」と契約させて『たまにはロリコンも良いよね?』と発言するだけで、
男性をロリコンに、女性をロリにする能力身につけさせて正義に殺させようと考えた事がある
没に没を重ねて現在に至ったけど
555 :拾われ悪魔の奮闘記  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 23:12:22.04 ID:wayf4wTz0
 ぶつぶつ文句を言ったり、めそめそ嘆いたりしつつも、ローゼマリーは与えられた仕事をこなしている
 一応、その年齢に似合わず、仕事能力は優秀なのだ

(…問題面が、あるとしたら)

 それは、ローゼマリーの中に、未だにメルセデス・オラーリャへの尊敬や憧れが残っている点だろうか
 少女の初恋にも似たその感情は、メルセデス本人から冷たく突き放した言葉を投げかけられても消えなかったのだ
 メルセデスと言う男が、そこまで強く思われるだけの存在なのかどうか…直接顔を合わせた事のない蓮華には、わからない
 ただ、ローゼマリーの中にある想いが、とても強く、大切なものである事はわかる訳で……無碍に否定し、捨てろと言い切れる程に、彼女も非情にはなれないのだ

「………ん、んん。「組織」側に犠牲者が出始めているかしら」
「犠牲者、ですか?」

 と、ローゼマリーの言葉に、蓮華は意識を現実に戻した
 …「組織」側に、犠牲者
 それは、少々まずい状況かもしれない

「どこの部署所属の者かまで、わかりますか?」
「……んー、ANoの黒服と契約者かしら。ほぼ同時にやられているかしら」
「ANo…強硬派でしょうか」

 何か、無茶な行動でもしたのだろうか
 蓮華が首をかしげていると

「………?」

 ローゼマリーが、小さく眉をひそめた
 蓮華はそれを目ざとく見つけ、尋ねる

「どうしたのです?」
「……」

 それを、答えるべきかどうか
 ローゼマリーは迷った
 確かに、「組織」側に犠牲者が出始めている
 が、何かおかしいのだ

 それらの犠牲者は、ジャガー人間にやられたわけではない
 …彼女の能力は、それを伝えてきていた

(ジャガー人間にやられているんじゃなくて……ジャガー人間ごと、始末されているような……)

 ……いや、違う
 ジャガー人間ごと、ではない
 その犠牲者ごと、ジャガー人間が始末されている
 そのように、ローゼマリーは感じた
 そして、感知できる「組織」所属の犠牲者の共通点
 …それは、「強行派」もしくは「過激派」に所属している、と言う事で




 そう、つまり
 この騒ぎのどさくさに紛れて、何者かが「強行派」と「過激派」を狩りだしているような
 そんな違和感を、ローゼマリーは感じたのだった





to be … ?
556 :拾われ悪魔の奮闘記  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 23:14:33.17 ID:wayf4wTz0
さて、シャドーマンの人に焼土下座しようねぇ、俺!!!orz
ローゼマリー使っていただいた嬉しさに転げまわった結果がこれだよ!!
引っ掻き回すようなことしてごめんね!!!


まぁ、避難所の方では名前だした三人組が動いているんだと思ってくだせぇ
連中は「強行派」と「過激派」狩るついでにジャガー人間を狩りながら学校町をうろうろしているようです
「強行派」と「過激派」以外の「組織」員に見つかったら逃げるよ!逃げるよ!!




Q 「吸血鬼、拾いました」の続き書いてからこのシーン書けよ
A ごもっともですorz
557 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 23:29:55.53 ID:I6val7tE0
まさかこんな形で、そしてこんなにも早く返事が返ってくるとはwwwwwww
花子さんとかの人乙です〜
ほう、まだローゼマリーたんはメルメルの事を……甘酸っぱいなぁ(
そしてあの3人も動いているのか、関わるなら今がチャンスか、逃げられちゃうけど


今日中には……お菊さんやかおるん達と、厨二病魔導少女を合流させる……!!
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/09(水) 23:34:52.45 ID:36SmNo3do
鞭でしばかれてめそめそで済むのも大概ドMじゃなかと思うんです
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/09(水) 23:39:54.32 ID:36SmNo3do
>>554
バックベアードって水木しげるじゃww
妖怪関係はうっかりするとその手の近代創作踏みそうだ
560 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 23:44:05.25 ID:I6val7tE0
>>558
>鞭でしばかれてめそめそで済むのも大概ドMじゃなかと思うんです
フフフ…

ローゼマリーたんがR-No.に拾われたのは今年1月中旬
軟禁されてからはちゃんと衣食住もしっかりした生活を送れましたが、
代わりに蓮華やレジーヌの欲を満たす為に違う方向で働かされたり(毎日じゃなく、運が良い時は日天が止めてる
そこから10月28日まで約10ヶ月経ちました
果たして、ドMじゃない理由は何処にあるでしょう(色々と待て
561 :拾われ悪魔の奮闘記  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/09(水) 23:44:47.23 ID:wayf4wTz0
>>557
百パーセントノリで書いた結果がアレだよ!orz

>ほう、まだローゼマリーたんはメルメルの事を……甘酸っぱいなぁ(
初恋とは甘酸っぱいものだってエロい人が言ってた

>そしてあの3人も動いているのか、関わるなら今がチャンスか、逃げられちゃうけど
「組織」以外の人相手なら逃げないし、「組織」の人でも自分達をとらえに来たとか討伐しに来たとかじゃないなら逃げないかも
ただ…あいつ、まともに他人と会話する気あるかな…(何

>>559
既にぬら孫オリジナルの「黒田坊」が出ている状態で何を今さら、な感じもしますけどね
562 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 23:47:44.85 ID:I6val7tE0
>>559
>バックベアードって水木しげるじゃww
最悪は「バグベア」の方を使いましょう(ぁ
「バックベアード=バグベア」という都市伝説も有りか……これこそ何でもありだな、やめとこう
563 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/09(水) 23:51:41.93 ID:I6val7tE0
>>561
>既にぬら孫オリジナルの「黒田坊」が出ている状態で何を今さら、な感じもしますけどね
似た名前なら「黒坊主」とか「泥田坊」とかいるらしいですね
前者は我らが陸の孤島・和歌山県の妖怪らしいから使ってみようかな
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/09(水) 23:54:39.26 ID:36SmNo3do
>>561-562
逆に考えるとリアルの周囲に聞いて水木認定くらわないようなのは出しちゃっても良いのかねえ
都市伝説が生んだ都市伝説……うーん?
いや妖怪とか一々そんな判別できる自信はないけど
565 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 00:02:37.94 ID:KcFJLfkS0
>>564
>都市伝説が生んだ都市伝説……うーん?
都市伝説によって別な都市伝説が生み出される、若しくは創り出されるのも良いと思うのよ
「試着室の誘拐犯」が「ダルマ女」を量産したりとか
俺が使ったのは、

「ショゴス」:レジーヌが「想像妊娠」と契約していた頃に“出産”
龍・ドラゴン多数:日天が「画竜点睛」によって召喚

くらいだけど
後は蓮華が植物系都市伝説の種を飲み込んで成長させることができるくらいか
566 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 00:06:58.47 ID:KcFJLfkS0
くそ、結局10日になっちまった

思いつかねぇ…サブタイトルが思いつかねぇ……orz
567 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/10(木) 00:13:18.69 ID:2ljeSrKQ0
>>566
思いつかないのはサブタイトルだけですか?
なら『鬼の血と蛸とやっぱりイタイ厨二病』辺りでいいじゃないですか!!
投下プリーズ!!
568 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 00:17:33.05 ID:KcFJLfkS0
>>567
いやぁ、それが『花鳥風月』のサブタイに変な法則つけちまいまして……

『花は咲く』とか『今宵は騒々しく』とか、
【[名詞]は[動詞の終止形or形容動詞の連用形]】みたいな感じで

『英雄は集う』とかで良いかな…
569 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/10(木) 00:33:34.24 ID:2ljeSrKQ0
>>568
いや、英雄じゃないような……。
あの四人の面子は……欲というか願望というか、何かに執着しているというか……。
確かに表現が難しいですね。
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 00:33:48.87 ID:WOQrChF+o
それはラスト付近までとっとくべきじゃ
獣は踊るとか敵側にスポットを当てたタイトルはどう?
571 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/10(木) 00:33:49.94 ID:0Ym40brAO
葬儀屋の人乙です!
卓さんすげー!真のハードボイルドっすな

花子さんとかの人乙です
菊様すげえええ
バイク投げるとかどこの下妻物語
>まぁ、避難所の方では名前だした三人組が動いているんだと思ってくだせぇ
あの三人が…じゅるり
ああ接触してみたい

シャドーマンの人乙です
なんという素敵なSとM(違う)
>果たして、ドMじゃない理由は何処にあるでしょう(色々と待て
先生!むしろドMじゃない理由が思いつきません!
>『花は咲く』とか『今宵は騒々しく』とか
ひぐらしの『〜し編』みたいな感じです?
ああいうの統一感が出て良いと思うけど、自分には思いつかないorz
572 :やる気なさそうな人 [sage]:2011/11/10(木) 00:37:28.88 ID:KCUxky6DO

『人喰い蛸』と『酢で身体が柔らかくなる』の契約者で酢の物を



いや、やっぱり何でもない
573 :やる気なさそうな人 [sage]:2011/11/10(木) 00:37:54.22 ID:KCUxky6DO

『人喰い蛸』と『酢で身体が柔らかくなる』の契約者で酢の物を



いや、やっぱり何でもない
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/10(木) 00:41:48.03 ID:ITrIZE2Fo
タイトル書く

「なんか普通だ、ちょっと法則性入れよう」

「できたwwwwウハwwwwテラカッコヨスwwww」

翌朝「あれ、なんか微妙だし縛りマンドクセ」


これやらかしてからタイトルは割りとテキトー派
575 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 00:41:50.20 ID:KcFJLfkS0
>>569-570
>いや、英雄じゃないような……。
よくよく考えると
ファントムと、プリキュア風コスプレの百花しか該当しなかったというorz

>それはラスト付近までとっとくべきじゃ
良かった、同じ考えの人がいた(←あげて気づいた


と言う訳で『戦士は出会う』に決定
『獣は踊る』も魅力的だったんだけど、戦闘終了間際から入る話なので勿体ないと思ったのorz
何れ使わせて頂きますわ♪

>>571
>ひぐらしの『〜し編』みたいな感じです?
そうか、ひぐらしもそんな感じなのか(←ひぐらし未視聴

>ああいうの統一感が出て良いと思うけど、自分には思いつかないorz
『神力秘詞』『邪気殺し』『仄暗い魂』『那由多斬』にもサブタイに法則つけてみたけど、面倒臭さしかないよ!orz
『那由多斬』に至っては、3話ぐらいまで変なタイトルつけてたし
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/10(木) 00:57:36.83 ID:ITrIZE2Fo
>>『神力秘詞』

これモライ!
577 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 01:01:04.86 ID:KcFJLfkS0
>>576
え、何か気に入ったところございました?
絶賛連載中なので応援宜しくお願いしますなの
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/10(木) 01:02:22.78 ID:ITrIZE2Fo
あああタイトルかwwww
サブタイならこことは別個で使おうかと思っただけです
579 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 01:08:24.23 ID:KcFJLfkS0
>>578
紛らわしくて申し訳ないorz
気に入って頂けたなら使用して下さって結構ですのよ♪(ぇ
580 :花鳥風月 † 戦士は出会う  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 02:19:34.08 ID:KcFJLfkS0
「『イャル・レウォルフ』!!」

花びら型の光の刃が10、20と飛んでいき、ジャガー人間達をそれ以上の数だけ屠る
ばらばらになりながら光に変わってゆくその空しき姿を見て、露骨に嫌そうな顔を浮かべる百花

「うげぇ………都市伝説だって分かってても、やっぱりグロテスクね……良い気持ちがしないわ
 ねぇ、そっちはどう―――――」
「『忍法 影縫いの術』!!」

風音の投げたクナイが、百花の背後に忍び寄る“影”を捕らえた
その“影”の主であるジャガー人間は、百花に飛びかかろうとした態勢――つまり空中でその動きを止めていた
ふふん、と風音は自慢げに鼻を鳴らす

「油断は禁物だぞ、百花」
「…そうね、ありがと」

光を纏った杖を叩きつけ、ジャガー人間を叩きつけて消滅させる
ふぅ、と溜息を吐いて、彼女はちらと視線を移した
黒い炎がごうごうと激しく燃え盛り、ジャガー人間を焼き尽くしていた

「もっけけけけけ!! 燃えろ燃えろォ!! 灰すら焦げちまえ!!」
「…小僧、少しは手加減しろ。民家に燃え移ったらどうするつもりだ」
「あははは; あ、百花、こっちは何とかなったよ」
「そうみたいね……で、」

また別な方に視線を向ける
ぐしゃり、とジャガー人間の頭部が右手で潰され、上半身のみとなったそれはゴミのように捨てられる
消えゆく骸を見つめながら、月明かりを浴びた月夜は不気味に笑った

「えへへへへへへへ……玄鳥を虐める人なんて……みんな死んじゃえば良いの……」
「あー、はいはい、もう終わりましたからねー」

ひょい、と日傘を月夜に差し出す百花
月光は遮られ、狂気に満ちた笑みはまた、無邪気なものに戻った

「……ほよ? 私は何してたの?」
「はい、イルカちゃん。気絶してたのよ、ほら、ジャガー人間に襲われて」
「ありがとなの。んー、そうだったの?」

納得の行かなさそうな月夜に、「そうよそうよそうなのよ」と謎の押しをしてみせて、百花は強引に納得させた
直後に、「それで、」と話を切り出したのは風音だった

「これからどうするんだ? この感覚だとあの怪人、まだこの町にいるぞ」
「風音殿の言う通り。現在も町中で、何人もの契約者と戦闘を行っている者達がいるようだ
 無論、中には抵抗できずに、ただ殺されるだけの者も……」
「…そういう人達をこれ以上増やさない為に、私達は此処にいるのよ!
 ここで逃げたら女が廃るわ! この町を守るのは私達よ!!」
「ちょっと無茶だけど……百花が正論だね」
「もっけけ、流石だぜ姉ちゃんよォ!」
「なんだか面白そうなの、私も最後までついてくの♪」
((頼むから帰って欲しい……))
「ん、それじゃそのぬいぐるみ邪魔にならないか? 良かったら家まで運ぶぞ」
「…? 見てるだけなら邪魔にならないの」
「いやだって、あ、しまttムゴッ」
(あんた馬鹿ぁ!?)
581 :花鳥風月 † 戦士は出会う  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 02:20:08.84 ID:KcFJLfkS0
首を傾げる月夜をスルーして、百花はジャガー人間を止めるべく走り出したのだった
が、走り始めてすぐの事だった

「………あれ?」

突然、ぴたっと百花が足を止める
視線の先には、4つの人影
内2つ、仮面を被った少年らしき人物の隣にいる少女には、見覚えがあった

「…ん、あれは…」
「おーい! あんた、本条薫だっけー!? 転校初日から教壇投げた人ー!!」
「……他人のトラウマを大声でさらっと言いのけるあいつは誰だ」

さも鬱陶しそうに呟く彼女の元へ駆け寄る4人

「ほらほらあたしあたし、って知る訳無いか話した事無いのに」
「性質の悪い詐欺か」
「あたしは紅坂 百花、あんたと同じ中央高校1年生よ
 こっちは萌黄野 風音、白鷺 玄鳥、蒼樹 月夜、皆あたしの友達よ
 ねーねーところで旦那さんは一緒じゃないの?」
「(何だこいつうるさいな…)旦那?」
「本条 雄介、付き合ってるんでしょ?」
「知らんなそんな奴」
「またまたー、恥ずかしがらなくても良いんですよ? 堂々と『ここにいる!』って言って頂いても」
「お前は少し黙ってろ」
「「「「……え?」」」」

彼女――本条 薫の隣にいた仮面の少年が口を開いた
と言う事は

「…あんた、もしかして……」
「あぁ、俺は本条 雄介、またの名をファントム!」
「うわあああああああああダッサあああああああああああい!?」
「失礼な、そんな恰好をしているお前に言われたくは無い!」
「『そんな』とは何よ『そんな』とは!? この方が正義の味方っぽくてかっこいいでしょ!?
 あたしは光の力で闇を消し去る正義の魔導少女クリムゾンブロッサムよ! あたしが正義よ!!」
「あぁ……ここまで酷くないな、流石に」
「負けた!?」
「ふふ、愛の力ですね」
「それはない」

今更だが、百花はかなりお喋りである
2分黙っているとノイローゼを起こしてしまう程、口を動かし続けていないと生きていけない体質である
故に、彼女が口を開き始めると彼女の連れは大体空気になる
582 :花鳥風月 † 戦士は出会う  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 02:20:36.99 ID:KcFJLfkS0
「始まったぞ、この間にやっぱりイルカ置いてくるぞ」
「え、でも……」
「ほら、汚れちゃうかも知れないから、ここは任せたらどうかな?」
「そういうことだぞ」
「じゃあ…お願いするの」

そして一旦風音はこの場からいなくなるのだが、それに気づく様子も無く
百花は次の獲物――パンクファッションの中性的な人物へと目を向けた

「……あー!! ね、ねぇねぇ、『カナリア』の店長さんですよね!? いつもお世話になってまーす♪」
「ん、覚えてる」
「わーお、さっすが店長! そうそう、新しい可愛い服って無いの?」
「…そんな感じの服、入荷してる」
「ホント!? んー明日にでも買いに行こうかしら」
「明日この世にいるかどうかすら分からないだろ……」

と、口を挟んだのは、百花が『店長』と呼ぶ人物の傍に立っていた青年だった
ぎろり、と暫く睨んだ後、開口一番に

「あんた誰?」
「っな、何だその言い方むかつく!?」
「だって皆知ってる人なのに一人だけ知らないとかテンション下がるしー
 っていうかあんた超ダサいし、店長さんの横に立たないでよ」

ボロクソである

「お前色々失礼だな!? というかその服こそダサいんじゃないのか!?」
「何で皆この衣装の良さが分かんないの!? 信じらんない!!
 黒タイツよ黒タイツ! 黒タイツは正義なのよ!!」
「いやその方が訳分からんし!?」
「あぁもう! 何であんたみたいな奴が店長さんと一緒にいるのよ!?」
「………家族」

ぽふ、と店長は青年の頭を撫でた
暫くその光景を見て、彼女は、

「あー、なら仕方ないですねー♪」

何故か朗らかに笑っていた

(ねーねーくろぴー、止めなくて良いの?)
(うん、逆に止めた後の方が面倒になるから…)
(止めるとうるさいの?)
(とっても)
「戻ったぞー」
「あれ、風音何処行ってたの?」
「「今更!?」」
「あぁそうそう、皆何でここにいるの?」
「「「それも今更!?」」」

計5人にツッコまれつつ、説明を受ける百花
ともあれ、百花達は4人――本条 薫、本条 雄介、獄門寺 菊、多胡 水城と合流した
今後彼女等がどうなるのか
それを知る者は……


   ...続く
583 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 02:24:48.27 ID:KcFJLfkS0
突然「あれ、雄介くんとかおるんって互いの事どう呼んでたっけ?」とか思って色々探してたらこんな時間orz
勘で探った話がことごとく外れて仕方なく台詞の改変を(ぁ

と言う訳で花子さんとかの人とDKGとファントムさんの人に焼き土下座!!orz
しかしキャラ崩壊なんてもんじゃねぇな、これは酷い(何故書いたし
修正点ございませば何なりとお申し付け下さいやせ

てか水城さんの名前が不安すぎる(←うろ覚えで書いた
584 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/10(木) 02:34:23.12 ID:KcFJLfkS0
>>572
>『人喰い蛸』と『酢で身体が柔らかくなる』の契約者で酢の物を
ちょwwwwwww

酢ダコって俺の大好物じゃないですか……腹減った(ぁ

>>574
>翌朝「あれ、なんか微妙だし縛りマンドクセ」
俺もありすぎて困る
連載『夢幻泡影』のサブタイは、当初2文字熟語で押していく予定だったんですが
僅か5話目にして挫折orz

『神力秘詞』は漢字のみ、『邪気殺し』は英語のみ、『仄暗い魂』はドイツ語のみ
『那由多斬』は日本語に英語を混ぜた駄洒落だったのを単語1+英単語2という感じのに変更
『赤い幼星』や『画竜点睛』はそもそも法則をつけようとすら考えてなかったorz
585 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/10(木) 17:22:16.22 ID:T7LqdhMS0
 人間ではなくなったその時から、己には人とかかわる権利すらなくなってしまった
 化け物になった自分
 人間の血を喰らい生きる忌わしい化け物
 そんな化け物になってしまった自分が、人間と共に生きていいはずがない
 ただ、狩られるだけの存在
 そんなものに、自分はなってしまったのだ
 ………早く、死ねば良かった
 さっさと、殺されれば良かった
 そうすれば、苦しい思いなどせずにすんだのに
 そうすれば、他の人間を巻き込まずにすんだと言うのに

 ーーーーーーー生きていて、ごめんなさい

 何度繰り返したかわからぬ謝罪
 自分は後何度、この謝罪を繰り返すのだろうか?




「大丈夫か?痛いところとか、ないか?」
「ぁ……な、ない………ご、ごめんなさい……」

 その問いかけに、彼はびくびくと震えながら答えた
 …誰とも、契約しないつもりだった
 血を飲まねば、自分は契約ができない
 だから、誰かを傷つける事になる契約などしたくなかった

 ……だと、言うのに

 今、彼の目の前にいる日本人は、自らを傷つけ、彼に血を差し出してきたのだ
 差し出された、その誘惑に…彼は、耐えきれなかった
 あぁ、自分はどこまで弱く、浅ましいのだろう

「そうか、なら、いいんだ」

 そう言って、日本人は笑う
 …結局、契約してしまったこの日本人と、「カラドボルグ」と言う剣の契約者であるらしい西洋人に連れられ、彼らが生活しているらしいアパートまで連れてこられた彼
 部屋の隅で縮こまっていたのだが、彼の契約者となった人間は無遠慮に彼の顔を覗き込んでくる
 彼の返答に、契約者は笑って
 す、と手を向けてきた

「−−−−−−っ!」

 反射的に、彼は目を閉じた
 今まで、己に向けられてくる手は、痛みを与えてくるものばかりだったから
 …けれど
 頭に触れてきた手は、ただただ優しく撫でてきて

 …暖かい

 恐る恐る目を開くと、契約者は笑みを浮かべ、彼を見つめていた

「大丈夫、怖がらなくてもいい。俺達は味方だ、って言っただろ?」
「……」

 そろり、契約者の背後にいる「カラドボルグ」の契約者に視線を向ける
 静かにそこに立ち、ただ無表情で彼を見下ろしてきていた
 何を考えているのかは、わからない

 ぽふぽふ、ぽふぽふと
 彼の頭を撫でながら、契約者は言葉を続けてくる

「そう言えば、まだ名前を名乗ってなかったね。俺は風夜。藤原 風夜だよ。で、こっちはアーサー」

 契約者…風夜の言葉に、アーサーと呼ばれた「カラドボルグ」の契約者が、ん、と頷いてくる

「それで、お前は?」
「ぇ…」
「お前の、名前は?」

 名前
 ………名前
 もう、久しく名乗っていない
 すでに風化しかけた、己の名前
 それでも、辛うじて記憶に残っていたそれを

「………ギ、ギル……………ギルベルト………」

 と、彼、ギルベルトは、口に出した
586 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/10(木) 17:23:01.14 ID:T7LqdhMS0
「そうか、ギルベルトか。いい名前だね」
「……ぁ」

 ギルベルト
 己のその名前を、自分以外の誰かに呼ばれる
 …それだけで、酷く、心が温かい

 自分は、ここにいていいはずがない
 生き続けていいはずが、ないと言うのに

 ………そう、だと言うのに
 生き続けたいと言う未練が、強くなる
 もっと、名前を呼ばれたい
 自分が独りではない…孤独ではない
 そう、錯覚できそうな気がして

「…け、契約…」
「うん?」
「……良かった、のか?………俺、などと………契約、して……」

 ぼそぼそと、ギルベルトは風夜に尋ねた
 自分のような化け物と契約して、本当に良かったのか、と
 すると、風夜は当たり前だ、と言うように笑う

「当たり前だろ。俺は、お前と契約出来て、嬉しいよ」

 笑う、笑う
 とても明るく、朗らかに、風夜は笑う
 …自分には、決して浮かべる事ができないだろう笑み
 あぁ、この人は、自分に持っていない物を持っているのだ、と、そう感じる

「わかるよ、お前との契約で、俺が得た力。お前の吸血鬼としての力を、俺も使えるんだろ?」
「…そ、そう」

 風夜の言葉に、こくり、ギルベルトは頷いた
 …契約した瞬間に、風夜にも、その情報は伝わっているだろう

 …吸血鬼としてのギルベルトは、人間と契約する事によって、己の吸血鬼としての能力を、契約者に与える事ができる
 すなわち、空を飛ぶ、蝙蝠の群れを従える、人間を超えた怪力等……
 能力は与える、しかし、弱点は与えない
 これは、恵や医者にとって素晴らしい事だろう
 まさしく、おいしいとこどりだ
 だが、もちろん制約も存在する

「…定期的に、俺の血をお前に与えればいいんだね?」
「………」

 こくり
 再び、ギルベルトは頷く

 その通りだ
 契約の証として、定期的に契約者はギルベルトに血を与えなければならない
 それを欠かしてしまえば、契約は解除されてしまうのだ

 風夜の言葉に、ピクリ、とかすかにアーサーが反応したように見えた
 が、アーサーが何か言葉を紡ごうとしたのを、風夜は制してしまう
 にこり、アーサーを見上げる風夜は笑っていた

「心配しなくてもいいんだよ。アーサー」
「…………だが」
「契約の時にあげた血の量。あれくらいでいいんだろ?」

 こくこく
 頷いて見せる
 そう、それだけの量で大丈夫
 ………だが

「…で、でも」
「うん?」
「………お前、が、傷つく………」

 肉体に傷をつけなければ、血は流れ出ない
 つまり、ギルベルトに血を与える為に、必ず風夜はその肉体を傷つける事になるのだ

 俯いてしまったギルベルトに、風夜はそんな事か、とでも言うように笑う

「気にしなくていいのに」
「……でも」
「俺は、いくら傷ついたって平気だよ。アーサーと…そして、お前を護れれば、俺はそれでいいんだ」
587 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/10(木) 17:24:00.39 ID:T7LqdhMS0
 撫でてくる手
 どうして、こんなに優しいのだろう
 今日、出会ったばかりなのに、どうしてこんなに優しくしてくるのだろう?

 ギルベルトにはわからない
 しかし、その与えられる優しさに与えられてしまう
 飢えた心は、与えられるそれにどこまでも縋ってしまう

「お前と契約できたから。俺は、お前もアーサーも護れるんだ、こんなに嬉しいことはないよ」


 …だから
 ギルベルトは気づかない
 気付けない

 風夜の、その笑みの中に
 どこか、暗いものが混じっている事に


「大丈夫だよ。俺が、二人を怖がらせるものも、傷つけるものも、全部「なかった事」にしてやるから」

 全部全部消してやるから
 そう言って、風夜は笑う

「だから、その為にも」

 囁く声
 それが、まるで麻薬のように、ギルベルトの心に
 …そして、風夜の背後に立つアーサーの心に、染み入っていく

「まずは、「組織」の強硬派と過激派を、一人でも多く始末しないとね。だって、あいつらギルベルトを怖がらせたから」

 過激派に、強硬派に追われて
 逃げて、逃げて、逃げ続けたギルベルト
 そうやってギルベルトを怖がらせたから、と風夜は言う

「…そして」

 す、と
 風夜は、ギルベルトを撫でていたのとは反対の手を、アーサーに伸ばした
 …アーサーは静かにかがむと、その手に触れる
 風夜の手は、そのままアーサーの頬をやさしく撫でた

「……アーサーの両親を殺して、アーサーを兵器として扱おうとしていたあいつらを。俺は絶対に許さないからね」



 一緒に頑張ろうな、と
 どこか無邪気に笑いながらの、その言葉に
 誘われるように頷いた









 その先に、何が待っているのかも、わからぬままに

















to be … ?
588 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/10(木) 17:26:14.85 ID:T7LqdhMS0
>>171-176の続きです
避難所の方で今月中に続き書くって言ってたので
ノルマ達成なの

とりあえず、名前判明とかそこら辺
風夜は強硬派と過激派が大嫌いみたいです
アーサーもそこは同じです
ギルベルトは、風夜とアーサー以外がただただ怖い状況です
ぶっちゃけ、アーサーの事もまだちょっと怖いです
589 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/10(木) 19:32:41.62 ID:iTo7gmg20
シャドーマンの人様に乙言い忘れてた、乙でしたの〜!
まぁ、水城はファッションとか気にしないタイプですから!
それと、苗字は確かそれであってる

>>571
>ああ接触してみたい
接触してもいいのよ
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/10(木) 20:35:02.49 ID:WOQrChF+o
乙でした
裏がありそうだけどもこれが吉と出るのか凶とでるのか……
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/10(木) 21:15:40.38 ID:iTo7gmg20
>>590
>裏がありそうだけどもこれが吉と出るのか凶とでるのか……
風夜「裏なんてないよ。俺はいつだって正直者なんだから」(笑顔

作者的には凶に出る予感しかしません、先生
592 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/11(金) 00:03:05.70 ID:dyC7/tOo0
「……さてっと!真面目な話終わりっ!」

 ぐぐぅ、と背伸びする風夜
 元々、真面目な話は苦手だ
 頭が悪い訳ではないのだが、真面目な話は性にあわないらしい

「さて、そろそろ寝ようか」
「………その件だが」

 と、沈黙を守っていたアーサーが、ぼそり、口を開いた
 どうした?とアーサーを見上げ、風夜は首をかしげる

「……………この部屋には、ベッドが二つしかないんだが」

 そう
 元々、このアパートの一室は風夜とアーサーが二人で使っている部屋だ
 ベッドは、二つしかない
 客室なんて存在しない
 ついでに言うと、予備の布団も、ない

「ぁ…………俺、は、床で構わな………」
「それじゃあ、三人で一緒に寝ようか」

 ギルベルトが、ぼそぼそと、床で寝る事を申し出ようとしたのだが
 …その言葉は、風夜の言葉によって、遮られた

 え、と
 びくり、体を震わせ、驚くギルベルト
 アーサーは……予想の範疇の答えだったのだろうか
 はぁ、と小さくため息をついている

「…どちらのベッドも、大の男三人で寝るには狭い」
「二つのベッドくっつけりゃいいじゃん」

 すくり、立ち上がる風夜
 よっ、とベッドを移動させる

「おぉ、流石吸血鬼の腕力。軽い軽い」
「………」

 …そんな事で、能力を実感していいのか
 そうとでも言いたげな表情をしているアーサー
 ギルベルトは、まだ理解が追いついていないのだろうか
593 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/11(金) 00:03:46.29 ID:dyC7/tOo0
 座り込んだままおろおろした様子で、風夜とアーサーを見上げている

「…ぇ……あ、その……」
「さ、一緒に寝ような、ギルベルト」

 二つのベッドをくっつけて
 にんまり、笑う風夜
 …どう、答えたらいいのか
 わからずに、ギルベルトはおろおろする

「……い、一緒、に、寝ても……面白く、ないと、思うが……」
「?いいじゃん。俺はアーサーと一緒に寝たいし、ギルベルトとも一緒に寝たいよ。俺が真ん中で寝れば、両手に花っぽいし」
「……りょうて、に、はな?」

 …それは、どちらかと言うと、男が美女二人をはべら貸している場合に使う言葉、では
 さらにさらに、理解が追いつかずにいるギルベルトに……アーサーは深くため息をつきながら、告げる

「……………こいつの、この手の事に関する思考は、理解しようとするだけ、無駄だ」
「えー、二人とも可愛いんだし、花であってるだろ」
「……かわい、い?」

 …可愛い、と言う言葉は、通称女子供相手に使う言葉であり
 間違っても、自分のような大柄な男に賭ける言葉ではない
 ギルベルトは、そう考える
 間違っても、自分は童顔ではないし、可愛い部類ではない
 そして……アーサーも、お世辞にも、そう言う部類ではないだろう
 17、8歳くらいと言ったところだろうか
 すらりと背の高い彼は、筋肉もしっかりと憑いた体格をしており、世間一般でいう「可愛い」には値しないだろう
 だと、言うのに

「二人とも、可愛いよ」

 と
 風夜は、当たり前のように、そう言ってきて
 ……アーサーの溜息は、どこまでも深かった

「………お前は、いつか本格的に脳の検査を受ける事を勧める。もしくは眼科に」
「俺は、強硬派とか過激派とか…あとQNoやFNoの狂科学者連中なんかと違って正常だよ。あと、両目とも1,8だから」
「…………」

 諦めたような、アーサーの溜息
 そして…く、と
 風夜が、ギルベルトの手を掴む

「………ぁ」
「さ、一緒に寝ような。みんな一緒の方が温かいし」

 と
 半ば強引に、ベッドに引きずり込まれたのだった



終われよ
594 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/11(金) 00:05:09.94 ID:dyC7/tOo0
さっきの話のオマケ
風夜は真剣に脳の検査を受けるべきだと思います


そして、鼻風邪超ぶりかえし状態で大変な事なってるので寝る、おやすみなさーい
595 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/11(金) 12:26:10.12 ID:/d9Phx+20
ふと夜中に目を覚ましたギルベルト
しかし暗がりに彼が見たものは
にゃんにゃんやってる風夜とアーサーだった
ギルベルトは震えながら狸寝入りした

という妄想を真っ昼間から仕事場でお送りしております(
花子さんとかの人乙です〜
しかし流石は風夜くん、これは変態四天王ができそうな
風夜くんとサンジェルマンと宏也さんとマゾサンタで
596 :単発ネタ [sage]:2011/11/11(金) 19:21:32.68 ID:Q/vQ2AxSO
都市伝説と契約した者は、特殊な能力を得、都市伝説と戦える同等の力を持つようになる。
もちろん、例外として、戦闘以外で役立つ能力や、そもそも何に使えば良いのか分からない能力を得る場合もあるが。
しかし、多くの場合はその辺の都市伝説なら簡単に勝てる程度の能力は手に入る。
少なくとも、その青年は口裂け女に負けた事はなかった。

時は深夜。
敵は口裂け女。
場所は近くのマンション住人の為の駐車場。
『当たり屋グループ』の契約者であり、複数の車を操作する能力を持つ青年にとって絶好の場所。けれど……、
「あぁ……欝陶しい……」
エンジンを限界まで回し、時速200キロ以上で走行する2台の車。それを口裂け女の左右から突っ込ませた。
その結果が、その2台を片手で受け止めている口裂け女の姿だった。
「なんだよ、これ」
そもそも、襲ってきた時からおかしかったのだ。口裂け女にも関わらず、「私、きれい?」とも聞かず突然襲ってきた。
口裂け女対策に持っていたべっ甲飴に見向きもせず、ポマードと唱えても無視した。
何か変だ。青年はそう感じ、駐車場にある全ての車を口裂け女に向けて発車させ、自分の乗っている車を反転、口裂け女から逃げた。
「逃げるのか……」
そう呟く口裂け女の背後から、高速で1台の車が突っ込み、轢いた。
「あ……」
跳ね上げられ、空を舞う身体を次の車が跳ね飛ばした。
「よっし!」
その様子をバックミラーで確認しながら、青年は駐車場を出た。
そして、ぶつかり合う車。ぶつかり合い、車体を傷つけ、いくつかの車からガソリンが漏れだす。
そして、引き起こされる、大きな爆発。
597 :単発ネタ [sage]:2011/11/11(金) 19:22:09.26 ID:Q/vQ2AxSO
「何だったんだ、あれは」
駐車場から持ちだした、自分の物ではない車を運転しながら、青年は呟いた。
「この車は……まぁ良いや。その辺に棄てとけ…………ば……?」
ふと、窓の外を走っている存在に気がつく。
傷一つ無い、白いワンピースの、大きく口の裂けた女。
「…………っ!!」
その存在を認識すると同時、青年は車の速度を上げた。
口裂け女は100メートルを3秒で走る。時速約120キロ。それ以上の速度なら逃げられると判断して。そして
「…………は?」
その口裂け女が普通でない事を忘れて。
時速140キロ、隣を走る口裂け女の腕が、車の窓をぶち抜き、その手の鋏が、青年の喉を切り裂いた。

「あー、いたいた」
「遅いぞ……何してた……」
運転手の死んだ車にもたれ掛かり、眠っているようにじっとしていた口裂け女に、一人の男が近づいた。
黒い衣服に、サングラス。組織所属の黒服。
「いやいや、駐車場での爆発の片付けがね。まいったよ本当、何度言っても派手な戦いするし、車盗むし、困った契約者だよ。だから殺されるんだよ。
 いやいや、過激じゃないよ?これでも再三の注意を無視したのはあっちだしね、我慢に我慢を重ねたんだしね。あ、これ今回のターゲット?うわぁ、また容赦なくやったね、本当、人間が嫌いだね君は」
ここまで、長々と喋り、黒服は一息いれ、
「………………で?」
そう言った。
「たまに……自分が自分でなくなる……自分が……よく分からなくなる……黒服……」
「はい?」
「私は……口裂け女だな……?」
「そうですよ。まあ、『ターボババア』の速度や『鬼』の力や『ロールスロイスは壊れない』の頑丈さとか、色々入ってますが」
それは一つの実験。都市伝説に別の都市伝説を加える実験。都市伝説の長所を集め、短所を無くし、強い都市伝説を造る。
もっとも、自身の情報が重要な物となる都市伝説にそんな事をすればどうなるか。
「今の実験結果では一週間が最長記録ですね。一つの都市伝説として形を保てたのは。初期の頃は一瞬で駄目になってましたから、少しは進歩したんですけどね」
「知ってる……だから……次の仕事を……早く……」
「仕事熱心ですね。そんなに人間殺したいですか?いやはや、無関係な一般人とか襲わないで下さいよ?あ、こちら仕事の資料です。
 その仕事の後に[ピーーー]予定の契約者のリストもあるんで時間許す限り頑張ってください。一応言っておきますけど、穏健派のボンクラに見つかったらないようにお願いしますよ」
「[ピーーー]……全部……敵……人間は……契約者は……協力する都市伝説も……私達を攻撃する……敵」
黒服の言葉を聞いているのかいないのか、資料を受け取った口裂け女はフラフラと歩きだす。
敵を[ピーーー]為にこの実験の被験者になったのだ。自分が消える、その時まで、敵を[ピーーー]為、歩きだす。
「まあ、実験の前はそんな事言ってなかったけどな」
ただ組織を正しいと信じていただけの、『満月の夜は犯罪が増える』の情報が混ざってから、おかしくなってしまった口裂け女を見ながら、
黒服は静かに呟いた。

598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/11(金) 19:33:36.16 ID:Qp6LTPCm0
>>595
>という妄想を真っ昼間から仕事場でお送りしております(
真昼間から何やってたんだよwwwwwwwwwww

>しかし流石は風夜くん、これは変態四天王ができそうな
風夜「俺は変態じゃないよ、自分に正直なだけだよ」
 ただ、脳の検査は受けるべきかもしれません
 もしくは、「可愛い」の定義について裂邪辺りと小一時間話し合って来い
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 23:19:03.48 ID:fJoHzOkDO
皆様投下乙ですー
ギリーかわいいよギリー

>>594
>さっきの話のオマケ
「さっきの話はオマケ」に空目して
さすがは花子さんの人!こっちが本編とは恐れ入ったぜ!
とか思ってごめんなさいでも花子さんの人ならあながち間違ってないと思(真っ二つ)
600 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/12(土) 00:42:01.32 ID:og6Wk72c0
「……いやー驚いたね。まさか本条薫が都市伝説だったとは」
「俺みたいに純粋な都市伝説が入学するのは、珍しいみたいだからな」
「っていうか何? 本条雄介ってそれ本当に変身してんの?」
「ああ、詳しいやり方は教えないし、できないしな」
「『カナリア』の店長さんも契約者というのもねー……驚きました」
「そう」
 イタイ同級生――――百花のガトリングのごとくしゃべる口に、薫――――DKGは嫌気がさしていた。
 ぶっちゃけに言ってしまうと、雄介――――ファントムだけでもうるさいというのに、それ+αというのは耐えきれない。
 百花の友達と思える者達も、遠い目でどこか別の場所を見ている気がする。
「でも蛸さん。その服装はどうかな?」
「俺だけ蛸扱いか!?」
 そのお陰というのか、水城という男は、どうやら不遇な扱いを受ける男という事もわかった。
 そんな事を考えていると、民家の上から、殺気を感じた。
 いち早く菊、DKG、ファントムが視線を殺気に向け、他の者達も視線を上げ、最後に「ほぇ?」と百花が見上げる。
 その目に焼きついたのは―――――ジャガー人間達が屋根から飛び降りる光景だった。
「失せろ」
 DKGは素早くブローニングM2重機関銃を両手で構え、ジャガー人間達をハチの巣に変えていく。
 幸い、屋根から襲ってきたジャガー人間達は少数なので、30秒もせずに終わった。
「それ、本当に能力なのか?」
 風音があっけにとられた顔で聞いてくる。
「ああ、ある程度の武器とかなら出せる。やろうと思えば、機動戦士を発進させたりできるしな」
「じゃあ!! プリキュアとか出せる!?」
「そんなの俺が知るか」
「そんなー!?」
 突如目の色を輝かせた百花は、絶望に満ちた顔で膝をつく。
「ところで水城」
 ファントムはそんな光景には興味が無いらしく、水城に声をかけた。
「待て、お前若の後輩ならまだ俺より年下だろ? さんぐらいつけろ」
「おい蛸さん」
「俺は蛸で固定か!?」
「アンタ組織の一員だろ? 情報とかは届いてないのか?」
「す、スルー!? ……まあいい。ってん? 何で俺が組織の一員だと知っている? 話したか?」
「いや、俺は組織にコネがあるんでね。組織の一員は、ある程度把握できる」
「……お偉いさんか?」
 水城は驚愕のあまり、よろめきながらファントムを呆然と見ている。
「いや、組織には入ってないからな。むしろ同盟を結んでいるといった方がいいか? ……まあ、優遇されてるだけで、関係はアンタと似たようなもんだが」
「そ、そうか。No,0だったらどうしようかと冷や汗かいた」
 どこか安心している水城は、ゆっくりと息を吐いた。
601 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/12(土) 00:42:41.89 ID:og6Wk72c0

「で? 情報は?」
「お前の方はどうなんだ?」
「ケータイ忘れた」
「……今の世の中の若いもんが、ケータイを忘れる事ってあるのか」
 別の意味で驚きながらケータイを開く水城。その途端、眉間にしわが寄る。
「どうした?」
「……組織からじゃないが、こんなメールが送られてきた」
 そのメールの内容とは、
『ジャガー人間は、マタタビをやると帰っていく』
 というものだった。
 それを呼んで、ファントムは仮面の下で、ニヤリと口をゆがめる。
「……成程。俺がよくやる手だな」
「どういう事だ?」
「俺は説明が下手なんだが、それを承知で聞いてくれ」
 わかった、と水城は頷くと、ファントムは話を進める。
「いいか、マヤの予言というのは都市伝説だ。このメールは、ジャガー人間の設定の後付けだ」
「後付け?」
「そうだ。都市伝説というものは、人のうわさで作られる。ジャガー人間はネコ科……そこから関連付けて、できるだけ信じやすいものを世界中に流しているんだろう」
「……だからこんなメールを送っているのか」
「これで一般人の逃げ場は確保されたも同然。俺達の勝負も一気に優劣が決まる」
 ファントムと水城はニヤリと口をゆがめながら、目を歓喜で輝かせる。
「ファントムって呼べばいいのか?」
「今はそう呼んでくれ。その方が、俺の存在も微々たるものだが強くなる」
「ならファントム……マタタビ持ってるか?」
「俺は持ってないが……」
 そう言ってファントムは月夜を見上げると、三つの影が見えた。
 二つはジャガー人間、そしてそれを担いでいる残りの影――――ファントムだった。
「今の話を聞いている間に分身を作り出して、回収させた」
「ジャガー人間まで持ってくる意味は無いだろう?」
「いや、あるじゃないか」
 仮面の大きな青い目は、ブォンと静かに青く光る。

「ジャガー人間にマタタビ与えて、『マヤの予言』の本体まで、道案内をさせるのさ」

 to be ・・・
602 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/12(土) 00:47:19.90 ID:og6Wk72c0
さて、花子さんの人とシャドーマンの契約者さんに身体裂きながらの土下座。

『ジャガー人間は、マタタビをやると帰っていく』
というのは勝手に考えました。まあ過程でこんな話があってもいいんじゃないかと思ってやりました。
ここからの行動は、お二人に任せまーす。

それと、ファントムは普段はクールな話し方、薫の前では敬語でお願いします。
雄介に戻った場合は基本敬語で。

ちなみに、今待機している場所は中央高校付近と考えています。
603 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/12(土) 00:49:27.09 ID:vNi6HoUk0
単発の人乙です〜
マッドサイエンティックな感じね
都市伝説の強制融合か…成功したらすげぇよなぁ
604 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/12(土) 01:00:49.87 ID:vNi6HoUk0
うっぷす、タイミング悪かったorz
DKGとファントムさんの人乙です〜
ほう、道案内と来たか
妨害を入れるなら今がチャンスかな(ニヤリ

>>602
> それと、ファントムは普段はクールな話し方、薫の前では敬語でお願いします。 雄介に戻った場合は基本敬語で
なかなか難しくて書き甲斐があったぜ
口調が時と場合で果てしなく代わり続けるうちのロリコンより難しかった(ぇ
605 :毒に紛れる毒 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/12(土) 01:01:56.41 ID:7jRkyw2Oo
「おかーさーん、百華ちゃんが泣いてるー」
「おむつ確認してあげてー。そうでなかったらお腹空いてるんだと思うからちょっと待ってねー」
「うわ、いっぱいしてたー!」
「佳奈美、替えてあげれるー? 無理そうならお母さんがやるから、転げ回らないように見ててねー」
「はーぃ……にゃー!?」
「あらあら、そんな調子じゃダメよ、佳奈美。あなたもすぐにお母さんになるんだから」
「まだだよ!? 宏也さんとは卒業するまでそういう事しないんだからね!?」
「それじゃあ3月に卒業式で、新年には初孫ね♪」
「それ早いよ!? 色々早いよおかーさん!?」
「あら、宏也くんもずっと我慢させたままなんでしょう? だったらすぐよ、きっと」
「生々しいよおかーさん!? それより百華ちゃんのおむつー!」
「しょうがないわねー、ここはお母さんに任せて。あなたは手を洗っていらっしゃい」
「うにゃー……」

 どたばたと慌ただしい逢瀬家の2011年10月28日は、ただただ平々凡々に過ぎていく
 その裏で
 破壊と殺戮のために
 人型をした獣の群れが町を駆け回る
 統制も秩序も無いその動きは、人類を、文明を蹂躙し全てを滅ぼそうとするもの
 だが、この一角だけは
 間違いなく意思か目的を感じさせるように、獣の群れは殺意と破壊衝動を一点に向けていた
 逢瀬佳奈美という少女、ただ一人に

―――

「ここから先は通行止めだ! 一歩たりとも進むんじゃない!」

 黄金色に輝く光の壁に捕らわれて、まともに動く事もできず唸り声を上げるジャガー人間の一団
 だが塀を、屋根を、仲間の背を踏み台に、数と速さを武器に駆け回る相手には、言葉を使い一手遅くなる星の能力は分が悪かった
 突破を目的としていたかのような集団の中から、鋭い爪をぎらつかせた一体が星の背中目掛けて飛び掛った
 が、その身体がアスファルトを突き破り生えてきた樹木の枝に絡め取られ、あっという間に拘束される

「油断してはいけません!」
「悪ぃ、助かった」

 見れば、既に数匹のジャガー人間が樹木に取り込まれており、その姿はさながらバイオベースといった有様だ
 とん、と星の背中に背中を合わせ
 ニーナは首から下げた十字架に祈りを捧げる

「主よ、大切な人を守る力を。私だけではない、万人の大切な人を守る力を、どうか」

 磔刑の十字架の材料となった事を嘆き悲しみ、細く折れ曲がった幹となったドッグウッドの木
 本来のその姿は大きく、そして強固であった

「はは、こりゃ後始末が大変そうだ」
「後の事より、今の事デス!」
「確かにそりゃそうだ!」

 そう言って星は、ドッグウッドの幹にそっと手を触れる

「ニーナの祈りを、より強く、より確かなものに!」
「聖人が咎を引き受け守りたもうた子羊を、今一度守りたまえ!」

 優しい黄金色の輝きに満ちたドッグウッドの木は、幹を伸ばし枝葉を伸ばし、星の力を広く遠くへと伝えていく
 ドッグウッドの木が押さえ付けていたかのように、黄金色の光がジャガー人間に絡みつきその動きを止め
 異文化の、異教の存在であるにも関らず、浄化されるように黄金色の光と同化して天に昇り散り消える

「真っ直ぐな心ってのは本当に強いな。俺も見習わなきゃ」

 そう呟いた星の姿は、普段より僅かに幼く見えた
 内包した力を消費し続け、本来の小学生である姿に戻り始めているのである

―――

 一抱えほどもある、糸をねじり合わせて作ったような巨大な拳
 繰の髪の毛による一撃は、ジャガー人間の顔面を容易にひしゃげさせ、アスファルトに叩きつけて粉砕した
 伸ばし、捻り、織り合わせ、更に伸ばし、いくつもの巨大な拳を振るう繰

「後ろにまだ控えがいるとはいえ……一匹たりとも逃がすつもりは無いんだから!」
606 :毒に紛れる毒 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/12(土) 01:02:27.05 ID:7jRkyw2Oo
 髪の毛の拳で地面を打ち、電柱を掴み、屋根を駆け、迫り来る獣の群れを次々と捻り潰していく
 それでも数と速度で攻め立てられ、その目的が繰ではなくその場の突破である以上、どうしても討ち漏らしが多くなる
 苛立ちと焦りが募る中、パーカーのフードに収まっていた菊花がぺしぺしと首筋を叩く
 即座に身を捻る繰だが、既に眼前まで迫っていた鋭い爪が、繰の髪の生え際を掠めて斬り裂いた
 本体から切り離され、力を失い元の長さに戻った髪が、風に吹かれてはらりと宙を舞う

「あっぶな……脳天抉りにきたわね、このクソ猫」

 ばっさりと切り落とされた髪を撫でながら、繰はぎりと歯を食い縛る
 髪自体は僅かにでも残っていれば自由に伸ばせるので、戦闘には問題は無い
 ただ、突破を目的としながらも時折こうして仕掛けてくる相手がいるという現実は、繰の攻め手をどうしても鈍らせる

「ったく……前の担当もそうだったけど、怪我をして心配される相手がいると……どうもね」

 脳裏に浮かぶのは、いつも不安そうにあたふたとしているディランの顔

「こんな事してるのを知ったら、佳奈美なんか泣きそうよね。まあ教えないけど」

 髪を切り飛ばし一撃翌離脱で逃れようとしたジャガー人間を、即座に髪の腕を伸ばして掴み、絞る
 ぶちぶち、ごきりと千切れ砕ける音が、髪の毛越しに頭骨に響く

「なるたけ数を減らすから、あとは一匹たりとも討ち損じるんじゃないわよ」

―――

「まあ、数が少なければ心配無用ではありますが」

 逢瀬家の屋根の上に座り込み、蒼白く燃え盛る鬼火に囲まれたA-No.18782が不安げに唸る

「あれ全部来たら、沈む仲間を踏み台にして無理矢理突破されちゃいますねぇ……くわばらくわばら」

 A-No.18782の『ウィル・オー・ウィスプ』は、鬼火を見てそちらへと進むものを沼化した地面に沈ませる
 逢瀬家の屋根の丁度真ん中で能力を発動させた現状、逢瀬家に向かうジャガー人間は必然的にそれを視界に捉え沼に沈んでいく事となる

「まさか実戦で、最終防衛ラインに使われるとは……私、保身のため以外に使うつもりゼロだったんですけどね」

 町のあちこちで戦闘に駆り出されている黒服達がいる手前
 何故か標的にされた少女、それも『組織』所属の契約者がいる以上、防衛に適した能力を揮わないわけにはいかなかった

「勘弁してほしいですよ、私はデスクワーク派なんですから」

 ジャガー人間が一匹、また一匹と防衛ラインを突破してくる様子に、A-No.18782は溜息を漏らす
 ずぶりずぶりと、沼のように液状化したアスファルトに沈んでいくジャガー人間を眺めながら
 それが沈み切るまで新手が来ない事を、ただ祈る

「しっかし……そんなに重要人物とか、そういうもんじゃないはずなんですけどね、逢瀬さん。『[禁則事項です]事件』のアレで危険視でもされてるんですかね?」

―――

「毎度の事ながら……あいつは何でこう、色々狙われるんだ」

 やや呆れ顔で溜息を漏らしながら、宏也はサングラス越しにジャガー人間達を睨みつける

「その辺、何か知らないかお前ら」

 だが宏也の問いに人語の答えは返ってこない
 唸り声と咆哮を吐きながら、ジャガー人間達は宏也を避けて散開し

「おいおい、もうちょっと落ち着いて話ぐらい聞いていけよ」

 獣の俊足で駆け抜けようとしたジャガー人間が、そのままの勢いで空中で細切れとなり、ばらばらと血煙と共に撒き散らされた

「慌てる奴ぁ……長生きできねぇぞ? まあ佳奈美を狙っている以上、慌てなくても長生きさせるつもりは無いがな」

 誰も語らず、誰も知る事は無かったが

 一部のジャガー人間が『偶然』に都市伝説や契約者よりも、一般人の女子供とより多く出会っていた事を
 殺戮の上に嗜虐を乗せて味わう切っ掛けをより多く与えられていた事を
 それに引き摺られるように足並みを揃えるジャガー人間が多かった事を
607 :毒に紛れる毒 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/12(土) 01:03:12.50 ID:7jRkyw2Oo
 たまたま都市伝説や契約者の足が向かなかった場所に
 たまたま都市伝説を認識しやすい一般人が踏み込んでしまった場所に
 たまたまジャガー人間達の足が向けられていた事を

 それは、始まりは一枚の枯れ葉だったり
 一つのひしゃげた空き缶だったり
 路上に転がる小さな石ころだったり
 小さな小さな一匹の虫だったり
 一迅のそよ風だったり
 ほんの僅かないらつきだったり
 ほんの少しの悲しみだったり
 そういったものが積み重なって、ドミノ倒しのように訪れた結果の一つ

―――

「さて、と」

 あちこちで戦端が開かれている様子を、マンションのベランダから眺めながら
 羽鳥はペットボトルのお茶を手に、楽しそうに笑っていた

「ご機嫌だね、羽鳥」

 羽鳥の後ろ、リビングのソファに座った『友達』も、つられたように楽しそうに微笑む

「ああ、ご機嫌だとも、僕の『友達』」

 人間と都市伝説を引き合わせる『友達』と、本当の意味で友達である男は、視線を町から逸らさずに囁く

「まだ地球も人類も滅びないだろうけどね。個々の人間という世界は、いくつも滅びていくんだ。その為にたくさんのドミノ牌を並べてきたんだしね」
「原稿もいっぱい書いたしね」
「そりゃ勿論。1999年のアレは本当に羨ましかったからね。僕も色んなところに寄稿して、今日という日を世に知らしめるために頑張ったんだから」

 頑張って夏休みの宿題を終わらせた小学生のように、屈託のない笑顔で自慢するように語る羽鳥

「あれは色々派手だったからねぇ」

 その時、向かいのマンションの屋上から跳ね、葉鳥に迫るジャガー人間
 ちらりと視線を向けただけで、まるで気にした様子もない葉鳥に、『友達』はやれやれと肩を竦める

「ねえ、知ってる? 『ノストラダムスの大予言』って話」

 ソファに座っている『友達』が、ジャガー人間の耳元で囁いた
 次の瞬間、飛来した自動車ほどの大きさの隕石がジャガー人間に直撃して挽肉にすると、地面に落ちる前に消滅する

「終末思想好きだよね、人間って。聖書の頃からあるじゃない」
「世の中は不満を持った人間ばっかりだからね。世界を全部巻き込んで滅びたいって傍迷惑な思考は心の奥底に満ち満ちているのさ」
「年がら年中世も末だねぇ」
「そんな人達に滅亡論を知らしめれば、その力はきっと強くなる。まあそれでも未然に防がれるんだろうけど……それでも、何処かで誰かの世界を終わらせられる可能性は高くなる」
「君が終わらせたいのは、あの逢瀬佳奈美っていう娘の人生だけだろ?」
「それは心外だな」

 視線は外の騒乱に向けたまま

「逢瀬佳奈美は、一番食べたいとても美味しいデザートみたいなものさ。でもデザートを一品食べるだけじゃ、お腹一杯にはならないだろ?」

 楽しそうに
 とても楽しそうに
 待ちわびたデザートを口にできる事を待つ少年のように
 期待に満ちた顔で微笑んでいた
608 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/12(土) 01:08:05.76 ID:7jRkyw2Oo
各方面に向け全方位土下座の体勢を取りつつ
町の極一部の様子なんかをちょっと書いてみましたとさ
彼ら彼女らの戦闘は盛り上がるわけでもなく、事件の収束に応じて普通に三々五々片付きます(爆)

佳奈美は騒動が起きても気付かないまま結構な人に守られてますよ、みたいなお話で

あと葉鳥は当然ながら事件の黒幕ってわけじゃなく
でかい川から勝手にこっそり水引いてるだけ、みたいな感じで
609 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/12(土) 01:55:01.64 ID:vNi6HoUk0
「恐怖の大王」の上位互換が遂に来たか……それとも単なるミスリードか……
久しぶりの菊花たんはかぁいいな、ペロペロしたいな(
そして逢瀬家に二世がwwwおにゃのこかな、読みは何だろう
610 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/12(土) 01:55:56.75 ID:vNi6HoUk0
三面鏡の人乙です〜
を書き忘れorz
611 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/12(土) 02:04:04.60 ID:7jRkyw2Oo
>>609
> 「恐怖の大王」の上位互換が遂に来たか……それとも単なるミスリードか……
予言解釈全般を扱いますのでかなり活用範囲は広いです
ただ『友達』は都市伝説なら何でも使えるので、これ自体は話の流れでたまたま使っただけだという

> 久しぶりの菊花たんはかぁいいな、ペロペロしたいな(
いるけど自己主張をしてない場合も多々ありますww

> そして逢瀬家に二世がwwwwwwおにゃのこかな、読みは何だろう
百華で『ももか』です
おばあちゃんが万華(ばんか)だったのでそこからもらった感じで
612 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/12(土) 02:06:34.44 ID:4Mx5MkLAO
単発の人乙です
こーゆーブラックなSFみたいなの大好きです

DKGとファントムさんの人乙です
一気に敵の心臓部に切り込みですか!

