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あまくさっ♪ すんどめ。 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2011/10/30(日) 22:27:40.41 ID:/Ac8Epa90

   ガチャッ・・・・・



香焼「―――ただいまー……って、え」ピタッ・・・


神裂・五和「「むぐぐ」」ジー・・・


浦上「あ、おかえりー」モグモグ・・・

もあい「にゃー」

香焼「……あの2人、向かい合って何してんの?」タラー・・・

浦上「見て分からない?」モグモグ・・・

香焼「分かりたくないから聞いてる……五和が竹刀持ってて、カオリ姉さんは片膝着く恰好?」タラー・・・

浦上「まぁまぁ。もう少し見てりゃ分かるヨ。あ、ほら」チラッ・・・

香焼「え……なぁ!?」ギョッ!


五和「―――行きます! ッ……チェストおおおぉっ!!」グッ! ブンッ!

神裂「来い……そぉいッ―――」カッ!


 スパーンッ!!


神裂「―――いぃッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜痛ッたああああああぁいぃっ!!」グアアァッ!!

五和「ぐぅ……また失敗かぁ」チェッ・・・


香焼「」

浦上「ね?」フフッ

香焼「な……なぁにが『ね?』だあああぁっ!! 五和が姉さんの額(デコ)カチ割ってんだろうがああぁっ!!」ムホンダアアァ!!

浦上「いやいや。五和が姉様に『白刃取り出来るか?』なんて聞いちゃったのがきっかけで熱くなっちゃってんのヨ」ハハハ

もあい「なー」コクコクッ

香焼「あーこの前建宮さんがボコボコになってたヤツか……じゃなくて、やめろよっ!! てか浦上も停めろよ!!」ダラダラ・・・

浦上「面白ければいーかなーって」ケラケラ!

香焼「最っ悪だコイツ!!」タラー・・・


神裂・五和「「ワンモァセッ!!」」グッ!!


香焼「止めてええええぇ!! 我が家の平穏を乱さないでえええぇっ!!」ウギャアアァッ!!








       あまくさっ♪ さんどめ。









もあい「みゃー」フシフシ

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寝こさん若返る @ 2024/05/11(土) 00:00:20.70 ID:FqiNtMfxo
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第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
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ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
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今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
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誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/

A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715180413/

真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715130904/

愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715108060/

2 :VIPにかわりまして建宮がお送りします :2011/10/30(日) 22:30:25.44 ID:/Ac8Epa90
建宮「どうも。始めましての方は始めまして。お久しぶりの方はオヒサーなのよね」ビシッ

建宮「この物語は『とある魔術の禁書目録』及び『とある科学の超電磁砲』の二次創作SSで原作崩壊・厨二等含む駄文でございます」



以下、大まかな設定。

・メインは天草式十字凄教の……香焼、五和、浦上、そして神裂。

・基本ほのぼの。性格は本編より丸い。  例) ステイルが14歳相応。神裂が18歳相応。禁書目録が左2人とそれほど仲違いしてない。

・大きく二分して「学園都市編」と「英国編」。ラブラブ、エロエロは未定。

・組織設定や社会背景等はやたらリアル思考……だけど駄文。凡ミス多々。

・アンケートやリクエスト、偶に安価の御協力お願いします。



※前作、前々作を先に見て頂けると色々早いです。

@あまくさっ! ・・・・・ ( http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1299/12992/1299246176.html )

Aあまくさっ!? ただいま。 ・・・・・ ( http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1314/13141/1314102396.html )



建宮「矛盾点や歪みが多々出てくると思いますが、『魔術師(及び魔女)の仕業かっ!』と流して下さい」

建宮「では素人の駄文ですが、何卒、宜しくお願いします」ノシ



<勝手な設定>

・天草式の若手数名は偽戸籍(ダミーID)で学園都市の学校・生徒の中へ紛れ込んでいる。所謂、潜入任務である。
 コレは英国清教の命であり、また、アレイスター(あちら)側の意向。
 表向き――無論、一般的には裏である――英国側としては学園都市の動向を探るスパイ。
 しかし裏向きには――若手には悪いが――……アレイスター監視下の人質でもあった。

・神裂は、土御門からの呼び出し、禁書目録の『監視』という名のお世話(加え、上条当麻に会いに)、教徒の活動視察で学園都市に来る。
 ステイルも神裂と類似行動。ただしかなり暇人。何故か香焼と仲良し(本人は否定)。

・カルテッ娘・・・必要悪の協会(ネセサリウス)に所属・使者・嘱託として出入りする(喧しい)少女達。
         アニェーゼ、アンジェレネ、サーシャ、レッサー。(予備娘:ランシス)

・もあい・・・絹旗最愛が拾い、香焼が預かって半ば飼っているぬこ。決して絹旗本人ではない。

・F・・・削板軍覇。読み方は根性、正義、バカ。

・学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』・・・理事校指定の高級マンション。香焼宅(天草本部の金で)。

・火織姉さん18歳・・・歳相応。お友達はむぎのんとこのりん。

・メンヘラ少年ステイル君14歳・・・必要悪の協会bPツンデレ。

・カミやん病・・・読んで字の如し。『彼』っぽくなる。


また追々捕捉してきます。分からない事や意見があればドンドン質問やコメしてください!

3 :NY [email@gmail.com]:2011/10/30(日) 22:30:53.33 ID:TSWUHmVa0
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4 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 22:35:15.48 ID:/Ac8Epa90
 ―――とある日、AM07:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<香焼side>・・・





この学園での潜入任務が始まってから、結構時間が経ったなぁと感じる。
実際にはそんなに月日は過ぎていない筈なのだが、何ともなん。多分、濃い毎日を過ごしている為かもしれない。

その主な原因は……今、リビングに布団を敷いて寝ている連中の所為(おかげ)だろう。


神裂・五和・浦上「「「むぅ……むにゃ」」」Zzz・・・

香焼「平日なのに、お寝坊姉妹め……もあい。三人起こしといて」テクテク・・・


預かり子猫(主:最愛)を持ち上げ、五和の腹部に降ろす。


もあい「みゃん」ペロペロ・・・クシクシッ

五和「ん……ぁ……ひゃんっ!!」バッ!!

香焼「起きろー。学校っすよー」コトコト・・・

五和「ふぇ……ぁ」ポケー・・・

香焼「もあい。次浦上ー」チラッ

もあい「にゃん」ペロペロ・・・パクッ

浦上「あ、んん……み、耳はぁ……ぇ……んあっ!!」バッ!!

香焼「……学校の準備」ハァ・・・

五和「ウラー。朝っぱらからエロい声上げるのは駄目だよ。コウちゃんが興奮しちゃうって」ハハハ


熱々のバターロールを五和の顔面目掛けて投げつけた。見事に口でキャッチしやがった。ちくしょー。


浦上「んー……シャワー」スッ・・・ポトッ

五和「ウラ、時間かかるんだから後にしてよ。私先に行く」スッ・・・

浦上「えー……ジャンケン」ジトー・・・

香焼「身支度あるんだったらもう少し早めに起きればいいじゃん。仮にも女なんだからさ」ハァ・・・

五和「れっきとした女子ですよーだ」ベー!


さておき、浦上に抱え上げられカオリ姉さんの上に落ちたもあいは……姉さんの浴衣(寝巻き)の中に潜り込んでいた。


もあい「なー」ペロペロ・・・コロコロ・・・

神裂「ぁ……ん……っ」ピクッ・・・

香焼「おい浦上。もあい何とかしろ」タラー・・・///

浦上「え?」ポカーン・・・

もあい「にゃー」ペシペシッ・・・モゾモゾ

神裂「ふぁ……んっ……あっ」ブルルッ・・・

香焼「もあい。その二つは玩具(ボール)ではありません」アララ・・・///

浦上「放っておいても大丈夫っしょ。姉様、今日は仕事無いらしいし……って、あ! お姉狡いっ!」ギョッ・・・

五和「へへーん! 早い者勝ちー!」パタパタッ!!

浦上「ぐぬぬぅ」ギリギリ・・・

香焼「はぁ……良いから姉さん起こしてよ」ッタク・・・


ぶっちゃけ、健全な男子が朝っぱらから聞いてはいけない様な声を上げてらっしゃる。早く止めてくれ。
5 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 22:37:27.88 ID:/Ac8Epa90
カオリ姉さんが目を覚まし、五和と浦上がシャワーを終え、朝食タイム。牛乳とバターロールと簡素なサラダだ。


五和「もぐもぐ……んー」カチカチ・・・

香焼「……おい」ジトー・・・

五和「んー?」カチカチ・・・

香焼「食事中、携帯弄るなよ」ハァ・・・

五和「うわぁ爺臭い発言」カチカチ・・・


喧しい。マナー的に駄目だろ。


五和「はいはい……それじゃあ姉さんは如何なの?」チラッ・・・

香焼「は?」チラッ・・・

神裂「……ふぇ?」パラッ・・・


新聞を読みながらバターロールを咥えてらっしゃる。


香焼「……はぁ」ポリポリ・・・

五和「ほら注意しなよー」ジトー・・・

神裂「あ……す、すいません。はしたなかったですね」アハハ・・・

もあい「んなー」モグモグ・・・


何とも言い辛い。


浦上「あはは。ま、姉様も徐々にこの家の色に染まってきたという事ですヨ」クスクスッ

五和「そだねー」アハハ

神裂「そ、そうですか? それは良かった」フフッ


いや、駄目ですからね。ソイツら色に染まったら確実に馬鹿になります。


五和「むー……前にコウちゃんだってご飯食べながら勉強してたでしょ」ジトー・・・

香焼「それはテスト前だったから仕方ないだろ」フンッ

五和「じゃあ私も重要なメールだもーん」カチカチ・・・

香焼「じゃあ携帯見せてよ」ムッ

五和「……さいてー。へんたーい」ウワァ・・・

浦上「香焼。人の携帯見ちゃダメだヨ。人間関係の解れになりかねないデスって」メッ

神裂「そうですね。プライバシーは大事ですよ」コクッ


何故、僕が悪者扱いされてるの? ねぇ? 悪いのそっちだよね?

6 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 22:44:12.88 ID:/Ac8Epa90
というか、姉さん。この馬鹿2人をちゃんと叱って下さいよ。


神裂「あはは……まぁ確かに『ながら食事』はいけませんね。以後注気をつけましょう」ポリポリ・・・

五和「そうだよ、コウちゃん」メッ

香焼「今度上条さんにお前の日頃の行い言っといてやる」モグモグ・・・

五和「にゃんですとっ!? こ、コウちゃーん。今日帰りにシュークリーム買って来てあげるから、それだけは……、」ダラダラ・・・


ったく……エクレアが良い。


浦上「じゃあ私シュフォンパイ!」ハーイ

神裂「それでは抹茶プリンで」コクッ

もあい「みゃー(モンポチで)」フシフシッ

五和「」

香焼「今日は五和の奢りかぁ。やったね」ハハハ

五和「鬼ー! 悪魔ー! チビー!」ギャーギャー!


うっさい。チビ言うな。いいからさっさと喰え。また遅刻するぞ。


五和「くっそぅ……覚えてろよぅ」ギリギリ・・・

浦上「お菓子の件は忘れないヨー。それよりお姉、今日ガソリン入れてかないと拙いって言ってなかった?」

五和「あ、そうだ! もぐもぐ……ふぉちふぉうふぁま!」ゴックンッ!

香焼「おい、食器!」ア!

五和「ふぁふぁふ……ごっくん……あー、片付けといて! お菓子買ってきてあげるから! ウラ、急ぐよ」パタパタ!

浦上「はいはい。お姉ー、歯磨きセット持った方が良いでしょー」ゴチソウサマー

五和「うん。それじゃあ行ってきまーす!」バッ!

浦上「お姉ーメットメット! はぁ、やれやれ。私も行ってきまーす」テクテク・・・

神裂「行ってらっしゃい」コクッ


慌ただしいヤツら。


神裂「香焼も、そろそろ時間でしょう。片付けは私がやっておきますから準備を」コクッ

香焼「あ、いえ」

神裂「いいから」ポンッ

香焼「……それじゃあお願いします」ペコッ

もあい「みゃん」ゴロゴロ・・・


教徒的には不敬罪だが、家族的には……お言葉に甘えよう。


香焼「それじゃ留守をお願いします」ペコッ

神裂「はい。任されました」

もあい「にゃー」コクコクッ


五和と浦上とは違い、安心して家を任せられる。うっかり癖はあるけど、それでもあの2人よりはマシだ。
僕は合いカギ(カードキー)を姉さんに渡し、エレベーターへ向かった。

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 22:48:28.01 ID:hsrcUVQDO
新章キター――――!! >>1ありがとう!
ちなみにタイトルは『さんどめ』じゃなく『すんどめ』なのか?
8 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 22:51:11.31 ID:/Ac8Epa90
 ―――とある日、AM09:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<神裂side>・・・








妹弟分達が登校したので暇になる。
いや、暇といえる程暇な身分ではないのだが、そこまで急ぎの仕事は入っていない。

天草内の事務仕事は主に中堅組(建宮達)や本部の年寄衆の仕事で、私は判を押すだけ。
必要悪の教会(ネセサリウス)の仕事も今は入っていない。禁書目録(あの子)の監視はステイルか若衆2,3名で十分だ。
という訳で、特にする事もない。


神裂「ニート、という訳ではないですが……困りましたね」ポリポリ・・・

もあい「にゃー」コクコクッ


とりあえず一服し、食器を洗って戸棚に戻す。それから天気が良いので私と五和、浦上の分の布団を干す事にした。
因みに香焼の分は干せない。あの子の部屋は私達侵入禁止の張り紙が貼られている。御丁寧に魔術的&高科学的な鍵までしてあるのだ。


神裂「そんなに、見られたくないんでしょうか」フム・・・


まぁ思春期の男の子故、仕方ないといえば仕方ないのだが。
あの子に限って部屋を汚くしているという事は無いだろうけど、ちょっと心配。

さておき、やる事も無いのでもあいと遊ぶ事に。


神裂「チチチチ。おいでおいで」ニャーン

もあい「んなー」トコトコ・・・

神裂「よいしょっ」ナデナデ

もあい「なーぅ」フシフシッ


ソファの上に寝転がりながら子猫を撫でる。こんな姿、知り合いに見られたら大変な事になるだろう。


神裂「しかし……あの子達からは、力の抜き所を教わりましたね」フフッ

もあい「みゃん」コロコロ・・・


奈何せん抜き過ぎではないか、と偶に反省はするが、これが人間らしさじゃないかと『彼』は笑った。


神裂「……にゃー」フフッ

もあい「にゃー」ペロペロ


猫の様な生き方も、悪くはなかろう。

9 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 22:52:54.64 ID:/Ac8Epa90
気付くと昼前くらいだった。そろそろ私服に着替えよう。
もあいを床に置き、シャワーを浴びに行こう……と思った瞬間、携帯が鳴る。


神裂「メール……麦野さん?」フム・・・


短く『何してんの?』と一言。とりあえず何もしてない事を伝え、麦野さんは何してたのかを尋ねてみた。
さて、シャワーを―――


もあい「にゃっ」Prrr!

神裂「……相変わらず早っ」タラー・・・


―――15秒経たない内に次のメールだ。『早朝勤明け。私もひまー。遊び行くわよ』と単純明快な文章。
丁度暇していた私にとって魅力的な誘いだったが、今日は留守を任されている身である。
正直にその旨を伝えて、携帯をテーブルに置く。

また直ぐに携帯が鳴ったが、とりあえずシャワーを優先させてもらおうと、浴室に向かった。


神裂「……ん?」ガララ・・・


またボトルが増えてる。五和か浦上のだろう……あとで借りてもいいかな。
なんて馬鹿な事を考えながら、電子パネルを弄ってお湯の温度を上げる。
最近の家電は何でもかんでもワンタッチで便利なモノだ。この街に限らず、必要悪の教会の寮の方も色々便利になって来ている。


神裂「ふぅ……んー、少し前髪伸びたかな」ジャアアァ・・・


何本か鼻に掛るくらいになってきた。流石に邪魔かもしれない。
基本的にファッション云々は気にしたりしないのだが、戦闘の支障になりかねない前髪などは定期的に切らねばなるまい。

後ろ髪? ああ、どーせ結ぶから良いんですよ。


もあい『みゃー』カリカリ・・・

神裂「んー。もう少し待っててねー」モイスチャモイスチャ・・・

もあい『みゃーん』カリカリ・・・


香港で買ってきたシャンプーでササッと髪を洗い、ある程度の水気を切って浴室から出る。
瞬間……けたたましいチャイムの音が鳴っている事に気付いた。


神裂「な、何ごと?!」ギョッ!

もあい「……みゃう」フシフシ


もあいが浴室のドアをカリカリ引っ掻いていた理由はこれか。
急いで身体を拭き、髪を乾かす間も無く急いで団子に纏める。それから下着を穿着け、服を取りにリビングに。

すると、ふとチャイムが止み……今度はヤクザの取り立て宜しく、喧しいノックと怒号が始まった。


麦野『テメェ火織っ!! 私無視するたぁ良い度胸じゃねぇかっ!! 居んのは分かってんのよっ!!』ガンガンガンガンッ!!

神裂「む、麦野さん!?」ギョッ!?


何!? 何故!? 何で!?

10 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 23:03:41.19 ID:/Ac8Epa90
兎角、ベルトも閉めないまま急いでドアに向かい、鍵を開けた。


麦野「開けろー!! って、うをっ!? こんにゃろぅ……いつまで待たせんのよ」ジトー・・・

神裂「え、あ、ええっと……え?」ポカーン・・・

絹旗「麦野……やっぱ超失礼ですって」ハァ・・・


都市での友達――麦野沈利さんと、その妹分兼香焼の親友――絹旗最愛さん。


もあい「にゃー」トコトコ・・・ピョンッ

絹旗「もあいー。おはよーございます」ナデナデ・・・

神裂「あ、その……と、とりあえず中に」ポリポリ・・・

麦野「ん。お邪魔しまーす」テクテク・・・

絹旗「んもー。超ふてぶてしいんですから……すいません。超お邪魔でしたよね」ペコッ


いや、別に邪魔では無いのだが些か急なモノで驚いているのだ。


麦野「急って何よ? 私メールしたし電話もしたじゃない」フーンダ

神裂「え? 嘘」タラー・・・


リビングに戻り携帯を開く……メール2件。着信7件。


神裂「あー……すいません。お風呂に入っていたもので」ポリポリ・・・

麦野「ずぶ濡れの髪見りゃ分かるわよ。さっさと乾かしてきなさい……あ、やっぱ駄目。私乾かしてあげるから」ニヤリ・・・

神裂「は、はぁ」タラー・・・

麦野「さぁて。どうしてくれようかなぁ」フンフフー♪

神裂「お、お手柔らかに」タラー・・・


その後、プロの美容師宛らの腕前で髪をセットされた……何故かツインテールやら三つ編みやらに。


絹旗「もあいー。新発売の『触手型猫じゃらし』っての買ってきたんですよー」ウネウネ・・・

もあい「なぅ?」ジー・・・


こっちはいつも通りですね。

11 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 23:13:56.01 ID:/Ac8Epa90
 ―――とある日、AM11:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<神裂side>・・・







何故かローラ以上に奇抜な髪形にされたまま、昼食作りに入る。
確かパスタが残っていた筈だ。朝に香焼が切った野菜の残りと混ぜてサラダパスタにしよう。

麦野さんはソファに横になり、絹旗さんはもあいと一緒に大人しくテレビを見ていた。
ふと、麦野さんが呟く。


麦野「んー……それにしても便利ね」ジー・・・

神裂「はい?」グツグツグツ・・・

麦野「火織、私ん部屋でメイドしない? 給料弾むわよ」ニャリ・・・

神裂「え、遠慮します」タラー・・・


仕事がありますし、何より……メイドという単語に良い覚えがない。


麦野「んじゃ結婚して」ハハハ

神裂「ったく……貴女が妻になるというなら考えましょう」ハァ

麦野「バーロー、私が旦那だ。『受け』はアンタの性分でしょう」クスクスッ

神裂「さぁね。私は『立ち』回る方が得意かと」ザクザクザクッ

麦野「あっはっはっ! 言うねぇ。ま、私もアンタも猫っぽくは無いわな」ニヤニヤ・・・

絹旗「何の話してるんですか?」ポカーン・・・

もあい「にゃん?」ポカーン・・・


知らなくて良い話ですよ。


麦野「それにしても、何でこんな時間にシャワー浴びてんのよ。朝帰り? それともマスでも掻いてた?」ボリボリ・・・

神裂「んな訳無いでしょう。香焼達が登校した後、家事を終えてから着替えを……って、お昼前にお菓子食べないの」メッ

麦野「なーんだ。つまんないわねぇ」フーン・・・

神裂「変な期待する方が間違いなんですよ。そういう艶モノキャラは私には合いません。ドチラかといえば貴女とか結標さんでしょう」フフッ

麦野「うっせ……けっ。それに、そりゃ美偉の枠だっつの」フンッ


まぁ唯一の彼氏持ちだからなぁ……浦上の色々な疑惑を除いて。


神裂「ところで早朝勤務と言っていましたが何時くらいから?」チラッ・・・

麦野「3時起きの4時半開始よ。マジふざけてるわ」ハァ・・・

神裂「それはまぁ」フム・・・

絹旗「ぶっちゃけ超眠いです。第4学区の倉庫、超寒いし超臭いんですもん」ウヘェ・・・

麦野「でもまぁ『ナマモノ』の取り扱いにゃ便利な所だからね……おっと」ム・・・

神裂「…………、」グツグツグツ・・・


多くは聞かない。今はまだその時ではない。香焼と『とある御人』と、そう約束している。

12 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 23:24:54.45 ID:/Ac8Epa90
さておき、昼食を終え一服している最中、絹旗さんが寝ボケ眼で虚ろ虚ろしているのに気付く。
昨晩何時に寝たのかは分からないが、早朝から動き回ってきたのだ。眠かろう。


神裂「絹旗さん。少しソファで横になっても良いですよ」チラッ・・・

絹旗「え、あ……えっと」ボー・・・

もあい「にゃん」ジー・・・

麦野「駄目。ソファ私の」ボリボリ・・・


また大人げない事を。


神裂「……そぉい」グイッ

麦野「むぎゃっ!?」ヒョイッ!

神裂「はいどうぞ」フフッ

絹旗「ええっと……それじゃあ少しだけ」アハハ・・・

麦野「はーなーせー!」ジタバタ!


我儘娘め。てか聖人たる私と純粋な力で張り合わないでください。

兎角、ソファに横たわった絹旗さんに布団を掛ける。
すると……あっと言う間にスヤスヤと寝息を立て丸くなった。相当疲れていたのだろう。
此処までしてしまえば麦野さんも文句は言えまい。


麦野「ぐぬぬぅ」ギリギリ・・・

神裂「やれやれ。意地悪しないでください」パッ

麦野「うわっと……このおっぱい星人め」ジトー・・・


土御門みたいな事言わないでください。さておき、再び暇になる。


神裂「麦野さんは眠くないのですか?」フム

麦野「んなガキじゃないわよ。今寝たら夜眠れないでしょ」ッタク・・・

神裂「その理屈こそ子供っぽい気が」アハハ・・・

麦野「うっせ。とりあえず今夜は仕事無いから予約してたスパエステ行ってグッスリ寝るつもり」

神裂「はいはい。エステエステ。二十歳にも満たないのに頑張りますねー」ズズズズ・・・

麦野「チッ……アンタは良いわよねー。美容ケアとかしないくせに肌ツルっツルだし」ジトー・・・


まぁ聖人特権です、とは言えないので苦笑して誤魔化しておく。

13 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 23:27:01.45 ID:/Ac8Epa90
しかし麦野さんこそ、そんな場所に通わなくても十分お綺麗でしょうに。


麦野「嫌みにしか聞こえないわ、この勿体無い美人め」フンッ

神裂「お褒めの言葉として受け取っておきましょう」ズズズズ・・・

麦野「ぐっ……受け流すの上手くなったわね、こんちくしょー」ジトー・・・


大片、貴女の悪態に慣れた御蔭です。


麦野「はぁ……それより、アンタ今日何時まで留守番なのよ」バリバリ・・・

神裂「香焼か五和、浦上が帰って来るまでですから……あと2,3時間程でしょう」フムフム

麦野「長ぇし。買い物行こー」グデェ・・・

神裂「だから留守番だと言うに」ハァ・・・

麦野「鍵閉めてけば大丈夫だって。合いカギ有んでしょ?」チラッ・・・


そういえば預かった気がする。


麦野「それ見ろ! さ! 行きましょ!」キラキラ!

神裂「し、しかしですね……ほら! 絹旗さんが!」アタフタ・・・

麦野「放っといても大丈夫よ。坊やにでも喰わせときなさい」ハハハ

神裂「あの子はそんな事しません! というかそんな度胸有りません!」ヤレヤレ・・・

麦野「分ーってるわよ。だから置いてくの。ささ、準備準備!」フンフフーン♪

神裂「あ、ちょ、キャー!!」パタパタ・・・


半ば強引に着替えさせられる。先日買ったライン入りの開襟Yシャツとレディースパンツ。


麦野「髪は下の方で結んでっと……ふふふふ」グッ!

神裂「ま、また慣れない恰好をさせる」カアアァ///

麦野「さっきの恰好の方よりもずっと普通よ。文句は良いからさっさと行くわよ!」オー!

神裂「ちょ、ちょっと! せめて書き置きを!」アワワワ・・・

麦野「んなのメールすりゃ直ぐでしょ。さっさとしなさーい」テクテク・・・


まったく……この人は相変わらず独尊的だ。


麦野「あったり前よ。自分中心じゃない生き方なんて自我が無い人間でしょ」フンッ

神裂「そういう哲学的な考えを言っても、我儘にしか聞こえませんって」ハァ

麦野「そーですねー。悪ぅござんした。さーて美偉に後で合流しろってメール入れたしー、ついでに結標も誘うか。どうせ暇してんだろ」カチカチッ

神裂「……はぁ」トテトテ・・・

麦野「そんじゃ! 良い男探しレッツゴー!!」イエーイ!

神裂「えー」タラー・・・


結局、最終下校時刻過ぎまで連れ回される事になった……歳相応といえば歳相応なのかな。

14 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 23:31:50.41 ID:/Ac8Epa90
 ―――とある日、PM04:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<香焼side>・・・








かなり面倒臭い課外授業を終え、我が家に帰る。
マンション前のバス停に降りた時、馬鹿一号のビックスクーターが横を通り過ぎて行った。勿論、二号もケツに乗っている。
(残念ながら)丁度良く姉分2人も帰宅の御様子だ。

狭いエレベーター内で、てきとー――っに五和の相手をしながら部屋に向かう。


五和「―――だーから! エクレア買ってきてあげたんだから感謝して欲しいの! なんて弟思い……私ったら姉の鑑でしょう!」ホラッ!

香焼「はいはいありがとー……あれ? 鍵掛ってる」ガチャッ・・・

五和「え? カオリ姉さんは?」キョトン・・・


出かけたのか。きっと近くのコンビニ辺りだろう。ただ、第1学区にはまともな店が少ないので他学区まで出張らねばならない。
兎角、後でメールしとこう。


浦上「ん?」ピタッ・・・

五和「どったの?」

浦上「……靴」チラッ・・・

五和「は?」キョトン・・・


玄関に……自分のサイズより少し小さいくらいのブーツ。急いでリビングに向かう。


絹旗・もあい「「すぅ……くぅ」」ムニャムニャ・・・

香焼「……なんでさ」


何故か友人とその猫がソファの上で寝息を立てていた。


五和「あー……私達帰ろうか?」ニヤリ・・・

浦上「そうですネー。此処は若い御二人に……香焼、据え膳食わねば何とやらダゾ」ニヤニヤ・・・

香焼「縛るぞ」ギロッ・・・

五和「おお、こわいこわい」フフフ・・・

浦上「縛られるのは趣味じゃないので帰りますネー」フフフ・・・


ごめんなさい。帰らないでください。2人きりにしないでください。


五和「ふふふふ……やっと上下関係が分かったか」ニヤリ・・・

浦上「ねぇねぇ。執事服とメイド服、どっち着たい?」ニヤニヤ・・・


調子に乗りやがらないでくださいまし、糞っタレ御姉様方。

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 23:49:37.79 ID:BgN9yAi70
>>1乙!! おかえりー!

親戚さんに、キャバクラ編をはやく書くように伝えておくんだよ!
16 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 23:53:01.06 ID:/Ac8Epa90
五和「こらこら怒らないの。最愛ちゃん起きちゃうでしょ」メッ

絹旗「うぅーん……、」ムゥ・・・

香焼「……いや、起こしても良い気がする」ハァ・・・

浦上「そんじゃ香焼が起こしなヨ」ウンウン

香焼「えー」タラー・・・


嫌な予感しかしない。


香焼「……やっぱ寝かせとこう」コクッ

五和「うわぁチキンめ」ジトー・・・

浦上「仕方ない、手を貸そう……えいっ☆」ドンッ!

香焼「ちょっ! ど、うわっ!!?」グランッ!!


背後から押され、勢い止まらずソファの方へ。


浦上「そのまま抱き着いちゃえ♪」ウフフ・・・

五和「ふふふ、妹者。やりおるのう、やりおるのう」ニヤニヤ・・・

香焼「こんっ……畜生!!」グンッ!!

五和「おお! 踏み止まった!」オー!

浦上「ちぇっ。覆い被さるだけかぁ」ハァ・・・


危なく最愛の上に居るもあい(なんかややこしいな)を潰しそうになったが、ギリギリセーフ。
あとは避けるだけ……おい、お前ら。絶対押すなよ?


五和「何それ振り?」ジー・・・

香焼「喧しい!」ギロッ!

浦上「まぁそこまで野暮な事はしませんよ……でも」ニヤリ・・・

香焼「え?」タラー・・・


悪寒。

17 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/30(日) 23:59:56.64 ID:/Ac8Epa90
突如、浦上が叫んだ。


浦上「もあいー! 起きろー!」ニャー!

もあい「ん……にゃっ!」パチッ!

浦上「お姉がモンポチ買ってきたぞー!」ニャーン

もあい「なぅ!」フリフリ!


尻尾を振り喜ぶもあい。何故浦上の言葉が通じる!?
さておき、尻尾は丁度最愛の鼻をこすり……あ。


絹旗「むぅう……ふぁああぁ……ぇ」ピタッ・・・

香焼「…………、」タラー・・・

絹旗「……な、ななんあな、ななな、なななな、7な、ななな、なぁ!?」ギョッ///

香焼「お、OK。落ち着こう最愛」ダラダラ・・・

五和「最愛ちゃーん。私達止めたのよー」フフッ

浦上「でも香焼が『ここは第2位的(メルヘンチック)に目覚めのキスを』なんて馬鹿な事言うもんだから」ハハハ


んな馬鹿な話あるか!! お前ら爆散しろ!!


絹旗「い、いゃ……きゃあああああぁっ!!」ドンッ/////////////////////////////////

香焼「ごべぇえっ!!?」ガンッ!!

五和「お、おおぉ……凄い。天井まで打っ飛ばされる程のテレ隠し」タラー・・・

浦上「轢かれたカエルみたいに天井に張り付いてる。ギャグ回じゃなかったらコウちゃんが四散してたね」ハハハ・・・

もあい「みゃー」ゴソゴソ・・・


ああ……不幸だ。


絹旗「へ……ぁ、ご、ごめんなさい!! つい力量間違えて!!」アタフタ!!

香焼「」ダイジョブダヨー・・・サイキン、ナレタカラー・・・


その後、カオリ姉さん達が帰って来るまで介抱され続けましたとさ。

18 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 00:07:06.22 ID:hRNVcAKX0
 ―――とある日、PM07:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<五和side>・・・






夕食時。
今日は姉さんがお客さんを沢山連れてきました。こういう日は夕飯を作るのが大変だけど、その分腕を奮えます。


麦野「―――しっかし、もうちょいまともな男居ないのかしらね。顔良くてもマザコンだったり、金はあっても馬鹿だったり」ハァ・・・

固法「あはは……麦野さんの理想は高過ぎるのよ」タラー・・・

結標「てかさぁ。アンタ如何いう男がタイプなの? よく分からないわ」ジー・・・

麦野「うーん。別に面食いとか富・名声・力が欲しい訳じゃないから……とりあえず脳味噌と心臓と子宮がキュンと来るような男」サラッ

神裂「意味が分かりません」タラー・・・

絹旗「麦野の脳味噌はメルトダウンしてますから仕方ないですよ。ちょっとアレなんです」ハハハ

麦野「……きーぬぅはたぁ」ギロリ・・・


因みにお客さんは麦野さん、固法さん、結標さん、そして最愛ちゃんの4人です。
ちなみに子宮がキュンとくるって……何それ素敵。


浦上「軍覇くんも呼べば良いのにネ」チラッ・・・

香焼「あ、うん。電話してみる」スッ・・・

絹旗「……えー」ジトー・・・

麦野「私もヤダ。暑っ苦しい」タラー・・・

結標「左に同じく」コクッ


あらあら、好き嫌いはいけませんよ。


香焼「えっと……まぁ来る時は勝手に来るから」アハハ・・・

結標「まったく、香焼くんに変な虫が付いちゃったみたいね」ヤレヤレ・・・

絹旗「はい、鏡です」スッ・・・

結標「ぐっ……ジャリん娘ぉ。良い度胸じゃない」ジトー・・・

絹旗「超ありのまま言ったまでですよーだ。アンタは軍覇と超同レベルです」ヘーン


こらこら、喧嘩しないの。ご飯抜きにしますよ。


結標「そ、それは、困るわ」タラー・・・

絹旗「普段まともな手料理なんて食べられませんから」タラー・・・


途端に大人しくなる2人。一体どんな食生活してる事やら。

19 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 00:16:47.20 ID:hRNVcAKX0
結標さんはさておき、成長期盛りの最愛ちゃんは問題だ。
チラリと保護者役の麦野さんを窺ってみる。


麦野「ファミレス行ってるじゃない。それとも……作って欲しい?」フンッ

絹旗「う……超遠慮しておきます」ジトー・・・

固法「あれ? 麦野さん料理駄目なの?」チラッ・・・

麦野「できるわよ。ただ、やらないだけ」コクッ

絹旗「ホントは超濃い口しか作らないんです。超甘かったり、超辛かったり……大人しく鮭弁だけ喰ってて下さい」ハァ・・・

麦野「てめ……明日の昼、作ってあげるわ。マーボーとカレーどっちが良い?」ニコニコ・・・

絹旗「」チーン・・・


姉妹仲が良いですね。さておき、明日作るならマーボーにしておいて下さい。


神裂「そういえば、今日はカレーでしたね」フムッ

五和「大人数の時はこれが一番ですから」フフッ

固法「そうね。私もお客さんが多い時はそうする」コクッ

結標「アレか。旦那の上司とか知り合いに対してか」ニヤリ・・・

麦野「美偉、それは駄目よ。手抜きってばれちゃうと旦那が仕事場で嘗められるから」フムフム

固法「誰が旦那だ! あと先輩は客なんか連れて来ないわよ!」ンモー!


この中で唯一の彼氏持ちさん。私とそう歳は違わないのに、大分『大人』らしい。
別名このりん先生(恋愛的な意味で)さん。


固法「碧美(ルームメイト)が友達連れてきたり、最愛ちゃんとか打ち止めちゃん、那由他ちゃんが遊びに来た時よ」ヤレヤレ・・・

絹旗「姉貴さん……手抜きだったんですか」ドヨーン・・・

固法「て、手抜きじゃないわよ! あーもう! 麦野さん! 余計な事言わないで。最愛ちゃんが信じちゃったじゃない!」ジトー・・・

麦野「あはは。悪い悪い」クスクスッ


まぁでも、カレーは個人の味が出ますよね。作り手の個性というか何というか。


浦上「確かに。姉様とお姉のカレーでも大分違いますからネ」ウンウン

香焼「五和は黒糖と山椒入れるし、姉さんは……シナモンと生姜でしたっけ?」チラッ・・・

神裂「ええ。浦上はコーン缶でしたね」チラッ・・・

浦上「はい。メキシカン風に。固法さんは?」チラッ・・・

固法「牛乳よ」コクッ


はいはい、ムサシノムサシノ。って何かコウちゃんが必死にメモしてます。
カレーの隠し味程度の牛乳で身長は伸びませんよ。

20 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 00:25:55.51 ID:hRNVcAKX0
カレーは簡単に作れる故に、アレンジし易く奥が深い。その点で個性が出るのでしょうね。


絹旗「簡単に作れる?」キョトン・・・

結標「アレンジ?」ポカーン・・・

浦上「えっと……お二人さん。カレー作った事は?」チラッ・・・

絹旗・結標「「…………、」」タラー・・・

浦上「マジですか?」ポリポリ・・・

麦野「おいおい……絹旗は包丁握らせた事無いからしゃーないけど、結標、アンタ」ジトー・・・

結標「りょ、料理はするようになったわよ! ただその、うん、カレーがまだなだけで」タラー・・・

固法「何なら作った事あるの?」キョトン・・・

結標「……サラダ」ボソッ

神裂「他には?」フム・・・

結標「焼肉。あと、目玉焼き……あ、最近ハムエッグとスクランブルエッグを覚えたわ」コクッ

麦野「……味噌汁とか惣菜系は?」

結標「こ、小萌の手伝いなら」ウーン・・・


結局、作れるのは2素材までの組み合わせか。なんか可哀想になってきた……今度料理教えましょう。


絹旗「むぅ……香焼は料理出来るんですか?」チラッ・・・

香焼「え? うーん、まぁボチボチ」ポリポリ・・・

浦上「香焼は姉様とお姉に教わりながら料理覚えてるからネー」コクコクッ

固法「あら。それじゃ、何れ完璧な料理人になるんじゃない? 師匠が2人ともプロ級だし」フフッ

香焼「あはは。でも2人の腕前は越えられないっすよ」ハハハ・・・


最悪、コウちゃんを家政夫にでも貰ってやって下さい。


結標「うん。それはアリね」ニヤリ・・・

絹旗「っ! わ、私が雇いますから!」アタフタ・・・

香焼「マジ待って……おい、馬鹿一号」ギロリ・・・

五和「あはは。ごめんごめん。まぁでも料理は覚えといた方が得ですよ。女子的には」フフッ

麦野「だってよ絹旗。男の子の方が料理出来るのに女子のアンタが出来ないって残念極まりないわね」ハハッ


いや、コウちゃんはどっちかっていうと女子ですから……あ、ごめんなさい睨まないで鋼糸(ワイヤー)出さないで。


絹旗「むぐぐ……わ、私はこれから超プロ級になるから良いんです」ムンッ!

結標「一人で?」チラッ・・・

絹旗「あ、姉貴さんに教わりながら」ボソボソ・・・

固法「あらあら。私が先生? じゃあ頑張って教えなきゃね」ポンッ

麦野「何で私じゃねぇのよ」ジトー・・・

絹旗「麦野の料理は超大味だってさっき言ったでしょう」ハァ・・・

神裂「それでは麦野さんも修行ですね。無論、結標さんも」フフッ

麦野・結標「「うげぇ」」タラー・・・


なーんて言ってる間に完成しましたよー。皆で配膳して、いただきましょう。

21 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 00:28:48.84 ID:hRNVcAKX0
 ―――とある日、PM09:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<香焼side>・・・







夕食後、最愛と麦野さんは迎えというなの小間使い(浜面さん)を呼んでホテルに帰っていった。
淡希さんは月詠先生が週末飲み会らしいので、もう少し此処に居たいらしい。

何でも『小萌が寝た後に帰らないと色々大変なのよ』だとか。


浦上「さてと……そろそろお風呂沸いたんじゃないかな?」チラッ・・・

香焼「あ、うん。そうだね。淡希さん、先どうぞ」チラッ・・・

結標「んー。最後で良いわよー」モグモグ・・・カチャカチャ・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・

神裂「……あ、次のクエストってホットドリンク必要でしたっけ?」カチャカチャ・・・

結標「そうね……そうだ。そのまま回復系アイテムも買い込んじゃって」カチャカチャ・・・


只今、姉さんとモンバス(モンスターバスターポータブル)中。


香焼「うーん。でもお客様だし」ポリポリ・・・

結標「そー……んじゃ、一緒に入る?」カチャカチャ・・・

香焼「なっ!!」カアアァ///

結標「あはは。冗談よー。ま、香焼くんくらいなら気にしないけどね」カチャカチャ・・・

五和「ふむふむ……じゃあ私もコウちゃんくらい気にしないよ」ニヤリ・・・


冗談は止めて下さい。心臓に悪い……あと五和。お前は論外だ。


五和「酷っ!? 姉ちゃん悲しいよぅ……昔はお風呂一緒に入ってたのに」モジモジ・・・

結標「ほうほう。その話詳しく」キランッ!

五和「そう。あれはそう遠くない昔。コウちゃんの方が無理矢理風呂に入り込んできて狭い風呂の中『いつわねーちゃーん!』って」ジー・・・

浦上「あはは。懐かしー。かなりヤンチャ坊主だったのに……どうしてこうなった」ハァ・・・

神裂「ふむ……かなり大人になりましたよね」カチャカチャ・・・

結標「ふふふふ……興味有ります。今度是非に昔のアルバムを」ニヤリ・・・


後生です止めて下さい黒歴史です若さ故の過ちです。

22 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 00:49:56.09 ID:hRNVcAKX0
ニヤニヤと腹の立つ笑みを見せる馬鹿一号二号……ついでに淡希さん。カオリ姉さんは苦笑い。


浦上「あはは。そんじゃ……姉様は?」チラッ・・・

香焼「はぇ!?」ギョッ・・・

神裂「え? お風呂ですか? ふむ……まぁ私も気にしませんよ。ただ香焼が気にするでしょう」チラッ・・・

香焼「あ、当たり前っすよ! てか女教(プリエ……姉さんも気にして下さい!」アタフタ・・・

神裂「ふふっ。別に。多分結標さんと同じ理由で気にしません」クスクスッ

五和「『男』じゃなく『男の子』としか見られてないってさ」ハハハ

浦上「まぁでもー、実際お姉と結標さんは『一緒に入ろう!』なんて言われたら困惑するっしょ?」ニヤリ・・・

五和・結標「「ぐっ……、」」タラー・・・


言わないっつの。


神裂「やれやれ……茶化すのはそれくらいに。結標さん、やはりお先にどうぞ」コトッ・・・

結標「はいはい。そんじゃお先するわよー」テクテク・・・


まったく、心臓に悪い。余計な事を言わないでくれ。


結標「覗いちゃダメよー。そのまま風呂に引き釣り込んじゃうからね。隅々まで洗うわよ」フフッ

香焼「覗きません」キッパリ!

結標「パンツも取っちゃダメだからね。あげるのは構わないけど、流石にノーパンで帰りたくないわ」フフフ・・・

香焼「だぁから! そういう事言うの止めて下さいよ!」ンモー///

結標「ふふっ。きゃわいー」ニヤニヤ・・・

浦上「初のう初のう」ニヤニヤ・・・

五和「コウちゃん真っ赤っかー」ハハハ

香焼「ぐぬぬぅ……姉さん、助けてください」ハァ・・・

神裂「え、あ、まぁ……そういうのは私達が見てない時か、『然るべき場所』でしてくださいね」ポリポリ・・・


そういう問題じゃないから!


結標「あら。お姉ちゃんから許可出ちゃったわよ? どうする今からでもホテル行く?」ニヤリ・・・

香焼「っ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!? い、良いから入って来て下さぁいっ!!」グイグイッ

結標「あははははー。冗談よ、怒んないで」クスクスッ


ホントに……寿命が縮みそうです。悪ふざけは程々にして下さい。

23 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 00:53:04.53 ID:hRNVcAKX0
全員風呂から上がり、女性陣は例の如くモンバス大会を始めた。
こりゃ多分結標さんお泊まりコースだなぁとか考えつつ、五和が買ってきたモンポチをもあいに与える。


結標「ところでさぁ」カチャカチャ・・・

五和「はい、何でしょう」カチャカチャ・・・

結標「さっきトイレ入って気が付いたんだけど」カチャカチャ・・・

浦上「はぁ」カチャカチャ・・・

結標「あそこ、カオス過ぎない?」カチャカチャ・・・

神裂「はい? カオス?」カチャカチャ・・・

結標「いや、便器が汚いって訳じゃないんだけどさ。漫画とか雑誌とか新聞とか」カチャカチャ・・・

香焼「……自分じゃないっすよ」チラッ・・・

神裂・五和・浦上「「「……あはは」」」ヒューヒュー・・・


空口笛を吹くな。


香焼「お前ら、後で片付けろよ」ジトー・・・

五和「で、でもコウちゃんだって」アタフタ・・・

香焼「自分、トイレに何か持ち込んだ事有るか? 携帯くらいだぞ」ジトー・・・

浦上「……素敵本を」ボソッ・・・

香焼「あ?」ギロッ・・・

浦上「ナンデモナイヨー」アハハ・・・


そういう『処理』に関しては、一切、貴様らと話はしない。


五和「じゃあコウちゃん。私達の持ち込んだ雑誌とか漫画、トイレで見た事無いの?」ジー・・・

香焼「……無いよ」フンッ

浦上「嘘だ。今の間は絶対嘘だ」ジトー・・・

五和「ホラ見ろ。ウラの雑誌の恋愛特集とか読んでたでしょ!」ジー・・・

結標「アンタが他人の読んでんじゃないの」ハァ・・・

五和「私は良いんですよ。認めてますから。姉さんだって読んでる筈ですし」ムンッ

神裂「え? あ、いや、その……あはは」ポリポリ・・・

香焼「屁理屈を……兎に角駄目。片付けなさい」ハァ・・・

神裂「はい。すいません」コクッ

香焼「あ、えっと……五和。お前、姉さんの分も片付けろよ」タラー・・・

五和「酷っ!? コウちゃん、姉さんに甘過ぎだって!」ギャーギャー!

香焼「いや、それは、その……うん」ポリポリ・・・


『教』の柵は無しといえど、本能的に。

24 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 00:58:55.19 ID:hRNVcAKX0
刹那……空気が重くなった。姉さんが……('・ω・`)こんな顔をしてる。


神裂「あの……良いのです。私が片付けましょう……一、姉として」ショボーン・・・

香焼・五和・浦上「「「うっ」」」タラー・・・


僕らの最も弱いモノ……カオリ姉さんのションボリ顔。


香焼「ぐっ……あーもう、お前らも手伝えよ!」ジトー・・・

五和・浦上「「はい」」タラー・・・

結標「あはは。アンタら仲良いわね」クスクスッ

香焼「そうでもないっす」ハァ・・・


私生活にしろ仕事にしろ、姉さんには顔が上がりません。


浦上「やれやれ。ま、元々トイレ掃除は私達姉三人の仕事だしネ」コクッ

結標「そうなの?」キョトン・・・

神裂「ええ。まぁ……はい」チラッ・・・

香焼「……あー」

五和「色々と、ね」コクッ

結標「……なるほど」フム・・・

もあい「なー」コロコロ・・・


深くは聞かないで下さい。それについて僕は関与しないので。


結標「ふーん……話ついでにだけど、アンタら、ちゃんと『来る』?」ボソッ・・・

五和「え? あー……結構、不順気味です」アハハ・・・

浦上「まぁ仕事柄仕方ないですけどネ」ポリポリ・・・

結標「そうなのよねぇ。私もさぁ、結構不順でね。小萌は痩せ過ぎとか言うんだけど―――」アーダコーダ・・・

五和「そうなんですか? 私、半月以上遅れて来た日には産婦人科に行こうかと―――」アーダコーダ・・・

浦上「最近一回のが長くて。5日目、6日目は流石に……やっぱホルモンバランスが―――」アーダコーダ・・・

神裂(え? あれ? 『ふじゅん』って? まさか不純?!)カアアァ///


だから男の自分が居る前でそういう話を何故しますか? あと姉さんなんで真っ赤なの?


神裂「こほんっ……こら。一応、香焼が居るんですからそういう話はまた今度」ポリポリ・・・///

結標「―――でもアンタが一番生理不順してそうな気がするんだけど、平気なの?」チラッ・・・

神裂「ふぇ!?」ギョッ


『わ、私は至って健全です!』とか意味不明な事を宣う姉さん。だから何で真っ赤なの?

25 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 01:07:35.61 ID:hRNVcAKX0
ふと、浦上が姉さんが真っ赤になっている理由を察した様だ。姉さんに何かをこっそり耳打ちする。


浦上「あー……生理周期不順の事です。不純異性交遊の『ふじゅん』じゃありませんヨ」ボソッ・・・

神裂「え、あ、あはは。わ、私は問題ありませんよ。毎回ちゃんと2*日くらいで来ますから」ポリポリ・・・

結標「へー。生活習慣とか疎らそうなのにね」フーン

五和「姉さんは……頑丈ですから」ハハハ・・・


女性の辛さは良く分からないけど、聖人の健康さは分かった。
というか聖人って『女の子の日』あるんだねー……って何を考えてるんだ、僕は。


香焼「こ、こほんっ……とりあえず、そろそろ」コホンッ

結標「あら。ごめんなさいね」オホホ

五和「でもコウちゃん。最愛ちゃんとかアニェーゼ達、そういう話しないの?」チラッ・・・

香焼「出来る訳ないだろ」ハァ・・・


考えてみろ。学年にして中一中二の連中らだ。彼女達に初潮が来てるかどうかすらも知らないっつの。


五和「いや、でもレッサー辺りはそろそろ『2,3日目でダル〜い』とか言い出しそうだけど」フムフム

香焼「あのさぁ……エチケット的に駄目だろ。そういうのを男が聞いたり、話したりするのは」ッタク・・・

結標「まったくね。五和、なんだか香焼くんの方がレディマナーなってるわよ」ハハハ

神裂「そうですね。流石女友達が多いだけはあります」フフフ

浦上「まぁウチの四女なんで」フフフ・・・

もあい「なー」コクコクッ


張っ倒すぞ。


結標「もし香焼くんが『香焼ちゃん』だったら……きっと私、完璧に白井さんの『同志』になるわ」キマシタワー・・・

香焼「はい?」キョトン・・・

浦上「まぁ香焼が女体化しても性格も容姿もそんなに変わんないと思いますヨ。顔立ち中性的ですし、声替わりしてませんし」ウンウン・・・

五和「いや、でも髪が長かったり着てる服が女物だったりで……如何思います、姉さん」ジー・・・

神裂「うーん……そしたら私と同じく左右非対称の服を」ジー・・・


『それ』だけは、何が何でも、勘弁して下さい。例え教皇命令でもです。

その後『もし僕が女だったら』とかいう意味不明な話題で論議を交わす女性陣が居た。
『僕っ娘良いよね』とか『絶対ツンデレだ』とか、12時回っても盛り上がってる……マジで不幸だ。

26 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 01:13:46.03 ID:hRNVcAKX0
 ―――とある休日、AM11:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<浦上side>・・・






とある翌日。その日は最愛ちゃんと禁書目録(インデックス)が遊びに来てました。
何で禁書目録が此処に居るかというと、単純に上条さんが補習で暇してたから姉様目当てで遊びに来たんですヨ。

嘗てはイザコザがあり『女教皇様』は『禁書目録』と一線を引いていたが……今は違う。
『神裂火織』として親友であり妹分である『インデックス』に接している。


神裂「―――その持ち方は危ないですよ。ちゃんと手を丸くして」トントン・・・

禁書「こう?」ポカーン・・・

神裂「グーではなく第二関節だけを曲げる感じに……そうそう。あ、絹旗さんもその持ち方は危険です」オットット

絹旗「私は自動防御が働くので超平気です」ザクッ! ザクッ!

禁書「もあいー。それ料理っぽくないんだよ」ジー・・・

絹旗「もあい言うな! あと食べられれば良いんですって」ザシュッ! ザシュッ!

神裂「こらこら絹旗さん。それは『自分以外』の人も食べるんですよ。見た目が汚いモノを食べたくは無いでしょう」メッ

絹旗「むぅ……はい」コクッ


只今、姉様によるチビっ子お料理教室中。あの芽が付いたままのジャガイモは香焼に食べさせよう。
さておき、その香焼はというと……


香焼・五和「「…………、」」ジー・・・


ソファに寝転がるお姉と一緒にテレビを見てた。


禁書「……ねぇ、かおり」ボソッ・・・

神裂「はい、何でしょう」コクッ

禁書「あの2人……なんかいつもと違うんだよ」ジー・・・

絹旗「…………、」ムゥ・・・


何故かテンションの低いアンニュイめなお姉。そのお腹に……香焼が手を当てている。


神裂「えっと……まぁ月に一度くらいは、香焼も優しくなるんですよ」ハハハ・・・

絹旗・禁書「「え?」」ポカーン・・・


まさにフラグと言わんばかり。先日話していた『不順』が昨夜訪れたらしい。


五和「んー……明日、長与と時津の夜勤よね……連絡しとかなきゃ」ハァ・・・

香焼「良いよ、自分がしとくから。あと四明後日、五和の担当だろ? 代わるよ」サスリサスリ・・・

五和「良いよ。それまでには終わってる筈だし」ウーン・・・

香焼「そう言ってこの前終わらなかったんだろ? 嘘ついて仕事して……今回は駄目だ」ポンポンッ・・・

五和「いや、でも。このくらいで仕事休むのは女として駄目だって」ポリポリ・・・

香焼「どうせ書類仕事溜まってるんだろ。そっちしとけよ」ナデナデ・・・

五和「……うん。コウちゃん、ありがと」ペコッ


何ていうか……双方別人ですネ。

27 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 01:24:32.68 ID:hRNVcAKX0
未だに香焼の謎めいた行動に疑問が晴れない禁書目録はボソリと姉様と最愛ちゃんに尋ねました。


禁書「えっと……変なモノでも食べたの?」タラー・・・

絹旗「シスター。超察し悪いですね。アレですよ……月の」ボソッ・・・

禁書「あー……うん」ポリポリ・・・

絹旗「そういえばあなたも幻想殺しと同棲してるでしょう。如何してるんです?」ボソッ・・・

禁書「えっと……『その週』は出来る限り小萌の家にお邪魔してるんだよ。大体3,4日で終わるから」ボソッ・・・


禁書目録もカオリ姉様(聖人)と似た様に、バランスの良い躯体(容れ物)を持っている御蔭で不順は無いとか。
加えて、あの子は『ああ』見えてそれなりに家主の事を考えている。

上条さんも健全な男子。『一人』になりたい時だってあるんですヨ。


神裂「ふむ……時に、絹旗さん」チラッ・・・

絹旗「はい?」キョトン・・・

神裂「貴女は不順だったりしないのですか? 生活習慣は麦野さんと同じで疎らの様ですけど」ボソッ・・・

絹旗「あ、えーっと……うーん」ポリポリ・・・

禁書「大丈夫。香焼には聞こえてないんだよ」フフッ

絹旗「いえ……そうではなく」モジモジ・・・


もしかして……『まだ』とか。


絹旗「……はい」ボソッ・・・

神裂「あら……でもまだ12,3歳ですよね。それなら、はい」フムフム

絹旗「滝壺さんには『成長期に無理し過ぎてるから』云々言われてますけど」ポリポリ・・・

神裂「そうですね。因みに、事前の知識は大丈夫ですか? 学校に行ってないのでしょう?」ムゥ・・・

絹旗「一応、滝壺さんと姉貴(固法)さんが教えてくれました」コクッ

禁書「むぎのんは?」エ?

絹旗「えっと……『面倒臭ぇからパイプカットしろ』と。それ聞いて固法さん超マジギレしてました」ハァ・・・

禁書「うわぁ。十字教的に、もろアウト」タラー・・・

神裂「ええ、十字教じゃなくてもアウトです。固法さんじゃなくとも説教しますよ」ヤレヤレ・・・


思春期真っ盛りの子供にパイプカットしろは無いですよネー。


神裂「とりあえず初潮が来たら私や固法さんや滝壺さん、誰でも良いので連絡して下さい。誰しもが通る道です。恥じらず頼って、ね」コクッ

禁書「うん。むぎのんは多分、役に立ちそうにないんだよ」ポンッ

絹旗「はい、超分かってます。そういう事で麦野頼るって選択は超無いです」コクッ


麦野さーん。もう少し頑張りましょ。

28 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 01:27:44.99 ID:hRNVcAKX0
数十分後、料理が完成。今日のお昼はチビっ子達特製の野菜炒め+姉様特製塩あんかけソースだった。
意図したのかどうかは分からないが、ジャガイモの芽は全て香焼に行っていた。あーめん。

そんでもって片付けは私担当。まぁ水で濯いだ後に食器洗い機に並べるだけなんですけどネ。

姉様は禁書目録と共に上条さん宅に。禁書目録が嬉しそうにタッパー(先程作った料理)を持つ姿が何とも微笑ましかった。後で感想を聞こう。
さて、五和は相当キツいのか和室で寝てしまい、リビングには香焼と最愛ちゃん+にゃんこが残っていた。


香焼「―――って感じで、人口ピラミッドは移り変わっていくんだよ」カキカキ・・・

絹旗「うーん……でも、この街は超富士山型ですよ」ムゥ・・・

香焼「学園都市は特殊だからね。でも日本で考えれば、逆に超つぼ型になってしまってるんだ。何でか分かる?」チラッ・・・

絹旗「ええっと、超しょーしこーれーだから」ウーン・・・

もあい「なー」コロコロ・・・


現在、香焼先生による一般教養の講義中。
理数系は完璧だが文系は壊滅的にできない最愛ちゃんに、この都市レベルの勉強を教えてるのだ。


香焼「―――……うん。とりあえず一旦休もう。次は英語ね」トントンッ

絹旗「はぁ……次は私が香焼に宇宙空間・大気物理学の勉強教えますよー」ジトー・・・

香焼「そんな大学レベルの勉強要らないよ」ハハハ・・・

絹旗「それじゃあ三次関数。超中学レベルでしょう」フンッ


そうですネ中学超えてるネ。寧ろお姉(高校レベル)に教えてやって下さい。
兎角、ソファにグッタリ横になる最愛ちゃん。やれやれ、お茶と菓子でも出してあげましょうか。


浦上「あいヨ。紅茶とチョコだよーん」テクテク・・・

絹旗「あ! 超サンキューです!」キラキラ・・・

浦上「偶ーに糖分取っとかないと頭カチカチになっちゃうゾ。香焼みたいに」フフッ

絹旗「それは超ヤバいですね」ハハハ

香焼「余計な御世話だ。馬鹿女郎」ヤレヤレ・・・

もあい「にゃー」フシフシ・・・


いやいや、あなたは相当な堅ブツですって。色んな意味で。


絹旗「そーですねー。超堅ブツです」ジトー・・・

香焼「な、何だよ最愛まで」フンッ・・・

浦上「はいはい、怒んないの。とりあえず英語の教科書持ってきてやりんしゃい」ポンッ

香焼「ったく」ハァ・・・


『開かずの間(香焼自室)』に去っていく堅ブツくん。さて、と……丁度良い。少し『オモシロク』しよう。

29 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 01:40:21.17 ID:hRNVcAKX0
まずはメインキャストに話をっと!


浦上「ねぇねぇ最愛ちゃん」ニヤリ・・・

絹旗「はい」チラッ・・・

浦上「ちょいとお耳を」ボソボソ・・・

絹旗「え? はぁ」コクッ


(悪)知恵仕込み中.....


絹旗「なっ!? なにゅうぉ!?」カアアァ///

浦上「ふふふふ……良いから試すだけ試すだけ」ニヤニヤ・・・

絹旗「で、でで、でもですねぇ! わ、私はその、まだ……っていうかそういう問題じゃなく! 何て言うか、えっと」アタフタ・・・///

浦上「良いの良いの。特別って訳じゃなく辛そうな姿みたら助けるタイプだから、あの子」フフッ

絹旗「う、うぅん」タラー・・・///

もあい「にゃーん」コロコロ・・・


ほら、もう少しで来ちゃうから早く準備準備! 責任は私が取るから。


絹旗「……い、一回だけですよ」モジモジ・・・///

浦上「うんうん、一回一回」フフフフ・・・


案外押しに弱いな、この子も。
私が知恵(アドバイス)を吹き込んで一分後、香焼が戻ってきた……さぁ作戦開始(ミッションスタート)!


香焼「お待たせ。ちゃんと前回の復習してきた? って……どうしたの?」キョトン・・・

絹旗「…………、」ゴロン・・・


相変わらずソファの上に転がる最愛ちゃん。だがしかし、先程よりダルそうにしています。


香焼「眠いとか言って逃げるのは無しだよ」ヤレヤレ・・・

絹旗「…………、」チラッ・・・

浦上(こっち見ちゃダメですヨ! 演技演技!)コクッ

絹旗「ぅ……こ、香焼」ボソッ・・・

香焼「ほら、チョコ食べながらで良いから。席戻って」スッ・・・

絹旗「香焼……その」モジモジ・・・

香焼「さっさとノート開く。今日は作文作ってきてって言ったよね」パラパラ・・・

浦上・絹旗「「…………、」」ジトー・・・


堅ブツめ……仕方ない。最愛ちゃんが諦める前に手を貸すか。

30 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 01:56:35.08 ID:hRNVcAKX0
浦上「……あれ? ちょっと顔色変だけど、もしかして具合悪いの?」チラッ・・・

香焼「え?」チラッ・・・

絹旗「……う、うん」タラー・・・

香焼「本当? 熱とか?」ピタッ・・・

絹旗「ひゃうっ!!」ビクッ///

香焼「んー……ちょっと熱いかな?」ウーン・・・


それはヨソウガイです。流石カミやん病患者。


香焼「大丈夫?」ジー・・・

絹旗「え、ええっと……その」チラッ・・・

浦上(イけ!)コクンッ

絹旗「……ぽ」ボソッ・・・

香焼「え?」ポカーン・・・

絹旗「ぽ、ぽ……ぽんぽん」モジモジ・・・///

香焼「……は?」キョトン・・・

絹旗「ぽ……ぽんぽん。痛いです」カアアァ///

香焼「な」ピタッ・・・


決まったあぁ!! 気だるそうな感じで上目使い! しかもお腹じゃなくて敢えて『ぽんぽん』と言う健気さ! 並の男なら墜ちてるゾ!!


香焼「えっと……お腹、痛いの?」ポリポリ・・・

絹旗「…………、」コクン・・・

香焼「ジャガイモの芽に中ったとか?」タラー・・・


中るとしたらそりゃアナタです。さて、兎に角次のセリフも教えてあるのでイってみよう。


絹旗「……言いたくない、です」ジー・・・

香焼「なんでさ」ハ?

絹旗「言えません……超恥ずかしい、です」モジモジ・・・///

香焼「え、と……え」チラッ・・・


今度は香焼が私に助け求めてきちゃいましたネ。
とりあえず『察しなさい』の意味を込めて、苦笑しておきましょう。

無論、アナタの勘違いですけど!

31 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 02:06:56.80 ID:hRNVcAKX0
さてさて。香焼の反応は?


香焼「そん……大丈夫、なの?」ポリポリ・・・

絹旗「ちょ、ちょっとダルいです」モジモジ・・・

香焼「……我慢、してたの?」ポリポリ・・・

絹旗「…………、」コクン・・・

香焼「そっか……ごめん」ウーン・・・


そりゃ対応に困るわネ。しかし、最愛ちゃんナイス演技。ではでは……仕上げっと。
私はトイレに行くふりをして、最後の『材料』を投下した。


浦上「お姉と同じ様にしてあげれば良いんじゃないの?」テクテク・・・フフッ

香焼「え……と」チラッ・・・

絹旗「…………、」モジモジ・・・///

もあい「みゃ?」ジー・・・


暫時無言……後、香焼の手が伸びた。はい成功!


香焼「…………、」ポンッ・・・

絹旗「……ん」ピクッ・・・///

香焼「…………、」ナデナデ・・・///

絹旗「ふぁ……んっ」ポー・・・///


最愛ちゃんのお腹を撫でる香焼。眼福眼福。


香焼「……勉強、今度で良いよ」ナデナデ・・・

絹旗「ひゃぃ」ポー・・・///

もあい「なー」ポンポンッ


ムッツリ顔でお腹を擦る香焼。反面、トロ〜ンと何かエクスタシー感じてるっぽい顔をして寝転がる最愛ちゃん。
そして『私も撫でてー』と言わんばかりに香焼に摺り寄るもあい。

面白いから少し放置しよう。

32 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 02:08:03.09 ID:hRNVcAKX0
十数分後、最愛ちゃんが寝ちゃいました。ついでにもあいまで最愛ちゃんの横で寝てます。
しかし何故か未だにお腹を擦ってあげてる香焼。


浦上「……寝ましたヨ?」ジー・・・

絹旗・もあい「「すぅ……くぅ」」ムニャムニャ・・・

香焼「うん」ナデナデ・・・

浦上「何でまだ撫でてるの?」ジー・・・

香焼「……いつ離して良いか分かんなくなった」ムゥ・・・


何それ?


香焼「自分でも分かんない……けど、手を離そうとすると起きそうになるから」ハァ・・・

浦上「は?」キョトン・・・


最愛ちゃんのお腹を撫でるのを止める香焼。瞬間―――


絹旗「ん……ぁ」ピクッ・・・クシクシ・・・


―――目を擦って起きそうになった。香焼は慌てて、再度彼女のお腹を撫でる。
すると、また無垢な寝息を立て始めた。


浦上「……ありゃりゃ」ハハハ

香焼「寝かせてあげられる時に、寝かせないと……最愛忙しいから」チラッ・・・

浦上「なるほどネ。ちゃんと考えてたんだ」フフッ

香焼「もし最愛が嫌って思ったら、勝手に手を撥ね退けるだろうし……能力でね」コクッ


え? 最愛ちゃんの自動防御ってそういうモノなの?


香焼「明確な定義は知らないけど、本人が『嫌だ』とか『攻防しなきゃ』って感じたら勝手に発動する……らしい」ウーン・・・

浦上「へぇ……でもそれだと自動防御なのか、意識防御なのか分からなくない?」キョトン・・・

香焼「自分だって分からないよ。能力開発詳しくないし」フルフル・・・

浦上「寝てる時は働かないモノなの?」ジー・・・

香焼「だから分からないって。本人か麦野さんか第1位さんにでも聞いてよ」ンモー・・・

絹旗・もあい「「くぅ……むぅ」」スヤスヤ・・・


んー……とりあえず、香焼は『受け入れられてる』って事でおk。

33 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 02:22:53.90 ID:hRNVcAKX0
私の言葉に照れたのか、そっぽを向く香焼ちゃん。


香焼「そういう言い方、止めてよ」ムゥ・・・///

浦上「あらあら、真っ赤」フフフ・・・

香焼「うっさい。最愛起きちゃうだろ」ジトー・・・///


初のう初のう。
てな感じでニヤニヤしている最中、『ただいまー』と玄関が開く音。カオリ姉様が何故かお友達を引き連れて帰ってきました。


神裂「―――だから、ですねぇ……思春期の女の子が相手なのですよ? どうしてそういう事が言えましょうか?」ジトー・・・

麦野「だぁから、弾みで言っちゃっただけだって。アイツにも頭下げたしもう良いでしょ?」ハァ・・・

結標「まぁガキ作る気無いんだったらソイツん言ってる事も強ち間違いじゃないわねー」テクテク・・・

麦野「ホラ見ろ!」ドヤァ・・・

固法「間違いよ、そういう事に医学を使うものじゃないわ。それに恋愛のれの字も知らない子にそういう事を言って良い訳無いでしょう」ムンッ

神裂「同意です。いざ恋人ができ、番(つがい)ができ、子を生したいと言われた時、貴女は責任を取れるのですか?」ジー・・・

麦野「ぐっ……あーはいはい。私が悪ぅございましたね」フンッ


例のパイプカットの話でお説教してた訳ですネ。
さておき、リビングに入り……4人は立ち止った。


香焼「…………、」ナデナデ・・・

絹旗・もあい「「すぅ」」ムニャムニャ・・・


凝視。


神裂「え?」キョトン・・・

結標「いっ!?」ギョッ

固法「あらあら……まぁまぁ」フフフ・・・

麦野「……今北産業」チラッ・・・


最愛ちゃんお腹痛い(フリ)。
香焼、擦る。
そのままスリーピング。


神裂「はい?」ポカーン・・・


姉様にバレるのはヤバいんで、把握しなくていいですヨ。

34 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 02:42:03.53 ID:hRNVcAKX0
さておき、どうやら固法さんと姉様は静かに見守ってくれるようだ。助かります。
問題は他の二名。


固法「ふふっ。優しいじゃない」ニヤニヤ・・・

結標「ぐぬぬ……羨まs、けしからんわ!」ジトー・・・

麦野「なーんだ。孕ませたのかと思った」フンッ


3人に叩かれる麦野さん。今のは自業自得ですヨ。


香焼「あの……静かにしてもらえないっすか?」チラッ・・・

神裂「あ、え、すいません」ペコッ・・・


香焼、なんか我が子を守る犬猫みたいな目。


結標「香焼くーん、次私撫でてねー」ニッコリ

香焼「……は?」キョトン・・・

結標「私もお腹痛ーい」フフッ

固法「嘘言わないの」メッ


まぁ最愛ちゃんも嘘なんですけどネ。


神裂「しかし、何故絹旗さんが腹痛を? 先程のジャガイモの芽にでも中りましたか?」フム・・・

浦上「いやいや、芽は全部香焼に捌けたでしょう」コクッ

神裂「そうでしたね。ではただの腹痛ですか」ジー・・・

固法「なんて残酷な姉なのよ」ハァ・・・


修行です。しゅぎょー。


麦野「腹痛ねぇ……噂をすれば何とやら。初潮でも来たか?」ハハハ

浦上「あ、ちょっと麦野さん」タラー・・・

神裂「……まさか、こんな直ぐに?」タラー・・・

固法「いやいや、兆候見えてからでしょ」チラッ・・・


あのー……もう少し静かな声で。

35 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 :2011/10/31(月) 02:44:15.42 ID:hRNVcAKX0
しかし4人は話を止めない。


麦野「え? 何で私見んのよ」タラー・・・

固法「何かあったらしっかり面倒見るって約束したでしょう」ジー・・・

麦野「んな事言われてもねぇ……あの子、成長期来てんだか来てないんだかも分からないし」ウーン・・・

結標「まぁぶっちゃけ傍目から見りゃ男の子とも間違えそうだものね」フフッ

麦野「胸もペチャンコ。身長は知り合った時から毎年1cm伸びてるか伸びてないか。下の毛も生えてんだか生えてないんだか」

固法「生えてるわよ……薄っすら……一緒に銭湯行ったもの」ボソッ・・・

麦野「でもなぁ。(下り物で)ショーツ汚したーとか言って騒いでるの見た事無ぇし。滝壺も何も言って無いわよ」コクッ

神裂「下着汚して騒ぐ女性が居る訳無いでしょう……とりあえず、その線は薄いという事ですね」ホッ・・・


えっと、だから嘘ですから、そんなに香焼に聞こえるような声で―――


香焼「…………、」ピタッ・・・

絹旗「ん……ぇ」ピクッ・・・ボー・・・

もあい「ん、にゃぅ」ムニャムニャ・・・


―――おーまーい……がっ!!


香焼「…………、」スッ・・・

絹旗「んん……ふぁああぁ……んー」グズグズ・・・

香焼「……おはよう」チラッ・・・

絹旗「え……あ……はい」コクッ・・・


香焼さん、黒いオーラが見えます。


香焼「お腹……まだ痛い?」ジー・・・

絹旗「え!? あ、いや……えっと」チラッ・・・

浦上「(あーゴメンね)……ひゅーひゅー」プイッ

絹旗「(に、逃げられた!!)お、収まったかなぁって」アハハハハ・・・

香焼「ふーん」ジトー・・・


あちゃー。マジっべーわ。


固法「あら、最愛ちゃん起きたのね。お腹大丈夫?」チラッ・・・

絹旗「え!? あ、えっと……あはは」タラー・・・

麦野「なによ。アンタ初潮来たの? ってだ痛たたたたたたたぁっ!!」ギュウウゥ・・・

神裂「だから大きい声でデリカシーの無い事を言わない」ジトー・・・

絹旗「」チーン・・・


最愛ちゃん、白眼むきそう。


香焼「……ねぇ。嘘吐きは嫌いだよ」ジトー・・・

絹旗「うっ……え、えっと」モジモジ・・・


仕方ない。ネタバレするか。

36 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 02:49:57.43 ID:hRNVcAKX0
数分後、結局、私と最愛ちゃんはしこたま説教されました。


絹旗「―――……すいませんでした」シュン・・・

香焼「ったく……下らない嘘つかないの。浦上みたいになっちゃうよ」ハァ・・・

浦上「あんだと?」ジトー・・・

香焼「事実を言ったまでだ。兎に角、反省した様だから良いよ。でも次回はみっちり勉強だからね」ムンッ

絹旗「……はーい」コクッ

もあい「みー」コロコロ・・・


まぁ偽りの代償という事ですネ。仕方ない。


結標「そんじゃー香焼くん! 次私ねー!」ヒョイッ!

香焼「うわぁ!? な、何を?」キョトン・・・

結標「お腹撫でてー」フフッ

絹旗「だ、駄目です! 今の説教聞いてなかったんですか! この超淫売女!!」ムムム!

結標「私にゃ関係無いわよー」ニヤニヤ・・・

香焼「う、うーん」タラー・・・


困った表情を見せる香焼。てか結標さん、おへそ見えてるじゃん。


固法「結標さん。そこら辺にしときなさいよ。素肌触るのなんて恥ずかしいに決まってるでしょ。まずは普通の服着なさいって」ンモー

結標「えー。良いじゃん、少しくらーい」ムゥ・・・

麦野「だってよ、火織……ヘソ出すなだって」チラッ・・・

神裂「そっち!? 不貞云々の件では無く!? わ、私は関係無いでしょうが!!」ギャー!ギャー!


姉様の左右非対称ファッション(その恰好)は諦めるしかないですヨ。
さてさて、結標さんの期待の目に困惑の表情を見せる香焼ちゃん。如何しましょうか。


固法「んもー……そういうのは一方通行くんにだけして貰いなさい。前にして貰ったんでしょ?」ハァ・・・


瞬間、空気が固まった。


麦野「……美偉。詳しく」ニヤッ・・・

結標「な……ななな……なぁ、な、なああああぁっ!!?」カアアァ///

絹旗「へー。マジなんですか」ニヤリ・・・

麦野「美偉、早く教えろよぉ」ニヤニヤ・・・

結標「わあああああぁ!! わああああああぁ!! 言うなああああああぁ!! てか何で知ってるのよおおおおぉ!!!」カアアァ///

固法「え、えっと……あはは。うーん……土御門くんが、先輩とベランダで話してたわ」アハハ・・・

結標「死ねええええええええええええええぇいいっ!!」ギュアァー!!


奇声を上げる結標さん。因みに、後でこっそり聞いたのだが生理が始まってダルそうな所……第一位さんが無言で膝枕してくれたとか何とか。
これまた『無言』でってのが良いねぇ。にやにや。


香焼「えっと……とりあえず、夕飯支度しよう」アハハ・・・


現実逃避する香焼。これ以上か変わったら拙いと、女難の相が本能的に囁いたのだろう。
どうでも良いけど、そろそろお姉も起っこしましょーっと。

37 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 02:51:26.44 ID:hRNVcAKX0
 ―――とある翌日、AM06:30、学園都市第7学区、『窓のないビル』付近の公園・・・<香焼side>・・・







それから数術、徐々に肌寒くなってきたこの頃。僕は週2くらいで行っている早朝ランニングに来ていた。
軽いロードワークだが、それなりにペースは早い。確実にステイルならヒーヒー言って数キロ前の地点で大の字になっているだろう。
ちなみに、僕の隣には僕より10cmくらい背が高い少女が並走している。


佐天「―――ふー……ゴールっと」ハァハァ・・・

香焼「お疲れ様」フゥ・・・


同学年の佐天涙子さん。成り行き(※)でこのランニングを共にする事となった……普通の女の子。
※『ただいまっ!?』第A話(第13話)


佐天「いやー。最近ペース上げても平気になってきたね!」グググ・・・

香焼「そうっすね。今度第7学区外にも足伸ばしてみようか」フフッ

佐天「そうだね。次の休日ランニングの時にでもそうしてみようか」ニカッ


普通の子なんだけど、多分、同年代の女子達(魔術師・能力者)よりも素で強い娘。


佐天「さーて! ストレッチしますか」ヨイショッ!

香焼「吸飲しなくて大丈夫?」チラッ・・・

佐天「うん。まだ大丈夫だよ。さぁ座った座った」エイッ

香焼「わっとと」アワワ・・・


二人組ストレッチ。先に座れと促され、言うとおり地面に座る。
背中を押したり押されたり、腱を伸ばしたり、ほぐしたり……暫くそれを続けた。

ふと、僕が仰向けになり片膝を抱え太腿を伸ばしている時……佐天さんが呟いた。


佐天「ねぇ」ジー・・・

香焼「ん?」グー・・・

佐天「えーっと……えいっ」ペタッ

香焼「ひゃいっ!?」ビクッ!!


いきなりお腹を触られた。

38 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 02:54:28.20 ID:hRNVcAKX0
呆気に取られる僕はお構い無しの佐天さん。そして―――


佐天「ほれほれ」スリスリ・・・

香焼「ちょ、な、何するのさ!?」バッ!

佐天「あはは。んー、ちょっと気になったもので」ハハハ


―――撫でる様に手を上下させた。一体何事?


佐天「あ、いや、あははは」ポリポリ・・・

香焼「……意味が分からないよ」キョトン・・・

佐天「えっとね、都市伝説っていうか、噂っていうか」タラー・・・

香焼「何それ?」ハイ?

佐天「香焼くんのお腹を撫でると、能力が上がるとか、秘められた力が覚醒するとか、魔法が使えるようになるとか」アハハ・・・

香焼「」チーン・・・


何ぞ!? 幻想御手(レベルアッパー)!? それに魔法!?


佐天「いやー、固法先輩とか最愛ちゃんとか初春が言ってたんだよ」クスクスッ・・・

香焼「いやいやいや。有り得ない」タラー・・・

佐天「物は試しだから触らせて貰っただけ。ゴメンね……あ、でも火のない所に煙は立たないって言うじゃん」ウンウン

香焼「火のないって……あ」ピタッ・・・

佐天「やっぱ身に覚えあるの!?」ジー・・・

香焼「いや、まさか……でも……そんな」ダラダラ・・・

佐天「何々!? 教えて!!」キラキラ・・・


そんな目で見られても……てか『僕のお腹を擦ったら』ってのが変だし。


佐天「ほら、隠さずお姉さんに言ってみなさい」フフフ・・・

香焼「えー」タラー・・・

佐天「安心しなさい。誰にも言わないから」ニヤリ・・・


あなた。結構口軽い方ですよね?


佐天「むー。そういう事言う? それじゃあもっと弄(まさぐ)るわよ?」ワキワキ・・・

香焼「わ、分かったよ。えっと……自分のお腹を撫でるんじゃなくて、自分がお腹を撫でたらの間違いじゃないかな?」ウーン・・・

佐天「……は?」ポカーン・・・

香焼「だからその、勿論強度(レベル)を上げる効果なんて無いっすよ。でも……自分がお腹を擦ったから」ポリポリ・・・

佐天「ちょちょちょ……ちょい待った」ピタッ・・・

香焼「うん」コクッ


何故か自身の米噛みを人差し指でグリグリしてる佐天さん。何を悩んでるんだ?

39 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 02:57:20.33 ID:hRNVcAKX0
そして一寸後、真面目な口調で彼女は尋ねてきた。


佐天「……マジで誰にも言わない。誰のお腹擦ったの?」グイッ・・・

香焼「……えっと」タラー・・・

佐天「早く言わんかー!」コショコショ!

香焼「わ、分かったって! こちょがさないでよ!」アハハ!


止むを得なく白状した。
先日の最愛と五和。それから勢いで迫られた淡希さん。それから……何故か上条さん。


佐天「か、上条先輩? (そ、そっちは駄目だよ////)こほんっ……とりあえず最後の人は別として、何があったの?」タラー・・・

香焼「あんまり大きな声で言える話じゃないっす」ポリポリ・・・///

佐天「当たり前でしょう。女の子のお腹触るなんて」ジトー・・・

香焼「ご尤も」ハァ・・・

佐天「……で?」ジー・・・


少年説明中.....


佐天「あー」コクコク・・・

香焼「……でも、何でそれがレベル云々に繋がるか分かんないっす」ハァ・・・

佐天「多分、撫でられた次の日能力の調子が良かったとかじゃない」ハハハ・・・

香焼「そんなの、自分関係無いっしょ」ハァ・・・

佐天「ふふっ。そうだね。それでまぁ伝言ゲームの要領で撫でる側と撫でられる側が逆転したと」クスクス・・・


まったく傍迷惑な噂だ。


佐天「あはは。ま、良いじゃん! それより……えっと……何で、撫でるの?」チラッ・・・

香焼「え、あ、うーん……何でかなぁ」ポリポリ・・・///

佐天「だって、そのさぁ……女の子の日、でしょ? 普通は気にしないで上げるのが正解じゃない?」アハハ・・・///

香焼「そうかもしれないっすけど……姉さんが、女の子には優しくしなさいって。そう昔から言われてきたから」ムゥ・・・

佐天「そりゃそうだけど……その結果がカミやん病か」ハァ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

佐天「な、何でも無い! とりあえず、ジュース買いに行こう。喉乾いちゃった」ヨイショッ!


立ち上がる佐天さん。色々思う所はあるが、此処で考えても無駄なので今は彼女に従おう。


佐天「もし……私も」ボソッ・・・

香焼「え?」チラッ・・・

佐天「あ、え、あはは! 何でもないよ」ハハハ・・・///


よく分からないけど、顔が赤いよ。佐天さん。
この日はこんな感じで終わったが―――多分、この日が境だった―――次の日から、何故か僕のお腹を触ろうとする人達が増えた。

なんすか、一体……

40 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 03:07:26.11 ID:hRNVcAKX0
 ―――数日後、とある休日、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・<香焼side>・・・







あれから数日。
都市の友人達は無論、英国に戻ってからもカルテッ娘達に腹を撫でろだの撫でさせろだの(レッサーだけ馬鹿発言多々)迫られて大変だった。
御蔭でお腹が真っ赤だし、他人の腹を見るのも怖くなってきた。


削板「だははははっ! そりゃ災難だったな!」ケラケラッ

ステイル「自業自得だろう。いや、君のそれは相(呪い)だと考えるべきかな」フフッ

香焼「……はぁ」グデェ・・・

もあい「なー」コロコロ・・・


現在、野郎だけ(もあいはメスだが)で団欒中。
軍覇はしょっちゅう来るし、ステイルも女性陣が居なきゃ足を運ぶ。2人の面識については……別(先)の話で。


香焼「でも何でそんなパワーアップアイテムみたいな事になるかなぁ」ハァ・・・

ステイル「ハハハ。触るだけで魔法使いか。君自身が概念……いや、根源体って事になるな」ニヤリ・・・

香焼「馬鹿言うなよ」ジトー・・・

ステイル「ま、その偽りの肩書で女衒師(ホスト)でも始めたら如何だ? 金儲けになるぞ」フフッ

削板「……因みに、超能力者(レベル5)にも効果あるのか?」チラッ・・・


期待の目で見詰めるのは止めろ。絶対触らないぞ。


削板「あはは。冗談だって」ニヤリ・・・

香焼「んもー……兎に角、もう懲り懲りだよ」ハァ・・・

ステイル「諦めろ。君の人生には一生女難が付いて回るよ」スッ・・・カチッ・・・

削板「男に生まれたからにゃー嬉しい事じゃねぇか! ってオイ不良野郎。煙草(ヤニ)喫うなよ」ジトー・・・

ステイル「僕の勝手だろ」ジジジ・・・スゥ・・・

削板「此処はテメェん家じゃねぇぞ。香焼の許可取れ」フンッ

ステイル「君の家でも無かろう……そうだ。良い事を教えてやろう。此処のマンション代をやりくりしてるのは僕だ」フフーン・・・

削板「はぁ?」ポカーン・・・


あくまで必要悪の教会(ネセサリウス)が家賃を払ってくれている、という意味だ。
でも、オマエの金じゃないだろ。それに家主名義は僕だ。


削板「何かよく分かんねぇけど、家主が止めろってさ」フフフ・・・

ステイル「くっ」タラー・・・

香焼「止めろとは言わないけど、せめてベランダで喫って欲しいな」ハァ・・・

削板「……香焼。お前もっとバシっと言っといた方が良いぜ? 態々喫わせてやんなよ」ハァ・・・

ステイル「おい、脳筋根性馬鹿。香焼を誑かすな。彼は喫って良いと言ったんだ」ジトー・・・

削板「どっちがだ! てか言ってねぇよ! ベランダ行けっつの!」ガー!

ステイル「喧しい。君がベランダに出て騒いでれば良いだろう。テレビの音が聞こえないよ」フンッ

削板「んきー! 生意気な同い年だなぁオイ!」バンバンッ!


喧嘩しないの。ステイルは煙草喫うならベランダ出る。軍覇は騒がない。言う事聞かなきゃ夕飯抜きだぞ。

41 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 03:09:58.59 ID:hRNVcAKX0
飯抜きという言葉で瞬時に大人しくなる2人。まったく、コイツらも最愛と一緒だな。


ステイル・削板「「……うぃ」」コクッ

香焼「まったく……でも、まぁ……平和だ」ボー・・・

もあい「にゃーん」コロコロ・・・

削板「は? 意味分からん」ジー・・・


いや、何というか……男だけの、しかも同年代友人の空間って良いなと思って。


削板「そ、そうか。へへっ」ポリポリ・・・

ステイル「ま、まぁアレだ。早く君の馬鹿姉共を追い出してくれれば、僕が此処を拠点に置く事も出来るんだぞ」フンッ・・・

香焼「え? 泊まるの?」キョトン・・・

ステイル「部屋は余っているだろう。僕が都市に滞在してる間は此処を寝床として使用する手もなくはないからな」ウンウン・・・


確かに。実際、平教徒の自分が住むには勿体無い程の贅沢空間だ。ステイルクラスの階級が寝泊まりしても可笑しくは無いだろう。


削板「おい……ちょい待て」ビシッ

ステイル「あん?」ジトー・・・

削板「だったら俺が住む」ジー・・・

香焼「は?」ポカーン・・・

ステイル「何を言ってるんだね君は。一々馬鹿発言する必要は無いんだぞ?」ジー・・・

削板「っせぇ不良野郎。んな不健全なヤツと香焼を一緒に住まわせる方が馬鹿極まりないっつの」フンッ・・・


まぁ煙草地獄の生活はヤダなぁ。


削板「だーかーらー! 俺が住む! 筋トレ、プロテイン、日々鍛錬! 健全根性最高の日々だぞ!」ニカッ

ステイル「ハッ。馬鹿も程々にしろ脳筋。そんな暑苦しい生活出来るのは貴様くらいだ。僕の方があらゆる意味でエレガントだよ野蛮人」フンッ

削板「なぁにがエレガントだ似非神父。オマエのは根暗っつーんだよバーロー」ジトー・・・

ステイル「如何とでも言え。言っておくが此処の家賃等の問題だってある。その気になれば名義を僕に変える事だって可能だ」フンッ

削板「そういう話してんじゃねぇよボケ。それに金なら俺だって溜めてらぁ。何なら香焼の分俺が払ってもいいぞ」フンッ

ステイル「君のオツムは相当可哀想だな。聞いてなかったのか? 名義だ名義。君には如何しようもないだろう一都市の傀儡人」フンッ


喧嘩しないでよ……てか何だかんだ言っても、僕の家だし。


削板「……そうだな」フムフム・・・チラッ

ステイル「それじゃ……、」コクン・・・チラッ

香焼「……え?」タラー・・・

もあい「にゃ?」キョトン・・・


嫌な予感しかしない。

42 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 03:13:41.50 ID:hRNVcAKX0
そして彼らは声を揃えて告げた。


ステイル・削板「「さぁ選べ!」」グイッ!

香焼「……えー」ダラダラ・・・


何でこうなるの?


香焼「あ、え、と……部屋あるんだし、いざとなったら2人とも」ピンッ

ステイル「コイツと一緒? 有り得ん。死んでも無い」ハッ!

削板「こっちのセリフだっつの。間違えて粗大ごみの廃品回収に出しちまいかねないからな」フンッ

香焼「あ、う……えー」ダラダラ・・・

ステイル・削板「「ほらドッチだ!」」バンッ!


それから5時間くらい、2人の意味不明な詰問に付き合わされた。
まったく……何処に行っても、誰が居ても、同じ日常か。

それが結構……楽しいけどね。


もあい「みゃー」フシフシ

























各地の女子達(なんだか……無性にステイル・削板を殺したくなった)ピキリーン・・・

もあい「なぅ」オワレ・・・


43 :第一話(18話)―――香焼「男の子」神裂「女の子」浦上「香焼は?」五和「男の娘!」 [saga]:2011/10/31(月) 03:34:16.87 ID:hRNVcAKX0
  <おまけっ!>


禁書「―――……よしっ! もあいの言ってた通りにやれば……とうまだって、きっと!」グッ・・・



上条「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふーん♪」ゴロゴロ・・・

スフィンクス「みー」コロコロ・・・


禁書「…………、」スッ・・・コロンッ・・・


上条「ん? どうした?」チラッ・・・

禁書「……ん……い」ボソッ・・・

上条「え?」キョトン・・・

禁書「ぽんぽん」ゴニョゴニョ・・・///

上条「……は?」ポカーン・・・

禁書「……ぽんぽん……痛いんだよ」モジモジ・・・///

上条「」チーン・・・

禁書「…………、」///

上条「……た」タラー・・・

禁書「……ん」///

上条「た、たた……大変だああああぁっ!!」ウワアアアァ!!

禁書「え、あ、いや、と、とうま? そこまでオーバーなリアクションは必要無いかなぁって」タラー・・・

上条「インデックスが腹壊しただと!? 何食っても死なないインデックスが!? ど、どどどど、どうしよう!?」アタフタ・・・

禁書「」チーン・・・

上条「い、医者か? でも学園都市の医者じゃ専門外かもしれないし……ま、まず土御門に相談しないと!」バッ!!

禁書「……とうま」プルプル・・・ワナワナ・・・

上条「だ、大丈夫か!? もしかして寒気が来たとか? 糞っ……もしかして魔術師の仕業かよ!」ギリリ・・・

禁書「いや、だから……さ」ジトー・・・

上条「くっ……そうだ! 右手(幻想殺し)でオマエのお腹を触ればあるいは!」バッ!

禁書「ひゃぁあっ!!?」ビクッ!!

上条「ど、どうだ!?」スリスリ・・・

禁書「ん、え、と……もうコレで妥協するんだよ」ハァ・・・ムゥ///

上条「何? 何だって?」ナデナデ・・・

禁書「何でもない……とうま、もうちょっとだけ、触ってて。『直りそう』なんだよ」フフッ・・・///

上条「お、おう」ポンポンッ・・・








御坂「むきゃあああぁっ!! 私も口実欲しいいいいいっ!!」ウガアアアァッ!!

白井・寮監「「御坂(お姉さま)、五月蠅いっ!!」」バンッ!!



スフィンクス「なー」ホントニ、オワリ・・・

44 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/10/31(月) 03:41:13.77 ID:hRNVcAKX0
はい。お疲れさまでした。初っ端からちょっと際どいテーマでしたね。


・次回のアンケート!


@ステイル&削板編(要望も有ればどうぞ)

A修行・稽古・鍛錬・トレーニング編(要望も有ればどうぞ)

B女装編(言わずもがな。安価かも)


一応、最初のアンケートは香焼主体話です。@AB、加えその中でもシチュエーション等のリクがあれば書いてください。



それでは例の如く、アンケート協力質問意見感想罵倒リクエスト等々コメントお願いします! では! ノシ”
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/31(月) 08:02:25.94 ID:v6WJ6+rAO
乙待ってた

Aで最愛かな
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 17:19:52.05 ID:w0BAtz2DO
乙!

Bついに男の娘話やるのか。期待!
47 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/01(火) 18:02:06.64 ID:LnzJmGBD0
7時くらいから投下します

>>44のアンケート、御協力下さい

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48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(中部地方) [sage]:2011/11/01(火) 18:46:16.04 ID:f5137eND0
じゃあAで
修行の一環かなんかでついでに女装すればいいんじゃない


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49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/01(火) 18:53:42.25 ID:ZGyHMZTAO
ちょっと周りに比べて香焼の弱さが目立つのでA

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50 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/01(火) 19:07:12.57 ID:LnzJmGBD0
そんじゃ投下します。安価形式で行こうかな

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51 :第二話(19話)―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/01(火) 19:35:28.19 ID:LnzJmGBD0
 ―――とある日、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)、マンション屋上・・・・・・







人道・魔道の違いはあるとはいえ、魔術師とて人である。鍛錬修行無くして進歩は無いし、成長もしない。
更に僕の様に歳若く、魔術師としての歴史が浅い家柄の出身は人の倍修行をせねばならないだろう。


香焼「―――はぁ……はぁ」グッ・・・

ステイル「身体能力に頼り過ぎだ。それでは中長距離(アウトレンジ)に対応できまい」ブンッ・・・ボッ!

香焼「わっ」ヨロッ・・・


只今、同年代のステイル=マグヌスに稽古を付けて貰っている。
彼は所謂『天才』。僕では足元にも及ばない。

いや、彼だけではない。他にも仲の良い同年代の魔術師達は皆僕の先を行っている。
アニェーゼ=サンクティスは約250人の部隊長で、更に自身もエーテル(第五物質)の象徴武器を使用出来る程凄腕魔術師。
エーテルを扱うと同時に、他の四大元素全ての武器としても使用できる、という特色がある。

サーシャ=クロイツェフはロシア成教のエリート部隊『殲滅白書(Annihilatus)』所属メンバー。
膨大な魔翌力量と四大元素の『水』を駆使でき、退魔戦闘においても秀逸している戦闘修道女。

レッサーは所属としては僕ら(天草式)よりも小規模な結社予備軍(新たなる光)出身ではあるが、実力は秀才級。
自分が唯一周り以上と自負している近接戦闘と同等の武術、そして身体能力に引けを取らない均等魔術(アベレージ)。

アンジェレネは僕と近い立場で戦闘能力は低いとはいえ、『十二使徒マタイの伝承』を基にした、魔術を使用できる。
補助・索敵能力などは僕らの中では随一だろう。


ステイル「―――遅いぞ馬鹿!」ガッ!

香焼「え…―――…あがっ!!」ゴンッ!

五和「ちょ、こ、コウちゃん!!?」ギョッ・・・


ステイルの放った火球が直撃。見事なボディブロー。


香焼「げほっ……ご、ごめん」タラー・・・

ステイル「はぁ……今日は此処までだ」クルッ・・・テクテク・・・

香焼「ま、まだ出来るっすよ」スッ・・・

ステイル「ヤダ。雑念ばかりの子供に稽古を付ける程暇じゃない」テクテク・・・

香焼「っ」グッ・・・


ばれていた様だ。



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52 :第二話(19話)―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/01(火) 20:05:08.29 ID:LnzJmGBD0
一寸後、部屋に戻り治療を受ける。軽度の火傷と多少の打撲。
五和が溜息を吐きながらテキパキと薬を塗ってくれた。


五和「まったく。修行中に余計な事考えないの」ハァ・・・

香焼「……ん」ムスー・・・


ベランダで煙草を吹かしているステイルが此方を向かずに、呟いた。


ステイル「魔術師にもタイプがある。大きく分けて3つだ」プカプカ・・・

香焼「え」チラッ・・・

ステイル「戦闘魔術師、研究魔術師、それから逸れ(はぐれ)モノ。僕達必要悪の教会(ネセサリウス)は主に一つ目だ」

香焼「そんなの、言われなくても」

ステイル「分かってるだろうな。だけどそうは見えない」フンッ


言いたい事は分かる。所詮、僕は木っ端者だ。


ステイル「正直、君達(天草式)の『不殺(ころさず)』の理念は好きにはなれない。戦闘魔術のそれではないからな」チラッ・・・

香焼「…………、」ジトー・・・

ステイル「まぁそれを今議論するつもりはない。そして百歩譲ってそれを良しとしよう」ジー・・・

香焼「……で?」

ステイル「『不殺』。その理念は何よりも難しい。魔術師の世界では尚更だ。意味が分かるか?」


魔術で相手を納得させる必要がある、と。


ステイル「綺麗な言い方だな。実質は喧嘩のそれと変わらない……圧倒的な魔術(暴力)で敵を黙らせる。まさにこれだ」フンッ

香焼「それは違うだろ。実力派もいれば技巧派もいる。戦い方によって」

ステイル「同じ事だ。腕の立つ魔術師であれば技巧も実力も関係無い」


そう言って、喫っていた煙草を燃やしつくした。


ステイル「教皇の神裂本人は別に構わん。『力』が有るからな。何とでも言える」

香焼「そ、そんな言い方!」ギロッ・・・

ステイル「黙って聞け。そこの五和も同じだ。まだ未熟とはいえ、実力はそこそこ。教会内でも屈指のホープだろう」チラッ・・・

五和「……はぁ」ポリポリ・・・


それは分かっている。彼女と比べれば実力・努力共に僕は劣っている。
だから、何だ?



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53 :第二話(19話)―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/01(火) 20:30:16.50 ID:LnzJmGBD0
はっきり言おう、と部屋の中に入って来るステイル。


ステイル「人の倍、理想が高過ぎる」チラッ・・・

香焼「力不足って言いたいんだろ? だからそれを補う為に、稽古を」

ステイル「追い付けると思っているのか? 君の目標は神裂……つまり『聖人』級だろ」

香焼「別に、女教皇様ほど、強くならなくても」ムゥ・・・


呆れ顔。


ステイル「理想の丈の割には……はっきり言って、弱いよ。これが全てだ」

香焼「…………、」

ステイル「縦(よ)しんば君が丈に合った実力を付けたとしても、それは何十年後の話だろうね」


分からない。でも、何もしない訳にはいかない。


ステイル「はぁ……君と理想云々の話をするのは無駄だと分かっているけどね」ヤレヤレ・・・


言葉に詰まる。何も言えない。コイツの言う事は正論だ。
だけど、それを認めたら、誰も救えない。

暫時無言が続く。堪え切れなくなった五和が何か言おうとした時、玄関が開いた。


神裂「ただいまー」テクテク・・・

浦上「ふー。やっぱこの時間帯のスーパーは込みますネ」テクテク・・・

五和「―――ぁ……と、おかえりなさい」ポリポリ・・・

神裂「ええ。って……ん?」チラッ・・・チラッ・・・

香焼・ステイル「「…………、」」


重い空気。五和が姉さんに説明をした。


神裂「―――はぁ。まったく……ステイル」チラッ・・・

ステイル「ん」スッ・・・

神裂「意地悪しないで、何を如何したら良いか教えてあげれば良いでしょう」

ステイル「分かってる……だから意識改変を先にだな」

神裂「それを意地悪と言っているのです。意識理想云々なんて、修行の場では二の次でしょう」

ステイル「だが……しかし」ウーン・・・

神裂「香焼も。雑念を持ったまま修行に臨んだら身が入らないのは分かっているでしょうに」チラッ・・・

香焼「……はい」コクッ


ご尤も。ウェイトを置く場所を履き違えていた。
兎角、飯にしようという事でステイル交えての微妙に気まずい夕飯を取る事になった。



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54 :第二話(19話)―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 20:56:21.93 ID:LnzJmGBD0
夕飯後……ステイルがメモ紙を用意し、僕に渡してきた。
何やら考えがあるらしく、姉さんと一緒に今後のプランを練ってくれるそうだ。


ステイル「まず、自分の戦闘スタイル、使用できる魔術を書け。それから長所と短所もだ」


言われた通りにする。
・スタイル:ナイフ、短刀を使用した近接戦闘メイン。鋼糸(ワイヤー)や投刃(ダガー)などの中距離サブ。
・魔術:あくまで基本のモノ(着火や軽度の身体強化、鋼糸に魔力を流し操作)。
・長所:近接戦に有利。
・短所:長距離戦に不利。


ステイル「ふむ……神裂。正しいか?」

神裂「ええ。概ね」コクッ

香焼「おおむね?」キョトン・・・

神裂「はい。貴方に一番向いている戦闘スタイルが書いてませんね……気付く必要はありませんけど」ジー・・・


何だそれ?


ステイル「素直に教えてやればいいじゃないか」チラッ・・・

神裂「いえ。この子自身が望まないでしょう。確実に嫌がります」

香焼「……教えて欲しいっす。聞くだけ聞くってのもダメっすか?」ジー・・・

神裂「…………、」チラッ・・・


何故か五和と浦上の方を向く姉さん。2人は苦笑するだけ。


神裂「では……貴方が今書いたそのスタイルはあくまで『基礎』です。近接とかダガーとか、それは得物の話でしょう」

ステイル「僕であれば炎の剣とルーン魔術。神裂でいえば長刀と鋼糸という事だ」

神裂「スタイルというのはですね……例えば、私であれば『斬り込み』でしょう。五和と浦上も得物的にコレですね」チラッ・・・

ステイル「僕は何でも出来るけど、得意なのは『掃討』だね」


圧倒的火力による一掃か。じゃあ僕は?


神裂「それは……ふむ」ジー・・・

香焼「はい」コクッ

神裂「……えっと」タラー・・・

香焼「……はい」コクッ

神裂「……あー」ダラダラ・・・


はっきり言って下さい。それに応じて今後の鍛錬を極めていくんで。



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55 :第二話(19話)―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 21:11:37.21 ID:LnzJmGBD0
数分悩んだ末、姉さんは僕にこう言い放った。


神裂「やっぱり、駄目です」ハァ・・・

香焼「ええぇ」ジトー・・・

神裂「いや、だって絶対『嫌だ!』って言いますよ」タラー・・・

ステイル「良いから言ってやれよ。判断するのは彼だ」チラッ・・・

神裂「……これでも?」カキカキ・・・スッ・・・

ステイル「ん?」ジー・・・


メモに何かを書き、ステイルに渡す。


ステイル「……ぷっ」クスクス・・・

香焼「な、何だよ!?」キョトン・・・

ステイル「い、いや……確かにどちらも、君向きだ」プルプル・・・

香焼「……そのメモ寄越せ」ジトー・・・

神裂「だ、駄目です!」アタフタ・・・


そんなに嫌な事書いてるのか? ふと、ドサクサに紛れて五和と浦上がステイルの背後に回り、メモを覗いた。


五和・浦上「「あー……ぷふー!」」クスクス・・・

香焼「な、何だよ! 本当に!」ムキー!

五和「そ、その……どっちもコウちゃん嫌がるよ」プルプル・・・

浦上「でも、これは、えっと……同年代の子達の誰よりも秀い出るね」プルプル・・・

ステイル「ああ。多分、一つ目は極めれば僕以上だろう……二つ目は、これは、うん……ぷっ」クスクス・・・

香焼「な、何だよ!!」ウガアアァ!!


さっさと教えろ!


神裂「ええっと……ではこうしましょう。これを見たら、貴方にはこれの鍛錬をしてもらいます。絶対にです」ジー・・・

五和「えっと、確実に嫌がる内容よ?」タラー・・・

ステイル「だが極めれば……何よりも、危険な存在になるだろう。まぁ特命を出しても良い程に」コクッ

香焼「危険? 特命?」キョトン・・・

浦上「如何する? 試す?」ジー・・・


4つの視線が僕に集まる。
とても危ない香りがするけど……新たな可能性を拓けるのであれば、それに乗らない手は無い。後悔しても未練を残すな。

僕は頷き、姉さんから渡されたメモを開いた―――



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56 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 21:37:52.40 ID:LnzJmGBD0
 ―――とある翌日、AM10:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・







週末。
やはり聞くべきではなかった、と後悔の念を持ちつつ、件の修行に入る事となった。


神裂「今更、『やっぱ嫌だ』は無しですよ」メッ

香焼「言いません。でも……はぁ」グデェ・・・


大きく云えば『潜入(スニーキング)』スタイルだった。確かに、僕の様に小柄で身軽な小僧には向いているだろう。
だがしかし、極めるべき『2つ』に僕は納得がいってなかった。


香焼「変装と、暗殺」ハァ・・・

五和「確かに同年代では、極め方次第で随一だろうね」フムフム・・・

浦上「うんうん。基本、皆派手な魔術とかばっかだからネ。能力者の友達もそうじゃない? 軍覇くんに最愛ちゃん」ウンウン・・・


いや、でも……変装って。しかも『不殺』の理念があるのに、暗殺だぞ。


神裂「先日言ったでしょう。意識理念云々は修行の場では二の次だ、と」コクッ

香焼「……でも明らかに『殺し』っすよ」ウーン・・・

神裂「やれやれ……いいですか、香焼。私の魔術もどちらかといえば『殺し』専門です」ジー・・・


確かに姉さんの魔術で『相手を傷付けない』のは至難の業だ。力量を間違えれば高確率で死ぬだろう。


香焼「……でも、決して殺しなんかしないっすよ」ウーン・・・

神裂「そういう事です。例えが悪いかもしれませんが、核と同じですよ」

五和「宛ら戦略兵器ですか」タラー・・・

神裂「ええ。この街の超能力者(レベル5)だってそうでしょう……話が逸れましたね。兎角、それを覚えるのは無駄ではありません」

香焼「はぁ」ポリポリ・・・


使うか使わないかは、本人次第か。でも……修行になるのだろうか。


神裂「貴方は少し頭で考え過ぎです。行動してなんぼでしょう」

香焼「はぁ」ポリポリ・・・


というわけで、『変装』と『暗殺』の修行が始まった。



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57 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 21:49:06.66 ID:LnzJmGBD0
とは言いつつも、何を如何修行して良いモノか分からない。


神裂「ええ、そうですね。正直、申し訳無いのですが私達3人はそれに向かない」アハハ・・・

浦上「いや、やれって言われれば出来るんだけど……得意ではないし、香焼に教えるそれは無いんだよね」ポリポリ・・・

香焼「……企画倒れ?」タラー・・・

五和「いやいや! ちゃんと考えてるわよ。指導者って意味でだけど」ポリポリ・・・


指導者?


神裂「とりあえず行きましょうか」コクッ

香焼「え、あ、はい」コクッ

五和「そんじゃ、まずは……―――


@麦野(+α)

A海原(+α)

B必要悪の教会から???(縮図巡礼で英国に飛びます)



             >>60



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58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/01(火) 21:56:56.80 ID:ZGyHMZTAO
kskst

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59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 21:58:23.62 ID:rq9P8FNt0
>>1

A

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60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 22:01:57.10 ID:7KY9MGXBo
2つっちー

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61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(中部地方) [sage]:2011/11/01(火) 22:14:00.46 ID:f5137eND0
A海原と土御門

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62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長崎県) [sage]:2011/11/01(火) 22:14:56.04 ID:T1SKaolVo
Aの海原つっちーペア

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63 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 22:20:42.43 ID:LnzJmGBD0
 ―――とある翌日、AM11:30、学園都市第7学区、とあるファミレス・・・・・・







場所を移動し、第7学区。中央道沿いのファミレスにその人は待っているという。
とりあえずは一人で行って来いという事なので、バスを乗り継ぎ、目的地へ向かった。


香焼「此処『Joseph's』じゃん」タラー・・・


此処はよく最愛達(アイテム)が屯しているファミレスだ。まさか……彼女達に指示を仰ぐのか?
もしそうだったらすぐ帰ろう。セッティングしてくれた姉達には申し訳ないが、『救うべき対象』の師事を受ける様な真似はしたくない。

店内に入り、辺りを見渡す。


香焼「奥に……良かった。居ない」ホッ・・・


いつも座っているという窓際に最愛達の姿は無かった。では一体、誰が……


結標「あ! 来た来た! おーい!」ブンブンッ!

香焼「あ、淡希さん!?」ギョッ・・・


なんか予想外の人が僕に向かって手を振っていた。
こっちこっちと急かすので、止むを得なく彼女の方へ向かう。


結標「はいはい、座って」フフフッ

香焼「はぁ……って、土御門?」キョトン・・・

土御門「おう」グデェ・・・


思いっきり身内ですけど。


土御門「しゃーねぇだろ。ねーちんに頼まれたとあっちゃー無碍に断れないにゃ」ムニャー・・・

香焼「えっと……暇なんすか?」タラー・・・

土御門「……否定はしないが、腹立つな」ジトー・・・

結標「良いから良いから。さ、何食べる? お姉さん奢っちゃうぞ♪」ニコニコッ


やっぱり、淡希さんは目的を分かってない気がする。


結標「もー。分かってるわよ。とりあえず先に腹ごしらえって事」コクッ

香焼「はぁ」ポリポリ・・・


とりあえず、飯を食いながら話を聞こうか。



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64 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 22:45:38.78 ID:LnzJmGBD0
ドリアを食べながら土御門の話を聞く。
なんでも僕が『潜入任務(スニーキング)』について学びたいと悩んでいた、とか何とか。別に悩んでませんけど。
まぁそこはコイツを納得させる為に話を盛ったのだろう。僕としては微妙に不満だ。


土御門「―――いや、しっかしねぇ……暗殺の勉強したいたぁ、よくねーちん破門にしなかったな」ハハハ

香焼「ぶっ!!?」ダラダラ・・・

結標「ホント、ビックリよねぇ。でも良いわ。そういう事ならミッチリ教えてあげる。と言っても、私は暗殺得意じゃないんだけどね」フフッ

香焼「ちょ、待……えっと」タラー・・・

土御門「何だ?」チラッ・・・


いや、待て。此処は黙っておいた方が良いのか。
多分、『学ぶだけ』とか中途半端な事言ったら即行で見限られるだろう。言葉は選ぶべきだ。


香焼「……とりあえず、修行プランを聞きたいんすけど」コクッ

土御門「うんうん……でもその前に、坊っちゃん」ジー・・・

香焼「坊っちゃ……な、何すか?」タラー・・・

土御門「この店の中に魔力反応は?」モグモグ・・・

香焼「え? うーん……自分を抜けば、無しっすよ」コクッ


土御門は『能力』の関係上、極力魔術を使わない。
内包している魔力については如何なのか分からないが、何らかの形で抑えているのだろう。


土御門「ふむふむ……そんじゃ答え合わせだ」コクッ

香焼「はい?」キョトン・・・

土御門「おい。こっち来い」チラッ・・・

香焼「は?」ポカーン・・・


何を言ってるんだ……と思った刹那、隣のテーブルに座っていた女性3人が此方に向かってきた。


香焼「……え?」アタフタ・・・

女A「ふふっ。こんにちわ」スッ・・・

香焼「こ、こんにちは」ドキッ・・・


隣に座り、いきなり僕の太腿に手を置く高校生くらいの女性。


結標「ちょ、何やってんのよ!」ムキー!

女A「あら? 嫉妬ですか? みっともないですよ、結標さん」ニコニコッ

女B「馬鹿か……気持ち悪いぞ、エツァリ」ジトー・・・

女C「師匠、フザケが過ぎます。とミサカはショチトルと共に貴方をジト目で睨みます」ジトー・・・


え……あんだと?



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65 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 23:06:06.08 ID:LnzJmGBD0
呆気に取られる僕の顔を見て、クツクツと笑う道化師。
頼むから現状を説明してくれ。


土御門「ハハッ。言ったろ。答え合わせだって」ニヤリ・・・

香焼「え……ぁ」チラッ・・・

女A(エツァリ)「ええ。そういう事ですわ」ニヤッ・・・

女B(ショチトル)「まったく、リハビリがてら付き合えなんて……こんな事ならトチトリと部屋で本でも読んでいた方がマシだ」フンッ

女C(御坂蛇)「そう言いつつ、貴女は彼の居ない所でデートだ何だとニヤけてむごおおおぅ!!」ジタバタッ!

女B「だ、黙ってろホムンクルス!!」カアアァ///


良く分からないけど……魔術師か。


土御門「ああ。正解は俺ら以外に2人だ。『蛇』はただの変装だぜぃ」チラッ・・・

女C「……ばれないものですね、とミサカ17600号は自己評価します」ウンウン・・・

女A「私と此方の少女は共に魔術で変装してますよ。一応、土御門から呪符を貰って魔力漏れを防いでいますしね」コクッ

香焼「……はぁ」ポカーン・・・

結標「私にゃ何が何だか分からないわ」ハハハ


とりあえず……変装についてか。


土御門「そういう事だ。そんじゃ場所を変えよう。急の任務も無ぇから仮眠室(レストハウス)に移動すっか」テクテク・・・

結標「アイツ居んじゃないの?」

土御門「構わねぇよ。とりあえず会計は俺が払っとく」スタスタ・・・


そそくさと会計に向かう土御門。因みに、請求書貰って宛名を『神裂様』にしてた。あざといヤツめ。


女A「さぁ。私達も行きましょう」スッ・・・ギュッ

香焼「え、あ、は、はぁ」ドキッ・・・

結標・女B「「海原ぁ(エツァリぃ)!!」」ガー!!

女C「やれやれ。複雑ですね、とミサカは実況します」ハッ


海原さん。例え変装でも心臓に悪いのでくっ付かないで下さい。




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66 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/01(火) 23:26:52.83 ID:LnzJmGBD0
 ―――とある翌日、PM01:00、学園都市第7学区、とあるホテル一室・・・・・・







土御門に案内され、一流とはいかないまでもそれなりに立派なホテルに移動する。
彼らのアジト(?)だとか何とか。


土御門「さて、と……ん?」チラッ・・・

結標「あー……やっぱ居るじゃない」ジー・・・


仲間、か。見覚えがありそうでなさそうな男性(中性的だが多分、男?)がソファで横になっていた。


一方通行「……あン?」チラッ・・・

結標「何で此処で寝てるのよ。家帰れば良いでしょ」ハァ・・・

一方通行「うっせェ。あそこは喧しいのがゴロゴロ居ンだよ。テメェみてェなのがな」グデェ・・・

結標「ぐっ……相変わらず性根ヒン曲ってるわね」ジトー・・・

一方通行「オマエ程じゃねェよ……ンで? 団体様で何の御用だ?」ジトー・・・

土御門「悪いな要り用だ。任務じゃないが、金が入る予定なんでね」ジー・・・

一方通行「……あっそ」グデェ・・・


再び横になる白髪もやしさん。


香焼「えっと……土御門。彼、居ていいの?」チラッ・・・

土御門「宜しくない。ついでにソレも」チラッ・・・


淡希さんも『魔術サイド(此方側)』じゃないからなぁ。


女A「土御門。此処は……、」ゴニョゴニョ・・・

土御門「ん……そうだな。おい、結標。一方通行」ジー・・・

一方通行「あ?」チラッ・・・

結標「何よ?」ジトー・・・

土御門「出てけ」クイッ

一方通行・結標「「ヤダ」」キッパリ・・・


この2人、仲良いんだなぁ。


一方通行「おい、ガキ……言葉選べよ」ギロッ・・・

結標「香焼くん。例え貴方でも言って良い事と悪い事があるわよ?」ギロッ・・・

土御門「と、まぁ見ての通り以心伝心の仲だぜぃ」ニヤリ・・・

一方通行・結標「「死ね!!」」ウガー!


やっぱ仲良いなぁ。



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67 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 00:01:40.36 ID:hu4Zwcev0
結局、金と権力(土御門の方が立場が上なのか?)で2人を無理矢理追い出した。
『デートでも別のホテルでも好きなとこ行って来い』とか馬鹿な捨て台詞を吐かなきゃ、ボコボコにされずに済んだだろうに。


土御門「痛てて……あんの馬鹿能力者共」ハァ・・・

香焼「自業自得でしょう」タラー・・・

土御門「はいはい、私が悪ぅござんした……さて、と……海原。そろそろ術を解け」チラッ・・・

女A「あら。もう? 結構気に入ったのだけど」フフッ

女B・C「「気持ち悪い」」タラー・・・


仕方ないなぁと詠唱(3カウントくらい)呟き、女の容姿が見る見る変わる。
ベリっと剥がれる様な……脱皮とはまた違う。粉が取れる感じだ。


エツァリ「―――……ふぅ。まぁこんな感じですよ」ニッコリ

ショチトル「―――……はぁ。久々にやると疲れるな」ポリポリ・・・

土御門「御苦労さん。香焼、今のがコイツらの変装だ」チラッ・・・

香焼「はぁ」タラー・・・


もはや別人。正直まったく分からない。


香焼「自分に、今のをやれと?」タラー・・・

土御門「いんや。無理だ。術式が違い過ぎる」フルフル・・・

エツァリ「確か貴方のところの術式(天草式)は偶像特化型でしょう? 我々は魔術・霊装を用いた術式です」


道具に頼るという点は同じだが『日常』と『神秘性』の違いがあるという事か。


エツァリ「勿論、式の組み方次第では変装魔術も可能かもしれません。ですが、流石に僕の知る所ではありませんね」コクッ

香焼「はぁ……そっちの女の子も、海原さんのお仲間で?」ポリポリ・・・

エツァリ「ええ。貴方と同い年くらいでしょう……ショチトル」チラッ・・・

ショチトル「何で挨拶しなきゃならんのだ」フンッ

エツァリ「こらこら」メッ

ショチトル「……ショチトル。エツァリ(コイツ)と同じ逸れ魔術師だ」フンッ・・・

エツァリ「やれやれ……気を悪くしないでください。彼女はシャイなだけですから」フフッ

ショチトル「う、うっさい! というかエツァリ貴様、その気色悪い喋り方をするのは止めろ!」ギロッ・・・

エツァリ「と、言われても……癖です」ハハハ・・・


それから暫くトム&ジェリー宜しく、2人のコントを見せられた。此方も仲良いなぁ。



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68 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 00:23:35.01 ID:hu4Zwcev0
さておき、真面目な話に戻る。


エツァリ「―――では先に、先程貴方には無理と告げた理由をお見せしましょう」チラッ・・・

女C「……はい」スッ・・・


未だ変装を解いていない女性(確か御坂蛇さん?)からシガレットケースの様なモノを受け取る海原さん。
それを開き、中に入っていたのは……え?


エツァリ「これが何か分かりますか?」スッ・・・

香焼「い、いや……何すか?」タラー・・・

ショチトル「人の皮だ。此処」トントンッ

香焼「っ!!?」ギョッ・・・


自分の面の皮を指差すショチトルさん。まさか……面の皮を剥いで!?


エツァリ「ははは。そこまでグロテスクではありませんよ。皮であれば何処でも可能です」コクッ

土御門「そんじゃー『割礼』で切り取った皮でも良ぶべらぁ!!?」ゴガンッ!!

ショチトル「だ、黙れ変態!!」カアアァ///


※割礼……気になる人はググってみよう!


エツァリ「ええっと、とりあえずこれは触媒です。この皮は普段の『海原光貴』のモノ」スッ・・・

香焼「ぁ……そ、その……提供、して貰ってるんすか?」タラー・・・

エツァリ「ええ。一応、『協力関係』にありますからね」ニヤリ・・・


その笑みは絶ッッッ対嘘だ!


エツァリ「ま、とりあえず見ていて下さい―――」


そう言うと……何とも形容し難い感じで……『変身』した。普段の海原さん、その人。


海原「―――……こんな感じですよ」フフッ

香焼「は、はぁ」タラー・・・

土御門「相っ変わらず気持ち悪いな」ジトー・・・

海原「余計なお世話です……とりあえず、この術を教えるには魔術回路の書き換えから始まってしまいます」チラッ・・・

香焼「え?」ギョッ・・・

海原「しかし、それは貴方が望む所では無いでしょう。アマクサの術式は魔力生成に関してはこの業界でも屈指ですからね」コクッ


天草式は術者の魔力(オド)が足りなくなった際に、周囲の偶像で魔力を練れる。
自然界の魔力(マナ)程ではないが、生成偶像さえ持っていれば幾らでも魔力を蓄えられる……らしい。



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69 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 00:36:51.19 ID:hu4Zwcev0
兎角、捨てるには惜しい魔術回路(というか魔力生成術式)だそうだ。


海原「それに宗派を鞍替えさせるのも可哀想ですしね」フフッ

土御門「甘い事を」フンッ

海原「とりあえず、自分達の変装云々については此処までです」コクッ

香焼「えっと……それで、自分は如何すれば?」キョトン・・・


まったく本題に入ってない気がする。


海原「そうでしたね……ではスネーク」チラッ・・・

女C「はい―――」スッ・・・


まだ変装を解いていなかったらしい御坂妹(蛇)さん。
顎の下に指を挿入れ……はい?!


御坂蛇「―――……ほっと」ベリベリベリ・・・

香焼「」タラー・・・

海原「はい、以上です」コクッ


様は●パン3世の変装(それ)だ。


御坂蛇「人工皮膚。毛先結合型ウィッグ。部位矯正パッド。変声機。などなど、とミサカは解説します」コクッ

ショチトル「科学技術も侮れないな」ムー・・・

香焼「え、えっと……土御門?」チラッ・・・

土御門「そういう事だぜぃ。お前に覚えてもらうのは今のヤツだにゃー」ハハハ

香焼「ま、マジっすか!?」ダラダラ・・・


何を如何覚えろと!? というか魔術は何処に!?


土御門「話は最後まで聞け。勿論、これだけの為なら俺や海原が居る必要はないだろう」ウンウン・・・

香焼「じゃあ……何故?」キョトン・・・

土御門「始めに言ったろう。『変装』と『暗殺』だって」ジー・・・

香焼「あ……そうっすね」ポリポリ・・・


色々あった所為で忘れていた。しかし、何度聞いても物騒な響きだなぁ。



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70 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 01:00:48.37 ID:hu4Zwcev0
土御門の説明が再度始まる。


土御門「覚えているか? 俺はさっきファミレスで魔力反応の話をした」チラッ・・・

香焼「はい……あの店には自分の反応しかなかった。でも実際はそこの2人も魔術師だった」コクッ

土御門「そうだ……何を言わんとしてるか、察しがついたか」ジー・・・


成程……気配遮断か。


土御門「その通り。流石理事校生」フフッ

香焼「偏差値云々は関係無いっすよ……それで?」

土御門「ああ。まず俺はお前に『呪符』の作り方を教える。なぁに、簡単なモンだ」コクッ

香焼「呪符? 陰陽道のっすか?」ポカーン・・・

土御門「ああ。結界みたいなものだ。『外』に向けての結界ではなく、『内』に向けての結界だぜぃ」クイッ


外向き結界とは『人払い』や『索敵』、『トラップ』的なモノ。
内向き結界とは天草式でも良く使う『魔力蒐集』や『吸収(ドレイン)』、『固有時制御』的なモノらしい。


土御門「まず見た方が早いな……よいしょっと」ヌギヌギ・・・

ショチトル・御坂蛇「「っ!?」」ギョッ・・・

海原「……土御門。一応、レディの前ですよ」ハァ・・・

香焼「ああ、悪い悪い……とりあえず、ほれ」ポンッ・・・


胸中に札が貼ってある。


土御門「これを取ると……ッ」ドクンッ・・・

香焼「つ、土御門!?」タラー・・・

土御門「ま、魔力を……生成……げほっ……一度、回路を開いた人間は……嫌が応にも、オドを、作るからな」ハァハァ・・・


かなり辛そうだ。というより……何という魔力量。
普段使わない魔力が躯体(器)から毀出(キャリーオーバー)しそうなのか。
もう良いだろうと土御門は再度胸に札を貼り付けた。


土御門「うぃ……だるい」ハァ・・・

香焼「……それは、えっと」タラー・・・

土御門「魔力をシャットダウンさせる。言っておくが魔術師としては文字通り『最悪の手札』だ」コクッ


確かに……それを張れば魔術を使えなくなる(?)みたいだ。というかそれ攻撃にもつかえるんじゃないか?



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71 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 01:20:21.88 ID:hu4Zwcev0
しかし、僕の問いに土御門はノーと答えた。


土御門「そんな都合の良いモンじゃねぇよ。あくまで『魔力漏れ』を防ぐ呪符に過ぎない」

香焼「……でも、それじゃさっきの変装魔術に対しては?」

土御門「変装魔術ってのは、コレと同じ内側に向けての魔術だ。外に漏れはしない」

海原「これも見せた方が早いですね……ショチトル。魔術で攻撃をしてください。なるべく軽いヤツで」チラッ・・・

ショチトル「……『穴』で良いか?」スッ・・・ニヤリ・・・

海原「いや、それ強力……っておわっ!!?」バッ!!


ショチトルさんの指から放たれた小さな黒い球場の魔力体を、海原さんが魔力壁で防いだ。


御坂蛇「師匠。相当ショチトルに恨まれてますね、とミサカは苦笑します」

海原「まったく……さて、では……はい」ゴソゴソ・・・スッ・・・

ショチトル「ああ、そういう事か……蛇。背中に張ってしまったから取ってくれ」チラッ・・・

御坂蛇「はいはい。こちょこちょー」スッ・・・ガサゴソ・・・

ショチトル「ちょ、止め! あはははははっ!」キャー!

土御門「眼福眼ぷぐわっ!!」ゲシッ!

ショチトル「み、見るな変態! お前もだ、ちっこいの!」カアアァ///


カチンとくる娘だなぁ……さておき、2人は身体に張っていた呪符を取り出した。


香焼「あれ? 破れてる?」キョトン・・・

土御門「ああ。今2人は外に向けて魔力を使用したからな」コクッ

海原「ショチトルが放出系の魔術。僕が障壁系の魔術を展開しました」チラッ・・・


つまりこの呪符は、メリット:魔力反応を消せる。  ・デメリット:外向きの魔術を使用できない。


土御門「蛇口に張った紙だと思え。貯水タンクの中を幾ら掻き回しても紙は破れない。だが、蛇口を捻れば紙が破れる」

香焼「はぁ……使い処次第っすね」コクッ

土御門「だが、潜入には持ってこいだぜぃ」フフッ

香焼「ええ。だけど、自分に作れるんすか? 陰陽術なんて、自分は」ウーン・・・

土御門「大丈夫だ。陰陽術ってのは天草式と似ていて、多角宗教融合型だ。まぁ基督教思想は取り入れちゃいないがな」コクッ

香焼「……了解っす」コクッ


とりあえず覚えるだけ覚えてみよう。無駄ではない筈だ。



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72 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 01:44:10.31 ID:hu4Zwcev0
一寸後、大量の資料を渡される。
呪符について今日はコレを呼んで来るだけでいいらしい。直接指導は明日以降だとか。


土御門「さて、今のは魔力遮断であって気配遮断ではない」

香焼「はい」

土御門「暗殺や潜入に必要なのは、あくまで気配遮断だ。それを俺と海原、あと……そこの妹達もか。3人で叩き込む」

ショチトル「むっ……私は?」ジトー・・・

海原「ええっと、ショチトルは……、」タラー・・・

ショチトル「私だって一、戦士だぞ」ムンッ・・・

土御門「確かに凄腕の暗殺者(アサシン)かもしれないが……人にモノを教える事、出来るのかにゃ?」チラッ・・・

ショチトル「うっ……えっと」タラー・・・


凄腕の魔術師が、凄腕の指導者とは限らない。
確かステイルが言っていた。ロンドンの魔術師養成の最高学府に居る『とあるロード』は実力はそこそこだが、指導にかけては天才的だとか。


土御門「あー……プロフェッサーかぁ。懐かしいなぁ」ハハハ・・・

海原「あの有名人ですか。第二世界(アメリカ大陸)でも名を馳せていますよね」コクッ

土御門「ぶっちゃけ、俺らみたいな魔術師より、そっちから師事仰いだ方が良いけどな」ハハッ

香焼「へー……その内、尋ねてみるっす」ポリポリ・・・

土御門「無理だな。忙しい人らしいし……話が逸れたな。兎に角、気配遮断についてだ」コクッ


これまた資料を渡してきた。


海原「手っ取り早いのは『音声遮断(ミュート)』の魔術。これについては天草式の身内に聞いてください。誰かしら使えるでしょう」

土御門「但し、これは先の呪符と併用出来ない。何故か分かるな?」

香焼「外向きだからっすね」コクッ

土御門「ああ。そして音声遮断魔術で消せる音は『声・衣擦れ音・足音』が大抵だ」

海原「あくまで『自分が接触しているモノ』に対してですからね。それ以上は『結界』の域です」

ショチトル「謂わば、大衆の『聴覚』から自分を消すからな。大規模になってしまう」ウンウン・・・


成程。では『視覚』に訴えるのは駄目なのか?


土御門「可能だが、これも呪符と併用は出来ない。加え『透過・不可視魔術』は結構レベルが高いぞ」

海原「学園都市風にいえば『視覚阻害(ダミーチェック)』の強・大能力者(レベル3,4)くらいでしょうね」

御坂蛇「よく分かりませんが、その例えならミサカ達の電磁波索敵に引っ掛かりますね。とミサカは口を挟みます」ウンウン・・・


完璧な『気』配遮断となると、中々難しいモノだ。



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73 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 02:00:42.45 ID:hu4Zwcev0
とりあえず、天草の術式で五感を消せる術を勉強しろとの課題が出た。これなら直ぐ調べられるだろう。


土御門「問題は……第六感だ」

香焼「え? それって魔力とは違うんすか?」キョトン・・・

土御門「全然違う。ぶっちゃけ五感ってのは魔術じゃなく『武術』でも消せるだろう? まぁ完璧には無理だがな」ピッ


現に女教皇様や建宮さん、五和クラスの『達人』になれば魔術抜きで『縮地』や『猫足』、『蜘蛛』、『蝙蝠』の動きが出来る。
僕や天草の他の衆も一通り出来るとはいえ『達人』の域には程遠い。


土御門「だが殺気や気配ってのはそう簡単に消せない……いや、お前は殺気に関しては大丈夫だな」コクッ

香焼「え?」キョトン・・・

土御門「簡単な話だ。殺気を出せないだろう?」フンッ


良い事の筈だが、馬鹿にされた気がする。


土御門「だが怒気や焦燥、危機、嬉喜は漏れてしまう」

香焼「えっと……そうなんすか?」ポリポリ・・・

海原「土御門。この話は難しいですよ……実際体験体感させないと」チラッ・・・

香焼「そうだな……うん。それじゃあ課題を出そう」コクッ


オルソラさんもビックリの速記でメモを僕に渡した。


土御門「こんな所だ……あとは後日だな」コクッ

香焼「はい。あれ? 変装については?」チラッ・・・

海原「そうそう……スネーク。如何しますか?」チラッ・・・

御坂蛇「え……私に一任を?」キョトン・・・

土御門「ああ。俺らには教えられない技術だからな」コクッ

御坂蛇「了解です……ふふっ。これでミサカにも後継者が……、」ニヤリ・・・


何か、悪寒が走りました。
その後、これまた大量の資料を渡され今日はお開きという事に。明日までに全部読み切って来いとの事。
色々大変そうだが、良い糧になる筈だ。嫌がらず頑張ってみよう。

74 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/02(水) 02:17:08.56 ID:hu4Zwcev0
 ―――とある翌日、PM07:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』、香焼宅・・・・・・








大量の資料を持って帰宅する。
夕飯の準備は終わっている。どうやら僕の帰りを待っていた様だ。


五和「お帰りー。先ご飯食べちゃってね」テクテク・・・

香焼「うん。ただいま」テクテク・・・

浦上「それで? 如何だったん?」チラッ・・・

香焼「とりあえず今日は勉強してこいだって」スッ・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・


もあいを膝に乗せ、ソファに座る。


神裂「如何いった内容を?」チラッ・・・

香焼「あー……秘匿しろ。だそうっす」ポリポリ・・・

神裂「成程。漏外せずですか。潜入のそれっぽいですね」フフッ

浦上「なーんかツマンナイなぁ」ブーブー

香焼「仕方ないだろう。自分はお前達みたいに天才肌じゃないんだからコツコツせこくやるしかないんすよ」フンッ

神裂「そう自分を卑下しないの……兎角、先にご飯にしましょう」コクッ


それが良い。身体的な疲れは無いが、正直精神的にかなり疲れた。
ご飯を食べて、風呂に入って自室でゆっくり勉強しよう。


香焼「―――と、その前に……姉さん。これ、土御門からっす」スッ・・・

神裂「手紙ですか?」

香焼「明日の鍛錬に必要だから、とか何とか。自分は読んでないっす」


頭を捻りながら手紙を開く姉さん。そして一寸後……苦笑。
何事かと思ったが、僕に見せる前に五和と浦上に見せてしまった。2人……腹を抱えて爆笑。


香焼「な、何だよ!」タラー・・・

浦上「ひゃひゃひゃひゃ! こ、これは……遂にというべきか!」ケラケラケラ!

五和「ひー……腹痛い……ってか全然貸す。ていうか私達が教える!」ダハハハ!

神裂「ははは……まぁ、その……一緒に練習しましょうか。私も苦手ですし」ハハハ・・・


奪う様に手紙を掴み内容を読む。そこには―――


香焼「じょ……女装、してこい……だと」チーン・・・

もあい「なー」フシフシ・・・


―――一番危惧していた事が、書かれていた……―――


75 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/02(水) 02:26:23.58 ID:hu4Zwcev0
はい。今日は此処まで。

魔術の『内向き・外向き』については独自の解釈なのであまり難しく考えないで下さい。
因みに魔術については禁書以外に……型月、CLAMP、なのは、ゼロ魔、等が参考元です。結構ごちゃまぜだけどね。

次回は第一回の女装編です。

如何しよっかなぁ。とりあえず変装(女装)はスタイリスト次第かなぁ。
といっても、むぎのん以外浮かばないですね。他に誰かいます? 英国側でもいいよ?


兎も角、今後の意見リクエスト等ください。その他質問感想罵倒も大歓迎です。
ではまた次回! ノシ”
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 03:33:25.60 ID:p+SS4ZE+o
乙!

>>1の座標通行を見たくなったよ!
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 14:12:53.09 ID:xAd+iaHDO
乙! 男の娘……胸熱!


> ロンドンの魔術師養成の最高学府
> プロフェッサー

某ゲームマニアの抱かれたい男ナンバー1のカリスマU世ですね分かりますww
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/03(木) 00:43:04.67 ID:To5R8X1AO
1乙

対アーチャー戦での『ロード』は格好良かったなあ……
79 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/03(木) 20:11:17.46 ID:3lmzf4Tn0
こんばんわ。続き書くよ。


>>76・・・私、主人公'sを何故かメインで書かないのでその内、番外編で一方通行の話も書きたいね

>>77-78・・・はて? 誰の事ですか?(笑)  冗談さておき、クロスOKなら登場させたいね


そんじゃ投下! 安価あるかもしれないからよろしく!
80 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/03(木) 20:31:47.02 ID:3lmzf4Tn0
 ―――とある休日、PM03:00・・・・・




人には誰しも必ず一つくらいは、コンプレックスというものがある。
特に僕は他人に比べ多い方だと自負している。魔術の実力然り、身長然り、童顔然り、声質然り。

故に、それを馬鹿にされた弄られたりするのが苦痛で堪らない。しかし……しかしだ。


香焼「どうして、こうなった」ハァ・・・


仮の師匠の命により『それ』を強制的にさせられる羽目になるとは。


五和「さーてコウちゃん! メイク覚えないとね!」ニコニコ・・・

香焼「……いやだ」ボソッ

浦上「仕方ないじゃん。修行の一環でしょ?」フフフ・・・

香焼「…………、」ウルウル・・・

神裂「ええっと、あんまり事を荒げるのはよくありませんよ」アハハ・・・

もあい「にゃー」フシフシ


海原さんと蛇さん曰く、『特殊メイクを使わずの男装女装は変装の基本』だとか何とか。


五和「とりあえず私達のメイクじゃそんなに手本にならないし、此処はメイクの先生に頼りましょうか」フフッ

香焼「いや、別にいいよ。あんま広めないで……あ、そうだ! 対馬さんに教わればまだ穏便に」ハァ・・・

浦上「残念! 対馬さんは今本部(九州)に帰ってますヨ」ニヤリ・・・

香焼「うっ……じゃ、じゃあ他の女性教徒に」タラー・・・

五和「コウちゃん。教わるならプロ級の人に教わっとこうよ」ウンウン・・・

神裂「ふむ。確かにその意見は一理ありますね。折角覚えるなら極めた方が良いのやもしれません」コクッ


聞こえは良いが、実際コイツらは楽しんでるだけだろ。


浦上「まま、兎に角先生んとこ行きましょ!」グッ!

香焼「ったく……一体誰なんすか?」ポリポリ・・・

五和「先生とは!! なんと……―――


 @むぎのん(学園都市組)      Aオリアナ姐御(英国組)




            >>82

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 20:45:55.20 ID:AQyjpgoIO
1
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 20:55:05.16 ID:pEWHkHIDO
@
83 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/03(木) 21:33:06.13 ID:3lmzf4Tn0
五和「―――はい多分予想通りの人です!」ドンッ!


予想通りっていうか、この街に居るプロ級スタイリストの知り合いってこの人以外いないじゃん。


神裂「第3学区の個室サロンを借りてるらしいので向かいましょう」コクッ

五和・浦上「「はーい」」ワーイ

香焼「ちょい待ち」ピタッ

五和「なーに? 今更行かないは無しよ」ンモー


確認だが……その場に最愛は居ないだろうな。


神裂「うーん、分かりません。ただ固法さんは居ますよ」ウンウン

香焼「……淡希さんは?」タラー・・・

神裂「麦野さんが呼んでいれば居るでしょう」ピッ

五和「何々? どったの?」フフフ・・・

浦上「最愛ちゃんと結標さんに見られるの恥ずかしいの?」ニヤニヤ・・・


当たり前だろう。最愛は兎も角、淡希さんに見られた日には飽きるまで玩具にされかねない。


神裂「まぁまぁ。一応、配慮して貰える様メールは入れておきますから」ポンッ・・・

香焼「…………、」ムスー・・・


気は乗らないが、セッティングしていましまった以上は仕様があるまい。
しかし如何しても納得いかないのが……お前らだ。


五和「え? 何が?」ポカーン・・・

香焼「何で付いて来るんだよ」ジトー・・・

浦上「そりゃ勿論面白s…ゲフンゲフンッ…手伝いを」ウンウン・・・

香焼「必要無い!」ギロッ・・・

五和・浦上「「えー」」ブーブー

香焼「姉さんも何か言ってやって下さい!」ムンッ

神裂「あ、えっと……それじゃあ、うーん……あ、そうだ! 女装したままこの家に帰ってくれば良いんじゃないですか」ピーン!

香焼「な、ちょ、馬鹿じゃないんすか!?」ハァ!?

五和・浦上「「それならおk」」ビシッ!

もあい「にゃー」コロコロ・・・


結局、メイクの練習最中に邪魔されるのと、終わって尚恥を掻くののドチラがマシかという事で……前者を選んだ。
せめて最愛と淡希さんがその場に居ない事を願う。


84 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/03(木) 22:03:07.15 ID:3lmzf4Tn0
 ―――とある休日、PM04:00、学園都市第3学区、某個室サロン一室・・・・・・






カラオケボックスを豪奢にしたような第3学区に在る、ブルジョアジーな雰囲気を醸し出す建物。
手軽に秘密基地を借りられるため上流階級のお子様に人気らしい。『監視の目が完全に無い場所』として重宝されてるのだとか。
その5階の一室に僕達は足を運んだ。


神裂「此処ですね……失礼します」ガチャッ・・・

麦野「あいよ。いらっしゃーい」ゴロゴロ・・・


丁度ウチのリビングぐらいの広さの個室。テレビ、パソコン、カラオケ、ゲーム機何でもアリだ。


五和「おー! 凄いですね!」キラキラ・・・

浦上「パーティーにも使えそうですしホテル代わりにも使えそうですヨ」キョロキョロ・・・

麦野「実際そういう施設だからね。宴会会場にもラブホにもなるわ。美偉、今度旦那と2人で来てみたら?」ニヤリ・・・

固法「ば、馬鹿言わないの!」ンモー!

麦野「大丈夫大丈夫。もう一ランク下げればちょっと高めのモーテルくらいの価格で一泊できるから」フフフ・・・

固法「お金の心配してるんじゃないわよ! いいからさっさと本来の目的に入りなさい!」ジトー・・・

麦野「はいはい。おっかねーなー、私達のお袋さんは」フフッ


部屋を見渡し……安堵する。最愛と淡希さんは居ない様だ。


麦野「最初はあの子とフレンダ、滝壺居たんだけどねぇ……火織が坊やの為に配慮してくれっていうメール送ってきたから追っ払ったわ」コクッ

固法「それから結標さんはバイトが忙しいみたいで今日は来れないそうよ」コクッ

香焼「そうっすか。ありがとうございます、助かりました」ペコッ

麦野「んな感謝される様な事じゃないわよ。それより……、」ジー・・・


僕の顔をジロジロ見る麦野さん。何か、怖い。


麦野「童顔だとは思ってたけど……まさか本当にコスプレしたいとはねぇ」ジー・・・

香焼「ハァ!?」ギョッ・・・

固法「あれ? 今度舞台で女生徒役で出るからじゃないかったっけ?」ジー・・・

香焼「な、何それ……はっ!」バッ!


姉さんの顔を見る。困った様に苦笑していた。僕の女装についての言い訳を考えた結果、適当な事を言ったのだろう。
まったく……やはりこの人は何処か抜けてる。

85 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/03(木) 22:33:53.80 ID:3lmzf4Tn0
お願いだから理由云々は放っておいて貰いたい。兎に角、女装の話に入ってくれ。


麦野「あーはいはい。そんじゃまず……如何したいの? メイクだけ? 服装は?」チラッ・・・

香焼「一応、どっちもっす」コクッ

麦野「あいよ。とりあえず最初は私が全部やっちゃって良い?」ジー・・・


お任せか。確かに最初はその方が良いかもしれない。
僕自身をマネキンにしてもらって、それを目標にして後々メイクをすれば良いだろう。


麦野「うん。まず服脱ぎなさい」ビシッ

香焼「……え」キョトン・・・

麦野「服。脱ぐの」ホレホレ


周りを見る。苦笑する姉さんと固法さん。ニヤニヤする五和と浦上。


香焼「えっと……此処で? 何で?」タラー・・・

麦野「色々寸法図るわ。ちゃんとした女装なんでしょ?」コクッ

香焼「……と、トイレで制服とかに着替えてくるんじゃ駄目っすか?」ダラダラ・・・

五和「男子トイレで女子制服に着替えて出てきたら変態さんだよ」ニヤリ・・・

香焼「で、でも……その」モジモジ・・・

麦野「男子っつっても丈の長さとか胴回り胸回りあるでしょ。早くなさい」フンッ


そういう問題じゃないんです。


麦野「ったく……剥かれるのと自分で脱ぐの、どっちがいい?」キラン・・・

香焼「ぬ、脱ぎます! で、でも、その……人が居過ぎっす!」アタフタ・・・

麦野「ホンット、女々しいわね」ハァ・・・

神裂「こほんっ……少々席を外しましょう。行きますよ」テクテク・・・

浦上「えー。色々見たーい」ブーブー・・・

神裂「お黙る。五和も」グイッ

五和「ぐへぇっ!」ズルズル・・・

固法「それじゃあ終わったら呼んでね」ガチャッ・・・


大人が2人居て良かった。
さておき、上着とズボンを脱ぐ。それではと麦野さんのチェックが始まった。

86 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/03(木) 22:59:34.69 ID:3lmzf4Tn0
メジャーで肩幅・胸囲・胴回りを図り、その後身体をジロジロ見回して、気になった部分をメモに書き残していく。


麦野「んー……やっぱ何だかんだ言っても男の身体ね」ジー・・・

香焼「は、はぁ」ポリポリ・・・

麦野「腋毛はまだだけど、脛とか足の毛はちょいちょい来てるみたい。如何する? 剃るの?」チラッ・・・

香焼「出来れば剃りたくないっす」ウーン・・・


ただでさえ女々しいのに、脇や脛の毛まで無かったらと思うと虚しくて堪らない。


麦野「あっそ。えっと……うん、準備してあった。タイツとニーハイね」スッ

香焼「……サイズ、合うんすか?」キョトン・・・

麦野「絹旗と同じサイズ買ったから大丈夫。それに厚めのデニールだから伸ばしても毛は目立たないわよ」ホレ・・・

香焼「し、下着は?」タラー・・・

麦野「……ショーツ穿く? 一応あるわよ」ニヤリ・・・

香焼「い、嫌っす! 絶対嫌!!」カアアァ///

麦野「冗談だって。第一『収まらない』でしょ。でもなるべくブリーフかボクサー穿きなさい」フフッ


今日はボクサーなので助かった。


麦野「んで、タイツとニーハイどっちが良い? 選ばせてあげるわ」

香焼「それじゃあ……―――


 @黒タイツ        A黒ニーハイ        Bその他(別色、スパッツ、オーバーニー、ガーターなど)



           >>89

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長崎県) [sage]:2011/11/03(木) 23:06:51.08 ID:1AnrU/QFo
A
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 23:08:34.96 ID:/qR3D8QKo
ガーター
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 23:09:23.32 ID:0WfZj5cO0
B 生足
90 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/03(木) 23:40:56.76 ID:3lmzf4Tn0
>>89・・・お前こんにゃろwwwww


 ***********************


香焼「―――……うーん。どれが目立たないんすかね」ウジウジ・・・

麦野「早く決めなさい」ンモー・・・

香焼「タイツはスポーツ用タイツなら……でも違和感有るかなぁ。でもニーハイは男として」ウーン・・・

麦野「…………、」イライラ・・・

香焼「はぁ……どっちにしろ恥ずかしいなぁ。どうしよう……あ、スカート穿かなきゃ良いんじゃないかな」ピンッ!


その提案をしてみよう!


香焼「あの、麦野さん。レディースパンツとかで誤魔化せれば」ウンウンッ

麦野「……ハァ?」ジトー・・・

香焼「あ、えっと……そんなに、恥ずかしくない、かなぁって」モジモジ・・・

麦野「……あのさ」テクテク・・・グイッ!

香焼「うわっ!!?」ドンッ!


いきなりソファに押し倒された。


麦野「正直理解し兼ねるわ。何がしたいの、坊や」ピタッ・・・ツツツ・・・

香焼「ひ、ぁっ!!? む、麦野さん!!?」アタフタ・・・///


両手を掴まれ、太腿をなぞる様にして触る。


麦野「男のくせに女装したい……でも男らしい恰好が良い……何それ」ツツツー・・・

香焼「え、あ、その……色々、理由が……っ!!」ビクッ・・・

麦野「別に理由なんて知らないわ……でも……折角女の子みたいな身体付きしてるんだし、もう私で勝手にやっちゃうわよ」ピタッ・・・ジー・・・

香焼「ふぁあっ!!?」ビクンッ!


艶妖に僕の身体を撫でまわす麦野さん。足、腕、胴、脇……全てを念入りになぞる。
一体このまま何をされるんだ、と恐怖の念が過った。


麦野「……こんなところで良いわね」フンッ

香焼「ぁ……ふぇ?」ドキドキ・・・

麦野「何よ? エッチな事してもらえるかもって期待した?」フフッ

香焼「し、しないっすよ!!」カアアァ///

麦野「あはは。嘘吐けー。真っ赤だぞー」クスクス・・・

香焼「くぅ」カアアァ///


兎角、今の行動に意味があるのなら説明してくれ!

91 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/03(木) 23:54:36.59 ID:3lmzf4Tn0
やれやれ、と面倒臭そうな表情をする麦野さん。ビシっと僕の足を指差した。


麦野「自分で触ってみなさい」フンッ

香焼「え………………………………………………………………えっ」ピタッ・・・ビクッ・・・


何故か、とても、卵肌。


麦野「そこだけじゃないわよ。身体中全部触ってみなさい。勿論シャツの中もよ」ホレッ


先程麦野さんが撫で回した部分、全てを触ってみる……完璧な卵肌だ。


麦野「そうじゃないのはパンツん中くらいでしょうけど……流石にアソコまで剃毛したら可哀想だしね」フフッ

香焼「な……何したんすか!?」バッ!!

麦野「産毛、全部焼いたわ。多分毛根から殺したから生えて来ないわよ」ニヤリ・・・

香焼「え……わけがわからない」ダラダラ・・・

麦野「だーから。私の能力で産毛焼き払ったの。大丈夫よ、被爆なんかしてないから」ウンウン・・・


原子崩し(メルトダウナー)の能力応用。除毛アイロン……ってそうじゃなくて!


香焼「何でそんな真似したんすか!!」アタフタ・・・

麦野「あーもーうっさい! ウジウジ女々しいからよ! これで踏ん切りついたでしょ! 生足でいなさい」フンッ!

香焼「」チーン・・・

麦野「まぁもし生えて来なかったら埴毛するなり何なり勝手にしろ。兎に角これで坊やはスベスベお肌」ナデナデ


僕は、男としての尊厳を、一つ無くしてしまった。


麦野「喧しい。次は服。メイクは後にするわ着替え面倒だからね」

香焼「……足、見られたくないっす」ウジウジ・・・

麦野「駄目! シャキっとしなさい、シャキっと」ポンッ


もうお婿にいけない。

92 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 00:05:33.14 ID:8y3EFKzo0
さておき、今はさっさと服を着よう。


麦野「制服は持ってるのよね?」チラッ・・・

香焼「……はい」スッ・・・


AK○風ブレザー&赤基調のチェックスカート。
以前サーシャが都市に来た時(※)、一緒に買った(買わされた)モノだ。       ※(『ただいま』:第E話参照)


麦野「ホント今風ね……何でそんなの持ってるのよ」タラー・・・

香焼「女装用にって、無理矢理、買わされました」ドヨーン・・・

麦野「そ、そう……どうしましょうね。それ着たい?」チラッ・・・

香焼「着たくないっす」ハァ・・・


というか、ぶっちゃけ女装したくありません。


麦野「それじゃあ……絹旗の服か」スッ・・・

香焼「え」タラー・・・

麦野「種類は色々あるから安心なさい。さて……どんな服がいい?」チラッ・・・


それじゃあ……―――


 @制服で良いっす      A最愛の服の中から選びます(本編中絹旗が着てたの)      Bその他(ブっ飛び過ぎない程度で)



               >>94

93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 00:16:26.85 ID:KnLSn4G90
B 普段の火織ネエさんの、左右非対称カッティング
94 :sage :2011/11/04(金) 00:18:55.68 ID:DrZLoNSM0
常盤台の制服
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/04(金) 00:19:34.00 ID:DrZLoNSM0
死のう
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 00:21:08.73 ID:OSTLEJZDO
A 絹旗が浜面にパンツ見せたミニスカセーターワンピ
97 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 00:38:43.45 ID:8y3EFKzo0
―――……なんかもう恥ずかしくなきゃ何でも良いや。


麦野「吹っ切れやがった。それじゃ……ん?」ピタッ・・・

香焼「何すか」ハァ・・・

麦野「潜にゅ…ゲフンゲフンッ…仕事で絹旗に着させようとしたヤツ残ってた」スッ・・・


見覚えがある制服……常盤台中学の?


麦野「昔、これ着て常盤台行って来いっつったんだけど……あの子の性格上、無理でしょ」ハハハ

香焼「絶対無理っすね。学舎の園入った時点でテンパります」コクッ

麦野「だから袖通さないまま残ってたヤツだわ。これ着たら? 結構大人しめでしょ」コクッ・・・


まぁこれくらいなら大丈夫だろう。部屋の端でイソイソと着替えた。


香焼「……下、スースーするっす」モジモジ・・・

麦野「んー……腕の袖弄ってないからダボダボね。まぁこれはこれで可愛いとして問題はスカートかぁ」ジー・・・

香焼「あ、あんまり……見ないで下さい」ムゥ・・・

麦野「……ボクサー見えるか見えないかギリギリの位置まで捲るか」ガシッ・・・キュッ・・・

香焼「ひゃぅ!!?」ドキッ・・・

麦野「動かないの……よしっ」フンッ


常盤台の冬服。膝上10cmくらいのスカート。生足。


香焼「……恥ずかしいっす」カアアァ///

麦野(ふむ……こうして見ると、やっぱ可愛いわね。多少は結標の気持ちが分かったわ)ニヤニヤ・・・

香焼「な、何すか!」モジモジ・・・///

麦野「ふふっ。何でもない。それじゃあ外の連中呼びましょう」クスクス・・・

香焼「わ、え、ちょっと……待って!」アタフタ・・・

麦野「待ちませーんよっと」カチカチ・・・パタンッ


携帯を開き、わずか10秒足らずでメールを打ち終える。
僕は急いでソファの後ろに隠れた。一寸後、4人が個室に戻ってくる。


神裂「準備できたのですか?」ガチャッ

五和「って、あれ? コウちゃんは?」キョロキョロ・・・

香焼(ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ……、)ガタガタガタガタ・・・

麦野「ったく……怖気づきやがった」ハァ・・・


やれやれと呆れながら、僕に近付く麦野さん。そして、襟首を掴み……猫の様に持ち上げた。

98 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 00:49:13.35 ID:8y3EFKzo0
4人と目が合う。ああ、神は死んだ。


麦野「はい御披露目よー」スッ・・・

香焼「」


無気力のまま、ソファに座る。


神裂「こ、これは……なんと」タラー・・・

固法「着る物変えるだけで、こんなに違うとは」タラー・・・

浦上「って、しかも生足だし! 香焼、こんなに足綺麗だっけ!?」オー・・・


死にたい。


五和「か……可愛いいいいいいいぃっ!!」バッ!!

香焼「」チーン・・・

五和「ぎゅううううぅ」グググ・・・

香焼「」

浦上「拒絶反応起こさない程憔悴してますネ」ハハハ・・・


もうヤダ。


麦野「はいはい。とりあえず、次はメイクするわよ。五和ちゃんウェイトウェイト」ポンッ

五和「ハッ……こ、これは……愛玩(チャーミング)の魔術に掛った様な衝撃!」ヨロヨロ・・・

香焼「……もう、如何にでもなれ」グデェ・・・

浦上「ねぇねぇ。写メ撮って良い?」ニヤリ・・・


そんな事してみろ。明日の朝刊に男子中学生自殺の記事が載るぞ。


麦野「撮るならメイク終わってからにして」ヨイショッ

五和・浦上「「はーい」」ワクワク・・・

固法「止めたげて。本当に死に兼ねないわ」タラー・・・


さっさと化粧終わらせて帰りたいです。

99 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 01:03:55.71 ID:8y3EFKzo0
とりあえず、五和から借りた化粧道具を準備。そして用意してあった鏡台の前に座らされた。


麦野「そんじゃ……坊やの担当は美偉ね」チラッ・・・

香焼・固法「「え?」」キョトン・・・

麦野「私はコッチ」ポンッ・・・

神裂「……はい?」キョトン・・・


何それ?


麦野「アンタねぇ。坊やと一緒にメイクの勉強したいっつーから許可したのよ。忘れたの?」ジトー・・・

神裂「あ」タラー・・・

固法「え、えっと……私が教えて良いの? 私だってそんなに上手くないわよ」タラー・・・

麦野「そのくらいの歳の娘がする薄化粧で良いわよ。その歳で厚化粧は変だから」コクッ・・・

固法「確かに……それじゃあ、任されました」フフッ


という訳で、二手に分かれた。


五和「麦野さーん! 私にもメイク教えて下さーい」ワー

麦野「貴女はそれなりに出来るじゃない」チラッ・・・

五和「まぁその、麦野さん流のメイクアップを学びたい訳ですよ」フフフ・・・

浦上「あ、じゃあ私もー」ニヤリ・・・

麦野「やれやれ。そんなに期待しないでよ」フフッ

神裂「……はぁ」グデェ・・・


アッチは盛り上がってるな。


固法「さて、それじゃあ始めましょうか」コクッ

香焼「はい……お願いします」ハァ・・・


正直乗り気はしないが、此処まで来たのだ。仕方あるまい。
それに麦野さんに比べ、固法さんなら幾分楽に行えるだろう。

100 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 01:29:28.03 ID:8y3EFKzo0
それじゃあ、と一礼し固法さんと対面になった。


固法「んー……そんなに濃く化粧する必要は無いから、まず手入れする所からかな」ジー・・・

香焼「手入れ?」キョトン・・・

固法「香焼くん、まゆげは弄ってる?」

香焼「いえ。床屋で切ってもらうくらいっす」

固法「うんうん。それじゃあ……眉の長さを整えるのと眉下を剃るくらいかな」ジー・・・


眉手入れ用のハサミとレディース用のT字剃刀を準備。


固法「ホントは大胆に削っちゃって、眉抜いたり書いたりして整えた方が良いけど嫌でしょ?」ハハハ・・・

香焼「はい……なるべく最低限で」コクッ

固法「仕方ないわ。それに眉無しのまま学校行ったら怒られるものね」クスッ

香焼「風紀委員的にアウトでしょう」ハハハ・・・

固法「そうね。さて、最初はまゆげの形だけど……如何する?」

香焼「お任せします」

固法「分かった。ベースは私が作ってあげるから、あとは自分で抜いたり整えたりしてね」スッ・・・


毛が制服に落ちない様移動する。そして固法さんがハサミを持ち、僕のまゆげに近づけた。


固法「コンタクトはしてないわよね?」ジー・・・

香焼「はい」

固法「じゃあ関係無いか……目瞑ってて。眉下も切るから―――」パチッ・・・


暫時、お任せコース。


固法「―――全体の長さはこれくらい。一度鏡で見てみなさい」スッ・・・

香焼「……なるほど」フムフム・・・

固法「長過ぎず短過ぎずね。次はラインを決めて眉下だけど……今日は剃るだけ。伸びてきたら自分で抜きなさい」

香焼「抜くのって、痛くないんすか?」

固法「そんなに痛くないわよ。安心して」コクッ


再び、お任せコース。なんだか瞼がくすぐったかった。

101 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 01:56:34.14 ID:8y3EFKzo0
一寸後、まゆげのセットが終了。顔を洗った後鏡でまゆげを見る。


香焼「おー……シュってなってますね」ジー・・・

固法「このくらいなら自然な筈よ。男の子でも普段から整えておくのもアリだと思うわ。周りの友達はまゆげ整えたりしてない?」コクッ

香焼「うーん……如何だろう」ハテ・・・


天草式の男衆はそんなに弄ってないかもしれない。若衆はあまり良く見た事がないな。軍覇も弄ってないな。
弄ってる知り合いといえば……そういえばステイルが整えてたか。


固法「土御門くんとかも弄ってるでしょう。あとは上条くんも長さくらいは整えてるみたいだし」ウンウン

香焼「なるほど。因みに固法さんの知り合いは整えてるんすか?」

固法「まぁ高校生くらいになれば大半はまゆげ弄り出すわよ。完璧書いてる子もいるしね。麦野さんだって殆ど書いてるわよ」チラッ・・・

香焼「へぇ。男の人でも?」

固法「男子でも。ま、中学生から眉弄ってるのはおませさんかもね」フフッ


なんか恥ずかしいな。


固法「とりあえず定期的にカットすること。それから眉下を抜くか剃るかすること。これで最低限のセットになるわ」コクッ

香焼「了解っす」

固法「もう少し弄りたい時は……一回、大胆にカットしちゃいなさい。それから形決めて切る剃るすれば勝手にそのスタイルに収まるから」

香焼「ふむふむ」メモメモ・・・


女装とか関係無しに参考になった。


固法「さてと。それじゃあ次は……いよいよメイクね。麦野さんが用具貸してくれるから足りないものは無い筈よ」コクッ

香焼「……いっぱい有ってこんがらがりそうっす」ウーン・・・

固法「ふふっ。安心して。クレンジング……メイク落としが必要無いナチュラルメイクにするから。中学生からゴダゴダしたのはちょっとね」

香焼「それなら……はい」ホッ・・・


ゲーセンで見かける女子高生みたいなゴダゴダメイクは勘弁願いたかった。

102 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 02:22:42.87 ID:8y3EFKzo0
一通りの化粧品・用具の説明を受け、今回使用するモノを渡される。


固法「それじゃまずこの二つね」スッ・・・

香焼「えっと、マスカラとビューラーっすね」コクッ

固法「用途はさっき説明した通り、まつげの化粧よ。因みにそのマスカラはお湯で落ちるタイプだから安心して」

香焼「はい……このビューラーってのはまつげを上げるヤツっすよね」スッ・・・

固法「ええ。まずは試してみなさい」


グリップに指を掛け……まつげを挟む。


香焼「……えっと」タラー・・・

固法「まずは瞼から挟む。そこから根本の方にカールするイメージで引っ張って」

香焼「……こう」スッ・・・

固法「うん。だけど根本でキープしなきゃダメ。瞼、真ん中、毛先で止めるイメージでカールさせるの」


言われた通りに、瞼で挟み……持ち上げる様にカールさせ……キープ。


固法「そんな感じよ。毛先に行けば行くほど挟む力を強めてやると上手くいくわ……掴んだ? その時、顎を上げながら目線を下にする」

香焼「了解っす」ウーン・・・

固法「そこから顎を下げながら、手首を上に返す……そうそう、その調子」コクッ


反対側も、アドバイスに気を付けて……セットする。


香焼「……如何っすか?」ジー・・・

固法「うん、初めてにしては上手上手。元からまつげ長いのに、よりパッチリして見えるわよ」フフッ

香焼「喜んでいいのか、嘆くべきなのか」ハァ・・・

固法「はいはい、一喜一憂しないの。次はマスカラしちゃうわよ」スッ・・・


マスカラを渡される。化粧品を顔に塗る……とうとう一線を越えてしまうのか。

103 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 02:55:19.57 ID:8y3EFKzo0
キャップを開け、ブラシの部分を持ち上げる。


固法「フィルムタイプ、お湯で落ちるとはいえ何度も塗っちゃうとビューラーでセットしたのが無駄になっちゃうから気を付けてね」

香焼「はぁ……それで、如何すれば?」

固法「まずブラシの部分を容器の口で掃く様に動かすの。ちょっと貸して。こう……液体を落とす感じで」

香焼「へぇ」ジー・・・

固法「こうしないとマスカラが玉(ダマ)になって、まつげの乗っちゃうの。そうならない様に少しで良いわ」


やってみて、と再びマスカラを渡される。
言われた通りに液体を口で捌け、なるべくブラシが均等になるように整えた。


固法「先っぽも残っちゃうから気を付けてね。さて、次は塗っていくんだけど最初のポイント」

香焼「はい」

固法「まずまつげを三等分にするの。真ん中、目頭、目尻。始めに塗るのは真ん中ね」

香焼「了解っす」スッ・・・

固法「あ、ちょっと待った。まず鏡の位置直しましょう。根本を見せる為に、少し下から写すと良いわ」キュッ・・・


準備完了。化粧品を……肌に当てた。もう引き返せない。


固法「その時、根本で少し擦る……歯磨きで横にブラシするように動かすの」

香焼「……くすぐったい」ウーン・・・

固法「そうそう。そしたら上にスッと抜く。それを2,3回したら……次は目尻よ」

香焼「はい。こっちもまた横にブラシを?」

固法「ええ……ただ抜く時に、今度は髪の付け根の方に持っていくの。イメージとしては扇形になる様にね」


同じ要領で目尻を2,3回ブラシし、今度は目頭に。此方も同じく抜く時は鼻筋の方を引き、2,3回ブラッシング。


固法「そうそう。あとは縦に持って、ちょっとズレた所をバランス良く微調整するの」

香焼「……はい」カキカキ・・・


一通り終了。今度は反対側……此方も終了。


固法「うん、綺麗よ! 御坂さんより女っ気あるわ」フフッ

香焼「ははは……、」タラー・・・

麦野「おー、マスカラは出来たのね。初めてにしちゃ出来が良いわ」ハハハ

固法「ええ。麦野さんに教わった様に教えたわ」フフッ

麦野「感心感心。今度は坊やが絹旗にメイク教えてあげんのよ」ハハハ


アチラが一段落したのか、此方の様子を伺いに来た麦野さん。
冗談止めて下さい。普通最愛にメイク教えるのは貴女でしょう。それから自分がメイク習ったって事は内緒ですよ。

104 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 03:21:22.75 ID:8y3EFKzo0
ジロジロと様子を僕のまつげをチェックする麦野さん。補う点はあるだろうか。


麦野「それじゃ、最後に下まつげにもマスカラ入れちゃいなさい」コクッ

固法「塗っちゃって良いの?」

麦野「フィルムタイプなんだから塗っても平気よ。前に教えたでしょ」

固法「分かった……それじゃ、今度は下ね。ブラシを縦に持って。あと目元に指を当てて、あっかんベーの時みたいに下に下げる」

香焼「はい」

固法「そしたら目頭側から目尻側にずらしていくの。あまり強く塗る必要はないからね」


軽くブラシを掛けながらスライドさせていく。


香焼「終わりました……でも、何か汚れちゃったっす」

固法「大丈夫。すぐ取れるから……コレで拭っちゃって」スッ・・・


渡されたのは綿棒。


固法「すぐ乾くからすぐ取れるわ」

香焼「……あ、はい。取れました」

固法「うんうん。そんじゃ反対側も同じ要領でね」

香焼「了解っす」スッ・・・

麦野「やりながらで良いから補足ね。アイメイク(目周り)の順番はシャドウ→アイライン→ビューラー→マスカラよ」

香焼「え? でもアイシャドウとアイラインは」キョトン・・・

麦野「付け加えればその前に下地→ファンデーション→コンシーラー→パウダーがあるもの。下地くらいは塗ったの?」

固法「ええ。一応、日焼け止めタイプのメジャーなヤツを」

麦野「うん。兎角、そのベースメイクの後にシャドウとラインは乗せなきゃいけないの」


つまりクレンジングが必要という訳か。


麦野「その通り。とりあえず今回はそういうの無しでって事だから、ナチュラルに中坊くらいの簡単メイクよ」コクッ


成程、と言ってる間にアイメイク終了。


固法「おー……うん! OK! お目々パッチリ!」フフッ

麦野「いや、メイク抜きにしてまつげ長ぇなぁ……まぁ男には見えない」ハハハ


もうその言葉に一々反応しません。半分、諦めました。

105 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 03:56:29.44 ID:8y3EFKzo0
それでは次に、とリップクリームとマスカラに似た容物を渡される。


固法「リップグロスよ。派手なのはちょっとアレだからラメ無しね。殆ど透明色だから丁度良いと思う」

香焼「口紅とかリップクリームとは違うんすか?」

固法「艶を出すのよ。まぁ塗り方次第だけど……麦野さーん。グロス如何するー?」チラッ・・・

麦野「あー……一番簡単なヤツで。真ん中周辺にして」

固法「はーい。それじゃ……始めましょう」


キャップを開け、グロスを取り出す。


固法「それじゃ、ぷっくり唇を出す塗り方ね。単純に真ん中周辺に塗ってあげるの」

香焼「……こんな感じっすか?」

固法「うん。広げ過ぎちゃダメよ。2,5cmくらい塗れば立体感出るから」

香焼「はぁ。上下に?」

固法「上は少なめ。人間の唇って上の方が出てるでしょう……もし多過ぎるかなぁって思ったら油取りで拭ってあげればOKよ」


ササッと塗り終える。


固法「うん……あとの仕上げは麦野さんね」フフッ

香焼「……なんか別人っす」タラー・・・


鏡を見たくない。ぶっちゃけ気持ち悪い。


麦野「坊や、こっちおいで。グロスの別の方法も教えとくから」

香焼「あ、はい……って姉さん?」タラー・・・

神裂「……香、焼……まるで別人ですね」チラッ・・・


貴女もですよ。


麦野「無駄口叩かない。んでグロスだけど……まず下唇に多め、上はちょこちょこ……これだけで雰囲気変わるわ」パパッ・・・

香焼・固法「「おー」」ジー・・・

神裂「あ、あまりジロジロ見ないでください」ムゥ・・・

麦野「そんで、さっき妹ちゃん2人に注意&教えた方法だけど……今度はベッタリ塗っちゃうの」ヌリヌリ・・・

固法「え? そうすると下品になるって前言ってなかったかしら」キョトン・・・

麦野「ええ。だけど……これを油取り紙で全体ポンポンとやっていくと……こうなる」スッ・・・

五和「おお! 全体に艶が乗った!」キラキラ・・・

浦上「ちょっと大胆ですけど、大人っぽいですヨ」キラキラ・・・

麦野「火織とか美偉みたいに大人っぽい女性ならこれで印象変えてやるのもアリね。ただ童顔の子は坊やみたいな塗り方で良いと思うわ」


成程なるほど……流石プロ並のカリスマ超能力者さん。頼りになるスタイリストだ。

106 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 04:18:23.09 ID:8y3EFKzo0
さて、最後の仕上げだ。


麦野「クマとか肌荒れがあるなら、やっぱファンデとかコンシーラーとか使った方良いんだけど……大丈夫ね」ピタッ・・・

香焼「ええ。あんまりゴダゴダしたくないっす」ポリポリ・・・

麦野「それじゃチークとかも要らないし……もう髪弄っちゃおうか」スッ・・・


髪質を調べているのだろうか、僕の頭をペタペタ触る麦野さん。


麦野「変に癖は無いし、普通の真っ直ぐね。ただやっぱ男の子の髪型だわ……ワックスとか使うの?」ムー・・・

香焼「使った事はありますけど、普段は特に使わないっす。いつも風呂上がって、ドライヤーかけて軽くブラシして終わりかな」コクッ

麦野「アイロンとかは?」

香焼「前に浦上が持ってきたやつ掛けた事有るっすけど……そんなに変わんないっすよ」

麦野「んー……じゃあムースタイプかワックスでフワッとさせるくらいしかないわね」テクテク・・・


必要なモノを準備する。


麦野「まずはコレだけで良いわ」ホレッ

香焼「ヘアピン?」

麦野「片方だけコレで留めなさい」

香焼「はい……こう?」スッ・・・


一同、感嘆の声。


浦上「うわ……こういう子居る……冗談抜きで女の子」タラー・・・

固法「というか常盤台の制服で片留めのヘアピンだと御坂さんみたいね」ハハハ・・・

香焼「……ハァ」ドヨーン・・・

麦野「よし。んじゃ次はムースね。ワックスの使い方は知ってるんでしょ?」


プシューと泡を出して、僕の髪に纏まった泡の塊を乗っけていく。


麦野「そんで、これを馴染ませる感じでフワフワさせて……衿足を浮かせて……うん、どうよ?」チラッ・・・

神裂「ほぉ……もはや原型がありませんね」アハハ・・・

五和「ちょいパーマなコウちゃん可愛い! てかマジで女の子!」パアアァ!


鏡で姿を見る……そこに、僕は居なかった。

107 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/04(金) 04:40:01.35 ID:8y3EFKzo0
一寸後、姉さんの方も終了しメイク教室が終了する。


固法「お疲れ様。本当に見違えたわよ」フフッ

香焼「嬉しくないっす……さっさと元に戻したい」ハァ・・・

五和「えー。勿体無ーい。今日一日はそれで居ようよー」ブーブー!


僕に死ねというのか?


神裂「まぁまぁ……とりあえず必要な事はメモしたのでしょう。それなら良しとしましょう」

浦上「うんうん。いつでも女装出来るんだしネ」フフフ・・・

香焼「お前らの前では絶対しないよ」ジトー・・・

麦野「でも、普段から練習しときなさいよ。身体で覚えるのが一番なんだから」コクッ

香焼「……はい」ハァ・・・


気乗りしないが、修行の一環だと思って頑張ろう。


麦野「さーてと、全部終わりだけど……如何する?」チラッ・・・

固法「7時前かぁ……ご飯食べに行きましょうか」

五和・浦上「「さんせー!」」ワーイ!

香焼・神裂「「……え」」タラー・・・


この恰好で? 
ちなみに姉さんは艶っぽいメイクを上、黒のセーター、ブーツカットパンツ。そしてウェーブの掛ったストレートヘアである。これまた別人。


麦野「どうせ第7学区帰らにゃならんし……第4学区辺りで飯食って帰るか」オー

神裂「……それでは、私達は着替えるので少々お待ちを」テクテク・・・

香焼「じ、自分も……何処か空き部屋見付けてこっそり着替えてきます」テクテク・・・

五和・浦上「「待った」」ガシッ!

香焼・神裂「「ぐっ!!」」ピタッ・・・


待て待て……冗談キツいぞ。


五和「カオリ姉さん……貴女女性でしょう? 何で貴女が恥じる必要あるんですか?」ジー・・・

神裂「し、しかしですね。普段というモノがありまして」アタフタ・・・

麦野「却下。その恰好は絶対よ。文句つけんな」ガシッ!

神裂「…………、」チラッ・・・

香焼「む、無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理っ!!」ジタバタッ!

浦上「ふむふむ……折角だから、そのまま女性のしぐさとか話口調の勉強もしましょうネ」ニヤリ・・・

固法「それは大事かもしれないわ」フムフム・・・

香焼「」チーン・・・


神は死んだ……結局、終始誰にも『男』だと気付かれないまま外食を済ませてしまった。
不幸とかそういうレベルじゃない。もう心が痛いです……―――

108 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/04(金) 04:46:05.40 ID:8y3EFKzo0
はい此処まで。このメイクの下り必要有ったのか……自分でも疑問ですw


次回もちょくちょく安価で進むよ
予定としては香焼の女装で知り合いにばれない様騙していくって感じ。都市もカルテッ娘も出すと思います

特に騙して欲しいキャラがいればリクエストください。例えば上条さんとか、カミやんとか、とうまに……フラグを、建てられるみたいなw



質問意見感想罵倒リクエスト等々、よろしく! それじゃ! ノシ”
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/04(金) 11:15:59.83 ID:xH3/z0fAO
美琴
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 11:23:31.88 ID:aJC/d3vIO
乙〜
せっかく常盤台の制服着てるんだし常盤台生には一通り見せてみたい気もする
べ、別にあまりの可愛さに香焼を派閥に入れようとするみさきちが見たいわけじゃないんだからねっ【壁】ョ・ω・)チラッ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 15:33:20.67 ID:9OWfKV+Ho
上やんにフラグを立てられた香焼に嫉妬するインデックスとか美琴とか
あとはガチで香焼に惚れる削板とか青ピとかどうすっかねww
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 17:30:28.17 ID:OSTLEJZDO
左天さんにスカートめくられたり、上条さんにアタックで嫉妬も良いけど、浜面にアタックしてみたり……おいしいなww

あとカルテッ娘の反応がきになる!
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/04(金) 20:51:32.11 ID:ucs8c6Hy0
メイクの練習中にいきなりカルテッ娘が部屋に入って来て「え,マジで香焼男の娘?」的な勘違いされるとか
女装したままステイルと騒いで(じゃれて?笑)るのをカルテッ娘が見ててステイル彼女疑惑が浮上するとか
とにかくカルテッ娘との絡みがみたいぃぃいいい!!!
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/04(金) 20:58:01.33 ID:ucs8c6Hy0
メイクの練習中にいきなりカルテッ娘が部屋に入って来て「え,マジで香焼男の娘?」的な勘違いされるとか
女装したままステイルと騒いで(じゃれて?笑)るのをカルテッ娘が見ててステイル彼女疑惑が浮上するとか
とにかくカルテッ娘との絡みがみたいぃぃいいい!!!
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/04(金) 20:58:55.51 ID:ucs8c6Hy0
連投すまん
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 00:49:42.62 ID:CsQD29fU0
黒夜を是非にも
117 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/05(土) 20:26:58.00 ID:60sXmEK00
こんばんわ。ボチボチ投下します。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 20:45:34.88 ID:WNdCkDxIo
待ってたぜ
119 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/05(土) 20:50:57.34 ID:60sXmEK00
 ―――またまた翌日、AM11:00、学園都市第7学区、ファミレス『Joseph's』・・・・・







メイクの勉強から数日、土御門達から渡された基本的な資料も読み終えた。
この日は、第二回目の講義という事で『女装したまま』、誰にも気付かれる事なくファミレスに来いという指示が出た。

言われた通り、恥を忍んで買い揃えた化粧道具を使って『貌』を変える。
幸か不幸か五和達がゴロ寝してる内に自室でメイクを終えたので、そのままこっそりと家を出る事に成功。
因みに、服装は先日貰った常盤台中学の冬服である。

さぁバスを乗り、目的地へ。


香焼(しかし……気付かれないもんだなぁ)ハァ・・・


バスに乗っても、道を歩いていても何一つ『違和感』がない。
変装・潜入としては嬉しい限りだが……男として、ぶっちゃけ悲しい。


香焼(まぁ文句言っても仕方ないし、さっさと行こう)テクテク・・・

店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか」ペコッ

香焼「あ、えっと……連れが来てる筈で」アハハ・・・


自分で探すと言いつけ、店内を歩く事に。
海原さんや蛇さんは分かり辛いが、土御門なら一発で確認できる筈だ。


香焼(……あ、居る)テクテク・・・

土御門「―――」

青年男性「―――」

老婆「―――」


多分、青年男性が海原さん。老婆が蛇さんかショチトルさんだろう。
しかし……さて如何しよう。普通に声を掛けるべきか。それとも意趣を凝らして驚かそうか。


香焼(隣のテーブルに座って、気付くかの待とう)フフッ


気付かれなきゃ面白いという期待半分。男として勘付いて欲しいという願望半分で隣に移動した。

120 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/05(土) 21:16:48.33 ID:60sXmEK00
席に座りメニューを開きながら、隣のテーブルに耳を傾ける。


土御門「―――しっかし、結標のヤツ面倒臭ぇにゃ」ハァ・・・

青年「『私もついて行きたーい!』って、まるで子供の駄々の様に……案外精神年齢低いですよね」ハハハ

土御門「自称、カリスマ(笑)だな。黙ってロリコン野郎と留守番しとけっつの。ロリショタお似合いカップルなんだから」ハハハ

青年「そういえば、最近気付いたんですけどね……結標さん、ロリもショタも好きみたいですよ」フフフ・・・

土御門「うっはwwww幼児嗜好wwwwwきめぇwwwww」プギャー!

青年「どうします? これで彼の方も男子が可愛いとか言い出したら」ニヤリ・・・

土御門「だぁはははっはっはっ! そん時はある事無い事、ネットに書き込もうぜ! 『超能力者第1位はペドフェリア』とか!」ハハハ!


陰口で盛り上がってる2人。やはり青年男性が海原さんか。
しかし、この人達は平然と身内の悪口言うよな。例え本人が目の前に居てもこういう事言うんだろうね。
あと、ロリとかショタとかペドとか……言葉選べ。多分、子供に優しいだけだと思うぞ。


土御門「はー……でもさぁ香焼、どんな感じだと思うよ? 所詮メイク程度じゃたかが知れるだろうぜ」フムフム・・・

青年「いや、化粧は人間を変えますよ。学校の先生やクラスメイトのスッピン見た事あります?」コクッ

土御門「俺のガッコは殆ど皆スッピンだぜ。茶目っ気無ぇのなんのって……まぁそこが可愛いんだけどにゃ」フフフ・・・

老婆「……気持ち悪いですよ」ジトー・・・

青年「では、そうですね……あの服屋の前の女子高生数名。もし彼女達が化粧を拭ったら如何なると思います?」ジー・・・

土御門「……いや、何か想像したくない」タラー・・・

青年「誇張かもしれませんが、目の大きさが3分の2くらいになるでしょう。それからまだ若いのに肌を傷めていると見えます」ジー・・・

土御門「うわぁ……夢もへったくれも無いな」タラー・・・

青年「ま、そのくらい化粧は人を化かすんです。何れ貴方の義妹さんも意中の男性の気を惹く為に」

土御門「無い」ガタッ・・・

老婆「は?」タラー・・・

土御門「舞夏は、そんな事しない」ボソッ・・・

青年・老婆「「うわぁ」」タラー・・・


シスコン、怖い……それはさておき、そろそろアクションを起そう。

121 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/05(土) 21:38:00.14 ID:60sXmEK00
とりあえず、こっそりとメールを入れる。


土御門「―――でな……ん?」Prr・・・

青年「彼からですか?」

土御門「おう……『もう着きました』だって……店内に居る?」キョトン・・・

青年「え……入口には居ませんよ」キョロキョロ・・・

老婆「恥ずかしくてトイレに逃げ込んでるとかでは?」フム・・・

土御門「……アイツ、男女どっちトイレ入るんだ?」フム・・・


そういえば考えてなかった……後で相談しよう。


香焼(そろそろ……良いかな)スッ・・・


魔力を練る。嫌が応にも気付くだろう。


青年「っ!? 魔力反応……彼でしょうか」キョロキョロ・・・

土御門「分からん……やっぱトイレからか?」フム・・・

青年「いえ、近い……貴女は、何か掴めませんか?」チラッ・・・

老婆「……メールを返信すれば早い話では?」

土御門・青年「「……おぅ」」ポリポリ・・・


何でもかんでも魔術とか己が身に頼ろうとする、魔術師の悪い癖。
一寸後……メールが来る。今度はあからさまに分かる様、テーブルの上に携帯を置き、着信を気付かせた。


土御門「……ん?」チラッ・・・

青年・老婆「「え」」チラッ・・・

香焼(それじゃ、そろそろ挨拶を)スッ・・・

土御門「……それらしいヤツ、居たか?」キョロキョロ・・・

青年「居ませんね。もしや店内とは言いつつ、天井や床下、厨房に隠れているのでは」フム・・・

老婆「やれやれ。潜入の勉強とはいえ、始まる前からそんなに張り切る必要は無いのですけどね」ハァ・・・

土御門「面倒臭い。もう電話掛けてやる」Pi!


