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梓「告白」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/10/28(金) 21:48:03.22 ID:fv8cM4GAO



純「私たち、付き合ってる」

めずらしく真剣そのものな顔をして、親友の一人が静かに告げた。
寄り添うように彼女の隣に立つのは、もう一人の親友。
まっすぐ私を見据える姿が、その子の姉が稀にみせる表情と、よく似ていた。

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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/28(金) 21:50:04.35 ID:fv8cM4GAO
憂「女同士でオカシいって思われても、梓ちゃんにね、知っていてもらいたかったの」

お互いの手を強く握る憂と純。
なんてすごいんだろう。
覚悟とか勇気とか。
世間や常識に、好きなヒトと乗り越えていこうとする姿が、眩しくて、嬉しくて。
何故だか羨ましくて、ほんのちょっとだけ妬ましい。

ああ、私、いやな子だな。
どうしてだか、あの人が脳裏に浮かぶ。

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/28(金) 21:51:32.49 ID:fv8cM4GAO
梓「すこし驚いたけど、私は軽蔑したりしない」

これも本心。
二人を親友として選んだ私に、応えてくれたよろこびは何にも代えられない。
だから言うべき言葉は決まってる。

梓「私は憂と純を応援するし、誰が非難したって絶対に味方だからね」

そして右手を差し出すと、憂と純は汗が滲みひんやりとした掌を、ゆっくり重ねてきた。
大海で浮き木を見つけたみたいに、親友達は顔を綻ばせる。

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/28(金) 21:55:58.25 ID:fv8cM4GAO

純「ありがとう、梓」

憂「梓ちゃんと親友でよかった……」

窓から射し込む夕紅が私の足下までのび、涙ぐむ二人をやさしく包み込んでいた。
あまりにきれいで、やっぱり羨ましくて、息を詰めた。
うっかりすると私まで泣きそうになり、慌てて袖で目元を擦る。
自分勝手な涙は、みられたくない。

憂「えへへ、認めてくれるヒトが二人になったよ」

梓「二人? もうひとりって……」

??「ただいまー!!」

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 04:48:46.24 ID:1qBghrzBo

やっぱり唯梓は至高だな
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/29(土) 18:41:46.78 ID:Ab6YnlmAO

>>5

ありがとうございます

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/10/29(土) 21:50:47.61 ID:Ab6YnlmAO

純「おぉ、噂をすればなんとやらってヤツだね」

憂「お帰りなさい、お姉ちゃん!」

唯「ういー、お土産にシュークリーム買ってきたよ〜」

唯「あ、あずにゃんと純ちゃんだ!」

梓「唯先輩、こんばんは」

純「お邪魔してます」

唯「まぁまぁそんな突っ立ってないでさ、皆でゆっくりシュークリーム食べよう」

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/29(土) 21:56:50.49 ID:Ab6YnlmAO

純「わぁ、ありがとうございます!」

憂「私、お茶いれてくるね。梓ちゃんも座りなよ〜」

梓「ありがと、でも私はもう帰るよ」

純「えぇ〜。梓、先に帰っちゃうのー?」

憂「御夕飯、食べていきなよー」

唯「ついでに泊まっちゃいなよー」

梓「……親に遅くならないうちに帰ると言ってますんで、今日は遠慮します」


9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 23:11:11.79 ID:zPv/iWiSO
続くの?

続かないの?
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/01(火) 23:14:33.78 ID:cP3rMe6AO
>>9
続きます

サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) :2011/11/01(火) 23:17:19.79 ID:cP3rMe6AO

純「むぅ……まじめっ子め」

憂「うーん、残念だけど無理強いしちゃダメだよね」

唯「じゃあ私、家まで送ってあげるよ!」フンス!