三面鏡の人乙です
トリックスターktkr
613 :死神少女はキウイフルーツの幻想に浸る ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/12(土) 02:09:43.45 ID:4Mx5MkLAO
「…という訳で、ジャガー男とやらに対抗する為に
 マタタビ科植物を学校町の各所で燃やすオフが開かれるそうなんです」
「へぇ、マタタビねえ」
 各々がそれぞれの興味の度合いに応じた表情で、極の携帯を回覧している。
「『マタタビ科植物』という事は、マタタビだけではないという事か?」
「キウイフルーツとかもそうらしいよ」
「えーっ!?キウイおいしいのに燃やしちゃうの?」
 ムーンストラックと柳の会話にノイが割り込んだ。
 もったいないじゃんとしきりにキウイの運命を憂いている。
「果肉は食べて皮だけ燃やせばいいじゃない」
 パンがなければケーキを食べればいいじゃないといった気楽さで、
 極の携帯をちゃかちゃかといじりながら飛縁魔が言ってのけた。
「飛縁魔さん、一体何を…」
 暗に勝手にいじくり回すなと非難しつつ、極が携帯に手を伸ばす。
「さあてっ、行くわよ!」
 高らかに宣言し、飛縁魔が極の携帯を座布団の上に放った。
「行くって何処へ?」
 彼女が何を考えているのか感づきつつも、一同を代表して柳が問うた。
614 :死神少女はキウイフルーツの幻想に浸る ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/12(土) 02:10:41.75 ID:4Mx5MkLAO
「決まってるでしょーが、こんな面白そうなイベントにノらないテがある?」
「ちょっとちょっと!」
 今しも玄関に向かいかけた飛縁魔を慌てて柳が制止した。
「もちろんお嬢ちゃんは行くわよね?」
 キウイ食べ放題よと脳内ソースだけの情報で煽られて、ノイは一も二もなく賛成した。
「今外に出るのは危険だ。俺は反対だ」
 そうムーンストラックが異議を唱える間にも庭先に乱入した数匹のジャガー人間を、リジーが素早く斧を振るって屠る。
「うちにいても、危ないのは同じだよ」
 あいつらを退治できるならやってみようよとノイが保護者の袖を引いた。
 先日の騒動でノイが死神を発動させて以来、過保護の虫が疼いていた彼ではあるが、
「こないだの事心配してる?みんな一緒だし、あたし頑張るから!」
 止めても無駄どころか目の届かないところへ飛び出しかねないと悟ったムーンストラックは渋々立ち上がり、
 ノイちゃんが行くなら俺もと柳が上着を手に玄関へ出た。
「イベント事には興味ありませんが、マタタビの効果は気になりますから」
「私がイタル様をお護りする」
 なーんだ全員行くんじゃないのと言い出しっぺはによによ笑いながら一同を見渡した。
「早く行こうよ!どこでやるのー?」
「ちょっと待って…東区の中学校と墓地、西区工業高校、南区商業高校と、北区の神社ですってよ」
「飛縁魔の所にも、メール来てたの?」
 いいなああたしもケータイ欲しいなあと、ノイがさも羨ましげに彼女の携帯を眺める。
「さっきイタルの携帯から転送したのよ」
 会場入りするまでどうやってこれをバラまいてやろうかしらねと、飛縁魔は愉しげに笑った。
615 :死神少女はキウイフルーツの幻想に浸る ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/12(土) 02:12:03.08 ID:4Mx5MkLAO
 東区の墓地、マタタビ作戦オフ第二会場にて。
「「「ババリバリッシュ!!!」」」」
「きゃあああっ!」
 艶やかな黒髪をショートカットにしたブレザー姿の少女が、悲鳴を上げながら四体のジャガー人間を斬り伏せた。
 その間、十秒足らず。感嘆すべき腕前ではあるが…
「怖いのもうイヤぁ!緋色ちゃん助けて〜」
 どうやら剣の腕に見合わない根性なしらしい少女は、自らが緋色と呼んだ、
 ウサ耳の付いた黒いパーカーに赤いミニスカート姿の少女、赤坂緋色(あかさか ひいろ)を振り返った。
「あたしも手一杯!」
 緋色は手短に怒鳴ると、しばしの間瞳を閉じて集中に入る。
 頭上が薄暗くなったのを見てとったブレザーの少女、
 赤坂紫(あかさか ゆかり)が慌てて緋色に駆け寄る。巻き添えになるのを防ぐために。
 やがて、ざああという豪雨のような音と共に、二人の周囲を除いた数十メートル四方に
 ゴルフボール程もある雹が降り出し、ジャガー人間たちを打ち倒して行った。
 緋色は「HAARPは気象兵器」と契約している。局所的に気象を操作することの出来る能力だ。
 わずか数十秒で、墓地の周辺に彼女たち以外に動くものはなくなっていた。
「緋色ちゃん」
「何よ」
「巻き添えになってる人とか、まさかいないよね。近くの家とか、車とか大丈夫だよね」
「だっ…だいじょーぶよ!」
 緋色の頬に一筋の汗が伝ったのを、紫は見逃さなかった。
「今なら何があっても、全てあのジャガー男のせいだから!!」
「…こんなんで、オフ会が終わるまで、会場を守りきれるのかなあ」
 イヤな予感しかしないなあ。双子の姉ほど強くも図々しくもなれない少女は、そっと溜息をついた。


続く
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/12(土) 15:22:00.36 ID:6RXiYgGO0
皆さまおっつー!
っふ……水城は後で菊にたっぷりいい子いい子してもらおうね
あぁ…羽鳥さん見てると地べたに這いつくばらせて踏みにじってやりたいと言う衝動が………そうか、これが恋(違います



>>599
>とか思ってごめんなさいでも花子さんの人ならあながち間違ってないと思(真っ二つ)
無茶しやがって……
そして、俺の事なんだと思ってるの!?wwwwwwwww

>>602
>というのは勝手に考えました。まあ過程でこんな話があってもいいんじゃないかと思ってやりました。
イエッサーですの
617 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/13(日) 09:24:19.55 ID:cLEEZACb0
鳥居を探すの人乙です〜
今回もノイノイの可愛さに磨きがかかってる……ウヒヒ、ノイノイペロペロ(
そして新キャラきたー! HAARPはいつか誰かが使うと思ってたぜ
紫ちゃんの都市伝説にwktkせざるを得ない

>>611
>ただ『友達』は都市伝説なら何でも使えるので、これ自体は話の流れでたまたま使っただけだという
あぁ、なるほど
「友達」さんの思惑は気になる所だな……

>百華で『ももか』です
それは是非コラボしてみたい

(百花>えへへ、読みだけでも一緒だと照れちゃうね///
(風音>呼ぶ時面倒だぞ
(百花>変な時だけ現実的になんないでよ!?

>>616
>そして、俺の事なんだと思ってるの!?wwwwwwwww
はっはっは、それは勿論(ここから先は血塗れで読めない
618 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/13(日) 15:52:25.55 ID:cLEEZACb0
ところで亀レスだけど

>>598
> もしくは、「可愛い」の定義について裂邪辺りと小一時間話し合って来い
(裂邪>ミナワ以上か以下か、それだけだな
    俺はミナワより可愛い者に出会った事が無いから認めない
(シェイド>今マデノ方ガ良カッタカモ知レン
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/13(日) 20:34:46.75 ID:q8/I6H0j0
>>617-618
>はっはっは、それは勿論(ここから先は血塗れで読めない
無茶しやがって…(血まみれのポットを片付けながら

>(裂邪>ミナワ以上か以下か、それだけだな
>    俺はミナワより可愛い者に出会った事が無いから認めない
風夜「へぇ、そう思える相手がいるって言うのは、幸せな事だな。
    俺も、アーサーやギルより可愛い子には、なかなか出会えないよ。
    君達も可愛いけど、アーサーとギルには負けるかな」
 ダメだこいつ、早く眼科に連れていないと
620 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/13(日) 21:00:00.94 ID:GlrCRJ/F0
>>618-619
……シャドーマンの人は、相変わらず無茶するなぁ。

雄介「一番可愛いのは薫ですよ! この人たちは眼科じゃなくて、脳味噌を調べてもらった方がいいと思います!!」
薫「絶世の美少女だ。見て分かれ!!」
621 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/13(日) 22:36:01.86 ID:cLEEZACb0
NHKでドイツ・レクイエムやってたので視聴してきたの
やっぱりレクイエムは良いね、荘厳な雰囲気が好きだわ
ラテン語が主流の中でドイツ語を取り入れたのもまた俺好み
と言いつつ今更話を書き始める俺(遅ェ

>>619
>    君達も可愛いけど、アーサーとギルには負けるかな」
(裂邪>……とりあえず言っておこう
    “男性”で“可愛い”と呼べるのは大体こういうタイプだ
(漢>な、何で僕なの!?

>>620
>薫「絶世の美少女だ。見て分かれ!!」
(裂邪>世間一般の“絶世の美女”ってぇのは大いに間違ってる
    クレオパトラといい楊貴妃といい、皆まやかしの“美”を飾って男を虜にしてやがったんだ
    “つくしさ”ってのは、無論見た目も大事だが、それだけじゃねぇ
    その女性の持つ“心”――優しさだとか、純粋さとか、そういうもんもプラスされて初めて“つくしい”って言えんのさ
    『恋する乙女は美しい』なんて言うけどありゃ大正解だ
    誰かを想う気持ちが、女性をより美しく見せてくれんのよ
    死ぬ程人を愛した事があるか?
    愛に溺れた事はあるか?
    良い所も嫌な所も、全てを愛しているとはっきり言えるか?
    まぁ、実際そこまで愛しろとは言わねぇけど………俺は、そんなにまで愛してくれているミナワが一番可愛いと思うよ
(シェイド>…誰カ、アノ頃ノ裂邪ヲ呼ンデキテクレ
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:14:26.44 ID:bWFSH8Foo
すさまじい惚気空間だ……惚気にあてられてS・H・I・Tの棘が心に刺さるぜ……

>>621
>(シェイド>…誰カ、アノ頃ノ裂邪ヲ呼ンデキテクレ
小2れっきゅんと中2れっきゅんが対談とかしたら面白そうだと思ったり
過去と未来をなんかの形で繋ぐ都市伝説ってあったかしら?
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/13(日) 23:16:59.90 ID:q8/I6H0j0
>>620>>621
>雄介「一番可愛いのは薫ですよ! この人たちは眼科じゃなくて、脳味噌を調べてもらった方がいいと思います!!」
>薫「絶世の美少女だ。見て分かれ!!」
>(裂邪>……とりあえず言っておこう
>    “男性”で“可愛い”と呼べるのは大体こういうタイプだ
>(漢>な、何で僕なの!?
風夜「やぁ、可愛い子が一杯だね!でもやっぱり、アーサーとギルには敵わないかな」
アーサー「……」(駄目だこいつ、早く脳の検査を受けさせないと、と言う表情>
ギルベルト(周囲のいうことが何一つ理解できず泣き出しそう)

おい、誰かつっこみ連れてこい
624 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/13(日) 23:28:19.27 ID:cLEEZACb0
>>622
>過去と未来をなんかの形で繋ぐ都市伝説ってあったかしら?
「バミューダ・トライアングル」しか思いつかなかったorz
しかし面白そうね、機会があったらやってみるの
いっそ小2+中2+高1でも良さ気な

>>623
>ギルベルト(周囲のいうことが何一つ理解できず泣き出しそう)
周囲までダメなのかよwwwwかぁいいなぁ(ぁ

>おい、誰かつっこみ連れてこい
(裂邪>ある意味俺は突っ込みだ
(シェイド>……信ジラレナイト思ウガ……コイツハ今、真顔デ宣言シテイル


(日天>ここはオレが出ていった方が良いのか?
(ルート>ねぇねぇ日天さぁん?
(日天>この話題には乗らんぞ
(ルート>えぇー、何でぇ!?
(日天>……か………可愛いとしか言いようがないだろうが……
(ルート>やだぁ、日天さんってば可愛い♪
(日天>男に“可愛い”はやめてくれないか;
(蓮華>帰れリア充
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:33:25.31 ID:bWFSH8Foo
>(日天>男に“可愛い”はやめてくれないか;
>はやめてくれないか;
>はめてくれないか

ごめんなs(竜の餌)
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:34:52.25 ID:lQfvlTNSO
わぁい
627 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/13(日) 23:35:19.64 ID:cLEEZACb0
>>625
>はめてくれないか
うぉいwwwwwwwwwwwwwwww
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/13(日) 23:41:59.79 ID:5m82IEc7o
後のくそみそ脳である
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東) [sage]:2011/11/13(日) 23:45:47.32 ID:LyHHkoMAO
>ウヒヒ、ノイノイペロペロ(
柳「知ってる?しゃっくりがひゃkk」
飛縁魔「よそ様のお子さんに止めなさい」
>紫ちゃんの都市伝説にwwktkせざるを得ない
実は未だ何も考えてな…

>(裂邪>ミナワ以上か以下か、それだけだな
>俺も、アーサーやギルより可愛い子には、なかなか出会えないよ。
>雄介「一番可愛いのは薫ですよ! この人たちは眼科じゃなくて、脳味噌を調べてもらった方がいいと思います!!」
>薫「絶世の美少女だ。見て分かれ!!」
>(裂邪>……とりあえず言っておこう
>    “男性”で“可愛い”と呼べるのは大体こういうタイプだ
>(漢>な、何で僕なの!?
柳「待ってください!確かに皆さん可愛いけど、俺のノイちゃんだって!」
ムーンストラック「いつから『俺の』になった?」

>はめてくれないか
ごめんなs(竜の餌) 無茶しやがって…
630 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/14(月) 01:16:32.30 ID:s2ikNXWR0
【前半:>>548-549

     †     †     †     †     †     †     †





学校町某所、R-No.2&R-No.4―――


「行け、死霊共……『ラクリモサ』!!」

地を這う無数の霊魂が、1匹のジャガー人間に寄って集り、血塗れの肉塊に変える

「くたばれってカンジぃ!! 『ROLLING(ゴロゴロ)インパクト』!!」

天空から無数の閃光が、刹那の間に大勢のジャガー人間達を黒焦げた死骸に変える
辺りは静けさを取り戻し、肉塊も死骸も光となって消えた

「……このエリアはこれだけか……? ロール、まだやれるか?」
「はっ、アンタに心配される筋合いは無いってゆーか、何でアタシがアンタと行動しなきゃなんねーのってカンジぃ?
 言っとくけどアタシはアンタが嫌いなんだから、そこんと分かって欲しい的なカンジってゆーか」
「蓮華、不細工な化物が多いポイントを割り出せるか?」
「って超スルー!? マジありえないし!?」

携帯電話を片手に蓮華と話しているR-No.4――レクイエム・リッケンバッカーを憎々しげに見ているのは、
彼女の同僚である、身体中にアクセサリーをじゃらじゃらと散りばめた金髪の少女、R-No.2――ロール・レインウォーター
彼女がレクイエムを嫌っている理由は単純で、“自分より胸がデカいから”
というより俗に言う『つるぺたボディ』であるロールにとって、
(本人がそうであるかを別にして)自慢げに豊満な乳房をゆっさゆっさと揺らしている彼女は嫌味の塊にしか見えなかった

《そうですね……いえ、そこで待機していて下さい。第二波が来ます》
「まだ来るのか、しつこいな……了解した、引き続きこの場に待機する」
《気をつけて下さい。幼気を扱っている以上、何らかの形で強化される可能性もあります》
「なに、それを乗り越えられるのもまた幼気だろう?……じゃ、切るぞ」

ピッ、と通話を切ると、彼女はちらりとロールを見た
ロールは露骨に不機嫌そうな、むすっとした表情をしている

「…どうした?」
「べっつにー」
「もうすぐ第二波が来る……と、噂をすればだな」

屋根を飛び越えて、それはぞろぞろとやってきた
黄金色の毛並みに大きな斑模様、鋭い眼と爪
ネコ科なのでネコ耳だけがチャームポイントであるが、二足歩行なので猫愛好家からのクレームは来ない

「行くぞ、ロール」
「命令すんなっつーの!」

かたや右手に白い刃を作り出し、かたや左手に激しい雷光を纏わせ、
2人は迫りくるジャガー人間に狙いを定め、

「『ディエス・イレ』!」
「『CRACKLE(バリバリ)シュート』!」

それぞれ1匹ずつ、攻撃を仕掛けた
1匹は袈裟切りにされ、大量の血を噴き出した
1匹は雷鳴と共に蹴りを入れられ、一瞬にして黒焦げになった

「これ以上は好き勝手させんぞ…化け物共!!」
「キャッハハハハァ♪ ねぇねぇ、チョーキモチイイことしたくね???」
631 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/14(月) 01:17:24.66 ID:s2ikNXWR0
同町某所、R-No.5&R-No.9―――


「今宵の月は綺麗でござるなぁ」
「全く」
「賑やかな夜の月もまた風流でござるが、やはり拙者は静かな夜に淋しく浮かぶ月が好きでござるよ」
「何ゆえ?」
「かっかっか、そこまでは分からぬ……しかし、どうもそれを穢されるのは黙っていられぬでござる」

す、と鞘から秀麗な刀を抜き取る、桜色の着物に黒袴の少女、R-No.9――流崎 羅菜
その一方で、身体をぬるりとスライム状に液化させる紫色の髪の眼鏡の少女は、R-No.5――レジーヌ・ルーフィオ
2人の元にじりじりと近づき、ジャガー人間の軍団は攻撃のチャンスを伺っている

「……戦闘態勢に入る。ミッション内容は『学校町の防衛』並びに『被害の抑制』」
「どこからでもかかってくるでござる…拙者等は逃げも隠れもせぬ」

彼女の挑発に乗ったのか否か、ジャガー人間達は一斉に彼女達に向かって走り出した
ぎらっ、と羅菜の愛刀、ミタラシこと「八丁念仏団子刺し」が月明かりに輝いた

「拙者の名は羅菜…流崎 羅菜! 悪を断つ、剣なり!!」

一閃
一閃
一閃
向かい来るジャガー人間に、一切の漏れもなく斬撃を入れる
それらは斬られても尚、彼女達の遥か後方へと走っていった
す、と彼女は刀身を鞘に納め始める

「拙者のミタラシに断てぬ物無し……『身垂断吾(ミタラシダンゴ)』」

ちん、甲高い金属音と共に完全に鞘に納められた瞬間、
走り去っていったジャガー人間達は全員、縦真っ二つに斬り裂かれ、臓物を散らせて無惨に倒れ伏した
「八丁念仏団子刺し」はタイムラグこそあるものの、
“斬られた者がそうと気づかずに歩き続ける”程に斬れ味の良い物である
鞘に刀を納めた羅菜を狙ってジャガー人間が襲い来るが、ここで“彼女”が黙っている訳がない

【『メドゥーサン・テンタクルス』】

透明なジェル状の液体が無数の細長い槍となって、ジャガー人間を残らず串刺しにする
槍の主は、巨大なスライムのような怪物――「ショゴス」の姿を取ったレジーヌ
暫く身体を痙攣させ、動かなくなった骸を、ぞんざいにべちゃりと投げ捨てた

「むぅ、敵とはいえ命は尊いもの、そのように扱っては可哀想でござる」
【関係無い】
「…かっかっか、戦いの時はいつも冷酷でござるな、其方は」
【君も充分】

苦笑しながらも、再び刀に手をかける羅菜
まだ、ジャガー人間達は歩み寄ってきている

「今頃は、殿や蓮華殿が秘策を編み出している筈……せめてその時間稼ぎを!!」
【テケリリリリリリリリ…目標凡そ200……戦闘を続行する】
632 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/14(月) 01:17:59.99 ID:s2ikNXWR0
またも同町某所、R-No.7&R-No.8―――

「ふえーん、敵多いし疲れたし肩痛ーい、もう戦うのヤだよー!!」

短めのオレンジ色のツインテールを揺らしながら、
相対するジャガー人間に向けてランチャーからド派手にミサイルをぶっ放すのはR-No.7――ラピーナ・レスピーギ
放たれたミサイルは、獣達の身体に着弾し、爆発してその身を抉った
ふぅ、と溜息を吐くと、彼女は手持ちのランチャーを傍にいた饅頭型の謎の生物に手渡した
渡された瞬間にぷちっと潰されてしまったが、すぐに仲間達に救出されて事無きを得た

「弾のリロードやっといて! 代わりにアヴェンジャー持ってきてよー!」
「「「「ホ、ホニョ!!」」」」
「アヴェンジャー言うたら、対戦車用の航空機用装備最強のガトリング砲やんけ……やりすぎやろ;
 まぁ、こういう時はそうでもせなしゃあないわな」

ラピーナの背後で呆れ果てつつ、水の入ったペットボトルを開封しているのはポニーテールの少女、R-No.8――乱堂 凛々
彼女はその水を飲む訳でもなく、容器を傾け始めた
水が、零れる

「せやけど腑に落ちへんわぁ、何でこいつら人襲てんの?
 ジャガーの好物って……肉じゃがーちゃうん?」

彼女が1つ駄洒落を口走っただけで
ぴしり、零れた水が地に届く前に、氷柱状に凍りついた
尖った先端を上に向け、ペットボトルを剣の柄のようにして構える

「ん、これやと弱そうやな………ストーブがすっとぶ、ふとんがふっとんだ、シャベルがしゃべる」

1つ、2つと駄洒落を口に出すと、氷柱はどんどん成長していった
「寒いダジャレ」の能力で、空気中の水分さえも凍てつかせているのだ
そうして出来た巨大な氷の剣で、向かって来たジャガー人間を薙ぎ払った

「後ろはウチに任しとき!」
「うん! 代わりに凛々ちゃんの背中は、ラピーナが守るから!」





R-No.における上位メンバーの少女達は優勢に立っていた
だが、“彼”だけは―――――――





     †     †     †     †     †     †     †

 
633 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/14(月) 01:18:34.35 ID:s2ikNXWR0
「ッハァ、ハァ………くそっ、数が多すぎる…………!」

東区某所――――
右手にスケッチブック、左手にペンを構えた少年――R-No.3、栄 日天は、
喉を唸らせるジャガー人間の群れに囲まれていた
彼の服などからは、幾つか引っかき傷のようなものが垣間見える

「「「ババリバリッシュ!!!」」」
「っく…新たな絵を描く暇も無い………使える龍は全て使ってしまった………
 冗談で言ったつもりだったが…真実になるかも知れないな」

清太に言った言葉を思い出しながら自嘲する日天
ふと何気なくスケッチブックを開くと、手の代わりに大きな翼の生えた細身の西洋竜――「ワイバーン」が描かれていた

「……「ワイバーン」………こいつが召喚出来れば…………」

「画竜点睛」は、元々中国の故事から生まれた言葉であり、都市伝説
故に、彼は中国等の伝承に由来する東洋龍しか召喚出来なかった
他の上位メンバーと違って、彼にはそれを捻じ曲げる力が――――“幼気”が無かったから
ぎり、と彼は強く歯軋りした

「……チェックメイト、か……」

眼を瞑る
スケッチブックを閉じかける
彼の戦意は、完全に崩れ去った―――――――









―――もしかしたらまた会えるかも……知れないねぇ







突然、脳裏に少女の声が過った
それは彼が愛した、ある少女の言葉

「………ルート……そうだ」

目を開き、スケッチブックを開いて再びペンを構える

「ここでオレが死ねば……あいつはまた一人になる……
 絶対に死ねない…オレは生きなきゃならないんだ
 あいつを護ってやれるのは…オレだけなんだ!!」

スケッチブックに描かれた「ワイバーン」の右の白眼に瞳を描き入れ、
彼はそれを高々と頭上に掲げ、腹一杯に叫んだ

「応えてくれ……俺の我侭に!
 画竜点睛!! 現れろ、「ワイバーン」!!!」
634 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/14(月) 01:19:02.09 ID:s2ikNXWR0
雷鳴が轟く
一瞬辺りが光に包まれたその瞬間に、絵の中から黒い影が飛び出した
描かれた姿と、全く同じその怪物は正しく、「ワイバーン」そのものだった

「ギゴガゴォォォォォォォゴォォォォォォォォ!!!!」
「「ワイバーン」……有難う、ルート……助けられてしまったな」

「ワイバーン」に飛び乗り、日天は地上を指差して指示を行なった
口から火球が放たれ、ジャガー人間達をあっという間に焼き払う
それでも、ジャガー人間は民家の屋根から飛びかかろうとしていた

「避けろ「ワイバーン」!」

錐揉み旋回しては火球を放ち
宙返りしては火球を放ち
ヒット&アウェイを繰り返して少しずつ、確実に敵を潰してゆく

「やはり数が問題だな……よし、「ワーム」を呼び出そう」

ペンを取り、白い紙にその先端を押し当てた
力を入れて僅かな線が引かれた、その時だった

「―――――――――ぐぅ……!?」

左手を抑え、苦悶の表情を浮かべる
瞬間、彼の心の器が不安定になった所為か、「ワイバーン」の身体が歪んだかと思えば、
姿が完全に消滅し、日天はそのまま地上に打ちつけられた

「あがっ……く、そ……腕が…………」

たらり、と血が流れ出る
ジャガー人間との戦闘で出来た引っかき傷が開いてしまったようだ
血の臭いを嗅ぎつけ、野性を丸出しにしたジャガー人間達がまたもぞろぞろと集まってきた
じゅるりと涎を舐め取る音が、連続して響いた

「ふざ、けるな………こんな…ところで…………!!」

腕に力を入れるが、うまく動かない
「蝦蟇の油」を常備していなかった事を、彼は心底悔やんだが、時既に遅し


――――すまない、ルート


獣の爪が、鮮血に染まった
635 :赤い幼星 † 最悪の展開を迎えない為に:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/14(月) 01:19:37.25 ID:s2ikNXWR0
 


















「………なっ…!?」

どさ、とジャガー人間が力無く、その場に倒れた
攻撃したのは、同じジャガー人間
仲間を攻撃したその裏切り者は、己の首を引き裂いて自害した
日天には、その光景に見覚えがあった

「こ、これは……!」

突如、彼の前に何者かが現れた
黒いミニスカートを穿き、黒い上着を羽織った、灰色の髪の少女
その肩には、白いふさふさの毛並みのネコがちょこんと乗っかっていた

「全く、人類滅亡だなんて…Traum(夢)もHoffnung(希望)もありゃしないわぁ」

怒りを露わにして襲いかかるジャガー人間
しかし、少女はそれ以上の怒りを以て、

「『ギフト・トロプフェン』!!」

周囲に黒い液体を展開し、それを無数の細長い針にして射出する
ジャガー人間は身体中に赤い班模様を作り出して、悶え苦しみながら絶命した

「る、ルート……お前なのか?」
「ごめんね日天さん、遅くなって………後はアタシに任せてぇ!!」

少女は――ルート・ライフアイゼンは、液体を黒い刃に変えて、
高らかに、そして勇ましく、戦闘参加を宣言した


   ...To be Continued
636 :シャ  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/14(月) 01:29:44.41 ID:s2ikNXWR0
誰もいない
上げるなら今の内
だろうと思って

2文字目縦読み

凛々ちゃんの戦闘シーン描く筈だったのにKONOZAMAだorz
今度書くよ今度、うん書くよ多分(ぁ
まずは『神力秘詞』書いて『邪気殺し』だな
それで『赤い幼星』で「水晶髑髏」収集作戦開始してようやくあの馬鹿が起きると
ここまで妄想したので何とか今週中にはあの馬鹿を殺s(影に飲まれました

>>629
>柳「知ってる?しゃっくりがひゃkk」
やめてwwwwwwww

>実は未だ何も考えてな…
何……だとwwwwww

>柳「待ってください!確かに皆さん可愛いけど、俺のノイちゃんだって!」
(裂邪>このロリコンが!!
(理夢>…あの事件の後、こいつは平気でこんな事を言える奴になるってのが怖ぇ
(シェイド>ダガコレハ酷イ
637 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/14(月) 16:51:53.32 ID:HnsuFLMP0
 気付いた時には、己は家族と自由を奪われていた
 手に入れた、手に入れさせられた力で、命を奪う訓練だけをさせられた
 命乞いする相手を切り殺す
 泣き叫ぶ相手を切り殺す
 ただただ、それ以外は何もさせられなかった
 命を奪う為の道具
 ただ、その為だけに育てられた
 心と精神は少しずつ摩耗していき、そのうち、自分は本当に人形のようになっていたかもしれない

「なぁ、お前、どうしてそんなところにいるんだ?」

 ……あの時

「そんなとこいないで、出てこいよ。一緒に、ここから逃げよう」

 あの笑顔を向けられなかったら
 手を差し伸べられなかったら


 きっと、自分はとうに連中の道具に成り果てて
 もしかしたら、この世にもいなかっただろう




 意識が覚醒する
 …風夜は、まだ隣で寝ているようだ
 むくり、体を起こす

「……ぁ」
「…おはよう」
「お、おは、よう」

 己の反対隣で寝ていたギルベルトも、目を覚ましていたようだ
 …いや、もしかしたら、寝ていないのかもしれない
 昨晩は風夜によって半ば強引に三人で寝る羽目になったが、ギルベルトは明らかに誰かと共に寝る事に慣れていないように見えた
 …と、言うより、他者と関わる事、触れ合う事自体に、慣れていない
 虐げられ、痛みだけを与えられ続けてきたのであろうこの吸血鬼は、人の温もりに慣れていない
 風夜は、ギルベルトにその温もりを与えようとしているようだが
 …果たして、うまくいくのだろうか

 そんな事を考えながら、隣で寝ている風夜の体を軽く揺さぶる
 んん、と小さく声を上げて、風夜が瞼を開いた

「…も、朝…?」

 そうだ、と頷いてやる
 ん〜、と、風夜は意識が完全に覚醒していないのか、もぞもぞと蠢き
 …ぎゅう、と

「え」

 …ギルベルトに、まるで抱き枕にでも抱きつくかのように、抱き着いた
 驚いたのだろう、ギルベルトの血のように赤い瞳が、大きく見開かれる

「ぁ、え……?」
「………風夜。ギルベルトが驚いている。やめてやれ」
「んん〜……まだ眠いし、寒い……」

 ぎゅう、と
 強く、ギルベルトを抱きしめているらしい風夜
 …これは、ダメだ
 そう簡単には放さないだろう
 小さく、ため息をつく
 …ギルベルトがいなかったら、抱きつかれていたのは恐らく自分だ

「………」

 助けを求めるような赤い瞳
 どうすればいいのか、わからないのだろう
 …安心してほしい
 風夜との付き合いは長いが、自分もどうすればいいのかわからない

「………しばらくすれば気が済むだろうから、すまないが、耐えていてくれ」

 そう告げて、寝台から抜け出す
 さっさと、朝食を作ってしまおう
 そうすれば、風夜も目を覚ますはずだ
 おろおろと、狼狽えている様子のギルベルトを残す事に後ろめたさを感じながら、足早にキッチンへと向かうことにした
638 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/14(月) 16:53:37.29 ID:HnsuFLMP0



 …風夜と共に寝台の中に残されたギルベルトは、どうしたらいいのかわからず、ただ、硬直していた
 抱きしめてくる風夜の腕から、その体温が伝わってくる
 …暖かい

「…ギルの体、冷たいな」

 ぽつり、風夜が呟いた
 びくっ、と、ギルベルトは体を跳ねらせる

「ぁ…お、俺は、吸血鬼だから………その、ごめんなさい……」

 己は、吸血鬼だ
 死体が起き上がった姿とも言われる吸血鬼
 その体温は、人よりも冷たい

 謝罪の言葉を口にしたギルベルトに、風夜は小さく笑ったように見えた
 ぎゅう、と、ギルベルトを抱きしめる力を強めてくる

「謝らなくてもいいんだよ。お前の体温が低いのなら、俺やアーサーが温めてやるから」

 優しい言葉
 この言葉を向けられる価値が、自分にはあるのだろうか
 …あるはずがない
 ギルベルトは、そう考える
 化け物でしかに自分に、そんな価値があるはずがないだろう

 俯くギルベルトに、風夜はどこか困ったような表情を浮かべて
 そっと、頬を撫でてくる
 触れてくる指先は、暖かい

「……そもそも、俺の方が、お前に謝るべきなのに」
「…ど、どうして…?………謝る、事、など、何も……」
「………だってさぁ」

 笑う、風夜
 どこか、自嘲気味な笑い

「お前と契約する事で、俺はお前を殺してしまっていたかもしれないんだよ?」



 ………卵がそろそろない
 いい加減、買いに行くべきだろう
 と、言うか、今度からはギルベルトもいるのだから、食料の買い出しペースなど、考え直さなければならない
 風夜が、そこまで考えているかどうかはわからないが

 ギルベルトと契約できて、嬉しいのだろう
 アーサーには、それがわかる
 今まで、風夜がどんな思いをしてきたのか、すぐ隣で見てきたのだから

 朝食を作る為に手を動かしながら、しかし

「……………………許さない」

 口を突いて出たのは、憎悪の言葉
 己の人生を奪った「組織」の「過激派」、「強行派」への
 そして
 風夜に都市伝説との契約を難しくさせた……「組織」の狂科学者への、憎悪

 口をついて出たその憎悪は、どこまでもどこまでも深く、重たかった



「俺は、ね。赤ん坊の頃から、ってか、母親の腹の中から取り出された瞬間から、体の中を弄繰り回されていたらしくてね」

 ギルベルトをまっすぐに見つめながら、風夜は話す

「ある特定都市伝説との契約相性を高める実験に使われたらしいんだよね。ついでに、その都市伝説と契約させて、俺を使おうとしていたらしいよ」

 クリネックスティシューのCMとの相性を高められたんだったかな?と
 そう語る、風夜の表情が

「特定都市伝説との相性がよくなる代わりに、他の都市伝説との相性は悪くなっちゃってさ」

 どこか
 泣き出しそうに見えたのは、気のせいか
639 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/14(月) 17:01:13.02 ID:HnsuFLMP0
「………契約、しようとするとさ………相手が、消えちゃうんだ。俺に「飲まれて」」
「…飲まれ、る?」

 都市伝説が、人間に飲まれる?
 人間が、都市伝説に飲まれるのではなく?

「そうだよ。今までも、何人かの都市伝説と契約しようとしてきたんだけどさ……全部、ダメだったよ。口裂け女も、トイレの太郎君も。赤マントも、ジャック・ザ・リッパーも。注射男も火竜そばもひきこさんも赤い部屋もメリーさんもリュパンもモンゴリアン・デスワームも首なしライダーもこっくりさんもみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんなみんな…………!」

 一気に、言い切って

「…みんな、俺に飲まれて、消えちゃったよ」

 自嘲するように笑いながら
 風夜は、そう言った

「だから、ね……ギルベルトと契約する時、恐ろしかったよ。お前も消えてしまったら、どうしようかと」
「………」

 そんな、風夜を
 ギルベルトは、じっと見つめる
 戸惑っているような、少し混乱しているような、そんな表情で

「幸い、お前は消えないでくれたけど」

 でも、と
 風夜は、改めてギルベルトの体を抱きしめてきた
 ここに、ギルベルトが存在する事を、かみしめるかのように

「でも……俺はお前に何も告げないで、そんなリスクを背負わせていたんだよ」
「………」
「御免な、ギルベルト」

 御免、と
 ただただ、謝罪してくる風夜

 ……いつも、謝罪してばかりだった
 生きていてごめんなさい
 御免なさい、ごめんなさい、と
 人間ではなくなって数百年、ただ、謝罪する側に立ち続けて
 …謝罪されたのは
 果たして、何百年ぶりだったろうか

「……あ、謝ら、ないで、くれ……」

 おろおろと
 泣き出しそうになりながら、ギルベルトは風夜に告げた
 確かに、風夜は、ギルベルトに何の説明もせず、命を落とすかもしれないリスクを背負わせた
 だが

「……俺、は…………本当は、生きていては、ダメで………でも、死ねなくて……」

 生きていて、御免なさい


 謝罪の言葉を口にするだけで、死ぬことはできなかった
 臆病すぎる己は、死ぬことが怖くてできなかった


「…お前に、飲まれて死んでいたならば……俺、は。それでも、構わない」

 殺してくれたのなら
 それでも、良かったのだ

「……死んでいた方が、良かった?」
「………わ、わからない……御免なさい………」

 飲まれて死ぬべきだったのか
 その方が良かったのか
 自分には、わからない
 ただ

「…でも………俺、は消えずに……お前と、契約できたから」

 風夜と契約できた
 契約により繋がりが発生し、己は風夜に力を貸し与える存在になった
 …だから
640 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/14(月) 17:07:09.99 ID:HnsuFLMP0
「………だ、だから…………お前、が望む限り……………お、俺は……お前の、傍に、いる、から」

 生まれて初めて、契約者を得る事ができた


 死んでいたか、契約者を得ていたか


 どちらにしても……己にとって、それはきっと、「幸福」なのだろうから
 「幸福」を与えてくれる相手に謝罪されても、困ってしまう

「……だから、どうか…あ、謝らないで……」
「ギル…」

 御免、と
 もう一度だけ、風夜は謝罪の言葉を口にして
 しっかりと、ギルベルトを抱きしめ、告げる

「お前は、俺が護るよ。お前もアーサーも、俺が護る。お前達を怖がらせる奴らも、傷つける奴らも。全部、俺が排除して、「なかった事」にしてやるから」

 優しい声
 そして、力強い声

「お前達の過去の苦しみも何もかも、全部「なかった事」になるくらいの幸せを、俺が与えて見せるから」

 その声は
 まるで、麻薬のように、ギルベルトの心にしみ込んできて


「……だから。お前はもう何も怖がらなくていいし、謝り続けなくていいんだからね」


 ……あぁ
 きっと、この人と出会えたのは、幸運なのだ、と
 そう、心から、感じたのだった
















 彼らの出会いは、彼らにとっては「幸運」でも
 誰かにとっては「不幸」でしかないのだが

 それでも
 彼らは、彼ら自身が「幸運」なのだから
 きっと、その事実に気づく事はないだろう






                Red Cape






to be … ?
641 :吸血鬼、拾いました  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/14(月) 17:08:20.65 ID:HnsuFLMP0
野郎三人組をマヤ編にかかわらせたくて急いでいるが間に合うかどうかが激しく不明なこの現実よ



>>624
>周囲までダメなのかよwwwwかぁいいなぁ(ぁ
周囲のいうことはなんとなくわかったけど、でも結局風夜の言う事は理解できなくて泣きそうになる

>>625
っちょ、おまwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

>>629
>柳「待ってください!確かに皆さん可愛いけど、俺のノイちゃんだって!」
圧倒的突っ込みの足りなさ
都市伝説スレには全てに突っ込みきれるだけの突っ込み役が足りない





さて、ジャンプ求めて旅立ってくる
642 :やる気なさそうな人 ◆HdHJ3cJJ7Q [sage]:2011/11/14(月) 21:22:05.10 ID:tpn/YcSDO

―――学校町某所



疾走し鋭く爪を突き出すジャガー人間。
しかし突き出されたその腕は、肉を潰す音とともに縦に裂けた。
突きに合わせて閉じられた口裂けの大鋏によって、腕の先から肘まで断ち切られたのだ。
口裂けは挟んだ腕ごと鋏を捩りながら振り上げ、ジャガー人間の頭に振り下ろした。
頭の潰れたジャガーには見向きもせず、口裂けは虚空から鎌を取り出し、真上に向かって投げつける。
それは口裂けを飛び越えようとしたジャガー人間へと刺さったが致命傷にはならない。
着地しそこから逃げようとしたジャガー人間だが、風切り音をともなって飛来した鎌鼬に切り裂かれ倒れた。

鎌鼬を飛ばした三尾はジャガー人間が倒れた事を視界の端で確認すると視線を前を戻した。
自分に向けて振り下ろされる鋭い爪を最小限の動きで避けつつ、距離を詰める。
そして腕に幾重にも纏わせた鎌鼬で深く斬りつけ、横をするりとすり抜ける。
数体のジャガー人間を確認すると彼らの足元の地面に向け鎌鼬を放つ。

「風陣」

するとジャガー人間達を囲むように地面に円形に線が走り、風が渦を巻き始める。
それを見た口裂けが、円の中にジャガー人間を蹴り飛ばすと同時に、鎌鼬が渦を巻き竜巻が形成された。

「収束」

竜巻は細くなっていき、内側にあるものを切り刻んでいく。
竜巻が消えたときには内側にいたジャガー人間はすでに消滅していた。
すでにこの場所に居たジャガー人間は半数以下に減っており、全滅するのも時間の問題である。

「一応場所は連絡したんですけど、増援は来ないですね」
「そうだな。この調子だと他でもこいつらが涌いてそうだしな」
「手が回らないんでしょうか」
「個別に動いてんだろ」
「集団行動が苦手な人多いですしね」

会話をしながらも的確にジャガー人間に止めを刺していく二人。
ジャガー人間を倒す合間に、口裂けが通信端末に入った連絡を見て三尾に告げる。
三尾は鎌鼬を両手に纏っており手が使えないためである。

「情報入って来てんぞ、『ジャガー人間にはキウイが効く』だとさ。どっかの馬鹿が噂いくつか流したらしい」
「八百屋さんが大繁盛しちゃいますね」

最後の一匹を倒し終えた三尾が、両手の鎌鼬の能力を解いて口裂けの側へ来て通信端末を覗く。
そこには、ジャガー人間にキウイで逃げる、怯む、毒が回って死ぬなど噂の一覧が表示されていた。

「むぅ、けっこういっぱいありますね」
「ああ。噂が悪い方向へ行かなきゃいいんだがな」

「さて、もう片付いちゃいましたね。増援まだ来ませんけど」
「仕方ねぇ、隠蔽なんかは後回しにして移動するか」
「仕方ないです、そうしましょう」


続かぬ
643 :俺は幻牙 [sage saga]:2011/11/14(月) 23:51:20.72 ID:s2ikNXWR0
「もう、しっかりしてよね光陽……小学生じゃないんだから、忘れ物は無いかくらいいつも確認してよ」
「美菜季ごめん! 後で何でも言う事聞いてやるから!」
「ん〜、それじゃあ今日のお風呂掃除は光陽の番ね♪」
「っちょ、今日は美菜季が当番だろ!?」
「さっき何て言ってたかな〜?」
「くっそぅ…覚えとけよ」

日が落ち、月が明るくなり始めた頃
中学の制服を着た男女のカップルが、楽しげに家路を辿っていた
刺々しいやや奇抜な髪型の少年、名は仲橋 光陽(ナカハシ コウヨウ)、15歳
幼くして両親を亡くし、現在は今一緒に歩いている幼馴染の松葉 美菜季(マツバ ミナキ)の家に居候している
話を聞くに、どうやら学校に忘れ物を取りに行った帰りらしい
美菜季の怒り具合からして、帰宅する寸前か、した後に思い出したのだろう

「しっかし遅くなっちまったなぁ、おやっさん心配してないかな」
「…ところでその、“おやっさん”って言うのそろそろやめて欲しいな……」
「えー何で? おやっさんは喜んでるけど」
「喜び方が尋常じゃないのよ…お父さんったら、『おやっさんと呼んでくれ!』って常連さんにも言ってるし
 黄昏くんはノリノリで言いなりになってるし……」
「良いじゃん、微笑ましい光景で」
「それは良いけど、でも黄昏くんはお父さんの機嫌を取ってお代を値切ってくるのよ!?」
「ははは、あいつらしいや」
「笑い事じゃないってばぁ……」

ぶつぶつ文句を垂れている美菜季と、それを笑って聞いている光陽
とても微笑ましく、温かな光景だった
しかし

「…なんか今日、すげぇ静かじゃないか?」
「そう? いつもこんな感じだと思うけど……」

平和な時間は、長くは続かない
何故なら今日は



――――――ずざっ



「ん? 何だ今の音――――――――――ッ!?」
「どうしたの光陽――――――――っな、何あれ!?」



――2011年10月28日金曜日、「マヤの予言」襲来


振り返った2人が見たものは、この世のものではない不可思議な生命体
見た目はジャガーなのだが、人間のように二本足で立ち、しかも歩いている
それが、1匹だけに留まらず、5匹、10匹……まだまだ増えてゆく

「「「「ババリバリッシュ!!!」」」」
「お……お化け…!?」
「嘘だろ、お化けなんてあり得る訳が!」
「じゃああれは何よ!!」

半狂乱状態で意見をぶつけ合う2人
じり、じりと歩み寄るジャガーの怪物を見て、すぐに正気に戻ったのは光陽だった
644 :俺は幻牙 [sage saga]:2011/11/14(月) 23:51:56.55 ID:s2ikNXWR0
「―――――逃げるぞ、美菜季!」
「へっ?ち、ちょっと光陽!」

彼女の手を引いて、光陽は全速力で走った
同時に、獲物を捉えた肉食獣人達も、腹を空かせて逃げる食物を追う
人型とはいえジャガーはジャガー、常人が脚で勝てる訳が無い
しかしこの獣達は、全力で走っているようには見えない
まるで、逃げまどう2人を見て愉しんでいるかのように、にたにたと笑いながら引き離されない速さで駆ける
そうしていると見え始めるものと言えば
逃げる2人の疲労である

「くっ……く、そ…………このままじゃ…………」
「光、陽………私、もう、ダメ……光陽、だけで、も、逃げ……」
「ッバカ言ってんじゃねぇ! お前だけ置いていける訳が――――――――――」

彼が気づいた時、獣人の1匹が宙に浮いていた
否、美菜季に狙いを定めて、爪を立てんと飛びかかったのだ
咄嗟に光陽は、彼女を抱き寄せて守ろうとした
瞬間、視界が反転して、目の前の世界がぐるぐると回転し、明滅を繰り返した
「痛たたた…」と、美菜季は彼に伸しかかるような形で起き上がった

「美菜季…大……丈夫……か……?」
「うん、平気…それより早くッ――――――こう、よう?」

彼の背の下、アスファルトには、血の海が広がっていた
げふっ、と光陽は咳き込んで血を吐き出しながら、彼女を突き放した

「に……げろ、美菜季………お前、だけでも…………生きて、くれ………」
「そんな……そんなの嫌よ! それじゃ光陽はどうなっちゃうのよ!?」
「俺は…もう………無理、だから………」
「無理じゃないよぉ!! 諦めないで!! 私と一緒に生きて逃げて!!
 何でも言う事聞いてくれるってッ……約束………したじゃない…………」

ぽろぽろと、彼女の目から涙が零れる
無情にも、彼の死の時間とジャガー人間は刻々と近づいてくる

「……悪ぃ……約束、守れそうにねぇ………もう、分かっただろ………早、く」
「嫌! 絶対嫌!! 光陽が来てくれないなら私だって逃げたくない!! ずっと、貴方と一緒にいる!!」
「っ……この、分からず屋……!! 何でそうまでして―――――」
「だっ、て……私っ……光陽のこと……好き、なんだもん………」

ハッとして目を見開く光陽
驚きを隠せない彼に構わず、美菜季は泣きながら話を続けた

「幼稚園のっ、時から………ずっと……ずっと、光陽のことばかり考えてた…………
 光陽の両親が事故に遭って、貴方が一人ぼっちになったって聞いて
 私はお父さんに頼んで、貴方は私の家にやってきた……
 最初は、全然心を開いてくれなかったけど…その内、どんどん打ち解けていって
 いつしか、本当の家族みたいに接してくれるようになった…
 凄く嬉しくかった……あの時の笑顔、まだ覚えてるよ?
 また、貴方の明るい笑顔、見たいの……これからも………ずぅっと………」

しゃくり上げ、尚も大粒の涙を零し続ける
その時彼は状態を起こし、数度咳をして喉に詰まった血を吐き出した

「っ…光陽……」
「ケホッ……俺だって…同じだよ……」
「え…?」
645 :俺は幻牙 [sage saga]:2011/11/14(月) 23:52:25.59 ID:s2ikNXWR0
「初めて会った時から……お前の事が好きだった……
 あの時……お前とおやっさんに、誘われて……俺も、すげぇ嬉しかった……
 親父とお袋が死んで、心にぽっかりと空いた穴を埋めてくれたのは…お前だったんだよ……」
「…ぐすっ………こうよぉ………」
「今までありがとう、大好きだよ美菜季――――――さよなら」

最後の力を振り絞って、光陽は彼女を突き飛ばした
あ、と言う間もなく、彼の身体をジャガーの爪が貫いた

「―――――――――――――――――――――!!!!!!」

美菜季の声にならない声が響いた
目の前で、愛する人を殺された悲しみ
目の前で、愛する人を殺した者に対する恐怖
そして、こちらに歩み寄る悪魔への畏怖

「ぁ……ぁぁ…………」

一歩、また一歩と下がり、その場から逃げようとするが
未だに、光陽への想いが彼女をそうさせない
遂に彼女は、足を縺れさせて尻餅をついてしまった

「……こ、来ない、で……」

彼女の声を聞いてか否か、げらげらと笑うように唸るジャガー人間
じゅるりと涎を舐め取ると、鋭い爪の生えた腕を振り上げた

「ひっ……!?」

終わった、と彼女は心底そう思った
それでも心の何処かでは、強く願っていたのかも知れない

―――――――――助けて、と





















願いが、叶う
646 :俺は幻牙 [sage saga]:2011/11/14(月) 23:53:18.43 ID:s2ikNXWR0
「ババリッ!!??」


断末魔をあげ、ジャガー人間の上半身が吹き飛んだ
美菜季が呆気に取られている間に、周りのジャガー人間達が次々と何者かに倒されてゆく
混乱している彼女だったが、僅かながらに、希望が芽生えた
そして、その希望が姿を現したのだ

「――――――――あ、れ?」

それを見た時、彼女は絵本の世界―――否、ゲームの世界に入った気分に陥った
目の前に立っていた、というより“浮いて”いたものは、紫色の生き物だった
1.5メートルくらいの高さで、全体的に丸みを帯びていて、頭部と背中には突起がずらりと並んでおり、
身体の割に手足は極端に短く、申し訳程度に尻尾が生えている
それが振り返ってこちらをぎろりと睨んだ
目は真っ赤で鋭く、口角を限界まで上げて白い歯を見せて怪しく笑っていた
思わず噴き出してしまいそうになりながら、まじまじと見つめて、ようやく彼女は、ぽつり、呟いた

「……ゲンガー?」

ゲンガー、シャドーポケモン
現在でも絶大な人気を誇るゲームシリーズ『ポケットモンスター』に登場する、ポケモンの1種
それが何故、彼女の前に存在するのか
考え始めようとするより先に、声が聞こえた

【…だから、俺はゲンガーじゃねぇっての】

両手で口を抑え、ぶわっ、と涙を溢れさせる美菜季
無理のない、その声は今彼女が失った筈の、愛する人のものだったのだ

「こう…よう………光陽!!!」

ぎゅっと強く、彼女はゲンガーを―――光陽を抱きしめる
おわっ、とバランスを崩しながら、ゲンガーは一瞬だけ黒い霧のようなものに包まれると、
見慣れた人間の姿に――元の光陽の姿に戻った

「…ごめん、俺、生きてたみたいだ」
「どうして……あの時、貴方は…………」
「うん、俺も分かんねぇんだよなぁ…
 気がついたらあの姿で、力が湧いてきて…………うん、やっぱり分かんねぇ」
「何にも、分からないの?」
「あぁさっぱりだ。寄りにも寄って、何でゲンガーなんだよ…
 ま、1つだけ分かってんのは…あいつらと戦わなきゃならねぇってことだけだ」

ぞろ、ぞろ、ぞろ……
新たに、ジャガー人間の大群が現れる
脅える美菜季を庇うように、光陽は一歩前に立った

「こ、光陽……」
「安心しろ美菜季。お前は絶対に…俺が守ってやるから!」

光陽は再び黒い霧に包まれ、
その姿は、紫の生物―――ゲンガーのものへと変わった

【行くぞ化け物共……必殺!『シャドーボール』!!】

漆黒のエネルギーの塊がゲンガーの手から幾つも放たれて、
現れたジャガー人間に命中し、木っ端微塵に粉砕した

【美菜季を悲しませたお前達を…俺は絶対に許さねぇ!
 俺はゲンガー…仲橋 光陽だ!!】


   ...Next Story
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage saga]:2011/11/14(月) 23:58:08.62 ID:s2ikNXWR0
新参でーす、宜しくお願いしまーす


ってのは嘘で


花子さんとかの人乙です〜
この狂科学者は某「エクスカリバー」の契約者と関係あるのかしらな
まぁそれ以外にも沢山いそうだしなぁ(ぁ
そして「赤マント」の詩は久しぶりですね、ちょっとドキッとしちゃったり

やる気なさそうな人乙です〜
三尾たん可愛いし強いよハァハァ
そして口裂けさん久しぶり過ぎるwwwwwww
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage saga]:2011/11/15(火) 18:03:31.58 ID:K0o7xS2f0
思えばあれだな
都市伝説名を一切出してなかった………


多分12月に書くであろう第2話で晒すんで、それまでお待ちを
649 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/16(水) 00:14:06.58 ID:DnzobbuH0
久しぶりに投下する気がする

ということで投下します
650 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/16(水) 00:15:00.02 ID:DnzobbuH0
じゅるる、少しだけ粗暴な音で彼女が啜る

「成る程、貴方のとこにもこれが届けてあったと、面倒なことをするやつだねぇ」
「そうね腹立たしいわ、始めは誰かの悪戯かと思ったけれど、翌日にそれが本当だと判った」

じゅるる、行儀良く人物は啜る

近くの食堂コーナーにて、ラーメンを食す二人
華やかな模様の描かれた容器の隣に、怪しげな話の種達が置かれている

「選ばれたのよ、始めは意味が判らなかった、急に箱が周りを巻き込みながら潰れたのだから
おかげで部屋は目茶目茶、気に入ってた机も今じゃ只のガラクタよ、全く」
「少なくとも安全な代物じゃ無さそうね、貴方のとこもそんな感じだったようだし、ロマンは有るのだけれどねぇ」
「・・・」

ずびっと同時に音が響き、一息、グビッと一杯水を飲みながら、人物が彼女の眼に焦点を合わせる

「貴方の所もそれに選ばれている、中に棒みたいなのが入っていたでしょう?」
「ああ、そういえば中に文字が浮かんでる奴が有ったね、何なのさこれ」

文字の刻まれた話の種の片割れに指が置かれ、人物に反応するかのように棒は
感応するよう朱色に輝き、液体の中に浮かぶ文字をなぞる

「よく判らない、唯、これらが一対で私達一人一人にしか反応しないことは判る、それに」
「それに?」
「之を挿した時変な装甲纏ったじゃない、私は狼の姿になった、貴方は何になったの?」
「さぁ、全体像を見たことがないからねぇ、使ったのも一回きり・・・多分狐だと思うのさ」

丸めた人差し指に顎を乗せて、思考する人物

「狐に狼、それなら之は何だと思う?」

懐からもう一本、黄色に発光する試験管
内部にはDの文字が浮かび人物のWの棒同様、異質な雰囲気を放つ、玩具っぽい所は変わらない

「一体、何本有るのさこの棒は、Wじゃあるまいし・・・」
「W、確かにアルファベットのWに見える、狼の頭文字もWね、たしか」
「いやちが・・・わないか、何でもない」

何か言いたげに口ごもる彼女、訂正しようとするが別にどうでも良い事だ
変な誤解を人物に与えなければ良いが・・・

「ふぅん・・・まぁいいわ、その手の物には興味ないからね、子供じゃあるまいし」
「べ、別に、好きな物は好きなだけだよ、それと次私を見て子供と言ったら容赦しない」
「別に貴方のことを言っているわけじゃないでしょ」

話の種の造形のせいで彼女が何を言いたいのかがばれてしまった
だが人物は気にせず話を続ける

「それで、貴方の棒のアルファベットは何なの」
「Fだよ、確か・・・狐?なのかねぇ、体が白くて尻尾が7本あった、首にも2本何か付いていたような」

首からマフラーを払うように腰から何か反り上がるように、椅子に座ったままジェスチャー
651 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/16(水) 00:16:00.10 ID:DnzobbuH0
何か指す穴は?ほら、棒を差して変な音声が出たでしょう、玩具みたいな声で」
「玩具みたい言うな、ロマンが失せる」
「ん?」
「・・・速く続けなさいな、W、F、Dで何が判るの」

嫌味たらしい笑みを浮かべる人物、彼女は嫌そうに目を逸らすと
つまらなそうに眼を瞑り、再び棒についての詳細を話し始める

「Fで狐、Wは狼それでこれ、Dはドラゴン」
「ドラゴン、だからDか」
「オブジェの方では反応はしなかったけれど、挿したらドラゴンと発音されたの」

黄色の棒に記されているのは確かにDの文字、棒を指先で持ち上げ強調する

「他にこれを持っている人たちが居るかもしれない」
「・・・どういうことかもう少し詳しくお願い」
「貴方が装甲を纏った時、之を挿す穴がこのオブジェの他に有ったでしょう」
「随分それっぽく考えるねぇ、あまり興味無さそうにしてたのに・・・」

先程のを煽り返すように、頬を吊り上げ笑みを見せる彼女
人物は誤魔化すように咳払いをし、話を続ける

「それはさて置き、調べてみて少なくとも穴は9個づつ空いていた、貴方のも話を聞く限りオプションの数だけ穴が開いている」
「まさか・・・」
「だから、空いている分全部埋めるだけ存在する可能性が有る」
「意味も無く空ける訳無いだろうからねぇ、でも何の為に?」

コップに入った水を一口分飲み込み、真剣な表情で答える

「知らない」
「え?」

耳を疑う彼女、なら何故態々話し合ったのだろうか、まだ会って数分の仲にも拘らず

「なら何の為に呼び出したのさ、会って数分だってのに」
「情報収集と警告、そして見事に勘は中ってこの通り、之が何の為の物なのかを探る手掛りは少しだけど手に入った
貴方にとっても悪くは無い話だったでしょう、自分の過去に興味を持ったら偶然、他に居そうも無い同じ髪色の人を見つけて共通点を見つけた
これを辿れば貴方の素性が見えてくるんじゃない?」

確かに、さほど気にしてなかったとは言え、生活の中で多少の疑問はあった自身の素性
全く手掛りがない中、こうして偶然にも情報が手に入ったのだ
少し出来過ぎていたとしても、今まで知りたかった違和感を暴く断片がその先に有るのなら

「確かに手掛りは手に入った、今日帰ったら家のにでも相談してみる、それでもう一つ、警告って何さ」
「今後余りそれに頼らない方が良い、この先のことを考えるのなら」
「どういう事さね」
「そうね、その時が来たら教えるよ」

席を立ち、食器を片付けに行く人物と彼女、歯切れの悪い答えに後姿が何かを隠すように怪しげに感じられた

「そうね、念の為名前教えとく」

そして何事も無かったかのように人物は戻り帰り支度をする
652 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/16(水) 00:18:03.14 ID:DnzobbuH0
「文よ、覚えておいて損は無い筈よ」
「咲、それが名前さね、唯一覚えてたのもそれ」
「益々似てるのね・・・私たち」

お互い荷物を手に取り別れの挨拶代わりに、互いの名前を教えあう
去り際に文と名乗った少女は、二手に別れ一時の別れである合図をお互いの背中で語った

「まず一人見つけた次の奴も探さないと、まだ数日持つだろうけどあの子はどうするのか」

何処か深刻そうに自分のオブジェを眺める文、怒りを表すようにオブジェを強く握り締め睨みつける

「まぁいいや、そろそろ造らないとこっちも持たない・・・余計な邪魔が入らなければ良いけど」





午後昼間の真っ只中、帰る人行く人も疎らな時間、怪しげな路地裏に入る荷物を持った小さな影
普通なら誰も立ち寄りそうにも無い何処か物騒なその道を、慣れた様子で平然と進んで行く

暫く進んでゆくとその冷たい場所に不釣合いな格好の、雰囲気が暖かい綺麗な建物が建っていた

「創真ぁ、ただいまー」

明かりで照らされた咲は、この場所では奇妙である建物に嬉しそうに入っていった
・・・少し靴が多い気がするが気のせいだろう、それより先に気になる事が有るらしく

「あぁ、お帰り」
「所でこれ何に使うのさ、家じゃいろいろと厳しい気がする」

咲は突っ込んだ

「なに、問題は無いよ、明かりなら有る」
「電気代は?育てるとなると結構馬鹿にはならない気がするけどねぇ」
「電気代なら心配要らないと君も判っているだろう、全部実家負担だ・・・清々するね」

少し自慢げに話す創真、その言い草には何処と無く愚痴のようなものも混じっているような気がする

653 : ◆diJd5qb.8. [sage]:2011/11/16(水) 00:18:44.68 ID:DnzobbuH0
「そういうものなのかねぇ」
「・・・判っていると思うが余り見習える事ではないからね」

余り詮索しない辺り常識に乏しい、彼女の様子を見て思わず注意した

「兎に角、玄関の奥に有る倉庫にでも置いておいてくれ給え」
「肥やしにならなきゃ良いけどね・・・」

玄関から階段を上りリビングモドキへ、何処かで見たことが有る銀髪の女性、咲くらい幼くはあるが彼女とは逆の大人っぽい人物
ゆったりとした物腰で、眠くなるような挨拶を済ませ客用のソファを右手へ

「こんにちはです」
「どうも、こんにちは」

そのまた奥に鉄製の如何わしい扉があり、中が倉庫になっている
中身は暗がりに有る倉庫らしい倉庫といった所で、様々なガラクタが整頓されたまま埃を被っている

「・・・ん?」

荷物を置き終えたとたんに何かを思い出すように、来た道を駆け抜け創真の元へと駆け寄り
慌てた様子で小声で創真と会話を始めた

「ちょ…あれ誰さ、何時から居たのさ!?」
「君の帰ってくる少し前だね、知り合いかい?」
「いや、何時の間に居るもんだから吃驚したよ、しかも珍しく断らずに」
「これから断る所だったのだ」

帰ってくるタイミングが良かったと心の中で安堵する

「・・・ここで少し待ってなさいな、折角の仕事だってのに全く」
「君だけには任せていられないなぁ」
「それはこっちの台詞、悔しいがな反論はできないけど・・・」

そそくさとリビングモドキのソファへと向かい、何だかんだで付き添ってきた創真と
向かい合うように座り、目の前の人物は眠そうな声で用件を語る

「それでぇ、此処は探偵さんの事務所で合ってますよねぇ?」
「えぇ、こんな場所に有るけれどそんな感じね、それで用件とは?」
「うん、判りました」

何が判ったのか不明だが咲を見ながら

「それで用件は、私を此処に匿って欲しいの」
「は?」

余りにも唐突な出来事に、思わずだらしなく口をあんぐりと開けてしまった咲だった







忙しくて頭が回らない此処最近、この先投下ペースが遅れるかもしれん・・・ちくせう
次投下するのは絵か文か
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage saga]:2011/11/16(水) 00:29:44.48 ID:bQ8+BoBA0
乙です〜
咲ちゃんかぁいいよ咲ちゃん、文ちゃんミステリアスだよ文ちゃん
現在確認されてるのはF、W、Dの3つか……次回以降も続々登場するのかしらな
そして謎が解明されつつも増えちゃったりするんだろうか
例え投下ペースが遅れるとしても俺のwktkは変わらないぜ!
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 20:11:58.83 ID:ylLboJoDO
皆様投下乙ですー
深刻な突っ込み不足
だれぞ常識人を……

>>630
>二足歩行なので猫愛好家からのクレームは来ない
大丈夫、ジャガー「人間」が出てきた時点で「ああ、クレーム対策だな」と察したのですよ
といいますか、心苦しいことではありますが害成す猫を[ピーーー]しかないのであれば心苦しいですが自らその手にかける覚悟はあるのですよ
心苦しいですが
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage saga]:2011/11/16(水) 22:16:06.72 ID:bQ8+BoBA0
>>655
>だれぞ常識人を……
そもそも非常識の塊であるこの学校町に、果たして常識人など存在するのだろうか(ぁ

(シェイド>人ナラザル者ノ方ガ常識アルカモ知レンゾ
(裂邪>どういう意味だ!?
(リム>あと、元人間の都市伝説も常識が欠如してるような気がするバク
(ミナワ>リムさんっ!?
(ナユタ>聞き捨てならないね……

>心苦しいですが
無理しないでwwwwwwww
657 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/17(木) 00:39:51.25 ID:WXNHtHzAO
シャドーマンの人乙です!
R-No.総出撃とか萌えで燃え
ただし日天さんはもげておけ
幻牙くん新連載楽しみにしてますの
でもやっぱりもげろおぉ!

