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ほむら「Never Night」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 11:52:00.95 ID:+V7oX02e0

このスレは1の公開[田島「チ○コ破裂するっ!」]、いわゆるチラ裏です。

友達が誰も遊んでくれないので立てました。

原作12話Cパートからの妄想が暴走した結果です。

ストーリーラインは丸パクリです。
元ネタがわかっても見守って下さい。
独自設定もてんこもりです。

オリキャラ注意。
原作キャラはほむら以外ほぼ出番なしです。

それでも私は一向に構わんッッッ!!!
な皆さんは↓からご覧ください。
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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2 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 11:55:50.19 ID:+V7oX02e0

第1話「真実は何処なのか」


〜旧見滝原コミュニティ 郊外〜

モヒカン(骸)「」

新米自警団員「うわ、ボコボコですね。けっこうマッチョな体してるのに」

めぐみ「戦いなんてそんなものだ。強敵そうに見えても、案外あっさり片がつく」

新米自警団員(以下新米)「凶器は高圧スタンロッドですかね。モヒカンがチリチリになってますよ」

めぐみ「……こいつ銃を持ってるな。弾丸も…発射したあとがある」ガサゴソ

新米「モヒカンに肩パットは旧世紀からの伝統ってね。オプションに銃か火炎放射器」

めぐみ「長い流行りなんだろう」
3 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 11:59:21.34 ID:+V7oX02e0

新米「ここまで乗ってきたはずのバイクかバギーが見当たりませんね。タイヤ跡はたくさんあるのに。
仲間が回収していったのかな」キョロキョロ

めぐみ「だったら銃も持っていくはずだ。どちらも貴重品だからな。多分あわてて逃げ出して、そんな暇がなかったんだ」

新米「武装してうちのコミュニティを襲おうとしただろうって奴らが逃げるってことは、やっぱり例のモヒカン狩りですか」

めぐみ「徒党を組んで略奪にやってきた、ところがここで『誰か』に襲われた。仲間がやられて尻尾をまいて逃げた。
死んだこいつの乗り物は『誰か』が接収した。そんなところだろう」

新米「今月入って3件目ですよ。なにが目的なんでしょう」
4 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:02:52.56 ID:+V7oX02e0

めぐみ「…同一犯と決まったわけじゃない」

新米「…すいません。でもみんな怖がってます。犯人は『あの人』しか……」

めぐみ「証拠はない、憶測だけだ。他にも仕事はあるんだ。さっさと検証を終わらせて引き上げるぞ。それと」

新米「?」

めぐみ「あいつは別に『名前を言ってはいけないあの人』なんかじゃないからな」

新米「でも、団長と『あの人』は…」

めぐみ「私に気を使わなくたっていい」
5 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:07:46.22 ID:+V7oX02e0

〜自警団駐屯所 深夜〜


めぐみ「………」カキカキ

めぐみ手記『またモヒカンが殺された。治安を預かる身としては安堵すべき部分もある。

しかし、最近は増え過ぎだ。交易が魔獣によって停滞していることも原因のひとつだろう。

キャラバンの被害が多い。食い詰め者が暴徒化しているのなら、これからも警戒が必要だ。少なくとも交易ルートが落ち着くまでは。

それにしてもこれまで魔獣の出現は人口密集地帯が主だった。
なぜコミュニティから離れた交易ルートが被害にあうようになったのか説明がつかない。

統計の取り方の問題と考えることは簡単だが……』 カタンッ
6 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:12:49.33 ID:+V7oX02e0

めぐみ「………」ピタッ

?「仕事中だった? あいにくこっちも急ぎだから構わないよね。ノックしなかったのは謝るけど」

めぐみ「…お前を殺人鬼と思ってる団員も多い。彼らに見つかったら、強盗に押し入ってきたと証言するからな。
私にも立場があるんだ。……また厄介ごとか千鶴」

千鶴「本当に殺人鬼なんだから、ここにはあんまり近寄りたくないんだよね。けど、あたし1人の情報網じゃ限界があるからさ」

めぐみ「情報漏洩させる気はないぞ。わかったらさっさと出て行ってくれ」

千鶴「クズどもが多くて処理が追いつかないのよ。先々週2人、先週1人、昨日も1人。向こうもこっちを怖がってすぐ逃げるし」

めぐみ「……もうやめろ」
7 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:15:56.08 ID:+V7oX02e0