あー……コイツら、わざとか?


土御門「……早く出ろっつの」Prrrr・・・Prrrr・・・・・

香焼「……はい」Pi!

土御門「もしもし、オマエ今何、処……に……、」ピタッ・・・

香焼「…………、」ペコッ

土御門「」

青年「」

老婆「……Oh」


遅ぇよ。

122 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/05(土) 22:04:57.20 ID:60sXmEK00
野郎2人が何故か固まったので、老婆さん(?)と話をする。


香焼「えっと、こんにちわ。蛇さんっすよね」ペコッ

老婆「ええ。17600号です……しかし、これはまた」ジロジロ・・・

香焼「あはは……あんまり見ないで欲しいっす」タラー・・・

老婆「いえいえ。見事に女の子ですよ、とミサカは……ふむ」ジー・・・


結構、恥ずかしいです。


老婆「とりあえず一本取られました。女装に関しては合格です」ビシッ

香焼「ありがとうございます。それで、今日は何をするんすか?」キョトン・・・

老婆「それは師匠に……って、イツまで固まってるんですか」バシッ

青年「                                    あ」ピクッ

土御門「                                       え」ピクッ

老婆「馬鹿野郎、とはまさにこの事ですね」ハァ・・・


なんで固まるのさ。


土御門「い、いや……香焼?」ジー・・・

香焼「それ以外の誰で?」

青年「いやいや、それ以外の『誰か』ですよ」タラー・・・

香焼「そんなに別人かなぁ」ウーン・・・

土御門「元から童顔だとは思っていたが……これは、予想以上だな」タラー・・・

青年「だから化粧で化けると言ったでしょう……些か、化け過ぎですが」ジロジロ・・・


喜ぶべきか、嘆くべきか。


青年「褒めているんですよ。兎角、移動しましょう。このレベルなら一気に次のレベルまで飛ばせます」フム・・・

香焼「次のレベル?」キョトン・・・

青年「ええ。修行ですから……土御門、勘定を」スッ・・・

土御門「お、おう」タラー・・・


良く分からないけど、所詮『女装』は修行の一環に過ぎない。師事して貰ってる以上はお任せしよう。

123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 22:10:02.22 ID:IH+5JIbP0
つっちーデザインの、男の娘チラメイドの出番が……!?
124 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/05(土) 22:27:34.01 ID:60sXmEK00
 ―――またまた翌日、PM00:00、学園都市第7学区、とある学生寮、土御門宅・・・・・







適当に昼飯を購入し、土御門宅に移動。
海原さんと蛇さんは変装を解き、いつもの恰好へ戻る。


海原「さて。変装の入門編はお終いです。次は潜入……暗殺の入門に移りましょう」

香焼「はい。それじゃ着替えて良いんすか?」

海原「……は?」

香焼「え」

海原「何で着替える必要が?」


いや、何故女装のままで居る必要が?


土御門「まぁまぁ。今日一日はそれで過ごして貰うって事だにゃ」ニヤリ・・・

香焼「はぁ」ドヨーン・・・

御坂蛇「師匠、次に進む前に数点注意したい点が。とミサカは進言します」

海原「どうぞ」

御坂蛇「では……まず、容姿に関しては完璧です、とミサカは妹(妹)弟子1号を褒めます」フム・・・

香焼「せめて弟(おとうと)弟子でお願いします」ハァ・・・

御坂蛇「しかし、言葉使いや仕草がまだまだ甘い。その点は常に心掛けて下さい、とミサカは忠告します」

海原「そうですね。これは女装に限った事ではありません。老若男女諸々の『キャラ』に応じて変更しなければならないでしょう」


言葉使いに仕草か。
仕草は追々学んでいけば大丈夫だろうけど、言葉使いや人称は癖付いちゃったから中々直らないと思う。


御坂蛇「とりあえず普段と違う言葉使いを心掛けて下さい。女性であればやはり綺麗な丁寧語が好ましいでしょうね、とミサカは助言します」

香焼「はい」

土御門「それから少々声色変えた方が良いぜ。ボイスチェンジャー使えば別だけど、それ抜きでも今はまだ高い声出せるだろ?」

香焼「ん……こうっすか?」ウーン・・・

海原「こう『です』か?」

香焼「こ、こう……ですか」タラー・・・

海原「ええ。宜しいかと」フフフ・・・


『○○っす』を『○○です』に変えちゃったら、もう香焼(僕)だと判断出来ないな、これ。

125 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/05(土) 23:25:58.26 ID:60sXmEK00
色々諸注意を受けた所で、本題に入る。


海原「それではレッスン1です……まずその恰好で挨拶をしてきてもらいましょう」

香焼「え?」キョトン・・・

土御門「ウチの隣の住人に、だ。あくまで『自然』に挨拶してこい」


土御門宅(此処)の隣の部屋って……嘘!?


香焼「む、無理無理無理無理無理っ!!」ダラダラ・・・

土御門「まぁ勿論お前一人で行かせたりはしない。オレがカミやんに紹介するって形で挨拶する」

香焼「ぜ、絶対ばれるっすよ!!」アタフタ・・・

土御門「俺らが分からなかったんだから絶対ぇばれねぇよ。ましてやあの朴念仁に……あと口調」チラッ・・・

香焼「う……い、今はそんなの良いでしょう」タラー・・・

御坂蛇「ふむ。これは調きょ…ゲフンゲフンッ…多少強引でも教育が必要ですね、とミサカは思案します」ジー・・・

香焼「え、今、物騒な事を」タラー・・・

海原「そうですね……では、コレを貼らせて貰いましょう」スッ・・・


シップ、というよりはICチップを大きくした様なモノと、針の様なモノを取り出す海原さん。


海原「これは電気信号で神経を弄る事ができる医療具です。此方は飛雷針の応用で無線代わりに電気を飛ばすコントローラーです」カチッ

香焼「……それを、何に?」

海原「ドチラも主に理学療法等に用いますが……スネーク。どうぞ」ガシッ!

香焼「え!?」ギョッ・・・

御坂蛇「はい。では失礼します―――」ペタッ・・・

香焼「なっ?!」ジタバタッ・・・

御坂蛇「―――えいっ。とミサカは妹弟子に貼り付けたチップに電気を流します」ビリリリ・・・

香焼「ひゃ、あああああぁっ!! や、止めっ!! ひいいぃあああぁっ!!」ビクンッ!!


痛い様な、熱い様な、冷たい様な、くすぐったい様な……兎に角気持ち悪い刺激。


御坂蛇「ふふっ……ふふふふふ……貴女の鳴き声は、ミサカの嗜虐心をくすぐりますね」コウコツー・・・

香焼「ふぁ……め……れす」プスー・・・

土御門「マジで女の嬌声だな……まぁ良い。兎に角行くぞ」クイッ

海原「くれぐれも口調や人称に気を付けて下さいね。さもなくば……自分はスネークを止められませんよ」ニヤリ・・・

御坂蛇「……ふふっ」キランッ・・・


何この拷問に近い修行!? てか修行じゃないよね! アンタら楽しんでるだけだよね!


御坂蛇「……ほぅ?」スッ・・・

香焼「や、やります! やれば良いんでしょ!」ウエーン!


こうして半ば虐めに近い修行(?)が始まった。

126 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/05(土) 23:50:56.66 ID:60sXmEK00
土御門「良いな? 打ち合わせ通りだぞ」

香焼「分かってるっすよ……後ろ怖いっすから」チラッ・・・


海原・御坂蛇「「……ふふふ」」ニヤリ・・・


土御門「ま、『その時香焼に電流走る』みたいな状況なりたくなかったら上手くやってみせろ」ニヤリ・・・

香焼「はぁ」グデェ・・・





 <上条宅>


 ピンポーン・・・・・


禁書『はーい。とうまー、お客さーん』ジタバタ・・・

上条『はいはい、今行きますよ」』パタパタ・・・

香焼(うわ……禁書目録も居る)タラー・・・

土御門「大丈夫だ、自身持て……ぃよう! カミやん」ガチャッ

上条「おう、どうした?」

土御門「舞夏のお裾分け持って来てやったぜ。感謝しろー」ハハハ

上条「おー! 助かる! インデックス、今日の昼飯はキャベツ丼以外にもう一品出せるぞ!」

禁書「わーい! 豪華なんだよ!」キャッホー!

香焼(キャベツど……今度、普通に差し入れ持ってこよう)ブワァ・・・

土御門「にゃはは、流石貧乏学生……あ、そうだ。紹介しとくぜ」クイッ

香焼「っ!!」ドキッ・・・

上条「え……と、知り合いか?」チラッ・・・

土御門「ああ。ねーちんの親戚だ。今度学園都市に入学が決まった。しかも『実力』でだ」

禁書「かおりの親戚? 美人さんだけど……あんまり似てないね」ジー・・・

上条「こらこら。土御門と舞夏だって似てないだろ。色々有るんだろう……そういう事言うもんじゃありません」メッ

土御門「カミやんの方が相当失礼だにゃ……まぁ良い。挨拶しろ」

香焼「は、はい! え、と……その」アタフタ・・・

上条「ははは。そんなに緊張しないでくれ……あー、じゃあ俺から。土御門のクラスメイトの上条当麻だ。んで、コッチが居候シスター」チラッ

禁書「そういう言い方失礼なんだよ。私は禁書……インデックスって呼んで。かおりの『友達』なんだよ」ニカッ!

香焼「……よろしく、お願いします」ペコッ・・・

127 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 00:27:21.98 ID:EmJ+Gkyk0
土御門「……ほら、挨拶しろ」トンッ・・・

香焼「こう……神崎(こうざき)……香(かおる)っす」ペコッ

上条・禁書「「え」」アレ?


しまった!


御坂蛇「言葉使いを違えましたね。オシオキだべー、とミサカは……えいっ」ビリリ・・・


その時、香焼に電流走る・・・ッ!!


香焼「ひゃあああああああああぁっ!!」ビクンッ!!

上条「な、何だ!?」ギョッ・・・

禁書「だ、大丈夫!?」ギョッ・・・

香焼「こ、神崎! 神崎香っす!! って、いぁあああぁっ!! 香『です』っ!! ですううぅっ!! でしゅうううぅ!!」ビクビクッ!!

上条「きゅ、救急車あああぁっ!!」アタフタ!

禁書「と、とうま! もしかして魔術師の仕業なのかも!」アタフタ・・・

上条「な、何だと!? だったら俺の幻想殺し(右手)で!」バッ!

土御門「(ヤバい! それだと呪符が破かれる!)ま、待てカミやん! コイツはそういう病気持ちなんだ」ダラダラ・・・

上条「びょ、病気!?」ポカーン・・・

土御門「と、突発性電気発作アレルギー症候群。新種の科学病みたいなモンだ」ダラダラ・・・

上条「そ、そう……アレルギーで発作で症候群なんだ……そんなのあるのか」タラー・・・

土御門「説明し辛い。言っとくが、コイツは魔術とかそういうのは関係無いんだ。この病気を治す為に都市への入学も許可された」ボソッ・・・

香焼(嘘……吐け……この、道化師め)プスプス・・・

土御門「常盤台の制服を着ているのは治療の時に超電磁砲(レールガン)の協力を云々―――魔術の事は話しちゃダメだぜぃ」アーダコーダ・・・

上条「む、難しい事は良く分かんないが……幻想殺しは効かないのか?」

土御門「分からんが、突発性だからな。発作を止める事は出来るかもしれん」チラッ・・・

御坂蛇(……OK)ニヤリ・・・スッ・・・

香焼「ま、待て待て待て! 待ってぇ! 無理! もう無理っす! って、いやあああぁっ!!」ビリビリッ!!

上条「っ!! カオルちゃん!」ギュッ・・・ソゲブ!!

御坂蛇(むっ……無効化されてしまいましたか。運の良い子)ジー・・・

香焼「は、ぅ……あ、りがと……ございます」プシュー・・・

禁書「こら、とうま! かおりの親戚にベタベタするなんて! いつわも合わせて三姉妹丼なんて私が許さないんだよ!」ギロッ!

上条「そ、そんな馬鹿な事言ってないで水とか持ってきてやれよ! 大変なの見りゃ分かるだろ!」ハァ・・・

土御門「(まぁカミやんに『香焼≠香』の印象を持たせる事には成功したな)……大丈夫だ。なぁ、香」チラッ・・・

香焼「は、い……すいません。お世話掛けました。その……離して下さい」タラー・・・

上条「おう……何かあったら頼ってくれよ。連絡先、神裂から聞いといてくれ」コクッ

香焼「はい……ありがとうございます。上条さん」ペコッ・・・///

禁書「とうまがね、新しい子に、フラグをね、また建てたよと、呟いてみる……インデックス、心の短歌」ガブッ!!

上条「んぎゃああぁっ!!」フコーダー!

スフィンクス「なー」ジー・・・ハテ?


土御門(カミやん……男にフラグ建てんなよ……って、香焼も満更じゃねぇ顔すんな! てめぇは『カミやん側の男』だろ!)タラー・・・


128 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 01:13:38.73 ID:EmJ+Gkyk0
一寸後、再び土御門宅。
ぶっちゃけもう帰りたい。修行とか言いつつ、僕を玩具にして遊んでるこの人達から離れたい。


土御門「まぁまぁ。ちゃんと意図有っての事だし」ニャハハ

香焼「嘘吐け。絶対嘘だ」ジトー・・・

土御門「ホントだって。真面目な理由だ」コクッ


真剣な声。


土御門「まずお前と……いや『神崎香』と『香焼○○』を、上条当麻の中で別人とした。ついでに禁書目録ともな」

香焼「……それが?」

土御門「動き易くなる。ヤツは嫌が応にも『全ての中心』に居るからな。だから香焼という存在から乖離させた」

香焼「よく、分からない」

土御門「……まぁ良い。兎に角、必要行動だ」


電流云々は納得いかないが、意味があるというなら今は黙って従おう。


海原「まぁ確かに、スネークがやり過ぎた所もありました」コクッ

御坂蛇「自分だってノリノリだったくせに、とミサカは呟きます」ボソッ・・・

海原「こほんっ……次の行動に移りましょう。今度こそ、貴方が納得する修行を課します」

香焼「……本当っすね」ジトー・・・

海原「ええ。あと先程も言いましたが、切り替えはしっかりしておきなさい。今は良いですが、表に出たら口調を変えるんですよ」


蛇さんに恐怖しながら、海原さんの説明を聞く。


海原「それでは、貴方にはこれから『その恰好』に相応しい場所へ行って貰います」

香焼「この恰好……ま、まさか、常盤台に!?」ギョッ・・・

海原「いえ、そこまでハードルは上げませんよ。向かって貰うのは『学舎の園』です」


学舎の園……第7学区南西端に存在する、常盤台中学を含む5つのお嬢様学校が作る共用地帯だ。
並みの学校の一五倍以上の敷地面積を持ち、内部は極めて小さくはあるが『街』となっている。
周りは大きな柵が張り巡らされており部外者を寄せ付けない。道路標識や信号機も外とは違うデザインという徹底ぶりである。

当然ながら敷地内には5つのお嬢様学校に関わる『少女』しか居らず(教職員は不明)、門番、警備員、バスの運転手までもが女性。
また、敷地内には全2458台もの監視カメラが配備されていると聞く。


土御門「まさに男子禁制の園だぜぃ」ニヤリ・・・

香焼「で、でも何でそんな場所に」

海原「言ったでしょう。これは修行です。勿論、女子の荒波に揉まれて来いとかそんな理不尽な事ではありません」


ホッとしたのも束の間、海原さんはトンデモ無い任務を僕に課した。

129 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 02:14:38.98 ID:EmJ+Gkyk0
一枚の写真を僕に見せる海原さん。
そこに写っていたのは、今の僕と同じ制服を着た金色長髪の女性。お姫様、女王様を思わせる様な雰囲気。


海原「彼女を知っていますか?」

香焼「……一応」コクッ


超能力者第5位『心理掌握(メンタルアウト)』こと、食蜂操祈(しょくほうみさき)。
天草式若衆独自の調べでも名前と能力くらいしか分かっていない。


土御門「まぁそうだろうな。正真正銘『常盤台の女王蜂』に、魔術サイドはそう易々と近づけないぜ」コクッ


彼女の能力『心理掌握』は、謂わば魔術師にとって困る能力だ。
心理・精神の分野は魔術サイドと科学サイドにおいて、非常にアヤフヤな立ち位置にある。ぶっちゃけ、対処法が難しいのだ。


土御門「俺が天草の若衆にヤツの詮索を命じなかったのはその為だ。実力派である筆頭五和でも、捨て駒にし兼ねんからな」

海原「第6位第7位同様、彼女もまた暗部にとって扱い辛い存在です。多分、理事会も手を焼いているのやもしれませんね」

香焼「はぁ……でも、何でそんな話を?」キョトン・・・

海原「今回の修行(任務)は……彼女との接触です」


え……あんだと?


香焼「な、そ、そんなの! 修行にならないっすよ! レベルが違い過ぎっす! 五和や土御門が相手に出来ない人を自分が」アタフタ・・・

海原「話を聞いて下さい。要は接触で良いのです。何なら一目見るだけでもいい」コクッ

香焼「……い、意味が分からない」

土御門「腹を割って話してやる。正直言って、これは魔術師としての探りだ。暗部は関係無い」

海原「はい。超能力者の中で彼女と削板軍覇ほど厄介な人はいない。故に、誰かが接触して情報を得る他無いのです」

香焼「で、でもそれなら海原さんの変装でも」アタフタ・・・

海原「いえ、怖い話ですが……多分、彼女に対して暗部の情報は筒抜けです。自分の存在も、もしかしてドラゴンの存在すらも」ボソッ・・・


良く分からない単語が出てくる……話が大きくなるにつれ、恐怖心が増した。


土御門「あわよくば、友好関係で有りたいんだ。一方通行や御坂美琴、麦野沈利、削板軍覇とはそれなりの関係を維持できてる」

海原「無論、そこに自分達が『魔術師』であるという存在を伏せているという優位性があります」

香焼「それを……食蜂さんにも」ウーン・・・


何とも気が遠くなるような話。やはり修行としては荷が重過ぎる。

130 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 02:33:24.93 ID:EmJ+Gkyk0
暫時無言……承諾し兼ねる重責の提案。
真面目な目を向けそれを『修行』と告げる2人を余所に、沈黙していた1人の女性が言葉を発した。


御坂蛇「……私にも、良く分かりませんが」フム・・・

香焼「…………、」チラッ・・・

御坂蛇「所詮……『その程度』でしたか、とミサカは吐き捨てます」フンッ

香焼「っ」


言葉は続く。


御坂蛇「師匠。この修行で、彼が死ぬ可能性は? または相応のデメリットは?」チラッ・・・

海原「死にはしないでしょう。ただデメリットは……最悪、彼に対する記憶の改竄(かいざん)」

香焼「き、おくの……、」タラー・・・

御坂蛇「……まるで怖くありませんね、とミサカは切り捨てます」

土御門「それは、お前が人形(クローン)だからだ。並の人間は恐怖するもんだぜぃ」

御坂蛇「それこそ甚だ勘違い。人形は人形でも殺戮機械(キラーマシーン)の類だと、ミサカは自負しています」


これ以上捨て去る記憶が存在しない……弄られても恥じるという感情が沸かない、という意味か。


御坂蛇「まぁ……此処で立ち止まるのも手でしょう。ただし、言葉通り貴方は以降も『此処まで』です、とミサカは予見します」

香焼「……嫌、だ」ボソッ・・・

御坂蛇「……ふっ」ニヤリ・・・

海原「あー……無論、この話を持ち出したのはある程度の勝算有りきですよ。その点は安心して下さい」

香焼「先に、その説明が欲しかったっすよ」ハァ・・・


彼女の能力は学園都市最高の精神系能力。記憶の読心・人格の洗脳・念話・想いの消去・意志の増幅・思考の再現・感情の移植など。
精神に関する事ならなんでもできる十徳ナイフのような能力だ。

ただ、それを防ぎ得る方法があるというのであれば、それを教えてもらいたい。


海原「彼女の能力は確かに強大だ。貴方が想像している力を『深く』と表現するなら、更に『広く』も付け加えられる」

土御門「所謂、集団催眠なんかも遣って退ける訳だぜぃ」クイッ

海原「しかし……これを破った者も、数名居る様です」


それは、僕が知る得る人達の名前だった。

131 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 02:52:15.89 ID:EmJ+Gkyk0
同じく、常盤台中学の超能力者(エース)……御坂美琴。


海原「心理掌握は、能力を使用する際『リモコン』を使用するそうです。それが如何いう仕組かは未だ知り得ない」

香焼「……それを御坂さんが?」

海原「ええ。きっとこう察したのでしょう……媒体がリモコンであるなら、もしや電磁波・逆電波に弱いのでは?」

香焼「まぁ確かに……それで?」

海原「はい。見事、電磁障壁(バリア)を張ってそれを凌いだそうです」


成程……でも何でそんな情報を知っているんだ? 彼女に対しての情報は不透明ではなかったのか。


土御門「残念ながらその通り。だが、今話したのは『御坂美琴』の情報だ」

香焼「え?」ポカーン・・・

土御門「ハハハ。海原(コイツ)は御坂美琴の情報だったら何でも持ってる変態(ストーカー)野郎だぜぃ」

海原「土御門。言い方があるでしょう? 僕はいつでも彼女を見守っているだけです」フフフ・・・

香焼「…………、」タラー・・・

海原「兎角、此処で仮説をたてました。この電磁障壁を張る事さえ出来れば記憶改竄を恐れる必要はないのでは無かろうかと」


チラリと蛇さんを見遣る。


海原「ええ。スネーク……妹達(シスターズ)を必ず、サポートに回しましょう」

香焼「それは頼もしいっす。でも、蛇さん達が常に一緒に居てくれるんすか?」

海原「ふふふふ……いえ、貴方を監視して尚補助できます。その為の『チップ』です!」

香焼「な、何だって!? そんな意図があったんすか!?」ギョッ・・・

海原「まぁ試す前では有りますが、先程の様に電流を流せば洗脳される事は無いと思います」


理論的には、外に向けて障壁を張れなくても体内(内側)になら張れるとの事。
先日の『結界』と似た方法だ。


海原「あとはこの話に乗るか乗らないかです。如何します……弟子よ」ニヤリ・・・

香焼「…………、」


此処まで言われて、引き返したり出来ない。僕は引き続き彼に指示を仰ぐ事を選んだ。

132 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 03:24:44.20 ID:EmJ+Gkyk0
さて、決意はしたが具体的な色々が分からない。
まず学舎の園内への侵入方法。それから食蜂操祈の居所。そして何より……接触して如何するか。


海原「順にお答えしましょう。まず一つ目……これを」スッ・・・

香焼「……学生証?」キョトン・・・

海原「ええ。一応僕は『海原光貴(理事長の孫)』なので、こういうのを準備出来るんですよ」フフフ・・・

土御門「つまり、女装したお前の証明写真を使って理事校に次ぎ『2つ目』の学籍をゲットする」

香焼「え、えええぇ!? できるんすか!?」

土御門「おいおい。お前ら天草若衆をポンと学園都市に引き入れたのは誰だ?」ニヤリ・・・


成程。この為の土御門(多重スパイ)か。


土御門「次回までには俺が戸籍を準備し、海原が学籍を準備する……神崎香(もう一人のお前)のな」

香焼「存在しない『コウサキカオル』って……すぐばれないっすかね?」ハァ・・・

土御門「容姿については問題無い。完璧だ。ぶっちゃけその姿で魔力と殺意消して近付いて来られたら一発で刺されるだろう」

海原「暗殺について、容姿は重要ですよ。例えばアイテムの絹旗最愛の様な見目『ただの子供』が『殺人鬼』だと誰が思いますか?」

香焼「…………、」

海原「実際、幼いとか可愛いとかそういった見た目の輩は、暗殺者に向くんです」

土御門「しかもお前みたいに素早く小柄で、短刀なんてモンを得物にするタイプは尚更。窒素装甲なんて派手で目立つ能力よりもずっとな」

海原「彼女を悪く言うのではありませんよ。ただアレは……壊し屋です。第4位が『可愛い暗殺者』と重宝している様ですが、暗殺、ではない」

土御門「その点、お前は完璧だな。誇っていいぞ」


初めて親しい同年代より優れていると言われた。しかも大能力者(レベル4)たる最愛よりも可能性があると言われた。
だが……まったく、嬉しくない。


土御門「ったく……相変わらず甘ちゃんだな。アレはそういう生き方しか出来ないと何で言えば分かる」フンッ

香焼「もう、最愛の話はしないでください」

海原「……分かりました。次の疑問に答えましょう」


そう言って、土御門の部屋に在ったノートパソコンを開き……学舎の園のマップを映した。

133 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 04:03:43.76 ID:EmJ+Gkyk0
5つの学校を主に、他にも様々な施設・店が並んでいる。


海原「十中八九、常盤台中学に居ます」ピッ

香焼「学生証さえ出来てしまえば侵入は可能っすけど……自分は白井さんや御坂さんに顔が知れてるっすよ」

土御門「だから心配すんなって。今のお前は絶ッッッ対に香焼某(それがし)だと気付かれない」

海原「それにですよ。この学舎の園内では、ぶっちゃけ魔術を使い放題です」

香焼「はぁ!?」

海原「あはは。まぁ言い過ぎですね。同業者(魔術師)が居ないので、結界や気配遮断の術を気兼ね無く使えるという意味です」


つまり人目につく派手な術以外は使えると言う事だろう。


土御門「そういえば先日調べておけっつった『5感』を消す術式見つけたか?」

香焼「聴覚と味覚と嗅覚を消すのは見つけたっす」

海原「うーん、味覚嗅覚は要らなかった……ドチラかと言えば視覚を消せる術が欲しかったですね」

香焼「有ったには有ったんすけど電磁レーダーとか監視カメラ、赤外線装置には引っかかっちゃうみたいっす」

海原「となると……スネーク」チラッ・・・

御坂蛇「私の光学迷彩とチャフを貸せと? お断りします。そんなモノに頼っては修行に成りません、とミサカはそっぽ向きます」フンッ


光学迷彩なんてモノ持ってるんだ。学園都市凄ぇ。


土御門「まぁまぁ。だが嗅覚を消せるのは大きいかもしれん。警備用の犬が居たりするからな」

海原「因みに、聴覚を消すのは如何いったタイプの魔術ですか?」

香焼「自分が触れているモノ……声、吐息、衣擦れ音や足音限定っす」


例えば自分の手から離れてしまったモノに対しては無意味な術だ。
加え、触れているからといって手を繋いでいる人間の声は消したりできないし、ナイフで何かを削ったら金属音は鳴る。


海原「十分かと。後は実戦で使えるかどうかですね」

土御門「視覚に関しては……俺らが『死角』について教えていこう。多分、ねーちんも詳しいから聞くと良い」


確かに詳しいだろうが、姉さんはあまり『死角』という言葉は好きではない筈。
魔術師なのに武士道騎士道を重んじるタイプの人だから『止む得なし』の状況下にならねば、『死角』なんて使ったりしない。


海原「ですが、潜入・暗殺者としては大事な所です。覚えていて損は無い」


まぁこれは追々だろうし、深くツッコむ必要はないか。

134 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 04:42:30.47 ID:EmJ+Gkyk0
兎にも角にも、常盤台に入ってしまえば嫌が応にも食蜂操祈の居所は分かるらしい。
その辺は自分で情報収集するのも潜入(スニーキング)の基本だと蛇さんが忠告した。


海原「では三つ目ですね……これはお任せします」

香焼「お任せって、そんなアバウトな」

海原「監視だけでも良いし、挨拶くらいの言葉を交わしても良い。貴方が『香焼某』だとばれなきゃOKです」

香焼「接触というか、彼女を見つける事さえ出来れば問題無しという訳っすね」

海原「ええ。ま、別にお話したければしても良いですよ。存外、話してみれば面白い女性かもしれませんからね」クスッ


いや、でもまったく素性の知らない人と如何話せば良いか。


土御門「その点は問題無いだろ。カミやん病患者だし……近付けば勝手に『縁』が生まれんじゃね」ニャハハ

香焼「は?」

海原「ふふっ、そうですね。それで友好関係を築ければ尚良し。期待しましょう」

香焼「……はぁ」ポリポリ・・・


最低限は発見監視。ベストは友好関係を築く事か……では中間を取って挨拶程度を目標に置こう。


海原「それでも良し。では説明は此処までです」

土御門「あとは先日言ってた呪符の制作と、覚えてきたっつー3感を消す術を見せてもらう事にしよう」

海原「あ、それと『第6感』についても本格的に講義しましょう。少々休憩を挟んだら開始です」

香焼「了解っす」コクッ


土御門が立ち上がり、冷蔵庫からコーヒーを三本、此方に投げてきた。


御坂蛇「どうも……そういえば」フム・・・

海原「何か?」

御坂蛇「いえ、特殊メイクについては如何しますか? 準備を忘れたので正直今日は……とミサカは口籠ります」

海原「構いませんよ。多分、まだ特殊メイクを覚えるのは早い」

香焼「ボイスチェンジャーとかウィッグとか、覚えなくて大丈夫っすか?」

海原「うーん……毛先結合タイプのウィッグは次回にしましょう。ボイスチェンジャーは、貴方に必要有りません」

御坂蛇「それより、胸や股間は如何しますか? とミサカは妹弟子の貧相な胸を見遣ります」チラッ・・・

土御門「にゃはは。パッドとブラでもするか? あと去勢する?」ニヤリ・・・

香焼「じょ、冗談じゃないっす!」アタフタ・・・

海原「あはは……まぁ大丈夫でしょう。まったく胸囲の無い娘は居ますし、股間については現状目立ちませんから」

土御門「勃ったらどーすんだ?」ハハハ

海原「……勃たない様に、頑張れとしか言えませんね」ハハハ・・・


ええ、死活問題なので頑張ります。

135 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 04:55:00.80 ID:EmJ+Gkyk0
ではもう数点、と蛇さんが続ける。


御坂蛇「やはり口調が気になりますね、とミサカは妹弟子を威圧します」ジトー・・・

香焼「うっ……で、でも、いきなり直せって言われたって」ウーン・・・

土御門「んー……香焼。蛇の事『お姉ちゃん』って呼んでみろ。それから海原を『お兄ちゃん』だ」

海原「……は?」ポカーン・・・


意味が分からない。


香焼「……お姉ちゃん?」チラッ・・・

御坂蛇「っ!!? お、ぅ……こ、これはっ!?」ギョッ・・・

香焼「……お兄ちゃん」チラッ・・・

海原「はぁ」ポリポリ・・・

土御門「ははは。耐性有る無しの違いか」


心成しか蛇さんの息が荒い。あと目が更に怖い。


御坂蛇「い、いけない……こほんっ。と、兎に角! 口調は変えなさい、とミサカは再三注意します」メッ

香焼「はい、蛇さん」コクッ

土御門「蛇、お姉ちゃんって言え」ボソッ・・・

香焼「え? あ、えっと、分かりました。蛇(スネーク)、お姉ちゃん」コクッ

御坂蛇「」プシュー・・・

海原「はっはっはっ。これはこれは」ニヤニヤ・・・


何だこれ?


土御門「まぁそうだな。さっきも言ったが切り替えだ。自分の中にスイッチを作れ」

香焼「スイッチ?」

海原「ええ。自分すら騙す。まさに『役者』、『仮面』の如くですよ」

香焼「成程」フム・・・


そういうのは道化師たる土御門や浦上、猫被ってる五和が上手そうだ。

136 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 05:15:09.35 ID:EmJ+Gkyk0
休憩時間で有っても必要な事をメモし、今後に活かす。
例えそれがどんな些細な事であってもだ。


御坂蛇「くっ……危なかった」グイッ

海原「あ、戻ってきた」

御坂蛇「この程度でやられる私ではありません、とミサカは意地を張ります」ムムム・・・

土御門「にゃははは。目覚めちまえば楽だぞー」ニヤリ・・・


一体何の話をしてるのやら。


御坂蛇「す、スイッチの話でしたね。例えば身につけるモノで意識を変えれば良いのです、とミサカは助言します」

海原「本来、女装した時点で簡単に切り替わる筈なんですが……何故でしょうね」フム・・・

土御門「普段がコンプレックスの塊だからだろうな。女々しいだの何だの……正直、女装に嫌悪感しかないのだろう」フフフ・・・


他人にそれを言われるのは腹が立つな。


海原「では眼鏡やピアスなどで切り替えるとか」

土御門「無駄だろうな。女っぽい上に、更に拍車を掛けたこの恰好で有る以上は何しても意味がないだろう。無意識に嫌なんだにゃ」

香焼「むぅ……努力します」

御坂蛇「意識的に直そうと念じれば変わるモノですよ。さて、では気になっていた事ですが……とミサカは妹弟子を見遣ります」

香焼「はい?」

御坂蛇「貴女、一人称は?」

香焼「え?」

御坂蛇「先程から人称無しの話ばかりです。如何するのです?」


そんな事言われても……特に考えてない。


土御門「お前、普段は海原と同じく『自分』が一人称だよな」

香焼「はい」

海原「成程。それを変えれば口調は変わるかもしれませんね。普段と異なる人称に言葉が引っ張られる可能性もあります」

香焼「でも、これも口調で」ウーン・・・

御坂蛇「お黙る。私とかアタシとか……兎角変えなさい、とミサカは命令します」ビシッ

香焼「えー」タラー・・・

御坂蛇「…………、」スッ・・・ビリ・・・

香焼「わ、分かりました! 変えますよ!」アタフタ・・・


『口調』かぁ……存外難点だな。
その後『自分』のスイッチの切り替えを探りながら3人の師事を受け、この日の修行は終わった―――

137 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/06(日) 05:24:25.02 ID:EmJ+Gkyk0
今回は以上です。また長引いた……パパッと切り上げないとね。


・アンケートというかリクエスト募集・・・神崎香(香焼の女装)の口調&人称について!
例)一人称:私、アタシ     二人称:アナタ、○○さん、君     口調:普通の丁寧語、淡々とした喋り方


適当に意見下さい。ではまた次回! ノシ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 13:05:55.83 ID:JONTRM7IO
一人称:あえての僕
二人称:キミ
口調:クールだけど天然っぽく
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 15:41:36.87 ID:bIvoVY1DO
一人称:僕っ娘!
二人称:タメ、下、気に入った人は呼び捨てか君。上はお兄さん、お姉さん。
口調:全体的に子ギル(若返ったAUO)
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/06(日) 19:34:09.75 ID:LJWNw1Fpo
一人称:僕
二人称:貴方
口調:(超、以外)絹旗を意識したもの
141 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/06(日) 21:25:35.18 ID:XQuGVyxX0
こんばんわ。続きです。

皆、僕っ子好きだねw
口調は丁寧で、クールっぽくってところかな?

とりあえず投下。あと操祈さんについての知識が乏しいので、助言頂けると嬉しいよ。
そんじゃ投下!
142 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 22:05:59.60 ID:XQuGVyxX0
 ―――はたまた別日、AM07:30、学園都市第7学区、学舎の園、常盤台中学・・・・・







とある平日。現在『学舎の園』東門前。

修行――という名の調教――をこなし、遂に任務結構の日。
女教皇様や五和達にも内緒で、二つ目の戸籍と二つ目の学籍を手に入れ、名門常盤台中学へ潜入する。

女装(メイク、ヘアセット)は完璧。ついでに黒のタイツとを穿き、藍色のシュシュ(※)を腕につける。
これは一種の自己暗示。自分の中から『男』を消しさる。                      ※ただいま。第E(17)話参照。

門に入る前に、専用に渡された携帯を手に取り、土御門達へ連絡を入れた。


土御門『おう。準備は良いか?』Pi!

香焼「…………、」コクッ・・・

海原『校門で妹達(シスターズ)の一人が貴方を待っています。学校外では共に行動してください』

香焼「蛇さん?」

海原『いえ、別の妹達です。スネークを遠目から貴方を監視兼サポートします……5時の方向、後方の茂みを』


振り返る……林の方でライトらしきモノが2,3回光った。


御坂蛇『―――今回、私は師事(指示)側です。連絡はメールで行いましょう。その方が自然です、とミサカは助言します』

香焼「了解」

土御門「良し。それじゃ行って来い」


通話を切り、門へ向かう。女性の守衛さんに一礼し……如何にも『普通』に園へ侵入した。
まずは連絡係の妹達と合流しないと。確か『御坂丸』さんって、蛇さんが言ってたな。メールで合流ポイントを確認しよう。


香焼「……ポプラ並木通りの噴水近く、かぁ」チラッ・・・


ポプラ並木通りは常盤台へ続く道だった筈。言われた通り、其方に向かうと……発見。
道行く女子達から『ごきげんよう、御坂様』とか『おはようございます、御坂さん』とか挨拶されている。

多分、御坂さん本人(オリジナル)と間違えているのだろう。


香焼「……って、そんな事考えてる場合じゃない。アッチに行かないと……―――……おはようございます、御坂丸さん」チラッ・・・

御坂丸「―――ええ、おはよう―――うん、おはようございま……って、あら?」ピタッ・・・

香焼「おはようございます。蛇の使い……です」コクッ

御坂丸「やっと来ましたか……とミサカは安堵します」ホッ・・・


御姉様(オリジナル)のイメージを崩すまいと健気に挨拶を続ける御坂丸さん。


香焼「……移動しましょうか?」チラッ・・・

御坂丸「そうですね。御姉様と鉢合わせるのも拙いですから……とミサカは常盤台校舎の方を指差します」クイッ

香焼「了解……です」コクッ・・・


とりあえず、校舎付近の目立たない辺りへ移動する事にした。

143 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 22:30:18.90 ID:XQuGVyxX0
学校の敷地内に入り、人気の無いプール脇の方へ移動する。
ただでさえ『御坂美琴』の容姿は目立ってしまうのだ。ぶっちゃけこの任務の協力者人選はミスってる気がするが、仕方あるまい。


御坂丸「ふぅ……やれやれ、人気者は辛いですね、とミサカは御姉様の偉大さに苦笑します」ハハハ・・・

香焼「お察しします」ペコッ・・・

御坂丸「さて、では自己紹介です。個体番号10039号、通称『御坂丸』です。よろしく、神崎さん」ペコッ

香焼「え、あ……はい」コクッ・・・


神崎と呼ばれた……もしかして、僕が『香焼(男)』だという情報は行ってないのか?


香焼「あの、御坂丸さん。今回の件は何処まで聞かされてますか?」

御坂丸「学校外での貴女をサポートする事。と命を受けてます、とミサカは質問に応えます」

香焼「僕については?」

御坂丸「貴女について? って……僕っ娘!?」ギョッ・・・

香焼「え」タラー・・・

御坂丸「ちょ、待……―――(MNW中)―――……プロスネーク! 何で今まで黙ってたんですか!」ガー!

香焼「あ、あの、御坂丸さん?」タラー・・・

御坂丸「で、伝説の僕っ娘だなんて聞いてません! こんな可愛い娘に『僕』なんて言われたら百合っ子じゃなくともドキンと来ます!」


一体、一人で、何を言ってるんだ?


御坂丸「あーもう……こほんっ……すいません。少々取り乱しました、とミサカは謝罪します」ペコッ

香焼「い、いえ……それで、僕の事は何処まで?」

御坂丸「はい……神崎香、13歳、A型、148cm、37kg。3サイズは70・58・71。処女。強度(レベル)は強能力者(レベル3)の―――」

香焼「……え?」タラー・・・

御坂丸「―――……おや? 何処か間違っていましたか? とミサカは確認します」


何、その、詳細? ソースは何処?


御坂丸「ソースはMNW(ミサカネットワーク)と海原光貴(スネークマスター)です、とミサカは返答します」

香焼「そ、そうなん……ですか」アハハ・・・


自分が知らない所で勝手にステータスが作られてる。あの人達怖い。
とりあえず、この人は僕が『香焼(男)』だって事は知らない訳か。成程、この人達にも隠せと……無理難題を仰る。

144 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 22:51:35.99 ID:XQuGVyxX0
さておき、これからについてだ。


御坂丸「既に聞いているでしょう。貴女は彼(か)の学校に所属こそしていますが、クラスに割り振られていません」

香焼「一応、一年生の特殊学級という扱いらしい……です」

御坂丸「故に、好き勝手行動できますがそれでは確実に怪しまれます、とミサカは忠告します」

香焼「知らない人が僕を見たら、不審がりますからね」

御坂丸「かと言って、同じ場所に居座り過ぎても不思議がられますね。気を付けて下さい」コクッ・・・


食堂、図書館、人気の無い場所を定期的に行き来すれば大丈夫だろう。
もしくは空き教室に人払いの結界を張ってしまえば問題無しだ。この学校に魔術師は居ない筈。怪しまれる事は無い。


御坂丸「揉め事は起きないとは思いますが、何かあった場合はスネークに連絡を。最悪、突入してサポートします」

香焼「了解……です」コクッ・・・

御坂丸「OK……それにしても、中一でお化粧とはおませさんですね、とミサカは微笑みます」フフフ・・・

香焼「駄目……ですか?」

御坂丸「いえいえ。まぁそのくらいの薄化粧なら教師から文句は言われないでしょう、とミサカは推測します」コクッ


メイクを落とせなんて言われたら一発アウトだからな。


御坂丸「しかし、人の事は言えませんが独特な喋りですね。『です』の前に間が空く。敬語が苦手ですか?」

香焼「ええ、まぁ。得意ではない……です。変でしょうか?」コクッ

御坂丸「いえ。この街には色んな口調の人が居ます。貴女はまだ落ち着いている方でしょう、とミサカは自身と比較して苦笑します」ハハハ


これは無理矢理矯正した結果だ。
どうしても『○○っす』になってしまうので、それなら一旦矯めを作り『○○……です』と話すようにしたのだ。


御坂丸「さてさて。そろそろチャイムが鳴ります……ご武運を。ミサカは外でお待ちしております」ペコッ

香焼「はい。ありがとう、御坂丸さん」コクッ


物陰へ去っていく御坂丸さん。さて、これから校内へ潜入する。


香焼「……任務開始」スッ・・・


チャイムと同時に、上履きへ履き替え、散策を開始した。


145 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 22:55:25.84 ID:XQuGVyxX0
さて、まずは何処へ向かおう?


香焼「結界作りも良し。気配遮断をしながら校内見学するも良し……それじゃあ―――


@図書館

A保健室

B食堂

Cその他(具体的に)


              >>148

146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 22:58:17.35 ID:AtN4yq44o
ksk
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:02:27.54 ID:xT42R8+po
ksk
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:04:34.49 ID:bIvoVY1DO
B
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 23:04:42.25 ID:ZCftqlJWo
B
150 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 23:41:02.88 ID:XQuGVyxX0
―――この時間、人気が無いのは食堂か。
僕も一応、昼飯はそこで取るって話だったし、行ってみよう。


香焼「……それにしても、広いなぁ」キョロキョロ・・・


学舎の園の中でも一番の敷地面積を持つ常盤台。
僕が主に通う理事校も大きい学校なのだが、其方はビルタイプ。ドチラかといえば広いではなく『高い』校舎だ。
だが、此方は駄々っ広い敷地に万遍無く校舎施設が並んでいる感じで……ぶっちゃけ、新鮮で移動するのが楽しい。


香焼「えっと……此処っすね」ウィーン・・・


自動ドアを潜り、食堂に入る。これまた広いの何の。
予想通り人気は無く、閑散としている有り様。


香焼「食券とか買うのかな?」チラッ・・・


しかし券売機は存在しない。直接注文タイプか?


??「そこのお嬢様。何をしているんだー?」

香焼「っ!」ビクッ・・・


ヤバい。人が居た。


香焼「え、あ、その……えっと」アタフタ・・・

??「お昼はまだ早いぞー。授業耽(ふけ)るのは構わないけど、今はまだ掃除中&準備中なんだよー」

香焼「す、すいません」アタフタ・・・

??「……何か、珍しいタイプのお嬢様だな」フム・・・


拙い。怪しまれたか?


??「……何年生?」

香焼「一年生……です。貴女は、給仕さんでしょうか?」

??「あら? 知らないのかー。繚乱の生徒だよー。繚乱家政女学校」


繚乱家政女学校……確か給仕(メイド)養成学校だ。
一部のエリートメイドは学園都市内を縦横無尽に『実地研修』していると聞く。まぁお嬢様校たる常盤台に居ても可笑しくないだろう。
しかし、従属者を育成する学校があるっていうのは驚きだ。ぶっちゃけ人種差別だろう。

でも、聖人のシルビアさんも給仕してるし……メイドって何なんだろう。昨今じゃ差別職業・用語じゃないのかな。


??「おーい、聞いてる?」

香焼「あ、はい。すいません。繚乱さん……ですね。お話は伺っています」

??「ふーん……名前は?」

香焼「え? えっと……神崎香といいます。貴女は?」

舞夏「私は土御門舞夏だぞー。よろしく、香」ニカッ

香焼「…………土、御門?」キョトン・・・

舞夏「うん」コクッ

香焼「……あー」タラー・・・


例の『義妹』殿か。こりゃ色々拙いな。

151 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/06(日) 23:56:45.99 ID:XQuGVyxX0
これ以上、彼女と接触するのは危険だと思う。
急いでこの場を離れようと考えた瞬間……海原さんからメールが入った。


香焼(な……『コネを作れ』って、彼女と?)チラッ・・・


蛇さんの監視が、直接海原さん達にも通じているのだろう。
しかしコネって……と悩んでいる最中、今度は土御門からメール。


香焼(『即行離れろ。てかお前、後で覚えてろ』……ぼ、僕悪くないよ!)アタフタ・・・


偶然って怖いですね。


舞夏「どうしたんだー?」

香焼「ど、どうもしませんよ……えっと、この時間帯で人気の無い場所って何処かあります?」

舞夏「んー、色々穴場はあるけど、何で?」

香焼「えっと……その」ポリポリ・・・

舞夏「ふふーん……成程なるほど。香ちゃんは不良生徒って訳かー。校舎裏で煙草喫かしちゃうタイプかい?」ニヤリ・・・

香焼「ち、違いますよ!」アタフタ・・・

舞夏「ふふふ。良き哉佳き哉。一人くらい悪(ワル)が居た方が楽しいぞー。御坂とか白井も結構悪だしー」ハハハ


知り合いの名前が出てきたが、スルーで。


舞夏「そうだ。案内してあげよう。掃除も粗方片付いたしー……香ちゃん、面白そうだしなー。色々話聞きたいぞー」ハハハ

香焼「…………、」ダラダラダラ・・・


拙いマズいまずい!


香焼「や、やっぱ大丈夫……です。一人で移動します」タラー・・・

舞夏「良いではないかー。良いではないかー」ニヤニヤ・・・ガシッ

香焼「いっ!!」ビクッ

舞夏「うふふふ。何なら事務室に案内してやっても良いぞー。お茶の一つでも出してやろう」ツンツン・・・


危ない! 主に、土御門のボルテージがヤバい気がする!


香焼「ま、舞夏! 上司さんに怒られちゃいますよ!」ダラダラ・・・

舞夏「私の上司も大概不良だからねー。ほらほら、合瀬とイこうじゃなーい」グイグイッ・・・

香焼「あわわわわ」ダラダラ・・・


殺される……土御門に殺される!


152 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 00:10:36.11 ID:+eWsEaMZ0
舞夏さんに腕を引っ張られ事務所に引き釣り込まれそうになる。
如何してこの人はトラブルを起こそうとするんだ。別世界では最愛に義兄妹愛の素晴らしさ訴えて、僕の事抱かせようと(!?)するし。


香焼「ま、舞夏! ぼ、僕これから用事があって!」アタフタ・・・

舞夏「…………、」ピタッ・・・ギギギ・・・

香焼「わ、分かってくれた……ですか」ホッ・・・

舞夏「僕……僕っ娘、だと」チラッ・・・


目が、怖い。


舞夏「ねぇ……香。これから、私の事を舞夏お義姉ちゃんと呼ばないか?」ギュッ・・・

香焼「な、なんでさ!? お、お姉ちゃん!?」ギョッ・・・

舞夏「私は香より一つ上だぞー。最近、義弟か義妹が欲しかったんだよー……ぶっちゃけ義兄だけじゃ飽きてねー」ハァ・・・

香焼「ど、如何いう事!?」ダラダラ・・・

舞夏「それにぃ……百合百合ってのも、最近興味有るんだよー。ちょっと白井に影響され過ぎちゃった所為かなー」ハハハ・・・


遠くで、シスコン軍曹が吐血した気がした。


香焼「ま、舞夏はメイドさんでしょ! お嬢様に手を出したら駄目……ですよ!」アタフタ・・・

舞夏「ふふふふ……禁忌の愛程燃えるモノは無いんだなー、これが」ニヤリ・・・


これはもうピンチの域だ。土御門……お前の教育の所為じゃないか、これ?
兎角、応援を頼みたい……―――


@蛇or御坂丸or土御門or海原に要請

A通りすがりの誰かを待つ

B現実は非常である()


                      >>154

153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 00:12:55.03 ID:UW4fXYdIO
B
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/07(月) 00:13:32.08 ID:e+hcNEnAO
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福島県) [sage]:2011/11/07(月) 00:17:00.47 ID:AkCZidLf0
さて、どこまで現実は非常なのか。
156 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 00:41:07.86 ID:+eWsEaMZ0
―――大声を出すのは拙い。自身を危険に晒すのもさる事ながら、舞夏さんまで立場を悪くしてしまう。
いや、ぶっちゃけこの人が捕まるのは自業自得だろうけど……義兄さんが怖いからなぁ。

やっぱ海原さん達に連絡を――


舞夏「こっちこっち」グイッ・・・

香焼「おわっ!?」ビクッ!

舞夏「事務所、行くぞー。それとも食堂裏の人気の無い階段の方が良いかなー」フフフ♪

香焼「な、何でそんな場所に!?」ドキッ・・・

舞夏「何でって……さっき、言ったぞー。二度、言わせるのかー?」ペロッ・・・


舌舐めずり。土御門……お前の義妹はキ○ガイか?


香焼「だ、駄目駄目駄目……です! 色々、有り得ません!」カアアァ・・・///

舞夏「真っ赤になっちゃってー。実は期待してるんじゃないのかー?」ニヤリ・・・

香焼「違います。そういう問題じゃない……ですよ! 好き合ってないのに、そういうのは駄目なん……です!」アタフタ・・・

舞夏「ふふふ、ウブなんだねー。可愛いぞー。ところでその口振りからすると、百合的なアレには抵抗無い訳だー。流石常盤台の生徒」フフッ


ありまくりすてぃー! 同性愛とかマジ勘弁!


香焼「ぼ、僕は、クリスチャン……です。だから、不貞は許せません!」ジタバタ・・・

舞夏「……ますます、燃えるぞー。背徳の限りだねー」フフッ・・・

香焼「ゆ、歪んでる……っ」タラー・・・


抵抗しても良かったが、傷付けた瞬間……土御門の式神がブっ飛んできそうだったので、結局無抵抗のまま事務室に運ばれた。


舞夏「大丈夫……私に、任せちゃえー。その様子だと、勿論初めてでしょー?」フフフ・・・

香焼「だ、駄目! 初めてとか初めてじゃないとか関係無く、犯罪……ですよ!」ジタバタ・・・

舞夏「ああ、犯罪……素敵な言葉」コウコツー・・・


もはや普通の貞操観念が無いのか……土御門め。どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!


舞夏「安心しろー。処女まで奪わない……ふふっ。でもちょっと痛いかもしれないなー」ニヤリ・・・

香焼「……っ」グッ・・・


仕方ない。こうなったら土御門の折檻覚悟で、気絶させてでも―――

157 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 01:01:56.61 ID:+eWsEaMZ0
 **********<HQ(本部)>************


御坂蛇『拙い! 香をロストしました、とミサカは報告します』タラー・・・

海原「これは……如何しましょう」タラー・・・

土御門「……スネーク、やれ」ボソッ・・・

海原・御坂蛇「『え」』ピタッ・・・

土御門「自業自得だ……死んでも構わん。電流流せ」ギリリ・・・

海原(いやいやいやいや! 悪いのアンタの義妹ですよ!?)ダラダラ・・・

御坂蛇(し、師匠! どうしましょう!?)アタフタ・・・

土御門「流せと言っているッッ!!」ガンッ!!

海原「っ!! す、スネーク! 確かに急場は凌げるかもしれません! 許可します!」タラー・・・

御坂蛇「ら、了解―――」スッ・・・


 **********<香焼side>***********



―――……初歩的な暗示の術式を掛けて、寝かせよう。


舞夏「ふふふ……胸もペチャん娘だなー。全体的に線が細い……お人形さんみたいだねー」ススス・・・

香焼「っ」グッ・・・///

舞夏「ストッキングを少しずつ、破いてくのも……まぁそれは後にして、キス、しちゃう?」スッ・・・


眼と眼が合い、顔が近付く……此処だ!


香焼「セット」ピッ・・・

舞夏「……え」キョトン・・・

香焼「―――、―――……ごめん」グッ・・・

舞夏「へ? 何を?」ポカーン・・・


後は三節加えれば―――って―――その時、電流走る……ッ!!


香焼「いっ……あああああぁっ!! や、止めええええぇっ!!」ビクビクッ!!

舞夏「え、な、ちょ!?」ギョッ・・・

香焼「つ、つち、つちみか……らめええええぇっ!! じ、自分、悪く、な、い、あああああぁっ!! ひゃあああぁっ!!」ビクンッ!!

舞夏「か、香!? だ、大丈夫か!?」アタフタ・・・


あの、馬鹿、何で、痛い、ヤバい……電流……自業……違う、変、気持ちいい、悪い……苦しい、快感、激痛、死にそう。


舞夏「ま、待ってろ! 今、保健医連れてくる!」アタフタ・・・

香焼「しょれ、だめえええぇっ!! じ、自分でいくううううううぅっ!! ひ、ひぁああああぁっ!!」ビリビリ・・・

舞夏「だ、だってヤバいぞ!?」ダラダラ・・・

香焼「し、死ぬ死ぬうううぅっ!! とめ、止めてええええぇっ!! ごめ、ごめんな、しいいいいいぃっ!!」ブルブル・・・

舞夏「だ、誰かーっ!! 担架持ってきてー!」ギャー!


もう、記憶……真っ暗……真っ白……あ、御坂、さんの顔……もう……駄目……―――

158 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 01:24:03.78 ID:+eWsEaMZ0
 ―――はたまた別日、AM11:30、学園都市第7学区、学舎の園、常盤台中学・・・・・







目が覚める……真っ白な天井。真っ白なカーテン。真っ白な部屋。


舞夏「お? 目が覚めたかー?」スッ・・・

香焼「っ!!?」ビクッ・・・

舞夏「あはは。そんなに怯えないで欲しいなー。自業自得なんだけどさー」ポリポリ・・・


此処は?


舞夏「保健室。私と御坂で連れてきたんだぞー。感謝しろー」エヘンッ!

香焼「御、坂?」キョトン・・・

舞夏「そう。常盤台のエース。超能力者第3位超電磁砲こと御坂美琴だー」フフフ・・・


俄かには信じられない。


舞夏「しっかし、いきなり悶え出して気を失ったからビックリしたぞー」ウーン・・・

香焼「……っ! な、何も、変な事してない……ですよね?」タラー・・・

舞夏「あれれ? やっぱ期待してたー?」ペロッ・・・

香焼「し、してません!」カアアァ///

舞夏「ははは。冗談冗談。流石に気絶してる相手の貞操奪う程落ちぶれちゃいないからなー。死姦の趣味は無いぞー」フフッ

香焼「し、死んでない……ですから」タラー・・・

舞夏「ふふっ。いやーそれにしても……さっきのは一体何なんだー?」ジー・・・

香焼「えっと、実は……―――」


事前に決めといたマニュアル通り、架空の『突発性電気発作アレルギー症候群』の説明をした。


香焼「―――そういう病気を持ってる……です」コクッ・・・

舞夏「新種の科学病ねー……何それって言いたいけど、実際見ちゃったから何ともなー」ウーン・・・

香焼「あはは。僕も困ってます。(考えたのは貴女のお義兄さんっすけどね)」タラー・・・

舞夏「……まぁいいやー。困った時は頼って頂戴なー。さっきのお詫びと、さっきの『続き』を兼ねてねー」ニヤリ・・・


背徳云々は、もう勘弁ですってば。

159 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 01:48:50.73 ID:+eWsEaMZ0
その後、舞夏さんの連絡先を交換し、彼女は仕事に戻った。
因みに『気絶してなきゃ保健室プレイもアリだったねー』と舌舐めずりして出て行った辺り、まだ僕の貞操を諦めてない様だ。

兎角、保険の先生は居ない様なので、書き置きだけ残し部屋を後にする。


香焼「……とりあえず、連絡しよう」Pi!


人が居ない中庭の隅の方へ移動し、海原さんへ電話を掛ける。


香焼「……もしもし」Pi!

土御門『死ね。那由多回死ね。いや、殺す。何回殺して欲しい?』

香焼「……絶っっっ対謝らないぞ」ジトー・・・

土御門『ほぉ良い度胸だ。笑ったり泣いたり出来なくしてや―――ってちょ、まだ電話中――』

海原『もしもし。とんだ災難でしたね』ハハハ・・・

香焼「……いえ」ハァ・・・


土御門はもう冷静じゃ居られないだろうから、外してください。


香焼「それより、現状を」

海原『はい。彼の義妹さんに犯されそうになった際に、電流を流しました。これに関しては謝りませんよ。必要行動です』

香焼「……はぁ」タラー・・・

海原『因みに、貴方を保健室に運んだのは御坂丸(10038号)です。無論、御坂さん本人ではありませんよ』


成程。ついでに舞夏さんを騙してくれた訳か。


海原『ええ。では今後の指示を……とりあえず、放課後まで食蜂操祈(ホシ)との接触は控えましょう。ま、状況次第ですが』

香焼「了解っす。放課後までは如何しましょうか」

海原『任せます。ですが、先程の様な事態は避けましょう。色々危険です』

香焼「ええ……それじゃまた連絡します」

海原『はい。土御門は此方で宥めておくのでご安心を。それでは』Pi!


宥めておく、か。まったく、とばっちりも良い所だ。
さて……次は如何しよう―――


@昼食(売店)

A昼食(再び食堂に)

B食蜂操祈の確認

Cその他(   )



                       >>161

160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 01:50:51.77 ID:SgNJkPxbo
ksk
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(中国地方) [sage]:2011/11/07(月) 01:55:15.05 ID:p9rKxv5T0
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 01:55:25.30 ID:6oT+ugMjo
@
163 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 02:17:58.55 ID:+eWsEaMZ0
―――……一度、本人の確認をしておいた方が良いだろう。
接触さえしなければ、海原さん達も許可してくれる筈。


香焼「それじゃあ教室かな……って、そういえば……あれ?」


食蜂操祈って、何年生?


香焼「女王なんて呼ばれてるから一年生では無い筈だけど……どうしよう」ウーン・・・


とりあえず二年の学舎と三年学舎に行ってみよう。人だかりが出来ていればその中に彼女が居る筈。
再び広い敷地を移動し……2,3年の教室の方へ向かった。


香焼(なるべく御坂さんと白井さんには合わないようにしないとね……あ、白井さんは一年か)テクテク・・・


それにしても……女子女子女子。女の子ばっか。
普段からアニェーゼ達や最愛達と一緒には居るけれども、こういう如何にも『お嬢様』だらけの環境は初めてだ。
普通なら清々しい所なのだろうけど……一周して、空気が重い。


香焼(いけないいけない……今の自分は女なんだ)テクテク・・・


兎角、一際多い人混みを探そう……って、何やら廊下が騒がしい。もしかしてホシか?


舞夏「―――!」アーダコーダ!

御坂「―――!?」ハァ?


うわっ……何かヤバいモノを見てしまった。此処は一時撤退を―――


舞夏「――だから、さっき私と一緒に……あ、ほら! あの子だー!」ビシッ!

御坂「何言ってんだかサッパリ分かんないんだけど……どの子?」チラッ・・・

香焼「げっ!?」ビクッ・・・

舞夏「あの小っちゃい、目ぇクリクリした栗毛っ娘だぞー! おーい、香ー!」ノシノシ

御坂「……はぁ」ジー・・・


見つかっちゃった……此処は逃げたら追い駆けられるだろうし、怪しまれるな。
止むを得まい。サラッと挨拶してすぐ逃げよう。


舞夏「ほら、御坂来いってー。香ー。さっきお前を助けてくれた人だぞー」ニカッ

御坂「だから助けてないってば……ええっと……多分、初めましてよね?」ペコッ

香焼「ええっと……はい」コクッ


此処は上手く白を切ろう。さっきの記憶が無いって言っとけば大丈夫な筈だ。

164 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 02:42:49.71 ID:+eWsEaMZ0
とりあえず『御坂美琴』その人は、存在だけで目立ってしまう。加え特定の誰かと一緒に居るなんて事がばれたら、色々と目が痛い筈だ。
人が多い廊下からは離れる事にして、食堂脇のテラスの方へ移動した。


御坂「……それで? 私が彼女を運んだと」フーン・・・

舞夏「ホントだぞー! 何なら保健医に聞いたって構わないからなー」ムゥ・・・

香焼「あ、あの……その、良く分からないけど、ごめんなさい」シュン・・・

御坂「あーいや、別に貴女が悪いって訳じゃないわよ……ただ私自身、ちょっと理解できない事があって」

舞夏「んもー……御坂まで記憶喪失かー? それとも御坂に化けた狐か、御坂のドッペルゲンガーかでも現れたのかー?」ジトー・・・

御坂「……っ……まさか」フム・・・


気付いたか……でも僕は知らないフリを継続しますよ。


舞夏「んー……まぁ良いや。香、コイツが御坂美琴だ。何かあったら頼れよー」ポンポンッ

香焼「あ、はい。えっと、御坂、美琴って……、」ジー・・・

舞夏「有名人だぞー。サイン貰っとけ、サイン!」フフフ・・・

御坂「ま、舞夏……えっと、コイツの言う事は気にしないで。御坂美琴よ。よろしく」コクッ

香焼「よ、宜しくお願いします」アタフタ・・・

舞夏「そんなにビビる事無いってー。こう見えてコイツ、友達少ないからってあ痛ぁ!!」ゴツンッ!

御坂「ッ〜〜〜余計な事言わんでいい」ジトー・・・


有名人だからビビってるんじゃなくて……身元ばれが怖いんです、はい。


御坂「ったく……それで、貴女は?」チラッ・・・

香焼「はい。ぼ―――」


白井「お姉さま! こんな所に!!」ヒュンッ!!


香焼「―――……ぇ」ピタッ・・・

御坂「うわっ……黒子。いい加減空から降って来るの止めなさい」ハァ・・・

白井「酷いですの、お姉さま! 私(わたくし)を置いて食事に行ってしまうなんて……しかも! 別の娘と!」ギロリ・・・

香焼「あ、あははは」タラー・・・

舞夏「まぁまぁ。白井、これにはやんごとなき理由があるんだぞー」ポンポンッ


今、手元に救難信号を出せる装置があれば、即行で作動させてます。
海原さーん、蛇さーん、御坂丸さーん。助けてー。

165 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 03:06:47.11 ID:+eWsEaMZ0
舞夏さんが白井さんに、僕が此処に居る経緯を説明して、彼女も同席する事となる。
微妙に睨んでるっぽい……これ、気付いてる目じゃないよね?


白井「ふんっ……私はお姉さまの露払いをさせて頂いてます、白井黒子ですの。それで、貴女は?」ジー・・・

御坂「黒子、そんな邪険にしないの。ごめんなさいね、今はちょっと落ち着いてないだけだから」

舞夏「ほら、さっき言っただろー。百合ん百合ん通り越して、ガチレズの娘が居るって……コイツだよー」フフフ・・・

白井「ンマー! 土御門さん! 物には言い方ってモノが有るでしょうに! 私はプぅラトニッッック'sな愛でお姉さまを!」ビシッ!

御坂「はいはい、黙ってろ」ゲシッ!

白井「ンァふぅっ!!」グヘッ!

舞夏「……見ての通り、真正の変態だぞー」ハハハ・・・


お前が言うな、と言ってやりたいが……彼女の御坂さんに対する情熱(変態)っぷりは存じ上げている。
確かに貴女以上の変態ですよねー。多分、レッサーもドン引きしますよ。


御坂「話を切って悪かったわね。自己紹介の続き、して貰える?」

香焼「はい……僕は神崎香。一応、常盤台(此処)の一年生……です。よろしくお願いします」ペコッ

御坂・白井「「ぼ……僕っ娘?!」」ピキリーンッ・・・

香焼「……へ?」タラー・・・

舞夏「ふふふふふ……お前らもやはり、漢女(オトコ)よのぅ。喰い付きおったかー」ニヤリ・・・


なぁにそれー。超怖いんですけどー。


御坂「は、初めて見た……僕っ娘って、都市伝説じゃなかったんだ」タラー・・・

白井「そ、それはキャラ作りの上で? それとも天然産!?」キラキラ・・・

香焼「あのー……怖い、です」ダラダラ・・・

舞夏「コイツは十中八九天然だぞー。どんな時でも、例え動揺してでも『私』って言わなかったからなー」フフフ・・・

白井「成程、生きる伝説とは……同じ学年に居るのにも拘らず、気が付きませんでしたわ」ガーン・・・

香焼「はぁ。如何反応すれば良い……ですか?」ウーン・・・

御坂「いやー……これは自慢できるわね。帰り暇? 一緒に喫茶店(風紀委員第177支部)行かない?」フフフッ


その発言は固法さんを泣かせますよ。兎に角、困ったもんだ……また目的を果たせなくなる。
海原さん、指示くれないかなぁ。

166 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 03:32:01.97 ID:+eWsEaMZ0
その後お昼を食べながら、クラスは何処だとか出身は何処だとか強度はどのくらいだとか……質問攻め。
結構適当にこなしたのだが、何故か満足してくれた。なんでさ?

とりあえず、彼女達にも『香焼≠神崎』の式は成り立ったかもしれない。その点は良しとしよう。


御坂「―――特別学級、ねぇ……希少能力者(レアスキル)なのかしら?」ジー・・・

香焼「僕自身、良く分かってない……です。だから此処に」コクッ

白井「へぇ。しかし、希少能力者の開発といえば霧ヶ丘や長点上機の十八番ですのに、常盤台(ウチ)が受け持つなんてこれまた珍しい」フム・・・

香焼「(えっと、こういう時のマニュアルは……)……知人の、お兄さんが進めてくれた……です」

御坂「知人? お兄さん? 女子校なのに?」キョトン・・・

香焼「はい……海原さんと言います」コクッ

御坂「う、げ……マジ?」タラー・・・


遠くで海原さんが泣いてる気がする。


白井「海原、といえば……学園理事長の?」フム・・・

香焼「はい。海原光貴お兄さん……です」コクッ

御坂「…………、」ジトー・・・

舞夏「あー。噂のカンニング坊っちゃんなー」ハハハ


止めたげてよぉ! 本人聞いてんだから!


香焼「(仕方ない。フォローしとくか……)……あんまり、お兄さんを悪く謂わないでください」ペコッ

御坂「……え」

香焼「確かにちょぴっと意地悪……です。でも、優しい所も沢山あります」コクッ

白井「あら、知りませんでした。あの成金坊っちゃんにも長所がねぇ」フーン・・・

香焼「僕が霧ヶ丘や長点上機に入学しようとした時、止めてくれました。『あそこに入ったらモルモットだぞ』って」

御坂「……彼が?」フム・・・

香焼「はい。『入学するなら常盤台(ウチ)か一般校にしておけ』と忠告されました……『頼りになる、素敵な女性も居ますよ』とも」コクッ

御坂「…………、」

舞夏「あらあら」チラッ・・・

白井「まぁまぁ」チラッ・・・


まぁ嘘ですけどね。ポイント稼いだんだから感謝して下さいよ、海原さん。

167 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 03:59:32.32 ID:+eWsEaMZ0
師匠(仮)の評価上げも程々にして、此処らで少し自分の目的も果たしておこう。


香焼「あの、少々お聞きしたい事が」コクッ

御坂「ん、何かしら」チラッ・・・

香焼「簡単な事……です。多分、この学校の生徒なら誰でも知ってる事かと。御坂さんなら尚更」

御坂「ええ。応えられる範囲なら教えてあげるわ……あと私もお姉ちゃんって呼んで良いわよ」ニコッ

香焼「え」タラー・・・

舞夏「あー、ズルいぞー! それじゃー私も舞夏お義姉ちゃんって呼べー」ブー!

御坂「アンタは『姉』って柄じゃないでしょ。私はお姉ちゃん属性あるから良いのよ」フンッ

香焼「は、はぁ。(妹達って意味っすか?)」ポリポリ・・・

白井「ふむ。では私の事も黒子お姉さまとお呼びになって」フフフ・・・

香焼「し、白井さん、僕とタメ……ですよね」タラー・・・

白井「いえいえ。私もそろそろ妹分が欲しいなぁと……お姉さまが本妻なら、その次の側室的な意味で」ジュルリ・・・

舞夏「駄目だぞー! 香の初夜権は私が約束してるんだからなー!」ブーブー!


してません。あと白井さん、無駄に張り合わないでください。
てか御坂さんも2人止めて下さい。絶対オカシイ話っすよね。同性っすよ。


御坂「いやぁ、貴女に気が向いてくれれば私の貞操の危機が薄れるかなぁなんて期待しちゃった」ハハハ

香焼「ひ、酷い……です! 僕はノーマル……です!(あ、この場合のノーマルって『香焼(男)』にとってアブノーマルっすよね)」タラー・・・

御坂「まぁまぁ。うん、貴女なら黒子とは違って抱き枕にしても害は無いかなー」フフフッ

白井「んぁあなああぁっ!! キィイイイイイイイぃええええええぇいいぃっ!! (声に鳴らない叫び)」ガンガンガンガンッ!!

香焼「し、白井さん!?」ギョッ・・・

舞夏「みーさーかー! だから私のペットだぞー!」ムゥ!

香焼「い、イヤ……です!」ダラダラ・・・

御坂「ほら、嫌がってるじゃん。私なら平気よねー。コイツらみたいに危ない事しないし」フフッ♪


あ、殺気。しかも二つ分。


香焼「ええっと、兎角、質問しても良い……ですか?」タラー・・・

御坂「あ、ごめんごめん。どうぞ」コクッ

香焼「はぁ……えっとこの学校には、御坂さんの他にもう一人超能力者が居るって話を聞いた……です」コクッ


瞬間、3人の空気が止まる。もしかして禁忌(タブー)だった?

168 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 04:24:42.56 ID:+eWsEaMZ0
3人は一度、僕から視線を逸らしてから、逆に尋ねてきた。


白井「何故、そんな事をお聞きに?」ジー・・・

香焼「え? いや、純粋に興味……ですけど」

舞夏「あー……止めとけ止めとけー。アレは駄目だぞー」フイッ

香焼「そんなに嫌われ者……ですか?」

御坂「嫌われ者って訳じゃないけど……私達は、あんまり好きじゃないかも」ンー・・・


そういえば海原さんが、常盤台(此処)には派閥があるとか言っていたな。
もしかして3人は別派閥なのか?


御坂「派閥云々は私達の知った所じゃないけど、彼女達が勝手にそう思い込んでるみたいね」ハァ・・・

白井「私は、お姉さまがその気になれば御坂美琴親衛隊(SS)を作っても構いませんけど」チラッ・・・

舞夏「ははは。それは良いなー。アイツらにデカい顔されるよりは御坂に先導立って貰った方が助かるぞー」フフッ

御坂「勘弁してよ。私はそういうの興味無いって言ってるじゃない」フンッ

香焼「でも御坂さんなら、一派閥作れるのでは? というか嫌が応にも貴女に付き従う人達が集まれば、派閥になるのでは」フム・・・

御坂「世間一般から見ればそうかもしれないけど、結局派閥ってのは指導者が立たなきゃ形に成り得ないでしょ?」

白井「しかし、気は乗りませんが婚后光子達を含めればそれなりの勢力にはなるかと」チラッ・・・

御坂「だーかーらー……嫌だって。常盤台で覇権取ったって、所詮は猿山の大将よ。食蜂(アイツ)はそれで悦に浸ってるだけだって」ハァ・・・


成程。この人なりの考えがあるのか……しかし、それは違うと思う。
力を持つ者が周りから支持を集めているのにも拘らず立たないのは卑怯である。理事校で学んだ事だ。
例えそれが小山の大将であっても、そこにコミュニティーは存在する。それを統括しないのはズルいと思う。


御坂「成程……貴女は結構正義感強いのね。嫌いじゃないわ。その理屈は正しいと思う」コクッ

香焼「……じゃあ、何故?」

御坂「そうね。元からの信条もあるけど……私が尊敬……うん、尊敬する人は派閥とか何とか、そういう難しい事考えないの」コクッ

白井「…………、」

御坂「カリスマにも種類はあるけど、やっぱり必死になって突っ走って、その心意気に皆が引っ張られて、自然と塊が生まれる」

舞夏「……ふーん」ニヤニヤ・・・

御坂「そこにリーダーなんて必要無い。いや、もしかしたらソイツがリーダーなのかもしれないけど……自分からは決して威張らない」


僕は、その人を知っている。


御坂「『英雄(ヒーロー)』って言ったら大袈裟だけど……兎に角、それが団結でしょ」フフッ

香焼「……そう、ですね。素敵だと思います」コクッ


そうして、自然に、勢力に成る。
勢力なんて言い方は『彼』は嫌がるだろう。だけど、それが『彼』が歩んできた『道』だ。

彼女もそれを体現しようとしている。そして僕もまた憧れている『道』だ……無粋な事を言ってしまったな。

169 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/07(月) 04:50:16.80 ID:+eWsEaMZ0
生意気を入れた事を謝罪し、再度ホシの話に戻ろう。


御坂「あはは。気にしないでね。考え方は人それぞれだし、それを押しつけるつもりも無いから」コクッ

香焼「いえ、御坂さんは強い人……です。恰好良い……です」ニパー

御坂「ふふっ、可愛いヤツめ。それで……食蜂操祈の事だっけ?」フム・・・

香焼「はい。差し支えなければ御教え下さい」コクッ


一度、大きく『うーん』と唸ってから厄介そうに告げた。


御坂「見方は人それぞれだけど……ごめん、私はあんまり良い印象持ってないわ。客観的な判断も出来ない」

香焼「それでも良い……です。教えて下さい」

御坂「……まぁ、一言で言えば『女王蜂』よ。しかも雌しかいない巣のね。更に寄生蜂の類だわ」ハハハ・・・

香焼「き、寄生って……自分では動かない、と?」

御坂「ええ。お嬢様の中のお嬢様って感じ。知り合いにもう一人お嬢様タイプの超能力者が居るんだけど……正直、ソイツより嫌い」


流石、トム(麦野さん)&ジェリー(御坂さん)。喧嘩するほど何とやらだ。通じる所は有るのだろう。


白井「主に能力の所為ですわね。こういう言い方は宜しくないのかも知れませんが……『自分は本当に自分か』的な状態かと」コクッ

香焼「洗脳……ですか?」

御坂「対抗手段が無いとそうなるわ。もしくは相当なF(根性)持ってないと、無理ね」

舞夏「あの取り巻き共の内、何名がマジで陶酔してる事やら」ハァ・・・

白井「例え、本気で陶酔しているとしてもそれは恐怖と彼女の派閥に居るという安堵感故に過ぎませんわ」

御坂「そういう意味では立派な君主ではあるわよ。些か、暴君な気もするけど」


暴君か……苦手なタイプだな。


御坂「無為な接触はお勧め出来ないわ。もし、如何してもっていう時は私を頼って。私と黒子は彼女に対抗できるから」コクッ

白井「ふんっ! あの程度の洗脳……私のお嬢様に対する情熱を消したければ、あと3倍の効果を持ってこい!!」ドヤァ・・・

香焼「超能力の3倍って絶対能力(レベル6)以上……ですね。では、舞夏さん達メイドさん的には?」ハハハ・・・

舞夏「うーん……あの人自身は良く分からないけどなー。あの派閥が嫌なんだよー」ムー・・・

白井「そうそう。全員高飛車で……謂わば『自分は最強の指導者の取り巻きだぞ! 敬え!』って感じですわね」ハァ・・・

舞夏「そういうのが一番面倒なんだよなー。腰巾着、金魚のフンのくせに威張ってんの……その点、御坂は誰からも愛されキャラだぞー」フフッ

御坂「あはは……ありがと」ポリポリ・・・


成程。厄介なのはホシ自身もさる事ながら、その派閥(コミュニティー)もだという事か。
それなら……可能であれば、個人的に合うべきだな。

170 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/07(月) 05:15:29.28 ID:+eWsEaMZ0
兎角、何となく雰囲気は掴めた……多分大丈夫な気がする。


香焼「ありがとうございました。参考になります」ペコッ

御坂「如何いたしまして。この程度で良ければいつでも聞いて」フフッ

舞夏「中々面白い話だったぞー。香は楽しい子だなー。結構賢いしー」ポンポンッ

香焼「や、止めて下さい。子供じゃない……です」ムゥ・・・

白井「ほぉ……お姉さま、やっぱりこの子、部屋にお持ち帰りしちゃダメですか?」チラッ・・・

御坂「私が優先的に可愛がって良いなら許可するわ」フフッ

白井「むむむ……卑怯な」ジトー・・・

舞夏「3[ピーーー]とかダーメー! だったら私が兄貴の部屋に連れ帰って3人で『愉し』むぞー!」ジュルリ・・・


その性的な目を向けるな。3人とか有り得ません。てか土御門も一緒って……恐ろし過ぎます。


舞夏「まったく、ガードが堅いなぁ。こんな美女三人が誘ってるのに物ともしないなんてー」ムゥ・・・

香焼「同性……です。あとクリスチャンだと言ったでしょう。不貞は許容できません」ハァ・・・

白井「あら、珍しい……しかし神崎さん。馬鹿にしている訳ではありませんが、この街ではあまり宗教云々は口にするべきでは無いですよ」

香焼「分かってます。しかし、それ抜きにしても、貴女達2人は不貞の極み……です」ジトー・・・

白井・舞夏「「失礼な」」ムッ・・・


本気でそう思っているのだろうね。面倒臭いなぁ、もう。


御坂「ふふっ。じゃあ私だったら良いのかしら?」クスッ

香焼「え、あ、いや、そういう意味じゃない……です! み、御坂さんだって伴侶以外の人は抱けないでしょう」アタフタ・・・

御坂「は、伴侶……そ、そうね」アハハ・・・///

白井「くっ……はっ!! お姉さまが恋する乙女モードに……んんのぉ類人猿がぁ!! ォンンッジェエラスィイイイイィッ!!」キー!

舞夏「あーあ。ツマんないのー……そういえば、香は女子寮住みじゃないのかー?」

香焼「えっ……あーその」タラー・・・

御坂「そういえば寮では見ないわね。何処住んでるの?」キョトン・・・

香焼「ええっと……第1学区の、親戚の家……です」

白井「第1学区? 随分とまぁ微妙な距離を。しかも地価の高い所に。存外、神崎さんもお嬢様ですのね」

香焼「そういう訳じゃない……です。僕は貧乏……です。親族の恩恵を受けてるだけなので、はい」ポリポリ・・・


実際、そうだ。あのマンションは僕の実家のレベルでは到底住めない場所である。
天草と英国の恩恵を受けているからこそ、住んでいる場所なのだ。だから嘘は言ってない。

171 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/07(月) 05:35:17.16 ID:+eWsEaMZ0
兎角、時間も時間なのでそろそろ解散しよう。


御坂「そうね。楽しかったわ。あ、そうだ。神崎さんの連絡先教えて」スッ・・・

白井「私も。神崎さん、よろしいですか?」コクッ

香焼「はい。あと、馴れ馴れしいかもしれませんが、もっと気軽に呼んでもらって大丈夫……ですよ」

白井「では土御門さんと同じく香(カオル)と呼びましょう」

御坂「香ちゃんね。りょーかい」


正直、『さん』付けはあまり好きではない。だったらまだ『くん』や『ちゃん』の方がマシだ。


舞夏「うんうん、みんな仲良し嬉しいぞー。そんじゃー私は仕事に戻るよー。またねー」ノシ

御坂「戻るって、あの子今の時間帯が一番忙しい筈なのにね」ハハハ

白井「土御門さんは結構自由奔放ですものね。メイドなのに」タラー・・・


きっと兄貴の影響だろう。碌でも無い義兄の影響。


白井「では私達も……香は一年校舎に?」チラッ・・・

香焼「いえ、僕は特別カリキュラムがあるので其方に」コクッ

御坂「特別、か……もし、ちょっとでも何か危ない薬とか実験を勧められたら私か海原先輩に言いなさいよ」ジー・・・

香焼「え? あ、はい」コクッ

御坂「この学校は余所に比べてまだ綺麗かもしれない……でも所詮は研究機関。生徒をモルモットにしようとする研究者は居るからね」ジー・・・


きっと妹達の事だろう……やはり、この人も上条さんに負けず劣らず正義感に厚い人だ。
最愛の事を邪推にしてるから色々苦手だったけど、真面目に話してみればやっぱり良い人なんだと思える。


御坂「……それじゃまた後でね。帰り暇だったらどっか遊びに行きましょう」ノシ

白井「ごきげんよう、香」コクッ

香焼「……ごきげんよう」ペコッ


本来の目的はこなせなかったけど、有益な情報と心強い味方を手に入れた。結果オーライだろう。
さて……では放課後に向けて、もう少し頑張りますか―――

172 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/07(月) 05:37:59.27 ID:+eWsEaMZ0
はい、お疲れ様でした。次回で二話は終わらせたいね。


例の如く、質問意見感想罵倒リクエスト等宜しくお願いします。ではまた! ノシ
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 18:23:36.87 ID:aNf7snvso
これでみさきちの人脈も手に入れたら香ちゃん常盤台では無敵だなww
174 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/07(月) 22:24:59.19 ID:+eWsEaMZ0
こんばんわ。続き投下!
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(中国地方) [sage]:2011/11/07(月) 22:25:41.94 ID:p9rKxv5T0
リアル遭遇ktkr!
176 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/07(月) 22:49:30.71 ID:+eWsEaMZ0
 ―――はたまた別日、PM01:30、学園都市第7学区、学舎の園、常盤台中学・・・・・







御坂さん達と別れた後、再び人気の無い教室に人払いの結界を張り、次の行動を考える事にする。
とりあえずは海原さん達に連絡しよう。


香焼「……もしもし」Pi!

海原『はい……先程は随っ分と楽しそうでしたね。土御門ではありませんが、思わず殺意が沸きましたよ』ハハハ

香焼「え」タラー・・・

海原『まぁ色々考えてくれた様なので、非っ常に微妙な心境ですが……この際嫉妬心とか色々は我慢しましょう』


負のオーラが電話越しに伝わって来る。あと海原さんの後ろで土御門が恐ろしい事を口走ってるのも聞こえる。
情報収集の為なんだから仕方ないだろうに。多めに見てくれ。


海原『はいはい……それで?』

香焼「これからのプランっす。何か指示はありますか?」

海原『うーん、出来れば貴方の自主性に任せたいですね。一応修行ですから』

香焼「それはそうなんすけど、奈何せん放課後まで時間が余ってて」ポリポリ・・・

海原『……では助言程度。観察か、引き続き情報収集をしてみては』

香焼「情報収集?」

海原『ええ。彼女の、何かしらの資料を調べてみたりしてみては如何でしょう』


何かしらの資料……思い浮かぶのは能力開発の資料や身体検査の資料、あとは成績云々といった所か。
そうなると職員室や、再度保健室に侵入する事になるな。


香焼「……あんまり気乗りしないっす。プライベートとかも知っちゃいそうだし、それに態々虎穴に入るのは好ましくないかと」

海原『前者の甘い考えは貴方らしいといいますか、阿呆臭いといいますか……しかし後者の判断は正しいでしょう。ま、貴方にお任せします』

香焼「了解っす。また連絡します」Pi!


やはり情報収集は……色々な意味で乗り気はしない。
先程述べた様に身体検査等女性のデリカシーゾーンにまで首を突っ込むのは、必要以上の行動で褒められた事じゃない。
それに多分、成績・教師評価云々は彼女の能力で『書きかえられてる』可能性が高い。彼女を知る上で信憑性は低いだろう。

そうなると、次にすべきは。


香焼「観察っすね」スッ・・・


気配を遮断しながら。2,3年のクラスを見渡せる位置まで移動しよう。

177 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/07(月) 23:11:47.39 ID:+eWsEaMZ0
人に見つからない様一度外に出る。
気配遮断の術式だけでは『もしも』の際に危ないので、何枚か拝借したプリントの束を抱えて移動。

ふと、校庭を見遣る。生徒達が体育の授業を行っていた。どうやら体力作りのマラソンらしい。
能力開発だけではなく、心身共に伸ばし育てる。流石世界的にも名高い、トップクラスの教育方針を持ったお嬢様校だ。

さておき、そそくさと職員・事務棟へ移る。此処の非常用階段なら校舎の全クラスが丸見えだ。
望遠術式を展開。まずは此処から食蜂操祈の所属学級を確認しよう。


香焼「2年の教室は……うーん、死角が有るなぁ」ジー・・・

御坂蛇「…………、」スッ・・・

香焼「あ、御坂さんが居る……って、おわっ!? こっちにも!!」ギョッ・・・

御坂蛇「シッ」ピタッ・・・


口を押さえられた……良く良く見ると、額にバンダナ。この人は蛇(17600号)さんか。


御坂蛇「……観察ポイントとしてはまずまずだ、とミサカは妹弟子を評価します」b"

香焼「はぁ……何か報告っすか?」チラッ・・・

御坂蛇「いえ、忠告を。確かに此処は全体を見渡せる良いポイントではある。しかし……逆も然り、とミサカは注意します」コクッ

香焼「い、一応、鉄骨に隠れながら観察してるっすよ」

御坂蛇「貴女は授業中暇な時、窓の外を無駄に広くボーっと眺めたりしなかったか? とミサカは質問します」

香焼「あ」

御坂蛇「やれやれ。まだまだ甘い……もし観察点を設置するのであれば……アソコとか」ピッ


職員室の隣の相談室を指差す。


御坂蛇「アソコなら生徒が居ても自然だし、2,3年の学級と同じ高さで物を見れます。ミサカなら其処にポイントを置きますね」コクッ

香焼「な、成程……参考になるっす」メモメモ・・・

御坂蛇「……それから、いつ何時誰に会話を聞かれているか分からない。常に口調は気をつけなさい、とミサカは『香』に忠告します」ジー・・・

香焼「は、はい」タラー・・・


流石、海原さんの一番弟子なだけはある。伊達に『蛇』の名は語っていない。

178 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/07(月) 23:31:51.49 ID:+eWsEaMZ0
それでは早速、蛇さんに教えてもらった場所へ移動し―――


御坂蛇「駄目」キッパリ!


―――……え?


御坂蛇「それでは貴女の為にはならない。自分でオリジナルのポイントを見つけろ、とミサカは説教します」ジトー・・・

香焼「はぁ……確かに」ポリポリ・・・

御坂蛇「……今此処で決めろ。良し悪しを図ってやる、とミサカは姉弟子としてのお節介をやきます」


優しいんだか、厳しいんだか。


香焼「うーん……同じ高さ、不審じゃない点と言えば……喫煙室?」ジー・・・

御坂蛇「……お馬鹿」ペシッ

香焼「す、すいません。それじゃあ……職員室内、かな」チラッ・・・

御坂蛇「微妙な所だ。反対側の生徒達から見れば『一、生徒が用事で職員室に訪れた』くらいにしか思われないかもしれない」クイッ

御坂蛇「しかし、貴女の顔は教師達に知られていないだろう。中には警備員(スキルアウト)も居る職員室に、侵入するのはお勧めできない」

御坂蛇「不審者と思われたら間違いなく拘束されるな。逃げるのは容易では有るが、デメリットとして校内指名手配にされる」

御坂蛇「無論、その場に留まり即席の学生証を見せ、師匠(海原)の名前を使えば言い逃れは出来るが……無駄に時間を食う」

御坂蛇「……まだまだ抜かってますよ、香。とミサカは溜息を吐きます」ヤレヤレ・・・

香焼「す、すいません」タラー・・・


この人は凄い。多分、妹達の中でも五本指には入る実力なのだろう。
もしかしたら状況次第で御坂美琴(オリジナル)より上かもしれないな。


御坂蛇「御託は結構。良いから別の手を考えろ、とミサカは貴女を急かします」フンッ

香焼「は、はい」コクッ


職員室が駄目となると職員・事務棟で同じ高さの場所は無いな。
他の棟舎に行けば、或いはだけど……全て、何かしらで使用している。


香焼「むぅ……やっぱり蛇さんの観察ポイントお借りしちゃダメっすか?」チラッ・・・

御坂蛇「駄目。あと口調……仕方ない。ヒントをあげるか、とミサカは自らの甘さに苦笑します」フフッ・・・

香焼「お、お願いします」コクッ


ぶっちゃけ、面倒なんでさっさと教えて下さい。

179 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/07(月) 23:48:12.81 ID:+eWsEaMZ0
『まずは』と喫煙所を指差す蛇さん。


御坂蛇「変装して、職員として忍び込む。そうすれば不自然ではない……だけどまだ貴女にはそこまでの技術は教えてないな」クイッ

香焼「……やれというのであれば、即席で」

御坂蛇「変装はそこまで甘くない。光学迷彩や変装セットを持ち合わせているならまだしも、今の貴女は化粧道具すら持っていないだろう」

香焼「……すいません」ペコッ


随分厳しい御指摘だ。
蛇さんは何処からともなく煙草を取り出し、それを加えながら『では』と続ける。


御坂蛇「校舎に忍び込め、とミサカは指示します」クイッ

香焼「え!?」ギョッ・・・

御坂蛇「何も不自然では無かろう。お前の見た目は学生だぞ、とミサカは香の肢体を見詰めます」ジー・・・

香焼「で、でも、今授業中でしょう。怪しまれます」タラー・・・

御坂蛇「確かに一年生なら尚更な。各棟舎に守衛も居る……しかしだ」ピッ・・・


プリントの束を指差す。


御坂蛇「それを持って行けば教師の使いと言って侵入出来るだろう。そこは貴女の誤魔化し方次第だがな、とミサカは推測します」

香焼「な、成程」コクン・・・

御坂蛇「もしくは5限と6限の合間に、生徒の並に流れて突っ込めば余裕で潜入可能だろう、とミサカは不出来な妹弟子に助言します」

香焼「さ、参考に成ります」カキカキ・・・

御坂蛇「やれやれ……結局、ミサカが指示してしまいましたね」ハァ・・・


すいません、不出来な弟子で。


御坂蛇「まったく、これでは修行に成らないな……やはり5限終了前に潜入しろ、とミサカは命令します」

香焼「え!? で、でも危険じゃ」タラー・・・

御坂蛇「だから貴女の腕次第だろう。さっさと行って来い。さもないと……、」スッ・・・

香焼「っ!!? い、行きます!! 即行します!!」タタタタ・・・

御坂蛇「ふぅ……まだまだ、だなぁ」カチッ・・・フゥ・・・


流石に電流は勘弁です。
という事で……煙草を喫かす蛇さんを後目に、僕は任務強行に移った。

180 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 00:11:32.13 ID:CaHLyxQH0
人目に付かない様、2,3年校舎の生徒玄関まで移動する。守衛事務さんは……一人。
もしかしてこっそり通過出来たりしないだろうか。


守衛「……ん?」チラッ・・・

香焼(あ、ヤバ)ピタッ・・・


留まって考え過ぎた。先に守衛がこっちを向いてしまうとは……不覚。


守衛「貴女、どうしたの?」ガラッ・・・

香焼「あ、あの……これを」スッ・・・

守衛「ん? プリント?」ジー・・・

香焼「先生に持って行ってくれって、お使い頼まれました」ペコッ

守衛「あら、授業中なのに?」ジー・・・


拙いな。疑いの眼だぞ。


香焼「えっと……何でも緊急の資料だそうで、保健室帰りの私に押し付けられちゃいました」ハァ・・・

守衛「あはは、そうなんだ。災難ね。急いで届けなさい」クスッ

香焼「はい、お手数おかけします」コクッ


結構、あっさりと入れるもんだ。
まぁ確かに『セキュリティ完璧の我が校に不審者なんて居る訳無い』と思いこんでいれば、そうなってしまうのだろう。
まさにトロイの木馬。一度敷地内に侵入してしまえば疑う必要は無い。優秀な防犯故の盲点だな。


守衛「あ、そうそう。そういう理由なら一応学生証通して頂戴ね」スゥ・・・

香焼「え」タラー・・・

守衛「面倒臭いと思うけど、私も仕事だから。授業中の行き来は一々確認しなさいってね」ハハハ・・・


すんなり行き過ぎてたな。
常盤台の学生証はカードタイプだ。その中に個人情報が詰まっている。因みに、クレジット代わりや交通系乗継カード等にもなるらしい。
まぁ理事校の全指紋認証には劣るけどね。アレはもはや厳重過ぎて面倒なレベルだ。


香焼(そういえば……このカード、大丈夫なんすかね。海原さん次第っすけど)タラー・・・

守衛「はい、此処のリーダーに通してね」トントン・・・

香焼「…………、」スッ・・・


…………。


守衛「神崎……香さん。一年生っと……一年生?」アレ?

香焼「ま、まったく、先生も酷い……ですよね。学年違うのに資料届けてくれなんて」アハハハ・・・

守衛「あ、そうなの。貴女も大変ね。それじゃ行って良いわよ。あ、帰りは挨拶してくれるだけで良いからね」フフッ


気前の良い人で助かった。お嬢様校だから職員は皆ガチガチにお堅い人達ばっかだと思っていたが、そうでもないのか。
兎角、先へ進もう……此処からが本番だ。

181 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 00:37:40.02 ID:CaHLyxQH0
さて、侵入したのは良いが彼女は何処だろう。

校舎内にも監視カメラが数点並んでいるので、あまり不審な動きは出来ない。
こんな事ならさっきの守衛さんに彼女の教室を聞くか、下駄箱で名前を見つければ良かった。


香焼(とりあえず迷ったフリをして、散策っすね)キョロキョロ・・・


2年のクラス廊下に置いてある、外ロッカーの名前を確認しながらを歩く……どうやら此処には無いらしい。
次の渡り廊下を挟んで対面側の棟、3年のクラス廊下……此処にも、無い?


香焼(どういう事だ?)タラー・・・


もしかして1年生? 
いや、それはない筈だ。彼女の写真を見る限り同い年とは思えない。何より1年が女王を語るのは変だろう。
手詰まったので海原さん達にメールを送る。


香焼(返信来た……『別の手段を見つけなさい』……厳しいな)ウーン・・・


教室を覗いて回るのは危険だろうし、やはり守衛さんに聞いた方が早いかもしれない。
急いで玄関に戻って、事務室の戸を叩いた。


守衛「あら、もう終わったの?」ガチャッ・・・

香焼「いえ、あの、お恥ずかしい話……ですが、クラスが分からなくて」ウーン・・・

守衛「え? 指示されてないの?」キョトン・・・

香焼「はい。食蜂先輩へ渡せと投げっ放しで無理矢理」ウーン・・・

守衛「食蜂さん? じゃあ能力開発科の先生か……あー……貴女も災難ね」タラー・・・

香焼「え?」キョトン・・・

守衛「いえいえ。コッチの話よ。彼女のクラスは■組だけど……居れば良いわね」

香焼「もしかして外か別教室での授業……ですか?」ポカーン・・・

守衛「ん……ううん。今彼女のクラスは英語だから教室だと思うけど……というか、貴女彼女の事知らないの?」ジー・・・

香焼「え、す、すいません……目立つ人って知ってましたけど、噂程度にしか……接点無かったから」シュン・・・

守衛「あー別に怒ってる訳じゃないのよ。ただ忠告っていうか……コレ、私が言ったって他の人に漏らさないでね」コソコソ・・・


何やら彼女の情報を得られそうだ。これはとんだ儲け話(モノ)。

182 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 00:58:10.89 ID:CaHLyxQH0
よっぽど暇していて与太話をする相手を欲していたのか、それとも単に口が軽い人なのか。
どちらにしろ、守衛さんの話が始まる。


守衛「彼女、兎に角自由奔放、自己中心、自分勝手な人なの」ボソッ・・・

香焼「はぁ。噂には聞いてます」コクッ

守衛「この規則に厳しい常盤台の中で超と言っていい程浮いてるわ。まぁ超能力者って理由もあるけどね」コソコソ・・・

香焼「ええ。凄い……です」コクッ

守衛「能力は精神系で至高。有る意味人望も厚い……でも具体的に言っちゃうと最っ悪なのよ。特に教職員からしてみれば」ハァ・・・

香焼「え?」

守衛「だって……気持ち悪いでしょ」タラー・・・


気持ち悪い?


守衛「心、弄ったり覗いたりするのよ。私だっていつ弄られてるのか心配で堪んないわ」ゾゾゾ・・・

香焼「…………、」

守衛「もし彼女が品性良好な人格者なら、まぁ仕方ないとするわよ。うん、確かに表向きにはそうなのかもしれない」グデェ・・・

香焼「表向き?」

守衛「結局、私達が彼女に植えつけられてる感情かも知れない。でも私は知ってるもの……彼女の素行不良」ハァ・・・

香焼「…………、」

守衛「私は守衛の立場だから校舎内監視してるんだけどさ……あの子、授業中普通に立ち回るし、教室出てくのよ」

香焼「ADHD(注意欠如・多動性障害)……ですか?」

守衛「有る意味そうなのかもね。でも、それより性質悪いわ。だって、彼女教室出てく時、周りの人間注意しないどころか気にもしないのよ」

香焼「せ、先生も?」

守衛「ええ。精神操ってんだか、周りが皆捨て置いてるのか知らないけど……ホント、気味悪いわー」タラー・・・


一応言い過ぎたと反省したのか、しかし自己弁護するように『因みに、これ皆思ってる事だからね』と守衛さんは付け足した。
まったく関係無いが……悪いけど、僕は貴女とは仲良くなれそうにないです。


守衛「兎に角、気を付けてね。さっさと資料渡して逃げた方が良いわ」ハァ・・・

香焼「…………、」ペコッ

守衛「あ、もし教室居なかったら図書館か食堂か屋上居ると思うわよ。もしくは何処か空き教室ね」

香焼「はい」チラッ・・・

守衛「とりあえず監視カメラ無さそうな場所探しなさいな。彼女、カメラは嫌いな筈だから」フフッ


有力な情報を得た。本来なら多大なる感謝と賛辞を述べるべきなのだろうが……僕の心は、怒気に包まれている。
そうしても、守衛さんに頭は下げたくない。

加えて……最愛と初めて会った時の様な、そんな憐れみの感情も渦巻いていた。

183 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 01:20:21.92 ID:CaHLyxQH0
教えてもらった教室に着く。音声遮断術式を用いて、こっそりと教室のドアを開ける。
前からは……彼女が見つからない。では後ろから……居た。


香焼(見つけた!)ジー・・・


後ろの席でダルそうに爪を弄っている。まさに中学生。
一寸後、机に突っ伏し……寝たか?


香焼(いや……ペン動かしてる)ジー・・・


板書を書き写しているのだろうか……いや、無いな。多分落書きでもしているのだろう。
これまた一寸後、彼女の列が前から順番に当てられている。次は彼女の番だ。


香焼(応えるのかな……って、え?)キョトン・・・


突如、リモコン(?)を取り出す。そして適当にチャンネルを回すかの如く、ボタンを押した。
すると……教師は彼女の順番を飛ばし、隣の列の先頭を指名した。
いきなり当てられた少女は戸惑っていたが、食蜂さんの手がもう一度動くと同時に、何事も無かったかの様に質問に答える。

成程、アレが噂の『心理掌握(メンタルアウト)』か……多分、その一角に過ぎないのだろう。

これまた一寸後、彼女は面倒臭そうに椅子に寄り掛かり大きく欠伸をした。


香焼(素行不良ね……どっちかっていうとADHDっすよ)ウーン・・・


授業崩壊しないのが不思議でならない。
その後も少々監視を続けたが……紙飛行機を飛ばして誰かに当てたり、立ち歩いて自分のロッカーから雑誌を持ち出したり、
窓を開けてベランダに出たり、隣席の子の鞄からお菓子を取り出して食べ始めたりと……好き放題だ。

しかし、誰も注意しない。誰も気に止めない。誰も彼女と……目を合わせない。それが極々自然な在り方とでもいう雰囲気。


香焼(変、だ)ムゥ・・・


彼女がリモコンを振った時は勿論、クラス全体が『何も無かった』状態になるのだが……振るわなかった時も、そうなるのだ。


香焼(『気持ち悪い』、『気味悪い』、『恐怖』……『これ皆思ってる事だからね』……か)ジー・・・


僕の中で……沸々と、とある感情が浮かんできた。

184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 01:36:55.12 ID:Ilfvw8WSO
>>183
差別発言はよくないぜぃ
185 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 01:57:57.93 ID:CaHLyxQH0
暫時、心此処に在らずのまま監視を続けていた。


香焼(……ん?)ピタッ・・・


また彼女が立ち上がる。しかし先程とは様子が違った。
手提げ鞄を持ち、一度に3つくらいリモコンを振ってから後ろ扉(此方)へ――


香焼(こ、コッチ来た!? ヤバい!!)アタフタ・・・


――急いでその場を離れる。
絶対に入らない様にしてたのだが、この際女子トイレへ逃げ込むのも止むを得まい。


食蜂「―――ハァ……だる〜い」ガラッ・・・


扉も閉めずに何処かへ歩き出す。何やらブツブツ独り言を言ってる様だが此処からじゃ聞き取れない……兎角、尾行せねば。
海原さん達にメールを入れて、追跡開始―――




 ***************************




海原「おや……遂に見付けましたか。スネーク、貴女の方から見えますか?」Pi!

御坂蛇『肯定。赤外線スコープで2人の動向を把握している、とミサカは報告します』

土御門「アイツ、大丈夫かにゃ……もしかして気付かれてるんじゃないか?」フム・・・

海原「彼女は取り分け実戦向きではないでしょう。気配遮断の術式を使っている限り、目視でもしなければ気付きませんよ……多分」

土御門「でも、仮にも超能力者だぜぃ? 半径何m以内は確認できるとかレーダーみたいなの張ってんじゃね?」

海原「うーん……正直、あまりに情報が少ない。スネーク、兎に角彼のサポートを徹底して下さい」

御坂蛇『了解。一応チップがGPS代わりにもなっているので動きは把握可能、とミサカは説明します』

海原「……もし、彼が不審な動きをした時は洗脳されたと判断するべきでしょうか」ムゥ・・・

土御門「かもしれないにゃ……大丈夫だとは思うが、スネーク。馬鹿な行動したら軽く電流流せ。『気付け』になるだろう」

御坂蛇『それに電磁防壁(バリア)代わりにもなるかと……とりあえず、ミサカも移動します』スッ・・・

海原「よろしく。最悪、君の判断で突入を許可します。気を付けて」Pi!


土御門「やれやれ、前途多難だぜぃ……まぁ元々、無理難題吹っ掛けたんだがな」ハァ・・・

海原「『食蜂操祈と友好関係を築け』……しかし、例え究極に困難な条件でも……貴方は、期待しているのでしょう。土御門」ニヤリ・・・

土御門「まぁヤツも人間。可能性は0じゃねぇ……それに」ジー・・・

海原「彼だから、ですか」フム・・・

土御門「ああ。あの『甘ちゃん』だからこそ……俺らに出来ない『何か』を期待しちまう……カミやんとはまた違う『何か』をな」コクッ

海原「ええ……賭けてみましょう」フフッ

土御門「『雑兵で女王を狩る(ローリスクハイリターン)』作戦……頼むぜぃ、香ちゃん」ニヤリ・・・

186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 02:32:38.49 ID:8qt4W2CDO
>>184
差別用語ってADHDの事? 別に差別でも無くない?
それにこの行動読んでる限り、正しい判断ってか考察だと思うぞ

まぁSSで障害云々書くなってんなら別だけどね
187 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 02:56:00.02 ID:CaHLyxQH0
 ―――はたまた別日、PM02:30、学園都市第7学区、学舎の園、常盤台中学・・・・・







丁度5限と6限の間の休み時間になったので、誰に気にされるでもなく自然に移動を済ませた食蜂さん。
守衛さんの話通り、図書館へ入っていったが6限は出ないのだろうか。


香焼(超能力者ともなれば出る必要無いんすかね)ウーン・・・


それに、教師の記憶を弄れば出席日数もパッと改竄出来るのかもしれない。
それはさておき……如何接触しようか。いきなり声を掛けたら怪しまれるだろうし、かといって此の機を逃したら放課後だ。
海原さん達は放課後接触するのも手だろうと言ってはいたが、正直取り巻きが居る状況かでは、個人的に話が出来なくなるだろう。

一度相談すべきか、と考えた瞬間……アチラから電話が掛って来た。物陰に移動して電話に出る。


香焼「はい」Pi!

海原『どうやらチャンスの様ですね』

香焼「ええ……如何します?」

海原『少々お待ちを……此方の予想だと、もう少しで図書館は彼女一人だけになるでしょう』

香焼「え?」キョトン・・・


言われた通り図書館の入り口を観察する……すると、まさに仰る通りの展開になった。10人弱の生徒がゾロゾロと外に出ていく。


海原『スネークがライフルの赤外線スコープで確認しました。どうやらリモコン(?)を振った様です』

香焼「暗示魔術……じゃなかった、能力を使ったんすね」

海原『気を付けて下さい。彼女の能力は並の洗脳魔術の数倍強力でしょう』

香焼「す、数倍って……大丈夫なんすか?」タラー・・・

海原『……スネークがサポートします。打ち合わせ通り「体内」に電磁防壁を張りましょう』


つまり……また『電流を流される』という訳だ。背中のチップを擦り苦笑する。


海原『一応、スネークには加減をするよう注意しました。先程までの大きな刺激とは違い、静電気が痺れが走る程度だと考えて下さい』

香焼「そうじゃなかったら会話できないっすよ」タラー・・・

海原『ええ……ですが、食蜂操祈(ホシ)の能力が予想以上に強大だった場合は覚悟して貰いますよ』

香焼「ううー……根性で乗り切ります」ハァ・・・

海原『その粋です。ふふっ、まるでF(第7位)思考ですね。貴方は脳筋タイプでは無いと思ってたんですけどね』クスクス・・・


そりゃまぁ最近はしょっちゅう一緒に居ますから。


海原『気を付けて……接触後の会話は「全て」お任せします。貴方の好きな様にしてください。それでは幸運を』Pi!

香焼「了解……さーて、行こうか」グッ・・・


扉の向こうには彼女が待っている。やれるだけやってみよう。

188 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 03:12:29.37 ID:CaHLyxQH0
いざ行かん、と図書館の敷居を跨いだ刹那―――




                              え




     っ!?           あ、れ……ぁ             か    ぅそ          
 き                                                          ッ
                    へ                       ヤ
    な                                                 で



                  さ                  び




―――いきなり…――思考が……真っ白、に―――***



御坂蛇『むっ……師匠。香の様子がいきなりおかしい、とミサカは実況報告します』

海原『能力の範囲を広げてある種の「結界」を構築してる訳か。その「境界」は入り口……スネーク! 急いで!』

御坂蛇『了解!』スッ・・・



***―――ッ……刺激、と共に思考が、元に戻る。


香焼「な……なんで」タラー・・・


携帯が鳴った。メールだ。


香焼「……け、結界!?」タラー・・・


海原さんの考察が書いてある。
この図書館は既に食蜂操祈の『工房』になっている。この空間に足を踏み入れたら最後、外に出るまで洗脳は免れない。
仮設急造とはいえ、常にフルオープンチャンネル状態。要は超能力者の『胎内』だと表現している。これは参ったな。


香焼「マジで、電流……覚悟しないと」ダラダラ・・・


覚悟を決め学生証(カード)をリーダーに通し、先へ歩を進めた。

189 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 03:49:40.04 ID:CaHLyxQH0
甘ったるい様な、ピリピリする様な……兎に角気持ち悪い感じだ。
前者は超能力の影響で、後者は蛇さんが常に微電流をながしてくれている御蔭だろう。

さて……この甘ったるい感じの大本は何処に居る?


香焼(そういえば、カメラに映らない所って言ってたな)キョロキョロ・・・


監視カメラを見つけた。入口に1台、真ん中を随時回転しているのが1台、カウンターに一台、きっとそれ以外にも置いて在るだろう。
よくよく考えたら僕もこれに映ってしまうのは拙い。そうすると、まさかとは思うが隠しカメラの存在も怖いな。

こんな事ならチャフの一つでも持ってくるんだった。そんな大袈裟な事を考えた瞬間、蛇さんからメールが入る。


香焼(『動体反応:司書室に1つ  邪魔カメラ:入口、センター、カウンター、東西両奥、南通路中央カウンター向き』……なるほど)フム・・・


司書室ならカメラは無いしリラックスできるだろう。お茶や菓子も置いてあればサボるには持ってこいの場所だ。
そうと決まれば話は早い。思考をフル回転させ……最良の行動を考える。

西側通路から一冊小説を抜き出し、あたかも普通に本を借りに来たフリをして……カウンターに持って行く。


香焼(この場合、変にコソコソするより図書館の利用者として振る舞った方が自然っす)


後でカメラを確認された際『何故、食蜂操祈の能力に引っ掛からなかったのか?』と怪しまれそうだが、
そこは海原さんが作った捏造書類上の『解析未明の希少能力者(レアスキル)』という立場を使わせて貰おう。


香焼「(良し……)……あのー、すいませーん。誰か居ませんかー?」オーイ


餌を捲く。すると予想通り……司書室から一つの影。


食蜂「―――ん……あれ?」キョトン・・・

香焼「あ、えっと、こんにちは」ペコッ・・・

食蜂「……へ?」ポカーン・・・


不思議そうな表情。予想通りだ。


香焼「あの、本を借りたい……です」コクッ

食蜂「んー……あれれぉ? 可っ笑しいぞぉ?? 何でかなぁ???」ジー・・・ウーン???

香焼「え、と……本、借りれますか?」ポカーン・・・

食蜂「能力聞いてる筈なんだけどなぁ……如何してかなぁ? もしかして貴女ってば電気使い系か精神操作系(同業者)さん??」ジー・・・

香焼「はい?」キョトン・・・

食蜂「むむむっ!? 違うっぽいケドぉ……何事かぁ」ウーン・・・


会話が進まない、というか成立しない。正直シンドイ。
しかし超能力者――軍覇に限る――のぶっとび会話(通訳相手)は慣れてるつもりだ。根負けはしないぞ。

190 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 04:14:17.67 ID:CaHLyxQH0
兎角、会話のペースを掴もう。


香焼「司書さんじゃない……ですよね?」ジー・・・

食蜂「ハァ、やれやれぇ。面倒臭いけどぉ……直接退場願いましょ★」エイッ♪

香焼「え……ぁ―――」




また……ま、白―――今度、さき―――ょ―――力……ッ―――ょ……―――


食蜂「んもぉ……さっさと出っててチョウダイなっ。私のサロンだぞぉ」プンスカッ!







香焼「       ―――          ぅ         ……        ひゃ、ぃあああぁああぁっ!!?」ビクッ!!







食蜂「っ!!?」ギョッ・・・


―――……ッ、蛇さん……ありがとう。


香焼「……え……あ、な、何っ!?」アタフタ・・・

食蜂「んー……あるぇ?? そんじゃもぉ一丁★」ポカーン・・・ビシッ



※以下、同じパターン × 3



香焼「ゼェ……ゼェ……あ、あの、な、何が、起きてる……ですか?」ダラダラ・・・グデェ・・・

食蜂「……嘘ぉ」タラー・・・


もう勘弁して下さい。


香焼「し、司書さんじゃない……ですよね?」

食蜂「え? あ、ウン。見て分からないのん? というかぁ……もしかしてぇ私のコト知らないとかいう驚愕オチ??」ムゥ・・・

香焼「い、いえ。知ってますけど、まさかこんな場所に居る訳ない……ですよねって、思ってしまいました」ハハハ・・・

食蜂「それはコッチの台詞だよ〜ん。一体何ぞぉ???」ムーン・・・


我ながら名演技。流石、五和(猫被り)と浦上(女道化師)と一緒に生活してるだけの事はあるな。


香焼「食蜂先輩……ですよね? 超能力者の」キラキラ・・・

食蜂「ウン、正解です☆ それじゃ貴女は一体何者さん??」ムゥ・・・

香焼「え、はい。一年生の神崎といいます。神崎香……です」ペコッ

食蜂「そういうコト聞いてるんじゃなんだケドぉ……まぁ良いやっ♪ 覗いちゃえ★」ビシッ♪


※また、同パターン → 絶叫

191 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 04:39:36.69 ID:CaHLyxQH0
それから同じやり取りを繰り返し、数分後……頭の中が可笑しくなってきた。
途中、マジで『僕の本名、香焼だっけ? 神崎だっけ?』とか考えてしまった。そろそろ本格的にキツいぞ。


香焼「あ、あの! もしかして……僕に何かしてますか!?」ダラダラ・・・

食蜂「あ、れぇ……ちょっとぉ……変だなぁ」ポリポリ・・・

香焼「食蜂先輩、話聞いてますか?」ハァ・・・

食蜂「んー、聞いてるケドさぁ。なーんか納得いかないなぁ」ムゥ・・・


ええ、僕もですよ。お願いだから会話して。


香焼「もしかして、僕に能力使ってます?」ジトー・・・

食蜂「ウン」コクン・・・

香焼「うわぁ、随分正直」タラー・・・

食蜂「だって変だもーん……私の能力が落ちてる訳無いしぃ。そぉなると、原因は貴女だぞぉ」ツンツン・・・

香焼「をわっ! い、意地悪しないで下さいよ……僕、本借りに来ただけなのに」ショボーン・・・

食蜂「……ふーん」ジー・・・


良し。興味を持ったか。


食蜂「ねぇ。名前、何て言ったっけ?」ジー・・・

香焼「え? 名前……ですか」キョトン・・・

食蜂「ウンウン。もう意地悪しないから教えて♪」フフッ

香焼「はぁ。神崎香……です。一年生……です」ペコッ

食蜂「香ちゃんね♪ ねぇ。ちょっと奥でお話しない??」ポンポンッ

香焼「っ!! え、えっと……その」ドキドキ・・・

食蜂「ふふっ。そんなに緊張しなくても良いぞっ☆ 危ないコトする訳じゃないんだから。あ! もしかしてレズっ気ある系かなぁ?」ニヤリ・・・

香焼「ぼ、僕はノーマル……です! 意地悪しないって言ったじゃない……ですかぁ」アタフタ・・・

食蜂「あららぁ。僕っ娘でロリっ娘でレズっ娘なんてぇ……イケない子★ お仕置きしちゃうぞぉ」フフフ・・・

香焼「や、止めてくださいよぉ。もうあの気持ち悪いのは嫌……です」キュゥ・・・

食蜂「あはぁ。可愛いぃ♪ 俄然興味沸いちゃったぁ! おいでおいでー。お喋りしましょ☆」クスクス・・・

香焼「本当に……意地悪、しませんか?」ジー・・・

食蜂「しないしないっ☆ あ、でもぉ……悪戯はしちゃうかもぉ。嗜虐力ってヤツぅ?」ニヤリ・・・


マジで勘弁してくれ。ビリビリとか真っ白とか女装ばれとか……そろそろガチで死にそうです。

192 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/08(火) 04:53:23.84 ID:CaHLyxQH0
すいません、眠い……次回、『みさきちと香ちゃんの密室ラブラブ百合百合展開♪(嘘)』
何にせよ、明日で終わらせます

※ADHDについて:不快に思われたなら、すいません。以後気を付けます



アンケート! 第三話について!


@アンジェレネ回

A浦上主役で、英国組同年代(15〜6歳)の話

Bステイル&削板回

Cその他(具体的に。ただし以前メインでやった人物並びに不可能なキャラはパス)



一応、次回も取るけど第一回目としてご協力下さい

それじゃ主にアンケ回答よろしく。あと適当に質問感想意見罵倒コメ下さい! ノシ”

193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長崎県) :2011/11/08(火) 05:07:15.75 ID:nX6z661Qo
C香焼の修行INイギリス聖教女子寮編
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 05:35:16.33 ID:8qt4W2CDO
C黒夜回!
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/08(火) 07:25:21.64 ID:nqT0Y3DAO
A
ここの浦上結構好きなんだよね

ADHDはまあ……能力で好き勝手好き勝手やってる状態を揶揄した感じであって、ADHDのこと自体を深く掘り下げる話ではないし……

敏感な人はいるだろうけど
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 08:09:48.03 ID:rJyFS1b80
1縺九↑
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 14:25:54.28 ID:C4ONDF+IO
@も捨てがたいけど
C神崎香のイギリス女子寮潜入作成
でwww

あと>>178
警備員(スキルアウト)
があったのが気になったwww
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 14:43:03.85 ID:3Z38kYTIO
イギリス女子寮に香ちゃん放り込むとか猛獣の群れに放り込むようなもんじゃねーかww




Cイギリス女子寮in神崎香
199 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/08(火) 19:12:36.93 ID:CaHLyxQH0
こんばんわ。続きです。
アンケですが……何故か女子寮編が多いよ!? 勿論、香ちゃんでかwwwwww
一応今回もアンケは取りますけど、これ如何すんだ(苦笑)


・警備員(スキルアウト)→(アンチスキル)、ですね。凡ミスすいません。


そんじゃ続き開始!

200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/08(火) 19:33:12.69 ID:GC4Xub2AO
>>197

201 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 19:40:33.70 ID:CaHLyxQH0
 ―――はたまた別日、PM03:00、学園都市第7学区、学舎の園、常盤台中学・・・・・







時刻はそろそろ6限が終わろうとしている頃合い。
しかし、僕を司書室へ連れ込んだ彼女……食蜂操祈さんはまるで時間を気にしていない。
今は鼻歌を歌いながら、勝手にお茶を沸かしていた。


香焼「あ、あの。時間大丈夫……ですか?」チラッ・・・

食蜂「ダイジョブダイジョブ♪ もしかして香ちゃんは用事とかあるのん?」フンフフ、フンフフ、フンフーフーン♪

香焼「いえ。僕は心配要らない……ですけど」ジー・・・

食蜂「なぁら、良いじゃん☆ はい、お茶ですよぉ。紅茶じゃなくてホージ茶。コレしか無かったのん。我慢してねーっ」コトッ

香焼「あ、ありがとうございます……話を戻しますけど、放課後掃除とか利用者で図書館に人が来るのでは」ウーン・・・

食蜂「知ぃらない! ま、ソレは図書館(此処)に人が入って来れたらのオ・ハ・ナ・シよんっ★」フフフ・・・


この結界を抜けれるのは、高い強度(レベル)の電気使い、または彼女と同業者(精神操作系)の能力者だけだ。
自分の私利私欲の為に能力を行使するか……この人といい麦野さんといい、やれやれだな。まさにお嬢様。


食蜂「ねぇねぇ。そんなコトよりお喋りしましょ」ニコニコッ♪

香焼「あ、はい……僕なんかで良ければ」オドオド・・・

食蜂「んもー。緊張しないでって言ったのにぃ。ま、ソコが可愛いんだけどねぇ☆」フフフッ

香焼「か、可愛いって……そんな事無い……です」モジモジ・・・

食蜂「うふふふふっ♪ まったくぅ。やっぱ香ちゃんのコトぉ、頭の中グチャグチャにしてでも覗いちゃいたいくらいわぁ★」キュンキュンッ

香焼「え、ええぇ!?」ギョッ・・・

食蜂「あはぁ♪ 良い反応っ。じょーだんだから安心なさい」クスクス・・・


冗談に聞こえません。


食蜂「ホントホント。だってぇよく分かんないケドぉ……香ちゃんってば私の能力効かないんだもんっ!」ムムムッ

香焼「へ?」キョトン・・・

食蜂「無理っ矢理弄くっちゃっても良いんだケドさぁ。そしたら多分、廃人なっちゃうゾっ★」ツンツンッ

香焼「っ!!?」ビクッ・・・

食蜂「だぁからしないってばぁ。ビビり過ぎぃ。リラックスリラックスぅ♪」プニプニプニッ

香焼「ふぁふぇ?!」ムギュゥ・・・

食蜂「あはははぁ♪ 可っ笑しぃ!」ムニムニッ


僕の頬っぺたを突っついたり抓んだり撫でたりする食蜂さん。メイクが落ちないか心配だ。

202 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 20:45:38.63 ID:CaHLyxQH0
一寸後、気が済んだのか頬から手を離してくれた。
さてと、これから如何したものか……とりあえず質問してみよう。


香焼「食蜂先輩」チラッ・・・

食蜂「そんな堅い呼び方ないでよっ。愛情込めてぇ『ミ・サ・キ』ちゃんって呼んで♪ もしくは『みさきち』って☆」フフッ

香焼「い、いえ、年長者……ですから、そんな生意気言えませんよ」タラー・・・

食蜂「ヤレヤレ。香ちゃんってば存外硬派ねぇ」ブーブー

香焼「はぁ……それじゃあ、操祈さんで」ペコッ

食蜂「んー別に『ちゃん』付けでも良いのにぃ……まぁ仕方ないかぁ」プニプニッ


随分とフランクだ。いや、子供なのか。


香焼「それじゃあ操祈さん。ちょっとお聞きしても良い……ですか?」ジー・・・

食蜂「何々?? 恥ずかしい事聞いちゃう?? えっちぃコト聞いちゃう??」フフッ

香焼「ち、違いますよぉ!!」カアアァ///

食蜂「よぉし、お姉ちゃんが特別サービスで手取り足取り教えちゃうぞぉ!」ニヤリ・・・

香焼「か、勘弁して下さいっ」アタフタ・・・///

食蜂「あはぁ♪ 真っ赤っかぁ! 可愛いぃ」ニコニコッ

香焼「……んもぅ」ジトー・・・///

食蜂「めんごめんごっ。質問ねぇ……良いわよーっ。でも私も質問するからねっ★」ツンツン・・・

香焼「ええ。応えられる範囲なら答えます」ペコッ


さて、それは何から聞こう……とりあえず此処で何してるか、か。


香焼「食……操祈さん此処で何してる……ですか?」ジー・・・

食蜂「何ってぇ……んもぅ、えっちぃ」キャー

香焼「え」ダラダラ・・・

食蜂「……言わせるのぉ? それ何て羞恥プレイ??」ツンツン・・・


あれ? 僕変な事聞いたっけ? 会話が成り立ってないぞ?


香焼「あ、あの……はい?」タラー・・・///

食蜂「ふふっ……ヒ・ト・リでぇ」ニヤリ・・・

香焼「一人で……え?」アセアセ・・・///

食蜂「うんうん。ソ・ノ・ト・オ・リっ♪ 一人で、こっそり、誰にも見つからない様にぃ……気持ち良ぉく……ネ☆」ニコニコッ

香焼「…………っ……、」カアアァ///

食蜂「……あ、香ちゃん今えっちぃコトぉ考えたでしょっ?? へんたぁいっ★」キャー

香焼「なぁっ!!? ちょ、え、だ、だって今そういう感じで話を!」アタフタ・・・///

食蜂「気持ち良ぉくサボってただぁけ。まったくもぉ、香ちゃんったらムッツリさん♪ 見事に私の誘導力に引っ掛っちゃってぇ★」ニヤニヤ・・・

香焼「あ、ぅ〜〜〜〜ッッ」カアアァ///

食蜂「ほらほらぁ。今何考えちゃったか操祈お姉さんに教えてごらんなさぁい♪ どんなコトぉ想像しちゃったかなぁ??」ムニムニ・・・


この人、怖い。レッサーと同じベクトルだけど彼女より何枚も上手だ。
結局口に出すのはアレだったので、紙に二文字漢字を書き……超からかわれた。蛇さーん、助けてー。

203 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 21:25:44.48 ID:CaHLyxQH0
とことん(主に頬を)弄られた後、クタクタになりながら一息吐く。
如何にかして真面目に会話を続けたいものだ。


香焼「ええっと、お話続けても良い……ですか?」ハァ・・・

食蜂「はいはい。さっきの○○話かなぁ?? 香ちゃんも好きねぇ★」ニヤリ・・・

香焼「ち、違います! もぅ……サボりって」ジー・・・

食蜂「ああ、ソッチかぁ。うーん、言葉通りなんだケドぉ何か可笑しいかしら?」

香焼「……寧ろ、可笑しくないと?」キョトン・・・

食蜂「だってさぁ……ぶっちゃけぇ私此処で学ぶコト無いしぃ」アハハ

香焼「え」タラー・・・

食蜂「所詮、中学校レベルでしょう? そんなの小学校中学年で終わってるわよん♪」フフッ


成程。『天才』だから暇か。


香焼「それじゃあ何故常盤台に」ジー・・・

食蜂「何故かぁ……学校側がどぉしても席(学籍)置いてくれって五月蠅いから残ってあげてるのよ」コクッ

香焼「え?」

食蜂「要は欲しいんでしょ? 超能力者(レベル5)が居るっていう『誇り』と『看板(広告)』が」ビシッ

香焼「それって変……です」ムゥ・・・

食蜂「そうねぇ。私も変だと思うわ。でもぉ……ま、ビジネスかしらん? 御蔭で私は『ミス・アンチェイン(繋がれざる者)』なの♪」


良い二つ名だ。まさに貴女らしい。


香焼「でも、学校って勉強だけじゃない……です」ムゥ・・・

食蜂「ええ。だから私なりに好き勝手楽しませて貰ってるわよん☆ 常盤台って施設としては最高級だもの♪」フフッ

香焼「そういう意味じゃなくて」タラー・・・

食蜂「んー……ま、言いたいコトは分かったわ。香ちゃんって良い子なのねぇ」ジー・・・

香焼「いえ……そんな事無い……です」シュン・・・

食蜂「でもねぇ。私に御坂美琴みたいな『優良児』さを求めるのはぁ、甚だ可笑しいわよ。まぁ能力使っちゃえば優等生に変わりないけどねぇ」

香焼「…………、」ムゥ・・・

食蜂「あららぁ。何かご不満? 持てる力を最大限に発揮してぇ、自由奔放してるだけなのだけど」コクコクッ

香焼「……僕からは、何とも」


多分、今の彼女に僕の言葉は届かない。
下手に物言いすれば疑われるだけだし、徐々に崩していかないと、こういうタイプは折れないのだ。

204 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 21:46:46.41 ID:CaHLyxQH0
黙りこくった僕の表情を見て、彼女は苦笑する。
それから一服入れ……口を開いた。


食蜂「それじゃあ、私も香ちゃんに質問ね♪」ツンツンッ

香焼「え、あ、はい」コクッ

食蜂「貴女はぁ……何者なのかなぁ???」ジー・・・


またその質問。


香焼「えっと……如何答えれば良いのでしょうか。漠然とし過ぎてて」ウーン・・・

食蜂「そうね。ごめんなさい。普段相手の頭の中勝手に覗いてばかりだから、順を追うコトを忘れてたわん★」フフフ・・・

香焼「っ」タラー・・・

食蜂「だから怯えないのっ。香ちゃんの頭の中は弄らないってばぁ。やっても無駄だって分かったしぃ」クスクス・・・

香焼「……はぁ」ポリポリ・・・

食蜂「うんうん。無理矢理覗いて廃人にしちゃうのは勿体無い娘だもんねぇ★ ちゃぁんと質問しまーす♪」ムニッ

香焼「っ!」ドキッ・・・


僕の頬を抓み、微笑む彼女。『男』としてはこれ以上ないくらいドキッとしてしまう。


食蜂「そんじゃぁ……貴女はホントにぃ……常盤台(ウチ)の学生さん???」ジー・・・

香焼「えっ、はい?」ドキッ・・・

食蜂「質問の意味分からないかなぁ? 常盤台の学生さんなの??」ジー・・・

香焼「勿論……です。何でそんな事聞く……ですか」タラー・・・

食蜂「ふーん……学生証は?」ジー・・・

香焼「……はい」スッ・・・


学生証を取り出し手渡す。彼女は僕の頬を抓んでいない方の手で、それを受け取った。


食蜂「どうも♪ 何々……『一年三組 神崎香』……三組??」ハテ?

香焼「えっと、特別学級……です」シュボーン・・・

食蜂「特別……なぁにそれぇ?」ジー・・・


海原さんの作った『マニュアル』を説明する。


食蜂「―――ふぅん。希少能力者ねぇ……常盤台が預かるなんて珍しいわよん」ジー・・・

香焼「他の方にも言われました。普通は霧ヶ丘か長点上機だろうって……でも、知人の薦めで此処に」コクッ

食蜂「知人って??」ジー・・・

香焼「海原光貴さん……です」アハハ・・・

食蜂「へぇ……あの陰湿坊っちゃんがぁ……行方不明なのにぃ?」ジー・・・

香焼「え!?」ギョッ・・・


この人は……何を言ってるんだ?

205 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 22:22:20.80 ID:CaHLyxQH0
僕の『何言ってるんだコイツ』的な表情を見て、何やら考え込む操祈さん。
それから一度天を仰ぎ……再度此方に向き直った。


食蜂「うーん、本当に知らないんだぁ……ってコトはぁ、暗部の遣いじゃ無かったのねぇ」ボソボソ・・・

香焼「…………、」ポカーン・・・

食蜂「んー……でもそうなると、何で偽物がこの子を常盤台(ウチ)に入学させたのか分からない」ボソボソ・・・

香焼「あのー……操祈さん?」キョトン・・・

食蜂「純粋に善意? いや、でも……え、あ、あははは、ゴメンなさぁい。ちょこぉっと独り言よん♪」ニコッ・・・

香焼「はぁ」タラー・・・


海原さんの予想通り、この人は『海原光貴(本人)』と『エツァリ(別人)』の事を知っているっぽい。
今のは僕が未熟で、偶々反応に戸惑っただけだったが……もし『ヤバっ!』的な表情をしてたら、強引に頭を弄られてただろう。


食蜂「ええっとぉ、まぁ海原孫については如何でも良いとしてぇ。その希少能力ってのについてぇ分かる範囲で教えてっ♪」ニコニコッ

香焼「はい……といっても、僕自身さっぱり」ポリポリ・・・

食蜂「えー??」キョトン・・・

香焼「火が出せたり、風を起こせたり、筋力を上昇させたり、色んな事出来る……です」ウーン・・・

食蜂「嘘ぉ……多重能力(デュアルスキル)?? 有り得なぁいっ!」ジー・・・

香焼「ええ。先生達にもそう言われました。だから原因を解明させる為に開発(研究)をする、と」

食蜂「『原石』か、もしくは脳のキャパシティが異常に有って多才能力(マルチスキル)になってるとかぁ……分からないわねぇ」ウーン・・・

香焼「多分、脳についての専門家たる貴女(その手の権威)が居るからこそ此処に来た……って考えたら、ドラマチック過ぎ……ですか」ハハハ

食蜂「あらぁん……可愛いコト言ってくれるじゃなぁい? そんな蟲惑力使っちゃう子はぁ食べちゃうぞぉ★」ガオー♪

香焼「あはははは。それは困りました。どうしましょう」クスクスッ

食蜂「ふふっ。やっと砕けてきたわねぇ。みさきち嬉しいぞっ♪ まぁでもぉ……私じゃお役に立てないかもねぇ」ポリポリ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

食蜂「香ちゃんを廃人にしても良いなら可能かもしれ、な……ぁ」ピタッ・・・


突如、静止する操祈さん。そしてまた何かを呟き始めた。


食蜂(だから、アイツは此処にこの子を……もしかしてトンデモ無いパンドラの箱なの??)ボソボソ・・・

香焼「操祈さん?」ポカーン・・・

食蜂(成程ぉ。彼女を『壊して』、アイツらは『何か』を得る。そしてついでに、私にこの子を壊した『罪』を担がせる気かぁ)ボソボソ・・・

香焼「え、と……如何しました?」タラー・・・

食蜂(何も知らない子を生贄に……ふーん、そういうコトねぇ。だからアイツらのやり方は汚くて嫌いなのよん★)フンッ

香焼「…………、」アタフタ・・・

食蜂(でもぉ、此処で見捨てたらこの子は自ずと研究者共の『玩具』になっちゃうわねぇ……ゲスぅい。スマートじゃなぁい)ジー・・・


何だか勝手にトンデモ発想してそうだ。
頭の回転が速過ぎて、一度思考が何処かに向かうと引き返せなくなる……所謂『どつぼに嵌まった』状態。天才の欠点だな。

206 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 22:41:59.15 ID:CaHLyxQH0
それから一寸後、何やら勝手に自己解釈・自己納得したらしい。
視線を僕に合わせ……優しく微笑む。


食蜂「―――ごめんなさいね。ちょっと考えゴトしちゃった」テヘッ♪

香焼「あ、いえ」コクッ

食蜂「ねぇ香ちゃん。貴女が海原光貴を如何思ってるかは分からないケドぉ……気を許しちゃダメよん」ジー・・・

香焼「え?」キョトン・・・

食蜂「それから常盤台(ウチ)の教師達にも、同じくね……何かあったら相談なさい」ジー・・・

香焼「あ、えっと……はい」タラー・・・


目が笑ってませんけど、一体どんな解釈したんですか? 


食蜂「私を見かけたらいつでも話しかけて貰って大丈夫だからねっ☆ 気軽に『みさきち〜』って寄ってらっしゃい」フフッ

香焼「あ、ありがとうございます! あ、でも……あの」モジモジ・・・

食蜂「ん〜? なぁに? まぁだ私のコト信用出来ないのん? こんなに優しいのにぃ……操祈ちゃん悲しいよぅ」エーンエーン・・・

香焼「あ、ええっと、その、み、操祈さんは信用してますし、好き……です! そうじゃなくて」アタフタ・・・

食蜂「きゃっ! 告白されちゃったぁ☆」クスクスッ

香焼「うぇええぇ!? あ、いや、えっと、そのぅ……んもぉ〜〜〜ッ」カアアァ///

食蜂「あはぁ♪ 香ちゃんってばぁやっぱりイジり甲斐があるわねっ!」ツンツン・・・

香焼「くうぅ〜〜〜っ」ムスー・・・///

食蜂「ごめーん、機嫌直してっ♪ ほら、チョコあげるから☆」コロッ

香焼「……はぁ」グデェ・・・


この人の相手、五和並に疲れる。


食蜂「それで? 何を言おうとしてたのかしらん??」ジー・・・

香焼「はい……操祈さんは優しい人……です。でも、その……皆の憧れだから」ムゥ・・・

食蜂「え?」キョトン・・・

香焼「僕が、声掛けたら……迷惑かなぁって。周りの人に怒られてしまいます」ウーン・・・

食蜂「あー……そういうコト気にしてたのねぇ。お馬鹿な娘」フフッ

香焼「すいません。あとは、えっと、操祈さんはいつも沢山のお友達と一緒に居らっしゃるので……近付きにくいといいますか」ポリポリ・・・

食蜂「……友達?」ハァ?


『何言ってんの?』みたいな顔された。情報で『常に取り巻きが居る』と聞かされていたんだが、違うのか?

207 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 23:19:56.33 ID:CaHLyxQH0
操祈さんは少々悩んだ素振りを見せた後、小首を傾げ可愛らしく告げた。


食蜂「ああ、あの子達ねぇ。私の周りにウジャウジャ居る連中のコト言ってるんでしょう??」ジー・・・

香焼「え、はい」キョトン・・・

食蜂「もしかしてぇ……香ちゃんもあの中入りたいとか考えちゃう系の娘なのぉ??」ジトー・・・

香焼「い、いや。申し訳ない……ですけど……ちょっと怖いなぁって」タラー・・・

食蜂「あらぁ良かった♪ あ、除け者って意味じゃないわよん。香ちゃんのコト嫌いじゃない上でそう言ってるの☆」フフッ


如何いう意味だ?


食蜂「あのさぁ……私の周りに居る連中がぁ私の友人に見えるのん??」フムフム・・・

香焼「え、と……僕の口からでは、何とも」アハハ・・・


御坂さん達が言っていた。
操祈さんの取り巻きは『恐怖と彼女の派閥に居るという安堵感』故に、彼女についている。
言い方は汚いが『腰巾着、金魚のフン』のくせに威張ってる。そして『自分は最強の指導者の臣下だぞ。敬え』と高飛車。

そして極めつけは……


香焼「もしかして……洗脳してる……ですか?」タラー・・・

食蜂「……香ちゃんから見ても、私ってそんな人に見えるかぁ。まぁ自業自得よねぇ」ハハハ・・・

香焼「っ……ごめんなさい」アタフタ・・・

食蜂「あはぁ。いいのいいの。私の能力は絶対嫌われる能力だから★」フフフ・・・

香焼「……ごめんなさい」シュン・・・


昔話で出てきた『覚(サトリ)』という妖怪を思い出す。


食蜂「でもねぇ。実際あの子達は勝手にベッタリ付いてきてるだけよん。誇りに賭けても洗脳で引き連れたりはしてないわ」ジー・・・

香焼「……でも、派閥が如何こうとかいう話も聞いた事があります」チラッ・・・

食蜂「ハァ……そもそもぉ、その考えがチャンチャラ可っ笑しいのよ」フゥ・・・

香焼「え、と」ポカーン・・・


噂は嘘だったのか―――


食蜂「この学校は『私のモノ』なのに派閥云々言ってるのが変なのよん♪ 違うかしらぁ???」ニコニコッ♪


―――ああ、成程。真正の『暴君』だったのか。納得しましたよ。

208 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/08(火) 23:41:24.83 ID:CaHLyxQH0
女王、寄生蜂、ミス・アンチェイン(繋がれざる者)……目の前に居る可憐な少女がその『暴君』なのだ。やはり一筋縄では行かない人。
しかし視点を変えてみる。彼女は……孤高の王なのだ。故に朋友は無い。また、誇り故に救いを求めたりしない。

以前固法さんか白井さんが言っていた。『超能力者(お姉さま・麦野さん)は一人で悩む』と。
確かに、軍覇の姿を見ていてもそうだ。アイツは見目明るく振る舞っている。決して弱音を吐かず、助けも求めない。


香焼(昔の女教皇様と同じっすね)ムゥ・・・


強者は独り。


食蜂「んー……なぁに難しい顔してるのん? 小皺が出来ちゃうぞっ☆」ペチッ

香焼「あ痛っ」ビクッ

食蜂「言いたいコトは手に取る様に分かるわよぉ。顔に出てる♪ 分かり易い子ねぇ」フフフ・・・

香焼「あ、ぅ」タラー・・・

食蜂「もしかしてぇ香ちゃんってば共産主義者(アカ)さん??」ニヤリ・・・

香焼「きょ、極論過ぎます!」アタフタ・・・

食蜂「あはぁ。めんごめんごっ♪ でもぉ『皆仲良く平等に争いなく平和に』とか願っちゃうタイプでしょ??」ツンツンッ


否定はしない。


食蜂「優しいのね……嫌いじゃない……っていうか『嫌いになれない』タイプねぇ。あまりに綺麗で崇高過ぎるから」クスクス・・・

香焼「なんだか馬鹿にされてる気がします」ムゥ・・・

食蜂「うぅん。良いのよ。私とか他のが『歪んでる』だけだから。ただぁ貴女のその考えは独裁者タイプにはキッッツいのよ」フフフ・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・

食蜂「ねぇ。香ちゃんはよく『甘ちゃんだね』って言われない???」ニヤリ・・・

香焼「うぐぅ……な、何故、それを」ダラダラ・・・

食蜂「あはぁ♪ だって甘ったるいもんっ☆」アハハハ!


悔しいがこれも否定できない。流石精神学の権威。人を見る目がある。
まぁ……僕が分かり易過ぎるだけかもしれないが。

209 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 00:17:03.22 ID:TIBWJjB20
ふと、時計を見ると既に4時を回っていた。喋り耽ってしまうと如何も時間の間隔を忘れてしまう。


香焼「あの、もう放課後……ですよ」チラッ・・・

食蜂「そうねぇ。私はもう少し構わないケドぉ……香ちゃんは用事あるの??」ジー・・・

香焼「いえ、無い……です。でも僕達以外にも図書館使いたい人が居るんじゃないかって思って」コクッ

食蜂「ふふっ、真面目ねぇ。分かったわ……場所を移しましょう☆」スッ・・・


鞄からリモコンを取り出す。そして一振り……―――


香焼「あ……うっ」ビクンッ・・・

食蜂「え?」ギョッ・・・

香焼「ぅ、ぁ……何、した……ですか?」グッ・・・

食蜂「何って……図書館(ココ)で使ってた広範囲暗示を切っただけなんだけどぉ」ジー・・・


―――……動悸。


食蜂「うーん。多分、相性悪いんじゃないかしらぁ。私が能力行使するだけで香ちゃんが苦しむのねぇ」ムゥ・・・

香焼「はぁ……すいません」ペコッ

食蜂「なぁんで謝るのよぅ……まぁ良いわ。極力使わないで居てあげる♪ 特別だぞっ☆」クスクス・・・

香焼「ありがとうございます」ペコッ


赤外線スコープで僕らを見張っている蛇さんが、僕に能力を掛けたと勘違いして電流を流したのだろう。
機敏な動きで助かるが、それが早とちりと化してしまうと……正直困る。


食蜂「さぁてと。それじゃあ空き教室でも見つけてお喋りの続きしましょ☆」ニコニコッ

香焼「はい」コクッ


彼女が能力を切った所為か、図書館に人がボチボチ入って来始めた。
その中を自然に進む学校の女王様に道行く人が目を留める。しかし操祈さんは総スルー。


香焼「あ、あの」アタフタ・・・

食蜂「取り巻きのフリしちゃいなさい。何も言わず黙々と私の後付いてくれば大丈夫だから♪」フフッ

香焼「はぁ」タラー・・・


言われた通り偶々居合わせた取り巻きの一人を装い、彼女の後に続いた。
しかし……驚きだ。まるでモーゼ。歩けば人が端に避ける。そこには尊敬と畏怖の目。

やはり彼女は孤高なのだ。

210 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 00:46:40.55 ID:TIBWJjB20
この調子でさっさと移動してしまおうと考えたのも束の間、いきなり問題発生。


????「―――さま……食蜂様!!」パタパタッ

香焼「うわっ!?」ギョッ・・・

食蜂「……あーあ」ハァ・・・


ゾロゾロと此方に向かってくる集団。大体20人近くは居る……アレが取り巻きか。
その中でも一際目立つ縦ロールの生徒が一歩前に出て、操祈さんに話しかけた。


縦ロール「食蜂様! 一体何処に居らしたのですか!?」ズイッ

食蜂「んー……何処でも良いでしょー」テクテク・・・

縦ロール「良くありませんわ! 食蜂様は我が校の女王(エースオブエース)! 下人の一人もつけないで出歩くなど以ての外です!」

香焼(うわぁ。騎士団長(ナイトリーダー)みたいな事言ってる)タラー・・・

食蜂「まったくぅ……付添なら此処に居るわよぉ」ポンッ

縦ロール「はぁ? ドチラに?」キョトン・・・

食蜂「だからぁ、この子」ポンッ

香焼「えっ!? あ、いや、その」アタフタ・・・

縦ロール「むっ。小さ過ぎて分かりませんでしたわ」フム・・・


カチンときたね、これ。


縦ロール「しかし、下人は下人でも人を選んで貰わねば困ります。何故(なにゆえ)この様な木っ端娘を」ジトー・・・

食蜂「あらぁ……文句吐けちゃう系???」ジー・・・

縦ロール「い、いえ、そういう訳では……そこの貴女っ!」チラッ・・・

香焼「は、はい!」ビクッ

縦ロール「学年学級名前は?」ジー・・・


威圧に負け答えてしまう。


縦ロール「一年ですってぇ……教育係! 一年担当の教育係は居ますか!?」ギロッ・・・

片眼鏡「わ、私(わたくし)です」タラー・・・

縦ロール「集会でもないのに一年を食蜂様の侍女に付けるとは如何いう事ですか! 教育が成ってませんわよ!」ギロッ・・・

片眼鏡「い、いえ、その」ジー・・・

縦ロール「口答えしない! 二年教育係! 後で話が有ります!」チラッ・・・


あー、このノリ知ってるぞ。体育会系ってヤツだ。
チラリと操祈さんの顔を見る……心底面倒臭そうな表情をしていた。心中お察しします。

211 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 01:13:35.00 ID:TIBWJjB20
何やら取り巻き同士でゴダゴダやってる様だ。もうこの隙に先進めないかなぁ。
とか考えた刹那、一年教育係とかいう役職を受け持った片眼鏡の女性が口を開いた。


片眼鏡「せ、先輩! お言葉ですが……私はあの子を存じ上げません!」ダラダラ・・・

縦ロール「何ですってぇ……未だに名前を覚えられませんの!? それでもこの派閥、栄えある教育係を受け持つ一員ですか!」ギロッ・・・

片眼鏡「し、しかし……あ、貴女達も知らないわよね!」チラッ・・・

サイドポニー「え、ええ。私は……分かりませんわ」タラー・・・

白タイツ「わ、私も。というか見た事、ありませんわね」タラー・・・

姫カット「神崎、さん……やはり聞き覚えがありません」タラー・・・


他数名も頷く。縦ロールの取り巻きは一寸固まり……ギチギチと変な音を立てながら、僕の方を向いた。
あ、コレはヤバい。


縦ロール「……貴女、何者ですか?」ギロリ・・・

香焼「え、あ、その」ダラダラ・・・

縦ロール「崇高なる我が派閥に入りたい気持ちは分かります。しかし! 食蜂様に直接取り入るなど言語道断!」ズイッ!

香焼「ひ、ぁ」タラー・・・

縦ロール「各クラスに一人は我が派閥の人間が居る筈です。何故其方に話を通さないのですか! これは最早不敬罪ですよ!」グイッ!

香焼「ご、ごめんなさいっ」ダラダラ・・・

縦ロール「ごぉめんなさぁいでは済まされません!! 直ちに罰則を!!」ガアアァッ!!


後ろの取り巻きからも『そうですわ!』とか『卑怯ですの!』とか『羨まs…ゲフンゲフンッ…けしからん!』とか声が上がる。
正直、逃げ出したい。海原さん、蛇さん助けて―――




食蜂「えいっ★」ブンッ




―――とか、心中弱音を吐いた瞬間……操祈さんの腕が上がった。手にはリモコンを持っている。
一瞬の動悸の後、周りを見ると……興奮状態にあった取り牧たちが、全員呆けた状態になっていた。


食蜂「はぁ。まったくぅ……香ちゃん、ごめんなさいねぇ♪」フフフ・・・

香焼「い、いえ……助かりました」タラー・・・

食蜂「んもぅ。相っ変わらず融通きかない子達ねぇ……ほいっ★」ブンッ・・・

香焼「うっ……ハァハァ」ビクッ・・・

取り巻き's『――――、』ボー・・・

食蜂「さぁて。オ・シ・オ・キも済んだし★ さっさと行きましょう♪」ニパー!

香焼「は、はい……あ、えっと……すいません」ペコッ

食蜂「茫然状態の子達に謝罪なんて……まったくぅ無駄に律義なんだからぁ」フフフッ


僕らはさっさと先へ進んだ。
余談だが、後で聞いた話によると……その場に居合わせた全員の体重が3kg増えてたらしい。操祈さんマジ怖ぇ。

212 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 01:40:19.65 ID:TIBWJjB20
 ―――はたまた別日、PM04:30、学園都市第7学区、学舎の園、常盤台中学・・・・・







西日の刺し入る教室。窓からは校庭で部活動に励む生徒達の姿が見える。
丁度良く人一人居ないその教室に操祈さんは僕の手を引き入った。そして例の如く軽くリモコンを一振り。

これで人が近付く心配は無かろう、と微笑んだ。


食蜂「ふぅ……さっきはごめんなさいねぇ」ポンッ・・・ナデナデ・・・

香焼「ふぇっ!?」ドキッ・・・

食蜂「こぉんな可愛い娘に寄って集って……流石の操祈ちゃんもプンスカ来ちゃったぞっ」ムンッ・・・

香焼「い、いえ。えっと……僕の方こそ、ごめんなさい」ペコッ

食蜂「だからぁ、なぁんで謝るのかなぁ……香ちゃんは悪くないでしょっ」ムニムニ・・・

香焼「……ふぇふぉ」ウーン・・・

食蜂「でももテロも無ぁいのっ☆ ほぉら。こっちおいで♪」ギュウッ・・・

香焼「にゃっ!!?」ドキンッ///


腕を掴まれ、引き寄せられた。そのままぬいぐるみでも抱くかの様に僕をホールド。
割と長身の彼女。チビの僕に抱き着くと……丁度、胸が。

いや、デカ過ぎでしょ。五和以上はあるぞ。ホントに中学生ですか?!


食蜂「うふふふ♪ 初のぅ初のぅ☆」ニヤニヤ・・・

香焼「は、離れて下さいっ!! は、恥ずかしい……です!!」カアアァ///

食蜂「あららぁ? 同性に抱かれて恥ずかしいのぉん?? ノーマルって言ってたくせにぃ」ニヤニヤ・・・

香焼「(『男』なんすよおおおおぉっ!!)ち、違、む、胸がっ!!」ムガガガァ///

食蜂「んー??? あらぁ。めんごめんごー★」フフフ・・・


まるで『気付かなかったぁ★』とでもいう様な顔。絶対態とだ。


食蜂「んふー♪ おっぱい気になるのん? 香ちゃん、やっぱりえっちぃわねぇ」キャー

香焼「だ、だからぁ……もぅ……意地悪しないでください」ウルウル・・・

食蜂「あはぁ♪ たぁのしっ! その泣き顔見てるとぉゾクゾクと……ハッ! もしかしてそういう能力(魅惑)なのかもよぉ!」パアアァッ!!


いや、ねぇよ。

213 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 01:59:10.80 ID:TIBWJjB20
兎に角一旦離れてもら―――おうとしてのだが、放してくれない。ホント困った。


食蜂「んふふっ♪ それにしてもぉ……香ちゃんは『ちっぱい』ねぇ」ジー・・・

香焼「(有る訳無いでしょ……胸筋はもう少し欲しいけど)べ、別に良いでしょう」タラー・・・

食蜂「んー……えいっ★」ガシッ!

香焼「ひゃんっ!?」ビクンッ!!

食蜂「あららぁ?? ブラしてない。最早ナイ胸レベルかぁ……よぉし! 操祈ちゃん特製ほーきょーマッサージをしてやろぅ★」モミモミッ!

香焼「(冗談キツいぞおおおおぉっ!!)い、いやっ!! 止め、てっ!!」ビクッ!!

食蜂「良〜いではないかぁ♪ 良いではないかぁ♪」モミモミ・・・

香焼「(これ、は……大ピンチ!!)み、みさ、き、さん……ぁ……止め、てっ」ビクンッ・・・

食蜂「そうは言ってもぉカ・ラ・ダ・は正直だぞぅ★」グヘヘェ♪


何処のオヤジですか……って、これ、マジで拙い。主に股間が―――***



御坂蛇「……性欲を持て余す、とミサカは監察します」タラー・・・

海原『スネーク? 現状を』Pi!

御坂蛇「大ピンチ以上の何か、とミサカは食蜂操祈(ホシ)の理解不能な行動に言葉を失います」アゼーン・・・

海原『え?』キョトン・・・

御坂蛇「胸を……揉んでますね」タラー・・・

土御門『あんだとっ!?』ガタッ!

御坂蛇「落ち着け近親相姦者……揉まれてるのは香の方です、とミサカは冷静に状況を伝えます」フム・・・

海原・土御門『『』』チーン・・・

御坂蛇「アレは……拷問じゃないですよね? 如何しましょう、とミサカは師匠らに指示を仰ぎます」

海原『え、と……良く分かりませんが』タラー・・・

土御門『……もう電流流しちゃっても良いんじゃないかにゃー』フンッ

御坂蛇「了解。一発デカいの(マックス)ブチ込んでやる、とミサカは張り切ります」ニヤリ・・・

海原『ほ、程々にね』Pi!


***―――もう誰でも良いから助けてと叫ぼうとした瞬間……最悪の助け(?)が『走った』。

214 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 02:22:42.78 ID:TIBWJjB20

御坂蛇「スイッチ……オン!」スッ・・・バッ!


 *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



もうね……適切な言葉が見つからないけどさ……とりあえず先に言っておこう。





               …不幸だ…






食蜂「ふふっ……あぁちょっとヤバいかもぉ★ 私も変な方向(レズ)に目覚めちゃいそうかなぁ―――」

香焼「いぃッ……ぅああああああああああああああああぁっ!!」ビクンッビクンッ!!

食蜂「―――って、ちょ、え、待っ!? な、何!!?」ギョッ・・・

香焼「や、止め、止めぇんっ!! いぃやあぁああああああぁっ!! い、ぃ痛あああぁっ!!」グンッ!!

食蜂「か、香ちゃん!? わ、私そんなに強く揉んで無いわよ!?」アタフタ・・・バッ!!

香焼「ひゃめぇっ!! いひゃっうっ!! へ、へびひゃあああぁんっ!! ふぁめえええてえええぇっ!!」ジタバタッ!!

食蜂「も、もぉ手ぇ放したじゃないっ!!?」アワワワ・・・


そういう問題……違ぅ……これ……もう、痛い……げき、痛で……。。。


香焼「んんんんんんぅっ!! ら、めぅあっ!! ああああぁっ!!」ガタガタガタ・・・

食蜂「か、香ちゃん!!」アタフタ・・・

香焼「ぁ……あが、ぁ……みひゃ、ひやぁぅ!! みひゃあああ、ぃでええええぇっ!!」ブルブルブル・・・

食蜂「っ……能力で強引に止めるしかないのん???」タラー・・・


そうい……問……じゃな……ねが……見ない、で……。。。



 *   *   *   *   *   *   *   *   *   *


御坂蛇「むっ……少々やり過ぎたか。アレは一回りして命の危険だな……とミサカは反省しつつ電流を止めます」スッ・・・ピタッ


215 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 03:07:57.16 ID:TIBWJjB20
意識が半分飛びかけた時……電流が止まる。正直、感電死及び窒息死するかと思いました。マジで慰謝料請求するぞ。


香焼「ッ……ハァ……ハァ」ビクッ・・・ダラダラ・・・

食蜂「止まった!?」ハラハラ・・・

香焼「ゼェ……すぃ……ませ……ごめ、なさ」ヒューヒュー・・・

食蜂「い、良いから黙ってて……う、動かなくて良いからねぇ」アタフタ・・・


無駄に心配を掛けてしまった。おまけに机の整列がグチャグチャになるまでのた打ち回ったぞ。
まぁ結果として操祈さんから離れられたとはいえ、何で電流流されたんだ? 攻撃されたと勘違いした?


食蜂「ビックリしたわぁ……もしかして香ちゃん、癲癇(てんかん)持ちとかだったりするのん??」タラー・・・

香焼「い、ぇ……でも、病気は……あります」ハァハァ・・・フゥ・・・


息切れ動悸が治まった所で、例の偽病を説明する。


食蜂「はぃ? 突発せー電気発作アレルギーしょーこー群?? なぁにそれぇ???」ポカーン・・・

香焼「自分でも良く分からない……です。でも、今みたいになります」ハァ・・・

食蜂「うーん……意味不明なんですケドぉ……兎に角ぅ大変なのねぇ」ムゥ・・・

香焼「……これも、治して貰えるかもしれないって事で常盤台に入りました」コクッ

食蜂「な、何故にぃ??」キョトン・・・

香焼「身体っていいますか、神経の中の電気信号が乱れるだかの病気なので……電撃使い(エレクトロマスター)の権威に」ジー・・・

食蜂「あーなるへそぉ。副交感神経か自律神経、脳の信号の問題かしらん……何にせよ、色々興奮しちゃうと起こるのかもねぇ」ウーン・・・

香焼「どうでしょうか」ポリポリ・・・

食蜂「でもぉ……彼女でも面倒見れる病気か如何か」ムゥ・・・


絶対無理でしょうね。だってそんな病気存在しませんから。


食蜂「でもさぁ。先に行ってくれれば良かったのにぃ。そうすればぁさっきみたいなえっちぃの我慢したんだぞっ★」ジー・・・

香焼「……そういうの抜きにしてもやらないで下さい」ハァ・・・

食蜂「てへっ★」ペロッ♪


油断も隙もならん。とりあえず机を元の位置に戻しつつ、気持ちを整えた。

216 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 03:29:09.58 ID:TIBWJjB20
それから暫く、下らない話が続いた。
勉強について。休日の過ごし方について。流行のファッションについて。人気のスイーツについて。住んでるマンションについて。

とても下らないけど……貴重な時間。こういう当たり前な話がしたかったのに、随分と時間が掛ってしまった。


食蜂「―――ふふっ♪ 香ちゃん、可愛いのに女子力あんまり無いのねぇ。駄目だぞぉ☆」クスクス・・・

香焼「あはは。頑張ってる……ですよぅ」フフッ


気がつくと西日もかなり傾き、教室内は赤く照らされていた。


香焼「そろそろ、下校時間……ですね」ジー・・・

食蜂「そうね……私はもう少し時間大丈夫なんだケドぉ。香ちゃんは??」チラッ・・・

香焼「うーん、すいません。今日の夕食当番僕……です」ペコッ

食蜂「そっかぁ。残念ねぇ」ムゥ・・・ツンツン・・・


頬を突かれる。


食蜂「……ねぇ香ちゃん」ジー・・・

香焼「はい。何か?」キョトン・・・

食蜂「真面目に……明日から、私のペットね☆」ジー・・・

香焼「え」ピタッ・・・


何言ってんだ、この人。


食蜂「うーん、始めは面白半分でからかってたんだケドねぇ。けっこー愛着沸いちゃった♪」フフッ

香焼「え、あ、あの……その」アタフタ・・・

食蜂「私の能力効かない希少な人間だしぃ。超電磁砲(御坂美琴)みたいにガミガミしてないもんっ。何より可愛い☆」ナデナデ・・・

香焼「ええっと……うーん」タラー・・・

食蜂「まぁまだまだ色々と『隠してるコト』多いみたいだケドぉ……合格点あげるよぉ♪」ニパー!


言葉に困る。


香焼「あ、の……ぺ、ペット?」タラー・・・

食蜂「うん、そぉよ♪」ポンポンッ

香焼「え、ぅ……な、なんか怖い……です。操祈さん」タラー・・・

食蜂「なんでよぉ? まだ私が怖いのん?? あ、それともアレかなぁ? 取り巻き連中の妬みとかが怖いとか???」ブーブー!


どっちもです。

217 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 03:44:34.15 ID:TIBWJjB20
現在、心の中で深入りし過ぎたと反省中。これではもう逃げるに逃げられない。


食蜂「ダイジョーブっ。取り巻きには貴女の存在を『気付かせない』からぁ★」ニヤリ・・・

香焼「そ、そういう問題じゃなく……むぅ」ダラダラ・・・

食蜂「……なぁに?」ジトー・・・


何を言えば良い。素直に『嫌だ』と断ってしまったら、それまでだ。
それは拙い。今までの積み重ねが水の泡。目的も果たせない。

何より……彼女との縁を切ってしまいかねない。


香焼「操祈さん。ペットって、オカシイ……ですよ」ジー・・・

食蜂「へ??」キョトン・・・

香焼「僕は人間……です」ジー・・・

食蜂「……あー。そゆコトぉ」ハハハ


何が可笑しい。


食蜂「あのさぁ。例えばウチでワンちゃんを飼ってたりするわ。あ、ネコちゃんでも良いわよ。飼ってるんでしょ?」ジー・・・

香焼「はい」コクッ

食蜂「うんうん……でね。そのネコちゃんってぇペットなワケじゃない。香ちゃんはネコちゃんを蔑ろにするのん??」フフフ・・・

香焼「しません。する訳が無い」

食蜂「ええ、そうでしょうねぇ……飼い主はペットを愛するわ。それもぉ時には家族や友人以上にっ☆」ニャー

香焼「……僕に、そうなれと?」

食蜂「ええ。自分で言うのもなんだけどぉ、女王の寵愛を受けれるのよんっ♪ それって凄くなぁい?」ナデナデ・・・

香焼「…………、」

食蜂「取り巻き共だったら涙枯らすホドに喜ぶわぁ。それは香ちゃんが独り占めっ☆」フフフッ

香焼「……操祈さん」

食蜂「あー返答は要らないわよん。決定事項だから★」ニコニコッ♪


正直言おう……心底、呆れた。

218 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 04:26:55.18 ID:TIBWJjB20
ただニコニコと天使の様な笑みを浮かべ、僕の頭と頬を撫で続ける小悪魔。
頭の中で色々思う所があったのだが……僕は一つの決断を下した。


香焼「……操祈さん」ボソッ

食蜂「うん。なぁに??」フフフッ

香焼「お手洗い、行ってきます」スッ・・・

食蜂「ふふっ。一緒に行こうかぁ?」ニヤリ・・・

香焼「……一人で行きます」テクテク・・・

食蜂「……そう。行ってらっしゃい♪」ノシ


教室を出てトイレに向かう。そこにはもう、女子トイレだから恥ずかしいとかいう羞恥心はない。
個室に入り……携帯を取り出す。


香焼「……もしもし」Pi!

海原『はい。スネークからの連絡を聞く限りではかなり良好な関係を築けている様ですね。いやぁ予想以上の成果ですよ』フフッ

香焼「…………、」

海原『……ふむ。何か問題でも?』

香焼「彼女に……ペットになれ。そう言われました」

海原『え……あ、そ、そうですか……うーん。無茶苦茶言いますねぇ。流石我儘女王』ハハハ・・・


後ろから土御門の苦笑も聞こえる。だが、僕の心にそんな余裕はない。


海原『アドバイスですか? そうですねぇ……ま、承諾して良いのではないでしょうか。表面だけそう付き合っておけばアチラも納得す――』

香焼「海原さん。『緊急マニュアル:γ』を」グッ・・・

海原『―――る、で……は?』タラー・・・

香焼「許可を」

海原『え、な……はい?』


緊急マニュアル……彼女との接触の際に、命の危機や正体がばれそうになったりする『ピンチ』があった時のマニュアルだ。
因みに、先程の強力な電流は『α』プランである。


海原『……此処でそれを切る必要は無いかと。所詮は上辺の付き合いですよ』

香焼「お願いします」

海原『香焼さん……忘れたのですか? 今は修行中であり、且つ任務中ですよ。如何して私情を――』

香焼「……教義故」

海原『――……はぁ』


救われない者に、救いの手を……それは誰しもに均等に与え得る機会。

219 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 05:01:01.27 ID:TIBWJjB20
そして暫く説得という名の僕の我儘訴えを続け……海原さんの許可を取り付ける。


海原『―――まったく、とんだ頑固者ですね』ハァ・・・

香焼「すいません」

海原『まぁどんな意図があるにせよ……関係を壊す事が無い様に』

香焼「ええ。承知の上っす」

海原『……では、良い結果をきたいしてますよ』Pi!


電話を切る。そして再び……教室へ。


香焼「すいません。お待たせしました」ペコッ

食蜂「うぅん。快便だったかぁい?」フフフッ

香焼「お下品……ですよ」ハハハ・・・

食蜂「こりゃ〜失敬しましたぁ♪」クスクス・・・


彼女の前の席に座る。


香焼「……操祈さん」ジー・・・

食蜂「なぁに改まってぇ? あ……愛の告白タイムとかぁ☆ ノーマルって言ってたのにぃ♪ それを覆しちゃう私の魅力が憎いぞっ★」キャー!

香焼「……愛ではないけど……そう……ですね。告白タイム……です」ジー・・・

食蜂「あら……此処で隠しゴト暴露しちゃうとかぁ?」ジー・・・

香焼「隠し事……うん。多分、隠し事って言えば隠し事……です」ボー・・・

食蜂「うーん……それってぇ。私が不快になる様なコトかなぁ? だったら言わなくて良ぃよぉ」チラッ・・・

香焼「分かりません。僕の話を如何捉えるかは、操祈さん次第……です」ムゥ・・・

食蜂「はぁ。私は香ちゃんとはこの距離が良ぃのだけどぉ……ヤな予感しかしないなぁ。それ聞いたら『オシマイ』になったりしない??」

香焼「……分かりません。でも僕はこれ以上、操祈さんにこの事を言わないのは辛い」グッ・・・

食蜂「折角良ぃ関係だったのになぁ……まぁ良ぃや。言って御覧なさい」ポンッ・・・


懺悔を聞く修道女の様な微笑みを僕に向ける。しかしその中には少しの哀愁が籠っていた。
だからこそ……そんな顔も出来る彼女だからこそ……僕は覚悟を決め、緊急マニュアルを実行する。


香焼「僕は……―――



@男と告白(香焼ではなく、あくまで『神崎香』として)

A『裏』の存在だと告白(男という事は伏せ、香焼として)

Bスーパーカミやん病説教タイム(その名の通り、食蜂操祈に物申すっ!)



              >>223




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



※すいません。PCが低スペックで更に遅筆な所為で、書くのが遅れます。
  とりあえず今日は此処まで。第三話のアンケですが、Cが多いので後ほどもう一回取り直します。

  それでは適当にコメント下さい。ではまた次回! ノシ”

220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/09(水) 10:02:51.48 ID:s4pFNzyAO
うわ責任重大な安価な気がしてならない
Bを選びたいが
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 10:45:50.07 ID:4mDN9k3H0
B

いつ柵川中組が出てくるんだろう? 佐天さんの……スカート捲りが……!?
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 11:48:50.63 ID:8e2A8cvIO
@だと、むしろ都合が良いわぁ、な展開になるかも
Bはみさきちの人格の根っこ次第になりそうだ
Aはどうなるやら

B、次点で@が妥当かね?
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 12:33:05.06 ID:GDiOalLno
3
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 14:22:07.35 ID:7OoWCAXDO
面白そうなのは@だったけど……決まっちまってたかぁ

いやしかしこんなに可愛い香ちゃんが女の子な訳無いよねっ!
225 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/09(水) 19:36:48.17 ID:TIBWJjB20
こんばんわ。アンケはBですね!

それでは続き投下。
226 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 19:59:15.56 ID:TIBWJjB20
彼女の目を見て、はっきりと宣言した。


香焼「―――僕は、貴女のペットにはなりません」

食蜂「……だぁからぁ。それは貴女が決める事じゃないわよぉ。拾われる野良ネコに決定権は無いでしょっ★」ムー・・・

香焼「僕は猫じゃない。人間……です」

食蜂「あのねぇ。さっきの話聞いてたかしらん? ペットも謂わば家族であり恋人以上の関係だってぇ」ハァ・・・

香焼「詭弁でしょう」

食蜂「むっ……、」ピタッ・・・


明けら様に不機嫌な表情。だが、気持ちは僕も同じ……いやそれ以上だ。


食蜂「……何故、保護を受けないのかしらん??」ジー・・・

香焼「そもそも、そういう物言いがオカシイ……です。保護って何……ですか」

食蜂「そのままの意味なのだケドねぇ。今の香ちゃんは野良ネコだもの」ピッ・・・

香焼「だから、そういう例えをしないで下さいっ」

食蜂「話を聞きなさい……さっきまでの貴女の話を聞く限りぃ、現状はまさにそれよ」ジー・・・

香焼「……え?」

食蜂「要はモルモットさん。常盤台の研究者達に壊れるまで弄られるのがオチだわねぇ」ハァ・・・


マニュアル上の希少能力について言ってるのか。


食蜂「アイツらは香ちゃんっていう『珍しい玩具』を見つけて手に入れたわ……じゃあ、如何なっちゃうか分かるわよねぇ?」ジー・・・

香焼「っ……そ、そんな非人道的な事!」

食蜂「……ほら。無防備」ヤレヤレ・・・

香焼「え」

食蜂「非人道的? だからなぁに? まさにこの街を知らない人間の言葉よねぇ」フゥ・・・

香焼「で、でも常盤台は!」

食蜂「……ええ。周りに比べれば大分マシかも。でも『マシ』なだけー。結局は此処も『研究機関』なのよん★」チラッ・・・


勿論、知っている……学園都市(この街)は素敵な所だが、それと同時に、途轍もなく腐っている事くらい分かっている。

227 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 20:36:43.76 ID:TIBWJjB20
操祈さんは何も言わないまま立ちあがる。そのまま静かに歩き出し、教卓へ座って僕を見下した。


食蜂「問題はそれだけじゃなぁい。誰の庇護も受けずにぃ、どうやって地位を築く気なのん?」ジー・・・

香焼「そういう考えが歪んでるって、思わない……ですか?」

食蜂「世間一般じゃアウトローよねぇ……でもこの街、そして高飛車なお嬢様ばかり集まったこの学校では私の方が賢い考え♪」フフフ・・・

香焼「っ……立場なんて、要らない!」

食蜂「はぁ。うーん、薄々分かっていたけどぉ……どぅやら、私達は『根っこ』から違う様ねぇ★」ポリポリ・・・


僕は最初から分かっていた。


香焼「だけど……それでも……僕は、操祈さんを嫌いになれません。根っことか何とか、関係無い!」

食蜂「……その考えよん。香ちゃんは賢いくせに、感情的過ぎるっ☆」ハハハ・・・

香焼「逆に貴女は、達観し過ぎ……です。勿論、色んな意味で僕は若輩者……ですけど、操祈さんは上から目線過ぎる」

食蜂「あはぁ♪ 怒ってるのん??」ニコニコッ

香焼「見れば分かるでしょう!」


真面目な話をしているのに、全て受け流されている。態と怒りを誘っているのか?


食蜂「ええ。怒った顔も可愛いもんっ☆」フフッ

香焼「ッ」

食蜂「ふふふっ。ま、カワイソだからコレくらいにしとくかぁ♪」ニコニコッ

香焼「操祈さんは……僕の話を、聞いてくれないの……ですか。耳を貸してくれないの……ですか」

食蜂「ううん。ぜぇんぶ聞いてるわよ。可愛い可愛い香ちゃんの正論(綺麗ゴト)だもの★」フフフ・・・


足を組み変え、舌舐めずり。僕の全身を撫でる様に見回す……まるで透視能力者に見透かされてるかの様な感覚。


食蜂「それじゃあ……私も百歩譲って、命令ではなく『交渉』に切り替えてお話してあげるぅ」ペロッ・・・

香焼「…………、」

食蜂「ペットになって私の庇護力を受ければ、立場は絶対的なモノ。常盤台どころか都市全ての研究者が貴女に手を出せないぞっ☆」フフッ

香焼「だから立場なんて!」

食蜂「お話は最後まで聞ぃく。更にぃ改竄翌力を持ってすれば成績は学年トップ。もぉっと嬉しい恩恵としてぇ……奨学金マシマシだぁ♪」ビシッ

香焼「それは卑怯(ズル)……です!」

食蜂「いいえ。私のペットなんだから正当な『恩恵』。能力を余すコトなく駆使してる証拠よぉん★」ニコニコッ

香焼「っ……お断りします」

食蜂「んもー。破格の条件なのにぃ……ウチの派閥の連中じゃなくても尻尾振って喰いつくんだケドねぇ」ムムムゥ・・・


僕は……金で買える娼婦(女衒師)じゃない。

228 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 21:01:40.73 ID:TIBWJjB20
もしペットが欲しいなら、いくらでも買える筈。もし娼婦や女衒師の慰めが欲しいなら、いくらでも手配出来る筈。
この人は僕の事を、それと同等に見ているのかもしれないが……真っ平ゴメンだ。


食蜂「そ、それは違うわよぉ。香ちゃんを売女扱いするワケないじゃなぁい! 寧ろ逆々ぅ」ウーン・・・

香焼「でも僕には、そう聞こえてしまいます」

食蜂「んー、そう聞こえちゃったならゴメンなさぁい。でもホントに違うのよっ☆」スッ・・・


教卓から降りて、再度此方に歩み寄って来る。


食蜂「色々な意味で特別なのぉ。私の能力に耐性あるみたいだしぃ、だけどぉ変に媚びないしぃ。でもそれでいて、とぉっても良い娘♪」フフッ

香焼「素直にそう思ってくれてるのは嬉しい……です。だけど、ペットなんて嫌」

食蜂「はぁ……あんまりこういう手段は使いたくないんだケドなぁ……仕方なぁい」スッ・・・ナデナデ・・・

香焼「……何か?」

食蜂「私にぃ……目を付けられたらぁ学校に居られなくなっちゃうぞっ★ 意味、分かるよねぇ♪」ムニムニッ

香焼「っ」


今度は強請りか。だがそれは効かない……元々僕は『此処』の人間じゃないのだから。


香焼「……構いません。もしそうなったら、実家に帰ります」

食蜂「…………、」ピタッ・・・

香焼「その方が良いでしょう。操祈さんが僕を嫌いになったなら、顔も見たくないだろうし」

食蜂「……呆れた」ポカーン・・・

香焼「僕はさっきから呆れてます」

食蜂「此処まで思い通りにならないのは他の超能力者共に邪魔された時以来ねぇ」ハァ・・・

香焼「光栄……です」


僕は苦笑。操祈さんは心底溜息。
暫時、無言が続き時刻は既に6時半過ぎ。僕も彼女も頭の中でグルグル次の言葉を考えている。

ふと、彼女が視線を下に降ろす……鞄を見ているみたいだ。もしかして今日はもう帰りたいのかもしれない。


香焼「あの―――」

食蜂「どんっむーぶっ★」バッ!

香焼「―――……え」


リモコンを取り出し……僕に向けた。

229 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 21:37:59.01 ID:TIBWJjB20
一瞬、呆気に取られたが……理解する。


香焼「……無理矢理……ですか」

食蜂「ええ♪」フフッ

香焼「じゃあ何故すぐに、能力を使わないの……ですか?」

食蜂「選択よぉん」ニコニコ・・・

香焼「……え」

食蜂「私が強引に能力を行使しちゃえばぁいくら香ちゃんに耐性があるといってもぉ……最悪、廃人になるわ★」ジー・・・

香焼「っ」


脅しだ。


食蜂「だーかーらー選択。保護(ペットの話)を受けるかぁ……私の綺麗な貴女(思い出)のまま『お人形さん(廃人)』になるか」ジー・・・

香焼「…………、」

食蜂「さぁ……ドッチかなぁ??」ニヤリ・・・


蛇さんの……電流が走らない。緊急手段を使った以上、自分でケジメを付けろという事か。

任務を全て擲(なげう)って、此処から逃げるだけなら可能かもしれない。魔術を使った僕に、彼女は追い付けないだろう。
しかし、それでは僕自身納得しない。僕はこの人から逃げたくない。


香焼「ど、どうしてそこまでして……僕をモノにしたいの?」タラー・・・

食蜂「ふふっ。さっき言ったじゃない……特別だって♪」ニコニコ・・・

香焼「そんなの絶対オカシイ……です! 僕はこんなにも、操祈さんに楯突いてます!」

食蜂「この程度は微風(そよかぜ)だよ〜ん。私の寛容力を嘗めないでねぇ☆」フフッ

香焼「っ……そうやって、人を馬鹿にする」

食蜂「馬鹿になんかしてないわよぉ。大きな心で香ちゃんを受け止めてるのんっ☆」クスクスッ

香焼「……僕が、操祈さんの事を嫌いになったと言っても?」

食蜂「ええ。私が気に入ったコトには変わりないものぉ……尤も、そうなっちゃったら『お人形さん』決定だケドねぇ★」ニヤリ・・・


分からない……この人の気持ちが。


香焼「如何して……僕なんか」

食蜂「んー……容姿はベリベリキュートでしょぅ♪ それからねぇ……なぁんか、ポカポカするの♪」ニパー!

香焼「意味、分かりません」

食蜂「その優しさ……悪く言えば甘さに惹かれちゃうのぉ……だから、ねぇお願い」スッ・・・

香焼「…………、」

食蜂「私に……能力(リモコン)を、振るわせないで」フッ・・・


ああ、そうか……何となく、分かった。

230 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 22:25:26.25 ID:TIBWJjB20
僕を一寸、目を瞑り……今度は決して彼女の目から逃げぬ様覚悟を決め、瞼を開いた。


食蜂「さぁ……そろそろ答えを頂戴なっ★」スゥ・・・

香焼「……操祈さんは」ボソッ・・・

食蜂「んー……そういう目は止めてくれないかなぁ。誰も憐れんでくれなんて言ってないんだケドぉ」ムッ・・・

香焼「うぅん……操祈さんは、優しいね」

食蜂「…………、」ピタッ・・・

香焼「始めは冷たい人だと思ってました……我儘で残酷で適当で自分勝手で……兎に角、好印象を持てる気がしませんでした」

食蜂「……んー?」キョトン・・・


でも、実際は冷たくなんかない。
確かに自己中心でカオスかもしれないが、その在り方は決して『悪』ではない。寧ろ『中庸』を越して『善』の有り方だ。

派閥云々は従う者が勝手に広げる。統治秩序も下のモノに任せるが、彼女は決して従者を見捨てたりはしない。
もし従者の誰かが研究者の手に掛りそうな時は絶対止めに掛り、派閥から……強いては常盤台(この学校)からを犠牲を出さない様にする。


香焼「操祈さんは暴君……です。だけど、だからこそ常盤台(この国)は他に比べて平和なの……です」

食蜂「香ちゃーん。カリスマ論が聞きたいんじゃないのだけどぉ」ウーン・・・

香焼「でも……っ……貴女には、人の心が分からない!」

食蜂「っ!!?」ギョッ・・・


精神学の専門家に、言い放った。


食蜂「ぅ……あ、あのぉ……香ちゃん、誰に何言ってるか分かってるかなぁ??」アハハ・・・

香焼「はい……そして、操祈さんはその事に気付いてるのにも関わらず……人の心を知ろうとしない」

食蜂「…………、」ピタッ・・・

香焼「人の心は、理屈じゃ語れない……です。僕も十分理屈っぽい人間だけど、心については論じる事なんてできません!」

食蜂「……私なら、深層心理まで理解できるわ★」ジー・・・

香焼「その言葉が、分かってない証拠……です」


昔の僕なら言わなかったであろう言葉。だが1人の『超能力者』と出会ってから、気付かされた。


香焼「もし人の心が分かるのであれば、能力なんて使わなくても相手の気持ちを『思い遣れる』筈……です! だから―――」

食蜂「もういい」バッ!

香焼「―――ッ……、」

食蜂「香ちゃん……貴女の精神とは、さようなら。でも安心して。私の一番近くに置いといてあげるから」ジー・・・

香焼「ぁ……っ」

食蜂「毎日ちゃんと『お手入れ』するし、貴女用のお部屋も用意する。可愛い服と美味しいお菓子も……沢山可愛がってあげるね★」ニコッ・・・


満面の笑みだが、とても淀んだ目。『それじゃあ……バイバイ♪』と彼女の指が……―――

231 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/09(水) 22:51:14.91 ID:TIBWJjB20















食蜂「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!」ビクッ・・・














―――動く前に、彼女の手首を掴む。


食蜂「そ、そんな事してもぉ相手の脳に信号さえ送るコトが出来れば」スッ・・・

香焼「脳(ソッチ)じゃない!」

食蜂「っ」ピタッ・・・


頭に向けられているリモコンを、下方に引き寄せる。


香焼「コッチ……です!」グイッ!

食蜂「な、お、同じコトでしょぅ??」アタフタ・・・

香焼「伝えたい事があるなら、心(コッチ)に訴えて下さい!」

食蜂「っ……第7位みたいな事を」タラー・・・

香焼「軍覇みたいだろうが麦野さんみたいだろうが御坂さんみたいだろうが、何でも良い!」グッ・・・

食蜂「え」チラッ

香焼「ペットだとか、人形だとか……そんな悲しい事言わないでくださいよぉ」ギュゥ・・・

食蜂「……香、ちゃん」ジー・・・


もう冷静ではいられなかった。

232 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/09(水) 23:24:38.98 ID:TIBWJjB20
色々溢れだしそうで爆発しそうなモノを堪えながら、想いをぶつける。


香焼「簡単な事……です! 一言で済む!」グッ・・・

食蜂「な、何が??」タラー・・・

香焼「ああ、そうだ……何を躊躇ってたんだろう。僕が言えば良かったんだ」ジー・・・

食蜂「え、と」アタフタ・・・

香焼「操祈さん。矮小な僕が言うのはおこがましいかもしれません……でも、言わせて下さい」コクッ・・・


もしそれで、駄目なら……僕の精神を殺して貰っても構わない。


香焼「ずっと孤高の現実主義で居るって事の方が『幻想』……です!」

食蜂「わ、ワケが分からなぁい」タラー・・・

香焼「真面目に聞いて……時には逃げて良いの……です。ずっと強いままで居る必要なんてない……です」

食蜂「わ、私はいつも好き勝手やってるだけで、強がってなんかいないわよぅ」アタフタ・・・

香焼「嘘は止めて下さい……もしそうなら、戸惑わず僕の精神を殺してる筈……ですよ」

食蜂「っ」グッ・・・

香焼「だから……お願いします……っ……強情に、ならないで」グスンッ・・・

食蜂「……香ちゃん」


何故か分からない。だけど……感情がオカシナ方に入った所為か、涙が毀れそうになった。


香焼「操祈さん……人間は……っ……ペットとか、従者とか、人形とか……そんなのじゃないよぅ」ウルウル・・・

食蜂「…………、」

香焼「もっと、正しい言葉が……うぅ……ある、でしょ」ポロ・・・ポロ・・・

食蜂「……泣かないで」スッ・・・


僕が言う……僕から、言う。


香焼「貴女が、如何思ってるか分からない……ですけど……っ」ポロポロ・・・

食蜂「……うん」ポンッ・・・

香焼「自分は……操祈さんの事を……っ……もう『友達』だと思ってるんすよ!」グッ!