梓「え、そんな、悪いですよ」


純「甘えればいいのに、つっぱっちゃって」

梓「純、うるさい。とにかく、ひとりで平気ですから……」

唯「そっかぁ……」

憂「……」

憂「あ、お姉ちゃん。お塩きらしてたみたいだから、買ってきて欲しいな」

憂「もちろん、梓ちゃんを送り届けたあとでいいからね」

唯「……うん、わかった。行こっか、あずにゃん」

梓「……」

梓「はい」





サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/01(火) 23:20:17.78 ID:cP3rMe6AO




唯「ふんふんふ〜ん♪」

梓「……ご機嫌ですね」

唯「そりゃあ、あずにゃんと仲良く手を繋いでるからね〜」

梓「強引に繋いできたクセに……」

唯「ん?」

梓「いえ、あまり手を乱暴に振り回さないでください。痛いし、恥ずかしいですから」

唯「ごめんね」

梓「言ったそばから振り回さないでくださいよ」

唯「えへへ〜」

梓「……」





サーバを移転しました@荒巻 旧サーバ:http://vs302.vip2ch.com/
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 02:58:23.25 ID:oPqUb5wg0
期待してます
更新頑張ってください
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 00:07:45.77 ID:6IcG8m1Mo
ゆいー!
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/06(日) 21:49:09.18 ID:yQ9xlA9AO

>>13
ありがとうございます

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [saga]:2011/11/06(日) 21:50:48.80 ID:yQ9xlA9AO

梓「あの、唯先輩」

唯「なぁに?」

梓「唯先輩は知ってるんですよね? ……憂と純の関係」

唯「うん。あの子たちに味方になるって約束したよ」

梓「……私もです」


17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/06(日) 21:53:16.84 ID:yQ9xlA9AO

唯「あずにゃんは二人の親友だもんね」

梓「はい。唯先輩はお姉さんですもんね」

唯「うん。妹が二人になって嬉しいよー」

梓「どちらかと言うと、唯先輩の方が妹っぽいですけどね」

唯「むむむ。そんなコトを言うのは、このクチかー」ムギュー


18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/06(日) 21:56:22.79 ID:yQ9xlA9AO

梓「ひゃぁ! ゆいせんふぁい、いひゃいれす! すみまひぇんれしはぁ」

唯「ふむ、許してあげよう」パッ

梓「いたたた……ほっぺがジンジンする……」

唯「……それにね、憂達だけでも……」

梓「ん? 何か言いました?」

唯「んーん、なんでもないよ」


19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/06(日) 22:00:14.60 ID:yQ9xlA9AO

唯「憂と純ちゃんを支えてあげようね、一緒に」

梓「はい! もちろんです」

唯「うん。私達も憂達と違うカタチだけど、仲良しでいようね」

梓「あ……そうですね」

梓「…………そうですよね」

梓「唯先輩、仲の良い先輩後輩でいましょうね!」

唯「……」

唯「うん……そうだね!」


20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:08:46.78 ID:ONKpBqySO
一週間で6レスは、ちと寂しいな

少し書き溜めてから投稿するのもアリかも
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/08(火) 03:28:06.77 ID:krNN2V9uo
なんで憂と純が付き合ってるの?
唯と梓をくっつけるため?
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 23:00:22.16 ID:X85RHOnSO
投下遅いしつまらんし糞SSだな
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/28(月) 22:33:41.29 ID:ytqkq3ZAO
>>20
ご指摘ありがとうございます
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:35:06.05 ID:ytqkq3ZAO


梓「送っていただき、ありがとうございます。この辺りで結構ですから……」

唯「待って、あずにゃん」ギュ

梓「わっ! 何ですか、急に抱きついてきて」

唯「あずにゃん分の補給忘れてた」

梓「もう、何言ってるんですか。道の真ん中ですよ、離してください」

唯「……もーちょっとだけ」ギュゥ

梓「……」

梓「少しだけですよ?」

唯「うん」


25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:36:49.38 ID:ytqkq3ZAO


梓「……」

唯「……」ギュゥウ

梓「……」

唯「よし! 補給完了! ありがとね、あずにゃん」パッ

梓「どういたしまして」

唯「ホントに家まで送らなくて平気?」

梓「ええ、大丈夫です」

梓「唯先輩の方こそ、気をつけて帰ってくださいね」

唯「……うん。心配してくれて、ありがと」

唯「あずにゃんも気をつけてね。ばいばい」

梓「はい。さようなら」


26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:41:21.11 ID:ytqkq3ZAO



唯「……」

梓「……」

唯「……」

梓「……」

唯「……あずにゃんや。手を離してくれないと帰れないよ」

梓「えっ、あ! す、すみません」

唯「ふふ、別にいいよー。もうちょっと一緒にいる?」

梓「い、いえ、帰ります。そ、それでは、失礼しますね!」ペコ

唯「うん、またねー」



27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:47:32.22 ID:ytqkq3ZAO





――――――――――――――――





憂と純の告白から2ヶ月が経った。
表立った変化はないが、言動の端々に愉悦を覗かせるふたりは本当に幸せそうで、そばにいるだけで笑顔になれた。
あの人とも約束した、親友を護るという使命感もいっそう強まっていく。


