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ぼくがかんがえた聖杯戦争 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 11:58:43.10 ID:FnrEbXqAO
snの舞台と設定を借りた他作品キャラのバトロワみたいなもんです。
マスターはfateの登場人物で鯖は他作品キャラ。
士郎は鞘の関係で呼ぶのは絶対セイバーとかだから話とか時系列、設定もいじりまくったせいで原作の面影はあんまりない。
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:00:00.10 ID:FnrEbXqAO
 衛宮士郎は焦っていた。

 軋むような痛みと共に自身の手の甲に現われた不可思議な紋様。
 それは貫徹して正義の味方で有り続けると決めた確固たる意志を礎に流れる穏やかな日常に、歪な影をもたらす呪いだったのだ。

 無論今の彼はそんな事など露知らず、この不可解な現象に対して焦燥感を募らせるだけだった。

「なんでさ……」

 吐き出された情けない言霊は弾けて消える。
 幸いにも今は登校してきている生徒も少ない早朝。加えて人の居ない生徒会室で暖房器具を修理している最中だった彼の異変に気付く者は居ない。
 衛宮士郎はそれ以降悪態を吐く事もなく、現れた何かを隠す事に思考をシフトさせた。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:00:45.18 ID:FnrEbXqAO
 早朝の不可解な現象は士郎の頭の隅にしがみついており、それが忘却の海へと沈みかける度に、彼は手の甲に巻いた包帯を見つめてその痣の顕現を思い返す。

 友人の一成や慎二に包帯の事について指摘されるが、彼は曖昧な返事で何とか煙に巻いている。
 彼の本質上その行動は本意ではないがそれも仕方無いだろうと士郎は半ば強引に自分を説得していた。

 その痣は普通ではない。
 まるで何者かが意図的に彫ったかのような規則的な形の紋様。
それはかつて自分の人生の矜持、正義の味方でありたいという願いを確固たるものとして造り上げた男、衛宮切嗣の正体を彷彿させた。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:01:34.04 ID:FnrEbXqAO
 だからこそ士郎は痣を直隠しにする事に決めた。
衛宮切嗣の魔術師としての本質を僅かとはいえ垣間見たからこそ、彼を彷彿させるその痣は不偏なる日常の敵性であると彼は判断する。
 だからこそ士郎は痣を隠し、そしてそれは一人を除いて誰からも悟られなかった。
 だからこそ、不自然なまでによそよそしい彼の態度は彼女に悟られた。
あまりに不自然だったからこそ、当然優秀である彼女だけはその不自然に自然に気付く。

「聖杯に見初められたようね、衛宮くん」

 凜と響く声――。
 それは士郎にとって一部を除いて滞りなく過ぎていった一日を、あっさりと打ち崩す音だった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:02:20.05 ID:FnrEbXqAO
「聖杯戦争……か」

 衛宮士郎は自宅の土蔵にてぼんやりと立ち尽くしていた。
 傍らに立つ少女の名は遠坂凜。
 彼女は整った顔を不機嫌そうに歪め、がしがしと頭を掻く。

「まさか本当に何も知らないなんてね……。最初に気付いたのが私じゃなかったら間違いなく死んでたわよ」

 事のあらましを語るとするならばこうだ。
 聖杯戦争が近いこの時期に突如手に包帯を巻いて登校してきた士郎を見て、凜は真っ先に彼を訝った。
 一日学校にいる間彼の動向を探っていた彼女は士郎が手を庇うような仕草を見せない事から確信する。彼が此度の聖杯戦争のマスターであると。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:03:03.74 ID:FnrEbXqAO
 だが彼の周囲に英霊の気配はおろか、魔術に関連する影も匂いも見当たらない。
 不審に思った彼女は士郎との接触を試みる事にした。
 万に一つでも自身に危険が降り注ぐような事があっても彼が相手ならば容易く打破出来る自信があったから。
それは驕りや慢心ではなく、彼女の身体に流れる無数の魔力回路と才能がもたらす確信だった。
 だがいざ接触してみると彼には聖杯戦争に関する知識が一切無いと知った。
 魔術の名家に生まれ、誰よりも高貴に生きてきた彼女の心はこのまま何も知らない彼と闘う事を快く思わなかった。
 同じ土俵に立ち、同じ条件で敵を討つ。
 その形式美を求めた彼女は士郎に聖杯戦争に関する知識を与えたのだ。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:03:52.27 ID:FnrEbXqAO
「まぁ参加するかどうかは自由よ。けどもし参加するなら、私達はこの陣で英霊を召喚した時から敵同士。ゆめゆめ忘れないようにね」

「参加するよ。だけど俺は遠坂とは闘わない」

「はあっ!? さっきの話ちゃんと聞いてたわけ? 聖杯戦争とは――」

「解ってる。それでも俺は闘わない」

 捲し立てる凜を制し、士郎は土蔵の床に描かれた陣を見据える。
その目の中に確固たる光を携えて。

「どんな理由があれ、遠坂みたいな女の子が殺し合いに参加するなんてあっちゃいけない。いや、人が自分の願いを押し通す為に人を殺すなんて、あっちゃいけないんだ」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:04:37.14 ID:FnrEbXqAO
 一呼吸置いて、士郎は固めた決意を吐き出す。

「俺はこのふざけたゲームを壊す! みすみす命を危険に曝すような奴がいて、黙って見てるわけにはいかない!」

 一瞬不穏な空気が流れ、凜は奥歯を噛み締める。
 今の彼の発言は魔術師に対する冒涜。
いっそ此所で士郎を蹴散らしてしまおうとも考えたがそれでは本末転倒だと自身のプライドが制し、何とか思いとどまった。

「……相容れそうにないわね。ま、それはお互いがマスターに選ばれた時点で決まってる事か」

 衛宮士郎という人間に対する興味、関心は今の凜からは消え失せていた。
踵を返し、土蔵を後にする。彼女が振り返る事は無かった。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:05:28.50 ID:FnrEbXqAO
 夜だった――。
 ほぼ毎日夕食を共にする間桐桜と藤村大河は丁度凜と入れ違いでやってきて、三人での慎ましい食事を終え、士郎は再び一人になる。

「…………」

 土蔵の中で佇む士郎の意志は固かった。
 人知れず行なわれてきた血で血を洗う凄惨な闘い。それを見逃す事は自分の矜持に反する事だから。
だからこそ彼は介入を決めた。

 英霊の召喚方法。聖杯戦争というシステムの大まかな流れ。必要な覚悟。
 全て理解しているつもりだ。

「……よし」

 不思議と心の中を満たしてゆく心地良い何かを感じながら、彼は令呪が刻まれた手を陣に翳す。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:05:58.06 ID:FnrEbXqAO
「素に銀と鉄。礎には石と契約の大公。師には我が大師シュバインオーグ」

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ満たされる時を破却する」

「―――――Anfang」

「――――――告げる」

 英霊召喚の詠唱に差し掛かる直前、入り込んだ一陣の風が士郎の髪を靡かせた。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:06:33.31 ID:FnrEbXqAO
「――――告げる。汝の身は我が下に。我が命運は汝の剣に」

 時を同じくして、遠坂凜も英霊召喚に臨んでいた。
描かれた陣は寸分の狂いもなく、詠唱は澱み無く紡がれてゆく。

「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 幼くして受け継いだ遠坂の家督。
その小さな身には余る強大なプレッシャーをも飲み込む強靱なる意志は確かに、その眼に宿っていた。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:07:05.29 ID:FnrEbXqAO
「誓いは此処に。我は常世全ての善となる者」

