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蛇足 とあるフラグの天使同盟 伍匹目 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 18:53:47.02 ID:05otTio5o
この二次創作はライトノベル『とある魔術の禁書目録』の登場人物、一方通行を主人公にした
どうにかしてほのぼのな雰囲気を出そうと奮闘するどうしようもないSSです。


【本編】

一方通行「フラグ・・・ねェ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285654962/

一方通行「フラグ・・・・・・なのかァ?」  風斬「そうですよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1289310136/

一方通行「フラグ・・・・・・じゃねェだろ」  エイワス「まだそんな事を言っているのか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294928027/

一方通行「フラグ・・・・・・だろォな」  垣根「ち・・・・・・くしょ・・・・・・う」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1295564748/

一方通行「フラグだと? って事ァ」  レッサー「私はあなたが好きって事です♪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298041227/

一方通行「そンなフラグはヘシ折ってやる」  ヴェント「・・・・・・あ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300453744/

一方通行「いいか、フラグってのはなァ」 ガブリエル「vbhti素敵apfrgt」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303132992/

とあるフラグの天使同盟
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305963129/


【本編のエピローグ・続編】

蛇足 とあるフラグの天使同盟
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307804166/

蛇足 とあるフラグの天使同盟 弐匹目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310210981/

蛇足 とあるフラグの天使同盟 参匹目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313069422/

蛇足 とあるフラグの天使同盟 肆匹目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316009458/


上記のスレからの続きとなっています。もしお暇でしたら、ご一読を。


以下、留意点など。


・投下は基本的に三日以内です、多分。そしてかなり気まぐれに投下するので質悪いです。
・第三次世界大戦は終結。その後のお話です。
・キャラ崩壊しまくりな上に、設定も弄りまくっています ←これ一番重要、ご注意ください。
・地の文と台本形式、両方でお送りします。
・誤字脱字のバーゲンセール。発見した方は厳しく指摘してやってください。
・書き溜めは多分尽きる事はないでしょう ←new!
・肩の力を抜いてご覧ください。よりこのSSの滑稽さが実感できます。


※『蛇足 とあるフラグの天使同盟』は一応続編なのですが、全く読む必要がない"大蛇足"です。
 本編をご覧になって満足していただいた方は、今一度よくお考えになって『蛇足』をご覧ください。
 それでも読んでいただけると仰られるのでしたら、最大の感謝を込めて物語を書かせていただきます。
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

2 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 18:54:44.94 ID:05otTio5o


                   【登場人物紹介・『天使同盟(アライアンス)』の構成員】


【一方通行(アクセラレータ)】


このSSの主人公。学園都市最強、超能力者(レベル5)第一位の『一方通行』の能力を持つ白髪の少年。
第三次世界大戦で接触した大天使、ミーシャ=クロイツェフに懐かれてしまった。
本編での最終決戦、通称『第一九学区事件』では数多くの仲間達の助力もあって、消滅の危機に
陥ったミーシャを救出することに成功する。『天使同盟』ではリーダーを務め、『天使同盟』の
発足者でもある。本編において結構な数のフラグを立てているが、それが蛇足でも続くかどうかは不明。


【ミーシャ=クロイツェフ】


『神の力(ガブリエル)』。本作のヒロインにして『天使同盟』の顔。水を司る本物の大天使。
第三次世界大戦で意思疎通をした一方通行に好意をよせ、以後は彼と共に人間界で生活する。
本編で現世に留まる力が著しく低下し、一時は消滅しかけたものの仲間達によって救出される。
人間なら誰にでも懐き、白い修道服の某シスターにも負けない大喰らい。
現世での『出会い』を尊重しており、初めて出会った人間は即お友達の姿勢で生活している。


【風斬氷華(ヒューズ=カザキリ)】


『天使同盟』に咲き誇る一輪の花。『天使同盟』内でも比較的常識を持ち合わせている健気な女の子。
油断をするとつい風斬がヒロインなのではないかと勘違いしてしまうほどヒロインをしている、はず。
本編の『第一九学区事件』ではアレイスター=クロウリーとタイマンを張るなど、強い勇気も持っている。
基本的におどおどとしており弱気な雰囲気が目立つが、実は結構メチャクチャな事もやっている。
一方通行に好意を寄せるがあと一歩のところを攻めきれず、多くの人物からそれを指摘されている。
3 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 18:55:14.22 ID:05otTio5o


【エイワス】


『天使同盟』のジェネラルマネージャーにして最強の聖守護天使。霊的存在。銀河系宇宙の悪鬼。
かつてアレイスター=クロウリーに必要な知識を全て与え、彼を変貌させてしまった最悪の人外。
エイワスが『天使同盟』に加わった辺りから一方通行の人生が大きく歪んでいった。
蛇足ではアレイスターに代わって学園都市統括理事長を代理で務めている。やりたい放題である。
現在『本』を蒐集中。人間で言う、ルート分岐とCG回収を愉しんでいる最中だが………………。


【垣根帝督】


学園都市第二位の超能力者(レベル5)、『未元物質(ダークマター)』の能力を持つ少年。
一〇月九日に一方通行によって『虐殺』されるも、エイワスの手によって肉体を取り戻す。
本編では何回死んだか分からないほど死にまくった。『第一九学区事件』は特に顕著であり、
魔術である『自動書記(ヨハネのペン)』を酷使してしまい脳に多大な損傷を与え、魔術はおろか
超能力も失ってしまった。事実上、現在の垣根帝督は無能力者(レベル0)である。


【フィアンマ】


『天使同盟』最後の構成員。ローマ正教『神の右席』のリーダーを務めていた最上級魔術師。
第三次世界大戦で上条当麻に敗北、その後はオッレルスとシルビアの下でひっそりと暮らしていた。
しかし不幸なことにエイワスのお眼鏡に適ってしまい、『天使同盟』に勧誘されてしまう。
一方通行と話し合い、彼らと共に世界の行く末を見ていく事を決意。『聖なる右』も復活した。
ミーシャとは"素"で会話できる貴重な存在。『天使同盟』で最も常識的な人物である。
4 : ◆3dKAx7itpI [sage]:2011/10/22(土) 18:55:49.93 ID:05otTio5o
次スレです。少々お待ち下さい
5 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:17:34.09 ID:05otTio5o
前スレでの投下を終えたため、こちらで続きを投下します。

前回までのあらすじ超ショートバージョン。
風斬とデートをしていた一方通行は実はキャラ捨ててました。

では、続きをちょっとだけお送りします。
6 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:18:14.08 ID:05otTio5o




「だったらせめて……私には……。 私と一緒に居る時だけでも……
 今まで通りのあなたでいてください……」




それは命令でも指摘でも無く、懇願だった。
『今』の一方通行ではなく、『今まで通り』の一方通行と日常を過ごす。
それが風斬にとっての一番の幸福であり、願いだった。


「前にやった……、デート計画の事……あなたは覚えていますか?」

7 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:18:58.72 ID:05otTio5o


「……忘れろって方が難しいンじゃねェのか」

「ですよね……。 私も覚えてます、あの時にあなたと二人で過ごした時間は、
 私にとって特別で……、一番の思い出ですから………」


そう言う風斬の頬は若干紅潮していた。
あのデート計画で過ごした時の事を思い出しているのだろうか。


「夏にシェリーさんに襲われて彼らに助けてもらった事や……、
 九月三〇日の事。 ロシアであなたと出会って、天使さんと出会って、
 『天使同盟(アライアンス)』が生まれて……エイワスさんや垣根さんも
 加わって……色んな魔術師のみんなと仲良くなれて……力を合わせて
 天使さんを救って……、さらにフィアンマさんが加わって………」

8 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:20:08.31 ID:05otTio5o


「……」


風斬は自分の額に人差し指を添えながら続ける。


「私の中にある……"ここ"には、そんな色んな思い出が詰まっています。
 その全てが私にとって掛け替えのない大切な思い出で……」


でも、と風斬は付け加え、




「あなたと二人で過ごした時間は……今言った思い出とはまた別に、
 私の大事な思い出なんです。 今まで通りのあなたと過ごしたあの
 時間は……私にとってすごく充実した時間で……もうずっとこのままで
 いられたらいいのにって、正直本気で思ってました………。
 ……いいえ、今でも……そう思っています……」



9 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:21:05.43 ID:05otTio5o


一方通行は途中で口を挟む事なく、風斬の言葉に耳を傾ける。


「だから私は……相手の機嫌を窺ってぴりぴりしてる今のあなたより、
 今まで通りの……ちょっと無愛想で不器用だけど、優しいあなたの方が好きです」

「………………」

「あ……い、今の好きというのはその、あ、一方通行さんのその、
 性格というか態度というか、振る舞いが好きという意味でして……!
 決してその……そういう気持ちは無かったり……いや無い事も……あの……」


一通り言いたいことを言ってのけた風斬が急にテンパリ始めたが、
一方通行は無視した。
10 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:22:09.42 ID:05otTio5o

無視して、視線を明後日の方へ向けながら大きくため息をつく。


「……………そォかよ」

「え……?」

「チッ、クソッたれが………注文の多い女だなオマエは」


隠すこともせずハッキリと悪態をつく第一位。
しかし風斬は落ち込むどころか、徐々にその表情を綻ばせていった。


「普段通りの俺を保ちつつ変われってか。 オマエ、自分の言ってる事に
 矛盾が発生してるって気がついてねェのか?」

「ご、ごめんなさい……。 でもあなたにはやっぱりそうして欲しくて……」

「ハッ。 オマエの指図を受ける気は無かったが……、気が変わった」

11 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:22:44.71 ID:05otTio5o

一方通行は尚も視線を風斬に向けないまま言った。


「約束してやるよ。 俺は俺を完璧に使いこなしてやるってなァ」

「は、はい……!」


ようやく本日一番の満点笑顔を見せてきた風斬を見て
一方通行は心の中だけでホッとした。

やはり風斬は。やはり風斬も、自分にとっては天使も同然だと一方通行は改めて認識する。


「そ、それでアクセサリーなんですけど…………」

「この店のモンじゃダメだな。 俺が作ってやる」

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富士山) [sage]:2011/10/22(土) 19:23:22.81 ID:sXlMPSq50
なに・・・この風斬消滅フラグ・・・・
いまでも「一方通行さん・・・もし私が消えても・・・私のことを覚えてくれますか・・・?」とか言いそうな雰囲気・・・
13 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:23:44.91 ID:05otTio5o


「え?」

「俺の能力を使えば銀細工なンざ朝飯前なンだよ(多分)。 
 ま、適当に見繕っとくから、気に入らなけりゃ捨て―――」

「い、一生の宝物にします……!!!」


その後、店を出た二人は完全下校時刻まで色々な場所を周り遊び倒した。
帰ってきた風斬は至福の笑みを、一方通行は七年くらいぶっ続けでマラソンをしてきた後のような
疲弊しきった表情を浮かべていたという。


この日、一方通行はまた一つ成長した。
彼は心の底から素直に思う。


風斬氷華という女性に出会えて良かった、と。

14 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:24:39.05 ID:05otTio5o







                    〜Information〜


【風斬氷華育成計画 -AIM Simulation-】がアンロックされました。






15 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:32:23.45 ID:05otTio5o
という事で、今回はここまでとなります。

一方通行と風斬氷華は既に散々絡ませてきたので、このアンロック編では
あっさりとした感じで話をまとめました。
本当はもう少し書きたかったのですが、他のキャラも控えてますので……。

そして風斬氷華ルートが見事にアンロック。もう皆様お気づきでしょうが、
これからこんな風にどんどんルート開放させていくつもりです。
その辺どうか、応援していただければなと思ったり。


さて、次回はフィアンマパート。打ち止めが可愛い顔してクソ面倒な事を言ってくれます。

次回更新は三日以内。

それでは、伍スレ目もよろしくお願いします!ありがとうございました!
16 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/22(土) 19:32:50.77 ID:05otTio5o



                          【次回予告】



「常盤台中学に行ってお姉様に会いたい! ってミサカはミサカは提案してみる!」
『妹達(シスターズ)』の司令塔――――――打ち止め(ラストオーダー)




「うっわ…………ここがお姉様の通ってるお嬢様学校? 何か嫌味な感じ、
 どいつもこいつもプライド高そうでさ。 顎に手ェ添えておーほほほほほ
 とか癇に障る笑い方してそうな生徒ばっかりじゃん」
『妹達』第三次製造計画(サードシーズン)で作られた御坂美琴のクローン――――――番外個体(ミサカワースト)




「jdxie量産型ajru令嬢xporms」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・水を司る大天使『神の力(ガブリエル)』――――――ミーシャ=クロイツェフ




「長点上機学園とはまた違う方針の学舎らしいな。 何というか……目が疲れる」
『天使同盟』の構成員・元『神の右席』の魔術師――――――フィアンマ



17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 19:39:46.21 ID:eBKWWtqB0
乙です!

御坂とこの二人会ってないからあらぬ誤解の予感
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 19:45:18.88 ID:379xgQgqo

風斬さんあんなにアピールしてたのにようやくルート解放されたのか……
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/22(土) 20:02:55.35 ID:5jxbQr2fo
乙!

打ち止めが波乱を呼びそうだ
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/22(土) 20:33:15.66 ID:lOhviljk0
乙デス!
変態空間移動能力者には気を付けろよー
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/22(土) 20:43:12.40 ID:xZXF1Nnx0
量産型令嬢ワロタww
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 23:30:27.73 ID:YXMeogdUo
>>12
なんとなく言っておくが
投下中のレスは控えろよ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 23:32:38.96 ID:YXMeogdUo
>>12
なんとなく言っておくが
投下中のレスは控えろよ
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 00:09:13.37 ID:PXpgIt2DO
このssが、最初は一方ガブリエルのギャグテイストだったのが信じられんな
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/23(日) 01:48:56.32 ID:Ty/3uizAO
乙です!!
ついに風斬√開放か、次は誰になるのかな?
つか打ち止めと番外個体が常盤台に向かうって……あそこには変態(白井黒子)がいるじゃないか!!
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/10/23(日) 05:28:54.64 ID:MRlFZezG0
>>1乙 そして新スレ建て乙

風斬、一方通行の二人(?)に幸いあれと、祈るしかないな…
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 08:35:11.22 ID:2z7NYui50
一から読んでやっと追いついた
続いてて嬉しいです!!
泣いたり笑ったり和んだりハラワタ捩れたりで忙しかった
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/23(日) 10:28:56.36 ID:J4Rd1ojAO
ってまだこれ続いてたのかよw
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 10:37:58.47 ID:TA9sSAfDO
だれも朝飯前(多分)には突っ込まんのか
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/23(日) 18:17:45.18 ID:VUBkLFkT0
まあ一方通行なら出来そうだし・・・
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 20:44:23.50 ID:eLIGdTCBo
髪への反逆者
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/24(月) 23:29:26.39 ID:nEEcogO20
乙です。

書き溜は多分尽きることは無いでしょう、か。
すげえなすげえです。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/25(火) 01:21:35.86 ID:ARPXYUwc0
新レスおめでとうございます!      番外個体は美琴と初接触じゃね?
34 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:13:29.42 ID:jRed9tN8o
>>18
ホント遅すぎるってんですよね。初期からいるメンバーだというのに彼女は……


そんな訳でこんにちわ。何と真っ昼間からの更新となります。

新スレでのご支援、まことにありがとうございます。
今でも最初からここまで追いつく形で読んでくれている方が
いらっしゃるようで嬉しいです。コンゴトモ ヨロシク

前回、風斬氷華のルートが開放されました。この話を投下出来るのはいつになるやら。

今回はフィアンマパート。ミーシャや打ち止め、番外個体でとある場所へ赴きます。
しかしその場所がまた色々と面倒な場所で……。

では、新スレもよろしくお願いします!
35 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:14:21.51 ID:jRed9tN8o


――――――――――――――――――――――


ひとまず作戦会議(?)を終えたフィアンマとミーシャ=クロイツェフは
打ち止めと番外個体を連れて街を歩いていた。


「それじゃつまり、ミサカはその"えんぜるふぉーる"っていうのが
 終わってから本格的に始動すればいいのねってミサカはミサカは
 本作戦の実行内容を再確認してみる」

「そういう事だ。 しかし『御使堕し』は教科書通りに発動したら
 かなり面倒な事になる。 その辺は俺様が独自にアレンジを加えて
 術式の効果範囲を最小規模に抑えねばならん。 多少時間をもらうぞ」

36 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:15:21.74 ID:jRed9tN8o


「でもあなたみたいな……あー、『神の右席』? そこに所属してた
 魔術師は普通の魔術は扱えないってさっき言ってたじゃん」

「そこがネックだ。 まぁこの大天使を直接召喚した俺様なら大魔術発動の際の
 障害も乗り越えられると思うが……、というか乗り越えねばならんだろう。 
 事態は急を要する訳ではないが、一応ミーシャの存続がかかっているからな」

「xfhi宜敷dirjm」

「のん気に構えやがって……。 むしろ大変なのはお前の存在維持を
 確定させてからだというのに。 どうなっても知らんぞ」


呆れた調子でため息をつきながらフィアンマは街の様子に目を向ける。

37 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:16:35.46 ID:jRed9tN8o

今日も学園都市は一端覧祭一色に染まっている。学園都市統括理事長の
粋な計らいによって大幅に延長された文化祭はここから更に盛り上がっていくのだろうか。

すれ違う学生たちがたまにフィアンマ達に視線を送ってくる。当然、注目されているのは
身長二メートルを越す大天使、ミーシャ=クロイツェフ。
彼女は黄泉川宅で拝借したガウンを着込んでいた。派手な某国国旗がプリントされたその黒いガウンは
さながらリング入場前のボクシング世界チャンピオンのような風貌だった。
頭部はもちろんフードですっぽり覆われており、そののっぺりとした顔を窺う事は出来ないようになっている。
姿を隠すためのガウンが派手というのは些か本末転倒な感じではあるが。

……なぜ一般的な家庭にボクサーが使用するようなガウンがあるのかは疑問ではあるが、
どうせ芳川辺りがどこかで拾ってきたりしたのだろう。

これだけでも相当に目立つが、かと言ってミーシャ本来の姿をそのまま曝け出す訳にもいかない。
昨今『天使同盟(アライアンス)』の存在が様々な人間に知られている現状でも、やはり
ミーシャの姿を世間に露呈させる事は極力避けるべきなのだ。
38 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:17:43.53 ID:jRed9tN8o


「それで、外に出たはいいがこれからどうするんだ?」

「あの人がどこの女とイチャついているのか調査する必要があるかも!
 ってミサカはミサカは嫉妬の炎をメラメラと燃やしながら張り切ってみる」

「isycm非推奨aqlxti」

「ああああー……嫉妬の波がミサカにまで押し寄せてくるぅ〜。
 第一位の事なんざホントにどうでもいいのに、愛しくなってくる………」

「……あの人、とは一方通行の事か」


打ち止めはアホ毛を揺らしながらコクンと首を縦に振った。

ここのところ彼女は一方通行とほとんど一緒に過ごしていない。
ある程度の期間なら離れていても問題は無いだろうが、やはり打ち止めも
子供なのだ。内心では寂しい思いをしているのかも知れない。
39 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:18:43.10 ID:jRed9tN8o

しかしフィアンマはそんな打ち止めの心情を汲まなかった。


「それなら放っておいてやれ」

「な、なんでってミサカはミサカはあなたの意外な発言に驚いてみる」

「あの男は多分、今頑張っている」


フィアンマの言葉に打ち止めと番外個体はキョトンとしながら彼の顔を見る。


「一方通行は今、本格的に相手とのコミュニケーションを図っている。
 どうやらよっぽど垣根帝督の檄が効いたらしいな。 一方通行は
 人として当然の、他人の心のとある領域に足を踏み入れようと
 しているはずだ。 ……ま、俺様には理解出来んが」

40 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:19:25.02 ID:jRed9tN8o


「……………何かあったの? 最近あの人忙しいみたいで、
 なかなかミサカ達に連絡をくれないのってミサカはミサカは
 しょんぼりしつつもあの人を心配してみたり……」

「色々だ。 お前らはヤツとの付き合いが長いんだろう? 察してやれ」


わかりやすくアホ毛を萎えさせ落ち込む打ち止めの頭を
ミーシャが優しく撫でてあげた。
番外個体もつまらなそうな表情を浮かべながらもそれ以上言及してくる事はなかった。


確かに一方通行にも明らかな変化が訪れているが、それはたった今一方通行を
気遣ったフィアンマにも言える事だった。
『神の右席』に所属していた頃の彼ならまずあり得ない事だったのではないだろうか。
フィアンマもまた『天使同盟』に加わった事で、心情に何らかの変化が訪れているのかもしれない。


「urxml感謝cxcni」

「意味が分からん。 何に対する感謝だ」

41 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:20:02.63 ID:jRed9tN8o

人間の感情変化に敏感なミーシャ=クロイツェフは、フィアンマの変化にもやはり気付いているのか。
彼にしか理解出来ない言葉でそっと礼を伝えるのだった。


「でもさぁ、それならどこに行く? 適当にそこらのスキルアウトでも
 ボコって金巻き上げてゲーセンでも行かない?」

「恐喝行為は禁止ー! ってミサカはミサカは不良個体を上司として厳しく叱ってみる!」

「不良個体って……その言い方じゃまるでミサカに欠陥があるみたいじゃん。 あるけど」

「はいはいはい! ってミサカはミサカはビシッと挙手をして意見提示の許可を求めてみる」

「何だ?」


打ち止めはミーシャに撫でられて機嫌を良くしたのか、屈託の無い笑みを
貼りつけながらこう言った。




「常盤台中学に行ってお姉様に会いたい! ってミサカはミサカは提案してみる!」




42 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:20:47.61 ID:jRed9tN8o


――――――――――――――――――――――




学園都市、常盤台中学。




学園都市の中でもいわゆる『五本指』の一校として名高い超ウルトラエリート校。


義務教育終了までに世界に通用する生徒を教育する、がこの学校のモットーであり、
事実この学校で学ぶ授業の内容はそこらの学校とは文字通り格が違う。
在校生二〇〇人以上。内二人がレベル5、レベル4が四七人、残りが全員レベル3。
在学条件の一つに『レベル3以上の能力者である事』が含まれている、ハードルの高すぎる学校である。

43 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:21:53.22 ID:jRed9tN8o

現在は冬であるため、常盤台の生徒の制服はベージュカラーのブレザーに紺のチェック柄スカート。
この制服は外出時でも常時着用が義務付けられている。


この常盤台中学、第七学区の南西端に『学舎の園』という五つのお嬢様学校がある共用地帯が存在しており(本校含む)、
内部は小規模なものの最早一つの街と化している。
周囲には巨大な柵が張り巡らされており、部外者の侵入を断固拒否する形を取っている。
が、敷地外の友人を招待する等の簡潔な理由があれば部外者でも容易に敷地内へ訪れる事が可能だ。


そして今の時期、つまり一端覧祭開催期間中は一部なら誰でも自由に出入り出来る状態になっていた。
敷地内には『外』からやって来た人間はもちろん、普段お目にかかれない常盤台を一目見ようと
学園都市に住む学生たちも大勢来訪していた。


そしてその中に、

44 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:22:43.51 ID:jRed9tN8o




「うわああああああああああすごい!! すごすぎるってミサカはミサカはもう言葉にならない!!」

「はしゃぐな」

「うっわ…………ここがお姉様の通ってるお嬢様学校? 何か嫌味な感じ、
 どいつもこいつもプライド高そうでさ。 顎に手ェ添えておーほほほほほ
 とか癇に障る笑い方してそうな生徒ばっかりじゃん」

「jdxie量産型ajru令嬢xporms」




来るやいなや、打ち止めは歳相応のリアクションで大はしゃぎしていた。
『学舎の園』に立ち並ぶ数々の店(と言ってもデパート等の大型百貨店は存在しない)に
次々と目を配らせている。心なしか彼女が興味津々なのはどれもが飲食店だった。
45 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:23:34.18 ID:jRed9tN8o

対して打ち止めの妹個体的な位置に当たる番外個体はぶっちゃけシラケていた。
かねがね常盤台の噂は聞いていたらしく、実際に赴き予想通りだったお嬢様ゾーンの
現状を目の当たりにして嫌気が差しているようだ。

ミーシャ=クロイツェフはもはやテンプレ通りの興奮っぷりを余す事無く発揮していた。
多分この天使は油汚れが目立つ古株の定食屋等に行っても同じ反応をするのだろう。

フィアンマは全くのノーリアクションで『学舎の園』を見渡していた。
別にこの光景に興味がないのではなく、彼は既に常盤台中学をも越える学園都市最強のエリート校、
長点上機学園を訪れた経験があるからだ。

しかしそれでも学校の敷地内に街が存在している事には多少驚いたようで、


「長点上機学園とはまた違う方針の学舎らしいな。 何というか……目が疲れる」

「同意。 さ、帰ろ帰ろ」

「こらーーーーー!!!!」

46 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:24:05.69 ID:jRed9tN8o

あまりにもクレバーすぎるフィアンマと番外個体に打ち止めが怒鳴りつけた。
頬をプクッと膨らませ、二人にテンションの向上を要求する。


「どうして二人共そんなにつまらなそうなのってミサカはミサカは首を傾げてみたり!」

「世界は広い。 このような場所、探せば他にいくらでもある」

「何かポワポワした雰囲気が気に入らない。 ミサカはもっと殺伐とした空気を期待してたのに」

「殺伐とした雰囲気ならお嬢様学校にはありがちだと思うがな。
 どうせこの常盤台中学もいわゆる『派閥』等が存在するんだろう」

「あ、ミサカそういうのは好きかな♪」

47 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:24:50.03 ID:jRed9tN8o


「あ、ミサカそういうのは好きかな♪」

「ゆ、歪んでやがるってミサカはミサカは頭を抱えてみる……………」

「pfufry出発hcysr」


ミーシャが打ち止めの手を引っ張り、早速常盤台中学校内へ向かおうと
歩を進め始めた。


「校内で能力のデモンストレーションをやってるみたいってミサカはミサカは報告してみる。
 そこにお姉様もいるかも! 二人共早く行こ? ミサカのお姉様の素晴らしさをその目で
 しかと見届けるがいいってミサカはミサカはああもう興奮が抑え切れない!」

「えー、ミサカは正直会いたくないなぁ。 何かミサカのお姉様って面倒くさそう」

「己のオリジナルに対してその物言いか、お前は悪意を前面に出す傾向にあるんだな」

48 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:25:22.33 ID:jRed9tN8o

しかしせっかく足を運んだ手前、ここで帰るのもアレだと思った番外個体は
渋々打ち止めとミーシャを追って校内へ向かっていった。
フィアンマも常盤台中学に来訪してきた人に渡すパンフレットを配る在学生からそれを一冊受け取り、
流し読みをしながら彼女たちに続く。


「………ほう、エリート校とは名ばかりの物ではないという事か。
 在学生全員がレベル3以上。 その内二人がレベル5。 一方通行と垣根帝督は
 それぞれ第一位と第二位だったな。 既にトップ2と出会っている以上あまり期待は出来んが……」


と、不意に遠方から凄まじい衝撃音が鳴り響き、空気をビリビリと震わせた。


どうやらデモンストレーションは大いに盛り上がっているらしい。
フィアンマは少しだけ気持ちを高揚させて校内へと入っていった。
49 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:25:59.32 ID:jRed9tN8o


――――――――――――――――――――――




試験用の大型トラックが高々と宙を舞い、見学していた学生たちが歓声を上げた。




「おーっほっほっほ! ご覧あそばせ、これが常盤台中学を代表するこのわたくし、
 婚后光子の『空力使い(エアロハンド)』にございましてよ!」


数瞬遅れてガシャンッッ!!! と大型トラックが学園都市製の特殊な建材で構成された
校庭の石畳に派手な音を立てて落下する。
周囲にいた大勢の学生達はその高レベルな能力を目の当たりにし、絶賛の拍手を贈った。

50 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:26:41.60 ID:jRed9tN8o

『空力使い』を名乗る黒髪の少女、婚后光子はその不自然なまでにサラサラとした髪を撫で、
冬であるにも関わらず手に持つ豪奢な扇子をパタパタと煽ってさぞご満悦といった様子で佇んでいる。


物体に風の『噴射点』を作りミサイルのように対象物を飛ばすというこのデモンストレーション、
当然危険があるため見学者の他に多数の『警備員(アンチスキル)』が待機している。
婚后光子だけでなく、基本的にこの学校に在学する生徒は誰もが高レベル能力者のため、
単なるデモンストレーションでも"万が一"が発生する可能性があるのだ。

しかし婚后光子はそんな危険に気を配る事はしない。
大勢の人間の前で能力を全力駆使し、己の存在感をこれでもかという程にアピールする。
よほど自分の能力に自信があるのだろうし、実際彼女は大能力者(レベル4)というスーパーエリートだ。


そんな婚后光子のデモンストレーションに打ち止めとミーシャは興奮が抑えきれず、
番外個体とフィアンマはどこか冷めた目で見学していた。
51 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:28:04.14 ID:jRed9tN8o


「いるんだ……本当に、あんなテンプレ通りのお嬢様キャラが……」

「キャラはともかく、能力に関してはまぁ賞賛の余地があるんじゃないか?
 物体に干渉して噴射口を作るという趣向は俺様も少し興味深い。
 ………が、大災害レベルの風を操っている訳でもないし、驚愕には値せんな」

「vzdpi感動pydxas」

「『空力使い』って初めてみたかも! あんなすごい勢いで物体を飛ばせるのねって
 ミサカはミサカはパチパチと惜しみない拍手を贈ってみたり!」


と、婚后の隣にもう一人の少女が"突然虚空から現れた"。
いわゆる『空間移動(テレポート)』という能力で、誰でも聞いた事はあるだろうが
さすがにお目にかかる機会は滅多に訪れないためか、周囲の観客が驚きどよめいた。
現れた少女は両手にカゴを携えており、中には大量の花束が積まれている。
52 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:29:02.71 ID:jRed9tN8o


「ほらほら、『トンデモ発射場ガール(笑)』の出番はもう終わりでしょう?
 次はわたくしの番なので、用済みの貴女はさっさと退いてくださいな?」

「む…………白井さん、観客の視線をほんのちょっぴり奪った程度でよく
 そこまで傲慢な態度を取れますわね。 『空間移動』は集中力が命、失敗したら
 怪我人どころじゃ済まないかも知れませんわよ?」

「ご心配には及びませんの。 生憎わたくし、貴女のように大勢の客の視線を浴びて
 舞い上がってしまうようなチャチな精神は持ち合わせておりませんので。
 というか、いつから貴女が常盤台を代表する能力者になられたんですの?」


『電撃使い(エレクトロマスター)』でも無いのになぜか二人の視線が交差している点に
火花がバチバチと散っている、………ような錯覚さえ覚えてしまう。
しばし睨み合い、やがて婚后光子が観客に手を振りながら白井と呼ばれた少女から距離を置いた。

白井は花束が積まれたカゴの中からマイクを取り出し、軽く咳払いをした後簡単な自己紹介を始める。
53 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:30:03.36 ID:jRed9tN8o


『えー、テステス。 皆様、本日はこの常盤台中学にお集まりいただきありがとうございます。
 常盤台の能力者によるここまでのデモンストレーション、お楽しみいただけたでございましょうか?
 続きましてはわたくし、白井黒子が「空間移動」によるデモンストレーションを披露致しますの。
 どうぞ最後までごゆるりとご覧くださいませ』


白井の挨拶が終わり、観客は改めて拍手を――――贈る暇も無かった。


次の瞬間には白井が持っていたマイクは消え去り、後方にいた婚后の胸元に
出現していた(突然胸にマイクが挟まり、婚后は可愛らしい悲鳴を上げていた)。

そして両手の掌でカゴの花束を柔らかく撫でる動作を行う。
すると白井の掌を通過した花はまるで手品のようにカゴの中から消失し、
周囲にいる観客全員に均等に『配られていた』。『空間移動』の超精密演算によるサプライズだ。
観客はパーフェクトなそのサプライズに心を揺さぶられ、校庭は一流アーティストのライブ会場の
如く最高潮のボルテージに包まれる。
54 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:30:38.62 ID:jRed9tN8o

白井は自らをテレポートさせ上空八〇メートル程の位置に出現すると、
一緒にテレポートさせていたカゴに手を入れ、空から色鮮やかな花びらを舞わせる。
花びらはその時偶然にも吹いてきた絶妙な加減の風に乗り、踊るように校庭を駆け回った。


「きゃーすごい!! さっすが白井さん!!」

「白井さーん! 頑張ってくださーい!」


どこからかそんな声援も飛んできている。フィアンマ達が声のした方を見ると、
黒髪ロングヘアの女の子と、その少女と同じ制服を着た、頭になぜか花束を
咲かせている少女が空を舞う白井に向かって手を振っていた。


「あれ?」

55 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:31:07.39 ID:jRed9tN8o

と、そこで打ち止めがわずかに首を傾げて声を漏らした。


「ん、何?」

「初春のお姉ちゃんだってミサカはミサカはあの頭の花束は
 絶対に忘れることはないって確信を持って言ってみたり」

「知り合いか?」


フィアンマも遠方にいる初春の頭を怪訝な目で見つめながら尋ねた。

56 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:31:45.31 ID:jRed9tN8o


「学園都市の独立記念日に会ったのってミサカはミサカは思い出しながら報告してみる。
 一緒にあの人を捜すお手伝いをしてもらったり、カキネからミサカを守ろうと
 してくれたりした『風紀委員(ジャッジメント)』の人だよってミサカはミサカは
 そういえばあの時のお礼をまだ言ってなかったかも!!」


ハッと顔を上げた打ち止めは途端に初春の下へ走り出してしまった。
ミーシャが追いかけようとするがフィアンマが面倒くさそうにそれを制止する。


「iuxza何ayyde」

「放っとけ。 俺様達はあまりちょろちょろ動かん方がいい」


そうこうしている内に白井黒子のデモンストレーションが終了し、
校庭、というかもはや会場は拍手喝采の賑わいを見せていた。
57 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:38:02.21 ID:jRed9tN8o
ここまでです。

今気付いたんですけどトンデモ発射場ガールって別に異名でも何でも無いですよね……
凡ミスをしてしまいましたがお許し下さい。


常盤台中学では能力実演的なイベントが行われていました。
ここからしばらくフィアンマパートの舞台が常盤台中学に移行します。
今までゲスト扱いだった超電磁砲組が本格的に登場しますが、あまりご期待なさらずに……。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
58 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/25(火) 12:38:51.27 ID:jRed9tN8o



                          【次回予告】



「ミサカはラストオーダーだよってミサカはミサカは佐天のお姉ちゃんに
 笑顔で挨拶に応じてみる!」
『妹達(シスターズ)』の司令塔――――――打ち止め(ラストオーダー)




「あっはは、変な喋り方〜。 ………って、ん? "ミサカ"?」
柵川中学の学生・初春飾利の親友――――――佐天涙子




「アホ毛ちゃん、あなたは一体………?」
第一七七支部所属の風紀委員(ジャッジメント)・佐天涙子の親友――――――初春飾利




「ち、ちっこいお姉様ああああああああああああああヒャッハーーーーーーーーーー!!!!!!!」
学園都市・常盤台中学の生徒――――――白井黒子



59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/10/25(火) 12:57:12.44 ID:A3wAI+FAO
光っちゃんかわいいよかわいいよ光っちゃん
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/10/25(火) 14:10:48.79 ID:SqXVYKx6o
おつですの
ここから黒子のターンか……
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/25(火) 14:26:33.24 ID:hxus4Wvd0
打ち止め逃げてえええええええええええええええ!!!!
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 14:49:37.70 ID:qdJQVfod0
真っ黒子になるわけですね。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 17:07:54.10 ID:9YNSpWP6o
むしろオセロ逃げてえええええええええええ
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富士山) [sage]:2011/10/25(火) 17:38:00.76 ID:+XAiIBui0
てっきり寮監の動きを見て聖人と勘違いするフィアンマがあると思ってた。
猟犬部隊を普通にぼこぼこにするぐらいだから本当に聖人でも驚かない。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/10/25(火) 18:26:12.36 ID:OBlU1vs00
変態淑女の登場ですのぉぉぉぉ!!!!!
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/25(火) 19:12:43.67 ID:ARPXYUwc0
白井暴走ワロタwwwwww
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 21:10:43.60 ID:zTC9yvVe0
安心の黒子クォリティ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/25(火) 21:29:30.43 ID:OKB3FA3h0
歪み無い黒子に期待!

きれいな黒子も見たいけど公式がすでに病的だからなぁ…
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/25(火) 21:38:12.09 ID:nkhcuv3Po
黒子が期待通りすぎるwwwwwwww
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/25(火) 21:48:31.58 ID:gZrT9WCe0
>>1
黒子が可愛すぎるんだけど

・・・1つ質問いいか?
何でフィアンマ達はいきなり街に繰り出してんの?
一応話し合いは終わったし、フィアンマが「御天堕しの障害(笑)」を取り除くまで楽しもうぜいえーて事でいいのか??
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/25(火) 23:22:51.14 ID:uGe1HUIN0
とりあえず、俺の嫁が出てきたわけだ
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 00:04:13.69 ID:hRiPGLq10
とりあえず黒子が黒こげになるのは分かった
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/26(水) 18:16:45.13 ID:TNjKsU4Y0
いつも通りのまっ黒子www
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/26(水) 20:03:56.82 ID:sPH7UqmAO
首がゴキャされるに100ペソ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/26(水) 21:53:59.19 ID:qdz6GoJk0
ワシリーサと黒子は期待を裏切らないなwwwwwwww
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/10/26(水) 22:23:58.34 ID:lJh52PLM0
お前ら黒子好き過ぎるww  オルソラ通行こそジャスティスの俺だが、黒子になら一方さんを譲れるよ。そしてオルソラが俺の嫁
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/26(水) 23:20:15.09 ID:xsFsgQyAO
>>76
どっちにしろそげぶ
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/10/27(木) 01:06:04.11 ID:NM6HTU270
>>70
御子様のご機嫌取りに決まっておろう!
79 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:17:17.67 ID:/UB+i2LAo
こんにちわ、おやつの時間に更新です。

ついこないだ、ようやく禁書アニメ二期を見終えました。
上条も一方通行も格好良かったのですが、何が一番驚いたって
『浜面仕上』のイントネーションが想像していたのと全く違った点ですね。
じきに慣れるでしょうが違和感あったなぁ視聴時は……

あと黒い翼も予想していたのとはだいぶ違う感じでした。

さて、どうでもいい話はさっさと終わらせて、フィアンマパートをお送りします。
街に出掛けた理由は『なんとなく』と言えばそれまでですが、その他に一つ小さい理由があります。


では、よろしくお願いします!
80 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:17:49.45 ID:/UB+i2LAo


――――――――――――――――――――――


初春飾利と佐天涙子もまた、周囲の観客と同じように
デモンストレーションを終えた白井黒子に笑顔で拍手をしていた。


「いやー、白井さんはやっぱパネえわ! カッコよかったなぁ………」

「御坂さんといる時はアレですけど、やっぱり真面目な白井さんは素敵ですね。
 婚后さんのパフォーマンスもインパクトありましたし……やっぱり常盤台って凄いですよね」


校庭の中央では白井がちょっと照れくさそうに手を振って客の歓声に応えていた。
婚后光子、白井黒子のデモンストレーションが終わり、常盤台の超能力披露プログラムも終盤に差し掛かった。
そこで『トリ』を務める"正真正銘の常盤台代表"を目前に二人が気持ちを昂らせていると、

81 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:18:28.39 ID:/UB+i2LAo




「初春のお姉ちゃーん! ってミサカはミサカは駆けながら大声で呼びかけてみたり!」

「ほえ?」

「わわっ、何か子供がこっち向かっ………ぎゃふっ!!?」




初春の腹に鈍い衝撃が伝わる。
イノシシにでも突進されたかと思ってぶつかってきた物体を抱え上げてみると、


「んんんー? …………あれ、もしかしてあの時のアホ毛ちゃん!?」

82 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:19:34.31 ID:/UB+i2LAo


「ミサカはアホ毛じゃないもん!! ってミサカはミサカは
 言いつつも久々の再会に喜んでみたり!」

「誰これ? 初春の子供?」


違います!! と初春の全力否定を無視して佐天は打ち止めに笑顔で挨拶をする。


「何か可愛い〜♪ 初めまして、佐天涙子でっす」

「ミサカはラストオーダーだよってミサカはミサカは
 佐天のお姉ちゃんに笑顔で挨拶に応じてみる!」

「あっはは、変な喋り方〜。 ………って、ん? "ミサカ"?」

83 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:20:19.60 ID:/UB+i2LAo


「えーっと、一〇月の初旬頃以来ですよね? お久しぶりです」

「あれから元気にしてた? ってミサカはミサカは確認しみてる」

「ねえねえ初春さんや」


考え事をしていた佐天が初春に声をかけてきた。


「どうかしましたか?」

「何かこの子さ、御坂さんに似てない?」


言われて、初春は今一度打ち止めの顔をジーッと凝視する。
対する打ち止めはただ瞳をパチクリさせて初春の顔を凝視し返すだけだ。
84 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:20:50.90 ID:/UB+i2LAo

そして、


「あ………………、言われてみれば似てるかも」

「でしょ!? つか初春、さっき一〇月頃に会ったって言ってたよね?
 気付けよ!! 前に御坂さんのちっこい頃のアルバム見せてもらった事あったけど、
 その写真の子がまんま出てきた感じだし! てかミサカはミサカは言ってるし!」

「アホ毛ちゃん、あなたは一体………?」

「………えっとね」


打ち止めはしばしあれこれと思考を巡らせて、

85 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:21:41.87 ID:/UB+i2LAo


「ミサカはお姉様の妹だよってミサカはミサカはとりあえずそういう事でごまかしてみたり」

「何だ妹さんか」

「それなら仕方が無いですね」


なんとかごまかせたようだ。それでいいのか初春佐天。


別に『御坂美琴のクローン体の一人です』と言ってもいいのではと打ち止めは一瞬思ったが、
仮にこの二人がそれを信じたとしてクローン体が作成された経緯、目的、法律に関する問題等
口頭で説明するには何かと億劫な情報量だったため、ひとまず妹という事で話題を強制終了させた。


「でも御坂さんに妹がいるなんて聞いた事ないですけど…………」

86 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:22:46.55 ID:/UB+i2LAo

う……、と打ち止めがたじろいだその時だった。


「初春、佐天さん。 常盤台の能力披露宴は楽しんでいただいてますの?」


完璧なデモンストレーションを披露した白井黒子が初春達の下へやって来た。
その顔には若干の疲れが残っている。やはりあれだけ派手で、かつ精密な演算が
必要となる能力行使は中学一年生には多少キツいものがあったのだろう。


「白井さん、お疲れ様です。 あたし感動しちゃいましたよー!」

「普段ああいう事しないだけに、余計かっこよく見えちゃいました」

「初春は一言余計ですの、って……。 ……………………………ん?」

「さっきの『空間移動系能力者』の人だってミサカはミサカは
 デモンストレーションとってもかっこよかったよって賞賛を贈ってみる!」


打ち止めの姿を見た白井黒子の時が止まった。
真顔で打ち止めを見つめたまま固まる白井に初春と佐天が『しまった……!』と焦燥する。
87 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:23:46.42 ID:/UB+i2LAo


「ん? ん? ん? ん? んんんん? んん? ん?」

「ど、どうしたのってミサカはミサカは何だかこの人に若干の恐怖を覚えてみたり……」

「し、白井さん、ちょっと落ち着いて聞いてください。 
 実はこの子は御坂さんの妹で、名前は………アホ毛ちゃん?」

「だからアホ毛じゃないもん!! ってミサカはミサカはもう……何度言ったらわかってくれるの?」

「ば、バカ初春!! そこは他人の空似って事にしないと白井さんが暴走………、
 あ、いや、他人の空似でも御坂さんに似てちゃしょうがな―――――」


そんな佐天の言葉は常盤台中学最高の空間移動系能力者及び、
常盤台中学最強の御坂美琴信者の歓喜の咆哮によって遮られた。




「ち、ちっこいお姉様ああああああああああああああヒャッハーーーーーーーーーー!!!!!!!」



88 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:24:37.11 ID:/UB+i2LAo

デモンストレーションの後半は屋外プールで行われるため、
観客達に並んでフィアンマ一行もプールへ移動していた。


「惜しげも無く魔術師の前で能力を披露するという趣向は思ったより愉快だな」

「えー、ミサカ的にはちょっと退屈かな。 学園都市の第一位と普段一緒に居たから
 この程度の披露宴じゃ満足出来ないってのもあるかもしんないけどさ」

「……………」


ふとミーシャの方を見ると、彼女は忙しなく首をキョロキョロさせていた。


「どうしたミーシャ、………何かあっちの方が騒がしいな」

89 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:26:03.44 ID:/UB+i2LAo

フィアンマの言葉に番外個体も反応し、何やら賑やかな雰囲気になっている方へ
視線を向けると、


「あれ、最終信号じゃん。 ……うわ、何か変な生き物に捕まってるし」

「た、助けてええええってミサカはミサカはちっとも面白くない見世物を
 見るような目でミサカを見てるあなた達にヘルプを求めてみたりー!」

「うぇへへへへへ、きょーっきょっきょ! じょわじょわじょわ、これは一体どういう事なんですの。
 お姉様がこーんなにちっこくなるだなんて……黒ずくめの組織に妙な薬物でも
 飲まされましたの? でしたら『風紀委員』としてその方々を賞賛……いやいや、
 罰せねばならないのですがああもう可愛すぎ愛しすぎ飼いたい飼いたい飼いたい食べたい」

「うわーん! ほっぺた擦りつけないでってミサカはミサカはみしゃ……!」

「ちょっと白井さん! さすがにそれはマズいですって! 一応私も風紀委員なんですから、
 それ以上行き過ぎた事をすれば補導処分を下さざるを得なくなっちゃいますよー!」

「あーあ、やっぱりこうなっちゃったかー……」

90 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:27:58.23 ID:/UB+i2LAo

打ち止めは謎のツインテール変態お化けに両腕でがっしりホールドされており、
そのまま融合してしまいそうな勢いで思いっきり頬ずりされていた。
傍にいる花畑の少女、初春飾利が白井の行為を阻止しようと必死になり、
そんな光景を佐天涙子が少し離れたところで顔を若干引きつらせながら笑って傍観している。


事情を大体把握したフィアンマと番外個体は、


「助けに行かんのか? 言っておくが、都合良く一方通行が飛んできて
 救出してくれるなんて奇跡は起きんと思うぞ」

「関わりたくない……、最終信号があのツインテールに感じてる畏怖が
 このミサカにまで伝わってきてる……。 ネットワークの悪意を主に
 反映するはずのミサカがだよ? こりゃトラウマになるね確実に」

「冷静に分析してないで助けろー! ってミサカはミサカは涙目で訴えてみたり!!」

「aiyyfn御意cpyue」

91 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:28:48.69 ID:/UB+i2LAo


ミーシャが何かを呟いたかと思ったら、既に天使はその場には居なかった。


次の瞬間には白井の顔面に天使のライダーキックが炸裂しており、
打ち止めは変態ツインテールの魔の手から逃れていたからだ。


「ぶべらっ!!?」

「し、白井さーん!!?」

「うわあ強烈!! でも自業自得っつーか……自重してくださいよ白井さん」


白井はプールを挟んだ対面側の客席に激突しそうになったところで
辛うじて『空間移動』を発動させ、初春達がいる場所へ戻ってくる。
92 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:29:46.34 ID:/UB+i2LAo


「ご、ごふぅ……! な、何ですの今の慈愛に満ち、かつありったけの殺意が込められた矛盾キックは……。
 危うく三途の川の向こう側で手を振っているお姉様に応じてしまうところでしたの……」

「いや御坂さんはまだ死んでないですから」


と、初春が的確なツッコミを入れていると佐天がミーシャ達の姿を見て
一瞬だけ何かを思い出したように目を見開いた。


「んお? あの人達どこかで……」

「え? あ、そうだ、あなた達はアホ毛ちゃんの保護者さん……ですよね?
 私の同僚がご迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでしたっ!」

93 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:30:25.96 ID:/UB+i2LAo

初春が物凄い勢いでフィアンマ達に謝罪をし、頭を下げる。
その影響で彼女の頭の花びらが数枚散っていった。


「うう……トラウマが生まれるところだったかもってミサカはミサカは……」

「ミサカ的にはその展開の方が好みだったんだけどね〜。 ミーシャってば
 邪魔してくれちゃって。 ていうか今ので周囲の視線をだいぶ集めちゃったけど」

「面倒な事をしてくれる………」


頭を抱えて盛大にため息をつくフィアンマに、初春は更に深く頭を下げ、
隣にいた白井の頭も掴んで無理やり頭を下げさせる。


「いたたたたたた痛い痛い!! ちょっとやめなさいな初春!!
 謝罪なら自分できちんと出来ますの!!」

「いいえダメです、白井さんの事だから相手が気を許した隙に
 またアホ毛ちゃんにルパンダイブを決行したっておかしくないんですから」

94 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:31:08.72 ID:/UB+i2LAo


「ったく……奇怪な人間もいたもんだな。 もう頭を上げていいから
 俺様達の視界に入るな。 子供が子供を怯えさせてどうする」

「第一位がこの場に居たらあなた達殺されてるかもね、あっはは♪」

「え? 第一位………?」


番外個体の発言に過敏に反応したのは佐天だった。
彼女は首を傾げて視線を空に投げ、うーんと記憶を捻り出すように唸る。
そして、


「あー! 思い出した、この人長点上機学園にいた特別講座の先生じゃん!」

「?」

「長点上機……?」


とりあえず隣いいですか!? とやや興奮気味に聞いてくる佐天に対し、
フィアンマは鬱陶しそうな顔を固定させたまま仕方なくといった調子で応じた。
95 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:31:58.14 ID:/UB+i2LAo


――――――――――――――――――――――


――学園都市・常盤台中学 屋外プールサイド(客席仕様)


初春「佐天さんのお知り合いですか?」

佐天「知り合いっていうか、長点上機の講習受けに行った時にチラッと見たんだよ、
   この人の教室。 ……何だか難しそうだからその時は遠慮したんだけど」

白井「長点上機の講習……、ああ。 やたら派手に宣伝をしてたアレの事ですのね。
   常盤台の理事長が長点上機の気合いの入れ方に歯噛みしてたとかいう……」

初春「佐天さん、長点上機に行ってきたんですか!? どうして私を誘ってくれなかったんです!」

96 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:32:41.94 ID:/UB+i2LAo

佐天「だって初春ってば風紀委員の仕事で一端覧祭の初日は動けないって言ってたじゃん」

初春「長点上機なんて超名門の講習に行こうと誘われたら
   風紀委員の仕事サボってでも行きましたよ!」

白井「おい」

佐天「あなたも一方通行さんとお知り合いなんですよね?」

フィアンマ「………まぁな」

初春「あくせられーた?」

佐天「えっとね、」



―――――「『超電磁砲(レールガン)』には俺の話はしねェ方がイイ」


97 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:33:24.09 ID:/UB+i2LAo

佐天「………えーっと、」

番外個体「レベル5の第一位だよ」

白井「!」

初春「ええ!? が、学園都市の能力者の……トップ!?」

佐天「うん、そうそう(まぁ別に大丈夫だよね……御坂さんに知られなきゃ)」

白井「長点上機なら第一位が講師を務めていても、確かにおかしくはありませんわね」

初春「ふえええ……すごいですね。 ………、………ん? あれ?」

打ち止め「どうしたのってミサカはミサカは急にボーっとしだした
     初春のお姉ちゃんに尋ねてみたり」

98 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:34:16.66 ID:/UB+i2LAo

初春「いえ、その………何か、」

佐天「? どったの?」

白井「…………あら? そういえば、」

初春「あ、白井さんも"感じました"?」

白井「な、何ですの……? 『デジャヴ』? という現象ですのこれは?」

フィアンマ「デジャヴ?」

白井「以前……こうして第一位について初春達とお話をしたような……」

佐天「それ、あたしもですか?」

99 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:35:01.15 ID:/UB+i2LAo

初春「多分……」

佐天「えー? でもあたし一方通行さんと会ったの"昨日が初めてだよー"?」

白井「佐天さん、その一方通行という方はどのような方ですの?」

佐天「うーん。 ちょっとおっかない雰囲気の人だけど、お話してみたら
   これが意外と優しい人で。 あたしの能力を開花する手伝いも必死にやってくれたし」

番外個体「ええーあの人がぁ? 信じらんないな」

ガブリエル「uetrt容易wqlif」

打ち止め「あの人はああ見えて人に対して優しいんだよってミサカはミサカは
     あの人の居ない所で評価を上げてみたり。 不器用なだけなの」

100 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:35:48.79 ID:/UB+i2LAo

初春「もしかしてあの時アホ毛ちゃんが捜してた迷子というのは……」

打ち止め「うん、あの人の事ってミサカはミサカは事後報告してみる。
     初春のお姉ちゃんも会った事あるはずだけど」

初春「…………………、」



初春「………あ!? もしかして……あの白い髪の人……?」



番外個体「学園都市で白い髪の能力者っつったら一〇人に八人はあの人を思い浮かべるだろうね」

白井「初春も会った事があるんですの?」

101 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:36:26.42 ID:/UB+i2LAo

初春「思い……出した。 というか、どうして忘れてたんだろ」

佐天「?」

初春「わ、私……その一方通行って人に助けてもらった事があるんです!」

白井「はい?」

佐天「え? どゆ事?」

番外個体「あの人……色んな女にツバつけてやがるな」

初春「アホ毛ちゃんと迷子を……一方通行さんを捜してる時、
   私知らない男の能力者に襲われた事があって……」

白井「な……そんな報告は受けておりませんわよ!?」

102 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:45:01.47 ID:/UB+i2LAo
今日の更新はここまでです。

Q. 超電磁砲組の記憶はエイワスにシャランラーされたんじゃないの?

A. タイムアップです。


白井の暴走もミーシャによって抑えられ事なきを得ましたが、
ここからちょっと面倒な事になるかもしれなかったりそうじゃなかったり。

次はフィアンマパートの続きと、最後の方ちょっと垣根帝督パート入ると思います。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
103 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/27(木) 15:45:28.76 ID:/UB+i2LAo



                          【次回予告】



「……なるほど。 確かに"その時期"なら他方面からの好奇心は障害になるな。
 全く、いつの時代も、どんな状況でも、『しがらみ』は鬱陶しく絡みつく」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・元『神の右席』の魔術師――――――フィアンマ




「へえ、第五位ってどんなヤツなの?」
『妹達(シスターズ)』第三次製造計画(サードシーズン)で作られた御坂美琴のクローン――――――番外個体(ミサカワースト)




「わおわお、『傾国の女』と独立国を築いた『聖女』が同じ空間にいたマスか」
イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師――――――テオドシア=エレクトラ




「ふうん……魔術ってのはこういう使い方も出来るのか。 
 やっぱ能力と比べると段違いに利便性が高いんだな」
『天使同盟』の構成員・学園都市第二位の超能力者(レベル5)『未元物質(ダークマター)』――――――垣根帝督



104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/10/27(木) 15:48:15.92 ID:nOmM5xgCo
おつですの
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/10/27(木) 16:15:52.45 ID:Ha1nwVcco
>>101>>102の投下時間が空いてて、またエイワスかと思った
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/27(木) 16:30:09.50 ID:qzcCYaoko
>>103
垣根くんの名前が戻ってる?能力復活なのかの?
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 17:32:06.96 ID:ZqpCVowz0
>>105 エイワスはスレの動きも掌握してるのか
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/27(木) 19:35:43.35 ID:Tmm2KZBX0
慈愛と殺意のこもったミーシャの矛盾キックにワロタwwwwwwwwww
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/27(木) 20:12:44.24 ID:vPPH/ZAAO
おつおつ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/27(木) 20:17:01.11 ID:ZrZxmQHg0
い、いかん
なんか今目の前に天使のライダーキックの幻覚がBD画質で…
憑かれてるのかな、俺
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/27(木) 21:00:51.66 ID:oFf29K8l0
てか手振ってたのって、妹達じゃ…と、思ったが別に会ってもないし関わりがなかったな
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 22:32:42.16 ID:u5cAxxvSO
とは言っても未元物質程バリエーションに富んだ魔術ってそうはないだろ
強弱は別にして
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/27(木) 22:56:54.52 ID:VTN3PMTuo
>>112
未元物質は魔術じゃないんだな
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/27(木) 23:33:29.54 ID:Tmm2KZBX0
>>113
いや、未元物質と同じくらいバリエーションに富んだ魔術
って意味じゃないか?
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/27(木) 23:35:35.54 ID:zt7bARGIo
>>89の黒子が李博士ぽくてワロタ
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/10/28(金) 00:41:09.52 ID:TjUlrXzAO
いや 未元物質はこの世に『存在しない』物質だから
既に存在してる物質のように扱えない
と考えると一気に使い勝手が悪くなる気がする
ここまでスレチ
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/28(金) 05:07:42.11 ID:f87xjjFAO
「この世に存在しない物質だが、この世に存在する物質と同じ特性を持つ」未現物質出せば良いだけだよね。
しかも、例えば「水素と酸素の特性を合わせ持つ気体」みたいなのも多分出来るだろうし、万能さに関しちゃそれこそ一方さん以外には負けないじゃろ
実際はこれにプラスしてていとくんに都合の良い追加スキルを山盛り装備(しかも自由に変更化)
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2011/10/28(金) 10:09:08.79 ID:WV3COKj70
>>117
『この世に存在しない物質』(未元物質)を生み出す能力であって
『思い通りの物質』を出せるってわけじゃ無いと思うけど
スレチでスマンが
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/10/28(金) 12:11:27.46 ID:6QkGKnWGo
常識が通じるか通じないかで判断すればいい
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/28(金) 18:37:12.61 ID:HWp/DKCG0
そんなことよりオルソラさんの話しようぜ
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 18:45:38.66 ID:aaDWcWGHo
>>120
おっぱい
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/28(金) 20:54:27.01 ID:x22Zw9bV0
オルソラより神裂の話しようぜ。
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県) [sage]:2011/10/28(金) 21:30:58.32 ID:iW6B9cleo
おっぱいおっぱい!
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/28(金) 21:33:49.53 ID:2FmnTGM/o
おまえらw
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/28(金) 23:48:21.67 ID:I6RtWIF90
そんなことより更新待とうぜ!
126 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:47:39.54 ID:gkGABuSKo
こんにちわ〜、更新を開始したいと思います。