28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:49:22.62 ID:ytqkq3ZAO

だけどその裏側で、沸き起こる苦痛と喜悦がグチャグチャに交じりあう惑乱を糧にして、しようがない感情は雑草のように生えていった。
日増しに雑草はたくましくなり、どんなに摘んでも摘んでも生えてくる、やっかいなものだった。
そんなある日、私のやすい悩みと比にならない、重大な問題が親友たちに起きた。
付き合うことで距離は縮まり、見えない部分も徐々に目につくようになったらしい。
ちいさな喧嘩を頻繁に起こし、遂におたがいの不満を爆発させてしまった。


29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:50:41.56 ID:ytqkq3ZAO

仲直りしたい筈なのに意地をはっているのか、ここ数日ふたりは顔もあわせていない。

純「――で部活は部活のつきあいがあるじゃん? 梓だって先輩達と買い物とかさ、遊ぶに行くでしょ?」

くだくだとまくしたてながら、ポッキーを歯で粉々にする純。そして時折、指で机をトントンとせわしなく叩いている。
いきなり家に押し掛けてきたかと思ったら「憂の馬鹿」を口切りに、ずっとこの調子だ。
乱雑にちらばったお菓子の空袋を軽く丸めて棄てつつ、私は相槌をうった。



30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:51:34.86 ID:ytqkq3ZAO


純「もー、ちゃんと聞いてんの? あずさぁ」

息を弾ませる純に、肩を小さくすくめ「聞いてるよ」と答える。
ジュースにアルコールが混ざっていたのか心配になるが、喉を通るのは甘ったるいオレンジの味だけだった。

純「友達とちょっと抱きしめあったり、手を繋いだりで『純ちゃん、フラフラしすぎだよ』はオカシくない!? だいたい憂もさ――」

苦笑が漏れる。

31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:52:47.86 ID:ytqkq3ZAO

ああ女も嫉妬の対象なのか、なんて驚くこともない自分がたまらなく嫌で仕方がない。
ほら、頭によぎるのは、あの人ですもの。
まったく未練たらしいったらない。
残るゴミをまとめて潰し、屑籠に放り投げて、純と向き合った。
子供みたいにふてくされて恋人の文句を垂れる姿は、埋めようのない寂寥感が隠しきれていないように思える。
いつもの純じゃない。

梓「抱きしめあうのは流石にどうかな」

純「だーかーらー、サッカーでゴール決めたらハグするじゃん! それと同じノリなんだってばぁ」


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [saga sage]:2011/11/28(月) 22:54:25.97 ID:ytqkq3ZAO


頭を抱えて机に突っ伏してしまった純へ、さらに言葉を投げかける。

梓「たとえ純にそういう気持ちがなくてもさ、好きな子が他の子ばかり構ってたら、さみしい……と思う。それに付き合ってるなら尚更、ふたりでいる時間をもっと大切にした方がいいよ」

一瞬、目を丸くして私を凝視した純に構わず、コップから溢れ出る水みたいに、一言一言がこぼれていった。

梓「……あとさ、はやく仲直りしてくれないと、毎日つまんない」

こんな素直な台詞は私らしくないなと、自嘲しながら。
夏でもないのに、私はパタパタと顔を手で扇ぐ。


33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) :2011/11/28(月) 22:59:54.10 ID:ytqkq3ZAO

ますます目を丸くして、吹き出した純。
あー、もう、ちくしょう。
笑うな、このやろう。
ひとしきり肩を揺らして喉を鳴らした後、純は勢い良く立ち上がり、さっさと身支度を整え始めた。