 そして彼等の元ではない他の何処か。
 偉大なる言葉を紡ぐ声はか細く、あまりに頼りない。
 仄暗く、この世のものとは思えない異臭が充ち満ちた部屋の中で、描かれた陣だけが薄く輝いていた。

「我は常世全ての悪を敷く者」

 彼女の頬を伝う涙の理由を知る者。
 彼女の潰れてしまいそうな意を汲み取る者はいない。
 それでも彼女は言霊を生む。
固められた道は踏み外す事さえ許されず、彼女の意志とは無関係に闘いの渦中へと踏み込んでゆく。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:07:34.59 ID:FnrEbXqAO
「されど汝は混沌にその眼を曇らせ侍るべし」

 そこは厳かな空間だった。
石造りの城の一角にて、彼女も深い想いを抱き、言葉を紡ぐ。

「汝、狂乱の檻に囚われし者」

 造られた命。仮初の身体。
 この闘いの渦中に身を置くべくして生み出された彼女の眼は何を映すのか。

「我はその鎖を手繰る者――!」

 それを彼女以外に知る者はいない。或いは彼女自身にも解らないのかもしれない。
 赤い瞳は強烈な光を見据えても、一切動じない。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:08:26.12 ID:FnrEbXqAO
「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 輝きは土蔵の中に充ち満ちて、光は士郎の身をも包み込む。

 咄嗟に眼を閉じた士郎は英霊の顕現の瞬間を見る事はかなわなかった。

「英霊。聖杯戦争……ね。難儀なこった。形式上聞くが、お前が俺のマスターか?」

 陣の中から響く間延びした声に、士郎は強く頷き返事を返す。

「オーケー。本来俺の領分じゃねーが付き合ってやるよ。振り当てられたクラスはキャスター。そして俺の名は……」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:09:07.60 ID:FnrEbXqAO
「下らん」

 少年は現状に対して呟く。
視界に映る者全てを射抜く眼光は空間を認識し、一人の少女を捉える。

「セイバー? セイバーなのね? やった! これで私――」

「ふん、オレのクラスはランサーだ。ぬか喜びするのは勝手だが後で喚くなよ」

 携えた剣の感触を確かめながら、少年は自身の眼光に気圧されない少女を視線で咀嚼する。

「これからオレを使うだけある。中々の使い手みたいだな」

 頬を歪ませ、少年は下卑た笑みを浮かべた。

「オレの名は道蓮。喜べ、貴様の勝利はオレが保証してやる」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:09:51.88 ID:FnrEbXqAO
「気っに入らねえええええええ!!」

 全身に赤色を纏った女は召喚されると同時に吠えた。
有無を言わせぬ剣幕は何に向けられているのか解らず、少女はその場でへたりこんでしまう。

「……聖杯戦争、ね。うさんくせー、うさんくせー、インチキ臭で頭がどうかなっちまいそうだ」

 すらりと伸びる足で一歩踏み出す。
赤色の光沢がぎらつくピンヒールは床を打ち鳴らした。

「お前があたしのマスターか? 取り敢えずあたしは他の連中全員ぶっ飛ばす。協力しないとは言わねーよな?」

 暗に脅しをかける赤色のサーヴァントに対し、少女はただ萎縮するばかりだった。

「……まぁいいや。クラスはライダー。あたしの名前は哀川潤だ。名字で呼ぶなよ、名字で呼んで良いのは敵だけだ」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:10:34.10 ID:FnrEbXqAO
 石造りの城に一筋の紫雷が墜ちた。
 その輝きが表すのは無敵最強。他の追随を許さぬ帝王の威光だった。

「ゼオン……。魔界を統治する王の息子。最強の反英雄、か」

 狂化によって自我を失った魔界の王子の眼は光を映さない。
だが瞳の内より出で、光を照らす紫雷の光は本来の眼光すら上回る猛々しい強さを滲ませていた。

「待っててね、お兄ちゃん」

 精巧に作られた人形のような顔が不敵に歪む。
 白く輝く肌と髪、赤く輝く瞳。
 彼女の全ては今、暴徒と化した魔界の王子。究極のサーヴァントに向けられていた。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/25(火) 12:11:05.09 ID:FnrEbXqAO
「美堂蛮だ」

 邪眼の王。
 その足は一度駆ければ一瞬で空を衝き、その掌はあらゆるものを一瞬で粉塵へと化す。

 そして、彼の眼は世界の理さえも歪め、仇なす敵を幻想の彼方へ誘う。
 彼の身に宿る力は、森羅万象を食らい尽くす蛇となる。

「…………」

 士郎は上手く声を出せなかった。
 目の前に現れたのは伝説へと昇華し、伝記として語り継がれるまでとなった最強の奪還屋だからだ。
 
 闘いの狼煙が上がる。
 聖杯に見初められた七人の人間と七人の英霊の激突は、もう直ぐそばまで迫ってきていた。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/25(火) 12:12:06.47 ID:FnrEbXqAO
さるがないってイイネ!
のんびりやってきます
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/25(火) 12:23:18.84 ID:/FeKcKdAO
ゲッドバッカー
ガッシュ
マンキン
戯言
か。カオスだな。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/25(火) 13:44:46.28 ID:LnR29+AAO
バランス悪すぎじゃね?
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 14:12:05.76 ID:AgXq/VJDO
キャスターかよハズレ…じゃねえwwwwww
哀川さんの宝具は一撃必殺の轢き逃げか
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 16:26:52.73 ID:S2/uMoPko
赤屍さんじゃなくて安心した。勝てる気がしないし
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 00:39:14.41 ID:klomLYoto
キャスター、ランサー、ライダー、バーサーカーの枠が埋まったな。
イレギュラークラスがいないなら残るはセイバー、アーチャー、アサシンか。
誰が来るか楽しみにしておこう。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:21:34.57 ID:WLALHzCAO
 契約を終え、士郎は蛮を居間へと案内した。

「へぇ、学生の一人暮らしにしちゃあ良い家に住んでんじゃねぇか」

 蛮は家の壁をしきりに触り、無邪気な笑みを浮かべては大きく息を漏らす。

「ああ、広過ぎるくらいだよ。基本好きなように寛いでくれて良い。飲み物持ってくるけど何が良い?」

「へへっ、至れり尽くせりだな。コーヒーがあったらくれ」

 畳の上で大の字に寝転び、蛮は革のジャンパーの胸ポケットから煙草を取り出そうとする。
だが彼の目当ての物はそこには無く、手応えがない右手を握り悪態を吐いた。

「ちっ、嗜好品は没収かよ。聖杯戦争ってのは随分お堅いんだな」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:22:46.04 ID:WLALHzCAO
 煙草、コーヒー、酒といった嗜好品は一度意識してしまえば中々諦めがつかないものだ。
口内に満ちてゆく粘っこい唾を飲み下し、蛮はしきりに歯噛みする。