上でも言われていますが、確かに『未元物質』ってかなり利便性高いですよね。
魔術にも負けず劣らずなくらいに。一方通行の次にランクインされているだけの事はあります。
それでも『魔術も使いたいよぉ』と言ってる垣根はワガママですよねえ。

で、今回はまたフィアンマパート。常盤台中学にやって来た一行は
白井黒子、初春飾利、佐天涙子と知り合います。そこで出てきた話題は
一方通行。するとエイワスの手によって封印されていた白井達の記憶が徐々に蘇り……。


それでは、よろしくお願いします!
127 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:49:32.30 ID:gkGABuSKo


初春「あまりに衝撃的展開の連続だったんで言いそびれてたんです……」

白井「いつどこで襲われましたの? 話してくれればわたくしが……!」

佐天「あたしも聞いてない! どんな野郎に襲われたの!? 
   あたしがいっちょ開花した能力でボッコボコに………!!」

フィアンマ「…………お前は事情を知っているのか?」

ガブリエル「xndirj全然apoare」シラン

初春「どんな人って……うーん、そこまでは思い出せないですね。
   でも本当にどうして今の今まで忘れてたんだろう……」

白井「……確か、お姉様も交えて第一位についてのお話をした事ありますわよね?」

128 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:50:15.76 ID:gkGABuSKo

初春「あ、そうです! みんなで買い物に行こうって時に確か……」

佐天「…………そうだっけ?」

初春「佐天さんも忘れてるんですか?」

佐天「うーむ……そのようだけど」

白井「皆が皆こうして記憶を失うなんてあり得ますの……?」

フィアンマ「記憶の改竄でも施されたんじゃないのか? 一方通行は
      学園都市の中でも最重要情報に位置する存在なんだろう?」

佐天「そ、それはあり得る……なんたって学園都市だし」

ガブリエル「……………sydh改竄ksu記憶apfhyhj」

129 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:50:48.50 ID:gkGABuSKo

フィアンマ「ん?」

ガブリエル「!」ピコーン



―――――消したのではない、記憶回路の奥底に沈めた、と言ったらいいのかな。

―――――思い出す頃には、我々の抱えている案件は全て片付いているだろう。



ガブリエル「dhttnkgrnaxstg、mcisin………、ancztcdfcwyebjkrwigi」ペラペラ

佐天「うわっ!?」

白井「な、何ですのこのノイズは……」
130 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:51:31.14 ID:gkGABuSKo

フィアンマ「……………情報の隠蔽だと? こいつらがお前らを追っていたのか」

初春「へ?」

ガブリエル「rarhp記憶xny操作pmdm一時的haprr無害apb」

フィアンマ「……なるほど。 確かに"その時期"なら他方面からの好奇心は障害になるな。
      全く、いつの時代も、どんな状況でも、『しがらみ』は鬱陶しく絡みつく」

佐天「あのー……あたし達が何か?」

フィアンマ「いや……もう終わった事らしい」

初春「?」

白井「しかしこれは……一度お姉様とも話をしておいた方がいいかも知れませんわね」
131 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:52:10.84 ID:gkGABuSKo

初春「御坂さんもですか」

白井「まぁあり得ないとは思いますが、記憶の改竄というとここ常盤台の
   第五位がどうしても思い浮かんでくるものですので。 第五位と
   ある程度の面識があるお姉様ならあるいは何か知っているかも……」

番外個体「へえ、第五位ってどんなヤツなの?」

白井「……この学校で一際強力な『派閥』を作っている能力者ですの。
   わたくしはほとんど関わった事はないですけど、あまり良い印象は
   無い女ですわね」

番外個体「ふーん、何かそいつとは気が合いそうだな♪ ミサカはもう
     第一位、第二位、第四位と接触しているから、こうなったら
     レベル5全員コンプリートしてみたくなっちゃう」

佐天「あれ? 今"ミサカ"って、」
132 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:54:04.62 ID:gkGABuSKo

番外個体「ありゃ、言っちゃってた?」テヘペロ

初春「あなたも御坂さんと血縁関係のある方なんですか……?」

番外個体「うーん(どうしよっか?)」チラッ

打ち止め「(ビジュアル的には姉って事でいいんじゃないかなって
      ミサカはミサカは提案してみる。 クローンだって言っても
      多分すぐには理解してもらえないと思うから)」チラッ

番外個体「(オッケー) えっと、美琴の姉でーす☆」

白井「お、お姉様のお姉様……!? なるほど、言われてみれば端正なお顔立ち……ぐふふ」

番外個体「うわぁ……このミサカでもいけるのかこのド変態」

133 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:55:03.16 ID:gkGABuSKo

佐天「へー、じゃあ御坂さんって姉と妹がいるんだ」

番外個体(妹は全部で九九七二人いるけどね)

白井「お姉様に御姉妹がいらっしゃるなんて聞いた事がございませんけど……」

番外個体「あんま仲良くないから、話そうともしなかったんじゃないかな」

初春(複雑なご家庭なのかな……)

打ち止め「ミサカはとっても仲良しだよってミサカはミサカは胸を張って主張してみたり!」フフンッ

白井「ぐっほぁ可愛すぎるぅ」フラッ

番外個体「最終信号ってお姉様と話した事あんの?」

打ち止め「…………無いけどってミサカはミサカはしょんぼりしてみる」シュン
134 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:55:54.62 ID:gkGABuSKo

佐天(……御坂さんのお姉さんが御坂さんを"お姉様"って呼ぶのはおかしいような)

白井「くっふふふふ……」ハァハァハァハァハァ

初春「あ、アホ毛ちゃーん……あんまりこの人の前であざといリアクション取らない方がいいですよ?」

佐天「っていうか、申し遅れました! 私、佐天涙子でっす!」

初春「あ、う、初春飾利です! 風紀委員に勤めてます」

白井「白井黒子ですの。 同じく風紀委員ですわ」

番外個体「えーっと、番外個体(ミサカワースト)でいいや」

佐天「へ? それ名前……じゃないですよね?」

番外個体「細けえこたぁいいんだよ」

打ち止め「ミサカは打ち止め(ラストオーダー)だよってミサカはミサカは自己紹介してみる!
     アホ毛じゃないぞってミサカはミサカは重ねて注意してみたり」
135 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:56:39.28 ID:gkGABuSKo

白井「わたくしはどんなお名前でも気にいたしませんわ、うふふふ」

打ち止め「ううー……やっぱこの人苦手ってミサカはミサカは
     隠すことなく口にしてみたり」

佐天「あなたは?」

フィアンマ「………火野神作」

番外個体「は?」

打ち止め「え?」

初春「あれ? 外人さん……ですよね?」

フィアンマ「……こ、細かい事はいいんだよ」
136 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:57:39.41 ID:gkGABuSKo

白井「それで………こちらの方は………」チラッ

ガブリエル「zmcgty宜敷aohwbt」

初春「うひぃ」

佐天「ま、また出た謎のノイズ……何かあちこちで声が跳ねてるように聞こえる……」

白井「大変失礼なのですがその……この方はどういう………?」

打ち止め「えっと、」

フィアンマ「ああ、喉の病気」

番外個体(なんじゃそら)

佐天「ああー……そういう事情が。 ごめんなさい」

フィアンマ(信じるのかよ)
137 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:58:12.31 ID:gkGABuSKo

初春「お名前は……?」

フィアンマ「こいつの事はミーシャと呼んでやれ」

ガブリエル「xufrm確認aqkgki」

フィアンマ「(必要ないだろう、こいつらはどう見ても科学サイドの人間だ)」

佐天「よろしくミーシャさん。 ……体、大きいですね……」

初春(前にゲームセンターで聞いた声と似てる気がする……)

白井「着込んでいらっしゃるガウンが何とも言えない威圧感を放っていますわね……」

打ち止め「ところで次の能力実演はいつ始まるのってミサカはミサカは
     わくわくしながらずっと待ってるんだけど」
138 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:59:20.65 ID:gkGABuSKo

白井「それでしたらあと数分で始まりますの。 もう少々お待ちくださいな」

フィアンマ「なぜプールなんだ。 シンクロナイズドスイミングでも始めるのか?」

白井「常盤台の水泳部の方々による水流操作系能力者のデモンストレーションですの」

番外個体「こんなクソ寒い時期にそんなもん見せられてもねえ……」

打ち止め「そういう事言わないのってミサカはミサカは叱ってみる」

白井「それにこの実演のトリを務めるお姉様の能力は、プールのように巨大な
   緩衝材が無いと周囲に影響が及びますので」

打ち止め「おおおお! お姉様もやっぱり出るのねってミサカはミサカは
     喜びを全面に出してみる!」ワクワク

139 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 16:59:53.15 ID:gkGABuSKo

ガブリエル「…………uxye水流aiwh操作ajeb……?」ピクッ

フィアンマ「頼むから余計な事はせんでくれよ」

白井「あ、……水泳部と言えば」

佐天「?」

白井「泡浮さん……元気になられたのでしょうか」

フィアンマ「…………泡浮?」

白井「え、ええ……。 ご存知で?」

フィアンマ「いや………そいつがどうしたんだ」

140 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:01:08.04 ID:gkGABuSKo

白井「それが昨日、湾内さんとどこかへ出掛けたらしく……帰ってきた所を出迎えたら
   泡浮さんがかなりひどく落ち込んでいらしたという事がありまして……。 
   って、貴方にこんな事を言ってもしょうがないですわね、忘れてくださいな」

フィアンマ(泡浮と言えば……垣根帝督がフッた女か。 落ち込んでいる
      というのもそれが原因なのだろうが……まぁ俺様には関係ないか))

白井「お姉様もまだ少し元気が無いみたいですし……今日の実演に影響が無ければ良いのですが……」

佐天「あ、白井さんもそれ言ってるー。 前に初春も言ってたけど、
   あたし的には御坂さん、普通に過ごしてるように見えるけどなー」

初春「いやいや、注意深く観察すればちょっと元気無いって分かりますよ」

打ち止め「お姉様がどうしたの? ってミサカはミサカは質問してみる」

白井「貴女達はお姉様から何か聞いておりませんの?」

番外個体「基本的に会わないから、連絡なんかも取った事ないし」
141 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:01:39.58 ID:gkGABuSKo

佐天(どんだけ仲悪いんだろ……)

白井「まさかあのクソ類人猿がお姉様に何かちょっかいかけたとかじゃ……」グルルル…



『それでは皆様、大変長らくお待たせしました。 まずは常盤台中学水泳部による、
 水流操作の能力実演プログラムからお楽しみください』



番外個体「お、始まるんじゃない?」

打ち止め「待ってましたー! ってミサカはミサカは拍手を贈ってみる!」パチパチ

ガブリエル「xydekt拝見zrqmhp」フム

フィアンマ「何を先輩ぶってんだ。 いや、実際かなり先輩か……『水』に関しては」
142 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:02:33.19 ID:gkGABuSKo


――――――――――――――――――――――




『ここは禁煙だから、煙草は遠慮してちょうだい』とエリザリーナに釘を刺された
ステイル=マグヌスは、しょんぼりと表情を落ち込ませながら独立国で購入した
ロシア製の煙草を箱の中に仕舞い込んだ。




「しかし本当に来てくれるとはな。 久しぶり」

「出来れば二度と顔を見たくなかったんだけどね、まぁ君が抱え込んでる
 案件の内容を聞けば魔術師としては足を運ばざるを得ないというか……」

「ホント、久しぶりね垣根の坊や。 残りの愉快な仲間たちはいないの?」

「第一の私見ですが、ミーシャが居てくれた方が個人的に助かったのですが……」

143 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:03:55.42 ID:gkGABuSKo

ステイル=マグヌス、ワシリーサ、サーシャ=クロイツェフはエリザリーナに
呼び出されて『殲滅白書』の本拠地からさほど距離もない独立国同盟へ赴いていた。
理由は当然、垣根帝督の魔術に関する件についてだ。

更に、


「あー、どもども。 初めまして、私、テオドシア=エレクトラと言いマスデス。
 はいこれ名刺。 え? ああ、これはマッチに火をつける事で私の簡単な自己紹介文が
 浮かび上がってくる仕組みになってるマスでして……。 え? 面倒臭い? いやいや、
 そんな事言わないでほら、………あっれ? ヤバ、これイギリス清教が抱えてる
 超極秘裏情報の一部始終………あ痛ッ!!? い、イキナリ殴る事はないデスしょステイル!」


殴られた拍子に落としたマッチが床に敷かれていた目玉がリアルに飛び出しそうな値段っぽい
豪勢な絨毯を焦がし、慌てて踏みつけて事なきを得ようとするテオドシアもなぜか同行していた。
煙草の煙はNGなのに、焦げた絨毯に関してはエリザリーナは一切気にしていないようで、
144 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:04:55.60 ID:gkGABuSKo


「噂は耳にしているわよ、よろしくねテオドシア。 ……それにしても今日は本当に
 来客が多いわ。 姉さんに垣根帝督達、それにあなた達と、……味気ない書類整理よりは
 幾分マシだけれど」

「わおわお、『傾国の女』と独立国を築いた『聖女』が同じ空間にいたマスか。
 それはさぞかし見物だったデスしょうね。 昨今、魔術サイドの都合で
 色んな所属の魔術師を見ることが出来て、私の魔術レパートリーは増える一方
 懐ホクホクデスマス。 それで今回ここに呼ばれた件についても―――」

「君は呼ばれてない」


ステイルに軽口を遮られたテオドシアはプクーっと頬を膨らませる。

『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師二人によるコントが繰り広げられる中、
垣根帝督はテオドシアから受け取ったマッチの炎を見つめながら感心するように言った。
145 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:05:48.54 ID:gkGABuSKo


「ふうん……魔術ってのはこういう使い方も出来るのか。 やっぱ
 能力と比べると段違いに利便性が高いんだな」

「ねえ、私にも見せてよ。 ……へえー、どういう仕組なのこれ?
 『思念使い(マテリアライズ)』や『精神感応(テレパス)』の複合みたいなもん?」


垣根の隣に居たドレスの少女も物珍しげにテオドシアの自己紹介文が
浮かび上がる『幻像資料(ビジュアルデータ)』を覗き込んでいた。
ステイルは見慣れぬ少女の顔を見て怪訝そうにしながら垣根に尋ねる。


「………失礼、彼女は?」

「荷物」

「うおーい垣根クンよ、いい加減私に対する扱い改めてくれないかしら?
 初めまして魔術師さん、私はまぁ……垣根帝督のツレって事で」

146 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:06:43.51 ID:gkGABuSKo


「……………イギリス清教、『必要悪の教会』所属、ステイル=マグヌスだ。
 重ねて尋ねるが君、"事情"は把握しているのかい?」

「"大体"ね。 ああ、私の前で魔術サイドに関する機密事項とか平気で喋っても
 問題ないわよ。 信用するかどうかはあなた達に託すけど、私は魔術サイドの
 情報を学園都市に横流しするような真似はするつもり、ないから」


ちっとも信用出来ないステイルだったが、どうやら彼女も『天使同盟』の存在を
凡そながら知っているのだろうと判断し、それ以上言及する事はなかった。

一同は改めてソファに腰を落ち着かせ、世間話もそこそこに本題へと入る。
切り出したのはエリザリーナだった。
147 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:07:46.37 ID:gkGABuSKo




「―――そういうわけで、垣根帝督はなぜ魔術が使えなくなったのか、
 相談気分でこの国に足を運んできてくれたらしいのだけれど」

「第二の私見を述べてもいいですか?」




早速挙手をして発言許可を求めたのはサーシャ=クロイツェフだった。
垣根帝督は顎を軽く動かして意見を促す。


「魔術が使えなくなる、という事が私にはそもそもどういう事なのか理解出来ません。
 補足説明しますと、魔術が使えなくなるパターンは大まかに分類して二種類。
 "魔術を行使する魔術師本人が死に至る"か、"魔力の精製を行えなくする、または
 魔力の精製を滞らせ、思うように魔術を使えなくする術式、呪術を受ける。
 この二つに絞られると思います」

148 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:08:48.95 ID:gkGABuSKo

しかし、とサーシャは続ける。


「垣根帝督が魔力精製抑止術式、またはそれに準じた呪術を受けたのならば
 それで既に理由は明らかになっていますし、その術式及び呪術を行使してきた
 魔術師を何らかの形で無力化してしまえば済む問題です。 わざわざ私達を
 招集して相談を持ちかける事態ではありません。 更に補足説明しますと、
 そうでなければもう一つのパターン、魔術師本人の死ですが、垣根帝督は
 現にこうして生存しています。 即ち、魔術が行使出来なくなるパターンの
 どれにも当てはまらない。 よって、私には『魔術が使えなくなった』と
 言う言葉の意味が理解出来ません」

「だよな。 "俺らんとこの魔術師もそう言ってた"」


垣根の言葉を受け、ステイル、サーシャ、ワシリーサ、エリザリーナは
『「天使同盟」に魔術師なんていたか……?』と眉をひそめる。
エイワスならば『エイワスがそう言っていた』と言うだろうし、垣根の魔術師という言葉には
どこか含みがあるように思えた。

そんな疑問をぶつけようとしたところで、まだ垣根帝督が『天使同盟』である事実を
知らないテオドシアが意見を述べる。
149 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:09:49.41 ID:gkGABuSKo


「実は何らかの方法で超長距離魔術を使用されていて、それをあなたが気付かぬ内に
 食らってしまった、という可能性は既に考慮してマスデスか?」

「それは恐らくあり得ねえ。 そんな面倒な方法で俺に魔術を食らわせるんなら
 手っ取り早く俺を始末出来る魔術をチョイスするはずだろ。 それに、あんま言いたかねえが
 そんな事をする輩がいれば恐らくエイワス辺りが黙っちゃいねえよ」

「えいわす?」


はて? と指を顎に当てて垣根の口から出たキーワードについて考えこむ。
ステイル達がどう説明しようかと悩んでいると、それを無視するように
垣根帝督自らが自分の立ち位置について暴露を始めた。


「もう多分バラしちまっても問題ねえ段階まで"世間は進んでるだろうから言っておく"。
 俺は世間で騒がれてる『天使同盟(アライアンス)』の一員だ。 お前も魔術師なんだろ?
 それもイギリス清教の。 だったらゲロしちまっても構わねえよ」

「…………………………………、マジで?」


どうなの? といった調子でテオドシアは周囲の人間の顔を見回す。
彼女以外の人間が揃いも揃って首を縦に振ったのを確認すると、テオドシアは『oh……』と
漏らすように声を出す事しか出来なかった。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 17:10:00.76 ID:nNjGWL9d0
リアル投下来たわこれ
151 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:16:23.77 ID:gkGABuSKo
今回はここまでです。

泡浮万彬に関しては何とかフォロー入れたいところですけど、
彼女の話を介入させるタイミングがなかなか見つからないんですよね。

次回は垣根帝督パートと、フィアンマパートをちょこっとだけ。
最近また中途半端になってきてる……。整理しないといけませんね。

垣根帝督が魔力を失った原因は判明するのでしょうか。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
152 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/10/29(土) 17:17:19.79 ID:gkGABuSKo



                          【次回予告】



「俺の『未元物質(ダークマター)』に、常識は通用しねえ」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・学園都市第二位の超能力者(レベル5)『未元物質』――――――垣根帝督




「あなたは『垣根帝督』であって、『未元物質』じゃない」
『クラッカー』の構成員・『心理定規(メジャーハート)』の能力者――――――ドレスの少女




「ていうかさぁ、せっかく私が体張って鍛えてあげた魔力をそう簡単に手放さないでよ。
 これじゃ私が死にかけた苦労が水の泡じゃんかよぉ〜」
『殲滅白書』シスター――――――ワシリーサ



153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 17:22:10.59 ID:X7MVRZLLo
垣根の名言()来た!!
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 17:26:02.54 ID:qORAjYfNo
>>1乙です
絶対ワシリーサよりていとくんのほうが死にかけてる…ww
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 17:28:25.90 ID:K4XUx0jHo

そういえば決め台詞なのにあんまり見てなかったな
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2011/10/29(土) 17:46:42.43 ID:Q96lgAC90
乙、フィアンマさん無理してボケなくていいからww

>>155
最近専ら能力よりもていとくん自身の死亡フラグ立て回数の方が常識通用しないもんな
・・・待てよ?「常識が通用するからこそ何度も死にかけてる」と言った方が正しいのか?
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 18:11:54.31 ID:sbxoHcOT0
命の水でまる焦げでも生きてる人間が死にかけたってどのレベルだよwww
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/29(土) 18:22:21.03 ID:DyNrDjlH0
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 18:53:57.44 ID:PP5K8VesP

泡浮の告白シーンと垣根の断り方見てみたかったけど完全に書かない流れだな
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富士山) [sage]:2011/10/29(土) 19:49:32.82 ID:I3mtLPpG0
>>159
そかな君に『刀語』
特に錆戦はいろんな意味ですごかったwwwwwwwwwwwwアニメ版はさらにすごいwwwwwwww
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/29(土) 19:56:14.82 ID:9XtD54WAO
乙!
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/29(土) 21:08:08.76 ID:y0AE+Q590
フィアンマさんは意図してボケてんのか素なのかいまいち判断が付きづらいから困る
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/10/29(土) 21:09:23.40 ID:chsvqZnW0
喉の病気wwミーシャはそれでいいのかww
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/29(土) 23:12:41.22 ID:8HTnS8b40
フィアンマたんがボケてもつっこみこねぇwww
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/30(日) 01:03:33.81 ID:Hi36N8L/0
っつか垣根の坊やは卒業したのでは?
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/30(日) 01:53:51.98 ID:7jd0ijE50
テオドシアさんが常識人ポジションである
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/30(日) 23:01:55.46 ID:BOSsWvTDO
まとめから読み始めたのに追い付いただと…?

偉い人は言いました
蛇足…これからが本番であると


これからはリアルタイムで楽しませて頂きまっす!
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 23:18:01.53 ID:lP8OteAw0
>>167 ageるな[ピーーー]
それと臭い
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/31(月) 00:00:03.11 ID:sFpzS7Ki0
>>168 いちいちつっかかるな。スレのムードが下がる   どっかほかでやれや
170 :>>167 [sage]:2011/10/31(月) 00:13:29.12 ID:0u5EuwKDO
>>168-169
私の為に争うのはやめて!!


失礼
これでいいかな?
ここはまだ慣れてないもんで
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/31(月) 01:59:38.93 ID:gA7Pk4xdo
そんなことよりウンコしようぜ!
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 03:45:03.49 ID:D4u84+ndo
ああっ、もうダメッ!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!!
ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もうダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!!
いやぁぁっ!あたし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!!
ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もうダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!!
いやぁぁっ!あたし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/31(月) 07:20:58.90 ID:D+o6HdYAO
なんという糞スレ…
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/31(月) 07:25:45.56 ID:VBfKmZdI0
スレを汚すなぁ
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/31(月) 08:02:15.65 ID:a6wOBFV9o
つまんねーし長いし最悪だな
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 19:19:21.50 ID:KHQy3/+8o
そんなことよりオルソラさんの話しようぜ!!
177 :VIPにかわりましてAIWASSがお送りします(白薙怜士) [sage]:2011/10/31(月) 19:51:50.92 ID:HSqUB/BM0
>>172
…楽しいか?
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/31(月) 19:59:26.83 ID:EyKpN3qZ0
>>176
おっぱい
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/31(月) 20:32:23.57 ID:sFpzS7Ki0
>>172     >>1に土下座で詫びてからSHI☆NE
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2011/10/31(月) 21:15:44.17 ID:ABlmP7rAO
>>171が主に原因
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 23:48:46.33 ID:vbo4zn0DO
輝け

そんなことより火織さんのはなししようぜ
182 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:18:36.75 ID:UyAixklto
おはようございます、朝からの更新で申し訳ないです。

>>165
何か『垣根の坊や』って呼び方が私の中でしっくりきたのと、
親にとって子はいつまでも子、って風潮あるじゃないですか。
だから坊や呼ばわりを継続させてみました。垣根には悪いですけど

今回はそんな垣根の坊やパートと、フィアンマパートをちょっとだけ。
一方通行パートはもう少し先になります。


それでは、よろしくお願いします!
183 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:19:18.03 ID:UyAixklto


――――――――――――――――――――――


テオドシアに『天使同盟』に関するこれまでの経緯を簡潔に説明し終えた垣根は、
改めて彼女に言う。


「つー訳だ。 アレイスターからもそんな魔術を受けた様子はねえし、
 『禁書目録』の毒の影響だってんならインデックスが一〇万三〇〇〇冊の知識から
 俺が魔術を使えなくなった原因を頼んでもねえのに模索してるはずだ。
 あのガキに迷惑かけた俺が言うのもアレだが、あいつは多分そういうガキだ」


その言葉にステイルは忌々しく思いながらも同意した。
インデックスという少女は終始、垣根帝督を心配していた。
彼女の性格なら、垣根帝督が魔術を行使出来なくなった理由が『禁書目録』で解明出来るのならば
すぐにでもその知識をフル活用していただろう。

184 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:20:50.11 ID:UyAixklto

そして垣根帝督が未だにインデックスに心配をかけた事を悔やんでいると知り、
ステイルはわずかだが垣根帝督という男を自分の中で再評価していた。

と、そこへワシリーサが不貞腐れたように言う。


「ていうかさぁ、せっかく私が体張って鍛えてあげた魔力をそう簡単に手放さないでよ。
 これじゃ私が死にかけた苦労が水の泡じゃんかよぉ〜」

「何が死にかけただこの不死身ババア。 テメェあの後ピンピンしてただろうが」

「だったらもう一度、ワシリーサと訓練を実行してみてはどうかしら?
 ほら、言うじゃない。 人間死ぬ寸前まで追い詰められたら信じがたい力を発揮するって。
 あなた達が訓練に使った防空壕跡地なら今でも残ってるから、どうかしら?」

「今度は掛け値なく死ぬから」

185 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:21:47.09 ID:UyAixklto

エリザリーナの提案に垣根は顔を青ざめながら拒否する。
この男、死亡フラグを回避する術をいつの間にか習得したらしい。

魔術サイド絡み一色の話題にイマイチ乗っかれないドレスの少女が
ここで初めて意見を出した。


「よくわからないけどさ、あなたは『第一九学区事件』以来
 一度でも魔術を使おうとしたの?」


盲点を突いたつもりだったが、垣根帝督は冷静に答える。


「いや、使おうとはしなかった。 つか、使うまでもねえんだよ。
 "わかるんだ"、魔力を精製しようとしても、魔力を貯蓄するバケツの底に
 穴が空いてるみてえに練っても練ってもスッポ抜けちまうのがな」

186 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:22:13.84 ID:UyAixklto


「抜け落ちる……? 第三の私見ですが、確かにそれは聞いたことのない感覚ですね」


サーシャは顎に手を添えながら思考を巡らせつつ発言する。


「補足説明しますと、魔術師本人の死という理由はあり得ないので捨て置いて、
 魔力精製抑止術式及び呪術を受けた魔術師が魔力を無理やり精製する際に覚える
 感覚は、大抵の魔術師が『抜け落ちる』ではなく『堰き止められる』、です。
 まるでホースを繋いで水を流す際、ホースの中間部分を指でギュッと押し付けられ
 強引に堰き止められる感覚……。 他にも少数ながら感覚のパターンは存在しますが、
 垣根帝督の言う『抜け落ちる』は耳にしたことがありません」

「僕も同意見だ」


ステイルがサーシャの意見に便乗する。
187 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:22:48.12 ID:UyAixklto


「魔力の精製はその魔術師のコンディションにも左右される。 例えば
 ひどく肉体が疲労状態に陥っていたり、肉体に物理的なダメージを負っていたり、
 精神的にひどく乱れていたりすると魔力の精製が上手く行えない場合がある」

「その辺は能力も同じよね」


ドレスの少女がステイルの意見に補足を加える。


「能力だって精神的、肉体的にダメージを負っていると上手く演算が行えず、
 思ったように能力を行使出来ない場合がある。 魔力の精製と演算、
 この二つは全然違うようで実は結構似通っているみたいね」

188 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:23:49.78 ID:UyAixklto


「その通りだ。 ダメージやコンディションの乱れによる精製の不具合は
 僕も結構経験している。 垣根帝督の場合、『禁書目録』の酷使による
 脳への深いダメージが魔力の精製に不具合を生じさせているのかもしれない……が、」

「それはあり得ねえんだよな」


垣根はやや投げやりに首を振りながら、


「それだとインデックスが絶対に気付くはずだからな。 何より、
 『原典』の毒が脳へのダメージだけなんていう中途半端な事態で
 済むはずはねえ。 それに魔力は何も脳だけで精製するわけじゃない、
 全身の神経を研ぎ澄まして生み出してんだ。 ダメージによる原因で
 魔力が練れなくなるなんてのは、それこそ死でしかあり得ねえってこったろ。
 そして俺は死んでねえ、『禁書目録』をフル活用しちまったら普通は死ぬって
 状況でも死んでないって点が魔術使用不可現象に何らかの影響を与えてるのかも
 しれねえが……」

189 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:24:35.34 ID:UyAixklto

つまりは原因不明。

『必要悪の教会』、『殲滅白書』、『魔導師』という魔術サイドのエキスパートが
これだけ集まっても、垣根帝督の魔術使用不可の原因を突き止めるには至らない。


「魔術サイドの知識をかき集めても原因が分からないとなると……」


エリザリーナは垣根の隣でロシア生産の菓子を頬張るドレスの少女に
視線を向けながらこう言った。




「残るは科学サイド観点から考えられる原因、に限られるわね」




エリザリーナに続くように、魔術師の四人がドレスの少女に目を向ける。
少女は若干慌てながら口に残った菓子を飲み込み、落ち着きを取り戻すために
コーヒーを一口含んだ。
190 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:26:23.49 ID:UyAixklto


「私に意見を求められてもなぁ……。 大体、私は確かに能力者だけど、
 能力ってカテゴリに絞るなら垣根帝督の方がよっぽど秀でているわよ?
 なんたって彼は学園都市の最高峰、超能力者(レベル5)の第二位だもの。
 科学や能力を語らせるなら私より断然この男でしょ」

「第四の私見ですが、その垣根帝督本人がこうして分からないというから
 ロシアまで足を運んだのでは? そうなると必然、頼るべきは今ここにいる
 垣根帝督以外の能力者、すなわちあなたという事になります」

「ええー……何それ、そして何この雰囲気。 これじゃ私が『今から世界一面白いギャグを言います』の
 五秒前みたいじゃない……。垣根帝督は言わば科学と魔術が交差している存在って事でしょ?
 多分だけど、科学も魔術も一度とはいえ手中に収めたのはアレイスターか垣根帝督くらい。
 ああ、アレイスターが魔術師かも知れないって情報は『クラッカー』のイルカ女から聞いたんだけど。
 …………そうね、アレイスターに意見を仰いでみるっていうのはどう―――ひゃうっ!!?」


突然ドレスの少女が素っ頓狂な声を発したのは、垣根帝督が彼女の頬を思いっきり引っ張ったからだ。
191 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:27:24.53 ID:UyAixklto


アレイスター=クロウリー。
確かに彼は科学も魔術も手に入れた究極に近いと言っていい存在だ。
能力者でありながら魔術を行使した存在は垣根の他に一方通行が居るが、
割合で例えると一方通行は科8、魔術2であり、垣根帝督よりやや科学寄りであると言っていい。

それに諸事情だが、今の垣根帝督が一方通行に意見を要求する事はまずないだろう。
垣根の予想通りなら一方通行は現在『頑張っている』だろうし、単純に半ば喧嘩別れした雰囲気なため
一方通行に接したくないという垣根のしょうもない意地が邪魔をする。

となると、あとはアレイスターだけなのだが、それは絶対にあり得ない、あってはならない事だった。
垣根帝督は今でも、例えばここにアレイスターが突然現れたら能力も魔術も使えない状態を無視して
殺しにかかる自信がある。
アレイスターは敵。垣根帝督の中でこの認識が変わる事はほぼ無いと断言していい。

故にドレスの少女の提案は受け入れられない。
192 :×→科 ○→科学 すみません  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:28:42.77 ID:UyAixklto


「まぁ、かの大魔術師に意見を仰ぐなんて大袈裟な事はしなくてもいいのマスが……」


テオドシアは金と銀が混じり合った傷んだ髪を弄りながら、


「難しい事は何も要求していないマスデス。 科学という法則の常識の範疇に、
 垣根が魔術を使えなくなった原因が潜んでいる可能性がある。 その辺について
 何か思い当たるような、これかもっていう要因は無いのデスか?」

「うーん…………」


ドレスの少女は無駄に高い私室の天井を見上げながら唸る。

しかしどれだけ思案しても、どれだけ真剣に悩んでみても、
出てくる答えは一つだけだった。
193 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:29:30.61 ID:UyAixklto




「…………単純に垣根帝督が『能力者だから』、じゃないの? やっぱり」




学園都市で教育を受けた能力者は魔術を行使出来ない。


これは決して一般常識ではないが、"その道"に進んでいる、身を置いている者にとっては
非核三原則より常識的な事だった。


魔術とは、才能のない人間が才能のある人間に追いつくために作られた技術である。
元々才能のある、それこそレベル5の第二位という恐ろしい地位に就けるくらいの才能があった
垣根帝督が魔術を使えば、全身の神経や血管に多大な負荷がかかってしまう。
194 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:30:25.32 ID:UyAixklto

一方通行と垣根帝督はその常識の壁をぶち破った、言うなら大馬鹿者なのだが、
ドレスの少女が言わんとしている事はつまり、
"常識というルールを破った罰が今頃になって課せられたのでは?"、という事だった。


「ルールを破って魔術を使った馬鹿にはもう二度と魔術を使わせません、みたいな?」


常識。

この世の原則。ルール。人類に平等に課せられる当たり前の、最低限のルール。

これを破った者は漏れ無く、それ相応のリスク、ペナルティを背負う。

垣根帝督が魔術を使えなくなったのはそのペナルティによるものなのだ。
195 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:31:17.26 ID:UyAixklto


「……………………………………」


そう結論付けてしまうと科学サイドも魔術サイドも閉口せざるを得ない。
Q.E.D。証明終了。『垣根はルール違反により魔術が使えなくなりました』。


「おいしい前フリをどうもありがとよ」


だがな、と垣根は歯向かうようにドレスの少女に言う。




「俺の『未元物質(ダークマター)』に、常識は通用しねえ」



196 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:31:56.26 ID:UyAixklto


「あなたは『垣根帝督』であって、『未元物質』じゃない」

「『未元物質』は俺自身が生み出している物質だ」

「起源はあなたでも、現出した『未元物質』があなたそのものという事にはならないのよ」


説き伏せるように反論してくる少女を垣根はきつく睨む。
お前が俺の何を知っている、と。

しかし同時に、ドレスの少女の言葉に納得してしまう垣根がそこにはいた。
自分の能力だからこそ、自分がよく知っている。


常識が通用しないのは『未元物質』であって、垣根帝督ではない。

197 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:32:44.77 ID:UyAixklto


「………………そういえば、」


エリザリーナが思い出したように声を出す事で、垣根と少女の間に漂っていた
殺伐とした雰囲気が緩和された。


「垣根帝督、あなたは『禁書目録』の酷使で脳にダメージを負った。
 その事実は揺るぎ無いのよね?」

「カエルの医者とインデックスのお墨付きだぜ。 まず間違いねえよ」

「あなたは今、『未元物質』を使えるの?」

「いいや、能力の演算は大部分が脳によって弾き出される。 脳に負担を抱えた
 今の俺は『未元物質』を使え…………、………、…………………ッ」


そこまで言ってハッとしたのは垣根帝督だけではなく、エリザリーナも、ステイルも、
ワシリーサもサーシャも、各々が同じ反応をしていた。
急変した空気にキョトンとしているのはドレスの少女とテオドシアだけである。
198 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:33:51.07 ID:UyAixklto


「……そうだ、俺が使えねえのは魔術だけじゃねえ。 "超能力もだ"」

「第一の質問ですが、能力が使えないという事実と魔術が使えなくなった
 という事実の因果関係については考慮した事はありますか?」

「…………ねえよ。 それとこれとは別モンだとばかり思ってた。 だが、」

「考えてみる価値は充分にあると言えるだろうね。 これは魔術サイドにも
 科学サイドにも前例のない異常事態だが――――――」


ドレスの少女との啀み合いから突如生まれた新たな可能性。

ステイルが言う前に垣根は思わず口走っていた。




「………"超能力が、『未元物質』が、俺の魔力の精製を阻害してる"……のか………!?」




わざわざロシアに足を運んで魔術師を訪ねた苦労は無駄ではなかったかもしれない、と垣根は思う。
半ば強引に同伴してきたドレスの少女を受け入れた事も無駄ではなかったかもしれない、と垣根は思う。


暗雲立ち込める彼の案件に、光が差し込んできた。

199 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:34:41.19 ID:UyAixklto


――――――――――――――――――――――




これが真夏ならもう少し見栄えもあったろうに、とフィアンマは口にはしないが
そう思った。



彼の前に広がる光景は、一切の濁りの無い済んだ水がまるで生物のように活発に動き、
複雑な形状を模し、まるで絵本の中の世界に飛び込んだような感覚さえ覚える
幻想的で不思議な光景だった。

常盤台中学、水泳部による水を操った能力のデモンストレーションは、
冬だろうと構う事無く観客の心を鷲掴みにしていた。
観客のテンションを落とすことなく、水泳部の女生徒は完璧な能力実演を披露してみせたのだった。

200 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:35:23.61 ID:UyAixklto


「ほぇー…………、思わず見蕩れちゃったかもってミサカはミサカは
 感嘆の吐息を漏らしながら感激してみたり」

「ま、確かに。 見世物としては上出来だったんじゃないかな。
 ミサカ的にはちょいと刺激の強いサプライズとして、操った水で
 客の一人や二人くらいプールに引きずり落とすくらいのお茶目を
 やってほしかったかなぁ」

「isjrum及第点xzapo」

「偉そうに………」


フィアンマ達四人の隣では、白井黒子と初春飾利、佐天涙子が
彼らと同じように実演を見学していた。
201 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:36:08.80 ID:UyAixklto


「いやーもうこれお金取れるレベルですよ! こんなショーが
 タダで見れるなんて、あたし学園都市に来てよかったなぁ」

「少々大袈裟じゃありませんこと? まぁ、水泳部の皆様の
 能力実演は流石の一言に尽きますけれど」

「私、今日初めて常盤台の白井さんと知り合えて良かったって
 心の底から思えたかも知れません」


それどういう意味ですのコラ……、と白井が初春の両頬を容赦なく抓り上げる。
そんな彼女たちに特に何の関心も見せないフィアンマがプログラム表を閲覧していると、
佐天が横から首を伸ばしてきた。


「いよいよ次で締めですね」

「『常盤台の超電磁砲』………、第三位だったか」

202 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:37:50.98 ID:UyAixklto

プログラム表に記載されている能力実演の一覧表の最後を飾っているのは、
『刮目せよ! 学園都市一の電撃姫、御坂美琴による「超電磁砲」メドレー』という、
人によっては空寒さに身震いしてしまいそうな強烈なタイトルだった。


「実際のところ、ここにいる観客達の八割がお姉様目当てでしょうね。
 わたくし達などは所詮、お姉様の前座に過ぎませんの。
 しかーし! わたくしとしてはお姉様の前座を務める事が出来ただけでも光栄というもの!
 この白井黒子、本日のメインイベントであるお姉様の勇姿をしかとこの目に焼き付ける次第ですの!!」


熱く語る白井はここで妙な行動に出る。
どこから持ってきたのか、彼女はゴム素材が使用されているレインコートを
制服の上から着替え始めた。

それに続くように初春も佐天も、周囲にいる観客のほとんどが白井と同じように
レインコートに身を包んでいる。
203 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:38:47.46 ID:UyAixklto


「これでよし、っと……。 あれ? 火野さん達はもらってないんですか?」

「ミサカ達は途中で参加したからねえ、配ってる場所を見逃してたかも」

「あ、今そこで常盤台の生徒さんが配ってるみたいですから、貰ってきてあげますよ。
 ミーシャさんは………必要ない、ですよね?」

「abjr無問題lcped」


そう言うと初春は三人分のレインコートを常盤台の女子学生から受け取り、
フィアンマ達にそれを手渡した。


「水飛沫を避けるためのものなんだろうが……そこまで派手なのか、
 その『超電磁砲』とやらは」

「先ほども申し上げましたが、お姉様の能力は威力がマジパネェですの。
 この巨大プールを丸々一つ緩衝材にしなければならない程ですのよ、
 それだけ聞けば貴方もお察しいただけるのではございませんこと?」

204 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:39:40.68 ID:UyAixklto

こうして聞いていると、この白井黒子という少女はどこまでも御坂美琴を心酔しているなと
フィアンマは思った。
レベル5という学園都市では最高のステータスを持ち、話を聞く限りではその地位を
チラつかせて偉ぶるというような意地の悪い人間でもなく、皆から憧れを持たれるような存在。


ヒーロー。フィアンマがまだ見ぬ御坂美琴に受けた第一印象は、そんな人間像だった。


そして、その印象は間違いではなかった。




「お姉様キタ――――――!!!ってミサカはミサカは鼻息を荒くして大興奮してみたり!!!」

「うるさいなぁ………」

205 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 01:40:10.35 ID:UyAixklto

打ち止めが叫ぶと同時、プールサイドから鼓膜を突き破らんとする大歓声が響き渡った。
番外個体はこの声援にうんざりしながらも、その顔には笑みが窺える。
白井は言わずもがな、初春も佐天も、立ち上がってこれでもかと言わんばかりに腕を振って少女を支持していた。


少女。


御坂美琴。学園都市第三位の超能力者にして、学園都市最強の『電撃使い(エレクトロマスター)』。
発電系能力者の最高峰として、自らが得意とする必殺技『超電磁砲』を異名として名乗る少女。


美琴は超一流芸能人が登場したかのようなこの騒ぎを受け、
やりにくそうに苦笑いを浮かべながらも観客の声に手を振って応じていた。
206 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 10:47:20.42 ID:UyAixklto
今回はここまでです。

垣根帝督が魔術を取り戻す手掛かりが見つかった……ような気がします。
現時点では意味不明だと思いますが、これから未元物質と魔力の関係性が
浮き彫りになってくると思いますのでお待ちください。いつになるやら。

そしてフィアンマパートではお姉様こと御坂美琴がついに登場。
彼女のパフォーマンスは一見順調に思えますが……。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!次回はフィアンマパートです。

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207 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/01(火) 10:47:47.73 ID:UyAixklto



                          【次回予告】



「景気付けにもう一発ッ♪」
学園都市・常盤台中学の超能力者(レベル5)――――――御坂美琴




「…………ちぇっ、やっぱお姉様(オリジナル)とクローンじゃここまで出力と
 応用力に差があるんだね。 やっぱあの人の言う通り、早いとこミサカも
 『暗闇の五月計画』の応用に着手しないと個性を得られないかにゃーこりゃ」
『妹達(シスターズ)』第三次製造計画(サードシーズン)で作られた御坂美琴のクローン――――――番外個体(ミサカワースト)




「第三位と言うから所詮垣根帝督や一方通行程ではないと思ったが、実際にこうして
 レベル5の力を目の当たりにすると……驚くよ(棒)。 これなら上手くやれば聖人や
 それクラスの魔術師とも対等に渡り合えるんじゃないか?」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・元『神の右席』の魔術師――――――フィアンマ





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208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 10:48:24.57 ID:N7EjHnoDO


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209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/01(火) 12:50:10.36 ID:WdawYy+To
乙ですの

また下に余計なのが入り込んできたな

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210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/01(火) 13:43:17.38 ID:yTmS2+9U0
乙。 毎回楽しみにしてます。

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211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 14:07:08.59 ID:iwRyhSRIO
フィアンマさんの棒読み加減が素晴らしい

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212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/01(火) 14:26:50.76 ID:kTtZ/Zzw0
驚くよ(棒)www
まぁ確かにフィアンマレベルだと
御坂もたいしたことないもんな。

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213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 15:41:22.94 ID:Uq/JDxhIO
フイアンマ美琴を褒めていると見せかけて聖人もろとも馬鹿にしてるだろw

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214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/01(火) 16:06:46.29 ID:rK1ha+C1o
第二位と第三位の間には分厚い越えられない壁が存在するからなぁ

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215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/01(火) 16:54:03.84 ID:9UrFuInp0
フィアンマ棒読みすぎだろwwwwww

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216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 16:54:57.25 ID:pPRaXs6DO
更新早くてうれしす


なんか昼間見えなかったけど、下のが原因かな

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217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(山陽) [sage]:2011/11/01(火) 17:39:29.77 ID:bUhoOgbAO
フィアンマ棒読みwwww


1,2位と3位の間には越えられない壁があるからなぁ

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218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富士山) [sage]:2011/11/01(火) 18:00:41.39 ID:cO3m8xaf0
美琴って、弱いとか言われているけど実はマーク、原典持ちテクパトル、スラッパール、オリアナと同じランクだからそんなに弱くない。
それよりも術式が未完成だからって昔は麦野と美琴と同ランクだったテッラの方が・・・・



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219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/01(火) 18:00:53.66 ID:OCESRh5Z0
フィアンマwwwwwwwwwwwwwwww

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220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/01(火) 19:17:38.25 ID:0uhFPH6f0
一方通行と垣根だと悟空とべジータな感じだけど、1、2位と3位だとそれ以前に地球人とサイヤ人のような較差を覚える。

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221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/01(火) 20:04:27.48 ID:NAkGwN5B0
まあ次元が違う印象はあるけど、
上が突き抜けてるからといってその直下が雑魚、ということにはならんだろ
2ch文化圏でよく見る論法だがいつも違和感を覚える

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222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/01(火) 20:49:42.42 ID:618MzMse0
やっぱフィアンマにとっては この程度なんだろうな

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223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 21:48:20.01 ID:Kde6m6mH0
乙です

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224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/01(火) 23:05:45.62 ID:kY0aDk8+o
>>218
オリアナ姉さんと比べちゃダメでしょ

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225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(鳥取県) [sage]:2011/11/01(火) 23:29:39.25 ID:O/Pv7UL1o
>>220
つまり御坂はピッコロさんとかクリリン辺りか

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226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/01(火) 23:32:56.58 ID:rK1ha+C1o
ヤムチャじゃなければいいね

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227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 23:49:13.70 ID:Fy7y3Greo
ヤムチャポジは不良神父で間に合ってます

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228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/02(水) 00:50:11.74 ID:BC5d62iX0
>>224
胸か.....

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229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/02(水) 01:31:10.23 ID:aLgonf330
>>218
とあるの強さランキングとかあるの?
雑誌のオマケとかかい?

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230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東) [sage]:2011/11/02(水) 07:58:08.56 ID:JnXTE59AO
富士山に絡むなよ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 08:34:36.46 ID:pm6+xWNl0
テッラの光の処刑とフィアンマの聖なる右って矛盾の最強の盾と矛に似てないですか?

232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/02(水) 20:46:21.94 ID:yE0exdOZ0
フィアンマは右手を振り抜く
テッラは指定を終わらせる

どちらか速い方が勝つだけなので矛盾とは違う
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 01:14:18.02 ID:WnwKNGeSO
光の処刑は聖なる右に通用するのか?
あと一方通行に天罰術式が通用するかも気になる
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 02:33:54.27 ID:wyfsTNOm0
光の処刑でいくらに下位の存在にしてもフィアンマの
聖なる右はどんなちからの上を行くからフィアンマの右の勝ちだと思う

235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/03(木) 03:50:49.45 ID:y9KIVo9AO
議論はよそでやれ
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/03(木) 08:45:10.88 ID:611tj/bQ0
そんなことよりオルソラさんの話しようぜ
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/03(木) 10:10:28.89 ID:JpHGy2/60
おっぱい!
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 11:13:28.09 ID:ctPlRiN0o
そんな事より神崎かおりの話しようぜ!
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/03(木) 11:29:46.51 ID:nQazGU3u0
おいやめろ
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/03(木) 11:33:05.89 ID:Kkpk7Lwf0
そんなことより更新待とうぜ!
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/03(木) 14:02:47.76 ID:JQ4Ezlpi0
そんなことよりBBAの話を!

・・・誰がいたっけ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 14:56:49.25 ID:PbjR28YDO
どっかの聖守護天使に裸体撮られた人なら
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 15:19:35.14 ID:gTHgZ5dDO
そんなことよりくぎゅううううううの話しようぜ
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 15:37:05.10 ID:WyxK7tiIO
>>243
シスターアニェーゼ、自重してください……
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/03(木) 19:03:06.28 ID:XFREvoEs0
>常識が通用しないのは『未元物質』であって、垣根帝督ではない。
この台詞色んなとこのギャグていとくんに言って欲しいわwwwwwwwwww


246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/03(木) 19:03:56.37 ID:XFREvoEs0
>常識が通用しないのは『未元物質』であって、垣根帝督ではない。
この台詞色んなとこのギャグていとくんに言って欲しいわwwwww


247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga sage]:2011/11/03(木) 19:05:46.35 ID:XFREvoEs0
>常識が通用しないのは『未元物質』であって、垣根帝督ではない。
この台詞色んなとこのギャグていとくんに言って欲しいわwwwww


248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(山陽) [sage]:2011/11/03(木) 20:00:53.74 ID:RiZ4PvQAO
三回言うとはよほど重要なことだったんだな
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/03(木) 21:18:45.77 ID:JpHGy2/60
うっ…


大人しく更新を待ちましょう…
250 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:07:02.86 ID:z9LeNoi4o
こんばんわ、更新を開始します。

今更で申し訳ないのですが前スレ1000について。
ジーンズショップの店主やツアーガイドの事はわかったんですけど、
テルノアって誰でしたっけ……?地震を起こす魔術を使う人?でしたっけ


今回はフィアンマパート。常盤台中学の能力実演についに御坂美琴が登場。
刮目せよ、第三位の実力!と言いたいところなのですが、はてさて……。


それでは、よろしくお願いします!
251 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:07:54.96 ID:z9LeNoi4o


――――――――――――――――――――――




ミーシャ=クロイツェフは雷神トールがこの世に舞い降りたのではという
感想を抱いた。
トール。北欧神話に登場する神の中でも比較的ポピュラーな戦神。
その力の象徴として『雷神』、または『豊穣神』として信仰されてきた存在。
またの名をソー、ドイツ民話ではドンナーとも言う。




トールの財産と聞いて思い浮かぶのはまず『ミョルニル』だろう。
ミョルニルは『打ち砕くもの』という意味を持ち合わせた槌の事であるが――――。

252 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:09:14.11 ID:z9LeNoi4o


「景気付けにもう一発ッ♪」


美琴がそう呟いた直後、天を穿つ程の轟音が屋外プールを、いや少なくとも
常盤台中学全体を震わせた。


御坂美琴の十八番。メダルゲームで入手したコインを指先で放ち、ローレンツ力で
加速させ音速の三倍以上の速度であらゆる障害を薙ぎ払うリベンジゲージ消費のウルトラコンボ。
射程は約五〇メートルと控えめなものの、その威力は今こうして行っているプールの水による
緩衝があっても不安を煽る震動を起こすほど強力。

これで腰に『メギンギョルズ』を模した帯を巻いていれば完璧だな、と
ミーシャ=クロイツェフは思った。
ちなみに今美琴が撃った超電磁砲はデモンストレーション仕様であり、
大きく手加減されているためその余波が観客に被害を与える事はない。
253 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:10:23.26 ID:z9LeNoi4o


「す、すっげえ………あれが本物の超電磁砲…………!!!
 俺……生で見るの初めてなんだけど!」

「キャーッ!!! 御坂様、素敵です!」

「でも彼女、今のも手加減してやってるよね。 彼女が本気を
 出したら一体どれほどの出力が算出されるのか……………」


観客の半分はその派手で見栄えのある美琴の能力に興奮しきっており、
半分はもう逆に冷静になって、開いた口を塞ぐことも忘れてただただ魅入っている。


「いかがですこと? あの方こそが―――学園都市二三〇万人の頂点。
 七人の超能力者(レベル5)の第三位――――」

254 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:11:11.41 ID:z9LeNoi4o

その興奮を必死で抑えながら、なぜか白井が偉そうに、




「『超電磁砲(レールガン)』。 御坂美琴お姉様。 常盤台中学が誇る、最強無敵の電撃姫ですの♪」




改めて美琴を誇らしげに語っていた。

そんな白井の語りを聞くまでもなく、初春、佐天、打ち止め、ミーシャの四人は
ライブ会場にいるテンションフルマックスの観客のように盛り上がりまくっており、


「…………ちぇっ、やっぱお姉様(オリジナル)とクローンじゃここまで出力と
 応用力に差があるんだね。 やっぱあの人の言う通り、早いとこミサカも
 『暗闇の五月計画』の応用に着手しないと個性を得られないかにゃーこりゃ」

255 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:12:01.69 ID:z9LeNoi4o

と、番外個体は呟くが、その声は美琴のデモンストレーションにより
完全アゲアゲモードの観客の声援にかき消されていた。

白井はボケーッと美琴の能力実演を眺めるフィアンマに声をかける。


「圧倒されて声も出ない、というところですの?」

「………ん? ………あぁ、まぁ……そうだな。 第三位と言うから所詮
 垣根帝督や一方通行程ではないと思ったが、実際にこうしてレベル5の力を
 目の当たりにすると……驚くよ(棒)。 俺様は聞いただけで第一位と第二位の
 能力を実際に見てはおらんからな。 これなら上手くやれば聖人やそれクラス
 の魔術師とも対等に渡り合えるんじゃないか?」

「?」

256 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:12:57.43 ID:z9LeNoi4o

何やら聞きなれない単語を口走るフィアンマの言葉に訝しんだ白井だったが、
構わず話を続ける。


「…………それにしても貴方、氷のようにクレバーな殿方ですのね。
 お姉様の超能力を見て驚いたとは言うものの、その感情が一切
 表に出ておりませんの。 というか棒読みですの棒読み…………」

「俺様の本質は『炎』なんだがな。 いやしかし、そう見えるか?
 これでも俺様は結構真面目に驚いているんだが」

「それならわたくしとしても嬉しい限りなのですが………。
 でも火野さん? お姉様はただバカの一つ覚えみたいにああして
 コインをぶっ放すだけの能力者ではありませんのよ?」

「?」
257 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:14:05.51 ID:z9LeNoi4o

フィアンマは『3』と表記されたスタート台の上に佇む美琴に目を向ける。
ここまで『超電磁砲』、『雷撃の槍』とド派手なものから『電気信号の操作による観客の携帯端末への一斉呼び出し』等、
複雑な応用を披露しその実力を余す事無く発揮してきた彼女だが、


(………今からやるのはちょろっと"状況が限定"されるのよねー……)


顔に浮かべる笑顔は絶やさないが、美琴は少しだけ緊張していた。
今から行うワザは、美琴自身が『超電磁砲』を捨ててでも"締め"に持ってきたかった、
『超電磁砲』とはまた赴きの違う究極奥義。


(でもやっぱ今は一端覧祭だし、せっかく足を運んできてくれたお客さんにも
 最後に凄いものを見せて帰ってもらいたいし…………)

258 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:14:32.82 ID:z9LeNoi4o

美琴は自分に喝を入れるように両手で頬をパシパシッと叩く。
『超電磁砲』によって荒ぶっていたプールの水面を落ち着きを取り戻し、
会場に嵐の前のような静けさが舞い込んできた。


「…………ぃよっし!」


ふう、と一度大きく息を吐いた美琴はゆっくりと目を閉じ、全身をリラックスさせる。
彼女の体から微量の紫電が発生する。


(会場の水分子の比率を見極めて……………)


その瞑想のような美琴の様子は、時間にしておよそ二、三秒程度のものだったが、
観客からしたらそれは一時間にも二時間にも感じられた。
259 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:16:28.49 ID:z9LeNoi4o




(いける!!)