食蜂「とも、だち」キョトン・・・

香焼「年下のくせに生意気だって、思われたらすいません……でも、それでも……うううぅ」ポロポロ・・・

食蜂「……ともだち?」ポカーン・・・

香焼「ううぅ……っ……はい」ポロポロ・・・


言葉にしなければ伝わらないというのであれば、何度でも言ってやる。


香焼「操祈さん……ぇぅ……っ……と、友達になってくださいっ!」グッ・・・

食蜂「…………、」


操祈さんが固まってしまった。教室には……僕の嗚咽だけが響いていた。

233 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/09(水) 23:55:55.48 ID:TIBWJjB20
どれくらい2人で止まっていたかは分からないが……ふと、僕の頬に彼女の手が添えられる。
涙の跡をなぞった後、彼女は鞄からウェットティッシュを取り出して苦笑した。


食蜂「……マスカラ。落ちちゃって大変なコトになってるわよ」フフッ・・・

香焼「え……ぁ……っ!」アタフタ・・・///

食蜂「落ち着きなさい……拭いてあげるから」スッ・・・ギュッ

香焼「ぁ」

食蜂「化粧。落としちゃうケドぉ……良ーぃ??」ジー・・・

香焼「あ、えっと……はい」モジモジ・・・


直ぐにでもトイレに行ってメイクし直すべきなのだろうが、もう諦める。ばれた時は、ばれた時だ。


食蜂「んもぅ。こんなになるまで熱くなっちゃってぇ……女の子なんだから気をつけなきゃダメだぞっ」フキフキ・・・

香焼「す、すいません」ジー・・・

食蜂「……はいOK♪ あららぁ? 化粧しなくても可愛いじゃない。一年生なんだからメイクなんてしなくてもダイジョブよ☆」フフッ

香焼「あ、ぅ」///


なんか恥ずかしい。あと、メイク落としたのに可愛いって言われたのが『男』として悔しい。
さておき……話の続きを―――


食蜂「あー……ほれほれぇ。みさきちお姉さまのお膝に座りなさいなっ♪」スッ・・・ポンポンッ

香焼「み、操祈さん!? ええ、と……その……あぅ」アタフタ・・・///

食蜂「さっさと座るのぉ☆」グイッ!

香焼「わぅっ!!」ヨタヨタ・・・

食蜂「あはぁ♪ つっかまっえたぁ☆」ギュウウゥ・・・ニコニコッ!

香焼「ッ〜〜〜〜〜っ!!?」ドキドキドキ・・・///


―――しようとした瞬間、お姫様抱っこみたいな形でホールドされた。これは……また拙いな。


香焼「あ、あの、み、操祈さん!!」ダラダラ・・・///

食蜂「なぁに??」ナデナデ・・・

香焼「えっと、うぅんと……放して下さいよぅ。恥ずかしい……ですってばぁ」アウアウ・・・///

食蜂「駄ぁ目っ。私に生意気言った罰よ〜ん★」フフフッ


生意気って……分かってくれなかったのか。

234 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/10(木) 00:39:53.85 ID:xOd7jG9J0
だが、先程までのピリピリした雰囲気とは違った。
先程までは、抱き着かれて照れる僕の表情を見て楽しんでいるだけだったが……今は別の温もりを感じる。


食蜂「はぁ。まったくぅ」ギュッ・・・

香焼「……操祈さん」チラッ・・・

食蜂「子ネコちゃんの類かと思ってたケドぉ、ライオンとかトラの類だったかぁ」フフフ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

食蜂「なぁんでもないよ……このっこのっ」ムニムニ・・・

香焼「ふぁんふぇ!?」ムガガァ


手袋越しにも伝わる手の柔らかさ。


食蜂「友達かぁ……ふふっ♪ 友達ねぇ」クスクス・・・

香焼「むぅ」ジー・・・

食蜂「友達っていうのは対等な人のコトをいうんじゃなくって??」ツンツンッ

香焼「……その定義は、分かりません」ウーン・・・

食蜂「あらぁ? じゃあさっきのは適当言ったのん??」ジー・・・

香焼「い、いえ、そういう訳じゃなくて……その、何ていうか……うーん」アタフタ・・・

食蜂「ふふふっ。ダイジョーブ、言いたいコトは何となく分かるから」ナデナデ・・・

香焼「……すいません」

食蜂「なぁんで謝るのよっ。謝るの禁止だぞぅ☆」ペチペチッ


共に苦笑。


食蜂「ふむふむぅ……理屈じゃない、かぁ。ま、言わんとするコトは分かるんだけどねぇ」ボー・・・

香焼「はい」コクッ

食蜂「でも、それを認めちゃうと私の『自分だけの現実(パースナルリアリティ)』が覆されちゃうのよんっ★」アハハハ・・・

香焼「……はぁ」

食蜂「精神とか心って、結局アヤフヤなモノじゃない……だから私のやり方は第2位に似てるの。あ、第2位って知ってる?」ジー・・・


超能力者第2位『未元物質(ダークマター)』垣根帝督。噂は色々聞くが、操祈さん同様、正体不明な人だ。


食蜂「アイツの能力は、能力名通り『ワケ分かんないモノを理論付けて操る』って感じなのよ」ピッ

香焼「はぁ……訳が分かりません」ポカーン・・・

食蜂「まぁそうよねぇ。でも第7位のヤツみたいに『無理矢理根性で扱ってる』ワケじゃないの……私の能力も似た様なモノかなぁ」

香焼「『ココロ』……ですか」

食蜂「ウンウン。それってさぁ、物質じゃないけど『未元』じゃん。私なりに解釈したんだぞぅ☆」エヘンッ!


豊満な胸を押しつけて威張って来る……すいません。マジ色々ヤバいので、それだけは勘弁して下さい。

235 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/10(木) 01:13:04.65 ID:xOd7jG9J0
兎に角、操祈さんはさっき僕が言った様な事を許容出来ない訳だ。
だけど無論、理解は出来てるらしい。そりゃそうだろう。自分の『ココロ』を考えてみれば分かる事である。


香焼「うん……でもね、僕は操祈さんの『ココロ』が知りたいの……です」ジー・・・

食蜂「あらぁ……えっちぃ」ブーブー

香焼「うん。エッチで良い……です」フフッ

食蜂「…………、」フム・・・

香焼「何でも良い。面倒な事、退屈な事、厄介な事、辛い事、嬉しい事、楽しい事、驚いた事……話して下さい」コクッ


そんな下らない事をダラダラ喋れる関係が、友達なんだと思う。


食蜂「……ふぅむ」ボー・・・

香焼「もしその『友達』ってのが生意気だなぁって思ったら、仲良い後輩とかそういうのでも構いません。ペットとか人形以外なら何でも」コクッ

食蜂「うぅん。気にしなーいよっ。香ちゃんは特別だもんっ☆」ナデナデ・・・

香焼「……ありがとうございます」フフッ

食蜂「あ、でも良い呼び方思い付いたぁ! 妹ってのは如何ぉ??」ニヤリ・・・

香焼「はぇ!?」キョトン・・・

食蜂「あーそれ良いわねぇ♪ 我ながら天才かもぉ! ほら、超電磁砲のトコの白黒おチビちゃんに対抗してさぁ☆」フフフ・・・


僕に『お姉さまぁ(ハート)』と呼べと?


香焼「か、勘弁して下さい。僕には実際姉が居ますから。しかも3人も」ハァ・・・

食蜂「あらぁ。それじゃあ私が4人目なのぉ??? うーん、1番目が良いなぁ」ムゥ・・・

香焼「いや、だから姉は……はぁ」タラー・・・

食蜂「ふふっ。ジョーダンですよぉっと★ 呼び方ドーコーは置いといてぇとりあえず私は私、香ちゃんは香ちゃんね♪」ポンポンッ

香焼「……はい」フフッ


漸く……目的達成。
勿論まだまだ浅い関係だが、これからコツコツ関係を積み重ねていこう。

さて、ではそろそろ時間も時間なので帰路に着こう。流石にもう風紀委員や警備員が下校指導を始めてる時間帯だ。


香焼「……それじゃあ、操祈さん。もう7時過ぎなので――」チラッ・・・

食蜂「んー……そういえばさぁ。なぁんで香ちゃんはハグしてくれないのん??」ムゥ・・・

香焼「――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」ピタッ・・・


最後の最後で、何故爆弾投下しやがりますか。

236 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/10(木) 01:43:04.56 ID:xOd7jG9J0
何とか逃げられないモノか脱出を試みるが、ギッチリ両手とたわわに実った高級メロンでホールドされていた。


香焼「み、操祈、さんっ!?」アワワワ・・・///

食蜂「だぁってぇ一方通行の愛情表現って、なぁんか変じゃーん」ブーブー

香焼「だ、だから僕はノーマルで!」アタフタ・・・///

食蜂「私だって一応ノーマルだぞっ☆ ま、香ちゃんが如何しても『交わりたい』っていうなら考えてあげても良いケドぉ」ウフフフ・・・ペロッ・・・

香焼「っ!? え、ぁ……ふ、不純……ですっ!」カアアァ///

食蜂「大袈裟だなぁ。フランクにハグするだけだぞぅ? なぁんでそんなに抵抗するのん?? みさきち悲しいよぅ」エーンエーンッ

香焼「え、あ、あぅ……く、クリスチャンで」ダラダラ・・・///

食蜂「へぇ。そうなんだぁ……でもぉだったら尚更大丈夫じゃないかしらぁ? 何処の十字教でも挨拶でハグしたりするよん?」ジトー・・・

香焼「うっ……あの……えっと」モジモジ・・・///


ぶっちゃけよう。今日は厚めのタイツと卸したてで堅いパンツ穿いてきたのでまだ良かったものの、現在かなり『危ない状態』です。
操祈さんに『当たらないか』如何か冷や冷やしてます……言葉の意味は察して下さい。


香焼「っ……お、お気持ちは、嬉しい……です。本当は、僕も……ハグしたい」ドキドキ・・・///

食蜂「ハーイ♪ どーぞぉおいでー☆」バッ!

香焼「ッ……で、でも……あの……ごめんなさい」ダラダラ・・・///

食蜂「……んもぉ」ブー・・・


本当にごめんなさい。とうか、抱き着かせてごめんなさい!


食蜂「ふふっ……ま、簡単に手懐けちゃったら面白くないもんね☆ でもぉいつか香ちゃんからダ・イ・ビ・ン・グしてきてよっ♪」ギュッ・・・

香焼「っ……あはは」ダラダラ・・・///

食蜂「それからぁ……香ちゃん、まだまだ私に隠しゴトしてるみたいだしぃ」ジー・・・

香焼「っ!」ドキッ・・・

食蜂「……そっちも、いつか教えてねぇ♪」ハムハムッ!

香焼「ひゃいっ?!」ビクッ!!

食蜂「はむはむっ。あむあむぅ……香ちゃんのお耳、美味しぃ☆」ニコニコッ

香焼「」プシュゥウゥ・・・///////////////////////////////////////////////////////////

食蜂「あ。フリーズしちゃったぁ★ おーい。起きないとぉ、もっともーっとイ・タ・ズ・ラしちゃうぞっ♪」ニヤニヤ・・・

香焼「」アウアウ・・・オキマスヨ・・・・


下半身に手を伸ばされたりしたら何もかも終ってしまうので『色々』押さえながら立ち上がった。
そして一度トイレに行った後、教室の机を整頓して玄関に向かった。

237 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/10(木) 02:16:37.34 ID:xOd7jG9J0
 ―――はたまた別日、PM08:00、学園都市第7学区、とある道路・・・・・








操祈さんは学生寮ではなく自分で借りたマンションに住んでるらしい。
何でも『窓のないビル』近くの高級マンションだとか。故に、第1学区住みの僕と帰る方向が一緒になる。


食蜂「それじゃあ此処らでタクシー拾いましょ。香ちゃんも一緒に乗りなさい☆」チラッ・・・

香焼「え、でも」

食蜂「お金は気にしないでチョーダイなっ。私が引き留めちゃったんだしぃその拘束料よん」フフッ

香焼「いや、その、そういう問題じゃなくて、ちょっと寄る場所ある……ですよ」ムゥ・・・

食蜂「あららぁ? こんな時間にぃ……もしかしてぇ彼氏さんトカぁ?? あ、だから他人とハグするの抵抗あったのかぁ」ニヤリ・・・

香焼「ち、違いますよっ! え、と、一度姉のアパートに行かなきゃいけない……です」ペコッ

食蜂「此処ら辺なのん?」フム・・・

香焼「はい。姉2人は僕と同じく学舎の園内の学校なので」コクッ

食蜂「へぇ……その内ご挨拶しないとねっ♪」フフッ


止めて下さい。長女はまだしも二女三女は絶対に、止めて下さい。


食蜂「うーん。ま、そういうコトなら仕方ないなぁ。ぶっちゃけ私のマンションに連れ込もうと思ってたのにぃ……無念なり〜っ★」テヘッ♪

香焼「あ、あははは……、」ダラダラ・・・

食蜂「でも、その内遊びにいらっしゃいね♪ 私も遊びに行くからっ♪」フフッ

香焼「ええ、その内に」コクッ


一寸後、分かれ道。僕は此処から土御門宅に向かわねばならない。


食蜂「此処でお別れかぁ……それじゃーまた明日ね♪ 家着いたらぁメールするわん☆」ポンッ・・・

香焼「はい。あ、そうだ。今更……ですけど、言っておかなきゃいけない事がありました」ピタッ・・・

食蜂「なぁに??」フムフムッ

香焼「僕……学校に来るの、衆に1、2回……です。最悪、来れない週もあります」シュン・・・

食蜂「えーっ! そうなのぉ!?」ムムムッ!

香焼「はい。病院とか常盤台付属の研究所を回るので……だから、その……言うの遅れてごめんなさい」ペコッ・・・

食蜂「むぅ……病院は何処の?」ジー・・・

香焼「(そこまでマニュアル書いてないぞ……)……あの……カエル顔の先生が居る病院……です」タラー・・・

食蜂「冥土帰し(ヘブンキャンセラー)の……じゃあ私が如何こう言えないわねぇ」ハァ・・


適当言ったのだが納得してくれた様だ。やっぱあの先生凄い人なんだなぁ。

238 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/10(木) 02:35:33.01 ID:xOd7jG9J0
でも、と真剣な目で僕を見詰める彼女。


食蜂「付属研究所の方は……信用しちゃダメよん。常に疑って掛りなさい。変な薬とか実験とか勧められたらぁ私に相談なさいよ」ピッ

香焼「はい。ありがとう、操祈さん」フフッ

食蜂「ウンウン。素直でよろしい☆ 因みにぃ土日は忙しいのん??」ジー・・・

香焼「週によりますけど、大抵は忙しい……です」ウーン・・・

食蜂「そっかぁ……残念」ショボーン・・・


あー……月に二回くらい、プライベート(神崎香として)で操祈さんと会う日作ろう。


香焼「とりあえず、学校行く日はメールか電話で連絡します」ペコッ

食蜂「りょーかいっ♪ それじゃあ……―――」スッ・・・

香焼「え」ピタッ・・・




僕の、額(おでこ)に……柔らかい感触。




食蜂「―――……まぁたねっ! 香ちゃん☆」ノシノシ"

香焼「」カアアァ//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


トンデモない置き土産を残し、大通りへ歩いて行った。
彼女の後姿が見えなくなるまでお見送りし……完全に消えた後、やっと肩の荷を下ろす。


香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァ」グデェ・・・


口から魂飛び出しそうだ。かーなーりー疲れたぁ。


御坂蛇「いやはや……ホンット役得商売だな、とミサカは香の一日を振り返ります」ガサッ

香焼「おわあああぁっ!? ビックリしたぁ!!」ギョッ!!

御坂蛇「下校時刻は過ぎてるんだ。静かにしろ。警備員が来たら如何する……とミサカは気を抜いている香を注意します」メッ!

香焼「も、もう香は終わりっすよ」タラー・・・

御坂蛇「シャラップ! 家に帰るまでが任務だ、とミサカは兵士の基本を講釈します」フンッ


兵士じゃないですよ……まぁ兎角、土御門宅に向かいましょう。

239 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 [saga]:2011/11/10(木) 02:55:03.54 ID:xOd7jG9J0
一寸後、土御門の方から電話が入る。何でも舞夏さんが居るから今は来るな、だとか。
もう少ししたら此方から近くの公園向かうから、そこで待っててくれとの事。

止むを得ないので、いつものイカレ自販機在中の公園でホットドリンクを飲みながら待つ事に。


香焼「ところで、海原さんは?」チラッ・・・

御坂蛇「師匠は各種機関に手回し中だ。予想だと、今晩食蜂操祈は『神崎香』について調べ始める」ジー・・・

香焼「え、あ……なるほど」フムフム・・・

御坂蛇「折角繋がった縁だからな。そう易々と切らせる訳にはいかない、とミサカは遠まわしに香の成果を褒めてみました」フンッ

香焼「あ、あははは。ありがとうございます」ポリポリ・・・


そうか……僕は、単独機密の任務に成功したんだ。


御坂蛇「ええ。任務は完璧だ……しかし! とミサカは甘ちゃん香を小突きます」トンッ!

香焼「ふぇ!?」ドキッ・・・

御坂蛇「修行としては半分行くか行かないか。確実に赤点だ、とミサカは評価します」ジトー・・・

香焼「あ、ぅ」タラー・・・


確かに……内容は結構酷いモノだった。
暗殺の仕事では無いにしろ、隠密性や移動面を見れば酷いモノだろう。


御坂蛇「折角容姿は完璧なのに挙動不審な点が多過ぎる。アレでは朱に黄色を交ぜた様なモノだ、とミサカは妹弟子を注意します」ジトー・・・

香焼「す、すいません」メモメモ・・・

御坂蛇「良いですか? そもそも潜入というのは隠れる事よりも周りに暱(なじむ)事の方が優位に動けて―――」


それから土御門が来るまで野外講義が続いた。
しかも気分がノリ出した蛇さんは『あの眼鏡の警備員を追跡してこい!』と言い出すし……困ったものです。

さておき凡そ三十分後……夜なのにアロハサングラス野郎が現れた。


土御門「いぃよう! 変態女郎!」ハハハ!

香焼「ぐっ……言ってくれる」タラー・・・

土御門「まぁ色々言いたい事はあるが……その様子だとスネークが大分説教したみたいだにゃ?」フフッ

香焼・御坂蛇「「肯定(はい)」」コクッ

土御門「結構結構。ま、成果としては『良くやった』の一言。評価としては『まだまだ甘いぜぃ。精進しろ』の二言だ」クイッ


御尤もです。努力します。

240 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 03:27:37.43 ID:xOd7jG9J0
その後、簡単に今後の計画と修行の予定を確認し……今日の全行程を終えた。


土御門「―――……って事でお疲れさん。スネークもありがとにゃー」ハハハ

御坂蛇「いえ、報酬さえ頂ければ」コクッ

土御門「あいよ、さぁて……そんじゃ、次にぃ」チラッ・・・

香焼「え」

土御門「私情だがぁ」ジトー・・・

香焼「……謝らないっすよ」フンッ

土御門「黙れ糞ガキ。舞夏がいきなり『兄貴……3[ピーーー]とか興味無いかー?』って聞いてきたんだぞ! マジざけんなっ!!」ギロッ!


いや、それ僕のセリフだから。あとサラッと近親相姦暴露してんじゃねぇよ外郎。


土御門「本当なら泣いたり笑ったり出来なくなるくらい滅茶糞にしてやりてぇが……生憎、舞夏が『神崎香』を気に入っちまったからな」フンッ

香焼「自分は舞夏さん、マジ苦手っす」タラー・・・

土御門「うっせぇ黙れカス。手前ぇの意見なんか聞いてねぇ駄阿呆」ギロリ・・・

香焼「……じゃあ何すか? 私刑にでもするんすか?」ジトー・・・

土御門「ふんっ……まぁ今回は許す。だが次回は無いぞ。もし3[ピーーー]なんて事になったら貴様の穴に野菜ブチ込んでやる」グルルルゥ・・・

香焼「馬鹿じゃないの?」タラー・・・

御坂蛇「……気持ち悪い」ジトー・・・


いや、僕はそんな事望んでませんからね。この変態ですよ。


土御門「チッ……早く帰れ……あと、まぁそれとは別に今回の報酬がてら二つ『プレゼント』を送っといた」フンッ

香焼「え?」キョトン・・・

土御門「家に届いてると思うから有効に使え……じゃあな」テクテク・・・

香焼「あ、ちょ……行っちゃった」ムゥ・・・

御坂蛇「ふむ。アレがツンデレとかいうヤツか……とミサカは……あ、でも御姉様(本家ツンデレ)とはなんか違う?」ウーン・・・

香焼「そういう事言わないでください。色々危険っす」ハァ・・・


その後、蛇さんの煙草一本分の時間を拘束され、互いに帰路へ着く事に。
早く帰って風呂に入りたいよ……―――

241 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 03:42:09.76 ID:xOd7jG9J0
 ―――はたまた別日、PM09:15、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・







そういえば学校の宿題終わってないなぁと考えながらバスを乗り継ぎ、マンションへ到着。
今日はカオリ姉さんしか居ない筈だから伸び伸び寝れる……と思ったのだが、甘かった。
駐輪場に見覚えの無いバイクの隣に、見覚えのあるビックスクーターが置いてある。


香焼「はぁ……面倒臭い」トボトボ・・・


まず女装してるから弄られるだろうなぁ。『写真撮らせてー!』とか『こっちの服着てー!』とか。
宿題やったり、報告書書いたり、明後日英国に行く際の荷造りしたかったんだけどなぁ。


香焼「いっその事、明日学校サボっちゃおうか……って、ん?」ピタッ・・・


部屋の前で歩を止める。何やら必要以上に……声がするぞ。
もしやと思い、カオリ姉さんに電話を入れた。


香焼「……もしもし」コソコソ・・・

神裂『おや……お勤めお疲れ様です。まだ仕事中ですか?』Pi!

香焼「いえ、もう終わりました。今家の前っす」

神裂『え? では入って来ては』

香焼「……声、多くないっすか?」タラー・・・

神裂『ああ、はい。今日は麦野さんと結標さんと絹旗さんが来ていましたよ。勝手に上げてすいません』


最っ悪だ。


神裂『え……拙かったですか?』

香焼「……こっそり入って風呂場に行きます。誰も入れないでください」ボソッ

神裂『え、あ、今は―――』Pi!


勘弁してくれ。こんな『醜態』、大勢に晒して堪るか。

242 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 03:50:51.29 ID:xOd7jG9J0
こっそりとドアを開けて、すぐ右にある風呂場へと―――


五和「……ん?」チラッ・・・

香焼「」チーン・・・


―――……何で、玄関に、五和が、居るの?


五和「…………、」ジー・・・

香焼「」アタフタ・・・

浦上「お姉ぇ。どった、の……さ……、」ガチャッ・・・


そして何ぁ故に風呂場から下着姿の浦上が出てくるかなぁ!!?


香焼「」ダラダラ・・・

五和「…………、」チラッ・・・

浦上「……ふむ」コクッ・・・


ヤバい! 逃げろ!!


五和「フィイイイイイッシュッ!!」バッ!!

香焼「いやあああぁっ!!」ガシッ!!

浦上「お姉ぇナイスキャッチっ!!」パチパチパチッ


鋼糸(ワイヤー)に捕まった! テメェこら! 任務で使う道具で遊ぶな!


五和「うふふふふ……そんな大声出して良いのかなぁ? 皆にコウちゃん帰ってきた事言っちゃうよぉ?」ニヤリ・・・

香焼「ぐっ……何が望みだ」ダラダラ・・・

浦上「いえいえ。ホント、簡単な事ですヨ……今はさっさと部屋へ逃がす手伝いしてあげますから、その代わりにぃ」ニヤニヤ・・・

五和「今度ぉ……着せ替えごっこね♪」ウフフフ・・・


そうなると思ったよ! こん畜生!!

243 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 04:02:58.67 ID:xOd7jG9J0
だがしかし、止むを得まい。
最愛や淡希さんに見つかる前に着替えてしまいたいので……さっさと手伝ってくれ。トンデモない衣装以外は着てやる。


五和「ヒャッホーうぃ! よし、ウラ! リビング監視して!」グッ!

浦上「合点承知だヨ!」ニパー!

香焼「ったく……不幸だなぁ」テクテク・・・


靴を脱ぎ、急いで移動を―――


もあい「にゃー」トコトコ・・・

香焼「……もあい。ただいま」チラッ・・・

浦上「あ、ヤバっ! ちょ、最愛ちゃん!」ギャー!

絹旗「もあいー。ブラッシングの最中で、す……よ」ピタッ・・・

五和「あ」ダラダラ・・・

香焼「」チーン・・・

絹旗「……え」キョトン・・・


―――……神は、我を見捨てたか。


絹旗「……香、焼?」ジー・・・

香焼「」ダラダラダラダラ・・・

もあい「なぅ」フシフシ・・・

絹旗「常盤台の、制服……え……な?」ポカーン・・・

香焼「あ、ぅ」カアアァ///

五和「ああああぁさ、最愛ちゃん! 最愛ちゃんは初めましてだったね!」アハハハハ! チラチラッ!


僕と浦上に目配せ。そういう事か……って、まさか、まだ続けろと!?


絹旗「え?」キョトン・・・

浦上「こ、この子、カオリ姉様の親戚の娘なんだヨ! ほら、自己紹介して!」ダラダラ・・・

香焼「(こ、このやり場の無い怒りを何処へ……)……こ、神崎……香……です」アタフタ・・・

絹旗「え、あ、ひゃい! えっと、その……あの……っ」アタフタ・・・


今だけは、最愛が極度の人見知りで良かったと思いましたよ、はい。

244 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 04:22:00.03 ID:xOd7jG9J0
そんでもって、結局……どうして、こうなった。


香焼「―――……神崎、香……です」ペコッ・・・

結標「あらぁ。可愛い子じゃない。全っ然アンタの親戚に見えないわね」フフッ

神裂「よ、余計な、お世話、です……よ」プルプルプル・・・


コッチにもばれる訳で。


麦野「こ、神崎……香、ちゃん、ね……くくっ」プルプルプルプル・・・

固法「か、可愛い、わね……ええ……ぷふっ」プルプルプルプル・・・

絹旗「……麦野と神裂さんと姉貴さんは如何して超震えてるんですか?」キョトン・・・

五和「あーえっと……何でだろうねー」ハハハ・・・

浦上「さ、寒いんじゃないかなぁ? 最近冷え込んできたし」アハハ・・・

絹旗「はぁ」ポカーン・・・

もあい「みー」コロコロ・・・


僕にメイクを教えてくれた人達にも見られました……てか何で固法さんまで居るんだよ!


神裂「す、すいません……アチラも電話中でベランダに居たので、目に着かず……ぷっ」プルプルプルプル・・・

香焼「……はぁ」グデェ・・・

結標「んー……ねぇ五和。あの子も『お仲間』なの?」ボソッ・・・

五和「あー、ある意味そうで、違います。あの子は一応……能力者? らしいので」タラー・・・

結標「へぇ。そんじゃ純粋に入学してきたんだー……ふふっ。良い娘見つけちゃった」ニヤリ・・・


うわぁ結標さんが危ない目を向けてきてる。


絹旗「うーん……神崎は、香焼とは仲良いんですか?」ジー・・・

香焼「うぇ!?」ギョッ・・・

神裂・五和・浦上・麦野・固法『ぶふっ!!』プルプルプルプル・・・

結標「は? どったのアンタら?」ポカーン・・・


その質問は哲学ですか?


香焼「え、と、あー……双子、みたいな感じ……です。アッチがお兄ちゃん、かな?」タラー・・・

絹旗「……ふーん」ジー・・・


ねぇその目気付いてないですか? 分かっててやってないですか?

その後……最愛には終始疑いとか邪推っぽい眼で見られ続け、結標さんにはセクハラされかけたりして、散々だった。

え、味方? 居ませんよ、そんな人。もう全員僕見て腹抱えて笑い堪えてましたからね、うん。まぁとりあえず……


香焼「もう、ヤダ……助けてステイル……助けて軍覇」ウワーン!!


男の人。僕を助けて下さい……―――

245 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 04:43:19.13 ID:xOd7jG9J0
 <おまけっ!>


 ―――数日後、風紀委員177支部……



御坂「―――じゃーん! この前言ってた僕っ娘連れてきたわよー!」スッ・・・

白井「食蜂操祈から半ば強引に奪ってきましたからね。明日はきっと全面抗争ですの」フフフ・・・

香焼(どうしてこうなった)タラー・・・

初春「おおぉ! これが噂の……初めまして。初春飾利です。此処の風紀委員の一人ですよ。よろしくお願いします」ニコニコッ

香焼「は、はい……神崎香……です。よろしく」ペコッ・・・

春上「春上衿衣なの。初春さんと佐天さんと同じ柵川中なの。神崎さん、私と同じくらい小さいの! ナカマーなの♪」フフフ・・・

香焼「は、ははは……よ、よろしく。(素体が『男』の僕に対する嫌がらせっすか?)」ヒクヒクッ・・・

白井「それで、此方がウチのリーダー且つ人妻兼お色気枠の牛乳おっぱい固法先ぱぁあべしっ!!」ゴツンッ!!

固法「……ふふふっ。『初めまして』……香ちゃん」ニヤニヤ・・・

香焼「は、はははは……どうも。(助けて下さいよおおおおおぉ!! アンタ分かってるくせにいいいぃ!!)」ピクピクッ・・・

御坂「そんなに緊張しなくても優しい先輩よ。そんでもってコッチが佐天さんね」チラッ・・・

佐天「…………、」ジー・・・

初春「佐天さん?」チラッ・・・

佐天「…………、」テクテク・・・スッ・・・

香焼「あ、え……こ、神崎……です」タラー・・・

佐天「失礼」ペタッ・・・

香焼「ひゃぁっ!!?」ドキッ!!

一同『っ!!?』ギョッ・・・

春上「む、胸触ったの」タラー・・・

佐天「……更に失礼」サスサス・・・

香焼「や、ちょ、な、待ぁっ!! 何々何……ですかぁ!!?」アタフタ・・・///

佐天「ふむ……ってうをっ!?」ジトー・・・バシッ!

初春「さ、佐天さん! 風紀委員の支部内でセクハラ現行犯逮捕ですよ!! 何身体中触りまくってるんですか!!」ウガアアァ!!

佐天「あ、あははは……ごめんごめん」ポリポリ・・・

御坂「ずるーい。私も触ってみたかったのにー」ブー!

白井「んぉおお姉さまあぁあっ!! 黒子というモノが有りながらあああぁっ!! 私でしたら存分にモフらせて差し上ゲフゥぅ!!」グンッ!

御坂「近付くな変態っ」ビリビリ・・・

佐天「……んー、神崎さん。ちょっと来て。変な事しないから」グイッ・・・

香焼「うわっ!? ちょっ!?」アワワワ・・・

初春「佐天さん、現行犯なんですってばああぁっ!!」コラー!

固法「……あら、もしかして」タラー・・・

246 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 04:53:13.08 ID:xOd7jG9J0
 <更衣室>


 ガチャッ・・・・・


香焼「さ、佐天さん、何を!?」アタフタ・・・

佐天「ねぇ」ジトー・・・

香焼「は、はい」ダラダラ・・・

佐天「何やってるの? 香焼くん」ジトー・・・

香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぎっ!!?」ギョッ・・・

佐天「いや、てか何で皆気付かないの?」タラー・・・

香焼「あ、え、と、その」アタフタ・・・

佐天「……まぁ良いや。後で理由聞かせてね」ハァ・・・

香焼「い、いや、何で、分かったの?」アタフタ・・・

佐天「だから見た目……まぁそれは可愛くなってるけど、身体付きがねぇ……小柄とはいえ完っ璧男の子じゃん。触れば分かるよー」ジー・・・

香焼「あ、あはは」タラー・・・

佐天「それに早朝ランニングで本人の身体触ってるんだから、尚更ねぇ」フフフ・・・

香焼「そ、そうだよね……えっと、その……お願い! 今は黙ってて!」ダラダラ・・・

佐天「……ふふふ。今度その恰好でデートしてくれるなら考えよう」ニヤリ・・・

香焼「っ〜〜〜〜〜〜ッ! 鬼! 悪魔! 佐天さん!」ムキー///

佐天「はっはっはっ! 何とでも言えー! しかし約束を守らねば皆にばらすぞぉ?」ニヤニヤ・・・

香焼「く、ぅ」グヌヌ・・・

佐天「ふふっ。まぁ悪い様にはしないからっ♪ さささ、戻りましょー」クスクスッ

香焼「……不幸だ」タラー・・・



固法(……あー。やっぱバレてーら)ハハハ・・・  ← ※透視能力使用中。

247 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 05:05:34.09 ID:xOd7jG9J0
 <再び執務室>


 ガチャッ・・・・・


春上「あ。戻ってきたの」チラッ・・・

佐天「ごめんごめん、お待たせー」テクテク・・・

美琴「佐天さーん。独り占めはズルいわよー」ムー!

佐天「ははは。すいません、ちょっと確認したい事があったので」ハハハ

初春「監禁及びセクハラで逮捕ですー!」ヤンヤヤンヤ!

白井「初春。テンションが明後日の方向に逝ってますの」タラー・・・

固法「こう……崎さん……とりあえず座って。お茶でも出すから」スッ・・・チラッ・・・

香焼「あ、はい」コクッ

春上「ねぇねぇ神崎さん。色々質問したいの! 聞いても良ーい?」ニパー!

香焼「はい、応えられる範囲なら」コクッ・・・

御坂「あ、じゃあ私も質問!」ハーイ!



 がやがや・・・・・



佐天「……にやり」キランッ・・・



 がやがや・・・・・



白井「―――いぃよっしゃあああぁっ!! 胸囲で勝っちましたのおおおおぉっ!!」グッ!!

御坂「黒子より小さいなんて……ホントにロリっ娘で僕っ娘なのね」ヘェ・・・

香焼「は、はは……ははは」タラー・・・

固法「ふふっ、楽しそうね。お茶入ったから飲みながらお喋り続けて」スッ・・・

春上「ありがとうございますなの、先輩」ペコッ

香焼(此処での事、姉さん達にリークしないでくださいよ)チラッ・・・

固法(……どーしよっかなぁ)フフッ・・・

248 :第二話―――ステイル「はっきり言って、弱いよ」 香焼「……」 :2011/11/10(木) 05:28:04.94 ID:xOd7jG9J0
 ――一寸後・・・・・



初春「―――あ、そろそろ時間も時間ですね」チラッ・・・

御坂「そうね。それじゃ解散か」ヨイショッ

固法「相変わらずのカフェ扱いね……そろそろお金取ろうかしら? 一人一時間500円で如何?」フフッ

白井「うわぁ、がめつい。旦那が金にダラしないと嫁が守銭奴になっちゃうんどぅえええぃがっ!!」ゴンッ!!

春上「白井さんは先輩に対していつも一言余計なの」ハァ・・・

香焼「あははは……それじゃあ私も」スッ・・・

佐天「…………、」ジー・・・

御坂「ん? 佐天さん? どうしたの?」チラッ・・・

佐天「んー……ねぇ、香(こう……崎さん」ジー・・・

香焼「はい―――」

佐天「えいっ★」バサッ!!


 ふわっ・・・・・


香焼「―――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」フワリ・・・

一同『……っ!!?』ギョッ・・・

香焼「ぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何で、僕の、スカート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・浮いてる……ですか?」キョトン・・・

初春「た……逮捕おおおおおぉっ!! 私のも含め前科162犯で逮捕おおおおぉっ!!」ゴラアアァッ!!

佐天「いや、これで193回目のスカート捲りですが何か」ドヤァ・・・

白井「い、いや……アウト」ビシッ

香焼「い……やああああぁあああああぁっ!! な、何考えてるんすかぁ!!(ばれたら如何すんのぉ!?)」ダラダラダラダラ・・・///

春上「神崎さんタイツの上に、更にスパッツ穿いて……って、え?」チラッ・・・

香焼「(ヤバっ……口調が……)……し、信じられません! 人間のする事じゃない……です!」アワワワ・・・///

御坂「佐天さん……流石に初見の人にそれは拙いよ」タラー・・・

佐天「あははは。神崎さんなら初春並に大丈夫だよ……ねー?」ニヤリ・・・

香焼「っ〜〜〜〜〜〜〜くぅ」プルプルプルプル・・・

初春「先輩っ!! 私は兎も角、今のは絶ッッッ対現行犯ですよね!」ギャーギャー!

固法「あははは……まぁその……佐天さん。普通の人は恥ずかしいんだから駄目よ。神崎さんみたいに『シャイ』な子には尚更、ね?」チラッ・・・

佐天「(あ、先輩も分かってるんだ)はーい」フフッ

春上「神崎さん、寒がりなの? 毛糸のパンツ編んであげるの!」ニパー!

香焼「け、毛糸……あ、あはは……ありがとう。(もうどうにでもなれ)」トホホ・・・













冷蔵庫「おわれ〜〜〜」カンッ!!

249 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/10(木) 05:40:03.70 ID:xOd7jG9J0
はい。お疲れ様でした! 思ったより長引いたなぁ。
てかこれから『神崎香』を如何使っていくかが問題ですww


それじゃー予告通り改めて三話のアンケート!



@修行の続き(英国編・多分アンをヒロインにするかも)

A浦上主役で、英国組同年代15〜6歳の話(ルチア、フロリス……他に居る?)

Bステイル&削板回 (+誰かしら)



この中からお願いします!


それでは質問意見感想罵倒リクエスト等どうぞ。アンケ協力もよろしくね! んじゃ! ノシ”

250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長崎県) [sage]:2011/11/10(木) 05:43:09.42 ID:wFugtKkEo
>>1乙!

Aで
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 05:57:53.63 ID:Mw4bNxnIO
乙!
@で。
何かこう、見事にみさきとルートが開放されました、って感じですなwww
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 06:27:16.44 ID:zcIpK7Dfo
乙!もちろん佐天さんデート編もそのうちあるんですよね?ww
アンケはBで他にインデックスとか美琴とか
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/10(木) 06:36:24.38 ID:wVRfSL5AO
アンケはA

上条さん的説教って言うぐらいだからとりあえずグーパンから入るのかと思ってたけどそうでもなかった
ここの香焼っぽいやり方だなぁとは思ったけど
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/10(木) 09:51:14.75 ID:8xK/tCh5o
乙でした!
アンケートは@で
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 13:43:40.54 ID:TwqqhpbIO
他の天草式の男連中が香焼の女装姿見たらどんな反応するんだろうなw
つーわけで修行の続きだけどB+天草メンズ対香ちゃんみたいな話が読みたい
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(群馬県) [sage]:2011/11/10(木) 14:47:21.75 ID:eYJEv9tj0
Bで女装に対する反応が見たいのう
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 15:16:41.53 ID:UKTKtbKDO
乙! これみさきちにベットで抱き枕代わりにされたり、一緒にお風呂入ったりして正体ばれそうだなww
そして次第に自然とガチ百合(?)展開に……アリです!

アンケは@とA同時にできないかな? 無理ならAが見てみたい! 堅物ルチアをどう使うか気になるねー
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/10(木) 16:22:49.34 ID:ncn19aqAO
@
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 17:24:13.40 ID:c0fb8rN7o
Bでどうか
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) [sage]:2011/11/10(木) 18:52:27.80 ID:vJkmmj7K0
1で天草男衆に
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(中国地方) [sage]:2011/11/10(木) 18:58:40.74 ID:suWf9tXK0
1で

というか、無理やり奪ってきたって……あの二人、そんなスグ仲良くなれるとは……
ギャグですか?
まさかのシリアスですか!?
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 23:49:23.40 ID:CLAjk7jO0
3でそろそろ那由他も出てきてほしい。
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 00:39:11.62 ID:YFI8c3N20
Bを希望
なぜかって?
そこにならみさきちと黒夜がいるからさ
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 18:41:40.32 ID:0Gjq266wo
3だね
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 18:42:45.62 ID:yb0BVulIO
3で根性達が気がつかない展開で
266 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/12(土) 22:31:43.79 ID:f38O5EHO0
こんばんわ。アンケは3ですね。
此処で『神崎香』を出すつもりは無かったんですけど、需要有るなぁww



そんじゃボチボチ投下!
267 :第三話(20話)―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/12(土) 22:55:55.40 ID:f38O5EHO0
 ―――とある日、AM11:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・








その日は久しぶりの休日だった。
こんな言い方すると、必要悪の教会(ネセサリウス)強いては天草式が労働基準法違反で未成年を酷使しているみたいな言い方だが、
別にそういう訳ではない。ちゃんと週休1,2日はあるし、給料も並のサラリーマン以上に貰っている。

僕ら天草式若衆の給金はネセサリウスから国税が、天草式から宗教法人の云々で給金が上乗せという形で振り込まれているらしい。

尤も、そこから就学費や保険とか教会に納める寄付金をしょっ引かれて手元に残るのだが、それでも学生のバイト賃として考えれば、
源泉徴収が出てしまう程の額なので贅沢もいいとこである。


香焼「まぁ浦上とか建宮さん、牛深さんみたいに無駄遣い多かったり、野母崎さんみたいに扶養家族持ちだとまた別に大変っすけどね」

もあい「なぅ」コロコロ・・・

神裂「……貴方は本当に中学生ですか」ハァ・・・


逆にカオリ姉さんは名義上給料支払う側だから確定申告とか如何してるのか気になる所だ。


香焼「対馬さんとか諫早さんに税金関係お願いしてるんすか?」チラッ・・・

神裂「だ、だから貴方が知る必要無いでしょう」タラー・・・


こりゃ税金関係は一切関わってないな。天草内で詳しい人間か、顧問税理士でも雇ってるのかもしれない。

さておき、話を戻す。先程『久しぶり』の休日といった意味。それは……馬鹿姉共が居ない土曜日だからだ!
2人して建宮さんに呼ばれたらしく、今は多分英国か天草本部に出向いている。


神裂「私は良いのですか?」

香焼「だって姉さん一人じゃ馬鹿にならないっすもん」

神裂「……褒められてるんだか、実は馬鹿といわれてるんだか」ハァ・・・

もあい「にゃー」ゴロゴロ・・・


いえいえ、尊敬してますよ。


香焼「それに、姉さん午後から固法さん達と御出掛けでしょう」

神裂「ええ。つまり、午後はこの家に貴方だけですね」

香焼「はい」フフフ・・・


つまり、今日の午後は『ドブ日(まったく何もせず、意味も無い日)』にするつもりだ。
勉強や報告書も昨日の内に終わってるし、寝たり何だりゴロゴロしまくろう!

268 :第三話(20話)―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/12(土) 23:26:51.21 ID:f38O5EHO0
そんでもって大体30分後……姉さんが外出準備を終え、バスの時刻を待っていた。
僕は特にする事も無いのでもあいと一緒にPCで猫の為のDVDとやらを観賞中。


神裂「……久しぶりの休みとはいえ、ゴロゴロし過ぎてはいけませんよ」

香焼「はーい」

もあい「にゃー」

神裂(まるで分かってない……まぁ普段ワーカーホリック気味ですし、放っておきましょうか)


因みに、今日の姉さんの服装は紫のセーターに青黒のレディースパンツ。
化粧は最低限で髪は結んでいない。


香焼「……もうちょっとちゃんと化粧しないと、麦野さんに怒られるっすよ」

神裂「余計なお世話です……何なら貴方が化粧の指南をしてくれますか?」

香焼「勘弁っす」

神裂「だって貴方の方が私よりも」

香焼「言わないでください……認めたくありませんから」ハァ・・・


姉よりメイク上手な弟って如何なのよ。


香焼「そんな事より、そろそろバスの時間っすよ」

神裂「む。そうですね……では出ますが、お昼はしっかり取るのですよ」スッ・・・

香焼「はーい」

神裂「カップラーメンや冷凍・インスタント食品で済ませてはいけませんよ」

香焼「はーい」

神裂(これが、反抗期でしょうか……まぁ良い子過ぎるのも問題ですからね)フム・・・


帰りは遅くなるかもしれません、と出発した姉さん。多分、麦野さん家でオール飲みだろうな。
という訳で……晴れて暇だ!


香焼「ん〜〜〜〜〜っ!! 暇だぞもあい!」ニャー!

もあい「にゃー!」ゴロゴロ・・・

香焼「何しよっかー?」

もあい「なぅ?」フシフシ・・・


何でも出来るなぁ。短刀(ナイフ)の整備兼観賞も出来るし、積んでた本も消化できる。
とりあえず……昼飯食べてから考えよう。

269 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/12(土) 23:43:34.44 ID:f38O5EHO0
一応、日頃の食事も鍛錬の一環なのでそれ相応の昼食は作るつもりだ。
だがしかし、あっさり適当に作れるモノで良いやとか考えつつ台所に向かおうとした時……ふと、携帯が光っていたのに気付く。

メールが二件。


香焼「……ステイルと、軍覇?」キョトン・・・


珍しい組み合わせだ。


・ステイル:暇か?          ・削板:腹減った(>0<))”


いや……どうしよう。無視するのも何だか悪いし。


香焼「……当たり障りない返信しとこう」Pi!


ステイルには『どうしたの?』と、軍覇には『お金は?』と返す。
すると即行で返事寄越しやがった。


・ステイル:暇だ           ・削板:ジジイがくれない! そんな事抜きで香焼の飯を毎日食いたい!


前者は対応に困る。後者は……もっと困る。何これプロポーズ?


香焼「はぁ……仕方ない。多めに作っておくか」カチッ・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・


2人に『昼食食べに来ていいよ』と同じメールを送る。

勘だけど、この流れだともしかしたら最愛辺りもメールを寄越しそうだ。
もし多めに作り過ぎたらタッパーに詰めて軍覇に渡せば良いし……パパっと準備出来るキムチ炒飯でも作ろう。


香焼「……あ。人来るなら着替えなきゃ」ジー・・・


起床してそのままゴロゴロしてたので、まだパジャマ姿だ。
とりあえずご飯早炊きしといて、シャワー浴びてこよう。

270 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/13(日) 00:03:07.18 ID:88QHB57N0
一寸後、シャワーを終え携帯を見ると早速2人から返事が来ていた。


ステイル:少し遅れていくが……五和と浦上は居るのか?        削板:少し遅れてく! あ、最愛とか居んの?


何故か似たような文章……コイツら結託してるんじゃなかろうな。
互いに互いの事は知らない筈なので『都市(英国)の友人が一人来るけど気にしないで。因みに男だよ』と返事する。
軍覇は気にせず来るだろうが、ステイルはもしかして来ないかもね。

さておき、米はまだ炊けてない。炒飯作るつもりだから、2人が着いてから作った方が良いだろう。


香焼「んー……時間、空いちゃうなぁ」ポリポリ・・・

もあい「みー」ジー・・・


暇潰しに何かしよう……―――


@短刀(ナイフ)整備兼観賞

A溜めてた漫画を読む

Bその他(具体的に)


                    >>272

271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 00:07:22.45 ID:lnp7XWi2o
2
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/11/13(日) 00:08:12.74 ID:ZrHq20o1o
@
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/13(日) 00:08:17.54 ID:eJW4W7yAO
@
274 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 00:45:23.77 ID:88QHB57N0
―――それじゃ『得物』の整備でもしよう。
自室に戻り、押入れの中からトランクケースを引っ張り出す。そこに……100本以上の短刀。


香焼「……さぁてと」スッ・・・


一番の得物は儀礼の短刀。これが最もしっくりくる。
サイズ的な意味合いでは勿論、形状が十手に近いので相手も得物持ちの際、超近接戦で優位に働ける。
更に魔術的な礼装効果も付加されているので、術式を展開させる時、これを通すと楽だ。謂わば魔力が弾丸、コレが銃みたいな感じ。


香焼「……うん。暫く使ってないから埃払うだけで良いっすね。次は」ジー・・・


黒塗りの短剣。最近手に入れたダガータイプの軽い短刀だ。30本程ある。
これは土御門と海原さんから渡されたモノ(前回の報酬)で、暗殺に便利な短刀らしい。
小さくて軽い。これだけで形態としては便利。いざとなれば近接時にブッ刺す事もできる。

更に『曰憑き』というわけではないが、イラン(イスリム)の暗殺集団が好んで使っていた武器という事でそれなりに魔力が通し易い。


香焼「一回っ切りの武器だから壊れやすいんすけど、補充が効くっすからね……後はー」チラッ・・・


銀のナイフ。正真正銘、柄尻から刃先まで全てが銀だ。
『武器』としては非常に扱い辛い一品なのだが、十字教徒が使用する上では大事な武装。
銀というだけで『退魔』の効果がある。因みに、属性が『悪』に近い魔術師にも効果的だとか。

あと、僕には無理だがステイルやアニェーゼ、サーシャなど『悪魔祓い』の呪文を唱える事が出来る連中にとっても重宝される武装だとか。


香焼「僕も悪魔祓いの詠唱覚えようかなぁ……使い道無いか。まぁさておき」スッ・・・


都市で手に入れた高周波(単分子)カッター。言葉通り、分子まで切れるナイフだ。
スイッチを押すと刃の部分が真っ赤になり熱くなる。側面に触れただけで火傷するし、間違って刃を触れば普通の怪我では済まない。
僕の切り札の一つだが……極力使用したくない。


香焼「コレを使う時は……最愛が……いや、馬鹿な考えは止めよう。他には」パッ・・・


柄だけの短刀が2本。正直、短刀というにはオカシイが、これも『ナイフ』の一つ。
柄の尻にボトルの様なモノが付いている一方がウォーターカッター。ボンベの様なモノが付いているもう片方はバーナーカッター。
言葉通り、ダイアモンドを切る際に用いる『水の刃』と、圧縮した熱線を射出する『火の刃』。
一度スイッチを押してしまえば、1個のボトル・ボンベタンクで30秒しか使えない短刀。

本来、魔術で応用すべきモノだが僕はそこまでのレベルに至っていない。それに実は科学(コッチ)の方が低コストだったりする。


香焼「これはステイルに見つかる訳にはいかないんだよね……絶対パクられるから」タラー・・・


アイツは意外とジャイアニズムなところを持ってるからな。
てな具合で、刃モノををニヤニヤ見詰める危ない僕……いや、整備ですよ。整備。

275 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 00:57:41.40 ID:88QHB57N0
その後、鍛錬兼ダガーの性能確認がてらダーツの的に投躑練習していると今の方で物音がした。


香焼「ん? もあい?」キョトン・・・

もあい『なぅ』カリカリ・・・


僕を呼んでるという事は……ステイルか軍覇が来たのだろう。
ナイフ弄りに熱中し過ぎてて忘れていた。急いでリビングに戻ると―――



ステイル「…………、」ジー・・・

削板『…………、』ジー・・・



―――……何故か、2人が見詰めあって固まっていた。


香焼「……あ、え、と」タラー・・・

ステイル・削板「『……香焼。誰だソイツ」』ジー・・・

香焼「……えー」タラー・・・


ツッコみたい事満載だが、とりあえず座ってくれ。
軍覇もいい加減ベランダから入って来ようとするの止めて下さい。


削板「おう、すまん……で、誰ソイツ?」ジー・・・

ステイル「それはコチラの台詞だ。誰だ貴様」ジー・・・

削板「いやいや、俺がお前に『誰ですか?』って聞いたんだからお前が答えるっつーのが筋だろ?」

ステイル「意味が分からない。普通は自己紹介から入るモノだろうが。貴様が名乗れ」

削板「その理屈が分かってるんだったらお前から名乗るもんだろ? 馬鹿じゃないか?」

ステイル「そっくりそのままお返ししよう、馬鹿」

削板「ハァ……、」ジトー・・・

ステイル「フンッ……、」ジトー・・・


うわぁ……なぁにこれぇ状態。

276 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 01:15:42.30 ID:88QHB57N0
とりあえず険悪な雰囲気が耐えられないので、2人には大人しく座ってもらう。
そして僕の口から双方の紹介を始めた。


香焼「えっと……此方、削板軍覇。色々あって仲良くなった友人だよ」チラッ・・・

削板「…………、」ジトー・・・

香焼「あー……其方、ステイル=マグヌス。英国で知り合った友人。よくこの街に来てるんだ」チラッ・・・

ステイル「…………、」ジトー・・・

もあい「……みー」オドオド・・・


何で、睨み合ってんの?


削板「……おい、香焼」ジー・・・

香焼「な、何かな?」

削板「30手前の兄ちゃんを友人って呼ぶのは、変じゃねぇか?」ジー・・・

香焼「さ、30って……ステイルは自分の一つ上っすよ」タラー・・・

削板「嘘言うな。デカいし煙草臭ぇし……同年代じゃねぇだろ」ケッ

ステイル「心外だな。これでも14歳だ。友人云々は捨て置いて、煙草に関しては他人にとやかく言われたくない」フンッ


何でそんなにツンケンするかなぁ。


ステイル「……香焼」チラッ・・・

香焼「は、はい?」

ステイル「先にも言った通り、友人云々については如何こう言うつもりはなかったが……それでも馬鹿・低脳以外を選べ」ジー・・・

香焼「ええっと……脳筋そうに見えて、低脳では無いっすよ。実は偏差値70オーバーだし……軍覇、超能力者(レベル5)っす」

ステイル「強度(レベル)なんて如何でもいい。要は『頭が残念』なタイプだろ、ソイツは」ジトー・・・

削板「……言ってくれるじゃねぇか。テメェだって如何見ても『不良』なタイプだよなぁ」チッ


また睨みあい……姉さん! もしくは他の誰か! 助けて下さい!

277 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 02:03:53.53 ID:88QHB57N0
といっても、こういう時に限って五和と浦上は居ない。


ステイル・削板「「…………、」」バチバチバチッ・・・

香焼「あ、の」タラー・・・

ステイル・削板「「あ?」」ギロッ・・・

香焼「うっ……ご、ご飯、作るよ」タラー・・・

ステイル・削板「「……ふんっ」」チッ・・・

もあい「にゃぅ」ジー・・・


せめて飯食い終わるまでは大人しくしといてくれ。


香焼「い、今お茶出すから待ってて……名に飲みたい?」

削板「何でも良い。水で良いぞ」

ステイル「コーヒーブラック。あと灰皿だ」

削板「……テメェ。随分と我儘だなぁオイ。しかもちゃっかり灰皿頼んでんじゃねぇよ。自称14歳さん」ジトー・・・

ステイル「それだけ言える仲という事だ。妬むなよ」フンッ

削板「いいや、テメェは無茶苦茶言ってるだけだな……香焼、コイツの分要らねぇぞ。俺の水だけくれ」

ステイル「やれやれ、自分勝手はドチラやら。香焼、ボトルのコーヒを貰えれば勝手に注ぐよ。冷蔵庫、失礼」スッ・・・

削板「ちょ、お前、人ん家の冷蔵庫!」

ステイル「だからそれくらい勝手な仲だと言っただろう。一々説明必要なのか?」

削板「おい、香焼! お前実はコイツに虐められたり脅されたりして仕方なく家に上げてるんじゃねぇよな!?」

ステイル「言いがかりもいいとこだ。寧ろ、逆に貴様の方が香焼の家に迷惑勝手に上がり込んでそうだがな」

削板「テメェは黙ってろ! おい、香焼。ハッキリ言え。もしそうならブッ飛ばしてやっから」ギロッ・・・

ステイル「……誰が、誰をブッ飛ばすと?」ピタッ・・・

削板「ハンッ! 聞こえなかったか? そこ突っ立ってる木偶の坊を、オレがケチョンケチョンにして窓から捨ててやるっつったんだ」フンッ

ステイル「……たかだが、能力者風情が僕を? ハハハ! これは面白いジョークだ!」ケラケラッ・・・

削板「ジョークかぁ……ジョークねぇ……そんじゃあジョークか如何か試してやろうか? 外人野郎」ギロッ・・・

ステイル「おぉ野蛮人は面倒だねぇ……知識人たる人間がしっかり格の違いを教えてやるべきか」ギロッ・・・

もあい「……みゃん」アタフタ・・・


双方ガンの飛ばしあい……喧嘩すんな!! って聞こえてないし! 今にも胸倉掴み出しそう!

278 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 02:21:57.50 ID:88QHB57N0
こうなったら……仕方ない。


香焼「……はん」ボソッ・・・

ステイル・削板「「あ?」」ピタッ・・・

香焼「……ご飯、作らないぞ」ジトー・・・

ステイル・削板「「うっ」」タラー・・・


コイツらの弱点は、普段まともな飯を食べてない事だ。


ステイル「そ、それは、その」タラー・・・

削板「勘弁、してくれ」タラー・・・

香焼「だったら大人しくしてろ。テレビ見たり漫画読んでて良いから」

ステイル・削板「「……はぁ」」ポリポリ・・・


やっと大人しく席に着いた馬鹿2人。如何して大人しく出来ないかなぁ。
というか、何故初見なのにそこまで馬が合わない? まだ最愛相手の方がマシだったぞ。


ステイル「……僕は、こういうタイプの人間が、嫌いだ」キッパリ・・・

削板「そっくりそのまま、同文だ」キッパリ・・・

香焼「本人居る手前で言うかなぁ」ハァ・・・


じゃあ少しは互いを知ろうとしろ。何も知らないのに見た目だけで判断してるだろ。


香焼「例えば……ほら、ステイルは英国出身だからその手の話を」

削板「興味無い」サラッ

香焼「うっ……じゃ、じゃあ軍覇は超能力者なんだし、能力について」

ステイル「聞く必要性が無い」サラッ

香焼「…………、」ハァ・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・


駄目だ、コイツら。間が持たない。

279 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 02:43:50.39 ID:88QHB57N0
一寸後……とりあえず、炒飯が出来たので2人の前に出す。


香焼「食べてる最中喧嘩したら2度と作らないからな」ジトー・・・

ステイル「分かってる。ソイツと違って食べ物を粗末にするような事は無い」フンッ

削板「テメェは一言余計なんだよ。この不衛生不健康ロンゲ」ジトー・・・

香焼「……話、聞いてる?」ハァ・・・

もあい「みゃー」ジー・・・


もう良いや。先に食べちゃおう。


香焼「―――頂きます」スッ・・・

ステイル・削板「「……ん」」カチャッ・・・


昼の献立はキムチ炒飯とワカメスープ。


削板「もきゅもきゅ……んまー! 相変わらず香焼ん飯は美味ぇな!」ガツガツ!

香焼「ははっ。ありがと」フフッ

ステイル「黙って喰えんのか」モグモグ・・・

削板「……あん?」ジトー・・・

香焼「こ、こら!」アタフタ・・・


何で一々喧嘩腰なんだよ。


ステイル「……食べ終えてからでも賛辞は送れる」フンッ

削板「なぁにが『サンジ』だっつの。一々難しい言葉使うな中二病野郎」モグモグ・・・

ステイル「……ド低脳」モグモグ・・・

削板「お前アレだろ。難しい言葉使えば恰好良ぇとか考えるタイプだろ? そういうの日本じゃ中二病っつーんだよ」ケッ!


貴方も大概中二病ですけどね。


ステイル「良いから黙ってくれ。飯が拙くなる」モグモグ・・・

削板「かあああぁ!! おい、香焼! お前からも何か言え!」バッ!

香焼「え、ええぇ」タラー・・・

ステイル「おい、香焼を困らせるな。ニホンザル」モグモグ・・・

削板「うっせぇなぁライミー! 困らせてんのはテメェだろ!」ギロッ・・・


どっちもどっちです。


削板「英国じゃ如何かしんねぇけどな、此処は日本だ! 飯喰う時は談笑しても良いんだよ!」バクバクバク!

ステイル「そんなルール聞いた事無いね。馬鹿限定のルールなんじゃないか?」モグモグ・・・

削板「テメェは一々言葉に『馬鹿』とか『野蛮』って付けないと話せねぇのか!? このDQN野郎が!」ガブガブッ!


まったく……まぁ何だかんだで会話してるんですね。この人達。

280 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 03:30:03.29 ID:88QHB57N0
口論が絶えなかった物の、何とか喧嘩無しで『ごちそうさま』という事が出来た。
三人分の食器を流しに運び、水に浸しておく。


ステイル「まぁまぁだね。神裂には及ばないが、一般人にしては上出来だろう」フキフキ・・・

削板「ウッゼぇー。マジうっせぇ……何様だっつの。お前料理出来んのかって」ジトー・・・

ステイル「ふんっ。舌が肥えてるだけだよ……香焼、今度こそコーヒーと灰皿を寄越せ」スッ・・・

削板「なっ……テメェ、此処で喫う気かよ」ウワァ・・・

ステイル「別に何処で喫おうが僕の勝手だろう。一々文句付けるヤツだな、貴様は」フンッ

削板「いやいや。テメェがあまりに非常識だから注意してやってんだっつの」タラー・・・


まぁその点は軍覇に同意しよう。


香焼「コーヒーは淹れてあげるから、ベランダで喫ってよ。あと灰皿無いからもあいの餌の空き缶使って」スッ・・・

もあい「みゃ?」キョトン・・・

ステイル「ったく。次来る時までに準備しとけとあれ程言っといただろうに」ハァ・・・

削板「おいおいおいおい……待てテメェ。ちょいと、横暴過ぎやしねぇか?」ジトー・・・

ステイル「意味が分からない。煙草喫うだけだぞ?」スッ・・・

削板「それが! 横暴だっつてんだ! この家の住人に喫煙者居ねぇだろ! 煙草臭くして申し訳無いと思わねぇのか?」

ステイル「住人? この家は香焼の家だろう。彼がOKと言ったのだから問題無い」フンッ

削板「言ってねぇよ! よしんばOKしてたとしても外(ベランダ)で喫えっつったろ!」ガー!

ステイル「小五月蠅い猿だ……普通に考えれば寒いと分かるだろ。馬鹿か?」

削板「当っっったり前だっつの! 他人の家で煙草やるんだからそんくらい我慢しろ! 香焼だって譲渡してんだろ!」ガアアァ!!

ステイル「あーはいはい。じゃあ窓開ければ良いんだろー」ヤレヤレ・・・

削板「かああああぁ!! 駄目だコイツ……おい、香焼。俺の日本語通じてんのかな?」ハァ・・・

ステイル「通じてないよ」フンッ・・・

削板「〜〜〜〜〜ッ!! こんのぉ……A cigarette can be smoked outside.Don't smoke a cigarette in inside!」スラッ・・・


軍覇、英語喋れたんだ。しかも結構上手い……流石超能力者だけはある。


ステイル「……Oh,Sorry.I don't know what your Meaning.」テクテク・・・

削板「うがああああぁっ!! やっかましいわぁ!! 何が意味不明だボケぇ!! 分かってんだろ!!」ンキー!

ステイル「五月蠅いなぁ。煙草喫ってる間くらい黙っててくれ」カチッ・・・

削板「そ・と・で! 喫え!!」バンッ!


あーもう喧嘩になっちゃう……流石に、ステイルが悪いので僕が柔らかく交渉し、ベランダに出てもらう事にした。

281 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 04:10:45.68 ID:88QHB57N0
それから一寸後、何をする訳でもなく、三者三様でゴロゴロしていた。
僕はもあいと適当に遊び、軍覇は浦上の漫画を読み漁り、ステイルはベランダでチビチビ煙草を喫いながらボーっとしている。

この2人口を開かなければ、まぁそれなりにやっていけるのではなかろうか。


削板「ふぅ……あー、もう2時か」チラッ・・・

香焼「今日何か用事有るの?」

削板「いや、別に。お前は?」

香焼「無いよ。久しぶりに何も無い日だからゴロゴロしようと思ってた」

削板「そうか……何か邪魔して悪かったな」ポリポリ・・・


そんな事は無い。喧嘩さえしなければ特に問題無いから。


ステイル「……『稽古』は?」チラッ・・・

香焼「うーん。大分(魔)力使ったから暫く休めって。土御門に言われた」

ステイル「そうか……噂程度に聞いているが、頑張ってるそうだな」フム・・・

香焼「ステイル程じゃないっすよ」ハハハ・・・

ステイル「謙遜するな。超能力者相手に如何こうと……まさかソイツじゃなかろうな?」チラッ・・・

削板「あ? 何の事だ?」キョトン・・・

香焼「ははは。軍覇は違うっすよ……まぁその内、ね」フフッ


『?』顔の軍覇。『そうか』と再び外を眺めるステイル。


削板「それにしてもよぉ……珍しいな」

香焼「え?」

削板「いや、香焼ん家に女が居ないの」

ステイル「ハハッ。確かにな」フフッ

香焼「あー……まぁね」ハハハ・・・

もあい「にゃーん」キョロキョロ・・・


嫌が応にも、とは言わないが、必ず誰かしら居るからなぁ。自分の客じゃなくてもカオリ姉さんの友人が来たりするし。

282 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 04:51:43.90 ID:88QHB57N0
そう考えると……今の状況は、初めてだ。
いやはや、こうして男だけの空間というモノは素晴らしいと思う。


香焼「最愛やアニェーゼ達が嫌って訳じゃないけど……うん」ホッ・・・

削板「は?」

香焼「あ、うん。気付かなかったけど、自分は軍覇とステイルが来るとホッとするんだなぁって」ハハハ・・・

ステイル・削板「「っ!」」ドキッ・・・


そりゃ勿論、最愛と一緒に猫達と遊ぶのは楽しい。佐天さんとランニングに行くのも楽しい。春上さんとボランティアするのも楽しい。
カルテッ娘と騒ぐのも楽しい。香としてだが、操祈さんとお喋りするのも楽しい。姉さんやその友人達と団欒するのも楽しい。

だけどやっぱり……こうして、男友達と一緒に過ごすのは素敵だなぁと、思う。


ステイル「そ、そうか……ま、まぁそうだな。普段が普段だからな」ポリポリ・・・

削板「よ、呼んでくれれば何時でも来っからよ」ハハハ・・・

香焼「んー……でも2人とも、女性陣が一緒だと斜に構えるじゃん」

ステイル「此処に居る女性陣が悪い。というか、何故男である君の家が女共の溜まり場になるのだ」フンッ

削板「そうだよなぁ。普通野郎の家っつたら野郎が集まるもんだろ。如何してこうなってんだ!」ムンッ

香焼「自分に言われても」タラー・・・

もあい「みー」コクコクッ

ステイル「やはり、君は呪いに掛ってるんじゃないか? 魅惑(チャーム)か誘惑(フェロモン)の様な」ジー・・・

削板「変な能力掛ってんのかもしんねぇぞ。最近じゃ恋心弄くる精神感応能力者も居るって話だしな」ジー・・・

香焼「だ、大丈夫っすよ。呪いは調べてもらったし、変な能力も掛ってないって。定期検査で問題無しだったし」ハハハ・・・


兎にも角にも、こうして男だけで集まれる時間は貴重だ。僕の精神安定になる。


香焼「……ありがとね」フフッ

ステイル「む……か、感謝される謂われは無いが……まぁ部下の労いも上司の仕事だからな」コホンッ・・・///

削板「お、おう。ほ、ほら、ギブ&テイクだぜ。飯も貰ったし」アハハ・・・///

香焼「ふふっ。別に見返りなんて要らないよ。2人が居てくれると安心するんだ」クスッ・・・

ステイル「め、女々しい事を言うな! 馬鹿か君は!」ドキッ・・・///

削板「ま、まぁその……あんがとよ」ヘヘッ・・・///

もあい「にゃー」コロコロ・・・


いやいや、この2人の前だと気を使う必要無いし……あぁ、男って良いなぁ。
学校では男が多いけど、正直、あの学校で友人は作れない。誰も彼もが、ライバル視している様なエリート校だ。

だからこそ、仕事の延長や偶然知り合った人間であれ、仲の良い男友達は素晴らしい存在だ。

283 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/13(日) 05:06:03.95 ID:88QHB57N0
それからまた暫く三者三様で、気を使わずゴロゴロした。
偶に一緒にゲームしたり、菓子食べたり、下らない時間……だが、それが良い。


削板「―――ん。そろそろ時間だ」チラッ・・・

ステイル「……もう6時か。それではそろそろ、お暇しよう」スッ・・・

香焼「え……帰っちゃうの?」シュン・・・

ステイル・削板「「うっ」」ダラダラ・・・


とても、名残惜しい。


ステイル「ま、また来てやる……暇な時な」タラー・・・

削板「お、おう……時間作ってやるからよ」タラー・・・

香焼「ホント! 一緒に来てくれるんすか!」パアアァ!

ステイル・削板「「え」」チラッ・・・タラー・・・

香焼「……そっか」ショボーン・・・

削板「く、来る来る! なぁステイル!(何で香焼、今日こんな幼い……ってか女々しいの!?)」バンバンッ!!

ステイル「あ、ああ。男だけでだな。分かった分かった。(し、知らん! 普段抑圧されてる何かが表に出てるんじゃないか?)」ゲシゲシッ!

香焼「っ! ありがと! 絶対また来てね!」キラキラ・・・

ステイル・削板「「お、おぅ」」タラー・・・///


数時間後……2人が帰ってしまった。とても、とても……寂しかった―――




 *   *   *   *   *   *   *   *   *   *




削板「―――あー……お前の前だと、香焼、普段からアアなの?」チラッ・・・

ステイル「いや、初めて見た……幼いのは容姿だけだと思っていたんだが、意外だ」フム・・・

削板「おう……んで。どーすんよ?」チラッ・・・

ステイル「如何するって、それは……如何する?」タラー・・・

削板「正直勘弁願いたいが……一緒、行くか?」ハァ・・・

ステイル「僕だって貴様と一緒など願い下げだが……仕方あるまい」ハァ・・・

削板「しゃーねぇな……予定合わせっから、メアド教えろ」ケッ・・・

ステイル「フンッ……ICタッチで良いな?」Pi!

削板「うぃ……って香焼からメール来てるし。『次いつ逢える!? 姉達居ない時間作るから!>ω<)ノシ』……お前にも来てっか?」チラッ・・・

ステイル「ああ。『また三人で遊ぼうね! 外出かけるのもアリだよ!@ω@)b"』……如何する?」タラー・・・

削板「……家帰って予定確認してくる。お前も調べて来い」ハァ・・・

ステイル「ん……って、何で僕達はアイツの為にこんなやりくりしてるんだ」タラー・・・

削板「知るかよ。でも、アイツの楽しそうな顔と別れ際の寂しそうな顔……もう遊べねぇなんつったら号泣じゃ済まねぇぞ」ハァ・・・

ステイル「……仕方あるまい。『乗ってしまった船』だ。何とかしよう」ハァ・・・

284 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/13(日) 05:15:47.30 ID:88QHB57N0
はい、今回此処まで。何故か香焼がヒロインと化してる不思議!
次回もこの2人メインだけど、アンケ!


@2人とお出掛け!

A何故か女装時に2人と接触!

Bその他(人物名、シュチュエーション。具体的にどうぞ!)


ステイルと軍覇以外にも登場させるよ。絹旗もアリだし上条さんもアリだなぁ。みさきちでも面白い。
それじゃーとりあえず、また次回! ノシ”
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 05:26:55.99 ID:5y5aAYFY0
1乙ノシ


@2人とお出掛け!

ニア A何故か女装時に2人と接触!

Bその他(人物名、シュチュエーション。具体的にどうぞ!)
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 06:37:51.67 ID:yiQh/DYDO
乙! @+Aで良いんじゃね?
何故か女装時に二人に会っちゃってそのままデート
そんでもって美琴とかみさきちにバッタリ!

二人に正体がばれるかどうかは任せる!
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 07:10:05.31 ID:loLWPifIO
A+B
バッタリ会った上条さんと何故かいい雰囲気になった所での遭遇が望ましいかな
あとみさきちとか美琴も適当に
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/13(日) 08:05:47.21 ID:nxbT4gyAO
Bみさきちぃー
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 10:04:27.97 ID:4PtXq90M0
B男三人でいる所に例の件で言い争うみこちゃんとみさきちに遭遇
乙でした
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/13(日) 14:36:53.14 ID:FomFkxNro
Bいっそ香でフラグ立てた女の子が一同に会するでいいんでない?
291 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/14(月) 00:03:54.28 ID:1oIVBFos0
こんばんわ。何だかスゲェBが多くて如何すりゃいいか分からんw

とりあえず香スタートで良いかな? 困ったら安価かけましょう。そんじゃ投下!
292 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 00:19:18.93 ID:1oIVBFos0
 ―――とある翌日、AM10:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・








その日の朝、寝ボケ眼で食パンを齧っていた時、一通の電話が入った。
相手は……あまり出たくは無い男から。


香焼「ん……あぃ」モグモグ・・・

土御門『いょう。朝っぱらから悪いな』Pi!

香焼「いえ……何用で?」モグモグ・・・

土御門『修行の話だ。まぁ半分任務とも―――』

神裂「こら、香焼。行儀が悪いですよ」メッ

もあい「にゃー」ジー・・・

香焼「あ、すいません……んっ」ゴックン・・・


口の中に入ってたパンを牛乳で流し込む。


香焼「ふぅ。もしもし、お待たせしました」スッ・・・

土御門『―――……はぁ』ポリポリ・・・

香焼「土御門?」ハテ?

土御門『……お前ん家、そんな家庭的なの? てかねーちんってママキャラ?』ヤレヤレ・・・

香焼「あはは。ウチでは姉さん、一般人みたいなもんすから……それで?」

土御門『ああ。急だけど、今からお前ん家に行く』サラッ・・・

香焼「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

土御門『聞こえなかったか? お前ん家に行くと言った』


何故に?


土御門『修行・任務の話だと言っただろう。兎に角、変装して待ってろ。まぁこの際ねーちんが居ても構わん』

香焼「え……ま、待って下さい! こ、こっちの予定も!」

土御門『知らん。最優先事項だ。そんじゃ30分後』Pi!


一方的に電話を切られた。困ったぞ……今日は先約があるというのに。

293 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 00:49:49.21 ID:1oIVBFos0
僕が如何しようかと首を傾げていると、姉さんが尋ねてきた。


神裂「お困りの様ですね。如何しました?」

香焼「えっと……今から土御門がウチに来るそうで」

神裂「おや。『追加』ですか?」

香焼「いえ。2人とは別っす」ハァ・・・


実はこの日、ステイルと軍覇が遊びに来る約束だった。


香焼「しかも『香』で待ってろって」タラー・・・

神裂「それは、何とも……困りましたね」ポリポリ・・・

香焼「修行って言われても、内容が分からない以上タイムテーブル組めないし……はぁ」

神裂「んー。もし、土御門が許可するのであれば、2人に女装を見せても」

香焼「死ねっていうんすか!!」ガアアァッ!!

神裂「え、いや、大袈裟な」タラー・・・

もあい「なー」フシフシ


そんな羞恥プレイ耐えられません。


神裂「で、では断りの電話を入れては」

香焼「……嫌っす」ムスー・・・

神裂「そ、それじゃあ土御門の方に今からでは急過ぎだと伝えてみては」

香焼「アイツ、人の話聞かないっす」

神裂「そ、そうですか。(こ、この子、こんな我儘でしたっけ?)」タラー・・・


2人との約束は、12時前後に我が家となっている。
土御門が来る時間は大体11時過ぎだろう……如何したモノか。


神裂「……とりあえず、メイクの準備だけでもしておいた方が。少々遅れても変装が出来る様に」

香焼「…………、」ムゥ・・・

神裂「もし理不尽な修行なら私の方からも一言告げましょう。兎角、何にでも対応できるようにしておきなさい」

もあい「みゃー」ゴロゴロ・・・


確かに、一理ある。とりあえず常盤台の制服とメイクセットを取り出しておき、土御門の到着を待った。

294 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 01:23:07.82 ID:1oIVBFos0
30分後、約束通り土御門が家に着く。しかも一人じゃないし。


土御門「邪魔するぞー」ガチャッ

海原「失礼します」ペコッ

御坂蛇「…………、」コクッ・・・


何故に、海原さんと蛇さんが一緒なのさ。


土御門「よぅ……って、まだ変装してねぇのかよ。さっさとしろ」チラッ・・・

香焼「……修行の内容聞いてから変装するつもりっす」

海原「まぁ急でしたしね。しかし、流石理事会が建てたマンション。立派ですねぇ」キョロキョロ・・・

神裂「こんにちは……む、そちらは?」チラッ・・・

土御門「ああ、マトモに会うのは初めてか。俺の連れで、今香焼がしている修行の師匠だ」クイッ

海原「噂に兼々お聞きしています。天草式十字凄教の女教皇(プリエステル)殿。会えて光栄です、聖人……神裂火織」ペコッ

御坂蛇「…………、」ペコッ・・・

神裂「……魔術師ですか」ジー・・・

海原「海原光貴といいます……まぁ表の顔ですけどね。一応、本来はこういう者です」スッ・・・


名刺(?)の様なモノを渡す海原さん。


神裂「アラスカの……ふむ。深くは聞きません。香焼がお世話になっている様で」ペコッ

海原「いえいえ。彼は頑張ってくれている。教え甲斐がありますよ……こっちは、妹達(シスターズ)の一人です。知ってますよね?」

神裂「クローン……いえ、失礼。お名前は?」

御坂蛇「個体番号17600号。周りからはプロスネークと……ミサカの事はスネークと呼んで下さい」ペコッ

神裂「はい。よろしくお願いしますね。それでは適当に座って下さい。お茶を出しましょう」スッ・・・


台所へ消える姉さん。空気を読んだのだろうか。


香焼「……それで?」

土御門「ああ。まぁ簡単な話だ。化粧しながら聞いてくれ」コクッ・・・

香焼「……自分、先約あったんすけど」ジトー・・・

土御門「キャンセルしろ。どうせ窒素装甲とか結標と遊ぶ約束だろ? こっちは今日しかない用事だ」フンッ

香焼「違うっすよ……まぁいいや。下らない内様だったら化粧落とすっす」カパッ・・・

海原「おやおや。貴方にとって相当大事な用事だったみたいですね」フフッ


そりゃまぁ数少ない男友達と遊ぶ約束だ。この上ない重要事項だろう。

295 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 01:41:58.97 ID:1oIVBFos0
まずコレを見ろ、と土御門は一枚のパンフレットを広げてきた。


香焼「……理事会主催のチャリティー演奏会?」キョトン・・・

土御門「ああ。都市著名人の演奏会だ。オーケストラだったり合唱だったり……まぁそんなんは如何でも良い」

香焼「……潜入して何か盗んで来いとか、そういう話っすか?」


誰それの使っている楽器が魔術的なモノだとか、もしくは誰かが暗殺されそうだからこっそり護衛しろとか。


海原「ふふっ。そこで自分が暗殺側に回るという発想が無いのは、貴方らしいですね」ニヤッ・・・

香焼「っ……自分に、暗殺の仕事は」タラー・・・

土御門「バーカ。んなモン期待してねぇよ。そういうのは俺らの仕事だ……仕事はコッチ」ピッ

香焼「演奏者一覧?」

海原「知ってる名前が、二つ程有るでしょう」


有名な学校の吹奏楽部、合唱部の他に……ソロの部がある。


香焼「……御坂さんに、操祈さん?」キョトン・・・

海原「ええ。御坂さんはバイオリンを、食蜂操祈はピアノを弾きます」

香焼「……それが?」

土御門「お前、これ誘われたのに断っただろ?」ジトー・・・

香焼「えっ……な、何で」タラー・・・

土御門「知ってるか、か……馬鹿野郎。スネークが監視済みだっつの」フンッ

香焼「そ、そんな! 自分は兎も角、他の人達のプライベートもあるんすよ!」アタフタ・・・

土御門「『香』で居る時にプライベートなんてないモンだと思え。あくまで『神崎香』は潜入員だぞ?」

香焼「た、確かに、そうっすけど」ムゥ・・・

海原「……多少ですが、安心して下さい。香用の携帯は確認してません。あくまで行動範囲でのみの監視です」

香焼「…………、」

御坂蛇「香。甘い考えは捨てろ。神崎香の主任務は『食蜂操祈との接触及び監視』だぞ、とミサカは注意します」

土御門「それが出来ないなら、修行も今すぐ終わりだぜぃ」クイッ・・・


それは困る。自分はまだまだ未熟だし、何より操祈さんとの縁を切りたくは無い。

296 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 02:07:54.83 ID:1oIVBFos0
言葉が出ない。黙々と化粧を続ける僕の隣にお茶を運んできた姉さんが座る。


神裂「失礼。粗茶ですが」コトッ・・・

海原「おや、すいません」コクッ

神裂「……とりあえず、もっと端的に言ってあげて下さい。一応この子にも用事があったのですから、それを納得させられる様に、ね」

土御門「ったく。んな甘い事言ってっからコイツが甘ちゃんに育つんだって……まぁいい。話は簡単だ。此処に行け」スッ・・・

香焼「演奏会に?」

土御門「ああ。3時半からホールが開く。場所は第7学区文化会館だ。知ってるな?」

香焼「……はい」コクッ・・・


しかし、3時半か……微妙な時間だ。


海原「……ところで、貴方の方に用事とは何ですか? 差し支えなければ御教え下さい」

香焼「え? あ、いや……その」ポリポリ・・・

土御門「んだよ? デートか? んなモン深夜過ぎからでいいだろ」ハァ・・・

神裂「意味が分かりません。中学生のデートで何故深夜からなのですか。この破廉恥サングラス」ジトー・・・

土御門「いやぁ別にぃ。星見に行ったりとかぁそんだけの事だぜぃ。ねーちんは一体何を勘違いしたのかにゃ?」ニヤニヤ・・・

神裂「くっ……この外道化師が」ギリギリ・・・///

海原「あはは……ええっと、香焼さん」チラッ・・・

香焼「…………、」


どうせ馬鹿にされるのがオチだろうけど、一応、説明をする。


海原「あー……必要悪の教会の主教補佐(ステイル)殿と、第7位、ですか?」ポカーン・・・

土御門「何だその組合わせ……まぁそれはさておき、結局遊びだろ?」タラー・・・

香焼「…………、」ムスー・・・

土御門「可愛い顔してねぇで教えろ、男女」フンッ・・・

神裂「……大事な約束なんですよ。この子、普段男子と遊ばないでしょう? だから楽しみなんです」

土御門・海原「「……は?」」キョトン・・・

香焼「ね、姉さん!?」ギョッ・・・

神裂「別に恥ずかしくないでしょう。はっきり言うべきです」ポンッ・・・

御坂蛇(いや……良く分からないが、相当恥ずかしい話なのでは? とミサカは香の真っ赤な表情を見て察します)ジー・・・


呆れ顔の土御門と海原さん。もう絶対断らなきゃダメじゃないか。

297 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 02:27:36.76 ID:1oIVBFos0
>>294・・・訂正:『アラスカ』 → 『アステカ』


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しかし……2人は一向に何も言わない。
その沈黙が逆に怖かったのだが、ふと、一服した土御門がポツリと呟いた。


土御門「別に、良いんじゃないか?」

香焼「……へ?」キョトン・・・

土御門「俺は別に構わねぇよ」チラッ・・・

海原「ふむ……まぁ、そうですね」コクッ・・・


何ぞ?


海原「考えてみれば、同じ超能力者が一緒ですし……これは逆に面白いのかもしれませんね」コクッ・・・

香焼「……何を考えてるんすか」タラー・・・

海原「いえ……ところで、主教補佐殿には、この変装の件は教えていますか?」

土御門「いや。此方からは『香焼が潜入の修行してる』とだけ伝えてある。コイツ自身が教えてなきゃ大丈夫だろう」

香焼「じ、自分の口から女装してますだなんて言えないっすよ」タラー・・・

海原「それはそれは。好都合ですね」ニヤリ・・・


悪い笑み。海原さんは少々失礼、と土御門を連れてベランダに消えた。


香焼「……何考えてるんすかね」ハァ・・・

御坂蛇「マトモな発想では無い事は確か。しかし、それでいて意図はある筈だからな、とミサカは師匠を評価します」

神裂「ふむ。ところで、そろそろステイル達が来てしまいますよ」チラッ・・・

香焼「あ、そうっすね……如何しよう」ウーン・・・


もう化粧を落としてしまおうか、と考えた刹那2人が戻ってきた。


土御門「待たせたな……香焼、とりあえずさっさと化粧してしまえ」

香焼「え、で、でも」タラー・・・

海原「自分に良い考えが有ります。さぁ早く! 任務も約束もこなせる良い方法です!」ニヤリ・・・

香焼・神裂「「…………、」」タラー・・・


海原さん、それは失敗フラグですよ。

298 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 02:57:01.78 ID:1oIVBFos0
 ―――とある翌日、PM00:10、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・



 パタパタパタパタ・・・・・



削板「―――だあああぁっ!! テメェが待ち合わせしようなんつーから遅れちまったじゃねぇか!」タタタタッ!

ステイル「喧しい! というか遅れたのは君の方だろ! 何を偉そうに!」スタタタッ!

削板「俺ん家は第12学区と19学区の間に在んの! だから直接此処来た方が早かったのに、一回第7学区来いなんつーから!」ギャー!

ステイル「関係無かろう! 十分間に合う時間に連絡した筈だ! 良いからもう着くぞ!」チッ・・・

削板「ああぁもう……香焼泣いてなきゃ良いけどよぉ」アセアセ・・・

ステイル「くっ、有り得るな……考えるのは後だ。チャイム押すぞ」タラー・・・


 ピンポーン・・・・・


削板「すまん! 遅れた!」Pi!

神裂『あ、ステイル。削板さん。こんにちは……とりあえず中へどうぞ』ガチャッ・・・

ステイル「神裂が一緒か……まぁ良いだろう。五和や浦上が居ない事を願う」フム・・・

削板「何でだよ。五和の姉ちゃんも浦上の姉ちゃんも優しいじゃねぇか」チラッ・・・

ステイル「僕から彼女らに苦手意識が有るんじゃなくて、彼女達が僕に苦手意識を持ってるんだ」フンッ

削板「あー……まぁ納得。お前無愛想だかんな」ハハハ

ステイル「ぐっ……まぁ良い。行くぞ」チッ


 スタタタタ・・・・・


削板「ごめん、香焼! この木偶の坊が煙草の喫い過ぎで分速30mしか歩けなくてそれで!」アタフタ・・・

ステイル「嘘を言うな! この根性馬鹿が集合場所に遅れて……って、ん?」ピタッ・・・


神裂「いらっしゃい」コクッ

土御門「いよっ! そっちの根性くんは初めましてか?」ニヤニヤ・・・

海原「……どうも」フフッ・・・

御坂蛇「…………、」ペコッ・・・


ステイル「……え?」タラー・・・

削板「えっと……部屋、間違えた?」タラー・・・

299 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 03:37:10.64 ID:1oIVBFos0
神裂「削板くん、部屋は合ってますよ」コクッ

削板「はぁ……でも、香焼居ねぇし、知らないヤツ居るし……あ、でも知ってるヤツも居る」チラッ・・・

ステイル「ふむ……仕事中だったか」チラッ・・・

土御門「ああ、何だかブッキングしたみたいだな。俺が無理言って香焼の家で待ち合わせしちまったんだ。悪い」コクッ

ステイル「いや、そういう事なら仕方が無い」ジー・・・

海原「……一応、初めましてですね。必要悪の教会、主教補佐殿」ペコッ・・・

ステイル「魔術師か?」ジー・・・

海原「んふっ。神裂さんに続き同じやり取りですね。海原光貴といいます……魔術師としては、『こういうモノ』です」スッ・・・

ステイル「ん……中米の……最近潰れた結社の一員か。まぁ深くは聞かないよ」コクッ・・・

削板「……お前ら、見た事有るぞ。よく夜中に危ねぇ事してる連中だろ」ジー・・・

土御門「ははは。流石、第7位。噂通り自警活動してるだけの事はあるな」コクッ・・・

削板「しかも、そこのバンダナ女は9つ子……あと優男は、前に直接顔合わせたな。小さい子虐めてただろ」ジトー・・・

御坂蛇「9つ子って……相変わらずコイツは苦手だ、とミサカは正直に告げます」ジトー・・・

海原「あの時(※)は『駒場』さんの仲介が入りましたからね……まぁ水に流して下さい。仕方の無い事だったんです」ペコッ・・・


※ただいま。第E話(第17話)参照


削板「あとで黒づ……駒場の兄ちゃんから聞いたけど、相っ変わらず理解できねぇぜ」ムゥ・・・

ステイル「よく分からんが……香焼は如何した」キョロキョロ・・・

神裂「すいません。あの子は今出張ってます」コクッ

削板「は? アイツが俺らとの約束破るとは思えねぇな。コンビニにでも買い物行ったか?」ジー・・・

土御門「あー、悪いな。俺らの使いで出張って貰っちまった。ちょいとした任務と修行でな」コクッ・・・

ステイル「……そうか」フム・・・

削板「ますます気に食わねぇ。何でテメェらの仕事だか何だか知らねぇが優先すんだっつの」ジトー・・・

ステイル「そう言うな。お前も知ってる様だから言うが、アイツも組織の人間だ。私情を優先させる訳にはいかないよ」

海原「ええ……しかし、残念そうにしてましたよ。貴方達と遊ぶのは彼にとっても重要事項なのでしょう」

神裂「後日穴埋めはする。謝っておいてくれ、と伝言を預かりました……ごめんなさいね」コクッ

削板「……しゃーねぇな」ムゥ・・・

御坂蛇「それにしても……貴方達はあの子にとって何なんだ? あそこまで残念そうなあの子の顔は見た事無いぞ、とミサカは尋ねます」

削板「そりゃまぁダチだかんな! マブよマブ! 男同士の!」ニカッ!

ステイル「……ふんっ」///


土御門(出たっ! No.1ツンデレのステイル=マグヌスくん14歳!)ニヤニヤ・・・

神裂(土御門……馬鹿な考えは止めなさい)ハァ・・・

御坂蛇(同性同士……これが『びぃえる』というヤツですか……いや、しかし香で謂えば三角関係?)フムフム・・・

海原(スネーク……何処でそんな無駄知識を)ハァ・・・

300 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 04:25:42.84 ID:1oIVBFos0
ステイル「……だがしかし、アイツが居ないとなれば此処に来た意味が無いな」ハァ・・・

削板「無駄骨かよぉ。なぁ神裂の姉ちゃん、昼飯余ってねぇか?」チラッ・・・

ステイル「そうだな。神裂の飯を食べてから帰るか」フム・・・

土御門「図々しいにも程が有るぞ、この中坊共」タラー・・・

神裂「まぁまぁ……昼食は今からの予定でした。皆さんと一緒に食べていってください」フフッ

削板「おう! 香焼の飯も美味ぇが、やっぱ神裂五和の姉ちゃんの飯の方が美味いからな!」ハハハ

御坂蛇「……ミサカ達も?」キョトン・・・

神裂「ええどうぞ。簡単なモノですけど、お口に会う様なら是非」フフッ

海原「女教皇殿自らの手料理ですか。それは楽しみですね。是非に頂きましょう」ニコニコッ

ステイル「それじゃあ出来るまで煙草喫わせて貰う……神裂、空き缶寄越せ」チラッ・・・

削板「お前、また人ん家で……まぁ断り入れてベランダ行く様になっただけマシか」ハァ・・・

神裂「空きビンでも良いですね」スッ・・・

ステイル「ん。どうも」テクテク・・・

土御門「あーちょいちょい待ち。ねーちんも流される前に、紹介しとけ」チラッ・・・

神裂「あ、そうですね……2人とも。少々宜しいですか」ジー・・・

ステイル・削板「「ん?」」ピタッ・・・

神裂「2人に紹介しておきたい子が居ます。私の親戚で、先日学園都市のとある学校に入学した娘です」コクッ

ステイル「は? 聞いてないぞ……潜入教徒か?」ボソッ・・・

神裂「いえ、至って普通の子です。だからあまり大きな声で魔術の話はしないでください」ボソッ・・・

ステイル「……ふむ」ポリポリ・・・

土御門「ま、でもある程度勘付いてるみたいだけどにゃ……今呼んでくる」テクテク・・・

削板「んー……神裂の姉ちゃんの知り合いの子?」

神裂「はい。私の親戚です。遠縁の血族ですよ。五和達とも仲の良い娘です」

ステイル「娘……という事は女子か」

神裂「ええ。確か香焼と同い年です」

削板「ふーん。何処の学校?」

神裂「それは……来た様なので、本人から直接ね」フフッ

ステイル・削板「「ん」」チラッ・・・

土御門「お待たせぃ! そんじゃ香ー。挨拶しろー」ニヤリ・・・トンッ・・・


香焼「……こ、こんにちわ」オドオド・・・

ステイル・削板「「…………、」」ジー・・・

香焼「あ、え、と……神崎、香……です。(これ、ばれてんじゃね?)」タラー・・・

ステイル・削板「「…………、」」チラッ・・・

土御門「反応してやれよ、お前ら」タラー・・・

301 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 04:59:09.42 ID:1oIVBFos0
ステイル「あ、いや……ああ。はじめまして」ペコッ・・・

削板「ど、ども」ペコッ・・・

神裂「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。香、此方先程お話していた香焼の友人です」コクッ・・・

香焼「はぁ……マグヌスさんと、削板さん……ですね」コクッ・・・

神裂「ええ。ステイルは私の同僚でもあります。さて、とりあえず座って下さい」フフッ

海原(神裂さん、意外と役者ですね)フムフム・・・

土御門「ほれほれ。何か話せよ。歳近いんだろ、お前ら」ニヤニヤ・・・

ステイル「……土御門。お前は知り合いなのか?」チラッ・・・

土御門「俺にじゃねぇ! ったく……そうだな。香は神崎神社に所縁有る娘だから土御門家(俺の実家)と……って言っても分からないか」

ステイル「神社……日本のシントー(神道)だな。という事は巫女(シスター)なのか」フム・・・

神裂「香はそういう宗教色に染まって居ませんよ。確かに本家は神社ですが、この子は分家なので」コクッ

香焼「は、はい。私はカオリ姉様や土御門さんの様に、隠れキリシタンだったり陰陽道だったりしませんから」コクッ

ステイル「ふむ。だが色々詳しそうだな」

海原「宗教学者が宗教人という訳では無いでしょう。そういう事かと」

ステイル「成程ね」コクッ

削板「よく分かんねぇけど……その制服見る限り、常盤台か?」ジー・・・

香焼「はい。一年生……です。御二人は?」ペコッ・・・

削板「俺はとある研究所付属だから学校行ってねぇんだ。こっちのデカいのは此処の学生ですらない」クイッ

香焼「はぁ……お仕事か何かで?」キョトン・・・

ステイル「君の姉上と同じ様なモノだ。此処の理事長とのビジネスで色々ね」コクッ

香焼「へぇ! 偉い方なの……ですね!(これ、マジでばれてないの?)」フーン・・・

御坂蛇(完璧だ、とミサカは香を評価します)b"・・・ビシッ!

土御門「……なんだ、ステイル。同じ同年代なのにアニェーゼとかレッサーと対応違うじゃねぇか」ニヤニヤ・・・

ステイル「あの野蛮チビ娘共を基準にする方が間違ってる。この子はアンジェレネやサーシャ、ランシスに近いだろ」ジー・・・

神裂「あー確かに」ハハハ

香焼(まぁ心掛けてますから)タラー・・・

削板「ところで、常盤台って事はそれなりの強度(レベル)なんだろ? どんな能力なんだ?」

香焼「ええっと、強度は強〜大能力(レベル3〜4)のあやふやで、能力は……その、えっと……分からない……です」モジモジ・・・

削板「え?」キョトン・・・

土御門「希少能力者(レアスキル)だそうだ。色々扱いが難しくてな……もしかすると『原石(お前)』みたいなのかもな」クイッ・・・

削板「ほー……まぁ俺の知った事じゃねぇな。それより何て呼びゃ良い? 俺は軍覇で良いぞ」

香焼「では軍覇さんと……私の事は好きに呼んで下さい。神崎(こうざき)でも、香(かおる)でも」コクッ

削板「んじゃ香だな。最愛よりも良い娘そうだ」ハハハ

ステイル「では僕も神裂とごっちゃにならない為に香と呼ばせて貰おう。僕の事も好きに呼んでくれて構わない」コクッ

香焼「では削板さんと、マグヌスさんで……宜しくお願いしますね。(うわぁ、マジ通せた)」ダラダラ・・・

海原(心配し過ぎですよ。貴女の変装は完璧。自分とスネークのお墨付きですから)フフフ・・・

302 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 05:47:41.92 ID:1oIVBFos0
神裂「さて、口を挟んで申し訳無いんですが昼食が出来ましたよ。お喋りの続きはこれを食べながらでも、ね」コクッ

海原「おや。もう出来たのですか。それでは座って待ちましょう」チラッ・・・

香焼「姉様。御手伝いします」トコトコ・・・

神裂「はい、お願いします」フフッ・・・


 パタパタ・・・・・


ステイル「……土御門」ボソッ・・・

土御門「何だ? 香に惚れたか? 遂に禁書目録から乗り換えか?」ニヤニヤ・・・

ステイル「阿呆抜かせ……あの子は本当に、無関係者なのか?」ボソッ・・・

土御門「ああ。まぁ多少体術武術は長けてるが、魔術に関しては神道のちょいちょい程度だ。現に魔力を持ってないだろ? 調べてみろ」ジー・・・

ステイル「ん……確かに、魔力値は0だな。意味が分からないけど、まだそこの根性馬鹿の方が上だ」フム・・・

土御門「だろ。だからあまりボロを出すなよ。(魔力遮断の呪符『※』は上手く作れたみたいだな)」コクッ・・・      ※前話参照。

神裂「ステイル。土御門。貴方達も手を洗ってきなさい」チラッ・・・

土御門「はいはい、お母ちゃん。今日もエプロン姿似合ってるぜ」ニヤニヤ・・・

神裂「誰が母親だ、誰が」ジトー・・・


 イタダキマース・・・・・


海原「おぉ! シーフードとホワイトソースのスープパスタですか! 凄いですね」フフッ

御坂蛇「美味い……缶詰の5倍は美味い、とミサカは評価します」チュルチュル・・・

土御門「基準が微妙だぜぃ……まぁ料理勝負だと五和とどっこい評価だからなー」ニヤリ・・・

神裂「よ、余計な事を言うな阿呆!」グヌヌゥ・・・///

土御門「はははは! あ、そうだ……香。さっきのパンフ何処いった?」チラッ・・・

香焼「え? あ、はい。ポケットに入れてました」スッ・・・

土御門「ちょい貸せ……おい、お前ら」ジー・・・

ステイル・削板「「ん?」」モグモグ・・・

土御門「お前ら、香をコレに連れてけ」パッ・・・

ステイル・削板「「は?」」キョトン・・・

神裂「チャリティーコンサートです。都市の著名人が集って演奏会を開いています」

削板「……はぁ」モグモグ・・・

ステイル「意味が分からん」モグモグ・・・

303 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/14(月) 06:04:26.29 ID:1oIVBFos0
神裂「2人とも、お願いできませんか?」コクッ・・・

ステイル「いや、お前が連れて行けば良かろう」モグモグ・・・

神裂「出来ればしてますよ。午後に彼らと用事があるのです」チラッ・・・

土御門「ああ、悪いな。香焼はその用事の先行で出張ったんだ」

神裂「あの子と共に行こうかとも考えてたらしいのですが……つくづく都合が合いませんね」フム・・・

削板「ふーん……演奏会ねぇ」ジー・・・

ステイル「……一人で行けないのか?」

神裂「そうして欲しいのは山々なのですが、都市に来て日が浅いですし……あと極度の方向音痴なので」ハァ・・・

香焼「す、すいません。(何かドンドン設定が増えていく)」タラー・・・

ステイル「……おい、軍覇。貴様が付き添ってやれ」チラッ・・・

削板「はぁ? 俺だけ? テメェは?」チラッ・・・

ステイル「僕は彼らの用事に付き合う」フンッ・・・

海原「(上手く逃げようとしてますね)……あ、いえ。主教補佐殿。人は足りてますから」ポリポリ・・・

ステイル「うっ……い、いや、一応僕も居た方が」タラー・・・

土御門「いや、ぶっちゃけ邪魔だ。だから香の付き添い頼みたい」フフフ・・・

ステイル「ぐっ」タラー・・・

削板「ほら見ろ! 抜け駆けしようとすっからそうなんだ」ジトー・・・

海原「おや? それでは第7位は承諾してもらえるのでしょうか?」フフッ

削板「え、あ、いや……俺演奏会とか苦手で、寝ちゃうタイプだし……あと用事が」タラー・・・

ステイル「嘘吐け。貴様香焼と遊ぶ為に午後空けてきたと言ってただろう」ガシッ

削板「ギクっ……て、テメェもなぁ」ジー・・・

香焼「(何か申し訳無いっすね……でも、ごめん)じゃあ、2人とも暇……ですか?」ジー・・・

ステイル・削板「「うっ」」ダラダラ・・・

土御門「決まりだにゃ」ニヤリ・・・

神裂「お願いしますね、2人とも」フフッ

ステイル・削板「「……ハァ」」ガクッ・・・


海原(皆さん演技派ですねぇ。さて、スネーク。追跡監視の方お願いしますよ)チラッ・・・

御坂蛇(了解……もきゅもきゅ……と、ミサカはお替わりを所望します)ゴックン・・・

神裂(ごめんなさい。もう無いです)アハハ・・・

御坂蛇(っ!?)ガーン・・・

香焼(へ、蛇さん。自分の残り、どうぞ)タラー・・・

御坂蛇(香……私は良い妹弟子に恵まれた! とミサカの身の幸を喜びます)パアアァ!

土御門(お前ら、この家だと異常にアットホームになるなぁ)タラー・・・

304 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/14(月) 06:07:06.86 ID:1oIVBFos0
はい。此処まで。

次回、演奏会に向かいます。少なくとも常盤台組と超電磁砲組は出すよー。
あとそろそろハジケ分が不足してるから垣根&テレスティーナとかも出したいなぁ(笑)


そんじゃ適当にコメ宜しく! また次回! ノシ”
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 06:22:11.52 ID:qqSo/2eFo
乙!毎度のことながら即興でよくこれだけの内容の物を書けるわな

つか垣根生きてるのかww
駒場さんが死んでるから垣根も普通に死んでるもんだと思ってアンケとかでも名前出さなかったわww
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/14(月) 08:36:47.38 ID:9y7q01rAO
ああそうか
こっちでは垣根あんまり出てないのかな?
親戚の方じゃ好き放題やってるが
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 17:44:16.37 ID:Nj5Lb9EXo
垣根出してもいいなら出してほしいな
あと青ピ
308 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/11/14(月) 22:48:27.52 ID:1oIVBFos0
こんばんわ。ボチボチ続き。

・垣根に関して・・・元より、親戚の設定ありきで書いてるのでご了承を(苦笑)

もう今回は色々出しちゃおうかなぁとか、ね。そんじゃ投下!
309 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/14(月) 23:16:01.68 ID:1oIVBFos0
 ―――とある翌日、PM03:00、学園都市第7学区、文化会館付近・・・・・・







あの後、土御門や姉さんによる半ば強引な説得でステイルと軍覇は折れた。
香焼(個人)的には一応彼らと遊んでいる事になるので嬉しい気持ち半分。
香(他者)的にはいきなり仲良くない子と出かけて来いと吹っ掛けられたので、非常に微妙な心境だ。


ステイル「……はぁ」テクテク・・・

削板「……何だかなぁ」テクテク・・・


因みに、結構真面目な発表会なので正装じゃなければ入場できない。
殆どの入場者は学生や一時的に入場許可された父兄方なので学生服やスーツで間に合うのだが……この2人は違う。

普段のステイルの恰好は漆黒の外套(マント)。ただでさえ高身長で目立つのに、意味不明ファッションなんてしたら倍目立つ。
軍覇は旭Tシャツの上に学生服……というか特注の白ランを羽織って、鉢巻きの昭和(?)風ファッション。

流石にこれでは入場できないという事で、途中、麦野さんに教えてもらった紳士服屋で相応の服を購入。


削板「Yシャツなんて着んの何年ぶりだろう……てか鉢巻き返してくれよ」ドヨーン・・・

ステイル「このジャケット、キツいんだが……4Lサイズ以上は無いのか?」ムゥ・・・


真面目に白ランの前を閉め、髪を降ろした軍覇。そして茶色の御洒落ジャケットを羽織り、髪を結んだステイル。


香焼「2人とも……恰好良い」ボソッ・・・

ステイル・削板「「は?」」チラッ・・・

香焼「い、いえ、何でもありません」アハハ・・・///


普通にIKEMENだった。そりゃもう隣で歩いてる女装チビ男が霞む位に。
現に擦れ違う人、全員が見返りする程のイケメン'sである。


削板「ったく……マジ俺こういうの興味無ぇんだけどなぁ。寝ちまうんだよ」ハァ・・・

香焼「……ごめんなさい」ペコッ・・・

削板「あ、え、いや、その……あははは」タラー・・・

ステイル「馬鹿……あー、香。コイツの言う事は気にしないでくれ」スッ・・・

削板「チッ。悪かったよ……って、オイ! テメェ此処で煙草やんな!」ビシッ!

ステイル「僕の勝手だろ……喫わなきゃやってられん」カチッ・・・

香焼「……すいません」ペコッ・・・

ステイル「うっ……、」タラー・・・

削板「謝れ! 香に謝れ! そして煙草捨てろ!」ジトー・・・

ステイル「も、申し訳無い。君は病持ちだったな……我慢しよう」スッ・・・


あ、この設定有るとステイル煙草喫わなくなるのか。今度香焼(男)の時に試してみよう。

310 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/14(月) 23:50:30.32 ID:1oIVBFos0
数分後、文化会館に到着。開場直前というだけあってかなりの人混みだ。
多分、探せば沢山知り合いが居るだろう。主に御坂さん関係者。


削板「…………、」ソワソワ・・・

ステイル「何だ、落ち着きの無い……今更帰るなんて無しだぞ」ジトー・・・

削板「いや、あのよぉ……今更白状すっけどさぁ」ポリポリ・・・

香焼・ステイル「「え?」」チラッ・・・

削板「俺、今日この演奏会から逃げてきたんだって」タラー・・・


は?


削板「パンフ、見てみろよ」コクッ・・・

香焼「パンフレット?」パラッ・・・

削板「下の方、良く読んでみ」ジー・・・


出演、豪華著名人・強豪校吹奏楽部・合唱部・アーティスト……特別ゲスト、一一一(ひとついはじめ)、学芸都市楽団、etc...


ステイル「それが如何した?」

削板「そこじゃねぇ。その隣だ」ピッ


 【なお学園都市統括理事会役員および各校理事長様、日本国皇族様・国会議員様、協賛企業代表様、
                        そして超能力者一同様等も観賞に足を運ばれる為、警備を厳重に―――】


香焼「……え? 超能力者一同様って」チラッ・・・

削板「……呼ばれた」ハァ・・・

ステイル「貴様……こんな大きな公仕事蹴って、香焼の家に遊びに」タラー・・・

削板「だ、だって別にこんなん出なくても問題無ぇよ! 特別席に『居る』って事にしときゃダイジョブだし、どうせ他の連中も来ないし!」


僕的には嬉しい限りなのだが、流石にこういうのをサボられると困る。


香焼「ええっと、なんにしろ拙いんじゃない……ですか? 学生証の提示とか有りそう……ですし」チラッ・・・

削板「ハァ……やっぱ帰らねぇか? あそこ入った瞬間、俺拉致されちまう。間違ってジジイ居たら怒られるだけじゃ済まないし」ダラダラ・・・

ステイル「先に言えば良かったモノの……サングラスとマスクで誤魔化しとけ」フンッ・・・

削板「学生証は?」ジー・・・

香焼「アレだけ人多ければ、スルーされる可能性も……無いかなぁ?」ジー・・・

ステイル「まぁなんだ……腹を括れ。捕まったら捕まったで何とかしよう」ウンウン・・・

削板「うぃ……怖ぇなぁ」ドヨーン・・・


いっその事、いつもの根性馬鹿テンションで開き直ってしまえば、逆にすんなり通れたりしてね。

311 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 00:40:14.92 ID:azx9LWIa0
軍覇がウジウジ言ってる内に、開場開始。
といっても、かなりの人量なので今から並んでもホールに入るまで30分以上は掛りそうだ。


ステイル「ふむ。香、良い席に座りたいのか?」チラッ・・・

香焼「いえ、何処でも良い……です」コクッ・・・

ステイル「では空いてから入場しても良いな」ジー・・・

香焼「でも、削板さんの為に今ドサクサに紛れて入場した方が」チラッ・・・

ステイル「……だとよ」チラッ・・・

削板「いや……今入ったら逆に人目に着くだろ。こういうのは中途半端な頃に入った方が気付かれない」ジー・・・


潜入のマニュアルにそんな事が書いてあったな。人混みでは警備員達が気を張ってる為、余計見つかり易いとか。
人払いの術式や視覚遮断の能力を持っていれば別だが、軍覇の場合目立つ能力しか保有していない。


香焼「あ、よく見ると学生証をカードリーダーに通すだけで大丈夫みたい……ですね」チラッ・・・

削板「幾分かマシだな。そういえばステイル。お前、証明書有んの?」

ステイル「ん」スッ・・・


黒いカード……何これ? 禍々しいんだけど。


ステイル「アレイスターから渡されている証明書だ。大学生扱いだし学割が効くから重宝している」フンッ

削板「何で統括理事長の名前が出てくるかは知らねぇけど、要は煙草容認されてる訳か……世も末だな」タラー・・・

香焼「うーん。始まるのは5時から……です。如何しますか?」

削板「如何って、席何処でも良いならウロウロしてても大丈夫じゃね? てか俺一応ジジイに連絡しないと……クッションの為に」タラー・・・

ステイル「正直、一服しときたい」ハァ・・・

香焼「喫煙所あるのかなぁ……ええっと、それじゃ4時に入口集合で如何でしょう」


双方承諾。ステイルはパンフレットを元に喫煙所探しに、軍覇はトイレがてら所長(?)さんに電話しに消えた。
それじゃあ僕は……―――


@御坂さんと操祈さんに渡す花を買いに行く(発表会終了後、渡す花束を)

Aトイレに行っとく(なるべく人が少なそうな女子トイレ探し)

B何処かに居るであろう佐天さんに連絡(素性知れてる故)


                       >>313

312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 00:55:11.35 ID:ox7WaGHDO
@
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/15(火) 01:03:11.48 ID:Rummf+vbo
@で
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 01:03:54.86 ID:zajy1x+Uo
A
315 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 01:28:33.39 ID:azx9LWIa0
―――それでは、花でも買いに行こう。
多分、僕以外の友人達や熱狂的なファンに囲まれてるだろうから本人に直接渡せないと思う。
だが、入場口に奏者宛てのバケットか何かあるかもしれない。メッセージカードを添えて、そこに置いておこう。

となると、近くの花屋は……と探しに行こうとした刹那。


香焼「あ」チラッ・・・


移動販売車が数台来ていた。成程、この日は確かに稼ぎ時だ。
金と質に糸目はつけないので、あの中から割かし空いてる所で買おう。


香焼「えっと……何処も込んでるっすね」キョロキョロ・・・

??「あ! かおるだ!」ビシッ!

香焼「え!?」ギョッ・・・


知り合いか!?


禁書「おーい! かおるー! こっちこっちー!」ノシノシ

風斬「い、インデックス……目立つよ。はしゃがないで」アタフタ・・・

香焼「え、い、禁書目録」タラー・・・

上条「ん? おぅ、香か」チラッ・・・

香焼「上条さんも!?」ドキッ・・・


まさか、何故……あ、御坂さんか。


香焼「こんにちは」ペコッ・・・

上条「こんちわ。香も観に来たのか?」ジー・・・

香焼「はい。常盤台の友人も参加するので」コクッ

上条「そっか。あ、もしかしてビリビリか?」ハハハ


ビリビリって……名前で呼んであげて下さい。


禁書「じゃあ短髪でOKなんだよ。あ、2人は初めましてだね。ひょうか、この子は私の友達の親戚なんだよ」チラッ・・・

風斬「この子は友達じゃないのかな……あ、いえ、ごめんなさい……えっと、風斬氷華です」ペコッ・・・

香焼「はい。神崎香……です」ペコッ・・・

風斬「……あ」ジー・・・


僕はこの人(プログラム)を情報で知っている。アレイスターの『疑似天使』こと……いや、そういう言い方は止めよう。
多分、アチラも僕の正体を知っているが黙ってくれている筈。


禁書「ねぇ。もしかしてかおるもお花買いに来たの?」ジー・・・

香焼「ええ……『も』って事は皆さんも?」アハハ・・・

禁書「うーん、私とひょうかは別に買わなくても良いんだけどね」チラッ・・・

上条「お、俺も良いよ。面倒だし」ポリポリ・・・

禁書「はぁ……敵に塩を送る訳じゃないけど、こういう時はマナーとして渡さなきゃダメなんだよ! ね、ひょうか!」ムンッ!

風斬「え? あ、うん、そうなのかな……うん。貰えたら、嬉しいよね」フフッ


面倒臭そうな、恥ずかしそうな、微妙な表情をする上条さん。素直じゃないなぁ。

316 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 01:53:24.45 ID:azx9LWIa0
しかしまぁ何処も込み込みだ。開演までに買えたとしても、2人との待ち合わせ時間までに買えるか如何か。


上条「ん……それじゃあ店紹介するぞ」コクッ

香焼「え?」キョトン・・・

上条「ダチが花売りのバイトで来てるんだ。ちょっと離れるけど、此処よりは込んで無い筈だ」

香焼「あ、すんなり買えるなら何でも良い……です」ペコッ・・・

上条「そうか。そんじゃ場所教えてやる」スッ・・・

禁書「とうま……とうまも買わなきゃダメって言ってるじゃん!」ジトー・・・

上条「……えー」タラー・・・


苦笑。とりあえず、直接案内してくれる事になった。


上条「あのなぁインデックス……ああいう贈花って結構高いんだぞ」タラー・・・

禁書「当たり前でしょ。気持ちを送るんだもん」ジー・・・

上条「じゃあ……今日の晩飯、外食のつもりだったけど、やっぱキャンセルな」フンッ

禁書「なん……だと……こ、このゲスじょーとうまめっ!!」ギロッ・・・

上条「だ・れ・が! ゲス条さんだ! 俺は財布と相談して尚色々考慮してだな!」ウガー!

禁書「最っ悪最低ー! 男としてゲスなんだよ!」ムキー!


あ、噛みついた。いつものやり取り。


香焼「毎回の事ながら、大変っすね」ボソッ・・・

風斬「あはは……『貴方』も、色々大変そうだけど……特に、その恰好」クスッ

香焼「あー……一応、黙っといて下さい」タラー・・・

風斬「ええ。分かってる……お勤め御苦労さまです」フフッ


姉さん達とまた違う母性を感じる人だな……胸囲的にも。
さておき、少し外れの公園に到着。確かに人気は少ないが……本当に此処で花を売ってるのか?


上条「ん? ああ……確か、其処ら辺に……ほら。あのチャリんこ販売だ」チラッ・・・

香焼「え? あ……本当だ。自転車販売」タラー・・・


ポツンと、改造自転車露店が在る。


上条「ほら、行って来い」クイッ

禁書「だからとうまも行くんだよ!」ガルルルルゥ!

上条「だーもう! 飯は如何すんだ!」バッ!

香焼「ええっと……花屋のお礼に、僕か姉が料理持って行きますから」ハハハ・・・

禁書「ホラ見ろ!」ドヤァ・・・

上条「ぐっ……有難迷惑……いや、迷惑有難だな……微妙な心境だぞ、香」タラー・・・


まぁ純粋に御坂さんの為だと思って、買ってあげて下さいよ。

317 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 02:12:13.45 ID:azx9LWIa0
ゴダゴダありつつ、花屋(?)に到着。


上条「はぁ……おーい」テクテク・・・

青ピ「はいはい、いらっしゃ……って、カミやん! まさか本当に買いに来てくれるとは!」パアアァ!

上条「いや、その、何だ……色々あってな」ハハハ・・・

青ピ「んもー、何やかんや言うてツンデレさんなんだから〜。ん? 其方の坊や……いや、お嬢さんも?」チラッ・・・

香焼「(坊やって……この人気付いたんじゃないか?)あ、はい。上条さんの紹介で一緒に」ペコッ・・・

青ピ「うんうん! 毎度毎度! 受注だけやったから当日買いのお客さんは助かるよー!」ニコニコッ!


気前の良さそうな高身長、青髪ピアスの低音ボイスお兄さん……っていうか、前に何度かお会いした事あるんですけどね。


上条「しかし、お前も色々バイトしてるよなぁ。パン屋に古本屋に喫茶店に……そんな金無いの?」

青ピ「いえいえ。ボクぁカミやんよかぁ裕福ですよ」フフッ

上条「うぐっ……言ってくれるじゃないの。言い返せないのが悲しい」タラー・・・

青ピ「ハハハ。まぁまぁ、人生経験ってヤツですよ。それよか如何します?」クスクスッ

上条「あー、適当に見繕ってくれ。成るべく予算少なめに」ポリポリ・・・

青ピ「あいよー、分かってますって。其方のお嬢さんは?」チラッ・・・

香焼「僕も、適当に2セット分お願いします」コクッ

青ピ「僕っ娘!? あざといわぁ……あ、はいはい。店長ー。安モン一つにセット二つでー」チラッ・・・

上条「安モン言うなし」ハァ・・・

青ピ「冗談冗談。相応のモノ造りますよん」フフフッ


店長さんと一緒に見事な花束を仕上げてくれた。


上条「おお! 凄ぇな……これ高いんじゃないの?」タラー・・・

青ピ「友人価格で御札一枚で結構! ま、最低限の花束ですからね」ハハハ・・・

上条「いや、助かるよ。渡す分には十分以上さ」コクッ

青ピ「いやいや、そう言って貰えると花屋冥利に尽きます。そんで、そっちのお嬢ちゃんは……三枚と二百になります。大丈夫?」チラッ・・・

香焼「え?! 五千円しない……ですか!?」ギョッ・・・

青ピ「ままま。此処は紹介価格っつー事で……今後とも御贔屓にして貰えれば結構ですよ。あ、これ此処の店の名刺ね」スッ・・・


商売上手な人だ。こうまでされたら別途で買いに行かない訳にはいかないだろう。

318 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 02:30:22.78 ID:azx9LWIa0
満足いく買い物が出来たのは良いが、上条さんが禁書目録と財布の中身の相談を開始してしまった。
そこまでギリギリなのか? 必要悪の教会から禁書目録宛てにかなりの仕送りを送っているという話を聞いたが……全部使ってるの?


青ピ「ハハハ。まぁシスターちゃんの食費に飛んでるんでしょね……それより、君は何してるん?」フフッ

香焼「あ、え、その……あぅ」タラー・・・

青ピ「あ、ダイジョブダイジョブ。ばらそうって訳じゃないし……香焼くんでしょ? 理事校の。前に何度か会いましたよね」ボソッ・・・

香焼「あははは……ちょっと、訳有りで」ダラダラ・・・

青ピ「ふーん。いやはや、前々から似合うだろうとは思ってましたけど……完っ璧、女の子ですなぁ」ニヤニヤ・・・

香焼「うっ……言わないでください」ハァ・・・


認めたくないんです。


青ピ「今度僕がやってる喫茶店で一緒にバイトせぇへん? 絶対看板娘になりますよ!」ニヤリ・・・

香焼「え、遠慮しときます」ダラダラ・・・

青ピ「ありゃりゃ。残念無念……っと、其方さんは……ツレって事でおk?」チラッ・・・

香焼「え?」ジー・・・

風斬「また……貴方は、変わった事を」ハァ・・・

青ピ「あはは。ま、内緒にしといて。一応仮だけど知人の好(よしみ)って事で」フフッ

風斬「ハァ……まぁ誰も、貴方を止めませんけどね」ジー・・・


何言ってんだ、この人達。


青ピ「んー、あんま気にせんといて……あ、ほら。カミやん呼んでますよ」チラッ・・・

上条「おーい。そろそろ行くぞー」

香焼「はーい。えっとありがとうございました。機会があればお店の方にお邪魔します」ペコッ・・・

青ピ「うんうん。良え子やね。いつでもおいでー」ノシ


もう一度礼をし、その場を後にした。
ちょっと土御門チックに胡散臭い人だが、フレッシュな分良い人だと思う。また何処かで会うかもしれない。

319 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 02:52:52.76 ID:azx9LWIa0
 ―――とある翌日、PM04:00、学園都市第7学区、文化会館入り口・・・・・・







上条さん達と別れ、再びステイルと軍覇と合流する。
ステイルは先に着いてコーヒーをチビチビ啜っていたが、軍覇はまだ来ていなかった。


香焼「削板さんは?」

ステイル「さぁね。何処で何してるのやら」ジー・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・


些か如何でも良さそうに虚空を見詰めるステイル。


香焼「あの……、」ボソッ・・・

ステイル「ん?」チラッ・・・

香焼「やっぱり、面倒でしたよね」ジー・・・

ステイル「……いや」ムゥ・・・

香焼「香焼のお兄さんと遊ぶ為に態々御休みを取って貰ったみたいなのに……すいません」ペコッ・・・

ステイル「ん……えっと」ポリポリ・・・


ぶっちゃけ、僕も辛いんで今の内に吐露しておく。ステイルと軍覇と家で遊んでる方が良かったです。


ステイル「……まぁ僕は、音楽が嫌いという訳ではないからね。多少クラシックも嗜むし、苦痛では無いよ」コクッ

香焼「そう……ですか」

ステイル「まぁ彼と暇を潰す為に休みを取ったのは確かだが……生憎、僕も彼もワーカーホリック気味でね。彼の心境は分かるよ」フム・・・

香焼「……あはは」タラー・・・

ステイル「割り切ると言ったら、君に失礼かもしれないが……彼とはまた都合を付けれる。偶にはこういうのもアリだと思わねばね」フフッ・・・

香焼「大人……ですね」ジー・・・

ステイル「如何だろうね。まぁ英国のとある姉妹に、食事だの演奏会だのに行くぞと頻繁に誘われてるから……慣れたよ」ハハハ・・・


バードウェイ姉妹の事だろう。珍しくステイルに好印象を持ってくれている同年代の女子だ。


香焼「でも……香焼のお兄さんは、御二人と遊べるの、楽しみにしてました。マグヌスさんは?」コクッ

ステイル「……そうだな。悪い気はしないよ」フッ・・・


照れ臭そうな、だけど優しい、ニヒルな笑み。その笑顔だけで、今日の僕は報われた気がした。

320 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 03:17:40.51 ID:azx9LWIa0
数分後、軍覇が肩を落として戻ってきた。


ステイル「遅いぞ……って、如何した?」ジー・・・

削板「……見つけ次第、確保するとか言われた」ドヨーン・・・

香焼「大変……ですね」アハハ・・・

削板「ハァ……もし途中で拉致られたら電話かメールして伝えっから」タラー・・・


超能力者を拉致するって、どんな手段だよ……さておき、そろそろ向かおう。


香焼「チケットは全て携帯購入なの……ですね」フムフム・・・

削板「ああ。ICタッチかQRコードを読み込んでもらうだけでOKだ。俺は前売り券扱いだけど、お前ら大丈夫か?」チラッ・・・

ステイル「む……すまない。その手の話は詳しくないんだ」ムゥ・・・

削板「ちょい携帯貸せ……あー、よく分かんないがステイルのIDだと一口5万の寄付(チケット)扱いだぞ?」キョトン・・・

ステイル「ん? 普通はどのくらいなんだ?」チラッ・・・


席のクラスにもよるが、真ん中の座席だと一般購入価格は3,500くらいだ。


ステイル「ば、馬鹿げてる! 何だそれ!?」ダラダラ・・・

削板「あー……さっきのブラックカードの所為じゃねぇか? VIP扱いだから多めに寄付しろとか……何故か席もVIP室だし」ハハハ・・・

ステイル「一般席に座らせろ! まったく、一番安いので構わないというに」ムググ・・・

削板「んー……一般席選んでも、寄付金5万からになっちまうぞ」タラー・・・

ステイル「アアァレイスタアアアアァッ!! あんにゃろう……僕だって14歳だぞっ!!」ウガー!!

香焼「ま、マグヌスさん。落ち着いて」アタフタ・・・


気持ちは分からんでも無いが、貴方はこの街でそれ相応の恩恵受けてるでしょうに。


ステイル「チッ……こうなったら必要悪の教会(法人)名義で寄付(チケット代)落としてやる」ギリギリ・・・

削板「もうそれ個人寄付じゃねぇよ……あ、香は大丈夫か?」チラッ・・・

香焼「はい……どのクラスの席にすれば良いでしょうか?」チラッ・・・

削板「俺のは何処の席でも替えは効く筈だぞ。まぁ捕まったらお終いだけど」ハァ・・・

ステイル「……僕は何処でも良い。香に合わせよう」ハァ・・・


それでは……―――


@折角だし、良い席で見よう

A真ん中辺りで良いや

B二階席か立ち見席で十分です


                        >>322

321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 03:20:48.21 ID:zajy1x+Uo
B
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 03:21:27.59 ID:AwGh0DXIO
3
323 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 03:39:52.35 ID:azx9LWIa0
―――2人は良い席で見れるかもしれないが、個人的には最低ランクの席で良いや。


香焼「……すいません。一番安い所で」ペコッ・・・

削板「分かった。そんじゃ行くぞ」クイッ


カードリーダーに学生証(証明書)をスキャン(かざ)し、同時に隣接してる機会へ携帯をタッチする。
ステイルはICタッチ機能が付いてないのでQRを読み取り、先に進んだ。


削板「うぅ……見つかんなきゃいいけど」タラー・・・

ステイル「大丈夫じゃないか。君の恰好、普段と相当違うからね」ジー・・・

香焼「あはは……(確かに……髪降ろして前閉めてると軍覇だって分かんない)」ジー・・・

削板「いや、でもジジイとか山崎の姉ちゃんに見つかったら……てかさっきのスキャンで一応俺が入場したのばれたし」ウーン・・・

香焼「それを言ったら、マグヌスさんもでは?」チラッ・・・

ステイル「いや、僕は関係無かろう。別段アレイスター本人が来てる訳でもあるまい。お偉いさん方に挨拶する必要はないよ」コクッ


まぁ確かに消えて欲しくはない。2人が消えたら、僕一人で放り出される始末だ。勘弁してくれよ。


削板「しっかし、警備員(アンチスキル)と風紀委員(ジャッジメント)がウジャウジャ居るなぁ」キョロキョロ・・・

香焼「厳重警戒態勢って書いてましたからね」コクッ

削板「知り合いに見つかる前にさっさと行こ……って、やばっ! 眼鏡の姉ちゃんだ!」バッ!

ステイル「オマ、僕の後ろに隠れるな!」タラー・・・


確か……鉄装さん。落ち着きない様子でキョロキョロ見回している。アレって警備なのか?


削板「逆! 逆方向から行こうぜ!」タラー・・・

ステイル「はいはい。面倒なヤツめ」テクテク・・・

削板「あとお前上手く盾になれよ。見つかったら拙いんだからなっ」ボソボソッ・・・

ステイル「ハァ。おい、逆に目立つぞ……堂々としておけ。その方が目立たん」ヤレヤレ・・・

削板「だけどよぉ……って、うわっ!」ピタッ!

香焼「また知り合い……です、か……って……うわっ」ピタッ・・・


僕も、会いたくない人が居る。


固法「―――」ゴニョゴニョ・・・

那由他「―――」ペチャクチャ・・・

黒妻「―――」ハイハイ・・・


何で此処に居るんですか……固法さん。ばれちゃうでしょ。

324 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/11/15(火) 04:10:23.04 ID:azx9LWIa0
とりあえず、この通路も通りたくないという軍覇の意見に賛成し、踵を―――


黄泉川「ん?」ピタッ・・・

香焼・削板「「あ」」ピタッ・・・

ステイル「如何した?」ポカーン・・・


―――後ろにも、知り合いがいました。


黄泉川「……第7位じゃん?」ジー・・・

削板「じゃ、じゃんじゃん警備員……ひ、ヒトチガイダヨ」アタフタ・・・

黄泉川「……確保するじゃん」スッ・・・

削板「どわっ!!? お、お前ら! 先に席行っとけ! 俺も後から行くから!」クルッ・・・バッ!

ステイル「オイ、軍覇!」キョトン・・・

香焼「ええっと……何で?」タラー・・・

黄泉川「チッ……おい、黒妻! 那由他! そこの根性馬鹿捕まえろ!!」ガアアァッ!!

削板「うぇあっ!!?」ビクッ!!


ゆっくりと此方を向く、固法さんの隣に居た2人。


削板「く、黒妻の兄ちゃんとサイボーグ少女!?」ヤベッ!!

固法「あら、削板くん。こんな所に」キョトン・・・

黒妻「テメェ……所長がブチギレてたぞ」カツカツ・・・

那由他「ええっと……とりあえず捕まえれば良いんですか?」チラッ・・・

削板「…………、」ダラダラ・・・


前門の虎、後門の狼。


削板「な、なら上だ!」ジャーンプ!

黄泉川「逃がすかっ!!」ブンッ!!

那由他「ホイっと!」パシュッ!!

香焼・ステイル「「っ!!?」」ギョッ・・・

削板「え……うがっ!!」ゴガンッ!!


黄泉川さんが投げた警備員用の盾(ライオットシールド)と少女の掌(?)から発射された『何か』が見事に命中。
大ジャンプしたのは良いが、重力に従ってヒラヒラと落ちてくる軍覇……あ、捕まった。

325 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 04:31:15.72 ID:azx9LWIa0
半分気絶状態の軍覇に縄を掛ける黄泉川さん。というか、宇宙超合金より堅い軍覇をよくノックアウト出来たものだ。


黄泉川「あー連れの子か。悪いな。コイツの事特別席に引っ張ってかないといけないじゃん」ギュッ!!

削板「ぐへぇ」ピクピク・・・

ステイル「……何かヤバい反応してるぞ? 大丈夫か?」タラー・・・

那由他「大丈夫よ」テクテク・・・

香焼・ステイル「「え」」ピタッ・・・


先程腕から何かを発射した少女が近付いてきた。後ろには固法さんと(確か)彼氏さんも一緒だ。


那由他「ソイツ。殺しても死なないヤツだから。今は対猛獣用の麻酔弾5発程度かましただけだもの」ガチャンッ・・・

香焼「ま、麻酔弾って……物騒な」タラー・・・

黄泉川「こうでもしないと黙らないからな……んじゃ今はちょっくら連れてくじゃん。後でアンタらに返すから心配すんなよ」ヨイショッ・・・テクテク・・・

削板「ぐはっ……あ、後で……連絡、する……ガクッ」チーン・・・

ステイル「まだ喋れるのかい」タラー・・・


まぁそこは根性で何とかしてるんでしょう。


黒妻「ったく。大人しく自分から所長んとこ出向いてれば問題無かったっつーのに」ヤレヤレ・・・

那由他「うん。あ、君達ごめんね。でも元を辿ればアイツが悪いんだよ」ウンウン・・・

ステイル「それは承知の上だが……あまりに突然でね」ポリポリ・・・

香焼「同じく……です」チラッ・・・

固法「……ふふっ」ニヤニヤ・・・


その笑みを止めて下さい。


香焼「こ……こんにちは。固法さん」タラー・・・

固法「ええ。こんにちは。今日も可愛いわね、香ちゃん」ニコニコッ

ステイル・那由他「「え?」」キョトン・・・

黒妻「美偉。知り合いか?」ジー・・・

固法「ええ。神裂さんの親戚の子よ。ほら、『前に話した』じゃない……香ちゃんっていうの」ニヤリ・・・

黒妻「あー……例の」ニヤリ・・・

香焼「ッ〜〜〜〜〜っ!!? こ、固法さん!?」ギョッ・・・

固法「あはは。ごめんなさいね……この前の飲み会で、神裂さんと麦野さんと一緒に、先輩にばらしちゃった」テヘッ♪


首傾げて『ペロっ★』じゃないですよおおぉ!! 誰にも言わないって約束じゃないですかあああぁっ!!

326 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 04:50:40.00 ID:azx9LWIa0
言葉に鳴らない叫びを、ポカポカと両拳を固法さんの両掌に向けて表現わす。
苦笑する固法さん。ニヤニヤと僕を見詰める彼氏さん。そして呆気に取られるステイルと少女。


固法「ごめんごめん。でも大丈夫よ。これ以上広がらないから」パチッ

香焼「ううぅ」チラッ・・・

黒妻「……ウッシッシッ」ニヤリ・・・

香焼「信用出来ない……です!」ウワーン!

固法「大丈夫だって。先輩もあんまり虐めないでください」メッ

黒妻「ふふっ。あいよ」ニヤニヤ・・・

ステイル「あー……香。如何いう事だ?」チラッ・・・

那由他「私も状況説明希望でーす」ピッ

固法「あ、そうね。こう……香ちゃん。彼は……貴女の『彼氏』かしら?」ニヤニヤ・・・

黒妻「ぶはっ!! び……BL?」プルプル・・・

香焼「ち、違います! 僕の付き添いというか、姉様の同僚で香焼お兄さんの友人……です。マグヌスさん、此方姉様の友人……です」チラッ・・・


互いに自己紹介。


ステイル「ああ、噂には兼々……神裂も都市で友人が出来たと喜んでましたよ」コクッ

固法「貴方がステイルさんですか。神裂さんから色々聞いていましたけど……想像以上に大きな人ですね」フフッ

香焼「でも、14歳……です」チラッ・・・

黒妻・那由他「「じゅ、14!?」」ギョッ・・・

ステイル「……悪かったね。歳相応に見えなくて」フンッ

固法「ううん。顔は童顔よ。やっぱり香焼くんみたいに、ステイルくんって呼んだ方が良いかしら?」フフフ・・・

ステイル「勘弁してくれ……ところで、其方は?」ハァ・・・

固法「あ、そうね。コッチの私と同じ風紀委員は木原那由他ちゃん。小学生だけど現存の風紀委員でも屈指の実力者よ」スッ・・・

那由他「どうも。那由他と呼んで下さい」ペコッ・・・

固法「それで、ソッチは会場スタッフ(のバイト)さんです」フフフ・・・

黒妻「ちゃんと紹介しろっつの……黒妻綿流だ。職業フリーター。よろしく頼む」コクッ

那由他「遊び人の間違いじゃないんですかー?」ニヤリ・・・

黒妻「うっせ! パチもスロも通算勝ち越しだから大丈夫だっつの!」ケッ!

固法「先輩、恥ずかしいんでそういうのあんまりベラベラ言わないで下さい」ハァ・・・


姉さんや麦野さんが『元ヤンの旦那』って聞いてたけど、そこまで怖そうな人じゃないな。

327 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 05:17:08.96 ID:azx9LWIa0
軽く各々の自己紹介が済んだ後、固法さんが思い出した様に告げた。


固法「そういえば今日は御坂さんを見に来たの?」ジー・・・

香焼「はい。それから操祈さん……食蜂先輩の演奏を見に」コクッ

固法「食蜂先輩って……第5位の? いつの間にそんな人脈作ってたのよ」タラー・・・

香焼「まぁ一応」アハハ・・・


彼女との接触が主任務なので。


固法「成程、だから花束が二つなのね。あ、それから……色々知り合い来てるわよ」

香焼「佐天さんとか?」

固法「ええ。白井、初春……それから春上さんに、木山先生の元教え子達も。木山先生、知ってるっけ?」

香焼「はい。春上さんのボランティアの付き添いで何度かお会いしました」


木山さんとか枝先さんとか、常盤台女子寮の寮監さんとかあすなろ園の子供達とか……その話はまた別の機会に。


固法「一応、チャリティーイベントだから置き去り(チャイルドエラー)の子達は無料観賞なの。あと、学費支援にも回されるわ」フフッ

香焼「結構真面目な演奏会……ですね。能力開発の研究資金に宛てられるのかと」

固法「まぁそういうのは一部ね。メインは福祉云々よ」


という事は……ステイル、もっと寄付した方が良かったんじゃないか?


ステイル「勘弁してくれ。それ抜きでもアチラの教会に御布施といわれ搾り取られてるんだ」ハァ・・・

那由他「ふふっ。黒妻さんも大人なら5万くらいポンッと出した方が良いんじゃないですか?」ニヤリ・・・

黒妻「うっせぇ。んな金有ったら就活とアパート代の資金に宛ててらぁ」ケッ

固法「まともに就職活動してるの見た事無いんですけど……まぁ良いわ。あ、それから……麦野さん達も来てるわよ」ニヤリ・・・

香焼「え」タラー・・・


また一人、正体を知る人が。


固法「超能力者(レベル5)全員呼ばれてるのよ。削板くんに聞かなかった?」

ステイル「しかし、自分も含め演奏者たる2人以外は来る訳無いと言っていたが」キョトン・・・

那由他「いえ、全員来てますよ。第6位は寄付金だけ置いてさっさと帰っちゃったみたいですけどね」


それは意外だ。言っちゃ悪いが御坂さん以外、皆『性格破綻者』である超能力者が素直に公の場に集合するなんて、珍しい事もある。

328 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 05:40:52.05 ID:azx9LWIa0
ステイルと僕の意見を聞いて、3人は苦笑した。


固法「あはは……麦野さんの話だと『上』が今日は絶対参加しろって五月蠅いんだって」ハハハ・・・

ステイル「上? アレイスターか?」フム・・・

固法「そこまで上じゃないと思うけど……ほら、宣伝効果ってあるでしょ」ポリポリ・・・

香焼「あー、なるほど」ハハハ・・・

那由他「それに、都市のスポンサーも顔出してますからね。金資源のお偉いさんに挨拶しとけって事でしょう」フフッ

黒妻「じゃなきゃ研究費用減らすぞーとでも脅されてるんじゃねぇか。まったく、一人に着き戦争資金が動く超能力者様は違うねぇ」フンッ


そういえば聖人(姉さん)を個人的に『使用(戦争・紛争利用)』する場合は、少なく見積もっても兆は超すらしい。
超能力者も大体同じくらいの『価値』なのだろう。金とは恐ろしいモノだ。

一人ひとりが核兵器並の扱いとは……なんて、馬鹿げた世界。


ステイル「……ふん。やはりVIP扱いじゃなくて良かったよ」

香焼「マグヌスさん……、」チラッ・・・

ステイル「香、そろそろ行こうか。あまりうろつき過ぎると軍覇も戻って来た時に困るだろう」コクッ

香焼「はい……それでは固法さん。また」ペコッ・・・

固法「ええ。あ、最愛ちゃんも居るから挨拶しときなさいよー」フフッ

香焼「は、ぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嘘でしょう!? この人混みに!?」ギョッ・・・

那由他「え? 神崎さん、お姉ちゃん知ってるの?」キョトン・・・

固法「ええ。人見知りしない数少ない御友達よ」フフッ

黒妻「…………、」ジトー・・・


何故、如何して……いや、如何やって来れたんだ? 滝壺さんに目隠しでもされて連れて来られたか?


固法「そんなんじゃないわよ。麦野さんと一緒に特別席で観賞だから大丈夫みたいよ」フフッ

香焼「はぁ……(いや、でもこの規模の人混みだったら……最近慣れてきたっていっても、無理そうだよ)」ウーン・・・

黒妻「ん……『仕事』で来た。麦野さんのSPだ……だから割り切ってる」ボソッ・・・

香焼「っ!?」ギョッ・・・


僕に近付き、耳元で物騒な事を話す黒妻さん。この人は……土御門とか淡希さん寄りの人なのか。


固法「先輩?」キョトン・・・

黒妻「何でもない……ま、最愛ちゃんにあったら挨拶してやってくれ。気ぃ張り詰めてんのは確かだからな」ニカッ

香焼「……はい」コクッ


後で、この人の事を土御門に確認してみよう。

329 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 05:59:21.15 ID:azx9LWIa0
3人に別れを告げ、二階に上がる。予想通り、雑多な人々で溢れ返っていた。


香焼「うーん。ちょっと、大変そう……ですね」タラー・・・

ステイル「まぁ演奏が始まれば落ち着くだろう。基本立ち見だが開いてる席は、シルバー席か」ジー・・・

香焼「大丈夫……ですよ。足腰には自信ありますから」コクッ

ステイル「そうか……ん?」チラッ・・・

香焼「如何しました……って、あ」ピタッ・・・


ステイルの視線の先には、一際目立つ純白金のシスター。そして隣にウニ頭と眼鏡っ娘。
確かに上条さんの懐事情を考えればこっちの席ですよねぇ。


香焼「……上条さんだ」ジー・・・

ステイル「知っているのか?」チラッ・・・

香焼「はい。土御門さんに紹介されました。隣の少女2人も知ってます」コクッ

ステイル「そうか……こういうのも何だが、あの男は止めておけよ。見ての通り碌で無しだ」フンッ

香焼「……あはは」タラー・・・


嫉妬全開ですね。さておき、もしかしたら他にも此処に居るかもしれない。


香焼「……あ、居た」ピタッ・・・

ステイル「知り合いでも居たのかい?」ジー・・・

香焼「一応」コクッ


佐天さんと、風紀委員の腕章を付けた白井さん初春さん。春上さんは一緒じゃないみたいだ。
他にも……浜面さん、滝壺さん……フレンダさんと最愛は一緒じゃないのか。もしかして麦野さんと一緒に特別室かな?


ステイル「他に……吸血殺し(ディープブラッド)と……うっ。『あの人』も一緒か」ジー・・・


姫神さん、吹寄さん、月詠さん……というか月詠さんのクラスの子は皆で観賞に来た様だ。
あれ? でも青髪さんは居ないぞ?


ステイル「……こういう場では顔を会わせたく無かったな」フム・・・

香焼「同じく……です」タラー・・・


貴方は気拙いだけでしょうけど、僕の場合『もしも(正体ばれ)』が怖いですからね。

330 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 06:30:07.36 ID:azx9LWIa0
だけど、正体の知られてる人には先に挨拶しとくのも手だな。
佐天さんと、固法さんの彼氏さんが知ってたって事は最悪滝壺さんと浜面さん辺りも知ってるやもしれない。

ステイルには申し訳ないが、一旦離れて……と考えた刹那―――


黒服「失礼」ボソッ・・・

香焼・ステイル「「……え」」チラッ・・・


―――僕達に、話しかけてきた?


黒服「ステイル=マグヌス様ですね?」ジー・・・

ステイル「……突然声を掛けられ、名前を尋ねられても困るのだが」ジー・・・

黒服「失礼しました。私、理事会の使いの者です」ペコッ・・・

香焼「理事会の!?」ギョッ・・・

ステイル「……何の様だ。席は何処でも良い筈だろう。態々VIP待遇になる気はないよ」フンッ

黒服「といわれましても……流石に個人で、5万口(25億)の寄付金を頂いた方をVIP扱いしない訳には」コクッ

ステイル「ああ、悪いね。アレは英国からの法人に直しといてくれ……って、5万口!?」ギョッ・・・

黒服「ええ。此方に……此処です」スッ・・・

ステイル「……な、ぜ」タラー・・・


多分『1口=5万』と『5万円』の入力を、軍覇が間違えたのだろう。


ステイル「ちょ……て、訂正、効くかい?」ダラダラ・・・

黒服「まぁそういうミスがあったのでしたら、考慮致しますが……失礼ながら一応チャリティーなので、訂正は遠慮願いたいですね」ジトー・・・

ステイル「す、すまない。流石にこの額は上司に怒られるじゃ済まないんだ……後で追って払うから、今は20口で勘弁してくれ」タラー・・・


大分減ったな……それでも100万をポンっと出せるコイツは流石清教派の幹部といった所か。


ステイル「ああ、これは個人名義で良いよ。手間料だ……後で必ず英国からの寄付を回そう」ハァ・・・

黒服「畏まりました……さておき、マグヌス様」

ステイル「ったく、あのボケ根性馬鹿軍覇……後で覚えてろよ……え、あ、何だい?」チラッ・・・

黒服「……20口でも、個人では相当な金額です」コクッ

ステイル「勘弁してくれ。一応プライベートで来ているんだ。それは何か? アレイスターが直接名指しで僕を呼んでるのか?」ハァ・・・

黒服「いえ、そういう訳ではございませんが……貴方様の名前を見て是非挨拶をしたいと申されるVIPの方が多いので」ペコッ・・・

ステイル「チッ……物好きな連中だ。捨て置いてくれよ」グデェ・・・


うわぁ……凄い大物だ。てかステイル、表の世界でも知名度あるんだね……僕、隣に居て良いのだろうか。

331 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/15(火) 06:54:43.14 ID:azx9LWIa0
後で聞いた話だと、ステイルの名義――因みに、25歳と年齢詐称している――でやってる会社が幾つか在るそうだ。
ダミーの会社だがFX等で名前を貸してる為、かなりの資金が有るとの事。
勿論、全て最大主教(アークビショップ)に回るらしいが……それでも若干14歳で、その立場は凄いよ。

面倒臭そうに黒服の相手を続けるステイル。此処まで断ってるのに、何でこんなにシツコイのだろう。


ステイル「……いい加減シツコイぞ。僕は演奏会を観に来たんだ。邪魔するなら寄付も何も無いぞ」ギロッ・・・

黒服「ですが、その……困りましたね」タラー・・・

ステイル「知るか。僕の他にも一般に交じってる出資者は居るだろう。そっちを当たれ」フンッ

黒服「いえ、マグヌス様を、と」ムゥ・・・

ステイル「諄(くど)い」ジトー・・・

黒服「…………、」ウーン・・・

香焼「え、と……あ、あの、マグヌスさん。僕は大丈夫……ですから、挨拶だけでも」チラッ・・・

ステイル「別に媚び得る必要はない。コネが欲しい訳ではないからね。大体、挨拶したいならソッチから来るのが礼儀だろう」フンッ


確かに……だが、色々と立場もあるのだろう。今後の為にも顔を見せるだけ見せた方が良いと思うのだが。


黒服「あ、あの……マグヌス様」ジー・・・

ステイル「ハァ……さっさと去ね」フンッ

黒服「……で、では、アチラのVIP室をご覧ください」タラー・・・

ステイル「はぁ?」ポカーン・・・

黒服「今、手を振っている御二人が……貴方を呼んでくれと、実に頑固で」ダラダラ・・・

香焼・ステイル「「……え」」ピタッ・・・




レイヴァニア『―――(私を待たせるかボケが……早く来い駄阿呆っ!)』ニヤリ・・・クイクイッ!

パトリシア『―――(こんにちはー)』ニコニコッ・・・ノシノシ”




香焼(ば、バードウェイ姉妹!?)ギョッ・・・

ステイル「」チーン・・・


確かに……あの姉妹――主に姉が――は、世界有数の大企業の代表だ。
如何いう意図が有るかは分からないが、この手のチャリティーに顔を出してても可笑しくはない。それが例え、科学サイドであっても尚だ。


黒服「……御同行、頂けますね」ポンッ・・・

ステイル「糞(ファッキン)……顔を出すだけだからな……あの馬鹿姉妹めが」ギリリリ・・・

香焼「い、行ってらっしゃい」タラー・・・

ステイル「ぐっ……すまない、香。顔を出したらすぐ戻る。何かあったら携帯に連絡してくれ……本当に申し訳ない」トボトボ・・・


心成しか、ステイルの頭上に青垂れが見える……しかし、まぁなんだ。


香焼「まさかの、ボッチとは」タラー・・・


もう帰って良いですか?

332 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/15(火) 07:01:08.81 ID:azx9LWIa0
はい。今回は此処まで。

まさかのバードウェイ姉妹! そしてまさかのレベル5組集結! そして香焼(香ちゃん)の行く末は如何に!?
 
えっと……何でこうなったんだろう? まぁ概ねプロット通りだから良いや(苦笑)


また次回もアンケに頼って路頭に迷おう……とりあえず適当にコメ下さい。そんじゃまたね! ノシ”

333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 09:11:15.07 ID:AwGh0DXIO
なんというカオス空間…英国側を除けば登場人物ほぼ勢ぞろいだな
というか黒妻先輩ダメ人間ェ…
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 09:31:17.01 ID:57hM78eHo
なんか青ピの口調がおかしくないか?

なんか前も口調の話が出てたけど
>>1はサブキャラはどうでもいいのか?一応サブキャラでもファンはいるんだからせめて口調くらいきちんとして欲しいな せっかく面白いのに
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/15(火) 11:02:11.51 ID:Rummf+vbo
木山先生や春上にも「香」で会ってた?
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 11:43:30.02 ID:l8M4irhK0
>>334
というか、ほぼ全キャラに違和感がある
なんだろうな、コレ、わざとなんかな
原作を読んでるとか読んでないとかじゃなくて、もっと根底の部分でおかしい
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/15(火) 16:31:47.23 ID:Bzle65+AO
>>336
前提からして改変してあるから当たり前だ、猫かぶった五和やらケジメで香焼を理不尽に殺そうとする土御門とか……


ただ、>>2にある通り魔術師の仕業だから仕方ないな!
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 18:24:31.87 ID:ox7WaGHDO
まぁ今更っちゃ今更だな
主要メンツは>>2の通り仕方ないし、黒妻家は元々台詞少ないから半ばオリキャラ扱いでもしゃーない

青ピはこのSS内での立ち位置分からんけど、口調は基本エセ関西弁だったよね
でもぶっちゃけ台詞数少ないから、何が正しいとか分かんない



>>335
正体知ってるこのりんに対しての回答だから良いんしゃね?
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 21:41:46.20 ID:NHzySCNDO
今更改変について偉そうに言うとか…
そんなに気になるならもう原作以外読まなかったら?
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 23:55:30.53 ID:YYKyGd1No
青ピはバイト中なんだから少しくらい口調変わっててもおかしくないだろ
つかssの設定に口出す奴ってなんなん?
>>339も言ってるがそういう奴はマジ原作だけ読んでろよ
俺みたいにここのss楽しみに生きてる奴もいるんだから頼むから空気悪くして>>1のやる気削ぐような真似しないでくれ…
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/16(水) 09:37:53.58 ID:ikxWYr3AO
読者様が偉そうにゴタゴタ言ってんじゃねーよ面白きゃいーだろそんなに嫌なら読むな荒れるだろ

という意見は確かにもっともだけど
ほぼセリフだけのSSじゃ口調は殊更大事なのは事実だよ。性格改編よりむしろ目立つと言っていい
「ここの一通さんはヘタレ入ってんな」とか「美琴の壊れっぷりがいい味だしてる」、「この上条さんマジツンデレwwww」
みたいにそのSSに馴染んでれば性格改編は結構見てて逆に楽しかったりする
ここで言えばぐーたらな五和がいい例だと思うけど

ただそれだけに、口調が違うことの方がなんというかちゃんとそのキャラが登場してくれた気がしない原因となり易いんだよ
その辺は>>1も直したいと言ってくれるし、荒れない程度に指摘していくのはいいと思う
342 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/16(水) 21:04:23.78 ID:0O9P8Es00
こんばんは・・・・・なんか、すいません。
青ピとか姫神とか吹寄の口調が定まらないというか、正直何が正解か分からないっす・・・・・ごめんなさい。

とりあえず、ボチボチ投下します。変なとこあったら、また指摘して下さい。注意していくので。

そんじゃスタート!
343 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 21:26:06.73 ID:0O9P8Es00
 ―――とある翌日、PM04:40、学園都市第7学区、文化会館大ホール・・・・・・







そろそろ始まるというのに、連れの2人が消えてしまった。
別に僕一人で観賞しても良いのだけど……なんか、辛いな。もういっその事、知り合いの所に行こうか。

さておき、そういえば蛇さんは来てるのだろうか。さっぱり連絡を寄越さないけど。
一度ホールの外に出て電話してみよう。


香焼「……もしもし」Pi!

御坂蛇『どうした?』Pi!

香焼「あ、いや、蛇さんも来てるのかなぁって」

御坂蛇『会場内に居る。というか、香が見える位置に居るぞ、とミサカは返答します』

香焼「え? うーん……あ、居た。一階席のAクラス席に」キョロキョロ・・・ピタッ・・・

御坂蛇『それは御坂妹(10032号)と御坂丸(10039号)だ。私(ミサカ・プロスネーク)は変装している』


それじゃあ分かる訳無いでしょう。


御坂蛇『香に変装がばれてたら姉弟子失格だからな。しかし、一人になるとは予想外だな、とミサカは苦笑します』フッ・・・

香焼「あはは……ステイルは二階VIP室っすけど、軍覇の行方は分かりますか?」

御坂蛇『口調には気を付けろ……第7位はお前から死角の位置に居る。二階席の真下の一階特別室だ』

香焼「此処の真下?」チラッ・・・

御坂蛇『ああ。そこに他の超能力者3人と一緒に座っている……御姉様(オリジナル)と第5位(食蜂操祈)は奏者控室の方に居る』

香焼「出演者っすからね。って……自分を視認できる位置から、下も見えるんすか?」

御坂蛇『確認してきた。御姉様も然りだ。私の変装技術を嘗めるなよ、とミサカは口調もままならない未熟な妹弟子を注意します』フンッ・・・


電話の時くらい良いじゃないですか。


御坂蛇『それより……もしかして寂しいのか?』ニヤリ・・・

香焼「は?」タラー・・・

御坂蛇『いや、如何でも良いタイミングで電話を掛けてきたからな。一人になって寂しいのかと……案外可愛いな、とミサカは香の女々しさに』

香焼「蛇さん、そういうの止めて……土御門達は?」タラー・・・

御坂蛇『ふふっ。恥ずかしがり屋め……師匠やグラサン、お前の姉は別所で待機中だ、とミサカは報告します』


待機って、何か不測の事態が起こったら出張って来るのだろうか?

344 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 21:50:12.99 ID:0O9P8Es00
現状は分かった……今後、如何すれば良いんだ。


御坂蛇『大人しく観賞してれば良かろう』

香焼「その後は?」

御坂蛇『その後というか、直接、花束を渡せ』サラッ・・・

香焼「……は?」

御坂蛇『聞こえなかったか? 食蜂操祈に直接花束を渡せ、とミサカは複唱します』


いや、無理でしょう。
演奏終了後、出演者のファンがずらりと入口ホール付近に並ぶのだ。それこそ取り巻きの比じゃない程に。
しかもゲストで一一一(ひとついはじめ)が来てるらしいから、それこそ大混雑になるだろう。

その中、今回の花形の一人である操祈さんに直接会えなんて……そんな無理難題を。


御坂蛇『誰が、帰り際に渡せなどと言った』

香焼「え?」キョトン・・・

御坂蛇『何処かのタイミングで奏者控室・楽屋に行けばいい。潜入も修行の内だぞ、とミサカは妹弟子に助言します』

香焼「せ、潜入!? 楽屋に!?」ギョッ・・・

御坂蛇『容易かろう。ただ、今までとは違うタイプの潜入方法になるがな、とミサカは忠告します』


今までの潜入……要は、女装して常盤台に紛れ込むタイプの潜入は所謂『朱に混じわる』型の潜入だ。
しかし、今回要求されたのは『完全なる気配遮断』型の潜入である。


御坂蛇『それ相応の準備はしてきてるのだろう? なら可能な筈だ、とミサカは確認します』

香焼「一応……でも」ウーン・・・

御坂蛇『グチグチ言うな。もし困ったら助言をしてやる……とりあえず、今は此処までだ。また後で連絡を』Pi!

香焼「あ、ちょ……切られた」ハァ・・・


楽屋に潜入って、そんな無理難題を。常盤台、強いては学舎の園の何倍も警備が厳しいんだぞ。
今持っている隠し持っている道具は……短刀×2、ダガー×30、鋼糸(ワイヤー)×5、魔力封じの呪符。

魔術を上手く駆使して行くしかない、か。


香焼「状況考えてっすね。もし危なかったら人気が無くなってから会いに行けば良いし。最悪、今度学校で会った時でも良いだろうし」ムゥ・・・


危険を冒して全てパァにするよりはそっちの方が無難だろう。
とりあえずそろそろ演奏が始まる。幸か不幸か、ステイルと軍覇は居ないので、一人で作戦を考えつつ、演奏を聞こう。

345 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 22:29:53.26 ID:0O9P8Es00
 ―――一方その頃、文化会館付近、とある中継車の中・・・・・



御坂蛇『―――……現状は以上、とミサカは報告します』

海原「ふむ、マグヌスさんも第7位も居なくなってしまいましたか」

土御門「まぁ居ても居なくてもどっちでも良いけどにゃ」

神裂「しかし、香焼一人では些か不安でしょう。女装してますし」

土御門「いや、流石にそこまで女々しくないだろ……てかバードウェイ姉妹が居たってのは驚きだぜぃ」フム・・・

海原「レイヴァニア=バードウェイは表裏共に名声高き人物ですからね。名立たる大富豪が集まる此の席に居ても可笑しくはありませんが」

土御門「何らかの目的が有ってきたか。それとも純粋に演奏を聞きに来たか……ねーちん、如何思う?」チラッ・・・

神裂「さぁ。私は彼女達と知人という程ではないので……何かあればステイルから連絡が入るでしょう」

海原「存外、金銭と名声の面から学園都市(アレイスター)に圧力を掛けてきたのかもしれませんね」

土御門「まぁ問題さえ起こさなければ如何でも良いや。香焼には関わるなっ言(つ)っとけ」サラッ・・・

御坂蛇『了解です』

神裂「しかし……正直、この任務の意図が掴めません。何の意味が?」

海原「任務というよりも今回は修行の色が濃いです。勿論、食蜂操祈に対してのポイント稼ぎという目的もありますけどね」

神裂「修行……例の潜入・暗殺の?」

土御門「今回は魔術を全面に使った潜入の実戦訓練だ。会場には同業者(魔術師)も居ないからランクは低い筈」

神裂「ステイル、バードウェイ、それから多分凄腕のマーク=スペースが居ますよ」

土御門「問題無い。呪符を渡してる。戦闘行為に発展する様なトンデモ事態が起きない限り、それは破られないにゃ」クイッ・・・

神裂「なら、良いのですが……一応、此方の任務とは関係無いテロの可能性だって有り得ますよ? これだけ要人が集まる場ですから」

海原「警備員や風紀委員のエース達が居ます。それに超能力者が6人も居る場ですよ。最悪が起きても、彼が参戦する必要はありません」

土御門「いざって時は俺らも『暗躍』すりゃ良いからな。ねーちんは安心して弟を見守ってれば良いんだぜぃ」コクッ

神裂「…………、」フム・・・

土御門「あ、それとも何か? カミやんとこ行きたい?」ニヤリ・・・

神裂「ば、馬鹿言わないでください! そんな事よりステイルが多めに支払ってしまった英国からの寄付を如何するか考えましょう!」タラー・・・

土御門「……ありゃ自業自得だ。俺ら関係無ぇ」タラー・・・

海原「はははは……最大主教(ローラ=スチュワート)殿の慌てふためく様子が浮かびます」ハハハ・・・

御坂蛇『師匠。兎に角、監視を続ける。一応、VIPの連中も監視した方が良いか? とミサカは質問します』

海原「そうですね……できれば超能力者達も監視して欲しいです。が、其方は10032号と10039号に任せましょうか」フム・・・

御坂蛇『了解。では任務に戻る』Pi!

土御門「という事で、俺らは引き続き偽装中継車の中から香ちゃんを見守ろうじゃないの」ヒヒヒ・・・

海原「あ、そうだ。良い(悪い)事思い付きました……土御門、少々耳を」ゴニョゴニョ・・・

土御門「ふむ……成程……うんうん……まぁそんぐらいあった方が修行になんだろ。それじゃあ連絡入れるか」ニヤリ・・・

神裂(……何事も無ければ良いのですが)ハァ・・・

346 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 22:45:00.46 ID:0O9P8Es00
 ―――再度、文化会館二階座席、香焼(香)side・・・・・




開演五分前。MCのアナウンスが入り、辺りが暗くなる。


香焼(……何か、ヤダなぁ)ハァ・・・


我ながら女々しい事を思うが、この恰好で一人ポツンとしてるのは非常に寂しいというか恥ずかしい。
今後の作戦を考えておくのも良いが、やはり誰かの所に行こう。


香焼「それじゃあ……―――


@上条・禁書目録・風斬の近く

A佐天、初春の近く

Bもうホールの外に出ちゃおう


                     >>348

347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 22:47:14.75 ID:Y8WwFYtDO
B
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 22:51:38.92 ID:XVDywlZDo
349 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 23:20:45.83 ID:0O9P8Es00
―――佐天さんと初春さんの隣に行こう。
とりあえず、佐天さんには正体がばれてるので先に気付かせとこう。

香用の携帯で佐天さんにメールを送信。


佐天「―――ん?―――っ!」チラッ・・・

香焼「……あ、こっち見た」ノ"


花束を持って移動。


香焼「こんにちは、佐天さん。初春さん」ペコッ・・・

初春「え? あ、神崎さん!」ペコッ・・・

佐天「こうy……崎さん、なんだね。今日は」アハハ・・・ボソッ・・・

初春「え?」キョトン・・・

香焼「……佐天さん」タラー・・・

佐天「あは、ははは。何でもない」タラー・・・


今此処で隣に居る風紀委員に捕まる様な事にはなりたくないです。


佐天「神崎さんも観に来たんだ。誰か知り合いに呼ばれたの? 御坂さん?」ジー・・・

香焼「ええ。御坂さんも観に来ました」コクッ

初春「花束が二つって事は……もう一人御目当ての人が居るって事ですね。もしかして一一一とか!」フフッ

香焼「あはは。恰好良いとは思いますけど、知人でも無いアイドルに花束を渡そうとは思いませんよ」クスッ

佐天「ほぅ……という事は、本命の同級生の女の子かい?」ニヤリ・・・

香焼「違いますよ。如何してそうなるの……ですか」ハァ・・・

初春「っ!? お、男の子じゃなくて女の子!? ど、同級生って事は同じ常盤台の生徒で……ま、まさか、ゆ、百合百合!?」キャー!


色んな意味で激しく勘違いなさってる初春さん。『新作本は“僕っ娘×お嬢様”で行きましょう!』とか馬鹿な事を宣っております。


香焼「と、ところで今日は白井さんや春上さんは一緒じゃないの……ですか?」チラッ・・・

佐天「白井さんは楽屋手伝いだよ。ほら、御坂さんの護衛を風紀委員として公に出来るから」ハハハ・・・

初春「因みに私は二階席担当なんです。他にも数名居ますけどね。春上さんは……ほら、下に」クイッ

香焼「んー……木山先生達の近く……ですか」ジー・・・

初春「はい。木山先生は引率扱いです……近くに居る常盤台の寮監さんもそうですね」ジー・・・

佐天「こういう良い方は何だけど……一階のA・B級席は今回のチャリティーイベントのメイン客で、ね」コクッ


成程。『置き去り(チャイルドエラー)』の子達には多めに寄付金を回される。加え、今回入場は無料だとか固法さんが言っていた。
福祉……か如何かは判断し兼ねるが、そういうのは抜きにしても、良い席に座れたのは嬉しい事だろう。

350 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/16(水) 23:54:44.57 ID:0O9P8Es00
こんな時でも尚、僕のスカートを捲ろうとしてくる佐天さんと格闘してる最中、初春さんが質問してきた。


初春「そういえば、神崎さんはA・B席とかS席じゃないんですね」チラッ・・・

香焼「ちょ、止め……佐天さん……今日タイツもスパッツも、穿いてないんだから! え、あ、な、何? 何で?」ジタバタッ!

初春「いえ、常盤台の生徒は大体一階席か演奏者側ですから、珍しいなぁって」コクッ

香焼「あ、成程……って! 止め、て、下さい! 僕のパンツ見ても、面白くないでしょう!」グググ・・・ウキャー!!

佐天「タイツの代わりにニーハイ穿いてるではないか! こんのぅ(男子のくせに)エロい脚め! えいっえいっ!」サワサワ・・・

初春「あの、聞いてます?」タラー・・・


質問に答えますから、このセクハラ娘何とかして下さい!


初春「神崎さんの御蔭で、私へのセクハラが減ったので感謝はしてますよ」ニヤリ・・・

香焼「は、腹黒! 貴女風紀委員でしょう! 助けて……ひゃっ! スカートの中に手を入れるのは駄目……です!」ダラダラ・・・

佐天「ぐへへぇ。そうは言っても身体は正直ってぶへっ!」ゴツンッ!

初春「はーい、流石にそれ以上はアウトですよー。このSSはR−12くらいですからねー」ウネウネ・・・


髪飾りから伸びた触手(?)に叩かれ、動きを止める佐天さん。何だアレ?


初春「……それで?」

香焼「ふぅ助かった……えっと、こっちの席の理由……友人と来ましたので、二階席になりました」コクッ

初春「友人? その人を放っておいて私達の所に来ても大丈夫なんですか?」キョトン・・・

香焼「あ、僕の友人っていうより姉や兄の友人に連れてきた貰った……です。でも、その」ポリポリ・・・

佐天「痛てて……ん、如何したの?」チラッ・・・

香焼「何か用事があるらしくて、席を外してしまいました。だから僕一人になってしまって」アハハ・・・

初春「成程。それで私達の所に」フム・・・

香焼「僕も途中で退席しなくてはならないかもしれない……ですけど、迷惑でしたか?」チラッ・・・

初春「いえ、大丈夫ですよ。ね、佐天さん」コクッ

佐天「勿論! さ、こう……崎さん。私の隣に」ポンポンッ


嫌です。初春さんの隣に行きます。


佐天「な、何で!?」ガーン・・・

香焼「だって、佐天さん。座ってる僕のスカート捲ろうとするでしょう。エスカレートすれば手ぇ突っ込もうとするし」ジトー・・・

佐天「し、しないってば! うん……少ししか」タラー・・・

香焼「初春さん。隣失礼しますね」ニパー!

初春「ええ、どうぞ。もうそろそろ始まりますからね」ニパー!

佐天「……うぃ」ドヨーン・・・


落ち込む佐天さん。いや、少しは反省してください。
さておき、会場にブザーが鳴り司会の声が響いた。漸く開幕だ……―――

351 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 00:28:02.09 ID:kdf3cZwk0
 <その頃、一階特別観賞室>



削板「―――……ずいばぜんでじだ」グデェ・・・チーン・・・

黒妻「お前も馬鹿だな。所長に楯突くとか……俺と黄泉川さんと手塩さん居なかったら、殺されてたぞ」ハァ・・・

削板「だっでよぉ……あの糞ジジィ」ムググ・・・

黒妻「良いから黙って観賞室入ってろ。それだけで研究所に寄付金回して貰えるんだって、山崎さん言ってたぞ」

削板「だから、その黙ってろっつーのが……拷問だ」

黒妻「はぁ……じゃあお前と一緒にクラス研究所の子供達の為だと思って、黙って寝てろよ」ポンッ・・・

削板「……でもよぉ」タラー・・・

黒妻「ゴダゴダ五月蠅ぇ。さっさと入れ」バンッ

削板「おわっ!?」ドンッ!


 ガチャッ・・・・・


麦野「ん……あら?」チラッ・・・

黒妻「こほんっ……失礼します。第7位様をお連れしました」コクッ

一方通行・垣根「「…………、」」チラッ・・・

削板「痛たた……乱暴な……って、うわぁ。やっぱ辛気臭ぇ」タラー・・・

一方通行「……まさか喧しいのが来るとは思わなンだなァ、オイ」フンッ

垣根「ははっ、そうか? 俺はテメェら2人とこの場に居るよかぁ、根性馬鹿が居てくれた方が助かっけどよ」ハハハ

麦野「そりゃコッチの台詞だボケ。喋んなっつってんだろ、このタコ野郎共」ケッ!

黒妻「(ま、頑張れ)それでは失礼しました……って、うをっ!?」ビクッ!

打ち止め「く〜ろ〜づ〜ま〜っ!!」ドルーンッ!!

一方通行「こらガキっ! 静かにしてろっつっただろォが!」ギロッ!

打ち止め「ぶー! だって此処ピリピリし過ぎなんだもん! だから黒妻と居る方が良い! ってミサカはミサカは溜息ついてみる」ハァ・・・

麦野「ふふっ。良いパパじゃない、黒妻くん……絹旗、アンタも一緒に外に出て良いわよ」チラッ・・・

絹旗「え、あ、でも」チラッ・・・

麦野「私は一人でも大丈夫。寧ろアンタ居た方が不安よ……それに、一緒に行きたいんでしょ?」コクッ

絹旗「でも」ウーン・・・

麦野「……命令。出て行け。4人で話がある。必要な時は連絡すっから、それまで外に出てろ」ジー・・・

絹旗「……了解です」ハァ・・・

麦野「と、いう訳で……黒妻くーん。その子お願いねー」ニコニコッ

黒妻「はいはい……行くぞ、最愛ちゃん」コクッ

打ち止め「お姉ちゃん、早くー! なゆたんのとこ行こー! ってミサカはミサカは急かしてみたり!」ニパー!

絹旗「うん……し、失礼しました」ペコッ・・・バタンッ・・・


超能力者's『…………、』

352 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 00:58:45.88 ID:kdf3cZwk0
垣根「ははは。随分と丸くなったもんで」ニヤニヤ・・・

麦野「うっせぇ黙れ口開くな。一人の方が気楽なんだっつの、駄阿呆」フンッ

一方通行「同意だ」フンッ

垣根「おー怖っ。殺気立つなよ。なぁ第7位」チラッ・・・

削板「ハァ……やっぱ予想通りっつーか、来たくなかったぜ」タラー・・・

一方通行「そりゃ此処に居る4人全員が思ってる事だっつゥの」ケッ

麦野「しゃーねぇだろ。出資者や支援云々の話出されたら来ない訳にはいかねぇんだよ」ハァ・・・

垣根「まだそれだけなら良いだろ。俺なんか首輪(こんなモン)付けられてんだぜ。そこの第1位さんのファッション(笑)みてぇに」ハッ

一方通行「あ? ヤキ入れてやろォか、糞野郎。これの何処がファッションに見えンだ? 相変わらず目ェ腐ってンなァ」ジトー・・・

垣根「はいはい、沸点低いねぇ。此処の若白髪の大将は」フンッ

削板「あー……因みに、第2位の首輪(ソレ)何?」キョトン・・・

垣根「爆弾。暴れたらドッカーンっ!!」ハハハ

一方通行・麦野・削板「「「は?」」」タラー・・・

垣根「んな公共の場で暴れる気無ぇっつのによぉ……あんのジジイ(冥土帰し)は」グデェ・・・

麦野「相当信頼無いのね……まぁ馬鹿なのは知ってるけど」ジトー・・・

垣根「お前馬鹿馬鹿しつけぇよ。それ以外言えないの? 馬鹿なの? 死ぬの?」ベー

麦野「…………、」ピキピキ・・・

削板「お、落ち着け! 第2位もあんま怒らせんなよ! 黙って演奏見ようぜ。ほら、もう始まってっからさ」ハァ・・・

一方通行「根性馬鹿(お前)がツッコミ回るとか、世も末だな」ハハハ

垣根「けっ……ところで、第1位と7位も無理矢理連れて来られたんじゃねぇの?」チラッ・・・

削板「ん……まぁ俺は研究所の所長から逃げてきたんだけど、さっき捕まって……鉄拳制裁を」ガクブル・・・

麦野「どんな所長よ……第1位は、黄泉川お姉さんに引き『吊』られて来たんでしょ? おチビちゃん(打ち止め)に聞いたわ」ニヤリ・・・

一方通行「ぐっ……余計な事を」タラー・・・

垣根「つまり、麦野(テメェ)だけ楽なんだべ?」チラッ・・・

麦野「楽じゃねぇっつの。私だって来る気無かったけど……パパが」チッ・・・

削板「へ? ぱぱ?」キョトン・・・

一方通行「ふんっ。財閥のお嬢さンは厄介だなァ」カカカッ!

麦野「喧しいわ障害者! 杖折っぞ!」チッ・・・

垣根「きゃー野蛮。削板さーん、ああいう女の人って如何思われますぅ?」ニヤニヤ・・・

削板「うざっ! 俺に振るな! 白いのに聞け!」ダラダラ・・・

麦野「おい、垣根……表、出る?」ニコニコ・・・

垣根「きゃー怒ったー! 助けて一方通行(ダークヒーロー)!」キャー

一方通行「五月蠅い。うっせェじゃなくて五月蠅い。黙って死ね」グデェ・・・

垣根「……ノリ悪ぃなぁ。これだから不能男は」ハァ・・・

一方通行「…………、」ピキッ・・・

削板「あーもう喧嘩すんなっつの!」ドカーン!

麦野「テメェも一々声デケェんだっつの! あとテンションに応じて変な爆煙出すな!」ガー!

353 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 01:23:51.20 ID:kdf3cZwk0
 ――一寸後・・・・・



鉄装「ハァ。先輩、一回あの部屋見てきてくれって、何で私に頼むのよぅ……失礼しま――」タラー・・・


 ガチャッ・・・・・


一方通行「―――垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す垣根殺す」ギリギリギリ・・・

垣根「―――死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野死ね麦野」ギリギリギリ・・・

麦野「―――ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板ブッ倒す削板」ギリギリギリ・・・

削板「―――消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位消えろ第1位」ギリギリギリ・・・


鉄装「――す……、」ダラダラ・・・


削板「消えろ第一位消えろ第……って、あ。眼鏡の姉ちゃん」チラッ・・・

一方通行・垣根・麦野「「「え」」」ピタッ・・・

鉄装「……あ、あの」ダラダラ・・・

超能力者's『…………、』

鉄装「な、仲良く、して下さい、ね」ダラダラ・・・

垣根「……コイツらが協調性無ぇから」クイッ

麦野「野郎共が五月蠅いの何の」クイッ

一方通行「このド低脳連中が騒ぎまくってよォ」クイッ

削板「先生ー! 寝れません! さぁ……誰が御利口にしてたでしょう」クイッ

鉄装「……全員、喧嘩してましたね」タラー・・・

超能力者's『俺(私)は仲裁してた!』ガアアァッ!!

鉄装「ひいいぃ! よ、黄泉川せんぱ〜い! 超能力者4人が暴れてますうううぅ! 至急応援をおおおぉ!!」ビエェー!

一方通行「『黄泉川せんぱ〜い』って……よ、黄泉川かっ!?」ゲッ!!?

削板「ちょ、お、応援って……ジジイが来たりしねぇよな!?」ギョッ!!?

垣根「く、首があああぁ!! てか爆発しなくてもバb……テレスに殺されるうううぅ!!」ウギャアアァ!!

麦野「っべー……美偉に説教されんわ。てか、パパには言わないでよ」ダラダラ・・・


 ギャーギャー・・・・・

354 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 01:52:01.20 ID:kdf3cZwk0
 ――またまた一寸後・・・・・




超能力者's『』チーン・・・


黄泉川「ハァ……ったく、この糞ガキ共」パンパンッ・・・

芳川「安全装置代わりの打ち止めは何処行ったのやら」ハァ・・・

一方通行「テメェ……(能力切り替え)スイッチ握り潰そうとすンのは……反則だぞ」チーン・・・


冥土帰し「あのさぁ垣根くん。僕の忠告、聞かなかったの? 馬鹿なの? 首フッ飛ばされたいの?」ハァ・・・

垣根「いや……俺、悪くねぇし。コイツらがぶべらぁっ!!」ガンッ!!

テレスティーナ「黙れゴラァ!! テメェが暴走すっと私まで巻き添え食らうんだよ駄阿呆! 死ぬなら勝手に首括れ!」ゲシゲシッ!


固法「……弁解は?」ジトー・・・

麦野「ございません」ダラダラ・・・

絹旗「急遽呼ばれて超驚いたんですけど……麦野、相変わらず姉貴さんには超弱いんですね」タラー・・・


所長「軍覇……帰ったら死ぬまで訓練だ」ギロッ・・・

削板「」ダラダラ・・・

黒妻「お前ら、こうなるの分かってて尚喧嘩すっから『超能力者は人格破綻者(バカ)』とか言われんだぞ」アハハ・・・


鉄装「あわわわわぁ……私が応援求めたから地獄絵図にぃ!! 後で仕返しされちゃうんじゃ!」ブルブル・・・

打ち止め「大丈夫だよ。この人達って基本カタギには優しいから、ってミサカはミサカは眼鏡のお姉ちゃんの肩を叩いてみたり」ポンッ・・・



 ガヤガヤ・・・バタンッ・・・・・



超能力者's『…………、』グデェ・・・


削板「あのよぉ……もう喧嘩すんなよ」タラー・・・

垣根「テメェ人の事言えな……いや、止めよう」ハァ・・・

麦野「あーもう……この事がもしパパの耳に入ったら」ボソボソ・・・

一方通行「ったく……もう知らン。寝る」グデェ・・・

355 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 02:23:04.82 ID:kdf3cZwk0
垣根「ところで……なぁ、麦野」チラッ・・・

麦野「あ?」ギロッ・・・

垣根「睨むなっつの。ただの質問だ……テメェは出演者(あっち)側じゃねぇのか?」ジー・・・

削板「え? 何か楽器出来んの?」ジー・・・

麦野「出来るわよ。ピアノもバイオリンも……でもヤダ」フンッ

垣根「何で?」キョトン・・・

麦野「何で表の場で公に顔出しせにゃならんのよ。そういうのはアイドル(第3位)とお嬢様お嬢様してるヤツ(第5位)に任せるわ」ケッ!

一方通行「……雑誌でコラムとか評論やってるクセにか?」チラッ・・・

麦野「アンタらだってその程度はやってんじゃない」ジトー・・・

削板「そいやぁ第1位は大学の特別講師とかしてたし、第2位はファッション誌顔出しまでしてたな」チラッ・・・

垣根「全部過去形だろ。俺は今は月間の能力者雑誌の一部だけだっつの」ハンッ

一方通行「俺も学会に論文提出しかしてねェな」コクッ

麦野「アンタは?」チラッ・・・

削板「……特撮のスタントマンのバイト」ボソッ・・・

一方通行・麦野「「ぷっ……ダハハハッ!!」」ケラケラ!

削板「…………、」ズーン・・・

垣根「おいおい笑うなよ。良いじゃん、特撮のバイト。俺もやってみてぇ」ハハハ

一方通行「アレか? メルヘンな羽出して怪獣倒すのか?」ククク・・・

垣根「うっせ! んな事言ったら麦野なんてリアルビーム出せんだぞ!」チラッ・・・

麦野「誰が○ペシウム光線だ! つーか超能力者(私ら)全員出そうと思えば『光線(それ)』っぽいの出せんだろ!」ガー!

削板「確かに第5位以外はそーかもな」ハハハ

麦野「ったく……あ、もう合唱の部終わったのね。もう独唱やってんじゃん」チラッ・・・

垣根「え? もう2時間経ったの?」キョトン・・・

一方通行「テメェらが騒ぎ捲っから全っ然寝れなかった……マジ勘弁してくれっつゥの」ハァ・・・

削板「だからお前も騒いでたろと……もう良いや」ハァ・・・

垣根「あーもう如何すんだよ。これじゃ講評出来ねぇじゃん」ハァ・・・

一方通行・麦野「「あ」」ピタッ・・・

削板「え? 講評?」キョトン・・・

垣根「テメェは後から来たから聞かされてねぇだろうけど……全部終わった後、講評するんだとよ」グデェ・・・

麦野「しかも代表で私達の内誰か一人あのステージ立って、エンディングに挨拶だってさ」ハァ・・・

削板「……まぁじで? いや、やれって言われればやるけど……全然聞いてなかったんですけど」タラー・・・

垣根「まぁこういう時は序列的に第1位様に」チラッ・・・

一方通行「ざけンな。おい、第4位。テメェ親父来てンだろ。良いとこ見せて来い」チラッ・・・

麦野「い、嫌よ! こういう時は……根性男。アンタ、人前出んの好きでしょ!」チラッ・・・

削板「え、まぁ……でも今回は聞かされてなかったという事で……ていとくん」チラッ・・・

垣根「意味が分からん。盥回しの末に俺んとこ返すなっつの」タラー・・・


 ギャーギャー・・・・・

356 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 02:54:39.76 ID:kdf3cZwk0
  <他方その頃、VIP室>


 パチパチパチパチ・・・・・


Vipper@「いやぁ素晴らしい演奏でしたね。心が洗われる様でしたよ」ニコニコ・・・

VipperA「ええ。今のは貴方の御息女が混じっていたのでは無くて?」チラッ・・・

Vipper@「あはは。いやはや、私の趣味がてら共に始めたサックスだったんですけどねぇ」ハハハ

VipperB「おぉ! それは素敵ですね! まさに親の意志を次ぐ、とはこういう所から始まるのでしょうな!」ポンポンッ

VipperC「将来はお父様に似て御立派な経営者に……いや、もしくは政界に進出ですかな?」ニヤリ・・・

VipperD「ふふっ。そういえば@さんは参議の議長様と親しかったですよねぇ」フフッ

Vipper@「そう言うDさんこそ、民自党の幹事長殿と懇親が御有りとか……しかも御次男が彼の娘との間で許嫁の関係とか」クスクスッ・・・

VipperD「いやぁそんな事言ったらAさんは貝継理事と何時でもお会い出来る間柄じゃないですか」コクコクッ

VipperB「ふふふっ。流石著名人の集まりですねぇ。何たる顔ぶれ……ところでCさん、グラスが空いてますよ」チラッ・・・

VipperC「ん……ああ、少々風に当たって来ようかな。Eさんも顔が真っ赤ですよ……一緒に如何です?」チラッ・・・

VipperE「え、ええ……御一緒します」タラー・・・


 テクテク・・・・・


Vipper@「また『ゴルフ』の御誘いですか……飽きませんねぇ、BとCも」チラッ・・・

VipperA「仕方ありませんよ。Eさんは都市への投資に失敗して御二人に借りが有りますもの……何れ、この場から消えるでしょうね」コクッ・・・

VipperD「やれやれ。こんな場で無粋な事を……さて、では私はもう一度○○議員に挨拶でも」フフッ

Vipper@「おや、御一緒しましょう。ついでに私の友人たるVipperFとGも紹介しますよ。是非繋がりを持たれて置くと良いでしょう」ニヤリ・・・

VipperA「あら! 彼らは学芸都市で画学と声楽を受け持つ教授でしたわよねぇ。相変わらず@さん凄いですわぁ」フフッ

VipperD「そんな事を言うAさんこそ。後で例のインド大使殿を御紹介頂けませんか? 実は今度アチラに顔を出す用事が―――」


 ガヤガヤ・・・・・


レイヴァニア「ふふふ……皆々黒いなぁ。そうは思わないか?」チラッ・・・

ステイル「興味無いね」フンッ

レイヴァニア「連れない男だ」ハンッ

ステイル「少し黙っていてくれ。さっき君が僕を紹介した所為でかなり疲れているんだ……馬鹿な事をしてくれたよ」ハァ・・・

レイヴァニア「なぁに、お安い御用だ。お前のその困った顔を見れるなら何度でも同じ事をしてやろう」ニヤリ・・・

ステイル「捻くれ者め……頼むから静かにしてくれよ」グデェ・・・

レイヴァニア「ヤーだよー」ベー!