純「ぅくく、大切な用事を思い出したから帰るね。さびしんぼうの梓」

それから最近見ていない、私をイジったりする時の意地の悪いニヤリとした笑みを浮かべた。
自室を出る後ろ姿を追いながら「さびしいなんて言ってないし!」と強く返すも、頬が情けなくゆるんでしまう。
けれども解決には、まだ早い。
足先をトントンと鳴らす背中に問いかける。

34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/12/05(月) 04:33:36.71 ID:aDICwpywo
待ってる
35 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 22:30:56.93 ID:iDbdeIGAO

>>34
ありがとうございます

36 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/13(火) 22:32:33.63 ID:iDbdeIGAO


梓「ねぇ、純。憂のこと……好き?」

決まりきった答えを、純の言葉で聞きたくて。
おちつきなく指先をいじりながら、返事を待つ。
振り返った純は、2ヶ月前にみた告白の時とおなじ表情。
あ――。

純「大好きだよ。憂のこと、愛してる」

おだやかだけど、凛とした声音。
もう大丈夫。
たしかに、そう思えた。
まだふたりの問題は何も決着がついてないのに、痼りのおよそ半分は取り除かれた気さえする。

純「あ、笑ったなぁ」

梓「ううん。私、まったく役に立たないなぁと思って」

純「……何言ってんのよ。ありがとね」

37 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:35:30.39 ID:iDbdeIGAO

ぐりぐりと頭を撫でてくる親友は、頬をかすかに赤く染めていた。

純「はぁー、明日は空から猫でも振ってきそうでこわい。じゃ、梓、またね」

梓「ふふ、そうだね。ばいばい、純」

玄関先で徐々にとおくなる純の背を見届け、白息を吐いて家に戻る。
しずまりかえった自室に入ると、コップ2つが残された机の上で携帯電話がメールの着信を知らせていた。
ほとんど満杯になった屑籠を部屋の隅に置いたあとで、それを手に取る。
送り主を見て、一瞬だけ心がおおきく跳ねた。
深く息を吸い、吐く。
そして『直ぐに行きます』と手短に返事をし、ハンガーにかけていた上着をひったくるように掴んで、私は部屋をとびだした。


38 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:36:30.04 ID:iDbdeIGAO







唯「あずにゃん、いらっしゃ〜い。ごめんね、急に呼び出したりして」

梓「いいえ、私も伝えたいことがあったんで丁度よかったです」

唯「そっか」

唯「ほら、あがってあがって。寒かったでしょ? ほっぺがまっかだよ」

唯「おこたでぬくぬくしながら、お話しよう」

梓「はい、お邪魔します」


39 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:36:55.09 ID:Jt1vGYfRo
待ってたよ!
40 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:37:46.52 ID:iDbdeIGAO