カッ!! と某学園RPGのカットインのように目を見開いた美琴は
腰を若干曲げて前屈みの体勢になる。


その直後だった。


「おおおっ!!? ってミサカはミサカは前のめりになってその現象に見入ってみたり!!!」

260 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:17:24.43 ID:z9LeNoi4o

それは打ち止めに限った事ではなかった。他の観客も皆、彼女と同じように
喉を鳴らしながらその光景を目に焼き付ける。


ジジ……ジジジジッ…………と鉄を焼き切る時に響くような音と共に、


「やった、出来た!」


背中から生えるように出現した青白く輝く大小六枚の翼が展開し、美琴は思わず声を上げて喜んだ。


これにはさすがのフィアンマも軽く口笛を吹いて美琴を賞賛せざるを得なかった。

その美琴の姿、まさしく天使のそれ。科学的でありながらもどこかファンタジーチックな
美しい輝きを放つその六枚の翼は、彼女が得意とする周囲の砂鉄を操り集める応用を更に応用した、
大気中の水分子を集める事で形成される刃のような翼。
観客たちは夢でも見ているのかと思うほどに驚愕しており、声も出せずにいた。
261 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:18:43.04 ID:z9LeNoi4o

そんな会場の空気に、第三位はトドメと言わんばかりに"魅せつける"。


「いけ!」


バシュッ!!! と、背中の翼が美琴の掛け声に呼応する。

瞬間、御坂美琴は人間でありながら快晴の青空に向かって勢い良く飛翔した。
翼を形成する水分子をバーナーのように噴射して消費する事で可能にした、
ロケットのような飛行。

飛行というよりは、射出と言った方が正しいかもしれない。

観客は息を合わせたように一斉に首を上空に向けながら、『超電磁砲』の時以上の
歓声を捧げる。
中にはおもむろにカメラを取り出して空を舞う美琴を撮影している者もいたが、
この常盤台中学のデモンストレーションは一切撮影禁止のため、後々警備員か風紀委員に
回収されるだろう。
262 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:19:57.70 ID:z9LeNoi4o

美琴は上空一〇〇メートル以上の高度で冬のそよ風を浴びながら下界を俯瞰する。
表情こそハッキリと窺えないものの、自分を見上げる観客たちの様子を見て彼女は安堵した。


(………良かった)




――――そしてその安堵感に付け入るように、




(……………"アイツ"は、ここには来てないのかな。 やっぱり)



263 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:21:01.48 ID:z9LeNoi4o

ふと美琴の脳裏に浮かんだ『彼』の顔が、精密な演算を必要とする
翼の形状を乱してしまった。


(しまっ――――!?)


ガクン、とバランスを崩した体が大きく傾ぐ。

演算ミス。しかもそのミスは、最悪な事に連鎖する。翼の一枚を修復しようと
演算を割り振れば、残りの翼の修復が疎かになってしまう。
その翼を修復しようとすればまた残りの―――という風に。

普段の御坂美琴ならそのような安いミスは犯さなかっただろう。
しかし演算の狂いが連鎖するように、彼女の頭に浮かんだ『彼』の――――。
264 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:21:45.13 ID:z9LeNoi4o


『彼』とのこれまでの思い出と、『彼』の現状が、連鎖的に浮かんできてしまう。


出来れば、思い出したくなかったのに。




「お姉様ッ!!?」




いち早く美琴の異変に気付いたのは白井黒子だった。
それに応じるように初春も、佐天も、ミーシャも、打ち止めも、番外個体も、フィアンマも、
美琴に生じたトラブルに気付く。他の観客はまだ誰も気付かない。それは美琴が上空一〇〇メートルという
高度にいるせいで姿が明確に確認出来ないからか。
265 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:22:12.09 ID:z9LeNoi4o


(ど、どっか――――金属はッ!?)


美琴は急激に落下しながら周囲に目を配るも、辺りに美琴の電気と反応してくれるような
鉄、金属は見当たらない。
それでも本気で集中し演算を行えば遠距離の金属を使って緩やかな速度で地面に着陸する事も出来ただろうし、
冷静に考えればプールの底面の金属を使えばいいと気付けるはずなのだが、


「………………ッ!! う、ぅ…………」


やはり美琴の頭には『窮地からの脱出方法』ではなく『彼』が優先して現れていた。
266 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:23:09.83 ID:z9LeNoi4o


(早く位置座標を指定して――――ッ!!)


白井の頭脳が焼き焦げんばかりの演算を開始する。
彼女の能力は『空間移動(テレポート)』。その能力を使用して美琴がいる
高度までテレポートし、彼女を確保した上で再び地面にテレポートすれば救出は可能だ。

美琴が演算を乱してからここまで約二秒。
観客たちはまだ美琴の異変に気が付かない。


「お姉様!!」


恐るべき速度で位置座標を正確に見極めた白井がテレポートを開始――――、
267 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:24:05.74 ID:z9LeNoi4o


「?」


――――する事は無かった。


ここで初めて観客も美琴の異変に気がつく。


ただし、観客が気付いた異変は『美琴が翼の形成に使用する演算処理を乱した事』ではない。




「お姉様が………消えた? ってミサカはミサカは唖然としてみる」



268 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:25:05.57 ID:z9LeNoi4o

そう。

銃で撃たれた鳥のように落下する御坂美琴の肉体が、
まるで最初から居なかったかのように突然姿を消したのだ。

打ち止めを始め、プールに集まっている観客のほぼ全員が呆けたように空を見上げている。
さっきまで最高潮に達していた場の雰囲気が、水を打ったような静寂に支配されていた。
数瞬して明らかな異常事態の発生を確信した警備員が慌てて無線機を取り出し、救助通達を送ろうとしたが―――。


「けほっ」

「へ? って、うわぁっ!!?」


小さな咳と、佐天が発した驚愕の声で場を包んでいた静寂が粉々に砕け散った。
269 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:26:11.58 ID:z9LeNoi4o


「あ、え…………? ここどこ?」

「"下界"だよ。 天使のように振る舞うのなら、天使らしく"降りてこい"。
 これではとてもじゃないが締まらんだろうに」


美琴の疑問に淡々と答えたのはフィアンマだった。そしてその彼の"右腕"、


「お、お姉様? あれ? ど、どうやって………?」


佐天と白井が驚くのも無理はない。


フィアンマの右腕には、荷物のように彼に抱えられた御坂美琴が居たからだ。
つい先ほどまで上空から落下していた美琴がなぜかプールサイドにいたフィアンマの脇腹の位置に、
初めからそうしていたかのように干された布団のように宙ぶらりんになっていた。
270 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:27:07.85 ID:z9LeNoi4o

フィアンマは体勢を整え、ゆっくりと美琴を地面に降ろす。


「…………怪我はしておらんか」

「え、あ、うん……。 ? あ、ありが、と?」


一応礼は言ってみるものの、正直今の状況が美琴にはさっぱりわからなかった。
落下していく自分とは対照的に上昇していく学園都市の風景をぼんやりと眺めていたら、
突然その景色が"ブレて"、気がついたら名も知らぬ赤髪の男に抱えられていた。

今さっき体験した現象を形容するなら、そう言うしかない。

フィアンマは美琴の耳に囁くように言う。
271 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:28:42.92 ID:z9LeNoi4o


「(死の窮地はどうにかしてやったが、この場の空気はお前が何とかしろ。 俺様は知らんよ)」

「え………」


未だ呆然としている美琴はとてとてとプールのスタート台に戻りながら周囲を見渡す。


観客たちが『え? これも演出? だとしたらどういう意味なの?』的な視線を
美琴に対して痛いほど浴びせてきていた。
常人ならそんな視線など気にも留めず先ほどの現象について深く考察するかパニクるかが普通なのだが、


(や、ヤバ……何で助かったのかはよくわかんないけど、私失敗しちゃったんだよね……。
 どうする、どうする!? とにかくあの赤い髪の人には後でちゃんと礼をするとして、
 この熱してもない冷めてもない微妙な空気をどう動かす!?)

272 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:29:39.15 ID:z9LeNoi4o

美琴は違う方面でパニクっていた。

ここまで素晴らしい順調ぶりで進んできた常盤台中学主催の能力実演。
その最後を締めくくる常盤台のスーパーエースが『くだらない事』でミスをしました、
でオチる訳にはいかない。


(どうすんの!? どうすんのよ私!? ああ……起きてよ幻想(ラッキー)……。
 手柄ならくれてやるわよ。 『第三位がフォローされてやんの』とか言って
 馬鹿笑いしたって構わない)


ここまで、様々な生徒が、仲間が、このデモンストレーションを成功させてくれた。
観客を喜ばせるために。そして御坂美琴に最後のバトンを繋ぐために。

それを、こんなふざけたオチで終わらせるなんて、と美琴は唇を噛み締める。


(誰か。 誰でも良いから………このデモンストレーションを……)

273 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:30:58.30 ID:z9LeNoi4o

と、そこで美琴は確かに聞いた。端の方からわずかに届いた初春のこんな言葉を。


「あれ? "ミーシャさんが居ないんですけど"」


そして美琴は確かに視た。


一体いつからそこにいたのか。美琴が立つスタート台の対面。
向こう側にあるスタート台に立つ、一つの巨大な影を。


「zryns勝負yucjir」


そして美琴は確かに感じた。ついさっき自分を助けてくれた(であろう)赤い髪の男が、
盛大にズッコケているリアクションを。
274 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:38:37.48 ID:z9LeNoi4o
今回はここまでです。

御坂、痛恨のミス。ふと思い浮かべてしまった彼とは、言わずもがなあの男の事です。
そしてそのミスをどうもみ消そうかと考えていると、突然謎のガウンお化けが勝負とか言い出しました。
ここから物語は怒涛の展開へ―――。

と思ったら次回は垣根帝督パートでした。しかもちょっとギャグ色強めの。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
275 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/03(木) 23:39:07.41 ID:z9LeNoi4o



                          【次回予告】



「それでねそれでね、サーシャちゃんったらいきなり私の顎を蹴り上げてね、
 おまけにミーシャの野郎まで召喚して私を大気圏ギリギリのところまで
 運んでくなんて事をやらかしてくれたわけね。 でも私、分かってるの。
 サーシャちゃんはあれ、照れてるのね。 彼女、きっとそういう風に人と
 接した事がないのよ。 だから私が接近してあげるの。 ちょっと過度な
 スキンシップの方がサーシャちゃんも私に欲情……じゃない、懐いてくれると思わない?」
ロシア成教のシスター――――――ワシリーサ




「うんうん、えっとね。 今の話聞いた限りだと、こうしてあなたと
 裸の付き合いよろしく一緒にお風呂に入ってる私のヴァージン、ヤバくない?」
『クラッカー』の構成員・『心理定規(メジャーハート)』の能力者――――――ドレスの少女




「いやああああああああああああああお願いだから助けてええええええええ!!!!
 俺が何したってんだよ!!? いやマジで何か知らんけど謝るから!!
 謝るから助けろこのババア消せクソッたれ、え、いや、おい、ちょっと……………」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・学園都市第二位の超能力者(レベル5)『未元物質(ダークマター)』――――――垣根帝督



276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/03(木) 23:40:09.05 ID:uVaEUbm50

まさかの某漂白剤マンガのセリフがwwwwww
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/03(木) 23:42:54.28 ID:RooO6ERCo
おつおつ
ガブリエルなにやってんだwwwwww
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/03(木) 23:57:01.63 ID:nQazGU3u0
超乙です
バーバ・ヤーガ×垣根か
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/04(金) 00:12:50.76 ID:PkpGwSzQo


ガブリエルさんなにやってるんっすかwwwwwwww
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/04(金) 00:16:55.81 ID:0cOMNpM70
第二位がいなくなったせいで
第三位に死亡フラグがたったな
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/04(金) 00:32:50.03 ID:dOVMi/230
なんか久しぶりのほのぼのに感じられてほんわかできた。
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/04(金) 00:57:29.57 ID:QhitHtFc0
メジャーハート逃げてー超逃げてー(棒)
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 04:25:50.52 ID:HCqnKr0DO
更新早くて嬉しいな

とりあえず、ガブとていとくんに期待ww
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 07:36:09.39 ID:bYWIRRj/o
メジャーハートさんがナチュラルにヴァージン言っとる

どうでもいいが、ローレンツ力じゃ物体は加速されない、曲がるだけ。
本来の意味では進行方向にと磁場に直角に加速されてるけど
一般的に想像される、速度が速くなる意味での加速はされない
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 12:20:51.34 ID:klB+t23SO
ローレンツ力は専門に学ばないと勘違いしやすいからスルーしておくのが吉
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 17:37:48.55 ID:1l0cNYkIO
音響とかならまだしも、文系の俺にはローレンツとかさっぱり分からん
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/04(金) 18:07:17.47 ID:i16W4M9n0
フィアンマさんズッコケてるしwwwwwwww

ってか.....垣根のヴァージン、ヤバくない?
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 20:35:11.20 ID:oW6gTyrX0
>>280 
第二位にも死亡フラグは立ってるぞwwww
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/05(土) 00:33:17.75 ID:vfRMTzFo0
ワシリーサはロリコン&ショタコンなのか
それともレズなのか、サーシャ限定なのか
ってかミーシャ召喚ってすげぇww
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/05(土) 10:16:23.13 ID:c61PiLMH0
>>289 ワシリーサの守備範囲はあの宇宙より広いのさ
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 10:20:14.49 ID:jnR0f/je0
学園都市のアイドルと天界のアイドルの戦いか

美琴さんご愁傷さま (存在感的意味で)
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 10:21:49.25 ID:jnR0f/je0
学園都市のアイドルと天界のアイドルの戦いか

美琴さんご愁傷さま (存在感的意味で)
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 10:33:41.87 ID:jnR0f/je0
大事なことでは…ないですね

連投すいません 
294 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:03:06.26 ID:jRhk9T7mo
こんにちわ、更新を開始します。

>>284-285
ご指摘、ありがたく頂戴いたします。
私は超電磁砲の仕組みに関して詳しくないもので、なぜローレンツ力と
書いたのかも最早覚えていない始末なんです。無知が偉ぶって仕組みを
解説するものではありませんね。それを踏まえた上で、今後も書きためていこうと思います。

今回は何でもない話、垣根帝督パートで普通のお話をお送りします。
普通のとは言いますが、垣根帝督の身に不幸が起きるかも……。


それでは、よろしくお願いします!
295 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:03:33.42 ID:jRhk9T7mo


――――――――――――――――――――――




――――『学園都市で開発された能力者は魔術を使えない』。


――――『学園都市の超能力者、垣根帝督は「未元物質」を操る能力者である』。


――――『「未元物質」はこの世の既存法則を無視した働きを持っている』。




これらは一見、全く無関係の事柄のように思える。

296 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:04:08.08 ID:jRhk9T7mo

しかし、垣根帝督は気付いた。ドレスの少女の何の気無しの発言によって。

いや、気付いたという表現は不適切かもしれない。
あくまで"可能性を見出した"だけであり、それが的を射ているかどうかは定かではない。
それでも、


(収穫あり。 思ったよりも早く手に出来たな………。
 旅に出るだなんて大袈裟な事を言った割にゃ、案外早く
 学園都市の地を再び踏む事になるかもしれねえ)


垣根帝督はエリザリーナ独立国同盟の外れに設立してある露天風呂の湯の中で
一人くつろぎながら、そんな事を思っていた。
297 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:04:58.29 ID:jRhk9T7mo

能力者の法則の一つである魔術の使用不可。
垣根帝督の『未元物質』。
『未元物質』の性質。


これらの要素を結びつけると見えてくる、ある一つの可能性。




『「未元物質」そのものによる魔力精製の妨害行為』。




垣根帝督の脳に秘める『未元物質』が、使用者である垣根自身の考えも及ばない
何らかの作用を引き起こし、魔力精製を妨害しているというもの。
298 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:06:16.06 ID:jRhk9T7mo

エリザリーナの私室でこの可能性に至った時は、まるで数学のミレニアム問題七つを
一気に解き明かしたような達成感に満たされたが、いざこうして風呂の中で気持ちを落ち着かせると、
この可能性にはいくつもの矛盾点が存在する事に気付かされる。


まず一つ。『未元物質』が魔力の精製を防止しているというが、
そもそも垣根帝督は『原典』の汚染によって脳に深刻なダメージを負い、『未元物質』を現出できない。


(どうして俺が魔術を使えなくなったのか。 それは『未元物質』を使用出来なくなったから。
 …………意味がわからねえ。 俺は魔術以前に能力も使用出来ねえ身なんだぞ)


『未元物質』が魔力精製を妨害する方法の一つに、『未元物質』が
垣根帝督の意志を無視して妨害しているからでは、という可能性も挙がった。
確かにそれなら垣根が『未元物質』を使わずとも魔力の精製を妨害出来る。
なぜなら、『未元物質』そのものが魔力を精製させなくしているから。
299 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:07:23.40 ID:jRhk9T7mo


矛盾点その二。上記の可能性を肯定すると、『未元物質』には垣根とは別の『個』の意志が存在する事になる。


(んな訳ねえだろ)


垣根は掌で澄んだ湯を掬い上げながら失笑して否定した。


『未元物質』そのものに意志が宿っている。即ち、能力者の能力には『個』が宿っているに繋がる。
笑い話も甚だしかった。もしその仮説が事実なら、能力者と能力が能力者の『中』でせめぎ合い、
衝突し、争うなんてファンタジーチックな逸話が出ていてもおかしくない。


例えば。ある日、能力者が使用する能力が自身の能力者に愛想を尽かし、
能力者の中で暴動を起こし、脳を飽和させ能力者を死に至らしめた。
300 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:08:14.57 ID:jRhk9T7mo

さらに度を越せば、その馬鹿馬鹿しすぎる話に『能力の擬人化』なんて設定も付け加える事が出来る。
擬人化し、物理的な『個』として能力者から分離した能力が、能力者に反旗を翻す。

『今まで散々こき使ってくれたな能力者。 だが今度は我々が貴様らを利用する番だ!!』

能力者とその能力が繰り広げる、これまでにない斬新かつ壮絶なファンタジーバトル!!!


………これを題材にラノベ出版社にでも持っていったら連載させてくれるかなぁ、と
垣根帝督は考えるが、もうとっくに使われてるアイデアだろうな、とすぐに考えを払拭した。


他にも『「未元物質」魔力精製妨害説』にはあらゆる矛盾がつきまとっていたが、
それら一つ一つを考慮するにも肝心の『未元物質』が使えなければ意味が無い。
つまり、当面の垣根帝督の目的は一つ、


(……どうにかして、『未元物質』を取り戻さねえとな)

301 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:09:11.64 ID:jRhk9T7mo

魔術とは違って能力は垣根帝督本来の領域だ。能力を取り戻す方法は既に熟知している。
その手段もまたいくつも存在するが、垣根はその中で『ひたすら能力使用時に行う演算を繰り返す』という
方法を選択していた。
これは垣根が第七学区のカエル顔の医者と顔を向き合わせて熟考し、決めた手段だった。

試しに垣根は『未元物質』を現出させるための演算を行ってみる。


「……………ッ」


脳の奥を引っ掻かれるような微痛。しかしこのわずかな痛みは、垣根の演算がしっかりと
行われている証拠でもあった。
『第一九学区事件』が終結し、垣根が病院で演算を行った際はこの痛みすら無かった。

少しずつだが、リハビリの効果が現れ始めている。このまま順調に進んでいけば、
『未元物質』の早期復活も夢物語ではない。


(………恐らく、今だって"あの野郎"は頑張ってんだ。 俺も負けてらんねえからな)


垣根は湯船から湯を掬い、思い切り顔に浴びせる。

焦る必要はない。

一つずつ。確実に。落としてしまった物を拾っていこうと彼は改めて決心した。
302 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:10:00.09 ID:jRhk9T7mo


――――――――――――――――――――――


一方、垣根が使用している男湯の反対側に位置する女湯では、
ワシリーサとドレスの少女という珍しい組み合わせの二人がガールズトークを繰り広げていた。


「それでねそれでね、サーシャちゃんったらいきなり私の顎を蹴り上げてね、
 おまけにミーシャの野郎まで召喚して私を大気圏ギリギリのところまで
 運んでくなんて事をやらかしてくれたわけね。 でも私、分かってるの。
 サーシャちゃんはあれ、照れてるのね。 彼女、きっとそういう風に人と
 接した事がないのよ。 だから私が接近してあげるの。 ちょっと過度な
 スキンシップの方がサーシャちゃんも私に欲情……じゃない、懐いてくれると思わない?」

「うんうん、えっとね。 今の話聞いた限りだと、こうしてあなたと
 裸の付き合いよろしく一緒にお風呂に入ってる私のヴァージン、ヤバくない?」

303 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:11:10.76 ID:jRhk9T7mo

大丈夫大丈夫、私は今のところサーシャちゃんしか興味ないから♪ と、童女のような
無垢な笑みを浮かべるワシリーサを見てドレスの少女は激しくサーシャに同情した。

というか訂正しよう。繰り広げているのはガールズトークなどではなく、
ただ単にワシリーサがサーシャ=クロイツェフの魅力について延々と一方的に
語っているだけだ。しかも九割が下ネタ。


「サーシャちゃんの私に対する心の壁は、ATフィールドかエリコの壁くらい
 強固なものなのよね……。 どうしたもんかしら、サーシャちゃんの心を
 解きほぐすには、私も四六時中サーシャちゃんにスキンシップを試みて
 イスラエルの民の如く『角笛』を吹くか、汎用人型決戦兵器に乗り込んで
 心の壁を中和してあげるしか方法は無いのかしらん……?」

「あなたが死ねば万事解決なんじゃない?」

「私が死ぬ事でサーシャちゃんに幸せが訪れるなら私は喜んで
 マンションの九階から飛び降りるわよ。 ただし! 必ず輪廻転生を
 経てサーシャちゃんの前に再び姿を現すけどね、んふふふ♪」

304 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:12:15.57 ID:jRhk9T7mo

第一の私見ですが、ならさっさと死んでくださいとここにサーシャが居ればそう言うだろうが、
生憎と今この露天風呂にサーシャ=クロイツェフはいない。


彼女曰く、『ワシリーサと垣根帝督がいる時に風呂に入りたくない』との事だった。
ドレスの少女はそれを聞いた時、きっとここで以前に"何かがあったのだろう"と推測した。

ワシリーサは恋に悩む少女のそれのように憂鬱なため息をついて言う。


「私は心の底からサーシャちゃんを愛しているけど、今ひとつ
 サーシャちゃんとの心の距離を測りかねてる……のかもにゃん」

「"心の距離"……ねえ」

305 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:13:10.93 ID:jRhk9T7mo

いい加減ライトノベル三〇〇冊分に及びかねないワシリーサの惚気話に
辟易してきた少女は、ここで話題をやや強引に変えてきた。


「そういえば自己紹介はしたけど、私の能力についてはまだ言ってなかったわね」

「ん? そう言えばあなたも学園都市の能力者ちゃんなのよねえ。
 垣根の坊やの能力は"死にかけるくらいこの身で直接体験したけど"、
 良ければあなたの能力も聞かせてくれない? て言っても、能力者って
 自分の能力をそうホイホイと他人に教えてもいいものなの?」

「知られた所で私にデメリットは無いもの。 何だか魔術サイドって面白いし、
 私、科学サイドからコッチに乗り換えちゃおうかしら」


ワシリーサのサーシャトーク以上に学園都市の『闇』にうんざりしている少女の心境から考えると、
それは当然のセリフだった。
306 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:14:19.91 ID:jRhk9T7mo


「それで、あなたの能力って?」

「垣根帝督や第一位みたいなレベル5級の力じゃ無いから、今のあなたが
 聞いても大して興味を持てないかもしれないけど……。
 私の能力は『心理定規(メジャーハート)』っていう、ちょっと変わった能力なの」

「メジャーハート? 何だかロマンチックな響きじゃない」

「私の能力がロマンチック? ふふ、それって皮肉かしら?」


ドレスの少女はそのやや控えめな胸に手を添えながら説明を始める。


「『心理定規』は詰まるところ、『人と人の心の距離を自由自在に調節出来る』能力。
 そうね、例えば私とあなたの今の心の距離は………、ざっと見積もって一一。
 いえ、さっきのあなたの話でドン引きした私の心の距離単位から再計算すると
 およそ九五と言ったところかしら? つまり『私はワシリーサが普通に嫌い』なの」

307 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:15:14.54 ID:jRhk9T7mo


「うん、ちょっと待ってね。 説明してる途中に割り込んじゃってごめんね?
 ただね、どストレートに嫌いですって言われたら私もさすがに傷つく訳よ、分かる?
 距離単位がどういう意味かはよくわかんないけど、もうちょっとオブラートに包んでくれる?」


ドレスの少女は無視して説明を続ける。


「心の距離、即ち『親密度』。 私は相手との親密度を自在に調節出来るわけ。
 相手がどれだけ私の事を嫌おうとも、私が能力を使えばその相手が一瞬にして
 私の犬。 ただ『可愛さ余って憎さ百倍』ケースが存在する以上、私を親の仇
 くらいに思ってる人間相手には使用しない事にしてるんだけどね」

「…………………親密度の調節、だと………?」

308 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:15:47.96 ID:jRhk9T7mo


ワシリーサは何を考えているのか、わなわなと全身を震わせながら
ドレスの少女の説明に耳を傾ける。


「もちろんこの能力を誰かに使用するときは、その対象者の人間関係を
 綿密に調査しなければならないわ。 下手に心の距離を操作して
 対象者が私を崇拝しだしてもそれはそれで困るし、その逆も然り。
 聞けば便利と思えるかも知れないけど、意外と利便性は低かったりするのよ。
 私の能力は情報が充実している時こそ最大限にその威力を発揮―――」


適当なところで説明を終えようとした少女だが、それは叶わなかった。

309 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:16:38.02 ID:jRhk9T7mo




「キタキタキタキタキタキタキタキタキタキタァァァァァァァああああああああああああ!!!!!!!!!!!」




ワシリーサが突然、クスリでも決めたかのように絶叫したからだ。
隣の男湯から『うるせえんだよクソ変態女!!』という垣根の怒りが飛んできたが、
ワシリーサの鼓膜はそんな言葉など通さない。


「最強じゃんそれ!! え!? マジで!!? パネェっす、マジパネェっすメジャーハート!
 やべえよそれマジで革命だろ天変地異だろ運命だろ巡り合わせだろ!!」

「ちょ、ちょっと何よ急に……」

310 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:17:36.96 ID:jRhk9T7mo


「それもう端的に言えば人の心を操るって結論でいいんでしょ!?」

「いや、だからそこまで利便性のある能力じゃないって今言ったじゃない……。
 私が操れるのはあくまで『心の距離』。 心そのものを操るなんて
 第五位とかじゃなきゃ無理よ。 私の能力にそこまでの力は―――」

「充分す!! 心の距離を操る、それで充分す!!!」


キャラ崩壊。いやワシリーサのキャラ定義が決まっている訳ではないが、
それにしたってワシリーサの興奮ぶりは常軌を逸している。

ドレスの少女は『心の距離』ではなく、ワシリーサ自体との距離を少しずつ離しながら、


「ど、どうしたってのよ……」

311 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:18:38.42 ID:jRhk9T7mo


「その能力があれば、メジャーハート……『心理定規』? その能力があれば
 あわよくばサーシャちゃんが私に愛を求めてきてくれるなんてシチュも構成可能じゃね!?
 つか私とサーシャちゃんの心の距離をゼロにしちゃえば心も身体も超接近っていうか密着じゃね!?
 いや合体!? 合体か!! ヤベ、鼻血出てきた」


最低の発言だった。
ワシリーサが企んでいる事。それは何と(というか必然)、ドレスの少女の『心理定規』を
利用してサーシャ=クロイツェフを心身ともにゲッチュしちゃおう的なものだったのだ。

そして意外にもドレスの少女は、ふざけるなとワシリーサの下卑た考えを一蹴する事もなく、
ただ問題があると言わんばかりに目を細めながら補足する。


「その考えは早計よ。 実を言うと私、『私以外の他人と他人の心の距離』を
 操作した事はないの。 私を介してAとBの心の距離を調節出来るかどうかは
 試した事がない。 そんな事をする必要がある状況に陥った事がないし、
 もし失敗すれば私自身に大きなデメリットが発生するから」

312 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:19:39.12 ID:jRhk9T7mo


「なら試してみればいいじゃない! 私、喜んで被験体になってあげるわ!!
 試みは大事よ? 上手くいけばあなたの能力も飛躍的に威力を増すかもしれない」

「それはそうかも知れないけど……、下手を打てばあなたの心が壊れてしまうかもしれないわよ?」

「私の心など疾うの昔に壊れておるわ!!」


どうやら自覚はあるらしい。


「……………私は構わないわよ。 ただし条件があるわ」

「ウェルカム。 金なら日本円で三〇億まで出せる。 いや、
 『殲滅白書』の全面予算から無断拝借すればプラス二〇億までいける」

313 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:20:35.54 ID:jRhk9T7mo


「お金なんていらない。 ただ、調節した心の距離は私がロシアを発つ際に
 必ず元に戻す。 これは勝手に被験体にされるサーシャの気持ちを配慮した条件よ」

「それは当然ね。 私は一時の夢が見れればそれで構わないわ」


そんな気遣いが出来るならこの実験自体止めればいいのに、と
誰かドレスの少女に突っ込むべきだがここにツッコミ担当キャラはいなかった。


「それともう一つ」

「何? そう言えばあなた、学園都市の暗部が鬱陶しくてしょうがないとか
 話してたわよね? 何ならいっちょ私が暗部を殲滅してこようか?」


本当にこの女ならやりかねない。そして成し遂げかねない。

314 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:21:23.49 ID:jRhk9T7mo


「それは科学サイドの問題だから、あなたが手を煩わせる事はないわ。
 ただ………私が能力を披露するんだから、あなたも何か魔術を見せてよ♪
 私、魔術というものを見たことがないから」

「お安い御用よ女神様」


瞬間、二人が浸かっている浴場の中心部が噴火したように炸裂した。


ドレスの少女が飛び散る湯を防いだ腕を解くと、そこには寒気が走るような
ガリガリに痩せこけた醜い老婆が、右手に杵を、左手に箒を携え、朽ち果てる寸前の
ボロい臼の上に座ってジッとこちらを睨んでいた。

両足は痩せているを通り越して骨だけになっており、睨んでくる眼はどす黒く、
痛みきった白い髪は童話に出てくる魔女を想起させる。
ドレスの少女は明らかに警戒しながらワシリーサに尋ねた。
315 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:22:36.85 ID:jRhk9T7mo


「な、何よこいつ……? どこから……」

「私が喚んだのよ。 いわゆる『召喚術式』ね。 これクラスの従者を
 召喚するには相当の実力と努力が必要になるの。 すごいっしょ?
 これでも私は『殲滅白書』最強の魔術師なんだから。
 この子はバーバ・ヤーガっていうの。 よろしくしてやってにゃん」


『ていうか何で喚んだの?』的な表情を浮かべてワシリーサを睨むバーバ・ヤーガに、
ワシリーサは『もう用は無いから、隣の男湯にいる垣根帝督と適当に遊んであげて♪』と、
彼にとってあんまりな指示を出すとバーバ・ヤーガは嬉々として男湯に向かっていった。


「………漫画ね、ほとんど」

「他にも披露してみせたいけど、そろそろのぼせそうだわ…………。
 明日の朝にもっと色々見せてあげるから、サーシャちゃんの件よろしくねん♪」

「はいはい。 ………垣根帝督ってこんな法則にこだわってるんだ。
 知らない間にうんと『距離』が離れてたのね………」


どこか寂しげな顔をしながら、ドレスの少女はワシリーサと共に湯から出て行った。
316 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:23:15.63 ID:jRhk9T7mo


――――――――――――――――――――――


そして男湯では―――――。




「おいちょっと待てこれどういう事だコラァ!! 何でこのババアが
 こっちに来てんだよしかもこのババア心なしか顔がにやけててクソキモいんだよ!!
 おい聞いてんのかワシリーサテメェふざけた真似しやがってやっぱ決着つけと―――」




と言っている間にするすると衣服を脱ぎ始めていたバーバ・ヤーガを見て垣根帝督は、




「いやああああああああああああああお願いだから助けてええええええええ!!!!
 俺が何したってんだよ!!? いやマジで何か知らんけど謝るから!!
 謝るから助けろこのババア消せクソッたれ、え、いや、おい、ちょっと……………」




この時の出来事を、彼が誰かに語ることは永遠になかった。

317 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:30:18.60 ID:jRhk9T7mo
今回はここまでです。


Q. 『心理定規』でサーシャとワシリーサをラブラブチュッチュさせる事は可能?

A. 多分不可能ですね。『心理定規』はあくまでもドレスの少女と対象者の心の距離を
  調節する能力……のはずですから。しかしそれは本来の効力であって、ギャグパートなら……。


そんな感じで、何だか八割がギャグなノリのお話でした。
垣根帝督に何があったかはお察し下さいとしかいいようが……。

次回はフィアンマパート、というかミーシャパートでしょうか。
常盤台中学の超電磁砲と大天使が激突します!


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
318 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/05(土) 16:30:47.70 ID:jRhk9T7mo



                          【次回予告】



「あ、現れたわね怪人! この美琴サマが今日こそ、アンタを成敗してやるわ!!」
学園都市・常盤台中学の超能力者(レベル5)――――――御坂美琴




「xhlrkh上等prykas」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・水を司る大天使『神の力(ガブリエル)』――――――ミーシャ=クロイツェフ



319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/05(土) 16:34:41.53 ID:OdpvSpzAO
乙!

バーバ・ヤーガ×垣根やりやがったwwwwwwww
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/05(土) 16:37:55.01 ID:hklesLvAO


垣根…
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 16:39:21.60 ID:WH55WU8jo
遂に皆の夢がかなったなwwwwwwwwwwwwwwww
叶っちゃったな……

処で外人のワシリーサが輪廻転生信じちゃっていいのかな?
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 17:28:44.89 ID:H+gaccPJ0
垣根ェ… そしてどこぞのヒーローショ―かwww
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 18:18:25.63 ID:paCgNz82o
>>1乙ー

垣根、お前のことは忘れない……きっと
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 19:11:39.83 ID:1t2nVijDO
ガブの上等ってセリフが熱すぎてワクテカしてしまうww
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/05(土) 19:15:38.40 ID:3VLBtyQg0
なんか垣根が俺自身が未現物質になることだとか言いそうで怖い
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage saga]:2011/11/05(土) 19:29:13.80 ID:IOX3ujKV0
今度は御坂に死亡フラグがたったか……
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/05(土) 19:31:35.81 ID:xXSm1h/Ho
ttp://top.ka-nabell.com/img/card/card60805003_1.jpg
バーバ・ヤーガでググったらこれが出てきた
ていと君もこっちならよかったのにね
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 19:40:52.26 ID:XihDFSqS0
おつおつ

なんでバーバ・ヤーガ服脱ぐんだよwwwwwwwwww
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/05(土) 21:14:00.65 ID:zdpfwnMS0
乙 ていとくんにフラグ立ててたのはバーバ・ヤーガさんでしたか…
蛇足じゃないほうでは残りの二つは死亡フラグとすているさんじゅうよんさいとか言われてたけど
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/05(土) 21:18:35.99 ID:ixcdVJF9o
> 「ウェルカム。 金なら日本円で三〇億まで出せる。 いや、
>  『殲滅白書』の全面予算から無断拝借すればプラス二〇億までいける」
何この本気具合www

しかしバーバ・ヤーガって服脱げる以前に、服着てるって意識すらなかったよ
垣根君、貞操は死守できたのかな……
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/05(土) 21:38:54.99 ID:U8MIlL8t0
1乙っす。

垣根…婆…うん…


いや、ねぇよ。
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 21:41:03.98 ID:rDzWT89Bo
輪廻転生とか異教徒じゃないですかワシリーサさん

ついにバーバ・ヤーガ×垣根がwwwwww
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/05(土) 21:51:53.39 ID:vfRMTzFo0
今回も面白かったわww
さすが「一本足の家の人喰い婆さん」…垣根食っちゃったか…
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/05(土) 21:53:31.71 ID:c61PiLMH0
>隣の男湯にいる垣根帝督と適当に遊んであげて♪ >>1、この台詞見たとき噴き出してしまったお茶返して下さい。それと乙 
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 22:37:16.97 ID:yVpqcddJo
乙ー

垣根の思考がかなりひっかかるなあ
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東) [sage]:2011/11/05(土) 23:25:57.24 ID:0ziD/UDAO
わっしーが素敵すぎて生きるのが楽しい
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 23:39:06.90 ID:DbkXEXBDO
垣根ェ……
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 23:40:08.44 ID:Cnp01g680
垣根帝督…
いい奴、だったよな…
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 23:41:32.63 ID:e9ly948IO


自分が襲われたことを知ってる人間がいて貞操を守りきれたのならば全力で主張するよね
誰にも言わなかったってことは……ね
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(山陽) [sage]:2011/11/06(日) 00:33:20.12 ID:C2YsDm9AO
垣根ェ...
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/06(日) 05:32:46.51 ID:NFdX9dvl0
>>1

垣根ェ、で、子ども名前はチルド…
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(茨城県) [sage]:2011/11/06(日) 11:44:34.82 ID:bcn8Jm0W0
乙〜

垣根ェ…
骨は拾ってやるよ
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 12:32:12.62 ID:bBtLd7lDO
来年の夏コミには垣根×婆の薄い本が並ぶんだろ?
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 13:34:31.34 ID:XFVYOJcDO
>>343
ダレトク


赤黒白垣の4Pならそこそこ需要あるかな
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/06(日) 14:38:44.87 ID:qPZdnVkU0
>>344
どっちもねえよwww
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/06(日) 16:37:39.50 ID:477uipu1o
>>344
テイトクに決まってんだろ
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/06(日) 17:08:22.34 ID:mxi52jW10
>>344
そこにバーバ・ヤーガ加えるべきだろ・・・。
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/06(日) 17:17:23.40 ID:LkMHOLLT0
>>346
誰が上手いこと言えとww
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/06(日) 20:58:49.50 ID:olDURgMI0
流れワロタww
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(佐賀県) [sage]:2011/11/07(月) 01:54:12.28 ID:Fxsznm/Qo
未元定規の可能性はまだ残ってるよね?
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 09:02:45.41 ID:r2E2tsaDO
>>350
ないな

心理定規なら俺の隣でまだ寝てるからな
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/07(月) 13:30:54.79 ID:HQ7UkXeG0
>>351
いいえ、それはバーバ・ヤーガです
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東) [sage]:2011/11/07(月) 16:10:58.07 ID:p85VNWjAO
バーバ・ヤーガは垣根と交わり、子を産み、バーバママとなった。
同時に垣根はバーバパパとなった。

のちのバーバファミリーである。
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北陸地方) [sage]:2011/11/07(月) 16:16:04.32 ID:LpZ6Vs6Eo
それであんな常識が通用しない外見なんだな
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/07(月) 18:16:22.79 ID:zm11yqVD0
>>353 そんなカオスなのかバーバファミリーwwwwww
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 19:19:43.34 ID:r2E2tsaDO
>>353
クソワロタwwwwwwwwwwwwwwww
357 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:33:06.90 ID:TrplGhkyo
>>327
おお、これはすごい。確かにこれなら垣根も満足……しますかね?ww


こんばんわ、更新を開始します。
ワシリーサって『可愛いもの』が好きなだけですから、実を言うとあんまり
サーシャちゃんサーシャちゃん言わせたくないんですよね。
まぁでもサーシャは可愛いから問題はないのか……。

そんな話はさておき、今回はフィアンマ改めミーシャパート。
ひょんな事から学園都市第三位の御坂と激突します。


それでは、よろしくお願いします!

358 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:33:41.30 ID:TrplGhkyo


――――――――――――――――――――――


観客のざわめきに包まれる空気を無視して、美琴はただひたすら困惑した。




(え? 何これ? ていうかアイツは誰? 背、高………)




美琴が立っているプールのスタート台の真正面。
向かい側のスタート台には謎の人物がいつの間にか佇んでおり、こちらに手を差し出して
挑発するように指を動かしていた。

359 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:34:45.70 ID:TrplGhkyo

ボクシング世界チャンピオンがリングへ上がる前に着ていそうなぶっかぶかのガウン。
その顔はフードに包まれており、顔は窺えない。
背丈は約二メートル。中学生の美琴から見れば相当な巨体である。


「mjtfyiri勝負purjfr」

(うん!? 何今の声……声? ちょ、ちょっとこれ乱入じゃないの?
 アクシデントよ。 警備員は何をしてん…………)


こういうアクシデントの際に活躍するはずの警備員は、先ほどの美琴消失事件と
突然の、あまりにも突然の乱入者の登場に呆気にとられていた。
あの様子ではあと数分は活動できそうにない。

と、美琴は端のプールサイドに目をやる。
観客席で盛大にすっ転んでいた赤い髪の男が体勢を整えていた。
360 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:36:03.61 ID:TrplGhkyo


(あ……さっきの人。 てか何でズッコケてたんだ?)

「あのクソ天使……!! 一体何を考えてやがる……!?」


何やら赤髪の男―――フィアンマは呆れと怒りを混ぜ合わせたような表情をしていた。
よく見るとフィアンマの傍にはどこか自分とそっくりな少女が二人居るのだが、
頭の中で入り乱れる情報と状況に惑わされ、二人の少女について考える暇が与えられない。

すると、フィアンマは表情を元に戻し、美琴と視線を合わせて無言でこちらを見つめてきた。


(チッ……これもミーシャなりに考えた第三位へのフォローだと
 信じるしかないか……。 おい、あのバカに"合わせろ"!!)

(?)

361 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:37:22.62 ID:TrplGhkyo

どうやら無言で何かを訴えてきているようだが、『念話能力(テレパス)』など
持ち合わせていない美琴にはなかなか伝わらない。
しかしフィアンマの必死さは伝わったようで、美琴も懸命に彼の考えを読み取ろうとする。


(『ショー』を演じろ! 第三位、お前がヒーローで、対面のバカは悪の親玉だ。
 戦え、あの天使と。 能力を使って戦闘を行えばそれもデモンストレーションの
 一環だと観客達も思い込むだろう。 それでさっきの飛翔失敗も帳消しになるし、
 要はお前が場を盛り上げて活躍すれば客は満足するんだ……皮算用の域を出んがな)

(………………)

(とにかく戦え、あいつと。 あいつもこれがデモンストレーション
 だという事は理解しているはずだ。 想定外のアクシデントは俺様
 が対応する。 お前は気兼ねなくここで暴れればそれで万事解決だ)

362 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:38:06.23 ID:TrplGhkyo

この間わずか数秒。だがそれでも、二人はある程度意思疎通を行うことが出来た……らしい。


(……もしかしてあのガウンの人と戦えって言ってんのかな? デモンストレーション
 の範疇で。 だとしても見ず知らずの人に電撃を放つのは気が引けるなぁ………)


フィアンマの目論見は約八割ほど美琴に伝わっていた。

『ガウンの人物と能力による戦闘を演じてみせ、観客たちを満足させろ』。

一体どうやってフィアンマの表情、雰囲気からそんな事を見出したのか。
人間、窮地に立たされたら誰でもテレパシーを行使する事が出来るのか……今はそんな事を
論じている場合ではない。

美琴は瞬間的に表情を切り替え、勇ましい笑顔を浮かべると、
363 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:39:02.37 ID:TrplGhkyo




「あ、現れたわね怪人! この美琴サマが今日こそ、アンタを成敗してやるわ!!」

「xhlrkh上等prykas」




???????、と全観客の頭上に疑問符が連なった。
ようやく動き出そうとした警備員も思わず動きを止めてしまう。


(ちくしょー! やっぱみんな首を傾げてる〜!! でもやるしかない、
 自分で犯したミスは、自分で解決しないと! ……既に協力を得てるけど)

364 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:40:30.04 ID:TrplGhkyo

とにかくやり切るしかない。小学校低学年くらいまでしか食指が動かなさそうな
安っぽいヒーローショーを、学園都市第三位の超能力者が演じるしかないのだ。
それでごまかせるかどうかを考えている暇など、今の美琴には無いのだから。


「い、いくわよ!! 覚悟しろ怪人!」


切った啖呵は大した迫力だったが、いかんせんその攻撃がショボかった。
美琴は前髪から紫電をパチパチと発すると、静電気程度の威力しかない電撃を
二五メートル先のガウンの人物―――ミーシャ=クロイツェフにお見舞いする。
それも当然、見ず知らずの他人にいきなり全力の電撃攻撃を放つほど美琴も常識知らずではないからだ。

が、


「うえええっ!!?」

「jyun無力xshtp」


美琴が間抜けな声を出して驚愕するのも無理はなかった。


ミーシャはあろうことか美琴の放った電撃など無視して、二五メートル規格のプールに入っている
水(二〇〇〇トン以上)を押し上げるように"上へ持ち上げ"、防壁の要領で電撃を防いでしまったのだ。
365 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:42:06.41 ID:TrplGhkyo


(ちょっと待てえええええい!!!! なにアイツ『水流操作系能力者』なの!?
 にしたってこの水量を軽く操れる能力者なんて聞いた事が無いわよ!!)


しかも美琴は知る由もないが、ミーシャにかかれば質量二〇〇〇トン程度の水を操るなど
造作もない事なのだ。
彼女がちょっとその気になれば、日本列島程度なら一発で沈められる程の水を操作する事だって出来る。
常識をわきまえていないのはむしろミーシャの方だった。


美琴と同じように口をあんぐりと開け、観客はその非現実的な光景を
呆然と見つめるしかなかった。

ただ一人、フィアンマだけがいつでもフォロー出来るようにと冷静に身構えていた。


果たして学園都市第三位vs水を司る大天使という、金が取れそうなバトル
(ただしパフォーマンスの範疇)の火蓋は切って落とされたのだった。

366 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:43:41.80 ID:TrplGhkyo


――――――――――――――――――――――


ミーシャが膨大な質量の水を空になったプールに落としたことによって
ド派手な水飛沫が辺りに飛び散る。


(あれ、あの水を使って攻撃してくるんじゃないの……?)


美琴は一瞬困惑したが、そこである事に気付く。
もし今の質量二〇〇〇トン以上の水の塊を直接ぶつけられていたら、自分はどう対処しただろう? と。

手はある。それこそさっきのように水分子を利用した翼で一時的に飛翔すれば
避ける事は出来るし、全力で超電磁砲を放てば水の塊など一撃で爆散させる事が出来ただろう。
しかし、周囲の観客達はどうなるだろうか?
恐らく水流操作系能力者であろうガウンを着た人物が演算を誤り、膨大な質量の水が観客に
襲いかかる事になったら………。

367 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:45:37.75 ID:TrplGhkyo

その水に超電磁砲を撃って、その余波で観客の中から怪我人が出てしまったら……。
超電磁砲は音速の三倍の速度で放たれる。周囲の被害も考えずにぶっぱしてしまえば
怪我人どころか死者が出てしまっても何ら不思議はない。


(でも……これはつまり、安心していいって事よね?)


だが、美琴は水飛沫を浴びながら安堵する。


(そういう事よね? あのガウンの人にも、私と赤い髪の人の考えが、ちゃんと伝わってる)


だからこそガウンの人―――ミーシャもあえて質量二〇〇〇トンの水で攻撃を仕掛ける事はせず、
慎重に事を運んで行こうと考えているのだろうと美琴は安堵する。
これならデモンストレーションの範疇で戦闘を行う事だって不可能じゃない。
368 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:46:57.50 ID:TrplGhkyo

もっとも、それで観客の目をごまかせるかどうかは定かではないが。


(少しずつ電撃を撃ちながら……相手の出方を見るしかない!)


相手との距離はおよそ一〇〇メートル。美琴はスタート台の上から勢い良く跳ねた。
無論、それは水中へ飛び込むための跳躍ではない。水流操作系能力者との戦いで
水の中に飛び込むなど、自殺行為に等しい。

美琴は自らの能力で電気を操り、プールの『箱』を構成している金属に対し
磁力線を繋いで干渉する。
すると、美琴は着水する事なくふわりと、まるで目に見えない跳び箱を飛んだ時のような
緩やかな放物線を描き、一気にミーシャとの距離を詰めた。

美琴の考えではこのまま相手の身体の一部に触れ、相手に害が無い程度の電気を浴びさせる事で
この勝負にケリをつけようとしたのだが――――。
369 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:47:46.35 ID:TrplGhkyo


「ッ!!?」


思惑通りにはいかなかった。


ミーシャもまた美琴と同じようにスタート台の上から跳躍した。
しかしその跳躍は美琴のものとはまるで別物。
べキャッ!!! という嫌な汗が流れそうな物々しい音が鳴り響いたかと思ったら
既にミーシャの姿は見当たらず、跳躍の際の踏み込みでグシャグシャに砕けたスタート台だけが
無残に取り残されていた。


(―――――上!?)

370 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:48:57.61 ID:TrplGhkyo

ショーにしてはやりすぎなのではないかと思いながら美琴は砕けたスタート台に上手く着地し、
空を仰ぐ。
だがそこにミーシャはおらず、代わりに彼女の位置を報せてくれるかのように背後で派手な着水音がした。


(…………! 何この身体能力、『水流操作』とは関係ないものじゃない!)


美琴は慌てて身を翻し後ろを振り向く。
彼女の目に飛び込んできた景色は当然、さっきまで自分が立っていたスタート台と
更衣室に続く出入口のあるプールサイド。


"しかし目に映る全ての景色が、水面に映る景色のように揺らいでいるのはなぜだ?"

371 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:49:52.57 ID:TrplGhkyo

その原因が、自分の眼前に水の塊が飛んできたからだと気づく前に、美琴はほぼ反射的に
身を屈めていた。
美琴に命中しなかった水の塊はプールサイドを隔てる金網のフェンスに衝突し、
遅れて巨大な風船が破裂したような炸裂音が鼓膜を叩く。


「は―――――、」


速すぎるわよこの馬鹿!! と美琴はミーシャにクレームをぶつけようとしたが、
声を出すまでには至らなかった。


なぜなら大小様々な水の塊が数十個、いや一〇〇に近い数で虚空にふよふよと浮かんでいたからだ。


(……これだけの数の水を、一秒にも満たない時間で作り上げたっての……?)

372 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:51:01.72 ID:TrplGhkyo

にわかには信じられない美琴だったが、観客の反応から見るにそれは事実らしかった。
皆が皆、目を真ん丸にしてこの超常現象を開いた口を塞ぐことも忘れて見つめている。
今まで散々常盤台中学の生徒による能力を見てきたにも関わらず、だ。


水の中でゆらりと、黒い影が不気味に揺れていた。
その正体は言うまでもなく、黒のガウンを着込んだミーシャ=クロイツェフだ。
それを見て、美琴は海水浴に遊びに来たら浅瀬に鮫の影を見た時のような悪寒に襲われる。

影の腕がスッと、さりげない仕草で動いた。

それを合図に一〇〇に近い形状が不安定な水の塊が、一気に美琴を撃ち抜かんと襲いかかってきた。


(おいいィ!? この人ガチじゃん!!!)


ついさっきギリギリで躱した水球とほぼ同じ速度で向かってくる
無数の水が、美琴には機関銃から射出される弾丸にも思えた。
しかもその玉は大砲に使用される珠と同等の口径。

……本当にこれがショーであると相手は分かっているのだろうか、と美琴は思う。
こんなものが直撃したら美琴の身体など一発で肉花火となって咲き乱れてしまうだろう。
実はこの威力も速度も虚仮威しで、実際は食らってもちょっと痛い程度です、なオチなら
安心できるのだが、
373 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:51:41.09 ID:TrplGhkyo


「冗談じゃ………ないっつーの!!!」


無数の水の最初の一発が接触する直前に、美琴の全身が一瞬白んだ。


次の瞬間、美琴を中心に全周囲から極めて小さな範囲で落雷が発生した。
その雷は美琴に迫っていた水の弾丸を貫き、霧散させる。
しかもその落雷は一発では終わらない。二発、三発、四発と、非常に短い間隔で轟く。

その連続落雷を周囲に落とすことで擬似的なバリアを形成し、美琴は
向かってくる弾丸を全て防いでいた。超局地的落雷バリアと言ったところか。


「「「「おおおおっ…………!」」」」


耳を劈くような轟音が連続する中で、美琴は確かに聞いた。
観客の中の何人かが、この世にも恐ろしい光景を見て、それでも(恐らく)このショーを
見て楽しんであげているのだろう感嘆の声を。
374 :×=楽しんであげている ○=楽しんでいる  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:53:25.20 ID:TrplGhkyo


美琴はその声を聞いて心の底で安堵の息をつきながら、
ミーシャが繰り出す水球連射の最後の一撃を擬似落雷で打ち砕くと共に、無意識に行動に出た。

ポケットから取り出すは一枚のコイン。それを素早く右手にセットし、
正面に構える。
狙いは、攻撃行動が終わって水中からトビウオのように飛び出してきたミーシャ=クロイツェフ。
美琴はそこを狙って指先に電力を溜め、弾くようにコインを射出する。


超電磁砲。


空気どころか、空間を引き裂くような音が鳴り渡った。
そして直後に美琴の顔が青ざめる。
375 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:54:34.42 ID:TrplGhkyo


「ッ!! 避けてッ!!」


最悪な事に、美琴は手加減を忘れて超電磁砲を放ってしまった。
正確に言えば彼女は無意識の内に手加減をしていたが、本人がそれに気付いていなかった。

しかし手加減をしたとはいえ、その速度は凄まじい。
とても人に向かって撃っていいような攻撃ではない。
身体のどの部位に当たっても致命傷。その速度故、人間ではまず避けられない。


―――知らず知らずの内に、自分の中で熱き闘争心が高揚していた。


そうだと気付いた時には、既に美琴は後悔の念で頭が満たされていた。
自分の勝ち気な性格をこんなに恨んだ事はなかった。
せっかく自分のミスをフォローしようと協力してくれた名も知らぬ親切な人に、
よりによって殺人兵器といっても過言ではない超電磁砲を撃ち放つ。
376 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:55:16.62 ID:TrplGhkyo

考えられぬ大失態。美琴はミーシャに向かって容赦なく突き進むオレンジ色の閃光を
スローモーションのようにゆっくりとした映像で見ながら激しく自己嫌悪した。


人を、殺めてしまっ―――――。




「udelop無駄zbgeyt」




ミサイルが着弾したかのような、耳どころか頭を塞いで身を屈めたくなるほどの音が
屋外プール会場を支配した。
超電磁砲が直撃したミーシャを中心に水面が爆破するように跳ね、超電磁砲の熱によって
辺りはスモークを炊いたような白の水蒸気で景色が失われていく。
377 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:56:29.78 ID:TrplGhkyo

音は一瞬で虚空に溶け消え、次に発せられた音は観客たちがざわめく声だった。


本当にこれは演出なのか?


常盤台の超電磁砲の今の攻撃は明らかに本気だったのではないかと
観客たちが疑問と焦燥に顔を青くする。
美琴はもう、黙って水蒸気が晴れるのを待つしかなかった。


(……、)


ほどなくして水蒸気が晴れ、視界が確保されていく。
美琴の目に、観客達の目に飛び込んできたのは――――、
378 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:57:38.98 ID:TrplGhkyo




―――――各々が想像するような"惨劇"ではなかった。




「yutcm上出来dregtdo」

「え…………?」




そこには、"まるで天使のように水面の上で優雅に佇む"黒いガウンを来た人物が居た。
379 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 19:58:43.67 ID:TrplGhkyo

ミーシャ=クロイツェフ。正真正銘本物の大天使。
その天使の肉体が超電磁砲によって粉々に砕かれている事はなかった。


(は、外れた………? でも、)


美琴は本日何度目か分からない安堵の息をつこうとしたが、直後に疑念が生まれる。
仮に相手が何らかの方法で超電磁砲の射線をズラしたとしても、ならば相手の背後にある
更衣室が丸々吹き飛んでいるはずだ。

しかし更衣室はいつも通りの状態を保っているし、
その更に後ろにある校舎にも変化は見られない。


と、ミーシャがこちらに向かって右腕を突き出している事に美琴はようやく気付いた。
ミーシャが着ているガウンの右袖はボロボロに焼き切れており、そこから覗く右腕は
人間にしてはあまりにも白すぎて、しかし不健康そうには見えない不思議な色をしている。

そしてその右手はギュッと握りしめられており、ミーシャが右手を開くとそこから、
380 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 20:00:19.35 ID:TrplGhkyo


「あ」


右手から落ちてきたのは、歪な形をした溶けかけのコインだった。


コインはそのまま音もなくプールに着水し、ジュッという熱した鉄板の上に
水を一滴垂らしたような音と共に水中へ沈んでいった。

焼け焦げた右袖。右手に握られていたコイン。超電磁砲受けて怪我一つ無い相手。

これらの点から導かれる答えを、美琴は素直に信じる事が出来なかった。


(こ、こいつ………超電磁砲を受け止めたの? 片手で?)


