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少年「僕も魔法使いです」 -
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1 :
◆WPwc2pN1N6
:2011/10/30(日) 15:41:43.69 ID:haqBpRgU0
夜中に突然、何かが燃え盛る音が広がった。
爆発音はなかった。
住民が路上に飛び出すと、建物ではなく、人が炎に包まれていた。
何かを訴えるような仕草もせず、すでにあの特有の身を縮めた姿勢になって燃え、
それから空に向かって炎が強く吹き上がるのを最後に、急速に燃え尽きていった。
野次馬が騒ぎ始めてから気づき、男はあわてて煙のするほうへ向かった。
火事の始末は男の仕事だった。
しかし、着いてみればすでに黒焦げになった遺体がひとつ、延焼はない。
だが、遺体の目の前にあるのは魔法使いたちの根城の一つだった。
燃えた人間に気づいたのか、魔法使いたちが住居から飛び出した。遺体に布をかけると、
周りの抗議にも構わず、さっさと屋内に運び始めたのだ。
男は煙に目を押さえた。
男「……魔法使いめ」
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:08:31.92 ID:A9RjOWcxo
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:07:56.06 ID:9l741hD4o
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:07:18.78 ID:XCIH42NJo
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:06:42.32 ID:sMr/Yf+to
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:06:05.72 ID:A9RjOWcxo
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:05:29.13 ID:9l741hD4o
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:04:47.30 ID:XCIH42NJo
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/06/20(金) 21:04:05.72 ID:sMr/Yf+to
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750421045/
2 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 15:44:27.32 ID:haqBpRgU0
<注意>
・厨二病。
・地の文が多目。
・推理ものではありません。
・シリアス度レベル3くらい。
・同時進行というわけではないですが、動物SSも書いてます。
書きたくなったので、書きました。ゆっくりとお付き合い下さい。
3 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 15:53:38.83 ID:haqBpRgUo
A.
翌日、男は焼けた人間の辺りをうろついてみた。
すると案の定、魔法使いたちがこそこそ話をしている。
魔法使い1「……聞いたか、昨日の」
魔法使い2「ああ、副支部長が燃えたらしいな」
魔1「なんだってこんな時期に……」
魔2「そりゃあ、こんな時期だからだろ」
男「そりゃあ、どういう意味なんだい?」
少年「どういう意味なんです?」
男が連中に声をかけると同時に、知らない少年が割って入ってきた。
驚いた魔法使いたちは、わっと逃げてしまう。
逃した少年に向かって、男はじろりとにらみを付けた。
4 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 16:00:01.10 ID:haqBpRgUo
少年「えへへ、逃げられちゃいましたね」
男「ましたねじゃない、なんだお前」
少年「ちょっと旅をしていまして、今朝着いたばかりなんです」
男「子どものくせに一人旅か?」
少年「こう見えても19歳です。体は小さいですが」
にこにこと笑いながら、少年が胸を張る。
男の胸元辺りまでしか身長が無い。確かに年相応には見えなかった。
少年「昨日何かあったようですね」
男「ああ、魔法使いが燃えたんだ」
少年「へぇ。魔法使いってのは燃えるんですね」
男「何を笑ってやがる。……こんなことだから、俺は反対だったんだ」
5 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 16:06:50.32 ID:haqBpRgUo
少年「何がですか?」
男「魔法使いなんかを、この町に引き入れることだよ」
男はむっつりした顔で言った。
魔法使いたちが群れを作って、いろんな町に入り込んでいる。
耳には入ってはいたが、いざ自分たちの町にやってくると、それは大混乱を引き起こした。
男は当然、反対した。
反対したが、結局は折れた。魔法使いたちは、自分たちを利用してくれ、と申し出た。
たとえば、魔法使いたちは、軽くて硬い大工用具を男にもたらした。
少年「……他に被害はなかったんですか?」
男「そうなってたら、真っ先にやつらを追い出せたさ」
少年「じゃあ、その人が燃えただけなんですね」
男「何が言いたいんだ。あんな薄気味悪い連中の肩を持ちたいのか
6 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 16:10:37.35 ID:haqBpRgUo
少年「いえ、僕も魔法使いですから」
にこっと笑って、少年は懐から紋章を取り出して掲げた。
男(ああ、間違いない。連中がいつも身に付けているアクセサリだ)
男はめまいを感じた。
こんな年端もいかない子どもが―――
男(……19歳か)
7 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 16:22:46.95 ID:haqBpRgUo
B.