千鶴「もっと効率よくやらないと。あたりをつけてるねぐらでも教えてくれるとありがたいんだけど」

めぐみ「話を聞け。もうバカなことはやめろ。お前の『防衛活動』はみんなが恐れてる。
いつか自分にふりかかってくるんじゃないかってな」

千鶴「当然。コミュニティの人間は守るべき弱者で、ときには罰するべき悪。本人たちはよくわかってるわね」

めぐみ「いい加減にしろ。お前のためにも言ってるんだ。そんなことを続けてればいつか大変なことになる」

千鶴「悪党は放っとけない。どれだけ自警団が働いても、連中を残らず捕まえることはできない。
いつのまにか新しい悪党がでてくるから。あたしがやるしかない」

めぐみ「なんで自警団を抜けたんだ。なにもひとりでやらなくたって…」

千鶴「自分の腫瘍は自分じゃあ切除できない」
8 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:21:44.19 ID:+V7oX02e0

めぐみ「…とにかく、お前に教えられることはない。あまりに方向性が違い過ぎる」

千鶴「…わかった。それならひとつだけ。QBはどこ? グリーフシードを処理させなきゃ」

めぐみ「どうしてグリーフシードを持ってるんだ? 近頃は町に魔獣は出てないが」

千鶴「町の外にはいるのよ。キャラバンを襲ったり、瘴気にあてられた奴らが暴れたり面倒だわ」

めぐみ「外の魔獣も狩ってるのか?」

千鶴「もちろん。奴らを滅ぼさないかぎり、あたしたちは追い詰められていくだけ。巣穴に籠ってちゃ倒せないでしょ」

めぐみ「………」

千鶴「で、ぬいぐるみ野郎はどこ? もたもたしてグリーフシードから魔獣が出てきたらどうすんの。
これだけ近ければあんたもゴーグルなしの肉眼で見えるかもよ」

めぐみ「近頃町では魔獣は出てないんだ。だから多分マリアさんかほむら様のところだと思う」
9 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:24:21.86 ID:+V7oX02e0

千鶴「気が進まない奴らのところね…」チッ

めぐみ「…なんであの人たちを嫌うんだ? 2人とも立派で尊敬できる人だ」

千鶴「おめでたいあんたにはわかんないわよ。………もう行くから。邪魔して悪かったわ」

めぐみ「待て、ちょっと待ってくれ」ゴソゴソ

千鶴「?」

めぐみ「スタンロッドのバッテリーパックとワイヤーガンの予備モーター。メンテには必要だろう」スッ

千鶴「どういうこと? あたしには協力しないんじゃないの?」

めぐみ「もちろんモヒカン狩りには賛同できない。けど、魔獣とも戦ってくれてるなら見ない振りはできない」

めぐみ「………もうここには来るな。見つかったらかばいきれないからな」

10 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:28:59.34 ID:+V7oX02e0

千鶴「都合がいい女ね。スゲームカつくわ」

めぐみ「わかってる」

千鶴「まあ、もらっとくけど。もし捕まったら、あんたが備品の横流ししたって暴露してやろうかしら」

めぐみ「お前の証言を誰かが信用してくれると思うなら、そうすればいいさ」

千鶴「品行方正なお嬢様も捻くれたもんね」

めぐみ「なあ、千鶴。虫のいい質問だが……私やお前が頑張れば何かが良くなるのかな?」

千鶴「なるわけないでしょ」ツカツカパタン

めぐみ「………」

11 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:31:05.20 ID:+V7oX02e0

〜旧見滝原コミュニティ政庁 深夜〜


千鶴(悪党退治で疲れてるってのに、わざわざマリアのとこまでいかなきゃならないなんて……)ツカツカ

千鶴(QBここにいなさいよ。ほむらの顔なんて見たくないんだから)ツカツカ

千鶴(めぐみのやつ、口をひらけば弱音ばかり。あれで古代兵器の継承者だってんだから不安にもなるわ)ツカツカ

千鶴(やっぱりあたしがやるしかない。他の連中には任せられない。世界の老衰を遅らせるためにも)ツカツカ

12 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:35:05.18 ID:+V7oX02e0

―――――

農園部長「――以上のように今年の生育状況は良好です」

マリア「ありがとう農園部長。交易がうまくいっていないから、とても助かるわ」

農園部長「執政官殿の研究の賜物です。瘴気対策が成功するまでは、毎年半分以上の作物が瘴気にやられてましたから」

農園部長「この改善だけをとっても、まさに町の救世主です」

マリア「あなたや農園のみんなのおかげで実現できたのよ。今日も遅くまで申し訳ないわ…」ションボリ

農園部長「では、うちの若いのを褒めてやってください。執政官殿とほむら様にとびきりの茶を振る舞うのだと、はりきっていますから」

マリア「あの子はとてもいい子ね。私も勉強を教えた甲斐があったわ。ええ、今度たっぷり褒めておくから」
13 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:38:04.98 ID:+V7oX02e0