マーク「まったく……マグヌスすいません。お嬢様(ボス)、少々大人げ無さ過ぎますよ」ハァ・・・

357 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 03:20:29.79 ID:kdf3cZwk0
ステイル「しかしまぁ……嫌な部屋だ」ヤレヤレ・・・

レイヴァニア「そうか? 様々な人の業が診れて楽しかろう」ニヤニヤ・・・

ステイル「勘弁してくれ。普通の人間が殆ど居ない」ジトー・・・

レイヴァニア「故に、『Vipルーム』なのだよ。此処に居る輩は皆『努力した』者だ。手段は何にしろ、な」ジー・・・

ステイル「手段、ねぇ。しかし名家の2世3世だって居るよ」チラッ・・・

レイヴァニア「彼奴(キャツ)らが努力して無い、と? 馬鹿言え。そういう輩こそ家柄がプレッシャーとなり努力するのだ」フンッ

ステイル「成程ね……だが、何とも、僕らは浮いていないか?」タラー・・・

レイヴァニア「貴様が無粋だから浮いてるのは確かだな」ハハハ

ステイル「そういう事ではない。何というか……子供が此処に居るのは、変だぞ」コクッ

レイヴァニア「実力に若いも老いも有るモノかよ。ま、私達の場合は此奴(マーク)の連れを装ってるからな」ニヤリ・・・

マーク「まったく……とんだ迷惑ですよ」ハァ・・・

レイヴァニア「そう言うな。バードウェイカンパニーの代表代理を演じさせてるのだぞ。感謝しろよ」ニヤリ・・・

マーク「御蔭でドス黒い世風を受け捲ってボロボロですけどね」グデェ・・・

ステイル「……ところで、君は何故此処に? まさか純粋な興味とは思えんが」ジー・・・

レイヴァニア「パトリシア(あの子)は純粋な興味だよ。『お姉さん! これ見たい!』って、そりゃあもう可愛いの何のって!」クネクネッ

ステイル「知るか……じゃなくて、君だよ。君、レイヴァニア=バードウェイとしてだ。あの子だけならマークの護衛だけで良かったろう」

レイヴァニア「ああ、そういう……なぁに、単なる興味だよ」フフフ・・・

ステイル「アレイスターへの牽制の意図は無いと?」ジー・・・

レイヴァニア「今のヤツにそんなモノは勿体無い。全てを見えてる『フリ』をしているアイツは所詮、井の中の蛙だ。モノの本質を見ん」フンッ

ステイル「敵地で良く言うよ」タラー・・・

レイヴァニア「敵地? ははは、冗談言うな。アイツにとってこの街は己の掌上と思っているかもしれんが、先にも言ったろう」ジー・・・

ステイル「井の中の蛙、か? いやしかし、ヤツは」フム・・・

レイヴァニア「何でもお見通し、か。んな阿呆な。アレは局図や局番は見るが、駒を見ない。両方見てこそ賢者よな」ニヤニヤ・・・

ステイル「……つまり『人』を見に来たと」ポリポリ・・・

レイヴァニア「おうよ。まぁ如何して中々面白い人間も居た……おっと、少々喉が渇いたな。おい、酒を持ってこい」チラッ・・・

マーク「はいはい。子供ビールですねー」テクテク・・・

レイヴァニア「さ・け・だっ!!」ウガー!

マーク「はいはい酒酒。マグヌスは?」チラッ・・・

ステイル「ああ、すまない。アイスティーを頼む。出来ればレモンがあると嬉しい」コクッ

レイヴァニア「ハッ! お子ちゃまよのぅ」フフフ・・・

ステイル「……マーク。コイツに地ビール持ってきてやれ。一っ番辛口のヤツな」チラッ・・・

レイヴァニア「あ、すいませんでした……じゃ、じゃない! おい、『いつものヤツ』を持ってこい!」ペコッ・・・

マーク「ふふっ。はいはい」ニヤニヤ・・・

358 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 03:46:01.96 ID:kdf3cZwk0

 ガヤガヤ・・・・・


マーク「お待たせしました」スッ・・・

レイヴァニア「どーも……って、いつものでは無いぞ?」ジトー・・・

マーク「子供ワインってのを見つけたので、そっちを持ってきてみました。マグヌスは此方で」スッ・・・

ステイル「ああ……それで?」チラッ・・・

レイヴァニア「何か黒いぞ。これ本当にお酒なんじゃ……って、ああ。先の続きか。何処まで話したか」フム・・・

ステイル「面白い人間を、と」ゴクッ・・・

レイヴァニア「うん……黒……まずは、既にもう帰ったが……んー……お前も知っている男だ……あ、ブドウジュース」ゴクゴク・・・パアァ!

ステイル「既に帰った……知っている?」ジー・・・

レイヴァニア「おや、知らなかったか? まぁ直接話はしてない様だったからな……ま、日本の古くからの名家だよ」ゴクゴク・・・

ステイル「……ふむ」ジー・・・

レイヴァニア「土御門家の当主だ。知っていよう」ゴクゴク・・・オカワリー!

ステイル「ん……来てたのか」チラッ・・・

レイヴァニア「ああ。ヤツも都市の出資者の一人だ。私と同じ様に表裏共に名声を馳せている。尤も、アレは基本国内限定だがな」コクッ

ステイル「その様だな。しかし……一応、必要悪の教会(我が方)と同盟を結んでいる」ジー・・・

レイヴァニア「其処が不思議な所だ。聞く所によると陰陽師(オンミョージ)に十字教的要素は無い。なら、何故だ?」ニヤリ・・・

ステイル「僕の知る所では無いね。本人か土御門に聞いてくれ」フンッ

レイヴァニア「つまらない男だ……教えてやろうと思ったが止めた。別の人物に移る」フイッ

ステイル「他にも?」

レイヴァニア「ん……ほら。あの、人集りの出来ている中心に居る男。アレは殆ど企業連中の集まりなのだが……知っているか?」ジー・・・

ステイル「ああ。ムガ……ムギ……ああ、麦野。ムギノ系列のトップだろう」ジー・・・

レイヴァニア「その通り。何だ、少しは勉強してるじゃないか」フフッ

ステイル「いや、英国のニュースにも載る男だ。知らない方が可笑しいだろう」コクッ

レイヴァニア「そうだな。ヤツも、基本其処らに居る輩と大差無いのだが……面白いのは『血』と手を出している『ジャンル』なのだ」フフフ・・・

ステイル「……ああ、娘か」フーン・・・

レイヴァニア「知ってたか。ああ、アレの娘は良い金になる。そしてジャンルのチョイスも素晴らしい」フフフ・・・

ステイル「何か知ってるのか?」ジー・・・

レイヴァニア「原子力だとさ。原発、原爆。双方に手を出してる。この国の人間が嫌う『核』に根深いジャンルだ」ニヤニヤ・・・

ステイル「……それが面白いのか?」フム・・・

レイヴァニア「ああ。そのくせ、ヤツはその方面では表舞台に出ない。当たり前だろう。過去の『ある出来事』の所為で原発は叩かれる」

ステイル「まぁね……核については、この国では違法……いや違憲じゃないのか?」タラー・・・

レイヴァニア「だ・か・ら、面白いのだ……何処まで走るか楽しみだぞ。尤も、私が手に入れてるのは核関連というだけだからな」ニヤリ・・・

マーク「お嬢様(ボス)、飲み物です……おや、何の話を?」チラッ・・・

レイヴァニア「なぁに。『核』について少々な……アレは魔術の天敵だからなぁ」ウフフ・・・ゴクゴク・・・

マーク「へ? ああ、麦野の……しかし核廃棄の方なのでは? 所詮は日本人ですし」コクッ

レイヴァニア「さぁな。ま、見モノだよ……要(かなめ)は娘の今後だろう。今は少々『おイタ』が過ぎる様だが……楽しみだ」クスクス・・・

ステイル「はぁ……正直、悪趣味だよ」タラー・・・

レイヴァニア「言ってくれるな。褒め言葉にしか聞こえん」ハハハ

359 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 04:12:16.59 ID:kdf3cZwk0
ステイル「ところで……妹君(パトリシア)は?」キョロキョロ・・・

レイヴァニア「え? そこに……あるぇ?」キョトン・・・

ステイル「……まさか、また」タラー・・・

レイヴァニア「い、いや流石に、そう何度も何度も……え、ちょ……マァジで!?」ダラダラ・・・

ステイル「いや、待て、落ち着け。今回は誘拐とか人質じゃなくて単に迷子とか。ほら、トイレとか」ポリポリ・・・

レイヴァニア「パアアアァトリシアアアアアアァっ!! 何処だあああああぁっ!!」ウギャアアアァッ!!

ステイル「叫ぶなド阿呆! ま、マーク」チラッ・・・

マーク「んな叫ばなくても近くに居ますから。んもー恥ずかしいなぁ……ほら、呼ばれて飛び出て来ましたよ」クイッ

レイヴァニア「な」ピタッ・・・


パトリシア「こらー、お姉さん! 恥ずかしいからそういうの止めて下さいよ!」カアアァ///

レイヴァニア「よ、良かった……じゃない! 勝手に歩き回るなと言っただろう!」ホッ・・・

パトリシア「大袈裟なんだからぁ。まったく、お姉さんは私が居ないとダメダメですね」フフッ

レイヴァニア「な、ぬぉ、なな、ぬ、なぬぉ、なななな、な、何をぅ!!」ムギギ・・・///

マーク「ったく……おや。妹様(パトリシア嬢)、其方の御婦人は」チラッ・・・

親船「ふふふ。可愛らしいお姉さんですね、パトリシアさん」クスクス・・・

パトリシア「はい、自慢のお姉さんです」ニコニコッ

ステイル「……親船、理事」ペコッ・・・

親船「こんにちは。はじめまして、ね」ペコッ・・・

パトリシア「あ、おばあちゃん。此方は友人のステイル=マグヌスさんです。それから、マーク=スペースさん。そして姉の」チラッ・・・

親船「レイヴァニア=バードウェイさんですね。はじめまして。親船最中といいます」フフッ

レイヴァニア「……これはこれは、統括理事様が態々。勿体無い限りです」ペコッ・・・

親船「そんな改まった口調じゃなく、さっきみたいな砕けた風で良いのよ。元から敬意なんて無いでしょうに」クスクス・・・

レイヴァニア「そう……助かるよ。理事殿」フフッ

マーク「……飲み物を持って来ましょう。3人はアイスティーで良いですね……理事殿は?」チラッ・・・

親船「ありがとうございます。それじゃあ、私にも同じものを」コクッ

マーク「畏まりました」テクテク・・・

レイヴァニア「……ところで、随分とウチのパトリシアと仲が良いようだが」ジー・・・

親船「ええ。それはもう……こう言っては何ですが、この部屋で『純粋』に演奏を観ていたのは彼女だけですからね」トンッ・・・

パトリシア「え?」キョトン・・・

親船「ふふっ。パトリシアさんが一番って事よ。一っ番楽しそうに彼彼女達を観て称賛してあげてた。とっても素晴らしい事よ」ナデナデ・・・

パトリシア「えへへ……そんな事ないですよ」ニパー

ステイル・レイヴァニア「「…………、」」ジー・・・

360 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 05:08:24.25 ID:kdf3cZwk0
 ――一寸後・・・・・


 パチパチパチパチパチ・・・・・


パトリシア「―――わぁ……綺麗な歌声でしたね! 今のドイツ語ですよね! 讃美歌!」キラキラ・・・

ステイル「『血しおしたたる(O Haupt voll Blut und Wunden )』、主(キリスト)の受難の讃美歌だね。科学の街でそれ選択するか」ジー・・・

パトリシア「歌の善し悪しに国境も宗教も主義も関係ありませんよ。素敵なモノは素敵なんです」フフッ

ステイル「……そうだな」フフッ

パトリシア「あ、今度は3人で出てきましたよ……重唱でしょうか? それとも斉唱?」ジー・・・

ステイル「確か常盤台の制服だな。プログラムに名前と歌が乗ってないかい?」チラッ・・・

パトリシア「えっと……ごめんなさい。漢字が難しくて読めません」ムゥ・・・

ステイル「どれ……婚后光子、湾内絹保、泡浮万彬。曲は……分からないな。オリジナルソングかもしれない」フム・・・

パトリシア「あ! 何だか凄そうです! オケ楽器とかピアノじゃなくてキーボードとキードラムが出てきましたよ!」キラキラ・・・

ステイル「何だ……ライブでもするつもりか。場違いにも程が有ろうに」タラー・・・

パトリシア「良いじゃないですか! お客さんが喜べば、それで成功なんですよ!」キラキラ・・・

ステイル「はぁ。君は本当に……いや、良い意味で楽天家だな」タラー・・・

パトリシア「ええ。よく言われます……あ、派手な衣装の方がマイクを持ちました!」チラッ・・・


婚后『あーあー……こほんっ。皆さん、本日はお忙しい中、態々足を運んで頂き、まことに感謝いたしますわ』コクッ


ステイル「……マイクパフォーマンス?」タラー・・・

パトリシア「あはは。面白いですね」クスクス・・・


婚后『先程とは一転、場違いに思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、それは私共の歌をお聞きになってから笑って下さいませ』フフフ・・・


ステイル「とんだ自信家だな……コケたら痛いぞ」タラー・・・

パトリシア「ふふっ。期待しましょ」ジー・・・


Vipper数名『光子ちゃーん!! 観てるぞおーぉ!!』オオオォ!!

観客数名『お嬢おおおおおおぉ!! 頑張れえええええぇ!! 応援してますよおおおおおぉ!!』ウオオオオォ!!


ステイル・パトリシア「「っ!?」」ビクッ・・・

レイヴァニア「あれが……婚后財閥の娘か。これもまた面白いヤツだ。まぁ馬鹿か○チガイの類じゃなきゃ良いのだがな」フフフ・・・

親船「ふふふ。混合財閥は地主でもありますから此処ら一帯の……シノギ衆が観に来たのでしょう。旭組や、天来組とか」クスクス・・・

マーク「ジャパニーズヤクザですか。中央関東連合だったっけ……まぁそういうのは抜きにしても、惹き付ける『力』は有る様ですね」フム・・・

レイヴァニア「ま、彼女が言うとおり歌(パフォーマンス)の実力を観てから如何こう言いましょ」ジー・・・

マーク「……因みに、彼女の父上は顔真っ赤にして俯いてますよ」ハハハ・・・


婚后パパ「光子ちゃん……マジ、そういうの……止めて……何でママに似るかなぁ」カアアァ///


レイヴァニア「ヴァッハッハッ! こっちの方が見モノかもしれんな!」ケラケラケラ!

361 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 05:44:30.80 ID:kdf3cZwk0

 ワーワー・・・・・


婚后『おっほっほっ。皆さんありがとうございます。それでは、今回の歌ですが私達の自作のモノでございまして―――』


 ♪〜


パトリシア「あ……マイクパフォーマンスの途中で演奏が始まりましたよ」キラキラ・・・

ステイル「入り方は上手だな。口調は難だが、内容は子供向けに柔らかく且つ分かり易く、誰にでもウケの良い型のパフォーマンスだ」ジー・・・

パトリシア「そうなんですか?」チラッ・・・

ステイル「まぁ流れは読めるが、それ故に観客の期待(テンション)を盛(も)っていき易い……多分、奥の娘が歌い出すだろう」ジー・・・

パトリシア「え」キョトン・・・


湾内『fu woo.. fu woo.. Try to be glorious believer―――』♪〜

婚后『―――と……お喋りはこれくらいにして……それでは一時ではありますが、会場で盛り上がりましょう! では―――』バッ!

子供達『わーわー!』キャッキャッ!

湾内『Just to.. go on.. realize soulful heart―――』♪〜


パトリシア「わっ! ホントだ!」パアアァ!

ステイル「むっ? だが、本命は手前の娘だぞ」チラッ・・・

パトリシア「へ?」ポカーン・・・


泡浮『―――Let's fry faraway! 届きたい 君と約束した未来 ―――』♪〜

会場『おおおぉ!』ドワォ!


パトリシア「す、凄いです!」パアアァ!!

マーク「ほぉ……マグヌス、貴方の言った通りになりましたね」フフフ・・・

ステイル「なぁに。勘だよ」フフッ

レイヴァニア「勘ねぇ……プロ級のギター兼ボーカリストのくせに?」ニヤリ・・・

ステイル「なぁ!? ど、な、意味の分からん事を言うな!」アタフタ・・・

レイヴァニア「ある伝手から聞いてなぁ……『ウチの補佐の美声を聞いたら並の女子(おなご)はイチコロなりけるわよ』って、ね」ニヤニヤ・・・

ステイル「あんの糞魔女(ローラ)ああああぁ!!」ウギャアアァ!!

マーク「マグヌス。抑えて……観賞の邪魔になります」ポンッ・・・

ステイル「ぐっ……おい、馬鹿姉。その情報は忘れろよ」タラー・・・

レイヴァニア「さぁて如何しようかなぁ。今度貴様主催のライブでもあって、それを観たら忘れてやろうか」ニヤニヤ・・・

ステイル「こ、の……頼むから、これ以上口外しないでくれ」ハァ・・・

レイヴァニア「ククククク……如何しよっかなぁ……と、おやまぁ」チラッ・・・

パトリシア「ふぁあぁ」キラキラ・・・

親船「ふふっ。パトリシアさんはすっかり虜ですね」クスクス・・・

ステイル「ハァ……ったく。やれやれだよ」チラッ・・・


 ―――For shining truth! もしいつか 戸惑い 心が震えても
                         迷いなく 手を繋ぎ 駆けだすよ 強い 絆がここにあるから・・・・・―――

362 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 06:12:43.85 ID:kdf3cZwk0

        ワーワー!!     キャーキャー!!


レイヴァニア「ふーん……『future gazer(先見の明人)』か」ジー・・・

親船「良い曲ですね。司会の子がメインかと思いましたが、立派な引き立て役を演じられていますよ」フフッ

レイヴァニア「ふふっ……貴女も、先のパフォーマンスの娘の様なタイプだものな」チラッ・・・

親船「さぁ、どうでしょう。私は彼女ほど活気は無いですよ」クスクス・・・

レイヴァニア「何を言う。貴女は立派に道化(シンボル)を演じているだろうに……謙遜するのは、傀儡と言われるのが嫌だからか?」ハッ

親船「あらあら。辛辣ですね……いえいえ。私は綺麗事を謳う『役』に誇りを持っていますよ」フフフ・・・

レイヴァニア「ありゃりゃ。皮肉のつもりだったが……喰えないおばあさんだこと」フッ・・・


 ――― Try anytime! 煌いた 光の欠片を集めたら 果てしない 大空に 解き放つ 君に 伝えたい言葉 ―――


親船「時に……何故、5千万$もの寄付(融資)を?」チラッ・・・

レイヴァニア「なぁに、先行投資だよ。私は『先見の明人』のつもりだからな」ジー・・・

親船「このお金が……単に研究者達の好奇心を満たすだけの資金に振り分けられるかもしれないのに?」ジー・・・

レイヴァニア「馬鹿を言え。私は『人材』にしか投資はしない。誰がマッドサイエンティスト共の自慰行為の為に金を払うか」フンッ


 ――― Precious days! 抱きしめた 色鮮やかな現実は 誰一人 壊せない いつだって 強く 信じてるから ―――


親船「……では、何故」フム・・・

レイヴァニア「何故? 可笑しな事を言う……貴女が居るだろう」ニヤリ・・・

親船「え」キョトン・・・

レイヴァニア「割振を如何するか既に決まっているのかもしれないが、それでも真の意味で『人材育成費用』に回す事が出来る人間」コクッ

親船「……私に、そんな権限はありませんよ」ジー・・・

レイヴァニア「やれ。貴女は民意の塊だ。故に、やるのだ。やらねばならぬのだ……親船最中」ジー・・・

親船「…………、」

レイヴァニア「児童福祉を綺麗事と馬鹿にする奴ら? ハンッ! 捨て置け。子供(ベース)を考えられないで何が政治家だ」コクコクッ

親船「……貴女も、子供ですけどね」クスッ・・・

レイヴァニア「言ってくれるな」フッ・・・



湾内『――― For shining truth! もしいつか 戸惑い 心が震えても
                         迷いなく 手を繋ぎ 駆けだすよ 強い 絆がここにあるから・・・・・――― 』♪〜


会場『わああああぁっ!!』ドオォ!!


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ・・・・・


パトリシア「ふぁああぁ! 恰好良かったです!! 将来歌姫になるかもしれませんね!」キラキラ・・・

ステイル「どうだろうな……だが、うん。純粋に、歌は素晴らしかったよ」フフッ

363 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 06:43:46.04 ID:kdf3cZwk0
婚后『―――皆さま、御清聴感謝致しますわ。今一度、2人に拍手を!』スッ!


  ワアアアアアアァッ!!   アンコール! アンコール! アンコール!


パトリシア「アンコール♪ アンコール♪」キラキラ・・・

ステイル「ぱ、パトリシア……そういうイベントじゃないんだぞ」タラー・・・

レイヴァニア「ハハハ! 良いじゃないか。これが民意だよ」ニヤリ・・・

ステイル「何だかなぁ」ポリポリ・・・


親船「ふふふ……そうですね。民意、かぁ」ジー・・・

レイヴァニア「ああ。私は子供達に……そして正しく導く指導者に賭けたつもりだよ」フフフ・・・

親船「やれやれ。骨が折れそうです……老骨鞭打つとはまさにこの事ですね」ニヤリ・・・

レイヴァニア「日本の小難しい諺は知らん。ま、頼むよ御老侯。小娘の我儘を聞いてやってくれ」コクコクッ

親船「そして、何れは育った果実を我が身に納めるのですね」クスクス・・・

レイヴァニア「当たり前だ。それが投資というモンだよ……安心しろ。くたばっても葬儀には出てやろう」ニヤリ・・・

親船「おやおや、可愛い顔をして物騒な事を……でも、バードウェイコーポレーションの会長様が直々にお線香をくれるなら」フフフ・・・

マーク「お嬢様(ボス)。あまりに失礼ですよ……すいません、理事殿」ハァ・・・

親船「いえいえ。素晴らしい会長さんですね。将来が楽しみを通り越して、末恐ろしいくらいですよ」クスクス・・・

レイヴァニア「ハハハ。言ってくれる。ま、頼んだぞ。何なら私の寄付金を全て貴女に宛てる様に書き添えておこうか」コクッ

親船「いえ、自力で何とかしますよ。お飾り理事でも、それくらいは頑張れますから」フフフ・・・


パトリシア「―――……あ! 戻ってきました!」パアアァ!

ステイル「はぁ……やっぱりライブか何かと勘違いしてるんじゃないか」タラー・・・


湾内『―――……あー、えっと……先程は、その、ありがとうございました』モジモジ・・・


    ワーワー! ヨカッタゾー!


湾内『あはは、ありがとうございます……えっと、本来有り得ないのですが特別に続けて貰っても良いという事なので、もう一曲だけ』ペコッ


ステイル「よく運営が許可したものだ。何かの圧力か?」チラッ・・・

親船「邪推ですよ。あれだけのアンコールを聞いたら、やらせない訳にもいかないでしょう。尤も、次の曲を準備してればの話ですが」ジー・・・

レイヴァニア「準備していたのだろうな。一曲目で盛り上がると見越して……やはりあの娘、大物かもしれん」ホォ・・・

パトリシア「わああぁ! 凄いです! 下で見たいです、お姉さん!」チラッ・・・

レイヴァニア「ふむ……おい、ステイル。着いて行ってやれ」クイッ

ステイル「は?」キョトン・・・

レイヴァニア「ほぉ……逆らうか? なぁパトリシア。お前、ステイルの歌を」ボソッ・・・

ステイル「行く! 行かせて下さい! 是非に妹様と下で観賞させて下さい!」ガアアァ!

レイヴァニア「……んー、まぁそこまでいうなら仕方ないな。パトリシア、ステイル『を』連れてってやれ」ニヤリ・・・

パトリシア「はいっ! 急ぎましょう! ステイルさん!」パタパタパタ!

ステイル「ハァ……厄日だ」グデェ・・・

レイヴァニア「おっほっほっほっ」ニヤニヤ・・・

マーク(悪魔だ)タラー・・・

364 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 07:36:19.99 ID:kdf3cZwk0
レイヴァニア「しかし、こういう盛り上がりを観ると……単にライブとかの方が金集まったんじゃないかな」ジー・・・

マーク「確かに……だが、此処に居るVip連中は集まりませんね」コクッ

親船「いや、しかしクラシックで無くとも集まってくれる方は集まりますよ。それこそ息子娘が出てるとなればね」フフッ

レイヴァニア「あそこの蹲ってるのみたいにか?」ニヤリ・・・

マーク・親船「「え?」」チラッ・・・


婚后パパ「」チーン・・・


レイヴァニア「ハハハ。あの小心者の遺伝で、よくあの肝っ玉が太い娘が生まれたもんだよ」ククク・・・

親船「まぁまぁ、そう言わないの」ハハハ・・・


湾内『えっと、こういう大人数の前で話すのは慣れていませんので……婚后さんみたいに上手く話せないのですが……―――』アタフタ・・・


  ガンバレー! カワイイゾー! モウイッカイウタウノー!


レイヴァニア「歌の豪快さとは一転、女々しいな……まぁギャップ萌え、というヤツか」フフッ

マーク「お嬢様、如何してそういう俗語覚えてきますかねぇ」ハァ……

親船「ふふふ……あら、また演奏が始まりましたね。という事は、今度は後ろの2人の内ドチラかかしら?」ジー・・・

レイヴァニア「案外2人とも、いや、3人だったりしてな」フフフ・・・


湾内『それでは、もう少しノリを良く三人一緒に歌います……聞いて下さい―――』コクッ


  ♪〜  ワアアアァッ!!


婚后・泡浮『――― いつも Let me do そう自分の意志で あ・る・い・て・た・い 』♪〜

婚后・泡浮・湾内『 だって Dream come true ねえその瞬間が か・が・や・く 』♪〜


親船「おや、仰る通り」フフッ

レイヴァニア「ハハハ。私の勘も中々だな。しかし、言ってた通りにノリの良い曲だな」フフフッ

親船「良いですね。若くて、パワフルです」フフフ・・・

レイヴァニア「貴女もまだまだこれからだよ」ニヤリ・・・

親船「ええ、そうね……頑張るわ」クスクス・・・


 Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow……―――

365 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/17(木) 07:58:13.71 ID:kdf3cZwk0

  ――一方、いきなり戻って香焼side・・・



佐天「―――あははは! 三人とも凄いなぁ! ねぇ、あの三人私達の友達なんだよ!」ワーワー!

香焼「へぇ! 凄い……ですね! って、あれ? 初春さん?」チラッ・・・


初春「いやね……うん、でもさぁ……この役回りは、さぁ……無いでしょう……よりにもよって、その選曲かぁ……はぁ」ドヨーン・・・


香焼・佐天「「……あ、れ」」タラー・・・


初春「まぁ、そのね……完全にハブられてる訳じゃないから良いとしても、でもですよ……えー」ガーン・・・

佐天「う、初春ー?」タラー・・・

初春「んもぅこうなったら……良し! 二人とも、ちょっと抜けますね。この曲が終わるころには戻ってきますから」スッ・・・

佐天「あ、うん……どったのかな?」タラー・・・

香焼「さ、さぁ」タラー・・・


 ――― 負けないやめないルールにたって相談してもいいよね み・ん・な いるから ―――


    おおおぉ……ざわ・・・ざわ・・・


香焼「……え」ピタッ・・・

佐天「一人、増え、た」ピタッ・・・


婚后・泡浮・湾内・??『――― いつも Let me do そう自分の意志で あ・る・い・て・た・い
                      だって Dream come true ねえその瞬間が か・が・や・く ―――』♪〜


  ワアアアアアァッ!! ナンダアアァ!? スゲエエエェカライイヤアアアァ! イイゾオオオォ!!


香焼「す、凄いのは確かなんすけど……あの緑衣装の飛び入り仮面……どっかで」タラー・・・

佐天「き、気の所為じゃない? なんか、見覚えある花飾りが見えるけど……気の所為よ! うん、気の所為!」アタフタ・・・


  Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow! Wow wow wow……―――

366 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/17(木) 08:01:57.99 ID:kdf3cZwk0
はい、悪ノリし過ぎました、すいません! 

次回で終わらせたいけど・・・・・あと2,3回かな。できるだけ短くします。

とりあえず……眠い! 適当にコメください。そんじゃまた次回ね! ノシ”

367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/17(木) 16:23:47.51 ID:tTdN1uJAO
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 16:30:56.87 ID:HL+95rTDO
乙!

そういえば常盤台の三人娘は、確かにねww
真面目だったりカオスだったり、俺はこういうの好きだぜぃ!
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 16:55:34.23 ID:JADISn4IO
レイヴァニアさんが色々素敵すぎるなw

あとvipperが一瞬vipのスレから飛んできた人たちかと思った俺は完全に2ch脳だということがわかった
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [saga sage]:2011/11/17(木) 18:11:52.75 ID:66FmwgcA0
賓客って意味のVIPは
Very
Important
Person
の略だからerをつける必要はないんだが……
とマジレスしてみる>>1
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 11:20:17.81 ID:bQlNBMbwo
中の人ネタかwww
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中国地方) :2011/11/20(日) 14:29:18.10 ID:uFC5Vrut0
あの後BとCはEとどっかの個室で『ゴルフ』してるんですね、わかります
373 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/20(日) 21:02:58.21 ID:zBpSYrA20
こんばんわ。続きです。

・「Vip」の正しい意味を初めて知りましたw
・中の人ネタって楽しいよねw

そんじゃ久しぶりだけど、投下!

374 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 21:22:08.76 ID:zBpSYrA20
 ―――とある翌日、PM07:45、学園都市第7学区、文化会館大ホール・・・・・・






一際盛り上がった常盤台の3人組(+α)の出番は終わり、休憩タイムになる。
そろそろステイルと軍覇が戻って来るかもしれないが、それよりも自分の任務の方を考慮しなければ。

ぶっちゃけ、後日『実は観に行きました。操祈さんの演奏最高でしたよ!』って言えばそれで済む話だと思うのだが……仕方あるまい。


佐天「―――おー……凄かったね! 後で婚后さん達にメールしとこう!」キラキラ・・・

香焼「あはは。ん、休憩時間だね……ちょっとトイレに」スッ・・・

佐天「あ、うん……って、ちょい待った」グイッ

香焼「え? 何?」キョトン・・・

佐天「いや、今聞き流せない言葉が……トイレ?」ジー・・・


それが如何した?


佐天「……どっち?」ジトー・・・

香焼「は?」キョトン・・・

佐天「だから……男性用? 女性用?」ジトー・・・

香焼「…………、」ダラダラ・・・


しょーもない事に喰いつくな、この人は。


佐天「いやいやいや、如何でも良くないでしょ……うん、勿論香焼くんが不埒な事するとは思ってない。でも、それでも! だよ!?」ジー・・・

香焼「……『この恰好』で、男子トイレ、入れると思うの?」ハァ・・・

佐天「で、でも! でもでも!!?」ジロジロ・・・

香焼「正体がばれる、とかの心配?」タラー・・・

佐天「そんな心配はしてない。香焼くん、今私より可愛いもん」キッパリ・・・


真剣な顔でそういう事言われると、割とマジで凹みます。


佐天「初春と同じくらいの身長……童顔……僕っ娘……むぐぐぐぅ! 何だこのジレンマは!?」ジー・・・

香焼「いや、それコッチの台詞だから」ハァ・・・

佐天「あーもぅ……行くなら私も一緒に行きます! 連れションだー!」ガシッ!!

香焼「女の子がそういう事言わないの」ダラダラ・・・

佐天「しゃーらっぷ! 監視とボディーガードとその他諸々兼任でついて行く!」ビシッ!

香焼「えー……、」タラー・・・


佐天さん、何で変な空回りしてんだろう。そんな心配しなくていいのに。
それよりも今後の策を練った後、ステイルと軍覇と一度合流したかったのになぁ。

375 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 21:42:32.69 ID:zBpSYrA20
その後『我慢するから大丈夫』と言ったにも関わらず、何故か若干興奮気味の佐天さんは『良いから来る!』と僕の手を強引に引っ張り、
二階ホールを出てトイレに向かおうとした。ちょっと怖いです。


香焼「あ、あの……自分外行くから。さっきもそうしてたし」タラー・・・

佐天「漏れたら如何するの!?」キッ!

香焼「も、漏らさないよ! 赤ん坊じゃないんだから!」アタフタ・・・


というか、実際尿意は催してません。お願いだから一人にさせて。


佐天「人気が少ない所が良いなら……ほら、スタッフ用とか」ピッ

香焼「ば、馬鹿じゃないの!?」ギョッ・・・

佐天「もしくは、特別室の方とか。大丈夫だって素直に『おしっこ……したいです』って上目遣いで言えば誰でも通してくれるから」フフッ

香焼「んな阿呆な。セキュリティどんだけ軽いんすか」タラー・・・

佐天「いやいや。今の香焼くんみたいなロリ……ショタ? 男の娘が言えば大丈夫だって」b"


どんな理屈だよ。


佐天「もーグチグチグチグチ……女らしくないぞ! キッパリ決めなさい!」ムンッ

香焼「色々ツッコミ入れたいっす」ハァ・・・

佐天「じゃあ、ほら。固法先輩とか初春の連れですって言って、警備員と風紀委員のスタッフが入れるエリアにさぁ」コクッ・・・

香焼「……ん?」ピクッ・・・


そんなエリアがあるのか……初耳だ。これは思わぬ誤算だが、良い情報かもしれない。


香焼(だとすると、後半の公演が始まって直ぐに行動した方が良いかな。操祈さんの演奏終わってからだと、多分もうフィナーレだし)ウーン・・・

佐天「難しい顔して如何したの? 限界近い?」ジー・・・

香焼「あ、いや……限界って……自分別に化粧直せれば大丈夫っすから」タラー・・・

佐天「…………、」ピタッ・・・

香焼「ん? どったの?」チラッ・・・

佐天「……香焼くん……いや、香ちゃん……貴女はもう完っ璧、女、女子、乙女、メス、♀、ガール、レディよ!」

香焼「……なんでさ」タラー・・・

佐天「相応の女子より女子っぽい事言ってるじゃん! しかも化粧直し!? 2,3年早いわ!」ウキャー!

香焼「……あはは」ポカーン・・・


なんかもうね……この子相当目立ってます。お願いだから騒ぐの止めてよ。

376 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 22:18:17.20 ID:zBpSYrA20
兎にも角にも、このままでは正体がばれてしまうので佐天さんを落ち着かせてから行動に移る。


香焼「あ、あのさ……とりあえず初春さんを見つけない?」タラー・・・

佐天「え、あ……そういえば何処に消えたのかな? メール返って来ないし……風紀委員の仕事?」キョトン・・・

香焼「白井さんか固法先輩に連絡してみれば分かるんじゃないかな」スッ・・・

佐天「そだね。メール入れてみる」Pi!


よし。話を逸らせた。


香焼「あとさ……さっきも話したけど自分も連れと来たんだ。だからちょっとそっちと合流したいかな」ポリポリ・・・

佐天「別に良いけど……私も一緒に行っていい?」チラッ・・・

香焼「止めといた方が良いと思う」タラー・・・

佐天「え? 何それ、どんな連れなの?」キョトン・・・


見た目年齢不詳の長身不良似非神父と、とても暑苦しい脳筋根性馬鹿野郎……とは言えない。


香焼「友人なんだけど……ちょっとバイトの関係でね。あんまり柄良くないんすよ」ポリポリ・・・

佐天「ん……もしかして、その女装に関係してるバイトの」ボソッ・・・

香焼「は?」ポカーン・・・

佐天「お、おかまバーとかニューハーフクラブのお姉さん達とか?」ドキドキ・・・

香焼「……そぉい」バシッ

佐天「あ痛ぁ!! な、何で叩くの!」キョトン・・・


僕がそんな所でバイトしていると勝手に想像した罰と、今までの不条理色々に対しての鬱憤晴らしです。


香焼「はぁもう……ごめん。兎に角、今度改めて紹介するからさ……男の時に」ボソッ・・・

佐天「んもー仕方ないなぁ……また戻って来るの?」チラッ・・・

香焼「多分ね。戻って来れなくても、もう一回くらいは挨拶しにくるよ」コクッ

佐天「そっか。りょーかい。そんじゃ此処からは一旦別行動って事で」ポンポンッ

香焼「うん。ごめんね」ペコッ


頭を下げ、佐天さんとは反対方向に歩き―――


佐天「あ。トイレは?」ピタッ・・・


―――……やっぱ走って逃げた。

377 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 22:55:16.21 ID:zBpSYrA20
何故かアニーやレッサーに追い回されてる様な気分だった佐天さんとの鬼ごっこから生き延び、漸く落ち着く。
とりあえずステイルに電話しよう。口調を『香』モードに直してっと。


香焼「……あ、もしもし。マグヌスさん」Pi!

ステイル『香か。すまない、ずっと放置していた。厄介なのに捕まってな』ハァ・・・

香焼「いえ……今ドチラに?」

ステイル『先程まで下に居たんだが、今はVIP室に引き戻された……厄介なヤツの所為で』ハァ・・・


どんだけ厄介な人なんだよ。


ステイル『今すぐは戻れないんだが……そうだ。此方に来るか?』

香焼「え!?」ギョッ・・・

ステイル『僕と一緒に入れば簡単に通れる。なぁに、そんなにセキュリティが堅い訳ではなかったよ』

香焼「あ、えっと」アタフタ・・・


確かにVIP席は興味があるけど……出られなくなりそうだな。


香焼「あ……今、トイレに並んでる最中なのでまた掛け直します」コクッ

ステイル『ん、下の並びは凄かったからな……此方(VIP用)のトイレなら空いてたぞ』

香焼「大丈夫……です。もう少しで入れるみたいなので」

ステイル『そうか。なら落ち着いてからもう一度連絡をくれ』


電話を切る。簡単に返事をしてしまったら拙い気がする。
さておき、次は軍覇に電話だ。


香焼「……出ない」フム・・・


忙しいのかな。超能力者が同じ場所に集まるなんて滅多にない事だし。
仕方ないので、蛇さんに電話でもしよう……そんな事を考えた時だった。


絹旗「―――」オドオド・・・


あ。


絹旗「―――」アタフタ・・・


迷子の迷子の子猫(もあい)さん発見。一人で居ちゃ拙い娘だろ……如何見ても挙動不審だし。


絹旗「―――」ガタガタ・・・


貴女人混みに一人で居たらパニくるって分かってるでしょうが。麦野さん(保護者)は如何した、麦野さんは。


香焼(はぁ……やれやれ)テクテク・・・


見逃せないな。

378 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/20(日) 23:16:18.57 ID:zBpSYrA20
なるべく吃驚させない様正面から近付き、声を掛ける。


香焼「最あ……絹旗さん」ノシ”

絹旗「え……あ!」パアアァ!

香焼「こんばんわ。一人で如何したんす……ですか」コクッ

絹旗「えっと……迷子を探しています」アタフタ・・・


思わず素の話口調になりそうだったが、何とかスルー。相変わらず最愛と淡希さん相手だと『香』で遣り辛い。
さておき、迷子探しと言ったか。最愛が迷子じゃなくて?


絹旗「ちょ、超失礼ですね。私が迷子になる訳無いでしょう……私がお姉ちゃんなんですから」ムンッ・・・

香焼「あはは、いえ、香焼兄さんから最愛さんは『よく迷子になって一人オドオドしてる』って聞いてたので」クスクス・・・

絹旗「……今度香焼に会ったら超ボコボコにしときます」ジトー・・・


あ、自分で仕掛けた地雷踏んだ。


香焼「ほ、程々にしてやって下さいね。兄さん、ガチで弱っちぃので……えっと、迷子、一緒に探しますよ」コクッ

絹旗「ええ。香焼は超々々々弱いですからね」フンッ

香焼「そ、そこじゃなくて……迷子の話を。(そこまで言わないでください。泣いちゃいますよ)」タラー・・・

絹旗「あ、そうでした。うーんと……妹2人と一組の夫婦です」コクッ

香焼「い、妹? 麦野さんじゃなく? あ……(そういえば、前メールで写メ送ってきたな)」フムフム・・・

絹旗「麦野は特別室で喧嘩してますから如何でも良い。兎に角、その子達が逸れちゃいました」シュン・・・

香焼「それって絹旗さんが逸れたんじゃ」タラー・・・

絹旗「その子達が! 逸れたんです! あと兄貴さんと姉貴さんも!」ムググ・・・


素直に『私が迷子です』と言えば良かろうに。


香焼「はいはい。あ、もしかして姉貴さんは固法さんの事? 電話しても出ないの……ですか?」ジー・・・

絹旗「え」ピタッ・・・

香焼「だから電話。その人達に連絡したのでしょう?」ジー・・・

絹旗「…………、」タラー・・・

香焼「……してない、とか?」タラー・・・

絹旗「……はい」ダラダラ・・・


なんでさ?


絹旗「け、携帯……そういう手段がありましたね!」アハハハ・・・

香焼「…………、」ハァ・・・


相変わらず、一人でパニックになると行動不能になるんだな。
麦野さんか固法さんに『絶対一人にするな』って言っておかないと。

379 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 00:05:49.32 ID:XzrQe8bQ0
一寸後、即解決。
固法さんと那由他ちゃん、それから御坂さんに似たおチビちゃんが最愛を迎えに来た。


那由他「んもー……姉さんったら、逸れた時ちょっと大きな声で呼んでくれれば気付いたんですよ」ハァ・・・

絹旗「ご、ごめんなさい」ペコッ・・・

打ち止め「ナユタン。お姉ちゃんは悪くないよ。私が手を離しちゃったから……ってミサカはミサカは反省してみる」シュン・・・

絹旗「いえ。私が目を離したからいけなかったんです。すいません、2人とも」ポンッ・・・

那由他「……やれやれ」ホッ・・・


随分とフランクに接してるな。僕以外にもこういう友達が居るってのは驚いたが、素直に嬉しい事だ。


固法「ごめんね……見つけてくれたのが貴方で良かったわ」ボソッ・・・

香焼「いえ。『普段』だったらもうちょっと早く見つけられたかもしれないっすけど……とりあえず、良かったっす」コクッ

固法「ええ。まったく、先輩が傍に居るっていうから安心してたのに……何で居ないのよ」ジトー・・・

打ち止め「クロヅマは煙草喫いに行ったよ、ってミサカはミサカは告げ口してみる」ニヤリ・・・

那由他「私は止めましたよーっと」サラッ・・・

絹旗「えっと、私は一本だけって聞いたのでそれくらいなら、と」アハハ・・・

固法「なっ!? 先輩……後で説教ね」ピキピキ・・・


いつになく固法さんが怖い。


打ち止め「ところで……貴女は? ってミサカはミサカはお姉ちゃんを助けてくれた恩人さんに尋ねてみる」ジー・・・

香焼「え、あ、はい。神崎香……です。那由他さんは先程お会いしましたが、貴女は初めまして……ですね」ペコッ・・・

打ち止め「私は―――むぐぐっ!?」ジタバタ・・・

絹旗「ええっと、この子、超電磁砲の妹なんです。姉貴さん達とも仲が良くって……ね?」チラッ・・・

打ち止め「ぷはっ! んもー、簡単にボロボロ話したりしないよってミサカはミサカは溜息ついてみる」ハァ・・・


つまり、この子も『妹達』か。後で蛇さんに聞いてみよう。


打ち止め「私の事は打ち止め(ラストオーダー)って呼んで頂戴、ってミサカはミサカは……謎の女的に誤魔化してみたり」キランッ・・・

香焼「あはは。宜しく。お嬢さん」コクッ

那由他「……ところで、貴女は一人なの?」ジー・・・

香焼「はい。2人と逸れた……というよりも、削板さんは知っての通り。マグヌスさんはVIPの方に呼ばれたみたいで」コクッ

絹旗「げっ……軍覇と知り合いなんですか」タラー・・・

那由他「ねー。あの脳筋根性バカと、こんな可憐なお嬢様が知り合いなんて信じられないよ」ジー・・・


あからさまに嫌そうな顔しないで下さい。
最愛が軍覇苦手なの知ってるから。あと那由他ちゃんも、何があったか知りませんが程々にしてあげて。

380 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 00:52:51.67 ID:XzrQe8bQ0
それから少し駄弁った後、後半開始予告のアナウンスが入る。


絹旗「―――だから、私は超最強ですけど那由他の能力とは相性悪いんですって」ムー・・・

那由他「姉さん、負け惜しみは苦しいよ……あ。そろそろ持ち場に戻んなきゃ」チラッ・・・

固法「そうね。戻る前に先輩見付けたかったけど……仕方ないわ」ハァ・・・

打ち止め「多分ミィがオッカナイから逃げたんだよ、ってミサカはミサカは元レディース鬼女を嫁に持った元ヤン旦那のってあ痛たた!」フガー!

固法「余計な事言わんでいい」///


鬼女って……この幼女は何を宣うか。


固法「ったく……あ、そうだ。香(こう)……崎さん、先輩帰って来るまで2人の事お願いして良い?」チラッ・・・

香焼「ええ。構いませんよ」コクッ

打ち止め「んー。でも始まっちゃうよ。クロヅマいつ戻って来るか分かんないし……ミサカはミサカは演奏観たいなって訴えてみる」ムンッ

固法「そうね……(二階席に最愛ちゃん連れてくのは可哀想だし)……それじゃあ、一回特別室行く?」チラッ・・・

香焼「……は?」ピタッ・・・

固法「だって香ちゃん、削板くんと来たんでしょ。顔出しとけば?」ニヤリ・・・


いやいやいや……麦野さん居るでしょうが!


固法「そこは、ほら……貴女達が行けば喧嘩止まるわよ」ニヤリ・・・

絹旗「確かに。打ち止めちゃんが居る場では、アイツら喧嘩しませんからね」コクッ

香焼「いや、そういう問題じゃなく!」アタフタ・・・

固法「それじゃあ2人とも。香ちゃんを特別席連れてってあげて。削板くんと『麦野さん』の知人って言えば通れる筈だから」ニヤニヤ・・・

絹旗・打ち止め「「りょーかいです」」ビシッ!

香焼「い、いやあああぁ!!」ウギャー!


ズルズルと引き吊られて行く僕。
最後に見たのは苦笑する那由他ちゃんと、怪しく輝く眼鏡を掛けた固法さんの黒い笑みだった……―――

381 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 01:44:40.15 ID:XzrQe8bQ0
 ――一方、一階特別室・・・・・



垣根「―――はぁ……帰りてぇ」グデェ・・・

麦野「うっさい。そういうアピール要らないわボケ。全員思ってる事だっつの」グデェ・・・

垣根「……だってよぉ」チラッ・・・

一方通行「…………、」スゥスゥ・・・

削板「くぅ……んが……むぅ」ムニャムニャ・・・

垣根「コイツら寝てるし……お前と2人きりの空間が嫌だ」ハァ・・・

麦野「」ピキッ・・・

垣根「んなキレんだよ。あ、もしかして『垣根王子様! 何でそんな事言うの!?』とかショック受けてだだだだだだぁっ!!」ギチギチギチ・・・

麦野「黙れカス!! 喋んな殺すぞ!」アイアンクロー!!

垣根「じゃ、じゃあ良いのか!? 俺も寝んぞ!! そしたら自動的にお前が挨拶だかんな!!」イダダダダッ!!

麦野「っぜぇ! それは公平にジャンケンだっつの! 寝てるこのガキ共含めてな!」バッ・・・

垣根「ぐべっ……っててて……オッカネェなぁ、オイ」ハァ・・・パンパンッ・・・

麦野「ったく……てかこういう場合、理事会側で原稿用意しとくのが筋でしょ。私らの性格分かってんならさぁ」ハァ・・・

垣根「大半は知らねぇだろ。てかこういう公の場って事は綺麗事役人だろうし」チッ・・・

麦野「嫌になるわ……って、もう後半なの」ジー・・・

垣根「やれやれ。馬鹿2人起こすか……寝たからって逃げられっと思うなよ」ヨイショ・・・


 コンコンッ・・・・・


麦野「あん?」チラッ・・・

垣根「誰だ? 役員か? それとも那由他かおっぱい眼鏡かチンピラか?」ドサッ・・・


打ち止め『おーい! 誰でも良いから開けてー! ってミサカはミサカは頼んでみる』コンコンッ


麦野「打ち止め(おチビ)か……第1位起こすには持って来いね」コクッ

垣根「ん? 窒素装甲(絹旗)は?」キョトン・・・

麦野「開ければ分かるでしょ……はいはい、開けたわよ。おチビちゃん」ガチャッ・・・

打ち止め「ムギノン、ありがとー。さぁ早く! ってミサカはミサカは2人に呼びかけてみたり!」ペコッ

垣根・麦野「「え?」」チラッ・・・



絹旗「ほら、香。早くしてください。もう始まっちゃいますよ!」グイグイッ!

香焼「イーヤー! 自分の席戻りますー!」ジタバタ・・・ズルズル・・・



垣根「……は?」ポカーン・・・

麦野「ぶっはっ!! ふ、不意打ち過ぎるわよ!!」ダハハハハッ!!

382 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 02:22:18.98 ID:XzrQe8bQ0
―――結局、ばれてしまった。しかも大笑い……だから来たくなかった。


絹旗「ん? 何で麦野はそんな超爆笑してるんですか?」キョトン・・・

麦野「ふっ、ひひっ……い、いやぁコッチの話」プルプル・・・

香焼「」チーン・・・


軍覇寝てるし。もう一人起きてるのは……第2位さんか。


垣根「あー……誰その娘?」ジー・・・

絹旗「……誰でも良いでしょう」ムゥ・・・

垣根「良かねぇだろ。一応特別席だぜ……まぁ見張りが通したんなら良いのか」フムフム・・・

打ち止め「カオルン、自己紹介しなきゃダメだよ。ってミサカはミサカはキョドってるカオルンに注意してみたり」チラッ・・・

香焼「あ、えっと……その」アタフタ・・・

麦野「……ほれほれ」ニヤリ・・・


何で貴女は心底楽しそうなんですか?


香焼「ハァ……神崎香……です。絹旗さんと削板さんの友人で、麦野さんは姉分の友人……です」ペコッ

垣根「え……お前ら(麦野と絹旗)、友達居たの?」タラー・・・

麦野「意味分かんねぇツッコミすんなボケが! テメェよりも居るっつの!」ギロッ・・・

打ち止め「んもー。ムギノンとテイトくんはいっつも喧嘩してるんだから……ってミサカはミサカは頭を抱えて嘆いてみたり」フー・・・

絹旗「トムとジェリーですから」コクッ

麦野「……絹旗ちゃん?」ゴゴゴゴ・・・

絹旗「な、何でも無いです」アハハハ・・・

垣根「ふーん……まぁ良いや。俺が第2位、んでそこで寝てる白モヤシが1位」クイッ・・・

香焼「はぁ。れ、超能力者の」タラー・・・

麦野「なぁによぉ。超能力者ならいつも見てるじゃない。私とか軍覇(ソレ)とか」グイッ・・・

香焼「もふぁ!? む、麦野ふぁん!?」ムニュン・・・

打ち止め「ずるーい! 私もムギノンにパフパフしてもらいたーい! ってミサカはミサカはけしからんカオルンを睨んでみる!」ガルルルッ!!

香焼「ちょ、麦野さん!?」カアアァ///

麦野「ふふふふ……おチビはいっつも黄泉川さんだったり美偉にして貰ってるでしょ。だから今日はおやすみー」ニヤリ・・・


悪ふざけが過ぎる。色々危ない。


麦野「なーによぅ、『香ちゃん』。女同士なんだからそんな恥ずかしがらなくても良いじゃない」ニヤニヤ・・・

香焼「そ、そういう問題じゃ……(ちょっとマジで止めて下さい! ボロ出たら拙いんすよ!)」ボソボソ・・・///

麦野(ボロも何も、坊やがその恰好で居る事事態が拙いんじゃないかしら? ばらされたくなかったら大人しく玩具なりなさーい)フフフ・・・

香焼「くっ……き、絹旗さぁん。助けて下さいよぅ」アタフタ・・・///

絹旗「超無理ですね。麦野は私の言う事聞かないです」キッパリ・・・


あー……不幸だ。


麦野(私に抱かれて不幸とか思ってたら殺すからね♪)ニコリ・・・


なんて……理不尽だ。
383 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 02:52:08.01 ID:XzrQe8bQ0
無理にでも脱出を試みるが、この人に純粋な力勝負で勝てる訳が無い。
腕相撲でカオリ姉さんの5割に勝つ人ですもん。因みに僕は2割とドッコイ。


打ち止め「ムギノーン。私もー、ってミサカはミサカはせがんでみる」ダッコー

垣根「むぎのーん。俺もー、ってカキネはカキネは上目遣いで頼んでみる」ダッコー

麦野「おチビは絹旗に抱っこしてもらいなさい……あと垣根は死ね」フフッ

垣根「……連れないヤツ」フンッ

打ち止め「むー……だってお姉ちゃんのおっぱい私と大差無いもん、ってミサカはミサカは正直にコメントしてみる」サラッ・・・

絹旗「ぐ、はぁ」グサリ・・・

麦野「ふふふふ……無い胸でも大丈夫よねぇ。香ちゃん」ニヤリ・・・


何故そこで五和並に巨乳の貴女が同意を求める!?


麦野「だって香ちゃんだってツルペタじゃない」サワサワ・・・

香焼「ど、何処触ってるん……ですか!!?」ビクッ!!

麦野「ブラすら着けてないこのおっぱい。まぁまぁ、『男』としては大事なのは胸の大きさじゃないわよねぇ。如何思う?」ニヤリ・・・

垣根「キマシタワー……って、え? 俺に聞いてんの?」ジー・・・

麦野「テメェじゃねぇよ」ジトー・・・


いやいや、今この場で会話できる『男性』は第2位さんだけですから。


麦野「……そういう答えが欲しいんじゃないっつの」スッ・・・

香焼「はい? って、ひゃんっ! ど、何処抓んで……ひぁっ!!?」ビクンッ!

麦野「てぃーくび」ギュッ


あー、そういえば姉さんが『麦野さんはシラフでセクハラしてきますよ』とか言ってたっけ。


絹旗「麦野……流石に犯罪です。姉貴さん居たら超逮捕ですよ」ジー・・・

麦野「良いのよ。この子は火織公認で私の玩具なんだから……ねぇ香ちゃん?」スッ・・・ニヤリ・・・

垣根「ガチレズ怖ぇわぁ」タラー・・・

香焼「え、え、と……あ、あの……あ! ぼ、僕削板さんに用事が有ってきたの……です!」ジタバタ・・・

垣根「僕っ娘とかあざといわぁ」ジー・・・

麦野(チッ……逃げやがった)ジトー・・・


さっさと声掛けて逃げよう。


麦野「ったく……おチビ。もう始まるから白いの起こして。反射使ってて私らじゃ起こせないのよ」クイッ

打ち止め「アイアイマム! ってミサカはミサカは……えいっ!」カチッ

一方通行「っ!!? ・・――――・――****■*△***ω****Σ*(□)***#*&%・、――**@$**ッ!!?」ガタッ!!

一同『っ!?』ギョッ・・・

打ち止め「あ、言語機能弄るのミスっちった。ってミサカはミサカは『てへぺろっ♪』してみる」(>ω・)ク”


一体、何したんすか。この幼女。

384 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 03:16:42.89 ID:XzrQe8bQ0
一寸後、打ち止めちゃんは電波的な何かをビビッと送った。


一方通行「                    ァ    ―――ぬかと思ったっつの……オイ、糞ガキっ!!」ギロッ!!

打ち止め「んもー。演奏会で寝てる方が悪いんだぞ! ってミサカはミサカは貴方に説教してみる」ムンッ

一方通行「縦しンばそうだとしても起こし方ってのが有んだろォがよォ! ボケ!」グリグリ・・・

打ち止め「痛たたたたぁ!!」ウギャー!


仲良いなぁ。


麦野「後は……絹旗。そこの根性馬鹿起こせ」チラッ・・・

絹旗「えー……麦野が起こして下さいよ」ジトー・・・

麦野「面倒臭ぇ。てか私とメルヘンのWボッコでも起きないし」フンッ

香焼「それって気絶してるんじゃ」タラー・・・

絹旗「そう易々と気絶しませんよ……やれやれ。コイツを力で如何こうしようってのが超間違いなんです」ハァ・・・

垣根「随分と自信あるじゃねぇか。お目覚めのキスでもするってか?」ハハハ

絹旗「頭沸いてんじゃないですか? 一言で済みますよ」チラッ・・・


軍覇は寝ちゃうと長いから、半日近く家で寝かしといた事あるなぁ。そんな便利な方法あるなら僕も知りたい。


絹旗「ふふっ。まぁ見てて下さい……おーい、軍覇ー」ジー・・・

削板「むにゃむにゃ」ンガー・・・

絹旗「香焼が痴女に襲われてますよー」サラッ・・・

香焼・麦野「「ブハッ!!」」ピクピク・・・


意味不明な一言に吹き出してしまった自分、そして腹抱えて蹲る麦野さん。その他一同総キョトン。一方、軍覇は……


削板「なん……だと……、」ピクッ・・・

香焼「何でピクつくんすんごごぅ!?」ジタバタ・・・

麦野「だ、黙ってみてなさい……もう少しで起きるんだから」プルプル・・・

絹旗「ん? まぁ良いです……軍覇ー。超早く起きないと香焼が結標淡希(脳味噌ド腐れビッチ女)に喰われますよー」サラッ・・・

香焼「」チーン・・・

麦野「い、息……息、出来、ない」ヒヒヒ・・・プルプル・・・


なぁにそれ怖い。


削板「だ……駄目だ香焼っ!! んな勝手に誰かと付き合うなんて俺とステイルが許さ……って、あ?」キョトン・・・

絹旗「おはよう、F」フンッ

削板「ん、ぁ……香焼の貞操は?」アタフタ・・・

絹旗「ふふふふ……超安心して下さい。私が代わりに助け出しましたから」ニヤリ・・・

削板「くっ……癪だが、今回ばかしは感謝してやるぜ。ありがとよ」ホッ・・・

絹旗「いえいえ。それより軍覇に客が……って、香?」チラッ・・・

香焼「」

麦野「ひゃっはっはっはっはっ! も、もうダメ! こ、これ以上、わら、笑わせんな! あひゃひゃひゃっ!」ゲラゲラゲラ!


酷い、嫌がらせを見た。

385 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 03:37:08.24 ID:XzrQe8bQ0
とりあえずやり場の無い怒りを如何する事も出来ないので、膝を抱えて部屋の隅で縮こまっとく。
『事情は分からないけど、まぁ頑張って』と僕の肩にそっと手を乗せる打ち止めちゃんが天使に見えた。


削板「あれ? 香……あ、悪い。すっかり忘れてたわ」タラー・・・

絹旗「超っ最っ低ですね。女の子一人ポツン放置しとくなんて」ジトー・・・

削板「す、すまん……って、ステイルは?」キョトン・・・

香焼「……VIP室の方に呼ばれたみたい……です」ボソッ・・・

削板「あー確か呼ばれるかもみたいな事言ってたな。え、じゃあもしかしてずっと一人で」タラー・・・

香焼「…………、」コクッ・・・

削板「……すまん」ペコッ


事情があったのだから仕方あるまい。だが、欲を言うなら其方から来て欲しかった。
そうすればこんな恥ずかしい想いしないで済んだだろうから。


垣根「……もしかしてその子、第7位の彼女?」ジー・・・

麦野(ぷはぁ! ほ、ホモじゃん!)プルプル・・・

削板「違ぇよ。この子と会ったのは今日初めてだ。成り行きでコンサート来る事になったんだっつの……さっき言ったろ」ジトー・・・

垣根「あー。ダチと遊ぶつもりが代わりにってか……まぁ良いじゃねぇか。素敵な嬢ちゃんとデート出来んだし」ハハハ

削板「うっせぇなぁ。もう一人連れ居るっつの。一緒にダチと遊ぶ約束してたんだ……ったく、香焼が家に居ればこんなとこ」ハァ・・・

打ち止め「こらグンパっち! エスコートしてる女子が居る前でそういう事言っちゃダメでしょ! ってミサカはミサカは注意してみたり!」

削板「あ……悪ぃ」ポリポリ・・・

香焼「ふふっ。いえいえ」クスクス・・・


実際、僕もそうしたかったしね。


麦野「ふーん……絹旗ぁ。坊やはアンタよりF取ったらしいわよ」ニヤリ・・・

絹旗「超ありえません。香焼は軍覇より私の方が超好きな筈です」フンッ

削板「あ!? んな訳ぁ無ぇだろ! 俺の方が香焼ん事好きだっつの!」ギロッ・・・

絹旗「はぁ?! 馬鹿じゃないですか? いえ、超馬鹿です。馬鹿決定です。地球が360度回っても私の優位性は変わりません!」ギロッ・・・

削板「マジざけんなし! 香焼は喧しい女共と居るよりも俺とかステイルと居た方が良いんだっつの! 万人が知ってる常識だろ!」フンッ!

一方通行「常識なのか?」チラッ・・・

垣根「さぁ。てか誰よ? あと地球は360度回っても同じだな」ジー・・・


冷静に会話してないで無駄な喧嘩止めて下さいよ! ってか発破掛けた麦野さん!


麦野「ひゃはははは! おもろー!」ケラケラケラ!


ダメだ、この人……後で固法さんに言いつけよう。

386 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 04:46:24.31 ID:XzrQe8bQ0
喧嘩する2人を打ち止めちゃんが一喝し、漸く静かになる。


一方通行「ったく、ガキの喧嘩は五月蠅ェのなンの……もう始まってンぞ」ジー・・・

絹旗・削板「「ガキじゃない!」」ジトー・・・

一方通行「はいはい……それより第7位よォ。はしゃぐのは結構だが、もしテメェが挨拶役になっても大丈夫なのか?」フンッ

削板「ぐっ……忘れかけてた事を」タラー・・・

香焼「挨拶役?」キョトン・・・

麦野「私達の中で誰かが最後に代表挨拶すんのよ」ハァ・・・


そりゃ……大変な事だ。誰一人まともな人間が居ないのに。


垣根「てかさぁ。どうせ今やってる演奏の部の最後に、超電磁砲と心理掌握出るんだろ。そのままアイツらにやらせろよ」ケッ

一方通行「アイツらはアイツらで個人スピーチ有ンだろ」フンッ

麦野「第6位は罰金ね……じゃあもうさぁ、私達の代わりにおチビの挨拶で良いんじゃない?」チラッ・・・

打ち止め「良いの!?」キラキラ・・・

麦野「ええ。そのまま歌でもダンスでもリコーダーでも何でも披露しちゃいなさい」フフッ

打ち止め「わーい! じゃあお姉ちゃんと一緒に何か歌うね! ってミサカはミサカは希憧の眼差しをステージに向けてみる!」キラキラ・・・

絹旗「わ、私あんな超大勢の前に立たされたら死んじゃいます!」ダラダラ・・・


確かに。パニックで乱雑解放(ポルターガイスト)起こしかねないな。窒素爆発でも起こしたら大問題じゃ済まないぞ。


一方通行「オイ、4位。悪魔の囁きしてンじゃねェよ。そのガキはマジでやるぞ」ハァ・・・

麦野「あら、良いじゃない」フフッ

一方通行「ざけンな……糞ガキ、大人しく座ってろ」フンッ

打ち止め「むー。相変わらずツマンナイんだからーってミサカはミサカは貴方の無粋っぷりを批判してみたり」ジトー・・・

一方通行「何とでも言え」ケッ


そう言われて第1位さんの膝上に、ちょこんと座る打ち止めちゃん。第1位さんは怒るだろうと思いきや……無言で演奏を静聴。


絹旗「アイツはツンデレでムッツリでロリコンでミサコンですからね」ボソッ・・・

香焼「み、ミサコン」タラー・・・


御坂美琴の血統コンプレックス……通称ミサコン。確か海原さんもそうだとか、土御門が言ってたな。


垣根「ハァ……てかそろそろマジで代表決めようぜ。間違って代表なんの直前は嫌だぞ」ジトー・・・

麦野「そりゃそうだけど、如何決めんのよ? ジャンケンは無し。Fの所為で一回毎に変な擬音鳴ったり爆発すっから」チラッ・・・

削板「無意識です。悪気は有りません。言葉通り感情が表に出ました」キッパリ・・・

垣根「面倒臭ぇ能力だな……んじゃ喧嘩ダメなんだから、クジで良いだろ」コクッ

一方通行「そンじゃ……俺らで作ったら不正出るから、お前ら作れ」チラッ・・・

香焼・絹旗・打ち止め「「「え?」」」キョトン・・・

垣根「随分と綺麗事言……いやいやいや。コイツらお前らの身内だろ! 俺だけ不利じゃん!」タラー・・・

一方通行「んな打ち合わせも何もしねェよ……おい、表で適当に1つ外れ入りのクジ作って来い。出来れば一斉に引けるヤツだ」ポンッ

打ち止め「はーい。それじゃあ割り箸か爪楊枝探して来るね! ってミサカはミサカはお姉ちゃん達の手を引いて退室してみたり」テクテク・・・


何だか無茶苦茶な話だが……今は流されとこう。少しでも外の空気を吸いたいからな。

387 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 05:07:00.92 ID:XzrQe8bQ0
爪楊枝単品なんてそう易々見つかる訳も無いので素直に事情を説明しスタッフから割り箸を二膳貰い、一本の先に着色。
一寸後、再度特別室に戻る。


絹旗「できましたよ」ガチャッ・・・

打ち止め「じゃーん! カオルンが握ってる4本の割り箸の中に一つだけ当たりがあります! ってミサカはミサカは説明してみる!」グッ!

香焼(何故僕が巻き込まれたし)ハァ・・・

打ち止め「一斉のーせっ! で引いてね! ってミサカはミサカは補足してみたり」コクッ

超能力者's『…………、』ジー・・・


息を飲む4人。


削板「お、おい……選ぶ順番は?」チラッ・・・

麦野「私コレ」スッ・・・

一方通行「ン」スッ・・・

垣根「じゃあ」スッ・・・

削板「……最っ低だな、お前ら」タラー・・・

一方通行・垣根・麦野「「「さっさと掴め、根性馬鹿」」」フンッ


性格悪ぃ……姉さんも麦野さんの相手大変だろうな。


打ち止め「それじゃー行くよ! 一斉のーせっ! ってミサカはミサカは――」

超能力者's『…………、』ジー・・・

打ち止め「―――叫……んでみたんだけど、如何して貴方達は固まってるの?」キョトン・・・

一方通行「オイ……垣根ちゃンよォ……先に箸上げろよ」チラッ・・・

垣根「いや……麦野……さっさと上げちまえ」チラッ・・・

麦野「そ、削板……いっその事、腹決めて見ちゃった方が楽よ」チラッ・・・

削板「い、言い出しっぺが先陣切るもんだろ……第1位」チラッ・・・


何だコレ?


絹旗「ハァ。超チキン超能力者共ですね……香。手を放しちゃって下さい」クイッ

香焼「あ、うん」パッ

超能力者's『あ!!』ギョッ・・・


何て顔してるんだ……ビビり過ぎっすよ。


打ち止め「はーい決定! 最後に〆は君だ! ってミサカはミサカは代表さんを指差してみたり!」ビシッ!


色付き先っぽの箸を引いたのは……―――

388 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/21(月) 05:14:20.56 ID:XzrQe8bQ0
はい、今回此処まで。

・アンケート:今回のは最後の挨拶係ね。


@一方通行

A垣根

B麦野

C削板



次回はバードウェイ姉妹と会わせるか、もうみさきちの所に向かわせるか……どっちが良いと思います?
とりあえずアンケ協力と、適当に御意見下さい。

それじゃまたね! ノシ”

389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/21(月) 06:35:39.80 ID:pF0myHQw0
乙!いつも面白いよ!
?メルヘンな翼で魅せてくれ!


あと、そろそろみさきち成分が足りないと思ってたんだ
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 06:37:09.39 ID:10l6c9VDO
乙! アンケは敢えてのBむぎのんで!

次だけど、そろそろみさきちと会っちゃっても良いんじゃないかな
バードウェイ姉妹とはまた別の機会で…最初は香焼(男)の時に挨拶的な
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/21(月) 06:44:27.13 ID:pPK0rk3AO
B
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 08:13:05.93 ID:0+JICBSDO
乙ー

同じく3で


姉妹は香焼の時に合わせてみたいですね
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/21(月) 18:33:05.56 ID:Fuw58Lxt0
B〜

そろそろみさきち成分を・・・
香とソギーの絡みみて勘違いすればいいんだよ。
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/21(月) 21:41:02.50 ID:BWap+cK50
むぎのん人気ww
だがここはあえての一方さんだね!!っつーことで1
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/21(月) 22:38:12.80 ID:Ev2h8jF0o
Bだな
396 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/21(月) 23:00:30.54 ID:XzrQe8bQ0
こんばんわ。ボチボチ投下します。
397 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/21(月) 23:17:24.26 ID:XzrQe8bQ0
―――……視線が、一つに集まる。


麦野「…………、」


一同フリーズ。


打ち止め「……けってー! ってミサカはミサカはムギノンの持ってる色付き――」



  ジュッ・・・・・



打ち止め「――割り箸、を……うぇ!?」ギョッ・・・


彼女の手にあった割り箸が、蒸発(?)した。


絹旗「む、麦野?」タラー・・・

麦野「……あはは。ごめん、割り箸の先見る前にドジっちゃった☆ やり直しね!」テヘッ♪

削板「いや、苦しいっしょ」タラー・・・

麦野「や・り・な・お・し……だね!」ゴゴゴゴ・・・

香焼「うわぁ」タラー・・・


今までに無い程、不気味な笑み。まぁ気持ちは分かるけど、ズルいっちゃズルいな。


打ち止め「むー! ムギノン! 卑怯な事したってダメなんだからね! ってミサカはミサカは他の三人の割り箸を指差してみたり!」ピッ!

麦野「ぐっ」ダラダラ・・・

香焼・絹旗・削板「……ははは」タラー・・・


流石に幼女には言葉の暴言も、手も出せないらしい。


一方通行「ぷっ……ギャハハハハッ! ざまァねェなァ、オイ! テメェが一番最初に掴ンでたのによォ!!」ケラケラケラ!

香焼「ちょ!?」ギョッ・・・

垣根「ウェヒヒヒッ! よ、幼女に注意されてやんの! だっせぇー! まぁパパさんの前で良いとこ見せろよ!」NDK!NDK!

垣根「お、おい馬鹿」タラー・・・

麦野「」プチッ!!


あ、ヤバい。


絹旗「っ!! ら、打ち止めちゃん! 失礼します!」ガシッ!

打ち止め「はぇ? って、あぁ〜〜〜〜れぇ〜〜〜〜! ミ、ミサカはミサカはお姉ちゃんに引っ張られて退室させられてみたりぃ〜」バッ!

削板「か、香! 掴まれ!」ガシッ!

香焼「え! っておわあああぁ!!?」ビューン!!


中学生以下退室……一寸後、大爆発が聞こえた。知ーらないっと。

398 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 00:01:12.77 ID:jU3I2cd40
 ―――とある翌日、PM08:15、学園都市第7学区、文化会館、ホール外通路・・・・・・







逃げ出したのは良いが、その後の事は考えて無かった。
自分と軍覇だけならまだしも、最愛と打ち止めちゃんが居ると行き場に困るな。

固法さんと那由他ちゃんは忙しいだろうし……そういえば、固法さんの彼氏さんは何処行ったんだ?


香焼「はぁ……絹旗さん、打ち止めちゃん。さっきまで一緒に居た人は何処に?」チラッ・・・

打ち止め「ふぇ? クロヅマの事?」キョトン・・・

絹旗「兄貴さんは……何処でしょうか。喫煙所にはもう居ない筈ですし」ウーン・・・

削板「電話すりゃ良いじゃん」コクッ


言われた通り、最愛が電話を掛けた。通話の間、軍覇と打ち止めちゃんがこの後如何するか話し合う。


削板「ぶっちゃけ戻りたくねぇよな。ジジイに何言われたとしても」ハァ・・・

打ち止め「私は何でも良いよー! ってミサカはミサカは今すぐにでも演奏観たいって訴えてみたり」ウーン・・・

香焼「それはそうでしょうけど……絹旗さんの事を考えると、やっぱり」チラッ・・・

削板「あー……だから黒妻の兄ちゃんを保護者に、ってか」フムフム・・・

香焼「合流出来れば……ですけどね」チラッ・・・


最愛の様子を見るに、多分通話は繋がっている様だ。


削板「まぁ俺らは良いとして、香は?」チラッ・・・

香焼「あ、え。僕……ですか?」キョトン・・・

打ち止め「行く場所無いならまた私達と一緒に来ても良いよ、ってミサカはミサカはカオルンを誘ってみる」ビシッ

香焼「ありがとね」フフッ


しかし、そろそろ任務の方をこなしたい。


香焼「……だけど、僕は友人達の方へ戻ります」コクッ

削板「え? もしかしてステイルんとこ(VIP室)行くのか?」ジー・・・

香焼「いえ。固法さんの後輩の所……です。風紀委員の詰め所で何度かお会いした友人……です」コクンッ

打ち止め「もしかしてサテンサンとお花のお姉ちゃんとハルウエ? と……+α(白井黒子)? ってミサカはミサカは尋ねてみる」ジー・・・

香焼「ええ。そう……ですよ。打ち止めちゃんも詰め所で?」フム・・・

打ち止め「イエス! 偶にミィの所に遊びに行くもん! ってミサカはミサカは威張ってみる!」エヘンッ!


無い胸を張る打ち止めちゃん。だったら佐天さんと初春さんの所にこの子達を連れてっても良いかな……いや、最愛的に無理か。
結局、最愛の電話待ちという事になった。

399 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 02:03:34.68 ID:jU3I2cd40
一寸後、最愛の電話が終わった。


絹旗「兄貴さん、照明スタッフの手伝いで超忙しいそうです」ハァ・・・

香焼「それでは仕方ない……ですね」フム・・・

打ち止め「それじゃあ如何するの? サテンサン達の所? ってミサカはミサカはさっきのカオルンの提案を思い出してみる」ウーン・・・

香焼「…………、」チラッ・・・

絹旗「え? 佐天も来てるんですか?」キョトン・・・


彼女の下へ連れてく分には構わない。問題は人混みの中だ。


香焼「佐天さんは、二階席に居ます」ジー・・・

絹旗「うわ……超込んでるとこじゃないですか」タラー・・・

打ち止め「私は別にどっちでも良いよー、ってさっさと演奏を観たいミサカはミサカは宣言してみる」ムンッ

軍覇「俺も特別室以外なら何処でも」コクッ

絹旗「……うー」タラー・・・


あの中に最愛を放り込んだら観賞どころではなかろう。さて、如何するか。
静かな場所……VIP室か。一度ステイルに頼んで4人入れないか聞いてみるのも手かな。

と、携帯に手を伸ばした刹那―――奥の方から複数の足音が。


打ち止め「あ……ゲコ太先生とヨミカワだ、ってミサカはミサカは指差してみる」ピッ

香焼「え? って……え!?」ギョッ・・・

絹旗「ちょ、う、後ろ……パ、駆動鎧(パワードスーツ)!?」ダラダラ・・・

削板「うげっ!! じ、ジジイまで!?」ギョッ・・・


冥土帰し(先生)と黄泉川さん、それから見た事の無いフォルムをした駆動鎧。
そして軍覇が『ジジイ』と呼んだ……強面(こわもて)の男性。


黄泉川「打ち止め!」タッタッタッ・・・

打ち止め「そんなに慌てて如何したの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」キョトン・・・

黄泉川「如何したのって、特別室が大変な事になってるって連絡来たじゃんよ!」ダラダラ・・・

絹旗「は、はぁ」タラー・・・

冥土帰し「君達が超能力者連中の馬鹿騒ぎから逃げてきたのは幸いだったね……巻き込まれなくて良かった」ホッ・・・


一体誰が連絡したんだ?
あの部屋に監視カメラは付いてなかったと思うけど……もしかして御坂妹(10032号)さんと御坂丸(10039号)さんかな。

400 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 02:22:25.59 ID:jU3I2cd40
色々気になる所だけど、彼らに任せた方が無難だろう。
此処は一先ず離れて電話を……と思った時、軍覇が―――吹っ飛んだ。


香焼・絹旗「「っ!!?」」ギョッ・・・

削板「ぐっ……て、テメェ……ジジイ!」ギロッ・・・

黄泉川「しょ、所長!?」タラー・・・

所長「軍覇……貴様、あそこから出るなと言ったろう」ギロッ・・・


所長と呼ばれた人物が、軍覇を殴った。あの軍覇がこうもあっさり吹っ飛ばされるなんて信じられない。


削板「しゃーねぇだろ! ソイツら守んなきゃいけなかったんだっつの!」チッ・・・

所長「喧しい。あの連中を貴様が黙らせれば済んだ話だろうが。それとも何か? 貴様もアイツらに混ざってまた暴れようとしてたか?」ギロッ・・・

削板「違ぇよボケ! んな狂人扱いすんな!」ギリッ・・・

所長「ほぅ口答えか。なら……ん」チラッ・・・

冥土帰し「神くん。そこまでだ……優先順位を違えないでくれ」ジー・・・

所長「……フンッ」チッ・・・


険悪ムード。僕と最愛と打ち止めちゃんは戸惑っていた。


冥土帰し「兎に角、あの部屋に行って彼らを止める。まったく……垣根くんまで能力使用し出した様だからね」ハァ・・・

駆動鎧『チッ……あの馬鹿は首輪(爆弾)の事も忘れたらしいわね。死ぬなら勝手に死ねっつったのによぉ』ケッ・・・

香焼・絹旗「「しゃ、喋った!?」」タラー・・・

打ち止め「そりゃ駆動鎧だもの。中に人は居るよ、ってミサカはミサカはこんな状況で冷静に解説してみたり」ピッ


そりゃそうか。でも誰が中に?


黄泉川「ハァ……急ぐじゃんよ。そろそろ喧嘩じゃ済まなくなるじゃん」ヤレヤレ・・・

駆動鎧『そうね……ジジイ共。先行ってるわよ』キュルルル・・・

冥土帰し「ああ。僕も後から向かう。打ち止め、悪いけど後で来てくれ。一方通行(彼)のバッテリーを強制的に落とすから」チラッ・・・

打ち止め「うーん……仕方ないね、ってミサカはミサカはあの人の暴走っぷりに頭を抱えてみたり」ハァ・・・

所長「軍覇。貴様も来い。『C・D(キャパシティダウン)』を使用する。影響受けない貴様も仕事しろ」フンッ・・・カツカツカツ・・・

削板「ケッ……また戻んのかよ」ハァ・・・


嫌々歩を進め黄泉川さん達の後を追う軍覇。その後に先生と所長さんが続いた。

401 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 02:40:41.84 ID:jU3I2cd40
ポツンと残された僕ら三人。


打ち止め「……如何しよう、ってミサカはミサカはお姉ちゃんを見てみる」ウーン・・・

絹旗「超困りましたね。今戻っても『C・D』使われたら……私も打ち止めちゃんも超フニャフニャになっちゃいますから」ハァ・・・


やはりステイルに電話しようか。


香焼「あ」ピタッ・・・

絹旗「如何しました?」キョトン・・・


花を特別室に忘れた。


絹旗「あー……多分、超メチャクチャですよ」タラー・・・

香焼「如何しよう……渡さなきゃいけないのに」ウーン・・・


任務(修行)が続けられない。もう諦めるしかないかな……―――


御坂蛇「その提案は許可しない、とミサカはいきなり後ろに現れて香に忠告を入れます」スッ・・・

香焼・絹旗「「っ!!?」」ビクッ!!

打ち止め「あ、スネークだ」ジー・・・


―――心臓に悪いです。勘弁して下さい。てか何処から来たの!?


御坂蛇「あのダンボールの中に居た、とミサカは回答します」クイッ

香焼「ぎょ、業務用の……って、一体何を」タラー・・・

御坂蛇「香が欲しいのはコレだろう、とミサカは花籠を手渡します」スッ・・・

香焼「っ! な、何で」ギョッ・・・

御坂蛇「……『全て』を監視してると言ったろう、とミサカは耳打ちします」ボソッ・・・


この人と海原さんは敵に回したら最後だな。


絹旗「し、妹達(シスターズ)が如何して此処に? というか香と知り合いなんですか?」ポカーン・・・

御坂蛇「ん……初めましてかな、窒素装甲。香は私の……まぁ『同門の妹(弟子)』みたいな者だ、とミサカは正直に説明します」コクッ

絹旗「へ? どーもん?」キョトン・・・

香焼「え、えっと、塾が一緒だったの……です。柔術の!」アタフタ・・・

絹旗「じゅーじゅつ、ですか?」ヘ???


慣れない言葉並べれば最愛は騙せる。そして見栄張って知ってるフリするから扱い易い。
香焼(男)の時に学んだ知識を使わせて貰うのは申し訳ないが……今は許してくれ。

402 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 03:04:19.38 ID:jU3I2cd40
さておき、花を届けた且つ直接目の前に現れたという事は新しい指令か。
最愛達にばれない様遠回しに尋ねてみようとした時……打ち止めちゃんが先に口を開いた。


打ち止め「スネーク、私もお花欲しい! ってミサカはミサカは要求してみたり!」ジー・・・

御坂蛇「……は?」ポカーン・・・

打ち止め「だから、お花!」フンッ


なんでさ。


打ち止め「だってあの人(一方通行)買ってくれなかったんだもん! ってミサカはミサカは僻んでみたり」ブー・・・

御坂蛇「いや、それは如何でも良いとして……何故、花を要求するんだ? とミサカは上位個体に質問します」ジー・・・

打ち止め「決まってるでしょ。御姉様(オリジナル)に渡すの、ってミサカはミサカは当たり前の回答をしてみる」コクッ

絹旗「超電磁砲に?」キョトン・・・


やはり打ち止めちゃんも妹達の一人だったのか。他の個体とは少々容姿が違って見えるが……事情があるのだろう。


御坂蛇「……駄目、とミサカはキッパリ断ります」フイッ

打ち止め「なーんーでー!」ブーブー!

御坂蛇「一方通行(保護者)が上位個体(貴女)に花を買わなかったのは理由あっての事、とミサカは当たり前の回答をします」ジー・・・

打ち止め「そんなの知らない! ケチ! ドケチ! 毒蛇! ストーカー! ってミサカはミサカは罵倒しちゃってみたり!」ウギギ・・・

御坂蛇「何とでも」サラッ・・・

絹旗「……何でダメなんですか?」ジー・・・

御坂蛇「窒素装甲に回答する必要は無――」

打ち止め「御姉様が迷惑するからダメだって……あの人が言ってた、ってミサカはミサカは……むぅ」ショボーン・・・

御坂蛇「―――……ったく」ヤレヤレ・・・


別に迷惑しないだろう。先程、固法さんの詰め所に遊びに行ったという話を聞く限り知らない仲では無い様だし。


絹旗「一言私か姉貴さん辺りに言えば買ってあげたのに」ポンッ・・・

打ち止め「…………、」ムスー・・・

御坂蛇「甘やかさないで貰いたい。唯でさえ最近調子に乗ってる個体(ミサカ)だ、とミサカは注意します」ジー・・・

絹旗「な……そういう言い方無いでしょう」ジトー・・・


最愛が自分の事以外で怒った。何とも珍しい……それだけ打ち止めちゃんが大事な存在という事か。

403 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 03:20:19.77 ID:jU3I2cd40
不動で睨み合う最愛と蛇さん。しょぼくれる打ち止めちゃん。


香焼「……あ、あの」タラー・・・

御坂蛇「何か」チラッ・・・

香焼「……僕、花束二つ用意してましたよね」ジー・・・

御坂蛇「だから何だ。香が渡すのは食蜂操祈の分だろう、とミサカは確認します」スッ・・・

香焼「御坂さんにも渡すつもりだった……です」チラッ・・・

御坂蛇「……貴様」ジトー・・・


何とでも言え。


香焼「もう一籠、お願いできませんか」コクッ・・・

御坂蛇「……駄目だ」チッ・・・

香焼「じゃあこの花籠、御坂さんに渡しますね。操祈さんは次回に別のモノを渡します」ジー・・・

御坂蛇「…………、」チッ・・・


無表情だが、雰囲気で怒っているのが分かる。
蛇さんは携帯を取り出し、その場から離れた……一寸後、僕に携帯を手渡す。多分海原さんか土御門だろう。


香焼「……はい」Pi!

土御門『ボケ。甘ちゃんが』ハァ・・・

香焼「知ってます」コクッ・・・

土御門『お前何しにそこ行ったか分かってんのか? まぁ分かってやってるんだろうけどよぉ……ホント、馬鹿じゃねぇの』ッタク・・・

香焼「すいません」コクッ・・・

土御門『反省してねぇだろ……やれやれ……俺とスネークは反対なんだが、海原とねーちんはOKだってよ』フンッ


海原さんはミサコンだから分かるけど……カオリ姉さん?


土御門『その代わり、さっさと任務こなせ。因みに、これ以上のサポートは無しだかんな』ケッ

香焼「はい、自力で何とかします」ペコッ

土御門『当たり前だ……最後に、追加任務。海原からの要求だ……馬鹿みたいな内容だが、そうしろと五月蠅ぇからな』ケッ

香焼「え?」キョトン・・・

土御門『打ち止めを楽屋に同行させろ。てかこれだけだとウェット掛んねぇから俺からも追加だ。窒素装甲も連れてけ』チッ

香焼「なっ!?」ギョッ・・・

土御門『以上だ。さっさとしろ。あと、その2人とはなるべく相談禁止だぞ。助力借りるのも無しだ。じゃーな』Pi!

香焼「ちょ……切ったし」タラー・・・


何だその意味不明な追加任務は。一人でさえ大変なのに、三人って……一体如何しろってんだ。

404 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 03:40:01.33 ID:jU3I2cd40
電話を切ると同時に、外に出ていた蛇さんが入口から入って来る。手には花籠。


御坂蛇「…………、」フンッ

打ち止め「え? 良いの?」キョトン・・・

御坂蛇「香に感謝しろ、とミサカは嫌々手渡します」ジトー・・・

打ち止め「え、あ、うん……カオルン。ありがと、ってミサカはミサカは感謝してみる」ペコッ

香焼「良いよ。気にしないで下さい」フフッ

打ち止め「あと……スネークも、ありがと」ペコッ

御坂蛇「謂われが無い。業務みたいなモノ……とミサカは去ります」クルッ・・・


踵を翻す蛇さん。この人はホントにドライだな。


御坂蛇「そうそう。今の時間帯……御姉様達の楽屋前は割と空いてるかもな、とミサカは独り言を呟きます」テクテク・・・

香焼「え」ポカーン・・・


という事は、すぐ行けというアドバイスか……やはり何だかんだ言って、ツンデレ(御坂)さんなんだね。
そうと分かれば実行あるのみ。


打ち止め「ふふふっ! 御姉様吃驚するかなぁ♪ ってミサカはミサカはワクワクしてみたり!」フフッ

絹旗「ええ、超喜んでくれますよ」ナデナデ・・・

打ち止め「えへへ」ニパー♪

香焼「ふふっ……ところで、打ち止めちゃんはいつ渡す……ですか?」チラッ・・・

打ち止め「え? うーん……終わってからかなぁ、ってミサカはミサカはアバウトに推測してみる」ポリポリ・・・

香焼「直接渡すつもり?」ジー・・・

打ち止め「勿論!」コクッ・・・


多分無理だろう。
コンサート終了後、演奏者代表数名(御坂さん、操祈さん含む)は一応入口付近に並んで見送りするが、その際超混雑になる。
彼女らのファンが大量に詰め寄せ、パニック状態になるだろう。その中で余裕を持って花を渡すのは不可能。
精々スタッフに『此方のファンボックスにメッセージやお花、送りモノを入れて下さい』と流されるのがオチ。

仮に待ったとしてもそれは既に深夜近く。打ち止めちゃんには厳しい時間だ。黄泉川さんか一方通行さんに無理矢理帰らせられるだろう。


香焼「後日じゃ駄目……ですよね」チラッ・・・

打ち止め「お花枯れちゃうよ、ってミサカはミサカは綺麗な花籠を見詰めてみたり」ウーン・・・


良し。準備は出来た。


香焼「……今から楽屋に行けば、大丈夫かも」ボソッ・・・

絹旗・打ち止め「「え?」」ポカーン・・・

香焼「御坂さんが演奏する直前の今が最後のチャンスかもって事……です」コクッ・・・

打ち止め「っ! 行きたい! ってミサカはミサカは訴えてみる!」キラキラ・・・


喰い付いた。後は最愛の説得だ。

405 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 04:04:54.48 ID:jU3I2cd40
打ち止めちゃんの輝く目に困ったフリをしながら、道化を続ける。


絹旗「でも……今は超迷惑じゃないでしょうか。という楽屋まで通して貰えるかどうか」ウーン・・・

香焼「あー、そうだね」ポリポリ・・・

打ち止め「えー……行けると思ったのにー……ってミサカはミサカはションボリしてみる」ハァ・・・

絹旗「…………、」チラッ・・・ウーン・・・


最愛の気持ちも揺らいできたぞ。


香焼「えっと……今は8時50分。御坂さんの演奏は多分最後だろうから……10時半くらいでしょうか」フム・・・

絹旗「あと一時間半なら……超余裕ですよ」コクッ・・・

打ち止め「っ!! なら!」パアアァ!!

絹旗「でも、そう易々侵入出来る場所じゃないですって」ハァ・・・

打ち止め「大丈夫、こっそり入るから! ってミサカはミサカはゲームで鍛えたスネークばりの潜入(スニーキング)力を自慢してみる」ニヤリ・・・

絹旗「ゲームって……まぁ運が良ければ、姉貴さんや那由他に一言言って通して貰えるかもしれませんね」ハハハ・・・

香焼「あ……絹旗さんは一応SP扱いみたいなので色んな場所行き来できるのでは?」チラッ・・・

絹旗「私だけ行けてもしょうがないでしょう。別に私は誰かに花束渡したいなんて思ってませんし」コクッ・・・

香焼「問題は僕と打ち止めちゃん……ですか」ハハハ・・・

絹旗「……というか香。貴女もなんですか?」キョトン・・・

香焼「あはは……僕も、一応直接渡したいなぁと思いまして」ポリポリ・・・

絹旗「さっき妹達の一人が言ってましたけど……まさか、マジで食蜂操祈に!? 何で!?」ギョッ・・・

香焼「えっと……友達……ですから」フフッ

絹旗「え、う、嘘……あの、常盤台の女王蜂が!? 友達が居た!? てか香が友達!? 超信じられません!!」タラー・・・


御坂さんと白井さんにも言われました。まぁでも、疑い無しで会えばそれ相応の女子校生だよ。


打ち止め「何でも良いよ! 兎に角私とカオルンはお花を渡したいの、ってミサカはミサカは確認宣告してみる」ムンッ!

絹旗「……仕方ないですね」ハァ・・・

香焼「あ、別に最悪僕達だけで行きますよ。絹旗さんに迷惑掛けられませんから」チラッ・・・

絹旗「放っておける訳無いでしょう……それに、一人放置される方が超嫌ですってば」ボソッ・・・


確かに。かといって、特別室に戻りたくも無いだろうからな。


打ち止め「じゃあ決定! 私達で潜入任務を行う! ってミサカはミサカは司令官(コマンダー)っぽく宣言してみる!」ニヤリ・・・

香焼・絹旗「「お、おー」」ハハハ・・・


如何やら上手く誘えた様だ。あとは具体的な手段を考えよう。

406 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 04:31:02.20 ID:jU3I2cd40
さて、最愛は問題無いとして僕らの動向だ。
最初で最大の難関は一般人侵入禁止通路の警備員。例え出演者の親族だろうと通して貰えない。
ただし、そこさえ突破してしまえば後は監視カメラに気を付けれて進むだけ。


打ち止め「外のトイレとかから入れないのかな? ってミサカはミサカは提案してみたり」フムフム・・・

絹旗「無理でしょうね。窓はスライドタイプじゃない筈です。壊せば入れなくは無いですけど……セキュリティに引っ掛かります」コクッ

打ち止め「じゃあ……警備員をビビビっと電気で」ビリビリ・・・

香焼・絹旗「「ダメ」」キッパリ・・・

打ち止め「おぅふ」タラー・・・


難しいな。何か良い手は無いだろうか。
海原さんや蛇さんのアドバイスを聞ければ助かるのだが……ん?


香焼「蛇さん……か」フムフム・・・チラッ・・・

打ち止め「スネークが如何かしたの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」ジー・・・

香焼「ちょっと待ってて下さい」キョロキョロ・・・


確か先程まで其処ら辺に……有った!


絹旗「香? 何を……って、へ?」キョトン・・・

香焼「『これ』……使えます!」スッ!

打ち止め「そ、それは! 伝説の! ってミサカはミサカは驚いてみたり!」ギョギョッ!


作戦が思い付いたぞ。『これ』なら行ける!
あとは間違えなく御坂さんと操祈さんの楽屋に良ければ……オールクリアだ。
これは最愛に先行して部屋を確認して来て貰えば問題無い。では早速彼女に―――と、メールが入った。


香焼(つ、土御門……『それ以上助力仰ぐ。あと相談すんな。テメェで何とかしろ(^ω^ # ピキピキ・・・』……うわぁ)タラー・・・

絹旗「如何しました?」チラッ・・・

香焼「い、いえ、何でも」タラー・・・


こうなったら出たとこ勝負か。


香焼「うん……大丈夫。行きましょう。関所さえ越えてしまえば、後は自力で探し当てるだけ……です」コクッ・・・

絹旗「はぁ。えっと、それで如何やって? 2人は納得したみたいですけど、私は超さっぱり分かりません状態です」ポカーン・・・

打ち止め「じゃあ私が説明しよう! ってミサカはミサカは某技師長ばりに高説してみる! あのね……―――」ゴニョゴニョ・・・


こうして僕ら三人の『オペレーション光学迷彩(命名:打ち止めちゃん)』がスタートした……―――

407 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 05:01:27.78 ID:jU3I2cd40
 ―――とある翌日、PM09:15、学園都市第7学区、文化会館、一般人立ち入り禁止通路・・・・・・





警備員「……ん?」チラッ・・・


絹旗「よいしょ……香。もうちょっと早く歩いて下さいよ」テクテク・・・

香焼「き、絹旗さんが力持ち過ぎる……です」アタフタ・・・


警備員「君達。その荷物如何したんだ? 此処から先は一般人立ち入り禁止だよ」ジー・・・

香焼「あ、お疲れ様……です。これ、運ぶ様に頼まれました」コクッ・・・

警備員「誰から?」キョトン・・・

香焼「麦野沈利さん……です。コッチの子のIDチェックして貰えれば分かります」チラッ・・・

絹旗「…………、」ペコッ

警備員「ん……両手塞がってるから学生証出せないか。一度、そこに荷物置いて貰えるかな」ジー・・・

香焼「手を離してしまうと、また持つの大変……です」ウーン・・・

警備員「むぅ。だが規則でなぁ……では私が君の学生証出しても良いかい?」チラッ・・・

絹旗「……首に、ネームプレート掛ってます」ボソッ・・・

警備員「ん? あ、それね。ちょっとスキャンさせて貰うよ……絹旗、最愛さん……うん、確かにSPだね。って……SP? 君が?」キョトン・・・

絹旗「…………、」コクッ・・・

警備員「こんな小さな子が超能力者のSPって」タラー・・・

香焼「人を見た目で判断してはいけませんよ。こう見えて彼女は高強度(ハイレベル)の能力者……ですから」ジー・・・

警備員「あ、いやいや、失敬。それで……君は?」ジー・・・

香焼「僕は一般人……です。でも彼女友達で、重たそうにこれを持っていたので手伝いを」コクッ・・・

警備員「んー。本当はダメなんだけどなぁ……何処に運ぶんだい?」ジー・・・

香焼「超能力者の御2人にプレゼントをと、麦野さんから。重いのは他の3人の超能力者も一緒に物を入れたらしくて」チラッ・・・

警備員「成程ね……うん。分かった。じゃあそれ此処に置いといて貰えるかな。後は此方で運んでおくから」コクッ

絹旗「……私達が運びます」ジトー・・・

警備員「気持ちは嬉しいけど規則でね。同じ超能力者さんの差し入れと言っても中身調べない事には」コクッ

香焼「……分かりました。それじゃあ置いときますね」スッ・・・

警備員「うん。任されました」カキカキ・・・

香焼「お願いします。それでは行きましょう、絹旗さん」チラッ・・・

絹旗「はい」テクテク・・・

警備員「それじゃあチェックっと」スッ・・・

香焼「あ! 言い忘れました!」パッ!

警備員「え?」ピタッ・・・

香焼「コッチの小さい方に入ってる中身を御坂さんと食蜂さんで分けて貰って―――」

警備員「指定が有るんだね。どれどれ―――」

絹旗「…………、」チラッ・・・コクッ・・・





ダンボール(?)『(OK!)』ススッ・・・カサカサカサカサ・・・

408 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 05:17:00.02 ID:jU3I2cd40

 ――一寸後・・・・・


警備員「―――……うん。分かったよ。もう大丈夫だから、あとは任せてくれ。(面倒臭いなぁ)」ポリポリ・・・

香焼「(もう良いな)……はい。よろしくお願いします」コクッ・・・

警備員「それじゃあ……って、あれ……大きい方の箱は?」キョロキョロ・・・

香焼「え? そこに……無い!?」ギョッ・・・

警備員「え、いや、さっきまで此処に……え?」キョトン・・・

香焼「な、何で!?」アタフタ・・・

警備員「何でって言われても……私が聞きたいよ」タラー・・・

絹旗「……今、後ろの警備員さんが持って行きましたけど」ジー・・・

警備員「えっ!? まだチェック中だったのに……というか一声掛けろよ。私が主任に怒られるんだから……一体誰だ?」タラー・・・

香焼「あの……本当に大丈夫でしょうか」ウーン・・・

警備員「あ、うん。警備員が持ってったんなら大丈夫だ……一応後で監視カメラで確認しとくから安心してくれ」ポリポリ・・・

香焼「……お願いしますね」ハァ・・・

警備員「はいはい。任せて下さい。(というか、お前がたかが菓子飲み物で時間取った所為だろうが)」ハァ・・・

絹旗「香……行きましょう」テクテク・・・

香焼「はい」テクテク・・・

警備員「ふぅ……やっと行った。あーもう面倒だから未記入で良いや。超能力者からの特別差し入れって事で……怒られないだろ」ケシケシ・・・







監視カメラ「――――――」ジー・・・

ダンボール?『(如何しても死角が無い所は……えいっ! ってミサカはミサカは電磁波送ってみたり!)』ビリビリ・・・

監視カメラ「――…――……―――……………―……―………………、」ピタッ・・・

ダンボール?『(クリア! では先へ進む! ってミサカはミサカは一人無線ごっこしてみたり!)』フフフ・・・カサカサカサカサ・・・

409 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/22(火) 05:40:06.37 ID:jU3I2cd40
―――如何やら上手くいった様だ。とりあえず打ち止めちゃんは辿り付けるだろう。


絹旗「しかし……ダンボールって」タラー・・・

香焼「いや、大丈夫かなって」アハハ・・・


余談だが……後日、海原さんと蛇さんに超褒められました。


香焼「後は僕達……ですね」コクッ・・・

絹旗「私は手筈通り迷子の打ち止めちゃんを探しに来たって事にすれば、すんなり通れますけど……香は?」キョトン・・・

香焼「僕は……上手くやりますよ」ニヤリ・・・

絹旗「ん? 何か能力を……って確か無能力者でしたよね」フム・・・

香焼「ええ。でも才能が無いなりに努力しましたから」ハハハ・・・


言葉を濁すが、魔術は『才能が無い人間が有る者に追い付く為』のモノである。


絹旗「……本当に大丈夫なんですか?」ウーン・・・

香焼「はい。僕、兄さん(香焼)よりは『かくれんぼ』とか上手なの……ですよ」フフフ・・・

絹旗「かくれんぼって」タラー・・・

香焼「兎に角、先行して下さい。台詞は覚えましたね?」ジー・・・

絹旗「えっと……『迷子が一人来ませんでしたか?』……『第1位の連れで、超電磁砲の妹なので私が直接探します』……OK?」チラッ・・・

香焼「OK。そこまで言われたら通れる筈……です。そういう言い方をすれば打ち止めちゃんは一級の要人扱いでしょうから」コクッ・・・

絹旗「でも、他の警備員も一緒に探すって言われたら?」ムゥ・・・

香焼「『身内の恥をあまり公にしたくない。仮にも超能力者、しかも大トリ出演者の妹だぞ』って言えば問題無し」チラッ・・・

絹旗「それでも、内密に私だけでも御一緒しますとか言われたら?」ウーン・・・

香焼「『では私は超電磁砲の所に直接行く。貴方は別の場所を頼む』……完璧でしょう」フフッ

絹旗「おぉ……香は超頭切れますね!」キラキラ・・・


警備の優位性としては最愛の方が上だ。そこまで言えば断れない筈。
問題は……彼女自身の人見知りだ。今の台詞を上手く言えるだろうか。


絹旗「ふんっ。嘗めないで下さい。仕事モードの私なら何だって出来ますよ」ニヤリ・・・

香焼「……仕事モード?」キョトン・・・

絹旗「あ、い、いえ、忘れて下さい……兎に角、打ち止めちゃん探しなら超マジになるって事です。御安心を」コクッ・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・

絹旗「それより、香こそ失敗しないで下さいね」ムゥ・・・

香焼「大丈夫……です。花籠は打ち止めちゃんが持ってってくれましたし、身軽なら如何とでも出来ます」フフッ

絹旗「……もし、捕まったら私に電話してください。すぐ駆け付けますから」クルッ・・・テクテク・・・


最愛が先行した。さぁて……これからが本番。鍛錬の成果を活かして、任務(実戦修行)を成功させるぞ。

410 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/22(火) 06:25:43.58 ID:jU3I2cd40
短いですが今回は此処まで。次回で終わらせたいね。


<ちょいと補足(同年代にて)>
・魔術:サーシャ>レイヴァニア>ステイル>アニェーゼ≒レッサー>香焼≒アンジェレネ≒ランシス、(番外で禁書目録)
・純粋な体術体力:軍覇>那由他≒黒夜>レッサー≒香焼≧美琴≒黒子>サーシャ≧ステイル>アニェーゼ>その他……かな?


あくまで予想&妄想設定です。
魔術に関しては上3人の優劣とアニェーゼvsレッサーの優劣が分からないから、勘。後ろ三人は……うんw

『純粋な体術体力』は魔術能力抜きって事です。
サイボーグ組と公式チートには敵いませんよね。レッサーは……多分、強いよね? ぶっちゃけアンジェレネ除くカルテッ娘とステイルは勘。
美琴はフレンダとやり合ってたしコレくらいかな? 黒子は風紀委員のエース補正。その他は、佐天さんとか上なんじゃないかなw

とりあえず総合的にいえば……所詮、香焼は雑魚ですよ。主人公補正とかカミやん病患者だから如何こう出来てるだけです。


さて、アンケートというかアドバイが欲しいです。香焼がどんな術とか方法で侵入したら恰好良いかな。
気配遮断とか無音移動、チャフ(カメラ妨害)、蜘蛛歩き(壁・天井歩き)……何か他に良い案あります?


適当に御意見コメント下さい。ではまた次回! ノシ”

411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府) [sage]:2011/11/22(火) 15:24:00.24 ID:2QkmeTAY0
レイヴィニアじゃね
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 16:22:27.78 ID:ieX4AtJDO
相変わらず>>1のもあいと打ち止めは可愛いな! てか、ダンボールww

縮地とか瞬歩みたいな高速移動、 クロックアップとか固有時制御的な……大魔術かな?
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 17:23:12.02 ID:pOinK9kFo
乙!

視覚操作とかは能力側でも出来そうだし…
三沢塾の時みたいに裏表の界の移動なんか面白そうだな
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/22(火) 18:42:25.61 ID:0IFf1AVT0
天井歩こうぜwww!
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 01:04:19.90 ID:nZsR6ERDO
スニーキングといえばダクトです。とミ(ry
416 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/24(木) 21:37:48.83 ID:iy5eW3rn0
こんばんわ。ボチボチ書くぞー。

・レイヴィニア・・・ぜ、全部間違ってた。恥ずかしい。
・高速移動とか時間弄れる魔術は、チート過ぎやしないかい? ねーちんとか五和、建宮なら縮地くらい出来そうだけどね。
・三沢塾に関して、アレは大結界の類で籠城には向いても潜入には向かないよねぇ。

それじゃあ、ゆっくり投下!
417 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/24(木) 22:36:32.95 ID:iy5eW3rn0
 ―――とある翌日、PM09:30、学園都市第7学区、文化会館、入口ホール・・・・・・







最愛が先行して約五分後、メールが入る。
どうやら上手くいった様だ。ただ未だ打ち止めちゃんを発見して無いというのは微妙に不安。しかしそっちは任せるしかあるまい。
後は楽屋位置さえ把握出来れば、完璧なのだが……そこまで待ってられない。僕も動こう。


香焼「さてと」スッ・・・


術式展開……気配遮断、無音移動の準備OK。だが、このままでは一般人侵入禁止通路へは入れない。
警備員の視覚に入ってしまう以上、正面突破は不可能だ。となると別の侵入口を選ばなければならない。


香焼「本当は暗示魔術使えると楽なんだけどなぁ」ハァ・・・


『外向け』の魔術を使ってしまうと『魔力漏れ防止の呪符』が破れてしまう。
縦しんばそれを無視して進むのも手だが、それはこの会場に同業者(魔術師)が居ない場合に限る。
案の定、ステイルとバードウェイ(姉)さんが居る故、魔力が感知されるやもしれない。

身内だから大丈夫とはいえ『香』は一般人扱い。正体がばれる訳にはいかないし、上2人以外に魔術師が居ないとも限らない。


香焼「とりあえず、警備用ロボを誤魔化すチャフは持ってきてるけど……熱遮断と体臭(におい)遮断も使うか」スッ・・・


学園都市の警備用ロボは音声・映像以探知外にも、熱源・嗅匂感知に特化したモノは既に開発済みされている。
保険は掛けておいて損は無い。後はルートだけだが……会場マップに目を移す。


香焼「……控室は左右に10室ずつ。その内、右側は確か合唱独唱用。合奏独奏用は左の10室の内の何処か」ジー・・・


とりあえず侵入禁止通路に移動するか。方法は……―――



@一階女子トイレから天井裏を進む

A二階観客席から床下を進む

B何とかして正面突破だ!



                    >>419

418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 22:42:04.84 ID:W7FE64gIO
ksk
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/24(木) 23:01:14.70 ID:JSyQ1PpZ0
@
420 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/24(木) 23:44:36.58 ID:iy5eW3rn0
―――……良し。一階トイレからの侵入だ。


香焼「急ごう」タッ・・・


演奏中の今現在、人は居ない筈。さも当たり前に女子トイレに入る。


香焼「良かった。誰も居ない」ジー・・・


開きそうな天井は……掃除用具入れの上。
流石にカメラは無いので安心できるが、スタッフや出演者が来ないとも限らないのでさっさと終わらせよう。
個室の閾(しきい)を踏み台に、天井扉に手を掛ける。


香焼「……鍵、か」ゴソゴソ・・・


蛇さんから、携帯に備え付けて貰った専用アプリを起動させる。これは鍵がイモビライザー(電子ロック)か如何か確かめるモノだ。
結果は……NO判定。電子ロックの類ではないので、開けても警報は鳴らないだろう。

簡単な施錠なので五和に習ったキーピックで解錠。後、天井に侵入。


香焼「OK……後は侵入路を間違えなければ大丈夫だ」コソコソ・・・


正常に音声遮断の術式が機能していれば足音は鳴らない筈。埃と蜘蛛の巣を払いつつ、チャフを構えて進む。
そろそろ侵入禁止通路の上辺りだろうという所で、別のアプリを起動。

因みに、蛇さんに付けて貰ったアプリは全部で3つ。
一つは先程のイモビライザー判定アプリ。もう一つは今使う熱源(赤外線)察知カメラ。もう一つは、なるべく使わない様にしたい危険なモノ。


香焼「えっと……結構人が居るな……此処もトイレから降りた方が良いかも」ススス・・・


目的地をスタッフ・出演者用トイレに変更しよう……と考えたが、トイレの鍵は外鍵である。内側からは開けられない。
最愛に頼んでも良いが、キーピック方法を知らない以上、下手するとブチ壊されるだろう。

となると、内鍵またはダクト口になってる場所で降りる他無い。幸い通路の何ヶ所かは内鍵だ。


香焼「仕方ない。カメラと人が逆向いてる内に……ふぅ」カチャッ・・・


術式展開。掌と靴に魔力を集中。


香焼「……今だっ」バッ・・・


着地。後、即行でカメラに鋼糸(ワイヤー)を飛ばす。首の振りを遅らせその間に死角を潜る。
壁や天井に張り付いたままそれを繰り返し……漸く人気の無い場所へ。


香焼「良しっと……人が来る前に、トイレだな」スッ・・・


一度個室に入り、最愛と合流しよう。

421 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 00:42:12.59 ID:05y7noIE0
急いでトイレへ入り、奥の個室で最愛を待つ。一寸後、ノック2回。


香焼「…………、」ガチャッ・・・

絹旗「あ、本当に居ました……どっから入ったんですか?」キョトン・・・

香焼「静かに……まぁ企業秘密という事で」フフッ

絹旗「ふーん……本当は透明化の能力持ってるとかそんなオチじゃないでしょうね?」ジー・・・

香焼「あはは。透明人間になってみたいなぁとは思いますよ」クスクス・・・


さて、冗談は此処までにしてまずは打ち止めちゃんか。


香焼「まだ見つかって無いの……ですか?」ジー・・・

絹旗「はい。あ、もしかして既に超電磁砲の部屋に行ったのかもしれませんが」ウーン・・・

香焼「……そういえば、御坂さんの控室は見つけましたか?」

絹旗「はい」コクッ・・・


じゃあ入ってみれば良かったのに。


絹旗「えっと……超無理です」タラー・・・

香焼「へ?」ポカーン・・・

絹旗「何と言いますか……私、超電磁砲に超嫌われてるので一人では行けません」タラー・・・

香焼「え? 御坂さんと面識が?」キョトン・・・

絹旗「いえ、その、うーん……色々と、超複雑な間柄なんです」ポリポリ・・・


もしかして『仕事』上で何かあったのか……だったら余り突っ込まないでおこう。
兎に角、如何打ち止めちゃんを見つけるかだ。


絹旗「私が調べたのは通路とスタッフルーム、それからトイレです」コクン・・・

香焼「見落として無ければそれ以外の場所……ですけど、上手く隠れている可能性も無きにしも非ずでしょうか。携帯は?」チラッ

絹旗「打ち止めちゃん、電源切ってるか特別室に置いてきたみたいで」ハァ・・・

香焼「仕方ない……ですね」フム・・・


もしかしてダンボールのままじっとしてたから、スタッフに運ばれてしまったか。
そういえば、御坂さんの控室の前には白井さんが居るとか何とか、固法さんが言ってた気がする。


絹旗「誰も居ませんでしたよ。どっか行ったみたいです」コクッ・・・

香焼「……とりあえず移動しましょう。僕も出番が終わった出演者を装うので」スッ・・・

絹旗「了解です」テクテク・・・


堂々とトイレから出る。もし警備員に職務質問されたら、打ち止めちゃん捜索手伝いの為仕方なく、と最愛に弁護してもらおう。

422 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 01:35:29.11 ID:05y7noIE0
先へ進む。第一の目的は打ち止めちゃん。それからついでに御坂さんと操祈さんの控室の確認。
擦れ違うスタッフや出演者には適当に会釈をして、自然を装う。


絹旗「……何処でしょう」キョロキョロ・・・

香焼「通路に居るとは思えません。やはりスタッフルームか、もしくは空き部屋に隠れたか」ボソッ・・・

絹旗「スタッフルームはさっき」フム・・・

香焼「入れ違い、またはダンボールの中でじっとしていたという線もあり得ます」テクテク・・・

絹旗「なるほど」コクッ・・・


ただし、僕はスタッフルームには入れない。最愛にもう一度確認してもらう外ない。
という訳で一寸待つ。


香焼(やっぱり、御坂さんの部屋に先に入っちゃったかな)ジー・・・

絹旗「……香」ガチャッ・・・

香焼「ん……居なかったみたい……ですね」ジー・・・


仕方ない。御坂さんの部屋に向かうか。最愛に案内してもらい、控室の通りに向かう。


香焼「……あれ」ピタッ・・・

絹旗「香?」ジー・・・

香焼「……部屋の前」ボソッ・・・

絹旗「え? あ……、」タラー・・・


白井さん。


絹旗「如何するんですか? このままじゃ入れませんよ」タラー・・・

香焼「あー……いや、考え過ぎ……です。打ち止めちゃん関係なら大丈夫でしょう」コクッ・・・

絹旗「……交渉は任せます。私は彼女も割と苦手ですから」ウヘェ・・・

香焼「はいはい」スッ・・・


此処で自然を装うのは逆に不自然だ。焦っている体で白井さんに近付こう。

423 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 01:53:55.82 ID:05y7noIE0
此方に気付く前に、先に声を掛ける。


香焼「白井さん!」パタパタ・・・

白井「っ……って、あら!? 何故此処に香が!?」キョトン・・・

香焼「今そんな事言ってる場合じゃない……です」ハァ・・・

白井「えっと……うーん……本来追い出すべきなのでしょうけど、訳有りですの?」ジー・・・

香焼「はい。探し人というか、迷子が」ダラダラ・・・


喰い付きはOK。次に最愛が出てきてっと。


絹旗「香」テクテク・・・

白井「え? 絹旗さんも!?」キョトン・・・

香焼「絹旗さん、居ましたか?」チラッ

絹旗「…………、」フルフル・・・

香焼「そう……ですか。何処行ったのかなぁ」ハァ・・・

白井「誰をお探しですの? というか、此処に居るという事はスタッフか出演者?」ポリポリ・・・

香焼「いえ、その……一応一般人……です」ウーン・・・

白井「なら外部のスタッフを頼って頂いた方が」チラッ

香焼「いや、何と言うか……あまり広められない話で」ウーン・・・

白井「……御隠れ訪問の要人ですの?」チラッ

香焼「近いかも……実は……―――」


 男娘説明中.....


香焼「―――……という訳……です」ハァ・・・

白井「ち、小姉さま(打ち止め)が!?」ギョッ・・・

絹旗「はい。私達が目を離した隙に」ハァ・・・

白井「な、何と……まったく、お転婆なのは姉妹揃ってですのね」ハァ・・・


それには同意します。


香焼「だから、もしかして既に御坂さんの部屋に入ったのかも、と」ウーン・・・

白井「いえ、私の居た間は何人たりとも通してはいませんが」タラー・・・

絹旗「私がさっき通った時、白井は居ませんでしたよ」ジー・・・

白井「え? あ、スタッフルームに呼ばれた時……じゃあまさかその間に!?」ギョッ・・・

香焼「すいません。御坂さんには申し訳無い……ですが、確認願いませんか?」タラー・・・

白井「そういう事情なら仕方ないでしょう。というか、そんな大事が起きたなら早めに私に一報して貰えれば良かったのに」ジー・・・

香焼「あ、その手が……ごめんなさい。焦っていて」ハァ・・・

白井「……いえ、兎に角私がお姉さまに聞いてみます。一応出番まで一時間を切っているので早めに済ませます」スッ・・・


4回ノック。直後、御坂さんの声が聞こえた。

424 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 02:11:10.24 ID:05y7noIE0
僕達も入ろうとしたのだが、一応規則で自分以外は入れないと断られる。
なので少々聞き耳を立ててみた。


白井『お姉さま、失礼します』テクテク・・・

御坂『如何したの? さっき嫌ってくらい叱咤激励は貰ったわよ』チラッ

白井『いえ、その……少々お尋ねしたいのですが……お姉さま、私に内緒で誰かを匿っていませんか?』ジー・・・

御坂『は? 何それ?』キョトン・・・

白井『先程私が一寸退いていた隙に、誰かを招いたりとか』ゴニョゴニョ・・・

御坂『意味が分からない。何でそんな事する必要有んのよ』ジー・・・

白井『……いえ、失礼しました。しかしお姉さまならし兼ねませんので』ジトー・・・

御坂『……如何いう意味よ』ジトー・・・

白井『別に……ただ某類人猿とか入ってきたら匿うでしょーって』ゴニョゴニョ・・・

御坂『んなぁ!!? な、何考えてんのよアンタ!! べ、別にアイツが来たって特別扱いする訳無いし、っていうか何でアイツが!』ウガー///

白井『い、いえ、もしもの話ですよ! もしもの!』アタフタ・・・


まぁ有り得ない話でもないな。上条さんだし……じゃなくて、話がズレ過ぎですよ。


絹旗「香が入って説明した方が超早くないですか?」タラー・・・

香焼「いや、もう少し待ちましょう」チラッ


御坂さんが打ち止めちゃんの説明を聞いたら、本番前という事を忘れて一緒に探し出すだろう。
流石にそれは拙い。一応直前練習がてらバイオリンを弾いてたみたいだし、気を逸らさせるのは最善ではない。


白井『と、とりあえず、失礼しました。少々気になったもので』アハハ・・・

御坂『んもぅ……さっさと出てって』ハァ・・・

白井『ははは……失礼しました』コクッ・・・

御坂『……因みに、誰が来てると思ったのよ。まさかホントにアイツだとか言ったらブッ飛ばすわよ?』ジトー・・・

白井『うぇ!? い、いえ、決してそんな事は! というか帰りの際にもお姉さまには指一本触れさせませんから!』アタフタ・・・

御坂『え! てことは、やっぱ来てるの?』ドキッ・・・

白井『ぐっ……の、ノーコメントで』タラー・・・

御坂『そ、そっか……来てくれたんだ』ポー・・・///


うわぁ恋する乙女モードだ。


御坂『……じゃ、じゃなくて! 誰探してたの?』フルフル・・・

白井『い、いえ。お姉さまが気にする必要は……ただの楽屋荒しですの』ハハハ・・・

御坂『楽屋荒しなら私が取っ捕まえてアンタに差し出してるわよ。何隠してんのよ?』ジトー・・・

白井『あ、い、いえ……あははは。御気になさらず。それでは失礼しました』ペコッ


白井さんが戻って来る……このタイミングだな。

425 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 02:27:41.95 ID:05y7noIE0
此処で『隠し事をしている白井さんが御坂さんに問い立たされてる』と勘違いした風に、ドアを開ける。


絹旗「なっ!?」ギョッ・・・

香焼「し、白井さんは悪くない……です」ガチャッ・・・

御坂・白井「「えっ!?」」ギョッ・・・

香焼「……あ」ピタッ・・・


OK。これで説明しざるを得ない。


御坂「か、香ちゃん!?」キョトン・・・

白井「……お馬鹿」ハァ・・・

香焼「あ、れ?」タラー・・・

御坂「あー……コッチが色々尋ねたいくらいだけど……とりあえず、黒子。アンタ何隠してたのよ」ジトー・・・

白井「……はぁ」ダラダラ・・・


 少女説明中.....


御坂「ら、打ち止めが!?」ギョッ・・・

香焼「はい……『御姉様の所に行ってくる!』と、私達が目を離した隙に」ハァ・・・

絹旗「超探したんです。あと残ってるのは此処の侵入禁止区画だけで」タラー・・・

御坂「あ、あの子ったら……てか、絹旗(アンタ)が付いていながら如何いう事なのよ?」ハァ・・・

絹旗「……すいません」タラー・・・

御坂「一方通行(アイツ)も何してんの? 仮にも打ち止めの保護者でしょ。アンタもあの子の姉を語るならもっと自覚持って――」

香焼「み、御坂さん。そのくらいに」タラー・・・

御坂「――一緒に……ん、そうね。ごめんなさい」ハァ・・・


2人の間に何があったかは知らないが、口論してる場合じゃない。


白井「んもー、だから気付かせたく無かったのに」ハァ・・・

御坂「しゃーないわよ。私も探すか―――」

香焼「す、すいません……引き続き僕達で探しますので、御坂さんはスタンバっといて下さい」ペコッ・・・

御坂「―――ら、て……え?」キョトン・・・

香焼「だって、本番前なのでしょう。御坂さんは準備しないと」コクッ・・・

御坂「い、いや、でもさぁ」ポリポリ・・・

白井「……お姉さま。此処は彼女の言うとおりにして下さいませ。元々、知れればそう言われるのは承知の上でした」ジー・・・


しかし、優先順位を違えてはいけない。


香焼「ちゃんと見付けて観客ホールに戻るので」ペコッ・・・

絹旗「……次は手を繋いでおきますから」ペコッ・・・

御坂「…………、」ハァ・・・


とても困った表情。さっさと打ち止めちゃんを見つけなければ演奏にも影響しかねない。

426 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 02:51:30.70 ID:05y7noIE0
白井さんは『御坂さんの監視』をする為、此処に残る事に。確かに、見張ってなきゃ打ち止めちゃん探しに着いて来るからな。
という訳で再度僕達だけでの捜索を始める。


御坂「待って」

香焼・絹旗「「え?」」キョトン・・・

御坂「……見つけたら、此処に連れてきなさい」ジー・・・

白井「お、お姉さま!?」ギョッ・・・

御坂「説教よ……良いわね」フンッ・・・


良し。シナリオ通りだ。『気の良い御姉様』で助かった。


白井「ハァ……甘いんだから」ヤレヤレ・・・

香焼「……はい。急ぎます」ガチャッ・・・


部屋を飛び出し、探索再開。


香焼「控室と空き部屋を探しましょう」テクテク・・・

絹旗「了解です」コクッ・・・


空き部屋は僕が探し、出演者控室はSPパスを持っている最愛が訪ねる。


香焼「―――ダメ、居ない」ハァ・・・

絹旗「―――こっちもです。あ、一つだけ入れない部屋が」チラッ

香焼「え?」キョトン・・・

絹旗「多分、食蜂操祈の控室でしょう。常盤台の制服を着た高飛車な警備員が立ってて入室を拒否られました」コクッ・・・

香焼「……操祈さんの」フム・・・


現在、10時。操祈さんの出番まで後15分程。此処で優先順位を変えるべきか。
いや、だがしかし花が無い。僕の分も打ち止めちゃんが持っている。


香焼「まさか操祈さんが匿う筈無いし……そうなると、まだ探して無い所」ウーン・・・

絹旗「粗方探しましたよ。ただ、もし倉庫に隠れてたら……間に合いませんね」ハァ・・・

香焼「そんな所に隠れる理由が無いでしょう……打ち止めちゃんの行動パターンを考えてみて下さい」ジー・・・

絹旗「え? うーん……まず、超電磁砲の所へ直で向かいそうですが」ポリポリ・・・

香焼「それでもし、見張りが居たら、次は何処に? 身を隠す場所は?」ジー・・・

絹旗「身を隠す……超単純に、ダンボールが多そうな所ですね」コクッ・・・

香焼「倉庫以外にダンボールが多い場所は?」ジー・・・

絹旗「スタッフルームか、さっき調べた空き部屋。もしくは……幕袖でしょうか」ハァ・・・

香焼「幕袖……そういえば、打ち止めちゃん『早く演奏観たい!』とか言ってなかった……ですか?」ア・・・

絹旗「っ! そうだ! 行ってみましょう!」コクッ・・・


流石に僕が入れない場所だ。最愛だけの侵入だが……頼む、居てくれよ。

427 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 03:20:26.65 ID:05y7noIE0
 <絹旗side>



絹旗「……失礼します」テクテク・・・

舞台監督「ん? 何だ?」チラッ

ミキサー「え? 分かんないです……スタッフじゃないですよね」ジー・・・

搬入スタッフ「警備何やってんのかなぁ……あ、君。そこ入っちゃダメだよ」チラッ

絹旗「…………、」スッ・・・

舞監「え、SP? こんな子が……いや、じゃなくて、例えそうだとしても演奏中に幕袖入っちゃダメだって」ジトー・・・

搬入スタッフ「か、監督。もしかしてテロか何かの予告受けて来たとかじゃないんですか?!」タラー・・・

舞監「冗談だろ……あー、君。悪いんだけど理由を話してくれないか?」ポリポリ・・・

絹旗「迷子探しです」ジー・・・

一同『は?』キョトン・・・

絹旗「安心して下さい。邪魔はしません……ところで、工具等をしまったダンボールは何処に?」ジー・・・

搬入スタッフ「え? そ、そこにあるけど」クイッ・・・

ミキサー「ちょ、勝手に触らせないでよ。高価な機材も入ってるんだから!」アタフタ・・・

絹旗「そういうのには触りませんよ……失礼」キョロキョロ・・・


 ガサゴソ・・・・・


絹旗「……ん?」ジー・・・


 ガサゴソ・・・・・


舞監「ハァ……この次の次から超能力者2人の演奏だから、一旦ライト消すぞ。照明スタッフに確認入れとけ」チラッ

AD「了解……終わりましたね。拍手の最中、ミキサーチェックお願い。さっき音割れしてたって苦情来たぞ」ジー・・・

ミキサー「ワイヤレスのでしょ? おかしいなぁ。さっきから2回交換してるのに、変なんですよ」ハァ・・・

搬入スタッフ「終わりました! サクラ連中無しで拍手入りまーす」チラッ


 88888888888888888888888・・・・・


絹旗「……ん」チラッ

ダンボール(?)『―――』88888・・・

絹旗「……見つけた」テクテク・・・スッ・・・

打ち止め「おおぉ……楽器の名前分からないけど凄かったぁ、ってミサカはミサカは独り言を……あ」ピタッ・・・

絹旗「…………、」ハァ・・・

打ち止め「お、よ……忘れてた。ってミサカはミサカは演奏に魅入ってしまった事を反省してみたり」テヘッ♪

AD「ミキサーチェックは?」チラッ

ミキサー「ん……あれ? ワイヤレス正常に戻りました」キョトン・・・

絹旗「……電磁波、出しちゃってましたか?」ジトー・・・

打ち止め「……てへっ☆」ペロッ♪

絹旗「……怒られる前に戻りますよ」テクテク・・・

打ち止め「はーい。失礼しましたーってミサカはミサカはソローリソロリ引き返してみたり〜」トコトコ・・・

428 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 04:17:01.26 ID:05y7noIE0
 <香焼side>


最愛から『確保』と一言メールが入る。
良かった……思いの外早めに見つかったので、操祈さんと接触する算段を書き換えられる。

2人と合流する前に、操祈さんの控室へ向かった。


香焼「……あの、すいません」テクテク・・・

取り巻き(風紀委員)「ん?」ジー・・・

香焼「少しお尋ねしたい事が有ります」コクッ・・・

取り巻き「別に構いませんが……貴女は? 見た所スタッフでは無いようですけど……常盤台(ウチ)の学生という事は出演者?」ジー・・・

香焼「えっと……ちょっと訳有りで」ポリポリ・・・


割と大きめの声で話す。予想だと……これだけで釣れる。


取り巻き「……今、必要な話ですか? 此処は本番を控えた食蜂様の部屋なのです」ジトー・・・

香焼「あ、えっとすぐ終わります。実は一人、迷子がこの侵入禁止通路に入り込んでしまって」ポリポリ・・・

取り巻き「それが、此処と何の関係が?」ジー・・・

香焼「間違って部屋に入り込んで無いかと……各控室に確認させてもらってます」ペコッ・・・

取り巻き「有り得ませんね。この部屋にはアリの子一匹通してません。食蜂様のみです」コクッ・・・

香焼「そう……ですか。いや、その、念の為確認してもらえませんか?」ジー・・・

取り巻き「後にしてもらえませんか? あと10分足らずで出番なのです」ハァ・・・

香焼「その迷子、結構要人で……ではスタンバイと入れ替えの時にでも」ジー・・・

取り巻き「本人不在の時は尚更失礼できませんよ……戻って来てもラストの御坂さんだけですし」フンッ・・・

香焼「じゃあ少しだけ」コクッ・・・

取り巻き「……一寸ですよ」ハァ・・・


4回ノック。返事は無い……多分、集中しているのだろう。


取り巻き「食蜂様、申し訳ありません。少々宜しいですか?」ペコッ・・・

食蜂『……なぁに? もうスタンバイなのん?』ピタッ・・・

取り巻き「いえ、その……迷子探しと言う者が」タラー・・・

食蜂『はぁ?』ポカーン・・・


今だ!


香焼「操祈さん、お忙しい中すいません」ボソッ・・・

取り巻き「なっ!? 食蜂様に何て口の聞き方を!? 名前を呼び捨てですって!!?」ギョッ・・・


良し。後は……―――

429 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 04:37:01.40 ID:05y7noIE0
―――……あっちが自動的に出てくる筈。
そして一応、最後の『アプリ』を起動させておく。


取り巻き「ちょっと貴女! 何学年の何組ですか! 食蜂様をそんな呼ぅうわっ!!?」ゴツンッ!!

食蜂「かーおーるーちゃ〜ん♪」ガチャッ!

香焼「あはは……こんばんは」ペコッ・・・

食蜂「あれれぇ!? 何でぇ!? 来ないって言ってたじゃん?? もしかしてサプライズプレゼント的なアレかしらん☆」キラキラ・・・

香焼「えっと、その……色々」アハハ・・・


予想通り過ぎる。取り巻きの風紀委員さんが不憫な程に。


取り巻き「しょ、食蜂様!? な、何事で!?」アタフタ・・・

食蜂「あ……そういえば見張り居たんだっけ?」キョトン・・・


リモコン(?)を手に持ってる。僕は携帯を手首に当て決定ボタンを押し『アプリ』を使用した。


食蜂「えいっ★」Pi!

取り巻き「ちょ、待っ……―――」ピタッ・・・ボー・・・

香焼「ぐっ!」ビリビリ・・・ビクッ・・・

食蜂「あ、ごめんなさいね。香ちゃんの影響忘れてたっ」テヘッ♪

香焼「い、いえ……ふぅ」ピリピリ・・・


第3のアプリ……スタンガン。彼女が能力を使用する際、疑似的に電磁バリアを張る為に蛇さんに作って貰った。
要は前回の蛇さんの遠隔信号をセルフにしたバージョンだ。ぶっちゃけ痛いので使いたくない。


食蜂「それでそれで? 何しにきたのん♪」ニコニコッ!

香焼「えっと……今は迷子探しに」ポリポリ・・・

食蜂「迷子ちゃん??」キョトン・・・


御坂さんにしたのと同じ説明をする。


食蜂「あららん……御忍びで私に会いに来てくれたんじゃないのねぇ」ションボリ・・・

香焼「いえ、その……狡い考え……ですけど、これに乗じて操祈さんに逢えたら嬉しいなって、少し思ってました」フフッ・・・ポリポリ・・・

食蜂「キャー! 嬉しい事言ってくれるじゃないのん☆ そんな事言われたら香ちゃんの事食べたくなっちゃうじゃなーい♪」フフフフ・・・

香焼「い、いやいや。色々勘弁して下さいよ」タラー・・・


というか、僕が此処(侵入禁止区画)に入った事には突っ込まないのね。


食蜂「そこはホラぁ〜……香ちゃんの私に対するの愛の力でっ! 障害乗り越えて来てくれた的な♪」フフフフ・・・

香焼「は、はははは……え、えっと、と、とりあえず僕、戻らないといけない……ですよ」タラー・・・

食蜂「んー? 何処行っちゃうのん??」プニプニ・・・

香焼「何処っていうか、迷子探しの続きを」タラー・・・

食蜂「そんじゃー私も付き合ってあげる☆」フフッ


いや、貴女もう時間でしょうに。話してる間にスタンバイ時刻ですって。

430 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 04:59:52.28 ID:05y7noIE0
備え付けの壁時計をチラ見し、苦笑する。


食蜂「んー……しょうがないなぁ……とりあえず、幕袖まで一緒に行きましょ♪」ニコニコッ

香焼「え、でも担当が迎えに来るのでは」チラッ

食蜂「ん」ピッ


いつの間にか、部屋の隅のパイプ椅子に座っている風紀委員さんを指差す。
操祈さんの暗示で茫然状態。こりゃ御付きは無理だわ。


食蜂「ね?」ニヤリ・・・

香焼「……あはは」タラー・・・

食蜂「特等席で見ててちょーだい♪ さ、行きましょう」テクテク・・・

香焼「あ、ちょ……ごめんなさい」ペコッ・・・

食蜂「あらあら。相変わらず律義ねぇ。何も覚えてないんだから捨て置いてもいいのに……ま、そこが香ちゃんらしいわね★」フフフフ・・・


彼女に手を引かれ部屋から出る。
純白と所々に金色の刺繍が入ったドレス。まるで禁書目録の修道服(歩く教会)の如き華やかさ。
髪は頭上で纏め上げてあり、宛ら御姫様の様……実際、キャーリサ様やヴィリアン様の横に立たせても見遅れしないだろう。


食蜂「ふふっ。如何したのん?」チラッ

香焼「あ、いえ……綺麗だなぁと」ジー・・・ポリポリ・・・

食蜂「あはぁ♪ 嬉しいわぁ……ありがとっ☆」ナデナデ・・・


リメエア様に撫でられるくらい照れ臭いな。
さておき、通路を進み……2人と接触。もしやと思ったが、やはりリモコンを構える操祈さん。


香焼「操祈さん、ストップ!」アタフタ・・・

食蜂「え?」ピタッ・・・

香焼「あの子が探してた迷子の子……です。隣の子は僕と一緒に探してた友人……です」コクッ・・・

食蜂「あら、そうなの。見つかって良かったわねぇ」ジー・・・


花籠を持って満面笑顔の打ち止めちゃんと、苦労しましたよと言いたげな最愛の苦笑。


打ち止め「カオルン! ごめんねーってミサカはミサカは謝ってみる」ペコッ・・・

絹旗「まったく、幕袖で観客してましたよ」フフッ・・・

香焼「あはは……打ち止めちゃん、行き過ぎはダメ……ですよ」フフッ

打ち止め「ごめんなさーい。って、そっちのお姉ちゃんは? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」ジー・・・

食蜂「あら……へぇ。これはこれは、お転婆で有名な最終信号(ラストオーダー)ちゃんね★」ニコニコ・・・

香焼・絹旗「「っ!?」」ギョッ・・・

打ち止め「へ? 私の事知ってるの? ってミサカはミサカは色々疑問に思いつつ尋ねてみたり」ポカーン・・・

食蜂「ふふっ。ナ・イ・ショ♪ とりあえず出番前だからお話は後にしましょ☆」ポンッ

打ち止め「うん……って、お名前は? ってミサカはミサカはもう一回尋ねてみる」キョトン・・・

食蜂「んーそうねぇ……御姉様(オリジナル)と同じ、超能力者の一人なのよん♪」ナデナデ・・・


成程。同じ超能力者ともなれば『色々』知ってるという訳か。
確かに暗部の事も知ってるらしいからな……やはり土御門達が気に掛ける要注意人物なだけはある。

431 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 05:19:35.68 ID:05y7noIE0
さて、と僕ら三人を見渡し少々考え込む操祈さん。


食蜂「んー……もしかしてぇ、おチビちゃんは御坂美琴に会いに来た、と?」ジー・・・

打ち止め「そだよー」コクッ・・・

食蜂「ふーん……じゃああの子も誘いましょ。余裕持ってスタンバらせておいても大丈夫でしょうしね♪」フフッ

香焼「え、でも練習とか」タラー・・・

食蜂「ダ・イ・ジョ・ブ♪ 私の番来たらもう練習なんてしてないしぃ、それに実際私らなんてブッツケ本番でも余裕よん☆」ニヤリ・・・


流石天才お嬢様。トンデモ発言だな。
結局、幕袖ではなく言われるがまま御坂さんの控室に向かう羽目に。

白井さんが驚愕の目を此方に向けてきたが、操祈さんは知らん風。


白井「ちょ、これは如何いう事ですの!? 何故食蜂操祈が!?」ギョッ・・・

食蜂「退いてちょーだい♪ 妹さんを連れて来てあげたのよん★」ニヤリ・・・

白井「な、え……嘘ぉ」タラー・・・

食蜂「御坂さーん。入るわよーん★」コンコンッ・・・ガチャッ・・・

白井「んなっ!? 待て待て待てーい!」アタフタ・・・

絹旗「麦野並に超滅茶苦茶です」タラー・・・


まぁ基本超能力者は自己中心的な人格破綻者ですから。


御坂「え、なっ!? 食蜂操祈!?」ギョッ・・・

食蜂「はぁい♪ ほら、おチビちゃん」スッ・・・

打ち止め「御姉様ぁ! ってミサカはミサカは開幕ドルゥ〜ン(物理)してみる!」ドーン!

御坂「打ち止めも!? ってそぉいっ!!」ガシッ!!

打ち止め「むをっ!? やはり止められた……ってミサカはミサカは驚いてみたり」タラー・・・

御坂「ふふふ……まだまだ腰が入ってないわ。その程度では白モヤシ(一方通行)は倒せても私は倒せないッッ!」フンッ!

打ち止め「わあぁお! 流石御姉様だねっ♪ ってミサカはミサカは熱い眼を送ってみる!」キラキラ・・・

御坂「当ったり前よ! って……違ーう! 打ち止め、何で此処まで来ちゃったの! ダメでしょ!」メッ!


随分長いノリツッコミだな。


打ち止め「御姉様に会いたかったの……ごめんなさいってミサカはミサカは素直に頭を下げてみる」ペコッ・・・

御坂「んもぅ……仕方ないなぁ」ナデナデ・・・デレェ・・・

打ち止め「えへへぇ」ニパー♪


この人も大概シスコンですよねー。
そして口では注意しつつ、鼻から赤い忠誠心垂れ流しでデジカメのシャッター切り捲る白井さん。自重して下さい。

432 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 05:42:54.75 ID:05y7noIE0
さておき、そろそろ操祈さんの時間がマジでピンチなんだが。


食蜂「そうね……それじゃ行きましょうか。御坂さんも来る?」チラッ

御坂「え? いや、私まだ10分くらい余裕有るわよ」チラッ

食蜂「10分程度、スピーチ練習しようがしまいが同じでしょ♪ 折角だしぃ、幕袖で見てても良いのよん☆」フフフッ

白井「食蜂先輩。お姉さまを誑かさないで下さいまし」ジトー・・・


相変わらず険呑な雰囲気だな。


食蜂「あらそう……それじゃ香ちゃん達は行きましょう。おチビちゃんも、幕袖で見る?」フフッ

打ち止め「え!? 良いの! ってミサカはミサカは喜んでみたり!」ニパー!

御坂「ら、打ち止め!」タラー・・・

食蜂「ええ、構わないわよん♪ 大人しく見てる分にはねぇ」ニコニコッ

白井「小姉さままで誑かさないで下さいましいぃっ!!」ンキー!


多分、白井さんより操祈さんの方が打ち止めちゃんの好感度高いんだろうなぁ。


打ち止め「御姉様は行かないの? ギリギリまで練習? ってミサカはミサカは尋ねてみる」キョトン・・・

御坂「はぁ……5分したら行くわ。先に行ってなさい……香ちゃんと、絹旗(そっち)」チラッ

絹旗「……はい」ピタッ・・・

御坂「打ち止めの事しっかり見てなさいよ。スタッフの邪魔させたら許さないからね」ジトー・・・

絹旗「言われなくとも分かってますよ」コクッ・・・


最愛が従順なのも珍しい……多分、御坂さんの威圧感故だろうか。


食蜂「それじゃ待ってるわよん☆ さぁ香ちゃん。行きましょ♪」テクテク・・・

香焼「えっと……すいません。失礼します」ペコッ・・・

御坂「ははは……気にしないで。それより打ち止めの事宜しく」コクッ・・・

香焼「はい……2人とも、行きましょう」テクテク・・・


操祈さんの後を追う。そういえば花は如何したのだ?


打ち止め「幕袖に置いてきた。演奏終わって引いたら渡そうと思って! ってミサカはミサカは計算高い女をアピールしてみたり」ニヤリ・・・

香焼「なるほど。じゃあ僕も」コクッ・・・

絹旗「…………、」ジー・・・

食蜂「……そういえば、其方のもう一方。お名前は?」チラッ

絹旗「え、あ……絹旗、最愛です。最も愛するで、最愛」コクッ・・・

食蜂「最愛ちゃんね……良い名前。黒のSPカードぶら下げてなきゃもっと可愛く見えるのにねぇ。高強度の能力者さんなのかしら?」ジー・・・

絹旗「……如何でしょうか。超能力者に比べれば低いですよ」ジトー・・・

食蜂「無粋ねぇ……何か知られたくない事でも? 察するに……第1位、2位、4位、6位の内どれかのSPかしらん?」ジー・・・

絹旗「さぁ。VIPの誰かかもしれません」フフッ

食蜂「釣れないわね。可愛くないわん★」フフフ・・・


お願いだから、こんな所で黒い牽制しないで下さいよ。

433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/25(金) 07:18:29.37 ID:Jsb2NIuAO
寝落ちかな?
434 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/25(金) 07:22:42.88 ID:05y7noIE0
4人で下手の幕袖に向かう。
スタッフさん達に不思議がられたが、食蜂さんが『御付きよ』と一言告げると全員が黙った。
能力は使ってない様だが、とりあえず超能力者に反発するのは面倒だと諦めたのだろう。


打ち止め「凄いね! ピアノ弾きながら歌ってるよ! ってミサカはミサカは驚愕してみる」キラキラ・・・

食蜂「指の動きを身体に覚えさせれば誰でも出来るわよん♪ おチビちゃんは楽器、やらないの?」チラッ

打ち止め「うーん、ポップンとかダンレボとかならやるけど……本物の楽器は無理かなぁってミサカはミサカは苦笑してみたり」アハハ・・・

食蜂「ふふっ。今度御姉様に教えてもらえば良いじゃない」ニヤッ・・・

打ち止め「その手があったか! ってミサカはミサカは御姉様をバイオリンの師匠と呼ぶ計画を算段してみたり」ニヤリ・・・


また適当な事を。


香焼「……操祈さんはピアノの演奏でしたよね。何を弾くの……ですか?」チラッ

食蜂「聞いてからのお楽しみよ♪」フフッ

香焼「ははは。そう……ですね」コクッ・・・

舞監「食蜂さん。楽譜等大丈夫ですか? あと7分程で出番です」チラッ

食蜂「楽譜は邪魔よん★ それよりスピーチ用マイクとピアノのマイクは別なのよね?」ジー・・・

舞監「ええ。アバンは此方のワイヤレスでお願いします」スッ・・・

食蜂「りょーかーい♪」コクッ・・・


さも余裕有り気に控えの椅子に腰掛けた。
一寸後、御坂さんと白井さんがやってくる。


御坂「随分とリラックスしてるわね」ジー・・・

食蜂「この程度で緊張してらんないわぁん☆ ま、統括理事長様々が直接御見えしてるなら別だけどもー」フフフ・・・

御坂「来る訳無いでしょう」ハァ・・・

食蜂「貴女は……緊張してるのねぇ? ビビっとリラックスさせてあげましょうか?」ニヤリ・・・

御坂「馬鹿言わないで……多少緊張してなきゃ変なのよ」ジー・・・

打ち止め「御姉様! 大丈夫、私が見守ってるよってミサカはミサカは応援してみる!」フンヌッ!

御坂「ははは。ありがと」ポンッ・・・ナデナデ・・・

食蜂「ふふふっ。可愛い『妹』君ねぇ……じゃあ私達も」ギュウウゥ!

香焼「み、操祈さん! や、止めて下さいよ! 恥ずかしい……です!」カアアァ///

食蜂「緊張を解す為だってばぁ☆」アハァ♪

香焼「緊張してないって言ってましたよね!」アタフタ・・・


スタッフからも『第五位のペットか?』みたいな目で見られるし、ホント勘弁してくれ。
幕袖での数分間、只管操祈さんに弄られ捲った……―――

435 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/25(金) 07:26:55.73 ID:05y7noIE0
はい。今回此処まで。相変わらずテンポ悪いなぁ。

・寝落ちしたら……親戚が『香焼アフター(サーシャorレッサーor佐天orあわきんorみさきち編)』書くらしいです(笑)

次回で終わらせたい……そんじゃまたね! ノシ”

436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/25(金) 09:10:40.50 ID:C3lYzyKAO
流し読んだらキャラクターが別人過ぎてむずむずするぜ!
違和感ぱねえ

もったいない
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 09:15:34.10 ID:T2kn73DIO
アフター操祈……だと……!?
乙!
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 09:24:25.78 ID:LEfCfItj0
>>436
なんて今更
オリキャラと思ってあきらめるといい
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 10:02:28.24 ID:JhT/ehWDO
SSは作品毎に色々割り切るべきとこは割り切って読まんと楽しめんぞ?


合わなきゃ読まなくなるだけだし

>>1乙なんだぜ
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 16:20:01.51 ID:aHSPuXoDO
まぁ実際何だかんだで二年近く続いてるシリーズSSだからねぇ
>>2の通りステイル・ねーちんからして崩壊してんだし、そういう世界だって思うと楽しいもんだぞ


てか……>>1よ! 寝落ちしろ! 五回連続くらいで!
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 23:21:40.37 ID:tdNF45kmo
2年も続いてるのかこのシリーズwwスゲー
つかキャラの性格そこまで気になるもんかね、俺全然違和感なく読んでるんだけど
442 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/27(日) 00:34:10.33 ID:tg3J2q6k0
こんばんわ。こんな時間だけどボチボチ投下!
443 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 01:01:27.64 ID:tg3J2q6k0
 ―――とある翌日、PM10:15、学園都市第7学区、文化会館、大ホール・ステージ幕袖・・・・・・







前の演奏が終わり、奏者が拍手喝采を受けながら上手に捌けて行った。
次は操祈さんの番。だが、動く気配が無い。


打ち止め「ミサキチ行かないの? ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」キョトン・・・

御坂「こ、こら! 何て呼び方するの」タラー・・・

食蜂「ふふっ。何だって良いわよん♪ その無邪気さGJね☆」ニコニコッ

絹旗「打ち止めちゃんは麦野も渾名で呼びますからね。確か『ムギノン』って」ハハハ・・・

御坂「……頭痛い」ハァ・・・


まぁ打ち止めちゃんくらいの子なら許されるだろう。


打ち止め「それで?」チラッ

食蜂「んー、準備がまだなのよん。前の奏者のピアノと違うヤツ使うから」チラッ

打ち止め「ふぇ?」ポカーン・・・

食蜂「ディスクラビアとグランドピアノを……分かり易く言うと、木製エレクトーンね☆」フフッ


随分器用な真似を。流石超能力者といったところか。
一寸後、スタッフの準備が終わり、ライトが点く。


食蜂「それじゃあ行ってくるわ♪ 楽にして観ててね」カツカツ・・・

香焼「はい……頑張って下さい」コクッ・・・

食蜂「ありがとっ☆」ニコニコッ


彼女が楽器へ向かうと同時に大喝采。操祈さんもそれに応える様微笑み、手を上げる。
そしてマイクの電源を入れ……スピーチ開始。


食蜂「……皆さーん、夜分遅くまでの観賞会。楽しんで頂けましたか?」ノシ”


 ワーワー! キャー! ショクホウサマー! コッチムイテー!


食蜂「ふふっ。ありがと☆ 残る所、私と大トリの二回となりました。御清聴して頂けると幸いですわん♪」ニコニコッ


相変わらずの話し方だな。だけど多少、真面目な内容か。


食蜂「今日はチャリティーイベントという事でぇ、沢山の寄付金が集まったみたいよん♪ なんとその額、6500億だってぇ☆」ニヤリ・・・


 オースゲー! アリガトー! ワーイワーイ!


御坂「あの馬鹿……何処でそんな情報ゲットしてんのよ」タラー・・・

白井「というか、それを言いますか……理事会も困るでしょうに」アハハ・・・


僕には分かる。これは『釘を刺した』のだ。この金額を公にする事で、理事会へプレッシャーを掛ける。
横領や『拙い分野』への割り振りが、幾らかでも減る事だろう。

444 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 02:01:46.21 ID:tg3J2q6k0
 ――一方、超能力者特別室・・・・・



一方通行「―――くっそ……マジ痛ェ」グデェ・・・

垣根「勘弁してくれっつのよ……こっちは超能力者っつっても身体は普通の青年だぞこらぁ」グデェ・・・

麦野「てか、あの『C・D』っての凄ぇ厄介だわ……まだ頭痛いんだけど」グデェ・・・

削板「」チーン・・・

垣根「ハァ……何で超能力者が一般人に負けんだよ……って、あ」ピタッ・・・

麦野「何よ」ジトー・・・

垣根「もうラス2だぜ」チラッ

麦野「え? う……ウソでしょ!?」ギョッ・・・ハラハラ・・・

一方通行「あーあ……ま、頑張れ」フンッ

麦野「は、薄情過ぎんでしょ! あーもぅ!」アタフタ・・・

垣根「代表はお前決定だかんな! じゃんじゃん警備員も運営に伝えるっつーし、逃げんなよ!」ハハハ

麦野「ぐぐぐ……せ、せめてアンタらも手伝いなさいよ」タラー・・・

一方通行・垣根「「無理」」キッパリ・・・

麦野「チッ」ダラダラ・・・

削板「痛てて……ったく……ん? もうスピーチ始まったのか」ジー・・・

垣根「流石お嬢様だな……って、うぉい! トンデモねぇ事言ったぞ!」ギョッ・・・

一方通行「お嬢様ねェ。どっちかってェと、やっぱ超能力者(人格破綻者)って感じだな」フンッ・・・

麦野「あーもぅ……あの所為で研究費用とか給金回って来なかったらアイツ殺すかんな」ジトー・・・

垣根「まー俺としちゃー『理事会ざまぁwww』って気分だな」ハハハ

削板「……何でも良いけどよ。第4位はさっさと挨拶考えたら?」タラー・・・

麦野「うっ……糞っタレ! 適当に誤魔化すわよ!」ウガー!

垣根「ハハハ。しくじんなよー」ケラケラ!

一方通行「……そういやァ、チビ共は?」キョロキョロ・・・

削板「さぁ。避難したらしいけど……どっかで観てんじゃねぇの」ドサッ・・・

垣根「その内ひょっこり戻って来んだろ。さぁて、第5位ちゃんは何演奏してくれんのかねぇ」ジー・・・

麦野「あー……寄付金に関して触れんのは拙いから……皆さん素晴らしい、とか言って適当に」カキカキ・・・

削板「……頼むぜオイ」タラー・・・

445 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 02:45:20.71 ID:tg3J2q6k0
 ―――再度ステージ・・・・・


操祈さんの名演説(スピーチ)に魅入る観客。
御坂さんが動いてないのを見ると能力を使ってはいないと思う。それ抜きで此処までのカリスマとは、やはり超能力者たる由縁か。


食蜂「―――皆さんも、骨をも惜しまぬ努力の先には素晴らしい未来が待っている筈ですわ」ノシ"


歓声。だが、しかし。


絹旗「……心にもない事を」フンッ・・・

香焼「え?」チラッ

絹旗「……アレは努力とか何とか、そういう類の人間じゃありませんよ」ジトー・・・

香焼「そんな事……彼女だって」フム・・・

絹旗「香はアイツと仲が良いみたいですから、そうは思いたくないでしょうけど……努力で如何こうなるなら、今頃この街……、」チラッ


目線の先には、御坂さん。


絹旗「……超能力者(レベル5)だらけですよ」ジー・・・

香焼「でも、皆最初は低強度(ローレベル)から始まるんじゃ」フム・・・

絹旗「…………、」ギリッ・・・

香焼「絹旗さん?」ジー・・・

絹旗「……私は――」

御坂「ええ。そうよ」スッ・・・

絹旗「――っ!」ビクッ・・・

香焼「御坂さん」チラッ


いきなり、最愛の前に立つ御坂さん。


御坂「少なくとも、私は努力した……貴女が何を言いたいのか分からないけど、馬鹿な事言おうとするのは止めなさい」ジー・・・

絹旗「…………、」グッ・・・

御坂「……香ちゃん。この子が言いたいのは、要は『努力も必要無い類の輩』も居るって事」チラッ

香焼「そうなん……ですか」ジー・・・

御坂「無論、大半はRPGみたいにコツコツとレベル上げして能力進化(シフトアップ)する。私や黒子はそれ」チラッ


頷く白井さん。だが、しかし。


御坂「でも、打ち止めなんかは『始め(初め)』から強能力者(レベル3)なの……もしかして、この子もそういう類なのかもね」チラッ

香焼「……ごめんなさい」シュン・・・

絹旗「……謝んないで下さい」コクッ・・・


やっぱり僕(香焼)は、絹旗最愛の事を、全然知らない様だ。

446 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 03:07:23.82 ID:tg3J2q6k0
余談だが、この学園都市では一時期『幻想御手(レベルアッパー)』なるモノが流行ったという。
大事件にまで発展したそれは、言葉通り『レベル上げ』に関するモノだった。

資料で見ただけだが、それは『進化装置(偽)』という印象を受けた。

もしかして最愛や打ち止めちゃん、その他の『裏』に関わる能力者はそれの『本物』によってレベルが上がったのかもしれない。
いや、鼻から『高強度(ハイレベル)』の能力者として誕生させられたのかもしれない。


香焼「能力、開発」ボソッ・・・


これは基督教右派で良く聞く話だが、この街でやっている事は所詮『人体実験』に過ぎないとか。
現にシェリーさんの話を聞く限り、相違無いのだろう。

だが、それを生甲斐に……良い意味で本気になっている人間だっている。
例えば、御坂さんや白井さんの様な――あくまで僕の個人極まりない視点だが――『善良』な能力者。


御坂「見方は一つではない。でも、ネガティブな視点でしか捉えられないヤツは……そっから抜け出せないわよ」ジー・・・

絹旗「っ」グッ・・・

御坂「仮にも、少しでも、僅かでも……抜け出す気があるなら肯定的に望みなさい」チラッ

白井「……お姉さま」ジー・・・

御坂「ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って……如何にもこうにもならないって時は……『手』が差し伸べられるわよ」フフッ

打ち止め「ふふっ。そうだね! 私も御姉様に同意だよ! ってミサカはミサカはお姉ちゃんの手を握ってみる」ギュッ・・・

絹旗「…………、」ジー・・・


感服した。

彼女は超能力者とはいえ、人の身でありながら……聖者の答えを得ていた。
いや、自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を確立した超能力者(精神的超人)だからこそなのか。

そうじゃない。彼女には……『救いの手』が伸びたのだ。


絹旗「私にも……、」ボソッ・・・

御坂「ええ。存外、英雄(ヒーロー)なんて身近に居るもんよ」フフフ・・・

白井「お姉さまの英雄さんとやらは認めたく有りませんけど……絹旗さんは居るのでは? 例えば、公園でよく逢引されてる殿方とか」ニヤリ・・・

絹旗「ち、違います! 全然違いますよ!」アタフタ・・・///

打ち止め「えー! 誰々!? ってミサカはミサカはお姉ちゃんの想い人が超気になってみたり!」ヤンヤヤンヤ!

絹旗「ち、違いますってば! 私より超弱いし、超情けないヤツですって!」モジモジ・・・///

御坂「ふふっ。男なんて皆最初はそう見えんのよ。頼ってみて初めて……色々感じんの」クスクスッ

白井「お、お姉さま!? か、感じるなんて卑猥な事をなぶべぃっ!!」ビリビリ!

絹旗「……むぅ」ポリポリ・・・///


何だか、色々複雑だが……もっと頑張らなきゃと思った。

447 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 03:34:08.33 ID:tg3J2q6k0
さておき、スピーチは佳境に入っていた。


食蜂「―――前置きはこのくらいにして、そろそろ弾かせて頂きましょう。二曲聞いて頂きます。初めはポピュラーソングね♪」ペコッ・・・


満員の拍手。一礼し、ピアノに向かう操祈さん。
横に備え付けてあるPCを少々弄り……鍵盤に手を乗せた。途端、辺りの照明が仄暗くなり……笛の音が聞こえた。
それは誰もが知ってる有名な音色だった。


打ち止め「あ! これ知ってるよ! ってミサカはミサカはワクワクしてみる!」オー!

香焼「ティン・ホイッスル……いやロウ・ホイッスル……ですね」ジー・・・

絹旗「え? 何ですかそれ?」キョトン・・・

香焼「アイルランドの縦笛……です。日本では売ってない楽器……ですよ」ジー・・・

御坂「だからってPCに打ち込んでまで音出すかねぇ」ハハハ・・・


そして、操祈さんの指が動く。ピアノから出た音は生の音ではなく……エレクトーンの様に、弦楽器に加工された音だった。


白井「あらあら。結局歌うのですね」フフッ・・・

御坂「まぁ二曲だし、最初はパフォーマンスなんでしょ」アハハ・・・


客層は上手に捉えた方法か……客席はざわめき、彼女の歌声を待った。そして―――


食蜂「…… Every night in my dreams I see you, I feel you ・・・――」タンッ・・・


――……始まった。


絹旗「うわぁ……A級どころか、超SSS級ソングじゃないですか」タラー・・・

香焼「嫌いなの……ですか?」チラッ

絹旗「うーん……映画は好きじゃないですけど、曲は英語で良く分かりません」ポリポリ・・・

香焼「……夜な夜な夢の中であなたを見て、あなたを感じる」ボソッ・・・

絹旗「え?」キョトン・・・

香焼「香焼の兄さんから。英語が得意なので教わりました……この曲、綺麗だから教えてくれって」フフッ・・・

絹旗「…………、」フム・・・


無論、嘘だが……訳してあげても良いだろう。ただ究極のラブソングなので、訳してて恥ずかしいんだけどね。

448 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 04:10:19.80 ID:tg3J2q6k0
魅入りの溜息と、合間合間に入る歓声の中……僕は訳し続けた。


食蜂「―― That is how I know you go on・・・」


 オー・・・パチパチパチ・・・・・


香焼「だから、貴方がいるのが分かるわ」

絹旗「……夢の話ですか?」フム・・・


好きな人とは夢でも会える……世界中何処彼処、昔から変わらぬ相思相愛の考え。



食蜂「・・・ Far across the distance And spaces between us You have come to show you go on 」


どんなに遠く、二人の間が離れていても……貴方は姿を現してくれた。


食蜂「 Near, far, wherever you are. I believe that the heart does go on.

Once more you open the door. And you're here in my heart and. My heart will go on and on・・・」


近くでも、遠くでも、何処に貴方がいても……私には貴方の鼓動が聞こえるわ。
もう一度、貴方は私の胸(ドア)を開けるの。そして、貴方は私の胸(心)の中へ……私の想いは此処に到(あ)るのよ。


食蜂「 Love can touch us one time. And last for a lifetime,And never let go till we're one 」


愛は、一度私達に触れる(一つに)。そして、永遠に……二人が一つになるまで離しはしないわ。



白井「……か、香。日本語訳するの、恥ずかしくありませんの?」タラー・・・

香焼「あはは」ポリポリ・・・

打ち止め「素敵な歌詞だよ! ってミサカはミサカは興奮して……って、おりょ?」チラッ・・・

絹旗・御坂「「…………、」」ポー・・・///

打ち止め「わぁお……御姉様達が恋する乙女の如くトランスしてるみたい、ってミサカはミサカは解説してみる」アハハ


何故か白井さんが悔しがってるけど……需要は有るみたいだから続けよう。


 
食蜂「 Love was when I loved you. One true time I hold to,In my life we'll always go on 」


貴方への愛こそが本物の愛。私が持ち(守り)続ける、最高(真)の時間……私達が共にある事こそ、私の人生(全て)ね。


食蜂「 Near, far, wherever you are.I believe that the heart does go on.

            Once more you open the door,And you're here in my heart and My heart will go on and on 」


近くでも、遠くでも、何処に貴方がいても……私には、貴方の鼓動が聞こえる(貴方が何処に居るのか、分かる)わ。
もう一度、貴方はドアを開け……そして、貴方は私の胸の中に……そして、私の気持ちは此処に辿り着くの。

 

打ち止め「貴女の胸の中に……って素敵だね……あの人も聞いてるかなぁってミサカはミサカは相思相愛を信じてみたり」ホワワァ・・・

御坂(そ、そういえば、アイツも……聞いてるのよね)モジモジ・・・///

白井「ケッ……メルヘン女の戯言ですの」ボソッ・・・


夢も希望も無い事言わないで下さいよ。

449 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 04:39:49.35 ID:tg3J2q6k0
気付けばクライマックス。
何故か金管楽器やドラム音が入っているのは不思議だが、PCで音を変換してるのだろう。



食蜂「 You're here, there's nothing I fear, And I know that my heart will go on.

              We'll stay forever this way, You are safe in my heart and, My heart will go on and on 」


香焼「 貴方が此処に居る――だから――何も怖くはない……私の心は、愛を繋いでいる(事を知っている)わ。

           私達は、この道を永遠にゆくの……貴方は私の中に生きて、そして、私は愛に生きて……此処に居るの 」



あの名作映画を知っているからこその、悲哀な、終着ラスト。


白井「ぶっちゃけ、歌がメインで演奏の部じゃないですの」ハァ・・・

香焼「ま、まぁまぁ」タラー・・・


この人は自分や御坂さんに対してはメルヘン思考だが、他人の事となると現実的だな。


食蜂「―――……ありがとう♪」ニカッ


演奏終了と同時に大喝采。まだ一曲目だというのに、凄いモンだ。


白井「あの曲より派手なのを次に持って来れるのでしょうか? ねぇお姉さま……って」チラッ

御坂・絹旗・打ち止め「「「ううぅ」」」ウルウルウル・・・

白井「……えー」タラー・・・


乙女なんですねー。


食蜂「ふふっ。皆さん御存じ『My Heart Will Go On』でした……訳し方は人それぞれよん☆ 所謂、『自分だけの現実』ってヤツね♪」フフッ


確かに。上手く繋げるなぁ。


食蜂「さぁて。この曲をやった後に弾くのもなんだけどぉ……次はちょっとマイナーかな??」スッ・・・


歓声止まぬ中、次の曲の準備をする。今度はPCを下げ……グランドピアノのみ。


食蜂「だ・け・ど……私の本番は演奏(こっち)だからね☆ ちょぉっと華が無いけど、これまた御清聴お願いねっ♪」スッ・・・


そして、僕らは息を飲んだ……―――

450 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 05:16:51.07 ID:tg3J2q6k0
 ――一方、VIPルーム・・・・・


 888888888888888888888・・・・・


パトリシア「……素敵な歌でしたね」ボー・・・

ステイル「チョイスとしてはこの上ないポピュラーソングだな。何処の世界に居ても聞いた事があるだろうし」フム・・・

レイヴィニア「そうだな。だが、これはお遊びなのだろ。本番は二曲目だろうし」ジー・・・

パトリシア「んもー。お姉さんは覚め過ぎです」ムゥ・・・

レイヴィニア「いや、日本人にしては上手かったとは思うぞ。だが私は学芸都市でセリーヌの直弟子の歌をだな」アーダコーダ・・・

パトリシア「……そういうのが、覚めてるっていうんですよ。趣が分からないっていうか」ブー・・・

マーク「この人(ボス)は真贋如何こう五月蠅いですからね。結構空気読めませんし」ハァ・・・

ステイル「同意しよう」フム・・・

レイヴィニア「ぐっ……や、喧しい! 私だって分かってるもん!」ウガー!

マーク(うわぁ。子供返りしやがった)タラー・・・

親船「ふふっ。お姉さんも、ちゃんと納得してましたよね」ポンッ・・・

レイヴィニア「こ、子供扱いするな!」ムギギ・・・

ステイル(面倒な女だな……ガキなのやら、若年寄なのやら)タラー・・・

パトリシア「……あ、次の曲始まるみたいですよ」チラッ

レイヴィニア「ん……啖呵を切ったな、あの娘」ジー・・・

ステイル「今度はサポート音源無しか……何を弾くかな」ジー・・・


 ♪〜


パトリシア「変イ短調スタートって……え?!」ギョッ・・・

レイヴィニア「おいおい……恥をも恐れぬ、か? それとも成功させるだけの自信が有ってか?」タラー・・・

ステイル「出だしだけで何か分かったのか?」チラッ

レイヴィニア「馬鹿者。気付かないのか? まぁ良い。嫌が応にも分かる」ジー・・・

ステイル「は?」ジー・・・

パトリシア「……『鐘』ですよ」ジー・・・

ステイル「ベル……ああ、確かに聞き覚えがあるぞ」ジー・・・

レイヴィニア「当たり前だ。ある種、先以上に有名な曲だからな」フム・・・

パトリシア「凄い指の……というか、腕の使い方ですね。以前見たヴァレンティーナのPVを模してる様です」ジー・・・

レイヴィニア「おそらく、参考にしてるのだろうな……しかし目で追うのが大変だ」ジー・・・

親船「『ラ・カンパネルラ』……でしたか? 発音が悪いのは許して下さいね。CM等でも流れてますよねぇ」ジー・・・

マーク「……敢えて、この難曲に挑んでるのでしょうか」ジー・・・

レイヴィニア「さぁな。ま、成功モノなら寄付金に対するそれ相応の対価にはなろう」ニヤリ・・・

パトリシア「しかも超絶技巧練習曲を選ぶあたり自信の程を伺えますね」ジー・・・

ステイル(どれ程凄いか分からん……後で神裂に聞いてみよう)ポリポリ・・・

451 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 05:47:27.23 ID:tg3J2q6k0
 ―――再度、ステージ・・・・・



呆気に取られた。
僕は別にピアノを嗜む訳ではないが、姉達が弾けるので聞く機会は多い。
故にそれなりの知識はあるのだが……これは化け物だ。


香焼「凄い……しかも、こんな間近で」タラー・・・

絹旗「んー……超凄いのは分かりますが、何が凄いのか」ポカーン・・・

御坂「……アンタ風に言えば『超絶凄い』のよ。この曲まともにクリアした人間両手に余る程なの」ジー・・・

絹旗「へ、へぇ」キョトン・・・


絶対分かってないな。


白井「しっかし……笑う余裕があるとは」タラー・・・

御坂「偶に舌舐めずりしてるし……ホント、化け物ね」タラー・・・

香焼「凄い連打と跳躍……まだミス無し、か」タラー・・・


左手(指)が広くないと追い付かない和音があるのだが、彼女の手は大きい。
女性にしては身体が大きい方なので、指が届く。多分、僕では届かないだろう。


御坂「……存外、力有るのかしらね」ジー・・・

香焼「もしかしたら」コクッ・・・

白井「瞬間的とはいえ、並のパワーではアレは弾けませんものね」タラー・・・


ピアノを弾くのには唯でさえ握力・腕力が要る。ペダルの切り替えも激しければ足首もそれなりに力が必要だ。
撓(しな)り、柔らかい、持久性がある筋肉。それも並大抵のモノでは無い筈。

さて、そろそろ嫌が応にも連打に鍵盤が追い付かなくなる所だが、如何する。


御坂「っ!!? な……ズレが無い!?」ギョッ・・・

白井「何故!? 普通なら音が繋がってしまう筈ですのに!」タラー・・・

香焼「あ……だ、だからピアノを変えた……です」ポカーン・・・

御坂「う、嘘」ダラダラ・・・


普通であれば、前の演奏者と同じピアノを使っても可笑しくない。
だが操祈さんは自分用にと態々時間を開けてまで、別のピアノを準備させた。

要はこの為―――指定の速度での演奏は不可能な、この曲の為だけに!


御坂「け、鍵盤と弦……弄ったヤツを……特注、したの?」ダラダラ・・・

香焼「た、多分……滑らかなのを見る限り、鍵盤を増やしたか、弦を弄ったか……ドチラかでしょう」タラー・・・


信じられない。金の問題とか何とかより……そこまでして、この曲を魅せたいのか。

452 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 06:07:58.43 ID:tg3J2q6k0
先の曲よりポピュラーでは無いとはいえ、指と腕の動きで凄いという事は一般人にも分かる。
少しでもピアノに関わりがある者なら尚更だ。

まさに、鐘の音。

クライマックスになっても、操祈さんの勢いは止まらない。肘も堅くならず、苦しい表情も見せない。
それどころか、更に微笑み……更に加速する。


御坂「……感服だわ」ハハハ・・・


フィニッシュ。同時に……スタンディングオベーション。


食蜂「ハァハァ……ふふっ」ペコッ・・・


もはや多くは語らず。一礼して、此方に歩いてきた。


打ち止め「ミサキチ恰好良い! ってミサカはミサカは大喝采を送ってみたり!」8888888!

食蜂「ふふふ……ありがと」カツカツ・・・

香焼「大丈夫……ですか」アタフタ・・・

食蜂「あはは……ちょっと、疲れたかしらん★」タラー・・・


そりゃそうだ。F−1レーサーばりの集中力を必要とされる。
精神的にも肉体的にも相当な疲労が来るだろう。


御坂「やれやれ。この後に演奏させられる私の身にもなって欲しいですねー」ジトー・・・

食蜂「あはは……ざまぁ見ろーってねぇ♪」ニヤリ・・・

香焼「それだけ軽口が叩けるなら平気……ですね」ヤレヤレ・・・

食蜂「あーん、嘘うそ〜ん! 香ちゃん、介抱してぇ☆」グデェ・・・

香焼「うわぁ! み、操祈さん!」アタフタ・・・


熱の籠った身体が寄り掛って来る。やはり相当疲れているか。
部屋に戻りましょうと進言したのだが、このまま御坂さんの演奏をみたいという事で、椅子を出して貰いグッタリ座る。

ピアノを片付け終わった後、御坂さんの演奏だ。その間に、ふと思い出した事を実行する。


香焼「……操祈さん」テクテク・・・

食蜂「んー? なぁにー? もしかしてぇ……きゃっ! 愛の告白かしらん☆ 私に惚れると火傷じゃ済まないぞん♪」フフッ

香焼「あはは……えっと、これを」スッ・・・

食蜂「え? あ……ら」ジー・・・


打ち止めちゃんが、幕袖に置き忘れてたモノ。丁度良いので、今渡す。


食蜂「……お花」ジー・・・

香焼「はい。こんな所で渡すのはダメかもしれませんが……折角なので、ズルしてしまいます」フフッ

食蜂「ううん……ありがとっ♪」クスッ・・・


色々長かったが……これで漸く任務完了だ。

453 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 07:02:51.90 ID:tg3J2q6k0
その後、嬉しさのあまり興奮した操祈さんに抱き着かれて……膝の上にチョコンと乗っけられた。
打ち止めちゃんが『カオルンばっかりズルーい!』と叫んでる。麦野さんの引き続き……勘弁してくれ。


絹旗「……さて、次は超電磁砲の番ですね」チラッ

御坂「はぁ……かなりプレッシャーなんですけど」ジトー・・・

食蜂「ええ。プレッシャー掛けたんだもん☆」ニヤリ・・・

白井「意地の悪い事を」ハァ・・・

打ち止め「御姉様! 御姉様も期待してるよ! ってミサカはミサカは応援してみる!」フンガー!

御坂「あはは。プレッシャー上乗せされちゃったね」クスクス・・・


確かにね。


食蜂「あら……ソロじゃないのね?」チラッ

御坂「ええ。ピアノが入るわ。尤も、さっきの貴女の所為で時間喰ってるんだけど」ハァ・・・

白井「特注グランドピアノなんてモノ……この為だけど云千万ですか?」タラー・・・

食蜂「そんな訳無いじゃなーい。アレは借りものよん☆ 世の中にはアレを弾く為に特化したモノ作ろうっていうモノ好き、居るからねぇ」フフッ


そんなカブキモノ、是非とも見てみたいものだ。


香焼「それより……伴走者は?」チラッ

御坂「んー……ちょっと、ね」ハハハ・・・


ライトの当たらぬステージの中、上手側から横断してくる様歩んでくる一人の女性。


??「……御坂。準備は良いかしら?」チラッ

御坂「あ、はい。私は大丈夫です」コクッ・・・

??「そう。では行きましょう」カツカツ・・・


あくまで業務的な喋りだが、何処か柔和な感じ。


御坂「それじゃ行って来るね」フフッ

打ち止め「御姉様! ファイトー! ってミサカはミサカはワクワクしながら見守ってみたり!」フフフッ!

??「妹……特定個人を連れてくるのは褒められた事ではないけど、まぁ良いでしょう」チラッ…クスッ・・・

白井「眼鏡外しているから少しは柔らかくなってるだろうと思えば、相変わらず無粋な事を言いますの」ジトー・・・

??「……あら。失礼な事を言うわね」ジー・・・

白井「おっと。後で制裁とかは無しですのよ」タラー・・・


怪しく微笑む謎の女性。歳は二十代後半といったところか。化粧をしている女性の年齢は正直分かりません。


絹旗「白井……あれ、誰ですか?」ジー・・・

白井「……常盤台(ウチ)の寮監ですの」タラー・・・

香焼「寮監さん? 何で……あ」ピタッ・・・


確か以前、春上さんと共にボランティアへ訪れた際、彼女と会った事がある気がする。
成程……チャリティー故の貢献か。

454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 07:06:44.40 ID:T2N37WBEo
> 888888888888888888888・・・・・
これなに?
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) [sage]:2011/11/27(日) 07:42:38.28 ID:GSpT6rnAO
>>454
拍手じゃね?
456 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 07:50:53.42 ID:tg3J2q6k0
2人がステージ中央に進むと同時に大歓声。
それは操祈さん以上で、今日一番の盛り上がり。流石はこの街が誇る、象徴たる能力者(アイドル)だ。

拍手が鎮まった頃合いで、御坂さんのスピーチが始まる……かと思いきや、いきなり準備に入る。


絹旗「あれ? スピーチは?」チラッ

香焼「一曲目と二曲目の間か、最後に纏めて言うのでは」ジー・・・


多分そうだろう。
御坂さんと寮監さんは一度視線を合わせ……先にピアノの伴奏が始まった。


食蜂「……あら」ジー・・・

香焼「これは……、」ジー・・・

打ち止め「私も聞いた事あるよ、ってミサカはミサカは頷いてみる」コクッ・・・


優しい音色。御坂さんが、笑顔で……弦に弓を掛けた。


食蜂「エトピリカ……葉加瀬太郎かぁ」ジー・・・

香焼「ポピュラーソング……ですね」ジー・・・


バイオリンという楽器は日本人には縁が薄い。だが、彼の曲ならば誰しも耳にした事があるだろう。


絹旗「良く分かりませんが……超聞き入っちゃいます」ジー・・・

打ち止め「うん。それに……御姉様、楽しそうに弾いてるよってミサカはミサカは喜んでみたり」フフッ


笑顔。観客全員に向けた、屈託の無い微笑み。
表裏無いその表情こそが、彼女の彼女たる由縁であり、万人から好かれる魅力なのだろう。


食蜂「伴奏も、上手ね……簡単な曲とはいえ滑らかだわぁ☆」ジー・・・

白井「彼女は常に子供達に聞かせる曲を弾いてますからね。分かり易く丁寧な音を出すのは得意でしょう」ジー・・・


子供にはお偉いさんが聞く様な小難しい曲は理解できない。だからこそ、それに見合った奏を出さねばならない。
きっと彼女はそれに特化しているのだろう。


白井「しかしまぁあの鉄面皮があそこまで柔らかい表情を……不思議ですわね」ムゥ・・・

香焼「鉄面皮って」タラー・・・

白井「普段は門限を破っただけでハンク式首狩りを……それで落ちなきゃエルボードロップ&エルボードロップして来る様な女ですの」タラー・・・

食蜂「ああ、噂の寮監さんだったの……アレが?」タラー・・・


そうは見えない。普通に優しそうなお姉さんだが……人は見掛けに因らないのか。
まぁそういう人間はいくらでも見てきてるしね。

457 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 08:21:49.01 ID:tg3J2q6k0
 ――一方、二階客席・・・・・



禁書「おー……ハカセタロウだね」ジー・・・

上条「ん? そういう曲なのか。名前初めて知った」ヘェ・・・

禁書「……え」ピタッ・・・

上条「え?」キョトン・・・

風斬「あの……本気で、言ってるの?」チラッ

上条「……拙いの?」タラー・・・

禁書「……馬鹿だ馬鹿だとは言い続けてきたけど、これほどとは」ハァ・・・

上条「な、何ですか! 分からない事があるなら教えてくれるのが優しさでしょうが!」ムググ・・・

禁書「葉加瀬太郎。本名、高田太郎。世界的に有名な日本人ヴァイオリニスト。今弾いてる曲は代表曲の一つ、エトピリカなんだよ」ジトー・・・

上条「へー。あ、いや、聞いた事はあるぞ。ただ名前とか作曲者とか知らなかっただけだ」ウンウン・・・

風斬「でも……インデックス、詳しいね」コクッ・・・

禁書「まぁこれでも一応、音楽全般には通じてるからね。世界的に有名な曲や代表的なアーティストは補完してるんだよ」エヘンッ

上条「ふーん。無駄知識だけじゃないのな」ジー・・・

禁書「私の脳(辞書)に無駄なモノなんてないんだよ!」ムキー!

風斬「まぁまぁ……あ、曲変わった」チラッ

上条「え? そうなのか?」キョトン・・・

禁書「……ホント、短髪が可哀想に思えてきたんだよ」ハァ・・・

風斬「ははは……えっと、今変わった曲が同じ作曲者のひまわりって曲」コクッ・・・

上条「へー……まぁ難しい事は分かんないけど、良い曲だな」ジー・・・

禁書「……やれやれ」ハァ・・・

上条「何だよ。文句あるか?」フンッ

禁書「別にぃ。ま、音楽の楽しみ方は人それぞれだからね。とうまみたいに、純粋に楽しむのが一番なんだろうけどー」フフッ

上条「……褒められてんだか貶されてんだか分からん」ムゥ・・・

風斬「あはは……えっと、とりあえず、純粋だって言われたんでしょ。子供みたいに無邪気だって」ポリポリ・・・

禁書「そうそう。子供みたいに何も知らず、たーだ感動すれば良いんだよ。下手に理屈っぽく語るよりはね。短髪もその方が喜ぶよ」ヘッ

上条「何だかなぁ……あ、また変わったんじゃないか? 今度は分かるぞ」チラッ


 ワアアアアァ!!


上条「ほら、アレだ! 何とか大陸!」ビシッ!