男はそれきりで、少年を置いていこうとしたが、少年はくっついてきた。
少年「僕は全魔連(全国魔法使い連盟)の中央本部に所属しているんです。
魔法使いの犯罪を取り締まる立場にいてですねー、
できれば、支部の管轄で起きた犯罪には、付近の住民の方からも、
ご協力を得たいと思いまして」
男「だったら、町長にでも言えばいいだろ」
少年「あれ? 町長さんにごあいさつしたら、自警団の方にもと」
男「あの、くそじじい」
朝食がまだだというので、男は道案内の役につかされた。
この町が商売っ気のある町だということは、一目瞭然。
南北に町の入り口、町を貫くような巨大な中央通り、真ん中には市場を兼ねた広場。
そして、魔法使いたちのこの町での根城は、南側にあった。
8 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 16:33:53.76 ID:haqBpRgUo
少年「わっ、ステーキでけぇ!」
男「隣県に農業やってるところがあるからな。
けっこう安く手に入るんだ。
木材もそう。物の中継地点で都合がいいんだな」
少年「うめぇうめぇ」
男「聞いてないな、お前」
少年「朝から肉が食べられるなんてすばらしいですね!」
男「……。魔法使いも肉は食うのか」
少年は平らげている間に、男に紙切れを放った。
男が見てみると、題字に「きょうりょくのおねがい」と書かれたイラストが踊っている。
男「なにこれ」
少年「現地で協力をお願いする場合、報酬を設定しているんです。
中央の文字が通じないところにも行きますので、イラストで」
9 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 16:37:09.01 ID:haqBpRgUo
なんとなくここまで。
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2011/10/30(日) 16:50:57.72 ID:pIjKAOgh0
期待
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2011/10/30(日) 20:35:17.73 ID:eFjar2Pfo
支援
12 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 20:53:51.78 ID:haqBpRgUo
男「魔法使いは暇なのか? こんなくだらない―――」
少年「食べ終わりましたので、早速支部の事務所に行きましょう。
もちろん、男さんにはついてきてほしいんですが」
少年がさっさと会計を済ませようとするので、男もあわてて立ち上がった。
この有無しか求めない態度は、男が良く知っている魔法使いそのものだ。
全魔連の支部事務所なるところは、昨晩の事件現場より少し離れたところにある。
大通りからは少し外れたところに立っている。
男は常々、やましいところがあるから、こんな入り組んだところに巣食っているのだ、
と考えていた。
人通りが少ないだけではなく、ひっそりとした建物の中では、
誰かがここで働いているなどとは思われないように見えた。
少なくとも外見上は。
13 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:03:41.13 ID:haqBpRgUo
少年はさっさと建物に入ってしまう。
男もためらったが、何、どの道今日は仕事をする気になれないし、
このまま魔法使いの本性を暴いてやれ、とばかり、足を踏み入れた。
ところが、建物内部は驚くほど、明るかった。
かえって不自然に思うほどだ。
外見が薄暗く見えているのは窓が少ないだけで、天窓の日差しも、
また白いランプも、建物内を明るく照らしている。
忙しく動き回る魔法使いたちは、まるで暗さを感じさせない服装で、書類を抱えて走り回っている。
怪しげな液体も魔法陣もない。
強いて言うなら、怪しげな鉄製の道具をピーピー言わせながら使っている。
男(イメージと違うな……)
少年「あ、すみません。支部長さんをお願いします」
14 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:10:01.39 ID:haqBpRgUo
受付「支部長ですか? 失礼ですが、どちらさまで」
少年「特別中級魔法隊のものです。それと現地協力者の男さん」
受付「と、とく……?! すぐ呼んできます!」
少年が紋章を掲げて見せると、受付はあからさまに狼狽した。
あわてて走り始めた受付が、周りのあわてている魔法使いにぶつかる。
見送る少年はにこにこと笑顔を崩さない。
男「……お前ってすごいやつなのか?」
少年「誰でも、警察隊は嫌いでしょ?