「おい士郎! お前煙草持ってねぇか?」

 俺は高校生だ、と返ってきた声は何処か呆れ気味だった。

 士郎が蛮に返事をしてから三十秒。彼は盆を持って居間に入る。
コーヒーがくべてあるのは似つかわしくない純和風の湯呑み。流石の蛮もこれには苦笑した。

「普段コーヒーは飲まないからさ。中身もインスタントだけど我慢してくれ」

「おう」

 熱いコーヒーを空気と一緒に飲み下す。
インスタント特有の饐えた香りはお世辞にも上等とは言えないが、何故か蛮にはそれが心地良く思えた。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:23:34.98 ID:WLALHzCAO
「ところでよ、お前も聖杯に選ばれたって事は何か叶えたい願いがあるんだろ? 聞かせろよ」

 時刻は十二時を周って一時を指している。
士郎にしてみれば明日も学校があるので積もる話は後日に回したいのだが、蛮は生き生きとした表情で士郎に詰め寄る。

「俺は別に聖杯が欲しいってわけじゃないよ。叶えたい夢も無くはないけど、それを聖杯に叶えてもらうってのは少し違うと思う」

「あぁ? 煮え切らねー野郎だな。そんなにウジウジする話題でも無いだろ」

「いって――っ!」

 蛮が士郎の額を指で弾く。
その気になれば岩を砕く事も容易い握力を秘めた手から繰り出された弾指は士郎を悶絶させた。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:24:26.73 ID:WLALHzCAO
「……そういうお前はどうなんだ。やっぱり聖杯使って何かしたい事でも――」

「決まってんだろ! 俺としては本意じゃなかったが巻き込まれたからには聖杯ってやつを狙ってやるさ。そんでこの無敵蛮様の酒池肉林を創ってやるのさ!」

 豪快に笑い飛ばし、温くなったコーヒーを呷る。そして割れそうなほどに強く机に叩き付けた湯呑みをじっと見つめ、何を思ったのかどこからか取り出した油性マジックで『蛮様の陽呑み』と書いた。

「お前何やってんだ!」

「だははははっ! 気にするな気にするな!」

 結局その日、衛宮邸には豪快な笑い声が夜通し響いていた。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:25:21.29 ID:WLALHzCAO
 士郎と蛮のやり取りから一時間後。
歓楽街のバーの一角でその青年はピザを囓っていた。

「オリーブ抜きのピザとストロベリーサンデーは人類の宝だ。腹空かせた悪魔もこれを見せればチップ稼ぎにあくせく働くだろうよ。そう思わねぇか? マスター」

「ふん、それを食ったらとっとと帰るんだな。此処はガキの来る所じゃないんだよ」

 店内には十余人ほどの客とマスター、そしてこの赤いコートを纏った青年。
室内の空気は歪な不快感に満ちており、客のぎらついた視線は全てこの青年に向けられていた。

「生憎火遊びが好きなんでな。こんな場所を見つけて素直に家に帰れる性格じゃないのさ」

「ガキにゃあまだ早い世界さ。火傷しても文句垂れるなよ」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:26:12.59 ID:WLALHzCAO
 マスターがカウンターの下から黒塗りの物体を取り、青年に突き付けた。
それはこの世で最もシンプルで、解りやすい殺戮の象徴だった。

「構わない。むしろ感謝したいくらいさ。だって――」

 青年が何か言いかけたところで突き付けられた銃口から鉛玉が射出された。
ほぼゼロ距離から放たれたそれを避ける事はかなわず、青年の頭は血と脳漿を撒き散らす。

「――――っ!」

 鮮血が店の床を汚してから二秒。
店内の客は皆自分の得物を取り出す。標的は頭を打ち抜かれた青年。ある者はナイフで首を掻き切り、ある者は鉛玉を四肢に浴びせ、またある者は粗悪な槍で背後から胸を貫いた。
 絶命は確実。誰もがそう思った矢先、青年の口角が大きく歪む。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:27:03.78 ID:WLALHzCAO
「刺激があるから人生は楽しい。そうだろ?」

 二丁の銃、エボニー&アイボリーが火を噴いた。
人間が扱えるようなものではない人外専用カスタムの銃から撃ち出された魔弾は初老のマスターの頭を粉微塵に吹き飛ばす。
 舞い散る鮮血は無い。代わりに拡散したのはこの世のものとは思えない醜悪な姿の蟲達だった。

「Ha-ha! Time to rock!」

胸に刺さった槍を抜き、床に突き刺す。次の瞬間彼の手に握られていたのは銃ではなく鈍色の髑髏が輝く大剣。
 一斉に牙を剥く十余人の暴徒達を見据え、青年は力任せの袈裟切りを放つ。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:27:58.67 ID:WLALHzCAO
 斬撃を受け、下半身と別れた男の上体を引っ掴んで放り投げる。
蟲に塗れた身体はその奥にいた男の視界を遮った。
 蟲の奥から男の顔面を打ち抜いたのは無数の弾丸。

「Haaaa!!」

 肉が崩壊し、蟲に変わるよりも速く赤コートの青年は男の胸を刃で貫く。
ずるりと崩れる身体。蟲混じりの不安定な肉塊を土台に、青年は優雅に床を滑る。
足首を捻り、回転しながら撃ち出された魔弾の雨を前に蟲達は蹂躙されるだけだった。

「Hoooo! Ha!!」

 床を滑り、突き刺した槍を掴んでそれを軸に回転する。
床と水平な形で車輪のように回る彼の身体はそれそのものが凶器と呼ぶに相応しい。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:28:36.78 ID:WLALHzCAO
 槍から手を離し、宙に投げ出された身体を翻す。
そしてひしめく一群を刈るのは強烈な横薙ぎの斬撃。
 既に店内にいた男達は全員原形をとどめておらず、室内は悍ましい蟲に満ちていた。

「Ha」

 青年は下卑た笑みを浮かべて両手を広げる。
すると手品のように一対の双剣が彼の手に吸い寄せられた。
 まるで踊っているかの如く彼の身体は激しく舞う。
一連の流れから一変、大きく身体を捩らせて回る彼を中心に爆炎と暴風が巻き起こった。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:29:31.02 ID:WLALHzCAO
「Too easy!」

 勝ち誇った笑みを浮かべ、青年は気取ったポーズを決める。
彼を中心に瓦礫が散らかっており、まるでそこだけ紛争地域を切り取ったようだった。

「まさかセイバーがこんなサーヴァントだったとは……。文字通り戦争が起こせそうですね」

 傍らでスーツ姿の女が呟いた。その表情は何処か呆れているようだった。
 上空から赤コートの青年の元へ、掌ほどの大きさの何かが落ちてくる。
青年はそれを視覚しないままそっと掌で受け止め、にんまりと目を細めた。

「良い火加減だ」

 先の蹂躙の渦中にあったにも拘らず一欠片も崩れていないピザを口に運び、『魔人ダンテ』は鼻歌を歌い始めた。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) :2011/10/26(水) 12:30:17.56 ID:WLALHzCAO
saga忘れてた…終わり
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 13:24:32.12 ID:P+TXcCgDO
ダンテキター!!
鯖の選択が俺得すぎる
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 14:01:03.62 ID:B6mWTczIO
マスターとサバの元ネタを箇条書きにしてくれると、自分ついて行きやすくて助かります
ゲットバッカーズ知らない
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/26(水) 15:39:09.97 ID:nVp+HgyAO
こりゃあどこも優勝あり得るでえ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/10/26(水) 15:59:15.91 ID:D0RKqahAO
士凛なのかどうかが俺にとっては重要だ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/26(水) 16:22:03.15 ID:m9wfc0uAO
哀川さんライダーかよwwwwww
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/26(水) 19:32:23.74 ID:cWMBKUgDO
間違いなくこのスレは荒れる
間違いない
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/26(水) 20:07:43.55 ID:sPH7UqmAO
荒れる?ジャスト1分でなんとかなるさ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 20:22:40.90 ID:jfrixJMZo
んじゃチートバッカーズだけ