……


梓「えっと、憂は……?」

唯「ついさっき、お買い物に行ったよ」

唯「本人がいたら、話しにくいでしょ?」

梓「……そうですね」

唯「あ、みかん食べる?」

梓「いただきます」

唯「……」

梓「……」

唯「あずにゃん、食べさせてー」

梓「それくらい自分で食べてください」

唯「ちぇ」パク

唯「……」モグモグ

梓「……」モグモグ

唯「憂が泣いたの久し振りにみたよ」

梓「……」


41 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:39:18.36 ID:iDbdeIGAO

唯「純ちゃんに初めて本気で怒って、初めて本気で不満を打ち明けたんだって」

梓「……」

唯「純ちゃんが誰かと仲良くするのは悪いことじゃないって分かってても、抑えきれなくなったみたい」

梓「好きな人、まして恋人なら当たり前じゃないですか」

唯「そうかなぁ? 憂にも言ったんだけど、好きな子だけを見るんじゃなくて、周りに目を向けることも大切じゃない?」

唯「いろんな子たちからもらった経験が、好きな子に良い影響を与えることもできるって……純ちゃんも考えてるんだと思う」

梓「……そう……ですかね」


42 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:41:15.32 ID:iDbdeIGAO

唯「納得いかない?」

梓「頭ではわかってます……けど、憂だって納得半分でしょうね」

梓「好きな人に放っておかれて不安になったり、誰かと仲良くしてる姿を見て心細くなるのを理解して欲しいんですから」

唯「……」

梓「我侭に聞こえますか?」

唯「……ちょっとだけ」

梓「……」

梓「まぁ実際、憂達の気持ちがどうだったかは一概に言いきれません」

唯「それもそうだね」

梓「話を戻しましょう」


43 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:42:37.73 ID:iDbdeIGAO

梓「それで、憂はどうしたんですか?」

唯「……自分の言動に後悔したんだろうね。『純ちゃんに嫌われたかも』って、狼狽えながら私に相談してきたの」

梓「1週間近くも、まともに顔をあわせてないですからね。憂がそう思うのは無理もない気がします」

梓「でも、純が憂を嫌うなんて絶対にないですよ。ついさっきのことですけど、憂が大好きだってハッキリ言いましたし」

唯「うん、わかってる。だから、憂に『そんなことないよ』って言ったんだ。ぎゅーって、だきしめてあげて、泣きやむまで、背中を撫でてあげながら」


44 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:45:00.88 ID:iDbdeIGAO

唯「だいぶ落ち着いた後にね、『好きな子とふたりきりの時は、たくさんたくさん甘えなきゃ損だよ!』って教えてあげたんだ」

梓「……そうですね。私も純に似たようなことを言いました」

唯「おぉ、なんて言ったの?」

梓「ふたりでいる時間を大切にした方が良い、と」

唯「……好きな子と過ごしてる時って幸せだもんね」

梓「ですね」

梓「……」

梓「唯先輩、こっちのみかん……食べます?」

唯「……うん」

梓「あ、あーん」

唯「あーん」パク

梓「おいしいですか?」

唯「うん、とっても」モグモグ


45 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:45:51.55 ID:8e7KsyISO
来たのはいいが、終わる時は一言頼む
46 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:46:12.57 ID:iDbdeIGAO

梓「……」

梓「憂……大丈夫ですかね」

唯「大丈夫だよ」

唯「いっぱい泣いて溜めてた想いを吐き出して、スッキリしたみたいだし。それに」

梓「それに?」

唯「憂は純ちゃんが大好きだもん」フンス!

梓「ふふ、そうですね」

唯「あ。そういえば、あずにゃんが私に伝えたかったことって何?」

梓「ああ、純ならもう平気ってことです」

梓「唯先輩と会う前に純と話をしたんです。その時に、純の言葉を聞いて安心したんです――さっきも言いましたけど、純も憂が大好きですから」

唯「えへへ、そっかぁ」


47 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 22:49:22.66 ID:iDbdeIGAO


梓「あとは憂と純を無理にでも引き合わせて、きっかけをつくればいいだけなんですけど」

唯「その必要はないと思うよ」

梓「え」

唯「今、憂と純ちゃんは会ってるんじゃない? 買い物に行く前、携帯電話見てすっごくソワソワしてたから」

梓「……大切な用事って、そういうことか」ボソ

唯「帰ってくるのも遅いし、たぶん間違いないよ」

梓「……」

唯「はい、あずにゃん、あーん」

梓「ん……あーん」パク

唯「おいしい?」

梓「あまずっぱいです」モグモグ


48 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/13(火) 23:02:16.44 ID:iDbdeIGAO


今回の投下は以上です。
>>29の純の台詞ですが「遊ぶに」ではなく「遊びに」の間違いです。申し訳ありませんでした。



>>39
ありがとうございます。


>>45
ご指摘ありがとうございます。
了解しました。


49 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 23:22:51.36 ID:w1WW+GLDo
俺も待ってた!乙!
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/07(土) 02:57:03.24 ID:PIe+1feAO
やったー50だ、わーい。

>>49
ありがとうございます。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:01:29.91 ID:PIe+1feAO