(裂邪>このロリコンが!!
(理夢>…あの事件の後、こいつは平気でこんな事を言える奴になるってのが怖ぇ (シェイド>ダガコレハ酷イ
柳「たまたま8歳と18歳で運命の相手に出会っただけで、何故こんなに全否定されるんです!?」

花子さんとかの人乙ですー
風夜×アーサーはジャスティス再確認
二人の過去に泣いた

やる気なさそうな人乙です
口裂けさんすてきぃぃ!

狐の人乙です
Fって一瞬フェレットかと思った自分氏ねwwwwww
文ちゃんと咲ちゃんの繋がりが気になりますの

週末に体調不良で寝込んだツケが大きい
何とか今週中に一回は投下しておきたい
658 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/17(木) 18:06:49.51 ID:9K2jEEby0
>>657
>週末に体調不良で寝込んだツケが大きい
ご愁傷様なの
お元気そうで何よりです、でも拗らせないようにお気をつけて

>R-No.総出撃とか萌えで燃え
地味に日天の「幼気」が覚醒した瞬間だというのにさらにピンチにさせた俺鬼畜(
この後ルートがズバッと倒して日天治してラブラブアタックやりたいところ

>幻牙くん新連載楽しみにしてますの
そういえば、タイトルの『幻牙』はゲンガーのことな訳だけど、そういう名乗りも良いかなぁ
戦闘する度に「俺は幻牙だ!」……よし、採用(

>柳「たまたま8歳と18歳で運命の相手に出会っただけで、何故こんなに全否定されるんです!?」
(日天>周りの事は気にするな。誰に否定されようが、自分と自分の愛する者だけを信じろ
    オレは幼いからルートに惚れた訳じゃない。あいつの優しさに惚れたんだ
(ルート>あ、あのっ、日天さぁん……かっこいいけど恥ずかしいよぉ///

日天(外見11歳)×ルート(外見8歳)の図

>Fって一瞬フェレットかと思った自分氏ねwwwwww
逆にどんな都市伝説か気になるわwwwwwww
659 :ソニータイマー/携帯 [sage]:2011/11/18(金) 12:56:32.47 ID:3/14zJ/DO
>>655>>656
>だれぞ常識人を……
>そもそも非常識の塊であるこの学校町に、果たして常識人など存在するのだろうか(ぁ
一「ここにいますよ? ところでそこのシャドーマンさん達、取材にご協力して頂いてもよろしいでしょうか?」
光輝「僕も常識人だよ」
小奈美「私も常識人のつもりよ?」
疾風「龍一君も、鈍感なところを除けば常識人だと思うよ…。妬ましい…」
660 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/18(金) 17:08:28.03 ID:zr5rfcjH0
>>659
>一「ここにいますよ? ところでそこのシャドーマンさん達、取材にご協力して頂いてもよろしいでしょうか?」
(シェイド>私ノ事カ、ソレトモ作者ノ事カ
661 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/11/19(土) 09:30:58.85 ID:C5vOU3q+0
>>660
(シェイド>私ノ事カ、ソレトモ作者ノ事カ
一「はい、貴方のことです!
我々新聞部の記事のために、取材にご協力ください!
あ、ついでに黄昏さん達もご協力お願いします」
662 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/19(土) 15:00:00.43 ID:UnmSMrYa0
>>661
どうだろう……タイミング合わないかも知れぬorz
特に裂邪の場合、起きたらすぐに病院飛び出すから……
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 17:53:35.26 ID:ku34+i4SO
(・∀・)誰モイナイヨ
664 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/20(日) 18:14:50.01 ID:Kok5aKIL0
(・▽・)2人ッキリネ
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/20(日) 19:30:16.52 ID:XTroH0Aq0
(・▽・)二人っきりになんてさせないわ
666 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/20(日) 19:34:18.31 ID:Kok5aKIL0
(゚Д゚)オ、オ前ハ……マサカ!?
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東) [sage]:2011/11/20(日) 19:51:33.47 ID:9bqSFSwAO
(・▽・)ニヨニヨ
668 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/20(日) 21:34:15.94 ID:Kok5aKIL0
(・▽・)ところで北海道でこたつの普及率が低いって本当ですか?
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/20(日) 23:03:11.80 ID:XTroH0Aq0
>>669
(<◎>) 北海道は、電気こたつ購入率全国最下位だと聞いたことがある
670 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/20(日) 23:05:26.27 ID:Kok5aKIL0
>>669
Σ(゚□゚;)マジだったのか……ありがとうございますですの
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:07:10.82 ID:qd3ZuyGqo
北海道は部屋というか家自体をガンガンに暖めるのが普通と聞いた
薄着でアイスも食べられるとかなんとか

どうでもいいけれどコタツより薪ストーブの方が好きです
銀杏乗せたりアルミホイル巻いた芋を投入したりと、素晴らしい冬のお供です
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/20(日) 23:20:40.94 ID:XTroH0Aq0
>>671
>北海道は部屋というか家自体をガンガンに暖めるのが普通と聞いた
そんな感じですねー
我が家は今冬、もうストーブつけるようになりましたが、温かくなるとアイスが美味しくなります
北海道は、冬にアイスの売れ行きがいいのですよ
だって、あったかくしないと寒いじゃないですか。エコとか妥協したら凍死するじゃないですか
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/20(日) 23:48:21.84 ID:WvBEgS6Do
床暖房も充実してそう
674 :赤い幼星 † “希望”を探しに  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/20(日) 23:48:40.36 ID:Kok5aKIL0
落ち着かない様子で病室を歩き回るローゼ
清太と日天、そして漢が病室を出てから、既に数十分の時間が過ぎていた
あれから未だに裂邪は目を覚まさず、ミナワや正義達に見守られて眠っていた

「うーん………日天さんと清太さん、無事でいてくれたら…」
「ローゼちゃん、焦っても仕方ないよ
 悔しいけど、今は2人を信じる事しか出来ないから」
「分かってますけれど…」
「おーい!!」

窓の外から、少年の大きな声が聞こえた
見れば、翼の生えた龍に乗った清太が、見知らぬ少年を連れて帰ってきたのだった
それは窓に近づくと、少年の方だけを病室に降ろした

「お待たせ! 連れてきたよ!」
「貴方が、「水晶髑髏」の…」
「初めまして、僕は髑水 晶髏」
「ローゼ・ラインハルトですの、お会いできて光栄ですわ
 早速で申し訳ないのだけれど―――――」
「じゃ、ローゼ姉ちゃん、正義兄ちゃん、晶髏兄ちゃん、後は任せたぜ!」
「「「え?」」」
「「応龍」!もうちょっと付き合ってくれるか!?」
「きりゅりりゅりしぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

雄叫びが轟き、「応龍」は町の方へと飛び立っていった
たった1人の小さな戦士を乗せて

「せ、清太くんっ!!」
「…そういえば日天さんは……いいえ、ここはこちらを優先しなくちゃ」

くるりと、ローゼは窓に背を向けて少年――髑水 晶髏に向き直した

「単刀直入に申し上げますわ。我々に――「組織」に協力して頂けないかしら?」
「話は清太くんから聞いてるよ。「組織」からの依頼とは聞いてないけど……
 それはともかく、僕で良ければ是非、協力させて欲しい」
『カタカタ、とっくに次の「水晶髑髏」の在り処の目星はついてるぜ
 学校町から北に遠く離れた山奥だ』

割って入ったのは、晶髏の契約都市伝説の一つである「ヘッジスの水晶髑髏」だ
こくん、とローゼは落ち着いた様子で、しかし満足気に頷いた

「話が早くて助かりますわ……北ですわね、すぐに行ってみますわ」
「…ボクも行くよ」

ローゼに続いて、名乗り出たのは正義だった
彼女は何か言おうと口を開きかけたが、それを塞ぐように正義は続ける

「漢くんが言ってた事……ボクに出来る事をやれって、今こそその時だと思うんだ
 ボクだってお兄ちゃんの為に、そして世界の皆の為に、何かしなくちゃ…!」
「正義さん…」
675 :赤い幼星 † “希望”を探しに  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/20(日) 23:49:06.58 ID:Kok5aKIL0
―――強い眼…裂邪さんと同じ…いえ、それ以上に
はふ、と溜息を吐き、彼女は呆れつつも笑みを浮かべた

「分かりましたわ、正義さんと大王さんはワタクシについてきて下さい
 晶髏さんは、何かあると危険ですからこちらで待機していて下さるかしら?」
「僕は良いけど…場所だけだと難しくないかな?
 近づけば近づく程反応が強くなるから、直接行った方が探しやすいと思うけど……」
「う〜ん…それは捨てがたいけれど、貴方を失う事は大きな痛手ですし…
 仕方ないですわ、都市伝説の探知程度ならワタクシも持ってますから、それで地道に探すしか――――」
「「「ちょっと待ったぁ!!」」」

ばぁん!!と扉が勢い良く開け放たれた
何事かと思えば、そこに立っていたのは4つの人影だった

「ッ! 勇弥くん、奈海ちゃッ……コホン、十文字さん、コインちゃん…どうしてここに?」
「この状況で居ても立ってもいられなくなってな」
「話は全部聞かせて貰った。ローゼさん、我々にも協力させて貰えないだろうか?」
「え…?」
「コインちゃんなら「水晶髑髏」の場所もつきとめられるから! ね、コインちゃん?」
「うん、バッチシ! 任せてよ!」

頭痛を覚えたローゼは、そっとこめかみに手を添えた
苦笑しながら目を向けた大王に、あどけない苦笑で返事をした

「…わ、増えてる」

病室の外で思わずそう漏らしたのは、裂邪の容態を確認に来たライサだった
すぐさまローゼは晶髏を指し示しながら彼女に指示した

「ライサちゃん! 蓮華ちゃんに連絡してこの方を紹介してさしあげて!「水晶髑髏」の契約者ですわ!
 あと、ワタクシはこれから外出いたしますから、こちらの事はお任せしますわ!」
「え、あ、は、はい! あの、こっちへ」

心配そうな表情をしている晶髏を誘導し、ライサはちょこちょことその場を後にした
それを見送ると、ローゼは正義達の表情を伺う
全員が、強く首を縦に振った

「もう覚悟は出来てるよ…急ごう」
「そうですわね…では」
「…済マンナ、本来ナラ我々モ手伝ウベキナノダガ……」
「お気になさらずですわ。シェイドさん達は、裂邪さんについていてあげて下さい」
「あ、あの……皆さん、お気をつけて」

祈りを捧げるように、ミナワは彼等に深々と頭を下げ、シェイドとリム、ウィルも彼女に続いた
にこっ、と正義達が微笑んだのは自信の表れか、それとも気休めか

「では参りますわ……『アセンション』!!」

その答えと、明日の希望を見つける為に
少年少女は病室から忽然と消え、捜索を開始した


   ...To be Continued
676 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/20(日) 23:55:30.76 ID:Kok5aKIL0
しまった、リロードするの忘れてたorz
流れぶった切ってごめんなさい、と同時に引き続きソニータイマーの人に焼き土下座orz
ここからようやくこの話で一番書きたかったあのシーンに繋げられる

今からでも十分書けそうだな…書いてみるか


>>671
>薄着でアイスも食べられるとかなんとか
羨ましいけど、生きる為だもんなぁ……

>銀杏乗せたりアルミホイル巻いた芋を投入したりと、素晴らしい冬のお供です
俺はスルメ焼くのが好き

>>672
>だって、あったかくしないと寒いじゃないですか。エコとか妥協したら凍死するじゃないですか
全くだ…
こっちは暖房ケチって布団に包まってるだけでも何とかやっていけるけど、北海道は……

>>673
床暖房って何か憧れる
未だに出会った事が無いorz
677 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/21(月) 00:50:38.51 ID:Uitph2Bc0
体力的に無理だったと今更報告…そしてお休み
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/21(月) 10:50:41.57 ID:I2lUhLto0
朝目覚めるとそこは雪国でした、おはようございます
積もったー!

シャドーマンの人乙ですの
おぉ、水晶が集まっていく…さぁどうなるどうなる
wktkと全裸待機…したら風邪引くので赤いちゃんちゃんこ着て正座待機

>こっちは暖房ケチって布団に包まってるだけでも何とかやっていけるけど、北海道は……
それですむのならそれが一番ですのにゃー
でも、機会がありましたら是非冬の北海道に来てその寒さを体験してみたください
そして、「ストーブをガンガンたいている部屋で食べる冷たいアイスの幸せ」をぜひ体験してみてください

679 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/21(月) 12:28:51.37 ID:Uitph2Bc0
>>678
北海道はもう雪が降ったのか…しかも積雪だと…
今年はラニーニャの影響で本州におけるこの南国にも雪が降るんじゃないかと内心wktk

向かった後に、あの馬鹿を叩き起こしてvsローゼとvs正義を書くんだ…
裂邪、最後の変身(笑

是非体験してみたいの
だが北海道に行く機会が来るかわからないので…
花子さんとかの人ー、俺を嫁にしてくr(凍死しました
680 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/21(月) 16:10:41.17 ID:IjZJuyQco
壁は断熱窓は二重、それでも寒いもんは寒い北海道の冬が来ました
こんな中に夏の話を書いてる自分の筆の遅さを呪いたいと思います

>>678
> それですむのならそれが一番ですのにゃー
それだと手袋ないとPCがいじれませんなぁww

>>679
> 是非体験してみたいの
北海道は陸別町にしばれフェスティバルという素敵なお祭りがあるので
いつか参加してみるといいですよ
681 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage]:2011/11/21(月) 21:00:03.35 ID:94gJfp1DO
雪は[ピーーー]
冬は好きだがやはり[ピーーー]
682 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/21(月) 22:44:56.55 ID:7rDJqsuO0
>>680
>北海道は陸別町にしばれフェスティバルという素敵なお祭りがあるので
もしや、かまくらで一晩泊まるっちゅうあれか!?
違ったとしてもやれる気せんがなwww

>>681
僕は雪大好きなの
心はずっと子供なの
なのなの(
683 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/21(月) 23:16:19.79 ID:O4KT3ZyO0
空気も流れもぶった切り。ですいません期末試験終わったDKGとファントムさんの人です。
すいませんがシャドーマンの契約者さん。
まだそんな描写は書かれてませんが、治療を終えたフラカンが侵入者の百花達と戦闘……ってのを書きたいんですが、よろしいでしょうか?
684 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/22(火) 00:03:03.87 ID:txUpp56S0
そうだ完全に書き忘れてたんだorz
アジト捜索する前にククルカンのしもべが捕虜のジャガー人間を殺害するシーンがあるの…orz
今から書けるかな、
685 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/22(火) 00:08:54.88 ID:iKSXD0pg0
>>684
色々手をまわしているのにお疲れ様です。
薫「ファイトっ! ……って言わせるな!」
686 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/22(火) 00:11:54.93 ID:wGjt6FSK0
>>685
いえいえ、遅筆すぎて本当に申し訳ないですorz
かおるんが応援してくれた……1時には書ける!!(多少荒くても大目に見てね☆
687 :花鳥風月 † 夜は続く  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/22(火) 00:53:09.32 ID:wGjt6FSK0
マタタビを与えられた2体のジャガー人間が、突然大人しくなった
ネコ科であるそれらの本能と、メールによって流れた噂の影響を受けている事を利用して、
“本拠地に殴りこもう”と提案したのは、ファントム――本条 雄介だった
2度、3度と深く頷いて、百花は非常に感心していた

「なーるほどね、案外頭良いじゃない!」
「褒めても何も出ないぞ」
「…俺はてっきり調子に乗ると思っていたが」
「私が薫以外に褒められてデレるとでも思ったのですか?」
「そうかそうか俺が悪かった」
「んじゃま、早速その………何だっけ?」
「「マヤの予言」だぞ」
「そうそう、それのいる所にしゅっぱーつ!!」
「待て、俺達だけじゃ危険だろ。仲間を集めるか、「組織」の上位メンバーに任せておくべきだ」

まるで遠足にでも行くかのように楽しげに脚を振り上げる彼女を制したのは多胡 水城だった
水城の言葉にむっときて何か言おうとした百花だったが、玄鳥が彼に続いて彼女を止める

「水城さんの言う通りだよ。「マヤの予言」は人類滅亡の都市伝説……
 もしかしたら、文字通り僕達を“消し去る”ことぐらい簡単にできるかも…」
「…こ、怖いの……」

日傘を強く握り締め、身を縮ませるように怯える月夜の肩を支え、
玄鳥は彼女をそっと抱き寄せて安心させようとする
その光景を見てさらにむっときた百花は、コホンと咳払いを一つして

「なに弱気になってんのよあんた達!! さっきの怪人見たでしょ!? みーんな弱かったじゃない!
 あんなのしか呼び出せないなら、その親分みたいな奴もきっと大した事無いに決まってるわ!
 ってゆーか、もし人間を消せるんだったら、とっくの昔にそうしてるわよ!
 そうよ、皆で束になってかかったらやっつけられるのよ! あたしが、ううん、あたし達が正義よ!!」
「おー、かっこいいぞ百花!」
「ここまで来て今更退けんしな…大将潰しも悪くない」
「こ、こいつらは……お、おい、お前も何か言ってやってくれ!」
「…ん、頑張る」
「やる気満々かよっ!?」

メイスをぶんぶん回す菊を見て頭を抱える水城
思わず苦笑いを浮かべる玄鳥には、彼の気持ちが痛いほどよく分かっていた

「じゃ、気を取り直して……さあネコ怪人! あんた達の親玉のところに案内しなさ―――」

―――――――――すぱんっ!!
一同の目の前で、2体のジャガー人間の首が刎ねられ、弧を描いて虚空を飛んだ
飛ばされた頭部がごろんと転がると同時に、頭と命を失った胴体が力無く倒れ、光の粒子となって消滅した

「ッ!?」

その気配を察知した者は皆、真っ先に空を見上げた
そこに、ジャガー人間の首を刎ねた張本人がいたからだ

「っな……何よ、こいつ……!?」

真っ黒な身体が月光に映え、そのシルエットを浮き上がらせる
悪魔のような翼を羽ばたかせ、鋭い牙と深紅の眼を輝かせるそれは―――巨大な蝙蝠だった

「こふおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

蝙蝠は、耳を劈く甲高い声で、
空全体を揺らすが如く雄叫びをあげた


   ...続く
688 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/22(火) 01:01:03.80 ID:wGjt6FSK0
まさか1レスで終わるとは……
花子さんとかの人とDKGとファントムさんの人に焼き土下座orz
蝙蝠を送り出した本人達の描写は明日書けたら良いなぁ(書け


蝙蝠の詳細

●カマロッツ
マヤ神話に登場する、蝙蝠の姿をした魔神で、「ククルカン」達が最初に創造した人間の頭を切った
本作では「ククルカン」が創り出したという設定
牙や翼、衝撃波等で如何なる物も切り裂く事ができる
弱点とかは特にないみたいなので適当に倒しちゃえ(ぁ
鳴き声は『ポケモンBW』のコバルオンのもの

因みに、「カマロッツ」以外にも人間殺しの魔神はあと3匹いますが
それらはまた後々に登場させる予定
何とか12月上旬には終わらせるぞー、おー(
689 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/11/22(火) 01:52:55.55 ID:9n1cHfwE0
母の罵声が響いている。
掴まれた髪が痛くて顔を顰めれば、間髪いれずに平手打ちや足蹴にされる。


4日前に父が出張に行ってから、母はずっとこの調子だ。
明日になれば父が帰ってくる。
そうすれば母の機嫌はいくらか良くなるのだろうが、それで解放されるわけではない。



手の甲に、火の付いた煙草の吸殻が押し当てられた。





同時刻、近隣のパトロールをしていたニャンコ先生が立ち止まった。

「全く……毎日毎日、良く飽きないな」


都市伝説とその契約者の間には繋がりの様なものが生まれる。
場合によっては、契約者の異変を感じ取れる事だってあるかもしれない。

しかし、ニャンコ先生は焦るどころか毛づくろいを始める始末だ。
その態度からは、いつもの事だから、とでもいうような関心の低さが窺えた。



己の契約者は、どこまでも甘い。
以前、蛍に「両親を食い殺してやろうか」と問いかけた事があった。
その時ですら、「お母さん達は悪くない。私が悪い子だから怒っているだけ」「私にとってはたった一人のお父さんとお母さんだから」と擁護し続けた。

あの娘を契約者に選んだのは間違いだったのかもしれないと、契約した当時の自分の軽率さを悔やむ。

「……ふん。人間と言う奴は真っ直ぐで…どこまでも愚かな生き物だ」


最近は素養のありそうな人間が多くなってきている気がする。
あの娘の後ろ向き+おめでたい思考にも苛立っていた事だし、新しい契約者を探す事としよう。そうしないと自分にもあのジメジメした性格が移って、この麗しい毛並みにカビが生えかねない。

そう結論付けて大きく伸びをすると、適当な人間を探して歩き始めた。

続く…?
690 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/11/22(火) 01:53:50.33 ID:9n1cHfwE0
誰も居ない…上げるなら今の内(

後編になるのか、中編が入るかはまだ未定ですがもう少しだけ続きます


シャドーマンの人様投下乙ですー!
月夜ちゃん可愛い!玄鳥君と百花ちゃん男前!

新たな蝙蝠という敵にどう立ち向かうかwktkしてます!


……蝙蝠って打とうとしたら洸守って出た……予測変換仕事してーorz


>>688
>因みに、「カマロッツ」以外にも人間殺しの魔神はあと3匹いますが
>それらはまた後々に登場させる予定
正座して待ってます!
691 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/22(火) 02:24:24.70 ID:txUpp56S0
ニャンコ先生が悪落ちした……だと……!?
これは予想外だった、生存ってそういう意味だったのか!
続きもwktkせざるを得ない
犬神憑きと怪人アンサーの人乙でした〜

>>690
昨夜は俺も辞書機能がブッコして焦った…;
明日ってか今日は頑張るっちゃうもん! 明日休みだし♪
692 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/22(火) 03:42:06.44 ID:vTj8tAQAO
シャドーマンの人乙です!

>因みに、「カマロッツ」以外にも人間殺しの魔神はあと3匹いますが
それらはまた後々に登場させる予定
wktkで待ってますよ!

犬神憑きと怪人アンサーの人乙です!
蛍ちゃんがニャンコ先生に捨てられるだと…
続きを全裸にコートで待ってますの。
693 :「死にたい奴から前に出ろ」  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/22(火) 22:30:56.43 ID:6ngihmg20
 町中を駆けるジャガー人間達
 哀れな獲物を見つけだし、その身を鋭い牙と爪を持って引き裂かんとする為に…

 ……否
 このジャガー人間達は、どうやら違うようだった
 逃げている
 何かから、必死に逃げている
 そんな様子だった
 何か、とても恐ろしいものに遭遇してしまい、必死に逃げ出したかのような…

 そのジャガー人間達の、背後から
 逃げるそれらを逃がさんとでも、言うかのように

「−−−−−−−−っ!!」

 まるで、それ自体が生きているかのようにうねる業火が、ジャガー人間達に襲い掛かり
 それらは、まるで存在していた証を残す事すら許されぬように、骨も、灰すらも残さずに焼き尽くされていく
 ジャガー人間達が焼き尽くされた、その道に……業火を放ったその者が、現れる

「………」

 50代前後であろうか、年齢を感じさせる灰色の髪をした、その髪の色に近い灰色のコートを着た壮年の男性だ
 日本人的な顔立ちだが、不思議な事に、サングラスの下で輝く瞳は見事な金色をしている

 ……朝比奈 秀雄

 かつて、この学校町を危機に陥れた事もある男
 だが、今はその力を、学校町の為にふるって…

「手加減なしだねぇ」
「……お前に、襲い掛かろうとしていたからな」

 …学校町の為に、振るって………

「あれくらいなら、あたしでもどうにかできたさね」
「……どうだか」

 …学校町の……為に……

「でも、まぁ。あたしの為にやってくれたんなら……悪くないかねぇ」
「………ふん」

 ………

 訂正
 妻の為にふるっていたようである
 秀雄の背後から姿を現した女性、40代程なのだが20代ほどの服を着て若作りをしている彼女が、秀雄の妻の朝比奈 マドカだ
 秀雄は、「黄金伝説」のドラゴンとクールトーの契約者
 マドカは、「フィラデルフィア計画」の契約者
 二人とも、契約者である
 この場にはいないが、二人の息子も強力な契約者だ

「それにしても、何なんだい、あの猫人間達は」
「ジャガーだ……マヤの予言にでも関係しているのだろう」

 近づいてくる気配を感じ、秀雄は己の指先を、鋭いドラゴンの爪へと変える
 肌の表面にドラゴンの鱗が現れ始め、戦闘に適した姿へと変わっていく
 クールトーはこの場にはいないが…それでも、この男は十分に戦える
 かつて、無茶な行動をした代償で、長時間戦うことは不可能ではあるが…

「独りで戦おうとするんじゃないよ。あたしだって、傍にいるんだからね」
「…お前こそ、無理をするな。お前は、肉体はただの人間のままなのだから」

 …たとえ、どれだけジャガー人間達が襲ってこようとも
 この二人は、問題ないだろう
 一度壊れかけた夫婦の絆は、しかし、改めて結ばれ、より強固なものへと変わっている
 もはや、この夫婦に死角なし
 秀雄の「黄金伝説のドラゴン」によるブレスと爪、マドカの「フィラデルフィア計画」による地面やそこらの塀への肉体埋め込みによる動きを封じる力
 この二つの前に、ジャガー人間程度が叶うはずなどないのだ

 新たに姿を現したジャガー人間達は……目の前にいる最強の夫婦を前に、恐怖を感じたように、固まって見せた

「………さぁ、死にたい奴から、前に出ろ」

 鋭い殺気と覇気を放つ秀雄を前に
 哀れなジャガー人間達の命運は、もはや決まったも同然であった                                                 このシーンが続く予定はない
694 :「死にたい奴から前に出ろ」  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/22(火) 22:32:04.06 ID:6ngihmg20
……スレ住人諸君、今日は「いい夫婦の日」だそうだ
そういうわけで、突発的にマヤの予言編での朝比奈夫婦のシーンを書いてみた
さよなら、ジャガー人間達
量産型雑魚に課せられた運命とは、常に残酷なものだって偉い人が言ってた
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/22(火) 23:03:07.22 ID:zEE+N7Lfo
残酷度合いで言えば
主役なのに空気()な主人公とか
主役を奪われた元主人公とか

別のベクトルでムゴイ
696 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/22(火) 23:13:52.94 ID:wGjt6FSK0
花子さんとかの人乙です〜
やだ素敵、やっぱり男女カップルも書けるんですね!(何を今更
そうだ良い夫婦の日か……くぅorz

>>695
何故だろう、たった一人のキャラが脳に浮かんだwww
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 23:21:20.34 ID:kHKe64kdo
皆様投下乙ですー

いい夫婦の日?やだなぁ、今日はわんわんにゃーにゃーのらぶりぃあにまるの日ですよ
クールトー!ザクロ!ショタ面犬!エーヴィヒ!にゃんこ先生!チンチラ!
みんな集まれえええええええええええ!!!もふらせろおおおおおおおおお!!!(落ち着け)
698 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/22(火) 23:24:42.99 ID:wGjt6FSK0
>>697
>クールトー!ザクロ!ショタ面犬!エーヴィヒ!にゃんこ先生!チンチラ!
(エーヴィヒ>まさか僕が呼ばれるとは思ってなかったよ
(ルート>行ってきなさいよぉ、ついでに貰えるもんは貰っといてぇ
(エーヴィヒ>…君もネコ使いが荒いね
699 :「死にたい奴から前に出ろ」  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/22(火) 23:39:30.24 ID:6ngihmg20
鼻風邪なかなか治らねぇなぁ
蜜柑食ったらよくなってきてたんだけど昨日一日蜜柑食わなかったらぶり返してきたので、とりあえず蜜柑くれ

>>696
>やだ素敵、やっぱり男女カップルも書けるんですね!(何を今更
元々男女も普通に書けるから!
誤解招く発言らめぇwwwwwwwwwww

>そうだ良い夫婦の日か……くぅorz
ちなみに、明日は「いい夫妻の日」だぜ

>>697
>みんな集まれえええええええええええ!!!もふらせろおおおおおおおおお!!!(落ち着け)
ゴースト「ぎしゃー(もふるが良い、人間よ)」
ダークネス「しゃぎゃー(ごはんちょーだーい)」
ダミア「にゃー」
ノロイ「ちゅっちゅちゅー」
クールトー(興味なさげに丸くなっている)
ショタ面犬「え?え、え??」(一発使いきりだったので呼ばれると思ってなかった)
700 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/22(火) 23:49:50.37 ID:7x7Q/Oxno
>>697
> みんな集まれえええええええええええ!!!もふらせろおおおおおおおおお!!!(落ち着け)
チンチラ(猫)「いけねぇやなぁ……俺を撫でられんのは飼い主だけよ。いや飼い主だけだっつってんだろうが、オフゥ、首筋はぁ」(ゴロゴロ)
チンチラ(ネズミ)「つーかワンワンニャーニャーなら俺ぁ関係無ぇじゃねぇか。もふもふなら何でも良いとか節操無ぇぞコラ」(すりすり)

一方二匹の飼い主は良い夫婦になってました、みたいな?
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 23:49:55.42 ID:kHKe64kdo
>>698
>(ルート>行ってきなさいよぉ、ついでに貰えるもんは貰っといてぇ
いいのかい、ほいほい差し出しちまって
俺は猫ならひたすらなでもふるような人間なんだぜ?
それでもいいならば、いい猫缶を与えてシャンプーしてドライヤーしてブラシかけてなでもふってブラシかけてお返ししますのでエーヴィヒを一晩貸してください

>>699
>ノロイ「ちゅっちゅちゅー」
まて、その面子の中にあんたは危ないwwww
上三匹に狙われるwwww

>ショタ面犬「え?え、え??」(一発使いきりだったので呼ばれると思ってなかった)
 計  画  通  り (にやり)
うろたえるわんこかわいいなでなで
702 :「死にたい奴から前に出ろ」  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/22(火) 23:53:50.52 ID:6ngihmg20
>>701
>まて、その面子の中にあんたは危ないwwww
>上三匹に狙われるwwww
ゴースト「ぎゃしゃーっ!(鼠如き、すぐに狩ってくれよう!)」
ダークネス「しゃげー(おやつー)」
ダミア「にゃにゃにゃん!」

 猫三匹による、一斉攻撃!

ノロイ「……」

 っふ

ゴースト「ぎしゃ!?(消えた…だと)」
ダークネス「しゃげ?(どこー?)」
ダミア「うにゃん?」
ノロイ「ちゅー(残像だ)」(三匹の背後に立って
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 23:59:01.36 ID:kHKe64kdo
>>700
おぉぅ、なんという両手に花……いや両手どころじゃないな
既にこの空間には私の固有結界(わんにゃんはーれむ)が展開されている
今日一日の天国……堪能させてもらったぜ
704 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/23(水) 00:10:16.65 ID:JFqpyfLT0
(リム>ネズミが良いのならオイラも
(裂邪>待て、お前はもふもふしてないだろ
(理夢>じゃあこれならどうだ?
(裂邪>……んーさっきよりマシだけど微妙
(シェイド>脚ダケ猫科ダガ

>>699
>誤解招く発言らめぇwwwwwwwwwww
ゴカイ? はて、そのような発言があったかどうk(焼き払われました

>ちなみに、明日は「いい夫妻の日」だぜ
つまり明日もチャンスがあると
ルートと日天のイチャラブシリアスシーン書いてやるぅ!(

>>701
>それでもいいならば、いい猫缶を与えてシャンプーしてドライヤーしてブラシかけてなでもふってブラシかけてお返ししますのでエーヴィヒを一晩貸してください
(ルート>どうぞどうぞぉ、そんな生意気なネコで良かったらいつでも貸してあげるわぁ
     ……さ・て・と♪ 日天さぁんっ♪
(エーヴィヒ>(やっぱりそういう事か)
705 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/11/23(水) 00:10:36.51 ID:4V9YriGs0
>>691>>692
>これは予想外だった、生存ってそういう意味だったのか!
テヘww

>続きを全裸にコートで待ってますの。
早めに続きを上げねば、鳥居を探すの人様が体調を崩されてしまう!
鬱神様、私に力をおおおお!!

>>697
>みんな集まれえええええええええええ!!!もふらせろおおおおおおおおお!!!(落ち着け)
にゃんこ先生「盛大に裏切りかました私がもふられても良いものか…」(棒
706 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/23(水) 00:20:53.07 ID:JFqpyfLT0
>>702
>ノロイ「ちゅー(残像だ)」(三匹の背後に立って
もう完全にネズミじゃねぇwwwwwwwww

>>705
>にゃんこ先生「盛大に裏切りかました私がもふられても良いものか…」(棒
俺ももふりたい
ネコ団子状態なニャンコ先生ハァハァ
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 00:51:25.27 ID:FMVpmAi9o
らぶりぃあにまるの日は終わって、今日は「いい兄さん」の日ですね
「いい兄さん」の日ですね
「いい兄さん」の日なんです
抱きしめてください翼さん
708 :「死にたい奴から前に出ろ」  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/23(水) 00:53:43.52 ID:FnXjLN1p0
>>706
>もう完全にネズミじゃねぇwwwwwwwww
やつはスーパーハツカネズミですから

>>707
>抱きしめてください翼さん
翼「あ?突然何だよ……仕方ねーな。ほら」(むぎゅ
 こう?
709 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/23(水) 00:59:47.93 ID:WXmMj3lD0
(裂邪>……良い兄さん、ね…………ふん

書けるかな、兄弟喧嘩
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 01:03:29.49 ID:FMVpmAi9o
>>708
> こう?
わんにゃーに囲まれて、いい兄さんに抱きしめられて、私はなんという幸せもの……もう思い残すことは、ない……
ゴフッ……(いい笑顔で)
711 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/23(水) 01:39:27.46 ID:yc8nmMZAO
花子さんとかの人乙です
こーゆー通じ合ってる夫婦ってじんと来るなぁ

>みんな集まれえええええええええええ!!!もふらせろおおおおおおおおお!!!(落ち着け)
もふり隊はここにもいるんだぜ!

>早めに続きを上げねば、鳥居を探すの人様が体調を崩されてしまう!
鬱神様、私に力をおおおお!!
大丈夫です!コート着てるから!

>「いい兄さん」の日ですね
ウホッ解禁…だと…

>書けるかな、兄弟喧嘩
胸熱で待ってますが無理はなさらないで下さいの!
712 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/11/23(水) 11:49:04.31 ID:WlK68CeS0
堂寺「良い兄さんの日か…」
疾風「こんな日だから言うけど、実は僕には双子の兄が居るんだ…」
小百合「せっかくだから便乗して暴露するけど、私の家には男の人が一人も居ないの」
713 :「死にたい奴から前に出ろ」  ◆nBXmJajMvU [sage saga]:2011/11/23(水) 12:18:47.83 ID:7iZO0VM40
今日は「いい夫妻」の日で「いい兄さん」の日で「いい罪」の日だそうですよ皆さん
夫妻は昨日夫婦として朝比奈夫婦書いたし、今日はいい兄さんで何か書こうかとも思ってたけど今日は待ち合わせあるんで書く時間が確実にないとかあるぇ
ってか、いい兄さんって誰だよ、俺のキャラでいい兄さんキャラなんていたっけ

>>710
翼の胸板と俺の薄っぺらい胸板で宜しければいつでも貸すぜ

>>711
>こーゆー通じ合ってる夫婦ってじんと来るなぁ
一度は軽く殺しあったけどな!

>ウホッ解禁…だと…
そっちの意味かよwwwwwwwwwwwwwwwwwww
714 :DKGとファントムさん  ◆lzXMjKhUPM [sage saga]:2011/11/23(水) 13:53:36.87 ID:Ad+brbwJ0
ここはいつから変態紳士の社交場になったんだ……。
715 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/11/23(水) 14:58:14.18 ID:WXmMj3lD0
>>713
秀先生がいるじゃないですか
龍一くんもいるし
あとあの場で大樹さん出したら秀雄さんも兄になる

>>714
何を今更
立った当時から既にそうだったじゃないか!!(各方面に謝れ
716 :うねる黒紐、きらめく白刃 [sage]:2011/11/24(木) 00:49:20.07 ID:ml+nL8Obo

 一匹のジャガー人間が黒い紐に絡め取られている。
 その黒い紐はジャガー人間を容赦なく締め上げ、動きを完全に封じている。
 そのジャガー人間に青年が駆け寄り、手に持った小刀を突き立てた。
 周りでは同じようにジャガー人間たちが黒い紐に絡め取られている。
 中には牙や爪で抵抗する者もいるが、その黒い紐は全く切れる気配がない。

「無駄です。グレイプニルは決して切れません。」

 そう言い放った黒服の契約都市伝説は「グレイプニル」。
 北欧神話に語られる、決して切れることがないという紐である。
 殺傷能力は無に等しいが、拘束という一点において無類の力を持つ。
 黒服が拘束したジャガー人間をその手の小刀で切り裂きつつ、青年は黒服をちらりと見やる。

「黒服さん、こいつらの弱点ってキウイですよね。「組織」から支援物資とかないんですか?」
「バックアップはありませんし、あったとしても使うことはありません。」
「いや使いましょうよ。予算きついのかもしれませんけど、ケチって死んだら世話ないですって。」
「そうではありません。キウイは弱点であると同時に『ジャガー人間はキウイで逃げだす』という噂も立っています。」
「なるほど。簡単に倒せる上に逃げ出してくれるとあれば、ますます楽になりますね。」
「あなたは馬鹿ですか。逃げた奴らが一般人を襲うかもしれないのですよ。」
「冗談ですよ。言ってみただけです。」
「冗談を言ってる暇があったら手を動かしてください。冗談じゃなく死にますよ。」

 青年の左右から同時に襲い掛かるジャガー人間をグレイプニルが絡め取り、白の刃が一閃、二閃。
 青年の得物は「マキリ」。猟師の間に伝えられる小刀の一種である。
 「マキリ」の音は「魔斬り」に通じる。すなわち、怪異に対して抜群の効力を発揮する。
 マキリに斬られたジャガー人間は毒が回ったかのように苦しみ悶え、光の粒になって消えていった。

「しかし、こいつら一体何匹いるんですかね?」
「どこかにこいつらを生みしている者がいるはずです。それを倒さない限りは無限に増えるでしょう。」
「だったらこいつら倒しても意味無いじゃないですか。時間稼ぎでしかないじゃないですか。」
「大いなる時間稼ぎです。私たちが奴らを引き受けている隙に、0-Noや他の黒服、契約者たちがこの元凶を倒すべく動いています。」
「で、いつまでその大いなる時間稼ぎとやらをすればいいんです?」
「彼らがこの元凶に刃を突き立てるまでです。」

 最後の一匹にマキリを突き立て、青年はひとつため息をついて周りを見渡す。
 直後、道路の向こうから、塀の影から、屋根の上から、ジャガー人間たちが次々と姿を現した。

「休んでもいいですか?」
「死にたいのならどうぞ。」
「帰ってもいいですか?」
「帰られるものならどうぞ。」
「はぁ……サポートお願いします。」
「仕留め損なわないようお願いします。」

 黒服のグレイプニルがうねり、ジャガー人間を絡め取る。
 そして青年のマキリがきらめき、そのジャガー人間を切り裂いた。

 戦いが終わる気配はない。
 少なくともこの場は、まだ。


【終】
717 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/24(木) 20:26:42.11 ID:LIeNt5KN0
単発の人乙です〜
これは良いコンビ、しかもかっこいい!
いつかまた登場する事を期待してみる(ぁ
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 12:31:20.05 ID:YQQTdfKDO
そういえば今日は「いい双子」の日ですね
荒神兄弟とか天倉姉妹とか、双子を絡ませればいいと思うよ!
背景に花が咲くくらい濃密に絡ませればいいと思うよ!
719 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/11/25(金) 19:33:40.66 ID:htnEFh0p0
単発の人乙ですー

>>718
うちの双子キャラを初登場させるチャンスか…
そして今日はOLの日でもあるんだぜ
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage saga]:2011/11/25(金) 23:01:54.35 ID:v7BoGb/g0
>>718
悪いな、別件で忙しくて今日中には無理だ
後日でよかったら荒神兄弟でマヤの予言編のシーンでも書くよ
721 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/25(金) 23:28:27.40 ID:eK+6/tc40
ごめんなさい、「マヤの予言」編全然進んでなくてごめんなさいorz
明日は出かけるし、明後日は面白そうな仕事見つけたのでハローワーク行ってくるという
722 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/27(日) 00:53:15.01 ID:J3bDNRhAO
単発の人乙なのです
自分もいい加減進めねばorz
723 :悪党と正義の味方 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/27(日) 18:55:02.28 ID:Hff55E2lo
 ごとりと重たい音を立てて、携帯ゲーム機より一回り大きな機械が取り付けられたベルトが台の上に置かれる

「これが変身用のデバイスです。試作段階なのでまだ大型ですがね」
「てっきり趣味だと思ったけどな」

 既に拘束を解かれたZ-No.592は、抵抗する様子もなくヴィッキーの傍らでその試作品を眺めていた
 契約都市伝説を奪われた彼は、ただの黒服としての能力程度しか持ち合わせておらず、戦闘員や怪人に対抗する事はおろか、ヴィッキーを倒し切る事もできない
 自害したところですぐに『修理』されてしまうため、今はただ従う他に無いのだ

「こんなものを作れるなら、俺は必要無いんじゃないのか?」
「これ単体で機能するだなんて、誰が言いました?」

 するりとヴィッキーの腕がZ-No.592の身体に絡みつき、胸元をまさぐるように撫で回す

「あなたのここには、このデバイスとリンクするシステムが埋め込まれています。デバイスで読み込んだ結晶体のデータをそのシステムに複製転送し、その身体に浸透して結晶体に応じた変身を可能とするのです」
「……その結晶体を、返してもらいたいんだがね」
「ああ、あの『こっくりさん』達のですね」

 ヴィッキーはZ-No.592から身体を離し、壁のタッチパネルを操作する
 仰々しい駆動音と共に開いた保管庫はほとんど空だったが、手のひら大のケースに収まった大きなメダルがいくつか並んでいた

「あなたの大事な都市伝説は……これ、ですね」

 小さな結晶体を丸い透明の物質が包んでおり、更にそれが金色のメダルにはめ込まれている、そんな造形の物体

「結晶体の強度はさほど強くはないので、それなりの工夫をしてあります。メダルの素材は『第三帝国』に入り込んでいた私が横流ししたオリハルコン製で、カバーとしての強度は勿論のこと都市伝説の力を伝えやすいようにしてあります」

 己の成果を誇示するように、メダルを手に取ってZ-No.592に見せつけるヴィッキー

「ですが、これを渡せるのは……あなたの脳改造が終わってから。私達の忠実なる下僕になる前に、力を与えるわけにはいきませんから」
「だったら、そもそもそれを見せるべきじゃなかったな」

 そう言ったZ-No.592は既にその手にベルトを掴み、己の腰に巻きつけていた
 ヴィッキーが何をするよりも早く、メダルを持つその腕を掴んで引き寄せて、遠慮も容赦もない拳がヴィッキーの顔面にめり込ませる
 痛覚が無くとも反射的に緩んだその手から、Z-No.592はメダルを奪い取り
 その手にじわりと伝わってくる、『こっくりさん』の力

《ただいまー》
《ひさしぶりー》
《さみしかったー》

 声が
 聞こえたような気がした
 気のせいかもしれない
 それでも

「また一緒に、戦おうぜ」

 メダルを握る手に力を込めて
 ベルトのスロットにそれをはめ込んだ

「変身」

 ベルトにはめ込まれたメダルから溢れ出す三色の輝きは、かつての彼女達の毛並のようで
 胸の内から身体中に行き渡るその力は、かつての彼女達の声援のようで

「よく、変身の方法が判りましたね」
「こういう造形、こういうノリならこんなもんだろ?」

 すぐさま背後から襲い掛かってくる戦闘員達を、肘打ちで一人、振り返る勢いを乗せたパンチで一人、回し蹴りで三人まとめて薙ぎ払う
 立て続けに死角から襲い掛かる戦闘員達を次々と薙ぎ倒すZ-No.592に、ヴィッキーの顔に笑みが浮かぶ

「想定していたより、戦闘力は高めですね。元々の契約都市伝説ですし相性が良いのでしょうかね」
「そうかもな。お前は都市伝説の強さってのを甘く見過ぎてるんじゃないのかね」
「甘くは見ていませんよ?」

 ヴィッキーはメダルが装着されてない結晶体を手に取ると、べろりと突き出した舌の上に乗せ
 そのままそれを、ごくりと飲み下した

「甘くは見ていませんが、その存在はあくまで添え物。『悪の秘密結社』と『正義の味方』の戦いを彩る、ソースの一つに過ぎません」

 みしり、と
 ヴィッキーの身体が音を立てて歪む
 それはかつて見た、都市伝説の力を取り込んだ人間の変貌と同じ
 白い羽毛に覆われた翼がその背を覆い、西洋の甲冑を思わせる純白の甲殻がその体表を覆っていく

「あなたの『こっくりさん』と同系列の都市伝説、『エンジェルさま』ですよ。同系列とはいえ、動物霊とはイメージとしての格が違います、多少マイナーとはいえ、ね」
「そうか、それで」

 とん、と床を蹴り
724 :悪党と正義の味方 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/27(日) 18:56:04.66 ID:Hff55E2lo
 身体を丸めてくるりと後方に宙返りをするZ-No.592
 そして、ぐんと身体を伸ばして蹴りを放つように片足を突き出す

「お前は、その都市伝説をどれぐらい知っている? 都市伝説としての定説じゃない、『その都市伝説』の個性をだ」

 蹴りの姿勢のまま、Z-No.592の身体が空中でぴたりと静止する
 そこにはまるで、その身体を矢とするかのように、引き絞られた弓の形をした力場が展開されていた

「こっくりさんこっくりさん、お帰り下さるなら鳥居の方へ!」

 冷たい、霊的エネルギーが室内に吹き荒れる
 それは鳥居の姿を模って、ヴィッキーに向かって一直線に立ち並び
 すぐさまそれから逃れるようにヴィッキーが動くが、鳥居は彼女への道を作るようにその位置を変えるだけ
 そして弓から放たれたZ-No.592の蹴りは、くぐった鳥居のエネルギーを取り込みながら加速して、正確にヴィッキーの胸板を捉えた
 その一撃は触れた瞬間にその甲殻を塵と化し、取り込んだ都市伝説のエネルギー諸共にヴィッキーの身体を消し飛ばした

「お疲れ様、こっくりさん」

 床に膝をつき、そう呟いたZ-No.592
 変身が解け身を覆っていた装甲が光の粒となってメダルへと吸い込まれていくその背後で、ヴィッキーだった人の形をしたものもまた光の粒となって空気に溶けるように消えていった

―――

『悪の秘密結社』を象徴する紋章が掲げられた、大首領の間
 陳腐さすら漂う無駄に豪奢な玉座は空で、その傍らには幼い少女の造形をしたヴィッキーが立っていた

「親玉は何処に行った? お前の本体もな」
「本格的な活動のために、真の秘密基地へと帰還しました」
「お前はそれを伝えるために残ったのか?」
「ええ、あとあなたの合格を伝えるために」

 ぱちぱちと手を叩きながら、笑顔でそう告げるヴィッキー

「貴方を、ただの素材ではなく……我々の敵として認めましょう」
「認められなくても、こっちは最初っから敵のつもりだけどな」
「いえ、私達が敵として認めるのはとてもとても重要な事。何故なら、『悪の秘密結社』は私達が認めた敵である『正義の味方』によってしか滅ぼされる事は無いのですから」
「……わざわざ、滅ぼされるための存在を作り上げ認めようと?」
「ええ、その通り」
「お前らは……自分達が滅びるために、悪行を重ねていたとでも言うつもりかよ」
「まさか……打ち倒すに値する存在が、打ち倒されるに値する存在があってこそ、我々は初めて意味を為すのです」

 ヴィッキーは笑う
 嬉しそうに
 とても嬉しそうに

「さあ、始めましょう。正義と悪の壮絶な戦いを。語り観る者の心を躍らせる最高の遊戯を。世界の命運を賭けた茶番劇を」

 両手を広げ
 天井を仰ぎ

「私達は悪事を為します。今まで以上に無闇に、無意味に、無秩序に、無茶に、無作為に、無謀に、そして無限に……あなたはそれを阻止し続け、私達追い続けるのです」

 悪意に満ち満ちた笑顔
 悪意に満ち満ちた声

「させねぇよ。お前の出来の悪いシナリオなんざ、1クール持たせずに打ち切りにしてやるよ」

 その全てを吹き飛ばすように、Z-No.592が笑みを浮かべる

「俺と、『こっくりさん』を舐めるなよ?」
「あなたこそ……『悪の秘密結社』を舐めて掛からないように」

 そう言ってZ-No.592は、ヴィッキーに背を向ける

「何処へ?」
「一つ、済ませてない用事があるんでな。それを済ませたらすぐに相手をしてやるよ」
「『組織』の手を借りようなどと思わない事です。私達を倒せるのは、あなただけなのですから」
「そんな理屈が、あの町に通用すると思うなよ? ……まあ、仲間を呼んだりはしないから安心しとけよ」
「信用しろと?」
「お前達が認める正義の味方だぜ?」
「なるほど」

 ヴィッキーはくすりと微笑むと、黙ってその背を見送った

―――

『悪の秘密結社』が学校町に侵入した一件以来、町に出入りする都市伝説存在への『第三帝国』の監視が相応に厳しくなった
 だがその警戒すらも、長く続けば日常となる
 いつものように『スツーカの悪魔』が町の遥か上空を飛び回る中、メイはいつものように日課の犬の散歩へと出掛けていく
 何匹もの大型犬のリードを握り締め、道行く近所の人々に笑顔で挨拶をしながら
725 :悪党と正義の味方 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/27(日) 18:56:44.57 ID:Hff55E2lo
 だが、時折
 その笑顔は暗く陰り、歩を止めた犬達が心配そうにその顔を覗き込む

「どうした、元気が無いな」

 俯いていたその頭上から、男性の声が掛けられる

「悪ぃ、報せが遅くなって」

 ぽん、と
 気安く頭に乗せられた手が、ぐしぐしと頭を撫で回す

「ちょっと遠出しなきゃならないが、すぐ終わらせてくるから安心して待ってな」

 頭から、手の感触が離れ
 メイが顔を上げると
 そこには既に誰も居なくて
 犬達の視線が向けられた先にも、既に人影は無く
 それでもその先、ずっと先に彼がいる事を、手のひらの温もりに教えられ
 メイは顔を上げ、真っ直ぐ前を見詰めて歩き始めたのだった
726 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/27(日) 19:04:38.48 ID:Hff55E2lo
前回までのお話は
>>527-528をご参照下さい

これにて悪の秘密結社編は一旦幕となります
正義の味方と悪の秘密結社の果てしないバトルもあるのですが、それはそれで書ききれる気がしないので(爆)

色々好き放題設定をでっち上げ過ぎた、今は反省している
というのが正直な感想でございますorz
727 :夢幻泡影 † 目醒め、そして  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/27(日) 22:32:52.46 ID:nIlcIFit0
―――貴様、「水晶髑髏」を知っておるか?



―――13の「水晶髑髏」を集めた時、宇宙万物の力を手に入れる事ができるのだ



―――その力を手に入れれば、例え人間だろうとそこの神も、下手をすれば我でさえも滅ぼせるだろう



―――――――――――――「水晶髑髏」を………13個集めれば…………!!