美堂蛮

登場作品 GetBackers-奪還屋-

通称チートバッカーズ
その名の通りチート級のキャラが右往左往する。作品の戦闘バランスが悪すぎてツッコム気すら起きないレベルでバランス崩壊
体をプラズマ化するキャラがいたり『自分の死が想像できない』という理由で死なないキャラいたり物理干渉うけないキャラいたり・・・
そんな作品の主人公で魔女の末裔。最強候補のキャラ。日に三度のみ相手に一分間の夢を見せる『邪眼』の持ち主
作中クライマックスでは手が天使になったり悪魔になったり忙しい人。作中では無限のスピードとパワー持ってるチートキャラ


何でも出来るという神のカードで高次元(高位現実世界)から現実世界を支配する支配者
も干渉できない高位存在のルシファーを倒す蛮を赤子同然に扱い、全ての物理攻撃を回避できる毒蜂
の全力を上回り、無限にスピードが上がりスピードやパワーという小賢しい物を通り越して相手を追い込んでいく本気蛮
が雑魚の中の雑魚になる、上の世界以外のものは決して敵わないという法則を持つゴブリンズ
よりも遥かに強い、手だけで5,6mはあるベルトラインの住人×数十匹を圧倒する十兵衛と俊樹
が数倍強くなっても倒せない、時間軸を支配しコマ送りのような動きで攻撃する遊利より格上で次元の狭間から攻撃してくる舞矢
より遥かに強い祭蔵が前座と化す夜半の部下13人より20倍強い裏風鳥院数十人とそれを従える四弦を瞬[ピーーー]る太極石十兵衛
を軽い一撃で倒す夜半に対抗する蛮父の配下の三騎士をすれ違っただけで倒し時間軸を乗り越えてしまった聖痕ポール
が苦戦する紫紋の約100兆?の剣による光速斬撃を15cm動くだけで全てかわし、一撃で倒せる第6感ポール
が神の力を持ったことで次元が違うなんてもんじゃないという神の領域に突入してもベアナックルで互角だった蛮父
の攻撃を片手で受け止め、紫紋並に強い弥勒5人をまとめて瞬殺し、5人より遥かに強い夏彦の斬撃をわざと薄皮1枚切らせてかわせる蛮
が苦戦する本気の夏彦の数倍以上強い雪彦の次元階層ごと吹っ飛ばすというブラックホール攻撃を相殺できる銀次が追い込まれる本気の雪彦
と笑い合いながら戦える第6感銀次より強い呪術王に匹敵する夜半よりも上位の存在であり
相手が止まって見える超時間に存在しさらのその超時間も操作し一方的に攻撃でき、さらに神の力を持ったことで決して敗れざる超存在となった鏡
を軽く瞬殺した赤屍と戦える、時空や次元を超えても干渉できない時空のズレに存在し相手の見る全てのものを支配する来栖
の全てのものを根本から無に還す波動がまったく効かず、あらゆる攻撃が無効化されるという雷帝
が進化した100%雷帝の次元を突き破り空間を破壊し全てのものを分子も残さず消滅させるプラズマを防御もせずモロに受けてもビクともしない本気蛮
がさらにアスクレピオス解放で暴走しても余裕でフルボッコにする蛮父が足元にも及ばない呪術王
のこの世の全ての負のエネルギーを収斂してセカイごと消し飛ばすという絶対破壊
で多次元階層より上位の世界を完全に覆っても相殺した雷帝
より高位の神であり因果律や時間など世界のあらゆる可能性・要素をシナリオ通りに支配しているTHE・CLOCK
でもどうしようもない創生王候補の蛮の攻撃を片手をポケットに入れたまま10億分の1mまでひきつけてかわし
こんなものですかと失望する赤屍と張り合える覚醒蛮とセカイを無に還して自由に作り変えた銀次
を軽くゴミ箱送りに出来る無限城近くのチンピラヤクザ
を一蹴したヤクザより遥かに強く最強のお方と呼ばれる菱木竜童
を金的蹴りで倒すマドカ最強

という呪文のようなコピペのある作品

ちなみに>>23ででた赤屍もこの作品の登場人物で自分の死が想像できないから死なないらしい
漫画の最強キャラ議論スレでは常連
でも蛮は勝った
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/27(木) 21:24:22.79 ID:ilX7A4YAO
アサシンには是非ゴルゴをww
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:04:25.96 ID:PN+NkDjAO
 遠坂凜は学校を休んでいた。
 聖杯戦争の最中である今、学校などに行っている場合ではないという思案もあるが、その理由は別にある。

「霊体化を拒否する英霊なんて聞いた事無いわよ……。不便極まりないわ」

「ククッ、ならばその令呪とやらでオレを屈伏させるか?」

 一瞬頭に血が昇りかけるが凜は努めて冷静を保つ。
三度しか使えない令呪をこんな些事に消費してしまっては今後の闘いに関わる。
故にサーヴァントである蓮の言い分は可能な限り受け入れようと考えたのだ。
 凜はらしくない、と自嘲気味に笑って見せた。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:06:08.30 ID:PN+NkDjAO
「オレは超、強い。ならば他の虫ケラ共に慮って姿を眩ませる必要など無いだろう。貴様は黙ってオレの後ろで指を咥えているだけで良い」

 陽気な昼下がりだというのに彼の周囲には刺々しい空気が漂っている。
廃ビルの屋上である此処ではさして影響は無いが、人通りが多い場所では彼等二人が並んで歩く事自体が多大な影響を及ぼしかねない。

「……随分見くびってくれてるわね」

「見くびってなどいない。オレは貴様の素養に関しては買っているつもりだ。だが敢えて解り易く言ってやろう」

 その顔に張付けているのは帝の冷笑。

「闘いはオレ一人で充分だ」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:06:58.36 ID:PN+NkDjAO
 懐から手繰り寄せた棒状の何かを瞬時に組み立てる。それは槍のような形状ではあるが、刃先は三日月の曲線を描いており、一風変わった得物だった。

「出て来い、小悪党」

 返ってくる声は無い。数秒の静寂の後、鳴り響いたのは渇いた銃声だった。

「なっ――!?」

 凜は絶句する。彼女の視界を蓮の得物、馬孫刀の刀身が遮った。
そして足元にひしゃげた銃弾が転がっている。

「大言吐くだけはあるようね。手合わせ願えるかしら」

 何の前触れもなく、蓮達の前に彼女は現れた。
白い衣服を纏った長い黒髪の少女。左腕には円状の盾のようなものをつけている。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:07:53.24 ID:PN+NkDjAO
「馬孫!」

 それは是の返事。蓮の左手に掌ほどの火の玉が吸い寄せられる。

『御意』

 右手の馬孫刀と左手の人魂が交わる。眩い光が凜と謎の少女の視界を遮った。

「――っ!」

 刹那、少女の眼前を影と光が駆る。

「先ずは小手調べだ。我が金色のオーバーソウルを破れるか?」

 金色に輝く馬孫刀。刃が纏うのは金色の武将の影。
蓮の背後に立っていた凜は彼の動きを視覚するだけで精一杯だった。

「ゴールデン中華斬舞!!」

 その力は空を裂き、地を穿つ。
切っ先はコンクリートを捉え、盛大に爆ぜた。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:08:36.61 ID:PN+NkDjAO
「ふん、逃げ足だけは一人前のようだな」