禁書「そこまで出てて、何で全部出て来ないのかなぁ」ハァ・・・

風斬「情熱大陸、ね……御坂さん、葉加瀬太郎メドレーなのかな? 時間的に6,7曲くらい、かな」ジー・・・

上条「へー。メドレーって何か恰好良いな」ジー・・・

禁書「まったく……それにしても、短髪はパフォーマンス上手だね。変に動き過ぎる訳でも無いけど、表情の向け方とか」ジー・・・

風斬「ええ。これといって特徴は無いけど、万人受けし易い感じだね」コクコクッ

上条「詳しいな。まぁ何だ……流石超能力者(御坂)様々って事か」フムフム・・・

禁書「……やっぱ、短髪が可哀想なんだよ」ハァ・・・

458 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 08:46:43.68 ID:tg3J2q6k0
 ―――再度、ステージ・・・・・


自然に生じた手拍子。ノリの良い曲だからこそ出来る技。
如何やら一曲目は情熱大陸で〆の様だ。伴奏者と視線を合わせ……最後の2小節を合わせた。

終わると同時に喝采。お見事以外の言葉が見つからない。


食蜂「……さて、次はスピーチかしらん」ジー・・・


如何やらその様だ。御坂さんが司会からマイクを受け取り、手に持つ。


御坂「……皆さん、こんばんは」ペコッ・・・


夜も遅いというのに『こんばんわー!』と、子供達の元気な返事が響いた。


御坂「一曲目はメドレーを聞いて貰いました。如何かな? 皆知ってる曲はあったかな?」フフッ


知ってるー! 聞いた事あるー! など、元気な声が続く。
まるで打ち止めちゃんに接するときの様な、保母さんみたいに柔らかい感じ。ちっともビリビリツンツンしてない。


白井「お姉さまは、昔から子供と接する機会が多かったので、ああいう手合いは得意でしょう」ジー・・・

香焼「へぇ。凄い……ですね。そういうの、誰でも出来る訳じゃないでしょう」ジー・・・

食蜂「まぁ普通の子供だけじゃなく、主に障害児相手に接していれば嫌でも得意にはなるでしょうねぇ」ジー・・・

白井「……食蜂先輩」チラッ

食蜂「おっと……失礼失礼★」テヘッ♪


資料程度でしか知らないが、確か彼女の能力者たる由縁は『筋ジストロフィー』だったか。
高尚な話だが、それ故に……妹達が生まれた、とか。まぁ今更な話だろうけど。

そんな事は如何でも良いのだ。スピーチの続き。


御坂「私の言いたい事は、司会者さんや先の食蜂先輩が言ってくれました。まさにその通りだと思います」コクッ・・・


確かに。今更あーだこーだ言うのも変だろう。


御坂「ただ、皆さんに忘れないで貰いたい事があります。それは手段と目的を履き違えない事です……ちょっと難しいかな?」フフッ


何の事だ、と会場がどよめく。


御坂「能力(チカラ)は目的じゃありません。夢が目的です。能力っていうのは、夢を叶える手段なのです」コクッ・・・


子供達に言い聞かせる様、優しい口調。


御坂「能力に限った事じゃないですよ。勉強だってスポーツだって、夢の為に行うんです」フフフッ


成程。正論。御尤も……裏の人間から嫌われる訳だ。彼女は綺麗過ぎる。


食蜂「香ちゃん(おまえ)が言うなっ☆」ペチッ


何故叩くし。というか心の声に突っ込まないで下さい。

459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/27(日) 09:07:17.85 ID:LJ56wHUD0
ちょwwwwwwww心読まれとるがなwwww
460 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 09:17:52.75 ID:tg3J2q6k0
御坂さんのスピーチは研究者が主軸のこの街にとって、喧しい限りだろう。
研究者というものは目的というモノがあやふやである。無い訳では無いが、他の職種に比べゴールが曖昧だ。
特にこの街の研究者・科学者は『能力を開花させる』という点の重きを置き、その利用法を考えはしない。

どれだけ開花させられたか、それをノルマ化し、営業成績の様に扱い……子供を『数』でしか捉えない。

例え利用方法・価値を考えたとしても、それは大抵まともじゃない。少なくと僕の知り得る限りはそうだ。
まずは『武力利用』から入っている。確かに金には成るが……それこそ夢も希望も無い話。


打ち止め「あのね……ヨミカワは、この街の子供達には夢が無いじゃんって言ってた。ってミサカはミサカは思い出してみる」ジー・・・

香焼「でしょうね」コクッ・・・


それではツマラナイ大人にしか、成れない。


香焼「職業教育が不十分過ぎますからね。社会(都市外)に出てから困りますよ」コクッ・・・

絹旗「一生都市で暮らせば良いじゃないですか」ジー・・・

香焼「一部の人間はそれで済むかも知れません。でも、この街は基本的に『子供の街』……ですよ。大人は全体の30%居るか居ないか」コクッ・・・

食蜂「そうねぇ。言ってしまえば、各学年の3分の2は外に働きに出ろって言われちゃうのよん」フフッ


こういう例えがある。学園都市は『アーティスト養成系の専門学校』だ。
ミュージシャンや漫画化、その他芸能など……それらの専門学校で成功する人間は極僅か。
何も得ぬまま卒業してしまえば、社会から爪弾きにされる。いや、その社会にすら参加できない。

厳しい例えかもしれないが、能力者とはそれくらい役に立つ場所が限られるのだ。
便利かもしれないが、一般企業や役所的には使いどころが難しい。


食蜂「それにぃ……好き好んで異能(ミュータント)なんて近くに置きたくないわよねぇ」フフーン・・・


大多数の意見だ。『能力者≒変異体』である。都市のある日本ならまだしも、海外ではこの意見が多い。
現に僕はその生の意見を聞いている職業柄、コレに関して何とも言えない。


絹旗「共存が無理ならこの中で暮らせば良いだけの事です。勿論、実力で残ってですよ」フンッ

食蜂「ええ、その通り。相応の能力者ならば、警備員や研究者として残れるわ」フフフ・・・

打ち止め「でも、それって御姉様の言ってる事と全然違うよ、ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」ウーン・・・

白井「……小姉さま。貴女は貴女の思う様に進んで下さいまし。彼女らの意見は、所詮彼女らの意見ですの」コクッ・・・

打ち止め「うん……だけど、皆で仲良くした方が良いよ。ってミサカはミサカは皆幸せになれたら良いねって思ってみたり」コクッ・・・

香焼「僕も、そう思うよ」ポンッ・・・


そうだ……僕は、揺らがない。
平等を望む訳ではないが、せめて、こういう人間に選択(救い)を与える為に……此処に居るのだ。

461 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 10:14:15.04 ID:tg3J2q6k0
スピーチも佳境に。カオリ姉さんばりの高説に胸を撃たれつつ、それを聞き終える。


御坂「―――長くなりましたが、それでは最後の曲。これは自作の曲です。どうか最後まで御清聴宜しくお願いします」ペコッ・・・


礼と同時に拍手が入る。
そして再び、伴走者と視線を合わせ……―――


御坂「聞いて下さい……超電磁砲(レールガン)'sメドレーです」コクッ・・・


―――……ピアノとバイオリンの二重奏が始まった。


香焼「……これは」ジー・・・

白井「『友へ』――まだ見ぬ未来へ……お姉さまは、そう名付けられましたわ」コクッ・・・


聞いていて心地好い。


白井「本当は歌詞もありますのよ。バイオリンでなければ是非とも歌って欲しかったですわね」フフッ

食蜂「あらあら。御坂さんってばポエマーさんなのねぇ……後で聞いちゃおっと★」ニヤリ・・・

白井「ふんっ。そこらの中二病のポエムと一緒にしないで下さいまし。お姉さまのは芸術至高の作品ですの」ムンッ

絹旗「まぁ実際、中二ですけどね」ハハハ


そういう問題じゃないんです。


打ち止め「……あ、変わったよ! ってミサカはミサカはテンポが早くなった感じに気付いてみたり!」チラッ

白井「『真の強さ』……歌詞だとリアルフォース、リィンフォースと歌っていますね」ジー・・・

香焼「何故ドイツ語……良い曲だから関係無い、か。ノリも良いみたい……ですね」ハハハ・・・

白井「普段はゆっくりなのですが、多少アップテンポに変えています。基本緩やかなメドレーですので」コクッ・・・

打ち止め「ねぇねぇ! 後でその歌詞見せて! ってミサカはミサカは期待してみたり!」ワクワク・・・

白井「そうですねぇ。御姉様が許可すれば、見せましょうか」フフッ

食蜂「あ。それじゃあ私もー★」フフフ・・・

白井「……まぁ許可しないでしょうね」ジトー・・・


さておき、柔らかくも力強いイメージの曲だ。これまた耳触りが良い。


絹旗「……ん。今度は超ゆったりですね」ジー・・・

食蜂「最初の曲と似てるけど……ピアノのメインの為に、バイオリンは少し音を抑えたのかしら?」ジー・・・

白井「見てれば分かりますの」ジー・・・

打ち止め「……あ! 指で!」オオォ!


ピチカート。バイオリンを弓ではなく指で弾く奏法だ。


白井「『笑顔』――貴方と私……ピアノとバイオリン、双方の響きを伸ばしていますわ」ジー・・・

香焼「抑えたんじゃなくて、互いに聞かせる為……ですか」フム・・・

白井「御明察。アコースティック、といえば恰好がつきますか?」フフッ


まぁバイオリンもピアノも、元々アコースティックな楽器だが……雰囲気という意味でだろう。

462 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/11/27(日) 11:19:59.92 ID:tg3J2q6k0
ゆったりとした曲の後、幾らかテンポが早い曲が入った。


白井「これでラストですわ」コクッ・・・

食蜂「……いきなり4分の3ねぇ」フム・・・


確かに、基本4/4なのだが偶に3/4が入る。それがまた盛り上がるのだが。


白井「『一つ一つ』……オンリーワンとかナンバーワンにしろって進言したのですけどねぇ。何を思ったかスペシャルワンが良いと」フフッ

食蜂「それはまた……意訳に難しい言葉をチョイスしたものねぇ☆」フーン・・・

絹旗「スペシャルって、超特別とか超凄いとかって意味じゃないんですか?」キョトン・・・

香焼「ニュアンスは合ってますけど……彼女はそう意図していないでしょう」ジー・・・


超能力者(ナンバー1)や、自分だけの現実(オンリー1)とはまた違う答え。


食蜂「独創的ねぇ。私には分からないけど」フーン・・・

白井「それが、5位と3位の壁なのでは?」フフッ

食蜂「くっ……言うじゃなぁい★ 関係無いと思うけどねぇ」ジトー・・・

打ち止め「んー……でも、何となく分かるかなぁってミサカはミサカはシンパシー的なモノを感じてみたり」ウンウン・・・

食蜂「あら? やっぱり『血』かしら?」チラッ

打ち止め「うーん、そういうのか分かんないけど……兎に角、大事って事じゃないかなってミサカはミサカは想像してみる」ジー・・・

絹旗「大事、ですか?」キョトン・・・

打ち止め「うん。大切、でもOKだよ。さっき御姉様が言っていた夢もそうなんじゃないかなってミサカはミサカは予想してみたり」コクッ

食蜂「それはまた、随分と非科学的な考えねぇ」ジー・・・

打ち止め「チッチッチッ。ハートなのだよ、ハート。ってミサカはミサカはニヒルに微笑んでみたり」フフフ・・・


まるで軍覇の根性論。だがしかし、強(あなが)ち間違いではなかろう。
一番(ナンバー1)と謳って威張るでもなく、唯一(オンリー1)と言って逃避するでもなく……譲れない何か(スペシャル1)を誇る。


食蜂「……香ちゃん、メルヘンねぇ」クスクスッ・・・

絹旗「香焼みたいなヤツですね。あ、いや軍覇っぽい?」ジトー・・・


いや、だから心の中に……もぅ良いや。

それから一寸後、バイオリンの演奏が終わりピアノの伴奏だけとなる。
だが全て終わるまで観客達は待てる筈も無く……


 ワアアアアアアァ!! 888888888888!!


……ピアノがペダルを放す頃には、殆どの人間が立って拍手を送っていた。
御坂さんは笑顔と挙手で応え、寮監さんは苦笑と一礼で応える。こうして、最後の演奏が終了した……―――

463 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/11/27(日) 11:35:25.04 ID:tg3J2q6k0
はい、此処まで。何故こんなにグダグダ掛ったんだ……自分でも謎である。

今回で終われなかったなぁ。何か次回も終われるかどうか不安だ。
折角、第4話のアンケしようと思ったのに……因みにアンジェレネか、浦上か、あわきんのどれかね。
アニェーゼ話は、アンジェレネと浦上の話が終わった後に持ってきます。黒夜回もまだです。

兎に角、また次回!ノシ”

464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 11:45:04.08 ID:LrhWqklIO
長時間の投下乙でした!
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/27(日) 12:08:11.27 ID:aKwoq7cDO
乙。美琴さんマジ主役で男前なお姉さん! あと上条さんマジ駄目なお兄さんww

次の話は英国分が足りないからアンかウラ回が良いな!
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 02:08:24.05 ID:8v199j8R0
まだかな?
467 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/12/02(金) 21:39:19.76 ID:bTfhwykJ0
こんばんわ。ボチボチ投下します。
468 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/02(金) 22:10:04.15 ID:bTfhwykJ0
 ―――とある翌日、PM10:45、学園都市第7学区、文化会館、大ホール・ステージ幕袖・・・・・・








全ての演奏プログラムが終了し、閉会式に移行する。
僕ら3人は元居た観客席へ戻ろうとしたのだが、操祈さんと御坂さんの計らいで出演者特別(SS)席へ座る事に。
操祈さんの隣に座る筈だった風紀委員さんは……まぁゴメンナサイとしか。

ちなみに『〜〜〜操祈さん・僕・最愛・御坂さん&打ち止めちゃん |壁|』の順に座ってる。
白井さんは最愛の為に態々立ってくれた。御坂さん&打ち止めちゃんというのは、御坂さんの膝上に打ち止めちゃんが座ってる為。


御坂「閉会式は静かにしてなきゃダメよ」ジー・・・

打ち止め「分かってるよー。子どもじゃないもん、ってミサカはミサカは言い張ってみる」ムンッ!

御坂「はいはい」クスクス・・・

白井「お姉さまの膝上に小姉さま……羨ましいけど絵になりますのっ!! 是非とも写真をっ!!」ハァハァ・・・

御坂「警備員さーん。此処の変態退場させてくださーい」オーイ


場内撮影禁止です。


絹旗「白井はアレ見る為に態々立って超電磁砲の隣に立ちましたね」ジトー・・・

香焼「い、いやいや。善意……ですよ」タラー・・・

食蜂「そういえば、最後の挨拶する超能力者誰になったのかしらん??」ジー・・・

香焼「予定では麦野さん……ですけど」ポリポリ・・・

御坂「うわぁ……色んな意味で怖いわね」タラー・・・

打ち止め「何で? ムギノン綺麗だし面白いよ、ってミサカはミサカは評価してみたり」ウンウン・・・


純粋に、そう思ってるのは君だけだよ。


絹旗「地が出なきゃ良いんですけどね」ハァ・・・

香焼「いや、流石にそれは無いでしょう。公衆の面前……ですし」アハハ・・・

食蜂「んー? そういえば香ちゃん、第4位と知り合いなんだっけ??」チラッ

香焼「一応、姉の友人で。こっちの彼女はSP(?)、妹分みたいなモノで僕の友人でもあります」チラッ・・・

絹旗「……はい」コクッ・・・

食蜂「ふーん……麦野(アレ)にSP必要無いでしょー★ あ、もしかしてぇ……アレのペットとか?」ニヤリ・・・

絹旗「…………、」ジトー・・・

香焼「み、操祈さん」タラー・・・

食蜂「ふふっ。ジョーダンよ♪」クスクス・・・


今更だけど人が悪い。最愛もそんな睨まないの。仲良くしてよ、もぅ。

469 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/02(金) 22:53:49.52 ID:bTfhwykJ0
さておき、司会が出てきて閉会式が始まる。
専門家からの講評や、一一一(ひとついはじめ)の感想。そして理事会役員代表からチャリティー参加へのお礼。


食蜂「はぁ……さっさと終わんないかなー」グデェ・・・

打ち止め「んー……御姉様、眠くなるよーってミサカはミサカは目を擦ってみたり」クシクシ・・・

御坂「もう11時だものね。もうちょっとだから我慢なさい」ナデナデ・・・

打ち止め「はーい」コクン・・・


操祈さんと打ち止めちゃんは同レベルか。
あと白井さん、いい加減御坂さんの横で打ち止めちゃんのオネム姿見てハァハァするの止めて下さい。


食蜂「香ちゃんも、眠くなったら私の膝枕で寝て良いのよん♪」ニッコリ!

香焼「止めて下さい。周りが見てます」ハァ・・・

絹旗「…………、」ジー・・・

香焼「ん……如何しました?」チラッ

絹旗「香と……第5位はそーいう『禁断の関係(百合)』なんですか?」ジー・・・


何処で覚えた。そんな馬鹿な暗喩。


食蜂「あら。よく気付いたわね★」フフフ・・・

香焼「ち、違いますっ! 友達……ですよ」カアアァ///

食蜂「ふふっ。照れ屋さん♪」ツンツンッ

香焼「からかわないで下さい!」ンモー///

絹旗「ふむふむ」ジー・・・


あ、絶対勘違い納得したな。


絹旗「白井は超電磁砲と超ラブラブで、香は心理掌握と超ラブラブなんですね」コクッ

白井「ザッツァラアアアァイッツッ!!」ビシッ!!

御坂「違うわよ! 頭沸いてんじゃないの?!」ギロッ!

香焼「絹旗さん。僕も、違うから」ハァ・・・

食蜂「またまたぁ。女の子にしか興味無いくせにぃ☆」ニヤリ・・・


ええ、ノーマルですから女性にしか興味無いっすよ。『男』としてね!

470 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 00:22:55.58 ID:KznZaYY00
さておき一寸後、司会の口から麦野さんの名前が出る。
観客一同にざわめきが起こった。


絹旗「まぁ珍しいんでしょうね。一晩に3人も超能力者(レベル5)観れるですから」ジー・・・

食蜂「それもだけどぉ……まぁ彼女には彼女のファンが居るモノねぇ」コクコクッ

絹旗「ふぁ、ファン!?」キョトン・・・

食蜂「あら知らないのん? ファッションリーダー、麦野沈利。美のカリスマってねぇ」フフッ

御坂「アイツ、そういえばファッション誌とかにコラムとか書いてたわね」フムフム・・・

食蜂「ま、私にはアレの良さは分からないけどねー★」フフフ・・・

絹旗「超同感です」タラー・・・


色んな服屋さんでも麦野さんの名前を出せば割引なるしなぁ。
普段横暴な人だけど、やっぱそういう部分ではアイドルなんだ。

とか何とか言ってる間に、本人登壇。


麦野「―――こんばんは。御紹介に預かった、麦野沈利です。本日はとても楽しい一夜をありがとうございます」コクッ・・・


大人びた感じでシャキシャキ喋る麦野さん。クールビューティーといった雰囲気だ。
先程特別室で暴れていた人間とは思えない。


絹旗「うっわー……超猫被りしてます」タラー・・・

香焼「えっと、まぁその……アレが本性なのかもしれませんよ」アハハ・・・

御坂「それは絶対無い」キッパリ!

打ち止め「でもでも! クールなムギノンも恰好良いよ! ってミサカはミサカは評価してみたり」キラキラ・・・


確かに、初めて会った時はこんな感じだったしなぁ。
仲良くなっていくにつれ……五和レベルに困った人になってったが。


麦野「超能力者を代表して挨拶させて頂きます。本来、私ではなく第1位が挨拶すべきところでしょうが―――」


さらっと毒吐いてますね。


麦野「―――何分、シャイな性格でして。第2位も、同様です。不在の第6位はさておき、第7位は……ふふっ」クスクス・・・


場内から笑いが漏れる。


絹旗「自分に代表押し付けられた事、相当キレてますね」アハハ・・・

御坂「まぁでも……一方通行(アイツ)や垣根さん、根性馬鹿が前に立つってのも考えられないわね」タラー・・・

食蜂「特にぃ第7位は面倒な事なっちゃうぞ★」アハハ


確かに。一方通行さんは想像すら出来ないし、垣根さんは……色々壊れそう。軍覇は論外。

471 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 02:39:38.84 ID:KznZaYY00
それにしても先程の事が嘘の様だ。てか服如何したんだ? 直ってるぞ?


麦野「さて、評価云々をしてもらいたいと頼まれたのですが、何分音楽には疎いもので。先生方の評価に口をつけて汚したりしません」フフッ


音楽疎いのか?


絹旗「いや、麦野普通にピアノ弾けますよ。カラオケも超上手いですし」コクッ・・・

打ち止め「前ミィと一緒にカラオケ行った時、ムギノンがマイク離してくれなかったよ! ってミサカはミサカはあの時の恨みを吐露してみたり」

香焼「あはは……まぁ、まともに観賞してませんでしたしね」タラー・・・


逃げ口上が上手だな。


麦野「しかし、コレを機に芸術等々の分野にも力を入れていくのも一興かと。今後の学園都市としては華が出ると思います――」


それはどちらかといえば、学芸都市(アメリカ)の十八番なんじゃなかろうか。
それからトントンと尤もらしい事を言い続ける麦野さん。様にはなってるが、実情を知ってる者からすれば苦笑もの。


麦野「――主役たる出演者の皆さま。そして観客の皆さまの御支持があってこそ、このイベントが成り立っています」コクッ

麦野「今回集まった寄付金は『都市』の為に、役立つ事でしょう」ニッコリ・・・


何か含みのある言い方だが。


麦野「先程、食蜂さんも仰いましたが……理事会の賢明な『割り振り』と『使い道』を期待致します――」フフッ


軽く拍手が起こる。上辺は良い様に聞こえるが……超能力者2人の表情は険しく、最愛の目は冷ややかだった。


御坂「馬鹿みたい。何でこの場で公言すんのよ」フンッ

香焼「え」チラッ

麦野「要訳はぁ……都市(私)の為にぃ割り振り(研究資金)多めに宜しくねぇ、って事よん」ジー・・・

香焼「…………、」チラッ

絹旗「まぁ……大体合ってるでしょう。正しくは暗……仕事(バイト)の給料増やせみたいな感じかと」ジトー・・・


打ち止めちゃんに聞こえぬ様、耳打ちされる。

呆れた。街の象徴たる人が此の様か。食蜂さんのやり方とまるで真逆だな。
お嬢様なのだからお金には困らないだろうに……何処からかの圧力かな。


麦野「――では、夜分も遅いので長くなり過ぎぬ様このくらいに。本日は誠にありがとうございました」ペコッ


歓声と喝采。だが事実を知った僕達からは乾いた拍手しか出ない。
彼女の降壇の際、此方に……操祈さんと食蜂さんに目線を送り、微笑んだ。何の意図だろう。

多分彼女達には分かるのだろうが、一介の市民(もどき)たる僕には理解できなかった。

472 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 03:26:17.42 ID:KznZaYY00
その後、運営委員の理事役員の閉会挨拶。
この人で最後だろう、と思った時……白井さんが寄って来た。


白井「お姉さま、そろそろ」ボソッ・・・

御坂「ん……そうね。食蜂、さんも行くわよ」チラッ

食蜂「えー」ジトー・・・

御坂「えーじゃない。最後の仕事でしょうが」ハァ・・・


まだ何かあるのか?


御坂「最後は出演者の代表数名で、玄関見送りあるの」ハァ・・・

香焼「玄関見送り……本格的……ですね」ヘェ・・・

絹旗「そういえば麦野達もそこには全員並ぶって言ってましたね」フム・・・

香焼「全員って……超能力者が!? 一方通行さんや垣根さんも!?」ポカーン・・・

食蜂「そのくらいの仕事(サービス)しないとぉ研究資金回って来ないんでしょ」フフッ

打ち止め「んー……私達は? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」フムフム・・・

御坂「打ち止めは一方通行のところに……戻れないか。黄泉川さんか固法先輩か那由他に任せたいんだけど」ウーン・・・

絹旗「私と一緒にどっかで待ってますよ。どうせ麦野帰るまで帰れませんし」チラッ

香焼「では、僕も一緒に」コクッ

食蜂「えー? 香ちゃん私の横に立って一緒に見送りするんじゃないのー?」ツンツン・・・


自重して下さい。象徴(アイドル)たる操祈さんが公衆の面前で特定の誰かに寵愛を向けるとなれば問題でしょうが。


食蜂「そこはぁ……私の改竄力でぇ」ニヤリ・・・

御坂「ダーメ。馬鹿な事言ってないでさっさと行くわよ」ガシッ

食蜂「あ〜れ〜! 香ちゃ〜ん!」ズルズル・・・

打ち止め「……行っちゃった」アハハ・・・

香焼「はぁ……疲れる」タラー・・・

絹旗「んー……やっぱり心理掌握は香に超ゾッコンなんですね」フーン・・・

香焼「ちーがーいーまーすっ」タラー・・・


ある種の歪んだ愛情だと思って下さい。


絹旗「へー。まぁ如何でもいいです。とりあえず終わったら何処行きましょう」チラッ

香焼「最後まで会場に残ってても良いのでは。結構時間掛りますけどね」コクッ

絹旗「了解です」ジー・・・


気付くと、役員が閉会宣言をしていた。拍手と共に会場に明りが点く。
時刻は夜11時を少し回ったところ……そういえばステイルと軍覇、大丈夫かなぁ。

473 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 03:47:32.58 ID:KznZaYY00
 ――一方その頃、VIPルーム・・・・・



 88888888888888888・・・・・



レイヴィニア「ふぅ。やっと終わりか」ファアァ・・・

パトリシア「お姉さん、あくびなんて見っとも無いですよ。子どもじゃないんですから」フフッ

レイヴィニア「むっ……お前だって心成しか目が赤いぞ。眠いんじゃないのか? まだ天辺(0時)も回ってないのに」フンッ

パトリシア「色々感動しただけですよー。お姉さんみたいに捻くれてませんからねー」クスクス・・・

レイヴィニア「ぐ、ぬぬ……この小娘がぁ」ムニムニ・・・

パトリシア「ふぁふぇ!? ふぁふぇふぇうふぁふぁーい!」ムニムニ・・・

ステイル「捻くれたガキとは、一番性質が悪いな」ジー・・・

マーク「……あはは」ポリポリ・・・

レイヴィニア「き・さ・ま・がっ! 言うな! 私はピチピチの中学生相応だぞ!」フンッ!

パトリシア「痛てて……じゃあまず口調から直しましょうねー」フフッ

レイヴィニア「これは威厳を出す為に云々!」ビシッ!

マーク「はいはい。さて、では我々も帰りましょうか」チラッ

レイヴィニア「うむ。そうだな」コクッ

ステイル「ん? 何処にだ?」キョトン・・・

レイヴィニア「レディに今晩の寝床場所を尋ねるか? この痴れ者が」ジトー・・・

ステイル「喧しい。寝床も何も、学園都市(此処)はアレイスター(ヤツ)の掌中だぞ」ジー・・・

レイヴィニア「別に臆する事もあるまい。それに、今回の訪問は暴れる為に来た訳ではないのだ」フンッ

パトリシア「えっと、良く分かりませんが……都市立ホテルの『Alexander』という所に泊まりますよ」チラッ

マーク「ったく……『折角この街に来たんだから最高級の、しかも夜景が綺麗に見えるとこじゃなきゃヤダ!』とか馬鹿言うから」ハァ・・・

レイヴィニア「バッ! そ、そんな事言った覚えは無い!!」カアアァ///

ステイル「…………、」タラー・・・

パトリシア「ふふっ。普段威張ってますけど、アレがお姉さんの本性ですよ。可愛いでしょ♪」ニコニコッ

レイヴィニア「う、うるさーい! お前ら黙ってろー!」ウガー///

パトリシア「きゃー怒ったー」フフフッ

ステイル「……何だか、調子が狂いっぱなしだ」ヤレヤレ・・・

マーク「私はこれが毎日だよ」ハァ・・・

474 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 04:17:29.12 ID:KznZaYY00
 ―――玄関ホール・・・・・


 ガヤガヤ・・・・・ザワザワ・・・・・


レイヴィニア「しかし……込んでるな。何処かで止まってるんじゃないか?」キョロキョロ・・・

パトリシア「お姉さん。余所見してるとまた迷子になりますよ。もし逸れたらステイルさんを目印にしてくださいね」チラッ

レイヴィニア「もうなるモノか! じゃなくて、なってない!」フンッ

ステイル「ガイド役をするために身長が高い訳じゃないのだがな……って、迷子?」チラッ

マーク「来る時だがお嬢様だけ、バスの乗継間違えて大変な事になってだなぁ」ハァ・・・

レイヴィニア「よ、余計な事、じゃなくて、嘘を言うな!!」ウガー!

ステイル「……察するよ」フフッ

パトリシア「んー……あ、玄関が騒がしいですね。あそこが詰まってるみたいです」ジー・・・

レイヴィニア「ん? むぅ……見えん。おい、野郎共。特に無駄にデカいの。お前なら良く見えるだろ。何が起こってる?」チラッ

ステイル「失礼なヤツめ……アレは」ジー・・・


 キャーキャー! ステキデシター! アクシュシテー! サインクダサーイ! コンジョーコンジョー! メッルヘーン!


ステイル「……宛らアイドルだな。まぁこの街の『象徴』だから間違ってないか」ジー・・・

マーク「まぁ、気持ちは分からなくも無い。我々でいえば皇族みたいなモノだからな」フム・・・

レイヴィニア「おい、勝手に納得するな。私達にも教えろ」ジトー・・・

ステイル「超能力者(レベル5)だよ。6人並んでる」ジー・・・

パトリシア「えっ!? ろ、6人も!?」キラキラ・・・

ステイル「パトリシア……君はああいうの興味、あるのか?」タラー・・・

パトリシア「当たり前です! 使い方次第では戦術核にも、不老不死の薬にもなると名高い超能力者ですよ!」キラキラ・・・

ステイル「ふ、不老不死?」タラー・・・

マーク「変なサイトの噂を鵜呑みにしてるだけだよ」ハハハ・・・

レイヴィニア「ふむふむ……超能力者ねぇ」ニヤリ・・・

ステイル「君は君で良からぬ事を考えてそうだな」チラッ

レイヴィニア「別にぃ。ただ、まぁ興味はあるさ。一人頭に並の国家予算以上のモノを注ぎ込んで作られた強化人間とやらにはなぁ」ニヤリ・・・

ステイル「強化人間ねぇ。まぁ強ち間違いじゃないか」フンッ

マーク「我々(魔術師)からしてみれば、確かにアレらは無理矢理『チカラ』を最大限まで開花させた連中ですからね」ジー・・・

ステイル「ははは。じゃあ僕ら(魔術師)はオールドタイプか」フフッ

レイヴィニア「阿呆。私らも一般人からしてみれば強化人間だよ……魔術師と能力者の違いなんて、履歴書に表に書ける書けないの違いだ」

ステイル「その例えは上手いな」ハハハ

パトリシア「うーん……何の話ですか?」キョトン・・・

レイヴィニア「なぁに。能力者は一芸就職に便利だなぁって話だよ」ハハハ

475 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 05:05:23.05 ID:KznZaYY00

 ワーワー! キャーキャー!


レイヴィニア「お? 玄関が近付いてきたな……そろそろ出られるらしい」チラッ

ステイル「そういえば……VIP専用の出口が在ったんじゃないか?」チラッ

マーク「いや、入口は警備の関係上一つだそうだ。別にスタッフ用通路から出して貰っても構わないのだがな」ハァ・・・

パトリシア「あ! 奥にヒトツイハジメも居るんですね!」キラキラ・・・

レイヴィニア「おいおい、パトリシア。言っておくがサインも握手も貰えないだろう。ヤツらは愛想良く笑顔を振り撒いて見送るだけだ」ジー・・・

パトリシア「分かってますけど……んもー。夢が無いですねぇ」ジトー・・・

マーク「そういえば、マグヌスはこの後如何する予定で?」チラッ

ステイル「一緒に来た連中と合流してから帰る。まぁ玄関外までは一緒に出よう」コクッ

レイヴィニア「ん? お前は誰と来たんだ? まさか……小指(コレ)か?」ニヤリ・・・

パトリシア「す、ステイルさん、彼女さん居るんですか!?」エ・・・

ステイル「阿呆抜かせ。神裂の親戚の娘と……もう一人は、まぁすぐ分かる」テクテク・・・

レイヴィニア「ふーん……居ないってよ」ツンツン・・・

パトリシア「え、あ、いや、な、何で肘で突くんですかぁ」ンモー・・・

レイヴィニア「ハハハ。だがしかし、そのツレとやらも一緒に連れてくれば良かったのに」チラッ

ステイル「色々理由があるんだ……良いからさっさと行くぞ」ハァ・・・


 きゃああぁっ!! こっち向いてえええぇ!! 御坂さまあああぁっ!! 食蜂さまあああぁっ!! 麦野さまあああぁっ!!


御坂「あははは……どうもありがとう。(アイツ、帰っちゃったかなぁ)」ニコニコッ

食蜂「気を付けて帰ってねぇ♪ (いつまで続くのかしらん……終わったら即行香ちゃんゲッチュね。そのままお持ち帰りぃ〜★)」フフフ・・・

麦野「さようなら。遅いから寄り道しないでね。(だっりぃー……顔疲れるわぁ)」ニコニコッ


 第1位さああぁん!! 垣根さまああぁっ!! オンネェザマアアアァッ!! ムッギノーン!! みさきちいいぃ!! F!!


一方通行「……(さっさと帰りてェ)」ボー・・・ペコッ

垣根「さいならー(もうヤダ……帰り自棄飲みコースだな)」ノシノシ”

削板「じゃーなー(ステイルと香、何処居るかな……って、ん?)」チラッ


ステイル「―――」テクテク・・・

476 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 05:36:52.86 ID:KznZaYY00

 キャーキャー! ワーワー!


パトリシア「あ! 割と近く通れるみたいですよ!」キラキラ・・・

ステイル「…………、」チラッ

レイヴィニア「……如何した」チラッ

ステイル「いや……何でも」テクテク・・・

パトリシア「わぁ……私達と歳大差ないのに大人びて見えますね!」ノシ”

レイヴィニア「私の方が大人だよ」フフッ

マーク「どの口言うか」ボソッ

レイヴィニア「あんだと?」ギロッ

マーク「……はい? 何か言いました?」シレッ・・・

レイヴィニア「……最近、部下が冷たい件について」ハァ・・・


削板「…………、」ジー・・・

垣根「……如何した」チラッ

削板「いや……何でも。(―――ステイル)」コクッ


ステイル「っ」ピキリィーンッ!!

レイヴィニア「ステイル?」チラッ

ステイル「……(軍覇?)」ジー・・・

削板「……(香はまだホールに残ってる)」ジー・・・

ステイル「……(念話、いや、これは何だ!?)」ピタッ・・・

パトリシア「わっ! す、ステイルさん!?」キョトン・・・

ステイル「す、すまない……(まぁいい。後で聞く……とりあえず了解だ。僕は外で待つ)」コクン・・・テクテク・・・

削板「……(ああ。終わったら連絡する)」コクン・・・

レイヴィニア「…………、」ジー・・・

食蜂「ん? あれ?」ムズムズ・・・

御坂「如何したの?」チラッ

食蜂「いやぁ。なぁんか違和感がぁ……変な声がした?」ウーン・・・

麦野「人の声ばっか盗み聞きしてっから妄想聞こえんのよ」フンッ

食蜂「……ま、いっか」ノシ

477 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 06:03:22.00 ID:KznZaYY00
 ―――会場外・・・・・


 がやがや・・・・・


パトリシア「んー! 楽しかった! 満足です!」フフッ

マーク「ええ。来た甲斐がありましたね」コクッ

ステイル「それは良かった。では僕は此処でさよならだ」チラッ

パトリシア「あ、はい。今日は我儘言って付き合わせてすいませんでした」ペコッ

ステイル「そんな事は無いさ。僕もそれなりに充実できたよ」コクン・・・

パトリシア「そう言って貰えると助かります」フフッ

マーク「ではそろそろ行きましょうか。迎えは呼べばすぐ来ますが、ホテルのドアが開かなくなってしまいますからね」

レイヴィニア「ん……先に行け。私は少々コイツと話がある」チラッ

パトリシア「え?」ポカーン・・・

レイヴィニア「なに、逢引なんかじゃない。仕事の話だ」チラッ

マーク「お嬢様(ボス)……畏まりました。車だけ手配しておきます。妹(パトリシア)様、行きましょう」スッ・・・

パトリシア「あ、はい」ジー・・・

レイヴィニア「安心しろ。すぐ終わる。あ、何なら明日の観光、コイツにパトリシアの護衛をさせようか」フフッ

パトリシア「そ、そんな! 護衛なんて……で、でももし、時間があれば、一緒に買い物くらいなら」ゴニョゴニョ・・・

ステイル「荷物持ちかい」タラー・・・

レイヴィニア「ふふっ。光栄に思え。ま、そういう訳だから先に行ってろ」ジー・・・

パトリシア「んもぅ……はぁ。とりあえず、おやすみなさい。ステイルさん。また今度」ニカッ

ステイル「ああ。良い夜を」コクン・・・


 ざわざわ・・・・・


ステイル「……で、何の様だ?」チラッ

レイヴィニア「ん……もう一人の知り合いとは、アレの事か?」ジー・・・

ステイル「ああ」コクッ

レイヴィニア「何の繋がりだ? アレはあの6人の中でも極めて取り扱いに困るモノだぞ」チラッ

ステイル「僕だって困ってるさ……だが、仕方なかろう。腐っても『縁』が出来た」ハァ・・・

レイヴィニア「はぁ……魔女(ローラ=スチュワート)も物好きな。確かに手に入れられれば最高級の宝石ではあるがな」フーン・・・

ステイル「いや、英国清教・必要悪の教会(ネセサリウス)は関係無いよ……言っただろう。今日はプライベートだって」ジー・・・

レイヴィニア「な……じょ、冗談キツいぞ」タラー・・・

ステイル「僕だって信じられないさ。しかし……僕とアイツを、引き寄せた甘ちゃんが居るんだ」ポリポリ・・・

レイヴィニア「幻想殺し(イマジンブレイカー)か?」ム・・・

ステイル「いや……彼みたいな人種だが、彼よりも甘ちゃんさ。頭が切れて素早っこいから、彼より厄介かもな」フッ・・・

レイヴィニア「まさか、友人とか? お前に?」ポカーン・・・

ステイル「一方的なモノだよ。ヤツや軍覇の方からそう言ってくる……まぁ何だ。その好意、悪い気はしないよ」ポリポリ・・・

レイヴィニア「……『原石』、か。貴様までこうも変えるとは」フーム・・・

ステイル「僕は『原石』なんかより、最も『人間臭い』人種が苦手だよ。魔術師(同業者)なのに人道を語るヤツとか、尚更ね」ハハハ・・・

478 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 06:22:17.37 ID:KznZaYY00
 ―――玄関ホール付近・・・・・


 がや・・・がや・・・・・


麦野「ハァ……やっと人減ってきたわね」タラー・・・

食蜂「もぅ11時半回っちゃったじゃなぁい」ムゥ・・・

御坂「…………、」キョロキョロ・・・

一方通行「……俺も、まだ三下(アイツ)見かけてねェぞ」ボソッ

御坂「ばっ!? な、何も言ってないでしょ!!」カアアァ///

垣根「あん?」チラッ

御坂「あ、あはははは……何でもないですよ」タラー・・・

削板「……まだ帰っちゃダメなのか?」ジー・・・

麦野「若干名、残ってるって。でも45分までで良いそうよ」コクッ

垣根「あと2,3分かぁ。別にもう良いだろー。早く酒ー」グデェ・・・

一方通行「仮にも象徴(アイドル)たる未成年が危ねェ事口走ンねェ方が良いンじゃねェか」フンッ

垣根「誰も聞いちゃいねぇよ。テメェら以外な」ハァ・・・


 バタバタバタバタ・・・・・


食蜂「んー?? 五月蠅いぞぅ??」チラッ・・・

麦野「……アレ、は」チラッ・・・


警備員's『待てえええぇっ!!』ダダダダッ!!

上条「ぎゃあああぁっ!! 如何してこうなるのおおおぉっ!!」フコーダー!

禁書「とうまがチンタラしてるから悪いんだよ!」ウガー!

スフィンクス「なー」ペシペシッ

上条「オマエがスフィンクスから目ぇ離すからだろうがあぁっ!! てか連れてくるなよ!!」ウギャー!

禁書「仕方ないんだよ! 外食の予定だったんだし!」ムキー!

上条「尚更だ! あと、何でちゃっかり人気の無いVIP室上がり込んで残り物食べてんだ!? 馬鹿か!? 馬鹿だな!?」バタバタッ!

禁書「立ち入り禁止区画に平然と上がり込んで迷子になるとうまに言われたくないんだよ!」ウワーン!

風斬「ふ、2人とも……喧嘩はそのくらいにして、正直に謝った方が……事態収束するかも、よ」アハハ・・・

上条・禁書「「インデックス(とうま)だけ謝れ!」」ギロッ・・・

風斬「……はぁ」タラー・・・


超能力者's『何、あれ?』ポカーン・・・

一方通行「……相変わらず、滅茶苦茶な野郎だな」ハァ・・・

御坂「っ!」パアアァッ!!

479 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 06:46:42.96 ID:KznZaYY00

 マテー! フシンシャー! フコーダー!


禁書「あ! やっと出口なんだよ! そのままエスケープ……って」チラッ・・・

風斬「超能力者さん達、ですね」ジー・・・

禁書「……とうま! ちゃんとお花渡すんだよ!」チラッ・・・

上条「こ、こんな時に!?」ハァ!?

禁書「渡すの!」ギロッ・・・

スフィンクス「にゃー!」キリッ

上条「……お、おう」タラー・・・


 バタバタバタバタ・・・・・


垣根「あー……アレ、止めた方良いの?」タラー・・・

麦野「無視って良いわよ。アレに関わると碌な事無いわ」タラー・・・

食蜂「あらん? あの眼鏡ボインちゃんってば、もしかしてぇ?」ジー・・・

一方通行「あァ。ま、前の2人同様関わンねェ方が身の為だな」フンッ

削板「一番問題児はあの真っ白修道服のシスターだろ。ありゃ何でも喰うぜ」タラー・・・


 ギャーギャー!


上条「っ……おーい! 御坂ああぁっ!!」バタバタバタッ!!

御坂「ひゃ、ひゃいっ!!?」ドキッ!!

超能力者&警備員's『はっ!?』チラッ・・・

上条「恰好良かったぞおおぉ!!」バタバタバタッ!!

御坂「え、あ、そ、あぅ……ど、ども、ありが……って、そ、そんな距離から叫ぶな馬鹿ああぁっ!!」カアアァ///

禁書「とうま! ドレス着たレディに向かって恰好良いはないんだよ!」ベシッ!

上条「そ、そっか。ええっと……って! もう距離無いじゃん!」アタフタ・・・

禁書「ああもぅ! お花だけはキチンと渡しなさい!」メッ!

上条「おう!」バタバタバタッ!!


 マテー! ニガスナー! フウサセンヲハレー! ダレカトメロー!


削板「あ、来た」ジー・・・

上条「御坂っ! これ! 安物だけど、気持ちだけでも! そんじゃ見ての通りピンチだから、また今度なっ! そんじゃ!!」ビューンッ!!

御坂「あ、え、ちょっと……あ、ぅ」ポンッ・・・///

禁書「とうま! このまま安全な……ラーメン屋辺りまで逃げるんだよ!」バタバタバタッ!!

上条「何処に在んの?! てかこの期に及んでまだ喰い物ですか?!」ハァ!?

風斬「近くの、路地裏だけど……漫葉軒(まんばけん)ってお店なら、大丈夫じゃないかな……並ぶけど、安いし美味しいし」ウン・・・

上条「在んのかよ!? しかも風斬庶民的!?」タラー・・・

禁書「ナイスひょうか! そんじゃレッツゴーなんだよ!」ワーイ!

スフィンクス「なー」フシフシッ


 バタバタバタバタ・・・・・

480 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 07:26:31.09 ID:KznZaYY00

 シーン・・・・・


垣根「な、何だったの? 今の?」ポカーン・・・

削板「さぁ?」ポカーン・・・

御坂「…………、」ジー・・・

食蜂「ふーん……アレ、御坂さんの小指(コレ)なのん??」ニヤリ・・・

御坂「じゃっ!? ちょ、ちょがうわよ!」アタフタ・・・

麦野「噛み具合が尋常じゃねぇぞ……まぁアンタが幻想殺しにゾッコンなのは今更じゃないわよねぇ」ニヤニヤ・・・

御坂「にゃ、にゅ……違うって言ってんでしょ!」ウガー!

一方通行「……ふっ」ニヤリ・・・

御坂「アンタまで鼻で笑うなぁ!!」ムキー!

垣根「あー。アレが幻想殺しかぁ。一方通行に勝ったっつー無能力者(レベル0)」ニヤリ・・・

一方通行「ハァ? 負けてねェしィ。ただ御情けで気絶してやっただけだしィ」ジトー・・・

削板「喋り方がスレた中学生みたいになってんぞ。あ、元からか」ハハハ

垣根「あはは。まぁコイツはDQNでメンヘラで中二で……面倒臭ぇ性格してっからなぁ」ケラケラッ

一方通行「脳味噌シェイクされンのと、明日から血尿しかでなくなンの……どっち良い?」ギロッ・・・

食蜂「こらこらぁ。喧嘩禁止だぞっ☆」メッ


スタッフ「みなさーん。そろそろ上がってくださーい」テクテク・・・


垣根「うぃ。そんじゃ帰っかなぁ」グー!

食蜂「私達は片付けあるわねぇ……あ、香ちゃん逃げる前に捕まえなきゃ★」アハッ♪

削板「そうだ。香迎えに行かねぇと」コクッ

一方通行「俺もガキが残ってンだったな」ハァ・・・

麦野「絹旗か……まだホールに居るのよね?」チラッ・・・

御坂「ええ。でも、多分打ち止めは寝てるかもしれないわ」コクッ

一方通行「背負うの面倒臭ェ……黄泉川早く来やがれ」ハァ・・・



 <一方その頃ホールでは>



絹旗・打ち止め「「むぅ……くす」」スヤスヤ・・・

香焼「……最愛まで寝るなよ」ハァ・・・

481 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 08:20:25.52 ID:KznZaYY00
 ―――とある翌々日、AM00:15、学園都市第7学区、文化会館前入り口付近・・・・・・







結局、最愛は迎えに来た浜面さんが背負って帰り、打ち止めちゃんは忙しい黄泉川さんの代わりに固法さんが背負って帰った。
僕はというと、操祈さんに『お持ち帰り』されそうになったが、かろうじて軍覇に助けられた。

やっぱり女性は怖いです。


削板「はぁ……無駄に疲れたわ」グデェ・・・

香焼「ごめんなさい」ペコッ

削板「あ、いや香は悪くねぇよ。あのお嬢様女と俺自身の問題だ」ヤレヤレ・・・

香焼「……そういえばマグヌスさんは?」チラッ・・・

削板「喫煙所居るってメール来たけど……あ、居た」チラッ・・・


普通にタクシー乗り場で煙草喫ってやがった。恐れ知らずめ。


香焼「すいません。お待たせしました」ペコッ

ステイル「ん。いや、大丈夫だ……さっさと帰ろう」コクッ

削板「ん? そいやぁ香、何処帰るんだ?」ジー・・・

香焼「え? あ……一応、香焼の兄さんの家に。カオリ姉様も泊まるので」コクッ

ステイル「では送ろう。夜道の一人歩きは危険だ」ジー・・・

削板「そうだな。折角だし、香焼に会って帰るか」アハハ


いや、それは色々困る。


香焼「も、もう遅い……ですし、兄さん寝てますよ。それに、そこでタクシー拾いますから」コクッ

ステイル「そうか。なら、問題無いか」フム・・・

削板「やれやれ……ま、香焼は次の機会にでも会うか」ムンッ

香焼「……是非お願いします。兄さん、お二人と遊べるの本当に楽しみにしていたので」コクン・・・

ステイル・削板「「お、おぅ」」ポリポリ・・・///


次は、絶対『香』抜きで。
それから2,3伝言を預かり……僕らは解散した。とても長い数時間だったな。

482 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 09:08:36.76 ID:KznZaYY00
2人が帰路に着き、僕もタクシーに乗ろうと歩を進めた時、声が掛った。


香焼「っ……蛇さん」チラッ・・・

御坂蛇「御苦労だった。一先ず完了だな、とミサカは評価します」コクッ

香焼「あはは、疲れたっす」タラー・・・

御坂蛇「まぁ色々と言いたい事はあるが、次回にしよう。疲れているだろう。私も帰るよ、とミサカは報告します」ジー・・・


そうしてもらえると助かる。そういえば海原さんや土御門、カオリ姉さんは?


御坂蛇「各々先に帰った。私は伝言役で居残りって訳だ、とミサカは苦笑します」ハハハ・・・

香焼「お疲れ様っす」ポリポリ・・・

御坂蛇「うん。とりあえず潜入については次第点だ。次回からは『暗殺』についても教える、とミサカは総意を香に告げます」ジー・・・


遂に『殺し』か。


御坂蛇「それでは解散だ。寄り道せずに帰れよ。家に帰るまでが修行・任務だ、とミサカはテンプレを述べます」ビシッ

香焼「そんなテンプレ知らないっす」タラー・・・

御坂蛇「一々突っかかるな。兎に角、その姿で戦闘行為になる様な事態は避けろよ、とミサカは忠告します」クルッ・・・

香焼「はい……おやすみなさい」ペコッ

御坂蛇「ああ。良い夜を、とミサカは闇に消えます」スッ・・・


繁みの方へ消えていく蛇さん。そっち病院の方角じゃないんだけどなぁ。


香焼「……帰ろ」テクテク・・・


本来、タクシーは経費の関係上乗る事は禁止されてるのだが、今日はポケットマネーで払うから許して欲しい。

乗り場で深夜割増のタクシーに乗り込む。
この時間帯の運ちゃんは大体テンションが低いので助かる。ぶっちゃけ今日はもう演技したくない。
携帯を調べると……何件かメールが。その中から火織姉さんのメールを見つける。


香焼「『2時くらいまでは起きてます』か……ははは。不敬罪だな」クスクス・・・


律義な人だ。多分ご飯も作ってくれているのだろう。


香焼「その内何か恩返ししないとなぁ……家族として」フフッ


五和と浦上も一緒に、何か感謝の品でも送ろうか。ボチボチ考えておこう。

483 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 09:48:18.03 ID:KznZaYY00
 ―――とある翌々日、AM00:50、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・








最寄りのコンビニ(第7学区最北)で降ろしてもらい、適当に茶菓子を購入して帰路に着く。
今更なのだが、スカートはとても寒い。タイツを穿いていても寒い。女子はよくこんな薄いモノを穿いているな。感心するよ。

そんな事は如何でも良いとして、そそくさと家に着く。鍵は開いてる様だ。


香焼「ただいまー」ガチャッ・・・


リビングの方から返答が来た。


神裂「お帰りなさい。疲れたでしょう」テクテク・・・

香焼「あはは……精神的に」ポリポリ・・・

神裂「先にお風呂に? それともご飯を食べますか?」チラッ・・・

香焼「では、ご飯を」コクッ

神裂「分かりました。では手洗い嗽(うがい)を」クルッ・・・


最早遠慮する気力も残ってない。人間寒くて眠いと物事を考えられない。
惰性のまま洗面所に行き、適当に手洗い嗽を終え、リビングに。着替えもしてないし、メイクも落として無い。


神裂「サラッと食せる様、月見うどんにしました」コトッ

香焼「ありがとうございます……姉さんは食べました?」チラッ・・・

神裂「ええ、先に。私の事は気にせずどうぞ」フフッ

香焼「すいません……いただきます」コクッ


食前の祈をする事すら忘れて、チュルチュルとうどんを啜る……美味しい。身体が温まる。


神裂「作った甲斐がありますね」フフッ

香焼「ふふっ」チュルチュル・・・


寝ボケ眼のゆっくりペースで汁まで飲み切り、食べ終えた頃には1時半を回っていた。

484 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 10:18:32.12 ID:KznZaYY00
お風呂に入ってしまったら湯船で寝てしまうだろうと思い、洗顔と着替えだけして、明日朝シャワーを浴びる事にする。
寝る前にソファに座ってココアを飲みながら、携帯チェックをする。

まぁ大体いつもの面々なのだが……やはりステイルと軍覇のメールが目に着いた。


神裂「……隣、良いですか」スッ・・・

香焼「あ、はい」コクッ


ほうじ茶を手に、姉さんが僕の横に座る。


神裂「明日も、修行ですか?」ゴクゴク・・・

香焼「いえ、流石に休みっす。仕事の方も夕勤シフトっすよ」カチカチ・・・

神裂「それは良かった。無理をしてはいけませんよ。仮にも成長期なのですからね」フフッ

香焼「仮って何すか」ジトー・・・

神裂「ふふふ。失礼」クスクス・・・


気にしてるのに。


神裂「しかし、急ぐ必要はありませんよ」チラッ・・・

香焼「むぅ……身長欲しちゃダメなんすか?」ジトー・・・

神裂「いや、そっちじゃなく。まぁそっちもそうですけど……修行の方ですって」コトッ

香焼「あ、そっち」アハハ・・・

神裂「ええ。確かに私は強くなりなさいとは言いましたが、すぐさま強くなれ、という訳ではないのですよ」トンッ・・・

香焼「それは……分かってます」ペコッ

神裂「気持ちは分かります。が、大事なのは自分との闘いですよ……意味、分かりますね」ツツツ・・・

香焼「……はい」コクッ


引け目を感じるな、と……分かっているけど、難しい事だ。


神裂「先天的な私が言うのもなんですが、スロースターターでも良いでしょう。30過ぎてから伸びる魔術師だっています」コクッ

香焼「…………、」ウーン・・・

神裂「納得出来ませんか……では、私が個人的に期待してる事を伝えましょう」フフッ

香焼「え?」キョトン・・・

神裂「私は……いえ、私以外の数名も、貴方の『ココ』に期待しています」ポンッ・・・

香焼「なっ……頭?」ポカーン・・・


要するに、頭脳か。それとも心か? ドチラにしろ同じ様なモノか。

485 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 11:42:03.27 ID:KznZaYY00
ただ、些か買い被り過ぎでは無かろうか。
自分よりも五和・浦上の方が頭は切れるし、ハートだって強い。


神裂「いえ、あの子達にはあの子達の。貴方には貴方の『色』があります」ナデナデ・・・

香焼「色っすか?」キョトン・・・

神裂「特色、個性ですよ。単純な事ですよ」スッ・・・

香焼「……自分に、特色なんて無いっすよ」ムゥ・・・

神裂「いえいえ。素晴らしいモノを持っています。自分では気付いてないだけ」ゴクゴク・・・フゥ・・・


童顔とか言ったら泣きますよ。


神裂「違いますって。大概ネガティブですね……とりあえず特色なんてモノは自分では気付けないモノです」

香焼「真の長所は自分では見付けられないって話っすか?」コクッ

神裂「ええ、そうですね。ただし特色は使い方一つで長所にも短所にも成り得ますよ」

香焼「……難しいっす」ウーン・・・

神裂「そう易々と答えられたら私(女教皇)の立場が無いですからね」ハハハ


だったらそんな悟りめいた問いを掛けないで下さいよ。


神裂「まぁ何れ、ね……そういえば次回からは暗殺についても教わるとか」チラッ・・・

香焼「……反対っすか?」

神裂「いえ、しっかり覚えなさい」トンッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

神裂「急所を覚えるという事は、急所ではない部位まで分かりますよ」スッ・・・トンッ・・・


殺さず、相手を傷つける。狙って急所を外す……難しい話だ。


神裂「ええ。ですが、その為の修行でしょう……頑張りなさい」コツン・・・

香焼「……はい」コクッ


引き寄せられ、優しく側頭部が合わさる。
普段なら五和や浦上が居て照れ臭いのだが、今日は姉さんと2人きりなので……それなりに甘えさせてもらう。

486 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 12:18:02.44 ID:KznZaYY00
 <神裂side>



いつもは恥ずかしがって逃げてしまうのだが、今日は従順で大人しかった。
疲れの所為もあるが、五和と浦上が居ない分、余計に気を抜いてくれているのだろう。可愛いものだ。

一寸、静かに頭を撫でていると……ユラユラと、香焼の身体が揺れ始めた。そろそろ眠りに着くだろう。


神裂「……寝て、良いですよ」トン・・・トン・・・

香焼「ん……いえ」ウトウト・・・

神裂「五和も浦上も、他の友人らも居ません……安心して」ポン・・・

香焼「……ん」コクン・・・


小さな身体が寄り掛ってくる……禁書目録(あの子)と同じくらいの大きさだろう。


神裂「私も、ステイルも……感謝してるんです」トン・・・トン・・・

香焼「ん……、」コロン・・・

神裂「貴方の家(此処)に居る事で、あの子との時間が増えた。ステイルも幾らか関係が解れた……最大のプレゼントです」ナデナデ・・・

香焼「……い、え」ムニャ・・・ムニャ・・・

神裂「謙遜しないで。私以外の色んな人達も、少なからず救われてる。特に……貴方が友と呼ぶ人達はね」フフフ・・・


私は家族としての……他の者は友人と呼ばれる事での、安心感。
何かと孤高の輩が多い私達にとって、こういった甘い人間は偉大だと思う。

ステイルや数名は『毒』だというが、そんな事は無い。寧ろ真逆だ。
強くは無いが、強く在ろうとする心。否定されても離れぬ根気。現に削板くんなどは純粋にそれを認めている節がある。


神裂「だからこそ、我儘で居なさい。そのくらいが丁度良いのです」フフフ・・・

香焼「…………、」スゥスゥ・・・

神裂「……おやすみなさい」ナデナデ・・・


いつの間にか寝息を立て始めていた。私の話は半分くらいしか聞こえていなかっただろう。


神裂「この子が如何なるかは、ステイルと削板くん次第でしょう」スッ・・・

香焼「すぅ……くぅ」コロン・・・


『素』の彼で居られる者……やはり同性の友人は大事だ。
女性ばかりや、兄貴分な連中ばかりの中で育ったこの子にとって、掛け替えの無い存在だろう。

ソファで横になるこの子に布団を掛ける。テーブルを片付け明りを暗くし……私も寝る準備。


神裂「おやすみなさい」ファサッ・・・

香焼「ぁ……ん」コクン・・・


せめて夢の中では、彼らと遊べる良い夢を……―――

487 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 [saga]:2011/12/03(土) 12:39:34.97 ID:KznZaYY00
 <おまけっ!>



五和「たっだいま〜!!」バンッ!

浦上「地元から帰って来たヨ〜!」テクテク・・・


 シーン・・・・・


五和「返事が無い」ムムム・・・

浦上「ただの屍の様ダ」タラー・・・

五和「コウちゃーん。姉さーん」テクテク・・・

浦上「もーあーいー」キョロキョロ・・・


 シーン・・・・・


五和「……あれ? 部屋、間違えたとか?」タラー・・・

浦上「合鍵で開いたんだからそれは無いヨ……って、あ。書き置きだ」チラッ・・・

五和「ん? ホント」スッ・・・



 『  香(香焼にあらず)と禁書目録と買い物に行ってきます by姉  』



五和・浦上「「…………、」」ジー・・・


浦上「なん……だと……ッ!?」ギョッ・・・

五和「姉さん! 図りましたねっ!! 私達に内緒で自分だけ抜け抜けコウちゃん(Ver.男娘)とお買い物とはああぁっ!!」ムキー!

浦上「てか、よく香焼が許可したネ」アハハ・・・

五和「ハッ! ま、まさか……私達が居ない間、コウちゃんと姉さんは禁断のアレをアレしてアーなってうわあああぁっ!!」キャーキャー///

浦上「ネーヨ。禁書目録居るってば。お姉のその妄想力には頭が下がりますネ」タラー・・・

五和「んぎぎぃ……今頃個室サロンで、ンゥマーベラッスッ! な事に!? ウラ! 急いで私達が止めに行くよ!」キリッ!

浦上「如何してそういう着地点に落ちたかなぁ……てかまぁその展開はその展開で、2人を弄れるから面白いよネ」ハハハ

五和「お黙る! そんなケシカ=ランヌ伯爵展開、神が許しても私が許しません! いざっ!」ウオオオオォッ!!

浦上「行ってらっしゃーい……誰だよ、ケシカ=ランヌって……あ、裏に続きだ」ノシ”



 『  冷蔵庫にコーヒープリンがあるので、それ食べて大人しく待ってて下さい  』



浦上「……二つ分ゲット〜♪」ヤッター!

488 :第三話―――ステイル・削板「「…………、」」 香焼「な、仲良くしてよぅ」 :2011/12/03(土) 13:00:41.65 ID:KznZaYY00
 <おまけっ!!>


削板「……香焼」スッ・・・グイッ・・・

香焼「え……あ、ちょ……何!?」ギョッ・・・

削板「お前は黙って俺に守られてろ」ギュウゥッ・・・

香焼「ふぇっ!? あ、にゃ、そ……うぅ」アタフタ・・・///

ステイル「待て、軍覇っ!」バッ!!

香焼「す、ステイル!! ぐ、軍覇の様子が変なんだ!」アワワワ・・・

削板「……何の様だ」ジー・・・

ステイル「彼を、放せ」カツカツ・・・

香焼「そ、そうだよ! 軍覇、今日変だよ!」ダラダラ・・・

ステイル「君では彼を守り切れない……その役目、僕のモノだ」ガシッ!!

香焼「そう、僕のもぅえええぇっ!!?」ギョッ・・・

削板「抜かせ……俺は香焼の『パートナー』だぞ」グッ・・・

香焼「ぱ、ぱとな!? 何のさ!?」ダラダラ・・・

ステイル「所詮は自称、だろ? コレを見ろ。僕は戸籍上、完璧にパートナーだ!(香焼の性別:女扱い)」バッ!!

香焼「にゃんとおおおおぉっ!!? 何それええぇっ!!?」ギョッ・・・

削板「テメェ! 香焼の意志を無視して勝手にそんなモン作るたぁ腐った野郎だ!」ギリッ!

ステイル「貴様こそ! 暴力で彼を屈服させ、剰(あまつさえ)蹂躙せしめようとするとは外道極まりないぞ!」ギリッ!

香焼「な、何だこれえええぇっ!!?」ダラダラ・・・

削板「うおおおおおぉっ!! 香焼の愛は俺が守るっ!!」ドゴーンッ!!

ステイル「彼の愛の炎は僕に向いているっ! 彼から離れろ、下郎おおおぉっ!!」バーンッ!!

香焼「う、うわあああぁあああああぁっ……―――」













絹旗「―――……ハっ」バッ・・・


 チュンチュン・・・・・


絹旗「嫌な……夢? てか何で私が!?」ギョッ・・・

絹旗「…………、」ボー・・・

絹旗「こ……………………香焼の騎士は私ですっ!! 2人には譲れませんっ!! 今私もそこに!」ウガー!!

麦野「ゴラァっ!! 朝っぱらから五月蠅ぇ糞ガキっ!! 身長5cm縮ますぞ[ピーーー]カス娘がっ!!」ガンッ!!

絹旗「……ごめんなさい」ペコッ・・・






もあい「んなー」オワレッ

489 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/03(土) 13:13:01.92 ID:KznZaYY00
うい。ここまで。何かゴダゴダった……何時までやってんねんw
まぁ何とか寝落ちは免れた!


さておき、次回のアンケート!


@アンジェレネ回!(※ストーリーの要望もあればどうぞ。参考にします)

A浦上回!(ウラ、フロリス、ルチアなど女子寮組の話。主にこの三人だが、雰囲気ちょっとアダルティかも)

Bあわきん回!(『居候』としての結標淡希か、『リーダー』としての結標淡希のどちらか)


協力よろしくお願いします。それでは例の如く質問意見感想罵倒等々下さい。
そんじゃまた次回! ノシ”
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 19:09:53.16 ID:W8S1XwnDO
>>1乙ー


個人的には浦きぼん!
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/03(土) 19:19:16.34 ID:bK7wqOnRo
>>1乙です
ねーちんが姉過ぎて辛い

アンケートはBかな
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 19:49:44.16 ID:hMGIQ9eL0


Bでお願いします
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/12/03(土) 19:52:16.24 ID:p78dsDgYo
乙っした
Bの居候のほうで
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/12/03(土) 22:06:44.65 ID:+ADelDux0

A希望ッス
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/12/03(土) 22:33:12.27 ID:GCbzL0AA0
>>1
いいもん見たわ
そろそろ香焼も見たい(笑)

アンケは?で
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 22:50:57.35 ID:NLT+mPODO
乙! 義姉弟かつ姉×ショタって、良いよね……寝落ちしたら親戚さんに書いてもらう候補にしてくれ(笑)

アンケは英国分が足りない! Aで!
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/12/03(土) 23:26:21.86 ID:r1QShHMOo
ねーちんマジねーちん乙!
アンケは2で
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/03(土) 23:36:30.65 ID:SFgYxy8IO
みさきちは中々いいキャラだった今後も期待

アンケートは@で香ちゃんと英国デート!
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長崎県) [sage]:2011/12/04(日) 05:33:05.11 ID:m2d9MoyGo
>>1乙!

アンケは3の居候で
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 10:22:57.14 ID:vtmgLoHxo
3の居候がいいな
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) [sage]:2011/12/04(日) 23:46:47.59 ID:mT3DtPlAO
乙でした

だが>>471で麦のんが大変な事暴露してるwww

アンケートは2でお願いします
502 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/05(月) 20:55:40.74 ID:94AejJ+D0
こんばんわ。アンケの結果ですが、AとBが5:5なので……安価!



   >>504

503 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/05(月) 20:56:56.41 ID:94AejJ+D0
・追記:A(英国・浦上話)かB(あわきん話)かで!



   >>505
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/12/05(月) 21:01:43.93 ID:Sa2dGF+AO
B
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/12/05(月) 21:03:37.25 ID:Rad7X/43o
Bで
506 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/05(月) 21:32:42.12 ID:94AejJ+D0
それではあわきん話でいきます。次回は浦上メインね!

それじゃあボチボチ投下!
507 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/05(月) 22:05:46.50 ID:94AejJ+D0
 ―――とある前日、AM08:45、学園都市第7学区、とある学校(上条の高校)・・・・・・



  キーンコーンカーンコーン・・・・・



月詠「―――……それではHR終了なのですよ。今日も一日頑張りましょう」コホッ・・・コホッ・・・

青ピ「ん? 小萌先生、調子悪いんですか?」ジー・・・

月詠「え……あ、ちょっと風邪気味かもしれませんね。でも心配要らないのですよ」コクッ・・・コホッ

吹寄「ふむ、そう言われても先生が風邪を引くなんて珍しい事ですから気にはなりますよ」ジー・・・

月詠「あらあら。過保護な生徒さんですね……けほっ」コホッ・・・

姫神「小萌先生。もしダメそうなら。早引きしなきゃダメよ」コクッ

月詠「ええ……コホコホっ……大丈夫なのです。咳だけですから」ニコッ・・・

上条「でもほら、免疫が付かない内に無理すると大人になってから後遺症が残るって」ウーン・・・

青ピ「あかん! 先生早く小児科に!」アタフタ・・・

月詠「先生は大人なのです! 馬鹿にし過……げほっ……あーごめんなさい。あまり興奮させないで欲しいのですよ」ハァ・・・テクテク・・・

生徒一同『…………、』タラー・・・

月詠「こほっ……とりあえず皆さん、一限の準備を……こほっ……教室移動でしょう。先生も準備がありますので」ガララ・・・


 シーン・・・・・


吹寄「……大分、元気が無いな」フム・・・

上条「まぁ先生も『7不思議』とはいえ人だからな。風邪くらい引くんだろ」ウンウン・・・

青ピ「うーん……滅茶苦茶心配なんやけど。仮にも大人とはいえ独身女性やしなぁ……あ! じゃあ僕今晩介護にぶべらぁ!!」ガンッ!!

上条「ごべっ!!」ガンッ!!

吹寄「自重しろ変態!!」ギロッ・・・

上条「うぐぐっ……な、何で俺まで」イタタ・・・

吹寄「すまん。いつものノリで」ペコッ

上条「酷っ!! 理不尽! 不条理! 鬼! 吹寄制理! 悪魔! おでこ!」ギャーギャー!

吹寄「貴様! サラッと人の名前を悪口みたいに言うな! あとおでこ出して無いわ!」ゴツンッ!!


 ギャーギャー・・・・・


姫神「……まったく」ハァ・・・

土御門「まぁこんなクラス受け持ってたら心身ともに疲労堪るわなぁ」ニャハハ

姫神「それは否定しないけど……ねぇ。淡希は?」チラッ・・・

土御門「は? いや、何でそこでアイツの名前が?」キョトン・・・

姫神「居候でしょう。小萌先生の具合見て。何も言わないの?」ジー・・・

土御門「んな事俺に聞かれても分かる訳無いぜぃ。まぁあの馬鹿女も小萌センセの心労の一つだってのは分かるがな」フンッ

姫神「…………、」ウーン・・・

508 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/05(月) 22:47:43.42 ID:94AejJ+D0
吹寄「ったく……姫神さん。貴女からも言ってやって」チラッ・・・

姫神「え? あ。ごめん。聞いてなかった」サラッ・・・

吹寄「ぐっ……やれやれ」ハァ・・・

上条「痛てて……と、とりあえず、そっとしておいた方が良いんじゃないか?」タラー・・・

青ピ「問題児筆頭がよく言うわ」ジトー・・・

土御門「まぁカミやん……っていうか、カミやんとこの居候も心労の一つだろうけどにゃ」クイッ・・・

上条「インデックス? あーまぁ……確かにお世話になってるからなぁ」ポリポリ・・・

姫神「そういえば。インデックスが居る時。淡希如何してるの? 私と居る時は大人しく携帯弄ってるだけだけど」チラッ

上条「結標さん? うーん、インデックスが言うには……寝てるって」コクッ

土御門・姫神「「は?」」ポカーン・・・

上条「だから飯食ってる最中も寝てたってよ。バイトで疲れてたんじゃないか?」ウンウン・・・

土御門「……カミやん。それいつの話だ?」タラー・・・

上条「俺がお前に北欧連れてかれた時だから……一週間前くらいじゃないか? インデックス三日間預けた」ピンッ

土御門「バイトなんて……無い」ジー・・・

姫神「……如何いう事?」チラッ

土御門「アイツ、最近仕事入ってないぞ」フム・・・

姫神「つまり。何もしないで。ゴロゴロしてるだけ? 小萌先生に迷惑掛けて?」タラー・・・

上条「ハハハ。まるでインデックスみたいだな。結標さん」ハハッ

土御門「…………、」チッ・・・

姫神「あの。馬鹿」ジトー・・・

上条「ははは……って、あれ?」タラー・・・

吹寄「何だ? 小萌先生の不良児居候癖の話か?」チラッ

姫神「……確かに。淡希は。長過ぎる」ジトー・・・

土御門「ああ……問題だ」ジー・・・

青ピ「ま、まさか! 小萌先生が特定の誰かとイチャラブ的な話かぼぐふぅっ!」ゲフッ!!

吹寄「黙ってろ!」ギロッ・・・

姫神「……何でもない。この件は気にしないで」チラッ

吹寄「ん、そう。なら良いのだけど」コクッ


 キーンコーンカーンコーン・・・・・


土御門「…………、」ジー・・・

姫神「土御門くん。何考えてるかは分からないけど。淡希の問題は先生に任せた方が良いわ」チラッ

土御門「…………、」フンッ

姫神「出来れば。貴方は手を出さないで。必要なら私から言う」テクテク・・・

土御門「……女同士ってか? そういう問題じゃないんだぜぃ。姫神さんよぉ」クイッ・・・

509 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/05(月) 23:36:19.97 ID:94AejJ+D0
 ―――とある前日(別日)、PM11:30、学園都市第7学区、とある仮眠室・・・・・・







海原「―――……ふぅ。久しぶりに『グループ』での仕事でしたね」ドサッ・・・

一方通行「ケッ。こちとりゃ単独任務だの何だのと忙しいっつゥのによォ」ハァ・・・

土御門「文句言うな。手前らのツケの分の仕事とグループの仕事は別モンだ」クイッ・・・

結標「ふぁあぁ……あー最後シャワー借りるわよ。もう銭湯閉まってる時間だし」グデェ・・・

土御門「…………、」ジトー・・・

一方通行「ンで……今日はもう解散で良いのか?」チラッ

土御門「ああ。オマエは帰って良いぞ……海原と結標は話がある。残れ」チラッ

海原「おやおや。残業ですか」フゥ・・・

結標「えー……メールじゃ駄目なの? 帰って寝たいわ」ハァ・・・

土御門「……散々寝てる分際で」ギロッ・・・

結標「な、何よ」タラー・・・

土御門「……テメェは最後だ。シャワー浴びてくるなり何なりしろ。その間に海原と話しとく」クイッ・・・

結標「……ふんっ」テクテク・・・


一方通行「……機嫌悪ィみてェだなァ、土御門」チラッ

土御門「まだ居たのか? さっさと帰れ」ジトー・・・

一方通行「へいへい。つれねェな」カツカツ・・・

土御門「……おい」ボソッ

一方通行「あン?」ピタッ・・・

土御門「オマエん家……、」ジー・・・

一方通行「は?」キョトン・・・

土御門「……いや、何でもない。帰って良いぞ」コクッ・・・

一方通行「……はいはい」カツカツ・・・


海原「如何したんです? 何か問題でも?」ジー・・・

土御門「オマエには関係無い事だ……それより仕事の話だ。前に話したチワワ州の魔術カルテルの件だが―――」

海原「気が立ってますね。まさか彼と彼女の交友関係について何か? もしかして『一線』を越えていたとか?」フフフ・・・

土御門「―――……黙って聞けボケ。メキシコの問題だっつーから手ぇ貸してんだろ駄阿呆が」ギロッ・・・

海原「おお、怖い怖い。話を続けて下さい」クスクス・・・

土御門「……チッ」ケッ・・・

510 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 00:23:10.47 ID:Iglg8dLy0
  ――一寸後・・・・・



土御門「―――以上だ。合衆国政府(ペンタゴン)が乗り出す前に何とかしろ」コクッ

海原「麻薬と銃火器ですか……相変わらず好きですね、彼らは」ハァ・・・

土御門「核だのミサイルじゃないだけマシと思え……ただ、麻薬プラントは残せ。英国(ウチ)で『処分』する」クイッ・・・

海原「『処分』ですか……ははは。そうでしたね、英国も好きですものね」ククク・・・

土御門「勘違いすんな。魔術的利用だ、魔術的利用。ヤツらみたいに誰それ構わず売っ払う訳じゃねぇ」フンッ

海原「はいはい。それでは僕はこれで―――」


  ペタペタペタ・・・・・


結標「ふー! やっぱ個室のシャワーって良いわねー!」フフッ

海原「―――……帰ります」チラッ・・・タラー・・・

結標「……あ、まだ居たの?」ジー・・・

海原「ええ、すいません。今用件が済みました。直ぐ帰りますよ」コクッ

結標「あっそ。まぁ私の帰る時間が遅くなんなきゃ何でも良いわ……あれ? ココアソーダ補充して無いじゃん。水で良いかぁ」ガチャッ・・・バンッ

土御門「……あのよぉ」ジトー・・・

結標「ん……ぷはぁ。何?」チラッ・・・

土御門「……何でテメェは下着だけでウロウロしてんだ?」ハァ・・・

結標「あら、下着脱げっての? 変態」ジトー・・・

土御門「違ぇよボケが! そんなんだから麦野沈利とか窒素装甲に痴女痴女言われんだ!」ギロッ・・・

海原「仮にも歳若い女子でしょう。恥じらいを持って行動してくださいよ」ハァ・・・

結標「別にぃ……アンタらに見られたって如何って事無いし……ドライヤー何処だっけ?」キョロキョロ・・・

土御門「そういう問題じゃねぇ。粗末なモン見せんな阿呆が」ケッ

結標「うわぁ。本来なら5万は取るわよ。諭吉5人分の生肌よ。馬鹿じゃないの? 死ぬの? いや、死ね……あ、見っけ」ヴァアアァ・・・

海原「まぁ普段から半裸ではありますけどね」ヤレヤレ・・・

結標「ったく……まぁアンタらだって私の姿見て微動だにしないじゃない。てか童貞じゃないっしょ」クシクシ・・・チラッ・・・

土御門・海原「「…………、」」ピタッ・・・

結標「私も一方通行(アイツ)もそんくらい知ってるわよ。土御門は近親相姦。海原は年齢詐称で……本当は25越えてんでしょ?」クシクシ・・・

土御門・海原「「…………、」」チラッ・・・チラッ・・・

結標「キョドんなし……別に誰にも言わないっての。てか皆知ってるわよ。まぁ海原の義妹ちゃんは知ってんだか如何だか」ハハハ

海原「……つ、土御門。急用を思い出しました。ちょっと病院に」スッ・・・

土御門「あ、逃げ……チッ!」ダンッ!

結標「アハハハ。あ、一応私は処女だから。手ぇ出したら殺すかんね?」ニヤリ・・・

土御門「クッソ面倒臭ぇ女だ……良いから早く服着ろボケぇ!! 話あるっつってんだろ! 真面目な話だ!」チッ・・・

結標「はいはい」テキパキ・・・

511 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 01:11:01.14 ID:Iglg8dLy0

 ドサッ・・・・・


結標「さってと……そんで? 仕事の話かしら?」チラッ・・・

土御門「いや、違う」テクテク・・・

結標「は?」キョトン・・・

土御門「じゃあ何の話だ、と聞かれちまうと返答に困るんだが……とりあえず聞け」ジー・・・

結標「ちょ、待った待った。え、何? 意味分かんない」ポカーン・・・

土御門「良いから黙ってろ……お前、小萌センセの家に居座ってどんくらいになる?」チラッ・・・

結標「は? どんくらいって……覚えてないわよ。てか何で小萌が出てくんの?」ジトー・・・

土御門「黙れ」ギロッ・・・

結標「っ……何よ」タラー・・・

土御門「率直に言おう……彼女ん家から、出て行け」フンッ

結標「なっ!? わ、っけ、分かんない! 何で私の私生活にまで干渉されなきゃなんないのよ!」ガタッ!!

土御門「喧しい。命令したって良い。出来るだけ早く出て行け」ジー・・・

結標「いっ……ざけんじゃないわよ! アンタには関係無いでしょう!」バンッ!

土御門「関係、無いだと?」ギロッ・・・

結標「私が堕落してるって言いたいの? 仕事で失敗なんかしてないじゃない! それとも何?! 小萌に被害が及ぶ様な事態でも出来た?」

土御門「テメェ……、」ギリッ・・・

結標「もしそうなったんなら上の失態でしょ! もしくはアンタのミス! 私には関係無い。アンタが兎や角言わないでよ」フンッ

土御門「……っ」グイッ!!

結標「っ! な、何よ……離しなさい」ビクッ・・・ギロッ・・・

土御門「……彼女が体調悪いの、知ってるか?」ジー・・・

結標「え……そう、なの? な、何か危険な病気なの!?」アタフタ・・・

土御門「チッ。ボケが」パッ・・・

結標「あ……ちょっと、土御門!」タラー・・・

土御門「……風邪だよ。多分、疲労からくる体調不良だ」フンッ

結標「そ、そう……良かった」ホッ・・・

土御門「良かった、だと」ギロッ・・・

結標「あ、いや、そうじゃなくて、重い病気じゃなくてって意味で……もぅ。脅かさないでよ」ハァ・・・

土御門「あのなぁ……本来、テメェが最初に気付く事なんだよ、このボケナスがっ!」ガンッ!!

結標「っ!」ビクッ・・・

512 :第四話(21話)―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 01:34:22.55 ID:Iglg8dLy0
土御門「なぁ……何で気付かねぇ?」ギロッ・・・

結標「何でって……えっと……その」モジモジ・・・

土御門「ハッ。そりゃ気付かねぇわなぁ。用が無ぇ日は一日中寝てりゃあよぉ」ジー・・・

結標「……何よ。私の勝手でしょう」フンッ

土御門「ああ勝手だ。テメェの私生活なんぞに興味は無ぇ。だがな……あの人に迷惑掛けんなら別だ、阿呆が」ジトー・・・

結標「別に……掛けてないわよ」ムゥ・・・

土御門「どの口言う。この寄生虫女」ケッ

結標「きせ……違うわよ! 私だってちゃんと選択したりゴミ出ししたり」アタフタ・・・

土御門「嘘だな。料理も出来ない。ゴミ出しの時間に、洗濯物干せる時間帯に起きない」ジトー・・・

結標「ぐっ……お、起きてるわ」ダラダラ・・・

土御門「嘘吐くなっつの。他でも無ぇ小萌センセが愚痴ってんだよ。後は禁書目録や姫神も言ってる」フンッ

結標「…………、」タラー・・・

土御門「……さっきも言ったが、テメェが私生活で何しようが勝手だ。学校行かなくても良いし、遊び歩いたって構わない」ジー・・・

結標「…………、」スッ・・・

土御門「だがなぁ結標……『俺の担任』を巻き込むのは許さねぇ。俺の私生活を脅かすようなら、テメェは敵だ」クイッ・・・

結標「なっ……そ、暴論よ」タラー・・・

土御門「暴論? テメェの横暴さには負けるな。ハッキリ言うぞ。あの人にとってテメェは害以外の何物でもない」フンッ

結標「違……、」グッ・・・

土御門「言い返してみろ。自分を正当化できるか? なぁ……出来ねぇだろ」ジー・・・

結標「…………、」ギリッ・・・

土御門「後はテメェの善意次第だ……すぐに出てけとは言わん。身支度して、キチンと理由言って、それから出て行け」クルッ・・・

結標「…………、」シュン・・・

土御門「必要なら部屋くらい準備してやる……駄々こねんじゃねぇぞ。もしこれ以上あの人の迷惑を続けるなら……分かってるな?」ギロッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

土御門「以上だ……さぁ。帰れ」クイッ・・・

結標「…………、」トボトボ・・・

土御門「……おい。訂正だ」チラッ・・・

結標「え」ピタッ・・・

土御門「風邪が治るまでは一緒に居ろ……せめて、看病くらいしてから出てけ。それが礼儀ってもんだぞ」ジー・・・

結標「…………、」コクッ・・・


 ガチャッ・・・・・


土御門「ハァ……良い事した筈なのに、胸糞悪ぃな……あ、姫神に相談すんなっつーの忘れた」ヤベッ・・・タラー・・・

513 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 02:03:29.95 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(別日)、24:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・・


  ガチャッ・・・・・


結標「電気、点いてる……ただいま」テクテク・・・

月詠「あ……結標ちゃん」スゥ・・・

結標「小萌……夜勤の日は寝てて良いって言ってるじゃない」スッ・・・

月詠「大丈夫、なのです……こほこほっ……ご飯、食べました?」ニコッ・・・

結標「コンビニでサンドイッチ買ってきたから……ほら、布団敷いて寝なさい」バッ・・・

月詠「それだけじゃ足りないでしょう。今お魚とお味噌汁温めて……げほげほっ!」トコトコ・・・

結標「良いから寝てなさい! 風邪引いてるんでしょう! もぅ……自分でやるから。お願いだから、小萌は寝てて」ハァ・・・

月詠「あらら……こほこほっ……心配掛けちゃってごめんなさいね」ポー・・・

結標「……病院行ったの?」チラッ・・・

月詠「ええ……生徒達に早引きさせられちゃいました。あはは……こほっ……酷いんですよー。強引な子ども達で先生困っちゃいます」フフッ

結標「風邪?」カチッ・・・カチッ・・・

月詠「ええ、ちょっと熱は無いのですけど喉から来たみたいで……こほこほっ……あ、そっちじゃなくカセットコンロの方なのですよ」コクッ・・・

結標「あ、うん……一度熱測りなさい」ボッ・・・

月詠「結標ちゃんは心配性ですね。大丈夫ですよ。お薬飲みましたから……けほっ」チラッ・・・

結標「良いから!」バッ・・・

月詠「……分かりました」コクッ・・・


 PiPi・・・・・


月詠「こほっ……平熱なのです」コクッ・・・

結標「見せなさい」ズズズ・・・

月詠「だ、大丈夫ですって」アハハ・・・

結標「よっと……8℃5分……って、39℃前じゃない!」シュンッ・・・ギョッ・・・

月詠「あぁ! 能力で体温計奪わないでください! そ、それは、計測ミスで……げほげほっ!」タラー・・・

結標「小萌……明日、仕事休みなさいよ」ジトー・・・

月詠「そ、そのくらいなら」アハハ・・・

結標「休みなさい!」バンッ!

月詠「っ……はい」シュン・・・

結標「……ごめん」ハァ・・・

月詠「いえ、謝らないで下さい……こほっ……先生の不養生が悪いんですから」ハハハ・・・

結標「っ……良いから、寝なさい」グッ・・・

月詠「はいはーい。怒られる前に寝ますよー……おやすみなさい、結標ちゃん」コホコホッ

結標「おやすみ」コクッ・・・



月詠「すぅ……くぅ……けほけほっ……うぅん」ムゥ・・・



結標「……ごめんなさい」シュン・・・

514 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 02:49:49.51 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(次の日)、AM08:40、学園都市第7学区、とある学校(上条の高校)・・・・・・



  ざわざわ・・・がやがや・・・・・



上条「なぁ……先生遅くないか?」チラッ・・・

青ピ「そうやなぁ。いつもはチャイムと同時に入ってくるんやけど」ウーン・・・


  ガララッ・・・・・


吹寄「来た……って、あれ?」チラッ・・・

黒妻「おはよーおはよー」テクテク・・・

生徒一同『……は?』キョトン・・・

黒妻「……おはよう」コクッ・・・

生徒一同『お、おはよう』タラー・・・

黒妻「『おはようございます』だろぉが。ったく、最近のガキは年上にまともに挨拶出来ねぇのか?」ヤレヤレ・・・

吹寄「い、いやいやいや! そういう問題じゃないでしょう! 何で事務の黒妻さんが!?」ビシッ!

黒妻「あー……人手居ないからって非教員のオレにHR任せた黄泉川さんに文句言え」ビシッ

青ピ「そういう問題やないんですけど」タラー・・・

土御門「黒妻センセ。小萌センセは?」ジー・・・

黒妻「風邪だとさ。昨夜悪化したって熱出した保護者から連絡着たぞ」コクッ・・・

姫神「保護……者……え???」ピクッ・・・

黒妻「結標ちゃん」サラッ・・・

上条「え」タラー・・・

黒妻「とりあえず月詠先生は今日休み。明日には戻ってくるんじゃないか」チラッ・・・

姫神「え……淡希が。看病してるの?」タラー・・・

黒妻「他に誰か面倒看る人居んの?」ハテ・・・

土御門「センセ……後生だ。奥さんか娘を看護に向かわせてくれ! 小萌センセが死んじまうにゃ!」アタフタ・・・

黒妻「奥さん言うなし! てか娘って誰だよ! 兎に角心配すんな……っつーのは無理だろうけど、如何こう言って治る訳じゃない」ジー・・・

生徒一同『…………、』ハァ・・・

黒妻「そんじゃ出席だけ取るぞ。災誤先生のジープにギザ10で傷付けたいと思ってる人、手ぇ上げてー」ジー・・・

生徒一同『はーい』バッ

黒妻「休み無しっと……そんじゃしっかり勉強しろよ。じゃないと俺みたいに中卒扱いなるからなー」ガララ・・・テクテク・・・



上条「……おい、姫神。確か結標さんって料理出来ないんじゃ」タラー・・・

姫神「まともには出来ない筈……私。帰りに寄らないと」タラー・・・

土御門「チッ……こうなったら」カチカチカチ・・・

上条「誰かに頼むのか?」チラッ・・・

土御門「『あまくさ家』にメール一斉送信する。誰か一人は行くだろう」ハァ・・・

上条「ああ、神裂と天草の若衆なら安心だな」チラッ・・・

土御門「多分ねーちんなら今頃洗濯モノ干し終えて、掃除機掛けてる頃だから頼める筈だぜぃ」クイッ・・・

上条「か、神裂……完っ璧に主婦だな」タラー・・・

515 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 03:08:10.70 ID:Iglg8dLy0
 ――一方、『あまくさ家』の対応・・・・・



 ヴヴヴヴヴヴ・・・・・



 <第1学区、理事校>


香焼「―――……ん、土御門から。仕事の内容じゃない……私用メール? 頼み事?」カパッ・・・



 <第7学区、学舎の園内部、とある女子高>


五和「『誰か小萌センセに行ってくれ。風邪引いてる。結標だけで看病してるんだ』……あー、そりゃ大変だ」ジー・・・



 <同上、とある女子中>


浦上「んー……まぁこういう時は、私達が動かなくても」アハハ・・・




香焼・五和・浦上「「「姉さん(暇人)が行くだろう」」」ウンウン・・・




 <第1学区、香焼宅>


神裂「―――へくちっ!」クシュンッ!

もあい「なぅ?」チラッ・・・

神裂「私まで風邪でしょうか……いや、生涯一度も風邪を引いた事が無い私が今更ですね」フム・・・

もあい「にゃー」コロコロ・・・

神裂「こら、もあい。掃除機を掛けている時にカーペットでゴロゴロしないの」メッ

もあい「みー」ジー・・・

神裂「やれやれ……これ掛け終わったら私は出掛けますから、大人しくしてて下さいね」ナデナデ・・・

もあい「にゃん」フシフシ・・・

神裂「あ、ついでに禁書目録(あの子)の所に寄りましょうか……やはり一緒にお出かけします?」チラッ・・・

もあい「みゃー」コクコクッ

神裂「はいはい。では急ぎましょうねー」テクテク・・・

もあい「んなー」トコトコ・・・







 <第7学区、とある高校(上条の高校)>


土御門「てな(↑)具合だと思うぞ」コクッ・・・

上条「ああ、容易に想像出来るな……いや、しかしインデックスに餌を与えて貰えるのは助かる」ハハハ・・・

土御門「寄生虫……いや、寄生人か……性質が悪いな」ハハハ・・・

516 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 03:31:35.74 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(次の日)、AM10:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・・






月詠「すぅ……くぅ」Zzz・・・

結標「…………、」ジー・・・


 ピンポーン・・・・・


結標「っ……回覧板かしら。まったく、チャイム押すなんて……いつもみたいにポストに突っ込んどいてよ」テクテク・・・ガチャ・・・

神裂「こんにちは」ペコッ

結標「……え」キョトン・・・

神裂「土御門に言われてお邪魔しました。月詠さん、大丈夫ですか?」ジー・・・

結標「あ、うん。寝てるけど……土御門が?」ポカーン・・・

神裂「今朝、月詠さんが風邪で休んだから看病の手伝いを頼むとメールが……お邪魔でしたか?」チラッ・・・

結標「いや……助かるわ。ありがと」コクッ・・・

神裂「いえいえ。とりあえず、お粥を作りましょう。台所を借りますね」コクッ・・・

結標「お願い……あ、何か手伝う?」ジー・・・

神裂「いえ、寝てないのでしょう。目の下にクマが……一晩中看病を?」チラッ・・・

結標「……寝れなかっただけ」フルフル・・・

神裂「そう……銭湯(お風呂)に行って来ても良いですよ。今なら一番風呂かもしれません」フフッ

結標「ううん。大丈夫よ」ジー・・・

神裂「遠慮しないで下さい。困った時はお互い様です。香焼がいつもお世話になってますし……少し湯に浸かるだけでも違いますよ」チラッ・・・

結標「……ごめん」ペコッ

神裂「お気になさらず。一時間くらいのんびりしてきなさい……ん? ガスが?」カチッ・・・カチッ・・・

結標「あ。カセットコンロ使って」チラッ・・・

神裂「なるほど……流石同居人ですね」フフッ

結標「……違う」ボソッ

神裂「え?」キョトン・・・

結標「……何でもない。じゃあお言葉に甘えるわ。一時間くらいで戻ってくるから、それまでお願いね」テクテク・・・

神裂「……ふむ」ジー・・・


 バタンッ・・・・・

517 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 04:13:38.71 ID:Iglg8dLy0
 ――一寸後・・・・・



月詠「……ん」ピクッ・・・


 コトコトコト・・・グツグツ・・・・・


月詠「……結標、ちゃん?」ボー・・・

神裂「おや、目を覚ましましたか。おはようございます」ペコッ・・・

月詠「あ、れ……神裂ちゃん」キョトン・・・

神裂「無理しないでくださいね。結標さんは少々外に出かけてます。直に戻るでしょう」コクッ・・・

月詠「はぁ……けほっ……えっと、如何して?」ポカーン・・・

神裂「とある人から、月詠さんが風邪だと聞いたので見舞いに。あ、熱を測ってみて下さい」チラッ・・・

月詠「ええ……あ! 学校に連絡を!」タラー・・・

神裂「大丈夫ですよ。結標さんが一報してくれた様です。今日は安静にしてて下さい」フフッ

月詠「こほっ……はい」コクン・・・


 PiPi・・・・・


月詠「7℃2分……下がってます」ケホケホッ・・・

神裂「ピークは越えた様ですね。お粥を作りました。食せますか?」チラッ・・・

月詠「ありがとう……あ、一人で食べられるのですよ」コホッ・・・

神裂「では机を出しましょう。少々お待ちを」テクテク・・・


 コトコト・・・カチッ・・・・・


月詠「こほっ……いただきます」ペコッ

神裂「焦らず、どうぞ」コクッ・・・

月詠「ん……美味しい」モグモグ・・・

神裂「それは良かった。一応多めに作っておいたので、必要あれば温めて食べて下さい」フフッ

月詠「申し訳ありません……お世話を掛けてしまいました」コホッ・・・

神裂「いえ。普段、あの子……禁書目録と香焼、もあいがお世話になっています。困った時は何とやらですよ」コクッ・・・

月詠「ハハハ。神裂ちゃんは大人なのですね……そういえば、学校は?」モグモグ・・・

神裂「え、あ……午前の講義が休講になりましたから」ハハハ・・・

月詠「あら、大学生でしたっけ? 先生ド忘れしちゃってました」コホッ・・・

神裂「あはは……いえ、あまり知られてない事なので。(な、何つー嘘を……急場凌ぎとはいえ、我ながらキツい)」タラー・・・

518 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 04:31:25.76 ID:Iglg8dLy0
 ―――また一寸後・・・・・



結標「……ただいま」ガチャ・・・

月詠「おかえりなさい、結標ちゃん」チラッ・・・

結標「あ、うん。小萌起きたんだ」テクテク・・・

月詠「ええ。今さっき神裂ちゃんのお粥を頂いたのですよ」コクッ・・・

結標「うん……ありがと」チラッ・・・

神裂「いえいえ。お気になさらず……それではそろそろお暇します」コクッ・・・

結標「……助かったわ」ペコッ

神裂「どういたしまして。何か困った事があれば何時でも電話してください。私で良ければすぐ駆け付けますよ」チラッ・・・

結標「うん。そうする」ジー・・・

神裂「ええ。あ、一応台所におにぎりを準備しました。食べて下さい。お鍋の方にはお粥があります。其方は月詠さんに」ジー・・・

結標「了解。後で頂くわ……何から何までごめんね」ハァ・・・

神裂「いえ。食事を取った後にでも身体を拭いてあげてください……さて、あの子の昼食を作りに行かねばならないので失礼します」テクテク・・・


 ガチャッ・・・・・


結標「……薬、飲んだの?」チラッ・・・

月詠「ええ。熱も7℃くらいまで下がったみたいです」コクッ・・・

結標「良かった。でも休まなきゃダメよ」ジー・・・

月詠「分かっているのですよ……こほっ……次の日まで長引かせません」フフッ

結標「…………、」ジー・・・

月詠「折角なので、結標ちゃんもお昼を頂いたら如何です?」チラッ・・・

結標「うん……あ、一応プリンとゼリー買ってきたから」スッ・・・

月詠「ふふっ。ありがとう、結標ちゃん」ケホケホッ・・・

結標「大丈夫?」スッ・・・

月詠「ええ……こほこほっ……風邪を伝染すと悪いですね。救急箱にマスクが有ったと思うのですが」スッ・・・

結標「私が取るから其処に居て……無理しないでいいから」ハァ・・・

月詠「……すいません」フフッ

519 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 04:59:32.41 ID:Iglg8dLy0
 ―――はたまた一寸後・・・・・


結標「―――……美味しい」モグモグ・・・

月詠「ふふふっ。流石4姉弟の長女さんなのです」クスクス・・・

結標「……やっぱり、私」シュン・・・

月詠「そう落ち込まないで下さい。人には向き不向きがあるのですよ。先生だってそんなに料理が得意な方じゃないのです」コクッ

結標「そうじゃ、なくて」ジー・・・

月詠「ん……けほけほっ……如何しました?」チラッ・・・

結標「……ううん、何でもないわ。気にしないで」フルフル・・・

月詠「そう、ですか」ジー・・・

結標「……それにしても、小萌でも風邪引くのね」フフッ

月詠「そりゃ人間ですもの。あ、でも滅多には引かないのです。最後に引いたのは……二年前くらいかな」コホッ・・・

結標「そっか。頑丈ね」クスクス・・・

月詠「ええ。先生ですから! それにしても……何だか、久しぶりなのですよ」ジー・・・

結標「え?」ピタッ・・・

月詠「結標ちゃんと真面目にお話するのが、ですよ」フフッ

結標「そう……そうかもね」ジー・・・

月詠「こほっ……一緒に暮らしてるのに起きてる時間が合いませんからねぇ。まさに不良生徒さんなのです」クスクス・・・

結標「私より不良な輩なんてこの街には云千と居るわよ」ボー・・・

月詠「そうですか? 先生が見てきた中では結標ちゃんは屈指の悪い子猫ちゃんなのですよ」ジトー・・・

結標「っ……ば、ばーか。仮にも霧ヶ丘の生徒だっての」フンッ

月詠「あらあら……こほっ……ご機嫌損ねちゃいました」ジー・・・

結標「そりゃ、人を不良扱いすりゃ普通損ねるわよ。キレないだけマシと思いなさい」ケッ・・・

月詠「ふふふ……でも、先生は知ってますよ。不良って言われていても、本当は皆良い子なんです。勿論結標ちゃんもね」チラッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

月詠「少々悪い子なくらいの方が、将来馬鹿をしません。良い子過ぎちゃうと逆に将来が不安なのです」ボー・・・

結標「訳、分かんない」ジー・・・

月詠「教師をしてきた感性(経験)なのです。おいそれと小娘に分かられて、たまるかってんですよー」ニヤニヤ・・・

結標「……熱でハイになってんじゃない? ちょっと寝なさい。起きたら身体拭いて上げるから」ハァ・・・

月詠「そんな事ありませんよ……こほこほっ……でも、そうですね。少し、寝かせて貰います」コクン・・・

結標「はいはい。おやすみおやすみ。あ、外の洗濯機回すけど、それくらいは勘弁してね」ヤレヤレ・・・

月詠「ええ。お願い……します……けほっ」スッ・・・


  すぅ……くぅ……


結標「私……屈指の、悪い子か」グッ・・・

520 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/06(火) 05:10:33.74 ID:Iglg8dLy0
はい、今回は此処まで。中々ギャグに出来ないなぁ……これ、ほのぼの? シリアル? 何にしろ、このペースなら四話は短めでいけるかも。


因みに……

・青ピと吹寄のセリフ如何でした。微妙に改善したんだけど、やっぱ違和感ある?

・今回姫神の立ち位置如何しようか。積極的に介入させて良いと思う?


とりあえず、質問意見感想罵倒御指摘リク等々コメントお願いします。ではまた次回! ノシ”
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 07:32:16.70 ID:94fUelIao
乙!
青髪と吹寄の口調に違和感はなかったなあ

あと姫神は>>1が動かしやすい程度で介入させていいと思う
姫神も小萌先生のお世話になった身だしね
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 14:43:21.95 ID:FPbYd40DO
乙! 『シリアル』では無かったぞww

口調は特には……寧ろ関西弁使ってる青ピに少々違和感が覚えるのは、アニメから入った組だからか?
姫神は任せる。 >>1の姫神とか風斬は好きだから出番やってくれ!

ちなみに、メインヒロインの香焼くんはどうすんの?
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 15:26:13.89 ID:F+BdXoHIO
吹寄はもうちょい女の子っぽい話し方でいいかも(青ピはぶっちゃけどうでもいいw)

あと姫神さん好きな俺としては是非介入してほしいけどそこは>>1に任す
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 17:23:36.23 ID:jy/7Q8PAO
土御門がチンピラ臭い喋りの方が気になる
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/12/06(火) 19:52:32.10 ID:+NjG/TqAO
ガチギレ土御門ってあんま原作でも出てないから皆よくわからんのじゃないか
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:27:35.66 ID:WAx+BHCCo
とりあえず吹寄、姫神、青髪の特徴をまとめてみた 確実じゃないけど少しは近づけるはず
そんで間違ってる部分も多いかもしれないから指摘してもらえるとありがたい
でも各キャラに説明させる痛い内容だから見たくない方はスルーを推奨する
と言うか書いてて痛いなーと思ったけどこうでもしないと説明しづらい

偉そうなこと言ってごめんなさい でも口調で叩かれ続けて荒れるのは見てらんないんだよ…
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:31:10.32 ID:WAx+BHCCo
まずはあたし吹寄制理からね!

上条当麻に対する「貴様」という二人称のせいで勘違いしてるみたいだけど、あたしは至って普通の女性言葉よ。武士みたいな喋り方はあまりしないわ。
二人称も上条当麻以外の描写は少ないけど、姫神さんは「姫神さん」だし、フルネームor貴様は上条当麻限定っていうのが現在の定説ね。
イメージとしては「刀を持った生徒会長」じゃなくて「真面目でキツメな委員長」よ。もっとも委員長は青髪ピアスくんだから勘違いしないでね。
「不幸という屁理屈で人生に手を抜く輩は大嫌い」この言葉を本気ととるか照れ隠しととるかは読み手の捉え方次第ね。ただし、上条当麻の事は心の底から嫌っているという描写はないわ。
趣味として健康に関する知識や通販に目がないわ!健康オタクとも言える位ね。原作だと会話の至る所で栄養を取るよう上条当麻に薦めていたの。
「脳の栄養が足りてないのか。そうかそうか、なら今この場で最優先すべきは糖分の摂取ね!」ってかんじでね。
風邪ひきなんていう美味しいイベントなんだからこの面を強く出さないと健康オタクの名が泣くわ!
それと意外と衝動買いしてグッズを買ってしまうため金銭管理は良くないの。しかも買ったグッズは使わず腐らせてしまうことが多いのも事実よ。
これをうまく絡ませないとただの委員長キャラになるから気をつけなさい。
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:32:19.31 ID:WAx+BHCCo
次は私。姫神秋沙。

最大の特徴は句点。あまり。女性言葉は使わない。文章の終わりは言い切りが多い。感嘆符とか接続詞の次も句点。これが基本。
女性言葉も読点も。使ったセリフはあったけど。それは過去の話。「わたし、またころしたのね」
本文中の例。「小萌先生。もしダメそうなら。早引きしなきゃダメよ。」→「小萌先生。もしダメそうなら。早引きしなきゃダメ。」こんな感じ。
難しいから。出しづらい。だから。影が薄くなる。ふふふ。これが運命。ウフフ。
ちなみに。影が薄いのは。公式。漫画でスルーされて。追悼企画をやった。ちくしょう。
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:34:24.58 ID:WAx+BHCCo
最後は青髪ピアスことボクやね。

基本的にはあんま難しいことないで〜。ボクの口調は「エセ関西弁」なんや。京都弁でも本場の関西弁でもないんやでー。もうこれでもかってくらいわざとらしい関西弁をつかうとええよ〜。
正直ホンマに関西地方に住んでる人だと崩しづらいかもしれへんね。関西弁つこうてるけどあんまキツイ言い回しは使わへんでー。
それとボクがクラスの委員長やで。これは少しでも小萌センセーに会いたいというボクの熱い想いがそうさせたんや!
それとアニメでは無視された設定なんやけど、実は世界三大テノールもビックリの太い声なんやで。そんな声で「とうまぁ」なんて言われたカミやん…ご愁傷様やで…
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:36:55.74 ID:WAx+BHCCo
書いてみて思ったけど書くのむっずいな でも大きく外れてはないはず 姫神はもっといいのがあるかもしれない
吹寄→武士言葉 姫神→女性言葉 青髪→標準語andリアルな関西弁が違和感の元だと思う

あとローラとか色々言われてた気がするけどアレは私も無理です。すいません
ローラを含めて他の方のSSを参照にするといいかもしれない
土御門は本気ブチギレモードになり過ぎなんじゃないかな。基本イギリス清教内でも巫山戯てるイメージがある
真面目モードでもそこまで棘はないよね

お目汚し失礼しました
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/06(火) 22:42:25.55 ID:94fUelIao
>>527-529
頑張った
532 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:08:56.05 ID:Iglg8dLy0
こんばんわ。短いけどボチボチ投下します。


>>521-523
姫神の処遇については考慮します。できれば出してあげたいね! 香焼は勿論メインヒロインですから出ますよ。
あと『シリアス』です! 敢えて突っ込むな!(苦笑)

>>524-525
土御門について。ブチ切れさせたのは『平穏』繋がりだからという意図が有りました。でもやっぱもう少し丸く修正していきますね。
因みに理由は此処での結標が抱いている『小萌(日常)』に対しての思い同様、土御門も『義妹・学級(日常)』を壊されたくない故に、です。

>>526-530
凄い、としか……参考になります。ありがとう!
まだちょっと分からないのは吹寄が3馬鹿(デルタフォース)の他二人に対してです。女性口調で良いのでしょうか?


とりあえず徐々に直していきます。また変なとこあったら、ドンドン指摘してって下さい! そんじゃスタート!
533 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:28:32.05 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(また次の日)、AM08:35、学園都市第7学区、とある高校(上条の高校)・・・・・・



  キーンコーンカーンコーン・・・・・



月詠「おはようございます、ヤロー共ー! 全員席に着くのですよー!」ガララッ・・・

青ピ「やっほーぅい! 小萌先生様々〜!!」ガタッ!!

月詠「席に着けって言ったのに何で立つんですかー」ンモー

吹寄「そりゃまぁ二日も学校休まれたら心配しますよ」フフッ

上条「先生、もう完璧に大丈夫なんですか?」ジー・・・

月詠「ええ、もうピンピンなのです。しっかり寝てしっかり休みましたからねー! さ、出席取りますよ―――」フフッ



  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・


月詠「―――お休み遅刻共に無しっと。それじゃあ今日も一日頑張りましょうねー」ペコッ

生徒一同『はーい』コクッ・・・

月詠「さぁてと。それじゃあ私は3年生の科学の準備をー」トコトコ・・・

土御門「小萌センセー」テクテク・・・

月詠「はい? 何でしょう」チラッ

土御門「本当に大丈夫なのかにゃ? 休んでる間変な料理食べさせられたり杜撰な扱い受けたりしなかったかぃ?」ジー・・・

月詠「はぁ? 何がですか?」キョトン・・・

土御門「……あ、いや、何でもないぜぃ。気にしないで〜」クルッ・・・テクテク・・・

月詠「ほぇ?」ポカーン・・・


土御門「……杞憂か」クイッ・・・

姫神「……土御門くん」ジー・・・

土御門「ん?」チラッ・・・

姫神「淡希。しっかり看病してた。何考えてるか分からないけど。早とちりしないで」ジー・・・

土御門「……はいはい」テクテク・・・

姫神「…………、」ジトー・・・

上条「おい、姫神。如何した?」チラッ

姫神「何でもない。ただ。ちょっと。彼が馬鹿な真似しそうだから。釘刺しといた」スッ・・・

上条「ん……まぁ仲良くな。喧嘩すんなよ」テクテク・・・


姫神「淡希は。味方少ないから……それでも。私と先生は。味方の……つもり」ボー・・・

534 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:39:34.59 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(また次の日)、AM11:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



結標「―――ん……あ」ボー・・・



  チク・・・タク・・・・・



結標「もう、昼前か。小萌は……学校(仕事)行ったんだ」チラッ



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



結標「また雨漏り……いい加減サランラップとガムテープだけで補修するんじゃなくて業者を……ん」スッ・・・



 『看病ありがとうございます! もう元気百倍なのですよー! 今日はお礼に甘いモノを買ってきてあげるのです♪』



結標「…………、」ジー・・・



 ガサゴソ・・・カキカキ・・・・・



結標「……ありがとう、小萌」テクテク・・・ガチャッ・・・



  バタンッ・・・カチャッ・・・・・

535 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/06(火) 23:55:46.70 ID:Iglg8dLy0
 ―――とある前日(また次の日)、PM07:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・







月詠「ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふ〜♪ シャトラのプリンシュークリーム買っちゃいましたよ〜」テクテク・・・



 ガチャッ・・・・・



月詠「鍵閉ま……結標ちゃん出掛けてるのでしょうか? んもー机上に伝言メモ置いといたのにー……ただいま帰ったのですよー」カチャッ・・・



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「結標ちゃーん、起きて下さーい。電気点けますよー」パチッ・・・



   ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「あ、靴が無い! やっぱりお出掛けしちゃったんですねー……折角シュー買ってきたのですけど」ムゥ・・・テクテク・・・



    ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「仕方ありませんね。夕飯作って待ってましょうか。流石に今日は甘いモノで釣ったから、遅くならないでしょう」トコトコ・・・



     ポタポタ・・・パシャン・・・・・



月詠「それにしても遅くなる時は一報してっていつも……ん? あぁ、また雨漏りが……って、あら? 私の書き置きじゃない―――」チラッ・・・



      ポタポタ・・・ポタ・・・ポタ・・・・・



月詠「―――の、で……っ!」バッ! Pi!



 『此方は●●●サービスです。お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所に在るか、電源を落としているかで掛りません』



月詠「あの、お馬鹿娘さん!」パタパタパタッ・・・

536 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/07(水) 00:21:10.75 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、PM08:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・・・




  パタパタパタパタ・・・・・



月詠「―――ハァハァ……っ」キョロキョロ・・・グッ・・・



  パタパタパタパタ・・・・・



月詠「ハァハァ……っ……居ない……です」キョロキョロ・・・


香焼「―――だから甑島と角力(すもう)のヤツに学校休むなって言わないと……ん? あれは……、」ピタッ・・・

五和「―――まぁまぁ。あの2人は昔からだし私から如何こう言っても……どったの? って……月詠さん?」ジー・・・

浦上「―――お姉だって意外と遊んでますからネー……って、あ。何か焦ってるみたいですヨ」フムフム・・・


月詠「っ……あ」キョロキョロ・・・ピタッ


香焼「こんばんは、月詠さん。如何したんすか?」テクテク・・・

月詠「こ、香焼ちゃん!」ガシッ!

香焼「え、あ、はい。な、何でしょう」タラー・・・

月詠「結標、ちゃん……お邪魔してませんか!?」グッ・・・

香焼「淡希さん? え、と、家に来る連絡は着てませんけど」ウーン・・・

浦上「まぁ結標さんは香焼の意志無視して遊び来ますけどネ。私達とか姉様も居ますし」ハハハ

五和「一応姉さんにメールで聞いてみますね」カチカチ・・・

月詠「す、すいません。お願いするのですよ」ハァハァ・・・

香焼「……淡希さん、如何かしたんすか? 家に居ないのはいつもの事なんじゃ」ポカーン・・・

月詠「そうなのですけど……今回はそうじゃないのですよ!」アタフタ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

浦上「……訳有り、みたいですネ」ジー・・・


 Prrrr・・・・・


五和「あ、返信……来てないそうですよ。麦野さんだけだとか」ジー・・・

月詠「そう、ですか……ありがとうございます!」バッ・・・パタパタパタ・・・

香焼「あ、つ、月詠さん!」パッ

月詠「また後で連絡するのです! 今は急いでるので……失礼します」タタタタ・・・

浦上「行っちゃった……もう見えない。足速いですネー」アハハ・・・

五和「ねぇ……『仕事』の方、じゃないのかな?」ムゥ・・・

香焼「分かんない。でも……少し探った方が良いかも。とりあえず家に戻ってから姉さんと相談しよう―――」コクン・・・


537 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/07(水) 00:43:42.14 ID:1r7aVMTo0
 ――一寸後、香焼宅・・・・・



香焼「ただいまー」ガチャッ・・・

五和「ただいま帰りました」テクテク・・・

神裂「お勤め御苦労さまです。戻って早々で悪いのですが、建宮から伝言が」テクテク・・・

浦上「うわぁ嫌な予感」タラー・・・

神裂「何でも、五和及び浦上は明後日までに日本を発って欲しいそうです。因みに私も一緒との事で」ハハハ・・・

五和「あちゃー……また荷造りかぁ」ウヘェ・・・

香焼「自分は?」キョトン・・・

神裂「今回戻るのは私と、五和・浦上・平戸・西海のみですよ」コクッ

香焼「…………、」フム・・・

五和「……あ、今『何で自分はハブなんだ?』って思ったでしょ」チラッ

浦上「と同時に『久しぶりに姉さん達居ないのか……よっしゃー!』とも思った筈ですネ」ニシシ!

香焼「お、思ってないよ!」アタフタ・・・

五和「コウちゃん……とりあえずまだ中一なんだから責任取れない事やっちゃダメだよっておわぁ!!? あ、危ないわよ!」アタフタ・・・

香焼「何想像してんだか知らないがくたばれ」ジトー・・・

浦上「こらこら喧嘩しないの。お客さんも居るんだし……とりあえず上がりましょ。香焼も鋼糸(ワイヤー)しまいなさいナ」テクテク・・・

香焼「ぐぬぬ……、」ジトー・・・



  バリバリ・・・モグモグ・・・・・



麦野「んー? お帰りー」モグモグ・・・

香焼「この人は如何して他人の家のソファで平然と寝転がりテレビ見ながら煎餅貪ってるんだろう」ハァ・・・

浦上「説明乙!」ビシッ

五和「あれ? 最愛ちゃんは来てないんですか?」キョロキョロ・・・

麦野「映画行ったわ。確か『迷彩服とドラグノフ』とかいうヤツよ」バリバリ・・・ムシャムシャ・・・

香焼「何その当たり前なタイトル!? 面白味も何も感じられない……犠牲は浜面さんっすか?」タラー・・・

麦野「そーよ。そろそろアンタが代わってやんなさい」チラッ

香焼「……遠慮します」ダラダラ・・・

538 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 01:30:35.56 ID:1r7aVMTo0
神裂「今ご飯出しますね。ところで……先程のメールは?」チラッ

五和「あぁ。えっと、月詠さんが結標さんを探しているみたいだったので、此処に居ないかと」コクッ

麦野「仕事じゃないのー?」バリバリ・・・

もあい「んなー」コロコロ・・・

神裂「麦野さん、もうご飯出しますから間食は止めて下さい」ヤレヤレ・・・

香焼「……淡希さん、遅くなる時は必ず一報してました」ジー・・・

麦野「ふーん……まぁ元々不良娘だし、どっかほっつき歩いてんじゃないの? 放っておけば腹減って帰ってくるわよ」ゴロン・・・ナデナデ・・・

五和「私達もそう思ったんですけど、月詠さんの様子がおかしくて」ウーン・・・

浦上「喧嘩したとか」ピンッ

香焼「それはしょっちゅうだけど、月詠さんは家飛び出したりしないよ。絶対帰ってくるの待ってる筈だから」ムゥ・・・

神裂「ふむ。病み上がりの月詠さんと喧嘩になるとは思えませんが……あれだけ必死に看病してましたし」ジー・・・

麦野「よく分かんないけどさぁ、一人暮らしでもしたくなったんじゃないの? ずっと先公の家居て窮屈だったんでしょ?」チラッ

もあい「にゃ?」チラッ

香焼「それは……無いと思います。何だかんだで、月詠さんに依存してたから」フム・・・

五和「……コウちゃん、結標さんに電話してみれば? 一応さっき私メールしたけど、返事無い。コウちゃんなら出るかもよ」チラッ

香焼「どうかなぁ―――」Pi!


  『此方は●●●サービスです。お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所に在るか、電源を落としているかで掛りません』


香焼「―――……駄目だ」ハァ・・・

浦上「……姉様。土御門に聞いてみては?」チラッ

神裂「んー、なるべく都市の仕事については関与するなと言われているのですが」ポリポリ・・・

浦上「じゃあ話ついでに結標さんの事聞いてみるってのは如何でしょ。明後日以降の仕事の件で……ついでに、みたいな感じで」コクッ

神裂「成程……では少々外しますね」テクテク・・・

香焼「…………、」ムゥ・・・

麦野「やれやれ。色んなヤツに迷惑掛ける女だねぇ、アレも……坊やも絹旗(ウチの)といい、第5位といい大変だわ」ハハハ

もあい「みー」ペシペシッ

香焼「……大変だなんて、思った事無いっすよ」フンッ

麦野「にしては色々手ぇ込んだ真似するじゃない。暗部って知ってて知らないフリしたり、女装してまで接触したり」ニヤリ・・・

香焼「麦野さんこそ、何で自分達の事知ってて……他にばらさないんすか」ムゥ・・・

麦野「ばらして良いの?」フフッ

香焼「…………、」ジトー・・・

麦野「ハハハ。怖い顔しないでよー。一応、坊やん家(此処)は私の『平穏』の一部でもあるの。態々崩壊させないわ」クスクス・・・

香焼「……信じますよ」テクテク・・・

麦野「ええ。美偉にばらさない限りは、私もばらさないわ。私、平和主義者だもの」フフフ・・・

五和「平和、主義者……え?」タラー・・・

麦野「そうよー。私は皆平等に愛する([ピーーー])ものー」ボウヨミー・・・

浦上「ハハハハ。物騒なルビが見えましたけど、修正されましたネ」フフッ

麦野「まぁ今は火織の持ってくる答えに期待するしかないんじゃない? 坊やも落ち着いて待ってなさいよ」フフッ

香焼「……むぅ」ジー・・・

もあい「にゃん」トコトコ・・・

539 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 01:55:46.67 ID:1r7aVMTo0
 ――一方、神裂side・・・・・



神裂「―――……つまり、麻薬プラントを抑えるついでに英国のモノに、と?」キョトン・・・

土御門『怒るなよ。処分については俺らが決める事じゃなく、MI6(秘密情報部)の上や提督さん(エリザードの旦那)が決める事だ』

神裂「それは分かっていますが……DEA(合衆国麻薬取締局)の対応は?」フム・・・

土御門『安心しろ。今FBI(連邦捜査局)との縄張り争いで忙しいからソッチに手は回らん。ま、詳しくはステイルに任せてある』

神裂「現地で聞け、と……まったく内輪揉めに助けられるとは……兎角、了解です」コクッ

土御門『ああ。それじゃ―――』

神裂「あ、そういえば……土御門」

土御門『―――ん? 何か』ピタッ

神裂「今日は仕事ですか?」

土御門『仕事……何を指してるか分からないが、家に居たぜぃ。義妹も一緒だにゃ。今日はデザートも準備しててくれてな!』ニャハハ!

神裂「そ、そうですか」タラー・・・

土御門『しかも心成しか給仕服のアイロン丁寧なんだぜぃ! これはもぅ今夜……ぐへへ』ニヤニヤ・・・

神裂「(またこの義兄は……いや、義妹の方もちょっとアレでしたね)……なら、良いのです」ハハハ・・・

土御門『ふふふふ……ん、そういやぁ何でそんな事聞くんだにゃ?』キョトン・・・

神裂「いえ、ちょっと気になった事がありまして……仕事じゃないなら結標さんは一緒じゃないのですね」コクッ

土御門『……アイツの名前出すな。胸糞悪ぃ』ケッ

神裂「何かありました?」フム・・・

土御門『何でもねぇぜー。ちょっとしたイザコザ程度だにゃ』ハァ・・・

神裂「なら、良いのですが……月詠さんが結標さんの事を探してましたからね」

土御門『何』ピタッ

神裂「もしかして連絡しないまま仕事に出ただけなのかと思いましたが、違ったようです」

土御門『…………、』タラー・・・

神裂「土御門?」

土御門『あ、いや……何でもない。ねーちんはこの件について放っておいて貰って大丈夫だぜぃ! 自分の仕事に集中してくれ』ハハハ

神裂「何か知ってるのですか?」ジトー・・・

土御門『いや……俺が知りたいっつーの。あの女郎、我らが小萌センセに迷惑掛けやがってぇ』ムムム・・・

神裂「……そうですか。何か分かったら教えて下さい」ジー・・・

土御門『ああ。俺にも教えてくれにゃ。んじゃまたなー』Pi!

神裂「……ふむ。電話越しでは真意は分かりませんね」ポリポリ・・・

540 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 02:17:23.54 ID:1r7aVMTo0
 ―――再び、リビング・・・・・



五和「あ、姉さん。先に配膳してましたよ」チラッ

神裂「ありがとうございます」テクテク・・・

香焼「何か分かりました?」ジー・・・

神裂「いえ、何か知ってそうな雰囲気でしたが……これに関係しているか如何かまでは」フルフル・・・

浦上「……まぁそういう場合は大体隠してるモンですけどネ」フーン・・・

香焼「直接月詠さんに聞いた方が良いかな」ムゥ・・・

五和「でも、身内揉めかもしれないし……下手に他人が介入するのも難だよ」チラッ

神裂「しかし、なんとか月詠さんが心配してると一報出来ないものでしょうか」ハァ・・・

浦上「せめて結標さんの携帯が通じれば良いんですけどネ」フムフム・・・


 ウーン・・・・・


麦野「ホント……アンタら全員、姉弟してお節介焼きよね」アハハ・・・

香焼「そりゃ友人っすから捨て置けませんよ……麦野さんは心配じゃないんすか?」チラッ

麦野「別にぃ」サラッ

もあい「……なぅ」ジー・・・

五和「そんな薄情な」ムゥ・・・

麦野「痴話喧嘩でしょ。暫く放っておきなさい……それが最善だって」ヨッコイショ・・・ゴロン・・・

神裂「時間が、解決すると?」ジー・・・

麦野「仕事と違って『日常』から生じた問題なんてそんなモンよ……違う?」フフッ・・・

天草4姉弟『…………、』ムゥ・・・

麦野「兎に角、今手ぇ出すのは拙いわねー。結標みたいなヤツは直ぐ帰れみたいに言われたら逆に意地張るわよー」ニャー

もあい「にゃん」フシフシ・・・

香焼「……でも」ウーン・・・

五和「いや、一理あるわね。結標さんの性格考えれば確かにそうかも」コクッ

浦上「結構、意固地頑固で我儘ですからネ」ハハハ・・・

香焼「……そう、かな」ポリポリ・・・

麦野「そうそう。とりあえず今日はもう遅いし……早く飯喰わせろー」ウガー

神裂「……ええ。後で月詠さんに一報だけしておきましょう。3人共、今は食事を」コクッ

五和・浦上「「はい」」コクッ

香焼「……むぅ」ジー・・・

もあい「みー」ジー・・・

541 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 03:21:55.24 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、PM10:30、学園都市第7学区、とあるボロアパート(月詠宅)・・・・・





  ガチャッ・・・・・



月詠「……やっぱり、帰ってませんね」テクテク・・・



  ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「結標ちゃん……如何して」ジー・・・



   ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「何で、急に……何で」ウルウル・・・



    ポタポタ・・・ピチャン・・・・・



月詠「理由があるのなら、引き留めません……でも……それでも……っ」ギュッ・・・



 『御世話になりました。今までありがとう。     あと、悪い子でごめんね』



月詠「こんなの……っ……誰も、納得しないのですよ……ううぅ」グズッ・・・



     ポタポタ・・・ポロポロ・・・・・



月詠「先生が……ぇぅ……嫌いに、なっちゃったんですか……っ」グッ・・・



      ポタポタ・・・ポロ・・・ポロ・・・・・



月詠「それなら、それでも良いのです……でも……っ……貴女は、何も解決していないのですよ……ぇ、ううぅ」クシャッ・・・



        ポロポロ・・・ポロポロ・・・・・



月詠「貴女の中で……何も……ううぅ……夢も、希望も、目標も……何も、見つかってないでしょう……っ……ばかぁ」ギュッ・・・



           ポタ・・・ポロ・・・ドシャアアアァ・・・・・



月詠「う、ぅ……うわああああぁんっ!! 結標ちゃんの馬鹿あぁー!」ドサッ・・・



                                    バシャアアアァ・・・・・―――

542 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 03:58:04.61 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、PM11:00、学園都市第7学区、とある学生寮の一室(土御門家)・・・・・






舞夏「―――んー……あにきー、早く来ないと寝ちゃうぞー」ムニャムニャ・・・

土御門「ちょいっと待っててにゃー。すぐ終わるからー……『準備体操』して待っててくれぃ」ニカッ・・・テクテク・・・

舞夏「んもー……知らなーいっ」ゴロンッ・・・


 ガララ・・・・・


土御門「ったく、面倒掛けやがって……おい」Prrr・・・

海原『はいはい、こんな時間に何でしょう』Pi!

土御門「聞きたい事がある」ハァ・・・

海原『嫌です』キッパリ・・・

土御門「…………、」タラー・・・

海原『ハァ……まぁ聞くだけ聞きましょうか』ヤレヤレ・・・

土御門「すまん……結標の居所に心当たりないか?」ポリポリ・・・

海原『はい? 貴方の担任の家では?』キョトン・・・

土御門「……家出したらしい」チッ・・・

海原『……興味有りません。切りますね』スッ・・・

土御門「待て待て待て! あーその……なんだ。探してくれないか」ハァ・・・

海原『拒否します』サラッ・・・

土御門「金は出す。お前がダメなら妹達(シスターズ)に頼んでも良い」ムゥ・・・

海原『自分は嫌です。妹達に連絡付けたいなら自分で交渉して下さい。スネーク(17600号)の連絡先知ってるでしょう』ハァ・・・

土御門「知ってるが……アイツ、お前が動かないと動かんだろう」タラー・・・

海原『なら諦めて下さい。僕は理由も無く彼女と一方通行は追い駆けたくない……それから貴方もね』コクッ

土御門「ぐっ……薄情モン」チッ・・・

海原『その様子だと、どうせ貴方が蒔いた種でしょう? 嫌ですよ、絶対……黒妻さんにでも頼んだら如何です? もしくは服部さん辺り』

土御門「……理由を知られたくないんだぜぃ」ムググ・・・

海原『そんな都合の良い話、誰も乗りませんよ……頑張って自力で探して下さいね。それでは、おやすみなさい』Pi!

土御門「ちょ、待……糞っ!」チッ・・・テクテク・・・


  ガララ・・・・・


土御門「……すまん、待たせ―――」

舞夏「すぅ……むにゃ」Zzz...

土御門「―――た、にゃ……畜生……あの糞女がぁ……覚えてろよ」ムググゥ・・・

543 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/07(水) 04:18:36.61 ID:1r7aVMTo0
 ―――とある前日(また次の日)、時間は戻りPM01:30、学園都市第7学区、???・・・・・



  カツカツカツ・・・・・



少年A「―――んでさぁ。カーテンの色ピンクだから外から見てエロいの何の」ハハハ

少年B「いや、常識的に考えて馬鹿なだけだろ……って、ん?」チラッ・・・


結標「…………、」カツカツカツカツ・・・


少年A「な、う、ちょっ!?」ギョッ・・・

少年B「お、おいおい……幻覚見てる訳じゃねぇよな」タラー・・・

少女C「おーい、アンタらー。遊んでないで書類の整理手伝って、よ……あら?」チラッ・・・

結標「……うぃ」テクテク・・・

少年A・B「「あ、あわきん!?」」ギョッ・・・

結標「あわきん言うなし」ポカッ!!

少女C「……珍しいわね。こんな時間、連絡も寄越さず此処に足運ぶなんて」フフッ

結標「ちょっとね……邪魔するわよ」カツカツ・・・

少年D「如何した、C……って、淡希か」ジー・・・

結標「ええ。お邪魔するわ」コクッ

少女C「そんな他人行儀な。遠慮しなくて良いわよ、淡希。此処は貴女の『城』じゃない」クスクス・・・

少年D「ああ、些か久しぶりだがな。殿様の御帰還は何年ぶりだ?」ニヤリ・・・

結標「せめて姫って言いなさいよ。あと、大袈裟。二週間前くらいに一回来たでしょ」フンッ・・・

少年D「ハハハ、皮肉だよ。まぁいつも通り勝手気まま、好きに居座ってくれ」ニヤッ・・・

結標「ええ。そうさせて貰うわ」テクテク・・・

少女C「にしても……大荷物ね。まさかホントに御帰還だったりする?」フフッ

結標「そうね……そうかも」フッ・・・

少年D「……えー」タラー・・・

結標「何よ、その顔。私が殿様なんでしょ?」ジトー・・・

少年D「……まぁな」ハハハ・・・

少年A「あ、あわきんが帰ってきたぞおおおおぉ!!」パタパタパタ・・・

少年B「今回は本格的に腰据えるってよー!」ワーイ!

結標「ちょ、あ、アンタ達! 騒がないでよ!」アタフタ・・・


  エ? アワキンガ!? カエッテキター!! ヤッホーゥイ!! アワッペー! リーダーガモドッテキタゾー!! ヒャッハー! アワキサーン!! Oh good! ヤッター!


結標「……んもぅ」///

少女C「ふふっ。まぁまぁ、皆嬉しいのよ」クスクス・・・

少年D「さぁさぁ、入った入った。我らがリーダーさん……おかえり」フフッ

結標「ただ、いま……みんな」テクテク・・・///

544 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/12/07(水) 04:23:27.79 ID:1r7aVMTo0
はい、今回は此処まで


疑問なのですが……新約2巻の時点で、あわきんは既に小萌先生の家の居候じゃないのかな?
明記は無かったと思うんですけど、正直うろ覚え。誰か知ってたら教えて下さい


それでは例の如く質問意見感想罵倒御指摘リク等など、宜しくお願いします。んじゃまたね! ノシ”
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 08:16:17.13 ID:KBtTb04Vo
>>544
明記は特にないな
上条さんが「みこっちゃんはいこれお土産〜」の下りでワンシーン出てきただけだった
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/12/07(水) 09:53:46.60 ID:xj0I6yMAO
なんか女キャラクターの口調が特に変、こなれてないし芝居がかってる気がする

>>1はもしやオッサンかい?
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中国地方) [sage]:2011/12/07(水) 10:50:14.61 ID:KslZqnCc0
この少年少女って、残骸事件の時のメンバーの生き残り?
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 12:42:30.67 ID:LRh+CKYDO
乙! 居候ってそういうのか……続きが気になる!

説明口調なのは今回地の文無しだし、しゃーないんじゃない?
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/12/07(水) 15:58:18.89 ID:YnCj6eXH0
台本で口調が違うって致命的な気がするから、なおせるようなら直したほうがいい
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/08(木) 03:01:18.84 ID:nQz8qAUIO
原作でもキャラの口調ちょこちょこ変わってるし、別にいんじゃね?
551 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 12:01:22.25 ID:NMrY7XeAO
今更
552 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2011/12/10(土) 21:46:37.10 ID:dG8/hrtv0
こんばんわ。チョイチョイ投下!


・おっさん・・・まだ20代前半なんすけどね・・・

・セリフについては頑張って近づけます!


そんじゃスタート!
553 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 22:00:51.42 ID:SH9Dbz8E0
せりふもっとがんばれ乙
554 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 :2011/12/10(土) 22:16:52.29 ID:dG8/hrtv0
 ―――とある日、AM08:40、学園都市第7学区、とある高校(上条の高校)・・・・・・



  キーンコーンカーンコーン・・・・・ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・


上条「うーん……先生、今日も遅いな」ボー・・・

青ピ「ま、まさか風邪が再発したとかやないの!?」アタフタ・・・

吹寄「そう何度も何度も引くもんじゃないわよ。用事か何かで遅れてるんじゃないかしら」ジー・・・

上条「だけどさ、基本的に時間にはキチンとした人だし……土御門?」キョトン・・・

土御門「……ん? あー……さぁねぇ……すぐ来るんじゃにゃいか」ボケー・・・

上条「なら、良いんだけど」ムゥ・・・

姫神「…………、」チラッ・・・


  ガララッ・・・・・


吹寄「ほら見なさい」クイッ

月詠「…………、」テクテクテク・・・

青ピ「むむ? 先生の様子がおかしい……小萌せんせーい! もしかして今日も調子悪いやないですか!?」ガタッ

月詠「え……いえ、そんな事は……あはは、遅れちゃって申し訳無いのですよー」ペコッ・・・

姫神(……ん)ジー・・・

月詠「ちょっと所用で……気にしないで下さい。それじゃ出席取るのです―――」


  キーンコーンカーンコーン・・・・・


月詠「―――……それでは、今日も一日頑張りましょう」コクッ・・・

生徒一同『はーい』ガヤガヤ・・・

月詠「では……授業に……、」テクテク・・・


上条「……やっぱ様子変だな」ジー・・・

青ピ「な、何があったんやろぅ」タラー・・・

吹寄「気になるけど……先生から話さないって事はプライベートな事なんでしょ。私達生徒がズカズカ入り込む訳にはいかないわ」コクッ

上条「……そうだけどさ」ポリポリ・・・

吹寄「と・く・にっ! 貴様の事を言ってるのだ、上条当麻。貴様が関わると大体話が縺れるだろうが」キッ・・・

上条「ひ、酷い言われようだな」ムゥ・・・

土御門「……俺も吹寄の意見に賛成だぜぃ。必要なら先生の方から話すにゃー」ポンッ

青ピ「なら、良いんやけど」ハァ・・・

土御門「そうそう。それに、小萌センセもああ見えて女だぜぃ。もしかしたら『色々』あるのかもしれないにゃべらっ!!」ゴンッ!!

吹寄「最っっっ低! そういう事この場で言うなカス! [ピーーー]!」ゲシゲシッ!!

土御門「痛だだだだぁっ!! か、可能性としての話を言ったまでだわばぁっ!!」フシュー・・・

上条「今のはお前が悪い」キッパリ・・・

吹寄「ったく……ねぇ姫神さんからも……って、あれ? 居ない?」キョロキョロ・・・

青ピ「姫ちん、気配消して移動する癖止めて欲しいんやけどなぁ……何処行ったんやろ?」フム・・・

土御門「……ん」タラー・・・

555 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/10(土) 22:36:30.08 ID:dG8/hrtv0

  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・



月詠「―――……ハァ」トボトボ・・・

姫神「小萌先生」ヌッ・・・

月詠「え……あ、姫神ちゃん……如何しました?」チラッ・・・

姫神「……それは。こっちの台詞」ジー・・・

月詠「っ……えっとー、如何いう意味なのですか?」ピタッ・・・

姫神「何があったの?」ジー・・・

月詠「何って、さっきも言った通り所用なのです」コクッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

月詠「……じゃあ先生、授業がありますから一回職員室戻りますね。姫神ちゃんも一限の準備をしなきゃダ――」

姫神「淡希。ね」テクテク・・・

月詠「――メな、の……っ」テクテク・・・ピタッ・・・

姫神「もう一度聞きます。何があったの?」パシッ・・・

月詠「……結標ちゃんは……っ」ウルウル・・・

姫神「っ!! 淡希に何かあったの!?」ギョッ・・・

月詠「結標、ちゃんは……もう……っ……結標ちゃんが、家に……うぅ」ウルウル・・・

姫神「小萌先生!」ジー・・・

月詠「う、ううぅ……うわああああぁんっ!! 結標ちゃんがあぁ!! うええええぇんっ!!」ビエー!!

姫神「っ!! ちょ。せ。先生!?」アタフタ・・・



  ざわざわ・・・どよどよ・・・・・



生徒A「何だ?」ボソボソ・・・

生徒B「ん……あれ月詠先生じゃね? 何で泣いてんの?」ジー・・・

生徒C「隣に居る子って転校してきた一年生じゃない。まさか、泣かせたの?」ジトー・・・

生徒D「何々? 事件発生か?」キラキラ・・・



  ガヤガヤ・・・アーダコーダ・・・・・



月詠「うぇええーーーーーーーーーんっ!! わぁあああぁーーーーーーんっ!!」ビギャー!!

姫神「こ。小萌先生……あーもう……如何しよう」ダラダラ・・・


黄泉川「―――こらぁ! お前ら溜まるなっつってんじゃん!! さっさと教室戻って一限の準備しろ!!」ガオー!!

姫神「あ。よ。黄泉川先生!」ホッ・・・

黄泉川「ったく……ん? 姫神じゃん……まぁ話は後じゃん。小萌先生連れて保健室に行く。手伝って頂戴」コクッ・・・

姫神「……はい」チラッ・・・

月詠「えええぇーーーーーーんっ!! 結標ちゃああぁーーーーんっ!!」ギャースッ!!

556 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/10(土) 23:16:07.04 ID:dG8/hrtv0
 ――一寸後・・・・・



月詠「ひっく……えっぐ……ううぅ」ポロポロ・・・

養護教諭「月詠先生、きっと大丈夫ですからね。一先ず落ち着きましょう」ポンッ・・・


黄泉川「ハァ。ヤレヤレじゃん」ポリポリ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

黄泉川「……んで? お前は一体小萌先生に何言ったじゃん?」チラッ・・・

姫神「……先生の。同居人の事」ジー・・・

黄泉川「あー……そっか。姫神はあの子と仲良かったのか。じゃあ勘付いてもしゃーないじゃんよ」テクテク・・・

姫神「黄泉川先生は。知ってたの?」チラッ・・・

黄泉川「まぁ昨夜の時点で……11時過ぎに幼女が歩き回ってるっつー通報受けて行ってみりゃ職場の同僚ときたじゃん」ハァ・・・

姫神「淡希を。探して?」フム・・・

黄泉川「らしいじゃん。まったく、ウチのドラ息子もそうだけど……あの不良娘も迷惑掛けやがって」ハァ・・・

姫神「……詳しい状況。聞いてるの?」ジー・・・

黄泉川「とりあえず書き置きだけして消えたとか。出ていくにしても顔見て礼言って出てくのが筋ってもんじゃん」チッ・・・

姫神「そう……なんだ」ムゥ・・・

黄泉川「別れが辛いから黙って行きたいっつー気持ちも分からんでも無いけど、それでも些か急過ぎじゃん」ジー・・・

姫神「ええ。多分。『誰一人』として。納得してない筈」ギリッ・・・

黄泉川「当の本人もってか? 何だそれ?」キョトン・・・

姫神「……ごめん。黄泉川先生。私。授業に戻る。後は。お願い」クルッ・・・テクテク・・・

黄泉川「ん、おぅ……態々すまないじゃん。ありがとな」コクッ・・・

姫神「いえ……此方こそ。ありがとう」ガララッ・・・テクテク・・・



 カツカツカツ・・・・・


姫神「…………、」Prrrrrr・・・・・

 『此方は●●●サービスです。お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所に在るか、電源を落としているかで掛りません』

姫神「……チィ」ギリッ・・・


 カツカツカツ・・・・・ガララッ!



親船「―――このような置き換えを行って得られる自然数を『X n+1』とします……ん、姫神さん?」キョトン・・・

吹寄「姫神さん! 何処行ってたのよ!?」タラー・・・

姫神「……心配掛けたなら。ごめん。親船先生。後で理由を話します」チラッ・・・テクテク・・・

親船「え、ええ、席に着いて。隣の子、何処まで進んだか教えてあげ……って、何処行くの? 貴女の席そっちじゃないでしょう」キョトン・・・

上条「ひ、姫神?」ポカーン・・・

姫神「…………、」テクテク・・・

557 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/10(土) 23:30:21.04 ID:dG8/hrtv0
親船「ひ、姫神さん!?」タラー・・・

姫神「…………、」テクテク・・・ピタッ・・・ジー・・・

土御門「……あん?」チラッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

土御門「……何かにゃ?」フイッ・・・

青ピ「ひ、姫ちん? 何で土御門くんの前に突っ立ってるんや?」タラー・・・

吹寄「姫神さん?」タラー・・・


 ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・


土御門「……あのー、姫神さーん。俺の授業妨害すんのやめてくれないかにゃー?」ジー・・・

上条「さっきまで寝てたくせに」ジトー・・・

姫神「…………、」ギロッ・・・

土御門「……何だよ」ジー・・・

姫神「……屋上」クイッ・・・

一同『っ!!?』ギョッ・・・

土御門「お、おいおい。姫神ぃ……愛の告白にしては大胆過ぎやしないかにゃ? 悪いが俺はこう見えて義妹一筋なん――」

姫神「黙れ。来い。来なきゃ呪い殺す」テクテクテク・・・

土御門「――だ、ぜぃ……っ」タラー・・・


  ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・


親船「ちょ、待、ひ、姫神さん!? 授業中よ!!」アタフタ・・・

姫神「……体調が優れない。少々風に当たってくる」テクテクテク・・・

吹寄「待って姫神さん!」ガタッ・・・

姫神「来ないで。来るのは……彼だけで。いい」ギロッ・・・テクテクテク・・・

吹寄「っ……土御門! 貴様何をした!!」ギロッ・・・

土御門「知らないにゃ……あーもぅ……センセ、すいません。何か御指名受けちゃったんで行ってきまーす」ガタッ・・・テクテクテク・・・

親船「土御門くんまで!?」タラー・・・

土御門「あーダイジョブダイジョブ。あわよくば連れ帰ってくるぜぃ。んじゃそういう事でー」テクテクテク・・・

上条「……おい」チラッ・・・

土御門「……心配すんなって。多分『危険な事』じゃないぜぃ。安心しろって」ボソッ・・・テクテクテク・・・


  ガララッ・・・シーン・・・・・


親船「……んもー! 如何しろっていうのよー!」ウギャー!

558 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 00:08:46.96 ID:ynJZzkMAO
なんつーかキャラがみんな安いな
姫神の魅力が全消し
559 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 00:14:52.84 ID:zv2dtPkE0
 ――一寸後、屋上・・・・・



  カツカツカツ・・・・・


土御門「……はぁ」テクテクテク・・・ガチャッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

土御門「……何の用かにゃ?」ヤレヤレ・・・

姫神「……言いたい事。分かってるでしょう」ジトー・・・

土御門「さぁ。何の事やら」フイッ・・・

姫神「恍けて……如何責任取るつもり?」ジー・・・

土御門「おいおいおいおい。ちょい待て。勝手に話を勧めるなってーの」クイッ・・・

姫神「……私が男だったら。此処で貴方に拳の一発でも。入れてる所」ギリッ・・・

土御門「怖いにゃぁ……でも、俺には何の事やらさっぱりで――」ハンッ

姫神「私は言った。『先生が解決する』。『必要なら私から話す』……だから『貴方は口出しするな』と」ギロッ・・・

土御門「――……で?」フンッ

姫神「あくまで。しらばっくれる気? そう……なら。もう良い。私が何とかする」テクテクテク・・・

土御門「……ふんっ」チッ・・・

姫神「どんな意図があって。あの子に『どんな事』をしたのか。分からない。けど……――」テクテクテク・・・

土御門「あ?」チラッ・・・

姫神「――これが……小萌先生が泣いてる事実が。貴方が『招いた』結果よ。土御門くん」テクテクテク・・・

土御門「っ」ギリッ・・・

姫神「最っ低な男。どうせ。この悲しみも『先行投資だから仕方ない』とか。割り切りつもりでしょうけど……遺恨は。残る」チラッ・・・

土御門「……だから、何だ」クイッ・・・

姫神「私は上条くんみたいに。熱くも無いし。優しくも無い……土御門くん。『今』が辛いでしょう? 精々。苦しみなさい」テクテクテク・・・



 ガチャッ・・・・・



土御門「……クソっ!!」ガンッ!!



 カツカツカツ・・・・・



姫神「馬鹿な人……貴方も。淡希も」テクテクテク・・・

560 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 00:43:56.48 ID:zv2dtPkE0
土御門「チッ……俺が……悪いってのか? ザケんなっつの……あの糞女(アマ)のケジメの悪さだろうが」ギリリ・・・



 テクテクテク・・・・・



土御門「っ……何だ、お前か」チラッ・・・

風斬「…………、」ペコッ・・・

土御門「……見てたのか」フンッ

風斬「……ちょっとだけ、見てた」コクッ・・・

土御門「ふんっ……滑稽だって、笑いにでも来たか?」クイッ・・・

風斬「い、いいえ……私からは、何も言う事は……、」フルフル・・・

土御門「じゃあ何の用だ? 慰めでもしてくれんのか?」フンッ

風斬「……統括理事長から、伝言を」コクッ・・・

土御門「は? アレイスター?」キョトン・・・

風斬「はい。暇なら伝えてくれって、頼まれたの……で、でも伝えたら、すぐ公園(インデックスの所)に戻るわ」ジー・・・

土御門「いつからヤツの小間使いに……てかアイツも直接電話しろってーの」ハァ・・・

風斬「急ぎの用じゃないみたいだから、かな……最近『案内人』と連絡が取れない、だって」ジー・・・

土御門「はぁ!? な、あ、アイツ仕事休んでんのか!?」ギョッ・・・

風斬「そうみたい……だから色々困ってて、そろそろ強硬手段に出ても良いけど……一応、知人の貴方に伝えろって」コクッ・・・

土御門「な……い、意味が分からないにゃ」タラー・・・

風斬「ええっと……『彼女のお守は君の仕事だろう』……まんま、伝えたわ」ハァ・・・

土御門「ッ〜〜〜〜〜〜……あの、ボケナスがぁ」プルプルプルプル・・・

風斬「……と、とりあえず頑張ってね」アハハ・・・テクテクテク・・・

土御門「畜生めぇ……何で、俺ばっか」グヌヌ・・・

風斬「……えっと、ね」チラッ・・・

土御門「あ?」ジトー・・・

風斬「え、と……た、例え善意だとしても……私はインデックスに……上条くんの家から出て行った方が良いよ、だなんて……言えないかな」

土御門「…………、」ジー・・・

風斬「あ、あはははは……何でもない。じゃあ、私帰るよ……またね、土御門くん」テクテクテク・・・シュンッ・・・



 シーン・・・・・



土御門「チッ。俺が、憎まれ役か……今更だぜぃ」フンッ・・・テクテクテク・・・

561 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 01:28:30.75 ID:zv2dtPkE0

  キーンコーンカーンコーン・・・・・


親船「……じゃあ、此処まで」ハァ・・・トボトボ・・・


  ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・


上条「……授業どころじゃ無かったな」ハァ・・・

青ピ「まぁ……仕方ないやろねー」タラー・・・


姫神「…………、」ガララ・・・


吹寄「っ! 姫神さん!! 何処行ってたの!?」バッ!

姫神「……ごめん」テクテク・・・

吹寄「大丈夫? 土御門に変な事されなかった?」アタフタ・・・

姫神「大丈夫。問題無い」シャキッ

青ピ「ところで……当の土御門くんは?」キョトン・・・

姫神「さぁ。もしかしたら。戻って来ないかも」フイッ

上条「なぁ。何があったんだ? 何ていうか、その……お前といい小萌先生といい、何か変だぞ」タラー・・・

姫神「……いつか。話す」ジー・・・

上条・青ピ・吹寄「「「…………、」」」ウーン・・・

姫神「それより。次。教室移動。早く準備しないと」スタスタ・・・


青ピ「……何やろうねぇ」ポリポリ・・・

吹寄「分からないわ……問い詰めたい所だけど、訳アリみたいだし……今は放っておくしかないんじゃないかしら」ハァ・・・

上条「…………、」ポリポリ・・・

  
  キーンコーンカーンコーン・・・・・

562 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 01:53:35.50 ID:zv2dtPkE0
 ―――とある日、PM06:30、学園都市第1学区、とあるマンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・・






昨日の一件の所為で、まったく授業の内容が頭に入らなかった。
リビングでグダグダしている五和と浦上の表情を見るに多分、二人も僕と同じだったのだろう。
キッチンで味噌汁を作っているカオリ姉さんも、心成しか険しい雰囲気。


神裂「……五和、浦上。明日都市を発つ準備は済ませているのですか?」グツグツ・・・トントン・・・

五和「え? あ、はい……一応は」ボー・・・

浦上「今回は装備以外現場支給らしいですからネ」グデェ・・・

神裂「そう……なら、良いのですが」トン・・・トン・・・

もあい「んなー」コロコロ・・・


空気が、重い。


五和「あ、あの!」バッ!

神裂「……ダメです」キッパリ・・・

五和「え……あ、う」タラー・・・

浦上「お姉……気持ちは分かるけど、私ら明日4時起きですヨ」ハァ・・・


多分、この件に首を突っ込めば明日の昼になっても戻って来れないだろう。
だがしかし……このまま気掛かりを残したまま明日以降の任務に臨むのは、何処か居心地が悪いかもしれない。

一応、手の空いてる潜入学徒に淡希さんらしき人物を見かけたら知らせて欲しいと伝えてはある。
でも片手間程度の探索では、見つからない筈だ。


五和「……些か、都合が悪過ぎますよ」ハァ・・・

神裂「仕方が無い事です……固法さんにも相談はしておきました。何とかなるやもしれません」コクッ・・・

浦上「風紀委員(ジャッジメント)で手に負える人じゃないんですけどネ、結標さんは」ゴロン・・・

神裂「分かりませんよ。それに……彼女には、一、友人としてお願いしました。結標さんの『友人』として、ね」フフッ・・・

もあい「にゃー」ジー・・・


人間味溢れる言葉。


神裂「兎角、夕餉にしましょう。準備が出来ました。配膳を手伝って下さい」コクッ・・・

五和・浦上「「……はい」」コクッ・・・


その日のご飯は、折角姉さんが作ったモノなのに……何処か味気無かった。

563 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 02:23:50.57 ID:zv2dtPkE0
早く寝なければならないという事で、五和と浦上が先に風呂に入る。
僕は無言で携帯を握り……電話帳の『マ行』にカーソルを合わせ、画面を止めていた。


神裂「……出ないのでしょう?」コクッ・・・


静かに湯呑を傾ける姉さん。僕も無言で頷く。


神裂「複雑ですね……懇意にしている人達の日常に罅(ひび)が入る様を見るのは」ジー・・・

もあい「みー?」キョトン・・・

神裂「何とも、歯痒い。教皇だ聖人だと云われる女が、何もしてやれません」フッ・・・


そんな事は無い。寧ろ、それが人間だ。
碌に苦労もせず、こういった問題を指先一つで解決出来るのであれば……それは人の所業じゃない。
教皇や聖人っていうのは、象徴や力であって神や神の使いではないと、昔建宮さんは言った。


神裂「……そうですね。こういう葛藤が出来るという事は、私は人間なのでしょう」ジー・・・

五和「お先上がりましたよー……って、あれ? シリアス?」タラー・・・

神裂「いえ、そんな事はありませんよ。少々感傷に浸っていたくらいです」フフッ・・・

五和「はぁ……ところでコウちゃん。結標さんから連絡着た?」チラッ・・・


くる訳無かろう。僕ら4人で再三コールしてるのに……もし着てたら今頃長話中だ。


五和「あはは、そうだよね……ハァ」ムゥ・・・

神裂「……五和、貴女は寝なさい。忘れろ……とは言いません。忘れたくても忘れられないでしょうから。でも、しっかり身体は休めなさい」

五和「はい……姉さんもですよ。便をずらしたとはいえ、明日出発には変わりないんですから」コクッ・・・

神裂「承知してますよ。まぁ私は丈夫ですからね」クスクスッ

五和「もぅ、またそういう事を言う……羨ましいとは言いませんけどー、何か違うと思いまーす」ジトー・・・

もあい「なー」ペシペシッ

神裂「ふふっ。そうですね……所詮は人間ですから」フッ・・・


姉さんもこの家(此処)の中では、一人の『少女』なのだ。いや、この家が関係無くとも心は人間だろうに。


五和「そうですよ。姉さんは人間なんです……ところで話は変わりますけど、月詠さんには連絡したんですか?」チラッ・・・

神裂「いえ、昼間は仕事でしょうから。それに……、」コクッ・・・

五和「じゃあ今!」パッ!

神裂「待ちなさい。先にもいった通り、安易に首を突っ込む訳にはいきません……分かりますね」ジー・・・

五和「……でも」ウーン・・・

神裂「仕方ないのです。この件は固法さんに任せましょう。気が向けば、麦野さんも手を貸してくれるかもしれません」コクッ・・・

もあい「にゃん」コクッ・・・


確かに……固法さんは風紀委員の肩書抜きにして結構実行力あるし、麦野さんも気が向きさえすれば何でも出来る人だ。
僕らが下手に動くよりは確実かもしれない。

564 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 02:52:00.98 ID:zv2dtPkE0
一寸後、誰も寝てなかった。
それどころか床にさえ着いていない。ホットドリンクを啜ろうも、安眠作業をしようも……寝れないのだ。


神裂・五和・浦上「「「……ハァ」」」ドヨーン・・・

もあい「みゃー」フシフシ・・・


僕はまだしも、明日からメキシコ入りの姉さん達がこれでは拙い。


五和「……何してるのかなぁ。何処居るのかなぁ」グデェ・・・

神裂「危険な事をしていなければ良いのですが」ハァ・・・

浦上「せめて一報入れて欲しいですよネ」ムゥ・・・


想いは同じだが……頼む、寝て下さい。このままだと僕が怒られます。


浦上「もぅさぁ……お酒で潰れちゃいます?」チラッ・・・

五和「絶対無理。明後日まで残るくらいに、本気で潰れる程飲まないと寝れない気がするから」グッタリ・・・

神裂「私は酒で潰れません。というか、未成年がそういう発言しないの」メッ!

浦上「にゃはは……ねぇ、姉様。もう一度、土御門に確認だけでも取れないんですか?」ボー・・・

神裂「『まだ寝てないのか馬鹿女郎』と言われて終わりですよ」ハァ・・・

五和「でも……彼は何か知ってるんでしょう? 少しでも分かれば安心するんですけどね」ゴロン・・・

浦上「存外、この件の黒幕だったりしてー」ハハハ・・・

神裂・五和「「…………、」」ピタッ・・・

もあい「にゃん?」チラッ・・・

浦上「あ、れれ」タラー・・・


可能性としては大きい気がする。けど、断定できないしアイツも本音を漏らしたりしないだろう。


五和「うー……あーもぅ! 何処行ったのよ! 土御門も知ってるなら教えろー!」ムキャー!

神裂「仕事が終わって都市に戻ってきたら、意地でも見つけ出して説教確定ですね。ついでに土御門は現地(メキシコ)で説教!」グヌヌ・・・

浦上「あー……逆に火ぃ点いちゃいましたヨ」アハハ・・・


余計な事を言うな。
とりあえず自分は部屋(自室)に戻って、報告書(日誌)を片付けよう。そう思った矢先……メールが入った。


五和「む、結標さん!?」ガタッ!

神裂「ん……月詠さん、ですか」ジー・・・

浦上「どれどれ……『結標ちゃん、本当にお邪魔してないませんか? もし隠しているのなら意地悪しないで教えて下さい』……あぅ」タラー・・・


相当切羽詰まってる。たった一日でこの状態か……もう、見逃す事は出来ない。


香焼「……姉さん、すいません」スタッ・・・

神裂「ハァ。やれやれ、仕方ありませんね」クスッ・・・

五和「コウちゃん! 私達も行きたいけど……私達の代表として、しっかり解決してきなさいよ!」ビシッ

浦上「何か分かったらすぐ連絡してヨ……ふぁああぁ……これで幾らか不安が飛びましたネ」フフッ


元々、僕が行かなければならなかったのだ。仕事とか暗部とか、そういう色んなモノを抜きにしても僕は結標さんと向き合わねばならない。
先に寝てくれと言い残し、僕ともあい(勝手にパーカーの中に入ってきた)は三人に見送られ、家を飛び出した。

565 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 03:47:32.52 ID:zv2dtPkE0
 ―――とある日、PM09:30、学園都市第7学区、とある『通路』・・・・・







気配を消して、ビルの間や路地裏を駆ける。
このルートは基本的に天草式の潜入学徒しか通らない秘密の道だ。衛星カメラでも捉えられまい。

さておき、移動途中で月詠さんに電話を掛ける。


香焼「……もしもし」Prrrr・・・・

月詠『あ……香焼ちゃん』Pi!

香焼「先程のメールっすけど、結標さん、まだ帰ってないんすか?」タタタタ・・・

月詠『はい……やっぱり香焼ちゃんのお家には居ませんでしたか……勘繰って申し訳ないのです』ハァ・・・

香焼「いえ、気にしないで下さい」タタタッ・・・シュンッ・・・

もあい「にゃにゃ!?」グルンッ・・・


ビルの窓から隣の屋根へ飛び移った時、パーカーからもあいが飛び出そうになる。無理矢理抑えて先へ進む。


香焼「ところで……今、月詠さん家の近くの公園なんすけど、お邪魔して良いっすか?」タタタタ・・・クルンッ・・・

月詠『え?』キョトン・・・

香焼「淡希さんの事……おっと……詳しく、教えて貰いたいんすよ」シュタッ・・・スタタタ・・・

月詠『詳しくって……私も、知りたいですよ』ハァ・・・

香焼「えっと、そういう訳じゃなく居なくなった状況とかを……兎に角、あと10分くらいで着きます!」タタタ・・・タンッ!

もあい「みゃんっ!!?」ガクンッ・・・


最早有無も言わせない。可能な限り急いで月詠さん宅へ向かった。
そして約10分後……見慣れたオンボロアパートに到着。『着きました』と短くメールを入れ、ベルを鳴らす。


月詠「……香焼ちゃん?」ガチャッ・・・

香焼「こんばんは。夜分遅くに押し掛けてすいません……如何しても気になったので」ハァハァ・・・

もあい「なぅ」クラクラ・・・

月詠「そう。心配掛けてしまったのですね……ありがとう。とりあえず上がって欲しいのです」スッ・・・

香焼「失礼します」ペコッ・・・


些か不仕付けでもあるが、互いに心配する相手は同じ。四の五の言ってられない。
ただ、目の周りを真っ赤にして多少声が擦れている彼女の方が確実に心配の度合いに大きいだろう。

566 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 04:32:26.37 ID:zv2dtPkE0
玄関でふと、一足のローファーに目が止まった。
誰か居るのかと、気になって居間に目を向けてみると……一人の女性が、人形の様にチョコンと座っていた。


香焼「……姫神さん」チラッ・・・

姫神「ん……確か。香焼くん」ジー・・・


彼女も、今回の件に関係してるのか。


月詠「雨漏りとか色々大変で汚いままなのですが……どうぞ」テクテク・・・

香焼「はい」テクテク・・・


促されるまま座布団に座り、姫神さんの向かいに座る。


姫神「何しに……って。大体。分かるけど」ジー・・・

香焼「じゃあやっぱり姫神さんも」コクッ・・・

姫神「ええ。だけど。私は小萌先生も心配だったから」チラッ・・・

月詠「…………、」シュン・・・

もあい「……なぅ」トコトコ・・・

香焼「……あの、お話聞かせて貰っても良いっすか?」コクン・・・

月詠「……話せる範囲なら」ペコッ・・・


この様子だと、月詠さんは当事者でありながらまだ蚊帳の外状態なのか。


香焼「……まず、居なくなったのは昨日っすよね。何時くらいかは分かってるんすか?」

月詠「分かりません。朝の8時から夜7時半の間に……出て行っちゃったんだと思うのです」シュン・・・

香焼「……原因は?」チラッ・・・

月詠「…………、」フルフル・・・


無言で首を横に振り……そっと、一枚のメモを取り出した。

 『御世話になりました。今までありがとう。     あと、悪い子でごめんね』

クシャクシャで、更に濡れて字が滲んでいるが読み取れる。


月詠「……何か理由があったのなら、仕方ありません。やりたい事や今後の目的が見つかったのなら、仕方ないのです」シュン・・・

香焼・姫神「「…………、」」ジー・・・

月詠「でも……それでも、納得いかないのです……だって何も言わずに出てっちゃったんですよ。電話も出ないし……何で、そんな」ウルウル・・・

もあい「みー」ペロペロ・・・


確かに……何だかんだで義理堅い淡希さんにしては不可解な行動だ。
それに彼女は、彼女の『日常の中心』は月詠さん(この人)の筈なのに……此方も納得し兼ねる。

567 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 05:03:50.83 ID:zv2dtPkE0
それから暫く言葉が無かった。

とりあえず分かった事といえば先の話と、前日までの結標さんについて。だが実際別段変わった様子は無かったらしい。
尤も、ここ数日月詠さんは風邪を引いていた為うろ覚えだそうだが、その間は淡希さんが懸命に看病してくれてたとか。
それは姉さんからも聞いているし、僕もメールしている限りは普通だったと思う。


香焼「……分かりました」コクッ・・・

月詠「ごめんなさい……色々迷惑掛けちゃって」シュン・・・

香焼「いえ、迷惑だなんて思いませんよ」フルフル・・・

もあい「なー」フシフシ・・・


とりあえず、そうと分かれば長居は無用か。


香焼「じゃあそろそろお暇します」ペコッ・・・

月詠「ええ……特に持て成しも出来なくて申し訳無いのです」ペコッ・・・

香焼「いえいえ……姫神さんは」チラッ・・・

姫神「今日は此処に泊まる。小萌先生。心配だから」ジー・・・

月詠「大丈夫なのですよ、姫神ちゃん。先生は大人なんですから」フフッ・・・

姫神「関係無い。大人だろうが子どもだろうが。心配なモノは心配。大事な人なら特に……ね」コクッ・・・

もあい「にゃん」コクコクッ・・・

月詠「……ありがとう」クスッ・・・


此処は姫神さんに任せて大丈夫そうだな。とりあえず僕は結標さん探しに専念しよう。


香焼「それでは……おやすみなさい」ペコッ・・・

月詠「ええ、気を付けて……あと、それから……何か分かったら教えて欲しいのです」ジー・・・

香焼「勿論っす。姫神さんも、おやすみなさい」コクッ・・・

姫神「……待って。ちょっとコンビニで温かいモノ買ってくるから。一緒に外に出る。小萌先生は。横になってて」ポンッ・・・

月詠「え、あ、はい……遅くなっちゃダメなのですよ」コクン・・・

姫神「分かってる。それじゃ。香焼くん」チラッ・・・クイッ・・・

香焼「……ん」コクッ・・・

もあい「みー」ジー・・・


何か、話があるらしい。もう一度月詠さんに礼をして、僕らは外に出た。

568 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 05:23:51.33 ID:zv2dtPkE0
最寄りのコンビニまでの道、長い髪好きのもあいは姫神さんの肩の飛び乗り、無駄に猫パンチを繰り返していた。
対する姫神さんは静かにもあいを撫でるだけ。何かとても微妙な空気だった。


姫神「……ねぇ」チラッ・・・

香焼「え、あ、はい」コクッ・・・

姫神「何で。そんなに緊張してるの? 別に良いけど……貴方。本当に淡希の居場所。知らない?」ジー・・・

香焼「はい……何故?」キョトン・・・

姫神「…………、」フム・・・

もあい「にゃぅ」ペシペシッ


姫神さんは、何か知ってるのか。


姫神「……本当に。知らないんだ」ジー・・・

香焼「知ってたら喧嘩してでも月詠さんの所に引っ張ってきますよ」ジー・・・

姫神「ああ。そっか。上条くんと同じ部類か」ハハハ

香焼「……光栄っすね」ポリポリ・・・

姫神「貴方。ポジティブ」フッ・・・


馬鹿にされた気が……さておき、此方としても知ってる事を教えて貰いたい。


姫神「……土御門に。聞いたら如何?」チラッ・・・

香焼「え? 土御門……やっぱりアイツ何か知ってたのか!」ムゥ・・・

姫神「私も。彼が淡希に何を言ったのかは分からない。だけど。現状を作りだしたのは。絶対彼」ハァ・・・

もあい「みー」ペロペロ・・・


そして姫神さんは、月詠さんが風邪を引いた前日に起きた事を話してくれた。


姫神「―――……以上。100%。彼が口を挟んだ」ジー・・・

香焼「あの、道化師め」グッ・・・

姫神「かといって。彼は口を割らない。淡希を探すなら。自力で見付けるしかない」ムゥ・・・

香焼「見つけますよ。絶対に」ギリッ・・・

もあい「にゃん!」コクン・・・

姫神「……そう」スッ・・・


このままでは、誰も彼もが不幸なまま終わってしまう。まるで救いが無い……僕は我が家の『代表』として、それを認め得ない。

569 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/11(日) 05:50:44.30 ID:zv2dtPkE0
僕が改めて決意を定めた時、姫神さんの歩が止まった。


姫神「私も……、」ジー・・・

香焼「……え」キョトン・・・

姫神「私も。淡希を探す」ジー・・・

香焼「…………、」ピタッ・・・


如何返事をして良いのか分からない。
確かにそれは姫神さん個人の勝手だし、人手が増えれば見つかる可能性も上がるから助かるので断る理由は無いだろう。
だがもし、淡希さんが『危ない場所』に居たら如何する。


香焼「……ええ。別々に探して、情報交換を」コクッ・・・

姫神「ううん。貴方と。行動する」ジー・・・

香焼「な……んで」タラー・・・

姫神「貴方と居た方が。淡希と会える確率が。上がる……気がする」ジー・・・

もあい「なぅ?」キョトン・・・


何だその良く分からない理屈。
それはさておき、仮にも必要悪の教会(ネセサリウス)の預かり扱い・要人たる姫神さん(吸血殺し)を危険な目に会わせる訳にはいかない。
此処はやっぱり、月詠さんに付いて居て貰った方が此方としては助かるのだが。


姫神「貴方も。理屈で動くタイプ」ジー・・・

香焼「……悪いっすか」ムゥ・・・

姫神「ううん。だけど。勿体無いと思う」フイッ・・・テクテク・・・


そういえば、軍覇が以前『原石(研究所の子ども達)』の『直感・予知』能力が如何こうとか言ってた。
分類があいまいとはいえ、姫神さんも確か原石の一人。そういう類のモノがあるのかもしれない。


姫神「私は純粋に。あの子の友人として。言いたい事を。言わせて貰うだけ」コクッ・・・

香焼「……姫神さん」ジー・・・

姫神「その為に。貴方の力が必要。お願い……私も一緒に探させて」チラッ・・・

香焼「…………、」ムゥ・・・

姫神「貴方だって。あの子の友人として。純粋に行動している……私も。同じ」テクテク・・・

もあい「なぅ」フシフシ・・・


僕の答えを待たずスタスタとコンビニへ向かう姫神さん。多分、僕が何を言っても連いて来る気だろう。
まったく……女性は強いな。


香焼「……色々と、約束してもらいますよ」ハァ・・・

姫神「ん……ありがとう」フフッ・・・

香焼「とりあえず今日はもう遅いっす……動くのは明日以降で。自分も情報収集しときますから」コクッ・・・

姫神「ええ。お願い。淡希が帰って来るまでの間。小萌先生の面倒は。私が責任持つから」グッ・・・

香焼「お願いします」ペコッ・・・

もあい「みゃーん」コロコロ・・・


こうして『淡希さん説教同盟』が結ばれた。色々と大変そうな相方だが兎角、皆の『日常』の為、共に健闘しよう……―――

570 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/11(日) 06:09:34.36 ID:zv2dtPkE0
はい、此処までです。

>>558・・・文才無いので、すいません。もっと楽しんでもらえる様努力します!



次回のアンケート! あわきん☆説教同盟について! ・香焼と姫神さんは絶対なので、他数名・・・・・


@風紀委員177支部(固法&黒子  +初春は通信サポートだけ)

Aいつもの同年代組(絹旗&削板  +もしかしたら禁書目録も?)

Bストーカーズ(海原&蛇の通信サポートのみ)

C二人だけで十分!


以上です。それでは例の如くアンケート協力、質問意見感想罵倒御指摘リク等など、宜しくお願いします。んじゃまたね! ノシ”

571 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 10:53:57.80 ID:d2pK0+lU0
?も見たいけどあえて?で
572 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 11:31:27.65 ID:HtzCcOV10

2で
573 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 12:05:40.54 ID:kFtMIMe/o
1は黒子と結標の因縁がめんどくさそうだが面白そうだな
1で
574 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 13:29:39.93 ID:d0GC5JpDO
乙! 盛り上がってきたな!

アンケは@かAかで迷うなぁ……でも御坂抜きのイケメン黒子みたいから@で!
575 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 13:34:59.15 ID:+Dxg9J/Ro
久々に絹旗ちゃんとの絡みがみたいから2で
576 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 18:07:56.11 ID:Lx/3e+gAO
このりん出てくる方がハナシ自然な気がするので@
577 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 19:26:24.54 ID:eU7dGW8N0
乙      @で
578 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 20:19:26.53 ID:8V8bkpQoo
579 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:04:51.33 ID:W2LxTN1DO
やっぱ1かな〜

580 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/12(月) 00:20:12.31 ID:P/JfJSsF0
こんばんわ。アンケは@で決定です。そんじゃ短いけどボチボチ投下!

581 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 00:37:36.08 ID:P/JfJSsF0
 ―――とある翌日、PM05:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・・・






姉さん達が出発したこの日、都市に残った僕は姫神さんと行動を共にする事となった。
もしかしたら上条さんも手伝ってくれるやも、と淡い期待を持っていたのだが……彼は何故か姉さん達と同じくメキシコへ飛んだらしい。
何でも、今回の元凶さん(土御門)が『仕事・任務で必要だから』とまるで物扱いの如くで引っ張っていったとか。

兎角放課後、僕らはとある公園に集合した。


香焼「―――……すいません。遅くなりました」テクテク・・・

姫神「ううん。私の方が。公園近いから……貴方は。授業終わってから。そのまま来たの?」ジー・・・

香焼「はい。7限終わってすぐに」コクッ・・・


何かと面倒臭い学校に配属されたので……まぁ今では割り切っているが。


姫神「理事校……将来。役員にでもなる気? 魔術師なのに」ジー・・・フフッ・・・

香焼「色々あるんすよ。とりあえず自分の事は如何でも良いっすから、淡希さんの事を」コクッ・・・

姫神「ええ。ところで。宛てはある?」フム・・・

香焼「はい。今から情報提供者の所に向かいます」コクッ・・・

姫神「情報提供者?」キョトン・・・


昨日、カオリ姉さんが連絡しておいてくれた人の所だ。その人の居る場所は此処から近いので、数分歩く。


香焼「此処っす」クイッ・・・

姫神「風紀委員の。支部?」ジー・・・

香焼「知り合いが居るんすよ。あと、淡希さんと仲良い人もね」テクテク・・・

姫神「淡希が。風紀委員と仲良くしている姿。想像できない」タラー・・・

香焼「あはは……まぁ風紀委員としてではなく、姫神さんみたいに友人として仲良いんすよ。さ、行きましょう」テクテク・・・


促されるがまま僕の後ろを歩く姫神さん。確かに淡希さんは不良の部類だから、疑わしくはあるだろう。
さておき、今からこの支部に入るのだが、幾つか心配点がある。


姫神「ん……何だか。賑やかな声がする」ジー・・・

香焼「……あはは」タラー・・・


此処の喫茶店雰囲気、如何にかならないかなぁ。

582 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 00:58:11.68 ID:P/JfJSsF0
だが、入らない訳にもいかないので覚悟を決め、インターフォンを鳴らす。


香焼「……すいません」ピンポーン・・・

佐天『はいはーい! 此方風紀委員第177支部で……って、あれ? 香焼くんだ』Pi!

初春『さーてーんさーんっ!! 何で風紀委員でも無いのに勝手にインターフォン出てるんですか!』ウガー!

佐天『あはは、ごめんごめん。あ、入ってー』カチャッ・・・

香焼「……行きましょう」チラッ・・・

姫神「私が知ってる。風紀委員と違う」タラー・・・


相変わらずフリーダム。


香焼「失礼します」ペコッ・・・

固法「いらっしゃい。待ってたわ」コクッ・・・

佐天「え? 固法先輩に用事があったの?」キョトン・・・

香焼「うん。ちょっと、ね」ポリポリ・・・

白井「あら? 後ろの女性は?」チラッ・・・

香焼「えっと、今回の相談で一緒に色々と」アハハ・・・

姫神「……みんな。中学生くらい。何このキャピキャピ空間」ジー・・・


確かに風紀委員の詰め所とは思えない雰囲気だろう。


固法「とりあえず座って頂戴。初春さん、お茶を」チラッ・・・

初春「はい。温かい方で良いですか?」

香焼「はい、お任せします」コクッ・・・

姫神「……香焼くん。此処に居る全員が。関係者?」キョロキョロ・・・

固法「あはは、ごめんなさいね。半分くらいは一般人よ。風紀委員は私と、今お茶を持ってくる子と、そっちのツインテール娘」クイッ・・・

姫神「他の子は?」ポカーン・・・

固法「さぁ。何故か喫茶店感覚で屯(たむろ)してる娘達よ」アハハ・・・


此方お構い無しにトランプ(大貧民・大富豪)をしている……佐天さん、春上さん、白井さん、御坂さん、そして打ち止めちゃん?


春上「むむむ……御坂さんが、またジョーカー持ってるの」ジトー・・・

御坂「さぁ如何でしょうねぇ」ニヤニヤ・・・

白井「お姉さまの幸運値は高過ぎますの……しかし! これで行ける! 革命ですの!!」ビシッ!!

打ち止め「ふふふふ……ふーはっはっはっはっ! ってミサカはミサカは大悪党っぽく革命返ししてみたり!」バンッ!!

白井「うんぎゃああああぁっ!! ち、小姉さま! 待った! 待ったですの!!」ガーン・・・

佐天「いっひっひっ! ダーメっ! はい、8切りの……ジョーカー! んで5のトリプルで上がりー! 打ち止めちゃんナイス!」グッ!

春上「あー! ジョーカーは佐天さんなの! むぐぐぅ……初春さーん! 初春さんの番なのー!」チラッ・・・

初春「はいはーい。今行きますねー……はい、粗茶ですが」コトッ・・・コトッ・・・

香焼「どうも」ペコッ・・・

姫神「……マジカオス」タラー・・・

固法「言わないで下さい。頭が痛くなる」ハァ・・・


お察しします。

583 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 01:57:25.72 ID:P/JfJSsF0
さておき、淡希さんの件だが……この面子の前で話して良いのか?


固法「そうね。白井さんと初春さん以外は御退場願いたいけど」チラッ・・・

姫神「いつも何時くらいまで。屯してる?」ジー・・・

固法「6時過ぎには帰ると思います。そろそろかな……みんなー、もう6時だからキリ良い所で終わりなさーい」オーイ・・・

超電磁砲組『はーい』ワヤワヤ・・・


まるでお母さんだな。


固法「まだ早いわよ」フフッ・・・

香焼「ははは。ところで……何処まで調べられましたか?」ジー・・・

固法「街中の監視カメラで発見はしたわ」コクッ・・・

姫神「っ! じゃあ!」グッ・・・

固法「慌てないでください。それだけですから。何処に住んでるとか隠れてるとか、そういうのは分からないんです」フゥ・・・

姫神「でも。現れるポイントを予測できれば。待ち伏せとかも出来る。筈」ウーン・・・

固法「……難しいですね。定期的に現れる場所なんてありません。しかも人混みで発見したものばかりですから、如何も」ウーン・・・


そうなると、やはり寝床を付き止め此方から向かうしかない。


佐天「せんぱーい。片付け終わりましたー」テクテク・・・

固法「ええ。それじゃ遅くならない内に帰りなさいよ」チラッ・・・

春上「はいなの。あ、香焼くんはまだ帰らないの?」ジー・・・

香焼「うん。自分は用事があって」アハハ・・・

佐天「んー何々? もしかして巨大な悪の組織に絡まれているとか何とか!?」キラキラ・・・

香焼「あははは……その時は佐天さんに相談するよ」クスッ・・・

固法「こーら。今回は単に『迷子』探しなのよ。此処からは風紀委員(私達)の仕事なんだから邪魔しないの」メッ

春上「え? じゃあ初春さんと白井さんも居残りなの?」チラッ・・・

初春「そうなりますね。すいません、二人は先に帰っててください」ペコッ・・・


そして佐天さんと春上さんは去っていった。


白井「お姉さまも、申し訳ありませんが……寮監に私は仕事で遅れると伝言お願いしますの」コクッ・・・

御坂「……ん」ジー・・・

打ち止め「ミィー。私はー? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」ジー・・・

固法「もう少しで那由他ちゃんが迎えに来るから待っててねー」ナデナデ・・・

御坂「じゃあ那由他が迎えに来るまで残ってます……打ち止め、スピード勝負しましょ」フフッ・・・チラッ・・・

打ち止め「おー! 今日こそ御姉様に勝っちゃうぜぃ! ってミサカはミサカは自慢の蟷螂拳を御披露目してみる!」シュバババッ!

固法「……ありがとう」チラッ・・・


御坂さんは打ち止めちゃんが此方の仕事の邪魔をしない様、相手をしてくれるらしい。
空気を読んでくれたのか、それとも聞き耳立てて『面倒事』に首を突っ込みたいのやら……どっちだろう。まぁ良いか。放っておく。

584 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 02:29:07.25 ID:P/JfJSsF0
場所を移動し、僕らはパソコンの前に集まる。
初春さんがキーボードを弄り、僕と姫神さんに画面を見せた。


香焼「……これは?」ジー・・・

固法「昨日の内に撮影されたモノよ。セブンスミスト前、銀行通り、米国大使館付近……全部第7学区ではあるけど、広いから何とも」ジー・・・

姫神「確かに。何の解決にもならない」ムゥ・・・

初春「しかし、彼女の過去の経緯を考えれば予想は出来ます」カタカタ・・・

香焼「過去、の?」キョトン・・・

白井「彼女は……結標淡希は、武装組織のリーダーですの」ジー・・・

固法「白井さん!」バッ!

香焼「別に大丈夫っす……知ってますから」コクッ・・・

姫神「私も。その程度じゃ驚かない」コクッ・・・


姫神さんも一般人とはいえ、相当な修羅場を掻い潜ってきた人だ。


固法「ハァ……兎に角、私達の考えは二つあります」スッ・・・

香焼「二つ?」キョトン・・・

固法「ええ。一つは、私の私情込みでの純粋な迷子捜索。神裂さんにも頼まれてるし、友人として捨て置けないわ」コクッ・・・

姫神「もう一つは?」フム・・・

固法「……あくまで、可能性の話なのだけど」ウーン・・・


口籠る固法さん。何か悪い話か?


白井「彼女が、再度『運動』を決起する気ではないか……最悪の展開も考慮に入れてます」キッパリ・・・

香焼・姫神「「え?」」キョトン・・・

白井「つまり、彼女がまた犯罪行為(テロ紛い)をするんじゃないかって事です」コクッ・・・

固法「だから昔の仲間の所に、もしくは新しくメンバー集めをしてるんじゃないかって……勿論杞憂で済めば良いんだけどね」ジー・・・

香焼「そ、そんな」タラー・・・

姫神「淡希は。追い出された……当事者の意志とは別に。無理矢理。引き離された。だから。彷徨ってる筈」ムゥ・・・

固法「言ったでしょう。可能性の話よ……でも、もし後者であれば」フム・・・

白井「手加減はしませんよ。例え、貴方達の前であっても」グッ・・・


それは、仕方ないい……もし犯罪に手を染めようとしているのであれば、僕らだって彼女を止めなければならないだろう。

585 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 03:03:16.00 ID:P/JfJSsF0
兎に角、分かった事は……第7学区内に居るだろうという予測。そしてもしかしたら武装組織の下に居るのではないかという推測。


姫神「……アバウト過ぎる。結局。地道な捜索作業」フム・・・

香焼「そうっすね。にしても路地裏かぁ」ウーン・・・


僕だけならまだしも、姫神さんを連れていくのは気が引ける。


初春「……確かに、地道な手段もあります。しかし、此処はやはり手っ取り早く動くべきでしょうね」カタカタ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

初春「蛇の道は蛇に聞くのが一番です」チラッ・・・

固法「…………、」ポリポリ・・・


固法さん?


白井「……私と初春は少々、外しますね」テクテク・・・

初春「コンビニでホットドリンクとケータリングでも買ってきます」テクテク・・・


何故か席を立つ二人。固法さんはそれを見て苦笑した後……携帯に手を伸ばした。


固法「あー……今から見聞きする事は内緒にしてくださいね」アハハ・・・

香焼・姫神「「え?」」ポカーン・・・

固法「……もしもし、郭ちゃん」Prrrr・・・・

郭『あれ? 姐(あね)さん! こんな時間にお電話なんて珍しいですねー!』Pi!


誰かに電話?