ぱちり、目を開いて彼は飛び起きた

「ッ!! レ、裂邪!」
「ご主人様ぁ!!」

思わず勢い良く抱きつくミナワ
上体をよろめかせながらも、裂邪は彼女の身体をそっと抱きとめた

「っとと……すまねぇ皆、心配かけたな」
「全くバクよ、あの状況で一人だけ残るなんてどうかしてるバク」
「水臭いですぜ旦那ァ! 死ぬときゃ皆一緒でさあ!!」
「そっちか、俺は血を吐いた方にくるもんかと」
「どっちでもッ、良いですよぉ……お元気そうで……よかったぁ……」

しゃくり上げ、青い瞳から大粒の涙がぽろぽろと溢れ出した
至極申し訳無さそうな顔をして、裂邪は指でその涙を拭う

「本当にごめんな……でも、涙は後に取っといてくれないか?」
「…え?」
「シェイド、ミナワ、リム、ウィル
 驚くだろうし怒るかも知れないけど……話がある、黙って聞いて欲しい」

それぞれに視線を配りながら、彼はベッドの上で正座をして、一つ咳払いをする
4人を捉えるその目は真剣な、しかし深刻な色をしていた
が、シェイド達はそれ以上に得体の知れない何かを感じ取り、思わず小さく身震いした

「……用件ハ何ダ」

ようやくシェイドがそう問いかけると、
裂邪はこくん、と頷いて、大きく息を吸った

「まず…ローゼちゃんや正義が出て何分経った?」





     †     †     †     †     †     †     †





「うわー、お兄ちゃんの様子見に行ってたの忘れてたー!」

病院の廊下であるにも関わらず、騒ぎながら慌ただしく走るライサ
先程、ローゼの命を受けて晶髏を別室に誘導し、蓮華に連絡をしていたのだが、
裂邪の病室に行った本当の目的を忘れてしまっていたようで、遅まきながら彼女はひたすら走っていた
そんなに走らずとも、この階は然程広くもない為、すぐに辿り着くのだが、

「あっ、こ、ここだ……お兄ちゃん、お姉ちゃん、入りますよー」

今回だけは、もう少し早く来るべきだったのかも知れない

「………あれ…お兄、ちゃん?」

部屋は蛻の殻だった
真っ暗な部屋の中は、窓から入る月光が視界を作り出している
その光を直接浴びている綺麗に整頓されたベッドの上には、
『ごめん』とだけ書かれた紙切れが、寂しく残されていた

   ...To be continued
728 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/27(日) 22:37:57.53 ID:nIlcIFit0
久しぶりに書いて1レスか……むぅorz
まぁ良いさね、次の『赤い幼星』を書き終えたらやっと戦闘シーンが……


三面鏡の人乙です〜
これでひとまず終了か……また学校町に来たりするんだろうか
そしてZ-No.592さんかっこいい、ヴィッキーさんもかっこいいハァハァ(ぁ
729 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/11/27(日) 23:37:27.29 ID:Hff55E2lo
>>728
> これでひとまず終了か……また学校町に来たりするんだろうか
まあ来ない方が色々楽なので、変身システムを別のキャラに流用でもしない限りは出番は無いはず

> そしてZ-No.592さんかっこいい、ヴィッキーさんもかっこいいハァハァ(ぁ
ぽっと出の割に主役っぽくなれた気がします、Z-No.592
ヴィッキーはもうちょっと狂った方が面白かったかもww
730 :単発ネタ [sage]:2011/11/29(火) 14:00:31.88 ID:oFPZRG0SO
公園に変な子供がいる。
時計を見ると丑三つ時だった。子供が出歩く時間じゃあない。
ちょっとした散歩ができる広さのある公園だ。夕方からずっと迷子になってる可能性も考えてみた。
「……無いな」
「どうしました?」
まあ、こんな時間に公園で、黒服きた男といる俺も変だよな。
「餓鬼がいるんだよ」
「はい?……ああ、契約者のようですね」
契約者?そういや、赤い布をマントみたいに身体に巻き付けてんな。赤マントか。
「なぁ……良い?」
俺の質問に答えず、黒服はiPadみたいな物を弄りだした。
この黒服、何考えてんのか分かんなくて苦手だ。
前の黒服は組織の為なら何でもするって感じの過激な感じだったし、その前はそもそも感情なんてなさそうだった。
こいつは、なんか「どうでもいい」って感じだよな。よく分からんけど。
「良いですよ」
「あ?」
「良いですよ。何処にも所属してない、フリーの契約者のようですから」
「さいですか」
よく分からん奴だけど、俺の好きにさせてくれるから嫌いじゃない。苦手だけど。

「こんばんは、坊や」
携帯電話を動画撮影モードにして、子供に向ける。
「うわぁ!……あ、ぁ、びっくりした……」
驚かせてしまったらしい。そんなつもりは無かったんだがな。
「ぁ、えと、こんばんは。ど、どちら様、でしょう……?」
「組織」
「っ……」
俺が組織と言っただけで、子供の目に警戒の色が浮かぶ。
こんな子供でも知ってるとは、どれだけ嫌われてんだよ。
「あ、の、何の用でしょうか。僕、何もしてませんよ?今だって、悪い都市伝説を捜してるだけで……」
「あー、いや、君が何してるとか、興味ないから」
俺がそう言った時、子供の右手の人差し指が、落ちた。
「…………?…………へ?………………痛い?」
何が起きたか子供が理解する前に、次は中指が落ちた。
「っ!?」
そうして、ようやく攻撃を受けている事に気がついたらしい。
子供は反撃にでようとして、
「あ、じっとしてて」
両足が、スッパリと切れ、落ちる。
「スナッフフィ〜ルム〜 ♪」
子供の身体があちこち切れ、無惨な死体になってゆく様を、俺の都市伝説『スナッフフィルム』で撮影する。
「な…………ん……で、……」
「俺、餓鬼が嫌いなんだよね。都市伝説とか契約者だとかは、特に」
俺の両親を殺した契約者は、餓鬼だったから。
この世界じゃ、見た目が餓鬼だからって、中身も幼いとは限らない。
その姿で何十年と生きている、気持ちの悪い化け物がいる。
自分は無害ですよという顔で人を[ピーーー]化け物がいる。
だから、
「疑わしきは、罰せよってな」
「      」
子供から返事はない。首切れてるから当たり前だけどな。
「終わりましたか」
気がつくと黒服が隣に立っていた。
「それでは、任務の話に戻りましょう」
子供のバラバラ死体を見下ろし、何も言及しない。
子供は、悪さをしていた契約者だった事にされ、処理される。いつもの事だ。
「次の任務の対象も、餓鬼?」
「そうですよ」
それは、楽しみだ。

731 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/11/29(火) 22:06:02.25 ID:GJNG+jD50
単発の人様、三面鏡の人様、シャドーマンの人様乙ですー
拘束系の能力を使える方が居ると安定しますねー
『悪の秘密結社』編がひとまず完結…ヴィッキーさん達に会えなくなるのは寂しいですが、また会える日を密かにお待ちしております!
ライサちゃん可愛いなぁ…
裂邪君カッコイイ…
裂邪君も水晶髑髏を集めに行くかもしれないんですねwktk
なんて素敵な青年と黒服…!
思想・行動共に応援したい…
732 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/29(火) 22:23:33.58 ID:zoVyhBSi0
単発の人乙です〜
「スナッフフィルム」をこう使うか、この発想はなかったな
でも子供をイジメル奴は許さないゾ☆

>>729
>ヴィッキーはもうちょっと狂った方が面白かったかもww
あー、なるほど
狂ったキャラって難しい……どういう台詞で、どういう描写で狂っていることを読者に使えるかが
考えただけで俺が狂いそうになrハッ!?(何かに気付いたようですがそっとしてあげましょう

>>731
>裂邪君も水晶髑髏を集めに行くかもしれないんですねwktk
あのバカはもっと酷い事やらかしますw
うえーん、続き書きたいけど眠いのでベッドに行ってきますorz
733 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/11/30(水) 00:54:52.93 ID:Oou+Y8zAO
三面鏡の人乙ですー
おぉうZ-No.592たん華麗に改造!
彼のご活躍をお祈りしますですよ

シャドーマンの人乙です
れっきゅん再始動wktkですの

単発の人乙です
スナッフフィルム怖えぇ…

さて墓地組とノイ組どっちを先に進めようか
734 :赤い幼星 † 迫る影  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/30(水) 23:16:23.56 ID:i5QvWfLS0
「こんなところに洞窟があったなんて……」
「足元にお気を付けなさって、赤い光しか出せなくて申し訳ないけど」

学校町を山に沿って北に離れた所にあった謎の洞窟
そこに「水晶髑髏」があるらしく、ローゼは正義達と共に探索を開始した
歩き始めて既に数十分。深奥に辿り着く気配は、未だ無い

「こ、コインちゃん、まだなの?」
『うん、ずーっと先の方だよー』
「嘘でしょお……ねぇ、ローゼさんでも勇弥でも良いから、奥までパッと行けないの?」
「それが…何かブロックがかかってるみたいですの」
「オレも同じだ。この洞窟内の空間に干渉できないみたいだ」
「という事だそうだ。諦めるんだな心星」
「そんなぁ……足が棒になっちゃうよ……」
「でも宝探しには付き物だよね」
「楽して手に入れられるものではないという事だな」
「世界の命運がかかってるのよ!?」

状況の悪さとは裏腹に、あまりにも和やかなこの雰囲気に、ローゼはまたも噴き出してしまった

「ほらお前ら、ローゼさんが呆れてるぞ」
「え、あ、そんな事はありませんわ…それにしても狭い洞窟ですこと」
「広いところはあったけど、そこだけだったよねぇ」
「こういう方が洞窟っぽいから、ボクは狭い方が良いな」
「そうですわね、心が躍るようですわ♪」
「ろ、ローゼさんまで……」
「おほほほほ♪ さあ、お宝を目指して冒険ですわ――――」

ぞくり、背筋を走るような悪寒
表情を強張らせ、彼女は咄嗟に振り返った
闇しかないその先――正確には後ろだが――に、何か邪悪なものがある

(…ジャガーの怪人じゃない……でも「太陽の暦石」やその取り巻きでもなさそうですわね……
 どうしましょう、行けばこの方達は――――)
「ローゼちゃん」

正義に呼ばれて振り返ると、眩い光が彼女の目に差した
掌で目を覆いながら確認すれば、それはどうやら勇弥の「電脳世界=自然界論」の能力で発生した光のようだった
一瞬、ローゼの心に不安が過ったが、それは的中した

「…「水晶髑髏」はボク達に任せて」
「っそんな、貴方達だけじゃ危険ですわ!」
「じゃあ、全員で敵を迎え撃つか?」
「……卑怯ですわ、そんなの。どっちみち危険に変わりないじゃありませんの」
「大丈夫ですよローゼさん、私達も死にに来た訳じゃないので」
「そうそう、ねーコインちゃん?」

本日何度目の溜息だろうか
はぁ、と不満を排出すると、無理矢理に笑顔を作って

「…死ぬ事のありませんように」
「分かってる。絶対に合流しよう」

こくんと頷いて、彼女は赤く輝く翼を背に生やし、
闇が広がる、先程歩いてきた道を猛スピードで翔け抜けていった
そこに何が待ち受けているかも知らずに
735 :赤い幼星 † 迫る影  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/30(水) 23:16:57.03 ID:i5QvWfLS0
     †     †     †     †     †     †     †





自らの赤光を頼りに狭い通路を飛んでいると、ローゼは突如広い空間に出た
体育館程度の広さで、天井から氷柱のような鍾乳石が幾つも垂れ下がっていた
ふと、そこでローゼが気になったのは、異常に赤すぎる足場だった

「………ッ!! こ、これは………!?」

無理もない
彼女が見たものは、今にも消えようとしているジャガー人間の惨殺死体だった
ある者は首を落とされ、ある者は縦に、ある者は横に分断され
その中の幾つかは、焼かれたように黒焦げた者もあった

「…ワタクシ達を追ってきたようですわね……それより、一体誰が……」
「まさかそっちから来てくれるとは思ってなかったよ」

暗闇に響いた、少年の声
声の主は正面の、やや離れたところに立っていた
片手に紫の禍々しいオーラを伴った黄金の柄の血塗れた剣、片手に消えゆくジャガー人間の死骸を持った、
闇に紛れるような黒尽くめの少年

「裂邪さん……!!」

安堵と、病院を抜け出した事に対する怒りが沸き起こったが、
それらを払拭してしまう程に強烈なものを、彼は持っていた

「……どうしてそれを使ってらっしゃるの?」

彼女の問いに、裂邪はにやっと笑うだけ
自分の前に放り投げたジャガー人間の死骸は、闇の中に融けていった
ぼう、と剣から紫の炎が燃え上がる

「まさか、ナユタにとり憑かれて………!?」
『残念だけど僕は一切関与してないよ
 ここに来たのも、僕の力を利用しているのも、全てマスター自身の意志によるものだ』
「そういうことだ」

怪しい笑みを浮かべながら、一歩、また一歩と歩み寄る裂邪
今まで感じた事のない、表現しようのない恐怖を抱き、ローゼは直感的に後退る
ごくんと息を呑むと、唇を震わせながら、一番聞きたくなかった、しかし一番気になった事を問うた

「…裂邪、さん……貴方、ここに何しにいらっしゃったの…?」

その瞬間、紫の炎が激しく燃え、2人の周囲の半径10メートル四方をぐるりと囲んだ
宛らデスマッチのリングを思わせるその光景に驚きを隠せないローゼを見て、彼は狂ったように高笑いした

「ヒッハハハハハハハハハ!!」
「なっ……!?裂邪さん! これはどういう――――――」
「何しに来たかって?……お前を殺しに来たんだ」


   ...To be Continued/『夢幻泡影』へ
736 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/30(水) 23:20:16.69 ID:i5QvWfLS0
むぅ、早1ヶ月を過ぎてしまった…何たる失態orz
とりあえず書きたかったシーンその5にまで持っていけた
今週中には裂邪vsローゼ書きたい所存
737 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/11/30(水) 23:22:36.91 ID:i5QvWfLS0
>>733
>れっきゅん再始動wktkですの
再始動したよ! もっと褒めて♪(

>さて墓地組とノイ組どっちを先に進めようか
新キャラという事もあって墓地組が楽しみなの
無論可愛いノイノイの活躍もハァハァしながらwktkしてますよ☆
738 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:32:47.13 ID:Hdbe8vAO0
                    「ロリコンとロリコンの邂逅」
これは、世界終焉の10月28日より少し前のお話…。だけど、CoA編は解決した後のお話。
僕、任天堂寺はいつものように光機と小奈美と一緒に歩いていた。歩くたびに揺れる小奈美のツインテール。
堂寺「漂う幼女の香り…。相変わらず小奈美は可愛いなぁ…なんてことを考えながら歩くのであった」
小奈美「声に出てる!」
堂寺「はっ…! な、なんてこった! こんなところで僕の趣味が露見してしまうとは!」
ニンテンドーDS用ソフト、『あつめて!カービィ』をプレイしながら叫ぶ僕
光輝「いや、最初からバレてたよ」
そんな他愛もない会話をしながら、(僕はゲームをしながら)僕達は歩いていた
 

その頃…(3人称視点だよ!)
(裂邪>はいミナワ、あーん
ポッキー(今日11月11日はポッキーの日である)を持ち、ミナワ―『童謡・シャボン玉』の少女の口元に差し出す黒尽くめの少年、黄昏裂邪
(ミナワ>あーん
(裂邪>うまいか? ミナワ
(ミナワ>はい、美味しいです♪ と、いうかご主人様がくれるものならなんでも…///
(裂邪>ウヒヒ、相変わらず可愛いことを言うなぁミナワは♪
(ミナワ>もぉ、裂邪ったらぁ…///
などと、白昼堂々イチャイチャするカップル。(片方は幼女である)恐らく、いや確実に、妬見女疾風がこの現場を目撃したら大惨劇が訪れるであろう
ところで、一番最初に『照れ』を///で表した人は天才だと個人的には思う。まぁ、それはそれとして…

(任天堂寺の1人称視点に移行するよ!)
堂寺「まぁでも問題はないはずだよ。幼女は可愛い。これは真理なんだから…よし、ステージクリア!」
光輝「いや問題大有りだよ!?」
小奈美「やっぱり異常者(アブノーマル)は性癖も異常(アブノーマル)なのかしら…私はまともだけど」
ちなみに、光輝も小奈美も僕と同じ異常者である。やはり、異常者の兄弟姉妹は異常者になるものなのだろう…なんてことを考えながらゲームをしていると…
(裂邪>じゃ、今度映画館にでも…
堂寺「可愛い幼女と少年が見えた。少年の方は僕の守備範囲から外れている…あと5歳くらい若ければ良かったのだが」
光輝「だから声に出てるって!」
まぁ、そんな風に歩いていたのだが、偶然にも少年の方と目が合った…瞬間
堂寺「君、名前は?」
僕は無意識のうちに、僕は彼に名前を聞いていた。僕は人見知りなので、初対面の人に自分から話しかけることなど滅多に無いのだが…
(裂邪>黄昏裂邪だ。兄ちゃんは?
堂寺「黄昏裂邪君か―良い名前だね。邪を引き裂く、みたいなかんじで。僕は任天堂寺、STGが大好きだよ。よろしくね」
(裂邪>ああ、よろしく
そして、僕たちは固い握手を交わした―そう、この瞬間がまさしく、ロリコンとロリコンの邂逅となったのだ…
堂寺「ところで君と一緒に居たその可愛らしい女の子は君の妹?」
(裂邪>ミナワのことか? 妹じゃない…俺の嫁だ(キリッ)。そして俺の契約都市伝説でもあるんだが…俺の嫁だ(大事なことなので2回言いました)
裂邪君はキメ顔でそう言った
堂寺「なん…だと? いや、君まだ18じゃないよね。結婚できるような年齢じゃないよね?
…契約? ってことは君も契約者なの?」
(裂邪>ウヒヒヒ、その辺は心配無用だ。なぜなら俺たちがその頃に結婚することはすでに決まっているからだ!
そしてその通り、俺は契約者…ってその口ぶりからして、堂寺兄ちゃんもそうなのか?
堂寺「なるほど…。うん、そうだよ。『ソニータイマー』他3つと契約してるんだ」
疾風君が聞いたら大変なことになるな、うん。
(裂邪>そうなのか…俺はミナワの他に3つの都市伝説と契約、2つの都市伝説と仮契約してるぜ。ところで、堂寺の兄ちゃん。兄ちゃんの隣に居たあの幼女は…
堂寺「僕の可愛い妹だよ! …よくそんな多重契約して飲まれずに自分を保ってられるね…すごいなぁ」
739 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:33:52.54 ID:Hdbe8vAO0

小奈美「何か盛り上がってるわね…」
(ミナワ>何の話をしているんでしょう…?
光輝「どうせ下らないことかろくでもないことだよ、兄さんのことだから…あ、僕の名前は任天光輝。RPG…特にポケモンが大好きだよ。よろしくね」
小奈美「私は任天小奈美。好きなジャンルはSRPGとRTSよ。よろしくね!」
(ミナワ>ミナワです。よろしくお願いします…

堂寺「お待たせ小奈美ー。紹介するね。たった今友達になった黄昏裂邪君だよ、よろしくね」
小奈美「黄昏さんですね? よろしくおねがいしま…」
裂邪(ウヒヒ、可愛いなぁ)
小奈美「―――ッ!」
急に裂邪君から距離をとる小奈美。どうしたんだろう?
小奈美(なぜか寒気を感じたわ…)よろしくお願いします
まぁ、普通にお辞儀したわけだけど(お辞儀する姿も可愛い)
小奈美「ところで何の話をしてたの、お兄ちゃん?」
堂寺「ん? ああ、幼女って可愛いよね、みたいな話をしてたんだよ!」
小奈美「本当にろくでもない!」
未来日記、天野雪輝の名言(?)が飛び出した
光輝「ああ、成る程。兄さんと同じ種類の人間なわけか…」
僕の弟、任天光輝は基本的にアンチロリコンである。そのうち一つ目の黒い球体を召喚してもおかしくない
(裂邪>いやー小奈美ちゃん可愛いよな、堂寺の兄ちゃん!
堂寺「そうでしょう? でも、小奈美は僕のものなんだからね! 君には渡さないよ?」
小奈美「いやお兄ちゃんのものでもないから。私は私のものだから」
(ミナワ>ご主人様、また浮気ですか?
(裂邪>いや、もちろん一番はミナワだけさ
(ミナワ>裂邪ったらぁ〜///
いや、僕達もいるんだけど。空気読んでほしいんだけど。と、そんな風に話していると…
『この中で』
『誰が一番』
『キレイ?』
三人組のマスクをした女性が現れた。おそらく、『口裂け女三姉妹』だろう
堂寺(どうしよう光輝…なんて答えたら良いかな?)ヒソヒソ
光輝(いや、どう答えても切り刻まれると思う…)ヒソヒソ
小奈美(じゃあ、皆キレイよ、っていうのはどうかな?)ヒソヒソ
ミナワ(それ、全員に殺されると思います…)ヒソヒソ
裂邪(もう、正直な気持ちを伝えるしかないんじゃないか…?)ヒソヒソ
堂寺(正直に…よし!)ヒソヒソ
堂寺「年増に興味はありません! 引っ込んでてください!」
「「「「正直過ぎるわ!」」」」
全員から盛大にツッコまれた
『『『殺す!』』』
やばい、怒らせた! 早くセーブを…と3DSを操作する僕だったが…
堂寺「え…?」
しかし操作を終える前に、僕の心臓は貫かれていた。僕の腹は抉られていた。
別に気づかなかった訳じゃない――見えなかった訳じゃない。僕は視界に移るものを一つ残らず認識できるのだから。
しかし、それでも100mを3秒で走りきる『口裂け女』の速さは伊達じゃなく――
堂寺「ま…だ…セーブ…して…な…」
僕の人生はこんな台詞を最期に、ゲームオーバーとなった…
小奈美「お兄ちゃんっ!」
光輝「兄さん!」
(裂邪>兄ちゃん!
(ミナワ>堂寺さんッ!
『ふん』『私達を』『貶すからだ』
小奈美「お兄ちゃん…! お兄ちゃん! お兄ちゃん!!! 嫌だよ、目を開けてよ…」
光輝「…確かに兄さんはロリコンだよ。ロリコンでショタコンでシスコンで…どうしようもない変態野郎だ…。
だけど! それでも! そんなのは兄さんを殺して良い理由にはならないだろ!」
(裂邪>自分を否定された…それだけの理由で俺の友達を殺しただと? ふざけるなよ…。闇のように深い心を持つ俺でもこれは許しておけない―ああ、腸が煮えくり返りそうだ
(ミナワ>自分の美しさを! 魅力を否定されたなら、それを補う努力をすれば良いでしょう! 自分を否定した人を殺せば自分が一番になれる? ふざけないでください!
小奈美「お兄ちゃん…! エスターク、お兄ちゃんに心臓マッサージ! 人工呼吸は私が担当するわ!」
こんなこともあろうかと、常に人工呼吸用のマウスピースは常備しているのよ、と小奈美
『了解した』
勿論、蘇生するならここで優先すべきは止血だ。しかし、小奈美は真っ先に心臓マッサージをさせた。それは作為か天然か。天然だったら恐ろしい。作為だと思いたい
まぁともかく、心臓マッサージするには巨体のエスタークは屈まなければならなくて、ちょうど小奈美はその陰になる―そう、口裂け女達からは小奈美が何をしているか見えないのだ
『無駄だ』
『私達が』
『殺した。』
『心臓を貫けば』
『内臓を引き裂けば』
『人間は死ぬ』
『『『諦めろ』』』
740 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:35:37.31 ID:Hdbe8vAO0
光輝「…君達は、僕たちが倒す!」
としでんせつの くちさけおんなさんしまい が しょうぶをしかけてきた!▼
(裂邪>シェイド、ウィル!
《シャドー》
《ファントム》
《レイヴァテイン》
《インフォーム!!》
不思議なベルト―ウルベルトのボタンを押し、シェイドを呼び出す黄昏裂邪
(シェイド>イツデモ良イゾ、裂邪
(ウィル>お待たせしやした、旦那ぁ!
光輝「ゆけ! メタモン! そして、レジスチル!」
『お久しぶりですっ』
『ギギギギー』
足まで覆うほど長い裾の、桃色のコートを着込んだショタっ子と、指が三本の丸い金属人間が現れる
小奈美「私も戦う…。お兄ちゃんを殺した貴方達を、絶対に許さない! 5分で片付けてあげるわ! エスターク、スズメバチ、黒いキューピー人形の一部、お願い!」
心肺蘇生を終えたのか―あるいは失敗したのか、それは定かではないが、小奈美も臨戦態勢に入った
『ふん、何人増えようが同じことだ』
『当たらなければどうということはねぇ』
『貴様らも、私達と同じ口にしてやる!』
鎌を構え、襲い掛かってくる『口裂け女三姉妹』。100mを3秒で走りきる速さはやはり伊達じゃない
(裂邪>ミナワ、バリアブル! ウィルは電光で目晦まし! シェイドはシャドー・サイスだ!
(シェイド>了解した
(ミナワ>了解です!
ウィルの電光とミナワのバリアブルで足止めし、レイヴァテイン・サイスとシャドー・サイスの二刀流―もとい二鎌流で『口裂け女三姉妹』に攻撃する裂邪
光輝「メタモン、裂邪君に変身!」
『了解です!』
メタモンが体の形を変え…
『ヒハハハ! 『スコルピオ』!』
黄昏裂邪の、レイヴァテイン・サイスの必殺技を使う。必然、二鎌流の裂邪とメタモンのコンビネーションとなるわけだ
『くっ…なかなかやるようだ!』
『だが甘い!』
『鎌で私達に敵うと思うな!』
口裂けの方も、鎌を出して応戦する―物理的な数が違うため、一度でもW裂邪と口裂け女が拮抗すれば、一人は抜け出せるわけで
『そこは姉上達に任せたぞ! こいつらは私が刈る!』
鎌を振りかざし、猛スピードで斬りかかってくる。この鎌の切れ味にこのスピードが乗ったら一溜まりも無い
――ボウ
『熱ッ!』
突如、巨大な炎が三女を襲い、鎌を溶かしてしまった。ドラクエで言えばメラゾーマ、FFで言えばファイガだ
『くっ…貴様かエスターク! メラゾーマで私の鎌を消し去るとは…』
『小娘よ。勘違いしているようだから言っておこう。――今のはメラゾーマではない。メラだ』
魔王の威厳を以って、堂々と言い放つエスターク。ダイの大冒険の名台詞である
『――――ッ!』
これには驚きを隠せない三女。まさかこの台詞を現実で聞くことになるとは思っていなかったのだろう
『クハハハハハ! どうした小僧! さっきの威勢はどこへ行った?』
(裂邪>ヒハハハ! どこにも行ってねぇよ!
『ふん。さっきその子供に変身していたようだが――所詮偽者は偽者。あちらには遠く及ばんようだな』
『ヒハハ! 及ばないのはHPとPPだけだよ!
…とは言ったものの、このままじゃ拉致が明かねぇな…一旦退こう、もう一人の俺!』
(裂邪>いやもう一人って…俺が紛れも無く本物なんだけど!?
『クハハハハ! 逃がすかよ!』
『逃がさん。絶対にだ』
長女と次女が鎌で動きを封じようとするが…
『シャドーダイブ』
メタモンが『シャドーマン』に変身し、簡単に抜け出してしまった
『フム、不思議ナ感覚ダナ、群体ニ変身スルトイウノハ』
(裂邪>ありがとう! さて、仕切りなおしだ!
『仕切りなおさせなど、しない』
次女がいち早く攻撃に入る
(裂邪>ミナワ!
(ミナワ>はい!
が、ミナワのバブロッドから出る巨大なシャボン玉が次女の攻撃を受け止める
『姉上!』
三女がフォローに入る
光輝「レジスチル、アイアンヘッド!」
『ジジジジー!』
しかし、鋼鉄の塊が三女を襲う
『遅い!』
しかし レジスチルの こうげきは はずれた!▼
小奈美「この調子でガンガンいって頂戴、エスターク、オオスズメバチ、黒いキューピー!」
と、指示をする当の小奈美はゲーム機を弄っているわけだが
741 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:37:14.32 ID:Hdbe8vAO0
『了解だ』
エスタークはいきをおおきくすった▼
『ぶーん』
オオスズメバチの群れが口裂け女三姉妹に襲い掛かる
『ふん、他愛無い!』
次女が宙に浮き、メスを投げて蜂を打ち落とす。口裂け女には空中に浮くことができるという説があるのだ
『なぁ、ところでそこの小僧!』
光輝「僕?」
『そうだてめぇだ! ヨーグルト食べるか!?』
光輝「食べないよ! 今はそんな気分じゃないんだ!」
『そうか…なら私がてめぇを食ってやんよ!』
裂けた口を更に大きく開き、襲い掛かってくる長女。口裂け女には、『私、きれい?』と聞くバージョンの他に
『ヨーグルト食べる?』と聞いてくるバージョンがあり、『食べない』と答えると自分が口裂け女に食べられてしまうのだ
光輝「レジスチル」
レジスチルを呼び戻し、大口を開ける長女の目の前で、爆発させた
『がはぁ!?』
光輝「ねぇ知ってる? レジ三兄弟は原爆がモデルなんだよ?」
『てめぇ…!』
あの爆発を受けてもまだ立っていられるあたり、流石都市伝説と言うべきか、はたまた持ち前のスピードで急所を外したか。どちらにしても怒らせてしまったようだ
ぽん、誰かが裂邪の肩に手を置く
(裂邪>なんd…
(ミナワ>駄目ですご主人様! しゃーぼんだーまーとーんーだーかーたーまーでーとーんーだーかーたーまだーでーとんでーはーもーのーをーとーめーたー♪
肩を叩かれ、反射的に振り向こうとする裂邪の肩にシャボン玉を飛ばし、三女の持つ鋏から裂邪の顔を守るミナワ
『く…防がれたか!』
ちなみに、口裂け女には質問をせずに肩を叩いて、振り向いた人の顔を切り裂くバージョンも存在するのだ。その場合、叩かれたほうの肩とは逆の方向から振り向けば避けられる
小奈美「あれ? シャボン玉ってそんな歌だっけ?」
(ミナワ>気にしたら負けです!
まぁ、本当は幼気でシャボン玉の弾力を歪曲させているだけなのだが。ここで教えれば敵にも知られてしまう
『ちぃ! まさか全員失敗するとはなぁ!』
長女が言う
『姉様、こいつらなかなか強い。かませ系都市伝説No1の私達ではきついのでは?』
『姉上、そう言う発言は自重してほしいな。驕りも自信喪失も戦闘においては致命傷だ! 気を引き締めて行くぞ!』
次女と三女も言う
『『『こうなった以上、まとめて片付ける!』』』
鎌と鉈と斧を持ち、襲い来る三姉妹。しかも、空中を100m3秒級のスピードで走っている
(裂邪>! ミナワ、バリアブル! ウィルは俺の後ろで電光、シェイドは玄武!
レイヴァテイン・シールドで守りの体勢に入りながら命令する裂邪
(ミナワ・ウィル・シェイド>了解(ダ・です! でぃ!)
返事をし、命令どおりに行動する三人(?)
小奈美「! 全員、迎撃準備!」
『了解した』
エスターク、オオスズメバチ、黒いキューピー人形に迎撃準備をさせる小奈美
光輝「く…まさか空中から巨大な凶器で攻撃してくるだなんて…!


     …………読んだとおりじゃないか」
742 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:38:38.30 ID:Hdbe8vAO0
しかし、光輝だけはその行動を読みきっており、
『はーい! よろしくね次女さん! アイアンヘッド!』
アイアントに変身したメタモンに先制攻撃させていた
『かはっ…負けるものか…!』
持っている斧で応戦、体勢を立て直す次女。光輝が三人の行動を読めたのは、彼の異常性に起因する。
彼の異常は一寸先の光(ネクストリード)。すさまじい推理力、洞察力により、相手の次の行動を読むことができる。
つまり、ポケモンバトルにおいて、相手が交代するか、補助技を使うか、物理技を使うか、特殊技を使うか…などといったことを読むことができるというわけである。ただし、次の行動しか読めない
『落ちろ…』
『きゃっ!?』
次女に力負けし、突き落とされてしまうメタモン
光輝「あー…これは流石に予想外だった…けど、これで少しは足止めできた!」
まぁ、次女だけだけど
小奈美(さて、そろそろね…)
『姉上は止められたが私はそうは行かんぞ! さぁ影の貴様! 私がこの鎌で貴様を刈り取ってやる!』
『クハハハハ! エスタークだったかぁ? 魔王だか何だか知らねぇが、私の鉈で蜩のようにあっさり殺してやんよ!』
三女と長女も武器を構え意気込む…が


「ソニータイマー、セット。セット。セット。午後2時35分27秒、一斉起動!」

『『『!??』』』
突如、口裂け女達の武器が木っ端微塵に砕け散った
『なん…だ!』
『何が起こ…駄目か!』
『遅れた上に武器まで…私としたことが…』
勢いあまって止まれそうにないので、キックに変更して応戦する三姉妹だったが、やはり止められてしまった
堂寺「良かった…。やっと戻ってこられた…」
『な…てめぇ! 死んだはずじゃあ…!』
長女がたじろぐ
(裂邪>兄ちゃん…生きてたのか!
(ミナワ>良かったです…ご主人様がうれしいと、私も嬉しい…
堂寺「いや…僕は本当に死んだよ。本当痛かった。あれは一生物のトラウマになるね」
元より忘れたことはないのだけれど
『では何故貴様がそこに居るのだ!』
三女が尋ねる
堂寺「さぁ? そこは皆の思いが届いたとか、幼女のキスで目覚めたとかで良いんじゃない?」
小奈美「キスはしてないわよ」
堂寺「なんてこった! …次は頼むよ?」
小奈美「次は無いわよ」
堂寺「はは、そりゃそうだ」
『では蘇ったと言うのか? ありえん。死者蘇生レベルの都市伝説と契約するにはかなりの要領を食うはずだぞ』
小奈美「うーん、まぁそうね。現実なら。でも、ゲームならどうかしら? 」
ちなみにこの復活劇は、小奈美の契約都市伝説、『水中呼吸のマテリアでエアリスが復活する』によるものである。ゲームで一定の操作をすることで1時間以内に死んだ人間を復活させる…
そう、彼女はエスタークの陰に隠れて人口呼吸する振りをして、DSを操作してこの能力を発動させていたのだ
堂寺「さて、戻ってきたことだし、以前かなり厨二病っぽい知り合いに名づけてもらった名前を名乗らせて貰うよ――」
743 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:39:46.20 ID:Hdbe8vAO0

堂寺「シルフェイド見聞録(レコーディングメモリー)、任天堂寺」
光輝「幻魔大戦(ポケットモンスター)、任天光輝」
小奈美「将棋王(チェックメイトマスター)、任天小奈美」
「「「仲良くしてね?」」」
(裂邪>…俺は?
堂寺「夢幻泡影(ラグナロクカルテット)とかで良いんじゃない?」
ちなみに夢幻泡影とは、アリスソフトから発売されたアダルトADVゲームである
(裂邪>OK。夢幻泡影(ラグナロクカルテット)、黄昏裂邪!
(シェイド>シェイド
(ミナワ>ミナワ!
(リム>リムバク!
(ウィル>ウィルだぜぃ!!

堂寺「さて、よくも僕の大事な妹を悲しませてくれたね…。幼女を苛める奴は僕が許さない! 君達は僕たちが! ゲーム感覚で片付けてあげるよ!」
『クハハハハハ! だがてめぇは私達に一度殺られてるってことを忘れんなよ? てめぇ一人増えたって同じことだ! 全員まとめて切り裂いてやんよ!』
『同感だ…だが油断するなよ姉上! コイツが私達の武器を破壊した張本人なんだろうからな!』
『三女の言うとおり。姉様、気を引き締めていこう』
猟奇的な長女に助言する三女と次女
(裂邪>…本気を出されたみたいだな…リム!
《ドリーム》
《インフォーム!!》
獏のリムを呼び出す裂邪
(リム>お待たせバク〜
(裂邪>さて、行くぞ!
「「「「「『シャドーズ・ウトガルド!!!』」」」」」
シェイドの影が裂邪とリムを飲み込み、一体化。ウィルは炎の翼となってリムの背中に付き、
ミナワのシャボン玉が裂邪の胸と腕、リムの四肢に付き、ミナワがリムに乗った姿…まるでケンタウロスのような姿になった
堂寺「!? 何なのそれ!? 融合!?」
都市伝説との融合を目の当たりにし、驚く堂寺
『! そうか、どこかで見たと思ったら…お前、黄昏裂邪か!』
何かを思い出したように、次女が言う
『ただの噂か都市伝説だと思っていたが、まさか実在するとは…。『都市伝説と融合する契約者』…お前のことだったか!』
(裂邪>あれ? 俺って結構有名?
(ミナワ>素敵ですご主人様♪
堂寺「ねぇソニータイマー。都市伝説と契約者って融合できるものなの?」
『サァナ…。オレモコンナヤツニ会ウノハ初メテダ』
堂寺「ふーん…じゃ、これが終わったら聞いてみよう。さて、僕がCoA編で手に入れた新たな攻撃型都市伝説の力、とくとご覧じろ! さぁ、ゲーム再開(コンティニュー)だ!」
小奈美「お兄ちゃん! 私が5分で片付けるって宣言してからどのくらいたった?」
堂寺「3分17秒だよ」
小奈美「おっけー! あと2分くらいね!」
『クハハハ! 後2分? 舐めんのも大概にしろよぉ? てめぇなんざ赤子の手を捻るよりも簡単に殺戮してやんよ!』
長女が鉈を振りかぶり、高速で襲い来る…はっきり言って怖い
堂寺「記憶通り!」
堂寺の手から、STGの弾のようなものが出て、長女に当たる
『その程度!』
『姉上、私も助太刀する!』
(裂邪>お前の相手は俺たちだ。『ウィルウィップ』!
炎の羽を鞭のように使って三女を薙ぎ払う
『姉様、三女、大丈夫か?』
斧を構えながら突進してくる次女
光輝「だから読めてるって。メタモン!」
『了解です! 変身!』
次女の前に立ちはだかり、変身するメタモン
『さて…行くぞ、私?』
『またあの技か。模倣(コピー)が原作(オリジナル)に勝てると思うな!』
そこには、全く同じ姿の者同士が戦うという異様な光景が広がっていた
744 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:41:11.55 ID:Hdbe8vAO0

堂寺「さぁ、コンティニューした僕が! 弾幕撃ち込みまくってピチュらせてあげるよ!」
『クハハハハ! やってみな! 私はこの鉈でてめぇを真っ二つに惨殺すてやるよ…蜩のなく頃に!』
(裂邪>ヒハハハハハ! 夢幻泡影四天王の力、とくと味わえ! 『シャドーサイス』『ウィルウィップ』『ブレイカブル』『』
光輝「さて、メタモン。裂邪君の都市伝説との融合は強力だ。だから…」
『了解だ』
『口裂け女』だったメタモンの姿が変わり、黄昏裂邪の姿に変わる
『ヒハハハハ! さぁ、ここからも本番だ!』
『…このタイミングで変身だと?』
警戒する次女
光輝「『もりのようかん殺人事件』『レジ三兄弟原爆説』『ダークライはカナダの子供が描いた絵が元』『バタフリー⇔モルフォン』とメタモンを融合――」
『ポイズンフェアリー!』
バタフリーとモルフォンの羽を付け、毒ガスをオーラと翼のように纏い、右腕がレジスチル、左腕はダークライで、黒い破れかけのコートを羽織り、赤いスカーフを巻き、岩と氷を鎧のように体に散りばめた姿になった
『さあ、行くぜ。ダークホール!!』
『!?』
飛んでかわそうとする。命中80の技、ダークホールをギリギリでかわす
『へぇ、なかなかやるなぁ…ねむりごな』
今度は羽を羽ばたかせ、ねむりごなを飛ばす
『ちなみにそっち、風下だぜ?』
『!!』
咄嗟に鼻と口を押さえ、斧を振り回しねむりごなを振り払う次女。しかし、僅かに吸い込んでしまった
『く…頭が…ボーっとする…。眠い…。だが…姉様と妹の為にもここで眠るわけには…』
『上手く決まらなかったけど効いてるには効いてるみたいだね。隙だらけだ…ダークホール!』
『っ!』
避けようとするが、ねむりごなの影響で上手く動けない。次女はダークホールに飲み込まれ、眠ってしまった…
『悪夢』
次女は悪夢を見始めた! 次女はうなされている…。次女はナイトメアでうなされている…
『ヒハハハハ! 悪夢+ナイトメアのコンボに苦しむといい!』
完全に悪役の台詞である
『く…はぁ、はぁ、舐めるな…私は口裂け女…知名度は折り紙付きだ…』
『!? いつの間に…!』
『はぁ…喰らえ、その身を切り裂いてやる…』
服の中からメスや鋏を飛ばしてメタモンを狙う次女
『鉄壁…!』
鉄壁で防御力をぐーんとあげて凌ぐものの、不意打ちだった為相当のダメージを負ってしまった。要するに急所に当たった

小奈美「…さて、準備完了よ。そして手札も揃ったわ―――」
後ろの方でゲーム機を弄っていた小奈美が呟く。尤も、戦闘に忙しくて殆ど誰も聞いてないだろうが
堂寺(…あ、出来たんだ。じゃ、ここからが小奈美の本領発揮だね…)
裂邪(準備…? いったい何のことだ?)
…流石ロリコン2人は格が違った
小奈美「ねぇ知ってる? シムシリーズって言うゲームがあるんだけど…そのゲームでさ、偶に操作を一切受け付けないキャラが出来ることがあるのよ。
そんな時は、現実の人間を操作してるんだってさ―――こんな風に!」
小奈美がゲーム機を操作すると、口裂け女達は宙に浮き、そのままの状態で留められた
『『『!?』』』
小奈美の三つ目の契約都市伝説、『シムで現実の人間を操作することがある』。周囲の生物及び都市伝説を確認、そのキャラクターをゲーム内で作ることで、
ゲーム機を使いその生き物を操作できる、という能力である
小奈美「それじゃあお兄ちゃん、黄昏さん、ミナワちゃん、シェイドさん、リムさん、ウィルさん、エスターク、やっちゃって頂戴。
堂寺お兄ちゃんはこっちで光輝お兄ちゃんはあっちで黄昏さん達はそっちで―――それで詰み(チェックメイト)よ!」
小奈美の異常、それは大詰め勝記(チェックメイト)。今、現在判明している情報の中で、相手に勝利するあらゆる手順が分かる、というものである。
この異常のおかげで小奈美は将棋やオセロなんかでは無敗の成績を誇るが、不確定要素の多い遊戯王やトランプでの戦績はそこそこである
堂寺「おっけー! 小奈美の頼みとあれば僕は大抵のことはするよ! STG・246連射!」
光輝「自重しろよこのロリコン…メタモン、悪の波動!」
『ヒハハハハハ! 了解!』
(裂邪>ミナワ、シェイド、ウィル、リム、行くぞ!
『『『『ああ(ええ(おぅ(よし)))!!!!』』』』
『喰らうが良い…メラゾーマ!』
それぞれの必殺技(かどうかは分からない)が口裂け女三姉妹に炸裂する。堂寺の弾幕が246発、即ち累計256発が長女に当たり、
メタモンのあくのはどうとエスタークのメラゾーマが次女に命中、裂邪達のコンビネーションが三女にクリーンヒットする
『かはっ…何故だ…威力はそこまで無いはずなのに…!』
『ごほっ…そうか…これがお前の本気(メラゾーマ)か…』
『くはっ…すまない、姉上…任務失敗だ…』
こうして、『口裂け女三姉妹』は倒され、消滅した―――――と思いきや
『…あれ?生きてる…?』
『どういうことだ…?』
『まさか情けをかけられたというのか…? ふん、私も修行が足りんな…』
長女、次女、三女が起き上がり、不思議そうに呟く
『どころでだ』
長女が小奈美の方を向き、言う
『どういうわけかわからねぇが…てめぇの仲間になりたくてたまらねぇんだよなぁ…なぜだ?』
『む、奇遇だな姉様。私もそう思っていた』
『…もしかして姉上たちもだったのか? ここまで気が合うとは予想外であった!』
小奈美「へぇ、つまり貴方達は私の仲間になりたいと…そういうわけね?」
『…まぁ、そうなるな』
小奈美「勿論かまわないわよ」
『口裂け女三姉妹』が仲間になった!

745 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:41:45.10 ID:Hdbe8vAO0
(裂邪>ちょ、小奈美ちゃん?
小奈美「ん? ああ、私の契約都市伝説、『エスタークを5ターン以内に倒すと仲間になる』ですよ。これで私は5分以内に倒した相手を例外なく仲間に出来るんです。
それに私こういう展開大好きなんですよ…『かつての敵が味方になる』。そんな少年漫画の王道のような展開がね…」
だから私はチェスより将棋のほうが好きなんです、と付け加えて
(裂邪>なるほど…ま、それが一番安全だよな
『ところで、一つ聞きたい』
次女が、小奈美に訊ねてきた
小奈美「何?」
『お前は人を生き返らせる都市伝説と契約しているだろう? だったら何故そこの少年が死んだときあそこまで取り乱した? 生き返らせられるのに』
堂寺を指差しながら、言う
小奈美「ああ、そんなこと…。簡単な話よ。例え生き返ろうと変態の兄だろうと―――」

「――家族が死んだら悲しいわよ。それに漫画やゲームじゃないんだから…『死んでもどうせ生き返る』とか、命をそんな風には考えられないわ」
『そうなのか…人間というのは面白い考え方をするな』
なるほど、とあごに手を当て考え込む次女
『私も一つ聞きたいことがある』
今度は長女が、堂寺に向かう
『私を倒したあの技…威力はそこまで高くなかったはずだ。なのになぜてめぇは私を倒せたんだ?』
堂寺「ああ、それが僕の『CoA編で新たに手に入れた攻撃型都市伝説』だよ。『バキュラに256発撃ち込むと倒せる』…
僕はこれでどんなに固いものもどんなに強いものも256発の弾を撃ち込めば倒せるんだ。その弾は遠距離攻撃でさえあればなんだろうと適用されるのさ」
『そうか…合点が行ったぜ』
まぁ、そんなこんなで仲間になった『口裂け女三姉妹』をゲームの中に入れて、この場をあとにする一行だった…
堂寺「…幼女のにおいがする」
(裂邪>奇遇だな。俺も感じるぜ…ウヒヒヒヒ…
幼女の気配を感じ取り、走り出す2人
光輝「いい加減にしろよこのロリコン! 折角シリアスで終わると思ったのに…」
(シェイド>マタソレカ貴様ハ! イイ加減ニシロ!
そんな2人を追いかけ止めようとするブレーキ役達
光輝「…苦労してるんだね、君も…」
(シェイド>貴様モナ…
こうして、苦労人同士の間に新たな友情が生まれるのであった…




                       続く…
746 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/01(木) 17:46:08.48 ID:Hdbe8vAO0
投下完了。シャドーマンの人に吹雪の中の土下座orz
裂邪君達のキャラってこんなんでよかったですか…?
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/12/01(木) 20:24:59.48 ID:J0xStzZAO
「とある電話の通話記録(近距離)」

「えーと…毎回お馴染みの聞き方だけど生きてる?」

『いいや、絶賛致命傷中だよコノヤロー』

「まぁまぁ、今回は片腕いかれただけマシじゃない」

『あのなぁ…片腕でも痛いもんは痛いんだぞ』

「仕方ないじゃん…虎?チーター?…まぁいいや、あの獣集団に囲まれた状態を打開するにはそれが最善策だったんだから」

『最善って…お前が爆発携帯を投げた後、私が覆い被さって盾になる策がか?…というかもし、それで全部倒せなかったらどうするつもりだったんだよ…二人仲良く餌になる気か?』

「むぐぐ…煩いなぁ、ちゃんと全部倒せたんだから良いじゃん!それにちょっと爆発が、かすりかけたからって心配無いy」

『バカ…仲間なんだから私が心配すんだろ』

「っ…その……ゴメン」

『分かればいいんだ…さて又、怪人もどきが現れないうちに帰るぞ?』ナデナデ

「うん…あ、その前に飛んでいった片腕は?」

『あ〜…多分あの辺りに…?』
(発酵して…この肉…むしろウマイ)ガツガツ

「…エセタイガーマスクって腐った肉でも食べるんだね…アハハハハ」

『乾いた笑みを浮かべてないでさっさと逃げるぞっ!』

「い、いや…ここは再び自爆作戦を…」ゴソゴソ

『いや、しなくていいからっ!』

ブツン…ツーツーツー

(続か…ない)
748 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/01(木) 21:24:11.90 ID:gacvz6O00
ソニータイマーの人乙です〜
すげぇ、こんな大勢のキャラを同一シーンで……いつもいつも尊敬しますの
小奈美ちゃんかぁいいよハァハァかぁいいよハァハァ(エスタークに5分1秒で潰されました(仲間にならないようにわざわざタイムロス
あと自分で言うのも難だけど裂邪もげろ(

ところで、リム登場シーンの前にリムが自己紹介してますぜ


単発の人乙です〜
これは以前の2人組か……!
これは良いカップル、もげrってもう腕がもげてた(
749 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/02(金) 17:01:28.40 ID:jwLcEX4E0
>>748
>ところで、リム登場シーンの前にリムが自己紹介してますぜ
やばい、グダグダ長く書きすぎてミスが…orz
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 17:10:20.56 ID:flb0xFcHo
10月28日より少し前
CoA編は解決した後のお話
今日11月11日はポッキーの日である

時空が乱れている…だと?
751 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/02(金) 17:28:16.10 ID:5CuKd3xS0
>>749
よくある事だ気にしない(←数回やらかした奴

>>750
今思い出したわ、そういや「マヤの予言」編は10月だったwww
752 : [sage]:2011/12/02(金) 18:41:12.98 ID:E1R8M1CDO

>>750

魔女が時間圧縮使ったんじゃね
753 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/03(土) 20:07:32.29 ID:H1bXZji10
                   「守りの力と七不思議」
こんにちは、私、宛奈 盾子(あてな じゅんこ)。中央高校2年生よ。よろしくね
盾子「はぁ…外は変なジャガーがたくさん居るし…どうなってるのよ…」
ちなみに私は都市伝説と契約している。この盾、『アイギス』とこの巻物、『七不思議』
盾子「どーすんのよ…私防御くらいしかできないわよ…」
私達宛奈の一族はギリシャ神話の女神アテナの子孫と言われていて、(あれ? でも確かアテナって処女女神として有名なんじゃなかったかしら? 真相は闇の中である)
アテナの伝説、『アイギスにメデューサの頭をはめ込んだ』によりあらゆる物品に都市伝説を込めることが出来るの。それで巻物に『七不思議』を入れたってわけ。
盾子「とりあえず見つからないように慎重に行動しましょう…幸いキーウィもあるし」
そういえば『ジャガー人間はマタタビ科の植物で逃げ出す』なんて噂誰が流したのかしら?
ところで私の契約している『七不思議』は少し特殊なの。普通『七不思議』って言ったら『学校の七不思議』『本所七不思議』『世界の七不思議』なんかのことで、
それに当てはまる都市伝説を召喚できたりするんだけど、私のは『七不思議に一つずつ最大七つまで他の都市伝説を当てはめ、七不思議1つ分の契約コストで他の七つの都市伝説と契約できる』というものなのよ
ちなみにこの使い方は『友達の友達』に教えてもらったわ。何でもこういう使い方が出来る人間は限られてるらしいけど…
盾子「ってそんなこと言ってる間に通り道にジャガー人間が…。いや、言ってないけど」
さて、抜け道を調べるわ。右は…だめ、ジャガー人間が居る。左…も駄目ね。じゃあ来た道を…ってそっちにも居るし! 八方塞だわ!
盾子「…と、なると突破するしかないようね…。一番数が少ないのは…左ね」
だから私は右手にキーウィ、左手にアイギスを持ち左の通路に突入する
『ババリ? バリ?』(なんだ? 誰か居るぞ?)
『バリバリ、バリ!』(おい、獲物だぜ!)
『『『『ババリバリッシュ!!!』』』』(喰い尽くしてやろう!!!)
くっ…やっぱり気づかれたわね…! でも…
盾子「くらいなさい!!」
右手でキーウィを握りつぶして撒き散らす。これでジャガー男を倒せるし、そうでなくても無力化できる!
『バリバリ!?』(なんだ!?)
『バッ…ババリ!』(ひっ…キーウィだ!)
『バリバリ、バリッシュ!!』(まずいぞ、逃げろ!!)
『バ…バリ…バリ…』(く…顔に直接…キーウィが…)
『ババリ!?』(アニキ!?)
『ババリ、バリバリ!』(やめろ、逃げるぞ!)
『バリ、バリバリ!!』(でも、アニキが!!)
『バリ! ババリバリッシュ!!』(馬鹿! あいつの犠牲を無駄にする気か!!)
『バババリ…ババリバリッシュ…バリバリバリバリ…バリッシュ…』(そうだぜ…俺はもう長くねぇ…てめぇらだけでも…逃げろ…)
『ババリ…ッ』(アニキ…ッ)
『…ババリ』(行くぞ)
『ババリ! ババリ! ババリバリッシュー!!』(アニキ! アニキ! 虎壱アニキー!!)
『ババリバリッシュ…バリバリ…』(俺は虎じゃねぇ…ジャガーだ…)
一匹ジャガーが倒れ、他のジャガーは一目散に逃げていった
盾子「ごめん、何言ってるか分かんないわ」
バリバリバリバリ言ってたわね。さて、これで大丈夫なはず。はやく突破するわよ
盾子「静かに…急いで…」
『ババリバリッシュ!』(おい、誰か居るぜ!)
盾子「!?」
え!? 何、もう新しいのが来たの!? まずい、もうキーウィが無い!
『『『ババリバリッシュ!』』』(今回の獲物だ!)
盾子「『アイギス・シールドモード!』」
三匹…! 私はアイギスでジャガー男の攻撃を防ぐ。魔除けの能力を持つ神話の盾…対都市伝説防御力はかなり高いわ!
『ババリ?』(防いだ?)
『バリバリ!』(固ぇな!)
『ババリバリッシュ!』(だが絶対に喰ってやる!)
バリバリ吠えたジャガー男達が飛び上がり、三方向から襲ってくる…囲まれた! まずいわ…
盾子「『アイギス』は盾…正面からの攻撃しか防げない…!



…とでも言うと思ってたのかしら? 『アイギス・アーマーモード』」
今まで盾の形だった『アイギス』が鎧の形になり、私の身体に装着される
盾子「『アイギス』の防御力は天下一品。貴方達ごときの攻撃じゃあ傷一つ付けられないわ」
私の言葉通り、鎧がジャガー人間の攻撃を全て防ぐ。『アイギス』は防具には間違いないのだが、
その形状は『盾』とも『胸当て』とも『肩当て』とも言われているのだ。そこからの拡大解釈により、私は『アイギス』をあらゆる防具に変形させられる
『ババリ…バリッシュ!』(ちくしょう…固ぇ!)
『バリバリ! リッシュ!』(それでも! 固いだけだ!)
やっぱり何言ってるか分からないわ。でも、ここで終わりにしておきましょう…
盾子「メデューサ・アイ」
私の鎧が開き、メデューサの目玉が現れる。当然、それはジャガー人間達を睨み…
『『『ババリ…バ…』』』(なんだ…メ…)
ジャガー人間達は石化した。
盾子「今度こそ大丈夫ね。さ、早く帰りましょう」
私は『アイギス』を元に戻し、走る。見つからないように、こっそりと。
結局、もうジャガー男とは会わずに、無事帰宅できた私なのでした…。って誰に言ってるのかしら?