 粉塵が風に流され、視界が明瞭となる。
蓮の目の前に少女の姿はなく、それどころか気配すら微塵も残っていなかった。

「ちょっと!? 魔術は秘匿され――」

「そこか!」

 凜が何か言いかけたところで蓮が吠えた。
 金色のオーバーソウルを爆発させ、大きく浮上、加速。廃ビルから大きく飛び上がり、一回り小さな建物へと着地する。

「見た目とは反して、随分闘い慣れてるみたいね。ただの『小柄』な槍使いという認識は訂正させてもらうわ」

「挑発のつもりか? 生憎だがオレは毎日三本は牛乳を飲んでいる。そんなものに憤るほどカルシウム不足ではない」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:09:25.06 ID:PN+NkDjAO
 再び相見える二人。蓮は喉を鳴らして笑い、金色のオーバーソウルを解除した。

「……どういうつもり?」

「敵の力量を見定められぬほど馬鹿ではない。オレもそれなりの力で応えてやるだけだ」

 黄色の派手なジャケットの裏から取り出したのは伸縮が利く剣。施された装飾から敵を斬るよりも美術品とされるものである事が見てとれる。

「オレの宝雷剣はあらゆる武の魂を研ぎ澄ます」

 一振り、二振り。そうして剣を振るう毎にそれを纏う霊装は強く、大きく、鋭くなってゆく。

「これが我がオーバーソウル『武神』だ」

 この世の武の象徴を全て掛け合わせたようなそのフォルムは見る者を圧倒させる。
 ――来る。
 少女がそう認識した瞬間、蓮は既に少女の懐に潜り込んでいた。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:10:07.90 ID:PN+NkDjAO
「四閃刀幻境!」

 武神が形状を変え、地を滑る。

「槍」

 現れるは無数の槍。武の幻影は少女に牙を剥く。

「刀」

 繰り出される斬撃は超スピード。人知を越えた怒濤の攻撃。それでも少女は全ての刃を躱していた。

「戟」

 一点に集中して放たれていた刃が拡散し、少女の選択肢は狭まってゆく。
確実に傷を負わないルート。それは最良の選択をし続けなければ歩む事は出来ない。

「多刃!」

 刃が風を切る音が連なり、それは羽虫の羽ばたきの音のように絶え間なく鳴り響く。
正解のルートが一瞬で塗り潰され、少女の視界を数多の武器が覆った。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:10:51.45 ID:PN+NkDjAO
「くっ――!」

 少女の表情が険しくなった。
円状の盾をつけた左腕を翳し、開いた掌は宙を撫でる。
 そして次の瞬間、少女は蓮の前から姿を消した。

「何――っ!?」

 蓮は目を見開く。
 だが彼が少女の消失を観測した瞬間、彼の左肩が不快な音を上げた。
 それは固いものが肉を貫き、骨を砕く音。
痛みは熱を伴い、彼の脳を揺さぶる。

「(何故だ……!? 超スピード、幻覚? 奴はどうやって……)」

 それは痛みが与える猶予の時間。ほんの僅かな時間を、蓮は少女の力の正体を見破る事に費やす。だがそれは無為に終わる。

「ぐっ、クソ……っ!」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:11:24.49 ID:PN+NkDjAO
「ランサー!」

 蓮の背後で甲高い声が響く。
彼が苦虫を噛み潰したような表情で振り返ると、そこには血相を変えて駆け寄ってくる凜の姿があった。

「アンタその肩……っ!」

「案ずるな、大した傷じゃない」

 蓮は言いながらオーバーソウルを解除し、傷口に手を添えた。
額が汗ばんでいるものの、その表情はどこか楽しそうでもあった。

「聖杯戦争……。なかなか面白いじゃないか」

 血を流しながら高らかに笑う蓮の姿が凜の目にはどう映ったのだろうか。それは彼女にしか解らない。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:15:41.97 ID:PN+NkDjAO
「まさかこの力を以てしても躱せないとは……」

 白いローブのような装束をはためかせ、少女は左手の盾を撫でる。
頬にはうっすらと滲んだ血が伝う。痺れに近い微かな痛みが、彼女の胸を締め付けた。

「リミットは何故だか一ヵ月以上はありそうだけど、無闇に連発するより十全に策を練った方が良さそうね」

 蓮が放った四閃刀幻境は彼女の予想を上回る速度、そして手数を備えていた。
前者は彼女の力を以てすれば大した問題ではない。問題なのはあくまで後者だ。
 数多の刃に身動きが出来ないほどに囲まれれば、彼女の能力『時間停止』では抗えない。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:17:20.88 ID:PN+NkDjAO
「待っててね、まどか。私はあなたの笑顔を」

 それでも、たとえどんな敵が立ちはだかろうとも彼女には負けられない理由がある。

「力を」

 盾から握り慣れた銃を取り出す。それにはかつて使っていた時のような無機質の冷たさはなく、見えない何かが包み込んでいるような暖かさがあった。

「命を」

 銃口を向ける先は雲一つ無い青空。
見えない何かを、挫けてしまいそうになる自分を打ち抜く為に彼女は引き金を絞る。

「……祈りを」

 銃声は無い。鉛玉が風を切る小さな音が一瞬鳴り、消える。

「絶対に、無かった事にはさせないから」

 聖杯にかける願いはただ一つ。それは誰にも語られぬ彼女の決意。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/28(金) 01:20:05.79 ID:PN+NkDjAO
OSは霊感ないと見えない?そんな設定初めて聞いたよ、というのは冗談でご都合主義の設定改変にはどうか生温い視線で…
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 01:36:17.58 ID:iLPc1NUio
ほむらキター
銃器がメイン武器ということでアーチャー枠かな。マスター誰だろ。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/28(金) 04:51:24.05 ID:2Dgl+1yAO
まだ50越えた程度なのに既に手に負えない奴しかいないな…早くも混乱して来た
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 07:33:57.94 ID:WeT0vtbDO
アーチャーはチート宝具持ちが多いな
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:00:43.65 ID:7wWWSw0AO
「あの、ライダーさん……」

「あぁ!?」

「あ、哀川さん……」

 時は遡る。ライダーと呼ばれて露骨に嫌な顔をした哀川潤は更に名字で呼ばれた事により、刺々しい怒気を放つ。

「ご、ごめんなさい潤さん」

「ん、それで良い」

 ぎらついた表情が一瞬でシニカルな笑みに変わる。
 些細な事で表情や態度が変わる赤色に、間桐桜はほとほと手を焼いていた。

「私これから学校に行かなきゃならないんですけど、潤さんはどうしますか?」

「あたしはやる事あるからパス。なんかあったら二秒で駆け付けてやっからお構いなくぅ」

 彼女が言う『やる事』が漫画雑誌の購読、車やバイクといった交通手段の確保。そして前者がメインである事は桜には分からない。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:01:39.67 ID:7wWWSw0AO
「そうですか……。じゃあ私行きますね、キッチンに朝食作ってありますから、良かったら食べて下さい」