農園部長「いやまあ、程度を控えていただけると助かります。すぐ調子に乗りますからな」

マリア「褒めたほうが伸びる子よ」

農園部長「これは困った。そろそろ失礼いたします。執政官殿の美貌を夜更かしで損ねさせては、
私はコミュニティを敵にまわしてしまいますゆえ」

マリア「フフ、お上手ね」

農園部長「それでは」パタン

マリア「……仕事は済んだから、もう入ってきても平気よ」

千鶴「………」スッ

マリア「お久しぶりね、千里さん。今の今まで忙しくておもてなしも出来ないのは残念だけど」
14 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:41:49.90 ID:+V7oX02e0

千鶴「QBはどこ?」

マリア「いきなり本題? こだわるわけではないけれど、邪険にされると悲しいわ」

千鶴「QBは?」

マリア「千里さん、あなたが私のことを嫌っているのは知ってる。けれど私はそうではない。お話ししましょう? わかりあえることもあるわ」

千鶴「あたしはあんただけじゃなくみんな嫌いだ。無責任な奴、他人を傷つける奴、自分は誰よりも偉いと思ってる奴、世の中はそんな奴らばっかりだ」

マリア「経験論にとらわれ過ぎてはダメよ。もっと自由な理性の声に耳を傾けて」

千鶴「あんたの大好きな理性を持った人間が、自由にやってきた結果がこの世界よ。そんなもん信じてたまるか」

マリア「ええ、私も信じろとは言わない。ただ、あなたが考えるより世界は複雑だということは覚えておいて」
15 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:44:45.28 ID:+V7oX02e0

千鶴「天才様の説教はうんざりだよ。町の連中はありがたがっても、あたしは違う。QBはほむらのところ?」

マリア「そうよ。…気を悪くさせてしまってごめんなさい。久しぶりにお友達とお話ししたかったから」

千鶴「あたしに友達なんていない」クルッツカツカ

マリア「吉野さんのお墓参りにはいかないの?」

千鶴「」ピタッ

マリア「きっと喜ぶわよ。あなたとは仲良しだったじゃない。美旗さんも来てほしいと言ってたわ」

千鶴「めぐみも?」

マリア「そう。美旗さんは随分あなたのことを心配してるわ。自警団に苦情がきても必死になだめてる。
彼女はあなたのこと友達だと思ってるわ。もちろん私も」

千鶴「……めぐみは思ってても、そんなことあたしの前では言わない」

千鶴「あんたは他人みんなを自分と同じ聖人君子にしたがってる。心を開けばわかりあえる? 
そんなことあるわけない。あんたみたいに強いやつの理屈よ。だから嫌いなの」ツカツカ

マリア「…そう。残念ね」

16 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:49:51.30 ID:+V7oX02e0

〜魔法少女公邸 深夜〜

千鶴(相変わらずいけ好かない奴ね。所詮なんでも出来る人間には、そうじゃない奴の気持ちなんてわかんないんだ)ツカツカ

千鶴(あいつに比べれば腰抜けのめぐみのほうがよっぽどマシだわ。少なくとも自分をわきまえてる)ツカツカ

千鶴(あんな時間まで真面目に仕事して、余裕たっぷり。善人顔で新世界の神でも気取ってるのかしら。
暇ができたら監視してみよう)ツカツカ

千鶴(もっとも……神ってんなら、これから会う奴のほうが近いんだよねぇ)ツカツカ

千鶴(世界最後の魔法少女 暁美ほむら)ピタッギギィ

ほむら「こんばんわ、千里千鶴」

QB「やあ、千鶴。とうとう契約する気になったのかい」

千鶴「あんたにエサを持ってきただけよ。黒いの何個欲しい?」

QB「ああ、いつもすまない。このあたりの魔獣はほぼ退治されたからね。
君が遠出してまでグリーフシードを取ってきてくれるのはとても助かるんだ」
17 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:53:52.04 ID:+V7oX02e0