唯「みかんって当たり外れあるよね。見分けかたとかないのかなぁ」

梓「うーん、外見だけで判断できませんね」

唯「中身が想像したのと違うと、ちょっとガッカリしない?」

梓「多少甘さに違いがあろうと、みかんはみかんの味でしかないんで期待も落胆もしませんよ」

唯「甘さがなくて、すっぱいのでも?」

梓「食べ始めは口当たりが悪いかもしれませんけど、我慢すれば食べてるうちに慣れますし、おいしく感じますから。特に何とも思いません」

唯「えー? 私、全然慣れないよ? すっぱいのが苦手だからかなぁ」



52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:02:42.54 ID:PIe+1feAO

唯「……それなら、あずにゃんはどんなみかんだとガッカリしちゃうの?」

梓「妙にみかんについて、こだわりますね」

梓「そうですねぇ……」

梓「みかん以外の味がしたら、流石にガッカリすると思います」

唯「みかん味じゃないみかんって、おもしろそう!」

梓「えぇー……」

唯「バニラアイス味のみかんとか食べてみたい!」

梓「この前、純も同じようなこと言ってたような……」

梓「それ、ふつうに本物のアイスを食べたらいいハナシですよね」



53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:03:44.28 ID:PIe+1feAO

唯「あずにゃんは夢がないなぁ」

梓「唯先輩は夢見すぎですよ」

唯「いやいや。もしかしたら、今あずにゃんが剥いたみかんはバニラアイス味かもしれないじゃん」

梓「ありえませんって」

唯「言ったなぁ。確かめてみるから、ちょうだい」

梓「はいはい。あーん」

唯「あーん」パク

唯「むむむ……これは!」モグモグ

唯「甘くておいしい、みかんの味!!」



54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:04:57.43 ID:PIe+1feAO

梓「そうでしょうとも」

梓「みかんはみかんでしかありません」

唯「……あずにゃんは、きりぎりすとってやつだね」

梓「はい? 生まれてから一度も、ぎっちょと鳴いた覚えはないです」

唯「あれ? りあるすと? だっけ」

梓「……?」

唯「ありあすと……だったかな?」

梓「…………」

梓「あぁ。リアリスト、ですか」

唯「そうそう、それ。りあにすと」



55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:06:19.38 ID:PIe+1feAO

梓「言えてませんよ」

梓「理想や空想を拒否してワケではありません。ただ、作り上げた概念から大きく外れた物事を受け入れるのに、多少時間がかかるだけです」

唯「ふむふむ」

唯「むずかしくて、わかんなかった」

梓「……んー……っと、常識の範囲内、ふつうが一番ってことです」

唯「なるほどー」

唯「常識……ふつう、かぁ」

唯「……」

唯「やっぱり私には、よくわかんないや」

梓「……」

梓「そうですか」



56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:07:14.27 ID:PIe+1feAO

唯「……」

唯「もう一つ、みかん食べる?」

梓「いいえ。用事も済みましたし、帰りますね」スッ

唯「待って。お外寒そうだから、マフラー貸してあげる」

梓「えっ、悪いですよ」

唯「じゃあ、あずにゃんが風邪ひいたら、私が24時間片時も離れず看病するね」

梓「……マフラーお借りします」

唯「もー、最初から素直にそう言えばいいのにぃ」

梓「これからそうします」

唯「うむ、よい心がけじゃ。あずにゃんこよ!」



57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:08:36.05 ID:PIe+1feAO

唯「ご褒美に、ぎゅーしてあげよう」ギュ-

梓「わ、もう……唯先輩が抱きつきたいだけでしょう?」

唯「むぅ、バレたか」パッ

梓「あっ、はなしちゃだめ!」

唯「えっ? う、うん!」ギュ

梓「……」

唯「……」

唯「えっと、あずにゃんさん……?」

梓「……ご褒美、なんですよね? 素直にもらいます」

唯「……」

唯「……あずにゃん、耳まっか……かわいい」ギュゥ

梓「……唯先輩、いつもよりあったかい……」



58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:10:08.45 ID:PIe+1feAO

唯「……」ギュー

梓「……」

唯「ほい、ご褒美タイム終了!」パッ

唯「コレで風邪の心配はいらないね!」

梓「……別の意味で熱が出ましたけどね」

唯「うん?」

梓「なんでもありません」

梓「唯先輩。憂が帰ってきて、まだ悩んでる様子だったら連絡してください」

唯「ん、わかった」



59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:11:46.60 ID:PIe+1feAO

梓「頼みましたよ」

唯「任せてよ! 大事な妹と大切な未来の妹の為だからね」フンス!