 それだけ言って桜が部屋から出ようとしたその時、待てよと険しい声が響いた。

「……どうしました?」

 気圧されてしまいそうな声色に、桜は恐る恐る振り返る。
赤色は腕を組み、少し唸ってからぽつりと呟いた。

「お前、朝のアレ毎日やってんの?」

 桜は一瞬目を見開き、悲しそうに顔を伏せる。
来る日も来る日も蟲に、義理の兄に犯される日常。触れて欲しくない自分の汚れた部分に、何の躊躇もなく踏み込んでくる哀川潤を一瞬だけ憎らしく思う。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:02:38.33 ID:7wWWSw0AO
「ごめんなさい……。見苦しいところ見せちゃいましたね」

 気丈に微笑み、痛々しく言葉を紡ぐ彼女を見据え、哀川潤は数秒黙り込み、そして口を開く。

「……まぁそうやって溜め込んでりゃある意味楽なんだろうけどよ。自分が潰れた時の責任を他人にすげ替えるんじゃねーぞ」

 生温い同情の言葉も、温かい憐れみの言葉も無かった。
赤色の請負人が吐いたのは、桜にとってはこれ以上なく辛辣な言葉。

「……どういう意味ですか」

「そのまんまだよ。自分が周りから逃げて殻に籠ってるくせに、殻ん中で腐っちまってから吐く言葉は『誰も助けてくれなかった』。そんな生き方はするんじゃねーよって言ってんだ」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:03:45.47 ID:7wWWSw0AO
 吐き出してはいけない。悪いのは全て自分だから。そう思わなければ他の誰かが傷付く事になる。
 ――解っているのに。

「あなたに何が解るんですか……。知ったような口きいて有能ぶるのは止めて下さい!」

 全て見透かしたような請負人の言葉に彼女の矜持は揺るがされる。

「あたしは自分が有能だなんて思った事はないさ。あたしは万能だからな」

 底意地の悪そうな笑みを張り付け、哀川潤はつかつかと桜に歩み寄る。

「ちょっとは前向いてみろ。お前が闘ってる内はこのあたしがお前に辛い想いはさせねぇよ。だから偽臣の書なんて姑息な真似は止めろ」

「っ! どうしてそれを……?」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:04:52.21 ID:7wWWSw0AO
 心を見透かす瞳。気圧される圧倒的威圧感。
桜が抱く哀川潤への感情は嫌悪から恐怖に変わりかける。
 無意識に後退する桜の肩を掴み、彼女はそっと耳元で囁いた。

「『外』に出て思いっ切り深呼吸してみな。世界はお前が思うよりお前に優しい事に気付くだろうよ」

 荒み、澱んでしまった心の器に拡がる波紋。
木霊のように頭の中で響く請負人の言葉に桜は涙していた。

「私……。助かっても良いんでしょうか?」

「その為の請負人がここにいんだろ。お前があたしに頼むんなら、それを断る理由は無いさ」

「…………っ!」

 桜の表情が崩れる。零れる涙を拭い、肩を震わせながら部屋を去ってゆく。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:06:36.38 ID:7wWWSw0AO
 残された哀川潤は大きく溜め息を吐いた。

「はっ、請負人が目的もなくブラブラってんじゃニートと変わらねーもんな」

 先日間桐邸の蔵書から持ち出した古めかしい本をスプリングコートの裏地から取り出し、軽く目を通す。

「刻印蟲ね、ありゃ身体中ズタボロだよな……。骨やら血管やらにも蟲が潜り込んでんのか?」

 コートを羽織り、どっかりとベッドの上で胡座をかく。
 彼女のスキルを総動員すればこの間桐家がどういう家なのか、そして桜が今どういう状態なのかを一晩で知る事は児戯にも等しい。

「必要なのは人体を自由にいじくり回せるレベルの施術スキルか……。こりゃ並の医者のレベルじゃ無理だな。ブラックジャックかエスパーじゃないと厳しいわ」

 珍しく彼女の表情が曇る。だがそれはほんの一瞬だった。

「ま、何とかなるか」

 ベッドに大の字に寝転び、哀川潤は楽天的に呟いた。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:07:35.38 ID:7wWWSw0AO
 空は晴れ渡っているというのに此処は仄暗い。
野良犬が転がっているゴミ箱に頭を突っ込み、短く呼吸している。
 傍らで座り込んでいる少年はそれを赤い瞳で見下し、真っ白な髪を乱暴に掻いた。

「無様だなァおい。お前もオレと同じかよ」

 擦れた視線が刺さっている事にも気付かず、野良犬は浅ましくゴミを漁る。

「野たれ死ンじまえば喜ぶ奴の方が多いってのに。……ほンっとにどうしようもねェよなァ」

 着ている服は汚れているのに白い肌には埃一つついていない。
だが赤い瞳は獰猛な野犬のようにぎらついた光もあるが、時折澱んだ影が見え隠れしている。

「けど易々と尻尾巻いて消えるほど、オレ達はお利口さンじゃねェンだよな、ヒャハッ」

 白髪の少年が立ち上がると、彼を中心に不穏な風が巻き起こった。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:09:22.51 ID:7wWWSw0AO
やっと七人出し終えた…
眠気に勝てたら順にマスターと鯖整理する
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:16:23.43 ID:7wWWSw0AO
マスター:衛宮士郎

サーヴァント:美堂蛮(キャスター)
出演作品:ゲットバッカーズ

行動理念:士郎は他の聖杯戦争のマスター同士の殺し合いを自分が勝ち残る事で阻止する事。
蛮は強い人間と闘えて更に願いが叶うのならば、とあくまで状況を楽観視している。士郎の理念には反発していない。

関係:良好
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:24:44.26 ID:7wWWSw0AO
マスター:遠坂凜

サーヴァント:道蓮(ランサー)
出演作品:シャーマンキング

行動理念:凜は父、時臣の意志を継ぎたいから。あくまで叶えたい願いよりも聖杯戦争に勝利し、根源を見る事が目的。
蓮は現状をあまり快くは思っていない。猛者と闘い、己の不迷(マヨワズ)の貫く事が当面のスタンス。だが戦争と名のつくこの闘いで勝利する事は彼の中では大前提であり、その点で凜とは利害が一致している。

関係:警戒
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:29:29.92 ID:7wWWSw0AO
マスター:イリアスフィール・フォン・アインツベルン

サーヴァント:ゼオン(バーサーカー)

行動理念:イリアは不明。士郎に何らかの感情を抱いているようだ。
ゼオンは狂化により自我を失っているので現状イリアの意のまま。

関係:主従
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:32:28.82 ID:7wWWSw0AO
マスター:不明

サーヴァント:ダンテ(セイバー)
出演作品:デビルメイクライ

行動理念:取り敢えず面白いものを探す。

関係:良好
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:38:46.78 ID:7wWWSw0AO
マスター:間桐桜

サーヴァント:哀川潤(ライダー)
出演作品:戯言シリーズ

行動理念:桜は哀川潤のカリスマと自分を救うという考えに触れ、取り敢えずは彼女の側に在りたいと考えている。
潤は今回の戦争をぶち壊しにしたいと思っている。その為に他のマスターが邪魔ならば排除する意向。また請負人として出来る限り桜の救済にも力を尽くすつもり。

関係:友愛
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:43:29.27 ID:7wWWSw0AO
マスター:不明

サーヴァント:暁美ほむら(アーチャー)
出演作品:魔法少女まどかマギカ

行動理念:聖杯に固執している。恐らく聖杯にかける願いは鹿目まどかの救済。他のマスターとサーヴァントとは危険が少ない程度に干渉し、十全に策を練るべきだと考える。

関係:疑念
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:46:55.90 ID:7wWWSw0AO
マスター:不明