千鶴「あんたのためじゃないけどね」ポイポイ

QB「」シュバッカッカッ

ほむら「千里千鶴、もう少し自分を大切にしなさい。魔獣を求めて、生身の少女が単独で荒野に乗り出すなんて自殺行為よ」

QB「うん、その点は僕もほむらに賛成だ。君は荒くれ者にも恨みを買ってるだろう。契約もせずに今の活動を続けるのは危険じゃないかな」

千鶴「危険とか、そんなの関係ない」

QB「グリーフシードを集めたって宇宙の寿命が延びるという大局的なメリットはあるにしろ、君にはなんの利益もない。無理はよくないよ」キュップイ

千鶴「エイリアンに人間様の高尚な精神はわかりっこないね」

ほむら「私もあなたの気持ちがわかるとはいわない。けれどあなたを心配する人たちがいる。
美旗めぐみも天音マリアも。彼女たちの思いを無下にすべきではないわ」

18 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 12:57:41.13 ID:+V7oX02e0

千鶴「契約するのも、悪党をのさばらせるのもまっぴらよ。
どんだけ始末しても次から次に湧いてくるんだからやめるわけにはいかないのよ」

ほむら「いつまで続ける気?」

千鶴「無論、死ぬまで」

QB「どうせ死ぬなら契約してからにしてくれないかな。
この星に残された数少ない資源なんだ。無駄にはできないよ」

ほむら「あなたは黙ってなさい」ゲシッ

QB「」キュップイ

ほむら「なにもあなたの行為を否定しているわけじゃない。もう少しさえたやり方があると言いたいだけ」

千鶴「たとえば?」

ほむら「美旗めぐみと協力しなさい。魔法少女の素質こそないけれど、彼女はあなたより強いのだから」
19 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:01:40.81 ID:+V7oX02e0

千鶴「そりゃあ、子供の頃から英才教育受けた戦士の一族は強いでしょうよ。文明時代の便利な盾も持ってるしね」

ほむら「なら……」

千鶴「それでも。それでもめぐみとは妥協できない」

ほむら「どうしてそこまで頑ななの?」

千鶴「あいつは甘いのよ。せいぜいこのコミュニティだけを守って満足してる。
そんなんじゃあ、誰も救われない」

ほむら「少なくとも町の人間は救われるわ」

千鶴「他はどうなんのよ。人類の大部分が見捨てたくたばりかけの世界に救いなんてない。
だからこそあきらめちゃいけないのよ」

ほむら「どんな世界でも、救いはきっとある。やけはおこさないで」

千鶴「ははっ、何千年も生きてきた大先輩には、あたしの決意もたんなるやけっぱちか」
20 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:06:04.37 ID:+V7oX02e0

ほむら「あなたは今でも吉野すずが救われていなかったと思ってるの?」

千鶴「!」

ほむら「どうなの?」

千鶴「………救われたはずがない。あんなことで……あんなひどい人生とつり合いが取れるはずがない……」

ほむら「そう。だからあなたは今も救われていないのね。吉野すずが気の毒だわ」

千鶴「あんたにすずのことがわかるって言うのっ?」

ほむら「わからないから聞いたのよ」

千鶴「じゃあ、あんたは救われてるの? 人の何百倍も生きてきたあんたはさ」

ほむら「さあ? 人間て案外自分のことはわからないものよ」
21 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:11:20.30 ID:+V7oX02e0

千鶴「何よそれっ……! あんな偉そうなこと言っといてっ」

ほむら「青いわね千里千鶴。これが年季の違いというもの。馬鹿正直に相手の言葉を受け取っても、つけ入る隙を与えるだけよ」

千鶴(こいつやっぱりムカつく…!)

ほむら「肩の力を抜いて、頭を冷やしなさい。あなたにはまだその時間がある。一歩引いてみれば、風景も変わるかもしれない」

千鶴「………用事も終わったし、帰らせてもらうわ」クルッツカツカ

QB「……やれやれ彼女には随分と気を使ってるね」

ほむら「お前もでしょ」

QB「そりゃそうさ。今のところ地球には彼女以外に素質をもった人間はいない。僕にとっては、はっきりと確認できる最後のエネルギーだ」
22 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:18:34.13 ID:+V7oX02e0

ほむら「させないわ」

QB「だろうね。本人にもその気はないし、勧誘は前途多難だ」

QB「でも惜しい。殺人を繰り返して束ねられたあの因果の強さは魅力的だ。
そして歪で強固な感情エネルギー。ここ数百年は見なかった優良資源だからね」

ほむら「QB……」

QB「おっと、顔が怖いよほむら。長い付き合いだ、今さら君を出し抜こうなんて気はないさ。
その証拠に最近はほとんど君といるだろう? 僕はあくまで彼女の意志を尊重するよ」

ほむら「付き合いが長いからこそ、油断できないことを知ってるのよ」

QB「ふぅ〜、信頼を得るのは難しいね」
23 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:23:30.31 ID:+V7oX02e0

〜旧見滝原コミュニティ 裏通り〜


千鶴(どいつもこいつも、すずのことばかり! めぐみ以外に空気を読める奴はいないの!)