                        続く…
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/12/03(土) 20:41:39.32 ID:s4lUN4tao
その内、小宇宙を燃やす契約者でも出てきそうだ
755 :夢幻泡影 † 粛清の炎、裁きの光、断罪の剣:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/04(日) 20:45:12.12 ID:xB7vZ9lh0
【参考:>>734-735


「何しに来たかって?……お前を殺しに来たんだ」

冷たく燃える紫炎に照らされ、裂邪は歩きながら静かに、ローゼにそう告げた
彼女は信じられないといった表情で目を見開いた
それでも彼を信じたいというローゼの気持ちは、言葉となって裂邪に投げかけられる

「っな、何かの間違いですわよね? 裂邪さんがそんなことする訳……
 やっぱり貴方はナユタに操られているんですわ!」
「くどいぞローゼ、俺は本気だ……お前も、俺を殺す気で戦え」
「………そんなこと、できる訳ありませんわ」
「そうか、なら遠慮なく」

裂邪は立ち止り、「ティルヴィング」を頭上高く持ち上げ、切っ先を天に向けると、
揺らめく紫炎を反射して邪悪に輝くその秀麗で仄かに紅く染まった剣の先で、ゆっくりと円を描いた
紫炎の軌跡で描かれた円は激しく燃え、天使の輪のように裂邪の真上に浮かび上がる

「…ナユタ、お前の力を借りるぞ」
『ギハハハハ…実に馬鹿げた話だ、殺人鬼に手助けを要求するなんてね』
「黙れ、それも今日限りだ!」

裂邪が剣を勢いよく振り下ろすと、「ティルヴィング」から紫の煙状のものが溢れ出し、
それを持っていた右手を伝って裂邪の身体全体を包み込む
と同時に、彼の上に浮いていた炎の輪が、ゆっくりと下降し始めた
裂邪の身体が、紫炎のリングをくぐってゆく
だが、リングをくぐって現れた者は、裂邪であり、裂邪で無い者
全体を覆っているのは「ヴァルプルギスの夜」の炎
めらめらと激しくも冷たく燃え滾る身体は、人間らしいというには程遠い
背に生えた翼や、目のような造形が施された頭部は、どちらかと言えば“昆虫”のようであり、
さらに、今まさに彼が金色のパスを取り出し、それを黄金色の剣に変えて構えれば―――その姿はまさに蟷螂

「……転生、天を廃して」
「ッ!? れ、裂邪さん……本気ですの!?」
「何度言わせれば分かるんだ? “僕”は君を殺しにわざわざここまで来たんだよ
 さあ……生きる為に抗って見せたまえよ!!」

翼を広げ、右手に「ティルヴィング」、左手に「レイヴァテイン」を携えて、裂邪はローゼに飛びかかった
蟷螂の両刃が、獲物を捕らえようとする

「っく…『フォトン・デュアルエッジ』!!」

咄嗟にローゼは両腕に赤い光の刃を作り出して、裂邪の剣を防いだ
バチッ、と激しい雷撃の音が洞窟内を木霊する
ローゼの瞳が、赤く燃え上がる

「ヒハハハハハ…やっと戦う気になったようだな」
「裂邪さん…ワタクシが必ず、貴方を正気に戻して差し上げますわ!」
「ほう、ならお手並み拝見と行こうか!」

互いに刃で押し合って距離を取る
足ではなく「ティルヴィング」を地面に突き立てて着地し、それを足場代わりに蹴って裂邪が先手を取った
迫りくる「レイヴァテイン」の刃をローゼはヒールの踵で弾いて、赤い刃を振り上げて反撃を狙う
しかし、裂邪が置いてきた「ティルヴィング」が飛来してそれを防ぎ、
彼は地面を蹴って宙返りをしながら、「レイヴァテイン」で空を切って鎌鼬のような衝撃波を生み出す
対するローゼは指先から赤い光条を放って、裂邪が放った衝撃波と相殺させた
爆煙の中から、彼女は拳にフォトンを纏わせて振りかぶったが、
裂邪は紫の炎の壁を作ってその攻撃を止め、平然と後方へ退避した
ほんの僅かな時間の攻防
ローゼはその少しの間に、裂邪の動きを観察していた

(…これが都市伝説との“融合”……確かに“飲まれた”状態とは大きく違う…
 身体能力が大きく飛躍しているのは「憑依霊」であるナユタが融合した所為で…?
 いえ、あの「ティルヴィング」は独りでに浮遊した…まさか、魂を分割していると仰るの?)
「ウヒヒヒヒ、今まで戦ったどの都市伝説よりも、どの契約者よりも手応えがある
 流石はNo.0…いや、『赤い幼星』と評価しようかな?」

嘲笑うかのように、または挑発するかのように裂邪が言うと、
ローゼの表情に微かな憤りの色が見えた
彼女の眼も、赤みに深さが増す

「…いくら裂邪さんでも、その名で呼ぶ事は頂けませんわ!」

感情は彼女の身体を動かした
刃を光の弾に変え、裂邪目掛けて彼女はそれを掌から撃ち出した
彼は、炎の中で邪悪に笑った
756 :夢幻泡影 † 粛清の炎、裁きの光、断罪の剣:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/04(日) 20:45:52.25 ID:xB7vZ9lh0
「その攻撃、頂くよ」

右手の「ティルヴィング」の刀身を光弾に向けると、白銀の刃は光弾を纏って赤い光を放った
驚くローゼに追い打ちをかけるように、裂邪は「ティルヴィング」をぐるりと振り回して光弾を撃ち返した
裂邪の放つオーラの所為か、光弾の色は赤ではなく、炎と同じ禍々しい紫に変わっている

「ッ、『フォトン・ヴェール』!!」

赤いオーロラのような壁を作って、彼女は自らが放った攻撃から身を守る
2つの刃を持つ手をくるくると回して遊びながら、裂邪は笑っていた
まだまだ余裕だという事を強調したいのか
ただ単純に、戦闘を愉しんでいるのだろうか

「忘れていたようだね…僕は「エルクレスの塔」の能力も使えるんだ
 君の光子を使った遠距離攻撃は、僕の前では無力…ウヒヒヒ、残念」
「…なるほど、それでワタクシが不利だと仰りたいの?
 なら、近づけば良いだけですわ!!」

ローゼは再び両腕に刃を生成し、「フォトンベルト」の能力で遺伝子をいじって脚力を向上させ、
足場を砕く程に地面を蹴って裂邪との間合いを詰め、刃を構える
しかし彼女の前に、金銀2つの剣が迫った
反射的に防御の姿勢を取り、刃がぶつかり合う
そこで彼女は、余りにも奇妙な光景に声を漏らした

「………え!?」
「悪いけど、君は僕には近づけない」

そう、彼女は裂邪に接近していなかった
「ティルヴィング」と「レイヴァテイン」は彼の手を離れ、宙に浮いていたのだ
まるで、「透明人間」とでも拳を交えているかの如く不気味な感覚
流石のローゼも、驚きを隠せない

「そ、そんな……!?」
「「ティルヴィング」にはナユタの「憑依霊」が僅かに残っていてね
 そして「レイヴァテイン」は『独りでに浮遊する』という伝承がある
 別に僕が近づかなくても、君を斬り刻む事くらい簡単なんだよ」

ローゼは背に赤い翼を生やして飛翔し、2本の剣から離れた
が、剣は執拗に彼女を追い、刃と刃がぶつかり合う
それは寂しい鬼ごっこか、はたまた執念深い幽霊か
珍妙で奇天烈なその光景を、裂邪は愉しげに地上で傍観していた

「僕はあらゆるものを拒絶する……攻撃、言葉、友情、そして光さえも
 …あぁそうだ、まだ名前を考えていなかったが、今思いついたよ」

裂邪は闇を仰ぐように両腕を広げ、
嬉々とした、しかし狂気に満ちた調子で取り憑かれたように語り出す

「光を嫌った堕天使、傲慢の化身、宵の明星……
 そう、僕は地上に降りた悪魔の王……『リュツィフェール』」

大きく両手を動かす裂邪
彼の手の動きに合わせて、「ティルヴィング」と「レイヴァテイン」がローゼを襲う
戦闘という曲を奏でている指揮者のように
剣という糸でマリオネットを踊らせる操り人のように
時にしなやかに、時に激しく、時に慎重に、時に荒々しく
ただ、ローゼの隙を窺いつつ攻撃を咥えてゆく
彼女とてそれを易々と許す筈もない
2つの赤い刃を使い、赤い光の壁を作り、裂邪の猛攻を凌いでいる
現状から判断して、明らかに優勢なのは裂邪だった
757 :夢幻泡影 † 粛清の炎、裁きの光、断罪の剣:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/04(日) 20:46:18.29 ID:xB7vZ9lh0
「くぅっ、これじゃ2対1と大差がないじゃありませんの……!」
「ヒハハハハハ! そもそもタイマン自体僕の趣味じゃないのでね
 戦いは数が多ければ多い程、こちらが勝利を掴む確率があがる」

剣を撥ね退け、その隙に赤い翼を畳んで地上に降り、
裂邪に接近戦を挑もうとするが、黄金の刃がそれを阻んだ

「…質より量だと、そう仰るの?」
「そうじゃない。質の良い物を手に入れたとしても一つだけでは物足りないからね
 どうせなら、良質の物をより多く持っていれば……効率が良いだろう?」
「一体どうしてしまったの!? 今までの貴方は、そんな言い方はしなかった…
 シェイドさんやミナワちゃん達を、“物”扱いするような方じゃ無かった!!」
「どうしてだろうね、「ティルヴィング」を持つと身体の芯から湧き上がってくるようだ
 傲慢、嫉妬、殺意…邪心と呼ばれ、人に忌み嫌われる存在が沸々とねぇ!!」

宙に待機させていた「ティルヴィング」を手にし、
その切っ先を、「レイヴァテイン」を抑えているローゼに向けた
ぎらり、と剣が光を放ったのを、ローゼは見逃さなかった

「ッ!! 『フォトン・ヴェール』!」
「『トータラージーク』!!」

咄嗟に展開した光のカーテンが、「エルクレスの塔」の能力による紫の光条を遮った
ふぅ、と彼女は尚も「レイヴァテイン」と刃を交えながら、間一髪の出来事に溜息をついた

(これはフォトンを反射したものじゃない…
 きっと、「ヴァルプルギスの夜」で出現させた周りの炎が発するもの……
 この暗闇の中で、いつでも「エルクレスの塔」が発動できるようにする為、といったところかしら)

不意に、彼女は小さく笑った
今は敵として自分の前に立ちはだかっている裂邪を、一人の戦士として評価したのだ

「…流石ですわね、裂邪さん!」
「だが君はどうだね?」

え、と声を漏らす前に、彼女の腹部に激痛が走った
背中から貫通した白銀の剣が、ローゼの血に濡れて真っ紅になった刃を腹から露出させている
いつの間にか背後に回っていた裂邪は、「ティルヴィング」を容赦なく彼女の身体から引き抜き、
浮遊する「レイヴァテイン」を片手で受け取りつつ、剣を染めた鮮血を舌で舐めとった
そして、腹部と口から赤黒い血を吐きながら、ローゼは力無く膝から崩れ落ちた

「かはっ………!?」
「君は…本気で戦っていないだろう?」

   ...To be Continued
758 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/04(日) 20:53:29.81 ID:xB7vZ9lh0
風邪引いたっぽい…37度しかないけど、今週面接があるのでこじらせるとまずい
というのを言い訳にして前半部分だけ投下(
すげぇ書きたかった、裂邪がローゼを傷つけるシーンが書きたくて堪らなかった


ソニータイマーの人乙です〜
「アイギス」の契約者か、しかも解釈が面白い
さすがはソニータイマーの人……その発想を俺にも分けてください(まだ言うか
759 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/04(日) 21:59:22.55 ID:zJMpgOQAO
ソニータイマーの人乙です
ロリコン+ロリコン=なんというカオスwwwwww
「アイギス」カッコいいっす!

単発の人乙ですー
この二人いいコンビですね〜

シャドーマンの人乙&お大事にです
自分も喉をやられてまるっきり声が出ない…
仕事にならんがな
ノイ「裂邪、怖いよー、ホントに操られてないの?」
飛縁魔「この際それはほめ言葉ねぇ…迫力もシリアスさも段違いじゃないの」
柳「今までは“楽しく”やってたんだろうね…本気になればいつでもこれくらいで戦えたんだろうな」
760 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/04(日) 22:20:44.49 ID:xB7vZ9lh0
>>759
>自分も喉をやられてまるっきり声が出ない…
お互いに、健康には気を使いませんと…

>ノイ「裂邪、怖いよー、ホントに操られてないの?」
こればっかりはマジなの
友人でもあり協力者でもあったローゼを刺した裂邪の心中や如何に…来週までには書きたいorz

>柳「今までは“楽しく”やってたんだろうね…本気になればいつでもこれくらいで戦えたんだろうな」
実は裂邪もまだ本気じゃなかったという(ぁ
本気を出すのはローゼ戦の後のメインイベント、兄弟対決・裂邪vs正義だぜ!
俺自身、ずっと書きたかった話だけど…ちゃんと書けるかなぁ
761 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/05(月) 01:10:18.20 ID:fLeIei6z0
シャドーマンの人乙ですー!
裂邪君vsローゼちゃん! 裂邪君の真意が気になるところですな

堂寺「たとえ操られてたとしても、裂邪君が喜び勇んで幼女を傷つける筈がない! これには何か理由があるはずだよ!」

>>758
お大事に!そういえば『焼きネギを入れた手拭いを首に巻くと風邪が治る』って都市伝説があったよな…
早く良くなってくださいね
そして実は『アイギス』の変形能力はシャドーマンの人の『レイヴァテイン』を少し参考にさせて頂きました。差別化はしますが。
それと関係ないけど夢幻泡影の技一覧の『レイヴァテイン・シールド』って鎌じゃなくて盾じゃないですか?
762 :シャドーマンの契約者  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/05(月) 17:08:26.87 ID:9N3LwbtT0
>>761
>裂邪君vsローゼちゃん! 裂邪君の真意が気になるところですな
もうちょっとだけ待っててね♪(やばい大まかには浮かぶのに細かいところが浮かばねぇorz

>堂寺「たとえ操られてたとしても、裂邪君が喜び勇んで幼女を傷つける筈がない! これには何か理由があるはずだよ!」
(裂邪>……ウヒヒヒ

>早く良くなってくださいね
ありがとうございますです<(_ _)>

>そして実は『アイギス』の変形能力はシャドーマンの人の『レイヴァテイン』を少し参考にさせて頂きました。差別化はしますが。
そうだったのかwwwwwwww

>それと関係ないけど夢幻泡影の技一覧の『レイヴァテイン・シールド』って鎌じゃなくて盾じゃないですか?
ぎゃあ、コピペしてたのを直し忘れてたorz
ありがとうございます、修正しておきますの
ついでに『リュツィフェール』追加しておこう
763 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/12/05(月) 22:46:11.02 ID:dJWSDvXyo
 こつん、と音を立ててテーブルの上にドミノ牌が立て置かれる
 何の規則性も無く乱雑に並べられたそれは、端の一つを指先で突付いて倒したところで、いくつかの牌を押し倒しただけで止まってしまう
 いつもの薄い笑みすら浮かべずに、ドミノ牌の山をじっと見詰める葉鳥

「そろそろ、ね……逢瀬佳奈美という『牌』を倒すのが、無理になりそうなんだよ」
「どういう事?」

 ソファに転がっていた『友達』が、その言葉に反応してむくりと起き上がる

「今まで僕の『バタフライエフェクト』が、何十何百何千何万の羽ばたきを起こしてきたけど。それはどれも彼女には届かなかった」
「つまりは、今まさにそのテーブルみたいな状況な訳だね」

 テーブルの真ん中には、赤く塗られたドミノ牌が鎮座しているが、その周りには倒れたり倒れなかったりした牌が乱雑に入り乱れ、牌をきちんと並べるようなスペースはほとんど無い

「それで、どうするの? 諦める?」
「そうだね、もう全く余裕が無かったら諦めようと思うんだけど」

 ざらりとテーブルの端に牌の山を押し退けて、中央に佳奈美に見立てた牌を置き直し
 その周囲にいくつもの色に彩られた牌を改めて乱雑に並べていく

「彼女の周りは、彼女を守ろうとする牌が多過ぎる。それらもまた相互に守り合って、そう簡単には倒せない……でも、ね」

 葉鳥の指先が、佳奈美の隣にあった一枚の牌を突き倒すと、それにぶつかった佳奈美の牌がぱたりと倒れた

「逢瀬佳奈美という『牌』ではなく、周りを狙う。この『牌』はとてもとても弱いから、周りの『牌』が倒れてしまえば……その振動だけで倒れてしまうかもしれないからね」

 そう言って葉鳥は、倒れた佳奈美の『牌』をひょいと手に取ると、かきりと音を立ててそれに噛み付いた

「もう立っていられないような傷をつける事ができれば、僕の勝ちって事でさ」

 葉鳥が顎に力を入れて、ぎしりとドミノ牌を噛む
 ごきん、と嫌な音が鳴って

「どうしたの、葉鳥」
「……歯が欠けた」
「日頃の不摂生のお陰だね」

 葉鳥は情けない顔でティッシュを手に取り、もごもごと欠けた歯の一部を吐き出して、丸めてゴミ箱に捨てる

「というわけでさ、折り入って『友達』に頼みがあるんだけど」
「何? 僕が直接介入するの、好きじゃないんじゃなかった? あと逢瀬佳奈美を直接狙うのは無理だよ。僕、あいつの傍に居る黒服が苦手だから」
「いや、逢瀬佳奈美には関らなくていいよ」
「ふうん?」
「そうだねぇ……親友の、宮定繰。とりあえず彼女辺りを殺しておいて」
「両親とか、生まれたばかりの妹とかじゃなくて?」
「この娘、本当なら高校に上がる前に君が殺してたはずなんだから。他の二人はきっちり始末したろ?」
「んー、厳密に死んでるのは一人だけだっけ、そういえば。確かに仕事が中途半端だね」

 洗濯物を取り込んだけど畳むのを忘れた、そんな調子で頬を掻く『友達』

「あとは、そうだなぁ……北区の診療所の連中も縁があるみたいだから、気が向いたら適当に。あと診療所の大元の『第三帝国』と、縁がある『組織』の連中も殺っとく? HナンバーとZナンバー辺り。宮定繰はAナンバーだっけ」
「わぁい、一気に増えた」
「メインは宮定繰でいいよ。他は気が向いたらで」
「うん、まあ殺り残しがあるとすっきりしないからね」

 そう言って『友達』は笑う

「『八尺様』と巡り合せた真田映(さなだ・あきら)」

 ざわりと神経を逆撫でするような気配と共に現れた、赤い服と帽子の女『八尺様』
 そんな彼女に抱き留められた、蒼白い顔をした少女の姿

「『くねくね』と巡り合せた玖柳弥依(くやなぎ・みい)」

 ぎりぎりと脳髄を締め付けるような気配と共に現れた、白い姿の何か『くねくね』
 そんな存在をべったりと身体に絡みつかせ、狂気に満ちた笑顔で小刻みに震えている少女の姿

「君達を裏切って逢瀬佳奈美と縁を結んだ、君達を裏切って一人生き延びた、宮定繰を……君達は、どうしたいかな」

 逢瀬佳奈美、宮定繰の名前に
 二人の少女の顔が、あからさまに歪む

「そうだね、じゃあ話してあげないとね。君達の体験を、君達の恐怖を、君達の無念を、君達の絶望を。君達の『友達』の僕が伝えてあげよう、宮定繰という君達の『友達』に。そして思い出させてあげよう、彼女自身の体験した『人が消えるブティック』というお話を」

 笑い声と共に、『友達』も『八尺様』も『くねくね』も二人の少女も、全てが一瞬で姿を消す
 残された葉鳥は、痛む歯と顎を抑えながら携帯電話を手に取り

「あ、もしもし。診察の予約をお願いします……ええ、明日の昼で。固いもの噛んだら、なんか歯が欠けちゃって」

 歯医者の予約を入れていた
764 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/05(月) 22:50:40.79 ID:dJWSDvXyo
逢瀬佳奈美、宮定繰に関る縁のシメになりそうな感じのお話の開幕という事で
相変わらず先の展開は全く決まっておりませんが、ここまで頑張ってきた二人ならきっと良い結果を出してくれるでしょう
年度末までにはなんとかシメられるよう頑張りたい所存
765 :夢幻泡影 † 粛清の炎、裁きの光、断罪の剣:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/06(火) 00:18:08.74 ID:pw05vpOn0
地に倒れ伏したローゼの背を、裂邪は躊躇いなく蹂躙した
わざと傷口を踏み躙って、彼女の苦痛に満ちた叫びを聞きながら不気味に笑う

「っぁあああっ!? あ゙がぅっ!?」
「ヒハハハハハ……どうしたローゼ君、この程度でダウンかね?
 それでも“赤い幼星”と謳われた英雄か? まさかそんな力であの「太陽の暦石」に挑もうとしてたのか?
 早く見せたまえよ、君の真の力を……ナユタとの戦いで見せた、あの力を
 「フォトンベルト」に秘められた、世界破滅の力を!!」

その直後、ローゼは両腕で上体を軽く持ち上げ、下半身を捻る事で裂邪のバランスを崩し、
不意打ちのような形で彼の横っ腹に力強い蹴りを入れた
「フォトンベルト」によって筋力が上がった一撃は見事にクリーンヒットし、裂邪の身体は宙を舞って吹き飛ばされたが、
彼は空中で態勢を整え、砂埃を散らしつつ、地の上を数メートル滑って着地した
そのまま裂邪はローゼを睨むと、ある事に気がつく
腹部から流れていた血が、もう止まっていた

「…成程、「フォトンベルト」で遺伝子情報を組み替え、細胞分裂を促進したのか」
「っはぁ、はぁ……これで、まともに戦えますわ! 『フォトン・エッジ』!!」

右腕に赤い刃を生成し、振りかぶって裂邪との距離を詰める
裂邪はその手から「ティルヴィング」と「レイヴァテイン」を離し、浮遊させる

「ヒハハハ、何をするのかと思えば……無駄だと言うのがまだ分からんか!?」

2本の刃が、またもローゼを襲う
だが彼女はその刃をどちらも受け止めた
「レイヴァテイン」は赤い刃で
「ティルヴィング」はハイヒールで
空いている左掌に、赤い光が集中する

「なっ………!?」
「『フォトン・バレット』!!」

赤い弾丸が放たれ、紫の悪魔に命中した
「ティルヴィング」を持っていなかったが故にそれを反射できなかったが、
彼は“防ぐ事”も、“回避する事”もせず、彼女の攻撃を受けて仰向けに倒れた
否、しなかったのではなく、それらも“できなかった”のだ
力が弱まった剣を退け、ふぅ、とローゼは一息吐いた

「やっぱり…ただのトリックでしたのね
 「神出鬼没」や「ヴァルプルギスの夜」の能力の使用、そして身体能力の向上は、
 全て「ティルヴィング」を持っている時になさっていた事
 逆に言えば、「ティルヴィング」が貴方の手から離れた瞬間に、貴方は殆ど無防備になっていた
 それは「憑依霊」としてのナユタの魂が、普段は裂邪さんの身体に、
 そして「ティルヴィング」を操作する寸前に、「ティルヴィング」の中へ移動しているから
 融合しているとは言え、その5つの都市伝説を扱える魂はただ一つ…“2人”じゃ扱えませんものね」

裂邪はぴくりとも動かない
悲しげな表情を浮かべ、ローゼはかつ、かつ、と彼の元に近づいた

「…申し訳ございません裂邪さん
 でも、今はワタクシ達が戦っている場合じゃありませんわ
 ワタクシ達は、共に力を合わせて――――――」
「黄昏裂邪が命じる……“動くな”」

ピタッ、とローゼの動きが止まった
それはまるで時が停止したかのようだが、止まったのは彼女の身体だけ
驚愕するローゼの前で、裂邪はゆっくりと起き上がり、飛来する剣を手に取った
766 :夢幻泡影 † 粛清の炎、裁きの光、断罪の剣:後  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/06(火) 00:18:40.06 ID:pw05vpOn0
「…温いよローゼ君、あの程度で僕を仕留めたつもりだったのかね?」
「こ……これ、は…………裂邪、さん…何故………」
「「ティルヴィング」は主人の願いを3つだけ叶え、全てが叶うと滅びを迎える…最初の願いは君に捧げよう
 それと、もう一つプレゼントだ……細胞を焼いてしまえば、再生はできない」

「ティルヴィング」の切っ先を動けぬローゼの胸部に向け、紫の光条を解き放った
胸を貫かれた彼女は苦悶の表情を浮かべ、血を吐きながら赤い髪を乱して再び倒れた
僅かに呼吸する声だけが聞こえ、ぴくん、ぴくんと小さく痙攣している

「無様だ…君の驕りが君自身の破滅を生んだんだよ
 あの時、僕を生かすつもりで技を放った結果がこれさ
 その甘さが、戦場で命取りになる……言っただろう? 殺すつもりで来い、と」

ばきっ、と嫌な音を響かせ、倒れた彼女の胸を踏む裂邪
悲痛な叫びと共に、赤黒い血が飛び散る

「……カハッ………ぁ、ぁぁ…………」
「…ちっ、茶番にすらならなかったな……まだ満たされないよ、こんなものじゃ」

そう呟くと、裂邪は「ティルヴィング」の切っ先をローゼの喉元に向けた
輝く刃は、一歩間違えれば喉を切り裂いてしまうだろうという距離

「チャンスをあげよう…さあ、僕を殺すつもりで来たまえ
 この間のように、放射線を使えば僕程度の人間は殺せるだろう?
 …それくらいの覚悟はしている筈だろう!?」
「…………け、ない………」

咳き込みながら、震える手で刃を退け、弱々しい声を振り絞る
首を傾げる裂邪に構わず、彼女は続ける

「殺、せる………わけ、が……ない………」
「まだ言うか…! 君はそれでも「組織」のNo.0か!?
 人間の一人や二人、殺せる覚悟もなく君は―――――」
「あな、た、は………ミナワちゃん、が…………殺せる、と…仰るの?」
「………は?」
「貴方は…………自分が、愛している人を…………殺すことができるとおっしゃるの………?」

つぅ、と一筋の涙が流れた瞬間
一瞬にして洞窟内から紫の炎が消え、裂邪が元の姿に戻った
と同時に、ローゼを蹂躙していた脚を退け、一歩、また一歩と後退した
からん、からん、と金属音が2つ…得物を落としたようだ

「………嘘だ………嘘だ………」

ここは光が一切差し込まない洞窟
相手の表情すら分からないこの常闇の空間でも、ローゼは理解していた
裂邪が今、泣いている事に

「お…俺は……俺はぁ…………!!」
「れ、つや、さん……あなた、もしかして――――――」
「ローゼちゃん!!」

突如差し込んだ光に、裂邪は思わず目を押さえた
光の向こうに見えたのは、6つの影
その内の二つ、先頭に立っているのは

「……正義………来やがったか」

彼の弟である黄昏正義と、その契約都市伝説「恐怖の大王」
正義は裂邪を強く睨み、黙ってそこに立っていた
その姿は、これ以上ローゼに手を出させまいと、守っているようにも見えた
ぐったりとしたローゼの元に、勇弥、奈海、楓、コインが駆け寄る

「ローゼさん!」
「くっ、酷い怪我だ……放っておくとまずいぞ」
「…勇弥くん、能力で外まで脱出できる?」
「え?……あぁ、外へならいつでも行けるぜ」
「ローゼちゃんを連れて先に戻ってて。僕も後で行くから」

何かを決意したような、真っ直ぐな言葉
納得がいかないのか、抗議しようとした奈海を勇弥が宥め、
彼等は暗闇の中から忽然と消え、再び洞窟に闇が戻る

「……お兄ちゃん」
「やっとこの時が来たな、正義」

裂邪は足元に落とした2つの剣を拾って、
とても嬉しそうに、笑いながらそう言った


   ...To be Continued
767 :シャ  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/06(火) 17:11:17.33 ID:pw05vpOn0
今更ながら
三面鏡の人乙です〜
おぉ、ラストスパートか……頑張れ繰ちゃん、そしてディランもげろ(何故に
768 :単発ネタ [sage]:2011/12/07(水) 00:51:26.47 ID:wF7tXktSO
女の子が立っていた。
何をするでもなく、ただぼうっと立っていた。
女の子の見つめる先には、男の死体。
女の子の横には、
「これは、何があったんですかね」
いつの間にか、黒服の男がいた。
「貴女が殺したんですか?」
「……っ…………」
黒服の言葉に女の子の唇が微かに動き、目には涙が滲んだ。
「ぉ、おとっ……さ……お父さんがっ……私が、悪い子だからっ……て……殴っ、……て、きょ……今日、は……首っ、絞めて、きて
 そしっ、っ、そしたら、この子達が……この子達が……っ……ぅ、……っ」
息をつっかえさせながら、言葉を吐き出す女の子の周囲を、スカイフィッシュが飛び回る。
「なるほど、DVに耐え兼ねて殺してしまった、と」
「わたっ、しが、悪い子、だから……私がっ、悪い子だからっ……私がっ…………私っ……私が……
 良い子だったら!!」
「良い子になりたいんですか?」
「なりたい……。でも、でも、テストで百点でもっ、先生の言う事、ちゃんと聞いても……、お掃除頑張っても、お父さんは、私を……叩いて
 どうしたら……何したら…………良い子なのか、……分かんなくて、……私っ、分かんなくて……」
「知りたいですか?」
「…………え?」
女の子が顔を上げると、黒服の男は優しそうに微笑んでいた。
「悪い人を懲らしめれば良いんですよ」
「悪い人を……?」
「そうです。私についてくれば、その方法を教えてさしあげますよ?」
そう言って、黒服は女の子に腕を差し出す。
女の子は、迷う事なくその手を握った。良い子になる為に。

おそらく、女の子のスカイフィッシュには、ほとんど意思は無い。
女の子の父親を殺したのも、契約者の危機に反応しただけだ。
父親の死に、女の子がどう思うかも考えてはいなかっただろう。
今も、女の子がついていこうとしているのが、組織の過激派所属の黒服だという事も、この後、女の子がどんな教育をされるかも、
考えていないだろう。
そして、黒服が「満月の夜は犯罪が増える」という、人を暴力的にする能力を持つ都市伝説と契約していた事も、気にしてはいない。

769 :シャドー  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/07(水) 17:56:40.87 ID:72uJIFob0
単発の人乙です〜
これまた厄介な過激派がwwwwwwww
でも面白いな、このアイディア頂こうかしら(ぁ
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 23:49:14.90 ID:wF7tXktSO
どうぞどうぞ
771 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/07(水) 23:59:29.86 ID:YT7XoCw/0
まさかOKがくるとはwwww
いつになるか分からないけど必ず使わせて頂きますのorz
772 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 20:17:40.23 ID:ify0r/hAO
【とある携帯の通話記録(黒服の通信)】


「さて…」

暗い路地裏で携帯を弄りながら少女は呟いた。

「これは……ピンチって奴かな?」

少女の視線の先には一人の黒服と男性。

「堪忍してなぁ、嬢ちゃん?……これも上からの指令なんよ」
「神崎さん…情は消してください、私達は命を刈り取る側なのですから」

冷たい声と体格から女性と思わしき黒服が光線銃を構える。

「あぁ、せやな…いくでワンコ、ニャンコ」

気の向かなそうな男の声に答え巨大な犬と二足歩行する猫が現れた。

「やっぱり戦闘は避けられない、か…相方不在の身としては辛いなぁ」

少女が頭をポリポリと掻きながら苦笑いを浮かべる。

「先手必勝ニャッ!」

某モンスターをハンターするゲームを彷彿させる姿だかゲームとは違い突撃する猫が持つ刃は本物だ。

「わ〜猫ちゃん!…でも戦うのだからゴメンね、威力はレアにしとくから許してよ?」

一瞬顔を綻ばせたが直ぐ様に少女の目は戦う目となっていた。

「ニャンのことニャ…?…フニャぁ!?」

少女が困惑をみせる猫に向かって携帯を投げつける…次の瞬間携帯がボフンと爆ぜた。

「ニャン公っ!?」

男が慌てて煙の上がる地点に駆け寄る…そこには

「ケフ…マスター気を付けるニャ…最近の携帯は……爆発するみたい…だニャ」ガクッ

「嘘だろ…そんな…ニャン公ぉぉっ!」

アフロヘアーになった猫が気絶していただけであった。

「そんな携帯はありません…分かったのならばさっさと指示を出してください…」

ちょっとしたコントは黒服の冷たい目線と声により終了させられる。

「すんまへん…じゃあ黒井さんとワン公で一斉攻撃を頼みますわ」
少しショボくれた男がだったが即座に指示を伝える

「ワフッ!」
「了解です…」

それに応えクー・シーは滑るようにして少女へ突撃し、黒服は銃の引き金を引いた。

「えっと…たしかこの番号で…よしっ」

それに対し少女は冷静に番号を打ち込んだ携帯を突きだしていた。
そして光線は携帯に直撃しそのまま少女は貫かれる…かに見えた。

「キャインっ!?」

しかし実際に貫かれたのは犬の方であった。

「残念でした…この番号は自分の声が帰ってくる番号…そして契約により通話中は敵の遠距離攻撃を跳ね返せる番号なのよ!」
自信満々に宣言した少女であったが…

773 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 20:39:13.60 ID:ify0r/hAO

「まぁ…予備の携帯がもう無いから逃げなきゃいけないんだけどね!」

「…へ?」

男の間抜けな声を合図に猛ダッシュで逃げていく少女

「な、待ちぃな嬢ちゃん!」

「いや、追わなくていいです!」
少女を追いかけようとした男を黒服が呼び止める。

「何でや!?…あれはターゲットやろ!」

声を荒げて尋ねる男。

「その…今、入った上層部からの連絡によると…先程の少女は……ターゲットではなかったそうです……」

申し訳なさそうに黒服が告げる
「はぁぁぁっ!?…じゃあワイとワンコとニャンコは骨折り損やないかぁ…ないかぁ…かぁ」

声がエコーするほど叫ぶ男であったがその腕に少し傷付いたクー・シーが甘く噛み付く

「グルル…」

クー・シーが噛み付きながら低く唸る

「訳すと…マスターはなんもしてないだろうが…だそうニャ」

それをいつの間に復帰したケット・シーが訳していた。

「あ、あはは…気のせいやないか…ニャン?」

汗をタラリと流しながら男が手で猫耳のポーズをとっている

「グルル…ガルルル」

クー・シーの甘噛みが本噛みに変わっていく

「さてマスター…お仕置きニャ」
フーッという猫特有の怒りを表す声と共にケット・シーの爪が光る

「その、ちょっ…黒井さんヘルプ!ヘルプミー!」

唯一の希望と思い担当の女性に助けを懇願する男

「自業自得ですね…先に私は帰らせていただきます」

しかし我、関せずとスタスタと歩いていく黒服の背をみながら男は叫んだ…

「不幸…だぁ〜っ!」



「おっと回線がまだ繋がったままでしたね…」

ガブガブ…バリバリ…ギャー…ブツン

(続いて…るのか?)
774 :シャドーマン  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/08(木) 22:26:55.25 ID:pegzy1v40
乙です〜
「ケット・シー」可愛い超可愛い
携帯電話のおにゃのこも可愛い超可愛い
何故そこに犬がいる(ぁ
775 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 15:54:14.36 ID:We5cQUHDO
もはや都市伝説と化した超絶技巧と契約する契約者とか居ても良いよね
776 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/09(金) 17:10:09.99 ID:kJRHPe/m0
「生まれたてのfolklore」
中央高校、合唱部所属の弟切草 歌音(おとぎりそう かのん)はヒトカラが趣味である
歌音「さて、今日も歌うわ♪」
いつものように、カラオケボックスに行く歌音
歌音「えーと、はい。joyでお願いします♪
…28号室ですね、了解しました〜♪」
そして、28号室に向かう歌音。その部屋は、2階の一番端だった…
歌音「さーて唄うわよ♪」
マイクを持ち、曲を入れる。そして、熱唱
歌音「ウルトラソウル!」
100点。
歌音「メールト♪ 溶けてーしーまいそうー♪」
100点。
歌音「上野発の夜行列車降りたときから♪」
100点。
歌音「もう何があっても挫けない〜♪」
歌音「ラ・ラ・ラ言えるかな♪」
歌音「放て! 心に刻んだ夢も♪」
歌音「あんなこといいな♪できたらいいな♪」
歌音「赤いスイートピー♪」
歌音「ヘビーローテーション♪」
歌音「二人寄り添って歩いて♪」
100点、100点、100点、100点、100点、100点、100点…
様々な歌を立て続けに歌い、その全てで100点をたたき出す歌音
歌音「ふぅ…♪ ちょっと休憩しようかしら♪」
椅子に座り、注文したアイスティーを飲む歌音
歌音「…?」
と、寛いでいると不意に背後に気配を感じる
歌音(誰か居るのかしら…?♪ でも、ここには私一人しか居ないはず…♪)
と、周囲の様子を探っていると、突然カラオケの画面に文字が現れた。
『採点』と
歌音(え!?♪ 私操作してないわよ!?♪)
勝手に機械が動き出したことに驚く歌音
歌音「まぁ、いいわ…♪ とにかく歌えばいいのよね♪ 適当に何か…あ、『炉心融解』なんてどうかしら♪」
なぜそこでそんな高音の曲を選ぶのだろう?
歌音「街、灯り華やか♪」
歌い始める歌音
歌音「きっとそんな世界だ〜♪」
そしてやはり、100点を取る
歌音「さて、一応歌い終わったけど…なんだったのかしら?♪」
『ウタ…ジョウズネ』
掠れるような声が聞こえた
歌音「!?♪」
突然聞こえた声に驚き、振り返る歌音
歌音「何!?♪ 何!?♪ 誰なの!?♪」
『ワタシ? ワタシは『オトギリさん』…』
歌音「『オトギリさん』…?♪ 何なのそれ…?♪」
『『オトギリさん』…ワタシは都市伝説。都市伝説は知ってる…?』
歌音「ええ、勿論よ♪ 知ってるも何も、私は既に契約してるんだから♪ …『7オクターブの音域を持つ歌姫』と♪」
『7オクターブの音域を持つ歌姫』。7オクターブの音域を発声することのできる歌姫が居る、という都市伝説。
歌音はこの都市伝説の過大解釈により、如何なる音でも発声することができるのだ。超音波でも低周波でも思いのままに
歌音「…でも『オトギリさん』なんて都市伝説、聞いたこともないわよ…?♪」
『ええ、だって…ワタシ、生まれたばかりなんだもの』
歌音「生まれたばかり…?」
『そう。『カラオケボックスの2階一番端の部屋で一人になるとオトギリさんが現れ、カラオケの採点で80点以上取らないと体中を切り裂かれて殺される』っていう…
最近ニュー速VIPの安価スレで生まれた都市伝説なの…』
歌音「ニュー速VIP…あまり見ないわね♪ それで、私はこの通り100点を取ったわけだけど…貴方はどうするの?♪」
『えっと…あの…もし良かったら、なんだけど…。ワタシと契約してくれないかな、なんて…
ワタシ、生まれたばかりで…知名度も無くて…それに殆どの人が集団で来るし…だから、消えてしまいそうで…だ、駄目でしょうか…?』
消え入るような、掠れるような声で言う『オトギリさん』
歌音「…ええ、勿論良いわよ♪」
『ほ、本当ですか!?』
歌音「勿論よ♪ 断る理由もないしね♪ 私の名前は弟切草 歌音♪ よろしくね♪ 契約しましょ♪」
『『オトギリさん』です…契約、承諾します』
こうして、100点の歌姫、弟切草歌音と、生まれたての都市伝説、『オトギリさん』の契約が完了した
777 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/09(金) 17:11:08.33 ID:kJRHPe/m0
歌音「さ♪ 今度は2人でデュエットしましょ♪」
『デュエット…? でも私、喉の病気で…』
歌音「喉の病気…?」
『ええ…。『歌手志望の少女が喉の病気を患い、手術には成功したが思うように声が出せなくなって、事務所との契約は白紙に。
それでも必死にカラオケで練習するも結局元の声を取り戻すことはできず、絶望の末に喉を掻き毟って死んでいった』って話があるの…そして私はその霊なの』
歌音「そうだったの…♪ それは辛いわよね…♪ でも、それは生きていた頃の話でしょう?♪ 都市伝説化して肉体から開放された貴方は喉の病気なんてものともせず歌えるはずよ♪」
『そ、そうでしょうか…?』
歌音「そうよ♪ でも慣れないって言うんなら私の体を使えば良いわ♪ 私は契約都市伝説のおかげでどんな声でも出せるから、元の感覚を取り戻せるかも知れないわ♪
但し音域が広いというだけで、どの音を出すかは貴方次第だけどね♪」
『…はい! ありがとうございます…! ワタシ、歌います!』
涙を流しながら、歌音に取り憑く『オトギリさん』
歌音『あー…♪ すごい! 出ます! 声が! 声が! 昔みたいに…うわあああああん!!!』
歌音「ふふふん♪ そんなに嬉しかったのね♪ 良いわ、どんどん歌いなさい♪」
歌音「ううううううう…! ありがとうございます…!」
こうして、歌音と『オトギリさん』は歌って歌って歌いまくった。ちなみにこれは、10月26日、つまり世界滅亡より少し前のお話…
果たして歌姫と生まれたての都市伝説は世界滅亡にどう立ち向かうのだろうか?
え? VIPに『オトギリさん』が誕生したスレが立ったのは現実では11月14日だって? 気にしたら負けである
ちなみにこの弟切草歌音、『完全音感(パーフェクトヒヤリング)』という、如何なる音でも聞き取ることが出来るという異常(アブノーマル)を持っているのだが、それはまた、別のお話…




                         続く…
778 :「組織」強硬派人事担当の憂鬱 [saga]:2011/12/09(金) 19:09:21.84 ID:GTsHimz10
黒服
都市伝説契約者の成れの果てとも、半人半妖とも言われる存在
そして、我々「組織」の主要構成員にして、様々な任務に従事する駒である

しかしながら、「組織」によって生産された、純粋な黒服はともかくとして
元契約者、元々は人間であり都市伝説に侵食されて成った、元人間の黒服は
そうそう容易く確保できるものではないのだ
なぜなら都市伝説に侵食されたからとはいえ、確実に黒服になるとは限らないからだ

純粋な黒服とは異なり、元人間の黒服は、契約していた都市伝説の能力を扱う事に長け
さらには各種任務においても、訓練の次第によって高い成果を叩き出す事ができる貴重な人材である
言い換えると、元人間の黒服をどれだけ保有しているかは
「組織」の各派閥の運営能力にも強く影響してくるのである

我々「組織」強硬派としても、元人間の黒服を相当数確保したい
しかし、今や中立派や穏健派、果ては日和見派にまで、人材調整という名目でパイの配分を大部分持って行かれている
過激派、そして強硬派の「不正」が近年、次々と露見した為、我々の発言力と信用性は失墜どころの状況ではない

このような近頃であるので、強硬派は思い切った策に出た
一人一人スカウトする方式ではなく、広報による募集を実施したのだ
勿論、一般人には知れない方法で広報を行ったそうだが、その方法は機密事項であるらしい

さて
三回目の広報により、初めて応募者が登場した
一人だけであった
指定の私書箱に届けられた封書を見ると、必要種類には氏名だけが記載されており
他の情報が全く記されていなかった
「組織」を舐めているのだろうか
頭を抱える私をよそに、同僚は恐らく面接で勝負を挑む気だろう
その意気を買ってやろう、と鼻息荒く、やけに暑苦しい熱気を込めている
779 :「組織」強硬派人事担当の憂鬱 [saga]:2011/12/09(金) 19:10:09.49 ID:GTsHimz10
そして、面接当日である

「……」
「……」「……」

果して応募者は現れた
だが一礼し、面接会場に入室までは良いが
こちらの質問に一切答えない
なんと失礼な男だろうか
こんな非常識な者と面を合わせる事になるとは、私にとって初めての経験である

いや、今のは正確ではない。非常識な者とは、「組織」にて何度も面を合わせている
はっきり言っておくが、穏健派を中心として、非常識なばかりか常識の欠片もない輩が多いのである
これは異常である
それでいて、連中の発言力は日に日に高まりつつある
くどいかもしれないが、これは異常である

この手の男は、強硬派というより穏健派にお似合いだ
面接開始から既に三十分が経過しようとしている
面接官として相対する私も、こんな非常識な奴と面を合わせるのは限界に近かった
隣に座る同僚は、我慢比べなら負けんぞとも言いたげな表情で腕を組んでいる
私は口から息を吐き出した

「貴方のお名前は?」
「……」
「いい加減にしろよお前!! 何も言う事は無いのか!?」

とうとう私の堪忍袋は爆発した
目の前の男に対し、脳は沸騰し、血流は加速し、犬歯が剥き出しになる
こいつは我々を何だと思っているのか
穏健派の連中と目の前の男が重なって仕方がない
ここまで非常識であるなら、もう拳の一つや二つ、構わない筈だ
私は机を叩いて、立ち上がった

同時に男も立ち上がった
我々の前へとつかつかと歩み寄ると
いきなり懐から何かを取り出し、机へ叩きつけた

「男は黙ってサッポロビール!!」

叩きつけられたのは、ビール缶だった
唖然とする私をよそに、横の同僚はただ一言

「素晴らしい」

そう呟いた


その後、強硬派幹部による会合の席で
私以外の出席者全員の即決により、彼の採用が決定した

会合の後に飲んだぬるいビールは頭に血が昇るほど苦々しいものだった

780 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/09(金) 20:28:43.24 ID:kJRHPe/m0
組織の人乙ですー

そうだよね。普通『男は黙ってサッポロビール』されたらそういう反応だよね
781 :シャドーマンの  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/09(金) 22:29:59.74 ID:UjG3Hwhy0
ソニータイマーの人乙です〜
新キャラktkr!! 今後の活躍にwktkせざるを得ない
歌音ちゃんハァハァ

(火音>ワシと同じ名か
(清太>良かったじゃん、数少ない友達ゲットのチャンスだろ
(火音>んなもん要りゃせんわ
(清太>(にしてはいつも麻夜姉ちゃんと一緒にいるよな…)


単発の人乙です〜
吹いたwwwwwwwこれをここで使うとはwwwwww
だが面接という言葉に何故か拒否反応g(黙
782 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/09(金) 23:46:14.46 ID:tJFhX5EAO
三面鏡の人乙です
いよいよクライマックスですか…
佳奈美ちゃんと繰ちゃん幸せになれですよー
ディランはもげるといいですよー

シャドーマンの人乙です
いよいよ兄弟対決…!胸が熱くなる

単発の人乙です〜
そのアイディアの多彩さに嫉妬
サッポロビールテラワロタ
ソニータイマーの人乙です
歌音ちゃんのカラオケレパートリーすげー
783 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/10(土) 00:15:59.71 ID:ThCIzEk20
>>781
>(火音>ワシと同じ名か
歌音「そうね♪ 私もかのんで、貴方もかのん♪ お友達になれそうな気がするわ♪
今度一緒にカラオケにでも行かない?♪」
『あの…歌音さん、ワタシも行って良いでしょうか…?』
歌音「勿論良いわよ♪ 私と貴方の仲じゃない♪」
『ありがとうございます…! 大好きです、歌音さん…』

>>782
歌音ちゃんのカラオケレパートリーすげー
歌音「私のレパートリーは108個まであるわ♪
…と、言うのは冗談で本当は♪
7932兆1354億4152万3222個のソロソングと4925兆9165億2611万0643個のデュエットソング、
合わせて1京2858兆0519億6763万3865個の曲を歌えるわ♪」
『え…? そっちが冗談なんじゃないんですか…?』
784 :留守電 [sage]:2011/12/10(土) 22:12:03.43 ID:7gYW/wXAO
【とある携帯の通話記録(通話中)】

〜コンビニ裏路地〜

「このタイミングでとか…面倒だな」ピポパピ…

「キヒャ…諦めな女ぁ…もう逃げ道は無い…キヒャヒャ」

「あー…もしもしテルミ聞こえるか?」

「…ってナチュラルに無視するなヒャ!」キシャー

「なぁ、今からこっち来れないか?なになに…今、組織から何故か追われてるから無理?」

「いや、こっちだって確かチュッパチャプスとか呼ばれてる奴に襲われてるんだよ」

「チュッパチャプスじゃないヒャー…俺様はチュ・パ・カ・ブ・ラだヒャー!」キシャー

「うっさいぞ…チュ……チュロスなんとか!」

「だからチュパカブラだキャー!…もう我慢ならんキャ…キバってイクゼ!…だキャ」

「じゃあテルミは来れないのな…ったく一人での戦いは向いてないんだが…致し方無いねぇか」スッ

「キャ?…でかいスコップだな…しかしお前自身が隙だらけなんだキャ!」ガブッ

「血を吸ってるみたいだが…悪いが私には無駄だぜ?」

「な、何だと!?…巨牛の血をも吸い尽くす我が舌が効かないだキャ?」ガブガブ

「教えてやるよ…」ガシッ

「クッ…離せヒャ!…おい冗談だろ…その振りかざしてるスコップ…ヒャ、ヒャ」ガタガタ

「私、ゾンビっす…ついでに契約者っす…オラァッ」ガンッ

「キ…ヒャ……」


〜数分後〜

『もしもーし…ミコナちゃーん、そっち終わったぁ?』

「あぁ…だが、半人間みたいだから仕留めず縛っといた…運がよければ組織に見つからないかもな」

『相変わらずミコナちゃんは甘ちゃんだねぇ…だからゾンビにされちゃうんだよぉ?』ヤレヤレ

「自分でも十分分かってるよ…あれ…そういえば何か忘れてるような………あ」

『ん、どうかした?』

「えーと…その怒らずに聞けよ?…イス…けた」

『え、なんだって聞こえなかったんだけど?』

「お前に頼まれてたアイス…溶け…ちゃっ…た」

『さてミコナちゃん…アフロと真っ裸どっちがいい?今なら携帯を何処にかざすか選ばしてあげる』

「いっ、ちょっ…待っ」

『時間切れでーす…BOMB』

ボンッ…ツーツーツー



―その後スタッフ(テルミ)がちゃんと回収しました。―
785 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/11(日) 21:37:08.89 ID:4UaKCerq0
単発の人乙ですー
ミコナちゃん…僕は君の勇姿を忘れないよ…
786 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:53:15.38 ID:5bQJLLd00


見慣れすぎるほど見慣れた、焔の雨。
夢で見慣れた、焔の雨。

忌まわしき運命。
一体何度この運命を、呪ったか。
でも、もう一人じゃない。
咎利が 衛悟が。
エーテルさんが 上田さんがいる。

永劫にも思える時間の中で繰り返し唱えた、生への誓い。

「衛悟!あわせろ!」
「はい!エーテルさん!」
エーテルと衛悟が光の剣と水の剣を振るって私の道を切り開いてくれている。
ワカンタンカの作り出した焔の雨から私を衛悟が護ってくれている。
ワカンタンカの降らせる岩の雨をエーテルさんが切り捨ててくれている。
涙が出そうだった。


私が嘗てのループで聞いた二人の哀しい言葉。最後の言葉。
「ゲームや漫画みたいに……何もかも上手くいくわけじゃなかったよ……」
「世界のバランスを破壊するのは都市伝説や人間だとでも……言いたい……のか……」

彼らがどれだけ一生懸命だったか、私は知っている。

その言葉はこの時間でまだ紡がれていない。
(聞きたくない、そんな言葉聴きたくない!今度こそ、今度こそ全員で生き残ってみせる!)
787 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:54:34.57 ID:5bQJLLd00


ワカンタンカの干渉によって周囲の気温が一気に下がる。
吹雪が舞い、極寒の大地の再現が始まった。
それは『嵐』だった。しかも唯の嵐ではない。
ずらりと穂先をそろえて天井を埋め尽くすは人の頭ほどの太さの鋭い雹と猛吹雪
それが雨のように洞窟の地面に降り注ぐ――。
しかし、それは春の淡雪のように熔けてしまう。
何者かの放った焔によって。
「あくまで口出しが主でこんなの私らしくないんだけどなあ」
「ヘンペル……か?」
咎利の契約都市伝説であるヘンペルのカラス――
ヘレブ、ヤタ、フギン、ムニン、そしてインディアン神話ではノーバイタル。
幾多もの名で神話に伝承される知恵あるカラスの精霊。
それが、カラスのような濡羽色の髪を持つ少女の姿をとっていた。

“ノーバイタル!精霊ノオマエマデガ人ニ付クカ!!”

(ヘンペルの中身は高位の神格だと思っていたけど……
それが今手を貸してくれるなんて)
それにワカンタンカの言葉が。テレパシーとなって私の耳にも届いた。
いままでワカンタンカの言葉は分からなかったのに。
これもまた、ループを重ねていくうちの初めての変化だった。

「……ワカンタンカ様、やっぱり私は人がいたほうがいいです。
せっかく知識を語っても聞いてくれる人がいないと片手落ちですから」

(ヘンペル、女の子だったんだ)
それも驚きだったけど
一番ワカンタンカと戦うのを嫌がってたあいつがこの局面で手を貸してくれるなんて。
788 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:55:11.32 ID:5bQJLLd00


そして……上田さんがあの神と対話する

“コタエロ、ナゼタタカウ”
「女房と息子と部下食わせるためだ!悪いか!
 俺は生き物だ!生きている限り生きるために戦う!
 未来へと繋げるために、未来へとつながっていくために、過去を背負い今を戦い続ける!
 俺はこの世界が割と好きなんだ!だから俺の邪魔をするな!」

“フム……ダガソレデモ”

“ワレニアラガウコトトハセイメイソノモノヘノヒテイニヒトシイ”

「人が何時までもお前の被創造物で居ると思うな!
 人は自ら新しい価値を想像して無限に成長していく!
 今はまだ弱く愚かでも、すでに停滞を願い始めた貴様とは違うんだ!
 人は……!人ってのは……!それでも明日を求めようとする意思の生き物なんだよ!
 足を止めようとしている神と前に進み続ける人ならばどちらが未来への主導権を握るべきかは明白だ!」

“ナラバイマヤッテイルトオリニチカラデシメセ!”

ありがとう、上田さん。
私はようやく答えを出せそう。
「暴力で排除するだけがやり方じゃないんじゃないか?」
と貴方は言った。
エーテルさんがワカンタンカに一筋の傷をつけてくれた。
衛悟はずっと私を護ってくれていた。
咎利とヘンペルも予言に様々なサポートをしてくれた。
亜里沙……ごめんね、貴方を完全に救うことが出来なくて。
皆の想い、皆の犠牲、皆が稼いでくれた時間、無駄にしない。
789 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:56:04.75 ID:5bQJLLd00
……ワカンタンカは会話しながら闘うことに慣れていない。
それは私にも見える。
ワカンタンカの迷い、悲しみの蒼が。
そして、ワカンタンカの広範囲殲滅能力、攻撃力と防御力は圧倒的。
その中で、私が唯一勝っているもの、それは……時間を操ることでの速度しかない。

「ごめん皆!ちょっと荒っぽくなるから!防御して!」

暦は自らの能力を全開にした。

「皆のくれた時間、皆のくれた答え!これで決着をつけて見せるから!!」
そして、雄たけびの
「だああああああああああああああああ!!」


暦の一踏みごとに大地が割れー
いや、そんな生易しいものではなく爆発している。
時間操作能力を極限まで引き出した超加速。
超高速でぶつかる物体はそれだけで凶器だ。
当然人間の脆い体はそんな速度に耐えられるように出来てはいない。
それでも彼女は止まらない。
踏みしめる足が一歩で微塵に砕けようとも
それよりも早く肉体の時間を巻き戻す。
踏みしだかれた大地が壊れて小石や砂利と化しながら恐ろしい速度で撒き散らされる。
彼女の移動の軌跡が絶えず小さな爆発を引き起こしている。
時間を戻すことで回収しきれない血潮が洞窟に舞う。
血液が狭い洞窟の中の空気に赤い霧、赤い影ととなって彼女のあとに下僕の如くつき従う。
だがそれも一瞬のことで一拍遅れの白い衝撃波に吹き飛ばされる。
彼女以外の全てを遅く、暦自身は早く。
光速に近い速度の世界、彼女の世界。
空気すらも粘性を帯びている。
見えない糊の中で泳ぎもがいているようだ。
速度そのものが破壊力、暴力となりそれが暦自身をも蝕む。
踏みしめる足は割れ砕ける。
そのダメージを時間を戻すことで無理やり修復する。
時間を加速し超高速で踏み込む、踏み込むたびに速度に耐え切れない体が壊れる。
足の骨は粉々に砕けて吹き飛びそうになり、音の壁に全身が叩きつけられる
壊れるたび肉体の時間を巻き戻す。壊れきる前に直せばいい。
790 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:56:26.90 ID:5bQJLLd00
(「恐れない……痛みなんか恐れない!)