サーヴァント:一方通行(アサシン)
出演作品:とある魔術の禁書目録

行動理念:聖杯にかける願いは恐らく無いが、他のサーヴァントに負けるつもりは一切無いようだ。

関係:嫌悪
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [saga]:2011/10/29(土) 03:48:51.36 ID:7wWWSw0AO
ゼオンの欄に
出演作品:金色のガッシュ
追加で

プロローグ終了でここから本編って感じですかね
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/29(土) 06:20:20.95 ID:9XtD54WAO


鯖の格差がひどい…
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 06:40:16.98 ID:+oqBO/YLo
原作知らないのもちらほらあるが、蓮だけなんか弱く見えるな
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/29(土) 07:40:23.05 ID:uEQVVZBAO
むしろほむらが…
目の前で銃弾避けそうな連中ばかりの中で時間停止が大したアドバンテージに見えない
同じ特殊能力頼みでも一方さんとの格差が酷い
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/29(土) 08:38:13.90 ID:1JhRvdzAO
アサシンってことは一方さんはそんな強くないのか。
反射が宝具扱いくらいにはなってそうだからほむほむでも何とかなるんじゃ?
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 09:30:22.95 ID:MkJUqzQto
マスター次第では原作での全力を発揮できないとかあるだろうしね。

まあ、ほむらはサーヴァントと戦うよりも
時間停止を有効利用してマスター狩りするのが無難な気がするけど。
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 10:19:02.36 ID:6RVqpnRDO
流石哀川さんかっけー!!
哀川さん最高!!
哀川さん万歳!!
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/29(土) 11:04:52.78 ID:1JhRvdzAO
>>81
名字で呼んで良いのは敵だけだぜ?
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 13:13:57.16 ID:YGWw406DO
1乙!!
>>78
時間停止がたいして脅威にならないって、それなんて虚無戦記wwwwww
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2011/10/29(土) 13:36:07.70 ID:WP/ASlxF0
>>83
時間操作自体はベクトル操作よりチートだと思うが、ほむほむの場合は火力がな…
原作のバーサーカークラスには傷も負わせれないんじゃないか
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 23:58:24.23 ID:Rvm70KIzo
哀川は知らないけど
 
蛮 全知全能ブレイカー+無限のパワーとスピード+自分だけ違う時間軸行動

一方通行 ベクトル操作

ほむら 時間移動+時間停止+四次元シールド

連 シャーマン+スピリットオブサンダー 

ダンテ 半不死身+怪力+宝具クラスの武器多数+時間超遅滞+分身殺法

ゼオン 瞬間移動+便利マント+電撃



一方、ほむらが雑魚に見えて可哀想なレベル・・・
っていうか蛮がぶっ飛び性能すぎて俺の好きなダンテですら勝つイメージがわかない
哀川知らないけど蛮以外で悪魔二人に勝てるの?ってレベル

マスター設定をどう生かすかだね。超楽しみです
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/30(日) 07:04:36.91 ID:V3BwUOlAO
>>85
潤さんは「主人公補正」を能力として持つ珍しいキャラだから他作品相手にしても無双できる可能性がある。
元々の身体スペックもチートバッカーズの奴ら並だから個人的には優勝候補かと。
反面異能みたいなのは持たないけど、強化人間なので赤外線見えたり色々化け物。


うわ熱く語る俺キメエ(笑)
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/30(日) 08:17:08.32 ID:giKc5EvSo
好きな作品びいきになるのはクロスの常
>>1の裁量に文句言ったりとか、行き過ぎなければ問題ないでしょ
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2011/10/31(月) 19:49:15.14 ID:xuDnn62AO
続きはマダー?
更新予定だけでも教えてくれるとありがたい。
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:09:44.38 ID:k3eIpiWAO
「何で俺は徹夜なんかしたんだ。これから学校行かなきゃならないのに……」

「ふぅん、じゃあ俺は一眠りさせてもらうぜ」

 げっそりとやつれた士郎を余所に、蛮は呑気に伸びをして寝転がった。

「……藤ねぇは来ないって言ってたな。そろそろ桜が来る頃か」

 士郎は気を抜けば永久に閉じてしまいそうな瞼を擦り、無理矢理発起する。
霞んでいた視界が徐々に明瞭になってゆき、意識もしっかりしてきて、士郎は重大な事に気付いた。

「そうだ、桜が来るんだ! 悪いけど寝る前に向こうに隠れててくれ!」

「ああ? 俺がいるのがそんなに疚しいかよ? 安眠妨害する気なら相手になるぜ?」

「疚しいとかじゃないんだよ!」

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90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:11:02.57 ID:k3eIpiWAO
 問答を続けている内に誰かが戸を開く音が響いた。誰かは言うまでもない、間桐桜だ。

「くそ! こうなったら令呪で……」

「だーっ! わかったわかった! 令呪使われるくらいなら言う事聞いてやるって!」

 足音が徐々に大きくなってゆく。間隔の短さからやや駆け足気味だ。
こうなっては今から隠れても間に合わない。それを察した蛮は大きく跳躍し、自慢の握力を使って天井に張り付いた。

「どうしたんですか先輩!」

 ほぼ同時に戸が開き、間桐桜が現れた。

「はは、朝からどうしたんだ? 別にどうもしないよ」

「でも……。何だか揉めてるような声がしてたから」

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91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:11:42.67 ID:k3eIpiWAO
「あ、ははは……。空耳だろ、それより朝は何作ろうか……」

 士郎は作り笑いを浮かべて出来るだけ自然に視線を天井に向けた。
そして見てしまった。蛮が獣の眼で桜を見下ろしているのを。

「ばっ――!」

「揉めてねー揉めてねー! こんな上等な乳は久し振りだ! だっははははははっ!!」

「いやあああああああっ!?」

 音も無く桜の背後に降り立ち、一心不乱に桜の胸を揉みしだく蛮。
鼻の下は伸びきっていて品性の欠片も無い。
 数秒後に蛮の頬を捉えた平手打ちの音が衛宮邸に響いたのは、言うまでもないだろう。

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92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:13:05.33 ID:k3eIpiWAO
「うめぇ! 目茶苦茶旨いぞこれ!」

 朝食にしては豪勢過ぎる料理の皿を蛮は見る見るうちに空にしてゆく。

「少しは反省しろよ……」

 士郎はこの数時間で蛮という人間がどういうものかを大まかに理解した。
暴虐無尽にして自己中心的、あくまで自分の欲望に忠実。

「……はぁ」

 桜には遠い知り合いである蛮が自宅改装の為しばらく泊まりに来ていると伝えている。
何の疑いもなくそれを信じた桜に負い目を感じつつも、士郎は取り敢えずの懸念事項回避の成功に、息を吐かずにはいられなかった。

「桜、お前料理の才能あるよ。朝から白飯何杯でもいけるぜこれは」

「嬉しいです。おかわりたくさんありますからね」

 破顔一笑。一悶着あったものの穏やかな時が流れる。

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93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:13:46.44 ID:k3eIpiWAO
 最初の印象は最悪だったが桜もすっかり蛮と馴染んでいる。
自分が作った料理をこうも美味しそうに食べてくれる蛮を邪険にする事は出来ない。所々で妙な人懐っこさを見せる彼の性格がこの空気を作り出した理由の一つだろう。
 片付けが終わるやいなや、蛮は大の字になって寝転び、数秒後には喧しいいびきをかきはじめた。