驚くというより、むしろ呆れた。
音速で突き抜けるコインを"キャッチ"する。そんな芸当を行うには音速で放たれるコインを
まず"視認"しなければならない。

並の人間に、いや異常な人間にだってそんな事は出来やしない。そして仮に視認できたとして、
超電磁砲として射出されたコインには莫大なエネルギーが付与される。
それを片手で受け止めるなど、それこそ人間には絶対不可能なはずだが――――。
381 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 20:07:22.05 ID:TrplGhkyo


美琴「仙水よけろォォーーーーー!!!」


今回の更新はここまでです。
ミーシャと御坂を絡ませるのが思いの外楽しかった記憶があります。
皆様にも楽しんでもらえているなら幸いなのですが……。

次回もミーシャパート。引き続き御坂とのバトルをお送りします。


次回更新は三日以内。


そrでは、今日もありがとうございました!
382 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/07(月) 20:08:25.79 ID:TrplGhkyo



                          【次回予告】



「eyghe、ghspjjfesdynudn……xju雷yqxnz……、nahndhrwifjbriwfn」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・水を司る大天使『神の力(ガブリエル)』――――――ミーシャ=クロイツェフ




「………………………………う、うん? ? そう、そうなんだ……へえ」
学園都市・常盤台中学の超能力者(レベル5)――――――御坂美琴




「……………………………………………天使?」
学園都市・常盤台中学の生徒――――――白井黒子



383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 20:15:23.20 ID:U6o291dDO
>>1乙!

384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/07(月) 20:58:29.75 ID:Gf45WrUBo
乙です

ミーシャの「ニッ」が見れるのか?wwww
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/07(月) 21:17:58.85 ID:FXaVubIAO
乙です!

ミーシャいきいきしてるなぁ
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 21:51:46.59 ID:r2E2tsaDO
おい 誰かガブを止めろww


いろんな意味でヤバいだろおいwwwwwwww
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [sage]:2011/11/07(月) 22:23:21.40 ID:6mY36NLAO
>>381
幽白とか懐かしすぎるwww

投下乙でした
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 23:04:43.55 ID:A3fUKprf0
今回でガブリエルの擬人化か浮かんだのはおれだけ?
イメージじゃ、長身で青髪のグラマーな女性をイメージした。(ただし性格はハンターハンターのアルカみたいな無邪気な性格)
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 23:34:11.50 ID:IV4Yr4cSO
常盤台のプールが100mって描写あったけ?
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/08(火) 00:11:00.64 ID:p6QA2YhU0
デモンストレーションの域を遥かに超えてるww
御坂が弱いんじゃなくミーシャが果てしなく強いって感じる戦闘描写はお見事としか言いようがないわ
次回も楽しみにしてます
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 00:52:34.30 ID:0SilQ5jSo
> 音速で突き抜けるコインを"キャッチ"する。そんな芸当を行うには音速で放たれるコインを
> まず"視認"しなければならない。
>
> 並の人間に、いや異常な人間にだってそんな事は出来やしない。そして仮に視認できたとして、
> 超電磁砲として射出されたコインには莫大なエネルギーが付与される。
> それを片手で受け止めるなど、それこそ人間には絶対不可能なはずだが――――。

上条ェ……
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/08(火) 00:57:28.07 ID:vq4B1YD70
水流操作も、仮にレベル6に到達することがあれば日本沈没くらい出来るのかなww
まあ演算力にもAIM力場の量にも限界があるか
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 02:17:15.40 ID:o0aoT8jn0
>>391 上条も御坂もこの物語での影薄いしね。

会った描写なかったし忘れられてるんだろう
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/08(火) 08:36:16.57 ID:deC7ngJh0
>>1

>>382 エッ、黒子!

何が起こる?期待して待つ。
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 08:46:06.77 ID:0Tss/jRH0
( ゚∀゚)o彡°ミーシャ!ミーシャ!
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/08(火) 13:38:21.11 ID:YpJtrtLP0
やっぱりガブちゃんは格が違うな
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 16:01:10.14 ID:PgiJtb6IO
仙水ワロタ

>>1
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/08(火) 19:55:46.85 ID:68YATFET0
じゃあ次はミーシャの攻撃を迎え撃とうとして
フィアンマ「よけろミサッパ!!」になるの期待
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/08(火) 22:24:47.61 ID:iCaVkJZr0
しばらく見ないうちになんてカオスな展開になっとるんだwwwwww   
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/09(水) 20:00:07.09 ID:LTOGhP6y0
400GET そして>>1乙 安定のガブちゃんクオリティだな
401 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:37:40.17 ID:QGooWWTeo
こんばんわ、更新を開始します。
毎度ながら支援レス、ありがとうございます。

それにしても最近は本当に寒いですね。ついこの前まで夏だったような
気がするんですが……。私は冬が好きなので構わないのですが、風邪にはお気をつけください。


今回も引き続きミーシャvs御坂美琴をお送りします。
最初はミーシャの人外っぷりに困惑する御坂でしたが、彼女もだんだん
この戦いが楽しくなってきて……。


それでは、よろしくお願いします!
402 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:38:32.66 ID:QGooWWTeo


(いや、でも……信じたくないけど、"居る"。 私の超電磁砲を片手で受け止める事が出来るヤツが。
 私の超電磁砲を、正面から受け止める事が出来るヤツが。 ……コイン握り潰されたのは初めてだけど)


と、そこまで考えていた美琴の思考が中断された。


原因は周囲から巻き起こった、観客による拍手と喝采。




「いいぞー! 超電磁砲、カッコイイ!!」

「きゃー御坂様ー!! こちらをお向きになってー!!」

「"怪人役"の人もすげーぞ!! あの超電磁砲を前に恐れる事なく立てる勇気、気に入った!」



403 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:39:17.74 ID:QGooWWTeo

そんな感じの声援があちこちから飛んでくる。
見ると、黒のガウンを来たミーシャは照れを示すように頭部をポリポリと掻いていた。
それを見て美琴は『あ……良かった、本当に無事みたい』とやっと安心する事が出来た。


(とりあえずは乗り切れてるみたいね。 お客さんも『ショー』として楽しんでくれてる。
 ………正直、既にやり過ぎ感はあるし自分でもよくごまかせたなとは思うけど)


これもショーの一環だと思わせる。
そんな状況を作ってみせた美琴はふと、"ある出来事"を思い出していた。


(『学芸都市』……、あれはある意味この状況とは逆の出来事だったわねー……)

404 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:41:00.02 ID:QGooWWTeo

美琴は客席にいた赤髪の男を一瞥する。
彼も美琴の方を向きつまらなそうに視線を戻すが、それでもパチパチと申し訳程度に拍手を送る。
その隣にいた白井や初春、佐天達も何だかよくわからないけどとりあえず美琴を賞賛しておこうと
いった調子で拍手をしていた。そして、"自分とそっくりの顔つきをした二人"も同様に。


(…………あの二人には後で話を聞くとして)


それにしても、と美琴は思う。


(結構堪えちゃうわよね……。 "アイツ"はともかく、真正面から私の
 超電磁砲を受け止められるヤツが"あと二人"も居ただなんて)


先のミーシャのように超電磁砲を正面から受け止める事が出来た人物は、
不思議な右手を持つツンツン頭の少年以外だとこの学園都市に二人存在する。
405 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:41:56.42 ID:QGooWWTeo

一人は今も水面に浮かぶように佇むミーシャ=クロイツェフ。

そしてもう一人は、名前もレベルも知らないが、『旭日旗のTシャツの上から白の学ランを着込む』という
妙に時代遅れした、しかし見ようによってはファッション性の高い格好をした、記憶ではやたら
根性根性とうるさく口走る少年である。

あの男は超電磁砲で弾いたコインを口で加えて受け止めるどころか、
その後の雷撃による連続攻撃にも『すごいガード』とか何かよくわからん技名で
全て耐え切るという、根性以前の化物じみた力を秘めていた。


今目の前にいるこの黒いガウンの人物も、あの男と同類のようなものなのかと美琴は
気疲れしたようにため息をついた。
しかし同時に、美琴は素直にミーシャへ賞賛の言葉を贈る。


「アンタ、凄いわね。 私の超電磁砲を受け止めるだなんて………
 『水流操作』の応用でどうにかしたとは思えないんだけど。
 とにかく、相当高レベルな能力者と見たわよ。 驚いたわ」

406 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:42:40.84 ID:QGooWWTeo


「fydufg同意zpd賞賛zret贈呈lkjtdb」

「はい?」

「eyghe、ghspjjfesdynudn……xju雷yqxnz……、nahndhrwifjbriwfn」

「………………………………う、うん? ? そう、そうなんだ……へえ」


相槌を打つものの、美琴はミーシャの言葉を何一つ理解出来ていなかった。


(ていうか何語? さっきもこんな声出してたけど……もしかして学園都市の最新技術を
 結集して作り上げた新型の『駆動鎧(パワードスーツ)』とかじゃないでしょうね……)

407 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:43:57.34 ID:QGooWWTeo

たかが駆動鎧如きに超電磁砲を防がれたとはあまり考えたくない美琴。
しかしあの男といいこの黒いガウンの人物といい、一体何者なのか。
少なくともこうして自分のフォローを手伝ってくれてる以上、悪人ではない事は確かだが。

そして何より、何者なのかと考える以前にこの謎の人物との戦いは何だかとても心地が良いと美琴は思った。
殺意や悪意を向けてくる事もなく(あの水玉攻撃は洒落になっていなかったが、美琴も人の事は言えない)、
罵倒や侮蔑が飛び交うような雰囲気の悪さもなく、純粋に互いの力量を測るような戦い。

デモンストレーションという建前があるが、美琴はそれを除いてもこのガウンの能力者との
戦いを素直に楽しんでいる自分がいると素直に認めた。


(………まだもう少し時間はあるわよね)


美琴はフェンス越しに見える校舎に設けられた時計を確認して、
408 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:45:10.06 ID:QGooWWTeo


「そんじゃ、もうちょっとだけやりましょうか。 割と本気出していいわよね?」

「cutuwi受berp立zhitus」


ミーシャは超電磁砲のコインを握っていた右手を突き出して挑発するように指を動かす。
その不気味なまでに青白い手には、火傷どころかカスリ傷一つ見当たらなかった。
それを受けた美琴はニッと笑って、


「それじゃ…………遠慮無く!!」


異変が起きたのはプールではなく、その隣にあった校庭だった。


校庭に満遍なく敷き詰められた砂場が振動したかと思った直後、
そこから選別するように白と黒の砂が分離され、その内の黒の砂が
誘われるようにプールに居る美琴の方へ飛んでくる。
409 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:46:08.36 ID:QGooWWTeo

それは砂鉄だった。美琴は能力の応用である磁力操作によって砂場の中から
砂鉄だけを吸い寄せ、手元に持ってきたのだ。
更に美琴は精密な演算を実行し、その砂鉄を剣のような形状にして右手に携える。

その砂鉄剣は刃の部分が超振動を起こしており、チェーンソーの要領で
物体を切り裂くという恐ろしい性質を持っている。


(こんなもの、普通の人間に向けていいモンじゃないけど………、
 こいつはどう考えても普通の人間じゃないわよね。
 とにかくこれでいきなり叩き切る事はせず、慎重に牽制して様子を見てみるか)


美琴の玉に瑕な部分の性格がここで如実に現れ始めていた。
既に彼女の頭の中は『目の前の化物との決闘』で満たされている。
美琴の勝ち気な性格が、デモンストレーションという建前を失念させつつあった。

結果的にそれが観客を喜ばせるパフォーマンスになっているのだから
問題は無いと言えば無いのかもしれないが。
410 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:48:57.48 ID:QGooWWTeo


美琴が出現させた黒々しい砂鉄剣を見たミーシャは、


「fouet愉快zgado」

「え?」


露出した右腕を高々と空へ振るった。美琴も周囲の観客達も、
それに釣られてミーシャの右手を見据える。

その右手がある空間に変化が起きた。

何も無い虚空から、まるでミーシャの手に吸い付くように氷の礫が集結し、
やがてそれは一本の氷の剣と化したのだ。
美琴は思わず息を呑んだ。先の大質量の水の操作や無数の水の弾丸、
当たり前のように水面に立ったかと思うと、今度は虚空から氷の剣を生み出す。
411 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:50:01.20 ID:QGooWWTeo


(………空気中の水分を凝結させて氷を作り、それを剣の形状に仕上げた?
 そんな芸当、レベル4でも出来っこない。 ……まさか私が知らない内に
 『八人目』が登録されたのか?)


そろそろ驚愕を通り越して目眩を起こしてもおかしくなかったが、
ミーシャの"パフォーマンス"はまだ続く。


ミーシャの背中が弾け、ガウンの背中部分が細切れになったかと思ったら、
その瞬間にはもうミーシャの背中から氷の翼が生えていた。
フードを被っている頭部の上には、もはや『水流操作』では説明不可能な
ぼんやりと輝く『輪』が現出している。

氷の翼のサイズは数十センチから数十メートルまで。数は一二。
412 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:51:13.82 ID:QGooWWTeo


「あ、はは」


むしろこれで人間だったら美琴は今度こそ現実と空想の境界を見失ってしまうと思った。

背に氷の翼を生やす『異形』。
美琴はどこかでこれを見たことがある気がしたが、"なぜだか思い出す事は出来なかった"。

しかし、不思議な事に恐怖はない。
背中から禍々しく刺々しく、しかし煌びやかに翼を生やし、その手には万物を薙ぎ払えそうな
氷の剣を持っている目の前の怪物から感じられるものは、むしろ『情愛』だった。


(私も観客になってる気分よ、こんなものを見せられて………)


意識せずとも表情が勝手に笑みを浮かべていた。
413 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:52:22.49 ID:QGooWWTeo

ミーシャに呼応するように、美琴も水分子を操作して背中に大小六枚の翼を背負い、


「ふっ!!!」


肺から一気に酸素を吐き出し、猛スピードでミーシャに突進していった。


一瞬でミーシャの懐に潜り込んだ美琴は、振り抜かないと決めていた
砂鉄剣を横薙ぎに払う。
『遠慮はいらない』。なぜかミーシャがそう語りかけてきたように錯覚したからだ。
ミーシャは見えない角度から振り抜かれた砂鉄剣を、あろうことか剣を持っていない左手で直に受け止めた。


「あ、――――」

414 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:53:14.23 ID:QGooWWTeo

砂鉄剣は刃の部分が小刻みに振動しているチェーンソーのような働きを持っている。
そんなものを直接触れたりしたら掌が豆腐のように切断――――、


「dlro油断zhekl禁物jvigcs」


――――される事はなく、ミーシャはそのまま刃を掴み、握力に任せて剣を握り潰してしまった。
すかさず追撃。今度はミーシャが美琴の頭上目掛けて一直線に氷の剣を振り降ろす。
当たれば死は免れないが、美琴は砂鉄剣が握り潰された程度ではもはや驚く事もなく、冷静に
演算を行い前髪から雷撃の槍を穿ち、氷の剣を粉々に砕いた。

そこでようやく美琴の体に地球特有の重力負荷がかかるが、彼女は背中の翼を『噴射』させて
プールに着水することなく一気に約二〇メートル上空まで上昇する。
互いの距離が離れたわずかなタイムラグを利用し、美琴は新たな砂鉄剣を形成して手に携えるが、


(ヤバッ)


上下左右、オールレンジ攻撃の要領で氷の魔の手が美琴に迫っていた。
その正体はミーシャが背負う氷の翼。
氷の翼は空中にいる美琴の逃げ場を一瞬で無くしてしまう速度で迫るが、
直後に美琴の体が発光し、爆発的な雷轟が発生した。彼女は全方位から身を守るため、
球状に電撃を発する事で辛うじて氷の翼を撃退する事に成功する。
415 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:54:46.94 ID:QGooWWTeo

不意の急襲を防がれたミーシャもまた、美琴がいる高度まで超速度で上昇すると、
いつの間にか携えていた新たな氷の剣で呼吸をさせる暇も与えない勢いで追撃に出る。
それに応じるため美琴も砂鉄剣を振るう。氷と砂鉄の剣が激突し、コンマ数秒の鍔迫り合いが発生した。

押し勝ったのはミーシャの氷。美琴は単純に力負けし大きく後方へ飛ばされてしまうが、
不安定な体勢のまま即座に『超電磁砲』を放った。
音速の三倍のエネルギーを片手で受け止めてしまう怪物だ。遠慮など、必要であるはずがない。

実際、ミーシャは向かってくる『超電磁砲』を信じがたい反応速度で明後日の方向へ"蹴り飛ばした"。
美琴は背中の翼を慎重に操り、空中に『停滞』する。彼女の演算が極めて冷静に行われている証拠だ。


(ヤバい………私、普通に楽しんじゃってる)


今の美琴は強敵を前にして『オラわくわくすっぞ』と血湧く某サイヤ人状態だった。
かつて自分がここまで全力で演算を行い、戦闘を行った事などあっただろうかと美琴は思う。
この戦いを機に、自分はもっと"高み"へ昇っていけるかもしれない。
そんな事を想起させるこの状況に、勝ち気な性格の美琴の気持ちが昂るのは必然的と言っていいだろう。


もはや美琴の頭の中に『デモンストレーション』という建前は完全に消失していた。

416 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:56:02.63 ID:QGooWWTeo


――――――――――――――――――――――




お姉様がついに人間という領域を越えてしまった。




空中で停滞しながらガウンを着込んだミーシャを睨む美琴に対して、
白井黒子は二人のショー(という名のガチバトル)を呆然と見上げながら思った。
白井は今一度周囲の反応を確認してみる。

417 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:57:01.90 ID:QGooWWTeo

初春飾利と佐天涙子も白井と同じく、魂でも抜き取られたかのような
様子で美琴とミーシャの戦いを黙って見守っていた。
二人はこれまでも美琴の戦闘能力をあらゆるシチュエーションで目撃しているが、
それにしたって今回ほど壮絶な戦いを見たことは無かったらしい。

そしてそれは長い間美琴に付き添っていた白井も同じだった。


(『学芸都市』の一件でもロシアの『ウランの置物』の一件でもお姉様の活躍は
 見事なものでしたの………。 それも当然、お姉様は学園都市の能力者の頂点、
 レベル5の第三位、常盤台の『超電磁砲』。 どんな壁が立ちはだかろうと、
 お姉様はいつもそのポテンシャルを活かし、苦難を乗り越えてきましたの)


白井は気付いていた。
先に行われた水分子の翼によるパフォーマンスを、美琴がしくじってしまった事を。
美琴がそのミスを帳消しにするために、ミーシャと協力して『ショー』を演じている事も。
418 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:58:00.67 ID:QGooWWTeo

それにしたって、と白井は改めて喉を鳴らす。


(今のお姉様はその時以上に自分の中に秘める潜在能力を発揮している……。
 その点は流石、としか言い様がありませんの)


白井は視線を美琴から、芸術作品のような美しい翼を生やすミーシャに移した。


(それに対してあのミーシャという方は一体何なんですの………!?
 正直認めたくはありませんが、明らかにあの方はお姉様の"全て"を上回っている。
 多分、お姉様自身もそれに気付いてますの。 『水流操作系能力者』?
 その程度のカテゴリに当て嵌める事が出来る実力じゃありませんわよ……!?)


今この場にいる大半の観客、そして能力者達はこう思っているのだろう。
『ガウンを着た能力者は学園都市の中でもかなりの実力を誇る能力者、
 だから常盤台の「超電磁砲」と今のようにショーを演じる事が出来る』のだと。
419 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:58:52.42 ID:QGooWWTeo

しかし、そんなもんじゃないと白井は真冬のプールサイドであるにも関わらず
頬を伝う冷や汗を拭った。

ミーシャという『異形』を、人間だと思えない。いくら『水流操作系能力者』だと言っても、
質量二〇〇〇トン以上の水を易々と操る能力者など聞いた事が無い。
おまけに虚空から氷を生み出したり、美琴とは違って原理も作法も不明な飛行を行ったり。
背中から氷の翼を生やしたからって、あんな形状では人間は空を飛ぶ事など出来ない。

そしてトドメと言わんばかりに、ミーシャの頭上にはどういう仕組みで出現しているのかも
分からない光の『輪』。美琴の『超電磁砲』を片手で受け止めたりあっさりと蹴っ飛ばしたり、
もうやりたい放題もいいとこである。


初対面の相手に対してこの印象は抱きたくない白井だったが、彼女の目からしたら
ミーシャはもはや『化物』のそれだった。


では、ヒトで無ければミーシャは一体何なのか?
白井は上空で漫画のワンシーンのような戦いを展開する二人を見つめながらしばし思案した。
420 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 20:59:53.97 ID:QGooWWTeo




「……………………………………………天使?」




自分でも馬鹿だと思う言葉を口走ってしまった白井だが、その直後に
傍で忌々しげな舌打ちが聞こえたのを彼女は聞き逃さなかった。

舌打ちがした方に視線を配る。
そこでは赤い髪の男―――火野と名乗り、どうやったかは不明だがミスを犯した
美琴を救ってくれた男が、親指を噛みながら上空をきつく睨んでいた。


(…………? 憤ってらっしゃる?)

421 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 21:01:25.75 ID:QGooWWTeo

白井から見た火野―――フィアンマは、どう見ても憤りを感じている様子だった。
それもこのデモンストレーション自体に不満を抱いているという風ではなく、
まるで美琴とミーシャの『ショー』の展開に苛立ちを感じているようだった。


白井はフィアンマに話しかけようとしたが、突然発生した衝撃波に
身を竦めてしまいそれは叶わなかった。観客達がどよめきをあげる。
上空を見る。美琴とミーシャの戦いは更に激しさを増していた。この時点で白井も、
少なくとも美琴がデモンストレーションだという事を失念している点に気付いた。


「…………やりすぎだ」


誰にも聞こえないようにフィアンマが愚痴を漏らすが、白井の耳には届いていた。

確かに……、と白井も心の中でフィアンマに同意する。
いくらパフォーマンスとはいえ、美琴の方は恐らく本気でやりあっている。
これ以上続けたら美琴自身が、もしくは観客の中から怪我人が出てしまうかも知れない。

当然美琴もミーシャもその懸念事項に関しては疎かにする事はないだろうが、
念には念を入れた方がいいかもしれない。
この二人の戦いは、このプール会場を警護している『警備員(アンチスキル)』では阻止出来ない。
422 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 21:01:53.52 ID:QGooWWTeo

止めた方がいいだろうか?白井がフィアンマに相談を持ちかけようと改めて視線を彼に戻すが、


「あら?」


白井と目が合ったのはフィアンマではなく、彼の隣でショーを楽しんでいた打ち止めだった。
打ち止めも白井と同様にポカンといった調子で白井をジッと見つめてくる。
その愛くるしさに悶えそうになるが、その感情を上から塗り潰すように白井の頭に『不可解』が介入する。




フィアンマの姿は、もうそこにはなかった。



423 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 21:08:24.98 ID:QGooWWTeo
今回はここまでです。

相変わらず怪物なミーシャですが、いざこうして見ると御坂も大概おかしいような……。
ちょっとやりすぎた感が否めませんが、まぁさすがは第三位という事でご勘弁を。
超電磁砲を防ぐ事が出来る能力者はまだいますが、御坂は何も超電磁砲だけが能じゃないですしね。

次回、ようやくこの戦いに決着が着きます。果たして電撃姫は悪の怪人の野望を
打ち砕くことが出来るのか。次回もお楽しみに!


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
424 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/09(水) 21:08:54.00 ID:QGooWWTeo



                          【次回予告】



「私はまだまだやれるわよ! アンタはどう? あー……えっと、これショーだったっけ。
 ……コホン。 そろそろ観念しなさい怪人! アンタの野望はここで砕け散るのよ!」
学園都市・常盤台中学の超能力者(レベル5)――――――御坂美琴




「命令名(コマンド)『演出』――――投下」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・水を司る大天使『神の力(ガブリエル)』――――――ミーシャ=クロイツェフ




「実に見応えのあるショーだった。 俺様は御坂美琴に対し、惜しみない賞賛を贈りたいと心から思う」
『天使同盟』の構成員・元『神の右席』の魔術師――――――フィアンマ



425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 21:11:58.85 ID:7gxGnjmh0
> そろそろ観念しなさい怪人! アンタの野望はここで砕け散るのよ!

ヒーローサイドなのにどう見ても負けフラグwww
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 21:33:24.60 ID:4EWlx4glo
フィアンマさんマジ保護者
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/09(水) 21:48:07.55 ID:/6VJzg4e0
>>1

打ち止めと番外さんの危機なのである。
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東) [sage]:2011/11/09(水) 21:51:14.65 ID:aJ3ydx7AO
フィアンマさん、忘れ物ですよ。
つ (棒)
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/09(水) 22:31:00.84 ID:dYvhbS780
乙ですの
ここまで読み応えがあるバトル描写は久しぶりだ…
続き楽しみにしてます
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 23:18:50.70 ID:4PujU2BSo
フィアンマさんー
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/10(木) 00:15:46.22 ID:lxGt2Yvk0
これアレイスターが見たらビクンビクンなるんじゃね
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北陸地方) [sage]:2011/11/10(木) 00:30:00.31 ID:r44POWMlo
もう「おぎゃーーー」とか言いながら爆発してんじゃないの
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/10(木) 00:30:55.44 ID:QhSIgsX3o
美琴さんの中で一方さんの戦闘能力は論外なんだろうか
まぁ反射するより止めるほうがすごいのか
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 00:37:15.58 ID:ZiftRZIMP
レールガン止める奴らに一通さんが含まれないのはちょっと不自然に感じたけどエイワスのせいにしたら納得できた
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/10(木) 01:14:11.87 ID:oByfAtDX0
んー
「反射」そのものは超電磁砲のエネルギーを殺してるわけではないからな
まあ出来ないこともないと思うが、目の前でされた訳ではないし
多分反射のイメージが強いから、深く考えないとこの状況で連想されるものじゃないんじゃないかな

それにしても改めて考えるとソギーすごいよな
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/10(木) 10:12:47.86 ID:PGWNbNiao
ぶっちゃけすごいだけで第一位に勝てるんじゃね
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 10:46:02.77 ID:kNPT8G2qo
一方さんにも原理が分からなければ勝てるだろうな
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 10:52:08.89 ID:M6DFTz1bo
ソギーの謎が判明したとき脳筋サイドが生まれると信じてる
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 12:06:42.58 ID:sGlRsByDO
でもさすがに天使一方さんには勝てなそう
ましてやこのSSじゃ神背負ってるし
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 15:03:43.49 ID:GVxVxBd+0
とりあえずソギーが最強候補だということがよくわかった
ただ、ソギーは馬鹿だからなぁ…
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/10(木) 15:12:40.62 ID:/UnTcrkAO
反射が通用しないことと一方通行より強いとは別だと言うことを理解すべき
あと議論はよそでやれ
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) :2011/11/10(木) 18:17:55.07 ID:cs0EPgpD0
ユーラシア大陸が吹っ飛ぶような攻撃を受け止める一方通行には勝てないだろ
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/10(木) 18:26:46.39 ID:kj15FxWMo
おまえら強さ議論好きだな
しかも結局意見は平行線だよね、毎回毎回同じような話してよく飽きないよなホント
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 18:29:13.48 ID:ZFlzoJ0DO
ロリ>冷蔵庫>>根性>>>ツンデレ>>メルト>>>>>>>心理

なイメージかな
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/10(木) 19:00:50.50 ID:T53VAYUoo
>>443
不毛な議論でスレを潰そうとするのは禁書厨の習慣だから仕方ないね
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) :2011/11/10(木) 19:00:52.41 ID:oByfAtDX0
ロリ……やはり一方さんは女の子であったか
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/10(木) 19:18:18.97 ID:Cv9J9F0xo
百合子ちゃんでもあの身長ならロリじゃないような
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(奈良県) [sage]:2011/11/10(木) 23:54:27.23 ID:7lcJXOO10
百合子ちゃん結構身長高いもんね
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 13:45:56.63 ID:aQgpZZRFo
流れぶった切るようで悪いけど禁書キャラの好きそうなラーメンって何だろう
一方さんはチャーシューかとんこつとして割と個性だせそうだよね
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東) [sage]:2011/11/11(金) 14:24:37.18 ID:Tjd2HpZAO
いくらなんでも余所でやれ
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/11(金) 16:26:08.06 ID:eW8fLp3z0
そんなことよりオルソラさんの話(ry
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 16:58:24.75 ID:rrohQQYRo
おっぱ(ry
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/11(金) 18:42:05.58 ID:laetldtJ0
>>449 ちょwwwおまwwwスレチすぎだろwww
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 23:19:18.41 ID:/Y94AaWDO
それよりしまぱんの話しようぜ
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/11(金) 23:37:13.80 ID:eW8fLp3z0
ミサカ
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/11(金) 23:53:43.74 ID:8FnXx+mu0
>>454

\           /
 \         /
  \       /
   \     /
    \( ^o^)/うわああああああああああああああ!!!!!!!!!!
     │ │
     │ │    〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
     │ │  〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
     (  ω⊃〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
     / \ 〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
    /   \   〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○〜○
   /     \
  /       \

457 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:13:08.70 ID:WjlXMN99o
こんばんわ、更新を開始します。


対超電磁砲の話題についてですが、御坂に一方通行を想起させる事に何か抵抗があったので
描写は省きました。まぁ上条や一方通行、垣根や削板はちょっとイレギュラーですからね……。

今回でミーシャvs御坂の戦いに決着が着きます。
どんどんヒートアップしていく二人のバトルの結末やいかに。


それでは、よろしくお願いします!
458 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:13:52.25 ID:WjlXMN99o


――――――――――――――――――――――


肩で息をしながら大量の汗を拭い、美琴は地上を俯瞰する。


(……………、怪我人無し。 私の都合で怪我人なんて出したら最悪だしね)


地上の安全を確認した美琴は視線を正面に固定する。
そこには疲労困憊寸前の美琴とは違い、未だ悠然と空中で停滞するガウンのお化け、
ミーシャ=クロイツェフが片手で氷の剣を曲芸のように回転させていた。


(何ったる余裕っぷり……、こっちはもうヘトヘトだっていうのに。
 どれぐらい戦ったっけ……何かもう一日中やりあってるような気がする)

459 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:14:48.04 ID:WjlXMN99o

実際は一〇分にも満たない時間だったが、美琴にはミーシャと対峙している時間が
無限にも感じられた。

認めざるをえない。

この相手は、間違いなく自分の力量を全てにおいて上回っている。
美琴はしかし悔しさを感じる事はなかった。
彼女の性格上、相手の実力が自分より上だと気付かされたら歯噛みの一つでもしそうなものだが。


(なんか………スカっとするのよね。 こいつとやりあってると。
 第三位なんて肩書きには興味無いけど、それでもこいつに負けたら
 格下げになってもいい、なんて思っちゃってる自分がいる)


自分の意志とは関係なく、自然に笑みがこぼれる。
良きライバル、なんて相手の都合も考えずに勝手にライバル認定などしては
失礼だと美琴は思うが、それでも彼女はミーシャに対してこんな感情を抱く。
460 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:15:31.59 ID:WjlXMN99o


感謝。世界は広い。第三位なんて、世界と比較したらちっぽけな物でしかない。
暗にそう教えられたような気さえした。


「私はまだまだやれるわよ! アンタはどう? あー……えっと、これショーだったっけ。
 ……コホン。 そろそろ観念しなさい怪人! アンタの野望はここで砕け散るのよ!」


建前上現在美琴はヒーローという事でそんなセリフを口にしてみるが、
息は絶え絶え場は上空、美琴のセリフは観客達にはあまり届いていなかった。

そんなボロボロのヒーローに対し、怪人ガウンお化けは、


「vlbudm決着iyutkfp」

461 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:16:33.05 ID:WjlXMN99o

右手に携えていた氷の剣を無に帰し、そのまま緩やかに右腕を天へ差し出す。
今度は一体何をやらかしてくれるのか。美琴が内心ワクワクしながら待機していると、




フッと。
昼間であったはずの大空が、ブレーカーでも落ちたかのように一瞬で闇に覆われた。




「ねーよ」


思わず口にしてしまった美琴。
462 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:17:50.29 ID:WjlXMN99o

いくら何でもこれはない。恐らく何らかの方法で学園都市の上層部と相談し、
演出で学園都市の最新技術を利用した人工的な夜空を展開したに違いない。
そんな無茶苦茶で筋が通らない推察をさせられるくらい、この夜空は不自然極まりなかった。
もはや初期に想定していた『相手は水流操作系能力者』という予測が迷子状態である。


(だって、空よ空!! 本物の! 青空を強制的に夜にするって、え? 何!?)

「……agegcmAOWJfungensbnsehhPJHbnufnxydnybrcmirdrbs……」


おまけにミーシャが何やら突然意味不明の言語をぶつぶつと呟き始めた。
美琴は小さいながらもクリアに聞こえるその不気味な声を耳にし、眉をひそめた。
言語が不可解だからではない。

美琴はこのような意味不明の声を、言語を、以前に聞いたことがあるからだ。
463 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:19:10.59 ID:WjlXMN99o


(これって……。 こんな呻くような感じの声を、『幻想猛獣(AIMバースト)』から
 聞いた事があるような気がする………)


『幻想猛獣(AIMバースト)』。七月の下旬に発生した『幻想御手(レベルアッパー)事件』で
出現した、歪んだ科学の産物。
胎児の怪物のような姿をしていたあの『異形』も、今対峙しているガウンの怪物のように
頭上に天使の『輪』のような何かを浮かべていた事を美琴は今頃になって思い出す。しかし、


(でもこいつは『幻想猛獣』のような不安定で未完成な印象を受けない……。
 え? っていうか今私が戦ってるこいつはもう人外確定なの?
 まさか木山春生のようにまた誰かが『幻想御手』を使って……いやそんな事は。
 というか、この夜空の現象……あの事件や戦争終結後にも起きてたような……?)

464 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:20:21.43 ID:WjlXMN99o

あれやこれやと考えている間にも、ミーシャは理解不能の言語を呪文のように紡いでいく。
そして、その声は美琴でも聞き取れる程に明確となっていた。


「大丈夫」

「ひっ、喋った!? え、え!? な……何が?」

「出力をufd一〇%まで低下jxutさせている。 当siyてない。 cxo演出」

「?」


言語は理解出来ても、その言葉の意味が理解出来なければ意味が無い。

出力を一〇%まで低下させ、尚且つ美琴に当てる事はしない。これは演出である。

そんな感じの言葉なのだろうかと思う美琴だったが、それにしたって意味がわからなかった。
一体何の出力を低下させているのか。当てる当てないの有無を伝えてきたという事は、
『何か』が飛んで来るのか。演出というからには、ド派手な必殺奥義でも繰り出してくるのか。
465 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:21:02.27 ID:WjlXMN99o


「え、あの……ちょっと怖いんだけど。 何? 何をするつもりなのかなー?」


無意識の内に引け腰になっている美琴の言葉を無視して、


ミーシャ=クロイツェフは天に指示を与えた。




「命令名(コマンド)『演出』――――投、」

「調子に乗りすぎだこのクソ野郎が」




どこからか第三者の声が飛んできたかと思った瞬間には、擬似の夜空が瞬いていた。


ただし、その色は『赤』一色で―――――。

466 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:22:24.66 ID:WjlXMN99o


――――――――――――――――――――――


急に視界が赤一色で染まったため、美琴は自分の身体のどこかから
大量に出血でもしたのかと危惧する。
視界を奪われた生物が取る行動は大抵が『防御』である。美琴は『赤』が視界を
占領した瞬間、無意識に目を瞑り、両腕を交差させ顔を護っていた。


直後、今度は視界ではなく聴覚が支配される。火山でも噴火したような凄まじい爆音によって。
目を閉じているため状況が把握できない。ただ感じるのは爆音の衝撃によって肌に伝わる空気の震動と、
理解不能の何かが、何かを『圧倒』してしまったという感覚のみ。


(ああああもうっ!!! 何よ何なの何なのよ! あのガウンのヤツが何か
 意味不明な事を口走ったかと思ったら今度は赤い何かが割り込んできて……)

467 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:23:45.48 ID:WjlXMN99o

頭の中で焦燥を混乱がせめぎ合い、意識を刈り取られそうになるのを必死で堪える。
やがて美琴に届いたのは『静寂』という雰囲気と、真下にあるプールの水が荒々しく波立っている音。
この間も水分子による翼で見事に停滞している点から察するに、美琴は呼吸をするように容易に
翼形成の演算を行えている。

一方では冷静、一方では混乱と困惑と頭の中がハッキリ別れていた美琴が恐る恐る瞼を開いてみる。
まず視界に飛び込んできたのは第七学区の街並みだった。当たり前だ、現在美琴が居る場所は
高度一〇〇メートル前後の空中である。

いや、当たり前だと決め付けるには些かおかしな点がある。

さっきまで目の前で訳のわからない行動を取っていたはずの怪人が居ない。
そして恐らくはその怪人の手によって強制的に黒へと染められた空が、
今は何の変哲もない透き通った青に戻っている。


(………夢?)

468 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:24:30.49 ID:WjlXMN99o

そう思うのも無理はなかった。今の今まで自分が目の当たりにした全ての現象が、
現実は思えない奇想天外なものばかりだったのだから。

美琴は未だ困惑しつつも、翼を操ってゆっくりと高度を下げていく。
やがてプールと隣接してある更衣室の屋根が見え始めたが、そこに誰かが佇んでいた。


「あ、」


その人影は赤い。美琴がその赤い影を凝視しながら更に高度を下げていくと、
徐々にその輪郭が明確になっていく。

飛行のパフォーマンスでしくじった美琴を(多分)助けてくれた、あの赤い髪の男だった。

美琴は目を細めてその男の"右肩"に注目する。
彼の右肩に何か『蠢く赤い物体』が見えた気がしたが、美琴が注意深く観察しようと
した時にはその物体は最初から無かったように姿を消していた。
469 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:25:31.77 ID:WjlXMN99o

そしてその男も同じように、音もなく屋根の上から消え去る。


(黒子と同じ『空間移動系能力者』?)


美琴が疑問に思っていると、自分が地上まであと数メートルまでゆっくりと降下している事に気付いた。
眼下に広がる一〇〇メートルプールの水面は未だに波立ち、時折水飛沫が起こっている。
そのプールの水面に、


「ありゃ………?」


さっきまで自分と壮絶なバトルを繰り広げていたガウンの怪物が、溺死体のように
ぷかぷかと浮かんでいた。
つい数秒前まで人間離れした動きを見せていた怪物らしい迫力は微塵も窺えず、
事情を知らない人間が見たら本当に溺死体だと思ってしまうほどに身動き一つ取らない。
470 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:26:28.78 ID:WjlXMN99o


トン、と美琴は天から舞い降りた天使のような動作で緩やかにスタート台に足を乗せる。
同時に、観客席からさっきの赤い髪の男がゆっくりとプールに向かって歩き出し、軽く右腕を振るった。
その行動だけで、なぜかプールの中心で浮かんでいたガウンの怪物が彼の右腕に吸い込まれるように飛んでいく。

赤い髪の男は不気味なまでに黙り込んでいる観客に視線を集中されている事を気にも留めず、


「………素晴らしいショーだった」

「へ?」


端整な顔にいっぱいの汗を浮かべ、ひーこらひーこらばひんばひんと
短い間隔で荒い呼吸を繰り返している美琴に向かってこう言った。
471 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:27:30.63 ID:WjlXMN99o


「さすがは常盤台の『超電磁砲』。 "かねがね噂は耳にしていたが"、まさかここまで
 素晴らしいパフォーマンスを披露してくれるとは。 いやはや、わざわざ常盤台中学に
 足を運んで甲斐があったよ。 実に見応えのあるショーだった。 俺様は御坂美琴に
 対し、惜しみない賞賛を贈りたいと心から思う」


本当にそう思っているのかどうか分からない平坦な声色で彼はそう言うと、
パチパチ……と気怠げに美琴へ拍手を送った。
その拍手の小気味良い音が、まるで催眠術を解くための目覚ましの役割を果たしたかのように、



「うわっ」



美琴の全周囲から爆発的な歓声が沸き上がった。観客達はフルラウンドで戦い抜いた
ボクサーを大いに称えるように、ある客は指笛を奏で、ある客は携帯電話を美琴に向けて
写メ機能のシャッターボタンを連打し、ある客は素直に拍手をしながら美琴に賛辞の言葉を送っていた。
472 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:28:22.07 ID:WjlXMN99o


「あ、え、えーっと…………あれー? ぶっちゃけ私は何もしてないような……」


美琴の呟きは鳴り止まない歓声によって羽虫のように吹き飛ばされる。
どうやらガウンの怪物をプールに沈めたのは美琴だと客は思い込んでいるようだ。
しかし当の本人にそんな記憶はない。

ガウンの怪物の首根っこを掴んでズルズルと引き摺りながらプールを出ようとする赤い髪の男。
美琴がチラリとその男に目を向けると、男もまた美琴の方を見て軽く片目を閉じてきた。


『とりあえず乗っかっとけ』


そう言われた気がした美琴は、ひとまず赤い髪の男に設問するのを後回しにし、
咳払いをして気持ちを切り替え、歳相応の明るい笑顔で観客の声援に応えるのだった。


こうして常盤台中学主催の能力実演ショーは、常盤台設立以来類を見ぬ大成功で幕を閉じた。 ………のか?

473 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:29:33.77 ID:WjlXMN99o


――――――――――――――――――――――


――学園都市・第七学区 常盤台中学 渡り廊下


フィアンマ「……いい加減に起きろこの馬鹿が」ゲシッ

ガブリエル「vitid痛spue」ムクッ

フィアンマ「ったく……見ろ、ここまで逃げてきたのにまだ周囲から痛い視線が送られてくる」

ガブリエル「?」キョロキョロ

フィアンマ「状況が把握出来ておらんようだな」

ガブリエル「ldut説明udk要求ahvu」

474 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:30:30.01 ID:WjlXMN99o


フィアンマ「説明しろと言いたいのは俺様の方だ。先のパフォーマンス、
      お前も大体の事情を理解しての事だったんだろうが……」

ガブリエル「ornd肯定njce」ソウダヨ

フィアンマ「世界大戦の時もそうだったが、お前はとにかくやり過ぎなんだよ。
      御坂美琴とかいう女もそのクチだったようだが、お前はあの女以上に
      周りが盛り上がったらヒートアップする性格のようだな」

ガブリエル「jdi結果ydc」

フィアンマ「あのまま続けていたら御坂美琴が潰れてしまうところだった。
      やむなく俺様が介入し、『右腕』でお前を沈めた。 それだけだ」

ガブリエル「xed何故pifn邪魔trakg」プンスカ

フィアンマ「黙れ」ゴスッ

ガブリエル「rusw痛dhyr」
475 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:33:17.55 ID:WjlXMN99o


フィアンマ「プールの水を操作して攻撃する所までは許容範囲だった。
      この学園都市にはそういう能力者も実際にいたしな」

ガブリエル「……」

フィアンマ「しかし氷の現出や頭上の『輪』はやりすぎだ。 ……よし、
      『聖なる右』はまだ行使出来るな……今日は調子がいいらしい。
      打ち止めと番外個体にはあとで連絡するとして、さっさと逃げるぞ」

ガブリエル「byuy反省ladtr」ションボリ

フィアンマ「それと最後の『神戮』、もはや論外だ。 やはりお前を街の外に
      出した俺様の容易な判断は間違っていたようだな」

ガブリエル「kxhy後生akry」ウルウル

フィアンマ「お前が涙目+上目遣いで許しを乞うても無駄だ、誰得だよ。
      やはり大天使を安易に人間と接触させてはならんな……。
      一方通行達にも厳しく言っておかなければ………」
476 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:34:16.29 ID:WjlXMN99o

ガブリエル「―――――、」ガブッ!

フィアンマ「ぐああぁ!!? くっ、噛み付くなこのクズ天使が!!
      いい加減にしろ、お前のせいで人間が一人死ぬ所だったんだぞ!!」

ガブリエル「!」パッ

フィアンマ「ちぃ……歯も無いのに何で鋭い痛みが……」ズキズキ

ガブリエル「xsff謝罪uiaep」

フィアンマ「御坂美琴にか? ……いや、もうあの女とは。 というか、
      あの女とその取り巻きとは二度と関わらん方が懸命だな。
      打ち止めと番外個体とは後々連絡するとして、ひとまずここから――――」




美琴「ちょろっと〜、何だかシリアスな雰囲気の所悪いんだけどさ」



477 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:35:39.05 ID:WjlXMN99o

フィアンマ「」

ガブリエル「qpty御免tuxnr」ペコッ

美琴「このままアンタらを帰すわけにはいか……、って何で頭下げてんのよアンタ」

白井「お姉様、やはり一度病院に行って精密検査を受けた方がよろしいのでは?
   あんな戦闘をしたら『自分だけの現実』にも何らかの影響が……あら?」

初春「あー、いたいた! 火野さん、何で先に行っちゃうんですか〜」

佐天「いや〜それにしても本当に大盛況だったよねー。 御坂さん、かっこ良すぎました!」

美琴「え、う、うん……ありがと。 でもねえ……」

フィアンマ(……今すぐ『右腕』を行使してここからミーシャごと転移してもいいんだが、
      先のパフォーマンスで俺様も割と目立ってしまっているからな……)ウーン
478 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:37:08.19 ID:WjlXMN99o

ガブリエル「………………」ペコペコ

美琴「いや、ていうか何でアンタはさっきから私に頭下げてんのって。
   もしかして……謝ってたり、する?」

ガブリエル「―――――、」コクコク

白井「意外と律儀な方なんですのね」

フィアンマ(律儀というか、まずこいつの存在自体をもっと疑えよ。
      翼とか輪とか……あれも演出だと思っているんだろうか)

美琴「いや、いいわよそんな謝らなくても……むしろ謝りたいのはこっちだし」

ガブリエル「?」チラッ

美琴「とりあえず、ごめんなさい。 そしてありがとうございました」ペコッ
479 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:37:46.85 ID:WjlXMN99o

ガブリエル「???」ハテ?

フィアンマ「何のつもりだ?」

美琴「アンタらのおかげで、今回の能力実演は成功したと言っていいわ。
   私のミスを有耶無耶にしてくれたのもアンタらだし」

初春「さっき白井さんから聞いて驚きましたよ! 火野さんが
   御坂さんを助けてくれたんですよね?」

フィアンマ「…………」

佐天「でもどうやって? あんな高い場所から一瞬で客席に御坂さんを引き寄せるなんて……」

白井「……あまり口にはしたくのない能力ですが、『座標移動(ムーブポイント)』の要領ですわね?」

フィアンマ(ムーブポイント……?)
480 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:38:44.19 ID:WjlXMN99o

美琴「アンタ、黒子と同じ『空間移動系能力者』でしょ? それもかなり高レベルな」

フィアンマ(またそれか、よく間違われるな)

美琴「あの時、アンタは空中にいる私の座標を計算してアポートしてくれた、そうでしょ?」

フィアンマ(座標……。 なるほど、『座標移動(ムーブポイント)』か)

美琴「だからアンタにも礼を言っておくわ。 ありがと、本当に助かった」

フィアンマ「気にするな。 では、俺様達はここで――――」

美琴「で、話 は 変 わ る ん だ け ど」ガッシィ

フィアンマ「く……」

美琴「アンタらには聞きたい事が山ほどあるのよ。 ちょろっとお時間よろしいかしら?」

フィアンマ「よろしくない、と言ったら?」
481 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:40:13.90 ID:WjlXMN99o




打ち止め「あ、こんな所にいたのねってミサカはミサカはミーシャ達まで
     あの人みたいに迷子になったのかと内心呆れながら走ってみたり」トテテテ

番外個体「あれれー? もしかしてフィア……火野(笑)クン、修羅場ってたりしてますぅ?」ニヤニヤ




美琴「………………"あの二人についても"、ね?」ニッコリ

フィアンマ「(エイワス! 応答しろ、聞こえてるのか! エイワース!)」ブツブツ

ガブリエル「skitu談笑outw開始yrzm」

フィアンマ「談笑で済むかバカ野郎……」

美琴「テレポートして逃げたら許さないから」

フィアンマ「…………わかった」ハァ
482 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:46:43.69 ID:WjlXMN99o
今回はここまでです。

決着についてですが、これ以上やりあってても拉致があきませんし、
互いが本気を出して戦ったら街が……という事でフィアンマに終わらせました。
つかフィアンマが同じ事二回言ってるシーンありますね、申し訳ありません。

次回は垣根帝督パートと、フィアンマパートをちょこっと。
フィアンマパートは面倒な話になりそうですが、よろしくお願いします。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
483 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/12(土) 00:47:12.05 ID:WjlXMN99o



                          【次回予告】



「言い方が悪くなるマスが、あなたの生き方はとても強欲だと私は思うデスマス。
 能力と魔術、このどちらかの領域に立って人は生きていくものデスしょ。
 どちらにも立たない人間の方が多いマスしょうが、才ある人間ならどちらか一方デス」
イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師――――――テオドシア=エレクトラ




「俺なりのケジメなんだよ。 魔術も能力も手にしてえって願望はな。
 それが強欲だってのも自覚してる。 それでも俺は止まれねえんだ」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・学園都市第二位の超能力者(レベル5)『未元物質(ダークマター)』――――――垣根帝督



484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県) [sage]:2011/11/12(土) 00:48:54.25 ID:1rC1puYho
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 00:50:14.57 ID:ULC9oXOso
もうこのフィアンマ可愛すぎる
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/12(土) 00:51:14.98 ID:u1eZEFjh0
>>1乙!!
ルチアあたりにミーシャの涙目+上目遣いやったら
泣いて喜びそうだなww
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方) [sage]:2011/11/12(土) 00:51:46.91 ID:jnpyiEJ/0
乙!
フィアンマが面白すぎるww
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/12(土) 00:51:51.55 ID:u1eZEFjh0
>>1乙!!
ルチアあたりにミーシャの涙目+上目遣いやったら
泣いて喜びそうだなww
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/12(土) 00:54:15.05 ID:Gc7qRMsAO
乙!
10%でも神戮食らったら死ぬぜ……
当てなくても周りの被害は甚大だろうし

ミーシャたんまじドジっ娘
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/12(土) 00:55:27.72 ID:NdMIYi0AO


神戮は10%でもいかんでしょww
禁書SSでテオドシアって初めて見た気がする
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/12(土) 01:08:09.43 ID:3XZgr2Pp0
>誰得だよ
俺得です
そしてミーシャが可愛すぎてつらいww
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/12(土) 01:42:19.56 ID:oC8tzH/s0
ミーシャさんいくらなんでも神戮はやりすぎじゃないですかねぇ・・・。
というかこの天使のかみつき攻撃ってなんか可愛く感じる。やられりゃ痛いに決まってるけど。
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/11/12(土) 02:54:46.10 ID:lJKcrRcE0
×拉致があかない
○埒があかない

…まあ、これから怖いお嬢さんたちに拉致られるんだからいっかww
494 : ◆3dKAx7itpI [sage]:2011/11/12(土) 03:17:23.42 ID:WjlXMN99o
>>493
これは申し訳ない、ご指摘感謝します
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 06:24:19.95 ID:bdiC3srDO
あんもう
毎日楽しいにゃこんにゃろうww

もう、ガブはマジ天使やし、火野(笑)はなんか追い詰められてるし、ていとくんはシリアスやし…
もうめっさ楽しい!


しかも、更新も早いし

ぜひ、少しでも長く続けてしっかり簡潔してくれ
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 06:29:44.30 ID:wHKV45+W0
インデックスポジを獲得しつつあるな
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/12(土) 07:15:21.98 ID:L2FUZT9Oo
>>1おつ

それにしても御坂の遺伝子はめんどくさい性格のやつばっかりだなwwwwww
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/12(土) 09:44:34.16 ID:0Hj1RvvY0
>ガブリエル「―――――、」ガブッ!