梓「……」

唯「あずにゃん」

梓「……あ、はい」

唯「大丈夫だよ。今回の喧嘩は、いつもより、ほんのちょっと、すれちがっただけだから」ナデナデ

梓「……」

唯「憂と純ちゃんがお互い想ってるなら、私達はふたりを精一杯応援しなきゃ。私達が暗い顔してたら、ふたりも不安になっちゃうよ」



60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/01/07(土) 03:13:36.75 ID:PIe+1feAO

唯「ほら、笑顔笑顔」

梓「……はい」ニコ

唯「うん、よくできました」ギュー

梓「…………子供扱い、しないでください」

唯「あずにゃんが泣きそうな顔するのやめたら、やめる」

梓「なんですか、それ。そんな顔してません」

唯「意地っ張りだなぁ」

梓「……もう。帰ります」

梓「みかん、ごちそうさまでした」

梓「お邪魔しました。失礼します」

唯「また明日ね」



61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 12:11:40.41 ID:M9xNxSdbo
待ってる
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/01(木) 17:14:33.56 ID:fAc/MOK8o
もうそろそろ二ヶ月経ちますぜ
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/03/06(火) 10:31:44.02 ID:+CyKpnzAO

生存報告させていただきます。
滞留させてしまい、申し訳ありません。


>>61
ありがとうございます。


>>62
明日で2ヶ月ですね。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 11:06:55.42 ID:W+Gu983IO
ゆっくりでも続けてー!
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/02(水) 22:10:01.24 ID:8A2WqfbSO
見てるかどうか分からんけど
また生存報告のみのレスをするなら、一回HTML化の依頼をして
全部完成してから投下することを勧めるよ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 22:46:43.91 ID:Fr604w9AO




――――――――――――――――――――――――――




唯「今日の部活、お休みだって」

梓「わかりました。伝えに来てくださって、ありがとうございます」

唯「気にしなくていいよー」

唯「あずにゃんの顔が見たかったし」

梓「……」

梓「私も会いたかったですよ」


67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 22:47:48.29 ID:Fr604w9AO

唯「えへへ、あずにゃーん」ギュー

梓「抱きしめてほしいとは言ってません」

梓「ほら、離れてください」グイッ

唯「あぅ、あずにゃん冷たい」

梓「ヒトの目を気にして下さい。根も葉もない噂とか、そんなつまらないこと迷惑でしょう?」

唯「……」

梓「……すみません、強く言い過ぎました」

唯「……」

梓「唯先輩?」

唯「あ、ううん。ごめんね」

唯「気をつけるよ」



68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 22:51:31.56 ID:Fr604w9AO

梓「あの」

唯「ん?」

梓「えっと……抱きしめられること自体は、迷惑だとか思ってませんから」

唯「……」

梓「……私の顔に、なにかついてます?」

唯「えっ、いや、あ、あずにゃんぎゅー」ギュゥ

梓「ちょっ、なんで抱きつくんですか!? 人前ではやめてくださいってば!!」

唯「ご、ごめんっ。我慢できなくて?」

梓「なんで私に聞くんですか……。ほら、離れて」グイ



69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 22:52:47.92 ID:Fr604w9AO

唯「むりです……」ギュー

梓「無理じゃないでしょう。早く……」グイグイ

梓「!」

梓「顔、まっかじゃないですか」

唯「……あずにゃんも、あかいよ」

梓「えっ。うそ」

唯「ほんと」

梓「……」

唯「……」

唯「あー……」



70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/05/02(水) 22:57:08.39 ID:YjmOHW6co
きたのか?
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 22:57:24.46 ID:Fr604w9AO

唯「あ! コレ、りっちゃんが返しといてって!」

梓「わ、わー! わざわざありがとうございます」

唯「あー。それさ、なんのCDなの?」

梓「洋楽です。あんまり有名なバンドじゃないんですけどね。律先輩が彼らのファンらしくて……」

唯「へぇ〜。いつの間に貸し借してたの? ちっとも気づかなかったよ」

梓「ちょっと前に皆で一緒に遊んだ時です。あの後、私が楽器店に誘って」

唯「……珍しいね、あずにゃん」



72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 22:58:54.94 ID:Fr604w9AO

梓「何がです?」

唯「りっちゃんと……というか、自分から誰かを誘ったりするのが」

梓「そうですか?」

唯「そうだよ」

梓「変ですか?」

唯「ううん……いいことだと思う。すっごく」

梓「……」



73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 23:00:43.71 ID:Fr604w9AO


唯「じゃあ私、自分の教室に帰るね」

梓「あ、はい。伝言とCD、ありがとうございました」

唯「どういたしまして」

唯「……ねぇ、あずにゃん」

梓「はい?」

唯「あずにゃんが言った『好きな子に理解して欲しい』ってやつ、我侭なんてもう思ってないよ」

梓「……」

梓「そうですか」



74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/02(水) 23:01:59.16 ID:Fr604w9AO