彼女が粉々になって死ぬ直前に時間が戻され肉体が復元する。
何かが爆発したような2つの不連続な音が絶えず洞窟内に響き渡る。
移動するたびに波紋の如き音速衝撃波を撒き散らす。
周囲にいる人間はたまったものではない。

インディアンたちは暦の超々高速移動が引き起こした最初の衝撃波で全員壁に叩きつけられて伸びている。
ゴーストシャツで守られているため死んでいるようなことは無いが……

まともに立っているのは衝撃波を受け流し吸い取る分厚い水の壁に守られた衛悟と咎利。
光の壁で凌ぐエーテルさん。
そして赤い部屋の異空間と村正の斥力操作で防御できる上田くらいのものだ。

「ぐわああああうるせええええ……!耳がおかしくなりそうだ!まるで爆撃をうけてるようだぜ!」
「うるさい黙れ集中させろ!」
爆音にうめく咎利に衛悟が水の壁を維持しながら怒鳴り返す。

「実際これは光も熱も無いが戦闘機によるミサイルの雨とそう変わらん!
音速を超えることによって発生する衝撃波の爆撃だ!都市伝説で防御できない一般人が今の暦に近づいたら原型も残らんぞ!」
エーテルも洞窟の壁際で、傷付いた体を叱咤して防御している。

相対するワカンタンカ=ガイア仮説もまた怪物である。
吹き上がるマントル、津波、ツララ交じりの猛吹雪と雪崩……
降り注ぐ隕石や特大の雷……


暦はその全てを移動の際発する衝撃で吹き飛ばし、すり抜け……
突き進み、そして吠えた。
791 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:56:57.01 ID:5bQJLLd00
「私は今、生まれた意味を知った!
何故私が時間の主人にして友人にして奴隷であるのかを。
人間だけが時を区切ることが出来る。
私は人に【時間】を与える為にやってきたのよ!」

暦は超加速状態で弾道ミサイルのようなドロップキックをワカンタンカの憑代である宝石地球儀にかました。
宝石で出来た地球儀は暴投されたボーリングの珠のように何度も壁と地面に叩きつけられながら跳ねた。
ワカンタンカに入った皹が広がる。
それでも暦は止まらない。

「未来を、生命を……
そして全ての生命が享受すべき時間、愚行を考える、大人になるための【時間】を!
私は命を賭してそれを世界に訴える為に此処に来た!
これが私の【選択】よ!だから……後の世界は都市伝説と人間……私達全てに任せて……」

暦はレアード複葉機のナイフを振りぬき一閃。
ナイフから染み出る黒、止まった時空。
それが弧を書く軌道に沿って黒い月を中空に描く。
完全に静止させられた時空は世界の動く自転の速度そのままに置き去りにされ……


「時に抱かれて……!神様は眠ってろぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!」

黒い月が飛ぶ。
ワカンタンカの意思の玉座。
宝石の地球儀に入った、皹に向けて。

暦の一撃は、確かに、神に向けて致命の一打を決めた。
石は最初に膨張し、次に収縮した。
最後にもう一度膨張した。
そして……爆発した。
792 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:57:32.00 ID:5bQJLLd00


光の柱が垂直に立ち上り岩盤の全てを一気に貫いて地表に噴出する。
奇しくもその場所は中央高校の校庭に大穴を空けた。
学校町全体の地面が断続的に揺れ続け
その場に残った全員が落ちてくる岩や小石や砂を防ぐのに精一杯だった。
地震と光の柱が収まった後には、ワカンタンカは居なかった。
完全に、消滅していた。

その爆発の大音響の中で、私達は確かに聞いた。

『良くぞこの私に逆らった!もう一人前だな!』
『そしてそなたらの選択を我は歓迎する!』
『そなたらのような人間を我はずっと待っていた』
『清らかで強い意志を持って世界に対峙する』
『勇敢な誰かと世界を眺めたいと常々思っていたのだ』
『痛く、辛く、深い哀しみが有った。それでも価値はあった』
『今は都市伝説と呼ばれる全ての精霊と、それと手を携えるべき人との無限の可能性を見出せたのだからな……』
『これからは御前達の時間だ!!その思いを胸に……我は……眠りに……』

それは言葉ではなかった。
暦たちの脳内に直接文章が書き込まれた。
私だけが見て取り、上田さんだけが聞いていたものとは違う
はっきりとした明瞭な声。それをこの場にいた全ての人が見て取り、聞き取れた。
こうして……神は眠りに付いた。
793 :煉獄の時間の終わり・神殺しの娘 ◇DkTJZY1IGo(避難所より代理投下) [saga]:2011/12/11(日) 23:58:04.38 ID:5bQJLLd00
「夜が……明ける……」
ワカンタンカの爆発が開けた中央高校の校庭から……
朝日の光が差し込む……
永劫の繰り返しに閉じ込められた時間が動き出し
まるで、眠りに付いた世界の意思が
都市伝説と人との新たな門出と新しい時代を祝っているようだ……

「世界に認められて……都市伝説と人の新しい時代が始まる……というのか?」
エーテルがふと予言の一説を繰り返す。

「う、うわぁあああああああああん!
やったー!やっと終わったよー!
皆ありがとうー!……そして体中とんでもなく痛いよぉぉ!!!!!」


……to be epilogue
794 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:02:18.53 ID:RJNz13+D0
>>786-793は避難所からの代理投下です


>>784
通話記録の人乙です
可哀そうなチュパさん…
そしてミコナさんかわいそう…
795 :夢幻泡影 † 兄弟  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/12(月) 00:28:09.48 ID:eS5YGVBu0
風も無く光も無い、闇しか無いだだっ広い洞窟内部
ぼう、と紫の炎が地に灯り、怪しげな輝きが辺りを照らす
そこにはただ、2人の少年だけがそこにいた

『………ギ、ハハハハ…成程、これが……君自身の能力、か………』
「ナユタ、まだやれそうか?」
『全く、人遣いが荒いね……悪いが、少し休ませて貰うよ』
「そうか。ご苦労だった」

紫のもやを纏った「ティルヴィング」―――ナユタをベルトのバックルに翳し、紫色のパスに変えると、
裂邪はそれを腰のホルダーの中に仕舞い、眼前の敵に目を向けた
彼は―――黄昏 正義は、敵意を抱いた目で口を開く

「単刀直入に聞くよ。どうしてあんな事をしたの?」
「…ふん、どんな理由で何をしようが俺の勝手だろ」
「ローゼちゃんは、お兄ちゃんを病院まで運んでくれて…心配もしてくれてたんだよ?
 それなのに………何で!?」
「うるせぇ!! さっきからごちゃごちゃと……だったら教えてやるよ
 俺はお前らが集めてる「水晶髑髏」を奪いに来たんだ」
「え…?」
「「水晶髑髏」を13個集めれば、宇宙の力を手に入れる事が出来る…
 それさえあれば、あの「太陽の暦石」を止められる…麻夜を救う事が出来る!」
「ボク達だって目的は同じだよ! 麻夜ちゃんを助ける為に、「水晶髑髏」を集めてるんだ!
 それならボク達に協力してくれるだけでいいじゃないか!」
「俺が……俺がやらなきゃ意味がねぇんだよぉ!!」

手にした「レイヴァテイン」を頭上高くに放り投げる
空中で金色の液体となった「レイヴァテイン」が、裂邪に降り注ぐ

「変、身…『ゾディアック』!」

金の爪、金の翼、金の棘
全身に黄金の輝きを放つ鎧を纏い、裂邪は正義に襲いかかった

「ッ! 大王!」
「分かっている!」

大王が黒雲を生成すると、1本の剣が落ちてきた
正義はそれを手に取り、裂邪に向けて振りかぶる
甲高い金属音が洞窟内に響き渡り、爪と剣がぶつかり合った

「ッヒヒヒヒヒ……正義ィ、俺はお前が昔っから大ッ嫌いだったんだ…
 心の底から願ってたんだよ、この瞬間を…お前を殺せるこの時をなぁ!!」
「どうしちゃったんだよ、お兄ちゃん…
 『COA』の時、ボク達を助けてくれた、あの時のお兄ちゃんは何処へ行っちゃったの!?」
「くどい! 俺は目的の為なら手段も選ばない!犠牲も厭わない!
 ここでお前を殺し、お前の友人を殺してでも「水晶髑髏」を頂くぞ!」
「…そんなことさせない! 絶対に!!」
「ならここで、俺を殺してみろ!!」

ふっ、と裂邪の身体が宙に浮いたかと思えば、
脚に輝く刃が、正義の首筋を狙って動き出した
鎧を纏う裂邪と違い、彼は生身
得物は今裂邪の爪を抑えている剣1つのみ
だが、正義は動じなかった
何故なら、彼は“一人”ではなかったから

「…っち、「恐怖の大王」…」
「契約者を守るのは当然だろう?」

正義と同じ型の剣を持ち、大王は裂邪の蹴りを受け止めていた
ヒヒッ、と小さく笑い、裂邪は2人の剣を押し返して後方に宙返りしながら退避し、距離を取る
着地した瞬間に、正義の眼が光った

「今だ!」

彼の声と共に、洞窟の天井を覆う黒雲がゴロゴロと轟き、
大量の槍が雨のように、裂邪に降り注いだ

「ヒハハハハ! この程度で俺が止められるか!」

ひょう、と跳び上がって半宙返り、両手を地につけて身体を支え脚を広げ、
左手で勢いをつけて右手を軸にして、身体を独楽のように回転させた
刃状になっている脚の装甲が、降り注ぐ槍をミキサーの如く粉々に砕いていき、
そのままジャンプして槍の射程外まで移動すると、左掌にエネルギーを溜め、

「『クェーサー』!!」

エネルギー弾を、雲に向かって放った
雲は一瞬にして消し飛び、槍の雨は空しく止んでしまった
796 :夢幻泡影 † 兄弟:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/12(月) 00:28:46.03 ID:eS5YGVBu0
「…成程、流石は少年の兄、といったところか」
「あの都市伝説、海水浴の時にも見かけたけど…いつの間に契約してたんだろう…?」
「ウヒヒヒヒ…ローゼの「フォトンベルト」、『マヤの予言』のキーとなる「太陽の暦石」と同じ、
 世界を破滅させる力を持つ「恐怖の大王」……まさかこの程度じゃないだろうな?」
「何…?」
「とは言え、2対1じゃ俺も少々分が悪い…という訳で、」

裂邪を纏っていた鎧が、一瞬だけ金色の枝の形を取り、裂邪の右手に四角いパスとして収まった
それを持ったまま、彼はバックルの白いボタンに左手の人差し指を添える

「俺も仲間を呼ぶ事にしよう」

《ドリーム》と機械音声が流れ、直後にパスをバックルに翳す
虚空から突如として、熊の胴体、虎の足、象の鼻を持った白い毛並みの怪物が出現した

「あ、あれは…理夢!?」
(少年の兄の「獏」か……だが今どこから出現させたんだ?)
「ッククク、やっと俺様の出番か」
「あぁ、早速だが頼むぞ…『胡蝶之夢』!」
「OKィ!」

理夢の鼻先から白い煙が溢れ出し、裂邪の身体を包み込む
頭部には細長い触角が2本伸び、背中には蝶の羽が美しく広がった
さらに彼はパスをハルバートに変化させて、理夢の背に跳び乗り得物を構えた

「す、姿が変わった!?」
「ヒッハハハハハ! テメェの夢を、俺様が喰らい尽くしてやるぜぇ!!」

理夢が前足を上げた時、目にも止まらぬスピードで正義達との距離を詰め、
頭上に上げられたハルバートが、勢いよく振り下ろされた
2人は咄嗟に飛び退いた為に、砕かれたのは彼らが立っていた地面のみに留まった
裂邪の翅から白い煙が、鱗粉のように舞い散った

「くっ…あんなもの喰らえばただでは済まんな」
「大王、気をつけて!」
「おいおい、他人の心配なんかしてる暇があんなら…夢でも見てろ!!」

ぱちんっ、と裂邪が指を鳴らすと、洞窟の至る所から肉体が腐乱した人間――「ゾンビ」が現れ、
歩みは遅いが、真っ直ぐに正義と大王を目指し、攻撃を始めた
力も感情も無いそれらを、容赦無く袈裟斬りに斬り払う

「何だこれは、「獏」にこんな能力があるなど聞いたことが無いぞ!?」
「ククク、契約で付加されたに決まってんだろうが!」
「そういう事だ、言っとくがこういうことも出来るんだぜぇ?」

再び裂邪は指を鳴らす
何処からともなく現れたのは、リニアモーターカーだった
何故こんな洞窟の中で走っているのか
何故レールも無いのに走っているのか
何も分からないが、ただ、それは今確実に正義に迫っていた

「なっ…少年!!」
「ヒハハハハハハハ!! じゃあな正義!これでお別れだ!」
「…これ、夢でしょ?」

静かに、彼が断言すると
リニアモーターカーはおろか、大王が交戦していた「ゾンビ」の群れでさえも、
最初からそこにいなかったかのように、すぅっ、と消えていった

「…やっぱり。理夢って、相手に夢を見せられるんでしょ?
 自分が死んじゃう夢を見たら、それを『夢だ』って自覚してないと本当に死んじゃうんだよね
 でも…逆手にとれば対策は簡単だ!」
797 :夢幻泡影 † 兄弟:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/12(月) 00:29:19.86 ID:eS5YGVBu0
「何だ、もうバレちまったか? つまんねぇな…」
「どうすんだよ主、もう5分経っちまうぞ?」
「仕方ねぇ……下がれ理夢、後に備えて休んでろ」
「OKィ」

理夢から飛び降りた瞬間に、裂邪の身体から白い煙が消え、元の姿に戻った
しかしそのすぐ後に、彼はバックルの赤いボタンを押し、《ファントム》の電子音声を聞いて金色のパスを翳した
今度は、真っ赤に燃える火の玉が出現した

「…今度はウィルか!」
「旦那ァ! 早速行きやしょうか!」
「あぁ、頼むぞウィル…『ファンタズマゴリア』!」
「がってんでい!!」

ウィルが幾つも幾つも数を増やし、裂邪の身体を覆い尽くす
全身が赤々と燃え盛り、頭部には短めの触角、背中には甲虫のような翅が生えており、
手に持っていたパスは小さな刃が連なった鞭に変化して、それに炎が纏わりつく
それと全く同じ姿をした炎の分身が現れて、正義達をぐるりと囲んで、舞うように回っていた

「「「「「「ヒハハハハハハ!! さぁて、灼いちまっても良いですかい? 答は訊いてやせんけどぉ!!」」」」」」
「また姿が…今度はかなり熱いよ…!」
「それに、どれが本物か分からんときたか…」
「「「「「「その通りでさあ! 本物の“あっし”はど〜れだ?ってなもんでい!」」」」」」

裂邪“達”が一斉に同じ動きをして、炎の鞭を正義と大王の足元に叩きつけた
何とか回避すると同時に、裂邪が組んだ炎の円陣から脱しようとしたが、
円を広げる事でその作戦を無きものにする

「やはり、この円の中に入れておきたいらしいな…悪趣味な奴だ」
「「「「「「どうも、そいつぁ褒め言葉と取っておきやしょう」」」」」」
「剣も諦めた方が良いね…大王! もう一度『槍の日』!」
「む、分かった!」

黒雲を作り出し、先程と同じく大量の槍を降らせる
だが、それらは裂邪達の身体に触れるより先に、
彼が帯びる炎の熱によって融け、そして灰になってゆく

「「「「「「ウヒヒヒヒヒ、無駄無駄ァ! あっしの炎は鉄さえも融かせるんでい!」」」」」」
「そう、なら……大王、雷!」
「ッ……良いんだな?」
「仕方ないよ…早く」

こくん、と頷くと、黒雲が唸りを上げ、一瞬だけ眩い光で洞窟内を照らした
この密室空間、耳を劈くような雷鳴が轟き、光の槍は大地を穿つ
それでさえも、裂邪達には何の影響もないように思えた
しかし、正義は確信し、剣を持ってある一点に突撃した

「なっ……!?」
「見つけたよ、本物…!!」

動揺を隠せない“本物の”裂邪に向って、正義は剣を振り上げた
そして、振り下ろされる剣
がきんっ、と剣が何かとぶつかりあった

「っえ!?」
「残念でしたね、弟さん」

剣を抑えていたのは、青い杖
その持ち主は、青い髪と青い瞳の少女だった

「ミナワ、いつの間に…ッヒヒ、シェイドの野郎か」
「お遊びがすぎますよご主人様、肝が冷えちゃいます」
「ミナワちゃん…キミもあくまでお兄ちゃんについていくの?」
「私は、最後までご主人様にお付き合いすると、契約した時から心に決めていました
 例えそれが良い事でも、悪い事でも、私はいつでもご主人様の味方です!!」
798 :夢幻泡影 † 兄弟:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/12(月) 00:29:49.19 ID:eS5YGVBu0
杖で剣を押し、正義はそのまま数歩下がり、態勢を整えつつさらに退いた
入れ替わるように裂邪がウィルとの融合を解除してミナワの隣に立つ

「ウィル、ご苦労だった。暫く休め」
「がってん!」
「ミナワ、」
「いつでも行けます!」
「…よし。『インプローバブル』!」
「はい、ご主人様!!」

携えた『バブロッド』を変形させて短くし、ストローのようにして大小様々なシャボン玉を作り出す
それらは裂邪の身体に付着して、彼の姿を三度変えてゆく
きめ細かな泡、小さな泡、大きな泡、様々な泡が全身を包み、
頭部にはやや長めの触角のように連なった泡が、背部には4本の、カゲロウの尾を思わせる装飾がなされていた
手に握られていたスネークソードが、柄の長い薙刀に変わる

「…そこの貴方。私に清められてみますか?」

足に力を入れ、ホッピングの要領で正義に接近し、薙刀の切っ先を向ける
正義は剣を構え、裂邪の攻撃に迎え撃った
金属音が響き、刃が激しくぶつかり合う

「こんなに色んな姿に変わるなんて…信じられない…」
「ふむ…それも褒め言葉と受け取っても宜しいでしょうか?」
「もはや、お前自身が都市伝説のようだ…なぁ!!」

大王が剣を振るい、裂邪に直撃させた
無数の泡が彼の身体を守り傷は与えられなかったが、彼の身体は大きく吹き飛ばされた
だが、

「ウヒヒヒヒ…ミナワさん!」
「はい、ご主人様…『ジャンパブル』!」

吹き飛ばされた先にあった、空中でくるくると回るシャボン玉に触れた瞬間、
裂邪の姿がその場から忽然と消えた

「えっ!? ど、何処に――――――」
「少年! 後ろだ!」
「その通りです!」

飛ばされていた勢いのままに、裂邪はまたも薙刀を構えて正義に突撃した
正義は上半身を大きく仰け反らせて薙刀を避け、
背中を地につけて両足を振り上げ、飛んでいる裂邪に蹴りを喰らわせた
ぽよん、とシャボン玉が弾かれ、彼は洞窟の天井にまで蹴飛ばされた
彼の身体はそこで、ぴたり、と止まった
暗がりでよく見えないが、目を凝らすと、裂邪の身体は天井に出来た彼自身の影から伸びる腕に掴まれていた

「…成程、遊び過ぎだというのも否めませんね…
 ミナワさん、ご苦労様です。ゆっくり休んでいて下さい」
「は、はい!」
「シェイドさん、やれますね?」
「貴様ガ無茶ヲセン程度ナラ、ナ」
「ならば早々に諦めて頂く事になりますが」
「安心シロ、トックノ昔ニツイテル」
「…ウヒヒヒヒヒ…『シャドーズ・アスガルド』!」
799 :夢幻泡影 † 兄弟:前  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/12(月) 00:30:27.53 ID:eS5YGVBu0
ぱちんっ、と裂邪の身体の泡が弾けて消え、代わりに無数の黒い腕が包み込む
長い爪、漆黒の翅、長い触角、紅い眼
支える腕が無くなった事で落下し始めた瞬間、裂邪は腕の太さを変えて大きな拳を作り、
隕石の如き勢いで地面に突っ込んでいった

「ッ!! 危ないっ!!」

間一髪、避ける前に彼らが立っていた地盤は見事に粉々に砕かれた
砂埃の中で、紅い眼が怪しく輝く

「俺、君臨!と言いたいところだが、もう人型は見飽きただろ?」
「…“人型”、だと?」
「んー? どういう意味か分かってないみたいだな…こういうことだ」

裂邪の影から、夥しい数の「シャドーマン」が溢れ出し、彼の身体を呑みこみ始める
一度黒い球体になったそれは徐々に形を取り始めた
龍のような胴体、昆虫のような脚、悪魔のような腕、そして身体中の至る所から伸びる先端が刃状になった触手
『シャドーズ・アスガルド』と同じく、淡い暗闇の中で紅い眼が輝いた

【ヒハハハハハハハハハハハハハ!…『シャドーズ・ラグナロク』!!】
「なっ……馬鹿な!?」
「こ、これが…お兄、ちゃん?」
【正義ィ、そして「恐怖の大王」! いい加減茶番は終わりだ…貴様等に“黄昏”を迎えさせてやる!!】

巨大な腕を振り上げ、地盤の形が変わる程に叩きつける
正義と大王は散り散りになって避け、互いに得物を構え、もはや怪物と化した裂邪と対峙するが、
裂邪は2人に触手を幾本も迎えさせて、彼等を近づけさせようとしなかった
たった1本の剣では、複数の刃を止められる筈もなく
2人の身体に、徐々に生傷が増え始めた

「くっ……さっきの「ゾンビ」の方がマシだったかな…夢だったけど」
「…仕方ない、少年! また雷を落とすぞ――――」
【させるか馬鹿がぁ!!】

振り下ろされる巨大な腕
回避が間に合わず、大王は下半身を踏み潰されてしまった

「っぐあぁ!?」
「大王!!」
【「恐怖の大王」…やはり貴様から潰しておこうか】

しゅる、しゅるり、無数の触手が伸び、その一つが大王の頬を撫でる
つぅ、と頬に傷が出来、血が流れた
彼の元へ向かいたい正義だが、無数の触手が彼の行く手を阻む

「くぅ…助け、たいのにぃ…!」
「ば…万事休す、か……」
【これで最後(レッツト)だ! 『シャッテン・シュナイd―――――――うぐぅっ!?】

突然、裂邪の身体が、触手の動きが止まる
腕に入っていた力も弱まり、大王は隙をついて脱出し、正義と合流した
洞窟内を埋め尽くす程の巨体が、急速に縮まっていき、
遂には、元の裂邪の姿に戻ってしまった
ふらふらとした覚束ない身体で立ち、その場で身を屈めて吐血した

「ッお兄ちゃん!」
「ご主人様!!」
「ごふっ……騒ぐんじゃねぇ、どいつもこいつも…
 それに正義、お前は俺の敵だろうが……敵の心配をしてどうすんだ?」
「敵も味方も無いよ! もうやめよう、こんな無駄な戦い!」
「ふざけんな!! お前は…命を賭けた戦いを“無駄”だと言うのか!?」
「今、ボク達が命を賭けて戦っても何の意味もないでしょ!?
 ボク達が戦うべきなのは、麻夜ちゃんを利用してる「太陽の暦石」達だよ!!」
「その麻夜は…「太陽の暦石」の契約者になり、「太陽の暦石」の思うがままにされてんだ
 お前等と戦うのは他でもない麻夜なんだよ
 勿論、それは俺達の知ってる麻夜じゃねぇ…
 だがお前は、自分を殺しにかかってくる相手に命を賭けずに戦えんのか!? それが例え家族だとしても!!」
「―――――――ッ!?」

その言葉が、正義の心に何か引っかかった
何か、この戦いの真の意味が隠れているようで
そんなことにも構わず、裂邪は「レイヴァテイン」を携え、背後にシェイド、ミナワ、理夢、ウィルが並ぶ

「…自分が死ぬ覚悟と。相手を殺す覚悟がなければ…お前は俺に一生勝てない!
 俺が手本を見せてやる……自分が死ぬ覚悟って奴を!!」


   ...To be Continued
800 :シャ  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/12(月) 00:34:22.02 ID:eS5YGVBu0
誰もいない今の内に
もっと少なくなるかと思ったけどこの時点で大体13KBだから、後半入れるとwikiに丸々1話上げられないかも知れぬ

八尺様の人の話読んでくるわ
801 :シャド  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/12(月) 00:45:55.87 ID:eS5YGVBu0
避難所で先に書いちまったよ…改めて八尺様の人乙です〜
そして、代理の人も乙です〜
802 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 01:54:22.62 ID:RJNz13+D0
影男の人乙
正義君これからどうするだろう
やっぱり裂邪が主導権握る形になるのかな

個人的にはお兄ちゃんごと麻夜をフルボッコにするワイルド正義君もありなんだけど
803 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/12(月) 07:06:10.26 ID:cxbXr6oAO
通話記録の人乙です
ミコナちゃん…ほろり

八尺様の人乙です
うわあああん暦ちゃんも衛悟さんも咎利ちゃんも上田さんもみんなカッコいいよー
いかん泣けてくる
みんなお疲れさま!

シャドーマンの人乙です
なんだろう…れっきゅんのやってる事はいけない事なんだけどすごい哀しい…
正義君れっきゅんを助けてやってくれえええ
804 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/12(月) 07:20:01.93 ID:cxbXr6oAO
だああああごめんなさい抜けてた!
エーテルさん!エーテルさんお疲れさま!
805 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/12(月) 09:52:36.99 ID:GZU77cMb0
ぴゃあああああ
あの通学路にさー飛び込んでみたらー
じゃねぇや見逃してた、単発の人乙です〜
ミコナちゃん可愛いソス、テルミちゃん容赦ないぜ可愛い
そしてチュパカブラ、さらっと吸血鬼の台詞言うなwwww

>>783
(火音>ワシゃ歌なぞ歌わんけんのォ
(実>でも好きな歌はあったよな?
(火音>『君が代』じゃァ
(清太>なんか色んなところから何か言われそうだからやめろ!?

>>802-803
ははは、どうなるだろうね♪(ぁ
早くて今日中、遅くても今週中には書き上げたい
というか3G入荷前に書かないと手がつかなくなる(
806 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 00:25:05.45 ID:JENoN5jDO
皆さん乙でした
明日朝には投下できるかなあ
807 :留守電 [sage]:2011/12/13(火) 01:50:14.82 ID:0YKuVsRAO
皆様お疲れ様でした。
色々とわくわくが止まらないww

差し出がましいですが自分、携帯を使っていて
wikiの編集が出来ないので代わりにwikiあげてやるよという太っ腹な方が居られたらお願いしたいのですが…
808 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/13(火) 07:57:08.27 ID:vhjeLNpP0
>>806
wktkせざるを得ない

>>807
帰宅後で宜しければやりますよ〜
809 :シャドー  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/13(火) 17:15:00.04 ID:bX7CCIJr0
>>807
というわけで上げてきましたの↓
ttp://www29.atwiki.jp/legends/pages/4595.html

ページ名の変更・誤字脱字の修正などがございませば何なりとお申し付け下さいませ
810 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 20:59:52.00 ID:KIHDJ1WA0
よーし、笛ちゃん八尺様の人に許可頂いてないのに煉獄の時間の上田のエピローグ投下しちゃう
811 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:04:48.84 ID:KIHDJ1WA0
【上田明也の憂鬱、あるいは煉獄の時間の後日談〜上田編〜】

「俺はね、人間は滅びても構わないと思ってたよ
 どうせ俺は適当な所に引きこもって地球最後の人間ライフ満喫するし」

「そんな事思っていたのか?」

「ああ、子供さえ居なかったらそれも悪く無いとは思ってた」

「ふむ……そうは思えなかったがな」

「飽きたゲームみたいなもんさ、今はそう言ってられないんだが」

「人とは変わるものだな」

「人に生まれてよかった」

「ところでお前が暦から受け取った報酬ってなんだったんだ?」

「そうだな、一緒に戦ったお前には話すべきか」

「女子高生相手に無茶な事言っていないか心配でな」

「報酬はね、半年分の時間だよ」

「そういうことか」

「払えないものを払わせるほど俺は愚かじゃあ無いよ
 それにあいつには借りがあったしな、半額の半年で手を打った」

 二人の男は深く煎ったコーヒーをゆっくりと飲み干す。
 ため息は細く、外で降る雨は冷たい。
 雨と薬缶の音だけが部屋に響く。
812 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:05:40.32 ID:KIHDJ1WA0
「寿命になど拘りはないだろうに」

「身辺を確実に整理できる時間が欲しかっただけさ
 逆に言えば俺は半年ぽっちの完璧な延命の為に神を殺し、世界のあり方を変容させることを黙認した
 世界を救った勇者?違うね、世界の破壊者も良いところだ」

 冗談めかして笑ってみせる。
 だが次の瞬間には上田は窓の外を眺めて目を細める。

「…………何時死ぬか分からない仕事だ」

「確かにな」

「一秒後、誰かに狙撃されるかも分からない
 二秒後、実は組織の密命を受けていたお前が俺に斬りかかるかも分からない
 三秒後、四秒後、俺はあっさりと誰かに殺されているかもしれない
 一年後、十年後、俺はどこの土の下で眠っているか分からない
 そしてそうなったとして俺には文句も不満もない
 なぜなら俺は同じ事を罪もない人々にしてきたし、名目は違えど似たようなことをし続けるのだから」

「…………まあ道理か」

「もう俺は何時死を迎えても良い、だがその死で俺の子供を不幸にしたくない」

「組織から逃げていた時もお前は徹底して正体を隠していたが……
 あれも家族への追求を恐れていたのか」

「そう、そのせいで事態がややこしくなったけどな
 何か犠牲があっても幸せになりたい、それは変わらない
 でも大切な肉親を切り捨てて幸せになんて俺はなれない
 皆そうだよ、そうじゃなきゃおかしい
 ただ、俺が切り捨てたのは同じ国の人間であり、異国の神であっただけ
 目に見える形の犠牲を人は嫌うし、法を破る行いには罰があるだけだ」

 時計は正午を指している。
 事務所の奥からは赤ん坊の鳴き声が聞こえる。

「ところで、お前に一つ相談があるんだ」

「相談?」
813 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:06:52.75 ID:KIHDJ1WA0
「今、向こうで泣いている赤ん坊を組織の契約者としてE-No.に預けたい
 時期としては中学生辺りからかな
 武術に関してはそれまでに実家で俺の親父が仕込む気満々だし、契約者としても凡人以上の器ではあるだろう
 優秀で忠実な部下が増えるとなればお前にとって決して悪くない話のはずだ」

「それは構わないが……サンジェルマンは?」

「特に何も言っていないよ、あいつとしては今のところ興味ないみたいだしな
 なんか最近はアンドロイドの制作に没頭していてね」

「ふむ……」

「正直な、不安なんだ。俺の親父もそのうち死ぬしお袋の実家もきな臭い
 F-No.はご覧のとおりの色物集団だ、存在自体が教育に悪い
 組織の中でも善良なお前の所に預けるのが俺にとっては最良なんだよ
 そこで独り立ちして俺のことにかかわらないで生きてくれれば本当に嬉しい」

「そこまで自分の子供が好きなのに他所に、といっても父親だが……預けられるのか?」

「……だって俺の存在が教育に悪いし」

 上田はため息を吐いた。
 エーテルは静かに頷いた。

「清く正しい戦闘民族上田家の流れを汲むらしいあいつは清く正しい戦闘民族の生活をさせてやるべきだろう
 俺は俺の親父と違って子供の才能をちゃんと伸ばしてあげる主義だ」

「自分の育てられ方に文句があるみたいだな」

「そりゃあお前早朝から親父に木刀振り下ろされる生活してたら文句もでるぞ
 組織に追いかけられていた時との違いといえばミスった時に死ぬか否かだ
 だが家の中では俺の意見のほうがおかしいみたいだし
 実際あいつ生後半年でもう立ち歩いてる上に……」

 ギィと音を立てドアが開く。
 生後一年くらいの子供が部屋に入ってきた。
 天使のような、という形容詞の似あう幼児だ。
 黒曜石を丸めたようなつぶらな瞳、まだ丸みを帯びた手足。
 しかし驚くほどしっかりとした足取りで歩いている。
814 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:08:17.11 ID:KIHDJ1WA0
「……来やがったか」

 椅子に座りながらも身構える上田。
 全身にみなぎる緊張感は程度の差こそあれ彼の身体が“戦う”姿勢に入っていることを示している。

「いや子供相手に戦闘モードっておかしいだろ」

「油断してるとやられるぞ」

「え?」

「うー」

「ちなみに言葉はまだだな、そっちの方は一般人並らしい」

「驚いたな、本当に歩いている……」

「見てろよ、来るぞ、全力で来る」

 幼児は彼の父親を視認するとにやりと、シニカルに笑った。

「うわっ、上田家」

「だろ?あの笑い方絶対そうだろ?」

「だー!」

 彼は座っている上田に向けてまっすぐ駆け寄って体当たりをかます。
 上田はそれをキャッチすると抱きかかえる。

「これだよ、全力で俺に立ち向かってくる
 事務所においてたんじゃ仕事もままならない」

 幼児は上田に抱きかかえられて嬉しそうに手足をばたつかせている。
 彼としては父親と無邪気に遊ぼうとしているだけなのだが彼の半分は人外の魔である。
 彼がじゃれたつもりの一撃ですら人間の父にとっては中々厳しい一撃なのだ。

「親父は祖父に逆に夜討ち朝駆けしかけてたみたいだし……
 息子はこれだし、やっぱり俺がおかしいんだよ
 俺だとこいつの才能を伸ばせないから幼稚園か小学校の時点でこいつは実家に預ける
 半人半魔は別の魔を引き寄せやすいし、その意味でも此処においておくのは危険だしな
 そしてある程度育ったらお前の所で色々経験させたいんだ
 どうせ都市伝説と縁のない世界では生きられぬ子だ」

「解った、その話受けよう」

「よろしく頼む」

 普段の彼とは思えない困ったような表情をして上田は頭を下げた。
 他人からあれだけ奪っておいてこれである。
 たしかに我儘だろう、恥知らずだろう、しかしその行いは誰にも否定できない。
 人間としては何ら間違っていない、正しすぎて、冷静すぎて恐ろしいくらいだ。
 こうして、神を殺してまでその生命を守られた上田明尊と呼ばれるその子供の将来は決まったのである。
 
【上田明也の憂鬱、あるいは煉獄の時間の後日談〜上田編〜 おしまい】
815 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:09:04.99 ID:KIHDJ1WA0
【上田明尊の日常】

 早朝の庭先に響く裂帛の気合。
 高く響く金属音。
 裂いて散る火花。
 
 少年は刀を鞘に収めて目の前の鉄塊に一礼をする。

 それと同時に、鉄塊がまるで豆腐のように二つに分かたれた。

「……よし、今日も好調だ」

 そう言って振り返る少年。
 彼の視界の中に飛び込むのは高速で飛翔する槍。
 青年は身体をわずかに捻るだけでそれを回避し、飛び去っていこうとするその槍を掴みとって片手だけで振り回す。
 次に宙を疾駆してきたのは棒手裏剣、少年は槍の穂先を回転させて手裏剣を地面に叩き落す。

「悪くないなあ、悪くないぞ」

 低く響く老人の声。
 それはそれは楽しそうに、それはそれは愉しそうに。
 老人は縁側でのんきに茶をすすっていた。
 片手には一本の短槍。
 老人はまるで缶ジュースでも放り投げるような気軽さでそれを少年に投げつけた。

「それも借りとくぜ、爺ちゃん」

「キャッチできるなら好きにして良いぜ」

 少年は言うが早いか持っていた槍を地面に突き立てて、心臓めがけて飛んできた短槍を両手で挟み込む。
 遅ればせながら彼は気付く、凄まじい回転が槍にかかっている。
 槍の柄と彼の手のひらの間から濛々と煙が立つ。
 槍の柄をなるだけ損なわないように、彼はあえて少しずつ手の力を緩めて回転する槍の穂先を自らに近づける。

「解った、好きにする」

 短槍をなんとか止めてから地面に突き立てた長槍を拾い上げて彼は老人に襲いかかる。
 老人はいつのまにやら取り出していた日本刀を鞘から引きぬいて少年に向けてその巨体を震わせて突撃する。
 長槍による突き、老人は鎬でその一撃を身体からわずかにそらす。
 が、少年はその逸らされた槍を手首のひねりだけで老人の防御した方向と真逆の方向から老人を柄で殴りつける。

「―――――!」

 パキッ、篠竹を叩き折るような音と共に槍の柄は真っ二つになった。

「嘘だろ……」

「チェストオオオオオオオオオオオオ!」
 
 老人が剣を振り下ろす。
 防御不可の極大威力、回避不可の極大速度。
 二の太刀要らずの薩摩示現流“一の太刀”
 少年が選んだのは防御でも回避でもなく短槍を用いたカウンター。
 老人の剣は確かに疾い、しかし速さだけなら真っ直ぐに突き出す槍のほうが分がある。
 彼はそう判断したのだ。
 二人の刃が交わされる刹那。

「二人共、朝御飯できたよ〜」

 槍が老人をわずかに逸れて塀に突き刺さる。
 刀が青年を僅かにそれて地面に叩きつけられ、地面が煙を上げて抉れる。
816 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:15:44.08 ID:KIHDJ1WA0
「また訓練してたんですか二人共?」

 縁側から顔をのぞかせる女性。
 穀雨吉静、少年の通う中学校で今日から彼の担任をすることになっている女性だ。
 親を早くに亡くした彼女は少年の父親に彼女の兄と共に引き取られて今は彼の姉代わりに彼と暮らしている。

「ははは、当たり前だ」

 老人は笑う。

「吉静さん、今日の朝御飯はなんですか?」

「明ちゃんが中華料理作ってくれてるよ」

「ほう、そいつは良いな、ルルはどうした?」

 少年は辺りを見回す。
 ルル=ベルというのが彼の探す少女の名前だ。
 行儀見習いとして明久の古い友人が彼の家に住まわせている少女で、どうにも浮世離れした所があるので目が離せない。

「さて……そういえば研究で泊まりこみとか言っていたような」

「あいつ学校に来るんだろうなあ……?」

 青年の名前は上田明尊、老人の名前は上田明久。
 古くは妖怪、そして今は都市伝説と戦うための一子相伝の古武術を伝える家柄に生まれた明尊は祖父である明久から幼い頃より修行をさせられていた。
 彼自身はそれを厭うたこともなく、むしろ誇りにさえしている。

「良いんだよ、若いうちは学校なんて時々サボりたくなるもんだ。サボれサボれ」

「お爺さん、私その子たちの担任なんですけど」

 吉静は冗談めかして明久をたしなめる。
 彼は目を逸らして口笛を吹く。
 三人が食卓に着くと少女が楽しそうな顔でフライパンを振り回していた。

「早くしないとご飯冷めちゃうよ!!」

 彼女は新島明。
 明尊の母親が違う妹だ。
 明尊を単なる兄以上に慕っている節があるのだがそれはまた別のお話。
 四人は食卓について勢い良く朝食を食べ始める。
 四人ともかなりの健啖家の為かあっという間に山積みされていた野菜いためは消えてしまった。

「じゃあ私は準備があるので先に行きますね」

 そう言って吉静は一足早く車で家を出る。
 しばらく遅れて明尊もそれに続いた。
 校門までたどり着くと背後がやかましい。
817 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:16:24.16 ID:KIHDJ1WA0
「キング!」

 そういって彼についてきたのはアメフト部の後輩だ。
 明久は叔父がアメフトをやっている影響で学校ではアメフト部に入っていた。
 ポジションはクォーターバック、花形である。
 
「どうした三浦?」

 明久はキングという呼称に慣れない。
 幼い頃から一戦士として戦うことを徹底されてきた為に自らを“王”とすることに違和感を覚えるのだ。

「カバンお持ちいたします!」

「要らんよ、祖父曰く『自分の使う物は自分で管理する。これが一流だ』とさ」

「流石キング……!」

「励めよ」

「はい!」

「明尊ちゃん!」

 鈴のような声がした。
 少女が明尊に後ろから抱きつく。
 碧眼金髪の人形のような少女、ルル=ベル。

「あ、ルルさん!」

「三浦ちゃんおはよう」

「おはようございます!あ、ここで自分は失礼しますね!」 

 三浦はニヤニヤしながら彼らから離れる。
 いつの間にやら学内ではルルが彼と付き合っていることになっているらしい。
 まあ普段から側にいるのでそう思われても仕方ないのだがこの事態を彼自身はあまり好ましく思っていない。
 第一に二人で居ると妹が般若のような形相で彼を見てくる。
 第二に彼の想い人である吉静がこの学園の教師なので勘違いされそうで怖い。
 だがしかし冷たくするわけにもいかず、むしろ彼としてはこの少女に好意を抱いているくらいで……
818 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:22:28.79 ID:KIHDJ1WA0
「昨日からどこに行っていたんだ?チア部の練習は?」

「んっとねえ、パパの所で研究のお手伝い、部活はちゃんと行ってるよ」

「F-No.か……あいつら胡散臭くてなあ」

「ベルお姉さまよ!」

「お姉さま!」

「あらこんにちわ」

 余談だがルル=ベルには女子生徒のファンが多い。
 人間離れしているとまで言われるほど整った容姿に目立つ髪の色。
 一種独特の雰囲気を漂わせる彼女が年頃の少女達の羨望の的になるのは自然だった。

「明尊ちゃん、今年もクラスが一緒だと良いね!」

「違うわけ無いだろうな」

 都市伝説関係の人間は一クラスに集められることが多い。
 そして担任も契約者である場合が殆どだ。

「運命だね!」

「宿命かなあ……」

 明久はため息を吐いた。
 今日は始業式ということで授業は早く終わり、彼はアメフト部の練習に向かう。
 それが終わると彼は家に帰り、宿題を済ませて夕飯を食べ、パソコンを立ち上げる。

「ん、母さんからのメールだ。それとエーテルさんからの指令……今晩だな、よし」

 彼の母はインターネットに由来する都市伝説で偶にパソコン画面から直接彼の部屋に乗り込んでくる。
 オチオチ年頃の青少年らしいサイトも開けない。
 母に万一でもそんなものが見つかってしまった日には父親に報告され、散々笑われるのだ。
 エーテル、とは「組織」における彼の直接の上司であり、父の友人(?)だ。
 彼としては誠実で公平な人柄のエーテルと気ままでえり好みする彼の父とでは水と油のような気がするのだがどうにも相性は良いらしい。
 
819 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:23:03.06 ID:KIHDJ1WA0
「さあ、行こうか」

 彼は夜の街へと一人向かった。
 人通りの少ないくらい路地。
 気配。
 振り返っても居ない。
 
「なるほどな、これが噂の悪皿か」

 正式名称アクロバティックサラサラ、通称悪皿。
 人に取り憑いてその人から生命力などをゆっくりと吸いあげる都市伝説。
 一説には八尺様の亜種だとも言うが生まれたての都市伝説なので詳しくはわからない。

「―――――着装」

 一言つぶやくと真紅に染まった鎧が彼の体を包む。
 源氏の八曜と呼ばれた伝説の鎧のうちの一つ“日数”である。
 日輪の属性を持ち、この鎧をまとってふれれば並の怪異ならばあっという間に消滅する。
 コンセントがショートしたような音を立てて悪皿がはじき飛ばされる。

「俺の背後に憑いていたってわけか」

 悪皿の両腕にニードロップを決めて関節を破壊する。
 そのままマウントを取って地面がえぐれるほど殴りつけると悪皿は光の粒子になってそのまま消滅した。

「はん、他愛なかね」

 祖父の口癖を真似てみせる。
 本当に他愛ない。
 獅子が兎を狩るようにそれは終わる。
 生まれながらにしての強者、戦うべくして戦う戦士。
 彼も、彼の祖父も、その父もそのまた父も、こうして都市伝説と戦ってきた。
 携帯電話を取り出して彼は仕事を終えたことを上司に告げる。

「え?コトリバコ?」

「ああ」

 最後にエーテルは彼にある話をした。
820 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:25:39.52 ID:KIHDJ1WA0
「学校町にコトリバコが持ち込まれている」

「ふぅん……俺が壊してきますか?呪いとか効かないタイプですし」

「いや、壊すのは不味い、組織で回収するつもりだ」

「分かりました、俺が回収して持ち込んだ奴をぶっとばせば良いんでしょう?」

「そういうことだ」

「……ただ、俺調査関係の能力は無いんですよね」

「それならば問題はない、E-No.の調査班を派遣する予定だ」

「助かります」

「戦争の大事な三要素は?」

「索敵……というか情報、兵站、戦闘」

「まあそんなところだな、戦闘だけできる奴ならば探せば居る」

「全部一人で賄えるようになれってことですか師匠」

「そういうことだな、バランスというのは大切だ」

「分かりました……ああ、少し厄介ごとに巻き込まれたらしいので通話切りますね」

「ああ、あんまり長引かせてお祖父様を心配させるなよ」

 携帯をポケットにしまう。
 都市伝説は都市伝説と惹かれあう。
 半人半魔の存在である彼はその場に居るだけで怪異を呼びつける。
 夜になればその性質は更に増す。
 ある人は彼を喩えて“夏の虫を焼く火”と言った。

「こいつら程度なら、都市伝説を使うまでも無しか」

 テケテケ、口裂け女、注射男。
 屠殺場の豚。
 冬の蝶。
 死すべき定めの命。
 少年の活躍で今宵も街は平和だった。

【上田明尊の日常 おしまい】
821 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:26:41.93 ID:KIHDJ1WA0
【ラップトップハッピネス 第七話「宵闇に駆ける」】

 都内のホテルの地下に有るバー
 そこを貸し切りにして一人の女性が俺を待っていた。

「来てくれたか蒼崎青年」

「今日の用事はいったいなんなんですか下弦さん」

 飯島下弦、飯島商会の長である飯島上弦の孫娘にして彼の後継者。
 そして飯島商会お抱えの戦闘集団【フォーチュンクローバー】と商会との連絡役。
 ちなみに普段は中学校の教師をしているそうだ。

「今日は暗殺の依頼をしようと思ってな」

「相手は?」

「テレビ局の社長、それに一部の大株主、できるだけ盛大にやってくれ」

 そういって下弦は資料を差し出す。
 俺はそれをペラペラとめくって顔を頭に刻む。

「ふぅん……」

「目的は察しがつくだろうが聞いてくれるな」

「分かりました、俺は適当に殺していられればそれでオッケーなんで良いですよ
 貴方の思想や目的なんて興味がない」
 
「君は話が早くて助かる」

「褒めてもらってるのか馬鹿にされているのか……」

「褒めているんだぞ?」

「じゃあそういうことにしておきましょう」

 酒を一杯飲み干して立ち上がる。
 
「どこに行くんだい?」

 指に金属製の爪をはめる。

「遥を頼みます、すぐに戻ってきますから」

 俺は駆け足でホテルを出る。
 目指すのは標的の住居。
 ここからもっとも近いのは……例の株主の家か。
 ジーナ・フォイロの飛行能力で住居までたどり着く。
 門の前には警備員が二人。
 顔を隠す為のマスクとゴーグルをつけてまっすぐに歩く。
 誰がどう見ても不審者だ。
 正直こういう方法は好みではないが盛大にやれと言われているのだ。
 やるしかない。
822 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:27:22.42 ID:KIHDJ1WA0
「おいおま……」

 近づいてきた警備員の首を手刀で切り裂く。
 そのまま警棒を失敬して前へ、前へ。
 門を蹴り破ってまっすぐ中へ、番犬が十匹ほどうろついている。
 飛びかかってきた一匹目はつま先に仕込んだナイフで心臓を突き刺す。
 鮮やかにあふれる赤い血液。
 返す足で横から迫るもう一匹に踵を叩きこむ。
 悲鳴を上げて吹き飛んだ、壁に叩きつけられて、骨が砕けたらしい。
 三匹が同時に襲いかかってくる。
 二匹の口に警棒を噛ませておいてその間に残り一匹の眼球に指を突き刺す。
 一度潰してしまえば奥深くまで簡単に届く。
 くるりと指をかき回してから引き抜く。
 他の警備員が出てきた。
 拳銃で武装しているか。

「撃てっ!撃てっ!殺しても構わん!」

 流石ヤクザと繋がりのある会社だ、なかなか愉快な物を揃えている。
 手元にあった犬の死体を銃弾の盾にする。
 鉛で出来た弾は殺傷能力は高いが貫通力はない。
 ゆえに一度何かにあたってしまえば都市伝説の身体に傷すら付けられない。
 一息に5mほど飛ぶともう奴らの目の前だ。
 首を掴み、捻り、引きぬく。
 爪で裂き、蹴りで穿つ。
 都市伝説の固有能力を使うまでもない相手だ。
 むしろ、あまり派手に使えば「組織」辺りがでしゃばってくるだろう。

 懐からプラスチック爆弾を取り出して扉を吹き飛ばす。

 さあ行こう真っ直ぐに、真っ直ぐに、前へ、前へ、前へ!
 資料を読んで建物の構造は把握している。
 あとはどこに標的が居るかだ。

 しばらく歩くと、護衛に守られた少女を見つけた。
 
「おい、そこのお前」

「何者だ!?」

「うるさい」

 護衛の黒服を紅葉おろしにしてからその少女に尋ねる。
 君のお父さんとかおじいちゃんはどこだい?と
 少女は指をさす。
823 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:28:09.16 ID:KIHDJ1WA0
「ありがとう」

 用も済んだし、殺してやるか。

「…………駄目だ」

 駄目だ、できない。
 この少女は見逃そう。
 罪の意識に一生苛まれながら生き続けるというのも乙だ。
 それはきっと悲劇なのだろう。
 ならば愛でるのが俺の業だ。
 そう思うことにしよう、決して情に流されたのではない。
 俺はそこまで愚かではない。
 教えられた方向にしばらく進むと暗殺目標が居た。

「誰だお前は!」

 俺が誰か、誰か俺に教えて欲しいくらいだ。
 俺の頭の中には
 目を潰して脳髄をかき回す。
 やはり、この殺し方が一番好きだ。
 首を裂いて空高く放り投げると俺は翼を広げて空へ飛び立った。





「ふぁーあ……」

 翌日、俺は新聞をのんびり眺めていた。
 新聞の一面には昨日俺が忍び込んだ屋敷。
 そしてその惨状について書きたてられていた。
 ホテルの部屋の電話が鳴る。

「れんさん、下弦さんから電話だよ」

「え?」

 俺はホテルの電話をとる。
824 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:28:38.74 ID:KIHDJ1WA0
「蒼崎青年、君は本当に仕事が早いな」

「それだけがとりえですから」

「だがプロではない、昨日の行動のせいで少し不味いことになったぞ?」

「え?」

「仕込んでいた間諜の話では他の暗殺対象の警備がかなり厳しくなってしまったらしい」

「ふぅん……」

「ふぅんとはなんだ、ふぅんとは
 おかげで陰陽省の連中まで駆り出されることになりそうだぞ?」

「陰陽省?」

「ああ、この前お前が戦った連中だよ」

「ふむ……それは少し面白そうだ」

「……やれやれ、暗殺に長けているのは良いがあまり楽しまないほうが良いぞ?」

 受話器の向こうの下弦がため息を吐く。
 意外と小心な女だ。

「分かってますよ」

「そうだ、次からはお前以外にも戦力になるやつを送れそうだ」

「え?」

「なに、一緒に戦う必要はない、同士討ちさえしなければいいって話だ」

「ふぅん……」

「とりあえず用件は以上、電話切るぞ」

「はい」

 受話器を置く。
 遥がルームサービスを頼んでおいてくれたらしくテーブルにカレーが並んでいた。
 テレビではあいかわらず俺の起こした事件についてのニュースが続いていた。



【ラップトップハッピネス 第七話「宵闇に駆ける」】
825 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/13(火) 21:48:14.63 ID:KIHDJ1WA0
勝手にエーテルを使って申し訳ございませぬ……
明尊くんが魔法少女の話の間だとあまりにかわいそすだから本来の実力をば
826 :シャドーマッ  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/14(水) 00:00:35.95 ID:ODs+Wpvo0
笛の人大量投下乙です!
おぉ、もう生まれてたのか! おめでとう、そしてようこそ明尊くん!
てかベビー明尊くん可愛いwwww
そして明尊くんメインの話キタァ!! いきなりどっかで見たようなwww
カッコいいぜ明尊くん、ルルたんハァハァ(
蓮くんもお元気そうで何よりですの
戦力は新キャラかFCのメンバーか、全裸でwktk
827 :さよなら惨獲、またきて刺客 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/14(水) 22:51:21.72 ID:puBLojd8o
 布団の温もりが、冬の兆しが見える朝の冷え込みと手を組んで、二度寝という魅惑の力を得て猛威を奮う、そんな季節

「繰さーん、朝ですよー。朝ご飯できてますよー」

 心地良いまどろみから意識を引き摺り出そうとする暢気な声に、いつものように朝が来たのだと認識する
 温かい布団から出てベッドから降り、冷たいフローリングの床をぺたぺたと踏みしめながらリビングへと向かう
 そこではぱたぱたとキッチンとリビングを往復し、狐色のトーストとサラダに牛乳の注がれたグラスを並べているサキュバスの少女の姿

「……おはよ」
「おはようございます、繰さん。そろそろ早起きしないと、朝の支度が大変ですよー」

 朝食が並べられた座卓の前のクッションにぽすんと座り、猫のように背中を丸めて欠伸をする繰

「のんびりしてると、また遅刻ですよー」
「出席日数足りてるからいいのよ、そんなの……留年とか退学とかしたところで、世間体なんてどうでもいいし」
「ディランさんの世間体も悪くなりますよ?」
「……ぅぐ」

 茶化すでもなく、至極真面目な顔で
 冷蔵庫から取り出したマーガリンとジャムをテーブルに置いて、繰の真後ろで膝立ちになる

「先に髪、ブラシかけちゃいますね」
「いいわよ、面倒臭い……どうせ能力使ったらくしゃくしゃになるんだし」
「日常的にばんばん使うわけじゃないでしょう? ねー、菊花ちゃん」

 ベランダの前で雀を眺めていた菊花が、サキュバスの声で振り向いて、同意するようにこくこくと頷いた

「ディランさんは見た目とか気にしないとは思いますけど、それはそれとしてきちんと整えてた方が見てて嬉しいと思いますよー?」
「そういう言い方だと、あいつに見せるために整えてるみたいじゃない」
「そんな調子だと、本当に目標達成できませんよ?」

 目標という言葉に、繰の身体がびくりと震える

「ね、ねえ……やっぱりそれ、無しにしない?」
「ダメです。一度決めたんですから。卒業までに、ディランさんにちゃんと好きって言う事」
「わ、私の気の迷いとか! 先生の勘違いとかだったらどうするのよ!?」
「この問答、何度目ですか」

 繰のくせのある髪にブラシをかけながら、サキュバスはふうと溜息を吐く

「繰さんは、ディランさんの事、好きですよね?」
「……う……うん」
「じゃあ告白して、お付き合いして、結婚して、一生添い遂げても何の問題も無いですよ? というか契約もしてるんだし婚約してるようなものじゃないですか」
「け、契約は、その、戦う上で必要だったし!」
「じゃあ今は必要ないからって、契約解除できます?」
「………………やだ」

 髪にブラシで梳かれながら、赤くなった顔を俯き加減で隠す繰

「戦いの場の勢いとかを抜きにして、改めてきちんと気持ちを伝えましょう? 大丈夫、ディランさんは繰さんを待ってくれていますから。あとはほんの一歩を踏み出す勇気だけ」
828 :さよなら惨獲、またきて刺客 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/12/14(水) 22:52:53.77 ID:puBLojd8o
「……あなたの顔と声で諭されると、ホントやるしかないって気にさせられるわ」
「うーん、そんなに似てます? 会う機会が無いのが残念ですね、佳奈美さんと」
「並んだら違って見えるかもしれないけどね。冬休み辺り、誘ってどっか遊びに行く?」
「遊びに行く服とか無いんですけど……佳奈美さんの貸してもらえたりしますかね」
「私の服だと、部屋着にはできても外はね……でも、佳奈美の服は絶対無理」
「似てるんじゃないんですか? もしかして結構長身だったり?」
「身長も似たようなものよ。ただ胸のサイズが圧倒的に違うだけ」
「ありゃ」
「いいわよ、今度買ってくるわ。とりあえず一着あれば、それを着て別の買いにも行けるでしょ」
「いいんですか? 結構倹約してるのに」
「お金貯めてたのは、単に私の気持ちの整理のためだっただけだし。どうせ今までの生活費を突き返したところで、あいつら二人ともノーリアクションだって考えたら、少しは有意義に使った方がマシじゃない」
「有意義かなぁ、あたしの服」
「友達が増えるなら、充分有意義じゃない?」
「友達って言われると、ご厄介になってる身が辛いなぁ。繰さんがディランさんと上手くいったら、あたしも独立して働こう」

 んふーと鼻息を荒くして、整えた繰の髪をそっと撫でるサキュバス

「それじゃ、ささっとご飯食べちゃって下さいね。制服とか用意しておきますから」
「あなたも先に食べちゃいなさいよ。トースト冷めるわよ」
「繰さんが遅刻しないのが優先でーす」

 ぱたぱたとクローゼットへ向かっていくサキュバスに、繰はどこかくすぐったそうな笑顔を向ける
 繰が普通の家庭で普通の幼少期を過ごしていたのなら、まるで母親みたいだという感想を抱いていたのかもしれない

「んー、なんですか繰さーん?」
「ん、何でもない」

 理解できないながらも、心地の良い関係
 ずっと続けばいいのに
 繰は内心でそう思いながら、さくりとトーストにかじりついていた

―――

 かちかちとキーボードを叩く音と、つけっぱなしのテレビの音
 ペットボトルのジュースをかぷかぷと飲みながら、ぼんやりとソファに座っていた『友達』と、パソコンに向かって原稿作業中の葉鳥

「ところでさ」
「何?」
「何であの二人? 君が直接殺った方が早いでしょ」
「どうせどっちも殺るなら、潰し合わせて残った方だけのが楽でしょ?」
「横着すると、あんまり良い事無いよ」
「そうは言っても、あの二人も僕の能力の延長線上だし。実はそんなに横着でもないんだけどね」
「見えてないところでドミノが止まったら、対処が遅れるって事さ」

 そう言うと葉鳥は、両腕を上げてぐいと身体を伸ばし、椅子から立ち上がる

「原稿できたの?」
「いや、休憩」

 冷蔵庫をごそごそと漁り、緑茶のペットボトルを取り出してぱきぱきと封を切る
829 :さよなら惨獲、またきて刺客 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/14(水) 22:53:34.75 ID:puBLojd8o

「テレビ、何か面白いのやってる?」
「最近はホラーものって本当に少ないよね。ネタが増えなくて困るんだけど」
「心霊スポットを紹介すれば地元に迷惑、心霊写真はパソコンで作り放題、学校の怪談を語る暇の無い学歴社会と就職氷河期。余裕が無い社会って嫌だよね」

 ぼすりと『友達』の隣に腰を下ろし、その口にしていたジュースのペットボトルに視線を落とす葉鳥

「あー、それ最後の一本だったやつ」
「飲んじゃダメならちゃんと書いておいてよ」
「いや、飲んでもいいんだけど。一口頂戴」
「えー」
「元々僕の家の飲み物なんだし。僕の唯一の友達なんだから、けち臭い事を言わないでよ」

 唯一の友達
 その認識が、葉鳥が『友達』を無自覚に繋ぎ留めている
 本来は複数の友達という認識の隙間に紛れ込んでいる、形の無い『誰か』という存在である『友達』だが
 世界の全ての存在をドミノ牌程度にしか認識していない葉鳥が、『友達』本人を唯一の友達として認識する事で、葉鳥に認識されている状態では『ただ一人の葉鳥の友達』という個として存在が固定されているのだ

「男同士で回し飲みが嫌だっていうのなら、女友達ってのも悪くないと思うんだけどな。気兼ねない付き合いのできる女の子って良くない?」
「君がそういう認識をすると、僕は君の前では女の子として存在が固定されちゃうんだけど」
「うん、だからわざと言った」
「君は本当にフリーダムだね」
「本当にフリーダムだったら、セフレもありかなとか言っちゃうけど」
「頼むからやめてね」
「うん、君が困るほどの事は言わないよ、『友達』だから。それでもまあ、たまにはちょっとからかいたくなるさ」

 結局、掠め取ったジュースのペットボトルに口をつける葉鳥
 やれやれといった調子で、葉鳥が開けたばかりの緑茶に口をつける『友達』

「あ、それ僕の」
「けち臭い事を言うなって言ったのは君じゃないか」
「原稿頑張ってるんだし、休憩中ぐらい好き放題させてよ」
「甘えるなら新しい編集の子にしなよ。担当が次々事故死する作家なんてのに自ら志願してくるような物好き、君は好きでしょ」
「確かに若くて元気で可愛い子だけど。あんまり距離を縮めると、すぐドミノに巻き込んじゃうからなぁ」
「気遣うって事は結構気に入ってる?」
「うん。[ピーーー]なら思い切り手の込んだ仕掛けでやりたいぐらい」
「やっぱり葉鳥は葉鳥だね」
「そりゃあ僕だからね。何も変わらない僕だよ」

 そう言って葉鳥は、にっこりと微笑んだ

―――

 繰は勉強が嫌いだ
 元々、さほど考えるのが得意な頭ではない上に、幼少期に一生懸命勉強をして何も報われなかったという体験が拍車を掛けていた
 事情を知っている佳奈美は無理強いする事は無かったが、遠慮がちに心配はしてくれていた
 佳奈美もさほど成績は良いわけではない、むしろ悪い方ではあったが、試験前などは一緒に勉強する事で追試こそ度々受けていたものの留年だけは回避する事ができていた

「最近は繰の方が成績良いよねー」
830 :さよなら惨獲、またきて刺客 ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/14(水) 22:54:21.51 ID:puBLojd8o
 ホームルームも終わった放課後の事
 テストの答案用紙を睨みながら、佳奈美がうーと唸る

「佳奈美だって悪くはないじゃない。問題なく卒業はできそうなんでしょ?」
「卒業だけだもん。進学とか就職とか、そういうのを考えるとさー」
「あんた卒業したらあいつと結婚するんじゃないの?」
「宏也さんの都合もあるし、すぐってわけじゃないと思うんだけどねー。式とかするならおとーさんとおかーさんにも相談しないとだし」

 ぽてんと机に突っ伏して、むーと唸る佳奈美

「そういう繰は卒業したらどうするの?」
「私は今まで通り、『組織』の仕事続けるつもりだけど」
「いや進路じゃなくて」

 突っ伏した姿勢で、見上げるように繰を見詰める佳奈美

「先生の方は?」

 その言葉に繰は、誤魔化すように苦笑いを浮かべて窓の外に視線を向けてしまい

「……あー、私、用事思い出したから」

 早々に鞄を引っ掴んで教室を飛び出していく繰に、佳奈美は軽く溜息を吐く

「素直になるにはもうちょっと掛かるかなぁ」

―――

 一見、色恋沙汰の話題から逃げたかのように見えた繰だが
 逸らした目線の先、窓の外に見えたものに気付いたから

「もしもし、黒服? 野良っぽい『八尺様』が教室の窓から見えたわ。契約者がいる様子は無いけど」
《中央高校周辺は、生徒や教師以外の契約者は居ないはずですね。野良か新規契約かはわかりませんが、対処しておいた方が良さそうです》
「ぶちのめす?」
《宮定さんは直接攻撃タイプなので避けた方がいいです。狙撃型の能力を持った契約者を回してもらいますので、監視に留めて下さい》
「何よ、面倒ね……髪の毛でもダメなの?」
《触れるだけで対象の生命活動を停止させる事例もあります。髪の毛でも直接触れるのは避けた方が懸命ですよ》
「そういう危ないものを放っておくわけにもいかないでしょ。直接触らなきゃいいのよね?」

『八尺様』の居た場所まで全力で駆けていく最中、道中の路地にあるものを確認していく
 道路標識
 マンホールの蓋
 駐車違反の自動車
 とりあえず武器や盾になりそうなものはそこいら中にある

「一般人が目をつけられないように引きつけておくから、そっちはそっちで手配急いで」
《了解しました、とにかく無茶はしないようにお願いしますね。何かあった時に怒られるの嫌ですから》
「誰に怒られるのよ、戦闘職が無茶して何かあったぐらいで」
《いやまあ色々と多方面からですね》
831 :さよなら惨獲、またきて刺客 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/12/14(水) 22:55:14.59 ID:puBLojd8o
 そんな会話をしている繰の視線の先に、ふらりと現れる少女の姿
 おぼつかない足取りで、ふらり、ふらりと彷徨うように歩く様と
 何よりその見覚えのある顔に、繰の思考と呼吸が一瞬止まる