「なんだか……。賑やかな人ですね」

「厚かましいと言った方が良さそうだけどな。粗相の無いように言い聞かせてはおくけど、迷惑かけたらごめんな」

 士郎が困ったようにそう言うと、桜はほんの少しだけ口角を歪めた。

「あの人がサーヴァントなんでしょう? だったらマスター同士に遠慮なんて要りませんよ」

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94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:14:26.64 ID:k3eIpiWAO
「え?」

 士郎の身体が硬直する。桜は彼の心境を知ってか知らずか、取ってつけたような笑みを張り付けたままだった。

「先輩嘘吐くの下手なんだから。いくら私でも直ぐ解りますよ。その手の包帯の下にあるんでしょう? 令呪が」

 桜は制服の袖を捲り、細い腕に刻まれた令呪を士郎に見せつけた。

「……魔術師だったんだな。まさかお前もこの闘いに乗る気なのか?」

「乗ります」

 間を置かず即答。普段の桜は己を殺して他人と同調する性格だが、ここぞという時は絶対に引かない。彼女のそんな本質を知っているからこそ、その言葉は士郎の胸に突き刺さった。

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95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:15:15.56 ID:k3eIpiWAO
「願いを叶える為に誰かを傷付けるのは正直心苦しいけれど……。きっと私、この聖杯戦争を通して良い方向に変われると思うんです」

 胸に手を当てて力強く言葉を紡ぐ。
僅かに見え隠れする桜の負い目は彼女自身にしか解らない。だから士郎は、彼女の決意があまりに綺麗なものに見えて、反論する事が出来なかった。

「私は死なない。誰も殺さない。そしてこの闘いを後で思い返して、笑えるものにしたいなって思うんです」

 そう呟いて三秒。呆気に取られる士郎に微笑みかけ、桜は静かに立ち上がった。

「じゃ、朝練行ってきますね」

 桜の後ろ姿が今の士郎には後光が差して見えた。
彼は聖杯戦争がもたらす変化を、この時初めて垣間見たのだ。

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96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:16:27.04 ID:k3eIpiWAO
「待ってて下さい、先輩」

 衛宮邸を背にして桜は呟く。
彼女の中の純粋に大きな、それでいて彼女という存在の芯となる想いの言霊は、誰にも聞かれない。

「私、潤さんと一緒にいれば何か掴めそうなんです」

 赤き征裁。死色の深紅。赤笑虎。仙人殺し。嵐の前の暴風雨。砂漠の鷹。
 数々の異名の全ては力有る名前。
有象無象を自分を中心に巻き込み、主人公として踏破する緋色の英雄の彼女だからこそ、桜は彼女に惹かれる。

「今は無理だけど、私が私を好きになれたらその時は……」

 踏み出す一歩は大きい。
何故なら彼女の矜持は偉大なる英雄と共にあるのだから。

「私の告白、どうか聞いて下さい」

 それは誰にも語られなかった、この世で一番綺麗な言葉。

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97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:17:13.64 ID:k3eIpiWAO
 桜が家を出た後、哀川潤は奔走していた。
持ち前の万能スキルを駆使して僅か半日で携帯電話、ノートPC、赤色のコブラ、ドゥカティ、必要なものは全て揃えた。

「次はヘリでも買うかね」

 人目を引くその容姿はあらゆる者を魅了する。だがそれと同時に何者も近寄らせない殺気染みたオーラを放っていた。
 人通りの多い道を曲がり、開けた道に出る。
そこで彼女は、もう一人の赤色に出会った。

「…………」

 彼が真っ赤なコートは冬物なのだろう。
だが半裸の上からそれを羽織る姿はあまりに季節外れで、彼もまた人目を引いていた。

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98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:17:55.33 ID:k3eIpiWAO
 彼と彼女は互いに一歩ずつ歩を進める。
その度に多かった人込みはそれが自然であるかの如く失せてゆき、互いに手が届く距離まで近付いた頃には、辺りに人影一つなかった。

「赤色は好きか?」

「嫌いじゃねぇ。お前も中々似合ってるぜ」

 彼女が語りかけ、彼が答える。
 そして、それが自然であるかのように互いの肩を擦り抜けた。
 刹那、二人は互いに振り返り、鎌のように鋭い後ろ回し蹴りを放つ。
その動きには一切の澱みもなく、さながら演舞のようだ。

「はっ、あたしと踊ってくれるかい!」

「ええ喜んで、お嬢サマ!」

 魔人と人類最強の請負人は互いの邂逅を喜び、同時に頬を緩めた。

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99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [saga]:2011/11/02(水) 01:18:31.52 ID:k3eIpiWAO
おわりです

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100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/02(水) 10:37:46.05 ID:OkF774mAO
乙。
早速ごついカードが当たったな。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 14:43:38.30 ID:AI82uVNDO
ここでどっちか敗退したら大変なことになるな
ただダンテはここで倒さないと二度と哀川さんに勝てなくなるが
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 20:24:47.97 ID:TgyIulMSO
ダンテのスペックとスキル誰か教へて
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 22:05:32.51 ID:GgrqwXyIo
>>86
それはない
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 07:37:00.42 ID:Kkv5p4iSO
まだカナー
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/13(日) 08:51:16.42 ID:4tA1MMsAO
まだか……
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) :2011/11/14(月) 00:44:27.56 ID:1x0BwxXZ0
 >>102
 この作品に出ているダンテが、どのシリーズかによって能力が違うけど
 4のダンテなら、>>85のにあった半不死身+身体能力が一時的に上昇する『悪魔化』
 この状態になると、羽も生えて飛行が可能になる。それと、筋力はかなりあるようだが、
 詳細は不明(かるく3〜4mは跳べる)。大抵の刀剣や重火器は扱える。
 
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/14(月) 15:14:21.07 ID:LLYvNzfB0
でもほむらもグリーフシードとソウルジェムがある限り不死身なんだよな(一部例外)
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/14(月) 17:03:44.84 ID:T5QprogO0
丁々発止と言うより、チートで一発決着のパターンが多発しそうで怖い。
頭脳戦が見たいなぁ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/16(水) 10:53:14.22 ID:8le9SW9AO
もう来ない?
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/11/16(水) 14:18:59.21 ID:ha6jqh3to
今どうか知らないけど3ヶ月>>1のレス無いと落ちるらしいから
ヶ月単位で放置する算段なら適度に生存報告が欲しいですヨネ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/16(水) 19:28:04.24 ID:8le9SW9AO
LR変わって作者の書き込み2ヶ月無しで落ちるようになった。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 16:04:20.78 ID:olYh6Yufo
はよこい
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/12/05(月) 20:59:59.62 ID:/1bzyLri0
>>106
ネロは軽く50m飛んでいたからダンテはもっと飛べるかも
ヤマトは閻魔王そのものだし、真の姿を現しただけで世界を崩壊させる強さを持つムンドゥスに勝ててるから、蛮以外なら勝てんじゃね・スペックで
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/12/05(月) 21:02:37.65 ID:/1bzyLri0
あとただの考察だが神様のパンチはあの大きさからすると少なくとも2200tあるから
それをうけとめたダンテは結構力持ち
115 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/31(土) 00:37:31.20 ID:/9/DFryAO
まだか
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