固法「ちょっと調べたい事があって……半蔵くん、近くに居るかしら?」ジー・・・

郭『おやおや? 成程、我々の力が必要なのですねー! 畏まりましたっ。直ぐに呼んできまーす』

固法「私用なのにごめんね」

郭『いえいえ。普段から兄(あに)さんや姐さんにはお世話になってますからー! 今度ゆっくりお茶でも飲みましょう』フフッ

固法「ええ。是非に」クスクス・・・


知人、か。だがしかし、何故2人が外したのかは分からない。

586 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 03:24:40.40 ID:P/JfJSsF0
一寸後、電話の相手が変わった様だ。


半蔵『もし。今代わりました』ガチャッ

固法「こんばんは。あんまり馬鹿やってないわよね」フフッ

半蔵『ハハハ。兄貴に比べれば可愛いモンですよ……それで? 調べ物ってのは?』

固法「一応人探しなんだけど……結標淡希って、知ってる?」

半蔵『結標……ですか』フム・・・


間が空く。言葉を選んでいるのか、それとも単に分からないだけなのか。


半蔵『……ソイツが、如何かしたんですか?』

固法「迷子なのよ。居候の家、飛び出しちゃったの」ハハハ・・・

半蔵『は?』ポカーン・・・

固法「だから探してるの。出来れば連れて帰りたいんだけど……だから顔が広い半蔵くんに電話したわ」コクッ・・・

半蔵『やれやれ……まぁ俺に電話したって事は、結標淡希がどんな人物か大体知ってるんでしょう?』ハァ・・・

固法「ふふっ。って事はやっぱり知ってるのね」クスクス・・・

半蔵『そういうカマの掛け合い止めましょうって。固法さんには似合わないですよ』ハハハ・・・


軽快な言葉とは裏腹に、固法さんはメモ用紙を準備し勢い良くメモを始めた。


固法「まず、結標さん自身だけど……居場所知ってる?」

半蔵『それは分かんないですね。嘗てのヤツらの根城なら知ってますが……近付かない方が良いですよ』タラー・・・

固法「如何して? 既に活動はしてないんでしょう? それとも、また動き出したとか?」

半蔵『いえ、活動はしてませんけど……アイツら、そんじょ其処らの武装無能力者集団(スキルアウト)と違いますから』ハァ・・・

固法「確か、能力者も多かったんですっけ?」

半蔵『ええ。人数も多いし、アメリカの科学結社から武器も仕入れてたから結構厄介なんですよ』アハハ・・・

固法「半蔵くん達のチームとは対立してないの?」

半蔵『はい。というか今のアイツら蛻の殻ですよ。リーダー居ませんし、目標意識も無い。ただの不良集団と化してますね』

固法「危険性は無いって事?」

半蔵『そうですね……まぁもし結標淡希が戻ってきたら話は別でしょうけど。だけど兎に角、ウチとアッチは事を構える気は無いですよ』

固法「ふふっ。そうよね、幾ら能力者の集団でも学園都市最大級のスキルアウトを相手に喧嘩は売らないわよね」クスクス・・・

半蔵『煽てても何も出ませんって。別に勢力拡大した訳じゃないですし、自分達の身だけを守ってたら勝手に対立組織が潰れてったんですよ』

固法「知将がよく言うわね」フフフ・・・


白井さん達が出てった理由が分かった。風紀委員(固法さん)とこの話相手(スキルアウト)が通じている事を知ってはならないからだ。

587 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 03:49:14.61 ID:P/JfJSsF0
それから2,3話し終えて、電話を切った。


固法「……とりあえず、宛てが出来たわ」スッ・・・

香焼「例の武装組織に?」キョトン・・・

固法「ええ。此処に居なかったら……あとはやっぱり地道な散策ね」ムゥ・・・

姫神「それにしても……貴女は。何者?」ジー・・・

固法「私? 何処にでも居る女子高生の風紀委員よ」フフフッ


最近の風紀委員は皆、スキルアウトと繋がりがあるのか。


固法「ほら、マルボウの刑事がヤクザと話するくらいは普通じゃない」ピンッ

香焼「普通……じゃないっす」タラー・・・

固法「そうかなぁ。黄泉川先生も結構スキルアウトの子達と仲良いんだけど」ポリポリ・・・

姫神「黄泉川先生は。異常だから仕方ない。でも。貴女は何故? 見た目は。優等生オブ優等生なのに」ジー・・・

固法「あははは。ありがとう。でも……もしかしたらトンデモなく悪徳な風紀委員かもよ」クスクス・・・


それはないだろう。貴女が悪徳レベルなら麦野さんはどんなレベルだ。
と、一通り話し終えたところで白井さんと初春さんが戻ってきた。固法さんは無言でメモを初春さんに渡す。


白井「発見しましたのね。流石先輩。私達には出来ない手段ですの」フフフ・・・

固法「いえいえ。貴女達も追々コネを作っていけばいいわ」クスクス・・・

姫神「……コネで。風紀委員とスキルアウトが。繋がれるモノ?」フム・・・

白井「無いですね。先輩の場合は特別で……まぁ、アレです。極道の妻ですの」ニヤリ・・・

姫神「は?」ポカーン・・・

固法「誰が極妻だ、誰が」タラー・・・

白井「あらら? 学園都市屈指の素手戮(ステゴロ)喧嘩人『大蜘蛛』の奥方こと固法美偉先輩の事でむぎゅうぁ!?」グニグニ・・・

固法「……黙りなさい」グヌヌ・・・


そういえば、あの強面の彼氏さんが居たな。


姫神「成程。奥様は女子高生」ウンウン・・・

固法「ツッコむ場所違うわよ! そっちじゃないでしょ!」ンモー

姫神「『私って清楚に見えて実は不良(オラオラ)系の強面男子が好きなの!』的な。感じ?」ニヤリ・・・

白井「イッエスッ!! そして毎週末は第10学区のモーテルでわっふるわっふりゃあああああああぁ!!」ゴガンッ・・・

固法「ッ〜〜〜〜……変態っ!! 変態淑女っ!!」フシュウゥー・・・///

姫神「ふむふむ……貴女。色んな意味で。『大人』って訳」ニヤニヤ・・・

固法「違うわよ!」ウガー!!

香焼「…………、」アハハ・・・


えっと……聞かなかった事にしよう。

588 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 04:34:17.32 ID:P/JfJSsF0
さておき、初春さんが何やら画面を表示し此方に見せてきた。


初春「お待たせしました。先輩、此処で合ってる筈です」タンッ・・・

固法「あ、うん。ありがとう……結構、大きい場所ね」ジー・・・

香焼「……これは?」ジー・・・


衛星写真だろうか。小奇麗な建物が写っている。


固法「結標さんの……嘗ての根城よ。多分今も御仲間さん達が居座ってるらしいわ」コクッ・・・

白井「残党と言った方が分かり易いかもしれませんね」ジー・・・

姫神「……そう」フム・・・

初春「しかし、節穴でしたね。逆に堂々と表通りに根城を構えているとは……こういう組織は大体路地裏に溜まってるモノだとばかり」ジー・・・

白井「此処の、具体的な場所は?」チラッ・・・

初春「○○大通りの×××高校付近……旧三沢塾の分校ですよ。此処からだと30分掛らずで着く場所ですね」コクッ・・・

姫神「……何の。因縁かしら」フッ・・・


三沢塾……資料でしか読んだ事は無いが、確かに姫神さんにとっては因縁の場所だろう。


固法「OK、分かったわ……とりあえず今後の方針を決めましょう」コクッ・・・

香焼「え? 場所さえ分かれば自分達だけでも」キョトン・・・

固法「さっきも言ったでしょう。私も彼女の友人よ。それに……風紀委員でもある」ジー・・・

白井「一応、彼女の真意を確かめさせて貰いますわ」ジー・・・


再度決起か……杞憂で終わると思うけど。


固法「兎に角関わってしまった以上、危険度が高い此処に一般人である貴方達だけを向かわせる事は出来ないわ」コクッ・・・

香焼「…………、」チラッ・・・

姫神「別に私は。構わない。私は淡希を。説得……説教出来れば。それでいいから」コクッ・・・

香焼「……自分も同じっす」コクッ・・・

固法「私も基本的にはそのつもりよ」チラッ・・・

白井「私は……逆に、その説得説教云々とやらには興味はありませんの。しかし、再び私と相対する存在になるのであれば……ええ」コクッ・・・


風紀委員として、行動する。彼女らしい。


固法「そういう訳で……明日は休日だから丁度良いわね。12前に、もう一度此処に集合しましょう」ジー・・・

香焼「今すぐ行動するんじゃないんすか?」キョトン・・・

固法「いえ。喧嘩売りに行く訳じゃないんだもの。あくまで日中、真っ当に出向くの。良いわね?」チラッ・・・

姫神「私は。何時でも良い」コクッ・・・

白井「私も非常事態にならない限りは先輩に従いますの」コクッ・・・

初春「それじゃあ私はいつもの様にバックアップですね」コクッ・・・


皆がそのつもりなら、僕も従おう。
今後の方針が決まった所で、今日はお開きに。明日に備えて、各々万全を準備する事とした……―――

589 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/12(月) 04:41:57.74 ID:P/JfJSsF0
はい、今回は此処まで。

次は如何しようかなぁ……姫神とこのりん一緒だからあんま危険な展開にしたくないけど『黒子vsあわきん』は熱いよなぁ。

何か希望あったら御意見下さい。あと例の如く御指摘・感想・質問頂けると助かります。それではまたね! ノシ”
590 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 08:51:21.04 ID:EHz6Se/30

けどなんか姫神さんがニヤリとかニヤニヤとか違和感すごい
591 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 12:06:47.36 ID:ASwlMc86o
乙!
口調の違和感は大分減ったと思うよ 個人的に

>>590
そこは仕方ないんじゃないか?無表情が基本の妹達も二次じゃそういう描写多いし
そもそもブラ外しの時とか普通に表情あったし
592 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 12:28:29.08 ID:fHD/d3aDO


このりんが危ない刑事に思えてきたww
あと今回御坂は出番無しなのかな?
593 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 13:31:41.14 ID:N/plJfTAO
まあ姫神らしくはないなー。
594 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/12(月) 19:27:32.50 ID:P/JfJSsF0
こんばんわ。ボチボチ書きます。


・姫神は話し終わった後、「――」の後の効果音を派手にしない方が良いって事かな? 精々『フッ・・・』とか『クスクス・・・』程度?


とりあえず投下します。

595 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 19:44:50.38 ID:P/JfJSsF0
 ―――とある翌々日、PM00:30、学園都市第7学区、風紀委員第177支部・・・・・






前日の打ち合わせ通り、僕らは風紀委員の詰め所に集合した。
固法さんは素のままだが、白井さんは『腕章』を着けて行くつもりらしい。威圧にならなければ良いのだが。
初春さんは詰め所に残り、非常時に備えオペレーター役をするとの事。未成年とはいえ流石学園都市の警察組織。役割分担を徹底している。

一応、僕も装備(暗器)を固めてきた。喧嘩にならなければ良いが、最悪、姫神さんを守れる様にという意味合いだ。
因みに、姫神さんも『魔法のステッキ(スタンロッド)』を持ってきてる。護身用にしては物騒な品だこと。

さて出発しよう……と、思ったのだが、問題が一つ。


御坂「……むんっ!」ドーン・・・


何で居るの?


御坂「私も行きます」グイッ・・・

一同『…………、』ジトー・・・

御坂「……何よ」フンッ・・・


全員で白井さんを見る。


白井「私ではございませんの。ていうか、ややこしくなるの分かってるのに、お姉さまには伝えませんわ」ハァ・・・

固法「やっぱり、昨日残って聞き耳立ててたのね」ハァ・・・

御坂「大丈夫です。邪魔しませんから」コクッ・・・


絶対邪魔するでしょう。多分、喧嘩しに行く気でしょう。


固法「御坂さん、今回のは公の任務であり……香焼くん達のプライベートでもあるのよ」ハァ・・・

御坂「じゃあそこの2人がOKすれば良いんですか?」チラッ・・・

香焼・姫神「「…………、」」タラー・・・

白井「……嫌ですって」ハァ・・・

御坂「何でよ!」ムググ・・・

香焼「何でって……そりゃ御坂さんが居れば非常時は助かりますけど」ウーン・・・

姫神「私達。喧嘩しに行く訳じゃない。貴女。咋(あからさま)に。戦闘狂(バトルジャンキー)の類に見える」ジトー・・・

御坂「んなぁ!? し、失礼なっ! 私だって!」ビシッ・・・


とりあえず興味有るって事で首突っ込みたいって訳ですね。貴女は猫ですか?

596 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 20:04:35.50 ID:P/JfJSsF0
一応、何故か目を輝かせている御坂さんに問うておく。


香焼「……何で、ついて来たいんすか?」ハァ・・・

御坂「手伝いよ」キリッ・・・

香焼「……それだけ?」ポカーン・・・

御坂「他に理由がいるの? 純粋に助っ人よ」コクッ・・・

一同『…………、』タラー・・・


理由が要るから問うてるのだ。僕らには各々目的がある。

確かに御坂さんは白井さん同様に、淡希さんと因縁があるらしい。僕も淡希さん本人から聞いた。
もし再度決起しようとしているなら、絶対に止めに入るだろう。

だがしかし、先にも言った通り今回は喧嘩しに行く訳ではない。
白井さんは僕らと違い、淡希さんの意志を確認しに行くが別に鼻から喧嘩腰という訳ではない。
御坂さんの事になると視野が曇るが、公務の際の白井さんは非常に大人で中立な立場を取る。その点が我欲の強い御坂さんとの違いだ。


固法「あーはいはい。分かった分かった」ヤレヤレ・・・

白井「せ、先輩!?」ギョッ・・・

御坂「やったー! ついてって良いんですか!!」キラキラ・・・

固法「いいえ。御坂さんは此処で待機よ」コクッ・・・

御坂「うぇ!? 何で!?」バッ・・・

固法「指示があるまで待機って事。初春さんと一緒にね」チラッ・・・

初春「あははは……一緒にオセロでもして待ってましょう」タラー・・・

御坂「ぐっ……ぬぅ」ウググゥ・・・

香焼「えっと……あ、ほら。秘密兵器って事で。ヒーローは遅れて登場するもんすよ」コクッ・・・

御坂「ん……ふ、ふむふむ……まぁ言われてみれば、確かに」ジー・・・


軍覇レベルのF(単純さ)。


御坂「まぁ……そうね。関係者でも無い私がプライベートに口出しすんのは野暮っちゃ野暮か」ウーン・・・

白井「そうですの。私も別に彼女とお友達という訳ではございません。其方の話は先輩達にお任せしますわ」チラッ・・・

固法「ええ、そうして貰えると助かる。まぁでも、もし……結標さんが危険な事をしようとしている時は……良いわね?」チラッ・・・

姫神「ええ。私は構わない。あの子が。また馬鹿な道に走ろうというのであれば。貴女に任せる……超能力者(レベル5)」ジー・・・

香焼「…………、」ムゥ・・・


僕は、なるべく御坂さんには関与して欲しくない。例え、最悪のケースだったとしてもだ。


固法「さぁ。そういう訳だから、行きましょうか」クイッ・・・


固法さんを先導に、僕達は目的の場所……三沢塾○○通り分校舎へ向かった。

597 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 20:25:25.31 ID:P/JfJSsF0
 ―――とある翌々日、PM01:20、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校・・・・・






人混みで賑わう街中。そこから一本だけ外れた通りに、その校舎は建っていた。
旧三沢塾本校の様なビル型の校舎ではなく、田舎にありそうな小規模の小学校くらいの大きさ。

一応『工事中』の貼り紙が貼ってあるのだが……人の気配はする。


白井「で……如何しますの?」チラッ・・・

固法「正面入り口が開いているのであれば、堂々と挨拶するわよ」コクッ・・・

香焼「自分もそれで良いと思います。もし開いてなかったら、開いてる場所を探しましょう」


という訳で、正面入り口に向かう。


姫神「……やっぱり。開いてない」ジー・・・

固法「となると裏口かしら」キョロキョロ・・・

姫神「分かれて探す?」チラッ・・・

白井「それは止めた方が良いでしょう。一応、此処は武装集団の根城ですから非常時にバラバラだと危険ですの」コクッ・・・

香焼「……それに」クイッ・・・

固法・白井・姫神「「「え?」」」キョトン・・・


玄関ホールの天井を指差す。


白井「監視カメラ……作動してる?」ジー・・・

香焼「はい。多分、僕らが此処に来た事が知れましたね」コクッ・・・

固法「……兎に角、入口を探しましょう。もし誰かが出てきても高圧的に出ちゃダメよ―――」テクテク・・・


そして固法さんは数歩下がり……『何か』をした。


固法「―――……二階奥の方と、一階東側の方に人が溜まってるわ。多分、東側が入口ね」テクテク・・・

白井「了解です……先輩、一応腕章をしてくださいませんか?」チラッ・・・

固法「私としては、白井さんに外して貰いたいのだけど」テクテク・・・

白井「やれやれ……香焼さん、姫神さん。一応、私の後ろに」クイッ・・・

姫神「……貴方は。守られる側?」チラッ・・・

香焼「……自分はあくまで『一般人』っすよ」コクッ・・・


少なくとも固法さんと白井さんの前では、そう演じなくてはならない。

598 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 20:32:31.53 ID:P/JfJSsF0
一寸後、東側の管理室らしき場所に着く。インターフォンが付いているが、通じるだろうか。


固法「私が出るわ……すいませーん、何方か居ませんか?」ピンポーン・・・


返事は無い。そもそも何処に繋がってるかも分からない。


固法「……仕方ないわね」ハァ・・・

白井「先輩、私が中から開けましょうか?」テクテク・・・

固法「空間移動(テレポート)して中に入る……ちょっと危険な気もするけど」ウーン・・・

姫神「……如何する?」チラッ・・・

香焼「…………、」ウーン・・・


此処は……―――


@白井さんに入ってもらう

A僕がキーピックで開ける

B叫んでみよう!


                    >>600

599 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 20:33:17.61 ID:6QC2Ao3wo
3
600 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 20:53:27.12 ID:fHD/d3aDO
B
601 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 21:13:21.58 ID:P/JfJSsF0
―――……無理矢理侵入するのは、警戒心を持たれる。
潜入任務ならまだしも、堂々と話し合いをしに来たのであれば此処で争いを起すべきではなかろう。


香焼「固法さん、白井さん」ジー・・・

固法・白井「「ん?」」チラッ・・・

香焼「任せて下さい」テクテク・・・

姫神「何する気?」ジー・・・


簡単な事。


香焼「ふぅ……すいませーん! 開けて下さーい!」ドンドンドンッ!!

固法・白井「「なっ!?」」ギョッ・・・

姫神「……お馬鹿」ハァ・・・


自分でも馬鹿な方法だと思う。だが、これが一番効果的だと判断した。



 <一方、内部にて>


 ドンドンドンドンッ・・・・・


門番A「ちょ……如何するよ?」チラッ・・・

門番B「如何するって……分かんねぇよ。アイツら何者だ? 一度あわきんに報告するべきじゃね?」タラー・・・

門番C「いや、あわきんの手を煩わすまでも無いだろ……つっても、アイツらの正体と目的が分かんねぇからなぁ」ウーン・・・

門番長「如何した?」テクテク・・・

門番A「あ、班長。何か喧しいのが来てて……如何しましょう」タラー・・・

門番長「ふむ……一応、無人の建物って事になってるのになぁ……此処に人が居るって知ってるって事は、何者だ?」ジー・・・

門番B「例の忍者が頭張ってるスキルアウトかの使いか、暗部の連中じゃないですか? やっぱあわきんに報告した方が」ムゥ・・・

門番長「待て待て。もし役場の職員とか一般人だったら如何する……俺が管理業者装って対応するよ」コクッ・・・

門番C「一応、あわきんに報告は?」ジー・・・

門番長「……遊佐さんと高松さん辺りに報告しろ。とりあえず、まだ淡希さんには内密に」コクッ・・・

門番C「了解です」テクテク・・・

門番B「でも……班長、その恰好で良いんですか?」ジー・・・

門番長「あー、流石にジャケットじゃ拙いな……おい、A。事務所に作業用ジャンバーあったろ。取って来てくれ」

門番A「あいよー!」テクテク・・・

602 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 21:32:41.09 ID:P/JfJSsF0
数分間、ドアを叩き続けたが反応は無い。白井さんが痺れを切らして空間移動で中に入ろうとした時―――


 ガチャッ・・・・・


固法・白井・姫神「「「あ」」」ピタッ・・・


―――ドアが開いた。中から出てきたのは、ジャンパーを来た固法さんくらいの男性。


男「ったく……さっきから五月蠅いなぁ。オタクら、何方?」ジー・・・

香焼「あ、すいません」ペコッ・・・

男「あのさぁ、此処廃校なんだけど何の目的で来た訳? 君ら、何処の学校の生徒?」ジー・・・

白井「そういう貴方こそ、何者で――んぐっ!」ガシッ!

固法「白井さん、黙ってて……失礼。少々お聞きしたい事がありましてお邪魔しました」ペコッ・・・

男「え? あ、そう」キョトン・・・


白井さんの口と腕章を抑える固法さん。ナイス判断だ。
今にも風紀委員の名を出そうとしてたからな。


固法「私達、人を探してるんです。ちょっとした口コミで、その人が此処に居ると聞きまして」ペコッ・・・

男「ふーん……の前にだ。さっきから尋ねてるんだけど、アンタら何者?」ジー・・・

固法「その人の友人です。用が済んだらすぐ帰ります」コクッ・・・

男「……生憎、このビルに人は居ないよ。確かに少しは居るけど、俺みたいな管理業者の人間とか解体業者だぜ」クイッ・・・


中々ボロは出さない。大分場馴れしている様だ。ならば仕方あるまい……此方から口火を切る。


香焼「……結標、淡希さんといいます」ジー・・・

男「っ!!? そ……そんな人、居たかなぁ」ポリポリ・・・


明らかに動揺した。どうやら当たりらしい。


固法「……確認して来てもらえますか? 私達は此処で待ってるので」コクッ・・・

男「……ああ、待っててくれ」ガチャッ・・・テクテク・・・

白井「……ぷはぁ! んもー、先輩酷いですの」ジトー・・・

固法「ごめんごめん。でも、なるべく穏便に済ませる為にね……あと、やっぱり腕章はしまいなさい」コクッ・・・

香焼「そうっすね。多分今ので、中が相当ピリピリする筈っすよ」ジー・・・

白井「やれやれ、私が何の為に腕章(コレ)を持ってきたのか分からなくなりますわ」ハァ・・・

姫神「……さておき。やっぱり。淡希は居る」ジー・・・


十中八九、居ると思う。例え居なくとも、何かを知ってる筈だ。もし中に居れば今頃本人か幹部陣に連絡がいってる頃。
今後の確認を取りながら、気長に待つ事にする。

603 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 22:03:00.72 ID:P/JfJSsF0
 <一方、内部にて>


 ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・・・


門番長「―――……という事なんですが」ハァ・・・

遊佐「……困ったわね」ムゥ・・・

高松「ソイツら、確かにあわきんの友人を名乗ったのか?」ジー・・・

門番長「はい。確実に此処に人が居る事を知ってる感じでした」コクッ・・・

高松「うーん……如何思う?」チラッ・・・

竹山「素性を隠している可能性もありますね。直接淡希さんに会わすのは危険やもしれません」クイッ・・・

野田「んなもん関係無ぇ!! ブっ飛ばして本心聞いてやりゃ良いんだ!」ガンッ!

岩沢「脳筋は黙ってなさい……でも、コイツの言う事も一理あるわ。一度私達の誰かが会って、確認してから通しましょう」コクッ・・・

竹山「それが賢明でしょうね。ただ、問題が」ジー・・・

松下「何だ? すぐ済みそうだが」フム・・・

竹山「誰が行きます?」キョロキョロ・・・

一同『…………、』タラー・・・

野田「良し! 俺が行こぶだばっ!!」ゴガンッ!

椎名「却下」ベシッ!

松下「暗部という線も拭えない以上……冷静且つ臆せずに対応できるヤツが行くべきだろう」フム・・・

竹山「だから、僕らの中でそれが出来る人間は?」ジー・・・

一同『…………、』タラー・・・

野田「だから俺が行くっつてぶりゃ!!?」ゴシュッ!!

椎名「黙ってろ」ゲシゲシッ

藤巻「……直井と立華は?」チラッ・・・

高松「あ、オマエ居たのか?」キョトン・・・

藤巻「ぐっ……テメェ!」ジトー・・・

岩沢「あーはいはい。喧嘩しないの。立華は音無とTK、あとユイ以外のウチのメンバーと買い出しに出てるわ。直井は居た筈よ」コクッ・・・

松下「それじゃあ決定だな」フム・・・

竹山「では直井君と……一応、非常時に備え椎名さんも付いていて下さい」チラッ・・・

椎名「了解」コクッ・・・

遊佐「じゃあ……直井君を呼んでくる」テクテク・・・

竹山「他は非常時に備え武装待機。君は彼らを一階の応接室に通してください」チラッ・・・

門番長「分かりました」コクッ・・・



 <その頃、あわきん>



結標「―――……ま、待った! やっぱ遊びでお金を掛けるのは良くないわ!」アタフタ・・・

直井「待ちません。はい、王手です。これでツケ3万ですよ」フフフ・・・

結標「ゆ、諭吉さんが……三人も」ガーン・・・

直井「別に良いでしょう。貴女は稼いでいるのですから。安心して下さい。このお金はチームの為に役立てますから」クスクス・・・

結標「ぐぬぬぅ……コヤツめぇ」ワナワナ・・・

604 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 22:28:54.22 ID:P/JfJSsF0
一寸後、再度ドアが開き中に案内される。
やはりピリピリした雰囲気だ。不安、警戒……中には殺気も籠っている。下手な動きをすれば一気に襲われるだろう。


門番長「此処です。どうぞ、中に」ガチャッ・・・


促されるまま『相談室』と書かれた部屋に入る僕達4人。
一つの教室程の大きさだが、円卓とホワイトボードしかない質素な部屋。そこに2人の男女が居る。淡希さんではない。
一人は堂々と上座に坐した学帽を被った少年。もう一人、少年の後ろに立つ少女は……武人のオーラを醸し出している。

部屋に入ったのは良いが、如何も言動し辛い。


直井「ふふふっ……そんなに畏まらないで下さい。どうぞ、近場の席に」スッ・・・

固法「……はい。失礼します」テクテク・・・


固法さんに続き、僕らも坐す。


直井「……女性が、4人ですか。何とも華がありますね」コクッ・・・

香焼「なっ!?」ギョッ・・・

固法・白井・姫神「「「ぷっ!!」」」クスクス・・・

直井「ん? 如何しました?」キョトン・・・


こういうやり取り、何度目だろう。


香焼「……自分は男っす」ジトー・・・

直井「おや、それは失礼。いやぁ、僕も男子制服と学帽を着けてないとよく女性に間違われるんですよ」ハハハ

香焼「…………、」ムゥ・・・

直井「さておき……自己紹介がまだでしたね。僕は直井。此方の彼女は椎名さんです」クイッ・・・

椎名「…………、」ペコッ・・・


明らかに、僕らと同年代。管理業者や解体業者には見えない。


直井「いやいや、こういう作業服なのかもしれませんよ。そういう貴方達こそ、何者ですか?」ジー・・・

固法「先程お話しましたが、私達は結標淡希さんの友人です」コクッ・・・

直井「……はぁ」ポカーン・・・


『誰それ?』といった表情。先程の男性は明らかに動揺してたのに。


直井「むすじめあわき……ですか? その少女を、貴方達が探しているのは分かりました。それで?」ジー・・・

固法「それでって……話がしたいんです。会わせて貰えませんか? その筋の知人から、此処に彼女が居ると聞かされました」コクッ・・・

直井「……待って下さい。話がよく分かりませんね。その知人とは誰の事ですか? というか、話を?」キョトン・・・

白井「……話を逸らしてますわね」ボソッ・・・


はぐらかそうとしてるのは分かる。だが、何故そんな真似を? うっとおしいならさっさと追い払えば良いのに。

605 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 22:40:31.71 ID:P/JfJSsF0
固法さんと少年の平行線な話が進む中……姫神さんの眉が動いた。


香焼「如何したんすか?」ボソッ・・・

姫神「ん……何だか。嫌な感じ」タラー・・・

香焼「え?」キョトン・・・

姫神「あの男の眼」ジー・・・


少年の目……何が?


姫神「……ちょっと。試す」ジー・・・

香焼「姫神さん?」ポカーン・・・

固法「―――……だから、居るんですか? 居ないんですか?」ジトー・・・

直井「―――居るも居ないも、話が見えない……ん?」チラッ・・・

姫神「少しいい?」スッ・・・

直井「何を―――」ジー・・・


瞬間、少年が胸を抑えた。


直井「―――ッッッ!!」ガタッ・・・・グラッ・・・

椎名「直井!」バッ!!

姫神「……やっぱり」ハァ・・・


一同茫然。直後、部屋に大量の人が溢れ込んで来た。


野田「だっしゃああああぁっ!! テメェら何しやがったああぁっ!!」バリーンッ!!

香焼・固法・白井・姫神『っ!!?』ギョッ・・・

松下「直井! 大丈夫か!?」タラー・・・

椎名「貴様ら……動くな」スチャッ・・・

固法「っ……ナイフ」タラー・・・

高松「抵抗するなよ。したら、容赦無く引鉄を引く」カチャッ・・・

藤巻「おい、遊佐に連絡した方が良いんじゃないか?」チラッ・・・


囲まれた……結局こういう事になるか。白井さんの目が完璧座ってるよ……厄介だなぁ。

606 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 23:01:00.84 ID:P/JfJSsF0
それにしても姫神さん、一体何をしたんだ?


姫神「……呪詛返し」ボソッ・・・

香焼「は?」キョトン・・・

姫神「彼。読心能力者」ジー・・・

固法「なっ!?」ギョッ・・・

白井「チィ……まんまとやられましたね」タラー・・・


一同の視線が直井少年に集まる。


竹山「直井君、大丈夫ですか?」タラー・・・

直井「っ……大、丈夫だ……みんな、矛を収めてくれ」チラッ・・・

野田「はぁ?!」キョトン・・・

直井「収めろ……命令だ」ギロッ・・・

野田「うっ」タラー・・・

高松「……直井、如何してだ?」ジー・・・

直井「いや、なに……大体分かった。彼らは無害だよ」スッ・・・テクテク・・・


一同、銃器を降ろす。


直井「見破られた時点で此方の負けだ。それに、本当に純粋なお客人だったらしい……下賤な真似をして申し訳無い」ペコッ・・・

固法「……いえ。因みに、何処まで覗きましたか?」ジー・・・

直井「家出娘に説教しにきた事。それから……風紀委員である事」ジー・・・

チーム一同『っ!!』バッ!!


再度武器を構える淡希さんの仲間達。


直井「止めろと言っている! 事を荒立てるな! 彼女らは喧嘩しに来たのではない。それどころか、今回の件は黙認する気だ」ギロッ・・・

藤巻「は? マジで?」ポカーン・・・

直井「……少なくとも、眼鏡の彼女はそのつもりだ。小さなレディの方は分からないですけど、ね」チラッ・・・

白井「……私とて、空気くらい読みますの」フンッ・・・


スカートの下に突っ込んでいた手を外に出す白井さん。鉄針を出すつもりだったか。


直井「はぁ……こうなった以上は、腹を割って話しましょう。今度は読心などしませんよ」テクテク・・・

白井「武器を持った輩がギラギラして周りに居る……これでは信用なりませんの」ジー・・・

直井「……全員、武器を」チラッ・・・

野田「んでもよぉ」タラー・・・

直井「同条件でなければ、アチラもコチラも信用出来ない。幾らビニール手袋以下の存在でも、そのくらい分かるでしょう?」フンッ・・・

野田「ビニールて……オマエよぉ」ピキピキ・・・

松下「あーはいはい。喧嘩すんな……分かったよ。武器は降ろす」ポイッ・・・


全員直井少年の指示に従う。この人は……淡希さんの副官みたいな存在なのだろうか。とりあえずこれで話が進むな。

607 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 23:02:42.45 ID:fHD/d3aDO
気が付いたらABとのクロスオーバーになってたでござるwwww
608 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/12(月) 23:25:51.73 ID:P/JfJSsF0
一気に増えた相談室の中、僕らの話は続いた。


直井「大山が遊佐に伝えに行ったか……まぁまだ淡希さんの耳に入らなければ問題ないでしょう」フンッ・・・

固法「まだ、結標さんには会わせてくれないの?」ジー・・・

直井「それは僕が決める事ではありませんからね」コクッ・・・


学帽を深く被り直す。


直井「それにしても、彼女に友人が居たとは……しかも風紀委員。驚きです」フフフ・・・

固法「そういう立場は関係無くってよ」フフッ

岩沢「そうだね。アイツは私らみたいなの全員と仲良くやれる女だし」ハハハ

白井「ところで……此処は、何の集まりですの?」キョロキョロ・・・

直井「おや? 知っているのでは?」キョトン・・・

白井「『残骸(レムナント)』争奪戦の武装組織……元、が付きますか?」ジトー・・・

竹山「そこまで知っているなら、その通りでしょう」コクッ・・・

白井「ですが……捨て置けませんわね。武装組織であるなら尚更ですの。その武器、お遊びの品では無いのでしょう?」チラッ・・・


何で喧嘩腰なのかなぁ。また雰囲気悪くなったよ。


直井「やれやれ……まぁあくまで自衛手段の物と思って下さい。昨今、色々と物騒ですからね」コクッ・・・

白井「しかし武器を持って集団を成していれば、それは立派な犯罪組織ですわ」ジー・・・

直井「僕らにその気はありませんよ。あくまで、我々は結標淡希の『チーム』ですから」フッ・・・


周囲一同が頷く。個々に目的は無い。結標淡希という『カリスマ』に引かれた者達という訳か。


白井「ですが警察組織でも無いのに武器を持つのは犯罪です。幼稚園児でも分かる理屈でしょう」チラッ・・・

直井「……その理屈が、幼稚園児のモノだな。いや、君は潔癖過ぎるのか」フンッ・・・

白井「な、にを」ピキッ・・・

直井「その点、其方の彼女……固法さんといいましたか。貴女は大人ですね」チラッ・・・

固法「どの範囲まで覗かれたかは分からないけど……此処の場所を教えた人物も分かったの?」ジー・・・

直井「ええ……まさかあの『最大勢力』の頭(ヘッド)とは……一介の風紀委員が、凄いコネを持っていますね」ハハハ


どよめきが起こる。確か『半蔵さん』という人だった筈。その名の通り『伊賀』の末裔か。


直井「それに、其方の……姫神さん」チラッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

直井「いや、何でも無い」フルフル・・・

香焼「……姫神さん、何したんすか?」キョトン・・・

姫神「さっき言った通り。呪詛返し……いや。覚返しといった方が。良いかも」コクッ・・・


つまり、直井さんにトラウマになりそうな『何か』を見せた訳だ。
しかしよく気付いたモノだ……やはり軍覇のいっていた『原石の直感』は嘗めてはいけないのだろう。

609 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 00:09:51.00 ID:VBr+1o/AO
あわきんの中の人繋がりかwww
610 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 00:33:54.40 ID:Ae1IoWPh0
それにしても、此処に居る人達は基本学生なのか? やはり僕らと歳が大差無い様に見える。


直井「ええ。皆中学、高校生ですよ」チラッ・・・

白井「……私と会った時は、大人も居た様に思えましたが」ジトー・・・

直井「貴女と?」キョトン・・・


残骸(レムナント)事件で相対した時の事だろう。


直井「……誰か、彼女を覚えているか? 僕は前線に出てなかったから分からない」チラッ・・・

高松「ん……まさか」ピタッ・・・

松下「こ、このおチビさん……例の」タラー・・・

直井「やはり知っているのか?」フム・・・

藤巻「……お前、名前は?」ジー・・・

白井「常盤台中学一年、白井黒子。風紀委員ですの」フンッ・・・

高松・松下・藤巻「「「や、やっぱり!?」」」ギョッ・・・

野田「ほぉ……テメェがあん時のテレポーターか」ギロッ・・・

白井「ガンつけられても困りますの。今は如何か分かりませんが、あの時は確実に……貴方達は私の『敵』でしたから」サラッ・・・


強気な態度。穏便にして欲しいが……正義感故だろう。


直井「へぇ。君が噂の」ジー・・・

椎名「……風紀委員のエース。『白黒の悪魔』か」ジー・・・

姫神「……渾名?」チラッ・・・

固法「一部の人間からそう呼ばれて恐れられてるのよ。小悪党なら白井さんの名前を聞いただけで逃げるわ」ハハハ・・・

高松「お、おい……生きて明日の朝日を拝めないんじゃないか?」タラー・・・

松下「それだけならまだマシだ……生きたままグリーンベレーの拷問より酷い地獄を見させられるかもしれないぞ」ダラダラ・・・

藤巻「遺言書いておいた方が良いかもな」ハァ・・・


噂の尾ヒレ背ヒレは凄いな。


野田「はんっ! 弱気になるなよ……コイツ、あわきんに負けたって話だぜ?」ニヤリ・・・

白井「…………、」ピクッ・・・

竹山「確かに……死闘の末、淡希さんが勝利したとの事……野田さん、調子に乗らない方が良いと思いますよ」ジトー・・・

岩沢「そうだよ。アンタじゃ淡希に指一本たりとも触れられないでしょうが」ジトー・・・

野田「喧しいっ! 兎に角『あわきんに負けた=俺らに負けた』なんだよ! 嘗めんなチビタコ頭がっ!」フンッ・・・

白井「…………、」フツフツ・・・ワナワナ・・・

固法「し、白井さん」タラー・・・

白井「ダイジョウブデスノ。キレテマセンノ」ギリギリ・・・


髪逆立ってますよ。あと何故鉄針を指に持ってるんでしょうか?

611 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 00:53:33.24 ID:Ae1IoWPh0
白井さんを宥めつつ、中々現れない淡希さんを待つ。


野田「やーい! チービ! 悔しかったら言い返してみろー!」ベー!

白井「……ド低脳の類人猿以下の臭いがプンプンします。口を開かないで頂けますか」ジトー・・・

野田「んだと糞ガキぃ!!」ガンッ!!

藤巻「沸点低っ! 言い返されたくらいでキレんなや」ジトー・・・

野田「オイ、チビ! 俺はテメェが気に食わねぇ! 何かテメェだけ周りの連中と違うみてぇだからなぁ」ギロッ・・・

白井「ええ。先輩と違って『風紀委員』としてこの場に来ましたから……尤も、貴方みたいな三下を相手にしに来たのではありませんよ」ジー・・・

野田「」プツン・・・


何処からともなく大斧(ハルバートか?)を取り出す短気さん。一同慌てて彼を取り押さえる。


直井「ハァ……無理矢理黙らせなければ、駄目か?」ギロッ・・・

野田「るっせぇ!! このガキはなぁ……このガキさえ邪魔しなければ、俺らはバラバラにならずに済んだかもしれねぇんだよぉ!」ギリリ・・・

一同『っ……、』ピタッ・・・


全員の動きが止まる。僕らも息を飲んだ。


野田「あの時、邪魔する輩が居なければよぉ……並の風紀委員や警備員が相手なら、任務は成功してたかもしんねぇのになぁ」ギリリ・・・

松下「お、お前」ジー・・・

岩沢「……やめなよ。見っとも無い」ジトー・・・

野田「テメェらだって悔しいだろうがっ! ソイツや超能力者の所為で……俺らはバラバラにさせられたんだ! 分かってんだろ!?」ギロッ・・・

一同『…………、』シュン・・・


やつあたり……だが、気持ちは分かる。


白井「……だから、私に如何しろと? 土下座でもしてみせましょうか?」フンッ・・・

野田「て、めぇ」ガンッ・・・

白井「己惚れるな下郎! 貴様らのやってた事は犯罪だ! 幾ら主義主張があろうとも、悪は悪っ!」バンッ!!

一同『っ!!?』ギョッ・・・

白井「信念を貫きたくば正しい態度で示せっ! 外法を用いるなんて知識ある人間として最低の行いですの!」フンッ・・・


潔癖過ぎる。だが彼女は『正義』に属しているし、『チカラ』もある。


白井「彼女が私の敵になるのは必然でしたわ。従う貴方達ともまた然り。相容れなかったのは当然。理解しろという方が無理がある」ジー・・・

野田「綺麗事を」グヌヌゥ・・・

直井「確かに、綺麗事だ……だが事実、僕らは負けた。正義が彼女に在ったのも事実」チラッ・・・

野田「ぐっ……でもよぉ……それでもなぁ……納得しろって方が無理なんだよぉ!」ゲシッ!!


最早、理屈では語れない敗者の叫び。聞くに堪えない。

612 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 01:09:30.36 ID:Ae1IoWPh0
いつだって敗者は虐げられる。彼らもまた、救いなく嘲られたのだろう。


直井「……すいません。此方から取り乱すなんて、見っとも無いですね」ペコッ・・・

固法「いえ……此方も高圧的になり過ぎましたから」チラッ・・・

白井「……反省しろというのは筋違いですよ、先輩。私は貴女と違ってプライベートではありませんから」フンッ・・・

固法「んもぅ……如何してそうなるかなぁ」ハァ・・・


未だにガンを飛ばし合う2人。


岩沢「ええっと……それで、其方の2人は? 淡希とは如何いう?」アハハ・・・

香焼「え、あ、自分は友達っすよ」コクッ・・・

姫神「私も。同じく」コクッ・・・

直井「同じ学校では無い様ですが……其方の黒髪の女性は高校生なので分かります。でも、君は?」チラッ・・・

香焼「あーえっと……色々と」アハハ・・・


言えない関係(※)です。    ※あまくさっ! 第4話参照。


直井「ふふっ。まぁ彼女も不思議な性格ですからね。もしかして此処に入る様誘われた口ですか?」ニヤリ・・・

香焼「あはは……最初は確かに」ポリポリ・・・

固法「そうだったの!?」ギョッ・・・

香焼「え、ええ……でも断りましたよ。自分も色々忙しい身なので」ハハハ・・・

白井「賢明な判断ですわね。私と相対さなくて良かったですの」フッ・・・

野田「テメェは一々一言多いんだよ、糞チビが」ケッ・・・

白井「まぁ、貴方達も馬鹿では無い様ですね。話してみて分かりました……一人除いて」フンッ・・・

固法「白井さん!」ガシッ!

野田「殺す!!」バッ!!

高松「止めろ野田!」バッ!!


眼鏡さんが手を伸ばしたが……遅かった。


短気「フンっ!!」ブンッ!!

白井「っ!!」チッ・・・


短気さんは自分の体重程もありそうなハルバートを此方に投げ飛ばして来た。しかも、横薙ぎで。
ハルバートの大きさを考えるに、丁度その先の僕ら4人に直撃する!

613 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 01:34:26.85 ID:Ae1IoWPh0
あまりに突然の事態でフリーズする一同。咄嗟に反応出来たのは……僕と白井さんと忍っぽい女の人だけだった。


白井「くっ……先輩!」ピタッ・・・

固法「え、あ―――」シュン・・・


白井さんは固法さんを連れテレポート。だが姫神さんは危険なまま……最早、止む終えない。


姫神「っ!」ビクッ・・・

香焼(……術式展開!)バッ!!


鋼糸(ワイヤー)を広げ、魔力を込める。即興の魔術防壁。


香焼「ぐっ……止まら、ない」ガリガリガリガリガリガリガリガリッ!!

椎名「っ……失礼っ!」ガシッ!

姫神「え。あっ」バッ・・・


忍っぽい女の人が姫神さんを抱えて逃げてくれた。これで……如何にか出来る。
白井さんと固法さんが見ているが、この際仕方あるまい。


香焼「……ふっ!!」ガキンッ!!


即座に短刀二本を取り出し、歪な刃の中に突っ込む。無理矢理回転を止め、床に叩き落とした。
まったく……普段五和の海軍用船上槍(フリウリスピア)相手に模擬戦させられてなかったら危なかったな。


松下「ち、力馬鹿の野田ハルバートを止めただと!?」ギョッ・・・

高松「あの少年がか!? 身体強化の能力者か!」タラー・・・


一部の人間にしか短刀を見られてない様なので急いでしまう。鋼糸(ワイヤー)は5本くらい切れてしまったので、後でこっそり回収しよう。
兎角、一同安堵した……のも束の間、白井さんが動いていた。


白井「……ふんっ」シュバッ!

野田「がっ……にっ!?」グイッ・・・バンッ!!

白井「……凶器保持および殺人未遂で逮捕します」ガシッ!!

野田「なっ……ざけんなよテメェ! 元はといえばテメェが……ガァッ!!」ドンッ!!

白井「見逃せませんわね。やり過ぎですの……大人しくお縄に着きなさい」シュンッ・・・


鉄針を短気さんに向ける白井さん。同時に全員の銃口が白井さんに向いた。


白井「……何の真似ですの? 全員纏めて豚箱入りがお望みで?」チラッ・・・

直井「白井さん。全面的に此方の非礼です。謝罪もしますし、必要ならば謝金も払います」ジー・・・

白井「賄賂は受け取りませんわ」フンッ・・・

竹山「一時の感情的行動です。許して下さい……出来るだけ、穏便に。これ以降は今の様な馬鹿げた行動はさせませんから」タラー・・・

白井「…………、」チッ・・・チラッ・・・

固法「…………、」タラー・・・


上官(固法さん)の指示待ちの様だ。一同、手は動かさないまま視線を固法さんに集める。
此方もなるべく穏便に済ませたいが……見てしまったのは事実だ。捨て置けまい。如何する?

614 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 01:48:49.95 ID:Ae1IoWPh0
今にも一触即発の雰囲気の中……声が響いた。


結標「馬鹿共!! 銃を収めなさい!!」バンッ!!


全員が武器を降ろす。


チームメイト『あ、あわきん(淡希)!?』ピタッ・・・

香焼・固法「「淡希さん!!」」バッ・・・

白井・姫神「「…………、」」ジー・・・


一度溜息を吐き、無言で白井さんの下へ歩み寄る。


白井「……何か」ジー・・・

結標「……ちょっと退いて」ジー・・・

白井「え? 何を……っておわぁ!?」ビクッ!!

結標「ゴラァっ!! アンタ私の知り合いに何物騒な真似してんのよっ!!」ゲシッ!!

野田「ぶべらあぁっ!!?」ブチュッ・・・


白井さんが馬乗りしていた短気さんの頭を勢い良く……踏み潰した!?


野田「」チーン・・・

結標「ったく……ごめんなさいね。白井さん。ウチの脳筋バカが粗相したみたいで」フゥ・・・

白井「あ……えっと」タラー・・・

結標「あぁコイツ? 大丈夫大丈夫。5分もすればピンピンし出すから。大山くん、高松くん。コイツ運んじゃって」ハハハ

大山・高松「「は、はい」」タラー・・・


一気に場の雰囲気が変わった。


直井「ハァ……まったく、貴女って人は」ヤレヤレ・・・

結標「あのねぇ直井くん。如何して私に直接話を通さないのよ? すぐ聞いてりゃこんな事態にならずに済んだじゃない」ハァ・・・

直井「そう言いますが、彼らがもし危険な連中だったら如何するんですか? 貴女を狩りに来た輩だったかもしれませんよ」ジトー・・・

結標「そんなん帰り打ちに決まってるじゃない」サラッ・・・

直井「……はぁ」ポリポリ・・・


さて、と此方に向き直る淡希さん。


結標「何て言えば良いのかしらね……とりあえず、ようこそ。私の『城』に」フフフ・・・

一同『…………、』タラー・・・


こうして僕らは、淡希さんの元まで辿り着いた。

615 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 02:08:17.22 ID:Ae1IoWPh0
 ――一方その頃、風紀委員第177支部・・・・・



 パチッ・・・パチッ・・・・・



初春「―――……今頃、結標淡希(ホシ)に会えましたかね」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「連絡、着ませんね」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「何時くらいに帰ってくるでしょうか」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「あーぁ……今日この仕事入らなければ佐天さん達と買い物だったのになぁ」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

初春「もしかして、白井さん達……全員しょっ引いてたりして」パチッ・・・

御坂「…………、」ピタッ・・・

初春「あ、でも逆も有り得ますね……思わぬ罠に嵌まって、全員捕まってたり。それで同人誌みたいに酷いこぶばぁっ!!」バラバラバラ・・・

御坂「それだっ!!」ビシッ!!

初春「い、いきなり板引っ繰り返さないで下さい! あとそこは『縁起でも無い事言わないでよ!』って怒るとこでしょう!?」タラー・・・

御坂「連絡が無いのはピンチだからよ!」コクッ・・・

初春「いや、知らせが無いのは元気な証拠とも言いますけど」アハハ・・・

御坂「これは! 遅れて登場する系ヒロインとして急がないと!」ガタッ!

初春「何その行間ヒロイン亜種みたいな微妙な役目……って、行こうとしないで下さい! 私が怒られますよー!」ガシッ!

御坂「ええぇい! 離せぃ! 離さんかぁ! 仲間のピンチは捨て置けぬ!」グヌヌ・・・

初春「何キャラ!? 崩壊酷っ!? 御坂さん、自分を保って下さい!」アタフタ・・・

御坂「うわーん! だって私だけ置いてけぼり喰らったのよー! しかも結標淡希関係なのにぃ!」ギリギリ・・・

初春「こんな反応してるからでしょうが! 少し落ち着いて下さ―――」


 ピンポーン・・・・・


初春「―――い……って、ほら。お客さんです。見っとも無いですから落ち着いて下さい」ヤレヤレ・・・

御坂「……ぐぅ」ハァ・・・

初春「んもぅ……はいはい。此方風紀委員第177支部です。何方ですか?」Pi!

打ち止め『こんにちわー! その声はお花のお姉ちゃんだね! ってミサカはミサカは挨拶してみたい!』ヨッ!

初春「あら、打ち止めちゃん。一人で来たんですか?」キョトン・・・

打ち止め『ううん。この人も一緒だよ、ってミサカはミサカはばらしてみる』チラッ・・・

????『うっせェ。てか何で俺まで付いて来なきゃなンねェンだっつゥの……今から用事有るっつってンだろ』ハァ・・・

打ち止め『今ソッチ行くねー! ってミサカはミサカは貴方の手を引いて突撃してみたりー!』ワーイ!

????『おま、止めろ馬鹿!! つ、杖が!? 階段にってゥぐおォッ!!』ギャー!!


初春「……あるぇ?」タラー・・・

御坂「……良いわ。アイツも道連れよ」ケッ・・・

616 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 02:28:22.46 ID:Ae1IoWPh0
 パチッ・・・パチッ・・・・・


御坂「…………、」パチッ・・・

一方通行「……なァ」パチッ・・・

御坂「…………、」パチッ・・・

一方通行「……何で俺はテメェと仲良子良でオセロ打ってンだ?」パチッ・・・

御坂「うっさい」パチッ・・・

一方通行「……意味が分からない」ハァ・・・パチッ・・・


初春「ごめんなさいね。今日は先輩お仕事なんですよ」コトッ・・・

打ち止め「別に良いよ。御姉様も居るし。ていうか今日は元々あの人とお買い物に行く約束だったの! ってミサカはミサカは睨んでみる!」

一方通行「ンな約束してねェよ」ケッ・・・

打ち止め「酷い! 私の事、あんなに大事にしてくれるって約束したのに! ってミサカはミサカは悲劇の昼ドラヒロインを演じてみる!」

御坂「酷いヤツねぇ。旦那の風上にも置けないわ」フンッ・・・

一方通行「ぐっ……糞姉妹が」タラー・・・

初春「あはは……えっと、とりあえず第1位さんは用事を済ませる為に、打ち止めちゃんを預けに此処へ?」タラー・・・

一方通行「まァそンなとこだ」コクッ・・・

打ち止め「むぅ! 私知ってるもん! ホントはアワキン探しに行く予定だったんだよ! ってミサカはミサカは告げ口してみたり」フンッ・・・

一方通行「てめ、黙ってろ!」ギロッ・・・

御坂「…………、」ピタッ・・・

打ち止め「行っても良いけど私も付いてくーって言ってるのにぃ。この人、最近仕事でアワキンの顔見ないから寂しいんだって」ジトー・・・

一方通行「ンな事一言も言ってねェだろォが! アイツが居ねェと仕事量増えて困ンだっつゥのっ!」チッ・・・

打ち止め「そんな事言ってぇ。貴方結構アワキンとイチャイチャしてるじゃーん! ってミサカはミサカは暴露してみ……おりゃ?」チラッ・・・

御坂「…………、」スタッ・・・

打ち止め「……御姉様?」キョトン・・・

一方通行「あン? 何立ち上がってンだ? 負けそうだからって待った無しだぞ。無様に敗北しやがれ」フンッ・・・

御坂「……初春さん」ジー・・・

初春「は、はい」タラー・・・

御坂「打ち止めの事、宜しく。あと打ち止め……コイツ、借りるわよ」チラッ・・・

打ち止め「はぇ?」キョトン・・・

一方通行「お前何言ってやがン……え?」ガシッ・・・

御坂「行ってきまーす!!」スタタタタタ・・・バタンッ!!

一方通行「ちょ、オマ!? 引っ張ンなオイっておわぐべェっ!!?」ゴガンッ・・・チーン・・・ズルズルズル・・・

打ち止め「お、御姉様!? あー……行っちゃった」ポカーン・・・

初春「って……あああぁ!! 御坂さん逃げたあああぁ!! 急いで白井さん達に伝えないと!?」アタフタ・・・

打ち止め「2人で御出掛しちゃうなんて……あ、でも2人ともアワキンの居場所知らないんじゃないかなってミサカはミサカは推測してみる」

初春「あ……まぁ良いや。放っておきましょうか……打ち止めちゃん、オセロしましょう」コクッ・・・

打ち止め「はーい」テクテク・・・



御坂「結標淡希ー! 待ってなさーい!」ダダダダダダダダ・・・・

一方通行「……不幸だ」アbbbbbbbbb・・・・

617 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 02:45:01.87 ID:Ae1IoWPh0
 ―――とある翌々日、PM03:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・






部屋を移動し、職員室の様な場所へ案内された。
塾時代の名残なのか、旧式の電子機器が稼働している。此処は所謂講師控室だったのだろう。


結標「入って」ガララ・・・クイッ・・・

固法「……失礼します」コクッ・・・


先程のメンバーと、それから他に数名居座っていた。


結標「そこの応接席に適当に腰掛けて頂戴。あ、遊佐。お茶出して上げて」クイッ・・・

遊佐「もう準備してた」コクッ・・・コトッ・・・

香焼「ありがとうございます」ペコッ・・・

白井「…………、」ジー・・・

結標「白井さん、そんなに邪見しないで。危害を加えるつもりはサラサラ無いわよ」チラッ・・・

白井「……私は、先程の事を許していませんの」チラッ・・・

固法「白井さん」タラー・・・


未だに、白井さんが話すと場に緊張が奔ってしまう。


結標「だからその点については謝るわ。まぁでも……分かってたけどね」フフフ・・・

白井「何が、ですの?」チラッ・・・

結標「野田君程度じゃ貴女に傷一つ付けられないわ。そして他の3人も貴女が守るでしょう」クスクス・・・

白井「…………、」ムゥ・・・

結標「それに香焼くんも居るしね。誰一人傷つかないわよ。まぁサシなら直井君と椎名に分があるけど……野田君じゃ無理でしょう」フッ・・・


当たりがざわめく。それだけ淡希さんが、白井さんを評価してるという事だろう。


日向「ん? その坊主も? 白黒の悪魔だけじゃなくて?」キョトン・・・

結標「ええ。まぁアンタ達じゃ誰も彼には敵わないでしょうね」ハハハ

香焼「そ、そんな事無いっすよ! (淡希さああぁん! 余計な事言わないでえええぇ!!)」ダラダラ・・・

白井「……香焼さんが?」ジー・・・

結標「ええ。彼、私の事押し倒したくらいだもん」フフフ・・・


殺気が一気に僕に向いた。ホント、勘弁してくれ。あの時は貴女が悪いんでしょうが!

618 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 03:08:20.09 ID:Ae1IoWPh0
唯でさえ小さいのに、もう一回り縮こまって姫神さんの横に隠れながら話を聞く。


結標「……兎に角、許して頂戴。私の謝罪と、貴女の器量に免じてね」コクッ・・・

白井「貴女の謝罪に価値など感じませんが……良いでしょう。過ぎた事ですわ」ハァ・・・

結標「流石白井さん。私の好敵手(理解者)ね」フフフ・・・

白井「そのルビ、気に入りませんの」ッタク・・・


テレポーター同士、通ずるモノがあるのか。


結標「それにしてもアンタ達……この牛乳(うしちち)眼鏡に怪我させなくて良かったわね」テクテク・・・

固法「牛ち……結標さん」ジトー・・・///

岩沢「そのボインさんが如何かしたの? まぁ風紀委員だから危害加えちゃ悪いのは分かるけど」チラッ・・・

直井「……ああ、なるほど。先程心を読んだ時、知人に『半蔵』が居ました。流石に最大勢力と事を構えたくはありませんからね」コクッ・・・

松下「それに、聞いた限りじゃ2人とも超電磁砲と知り合いらしいからな」フム・・・

結標「違うわよ」ハァ・・・


コーヒーを一啜りして、固法さんを指差す。


結標「ソイツ、麦野沈利のマブダチよ」クイッ・・・

メンバー一同『ブウウウウゥッ!!?』ギョッ・・・

固法「む、麦野さん、そんなに危険な人じゃないってば!」アタフタ・・・

結標「……はいはい」ヤレヤレ・・・


知らぬは本人のみ、か。
無論、白井さんと姫神さんもキョトン顔だが……まぁ裏に通じてる者なら『原子崩し(メルトダウナー)』の危険性くらい把握してるだろう。


ゆい「そ、それは……助かりましたね」タラー・・・

結標「あとそれから、もっとヤバいの後ろに居るから」コクッ・・・

竹山「だ、第4位以上に?!」ギョッ・・・

結標「ソイツの旦那」チラッ・・・

固法「む、結標さん!!」アタフタ・・・

竹山「旦那? 彼女は既婚者なのですか? 僕らと同い年くらいに見えますが」ジー・・・

結標「彼氏って意味よ。てか銃向けた事ばれたら面倒な事になるわね」ハハハ

岩沢「誰なの? まさか重役理事のお忍び愛人とかじゃないわよね?」ジー・・・

ゆい「何そのレディース漫画展開! 超熱いんですけど! 俺様系役員の奥様は女子高生みたいな!?」キラキラ・・・


何か一人浮いてる女性が居るが……放っておこう。


白井「先輩の彼氏さん、そんなに凄い人でしたの? ヒモなのに?」チラッ・・・

結標「ええ、凄いわよ。都市の不良なら誰でも知ってる伝説よ。ヒモだけど」コクッ・・・

姫神「貴女の旦那。ヒモなの?」チラッ・・・

固法「ヒモヒモ言うな! 先輩だってバイトしてます! あと凄くも何ともないから! ただのフリーターだから!」ウググゥ・・・


あの強面の彼氏さん、固法さんのヒモなのか。

619 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 03:30:18.22 ID:Ae1IoWPh0
そんな事はさておき、話に入りたいのだが。


ゆい「それでそれで! どんな彼氏さんなんですか!? 実は超能力者さんとか!?」キラキラ・・・

姫神「……何で。この子一人で。盛り上がってるの?」チラッ・・・

結標「あーそういうメルヘンな頭してんのよ……日向君。連れてって」ハァ・・・

日向「はいはい。おい、邪魔すんなってよ」グイッ

ゆい「夢も希望も収入も無い先輩は黙ってて下さい!」バシッ!

日向「ぐっ……収入関係無ぇぞ!」グイグイ・・・

ゆい「はーなーしーてーくーだーさーいー! 私は純粋に恋バナに興味有るんですー!」ゲシゲシッ!!

日向「痛たたぁ!! てめ、ざけんなボケナス!」ポカッ!

ゆい「殴ったぁ! 最っ低です! 変態! 暴力男! アッチ行け! 音無さんとイチャイチャしてて下さいよ!」ガルルルゥ・・・

日向「音無関係無ぇだろっ!! んな役割は直井に任せときゃ良いんだよ!」ウガー!

直井「ふむ。燃え尽きたマッチ以下の存在にしては中々良い事を言った。褒めてやる」ポリポリ・・・///

日向「赤くなんなキメェ! てか、ユイ……お前、俺の事そういう目で見てるのか」タラー・・・

ゆい「現実の先輩と妄想(アダルティック)な先輩は別物です。あ、もしかしてぇ……心配したんですかぁ?」ニヤニヤ・・・

日向「ばっ!? ち、違ぇし!」アタフタ・・・

ゆい「あはははは。心配しなくても、ユイは先輩の事……ふふっ!」ポッ・・・///

日向「ば、ばーか」ポリポリ・・・///


何、この……何? 微妙にレッサーっぽい子と割と普通な男子の間に出来てる桃色空間。


結標「アンタらねぇ……余所でやれ、馬鹿ップル」クイッ・・・

日向「ち、違ぇしぃ! そういうアレじゃねぇしぃ!」カアアァ///

姫神「今更恥じらわれても。対応に困る……見せつけやがって」ケッ・・・

香焼「ひ、姫神さん?」タラー・・・

ゆい「そんな事より! 私は牛乳お姉さんの恋バナが聞きたいんですっ! ねぇあわきんさん! 焦らさないで教えて下さいよ!」キラキラ・・・

岩沢「ユイ。アンタ淡希の話聞いてたの?」ハァ・・・

ゆい「え? 危険な恋なんでしょ?」キョトン・・・

一同『…………、』タラー・・・

結標「……まぁこういう娘も居るのよ。世の中にはね」ハァ・・・


慣れてます。


ゆい「そーれーでっ!?」キラキラ・・・

結標「……如何すんの?」チラッ・・・

固法「貴女の所為でしょうが! 私こういう展開何度目だと思ってるの?!」ンモー・・・

結標「知ったこっちゃない。愛した旦那の所為でしょう」ハハハ

固法「ぐぅ……勝手にして!」ウガー!


もう半ば自棄になったな。あーめん。

620 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 04:03:08.90 ID:Ae1IoWPh0
という訳で、何故か淡希さんの解説が入った。


結標「まぁ初めに行っとくと、この女は元ビッグスパイダー出身よ」クイッ・・・

固法「そ、そこから言う事無いじゃない」タラー・・・


ざわめき。僕も固法さんがスキルアウトに所属していた事は知っているが、チーム名までは知らなかった。


ゆい「んー……それって凄いんですか?」キョトン・・・

岩沢「アンタはコッチ入って間もないから知らないだろうけど……伝説の走り屋集団だよ」コクッ・・・

ゆい「走り屋? 武装無能力者集団(スキルアウト)なのに? ていうか、牛乳のお姉さんは能力者なんじゃ?」ポカーン・・・

竹山「スキルアウトにも種類はあります。喧嘩屋、運動(テロ・デモ)屋、そして走り屋など」クイッ・・・

松下「能力者や無能力者ってのは、リーダーの考え方次第だ。俺らの中にも無能力者は居るだろう」コクッ・・・


要は能力者か無能力者、ドチラが頭を張るかで名称が変わるだけの事。


直井「更にビッグスパイダーといえば『曾露門』や『亜・罵汚亞・空』。そして後継の『是断』や『悪死洲』を潰した事で有名です」コクッ・・・

白井「そ、そろもん? あばおあくー? ぜだん? あくしず?」ポカーン・・・

固法「昔……スキルアウト全盛期に、一般人の迷惑考えずに暴れてたスキルアウトとか心許無い能力者集団よ」コクッ・・・

日向「その話は知ってる。アレだろ? 第7位が自警活動する前だから……『大猿』と『大蜘蛛』、『大鷲』、『大鰐』とか」

藤巻「化け物クラスの無能力者が跋扈してた時代だな」フム・・・

結標「そう……中でも『大蜘蛛』と『大猿』は名を馳せていたわ」フフフ・・・

白井「先輩の先輩って、やっぱり凄い方ですのね」チラッ・・・

固法「止めて……そんな肩書、就職活動で使えないのよ。寧ろそんなの書いたら一発で不採用決定」ハァ・・・


元不良の悩みだな。


直井「しかし、既に『大猿』も『大蜘蛛』も……亡くなったと聞いていますが」コクッ・・・

結標「ええ。私もそう思ってた……ソイツに会うまでわ」チラッ・・・

岩沢「え? 如何いう事?」キョトン・・・

ゆい「……あ! ユイ分かりました! その『オオクモ』さんが牛乳お姉さんの彼氏さんなんですねっ!!」ビシッ!!

一同『…………、』シーン・・・

ゆい「あ、るぇ?」ポカーン・・・

日向「お前馬鹿か。今直井が既に故人だって言ったろ」ハァ・・・


あれ? そういえば何で生きてるんだろう?


白井「……確かに、何で生きてたんでしょうね?」チラッ・・・

固法「分からないわ……本人は火傷治して逮捕されてたって言うけど、絶対嘘よ。あの空白の二年間、何してたか教えてくれないの」ハァ・・・

姫神「ああ。黒妻さんの……ただのヤンキー事務員だとばかり。思ってた」フーン・・・

結標「……ってな感じで、生きてるの。そんで、コイツは黒妻綿流の嫁」クイッ・・・

ゆい「す、凄い! 死んで尚愛する者の下へ戻ってきたんですね! チョ〜ロマンティックで、す……って、あれ? 皆さん?」キョトン・・・

メンバー『』チーン・・・


顔面蒼白にして、固まってた。

621 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/13(火) 04:42:28.04 ID:Ae1IoWPh0
因みに、固法さんは『またこの反応か』みたいな呆れ顔。


結標「……アンタら、コイツに銃ブっ放さなくて良かったでしょ?」フフッ


レッサー似以外のメンバーが……暴走し始めた。


直井「お……女子どもを優先的に地下のシェルターに避難させろ!!」バッ!!

竹山「この事が知れた場合、伝説のZUを用いれば5分以内に攻め込んできますね」タラー・・・

松下「今すぐ野田を叩き起こせ! 逃走時間確保の為に人手が要る!」アタフタ・・・

遊佐「……銃火器が足りません。これの3倍は必要です」ダラダラ・・・

岩沢「急いでトラップの確認を! バリケードも組み直せ! 非戦闘員も手伝いな!」バタバタ・・・

日向「くっ! 人手が足りない! 音無達はまだ戻って来ないのか!?」

大山「え? え!? な、何事なの!? 何で皆バタバタしてるの??」アタフタ・・・

椎名「……浅はかだった。私達は、売ってはならない喧嘩を売ったらしい」スタタタ・・・

藤巻「あの女の旦那は大蜘蛛……黒妻綿流だったんだとよ」チッ・・・

野田「なぁっ!!? あ、あの『帝嘆洙(ティターンズ)』を崩壊させた伝説の男!?」ギョッ・・・

斉藤「そう。自分に仇なす生者には等しく死を。死せる者にも鞭を打ち、その先祖子孫まで末梢されるという噂の……うまーぅ!」コクッ・・・

高松「駆け抜けた地には雑草一つ生えず、女子供を蹂躙し、死体を工作しインテリアとして飾るという、あの大蜘蛛!?」ダラダラ・・・

日向「ユイ! お前は隠れろ! 大丈夫……安心しろ。無事生きて再開出来たら、その時は……映画を観に行こうぜ」パアァ・・・

ゆい「んー、良く分かんないけど……先輩それメッチャフラグです! あとテンプレで……お前、消えるのか……わぁ言っちゃった!」キャー!


大混乱。固法さんはソファの上で膝抱えてるし……淡希さん収拾つけて下さいよ。


結標「あははは。私としては面白いんだけど……まぁそろそろ良いか。おーい、アンタ達ー」フフフッ

メンバー『っ!』ダラダラ・・・

結標「特別に許してやっても良いってよ」チラッ・・・

メンバー『ほ、本当っ!?』バッ・・・

固法「……ない」ボソッ・・・

結標「え?」キョトン・・・

固法「絶対……許さない!」ムスー・・・ギロッ・・・

結標「……あちゃー」アハハ・・・

固法「迷惑掛けてるの、分からないんですか? 帰ったら(私や神裂さんが結標さんの事)タダじゃ済ませませんからね!」ジトー・・・

メンバー『こ、殺されるうぅっ!!』ギャー!!


この後、メンバーの誤解を解くのに15分。固法さんの機嫌を直すのに30分以上も掛けてしまった。


姫神「大人しそうに見えて。存外。怖い女」ジー・・・

白井「ええ、私達の詰め所の中で怒らせると一番面倒ですから」ハハハ


呑気にお茶啜ってないで、固法さんの機嫌取り手伝って下さいよ!!

622 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/13(火) 04:53:42.26 ID:Ae1IoWPh0
はい、今回此処まで。次回で終わるかも。


・あわきんの仲間の『モデル』は、皆さんの予想通りです!
・黒妻さんの過剰な『イメージ』は、天上天下という漫画の俵文七と棗慎の噂色々を取って付けた感じです


次回はやっと説教サイド入ります。多少あわきんと香焼ちゃん喧嘩させようかなぁ。
あと私は御坂&一方通行に何をさせたいのだろう? 我ながら謎ですw

とりあえずは此処まで。例の如く質問意見感想指摘お願いします! それじゃまたね! ノシ”

623 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 06:49:00.73 ID:enKwgPmAO
ここのミコっちゃん偉くフリーダム

624 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 08:41:02.54 ID:a00V3C5O0
おつつ

黒子が残念すぎる
まあ、アクシデントがないとつまらんか…
625 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 10:15:24.18 ID:CDOMwSbAO
大した奴だ、的なアレを感じるな
626 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 12:17:31.69 ID:5/nuBkA8o
アクセラレーションに期待
627 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 17:06:57.58 ID:Zz8doGqDO
黒子は主人公肌だから熱いんだにゃー! あと慎と文七は死亡フラグ……かな?

それにしてもあわきんと愉快な仲間達が可愛いなww





電磁通行の今後に期待! 一通さん頑張ってww
628 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 17:40:49.47 ID:FdShrAPIO
美琴と一方さんが関わると場を荒らすだけ荒らして余計にこんがらがる可能性が…w
もしそうなったら香焼の告げ口によって事情を知った上条さんに説教&そげぶのコンボくらってしばらく二人仲良く再起不能になる展開希望
629 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 21:37:11.96 ID:GLiZCsdr0
みこっちゃんあわきんの居場所も聞かずに飛び出しちゃったから心配www
街中で意外な人物と遭遇して一波乱起こす展開希望
630 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/14(水) 20:47:42.90 ID:EJ4DpSvq0
こんばんわ。ボチボチ書きます。


・黒子についてですが、ぶっちゃけ男だったら惚れますよね! ってくらい美琴に対してのアレ以外は好きですw

・あーくん&みこっちゃんについてですが……このコンビ、見たい? 需要あれば行間で書きますw


そんじゃ、ゆっくりみていってね!
631 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 21:10:36.37 ID:jEqdIi490
みこっちゃんのホームグラウンド(行間)での活躍が見たいぜ!
632 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/14(水) 21:22:44.93 ID:EJ4DpSvq0
 ―――とある翌々日、PM04:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・








一波乱の後、淡希さんのお仲間さん達が皆恐怖(固法さんにのみ)し出したので、場所を移す事に。
色々機材が置いてあった職員室から、ゆったりとした空間の塾長室に移動した。

僕ら4人と淡希さんの他にさっきまでのメンツの中で連いてきたのは、
そして僕らを危険人物と決めつけ淡希さんの護衛(本人は必要無いというのに)を名乗り出た直井さんと椎名さん、
それから今さっき戻ってきたばかりだという男女2人組の計9人。


結標「さて、と……それじゃあ改めて本題に入ろうかしら」ヨッコイショッ!


ゆったりふかふかしてそうな皮張りの塾長席にドッカリ座り、机に足を乗せ、まるで他人事の様に言い放った。


音無「ちょい待て……なぁ淡希。状況が読み込めないんだが、何で俺と奏が此処に連れて来られたんだ?」キョトン・・・

結標「何でって、暇そうだから」サラッ・・・

音無「は? それだけ?」ポカーン・・・

結標「あとは他の連中が臆しちゃったからアンタらが代表って事で」コクッ・・・

立華「……その『代表』っていうのが分からないのだけど。何故彼らに臆する様な事態が? それから、彼らは何者?」ジー・・・

結標「あーもう面倒ね……直井くん、説明してあげて」ハァ・・・

直井「何で僕が」フンッ・・・

音無「頼むよ直井」コクッ・・・

直井「誠心誠意お伝えします!」キリッ!!


とりあえず直井さんが2人に説明。
如何でも良いが、白井さんが『彼(直井さん)からは私と近い匂いがする』とかほざいてる。実に如何でも良い。


直井「―――以上です」コクッ・・・

音無「ふーん……って、いやいやいや。全っ然分からん! 大蜘蛛? 淡希の友人を騙る刺客?」キョトン・・・

白井「随分な偏見説明ですこと」ジトー・・・

結標「その大蜘蛛ってのは知らなくても良いわ。とりあえず、彼らは私の客人なの……何の用か今話すとこだったのよ」チラッ・・・

音無「あ、そう……って、やっぱり俺ら関係無ぇじゃん」ジトー・・・

結標「喧しい! 黙って座ってなさい!」ギロッ・・・

音無「……はぁ」ヤレヤレ・・・


目の前の人(音無さん)から上条さんと同じ匂いがするのは気の所為だろうか……さておき、話を進めよう。

633 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 21:51:17.11 ID:EJ4DpSvq0
話は二つだ。一つは白井さんの疑念。もう一つは僕と姫神さん、固法さんの説得・説教……どちらから話そうか。


白井「では、私から」チラッ・・・

香焼「え?」チラッ・・・

白井「私の話の方が先に終わりますわ。尤も……彼女の返答次第ですが」ジー・・・


答えが如何あっても、説得する気は無いらしい。絶対に相容れないという確執からか。


固法「……良いわ。先に話して」コクッ・・・

白井「そうさせて頂きます……では」スッ・・・

結標「ん? 白井さんからなの? まぁ良いわ。どうぞ」フフッ・・・

白井「私の質問は単純明快ですわ」ジー・・・

結標「……なぁに?」コクッ・・・


暫しの間。一同息を飲む……そして―――


白井「再び私の敵になるか、結標淡希」ジー・・・

結標メンバー『っ!!?』ギョッ・・・

結標「…………、」フーン・・・


―――単刀直入、言い放った。


結標「意味が分からないわね。敵、とは何を意味しているのかしら?」クスクス・・・

白井「恍けないで下さいませ。これ程分かり易い聞き方はございませんわ」ジトー・・・

結標「……そうね」ニヤリ・・・

音無「お、おい待てよ。やっぱ意味が分からない……コイツら淡希の客、ってか友人じゃないのか? 何で物騒な話になってんだよ」タラー・・・

白井・結標「「外野は黙ってろ」」キッ・・・

音無「うっ……、」ダラダラ・・・


そう言いたくなる彼の気持ちは分かるが、今は黙っておいた方が良い。その方が身の為だ。
至って真剣な白井さんに反し、何処か楽しそうな表情を見せる結標さん。ただ、双方とも内心は火花を散らしているのだろう。


結標「そうね……なる、と言ったら?」ニヤリ・・・

白井「言葉遊びも冗談も要りません。真面目に答えろ」ギロッ・・・

結標「やれやれ。じゃあ……ま、悩み中よ」ハァ・・・

白井「戯言を」ギリッ・・・

結標「本当よ。だってコレばっかしは私一人で決められる事じゃないし」チラッ・・・


この場に居る仲間達の方を見る結標さん。確かに、此処は彼女一人の組織ではない。言ってる事は正しいだろう。

634 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 22:28:37.84 ID:EJ4DpSvq0
一寸間が空き……今まで沈黙していた椎名さんが答えた。


椎名「私達の中で、答えを出せる者は居ない」ボソッ・・・

固法「え」キョトン・・・

音無「まぁそうだな。俺らのリーダーは淡希だし、淡希の言う事に従うよ」コクッ・・・

直井「音無さんがそう言うなら、僕もそういう事で」コクッ・・・

立華「私も、結弦の言うとおりに」コクッ・・・


誰一人自分の意見を言わない。


音無「多分、他の連中も同じだぞ。皆淡希に従うだろうな」ハハハ

姫神「……まるで他人任せ。他力本願」ジー・・・

結標「ハァ……ま、そういう事よ」ハハハ・・・

白井「何が如何いう事ですの? 意味が分かりませんわ……まったくもって、私の質問に応えていません!」キッ・・・

結標「だからさっき答えたじゃない。悩み中で、コイツらと相談して決めるって」コクッ・・・

白井「はぐらかさないで下さいませ!」バンッ!


机を叩き立ち上がる白井さん。対称に、結標さんは不動のまま不敵の真顔。
攻撃するのではないかと警戒した椎名さんがクナイを構えたのを見て、固法さんが白井さんを宥めた。


結標「じゃあさ……逆に聞くけど、何でそんな事聞くのかしら?」ジー・・・

白井「は?」ピタッ・・・

結標「その答え、急がなきゃダメなの? 焦り過ぎじゃない?」グデェ・・・

白井「何を、言ってますの……その気があるのか無いのか答えるだけでしょうに」キッ・・・

結標「……ハァ」ヤレヤレ・・・


結標さんは面倒臭そうに腕を組み、声を荒げる白井さんに、まるで幼稚園児を微笑ましく見守る様な目を向け、告げた。


結標「要は……敵が、欲しいんじゃないの?」フフッ・・・

白井「……はい?」キョトン・・・

結標「そうにしか聞こえないもの。今の貴女、私が何を言っても悪者にしようとするでしょう」ジー・・・

白井「な……そ、んな事」グッ・・・

結標「私が『敵にはならない』っつっても、貴女は『嘘を言うな!』って無理矢理自己解決しようとしてたんじゃない? 違う?」チラッ・・・

白井「し、しません!」タラー・・・

直井「結標さんの言うとおりですね。付け加えれば深層心理で『願わくば敵である事』を心待ちしてましたよ。嬉しそうにね」コクッ・・・

白井「そ、そんな事があるものですか!」ギッ・・・

結標「白井さん……正義の味方(ヒーロー)が、悪役(ヴィラン)の登場を願ったら余も末よ。それは幼稚園児の理屈だわ」ジー・・・

白井「っ!!」ギリッ・・・


その逆はあっても、平和を脅かす存在を風紀委員が願ってはならない……確かにそうだろう。

635 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 22:57:04.07 ID:EJ4DpSvq0
誰も、何も言わなかった。固法さんすら白井さんを擁護しなかった……出来なかった。
白井さんを論破するかの如く言い放った結標さんの確信は誰もが正しく思えた。

多分、言った本人……白井さんも悔いてる筈。下唇を噛むその表情で理解できる。


姫神「……本当に。そう思ってる?」チラッ・・・

香焼「え」キョトン・・・

姫神「……貴方なら分かるかと思ったけど。その反応からして。分からなかったみたい」フーン・・・

香焼「何、が」ポカーン・・・


視線を白井さんに移す。


姫神「……いいえ。貴女は間違ってない」ジー・・・

一同『は?』キョトン・・・

結標「秋沙、何言ってるの?」ハァ・・・

姫神「これが。悔いてる顔? 違う……口惜しいだけ。歯痒いだけ」ジー・・・

白井「…………、」ギリリ・・・


如何いう意味だ。


姫神「確かに。彼(直井)の言った事は正しい。多分。深層心理まで読み取れるクラスの。能力者みたいだし」チラッ・・・

直井「……ええ、一応大能力者(レベル4)です」コクッ・・・

姫神「白井さんも。それは認めてる筈」ジー・・・

音無「ええっと……何言ってるんだ? その子は淡希っていう悪者を望んでたんだろ? だったらそれは悪い事じゃないのか?」フム・・・

姫神「……言葉で説明出来ない。でも白井さんは。『分かってる』」コクッ・・・

結標「……何を」ジー・・・


全員の視線が一つに集まる。


白井「……ええ。確かに、私は貴女が敵である事を望んでいますわ」コクッ・・・

固法「し、白井さん」タラー・・・

白井「でもそれは……正義の味方だとか悪者だとか、そんなのじゃありませんの」ジー・・・

結標「……へぇ」フーン・・・

白井「兎に角……私は貴女を許容できない」キッ・・・


全員がキョトン状態。理解してるのは本人と姫神さんだけだった。


白井「……予想通り、貴女は何も変わってません。それだけは分かりました」スッ・・・

結標「人間はそう易々と変わらないわよ」ジー・・・

白井「……そういう態度が、嫌いですの」グッ・・・

結標「貴女のそういう所が好きよ、白井さん」フフッ・・・


先程から変わらぬやり取り……だが、僕も何となく分かってきた。

636 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/14(水) 23:44:05.72 ID:EJ4DpSvq0
多分、彼女達は互いに引かれ合ってる。共感……共振してるとでも言うのだろうか。


姫神「……分かった?」ジー・・・

香焼「何となくっすけど」コクッ・・・


彼女らの『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』は非常に近い位置に在る。
それが何なのかは本人達のみが知るモノ。ただ『テレポーター』として存在している以上、似た世界を視ている筈だ。
だが一方は都市に従ずる一介の風紀委員、他方元だが都市に反するレジスタンスのリーダー。

互いに好き合ってれば、または嫌悪し合っていればこうはならなかったのだろう。


姫神「クドい。60点」ジー・・・

香焼「はぁ」ポリポリ・・・

姫神「理屈じゃない。大体合ってる。けど。精神論で語るのも間違い」ジー・・・

香焼「……何で分かるんすか?」タラー・・・

姫神「見える。ただそれだけ……なんちゃって」フッ・・・

香焼「……ふむ」ジー・・・

姫神「ん……意外。貴方。呆けないんだ」ジー・・・


軍覇の言ってた事……『原石理論』を思い出した。彼彼女らは視てるモノが違う、と。見えないものが視える、と。


姫神「……ま。そんな事は良いとして。淡希。もう少し真面目に。答えなきゃ駄目」ジー・・・

結標「んー真面目なんだけど……いや、ホントよ。まだ迷ってるの」チラッ・・・

白井「…………、」ジトー・・・

結標「ハァ……目標も無いまま行動出来ないでしょう。そういう事よ」ヤレヤレ・・・


先延ばしという訳か。だが、白井さんはまだ不服な御様子。


結標「正直、今度動くとしたら真面目にコイツらの意見も取り入れたいの。だけど、コイツらは『私の言うとおりにー』とか言うし」ハァ・・・

固法「それじゃあ近郊線よ。答えが出ないままね……あと、それって組織として成り立ってないわ」フム・・・

結標「当たり前じゃない。私が組織だなんて思ってないし」サラッ・・・

白井「は?」キョトン・・・

結標「前の時は、私が行動したら勝手に連いてきた連中だもの。いつの間にか組織規模になってた」グデェ・・・

香焼・固法・白井・姫神『…………、』ポカーン・・・

音無「まぁこういうヤツなんだ」ハハハ・・・

直井「カリスマなんですよ、彼女の」ヤレヤレ・・・


では如何して、目的が無い筈のこの集団がバラバラにならない……というのは野暮な考えか。
彼らは純粋に、淡希さんに陶酔しているのだろう。それがいつしかコミュニティとなった『だけ』か。恐ろしい人だな。

637 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 00:33:52.24 ID:2btBrYgd0
それで、結局のところ……結論は?


結標「まぁはっきり言って欲しいなら、今は御上(都市)に刃向かう気は無いわ」フフッ

白井「……『今』は、ですのね?」ジー・・・

結標「ええ……何れ、私かもしくはメンバーが主義主張を出せば、貴女の望みも無きにしも非ずよ」ニヤリ・・・

固法「む、結標さん!」タラー・・・

結標「ふふっ。だって、公言して欲しかったんでしょう? じゃないと納得しないものね」クスクス・・・

白井「……何だかんだ言って私の『予感』通りになった訳ですね」ジー・・・

結標「ま、これもハッキリ言っておくと……私はまだ恨んでるわよ。多分、此処に居るメンバーは全員そう」コクッ・・・

白井「まだそんな腑抜けた事を!」ガタッ!!

結標「だけど安心なさい……あの時、貴女が言った事は正しいわ。悔しいけど正論。不幸を能力の所為にしてたのは確かね」ボー・・・

メンバー『…………、』ジー・・・

結標「何故自分が、如何してこんな力が……そんな事はもう考えない。この力を使うのは私自身だもの……そうでしょう? 白井さん」チラッ・・・

白井「……ええ」コクッ・・・


なら、何故まだ捨て切らない。


結標「それと、御上に不服があるのとは別モノよ。貴女達だって分かるでしょう?」ジー・・・

白井「……何を」ジー・・・

結標「御坂美琴……他には誰かしら? ああ、貴女達は『木原』にも関わっていたんでしょう」チラッ・・・

白井「テレスティーナの事を言っていますの? それとも、那由他さんの事を?」フム・・・

結標「どっちもよ……テレスティーナの方は加害者として。サイボーグ小学生は被害者として」コクッ・・・

白井「……え?」キョトン・・・

固法「っ! 結標さん! 止めて!」キッ・・・


立ち上がり結標さんの言動を遮る固法さん。何があった?


結標「え……まさか……知らないの?」チラッ・・・

固法「……お願い。言わないで」コクッ・・・

白井「先輩? え……何の話ですの?」ポカーン・・・


正直、僕らも付いていけないんですが。


結標「そう……だけど、分かった……白井さん。貴女は視野が狭いわ」ジー・・・

白井「な、何を」ピタッ・・・

結標「……これ以上は言えない。聞きたければ先輩さんに聞きなさい」チラッ・・・

白井「……先輩?」ジー・・・

固法「白井さん……いずれ、ちゃんと話すから」ジー・・・

白井「…………、」ムゥ・・・

香焼「……えっと」ポカーン・・・

結標「香焼くんにも分かり易く言うと……絹旗最愛とか、土御門みたいに『実験台(モルモット)』になった。または、したって事よ」ボソッ・・・

香焼「っ……、」タラー・・・


この街の裏……というか、一部の狂人(大人・科学者)の犠牲者達という事か。

638 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 01:05:18.40 ID:2btBrYgd0
結標さんは一度大きな溜息を吐き、再度白井さんを見た。


結標「それじゃあ分かり易い輩で言うと……木原幻生って科学者は知ってる?」ジー・・・

白井「ええ。先進教育局木原研究所所長、胤河製薬特別顧問、鎚原病院木原研究室教授、他にも多数の役職を持っていた科学者」コクッ・・・

結標「そうね。著名な科学雑誌とか能力開発誌、医学専門書を見れば大抵名前が載ってる男よ」コクッ・・・

白井「しかしその実、絶対能力進化(レベル6シフト)実験を行っていた狂科学者ですの」ジー・・・

結標「流石にそのくらいは知ってる訳ね……じゃあ良いわ」コクッ・・・チラッ・・・


扉の方を見遣る結標さん。


結標「今、あそこ(扉前)で聞き耳立ててるヤツらは……殆どそういった馬鹿な大人の玩具にされた連中よ」ジトー・・・

扉前『なっ!!?』ギョッ・・・

白井「…………、」チラッ・・・

結標「そして、此処に居る4人も……私も」ジー・・・

直井「……貴女は大概、プライバシーを守る気無いですよね」ハァ・・・

結標「あら、別に良いでしょう。このくらい」フフッ


『このくらい』で済ませる辺りが結標さんの図太さ。いや、もう割り切ってるのか。


結標「傷の舐め合いやってる悲劇のヒーロー・ヒロイン気取ってるって言いたいなら言っても良いわよ」チラッ・・・

白井「……いえ」フイッ・・・

姫神「私は思うけど」サラッ・・・

結標「秋沙は色々あり過ぎんのよ。アンタと比べないで……兎角、そんな連中が御上に恨み辛み憎悪の心を抱かない訳ないでしょ」ハハハ

白井「…………、」ムゥ・・・


白井さんも悩んでいる様子。


結標「……ま、でもそれもちょっと薄れちゃったんだけどね。此処に居る馬鹿ップル2人の所為で」チラッ・・・ジトー・・・

音無「い、いや、俺見るなよ……なぁ」ポリポリ・・・

立華「別に。私達、悪い事した訳じゃないから」コクッ・・・

固法「……何をなさったんですか?」チラッ・・・

音無「いや、その……そういうのの為だけに戦うのは、悲しいだろって」ムゥ・・・

立華「宛ら、亡霊だったもの。皆ね」フフッ・・・

結標「くっ……言ってくれるじゃない」アハハ・・・


良かった……此処には『救い』があったのか。道理で結標さんは最愛程すれてない訳だ。


立華「でも、私も彼女達に救われた。これも事実」コクッ・・・

音無「まぁ最初は敵だったからな……ただ、アレは目的をハッキリ言わなかった奏が悪いんだぞ」チラッ・・・

立華「……反省してるわ」ポリポリ・・・

結標「イチャつくな馬鹿共……兎角私達はそういう境遇の人間を受け入れ続けるわ。勿論それ以外にもウェルカムね」コクッ・・・


『被害者の会』みたいなモノか。別に悪くは無いと思うが……武装している以外は。

639 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 01:25:42.25 ID:2btBrYgd0
全員がこの話題はもう良いだろうと思っている中、未だ一人微妙な顔をしている白井さん。まだ納得しないのか。


白井「……でも」ムゥ・・・

結標「白井さん……分かって頂戴。みんな、貴女みたいに強い訳じゃないの」スッ・・・

白井「そんな、事……私だって、まだまだですわ」フイッ・・・

結標「いいえ。貴女は私の中では屈指のレベルの強さよ……能力的にも、精神的にもね」テクテク・・・


淡希さんは白井さんを認める。だけど、白井さんは淡希さんを認めない。


白井「……今居る仲間を救う為に、研究所などを強襲した事は?」ジー・・・

結標「さぁ。有るかもしれないし、無いかもしれない。でも、もししていたとしても悔いは無いわ」フフッ

白井「犯罪でも?」ジー・・・

結標「糞喰らえよ。法が全てじゃないわ……あぁ正式な手順を追って如何こうしろって事?」フーン・・・

直井「例えば、それが理事会直轄の研究施設だったら如何します? 正式な手順を踏んも突っ撥ねられるだけです」ジー・・・

結標「白井さん……この街は、腐ってるわ。全てとは言わない。でも大半の科学者は外道を行ってる」テクテク・・・

香焼「だから……必要悪」ボソッ・・・

結標「ふふっ。流石香焼くん。良い事言うじゃない」ニヤリ・・・


しかし……それは私(わたくし)でするものじゃない。


結標「……でも、例えどんな場合でも、貴女は私の敵になるのでしょうね」ハァ・・・

白井「…………、」コクッ・・・

結標「ええ……それで良いわ。それでこそ私の理解者(好敵手)。真っ直ぐだけを行く人が居なきゃね」フフフッ

姫神「……馬鹿淡希」ジトー・・・


その笑みは……『最後』に、裁いてくれる人がいるという安心感か。


結標「安心して。行動を起す時は何らかの形で宣戦布告するから。全力で止めてみせなさい」ジー・・・

白井「無論ですわ」ジー・・・

結標「ふふふっ……あ、でもそれ以外では仲良くしましょうよー。ガミガミし合うのは好きじゃないもの」クスクス・・・

白井「……お断りしますの」ケッ・・・

結標「じゃあ……偶に模擬戦の相手するくらいなら?」ニヤリ・・・

白井「……場所と使用武器によっては、考えますの」フンッ・・・

結標「さっすがぁ♪」ハハハ


これも一種の『愛』の形なのかもしれない……相当歪んでるけど。とりあえず一件落着か。

640 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 01:59:15.61 ID:2btBrYgd0
 ――一方その頃、街中にて・・・・・



  ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・・・



御坂「…………、」ジー・・・

一方通行「…………、」グデェ・・・

御坂「……だあああああああぁっ!!」ビリビリビリビリッ!!

一方通行「うっせェボケェ!! 叫ぶなド阿呆!!」ウガー!

御坂「だって場所分かんないんだもんっ!!」ウギギィ・・・

一方通行「馬鹿。バカ。ばーか」ジトー・・・

御坂「喧しい! てかアンタも結標淡希探しに出て来たんでしょ! 何で居場所知らないのよ!」ギロッ・・・

一方通行「知らねェから探し歩いてたンだろ駄阿呆が」ケッ・・・

御坂「つっかえない! ホント使えないわねっ」チッ・・・

一方通行「お、ま……ホント良い性格してるわァ。姉妹揃ってそっくりだぜ」ジトー・・・

御坂「褒め言葉として受け取っといてやるわよ……てかホントに何処居るのよぉ」ウウゥ・・・

一方通行「だから知らねっつってンだろォが……帰って良いか?」ハァ・・・

御坂「逃げたら殺す。物理的にじゃなくて社会的に殺す」キッ・・・

一方通行「外道。マジ外郎……てかその前にテメェ殺すぞ糞女(アマ)」ジトー・・・

御坂「……ふんっ!!」ガシッ!!

一方通行「ちょ、オマ!? 何でチョーカー掴んでンだ!?」ギョッ・・・

御坂「打ち止めから聞いたわ。不意打ちしてコレ、握りればあの人一発! って……ね!」フッハッハッハッ!!

一方通行「糞ガキいいいいいィっ!!」ウギャー!!

御坂「ねぇ……コレ、握り潰して良い? もしくは電撃流してショートさせても良い?」ニヤリ・・・

一方通行「…………、」ダラダラ・・・

御坂「良いから黙って言う事聞きなさい! じゃなきゃ……ふふふっ」ジトー・・・

一方通行「……オメェ碌な死に方しねェよ」ハァ・・・

御坂「何言っても無駄よ。さ、行くわよ」グイッ!

一方通行「オマっ!? 犬のリードみてェに引っ張ンじゃねぐぼォっ!!」グエッ・・・

御坂「なーにー? 聞こえなーい」ズルズル・・・






浜面「ん? アレ、第一位と第三位じゃね?」ジー・・・

滝壺「……お忍びデート?」キョトン・・・

浜面「にしては堂々と主従プレイしてるみたいだけど……って、滝壺さん? 何写メってんの?」タラー・・・

滝壺「『第一位と第三位の秘密の関係激写なぅ』……OK。ツブヤイッターに上げたよ」ニヤリ・・・

浜面「……知ーらね」タラー・・・

641 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 02:22:36.08 ID:2btBrYgd0

 パッパー・・・ブーン・・・ブロロロォ・・・ガヤガヤ・・・・・


御坂「……んで? 私達は如何すりゃ良いのよ」チラッ・・・

一方通行「だからそれを俺に聞くなっつゥの!」ウガー!

御坂「何か案出しなさいよ! 第1位でしょ! 超能力者(レベル5)でしょう! 天才なんでしょ!」ギロッ・・・

一方通行「テメェだって超能力者だろォが! ハァもゥ……何でテメェと漫才やンなきゃなンねェンだよ」グデェ・・・

御坂「まったく、我儘ね……あ、そうだ。初春さんに電話しよう」Pi!

一方通行「鼻っからそうしとけっつの」タラー・・・

御坂「……あ、もしもし。初春さん」Prrrr・・・・

初春『うわぁやっぱり掛ってきちゃいました』Pi!

御坂「何それ?」ジトー・・・

初春『い、いえ……それで、何ですか?』タラー・・・

御坂「結標淡希の居場所教えて」サラッ・・・

初春『駄目です』キッパリ!

御坂「何でよ!」ジトー・・・

初春『非常事態があるまで待機でしょう! 忘れたんですか?』ハァ・・・

御坂「きっと非常事態よ! 全然連絡来ないもの!」フンッ・・・

初春『……先程連絡着ました。無事、会談中だそうですよ』ヤレヤレ・・・

御坂「うぇ?!」ギョッ・・・

初春『この調子だと何事も無く帰れそう、だとか……つまりお疲れ様でした、御坂さん。さっさと帰って来て下さいね』フフッ

御坂「ぐっ……まだだ! まだ終わらないわ! 物語は最後の最後まで何があるか分からないモノなのよ!」キリッ!

初春『(面倒臭ぇ)……じゃあ第一位さんだけでも戻して下さい。打ち止めちゃんが騒いでます』ミサカハミサカモミサカッテミサカネ!

御坂「駄目よ」ムゥ・・・

初春『え?』ポカーン・・・

御坂「今手ぇ放したら絶対仕返しされるから」チラッ・・・

一方通行「分かってンなら最初っからすンじゃねェ!!」ギロッ・・・

初春『ええっと……じゃあもう2人で戻ってくれば良いんじゃないですかねぇ! 仲良くお手々繋いで!』ンモー!

御坂「だから駄目なのよ! 黒子立がピンチなんでしょ!」ムンッ

初春『うわぁこの人話聞いてないです……もぅ責任取りませんよ』グデェ・・・

御坂「さっすがぁ♪」ニパー!

一方通行「オイ馬鹿やめろ。言うンじゃねェ!」ダラダラ・・・

初春『場所は三沢塾の―――』Pi!

御坂「OK! 把握したわ! 行くわよ忠犬鈴科号! 場所は三沢塾!! 此処から近いわ!」ダダダダッ!

一方通行「だから引っ張るなああああああァ!!」アbbbbbbbb・・・・




初春「―――○○通り分校、舎……って、切っちゃった……ま、多分本校ビル行っちゃうけど皆さんの邪魔にならないなら良っか」ハハハ・・・

打ち止め「ねーえー! 御姉様とあの人はまだ帰って来ないのー!? ってミサカはミサカは騒いでみるー!」ジタバタッ!

初春「うーん……2人は……ランデブー? してますよ」ハハハ

打ち止め「ほぁあああああああぁっ!!?」 Σ(( ゚д゚))"!!?

642 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 02:41:30.83 ID:2btBrYgd0
 ―――とある翌々日、PM05:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・







一つ目の用件が思いの外長引いてしまった為、一度休憩を挟んで、僕達の用件に移る。

因みに、白井さんはもう興味無しといった風で、呑気に紅茶を啜っていた。他のメンバーさんも身内話という事で空気を呼んで捌けている。
ただ固法さんは『中立』という立場で間に入る様だ。淡希さんの言い分次第だろう。


結標「さて、と……貴方達の方は……まぁ予想はついてるわよ。再三電話掛けて来てたしね」フフッ

姫神「なら。何故出ないの?」ジトー・・・

結標「……さぁ」ボー・・・


先程とは一転、アンニュイな表情。


香焼「……淡希さん、何故黙って出て行ったんすか?」ジー・・・

結標「黙ってじゃないわ。書き置きしたもの」チラッ・・・

香焼「詭弁っす。それだけじゃ貴女は月詠さんに筋を通した事にならない」フイッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

姫神「直接顔を合わせて。別れを告げるのが寂しいからなんて。腑抜けた事。抜かさないで」ギロッ・・・

結標「……悪い?」ボー・・・

姫神「っ……馬鹿な事を」ジー・・・


自分可愛さに月詠さんを泣かせた、か。


香焼「……如何して?」ジー・・・

結標「色々あったのよ……分かってとは言わないわ」ボー・・・

香焼「月詠さんが嫌いになったとか、オンボロには住みたくないとか――」

結標「冗談ッ!!」バッ・・・

香焼「――……、」ピタッ・・・

結標「っ……違う。そうじゃない……冗談でも、小萌は嫌いになれない」フイッ・・・


真剣。


結標「ゴメン……兎に角、引き戻そうって考えなら無駄――」

姫神「……土御門くん」ジー・・・

結標「――……なっ!?」ギョッ・・・

香焼「……やっぱり」ハァ・・・


あの道化師め……後でカオリ姉さんに『犯人はやっぱ身内でした』と電話しよう。

643 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 03:13:47.31 ID:2btBrYgd0
固まる淡希さんへ追い打ちを掛ける様に、姫神さんは続けた。


姫神「何を。言われた?」ジー・・・

結標「い……べ……つ、に」タラー・・・

姫神「『いつまで居候やってんだ? 先生に迷惑掛けんじゃねぇ、この糞女!』……そんな。感じ?」ジー・・・

結標「っ……、」タラー・・・

姫神「しかも言われたのは。先生が風邪を引いた日。もしくは。その前後……違う?」ジー・・・

結標「ちが、ぅ……わ」フルフル・・・


明らかに動揺している。


姫神「違わない。だって。私と彼が。貴女について話をしたのが。その日前後」ジー・・・

結標「そ、な……ち、違うわよ! 私は私の意志で!」バッ!

姫神「……そう」ジトー・・・


冷ややかな目を向ける姫神さん。あくまで冷静だが……内心、彼女と土御門に対する怒りでいっぱいだろう。


姫神「じゃあ。何故。出て行ったのか。『色々』とか『訳アリで』とか。曖昧な事言って誤魔化さず。答えて」ジー・・・

結標「っ……そ、れは」タラー・・・

姫神「……何?」ジー・・・

結標「私が……寄生虫で……ぐぅたらで……迷惑しか、掛けないから」シュン・・・

姫神「…………、」ピキッ・・・

結標「私は……小萌に何もしてあげられないのに、邪魔ばっかして、害になってて……それで……っ」ジー・・・

姫神「貴女の……意思じゃない」ギリリ・・・


そう……それは土御門の押し付け。


姫神「あの人が。見返りを求める様な人に。見える? だったら。貴女の目は。伽藍の粉いモノ」ジー・・・

結標「……でも!」グッ・・・

姫神「ハァ……呆れる」ジトー・・・


僕に目線を振る姫神さん。まったくもって同意見だから、何も言う事が無いのだが。


白井「……バカバカしい」フンッ・・・

結標「っ……貴女は、関係無いでしょう」ギロッ・・・

白井「ええ、実に如何でも良い。茶番にすら思えますの」テクテク・・・ガチャッ・・・


カップを持ったまま、他のメンバーさん達が居る職員室へ退出しようとする白井さん。


白井「……貴女は、やっぱり変わってない。愚痴愚痴グチグチと逃げてばかり」フンッ・・・

結標「っ」グッ・・・

白井「そんな姿じゃ、誰も連いて来ませんわよ……自称カリスマさん」ガチャッ・・・テクテク・・・


言うだけ言って消えて行った……辛辣だが、彼女の言う事も正しい。

644 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 03:39:47.70 ID:2btBrYgd0
暫く無言だった。いや、この無言こそ全て。
口に出さずとも既に淡希さんの本音は分かっている。本当は、まだ月詠さんと一緒に居たいのだ。
だけど彼女は人に流され易い。そのくせ頑固だから性質が悪い。しかし自由人。でも人を引き付けるチカラは持ってる。

よくよく考えればかなり厄介な性格だな。


固法「……ねぇ結標さん」チラッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

固法「此処は、アナタにとってどんな場所?」ジー・・・

結標「……え」キョトン・・・

固法「人を使えて気楽? それともリーダーとして重責を課せられる?」ジー・・・

結標「……分かんないわよ」ムゥ・・・

固法「何でもいい。教えて」コクッ・・・


一寸悩み、答える。


結標「……大変だけど、楽しいわ」ジー・・・

固法「そう。じゃあ、香焼くんの家は?」チラッ・・・

香焼「え?」キョトン・・・

結標「……カオスってるけど、面白いわね」フッ・・・

固法「ええ。私もそう思うわ」フフッ


まぁ確かに……家主としては些か忙しいけど。


固法「それじゃあ……月詠先生の家は?」ジー・・・

結標「っ」ピタッ・・・

固法「貴女にとって、どんな場所?」コクッ・・・

結標「……言わせ、ないで」グッ・・・

固法「言わなきゃダメ」ジー・・・

結標「っ……言えない」ギリリ・・・


悲痛の表情。言葉にする事で、決心が揺らぐのが怖いのだろう。


固法「……十分よ。通じたわ」コクッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

固法「結標さん。貴女が……自分が自分で居られる場所は、何処に在る?」ジー・・・

結標「自分が、自分で?」キョトン・・・

固法「うん。貴女の『居場所』よ……勿論、一つとは限らないわ」フフッ

結標「…………、」ジー・・・


それが、此処であり(何故か)僕の家であり……そして月詠さんの家か。

645 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 04:04:54.96 ID:2btBrYgd0
固法さんは微笑み、告げる。彼女は強要しない。


固法「貴女の葛藤は理性的なモノよ。人の為を思っての事。貴女がそれを正しいと思うなら反論しない」コクッ・・・

結標「…………、」ジー・・・

固法「でも、我慢するのはきっと辛いわ……居場所があるなら、そこに帰りなさい。幸い、貴女には沢山帰る場所がある」フフッ

結標「……でも」ムゥ・・・

固法「ずっと居ろなんて言わない。でも偶に、遊びに行ってみたら? そのくらいなら良いんじゃないかしら」コクッ・・・


成程。一時だけでも、か……徐々に心を戻そうという作戦らしい。


結標「……っ」グッ・・・

固法「駄目かしら? これなら月詠先生が困る訳じゃないし、逆に教え子が遊びに来てくれた感覚で嬉しいんじゃないかな」コクッ・・・

結標「で、も……っ……駄目」フルフル・・・

固法「……そう」ハァ・・・


そこまで、怖いか。何を恐れている。


結標「これは……私の我儘なのよ。その方が、小萌は助かるのよ!」ギッ・・・

姫神「憐れな女……どうせ。彼が言った口八丁の。善意紛いに騙されて。意固地になってる」ジー・・・

結標「違う! 私の意志よ! 私がそうしたいからそうしたの……だから私は此処に居るのよ!」ギリッ・・・

香焼「……淡希さん」ジー・・・

姫神「チッ……じゃあ。もういい。せめて。小萌先生に。謝罪して。今回の件でまた。心労掛けてる」ジトー・・・

結標「っ……手紙、送るから……もう良いでしょう」シュン・・・

香焼・姫神・固法「「「…………、」」」ハァ・・・


もう、何を言っても無駄か。
皮肉だが、流石陰陽博士……『呪い』の扱いは一級品だな。あのグラサン道化師め。

一度時間を置いた方が良いのではと固法さんと視線を合わせる。しかし、姫神さんは合わせない。


姫神「そう。分かった……じゃあ。私も我儘を言う」ジー・・・

香焼・固法・結標「「「え」」」キョトン・・・

姫神「首輪付けて。縄で縛って。気絶させて。引き吊ってでも。連れて帰る。今日は元々。そのつもりで来た」ジー・・・

香焼・固法「「なっ!?」」ギョッ・・・


場が凍る。温厚に見える姫神さんからそんな台詞が出るなんて、誰も思いもしなかった。


結標「あ、アンタ……何言ってんのよ?」タラー・・・

姫神「……もう一度。言わなきゃ駄目? 貴女を。小萌先生の家に。連れ帰るって。言った」ジー・・・

結標「あ、秋沙が……は、はははは。い、いやぁ……面白い冗談ね」タラー・・・

姫神「……冗談。じゃない」ガシッ

香焼「え」ビクッ・・・


何故、僕の肩を掴んでいるのでせうか?

646 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 04:34:00.03 ID:2btBrYgd0
至って真面目な姫神さん。乾いた苦笑を浮かべる淡希さん。今の状況に戸惑う固法さん。
そして、何故か……淡希さんの方に押し出された僕。何これ?


姫神「淡希」ジトー・・・

結標「な、何よ」ジー・・・

姫神「決闘」ジトー・・・

香焼・固法・結標「「「はぁ!?」」」ポカーン・・・


その一言と同時に、扉から、窓から、天井から、床下から、戸棚から……色んな所からメンバーさん達が身を乗り出してきた。
『おい、決闘だってよ!』とか『あわきんと!? 無茶だぜ!』とか『はい倍率は、あわきん<9:1>黒髪嬢ちゃん、だぞ!』とか聞こえる。


結標「ちょ、ちょっと……いやいやいや……アンタ、何言ってるか分かってんの?」タラー・・・

姫神「勿論。小萌先生の為。だから」キリッ・・・

結標「……勝負にならないわよ。アンタ、弱いじゃん」ハァ・・・

香焼「そ、そうっすよ。淡希さん、希少能力者とはいえ戦闘向きじゃないんすから」ハラハラ・・・

固法「えっと、何か格闘技でもやってるからそんな豪語するのかしら」タラー・・・

姫神「……私は。ズブの素人」ムンッ・・・

香焼「いやいや。威張る所じゃないっすよ」ハァ・・・

結標「ったく……冗談言わないでよ……とりあえず、帰りなさい。あと、間違っても小萌連れて来ないでよ。門前払いに―――」

姫神「誰が。私が相手するなんて。言った?」ジー・・・

結標「―――したく、な……へ?」キョトン・・・


嫌な予感しかしない。


姫神「ん」グイッ・・・


僕を突き出す……一同、再び、唖然。


香焼「な……なんでさああああぁっ!!?」ギョッ・・・

結標「……横暴だわ」タラー・・・

固法「ひ、姫神さん。流石にそれは」タラー・・・

香焼「ちょ、姫神さん! 何でこんな事を!?」ダラダラ・・・

姫神「戦いなさい。先生の為。私達の為……そして。淡希の為に」ジー・・・


土御門の『呪い』と、戦えという事か。


香焼「え……ぅ……えっと……い、いやでも、やっぱりそういうのは」チラッ・・・

結標「……良いわ。受けて立つ」ジー・・・

香焼「ほら、淡希さんだってこう言ってまぁあんだって?」ハッ!?

結標「……秋沙。後悔するんじゃないわよ」フンッ・・・

姫神「吠えてなさい」フンッ・・・

香焼「うぇ!? お、ちょ!? ぐっ……あーめん!」キョロキョロ・・・オドオド・・・ウワーン!


周りを見るも……助けが居ない。もう皆勝手に盛り上がってる。
白井さんは『やっぱ茶番ですの』とか如何でも良さそうにそっぽ向いてるし、固法さんは苦笑してお手上げのジェスチャーしてるし。

こうして『決闘』とかいう馬鹿な流れになってしまった……―――

647 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 04:42:34.06 ID:fA8G9b4Wo
ちょっと昔の雰囲気に戻ってうれしいでござる
投稿中失礼
648 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 05:12:19.99 ID:2btBrYgd0
 ――一方その頃、三沢塾本校ビルにて・・・・・


  シーン・・・・・


御坂「……やけに静かね」キョロキョロ・・・

一方通行「いや、お前今普通に不法侵入してっかンな。一応売りビルだかンな、此処」タラー・・・

御坂「ビビってんじゃないわよ。女のくせに」ジトー・・・

一方通行「テメェの目と耳は節穴ですかァ?! 今更俺の事女扱いしてンのは初期段階で女性設定してるSSくらいだっつの!」ウガー!

御坂「訳分かんない事ばっか言わないの。安心なさい。電子ロック解除すんのと共に、電脳ハックして監視カメラ止めてるから」テクテク・・・

一方通行「能力の無駄遣い! 電脳ハック? それ何て公安Q課!? それとも○モイカネ!?」ハァ!?

御坂「オモイ●ネとか言わないの。年齢がばれるわよ……あ、メガ◎ンもそうか」フムフム・・・

一方通行「いやツッコめよ! それこそ何訳分かンない事言ってンのよ、とか、メタい事言わないで、とか言うモンだろォが!」ギャーギャー!

御坂「はいはい、五月蠅い五月蠅い……しかし、こうも広いと探すの疲れるわね。二手に分かれ……ちゃ駄目ね」フム・・・

一方通行「チッ。帰ろうと思ったのによォ……何でテメェそういう無駄なとこだけ頭切れンだ?」ハァ・・・

御坂「とりあえず悪者は高いとこか低いとこに居るものよね……どっちだと思う?」チラッ・・・

一方通行「話聞いてねェし」チッ・・・

御坂「会話の一方通行ね……誰が上手い事言えなんつった!」グイッ!!

一方通行「ンもォどォでも良ィですよォ……マジ面倒臭ェ女。あと一々興奮してチェーカー引っ張ンなよォ」グデェ・・・

御坂「あ、ごめん。さて……真面目に如何する?」ジー・・・

一方通行「ハァ……監視カメラジャック出来ンなら見付けられるンじゃねェのか?」ヤレヤレ・・・

御坂「その手があったか。流石私」テクテク・・・

一方通行「……後で、有る事無い事三下に話しとこう」ジトー・・・

  Pipppp・・・ウォン・・・・・


???『―――……ぃ……ントに……―――ばれな…………また……勘弁―――』ggg・・・

???『――……丈夫だ……――――――……此処から…………れば……―――いに、ナパー・弾が……―――』ggg・・・

???『――――――が、結社は…………薬も手に……―――れで理・会相手……ぅ渉…………――易い』ggg・・・


     Pi!

御坂「何か、映ったわね……黒尽くめの集団。30〜40人くらいかしら? 明から様に悪者ですよ的な連中ね。武器持ってるし」ジー・・・

一方通行「……なァ。今のって絶対ェ結標と関係無――」タラー・・・

御坂「絶っっっ対に! 結標淡希と悪の一味よね!」キラキラキラ・・・

一方通行「――ェ……えー」ジトー・・・

御坂「行くわよ! やっぱ予想通り結構上の階だったわ! 殲滅よ、殲滅! あ、でもまず優先は人質4人の救出よ」コクッ・・・

一方通行「おま……マジな顔して……本気で、それ、言ってンのか?」ダラダラ・・・

御坂「当たり前でしょ! こっから先は真剣勝負よ……手も放してあげるわ。真面目に付き合いなさい……でも、殺しは駄目よ」ジー・・・

一方通行「マジボケ程面倒なモンは無ェ。そン時の俺はそう思った」ボー・・・

御坂「何現実逃避してんのよ! 完っ璧銃とか爆弾とかロケット弾持ってたでしょう! 討伐対象じゃない!」グッ・・・

一方通行「……結標は?」タラー・・・

御坂「だーかーらー! きっと結標淡希は特別席みたいなとこに坐してワイングラス片手にニヤニヤしてんでるのよ!」フンッ・・・

一方通行「どンな悪役イメージだっつの……あ、でも結標なら想像付く」タラー・・・

御坂「御託は此処までよ……さぁ、行きましょう! レッツパアァリイイイィッ!!」バッ!!

一方通行「……あァ糞ったれェ! 何で姉妹揃って暴走ン面倒見なきゃなンねェんだよおおおォ!!」ウガアアァッ!! カチッ・・・ブンッ!!
649 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/15(木) 05:19:43.65 ID:2btBrYgd0
うい、此処まで……余談だけど『原石』ってゲッター線とかNTとか、何かそんな感じのイメージがする。
というか、見直してみると独自解釈凄ぇなぁと大反省。黒子とあわきんが、アムロとシャア的なノリになってた……だから行間で憂さ晴らし!

次だけど『決闘』は如何しよう。黒子の戦闘も見たいですか? 香焼だけで良い?
ぶっちゃけあんまり戦闘描写自信無いんだよね……あ、一番自信無いのはエッチ描写。だって書いた事ないもん☆


兎に角、寝ます! おやすみ!ノシ”

650 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 05:36:17.68 ID:fA8G9b4Wo

一方通行がキャラ崩壊しているがそれは気にしないでおく
651 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 09:10:09.49 ID:vK9ZdyDDO
>>エッチ描写

(;゚Д゚)え?








( ;゚ Д ゚ ) え?
652 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 09:37:47.59 ID:AvXPYQk0o

行間もさりげに陰謀の影が見え隠れしてるなww
653 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 14:13:26.17 ID:TGl3XnNDO
乙! あわきんと黒子と姫神のNT的なアレ把握ww あと美琴ちゃんと一通さんがイキイキしていて何よりですww

決闘は香焼だけで良いよー


そういえば、これでやっと、あわきんアフター出来ますね! 寝落ち待ってますよ ^^
654 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 17:25:12.10 ID:Nl75YTiIO
エロを書かずにして上達は望めないと思うの

まあどうしても無理ならあわきんかミコっちゃんのラッキースケベでも可
655 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 19:46:50.59 ID:ebw/oa6AO
でも土御門が正しいよね
656 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/15(木) 19:58:14.51 ID:ToD0hfgC0
こんばんわ。みんなスケベだねぇw


・キャラ崩壊は仕様です! 特に超能力者は人格破綻します★

・確かに土御門が正しいです。でも皆が皆それで納得しませんから・・・


そんじゃボチボチ投下!

657 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 20:34:13.95 ID:ToD0hfgC0
 ―――とある翌々日、PM05:30、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・







成り行きで、トンデモない展開になってしまった。

僕は戸惑う間もなく淡希さん他一同に、旧分校の横に在る都市営のテニスコートに案内された。
そこはテニスコートが二つ分しかなく、外装内装共にボロボロ、おまけに管理人すら居ないときている。


白井「……此処は、運営していますの?」キョロキョロ・・・

直井「一応。ただ最早理事会の管理から離れていますよ。多分、忘れ去られているのでしょう」コクッ・・・

岩沢「都市創設当初からある建物らしいからね。立地も微妙な所だし、買い手もいない」ハハハ


入口のガラスは無残にも壊されている。警備システムすら作動しないのか。


松下「俺らが破った訳じゃないさ。とうの昔からこうだったみたいだぞ。因みに、監視カメラすら動いてないらしい」ジー・・・

固法「……それで、運営してるっていうの」タラー・・・

結標「利用する為の券売機だけ生きてるわ。まぁ何処に提出する訳でもないけど」テクテク・・・


しかし、律義に団体券を買う淡希さん。それを窓口にチョコンと置いた。
よくよく見ると何枚か溜まって山になっている。使用する時は一々お代を払ってるのか。偉いな。


姫神「守銭奴の淡希が。よくもまぁ。御利口に」ジトー・・・

結標「うっさい。あ、竹山君。今の経費で出してね。2000円よ」チラッ

竹山「分かっていますよ」ヤレヤレ・・・

結標「やっぱ。守銭奴」ハァ・・・


さておき、全員で奥へ進む。そこにはテニスコート……というより、網が張ってないので多目的ホールの様な場所が広がっていた。


姫神「……此処で。決闘?」チラッ・・・

結標「そうよ」コクッ・・・

香焼「……テニス勝負で」タラー・・・

結標・姫神「「馬鹿じゃないの?」」ジトー・・・


馬鹿は貴女達だ畜生! 何で決闘……というより、喧嘩なんかするんだ。しかも僕が代理っておかしいですよ?


姫神「私。非戦闘員」ムンッ

香焼「だから威張らないで下さいって……ねぇ淡希さん。やっぱり止めましょうよ」チラッ・・・

結標「香焼くん。私、貴方のそういうウジウジしたところ、嫌いよ」ポンッ・・・

香焼「くぅ……固法さん、白井さん」チラッ・・・

白井「御勝手に」シレッ・・・

固法「あはは……大怪我しない程度にね」タラー・・・


何でこう、僕の周りは女性の方が物騒なの? 

658 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 21:09:01.56 ID:ToD0hfgC0
それから色々言い訳したのだが、決闘する流れからは逃れられなかった。
というか、決闘って何を如何するきなのだ?


結標「キチンとルールくらい決めるわよ。殺試合にするつもりはないもの……でしょ? 秋沙」チラッ・・・

姫神「当たり前」コクッ・・・

香焼「でも……それならテニスとかスポーツでも」ウーン・・・

結標「駄目よ。私テニス出来ないもの」キッパリ・・・


近くにテニスコートがあって、しかも常連のくせにそれを抜かしますか?


結標「それじゃあルールだけど……―――」


・能力(魔術)の使用はOK
・銃の使用はNG
・屋内コート内:縦30m×横30m×高約20m、は全て使用可能
・相手が気絶、または戦意喪失により戦闘続行不可となった場合に勝敗決定


結標「―――こんな感じでOK?」チラッ・・・

白井「殺しもNGですの。貴女なら能力次第で如何とでも人を殺せるでしょうに」ジトー・・・

結標「そのくらい分かってるわ。審判は……直井君と椎名、あと白井さん。頼めるかしら」ジー・・・

直井・椎名「「…………、」」コクッ・・・

白井「私? 先輩の方が良いのでは?」キョトン・・・

結標「駄目よ……ソイツ、多分少し血が出たくらいで止めるでしょう」チラッ・・・

固法「流血沙汰になるくらいなら最初からさせません」キッパリ・・・

結標「……ほら」フゥ・・・


いや、僕も固法さんと同意見なんだけど。


白井「……そうですね。骨折くらいまでは見逃しますわ」コクッ・・・

香焼・固法「「白井さん!?」」ギョッ・・・

結標「さっすが話が分かるわね♪ そんじゃあこのルールで決定よ」フフッ・・・

直井「それでは10分後、開始としよう。ギャラリーは二階に上がれ。2人は準備を」コクッ・・・

姫神「私。彼のセコンドに入るから。一緒に下に居る」チラッ・・・

香焼「姫神さん!?」ギョッ・・・

姫神「代理させといて。オズオズ隠れたり。しない」ジー・・・

結標「ふふっ。流石良い根性してるわね。じゃあ私は……奏。セコンドお願い」チラッ・・・

立華「……了解」コクッ・・・


こうして、本格的に戦う羽目になった……一体如何しろっていうんだよ。

659 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 21:37:43.54 ID:ToD0hfgC0
互いに広いリングサイドの対角で、決闘の準備をする。
ルール通り、戦意喪失したら負けという時点で既に僕は負けているのだが……それを言うと姫神さんが静かに怒る。


姫神「……上条くんは。男女平等に。殴る」ジトー・・・

香焼「上条さんと比べないで下さい! 自分は彼ほど強くないっす」タラー・・・

姫神「魔術師のくせに?」ジー・・・

香焼「ハァ……いや、貴女が見てきた魔術師が強すぎるだけっすよ」タラー・・・


土御門にステイル、オリアナさん、そして稀代の狂人錬金術師:アウレオルス=イザード。誰も彼も『天才』以上の魔術師だ。
それに比べたら僕は……オケラ程度。


姫神「……でも。魔術師は。能力者相手に。優位。違う?」ジー・・・

香焼「それはまぁ秘匿性の問題上、優位っすけど」ウーン・・・

姫神「なら。問題無い。勝ちなさい」ジー・・・

香焼「無茶苦茶な……いや、そう問題じゃなくて」タラー・・・

姫神「理由が無ければ。戦えない。と? なら。さっきも言った通り。小萌先生と。淡希の為に。戦いなさい」コクッ・・・

香焼「だからって、争わなくても」ムゥ・・・

姫神「女みたいなヤツ……あの子はもう。言葉じゃ分からない」ジー・・・


対角サイドで、立華さんと何やら相談してる淡希さんを見遣る。


姫神「目を。覚まさせてやりなさい」チラッ・・・

香焼「……ハァ」タラー・・・


一寸、悩んだ末……携帯を取り出す。


香焼「ちょっと待ってて下さい……――」Pi!

姫神「電話?」キョトン・・・

香焼「―――……あ、夜分遅くすいません。任務お疲れ様っす」Prrrr・・・・

神裂『いえ、先程終えた会議が終わったところです……如何しました』Pi!


メキシコで任務中の姉さんに電話。時差的に今は……午前1時半くらいだろう。


香焼「先程メールで送った通り……淡希さんを見つけました」コクッ・・・

神裂『ええ、読みました。やはり土御門の所為でしたね……安心して下さい。此方は私と上条当麻で「お話」しましたから』ニヤリ・・・

香焼「ありがとうございます。それで実は……―――」


 少年説明中.....


香焼「―――……という状況で」ハァ・・・

神裂『ふむ……では、吸血殺し(ディープブラッド)……いえ、姫神さんに替わって下さい』ジー・・・

香焼「え?」キョトン・・・

神裂『お願いします』コクッ・・・


よく分からないが、言われた通り姫神さんに携帯を渡した。

660 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 21:59:20.96 ID:ToD0hfgC0
姫神さんも、何故自分に電話を渡されるのかと戸惑った様子を見せたが、姉からだと伝えるとすぐに電話に出た。


姫神「もしもし」Pi!

神裂『こんばんは、姫神秋沙。この度は土御門が馬鹿な真似をして申し訳ありません』ペコッ

姫神「……いえ。彼も色々考えての事だと。思う」ハァ・・・

神裂『ええ。だけど……誰が如何見ても余計な事でしたね』フゥ・・・

姫神「そして。あの子はそれを。真に受け過ぎた」コクッ・・・

神裂『……決闘、ですか』ジー・・・

姫神「あの子を。土御門くんの呪縛から。救う為」ジー・・・

神裂『……そう』フム・・・


探せば、他の手段がある筈。


姫神「無理。あの子は。一度方針を決めたら。成功するか。大失敗するまで。止まらない性格」ジー・・・

神裂『…………、』ムゥ・・・

姫神「弟さん。借りる」ジー・・・

神裂『……香焼に、戻して下さい』ハァ・・・


再度電話を替わる。


香焼「……もしもし」コクッ・・・

神裂『香焼……自分では決められないから、私に電話したのですね』ジー・・・

香焼「……ごめんなさい」コクッ・・・

神裂『まぁ仕方ありません。貴方は意味も無く人を、ましてや女性を殴れないでしょうから……でもね、香焼』ジー・・・

香焼「…………、」ジー・・・

神裂『貴方は課せられているのですよ……これが、一種の「試練」でしょうね』コクッ・・・


試練?


神裂『無論、救心や希望を背負っているという意味もあります。しかし、貴方がこの先進む道には同じ様な選択肢が多々現れるでしょう』

香焼「如何いう事っすか」タラー・・・

神裂『絹旗さんを救うには、この道を避けられません』キッパリ・・・


頭の中に衝撃が走った。


神裂『彼女と結標さんを比べるのは些か失礼ですが……それでも彼女の場合は、最悪、殺し合いになるでしょう』コクッ・・・

香焼「…………、」グッ・・・

神裂『傷付ける勇気を持ちなさい。無論、殺しではありませんよ。必要最小限の攻撃で、相手を助けなさい』ジー・・・


やらなきゃ……駄目か。


神裂『では、香焼……女教皇(プリエステス)として命令です―――』


彼女を、救え。

661 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 22:29:20.46 ID:ToD0hfgC0
 ―――一方その頃、旧三沢塾本校ビルにて・・・・・



 ズガーン! ドゴーン! バゴーン! ズババババッ!!



黒尽くめA「て、敵襲ううううぅ!! 敵が来たぞおおおおぉ!!」ウワアアアァ!!

黒尽くめB「なんだとっ!? この計画……『炸裂★ナパームパーティー!』プロジェクトがばれる筈は無いのに!!?」ギョッ・・・

黒尽くめC「チィ! 敵は何人だ!? 風紀委員か!? それとも警備員!? まさか暗部じゃあるまい!」ダラダラ・・・

黒尽くめD「敵の数は……なん……だと……っ?!」タラー・・・

黒尽くめB「如何した!? そんなに数が多いっていうのか!? 私達の人数を越える人員を今都市は割けない筈なのに!!?」グッ・・・

黒尽くめD「下っ端の報告によると……ふ、2人」ボソッ・・・

黒尽くめ's『ハァ!?』ポカーン・・・

黒尽くめC「か、監視カメラは如何した!? 何故侵入に気付けない!?」ダラダラ・・・

黒尽くめE「じゃ、ジャックされています! カメラだけではありません! 電子類全てです!」アタフタ・・・


  ギャーギャー! モウダメダー! オシマイダー! タスケテカーチャンッ!


黒尽くめ長「沈まれぃ!!!」ガンッ!!

黒尽くめ's『っ!!? ぼ、ボス!?』ピタッ・・・

黒尽くめ長「何をそんなに怯える必要がある! 俺らは最強の科学結社『X=クメ(クローズ粂)団』だぞ! 例え超能力者が来ようと――」

黒尽くめE「か、監視カメラが一つ動きました! ヤツら、此方に挨拶する様です!」Pi!

黒尽くめ長「――平気……何!? 自ら身を晒し宣戦布告という訳か……ふざけおって! すぐ映せ!」バッ!


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

下っ端@『うぎゃあああぁあbbbbbbbbbbbbbbbbbbっ!!?』ビリビリビリビリ・・・

下っ端A『ひぃいぎいいいいぃっ!! ほ、骨がぁ!! 骨がああぁ!!』バキバキ・・・

下っ端B『あ、悪魔だ……悪魔が来たああああぁっ!!』ウギャアアァ・・・

下っ端C『ぼ、ボスっ!! 助けぶぼらばっ!!?』ベコンッ!!

御坂『喧しいわよ。早くリーダー呼びなさいよ』フンッ・・・ビリビリ・・・

一方通行『だから今テメェが踏み付けた野郎、頭呼ぼうとしてたじゃねェか』ハァ・・・

御坂『うっさい……あ、カメラ此処ね! こらああぁ! 結標淡希! 隠れてないで正々堂々出てきなさい!』ギロッ・・・

一方通行『だから絶対ェ此処に居ねェって……おっと』キュイイィン・・・・バシュッ!!

下っ端D『うぎゃああぁっ!! かた、肩がああぁっ!! ひいいいぃ!!』ジタバタ・・・

一方通行『るっせェな、オイ。テメェで撃った銃弾だろォが。男ならピーピーギャーギャー泣くなっつゥの』ヤレヤレ・・・

御坂『ちょっと五月蠅いわよ! 少し黙ってて! あーこほんっ……兎に角、早く出てきなさい!! あと人質解放しなさい!』ダンッ!!

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


黒尽くめ's『…………、』ダラダラ・・・

黒尽くめF「な、なぁ。アレって……超能力者じゃ……しかも、2人も」ダラダラ・・・チラッ・・・

黒尽くめ's『』チーン・・・

黒尽くめ長「きゃ……キャパシティダウン持ってこおおおおぉいっ!!」ウギャアアァッ!!

黒尽くめE「だ、駄目です! 先手を打たれて館内音響システムが壊されています!!」ダラダラ・・・

黒尽くめ長「\(^o^)/」オワタ・・・

662 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 22:56:05.41 ID:ToD0hfgC0
 ――一寸後・・・・・


御坂「この部屋にヤツらが居るのね。良い? 第一優先は人質の安全よ。その後結標淡希をケチョンケチョのビーリビリにしてやる」チラッ・・・

一方通行「まァ俺らを攻撃してた連中の首脳陣は居るだろォな……ンもォ好きにしろ。俺が何言ったって聞きやしねェンだし」ハァ・・・

御坂「ふふっ。ま、頑張った御褒美として帰りにクレープでも買ってあげるわ」クスクス・・・

一方通行「なァ。何でそこで無駄にフラグ建てンだ? 今のワザとだろ?」ジトー・・・

御坂「あ、ばれた? 一度やってみたかったの」テヘッ♪

一方通行「くたばれ」ジトー・・・

御坂「酷っ! アンタってホンっトにゲスぃ性格してるわよね」フンッ・・・

一方通行「どの口言いますかァ? 人を散々盾代わりにしといてよォ。てか、戦闘中くらいチェーカーから手ェ放せっつの!」ハァ・・・

御坂「放したら逃げるでしょ? 例えこの状況下であっても」ジトー・・・

一方通行「あァ全っ力で逃げるねェ。テメェの全身の血管大爆発させた後にな」ケッ・・・

御坂「アンタそれ本気で言ってるの?」ジトー・・・

一方通行「本気で言ってたら此処まで付いてきてねェよ」ジトー・・・

御坂・一方通行「「…………、」」ジー・・・

御坂「だ……駄目よ! 貴方には奥さんが居るじゃない!! 私の妹という奥さんが!!」アタフタ・・・///

一方通行「だあああァかあああああァらああああああァボケンなよォ!! ツッコンで下さいっつってンだよおおおォ!!」ウギャアアァッ!!

御坂「つ、突っ込むとか突っ込まないとか言わないでよ……変態」ジトー・・・///

一方通行「あのさァ!!? え? 何? 俺の言語中枢の演算狂ってっからコイツと会話出来ねェの?! 俺正常だよなァ!?」ウググゥ・・・

御坂「大丈夫よ。今は私がアンタの脳味噌をジャックしてるもの……コイツでね!」スッ・・・ ← <チェーカーを握った手>

一方通行「シスタアアアアアアアアアァズッ!! 助けろおおおおおおおおおおおォ!!」ウガアアァ!!

御坂「五月蠅いわよ! 敵前真っ只中なのよ!? アンタ馬鹿じゃない?」ジトー・・・

一方通行「……てェゐ!」ベシッ!

御坂「あ痛ぁ! た、叩いたわね!!」ギロッ・・・

一方通行「……流れ弾だ」フンッ・・・

御坂「あったまキた! 握り潰してやるわ!」グッ!!

一方通行「…………、」ジー・・・

御坂「……に、握り潰すわよ!」グイッ!

一方通行「……やれよ」ジー・・・

御坂「え」ピタッ・・・

一方通行「潰してみろっつってンだ」グイッ・・・

御坂「つ、潰しちゃうわよ……ホントに! 潰すからね!」タラー・・・

一方通行「さっさとしろよ」ドンッ!!

御坂「あ、ぅ……な、何よ」ドキドキ・・・///

一方通行「……ケッ」チッ・・・


  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


黒尽くめ長「現状報告!」チラッ・・・

黒尽くめD「そ、それが……第一位が第三位に……壁ドンしてます。でも逆に第三位が第一位の首輪? を握ってます」タラー・・・

黒尽くめE「なんか、修羅場っぽいけど第三位の顔が何故か赤いです。とても気拙い雰囲気です」タラー・・・

黒尽くめ's『ハァ!?』ポカーン・・・
663 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 23:01:11.25 ID:Nl75YTiIO
なんだろ…某動画の上琴漫才が頭に浮かんだw
664 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 23:17:10.41 ID:ToD0hfgC0
黒尽くめB「ボ、ボス! 空気を読まない感じですが今がチャンスです!」チラッ・・・

黒尽くめ長「そ、そうだな……この対人ナパーム砲の餌食にしてくれる!」ガチャンッ!!

黒尽くめA「で、出た! ボスの対人ナパーム砲! 直線状に放出される圧縮された高熱ガスが人に当たった瞬間燃え広がるバズーカ!」ジー・・・

黒尽くめC「出力の調整はマックスです! 壁ごとブチ抜けます!」コクッ・・・

黒尽くめ長「よしっ! それじゃあファイヤアアアアァッ!!」ボゴオオオオォ!!



 ボガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ・・・・・・・・...・・・・・・・・キュイイイイィンッ!!



黒尽くめ's『え』ピタッ・・・



 くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこききくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか―――――



黒尽くめ's『……え』タラー・・・



一方通行「――……あのよォ。今、マジで説教中なンだわ」テクテク・・・

御坂「うるさい、ばーか……アンタが言う事聞かないから悪いんだもん」ムスー・・・

一方通行「テメェはガキか? 妹みてェな事言うな」ジトー・・・

御坂「……ばーか」ムスー・・・

一方通行「それ以外喋ンな、ガキ。これからテメェはガキだ、ガキ」テクテク・・・

御坂「……言えるわ、ぼけぇ」ムスー・・・

一方通行「屁理屈を……あのなァ。別にこンな真似しなくても懇切丁寧に頼まれりゃ付いてくるかもしンねェンだ。分かるか?」ジトー・・・

御坂「……あほぉ」ムスー・・・

一方通行「『お願いします一方通行さん。仲間を助けたいので付いてきて下さい』……簡単だろ? 何でバイオレンスな手段取ンだ?」ジー・・・

御坂「……おかまぁ」ムスー・・・

一方通行「ふんっ」グー・・・バッ!

御坂「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」アタフタ・・・

一方通行「……糞っ。調子狂う」ハァ・・・


黒尽くめ's『……えっと』ダラダラ・・・


御坂「……だって、アンタ、普通に言ったら付いてきてくれないじゃん」ムスー・・・

一方通行「あァ付いて行かねェ。こンな馬鹿な事する女について行く気なンねェ」ジトー・・・

御坂「…………、」ムスー・・・

一方通行「ったく……あ、これ返すわ」ヒョイッ!


黒尽くめ's『うぇ!?』ギョッ!!



  ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ・・・・・...


665 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/15(木) 23:51:20.49 ID:ToD0hfgC0
    ―――はたまた一寸後・・・・・


 ピーポーパーポー・・・・・黒尽くめ's『』チーン・・・ピーポーピーポー




黄泉川「ビルで大爆発があったって聞いてみりゃアンタらが居たときたじゃん……慈善活動じゃん? アンタにしては珍しい」フフッ・・・

一方通行「うっせ……成り行きだ」フンッ・・・

黄泉川「あぁ……御坂の御蔭か。成程成程」ニヤニヤ・・・

御坂「……え」キョトン・・・

黄泉川「御坂がコイツ引っ張って事件解決手伝わせてくれたんでしょ? いやぁ感謝感謝」ハハハ

一方通行「違ェっつのババァ」フンッ・・・

黄泉川「照れるな照れるな。まぁ街をナパームで焼き尽くす計画建ててたとかいうからなぁ……ホント感謝じゃん」ポンッ・・・

御坂「……え? あーぱーむーん?」キョトン・・・

一方通行「ナパームだ、ナパーム。何だそれ?」タラー・・・

御坂「あ、いや……って! 黒子達は!? あと結標淡希は何処!?」バッ!!

黄泉川「は? 白井? 結標淡希?」ポカーン・・・

一方通行「……おま、まだ気付いてなかったとか」タラー・・・

黄泉川「えっと……白井は来てないじゃん。結標は……アレでしょ。最近小萌先生の家から家出した家出『家出少女』」コクッ・・・

御坂「え……え?」チラッ・・・

一方通行「だァかァらァ! 俺は再ッッッ三言いましたァ!! 此処に居る訳無ェだろ!」ギロッ・・・

御坂「うっ……あぅ……で、でも三沢塾って」ダラダラ・・・

一方通行「三沢は三沢でも分校合わせりゃ都市ン中に10件は在るっつゥの……ほンッッと馬鹿だな」チッ・・・

御坂「」チーン・・・

一方通行「ケッ……おい、黄泉川」チラッ・・・

黄泉川「んー? なーにー? あ。安心するじゃん。ウチの連中(黄泉川家)には内緒にしとくから」ニヤニヤ・・・

一方通行「意味が分からない……じゃねェよ! 糞……第7学区にある三沢の分校舎って何処だ? 何件在る?」フンッ・・・

御坂「……え」キョトン・・・

黄泉川「5件くらいかなぁ……あ、でも廃校舎混ぜれば7件じゃん」コクッ・・・

一方通行「その廃校舎って何処だ?」ジー・・・

黄泉川「二隣の大通りと、北部……第1学区に近いとこに一件じゃん。でも何で?」キョトン・・・

一方通行「……近い方だろォな」クルッ・・・テクテク・・・

黄泉川「あ、ちょ、アンタ一応重要参考人なんだけど!」アタフタ・・・

一方通行「……テメェの手柄にしろ。家賃代わりだ」フンッ・・・テクテク・・・

黄泉川「え、あ、じゃあ貰うじゃん」コクッ・・・

御坂「軽っ! じゃなくて……ちょっと待ちなさいよ!」タラー・・・パタパタ・・・

一方通行「……付いてくンなし」ケッ・・・

御坂「ふんっ……感謝なんかしないんだからね、とか言わないんだからね! とか言って貰いたんだろうけど言わないわよ!」テクテク・・・グイッ・・・

一方通行「…………………え? それって感謝してなくね? 解釈出来ねェ日本語使うンじゃねいぇって! 裾引っ張ンな!!」ヨロヨロ・・・

御坂「うっさい! 黙って付いてこい!」グイグイッ・・・

一方通行「……やっぱ面倒臭ェ女」ヤレヤレ・・・


黄泉川「『第一位と第三位のお忍び継続なぅ』……イッヒッヒッ! 各所からツブヤイッターで呟かれてる噂は本当だったじゃん!」ニヤニヤ・・・
666 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 00:18:18.90 ID:05AJv+EP0
 ―――とある翌々日、PM06:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・






時間になった。セコンドと共に、ホール中央に歩み寄る。


直井「ルールの確認は必要か?」チラッ・・・

結標「要らないわよ」コクッ・・・

直井「そうか。因みに、ギャラリー! 流れ弾等は自力で何とかしろ! 怖いなら見るなよ!」ジー・・・

一同『はーい』ビシッ


といっても、防球用のネットだけなのだが大丈夫なのか?


椎名「問題無い。皆我が身を守る術くらい持っている」コクッ・・・

結標「あと、アンタら! 間違っても手ぇ出すんじゃないわよ……出したら殺す」ギロッ・・・

日向「出さねぇよ。決闘なんだろ」フフッ

さわ子「淡希ー! アンタに全額賭けたんだから勝ちなさいよー!」ハハハ

TK「Me too,Yeah!!」ビシッ!

遊佐「因みに、オッズは変わらず<9:1>です」コクッ・・・

野田「オイ誰だ! あのガキに賭けたヤツぁ!!」ギロッ・・・


何か上は楽しそうだな。これから物騒な事始まるのに。


直井「ではセコンドは所定の位置に……ん? 立華さん?」チラッ・・・

立華「私は彼女(姫神さん)の横に居る」コクッ・・・

姫神「え?」キョトン・・・

結標「私が頼んだのよ。秋沙、防衛手段ないでしょ。奏の近くに居なさい」コクッ・・・

姫神「……彼女の?」チラッ・・・

結標「安心なさい。馬鹿な真似はしないわ。それに、その子私達の中で一番強いし」フフッ


見た目的に一番か弱そうなんだけど……まぁ人は見た目に因らないしな。最愛もそうだし。


白井「尚、私と椎名さんはホール端対角上に立ちます。直井さんはお二人の前です」コクッ・・・

結標「了解よ……さ、準備は良いわよね」フフッ

香焼「……その前に」スッ・・・

結標「へ?」キョトン・・・


僕は、淡希さんに……携帯を差し出した。

667 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 00:19:37.85 ID:05AJv+EP0
すません、風呂!


>>663
白ご○ふさん面白いですよね
668 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 00:34:03.55 ID:ZSJqQJ/do
めっちゃ広まっとるww
669 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 01:03:15.51 ID:05AJv+EP0
 ※ただまそ。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


一同、皆、総キョトン。


結標「……何?」ポカーン・・・

香焼「姉さんっす」スッ・・・

結標「……五和が?」キョトン・・・

香焼「んな訳無いでしょう……カオリ姉さんっすよ」コクッ・・・


一瞬苦い顔をした。もしかして受け取らないのかと思ったが……ゆっくり受け取り、電話に出た。


結標「……こんにちわ」Pi!

神裂『其方も既に、こんばんはの時間でしょう……お久しぶりですね』コクッ・・・

結標「……何かしら?」フンッ・・・

神裂『ごめんなさい』ペコッ・・・

結標「え」キョトン・・・

神裂『自分の物差しだけで世界を見るな、と……土御門に言って聞かせました』コクッ・・・

結標「っ!!? あ、アンタ……ど、何処に……ってか、何で」タラー・・・

神裂『今メキシコのチワワに居ます。土御門も一緒ですよ。仕事が無ければ私も其方に赴きたかったのですが……彼が代表です』コクッ・・・

結標「め、メキシコ……アフリカに居るの!?」キョトン・・・


淡希さん……メキシコは中米ですよ。


神裂『……でも、しかし……土御門は謝りませんでした。何故か、分かりますか?』ジー・・・

結標「あ……ぅ」コクッ・・・

神裂『私も、彼の話を聞いて……少々ガッカリしました。彼が怒るのも仕方ありませんね』ジー・・・

結標「…………、」タラー・・・

神裂『ですが……それでも、私は、私達は……貴女に戻って欲しい』

結標「都合……良過ぎんのよ」ギリッ・・・


確かに、そう思う。


神裂『善意なのでしょうね。その葛藤は人間として正しい。そして、彼女の元から離れると決めた貴女の決断は崇高なものです』コクッ・・・

結標「だったら! もう……構わないでよ」グッ・・・

神裂『嫌です』キッパリ・・・

結標「な……意味、分かんない」タラー・・・

神裂『お節介焼きなんですよ。我が家は特にね……』フフッ

結標「っ……ホント、馬鹿みたい」グッ・・・


流石長姉殿。僕とでは重みが違う。

670 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 01:18:43.95 ID:05AJv+EP0
一寸の無言の後、淡希さんが口を開いた。


結標「……貴女の弟、ボコボコにするわよ」チラッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

神裂『ええ、構いませんよ……出来るものなら』フフッ

結標「それから……勝ったら、彼を私達のチームに貰おうかしら」ニヤリ・・・

一同『なっ!!?』ギョッ・・・


トンデモ発言。


結標「だってそうでしょう? 私が勝った時の賞品が無いもの……ねぇ」フフフ・・・

神裂『人をモノの様にトレード品にするのは、些か野蛮です』ジトー・・・

結標「あら、其方だって……私の今の心を無視して、連れ帰ろうとしてるのよ?」ジー・・・

香焼・姫神・固法「「「…………、」」」タラー・・・


それとこれとは違う気がするのだが……横暴だ。


神裂『良いでしょう』コクッ・・・

結標「ふふふ……良いってよ。香焼くん」ニヤリ・・・

香焼「なっ!?」ギョッ・・・

神裂『彼に……此処で負ける程度では、救える者も救えませんよ……そう伝えて下さい』フフッ・・・

結標「っ……弟想いね。まったく、アンタら大概シスコン&ブラコンだわ」クスクス・・・

神裂『失礼な。共に暮らす家族が大事じゃない訳無いでしょう……月詠さんの気持ちと同じです』ジー・・・

結標「……そう。それじゃ、切るわよ」フフフ・・・Pi!


姉さん、何で……茫然する僕に淡希さんは告げた。


結標「今の私に負けるくらいなら『殺人人形』とかは救えないってさ。まったく……私がアイツより弱いみたいな言い方じゃない」フフッ・・・

香焼「っ……、」グッ・・・

結標「安心なさい。私のモノになれば、あんなガキ余裕でブッ倒せるくらい強くしてあげるから」ニヤリ・・・

香焼「……勝ってから、言って下さい」ギロッ・・・

結標「ふふふ……やっと火が点いたわね。あ、ついでに秋沙も貰うから」クスクス・・・

姫神「ついで……ふふ。ふふふふふ……ほざけ。淡希……香焼くん。負けたら……呪うから」ジトー・・・


もう、引くに引けなかった……やるしかない。

671 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 01:38:38.85 ID:05AJv+EP0
セコンド・審判が位置につき、合図を待つだけとなる。


結標「あ、その前に……香焼くん」チラッ・・・

香焼「え?」

結標「……ふっ!」シュバッ・・・

香焼「え……おわっ」ポカッ・・・


側頭部に何かが当たった。これは……テニスボール?


結標「コルク抜きとか釘とか刃物は使わない。代わりに……コレらを使う」バラバラバラ・・・

香焼「はい?」ポカーン・・・

野田「で、出た!! あわきんの弾幕地獄だ!!」ギョッ・・・

固法「え……何それ?」ポカーン・・・

音無「淡希の周りを見てみろ」ジー・・・


テニスコートなのに、様々な種類のボールがある。
野球の硬球軟球、ソフトボール、サッカー(フットサル)、バスケット、バレー、ゴルフ、中にはスーパーボールまで。


固法「な、何でそんなにバラバラなモノが」タラー・・・

大山「僕達が遊ぶからですよ」ハハハ

高松「まぁ多目的ホール代わりだからね」コクッ・・・

白井「……流石、ホームグランド。準備相応という訳ですのね」キョロキョロ・・・

藤巻「一番痛いのはアレ……ボーリングの玉だ」ジー・・・

固法「ぼっ!? だ、駄目駄目! 結標さん、ソレ使っちゃダメだからね!」キッ!!

結標「うーん……香焼くん的に如何?」チラッ・・・

香焼「構いません」コクッ・・・

結標「だってさ」ハハハ

固法「っ……白井さん! 判定早めにしなきゃ駄目よ」タラー・・・

白井「はいはい……旦那は喧嘩好きの癖に、奥方はハト派ですの」ヤレヤレ・・・


しかし、何故そんな事を教えたのだ?


結標「……貴方の、得物は」ジー・・・

香焼「…………、」タラー・・・


一番迷ってた所だ。短刀(暗器)類を使うべきか、鋼糸(ワイヤー)と『この身』だけで戦うべきか。
正直いって、使いたくない。風紀委員2人の手前というのもあるが……刃物は彼女を傷つける。


結標「言っとくけど……武器と『海原みたいな能力(魔術)』無しで勝てると思わないでね」ジトー・・・


そんな事、百も承知だ。だがそれでも……迷うモノは迷う。

672 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/16(金) 02:11:11.39 ID:05AJv+EP0
固法さんと白井さんの方を見る。
多分、固法さんには僕が暗器を隠し持ってる事ばれてるんだろうけど、白井さんが居るので黙っててくれてる筈だ。
しかし、一度公開してしまえば……白井さんに言い訳は出来ない。


結標「安心なさい……一応、記憶改竄のスペシャリストが居るから。第5位程じゃないけどね」チラッ・・・ボソッ・・・

直井「…………、」コクッ・・・

結標「あと、直井くん! もし彼の心覗いても、黙ってなきゃ駄目よ」ジー・・・

直井「あくまで公平に、ね」フフッ


読心能力者か……携帯アプリのスタンガン(※対みさきち用)使おうかなぁ。魔術云々見られるのはヤバいし。


結標「大丈夫よ。口は固いから。それに……能力者(私達)じゃ『魔術(それ)』を理解出来ないんでしょ?」ニヤッ・・・

香焼「……ええ」コクッ・・・

結標「そんじゃ準備は良いわね。直井くん、合図を」コクッ・・・

直井「了解。では双方、審判とは逆の対角に位置に……このテニスボールが落ちたらスタートだ」スッ・・・


距離をおけるのは助かる。尤も、彼女の座標移動(ムーブポイント)にとって、距離は無いに等しいが……それでも足掻ける。


竹山「ふむ……しかし、彼はそれほどの能力者なのですか? 淡希さんが決闘を受け入れるなんて相当ですよ」ジー・・・

固法「……彼は、無能力者(レベル0)よ」ジー・・・

一同『え!?』キョトン・・・


辺りがざわめく。そりゃ普通の無能力者(ザコ)が相手だったら驚くだろう。


ゆい「し、椎名さんみたいにビュンビュン凄いとか?」タラー・・・

固法「よく分からない……彼女のお姉さんは凄いんだけどね。超能力者の第4位がタメ張れるって言ってたくらいだから」ジー・・・

遊佐「……麦野沈利と?」ビクッ・・・

岩沢「でも、アイツじゃないんだろう?」ジー・・・

固法「だから未知数なのよ……私もこれが初見」ジー・・・

松下「でもさっき、力馬鹿の野田さんのハルバート投躑を止めたぞ?」ジー・・・

高松「ああ。如何やって止めたかは分からないが……アレを受け止められるのは、俺らの中じゃ天使……立華だけだ」ジー・・・

白井「…………、」フム・・・


そう……これで、僕が何者なのか2人に知れてしまう。


直井「ではなるべく正々堂々と……は無理だろうが、節度を持って喧嘩しろ」チラッ・・・チラッ・・・

香焼・結標「「…………、」」コクッ・・・

直井「行くぞ―――」スッ・・・


ボールが上がり、地面に落ちる。もう始まってしまう。僕の作戦は……―――

673 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/16(金) 03:22:29.98 ID:05AJv+EP0
すいません。中途半端ですが今日は此処まで。


・アンケート! 香焼の戦い方について。


@短刀代わりに警棒2本、体術、魔術、鋼糸(ワイヤー)を使用。ただし、攻撃魔術は使わない。

Aナイフ・暗器類、体術。魔術、鋼糸を使用。攻撃魔術も使う。

B↑+『七教七刃もどき』も使用(五和の様に『切断』や『七方向から』『弾丸スピード』は無理。
                      精々深く『裂き』『三方向から』『鞭スピード』を『一回』までしか出せない)



因みに、コンディションは……


・体術:先輩達仕込みの格闘術・蛇(17600号)仕込みのCQCもどき等使用。しかもチョコマカ動く。暗器類全部外せば1.3倍速くなる。

・鋼糸:魔力を通せば『七教七刃もどき』や魔術防壁、複雑な網張り可能。通さなくても拘束捕縛、スパイダーウォーク、簡易な網張り可能。

・得物:儀礼短刀2本、暗器・投躑ダガー42本、魔力生成銃剣(バヨネット)魔力が続く限り、靴に仕込み刃。 ← これでも軽装備。

・魔力:『七教七刃もどき』を全力で3回放てる。ただし、他の動作に魔力を回す事を考えれば全力1回。 ← 五和なら5発は撃てる。

・魔術:鋼糸やナイフ・体術と組み合わせない限り、基本全力パンチと同じくらいの威力の魔術弾しか出せない。
     暗示や発火等の基礎魔術も低レベル。しかし気配遮断は修行中なので、そこそこ使える。だが正直、純粋な魔術師としては雑魚。


……魔術・能力抜きならまぁまぁ強い。でも使用すれば魔術師相手なら雑魚、能力者相手なら相手次第ってな感じです。
簡単にいえば、建宮・五和の方が3倍強い。神裂なら5倍以上は強いイメージ。特化してるのは『潜入』だけ。ただし『カミやん病』患者。

最後ので、大分補正掛りますねw

勝手な設定終わり。香焼の最終形態(?)はNARUTOのテンテンとか天上天下の圓円(まわりまどか)みたいなイメージでいました。
『天上天下』と『まわりまどか』、気になったらググってね。



とりあえず質問意見感想罵倒御指摘(特に設定)アンケ協力お願いします。そんじゃまた次回! ノシ”

674 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 03:43:15.21 ID:vCrhDF/bo
>>1乙!

アンケは記憶改竄可能らしいのでBで全力戦闘がみたい

675 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 04:20:01.97 ID:FDLt8+mno
ここは普通に全力で抗ってもらいたいところ
676 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 10:23:04.92 ID:aAq/HS4So
俺も>>675と同じく全力で戦って欲しいので3で

というか、手加減して勝てる相手じゃねーぞワン焼君
677 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 14:16:15.96 ID:6QAggy2DO
>>1

@やろうとして、できるわきゃねぇぇぇぇだろ!(CV子安)状態
結果Bをやらざるを得ないとか?
678 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 16:06:20.51 ID:9Wlsm8T20
ここは出し惜しみせず3で行っちゃいましょう!
というか出し惜しみする余裕なんて無いでしょ
679 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 17:37:30.48 ID:g17XEolDO
乙! 徐々に行間サイドが近づいてるww
それにしても、こんな非常時でも絹旗が出てくるとは……コレも愛ですか?

アンケはB。ところでこのSSでは『あわきん自身』が空間移動できるんですか?
680 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 19:34:30.68 ID:wTpeFssIO
B
とりあえず香焼の勝利条件はあわきんのサラシをいかにして取っ払うかだな
681 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 23:34:29.22 ID:7zVLb3Gd0
Bで
ギャラリー(主に佐天さん)の反応が楽しみ
682 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 12:03:16.24 ID:A9b6eRF+o
ところで今更だけど657の守銭奴うんぬんの発言って
結標と姫神の表記を間違っていないかね?
683 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 10:11:42.53 ID:uM+5BT+IO
Bしかないでっしゃろ?
684 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 20:33:51.97 ID:hR2ztwsx0
Bやーーーー!!!
685 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/19(月) 21:23:50.67 ID:hN8TWIG20
こんばんわ。ちょっと最近色々忙しい。年末進行と私情・・・・・特に男女間の問題ってややこしいね・・・

アンケは圧倒的にBですねw


>>677・・・それ、良いね!

>>682・・・結標「やっぱ。守銭奴」ハァ・・・  ⇒  これが姫神の台詞ですね。すいません!


そんじゃボチボチスタート! 安価も出すよ!
686 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 21:40:53.68 ID:hN8TWIG20
 ―――とある翌々日、PM06:10、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・






―――ボールが落ちる5秒前。淡希さんは既に軍用の懐中電灯を取り出している。
彼女の能力で注意すべきは大きく二つ。

・武器(今回はボール)を飛ばしてくる事。
・僕自身が飛ばされる事。

彼女自身も単体で空間移動出来るらしいが、何らかの理由でそれをしない。
それが悠々と出来たら超能力者(レベル5)級の脅威だろうが……今回はそれを考慮しない。

因みに、僕自身が何処かに飛ばされる事については危険視しない。例え高さ20m上に放り出されても『如何にか出来る』からだ。
問題は……スピード予測が出来ないボール類。特にボーリングの玉とゴルフボール、野球の硬球、バスケットボールは脅威だ。


香焼(もうボールが落ちる!)スッ・・・


鋭利なモノを飛ばされる心配はないが、頭上に落とされたりしたら痛いじゃ済まないモノがある以上、手加減は危険か。
淡希さんの手は……未だ懐中電灯を構えているだけで、分からない。

だったら僕は……―――


@様子見をする為、ダガーの準備。ボールが飛んできたら迎撃。

A初っ端鋼糸(ワイヤー)を使って天井と壁に回避。

B開幕、七教七刃。



                      >>688

687 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 21:49:17.14 ID:fhQgLY9DO
A!
688 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 21:50:01.43 ID:OU+Ht78Co
689 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 22:33:49.12 ID:hN8TWIG20
―――初手で、墜とす。



 ポンッ・・・・・



ボールが落ちた。
瞬時に、人があまり溜っていない場所を見極め術式を展開させる。


香焼「ッッ―――左奥の皆さん! 手前に走って!!」グググ・・・

メンバー『へ?』キョトン・・・


もう止まらない。淡希さんの右下、頭上、前方から鋼糸(ワイヤー)を集めて―――


結標「馬鹿じゃないの?」ブンッ!!

香焼「―――え、ガっ!!?」ゴンッ!!


―――KOを狙った。僕は今確実に鋼糸を放とうとした。
だが気付いたら目の前に淡希さんが居て、気付いたら淡希さんの右足が目の前にあって、そして気付いたら……左胴体が蹴られてた。

一体、何が起こったのか、分からない。


結標「痛たた……そのパーカー堅いわね……あのさぁ。開幕早々何するつもりか分からないけど、ボーっとしてるなんて阿呆の所業よ」ジトー・・・

香焼「ゲホッ……何、が」タラー・・・

結標「しかも上の連中に叫ぶなんて意味不明な真似を……やる気ある?」ジー・・・

香焼「…………、」ダラダラ・・・

結標「何されたか分からないって顔ね。簡単よ。突っ立ってた香焼くんを私の目の前に『移動』させて蹴ったの。それだけ」フンッ・・・


抜かった。格闘では自分が上手と驕ってしまった。


日向「あっちゃー……馬鹿だなぁ。あわきんが女だからって普通の喧嘩が出来ないと余裕かましたか?」ジー・・・

竹山「松下五段や椎名さんの様に武術の心得は無いとはいえ、それなりに強いですからね」ジー・・・


なるほど……だが、所詮は女性の蹴りだ。不意打ちだったのでそこそこ痛かったが、その程度。
女教皇様や五和レベルの格闘家ならいざ知らず、これならまだまだ持ち堪えられる。急いで態勢を立て直し、格闘戦の準備を―――


結標「ハァ……椎名レベルの相手に組み付く訳無いじゃない」フンッ・・・ブンッ!!

香焼「―――あれ? っておわっ!!?」パッ・・・


―――した瞬間、壁際に戻された。前言撤回だ。僕自身が飛ばされるのは危険極まりない。


白井「……点で雑魚ですの」ジトー・・・

椎名「今の所は、な……浅はかなり」ジー・・・

直井「…………、」フム・・・

立華「……何か見たの?」チラッ・・・

直井「訳も無く、突っ立ってた訳ではない様だ……しかし『アレ』は何だ?」ジー・・・

姫神「何を覗き見たかは分からないけど。考えても無駄。貴方には……いえ。私達には理解し得ない『モノ』」ジー・・・


直井は、その読心能力で香焼が初手に何をしようとしていたかは理解出来た。
しかしその『用途』やら『使用法』やらはまるで分からなかった。まさにタネの無い『手品(マジック)』を見せられた様だ。

690 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 23:10:07.07 ID:hN8TWIG20
結標淡希は直井の表情を見て、何となく理解した。
香焼が初手にしようとしていた事は多分、ちょいとタメが必要な『必殺技』みたいなモノだろう。

多分それを喰らったら、自分は一発KO。更に周りに被害が及ぶ程の『何か』であったに違いない。


結標「やっぱ……怖いわね」フフフ・・・


自分(能力者)が知り得ない『何か』。あの小さな少年がそれを駆使する。
少年は再度態勢を立て直し、此方に向き合ってきた。


香焼「…………、」ジー・・・

結標「でもやっぱり、甘いわよ。殺す気で来なさい。私も……殺す気でいくから」ニヤリ・・・

香焼「……口数が多いっすよ」ジー・・・

結標「抜かすわ……ねっ!!」ブンッ!!


懐中電灯(ライト)を振う。刹那、香焼の頭上からバスケットボール。
出所不明、回避不能の砲丸投射。確実に当たった……誰もがそう考えた。しかし―――


香焼「っ!!」バッ!!


―――避けた。死角から迫る砲丸を、サイドステップで避けた……ボールが虚しくバウンドする。


高松「なっ!? は、速い……というより、何で反応出来たんだ?」キョトン・・・

藤巻「……やっぱ身のこなしは、椎名レベルだったな」ジー・・・


今度は結標の方が理解出来ない。アレは人間である以上、避ける事が出来ない筈の攻撃。
直井の様に此方の意志を先読み出来たり、奏や椎名の様な規格外の人間なら避けれよう。彼に当て嵌まるのは……多分、後者か。


結標「……どうやって、避けたのかしら? ご教授願いたいわね」ジー・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「話す気無し、か……まぁ正しいけどさ。じゃあ……こういうのはっ!」ハハハ・・・バババッ!!


今度は四方からの投射。
先読み出来る直井でも身体が追い付かず当たるし、奏や椎名でも切り払い無しでは防ぎえない技だ。


香焼「っ……、」バッ!!

一同『なっ!!?』ギョッ・・・


今度こそ……と思いきや、ボールが全て彼に当たる直前で止まった。


立華「直井くん。何か分かった?」チラッ・・・

直井「いや、その……『障壁』を張ったという事は分かった」ジー・・・

立華「念導力(サイキック)? 風力障壁(エアーブラインド)? それとも他の能力?」ジー・・・

直井「……どれでもない」タラー・・・

立華「え?」ポカーン・・・

姫神「だから。私達には。理解できない『何か』。考えるだけ無駄」ジー・・・

立華・直井「「…………、」」タラー・・・


直井に分かった事はワイヤーの様なモノを身の周りに展開させた事だけだった。
しかし普通それだけでは足止め程度にはなっても、あの様にピタリと止まったりしない筈……訳が分からない。

691 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/19(月) 23:35:48.87 ID:hN8TWIG20
一方、香焼は悩んだ。これでは身は守れても決定打に欠ける。
予め鋼糸で魔力防壁(バリア)を張っていれば殆どのボールは防げる。だが速かったり重かったりするボールには対応できない。


結標「……チィ!」バババッ!!


今度は立て続けに乱射してきた。数発避けた後……動き回る事にする。


固法「なるほど。動けば座標を固定出来ないって考えた訳ね」ジー・・・

音無「……でも、淡希にそれは通じないぜ。というか逆効果かもしれない」ジー・・・

固法「え?」チラッ・・・


移動ルートを予測し、その場所にボールを打つけたり落としたり出来ない訳が無い。
仮にも『座標移動』の大能力者(レベル4)だ。その程度の事お手のモノ。


結標「そう……ならっ!!」バッ!!


走る香焼の目の前にソフトボール。距離はほぼ0。そのスピードで走って居れば確実に額に直撃―――


香焼「グッ!!」バッ・・・ブンッ!!

一同『ハァ!?』ギョッ・・・


―――何を考えたか右方に腕を振った香焼。そんな事をしても直撃は免れない。
しかし……直角に、右へ曲った。しかもスピードを落とさずにだ。


直井「今のは分かった」ジー・・・

立華「何?」チラッ・・・

直井「ワイヤーだ。壁を見ろ」ジー・・・


彼が曲った右方の壁を見る……何かが刺さっていた。


結標「……やっと、出したわね」ニヤリ・・・

香焼「…………、」フゥ・・・


短刀(ダガーナイフ)。それに目には見えないくらいのワイヤーが括ってある。


直井「だが理解出来ない。質量重量を考えれば、ナイフが抜ける筈だ」ジー・・・

姫神「私達は。何事も物理演算で済ませてしまう。でも。『彼ら』はそういう『理屈』じゃ収まらない」ジー・・・

立華「……彼ら?」チラッ・・・

姫神「あ……何でも無い」タラー・・・


なるべく出したくは無かったが、使ってしまった。ふいに、白井さんの方を見る。


白井「…………、」ジトー・・・

香焼「……あはは」タラー・・・

結標「ったく……だから気にしないで使いなさいっての。本っ当にブチ殺すわよ」ジトー・・・

香焼「ええっと」チラッ・・・

白井「……今日見た事は、忘れますの」ヤレヤレ・・・


と言われても、やはり気が引ける。だが出してしまったモノは仕方が無い……次からはナイフも使う。

692 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 00:05:06.10 ID:3OtMmBZ+0
改めて、短刀を構える。今度は此方から接近戦を仕掛けさせて貰おう。組み入ってしまえば此方のモノだ。如何とでも出来る。


結標「さぁて……それじゃあ次はエグいのしようかしらね……来なさい、甘ちゃん坊や」ニヤリ・・・

香焼「…………、」バッ・・・


駆ける。目に見える範囲のボールを避け、直前に出てくる罠(ボール)を緊急回避し、そして―――


結標「ほれっ」スッ・・・

香焼「―――ギ、が……アぅっ!!?」ズキンッ・・・ズサァ・・・


―――今度は……何を、された? 以上に脇腹が痛い。


結標「何もしないどいてあげるから、服の下、見てみなさい」フフフ・・・

白井「……グロい真似を」タラー・・・

固法「な、何したの?」タラー・・・

野田「……あわきんの本領だ。てか、空間移動能力者のチート中のチート技だろ」ジー・・・

固法「え……あ!」ピタッ・・・


急いで左脇腹を擦る。そこには『何か』が……埋まっていた。

白井黒子も犯罪者への脅し文句で『心臓に鉄針を撃ち込む』と告げる事がある。
相手を殺す事になるので実際には心臓にブチ込むなんて所業を行わないが……強敵の場合には、仕方なく足や手に撃ち込んだりはする。


結標「因みに、ゴルフボールよ。皮膚の表面くらいかしら? 良かったわね。内臓とかじゃなくて」ニヤリ・・・

香焼「っ……狙った訳じゃないんすね」タラー・・・

結標「当たり前じゃない。チョコマカ動く回る貴方相手、正確に表面狙える筈無いわ。とりあえず『体内』狙ったのよ」フフフ・・・

香焼「…………(本気で、殺される)」ゾッ・・・

結標「安心なさい。頭と上半身に高低座標(ポイント)は合わせないから……でも、骨に入ったりしたら……ねぇ」ニヤリ・・・

固法「や、止めなさい! 白井さん、止めて!」チラッ・・・

白井「……彼次第ですの」フンッ・・・

結標「だってよ。降参する?」ニヤリ・・・

固法「降参とかじゃなくて、大怪我する決闘なんて許せる筈が無いでしょう!」タラー・・・

香焼「続け、ます……い”ッ!! つ……ふぅ」グッ・・・ブシャッ・・・

一同『っ!!?』ギョッ・・・


彼は左脇腹を……切開した。コロンと……血濡れたゴルフボールが転がる。
香焼は急いで簡易な治癒魔術と痛覚遮断術式を展開させ、向き直る。


結標「うわぁ……やっといて何だけど、痛くないの?」タラー・・・

香焼「…………、」ジー・・・スチャッ・・・

結標「あのさぁ……口数少ないのは正しいんだろうけど、続行確認の為にも喋ってくれない?」ハァ・・・

香焼「……超痛いっす……でも、頭が冴えました」ジー・・・

結標「もしかして真正のマゾ?」タラー・・・

香焼「……御想像に」ジー・・・


見るからに痛々しいが、彼の顔は平然としていた。それが恐ろしい……だが、嬉しくもある。

693 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 00:46:06.57 ID:3OtMmBZ+0
そこからは一方的だった。

結標がボールを乱射し、先程の様な罠を仕掛ける。香焼はそれを切り払い、紙一重で躱す。
近付こうとしても近づけない。たとえ、もう少しの距離まで近付いても彼自身が『座標移動』で後ろに戻される。

治癒魔術を用いて入るが出血は酷いままだし、スタミナだって限られてる筈。
もし香焼がもう少し高位の魔術師だったり回復魔術に特化していたら、即座に治せただろう。しかし、所詮は三流。


岩沢「……こりゃ酷いわね」タラー・・・

松下「ああ。後は審判がいつ止めるかを待つだけか」ジー・・・

固法「もう早く止めてよ!」チラッ・・・

白井・椎名・直井「「「…………、」」」ジー・・・


彼が戦意を失っていない以上、止める必要はなかった。現に動いている。
殆どの人間が固法や松下と同じ意見を持つ中……数名は、疑問を抱いていた。

まずは対戦相手の結標。それから審判3人。そしてセコンド2人。

審判3人と奏の疑問は『何故動けるのか?』だ。これは魔術を知らない彼らには理解し得ない事。
逆に結標と姫神は魔術を『何でもアリのチートパワー』と捉えている節があるので、気にも留めない。

そして、それとは別にこの2人が抱いている疑問は『何故攻撃しないか』である。
魔術師(何でもアリ)であれば攻撃手段なんぞ幾らでもあろう。回避の為に短刀を投げたりしているが直接結標を狙ったりはしない。


結標・姫神((まだ……甘えを))ジトー・・・


故に、血を流しながら戦う彼を決して憐れなどとは思わなかった。寧ろ、腹が立つ。

さておき、それを抜きにしても全員共通の疑問があった。『何故避けれるか?』だ。
一方的に見えるこの戦いだが、実際は結標の攻撃を殆ど避けたり切り払ったりしている。
先程大ダメージを負わせたも然りだ。寸前の所で、立ち止まったり、直角回避している。


椎名「何故、避けられる?」ジー・・・

白井「他のもそうですけど、アレは特に視覚予測出来ない攻撃でしょうに」フム・・・


白井黒子はその脅威を誰よりも知っている。自身の鉄針も避けられた事は無いというのに……何故だ?


立華「これも、理解出来ない『何か』なのかしら?」チラッ・・・

姫神「……分からない。でも。こればっかりは。先読み読心でもしなきゃ。多分無理な筈」ジー・・・

立華「彼が読心してる可能性は?」チラッ・・・

直井「それは無いな。僕に容易に心を読まれる様なヤツだ」ジー・・・


その通り、読心魔術なんて高位中の高位魔術を香焼が使える訳が無い。では、如何してか。


直井「……勘、だろうな」タラー・・・

姫神・立華「「え?」」ポカーン・・・

直井「先程から彼の心を読んでいるが、『体内座標移動』に関しては勘で避けている。しかも殆ど当たってる」タラー・・・

立華「……淡希の手(ライト)の動きや目線、クセを掴んでとかではなく?」タラー・・・

直井「君は彼女の手の動きやクセだけで座標を特定出来るか? 無理だろう……勘なんだよ、アレは」タラー・・・


結標が持つ軍用の警棒電灯(ライト)。所詮アレは補助具に過ぎない。
実際ライトの光は何処までも伸びるし、手を振るえば何処に罠を張ったかなんて特定出来る訳も無い。

もしクセがあったとしても即座に反応発見するのは不可能だ。
しかし……『偶然』たる『勘』が全て当たるのは、それはもう『必然』である。
故に避けられる『確証』があるので『勘』を信じるのだろう。

694 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 01:18:52.03 ID:3OtMmBZ+0
不可解過ぎる『勘』に理由を欲した直井は、姫神の方を見て……尋ねた。


直井「あまり、こういうのは好ましい行為じゃないが……彼の『深層』を見て良いかい?」チラッ・・・

姫神「…………、」ジトー・・・

直井「無論、余計な個所までは覗かない。この『勘』に関する事だけだ。今使用しているコレについてなら、比較的浅い所にあるだろう」ジー・・・

姫神「……他言無用」コクッ・・・


勿論門外不出だ。許可が出たので……彼の『勘』についての『深層』を覗かせて貰った……―――



   <回想>


アニェーゼ「―――待ちやがれってんですよぉ!! わんこーーーーーーヤギィイイイッ!!」ブンッ!!

香焼「うぎゃあああぁっ!! 止めてよおおおおぉ!!」ヒョイッ!!

アニェーゼ「てめぇ、避けんじゃねえぇですよおぉっ!! 大人しく潰されろってんです!!」フンッ!!

香焼「な、何でだよっ!! 当たったら危ないどころじゃ済まないだろっ!! うわっ!!」シュンッ!!


 ズドンッ!! バギィンッ!! ズゴゴゴッ!! ガゴンッ!! バリーンッ!! ガガガガッ!!


アニェーゼ「ぐぬぬぅ……生意気なぁ……死ねええええぇっ!! 死にやがれってんです!!」ゴガンッ!!

香焼「再三謝っただろおおぉ!! 大して悪くないのにさぁああぁっ!! おわぁっ!!?」ゴロンッ!!

アニェーゼ「うるさいうるさいうるさーーーーーいっ!! 黙ってボコボコにされろってんですよおおおぉっ!!」グルンッ!!


 ドッカーン!! ギジジジッ!! バリバリバリ・・・ズドーンッ・・・・・


レッサー「あーあ……こりゃ酷いですね」ハハハ・・・

サーシャ「うわぁ……食堂が地獄です。第一の質問ですが、コーヤギー、今回は何をしでかしたんですか?」タラー・・・

アンジェレネ「えっとねぇ……コォヤギくんがアニェーゼちゃんに渡す漫画間違えたの」アハハ・・・

サーシャ「それだけで?」ポカーン・・・

アンジェレネ「いや、普通の漫画だったら良かったんだけど……建宮達に渡す様な漫画で」アハハ・・・

サーシャ「え?」キョトン・・・

レッサー「察し悪いですねぇ……要はえっちぃシーンとかも入ってるアダルティックな漫画だったんですよ。濡れ場です。濡・れ・場」ニヤリ・・・

サーシャ「……あー」ポリポリ・・・///


 ズギャギャギャギャギャギャギャッ!! ガリガリガリガリッ!!


香焼「ちょ、3人とも見てないで助けてよおおおおぉ!!」ビエエエェンッ!!

アニェーゼ「当たれぇっ!! 当たれってんですよおおおぉっ!! 避けんなあああぁっ!!」ブンブンブンッ!!

香焼「うわあああああぁんっ!!」タッタッタッタッ!!


  <回想中断>



直井「……何だ、これ」タラー・・・

姫神・立華「「え?」」キョトン・・・


色んな意味で理解出来ない『何か』が見えた。

695 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 01:49:53.86 ID:3OtMmBZ+0
姫神と奏が何を見たのか問うて来たのだが、ぶっちゃけ言葉に困る。何と言って良いか分からない。


直井「ま、待ってくれ……もう少しだけ見てみる」ジー・・・


再び、相変わらず走り回る香焼を覗いた……―――



  <回想再開>


 ゴンッ!! ガンッ!! ズドンッ!! バギンッ!! ゴリリリッ!!


サーシャ「―――やれやれ……第一の観測ですが、アニェーゼ、割と本気で怒ってますね」タラー・・・

アンジェレネ「最初は『蓮の杖(ロータスワンド)』使う程じゃなかったんだけど、コォヤギくんが言い訳したり逃げ回るから」アハハ・・・

サーシャ「……相変わらず沸点が低い」ハァ・・・

レッサー「これだからエロに耐性無いドS気取りのお嬢ちゃんは。私ならコウヤギと一緒にそれ読んでムフフなんですけどねぇ」ハハハ

アンジェレネ「レッサーちゃんも大概口だけだけどねー。実際押されると弱いですし」ハハハ

レッサー「ぐっ……そ、そんな事無いですよ。そりゃもう私のテクに掛ればビンビンがギュンギュンでアタフタな!」タラー・・・

サーシャ「はいはい。内心純情少女(ピュアガール)お疲れ様です……それにしても第一の疑問ですが、このやり取り何回目ですか?」タラー・・・

アンジェレネ「24回目。あ、『杖』取り出したのは丁度10回目かな!」ハハハ

サーシャ「うわぁ……第一の意見ですが、もう完全に慣れてますね。コーヤギー……不可視の『座標攻撃』避けてますよ」タラー・・・

レッサー「身体が覚えちゃったんでしょう……ハッ! いつの間にかアニェーゼに調教されていた!? わ、私も負けてられません!」グヌヌゥ・・・

アンジェレネ「でもレッサーちゃん……毎回コォヤギくんに、尻尾掴まれて逆に調教されてるよね?」ジトー・・・

レッサー「んななななんぁっ!? そ、そんな事ありませんっ!! わ、私は超ド級のSです! こ、コウヤギはMでしょう!?」アタフタ・・・

サーシャ「いや、第一の反論&客観ですが……レッサーに対しては結構Sですよ。しかも『ド』が付くくらいに」チラッ・・・

レッサー「くっ……悔しい、ですっ」グヌヌゥ・・・

アンジェレネ「でも、感じちゃうんでしょう? 『ビクンビクンッ』って」ニヤリ・・・

レッサー「そ、そそしょしょんな訳にゃ、無いでしょおおぉ!!」ダラダラ・・・///

サーシャ「レッサー……第二の意見ですが、超動揺してますね。そんなに此処(尻尾)が良いんですか?」フフフ・・・スッ・・・

レッサー「さ、触るなぁ!!」ギョッ・・・

アンジェレネ「えいっ☆」ギュッ!

レッサー「ひゃあぁっ!!?」ビクンッ・・・

アンジェレネ「ふふふふ……コォヤギくんの『熱いの(魔力)』気持ち良かったですって認めないとぉ……ふふふふ」ニヤリ・・・

レッサー「お、鬼! アンタら鬼畜です!!」ウギャアアァッ!!

サーシャ「第三の意見ですが、サディストはアンジェレネだけですよ。私は……って、ちょ!? コーヤギー! こっち来た!!?」ギョッ・・・

アン・レッサー「「うぇ!?」」ギョッ・・・


 ―――エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド・ベオーズス・ユル・・・・・


香焼「ど、退けてえええぇっ!! アニェーゼが壊れたあああぁっ!! 逃げろおおおおぉ!!」ドドドドッ!!

アンジェレネ「う、わ……その詠唱は!!?」ギョッ・・・

レッサー「あ、アンジェレネ! 尻尾離して下さい!! 逃げられませんって!!」アタフタ・・・

サーシャ「あー……第一の傍観ですが、この詠唱、私の魔術障壁でも避けられませんよ」ダラダラ・・・


 ―――スヴュエル・カノ・オシェラ・ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・・・・・

696 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 02:16:08.31 ID:3OtMmBZ+0
アニェーゼ「―――ベオークン・イル……覚悟は、出来てやがりますよねぇ?」ゴゴゴゴゴ・・・

香焼「み、皆、食堂から離れろおおおおぉ!!」ウワアアァッ!!

アン・レッサー・サーシャ「「「ぎゃあああぁっ!!」」」ダダダダッ!!


 キュイイイイイイイイイィン・・・・・


アニェーゼ「……エクスゥウウゥ―――」グイッ・・・

ステイル「やれやれ、疲れた……ん? 何だこの有り様は……って、香焼? また貴様か」ハァ・・・

香焼「おま、邪魔すんなああああぁっ!!」ドンッ!!

アンジェレネ「うわあああぁっ!! ステイルくんが壁になってつっかえましたああぁっ!!」キャー!

レッサー「こ、この木偶の坊おおおおおぉ!!」ピギャアアァッ!!

サーシャ「……神は、死んだ」チーン・・・

ステイル「は? って……え」チラッ・・・ダラダラダラ・・・・・



アニェーゼ「……○ロオオォジョオオオオォンッ!!」ブンッ!!