で笑ってしまった俺の沸点は低すぎだな…
火野(笑)クンあとは頑張って下さいwwwwww
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東) [sage]:2011/11/12(土) 12:05:41.93 ID:RxJLC4RAO
垣根が能力を取り戻すより先にフィアンマさんが常識人ポジを取り戻したぞ
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [saga sage]:2011/11/12(土) 20:28:02.06 ID:A9d71Jch0
>フィアンマ「(エイワス! 応答しろ、聞こえてるのか! エイワース!)」ブツブツ
ワロタwww
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/11/12(土) 21:43:55.44 ID:aUESTYJB0
フィアンマさんがいいキャラしてやがるww
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山形県) [sage]:2011/11/13(日) 00:04:57.67 ID:QSEZ4wmjo
敵になると厄介だが
味方だと肝心な時に役に立たないエイワスさん
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/13(日) 01:12:00.82 ID:jFazXY9ro
シャアみたいだな
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/13(日) 18:13:45.87 ID:rX8uQ8980
更新乙!美琴がすげーいい感じにちゃんと強くて可愛いキャラで俺得!
次回は白井さんが壊れるのかなww何にしても楽しみだww
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/13(日) 21:20:51.08 ID:G0rp9R8q0
>>1乙 だめだ フィアンマはだめだ 腹痛い
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/13(日) 23:52:11.55 ID:vnWQdDMV0
感動したぜ これが腹筋崩壊しかおこらない世界かwwww
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/14(月) 05:28:07.38 ID:0sDTvNHAO
遂に追いついた…
なんだか感慨深いものがある。
支援
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 15:28:11.75 ID:MxXvpp8DO
確かにだいぶ長いよなこの連載
人間サイズミーシャと神裂から続く魔術サイドの各面々との初対面イベントの度にニヤニヤしてたのがだいぶ懐かしい…
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/14(月) 17:30:24.43 ID:E8WcsLcf0
聖母マルタに笑ったのもずいぶんと昔の話か……

何か読み返したくなったからまとめサイト見てこよう
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/14(月) 17:58:21.09 ID:wMZs18+AO
禅寺
511 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:35:16.09 ID:07UqiOaio
こんばんわ、更新を開始します。

以前に風邪には気をつけてと言いましたが、その私が風邪を引いてしまいました。
哀れというか滑稽というか……明らかに他人から感染されたのですが。
皆様も本当に気をつけてください。


今回は垣根帝督パートと、最後にフィアンマパートを少し。
とりあえず考えをまとめた垣根帝督が行動に出ます。


それでは、よろしくお願いします!
512 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:35:50.34 ID:07UqiOaio


――――――――――――――――――――――


うおおおおおガリガリに痩せこけた老婆が箒を片手に追いかけてくるううううう!!!、
なんて奇妙な叫び声を上げながら飛び跳ねるように起床した垣根帝督は朝から気分最悪だった。


「やっぱあのクソ変態女とは一度ケリつけなきゃならねえよな……」


ロシアの朝は日本のそれと比べて格別に冷える。
垣根は目を覚ましたものの、まだ包まった布団の中から脱することが出来なかった。
朝の八時を回ったところだった。

垣根は布団を纏ったまま芋虫のように床を這うと、片腕を伸ばして
部屋の隅に置いてあったファンヒーターを起動させる。
しばし間を置き、ファンヒーターが静かに恵みの暖を垣根に捧げてきた。

513 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:37:01.63 ID:07UqiOaio


「よーし来た来た来た……………」


結局彼はエリザリーナ独立国同盟の居住区の空き部屋で一夜を過ごしていた。
昨夜の話し合いで『当面の目標は「未元物質」を取り戻すこと』という結論が下され、
垣根は夜遅くまで能力の演算を行っていたのだが、


「首尾は上々ってとこだな」


ロシアに来て最初の演算。思った以上に上手くいった。
『未元物質(ダークマター)』特有の白い無機質な翼が背中から現出する事こそ無かったものの、
大能力者(レベル4)程度の相手なら蹴散らせるくらいの能力は使用可能になっていた。
514 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:37:37.43 ID:07UqiOaio

そもそも『未元物質』の演算自体は学園都市に居た頃から魔力の精製を比べて
滞ることなく順調に行えていたのだ。その点を考慮すると今回ここで能力を
引き出せるようになった事は何ら珍しくないのかもしれない。


しかし垣根帝督が安堵することはない。

ある程度『未元物質』は使えるようになってきたが、それによって魔力が精製出来る
という事はなかったからだ。
『「未元物質」と魔力の精製の因果関係』について考え、能力が戻れば魔力も戻ってくるのでは
と期待もそこそこに物は試しで魔術を使ってみようと実践してみたが、結果は変わらなかった。


「……」


昨夜、ドレスの少女に言われた言葉が垣根帝督の心に重くのしかかる。
515 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:38:19.85 ID:07UqiOaio




『…………単純に垣根帝督が「能力者だから」、じゃないの? やっぱり』




学園都市で能力開発を受けた能力者は、魔術を使う事が出来ない。
厳密には、魔術を使おうとすれば魔術師と能力者のフォーマットの齟齬により
血管や神経に莫大な負荷がかかる。

既に能力者という『異能のセッティング』を施されている垣根帝督は
その上から新たに魔術という異能を組み込む事は出来ないのだ。


「……、」

516 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:39:11.97 ID:07UqiOaio

それがどうした、と垣根は思う。

そんなルールなど、そんな常識など知った事ではないと、彼はファンヒーターに灯る
炎を見つめながら言い聞かせるように心の中でそう呟いた。

垣根帝督はその、『能力者は魔術を使えない』という常識以前の概念を
真正面から蹴り破った男だ。
彼は魔術を使ってた。疑いようもなく、彼は魔術を行使していたのだ。

本格的に使用し始めたのはここ、エリザリーナ独立国同盟でワシリーサと特訓を行った時。
そしてその特訓で培ってきた経験を『第一九学区事件』で余す事無く発揮した。
その際に抱えた負荷はいっそ殺してほしいと思える程苦しいものだったが、
それに見合った価値はあったと垣根は思う。

科学と魔術の力を有する存在として君臨出来るという事実に、垣根は何物にも変えられない価値を見出していた。
517 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:40:08.32 ID:07UqiOaio


(だからこそ、もう一度取り戻さねえとな)


何事も手順を踏んでいく堅実さが大事だ。
とりあえずは目先の『「未元物質」を取り戻す』という目標から回収する。

今一度己の目標を確認した垣根は、そこで自分の腹が警報を発している事に気付いた。


「腹減ったな」


昨夜は急な来訪だったので独立国側が食事を用意できず(用意をしようとしてくれた事に驚いた)、
その辺の商店で購入したパンとスープで済ませていたのを思い出す。
どうやら垣根の腹はそれだけでは満足してくれなかったらしい。
518 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:40:45.68 ID:07UqiOaio

垣根は億劫そうに立ち上がると、台所の冷蔵庫の中身を漁り始めた。
そこへ、




「グッモーニン"かっきー"!! 四男八女を相手に死闘を繰り広げながら
 積んできた経験値を活かして作った特製モーニング定食(ロシアエディション)は
 いかがデスマスかー!!」

「………子持ちのババアは朝からうるせえな」




金と銀が混じり合った髪を振り乱しながらノックもせずにハイテンションで
扉を開けたテオドシア=エレクトラは、垣根のナチュラルすぎるババア発言を受けて
とりあえずナイフとフォークを投擲しておいた。
519 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:42:13.43 ID:07UqiOaio


「で、テメェは何でまだここにいるんだよ?」

「その言い様はないマスしょ。 私を呼んだのはあなたじゃんスか♪」

「呼んでねえ上に俺はテメェなんざ知らねえ。 俺が呼んだのはステイルだけだ、
 お前も『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師らしいが、どこの所属だとかは
 俺にとっちゃ重要じゃねえんだよ」

「私が作った朝ごはん、美味しい?」

「大変美味しゅうございます」


部屋を出てロシアの極寒を全身で浴びる事にまだ億劫さを感じていた垣根帝督にとって、
テオドシアからデリバリーで送られた朝食は非常にありがたかった。
520 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:43:36.70 ID:07UqiOaio

しかもこれが大変美味で、わざわざ日本人である垣根に合わせてくれたのか、
ツヤツヤ炊きたて白米に鯖の塩焼き、絶妙な焼き加減の玉子焼きに色とりどりのサラダ、
豆腐入りの味噌汁に、どこから調達してきたのか納豆まで取り揃えているというまさにザ・朝食。

四男八女の人妻の実力は伊達ではないようだ。


「んな大量のガキを放置してママは魔女っ子やってますってか」

「ノンノン、女は一生家事やってろなんて時代はとっくに終わってマスぜボーイ?
 愛する子供を養うためなら語尾に星つけて媚びまくる構えデスマス☆」


あっそ、と素っ気ない返事をしながら垣根はこれまた程良い味の濃さに調整された
味噌汁を啜る。
テオドシアはというと、垣根が持ってきたバッグを勝手に漁って彼自作のルーンの札を
見てはふむふむと博識っぽく頷いていた。実際、彼女は博識なのだが。
521 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:44:36.68 ID:07UqiOaio

『必要悪の教会』所属のエキスパート、テオドシアは垣根が作ったルーンを見て、


「これステイルが作ったルーンのパクりデスしょ」

「うるせえ! パクリじゃねえよ参考にしたんだよだから似通ってんですぅ。
 俺は魔術を使ってたが、魔術に関する知識はほとんどねえからな。
 ま、一時期は『禁書目録』の知識を頭にぶち込むなんて無茶もやらかしたが」

「うへえ、そんな事したらイギリス清教が黙っちゃいないと
 思うマスけど……。 ふーん………」


テオドシアはルーンの束をトントンと机の上で整えて、
垣根のバッグに戻しながらこう尋ねた。
522 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:45:35.97 ID:07UqiOaio


「どうして垣根は魔術にそこまでこだわるマスか?」

「あん?」


納豆から引く糸と戦いながら垣根はテオドシアの方に首を向ける。


「あなたは学園都市の能力者デスよね? 私も以前仕事で学園都市に
 行った事があるマスけど……。 能力者が魔術にこだわるなんて
 話、聞いた事がないデスよ」

「だろうな。 能力者が魔術を使うと下手すりゃ死ぬ、それを分かってる
 能力者がいたら尚更使いたくねえと思うだろうよ。 例え能力よりも
 利便性の高い法則だと分かってても、付きまとうリスクが高すぎる」

「ハイリスクローリターンな人生がお好みとか?」

523 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:46:46.06 ID:07UqiOaio


「まさか。 俺はこう見えても堅実な人生を歩みたいと思ってんだぞ?
 つか魔術が使える時点でハイリターンじゃね? ……そんなヤツが
 何で暗部なんてクソッたれな『闇』に浸ってたんだって話だけどな」


そう言って垣根は自嘲気味に笑うが、テオドシアは茶化したりはしなかった。


「言い方が悪くなるマスが、あなたの生き方はとても強欲だと私は思うデスマス。
 能力と魔術、このどちらかの領域に立って人は生きていくものデスしょ。
 どちらにも立たない人間の方が多いマスしょうが、才ある人間ならどちらか一方デス」

「……、」

「どちらでもない、曖昧な立ち位置を維持する事は非常に大変デス。
 自分が立っている足元が見えなくなると、その人間はすぐに
 堕落してしまう。 光でもない闇でもない『虚無』へと、ね」

524 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:47:28.01 ID:07UqiOaio


「脅しか?」

「忠告マス。 そういう人間を私は沢山見てきましたデスよ。
 私が見たケースは大体『日常か魔術か』の天秤に踊らされてマスしたが」


己の立場の確立。
これは蔑ろにされがちだが、非常に重要な事だ。立場の認識は即ち自己の認識。
自分が一体何者なのか、自分とは何なのか、その点を自分自身が理解していなければ
人は大した時間もかけず壊れてしまう。

日常に生きる人間はほとんどがこれを無意識に実行出来ている。
それは日常で暮らす人間が優れているのではなく、自己を確立させるという事が
"当たり前"だからだ。

しかし、魔術ないしは科学の領域に触れ、関わり、得た人間は違う。
途端に日常という枠組みから切り離され場合によってはそれだけで自身を見失ってしまう。
明確な非日常。今まで普通にやってきた事が出来なくなる。普通じゃ出来ないような事が
呼吸をするように容易に行えてしまう。
それでも己の立場をきちんと理解出来る者が現在も能力者や魔術師として生きているのだが、
525 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:48:06.07 ID:07UqiOaio


「あなたは、どちらの領域にも立つつもりマスか?」

「そうだよ」


垣根の返答には一切の迷いがなかった。


「自慢じゃねえが、俺は学園都市第二位の超能力者だ。 あのクソ野郎
 程じゃねえにしろ、学園都市の中でも最強クラスの能力者なんだよ」

「……、」

「そんな俺がある日、魔術という領域に足を踏み入れた。 第二位の俺がだぞ?
 まぁここまでは第一位のあの野郎も実行している事だがな。 しかし俺は更に、
 魔術の知識の宝庫でもある『禁書目録』にまで手を出しちまった。 
 ほんの少しの間とはいえ、俺はあの時ほぼ全ての魔術を把握しちまったんだ」

526 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:48:57.28 ID:07UqiOaio

学園都市第二位という科学サイドとして大きなステータスを誇っている垣根帝督が、
『禁書目録』という魔術サイドにおける禁断の知識を手に入れた。


「俺なりのケジメなんだよ。 魔術も能力も手にしてえって願望はな。
 それが強欲だってのも自覚してる。 それでも俺は止まれねえんだ」

「という事はあなたはまた『禁書目録』を得ようとしている、と?」

「あの知識が戻ってくるんならベストだが、さすがにそこまで高望みはしちゃいねえ。
 あのクソシスター共もうるせえしな。 通常の魔力が戻るってとこで妥協しといてやる」

「にゃるほど。 あなたはなかなか面白い人デスマスねえ」


クスクスと笑うテオドシアを横目に、垣根は彼女お手製の朝食を食べ終えた。
その後、適当に洗顔や着替えをし終えると、
527 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:49:42.45 ID:07UqiOaio


「つー訳だ。 お前も魔術師なんだろ? ちょっと俺の『未元物質』を
 完璧に取り戻す作業に貢献しやがれ。 俺と勝負しようぜ」

「そんな街中で『決闘(デュエル)しようぜ!』みたいなノリで
 言われても……。 …………こう見えても私、結構強いマスよ?」


突然の垣根のバトル宣言に、しかしテオドシアは動じるどころか
結構ノリノリで賛同してきた。


「と言ってもワシリーサほどじゃねえだろ? テメェなんざ生身で充分そうだ」

「はい、あからさまな死亡フラグありがとうございマース」

528 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:51:01.70 ID:07UqiOaio


――――――――――――――――――――――


――学園都市・第七学区 常盤台中学 食堂


打ち止め「何にしよっかなー、ってミサカはミサカは豊富過ぎる
     メニューを前にクラクラしながらお昼ご飯を選んでみたり♪」ピョコピョコ

白井「あーもうマジでカワユスなぁ。 動くたびに揺れるアホ毛がヤバい」ジュルリ

初春「アホ毛ちゃんの可愛さに悶えるのは結構ですが、
   せめて自分のキャラくらいは維持してくださいよ」

佐天「いやそれにしても常盤台中学の食堂メニューはハンパじゃないね。
   ウチとは格が違うよホント。 まず食券制じゃない時点で差が出てる」

529 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:52:09.24 ID:07UqiOaio

美琴「とりあえず今日は私の奢りだから、みんなじゃんじゃん頼んじゃって」

佐天「マジっすかみこっちゃん!?」

美琴「誰がみこっちゃんよ」

初春「さすが御坂さん! 太っ腹です!」

美琴「最近気にしてるから腹に関するキーワードは避けて……」

白井「さすがはお姉様、その懐の広さにわたくしは改めてお姉様に―――」

美琴「あ、黒子は奢らないわよ。 アンタはここの生徒だし」

白井「――――そんなお姉様も素敵ですわ……」シュン

打ち止め「じゃ、じゃあお姉様のお言葉に甘えてミサカはミサカは
     この食堂で一番高い料理を注文してみる!!」
530 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:53:03.71 ID:07UqiOaio

番外個体「そういう一番高い料理って案外大したもんじゃなかったりするんだけどね。
     じゃ、ミサカは無難にハンバーグ定食にするね、"お姉様"。 けけけ」

美琴「…………………」

ガブリエル「umry要求etycx」ビッ

フィアンマ「…………オムライス定食とステーキ定食(×5)、ビーフカレーに
      常盤台特製親子丼、一端覧祭限定『フルコンボだ丼』、」

美琴「ちょっと! 食べ過ぎなんじゃないのいくら何でも!?」

フィアンマ「俺様は紅茶だけでいい。 このアホがそれだけ食いたいそうだ」

ガブリエル「………」ジー

美琴「わ、わかったわよ」タジッ
531 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:55:09.92 ID:07UqiOaio

白井「にしても、今日は一日楽出来て気分が良いですの」

佐天「白井さんと初春は今日は非番なんだよね?」

白井「明日も非番ですの。 まぁ、第一七七支部に風紀委員の
   体験講習に来る方とかが居なければの話ですけど………」

初春「そうですよー、この常盤台の能力実演をこの目で見るためなら
   例え強盗事件が発生したって休みをいただきます」

初春「あ、そういえば御坂さ―――」

番外個体「お姉様はあの人達とちょっと折り入った話があるみたいだから
     放っておいてあげた方がいいんじゃないかなぁ? ひひっ」

美琴「……」ギロッ
532 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:56:36.08 ID:07UqiOaio

番外個体「おっと、怖い怖い」

打ち止め「意地悪な事言わないのってミサカはミサカは注意してみる!」プンスカ

白井(本当に仲悪いんですのねこの姉妹達は……)

佐天(お姉さんがお姉様って呼んでるのがどうしても気になるなぁ……)



美琴「……………それで、」

フィアンマ「……」

美琴「聞きたい事が山ほどあるんだけど」

フィアンマ「何だろうな、心当たりはないんだが」
533 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:57:11.86 ID:07UqiOaio

美琴「そうね。 まずはあの二人の事について」

フィアンマ「知らんよ」

美琴「アンタねえ……」

フィアンマ「いや悪いが、俺様は本当に何も知らん。 あの二人が
      お前のクローンだという事以外はな」

美琴「………! やっぱり……、」

フィアンマ「どういう経緯で製造され、どういう目的で世に放り出されたのか、
      俺様は何も知らんし興味もない」

美琴「あの二人、私は見た事ないんだけど」
534 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:58:01.18 ID:07UqiOaio

フィアンマ「そうか」

美琴「どう考えても普通の『妹達』とは違うわよね。 個体差もあるし」

フィアンマ「『妹達』? お前のクローン体はそういう総称なのか」

美琴「……」ギロッ

フィアンマ「だから本当に何も知らんと言っているだろうが」

美琴「だったら何でアンタはあの二人と一緒にいるのよ」

フィアンマ「成り行きだよ。 詳しい事情は長ったらしいので割愛させてもらう」

美琴「私はその割愛された部分について聞きたいのよ!」
535 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 22:58:50.18 ID:07UqiOaio

フィアンマ「本人達に聞いたらどうなんだ? あの二人が
      話せば俺様も補足していってやってもいい」

美琴「………」チラッ



打ち止め「ごっはんーごっはんー、まっだかな〜♪」

ガブリエル「tusur同意vxot」

番外個体「ここにいる生徒見てると、何だか無性にそいつらを"汚したくなる"衝動に駆られない?」

佐天「駆られない」

白井「よ、汚すとはどういう意味で……?」ゴクリ

初春「食いつかないでくださいよ……」
536 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 23:05:32.76 ID:07UqiOaio
今回はここまでです。

垣根帝督がえらいわかりやすくフラグを立てている頃、
常盤台中学では何だか暗い展開が……。

まぁせっかくクローンの二人と対面出来たのでこういう話してみようかなと
考えました。本筋には関係ないのですぐ終わります、ご安心を。

次回はフィアンマパート……ていうかもう御坂パートと言った方が正しいかもしれませんね。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
537 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/14(月) 23:05:58.75 ID:07UqiOaio



                          【次回予告】



「『第三次製造計画』……? 司令塔……?」
学園都市・常盤台中学の超能力者(レベル5)――――――御坂美琴




「さーて、これどこまで話してもいいもんなのかね」
『妹達(シスターズ)』第三次製造計画(サードシーズン)で作られた御坂美琴のクローン――――――番外個体(ミサカワースト)




「dtiuo美味fydte」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・水を司る大天使『神の力(ガブリエル)』――――――ミーシャ=クロイツェフ




「ぎゃあああああああ!!!? み、ミーシャさん!!! 私の花は食べ物じゃないですよー!!!」
第一七七支部所属の風紀委員(ジャッジメント)――――――初春飾利



538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) :2011/11/14(月) 23:08:20.98 ID:dDtxrakh0
乙! 次が楽しみ!
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/14(月) 23:11:02.48 ID:p6hN4EN3o
乙、毎度楽しみにさせてもらってるぜ!
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/14(月) 23:11:35.50 ID:KX1oNdOs0
乙!
死亡フラグからの吊り橋効果で恋愛フラグを建てるんですね?
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 23:16:34.12 ID:6UNFayHko
乙ー
初春さんの本体が食べられてしまう…!!
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/14(月) 23:21:03.53 ID:2oqhkj1p0
よせミーシャ死ぬぞ!!!
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 23:47:25.39 ID:nDy8YEMDO
ガブリエルwwwwwwwwwwwwwwwwww


そして、ていとくんにまたも死亡フラグが…
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 23:56:31.16 ID:2Z+P1Whgo
もう中流家庭が家族で焼き肉屋行くくらいの頻度で死亡フラグ立ててるんじゃないかていとくん
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮崎県) [sage]:2011/11/14(月) 23:57:17.49 ID:FaWMVlmR0
ていとくん学習しねえなぁ……
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/14(月) 23:58:14.25 ID:AeDCogNN0
よーしていとくフラグ建てちゃうぞー
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/15(火) 00:11:15.53 ID:WUQ60Cwi0
フルコンボだ丼てなんぞwwwwww
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/15(火) 00:24:51.88 ID:BRf2ZrPq0
フルコンボだ丼wwwww不意うちすぎんだろ・・・。
そしてミーシャさんそれ食べちゃらめぇ
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/15(火) 00:26:33.97 ID:tSG1wciAO
『フルコンボだ丼』
クソワロタwww

サードシーズン知ったみこっちゃんがどう動くか楽しみで仕方ない
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 00:43:34.92 ID:VjGGPt+mo
もう1杯食べれる丼!
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(熊本県) [sage]:2011/11/15(火) 01:48:21.26 ID:J8rh2ut80
やっと追いついたでぇ
まさか見なくなって5つも伸びてまだ続いてるとは思わなかったわww
乙乙!
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/11/15(火) 03:52:13.79 ID:Rw/cqvjC0
>>1が765の回し者だった…別れたい…
まあそれはともかく垣根の立てるフラグは通常のものと死亡フラグが融合しちまっててどうにもならんなww
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/11/15(火) 04:01:35.67 ID:hJ8gGdwR0
てs
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 07:29:55.84 ID:V8iqVQf+0
ていとくん何回犠牲になれば気が済むんだヨ
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 08:42:16.02 ID:4ofUaiA7o
フルコンボだ丼を食べるともういっぱい食べれる丼

556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東) [sage]:2011/11/15(火) 09:39:08.06 ID:lsyCf5fAO
知らないやつはみんな敵みたいな御坂の態度めんどくせえwwww
まぁ中二なんてこんなもんか
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/15(火) 11:18:44.97 ID:TYq+2YxR0
番外個体は美琴が嫌いなのか、それとも単に性格なのかどっちなんだろ…?
メンタル弱い美琴が「アナタのせいだ」とか言われたら立ち直れないぞきっと…。
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 12:47:18.73 ID:VjGGPt+mo
>>556
暗部に軽く触れた第三位の所に
レールガン素手で受ける化物となんでもありな外人と
謎の自分のクローン2人が同時に出てくればそりゃ身構えるだろwwwwww
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/15(火) 15:45:48.67 ID:G0gXrzH50
初春の本体が・・・・
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) :2011/11/15(火) 16:45:13.62 ID:xA+LMr3v0
レッサーはいつ出てくるかな?
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 18:08:42.28 ID:0rKW5eADO
忘れた頃に
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 19:26:29.87 ID:JgTur8ZNo
なく頃に
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/15(火) 20:55:26.76 ID:LEBYpJM4o
>>556
初見であんな人外どもに友好的に話せる奴ぁいねーよ
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/15(火) 21:29:45.23 ID:zKOVoeRH0
>>1乙 フwwルwwコwンwwwボwwだww丼ww
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/15(火) 22:16:06.65 ID:mKrrKuufo
>>557
個人的にはどっちもなんだろうなと思う
美琴は妹達のことをほとんど知らずに一方さんを憎むだけの簡単なお仕事しかしてない
印象なんだよね

打ち止めやミサワに限らず妹達と一方通行ってなんだかんだお互いを理解しあってると思うし
今更オリジナルに出てこられてもねえ……って感じなんじゃないかな
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/15(火) 22:57:05.53 ID:yHUUQu/j0
>>1乙です、続きが楽しみ

>>565
原作や超電磁砲でも一方通行を憎むというより自分のせいで〜ってのが大きいように思えたけど
それにここの美琴の反応は正しいと思うぞ?
あんなバケモノみたいなヤツらが妹達連れてたら警戒するだろ普通www
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/15(火) 23:16:43.00 ID:WaX1KWPl0
ここまでていとくんが活躍してるSSは初めてだww
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/15(火) 23:22:25.12 ID:boSnoQZ+0
>>567 お前って奴は……
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/15(火) 23:35:04.55 ID:QCO78sZr0
落ち着くんだ>>568
明日にはたぶん更新があるから、な?
570 :20001 [sage]:2011/11/16(水) 01:46:46.58 ID:JIna3nqDO
そんなことより打ち止めの話しようよ!って、ミサカはミサカはこっそり自分を支援してみる
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/16(水) 02:16:55.89 ID:LG/I7zRS0
>>570
一方通行主役のSSでここまで上位個体の影が薄いのも珍し…くもないか、原作でもそんな感じだし
とミサカは上位個体へ反旗を翻します

他の妹達も出ないかなー
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中国地方) [sage]:2011/11/16(水) 18:59:40.29 ID:muJfOhlko
そういや槍投げた時に妹達とお話しする約束してたしな
573 :20000 [sage]:2011/11/16(水) 20:58:47.48 ID:ybtg5Iuq0
>>571
呼んだ?
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/16(水) 21:58:01.75 ID:rIgoSQ2N0
>>573
変態は帰れ
575 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:26:19.96 ID:3XBahJAeo
>>571-572
他の妹達の件も忘れてはいませんぜ。

という訳でこんばんわ。更新を開始します。
今年も残りわずかとなってきました。このSSが今年中に終わるかと問われれば……、…………。

さて、今回は常盤台中学で美琴と打ち止め、番外個体を中心とした
お話が展開されます。『天使同盟』どこいったって感じですが、このお話は
今回の投下で終わるのでご安心ください。


それでは、よろしくお願いします!

576 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:27:38.79 ID:3XBahJAeo

美琴「……またあの『実験』が始まったとでもいうの?」

フィアンマ「実験?」

美琴「私の……クローン体を量産するっていう」

フィアンマ「ほう。 いいのか、俺様の前で学園都市の『闇』に
      関わるような話をしても」

美琴「アンタだって知ってんでしょ? 諸々の事情は」

フィアンマ「さっきも言ったが、経緯と目的は知らん」

美琴「言わなきゃダメ?」

フィアンマ「これも先ほど言ったが、興味がない」
577 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:29:47.07 ID:3XBahJAeo

美琴「……アンタもある意味、どうかしてるわ」

フィアンマ「出会ったばかりの人間に対する発言とは思えんな」

美琴「…………ごめん」

フィアンマ「構わん。 事実、俺様はどうかしていたしな」

美琴「?」

フィアンマ「俺様とその実験に因果関係を持たせたいらしいな」

美琴「クローンの二人に加え、ガウンを着たあんな怪物まで
   引き連れてきたんでしょアンタ。 そりゃ疑うわよ」

フィアンマ「……そりゃもっともだ」

美琴「…………ねえ、ちょっと」
578 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:30:45.98 ID:3XBahJAeo

打ち止め「?」

番外個体「……。 なぁに、お姉様?」

美琴「……………」

美琴「"久々に会ったんだしさ"、ちょっと姉妹水入らず
   でお話しない? 積もる話も色々あるだろうし」

番外個体(おおっと、こいつは予想外。 まさかお姉様の方から接触を試みてくるとはね)

打ち止め「うん、良いよ! ってミサカはミサカはお姉様に抱きついてみる!」ギュッ

美琴「うわっ、と! ……まんま私の小さい頃の姿ね」

番外個体「お姉様がお呼びなんで、ちょっと外すけどいいかにゃん?」ガタッ
579 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:32:01.72 ID:3XBahJAeo

白井「………………ええ、ごゆっくりどうぞ」

初春「(……仲直り出来るといいですね)」ボソッ

佐天「(そうだねー)」ヒソヒソ

フィアンマ「なら俺様は帰らせ――――」

美琴「アンタはここにいなさい」ガシッ

フィアンマ「……………」

ガブリエル「dtiuo美味fydte」モシャモシャ

初春「ぎゃあああああああ!!!? み、ミーシャさん!!!
   私の花は食べ物じゃないですよー!!!」
580 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:33:00.96 ID:3XBahJAeo

佐天「た、大変! 初春が、初春の『核(コア)』がぁぁ!!」

白井「こ、コア……?」



美琴「アンタ達は何なの?」

打ち止め「ミサカは打ち止め(ラストオーダー)だよって
     ミサカはミサカは初めてまともに会えたお姉様に挨拶してみる!」ニコッ

番外個体「ミサカも一応お姉様のクローン体だけどさぁ、製造した実験は
     『量産型能力者計画』とはまた少し違うんだよね〜」

美琴「え……!? だって私のクローン体はあの実験でしか、」

番外個体「『第三次製造計画(サードシーズン)』の番外個体(ミサカワースト)。
     初めまして、よろしくねお姉様♪」ケケケ
581 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:34:21.22 ID:3XBahJAeo

打ち止め「ミサカは『妹達』の司令塔の役割を担っているの、って
     ミサカはミサカは簡単にミサカの事を説明してみたり」

美琴「『第三次製造計画』……? 司令塔……?」

番外個体「さーて、これどこまで話してもいいもんなのかね」

打ち止め「付け加えると、ミサカはミサカネットワークを管理している
     管理人みたいなものかなってミサカはミサカは補足してみたり」

美琴「じゃあアンタが製造番号二〇〇〇〇なの?」

打ち止め「ううん、ミサカは二〇〇〇一号だよってミサカはミサカは訂正してみる」

フィアンマ(二〇〇〇〇人以上も御坂美琴のクローンがいるのか……?
      想像しただけで身震いする現実だな……滑稽すぎて)

美琴「……アンタは?」

番外個体「このミサカにナンバリングは無い。 だから番外個体なんだけど、
     ちょっと考えたらすぐにわかるんじゃないのこの程度」

美琴「……アンタ、さっきから思ってたけど、ずいぶん私に対して突っかかってくるわよね」
582 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:36:46.99 ID:3XBahJAeo

番外個体「お姉様さえ居なきゃこのミサカが製造されてクローンとしての
     現実と対面するという苦しみを味わう事もなかった。 だから
     ミサカはお姉様を恨んでる……なんて言ったらどうする?」

美琴「!! ……ぅ……」

番外個体「けけけ、冗談冗談♪ 今更出てきたオリジナルに恨みも何もないよん」

打ち止め「……お姉様、大丈夫? ってミサカはミサカは
     お姉様の顔を見つめながら心配してみる」

美琴「……アンタみたいなちびっ子に心配されるほどヤワじゃないわ」

番外個体「他に聞きたい事ないの? 例えば―――」

美琴「?」



番外個体「第一位の一方通行の事、とかさ」



美琴「…………ッッ!!!」ギリッ

打ち止め「…………」

フィアンマ(マジで帰りたいんだが)
583 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:37:51.78 ID:3XBahJAeo

美琴「やっぱりその『第三次製造計画』とかいうのも
   一方通行が関わってるって事?」

番外個体「まあね。 でもその計画は事実上凍結状態になってるけど」

美琴「?」

番外個体「第一位が何のアクションも起こさないから」

美琴「どういう事……?」

打ち止め「もうあの人はミサカ達の実験に関与する事はないの、
     ってミサカはミサカは結論を述べてみる」

美琴「一方通行が実験を放棄してるって事?」

番外個体「『第三次製造計画』は少し趣向が違うんだよ」
584 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:39:05.51 ID:3XBahJAeo

美琴「?」

番外個体「言ってもいいけど、これ聞いたらお姉様、頭こんがらがっちゃうかもよ?」

美琴「………」

美琴「聞かせて」

番外個体「『第三次製造計画』は統括理事会の思惑から外れた一方通行と、
     そこにいる上位個体、最終信号への対策として立案した計画」

打ち止め「あの人はね、ミサカ達『妹達』を一生守っていくって誓いを
     心の中で立ててるのってミサカはミサカは説明してみる」

美琴「……、…………? ………は?」

番外個体「ほらね、もう訳わかんなくなってきてる」
585 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:40:08.13 ID:3XBahJAeo

美琴「あ、一方通行が……あのクローン体を守る?」

番外個体「第一位がそう決めた以上、あの人は何が何でもそれを貫き通す。
     でも統括理事会としてはその状況は面白くない」

美琴「ちょ、ちょっと待って………」

番外個体「そこで立案されたのが『第三次製造計画』。 現存している『妹達』を
     守ると決めた一方通行の心をへし折る、ただそれだけのために
     生み出された計画。 このミサカはその計画の始発点って事」

美琴「……………………」

打ち止め「でも『第三次製造計画』の真の目的に、既存の『妹達』を全て抹消して
     その計画で作り出した新たなクローン体でミサカネットワークを形成しようと
     いう企みがあったのってミサカはミサカはバックログを閲覧しながら説明してみたり」

美琴「何よ、それ……。 そんなの私、聞いてないわよ」
586 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:41:04.99 ID:3XBahJAeo

番外個体「そりゃそうでしょ。 『闇』に関わってないお姉様がこんな情報を
     得られる訳がない。 四六時中第一位の周囲の情報を洗ったりしてりゃ
     手に入れる事が出来るかもしれない情報だけどね」

美琴「でも……一方通行は、」

番外個体「真っ向から反発したよ。 自分を殺しにきたこのミサカをも
     助けたり、挙句の果てにはこのミサカに『五月計画』の要領で
     新たな演算パターンを取得させて計画そのものを台無しにしようと
     したりね。 けけっ、今思い出してもあの時の第一位の真顔は笑えるよ」ケタケタ

美琴「………統括理事会相手に真正面から反抗してるって事? 今の一方通行は」

打ち止め「あの人はミサカ達を守るためにボロボロになりながら頑張ってくれたの、
     ってミサカはミサカはあの人のいない所で感謝をしてみたり」
587 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:41:51.37 ID:3XBahJAeo

美琴「……感謝?」

打ち止め「お姉さ―――」

美琴「感謝って、何? あの化物に? アンタらクローンは感謝してるっていうの?」

番外個体「別にミサカは感謝なんてしてないけど」

美琴「この事、他の『妹達』は知ってるの?」

打ち止め「うん……、ってミサカはミサカは恐る恐る頷いてみる」

美琴「……あれだけ好き勝手に『妹達』を殺しておきながら、何のつもりか
   知らないけど残りの『妹達』を守るって決めて、その事にアンタは
   感謝してるって事?」

打ち止め「……」
588 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:44:13.53 ID:3XBahJAeo

美琴「冗談やめてよ……」

番外個体「まぁ、そうなるよねえ」

美琴「そんなの、勝手過ぎるでしょうが!! そんな事で今までやってきた
   事が帳消しになるとでも思ってんの!? そんな簡単な問題じゃない!!
   いきなり手の平返して『妹達』を守るなんて決めたからって、そんな……!!」

フィアンマ「……ちょっといいか?」

番外個体「ん?」

フィアンマ「一方通行が『妹達』を殺したというのは? それが『実験』なのか?」

番外個体「夏頃に行われたんだっけ。 二〇〇〇〇人の『妹達』をブチ殺して
     『絶対能力者(レベル6)』に昇格出来るかっていう愉快な実験だよ」
589 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:44:51.59 ID:3XBahJAeo

フィアンマ「なるほど。 つまり一方通行が殺したのは製造されたクローン体なのか」

美琴「クローンだから殺してもいいって言いたいの……!?」

フィアンマ「落ち着け。 そんな事は言っておらん」

美琴「……」

打ち止め「ミサカ達はあの人の事を許した訳じゃないよって
     ミサカはミサカは補足してみたり」

美琴「……?」

打ち止め「あの人がミサカ達にひどい事をしてきたのは揺るぎ無い事実。
     ミサカはミサカも含め、『妹達』全員がその事を許す事はない、
     ってミサカはミサカは真剣な面持ちで述べてみる」

美琴「だったら、」
590 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:45:22.31 ID:3XBahJAeo

打ち止め「でも、あの人がこの先ずっとミサカ達を守ると誓ったのも
     また揺るぎ無い事実。 ミサカ達はそんなあの人の気持ちを
     尊重する、あの人がミサカ達を守るというなら、死ぬまで
     その誓いを貫いてもらうってミサカはミサカは改めて決心してみる」

番外個体「おお怖っ。 くたばるまでお人形の世話しなきゃならないなんて、
     あの人も難儀なモンを抱えちゃってるよねえ、けけけ」

美琴「……人形だなんて言わないで……」

番外個体「……こりゃ失礼」



ガブリエル「glut腹lzpl痛aqpir」グギュリュリュリュルルル

初春「あはハは! この星でない物ヲ口にしたリスるから!
   言ってオキますけど、あなたもう生キテ帰れませんよ」カタカタカタカタ

佐天「やはりこうなったか……。 初春の花は対象を『中』から食い尽くす」

白井「……念のため確認しますけど、これコントですわよね?」
591 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:46:27.91 ID:3XBahJAeo

美琴「……………」

打ち止め「……お姉様、大丈夫? ってミサカはミサカは心配してみる」

美琴「……………」

美琴「クローンのアンタに心配されちゃ世話ないわね」

番外個体「どう? お姉様、現実ってモンの味は」

美琴「………胃もたれで吐きそうだわ」

番外個体「あひゃひゃひゃ、結構結構」

美琴「……アンタ達は、それでいいの?」

打ち止め「うん。 それがミサカ達の総意だからってミサカはミサカは頷いてみる」
592 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:48:02.25 ID:3XBahJAeo

美琴「…………悪いけど、」

フィアンマ「……」

美琴「それでも私があのクソ野郎を許す事は、永遠に無いわ。
   もちろんアイツの気持ちを汲むなんて事も、絶対にない」

番外個体「そうこなきゃ。 あっさりと和解しましたなんて都合のいい展開は
     ミサカ的にも面白く無いしね。 もっとドロドロしていこうよ」

打ち止め「……」

美琴「でも、」

打ち止め「?」
593 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:49:15.57 ID:3XBahJAeo

美琴「私がアンタを……、ええっと、打ち止めだっけ? 私がアンタ達を否定する事も、しないわ」

番外個体「それってこのミサカも含まれてる?」

美琴「……そりゃそうよ」

番外個体「あらら、案外甘ちゃんだねえお姉様(オリジナル)ってのも」

美琴「そう言いたきゃ言えばいいわ」

打ち止め「……ありがとうお姉様ってミサカはミサカは笑顔で感謝してみる!」ニコッ

美琴「………はぁ、何かもう一気に疲れが増したわ」ゲンナリ

フィアンマ(結局俺様までこの話を聞いた意味はなんだったのだろうか)

美琴「……そうだ、まだ一つ納得出来ない事があるんだけど」
594 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:50:56.05 ID:3XBahJAeo

番外個体「お? なになに、どす黒い展開ならミサカ好みなんだけど♪」

美琴「ど、……」

打ち止め「?」



美琴「ど、どうして私のクローン体のクセに、アンタそんなに胸がデカいのよ!?」



番外個体「……………、はあ?」キョトン

打ち止め「それには激しく同意してみるってミサカはミサカはけしからん
     胸を見せつけてくる妹に敵対心を向けてみたり!!」ガルルル
595 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:52:13.72 ID:3XBahJAeo

番外個体「そんなの、ミサカだって女の子だもん。 "女なら胸が出て当然なんじゃない?"」モニュモニュ

美琴「ていうかアンタの風貌が気に入らないのよ!! 全てにおいて私より大人っぽいっていうか……」

番外個体「どうせクローン作るならオリジナルが持つ要素をどれでもいいから越えてみたい、
     なんてクソどうでもいい願望が実現してんじゃないの? ミサカにはわかんにゃーい♪」

美琴「ぐぬぬ……、どうしてアンタそんなに性格悪いのよ……」

番外個体「黒い時のお姉様を参考に作られたからです」

美琴「さらっと嘘つくなー!!! 私は信じないわよそんなの!!」



白井「あ、あの……お姉様?」

美琴「はっ!?」
596 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:53:21.95 ID:3XBahJAeo

佐天「何だかずいぶん盛り上がってますねー」

番外個体「いやね、何かお姉様がミサカの胸に嫉妬―――」

美琴「しとらんわっ!!」

初春「まさか私のお花と『対話』する事で侵食を防ぐだなんて……」グスッ

ガブリエル「utxpo勝利qytdnf」ケプ

フィアンマ「……何をやってるんだお前らは……」

白井「お姉様、お話はもういいんですの?」

美琴「………うん」

佐天「御坂さん?」

美琴「ごめん。 もう大丈夫だから」ニコッ
597 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/16(水) 23:54:20.89 ID:3XBahJAeo

白井「そうですの? それならいいのですが……」

佐天「(何だか御坂さん、吹っ切れたって感じですね)」ヒソヒソ

白井「……、」

フィアンマ「じゃあ俺様だけでも先に帰っていいな?」

美琴「今度はアンタに話があるんじゃい」ガシッ

フィアンマ(ええい面倒な女だなこいつは……)

佐天「あ、ご飯来たみたいですよ! ほらほら、初春も元気出しなって!
   花なんてまた咲かせればいいじゃん、ね?」

初春「咲かせればって……」

打ち止め「ミサカはみんなで『いただきます』がしたい! って
     ミサカはミサカは挙手をして提案してみる!」
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/16(水) 23:59:36.70 ID:5FkR5fbw0
超乙ッス!
リアルタイム更新キターー!! 
599 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/17(木) 00:01:01.30 ID:UbDf0xWao
今回はここまでです。

御坂がフィアンマはその場に居させたのは一人で打ち止め達の話を聞く勇気がなかったからです。
あともう一つ、もちろんミーシャの正体を言及するためですが、それは次回で。

そして次回はさらに、ようやく主人公の一方通行が出てきます。
この人かなり出番無かったな……次はどの女の子と過ごすのでしょうか。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
600 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/17(木) 00:01:32.26 ID:UbDf0xWao



                          【次回予告】



「まァ、ンな事はどォでもイイ。 ……今日はどォすっかな」
『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・学園都市最強の超能力者(レベル5)――――――一方通行(アクセラレータ)




「………私達、初めましてでしたっけ?」
天草式十字凄教徒の少女――――――五和




「それ……私も今思いました。 どこかでお会いしたような………?」
『天使同盟』の構成員・AIM拡散力場の集合体――――――風斬氷華



601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/17(木) 00:01:38.86 ID:5a5Ko/9E0
>>1乙!!
初春がぶっ壊れとるwwwwwwww
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/17(木) 00:06:40.60 ID:Bdyz1hAy0
おつ
簡単に和解されると何か違和感ばりばりだからこの展開でよかった。
そして初春はなんかもうだめだwwwww
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/17(木) 00:07:22.55 ID:9TgZY9Zl0
>>1
ミーシャの胃袋に脱帽wwwwww
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方) [sage]:2011/11/17(木) 00:12:12.78 ID:t00Y8Grr0
>>1乙!
番外個体がイイ感じに黒いなww
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/17(木) 00:13:47.68 ID:lubwAsWH0
五和・・・だと・・・?
俺の友得だわ
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(空) [sage]:2011/11/17(木) 00:17:25.52 ID:+o8HfIVy0
美琴はやっぱウザい
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 00:22:15.74 ID:DSMDDJWSO
ビリィ
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県) [sage]:2011/11/17(木) 00:23:16.40 ID:cAWNhRQm0
ガブリエルと初春の対話の所をもっと詳しくだな…
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/17(木) 00:32:31.99 ID:g5ZF8sqAO
乙乙

ガブとE〇Sが対話によって融合し、メタルガブリエルだと!?
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/17(木) 00:47:04.90 ID:x3a8lLnc0
最近美琴があっさり一方さんと和解するSSばっか読んでたからかえって新鮮だな
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 00:49:30.58 ID:MolfTreIO
なあに、かえって(ミーシャの)免疫がつく
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage ]:2011/11/17(木) 00:52:29.43 ID:5kHvsjjA0

原作もこれのとおりになりそうだ
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/17(木) 00:54:33.65 ID:PHLUqp7to
>>610
そうか?
最初から仲の良い設定か、時間をかけてそれなりに和解しますた、ってパターンなら見る気もするけど
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/17(木) 01:16:45.10 ID:AGmC6MKa0
>>1乙です
実験のことは美琴にとっていい感じにトラウマになってるんだなぁ…。
「打ち止め達を否定しない」ってことは妹達の存在を受け入れるってことじゃなく、
「(一方通行の気持ちを尊重する)打ち止め達(の意見)を否定はしない」ってことなのかな?
でも番外個体も含まれるって…むむむ…。

美琴と番外個体のやりとりとミーシャと初春のやりとりが凄い好きww
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西) [sage]:2011/11/17(木) 01:42:13.69 ID:2BeMC4mW0
>>1
美琴の反応はこんな感じだろうな
あの実験も一方もトラウマだろうし

ただ、それをふまえたら打ち止めの行動がアホ過ぎだろ
番外固体も居る状況で美琴に接近したがるわ、フィアンマに事情説明して接触しないように注意して貰うこともせず、いざ対面しても何も考えずにしゃべるたけで美琴を説得する気すらない
ただのアホの子だろ
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:47:03.16 ID:xTD8W59IO
乙!

まあ、これが普通の反応だよな……
上条はちょっと異常だよ
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(奈良県) [sage]:2011/11/17(木) 02:46:22.91 ID:WMRO1Tje0

美琴は自分で守れてない妹達を進行形で守ってる一方さんを非難してるからな‥‥
まぁ美琴は妹達を守れてないことを知らないから仕方ないんだが
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 07:06:53.45 ID:a3vrkyV20

打ち止めさんまじ空気
五和と氷華とか癒されるわー
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 07:40:06.89 ID:1OJxbhXg0
逸話もとい五和といえばコンプレッサー事件がだな
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 09:34:42.71 ID:RjNaZ98Xo
乙ー
まぁ、原作ですらあっさり和解しそうな流れだしな
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/17(木) 10:31:46.35 ID:UKO7rkjAO
実験にしても、あの実験がポシャっても便利な実験動物として他に回るだけなのも気づかないレベルだし、解決したつもりの事件に「その後」があるって発想からしてないのかもね
だから美琴からしてみれば解決した事件をほじくり返してきた→また一方通行(美琴視点での実験の「犯人」)が何かしたのかってなる
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 10:33:16.27 ID:yqG0B56No
中2だからしょうがない
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(広島県) [sage]:2011/11/17(木) 12:58:29.07 ID:I/oWxwd90
>>1乙!

この手の話で個人的に思うのは
結果としては一方が10031体殺してるんだけどその過程で妹達が10032回銃やら何やらで(先制)攻撃した件について
一方は気にも留めてないだろうけど、美琴や妹達側がそれをスルーしてどやこや言うのは何だかなーって思わんでもない
特に妹達をちゃんと人間として見るならなおさら

まぁ美琴側の気持ちも分からんでもないから複雑だけど
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/17(木) 13:49:28.02 ID:uEjTyLTy0
乙乙
美琴の反応は自分的には納得でした!

読者からすりゃ一方通行が苦悩してるのも知ってるけど美琴は実験以来会ってないんだし当然の反応じゃない?
楽しそうに殺してる姿しか見てないんだし妹達を守ってるなんて夢にも思わないだろ
それに美琴も残骸編でも妹達を守ろうとはしているし守ろうとはしてるし守ってないとは言わないぞ

つかここで突っ込むべきはコアを食われた初春だろ!
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(空) [sage]:2011/11/17(木) 14:01:23.26 ID:FL25Zjsf0
美琴は一方通行と一度話し合いすればいい

初春については、お前ホントに人間?
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/17(木) 18:23:11.23 ID:k33ME6wE0
SS実験について話す美琴はホント殺したいくらい
おめえ何にもしてねえじゃんって
627 :[sage] :2011/11/17(木) 19:12:23.89 ID:lBrnm26C0
美琴の知識と力と立場でやれることは全部やってるじゃん
一方通行擁護に走ると、何故か美琴非難に直結するのが不思議でならない。他のSSでもそうだけど
まあ3巻発売の前の最後の祭りだけど
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/17(木) 19:47:04.36 ID:X7Gk5/pN0
>>627
よろしいかね?まずは落ち着いてみなさい
そしてしっかりと他のレスと自分のレスを見比べるんだ、いいね?
あぁ、いやいや、コメント欄じゃないよ、うん
そうだ、名前欄とメール欄だね、「sage」は名前欄じゃなくてメール欄に記入するんだ
中には投下が来たかと思ったじゃないか、と怒る人もいるだろう、だから「sage」は大事だよ
大丈夫さ、次は失敗しないよ
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/11/17(木) 20:06:44.30 ID:CByFvteK0
急にレスが長くなったな
3行以内にまとめろ
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/17(木) 20:25:20.10 ID:ZQZ2+FqCo
中2
だから
しょうがない
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 20:44:59.03 ID:jNpE+7EDO


ぱい
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 20:50:42.49 ID:zlRT5qFDO
12歳で大学卒業した天才少年も、発明や開発の難しさとか理解出来ないかったとかあるからな。
人生の経験値ってのは意外と大事
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中国地方) [sage]:2011/11/17(木) 20:57:57.98 ID:3YzATJd7o
12巻で打ち止め目撃、その場に共にいた御坂妹が検体番号20001号って口走ってたのに
美琴の行動が上条にキレて帰る→やっぱり上条のこと探すじゃやれること全部やったとは言えなくね?
その後に妹達に打ち止めの事聞くなりしたっていう描写も無かったと思うけど
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 21:05:19.32 ID:yqG0B56No
そんなことよりオルソラさんの話しようぜ!
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山口県) [sage]:2011/11/17(木) 21:09:41.69 ID:1r7N/QYLo
>>634
おっぱい
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/17(木) 21:24:10.18 ID:3xvb2ujA0
そんなことより  の話しようぜ
1乙
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 21:25:55.83 ID:sUcz9rsSO
ある程度御坂の反応に納得かな?

御坂が一方通行を責めるとしたら実験参加、9982号を目の前で虐殺、自身はともかく上条までも手に掛けようとしたこと
一方通行がその後善行を重ねても関係無いんじゃね、殺された1〜10031号と生きてる10032〜20001号は全くの別人、別個体と考えにゃならん

逆に全く御坂が怒ったりせず
「アンタ打ち止め達守ってるから殺した妹達のことは許すし、もう責めない」
とか言い出したら頭おかしいだろJK
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/17(木) 21:27:44.59 ID:AGmC6MKa0
>>633
打ち止め見た時は幼いからクローンと思わなかった、で御坂妹が口走ったのは他の同年齢の個体のことと思った…とか? 今原作手元にないから思いつきだけど。
たしか全盛期で一番頭がいいはずの一通さんも打ち止めから20001号って聞いてたのに、20000人殺害の実験に関係ないって気づいたのは芳川に言われてじゃなかったっけ?
…思うと禁書の最初の方って設定がいろいろおかし(ry
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/17(木) 21:31:25.66 ID:3xvb2ujA0
設定につっこんだらいろいろ終わってしまうからそこら辺にしときましょーや
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 21:42:53.98 ID:tw/hoYBJ0
そんなことより天使同盟の話ししようぜ
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 21:45:38.15 ID:MolfTreIO
>>640
wfud乳qifdiw
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/17(木) 22:24:14.17 ID:WN+eZz2P0
>>636
黒髪ロング巫女服空気
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/17(木) 23:41:03.01 ID:lubwAsWH0
そんなことより更新待とうぜ!
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 06:52:20.39 ID:A9digc2DO
ガブリエルのアルファベットの羅列


「mtjgah天使jmptwg」
このアルファベットってなんか意味や法則あんの?
適当??
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 07:42:22.44 ID:kzkW0dK7o
確か前に>>1が適当って言ってた気がする
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/18(金) 12:48:32.03 ID:+TLBo876o
だが待って欲しい
「ある状態・目的・要求などにぴったり合っていること」
的な意味での適当だとしたら…ゴクリ
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/18(金) 17:54:21.50 ID:azS6snRp0
つまり・・・どういうことだってばよ?
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/18(金) 18:03:54.53 ID:KeDVwDrl0
>>1乙 おまいら、議 論 は 余 所 で や れ
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山口県) [sage]:2011/11/18(金) 18:14:02.75 ID:PDGxprjvo
なんとなく中央らへんの文字が多いから適当なのだろう
650 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:49:18.85 ID:AEWRhGSxo
ちょ、ちょっと待ってくれ……この支援レスの多さは何ですか
いえ大変嬉しい気持ちでいっぱいなのですが、改めて御坂美琴という
キャラクターの人気ぶりに驚嘆させられました。さすがは本家ヒロインキャラの一人。

>>644
適当です。小ネタでもたまには挟もうかという考えも浮かびますが、
そんな事してる暇があったら少しでも物語を進めようという考えが
優先されるので、やはり基本的には適当です。


そんな訳で、今日はお昼の更新です。
今回はフィアンマパートのまとめと、一方通行パートへの移行部分をお送りします。


それでは、よろしくお願いします!
651 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:50:06.53 ID:AEWRhGSxo

――――――――――――――――――――――

フィアンマ「…………ふん」

美琴「?」

フィアンマ「……オリジナルとクローンが顔を合わせれば必然的にこうなる」

番外個体「ん?」

打ち止め「……」

美琴「そうね、そりゃそうよ。 個人的にはもう少し早く会いたかったかな」

フィアンマ「打ち止め」

打ち止め「ん……」
652 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:51:05.03 ID:AEWRhGSxo

フィアンマ「一応この話題に決着がついたとはいえ、御坂美琴はひどく混乱した。
      詳しい事情は俺様にもまだわからんが、御坂美琴に対し一方通行と
      お前らの関係について打ち明けるとそうなる事は理解していただろう」

打ち止め「……」

フィアンマ「御坂美琴の混乱ぶりが見たいとお前が望んでいるはずがないのは
      俺様にも分かる。 ならばなぜ、お前は常盤台中学に足を運んで
      御坂美琴に会いたいなどと提案した? お前なりのけじめか?」

美琴「……! アンタがここへ連れてきたんじゃないの?」

フィアンマ「俺様が? なぜそう思う?」

美琴「アンタも一方通行やこの子達と繋がりを持っているから、よ。
   この子達と私を会わせるためにアンタが連れてきたんだと……」
653 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:52:27.09 ID:AEWRhGSxo

フィアンマ「何度でも言おう。 俺様は今の今までお前らの『実験』に関する
      情報を持ち合わせておらんかった。 これで証明出来たかな?」

美琴「…………迂闊だったわ」

フィアンマ「案ずるな、口外などせんよ」

番外個体「無関係者がどうしてそんな事を聞くのかな?」

フィアンマ「素朴な疑問だ。 答えたくないのならそれで構わん」

打ち止め「……わかってたよ、ってミサカはミサカは素直に認めてみる」

美琴「……」

打ち止め「でも……例えお姉様の迷惑になるとわかってても、ミサカは
     お姉様に会いたかったの、ってミサカはミサカは……、……」シュン
654 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:54:12.67 ID:AEWRhGSxo

美琴「……」

番外個体「手間のかかる上司ですこと」

美琴「……さっきも言ったでしょ」

打ち止め「?」

美琴「私はアンタ達を否定したりしない。 ……一度は否定したけど、
   私は私の『妹達』を受け入れる、だからもう大丈夫だって」

打ち止め「……」

美琴「また機会があったら、一緒に遊びましょう?」ニコッ

打ち止め「う、うん! ってミサカはミサカは満面の笑みで頷いてみる!」
655 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:55:10.29 ID:AEWRhGSxo

フィアンマ「……強いな、お前らは」

美琴「私と、"私達"だもん。 ヤワな精神なんて持ち合わせてないわ」

番外個体「ミサカは遠慮願いたいけどね〜」

美琴「アンタとはまたいつか『タイマン』でお話したいわねえ……」ゴゴゴ

番外個体「胸大きくして出直してきな、お姉様」ケケケ


――――――――――――――――――――――


美琴「さて、そろそろアンタにも話を聞いておかないとね」

フィアンマ「手短にな」

美琴「じゃあ単刀直入に聞くけど、アンタらは何?」

ガブリエル「?」モグモグ
656 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:56:36.40 ID:AEWRhGSxo

フィアンマ「学園都市に住む善良な一般市民だ」

美琴「悪いけど私はシリアスとギャグは弁えたい主義なの」

フィアンマ「どの口がそんな事を言うんだか。 今の俺様のセリフのどこにギャグ要素が?」

美琴「善良かどうかは置いといて、一般市民な訳ないでしょ」

フィアンマ「人を見かけで判断するなと親から教わらんかったのか?」

美琴「……この際、アンタについては言及しないわ。 ただ、」

ガブリエル「tudxm奪取pbccyr」ヒョイパク

打ち止め「あー! ミサカのミサカのハンバーグ勝手に取るなーっ!!」

美琴「この『水流操作系能力者』……、こいつは何者?」
657 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:57:41.80 ID:AEWRhGSxo

フィアンマ「化物」

美琴「でしょうね」

フィアンマ「こいつこそ深く追求せん方がお前のためだぞ」

美琴「お互いの秘密は共有するのがフェアってもんじゃない?」

フィアンマ「そう来たか。 俺様はお前らの素性など知るつもりはなかったんだが……」

ガブリエル「yts美琴」

美琴「へ? あ、今……私の名前呼んだ?」

ガブリエル「vxjt連絡aqwv交換lsgdd」スッ

美琴「え? なになに? 携帯なんて出されても……」

フィアンマ「……連絡先を交換しよう、と言っている」
658 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:59:00.18 ID:AEWRhGSxo

美琴「あ、アンタこいつの言葉が分かるの? って、ごめん。 目の前で失礼な事言って……」

ガブリエル「jcg無問題rydx。 xgte再戦uyy希望dfs」

フィアンマ「『またいつか熱いバトルをしようぜ』、……だそうだ。
      お前いつからそんな熱血キャラになったんだよ」

美琴「う、う〜ん……」

フィアンマ「まぁ、いいんじゃないか? クローンを受け入れたお前なら、
      或いはこいつとも上手く付き合えるかもしれんぞ? そうだな、
      俺様とこいつの素性を知りたいのならこの機会は甘受しておけ」

美琴「…………どういう意味よ、それ」

ガブリエル「uyidj再戦lxpit」シュッ シュッ

美琴「やる気満々でシャドーしてくんな! 二度とやりたくないわよ、次やったらホントに
   死んじゃいそう……。 えーと、メアド交換って事ね? 別にいいわよ、ほら」パカッ
659 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 11:59:38.99 ID:AEWRhGSxo

ガブリエル「?」

美琴「赤外線でお互いの連絡先を交換するの。 ……ええい、ちょっと貸しなさい。
   自分の携帯電話の操作方法くらい把握しておきなさいよ」ピピッ ピッ

ガブリエル「……」

美琴「はい、これでオッケー。 別にいつでもメールくれていいわよ。
   ……アンタなら気晴らしに丁度いい相手かもしれないし」

ガブリエル「chet御意ldyt」

フィアンマ「俺様からも少し聞きたい事がある」

美琴「何よ」
660 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:00:25.32 ID:AEWRhGSxo

フィアンマ「あの背中から翼を生やした時のパフォーマンス。 なぜ失敗した?
      ここまでのお前の実力から見て、あの場面で急に調子を崩すのは不自然だろう」

美琴「………………」

フィアンマ「………ま、これも答えられんのなら別に―――――」

美琴「たまたまよ」

フィアンマ「?」

美琴「たまたま演算をミスしただけ。 あの翼の現出はかなり演算処理が難しいし。
   パフォーマンスとはいえ、あんな大勢の前でやるとなると私だって緊張するって事」

フィアンマ「そうか」

美琴「………………………………」ハァ…
661 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:01:25.26 ID:AEWRhGSxo