千鶴(そうだ、あたしがやらなきゃ、これからもすずみたいな子は増えるんだ)

千鶴(だからあたしは間違ってない。生まれてきてもいいことなんかありゃしない。
だったら悪いことを無くせばいい。悪党どもを片っ端から始末していけばいい)

千鶴(昨日の今日で疲れちゃいるけど、休んでなんていられない。
この辺ならぶらぶらしてれば、いくらでも食いついてくる……ん?)

酒場女「やめてよ! 嫌って言ってるでしょ!」

酔漢「んだとぉ! 金で股開く淫売が気取ってんじゃねぇぞ!」

酒場女「酒食らう金もなくて追い出されたアル中が何言ってんの!」

酔漢「うるせぇ! この女ァ!」

千鶴(酔っ払いのトラブルか。[ピーーー]ほどじゃあないけど、見過ごすわけにもいかない)
24 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:27:37.63 ID:+V7oX02e0

酔漢「とっととケツ出せ!」

千鶴(自警団の目も届きにくい路地だし、近所の連中も人助けするような殊勝さなんてない)

酒場女「ちょっと! 誰かァ!」

千鶴(仕方ない。やっぱりあたしがやらなきゃ。指2本てとこか)ツカツカ

酔漢「んだァテメェ? 一緒にヤってほしいのかィ? ちょっと待ってな、すぐ済むからよ」

千鶴「……腕1本置いてけ」


『現実は何なのか 真実は何処なのか

悩むほど遠ざかる 蒼い星』

―近藤真彦 『ミッドナイト・シャッフル』より―


第1話 END
25 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:33:02.52 ID:+V7oX02e0

「本当に見たんだって!」

「おいおい、良くない飲み方だぞ」

「酔ってねえ!」

「んじゃ、欲求不満だろ」

「だから…!」

「月曜までに酒抜いとけよ」

「……見たんだけどなぁ、フリフリで空飛ぶ女の子」

26 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:37:35.61 ID:+V7oX02e0

「なんで自殺なんてしようと?」

「わかりません。気がつくといつのまにか……」

「病院を紹介しますよ。心因性でしょうからね」

「…あの……」

「なんですか?」

「助けてくれた人がいたような…」

27 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:44:12.19 ID:+V7oX02e0

「この町やばいんじゃないの?」

「こんだけ変死が続くとなあ…」

「やっぱ手首フェチの殺人鬼でもいるんじゃねえ?」

「なんで性癖限定なんだよ」

「なんとなく」

「ところで寒くないか?」

「急に冷え込んだよな」

「いや、もうすぐ夏だぞ」

「それもそうか…って、うわ!」

「どうした?」
28 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:48:38.58 ID:+V7oX02e0

「よるな化け物!」

「おい、俺が不細工って言いたいのか?」

「来るなぁ!」

「痛っ! やめろよ!」

「うわああああ」

「てめっ! ブッ[ピーーー]ぞ!」

「あああああああああああ」

「クソが!」

29 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:52:05.49 ID:+V7oX02e0

「やめて!」

「……ん? あれ?」

「………なあ、俺どうしてたんだ?」

「落ち着きました? もう大丈夫ですよ」

「えっと…」

「少し、悪い気にあてられただけなので、すぐもとに戻ります」

「…ちょっと聞きたいんだけど……」

「なんでしょう?」

「なんで君そんな恰好してるの?」

30 :敗残兵 ◆Ct.wMdW.LY :2011/10/29(土) 13:55:52.90 ID:+V7oX02e0

「先生! ありがとうございます!」

「どの病院も匙を投げたというのに……!」

「いえ、その、正直手の施しようのない状態で…」

「それでも娘を救ってくださって、本当に感謝しています!」

「はあ。しかし私はほとんどあきらめていまして…」

「まさに、奇跡の名医です!」

「本当だよ。もうどこも痛くないの」

「ダメよ。検査が終わるまで寝てなきゃ」

「わたし行かなきゃいけないの」

「どこへ?」

「まじゅうをやっつけに!」

「まじゅう……魔獣?」

「QBに願いを叶えてもらって」

「まほうしょうじょになったの!」
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