一同『ちょ、待―――』


 ちゅどーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ・・・・・―――


  <回想終了>



―――……何だ、こりゃ。


直井「か、彼は……何者なんだ!?」ダラダラ・・・

立華「直井君?」チラッ・・・

姫神「……忘れた方が。身の為」ジー・・・

直井「え、い、や……訳が、分からない」ダラダラ・・・


とりあえず、今見た事を2人に話した。


立華「……念導力ではないの?」タラー・・・

直井「念導力であんなに強力な爆発は起こせない……というか、あの修道服の少女達は何者だ!? 何だあの破廉恥なコスプレ集団」ダラダラ・・・

姫神「そこに突っ込んだら負け」コクッ・・・


しかし彼が『勘』を信じる理由が分かった。彼にとって『座標攻撃』は日常茶飯事なのだ。
つまり……結標は、知らずの内に不利条件だったのだ。


立華「な、慣れの御蔭? 信じられないのだけど」タラー・・・

直井「しかし、彼は本能的に空間攻撃を……しかも『真に見えない座標攻撃』までも回避できる様になっている」ダラダラ・・・


そう……香焼は、幸か不幸か『アニェーゼ=サンクティス』という沸点の低いドSな友人の御蔭で耐性が付いていたのだ。
科学(物理攻撃)と魔術(エーテル攻撃)の違い。だが結局のところ、座標で攻撃される事には変わりない為、慣れている。

結標とアニェーゼの違いは大きく3つ。
・結標は物理的なモノであれば『殆どのモノ』を移動させられる。それが人間や自分自身であっても可能。
・アニェーゼは物理的な移動は不可能だが、その他に『四大元素』全てを扱える天才魔術師(アベレージ・ワン)なので実際色々出来る。
・後は単純に性格の問題。香焼に対して熱くなるアニェーゼと、クールになる結標。ぶっちゃけどっちも面倒。

ただ、暴走してドデカい一発出さない結標の方は決定打に欠ける。尤も、一向に短刀投躑をしない香焼も勝ち目は無いのだ。

697 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 02:37:42.77 ID:3OtMmBZ+0
さておき、今の話を聞いた姫神と先程からヒョイヒョイ避けられる結標は腹が立っていた。


結標「……何故、攻撃しない」ギリッ・・・


攻撃したくない訳ではないらしい。実際難とか近寄ってくるのを見る限り、如何しても接近戦がしたい様だ。
だがそれが不可解。彼の得物が短刀である事は既に周知。普通は投躑(ダガー)を用いる筈だ。

ふと……一度、大きく彼を飛ばしたところで、ボールの乱射を止めた。


結標「……何のつもり? まさかダーツが下手とかそういう理由じゃないんでしょう?」ギロッ・・・

香焼「…………、」ハァハァ・・・

結標「答えなさい! これじゃあずっと平行線なのよ!」グヌヌゥ・・・

香焼「……ふぅ」ジー・・・

姫神「……香焼くん」ジー・・・

香焼「…………、」チラッ・・・

姫神「もしかして。貴方……まだ。迷ってる?」ジー・・・


刃物は……人を傷つける。しかし、格闘戦なら加減が出来る。


直井「っ……何て、甘い」タラー・・・

白井「あら……存外、風紀委員向きの性格ですのね」クスクス・・・

結標「っ……秋沙。この子、勝負にならないわ」チラッ・・・

姫神「……はぁ」ポリポリ・・・

香焼「……じゃあ、僕の勝ちっす」ジー・・・

一同『え?』ポカーン・・・


いきなり、何を言う。


香焼「審判! 彼女は戦意喪失しましたよ」ジー・・・

白井・椎名「「なっ」」タラー・・・

直井「き、君は……トンチ合戦がしたいのか」タラー・・・

結標「い、良い度胸……してんじゃない」ピキピキ・・・

姫神「……その屁理屈なら。端っから戦う気の無い。貴方の不戦勝」ヤレヤレ・・・

香焼「自分はありましたよ。現に向かって行ってました」コクッ・・・

立華「詭弁ね」タラー・・・


いきなり喋り出したかと思えば……馬鹿げた事を。


結標「……如何したら、貴方は本気を出すの?」ジー・・・

香焼「自分はいつだって本気っす」ジー・・・

結標「何処がよ! 逃げ回ってるだけじゃない! 偶に私に近付いて、短刀壁に投げたり天井に向かって投げたりするだけで―――」ギロッ・・・


気付けば至るところにワイヤーだらけ―――


結標「―――……あ」ピタッ・・・


―――気付いた時には……遅かった。

698 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 03:22:13.38 ID:3OtMmBZ+0
結標は……『蜘蛛の巣』の中に居た。


直井「な……ただ逃げ回っていただけじゃなかったのか」タラー・・・

立華「これじゃあ淡希は身動き取れないわね」ジー・・・

椎名「……浅はかなり」タラー・・・


元々結標は移動しながら戦うタイプではない。自分を『基点』にして戦うタイプだ。故に……余裕を持ってその場に留まり過ぎれば、こうなる。


結標「っ……で、でも、今までと何ら変わりないわ。今まで通りボールを乱射して弾幕張ってれば―――」


 シュッ・・・・・


結標「―――……え」パシュッ・・・

一同『なっ!?』ギョッ・・・


羽織っているだけだった結標のブレザーが……後方に吹っ飛んだ。上部後方のワイヤーに引っ掛かりユラユラ揺れている。
よく見ると、裾と腕の部分に風穴(刺し傷跡)の様なモノが空いていた。


香焼「誰が……甘ちゃんで?」スッ・・・

結標「ふ……ふふふっ」ニヤリ・・・


両手には6本のダガー。


香焼「……自分は弱いから、絡め手とか使わないと格上には勝てないんすよ」テクテク・・・

結標「あら? 一勢攻転した途端に饒舌になるのね?」ブツッ・・・


だったらワイヤーを切れば良い。名前通り『鋼糸』故に素手や軍用ライトでは切れないが、座標移動を用いれば無理矢理引き千切れる。
とりあえず邪魔な真横のワイヤーの上にボーリングの玉を乗せ、強引に切った―――刹那、まったくの反対方向からナイフが飛んできた。
慌ててそれを彼の方に座標移動させる。これで彼の足に風穴が……え。


野田「だ、ダガーが……消えた?」キョトン・・・

香焼「咄嗟の反応は流石っす。今の仕掛け(ワイヤートラップ)は初歩中の初歩とはいえ、普通じゃ対応出来ないっすよ」フフフ・・・

結標「え? あ、いや……ちょ……今、私、ナイフ『返した』わよね」タラー・・・

香焼「ええ。戻ってきましたよ」フフフ・・・


尤も……『折り紙』を媒体とした魔力生成の銃剣(バヨネット)なので、主導権を奪われた時点で魔力を遮断すれば『紙』に戻る。


香焼「何で消えたかは教えられませんね……ただワイヤーを切れば、今のが飛んできますよ」ニヤリ・・・

結標「な、なら何度でも返してやるわ!」ギロッ・・・

香焼「じゃあその間に……もっとワイヤー張りますね」シュバッシュバッ・・・ストンッストンッ・・・


結標の足元と途方も無い四方八方に、鋼糸と折り紙を括ったナイフを投げる。そしてその鋼糸の他方端は香焼が持ったままである。
片一方のワイヤーが切れたと同時に銃剣(折り紙)に魔力が籠り、刃が飛んでくる仕様だ。

結標は一度にワイヤーを何本も切れなかった。理由は単純。
まずはボーリングの玉がそこまで多い訳ではないから。そして、予測不能の方向から飛んでくるダガーをそう何本も同時に対処出来ない。
彼女が戸惑う間にも香焼は幾多もの鋼糸を張り巡らせる。


結標「……っ」タラー・・・

白井「あらら……ま、『私なら』逃げる事が出来ますけど、貴女は如何するのでしょうねぇ」ニヤリ・・・


蜘蛛の巣に絡まった虫。網に掛った魚。籠から出られない鳥……そんな心境だった。
699 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 04:07:47.06 ID:3OtMmBZ+0
セコンド側に姫神秋沙は複雑だった。彼の意図を理解したからこそ、複雑だった。
自分が知り得る魔術師というモノは、もっと派手で優雅に戦っていたと思う。

だが彼は違った。ド派手にナイフと砲丸の弾幕戦を行うでもなく、華麗に斬撃を飛ばす訳でもない。
無論、罠を用いる魔術師も知っている。だがそれはあの『錬金術師』の様に事前の準備があってこそ。
戦いの最中にこんな馬鹿な真似は、彼だってしない。

しかし香焼は……地道に、せこく、ジワジワと、搦め手を用いて……まるで無能力者の様に戦った。


姫神「本気で……手加減。した」ジー・・・


圧倒的な力量で敵を屈服させる訳でもなく、地味に相手を追い詰めた。
なるほど、戦法としてはそういうのもあるのだろう。だが……これだけ優位に立てるのであれば、簡単に彼女を追い詰められた筈だ。


立華「そうね……淡希を、直接狙っていればだけど」コクッ・・・

直井「態々降伏させようとしている。確かに、遠回りで馬鹿げているよ」ハァ・・・

姫神「そう……それが。貴方の『救い』なのね」ジー・・・


極力、無傷で、敵を倒す。なんて……矛盾。しかしそれが彼なりの『教義』の解釈なのだ。
気付けば、手持ちの鋼糸が残り4本になる程のワイヤートラップを敷いていた。


香焼「……如何します?」ジー・・・

結標「っ……ふんっ!」ブンッ!!


無駄な足掻きと知りながら、ボールを香焼に投射する。だがやはり……避けられ、撃ち落とされる。
しかも今度は曲芸紛いの―――ワイヤー渡りまで用い出した。


白井「器用ですのね」フフフ・・・

椎名「……出来る」ジー・・・


『平面』の戦闘だけではない。彼は『空間』を移動できる様になった。更に厄介。
こうなった原因は二つ。彼が『対座標攻撃』に慣れていた事。そして……彼に『巣』を作る時間を与え過ぎた事だ。

だがしかし……これでも尚……彼は攻撃しない。


香焼「降参して下さい! 貴女の負けっす。もう動けないでしょう……戦闘不能です」ジー・・・

結標「……阿呆抜かさないで。私はまだ傷一つ負ってないわよ。此処から動けなくてもボールは乱射出来るわ」ギリッ・・・

香焼「当たりませんよ」ジー・・・

結標「嘗めた事を……だったらこの勝負は引き分けよ」チィ・・・


引き分けじゃ意味が無い。しかしこれ以上は戦いたくない。実のところ、魔力は空っぽに近い。
最初に『七教七刃』を失敗させたのが痛かった。実際、あそこで圧倒出来ていれば搦め手を使う必要も無かったのだが……まぁ結果論か。

均衡する最中、ふと……後ろから声が聞こえた。


立華「……淡希」ジー・・・

一同『っ!』チラッ・・・

立華「セコンドとしてアドバイス、というより叱咤よ……いつまで『飛ばない』気? 嘗められっ放しで良いの?」ジー・・・

結標「っ……、」タラー・・・

立華「飛びなさい……何かあったら私がすぐ助ける。間違って乱雑解放(ポルターガイスト)起しても、私が皆を守るから」コクッ・・・

結標「奏……あはは……まぁその、ありがと……お言葉に甘えるわ」ハハハ・・・ギロッ・・・


刹那、目の色が変わった。籠の中に居た小鳥が、猛禽類になった様な目……底知れぬプレッシャー。

700 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/20(火) 04:32:33.05 ID:3OtMmBZ+0
彼女は一度大きく深呼吸した。そして―――


結標「―――」シュンッ・・・

香焼・白井「「なっ!!?」」ギョッ・・・


―――消えた。


結標「―――フンっ!!」ゲシッ!!

香焼「え? あ……ぃ、ガァッ!!」ゴリッ・・・


背後から蹴られた。


音無「……飛んだか」ジー・・・

日向「ああ……飛んだな」ジー・・・

固法「なっ……出来ない筈じゃ!?」ギョッ・・・

ゆい「んー……危険、ってだけで出来ない訳じゃないですよ」コクッ・・・


座標移動ではない。自身の……単体ジャンプ(空間移動)。
今の蹴りでワイヤーに引っ掛かりながら地面に落されてしまった。一方、淡希さんは元々僕が居た方に着地している。


香焼「痛つつ……、」チラッ・・・

結標「―――っ……ハァ……ハァ」ダラダラ・・・


一度のテレポートでかなり精神を削っているらしい。


結標「ふぅ……形勢、逆転ね」ニヤリ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「さぁ、今度こそ武器使わなきゃ勝てないでしょう?」フフフ・・・


御名答。ワイヤートラップ様に使える鋼糸は余ってないし、魔力も残り少ない。
だがしかし……また新たな小細工を考えれば問題無い。


結標「そう……じゃあ、こういうのは」ヒュンッ・・・


相変わらずの砲丸乱射。しかし、先程までと状況が違う。今僕が居るのは自分で作った『巣』の中……高速で動き回れない。
だけど、今の僕は三次元に動け―――


結標「でも、さっきより遅いから予測は容易い……ドラァっ!!」シュンッ・・・ゲシッ!!

香焼「い、ギぃッ!!」ズサァ・・・


―――る筈だった……しかし、甘かった。
目の前に彼女の足がある。つまり……蹴られる。考えた時にはもう遅い。側頭部に激痛。トゥーキックがモロに入った。

幸運だったのは、彼女が『体内座標攻撃』をしなかった事。今されていたら確実に負けていた。


結標「甘いわ。だから結局、こうなるんじゃないの? 本気の手加減の『驕り』なんて、良い茶番ね」ジトー・・・

姫神「自業自得……まったくもって。その通り」ジー・・・


何とか意識を立て直し、彼女と向き合う。案の定、距離は近い。
こうなったら一か八か、僕自身に座標を合わされるのを回避しつつ、彼女と取っ組み……接近戦に持ち込むしかない。

再度乱射されるボールの中、僕は前に踏み込んだ……―――

701 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/20(火) 04:44:30.77 ID:3OtMmBZ+0
はい、此処まで。やっぱ戦闘描写苦手だ。逆にアニェーゼ達の下りを書いてて、楽しくてしょうがないw

色々ツッコミ所は多いと思いますが、御了承を。


Q.あわきんがこんなに圧倒される訳無いじゃん!
A.対魔術師相手(理解不明な相手)&『香焼とアニェーゼの関係』

Q.香焼やってる事って雑魚魔術師なの? 何か凄く強そうに見えたけど?
A.ステイルなら開幕早々消し炭にしてるし、神裂・五和なら神速・瞬歩・縮地で当て身して倒せてます


とりあえず今回は『100%のあわきん』に対して手加減しては勝てない、という場面までです。
でも色々質問御指摘意見反論下さい。直せる部分は直していきます。

次回は短いけどナイフ使わせます。絶対に。そんじゃ……眠い。おやすみ。 ノシ”

702 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 04:54:44.13 ID:KSmVrKn9o
乙!
703 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 09:57:54.86 ID:LAxxKl4DO
乙。アニー→コーヤギ→レッサーの流れで調教か……kwwsk!

しかしまぁ甘ちゃんだなぁ。第8小隊の隊長さんより甘い……それが美点でもあるんだろうけど
カミやん病と神裂の教えのハイブリッドだから、こうなのかな?
704 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 19:24:24.81 ID:xZNe7raeo
本編より行間が気になるww
705 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 21:40:44.87 ID:m4QXY4jn0
私ミコト、今テニスコートの前にいるの
706 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/23(金) 18:55:47.10 ID:bFHl++E20
こんばんわ。ボチボチ書くよ。
707 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 19:27:58.04 ID:bFHl++E20
 ―――とある翌々日、PM06:30、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校・・・<電磁通行side>・・・


   カツカツカツ・・・・・


御坂「此処ね……そんじゃあ一発!」ピンッ!!

一方通行「あァ此処だな……って、止めろド阿呆! 挨拶代わりに超電磁砲(レールガン)ブッ放そォとしてンだボケェ!!」パシッ!!

御坂「あ。コイン掴んだ!? 何してんのよ!」ジトー・・・

一方通行「何が『何してンのよ!』だァ!? テメェさっきの件、まっっっったく反省してねェだろ?」ギロッ・・・

御坂「ぐっ……で、でもさぁ。黒子達が捕まってるかもしれないんだし」タラー・・・

一方通行「だったら尚更だろォが駄阿呆。超電磁砲で建物貫く途中に人質居たら元も子もねェっつゥの」ハァ・・・

御坂「そ、そのくらい分かってるわよ! だから威嚇射撃って事で……玄関壊す程度に」タラー・・・

一方通行「事大袈裟にして警備員に取っ捕まりてェならそうしろ」フンッ

御坂「……じゃあアンタ何か良い案あんの?」ジトー・・・

一方通行「……とりあえず、表は閉まってる。どっか開いてそうな場所から入るしかないだろォな」カツカツ・・・

御坂「中入るの?」ムゥ・・・

一方通行「寧ろそっちの方が事荒立てずに済む。テメェと違って俺はタカ派じゃねェンだよ」カツカツ・・・

御坂「わ、私だって平和主義者よ!」グヌヌ・・・

一方通行「どの口言うか……まァ確認しとくが、俺は結標を取っ捕まえて帰れりゃ良い。テメェは?」チラッ・・・

御坂「……え?」キョトン・・・

一方通行「……あのよォ」ハァ・・・

御坂「え、あ、いや、冗談よ! 冗談……黒子達がピンチだから助ける! ついでに結標淡希をボコる!」グッ・・・

一方通行「あっそ。てか気になってたンだが……マジで、テメェの後輩達ピンチなのか?」カツカツ・・・

御坂「え? うん……多分。詰め所に連絡着てないって言うし」タラー・・・

一方通行「それ、いつの時点よ」ジトー・・・

御坂「え……あ」ピタッ・・・

一方通行「……もし捕まってなかったら如何すンの」ハァ・・・

御坂「うっ……あ、貴方様の、お、お手伝いとして」ダラダラ・・・

一方通行「要らね。帰れ」フンッ・・・

御坂「ぐっ! い、いーやーだー! 連れてってー!」ガシッ!!

一方通行「うっっっっっぜェ! お前、打ち止め(妹)よりウザい!」ウワァ・・・

御坂「……だって、無駄骨はヤダもん」モジモジ・・・

一方通行「知ったこっちゃねェし……って、いい加減裾放せボケ!!」ブンブンッ!!

御坂「……アンタ」ジトー・・・

一方通行「あン?」ジトー・・・

御坂「……実は、もうバッテリー残ってないでしょ。あと何回能力使える?」ジトー・・・

一方通行「…………、」ピタッ・・・

御坂「マジで私の事うっとおしかったら、能力で弾いたり何なりしてるもんねー」グッ・・・

一方通行「……だから、何だ?」タラー・・・

御坂「ふっふっふっ……しょうがないなぁ。私がボディガードして上げるわ。感謝なさい!」ニカッ!!

一方通行「有難迷惑極まりないンですけどォ……ってぐえっ!!? ちょ、チョーカー引っ張ンな!!」ズルズル・・・

708 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 19:49:48.05 ID:bFHl++E20

 カツカツカツ・・・・・


御坂「……此処の裏口、開いてるわ」Pi・・・

一方通行「あっそ」ジトー・・・

御坂「ノリ悪いわね……行くわよ!」テクテク・・・グイッ

一方通行「……はァ」カツカツ・・・


 シーン・・・・・


御坂「妙ね……人が居ない……恐れをなして逃げたのかしら?」キョロキョロ・・・

一方通行「……俺らが来る事を事前に把握してたってか? そりゃ無ェな……まァまたハズレ引いたンじゃね」ハハハ

御坂「え……マジ?」ダラダラ・・・

一方通行「可能性としては大だな……ただ」ジー・・・

御坂「何よ……って、え?」ジー・・・

一方通行「……そこの部屋だ」クイッ・・・ガチャッ・・・

御坂「部屋に……銃器?!」ギョッ・・・

一方通行「……アジトってのは確実だ。結標のチームか如何かは分からねェけどよォ」スッ・・・

御坂「この武器の数……やっぱアイツ、またテロ紛いの事を企ててるんじゃ」グッ・・・

一方通行「だから分からねェって……っ……止まれ」スッ・・・

御坂「え」ピタッ・・・

一方通行「足音だ……隠れろ」コクッ・・・


 テクテクテク・・・・・


大山「はぁ……あわきん達の決闘長引き過ぎだよ。あの少年、何であんなに持ち堪えるのかなぁ」テクテク・・・

入江「さぁ。男の子の意地ってヤツじゃないかなぁ」フフフ・・・

関根「私達がお茶菓子持って帰る前に終わってなきゃ良いけどね」クスクス・・・


御坂(ん……どうやら、アタリね。でも決闘? 何それ?)チラッ・・・

一方通行(さァな……だが、アイツら捕まえりゃ結標の居場所が割れンだろ)ニヤリ・・・

御坂(……そうね)ニヤリ・・・


 ガンッ!!


大山・入江・関根「「「っ!!?」」」ビクッ!!

御坂「……動くな」スッ・・・ビリビリ・・・

大山「え、あ、な、何!?」アタフタ・・・

入江「し、侵入者!?」ダラダラ・・・

一方通行「悪ィがテメェらの質問に応える義務は無ェ。だが……テメェらにはゲロって貰うぜ」バンバンバンッ!!

関根「ひゃあっ!?」ペタン・・・

御坂「ちょっとアンタ。幾ら威嚇ったって、か弱そうな女の子に向かって発砲する事無いでしょう」ジトー・・・

一方通行「超電磁砲スタンバってるテメェよかマシだろ……まァンな事ァ些細だな……さァ色々聞かせて貰うぜィ」ジトー・・・ニヤリ・・・

709 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 20:22:16.52 ID:bFHl++E20
 ―――とある翌々日、PM06:40、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・






誰が如何見ても『拷問』だった。
先程の様にボールが乱射され、香焼が避けて打ち落とす作業に変わりはない。だが立ち位置が決定的に違う。
鋼糸(ワイヤー)の網(巣の中)に嵌まっていた結標は空間移動によって、香焼が立っていた位置に。香焼はその逆。網に絡まった状態。

再度反対側にも網を張ろうとワイヤーをセットしようとするも、早い段階でそれを切られてしまっては無為に終わる。


香焼「ぐっ……ハァハァ」ダラダラ・・・

結標「ホラホラ! 止まったら当たるわよ!」シュッ・・・

香焼「ッ! くっ……っそ」グルンッ・・・バッ!!


確かに、攻撃が当たらなければ結標にも勝ち目は無いのだが、それも時間の問題。
常時全力で動いている香焼のスタミナは限界に来ている筈。加え、魔力も殆ど残っていない。


結標「いい加減、攻撃してきたら如何? ナイフ、まだ沢山余ってるんでしょ?」ニヤリ・・・

香焼「…………、」タタタタッ・・・

結標「不利になると話さない、かぁ……器が知れるわね」フフフ・・・


香焼は攻撃しない。だがその理由は彼が『甘いから』の他に、もう一つだった。
放ったダガーナイフを彼女が座標移動させる可能性がある。それがもし自分の方へ返されたらボールとは違い……致命傷になる。
加え、とんでもない方向に移動させられて、間違ってギャラリーに当たる最悪の場合も考えられる。

故に……如何しても、接近戦で片を付けたいのだ。


香焼(だけど……近付けない)ダラダラ・・・


近付けば、自分自身が飛ばされる。自分が張った動き辛い網の方へ戻される。


姫神「……自分で。自分を。苦しめた結果」ジー・・・

直井「しかし、勝算が無い訳ではない様だ……現に、ボールを見れば分かる」ジー・・・

立華「……ナイフで裂ける類の玉は、壊して回ってるわね」コクッ・・・


空気を入れるタイプのボールは殆ど裂き墜としている。
ただボーリングの玉やゴルフボールなどはまだまだ残ったままだ。だが……それで十分。


香焼「っ……ぐっ!!?」ゴンッ・・・

結標「あら、ボーリングの玉に当たっちゃった?」ニヤリ・・・

香焼「ゲホゲホッ……ごほっ」ヨロヨロ・・・

結標「大丈夫? お腹直撃したように見えたけど」フフフ・・・

香焼「はぁはぁ……っ……まだ、動ける」ギッ・・・

結標「ふふっ……その目、嫌いじゃないわ」

香焼「っ……もう……ボールは、殆ど無いっす」ジー・・・

結標「だから? 後は貴方のスタミナ切れを待てば私の勝ちよ」ニヤリ・・・

香焼「それは……自分も同じっすよ」グイッ・・・


結標とて、能力を多用すれば疲れる筈。現に一度『単体ジャンプ』をした時点でかなりの精神力を削った。
しかしそれでも……香焼の方が厳しい状況下に置かれていた。

710 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 20:52:59.86 ID:bFHl++E20
優勢になった自分達のリーダーの活躍に声援も大きくなるギャラリー。
だが、数名……中でも一人……いい加減にして欲しいと冷ややかな目でこの決闘を見遣っている。


固法「…………、」ジー・・・

音無「ん……まぁ、その……なんだ」チラッ・・・

固法「馬鹿ね……ふざけてる」ジー・・・

音無「確かに、風紀委員のアンタからすりゃそうだろう……俺も実際、こういう馬鹿な騒ぎは好きじゃないよ」コクッ・・・

固法「…………、」ジー・・・


審判を任された後輩を見る。何故、彼女は止めない。


白井「…………、」フンッ・・・


そんな先輩の視線に気付かない訳がない。今すぐ止めろとでも言いたそうな目。
しかし……それは無理な相談だ。今止めるのは些か野暮だし、それに……自分はあの少年を好かない。


白井「彼は……自分に制限を掛けて、その状態を本気と謳い……それで負けて後悔するタイプですわ」ジトー・・・

椎名「浅はかなり」ジトー・・・


半ば呆れた目で決闘を見守る……ふと、彼の側頭部にゴルフボールが当たった。
軽い脳振頭を起したのだろう。その場に膝をついた。


結標「……審判。そろそろ、じゃない?」チラッ・・・

直井「……彼次第ですね」コクッ・・・

香焼「ハァ……ハァ……っ!」ギロッ・・・

白井「……続行ですの」ハァ・・・

固法「っ!! 白井さん! 止めなさい!!」バンッ!

白井「先輩……口を出さないで。見たくなければ外でお待ちを」コクッ・・・

固法「っ……姫神さん!」ギリッ・・・

姫神「戦ってもらう。勝って貰わなきゃ。困る……それに。彼は。本気を出してない」ジトー・・・


故に、結標は……姫神は腹が立つ。


香焼「げほっ……本気、っすよ」ヨロヨロ・・・

結標「……これ以上は、死ぬわよ」ジトー・・・

香焼「淡希さんこそ……本気、出してないんじゃないっすか」ゲホゲホッ・・・

結標「ええ、出す必要がないもの。私達の差は歴然じゃない」ジー・・・


持久戦になれば、魔力とスタミナを酷使させる香焼が不利に決まっていた。


結標「もしかして、まだ私と接近戦出来るかも……とか思っちゃってるの? しないし、させないわよ」フンッ・・・

香焼「…………、」ダラダラ・・・

結標「香焼くんはこのまま逃げ回り、そんでボールでフルボッコ喰らって……疲労困憊満身創痍で負けるのよ」フフフ・・・

香焼「……負けません」グッ・・・

結標「吠えるわね……そろそろ、流石にウザいわ」ジトー・・・


香焼が結標に取り付く。そうすれば形勢逆転……だが、そうする為には色々エネルギーが足りない。

711 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 21:26:48.72 ID:bFHl++E20
魔力が欲しい。体力は魔力で補える。痛覚や疲労を遮断し、身体を酷使すれば良いだけの事。

天草式の術式は『マナ』を『オド』に変換させる事を得意とする。だがそれは特定の条件を揃えてこそである。
正直、この廃屋は『マナ』が溜らない。故に、少ない『オド』のみで戦わねばならないのだ。


直井「まな? おど? ふむ……RPGの様な事を考えてるのか」ポカーン・・・

姫神「だから。幾ら頭の中を読んでも。私達には理解出来ない……え?」キョトン・・・

直井「如何した?」チラッ・・・

姫神「オド……魔力切れ。か」ジー・・・

立華「まりょくきれ?」ポカーン・・・


短い期間だが、アウレオルスと過ごしていた姫神には魔術の基礎的な知識はある。
『マナ』と『オド』は基礎中の基礎。彼がそれを考えてるという事は……答えは一つ。ガソリンが足りないのだ。


姫神「仕方ない……セコンドとして。働くしかない」スッ・・・

直井「え? ひ、姫神さん?! 何処へ?」ポカーン・・・

姫神「審判。淡希。タイム」テクテク・・・

一同『え?!』ギョッ・・・


立ち上がるなり、有無を言わさず決闘の最中に歩み寄る姫神。一同総キョトン。


結標「ちょ、秋沙!? アンタ何してんの!?」タラー・・・

姫神「タイム。セコンドとして働く」チラッ・・・

結標「い、いやいやいや……直接出向くセコンドとか馬鹿じゃない!?」ギョッ・・・

姫神「別に。攻撃したきゃ。していい」テクテク・・・

結標「うっ……い、良いわ。そのくらいのハンデ。さっき私も奏に助けられたし」タラー・・・


あまりに非常識。突飛押しも無さ過ぎる行動に審判も戸惑う。だが誰より戸惑っているのは……香焼。


香焼「っ……姫神、さん」チラッ・・・

姫神「無様……情けない」フンッ・・・

香焼「……これが、自分の戦いっす」グッ・・・

姫神「それは独り善がり。『俺カッケー!』で済ませてるだけ。貴方以外誰も納得しない戦い」ジトー・・・


だが……譲れない。


姫神「頑固過ぎる……まぁ良い。勝算。ある?」ジー・・・

香焼「……近づければ」タラー・・・

姫神「それが出来ないのは。周知の事実。誰が見ても分かる。どうやったら。それが出来るのか。聞いてる」フンッ・・・


魔力が欲しい。もう一度、七教七刃を放てれば……或いは。


姫神「魔力があれば。攻撃する?」ジー・・・

香焼「……彼女自身には当てません。でも、それで近付ける筈」コクッ・・・

姫神「もし。近付けなかったら……魔法なり。ナイフなり。何使ってでも。勝ちなさい」ジー・・・


何を言ってるのか……理解できない。

712 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 21:38:32.03 ID:bFHl++E20
大体、魔力が無いから困ってるのに、その問いかけは―――


姫神「黙れ」ゲシッ!

香焼「ゲフっ!? がぁッ!」ゲホゲホッ!

一同『っ!?』ギョッ・・・


―――……突然、僕の喉に手刀を入れる姫神さん。


結標「ちょ、あ、秋沙!?」タラー・・・

姫神「淡希。今。戦わせるから。待ってて……っ」ガリッ・・・

固法「ひ、姫神さん!?」ギョッ・・・

立華「自分の指を……噛んだ」タラー・・・


指から血が出ている。そして―――


姫神「マジカル……どーぴんぐっ!!」ゲシッ!!

香焼「ゴボぉッ!!?」ブチュッ!!

一同『はぁ!?』ギョッ・・・


―――血が流れている指を、香焼の口の中にブチ込んだ。


結標「な、何してんのよ!?」アタフタ・・・

白井「あ、新手のプレイですか?」タラー・・・

岩沢「随分と、まぁ……危ないアレだねぇ」タラー・・・

ゆい「先輩、ああいうのってカニバリズムって言うんですよね?」チラッ・・・

日向「い、いや、違うと思うぞ」タラー・・・

遊佐「……吸血プレイ」ジー・・・


全員ドン引きしていた。


姫神「……させとけば良い。貴方だけ。この行為の意味が。分かれば良い」タラー・・・

香焼「っ」グッ・・・


口の中に、血の味が広がる。


姫神「香焼くん……1滴。数百万円。分かってる?」ニヤリ・・・


やっと、意味が分かった。


姫神「そう……じゃあちゃんと。舐めなさい。負けたら。借金数億」フフフ・・・

香焼「はい……ありがとう、ございます」チュウッ・・・

直井「え……うぇっ?!」タラー・・・

立華「何か分かった、の……って、あぅ?!」タラー・・・///


ドン引きからの……驚愕恐怖。
強引に突っ込まれた姫神の指を……いつの間にか、従順に……吸っていた。

713 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 22:36:54.09 ID:bFHl++E20
  <回想>


ステイル「―――『吸血殺し(ディープブラッド)』の血?」ジー・・・

サーシャ「ええ。第一の興味です。非常に考え深い」チラッ・・・

ステイル「ふむ……言葉通り、吸血鬼・吸血種を殺す血だ。その吸血鬼が居るか居ないかとかの問答は勘弁してくれよ。ややこしい」コクッ・・・

サーシャ「第一の補足です。『吸血種(ヤツら)』については、英国の人間よりイタリアの人間に聞いた方が良いでしょう」チラッ・・・

アニェーゼ「トップシークレットですよ。てか、サーシャ……そっちについては色々知ってんでしょう?」ニヤリ・・・

サーシャ「……さぁ」フフフ・・・

ステイル「やれやれ……話はそれだけか?」チラッ・・・

サーシャ「あ、では第二の疑問です……彼女の血を、正常な人間が吸った場合は如何なるのでしょうか?」ジー・・・

ステイル「如何もならん。感染症の危険があるだけだ。あ、梅毒とかエイズじゃないぞ。彼女はそういう病気は持ってない」コクッ・・・

レッサー「あららん? 主教補佐殿は何でもお見通しですかぁ? 3サイズとかも知っちゃってるんですかぁ?」ニヤニヤ・・・

ステイル「知ったから何だ。興味無い……あ、アンジェレネ。そんな目で見るな」サラッ・・・

サーシャ「ふむ……では第三の疑問です」ジー・・・

ステイル「まだあるのか?」タラー・・・

サーシャ「多分、ラストですよ……その血を我々魔術師が飲んだら、如何なるのですか?」ジー・・・

アンジェレネ「か、カニバリズムですか?」タラー・・・

サーシャ「いえ、そういう考えではなく……マグヌス?」ジー・・・

ステイル「……それは多分、アウレオルスが試した手だろうね」コクッ・・・

アニェーゼ「例の、黄金錬金?」フム・・・

レッサー「だろうねって、随分あやふやな答えですねぇ。聞き出して無いんですか? それか実験したりとか」ジー・・・

ステイル「聞き出す前に記憶を消した。加えて、彼女の血で実験だの何だのしようとすると、五月蠅い輩が居るからな」ハァ・・・

アンジェレネ「あはは、なるほど……確かにグーパン喰らっちゃいますね」タラー・・・

サーシャ「では……第四の質問です。マグヌス、貴方の仮説を聞かせて下さい。多分私と同じだと思いますが、一応」チラッ・・・

ステイル「……彼女の『血』は、僕ら魔術師にとって劇物だろうね。仮説としては3つか」コクッ・・・

サーシャ「まず、魔力の塊である……これは私も同意見です」コクッ・・・

ステイル「ああ。神秘性の高い彼女の血は、例え1滴であっても、莫大な魔力値を表すだろう……という仮説1」フム・・・

アニェーゼ「ま、マジですか? それが本当なら色んな魔術師から狙われますよ」キョトン・・・

ステイル「劇物だと言っただろう……起源からして人間の血とは違う。それを人道ならざる魔道の魔術師が吸う」コクッ・・・

レッサー「え……ま、まさか魔力のオーバーフローで死ぬ、とか?」アハハ・・・

ステイル「有り得なくもない。それが仮説2……そして魔術師が吸った場合、最悪『死徒』化。これが仮説3だ」タラー・・・

アンジェレネ「そ、それじゃあ吸血殺し自体が死徒って事になっちゃうんじゃ」タラー・・・

ステイル「いや、分からない。正直、彼女の血は謎が多過ぎる。それを詳しく調べた筈の魔術師は……既に廃人さ」ハハハ・・・

サーシャ「第一の常識ですが……体液交換は魔力を満たせる。相手が魔術師じゃなくとも、然り、と」フム・・・

ステイル「故に、神裂やシルビアら聖人。それから異様な魔力(神の力)を有するサーシャ自身の血……あとは……ふむ」ジー・・・チラッ・・・

アニェーゼ「うっわぁ……今絶対エロぃ事考えやがりました! 変態! 変態主教補佐! セクハラです! こっち見んなってんです!」ジトー・・・

ステイル「喧しい。貴様が変態だ……まぁ何だ。貴様の血も『鍵』の素質がある為、神秘性は高い……つまり」コクッ・・・

サーシャ「第一の解答です。神秘性の高い体液(血)=高魔力の塊=『吸血殺し』も然り、ですね」フム・・・

ステイル「そうなるだろう。ま、そんなに単純な話じゃ済まない筈だが……一時でも、魔力は満タンになる筈だよ―――」


  <回想終了>
714 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/23(金) 23:49:28.95 ID:bFHl++E20
どのくらい、そうしていたか分からない。

どのくらい、それを傍観していたか分からない。

どのくらい、その行為を続けていたのかは分からない。


結標「ちょ……あ、アンタ達」ダラダラ・・・///


止めようと思った。だけど誰も、その異常な行為を止められない。


香焼「ん……ぁ……ぅ」レロ・・・チュプッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・


艶かしい音が響き渡る。少年が少女の指を舐め、指から滴る血を啜る。
まるで、赤子が母親の母乳を欲する様にも見え……映画で見る吸血鬼が婦女の首筋から血を吸う様に見える。


姫神「……んっ」ピクッ・・・

香焼「あ……んぅ……あぁ」ジュル・・・チュルルッ・・・


因みに、ギャラリーは唖然としつつも……如何しても見てしまう。


ゆい「ほ、ほわぁ……何なんですか、あれ」カアアァ///

日向「ゆ、ユイ! 見るな!」アタフタ・・・///

高松「な、何してんだよ、あれ……戦いの最中だろ」タラー・・・

さわ子「うわぁ……エっロぃわね」ジー・・・///

松下「……竹山。何で録画してんだ?」チラッ・・・

竹山「先程から録画してましたよ……まぁアレです。不可解な行動が起きたので其方を集中的に撮っているだけです」キリッ・・・

野田「不謹慎なヤツ……ってか、オイ! 直井! 椎名! 止めろよ! 審判だろ!」バッ!!


しかし、審判陣も対応に困っていた。


椎名「……淡希」チラッ・・・

結標「と、止めてよ! 私だって意味分かんないんだから」アタフタ・・・

白井「しかし……いや、何とも」タラー・・・

立華「……直井くん。あの行動に意味はあるの?」ジー・・・

直井「……分からない。あるらしい、けど、理解出来ない」タラー・・・


当たり前だ。姫神と香焼本人も、これに意味があるかどうか理屈で分かっていないのだ。
ただ可能性を信じているだけ。そしてその可能性が……確信に変わったからこそ、香焼は舐め続けている。


結標「あ、秋沙! いい加減にしないとボーリングの玉ぶつけるわよ!」ムキー!

姫神「……香焼くん。そろそろ。良いんじゃない?」チラッ・・・

香焼「あ……はぃ」ヌチャ・・・ハァハァ・・・


血と涎が混じり、糸を引く。姫神は急いで指を拭い、常備している絆創膏を指に張った。


姫神「身体に。変化は無い?」ジー・・・


今の所は無い。口の中が鉄臭いだけだ。それにしても……甘ったるい感じがした。何となく、吸血鬼がやみつきになる理由が分かる。

715 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 00:07:53.40 ID:LeAx7eMv0
身体の疲れは取れていない。だが、やはり……魔力値に変化があった。


姫神「……どのくらい溜った?」ジー・・・

香焼「多分……満タンっす。オーバーフローしそう」トローン・・・

姫神「そ。相性が良かったみたい」フフフ・・・

香焼「あ、相性?」ポカーン・・・

姫神「アウレオルス(あの人)が言ってた事だけど……吸血者の起源に。少しでも吸血に関する事があれば。灰になる」ジー・・・

香焼「っ!?」ギョッ・・・

姫神「アウレオルスは。試しに少し吸った……今の貴方と同じ反応だった」コクッ・・・


なるほど……危険な賭けだったのか。


香焼「って……それ分かってて無理矢理血を吸わせたんすか!?」ギョッ・・・

姫神「ウジウジしてた罰。でも。結果的に大成功」ヴイッ!

香焼「…………、」サー・・・


一気に血の気が引いた。


姫神「それじゃあ……ブチのめしなさい」チラッ・・・

香焼「え……あ」キョトン・・・

姫神「そういう『契約』。破棄したら。この事。土御門くんに告げ口するから」ジトー・・・

香焼「へ……えぇ!?」ギョッ・・・


それは拙い。第一級の秘匿物たる姫神の『血』を啜ったのだ。それがばれれば……クビじゃ済まないだろう。


香焼「ず……ズルいっすよ!」アタフタ・・・

姫神「何とでも言うといい。とりあえず。これで勝てるんでしょう?」ジー・・・

香焼「……多分」コクッ・・・

姫神「そう……手段は貴方の勝手。でも。さっきみたいに。魔力を無駄にしたら……分かってる?」ギロッ・・・


逃げ続けるのは止めろ、という事。


姫神「……負けたら。あの子の思うが儘。終わる」ジー・・・

香焼「分かってますよ、それくらい」コクッ・・・

姫神「分かってない……そろそろ。あの子を助けなさい。何の為に。私が貴方に賭けたと思ってる?」ジー・・・

香焼「え」キョトン・・・

姫神「多分。上条くんでも無理。あの子を救えるのは。小萌先生と。貴方だけ……だから。賭けてる」グッ・・・

香焼「……何故」キョトン・・・

姫神「鈍感な貴方自身には。分からない……でも。そういう事。私や淡希には。分かる事」コクッ・・・


抽象的過ぎて理解出来ない。


姫神「じゃあ。言葉をぶつけなさい。貴方はそっちの方が。合ってる……セコンドとして。最後のアドバイス」テクテク・・・


よく分からない。だが……出来る限り、戦う。

716 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 00:26:34.35 ID:LeAx7eMv0
姫神さんが所定の位置に戻り、再び、2人は向き合った。


結標「……随分と、待たせてくれるじゃないの。しかも訳分かんないモンを見せつけてくれて」イライラ・・・

香焼「すいません」テクテク・・・


距離にして15m程。審判は再開と見て、全体を見渡せる位置へ移動。


結標「それで、さっきの短時間で何をしてたのかしら? まさか本当に指チュパしてただけ?」フンッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「答えられない、と……まぁ良いわ。言った所でどうせ私にゃ理解出来ないんでしょうから」ジー・・・

香焼「すいません」ペコッ・・・

結標「何で謝るのよ」ハァ・・・


いつの間にかフッ飛ばした筈のブレザーを羽織っている淡希さん。


結標「……今度こそ、まともに戦ってくれるのよね?」ジー・・・


姫神さんの言葉を思い出す。『言葉』をぶつけろ。


香焼「その前に……何故、自分らは戦ってるんすか?」ジー・・・

結標「今更ね。私を無理矢理小萌んとこに戻そうとしてるから、決闘になってるんでしょう」ジトー・・・

香焼「……無理、矢理」ジー・・・

結標「……何よ」フンッ・・・


思い出した。


香焼「……そうか。それが、分からなかった」コクッ・・・

結標「何一人で納得してんのよ……それより、さっさと始めましょう。直井くん、また適当にボール投げて」チラッ・・・

直井「では……これを」スッ・・・


割れたソフトボールの片割れを拾い、上に放った。


結標「悪いけど、私多少キレてるから……さっきより乱射させるわよ」グイッ・・・

香焼「…………、」スッ・・・

結標「……ふんっ!!」シュバッ!!

香焼「―――」グイッ・・・


半球が……―――……落ちた。


結標「テェヤァ……って、あ、れ?」キョトン・・・

白井・椎名「「速い!?」」ギョッ・・・


いきなり横に捌けた香焼。元居た場所に虚しく落ちる硬球ら。そして……網の方に駆け出すと―――


一同『え!?』タラー・・・


―――天井に向かって、駆け出した。

717 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 01:10:38.64 ID:LeAx7eMv0
 <――一方その頃、電磁通行・・・・・>


  カツカツカツ・・・・・


御坂「―――……本当に此処に居るんでしょうね?」ジトー・・・

大山「い、居るけど……穏便にって約束だよ!」アタフタ・・・

御坂「アイツ次第よ。アンタらの話が嘘って可能性だって捨てきれない以上わね」グイッ・・・

入江「ほ、本当だよぉ」タラー・・・

関根「私達、アンタらみたいに卑怯じゃないもん!」アタフタ・・・

御坂「……別に卑怯じゃないでしょ」フンッ・・・

一方通行「卑怯でも何でも良い。さっさと行くぞ」カツカツ・・・

御坂「あ、ちょ……ほら、アンタらもサクサク歩きなさい」ジトー・・・

大山「……はぁ。僕達叱られるかなぁ」タラー・・・

入江「れ、超能力者2人相手に如何しろっていうのぉ?」ハァ・・・

関根「無抵抗無抵抗無抵抗……ひぅ!」ビクッ・・・

御坂「正直に話して何もしなけりゃ気害加えないって言ってるでしょ」ヤレヤレ・・・


 カツカツカツ・・・・・


一方通行「……オイ、どっちだ」チラッ・・・

入江「こ、コートで決闘中だから……上のギャラリー席に行って貰えると助かります」タラー・・・

御坂「じゃあコートで」テクテク・・・

大山「ちょ、待って!」ダラダラ・・・

一方通行「待てコラ」ガシッ・・・

御坂「ぐへっ……は、謀ったわね!? 裏切るの!? この下郎!!」ズテンッ!

一方通行「喧しい……二階行くぞ。案内しろ」チラッ・・・

大山「え、あ、はい」キョトン・・・

関根「あ、待って下さい!」ビシッ

一方通行「あン?」ジー・・・

関根「……そこで、券を」チラッ・・・

 〜〜券売機〜〜

一方通行「……え?」キョトン・・・

関根「遊観料のチケットです。一人100円になります」コクッ・・・

一方通行「……あの、よォ」タラー・・・

御坂「あ、アンタら立場分かってんの!?」ビリビリ・・・

入江「で、でも規則ですし……皆お金払ってますから」コクッ・・・

一方通行「……知らね」カツカツ・・・

大山「ま、待って下さい! 淡希さんに怒られますよ! 百円払えばすぐですから!」アタフタ・・・

一方通行「あのよォ……なああああああああァンでェタカが100円如きでアーダコーダ言われなきゃなンねェンだ!!」ウガー!

御坂「五月蠅いわねぇ。私券買ったから先行くわよ」テクテク・・・

一方通行「ちょ、オマ!? こういう時だけ何故駄々こねねェンだ!? 意味分かンねェ! え? 俺が間違ってンの? は!?」ハァ・・・

718 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 01:36:02.26 ID:LeAx7eMv0
 ―――とある翌々日、PM07:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎横・おんぼろ屋内テニスコート・・・・・





確かに、コート内全てを用いて戦って良いルールだ。
だがそれはあくまで空間(三次元)を使って戦う結標の為に敷かれたルールだった筈。
香焼は平面(二次元)で動き回るモノだと、誰もが思っていた。


直井「―――いや、これは、何とも」タラー・・・

立華「さっきからワイヤーの上走りまわってたとはいえ……これは困ったわね」アハハ・・・


天井。


結標「くっ……考えたわね」タラー・・・

香焼「―――」


鉄骨の上を動き回る香焼。これではボールを乱射出来ない。
有効なのは『体内座標攻撃』だけだが……それは相変わらず避けられる。勘だけで避け切ってるのだから堪ったもんじゃない。


椎名「これでは……チョイチョイ見失うな」タラー・・・

白井「常時彼の位置を把握しているのは透視能力持ってる先輩くらいでしょうね」タラー・・・


彼が移動する時、物音がしないのだ。それだけではない……気配も無い。
これは殺気云々で戦う暗部経験者にとっては辛いところ。


直井「宛ら、忍者・暗殺者(アサシン)だな」フム・・・


何の因果か……土御門や海原に教わった戦い方。


結標「っ……でも、攻撃しないんじゃさっきと同じよ」ギリリ・・・

香焼「―――」


簡単に声を出したり、攻撃してしまっては位置がばれる。その手には乗らない。


姫神「今頃。トラップ作りでもしてる筈」ジー・・・

直井「だろうね」

立華「今淡希に出来る事は……鉄骨の間に無駄撃ちする事くらいかしら」


だが、それも慎重に行わねばなるまい。最悪、ボールが鉄骨の間に挟まってしまって落ちて来なくなる。
そうなると一々面倒な作業を踏む羽目になるだろう。


結標「くっ……じれったい」グヌヌゥ・・・


審判を除けば、フィールドに結標一人。しかも何も起こらない……傍から見れば異様な光景。


一方通行「……何してンだ?」ジー・・・

御坂「さぁ。てか黒子も何してんの? あ、先輩までギャラリー混じってるし」チラッ・・・

一同『え!?』バッ・・・


極自然に、変なの2人(と、首根っこ掴まれてる大山・入江・関根)がギャラリーに混じっていた。

719 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 01:55:18.67 ID:LeAx7eMv0
超能力者二名の乱入。これは色々動揺する。


白井「うぉ!? お姉さま!?」ギョッ・・・

御坂「うぃ」ビシッ

固法「う、初春さん……抑えきれなかったのね」ハァ・・・

結標「ちょ、あ、アンタ!? 何しにきたのよ!!」ダラダラ・・・

一方通行「あン? どの口言うかボケ……無断で仕事休みやがってよォ」ジトー・・・


話がややこしくなる。如何したモノか。


結標「チッ……アンタら、話は後よ! 牛乳眼鏡! あの2人何とかしなさい!」チラッ・・・

固法「はぁ……えっと、何でこうなってるか説明するから」テクテク・・・

御坂「知ってます。決闘でしょう。だったら手は出すような野暮な真似しませんよ」ジー・・・

一方通行「ケッ。随分とまァ殊勝な事言いますねェ。さっきまでのテメェとは思えねェな」ハンッ

御坂「うっさい。私はいつだって優雅でエレガントなのよ」フンッ・・・


白井と固法と第一位が『嘘を言うな』みたいな目で見てる。


固法「……じゃあ、一方通行くんも?」チラッ・・・

一方通行「知ってっけど黙ってみてる必要性が無ェ」フンッ・・・

御坂「バッテリー残ってない癖に」ボソッ・・・

一方通行「ぐっ……ま、まァ精々下ンねェ茶番劇見させて貰うとしますかァ」タラー・・・


結標に視線を降ろす。


結標「……何よ」ジトー・・・

一方通行「いや……何と戦ってンだ?」キョロキョロ・・・

御坂「そういえば、そうね」キョロキョロ・・・

結標「見りゃ分かんでしょ」ハァ・・・

電磁通行「「見ても分からない」」キッパリ・・・


彼女の目の前に『敵』がいません。


固法「はぁ……上よ」クイッ・・・

御坂「え? 上って……何処です?」ポカーン・・・


目視は不可能だろう。今香焼の位置を完全に把握してるのは固法だけ。


結標「うがああぁっ!! いい加減姿現しなさいよ!! これじゃ戦いなんないじゃない!!」ムギギィ!

香焼「……そろそろ、出ますよ」スッ・・・

御坂「おわぁ!? 天井に逆立ちしてるわ!?」ギョッ・・・

一方通行「アレ、お前も俺も出来ンだろ。鉄骨磁石にしたり、重力ベクトル逆にすりゃ可能じゃね」ジー・・・

御坂「あぁ。それもそうね」コクッ・・・


会話の次元が違う。香焼は鉄骨周りに魔力を通した鋼糸を敷き詰めたからこそ、これが出来るのだ。彼らの様に意図も容易く出来たりしない。

720 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 02:37:21.94 ID:LeAx7eMv0
さておき、身を現した香焼へ向けてさっさく一発ボーリング玉をブチ込む結標。
だが、軽く避けるだけで重力落下。地の利は香焼に在る。

それではと、香焼に直接座標を合わせて地に落とそうとしたのだが……天井を走り回り出した。これでは簡単に捉えられない。


結標「あぁもぅ……それでも、貴方が攻撃して来なきゃ何も変わらないでしょう!」ジトー・・・

香焼「ええ……そろそろ、しますよ」ジー・・・

結標「…………、」フンッ・・・


丁度真上辺り。


香焼「淡希さん……自分は、ずっと考えてました」テクテク・・・

結標「何よ今更」シュバッ・・・

香焼「っと……何で淡希さんが逃げたのか」ヒョイッ・・・

結標「……は?」キョトン・・・


意味が分からない。何から逃げたのだ?


香焼「……貴女は今、戦ってる今が楽でしょう」ジー・・・

結標「言いたい事が理解出来ないんだけど……さっ!」ブンッ!!

香焼「ふっと……他の事、考えずに済むから、楽なんでしょう?」カキンッ・・・

結標「……あのさぁ。戦いの最中に、余計な事色々考えてる方が変でしょうに」ジトー・・・


確かに。だが……それだからこそだ。


香焼「貴女は、逃げたいから戦った。月詠さんの事や、土御門から言われた事を考えたくないから戦ってる!」テクテク・・・

結標「……だから、何よ」ギロッ・・・

香焼「それだけだ! それだけなんだよ! 貴女の戦ってる理由は! だから重みがない……だから、戦いたくないんす」ジー・・・

姫神「……だから。躊躇ってた。と」ムゥ・・・


『だから』尽くし。意味の無い戦いが出来ない男。


香焼「貴女だって、この戦いは意味がないって分かってる筈だ!」キッ・・・

結標「でしょうね。決闘なんてモノは、ただの喧嘩の延長みたいなモンよ」フンッ

香焼「違う、そうじゃない……貴女は、本当は何もかも分かってる筈なんす!」ジー・・・

結標「……は?」キョトン・・・


声を荒げる。


香焼「自分の言いたい事は、さっき三人が言ってくれたと思ってた。自分もそれで良いと思ってた」フルフル・・・

結標「……何よ。だから何なのよ」ギリッ・・・

香焼「でも、そうじゃないんだ! 白井さんの時、貴女は『自分が如何したら良いか分からない』から皆で決めるって言った!」コクッ・・・

結標「そうよ。それの何が悪いの」ジー・・・

香焼「良いとか悪いとか、そういうのじゃない……貴女がこの組織に居続けるっていう事自体が答えなんでしょう」コクッ・・・

結標「っ……馬鹿じゃないの」チッ・・・


ギャラリーが首を傾げた……ただし、幹部陣数名は彼の言葉に納得した。

721 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 03:01:13.08 ID:LeAx7eMv0
固法さんが言った……『居場所』の問題だ。
この『チーム』も彼女の居場所である以上、やりたい事だとか何だとかは関係無い。

やりたい事があって行動起こしたら勝手に皆が付いてきた。ただそれだけなら、目的終了と同時に解散させればいい。
だが彼女はしなかった。つまり……このチームを自分の『居場所』と定めたからだろう。

そこに目的だの主義だのは関係無い。そういう意味で、白井さんの訪問は無駄だったと言えよう。


結標「……居る事が、答え? 何それ……訳分かんない」ジトー・・・

香焼「人は居場所に、理由を求めたりしないでしょう……そういう事っす」コクッ・・・

結標「それと、戦いと、何が関係あるのよっ!!」ブンッ!!

香焼「っ……、」クルッ・・・


結標の攻撃は当たらない。彼自身への座標も中々定まらない。


香焼「月詠さんの下に、帰りたくない……そんなの嘘だ」ジー・・・

結標「っ……黙りなさい」ギロッ・・・

香焼「土御門から言われて……それを切っ掛けに、貴女が誇大解釈してしまった……姫神さんが言った様に、確かにこれは呪いだ」ジー・・・

結標「黙れっ!!」ブンッ!!

香焼「黙りませんよ!! 貴女の善意とやらは、誰も幸せにならない!!」スタッ・・・

結標「五月蠅あああああぁい!!」ガガガガッ!!


最早ボールだけではなく、其処ら辺に落ちてるモノを乱射させる。


香焼「自分が居なくなれば最善? 月詠さんの負担が減る? 自分が我慢すれば良いだけの事?」スタタタ・・・

結標「五月蠅いのよ!! 関係無いでしょう! 私が居なくなって、小萌が新しい居候を見つける……これで万事解決じゃない!」グググッ・・・

香焼「ありますよ! 如何してそういう極端な……直線的な考えしか出来ないんすか!!」シュバッ・・・

結標「だって……私は邪魔なのよ!! 私が居なきゃ小萌は!!」グッ・・・


姫神「……小萌先生は?」ジー・・・


結標「小萌、は……楽に」タラー・・・


姫神「彼女は。泣いてる」ジー・・・


結標「それは、一時、で」タラー・・・


姫神「今でも探し回ってる。多分。貴女を見つけるまで。ずっと」ジー・・・


結標「でも……次の子を、見つけたら、私は、お払い箱に」グッ・・・


姫神「ならない。先生は。そんな中途半端な事はしない。少なくとも。一度に3人4人は預かる」ジー・・・


結標「…………、」ピタッ・・・


姫神「貴女の。自分が本当にやりたい事を。見つけるまで……先生は。貴女を見放したり。しない……いえ。出来ない」ギロッ・・・


結標「……ぁ」ジー・・・


彼女の動きが……止まった。仕掛けるなら、今しかない。

722 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 03:31:08.12 ID:LeAx7eMv0
瞬時、香焼は結標の真上から飛び降りた。


立華「っ! 淡希、真上!!」バッ!

結標「え、あ……っ!!」ブンッ!!


急いで彼を転移させる……が距離感が掴めない故、座標が固定出来ない。
やっとの思いで移動させたと思いきや……飛んだのはパーカーだけ。


結標「良―――くっ!!?」ギョッ・・・

立華「淡希! 逃げなさい!!」タラー・・・

香焼「遅いっ!!」スタッ!!


完璧に手の届く位置。これなら掴める。


結標「嘗め……るなぁっ!!」ブンッ!!

香焼「…………、」カキンッ・・・

結標「あ……っ!!」グッ・・・


警棒代わりにもなる軍用電灯(ライト)をナイフで弾き飛ばす。
結標は急いで格闘に移ろうとしてが……もう遅い。

羽織っているだけのブレザーを器用に掴まれ、そのまま手も出せず大外刈り。


結標「ぐっ!!」ドスンッ!!

香焼「審判! 自分の勝ちだ!」チャキッ・・・


彼女に跨り、首元にナイフを立てる。


白井「……私は、決定打かと」チラッ・・・

椎名「……同じく」コクッ・・・

直井「……立華(セコンド)」チラッ・・・

立華「……彼女次第よ」ジー・・・

姫神「ええ。あの子はまだ負けてない……第一。これ以上。香焼くんが攻撃しないって分かってる」フンッ・・・


香焼のセコンドたる貴女が言うか、みたいな目を向けられた。


結標「っ……刺しなさいよ。多分私が怪我の一つでもしない限り、止めないわよ……ふんっ」ギロッ・・・クイッ・・・

香焼「動くな……これは殺試合じゃない。だからもう終わりっすよ」ジー・・・スチャ・・・

結標「動くわよ。刺さないって分かり切ってるもの……ほらっ」ブンッ・・・


香焼に直接、体内座標攻撃を仕掛ける。結標の跨った状態では避けようもあるまい。だが彼は大きく避け……態勢を整えた。


結標「良いの? 簡単に逃がしちゃって」フンッ・・・

香焼「良いんすよ。逃がしてませんから」クイッ・・・

結標「え……きゃあぁっ!!?」ゴロンッ!!

野郎共『おおおぉ!?』ギョッ・・・


突如、結標が『蝦剃り』体勢になった。よくよく見ると鋼糸で身体を縛ってある。
胸とか尻とか、非常に際どい状態……ついでに野郎共も視線釘付け状態。

723 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/24(土) 04:59:00.77 ID:LeAx7eMv0
 ねむ、い


             うま


724 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 10:53:41.79 ID:qa6K7ozAO
なんか姫神にイラッときた
725 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 13:06:50.77 ID:A2+dly7Io
なんか最近こんなんばっかだから
久しぶりにほのぼの?とした奴が見たくなってきた
726 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 14:22:43.70 ID:SdPHhQano
電磁通行がほのぼのしてんじゃんww
あわきんおっぱい期待
727 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/24(土) 20:15:48.24 ID:LeAx7eMv0
こんばんわ・・・バイト前まで書こうかな・・・
728 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 20:47:01.89 ID:LeAx7eMv0
鋼糸が結標の身体に巻き付く。引き離そうとしても、並の力で引き千切れるモノではない。
日頃、馬鹿姉達を縛っている(?)香焼にとって捕縛術はお手のモノだ。


結標「ちょ!? や、止めて……解きなさいよ!」アタフタ・・・///

香焼「解きません。降参して下さい」グイッ・・・

結標「ひゃぁ!!」ギュウゥ・・・


動けば動く程に絞まっていく。純粋な技術たる捕縄術と、魔術たる拘束術式(バインド)の二枚掛け。


高松「き、際どい……サラシ、ずれてないか?」マジマジ・・・

松下「うらやま……けしからん!」フンヌー!

野田「こ、ごらあああぁっ!! 糞ガキいいぃ!! あわきんに何て真似してくれてんだああぁ!!」ギラギラ・・・

日向「……竹山。後で焼いたの回して」ボソッ・・・

藤巻「俺も……幾らだ?」チラッ・・・

竹山「一枚2,500円で如何です?」キランッ・・・

ゆい「死ね!! 先輩、死ね!! 13回くらい死んでください!!」ゲシゲシッ!!

TK「It's Fantastic!!」カシャッ!

さわ子「こらあぁ! 野郎共! 見てんじゃねぇ!!」ガンッ!!

音無「いや、まぁでも一応戦いだしさぁ」ポリポリ・・・

岩沢「音無……奏と直井が睨んでるよ」タラー・・・


何故か上が騒がしいが……無視無視。そろそろ降参して欲しいのだが。


香焼「……淡希さん、お願いします」コクッ・・・

結標「く、ぁ……い、やだ」ギュウウゥ・・・

香焼「……絞めますよ」クンッ・・・


肉を切らない寸前の所まで締上げる。同時に、淡希さんの悲鳴が上がった。


白井「……エグい真似を」タラー・・・

椎名「三本のワイヤーで『小目掛け』と『直伸腕縛り』か……逃れられまい」フム・・・

直井「……終わったな」コクッ・・・

姫神・立華「「…………、」」ジー・・・


脱出は不可能。刃物無しじゃ五和だって逃げ切れない。


御坂「えっと……SM勝負だった、とか?」モジモジ・・・///

一方通行「……なァ。コイツって基本こうなのか?」チラッ・・・

固法「えっと……たまーに、何処か抜けてるとこはあるけど」アハハ・・・

一方通行「あっそ……まァしかし、茶番だな」フーン・・・

固法「……そうかもね」ハァ・・・

御坂「真面目な話、色々疑問があるんですけど……香焼くんって、あんなに強いの?」ジー・・・

固法「……良く分からない。でも、考えは改まったかも」ジー・・・


流石、神裂の弟分。ギリギリの戦いではあったが、並ではないという事だろう。

729 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 21:20:56.52 ID:LeAx7eMv0
結標の悲鳴が上がる中、三人の審判が顔を合わせる。
香焼に攻撃する気が無いとはいえ、これは如何見ても結標の戦闘不能状態。結果は見えた。


直井「立華、良いね?」チラッ・・・

立華「……むぅ」ジー・・・

姫神「私も……腑に落ちない。でも……仕方ない」ジー・・・


姫神は未だに、香焼の甘っちょろい考えに賛同できない。
立華は立華で考える所がある。


香焼「……審判!」ギロッ・・・

白井「ええ。私は認めましょう」コクッ・・・

椎名「同意」コクッ・・・

結標「ま、だ……よっ!!」ンギギィ・・・

直井「結標……君はもう戦闘不能だ」ジー・・・

結標「まだ、よっ!!」ギチギチ・・・


無理矢理捕縛から逃れようと全身に力を込める。だが、虚しくも、それは痣となるだけ。
少年の顔は至って真剣。こんなもので、こんな形で、負ける……これで、負けるのか。
ふと……顔を上げた。そして……とある顔が目に入った。


一方通行「―――」ジー・・・


見下した目。短く口が動いた。


結標「な……『情けねェな』……ですって……ッ」ギリリ・・・


確かに、此処までの流れを見ていない彼にとって……結標の今の姿は無様に他ならないだろう。
いや、結果そうなったのだ。無様以外の何物でもない。


結標「っ……、」スゥ・・・

香焼「ん……諦めてくれましたか」ジー・・・


急に大人しくなる結標。だが、言葉を発するまで縄は解かない。


結標「ええ……そうね……私が馬鹿だった」コクッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「ほんとは、全部分かってた……私は小萌から離れたくないんだって事」ボソッ・・・

固法「……結標さん」ジー・・・


本音の吐露。


結標「でもね、土御門(アイツ)の言ってる事は正しいのよ……所詮、私は日蔭者。小萌は真逆の指導者さん」ジー・・・

香焼「だから、相容れないと? それは違う……分かってる筈だ! 現に貴女は今まで過ごせて来れた!」ギリッ・・・

結標「ええ。でも『最悪』が無いとも限らない」チラッ・・・

御坂「アイツ……馬鹿ね。貴方に何かを求めてるわよ」チラッ・・・

一方通行「……俺はそンなに甘かねェよ」ジトー・・・


日向だとか日陰だとか、そう考えだした時点で……その人の人生はマイナスへ向かってしまう。
730 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 21:46:05.62 ID:LeAx7eMv0
つまり、この論争に『悪』は居なかった。ただ『迷い』だけがあったのだ。
本音が正しいとも限らない。正論で納得出来る訳じゃない……だからこそ、この戦いで答えを出して貰いたかった。


姫神「他力本願……でも。それしか方法を知らない。いや。その方法すらも。踏ん切りが付かなかった」ジー・・・


だからこそ、姫神は煽った。発破を掛けたのだ。


結標「でもね……私にとって、此処も居場所なのよ」ジー・・・

メンバー『…………、』コクッ・・・

香焼「それは……分かりました」ジー・・・


結束は固い。メンバーの支えが結標である以上、それを無理矢理奪おうとは思わない。


香焼「だけど、それとこれとは別っす! そのくらいの理解はあるでしょう」コクッ・・・

結標「…………、」チラッ・・・


誰も、結標を拘束したりしない。


日向「……別に、淡希の住む場所まで指定出来ないよ」コクッ

岩沢「ま、元々自由気ままなヤツだってのはメンバー全員把握済みさ」フフッ

野田「ずっと此処に居てくれるならそれに越した事ぁ無ぇけどよ……それがあわきんの本心じゃねぇなら何ともなぁ」フンッ 


全員が頷く。


音無「淡希。お前の好きにしろ。こんな時まで適当なメンバーだが……お前が本心で動かない方がもっと嫌だぞ」コクッ・・・

立華「誰も貴女を縛ってない。自分を縛ってるのは自分、でしょ」フフッ

結標「……アンタ達」ジー・・・


要するに……戻りたい場所に帰れ、と。


結標「ったく……薄情モンね」フフフ・・・

直井「僕らは端っから拘束してる気は無かった。分かってるだろう? まぁ君も君で優柔不断が過ぎるけどな」クスクス・・・

香焼「……良い仲間じゃないっすか」フフッ

結標「……当たり前でしょう。誰がリーダーやってっと思ってんの」ニヤリ・・・

香焼「そうっすね……じゃあ、決着という事で―――」

結標「あ、それはヤダ」キッパリ・・・

香焼「―――……は?」キョトン・・・

一同『え?』ポカーン・・・


この期に及んで何を言う。


結標「……負けるのは、嫌よ」フンッ

香焼「で、でも……審判が」チラッ・・・

結標「……帰ってやるけど、でも負けんのはヤダ」ジトー・・・

香焼「えー」タラー・・・


何その我儘。というか無駄な足掻きすら出来ない状態でよくそんな事をほざくものだ。

731 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 22:21:09.86 ID:LeAx7eMv0
もはや戯言にしか聞こえないが、話は続いた。


結標「……貴方は甘いわ」ジー・・・

香焼「負け惜しみにしか聞こえないっす」ジー・・・

結標「そうね。実際私はこうやって捕まって行動不能……でも、これが窒素装甲にも通じる?」ジー・・・

香焼「……関係無いでしょう」チッ・・・

結標「いいえ。アイツはこのワイヤー程度、引き千切れるわ」コクッ・・・

香焼「……関係無い」ギリッ・・・


最愛は、関係無い。


結標「……今のままでは、貴方はアイツにボロ負け。それで終わりよ」コクッ・・・

香焼「そんなの、分かりませんよ」ジー・・・

結標「分かるわよ……あの姉の下に居続ける限りは、その甘さは拭えない」フフッ・・・

香焼「それこそ、関係無いっす!」ギリッ・・・

結標「貴方は、やっぱり私の下で戦うべきよ」ジー・・・

香焼「お断りします」キッパリ・・・

結標「矯正が必要だって、自分でも分かってるんじゃない?」ジトー・・・


必要無い。僕はこの教義を完(まっとうする)。


結標「……無理矢理でも、そうさせなきゃ駄目ね」チラッ・・・

香焼「貴女は既に負けてるんだ。その条件は当て嵌まりませんよ」フンッ

結標「……そう」ハァ・・・


ふと、セコンドサイドの方を向いた。


結標「……奏」チラッ・・・

立華「……これ以上は危険よ」ジー・・・

結標「だから……後は任せる」コクッ・・・

立華「はぁ……好きになさい。皆は私が守ってあげるわ」フフフ・・・

結標「あんがと」ニヤリ・・・


何を―――


結標「最後の悪足掻き(テスト)よ……私を倒しなさい……ッッッ」グッ・・・


―――消えた。


白井「っ!? まさか!?」ギョッ・・・

一方通行「……ほォ」フーン・・・

御坂「え……嘘!? アイツ飛べるの!?」ギョッ・・・

固法「に、2回目をするの!?」タラー・・・


何処に消えた?

732 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 22:35:27.35 ID:LeAx7eMv0
一寸の間……そして―――


結標「―――お望み通り、格闘してあげるッ!!」ゲシッ!!

香焼「ぐっ!!」ゴンッ!!


―――二回目の空間移動(テレポート)。かなりの負担が掛る筈。
にも拘らず、初撃を放った後……また飛んだ。


香焼「……っ!!」ゴキッ!!

結標「―――遅い!」ブンッ!!


三回目。傷口(左脇腹)を蹴られた。


姫神「……空間移動の乱用。大丈夫?」チラッ・・・

直井「拙いよ……トラウマというモノは完全に克服できるモノではないからな」タラー・・・

立華「……直井くん。私そろそろ動くから、後よろしく」スッ・・・

直井「乱雑解放(ポルターガイスト)、始まったか」ジー・・・


四回目、五回目の空間移動……と同時に、周囲のモノが不規則に動き出した。


香焼「っ!? あ、淡希さん! 止めて下さい!! 危険っす!」グッ・・・

結標「―――ッ……黙って……ぅ……戦えっ!!」ゲシッ!!

香焼「チィ!!」グッ・・・


遂に、ボールやら何やらが縦横無尽に浮かび始めた。そして……爆ぜる。


白井「―――ちょ、結標さん! 止めなさい! 周りへの被害が!」シュンッ!!

椎名「っ……大丈夫」チラッ・・・

白井「……え」チラッ・・・


ギャラリーの方を見る。


音無「うをっ!? ボーリングの玉が降ってきた!?」ビクッ・・・

松下「音無! 頭を低くして下手に動くな!」バッ!!

ゆい「流石淡希さん……って、あれ? これ能力じゃないの?」キョトン・・・

日向「ユイ! 危ないから立つな……って、前! 前だ!」ギョッ・・・

ゆい「へ? あ」ピタッ・・・


ゴルフボールの嵐が少女に襲いかかる。が、しかし―――


立華「ディレィ……ディストーション」カキンッ!!

ゆい「……ふぇ?」ポカーン・・・

音無「奏!」チラッ・・・

立華「大丈夫……でも動かないで一ヶ所に塊ってて貰えると助かるわ。守り易いから……ハンドソニック」ザシュッ・・・

音無「お、おぅ……ありがとう」ハハハ・・・


―――純白の翼を生やした少女が、メンバーを守っていた。

733 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 22:58:41.55 ID:LeAx7eMv0
傍から見ていた超能力者2人は、その少女の姿に唖然とする。


一方通行「……あの女、何モンだ?」ジー・・・

御坂「絶対超能力者以上の動きしてるわよ」ビジバジ・・・

固法「確かに気になるけど……御坂さん、器用ね。電磁バリア張りながら会話って」アハハ・・・

御坂「一度張っちゃえばオートなんで……それより、あの子」ジー・・・


肉眼で視認できる動きという事は、単純に高速移動か。
しかし何らかの力場(バリア)やソニックウェーブを発している所を見る限る、普通の能力者ではないと見える。

何より……あの『翼』。


一方通行「……天使、か」ジー・・・

御坂・固法「「え」」キョトン・・・

一方通行「いや……何でもねェ」フンッ・・・


見ていて不可解……そして不愉快だった。


姫神「彼女の御蔭で。淡希は全力を出せるみたい」ジー・・・

直井「ええ。我々の中で、立華は一番強い」コクッ・・・

姫神「……何者?」チラッ・・・

直井「さぁ……だけど、僕らは彼女を『天使』と呼んでいた。彼女はあまり過去の事を話さないからな」ジー・・・

姫神「貴方は。覗かなかったと?」フーン・・・

直井「覗いても……おっと……分からなかった。多分、打ち明けたのは音無さんくらいだろう」フフフ・・・


別にリーダーが最強とは限らない。色々ありつつも、彼女もまた結標を慕う一人のメンバー。ただそれだけ。
さておき……戦っている2人は、時間の問題だった。


結標「―――……ッ」ダラダラ・・・

香焼「ハァ……ハァ……っ」ギッ・・・


ボロボロの香焼。そして嫌な汗を掻いている結標。両者ともにかなりの疲弊。
多分、香焼がこのまま持ち堪えれば結標が勝手に自滅するだろう。しかし捨て身の結標の攻撃は嵐の如くだ。


結標「―――う、ぇ……ッ……いい加減……ナイフ、使いなさいよ」ダラダラ・・・

香焼「っ……必要無いっす」ギリッ・・・

結標「捕まえられないでしょう……っ……私の事」ダラダラ・・・

香焼「……捕まえます」グッ・・・


空間移動というモノは、高速移動と違い『気配』がない。故に動きを読めない。
座標攻撃に慣れている香焼だが、直接身体を打つけてくるヒット&アウェイ戦法は初めての戦いだ。


姫神「……迷っているのは。彼の方」ジー・・・

直井「そのようだ」ハァ・・・

姫神「……私の血が。無駄になるかも」ジトー・・・


この期に及んで尚、手加減……腹立たしい事この上ない。

734 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/24(土) 23:18:19.04 ID:LeAx7eMv0
暫く、結標の尽力空間移動が続く。それが長引く程に乱雑解放が酷くなる。既に建物全体が軋んでいる程だ。
多分香焼は結標の気絶を待っているのだろうが……彼女は気絶してでも、戦い続けるだろう。

見るに見かねた姫神は香焼に檄を飛ばす。


姫神「……淡希は。全力を出してる! 何故貴方は。全力を出さない!?」ギロッ・・・

香焼「ッ……ぐっ……全力……出してます、よ」ヨロヨロ・・・

姫神「嘘! 失礼極まりない。戦い方!」ジトー・・・


武人としてはそうかもしれない。しかし、それでも……僕は武人じゃない。


姫神「淡希の苦しそうな姿と。周りの被害が。分からない?」チッ・・・

香焼「っ」チラッ・・・

結標「―――」ダラダラ・・・


顔色が悪くなっている淡希さん。そして、天井の鉄骨が外れかかってるコート内。


姫神「タイムアップなんて。狙わないで……貴方の手で。引導を渡しなさい」ジー・・・

香焼「…………、」グッ・・・

姫神「目の前に。救いが必要な人が。居る……見えないの!?」バンッ!!


吠えた。珍しく感情的に。


香焼「…………、」タラー・・・

結標「―――ギ……ぁ……ッ」ガンッ!!


最早、何処に空間移動しているかも定まっていない。


姫神「撃ちなさい! 誰も救わぬまま。終わる気なの?!」ギリッ・・・

香焼「ふぅ……っ」スチャッ・・・

姫神「撃てえええぇ!!」ガァアアァ!!

香焼「う……ぁ……あああああぁ!!」グイッ!!


魔力生成の銃剣(バイヨネット)を、構える。


結標「―――っ……撃……ち……さぃ」ボソッ・・・

香焼「っっ!!」スッ・・・

結標「もぅ……甘ちゃん(アマチュア)は……卒業、しよ」クスッ・・・

香焼「い……あ、わき……さっ!!」ブンッ!!


一投。そして―――


結標「―――」ザシュ・・・

一同『っ!!?』ピタッ・・・

香焼「あ……あぁ」ペタン・・・


―――……全てが、止(終)まった。

735 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/24(土) 23:21:10.33 ID:LeAx7eMv0
はい、此処まで。次回で四話終わります。

なんか戦闘でgdgdになったなぁ……ユニコーン見直したのが悪かったと思う。

因みに、五話は『ルチア・浦上・フロリス』話だよ。全然英国編やってなかったからなぁ。


それじゃあ……メリークリスマス。良い夜を! ノシ”

736 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 04:56:11.56 ID:UF224DFDO
乙……撃てませえええぇん、てかww

久しぶりの英国編、楽しみにしてるぜぃ!
737 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 09:31:16.14 ID:854HAbzUo
姫神さんが嫌な方向にキャラ崩壊しまくってんぞ
今んとこ4話が一番微妙かも…
738 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 14:26:52.69 ID:aU+Qy+j3o
上に同意だな
変に戦闘絡ませないで
ほのぼのとした奴をのんびり書いていくほうが>>1にはあってる気がする

あと>>1のエロ描写はちょっと好きだったりする
739 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:27:07.35 ID:QuUh0leAO
乙!
740 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 12:25:03.26 ID:YslRVE5e0
姫神さんマジDQN、つーか基本的に全編通してチンピラが多くて微笑ましい

>>1はそういうの好きなん?
741 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/27(火) 23:00:11.70 ID:zMQgJ9NY0
こんばんわ。ボチボチ投下。


・姫神さんを目立たせたいあまりに変な方向へ行ったのは確かです。だけど……あんまり悔いはない!

・エ、ロ・・・・・・? そんなの書いた覚えないなぁ……

・DQN、チンピラ好きですよ。クローズ系・湘南系とか大好きです。


そんじゃ書きます。

742 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/27(火) 23:20:47.56 ID:zMQgJ9NY0
 ―――とある翌々日、PM09:00、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・







決闘から小一時間後……敗者が目を覚ました。


結標「……ん」スッ・・・

姫神「動かないで」ピタッ・・・

結標「秋沙……えっと、あれ?」キョトン・・・


自分が何故校舎内(此処)に居るのか、何故気絶していたのか分かってない模様。


結標「……負けたのよね」ハァ・・・

姫神「…………、」コクッ

結標「そう……最後の方まったく覚えてない」ハハハ・・・


今淡希さん以外で部屋に居るのは、姫神(私)と岩沢さんと遊佐さんだけだ。
白井さんや固法さん……香焼くん達には別室で待機して貰っている。


岩沢「最後、アンタのセコンドちゃんが止めに入ったのよ」テクテク・・・

結標「え?」キョトン・・・

遊佐「彼が放った短刀が、淡希さんの眉間に刺さりそうになりました」コクッ

結標「……え」ギョッ・・・

姫神「淡希。最後の最後は。乱雑解放(ポルターガイスト)だけ起して。突っ立ってるだけだったから。恰好の的」ジトー・・・

結標「……うぇ!?」バッ・・・


慌てて自分の額を擦る。だが外傷は無い。


岩沢「だから止めに入ったって言ったろ。奏が坊やの短刀掴んで、そんでそのままアンタの事気絶させたのよ」ハァ・・・

結標「か、奏が……そう」タラー・・・

遊佐「あのまま放っておいたら乱雑解放が止まりませんでしたから、正しい判断かと」コクッ

結標「……感謝ね」ホッ・・・


ホッと胸を撫で下ろし、立ち上がろうとする。だが……未だヨロヨロ状態。


姫神「当たり前。疲労困憊。おまけに酷い筋肉痛。暫く能力は使えない」ジー・・・

結標「……歩けりゃ十分よ。皆は何処? 職員室?」チラッ・・・

遊佐「はい。そのまま待っていて貰えれば彼らを呼んできますよ」コクッ

結標「結構。私は敗者でしょう」ヨロヨロ・・・

岩沢「ったく……肩貸すよ」ヤレヤレ・・・

結標「悪いわね」フフッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・


救護室にいた4人全員で、職員室へ移動した。

743 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/27(火) 23:52:52.29 ID:zMQgJ9NY0
一寸後、職員室に移る。何だか異様な空気だった。
超能力者2人と白井さんが来客用の椅子に深々と座り、ピリピリオーラを放っている。
メンバー達が襲ってくるかもしれないと警戒しているのだろうか。誰もそんな気など無いのに……皆怖がって近付こうとしない。

他方、3人に呆れつつ妙にフレンドリーな固法さん。これはこれで違和感がある。


遊佐「失礼します」ガララッ

一同『っ!』バッ・・・

結標「……心配掛けたわね」トコトコ・・・

野田「あ、あわああわあ、あわ、あわあわああわわわわきんっ!! だ、大丈夫なのか!?」アタフタ・・・

結標「多分問題無いわ」ヨロヨロ・・・


主任席に移動し腰を掛け、白井さん達に向き直る。


結標「さ、てと……早速疑問。何でアンタと御坂さんが居るの?」チラッ・・・キョトン・・・

メンバー『っ!?』ギョッ・・・


敢えて誰もツッコまなかった事を堂々と尋ねるリーダーさん。


御坂「何よ? 居ちゃ悪い?」ジトー・・・

固法「悪い」キッパリ・・・

白井「悪いですの」キッパリ・・・

御坂「ぐ、ぬ……ちょ、黒子達は私の味方でしょう!」バッ・・・

固法「私は、命令があるまで、詰所から出るなと……言ったわよね?」ジトー・・・

白井「申し訳ありませんが、今回は弁護する気は毛頭ございませんよ」サラッ・・・

御坂「えっとぉ……うぇい」ダラダラ・・・


何をしに来たのか、まったくもって不明な第3位さん。では筆頭さんは?


一方通行「…………、」フンッ・・・

結標「……笑いに来た、と」フフッ・・・

一方通行「さァ。もう如何でも良い」ボー・・・

御坂「あ、コイツ仕事でアンタが居ないと寂しいから迎えに来たんだってさ」チラッ・・・


場が、凍った。数秒間が空き……ゲンコツ一発。


御坂「痛あああぁいっ!! なぁにすんのよ!」バンッ!!

一方通行「だあああァれがンな馬鹿な事言いましたかァ!?」ギロッ!!

御坂「アンタが言ったんでしょ! 『結標が居ねェと、俺ァ駄目だ……』ってぅ痛たたたたったぁっ!! 抓るなああぁ!!」ムギャー!

一方通行「し・ご・と・が! 大変だっつったンだろォが!! アイツの分まで俺がやらにゃなンなくなっから!」ウガー!

白井「ちょ! お姉さまの柔肌になんて真似を!!」アタフタ・・・

一方通行「テメェもコイツの頬引っ張れ!! 保護者として反省させろ!!」ギュウウゥ・・・

白井「そんな真似出来る筈、が……うわあああぁ! 手が勝手にいいいぃ!! はうわぁっ!!」モミモミモミモミ・・・ゴンッ!!

御坂「何処触ってんのよ変態!!」ゲシッ!!


とりあえず、ラブラブなのか。

744 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 00:22:59.51 ID:4d6+nZOj0
場違いな三人はさておき、淡希はメンバーと固法さんの方に視線を送った。


結標「悪い。負けちゃった」ハハハ・・・

音無「良いよ。別にお前は超人って訳じゃないしな」コクッ

日向「とりあえず、相変わらず強いなってのは思い知らされたけどよ」ハハハ

結標「はいはい……あ、奏。ありがとね」チラッ・・・

立華「ううん。約束通りになっただけ」コクッ

岩沢「約束?」キョトン・・・

立華「もし空間移動(テレポート)を使う事になって『限界』が来たら……皆を守って私を止めろって」ジー・・・


予め空間移動を使わざるを得ない事を予見していたのか。


結標「あはは……因みに、6回までは数えてたんだけど、私何回飛べた?」ジー・・・

立華「11回。随分持ったんじゃないかしら」フフッ・・・

結標「そうね」ポリポリ・・・


トラウマも徐々に軽減してきているらしい。


結標「……さて、そんじゃ本題だけど」チラッ・・・

音無「やっぱ『家』から此処(アジト)に通う、か?」フフッ・・・

結標「ええ、そうさせて貰う。悪いわね」ペコッ

直井「構わないさ。今までだってそうだった。僕達の中にも通いの輩は居る」コクッ

松下「あわきんの好きにしてくれ。な、野田」チラッ・・・

野田「……ふんっ」コクッ

藤巻「良いってよ」クスクス・・・

結標「あらら。野田にまで追い出されちゃったわ」ハハハ


満場一致で『リーダーの好きにしてくれ』だそうだ。相変わらず他力本願なチーム。


結標「ありがとう……あとは、甘ちゃん坊やに……って、あれ? そういえば香焼くんは?」キョロキョロ・・・

姫神「そういえば。此処に入った時から。見てない」ジー・・・

竹山「彼なら電話するといって出て行ってから、戻って来ていませんよ」コクッ

高松「もしかして、あわきんと顔を合わせるのが気拙いから帰ったとか」チラッ・・・

大山「あはは……ありえるかも」タラー・・・


普段の彼ならありえないが、彼女を『殺し損ねた』今の彼なら、それはあり得る。
淡希をふと、固法さんに目線を送った。

彼女は無言で……天井を指差した。


結標「そう……秋沙。悪いけどもうちょい付き合って」チラッ・・・

姫神「……がってん」コクッ

結標「アンタらは此処で待ってなさい。私と秋沙だけで行くわ」テクテク・・・


私達2人は……屋上へ向かった。

745 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 02:58:51.10 ID:BhVE6QGIO
寝落ちかな
746 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 03:16:45.02 ID:4d6+nZOj0
本来立ち入り禁止の屋上。だが、叱るべき大人が管理している施設では無いので、メンバー達が好き勝手出入りしている。
彼も、誰も居なかった此処を見つけ、誰にも聞かれぬ様電話していたのだろう。

しかし煙と何とかは高いとこが好きと聞くが……彼はその何とかだろうか。態々貯水タンクの横まで上がってる。


結標「まったく……何黄昏てんだか」ハァ・・・

姫神「あの子。精神シャープっぽい」ジトー・・・

結標「やれやれ。あそこまで上がるの面倒なんだけどなぁ」ジー・・・

斉藤「能力で引き寄せれば良いだろう」ジー・・・


何か……変な人が居る。


結標「斉藤さん、此処に居たの?」タラー・・・

斉藤「俺はいつも屋上に居るぞ。あ、今はウォッチャー斉藤だから」グッ

結標「はいはい。あー、今からあの子と大事な話あるから中入ってて。人に聞かれたくないの」コクッ

斉藤「承知した」テクテク・・・


変な人。


結標「彼は気にしないで。私もよく分かんないの」ハァ・・・

姫神「はぁ……それより」チラッ・・・

結標「……呼んで、降りてくると思う?」フム・・・

姫神「さぁ。貴女は如何か分からないけど。多分。あの子の中では。気拙いんじゃないかと」ジー・・・

結標「……ったく」スッ・・・


能力使うなと言ったにも関わらず、軍用ライトを取り出す淡希。仕方あるまい。
腕を一振りして……目の前に彼を召喚する。


香焼「―――……ぁ」ピタッ・・・

結標「はぁい……って、もしかして泣いてたの?」タラー・・・

香焼「い、いえ! そんな事……、」グシグシ・・・

姫神「分かり易い子」フッ・・・


淡希と目を合わせず、口も開かない香焼くん。やはり微妙な空気だった。
しかしこのまま黙ってても意味が無いので、近場のベンチに移動し、彼を中心に挟んで無理にでも口を開かせる方針に。


結標「さて……私を迎えに来た筈の貴方が、逆に迎えに来られて如何すんのよ」ハァ・・・

香焼「……すいません」ジー・・・

姫神「淡希。約束通り。帰ってくれるって」コクッ

香焼「……はい」ジー・・・

結標「あのさぁ。気拙いのは分かるけど、アレは止むを得ない事だし、第一、貴方が撃ってなかったら決着どころか被害が広まってたわ」コクッ

香焼「…………、」ジー・・・

姫神「何か言ったら如何?」ジトー・・・

香焼「……何を言ったら良いのか、分かりません」ジー・・・

結標・姫神「「ハァ」」タラー・・・


分かってはいるが、納得できない、腑に落ちないといった不満の御様子。自分で撃ったくせに……この期に及んで我儘な子だ。

747 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 03:49:30.90 ID:4d6+nZOj0
  <香焼side>



言葉が、浮かばない。


結標「勝ったけど、不服?」フム・・・

香焼「……分かりません」ジー・・・

結標「やれやれ。負けた私の立場が無いわね」ハハハ

香焼「……勝ちとか負けとか、そういうんじゃない」ジー・・・


自分でも分からない。
確かに、僕は彼女を止めなければならなかった。結果としてそれは成功した。
だがしかし、それでも……僕は彼女を殺しそうになった。


結標「そりゃまぁ話聞かされた時はゾッとしたわね。まさかヘッドショット狙うなんてね」クスクス・・・

香焼「殺しそうに! なったっす……死にそうになったんすよ」ジー・・・

結標「日常茶飯事よ。実力あって、運が良いから死なないの」フフッ

姫神「運って」チラッ・・・

結標「運よ。廻り合わせ。じゃなきゃ白井さんとか一方通行(アイツ)にあった頃に……いや、研究所居た頃に死んでるもの」フフフ・・・


死生観が、違う。


結標「潔癖症ね。何はともあれ、貴方の勝ち。それで良いじゃない」コクッ

香焼「…………、」ジー・・・

結標「ハァ……『過程』で、私を殺してしまった事を悔いてるの?」

香焼「悔いない筈が無いっす」ボソッ・・・

結標「良く分からない子。海原とか土御門は簡単に殺るわよ。香焼くんも同類なんでしょう?」ジー・・・

香焼「同類なんかじゃない!」グッ・・・


僕と彼らでは志(教義)が違う。


結標「私には違いが良く分かんないけど……不殺(ころさず)ねぇ」フーン・・・

姫神「この子が特例。他の魔じゅ……同類達は。殺しを躊躇わない筈」コクッ

香焼「躊躇いますよ! 躊躇わない訳無いでしょう……少なくとも、姉さん達は躊躇います」ギリッ・・・

結標「貴方が異常なんだと思うわ。仮にも裏の人間なんでしょ」チラッ・・・

香焼「そうっすけど……でも」ジー・・・


裏だから殺しをしなくちゃならないなんて道理は無い。


結標「じゃあ、何故頭を狙ったの?」ジー・・・

香焼「……分かりません」グッ・・・

結標「適当放ったらそうなった?」

香焼「分かりませんよ……自分でも何で足とか肩とか狙わなかったのか、悩んでるんす」ウルウル・・・

結標「……そう」ジー・・・


言い訳になるかもしれないが、我武者羅だった。
何処を狙えば相手が止まるかと考えた時、ふと浮かんだのが四肢動体ではなく……頭だった。ただそれだけだ……それが、問題なのだ。

748 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 04:09:37.27 ID:4d6+nZOj0
咄嗟に浮かんだにしては、危険すぎる思考。まるで土御門や海原さんの様な考え。


結標「そりゃアイツらに師事受けてんだからそうなるんじゃないの?」フーン・・・

香焼「一線は守るって決めていました。彼らに師事を受けつつも、彼らの様にはならないぞって」ギリッ・・・

結標「無理よ。そんな器用な真似出来る訳無いじゃない。アレの師事って事は暗殺者になる為の訓練だもの」コクッ

香焼「それでも……嫌なんす」ボー・・・

姫神「それでもとか。でもが。多過ぎ。人生そんなに。甘くない」フンッ・・・


御尤もだ。しかし、だけど、嫌なモノは嫌なのだ。


結標「……何にしろ、貴方は『処女』を切った。半分だけどね」フフフ・・・

香焼「っ」グッ・・・

結標「その初めての相手が私ってのは、微妙に嬉しいかな……おめでとう。甘ちゃん坊や」クスクス・・・

香焼「……そんな」ギリッ・・・

姫神「淡希。言い方が。卑猥」ジトー・・・


分からない。殺していたのは事実。でも死んでないのも事実。


結標「でも……『死』とか『殺し』が実感出来たでしょう。良い収穫じゃない。私もそれを教えたかったのよ……君にね」ポンッ・・・

香焼「っ……うぅ」ポロポロ・・・

結標「やれやれ。泣くんじゃない」ナデナデ・・・

姫神「どっちが敗者か。分からない」ハァ・・・


僕だって、分からない・勝ったのに負けた気分だ。


結標「本当はこの『実感』をもう少し丁寧に教えたいから、貴方をスカウトし続けてるんだけど……負けちゃったからなぁ」ハハハ

香焼「もぅ……嫌っす」ポロポロ・・・

結標「そうよね。貴方は甘くて……優しいもんね」フフフ・・・

香焼「うぅ……っ……優しく、ない」ポロポロ・・・

結標「いいえ。人を殺して、泣けるって事は優しい証拠よ。染まり切った輩は二度と泣けなくなる」ギュッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・


じゃあ僕は、泣けなくなるのか。


結標「この気持ちを永遠に忘れなければ、泣けるわよ。そして、如何に『不殺』を極めるか……『私達』に見せて頂戴」ポンッ・・・

香焼「っ……でも」グスッ・・・

姫神「気にするのは良い。でも。気に病むのは駄目。淡希を殺させたのは。私」コクッ

香焼「ち、がぅ」フルフル・・・

姫神「いいえ。私。貴方に発破を掛け続けた。最悪の事態も考慮せずに」チラッ・・・

結標「……そうかもね。タカ派の秋沙が悪いのよ」クスクス・・・

香焼「違います……っ……そんな、責任を擦り付ける様な真似……うぅ……出来ません」フルフル・・・

姫神「無理矢理『血(魔力)』を飲ませて(供給して)戦わせた。これで半殺し分」コクッ


それじゃあ、姫神さんが全部持って行く事になる。そんな責任を押し付けられない。

749 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 04:38:27.69 ID:4d6+nZOj0
僕の話が面白かったのか、余程面白い顔をしていたのか分からないが、姫神さんは微笑んだ。
そして淡希さんの顔を見て、一寸間を空け……夜空を見た。


姫神「『殺しに染まり切った輩は二度と泣けなくなる』……成程。確かに」ジー・・・

結標「……秋沙?」チラッ・・・

姫神「地球から……人間の目で見える星の数は。大体7500個くらい」ジー・・・

香焼「え」キョトン・・・

姫神「……そのくらい『死』に染まれば。涙も出ない」フフフ・・・

香焼・結標「「っ……、」」タラー・・・


この人は……そうか。


姫神「淡希が殺した人間の数なんて。私からすれば。屁みたいなもの。ましてや香焼くんなら。塵芥程度」ジー・・・

香焼「……姫神、さん」ジー・・・

姫神「だから……淡希の分は。私のカウント。その代わり―――」ジー・・・


淡希さんの顔をみた後、僕の顔を見て……苦笑する。


姫神「―――今日。貴方が吸い。血肉となった。私の『血』は……1万近くの人。じゃないけど。命を殺した『血』……忘れないで」コクッ


スケールが大き過ぎる。


結標「そうね……でも、秋沙。そういう突飛をしもない事をサラッと言わないで。心臓に悪いわ」タラー・・・

姫神「てへっ」ペロッ♪

結標「ったく……まぁそういう事よ。経験だと思って割り切りなさい。今日貴方は私と秋沙から死を学んだ。OK?」ポンッ・・・

香焼「…………、」ジー・・・

結標「はぁもうウジウジ考えるな! 貴方のそういうとこ、嫌いよ。理屈で考えないの」メッ!

香焼「割り切るのは、無理っす」ムゥ・・・

姫神「それで良い。悩むのを止めた瞬間から。鬼になる。考えるのを止めた瞬間から。機械になる」コクッ

香焼「……はい」ジー・・・


多分、僕は一生悩み続けるだろう。


結標「でしょうね。だけど、そういうところに……皆惹かれるのよ。私も……あの『N2爆弾』も」ギュゥ・・・

香焼「あ……ぅ」モジモジ・・・

結標「あらら。さっきまでワンワン泣いてたのに、今になって照れてやんの」ナデナデ・・・フフフ・・・

香焼「え、あ、その……すいません」ダラダラ・・・///

姫神「……淡希。まだ熟れてない子どもに。手を出すのは。駄目」ハァ・・・

結標「ふふふ。唾付けとくだけよ。2,3年後の為にね」クスクス・・・

姫神「ハァ……2,3年後は。多分。まんま上条くんになる」ジトー・・・

香焼「なれませんよ!」アタフタ・・・///

姫神「その曖昧さと。甘さが無くなったら。上条くんみたいなモノ……あ。身長が足りない」フフフ・・・

香焼「ぐっ……あと、20cmは伸びますよ!」ウガー!


そうして暫く2人にからかわれた後、僕らは下へ戻って……帰り支度を始めた。

750 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 05:34:50.12 ID:4d6+nZOj0
 ―――とある翌々日、PM09:50、学園都市第7学区、とある大通り、旧三沢塾分校舎内・・・・・







それでは帰る前に、と淡希さんはメンバーの皆さんに挨拶した。


結標「そんじゃまぁ今まで通りって事で」コクッ

直井「また気が向いたらふらっと現れるという事だな」フンッ・・・

結標「そゆ事。あとは適当にやりたい事思い浮かんだら連絡するから」チラッ・・・

白井「……何故私を見るんですの」ジトー・・・

結標「心配しなくても、ちゃんと白井さんに宣戦布告してあげるからね」クスクス・・・

日向「態々敵に塩送るんかい」ハハハ・・・

結標「だって約束しちゃったんだもん」フフフ・・・


好敵手、か。


結標「じゃ、直井くん。後は宜しく。奏も引き続き頼むわよ」コクッ

立華「分かってる。此処は私が守るから、安心して」フフッ

結標「ええ……おやすみ、みんな」テクテク・・・

メンバー『おやすみー!』ノシ”


帰路に着く。ところで……この後、皆は如何するのだろう。
僕と姫神さんは淡希さんと一緒に月詠さんの家に向かうが、白井さん達は?


白井「私は寮に帰りますの」コクッ

御坂「私も……って、あ!? 寮監!!」ダラダラ・・・

白井「……私は風紀委員の仕事で遅れると、報告しました。お姉さまは知りません」サラッ・・・

御坂「」チーン・・・


真っ白になる御坂さん。あの様子だと多分、帰ったら死より恐ろしい事になるんだろう。


固法「私も帰るわ。もう詰め所の初春さんも帰ってる筈だし」コクッ

電磁通行「「あ」」ピタッ・・・

結標「どったの?」キョトン・・・

一方通行「……いや」タラー・・・

御坂「……その」タラー・・・


歯切れが悪い物言い。まぁ大体何の事か見当は付く。


固法「はぁ……因みに、打ち止めちゃんは那由他ちゃんが迎えに来てくれました」ジトー・・・

一方通行「うっ……ど、何処居ンだ? 黒妻(オマエ)んとこか?」タラー・・・

固法「ちゃんと黄泉川先生のマンションまで帰ったって」ヤレヤレ・・・


やっぱり打ち止めちゃんを置き去りにしっ放しだったか。色々拙いな。

751 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 05:57:57.45 ID:4d6+nZOj0
脂汗をダラダラ流す2人へ、追い打ちとばかりに告げる固法さん。


固法「あと、伝言……『アナタ、御姉様……話があるので2人ともマンション来なさい! ってミサカはミ(ry』だそうよ」ハハハ・・・

一方通行「……あ、それじゃあ今日バイトあるンでこの辺で」ガシッ!!

御坂「…………、」ダラダラ・・・

一方通行「……離せよ」タラー・・・

御坂「今、打ち止め、機嫌、最悪。私一人、ヤダ。行きたくない」ガタガタ・・・

一方通行「何で片言なってンだっつの! てか、嫌なら行く必要無ェだろ!」タラー・・・

御坂「行かなきゃ行かないでもっと険悪な感じになるでしょ! 早めに解決しなきゃアカンでしょ!」ギャーギャー!


せやな。


白井「まぁ……妹の急用で帰れませんと言えば、幾分、寮監にも言い訳が付くでしょうね」チラッ・・・

御坂「ほれ見ろ!」バッ!!

一方通行「何を見ろってンだ! あァもォ……いや、てか悪ィのテメェだろ。誤解される様な出発の仕方、テメェが」ハァ・・・

御坂「うっさい! タクシー拾ってさっさと帰るわよ!」ズルズル・・・

一方通行「あがががががっ……誰か、止めろ……ぐべっ!」ゴチンッ・・・


そういえばバッテリー切れらしい。あーめん。


結標「……やれやれね」ハァ・・・

白井「あの方も、お姉さまが本音をぶつけられる数少ない殿方ですからね……それでは私もこの辺で」チラッ

香焼「あ、はい。今日はありがとうございました」ペコッ

白井「貴方に頭を下げられる謂れはありませんの……無論、今日の事は内密にしておきますわ」チラッ・・・

香焼「そうして貰えると……助かります」タラー・・・

白井「佐天さん達にばれると何かと厄介なのでしょう? まぁ……その力を悪用しない事を信じます」ジー・・・


勿論、この魔術(力)は『救い』の為だけに使う。


固法「……じゃあ私も此処で」コクッ

白井「あら? 先輩のアパートはもっと先じゃ……あ、そういえば今日は明日も休日でしたね。丁度風紀委員もお休みですしぃ」ジー・・・ニヤニヤ・・・

固法「……だから、何よ」グヌヌ・・・

結標「あぁ。アイツん家か」ハハハ


彼氏さんか。


姫神「ふーん……にゃんにゃん? 何回。にゃんにゃん? ホテル? それとも彼ん家?」ニヤリ・・・

固法「し、しないわよ!」カアアァ///

結標・白井「「絶対嘘だ」」ニヤニヤ・・・

固法「ぐっ〜〜〜〜〜〜〜ッッ!! 知らない!! 帰る!!」スタスタスタ・・・

結標「学生ん内はちゃんと避妊なさいよー。まだ祝儀なんて渡したくないからねー」ハハハ

固法「馬鹿!! 最っ低!! 変っ態!!」グヌヌゥ・・・///


半ばキレ気味で去っていった固法さん。そりゃまぁこんだけからかわれれば怒るわな。
一方楽しげに半笑いを浮かべる白井さんも寮の方へ帰って行った。それじゃあ僕らも……戻ろう。月詠さんの家に。

752 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 06:16:56.41 ID:4d6+nZOj0
 ―――とある翌々日、PM10:30、学園都市第7学区、とあるオンボロアパート(月詠宅)・・・・・






数分歩き、見慣れたオンボロ荘に到着。月詠さんの車も置いてある。


結標「…………、」ジー・・・

姫神「淡希。今更行かないは。無し」チラッ・・・

結標「分かってるわよ……だけど、ね」ジー・・・


気持ちは分かる。僕も喧嘩して家出した時は、似た心境だ。
まぁ僕の場合は大抵アイツら(五和&浦上)が悪いんだけど。


姫神「安心して。香焼くんも。ついていく」チラッ・・・

香焼「え? 姫神さんは?」キョトン・・・

姫神「私は此処でお別れ。上条くんに。インデックスの事。頼まれてるから。そろそろ行かなきゃ」テクテク・・・

結標「あ、秋沙」ジー・・・

姫神「……身から出た何とやら。最後の最後まで。私の力を借りちゃダメ」コクッ

結標「……ありがと」ペコッ

姫神「アラフラ海風DXジャンボマンゴーパフェ一杯で」フフッ・・・


それ一杯3,500円するヤツじゃ……とツッコもうとしたが、もう居なかった。
僕と結標さん2人っきり。またもや気拙い。


結標「……えっと」ポリポリ・・・

香焼「あ、あはは」ポリポリ・・・

結標「……行く?」タラー・・・

香焼「……行きましょうか」タラー・・・


錆付いた階段を上り、月詠さんの部屋に。


結標「……先、入ってくれないかしら」ジー・・・

香焼「はい」コクッ


インターフォンを鳴らす……数秒後、気の抜けた感じで『は〜い』という声が返って来た。


月詠「はいは〜い……どなたなのれすかぁ?」ガチャッ・・・

香焼「酒臭っ! あ、えっと……こんばんは」タラー・・・

月詠「ふぁあぁ! 香焼ちゃんなのれす!」ギュッ・・・

香焼「あ、ちょっと……もぅ」ハァ・・・

月詠「今日はれすねぇ……んもー自棄酒なのれすぅ! 一緒に呑みましょ〜」ニヘヘェ・・・

香焼「自分未成年っすよ」ヤレヤレ・・・

月詠「私の酒が呑めないっていうんれすかぁ!!」ウガー!


普段なら酔ってっても絶対言わない様な事を口走ってる。
少々部屋の中を覗かせて貰ったが、凄い量の空き缶と空きビンだ。寂しさからお酒に逃げたらしい……仕方ないな。

753 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 06:33:11.13 ID:4d6+nZOj0
僕にへばり付く月詠さんを見るに見かねて、淡希さんが歩み寄ってきた。


結標「…………、」カツカツ・・・

月詠「んー……あるぇ? おかしいなぁ……結標ちゃんが見えちゃってます! 先生、少し呑み過ぎたかなぁ」アハハハ・・・

結標「……そうね。呑み過ぎよ」コクッ

月詠「あはは、やっぱり……声まで聞こえちゃいましたぁ」ハハ・・・ハ・・・

香焼「……月詠さん」ジー・・・


幻想なんかじゃない。現実だ。


月詠「……あ、れ」ポカーン・・・

結標「中、入るわよ……って、酒くっさぁ……あーあー煙草もこんなに喫っちゃって」ヤレヤレ・・・

月詠「……結標、ちゃん」ジー・・・

結標「香焼くん。悪いけどゴミ袋持ってきて。トイレ脇にある赤い方」テクテク・・・

香焼「はい」ガサガサ・・・

月詠「……え」キョトン・・・


状況が呑み込めないのも無理は無い。いきなり過ぎる。


月詠「……結標、ちゃん?」ジー・・・

結標「何よ」セカセカ・・・

月詠「…………、」ボー・・・

結標「暇なら小萌も手伝いなさい。ってかコレ、アンタが出したゴミの山でしょ」ハァ・・・

月詠「……うぅ」ウルウル・・・

結標「ちょっと聞いてるの……ってうわぁ!!」ドサッ!!


淡希さんに抱き着く月詠さん。そのまま床に倒れ込んだ。


結標「こ、小萌?」タラー・・・

月詠「う、うぅ……うわあああああああぁんっ!! うぇええええええぇんっ!! 結標ちゃあああああぁんっ!!」ビエー!

結標「な、泣かないでよ! 近所迷惑でしょ!」アタフタ・・・

月詠「わぁああああぁんっ! 帰ってきたあああぁっ!! ふぇええええぇんっ!!」ビエー!

結標「も、もぅ……はぁ」ポンッ・・・ギュウゥ・・・


優しく、抱擁。


結標「……ごめんね」コツン・・・

月詠「うぅ……許しません、よ」グズグズ・・・ギュウウゥ・・・

結標「あはは……困ったわ」チラッ・・・

香焼「……自分は片付けやっと来ますよ」フフッ

結標「ありがと……小萌、お茶淹れるから少し落ち着こ」クスッ・・・

月詠「えぅ……っ……、」コクッ・・・


これじゃあどっちが子どもか分からないな……容姿は元より。
とりあえず僕は空気を読んで部屋の片づけを続けよう。

754 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 07:12:19.61 ID:4d6+nZOj0
一服した後、2人は卓上に向かい合って座っていた。
僕は未だに部屋の掃除を……というか、この人どんだけ呑んだり喫ったるしてるんだ? ゴミ袋足りないぞ。


結標「……何から言って良いか、分からないわね」ハハハ・・・

月詠「まず、聞かせて下さい……何故、出て行ったのですか?」ジー・・・

結標「……私が居ない方が、小萌は楽かと思った」ジー・・・

月詠「とんだ勘違いを」ハァ・・・

結標「そうみたいね。部屋を見れば分かる。他人には嫌って程入り込むくせに、自分の事はからっきしだもんね」クスクス・・・

月詠「そ、そういう問題じゃないのです!」ムググ・・・


淡希さんは垢抜けて飄々とした感じだ。


結標「ええ、分かってる……でも私が迷惑掛けてたのは本当でしょう」ジー・・・

月詠「掛けて貰って結構なのです。その為の『先生』なのですから」ジー・・・

結標「……そう」ボー・・・


この人の器量は、僕らが思っている何倍も大きい。


月詠「結標ちゃん……もし、貴女が真剣にやりたい事を見つけたのであれば、先生は止めません」ジー・・・

結標「…………、」ジー・・・

月詠「でも、未だに見付けられないのでしょう? というか、普段の生活を見るにやりたい事を見つける気があるのか如何かさえ」ジトー・・・

結標「あはは……こんな時まで説教?」タラー・・・

月詠「……失礼。でも、そう見えたって事は見付けてる筈が無いって事なのですよ」コクッ

結標「……そうね。私はまだ、自分が何したいのか分かってない」ボー・・・


淡希さんに限らず、この街の多くの若者が抱えている悩みだ。


結標「だけど……私は小萌に、面倒掛けたくないって、思っちゃった」ムゥ・・・

月詠「馬鹿な事を……子どもがそんなに殊勝な事を考える必要はありません。5年早いのです」ハァ・・・

結標「……ごめん」ペコッ・・・

月詠「……反省している様なので、多くは言いません。どうやら香焼くんが代わりに説教してくれたみたいですからね」チラッ・・・


僕だけじゃない。彼女の友人達が解決したのだ。


月詠「ただし、その自覚があるなら規則正しい生活を初めてみて下さい。それから……自分探しもね」フフッ

結標「……努力するわ」ポリポリ・・・

月詠「ええ……それじゃあ話は終わりなのです。あ、2人ともご飯食べましたか? お鍋にうどんが残っている筈なのです」チラッ・・・


カセットコンロの中に……微妙に残ったうどんがある。


月詠「シスターちゃんが『ご飯喰わせろー』って幽鬼の様に現れてお鍋にしたんですけど……そっちは全部食べられちゃいました」ハハハ・・・

結標「あの暴食魔人か」ハァ・・・

香焼「まぁ……御飯だけ早炊きすればオジヤ作れますから」ハハハ・・・

月詠「それじゃあレトルトのご飯出しちゃって下さい。私もお腹空いちゃったのですぐ食べましょう」ヘヘヘ


という訳で、3人仲良くオジヤパーティ。淡希さんの悩みも、いつの間にかすっかり消え去ってしまった様だった。

755 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 07:28:13.20 ID:4d6+nZOj0
それからオジヤを食べ、月詠さんはすぐ横になった。まるで泣き疲れた赤子の様に。
ではそろそろ僕もお暇しよう。


結標「……泊まっていかないの?」ジー・・・

香焼「野暮っすよ」フフッ

結標「別に……小萌、寝ちゃったし」チラッ・・・

月詠「すぅ……くぅ」Zzz...


しっかり傍に居てあげて下さい。


結標「……そう、ね」ポリポリ・・・

香焼「僕も、家がありますから」コクッ

結標「でも、今日は誰もいないんでしょ……泊まってって良いわよ」スッ・・・

香焼「……今日は遠慮します」フフッ

結標「そう……あーあ、ふられちゃった」クスクス・・・


そういう事じゃないっての。


結標「……アンタの姉貴達にも感謝ね」コクッ

香焼「いえいえ。自分らは単なるお節介っすから」クスクス・・・

結標「……ありがと」ペコッ

香焼「お気になさらず……それより、僕こそ―――」ペコッ

結標「謝らないで」ピタッ・・・

香焼「―――ごめ、ん……、」ジー・・・


これ以上は、月詠さんに対して失礼か。


結標「……それは抜きにしても、必ず借りは返すわ」ギュッ・・・

香焼「わっ……ちょ、もぅ」ポリポリ・・・///

結標「……んー、抱きたいとかそういう要望も、今ならアリよ?」ニヤリ・・・

香焼「抱きません」ハァ・・・///

結標「つれないわねぇ。据え膳食わねば何とやらって知らない?」フフフ・・・

香焼「女性を据え膳と思う様な男になりたくないっす」ムゥ・・・

結標「そう……立派よ」チュッ・・・


額に……柔らかい感触。


結標「他意は無いわ。純粋に、感謝の気持ち」ナデナデ・・・

香焼「あ、ぅ」モジモジ・・・///

結標「ふふふ……それじゃあ、またね。今度、五和達が居る時にお邪魔するから」ノシ”

香焼「……はい」ハハハ・・・

結標「一応、貴方からも説得しといてね……それじゃあ、おやすみ」クスクス・・・


おやすみなさい……良い夢を。

756 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 07:56:02.32 ID:4d6+nZOj0
 ―――とある数日後、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



   にゃーん・・・・・



神裂「―――……それで、その後彼女は?」フム・・・

香焼「多少、夜型から昼型に改善してるみたいっすよ。仕事の日は仕方ないみたいっすけど」コクッ

五和「ハァ……一段落ね。安心しました」ホッ・・・

浦上「それにしても土御門も野暮な真似しましたよネ」ハァ・・・

神裂「彼の日常と彼女の日常が交差してしまった故に、生じた事故です。ドチラが悪いとは言えませんよ」コクッ

五和「それでもですよ……家から出てけなんて」ムゥ・・・

香焼「自分はしょっちゅうオマエに言ってるけどな」ジトー・・・

五和「それは、ほら。コウちゃんのは愛があるし」ムンッ

香焼「は?」ジー・・・

五和「え?」キョトン・・・

香焼「…………、」ジトー・・・

五和「……あるぇ」タラー・・・

浦上「まぁまぁ……とりあえず、交差したからには思いが強い方が勝つんでしょうネ」ピシッ

神裂「ええ。今回は偶々土御門が前半リードして、後半結標さんが巻き返した形となっただけです」コクッ

五和「むぅ……でも、なんか納得いきません」ポリポリ・・・

神裂「もしこの先、彼が義妹と離れろと命令が下った場合……同じ様な事が起きると思いますよ」フフフ・・・

香焼「そうかもしれませんね……、」コクッ・・・

五和「ふむ……それはさておき……ちょっと疑問点が」チラッ・・・

香焼「何だよ」ムゥ・・・

浦上「香焼、魔力値跳ね上がってない? 魔力値というか、魔力色もですけど……対馬さんくらいるヨ」タラー・・・

香焼「え? そ、そうっすか」ポカーン・・・

五和「私が知り得る限り、天草式の魔力じゃない……もしかして誰か(何か)と『契約』したの?」ジトー・・・

香焼「契、約……ぁ」ピタッ・・・

神裂・五和「「…………、」」ジトー・・・

浦上「因みにぃ、契約の方法は様々ですがぁ、最もポピュラーなのは『体液交換』な訳でしてぇ……つまりはぁ」フフフフ・・・

香焼「ちょ、待、え、うをぃ!?」アタフタ・・・

五和「コウちゃんっ!! 貴方一体誰とせ、セ、せく、セック……にゃんにゃん! 交わったの!! 白状なさい!」ガシッ!!

神裂「香焼……貴方が決めた女性なら駄目とは言いませんが、せめて先に紹介して貰いたかったですね」ハァ・・・

香焼「ね、姉さん!? ちょ、飛躍し過ぎっす!」タラー・・・

五和「誰だあああぁ!! コウちゃんの貞操奪ったのはああぁ!! レッサーか! アニェーゼか! まさかの結標さんかああぁ!!」ウガー!!

浦上「いやいや、やっぱ最愛ちゃんって可能性も……あ、でも魔力色まで変えるなら相手魔術師か。じゃあカルテッ娘ですネ」フフフ・・・

神裂「責任は取らねばいけませんよ。先方の保護者にも挨拶しないと……そ、それより、その……ちゃんとデキましたか?」モジモジ・・・///

香焼「ムッツリ! ああぁもう! 違うって……でも、説明出来ない……うがああぁ!! あんまりだああぁ!!」フコーダー・・・


もあい「にゃーん」オワレ!



757 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 08:18:41.42 ID:4d6+nZOj0
        <おまけ!>


 ―――三沢塾分校を後にし、黄泉川宅にて・・・・・


一方通行「…………、」タラー・・・

御坂「…………、」タラー・・・


打ち止め「…………、」ゴゴゴゴ・・・


芳川「ねぇ、アレ何してんの?」チラッ・・・

番外個体「もやし(アイツ)とオリジナルが最終信号の前に正座してる」タラー・・・

黄泉川「んー……説教? 修羅場? まぁそんな感じじゃん」ハハハ

芳川・番外個体「「は?」」ポカーン・・・


打ち止め「……ねぇ」ボソッ・・・

一方通行「っ!」ビクッ・・・

御坂「は、はい……何でしょうか。妹様」ダラダラ・・・

打ち止め「……御姉様とアナタは、私を捨て置いて何処に言ってたの? ってミサカはミサカは問い詰めてみたり」ジトー・・・

御坂「え、と……だから、その、再三申しています様に、結標淡希の捜索にですね」タラー・・・

打ち止め「へぇ……嘘だッ!! ってミサカはミサカは激怒してみたり!!」バンッ!!

一方通行「……嘘じゃねェし」ボソッ・・・

打ち止め「ほぉ、しらばっくれると……じゃあコレを見ろ! ってミサカはミサカは携帯を突き着けてみたり!」バッ!

御坂「えっと、ツブヤイッター? え……こ、これは!?」ギョッ・・・

一方通行「ン……ハァ!? 俺と第三位が堂々白昼街中デートだァ?!」ギョッ・・・


番外個体「あ、それミサカも見たわ」コクッ・・・

芳川「そういえば皆で騒いでてお祭り騒ぎだったわね。私も愛穂から知らされた時は驚いたわ」ハッハッハッ


一方通行「じょ、冗談キツいンですけどォ!! 何思って俺がコイツみてェなアバズレと付き合わなきゃならねェンだ!」ダラダラ・・・

御坂「あばず、今は我慢……ら、打ち止め。そんなデマ信じる訳無いわよね。私がこんな都市伝説クネクネ男とデートする訳無いでしょ」タラー・・・

一方通行「クネクネって街中じゃ……じゃなかった。コイツの言うとおり、結標探しに行ってただけだ! テメェだって知ってンだろ」ハァ・・・

打ち止め「私は……2人に騙されたのだ。ってミサカはミサカは絶望と嫉妬と怒りに飲み込まれてみたり」グヌヌヌゥ・・・

一方通行「ちょ、マジ番外個体みてェな事言ってンぞ」アタフタ・・・

御坂「打ち止め! 信じなさい! 私が妹の旦那を取る様な、そんな昼ドラ的危険なアクション起すと思う!?」タラー・・・

一同(起しそうだなぁ)タラー・・・

打ち止め「……もう良い。分かった」トコトコ・・・ヨイショッ・・・

一方通行「お、おい。リュックなンか背負って何する気だ」チラッ・・・

打ち止め「アナタと御姉様が反省するまで、ミサカは実家に帰らせて貰います。ってミサカはミサカは淡々と告げてみる」サラッ・・・

一同『えっ!?』キョトン・・・

黄泉川「ら、打ち止め? 実家って……何処じゃん?」タラー・・・

打ち止め「実家は実家です……それではアデュー、ってミサカはミサカは家出してみる」テクテク・・・バタンッ・・・

一同『…………、』タラー・・・

番外個体「……あ、2人とも口から煙みたいなの出してらぁ」ハハハ

758 :第四話―――月詠「結標ちゃんは・・・居ません」 香焼「え?」 [saga]:2011/12/28(水) 08:44:19.32 ID:4d6+nZOj0

  ―――???・・・・・


打ち止め「―――……絶っっっ対に、反省するまで帰らないもん! ってミサカはミサカはブチ切れてみたり!」プンスカ!

黒妻「で、此処(ウチ)来た訳ねぇ……くっだらね」ハァ・・・

打ち止め「クロヅマ! 娘が不倫されたの怒るの普通でしょう! ってミサカはミサカは何故か微妙に汗ばんでるシーツを叩いてみる」バンッ!

固法「ら、打ち止めちゃん。そういう事言わないで貰えるかなぁ……恥ずかしいから」アハハ・・・///

打ち止め「ふぇ?」ポカーン・・・

黒妻「いや、まぁ……不倫ねぇ」ポリポリ・・・

打ち止め「んもー! これだから男の人って! ミィなら分かるでしょう! ってミサカはミサカは何故か薄着のミィに尋ねてみる!」ムンッ!

固法「だからそういう事言わないで欲しいなぁ……恥ずかしい」ハァ・・・

打ち止め「恥ずかしいならミサカも脱ぐから真面目に答えてよ! ってミサカはミサカは脱ぎながら詰め寄ってみたり!」ヌギヌギ・・・

固法「あぁもう私が着るから! えっと……浮気はしてないと思うわよ。2人ともちゃんと結標さんの所に来たし」ポリポリ・・・

打ち止め「……まぁじで?」ピタッ・・・

固法「うん。その場でちゃんと目的も言ってたし……本当に結標さん探しに来ただけじゃないかな」ポンッ・・・

打ち止め「うっ……で、でも御姉様は」タラー・・・

固法「御坂さんはああいう性格だし……それでも私達がピンチだと思って駆け付けてくれた節もあるわ」ナデナデ・・・

打ち止め「……むぅ」ジー・・・

黒妻「はぁ……まぁアレだ。男の馬鹿な行動目ぇ瞑ってやんのも、良妻の役目じゃねぇか」カチッ・・・フゥ・・・

打ち止め「りょ、良妻!? ミサカ、良妻なの!?」グイッ・・・

固法「うん、良妻良妻。だからそろそろ帰ろうか。黄泉川さん呼んであげるからね」ナデナデ・・・

打ち止め「う、うーん……でも、まぁ……どの面下げて帰れと申すか、ってミサカはミサカは悩んでみたり」ハァ・・・

黒妻「まぁ……確かに」ハハハ・・・

打ち止め「クロヅマ、ミィ……今晩泊めてね♪ ってミサカはミサカは皺くちゃシーツのベットにダイブしてみたり!!」ドーン!

固法「だからそういう事言わないで……って、はぁ」ドヨーン・・・

黒妻「あははは……今晩はお預けって事で」ポリポリ・・・

固法「ハァ……生理前だったのに……前戯で終わった……超消化不良」グデーン・・・



打ち止め「すぅ……くぅ」ムニャムニャ・・・



固法「……ハァ」ジー・・・ナデナデ・・・

黒妻「ん? そんなにシたいの?」ケケケッ

固法「ばーか……それにしても、浮気かぁ」チラッ・・・

黒妻「……何だよ」タラー・・・

固法「別にぃ。先輩の場合飲み屋とかクラブとかキャバクラとかデリヘルとかの名刺見つかっても『仕事』で片付くからなぁ」ジトー・・・

黒妻「い、行かねぇよ……多分」ボソッ・・・

固法「……じゃあ、私に携帯見せられます?」ジー・・・

黒妻「そ、それは……色んな意味でパス。じょ、女性関係じゃなくて……色々」タラー・・・

固法「ふんっ、信じてやります……おやすみなさい。私、打ち止めちゃんとベットで寝ますから、先輩床に寝て下さいね」ゴロンッ・・・

黒妻「……おぅふ」ヤレヤレ・・・

759 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2011/12/28(水) 08:49:59.43 ID:4d6+nZOj0
はい、第四話終わりです。また無駄に長かったなぁ……戦闘シーン省いても良かったかなぁ。

固法さんが何しようとしてたか? 嫌だなぁ……KENZENなレスリングです!


さて次回は何か特別な要望が無ければ浦上話です。安価も取るかも。
メインはルチア・フロリス・浦上かな……そこでドンチャン予定。微エロ程度なら入れようか。


じゃあ例の如く質問意見感想罵倒指摘リクエスト等々、宜しくお願いします。それではまた次回! ノシ”

760 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 09:41:18.74 ID:L8zlDiyDO
乙! 早くニャンニャンを書く作業に入るんだ! 可能ならそろそろ……あわきんアフターをだなぁ!

さておき、やっと英国編かぁ。今回都市編ばっかだったからなぁ。
どんな話になるか分からんけど、次回も楽しみにしてるぜぃ!
761 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 11:29:01.94 ID:824bvvSAO
一寸で笑う
762 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 12:05:59.57 ID:od8YOcQIO
乙でした
今回は俺の姫神も活躍できたことだし(ある意味香焼とのフラグも立ったっぽい?)まあまあ良回だった
ただ後日談みたいなのがなかったので若干消化不良…
とりあえずしばらく出てきそうにない土御門、姫神、電磁通行がこの後どうなったのか簡単でいいから教えてほしいかも(後日談あるなら書いてもいいのだけどチラッ)

さて次回はようやく英国編…なんだか中途半端なメンツだなw
こいつらがメインだとある意味予想がつかないから楽しみっす
763 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 16:30:06.71 ID:dcGGj3EAO
あけおめ
764 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/05(木) 01:13:22.51 ID:E/g1WxJ00
こんばんわ、お久しぶりです。それから、あけましておめでとうございます。

今回は予告だけ。メインをルチア・フロリス・浦上にしていました。
一応、プロットは出来ているので早ければ明日にも書き始められるのですが、先に『4,5話』ちょこっとやった方が良いかな?

もしくは何かリクエストがあれば書いて下さい。無い様なら予定通り進行……下のアンケートに協力してね。


@予定通りに!

A短く4,5話!

B他にリクエストがあれば書いて下さい!


それでは早ければ明日に! ノシ”

765 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 01:15:58.66 ID:nNLPv9nPo
おかえりあけおめ
余裕あればAで
766 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 01:51:11.19 ID:sIaubRh2o
あけおめー
Aはどっちでも
Bはサローニャかサンドリオン出せたら出してほしいなーなんて
ただシリアスとかになりそうなら出さなくてもいいけど
767 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 02:45:07.75 ID:i2lKCTy9o
あけおめです。
個人的にはAを希望
色々な話が見たいです
768 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 04:59:25.68 ID:rQ++Mf5jo
いいおねショタだった乙!

このごろシリアス多めだから
カルテッ娘あたりに出てほしいなー

つーわけでB
769 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/05(木) 22:33:45.93 ID:E/g1WxJ00
こんばんわ。とりあえずAをちょこっと書いちゃいます。

結標&小萌先生、それから>>762さんの要望と天草家を書こうかな。それでは投下!
770 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/05(木) 23:24:54.33 ID:E/g1WxJ00
 ―――数日後の休日、PM06:30、学園都市第7学区、とあるオンボロアパート(月詠宅)・・・・・


  にゃーん・・・・・


神裂「―――急に押し掛けて申し訳ありません。一度、私だけで顔を出そうかと思ってまして」ペコッ・・・

月詠「―――いやはや、先日はご迷惑を」ペコッ・・・

神裂「いえ、月詠さんに非はありませんよ。今回の件は結標さんにとっての越えなければならないハードル、みたいなモノだと思ってますから」

月詠「ハードル、ですか……そうかもしれませんね」フム・・・

もあい「んな?」キョトン・・・

神裂「……ところで、結標さんは?」チラッ・・・

月詠「『バイト』と言っていたのです。多分、12時(天辺)回ってから帰るかと」ハハハ・・・

神裂「土御門の……あ、いえ、そういう話では無く」フルフル・・・

月詠「え?」ポカーン・・・

神裂「生活です。自堕落だったのでしょう? 改善されましたか?」ジー・・・

月詠「あ、そっち。えぇまぁ……少しずつですが」ポリポリ・・・

神裂「バイト云々の関係上、就寝起床時間については難しい所でしょうけど、何も無い日はどのくらいの時間に?」フム・・・

月詠「決まった就寝時間はありませんが……そうですね。一日8時間以上寝なくなったのですよ。夜型行動については仕方ないかと」クスクス・・・

神裂「ほぉ、それはそれは。家事の方は?」ジー・・・

月詠「元々、掃除洗濯ゴミ出しは分担してやっていたのです。でも最近は『全部私に任せろー』ってな感じで、張り切っちゃってます」ウフフッ

神裂「やはり心境の変化でしょうね。三日坊主にならなければ良いですが」フフフッ

月詠「不思議なモノなのですよ。別人……とは言いません。結標ちゃんは元々気を配れる子ですから」ジー・・・

神裂「……総合的に見て、プラスになったと」フッ・・・

月詠「まぁ料理以外は、ですね。変に空回りして『今日は私が料理当番よ!』とか言い出しちゃって……気持ちは凄く嬉しいのですよ」タラー・・・

神裂「ははは、成程……まるで子どもですね」クスクスッ

月詠「子ども……うーん、何て言ったらいいのか……兎に角、過保護になっちゃったのですよ。私、大人なのに」アハハ・・・

神裂「過保、護? ふむ。彼女は先日の風邪の一件を自分の所為だと思い込んでますからね」タラー・・・

月詠「だからプラスっちゃプラス。でもオーバーの類なのです……しかしまぁ空回りしていますが気持ちは伝わっているのですよ」コクッ

神裂「まるで出戻りの親孝行ですね……ああ、成程」クスクスッ

月詠「何なのです?」キョトン・・・

神裂「孝行したいと思った時には、親……恩師が居ない。今、貴女と暮らすこの時間に未練を残したくないのでしょう」コクッ

月詠「……確かに、いずれは此処を出て行きますからね」フフッ・・・

神裂「彼女は選んだ。他人に何と言われようとも、今の日常を横臥しようと……答えを見つけるまで」チラッ・・・

月詠「懐いてくれた、という意味では嬉しい限りなのです。私も彼女を教え子として愛しています……しかし指導者としては何とも」フルフル・・・

神裂「大丈夫でしょう。今の言葉からでも貴女が俯瞰できている事は分かる。そういった点、流石大人ですね」コクッ

月詠「褒められたのやら何なのやら……逆に、神裂ちゃんは子どもらしく無いのですよ」ジー・・・

神裂「歳相応では無いと自負しています。私は逆に俯瞰しない目線を覚えたい……ですが、これが存外難しい」ハハハ・・・

月詠「そうですね。人との距離程難しいモノはありませんよ……時に、それは主に上条ちゃんの事なのですか?」ニヤリ・・・

神裂「ぶっはぁっ!!? な、なんでっ!!? い、いやいやそうではなく仲間内等の事を」アタフタ・・・///

月詠「ふふふふ。そういう部分は歳相応に乙女なのですよ。安心して下さい。先生は中立ですから全員を応援しているのですよ」ニヤニヤ・・・

もあい「なー」フシフシ

771 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/06(金) 00:09:27.38 ID:0mj4mss30
神裂「わ、私のそういう話は良いのです! そ、それより貴女と結標さんの話を」アタフタ・・・

月詠「私ですか? まぁこの歳だから結婚は考えますけど……実家も見合い写真送ってきますし。でも、私は恋愛結婚願望なのです」ハァ・・・

月詠「流石にこの歳なので処女では無いので男性が怖いとかは言いませんけど……って神裂ちゃん、固まって如何しちゃったのですか?」キョトン・・・

神裂「え……結、婚……適齢……年齢……しょ、しょ、しょ……うぇ?」タラー・・・

月詠「私[ピーーー]歳なのですよ。あ、でもそんなに広めないで下さいね。恥ずかしいのです」アハハ・・・

月詠「神裂ちゃんはしっかりしてますし、大学生さんなのでこういう話はしますけど……って、だから何で固まってるのです?」ホェ?

神裂「い、いやいやいや……まぁ確かに『その手』の趣味の人間はいますけど……えー!?」ダラダラ・・・

月詠「あ、元彼の話なのですか? 確かに体格見た目はこんなんですけど、ちゃんと『する事』出来ますし実際―――」コクコクッ

神裂「す、ストップ! それ以上はアウト!!」ビシッ

月詠「―――は……ほー。神裂ちゃん、想像以上にウブなのですねぇ」ニヤニヤ・・・

神裂「い、いやいや! だからそういう問題じゃなくて……ほら! 結標さんの!」アタフタ・・・

月詠「結標ちゃんの本命ですか? うーん、そうですねぇ」ジー・・・

神裂「ちいいいぃがああああぁくうううぅてええええぇ!! 恋愛如何こうじゃなくてっ!!」ダラダラ・・・

月詠「多分、黄泉川先生のお家の第一位ちゃんだとは思うのですけど……最近一歩引いてるんですよねぇ。ああ見えて臆手で」ハァ・・・

神裂「話聞いてます?!」タラー・・・

月詠「ほら、最近第一位ちゃんも上条ちゃん並に女の子侍らせてるじゃないですかー。だから諦めちゃってる節が……ねぇ」ポリポリ・・・

神裂「……はぁ」タラー・・・

月詠「あ、そういう点、神裂ちゃんと似てるのです。『あの人の幸せを第一に』……駄目なのですよー! そういうのを臆手にしちゃー」メッ!

神裂「だ、だああああぁかああああぁらああああぁ!! んもぉ……話聞いて下さいって」グデェ・・・

月詠「でも香焼ちゃんは、なーんか恋愛対象として見てない感じなのです。可愛がってはいますけど、やはり年下過ぎるからでしょうか」チラッ・・・

神裂「そりゃまぁ5つ程も離れてますし……じゃなくてっ!!」バンッ!!

月詠「あ、でも結標ちゃんと香焼ちゃんがちょいと危ない関係なるのは十分に有り得ると思えますよ……多分、2,3年後くらいに」フフフ・・・

神裂「さ、させませんっ!! あの子はそういう不貞な事は嫌うタイプです!!」ガタッ!

月詠「さっきからちょいちょい喰い付きますね……ま、香焼ちゃんも男の子ですからねー」フフフフ・・・

神裂「わ、私が許しません! そんな事をするようになったらルチアの言うとおり去勢させます!」グヌヌゥ・・・

月詠「きょ、去勢って、随分物騒な」タラー・・・

神裂「コホンッ……兎も角、そういう話ではなくですね……今後の結標さんの、に・ち・じょ・うっ! についてですよ」ハァ・・・

月詠「はいはい。とりあえず肉体的には勿論、精神的にも健康になるんじゃないでしょうか」コクッ

神裂「トラウマについては?」ジー・・・

月詠「同様に良い方へ向かってますよ。完全に消え去ったりはしませんが、ちょっとやそっとの事で引き起こしたりはしないかと」コトッ

神裂「ふむ、では問題無しですね……料理以外は」ハハハ・・・

月詠「あははは……まぁでも……一番の課題が残ってるのです」ボー・・・

神裂「……彼女自身の答え、やりたい事、ですか?」フム・・・

月詠「ええ……この街の子ども達に『夢』を持たせるのは至難の業なのです。現実主義者が多過ぎる」ジー・・・

神裂「超能力などというSF的なチカラを使うのに?」フム・・・

月詠「故に、なのですよ。彼らは『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』という科学主義に従順過ぎる。強度が高ければ尚なのです」ハァ・・・

神裂「しかし、それを活かした職業につければ幸いなのでは」ジー・・・

月詠「職業上の適材適所……聞こえは良いかもしれませんが、そこには自分の意志と自由が無い」ハァ・・・

神裂「ふむ。ですが、最終的に安定出来れば……と考えてしまうのは、行けない事でしょうか」チラッ・・・

月詠「『安定するから公務員が良いや』と考える子ども達ばかりのコミュニティを作ったら……それはさぞ味気無いものでしょうね」ボー・・・
772 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/06(金) 01:03:15.78 ID:0mj4mss30
もあい「なぅ」コロコロ・・・


月詠「今まさに日本がそれですが……学園都市の子ども達は、それに近いまた別の何か、なのですよ」ジー・・・

神裂「……如何いう意味です?」キョトン・・・

月詠「今から言う事は、あくまで理想論なのですよ……自分の能力を正しく・楽しく・適して・幸せに用いて、仕事にする」コクッ

神裂「……ふむ」ジー・・・

月詠「しかし、そんな理想を達成できた卒業生は5%も居ません。さて、何故でしょう」ジー・・・

神裂「理想と現実のギャップ……いや、社会の狭さですか?」ジー・・・

月詠「それも正解。でも、一番は先程言った通り『理想』以前の段階なのです。子ども達には『理想(夢)』がありません」ハァ・・・

神裂「……夢、ですか」ムゥ・・・

月詠「確かに夢を忘れるという事は大人になっていくという事なのですよ。だけど、忘れる夢すらない……悲しい事なのです」ジー・・・

神裂「しかし『自分だけの現実』とは、自己の理想の体現では無いのですか?」ジー・・・

月詠「神裂ちゃん……能力(チカラ)は『理想(夢)』の体現ではありません。『幻想(利便)』の体現です。あくまで道具で、目的じゃない」

神裂「……ん」ジー・・・

月詠「確かに……『筋ジストロフィの子どもを助けたい』という目的で、正しく『電撃使い』という道具を手に入れた。という話もあります」

神裂「それは雑誌で見ました。確か、第三位の」フム・・・

月詠「故に彼女は都市の象徴なのです。超能力者(レベル5)だからってのも勿論の事、夢を実現させようとしている……その姿が眩しい」コクッ

神裂「……結標さんは?」ジー・・・

月詠「結標ちゃんは強力で便利な能力(道具)を持っています。しかし『何故その能力が自分に?』と考えている……いたのです」ムゥ・・・

神裂「その話は……はい、以前香焼から聞きました」ジー・・・

月詠「だから余計悩んでいるのです。多分、並の子ども達より『答え』が見え難い筈でしょう」

神裂「自己否定の闇ですか。本で読んだ事があります。確か役者タイプの人間と」フム・・・

月詠「そうですね。いっそ、能力(道具)抜きで目的(やりたい事)を見つけて欲しいのですよ」ハハハ・・・

神裂「ん? そういうのは容易いのではないかと思いますが……違うのですか」ポリポリ・・・

月詠「存外難しいものなのです。都市に限らず、日本の子ども達は特に……夢を聞かれて大学名を答える様な国なのですよ」ハハハ・・・

神裂「……何とも」タラー・・・

月詠「ですから……私が預かった子達には、須らく素敵な夢を持って貰いたいのですよ。どんなに時間が掛ってもね」フフッ・・・

神裂「応援程度しか出来ませんが……頑張って下さい。それも確かに『救いの手』だと思います」コクッ

月詠「救い、なのですか? まぁそうですね……上から目線みたいな言い方でちょっとアレですけど」ハハハ

神裂「恥じる事は無いでしょう。貴女のその考えは間違いなく教職者の鑑と成り得るモノだ」コクッ

月詠「お、大袈裟なのです……兎に角、目の前の子が道に迷っていたら案内してあげるでしょう。それが交番か、目的地かは別として」コクッ

神裂「世の中には見捨てる人間が……あまつさえ、拐す人間さえもいます。私も貴女の様な指導者になりたいものです」フフフ・・・

月詠「ふふっ、御世辞が御上手なのです。それにしても、神裂ちゃんは教育学部か教職志望なのですか?」チラッ・・・

神裂「え、あ、まぁそんな感じです」アハハ・・・

月詠「やっぱり、どうも指導者の在り方について模索してる感じでしたから。相談乗りますよ」フフフッ

神裂「あははは……ま、まぁ今は大丈夫です……とりあえず、結標さんが再度良い方向に進んだ様で安心しました」コクッ

月詠「いえいえ、まだまだこれからなのです。ただ、今回分かった事として……神裂ちゃん」ジー・・・

神裂「はい」コクッ

月詠「結標ちゃんにも、お友達は居るみたいです……支えていって上げて欲しい」フッ・・・

神裂「勿論です。出来得る限り、皆で応援します……同様に、我々も彼女に助けられていますからね―――」コクッ

773 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 02:53:23.74 ID:0mj4mss30
 ―――数日後の休日、PM09:30、学園都市第7学区、とある仮眠室(レストハウス)・・・・・






土御門「―――……以上だ。次回までに此処の振り付けを覚えて来い」クイッ

海原「分かりました」クネクネ・・・

一方通行・結標「「…………、」」ボー・・・

土御門「違う、海原。そこはピポットを……って、オイ。テメェら」チラッ・・・

一方通行「あン?」ピクッ

土御門「ちゃんと話聞いてたのか?」ジトー・・・

結標「あー……何の話? 今度の箱根旅行の件? 慰安旅行だから全部経費で降りるのよね?」ボー・・・

土御門「違ぇよ! そんな話一寸もしてねぇっつの! 勝手に行ってこい!」ガンッ

結標「はいはい」グデェ・・・

土御門「この糞女……まるで聞いてねぇ」ジトー・・・

海原「まぁまぁ。久しぶりに集まったのに喧嘩しないで下さいよ……一方通行(アナタ)も、シャキっとしてくださいね」チラッ・・・

一方通行「……ァー」グデーン・・・

結標「ぅー……、」グドーン・・・

土御門「駄目だコイツら。樹海に放置された40年前の人形みたいになってやがる」ハァ・・・

海原「ハハハハ……ところで、貴方達……先の一件の騒動にケリは付いたのですか?」チラッ・・・

土御門・海原「「…………、」」ピタッ・・・

一方通行「……ばーか」ジトー・・・

海原「あらら……未だタブーだった、と?」タラー・・・ボソッ

土御門「…………、」ジー・・・

結標「……ねぇ」ジー・・・

土御門「兎角、以上だ。さっき言った通りにしてこいよ。俺は帰る」テクテクテク・・・ガチャ・・・バタン・・・

一方通行「海原MKY……あ、知ってっか? 『MKY』ってのはァ『マジ気持ち悪いよー』の略なンだぜ」フンッ・・・

海原「いや、違いますよ。何処でそんな間違った知識……って、まだ普通のKYの方が良かった。気持ち悪いって……酷っ」タラー・・・

結標「アンタ、言われ慣れてるでしょうに」フンッ

海原「それを言うのは主に貴方達三名ですけどね……ところで……如何するんですか?」ジー・・・

結標「……アンタが気にする事じゃないわよ」ジー・・・

海原「気になりますよ。職場の空気が工場用排水路みたいな感じですもの」ハァ・・・

結標「ちゃんと、解決するわよ。少し待ってなさい……それより、こっちは大丈夫なの?」チラッ・・・

一方通行「あにァ?」ポカーン・・・

海原「呂律回ってませんけど……廃人みたいな顔がイツにも増して酷くなってます」タラー・・・

一方通行「あー……もォ如何でも良ィやーって」ハッハッハッ・・・

結標「いつもなら『五月蠅ェ108回くらい死ね気持ち悪い海原気持ち悪い』とか言うのに、今日は反論すらしない……末期ね」ムゥ・・・

海原「……結標、さん?」ン?

結標「やれやれ……御宅のおチビの問題? それとも第三位との件?」ジー・・・

一方通行「どっちも……噂が、止まらねェ……この前、三下にまで『おめでとう』って……なァ」グデーン・・・

海原「あらら……貴方は兎も角、御坂さんが可哀想ですね」フムフム・・・

774 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 03:24:02.16 ID:0mj4mss30
結標「あら。彼女の問題だから躍起になってコイツの事殺そうとするのかと思いきや、案外冷静なのね」フーン・・・

海原「まぁスネーク(17600号)を通して全部見てましたからね。無論、貴女の決闘も見てましたよ」フフフ・・・

一方通行「んなぁ!?出刃亀野郎ォ……てか事の真相知ってンなら弁護してくれっつゥの!!」ギャース!

海原「でも御坂さんと街中を楽しそうに歩いてたのは事実ですし。無性にイラついたので助けません、ええ、助けません」フフフ・・・

一方通行「やっぱ千回くらいくたばってくれねェかなァ」ジー・・・

結標「ハァ……でも、打ち止め帰って来たんでしょう? 牛乳眼鏡(ウシチチママ)が言ってたわよ」テクテク・・・

一方通行「だから気拙いンだ……いっそ黒妻(チンピラ)ンとこで預かってくれてれば良いモノを」ハァ・・・

海原「あー……冷戦状態?」アハハ・・・

一方通行「あァ……その状況楽しんでる馬鹿(番外個体)も居るし」ジトー・・・

結標「ふーん……で? 具体的には?」ストン・・・グリグリ・・・

一方通行「肩に顎グリすンなっつの……どンな感じかっつゥと―――」


  <回想>


一方通行「―――……黄泉川。おかわり」スッ・・・

打ち止め「そうやってまた私(ミサカ)に頼まず別の女の人に頼る……私はもう用済みなのね、ってミサカはミサカはボヤいてみる」ボソボソ・・・

一方通行・黄泉川・芳川「「「…………、」」」タラー・・・

一方通行「え……あ、あー。肩凝ってンだよなァ。後でマッサージしてくれる人居ねェかなァ」グイグイッ・・・チラッ

打ち止め「…………、」チラッ・・・ムスー・・・

芳川「ほ、ほら。打ち止め。こういう時こそ貴女の役目よ」アハハハ・・・ボソッ

打ち止め「所詮、私は便利屋なのね……ってミサカは冷徹に食事を続けてみたり」モグモグ・・・

黄泉川「うわぁ……ちょっと、番外個体。いつもみたいに横やり入れるじゃんよ。今はそのタイミングじゃん」タラー・・・ボソッ

番外個体「えー、仕方ないなぁ……それじゃ最終信号に代わって、ミサカがお風呂で垢すりマッサージとかしちゃおっかnボゴォっ!!」ガンッ!!

芳川「食事中よっ……言葉、選びなさいっ」ギリギリ・・・

一方通行「……ちょ、丁度良い体重のヤツに背中とかマッサージしてもらいてェなァ」チラチラッ・・・

打ち止め「…………、」モグモグ・・・

黄泉川「ほ、ほら。打ち止め。これまたチャンスよ」チラッ・・・

打ち止め「御姉様にでもしてもらえば? お互いにマッサージしあえば良いんじゃない? ってミサカはミサカは淡々と告げてみる」モグモグ・・・

一方通行「」チーン・・・

番外個体「ぷふー! おねーたま(オリジナル)もまだまだ怒られてやんのー。だっせー」クスクスクス・・・

芳川「ら、打ち止め。そろそろ機嫌直して頂戴。貴女だって本当は誤解だって分かってるんじゃ」スッ・・・

打ち止め「ごちそうさま」バンッ

一同『っ!?』ギョッ・・・

打ち止め「……ふんっ」カチャカチャ・・・トコトコ・・・ジャブジャブ・・・キュッ

一同『…………、』ダラダラ・・・

打ち止め「……何見てるの? 私の顔に何か付いてる? ってミサカはミサカは無言で私を見遣ってくる4人に尋ねてみる―――」ジトー・・・


 <回想終了>


一方通行「―――……こんな感じ」ハァ・・・

結標・海原「「うわぁ」」タラー・・・

775 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 03:50:08.60 ID:0mj4mss30
一方通行「兎にも角にも、否定的な事しか言わねェ。あと近付くと離れる。ヌルッと離れる。磁石みたいに」タラー・・・

結標「それもう反抗期突入しちゃったんじゃないの?」ハハハ

一方通行「いや、だったらまだマシだろ……そういうンじゃなく……最近、何か怖いンだ」タラー・・・

海原「怖い、ですか? 具体的には如何いった風に」フム・・・

一方通行「……これ」スッ・・・

海原「ん……携帯、ですよね。別段何も……む? 着信ですよ」ジー・・・

結標「アンタ、律義にサイレントマナーにしてるのね。それバイブすらならないから気付かないじゃない」フーン・・・

一方通行「仕方ないンだよ……コレ見ろ」Pi!

海原「着信履、歴、が……っっ!!?」ギョッ・・・

結標「い、1〜3分置きに……黄泉川宅から? 急用なんじゃないの? 早く出て上げた方が」ムッ・・・

一方通行「…………、」フルフル・・・

海原「ま……まさか!?」タラー・・・

一方通行「ン……今、また掛って来た。ハンズフリースピーカーにすっから聞いてろ」Pi!

結標・海原「「うっ」」ダラダラ・・・


一方通行「……俺だ」Pi!

????『…………、』ビジ・・・バジ・・・

一方通行「……糞ガキ。いい加減にしねェと俺だけじゃなく黄泉川までキレっぞ」ハァ・・・

????『…………、』ピィ・・・ガガガ・・・

一方通行「あの、なァ」ポリポリ・・・

????『…………、』ジジジ・・・ミサ・・・カ・・・

一方通行「チッ……切るぞ」Pi!

????『……――』ビィイィ・・・・プツンッ


一方通行「……てな感じだ」ハァ・・・

海原「む、無言電話ですか」タラー・・・

結標「てかアンタよく怒鳴らないわね」フーン・・・

一方通行「暖簾に腕押しってヤツだ……って、ほら。また着た」スッ・・・

海原「っ……か、掛ける度、無言電話、ですか?」ゾッ・・・

一方通行「おゥ……しかもこのガキ、俺だけじゃなく超電磁砲(オリジナル)の方にも同じ事してるらしい」ハァ・・・

結標「あちゃー……御坂さんもかぁ。まぁこの件に関しての元凶は彼女だから自業自得かしら」アハハ・・・

一方通行「元凶ってなァオマエの事だろボケ……って、また電話だ」ハァ・・・

海原「ん? ちょっと御待ちを……今度は別の人からですよ」ジー・・・

一方通行「え」バッ・・・

海原「御坂さん御本人からのコールですね。羨ましい……死ねばいいのに」ニコニコ・・・

一方通行「うわァ。コイツもコイツで面倒臭ェのに……代われるモンなら代わってやンぞ」ジトー・・・

結標「はいはい……で、如何すんの? 出るの? 出ないの?」ジー・・・

一方通行「……出るしかねェだろ」タラー・・・

海原「またハンズフリーにしてくださいね」ワクワク・・・

一方通行「ハイハイ……そんじゃ出っぞ」Pi!

776 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 04:14:06.58 ID:0mj4mss30
一方通行「……何だ」カチッ

御坂『うわあああああああああああああああああああああぁんっ!!』ビギャー!

一方通行・結標・海原「「「…………、」」」キーン・・・

御坂『らあああああずうううううどおおおおおおおおだあああああああ』ビエー!

一方通行「……いや、俺に言われても」タラー・・・

御坂『何どがじでよおおおおぉ』ビエーン!

一方通行「だから、俺に言うな」ハァ・・・

御坂『だっでぇ! だっでぇええええぇ!! 風紀委員の支部でもおおおおぉ!!』ウワーン!

一方通行「は?」キョトン・・・

海原「支部というと……例の第177支部ですか?」フム・・・

結標「牛乳眼鏡の所ね……え? アイツ居るのに?」キョトン・・・

御坂『打ち止め怖いよおおおおおぉ!!』ピギャー!

白井『お姉さま!! 五月蠅いですの!! あ、寮監様すいませぶぎゃっ!!』コキャッ・・・

一方通行「お、落ち着け……落ち着いて話せ」タラー・・・

御坂『うぅ……支部で、支部でね……―――』グスン・・・


  <回想>


固法「…………、」チラッ・・・

白井「…………、」チラッ・・・

初春「…………、」チラッ・・・

佐天「…………、」チラッ・・・

春上「…………、」チラッ・・・


御坂「……うっ」ダラダラ・・・

打ち止め「…………、」ジトー・・・


初春「あ、あの……打ち止めちゃん、何してるんですか? ずっと無言で御坂さんの背後に立ってますけど」タラー・・・

固法「……さぁ」タラー・・・

白井「というかまだ喧嘩、か如何か微妙なラインですけど、あの2人、険悪な感じですの?」タラー・・・

佐天「えっと、良く分かんないけど……ら、打ち止めちゃーん。ちょっと外に買い物行かない?」ニコニコ・・・

春上「さ、佐天さん! 今は駄目なの!」アタフタ・・・

打ち止め「…………、」ギロッ・・・

佐天「うっ……あ、あはははは……何でもないよー」ダラダラ・・・

打ち止め「…………、」スッ・・・ジトー・・・

御坂「……あ、あの……妹様」ダラダラ・・・

打ち止め「…………、」ジトー・・・

御坂「私、その……トイレに」スッ・・・テクテク・・・

打ち止め「…………、」トコトコ・・・

御坂「ぐっ……何故付いてくるのでせうか?」ダラダラ・・・

打ち止め「…………、」ジトー・・・

777 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 04:33:16.09 ID:0mj4mss30
初春「うわぁ。トイレまで付いてった」タラー・・・

白井「えっと……というか、何故小姉さまが此処に」タラー・・・

固法「さぁ。『此処に居れば御姉様が現れるから』だそうよ。目的は分からない」ハハハ・・・

春上「一方的に怒ってるみたいだけど……何も言わないの。それが余計恐怖なの」タラー・・・

佐天「しかもずっと背後に立ってる。何処に移動しても……何このホラー映画」タラー・・・

固法「まぁあの子なりに考える所があるんでしょ。あ、戻ってきた」チラッ・・・


御坂「……あぅ」テクテク・・・

打ち止め「…………、」トコトコ・・・

御坂「……み、みんなー。何してるのかなー? こっちおいでー」ヒクヒク・・・

一同『…………、』フルフル・・・

御坂「ぐっ……ちょ、わ、私体調優れないから、今日は帰ろうかなぁ」アハハハ・・・

打ち止め「…………、」スッ・・・ビリビリ・・・

御坂「うをっ!?」ギョッ・・・

初春「あ……ドアのロックが自動で」チラッ・・・

佐天「に、逃がさない気かぁ」タラー・・・

御坂「ら……打ち止め、さん?」ギギギギ・・・

打ち止め「…………、」ジトー・・・

固法「はぁ……御坂さん、とりあえず座りなさい」ヤレヤレ・・・

御坂「うぇ!?」ギョッ・・・

固法「打ち止めちゃんも、気が済んだら止める筈だから……そうでしょ?」チラッ・・・

打ち止め「…………、」ジトー・・・

御坂「……ず、ずっと……こうしてろと?」ダラダラ・・・

打ち止め「…………、」ジトー・・・

白井「お姉さまが虎の前の兎みたいですの……って、あら? 初春。ドアに反応が」チラッ・・・

初春「え? あ、誰か居る見たいですね。打ち止めちゃんが軽くセキュリティショートさせちゃったんで気付きませんでした」ジー・・・

固法「器物破損よ、まったく……えっと……最愛ちゃんと那由他ちゃんね。手動で開けないと」スッ・・・

打ち止め「…………、」スッ・・・ビビビ・・・

一同『っ!!?』ギョッ・・・


絹旗「およ? 開きました。もう少しで破るとこでしたよ」ウィーン・・・

那由他「姉さん物騒ですよ……ってあら? 何の儀式?」ジー・・・

固法「いらっしゃい。申し訳無いけど、打ち止めちゃんは本日無言デーみたいよ」ハァ・・・

初春「今、お茶淹れますからそこに座ってて下さい」テクテク・・・

那由他「どうも。んー、しかし……超電磁砲の頭なんて見て何してるの? 面白いものでもあった?」キョロキョロ・・・

打ち止め「…………、」スッ・・・ビシッ・・・

一同『っ!?』ギョッ・・・

絹旗「超電磁砲に指差してる? んー……何でしょう。超気になります」ジー・・・

那由他「どれどれ」ジー・・・

打ち止め「…………、」ジトー・・・

御坂(ふ、2人増えた!!)ダラダラ・・・
778 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 04:59:34.08 ID:0mj4mss30
 <回想終了>


御坂『―――ってな感じで……ずっと無言なのよ』ウルウル・・・

一方通行「俺も似た様なモンだっつの」ハァ・・・

御坂『うぅ……責任取ってよぉ!!』ビリビリ・・・

一方通行「だああァかああァらああァ!! 俺も被害者だっつってンだボケ!」グヌヌ・・・

御坂『じゃあ如何しろっていうのよ! 頼りの先輩は『多分、もうちょっとで解決する』としか言わないし!』ギリリ・・・

一方通行「だから知らねェっつってンだよ……面倒臭ェ姉妹だなァ」ジトー・・・

御坂『っ!! アンタねぇ……何でそんな他人事なのよ! アンタの責任でしょう!! アンタ保護者でしょう!!』バンッ!!

一方通行「おま、だから、俺の話聞いてっか!? 俺も対応困ってンだよ!!」ガンッ!!

御坂『あーもぅ! 男って如何してこう無責任なの!? ふざけないでよ! 私は真面目に相談してるのに!』ビジバジ・・・

一方通行「テメェこそ冷静なって話聞きやがれ! さっきから言ってっ事同じだぞ、オイ」ハァ・・・

御坂『アンタが真面目に話聞かないからでしょう! これから如何するのって、聞いてるのに……何よ! その曖昧な答えは!!』バンッ!!

一方通行「この、ガキゃ」ピキッ・・・

海原「ど、どうどう……御坂さんも落ち着いてください。これじゃ娘の教育方針で喧嘩になった馬鹿夫婦ですよ」アタフタ・・・

結標「やれやれ、ヒステリック状態の女は同じ事何十回でも繰り返して言うわよ。兎に角打開策提示しなさいな」ハァ・・・

一方通行「チッ……俺らもアイツの事無視るしかないンじゃねェの」ケッ

御坂『そんなの根本的な解決にならないでしょ! どうしてそんな適当な事!』ムググ・・・

一方通行「ハァ!? さっきっからピーピーギャーギャーよォ……じゃあテメェが提示してみろボケナスがァ!!」ガンッ!!

御坂『っ……わ、分からないから……アンタに相談してるんでしょ』アタフタ・・・

一方通行「だから俺も分かンねェって返した! ンで無理矢理提示すりゃ何だオイ……調子乗ンなよ糞女ァ!!」ダンッ!!

御坂『だ、だって、ぅ……わ、私もぅ……如何して良いのか……ううぅ……ねぇ』ウウゥ・・・

一方通行「テメェは泣く為に態々電話したのか? あァ?! 黙ってねェで答えろ馬鹿姉がァ!!」チッ・・・

海原「ちょ、ちょっと……言い過ぎですよ」タラー・・・

結標「アンタも女の扱い下手ねぇ」タラー・・・

御坂『う、ぅ……っ……だって……ふぇええええええぇんっ!!』ウワーン!

一方通行「っ!!」ギリッ・・・

海原「ま、拙い……と、とりあえず一旦切りましょうね。ね! 結標さん……携帯奪って!」スッ・・・

結標「やれやれ……もしもし。御坂さん? また後で掛け直すから、とりあえず落ち着きなさい」Pi!

御坂『うわああああぁん!! びえええぇ―――』プツン・・・


一方通行「……ケッ」フンッ・・・

海原「これはまた……結構深刻ですね」タラー・・・

結標「まぁあのおチビ次第なんだろうけど……あ、そうだ。海原、アンタ『MNW』で情報ゲット出来ないの?」チラッ・・・

海原「出来ない事も無いですが……運営たる打ち止めが自分や一方通行のログインを許すかどうか」ウーン・・・

結標「物は試しよ。駄目だったらプロスネークに聞くでも良し。やってやんなさい。愛しの御坂さんのピンチよ」ハァ・・・

海原「……はぁ」トコトコ・・・カチッ・・・

一方通行「ンの糞アマァ……マジ一遍引っ叩かねェと分からねェみてェだなァオイ」ギリギリ・・・

結標「アンタはいつまでもイラついてないの。大人になりなさいっつーの」ポンッ

一方通行「……くそっ」ギリギリ・・・

海原「此処(仮眠室)のPCからならページ開けると思……あ、ログインも出来ましたよ……はい、どうぞ」スッ・・・
779 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 05:37:20.62 ID:0mj4mss30
結標「……MNWってこんなにゴダゴダしてるのね。処理大丈夫なの?」タラー・・・

海原「今開いてるのはプライベート板です。仕事用は仕事用でしっかり固定してあるので大丈夫らしいですよ」コクッ

一方通行「……ンで? 何処見りゃ良いンだ?」ジー・・・

海原「多分、運営たる打ち止めに関するスレッドや本人が建てたスレッドなら結構な勢いで伸びてるかと」ジー・・・

結標「……にしても、訳分かんないスレ多いわね。何よ『第七位が掃除機に吸込まれながら爆発する画像下さい』って」タラー・・・

海原「第七位コラシリーズですね。結構人気ですよ……あ、この『【絶対に】電磁通行と幼女【許されない】』っての怪しいですね」カチッ・・・


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


9.【絶対に】電磁通行 その3【許されない】


381 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11035
いや、てかデートじゃないって分かってるのにそこまでキレるとか・・・

382 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032
実に如何でもいい というかこの流れ何回目だっつの

383 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka14478
つーか当の運営様はこのスレ放置して何か計画してんだべ?

384 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka19999
でもあのお子様馬鹿だよなぁ
もう如何したら良いか分からないから私達に行動決めさせるとかw

385 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka17843
仕事用ならいざ知らず、此処の住人に決めさせるって事は





安価も同然なのに

386 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10036
んで今は反省して自問中なんだろ?
てか知ってる? マジ泣きしたってよw

387 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11035
あちゃー……kwsk!

388 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka17600
今日の夕方4時頃 風紀委員第177支部にて

打ち止めの無言の圧力&窒素装甲と木原サイボーグの質問攻めで泣いた

389 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10036
>>388
スネークさんオッスオッス!

390 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032
>>388
御姉様ェ……


三人幼女に囲まれ、一人は無言 二人は質問攻め……何それ怖い

391 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka19090
黒妻家の娘は鬼畜やでぇ


んで、その質問の内容は?

392 :以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka17600
「何で打ち止めちゃんに超睨まれてるんですか?」
「今度はどんな悪い事仕出かしたんですか?」
「あ、第一位との噂って本当ですか!? 超気になるんですけど!」
「それ! 私も気になってた! 教えて下さいよぉ、このこのぉ」

※このタイミングで運営がソファを蹴る → 一同困惑 → 
幼女組、無言で御姉様の後頭部を見詰め出す → 5分後くらいに泣いた

780 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 05:59:22.30 ID:0mj4mss30
393:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka14562
え げ つ な い

394:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka20000
セロリたんならその状況下で絶頂迎える筈!! 

「ぬふゥ! 幼女に視姦されてるゥ!!」って!!

395:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11111
てかマジで黒妻家の長女次女タイミング悪いな

396:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka17043
んー……そろそろ黄泉川氏とか固法氏が介入しても良いと思う


>>394
今日も絶好調だな

397:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka14510
>>394
死ね



普通に 死 ね

398:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka13832
>>397
春子は春子で通常営業だなw

399:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka17843
>>397
オマエは暗黒の世界に帰れ →【仁義なき】上条派vsセロリ派論争56戦目【闘い】

400:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10453
まあ、何にしろ……運営の調子がオカシイのが続いてる
それ結構困るんだよね

MNWだけじゃなく、色々不備生じてるっしょ?

401:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11111 
多少は我慢したれ
まぁ長引き過ぎたらちと問題だが

402:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka19090
てか正直、運営は運営で後に引けなくなってるだけだと思うんだけど
実際、今にでも仲直りしたくてしょーがないんでしょ? うずうずしてんでしょ?

403:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032
じゃあもうさ……



同じ様に浮気すれば良いんじゃないの、あの幼女もさ

404:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka15555
>>403
!!?

405:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11035
>>403
>>403
>>403
>>403

406:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11111
>>403
おま……何それ?

407:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11035
アレが浮気出来るタマか?



あ、今なら何でも仕出かしそうだな

408:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032
お前ら反応はやすぎ。あと何故そんなに喰い付く?
コーヒーふいたし
781 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 06:14:26.82 ID:0mj4mss30
409:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka16784
>>403
良いアイデアだ 衝撃的だな




だが、肝心の運営が居ないので、無意味だ

410:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka20001
いるよ

411:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032
言ってみただけ、だ……え





412:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka17600
>>410


413:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10039
>>410
ど、ども

414:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka19090
えっと……見ての通りですよ

415:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka20001
分かった


私も浮気すれば良いんだね?

416:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka16553
>>415
い、いやぁそりゃどーかと……話ややこしくなるだけかなぁって

417:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11035
というか運営、浮気の意味……は知ってるか


浮気する相手居るの?

418:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032
まさか上条さんとか言わないよな

419:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka20001
あ、そっか。あの人なら御姉様にも復讐出来るし一石二鳥だね

ナイス10032号! \(>ω<)ノシ”

420:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10453
妹(10032号)おおおおおおおおおおぉ!!

421:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11111
こんのボケナスがああああああぁ!!

422:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032


423:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032


424:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10032


425:以下、名無しにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka19090
無言投下すんなカス

オマエまじ何とかしろよ? オマエの責任な


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


一方通行・結標・海原「「「…………、」」」タラー・・・
782 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/06(金) 06:39:03.27 ID:0mj4mss30
結標「え、と……その」ポリポリ・・・

一方通行「ど、どどどどどどどどどっどっどどどどっどどォ!!?」ガタガタガタガタ・・・

海原「落ち着いて下さい! 先手を打ってしまえば此方のモノです。すぐ上条さんに相談して下さい」チラッ・・・

一方通行「そ、そォだな」アタフタ・・・

結標「御坂さんには黙っておいた方が良いわね。多分、この話を聞いたら卒倒するわ」タラー・・・

海原「まったく……こうなったらやはり第三者に介入してもらうしかありませんね」ジー・・・

結標「同感ね。黒妻家か黄泉川家がベターでしょうけど……はぁ」グデェ・・・

一方通行「オイ、三下話中なンですけどォ!!」アタフタ・・・

海原「むっ……もしや」タラー・・・

一方通行「……えー」タラー・・・

結標「もぅさぁ……幻想殺しに賭けるってのもアリじゃないの?」ジトー・・・

一方通行・海原「「っ!?」」ギョッ・・・

結標「アンタや御坂さんじゃ解決できないし、牛乳や黄泉川さんは傍観徹底してるみたいだし」フムフム・・・

一方通行「で、でもよォ」タラー・・・

海原「……仕方ありませんね。彼に限って最終個体に手を出す様な真似はしない筈です」コクン・・・

一方通行「…………、」タラー・・・

結標「ウジウジ言ってないで覚悟決めなさい。日時とか特定する為にバックアップするから……主に海原が」クイッ

海原「へぃへぃ」グデェ・・・

一方通行「……はァ」タラー・・・




 ******************************







はい、今日は此処まで。次回電磁通行&打ち止めの決着! そして土御門と姫神!
なるべくさっさと終わらせて次に行くよ。それじゃまた次回! ノシ”

783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/01/06(金) 12:29:59.23 ID:rWZb10IAO
最終個体ってなにさ
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 14:54:16.88 ID:lkPiW+HIO

打ち止めの一連の行動はMNWが原因かw
そして打ち止め上ヤン病を侮りすぎてるぞ…w
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/08(日) 14:26:55.67 ID:pn/1tD4Qo
ぜひとも次にくる英国編ではアンジェレネの出番を増やして欲しい

出番が少なくて禁断症状でそうだ
786 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/08(日) 23:31:10.55 ID:QEWB/OCx0
こんばんわ。ボチボチ書きます。

・最終個体 → 最終信号 です、すいません!

・そういえば今回全っ然英国編やってねーとか・・・マジ反省!

そんじゃ投下!
787 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/08(日) 23:53:55.10 ID:QEWB/OCx0
 ―――数日後の翌日、PM00:30、学園都市第7学区、とある喫茶店・・・・・



   ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・



土御門「―――……はぁ」グデェ・・・

半蔵「……あの、よぉ」ハァ・・・

土御門「あん?」ジトー・・・

半蔵「急に呼び出して、野郎二人で昼食、しかも何も喋らず辛気臭い顔……何の虐めだ、こりゃ」ジトー・・・

土御門「うっせ」グデェ・・・

半蔵「いやいやいやいや。怒りたいのは俺の立場だかんね? しかもオマエ学校じゃねぇの?」ジー・・・

土御門「学校居たくねぇからこうやってふけてんだろぉよ。てか今日は半ドンだ」グデェ・・・

半蔵「意っ味分からん……仕事の話やら何やらならまだしも、え? 何が目的? まさかマジで飯だけ?」キョトン・・・

土御門「っせぇ」ボソッ・・・

半蔵「……っかああああぁ!! 面倒臭ぇ!」グデェ・・・

土御門「やっかましいわ! 黙ってろ!」ギロッ・・・

半蔵「帰る」スッ・・・

土御門「帰んな!!」バッ!!

半蔵「面倒臭っ! コイツ面倒臭っ!!」タラー・・・

土御門「……良いから帰んなし」ハァ・・・

半蔵「溜息吐きたいのはコッチだっつの……もしオマエが美少女キャラだったら沈黙すら優美なのになぁ」グデェ・・・

土御門「悪かったなぁムサい野郎で!」フンッ・・・


 オマタセシマシター! ツキミドリアトBランチ、サラダバースープバーガ2ツヅツニナラマース!


半蔵「……んで?」モグモグ・・・

土御門「…………、」モグモグ・・・

半蔵「沈黙すんならマジ帰るぞ。もしくは雲川呼ぶ」サラッ・・・

土御門「死ね」ギロッ・・・

半蔵「えっと、雲川のメアドはっと」カチカチ・・・

土御門「すいません。マジ止めて下さい」ダラダラ・・・

半蔵「……ハァ」ジトー・・・

土御門「あーもぅ……何て言うか……色々やんたくなった」ハァ・・・

半蔵「……んで、俺に相談っと? 俺らそんな御友達関係だっけ?」フーン・・・

土御門「テメェは利益無い限りコッチの腹探らないし、何より俺が気を使わないで済むから楽だ」フンッ

半蔵「言いたい事は分かるが……何かキモい」タラー・・・

土御門「うっせ! この前プライベートに資金運用の相談乗っただろ! その借り返すと思え!」グヌヌゥ・・・

半蔵「はいはいプライベートね……プライベート?」ポカーン・・・

土御門「……悪いかよ」ジトー・・・

半蔵「いや……え? あ、いや……うーん? だったら俺じゃなくさぁ。幻想殺しとか学校のダチとかの方が」ポカーン・・・

土御門「そーゆう『プライベート』な相談なんだっつの。テメェは俺にとって私情でも仕事でも無いグレーラインな立場だろ」ケッ!

半蔵「あ、そゆ事……じゃあ尚キモい……あーはいはい。ちゃんと話聞いてやっから睨むな」ヤレヤレ・・・
788 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/09(月) 00:18:41.47 ID:CNSevb5U0
半蔵「……んで? その『プライベート』っていうのは?」モグモグ・・・

土御門「……何て言うか、日常(プライベート)と仕事とのイザコザで生じた問題だ」ムゥ・・・

半蔵「ふむふむ……まさか『本家』とオマエと義妹(実家)の事か?」モグモグ・・・

土御門「いや、そっちはまだ問題無ぇ。単なる学校生活と仕事だ」ジー・・・

半蔵「へぇ。つっても、オマエ仕事多過ぎっからどの枠か分かんねぇけど……ざっくり話せや」モグモグ・・・

土御門「……暗部のと、学校生活だな」ジー・・・

半蔵「例のグループさんね。英国じゃない方、と……んで?」ムシャムシャ・・・

土御門「結標……知ってるな?」モグモグ・・・

半蔵「ああ、俺らのチームの5分の1潰した女だろ。あの半裸姉ちゃん」モグモグ・・・

土御門「アイツの問題だ……問題だった」モグモグ・・・

半蔵「んー……もしかして……一回くらいヤっちゃったとか?」グッ・・・

土御門「ぶふっ!! て……死ね」ジトー・・・

半蔵「あははは。怒るなや。んで?」ジー・・・

土御門「糞っ……あの女、今居候してんだ。それが俺の担任の家」ハァ・・・

半蔵「ほぉ。アイツ、最近自分のチーム立て直したって聞いてたからソッチに住んでんのかと思ってたわ」モグモグ・・・

土御門「……そうしてくれれば助かるんだけどにゃ」ハァ・・・

半蔵「いやぁ、あのチーム面倒なんだぞ。力有るくせに何処の派閥にも付かない……っと、今その話は良いとして……それで?」ジー・・・

土御門「喧嘩した」フンッ・・・

半蔵「……あー」ポリポリ・・・

土御門「…………、」モグモグ・・・

半蔵「んー」タラー・・・

土御門「…………、」モグモグ・・・

半蔵「……成程」ティンッ!

土御門「本当に分かったのかにゃ?」タラー・・・

半蔵「大体分かった。要は互いの日常(プライベート)に双方が足突っ込んでたから生じた問題だろ?」フーン・・・

土御門「相変わらず頭の回転早ぇな」ハハハ

半蔵「伊達に軍師キャラやってねぇよ。んで『俺の担任から手を引け&私の家主居候関係に指図すんな』的な感じか」モグモグ・・・

土御門「……うぃ」モグモグ・・・

半蔵「んでんで、喧嘩なってるから気拙い。どっちも引かないからややこしい。仕事にも影響出る、と?」ジー・・・

土御門「いや、決着はついたんだぜぃ」クイッ・・・

半蔵「あ?」ポカーン・・・

土御門「ついたんだが……だから、その……色々」タラー・・・

半蔵「……事後の方が気拙い、と?」ジトー・・・

土御門「…………、」コクッ・・・

半蔵「うわぁやっぱオマエ面倒臭ぇ」タラー・・・

土御門「うっせぇな! 十も承知だボケ」フンッ・・・

半蔵「やれやれだ……結局、何を相談したいんだ……って、どうせその相談も曖昧なんだろうな。どーすりゃ良い? とかだろ?」ハァ・・・

土御門「……分かってんなら聞くな」タラー・・・

半蔵「やっぱ、ある意味郭より面倒臭いな。文献でしか知らないけど、陰陽術師ってメンヘラだってのは本当だな」ハハハ

土御門「忍者だってメンヘラ多いだろうが! ったく……こんな馬鹿話しに来たんじゃねぇんだけどにゃぁ」グデェ・・・
789 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/09(月) 00:50:57.60 ID:CNSevb5U0
 ―――数日後の翌日、PM02:00、学園都市第7学区、とある公園(『窓のないビル』付近)・・・・・





一方通行「―――……ハァ」チラッ・・・ドヨーン・・・

御坂「……ちょっと。私の顔見て盛大な溜息吐かないでよ」ジトー・・・

一方通行「いや、何で来てンの」ジトー・・・

御坂「そりゃアンタ『こんなメール』来りゃ来ない訳にもいかないでしょ!! ほらっ―――」バッ!!


 『御姉様! ミサカは明日浮気します! ってミサカはミサカはドヤ顔で携帯打ちながら公言してみたり♪』


御坂「アンタもそういうメール来たから此処居るんでしょ! んで私に見つかった次第でございましょ!」ビシッ

一方通行「うわァエグい。うわァウザい」タラー・・・

御坂「安心なさい。誰と浮気する気か知らないけどね……姉としてそんな不埒な真似見す見す捨て置けないわよ!」フンッ・・・

一方通行「あ、知らないンだ……うン、じゃあ帰った方が心の為だぞ」タラー・・・

御坂「ほわぃ? 訳がワカメよ」ポカーン・・・

一方通行「……それよか、一人か?」タラー・・・

御坂「ノンノンノン。実は遠くから妹(10032号)も見てるわ……ほら、そっちの繁み」チラッ・・・

一方通行「ン?」チラッ・・・


御坂妹「……………、」ビシッ!


一方通行(……そりゃまァこの状況を作った発起人ですからねー)タラー・・・

御坂「アンタは一人なの? 黄泉川さんとか番外個体とか来てないの?」チラッ・・・

一方通行「この状況を楽しみそうな頭緩ンだアイツら連れて来るかってェの……(ま、他に二人程来てるがな)」チラッ・・・


海原「……また彼は意図せずとも御坂さんと2人きりに」ブツブツブツ・・・

御坂蛇(17600号)「師匠(マスター)、非常に気持ち悪い……とミサカは望遠レンズを覗きつつ傍目でキモい師匠に毒づきます」ジトー・・・


御坂「あっそ……それより、本当に此処で合ってるのかしら。打ち止め現れないわよ」キョロキョロ・・・

一方通行「場所も時間も合ってる。というか多分、相手は来てる」ジー・・・

御坂「え、嘘?! 何処何処!?」キョロキョロ・・・

一方通行(此方の事情は何も知らずベンチにのンびり座ってるテメェの想い人、ウニ頭くンですよォ)ジトー・・・

御坂「ぐぬぬぅ……何処のドイツ人か知らないけど……発覚次第市中引き回しした後、全裸で風車に括りつけて輪してやる!」ビリビリ・・・

一方通行「……出来るモンならな」フンッ・・・

御坂「やっちゃるわい! って、あ! 来た! 打ち止め来た! ん? 男の方、も、出、てき……だぁ……っ!?」アタフタ・・・

一方通行「……ン」ジー・・・


打ち止め「――――!」トコトコ・・・

上条「――――」ノシ

打ち止め「――――♪」ギュッ!

上条「――――、」ハハハ・・・


御坂「」チーン・・・

一方通行「予想通り過ぎる反応をどォも」ハァ・・・
790 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/09(月) 01:26:52.20 ID:CNSevb5U0
 ―――数日後の翌日、PM03:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・



   ジャージャー・・・がやがや・・・・・



香焼「……んー」ボー・・・

絹旗「如何したんですか? そんな超腑抜けた顔して」ジー・・・

香焼「あ、いや……何でもない」ボー・・・

姫神「適当に。何でもないって答えを返す時点で。腑抜けてる」ジトー・・・

香焼「……いや、色々ツッコむのが面倒になって」ハァ・・・

浦上「ツッコみ役やめた香焼なんて豆腐とひき肉入ってない豆腐ハンバーグみたいなモノだヨ」モグモグ・・・

香焼「せめてどっちかは残して欲しいな。原型無いだろ、それ」ハァ・・・

絹旗「うーん……とりあえず……アンタ誰ですか?」チラッ・・・

香焼「今更!? 2時間くらい一緒に居たよね!?」タラー・・・

姫神「……姫神秋沙。永遠の16歳。そして魔女っ子。そういう貴女は?」ビシッ

香焼「姫神さん、その自己紹介色々痛いっす」タラー・・・

絹旗「絹旗最愛です。香焼と同い年の超12歳。そして超大能力者の美少女ちゃんです」ペコッ

香焼「こっちも痛い! ってか超付け過ぎて何を越えてるんだか分からない!! 超のゲシュタルト崩壊!」アタフタ・・・

浦上「あ、いつもの香焼だネ」ハハハ

もあい「にゃー」フシフシ・・・

香焼「……はぁ」グデェ・・・

絹旗「ふむふむ。まぁその超姫神さんとやらは、何故この家に? 五和さんか浦上さんのお友達ですか?」ポカーン・・・

姫神「私は『アレ』の友達。貴女は?」クイッ

絹旗「私は香焼の超友達兼超SPです」キッパリ・・・

香焼「超S,P……は?」ポカーン・・・

姫神「成程成程。超SP」フムフム・・・

絹旗「ええ。香焼超弱っちぃので私が守ってやってるんですよ。私超強いですから」ハハハ

香焼「……駄目だ。軽く電波飛んでるよ」ハァ・・・

絹旗「ところで……『アレ』が来てるのは今に始まった事じゃありませんが、今日はまた何で台所に?」チラッ・・・


結標「―――うぇ!? えっと……こっちの粉かしら?」アタフタ・・・

五和「―――そっちじゃなくて、というか粉じゃなくて味噌ですよ! 味噌汁に粉使わないでしょ」タラー・・・


姫神「……料理習いに。花嫁修業的なアレ?」ビシッ

絹旗「なっ……こ、香焼!!」ギロッ・・・ガシッ・・・ブンブンッ!!

香焼「な、何で睨むのさ……って揺らららららすすすすすななななぁbbbbbbb!!」アタフタ・・・

浦上「にゃははは。最愛ちゃんも料理御勉強しないとネー」ハハハ

香焼「何勘違いしてるか分からないけど、花嫁修業じゃなくて……ええっと」ウーン・・・

姫神「やれやれ……居候で。家主に料理作らせてばかりだから。自分もしっかり手伝いたいって」ジー・・・

絹旗「ああ、成程……ふーん。それはまぁ超しゅしょーな事ですね」マジマジ・・・

もあい「んなー」コクコクッ

香焼「ささささささいいいいいいああああああいいいいいいいっ!! 離してえええぇ!!」ガクガクガクガク!!
791 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/09(月) 02:16:37.23 ID:CNSevb5U0

 にゃーん・・・・・


絹旗「―――って、私達が毒味させられる訳なんですか」ハァ・・・

結標「本っ当に失礼な事しか言わないわね、このチンチクリンガールは」ジトー・・・

姫神「でもまぁ……ふむふむ。見た目。臭いは。合格点。別段悪い点は。見つからない」ジー・・・

浦上「そりゃ8割方お姉が作ってましたからネ」ハハハ

結標「こ、こら! 余計な事言うな!」アタフタ・・・

五和「あはは。でも、真面目にメモしてましたし重要な個所は手伝って貰いましたから」フフッ

絹旗「ふーん……それじゃあ……はい」スッ・・・

香焼「何故自分の前に出すの?」エ・・・

絹旗「超毒味です」ジー・・・

結標「味見って言いなさいよ!」ムギギ・・・

姫神「しかも。さっき自分でSP語っておきながら。守護対象に。毒味させるとか」ハハハ

五和「ええっと……大丈夫よ?」タラー・・・

香焼「何故疑問符?! もぅ……とりあえず、頂きますけど……じゃあこのムニエルから」スッ・・・


 にゃーん・・・・・


香焼「……ん」モグモグ・・・

結標「……ど、どう?」ドキドキ・・・

香焼「……うん。十分美味しいっすよ」モグモグ・・・

結標「お、おぉ!」キラキラ・・・

絹旗「超御世辞に決まってますよ」ジー・・・

香焼「いやいや……これなら月詠さんに出せると思います」フフッ

結標「そ、そう! それなら……ふふっ」キラキラ・・・

姫神「あらあら」クスクス・・・

浦上「ふーん……じゃあこの味噌汁(?)をドーゾ」スッ・・・

香焼「あ、うん……って……何か白いの浮いてますけど」ピタッ・・・

姫神「……粉っぽい」ジー・・・

浦上「うん。それ粉ですネ」ジー・・・

絹旗「超粉です」ジー・・・

もあい「みー」ジトー・・・

結標「え、あ、その……た、多分大丈夫よ?」タラー・・・

五和「え、ええ。ちょっと無駄にとろみ付いちゃってるけど、味噌汁っちゃ味噌汁だから」アハハ・・・

香焼「……ん」ズズズ・・・

浦上「……阿片粉」ボソッ・・・

姫神「……人骨粉」ボソッ・・・

絹旗「……超結晶」ボソッ・・・

香焼「ボホァっっ!!」ゲホゲホッ!!

結標「んなモン入れるかあぁ!! 片栗粉だっつーの!!」ウガー!!

五和「あははは……まぁそれでも有り得ないんですけどねぇ」タラー・・・
792 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/09(月) 03:01:38.46 ID:CNSevb5U0
  ――一寸後・・・・・



香焼「―――……ごちそうさまでした」ゲフッ・・・

浦上「結局、香焼一人で全部食べ切ったネ」ハハハ

絹旗「超お手柄です。後でカップゼリーを買ってあげましょう」グッ

姫神「じゃあ私は。雪見まんじゅう。買ってあげる」コクッ

結標「アンタら大概失礼ね」グヌヌゥ・・・

五和「あははは……まぁこれで一応月詠さんに食べさせられるよって事で。カオリ姉さん居ればもう少し的確に教えれたんですけど」コクッ

結標「あ、うん。そうね……メモ見ながら頑張る」グッ・・・

絹旗「……ところで、如何して急にこんな事しようと思い立ったんですか?」ジー・・・

結標「何でアンタに教えにゃならんのよ」フンッ

姫神「喧嘩後の。超ラブラブ期間ってヤツ」フフフ・・・

絹旗「え? あーうん……何となく分かりました」フムフム・・・

結標「あ、秋沙! 余計な事言うな! てか、それいつかは終わるみたいな言い方じゃないの!」ムキー!