フィアンマ(…………さて、と)スッ

白井「お姉様ぁ♪ さあ、わたくしが『あ〜ん』した差し上げますので、
   このオムライス一口いかがですの?」

美琴「…………」

白井「お姉様?」

美琴「いらないっつーの」コツン

白井「あ痛っ。 んもう……お姉様のいけず。 ……あら? 火野さんとミーシャさんは?」

美琴「へ?」クルッ




美琴「あ、あいつら逃げやがったぁぁぁぁぁ!!! しかもあのデカブツの方は
   しっかりご飯全部食べてるし!! この短時間で!!」



662 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:02:33.33 ID:AEWRhGSxo


――――――――――――――――――――――




「『御使堕し』が発動したらまた連絡する。 お前の仕事はそこからが本番だ」

「了解! ってミサカはミサカは敬礼しながら返事をしてみる。
 ……それと、もうミサカ達を置いて逃げたりしたらダメだからねって
 ミサカはミサカは二人に忠告してみたり!」

「あーあ、今日はもう疲れちゃった。 シャワー浴びてさっさと寝よっと」

「cjgh御休tiup」




フィアンマは打ち止めに最後の念を押すと、踵を返してファミリーサイドを後にした。
ミーシャも打ち止めと番外個体に手を振りながら彼の後に着いて行く。
663 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:03:34.83 ID:AEWRhGSxo

結局フィアンマは御坂美琴に魔術の法則についてや『天使同盟(アライアンス)』の事に関しては
一切何も話さず、『聖なる右』を行使してミーシャと共に常盤台中学から逃走した。
関わらせなくてもよい方法があるなら、それに従った方がいい。散々無茶をやらかしたからといって、
その流れで全てを暴露してしまう必要はない。

美琴は当然納得がいかなったようで、何度も何度も打ち止めや番外個体に詰め寄っては
ミーシャやフィアンマの『力』について言及してきたらしいが、二人はのらりくらりと
それをかわした。というか打ち止めも番外個体も彼らの力の詳細は知らないのだ。


御坂美琴。打ち止め。番外個体。彼女達が再び出会える日は訪れるのだろうか。


「もう夜か……。 つまらん事に時間を割きすぎたな」


学園都市は今日の一端覧祭の後片付けをしている所だった。
明日はどのような工夫を凝らして集客効果を高めようか。明日はどの学校に行ってみようか。
学生や『外』からやってきた人間達は、確約されている明日に胸を膨らませながら帰路についている。
664 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:04:17.63 ID:AEWRhGSxo


「そうだ、ちょっとお前の持っている携帯電話を貸せ」

「nxftj了解aqejl」

「……、…………。 よし、これでいい」

「?」


フィアンマから手渡されたミーシャの携帯電話。その本体の裏面に
奇妙な文字が走った札が貼られていた。


「打ち止めを含めた作戦遂行時、『ヤツら』にお前の携帯電話を渡さねば
 ならんだろう? それを貼っておけば"あっち"からでもメールの送受信が
 可能になるようにしておいた。 ただし、通話機能は削除させてもらったがな」

「……」

「念のためだ、気にするな。 ……それより、」

665 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:05:00.12 ID:AEWRhGSxo

フィアンマは周囲に目を配りながら話題を変える。


「祭りは充分に楽しんだか?」

「dkge満足uopsr」

「だろうな、今日のお前ははしゃぎ過ぎた。 ……まぁ目を瞑って
 おいてやるよ。一方通行への報告も今回は見逃してやる」


フィアンマは今日だけで何度も使用してしまった右腕の調子を確かめながら言う。




「だから約束は守ってもらうぞ。 しばらくお前は外出禁止だ。
 どこか人目のつかん場所に引きこもってアストラル化する準備でもしておけ」

「choute御意erttfp」



666 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:06:03.32 ID:AEWRhGSxo

普段のミーシャならここで駄々の一つでもこねていただろうが、そうはしなかった。
フィアンマの外出禁止令にミーシャは納得したように頷いて了承する。


『御使堕し(エンゼルフォール)』。


これよりフィアンマはその大魔術の準備に取り掛かる。
この大魔術は別位相に位置する天使の魂を人間界へ引き摺り下ろすという
いかにも魔術らしい魔術なのだが、発動した際に世界全土へ大きな影響を引き起こす。

天界より引き摺り下ろされた天使の魂はランダムで(『御使堕し』を実行する魔術師のレベルが高ければ
入り込む人間の指定も可能)人間界の人間の魂を"追い出し"入り込む。
それによって天使は人間の肉体を手に入れ活動することになるのだが、追い出された人間の魂はと言うと
これもまた不特定多数の人間の魂を追い出し、その肉の器に入り込むのだ。
この入れ替わり現象、セフィロトの樹という抽象的概念上で発生するため精神の移動は座標的に起こらない。

そして『御使堕し』は天使を上位セフィラから下位セフィラへ強制的に引き摺り下ろすため、
その影響で一〇のセフィラが形成する『四界』が歪んでしまうリスクがある。
ローマ正教の『神の右席』で四界の乱れに気付いていたのはフィアンマだけだった。
667 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:07:04.27 ID:AEWRhGSxo

フィアンマはミーシャに尋ねる。


「お前の魂の移転先は本当にサーシャ=クロイツェフでいいんだな?」

「srfexwbafm……、uhkrgpestm」

「まぁそれが無難だろうな。 一度あの女の肉体を器としている以上、
 またお前の魂が入り込む事になってもある程度の耐性が付いているだろうし。
 ……しかし今回の『御使堕し』には問題点がいくつかある」

「?」


お前も大体は理解しているだろうが、と前置きして、


「まず、早い段階でお前には一度元のセフィラに帰ってもらわねばならん。
 お前が位置するセフィラは『イェソド』だったか。 帰る際も慎重に帰らねば
 またこの世界の属性が乱れてしまうかも知れんから充分に注意しろ」

「yjfcu承知nnffrj」

「それと、お前の魂に追い出されたサーシャ=クロイツェフの魂の処遇。
 ここを上手くせんと、かの『御使堕し』のように世界全土に影響が及んでしまう。
 魂なんて定義が曖昧なものを保護する……、いくら俺様でも成功率は高くない。
 まるで気が進まんが、エイワス辺りに協力を要請するハメになるかもしれん」

668 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:07:57.92 ID:AEWRhGSxo

今回、この大魔術を発動させるにおいてフィアンマは人間の魂の入れ替わりを
どうにかして阻止しようと考えていた。
それにはミーシャの魂→サーシャの器→サーシャの魂→他の人間の器という経緯から『サーシャの魂』を
他の人間の器に移動させないようにしなければならない。

それは『御使堕し』という大魔術を根本から塗り替えす大偉業だ。歴史上、そんな事を成し遂げた
魔術師は一人として存在せず、それ以前に試みようと思った魔術師もいない。


「現在、恐らく空席になっている『イェソド』にサーシャ=クロイツェフの魂を
 保管しておくという手もあるが……危険過ぎる。 セフィロトの樹を管理している
 連中に感づかれたら面倒だしな。 『マルクト』を経由してクリフォトの『バチカル』か
 或いは『アクゼリュス』にでも隠して……いや、ダメか。 俺様のミカエル程度で
 干渉できる領域じゃない。 セフィラとなると『黄金』系の連中がより詳しいが、
 まさか俺様が直々に協力を要請する訳にもいかんしな。 他に何か手は………」


隣で何やらぶつぶつと独り言を呟くフィアンマに、ミーシャは耳を傾けなかった。

ミーシャの意識は既に一方通行に向いている。
フィアンマと打ち止めで行うこの大規模な"サプライズ"。それを一方通行に贈った時の
彼の喜ぶ姿をミーシャは早く見たくてしょうがない気持ちで一杯だった。
669 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:09:04.44 ID:AEWRhGSxo


――――――――――――――――――――――




一端覧祭の三日目。一方通行がイギリス清教のローラ=スチュアートと謁見するまで残り四日。




昨日、風斬氷華と思いきり遊び倒した一方通行は少し遅い時間に起床した。
時刻は午前一〇時を過ぎている。


「…………誰もいねェのか」

670 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:09:52.16 ID:AEWRhGSxo

第七学区の『グループ』のアジトで目を覚ました一方通行は部屋の様子を窺うが、
人の気配が無かった。人の気配はおろか、"天使の気配"も感じられない。
どうやら『天使同盟』の面々、『神の右席』、シスターの二人、『アイテム』の連中は
どこかへ出掛けているらしい。

散らかった衣服等を見る限り、この部屋を未だに根城として利用している『アイテム』は
麦野沈利と絹旗最愛の二人のようだが、彼女達は他に住処が無いのだろうか。

一方通行は寝ぼけた頭を覚醒させるために冷蔵庫から買い置きしておいた缶コーヒーを取り出す。


(……さて、今日はどォすっかな。 予定じゃガブリエルを連れて街を歩くつもりだったンだが……)


ここ最近ミーシャ=クロイツェフに構ってやれなかった一方通行なりの優しさだった。
昨今、フィアンマと共に行動するようになっていたミーシャは、それはそれで満足そうで、
その事が一方通行には少しだけ――――、
671 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:10:43.72 ID:AEWRhGSxo


「………ねェよ」


頭に浮かんだ考えを自ら否定し、一方通行は缶コーヒーを一気に飲み干す。
と、そこで彼の携帯電話が机の上で振動し、床に落ちてしまった。
一方通行は面倒くさそうに携帯を拾い上げると着信していたメールをチェックする。

風斬氷華からだった。




『おはようございます一方通行さん、そろそろ起きましたよね? 
 私は今日はオルソラさんとアンジェレネさんの二人と一緒に街に出掛けます。
 ヴェントさんは朝起きたらいませんでした。 「アイテム」のお二人はそれぞれ
 別行動を取って出掛けるそうです。 ミーシャさんも朝から見かけてません。
 フィアンマさんも結局帰ってきてないようでした。
 朝ごはんを作っておきました。 お口に合わなかったらごめんなさい』



672 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:12:00.39 ID:AEWRhGSxo


「…………、」

『P.S. アクセサリー、楽しみにしています』


メールの文面を目で追った後、一方通行は思わず苦笑した。
ここまで平和的で日常的なメールを自分に送ってくる人物など、打ち止め以外にいただろうか、と。


「にしても、ガブリエルとフィアンマの野郎が帰ってねェだと……?」


『アイテム』やヴェント、オルソラやアンジェレネ、風斬氷華は問題ないとして、
一方通行が気になったのはミーシャとフィアンマだった。

ミーシャ=クロイツェフは昨夜、一人でこのアパートに帰ってきた。
やたら傷んだ彼女のガウンについて言及するも『内緒』的なニュアンスで
人差し指を口の添えるだけで、ミーシャは何があったのか話してくれなかった。
673 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:13:22.52 ID:AEWRhGSxo

その事に一方通行は若干嫌な予感を覚えるが、フィアンマが付いている時点で
問題ないと思っていた。
しかしそのフィアンマが昨夜から帰ってきていない。


(……………出遅れた感が拭えねェな。 やっぱガブリエルには俺が付いてた方が良かったか?)


別にフィアンマを疑うわけではないが、同時に心の底からの信頼も寄せてない。
それが今の一方通行とフィアンマの距離だった。
フィアンマは一方通行以上に『やりたい放題』を地で行える力を持っている。
仮にフィアンマがミーシャと共謀して何かをしでかそうとしていたら、それを一方通行が止める事は不可能だ。


(……、)


しかし一方通行は思考を放棄した。

何かをやらかそうとしているのであれば、勝手にすればいい。
今更あの二人が良からぬ事をしようとしても、この世界には必ずそういった悪事を食い止める
『抑止力』のようなものが存在する。一方通行は夏頃に、それを嫌というほど実感している。
674 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:15:08.00 ID:AEWRhGSxo

そして二人がやろうとしている事が悪事でなければ何の問題もないし、
あのミーシャ=クロイツェフが口を割らないという事は、恐らくそうなのだろうと
一方通行は結論付ける。それはミーシャに対する信頼あっての判断だった。

それが今の一方通行とミーシャ=クロイツェフの距離。


「まァ、ンな事はどォでもイイ。 ……今日はどォすっかな」


神裂火織に『一端覧祭が終わるまでイギリス行きは待っていてくれ』と言った手前、
やっぱ暇になったんでイギリスに行きましょう、なんて展開はどうも締まりが悪い。

一方通行はベランダに出て街の様子を一望する。
三日目に差し掛かった一端覧祭は盛り上がる一方で、昨日よりもさらに賑わっているように見えた。
昨夜にオルソラから聞いた情報によると、なんでも『常盤台中学のイベントが物凄い事になっていたらしい』との事。
その影響もあるのかも知れない。


(一人で出歩くのはあまり気が進まねェが……)


一方通行はキッチンに置いてあった風斬お手製の朝食を食べ終えると、
白を基調としたジャケットに着替え、億劫そうな調子で杖をつきながら玄関の扉を開いた。


やる事が見つからないのなら、外へ出て見つけてくればいい。
気分転換も兼ねて彼は雑踏の中に身を置く事にした。
675 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:16:09.70 ID:AEWRhGSxo


――――――――――――――――――――――


風斬氷華は筐体のディスプレイと睨めっこをしながら闘志の炎を燃やしていた。


「あ、あと一発……!! あと一発撃ち込めば私の勝ち………!!」


対するアンジェレネは手元にあるレバーと複数のボタンに四苦八苦しながら、


「あわわわわわ……! し、シスター・オルソラ!! 遠くから
 見てないで私の"ロボット"をサポートしてくださいよ〜……!」


援護を要求されたオルソラ=アクィナスはパソコンに不慣れな人がキーボードを
人差し指でツンツン突付くような動作でボタンを押して、

676 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:17:24.96 ID:AEWRhGSxo


「えーと……。 まぁ、アンジェレネさん。 こことここのボタンを
 同時に押したらどこからともなく味方ロボットが現れるのでございますよ」


彼女の言うとおり、オルソラが操る白いロボットの眼前に下半身をキャタピラに改装した
ロボットがキュラキュラと音を立てて発進していく。
しかしアンジェレネが操作するロボットはオルソラからかなり距離があり、
オルソラが呼び出したタンクロボットの援護はあまり意味を成さなかった。

ただひたすらステップを踏み続けるだけで無駄にブーストゲージを消費する
アンジェレネのテンパリロボットに、風斬は容赦なく特攻を仕掛ける。


「狙い撃ちます……!」

「あああ〜……やられた。 このロボットは伊達じゃないって言ってたのに……」


風斬氷華とオルソラ=アクィナス、アンジェレネは三人で第七学区のゲームセンターに
足を運んでいた。
677 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:18:33.32 ID:AEWRhGSxo

昨日、オルソラとアンジェレネは一端覧祭の一環である『学園都市見学ツアー』に
参加したのだが、どうやら思ったより退屈なものらしかった。
『もっと楽しい環境で科学を体験してみたい』というワガママ娘のアンジェレネちゃんの要望に
応える形で風斬氷華はゲームセンターをチョイスしたのだが、


「あの……アンジェレネさん。 今更こんな事を言うのも恐縮なんですけど……、
 ゲームセンターで遊ぶだけなら学園都市じゃなくても体験出来ますよ……?」

「そ、そうですけど! 昨日の見学ツアーはどこか真面目過ぎるというか……。
 『風紀委員(ジャッジメント)』の方々の働きぶりには感激しましたが……。
 『外』からの来訪者にも科学の力のアプローチが体感出来る、みたいなものを
 期待していたんです……」

「私は充分に堪能させていただいたのでございますけど……。
 でもこういうピコピコのような娯楽も素敵でございますね」


という訳でもう一戦! とせがむアンジェレネにクスっと笑みをこぼす風斬は
お札を両替しようと一旦席を立った。そこへ、
678 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:19:18.95 ID:AEWRhGSxo




「あ、本当に居た」




両替を終えて戻ってきた風斬から小銭を奪うように掴んだアンジェレネが
筐体に小銭を投入しようとしたが、突然かけられた声によるその動きが制止される。
キョトンとしたのは風斬だけで、オルソラとアンジェレネは声の主に対して普通に接した。
どうやら知っている間柄らしい。


「こ、こんにちわ」

「お久しぶりですアンジェレネさん」

「まぁ、これはこれは……天草式十字凄教の五和さんではございませんか」

「オルソラさんも、お久しぶりです。 ……で、そんな二人のシスターが
 ゲームセンターで何をやってらっしゃるんですか? ハッキリ言って
 場違い感が凄まじいというか……浮きまくってますけど」

679 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:20:12.69 ID:AEWRhGSxo

黒い髪は肩辺りまで伸びていた。目元はほのぼのとした印象を与える二重まぶた。
暖が程よく取れそうなジャケットに膝上ほどの長さがあるパンツを履いている。

アクセントは首に巻いているマフラーだが、配色が少し風変わりだった。
それは天草式十字凄教徒ならではの、生活用品や衣服の組み合わせを利用して
魔術的な効果を含ませるための配色である。


天草式十字凄教徒が一人、彼女の名は五和といった。


「女教皇様(プリエステス)に少しだけお話は伺ってましたが……、
 本当に二人だけで学園都市に来ていたんですね」

「あのー……」


と、風斬氷華が『友達と遊んでいたら自分は知らないその友達の友達が急にやってきて何だか居辛い』
みたいな雰囲気を醸しながら恐る恐る五和に声をかけた。
680 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:21:18.14 ID:AEWRhGSxo


「は、初めまして……。 風斬氷華です」

「へ?」

「あ、五和さん。 風斬さんは私達のお友達なんです」

「ああ、すみません申し遅れました。 私、天草式十字凄教に所属しています、五和と申します」


風斬も五和もまるで『水飲み鳥』のようにペコペコと頭を下げまくる。
しかしここで二人は息を合わせたように動きを止め、互いに目を合わせると、


「………私達、初めましてでしたっけ?」

「それ……私も今思いました。 どこかでお会いしたような………?」

「…………」

「…………」

「…………ま、まぁでしたら改めましてと言う事で! あはは」

「そ、そうですね……! よろしくお願いします、五和さん」


あははえへへと何が可笑しいのか分からないがとりあえず笑っとこう的な
笑顔を見せる二人を見比べて、『何だか似てるなこの二人……』と密かに思うアンジェレネであった。
681 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:28:26.04 ID:AEWRhGSxo
今回はここまでです。

>>672の一方通行の最初のセリフ、ガブリエルの部分は必要無いです。
帰って来てないのはフィアンマだけです。申し訳ありません。

フィアンマは御使堕しのリスクをどうにかして削除しようと考えていますが、
そんな都合の良すぎる方法が果たしてあるのかどうか。ていうか今後の展開の
話になりますが、ぶっちゃけ御使堕しがどうのこうののくだりは必要ないかも……。

ちなみになぜか御使堕しの効果にオリジナル要素が含まれていますが、
気にしないでください。物語に関わる事はありません。

次回は一方通行パート。再びアンロック編になるのですが……、
アンロック編の中でも次のはかなり長い話になります。どうかお付き合いいただけたらと思います。

次回更新は三日以内。

それでは、今日もありがとうございました!
682 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/19(土) 12:28:59.07 ID:AEWRhGSxo



                          【次回予告】



「ハッ、ご愁傷様ァ。 大凡、物珍しい学園都市の文化祭に飛び入り参加して
 はしゃぎ回ってる間に溜まってた疲れが表に出てきたってところだろォが」
『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・学園都市最強の超能力者(レベル5)――――――一方通行(アクセラレータ)




「………私が何?」
英国三派閥の一つ『王室派』第二王女――――――キャーリサ



683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/19(土) 12:39:51.06 ID:HessKOwZo
>>1乙!

打ち止めはちょっと浅慮だったけどまあしょうがないよな
久々の一方さん登場にwktkしながら次回もたのしみにしてます
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 13:19:15.45 ID:eAVQ8wNDO
乙だぜい

正直ていとくんの話が気になるが…
予告からするとしばらく先かな……


だが、キャーリサも好きだからOK!
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/19(土) 14:23:39.77 ID:x1qyHgMP0
乙です。
>御坂美琴。打ち止め。番外個体。彼女達が再び出会える日は訪れるのだろうか。
凄く訪れて欲しいけどこのSSの趣旨からはズレちゃうのかな…どっちも脇役だし。
風斬達がやってるのはEXVS? 学園都市にあるのかww
アンジェレネ→νガンダム オルソラ→ガンダムかな?
風斬は…天使だしケルディムかしら? 狙い撃つの結構いるけど…。
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/19(土) 14:24:59.33 ID:UlEv55OT0
>黒い髪は肩辺りまで伸びていた
五和って髪の色紫だったのでは・・・?
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 14:35:17.94 ID:I3Gx2WQOP
薄紫か御坂と同じ栗色?だね
黒ではないと思う
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 16:05:40.23 ID:eAVQ8wNDO
KI(こまけぇことはいいんだよ)
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/19(土) 17:57:41.40 ID:qTgfikSp0
おつ。まじで御使堕し実行するつもりなんだなぁ・・・。
キャーリサ様来た!
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県) [sage]:2011/11/19(土) 19:38:27.29 ID:6Na2KCMOo
エクバやってるwwww
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/19(土) 19:50:24.21 ID:q9ZAKuRyo
>>1
ミーシャのサプライズが失敗フラグビンビンすぎて怖い
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) :2011/11/19(土) 22:55:56.11 ID:awkQ44Cn0
>>1乙 ついに俺の嫁こと五和登場か
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/19(土) 22:57:47.69 ID:awkQ44Cn0
すまんsage忘れた
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/19(土) 23:37:45.82 ID:6T7adKO50
長い話になるって事はまだまだ続くんですね
やったー
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/19(土) 23:59:42.81 ID:Xaz8uex/o
>>694
何言ってるんだよ、>>1の構想ではまだプロローグすら終わってないんだぜ
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) :2011/11/20(日) 00:19:43.86 ID:2URwM3MG0
まとめしか見てなかったから
初めての生だな

略してミミズ!
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 00:51:20.39 ID:zYLebeB00
>>692 お前が五和を好きにできると思ってるならまずはそげぶだ
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/20(日) 02:04:30.03 ID:u9AQnNJJ0
>>697 俺の友人がまたバカなことを言ったようで・・・
すみませんね〜   ついでに美琴貰ってきますね〜
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/20(日) 02:08:32.03 ID:uWt26CoN0
>>698
即トラウィスカルパンテクウトリの槍
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 08:12:05.49 ID:eXMDNvvDO
誰もいらないようなのでしまぱんはもらって行きますね
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/20(日) 09:13:49.13 ID:uWt26CoN0
>>700
悪りィが…その想いは一方通行だ
手出しは禁止ってなァ!! 
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/20(日) 09:28:16.77 ID:eA/kpyT/0
bgyurm更新choute待fikmbgn
703 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:44:58.30 ID:lGaYLc3fo
>>686-687
五和の髪色が急に変わったのも乾巧って奴の仕業なんだ。


こんにちわ、お昼時の更新です。
最近寒さがさらに激化してきましたね、よくわかりませんがワクワクしてきます。
が、引いた風邪が一向に治らん……今回は長引くなぁ。


ま、そんなくだらない話はさておき、今回は一方通行パートです。
今回はっていうか、今回からしばらく、が正しいでしょうか。
アンロック編でも一、二を争う長い話になります。覚悟してください。


それでは、よろしくお願いします!
704 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:45:55.74 ID:lGaYLc3fo


――――――――――――――――――――――


一方通行はわずか五分で外出した事を後悔していた。


(クソだりィ……。 いくら一端覧祭だからつってもここまでの集客効果は
 ねェだろこンな文化祭……。 大覇星祭みてェな『外』向けのイベントでもねェしよォ)


顔を上げると人、人、人。右を見ても左を見ても前を見ても後ろを見ても
人、人、人、人。『さすがに上にはいねェだろ』、と空を仰げば何やら能力を使って
空中を飛行している学生が派手な宣伝を行なっていた。


そんな訳で一方通行は七度目の受験に落ちた浪人生のようにガックリと
頭を垂れながら歩いているのだった。

705 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:46:55.41 ID:lGaYLc3fo

いっそ自分の能力を使ってここら一帯の人間全てを吹き飛ばせばスッキリするし、
それこそ学園都市の能力開発の宣伝にもなるんじゃないかと、そんな馬鹿げた事を
結構真剣に考えてしまうほど、一方通行は参っていた。

どこかへ避難しようと彼は途中で購入した缶コーヒーを飲みながら行き先を考える。


(つってもなァ、ここからアジトまで戻るのもだりィし……。
 ここからなら黄泉川ン家の方が近いな)


ここしばらく黄泉川達が住むあの部屋へ帰っていない一方通行は
たまには顔を見せてやるかとファミリーサイドに向かおうとしたが、


「あン?」


雑踏の隙間から一瞬だけ見えたコンビニエンスストア。
その店舗の前に設置されているベンチに、見覚えのある人影がチラリと見えた気がした。
706 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:47:52.31 ID:lGaYLc3fo

一方通行はしばらくその場で立ち止まり、行き交う人々が生み出す
わずかな隙間をもう一度確認しようとコンビニに視線を向ける。


「………何やってンだ"あの女"」


ベンチに座る人影が顔見知りである事をしっかりと確認した一方通行は
右手の杖を地面に押し付けながら目的のコンビニへ足を運んだ。
コンビニへ近付くにつれてその人影の輪郭が明確になっていく。

やがて一方通行がベンチに座り込んでいる女性の前で足を止めると、
女性はゆっくりと顔を上げて彼の白い顔を見つめ、やや遅れて応じた。




「おー、ウサギ……。 どーしたのこんな所で」



707 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:48:49.06 ID:lGaYLc3fo


どうしたのこんな所でと言いたいのは自分の方だ、と一方通行は思った。


着込んでいるコートや首に巻きつけているマフラーは庶民では手が出せないような高級品。
安っぽい帽子やサングラスでごまかしてはいるが、それでもこの女性から放たれるオーラは
少なくとも一方通行には容易に察知出来た。


「お姫様がこンなコンビニの前でたむろってンじゃねェよ」

「王女がコンビニを利用しちゃいけないなんてルールは無いし……」


イギリス三派閥の一角。

『王室派』の第二王女。
708 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:49:31.74 ID:lGaYLc3fo

ベンチに座ってボーっと空を見上げるキャーリサの姿は、王女としての気品さ、オーラこそ窺えど、
三姉妹の中でも『軍事』に秀でた才能を持つイギリス軍の総大将としての覇気は微塵も感じられなかった。


「ハッ、ご愁傷様ァ。 大凡、物珍しい学園都市の文化祭に飛び入り参加して
 はしゃぎ回ってる間に溜まってた疲れが表に出てきたってところだろォが」

「………私が何?」

「目が死ンでやがるぜ姫様。 よく見りゃ呼吸も乱れてやがるし、
 この真冬でそこまで汗を掻くたァ、よっぽどこのイベントを楽しン―――」


そこで一方通行の軽口は止まった。いや、"止まらざるを得なかった"。
いきなり流暢な言葉を紡がなくなった一方通行を、キャーリサはキョトンと見つめる。
しかしそんな彼女の視線にも、もはや力は感じられない。


「……クソが」

709 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:50:32.22 ID:lGaYLc3fo

思わず一方通行は呟いた。そして王女に謁見する傭兵のように
キャーリサの前で膝を付くと、彼女も一方通行に向けて少しだけ頭を垂れる。
一方通行は真剣な面持ちで彼女の額に真っ白な手を添えた。


「…………オマエ、いつからこォなってた?」

「んー……、わかんにゃい。 でも別にどーって事ないし」

「あ?」

「それよりちょーどいいの。 ウサギ、学園都市を案内してくれ。
 そろそろ適当に遊びまわるのも……退屈を感じてきた頃だし……」

「……寝言なら寝て言えクソババァ。 なンでこォなるまで放置してやがったンだ!!」


最後の方は口調が強くなっていた。一方通行は首元のチョーカーのスイッチを切り替える。
学園都市最強の超能力が使えるようになった彼が取った行動は、


「………おいおい。 どーするつもりかは知らないけど、どーせ抱き上げるなら
 お姫様抱っこを希望するの。 ていうか私は本物の………はぁ、」

「ろくに喋れもしねェクセに減らず口叩いてンじゃねェよ」

710 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:51:18.27 ID:lGaYLc3fo

キャーリサのぐったりとした身体を背負うというものだった。
身体に明らかな不具合を抱え脱力しかけているキャーリサの身体は、
常人なら背負う事すら苦労するだろうが、あらゆるベクトルを味方につけた
今の一方通行に不可能な事はない。

ただ、能力を使わないと弱った女性一人も背負えない己の非力さが少し悔しいと彼は思った。
一方通行はキャーリサを背負ったまま、とりあえずコンビニエンスストアから離れて場所を移す。




キャーリサは風邪を引いていた。



711 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:52:06.22 ID:lGaYLc3fo


――――――――――――――――――――――


黄泉川愛穂の家に連れて行ってもそこで風邪が蔓延しては意味が無い。
『天使同盟(アライアンス)』のアジトで休むにしても、あの場所は
如何せん人が多く騒がしい上、部屋が広くないため休養には向いていない。
今でこそ無人だが、すぐに誰かが帰ってくるだろう。

では病院へ、とも思ったがキャーリサは正真正銘の英国王女だ。
『第一九学区事件』でキャーリサが一方通行達のために無断で動かした
イギリスの兵器の件で、彼女は現在『王室派』としての立場から追い出されている。
それはもちろん英国女王のエリザードの善意による計らいであって、キャーリサは
お忍びという形で世間の目に隠れて学園都市を訪れているのだ。

そんな彼女を病院に連れていき、身分証明書等の提示を要求されたら
非常に面倒な事になるのは明白だった。
逆に事情を説明して医者をホテルに呼べばいいと思ったが、とにかく今は様子を見たいと一方通行は考える。

712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/22(火) 11:52:29.07 ID:3CklgQal0
冷蔵庫の中のもの食べながら、おとなしく待つんだよ!
713 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:53:12.66 ID:lGaYLc3fo


(……だからこンな状態になるまで何の行動も起こさなかったってのか?
 バカ野郎が……。 それでダウンしてりゃ世話ねェだろォが)


一方通行は第七学区で見つけた庶民的な洋服店で適当な衣服を
手に取りながら心の中で舌打ちをした。

ホテル。

結局キャーリサは第三学区にある学園都市最高級ホテルの一室で休ませる事にした。
部屋を取る際に受付であれやこれやと言及されたが、自分が第一位である事と彼の紅い眼光による
睨みをきかせるとすんなりと部屋を貸してもらえた。
こういう時だけは学園都市が定めたランキングは便利だな、とこの時彼は思った。

ホテルの部屋の宿泊料は一泊二日でそこらのマンションの月家賃を上回る金額だったが、
金銭面に関する問題など一方通行にとっては瑣末な問題にすらならない。
714 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:54:10.41 ID:lGaYLc3fo

彼はひとまずキャーリサをふかふかのベッドに寝かせると、汗をぐっしょりと掻いて
不愉快な着心地になっている衣服を取り替えるためにこうして洋服店に訪れているのだ。


「ここにあるのは全部フリーサイズか?」

「ええ。 でもお客様でしたらあちらにございます衣服がお似合いで―――」

「いらねェよ、イイからオマエはこれ全部レジに通して袋詰めにしてくれ」


苛立ちを通り越して殺気立ってさえいそうな一方通行の雰囲気に押し殺されそうになった店員は、
一方通行が選んだ服を受け取ると逃げるようにレジへ引っ込んでしまった。


(クソッたれが……、あのクソガキの時とは状況が違いすぎる。
 あのガキは人為的に注入されたウイルスによってバグを
 起こしてやがったが、今回のキャーリサは単なる体調不良だ)

715 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:55:37.05 ID:lGaYLc3fo

レジのカウンターを指先でトントンと叩き、店員を急かすように促しながら考える。
全身に汗をかいて衰弱しているキャーリサの姿と、あの時の打ち止めの姿が重なってしまい、
彼は必要以上に動揺していた。


(風邪引いたヤツの看病なンざ生まれて以来やった事ねェぞ……)


覚えている限りの記憶を辿った限りでは、自分は風邪など引いた事はないと一方通行は確認する。
打ち止めも番外個体も、身体の作りがやや特殊なためか現在のところ風邪は引いた事はない。
『天使同盟』の面々にしたって、垣根帝督やフィアンマは知らないが残りの三名が風邪を引く事などあり得ないだろう。
ミーシャ=クロイツェフはひどい体調不良に見舞われた事があるが、アレは風邪とはレベルが違いすぎる。

一方通行は袋詰めにしてもらった衣服を受け取ると、店の外に出て電極チョーカーのスイッチを切り替え
空を引き裂きながら全速力で飛翔した。


(だが看病のノウハウはある程度把握してる。 食物の摂取、睡眠、発汗作用、
 水分補給、薬物投与、睡眠。 これらに注意を払えばどォとでもなるはずだ。
 …………食に関しては俺の知識より他人の助言を頼った方が良さそォだが)

716 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:56:27.87 ID:lGaYLc3fo

何か食べ物を購入してやろうかと考えるが、ひとまず先にホテルへ向かう事にした。
兎にも角にもまずはキャーリサの容態を詳しく診てみなければならない。


(……遊び疲れた、ってのは本当だろォな。 学園都市なンて慣れてねェ環境ではしゃげば
 誰だって風邪の一つくらい引く。 ……体調管理くらいしっかりやっとけってンだ)


一分にも満たない時間で第三学区に到着した一方通行はホテルのロビーを経由する過程を
すっ飛ばして、あろうことか外窓から直接キャーリサが休んでいる部屋に入っていった。


「よォ。 起きてるか?」

「…………うん」


キャーリサらしからぬ気弱な返事だった。重篤まではいかなくも、やはり結構しんどいようだ。
717 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:57:06.29 ID:lGaYLc3fo


「汗掻きまくってンだろ。 服買ってきたから脱げ」

「……ホテルの、一室で、……女性に服を脱げって……ふふ。
 ウサギ、責任を……取る覚悟は、」

「くだらねェ寝言をほざく程度の元気はあるみてェだな」


息を切らしながら顔を真っ赤にして、それでも冗談を言うキャーリサに呆れながら
一方通行は衣服の入った袋をベッドの横に放り投げる。
と、そこで彼の携帯電話が振動した。打ち止めからのメールだった。


『ふっふっふ。 もう少し待っててねってミサカはミサカは意味深な文章を送ってみる……』


ここ最近打ち止めはこういった意味不明のメールを何度か送ってきていた。
いつも通りにメールを無視すると、一方通行は携帯を開いたついでに新規メールを作成し始める。


(一応確認してみるか……)

718 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:57:51.74 ID:lGaYLc3fo

メールの送信先は黄泉川愛穂。『風邪の時に食うモンっていえばなンだ?』という
ニュアンスの文章を打ち込み、送信する。
一応、第一位の頭脳の中にも風邪の時の食事に関する知識くらいは入っているのだが、
あまりにも教科書通り過ぎて逆に信憑性が無かったため、あえて他者から情報を要求する手段を選んだ。

ベッドに視線を投げる。キャーリサが額に手を添えながら弱々しい動作で起き上がるところだった。


「おーいウサギ……けほっ。 ちょっと頼みがあるの」

「なンだ? メシなら少し待て、今そォいう方面に詳しいオバハンから
 病人に食わせるメシのメニューを教えてもらおうと―――」

「いや……そーじゃなくて、」


喋るのも辛そうなキャーリサは、小さく咳き込みながら一方通行に注文してきた。


「汗……掻いたから、身体拭いてほしーんだけど」

719 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 11:59:10.04 ID:lGaYLc3fo


――――――――――――――――――――――


何やらひたすら可愛い女の子四人がゲームに夢中になっている姿を見て、
ゲームセンターの店員は『今日はラッキーデーだな』と表情筋を弛緩させていた。


「見たかー! ステップを交えたオールレンジ攻撃!!
 このひゅんひゅん飛び回る武装が頼もしくてしょうがないです!」

「ううー……また負けた。 アンジェレネさん、短時間で腕上げ過ぎですよ……」

「私はただバシューッと飛んでいるだけで勝ててしまったのでございますが、
 本当にこれで勝負になっているのでございましょうか……?」

「ていうかついさっきあなた達と会ったばかりの私にゲームで対戦しろだなんて
 無理があるんですよ……。 もう少し練習させてくれたらなー……」

720 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:01:05.90 ID:lGaYLc3fo

敬語口調の女の子四人がゲームをプレイし終え、各々の反応を見せていた。

四人で集まりニ対ニのチームバトルでプレイが出来るこのロボット対戦アクション、
風斬氷華は新たに加わった天草式十字凄教徒の五和とチームを組んで、対戦相手の
オルソラ、アンジェレネチームと何度か対決したのだが、風斬達は一度も勝てなかった。
狙撃で必死に援護する風斬も、ユニヴァアアアアスと雄叫びをあげる五和も、シスターコンビを
討つ事はついになかった。

別にオルソラとアンジェレネの腕前が凄いのではなく(四人とも話にならない程ヘタクソだった)、
ヘタクソ四人の中でアンジェレネだけがわずかだけ秀でているだけの話なのだが。


「この機械、女子寮にも何台か置いてシスターのみんなでやりたいですね」

「それは素敵な提案でございますが、こんな大きな機械を持って
 イギリスに帰るのはとても大変そうなのでございます」


などとアンジェレネとオルソラが会話をしていると、
721 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:02:00.57 ID:lGaYLc3fo


(ん……?)


ゲームセンターの自動ドアが開く瞬間を風斬が目撃する。
そこから店内に入っていった人影を見て彼女は眉をひそめた。


(今の…………、ヴェントさん。 かな?)


人影はすぐに風斬の死角になる位置へ歩いていったので詳しく確認することが出来なかった。
しかし一瞬だけ確認したその姿は、どうも前方を司る『神の右席』の紅一点だったような気もする。
まさかあのヴェントがこのような娯楽施設に興味を持つはずが……と思ったが確信はない。

一応確認してみようかなと風斬が席を立とうとした時、再び店の自動ドアが開かれた。
722 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:03:10.71 ID:lGaYLc3fo


「あ、やっぱりひょうかだ」

「おー本当だ。 珍しいな、お前がこんな所で遊んでるなん……って、
 …………何なんですかこの愉快痛快奇々怪々すぎるメンツは」

「あ……ど、どうも。 こんにちわ」


やって来たのはすっかりお馴染みの二人組、上条当麻とインデックスの二人だった。
風斬はゲーセンで遊んでいる自分が珍しいと指摘された事に少し照れてほんのり顔を赤らめながら
挨拶をする。しかし上条は奇妙な光景を見るような目でその場にいた残りのメンバーの顔を確認していた。


「……オルソラにアンジェレネに……五和。 なぁ風斬、一体全体何がどう転んだらお前ら
 四人がゲーセンで対戦ゲームをやるなんて状況になるんだ? いやまず何で学園都市に―――」

「か、かかかか、かみ、上条さんッ!!?」

723 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:03:48.95 ID:lGaYLc3fo

上条の疑問は五和のパニクった声で掻き消された。
五和は落ち着きを取り戻すために一度咳払いをし、改めて挨拶をする。


「お、お久しぶりですっ! あの、私の事覚えてますよね……?」

「忘れるわけねーだろ色んな意味で……。 久しぶり、五和」

「は、はいっ!」


既に何度も顔を合わせているため忘れているわけがないのだが、それでも上条が
自分の事をしっかりと覚えていると確認した五和は、わかりやすく表情を輝かせた。


「オルソラとアンジェレネも、久しぶり」

「ええ、お元気そうで何よりでございます、上条さん、インデックスさん」

「お、お久しぶりです」

「つか、風斬ってオルソラとかアンジェレネとか五和と知り合いだったのか?」

「え? それは―――」

724 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:04:27.40 ID:lGaYLc3fo

言いかけて風斬は困ったように喉を詰まらせた。
五和はともかく、オルソラやアンジェレネと知り合った経緯をどう説明したものかと
頭の中の三角柱をフル回転させていると、


「私がさっきこのお店でシスターさん達を見かけて、その時に」

「ああ。 じゃあ風斬もそん時にオルソラ達と知り合ったのか」


五和から思わぬフォローが飛んできて、そうですそうです! と首を勢い良く縦に振る風斬の
眼鏡がずり落ちそうになった。眼鏡の位置を直しつつ、風斬はさり気なく五和に一礼する。


(第三次世界大戦が終わってからというもの、何か珍しい組み合わせをよく見る気がするなー……)


なんてのん気な事を上条が思っていると、すぐ傍から何やら禍々しいオーラというか、
七つの大罪の内の一つが色濃く混ざったような感情を放ちまくる者がいた。
上条が嫌な汗をスーッと頬に垂らしながら隣に目をやると、
725 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:05:09.57 ID:lGaYLc3fo


「……………思わぬところで手強いライバルに出逢う。 ヒロインの宿命なんだよ」


と、インデックスが何故か五和に睨み殺さんばかりの視線を射出していた。
上条は彼女に何かを言おうとしたが、その前にもう一方からインデックスと似た視線を
バシバシと送り続けてくる気配を感じる。

それは対する五和の視線だった。彼女もまたぎこちない笑顔と共にインデックスをジト目で見つめている。


「我が生涯最強の壁……。 あなたを乗り越えた時、私の想いは成就するんですね」


意味不明の会話を交わす二人に挟まれ、上条はストレスでノックダウンしそうになっていた。
そんな彼らの様子をオルソラはいつものにこやかスマイルで眺め、アンジェレネと風斬は
オルソラの背中に隠れて怯えながらこの緊張感が解れるのを待ち続けた。
726 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:10:45.83 ID:lGaYLc3fo
はい、今日はここまでです。


という訳で一方通行パートアンロック編、今回のヒロインはキャーリサとなります。
彼女は蛇足になってほとんど出番が無かったため、これは気合いを入れて書かなければ
と意気込んだのですが、気合い入れすぎてマジで長い話になってしまった……。

それでも良ければどうぞ、よろしくお願いします!
風邪を引いたキャーリサの弱々しくも可愛らしい雰囲気が上手く表現出来てたらなと思います。
私も看病されてえなあ……。

風斬とか五和とかの話は何でもない小話です。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
727 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/22(火) 12:11:11.48 ID:lGaYLc3fo



                          【次回予告】



「今更かよ。 堂々と上半身裸になってた女が急に何言ってンだ?」
『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・学園都市最強の超能力者(レベル5)――――――一方通行(アクセラレータ)




「なんか急に恥ずかしくなってきたの……」
英国三派閥の一つ『王室派第二王女』――――――キャーリサ



728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/22(火) 12:14:28.03 ID:QZZWazz/0
乙。キャーリサ可愛すぎんだろ。
しかも体拭くとかもげろよ第一位。おいもげろ。
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 14:06:40.59 ID:T8J9Y/Kh0
五和vsインデックス ヒロインをめぐる争いなのにいない人がorz
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/22(火) 14:28:03.27 ID:3CklgQal0
>>1乙です。
割り込んじゃって申し訳ない…。
上条さんからすればこのメンツが学園都市にいるだけでびっくりだろうなぁ。他のメンツとも会うのかしら?
風邪お大事にー。
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 16:28:23.60 ID:AnwozF/Do
プリンセス馬鹿すぎワロタwwwwwwww
やっぱり一方通行はオネショタで絡ませた方が映えるな
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽) [sage]:2011/11/22(火) 16:32:24.82 ID:3Cp/alSAO
キャーリサ様かわええ
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/22(火) 17:21:03.90 ID:/cGqfVGq0
乙ー。
>なんか急に恥ずかしくなってきたの……
かわええ……
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 17:33:39.96 ID:nRgW4+/V0
キャーリサ様の体拭くとか一方さんもげろ
女の子二人に取り合いされるとか上条さんもげろ
特に何もしてないけど浜面もげろ
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/22(火) 18:17:00.22 ID:Z51W7mNj0
とりあえずまとめてもげろ
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 18:50:47.69 ID:5bS56DCu0
んー、この調子でもげろ系の話が続くの?
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 22:19:33.03 ID:bKKx25WJo
>――――――一方通行(アクセラレータ)

一方さんなんか一部分が大きくなってますよ
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 22:21:09.07 ID:Al34a2hIO
むしろ生えろ
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) :2011/11/22(火) 22:33:39.74 ID:henPDAtp0
もげろって言われてるあくせられーたでも応援してる
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/22(火) 22:36:43.63 ID:kTBv+4Pg0
>>739
sageろって言われる>>739は私も応援できない
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/23(水) 09:53:39.55 ID:PcXD0HIH0
乙です
風斬→ケルディム  アンジェレネ→キュベレイ
五和→ターンA   オルソラ→ガンダム(ウイング?)
かしら…?
硬貨袋でファンネルみたいなことやってるアンジェレネに向いてそうだww
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/23(水) 13:35:59.22 ID:2aFBxb7AO
>>741

アンジェレネは伊達じゃない発言からνだろ
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 16:10:37.37 ID:2/S6BCCDO
このスレにはガノタがいっぱい
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 00:12:19.11 ID:yet8SzNDO
>>726
俺が看病してやんよ
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/24(木) 01:23:30.44 ID:wDGnzsJx0
>ユニヴァアアアアス
どうした五和wwwwww
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/24(木) 03:18:47.76 ID:eTp6F/Tw0
>>745
ttp://www.youtube.com/watch?v=fSVFVSOgyY4
きっとこの機体かと
747 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:07:43.28 ID:oJAa+3iKo
>>744
ベッド綺麗にして待ってます……///


こんにちわ、お昼の更新を開始します。
23日は色々なゲームが発売したようですが、皆様は何のゲームを楽しんでいるのでしょうか。
私はゼル伝の新作を購入しましたが、いやこれがやっぱり面白い。書き溜め放り出してでも
プレイし続けたくなりますね。もちろんこっちを優先しますが。

さて、今回も一方通行パート。キャーリサのアンロック編をお送りします。
風邪を引いてしまったキャーリサを看病する事になった一方通行。
少年誌などで見かけるドキドキイベントは発生するのでしょうか。


それでは、よろしくお願いします!
748 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:08:28.03 ID:oJAa+3iKo


――――――――――――――――――――――


ホテルの一室で、シュルシュルと衣擦れの音がしていた。
キャーリサは虚ろな目で、しっとりと汗ばんだ顔を紅潮させ、
浅い呼吸を繰り返しながら緩慢な動作で服を脱いでいく。

やがて曝け出されたのは息を呑んでしまうような繊細な白い柔肌。
二〇代後半の彼女が持つ肌は、一〇代の女性が羨んでしまうほどのハリのある艶を保っていた。
触れる事すら躊躇われるその白い肌を滑るように伝う汗が、今のキャーリサの状態も相まって
一層艶かしさを演出する。

キャーリサは脱ぎ終えた衣服を後ろにいた少年、一方通行に渡した。
そして彼女の手は世の男性を魅了するには充分な豊満さを誇る胸を保護する下着に伸びていく。
手を震わせながら何とか背中のホックを取り外すと、その下着も一方通行に手渡した。

749 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:09:16.89 ID:oJAa+3iKo

風邪を引いてしまったキャーリサが汗ばむ身体を綺麗にしてほしい、と一方通行にお願いした。
決して思春期の少年が妄想するようなR指定の展開はない。現実なんてそんなものである。
……もっとも、このようなシチュエーションでさえ実際は滅多に体験出来ないものだが。


「あー……気持ちいいの」

「ろくに体を動かせねェ介護生活中のジジイババアみてェな状態だなオマエ。
 老人ホームに勤務するヘルパーの気分だぜ」

「うるさいなー。 ここまでひどい風邪なんて引いた事ないからしょーがないし。
 やはり学園都市は危険だな。 怪しげな実験の副産物として発生した未知なる
 病原菌がそこら中に散らばってるんじゃないの?」

「その病原菌がどォしてピンポイントにオマエに感染するンだよ」

「そりゃ病原菌ってのはイケメンや美少女を優先して入り込んでくるって
 昔から言うだろ? だから私に感染しても何ら不思議はないの」

「言ってる事までオバサン臭くなってきてンぞ。 急激な老化現象が始まってンじゃねェの?」

750 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:09:48.75 ID:oJAa+3iKo

一通り背中を拭き終えた一方通行は背後から腕を伸ばしてキャーリサに
タオルを受け取らせようとする。


「あとは自分で拭きやがれ」

「おいおい、まだ"前の部分"を拭いてないの」

「自分の手が届く範囲の部分は自分でやれっつってンだよ」

「えー、ダルいし」

「……、」

「私は病人だぞ? そして私を自ら看病しよーと手を伸ばしてきたのはお前だ。
 ちゃんと責任を持って最後まで面倒見るの。 ほれほれ、英国の王女様の柔肌に
 合理的に触りまくるチャンスだし♪ てゆーか今の私なら大声出して助けを呼ぶとか
 そーいう事は出来ないんだし、やりたい放題だぞ少年クン」

751 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:10:38.44 ID:oJAa+3iKo

くねくねと完全に美肌を露出させた上半身を捻って誘ってくるキャーリサ。
一方通行は額に手を添えながら半ば本気でこの馬鹿女を窓から放り出そうかと思案する。


「何だお前、案外草食系男子とかゆーカテゴリの男だったりするの?」

「帰る」

「だー待った待った! イギリス流のジョークだろーが全く……けほっ、けほっ」


頬を膨らませて拗ねたような顔をしながらキャーリサは一方通行からタオルを受け取ると、
気怠そうに身体の前面を拭き始めた。
上半身裸の女と同じ部屋に居て、尚且つ無言という室内の雰囲気に耐えられない一方通行は
仕方なくといった調子で会話を切り出した。
752 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:11:10.83 ID:oJAa+3iKo


「オマエ、この数日ずっと街をぶらぶらしてやがったのか」

「……。 まーな、特にやることもないし。身分上立ち寄りにくいこの街を
 堪能出来るチャンスは今しかないの。 騎士団長やウィリアムみたいに
 短期のバイトに励むのも私では難しーし、母上から帰国の目処が立ったって
 連絡が来るまではこのままサイエンスライフをエンジョイしよーと考えてたんだけどね」


右腕を上げて腋の下に掻いた汗を拭き取りながら彼女は続けた。


「でもやっぱ一人じゃ暇だな、満喫するにしても限界があるし。
 騎士団長とウィリアムを冷やかすのも何だか飽きてきたし、愛穂は
 あんちすきる? とかゆー仕事で忙しーみたいだし、桔梗は部屋から
 出よーともしないし、打ち止めと番外個体は……まー言っても、正直
 あの二人とはほとんど面識は無かった訳だしな。 仲睦まじく手を繋いで
 一緒に遊ぶよーな間柄でも無いの」

753 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:11:42.00 ID:oJAa+3iKo


「……、」

「どーやらヴェントもまだこの街にいるみたいだけど、それこそ一緒に遊ぶ
 なんて想像も出来ないの。 ……そー考えると、こーして他愛もない会話が
 出来る相手なんてこの街じゃお前しかいないな」

「俺達のアジトに来るか? うぜェぐれェに賑やかになってるが、
 風邪が治ったら寄っていっても構わねェぞ。 あそこなら風斬や
 ガブリエルがいるしな。 ……数人ほどろくでもねェヤツもいるが」

「んー」


気のない返事をするキャーリサが、ふとタオルで汗を拭う作業を止めた。
754 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:12:24.15 ID:oJAa+3iKo


「どォした?」

「私が視界に入らない位置まで移動してほしーんだけど」

「あァ?」

「…………下、足とか拭くから」


両足に被せていた布団をどけながらそんな事を言うキャーリサの顔は
ほんのり紅潮していた。
それは風邪による発熱が原因だったのだろうが、何故だかそれ以外の理由も含んでいるのではと
一方通行には感じられた。
755 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:13:13.26 ID:oJAa+3iKo


「今更かよ。 堂々と上半身裸になってた女が急に何言ってンだ?」

「なんか急に恥ずかしくなってきたの……」

「遅せェよ、どっか感覚鈍ってンじゃねェのかオマエ。 ……まァ、
 オマエに羞恥プレイを強要する気もねェし、言われりゃ移動するけどよ」


面倒くさそうに息を吐くと、一方通行は立ち上がって退室しようとする。
しかし、


「部屋から出るなんて大袈裟な事はしなくていーの」

「ンじゃどォしろって―――」

「あ、こっち見るな!」

756 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:14:13.84 ID:oJAa+3iKo

聞き返すついでにキャーリサの方へ振り向いた一方通行の視界が奪われた。

ボフッ、と。彼女が投げつけてきた単品でゲーム機一台くらい買えそうな
高級枕が彼の顔面に直撃したからだ。


「……、」

「私に背を向けていればいーし」


チッ、と大きく舌打ちをしながら一方通行は化粧台から椅子を引っ張って
苛立ちを発散するように音を立てて座り込む。

言われたとおりキャーリサに背を向けて座ったため彼女の姿や行動は確認できないが、
もぞもぞと衣擦れの音がしている点から考慮するに、下に履いていたスカートや
下着を脱いでいるのだろう。
757 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:14:59.18 ID:oJAa+3iKo


「……それで、どォなンだ。 オマエさえ良けりゃ
 第七学区にある俺達のアジトの場所を教えてもイイが」


どうもこの雰囲気の中では居辛いのか、一方通行は積極的にキャーリサとの会話を試みる。


「……いや、別にいーかなその気遣いは。 そのアジト
 とやらに居るのがお前一人だっていうなら話は別だけど」

「あ?」

「さっきも言ったけど、こんな風に気軽に話が出来る相手はお前くらいのもんだし。
 この街にはあのツンツン頭の少年もいるんだろーけど、まーアイツとも
 笑顔でヘラヘラ談笑するような友好度は持ちあわせちゃいないからな」

「……、」

「街を散策するついでに、実はお前に会えないかなって考えてた」

758 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:15:53.99 ID:oJAa+3iKo

若干声のトーンが変わったような気がした。
しかし一方通行は彼女に背を向けているため、その表情までは窺えない。


「どーせなら一人よりお前と二人で散歩した方が少しは面白そーなの」

「そりゃ光栄なこった」

「でも桔梗の話じゃ、お前もこの一端覧祭とかいうイベントが始まってから
 結構忙しかったみたいだし、そこまで望んではいなかったけどな」

「まァ色々と面倒な事は起きてたよ。 とりあえず現状は落ち着いてるけどな。
 オマエが俺といた方が楽しいってンならいつでも付き合ってやるよ。
 もっとも、オマエが俺みてェな野郎に何を期待してンのかは知らねェがな」

「別に期待は抱いていないの」

「?」

759 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:16:39.05 ID:oJAa+3iKo

「ただ……、……傍にいてくれたらいーなってちょっと思っただけだし。
 そして私のワガママに嫌々ながらも付き合ってくれたら、私は満足かな」

「……………」


そこで一旦会話は途切れた。
キャーリサは物音から察するに、まだタオルで全身の汗を拭っているのだろう。

一方通行はキャーリサの口から出た意外な言葉に面食らい、
どう返せばいいのか分からず、そしてどう受け止めればいいのか迷い、
その狼狽をごまかすように髪の毛を掻く。

ただ、


(クソ、ガラじゃねェよな……こンなの)

760 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:17:42.75 ID:oJAa+3iKo

悪い気はしなかった。一方通行の心が、少しずつではあるが確実に変化している証拠だった。


「ウサギ〜」

「……ンだよ」

「お腹空いたの、何かご飯買ってきてー」


次から次へと面倒な注文ばかり寄越しやがって……、と愚痴りそうになる一方通行だが、
ついさっき『ワガママに付き合ってくれたら』なんて言われた手前、その頼みを無下に
断るのも抵抗があった彼は渋々椅子から立ち上がる。


「……献立のリクエストは?」

「このホテルのメニューには私が求める料理はないだろーし、
 何か適当に軽い物買ってきてくれ。 あんまり病人食っぽいのも
 お断りなの。 それとフルーツも忘れるんじゃないぞ」

「注文が多いな……、宮殿の雑用に同情するぜ」

761 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:18:12.38 ID:oJAa+3iKo

ブツブツと小声で文句を言いながらも、一方通行は現代的なデザインの杖をついて
部屋から出ていった。
身体を拭き終えたキャーリサは彼の華奢な背中を見送りながら、彼が買ってきてくれた
着替えの服を袋の中から取り出す。

彼女は普段の勝気な調子が風邪によって削がれているせいか、
誰にも見せた事のないような儚い笑顔を浮かべて呟くように言った。




「……ありがと」



762 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:18:39.13 ID:oJAa+3iKo

国の王女としての立場に置かれている人間にありがちな話として、過ごした事のない
庶民的生活に憧れている王女が一人の男性に手を引かれちっぽけな幸せを噛み締めるなんて
ものがあるが、別にキャーリサは庶民の生活に憧れているわけでも『王室派』の王女や
軍のトップという立場に不満を持っている訳ではない。

ただ、

一緒に過ごしているだけで幸福を感じる事が出来る異性を見つけた。
いや、以前に彼がバッキンガム宮殿を訪れた時に『見つけた』、が正しいだろう。

すなわち、キャーリサは"再認識"したのだ。
今日までほとんど話せなかったという反動が大きかったという点もあるが、
やはり自分にとって、あの白い髪の少年と過ごす時間は形容しようのない心地よさが溢れているのだと。
763 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:19:19.68 ID:oJAa+3iKo


――――――――――――――――――――――




超能力者(レベル5)第三位、御坂美琴はその光景を遠目で眺める事しか出来なかった。




美琴はとあるゲームセンターの向かい側にある雑貨店の入り口前で佇んでいた。

彼女の視線の先には、バラエティ豊かな女の子たちが映っている。

一人は何度か出会った事がある。名前はインデックスとか言っていたが、どう考えても
本名だとは美琴には思えなかった。インデックスはゲームに熱中するプレイヤーを応援しているようだった。

764 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:20:12.24 ID:oJAa+3iKo

二人はインデックスとは違う、黒を基調とした定番の修道服を着ていた。
その内の一人は先日出会った打ち止めといい勝負の背丈で、ゲームの筐体の
前に座り込み何やらゲームに熱中しているようだった。

内一人はインデックスや小さな修道女とは対照的に、大人びた印象を受ける女性だった。
彼女も筐体の前に座ってゲームをしていたが、美琴視点から言わせれば軽い殺意を抱く程の
巨乳が邪魔らしく、レバーやボタンの操作が上手くいってない様子だった。


美琴の目に映っているのは、あまり見かけない色をしたマフラーを巻く女の子だった。


あの少女も、美琴は出会った事がある。確かあれは第二二学区の『スパリゾート安泰泉』という
アミューズメント施設で行なっていた、スタンプカード一〇点でゲット出来る湯上がりゲコ太ストラップを
入手するために訪れた際の出会いだったか、と美琴は記憶を辿って思い出す。
いや、それ以前に確か一度見かけているはずなのだが、なぜだか思い出すのが躊躇われた。
その少女もまたゲームに熱中しており、画面を睨みつけながらまるで実戦のような表情で
レバーとスイッチを巧みに操作していた。
765 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:21:12.02 ID:oJAa+3iKo


美琴の目に映っているのは、たまに立体映像のようにブレる眼鏡の女子高生だった。


確か『かざきり』と呼ばれていた少女だった、と美琴は彼女と初めて出会った
地下街のテロ事件の事を思い出す。彼女は一端覧祭準備期間中にファミレスで
見かけた事もある……気もした。
眼鏡の少女はインデックスと一緒にプレイヤーを応援していた。その表情は実に楽しそうに見える。

そして、


「……、」


美琴の目に映っているのは――――、

766 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:22:05.54 ID:oJAa+3iKo




「……アンタのせいで昨日の能力実演がトンデモ展開になっちゃったのよ」




――――もう何度出会い、何度会話を交わし、何度夢に出てきたのか数えるのが面倒なほど
想っている彼、上条当麻だった。
美琴はそのウニのようなツンツン頭を見つめながら、白い息と共に独り言を吐き捨てる。


昨日の能力実演の最中にふと思い出してしまってからというもの、美琴は打ち止めや番外個体、
得体の知れない赤髪やガウンの怪物と話をしている時ですら、上条の顔が頭に焼き付いて離れなくなっていた。
それまでは半ば避けるように彼の事を思い出さないようにしていたのに、と美琴は深くため息をつく。


(また女の子に囲まれて楽しそうにして……。 ホント、ブレないわねあの馬鹿)

767 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:23:25.68 ID:oJAa+3iKo

その馬鹿を遠くから眺め、苦笑する美琴。


(……にしても、私はこんな所で何をやってんだか。 らしくない)


確かに普段の美琴なら、ここでツカツカとゲーセンに入店し、『可愛い女の子に囲まれてイイご身分ね〜』とか、
そんな憎まれ口の一つや二つかましているものなのだが、今の美琴はそんな事をする気にはなれなかった。

今までもどこかの女と一緒にいる上条を目撃した事がある美琴だったが、その場合上条は大抵
何かの厄介事に巻き込まれている最中で、彼お得意の『不幸だー!!』な顔で沈んでいたと思う。
しかし今ゲーセンにいる上条は、まるで彼が思い描く『幸せ』を手にしたような、幸福に満ちた笑顔をしていた。

それは単に可愛い女の子に囲まれている状況を喜んでいる顔ではなく、『自分の最も大切な人』と
一緒にいる時の顔。美琴も上条と一緒にいる時は密かにあんな笑顔を浮かべているので理解出来た。


(やっぱ、そうなんだ)

768 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:24:38.41 ID:oJAa+3iKo

上条にとって最も大事な人間。それは美琴にも容易に知る事が出来た。
美琴は――――上条の隣で天真爛漫な笑顔を振り撒く白い修道服を来た女の子に視線を移しながら
深く深くため息をつく。


(あははー……、ホント。 私はこんな所で何をやってるんだろうなぁ)


と、美琴が着ている常盤台中学の冬服のポケットが軽く振動した。
携帯電話がメールの着信を報せるバイブだった。
美琴はもう一度上条に視線を送り、携帯電話を開いて着信メールを確認する。

昨日メールアドレスを交換した、ガウンの怪物からだった。


『外出禁止令発動。 暇。 心躍るてれび番組推奨求む、カモン』

769 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:25:39.70 ID:oJAa+3iKo

文の最後になぜかハサミの絵文字が付け加えられていた。
いくら何でもメールに不慣れ過ぎだろこの文章、と美琴は思わず吹き出してしまう。
一体こいつは何者なんだろうと考えながら、
『ゲコ太の大冒険の再放送でも観れば? 色々と捗るわよ』的な文を作成し、返信をする。


(つか外出禁止令って何だっつーの)


メールにツッコミを入れ、美琴は再びゲームセンターに目を向ける。
すると、


「あ……」

770 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:26:31.32 ID:oJAa+3iKo

偶然外の景色を見ただけなのか、もしくはこちらの存在に気がついたのか。
店内にいる上条当麻と目が合ってしまった。


上条に続いて、店内にいる女子勢も美琴の存在に気付く。
インデックスは美琴に向かって笑顔で手を振り、一度も会った事がない黒の修道服の
小さい方の女の子が"なぜかフレンドリーに笑顔を見せてきていた"。


「…………ッ」


上条が席を立ち、こちらに向かって来ようとしている。
いつも通りの彼女ならここで『気付くのが遅い! 減点!』とか『一端覧祭中にゲーセンで遊んでんじゃないわよ』とか
何でもない日常的会話を切り出す準備が出来ただろう。

しかし、
771 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:27:19.87 ID:oJAa+3iKo


「……………ッ!!」


気がつけば、美琴は逃げ出すように雑貨店の前から走り去っていた。


逃げる理由なんてないのに。普通に、いつものように、談笑すればいいだけなのに。


どうしても美琴は思い出す。"あの時"、


(何やってんだろ……………、私)


"北極海から助け出した上条が最初に放った一言"を、美琴は忘れる事が出来なかった。

772 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:35:05.45 ID:oJAa+3iKo
今回はここまでです。

まぁ一方通行とキャーリサのお話はまだまだ続くので置いといて、
ここで御坂が登場しました。このまま行けばいわゆる『上琴』と呼ばれる
話が展開されるのですが、残念ながら彼女には天使との繋がりが出来ています。
これは天使同盟のSSなので、捻くれた展開にしかならないです。

アンジェレネが御坂に対してフレンドリーなのは、御坂妹と間違えているからです。


次回は側近的存在の騎士団長を中心に話が進みます。

次回更新は三日以内。

それでは、今日もありがとうございました!