《どうしました、宮定さん?》
「……一旦切るわよ」
《いや状況の説明ぐらいは》

 説明を求めるA-No.18782の言葉を無視して、一方的に携帯電話の通話を切る
 そして目の前に現れた少女に、繰は叫ぶように声を上げた

「弥依! あんたなんでこんな所に居るのよ!?」

 その呼び掛けに、玖柳弥依はかくんと首を傾けて、くるりと繰の方を向く

「あれ、何で繰がこんな所に居るの?」
「それは今、私が言った台詞でしょうが! あんたずっと前から入院してるはずでしょ!? 退院したなんて聞いてないわよ!」
「こっちから会いに行くつもりだったんだけど、学校には入れないからさ。下校の頃合まで待ってたんだけど。そっちから見つけて来てくれたんだ」

 会話の噛み合わなさに、何か居心地の悪い不安感を拭い去れないながらも、繰は弥依の肩を掴みながら周囲を見回す

「説明は後。ここは危ないから一旦離れるわよ」
「えー、別に危なくないよ?」

 かくん、と
 弥依の首が反対側に傾く
 その頭で隠されていた、弥依のすぐ背後に
 赤い帽子を目深に被った女の顔があった

「っ!?」

 身を屈め繰の顔を下から覗き込むそれは、間違いなく学校の窓から見えた『八尺様』
 すぐさま弥依を抱き寄せて、髪の毛を伸ばして手近な電柱に絡みつかせ、ぐんと手繰るように『八尺様』との間合いを取る

「何してるの、繰?」
「何って、この状況で何を」
「折角、映も来たのに」
「……え?」

 身を屈めていた『八尺様』が、すうと背筋を伸ばし
 その胸に抱かれるように立つ真田映の姿が、繰の目に飛び込んで来る

「……映は、死んだはずよ」

 繰は、映の死を知っている
 葬式にこそ立ち会ってはいないが、映の死後にその両親へは挨拶をしているし、何度か仏壇にも手を合わせている

「死んだよ」

 弥依が、くすりと笑い
832 :さよなら惨獲、またきて刺客 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/12/14(水) 22:56:17.62 ID:puBLojd8o
 またかくんを首を反対側に傾ける

「でも、そこに居る」

 くすり、くすりと
 弥依の笑い声が揺れる

「映がどうして死んだのか、繰は知っている?」

 繰は思い出す
 自分を助けてくれた、最初の担当となった女黒服の言葉を
 彼女は言っていた
 映が都市伝説と関り死んだ事を
 弥依が都市伝説と関り狂った事を
 それを聞いていたからこそ、菊花と出会い都市伝説と契約した力を得た時に、人に害を為す都市伝説と戦おうと決めたのだから

「都市伝説は、知られているから存在するよね?」

 かくん、と
 弥依の首が揺れる

「その都市伝説と関って死んだと語り広められれば、映もそこに存在するの」

 かくん、かくん、と
 弥依の首が揺れる

「それは勿論、私も同じ」

 がくん、がくん、と
 弥依の首が揺れる

「でもね、足りないの。あたし達は友達だったじゃない」

 がくがくがくがく、と
 弥依の首が揺れる

「だから、ね? 一緒に、都市伝説に、溺れよう?」

 首だけではない
 弥依の体ががくがくと揺れる
 その揺れは徐々に激しさを増し
 まるで骨など無いかのように、くねくね、くねくねと激しく躍る

「ぎっ!? い、あがっ!」

 間近で蠢くかつての友の姿が、繰の両の瞳から視神経を伝わり、直接脳髄を揺さ振るように狂気を染み込ませていく
 頭を押さえ震えながらも、弥依から視線を外せない繰の肩に、ぺたりと『八尺様』の手が触れる
 その手がまるで自分の手であるかのように、映が薄ら笑いを浮かべながら

「あたし達、友達だよね」
833 :さよなら惨獲、またきて刺客 ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/12/14(水) 22:57:20.89 ID:puBLojd8o
 ずくん、と
 命そのものを吸い上げられているような、そんな感触が身体の内側を駆け巡る
 膝から力が抜けてまともに立っていられなくなり、伸ばした髪の毛もするりと解けて元の長さへと収まっていく

「殺しちゃダメだよ、映。『八尺様』で死ぬのは繰のお話じゃないから」

 アスファルトの上に倒れ込む繰の耳元に、くねくねとした動きを止めた弥依の口がゆっくりと近付いていき

「ねえ、知ってる? いや……覚えてる? 『人が消えるブティック』っていう都市伝説」

 その言葉に、繰の全身を悪寒が駆け巡る
 かつて体験した恐怖に
 二度も体験した恐怖に
 自分だけでは何もできなかった、圧倒的な恐怖に
 そしてその恐怖が具現化するように
 軽快な音を立てて、しゃあっと虚空から現れたカーテンが繰の身体を覆うように包み込んでいく
 取り落とした鞄の中から這い出てきた菊花が慌てて駆け寄るが、現れた時と同じように音を立てて虚空へとカーテンが消え、そこには繰の姿は残されていない

「『人が消えるブティック』の結末ってどんなのだっけ?」

 弥依が首をかくんと傾げて、くすくすと笑う

「どこかへ消えちゃって見付からないんだっけ? 売春宿に売られちゃうんだっけ? 内蔵を抜かれて売られちゃうんだっけ? 腕と足を切断されて見世物にされるんだっけ? ばらばらにされて食べられちゃうんだっけ?」

 何処ともいえない虚空に向かって
 誰ともいえない虚空に向かって

「ねえ、あなたはどれがいいと思う? 繰にぴったりの最期は、どれだと思う?」

 弥依は笑いながら問い掛けた
834 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/14(水) 23:00:35.28 ID:puBLojd8o
前回までのお話は
>>763-764、他色々まとめwiki辺りをご参照下さい

佳奈美のお話の締めなのに、酷い目に遭うのは繰だという理不尽
835 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/14(水) 23:31:30.90 ID:ODs+Wpvo0
三面鏡の人乙です〜
俺の繰ちゃんがピンチっ!? ディランちゃん早く来てくれもげろ!(何故に
サキュっち可愛い
836 : [sage]:2011/12/15(木) 10:07:48.51 ID:16bPyUiDO
ドクターの人乙でした
ドクターの人の化身仕事してるなあ
操ちゃんがピンチすぎておにいちゃん心配です
次回楽しみにしてます
837 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/15(木) 16:20:39.20 ID:iXV2X+hIo
>>835
> 俺の繰ちゃんがピンチっ!? ディランちゃん早く来てくれもげろ!(何故に
うふふ、きちぴーと黄泉帰りのいるところに残された菊花の運命やいかに(爆)

> ドクターの人の化身仕事してるなあ
うふふ、誰の事かなぁ?ww
838 :前回タイトルつけ忘れてました…これは後編になります ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/12/15(木) 20:27:48.92 ID:YN7gPFZr0
「……生きていますよね?」
掛けられた声に振り向くと、くたびれた白衣を着た青年が立っていた。
「これが死んでいるように見える?殺したら取引が成立しないじゃない」
顎で娘を指し示す。
「はは…先に振り込んで置いたんですから、そんな事になったら困りますよ…」

青年が、襤褸雑巾のような、呼吸をするのもやっとといった体の少女に近づき、能力を発動させる。
少女の腕に、一筋の切り傷が出来た。
彼が契約している都市伝説、「門田稲荷神社」の縁切りの効果により、少女と契約していた都市伝説との繋がりが切れた。

「もっと早くソレを処分して欲しかったんだけど?」
「色々と事情がありまして…ええ、分かっていますよ。今後一切、貴女方夫婦に接触はしません」
「そうしてもらえる?面倒事に巻き込まれるのはごめんだわ」
不快と苛立ちを露わにしていた母親の表情が、いくらか和らいだように思えた。

――学校町内某所


『器の許容率上昇中…目標値まで残り65%です』
「んー…上昇率が悪いなぁ……こっちも使おうかな」
くたびれた白衣を着た青年――レナード・ハイアットは、報告を受け、一つの注射器を選び取った。
心得たとばかりに、近くに居た研究員が注射器を受け取り、部屋を後にした。


ガラス越しに見下ろしているのは、手術台に拘束具で固定され、目隠しと猿轡をされた少女。
レナードが取引してきた、件の研究材料だ。

少女に処置を施している女性――ニエヴェス・ジェンテーレから少し離れた所で、研究員が記録を付けている。

ニエヴェスが手にしているのは、GPS機能付きのマイクロチップ。
それを、少女の額に近づけ――触れた瞬間、まるで水中に手を差し入れるかのように、指先から手首までが抵抗無く飲みこまれていく。
ニエヴェスの契約都市伝説、『心霊医術』の能力によるものだ。

少女の身体が大きく痙攣した。

脳を掻き回し、脳髄にマイクロチップを埋め込んでいく。

「―――――!!―――――!!!」
少女がくぐもった声を上げる。

酷い喪失感を始め、触れられる事など考えた事も無かった場所を掻き回される恐怖と怖気、身体の内側を強引に広げられていくような苦痛があった。
視界は暗闇に閉ざされ、目隠し布に覆われ、聴覚もほとんど機能していない。
流れる涙は目隠し布に吸われ、声も猿轡に遮られて明確な音にならない。
自分の置かれた状況すら理解出来ず、呻き声と涎を洩らしながら身をよじることしか――

ギリ、と少女の首か締まった。
少女の身体が強張る。
首を絞める力は徐々に増していき………手が離れた。



ニエヴェスは、大人しくなった少女を一瞥し、机に置かれた様々な機械を見やる。
まだまだ施さなければならない処置は山ほどある。
…と、扉が開き、入ってきた研究員からどす黒い液体の入った注射器を受け取った。



「さーて…どれがいいかなぁ…」
それらを確認し、レナードは、机に広げられた数十枚の都市伝説契約書を見比べ始めた。

続く…?
839 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/12/15(木) 20:30:59.42 ID:YN7gPFZr0
皆様投下乙ですー
八尺様の人様、笛の人様おかえりなさいませ!

やっと少し進んだ…
細かいところが思い浮かばなくて時間がかかっ(いつものことだろ
840 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/15(木) 22:56:21.76 ID:18i59ADi0
犬神憑きと怪人アンサーの人乙です〜
ぎゃあ、たった今コンクリ事件の内容読んできたところだったから新し過ぎる古傷が抉れるぅ(マテ
この少女は………なるほどそういうことか!
しかし新キャラ2名の名がカッコよすぎる件、惚れそう
841 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/15(木) 23:00:38.30 ID:18i59ADi0
うっぷす

>>837
>うふふ、きちぴーと黄泉帰りのいるところに残された菊花の運命やいかに(爆)
俺の菊花たんがっ!?
だ、大丈夫だ落ちつけ俺、そうだ虚数を数え…られねぇorz

>うふふ、誰の事かなぁ?ww
(葉鳥+「友達」)/2=三面鏡の人
という式が成立するような気がするのですまる
842 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 23:01:57.52 ID:16bPyUiDO
来た!アンサーの人来た!
暗いよ!!暗い感じだよ!!大好きだよ!!乙でした!!
暗い話すきなのに書けない…
843 :ソニータイマー/携帯 [sage]:2011/12/15(木) 23:14:43.41 ID:KwKmyseDO
                       「なりきりセット」
私の名前は御形 五姫(ごぎょう いつき)。とある事情で『組織』の過激派に所属しているの
五姫「そろそろ仕事の時間ですね…」
私はいつものように、担当の黒服さんのところに向かう
「来たか。今回の標的はこいつだ」
黒服さんが紙を見せてくる。写真と名前が書いてある。形桐 飾(なりぎり かざり)と―
「理解したな? ではいくぞ」
五姫「はい」
こうして私達は標的の始末に向かった
五姫「…」
ところで、私は黒服さんと一緒に、殺されていく人を見てきたけど…なぜそんなことをするのか分からない。
特に今回の飾ちゃん。彼女が一体何をしたと言うのかしら? 分からない。どうしてこんな綺麗でお洒落な娘が殺されなきゃいけないのか、分からない―――
「居たぞ。あいつだ」
五姫「写真の通りの娘ですね。此方には気づいているのでしょうか…?」
「いや、気づいていないだろうな。気づかれないうちに片付けるぞ。
――だが油断するなよ。奴は正体不明の都市伝説と…」
スパン。ここまで言ったところで、突然黒服さんの首が切れる
五姫「ええ、本当に…油断大敵ですよ、黒服さん?」
手に血の付いた銀製の剣を持ち、私が言う。私の契約都市伝説、『五行説』。この中のひとつ、『土生金』により、手に握りしめた土から銀の剣を生み出したのだ
「なっ…!? 貴様、裏切ったか!?」
血相を変えた黒服さんが怒鳴る
五姫「おや? まだ喋れるんですか? 流石『吸血鬼』に飲まれただけのことはありますねぇ…。
裏切り? 勘違いしないでくださいよ。元より私は貴方達の仲間ではありません」
「貴様…そんなことを言って、ただで済むとでも…」
五姫「いやあ、事実ただで済まなくなったからこうしたんですけどね…」
どうしてあの娘が殺されなきゃいけないのか、分からない。私は身につけている服を投げ飛ばす―
そこから出てきたのは、綺麗な衣装を纏った美しい黒髪の女の子だった…
「な…き…貴様…」
狼狽え、驚いている黒服さん
「形桐…飾!」
本当、どうしてあんな娘が…私(わたくし)が殺されなければならないのか、理解できませんわ。
飾「ええ、そうですわ。あなた方の今回の標的…形桐飾ですのよ。
折角の機会ですので名乗らせていただきますわね――元学生会『七つの大罪』、『虚飾』担当、形桐飾でございます…どうぞお見知りおきを」
「っ…だが! 確かにおまえは御形だったはずだ! 見た目も、能力も、話し方も!」
飾「おほほほほ! 話し方については私の演技ですわ。見た目と能力については…まぁ、貴方はどうせここで終わるのですし、折角なので教えて差し上げましょう…。
『なりきりセットで本物になれる』。私の契約都市伝説ですわ。手をかざしたものの『なりきりセット』を作りだし、それを着用することでその存在に成りきって、姿と能力をコピーできるんですの。
もちろん着用は一瞬ですし、他人に着せることもできるんですのよ」
作ったなりきりセットは、携帯に保存していつでも呼び出せる仕様ですわ。
「…! 御形のなりきりセットで変装していたのか…!だが、だとしたら本物の御形はどこに居る!?」
飾「さぁ? どこかでお休みになっているのではありませんか?」
まぁ、私がコナン君に成りきって麻酔銃で眠らせたのですけれどね。
「っ…!」
飾「では、もうよろしいですか?
悪しきものよ、正義の名の下に散りなさい!
こうして、私の命を狙う不届き者は始末されるのでした…めでたし、めでたし!」
私が先程の剣を黒服さんの顔に投げつける。ギリギリでバランスを保っていた黒服さんの頭は、ぽとりと地面に落ちましたわ
飾「さて、私の命を狙う黒服さんも始末したことですし…もうよろしいですわよ。ご苦労様ですわ…疾風さん」
形桐「そうですね。では…」
私のような声でそう言い、変装を解く
疾風「ふぅ。良かったですね。うまくいって」
飾「ええ。でも貴方の協力がなければ隙をつくことは困難でしたわ。感謝いたします、疾風さん」
疾風「いやいや、師匠の頼みとあらば断る訳にはいきませんよ。僕の変装と演技力は貴方から教わったものですからね」
飾「おほほほほ、私も優秀な弟子を持って幸せですわ!」
疾風「ええ、まったくです。貴方ばかり弟子を持っているなんて…ああ、本当に妬ましい」
飾「いや、その弟子が貴方なのではありませんの…相変わらず意味不明の嫉妬心ですわね」
疾風「嫉妬担当ですからね。こればかりはどうにもなりません」
飾「そうでしたわね。では、私は帰宅いたしますわね」
疾風「じゃ、僕も帰るとしますね。さようなら」
飾「ごきげんよう」
こうして、私と疾風さんは家へと帰るのでしたわ…めでたし、めでたし♪


続く…
844 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/15(木) 23:19:54.38 ID:18i59ADi0
その手があったか!
と夜中にも関わらずこれを出して感心した、ソニータイマーの人乙です〜
そうか『虚飾』ときたか、相変わらず天才ですね
しかも弟子が『嫉妬』というのもまたwwwてか師匠ってそうだったのかwww

何故疾風君にフラグが立たないのか(ぁ
845 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/12/15(木) 23:59:57.20 ID:YN7gPFZr0
ソニータイマーの人様投下乙ですー
虚飾さんキター!!
疾風君のお師匠様だったのか…

>>840
名前欄が!名前欄がー!!

>新し過ぎる古傷が抉れるぅ(マテ
うわああああ!!そんなタイミングで投下してごめんなさいぃぃ!!

>この少女は………なるほどそういうことか!
お金の力って便利!

>しかし新キャラ2名の名がカッコよすぎる件、惚れそう
なんと…いつものように適当に付けただけなのに(

>>842
これからも亀の歩みで暗い話を増やしていきたい所存です
846 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/16(金) 00:09:11.56 ID:shbjn10M0
>>845
>名前欄が!名前欄がー!!
この間『阿部鬼』のプレイ動画見た所為でこんな事にwww
あと弟が見た夢がですね(第三者に介入されました

>うわああああ!!そんなタイミングで投下してごめんなさいぃぃ!!
よくある事なので気にしない♪(

>なんと…いつものように適当に付けただけなのに(
なん…だとwwwwwww
847 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/16(金) 02:20:09.37 ID:4vqQVbyAO
笛の人乙です
上田家の男はカッコいいなあ
まさに漢だ
蓮さんに見逃された少女がどうなるかが気になるですよ

三面鏡の人乙です
繰ちゃんがあああ
ディラン早く来いもげながら来い

犬神憑きの人乙です
新しい人たちの目的が気になるのです

ソニータイマーの人乙です
飾ちゃんすてきぃぃ!
しかし周りにこれだけ魅力的なおにゃのこがいてもフラグの立たない疾風パネェwwwwww
848 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/16(金) 18:49:51.70 ID:UCHW8HcS0
あ、皆さん投下乙ですー
繰さん、どうなってしまうのでしょう…
あと後々登場させる予定の『友達の友達』のキャラが三面鏡の人の『友達』と被らないようにしないとな…

>>844>>847
>何故疾風君にフラグが立たないのか(ぁ
>しかし周りにこれだけ魅力的なおにゃのこがいてもフラグの立たない疾風パネェwwwwww
疾風「元々僕ってそんなにモテる体質じゃなかったし、ジェーラの呪いは強力だからね…
僕がラブプラスをプレイしようとすると必ずフリーズするレベルだよ。ああ、恋人ができる人間が! 他人とフラグを立てられる人間が妬ましい!!!」
しかしうちのキャラの中でまともにフラグが立ってるのは不幸だけな件について

>飾ちゃんすてきぃぃ!
飾「おほほほほほ! 私が素敵なのは当然ですけれど、そんなに褒められると照れてしまいますわ♪」


>>845
>お金の力って便利!
宝「お金の話!?」
849 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/16(金) 23:44:24.22 ID:E0EEyAxT0
【上田明尊の日常2】

 拳を固く握りしめて天に突き上げる。
 彼の掌の中で華が如く紅く散る命。
 血飛沫、肉、骨。
 心臓を奪われてなお彼に襲いかかる異形。
 
「偉大なる俺になお刃向かうというのか?」

 自信たっぷりに微笑み、明尊がため息を吐いてみせたその刹那。
 心臓を奪われたはずの口裂け女の移動速度が急激に伸びる。
 鋏が明尊の装甲をわずかばかり傷つける。
 鉛筆で一筋描かれたラインよりなお小さな傷。
 その傷を見た瞬間、明尊の笑顔が凍りつく。
 誰が気づいただろうか、凍りついた笑顔、その瞳の奥。

「なん……だと?」

 驚愕の声を上げながらも、怒りに震えながらも、彼は少しだけ喜んでいた。
 敵か、死の淵に身をおいて初めてこいつは俺の敵になれるほどに成長したのか。
 雑種風情が、下賎の弱者が、食われる側の存在が、初めて俺の敵になれたのか。
 彼の瞳の奥に炎が灯っていた。

「シャァア!」

 奇声を上げてそれにつづく注射男。
 その注射が鎧を貫くことなど無い。
 当然のごとく折れる。
 そもそもただの人間が纏ったとしてもそれだけで怪異と戦えるようになる規格外の防御力を誇る鎧だ。
 野良の都市伝説に傷一つ付けられることさえそもそもありえないのだ。
 テケテケも半ば命を捨てて明尊に殴りかかる。
 逆に拳が砕けた。
 攻撃を受けた明尊はわずかに一歩よろけただけである。

「あああああああああああああああああああああああ!」

 絶叫。
 近くの窓ガラスにミシミシと罅が入る。
 次いで彼を守っていた鎧がはじけ飛ぶ。
 消える。
 三体の怪異の目の前から明尊の姿が消失する。
 次に一体、まずは口裂け女の胸部のみが消失する。
 行き場を失った彼女の首だけが地面に追突しゴトン、と音を立てる。
 異変に気づいた注射男が横を見る。
 既に遅い。
 生暖かい息が首筋にかかる。
 両肩に誰かが触れる。ほぼ同時に両腕が、いとも容易く落ちた。
 逃げよう、彼はそう思っていた。
 そう思って、走りだすと自分の顔を誰かが掴んでいた。
 投げつけられるのか?
 否
 握りつぶされるのか?
 否
 掴んで、押し込んで、押し込んで押し込んで押し込んで押し込んで。
 まるでアルミ缶のように注射男は正面から押しつぶされた。
 注射男が掌の隙間から最後に見ていたのは月だった。
 その月の明かりを塞ぐように、黒い塊が空から降ってくる。
 解放、明尊は注射男から手を放す。
 空から降ってきたテケテケだったものが注射男を潰すまでにそう時間はかからなかった。
850 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/16(金) 23:45:01.19 ID:E0EEyAxT0
「……はん」

 全て終わってつまらなさそうに呟く明尊。
 既に目の輝きはない。
 そんな彼に突如として後ろから拍手が送られる。

「すばらしい!すばらしい!」

 心よりの賞賛、偽りはない。
 しかしそんなものに喜びを感じる人間ではない。
 近くに転がっていた鉄パイプを明尊は拍手の主に投げつけた。
 ソレのまるでピエロみたいなデザインの黒い服を貫いてパイプは壁に突き刺さる。

「ひっ!」

「見世物じゃないぞ?」

「もももも!申し訳ございません!」

「名前を名乗れ、貴様のような黒服を俺は見たことがない」

「え、ええと私は黒服ではありません」

「だろうな、そんな愉快なデザインの同僚がいてたまるか」

「愉快、それは褒めてもらってるのでしょうか」

「何でもいいがお前は誰だ」

「私は言うなれば貴方のファンというか追っかけというか……」

 ソレは笑う。
 気持ち悪かった。
 上田明尊が対象をとりあえず殴ってから話を聞こうと思ったのも無理からぬことと思える程度には。
 疾風の拳、誤ること無く仮面を被ったソレに向かって伸びる。
 が、次の瞬間、彼は拳をぎりぎりの所で止める。

「……壊すとちょいと厄介だな」

「……あっぶなーい、普段のご様子とは違ってだいぶ乱暴なんですね
 ああ、それともそっちが地?」

「それ以上余計な口を叩くと貴様が全身に仕込んでいるわけの分からない箱ごと叩き潰すぞ」

「ヒュー、さっすが頭脳明晰冷静沈着高貴にして剛毅なる戦闘民族のエリートであらせられる」

 道化の服を着たソレは肩をすくめる。
851 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/16(金) 23:45:38.77 ID:E0EEyAxT0
「いや実際大したもんですよ、その通り、貴方が拳を止めたその判断は正しかった」

「お前が……コトリバコの契約者か、話ができすぎているがまあ間違い無いだろうさ」

「いえす、ざっつらいと」

 ソレは男とも女ともつかぬ中性的な声で笑う。

「いわば私は呪いの爆弾、少し叩けば毀れて、町中の幼子と女性を八つ裂きにする呪いの爆弾
 クールでしょう?クレイジーでしょう?最高にキマっちまってるとおもいませんか?」

「まったくもって同意しかねる」

「ハーメルンの笛吹き男という殺人鬼が居た
 私は彼に憧れました、徹底した正体不明ぶり、手法の大胆さ、いくらでも屈強な男を殺せるとアピールした上での子供への殺戮
 まるで肉食動物だ、暗闇に潜み、無敵の爪牙を持ち、されど決して奢らない
 翻って私はどうだろう?
 愚鈍で、弱く、小心者、その上すぐに調子にのる
 敵う要素なんて何も無い
 でもね、逆に考えたんですよ
 そんな私が彼と全く同じような殺戮を町にばらまけたら面白いんじゃないかってね
 最弱が最強を打ち倒し、最弱が最強のように振る舞う
 打ち倒されるべき最強は貴方、模倣される最強はかの有名な殺人鬼。
 ゲームはこの時より始まり……」

「なるほど、こうして終わるわけだ」

 明尊の投げる鉄パイプがソレに突き刺さる。
 三本ほどがまるで虫の標本を作るかのようにソレを貫いた。
 ストローから飲み干すジュースでもこうはなるまいといえるほどに噴き出す血飛沫。
 ソレの悲鳴と同時に町のあちこちから悲鳴が聞こえる。

「ほう……お前が死ぬと呪いの効果も倍マシってところか?呪い系統の能力にはよくある話だ」

「おやおや子供が死んでいるのに冷静な方だ」

「まだ死んではいないだろう、死んだなら俺はお前を遠慮無く殺していいことになる
 まあどのみちお前は死ぬが……少し時間が出来るだけのことだ」

「くっくっくっ…………」

 明尊は悠然と携帯電話を取り出してE-No.の解呪能力者に連絡をつける。
 彼はこの時点で完全に油断していた。
 これほど血抜きした相手が逃げられるわけなんて無いと思っていたのだ。
 それに万一逃げようとした所で自分より早く動ける訳が無いと思ったのだ。
852 : ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/16(金) 23:46:17.17 ID:E0EEyAxT0
「ゲームのルールは簡単、私が一日一回一個だけ箱を設置して、貴方がそれを回収・破棄する
 貴方以外の人間が箱を回収してもいいですがそれはルール違反ですので私もルールを破らせてもらいます
 箱は存在するだけで周囲の人間を蝕み、一日で重大な後遺症、三日で死亡ってところですね
 こうやって追いかけっこを続けながら私を捕まえられたら貴方の勝ち、貴方が死んだら貴方の負けです」

「組織に連絡させてもらった、お前をこれから拘束……」

「メッセージは以上で終了します」

「え?」

「最後に一つ、私の持つ都市伝説は一つじゃあ無い」

 ソレの腹が開く。
 見えるのは古式ゆかしいカラクリ、そして爆弾。
 視界が流星の速さを伴って白く染まり、次に夥しい熱が彼を包む。
 しかし上田明尊という男はそんなもので死ぬほどやわではない。
 彼はとっさに鎧を纏って爆風を完全にガードしていた。
 しかしなんとか両目がその機能を取り返した時、既に道化は姿を消していた。

「くそっ!」

 今この時より、上田明尊を巻き込み学校町を混乱に陥れる悪質なゲームは始まった。
 これが彼の日常、戦うべき日々である。

【上田明尊の日常2 おしまい】
853 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/17(土) 00:35:00.53 ID:xeqm2CUB0
笛の人乙ですー!
854 :やさぐれぱんだーふえやろう ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/17(土) 22:45:08.26 ID:a4cCFIq70
ソニータイマーの人乙でした
ワンレスで話まとめるのすげえよ……
ところでハヤテ君はなんで付き合わないの?
玉砕覚悟でも突っ込まないの?
もうなんか妬ましい
これが嫉妬か……
うおおおおおおおおおおおおおおおお!
855 :やさぐれぱんだーふえやろう ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/17(土) 22:48:34.32 ID:a4cCFIq70
【上田明尊の日常3】

 爆弾を受けた後、組織の黒服の応援を確認してから明尊は一旦引き上げることを決めた。
 そして組織の施設に戻った明尊は彼の直接の上司であり、組織のE-No.を率いるエーテルに事の次第を報告していた。
 二人の表情は揃って重く、暗い。

「という訳でしたエーテルさん、今回の犯人はどうにも頭がおかしい」

「ご苦労だった。なるほどな……からくり人形を操る呪いの箱使い」

「厄介な相手だと思われます」

「ああ、そうだな……」

 エーテルはため息を吐く。
 胃痛が絶えないのは単に仕事の量が多いからではない。

「俺が倒します、あんな奴のせいで誰かが泣くなんて我慢出来ない」

「それを決めるのはお前ではない」

「……すいません」

「とはいえ逸る気持ちもわかる、それに呪いが効きづらいお前の体質は貴重だ
 奴の討伐はお前に任せることになるだろう」

「ありがとうございます」

「調査の方だが今回は事件自体の機密性は低いから外部に任せようと思う
 呪いが絡む事件には直接関わるなということになっているからな
 調査よりも呪いによる被害のアフターケアに人材を割きたいというのが結論だ
 そして呪いだろうが禁忌だろうが何の容赦も遠慮もなく一切を調べ尽くして憚らない調査機関があるのだが……」

「……あー」

 嫌そうな声を上げる明尊。
 エーテルが言う外部機関というのはこの場合明らかに彼の実家であった。

「依頼の取次までやってくれるならこの件は完全にお前に任せるが……」

 正義感と面倒の間で揺れる心。
 しかし彼は本質的に善の人である。
 かなり嫌そうな表情をしながらも明尊は頷いた。
856 :やさぐれぱんだーふえやろう ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/17(土) 22:51:32.65 ID:a4cCFIq70
 翌日、彼は自らの実家に帰っていた。
 眼の前に居るのは明尊の父。
 私立探偵の上田明也。
 こと調査にかけては世界でも三本の指に入る調査機関“笛吹探偵事務所”を率いる怪物。
 都市伝説関係者が集まる学校町で0から独自の勢力を創り上げた男であった。
 親子とはいえこれは組織同士の交渉である。
 事務所の中にピリピリした空気が流れる。

「依頼なら受けるぞ、正当な報酬と一定の信頼の元でな
 その事件については一定の調査が済んでいる、依頼を受けた後すぐに一部の情報なら渡せるぞ」

「耳が早いな」

「お前の二人の母親の耳が早いんだ、秘密兵器を使うまでもない相手だったぜ
 依頼となると今の情報に加えて調査を更に進めなくてはならないが……
 まあそこもカネ次第ってことで一つ頼むわ」

 明尊はわざとらしくため息を吐いてからシニカルに笑ってみせる。

「依頼(リクエスト)?義務(デューティ)だぜ親父」

「はは、無料で親父を働かせようというのか?」

 バカにしたように笑ってみせる明也。
 あくまで彼にとっては明尊は子供なのだ。

「ふん、大の大人が尻拭いもできないっていうのか?」

 そう、ハーメルンの笛吹き男とは何を隠そう明尊の父、明也のことなのだ。
 模倣犯を捕まえるくらいは権力から見逃されている彼の義務だ。
 明尊はそう言いたかったのだ。

「言うようになった」

 エーテルの意図は恐らく其処にあるのだろうと彼らは察していた。
 リーダーとして自らの部下を損なうことなく結果を出すこと。
 友人として明也に対して彼が彼の過去に最低限の責任をとることを求めること。
 この2つを同時にやろうとしているのだろう。彼らはそう考えていた。

「息子に甘くした所で俺の体面が損なわれるわけでもなし、良かろう」

「意外だな」

「ただし、条件がある」

 指を一度鳴らす。

「お呼びですか所長」

 物陰からまだ幼い顔立ちをした少女が現れる。
 黒い髪を揺らし、物憂げな色を瞳に湛えた、妖しい魅力を持つ少女。
 霧雲霙、笛吹探偵事務所で所長の代理人として働いていた。
857 :やさぐれぱんだーふえやろう ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/17(土) 22:56:21.86 ID:a4cCFIq70
「霙、依頼だ。コトリバコの持ち主について調査しろとのことだ」

「お言葉ですが所長」

 そう言いかけた霙を明尊が遮る。

「おい霙、良いのかよ親父に逆らって」

「おい息子よ、良いのか他の組織の秩序に口を出して」

「…………チッ」

 分かりやすく舌打ちをして彼は沈黙した。

「構わん、話せ霙」

「私は女の子なのでコトリバコ関係の依頼には関わりたくないのですが」

「まったくだな、お前の言うとおり、じゃあお前を動かすのは止めようか」

 そうだ、とつぶやいて明也は隣の部屋に向かう。
 霙と二人きりになる明尊。

「……お前、何様のつもりだ?」

「そうですね、可愛い部下A様ってところでどうでしょう?」

「ははん、可愛い……ねぇ
 そりゃあ可愛いだろうな自分に色目使う部下なんて」

 明尊はこの歳の割に不思議な色香を漂わせる少女が気に入らなかった。
 第一にどこの馬の骨ともしれない奴が父の歓心を誰よりも買っていること。
 第二に父がこの少女を大人の女として扱っているきらいがあること。
 第三に妙に説教臭い話し方をすること。
 彼女の全てが彼をいらつかせた。

「そんなにお父様が恋しいのならばこっちに来てみたらどうですか?
 案外あの人って肉親には甘いから可愛がってくれるかも」

 あの人、信頼と情愛のこもった甘い響きに彼の怒りは嫌が上にも沸き上がっていく。

「悪いが俺は職業には貴賎があると考えているタイプの人間で」

 明尊は霙を睨みつける。

「あの男のしている仕事が尊い仕事とは思えないタイプの人間だ」

 その言葉を聞いて霙の頬がピクピクと引きつる。

「あらあら、反抗期もここまで来ると笑えてきますね
 所長がどんな気持ちで貴方を育てたかなんて知らないくせに」

 幼い頃、親を失った霙には気に入らなかった。
 奪われることを、失うことを知らずに、愛情を当たり前にしか思えない子供でいる彼が。
 まだ子供で居たかったから、などという彼女自身の気持ちに気づくことなんて無く。
858 :やさぐれぱんだーふえやろう ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/17(土) 22:56:46.86 ID:a4cCFIq70
「言うほどに知っているのか?」

「私は知っています、なんせあの人の直接の部下ですから
 それはもう色々と話を聞かせてもらっていますよ」

 またこいつにばかり。
 思えば昔からあの男はこの女に甘かった。

「あの人にも貴方のお母さんである茜さんにもよく言われますよ、あいつに親の愛を教えてやってほしいって」

 あれほどいうことを聞いて真面目にしていたのに。
 親の愛?ふざけるな、父よ、貴様が俺に何をした。
 怒りが明尊の内側で渦巻く。

「そうですね、ひとまず私をお母様とでも呼んでみたらいかがでしょうか?
 私結構母性本能強いタイプだから普段意地悪な義兄さんにでも情が沸いちゃうかも」

「ぶちのめすぞ女狐」

「この前の組織と首塚の交流試合の時は私にぶちのめされてましたけどね
 せっかくこっちが同盟申し込んだっていうのに本当にひどいわ」

 彼の怒りが爆発するまさにその瞬間、明也が部屋に戻る。
 ガタン、というドアの音に気づいて二人は振り返る。

「二人共仲良くしていたか?」

「は、ハイ!普段なかなか会えませんし!
 今年からは中学校ですから先輩になっちゃうわけですし!
 学園生活の心得なんかをそれはもう丁寧に……」

「…………」

 その場をとりなそうとしただけ霙のほうが若干大人気はあるのかもしれない。
 
「さて、お茶だ息子よ。たまには親子らしく語らおうじゃないか」

「遠慮させてもらう、これから仕事が忙しいんだ」

 祖父に教わったとおりに彼はその場を離れる。
 親子とはいえ別の組織の人間。
 それどころか彼は祖父に父を人間と思うなとまで言われている。
 相手の本拠地で、自分より遥かに実力で勝る相手から何か勧められたら機嫌を損ねない言い訳で逃げるのが吉だ。
 明尊はそそくさと事務所から逃げ出した。

「愚かではないんだよなあ、あいつが愚かじゃなくなるほどの強敵が少ないだけで」

 つまらなさそうにお茶を流しに捨てる明也。
 嫌がらせにお茶に妙な薬を仕込んでいたのだ。
859 :やさぐれぱんだーふえやろう ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/17(土) 23:04:16.57 ID:a4cCFIq70
「どう思う?」

 ソファにどっかりと座る明也。
 まるで猫のように彼にしなだれかかって甘える霙。

「そうですね……結局子供なんじゃないですか?
 とびきり優秀で責任感と正義感に溢れているだけの子供」

「男の三割は一生子供だそうだ」

 明也は彼女の頭を優しく撫でてニヤリと笑う。

「まあ、お前らの喧嘩については何も言わないが……可愛いお前の為にアドバイスしてやろう」

「あら、明尊お兄さんにはアドバイスしなくて良いんですか?不公平です」

「要らん、あいつは優秀だ。俺はあいつの優秀さを完全に信頼している
 そもそも男の子ってのは親の言葉がウゼーもんだ」

「そう思えることが幸せなのに……」

 明也は霙の唇に人差し指を当てて霙の言葉を遮る。

「アドバイスはたった一つ、あいつを本気で怒らせるな」

「え?」

「あいつが本気で怒ると慢心しなくなる
 慢心しないあいつに勝てるのなんてエーテルくらいじゃないかな」

「気をつけます……」

「あいつの胃痛が絶えないくらいの挑発にしておけ、じゃないとお前が危ない」

「はぁい……」

「お前はいい子だよ、霙」

 そう言ってから上田は口笛を吹く。
 小鳥が十羽ほど窓辺に現れる。
 彼はそれらの小鳥の脚に小型のカメラを結びつけると空へ解き放った。

【上田明尊の日常3 おしまい】
860 :やさぐれぱんだーふえやろう ◆2PnxfuTa8. [saga]:2011/12/17(土) 23:26:30.90 ID:a4cCFIq70
人気不人気別として霙ちゃんが大好きな作者です
明尊くんはなんていうかROMってる人にもどうやら人気らしいことがwikiから解るのですが
彼以外の未来組はどこまで人気なもんなんだかよくわかりません
ただ霙ちゃんは、というかみぞれちゃんみたいなキャラは基本的に受けないものなのです
でもイイ、俺大好き、非処女ヒロイン大好き!
でも非処女だからいいんじゃなくてどことなく影のある雰囲気がすき!

個人的に非処女ヒロインはきょぬーで有るべきだと思うんですよ
遥ちゃんとか原則ガン無視だけどまあ気にしない
そして非処女ヒロインは幼くあるべきなんですよ
少なくとも実年齢は
主人公よりも年下がイイ
その衝撃的な現実に打ち震える主人公に心躍らせるのが増え野郎なんです
そしてその事実を超えて尚彼女を愛そうとする主人公の男前っぷりに燃え上がるんです

そう考えると非処女ヒロイン萌ってのは主人公燃えであり、ホモセクシャル的な要素をはらむわけですが
だからといって笛がホモかというと無論違うわけで
そもそも熱血物のかっけえ主人公に憧れるってのはホモっぽい要素が有るわけです
そう考えると非処女ヒロインは異質なんですよ
萌じゃなくて燃なんです
更に言えば燃えストーリーに相性がいい
「俺が!この娘を!守るんだ!」
ほら、年下ヒロインのほうが相性良いでしょう?
ここからも非処女ヒロインは年下キャラと相性良いって解るわけですよ

あとセクシーバディはやっぱ基本です
露骨なくらい性的なイメージってものを出しておくべきなんですよ
そのちぐはぐさに、脆さはかなさに日本人が古来より見出す滅びの美学を感じるべきなんです
なんかテンション上がってきたんで続きは明日
861 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/18(日) 11:14:06.22 ID:hzXtdJqY0
笛の人再び乙ですー

…人いないなぁ
862 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 12:58:32.73 ID:pWkzKHzDO
びっくりするほど人居ない!
どうせだから宣伝でもすれば良いのかな
863 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 13:03:25.29 ID:88tvFmGIo
読み手より書き手の為のスレだから別に良いんじゃないの?
読者や感想が欲しいってなると
複数作者のぶつ切り投稿なんとしないと厳しいんじゃないかね
864 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 13:12:54.65 ID:pWkzKHzDO
>>863
なるほど
たしかにここは色々と試したいアイディアを使ってみる場所にしてたしそれで良いのかも
865 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 13:22:12.80 ID:88tvFmGIo
>>864
いや、単に自分がそう感じているだけだから
他の人がどう思ってるのかは知らない
ただ作者と読者ってよりも作者と作者で盛り上がってンなあとか
避難所の名無しの少なさからもそんなもンなのだろうと思ってた

そういう意味で新しい作者呼び込もうぜ!ならまた別の整備がいると思う
866 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 14:11:14.61 ID:1g41rfbv0
>>862
宣伝
宣伝ってなんだ興味あるぞ
867 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 14:24:52.82 ID:1g41rfbv0
ああ後避難所もこっちも土日になると人居なくなるな
笛の人もちょっと前にその事を言ってたような
868 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 15:25:31.51 ID:pWkzKHzDO
>>866
この板の宣伝スレ使ったり
単発を一斉に投下してみたりとかどうかなあと
新しい舞台設定も考えたいがそれは難しいから却下した
869 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 15:55:10.24 ID:FZtFTL2S0
わりと最近別の場所で宣伝したけど、wikiの場所しか教えてなくて本スレアドレス教えなかったのでいろいろあれなあれ
870 :やさぐれふえやろー ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/12/18(日) 16:39:17.92 ID:HbrMU9Bu0
私笛野郎だけど修行先での連載ついさっき終えてきたから全力でいけるよ!
本当はあと一つ仮面ライダー系の二次創作を忙しさのせいでプロットだけ晒して打ち切ったんだけど
それは4月くらいになったらそのプロットとは違う完全ハッピーエンドにするので後に回すから
こっちの単発全力で行けるよ!
871 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 17:06:11.09 ID:FZtFTL2S0
単発祭りやるんんなら、優先順位高い作業早めに終わったら書くよー
ついでに、単発祭りやるんなら以前宣伝したとこで本スレの宣伝もするー、って言いつつ晩御飯離脱
872 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 19:33:05.93 ID:1g41rfbv0
おまえら何だかんだでノリいいよな
俺そういう所……好きだぜ
単発るんなら微力ながら投稿する

となると既成の設定に頼らない方が分かりやすいかも知らん
873 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 19:35:25.41 ID:pWkzKHzDO
>>872
俺はまったく新しい世界観で書かせてもらうぜ!!
組織もなにもかも無しでリアルな警察相手にヒャッハー!
874 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 20:09:47.06 ID:sg7SXoJk0
せっかくだから、以前スレで出た「死亡フラグの「さしすせそ」」みたいな感じで書いてみようか
そうだ、ここに「どMの「さしすせそ」が(ry
875 :やさぐれふえやろー ◆2PnxfuTa8. [saga sage]:2011/12/18(日) 21:39:38.46 ID:HbrMU9Bu0
単発祭りの日程決めて
ソレに合わせて宣伝になるのかしら
書く人前もってネタの軽い紹介とかすると被り回避できるかも
876 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 21:59:45.14 ID:sg7SXoJk0
※ どMのさしすせそは使いたい人いたらそっとはっておきます
877 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/18(日) 23:04:08.58 ID:78pnILDA0
>>876
宜しくお願いしますorz
878 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 23:05:25.42 ID:sg7SXoJk0
>>877
ドMさしすせそ

さ「さぁ殴ってください!」
し「[ピーーー]と罵ってください!」
す「すぐさま蹴ってください!」
せ「せっかくなのでその鞭で叩いてください!」
そ「そこをもっと叩いてください!」
879 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 23:07:17.19 ID:sg7SXoJk0
あ、やば、「saga」入れ忘れた
まぁ、わかるでしょう、多分
880 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:29:54.00 ID:88tvFmGIo
一つ確認なんだけど投下祭りは新規さん向け?
881 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:36:24.10 ID:1g41rfbv0
>>880
単発祭りそのものに新規も何も無いな
上の方で宣伝と組み合わせて、という案があがったが
882 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:38:30.82 ID:88tvFmGIo
ああいつもの?単発祭りか
それならなんでもないです
話の流れ的にどっちかわからんかった
883 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:47:01.36 ID:1g41rfbv0
新規呼び込みの話題になりかけてはいたが
どこまで必要性があるのか今後話し合う…必要もあるのかどうか

折角だから聞くけど
>>865
>ならまた別の整備がいると思う
どんな感じの整備を考えてるの
884 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/18(日) 23:51:36.27 ID:kqFLkfFU0
>>878
有り難うございますです
これは酷いwwwwだがそこがいいwwww
使うとしたら一気に使った方が輝きそうだな…
885 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 00:04:38.51 ID:Yi7mKawN0
別に整備とかどうでもいいのでとりあえず何かみんなで単発でも何でもいいから書こうぜ!







先に書かなきゃダメなネタあるのに現実逃避しているわけではないです
リアルから現実逃避してるだけです
886 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:09:00.39 ID:W5yJk2/30
てか新規さん呼び込みとかの前に
ただでさえ過疎りがちな本スレの血の巡りを良くしないと
887 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 00:11:07.77 ID:Yi7mKawN0
都市伝説スレの場合、全盛期の勢いというか血の巡りというかそれがおかしいレベルだったので、これくらいの速度でも別に不便は感じないが

血の巡りよくするためにも、単発祭りはいいと思う
888 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:11:09.56 ID:iNUCAceMo
>>883
とりあえず最低本スレにQ&A置かないとまずいかなーと思ってる
なんでかって言うと複数の作者が投下してるから
物語を遡れば世界観を把握できる、とは限らないから(それが持ち味でもあるんだけれど)

あとこれは苦言になるから今まで言わなかったけれど
そろそろ所謂「解釈」についてはちょっと話しておいた方が良いとかね

とか書いてたら>>885みたいな人もいるし
現状のメンバーが良い!てなら無理から新規獲得はせんでもええのでは?
889 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 00:19:05.04 ID:Yi7mKawN0
よそで宣伝してくるよ、って言ったのは、皆様の素敵な作品を色んな人に見てもらいたいな、ってのが一番の理由なんで、誤審貴様は来てくだされば嬉しいけど無理には、って感じだなぁ
wiki先に宣伝したのも、「こんなに素敵な作品がいっぱいあるんだ!お時間ある時でいいから読んでみてよ!」ってのがあるんで
890 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:23:27.80 ID:W5yJk2/30
新規獲得は焦ってやるものじゃないから二の次にするにしても

>>888
Q&Aの整備と「世界観」整理は必要だよな
例えば「学校町」という場を舞台にしてる話でも微妙に世界観の相違があるからな
これまで許容されてた面ではあると言っちゃあそうなんだけど

「解釈」って「拡大解釈」とか言われているアレの事かな?
だとしたら今まで書き手の自由意思に任せてた部分だからな!
何をどの方向に収めるのがベターなのか…
891 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 00:29:17.23 ID:Yi7mKawN0
今のフリーダムにかける世界観が好きなんで、変に固めちゃって自由の幅が狭まらなければいいなぁ、とだけこっそり思っておく
892 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:36:48.82 ID:iNUCAceMo
一応断っとくとあくまでも自分の話は前提として
『読者or作者の新規さんを呼び込むなら』
てのがあることを念頭に置いてもらえると助かる

>>書き手の自由意思
これも凄く大事なことだと認識してる
自分だって書いたモンに駄目だし喰らったらいい気持ちはしない

で、そもそも新規さん呼び込みを今はしないから別に良いよね?なスタンス

>>890
「自由でおk」て言われても学校町だと完全に白紙じゃないから難しいんだよねえ
学校町じゃないパターンだとどうなの?ってのもwiki見ててちょっと思ったし


ながくなっちったな
まあそんな急いた話じゃありません
893 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 00:46:32.01 ID:Yi7mKawN0
細けぇこたぁいいから、とりあえず書いてみようぜ!
というノリで単発書くのが俺
せっかくだし、今から何か書くか
894 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:48:07.22 ID:W5yJk2/30
一晩中話したい気分だ…

>>892
学校町じゃないパターンってあるかな
単発だと設定や世界観が見えにくいから除くとしても
連載だと設定まで書きこんだ話は「もぐたん」くらいか?
具体的に考えていくならばWikiのQ&Aを叩き台にした方がいいのかもな
895 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 01:01:35.63 ID:iNUCAceMo
>>894
個別にどうのこうのよりもどれが学校町設定か取りあえず明確にしておきたいなあ、とか
コストとか契約者との関係とか、この辺は学校町だとおなじみだけど
そうじゃない話作る場合はむしろ縛りになってない? とか思ったりする
「どんなの書いたら良いの?」より「これだけ避けときゃOK」なのが欲しいかな

あとこういう議論はもうちょっと人巻き込んでおきたいかも
ちょっと前の避難所見ていてそう思った
896 :羊のなく頃に :2011/12/19(月) 01:05:57.87 ID:Yi7mKawN0
 ここは、学校町
 「都市伝説」と呼ばれる存在の目撃情報が異常に多く、ついでに変態の目撃翌例も以上に多い街
 その街で深夜、駆け回っている存在がいた
 てちてちと駆け回る、白いふわふわした物体
 大きさは、枕程度だろうか?
 てちてちてちてち、短い手足で一生懸命駆けている
 それを追いかけるは、大きな黒い影
 …そのシルエットは、犬のように見える
 見るものが見れば、それは「オオカミ」だというだろう
 ありえない
 日本の町中を、オオカミが駆け回っているなど「ありえない」と人は言うだろう
 …ならば、この光景は、何だ?
 てちてち、てちてち
 必死に駆け抜け、オオカミから逃げる小さな白いふわふわ

「…!」

 それは、袋小路に追い詰められてしまった
 振り返ると、黒い影はゆっくりと、後ろ足だけで…二本足で、立ち上がっていた
 …人は、彼をこう呼ぶだろう
 「人狼」と

「やぁっと追い詰めたぜ?仔羊ちゃん」

 ぷるぷるぷる
 震える、小さな白い影
 それは……羊だった
 どう見ても、羊だった
 色々デフォルメされた、ころころふわふわの愛らしい羊である
 それは、人狼を見上げ、ぷるぷると震えていた

 どう見ても、これから狼にいただきますされてしまいそうです
 本当にありがとうございました

「いただきます」

 と、人狼がにじり寄る
 哀れ、このまま羊は人狼によって体を引き裂かれ、食い荒らされ…

「めぇ」

 っぽん!

「あ?」

 人狼の目の前で
 突然、羊が……増えた

「めぇ」
「めぇ」

 2匹に増えた羊
 めぇ、と鳴くと、それらはまたぽんっ!と増えて

「めぇ」「めぇ」「めぇ」「めぇ」

 ぽんぽんぽんっ!
 増えていく羊
 一匹、二匹、三匹、四匹……と
 思わず、人狼はその数を数えてしまう
 めぇと鳴くたび、羊は増え続けて……

 ………………………

 数分後

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「めぇ!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 しゃっきーん!
 人狼の上に載って、勝ち誇る羊達
 人狼は死んで……いない
 ただ、すやすやと眠っている

 羊の正体は「羊を数えると眠くなる」、その本体
 増えて相手を眠らせるのが、唯一にして絶対の能力
 っぽん!と、羊はかたまり、一匹に戻り
 またてちてちと走りだし、夜の闇の中に消えていったのだった                                                                     おっわーれ
897 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 01:07:35.00 ID:W5yJk2/30
>>895
>そうじゃない話作る場合はむしろ縛りになってない? とか思ったりする
そうか! 意識してなかった部分だったわ
まあ…こういう議論はもっと人多い時がいいよね確かに…

じゃあ今夜は気分を変えて
郷土料理か地酒か単発のネタだしについて語らいましょうか…
898 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 01:07:58.21 ID:Yi7mKawN0
と、いうわけでぱぱっと書いてみた
こんな感じでみんなもっと気楽に単発書けばいいと思うの
そしておやすみ、今日は七回忌あったし疲れたぜ
899 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 01:10:24.31 ID:W5yJk2/30
何時の間に単発が。乙です
狼と羊か
900 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 01:18:21.31 ID:iNUCAceMo
1レスでなにかやるの自分は無理だなー
2次創作とかのSSみたいな共通のバッググラウンドあればできなくもないけれど
901 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 01:22:36.16 ID:W5yJk2/30
単発とは書いてあるが誰も1レスとは言っていないのがミソか
ましてや単発の人の秀逸な1レスネタを書こうとすればドツボに嵌まる
では…
902 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 02:45:46.75 ID:W5yJk2/30
男 「ここが問題の…」

友 「ああ、間違いない。過去の目撃情報から総合するにココしかない」

男 「ほ、本当にやるのか?」

友 「何だビビってるのか、心配するな俺も一緒に入るからな!」

男 「いや、そうでなく、昼休みとはいえ堂々と女子トイレに入るのは、その、マズくないか?」

友 「大丈夫だって、堂々と入れば! それに俺達報道部なら女子トイレに侵入になんて日常茶飯事だろ?」

男 (ねぇよそんな日常茶飯時…)

友 「明日になったら改修工事が入るからな、チャンスは今日だけだ。いざ突入!」

男 「お、おい、待てったら」



友 「確か三番目のトイレだったハズ」

男 「誰もいないよな…」

友 「よしじゃあ始めるか。一旦ドアを閉めて」 コン コン コン

友 「はーなーこさーん」

男 「…」

友 「……」

男 「ほらやっぱり学校の怪談なんてしょせ」 カチッ

? 「はぁあぁいぃぃ」

男 「…!?」
903 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 02:46:22.88 ID:W5yJk2/30
友 「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! 出たぁぁぁぁぁぁ!!」 ダッ

男 「あっ、おい! 自分だけ逃げんな!!」

男 「…」

男 (誰かのイタズラか…?)

男 「でもトイレの中には誰もいないよな…」 キョロキョロ

男 「さっきは確かに空室だったハズだ…まさか…」  ギッ キィィィ

? 「わ、わぁ…」 ピクッ

男 「ッ!?」



男 (女の子だ…しかも子ども…)

男 (吊りスカートにブラウス…まさか本当に『花子さん』だってのか!?)

男 「き、キミは、は、『花子さん』、なの、かな?」

? 「そう…ですけど…、さっき、わたしを…よんだひとは、おにいさん、ですか?」 ジーッ

男 (上目遣いで見つめられてる…ヤバい、可愛い…)

男 (この可愛さ…ウチの妹レベルに匹敵するぜ…)

男 「な、なあ」

花 「なっなん、なん…ですか?」 モジ...