梓「私も、このまえ唯先輩が言ってた『周りに目を向ける』こと、ちゃんと納得しましたよ」

唯「……」

唯「わかってるよ」

梓「……唯先輩」

唯「なにかな?」

梓「今夜も待ってていいですか?」

唯「うん、必ず電話する」

唯「また夜にね」

梓「はい」



75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/05/03(木) 00:09:31.31 ID:uX6r9fjAO

>>65
ご意見ありがとうございます。
次回から投下に2月以上かかりそうならば、html化依頼を出させていただきます。


76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/03(木) 08:13:46.67 ID:QIsUoSFzo
乙乙
この話好きだから応援してる
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/22(火) 23:56:00.06 ID:wOJGIRNAO

純「おかえりー。唯先輩のハグ、強烈だったね」

私は適当に頷き、席についた。
先に食べててと言ったのに、憂と純はお弁当の包みをきれいに広げ、いっさい手をつけていない。
まるで『待て』をされた子犬みたいだと思ったのは秘密にしておこう。


78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/22(火) 23:57:32.86 ID:wOJGIRNAO

「いただきます」と三人、声を揃えて手を合わす。

憂「お姉ちゃん何て?」

梓「今日の部活は休みって言いに来ただけ」

純「ふぅん。メールじゃないあたり、流石軽音部ってかんじだね」

絆創膏の貼った右手で箸を宙に漂わせながら、純は歯をみせてニヤッと笑う。


79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/22(火) 23:58:29.19 ID:wOJGIRNAO

純「もしかして、梓に会いに来たかっただけだったりして」

たった一言に、心臓がドキリと跳ねた。
彼女は突拍子も無いコトを言うクセに、たまに的を射る時がある。
まさに今がその時で、だからだろう、思わず眉をひそめてしまった。
私のほんの一瞬の油断に、何かを言いかけ直ぐに口を閉じた憂を目の端でとらえる。


80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/22(火) 23:59:30.15 ID:wOJGIRNAO

相変わらず、ヒトの表情を読むのが上手い。

梓「顔を見に来るだけなら授業の合間でもいいし、先輩もそんなに暇じゃないでしょ」

もう受験生なんだから、と呟いたはずの言葉は、お腹の中に引っ込んでいった。
喉に残った不快感を一気に呑んで、なんとか口角をあげる。


81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/23(水) 00:04:15.20 ID:qz9QQ+EAO

憶測が好きな親友はまだ何か言いたげに唇を尖らしていたが、ミートボールを口に運ぶことで、この話は一旦終わったようだ。
もうひとりの親友は、むずかしい顔をするだけで、結局何も言わなかった。
不意に、自分の表情を窓ガラスで見たくなる衝動がうまれた。
けれども私はそれをせず、小さく息を吐いておかずをつまむ。


82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2012/05/23(水) 00:05:33.88 ID:qz9QQ+EAO

前や隣にある色鮮やかなお弁当に比べると、見劣りしてしまうな、なんて母に申し訳ない思考が浮かべながら。

憂「純ちゃんがつくったほうれん草の和え物、おいしい〜」

目を細めて破願する憂に、照れながらも幸せそうな顔をする純。
ああ、いいな。
こういうの。


83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage saga]:2012/05/23(水) 00:12:45.98 ID:qz9QQ+EAO

>>76
ありがとうございます

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2012/05/23(水) 09:35:48.47 ID:qz9QQ+EAO

>>77 の訂正をします。
訂正前

純「おかえりー。唯先輩のハグ、強烈だったね」
(以下略)

訂正後↓


……


純「おかえりー。唯先輩のハグ、強烈だったね」
(以下略)

大した違いはありませんが、場面転換の記号を忘れてました。
申し訳ありません。

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