773 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/24(木) 13:35:41.64 ID:oJAa+3iKo



                          【次回予告】



「……あの第一七七支部の雰囲気が少し苦手なのである」
ローマ正教禁断の組織、『神の右席』の元一員――――――後方のアックア




「私はこれから柵川中学という学校へ向かわなければならないのだが、
 道中付き合ってはもらえないだろうか?」
英国三派閥の一つ『騎士派』のトップ――――――騎士団長(ナイトリーダー)




「……あの女を支持している人間は全員があいつの上っ面しか見てねェって事か?」
『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・学園都市最強の超能力者(レベル5)――――――一方通行(アクセラレータ)



774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/24(木) 13:49:49.47 ID:sbu+ONeZ0
おっつん
ここの一方さんのもてっぷりと鈍感さは刺殺モンやでぇ…
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/24(木) 13:50:00.47 ID:606ly8Fq0
結局、>>1乙って訳よ
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 14:11:30.17 ID:SMNbNLISO
キャーリサ可愛い過ぎれだろ、これ
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage saga]:2011/11/24(木) 14:17:21.90 ID:PBzoYtEr0
乙ァリ
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 14:41:32.41 ID:yet8SzNDO
原作でキャーリサが一番好きな俺歓喜
一方さんはもげろ
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方) [sage]:2011/11/24(木) 15:43:12.67 ID:q9IsnDGX0
キャーリサかわいいのう
ウサギっていう呼称が好きだわ
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 16:37:50.50 ID:CEU1EqOq0
今日のオカズが決まydjskてづk
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 16:52:00.40 ID:0cUAaaWxo
乙ー
何この可愛い第二王女。一方さんそこ代われ
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 17:33:16.47 ID:KKG58/r10
新たなフラグが建築される予感
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 18:47:13.33 ID:NFJOd6F2o
上条さんがストーリーに絡んできててちょっと嬉しい
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/24(木) 19:11:28.06 ID:ZUNA5WMA0
乙〜
美琴の心理描写良いね
このSSでは上琴よりミーシャとのやりとりの方がみたいのでどんどんやっちゃって下さい
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/24(木) 19:38:16.15 ID:7uJP67zro
琴ミーシャwwktk
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/24(木) 19:54:02.16 ID:Qm0ly9v90
キャーリサ可愛えええええええええええええええええええええええええ。
一方通行かわれよおい。
つうかアックアさん・・・?
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/24(木) 20:46:21.90 ID:eTp6F/Tw0
乙です。
さすが元祖フラグメーカーはやることが凄いな…。
上琴展開はやっぱりなしか…ちと残念。
実らぬ恋ってなんだか苦しいね…。
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/25(金) 07:39:59.84 ID:CMSilphn0
一方さんマジイケメン
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 09:39:21.03 ID:T42V+7vIO
>>1
インデックスさんが幸せならそれで満足。
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 12:34:07.34 ID:6/7pTc0DO
キャーリサがあの姉さんのように
「はぁ〜汗ばむわぁ〜」って言わなくてよかったww
791 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:03:04.03 ID:D2i6sVS5o
こんばんわ、更新を開始します。
久しぶりのゴールデンタイムですね。


さてさて、前回は一方通行とキャーリサによる何だか甘々しい雰囲気の
お話と、御坂美琴の心情が垣間窺えるお話をお送りしました。

御坂の話は投下しようかどうか迷ったのですが、思ったよりウケが良かったので
安心しました。御坂はこれからも登場しますし、活躍もするのでお楽しみに。
上条が放った最初の一言とか何かその辺の話はいずれやろうかななんて思ったり思ってなかったり。

今回も一方通行パートなのですが、残念ながらキャーリサは登場しません。
ちょっと寄り道がてら、彼女の側近的存在である騎士団長との絡みを中心にした
お話をお送りします。

それでは、よろしくお願いします!
792 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:04:14.85 ID:D2i6sVS5o


――――――――――――――――――――――


そろそろ正午を迎えるため、一端覧祭期間中の交通整備短期バイトが昼休憩に入った。
そこで勤務している騎士団長(ナイトリーダー)と後方のアックアは事務所の更衣室で
制服を着替えながら職場の中年の警備員と談笑していた。


「それにしてもアンタら、『外』から来た人だってのに本当によく働いてくれるねえ」

「どんな仕事でも全力を尽くしてやり遂げる事至極当然である」

「なかなかどうして、こういった仕事もやり甲斐があります。 特に、我々のような者が
 国や土地を支えてくれている市民の顔を見ながら働くというのは、非常に良い経験となる」

「はっは、何だそりゃ。 アンタら、『外』じゃ軍のトップとか雇われ傭兵として
 働いてたりでもしたの? 二人共すっげえガタイしてるし、西洋剣片手に
 国を守るため貢献しててもおかしくなさそうだ、なーんてな! ははははっ」

「はは……」

793 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:05:10.14 ID:D2i6sVS5o

イイ線いってるとかそういうレベルじゃなく、ズバリ的中だからこそ
騎士団長は乾いた笑い声を出すしかなかった。
と、中年の警備員は数枚の書類をアックアに差し出しながら、


「ああ、これ。 いつも通りに風紀委員の第一七七支部に届けておいてくれ。
 今日の午前中の交通量とトラブル報告数件、その他諸々が記載されてる。
 いつもウィリアム君に頼んでいるけど、」

「今日はこの男が届けるのである」

「え、なぜ私?」


じゃ、午後一時頃から再開だからなー、と中年の警備員は朗らかな笑顔を見せて
更衣室から出て行った。
794 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:06:02.24 ID:D2i6sVS5o


「おい、なぜ今日は私が提出しなければならないんだ。 いつもはお前が
 届けているじゃないか。 ……何と言ったか、柵川中学だったか?」

「……あの第一七七支部の雰囲気が少し苦手なのである」

「?」


アックアにしては珍しく、少し参ったような表情を浮かべていた。


「何と表現したらいいか難しいところだが、どうにもあの支部は『華』がありすぎる。
 勤務している風紀委員のほとんどが私よりはるか歳下の女子学生。 私のような
 元傭兵が邪魔するには、些かの抵抗があるというもの。 特にツインテールの髪型をした
 風紀委員の娘が、こう言っては申し訳ないが色々と面倒なものでな……」

「まさかお前にそのような苦手意識があったとはな」

795 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:07:02.29 ID:D2i6sVS5o


「ただでさえ慣れぬ学園都市の環境に加え、あのような活気良く若々しい場所に
 私のような人間が訪れるという現実、貴様とて実感は未だ無くも想定は出来よう。
 良い経験だと言っていたな、今日は貴様が一七七支部に向かえ」

「やれやれ……。 では『暴徒の調査』の方はお前に任せるぞ?」


アックアは静かに頷き、書類を騎士団長に手渡した。
騎士団長は着替えを終えると書類を懐にしまい、ロッカーの中に
制服を収めていたアックアに尋ねる。


「食事はどうする?」

「……こちらで適当に済ませるのである。 貴様はさっさと
 支部に赴き、あの空気をその老体に刻みつけてくるがいい」

796 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:07:46.69 ID:D2i6sVS5o


「私はまだ三〇代だ! ……どうした? 気のせいか陰鬱な表情だが」

「いや……またあの子にゲーセンへ連れていかれるのかと思うとな……」

「?」


アックアの意味深な発言に首を傾げたが、彼は気にするなと言って
騎士団長を更衣室から追い出してしまった。


――――――――――――――――――――――


交通整備という仕事上、嫌でも地図に目を通しておかなければならないため、
騎士団長は第七学区の地理を大凡把握していた。
目的地はその第七学区に点在する学校の一つ、柵川中学だ。

797 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:08:44.21 ID:D2i6sVS5o


(しかし勤務中も休憩中も、魔術サイド全般の動きが気になって仕方が無いな。
 今日の調査はウィリアムに任せたものの、やはり私も参加して協力し合った方が
 早期解決に向かえるのではないか……。 『騎士派』が動かせぬ今、『清教派』の
 連中に全てを任せなければならない現状が歯痒い)


未だ踏めぬ守るべき国の地に思いを馳せていると、騎士団長の腹から
獣の唸り声のような音が漏れてきた。


「……コンビニエンスストアにでも寄って腹を満たすか」


騎士として勤めていた頃はほとんど利用した事がないコンビニだったが、
この学園都市に来てその利便性に感動したものだ、と騎士団長は苦笑する。
いつかまたあの宮殿へ帰った際は、宮殿の傍に一店舗くらい設置してはどうかと
英国女王のエリザードに申請してみようかと考えながらコンビニに入ると、
798 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:09:30.09 ID:D2i6sVS5o


「む?」


店内に見知った人影を見つけた。
白い髪に白い肌、射抜くような紅く鋭い眼光。右腕には現代的なデザインの杖。

かつてとんでもない化物を連れてバッキンガム宮殿にやってきた『天使同盟』のリーダー、
一方通行がカゴを片手に陳列されている商品を見つめていた。


「奇遇だな」

「あァ? ……オマエか、"労働団長(バイトリーダー)"」

「君が私の事を正しく呼称してくれた記憶が無いな、まったく……。
 こんな所で何をしている? 私が言えた事ではないが、君がそんな風に
 買い物カゴ片手に商品を見ている姿はどうも似合わんぞ」

799 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:10:21.95 ID:D2i6sVS5o


「本当にオマエにゃ言われたくねェなクソッたれ。 ……つか、
 俺がこンな事するハメになった原因はオマエらのとこのお姫様なンだよ」

「……キャーリサ様、か?」

「あの馬鹿女、熱出してぶっ倒れてやがンぞ」


それを聞いた瞬間、騎士団長の顔から血の気が引いていった。

一方通行の冗談という可能性も一瞬考慮したが、彼がそのようなジョークを
言う人間でない事は付き合いが短い騎士団長でも容易に判断出来た。


「キャーリサ様は今どこに!?」

「第三学区のホテルで寝かせてる。 おとなしく寝てやがるかは分かンねェけどな。
 一応着替えやらタオルやら最低限必要なモンは揃えてあるから焦る必要はねェよ」

「……容態は? 君が処置してくれたのか?」

「放置しとく訳にもいかねェだろ。 熱出してるっつっても、ありゃタダの風邪だ。
 油断すりゃ悪化しちまう可能性もあるが、その辺は俺がいるから正味問題ねェ」

800 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:11:24.34 ID:D2i6sVS5o


「そうか、……すまない、礼を言う。 ……恐らく発症したのは今日の朝頃だろうな。
 昨日の昼過ぎに私とウィリアムを冷やかしに来た時は健康状態に問題があったとは
 見受けられなかった。 ……しかし、クソ。 私とした事が、朝からキャーリサ様が
 外出していた事を疑問に思う事すらなかった……。 直属騎士失格だな」


肩を落としてひどく落ち込む騎士団長。だがそんな彼を一方通行は励まそうとはしない。
これは騎士団長個人の問題だ。ここで一方通行が『まァ気を落とすなよ、しょうがねェって』等と
気を遣っても却って逆効果である事は言うまでもない。

すると騎士団長は、『騎士派』の長としての表情を浮かべて一方通行に言った。


「私はこれから柵川中学という学校へ向かわなければならないのだが、
 道中付き合ってはもらえないだろうか?」

「柵川中学……? どっかで聞いたよォな……。 で、なンで俺が」

「キャーリサ様について話しておきたい事がある」


それは『英国第二王女キャーリサ』ではなく、キャーリサという一人の『女性』についての話だ、
と騎士団長が付け加えると、一方通行はしばし逡巡した後に騎士団長の頼みを受け入れた。
801 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:12:45.65 ID:D2i6sVS5o


――――――――――――――――――――――


考え方こそ違えど、三姉妹の中でもキャーリサは母国の事を最も深く
想っている王女だ。
専門は『軍事』関連だが、国の戦力を整えるために他を蔑ろにするような事を、
キャーリサは決してしない。軍事基地の設立にあたり、場所や環境がその周囲気に住む
国民に悪影響を及ぼすとクレームが出れば、イギリス政府ではなくまずキャーリサが
表立って国民の声に耳を傾ける。

付近に病院があれば戦闘機等の離陸時に放たれる爆音が病人の容態に触る。
母艦を海上に設ければ海中の魚介類に深刻な影響を及ぼし、イギリスの漁業市場に
著しい弊害が生まれる。子供が多く行き交う地域に射撃訓練場を設ければ、万が一
流れ弾が国の将来を担う子供たちに当たってしまった時にどう責任を取るのか。

キャーリサは強行しない。『軍事』に秀でた総大将であろうが、まず一番に考えるのは
『戦力』ではなく『民』。これは王女という立場に君臨するキャーリサからすれば
ごく当たり前の事だった。

802 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:13:29.93 ID:D2i6sVS5o

国民を想う気持ちに関して右に出る者がいない『人徳』に溢れた第三王女や、
己の立場を知る者には一切の信頼を置かない『頭脳』の第一王女も、民の心からの声には
それ相応の気持ちで応えるが、キャーリサとて例外ではないのである。


時に手段を誤る事もある。時に首を傾げてしまうような思い切った行動を勝手に起こす事もある。


『ブリテン・ザ・ハロウィン』は顕著な例であると言えよう。魔術サイドと科学サイドの
戦争に巻き込まれる決定的事実と、英国女王の平和路線な政策に僅かながら不満を持っていた事が、
キャーリサが抱いていた国を想う気持ちを爆発的に膨らませ、衝動的に彼女を突き動かした。

クーデターという手段を持って英国の未来を守護しようと、キャーリサは『カーテナ=オリジナル』を
その手に携え、騎士団長率いる『騎士派』を掌握し、英国の女王として君臨する事を決意した。
『軍事』の実戦的要素も抜群に秀でていたキャーリサは終始抵抗勢力を圧倒する。


だが最終的には、キャーリサは心の底から常日頃憂いていた国民達の『想い』の前に敗れた。
未曾有の戦に巻き込まれるという事実に怯えていたのは自分が守ると決めた国民ではなく、
自分だったのではないか。キャーリサは完全敗北を喫し空っぽになった頭で、そんな事を考える。
803 :×=持って ○=以って 失礼しました ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:15:12.26 ID:D2i6sVS5o

それでも国民はこれだけの惨事を引き起こした張本人であるキャーリサを支持した。
第一王女の計らいでキャーリサの事情を把握していた国民達は、笑顔で己の命を
第二王女に託した、何の迷いも、躊躇いもなく。

国民だけではなく、長年付き従っていた『騎士派』はもちろん、反旗を翻された英国女王も、
キャーリサの指示で殺されかけた第三王女も、誰も彼もが。


これだけの数の人々から未来を共に支え合おうと迎え入れられたキャーリサは、その心に
確かな『喜び』を感じたのだった。




「それが一〇年以上キャーリサ様の下で騎士を勤めさせていただいている、私の知る彼女だ」



804 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:15:51.69 ID:D2i6sVS5o

第七学区、柵川中学へ向かう道中で、騎士団長は語り終えると薄くため息をついた。


これが、騎士団長から語らせた英国第二王女キャーリサの人物像。
自分を『王女』として慕ってくれる国民の平和を、他の二人の姉妹と変わらず
憂い、熟考し、共に歩む国の光。


騎士団長と並ぶように杖をつきながら歩き、彼の話を黙って聞いていた一方通行は、




「それがどォした」




一蹴するように吐き捨てた。
805 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:16:55.52 ID:D2i6sVS5o


「オマエらのとこの姫サマが国民に対してどォ思ってるとか、国の未来のために
 あンな事やこンな事まで考えてるだなンて話を俺に聞かせて、オマエは俺に
 どォいうリアクションを期待してンだ? 国のトップに位置するお姫サマってのは
 寝る間も惜しンで国の事を考える立派な人なンだなァ、とか言って涙を流せばイイのか?」

「……、」

「ハッキリ言うが、あの女がどォいう考えで国を支えてるとか聞かされても、
 俺にとっちゃ何の得にもならねェし、心なンてモンを揺さぶられる事もねェよ。
 どっかのマセガキとの約束で、イギリスで何か大きな事件があれば俺も助力して
 やるとは約束したが、基本的に俺は他国の事情なンざ知った事じゃねェンだ。
 俺にとっても必要な事情なら何だってしてやるが、そォじゃなきゃ干渉はしねェ。
 対岸の火事みてェなモンだよ。 一国の王女の武勇伝なンざ聞いても欠伸が出るだけだ」


あくまでも、一方通行は我を貫き通す。
それは一方通行が冷酷なのではなく、それが彼の在り方だからだ。
806 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:17:56.18 ID:D2i6sVS5o

イギリスが危機に陥り、自分に助けを求められたら恐らく彼は手を差し伸べるだろう。
自分にとって必要な事ではなかったら干渉はしないと言うが、例え国への助力が
一方通行に何の得も無くても、彼は立ち上がってくれるだろう。

しかし、それだけだ。国の民が母国をこう思ってるとか、国の王女が
国の未来を見据えてこんな風に奮闘しているとか、一方通行は何の興味もない。
夜中にベッドで聞いていれば数分も保たず寝息を立てる程度の話でしかないのだ。

だが、


「だろうな。 長くなったが、しかし今の話はほんの前置きに過ぎない」


一方通行が退屈そうにしている事を理解した上で、騎士団長は話を続ける。


「私を含め国の軍に属する者も、国民も、キャーリサ様を心から支持している」

「聞いたよ、諄いぞ」

807 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:18:22.68 ID:D2i6sVS5o


「だがそれら全ての者が支持しているのは『英国第二王女キャーリサ』だ」

「あ?」


騎士団長は逡巡するように一度言葉を切り、あまり自信が含まれていない声色で言った。




「これは私の偏見になるが、"誰一人としてキャーリサという一人の『女性』を慕う者はいない"」




それを聞いて一方通行はようやく耳を立てた。
やや訝しそうな表情を浮かべながら、隣を歩く騎士団長の顔を見る。
808 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:19:37.18 ID:D2i6sVS5o


「………話がよく見えねェな、前置きはまだ終わってねェのか?」

「キャーリサ様は数多くの民に愛され、慕われている。 しかしその感情が向けられるのは
 あくまで第二王女としての彼女だと言っているんだ。 国の王女の一人として国民を
 率いているキャーリサ様を、皆は景仰の眼差しで見ているんだ」

「……あの女を支持している人間は全員があいつの上っ面しか見てねェって事か?」

「表現が好ましくないが、そうであると……私は考える」


しかし、と騎士団長はすぐにフォローの姿勢を見せた。


「それは間違いではない、むしろ正しい形だろう。 エリザード様もリメエア様も
 ヴィリアン様も、そしてキャーリサ様も本音では国民と分け隔てなく親交を深めたいと
 考えていらっしゃるだろうが、それでは国は成り立たん。 最低限の格差があってこその国だ、
 そこを疎かにしてしまったら国は滅ぶ。 国のトップに立つ者は差はあれどそこを理解している」

809 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:20:19.39 ID:D2i6sVS5o


「庶民が王族の『仮面』を剥がす訳にいかねェしな。 そォなっても国は終わりだ」

「一国の治安と平穏を維持するという事がどれだけ困難であるか、
 キャーリサ様に長年付き従ってきた私は改めて実感させられた。
 よほどの度量と器が無い限りはとても務められない立場だとな」


例えば、第三王女のヴィリアンは三姉妹の中でも『人徳』に優れている。
彼女は他の王女と比較してもより国民から愛されている存在であり、
彼女自身も一般庶民との触れ合いに幸せを感じている。

しかしそれは互いに、『相手は自分達の立場を支えてくれている国民』、『相手は自分達を導いてくれる王族』、
という認識から来ている親交であり、互いの間に刻まれた溝はギリギリのところで超えていない。
こうして見るとヴィリアンと国民の間に後味の悪い蟠りが発生しそうな気もするが、
互いにしっかりと身分を弁えているからこそ『人徳』が備わるのだ。

王と庶民。そこには確かに見えない溝が存在するが、手を取り触れ合う際にその溝を
意識する必要はない。
格差を意識せず触れ合うという事も難儀だが、それをごく自然に実行出来る器量を持っているからこそ、
ヴィリアンは『人徳』が優れているとされるのだ。
810 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:21:27.16 ID:D2i6sVS5o


「国家っつー体制を維持すりゃ皆が大きな不満を持つ事なく暮らしていけるンだから
 何も王族の方が自分の全てを見てもらおうなンて考えなくてもイイだろォが。
 あのヴィリアンとかいう女はまた少し違う考えらしいが、そこまで考慮すると
 それはもォ『個』の意志の話になる。 議論するだけ無駄ってモンだろォよ」

「そうだな。 事実、キャーリサ様もそういう国の現状で
 満足していらした。 …………ほんの数週間前まではな」

「?」

「ある種の転機が訪れたんだ。 女性としての自分を知ってもらわなくとも、
 王女としての自分を支持してくれる多くの国民がいてくれたらいい。
 そう考えていらしたキャーリサ様の立場を、足元から崩していくような転機が」


その先の言葉は紡がず、騎士団長は黙って一方通行と目を合わせた。
一方通行はあからさまに面倒くさそうな表情で見返しながら、
811 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:22:06.50 ID:D2i6sVS5o


「………まさかその転機が俺達ってンじゃねェだろォな」

「あいにく、そのまさかだ。 君達『天使同盟(アライアンス)』が宮殿に
 訪れてから、僅かずつではあるがキャーリサ様の心情に変化が現れ始めたんだ。
 いや、正確に言うと『天使同盟』そのものでなく、」

「……、」

「君個人が原因だ、一方通行。 ようやく本題に入る事が出来た。
 一方通行、君がキャーリサ様に取る態度はこれまで彼女が全く経験
 した事の無いものだったんだ」

「異議あり、ってなァ」


呆れたように鼻で笑いながら、一方通行は口を挟んだ。
812 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:23:10.00 ID:D2i6sVS5o


「俺みてェに馴れ馴れしい態度を取る人間に初めて会うなンて経験をするほど
 あの女も箱入りって訳じゃねェだろォがよ。 例えば、そォだなァ………。
 あのクソ無能力者、上条当麻もキャーリサと会ってンだろ? あのクソ野郎が
 王女を前に膝をついて頭ァ下げながら謁見してたとは思えねェンだが」

「『禁書目録』の管理業務を務めている彼か。 確かに、彼も白々しい
 敬語などは使っていなかったと思うし、王族を前に完全なへっぴり腰に
 なってもいなかったと思う」

「だったら、」

「それでも、彼の目に映るキャーリサ様は『王女』としての彼女だった。
 だが君は違う。 君はキャーリサ様を『王女』としてすら見ていない。
 単純に、一人の『女性』に対する態度をキャーリサ様にも変わらず取っている」

「『あなたは全く人間としてのデリカシーを持ち合わせていません』、って
 暗に言われてるよォなモンだぞそれ。 別に構わねェけどな。 つか、
 俺はそンなつもりはねェよ、あンな女でも王女だって事くらい理解してる」

813 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:24:03.87 ID:D2i6sVS5o


「それはどうだろうか。 君が意識していないだけで端から見れば、少なくとも
 私から言わせれば君とキャーリサ様は『男と女』として接しているように見える。
 …………若干強引な推測になるが、君は"鈍感"であると指摘された事はないか?」


その言葉に一方通行は顔を強張らせた。


鈍感。


これまでに何度そう言われてきただろうか。まさか騎士団長にまで
己の鈍感さを見抜かれるとは、さすがの第一位も予測出来なかったらしい。
虚を突かれ、反論の糸口を見出せなくなっている。


「失礼、やはり言葉が過ぎたな。 しかし今の確認作業で確信を得る事が
 出来たよ。 君はキャーリサ様に対する態度を特に意識していないようだな。
 それが根拠になる。 一方通行、君がキャーリサ様の事を一人の『女性』として
 扱ってくれているという確たる根拠に」

814 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:25:37.48 ID:D2i6sVS5o


「暴論ってレベルじゃねェぞ」

「キャーリサ様本人からも君の振る舞いについて聞いているのにか?」

「何?」

「私が今日君と出会い、急にこのような話を持ちだしたのも、
 キャーリサ様から君についての話をよく聞いていたからだ」


道を繋ぐ横断歩道の信号が赤に切り替わったため、二人は一度立ち止まった。


「私とウィリアムがバイトをしている時に、よくキャーリサ様は
 我々の仕事現場に来てはせせら笑って冷やかしていた。
 ……正直あの性格だけはどうにかして欲しいものだが、それは扠置いて」

815 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:26:43.21 ID:D2i6sVS5o


「……、」

「その時キャーリサ様は必ず、君の居場所を我々に聞いてきていたよ。
 君がどこで何をしているのか、暇そうにはしてなかったか、自分の事を
 捜してはいなかったか。 ……我々が知るはずもないのにな」


一方通行は思い出す。ホテルでキャーリサが自分の事を捜していたと明かした事を。

思い出して、騎士団長に悟られぬよう軽く下唇を噛み締めた。


「キャーリサ様は君と過ごしたかったのだろうな。 あの日、バッキンガム宮殿に
 『天使同盟』が訪問してきた時も、キャーリサ様が最も興味を示していた人物は
 君だ。 ……くく、というより、当時のメンバーで君だけが人間だったから、
 と言う事もあったかもしれないがな。 よほど珍しく、そして嬉しかったのだろう。
 『王女』としてではなく、『女性』として接してきてくれた君の態度がな」

「ただの勘違いだろ。 あン時は俺も一応あの女を王族として見てたぞ」

816 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:29:13.82 ID:D2i6sVS5o


「それこそ君の上面ではそうだっただけではないか? すまないが、私は
 君の意見よりキャーリサ様の言葉を信用するよ、これでも直属騎士なのでな。
 普段は滅多に見せない本当の笑顔を、キャーリサ様は君の話をしている時だけ
 我々に垣間見せてくださった。 キャーリサ様の幸福は、私の幸福でもある」

「…………その幸福をぶち壊すよォで悪いが、俺はそこまで出来た人間じゃねェ。
 百歩譲ってあの女が何の間違いか俺を評価していたとしても、だからなンだ?
 そろそろ結論を言わねェとエイワスに職権濫用させてオマエをバイト先から解雇させるぞ」

「そこまで出来た人間ではない君が、ではなぜ風邪に倒れたキャーリサ様に手を差し伸べる」

「…………」

「そうだな。 私程度の人間がこんな事を言うのも烏滸がましいが、率直に私の願いを述べるとしようか」


騎士団長は決して声を大にはせず、しかし一方通行の頭の奥まで響くような
ハッキリとした口調でこう言った。




「彼女を、キャーリサ様を君の手で幸せにしてあげてほしい。 キャーリサ様には君が必要だ」




横断歩道の信号が青に切り替わった。
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 19:33:47.64 ID:bWtmYga70
自分の恋は進展しないのによく言うよ・・・・騎士団長・・・・・
818 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:36:32.03 ID:D2i6sVS5o
今回はここまでです。

いやー男臭い更新でした。男キャラしか登場しない更新は
もしかしたら今回が初めてか……?いやそんな事はないか……。

このSSの騎士団長はいつもギャグ調強めのダメオヤジですので、
今回はちょっと良い感じの部分を強く出してみました。
これじゃまるで騎士団長がキャーリサのお父さんみたいですねえ……ww

次回は寄り道パート、一方通行が柵川中学にお邪魔します。
本筋とは関係無いのですぐ終わりますけど。

次回更新は三日以内。

それでは、今日もありがとうございました!
819 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/26(土) 19:37:13.71 ID:D2i6sVS5o



                          【次回予告】



「うーいはるぅぅぅぅぅぅん!!! 大ニュースを持ってきてやったぜ!!」
柵川中学の生徒・初春飾利の親友――――――佐天涙子




「ええっ!!? 超ウルトラスペシャルアルティメットパーフェクトメガ粒子砲ですか!?」
第一七七支部所属の風紀委員(ジャッジメント)――――――初春飾利




「必要ねェよ、別にオマエを助けたつもりはねェしな」
『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・学園都市最強の超能力者(レベル5)――――――一方通行(アクセラレータ)



820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 19:48:11.21 ID:wuJxCJaGo
>超ウルトラスペシャルアルティメットパーフェクトメガ粒子砲
どんな大艦巨砲だwwwwww
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/26(土) 19:51:16.25 ID:FBMhbcsO0
乙です
>「ええっ!!? 超ウルトラスペシャルアルティメットパーフェクトメガ粒子砲ですか!?」
正直初春がこのSSで一番壊れてると思う
ってかどんな威力だそれww 3000機体どころかエクストリームも一撃とかじゃ…。
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/26(土) 20:14:43.21 ID:+tfotHXV0

騎士団長がお父さんすぎてわろた。
初春ェ
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/26(土) 20:15:03.70 ID:a0CJJrqE0
なにそのネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲みたいなのwwwwww
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/26(土) 21:09:17.25 ID:j4hdoGOM0
>>1
天使のガブリエル
人工天使の風斬
慈愛のオルソラ
軍事のキャ−リサ

皆幸せになって欲しいが、考えてみるとすごいな…
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 21:56:29.53 ID:FkrYHMIw0
次回はパンツ回ですね
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/26(土) 22:01:04.02 ID:VQEnKdlg0
バイトリーダーに不覚にも吹いてしまったww
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 22:30:49.38 ID:qy4iozgDO
>>823

オレもそれ思い出したわwwww
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/26(土) 22:36:53.34 ID:DUJxmfXp0
一通さんの台詞
もしやかっきー戦のことを言ってるのかな?
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/26(土) 22:39:16.04 ID:lVxcOO040
そのメガ粒子砲が初春のコアから出るんですね
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/26(土) 23:54:06.41 ID:ZkWS5T2F0
初春ェ・・・
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(滋賀県) [sage]:2011/11/27(日) 00:16:36.66 ID:V6xtdj9I0
>>829 もはや初春って何なんだよwwww
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/27(日) 00:57:33.10 ID:9MJqk0zh0
まったく、誰が一方さんをここまで鈍感にしてしまったんだ!と思ったら
誰からも構われずに放っとかれてたんだった

しかし究極のぼっちからこうもモテるようになるとか落差大きすぎるだろjk
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 12:54:22.89 ID:bVlKzWYDO
一方さんのハーレムが完成しつつあるな…


そして次回はフシギバナのソーラービームか…
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 17:30:48.61 ID:ZdQNhvIx0
バイトリーダーめ
偉そうにほざくのは堕天使エロメイドを口説いてからだ
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 01:48:35.02 ID:XSeAHmdIO
そういや王家の父親って出てきた事ないな。なにしてるんだろ。
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/28(月) 04:21:40.20 ID:Dgag70fqo
俺の隣で寝てたよ
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 12:34:01.76 ID:HqGvW90DO
え?騎士団長が?
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/28(月) 16:28:27.28 ID:b68wKjzG0
>>837 いいえ、それはバーバ・ヤーガです
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 17:33:28.68 ID:r9ftiqmD0
>>837 いいえ、三騎士と川の字です
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/11/28(月) 18:53:40.49 ID:03s0maN50
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/28(月) 21:47:14.75 ID:fIi10KXh0
>>839 シュールすぎるよwwww
絵がみたいなー
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/28(月) 21:51:02.97 ID:fIi10KXh0
そういえば>>840
E-mail欄にsageやんないと他の人が勘違いしちゃうから
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/28(月) 22:28:47.93 ID:6bkiJ8Fo0
そろそろ雑談やめてくれ…
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山口県) [sage]:2011/11/28(月) 22:45:20.01 ID:mCRg53tZo
嫌です
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:50:40.26 ID:8awlAgNIO
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:54:39.31 ID:Qcl9JpUMo
嫌ですの
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/29(火) 00:15:42.18 ID:kn44g2PW0
無駄レスは禁止だぜってカキネはカキネは警告してみたり
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/29(火) 11:13:36.75 ID:Ct8gff310
SSの感想以外はレス禁止ってこと?
>>1次第だとは思うが…。
849 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:43:04.74 ID:wPCBNrwuo
>>835
そうなんです、私も実はそこが気になっていて、存在するのなら
早いとこ登場しておただかないと個人的に困るっていうか……はい。


という訳でこんにちは、お昼の更新どぇす。
レスは個人的には多ければ多いほど嬉しいし楽しいので構わないのですが、
気になるという方がいたら程々にという事でいかがでしょうか、すみません。


さて、今回も一方通行パート。アンロック編、キャーリサバージョンでお送りします。
とか言いながら今回の舞台は柵川中学という寄り道っぷり。


では、よろしくお願いします!
850 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:44:21.70 ID:wPCBNrwuo


――――――――――――――――――――――


それにしても今年の一端覧祭は例年と比較すると異様な程の盛り上がりを見せている。
『第一九学区事件』というどこの誰が起こしたのかも不明瞭な忌々しい事件の影響で
不安視される事になった学園都市のマイナスイメージを少しでも回復させるために
あの統括理事長自らが率先して積極的に取り組む意向を見せたのだから無理もないのかもしれないが。


しかし姿すら見たことのないそんな統括理事長の熱意より、一端覧祭の影で違う意味でも
盛り上がってしまっている『外』から来た参加者狙いの窃盗事件や暴行事件の後始末の方が
目に見えている分大変で、柵川中学の一室にある『風紀委員(ジャッジメント)』第一七七支部は
少々火の車状態だった。


「あー、面倒くさ」

851 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:45:25.86 ID:wPCBNrwuo

彼女らしからぬ発言に、街の監視カメラ映像とリンクしているモニターを凝視して
治安維持活動を行なっていた初春飾利は後ろに首を回した。


「大丈夫ですか固法先輩?」

「大丈夫だったらこんな愚痴こぼしてないわよ。 一端覧祭の盛況に乗じて
 事件を起こす輩が出てくるのは毎年の事だけど、それにしたって今年は
 ちょっと異常だわ。 ただの喧嘩や窃盗ならともかく、病院に担ぎ込まれる
 重傷者まで出てきてる事件もある。 ……特に気になるのが、」


固法は事務机から離れると、位置がずれていた眼鏡を指先で整えながら
初春の下へ歩み寄ってきた。慣れた手つきでキーボードを叩く。

パソコンのモニターに表示されたのは、一端覧祭開始日から今日までに
発生した大小様々な事件の一覧だ。
852 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:46:17.18 ID:wPCBNrwuo


「あ、ここって……」

「第一〇学区。 ……ある意味思い出すのが躊躇われる場所だわ、私にとってはね。
 そんな第一〇学区で暴力事件が発生してるのよ。 被害者は全員スキルアウト。
 加害者は行方不明。 初春さん、この事件の詳細データはまとめておいた?」

「す、すみません、その辺りのファイルにはまだ着手してなくて……」

「そう、ならついでにまとめておいて。 被害者のスキルアウトは約十数名。
 犯人を目撃した者もいれば、見る間もなく叩き潰された人もいる」

「犯人は複数でスキルアウトの人達を襲った……?」

「いいえ、警備員の取り調べによるとこの事件は単独犯によるものらしいわ。
 比較的軽傷で済んだスキルアウトがそう証言している。 ……ただ、
 そのスキルアウト達の様子が少し気になるものだったらしいの」

「?」

853 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:47:19.78 ID:wPCBNrwuo

固法はマウスを操作し、警備員が作成した被害者の証言についてまとめられた
データを表示させた。


「ほら、これ。 『犯人の特徴について質問したところ、被害者全員が似たような反応を示した。
 カチカチと歯を鳴らし、顔を青くしながら「あいつは能力者なんかじゃない」、「人の皮を被った怪物」。
 以上のように、全員が要領の得ない証言ばかりで犯人の具体的な特徴を述べようとはしなかった。』……、
 気にならない? 特にこの、『犯人は能力者ではない』という証言」

「何ですかねこれ……。 監視カメラの映像は既に調べてあるんですか?」

「えーと……、これね。 『スキルアウトが点在していた場所に設置されていたカメラの映像は、
 全て"赤い何か"によって塗り潰されており、検証不可能な状態になっている』。
 このスキルアウトの事件の直後、同じ第一〇学区で似たような現象が数人の学生に目撃されてるのよ。
 "空から赤い何かが落ちてきたと思ったら、路上で女の子が倒れていた"、っていうこれもまた要領の得ない
 目撃証言なんだけど、警備員はスキルアウト襲撃事件の犯人とこの現象を起こした犯人は同一人物だと推測してるようね」

「はあ……何だか不気味ですね……。 ……赤、ですかぁ」

854 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:49:01.58 ID:wPCBNrwuo

つい昨日の事を初春は思い出していた。
常盤台中学の能力実演を見学している時に出会った、火野と名乗る男。
彼の第一印象は何かと問われたら初春は迷わず『なんか赤い人でした、色々』と答えるだろう。

御坂美琴が能力実演でミーシャ=クロイツェフと『ショー』を演じていた時、
不意に空を染めた"何か"も赤だったような……と初春は考えるが、


(まぁ……さすがに関係ないですよね。 こんな事件を起こすような人には見えませんでしたし)


第一〇学区の事件と火野という男を結びつけるには至らず、思考を放棄した。

そうしている間にも固法はマウスとキーボードを操作して
一端覧祭で起きたあらゆる規模の事件を閲覧していく。
855 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:50:32.02 ID:wPCBNrwuo


「これは学園都市のほぼ全学区で目撃されている……現象、ね。 事件性は無いとされてるわ。
 『天使のような羽根を生やした謎の虹色飛行物体が学園都市上空を猛スピードで飛翔していた』。
 ……なんか、ここまで来ると一種の都市伝説のように思えてならないけど」

「佐天さんとかこういうの好きそうですよね〜。 虹色の飛行物体……、
 私は見ませんでしたけど、これ結構目撃者が多いですね」

「それと一応、昨日あなたが見学した常盤台中学の能力実演も一端覧祭で起きた
 妙な事件としてカテゴライズされているのよ? なんでも、御坂さんと共同して
 パフォーマンスを行った能力者がとんでもない人だったそうじゃない」

「あー、あれは本当にすごかったですよ! その人、ミーシャさんっていう
 多分外国の方なんですけど、あの御坂さんですら驚いてましたもん。
 『水流操作』だけじゃあれだけの力は振るえないって」

「ま、そんな風に……何だか今年の一端覧祭は初っ端から珍事件が起きてるのよね。
 これも『第一九学区事件』の影響だ、だなんて囃し立ててる人もいるみたいだけど、
 何にせよ私達や警備員がのんびりと文化祭を楽しめる事はないかもしれないわね」

856 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:52:01.60 ID:wPCBNrwuo


「第一七七支部には『体験講習』の希望者も来ませんしね、私は昨日
 一昨日と楽しんだ分、残りの開催期間中は一生懸命働きます!」


そう言って鼻を鳴らす初春の頭を、固法美偉はジーッと凝視していた。

心なしか、いつもより頭に咲き誇る髪飾りの花の数が少ない気がしたからだ。
季節によって髪飾りに装飾する花を変えるオシャレな初春だが、今日の髪飾りは
まるで"応急処置"でも施したように花の種類がまちまちだった。


「ねえ、その髪飾りは何、大胆なイメチェンを施してみたとかかしら?
 素人の私にはやけに寂しい飾り付けに見えるけど……」

「くく……、食べられちゃいました……」

「?」

857 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:53:08.07 ID:wPCBNrwuo

先ほどの熱いやる気はどこへやら、妙な事を言い出した初春の姿はどこか悟っているような雰囲気を醸していた。
悲しそうというよりは儚げな、触れたらガラスのように崩れてしまうのではと危惧してしまう程だ。
何があったか聞くか聞かないかと固法が迷っていると、


「うーいはるぅぅぅぅぅぅん!!! 大ニュースを持ってきてやったぜ!!」


指紋、静脈、指先の微振動パターンのチェックをクリアしないとロックが解除されない
第一七七支部の厳重な扉をどういう方法を用いたのか、軽々と開いて佐天涙子が大声と共にやって来た。
固法は自分と違って一端覧祭を満喫している元気な女子中学生を見ると呆れたようにため息をついて、


「またあなたは勝手に……」

「あ、えへへ〜すみません! お邪魔しま〜す♪」

「佐天さん、どうしたんですかそんなにテンション上げて」

「ふふ……聞いて驚くなかれ初春クン。 何と本日はこの平凡な中学校に
 超ウルトラスペシャルアルティメットゲストが足を運んできてくれたのだよ!!」

858 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:53:35.52 ID:wPCBNrwuo


「ええっ!!? 超ウルトラスペシャルアルティメットパーフェクトメガ粒子砲ですか!?」

「もはや人じゃなくなってンだろォが、そして無駄にハードル上げてンじゃねェよクソガキ」


廊下から聞こえた声に初春と固法は目を丸くした。
二人はてっきり御坂美琴でもやって来たかと予測していただけに、
その全人類を威嚇するような鋭い声色に若干警戒の色を見せる。

やがて声の主が二人の前に姿を現すと、佐天は出演者を紹介するように腕を広げて言った。




「なんと! この柵川中学にレベル5の第一位様がお越しになられたのだー!!」




無茶苦茶なテンションで紹介された学園都市最強の第一位、一方通行は早くも帰りたそうな表情になっていた。
そしてその後ろで、本来ここに用があってやって来たはずの騎士団長がめちゃくちゃ居づらそうに佇んでいた。
859 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:54:28.41 ID:wPCBNrwuo


――――――――――――――――――――――


――学園都市・第七学区 柵川中学 風紀委員第一七七支部


固法「………レベル5、」ポカン

初春「第一位………?」キョトン

佐天「まさか本当に来てくれるなんて、あたし本当に嬉しいです!」

一方通行「そォかよ、そりゃ良かったな。 じゃあ俺はこれで」カツッ

佐天「はい、それじゃまた……って何でやねーん!!」ガシッ

一方通行「ッ、おいクソガキ!! 服を引っ張るな服を!!」

860 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:56:13.49 ID:wPCBNrwuo

佐天「せっかく来たんですからもうちょっとゆっくりしていってくださいよ!」

一方通行(クソッたれがァ……、校門前にこいつが居たのは不運だったな。
     柵川中学って名前の学校をどこかで聞いたと思ったら、長点上機の講習を
     受けに来たこいつが通ってる学校だった事を寸前で思い出すとは……)

騎士団長「……、」ポツン

初春「え、佐天さん……この人は?」

佐天「だから今言ったじゃん。 レベル5第一位の一方通行さん」

固法「第一位……!!? 学園都市の能力者の……頂点……?」ゴクッ

初春「………あ、れ?」

一方通行「ここ風紀委員の支部なンだろ? 部外者は立ち入り禁止じゃねェのか」
861 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:57:03.89 ID:wPCBNrwuo

固法「え……、えぇ、一応」

佐天「お、お願いします!! そこを何とか……!」

一方通行「つーかよォ、俺ァ別に風紀委員の世話になりにきた訳じゃねェンだ」

佐天「そりゃわかってますけど―――」

一方通行「おい、オマエは何をそこで突っ立ってやがンだ。
     オマエがここに用があって来たンだろォがよ」

騎士団長「ん、ああ………」

佐天「……はて? そういえばこのお方は……?」

騎士団長「ふっ、さすがは学園都市。 『騎士派』のトップを
     務める私ですら眼中に無いという事か………」
862 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:57:50.95 ID:wPCBNrwuo

固法「……佐天さん? あなたのそのバカみたいなテンションじゃ
   状況が把握出来ないから、きちんと説明してくれる?」ゴゴゴ

佐天「あ、はい……すみませんでした。 調子に乗りすぎました……」ビクッ

騎士団長「……こほん。 第七学区交通整備担当の者だ」

固法「あ、お疲れ様です。 午前中の経過報告ですね?」

騎士団長「ああ。 いつもはウィリアムがここに来ているのだが……」

固法「短期で雇われている警備員の方ですよね? ご苦労様です」

騎士団長「正規の警備員ではないがな。 これが報告書だ」スッ

固法「承りました」

初春「…………………………………やっぱり、」
863 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:58:59.39 ID:wPCBNrwuo

初春「…………………………………やっぱり、」

佐天「ん? どしたの初春」

初春「あの、一方通行……さん? で、よかったですか?」

一方通行「あァ? ンだよ」ギロッ

初春「あの、私……以前に一度あなたに……」

一方通行「? 俺に会った事があるってか?」

初春「は、はい!」

佐天「ああ、昨日常盤台で言ってた話?」

初春「学園都市の独立記念日だったかな……、あの時に」
864 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 11:59:51.06 ID:wPCBNrwuo

一方通行「独立記念日……? そン時確か俺は」

初春「私が怖い男の人に襲われて……そこをあなたに助けてもらったんです」

固法「……ちょっと待って。 それって学園都市全域で異常な
   AIM拡散力場が検出された事件が発生した日じゃない?」

初春「た、多分……」

一方通行(……俺と垣根が殺り合ってた時か。 居たっけこンなヤツ……)

初春「まだちゃんとお礼を言っていなかったので、」

一方通行「必要ねェよ、別にオマエを助けたつもりはねェしな」

佐天(わーお……超クール)

初春「そ、それでも感謝してます! あの時は本当にありがとうございました!」ペコッ
865 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:00:34.23 ID:wPCBNrwuo

一方通行「……チッ。 どォいたしましてー」

騎士団長「ふふ、君も色々な所で手を差し伸べているんだな」

一方通行「そンなンじゃねェってンだろクソ」

固法「……事情はよくわからないけど、」

一方通行「あ?」

固法「私からも礼を言わせて。 この子を助けてくれてありがとう」

一方通行「……」

佐天「わ、私も! 親友を助けてくれてありがとうございました!」

一方通行「……そォいう感謝はな、当時の俺みてェなクソ野郎じゃなくて、
     本物のヒーローってヤツに贈るモンなンだよ」
866 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:01:14.46 ID:wPCBNrwuo

固法「あら、この子にとっての本物のヒーローというのが、あなたに該当するんじゃないかしら?」

一方通行「冗談にしては笑えねェな」

初春「でも、今日はどうして柵川中学に?」

佐天「そりゃあもちろん私との――――」

一方通行「このオッサンの付き添いだ」

騎士団長「オッサン言うな」

佐天「――――ですよねー……」アハハ

一方通行「……………」

一方通行「ついでに、このうざってェクソガキにお呼ばれしたから参上したまでだ」

佐天「!」パァァ

一方通行(うぜェ……)
867 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:02:11.84 ID:wPCBNrwuo


――――――――――――――――――――――


白井「ただいま戻りましたの。 ったく……今日も非番だったはずですのに、やれやれですの」

固法「あら、お疲れ様。 お昼ご飯用意してるから、適当に済ませちゃって」

白井「ありがとうござ……、おや?」

佐天「お邪魔してまーす」

初春「お疲れ様です白井さん」

一方通行「………」

騎士団長「第七学区の交通整備を担当している者だ」

白井「ご苦労様ですの。 ……ところで初春、この殿方はまさか」

868 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:03:32.54 ID:wPCBNrwuo

初春「は、はい。 昨日の話で出た一方通行さんです」

一方通行「なンだオイ。 俺の知らねェところで噂になってンのかよ」

白井「あなたが……学園都市の第一位……」

初春「昨日、常盤台中学で能力実演を見学してる時に話題に挙がりまして、」

一方通行「……常盤台中学?」ピクッ

佐天(あ……、)ギクッ

白井「火野さんという、貴方のお知り合いとお会いしたんですの。
   その際にレベル5第一位の貴方に関するお話を少し」

一方通行「火野……? ……、」

白井「それとミーシャさんとアホ毛……打ち止めちゃんと、番外個体さん……だっけ?
   その人達ともお知り合いなんですよね? いやあ、こんな偶然ってあるんですね」
869 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:04:39.75 ID:wPCBNrwuo

一方通行「……そいつらが常盤台中学に来たのか?」

白井「ええ」

一方通行(……………フィアンマくゥゥゥゥン。 あの野郎、結構な冒険劇を繰り広げてるじゃねェか)

騎士団長「(……おい、ミーシャというと、あの?)」ヒソヒソ

一方通行「(他に居てたまるか。 こいつら、あのアホ天使と接触してやがる)」

騎士団長「(学園都市の人間に天使の存在が発覚する事態はまずくないか?
      今更と言えば今更だが、こういう事態は避けるに越した事はないだろう)」

一方通行「(ンな事は重々承知してンだよ。 ………)」

初春「あのー……、何か?」

一方通行「そのミーシャってヤツは何か言ってたか?」
870 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:05:49.41 ID:wPCBNrwuo

白井「いえ、そもそもあの方は何やら"喉の病気"に冒されているらしく、
   わたくし達では言葉が聞き取れませんでしたわ」

初春「病気……にしては変わった声でしたよね。 ノイズっぽいんだけど、
   聞いても別に不快感は感じないというか……どこか神秘的な声でした」

佐天「病気って感じじゃなかったよね」

一方通行(……一応それなりのフォローはしてあるみてェだな。 ガブリエルが
     天使だって事も知り得ていねェよォだし)

白井「ところで貴方、お姉様とはどのようなご関係で?」

一方通行「お姉様?」

初春「御坂さんですよ。 一方通行さんって打ち止めちゃんと番外個体さんの
   知り合いなんですよね? あのお二人、御坂さんの姉妹だって言うものですから」
871 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:06:20.77 ID:wPCBNrwuo

佐天「………、」チラッ

一方通行「…………、」ギロッ

佐天「(わ、私は御坂さんに一方通行さんの話は振ってませんよ! 誓って!)」アセアセ

一方通行(第三位とクソガキ共が接触したか。 関係性は適当にごまかしてるみてェだが
     ……俺の"その後"は第三位に知られたと考えて間違いなさそォだな……)

佐天「……」

一方通行「……オマエらで好きに解釈したらイイ」

初春「?」

白井「どういう意味ですの? それ」

佐天(御坂さんと一方通行さんって過去に何かあったのかなぁ……)
872 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:06:59.35 ID:wPCBNrwuo

固法「何だか込み入った話をしているようだけど、」

一方通行「どォって事はねェよ」

固法「良ければあなた達もここでお昼を取っていかない?」

佐天「おお! ではお言葉に甘えて〜♪」

一方通行「…………」チラッ

騎士団長「(一方通行、すまないが)」

一方通行「(わかってる)」

固法「?」

一方通行「俺はイイ。 用事があるンでな」

固法「あら……、そう?」
873 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:08:03.33 ID:wPCBNrwuo

佐天「ええー!! せ、せっかく来たのに……?」

一方通行「ここでのンびりしてる場合じゃねェンだよ」

初春「そうですかー……もうちょっとお話を伺ってみたかったんですけど」ショボン

一方通行(冗談じゃねェ)

白井「……また機会がありましたら、"お姉様も含めて"ゆっくりとお話したいですわね」

一方通行「……………」

佐天「(任せてください! 事情は知りませんが、私がしっかりフォローしておきますから!)」グッ

一方通行「………すまねェな」

佐天「!」

初春「え?」

一方通行「なンでもねェよ。 邪魔したな」カツッ
874 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:08:46.04 ID:wPCBNrwuo

固法「ええ、気をつけてね」

初春「是非また立ち寄ってくださいね!」

佐天「………」

固法「あなたはどうします? ……外人の方のお口にも合いそうな
   紅茶があるにはありますけど……」

騎士団長「いや、私も失礼させてもらおう。 休憩などすぐに終わるからな」

固法「わかりました。 交通整備の方、よろしくお願いします」

騎士団長「ああ。 では、」スタスタ



一方通行「…………さて、」カツッ

騎士団長「すまんが、キャーリサ様の事は頼む」

一方通行「俺は俺のやり方でやらせてもらう。 オマエの意向なンざ知った事じゃねェよ」

騎士団長「ああ、任せる」
875 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:13:51.30 ID:wPCBNrwuo
今回はここまでです。

いやー、寄り道ってレベルじゃねえぞ。こんな事してるから
長期化するんでしょうね……。でも佐天との約束は守りたかったので
ご勘弁いただけたらと思います。

次回は再び一方通行とキャーリサ。まぁ爆発しろ的なお話もありますが、
次はちょっとこの蛇足・天使同盟の最終回に関する話も出てきます。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
876 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/11/29(火) 12:14:18.29 ID:wPCBNrwuo



                          【次回予告】



「ふふ、やっぱお前と居ると楽しーよ。 ウサギ」
英国三派閥の一つ『王室派』第二王女――――――キャーリサ




「(目ェ覚ませ一方通行ァァァァァ!!!!!)」
『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・学園都市最強の超能力者(レベル5)――――――一方通行(アクセラレータ)



877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 12:31:30.78 ID:+cxAbIjSO


佐天さんまじ佐天使
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) :2011/11/29(火) 12:35:57.32 ID:eVN9oqKB0
何だ、いったい何が起こったのだ?
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 12:48:59.22 ID:o3Rw2mCko
ときめいちゃったりしたんだろうかこの一方通行はww
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/29(火) 12:58:38.19 ID:rdwFXFkl0
ついに一方通行のネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲が目覚めるんですねわかります
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽) [sage]:2011/11/29(火) 13:36:32.20 ID:FtPYu3iAO
一方さんどうしたwwww
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/11/29(火) 17:07:18.58 ID:YUp4o4Iq0
ついに一方さんにも春が……ッッ!!
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/29(火) 18:27:07.94 ID:Ct8gff310
1乙です
>次はちょっとこの蛇足・天使同盟の最終回に関する話も出てきます。
>蛇足・天使同盟の最終回に関する話
>最終回
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 19:06:05.92 ID:edDD6GGIO
心配すんな。蛇足が終わるってだけの話だ
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 19:11:14.91 ID:SPnma1ZJ0
一方通行が柵川中で教鞭をとる姿が見てみたwwww
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/29(火) 19:21:01.30 ID:W9zp9+TU0
一方通行何があったんだよ。おい。何があったんだよ!
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 19:22:07.80 ID:+vOpKIslo

エイワスと戦って終わりだと思ってたがどうやら違いそうだな
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/29(火) 19:53:32.37 ID:iKywprvE0
>>883
あえて言わせてもらう

こっちみんな、向こう向いてろ
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 21:38:02.93 ID:tnPDIHVIO
行間である蛇足が終って第二部か…
期待が膨らむな
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/29(火) 21:54:53.20 ID:c/F3Wxfo0
>>882
最初のスレからずっと春な気がする
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/29(火) 23:32:05.91 ID:g9vcus3f0
正直一方通行爆発しろ系の話はお腹いっぱい
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 23:32:55.54 ID:qMw95hbzo
サテンサン!!!
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/30(水) 05:53:25.53 ID:Kl9dhuJl0
正直一方通行爆発しろ系の話はお腹いっぱい
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/30(水) 07:40:26.63 ID:pn7v0ryBo
あらためて凄いなぁ話の練り込み用が半端無いわ…どれだけの設定を考えてるのか
乙です
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 18:34:58.66 ID:P7HiluBDO
最終回の…

そんな…俺はこれから何を楽しみに生きていけば……


ってか、最終回まですでに書き為済みなのか?!