男 「お医者さんごっこ、しようか」
904 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 02:46:52.95 ID:W5yJk2/30
花 「!?」 ビクッ

男 (!? 俺は今、な、何と言った? 何だかトンデモない事を口走ってしまったぞ…)

花 「ぁ、ぁぅ…」 プルプル

男 「あ、ち、違うんだ今のは」

花 「…っ!」 バタンッ

男 「! ご、誤解なんだっこれはっ」 ガッ ギィィィィ

花 「ひっ」

男 「いやその…なんて言うかな、今のは本心が、いや違う! その、可愛くて、つい」

花 「や、やだっ、いやぁっ」 ジワァッ

男 「ち、違う! 誤解だ! これは、そう! ちょっとした気の迷」 ドゴォッ 「ぐふうっ」

花 「嫌ぁぁぁぁっ」 パタパタパタパタ

男 「ぐ、くそっ、頭突きして、出て行くとはっ、痛えっ、お、おいちょっと待って!」
905 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 02:47:26.15 ID:W5yJk2/30
男 「ええっと、ドコに行ったんだ…」

友 「やーすまんすまん、いきなり声がしたもんだからビックリしてついさあ…大丈夫だった?」

男 「お、友。それよりお前、さっきこの辺で吊りスカートにブラウス着た女の子見なかったか?」

友 「は、お、お前それ、『花子さん』の事か?」

男 「ああ、居たんだよ小学生くらいの女の子が。飛び出して行った、見なかったか?」

友 「お前、俺だけ逃げた事に…怒ってる?」

男 「違う、『花子さん』は居たんだ。だが俺が誤解を…くそっ、後でな友!」 ダッ

友 「へ…?」

友 (アイツ…人を騙してからかう様な奴じゃないしな)

友 (まさか本当に『花子さん』が…)

友 (ひょっとすると、アイツ、憑り付かれたんじゃあ…だとしたら大変だ…)
906 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 02:49:37.41 ID:W5yJk2/30
単発の筈がオノレ…かなり難しいな
もっと試行錯誤せねば
907 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/19(月) 08:10:30.45 ID:MQ1VFxKi0
ええい、皆して可愛い話書いて……皆様乙ですの
花子たんペロペロスリスリ
単発か、単発単発…書きたいのは山ほどあんだけどなぁ
908 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 10:45:08.42 ID:UaUbV/qk0
皆様に乙をいいつつ

単発は、書きたいシーンだけ書くようにしてると自然と1レス(80行)で収まったりする
つまりは長いものが書けないだけだろっていう
909 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 14:10:38.79 ID:cnG7ISRDO
乙でした
短く纏めるのが難しいならそれは得意な人に任せて
自分は長くても読み込ませる単発書けばいいじゃない
910 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 16:31:22.42 ID:WcV8iCLf0
てすてす
911 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 16:32:13.61 ID:WcV8iCLf0
よーしよしよしよーし!ヤッタネ
912 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/19(月) 22:00:30.69 ID:1wWVs/yq0
さて、いつ頃単発祭りいくのよ
913 :葬儀屋 ◆yeTK1cdmjo [sage]:2011/12/19(月) 22:25:13.94 ID:4O09s20DO
12/24の22時から
もしくは12/31〜1/1
ちょっと遠いところでは2/14
914 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:26:56.66 ID:o4JqgExeo
その時間設定はやめろwwwwやめるんだwwwwww
915 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/19(月) 22:57:57.04 ID:1wWVs/yq0
ふぅ……良いぜ、そのフザケタ性の6時間を!ぶち殺す!
916 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/19(月) 23:05:35.01 ID:zcXDXOEm0
早速クリスマスネタを書いてる馬鹿がここに
917 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 23:29:25.33 ID:pUP09sed0
>>913
なるほど…つまり参加しなかった場合は
最悪、リア充疑惑を掛けられても文句は言えないと…
面白い、乗ってやる!
918 :単発(?)  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/19(月) 23:50:28.92 ID:zcXDXOEm0
「サンタクロース」を知らない人は恐らくかなり少ないでしょう
年に一度、12月25日――クリスマスの未明に子供達にプレゼントを配るという、
言わずと知れた子供達の古くからの英雄であり、憧れです
クリスマスまで、あと1週間
しかし、「サンタクロース」は別にクリスマスの日にしか働かないということはありません
今日は当日に向けて陰ながら努力をしている、1人の「サンタクロース」に焦点を合わせてみましょう

最初に断っておきますが
「サンタクロース」は皆が皆、私達の想像通りの姿恰好をしているとは限りません
例えばこの「サンタクロース」は

「うぉーい、そろそろ学校町じゃ、スピードを落としてくれーい!」

帽子も服も御存じの通り、赤と白です
ただ、このサンタは爺臭い腹巻きをしています、それも短足です
さてこの腹巻きサンタ、ソリに乗って夜空を飛んで、目的地に向かう途中です
ソリを引いているのは……トナカイ? いえいえ

「みんなー、ジジイが止まれって言ってるぜー?」
「えー!? 折角スピード乗ってきたとこなのにぃ!!」
「…つまんない」
「ふえ、っへぇ、わ、私、ちょっと、疲れ、ひぇ……」
「っちょ、1人死にそうになっとる!?」
「ジジイー、私お腹減ったっちゃ」
「さっきお菓子食べたばかりだろうが」
「けけけけwwww深淵の龍玉キターwwww」
「こらー! 皆騒ぐなー!」

9人の幼女です
順にダンサー、ダッシャー、プランサー、ヴィクセン、ドゥンダー、ブリッツェン、キューピッド、コメット、
そして先導している赤い鼻、もとい、赤い“花”を髪につけたルドルフ
一応、トナカイの角(パーティ用の?)を頭につけていますが、やはり人間の幼女です
その9人のトナカイコスプレの幼女にロープを持たせ、ソリを引かせているのです
どう見ても虐待です、本当に有難うございました

「ええいやかましい! 止まるったら止まるんじゃ!!」

そしてこの腹巻きサンタ、かなり口が悪いです
ついでに言えば目つきが悪いです、子供が見たら泣き出すレベルの悪さです

「ちぇ、分かったよ……ルドルフー、合図宜しく!」
「リーダーに命令するなー! 行くよ皆! せーのっ!!」

キキィッ!!と空中で9人同時に急ブレーキ
ところで皆さん、「サンタクロース」はマッハ37の速さで移動しているというのを御存知でしたか?
というのもこれは厳密に言えば誤りです
御覧の通り、サンタはソリに乗り、それをトナカイが引いているのだから、
本当に速いのはトナカイ、つまりはルドルフ達なのです
それを考慮するとソリが飛んでいるのはソリ自身が飛行していた訳ではないので、
このように急ブレーキしてしまうとルドルフ達は兎も角サンタを乗せたソリは「うぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ……」

ドズーン

「…落ちた」
「ちょwww何故落とたしwwwwてかナバル美味しいですwwww」
「何呑気な事言ってんの! 早く様子見に行くよ!」
「「「「「「「「えー!?」」」」」」」」
「『えー』じゃない!」

勿論地上まで行くのにそんなに時間はかかりません、あっという間です
そこにはボロボロになったソリの下敷きになった腹巻きサンタの姿が
919 :単発(?)  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/19(月) 23:51:10.43 ID:zcXDXOEm0
「痛たたたたた……おいコラ助けんか!」
「何やジジイ! こちとら心配して駆け付けたったっちゅうのに!」
「そうだっちゃ! お菓子よこせっちゃ!」
「ええい、じゃかぁしいわ! いつからお前等はそんなになってしもうたんじゃ!
 昔はもっとこう……可愛げがあってのう」
「わーいロリコンジジイー」
「いや、いや…そんな目で見ないで……」
「何でそうなるんじゃ!?」
「あ、立った」
「立てるわ! これくらいで立てんようになったら「サンタクロース」は名乗れん!」
「サンタおじ様、確かこの間風邪を…」
「言うなルドルフ、それ以上何も言うな」
「やーいやーい風邪引きロリコーン」
「「「「「「「ロリコーン」」」」」」」
「ひっぐ…ロリコン怖いよぉ……」
「コラお前ら! 変な事をほざいとるからヴィクセンが泣いてしもうたぞ!」
「おい、そこのお前」
「何じゃ、今忙し―――――――」

サンタの表情は一瞬にして固まりました
2人並んだ男性は、黒いコートと紺色の制服、帽子には金色の桜印
寒い中お勤めご苦労様です

「こんな真夜中に子供を連れて何処へ行くつもりだ」
「そのソリにある荷物も怪しいな」
「え、あの、これはその」
「「話は後で聞こう」」

がしっ、とサンタは両腕を掴まれ、2人のお巡りさんに連れていかれました

「っは、離してくれ! ワシはサンタじゃ! 子供達の手紙を回収しに来たのじゃ!」
「腹巻きしたサンタが世界中の何処にいるんだ。 もしもし?怪しい男を捕まえた……」
「お嬢ちゃん、家まで送ってあげるよ」
「え、あ、いえ、自分達で帰れますから…」

と、そうこうしている内にサンタは闇に消えていってしまいました

「…ねぇ、どうするっちゃ?」
「どうするって言われても……私達はトナカイだから、おじ様がいないと何もできないし」
「ふえええええん、サンタさあああああああん…」
「あーあー、ヴィクセンまだ泣いてんで」
「じゃあさじゃあさ、どっかお昼の国で遊び行こうぜー!」
「日本から離れるのはまずいだろ、流石に」
「いいじゃん別に、ダンサーに賛成! それじゃお先に♪」
「…私も」
「ダッシャー!プランサー! 待ちなさい!」
「うはwwww瑠璃色の龍玉キタコレwwwww」
「いつまでモンハンやってんのよ!?」

クリスマスまであと7日
サンタは子供達にプレゼントを配る事ができるのでしょうか
『お巡りさんと戦う為に腹巻きを卒業したいサンタさん達……』、次回に御期待下さい

「趣旨が変わっとるぞ!?」
「質問に答えろ。目的は何だ? 誘拐か?」
「だ、だからワシはサンタであれはトナカイで…」
「もっとマシな嘘をつけ」
「ルドルフー! 早く迎えに来てくれーい!!」


   ...めでたしめでたし
920 :シャドーマぁんっ♪  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/19(月) 23:54:21.11 ID:zcXDXOEm0
特に意味も目的もない
ただこういうのが書いてみたかった…今年でロリコンが一人消えるんでその補充も兼ねて

>>917
逆に言えば来なければリア充認定か……皆に弄って貰える…!(何でそうなる
妹とデートの約束してくるわ
921 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 01:34:09.86 ID:hx5AZ69DO
ようやっと追い付いた
皆様投下乙ですー、と言いつつなにやら面白そうな企画が

投下ネタの縛り次第では参加できるやもしれません
ちなみに当方、投下予定時刻に予定はありません
泣いてません
922 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 01:36:48.71 ID:x21X2ePM0
単発祭りか

論文を提出するという修羅場さえなければ参加したい
いや、参加してやる
923 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 04:51:16.29 ID:onJGllgs0
論文は書こう…
924 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 11:37:50.37 ID:JbykF0fDO
論文は書こうぜ…
925 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/20(火) 12:18:38.55 ID:/d72BQI/0
人は何かの犠牲無しに何も得る事はできない
つまりそういうことだぜ
何を犠牲にするかは貴方次第d(
926 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 13:19:36.72 ID:3tvfx+S/0
お、単発祭り、その日程なら参加できるかな


あ、俺、リア充イベントはつい最近クリスマスファンタジー見てきてもう終わらせたんで
927 :ソニータイマー [sagesaga]:2011/12/20(火) 13:57:12.37 ID:aprXXt7y0
>>922
右手で論文を書いて左手で単発を書けば問題ない!


…と、いうのは冗談だから論文を優先しよう
928 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 14:34:13.92 ID:JbykF0fDO
聖夜は都市伝説スレの面々でパーリナィか…
929 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 19:16:45.19 ID:hx5AZ69DO
リアルが駄目ならネト充すればいいじゃない(駄目人間)

あと単発祭りするには残りレス数が危ない気が
雑談か投下でこのスレ埋めて、新スレで単発祭りを開催するのがきれいだと思います
スレも上がって目立つし一石二鳥
930 :シャドーマぁんっ♪  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/20(火) 22:32:14.51 ID:+c25qOk20
つまり今が投下のチャンスか……
くそっ、何故こんな時に限って筆が進まないorz
931 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/20(火) 22:47:21.09 ID:SZrD5xKZ0
とりあえず投下祭り用の単発書き終わった
何時言われても投下できるぜ
932 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 23:02:56.99 ID:hx5AZ69DO
え、なにそれ早い素敵!抱いて!ごめんなさい!

投下ネタにジャンルとか条件とか縛りとかないんですかね?
ドMの「さしすせそ」とか新規さんがわかりやすいようにとか時事ネタ(聖夜)とか
オールジャンルオールフリーでよいのですか?無論節度を持って
933 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 00:24:50.91 ID:+zqRropDO
>>932
サラリーマン契約者の日常を描いた単発書いてる自分が言うのもあれだけどフリーダムでいいじゃない
934 :シャドーマンの契約者@Xperia [sage saga]:2011/12/21(水) 00:37:59.61 ID:j781aIPc0
節度持ってなくてごめんなさいorz
935 :単発ネタ [sage]:2011/12/21(水) 00:52:23.54 ID:9MAWJBCSO
「暇だわ」
本当に退屈そうに黒服の女がそんな事を言った。
組織の光線銃と、契約者の能力と怒号が飛び交う建物での話である。
組織の敵となる契約者の集まりを、組織が襲撃した。そんな場面のようだ。
奇妙な風景だった。
腕の吹き飛んだ黒服が、腹に穴の開いた黒服が、口の裂けた黒服が、まるで傷など無いかのように歩く。
足を擦りむいただけの契約者が、頬に小さな切り傷のできた契約者が、手を火傷した契約者が、まるで重傷のように痛みに泣き叫び、呻き、うずくまっていた。
黒服達は契約者の攻撃を全く恐れずに突っ込んでいく。
「彼らは、命がいらないのですか?」
黒服の女の隣で、同じく黒服の男が呟く。
「命?」
男の言葉に、女は意味が分からないという顔をする。
「彼らは人形よ?大量生産できる感情の無いお人形」
「そう、ですか……」
この場にいる黒服は、この二人以外、感情の無い黒服らしい。
そんな無表情な黒服が一人、真っ黒に火傷した右半身を引きずりながら近づいてきて、黒服の男に耳打ちをする。その動作に、火傷の痛みを気にしている様子は無い。
「見つけたらしいですよ」
「そう、それじゃあ行きましょうか」
「え?直々に会いに行くんですか?」
「えぇ、少しは、退屈を紛らわしてくれるかもしれないわ」
黒服からの報告を受け、二人は建物の奥へと進む。

936 :単発ネタ [sage]:2011/12/21(水) 00:53:00.15 ID:9MAWJBCSO
重傷の黒服が歩き、軽傷の死体が転がる建物の最奥に、初老の男がいた。
それが、今回、組織が襲撃した目的。もちろん、老人一人の為にここまでするのは、過激派だからだ。
老人の手には一冊の赤い本。
「わたしが、何をしたと言うんだ」
「何も。貴方はまごうことなき善人よ。
 貴方の為に命をかけて戦える人間が、この建物に何人も集まる程に。襲撃の為に集めた契約者が寝返る程に」
老人の呟きに答えたのは、先の黒服の女。黒服の男は連れていないようだ。
「さて、最後通牒よ。その本を渡しなさい」
女の視線が向かう先には、赤い本。
その昔、とある少年が悪魔から騙し取った一冊の魔導書。
「わたしは、この本で何も悪さをした事はない。これからも悪事に使う気はない。
 だというのに、何故だ。何故、わたしから、この本を奪おうとする」
「貴方がその本を、人を襲う都市伝説や契約者を懲らしめる為にしか使っていない事は知ってますよ」
「では、何故……!?」
「だって、貴方が善人かどうかは関係ないでしょう?」
意味が分からないという顔をしながら黒服の女は言う。
「ミサイルの発射ボタンを個人が管理していて良いわけがないでしょう。
 たとえ善人でも、感情的になって、或は、頭がおかしくなって、ボタンを押すかもしれない。悪人にボタンを取られるかもしれない。
 個人にそんな危険な物の管理を任せるわけにはいかない。そんな物は皆で管理しなくては。そして、その為の私達、組織です」
「なるほど……、たしかに、一理あるのかもしれん」
「でしょう?」
「だが、やはり、この本は渡せん」
「………………」
「お前達、組織の過激派は、その『悪人』だろう」
そう言って老人は、赤い本を開く。
「あら、酷い勘違いだわ」
黒服の女は、慌てる事もなく少し楽しそうに呟く。

937 :単発ネタ [sage]:2011/12/21(水) 00:54:17.68 ID:9MAWJBCSO
66個師団という膨大な数の悪魔の軍兵を率い、地獄軍におけるあらゆる権限を持つ悪魔、バアル。
その悪魔を自由に操る本。
それが老人の持つ都市伝説「アッピンの赤い本」である。
老人はその本を使い、悪魔を呼び出す
「っっっっっっぁ゛!!!!??」
事ができなかった。
身体中から襲い来る痛みに、老人はうずくまる。
正体不明の激痛に本を取り落とす。
「……はい、終わり」
退屈そうに黒服の女は言った。
「痛みでそれどころじゃないかも知れないけれど、私は『痛みの基準はハナゲ』っていう、ジョークみたいな都市伝説と契約していた黒服なのよ」
鼻毛を抜いた時の痛みを1とする統一単位があるという都市伝説。
はたして、それがどうしてこうなったのか。黒服の女の能力は、痛みを操る事。
どのような重傷でも、痛みを無くす。
ただ足を擦りむいただけの痛みを、足がちぎれたような痛みにする。
髪の毛にすら痛感を与え、老化や新陳代謝と呼ばれる、傷などと定義されるはずのない細胞レベルの死に痛みを与える。
そして、大きな傷など無くとも、激し過ぎる痛みは、それだけで人を[ピーーー]。
「         」
「あら、もう死んだの?」
老人から返事は無く、その身体はもはや動く事はなかった。

「……終わりました?」
ひょっこりと、黒服の男が顔を覗かせた。
「えぇ、そちらは?」
「終わりましたよ。敵対契約者は全員死亡です。……過激ですね」
「生き残って逆恨みされても迷惑でしょう。そんな事より、終わったなら帰還しましょうか」
「はい……」

「暇だったわ」
本当に退屈そうに黒服の女がそんな事を言った。
事件の隠蔽につとめる黒服と、死体となった契約者のある建物での話である。
その手に一冊の赤い本を持って。

938 :単 発 [saga]:2011/12/21(水) 02:37:19.54 ID:Imu9N/Zm0
「えー、このような話は『組織』じゃあよくある事でして
 ……えー、そう! チャメシ・インシデントなんでございますー」

赤い照明が淡く光る長い廊下を二人の男が歩いている
一人は黒いスーツに身を包んだ若者で、汗をにじませながらもう一人の男に話をしている
話を聞いている男の方はシャツに白のパンツといった格好で中年という言葉が似合う齢にみえる
中年の男は笑みをたたえながら黒スーツの話に相槌を打っている

「しかし、えー、このような過激とも言える行為は、あー、時として重要なのです
 そのー、つまりー、凶悪な都市伝説を駆除したり、あとー、そう、強すぎる力を持った都市伝説を
 えー、そう、管理、管理して、都市伝説の恐怖から一般の人々を守る、それがワタクシども『組織』の崇高な使命なのです!」

「なるほど、聞いてた通りの危険そうな仕事だな」

「あ、いえっ、そのー、実はですね!
 直接駆除にあたる『組織』所属の黒服や契約者はかなりの人数おりまして
 今、ワタクシどもに必要なのは、えー、そう、情報収集に協力してくれる契約者の存在なのですー
 アナタは、ワタクシどもが求めていた人材に合致する、えー、きわめて優秀な契約者様でして、えー
 ワタクシどもの上司もですねー、アナタの能力をー、素晴らしいものであると、その、高くー、評価しております
 前線での駆除任務という危険な任務をおこなう必要はー、無いのでございますー、その、日常生活の中でですね
 何か、都市伝説の気配がしたとか、それからー、えーと、何か怪しい動きがあったとか、そういう事を私どもに連絡して頂ければ……」

「私の契約した都市伝説は『臓器泥棒』でね……
 自分で言うのもなんだが、情報収集よりも駆除の仕事の方が能力的に相応しいと思うんだが?
 それでも、危険な駆除の仕事は私の方へ回ってこないと。そう断言するのかい?」

黒スーツの話を切って、中年の男は問い掛けてきた
黒スーツは愛想笑いを貼り付けた顔のまま固まってしまった
思わず立ち止まってしまった。中年と目が合う――彼は先程のように笑みを浮かべている

「え、あ、も、勿論でございます!
 アナタに危険な任務が回ってくる事はまずありませんしー
 そのー、えー、そう! やりたくない任務の依頼は拒否する事だって可能ですー」

「なるほど、それはありがたい」

黒スーツの若者は頭から多量の汗を噴き出していた
笑っているはずの口元は、質の悪い緊張の為にヒクヒクと痙攣を起こしていた

「ではー、説明の続きをー」

そう言って歩き出そうとし――彼がまだ立ち止まっている事に気付いた
笑みを浮かべた顔のまま、男はこちらをじっと見ている

「もう一つ質問していいかな?」

「な、ななんでございましょう?」

「君は確か、さっき、『組織』の仕事は凶悪な都市伝説を駆除し、強い力を持つ都市伝説を管理して一般人を守る、そう言ったね?」

「は、ハイ! その通りでございますー、ワタクシどもはー……」

黒スーツが喋り出そうとしたところで、中年は手のひらを向けて制した
939 :単 発 [saga]:2011/12/21(水) 02:39:00.81 ID:Imu9N/Zm0

「この町で、かつて猟奇的な事件が立て続けに起こった
 犯人は、『ハーメルンの笛吹き』と名乗った。彼は強い都市伝説使いでもあった訳だ」

知ってるだろ、と中年は尋ねてくる
黒スーツが答える間も無く、男は再び話し始めた

「彼は一般の人々に恐怖と不安を与えた。都市伝説の能力を存分に利用してね
 罪もない多くの人を殺し、人々の日常を破壊した。時には策謀で何も知らない者を陥れた
 君たち『組織』だって彼による痛手を被った。その害は決して小さなものじゃ無かったはずだ
 にも関わらず、聞く所によると、彼は今もこの町でのうのうと生きているそうじゃないか
 ささやかな幸せも手に入れた、そういう話も耳に入ったよ」

黒スーツは自分の手が震えている事に気付いた
もう一方の手で震えを掴み、抑えこもうとした
粘っこい唾を熱を持った喉の奥へとムリヤリ送り込む

この男は先程と同じ笑みを浮かべている
それだけだ。それだけなのに、異常だった
何故こうも重圧を感じるのか。目の前の男は黒く、重いものを放っている
黒スーツはそれが何であるのかを知っていた。駆除の任務に従事した時、嫌でも感じる重圧――殺気

「何故、『組織』は『ハーメルンの笛吹き』を駆除しようとしない?」

中年の男は一歩、黒スーツへ歩み寄る
黒スーツの若者は目の前が真っ白になる錯覚を覚えた
心臓が打ち鳴らされた早鐘のように暴れているのが分かる

「私の息子は、『ハーメルンの笛吹き』に殺された
 高校に入学した春の夜だったよ、複数の惨殺死体と一緒に発見された」

気付けば中年は真正面に立っていた
いつの間にか、その顔からは笑みが消えている
表情の拭い去られた眼が、黒スーツに突き刺さった

「何故『組織』は『ハーメルンの笛吹き』を見逃した?
 何故、私の息子を殺し、罪のない子を殺し、多くを陥れた彼は、今もなお、のうのうと生きていられる?」

「え、あ、あ……、え、そ、それは、あ……」

酷く上ずった声だ
自分の出したものとは思えない
麻痺しかけた黒スーツの思考は、辛うじて過去の『組織』の通達を思い出した
『上層部』は、『ハーメルンの笛吹き』を捕殺対象から取り下げたのだ
知っているのはそれだけだ、理由など分かるはずもない

場を沈黙が支配した
中年の眼差しに射抜かれたように黒スーツは硬直していた

「まあ、いいさ」

中年が口を開いた。黒スーツから離れる
場を支配していたはずの殺気は消えていた
黒スーツは自分が荒い呼吸を繰り返しているのに気付いた

「『組織』が何故『ハーメルンの笛吹き』を見逃したのか
 ま、『組織』と協力している内に、そこの所は見えてくるだろう
 もしかすると、『組織』と彼は協力関係にあるのかもしれないしな」

中年は黒スーツににっこり笑いかける

「さ、じゃあ『組織』を案内してもらおうか」

「あ、え、も、勿論でございます
 え、えー、では、まずですね、この廊下の向こうへ……」

中年の言葉にビクついたかのような反応をした黒スーツは、上ずった声のままギクシャクした足取りで歩き始める
中年も笑ったままの顔でそれに続いた。やがて二人は、長い廊下の続く闇の向こうへと消えて行った


940 :ピューっと吹く笛 [saga sage]:2011/12/21(水) 12:35:48.88 ID:6SwSRGUZ0
短発の人ダブル投下乙でした!
ぐおおおおおお!やりたかったネタだったんだよ2つともおおおおお!
これはすげえ創作意欲刺激された
単発祭りの為にもう一本書かざるを得ない
やるぞ!超やるぞ!
組織の過激派や強硬派に正義の味方活動を見咎められて嵌められる彼とか
後半の話で出てた彼に妹殺された烏天狗の契約者の話とか書かなくては!
941 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 15:58:11.36 ID:E/b85j++0
皆様おっつ

ふぅははは、単発祭りだってのに思いっきり風邪悪化して熱が38度だぜ!
昨日なんて、頭痛くてパソコン画面見てるだけで辛かったぜ!
今も熱あるはずなんだけど、今の場合むしろパソコンやり続ければ元気になるってのはどーゆこったい

ま、祭り本番までに風邪治して投下するんだからっ!
みんなも、体調は万全にね!お兄ちゃんとの約束だ!!
942 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/21(水) 16:14:03.38 ID:diJd/a4t0
つ ハバネロ
943 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 16:53:50.60 ID:9MAWJBCSO
さあ、尻をだせ


           /7へ,、
          ,///スく
         ,ノ'彡/"´
         ,/,/'"
     ,/,/
   ,./,/
   えr'"


944 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:04:29.71 ID:Imu9N/Zm0
生のショウガをそのまま食すとよろしい
治りが早い。斯く言う私も今朝食した
945 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 18:31:24.44 ID:Q9yyoNlS0
頭に冷えピタ貼って、やることないからライガーゼロを組み立てはばらし、を繰り返してたら

39度の高熱がいつの間にか止んでた経験がある
946 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 18:49:13.59 ID:+zqRropDO
このスレでTRPGをやったらどうなるのか
GMだかキーパーはあれな、ドクターの人な
947 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/21(水) 19:05:10.31 ID:XAAGwKPNo
単発祭り……だと……
繰を酷い目に遭わせてるうちになんか面白そうな事が始まろうとしている
何かネタを! 助けてグーグル先生!

>>943
> さあ、尻をだせ
>>944
> 生のショウガをそのまま食すとよろしい
胃腸が弱ってると逆にダメージを受ける事もあるから刺激物は程々にね!
毒も適量なら薬だけれど、薬も過ぎれば毒となるってもんで

>>945
> 39度の高熱がいつの間にか止んでた経験がある
別の事に意識を向けてるうちに体力が回復して治ってるというのはよくある事

>>946
> GMだかキーパーはあれな、ドクターの人な
花子さんとかの人とか笛の人の方がよくね?ww
ちなみに自分、最近のシステムはリプレイ読み専でルールブック持ってません(爆)
948 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 19:26:24.57 ID:dNq3yv1H0
>>942>>943>>944>>945
ありがとう!そして、ありがとう!!
とりあえず晩御飯は腹八分で食べたしきっと大丈夫
脳みそ的には「カレー食いてぇ」とか思い出したんでだいぶ復活してる

>>947
>花子さんとかの人とか笛の人の方がよくね?wwww
俺、セッションに参加した事すらないんですがwwwwwwwwwwww
興味はあるんだけどねぇ
949 :ピューっと吹く笛 [saga sage]:2011/12/21(水) 21:58:25.03 ID:6SwSRGUZ0
>>947
俺、信じてる
ドクターの人なら皆を絶望させるような展開にしておいて最後に心温めてくれるって
950 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/21(水) 22:30:42.42 ID:W1fbJ8gAO
単発祭りだとー!
ここまで投下した皆様乙
ぜひ一回くらいノらなくちゃ
ちきしょう早く墓地組の続きとクリスマスネタも仕上げないと

>948
お大事にですよー
951 :さよなら  、また     ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/21(水) 23:46:09.50 ID:XAAGwKPNo
「さてまずは手を落とすか足を落とすか」
「喉を焼くのが先ではないのか」
「瞼を縫い合わせるのはどうだ」
「縫い合わせるなら孕ませてから膣をではないのか」
「それは仕込みに時間が掛かる、やるにしても後だろう」
「そもそも売るのか、見世物にするのか、客を取らせるのかを先に決めなければいかんだろうに」

 剥き出しになったコンクリートの上に、ぐったりと転がった繰を囲み
 男とも女ともつかない人型の群れが、あれやこれやと意見を交わす

「内臓を摘出して売るという意見は無いのか?」
「あいつは今、現実に食われ気味で力が弱くて駄目だ」
「『本当にある』と、それは『都市伝説』ではなくただの『事件』だからな」
「それはともかくとして、だ。やはり基本は手足の切断だろう」
「やはりそうだな。追加要素は後々で加えれば良い」

 ずるり、と
 虚空から引き抜かれる、包丁、斧、鉈、鋸

「まずは足だな」
「逃げられないようにしなくてはな」
「三年前のように、邪魔が現れたりはしないだろうな」
「今はまだその気配は無い」
「『くねくね』と『八尺様』が足止めをしてくれるそうだ」
「そうだとしても早めに済ませた方が良さそうだな」

 そう言って足元に転がる繰に視線を落とした人影の顔面に、一抱えほどもある大きさの拳がめり込んだ
 腰を屈めてくの字になった身体が、一気に反対向きに折れ曲がって宙を舞い、コンクリートの床にぐちゃりと叩き付けられた

「……黙って聞いてりゃ、好き放題言って、くれるわね」

 震える身体で、辛うじて寝返りを打つように身を捩り、手術台のような何かを背にして身を起こす繰
 その身に受けた『八尺様』の呪詛はそのままに
 その心に刻まれた恐怖という傷もそのままに

「いつまでも……黙って、大人しく震えてるだけと、思うんじゃないわ、よ」

 きり、と唇を噛み
 鋭い視線で自分を取り囲む集団を睨みつける

「虚勢だな」
「言葉とは裏腹に、震えは止まってはいないぞ」
「『八尺様』の呪詛もその身を蝕んだままのようではないか」

 様々な刃物を手にして繰を取り囲んだ集団は
 じり、じりとその包囲の輪を縮めていった

―――

 繰を攫ったカーテンがふわりと虚空に消えて、周囲をきょろきょろと見回している菊花を尻目に、弥依はくすくすと笑う

「あとはこの子を始末しとけば、『客が消えるブティック』に任せておけるわね」

『八尺様』を背負った映が、ぬらりと視線を中央高校の方へと向けると、弥依は思い出したように苦々しく顔を歪めた

「そうね。これを片付けたら、逢瀬の奴も……殺しちゃおうか」

 弥依の手が、小さな菊花の背中に伸ばされる
 その手が菊花の着物の襟を掴もうとした、その時
 横から飛び込んできた影が、弥依の手をすり抜けて菊花だけを奪い去る

「……っ! 映!」

 駆け抜けようとした影の行く手を塞ぐように、滑るような動きで行く手に立ちはだかる映と『八尺様』
 菊花の着物の襟を咥えたまま、『八尺様』を警戒し足を止める猫、ダミア
 襟を引っ張られた勢いで着物がずれ、膝上近くまで上がった裾を直そうとわたわたしている菊花を他所に、ダミアはすうっと目を細めてふんと鼻で笑う
 随分と大柄で丸いダミアではあるが、それでも人間の姿形をしたものから見ればかなり小さい
 それを捕えようと身を屈めていては、素早い動きなど出来るはずもない
 首をひょいと巡らせて菊花を背中に放り上げると、身の丈が大きな『八尺様』の足元を容易にすり抜けて、あっさりとその背後に回り込んでしまった
 そのままとっととその場を離れようとするダミアの頭を、背中にしがみついてぺしぺしと叩く菊花
 声を出す事のできない菊花だが、契約者との意思の疎通は可能な他、察しの良い人や動物などは彼女の言いたい事がなんとなく伝わる事もある
 ダミアは面倒臭そうに踵を返すと、着物を正した菊花を背に乗せて
 映と『八尺様』、弥依と『くねくね』と向かい合う

「逃げないの? こっちにとっては好都合だけど」

 弥依に貼り付いていた紐のような手足を解き、ぬるりと地面に這わせる『くねくね』が
 捻れ、うねり、のたうつように地面を叩き、跳ねるように菊花とダミアに躍り掛かった

―――
952 :さよなら  、また     ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/12/21(水) 23:47:00.49 ID:XAAGwKPNo

 呼吸は荒くなるどころか、既にひゅうひゅうとか細くなる一方
 制服は既に肩から先はぼろぼろに切り裂かれ、スカートも原型を留めていない
 肩口から二の腕、太股から膝にかけては様々な刃により傷だらけになっており、流れ出る血によって赤い手袋とタイツでも着けているかのような有様だった
 だがその周囲には、叩き潰され、捻り潰され、引き千切られた『客が消えるブティック』の人影達が無数に転がっている

「あと、は……あんた、だけ、だ」

 意識を失いそうになり落ちかける瞼を引き上げる事もできず、首を上向きに曲げ見下すような視線を向ける事で、ようやく霞む視界を確保する

「『八尺様』に命を握られ、『くねくね』に狂わされ、我々『客が消えるブティック』の恐怖を刻み付けられ……何故、戦える」

 手に鉈を持った『客が消えるブティック』の一人が、仲間の骸を前に震える声でそう尋ねる

「菊花、が、戦える力を……貸してくれて、いるから」

 背にした壁から上体を引き剥がし、倒れ込むようによたよたと前へと歩き出す

「先生が、私の、居たい場所に、なってくれて、いるから」

 ただ倒れないようにするためだけに前に出る足が、敵を目の前にして一歩だけ強く床を踏み締めて

「こんな私を、友達だと言ってくれる、佳奈美が……いる、から!」

 待ち構えていたかのように振り下ろされた鉈が、繰の左腕に食い込む
 肉を裂き骨を砕く嫌な音が響くが、それが腕を落とすよりも速く、繰の髪の毛の拳が『客が消えるブティック』の顔面にめり込んだ
 鉈を手放し、コンクリートの床を跳ね転がる『客が消えるブティック』が、闇の中に隠れるようにひっそりと立っていた鏡張りのドアに激突し、それを粉々に粉砕しながら向こう側へと飛び出していった
 その勢いはドアを粉砕した程度では収まらず、その外に張り巡らされていた厚手のカーテンを引き裂いていく

「さて、と……映と、弥依は、どうしたもんかな」

 髪を伸ばして身体を支えようにも、気力も体力もほぼ尽きている
 先程までの戦いのように、一瞬だけ拳を作りぶん殴る程度の余力すら、繰の身体には残されていないのだが

「……友達、ほっとくわけにも……いかないし、ね」

 自分から流れ出た血でぐずぐずになった靴底の感触に眉を顰めながら
 粉砕され外へと繋がったドアがあった場所へと、一歩ずつゆっくりと前に進んでいった

―――

《時間を稼いで》

 そう頼んできた菊花のやろうとしている事を、ダミアは察していた
 菊花が倒されてしまえば、繰は都市伝説への対抗手段を失ってしまう
 身体や精神の強化に関してはディランとの契約があるために問題無いが、その契約は戦闘能力を共有するタイプのものではない
 死ににくいだけ余計に簡単に、手早く達磨が一つ出来上がるだけという結果に繋がりかねない
 そう考えれば早急にこの場を離れ、繰の奮闘か援軍の到着に期待するべきなのだが、菊花はそれをしようとはしない
 目の前の二人の少女に対して何か行動を起こそうとはしているのだが、菊花はただ機会を待っている

「このっ、ちょこまかと!」

 ありえない曲がり方で伸びてくる『くねくね』の腕を掻い潜り、立ち塞がろうとした映の股の下を駆け抜けて
 つかず離れず駆け回り、時折欠伸などをするダミアの様子に、弥依は完全に頭に血が昇っているようだ

「映、そっち行ったわよ!」

 すぅっと気配を感じさせない動きで、映がダミアの前に立ち塞がる
 余裕でその脇を駆け抜けようとした時、違和感に気付いたダミアが足を止め
 その背後から、映の身体から離れていた『八尺様』の手が菊花に触れようとしたその瞬間
 ガラスが粉砕される音と共に、カーテンの布地に絡まって吹っ飛んできた『客が消えるブティック』が、『八尺様』の横っ面に直撃する
 扉があったかのように切り取られた空間から、よろよろと繰が姿を表すのを確認して、菊花はきゅっと唇を結ぶ

「……ダミア、菊花の面倒見ててくれたんだ……ありがと」

 笑顔を作ろうとしたのだろうか、少しだけ唇の端を震わせる
 そんな繰を見て、弥依が露骨に顔を歪める

「繰……友達なのに。何で、死んでくれないの?」
「友達だから、に、決まってるでしょ」

 声になっているかも怪しい、掠れた吐息

「あんた達に……引っ付いてる、それ……も……そこに転がってる、ボロ布みたいに、引っぺがしてやるから」

 カーテンの布地に包まれて、しゅうしゅうと音を立てて消えていく『客が消えるブティック』
 それにぶつかられた『八尺様』が、取り憑いた映の元に戻り、先程繰に触れた手をきゅっと握る

「う、ぶっ!?」
953 :さよなら  、また     ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/21(水) 23:47:57.13 ID:XAAGwKPNo
 はらわたを握り潰されたかのような感覚と共に、喉からこみ上げてきた血を吐き、がくりと倒れ込む繰

「『客が消えるブティック』に呑まれて欲しかったから加減させてたけど。繰の命は『八尺様』の手のひらの上よ?」
「はっ……すぐ…… ぶっ、飛ばし、て……やる」

 地面に手をついて、なんとか立ち上がろうとする繰
 その手にそっと触れる、小さな手

「……菊花?」

 なんとか顔を上げ、そう問い掛けた繰に
 菊花は笑顔を浮かべて
 小さく手を振って、何かを呟くように唇を動かした

「菊、花……!」

 ふつり、と
 結び目が綻び解けるように、胸の内にあった菊花との繋がりが失われ
 繰の意識は、そこで途絶えた

―――

 こつり、こつり、と
 菊花の小さな身体が、前に歩み出る
 死人に憑いた『八尺様』と
 狂人に憑いた『くねくね』に
 その小さな手をそっと伸ばす

「何……どういう、つもり?」

 菊花の意図を掴めず狼狽する弥依の背後から
『くねくね』の手が菊花に伸ばされる
 死して意図など抱けずに立ち尽くす映の背後から
『八尺様』の手が菊花に伸ばされる

「何を! 何をしたの!?」

 人形とは、人の形をしたもの
 人形とは、人の代わりをするもの
 人の身に降りかかる厄をその身に受けて、その厄と共に浄化されるもの

《いままで、ありがとう》

 二人に憑いた二つのものを肩代わりして、菊花は静かに微笑む
 意識を失ったままの繰に少し不安げな顔を浮かべるも、ダミアが喉を鳴らしてディランが駆けつけてきている事を告げる

《くくるのこと、よろしくね》

 ダミアは欠伸をしながら、ぷいとそっぽを向く
 繰の事はディランに言え、そんな様子で
 菊花はくすりと笑い、『八尺様』に抱き上げられて『くねくね』と手を繋ぎ
 そして、何が起きているか判らないといった様子で立ち尽くしている映の元へと向かう

《かなみはね、げんきだよ》

 菊花はそう言って、背の高い『八尺様』に掲げられ、映の頭をそっと撫でる

《かなみはね、くくるをゆるしてくれたみたいに、あなたのこともゆるしてくれてるよ》

 菊花の手を通して、佳奈美と繰の気持ちが映に伝えられ

「弥依」

 この世に引き戻された映が、初めて口を開く

「心配かけて、ごめんね……ありがとう」
「……映」

『くねくね』から解放された弥依にそう告げて

「繰と、逢瀬にもそう伝えてくれるかな」

 空いた菊花の手と握り、穏やかな笑顔で
 菊花と、『八尺様』と、『くねくね』と共に
 その姿はふつりと虚空に消えていった

―――

「あ」
954 :さよなら  、また     ◆W5H6Y5Rl3M [sage saga]:2011/12/21(水) 23:48:54.24 ID:XAAGwKPNo
 いつものようにソファに転がっていた『友達』が、何かを察知したようにぴくんと身動ぎする

「どしたの?」
「なんか失敗したっぽい」
「ほら、だから言ったじゃない。横着してると駄目だって」
「葉鳥のターゲットがおかしいんだって、きっと」

 ぶつぶつと呟きながら、『友達』はソファから身を起こす

「ちょっと様子見てくるね」
「ん、気をつけてね」
「まあ僕が気をつけるようなものなんて、そうそう無いけどね」

 葉鳥の認識内、主に視界の中では『ただ一人の友達』であるため、『何処にでも居て何処にも居ない』という能力は使えない
 面倒臭そうに玄関から出て行く『友達』に、葉鳥はいつもの調子で声を掛ける

「あ、帰りに何か飲み物買ってきて。炭酸じゃないやつ」
「はいはい。僕のも何か買ってきていい?」
「合計1000円ぐらいまでで」
「了解」

 ただ近所のコンビニに買い物にでも行くような調子で、鼻歌混じりで部屋を出る『友達』
 マンションを出た辺りで、周囲の都市伝説の気配を探ろうとした、その時

「よう、久し振りだな」
「え?」

 その声には聞き覚えがある
 かつて自分を探っていた黒服の女を始末しようとした時に、割り込んできて邪魔をした黒服の男、広瀬宏也
『友達』の思考が、止まる
 この男は『友達などいない』と公言しており、彼の前では自分は存在しないはず
 意図的に近付いてこなければ出会う事は無く、認識する範囲に入った瞬間に自分はどこか別の場所に移動しているはずなのに

「やあ、友達ができたのかい?」
「まさか。お前こそ、友達が居ない奴のところにも現れるようになったのか?」

 目の前の男が、葉鳥と同じように自分を『ただ一人の友達』として認識している様子も無い
 そして『友達』は、一つの可能性に思い至り
 はっとしたように頭上を見上げた
 そこには、ベランダから身を乗り出して自分を見下ろしている葉鳥の姿

「出会う事は無いと思ってはいたがね、出会えるなら話は別だ。お前さんの被害者は相当な数が居るし、まあ黒服としての仕事をさせてもらおう」
「ちょ、待っ、て」

 その言葉は目の前の黒服に向けられたものではない
 その声が届くはずもない、遥か頭上から見下ろしている葉鳥に向けられたもの
 葉鳥に認識されている限り、葉鳥の『ただ一人の友達』として存在は固定されてしまっているのだから

「待てって言われても、俺も割とスケジュールが押してるんでな。ヤバい奴を見逃してる余裕なんざ、これっぽっちも無いんだよ」

 あっさりと
 とてもあっさりと
 この町に居座る最強にして最悪の化物は、ばらばらの細切れにされて消滅した

「随分あっさり倒せたな。俺の事を知ってたようだし、あの時の奴と別って事は無さそうだが」

 あまりの手応えの無さに首を捻りながらその場を後にする宏也に、気付かれる事なく
『友達』が消え果た場所へ、ベランダから軽く手を振っている葉鳥

「まあね、ダメだったらこういう風になるように、仕込んではいた訳だけど」

 葉鳥にとって、『友達』は間違いなく親友と言っていい存在だった
 ただそれは、どうでもいい他人というドミノ牌と、大事な親友というドミノ牌というだけの、絶対的にして無意味な違いだけ
 葉鳥にとって他人は等しく価値が無いという認識なのではなく、価値は様々にあった上で等しくドミノ牌であるという認識なのだ

「君と過ごした日々も、君を巻き込んだドミノ倒しも楽しかったよ。じゃあね、僕の『ただ一人の友達』」

 そう言って葉鳥は、冬の寒空に身を震わせて、温かい部屋の中へといそいそと戻っていき

「あ、買い物どうしよう。自分で行かなきゃいけないや」

 何事も無かったかのように、日常生活へと戻っていったのだった
955 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/21(水) 23:52:51.65 ID:XAAGwKPNo
前回までのお話は
>>827-833、他色々まとめwiki辺りをご参照下さい

トラブルは一先ず一段落、『友達』も倒されて脅威は取り除かれた様子
この一件の続きをもう少し書いて、あとは佳奈美と繰の卒業式に至る予定です
予定はあくまで予定で未定ではありますがww
956 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/22(木) 00:21:00.51 ID:NOdxOkUB0
菊花たああああああああああああああああああああああああんっ!?
おれの…………おれの菊花たんがああああああああああああ!?
ぐすっ、ファンタ飲んでくる…今宵の月は物淋しい

三面鏡の人乙です〜
「友達」哀れすぎる…でも強敵っぽいキャラがあっさり逝く展開も嫌いじゃないわ
957 :ピューっと吹く笛 [sage]:2011/12/22(木) 09:34:40.07 ID:khRaEIDDO
ドクターの人乙でした
こういうラストで来たか…
友達がやられたのは予想外だったぜ
人形の身代わり能力って強力なんだな…
ただ操ちゃんこれからどうなるんだろう
958 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/22(木) 14:52:37.20 ID:xiEp4u2q0
菊花たんの夢を見たよ
小さな手で俺の頬をぺちぺち叩くの
可愛かったからそっと手にとって頬擦りしてあげたよ
ちょっとはにかんでたのがまた一層可愛くて…かわいくて……

うわあああああああああ(
959 :三面鏡@ドクター ◆W5H6Y5Rl3M [sage]:2011/12/22(木) 16:57:00.21 ID:KJnBR0HOo
>>956
> おれの…………おれの菊花たんがああああああああああああ!?
繰も、繰が助けたい友達も、全部助けようと菊花が考えた結果があの行動なわけです
対処できる他の契約者とかを待っている余裕は無かったですしね

『友達』は、まあ……友達になった相手が悪かったというかなんというかww

>>957
> 人形の身代わり能力って強力なんだな…
形は様々あれど、人型のものが厄を引き受けるというお話は多々ありますし
菊花はそういう目的の人形ではない(髪が伸びる呪い人形みたいなもの)ですが
人形である事と本人の強い意志があってのことというわけで

繰のこの後はどうなるか……攻撃的な性格も気弱さの裏返しですし
戦えないってのはかなりのプレッシャーになるでしょうねぇ、うふふ

>>958
> ちょっとはにかんでたのがまた一層可愛くて…かわいくて……
まだキャラ絵も描いてないのに
作者より先に見るなんてずるい(待てコラ)
960 :ピューっと吹きぬける笛 [sage]:2011/12/22(木) 17:26:29.06 ID:khRaEIDDO
>>959
>…攻撃的な性格も気弱さの裏返しですし

テ ン シ ョ ン あ が っ て き た
961 :人体改造 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/12/23(金) 01:34:31.75 ID:oHYuF2lA0
一人の少女が寂れた路地を走っていた。


『君が悪い都市伝説や契約者を殺していけば、その分君の両親が都市伝説絡みの事件や事故に巻き込まれる確率は減る。そんなにも両親を大事に思っているなら…出来るだろう?ただ、僕達の言う事を聞いていればいい。
大丈夫、回数を重ねて行けば殺しのコツも掴めてくるよ』

窓が無く、マットレスがむき出しになったベットが一つ。
数日前、牢獄のような簡素な部屋の分厚い扉越しに、知らない声にそう告げられた。



人を、都市伝説を殺すのは、怖い。
けれど、自分が躊躇ったせいで両親が死ぬのはもっと怖い。
役に立たないからと捨てられるのは、居場所を失うのはもっともっと怖かった。



前方に、標的が見えた。


瞬間、左腕が変質した。
衣服の腕の部分が内側から食い破られるように裂かれ、皮膚や、内側の筋や骨が丸ごと金属に変わったかのように、肩から先が自動小銃に変わっていた。


少女――蛍が新しく契約した都市伝説の内の一つ、『摘発を免れた某教団の自動小銃が残っている』


角を曲がろうとした標的を、鉛玉が打ち抜いた。





―――

小学生くらいの少年が、寂れた路地を歩いていた。
この道はあまり好きではなかったけれど、家から学校までの近道だった。



後三つ角を曲がれば、路地を抜けられるという時、銃声が聞こえた。


「………っ!」

突然の銃声に、びくりと身体をすくませる。


どうやら、一つ先の角から聞こえてきたらしい。
何かあったのだろうか――好奇心が勝り、そろそろと足を進めて行く。





奇妙な生き物が、全身を穴だらけにして倒れていた。それを、誰かが屈んで見下ろしている。
しばらくして、奇妙な生き物は光の粒になって消えて行った。



今見たものが信じられなかった。
感想を挙げるなら、『何、今の??』と言ったところだ。
962 :人体改造 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/12/23(金) 01:35:09.01 ID:oHYuF2lA0
視線を感じた。

奇妙な生き物を屈みこんで見下ろしていた者が、こちらを見つめていた。


例えるなら、人間のなりそこない。

本来、左腕がある所が銃器に変わっていた。
左目は、ぎょろぎょろと絶え間なく不気味に視線を彷徨わせている。


――次は、僕の番?
――あのお化けみたいに穴だらけにされて死ぬの?


「う……ぁ……!
うわあああああああああああ!!化け物っ!来るな!来るなぁ!!」

足元に、石ころが転がっているのが見えた。

とっさに投げた石が当たり、そいつがひるんだ隙に逃げだした。


―――



少年の姿が見えなくなった。


こめかみの辺りが熱かった。
左腕は徐々に皮膚に覆われて行き、数分で人の腕の形を成していた。



「―――化け物、なんて」
蛍の口が、小さく動いた。


「……そんなの、自分が一番よく分かってる……」
指の関節が白くなるほど、両の拳を握りしめた。




迎えに来た研究員に連れられて車に乗り込む。
こめかみを伝う血を気にする者は居ない。
あるのは、異形の被験体への蔑み、畏怖、研究に関わる者としての興味・関心
ただそれだけ。

続く…?
963 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/12/23(金) 01:49:57.68 ID:oHYuF2lA0
こうしてこの世にまた一つ化け物が生まれましたww
うふふふ、苦しんで苦しんで苦しみ抜いて死んで行って貰おうじゃないか!

三面鏡の人様乙でしたー
菊花ちゃあああああああああああん!!
『友達』ィィィィィィィィィィ!!!

>>846
>この間『阿部鬼』のプレイ動画見た所為でこんな事にwww
なるほどww

>>847
>新しい人たちの目的が気になるのです
死んでも構わない人間集めて人体改造したり研究しようぜ的な感じですww
964 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 02:32:01.46 ID:vYh6qOx90
>>963
うーぶるぶる、乙っす
今宵のアンサーの人はブレないな全く
ってよく見たら蛍ちゃんだー!?おいぃぃぃ
>某教団
アンタまた…平成の闇ですよねそれ…

アンサーの人と鳥居の人を混同し一瞬?となった事をこっそり謝っておく…
965 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/23(金) 03:10:57.77 ID:jzxNYWT/0
乙です〜
俺のほたるんが…かっこよくなってる!
でもちょっと切ないよふええええん(
今後どう鬱々してくるのかwktk
966 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/23(金) 15:15:06.57 ID:P1ZaJ01+0
単発祭りそろそろだけどスレが残り35か…
どうするべきか
967 :シャドーマぁんっ♪  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/23(金) 16:25:02.17 ID:ANtCQ1x20
了解した
今日中に裂邪vs正義書き終わらせる……!
968 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/23(金) 17:53:46.54 ID:K/zK8xCDO
こっち埋めて良いかもわからんね
蛍ちゃんを改造したのはインスマス教団だったのだ!!
蛍ちゃんは改造が進むとインスマス面になっちゃうのだ!!
嘘です、ごめんなさい
969 :シャドーマぁんっ♪  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/23(金) 18:04:05.36 ID:ANtCQ1x20
ところでふと
件の教団の自動小銃事件をウィキって見たところ、銃は100発撃ったら寿命が尽きる、つまり使い物にならなくなるらしいんだけど
もしやそこまで計算して……!?
970 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/23(金) 19:20:32.30 ID:vcuT7TZl0
こっち埋めて次スレで単発祭りやるんなら、新スレのアドレスと共に単発祭りの宣伝浮気先でやってくるよ
971 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 20:21:09.53 ID:U+4W7IwH0
>>969
え、それって……うえきの法則に出てきた「理想を現実にする能力」みたいに、
自分の寿命を弾丸に変えて射出してるってことか……!?

やばい、都市伝説今まで気にもしてなかったが面白そうだ
ちょっとまとめから今までの作品読んでくる
972 :シャドーマぁんっ♪  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/23(金) 21:55:37.59 ID:ANtCQ1x20
そういやそろそろ次スレ立てなきゃな頃合いか
>>970さんに任せても宜しいのかしら
都合が悪ければ俺が立てますけど

>>971
>自分の寿命を弾丸に変えて射出してるってことか……!?
そ の 発 想 は な か っ た(←バカ

ところで新参のヨカーン?
まとめ読むなら、俺の作品は読んでも参考にならないからお勧めしないよ!
『花子さんと契約した男の話』とか『ハーメルンの笛吹き』とか『三面鏡の少女』とか『喫茶ルーモア』とか『Tさん』とかとかとかを読む事をオススメしますの(キリッ
973 :犬神憑きと怪人アンサーの人 ◆vQFK74H.x2 [sage saga]:2011/12/23(金) 23:11:21.35 ID:oHYuF2lA0
>>964>>965>>967>>968>>969>>971
>ってよく見たら蛍ちゃんだー!?おいぃぃぃ
>今後どう鬱々してくるのかwktk
本スレに絶望を振りまいてやるですよwww

>嘘です、ごめんなさい
蛍のインスマウス面を想像して笑いのツボに入りましたwww

>件の教団の自動小銃事件をウィキって見たところ、銃は100発撃ったら寿命が尽きる、つまり使い物にならなくなるらしいんだけど
>自分の寿命を弾丸に変えて射出してるってことか……!?
……ビクッ
974 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:13:49.81 ID:U+4W7IwH0
>>972
ありがとうございます、とりあえず今は単発物を片っ端から読んでました
上げてもらった上記の作品も読破できるよう頑張りたいと思います……いやーそれにしても面白いな都市伝説www

あ、後その『単発祭り』って、誰でも参加できますか?
もしご迷惑でなければ、「未発売キットを製作すると発売決定する都市伝説」で一本書いてみたいんですが……
さすがに差し出がましいですか?
975 :シャドーマぁんっ♪  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/23(金) 23:25:41.57 ID:ANtCQ1x20
>>973
>本スレに絶望を振りまいてやるですよwww
よぉし、俺も負けないように希望と変態を振りまいてやる(ャメレ

>……ビクッ
なん……だと……逆にwktk

>>974
>上げてもらった上記の作品も読破できるよう頑張りたいと思います……いやーそれにしても面白いな都市伝説www
実は俺も未だに読破できてないという(ぁ(多方面にごめんなさいorz

>さすがに差し出がましいですか?
大歓迎ですぜ!
もうこっちが土下座して頼みたいレベルですorz
976 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/23(金) 23:28:42.63 ID:vcuT7TZl0
新たな作者様の誕生の予感に全裸待機の準備をしつつ

>>972
>都合が悪ければ俺が立てますけど
すまん、頼んだ
977 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/23(金) 23:40:47.43 ID:C/Qj5BCAO
三面鏡の人乙ですー
信じてる…繰ちゃんもかなみんも幸せになるって信じてるよ!
そして菊花たんの健気さに全俺が泣いた

犬神憑きと怪人アンサーの人乙です
>……ビクッ
いやああああ蛍ちゃん!?
978 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:51:10.81 ID:QfsKmCjto
皆様投下乙ですー
繰ちゃんといい菊花ちゃんといい蛍ちゃんといい、このスレの方々は女性に容赦がないですね
愛を!もっと愛を!でも殺し愛はノーセンキュー!

単発祭って24日〜25日にかけてでおk?
今日明日で一つ書き上げようかなと思ってたけれど間に合わなければどうしましょ……頑張るか
979 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/23(金) 23:51:59.51 ID:ANtCQ1x20
という訳で新スレよン♪
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324651745/


さて……今凄く謝りたい
結局書けなかったよ裂邪vs正義……しにたいorz
980 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:56:50.13 ID:U+4W7IwH0
>>979
乙!新スレ一番乗り〜♪
981 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/23(金) 23:59:57.82 ID:C/Qj5BCAO
新スレ乙ですのー

>結局書けなかったよ裂邪vs正義……しにたいorz
どんまい
自分も投下予定の話が全て途中で止まってるさぁ!
幸いにして創作の神が財布を隠し体調を操作してくれたのでクリスマスを呪いつつあったかいお布団で続き書くさ…
982 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 00:01:40.28 ID:Qyu7oaIG0
>>979
乙!
浮気先でここと新スレと両方のアドレス乗っけて宣伝してきた
が、時間的にあれなんで、明るくなってから改めてもっかいするわ
俺も何か投下できればいいなぁ
983 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/24(土) 00:09:59.26 ID:NvR3YHzE0
>>980
はっはっは、残念ながら2ゲッターは俺なのさ!(マテヤ

>>981
>幸いにして創作の神が財布を隠し体調を操作してくれたのでクリスマスを呪いつつあったかいお布団で続き書くさ…
くぅ、俺にも降りろ創作の神様!

>>982
>浮気先でここと新スレと両方のアドレス乗っけて宣伝してきた
そちらも乙ですの〜
俺もあげれたら良いんだが……今のところ、連載とエロと短編しか思いつかないorz
984 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 13:56:37.30 ID:FphaMqCSO
こっちは埋めりゃ良いのかい?
985 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 14:02:58.13 ID:9k+kj6PDO
埋めるぜ
986 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 14:06:10.40 ID:9k+kj6PDO
埋めついでに好きなキャラ談義

じつは俺、トライレスの姉貴のことが…
987 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/24(土) 14:10:59.69 ID:NvR3YHzE0
>>986
やめなさい、彼女は私の108番目の妹だ(ぁ
988 :ソニータイマー/3DS [sagesaga]:2011/12/24(土) 14:34:45.30 ID:n4WL2mX10
実は厨二病コンビの話、結構好きだったんだ…
989 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/24(土) 14:58:40.56 ID:NvR3YHzE0
俺は菊花たんが好きだった…アンネローゼたんも…
それとレティたんも可愛かった…
あと国中佐織さんも素敵だったなぁ…
誰か覚えてるだろうか、宍野白雪ちゃんという可愛いキャラも…
990 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/24(土) 15:58:00.63 ID:uk4lmRFAO
暦ちゃん蛍ちゃんルートちゃん花子様赤いはんてんちゃん望ちゃん以下多数…
991 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/24(土) 16:04:08.63 ID:NvR3YHzE0
>>990
何故そこにルートがwwwww

(ルート>……(ルートの前に立ってスケッチブックを構える
992 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/24(土) 16:24:55.06 ID:NvR3YHzE0
やべっ、ルートじゃねぇよ日天の台詞だよorz
993 :鳥居を探すの人 ◆12zUSOBYLQ [sage]:2011/12/24(土) 16:25:10.11 ID:uk4lmRFAO
>何故そこにルートがwwwwwwwwww
幼女+もふもふは無限大の魅力

>(ルート>……(ルートの前に立ってスケッチブックを構える いきゃあああ(完全沈黙)
994 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/24(土) 16:39:44.15 ID:NvR3YHzE0
>>993
>幼女+もふもふは無限大の魅力
(ルート>先月から一緒にいることも少なくなっちゃったんだけどねぇ
(エーヴィヒ>良いのかい? ネタ晴らしになってしまうけど
(ルート>どぉせあと数レスだしぃ。ところであの担当の契約者どうなのよぉ?
(エーヴィヒ>よく働いてるよ。でも正直なところ、あの6つの都市伝説全員をR-No.にした方が良いと思うんだよね

>いきゃあああ(完全沈黙)
無茶しなさって…


あ、クリスマスのデート書こうかな
995 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 17:39:23.10 ID:+tT4006j0
あ、こっち埋まるんですね。
好きなキャラかぁ……まだあんまり読めてないんですけど、今のところ一番好きなのは
自動小銃の蛍ちゃんですかね。後、さっき読んだ短編ですねこすりを保護してた人。
996 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/24(土) 17:48:53.73 ID:NvR3YHzE0
>>995
>後、さっき読んだ短編ですねこすりを保護してた人。
一緒にお茶でもどうですか(ぁ
あの人は可愛い、最後の台詞できゅんっとなる
997 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 21:20:13.27 ID:VsaqIXh3o
好きなキャラか
まず翼さんは外せない
あとは上田の生き様は見ていて気持ちいい
あの自己中心っぷりでセカイノミカタやってるんだから惚れざるを得ない
998 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/25(日) 00:16:15.04 ID:c5Aquja+0
そろそろ埋めようかのう
999 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/25(日) 00:18:13.47 ID:c5Aquja+0
おっと
>>997
>まず翼さんは外せない
誰かは挙げると思ってたよwwwwwwww

>あとは上田の生き様は見ていて気持ちいい
全くだ
男の憧れよね!
1000 :シャドーマアッー!  ◆7aVqGFchwM [sage saga]:2011/12/25(日) 00:18:47.40 ID:c5Aquja+0
トドメに誘導↓

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324651745/
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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恵まれた出会いと病気の人生語る Part3 @ 2011/12/25(日) 00:14:23.55 ID:5Qcd63aIO
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死神「こんばんは、しにがみです」 @ 2011/12/24(土) 23:49:22.23 ID:6QYPfskw0
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アプローチの断り方教えてたもれ @ 2011/12/24(土) 23:25:53.97 ID:H8GDjDKso
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【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2011/12/24(土) 23:24:05.07 ID:lS63gLCIO
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上条「安価で削板と土御門に主人公乗っ取られそうでやばい」 @ 2011/12/24(土) 22:57:09.66 ID:RT37ooy40
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男「むちゃくちゃな」女「青春物語」 @ 2011/12/24(土) 22:38:34.61 ID:9zrwWuGIO
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兄「…メリークリスマス」 @ 2011/12/24(土) 22:08:57.09 ID:QnpkscZJ0
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VIP-World TRPG 灰色のくま2ch版 Part745 @ 2011/12/24(土) 21:48:37.12 ID:D1Vp3Ok+o
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