所属している部署が部署ですから」
男「俺は自警団だが、あんな恐れられ方はしていない」
少年「実質、会員を粛清できる部隊ですから」
少年はにこにこと笑顔を崩さない。
15 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:18:00.19 ID:haqBpRgUo
奥の間に通されて、ほとんど同時に支部長はやってきた。
組織の長にしては異様に若い、ように見える。眼光が鋭い。
しかし、少年と同じように、魔法使いは若作りの術でも持っているのかもしれない。
……などと、男は考えた。
支部長「……失礼。あなたが特中隊の方で?」
少年「そうです。はい、紋章。あとこっちが現地協力の」
支部長「存じてます。説明会のときにかなりやりあいましたので」
男(記憶にないな)
支部長「特中隊の訪問は、三日後とお聞きしています。なぜこんなに早く?」
少年「僕だけ身軽なので、先行しているんです。いつもそうです」
それから、と一息おいて、少年は身を乗り出した。
少年「副支部長さんが亡くなられたそうで。お悔やみ申し上げます」
16 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:25:10.05 ID:haqBpRgUo
支部長「昨夜のお話ですか、お恥ずかしい限りです」
少年「驚いてしまって。その件でもお伺いしたいと思っていたんです」
何か不快なものを感じて、思わず男が言った。
男「おい、恥ずかしいとはなんだ。自分たちの仲間が死んだんだろう?」
支部長「あれは調べさせましたが、どうも魔法を失敗したようです。
はっきり言って、副支部長としてあるまじき失敗です。
他に被害が及ばなかったことは、評価すべきでしょうが」
少年「失敗したんですか?」
支部長「ええ。火の魔法が彼も得意でした。まさかこんなことになるとは」
男「あんた、おかしいぜ。魔法使いってのはみんなこうなのか?」
支部長「町のみなさんにご迷惑をおかけしたことは謝ります。
いずれ広報に謝罪と、報告を公表させますので、今日のところは……」
17 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:33:33.52 ID:haqBpRgUo
少年「そうですか。昨日の今日で、もう原因が判明したんですね」
腰を浮かした支部長が、動きを止めた。
座椅子に座りなおして、足を組んだ。
そこへ、走り回っていた魔法使いの一人が、三人分のお茶を運んでくる。
男は胡散臭くて手を付けなかったが、真っ先に少年は口をつけた。
支部長も、一言もなくお茶に手をつける。
支部長「私も火の魔法が得意ですから。遺体の調査に当たりました」
少年「遺体の損傷はどうだったのですか?」
支部長「遺体自体は、全身火傷で死んだようです。魔法の炎によるものです。
おそらく、なんらか失敗をしてかけようとした魔法が逆流したと」
男「……人一人が焼けるくらいの魔法を使ったって?」
少年「それは危険ですねぇ。彼の素行に問題は?」
18 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:43:14.61 ID:haqBpRgUo
支部長「失礼。今回、特中隊はこの事件の捜査に来たわけではないでしょう」
少年「そうですね。今回は闇取引の疑いで調査に来たんです」
支部長「すでに書面でいただいておりますがね。
あとで、今回の事件の報告とあわせて、あなたに届けさせましょう。
……突然のご訪問で、こちらもまいってしまいますよ」
男「ちょっと待て! こっちはまだ聞きたいことがあるんだ」
支部長「これ以上の時間は割けません。では」
少年「では、副支部長の遺体や現場検証の権限については?」
支部長「治安部にお尋ねください」
男「お、おい! ……おい、ガキ、止めなくていいのか?!」
少年「またよろしくお願いしますねー」
男はとうとう激昂して、暴れてやろうと机に手をかけた。
その手を少年が押さえつける、重石のごとく固く。
19 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:52:22.88 ID:haqBpRgUo
……建物から出ると、男は不満をぶちまけた。
男「何考えてやがる! あいつら絶対何かを隠してるぞ!」
少年「それはそうですけど、アポイントと違う日時に突撃して、
あんなケンカ腰で追究したら、誰もいい顔はしませんよぅ」
男「だからってな」
少年「僕、これから治安部行ったり、遺体を見に行ったりしたいんですけど、ついてきます?」
男「……くそっ! ついていけばいいんだろう!