そして、佐天さんのアンロックを楽しみしてる(あるのか?)
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 19:20:38.26 ID:0j+BZaEK0
え?蛇足が終わって第二部なんだろ?
・・・そうだよな?そうなんだよな?
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 20:39:50.31 ID:88fuHDv5o
そういえばなんの意味も関係も無いが
ガブリエルのシンボルは剣と百合の花なんだってな
剣 と 百 合 の 花 な ん だ っ て な
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/12/01(木) 12:27:43.30 ID:MdOBYpeBo
>>897
剣=騎士のシンボル=騎士団長
百合=百合子=一方通行

ガブリエルは 騎士団長 × 一方通行 派ということか
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/01(木) 13:13:25.71 ID:8oIzvbx9o
つまんねーよ
これだから腐れ長屋は
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大分県) [sage]:2011/12/01(木) 17:09:23.21 ID:5EPDKrfK0
>>899
じゃあ見んな
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/01(木) 17:26:23.41 ID:8oIzvbx9o
>>900
腐女子思考うざいんで消えて頂けますか^^;
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/12/01(木) 17:29:10.64 ID:r8xsRhc3o
このSSに対してつまんねーと言ったわけじゃないだろ・・・
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/12/01(木) 18:19:45.54 ID:EC0WNcxF0
くだらねェ喧嘩してねェでおとなしく更新待てねェのかァ?
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 19:09:25.03 ID:I3ZmzrxIo
>>903
うわコイツ痛い
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 19:30:37.47 ID:9gUBGLuGo
そんなことよりオルソラの話しようぜ!
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/12/01(木) 19:31:20.88 ID:SRQGPF+Vo
おっぱ(ry
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 20:52:39.73 ID:VDFLq2cDO
貴重な全裸枠
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 22:32:52.76 ID:sNP1bWNao
おいおい、全裸枠はガブリエルに決まってるじゃないか
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 07:56:27.87 ID:qkwAGGjao
そんなことより義妹の話をしようぜい
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/02(金) 08:59:14.52 ID:6tn3hsgxo
ショチトルはかわいいですよ
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 10:52:19.62 ID:5O0RIsUD0
ガブリエルに全裸とか
腹ドン食らって成層圏まで突き抜けるし
912 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:03:34.22 ID:SWYtuYGgo
>>893
ワンパターンで申し訳ない……。この先もそういう系の話は
ありまして、お腹いっぱいどころか胃もたれを起こすかもしれませんが
どうか見守ってくださると非常にありがたいです。


こんにちわ、更新を開始します。最近この時間帯の更新が増えてきたなぁ……

今回も一方通行パート。第一七七支部での寄り道が終わり、
一方通行は改めて騎士団長から言われた言葉と向き合おうとします。

それでは、よろしくお願いします!
913 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:04:16.34 ID:SWYtuYGgo


――――――――――――――――――――――


『幸せにしてやれだァ? その歳でボケが始まってンのかオッサン。
 オマエはいつあの女の親父になったンだよ。 キャーリサには俺が必要って、
 あの女の周りには掃いて捨てるほどの味方がついてンだろォが』

『それは王女としてのキャーリサ様の環境だ。 私が言っているのは
 一人の女性としてのキャーリサ様の心の支えになっているのは君だという
 事だよ。 王女としてではなく、単なる女性として異性と接する事に不慣れな
 キャーリサ様は恐らく今、ひどく困惑している。 注意深く観察しないと
 判断出来ないほどそういう素振りは見せないけどな』

『馬鹿馬鹿し過ぎて耳が痛くなるな。 そンなに俺を持ち上げてオマエはどォしよォってンだ』

『ならば言い方を変えようか。 責任を取れ。 君の、厳密には「天使同盟」のおかげで
 キャーリサ様や我々は英国を半ば追い出されてしまう状況に置かれた。 既に君の耳にも
 届いているかも知れんが、大戦を終えて平穏が戻りつつある魔術サイドの裏では、君達
 「天使同盟」が起こした例の事件に感化され、「暴徒」と化している魔術師が現れ始めている』

914 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:05:02.36 ID:SWYtuYGgo


『……何?』

『初耳か。 まぁ、現在魔術サイドをにわかに騒がせている暴徒の連中の発生は
 君達に全ての責任があるという訳ではないが、そういう言い方でもしないと
 君は納得してくれないだろうからな。 「王室派」含め、魔術サイドの各組織は
 その暴徒の後始末に追われているんだよ』

『……その影響で英国の地を踏めなくなったキャーリサを俺が支えてやれと?
 オマエ、自分が言っている事が破錠しまくってる点に気付いてンのか?』

『言葉を選び、君が納得のいく一手を模索しているだけだ。
 結論を述べると、キャーリサ様は君を必要としている。 
 無理強いはしない、ただあわよくば――――――――、』


柵川中学に向かう道中で騎士団長と交わした会話を、一方通行は反芻していた。
彼は現在、コンビニの買い物袋を片手に第三学区を歩いている。
915 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:06:13.51 ID:SWYtuYGgo


「………、」


騎士団長は第七学区の現場に戻っていった。
柵川中学から帰る道中では、彼とほとんど会話をしなかった。
騎士団長からすれば、言いたい事は全て言ったという事なのだろう。

別に納得も承諾もしていないのに勝手な中年野郎だ、と一方通行は舌打ちする。


「馬鹿馬鹿しい……。 根拠のない推測だ、ただの思い過ごし、なンで俺みてェなのが―――」


キャーリサがいるホテルの前に到着すると、彼は一度空を仰ぐようにホテルを見上げた。


「―――以前の俺なら、そンな風にあしらってたンだろォなァ」

916 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:07:23.73 ID:SWYtuYGgo

異性とのコミュニケーションについて昨今色々と考えさせられている一方通行は、
ふとそんな独り言を呟いた。
今まで相手側が自分の事をこう思っていると半ば決めつけて人と接してきた彼は、
騎士団長の言葉に触発された影響か、今一度改めてキャーリサの事を考えてみる。


少し前にキャーリサは『お前と一緒に遊びたかった』とか『この街で誰かと過ごすならお前』等、
彼女の性格面から考慮しても非常に珍しい素直な発言が窺えた。
風邪の影響で多少しおらしくなってしまっている事もあるだろうが、一方通行の観点から察するに
キャーリサは自分に心を開いてくれている、と一方通行は考える。

しかし『天使同盟』を発足して以来様々な人間と接してきた一方通行だが、
その中でキャーリサとは然程コミュニケーションを取っていない。
今日街で会った時も割りと久々の再会で会ったし、両者の間にそれなりの『フラグ』が立つほど
親睦が深まっている事はないと彼は推察する。
917 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:08:25.95 ID:SWYtuYGgo


(…………それでも、俺みてェな人間と交流する事が嬉しかったってか。
 大して接した回数も無い中で、あいつはあいつなりの楽しみを見つけた……)


自分で言っていて笑えてくる、と一方通行はホテル内のエレベーターが
降りてくるのを待ちながらため息をつく。
それではまるで自分の存在がキャーリサにとってかけがえの無いものだと
自己主張しているようなものだ。しかし騎士団長から言わせればそれは事実らしい。

一方通行の性格上絶対に口にする事はないが、彼から見てもキャーリサは美人であると認識していた。
寄ってくる男など星の数ほどいただろうし、王女という立場上異性の相手に困るという事は無かっただろう。

にも関わらず何故自分なのか、と一方通行は素直に疑問を抱く。まだそうと決まった訳じゃないが、
キャーリサに長年付き従っている騎士団長の言葉は一方通行の推論よりはるかに説得力があった。
混乱する。ミーシャや風斬の時とは事情が違いすぎる。人によってその接し方を変えていくというコミュニケーションは
人間である以上当然だと一方通行も理解はしているが、こうして本気で考えるとここまで難しいものだとは思わなかったようだ。
918 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:09:17.84 ID:SWYtuYGgo


(ロクな人生を生きてねェって現実が、ここに来て露骨になってきてやがるな……)


もし自分がもっと真っ当な人生を歩んでいれば、こんな事で頭を悩ませなかったのだろうか、
と一方通行は既に終わってしまった過去を振り返ろうとしてしまうが、寸前でそれを拒否した。
自分はまだ若い。悩むという事は、理解しようとしている事に繋がる。

わからないのなら、これから学べばいい。


(キャラじゃねェ、なンて寝言を言ってる場合じゃねェな)


利用しているホテルの一室に到着すると、一方通行は一度目を閉じて精神を落ち着かせ、
ドアノブに手をかける。
こうでもしないと困惑している心境をキャーリサに察知され、面倒な事態になると予測したからだ。
919 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:09:52.46 ID:SWYtuYGgo


「戻ったぞ」


一声かけてみる。しかし返事はない。

少し進むとベッドですやすやと寝息を立てているキャーリサの姿があった。
顔はまだ紅潮しているが、過剰な発汗は見受けられない。少しは体調が改善している様子だ。


「……、」


彼女の寝顔を見ると、一方通行は自分が悩んでいる事自体が馬鹿らしく思えてきた。
同時に、キャーリサの寝顔はどこから来るのか安心感が伝わってくる。
このまま小一時間くらい眺めていても飽きないとさえ思えた。
920 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:10:41.62 ID:SWYtuYGgo


「……つっても、油断は出来ねェな。 一応"連絡"しておくか」


一方通行は提げていた買い物袋をテーブルの上に置くと、ポケットから携帯電話を取り出した。
『天使同盟』発足後からやたら登録数の増えた電話帳を眺め、ボタンを操作していく。
連絡先を選択すると、彼は携帯電話を耳に添えた。しばらく続いたコール音が途切れ、


『君か』

「なンだよ、律儀に俺の名前を登録してくれてンのか?」

『僕の携帯電話に直通でかけてくる人物なんて、君のような訳ありの人間しか
 いないね? 僕に用がある人間は大抵病院を経由して僕に連絡してくるからさ』

「オイ、オマエンとこの病院は患者側に出張ってくれるよォなサービスはやってンのか」

『おや、急患かい?』

「急を要してはいねェが、容態を診てやってほしいヤツがいる」

921 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:11:42.48 ID:SWYtuYGgo

連絡先は第七学区の病院―――ではなく、その病院に勤めるカエル顔の医者だった。

まずキャーリサの容態を医者に診てもらうという行為に、
『何故イギリスの王女が学園都市に居る』かを説明しなければならない問題が発生する。
一方通行なら有無を言わさず診察させるという強行手段も取れるだろうが、それでは問題の解決にはならない。

そこで彼はカエル顔の医者に診察をしてもらう事にした。
彼ならば第二王女がこんな場所にいる事についても事情を察してもらえると判断したからだ。
別に一方通行はカエル顔の医者を信用している訳ではないが、彼はこの医者に借りがある。


『場所は?』


カエル顔の医者は患者の特徴や病状の詳細ではなく、まず一方通行の居場所を聞いてきた。


「第三学区の……、セレブ御用達のホテルつったらわかるだろ。
 そこの三七〇九号室だ」

『今は「妹達」の調整を行なっている最中でね? もうすぐ終わるが、
 少し時間が欲しい。 それまで待ってもらうようになるが、大丈夫かい?』

「問題ねェ。 頼むぞ」


そう言って一方通行は一方的に通話を終わらせた。
922 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:12:35.02 ID:SWYtuYGgo


カエル顔の医者との連絡を終えた一方通行が買い物袋の中身を取り出していると、




「…………ん、ん。 ……ウサギ?」

「あ? ……悪いな、起こしちまったか?」




通話をしていた一方通行の声に反応したのか、キャーリサが
ベッドの上でもぞもぞと寝返りを打っていた。


「遅いの。 待ちくたびれて寝ちゃったし」

「少し寄り道してたンだよ。 具合はどォなンだ?」

「ん……。 まだ少し頭がボーっとするかな」

923 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:13:39.65 ID:SWYtuYGgo

返事を聞いた一方通行は中身を全て取り出し終えると、首元のチョーカーのスイッチを
切り替え、杖が必要なくなった足取りでキャーリサの下へ向かった。


「熱を測っておくぞ」

「体温計とか持ってきてるの?」

「俺の能力を使えばそンなモンは必要ねェンだ」

「ふーん……便利な能力を持ってるし。 じゃ、お願い」


彼の言う通り、ベクトル操作能力を使えば人間の肉体から発する体温のベクトルを
読み取って解析する事くらい造作も無い作業だ。
一方通行は掌を開く。人間の体温を測れる肉体の部位は様々だが、
彼の能力を使って体温を測る場合はどこに触れても正確に測る事が出来る。

よって彼は自分の掌をキャーリサの額に添えようとしたが、
924 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:14:22.29 ID:SWYtuYGgo


「間抜け。 こーいう時はこーした方が"それっぽいし"」

「なっ、オイ―――――」




キャーリサは急に一方通行の後頭部に手を置くと、そのまま彼の頭を引き寄せた。
必然的に一方通行とキャーリサの顔の距離が接近する。




「よく漫画とかで見るシチュなの」

「……よく漫画とかで見るシチュエーションをなンで今ここで再現しなきゃならねェンだ」

925 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:15:20.22 ID:SWYtuYGgo

キャーリサは引き寄せた一方通行の頭―――正確には額を自分の額と接触させる。
確かに彼女の言う通り、互いの額を密着させて熱を測るというシーンは多々見られるが、
実際に再現してみるとここまで相手の顔が接近するものなのかと一方通行は若干狼狽した。


「……ん。 どーなの?」

「あ? あァ……ちょっと待ってろ」


目と目が合う。キャーリサの瞳は風邪によって虚ろ気味なものの、
澄んだ宝石のように青く美しかった。
互いの鼻先がたまに接触し、唇はあと一、ニセンチ動けば触れ合ってしまう距離。

然しもの鈍感クソ野郎だった一方通行も、今回ばかりは思考を停止せざるを得なかった。
以前に風斬氷華の手を自分から握った時と同じような心境に陥ってしまう。
純情少年、なんて言えば聞こえはいいが、今の一方通行は――――、


(……コミュニケーションってレベルじゃねェぞ。 クソッたれが、何なンだよこの状況は。
 つか何なンだよこの女は! 発熱のせいで思考回路が焼き切れてンじゃねェだろォな……)

926 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:16:22.32 ID:SWYtuYGgo

体温を測るための演算処理が行えない。そんな演算よりはるかに複雑な演算を
容易に行える彼の頭がまともに働かない。
そんな一方通行などお構いなしに、キャーリサは尚も彼の紅い瞳を凝視してくる。
何かを求められている錯覚に陥った一方通行は堪らず視線を逸らしてしまった。

接近し過ぎて逆にキャーリサの表情を窺えない。今の一方通行の焦燥っぷりを
彼女は察しているのだろうか。察しているのなら、彼女はどんな表情を浮かべているのか。
今の一方通行には確認出来ないし、そんな事をしている余裕も無い。

やがて訪れるは沈黙。一方通行はそれを霧散させるように適当に言葉を放った。


「ちょ、ちょっと待ってろ。 結構複雑な演算が……必要なンだよ」

「別に。 いつまでも待ってるの」


喋るという行為をすることでキャーリサの唇は当然ながら動く。
その僅かな動きでも自分の唇に触れそうになり、一方通行は激しく動揺した。
927 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:17:12.79 ID:SWYtuYGgo

異性と唇を触れ合わせるという行為をこの一方通行という野郎は何度か経験しているが、
その度嫌がりはするもののここまで拒否反応が出る事はなかった。
これも心境の変化か、と一方通行は人間の心のメカニズムについて詳しく研究したいとさえ考えた。

だが今はまずキャーリサの体温を計測しなければ。頭の中で亡霊のように巡る
余計な思考を吹き飛ばし、改めて演算に集中しようとするが、やはりどうしても意識は
キャーリサの艶やかな唇に向いてしまう。


――――熱の計測方法として『口腔温』を測る、というものがある。


これは舌の下の中央部に体温計の先端部を当て、口を閉じて計測するというものだが、
仮に今の一方通行が能力でそれを実行するとなると、


(目ェ覚ませ一方通行ァァァァァ!!!!!)

928 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:18:11.92 ID:SWYtuYGgo

一方通行は己で己にこれ以上のない喝を叩き込んだ。
何の間違いか頭に浮かんだぶっ飛びすぎる考えを薙ぎ払うように。
無念。無想。即ち心頭滅却。心頭滅却すれば火もまた涼しという言葉があるが、
一方通行の顔から発せられる熱は一向に冷める気配がなかった。

兎にも角にも一方通行は真剣に演算を開始。終わってみれば彼の能力による
体温計測は僅か一秒にも満たなかった。


「………さ、三八度ニ分。 ……まだ結構熱があるな、おとなしくしとけ……」

「その計測は正確なの?」

「俺が直に測ってンだぞ。 まず一分の誤差もねェよ」

「本当に?」

「本当だからさっさと俺を解放しろ。 イイ加減俺の頭から手ェ離せ」

「もう一度くらいしっかり測っておいた方が―――」

「オマエこの状況を楽しンでるだけだろ、離せ!」

929 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:19:34.65 ID:SWYtuYGgo

ようやく額と額が離れ開放された一方通行はその場で腰が砕けたように尻餅をついた。
キャーリサはベッドの上からそんなヘタレウサギを見下ろしてニコニコ笑っている。
やはり一方通行の狼狽っぷりを知っての上で状況を楽しんでいたようだ。


「ふざけやがってこのクソババア……、メシに劇薬でも混ぜ込ンでやろォか」

「って事は私のご飯はお前が作ってくれるという事だな」

「……、」

「ふふ、やっぱお前と居ると楽しーよ。 ウサギ」

「…………ほざいてろ。 医者を呼ンだ、もォすぐ来るだろォから
 オマエはメシ食っておとなしくしてやがれ」


せめて口調や言葉遣いだけはいつもの一方通行でいてやる、と一方通行は
しょうもない反抗心を顕にする。

普段の自分ではあり得ない考えや挙動が生まれたのも『垣根の呪い』だ、
と一方通行はどこへ消えたかも分からぬ第二位に怨念めいたオーラを送りながら
キャーリサの食事を用意するためキッチンへ向かうのだった。
930 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:20:55.42 ID:SWYtuYGgo


――――――――――――――――――――――


ところで。


一つ気になっている事を、一方通行はキッチンでキャーリサに食べさせるための
食事の用意をしながら彼女に尋ねてみた。


「……オマエのとこのクソ騎士から聞いたンだがよ」

「ん?」

「『第一九学区事件』の影響で魔術サイドの魔術師共が我が物顔で
 暴れ回ってるって話だ。 ありゃ一体どォいう事なンだ?」


931 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:22:15.18 ID:SWYtuYGgo

想定していた質問と違っていたのか、キャーリサは
つまらなそうな表情を顕にして答える。


「……ちょっと長くなるけど?」

「構わねェ」

「……より正確には『第一九学区事件』の過程で発生した『黒い霧』が原因なの。
 オマエが現出させたアレが放出した黒い霧は全世界の魔力を枯渇させていった。
 魔術師が持つ魔力だけじゃない、魔術的技術で構成された礼拝堂や聖堂、儀式場、
 教会、果ては霊装にまでその影響は及んだの。 オマエがアレの力を振るっている間、
 世界から魔術という法則が消失していた。 オマエは一時的に世界のルールを消したの」


何でもないように言うキャーリサだが、本来科学サイドの人間である一方通行が聞いても
驚愕に値する言葉だった。

自分が、一時的とはいえ、世界から法則を消し飛ばした。
932 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:23:22.34 ID:SWYtuYGgo

実を言うと一方通行は悪魔と化したミーシャ=クロイツェフと戦闘をしている時の
記憶が一部欠落している。

一方通行は知る由もないが、当時彼はどこから現れたのか、
エイワスやアレイスターが『セト』と呼称する"存在"に自我を乗っ取られていた。
セトの操り人形と化した一方通行が振るう力はミーシャを子供と戯れる程度の動作で一蹴し、
その身体―――セトに身体などという概念があるかは定かではないが―――から噴出する
黒い霧はキャーリサの言葉通り、世界中に蔓延する魔力を吸収していった。

最終的にはキャーリサがミーシャと対峙して時間を稼ぎ、風斬氷華が手を差し伸べ、
一方通行自身がセトに全力で反抗の意を示した事で自分を取り戻すことが出来た。


一方通行が思い出せる場面は、気がついたら風斬氷華の手を掴んでおり、
意味不明の黒い影から這い出てきた所だけ。自分がセトに抵抗した事や
セトに操られている間の記憶は映画のフィルムをそこだけ切り取ったように欠落していた。
933 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:24:36.90 ID:SWYtuYGgo


「……俺が原因なのか?」

「言っておくが、お前が気に病むよーな事じゃないし。 魔術サイドの人間である
 私でさえもあの時お前の身に起きた現象は説明できないし理解も出来ないが、
 アレを降臨させて黒い霧を発生させたのがお前の意志じゃない事だけはわかるの」


どうやらキャーリサはフォローを入れてくれているようだが、
そう言われても一方通行は納得出来なかった。
フォローされた所でこの世から一時的に魔力を奪ったのは自分だ、自分のせいだ、
と悔やんでいるのではなく、自分の身に起きたらしい現象に納得がいかなかった。


「当時の状況を説明出来るヤツはいねェのか?」

「アレイスター=クロウリーかエイワス、もしくは『黄金』系のトップクラスの
 魔術師なら或いは説明出来るんじゃないの。 少なくとも私には不可能だし、
 あの現象を目の当たりにした風斬やミーシャでも無理だろーな」

934 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:25:41.78 ID:SWYtuYGgo


「………ならそこは置いておく。 が、どォしたらそこから
 世界各地の魔術師が暴動を起こすなンて事態に繋がるンだ?」

「暴動なんて言われてるが、実際の規模は大したものじゃないし。
 世界には魔術師なんてごまんと居るが、暴徒化してる魔術師は
 その極々一部。 霧の影響で今も正常に機能を働かせられていない
 教会やら何やらを強奪しよーと考えてる頭の悪い雑魚魔術師なの」


そこでキャーリサは一度言葉を止め、難しい表情を浮かべながら続けた。


「……ただ、その暴徒の更に一部の魔術師の中に、『第一九学区事件』を
 "時代の変革期の序章"だと訴えている奴がいる」

「時代の変革?」


急に話が胡散臭くなり、一方通行は眉をひそめる。
935 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:26:48.03 ID:SWYtuYGgo


「この世界の歴史が何度も時代という顔を変えてきた事は誰でも知ってるだろう?
 世界なんて大層な枠組みはなくても、国と国が戦争を起こし、勝った国も負けた国も
 方向はどうあれ時代が変わる。 暴徒化した魔術師の連中に言わせれば、
 『第一九学区事件』こそが魔術サイドが刻んできた歴史の変革だと謳ってるらしーし」

「今も継続している魔術サイドの時代ってのは何なンだ」

「十字教。 『三位一体』として明文化された各派閥の中心的教義だし。
 十字教の魔術師はこの玄義を完全に理解することは出来ないとされているが、
 それでもある程度までは掌握出来る、だから現代の魔術師は魔術を使えるの。
 しかしあの黒い霧はその玄義を魔力という根源ごと根刮ぎ奪い去った」

「……、」

「ふん、さすがの私もあの時は身体の芯から震え上がったし。 訳も分からぬまま
 己と時代がこれまで積み重ねた歴史の全てが一瞬で否定されたよーな気がしてな。
 あの黒い神……いや、化物の横暴をお前達が阻止してなかったら、それこそ
 暴徒共が言う今の魔術サイドの時代は完全に終焉を迎えていたの」

936 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:28:08.71 ID:SWYtuYGgo


「……時代の終焉、なンて曖昧なモンに僅かでも触れちまった魔術師共が、
 各地で好き勝手やってるって事なのか」

「だが当然、そんなもんはイギリス清教やら星の数ほど存在する魔術結社の魔術師達が
 未然に防いでるの。 私がイギリスの戻れない理由にこれも含まれてるだろーな。
 どこかの過程で漏れた、私が学園都市に軍の霊装を持ち出して向かったという情報に
 尾ひれがついて、黒い霧の発生に私が関与してると騒ぎ立ててるバカ共がいるんだろ。
 母上達はそんな暴徒達に私や騎士団長が引っ張り出されないよー、こーして学園都市で
 おとなしくしてろと厳命してきたんだと思うの」


そう言うキャーリサの言葉が消え入るような声なのは、きっと風邪のせいだけじゃない。
一方通行はそう考えると、歯噛みをせずにはいられなかった。何故なら、それはつまり―――、


「……オマエは俺のせいで母国に帰れねェって事じゃねェか」

937 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:28:58.45 ID:SWYtuYGgo


「話をちゃんと聞け。 私は気に病むなと言ったはずなの。
 確かにこの現状では『天使同盟』が起こした騒ぎの尻拭いを魔術サイド全体が
 しているという風にも聞こえるが、魔術サイドはあくまで魔術サイドのために
 行なっている事だし。 それに、例え本当にお前達の尻拭いをしている事になっていても、
 それはそれで正当性を見出せるだろーに」

「正当性だと?」

「あのアレイスター=クロウリーが表立って『天使同盟』を潰そーとしていた時点で、
 魔術サイドは絞首台の上に立たされたも同然の状況だったの。 アレイスターは
 魔術を裏切ってこの科学の街を創り上げた魔術師だ。 極論になるが、恐らく
 お前に起きた現象はアレイスターにとっては想定の範囲内、いや予定調和だったんだ。
 あの魔術師は今の時代を終わらせよーとしていた。 それをお前達は阻止したの」

「……、」

「それはつまり、魔術サイド自体の救出。 お前達は誇っていい、私達魔術師を救ってくれたんだからな」

938 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:30:19.35 ID:SWYtuYGgo


「本当に極論だな。 そォ簡単に割り切れる程俺の頭は単純じゃねェぞ」

「なら私がそー思っているだけだと解釈してもらって結構なの。 お前は
 私達のヒーローだ、私の中ではな。 私が勝手に思ってるだけだから、
 お前も口を挟めないだろ? だからこれで話は終わりだし。 お前は気にしなくていい」


言いたい事だけ言い終えて満足したように笑うキャーリサの笑顔は、
一方通行の中に溜まっていた蟠りを少なからず払拭させた。

納得はいかない。理由はどうあれ、意志はどうあれ、一方通行という自分自身が
存在していたからこそ、魔術サイドが存続の危機に陥り、暴徒化した魔術師を
発生させる事態に至らせてしまったのだから。

だがそれでもキャーリサは言う。『気にするな』、と。
決して安易に元気づけようとして言っているのではない事は、ここ最近で
真剣に人とのコミュニケーションを図っている一方通行は理解できた。
939 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:31:02.42 ID:SWYtuYGgo

それでも腑に落ちないのは、やはり事件の影響で母国の地を踏めなくなっている
キャーリサ本人がすぐ傍にいるからなのか。


「……だったら、」

「?」


一方通行は出来上がった料理を器に盛り付ける手を止め、キャーリサの方を振り返って言った。


「せめてこの街でもオマエが楽しめるよォに、俺が努力してやる」

「私は既に充分楽しんでるの。 お前とこーして過ごせてるからな」


キャーリサは笑顔を浮かべたまま返した。
940 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:36:49.57 ID:SWYtuYGgo
今回はここまでです。

さて、以前少しだけ漏らした最終回に関する話なのですが、『暴徒』の事です。
蛇足の最終回にこの連中が関わってくるのですが、よく考えたら最終回じゃなくても
今後ちょくちょく出てきたりします。

……が、肝心の最終章投下が一体いつになるやらレベルで……本当に困ったものです。


次回も一方通行パート。カエル顔の医者が診察に来てくれますが、
そこに意外なオプションが付いてきていて……。


次回更新は三日以内。


それでは、今日もありがとうございました!
941 :次回予告はここまでです。  ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/02(金) 12:37:16.38 ID:SWYtuYGgo



                          【次回予告】



「……オマエ、一〇〇三二号か」
『天使同盟(アライアンス)』のリーダー・学園都市最強の超能力者(レベル5)――――――一方通行(アクセラレータ)




「Exactly、とミサカは某漫画キャラのセリフを引用します」
『妹達(シスターズ)』の一人――――――ミサカ一〇〇三二号




「ミサカ………ミサカ、? ……、あー、ミサカだ」
英国三派閥の一つ『王室派』第二王女――――――キャーリサ



942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 12:56:44.48 ID:UIDq/1YB0
乙です
>異性と唇を触れ合わせるという行為をこの一方通行という野郎は何度か経験している
作者さえもキレるリア充度www
そしてキャーリサ不憫すぎる
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽) [sage]:2011/12/02(金) 14:27:02.20 ID:6NgwUYgAO
垣根の呪いwwww
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 14:49:47.79 ID:bZ+/9NPzo

>>異性と唇を触れ合わせるという行為をこの一方通行という野郎は何度か経験している
まあそうだよな溶けろ一方通行
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 15:26:16.35 ID:4cOrDzsHo
乙ー
地の文に>>1の心情がところどころ漏れてるwwwwww
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 16:36:20.88 ID:J7Hn8PdIO
乙!

そいえば槍投げる時に妹達と話するとか言ってたな。
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 17:11:06.19 ID:5OobZ9pDO
>>1


最終章の投稿は来世でいいよ

後1000年は続けようぜww
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 17:43:04.62 ID:tHPEfRDNo
一方通行は上条と違い煩悩ムンムンなだけ好感が持てる
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 17:54:25.77 ID:8w6OaJKS0
>>948
ああ、そういうことか
なんか納得だと思った
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 18:11:16.28 ID:ft665Z5SO
あんなんされたら一通さんも惚れてまうやろ

951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/02(金) 18:27:22.57 ID:p9UB9HCv0

口腔温測っちゃえばよかったんじゃないですかねぇ・・・。

>……が、肝心の最終章投下が一体いつになるやらレベルで……本当に困ったものです。
これ見て安心した。
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県) [sage]:2011/12/02(金) 19:01:45.56 ID:IzmLu3t/o
こんなん一方通行じゃねえ
リア充爆発
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/12/02(金) 19:22:00.41 ID:bSqDuJzo0
>>1乙そして深い話しだ。

ここまで世界観を構成したのかと感心している。

軍事のキャ−リサのキャラ、何て可愛いんだ。
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 21:17:13.06 ID:H9ts+cAlo

そろそろバトルが見たいけど無さそうだな
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 22:00:46.40 ID:ipk/K39IO
一方通行を巡る女の戦いですね
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/02(金) 22:20:09.75 ID:/kxFEm9x0
もーげれたぁ
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大分県) [sage]:2011/12/02(金) 22:45:42.43 ID:jYiDPB5X0
>>1
一方さん爆発しろ
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/02(金) 23:22:00.84 ID:hp0H5TEBo
垣根パートはまだ先かな
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 00:52:18.46 ID:HEBCMCYYo
呪い扱いwwww
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/12/03(土) 01:04:28.21 ID:14sElHjAO
熱ってベクトルなの?よくわからん

ともあれキャーリサ可愛すぎた乙!
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/12/03(土) 03:13:25.95 ID:PTPIkwCAO
マジレスすると、熱とはミクロの視点で見れば「動きが活発である様」のことだから当然ベクトルはある。

一方さん幸せになれ
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 09:36:52.03 ID:fbgLn5BF0
キャーリサ「ミサカ…?ミサカがブレて見えるのー」
ミサカ「妹達です」
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大分県) [sage]:2011/12/03(土) 09:50:09.81 ID:IDtqwL9I0
>>962
うめえwwwwwwww
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/12/03(土) 11:33:11.53 ID:hQKVqtfN0

安心の垣根の扱い
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 23:10:13.21 ID:6l4pwg68o
■ コミケにSS速報で何か作って出してみない?
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322871319/

天使同盟を読む為にこの板に辿り着いた俺としては見逃せない事態
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/04(日) 00:42:32.71 ID:phrzFu+E0
そりゃ天使同盟が本になったりしたら俺は間違いなく買うだろうがこのスレで話すことじゃなくね
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 01:06:12.26 ID:/k9BL93DO
そろそろ次スレだな

>>1が立てるの?
誘導してほしいから埋まる前に立てて欲しいな
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 04:16:16.83 ID:ZN2vCRgbo
>>1が来るまでレスすんのやめとくか
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 16:12:51.36 ID:NHqhaXtFo
970 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:14:35.06 ID:ETsIBHFYo
こんにちわ、更新を開始します。

気がつけば次スレ目前でしたね、ご迷惑をおかけしました。

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322982536/

次スレを設けましたので、次はこちらをお願いします。

さて、まずはここに投下を。前回に引き続き一方通行パートです。
キャーリサから『暴徒』に関する情報を聞いた一方通行の下へ訪れたのは
とある医者とそして……。

それでは、よろしくお願いします!
971 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:15:43.16 ID:ETsIBHFYo


――――――――――――――――――――――


一方通行が黄泉川愛穂からのアドバイスで作ったお粥を差し出すや否や、
『あーんして』、『ふざけンな』の押し問答が三〇分くらい続いた。
最終的に一方通行が根負けし、正体不明の感情に惑わされながらも
スプーンでお粥を掬い口を開けてスタンバっているキャーリサの口元へ持って行こうとしていたら、




「………………おやおや、どうやら僕達は邪魔でしかないようだね?」

「では夫婦関係汚染物質である我々は直ちに帰路へつきましょう、
 とミサカは第一位の意外過ぎる行動を網膜に焼き付けながら踵を返します」

「全身に焼き付けて灰になれこのクソ女」



972 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:16:29.76 ID:ETsIBHFYo


フリーズする暇すら与えてもらえなかった。


一方通行が今まさにキャーリサの口内へお粥を投入しようとした瞬間、
ノックもせず部屋に入ってきたカエル顔の医者と何故か同行していた『妹達』の一人が
学園都市最強の黒歴史を目の当たりにし、大したリアクションもせずその場を後にしようとしたからだ。


「何でしょうか? とミサカは素直に疑問を抱きます。
 我々のようなバグがこの空間に居ては愛の巣窟が汚染物質の影響で
 腐り落ちて――――」

「まずノックをしろ!! 部屋に入る前に声をかけろ!! 
 つか鍵かけてたろどォしてオマエら音もなく侵入出来たンだよ!?」

「例え学園都市最先端技術の電子ロックであろうが、このミサカの
 能力の前では何の意味も持ちません、とミサカは部屋への不法侵入を
 堂々と宣言しつつ薄ら笑いを浮かべます」

973 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:17:09.14 ID:ETsIBHFYo

とは言うものの、彼女の表情は無機質な金属のように変化が無い。


「不法侵入ではないね? ここへ来る前、一方通行本人から
 この部屋へ来るよう要請を受けているからね?」

「勝手にロック解除して無言で部屋へお越しくださいなンて
 ご丁寧な要請を俺がいつ出したのかなァ?」

「ミサカ………ミサカ、? ……、あー、ミサカだ」

「はい、ミサカですが何か、とミサカはミサカミサカとまるで
 ミサカのようにミサカを連呼する麗しい女性に返答します」


キャーリサがボーっとした目で妹達のこれまた虚ろな目を見つめる。
一方通行は眉をひそめた。キャーリサがなぜこの妹達の事を知っているのか、と。
疑問の答えはキャーリサ自身によって提示された。
974 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:18:14.88 ID:ETsIBHFYo


「『第一九学区事件』の時にウサギに電話してた奴だし。
 変わった口調だったからよく覚えてるの」

「……そういうあなたはもしや、イギリスのキャーリサ第二王女では?
 とミサカは雑誌やニュースでしか見た事のない大物が今ここに居る事に
 対し驚愕の意を顕にします」

「……なるほど、僕に直接電話してきたのは彼女が患者だから、か。
 確かに僕以外の医者に見せるのは最良の選択ではないね?
 事件の余波を受けて騒がれている彼女なら尚更」

「理解が早くて助かるぜ。 ついでに俺からの素朴な質問も受け付けてくれ」


一方通行は常盤台中学の制服ではなく、何故かナース服で身を包んでいる
妹達の顔に目を向けて、
975 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:19:03.89 ID:ETsIBHFYo


「なンでこいつまで着いてきてンだ?」

「主に荷物運び、診察補助の役割を担っています、とミサカは簡潔に説明します。
 ……お久しぶりですね一方通行。 こうして直接顔を合わせるのはあの実験の日
 以来でしょうか、とミサカはあの日の事を振り返りながら遅れて挨拶をしてみます」

「……オマエ、一〇〇三二号か」

「Exactly、とミサカは某漫画キャラのセリフを引用します」

「…………………………」


ミサカ一〇〇三二号。
『絶対能力進化(レベル6シフト)』計画の実験中、一方通行と戦闘にもつれ込んだにも関わらず
生存する事が出来た唯一の被験体。
計画凍結後は戦闘で負った怪我の治療であまり活動出来なかったが、今ではこうして通常生活を
送れるほど回復している。
976 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:19:54.18 ID:ETsIBHFYo

一方通行は彼女が検体番号一〇〇三二号だと知った途端、あからさまに雰囲気を暗くした。


「何か? とミサカはミサカの顔を見て明らかにテンションを下げている
 一方通行の態度に不満を抱きます」

「なンでもねェよ」

「そうですか。 ところで、例の事件であなたが救おうとしていた『何か』は
 救う事が出来たのでしょうか、とミサカは一応あの事件に関与しているので
 結果報告を聞き入れる権利があると暗に示しながら質問してみます」


質問された一方通行はカエル顔の医者の医者と目を合わせる。
『こいつらに詳細を話してねェのか?』、と無言で尋ねるように。

カエル顔の医者はわずかに首を横へ振った。『妹達』は『天使同盟』に関する情報を
ほとんど持ち合わせていないという事だ。
977 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:20:53.29 ID:ETsIBHFYo


「打ち止めから情報を傍受してねェのか。 ミサカネットワークがあンだろ」

「上位個体は『第一九学区事件』の詳細を把握していませんでした、
 とミサカは肝心な事は何も知らない上司にため息をついてみます」

「……そォかよ。 なら報告するが、どォにか上手くいったよ。 オマエらの協力のおかげでな」


すると一方通行は顔をしかめ、一〇〇三二号から視線を逸らしながらも、


「………………ありがとよ」


今度こそ、機械のように無表情だった一〇〇三二号の目が驚愕で見開かれた。
一方通行は急変した室内の雰囲気をごまかすように髪の毛を掻く。
978 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:21:44.08 ID:ETsIBHFYo

「………まさかあなたの口から『ありがとう』などという言葉が
 飛び出してくるとは、とミサ―――――」

「あーあーうるせェうるせェ。 オマエの感想なンざいちいち求めてねェンだよ。
 黙って聞き入れろクソ。 ……話は終わりだ、さっさとこいつの容態を診てやってくれ」

「……了解しました、黙って聞き入れます、とミサカは用意していた言葉を飲み込みます」


一方通行と一〇〇三二号の、二人だけの会話はたったこれだけで終わった。

本当は、もっと互いに言いたい事があるかも知れない。
実験の時は全力で殺し合った搾取する者とされる者。
しかしミーシャ=クロイツェフ救出作戦の際に互いを全力で援助した間柄。

こうして振り返ると実に奇妙な関係だが、"今はこれでいい"と一方通行は思う。

馴れ馴れしく、何事も無かったかのように会話を交わせるような相手じゃない。
『天使同盟』と同じく、一〇〇三二号もまた事情が違いすぎる対象。
コミュニケーションについて深く取り組んでいる一方通行が下した決断は、
『妹達』との会話はこの程度でいいというものだった。
979 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:22:23.15 ID:ETsIBHFYo

と、自分なりのケジメをつけようとしていた一方通行に一〇〇三二号が、


「しかし先程のあなたとキャーリサ第二王女の『あーん』のやり取りは
 超高画質動画添付で上位個体に送ります、とミサカはさっそく
 視覚データから例の場面を抽出して――――」

「人に対する脅迫ネタにゃ必ず最適の使用タイミングが存在する。
 学園都市第一位を揺するネタなンざ今後一生手に入れられねェかも
 知れねェぞ。 今は胸の内に保管しておくのがベストだ」

「そうですか、では今が最適なタイミングなのでしょう、
 とミサカはやはり上位個体に動画を送りつける準備を―――」

「わかった、なら素直に言ってやる。 やめてくれェ!!」


容赦なかった。ケジメをつけられなかった。彼女は掲焉を付ける事すら許さなかった。
980 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:23:53.84 ID:ETsIBHFYo

「うん。 風邪だね?」


カエル顔の医者の診断結果を耳にしてはいるが、キャーリサの頭の中には
入っていなかった。
キャーリサは医者と同伴してきた妙な口調の少女と"楽しげ"に会話する一方通行を
親の仇を睨むような目付きで、いや睨むようなというか睨んでいた。

端から見れば今の一方通行と一〇〇三二号が親友同士が毎日のように交わしている
コミュニケーションを取っている風に見えるらしい。


「ここ最近、上位個体の様子が少しおかしいのですが、
 何か心当たりはございませんか、とミサカは訪ねます」

「知らねェ」
981 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:24:55.52 ID:ETsIBHFYo

「どうやら何者かとコンタクトを取り、良からぬ事を企てている
 ようです、とミサカは保護者であるあなたに警告を送ります」

「そォか」

「気のない返事ですね、とミサカはコミュ力ゼロの第一位に辟易します。
 まさかもう上位個体への関心や思いやりがあなたの中から消失してしまったのでしょうか、
 とミサカはあなたの手作り病人食を咀嚼しながら失望してみます。 うん、美味しい」

「勝手に言ってろ」

「ミサカと会話を弾ませるという意志は無いのですか、とミサカは実は結構
 色んな女に手を出しているプレイボーイなあなたへ会話の継続を要求します」

「弾ンでるのはオマエの頭のネジだ。 つか待て、俺が色ンな女に
 手ェ出してるなんてデマ情報をどこで入手しやがったンだオマエ」
982 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:26:02.11 ID:ETsIBHFYo

「ミサカネットワークの情報分析ルートはいくつかの班に別れています、
 とミサカはミサカ達の間でしか知り得ない秘密を特別に提示する姿勢を見せます。
 まず上位個体からの情報を傍受する『傍受班』、そこからいくつかの派生ルートに
 伝達され、『推察班』、『歪曲班』、『尾ひれ班』、『付加班』、『漏洩班』が
 それぞれの役割を全うし、最後に『確認班』、このミサカもそのグループなのですが、
 その班のミサカが上位個体の大凡の話題の種であるあなたに最終確認を―――」

「オイやぶ医者、オマエちゃンとこいつらの調整してやってンだろォな?
 九九六九人の内約九割の脳が異常を来してンぞ」


頭痛に苛まれるように額に手を添えながら一方通行は自分でもどうでもいいと
感じている質問をカエル顔の医者にぶつけてみる。


「ユーモアに溢れているだろ? 彼女たちが個性を取得していってる証拠だよ。
 それを踏まえて君の質問に答えるが、彼女たちの調整は実に順調だね?」

「そうですね、とミサカは送信した動画を見て発狂しかけている
 上位個体の反応にほくそ笑みながら彼の意見に同意してみます」

「さっきから俺の携帯が悶えるよォにバイブってンのはそのせいか……」
983 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:26:53.61 ID:ETsIBHFYo

彼の言う通り、振動の影響でテーブルの上から落っこちても尚着信を報せる
携帯電話の挙動は、電話先の相手の憤怒と怨恨を如実に表しているようだった。
と、そこで一方通行の鼓膜が場にそぐわない妙な音をキャッチする。


「ぶー」

「あ?」

「ぶー。 ぶーぶー」


見ると、ベッドの上に膝を抱えた体勢で座っている完璧な診断を終えたキャーリサが、
己の年齢も顧みず頬を膨らませ、ついさっきまで一方通行の心を掻き乱していたその唇を
尖らせながら何かを訴えるように鳴いていた。


「ぶーぶー。 ぶー」

「どォした第二王女。 イイ加減王女としての立ち位置に飽きたから
 今度は家畜の豚に転職してみよォとでも考えてンのか?」
984 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:28:02.12 ID:ETsIBHFYo

「お前」

「ミサカですか? とミサカはテーブルの上に置いてあった生姜湯で
 身も、最近取得しつつある心も暖めつつ第二王女の指名に応じます」

「帰れ」


どストレートだった。的の中心に向かって放った矢が、的を粉砕する勢いだった。

前置きもクソもなく、キャーリサは一〇〇三二号に退室を命じた。
せっかく風邪を引いたキャーリサのために馳せ参じた一〇〇三二号に
この物言い。一方通行は改めてキャーリサの王女っぷりを認識させられる。


「言われなくともいずれ失礼しますが、その『帰れ』には一体いくつの
 意味合いが含まれているのでしょうか、とミサカは完全寛ぎモードに
 移行しつつ質問します。 こんなホテルに赴く事なんてそうそうないでしょうし」

「いずれじゃないの。 今すぐ帰れ」
985 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:28:57.45 ID:ETsIBHFYo

「かの第二王女から直接命令を受ける機会など滅多にないでしょうね、
 とミサカは思わぬ所でレアな体験をした事に喜びます。
 しかしここは日本であり、イギリスではない。 英国第二王女としての
 権限を一時的に失っているらしいあなたの命令に従う必要はありません、
 とミサカは敢えて強気の態度で応戦してみます」

「ウサギ。 このガキ追い出せ」

「いやちょっと待てよ家畜。 オマエ出し抜けに何を言ってンだ」


たまたま二人の間に割って入るような位置に居た一方通行が実際に割って入る。
誰が見ても今のキャーリサが不機嫌である事は瞭然だった。
キャーリサと一〇〇三二号の間に流れる鈍く重い空気をどこかで感じた事がある、と考えながら、
986 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:29:58.78 ID:ETsIBHFYo

「帰れ帰れと、まるで駄々をこねた子供のような態度ですね、
 とミサカは案外狭量の無かった第二王女に失望してみます」

「ガキだと? この私を子供扱いするとは生意気だし。
 私はもー立派に成人してるの。 大体お前歳いくつだ」


立派に成人しているキャーリサの物言いは完全に子供だった。


「ミサカにはまだ歳を重ねられる程の歴史は存在しませんね、
 少なくともあなたよりはずっとずっとずっとずっと歳下だと思われます、
 とミサカはある部分を強調する事によって不必要な挑発を行います」

「何だ、若い事に大して優越感でも持ってるのか? つか歳を重ねる程の歴史がないってどーいう意味なの」

「……ふ、とミサカは第二王女の心境分析を終え、その結果を見て鼻で笑います」


しつこいようだが、一〇〇三二号の表情は一ミリの変化も無い。
987 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:31:17.47 ID:ETsIBHFYo

「心境分析? お前に私の何が理解出来たというの」

「一方通行と会話をしているミサカが妬ましいのですね、
 とミサカは三十路前の女の嫉妬に醜さを感じます」

「まさかオマエ番外個体じゃねェだろォな」

「こ、の―――ガキ」


面白くない所を突かれたのか、キャーリサは一〇〇三二号に飛びかかろうとするが、
風邪で衰弱している肉体がそんな無茶に応じられる訳もなく、
一〇〇三二号の前に居た一方通行に手刀をかましてしまうという中途半端な結果に終わってしまった。


「なンでこの状況で俺が殴られなきゃならねェンだ……?」

「大体お前、ウサギとどーいう関係なの」

「ありきたりなセリフ、謹んで拝聴させていただきます、とミサカは余裕の態度を崩しません。
 第二王女の質問に答えますと、ミサカと一方通行の関係は二言三言では語り切れないほど
 複雑な関係……とだけ言っておきましょうか、とミサカはミステリアス成分を残しながら答えます」
988 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:32:18.97 ID:ETsIBHFYo

『妹達』と一方通行の関係は筆舌に尽くし難いという点は確かに正鵠を射ているのだが、
しかしこの状況だとその発言はどうしてもいらぬ勘違いを促してしまうようなもので、


「ま、まさか……お前ら、好き合っている関係だったりするの……?」

「好き合っても付き合ってもいません、怖気が走るようなそれはイギリス流のジョークですか?
 とミサカは先程摂取したお粥を嘔吐しかけそうになった所を必死で堪えます。
 誰が好き好んでこのような趣味の悪いウサギのような人間に好意を抱きますか。
 ミサカの想い人はいつだって変わらず、『あの人』だけですとミサカは大胆な発言をしてみます。 きゃっ」

「きゃっ、じゃねェよ。 本人の目の前で俺の話題で盛り上がって、
 本人が原因で嘔吐しそォになるとかオマエら俺に喧嘩売ってンのか」

「そこの親切心溢れる医者。 お前の意見を拝聴するし」

「ボク。 ナーンニモ、ワカラナイヨ?」

「いつサイボーグ改造手術を受けたンだよオマエは!! 急にキャラ
 変更してごまかしてンじゃねェ、この状況をどォにかしろ!!」
989 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:33:51.30 ID:ETsIBHFYo

意外にもノリがいい事が判明したカエル顔の医者は医療機器が詰まった
バッグの中から小さな紙袋を取り出すと、キャーリサにそれを手渡した。


「この症状ならこの薬を一度投与するだけで充分だね? あとは体を暖かくして、
 水分補給と適切な食事を摂取してしっかり眠れば、明日にはかなり体調が改善するはずだよ」

「さすがの学園都市でも、風邪を完治させる薬の開発は成し遂げてないか」

「そんな薬を作る事が出来たら、それは世紀の大発明だね? 『風邪』は
 基本的に薬では治療出来ない、とにかく暖を取って睡眠を取る事が
 一番の治療法である事は常識だ。 それに、僕は患者を治すために
 必要な物は全て揃えるが、"君にとって必要な物は既に揃ってるようだ"」


そう言ってカエル顔の医者は一方通行を一瞥するが、彼は気付かなかった。
990 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2011/12/04(日) 16:34:45.93 ID:ETsIBHFYo

「了解だし。 ありがとーございます」


例え第二王女だろうが王様だろうが、結局は人間だ。
病に冒されれば医者に診てもらう必要がある。
その辺に関する配慮を理解しているキャーリサは、適切な診断をしてくれたカエル顔の医者にしっかりと礼をする。

そして、


「……お前も、わざわざ駆けつけて来てくれて感謝するの」

「……、とミサカは沈黙を表現します」

「さっきは突っ掛かって悪かったし。 ま、ちょっとしたジェラシーだ。 理解するの」

「分かります、とミサカもあなたに対する非礼を詫びます。 申し訳ありませんでした」

(どォしたらさっきまでの険悪な雰囲気を払拭して和解出来るンだ……。
 女ってそォいう所はしつこく根に持つモンだと思っていたが)
991 : ◆3dKAx7itpI [sage]:2011/12/04(日) 16:35:54.30 ID:ETsIBHFYo
このスレでの更新はここまでとなります。
続きは次スレにて投下しますので、よろしくお願いします。

どうか六匹目の蛇足もよろしくお願いします、ありがとうございました!
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 16:40:21.83 ID:NHqhaXtFo
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 16:42:19.86 ID:DvZxSIVTo
ミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカミサカ
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北陸地方) [sage]:2011/12/04(日) 16:44:08.80 ID:MDwIPEPAO
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北陸地方) [sage]:2011/12/04(日) 16:44:36.88 ID:MDwIPEPAO
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大分県) [sage]:2011/12/04(日) 16:53:31.27 ID:r1l6ZI7U0

997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 17:01:32.07 ID:aauUox2K0
乙!
冥土帰しのイメージが変わったような気がする。埋め
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 17:02:04.13 ID:NHqhaXtFo
生め
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北陸地方) [sage]:2011/12/04(日) 17:03:57.78 ID:MDwIPEPAO
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 17:05:03.39 ID:NHqhaXtFo
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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