その代わり、訳の分からんこと、ちゃんと話しやがれ!」
少年はにこっと笑った。
少年「いいですね、その追究姿勢。あなた、魔法使いの素質があるんじゃないですか?」
男「おぞましいことを言わないでくれ!」
20 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/10/30(日) 21:56:48.57 ID:haqBpRgUo
少年がおぞましいことを言ったところで、今日はここまで。
書き方もころころ変わってるけど、気にしないでね( ´∀`)
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2011/10/31(月) 19:31:17.32 ID:7c+2DZ/Qo
なかなかいい感じ
期待してる
22 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:06:49.37 ID:AWbrYrzMo
C.
遺体は地下室に横倒しにされていた。
不自然なほどきれいに黒焦げている遺体に近づいて、男は立ちすくんだ。
異臭も抜け、地下で薄暗かったせいか、最初は遺体だという認識がなかったからだ。
少年は報告書をめくりながら、担当の魔法使いに言った。
少年「ちょっと暗いんで、明るくしてもらえますか?」
魔法使い(地下)「は……『明かりをください、明かりをください』」
唱えた言葉が指先に降り、青い光が膨れ上がる。
音も鳴らずに辺りが照らされると、遺体もその輪郭がはっきりとしてきた。
23 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:07:40.92 ID:AWbrYrzMo
少年「完全に燃えきっていますね」
男「お、おう……」
少年「内部も真っ黒だ。普通に燃えたわけじゃなさそうですね」
男「そ、そうだな……」
少年「手指には魔法痕あり? 黒焦げですけど」
魔(地下)「手指から腕部分にかけて、放射状に光っている痕跡が見られます」
少年「……。なるほど、確かに」
24 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:08:15.82 ID:AWbrYrzMo
その後も少年は、二三の質問を担当にぶつけながら遺体を眺めて回った。
男は耐え切れずに地下室を抜けたが、思ったよりも早く、少年もすぐに出てきた。
男「も、もういいのか……」
少年「ええ、これからは少し聞き込みをしませんと」
男「ま、待ってくれ。とりあえず、休憩しないか?」
少年はきょとんとした顔で男を見返し、それから気がついたように「ああ」と頷いた。
少年「まあ、無理もないですよね、地下室は息詰まるところですし」
男「そこじゃないだろ」
25 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:09:02.87 ID:AWbrYrzMo
少年「……? 魔法使いは穴倉に生息する種族というのは間違いで」
男「そうじゃなくて! 死体をじっくり見ていたら気分が悪くなるだろう」
魔(地下)「さすがに、特中隊の方はタフというか……」
横にいた魔法使いも男に同意するようにうめいた。
男は初めて魔法使いに親近感を覚えて、少年に訴えた。
男「お仲間ですらこうなんだ、ちょっと休んで……
そうだ、その報告書を俺にも見せてくれよ」
26 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:09:51.85 ID:AWbrYrzMo
少年「仕方ありません、じゃあ、あっちの面会室で」
魔(地下)「ちょっと待ってください。勝手に見せられては困ります」
少年「じゃあ、あなたが立ち会って、閲覧という形式にしましょう」
魔(地下)「え、そ、それは、そんな権限は」
少年「この方は今回の事件における町の代表者ですよ?」
男(強引だな……魔法使いは)
結局、その魔法使いが報告書を読み上げる形になった。
27 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:10:19.19 ID:AWbrYrzMo
……副支部長になるこの男は、元々全国魔法使い連盟の中央本部に所属し、
つい半年前ほどにこの町の支部事務所に赴任してきた。
性格は実直というか、正義感や責任感の強い男らしく、行政部門で学びながら、
戦闘訓練にも自主的に参加、決して悪くない成績を収めていた。
妻はなく、中年の独身で、特に外部交渉に力のある人物として任命された。
とりわけ現在の―――と、ここを読み上げるとき、魔法使い(地下)が喉を鳴らした。
とりわけ現在の支部の状況は、北方の王国が全魔連との接触を希望する中で、
特別中級魔法使い隊から、「不適当な交易」についての調査を連絡されており、
中央との折衝を行いつつ、活動すべき難しい時期にある。
そのため、最悪の事態を想定して、副支部長は支部全体の戦闘訓練を申し出ており、
事故はその訓練の途中で起こったものと想定される。
28 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:11:16.00 ID:AWbrYrzMo
今回の訓練は、副支部長が訓練棟の一室で、一人で行っていたものであり、
事故直前の目撃者は訓練室の鍵を渡した事務員の一人。
室内で起きた出来事に目撃者はいないが、訓練室に不審者は見えず、
また建物内全体を調査したが、事件性のあるものは現在見つかっていない。
副支部長の遺体には明らかに魔法を使った痕跡が残されているため、
魔法に失敗して、おそらく逆流現象によって自分自身に魔法がかかり、
助けを得ようとして脱出したが、路上に出たところで死亡したものと見られる。うんぬん。
少年「ふむ……」
男「……全然分からん」
29 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:12:10.12 ID:AWbrYrzMo
少年「どの辺が分かりませんか?」
男「まあ、あのおっさんが派遣された役人みたいなものだってことは分かった」
少年「そうですね。僕も似たようなものなんです」
魔(地下)「……あなたの場合は、役人というより処刑人でしょう」ボソ
少年「僕は先行して情報を収集する役目ですから、処刑人ではないですよ」ニコ
二人の魔法使いが視線をぶつけ合う。
男「内輪もめは後でやれ! ……この逆流現象ってのはなに?」
少年「ああ、ええと、そうですね。はい、説明」
魔(地下)「わ、私ですか? ええと……」
30 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:12:50.00 ID:AWbrYrzMo
―――そもそも魔法というのは、人間の体に宿る魔翌力によって、
この世には存在しない現象を呼び寄せることを指す。
しかし、それ自体は別の世界ではありうる現象なので、
正しい手順通りに呼び寄せなければ、意図しない結果を生み出す。
魔(地下)「つまり、この場合、何かを焼こうと思って呼び寄せた魔法の火が、
自分の体にかかってしまい、自分を焼いてしまったということなんです」
少年「自分の体が魔法の入り口になるので、失敗する時は自分の身に降りかかることが多い。
そのため、これを逆流現象と呼んでいるわけです」
男「……そんなに危ないものなのか? 魔法というのは」
魔(地下)「そういうわけでもないです。普通は使おうとする規模に応じた失敗しか起きませんし」
31 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:15:49.03 ID:AWbrYrzMo
少年はにこにこと笑って言った。
少年「図らずもあなたが言ったとおりだったんです。不自然なことに、
彼は自分が丸焼けになるくらいの魔法を、訓練中に使用した」
魔(地下)「……あなたは、やはり我々を疑っているのですね」
男「後でやれって言ってんだろ!」
少年「これは内輪もめではなくて、正式な捜査ですよ?」
少年はテーブルをこするように手を滑らせて、紙の束をまとめ始めた。
32 :
◆WPwc2pN1N6
[sage]:2011/11/05(土) 21:16:18.17 ID:AWbrYrzMo
今夜はここまで。
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)
:2011/11/07(月) 19:29:35.84 ID:Ezbn5+eKo
乙
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