姫神「それはまぁ。いつかわ終わる。というか。いつまでも居座ってちゃ。ダメ。分かってる?」ジトー・・・

結標「うっ……わ、分かってるわよ。モラトリアムなの。モラトリアム」フンッ

絹旗「うわぁ。横文字使って賢さアピールしてますけど超アホっぽいです。超学生ニートの言い訳です」ニシシ!

香焼「さ、最愛!」アタフタ・・・

結標「ぐっ……ホンっト、いけすかないガキね」ジトー・・・

五和「こらこら喧嘩しないの。ところで……他にも色々大丈夫なんですか?」チラッ・・・

結標「え?」フム・・・

浦上「ほら。土御門」ボソッ・・・

姫神「…………、」ジー・・・

結標「ああ……まぁ私はもう気にしてないわよ。素直に身から出た錆だって反省してるし」コクッ

絹旗「……ふぇ?」キョトン・・・

香焼「あー、最愛。そろそろ外行こうか。もあい連れて公園行こうよ」スッ・・・チラッ・・・

絹旗「あ、はい―――」チラッ・・・フーン・・・

結標「……何か気ぃ使わせたわね。半ば香焼くんも当事者なのに」ポリポリ・・・

五和「まぁコウちゃんはそれが取り得でもありますから……で?」チラッ・・・

結標「んー……いや、アイツの方が気後れ? 気拙い? 兎に角、珍しく殊勝に負い目みたいなモン感じてるっぽくてさぁ」ハァ・・・

浦上「ありゃりゃ。そりゃまた稀有な事が」ヘー・・・

結標「御蔭で仕事……バイト内まで気拙くなってて……秋沙的に如何よ」チラッ・・・

姫神「……彼。馬鹿だから」サラッ・・・

五和・結標「「……は?」」キョトン・・・

浦上「えっとぉ……それって如何いう意味ですカ?」ニャハハ・・・

姫神「普段。馬鹿を装ってるフリして。実は暗躍してるクールガイ。を気取ってる。馬鹿……要するに。単なる馬鹿」フンッ

五和「あー……はい?」タラー・・・

姫神「人間。『服』を着てない状態が。真の姿。つまり。アレは馬鹿阿呆の類」サラッ・・・

結標「んーと……秋沙、ゴメン。アンタの言い回し含み在り過ぎ且つ偶に解読不能な日本語使うから分からない。もっと分かり易く」タラー・・・

姫神「……要は。マジでシスコン状態の。土御門くんが。本物って事。おk?」ハァ・・・
793 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/09(月) 03:52:34.76 ID:CNSevb5U0
結標「まぁ、えっと……ん?」チラッ・・・

五和「い、いや、私見られても」タラー・・・

浦上「……不思議な能力だの、武器だの、そういうの関係無しに、素の状態の人間って事ですカ」ジー・・・

姫神「そういう事」コクッ

結標「それは分かった。でもだから何なのっていう。アイツが馬鹿なのは百も承知だけど、秋沙が意図する馬鹿の意味が分からないわ」ポカーン・・・

姫神「……彼。自分の事になると。弱いタイプ」フンッ

五和「え?」キョトン・・・

姫神「仕事とか何とかは。他者他人を理由に働けるし。動ける。でもプライベートは。自分の事」コクッ

浦上「ふむふむ。つまり、とりわけプライベート色が濃い今回の問題はぶっちゃけパニクってますヨって?」ホー・・・

姫神「そう。だから。馬鹿。解決法を知らない。簡単な事なのに。盛大に悩む」ヤレヤレ・・・

五和「でも、上条さんとか姫神さんとか他にも多くの学友さん達が居るんじゃ」ム・・・

姫神「今回の件を知っているのは私と上条くんだけ。しかも。2人とも彼の意見に対立した」チラッ・・・

五和「……ほ、他にも誰かしら」ウーン・・・

姫神「居ない。彼。ぶっちゃけ。友達少ない……ううん。『いない』と思う」ジー・・・

結標「は? い、いや、アンタとか幻想殺しとか」タラー・・・

姫神「ま。あの無粋なグラサン着けてる限りは。上っ面の関係。だから……『道化』だなんて。揶揄される」フンッ

五和「そういえば……英国の方でも、カオリ姉さんやステイル神父の前でも……絶対外さない」タラー・・・

浦上「いやいや、というか居るんですカ? あのグラサンの下をマジマジと見た事ある人は」タラー・・・

姫神「義妹くらいじゃない?」サラッ・・・

五和・浦上・結標「「「納得!」」」ビシッ

姫神「しかも多分。ベットの上でだけ。それ以外全部道化……もしかしたら。私達が知らない。心許せる相手も居るかもしれないけど」ジー・・・

五和・結標「「お、おぅ」」ゴクリ・・・

浦上「まぁ土御門の近親相姦疑惑は今に始まった事じゃありませんからネ」ハハハ・・・

姫神「だから。ベットの上で。言葉通り。慰めてもらうしかないんじゃない? まったく。情けない。男のくせに」ヤレヤレ・・・

五和「で、でもまぁ推測でしょう……実際はそんなそんな……ねぇ」タラー・・・///

結標「そ、そうね。し、しても同衾くらいなんじゃ」アハハ・・・///

姫神「……淡希も。普段豪語するくせに。こういう時ばっか。ウブだこと」フフフ・・・

五和「ほ、ほら! 今さっき姫神さんが言った『私達の知らない心許せる相手』ってのが居て、そういう人に相談してる可能性だって!」コクッ

浦上「ま、無きにしも非ずですネ。だけど結局、それも推測に過ぎませんけど」フンフンッ

結標「と、とりあえずさぁ……えっと、私から言える事があるなら言ってみるわよ。一応私の方がお姉さんだし」アハハ・・・

姫神「……そういえば。淡希。私の一つ上だった。すっかり忘れてた。まるで先輩の貫禄が無い。あまりのオーラの無さ」ジトー・・・

結標「う、うっさいわね! アンタもこの前見たでしょ! これでも結構カリスマあるんだから!」ムググゥ・・・

姫神「自分で。カリスマ(笑)とか言うヤツは。大抵かませ」フフフ・・・

結標「ホンっト腹立つ後輩ね! アンタも!」ムキー!

浦上「あ、結標さん。お姉と同学年(五和の本年齢[ピーーー]歳)だったんですネ。忘れてました」ハハハ

五和「え、あ、うん。そうですね。如何学年ですか……うん」ジー・・・

結標「な、何よ」タラー・・・

姫神「御淑やか。且つ清楚系で家庭的。且つナイスバディ(且つ多少腹黒)……淡希。勝ち目無い」ジー・・・

結標「う、五月蠅あああああぁい!! わ、私だって……私だってえええぇ!!」ムギャー!

もあい「なー」コロコロ・・・
794 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/09(月) 05:22:12.36 ID:CNSevb5U0
 ―――数日後の翌日、PM04:30、学園都市第7学区、セブンスミスト・・・・・



  ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・・・



御坂妹『―――此方、シスター1。現在目標は雑貨店内をウロウロしています。とミサカはオーバーコールをします』Pi!

御坂蛇『―――此方、スネーク7。現在目標は彼を荷物持ちにさせて自由奔放好き放題やってる、オーバー』Pi!

海原『―――此方、ゴースト9……そろそろ休憩しませんか? おーばー』ハァ・・・

御坂春子(14510号)『―――こ、此方スプリング00。何で私まで駆り出されているのでしょうか? 非番なのに……オーバー』ハァ・・・

御坂丸(10039号)『―――此方、ラウンド3。ぶっちゃけ夜勤明けはシンドイんですけど……てか妹の尻拭いの手伝いって……オーバー』ハァ・・・

御坂.jp(13577号)『―――此方、ジャパン77。え? これ無銭奉仕なんですか? 嘘でしょう? オーバー』チラッ・・・

御坂漢子(14889号)『―――此方、ダンディ05。妹、報酬の件は? 今回は誰持ちなんですか? オーバー』ジー・・・

御坂緑(19090号)『―――此方、グリーン99……妹、黙らないで下さい。何か言いなさい……オーバー』ジトー・・・

御坂妹『……こ、今回の一件は』タラー・・・

妹達『うんうん』ジー・・・

御坂妹『そ、その……妹達というかMNWの危機管理の問題でもある故、無償で働くのが、その……当然ではなかろうかとミサカは』ダラダラ・・・

御坂丸『お疲れっしたー! と、ミサカは望遠鏡投げ捨てて帰路に着きます』テクテク・・・

御坂.jp『私も帰ります。あ、御坂丸。クレープでも買って帰りましょう、とミサカは提案します』テクテク・・・

御坂緑『じゃ、じゃあミサカも! 待って下さい』アタフタ・・・


  ゾロゾロ・・・ミサカモミサカモ・・・・・


御坂妹『ちょ、おまえら!!』タラー・・・

御坂蛇『これ予見してた5's(15555号)の言ってた通りになった……ミサカ的にはそっちの方が腹が立つ』ハァ・・・

御坂漢子『だからアイツ来なかったんですね。正直、ミサカも帰りたいのだが……春子は?』ハァ・・・

御坂春子『え、あ、その……うーん』モジモジ・・・チラッ・・・

御坂蛇『ソイツは専ら上位個体じゃなく別の男(一方通行)を監視してる。さっきからずっとな……とミサカは心底呆れます』ハァ・・・

御坂春子『うぇ!? そ、そんな事にゃいでしよ』ダラダラ・・・///

御坂妹『……残ってくれるだけまだ良いです。後はこれだけ?』キョロキョロ・・・

御坂漢子『多分な……と、ヤツが帰る訳無かったか』ジー・・・

御坂蛇『ん……あぁ。ジェバンニとアラスカの』ジー・・・

御坂ジェバンニ(12345号)『―――此方、ストレート5。運営様に呼ばれればいつでも出ます。オーバー』Pi!

御坂アラスカ(18456号)『―――此方、ダイス456。右に同じく。オーバー』Pi!

御坂蛇『運営ラブ組はそりゃ残るだろう……それにアラスカは来るとこまで来ちゃってるし、とミサカは苦笑します』フッ・・・

御坂春子『ジェバンニ。もし呼ばれたら出て行くの? 上条さんの前でも? とミサカは疑問を尋ねます』タラー・・・

御坂ジェバンニ『お望みとあらば。どんな逆境でさえ、とミサカは返答します』サラッ・・・

御坂妹『そ、そうですか。流石ですね……まぁこれだけ居れば安心かと』フム・・・

御坂アラスカ『……もう一人……いや、二人居ます。とミサカは密告します』ボソッ・・・

妹達『え?』キョトン・・・

御坂宿無(19296号)『―――……居ちゃダメですか? とミサカは皆の視覚に入らない場所から応答します』ファァアァ・・・・・

御坂蛇『うげっ!? ホームレス!!?』タラー・・・

御坂アラスカ『あとは管理人(18413号)も何処かに居る様です。ミサカ達の回線に割り込む気は無い様ですけどね』Pi!
795 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/09(月) 05:47:17.61 ID:CNSevb5U0
御坂妹『ま、まぁ助かります。というかこれだけ居ればミサカが居る必要無い気がする』ハハハ・・・

御坂春子『妹が発端でしょう! ちゃんと責任持って最後まで面倒見なさい』ムンッ・・・

御坂妹『む、むぉ』タラー・・・

御坂漢子『ほぉ。春子に言われる様じゃ妹も末ですね』ククク・・・

御坂蛇『まったく……おっと、師匠。如何しました?』Pi!

海原『如何したもこうしたも……やる気あります? というか僕も帰りたい』ハァ・・・

御坂妹『蛇師匠(スネークマスター)。そこはほら、御姉様(オリジナル)が関わっているという事でどうか』ハハハ・・・

海原『……やれやれ』タラー・・・

御坂蛇『それより……上位個体と彼は何処に?』チラッ・・・

御坂ジェバンニ『屋上へ向かう様です。多分、着ぐるみショーに喰い付いたかと』ジー・・・

御坂妹『了解……時に、御姉様+1は?』チラッ・・・

御坂春子『追い駆けている様子。てか御姉様ちゃっかり買い物してるしいいいぃ!! 狡いいいいいぃ!!』ムキー!!

海原『……同感です、一方通行』ジトー・・・

御坂漢子『アンタらはアンタらだが……御姉様方も御姉様方。あんな行動するから写メ撮られて流される』ヤレヤレ・・・

御坂妹『確かに……兎に角、ミサカ達も追跡しましょう。彼に限って間違いは無いとは思いますが……念の為』ムンッ

御坂アラスカ『では各々のルートに接触しない様に……また後ほど!』スッ・・・

妹達『了解!』スッ・・・

海原『……無駄に修錬された無駄の無い無駄な追跡』ハァ・・・


 ざわざわ・・・ガヤガヤ・・・・・


御坂「―――う、ぐぬぬぅ……打ち止めめぇ……あんだけ好き勝手引っ張り回しおってぇ」ムキー!

一方通行「オマエ、人の事言える? なァこの荷物の量何? しかも悪質なまで少女趣味……よく恥じらい無しに買えンな」タラー・・・

御坂「アンタ一緒なら買えるわよ。羞恥心なんてないでしょ」フンッ

一方通行「うわァコイツ人のカード使って買い物しといて、その言い草……やっぱテメェら姉妹だよ」ケッ・・・

御坂「うっさい! アンタがピーピーギャーギャーワンワンニャーニャーポグホーン五月蠅いから見失ったじゃない!」キョロキョロ・・・

一方通行「ぽ、ぽぐほ……アイツらなら屋上行ったぞ」ヤレヤレ・・・

御坂「え、マジ? そんじゃ急いで先回りよ! ほら、階段ダッシュ!!」シュバッ!

一方通行「…………、」モゥイヤ・・・




 ****************************




すいません。一度寝ます。起きたら続き書く。次こそ終わらせる! オーバー!

796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 06:11:49.86 ID:jzxnXd2IO
乙、ゆっくり休め
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 20:34:52.13 ID:EAEZ3834o

一方美琴サイドがカップル通り越して熟年夫婦みたいに思えてきた
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/01/09(月) 22:02:45.75 ID:NB3/f7eAO
一寸で笑う
799 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/10(火) 01:13:41.51 ID:X4Bcymtx0
おはよう・・・今何時? とりあえず投下! 今回で終わらす!
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/10(火) 01:26:22.70 ID:6XrcKqr2o
デレ御門かわいい

しかし姫神ちゃん
あんまりひどいこと言ってやんなや
土御門かわいそうやん
801 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/10(火) 01:44:02.26 ID:X4Bcymtx0
 ―――数日後の翌日、PM05:30、学園都市第7学区、とある喫茶店・・・・・



   がやがや・・・ざわざわ・・・・・



土御門「―――だから俺の立場としては……って、オマエ聞いてんの?」チラッ・・・

半蔵「……あ?」ボケー・・・

土御門「……てめぇ」ジトー・・・

半蔵「いやいやいや……だって流石に永遠と同じ愚痴ループされてもよぉ……しかももう此処に6時間近く居るぞ」タラー・・・

土御門「だから何だ。料金変わらねぇよ」フンッ

半蔵「そういう問題じゃない……てか、結局オマエは如何したいわけだ?」ハァ・・・

土御門「それが分からんっつってんだにゃ」ジー・・・

半蔵「ったく……まぁそりゃ話聞く限りはどっちも悪かない。敢えて言うならその女拾った先公が悪い」ヤレヤレ・・・

土御門「そりゃ無ぇだろ。あの人は無関係だぜぃ」ムッ・・・

半蔵「無関係な筈なのに微妙な位置に立ってるから尚性質が悪い。違うか?」ジー・・・

土御門「ん……でも、しゃーねぇだろ。そういう先生なんだから」ムゥ・・・

半蔵「だからそれに関しては何も言えねぇよ。てか、結標淡希もオマエも、何も言わなきゃ良いだけだった」チラッ・・・

土御門「……それは?」フム・・・

半蔵「要するにだ。ガキの喧嘩だろ? どっちがその先公から愛されてるか、愛してっかっつー意地の張り合い」ジトー・・・

土御門「はぁ?!」キョトン・・・

半蔵「色んなモン取っ払って考えりゃそれしか残んねぇよ。しかも……聞けばオマエが一人占めしたかったから、だろ?」ジー・・・

土御門「なっ!?」タラー・・・

半蔵「馬鹿みてぇだ……まぁオマエが答え出せねぇっつーなら教えてやる」グデェ・・・

土御門「な、何を」タラー・・・

半蔵「単純に、謝れば済むだけの話だろ。何意地張ってんだ?」フンッ

土御門「んなっ!? い、いや、オマエさっき俺も悪くないっつったろ?」ジー・・・

半蔵「悪い悪くないの問題じゃねぇの。こういう時、女って生き物は確実に根に持つ。だから『とりあえず』謝んの」ハァ・・・

土御門「ば、馬鹿じゃねぇの!? んな訳分からん理由で頭下げるなんてなぁ」ジトー・・・

半蔵「その『意地』が邪魔だって……普段クール気取ってるくせにこういう時はガキだな、オマエ」ヤレヤレ・・・

土御門「…………、」ムゥ・・・

半蔵「……ま、多分アッチはアッチで反省してる部分もあっから、どっちが先に大人になるかじゃねぇの」スッ・・・

土御門「……俺が、ガキだと?」ジー・・・

半蔵「俺もガキ、オマエもガキ、結標淡希もガキ。皆ガキ。だから大抵の事は謝れば収束する」トントンッ

土御門「…………、」ムゥ・・・

半蔵「後はオマエ次第って事。ま、最初と何も変わらずだな。電話すんならさっさとしちまえ。面と向かうと言えねぇモンだぞ」ヒヒヒッ

土御門「……ふんっ」ガタッ・・・

半蔵「お? 漸く帰るか。長かったー」グデェ・・・

土御門「……ワリカン」チラッ・・・

半蔵「はぁ!? オマエマジ外道!!」タラー・・・

土御門「冗談だぜぃ……まぁ、うん。適当にやってみる……あんがとよ」テクテク・・・

半蔵「……へぃへぃ。オマエもツンデレだねぇ」ヤレヤレ・・・
802 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/10(火) 02:16:48.36 ID:X4Bcymtx0
 ―――数日後の翌日、PM06:00、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・





香焼・絹旗「「―――ただいまー」」ガチャッ・・・トコトコ・・・

もあい「にゃー」タタタタッ・・・

浦上「おや? おチビ共がお腹空かせて帰って来たみたいですネ」チラッ・・・

五和「はいはーい……って、うわぁ。何故にそんな泥んこ?」タラー・・・

絹旗「いやぁその……蛇口が超ドッカーンって」アハハハ・・・

香焼「小学生くらいの子ども達が猫に集まって来て、それで水風船で遊んでたら……こんな感じに」アハハハ・・・

結標「よくそんな幼稚園児みたいな遊びを」ヤレヤレ・・・

絹旗「超違いますぅ! 幼稚園児は直径1m近い水風船なんかで遊べませんよーだ」ヘーン!

浦上「最愛ちゃん、そういう問題じゃなくて……というかどんな水風船ですカ」タラー・・・

五和「まぁまぁ。とりあえず、二人とも。先にお風呂入ってきちゃって」サラッ・・・

香焼「あ、うん……ってうぇ!?」ピタッ・・・

姫神「……おぅ。わっふるわっふる?」チラッ・・・

絹旗「ぼゎあぃ!? にゃ、にゃにゃにゃにゃにゃにを!? お、お風呂!? こ、香焼も!!?」ギョッ・・・///

結標「あらら? 二人で一緒に入るの? 楽しそうね。私も一緒にいこうかしら」フフフッ

香焼「みゅ、結標さんっ!!? い、いやいやいやいや!?」アタフタ・・・///

絹旗「お、おおお、おおおおお、おふ、おふふ、おふ、風呂!? い、今から!?」カアアァ///

五和「ん? シャワーの方が良かった? あ、そうだ。ついでに(もあいも)洗ってあげて」キョトン・・・

絹旗「あ、ああああ、あ、あわ、あわあわ、あわ、洗いっこなんて、そ、そんな、ちょ、ちょちょちょ、超、超々々々々恥ずかしい真似は」///

香焼「こ、ここお、このぉ馬鹿姉ええええぇ!!」///

もあい「にゃー」キョトン・・・

姫神(何この。ツッコミ不在の。カオス空間)ハハハ・・・

浦上「仕方ないから私がツッコみますケド……誰も二人一緒に入れなんて言ってませんヨ。増せガキさん達」フフフ・・・

絹旗「んにゃんですとぉ!?」カアアァ///

姫神「えっと。この子は普段から。ちょい抜けてる?」ジー・・・

浦上「因みに、洗ってっていうのはもあいの事でしょ。流石のお姉も二人で洗いっこしろなんて言わないですヨ」ハハハ

香焼「う、ぐっ」カアアァ///

姫神「こっちはこっちで……まぁ思春期だし。仕方ない」フフフフ・・・

五和「あははは……とりあえず、どっちか先に入っちゃってね。ご飯は出来てるから」コクッ

香焼「う、うん……それじゃ最愛先に良いよ。自分後からもあい洗わないといけないし」チラッ・・・///

絹旗「わ、私がもあい洗いますから先どうぞ」チラッ・・・///

香焼・絹旗「「…………、」」モジモジ・・・///

姫神「この空気。いつもの事?」チラッ・・・

浦上「あははは。まぁ……年が近い男の子女の子ですカラ」フフフ・・・

結標「ふーん……そんじゃあ香焼くん、先一緒に入りましょうか」ガシッ・・・ズルズル・・・

絹旗「ちょ!? こ、この超淫売女ああぁ!! 香焼の貞操脅かすんじゃないですよおおおぉ!!」ウガー!! バタバタッ!!

香焼「へ……おうぇ!!? ちょ、最愛、引っ張らない、でって……うぎゃああぁ!! 千切れるよおおおぉ!!」ウガアアァ!!

姫神「これは……カミやん病の所為か」チラッ・・・ハァ・・・
803 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/10(火) 03:35:00.46 ID:X4Bcymtx0

  にゃーん・・・・・


姫神「―――結局。貴方は服だけ着替えた訳?」ジー・・・

香焼「……だって、結標さんが入るって言うんですもん」ジトー・・・

結標「別に香焼くんに裸見られたって恥ずかしくないし、香焼くんの裸見ても恥ずかしくないわよ」サラッ・・・

五和「そういえば結標さんも、小さい子お風呂に入れるの手伝ってるって言ってましたね」チラッ・・・

結標「ええ。ウチのメンバーがよく小学校の低学年とか拾ってくるから、人手足りない時は手伝ってるわ」ヤレヤレ・・・

浦上「拾ってくるって……子どもを? それって誘拐じゃ」タラー・・・

結標「無論任意同行よ。というか、ほら……あまり宜しくない場所から『助け出した子ども達』とか、ね」ボソッ・・・

五和「成程……ま、コウちゃんもそのくらいの子どもと同じ感覚って訳だね」ニシシ!

香焼「自分はもう中学生っすよ。何でこう、結標さんもだし、五和やカオリ姉さんも自分を子供扱いするのかな」ハァ・・・

浦上「中一なんてまだまだ子どもでしょ」ハハハ

姫神「……それより。絹旗さんは。何故ソファの上で膝抱えて。黙ってる?」チラッ・・・

絹旗「……うー」ジトー・・・

結標「やれやれ……まだ怒ってるの? ほんっと、ガキねぇ」ジー・・・

香焼「いやいや。自分と入らないからって最愛と一緒に風呂入るって如何なんすか?」タラー・・・

結標「いや、お湯勿体無いじゃん。あと今日銭湯行かずに済むし」コクッ

絹旗「そ、それだけの為に……私は」ガーン・・・

結標「大丈夫よ。その内ブラ必要なくらいは大きくなるし、下も生えるから」サラッ・・・

香焼「ぶぼはぁっ!!」ゲホゲホッ!

絹旗「ッッッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!! し、死ねえええェ!! 死ンでくださいよおおおォ!!」グオンッ!!

五和「ちょ、さ、最愛ちゃん! 此処室内!!」アタフタ・・・

結標「やれやれ、このくらいで暴れるなってーの……ほい、『転移』」ヒョイッ・・・

絹旗「うがああァ―――」シュンッ・・・

浦上「あ。最愛ちゃんが消えた」キョトン・・・

香焼「ちょ、あ、淡希さあああぁん!!」アタフタ・・・

結標「大丈夫よ。多分、ベランダにぶら下がってるから」クイッ

もあい「なー」トコトコ・・・カリカリ・・・

絹旗『―――あああぁ……あ、え? ってぇ!! ちょ、う、うわ、うわああぁ!! ちょ、超高い!! 超落ちるうううぅ!!』ウギャー!!

香焼「さ、最愛!!」ウワアアァ!!

結標「あはははは。おもろー。アンタと私とじゃ相性的に私が有利でしょってあ痛っ」ベシッ!

姫神「大人げない。この馬鹿」ジトー・・・

五和「あーえっと……とりあえず、最愛ちゃん助けたらご飯出しましょうね」ポリポリ・・・

浦上「お姉はあくまで冷静ですネ。ところで御二人も食べて行きますヨネ?」チラッ・・・

結標「あ。私は此処で作ったヤツ、家で小萌と喰うから帰るわ。さっき五和にタッパー借りたし」コクッ

姫神「いつの間に……じゃあ私も」スッ・・・

結標「ああ、私に気ぃ使わないで食べてきなさいよ。此処で喰えば食費浮くんだし。浦上ちゃん、良いんでしょ?」チラッ・・・

浦上「OKですヨー」ウンウンッ

姫神「それじゃ。お言葉に甘える。ところで。淡希……いい加減。助けてあげるべき。あの子。宙ぶらりんで。パニクってる」チラッ・・・

結標「あ、忘れった」ハハハ
804 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/10(火) 04:49:07.73 ID:X4Bcymtx0

 みゃー・・・・・


絹旗「―――フシャアアアァ!!」ギロッ・・・

結標「そんな睨まないでよ。もう帰るから」アハハ

絹旗「ぐるるるるるるるるっ!!」ギリギリ・・・

姫神「淡希。自業自得。一発くらい。殴られるべき」ウンウン・・・

結標「この子に一発殴られたら頭と胴体が『さよなら』しなくちゃなんなくなるのよ」ハハハ・・・

香焼「最愛。許してあげなよ。きっと今度何か差し入れ持ってきてくれる筈だから」チラッ・・・

結標「まぁそのくらいなら……何だっけ。カップゼリーが好きなのよね? じゃあ御歳暮とかに貰うヤツ持ってきてあげるから」ポンポンッ

絹旗「触らないで下さい、超さらし女!」グルルルゥ・・・

結標「はいはい。ったく……香焼くんにパンツ見られたからってそこまで怒らなくても良いじゃない。どうせ普段から見られてるんでしょ」ハァ・・・

香焼・絹旗「「ハァ!!?」」カアアァ///

五和「だから、そういう一言が多いんですって」ハァ・・・

姫神「いいから。さっさと帰るべき。そろそろ小萌先生。帰ってくる時間」チラッ・・・

結標「あ、そうね。それじゃあお邪魔しました。二人とも、喧嘩しちゃ駄目よ」テクテク・・・

絹旗「私はアンタに超腹立ってんですよーだっ!!」ムギャー!

浦上「二人の事小学校低学年くらいにしか思ってないんでしょうネ」ハハハ・・・

絹旗「あの女超本気で、いっぺんシメないと分からないみたいですね……今度超ひぃひぃ言わせてやりますよ」ジトー・・・

香焼「……とりあえずご飯食べましょう。話はそれから、ね」チラッ・・・

絹旗「……はぁ」グデェ・・・

五和「うんうん。あ、因みに夕飯も結標さんとの共同作です。豆腐ハンバーグですよー」テクテク・・・

姫神「……私。五和さんが作ったヤツで」チラッ・・・

絹旗「わ、私も! あの女が作ったのを食べて死にたくないです!!」アタフタ・・・

五和「死なないって……まぁ彼女が作った分は自分で持ちかえったから……あ、一個残ってた」ピタッ・・・

浦上「じゃあそれ香焼の」タラー・・・

香焼「なんでさ!?」タラー・・・

五和「あー……コウちゃんがコレ食べないと、カオリ姉さんが食べる事になるかなぁ」アハハ・・・

香焼「ぐっ……し、仕方ない……失敗してないんだろうな」チラッ・・・

五和「うん……ちょっと豆腐と挽き肉に問題あるけど」タラー・・・

香焼「は!?」キョトン・・・

五和「いや、材料足りなかったから普通にミートボール風豆腐ハンバーグになってる」ポリポリ・・・

香焼「……た、食べられれば良いや」ハァ・・・

絹旗「超どんまいです。あ、もしマジでヤバかったら残して、今度暴食シスターにでも喰わせてみましょう」フフフ・・・

香焼「多分普通に何でも喰うよ、アレは」タラー・・・

五和「何でも良いから、手を洗って来なさい。さっさと食べましょう」スッ・・・

もあい「みー」コロコロ・・・

805 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/10(火) 05:13:22.68 ID:X4Bcymtx0

 ―――一方、結標・帰り途・・・・・


結標「――ふんふふ、ふんふふ、ふんふーふ〜ん♪」トコトコ・・・

結標「自分で味見したけど、我ながら驚く程の上達っぷりね。まぁ今までが悲惨過ぎたんだけど」ハハハ・・・

結標「さーてと。面倒だからタクシー拾っちゃおうかしら……って、あら? メール?」チラッ・・・

結標「……土御門? うそぉ、もしかして今から仕事とか? 勘弁してよ」グデェ・・・カパッ・・・

 『暇な時電話しろ』

結標「んー……何か仕事って感じじゃないわね。もしかして……まぁたこの前の事かしら」ハァ・・・

結標「いつまで引っ張ってんのよ。女々しいヤツね……仕方ない……電話してやるか」Pi!


 Prrrr・・・・・


結標「もしもーし」Pi!

土御門『……おぅ』Pi!

結標「何よ」テクテク・・・

土御門『いや、その……今センセの家か?』タラー・・・

結標「だったら何よ。仕事?」ヤレヤレ・・・

土御門『仕事の事じゃない。良いから何処に居る?』サラッ・・・

結標「何処って……第7学区の北部かしら。もう少しでバスかタクシー拾おうかと思ってた所」テクテク・・・

土御門『そうか……あの、よぉ』ポリポリ・・・

結標「何? はっきりしないわね」ハァ・・・

土御門『…………、』ジー・・・

結標「何よ、この前の件? もう解決したじゃない。相互不干渉。これでOK。それとも別の話?」ッタク・・・

土御門『…………、』ジー・・・

結標「あーもしもーし……何か話せコラっ!」ムギギ・・・

土御門『…………、』ジー・・・

結標「こ、の……もう切るわよ」フンッ

土御門『……待て』ボソッ・・・

結標「あん?」ジトー・・・

土御門『その、だ……あー』ポリポリ・・・

結標「……何」ハァ・・・

土御門『にゃー……うん……色々、だなぁ』ポリポリ・・・

結標「色々?」フム・・・

土御門『……悪かった』ボソッ・・・

結標「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」ピタッ・・・

土御門『……じゃあな』Pi!

結標「あ。ちょ……切った」ジー・・・

結標「…………、」ボー・・・

結標「今、アイツ……謝った? え……私に? 嘘……あの天邪鬼道化師が、私に!?」キョトン・・・

結標「…………、」ジー・・・

結標「……明日は、きっと、黒い雨が降るわね」タラー・・・
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/10(火) 05:37:13.05 ID:6XrcKqr2o
デレ御門キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
807 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/10(火) 05:37:38.44 ID:X4Bcymtx0
 ―――数日後の翌日、PM06:30、学園都市第7学区、とある公園(イカれ自販機在中)・・・・・


  シーン・・・・・


御坂「―――ねぇ! もう最終下校時刻過ぎてるんだけどー! 打ち止めなんでまだ帰らないのよ!」ムギギ・・・

一方通行「知らねェよ。てかあのガキにそういう時間感覚求めンな。アイツは正真正銘のニートなンだっつの」ハァ・・・

御坂「でもぉ!! あのウニ頭がああぁ!!」ウギギギィ・・・

一方通行「それも知らンがな! 俺に聞くな! そういえばオマエ門限大丈夫なのか?」チラッ・・・

御坂「迷子の妹を捜索してますって書き置きしてきた」グッ!

一方通行「多分そりゃ、アウトじゃねェか?」タラー・・・

御坂「大丈夫よ! 寮監も半ば門限に私が帰る事諦め出したし……って、あ! 当麻が立った!」ガシッ!

一方通行「○ララみてェに言うなっつの。あと一々胸倉掴むなボケ」グラグラ・・・


打ち止め「――――、」ジー・・・

上条「――――?――――……、」ポリポリ・・・

打ち止め「―――!―――!!」グッ・・・

上条「……―――――、」ポンッ・・・

打ち止め「…………、」ムゥ・・・


御坂「な、何を話してるの? ちょっとアンタ聞こえないの? 集音マイクの能力で」チラッ・・・

一方通行「俺を何でも屋みたく言うけどなァ、そンな能力持ってませンから。仮に出来たとしても絶対ェやらン」フンッ

御坂「薄情者め……あ、続き話し出した」ジー・・・


打ち止め「――――!!」バッ・・・

上条「……――――?」チラッ・・・

打ち止め「――――、」チラッ・・・

上条「――――?――――……――――、」ジー・・・

打ち止め「――――!」ビシッ!


御坂「……あるぇ? 私の目、おかしくなったかなぁ……打ち止めがこっち指差してる」タラー・・・

一方通行「オカシイのは元からだが……俺にもそう見えるって事ァ、そういう事なンだろォよ」タラー・・・

御坂「……これ、如何いう状況?」タラー・・・

一方通行「チョイ待て……オイ、海原。如何なってやがる?」Pi!

海原『あー……何か色々ヤバいみたいですよ』タラー・・・

一方通行「何がだ?」キョトン・・・

海原『スネークが言うには……ジェバンニとアラスカが向こうに着いたそうです』アハハ・・・

一方通行「……つまり?」ダラダラ・・・

海原『自分達がつけている事が、あのお嬢さんへ……既に筒抜けですね』ハハハ・・・

一方通行「うそォ……まァじでェ?」ダラダラ・・・

御坂「ちょ! ど、どっどどどどどどっどっ! 如何しよう! ふ、二人が! こっち歩いてきた!!」ウギャアアァ!!

一方通行「」チーン・・・

海原『あーえっと……幸運を』Pi!

一方通行「……に、逃げ! って、テメェ! 掴むなァ! ちょ、マジ……あーもォ駄目だわコレ」ハァ・・・
808 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/10(火) 05:59:37.68 ID:X4Bcymtx0

 わおーん・・・・・


打ち止め「…………、」ゴゴゴゴゴ・・・・


一方通行「…………、」ダラダラ・・・

御坂「……あ、あの」タラー・・・

打ち止め「今、御姉様に発言権は無いよ。ってミサカはミサカは宣告してみる」ジトー・・・

御坂「うっ」タラー・・・

上条「あー、その……打ち止めさんや」ポンッ・・・

打ち止め「ね? 言った通りだったでしょ? この二人、私に内緒でデートして、剰出刃亀みたいな真似して楽しんで!」ムギギィ・・・

御坂「そ、それは違……むがっ!」ベシッ!

打ち止め「御姉様五月蠅いからそれ噛んでなさい! ってミサカはミサカはガムテープを丸めたヤツを突っ込んでみたり」グイッ!

上条「じ、地味にエグい」タラー・・・

一方通行(流石姉妹)タラー・・・

打ち止め「……ふんっだ。もう良いもん。私決めたからってミサカはミサカは宣言してみる」ジトー・・・

御坂「ふぁふふぁ?」ジー・・・

打ち止め「これから二人は私の『他人』です。ってミサカはミサカは冷ややかに告げてみたり」ジトー・・・

電磁通行「「」」ガーン・・・

上条「お、おいおい。打ち止め。ちょっと落ち着け。二人の言い分も聞かないと」ハァ・・・

打ち止め「だって現行犯だもん! しかも二回目! ミサカはミサカは憤怒を通り越して呆れてみる」ジトー・・・

一方通行「だ、だからそりゃテメェの考えてる様な付き合いじゃなくてだなァ」ハァ・・・

打ち止め「スズシナ(仮)さんは黙ってて下さい! 今はミサカとこの人が話してるのです!」ギロッ・・・

一方通行「」スズ・・シナ・・・

上条「マジで他人行儀か……いや、でもな。見たモノが全てじゃないんだぞ。考えあっての行動かもしれない」ジー・・・

打ち止め「…………、」ジー・・・

御坂「ふ、ふが! ふががが!」コクコクッ・・・

打ち止め「御姉(オリz)……ミコトさんは私からこのひ……スズシナ(仮)さんを引き離して逃走したんですよ」トミサカハミサカハ・・・

御坂「」ミコト・・・サン・・・

上条「それはあくまでオマエの主観だよ。なぁ打ち止め。二人の言い分を聞かせて貰いたいな」チラッ・・・

打ち止め「え」ピタッ・・・

上条「オマエの話を聞く限りではこの二人(主に御坂)が悪いのは分かったが、それもオマエ一人の考えだ」ジー・・・

打ち止め「う、うーん……でも」ムゥ・・・

上条「大丈夫だ。聞いた後でオマエを怒ったりしないから安心しろ」ポンッ・・・

打ち止め「……絶対だよ」ジー・・・

電磁通行「「…………、」」ジー・・・

上条「はいはい。さて、と……それじゃあ話を聞かせて下さいな。御二人さん」ヤレヤレ・・・

809 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/10(火) 06:26:49.15 ID:X4Bcymtx0
 ―――一寸後・・・・・



上条「―――ふむふむ……成程」ジー・・・

打ち止め「……如何?」チラッ・・・

電磁通行「「…………、」」タラー・・・

上条「少なくとも、一方通行は被害者」サラッ・・・

一方通行「デスヨネー」ホッ・・・

御坂「何でよ! 私だって無罪放免でしょうが!」ウガー!

上条「いや、まぁその……御坂はそういうヤツだし」ハハハ・・・

御坂「こんにゃろめぇ……後で覚えてなさい」ンギギィ・・・

打ち止め「……でも、結局二人は私の事を」ジトー・・・

御坂「ら、打ち止め。だから私達はそういう関係じゃなくて……あれはホント、ネット上のデマだから」アタフタ・・・チラッ・・・

上条「何故そこで上条さんを見るんですか? いや、別に御似合いだと思うぞ」キョトン・・・

御坂「」シュウウゥ・・・

一方通行「うっわァ……色ンな意味でキツいンですけど、その発言。第三位(コイツ)消えそうだし」タラー・・・

上条「え? んーとりあえず……打ち止めが本当に怒ってる理由は付き合ってるとか不倫だとかそういうアレじゃないみたいだぞ」サラッ・・・

電磁通行「「え」」ピタッ・・・

打ち止め「あ、わわ! い、言わなくて良いから! ってミサカはミサカは急いで貴方の口を塞いでみる!」アタフタ・・・

上条「おっとっと。でもなぁ打ち止め。キチンと言わないと分からないぞ? 唯でさえ三人複雑な関係なっちゃってるのに」ジー・・・

打ち止め「……むぅ」ジー・・・

一方通行「……オイ、糞ガキ。如何いうこった?」ジトー・・・

打ち止め「…………、」モジモジ・・・

上条「……狡いんだとさ」ポンッ・・・

御坂「そ、それは再三言ってたけど」タラー・・・

上条「嫉妬とかそういうんじゃなくて、大好きなオマエら二人だけが楽しそうにしてて、自分ハブられた事がだってよ」ジー・・・

電磁通行「「な」」ピタッ・・・

打ち止め「…………、」モジモジ・・・

上条「打ち止めとしたら、オマエら二人が仲良くしてくれる分には嬉しい限りなんだぞ。分かってるか?」ヤレヤレ・・・

一方通行「そ、それは……、」タラー・・・チラッ・・・

御坂「……そ、そうなの」チラッ・・・タラー・・・

打ち止め「…………、」コクン・・・

上条「だけど二人は会う度喧嘩するか、もしくは二人だけで消えるかばかり……そりゃ打ち止めも悲しいだろ」ジー・・・

電磁通行「「…………、」」ジー・・・

上条「確かに、色々複雑な背景あるからギクシャクするのも分かる。でも……少しは打ち止めの気持ちも考えてやれよ」ハァ・・・

一方通行「……だが」ジー・・・

上条「勿論、オマエらが打ち止め嫌いだからハブってる訳じゃないってのは分かってる。寧ろ打ち止めの『為』にって言いたいんだろ?」チラッ・・・

一方通行「ン」ジー・・・

上条「だからだよ。それが、打ち止めからすりゃ余計な御世話さ。コイツは唯二人に混ざりたいだけなんだって」ジー・・・

御坂「……打ち止め」ジー・・・

打ち止め「…………、」ポリポリ・・・
810 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 [saga]:2012/01/10(火) 06:54:39.71 ID:X4Bcymtx0
打ち止め「……ミサカも」ジー・・・

電磁通行「「っ」」チラッ・・・

打ち止め「ミサカも……私も、やり過ぎたかなって……迷惑掛け過ぎたかなって」モジモジ・・・

一方通行「打ち止め……、」ジー・・・

打ち止め「でも、二人は……どうしても丁度良い関係にならないから……ミサカは困って」ムゥ・・・

御坂「それは……その……ごめん」ペコッ・・・

打ち止め「よく御姉様が、突然この人を引っ張り出すけど……ホントは私も一緒に連れてって貰いたいなぁって」モジモジ・・・

上条「いや、それは御坂が(頭)おかしいだけだけど……要は寂しいんだろ」ジー・・・

電磁通行止め「「「…………、」」」ジー・・・

上条「ハァ……いや、何て言うか……不器用だな」ポリポリ・・・

電磁通行止め「「「……え」」」チラッ・・・

上条「こういう時は『今度の休みに三人で何処かに遊びに行こう』って、それだけ言えば解決だろ?」ニカッ!

御坂「あ、う……えっと」チラッ・・・

打ち止め「……うん」ジー・・・ギュッ・・・

御坂「……アンタは」チラッ・・・

一方通行「……ケッ」ハァ・・・

上条「OKだってよ。良かったな、打ち止め」フフッ

打ち止め「……うん! ありがと!」ニカッ!

御坂「……頼むから、少しは愛想良くしてよ?」ボソッ・・・

一方通行「チッ……普通にしてる」ハァ・・・

上条「さてさて。それじゃ上条さんは値引き惣菜を籠に詰める時間帯なのでそろそろ御暇しますよっと」トコトコ・・・

打ち止め「あ、そういえば貴方は一緒に遊びに行かないの? ってミサカはミサカは提案者さんに尋ねてみたり」チラッ・・・

上条「ん? いや、折角だからオマエらだけで言ってこうぉ!?」ギョッ・・・

一方通行「テメェも一緒に来いいいいィっ!!」ギリギリ・・・

上条「い、いやいや、三人でって話纏まったのに俺入ったら」タラー・・・

一方通行「俺一人じゃあの暴走電気姉妹止められねェンだよおおおォ!!」ボソボソ・・・

上条「……だ、第一位様に止められない女性を無能力者の上条さんが止められる訳が」アタフタ・・・

一方通行「おいィ! 第三位ィ! コイツも一緒に行っても良いよなァ!!」バッ!!

御坂「うぇ!?」ギョッ・・・

上条「あー、えっと、あからさまに動揺してるって事は嫌なんじゃ」タラー・・・

御坂「いいいい、い、嫌じゃない! い、嫌じゃないけど……その、えっと……ど、どうしてもって言うなら付いてきても良いわ」アタフタ・・・

上条「じゃあ行かない」ハァ・・・

御坂「え……ぁ、うん」ショボーン・・・

一方通行「空気読んでくれええええェェ!!」ガクガクガクガク!!

上条「なななななななんんんんんでででででででっ!!?」ガクンガクンッ!

打ち止め「やれやれ……御姉様も素直じゃないね、ってミサカはミサカは相変わらずのツンデレっぷりに呆れてみる」ヤレヤレ・・・

一方通行「兎に角『イエス』と言いやがれ!!」ギロッ・・・

上条「きょ、強制!? あーもぅ……不幸だ」イエス・・・

打ち止め「わーい。良かったね、御姉様」ニシシ・・・

御坂「あ、うん……って、え、あ、えっと……しょ、しょうがないわね! 特別よ!」アハハハ!
811 :第四,五話―――五和「それで結局?」 結標「・・・・・き、規則正しいわよ」 :2012/01/10(火) 07:16:45.29 ID:X4Bcymtx0
  <おまけっ!>


結標・月詠「「いただきます!」」ペコッ・・・

月詠「むぐっ……おおぉ! これ本当に結標ちゃんが作ったんですか!?」キラキラ・・・

結標「そ、そうだけど……如何?」ドキドキ・・・

月詠「ええ、十分合格点なのです。やっと4品以上の食材を用いた料理が作れる様になったんですね」オー・・・

結標「ま、まぁね」エヘヘ・・・

月詠「この調子で頑張りましょう! 先生も特製煮つけの作り方とか教えちゃいます」フフフッ

結標「……ありがと」ポリポリ・・・

月詠「いえいえ。この調子で自分の目標探しも頑張りましょうねー」トントンッ

結標「ハハハハ。厳しいわー……ま、もう暫くはよろしくね」フフフッ




  <おまけっ!!>


打ち止め「遊園地ー!」ワーイ!

禁書目録「ひゃっほー!」ワーイ!

電磁通行「「何か一人多い!?」」タラー・・・

上条「いや、付いてくるって聞かなくて」ハァ・・・

御坂「(ケっ……)まぁ打ち止めが良ければ良いけど」チラッ・・・

打ち止め「人は多い方が楽しいよ! ってミサカはミサカは駆け出してみたり!」ワー!

禁書「とうまー! じゃなかった! 白い人ー! アイス買ってー!」ワーワー!

一方通行「俺に集(たか)ンな! 上条(ソッチ)に買ってもらえ!」ジトー・・・

禁書「とうまより貴方の方が金持ちなんだよー。これ常識」ビシッ

御坂「把握してらっしゃる」ハハハ・・・




  <おまけっ!!!>


土御門「―――……、」ジー・・・

舞夏「……兄貴。今日は穏やかだなー」モゾモゾ・・・

土御門「……そうかな」ジー・・・

舞夏「嫌な事? 随分そういう顔してるけど」フムフム・・・

土御門「自分でも……分からねぇ」ハァ・・・

舞夏「……中二病?」ジトー・・・

土御門「男は須らく中二病だぜぃ……冗談さておき……人間、真面目に謝るのって難しいな」ボー・・・

舞夏「そりゃ兄貴がロクデナシだからだぞー」ツンツン・・・

土御門「……さいですか」タラー・・・

舞夏「でも、そういう悩みを持てたって事は……ちょいと大人になった証拠ですよー」ギュウゥ・・・フフフッ♪

土御門「……生意気だにゃー、コイツ」ガバッ!

舞夏「きゃー! シャワー休憩無しの第2[らめぇぇっ!]は勘弁してくれー★」ウワー♪


 にゃーん・・・・・
812 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2012/01/10(火) 07:19:51.16 ID:X4Bcymtx0
はい、今回は此処まで。次回の投下は時間空くかも。

もし空き過ぎる時は残り200切ってるしHTML申請出すかもね。
次スレについては……別の機会に相談しましょう。


とりあえずまた次回! ノシ”
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/10(火) 08:04:30.56 ID:6XrcKqr2o
>>1乙!
私情で忙しくない限り続けてくださいお願いします
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 10:29:14.11 ID:YZDYtfjIO
乙〜
次回も楽しみにしてますo(^▽^)o
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 16:07:38.44 ID:EXeZr5lDO
乙! キャラが一々可愛いぜぃ。>>1の上条さん一通さん主体のSSも興味ある!
でもとりあえず早く英国編が見たい! 楽しみにしてるよー
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/10(火) 19:21:13.30 ID:JMaQ22Dzo
鋼のシスコン軍曹乙
817 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2012/01/11(水) 21:38:54.66 ID:ztoHlVBS0
こんばんわ! 何とか時間作れたから書きます!

今回の話はなるべく短くしよう。というか、話一つ辺りがgdgdで長過ぎる・・・

そんじゃーボチボチ投下!
818 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/11(水) 22:08:02.28 ID:ztoHlVBS0
 ―――とある数日前、PM06:30、学園都市第1学区、マンション『ニューディレクターズ』(香焼宅)・・・・・







突然だが『魔術師』という職業(?)柄、破天荒な日々は日常茶飯事である。
就寝起床の時間は決まってないし、働く場所さえ定かではない。
ただ、物事には揺らぎがあるように、魔術師の仕事にも忙しさの周期みたいなモノがあるのは確かだ。

多分、此処最近はそんなに忙しくないんだと思う。


五和「でもコウちゃんは、仕事忙しくなくてもプライベートが大変でしょ」モグモグ・・・

もあい「にゃー」モグモグ・・・


否定はしないが、オマエに言われると何故か腹が立つ。


神裂「まぁまぁ。兎角、我々の仕事が無いのは良い事ですよ」コクッ・・・

五和「うんうん。確かにそうですよねぇ……『必要悪』の仕事が無い。これまさに平和」バリバリ・・・

香焼「……でも、それとは別に天草の方の仕事もあるだろ。というか、そっちが本業だし」チラッ・・・

五和「そりゃそうだけど正直、隠れキリシタン派生の私達の仕事なんてねぇ」ゴクゴク・・・

神裂「そっちの方は本部の御老体達(デスク組)に任せておけば良いんですよ」サラッ・・・

もあい「なぅ」コクコクッ


サラリと毒を吐く女教皇(プリエステス)殿。そういえばこの人、デスクの爺ちゃん婆ちゃん達苦手だったな。
まぁ気持ちは分かる。前線組と彼らとのソリが合わないのは今に始まった事ではないらしい。


五和「でも、教皇たるカオリ姉さんが何でお爺ちゃん達に苦手意識持ってるんですか?」チラッ・・・

神裂「うーん……私に前線出るなと再三進言してきますから」ハァ・・・

五和「あらあら、お固い。そんな宝の持ち腐れみたいな事を」ヤレヤレ・・・


だがしかし世間一般的には、彼らの言う事の方が正解なんだと思う。
英国清教・必要悪の教会(ネセサリウス)『主任補佐次席』の肩書が無かったら単に『現人神』として祀っておきたい所なのだろう。

でもぶっちゃけ『暴れん坊女将軍』たる姉さんには無理な進言だ。この人、微妙に戦闘きょ……魁大将が好きみたいだから。


五和「バトルジャンキーってアレでしょ? 某有名格闘ゲームの主人公的に『俺より強いヤツに会いに行く』的な」フフフ・・・

香焼「もしくは強敵を前に『オラ、ワクワクしてきたぞ!』って……って……おま、また心の声(地の分)にツッコみやがって」タラー・・・

神裂「誰がバトルマシーンだ、コラッ」ビシッ!ビシッ!

香焼・五和「「あ痛っ!」」グヘッ!

もあい「みゃっ?!」ビクッ・・・


とばっちり。


神裂「ったく……ところで浦上は? 仕事ですか?」チラッ・・・

香焼「え? 自分は分かんないっす。五和、一緒に来てないの?」チラッ・・・

五和「来てないよ。今日忙しいってメール着て」ホラッ・・・

香焼・神裂「「ん?」」ジー・・・


五和の携帯の画面を見る。絵文字たっぷりの良く分からないメール。とりあえず私用で来れないらしい。

819 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/11(水) 23:06:10.12 ID:ztoHlVBS0
今更だが、浦上は気まぐれである。この家に来たり来なかったりするのも今に始まった事ではない。
最近では最愛や軍覇(あと何故か麦野さん)の方が此処に足を運んでる気がする。
気が向けば連絡も無しに勝手に鍵開けてお茶飲んでるし、気が変わればこの3人が気付かない内に帰ってる。
女教皇たる姉さんの手前、甚だ失礼な気はするが『浦上だからしゃーない』で済んじゃってる辺り、姉さんも甘温い。


神裂「因みに、その私用というのは? 話せる範囲で良いですけど」チラッ・・・

五和「うーん、まったく」ハハハ・・・

神裂「やれやれ……あの子に限って馬鹿な事はしてないと思いますけど」ハァ・・・


僕はしてると思います。特に男性関係で。だって浦上だもん。


五和「むぅ。でも『悪い男』に騙されたり捕まったり様なタイプでは無いと思いますよ。あの子頭良いし」コクッ

香焼「そうかなぁ。逆にそういう『悪い男』を操ってそうだけど」フーン・・・

五和「それは否定しないけど、自分が悪い様にはならない様に工夫しそう」ビシッ

香焼「尚性質が悪いけど、如何意見っす……でも五和と意見が合うのは悔しい」ハァ・・・

もあい「なー」フシフシ

神裂「いや、如何してそう男前提で話をしますか」ジトー・・・


だって僕達の中で唯一『彼氏がいた』と公言してるヤツですし。今いるか如何かは分からないが……いてもおかしくないだろう。
建宮さんや対馬さんとそんな感じの、ちょいと生々しい話をしてたのを耳にした気がする。


五和「あー……てか、ウラって結構大人と話するよね。建宮さんとか対馬さんとか。野母崎さん、牛深さんともオヤジトークしてたし」タラー・・・

神裂「大人に限らず、老若男女幅広くコミュニティ形成しますよね。あの子……やはり育ての親が顔広かった所為でしょうか」フム・・・

香焼「司祭様達っすか。確かに天草式だけに留まらず有名人でしたね」ジー・・・


余談だが、天草式の戦闘教徒の名前はコードネームみたいなモノだ。僕の『香焼』も本名では無い。
『五和』や『浦上』も漏れなくそれなのだが、浦上の場合はその名の通り『天主堂』の孤児院出身だからである。
前代の『浦上』さんもそこの出身だったらしい。因みに僕は……秘密にしておく。

話を戻すが、天主堂の司祭様(主任・助任共に)は地元十字教の宗教法人代表みたいな人だ。
天主堂や孤児院の運営に限らず、幼稚園、保育園、私立小中学校・高校、更には老人ホーム、病院などまで手広くやってる。
にも関わらず、一つ一つの施設に丁寧に顔を出し愛嬌を振り撒いている。別名、サンタ神父さま。
事業に成功した金は少しも横着する事無く必ず寄付して回り、天草式にも出資して下さってる大スポンサーさん。


神裂「彼の御蔭で資金面で困る事は無いですからね。ホント、助かってますよ」コクコクッ

五和「ウラは主任司祭様にベッタリでしたねー。何処行く時も付いて回ってたし」ハハハ

香焼「子どものやる事とはいえ、アレ絶対迷惑だったよね。公務なのに、よく司祭様も連れ回してましたよ」ハハハ

神裂「ふふふっ。まぁまぁ、本人居ぬ間に思い出話をするのは陰口みたいなモノですから、そろそろやめましょう」クスクス・・・

五和「はーい。でもまぁ……ホンっト、謎なんですよねぇ」ポリポリ・・・

香焼「浦上? んー……でも別に良いんじゃない。表だって迷惑掛る様な事してないんだし」モグモグ・・・

五和「だけどさぁ、何か怖くて……姉さん、如何思います?」チラッ・・・

神裂「ふむ……正直、あの子の考えてる事は分かりません。申し訳無いのですが、土御門に近い感じがします」ハハハ・・・

香焼「あー確かに。微妙に胡散臭い感じとかそっくりっすね」ハハハ・・・

神裂「実は、前に建宮達にあの子の事を相談したんです」ポリポリ・・・

香焼・五和「「マジっすか!?」」キョトン・・・

神裂「ええ。でも『あー……アイツの事は俺ら大人に任せておいて下さい』と、適当にはぐらかされました……私、女教皇なのに」ショボーン・・・

五和「ええっと、そ、それはきっと、理由があって……うん、ドンマイです」ハハハ・・・


歳甲斐にも無くいじけて口を尖らせる姉さんはさておき、浦上の謎を解明するには建宮さん達大人に聞いた方が早いみたいだ。
とりあえず、浦上の分の晩飯は冷蔵庫に保存しといて、ほぼ毎日0時前にベランダから入ってくる系の超能力者――軍覇の餌にしてやろう。
820 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/11(水) 23:45:20.35 ID:ztoHlVBS0
 ―――行間―――



香焼「―――……兎に角、よく分かんないや」グデェ・・・

アニェーゼ「ふーん。まぁ一個人の事を全部知ってやろうなんて無理な話ですけどね」グダグダ・・・

アンジェレネ「でもアニェーゼちゃんはウチの部隊の娘達の素性、殆ど把握してますよね」チラッ・・・

アニェーゼ「知り得る限りは、ですよ。現状内密まで知ってるかって言われりゃNOに決まってます」ジー・・・

サーシャ「ただ実際、第一の主観ですが普通に気さくで優しい姉貴分だと思いますよ。違いますか?」チラッ・・・

香焼「うーん……一緒に生活してると何とも言えないかな」ポリポリ・・・

レッサー「いやぁ。でも謎多きミステリアス女性は男にもてますよ、うんうん」フフフ・・・

アニェーゼ「まるでテメェと真逆の人間ですね」ハハハ

レッサー「んなぁ!? わ、私だって超ミステリアスでアダルティなレディでございますですよ!」ムンッ!

アンジェレネ「はいはい、実は内心純情少女お疲れ様です」ニヤニヤ・・・

レッサー「なななな、な、なにゅを!」ムガー!

サーシャ「噛み噛みですよ、ピュアガール」フフフ・・・

レッサー「うがー! 馬鹿にしないでくださいっ!!」ムキー!


  ガヤガヤっ! ざわざわっ!


ステイル「―――こ、の……喧しいわボケっ!!」ワナワナ・・・

香焼・アンジェレネ・サーシャ「「「っ!!」」」ビクッ!

アニェーゼ「テメェの方が五月蠅ぇですよ、ばーか」チラッ・・・

レッサー「というか居たんですかぁ? 黙ってたんで気付きませんでしたよ」アララ・・・

ステイル「ボ・ク・の! 部屋だっ!! しかも執務中! 見て分かんないのか!?」バンッ!!

サーシャ「あららら……書類の山。第一の激励です。頑張れ主教補佐殿」アッハッハッ

アニェーゼ「というか邪魔してねぇです。私が本気出して邪魔してたらこの部屋無ぇですよ」ハハハ

香焼「アニー、物騒な事言わないの」タラー・・・

レッサー「まぁまぁ。とりあえず貴方の執務机から10m以上も離れて雑談してるだけですし、大目に見て下さいよ」ウンウン・・・

ステイル「そのキンキン声が集中を妨げる。黙ってカードゲーム・ボードゲームするならまだしも……騒ぐならさっさと出て行け!」フンッ!

アンジェレネ「ご、ごめんなさい」シュン・・・

アニェーゼ「謝る必要無ぇですよ。こんな図体だけデカくてケツの穴小せぇ根暗野郎に」ジトー・・・

レッサー「やーいやーい! 悔しかったら反論してみろー! ついでにアニェーゼの事、壁ドンとかして黙らせて見せろー」ベー!

ステイル「」ブチッ・・・

香焼「あ、アニー! レッサー!!」アタフタ・・・

サーシャ「第一の意見ですが、マグヌスとアニェーゼの身長差で壁ドンしても絵になりませんね……って、ヤバっ!! 火! 炎が!」ギョッ・・・

ステイル「貴様ら……出て行け」メラメラ・・・

アンジェレネ「あ、アニェーゼちゃん! 行くよ!」ガシッ! スタタタ・・・

アニェーゼ「嫌ですーってぉわぁ!? あ、アン! す、スカートの裾引っ張って逃げねぇでく……こ、コーヤギー! 見るなボケ!」カアアァ///

サーシャ「レッサー。貴方も大人しく引いて下さい。第一の予想ですが、アレ、割とマジで怒ってますよ」タラー・・・

レッサー「う、うぃ」タタタタ・・・バタンッ・・・


ステイル「……ハァ。いつから此処はサロンになったのやら……というか仕事が終わらん! 香焼に手伝わせれば良かった……くそぅ」グヌヌ・・・

821 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/12(木) 01:20:12.84 ID:mh4AEtJV0
  ・・・所変わって食堂・・・



アニェーゼ「あんのド腐れ似非神父め……後で覚えてろってんです!」ゲシゲシッ!

香焼「痛っ! 痛い! アニェーゼ! 何で蹴るのさ!」ヤツアタリー!

アニェーゼ「黙らっしゃい!」ウガー!

サーシャ「第二の予想ですが、単にパンツ見られたから怒ってるだけですよ」ウンウン・・・

アンジェレネ「アニェーゼちゃんのパンチラなんてもうスマートフォン並に希少性無いですよ」ハハハ

レッサー「確かに。無駄に高いヒールサンダル履いて極短スカート修道服着てれば誰だって見ちゃいますよ」ハハハ

アンジェレネ「教会に出入りしてる殆どの関係者、一度は見てるよねってあ痛っ」ポカッ!

アニェーゼ「喧しいっ! 御洒落なんです! んな人を痴女みたいに言うなってんですよ!」ウギギ・・・

サーシャ「では、第一の提案ですけどもう少しまともな修道服着たら如何ですか」ハァ・・・

アニェーゼ「オ・マ・エ・がっ! 言うな!」ビシッ

サーシャ「……言われなくたって、出来ればそうしてますよーだ」ドヨーン・・・

香焼「痛たた……んもぅ。後でステイルにあーだこーだ言われるの自分なんすからね」ハァ・・・

レッサー「ま、そこは私らの代表になったと思って素直に御仕置きされといてくださいな」フフッ

アンジェレネ「おしおき? されるんですか?」キョトン・・・

サーシャ「第一の想像ですが、きっと私達には言えない様な『オシオキ』をですねぇ」ボソボソ・・・

香焼「サーシャ。それは想像じゃなく君の妄想だ。アンに吹き込むな」ハァ・・・

アニェーゼ「ったく……そういえば何の話してたんですっけ?」ポリポリ・・・

アンジェレネ「私達のお姉さん達の話をしてたんですよ。サーシャちゃんの話が終わって、さっきはコォヤギくんの番でした」コクコクッ

レッサー「あぁ。サーシャの身内話はウケましたね。殲滅白書のメンバーは基本イカれてるってのが発覚しました」ハハハ

サーシャ「ぐっ……反論できないのが辛い」タラー・・・

アニェーゼ「んじゃ次はレッサーで」チラッ・・・

レッサー「あいあいまむ。えーっと……どっちの話聞きたいですか?」チラッ・・・

アンジェレネ「うーん、ベイロープはちょいちょい顔出してお話してるけど、フロリスはよく分からないですよね」ジー・・・

香焼「確かに……五和とか浦上とはよく話してるみたいだけど、実際あんまり話さないからなぁ」フムフム・・・

アニェーゼ「そいやぁベイロープは前の一件以来(※第B話:14話)如何なったんですか?」チラッ・・・

レッサー「あー……まぁうん。大分落ち着きました。効率悪くなりましたけど別の方法で情報収集してるみたいです」ポリポリ・・・

サーシャ「ふむふむ。第二の意見ですが、彼女ほどのリーダーなら時機に情報網も安定するでしょう」コクッ

レッサー「一応、第二王女さんが面倒見てくれてますから……多分、ね」ハハハ・・・

アニェーゼ「因みに……彼氏とは問題無かったんですか?」ジー・・・

レッサー「前にも言ってましたが、アレの彼氏には水商売やってるって誤魔化してたそうです。理解もあるみたいで……まぁ羨ましい」ハァ・・・

サーシャ「第一の確認ですが、確かケンブリッジ大の兄さん彼氏でしたっけ?」フムフム・・・

レッサー「そうそう。これがまたイケメンで、しかも結構なボンボンときた……何か無性に腹立ちますね。あの勝ち組め」ウギギ・・・

アニェーゼ「まぁベイロープは品性ある顔立ちしてますし、スタイルも良いですから。しかもリーダー肌で面倒見良いときてる」ウンウン・・・

アンジェレネ「男性としては申し分なしですよねぇ」フフフ・・・チラッ

香焼「何でコッチ見るのさ……確かに、綺麗だとは思うよ。五和と違ってちゃんとお姉さんしてる人だと思うし」ポリポリ・・・

サーシャ「いや、第一の客観ですけど五和も私達からすれば良いお姉さんですよ。隣の芝は何とやら、ですって」ウンウン・・・

香焼「そうかなぁ。自分からしてみればベイロープさんもフロリスさんも万倍マシなんだけど……ルチアさんは数倍マシくらいかな」ハハハ・・・

アンジェレネ「いや、ルチアちゃんよりはマシだよ……如何考えても客観的に」タラー・・・
822 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/12(木) 01:55:30.99 ID:mh4AEtJV0
アニェーゼ「てか、コーヤギとルチアって相変わらず相性悪ぃですよねぇ」ジー・・・

香焼「うっ……じ、自分は仲良くしようとしてるっすよ」タラー・・・

サーシャ「確かに。第三の意見ですが、コーヤギーは普通に接しているにも関わらずルチアが冷淡にあしらってますよね」フム・・・

アンジェレネ「うーん……ルチアちゃんは、多分未だに選民思想みたいなの持ってるから」タラー・・・

アニェーゼ「んー……というかあの子、唯でさえ男性苦手なの輪にかけて上条当麻タイプの人間嫌いなんですよね」チラッ・・・

香焼「自分は別に上条さんに似てないっすよ」ムッ・・・

サーシャ「どの口を……まぁでも第二の客観ですが、彼女は誰に対しても淡白な気はしますね。良く言えばクールビューティーとも」コクッ

レッサー「サーシャはクール『チャーミング』の部類ですよね。服装以外は」フフフ・・・

サーシャ「オマっ! だから服装に触れるの禁止だっつの」ビシッ!

アンジェレネ「……でも、淡白とかクールって言ったらフロリスとかベイロープもじゃない?」コクッ

レッサー「ベイロープは結構感情的になりますよ。普段はクールぶってるだけです。フロリスは……分かりません」ポリポリ・・・

アニェーゼ「フロリスも謎っ娘ですねぇ……じゃあアレは?」クイッ

一同『え?』チラッ・・・


ランシス「…………、」トコトコ・・・


レッサー「あー。アレはクール通り越してツマンナイ娘です。多分不感症なんですよ」ハハハ

香焼「魔力干渉でいつもプルプルしてるのに?」チラッ・・・

レッサー「あ、上手い事言った。ザブトン2枚上げますよ」フヒヒッ!

サーシャ「ジャパニーズサブカルチャーですか? モスクワのテレビで見ました。第二の確認ですが、確かそれを投げて遊ぶと」ピッ!

香焼「それ多分まくら投げとごっちゃになってるよ」ハハハ・・・

アンジェレネ「というか、ランシスちゃん。何してるのかな?」ジー・・・

レッサー「さぁ。結構フラフラしてる子ですし……あ、的確な表現があります。電波っ娘!」フフフ・・・

アニェーゼ「そりゃテメェですよ。つーか多分、アンタ探してんじゃねぇですか?」クイッ

香焼「あ、ホントだ。こっち来たよ」ジー・・・

レッサー「え?」チラッ・・・

ランシス「……居た」トコトコ・・・

レッサー「ありゃ、マジです……何だい? ツルペタっ娘」ポンッ

ランシス「死ね。オマエも大して変わらないでしょ」ベシッ!

レッサー「あべっ?!」ゲフッ!

香焼「あはは……こんにちは。如何したの? レッサー探してた?」ジー・・・

ランシス「……うん」コクッ

レッサー「痛つぅ……何の用ですかぁ」ジトー・・・

ランシス「伝言。今日の『報告会』中止だって。リーダー来れないらしい」コクッ

レッサー「んなモン知ってますよ。メール回ってきましたし」ハァ・・・

ランシス「レッサー、全然返事返さないじゃん。リーダー怒ってたよ」ジトー・・・

アニェーゼ「だから態々確認の為アンタが足伸ばした、と。そりゃ社会人としてレッサーがアウトですね。流石不良児」ハハハ

サーシャ「第一の説教ですが、それではチームの運営上皆が困りますよ。しっかりすべきです」メッ

レッサー「ぐっ……何でマジで怒られなきゃならんのですか……タイミングの悪い子猫ですっ」ハァ・・・ムニムニッ

ランシス「ひほうひほふへひょ(自業自得でしょ)……ははっへ(離して)」ムガムガ・・・

香焼「レッサー。ランシス嫌がってるよ。(機嫌悪い時のもあいみたいだ)」ハハハ・・・
823 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/12(木) 02:33:59.35 ID:mh4AEtJV0
アンジェレネ「はははは……あ、ランシスちゃんも暇なら一緒にお茶しましょう」コクッ

ランシス「…………、」チラッ・・・

レッサー「暇なら、どーぞ」グデェ・・・

ランシス「……ん」コクッ・・・チョコン・・・

アニェーゼ「相変わらず人形みたいな反応ですね」ハハハ

サーシャ「そうだ。ランシス、第一の質問です」チラッ・・・

ランシス「んー」キョトン・・・

サーシャ「ランシスから見た他のメンバーの印象を教えて下さい」ピッ

ランシス「それは此処のメンバーって事?」キョトン・・・

アンジェレネ「それも気になりますね」フフッ

ランシス「変態馬鹿(レッサー)、我儘暴嬢(アニェーゼ)、寡黙痴娘(サーシャ)、臆病元気(アンジェレネ)、一般人K(香焼)」ジー・・・

アニェーゼ「ぐっ……ざっくり言いやがりましたね」タラー・・・

ランシス「結構的確でしょ」ドヤッ・・・

香焼「い、一般人って……いや、そうじゃなくて『新たなる光』の印象を教えて」ハァ・・・

ランシス「変態阿呆。リーダー。宇宙人。私」コクッ・・・

サーシャ「第一の発見ですが、レッサー。馬鹿から阿呆に変わりましたね。おめでとう」チラッ・・・

レッサー「何もおめでたくないです! てか宇宙人って……フロリスですか?」タラー・・・

ランシス「的確だと思うよ。ベイロープ以上に何やってるか分からないし……というか、私達プライベートにそんな関与しないじゃん」サラッ・・・

アニェーゼ「でもコイツは変態ボケなんですか?」クイッ

ランシス「周知の事実でしょ。レッサーの変態ドベは」チラッ・・・

レッサー「アンタら変え過ぎ! てか変えるなら変態も変えてくださいよ!」ウガー!

アンジェレネ「だから、要は『変態』が周知の事実なんでしょう……表向きは、だけど」ハハハ

ランシス「そうだね。レッサー、実は結構内心ぴゅあぴゅあしてるから」ハハハ

レッサー「うぎぎぃ……生意気なロリっ娘めぇ」ムニムニッ

ランシス「ひゃーいひゃーい(やーいやーい)」フガフガ・・・

香焼(ランシスも結構毒吐くなぁ)タラー・・・

サーシャ「ふむふむ。とりあえず、第一の結論です。ランシスから見てもフロリスは謎だと」キョトン・・・

ランシス「うん。多分、リーダーもフロリスの事そんなに知らないんじゃないかな……あ、でも」コクッ・・・ピンッ

一同『ん?』ジー・・・

ランシス「日本人の男は嫌いらしいよ。あの一件以来特に」チラッ・・・

香焼「いや、コッチ見られても」タラー・・・

カルテッ娘(カミやん病被害者だ)プフー・・・

サーシャ「ま、まぁ第一の予想です。つまりは、そういう意味でルチアに近いのでは」フフフ・・・

アニェーゼ「そういう意味では、ね。絶対的な違いとしてルチアは男性全体に基本淡白ですけど」ジトー・・・

アンジェレネ「もてるのに勿体無いよねぇ。そういえば、この前も騎士派の見習いさんに誘われてましたよ。超イケメンさんでした」コクッ

レッサー「そういえばルチアって真面目系の坊っちゃん達に人気ですよねー。あのサディストによく……コウヤギ並のM共なんでしょうか」ハァ・・・

香焼「誰がMだ……純粋に、真面目で凛々しくて品性良好、顔良しスタイル良しだからじゃないのかな」チラッ・・・

アニェーゼ「まぁ性格がもう少し柔らかければ……その矯正は香焼が悪党なるより無理な話ですけど」ジー・・・

サーシャ「とりあえず、第二の質問です。普段のフロリスで何か正体が分かる様な会話などは無かったですか?」チラッ・・・

レッサー「正体、ですか? じゃあ……参考なるか如何かわかりませんけど、この前の報告会の話しましょう……―――」ビシッ・・・
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/12(木) 02:48:58.89 ID:RAbsgDl50
香焼が(性的な意味で)酷い目にあって欲しい
825 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/12(木) 03:46:28.56 ID:mh4AEtJV0
  <回想>



ベイロープ「―――以上。ま、簡単な護衛の任務だから適当にこなしましょ」コクッ

レッサー「ちぇー。バイトみたいな仕事ですねぇ。もっと派手な任務無いんですか?」グデェ・・・

ベイロープ「文句言うならアンタが仕事持って来なさいよ。絶対無理だから」ジトー・・・

レッサー「そりゃ私に掛ればワイルドバンチも青褪める大強盗的な仕事を!」ドンッ!

フロリス「絶対無理。てか、こっちから願い下げだ」ジトー・・・

ランシス「レッサーに仕事集め任せてたら4人仲良くタコ部屋行きとか有り得るよね」ジトー・・・

レッサー「あ、アンタらぁ」グヌヌゥ・・・

ベイロープ「はいはい……とりあえず、何か質問意見ある? 無ければ解散よ」ジー・・・

フロリス「あ」スッ・・・

ベイロープ「何かしら?」チラッ・・・

フロリス「その仕事、夕方で終われない?」ジー・・・

ベイロープ「え? いや、うーん……用事あるの? 次第によっては考慮するけど」ジー・・・

フロリス「ふむ」ジー・・・

レッサー「何々? デートの約束でも入ってるんですかぁ?」ニヤニヤ・・・

フロリス「いや、前日に男と約束入れる様な真似しなしし……そうじゃなくて、ちょっとなぁ」ポリポリ・・・

ベイロープ「ハッキリ言ってくれないと困るんだけどね。流石に遊びの用事じゃYESとは言えないわよ」ジトー・・・

フロリス「遊びじゃない。けど、なぁ」チラッ・・・

レッサー「いや……いやいやいや。というか今さっきサラリとトンデモ発言しましたよね? 前日に男と約束しない? は?」キョトン・・・

フロリス「え? 何かおかしい?」チラッ・・・

ランシス「……彼氏? 居たの?」ポカーン・・・

フロリス「は? 居る訳無いじゃん。というか、拘束する男は嫌いだよ。まぁヘタれ過ぎんのも嫌いだけど」コクッ

レッサー・ランシス「「」」ポカーン・・・

ベイロープ「あー……そういう話は会議終わってからにしなさい。それで、フロリス」ジー・・・

フロリス「んー、ほら。前話したろ? オリアナ姉さんの……アレ」ボソボソ・・・

ベイロープ「あぁ……じゃあ仕方ないか。それじゃあその日は途中上がりね」カキカキ・・・

フロリス「悪い。それから『事』が本格化すれば、またちょいちょいこういうケース増えるかも」ペコッ・・・

ベイロープ「分かってる。そっち優先して」メモメモ・・・

レッサー「ちょい待てぃ……何か大事な話してるみたいですけど、そういう秘め事話って信頼問題に関わるんじゃないんですかー」ジトー・・・

フロリス「プライバシーを守る為に黙秘権を行使する」ジー・・・

レッサー「知る権利があると思うので情報開示を求めまーす」ジトー・・・

フロリス「小生意気な……リーダー」チラッ・・・

ベイロープ「やれやれ……あー、レッサー。この件は私達にとっても、フロリスにとっても大事な『私用』なのよ」ポリポリ・・・

レッサー「チームが半分関わってるなら知る権利はあるでしょう?」フンッ

フロリス「だからチームの半分たる私とリーダーが知ってる。はい、論破」サラッ・・・

レッサー「カアアァ!! 腹立つ女ですねー! さっきオリアナ姉さんとか聞こえましたけど! ねぇ!?」ドンッ!

ランシス「ん……でも、別にリーダーが認めてるなら私は気にしない」サラッ・・・

フロリス「うんうん。お前は利口で良い子だよ、ランシス」ポンッ・・・

レッサー「はぐらかしおってぇ……良いです! 会議終わらせて下さい! その後個人的に質問しますから!」ムンッ!
826 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/12(木) 04:26:34.18 ID:mh4AEtJV0

 わおーん・・・・・


フロリス「はぁ……んで?」ジトー・・・

レッサー「何を呑気に。さっきの話の続きです」フンッ

フロリス「早く帰って勉強したいんだけど。アンタと違って私真面目に学校行ってんだよ。宿題とかあんの」ヤレヤレ・・・

レッサー「知ったこっちゃありません。兎に角、一人だけズル休みする理由が聞きたいんですよ」ジトー・・・

フロリス「休みじゃなく早引き。しかもズルじゃないっつの」フンッ

レッサー「目的がハッキリしない以上はズルも同然ですっての」ジトー・・・

フロリス「詮索屋って嫌われるよ。そんなんだからあの甘ちゃん坊やに見向きもされない」ハァ・・・

レッサー「そ、そんなん関係無いでしょ!」アタフタ・・・///

ランシス「うわぁ。それ言っちゃう……てかレッサー動揺し過ぎ」ジー・・・

ベイロープ「この子は感情的だからねぇ。すぐ表に出るわ」ハハハ

レッサー「が、外野五月蠅いです! 私はフロリスと話してるんですよ!」ムギギ・・・

フロリス「はいはい。じゃあバイトと試験勉強の為に早退します。これで満足した?」ヤレヤレ・・・

レッサー「そんな学生が部活休む時に言う適当な言い訳みたいなモノで満足する訳ないでしょう」ジトー・・・

フロリス「チッ。面倒臭ぇ……私さっさと帰りたいんだけど。今から予定入ってるし」チラッ・・・

レッサー「こっちが真面目に話をしてれば適当に……その予定も次の任務を休む事に関係してるんですか!?」ジロッ

フロリス「だから休みじゃないっての。今日の予定は関係無いわよ。単に遊びの予定。だからさっさと帰りたいんだ」グデェ・・・

レッサー「遊びと仕事とどっちが大事なんですか!」バンッ!!

フロリス「仕事に決まってるだろ。でも遊びとアンタだったら確実に遊びを取るね」サラッ・・・

レッサー「こ、の……糞アマあああぁ!!」ムギャー!

ランシス「あ、レッサーがプッツンった」ジー・・・

ベイロープ「おいおい、頼むから喧嘩しないでよ。此処の修理代で余計な金払いたか無いわ」タラー・・・

レッサー「だって! この女! 糞生意気で超適当で!」ギリギリ・・・

フロリス「だからさぁ……マジでオリアナ姉さん紹介のバイトと学校の試験勉強なんだって」ハァ・・・

ベイロープ「レッサー。フロリスの言ってる事は本当よ。だから少し落ち着け」ジー・・・

レッサー「ぐぬぬぅ……じゃあその姐さん紹介のバイトっての教えて下さいよ!」ジトー・・・

フロリス「言える訳無いじゃん、アンタ口軽いし。それこそさっき言ってた『信用問題』だってば」フンッ

レッサー「じゃあオリアナさんに直接聞きますよ! 良いんですか!?」バンッ!!

フロリス「聞いてみれば。適当にあしらわれるだけだとは思いますけどー……それよりそろそろ帰るわ。そろそろバスの時間だし」スッ・・・

ベイロープ「あ、うん。気を付けてね。あと羽目外し過ぎちゃダメよ」コクッ

フロリス「分かってるって。それじゃ次の任務の時に。ランシスもお休み」テクテク・・・

ランシス「うん。またね」コクッ

レッサー「ちょい待てっての! 話終わってないです!」ガシッ!

フロリス「あのねぇ……拘束されんのは嫌いだけど、約束の時間守れないヤツはもっと最低だと思うんだ。違うか? 遅刻魔」ジトー・・・

レッサー「うっ……い、いや、話逸らしても駄目ですよ!」グイッ・・・

フロリス「……リーダー」チラッ・・・

ベイロープ「はいはい。ほら、前に教えたでしょ。男性を待たせて良いのは20分までだって……フロリス遅刻したら貴女の所為よ」グッ・・・

レッサー「この期に及んで男ですか!? ざけんな馬鹿女! 脳味噌沸いてんじゃないの!?」ウガー!

フロリス「そうだな。でもアンタ程じゃないよ。それじゃまたねー」テクテク・・・ガチャッ・・・バタン・・・――
827 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/12(木) 05:03:02.82 ID:mh4AEtJV0
  <回想終了>



レッサー「―――……てな感じでした。マジ腹立ちますよ」ムムム・・・

アニェーゼ「レッサー……アンタ超ウザいです。まぁ前々から知ってましたけど」ジトー・・・

ランシス「あ、やっぱりそう思うよね」コクッ・・・

レッサー「酷っ! てか、そこじゃないです! フロリスですよ、フロリス!」バンッ!!

サーシャ「ふむふむ。第一の感想ですが、彼女は普通に学生もしているのですね。ちょっと羨ましいです」ヘー・・・

レッサー「そこじゃない! サーシャはサーシャでいつも通りどっか抜けてます!」ハァ・・・

香焼「あー……えっと、謎が多いって事だよね」ポリポリ・・・

レッサー「それ! 流石知的エロ!」ビシッ!

アンジェレネ「レッサーちゃん、それ褒めてない……うん。確かに今のを聞く限り不思議ですね」コクッ・・・

ランシス「でも、今に始まった事じゃない。だから私もリーダーも気にしてない……元々相互不干渉だから」コクン・・・

サーシャ「第四の意見ですが『この業界』で基本、プライベート関与をしないは鉄則ですよ。些か、必要悪の教会(此処)は緩いですが」ジー・・・

香焼「ステイルや女教皇様曰く、とある『新しい風』が入ったの影響だって言ってたよ」ハハハ・・・

アニェーゼ「まぁそれはさておき、要はフロリスの謎が問題だと……アンタはそれ知って如何すんですか?」フム・・・

レッサー「別に如何もしませんよ。ただ隠し事されるのが腹立つだけです」ムンッ・・・

一同『うわぁ』ジトー・・・

レッサー「な、何ですか!?」タラー・・・

ランシス「……ね? 変態でしょ」ハァ・・・

アンジェレネ「何と言うか……えっと、フロリスが危ない事してないか如何か心配だからとかじゃないのかな?」ポリポリ・・・

レッサー「あの女がプライベートで売春して様が乱交してようが勝手です。ただ、それがチームの問題になるのは嫌ですけど」フンッ

サーシャ「気持ちは分からないでもないです。ですが……何か、ねぇ」ムゥ・・・

ランシス「私も、それは同意。ただ純粋に、そういう危ない事して欲しくないなって思うよ」コクッ・・・

香焼「前のベイロープさんの時みたいな心境か……でも今度はプライベートなんだよね」ムゥ・・・

レッサー「兎に角! ハッキリさせたいんです! このままモヤモヤしたままじゃ安眠出来ない日々が続くんですよっ」ジトー・・・

アニェーゼ「アンタの安眠は知ったこっちゃねぇですけど、確かに気になりますね」フム・・・

アンジェレネ「というか、サラッと流してたけど……フロリスって真面目そうに見えて結構不良さんなんですか?」チラッ・・・

ランシス「それもよく分からない。ただ、真面目は真面目」コクッ・・・

レッサー「でも何だか男に関してはダラしなさそうですけどね。きっとビッチですよ、淫売女郎」フンッ

香焼「レッサー……そういう言い方、良くないよ」ムゥ・・・

サーシャ「しかし……第一の仮説ですが、似てますね」ジー・・・

アニェーゼ「何が?」チラッ・・・

サーシャ「フロリスと、ウラカミです。ウラカミは仕事の面では潔白の様ですけど、プライベートの面で」コクッ・・・

香焼「確かに……そういえば、あの二人結構仲良いね。歳近いからかもしれないけどさ」フム・・・

アンジェレネ「じゃあウラカミに聞けば色々分かるかもしれないですよ」コクッ

香焼「うーん……如何かな。あんまり気乗りしないかも。アレも適当にはぐらかすタイプだから……聞くなら五和とかの方が良いと思う」チラッ・・・

アニェーゼ「確実なのはオリアナでしょうけどね。あとはオルソラ辺りも知ってそうですけど……アレは止めときましょう」タラー・・・

レッサー「あの人こそ必要悪の教会最大の謎でしょ……まぁ如何してこう謎が謎を呼ぶ的な感じになるんですかねぇ」ハァ・・・

一同『……はぁ』ドヨーン・・・

サーシャ「第五の意見ですが……いつの間にかテーマが『謎の女について』になってますよ。話題戻しましょう」チラッ・・・コクッ・・・
828 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/12(木) 05:55:08.33 ID:mh4AEtJV0
サーシャ「第三の確認ですが、私達の身近な存在や姉貴分の話でしたよね。私、コーヤギー、レッサー&ランシスが話しました」チラッ・・・

アニェーゼ「じゃあ私達ですか……といっても私達の部隊252人も居ますからねぇ」ポリポリ・・・

アンジェレネ「年上だけって言っても、私とアニェーゼちゃん実際下の方だから100人以上はお姉ちゃん居る事になるよ」アハハ・・・

レッサー「まぁでもアニェーゼの部隊の修道女は評判良いですよねぇ。リーダーは別として」ニヤリ・・・

アニェーゼ「あ?」ギロッ・・・

レッサー「おお、怖い怖い。睨まないで下さいよ。女子寮の暴君(メイデン・タイラント)さん」フフフッ

アニェーゼ「……テメェやっぱウザキャラですよ」フンッ・・・

香焼「まぁまぁ抑えて……でも、うん。評判良いのは確かだよ。皆働き者だし、規律正しいし」コクッ・・・

レッサー「それにぃ……アニェーゼ隊所属の連中、結構もてるらしいじゃないですかぁ」ニシシッ

ランシス「そういえば、そんな話聞いた事あるね。騎士派の人と付き合ってる人、居るんでしょ?」チラッ・・・

サーシャ「第一の補足ですが、他にも清教の若手や『時計塔』の学生とも付き合ってるなんて噂は耳にしますね」チラッ・・・

アニェーゼ「ん……まぁ、その子達が幸せなら良いんじゃねぇですか。私は口出ししませんよ」ジー・・・

アンジェレネ「でも、やっぱりウチの部隊を叩く人もまだ居るます……そういう偏見持たない人も減らせれば良いんですけどね」ハハハ・・・

レッサー「ふーん……因みに、アニェーゼっちは誰が誰と付き合ってるとか把握してるんですかぁ?」ニヤリ・・・

アニェーゼ「全員じゃないけど殆どは知ってますよ。というか、事前に知らせて来る人が殆どですかねぇ」コクッ・・・

香焼「律義だね。そういうのってばれちゃったから仕方なくって感じするけど」ホー・・・

アンジェレネ「それはほら……アニェーゼちゃんは理解あるけど……オッカナイ人が居るし」アハハ・・・

ランシス「ああ……鬼軍曹(ルチア)」フムフム・・・

サーシャ「成程。第二の予想ですが、後ろめたい恋愛して彼女に雷落とされるくらいならアニェーゼに打ち明けて先手を打つ訳ですか」ハハハ・・・

アニェーゼ「でも実際あの子はそんな事で怒ったりしねぇんですけどね。付いちまったイメージは拭えませんし」フンッ

レッサー「そういえば、天草式の教徒達もこの教会で職場恋愛的なモノしてるんですか?」チラッ・・・

香焼「え? うーん、噂はチラホラ聞くけど……自分は知らないっす。知ってるとしたら建宮さんとかじゃないかな」コクッ・・・

アンジェレネ「でも恋愛したい年頃の人とか、良い歳で独身の人も居るよね」チラッ・・・

香焼「だけど、基本的にウチはそこまで関与しないよ。というか戦闘魔術師で既婚者が居るって方がマイナーだと思うけどなぁ」タラー・・・

サーシャ「しかし第四の確認ですが、天草式には既婚者も居ますよね?」フム・・・

香焼「だからウチは結構フリーなんだって。『日常的』が売りのゲリラ部隊みたいな処あるから。だから基本恋愛も、不貞以外は自由だよ」コクッ

ランシス「同じクリスチャンなのに、変」フーン・・・

香焼「十字教徒っていうより『日本人』なんだよね。まぁ女教皇様が厳しくないのも理由なんだろうけど」コクッ

アニェーゼ「へぇ……やっぱ日本人って不思議ですね。ヤオヨロズでしたか? 神様いっぱい居る国は違ぇです」ハハハ

アンジェレネ「ところでサーシャちゃんとこは恋愛とか如何なの?」チラッ・・・

サーシャ「殲滅白書(ウチ)ですか? あー……第一の回答ですが、まったく知りません」キッパリ・・・

レッサー「予想通りの答えですね。まぁサーシャ自体そんなに他人の恋愛興味無いタイプの娘っこですからね」フフフ・・・

サーシャ「第一の反論ですが、興味はあります。でもウチのメンバーに関しては如何でも良い。というかそういう話題タブーです」タラー・・・

アンジェレネ「え? 何で? 女の子だけの職場ならそういう話で華が咲くんじゃない?」キョトン・・・

サーシャ「第二の補足ですが、ウチのリーダーがどーしようもないド変態なので、そういう話に喰い付かれたら最後です……察して」ハァ・・・

一同『あー……、』タラー・・・

アニェーゼ「ま、まぁその……ドンマイです」ポンッ・・・

サーシャ「……私んとこの話は如何でも良いんです。第一の提案ですが、話を戻すべきです」ハァ・・・

香焼「あ、うん。でも殆ど話終わったよ……別の話題にする?」チラッ・・・

レッサー「いやいや。まだ聞きたい事があります……というか大事な人忘れてますよ」ビシッ
829 :第五話(22話)―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/12(木) 06:31:41.64 ID:mh4AEtJV0
アンジェレネ「え? 誰? もしかしてステイルくん?」キョトン・・・

レッサー「んな訳無いでしょ。アレの身内話っての想像出来ません……まぁ多少は興味有りますが」ハハハ・・・

サーシャ「第三の予想ですが、最大主教殿と神裂と土御門? あと……禁書目録くらいでは」フム・・・

アニェーゼ「あのボッチ神父は絶っっっ対ぇ話しませんね。特に最後は……んで? 誰ですか?」タラー・・・

レッサー「ルチア」ビシッ

アニー・アン「「ルチア?」」キョトン・・・

ランシス「確かにあの鬼軍曹の事、ちょっと気になる」コクッ

アニェーゼ「あの子についてですか? うーん……あー」ポリポリ・・・

サーシャ「第七の意見ですが、彼女も結構ミステリアスなのでは? 普段はあんな感じで厳格ですが、実際私達に内面は分かりません」ジー・・・

アンジェレネ「内面はあのまんまだけど……プライベートって事?」ジー・・・

香焼「そういえばルチアさんって休日何してるの? 全然見かけないけど」フム・・・

アニェーゼ「……これ、言って良いのかどうか」タラー・・・

レッサー「えっ?! 何かヤバい事でもしちゃってるんですか!? あの鉄面皮に限って!?」ワクワク・・・

アニェーゼ「いや、そんな面白い話じゃねぇです……ぶっちゃけ、寝てます」ボソボソ・・・

一同『……は?』キョトン・・・

アンジェレネ「あとはご飯食べて、紅茶飲んで、暇潰しに聖書読んで……休みなのに仕事して……そして寝ます」タラー・・・

サーシャ「わ、ワーカーホリック」タラー・・・

ランシス「まるで、見たまんまだね」タラー・・・

アニェーゼ「はい……私が言うのも難ですが、一言で表すと……クッソつまんねぇ人間ですよ、あの子」ハァ・・・

アンジェレネ「とっても良い人なんだよ。仕事も完璧ってくらいにこなすし……でも、ねぇ」ハァ・・・

レッサー「うん……まぁその、予想通り過ぎてゲンナリします」タラー・・・

サーシャ「だ、第三の質問ですが、何か趣味などは」チラッ・・・

アニー・アン「「皆無」」キッパリ・・・

香焼「うっ……で、でも、ほら! 五和とかとよくサロンでお茶してるって聞くよ」アハハ・・・

アニェーゼ「それ趣味じゃねぇです。というか、あの子基本的に誰かが誘わないと下らねぇ会話に参加しねぇんです」ハァ・・・

サーシャ「せ、聖書を読むのは」タラー・・・

アンジェレネ「それ趣味って言える? しかも聖書しか読まないなんて、下手すりゃ狂信者……まぁ狂信者なんだけど、危ない人だよ」タラー・・・

レッサー「それは、その……問題ですね」ポリポリ・・・

アニェーゼ「そうなんですよ。ウラカミとかフロリスが謎な女なら、あの子は『丸見え』過ぎる女なんです」グデェ・・・

ランシス「女として……というか人間として如何なの、それ」ウーン・・・

サーシャ「で、では第二の提案ですが、アニェーゼから何か趣味を持つ様進言してみては?」コクッ・・・

アニェーゼ「しましたよ。でも……『私の時間は私のモノです。何しようと勝手でしょう』って、一蹴されました。あの堅ブツめ」グヌヌゥ・・・

アンジェレネ「部隊の他の子が言っても同じ。『人の事より自分の心配をしろ』って……元も子も無いよ」ハァ・・・

レッサー「うわぁ……でもルチアって非の打ち所が無い程、完璧に仕事こなす女ですから反論出来ないですね」タラー・・・

香焼「……昔からそうなの?」ウーン・・・

アニェーゼ「部隊が出来る前は、多少朗らかでしたけど……基本的には面倒見良くてクソ真面目なヤツですよ」コクッ・・・

アンジェレネ「ただ、普通に笑う時は笑うし、ジョークも通じるから根暗って訳じゃないけど……主体的に何かする事無いから」ハァ・・・

アニェーゼ「仕事と部隊運営に関してだけですよ。アレが動くのは……もう少し『人並み』になって欲しいんですけどねぇ」ジー・・・

サーシャ「第四の予想ですが……困難でしょう。それこそ、ウラカミとフロリスの謎を解くくらいに」ハハハ・・・

香焼「身内の話なのにさ。こんな身近に悩みがあるなんて……人間って難しいね……―――」ハァ・・・
830 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/12(木) 06:42:35.78 ID:mh4AEtJV0
はい、今回は此処まで。『行間』じゃなくて『序幕』の間違いでした、すいません。


ちょいちょいオリジナルの設定やクロスオーバー的要素・単語を使用していますが、SSなので大目に見てね!
因みにベイロープ、フロリス、ランシスの口調ってこんな感じで良いのかな? あんまりセリフ数無いから正直困ります。

あと……香焼が(性的な意味で)酷い事になるの、見たい? どの程度の? 私、えっちぃの書いた事無いんで分からないや★
とりあえず次回はいつ更新するか未定です。内容の予定としては浦上・フロリス・ルチア本人らにスポットを当てると思います。

それから次スレに関しての相談です。何か提案・意見・リクがあれば下さい。参考にしたいと思います。


それでは質問意見感想指摘罵倒リクエストなどなど、コメントお願いします。んじゃまたね! おやすみ! ノシ”
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/12(木) 07:04:57.32 ID:a7BTqZzIo
取りあえず半裸にしろ
お願いします
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 08:38:01.56 ID:JoyPIjkDO
理性崩壊(ようは手を出しちゃう)直前まで追い詰めてみてほしい
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/01/12(木) 16:31:54.50 ID:ZCov8ece0
縺雁燕繧芽ェ驥阪@繧医≧縺忤w
隕九◆縺縺代←
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/01/12(木) 17:14:09.32 ID:tICILzZAO
>>833
文字化けしたレスがみたい

>>1
乙です
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 00:29:10.88 ID:evVZ3OVDO
やっぱ英国編良いなー!
でもカルテッ娘と都市組の女子(+ステイル&削板)が一緒に居れば尚良し! ハーレム修羅場的な意味でww
新たなる光の口調は気にならないよ というかセリフ少ないから好きにしてくれ

>>831-832
>>1の親戚に頼めば普通にエロいの書くぞww
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 10:24:05.08 ID:ATyLuALIO
香焼が、というより香が性的な意味で酷い目に合うのも悪くないかも…
相手が男、女のどちらでもおいしいし
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/01/14(土) 23:01:20.56 ID:Hr+37+Veo
>>830
遅ればせながら乙でした。
いつも楽しみにさせてもらっt………酷い事……だと!?
全然OKですが、もしやるならあんまり軽めのノリで済ませてもらいたくはないかな
>>1にお任せします。

次回も楽しみに待ってますよー
838 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/16(月) 21:58:27.61 ID:5dSdKNo20
こんばんは。久しぶりにボチボチ書きます。

それにしても・・・みんなの欲望が凄いww 今回の話ではヒン剥けないけど次回はそうするかw

それでは続き開始!
839 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/16(月) 22:37:09.30 ID:5dSdKNo20
 ―――とある半休日、PM01:30、英国、ランベス宮・女子寮、応接の間(サロン)・・・(神裂side)・・・







特に変わりない平凡な日。多少イレギュラーな点を上げるとすれば、今日の仕事は半ドンという事くらいか。
形式上、必要悪の教会(ネセサリウス)に所属する面々は『聖職者』みたいな職業分類だが、実際は公務員のそれに近い気がする。

じゃなきゃ私(主教補佐次席)に、地域福祉の統計書類が回ってくる訳が無い。
ぶっちゃけハンコ押すのが面倒で仕方ない。私、その手の専門家じゃないですよ?


オルソラ「あらあら。残業でございますか?」トコトコ・・・

神裂「ええ。でも、こんな仕事が私に回ってくるのがおかしいんですけどね」ハァ・・・

オルソラ「んー……生活保護の?」ジー・・・

神裂「ええ。相変わらず申請者が増えてますから」カキカキ・・・


世界的な不況は慢性的に広がるばかり。景気循環が下降の一途を辿るのみ。
最早、コントラチェフの波では収まり切らぬ程だ。


神裂「正直、専門家じゃないんですよ……というか魔術師にこういうの頼むのって間違ってますよね」グデェ・・・

オルソラ「確かに。でもまぁ、セーフティネット的な考えは宗教家が提案するモノでございましょう」テクテク・・・

神裂「そうですけど……何だかなぁ」ハァ・・・


机にへばり付く私に紅茶を出すオルソラ。苦笑しながら私の顔を見詰める。
折角なので、リラックスがてら紅茶を頂く事に。このままでは適当にハンコをついてしまいかねない。

一寸後、応接室に二つの顔。シェリー=クロムウェルとシスター・ルチアだ。


シェリー「ふぁあぁ……ん? 辛気臭いのが居るぞ」チラッ・・・

神裂「悪かったですね。残業なんですよ」ハァ・・・

シェリー「サロンでやんないで部屋か執務室でやれよ。此処居ても集中できないだろ? あ、オルソラ。茶」テクテク・・・

オルソラ「はいはい。シスター・ルチアは如何でございますか?」チラッ

ルチア「ではコーヒーを……生活保護申請者の書類ですか。また場違いなモノを」ペコッ


やはり誰が如何見てもそう思うのだろう。魔術師に政(まつりごと)をさせるなって話だ。


シェリー「でも堅ブツのアンタは嫌でも真剣真面目に取り組んじゃうんだろぅねぇ」フフッ

神裂「……手を抜ける問題ではありませんから」ハァ・・・

オルソラ「神裂の美徳でございますよ。魔術師としてではなく宗教家としての意見で仕事をしてみては如何でございましょう」チラッ

神裂「うーん……といっても、育ちが育ちですから。難しいんですよ」ヤレヤレ・・・


悲しきかな、政教分離国家出身。


シェリー「んじゃ王室派の連中にブン投げれば? 歴代の英国女王様御得意、救済法で」ハハハ

神裂「救済法は最終手段でしょうに。アレは民草を飼い慣らして終わりです」ハァ・・・

シェリー「じゃあ日本の生活保護の考え方は?」チラッ

神裂「……うーん。気乗りしません」ポリポリ・・・


正直、我が国の政治体系は如何ともし難い現状だ。
加えて学園都市の影響で一国二制度みたいな状態になってしまっているし……あぁ、考えると余計にややこしい。
実際一国二制度どころか『二国』な気がする。大丈夫か? 我が祖国。何とも嘆かわしい。
840 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/16(月) 23:21:19.17 ID:5dSdKNo20
椅子に寄り掛りながら天井を仰ぎ見る。そして呪詛の如くステイルと主教(ローラ)の悪口を垂れてみた。
アイツら、こういう話題苦手だからって全部私に押しつけやがって……それでも一国の主教会のトップかっての。


シェリー「はははは。頑張れ苦労人」ポンポンッ

神裂「……そう思うなら手伝ってくださいよ。仮にも年輩者でしょう」ジトー・・・

シェリー「私の専門は芸術(アート)。政治運営とかカラッきしよー……お、さんきゅー」スッ・・・

オルソラ「まぁまぁ。私が出来得る限りお手伝いするのでございますよ。シスター・ルチアもね」フフッ

ルチア「…………、」ジー・・・


話を振られたのに無表情無反応のルチアが微妙に怖い。


神裂「ハァ……日本に福祉専門家の知り合いでも居れば良かったのに」グデェ・・・

オルソラ「学園都市にその手の知り合いは?」ジー・・・

神裂「居ません。というか、あの街の福祉制度は参考なりませんよ」コクッ


確かに、教育と児童福祉はそれなりに充実している。だがそれはあくまで『学生(+学者及び教育者など)』に対しての福祉だ。
それ以外の大人、または『学生』ではない子どもに対しては正直厳しい環境だろう。


シェリー「まぁ普通に子どもの人身売買してるような街だしな」ハハハ

ルチア「……貴方が言うと重みがありますね。流石被害者というか当事者」フッ・・・

シェリー「だろ? ま、この街も似た様なモンだけどなー」ハハハ!

神裂「…………、」タラー・・・


何つーブラックジョーク。笑えない。


ルチア「……とりあえず、学園都市は勿論の事ながら『日本』の福祉制度も参考ならないでしょう」スッ・・・

オルソラ「あらあら? 如何してでございましょうか」テクテク・・・

ルチア「政教分離してる様な国に倫理観があるとは思えませんね。政治家の9割以上が無宗教なのでしょう?」チラッ

神裂「それはまぁ……でも、戦後色々ありましたし」ポリポリ・・・

ルチア「関係ありませんよ。加えて、甘ったれの平和ボケ国家。そんな事だから米国や学園都市(アレイスター)に国を乗っ取られる」フンッ


否定出来ないのが悲しい……それにしてもルチアさん、相変わらず手厳しい意見を仰る。


ルチア「仕方ないでしょう。世界的に見て事実ですし。ただ日本が嫌いなだけで、別に日本人が嫌いとは言ってません。ご安心を」サラッ

シェリー「同じ『敗戦国』出身なのにか? オマエの祖国(イタリア)の福祉の方がズタボロだろ」フフッ・・・

ルチア「イタリアは、ね……私はあくまで『市国(バチカン)』の人間ですよ」フイッ

シェリー「はははは! モノは言い様だな! こりゃ一本取られた」クククッ

オルソラ「ふふっ。バチカンに『政治』はないのでございます。あくまで『教え』の国でございますものね」クスクス・・・


上手く逃げやがった。日本は……仕方ないか。


オルソラ「しかし……神裂の故郷(?)は、それこそロンドンより酷い戦火を受けた街でございましたよね」チラッ

シェリー「世界に二つしかない爆心地(グラウンド・ゼロ)、ナガサキ・ヒロシマか。行ってみたいんだよなぁ、あそこの博物館」ウンウン・・・

ルチア「空気を読まずによくそんな事言えますね」ジー・・・

シェリー「だってよぉ。実際実感無いじゃん。私ら皆戦後生まれだし。WWV(第三次世界大戦)だって然程長引かなかったしな」グデェ・・・


確かに実感は無い。故に語れと言われると難しい。噂では戦時の『記録・記憶』を補完した魔術師が居るらしいが……如何なのやら。
841 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/16(月) 23:59:20.71 ID:5dSdKNo20
そんな事はさておき、仕事の方を片付けなくては。


神裂「と、いっても……如何していいやら」ハァ・・・

シェリー「もう専門家に金払ってやってもらえよ。それが一番だって」ジトー・・・

オルソラ「確かにそれが正解かもしれないのでございますね。日本の諺にもあるのでございますよ。パンはパン屋に、と」コクッ

神裂「餅は餅屋に、ですよ……しかし私には専門家の知り合いが居ませんから」ハァ・・・

ルチア「まぁ下手な上院連中に任せるより、神裂にやって貰った方が良い様な気もしますけど」サラッ


そう言って貰えるのは嬉しいが、実際難しい。


シェリー「んじゃ姫様達辺りに任せたら?」クイッ

神裂「姫様? どの?」ジー・・・

オルソラ「キャーリサ様は……駄目でございましょう。あの人の福祉思考はアメリカ寄りでございますから」ハハハ・・・

ルチア「『働いて福祉を買え』ですか。資本主義的には正しいのでしょうけどね」ジー・・・


働きたくても職がない人が居る。そしてその人達が生活保護を頼ってきてる。
その実情がある以上、その理屈は通用しないのだ。


シェリー「じゃあ三番目は……うーん。考え方が甘いからなぁ」ポリポリ・・・

ルチア「彼女の考え方こそ、その場凌ぎの救貧です」フルフル・・・


ヴィリアン様に相談したら『全員許可しましょう。私、ポケットマネー出しますから』とか言われそうだ。
因みに長女殿は論外。こういう話題に一番向いてそうだが、前提として話を聞かない。


オルソラ「そういえば、期限はいつまでなのでございますか?」チラッ

神裂「月曜までです。要は休みの内に終わらせろとの事で……コッチの都合も考えろっての」ハァ・・・

シェリー「ははは。相変わらずブラックな職場だな……っと、そろそろ時間だ」スッ・・・

ルチア「用事ですか?」チラッ

シェリー「私は今から仕事だよ。美大の方のな。客員講師っつってもコマ任されてる以上は補講もあるからね」コクッ


此方は此方で、相変わらず趣味だか副業だか微妙なラインの仕事に勤しんでるみたいだ。
まぁ嫌が応にも『色々』と借金(賠償金)があるから仕方ないのだろうけど。


シェリー「んじゃ神裂。程々に頑張れ。あ、それからルチア。お前もさっき言った事忘れるなよー」テクテク・・・

ルチア「…………、」ジー・・・

神裂「やれやれ。言うだけ言って去りましたね……ルチア?」チラッ

ルチア「……え。あ、いや、何でも」コクッ


渋い表情。いつもの事ながら、折角の美形が勿体無い。


オルソラ「ふむふむ……とりあえず神裂。政治屋にコネを持ってる人間を紹介するのでございます。多分、地域福祉の方面にも居る筈です」チラッ

神裂「え、あ、はい。助かります……って、誰それ?」キョトン・・・

オルソラ「オリアナでございます。彼女の顔の広さは世界規模でございますから」フフッ・・・

ルチア「え? 政治家にも……それ『枕的』な関係なのでは」タラー・・・

オルソラ「さぁ。しかしそういう所に興味を持つ辺り、シスター・ルチアも御年頃でございますね」フフッ


微妙に外れた返し方をするオルソラ。ルチアが明から様に嫌な顔をしている。
兎にも角にも、今は藁にも縋る思いで専門家の意見を聞きたい。オルソラの提案に乗らせて貰おう。
842 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/17(火) 00:27:42.72 ID:g2HG5T/t0
数分後、オルソラへの紹介料と、紹介された政治屋さんの食事の誘いを乗る事を条件に連絡先を交換出来た。
コネを作れるのは嬉しいが、正直無暗矢鱈と顔を広めたくない。


神裂「こんな事なら大人しく騎士団長殿に相談しとけば良かった」ハァ・・・

オルソラ「……あらあら」フフフ・・・

神裂「な、何ですか? その目は」ムッ・・・

オルソラ「いえいえ。あの方も相変わらず……しかし、政治が出来るタイプにも思えないのでございますが」クスクス・・・


そんな事は無いだろう。仮にも一派閥を率いるリーダーだ。
軍人気質とはいえ愛国者だし、真剣に相談に乗ってくれる筈。


オルソラ「確かに、真剣になりましょう。色んな意味で、ね」フフフ・・・

神裂「……ったく」ポリポリ・・・

ルチア「ですが、彼に政治はしてもらいたくありませんね。彼、根っからの貴族でしょう」ジー・・・

神裂「根っからというか、まぁ御家柄は良いですけど」フム・・・

ルチア「貴族に現代政治は向きませんよ。それこそガチガチの古臭い宗教家くらいに」サラッ


オマエが言うか、とツッコみそうになった。


ルチア「何が言いたいか分かりますけど安心して下さい。自負してますよ。私に政治をさせたら国民皆飼育です」フンッ・・・

神裂「……えっと」ポリポリ・・・

オルソラ「神裂。そういう時は『この共産主義(アカ)の雌狗めー!』とか言ってツッコめば良いのでございますよ」フフッ

神裂「は、はぁ」タラー・・・


いや、言ったら言ったで怖いし。


ルチア「むっ。別にその程度で怒りませんよ」ジトー・・・

神裂「いや、その……単に私がジョーク苦手なだけですから」ハハハ・・・

ルチア「……なら良いのですが」フム・・・


如何しても、彼女には身構えてしまう。シェリーやオルソラなんかは気軽に接しているが、私自身が堅い所為もあるので、会話が弾まない。
例えば……そう、同年代の妹分達を挟めばまた別だが。


浦上「この……アカの雌猫がー!」ムニンッ!!

ルチア「ひゃうっ!?」ビクッ!

五和「う、ウラ! いきなり馬鹿な真似しないの!」タラー・・・


噂をすれば何とやら。ルチアの背後からひっそり登場し、脇の下から両手を伸ばして彼女の胸を鷲掴みにする末妹さん。


浦上「ほれほれー。早く『退廃した資本主義のネズミには負けないんだからっ!(ビクンビクンッ)』って言いなヨー」ムニムニン・・・

ルチア「ちょ、ばっ! なっ……あふっ! ん……っ……こ、この……破廉恥売女がっ!!」ガンッ///

浦上「うらばぁっ!!」ゴンッ!!

五和「あーららぁ……見事に吹っ飛んじゃった。自業自得だよ、ウラ」タラー・・・

フロリス「でも良いモン見れたねぇ。ルチアの『心までは屈服しないんだからっ!(ビクンビクンッ)』的な恥らい顔! ウラカミ、GJ!」ハハハ!

ルチア「んなっ! し、死ねボケぇ!!」カアアァ///


何その形容し難い表現は。あと『(ビクンビクンッ)』って如何いう事?
尋ねようとしたが、ルチアと浦上&フロリスが、某『猫とネズミ』ばりに仲良く追い駆けっこを始めたので聞くに聞けなかった。
843 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/17(火) 01:44:26.80 ID:g2HG5T/t0
一寸後、ルチアが『車輪』を取り出してしまったのでもう大変。私とオルソラが全力で宥めて事を収束させた。
因みに、フロリスと浦上はソファの上にブッ倒れてる。あーめん。


五和「んもー。三人で片付けしなきゃ駄目ですよ」ジトー・・・

ルチア「私も? 悪いのはコッチの馬鹿二人ですってば」チラッ

フロリス「んな連れない事言うなって、ルチアっちぃ」グデェ・・・

浦上「怖い顔しないで下さいヨー。クールビューティー台無しですって」ツンツン・・・

ルチア「……貴様ら」ジトー・・・


しかし、よくまぁこの二人はルチアに対してこうもフランクに対応できる。ある意味尊敬モノだ。


ベイロープ「真逆だから合うのよ。あ、オルソラ。紅茶お願いして良いかしら。この前御土産で買ってきたヤツ出して」コクッ

オルソラ「はいはい。了承でございます」トコトコ・・・

神裂「……真逆、ですか?」ジー・・・

ベイロープ「でしょ。逆にアンタは同属っぽいからソリが合わない。違う?」フフッ


確かにそうかもしれないが、そうなると浦上とフロリスが如何いうタイプなのか気になる。


ベイロープ「浦上はアンタの方が良く知ってるんじゃなくて?」チラッ

神裂「うーん……正直、半分くらいしか分かりません」ポリポリ・・・

ベイロープ「そんだけ知ってりゃ十分っしょ。私だってフロリス(あの子)が何考えてるかとかは分かんないし」ハァ・・・

神裂「ほぉ……他の二人は?」ジー・・・

ベイロープ「レッサーとランシスって事? レッサーは考えてる事が動きに出るお馬鹿な子だし、ランシスは何となく分かるわ」クスクス・・・


大体香焼宅(ウチ)と同じ様なモノか。
ただ、ウチの場合は五和も香焼も『顔(表情)』に出るタイプだけど。


オルソラ「お待たせしたのでございます。ベイロープ、このお茶で宜しかったのでございましょう?」コトッ・・・

ベイロープ「うんうん。この微妙な香り……まさにゲテモノ紅茶だわ」フフッ

神裂「え”? 何の?」タラー・・・

ベイロープ「キノコ紅茶だって。飲む?」クイッ・・・


断固拒否。そんなモノ何処で拾ってきたし。というか今時の子が紅茶キノコ知ってるのか?


ベイロープ「連れないわね……うーん! 不味い!」カー!

神裂「…………、」タラー・・・

ベイロープ「ふぅ……ところで、何やってるのかしら? お勉強?」ジー・・・

神裂「あ、いえ、仕事です……地域福祉関係の」ポリポリ・・・

オルソラ「『魔術師なのに?』というツッコミは無しでございますよ。先程から再三そう言われてるのでございますから」フフッ

ベイロープ「ふーん……ま、頑張りなさい」ゴクゴクッ・・・

オルソラ「あ、そういえばベイロープの彼はケンブリッジ大学の社会科学部出身ではございませんでしたか? いっそ尋ねてみては」サラッ

ベイロープ「え……んんなぁっ!!? な、し、何、で、し、知ってる、の!?」ダラダラ・・・///

オルソラ「うふふ……しかも、最近カレッジを『キングス(ロンドン)』の方に移したとか……もしかして同棲済みでございます?」ニヤニヤ・・・

ベイロープ「だあああぁ!! しゃ、喋るなあああぁ! か、神裂! 貴女も忘れて頂戴!」カアアァ///


聞いちゃいけない事を聞いた驚きよりも、オルソラの情報量の方に驚いた。やっぱこの人怖いです。
844 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/17(火) 03:36:30.03 ID:g2HG5T/t0
書類と格闘すること数十分、やはり専門家の意見を聞くべきだと(今更)決心し、筆とハンコを降ろした。
あとはもうダラダラ寝ようかな。


五和「あ、女教皇様(プリエステス)。さっき建宮さんが探してましたよ」チラッ

神裂「うわぁ……えっと、何用で?」タラー・・・

五和「分かりませんが書類抱えてました」ハハハ・・・


もう今日は書類仕事嫌だ。私は前線気質なんです。勘弁してくれ。
とは言っても立場上仕方がない。いや、立場云々を言うのは止そう。仮にも妹分の前だ。


五和「あははは……とりあえず私はお弁当屋さんのお手伝いがあるので」イソイソ・・・

神裂「ええ。頑張って下さい」コクッ

オルソラ「あ、五和。あそこの店主さんに『先日は助かった』とお伝えして欲しいのございますよ」チラッ

五和「はいはい。先日の会議弁当(ランチ)の件ですね。伝えておきます」ペコッ・・・


五和は英国(此方)に滞在している際、日本人街の弁当屋さんで手伝いをしている事が多い。
腕は勿論、彼女の愛想の良さから看板娘になってるとか何とか。


浦上「お姉は魔術師辞めても余裕で生きていけるタイプですからネ」ハハハ

神裂「辞められては困りますけどね」ハァ・・・

浦上「そりゃそうですケド。若衆筆頭だし、女教皇様除いた天草式(ウチ)のホープでエースだし」フフッ

神裂「そういうの抜きにしても、持ち合わせた力は義務です。彼女のそれは強大ですからね……私が言うのも難ですけど」フム・・・

浦上「……へぇ」ジー・・・


私は自分を平和主義者・日和見型の人間だと主観判断しているが、この理屈だけは仕方が無いと割り切っている。
我が身を省みる事さる事ながら、持ち得た『力』を先頭に立ち使用しないのは逃げである、と考えている。

勿論、その戦闘に立って用いるべく『力』を『盾』とするか『矛』とするかで大分目的は変わってくるが。


フロリス「そんなのはケースバイケースだろ。違うかい? 聖人さん」テクテク・・・

神裂「それは、まぁ」フム・・・

フロリス「難しい顔し過ぎると小皺増えるぞ。ウチのリーダーとかもそうだけどさ」ハハハ

ベイロープ「喧しいわ。こちとら、まだ10代よ」フンッ


私も10代です。


フロリス「ギリギリ、な」フフフ・・・

ベイロープ「……考え方変えれば、もう大人(レディ)なのよ。年齢的にもね」ヤレヤレ・・・

フロリス「あらら。私らミドルティーンズはまだまだガキと……困ったねぇ、ウラっち。ルチアっち」フフッ

浦上「些細些細」クスクス・・・

ルチア「……私に振らないでくださいよ」モー・・・


若干、オルソラの雰囲気が怖いのでこの話題(年齢について)は止めましょう。


ルチア「やれやれ……では私は自室に戻ります。シスター・オルソラ、何かあったら呼んで下さい」テクテク・・・

オルソラ「はいはい」コクッ

浦上「あ、ルチア……って、さっさと行っちゃった。仕方ないなぁもぅ」ポリポリ・・・


サロンから急ぎ足で出て行く。何か大事な用事でもあったのだろうか?
845 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/17(火) 05:04:10.70 ID:g2HG5T/t0
よくよく考えてみると、ルチアの私生活を知らない。同じ寮に住んでいるのにオカシな話だ。
別に無理矢理知りたい訳ではないしズカズカ踏み込もうという気はないのだが、それでも多少は気になる。

同年代の浦上と五和、フロリスも彼女の仕事以外での姿は知らないという。唯一知ってそうなオルソラは只々苦笑するのみ。


浦上「好きにさせれば良いのでは」チラッ

フロリス「そうそう。寝たけりゃ寝る。喰いたけりゃ喰う。マス掻きたきゃ掻く。そんで欲求満たせる。万事解決だな」ハハハ

ベイロープ「アンタねぇ……でも、まぁ教会の保護下に居ればそれで済むってのが恐ろしいわね」タラー・・・


何ともシンプルで品の無い三代欲求の解決論。呆れてツッコむ気力も失せる。
とりあえず、私も一旦部屋に戻ろうか……と考えた刹那、聞き慣れた鳴き声がした。


もあい「んなぅ」トコトコ・・・

神裂「おや? もあい」チラッ

浦上「あらら。香焼は何してんだか」キョトン・・・

フロリス「いつもみたいに女誑かしてんじゃないの」ハンッ


実際不貞とは真逆に位置する硬派な男子なのに『カミやん病』の所為で、不名誉な謂れを受ける我が末弟くん。


浦上「あははは……でも、もあい一匹で此処来るのは珍しいですネ」ジー・・・

ベイロープ「ん……一匹じゃないみたいよ」クイッ・・・

フロリス「え? ああ、ホントだ。もう一匹居た」チラッ

アニェーゼ「匹じゃなく人でカウントしやがれってんですよ」テクテク・・・


お転婆娘の筆頭が一人で現れた。彼女がもあいを連れてきたのか。


アニェーゼ「コーヤギが糞神父に連れてかれましたから。この子が他の飼い主求めて散歩してたんで、私が付いてきたんですよ」フンッ

神裂「成程……ところで他の子達は?」チラッ

アニェーゼ「サーシャは今日英国に来てねぇですし、アンジェレネとレッサーは食堂で第二王女さんとポーカーしてます」サラッ

オルソラ「あらあら。またシルビアの怒号が飛びそうでございますね」ハハハ・・・


姫様達はカルテッ娘と仲良いからなぁ。あの第一王女様でさえ子ども達には朗らかだし。


アニェーゼ「……アンタらは何してるんですか?」チラッ

神裂「私は特には何も。今し方、仕事を中断した所です」コクッ

オルソラ「私は今日は丸々暇でございます」コクッ

ベイロープ「私はこれから街に出るとこ。あ、仕事っていうか第二王女様のお使い(私用)でね」ハァ・・・

フロリス「パシリに使われてるだけだろ。まぁ小遣い(バイト代)がデカいから良いけどな」ハハハ

オルソラ「それで? 仕事が終わったら同棲中の彼とニャンニャンするのでございまむがぁっ!」フガフガッ

ベイロープ「うっさい! 余計な事言うな!」カアアァ///

アニェーゼ「ふーん……お盛んなこって」ジトー・・・

フロリス「そうそう、ウチのリーダーは万年発情期だから。昨日も多分大学生の彼氏に弱点の太ももをクンカクンカされぇボガァッ!!」ガンッ!!

ベイロープ「黙れボケナス!!」ウガアアァ///

アニェーゼ「へぇ……レッサーの言ってた通りですね」ジー・・・

ベイロープ「ぐっ……あ、アニェーゼ。今聞いた事は忘れなさい。貴女はレッサーと違って口が堅いって信じてるから」ハァ・・・///


真っ赤になって二人の口を抑えるベイロープ。太ももが弱点なのか。クンカクンカってどんなプレイなんだろう?
846 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/17(火) 05:40:17.42 ID:g2HG5T/t0
ベイロープの彼氏の話は後で問い詰めるとして、浦上とフロリスは何をするのだろう。


フロリス「んー……明日休みだしなぁ。試験も終わったし……色々暇だわ」グデェ・・・

浦上「私もー。何しよっかなぁ」ゴロン・・・

フロリス「……あー」チラッ・・・コクッ

浦上「んー? ふむ……んー」チラッ・・・コクッ


何やら二人でアイコンタクトを送り合ってる。言葉にしろ、言葉に。


フロリス「……さってと。そんじゃ私もボチボチ、アパート帰ろうかなぁ」スッ・・・チラッ・・・コクッ

浦上「それじゃあ私もー」スッ・・・コクッ

神裂「……貴女達?」ジトー・・・

浦上「あー……女教皇様。建宮さんが探してましたヨ。忘れてません?」クイッ・・・


すっかり忘れてた。


神裂「じゃなくて、別に遊びに行くのを咎めたりしませんって。そんな悪い事するみたいにヒソヒソしないで下さい」ヤレヤレ・・・

浦上「あはははは……変な意味はありませんヨ」ポリポリ・・・


タダでさえ胡散臭いのに、輪を掛けて道化染みて見える。


ベイロープ「フロリス。遊びに行くのは良いけど、無駄遣いしちゃ駄目よ。レッサー程じゃないにしても金使い荒いんだから」チラッ・・・

フロリス「あいあいまむ。んじゃ、そゆ事でOK?」チラッ・・・

アニェーゼ「遊びねぇ」ジー・・・

もあい「にゃん」トコトコ・・・


『遊び』という単語を聞く度、この子達は若いなぁと感じる。いや、私が枯れてるのか?
しかし、最近では私も積極的に遊びに出る様になったぞ。主に麦野さんの御蔭(所為)で。


アニェーゼ「あー……ちょいと、お二人さん」ジー・・・

フロリス「ん? 何だい? 用事なら帰って来てから聞くよ」チラッ・・・

アニェーゼ「それじゃ遅いんで今お願いします」ジー・・・

浦上「ふむふむ? 何用ですカ?」キョトン・・・

アニェーゼ「簡単な事です。いや、簡単じゃないか……あー、ルチアを……引っ張り出してくれねぇですか」ポリポリ・・・


一同総ポカーン。何それ、如何いう意味?


アニェーゼ「言葉通りですよ。あの子の事、誘ってあげてくれねぇですか。街に行くんでしょう? 駄目ですか?」コクッ

浦上「え、ま、まぁそうだけど……え? ルチアを? 私らが?」ポカーン・・・

フロリス「駄目じゃないけど、ルチアの方がついて来ないだろ」タラー・・・

アニェーゼ「私があの子に外出る様命令します……お願いします。あの子、枯れてますから何とかしてやって下さい」ハァ・・・

浦上・フロリス「「…………、」」チラッ・・・タラー・・・

オルソラ「……浦上、フロリス。連れて行ってあげなさい。お友達でございましょう」フフッ・・・

アニェーゼ「アンタら流のやり方で構わねぇです。少しヤンチャなくらいで結構ですから、あの子を連れ回してやって下さい」ペコッ・・・


此処まで言われては引くに引けない。止むを得無しと、二人はルチアを待つ事に。何やら不穏な予感がするけど、気の所為だろう。
兎角、アニェーゼが二人を頼った以上は任せる他無い。私にとっての固法さんや麦野さんみたいになるかもしれないですしね……―――
847 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/17(火) 05:48:18.07 ID:g2HG5T/t0
はい、今回は此処まで。次回は安価取るかも。そんじゃおやすみ! ノシ”
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/17(火) 22:01:46.73 ID:YcvvQdduo
乙!
849 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/20(金) 21:45:28.13 ID:r/fYO3vT0
こんばんわ。ボチボチ投下します。
850 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/20(金) 22:16:22.51 ID:r/fYO3vT0
 ―――とある半休日、PM02:30、英国、ランベス宮・女子寮、とある個室(ルチアの部屋)・・・・・



   コンコンッ・・・・・


ルチア「ん? はい、どうぞ」チラッ・・・

アニェーゼ「うぃ。失礼します」ガチャッ・・・

ルチア「シスター・アニェーゼ。如何しました?」スッ・・・

アニェーゼ「あー、そんな堅苦しくしねぇで良いです。仕事じゃねぇんですから」テクテク・・・

ルチア「はぁ……では何用で?」キョトン・・・

アニェーゼ「ちょっと、ね……にしても相変わらず簡素な部屋だこと」ジー・・・

ルチア「必要最低限ですから。雑談ならサロンに移りましょう。此処ではお茶の一杯も出せない」スッ・・・

アニェーゼ「結構結構。それより、ルチア」テクテク・・・

ルチア「え? って、何故勝手にクローゼットへ?」チラッ・・・


  カチャッ・・・・・ 


アニェーゼ「……うわぁ」ジー・・・

ルチア「???」キョトン・・・

アニェーゼ「……私服無ぇです。全部修道着とか」タラー・・・

ルチア「私服? え? はい?」ポカーン・・・

アニェーゼ「えーっと……ルチア。私服何処ですか?」キョロキョロ・・・

ルチア「何故? というか、入ってくるなり随分失礼な真似ですね。隊長殿」ジトー・・・

アニェーゼ「あ、いや、すいません。だけどまぁ……困りましたね」ハァ・・・

ルチア「だから何が? いい加減ハッキリ言ってくれないと怒りますよ」ジトー・・・

アニェーゼ「うーん」ポリポリ・・・

ルチア「……アニェーゼ?」ポカーン・・・


  タタタタタッ・・・・・


浦上「おっ邪魔っしまー―――z___すっ!!」バンッ!!

ルチア「っ!?」ビクッ!!

フロリス「突撃っ! お宅の個室拝見!! って、うわぁ……予想通り過ぎる部屋どうも」ジー・・・

ルチア「浦上? フロリス? は? え?」ポカーン・・・

フロリス「あいよー。いやいやしかし、屋根裏のネズミ共の方がまだ活気ある部屋してるわ」キョロキョロ・・・

ルチア「無断侵入するなり無礼な物言いですね。何用ですか? 悪戯ならシスター・アンジェレネだけで間に合ってますよ」フンッ・・・

浦上「ううん。ルチアがあまりに遅いからコッチから来ちゃいましたヨ。そんでそんで? 準備出来たんですカ?」ジー・・・

ルチア「は?」ポカーン・・・

フロリス「あー……アニェーゼ?」チラッ・・・

アニェーゼ「まだ言ってねぇです。というか、この子私服持ってなくて」ポリポリ・・・

浦上・フロリス「「まぁじでぇ!?」」タラー・・・

ルチア「……誰か今何が起きてるのか説明してください。真面目に、ね」ジトー・・・

アニェーゼ「あのですね、ルチア……―――」アーダコーダ・・・

851 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/20(金) 22:51:52.34 ID:r/fYO3vT0

   にゃーん・・・・・



アニェーゼ「―――っつー訳です。オーライ?」チラッ・・・

ルチア「……何が『っつー訳』なのか、サッパリなんですが」ジトー・・・

浦上「要は、私達とお出掛けしましょって事ですヨ。OK?」ウンウンッ

ルチア「…………、」エー・・・

フロリス「うわっ! 明から様に嫌そうな顔!」タラー・・・

ルチア「だって嫌ですもん」サラッ

浦上「ハッキリ言った!? うわぁ……こりゃ軽くショックですネ」オヨヨ・・・

アニェーゼ「ルチア……アンタ、普段引き籠ってばっかなんですから。偶には外行ってきなさいよ」ハァ・・・

ルチア「普段、買い出しや仕事で外出るでしょう。休みくらい部屋に居たって良いでしょう?」ジトー・・・

アニェーゼ「詭弁です。私はプライベートの話をしてんですよ」ヤレヤレ・・・

ルチア「だから、休みの日くらい部屋でノンビリしたい。そう言ってるんです。オーライ?」ジトー・・・

アニェーゼ「ぐっ……あー言えば、こー言う」タラー・・・

フロリス「……ねぇ、アニェーゼ。これ無理なんじゃね?」グデェ・・・

アニェーゼ「そこを何とかお願いしますよ。私や部隊のメンバーじゃ無理なんですって」ハァ・・・

フロリス「つってもなぁ……当の本人がコレだよ」クイッ・・・

ルチア「ええ。余計なお世話です、シスター・アニェーゼ。フロリスの方がまだ物分かりが良いじゃないですか」フンッ・・・

アニェーゼ「こ、こんにゃろめ……んなババァみてぇな生活してねぇで、街中で遊んで来いっつってんですよ! この冷凍マグロ女!」グヌヌゥ・・・

フロリス「やーい、マグロ女ー! ルチアはマグローってぼわぁっ!!?」ゴンッ!!

ルチア「黙れ下衆女郎!! その口に[ピーーー]ブチ込むぞ、ボケがっ!」ウガアアァ///

浦上「あははは……えっと、ルチア。どうして外出たくないの?」ジー・・・

ルチア「え……別に、出る必要が無いからです。用事も無いのに、ましてや遊びに外へ行くなんて時間の無駄でしょう」サラッ

フロリス「痛てて……うっわぁ。こりゃ予想以上に枯れてるわ。まるでキリッキリでカラッカラの聖職者みたい」ジトー・・・

ルチア「悪かったですね。キリキリのカラカラで」フンッ・・・

浦上「んー……じゃあ隊長命令なら?」チラッ・・・

ルチア「は?」キョトン・・・

浦上「『遊びに行け』っていう隊長命令。あ、違うなぁ……『街の視察』っていう名目」コクッ

ルチア「意味が分からない。必要性を感じません」フンッ・・・

浦上「大衆の文化・風俗・娯楽を把握しておくのも聖職者、現代魔術師の基本ダヨ」アーダコーダ・・・

ルチア「…………、」ジトー・・・

アニェーゼ「そ、そういう事です。少しは『遊び』を覚えなさい。隊長命令!」ムンッ!

ルチア「……はぁ」ポリポリ・・・

フロリス(あははは……流石、口先上手。[ピーーー]の口テクだけじゃないんだなぁ、浦上っち!)クイクイッ!

浦上(フロリス。そういうゲスい発言止めようネ。私ってば『清楚系』なんダヨ)サラッ

ルチア「……しかし、今日の午後は休暇です。シフトに入ってない以上、動きたくありませんね」フンッ・・・

アニェーゼ「コ、イ、ツ……相っ変わらず根暗な事を」ギリギリ・・・

浦上「あー、怒らない怒らない……後日改めて休暇与えるってサ。だから今から『特別任務』で外行こ」コクッ

ルチア「…………、」フム・・・

852 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/20(金) 23:28:38.03 ID:r/fYO3vT0
ルチア「……別に、日を改めて休暇が欲しい等とは思いませんし」ジー・・・

アニェーゼ「アンタ、ねぇ」イライラ・・・

ルチア「何の思惑かは知りませんが、私のプライベートにまで漬け込む義理は無いでしょう。例え、アニェーゼでも」ジー・・・

アニェーゼ「……チッ」ギロッ・・・

浦上(やれやれ。全盛期の女教皇様並に堅ブツだ、コレ……仕方ない。押してダメなら引いてあげましょ)チラッ・・・

フロリス「(ったく、オマエも人が良いな)……ルチア、いつもそうなの?」サラッ

ルチア「いつも、の意味が分かりませんけど。悪いですか?」フンッ・・・

フロリス「別に。たださぁ……友達無くすわ、アンタ」テクテク・・・

ルチア「…………、」ジー・・・

フロリス「行こう、浦上。ソイツの言うとおり構うだけ時間の無駄だ」クイッ・・・テクテク・・・

浦上「はいはい。じゃーね、お二人さん」テクテク・・・

ルチア「……ぁ」ピクッ・・・

アニェーゼ「ちょ、アンタら! さっきと約束が違―――」


  ガチャッ・・・バタンッ・・・・・


アニェーゼ「―――う……ん、がああああぁっ!! 薄情モー―――ンっ!! つーかルチアも馬鹿アアアアァ!!」ガーガー!

ルチア「…………、」ムゥ・・・

アニェーゼ「アンタねぇ! ホンっトに友達無くしますよ! もっと行けば仲間の信用さえ無くなりますからね!」ガンガンッ!

ルチア「……だって」ボソッ・・・

アニェーゼ「あんっ!?」ギロッ・・・

ルチア「……私なんかと遊んでも、面白くないでしょう」モジモジ・・・

アニェーゼ「はあぁ!? 馬っ鹿じゃねぇですか!? んなモン気にしてたの? このアンポンタン女っ!!」ウガー!

ルチア「いや、その……実際、そうですし……私と話しても楽しくないでしょ」ジー・・・

アニェーゼ「黙れ[ピーーー]カス女!! アンタ、昔より根暗なってやがります!! 根性腐ってんじゃねぇですか?!」ドンドンッ!!

ルチア「……どうせ私は根暗堅ブツ鋼鉄処女ですよーだ」ボソボソ・・・

アニェーゼ「ンっキイイイイイイィ!! マジ粛清してやんぞゴラァ!!」ガシッ!!

ルチア「パワハラです、訴えますよ。人事部に」ジトー・・・

アニェーゼ「ダアアアアアアァ!! は・ら・た・つうううううううううぅ!!」ブッチンッ!!

ルチア「……貴女は良いですよ。私とは逆に日和りましたからね。毎日が楽しいでしょうよ」フンッ・・・

アニェーゼ「テメェ……人の所為にしやがったなぁ!? 私はテメェと違って主体的な人生送ってんだよボケがっ!!」ガー!!

ルチア「だったら私だって主体的ですよ。主観的に見れば、の話ですけど」ジー・・・

アニェーゼ「っ……ふー……じゃあ切り口変えます。アンタにゃ、さっきの二人が楽しそうに見えなかったんですか?」クールダウーン・・・

ルチア「……楽しそうなんじゃないんですか。客観的に見ても、そうなんでしょう」ジー・・・

アニェーゼ「アンタもああいう風に楽しく生きたいと思いませんか?」ジー・・・

ルチア「快楽主義に走りたいとは思いません。私は修道女ですよ」コクッ

アニェーゼ「こ、の……快楽主義とか何とかじゃなく、せめて人並みに楽しい生活送りたいかって聞いてんですよ! このタコ!」ギロッ・・・

ルチア「……無理ですよ」ボソッ・・・

アニェーゼ「んな自己否定聞いてんじゃねぇっつってんです。願望! アンタの気持ちは如何なんですか!?」バンッ・・・

ルチア「……そりゃ多少は……はい」モジモジ・・・

アニェーゼ「だったら鼻っからそう言え駄阿呆! その一言で十分ですっての」フンッ・・・
853 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/20(金) 23:59:51.77 ID:r/fYO3vT0
アニェーゼ「ったく……ほら、さっさと準備しなさい」クイッ・・・

ルチア「え、あ、いや。それとこれとは別ですよ……彼女達も行ってしまったみたいですし」ムゥ・・・

アニェーゼ「うっさい。さっさと準備しろ。私服は身長同じくらいの子から借りなさい。金は使ってないからありますね?」テクテク・・・

ルチア「だから……アニェーゼ。私を困らせないで」タラー・・・

アニェーゼ「グチグチ言ってんじゃねぇです。今ならまだ間に合いますから」フンッ・・・

ルチア「……ですが、さっきも言った通り……私なんかが一緒に居ては、彼女達が楽しめないでしょう」ジー・・・

アニェーゼ「だからさぁ……悲観的になんのは勝手ですけど、あの二人はアンタの事『ダチ』って思ってくれたから誘ったんでしょ?」ジトー・・・

ルチア「……その誘いを、無碍にしました。もう無理ですよ」シュン・・・

アニェーゼ「だからアンタの悲観オナニーが聞きてぇんじゃねぇっつの、ボケが。行きたいのか如何か!」ギロッ・・・

ルチア「…………、」モジモジ・・・

アニェーゼ「どっちなんです?!」グイッ・・・

ルチア「……彼女達が、良いと言ってくれるなら」ボソッ・・・

アニェーゼ「あんっ!? 聞こえねぇです! てかテメェの気持ち言えっつってんですよ」ジトー・・・

ルチア「……たい」ボソッ・・・

アニェーゼ「何!? ハッキリ言え!」フンッ・・・

ルチア「……一緒に、行きたい、です」モジモジ・・・

アニェーゼ「……やれやれ」チラッ・・・


  バンッ!!


ルチア「っ!!?」ビクッ!!

浦上「ヒャッハアアアアァ!! デレ・ルゥチアアアアアァ!!」ドンッ!

フロリス「さっすが、部隊長さん! 誘導尋問上手いねぇ!」バタバタッ!

ルチア「うぇ……なっ」キョトン・・・

アニェーゼ「誘導尋問じゃねぇです。人間、大抵の事は『Yes』か『No』で事足りますから、そういう風に質問しただけですよ」サラッ

浦上「いやいやぁ、御謙遜をー」ポンポンッ

フロリス「しっかし、鉄面皮のルチアっちもそういう顔出来るんだねぇ。2828」ツンツン・・・

ルチア「あ、な、た……達……っ」プルプル・・・///

フロリス「あっはっはっ! 真っ赤っかだねぇ、自称根暗堅ブツのアイアンメイデンさん」フヒヒッ!

ルチア「だ、だ……黙れええええええぇ!! というか忘れろおおおおおぉ!!」ウガアアァ///

フロリス「怒ったー! さっき『一緒に、イきたい』とか言ってたくせにー!」ヒャッハー!

ルチア「んな事言ってねぇ死ねええええええええええええぇ!!」カアアァ///


  ギャーギャー!!


アニェーゼ「やれやれ。とりあえずはOKですね……あ、悪ぃんですが服貸してやってください。途中で買って貰えれば良いんで」フゥ・・・

浦上「了解。それで……何処まで引っ張りまして良いのカナ? 私達、結構『色んなトコ』行くヨ」チラッ・・・

アニェーゼ「何処行って何やってもOKです。全面的に許可します」コクッ

浦上「へー……言ったネ? 後悔しないでヨ」フフフ・・・

アニェーゼ「へ?」キョトン・・・

浦上「うふふっ♪ 何かあったら香焼か、お姉辺りに連絡するから安心してネ」クスクス・・・

アニェーゼ「え、ええ……とりあえずお願いします」コクッ・・・
854 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/21(土) 00:48:27.78 ID:+H7RGT9B0
 ――一寸後、応接の間(サロン)にて・・・・・


    にゃーん・・・・・


ルチア「ぐるるるぅ」フシャー・・・

フロリス「んもー、そんなに怒んないでよ。茶化さないからさぁ」ポリポリ・・・

浦上「準備OKだネ? そんじゃ行こう」クイッ・・・

フロリス「あいあい……って、ルチアっちの服は? まさか修道服のまま?」チラッ・・・

ルチア「別にこれでも良いでしょう。シスターなら修道服のまま出歩いても不思議ではありません」サラッ

フロリス「あのさぁ……プライベートだっての」タラー・・・

ルチア「……しかし、私は私服を持ってません。昔着ていた服はもう入りませんから」コクッ

浦上「それって、いつ買った私服?」ポリポリ・・・

ルチア「10になる前に頂いたワンピースです。無論、貰い物ですよ」コクッ

フロリス「あー……やっぱ最初は服屋だな」タラー・・・

浦上「そだね。ルチア、貯金はいっぱいあるらしいから金に糸目付けず買っちゃおう」ウンウン・・・

ルチア「そんな贅沢な真似するくらいなら、その金を寄付します」ムッ・・・

フロリス「寄付ってのは娯楽し過ぎて金余ったプレイボーイが出すモンだって、神さんが言ってたよ。おーらい?」テクテク・・・

ルチア「なっ!?」ジトー・・・

浦上「まぁまぁ、怒らないの……とりあえず、お姉の服かっぱらって着たから今はコレ着てネ」スッ・・・

ルチア「五和の?」ジー・・・

浦上「レディースジーンズにセーター。こういうのなら抵抗無いでしょ」フフッ

ルチア「まぁ……そうですね。ただ、パンツは穿き慣れてませんが」ポリポリ・・・

フロリス「安心しろって。そのミニスカ修道服&ストッキングWithガーターベルトよりエッチくないから」ハハハ

ルチア「なっ!? こ、これは別に男性を欲情させようと着ている訳では無く、単に買い替えるのが勿体無いので数年間着てるだけで」ダラダラ・・・

浦上「成長期前に買ってそうなソレを今も着続けてるとか……まぁ追々話しましょう」アハハ・・・

フロリス「新ジャンルで『天然エロ』っての如何だ? あ、付け加えれば『クールドS天然エロ』か!」ニシシッ!

ルチア「こ、のぅ」グヌヌゥ・・・///

浦上「こらこら、フロリスもからかわないの。兎に角、それ着替えちゃって。早く出発ましょう」ウンウンッ


  にゃーん・・・・・


オルソラ「あらあら。楽しそうでございますね。やはり歳が近い娘同士気が合うのでございましょうか」フフフッ

神裂「うーん……不安です」タラー・・・

アニェーゼ「まぁ私も若干不安ですが……全権を任せた以上は、信じますよ。多少悪い方に転んで貰った方があの子の為ですから」ジー・・・

神裂「そうでしょうか。悪い方を通り越さなきゃ良いんですけど」タラー・・・

アニェーゼ「そこまで心配しますか? いや、でもほら。もしかしたら浦上とフロリスのプライベートも探って貰えるやもしれませんよ」ジー・・・

神裂「それは確かに知りたいんですけど……怖くて聞きたくない」ダラダラ・・・

オルソラ「ベイロープも『……知らない方が良いわ』と遠い目でボヤいましたから」フフフ・・・

神裂・アニェーゼ「「え"っ」」ダラダラ・・・

オルソラ「でも、まだ子どもでございますし多少のヤンチャは許されるのでございますよ。大目に見るべきでございましょう」ウンウンッ

神裂「は、ははは」タラー・・・

オルソラ「おや、出発するみたいでございますね。いってらしゃいませー。お土産宜しくー」ノシ”
855 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/21(土) 01:50:48.91 ID:+H7RGT9B0
 ―――とある半休日、PM03:30、英国、ロンドン市街、オックスフォード通り・・・・・



  ガヤガヤ・・・パタパタ・・・・・



ルチア「うっ」ジー・・・

浦上「どしたの?」チラッ・・・

ルチア「……人が、多い」タラー・・・

フロリス「はぁ? 何を今更。天下のオックスフォードっつたら、このくらい人居るに決まってるじゃない」ヤレヤレ・・・

浦上「比較的ランベスから近いし、普段買い出しとかでも来るでしょ?」ジー・・・

ルチア「確かに用事で来ますけど……何と言うか、仕事とプライベートだと、こうも感じが違うとは」ダラダラ・・・

フロリス「ははは。これだからワーカーホリックは」ツンツンッ

ルチア「うっさい」ギロッ・・・

浦上「喧嘩しなーいの。えっと服屋でー、学生多い店はーっと……フロリス。何処が良いと思う?」チラッ・・・

フロリス「んー。ベネットンでも行くか? ルチアっちの故郷発の店だし」クイッ・・・

ルチア「嫌です」キッパリ・・・

浦上・フロリス「「は?」」キョトン・・・

ルチア「……『Unhate(反・嫌悪)』問題」ジトー・・・

浦上「あー……そんなの気にしないでヨ。たかが買い物でしょ」ハァ・・・

ルチア「異教徒の畜生共だけならいざ知らず、教皇猊下までもあの様な糞溜めコラ写真に混ぜるなど……焼き打ちしてやろうかと思いました」フンッ

フロリス「相変わらずの狂信者で」タラー・・・

浦上「えっと、そんじゃ適当にデパート廻ろっか。そっちの方が目に着くと思うし」アハハ・・・

フロリス「つっても結構膨大……ま、いっか。考えるだけ無駄だ。ブラブラ歩こう」テクテク・・・

ルチア「お任せします」コクッ

浦上「はいはい―――」ポリポリ・・・


  ざわざわ・・・がやがや・・・・・


浦上「―――ちなみに、どんな服が良いとか要望ある?」チラッ・・・

ルチア「そうですね……出来るだけ大人しめの服が良いです。退廃的なモノや大胆破廉恥なのは嫌です」キッパリ・・・

フロリス「普段大胆破廉恥なのにか?」ニヤニヤ・・・

ルチア「だ、だからアレは!!」カアアァ///

浦上「分かってる分かってる。でもさぁ……せっかく良い『モン』持ってるんだし、少々大胆なのでも良いと思うヨ」ジー・・・

フロリス「そうだねぇ……その金髪とか、でっかい胸とか、綺麗な脚とか……後でクンクンしても良い?」マジマジ・・・

ルチア「へ、変態っ!! い、いいから普通の! 普通の服!!」ウギギッ・・・///

浦上「やれやれ。カオリ姉様といいルチアといい、普段あんな恰好してるクセにプライベートだと消極的だネー」ハァ・・・

ルチア「神裂のアレと一緒にされるのは心外です。私はあそこまで破廉恥ではない」ムゥ・・・

フロリス「神裂ェ……いや、でもさぁ。そんなんじゃもてないぞ? 宝の持ち腐れっていうヤツだ」チラッ・・・

ルチア「結構です。結婚願望はありませんから」フンッ・・・

浦上「うわぁ言い切った……勿体無いナー。ルチアっち、もててるのにさ」ニヤニヤ・・・

ルチア「興味ありません。良いから服屋を紹介してください。さっさと勝手さっさと帰りましょう」テクテク・・・

フロリス「つまんねぇ女……ま、私らが色々『調教』すりゃ良いだけの話か」ヒヒヒ・・・
856 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/21(土) 03:10:09.72 ID:+H7RGT9B0

 どよどよ・・・バタバタ・・・・・



フロリス「―――んで?」チラッ・・・

浦上「若い子向けで手軽なとこはー」キョロキョロ・・・

ルチア「何でも良いから早くしましょう」ハァ・・・

浦上「うわっ、ルチアがデート面倒臭くなった野郎と化してる。これは拙いネ」タラー・・・

フロリス「あー、じゃあアソコで良いんじゃない。値段もお手頃だし、大衆向けっしょ。結構人気もあるし」クイッ・・・

浦上「え……あー、何となくパス」フイッ・・・

ルチア「何故ですか? ウチの部隊の子達もよく服を買いに行ってると聞きますよ。人気なのでは?」ジー・・・

浦上「えっとネ……海外では『UNIQRE(ウニクレ)』人気かもしれないけど……うーん」ポリポリ・・・

フロリス「じゃあ良いじゃん。浦上んとこの国の店なんだろ? 駄目なの?」ジー・・・

浦上「駄目じゃない。駄目じゃないけど……こう、何と言うか……ウニクレかぁ……じゃあインナーとか買う?」ジー・・・

フロリス「何だよ。歯切れ悪いなぁ……ルチアっちは如何したい?」チラッ・・・

ルチア「何でも良いです」サラッ

フロリス「こっちはこっちで主体性無い……そんじゃ適当に中見よう。良いのあったら買えばいい」テクテク・・・

ルチア「はぁ」テクテク・・・

浦上「はいはい……そんじゃ今の内にー……麦野さんにお店聞こっと」カチカチ・・・


  にゃーん・・・・・


フロリス「―――いやぁ、此処来るとついつい色々買っちゃうのよね」ハハハ

ルチア「そうですね。手頃な値段で助かります……浦上は何も買わなかったのですか?」コクッ

浦上「それぞウニクレの魔法ですヨ……えっと、学園都市にも支店あるから今日は良いかなって」ボソッ・・・ハハハ・・・

フロリス「ふーん……次、如何すんの?」テクテク・・・

ルチア「私はもう十分ですけど」サラッ

フロリス「こら、まだインナーしか買ってないだろ。全身コーディネートするまで帰さない。ま、しても帰さないけど」ジトー・・・

ルチア「……えー」タラー・・・

浦上「オール覚悟してネ♪ それより、次のお店だけど私選んで良いカナ?」チラッ・・・

フロリス「お? オススメか?」ニヤッ・・・

浦上「オススメっていうか、都市の知り合いの紹介だヨ。懇意にしてる店の姉妹店あるんだって」コクッ

フロリス「懇意に? 知り合いの? 何者だそりゃ」ポカーン・・・

浦上「後でゆっくり教えるヨ。ルチアもそこで良い?」ジー・・・

ルチア「元より、勝手が分からないのでお任せするしか」コクッ

浦上「んじゃ決まりだネ。そこで買い物終わったら一旦お茶でもしよ」テクテク・・・

フロリス「あいよー。あ、でもこの先のキモ豚店員が居るカフェはパスだ。アソコの臭いは生理的に無理」ウヘェ・・・

浦上「そんな事言ったら、さっき通り過ぎた喫茶店も嫌だヨ。アソコの店員、イケメンしかいないけど大半ゲイだって」タラー・・・

フロリス「マジかよ……じゃあ少し先曲ったとこにあるオープンカフェは? 外観はまともじゃん」ジー・・・

浦上「アソコもねぇ……ナンパスポットってだけなら良いんだけど、鼻っから援交申し込んでくる輩多いから―――」ハハハ・・・

フロリス「そりゃスマートじゃないわ。でも、あのデパートの中の小レストランは超堂々とセクハラしてくる店員が―――」ハァ・・・

ルチア(……つ、ついていけない)タラー・・・・・・

857 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/21(土) 03:20:16.76 ID:+H7RGT9B0
今回は此処まで……思ったより進まなかった。あと、安価も出来なかった。全然駄目だ。

次回こそ安価したい。

あと、この三人に行って欲しい場所とかして欲しい事とかありますか?
実際使うか如何かは未定ですが、参考にしたいのでリクエスト頂けると助かります。


では例の如く質問意見感想罵倒指摘リクエストなどなど、よろしくお願いします。それじゃまた次回! ノシ”
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 09:06:35.20 ID:wQ8p0MeIO
乙!

化粧品やアクセサリーを見に行くとかどうでしょう?
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 17:41:18.66 ID:II/dXjWDO
乙。何だろう……ほのかに漂うビッチ臭にワクワクするww

クラブ的な場所はどうよ? とりあえず男と絡んでほしい!
860 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/21(土) 21:03:22.94 ID:MlrsulOi0
こんばんわ。今日もボチボチ書きます。
861 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/21(土) 21:44:29.34 ID:MlrsulOi0
 ―――とある半休日、PM04:30、英国、ロンドン市街、オックスフォード通り・・・・・



  ガヤガヤ・・・どよどよ・・・・・



フロリス「―――ねぇ浦上っちー。まだかーい?」テクテク・・・

浦上「もうちょい行ったとこに……あの店だネ」ジー・・・

ルチア「看板が……中国語? 漢字ですね? 漢字は読めませんが、ローマ字(ふりがな)は『UZUME』と」ジー・・・

浦上「『天鈿女命』っていう日本の神様から取ってるんだと思うヨ。踊り子っていうか巫女っていうか娼婦というか……そんな神様カナ」ジー・・・

ルチア「ああ、日本のシントー(神道)ですか……しかし神様が何柱も居るなんて考え、理解出来ませんよ」ジー・・・

フロリス「んな難しく考えんなって。十字教の使徒とか天使のアレだろ。宗教基盤が違うんだからしゃーないじゃん」サラッ

浦上「アニミズム思想は色んな場所であるんだけど……ま、そんな事はどーでも良いから中入りましょ」テクテク・・・

フロリス「うーい」テクテク・・・


  からんからんっ・・・・・


店員「いらっしゃいませ」チラッ・・・

フロリス「へぇ。アジアンテイストな内装で雰囲気良いな……客は少ないけど」ハハハ・・・

ルチア「しかし、これは日本というより東南アジアなイメージなのでは?」キョロキョロ・・・

浦上「あははは……まぁ西欧(こっち)の人間からしてみれば『東洋風』で一括りみたいなモンでしょ」ポリポリ・・・

フロリス「かもね。とりあえず、服があれば良いや。品揃えは良いみたいだしさ」テクテク・・・

ルチア「ふむ……素人目線からすればゴチャゴチャしていて目のやり場に困りますけどね」ハァ・・・

浦上「まぁまぁ。あ、そういえばルチアってキチンと体型の寸法測ってるの?」ジー・・・

ルチア「そんなモノ、目分量で十分です」キッパリ・・・

浦上・フロリス「「……うわぁ」」タラー・・・

ルチア「な、なんですか」ジトー・・・

浦上「何ですか、というか何というか……如何して私らの周りには『勿体無い美人さん』が多いのカナ」ジー・・・

フロリス「まったくだ……ルチアっち。そんなんだからブラきつくなって万年ホック痕が付くんだって」ハァ・・・

ルチア「な、何故それを!!?」カアアァ///

フロリス「カルテッ娘経由の情報。レッサーの口の軽さ舐めたら駄目だぞ」ハハハ

ルチア「ぐ、ぬぬぅ……元はアニェーゼとアンジェレネですね。帰ったらオシオキです……ついでに他のガキ共も〆る」ワナワナ・・・

フロリス「サーシャとかランシスもトバッチリだな。あ、多分野郎二人も知ってるのか」チラッ・・・

浦上「さ、さぁ。私は香焼からは何も聞いてないヨ。てか、あの子とマグヌスさんは口堅いから大丈夫だと思う」ハハハ・・・

ルチア「あの糞ガキやっぱ去勢! マグヌスもだ!」ウガアアァ///

フロリス「暴れんな馬鹿! 人少ないけど店内だっつの」ハァ・・・

浦上「落ち着け落ち着け。あー、二人はちょいとブラブラしてて。私店員さんのとこ行ってくるカラ」パタパタ・・・

フロリス「え、あ、うん。行ってらー」コクッ・・・

ルチア「グルルルルルゥ……マジ、この怒りを何処に向けてくれようか」ギリギリ・・・

フロリス「あーもう面倒臭ぇ……ほら、ルチアっち。買い物しようぜ、ショッピング。女の子らしくさぁ。な、アレとか如何よ?」グイグイッ・・・

ルチア「チィ……あんな胸元の開いた服、着れる訳無いでしょ」ジトー・・・

フロリス「だからその武器(胸)を有効活用させてだなぁ……あーはいはい、睨むな」ヤレヤレ・・・

ルチア「ハァ……何もしてないのに疲れる」ドヨーン・・・
862 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/21(土) 22:48:43.46 ID:MlrsulOi0

 カツカツ・・・カチャカチャ・・・・・



ルチア「―――……、」キョロキョロ・・・

フロリス「如何? なんか興味持てそうなの有る?」ジー・・・

ルチア「……別段。というか、何を如何見ていいのか分かりません」キッパリ・・・

フロリス「ハァ……そうでしたねぇ。アンタはママに私服買って貰ってるタイプだもんねぇ」ジトー・・・

ルチア「ママなど居ませんし、私服など持ってませんよ」フンッ

フロリス「此処来てマジレスすんなっての……あ、浦上戻ってきた」チラッ・・・

浦上「ゴメンゴメン。何か良い物あった?」チラッ・・・

ルチア「いえ。私にファッションの云々を聞かれても……商品を乏しめる訳ではありませんよ」コクッ

浦上「やっぱりか……ま、良いや。とりあえずコッチ来なさーい」グイッ・・・

ルチア「え、あ、ちょっと!?」パタパタ・・・

フロリス「んー? 何すんの?」キョトン・・・

浦上「キチンと3サイズとか身長とか測ってもらうのサ。ルチア、身体測定の結果まったく気にしないタイプだから此処で調べないと」フフフ・・・

ルチア「なっ!? よ、余計なお世話です!」アタフタ・・・

浦上「もう遅ーい。店員さーん、すいませーん」オーイ

店員「はい、準備出来てますよ」ニコニコッ

フロリス「ははーん。だから抜け出したのか」フフフ・・・

浦上「まぁね。あとは、一応知り合いの紹介だって一言行っておけば……色々『お得』でしょ」ニヤリ・・・

フロリス「ふっふっふっ……この女狐めー」クスクス・・・

店員「ふふっ。まさかロンドンにムギノちゃんの知り合いが居るとはねぇ。私も驚きよ。今後とも御贔屓に」フフッ

ルチア「あー……えっと」オドオド・・・

浦上「さぁさぁ。行っといでー」ニヤニヤ・・・

フロリス「ルチアっち。女なら覚悟決めろよー」ニヤニヤ・・・

ルチア「え、で、でも、その、いきなり!」アワワワ・・・

店員「さぁ此方へ」テクテク・・・

ルチア「い、あ……うぅ……―――」トボトボ・・・

フロリス「ハッハッハッ! 見ろよ、あの背中! 『Dana Dana, Dona Dona, Donna Donna, Donay Donay ~♪』って感じだ!」キヒヒッ!

浦上「ふふっ。まぁ赤の他人の好意は断り辛いですヨネー」フフフ・・・


  ボーン・・・ボーン・・・・・


浦上「―――んー……コレとか似合いそうだけどナ。背中開いてるの」スッ・・・

フロリス「―――えー? だったら断然コッチだろ。男は背中よりヘソ見えた方が良いって」スッ・・・

店員「ウラカミさん。終わりましたよ」シャー・・・

浦上「ん? あーはいはい」トコトコ・・・

ルチア「―――……、」ムググゥ・・・

フロリス「ほれほれー! 見っせろーい!」ニヤニヤ・・・

浦上「どれどれ……お、おぉ……これはこれは、お姉並のプロポーション……やべぇ」キラキラ・・・

ルチア「み、見るな変態!」ウガアアァ!!

863 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/21(土) 23:20:40.77 ID:MlrsulOi0

  にゃーん・・・・・ 


ルチア「―――うぅ……見られた」プルプル///

フロリス「良いじゃん、別にー。全っ然恥ずかしくない、っていうか寧ろ羨ましいし」ジトー・・・

浦上「流石、女子寮のダークホース……天然エロなだけはあるネ」ギラリ・・・

ルチア「だから天然エロ言うな!!」カアアァ///

店員「ふふふっ。折角だからお二人も計測しましょうか?」ニコニコッ

浦上「う"ぇっ!?」ギョッ・・・

フロリス「わ、私らはいいよ。自分でちゃんと把握してるし」ハハハハ・・・

ルチア「……こら」ガシッ!

浦上・フロリス「「い"っ!?」」タラー・・・

ルチア「……私だけに、恥を、掻かせるのですか? 酷い友人も居たモノですね」ギラギラ・・・

フロリス「うっ……だ、だってよぉ。私はルチアっちみたいにナイスバディなアレじゃないし」ダラダラ・・・

浦上「というか、此処のSSだと女性陣の3サイズ勝手に妄想されて晒されちゃうから」ダラダラ・・・

ルチア「何をメタい事を……というか、だったら尚更計測しろ! 私だけ晒しモノにする気か、貴様ら!」イヤアアァ///

店員「はいはい、皆さん仲良く計測しましょうねー」テクテク・・・

フロリス「ぐっ……マジ、勘弁してくれ」ドヨーン・・・

浦上「うわーん! カオリ姉様の二の舞になっちゃうヨー!」ビエーン!

ルチア「喧しい! さっさと測ってこい!」ウガー!


  カチャカチャ・・・パタパタ・・・・・


店員「―――はい、お疲れ様でした」ニコニコッ

浦上・フロリス「「」」チーン・・・

ルチア「…………、」ジー・・・

浦上「あー……香焼見習って私も早朝ランニングしようカナ……お尻回りがピンチですヨ」ハァ・・・

フロリス「私もだ……最近平和だったから腰回りが……って、勝手に見んな!」ウワアァ///

ルチア「貴女方も見たでしょう。私は別段何も言いませんよ」ジー・・・

浦上「くっそー……これが、お肉が胸に集まる人間の余裕なのかぁ」ギラリ・・・

ルチア「んな訳あるか。単に普段から健康的な生活をしてるだけです。胸は……ハッキリ言って邪魔です」フンッ

フロリス「キイイイイイィ!! 言いやがった! コイツ言いやがったあああぁ!!」グワシッ!! モミモミモミモミ・・・

ルチア「ちょっ!? 何処掴んでっ……ぁっ……や、め……んっ……っ……や、止めろ淫売女(ベイベロン)がああぁ!!」ゲシッ!!

フロリス「ぐわばっ!!」ドカーン!

ルチア「ハァハァ……っ……貴様が男なら即行殺してたわ、ド変態」ギロッ・・・

浦上「んー、容赦無い。流石アニェーゼの姉貴分ですネ。アレを上回るドSっぷり」ハハハ

フロリス「ウラっちぃ……そこは『店内で暴れんな、そこの人間枯葉剤』って叱るところだぜ」イテテ・・・

店員「ふふふっ。仲良しですね」クスクス・・・

フロリス「そう捉えられる店員さんの肝っ玉が凄ぇよ。如何考えても店内キャットファイト勃発寸前だったって」ハァ・・・

浦上「それだけは勘弁ネ。帰ったらオルソラさんに『粛清』されるヨ」アハハ・・・

ルチア「うっ……そ、そうですね。少々大人げ無かったかもしれません」タラー・・・

フロリス「ったく……まぁ兎にも角にも、これで服が選べるわ。さーて、探しましょー」テクテク・・・
864 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/21(土) 23:40:09.20 ID:MlrsulOi0

  カチャカチャ・・・とことこ・・・・・



浦上「―――それで……ザックリとでも良いから、こういうのが良いっていうの無いのカナ?」チラッ・・・

ルチア「と、言われても……正直困ります」フルフル・・・

フロリス「んじゃやっぱ着せ替え人形だな。私と浦上が何着か持ってくるからそれに着替えて頂戴よ」フフフ・・・

ルチア「ちょ……トンデモ無いヤツは着ませんからね」ジトー・・・

フロリス「ダイジョーブだいじょーぶ。さぁて……どーすっかなぁ!」ニシシッ!

浦上「まっかせっなさーい! じゃあ私も選ぼーっと!」ニャハハ!

ルチア「……不安だ」タラー・・・


  ――一寸後・・・・・


フロリス「持ってきた!」フフフフ・・・

ルチア「な、何故隠しているのですか」タラー・・・

フロリス「まぁまぁ。着替え直前までのお楽しみー」ニヤニヤ・・・

浦上「私も持ってきたヨー」ニコニコッ♪

ルチア「……なんか、怖い」ダラダラ・・・

フロリス「心配すんなって。私達しか見ないんだからさ。さて、と……どっちから?」チラッ・・・

浦上「フロリスからで良いヨ」コクッ

フロリス「あいよ。そんじゃコレだ! すぐ着てこい!」バッ!!





     ※安価・・・>>866    服装(+αもOK!)

865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 01:30:25.09 ID:CMFlK1FIO
ksk
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 04:45:15.30 ID:JoRC4bA30
ドエロ社長秘書風……白のブラウスと黒のロングタイトスカート
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/22(日) 07:41:44.01 ID:k/Y/iiVAO
やるじゃん
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 15:35:21.89 ID:LRrcK/gDO
安価GJ! >>1! 早く来てくれ!
あと三人のスリーサイズ書けー!
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/22(日) 15:39:15.57 ID:C5PRnP85o
>>866
まともな物考えてた俺、馬鹿みたいだGJ!
870 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/22(日) 19:44:37.36 ID:NlH3cPIA0
こんばんわ。いつのまにか寝てた・・・続き書くよー。
871 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/22(日) 20:13:37.45 ID:NlH3cPIA0
ルチア「―――そ、それは!?」ギョッ・・・

フロリス「ほらぁ。白のブラウスと黒のロングタイトスカートだって。別に変じゃないだろー」グイッ・・・

ルチア「……まぁ、確かに」ジー・・・

浦上(確かに、単品だけ見れば変じゃない。普通に大人っぽい衣装ですネ……でも)キラッ・・・

ルチア「とりあえず、これを着れば良いんですね」スッ・・・

フロリス「うんうん! じゃあ着て来い! 店員さーん、そこの試着室借りるよー」グイグイッ・・・

店員「はい、どうぞ」ニコニコッ

ルチア「え、あ、ちょ、何で一緒に来るんですか?」アタフタ・・・

フロリス「良いから良いから。ほら、髪とかのセットも必要だしさ」フフフ・・・

ルチア「セット? 何故? って、あわわわわぁ……、」テクテク・・・

浦上「……さぁて。フロリスのお手並み拝見といこうか」ニヒヒッ!


  モゾモゾ・・・ゴソゴソ・・・・・


フロリス『さぁまず脱げ!』ガバー!

ルチア『なっ!? じ、自分で脱ぐ! 出てけ変態!』キャー!

フロリス『よいしょっと……おぉ! 流石、天然エロ! 黒下着にガーターベルトとは……オジさん襲っちゃうぞー』グヘヘ・・・

ルチア『黙れ下衆女! これはあくまでお下がりで、私の趣味では……って、ちょ、何処に手ぇ入れてる!?』ギャー!

フロリス『暴れるなって……んじゃまずコレ着て』カチャッ・・・

ルチア『んもー……え? インナーは?』キョトン・・・

フロリス『は? 要らないよ。私、素肌っつー武器を大事にするタイプだし……あ、今はそのストッキングも要らない。素足でおk』ガシッ!

ルチア『うぇ!? な、か、勝手に脱がすな! おわぁ!!? 勝手に着せるなあああぁ!!』キャー!

フロリス『ヒャッハー! 最高の天然モノ(エロ)だぜー!』アーダコーダ!


浦上(フロリス楽しそうだネー……あ、写メの準備しとこ)スッ・・・


  にゃーん・・・・・


フロリス「―――完っ成!」シャー!

浦上「ふむふむ。どんな感じ?」チラッ・・・

フロリス「エロいよ。流石はエロの申し子。あ、ちなみに美脚を見せる為にストッキングとガーター取っ払った」テヘッ!b"

浦上「まぁそれは良いけど……ルチア、出て来ないヨ」ジー・・・

ルチア『……こ、こんな服装……人前に出られる訳が』ガタガタ・・・

フロリス「んだよぉ。折角髪まで結ってやったのに……あと眼鏡も掛けさせた」フフフ・・・

浦上「マニアックー……まぁまぁルチア。私達しか見てないからサ。出ておいで」ジー・・・

ルチア『無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理』ガタガタガタガタ・・・

フロリス「ったく……ふんっ!」ガバッ!

ルチア「んなぁっ!?」ギョッ・・・

浦上「……おぉ!」キラキラキラキラ・・・


<イメージ>
・上: http://lolicos.net/12637/

・下: http://item.rakuten.co.jp/coscity/10002321/

872 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/22(日) 20:33:29.33 ID:NlH3cPIA0
ルチア「」チーン・・・///

フロリス「な! イケてるだろ!」ニヤニヤ・・・

浦上「なるほど……こんな秘書か家庭教師を雇いたいネ。色んな御奉仕を……うん」ゴクリ・・・

フロリス「並の女じゃ似合わないぜ? これ、天然ドSのクールエロなルチアだからピッタシなんだ! 流っ石私のチョイス!」ビシッ!

ルチア「黙れ淫売女郎!!」ギャース///

フロリス「んー? 暴れるとブラウスが余計肌蹴るわよ? タダでさえ胸大きいんだから……まぁこぼれ落ちて貰った方が嬉しいけど」ニヤニヤ・・・

ルチア「っ!!」カアアアァ///

浦上(うふふふふ……可愛いヨ。この写真、アニェーゼや香焼に見せたら何て言うカナ?)ニヤニヤ・・・●REC

ルチア「こ、こんな服買えません! というか、これ普段着れる服じゃないでしょう! 変態、変態っ!! [ピーーー]!!」カアアァ///

フロリス「うをぉ……同性でもゾクゾクっとクるエロ秘書罵倒……GJ! それで男もイチコロだわ!」ビシッ!

ルチア「だから普段着じゃねぇっつってんだろ、ボケ!! 脳味噌沸き過ぎだガチビッチ女!!」ウガアアァ!!

フロリス「んー、そこはもっとこぅ、品性ある罵りをだなぁ……まぁ良いや。次、浦上の選んだ服ね」チラッ・・・

ルチア「うぇ!? ま、まだ!?」ギョッ・・・

フロリス「当ったり前じゃん。私ら二人に任せるっつったのはアンタよ」チラッ・・・

ルチア「ぐっ……た、確かに言いましたが……し、しかし、この様な服は」ダラダラ・・・///

浦上「大丈夫大丈夫。あくまで試着だから。何着か着て最終的に一番気に入ったの買えばいいだけだしネ」コクッ

ルチア「……なら、まずこの服は却下です。こんな破廉恥なの着れるかっ」キッパリ・・・

フロリス「あーあー。これなら枯れてるマグヌスの野郎でも、おっ勃てられんのにー」ブーブー

ルチア「やかましい!! というか、浦上! もし貴女もふざけた服を選んでたら、私帰りますからね!」ギロッ・・・

浦上「あー……多分、大丈夫?」ポリポリ・・・

ルチア「何故疑問形なの」ジトー・・・

フロリス「まぁとりあえず見てみましょ。ウラっちのどれだい?」チラッ・・・

浦上「私が選んだのはコレだヨ……―――






       ※安価・・・>>874    服装(+αもOK!)


873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 20:44:15.45 ID:0XB6pgGD0
スパッツ&さらし&法被
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 20:46:47.56 ID:LRrcK/gDO
誰か>>872衣装のルチアを描いてくれないかなぁ


ゴスロリ! 超ゴシックロリータでお願いします!
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/22(日) 21:11:26.97 ID:VEMz3Rxso
>>874
なにやってんだ絹旗、だが悪くない
876 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/22(日) 21:50:50.38 ID:NlH3cPIA0
浦上「―――これ」スッ・・・

ルチア「……は?」キョトン・・・

フロリス「うわぁ、こちゃまたマニアックな……凄ーく、ゴスいわね」ジー・・・

浦上「ルチアー。これ着て下さいなっ」コクッ

ルチア「馬鹿でしょ? 馬鹿ですね? うん、とても馬鹿」ジー・・・

浦上「うわっ、酷い」オヨヨ・・・

ルチア「こんなモノ、この服装以上に実用性無いでしょう? まるで意味が分からない」タラー・・・

浦上「えー……純粋に可愛いと思って」ムゥ・・・ショボン・・・

フロリス「ルチアっちー。これ別に露出少ないし、着るだけ着ろって」ウンウン・・・

ルチア「いや、だから意図が分からない……貴女、コレ私服で着れますか? ついでにこのブラウスも」チラッ・・・

浦上・フロリス「「着る訳無いじゃん」」ケラケラケラケラ!

ルチア「」ブチッ・・・

フロリス「お、怒るな怒るな。こういう風に普段着れない服を色々試してみるのも服屋での楽しみ方だってば」ポリポリ・・・

ルチア「絶対違う! というかもう帰るぞ!」ギロッ・・・

浦上「えっとー……とりあえず安価は絶対だから着替えようネー」ガシッ!

ルチア「ちょっ、何メタい事を!」グイッ・・・

浦上「そんじゃお着替えターイム♪」ワーイ!


 モゾモゾ・・・ゴソゴソ・・・・・


浦上『まずパパっと脱いじゃおうネー』シュバババッ!

ルチア『おまっ!? だから普通にヒン剥くな!! 変態! いやあああああぁ!!』ジタバタ・・・カアアァ///

浦上『えっとぉ……まずこのサイハイソックス穿いて貰ってー。次のコッチの黒の……あ、やっぱ白系の方が良い?』チラッ・・・

ルチア『どっちも嫌で……って、ちょ、勝手にソックス穿かせるなぁ!! ひぁっ!? ど、何処触って……んっ!!』ビクッ・・・

浦上『えへへぇ。気分的に黒メインかなぁ……うん、良い』ハァハァ・・・

ルチア『なんかハァハァ言ってる?! 怒り通り越して怖い!?』ダラダラ・・・

浦上『さぁさぁ、お着替え続けましょうネー』グヘヘェ・・・

ルチア『きゃあああああぁ!!』ジタバタ・・・


フロリス(あっちゃー、スイッチ入ったな)ハハハハ


  にゃーん・・・・・


浦上「―――ハァハァ……終わったヨ」ツヤツヤ・・・

フロリス「なんでツヤツヤしてんのよ……あー、ルチアっち。大丈夫かー?」タラー・・・

ルチア「……汚された」ウルウル・・・

フロリス「これだから両刀っぽい女は……開けるぞ」シャー!

ルチア「ちょ、まだ、待っ!」アタフタ・・・

フロリス「待ーたない……Oh〜」マジマジ・・・

浦上「ふふっ。可愛いでしょ」ニコニコッ

フロリス「ああ……中々、エロいわ」ジー・・・ペロッ・・・

ルチア「エロ言うな!! 貴様らの脳味噌がそう変換してるだけだ、淫売共!!」カアアァ///
877 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/22(日) 22:38:37.30 ID:NlH3cPIA0
 <イメージ>
・上: http://gothic.shop-pro.jp/?pid=34129582

・下: http://www.amazon.co.jp/dp/B0010ARPCU


  にゃーん・・・・・


浦上「うんうん。黒ロングのウィッグも被らせようかと思ったけど、それは流石にアウトだよネ」キラキラ・・・

ルチア「意味が分からない……もう着替えて良いですか」グデェ・・・

フロリス「あーん、勿体無い! 可愛いのにぃ。てかその服、存外普通だって。外歩けるよ」マジマジ・・・

ルチア「私を可愛いだなんて言う輩は目が腐ってますよ……さっき歩けないって貴女自身が言ったじゃないですか」フンッ・・・

浦上「いやいや、自分を卑下し過ぎだヨ。誰が見ても惚れるってー」ジー・・・●REC

ルチア「……御世辞を言っても、何も出ません」ムゥ・・・///

フロリス「カアアアアァ!! 私が男だったら、今の赤面ルチアっち押し倒してパンスト破いて[ピーーー]してるわ!!」グッ!!

ルチア「だ、黙れゲス女郎!!」ウガアアアァ!!

浦上「あ、そん時は私も混ざるー」アハハ

フロリス「OK、ウェルカムだ! 三人で仲良く[らめぇぇっ!]しようぜ!」ヒャッハー!

ルチア「十字教徒にあるまじき思考回路?! 昔の私なら即行で処刑してるわっ! 神裂に言いつけますよ!」ギロッ・・・

浦上「あははは……冗談ですって。本気にしないでヨー」ピタッ・・・タラー・・・

フロリス「へーんだ。私は別に聖職者じゃないもーんだ」ヒヒヒッ!

ルチア「じゃあ……貴女はどうせ男になったとしても『ポークピッツ』でしょうね。そんなんじゃ私は濡れもしませんよ」ハンッ・・・

フロリス「ぐっはっ……言いやがった、この女(アマ)。ショックな様な、ゾクゾクする様な」タラー・・・///

浦上「流石アニェーゼの姉貴分だネ。吹っ切れた時の口の汚さはマジモンだヨ」ハハハ・・・

ルチア「うっさい! ったく……いけないいけない。私は修道女(シスター)だ」フルフル・・・

フロリス「新ジャンル:『ドSクールな天然エロのゴスロリ修道女』。これ如何よ?」ニヤリ・・・

浦上「いやいや、だったらさっきの『淫乱秘書系シスター』ってのもアリだと思うナ」ニヤリ・・・

ルチア「貴、様ら……そこに直れええぇ! 粛清してやるっ!!」ガオオオオォ!!

浦上・フロリス「「きゃー! 犯されるー!」」キャッキャッ!

ルチア「だ・ま・れえええええええええええええええぇ!!」ブチッ!!


  ギャーギャー・・・キャーキャー・・・・・


店員「ふふふっ。賑やかですね」クスクス・・・

他の客((いやいや、止めろよ))タラー・・・


  にゃーん・・・・・


ルチア「―――ぜぇ……ぜぇ……ふぅ……いい加減にしてくださいよ、ホント」ハァ・・・

浦上・フロリス「「さーせん」」ボロボロ・・・

ルチア「ったく……あ」ピタッ・・・

フロリス「ん? お、チョイ破れてる! こりゃ買うしかないな、ルチアっち!」ニヤリ・・・

浦上「あー、そっちのフロリス選んだヤツも大分汚しちゃったネ! 仕方ないなぁ、もう」フフフ・・・

フロリス「安心しろ。それ以外に『まともな私服』、私らが買ってやっから。プレゼントでな!」ハハハ

ルチア「く、そぅ……最悪だ」フコーダー・・・

878 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/22(日) 23:38:30.46 ID:NlH3cPIA0
 ―――とある半休日、PM06:00、英国、ロンドン市街、オックスフォード通り・・・・・



   がやがや・・・ざわざわ・・・・・



ルチア「―――ハァ……任務より疲れる」グデェ・・・

浦上「あははは。良い経験したっしょ」クスクス・・・

ルチア「……私の頭は貴女達みたいに何でも楽観的に捉えられるように出来てないんですよ」ジトー・・・

フロリス「そんな顔すんなって。折角のクールビューティが台無しよ」フフッ

ルチア「喧しい……こんな事なら部屋で大人しく読書してれば良かった」ハァ・・・

フロリス「聖書と十字教右翼広報誌だけ読んでんのは読書って言わないわよ。こっちの方が断然健全だって」ハハハ

浦上「それに……今の見た目だけ見れば、普通にガールズショッピングっぽいでしょ? 如何カナ?」フフッ

ルチア「ん……まぁ、見た目だけなら……大分『過程』を省いてますけど」ジトー・・・

フロリス「細かい事気にしないでよ。折角服買ってあげたんだからさぁ」ポンポンッ

ルチア「自腹で買った冗談衣装の方が高くつきましたっての」ハァ・・・



<イメージ>
・浦上: http://www.nissen.co.jp/sho_item/regular/1810/1810_50703.asp?ref=gshop + 白ニーハイ

・ルチア: http://store.shopping.yahoo.co.jp/jenniealice/srjy-04780.html

・フロリス: http://store.shopping.yahoo.co.jp/happy-pirates/um001.html



フロリス「んで? 次は如何する?」チラッ・・・

ルチア「は? もう寮の門限近いのですが」ジー・・・

浦上「そこは心配しなくて良いヨ。オルソラさんとアニェーゼに許可取ってるからネ」フフッ

ルチア「勝手な真似を……いや、そういう事関係無しに、私が帰らないと暴走する連中が」ムッ・・・

フロリス「だから大丈夫だって。オルソラと神裂も居るんだしさ。今日はオールしようって言ったじゃん♪」ニシシッ!

ルチア「私は言ってません!」キッパリ・・・

フロリス「あーだこーだ言うのは終わってからね。さ、ウラっち。如何する?」ニヤリ・・・

浦上「うーんっと。予定通り喫茶店入っても良いけど……それじゃ面白くないネ」フムフム・・・

フロリス「そうだなぁ……そんじゃ酒か?」ニヤリ・・・

ルチア「馬鹿な事言わないで下さい。修道女が飲酒で警察に補導されるなんて事件になったら、一生の恥になります」タラー・・・

浦上「あははは……まぁそういうのは公でやっちゃダメですヨ。兎に角、適当な喫茶店入りましょ」テクテク・・・

ルチア「ハァ……コーヒー一杯分だけですよ」ヤレヤレ・・・

フロリス「はいはい。んじゃガールズトークと洒落込みましょ」フフッ

浦上「えっと……じゃあ、あの喫茶店にしましょう……―――





  ※安価・・・>>881    ○○風カフェ・■■喫茶(喫茶店の特徴! 例:普通のカフェ、にゃんこ喫茶、中華飲茶店、など...)

   
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 23:50:06.17 ID:LRrcK/gDO
ksk
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/23(月) 00:12:38.43 ID:Iq/tXN0No
kskst
以外と思いつかないもんだ
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) [sage]:2012/01/23(月) 00:14:11.29 ID:Y6dSdWjLo
執事喫茶
882 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/23(月) 01:53:03.97 ID:gNwl+Vfi0
浦上「―――ほら、あそこ」スッ・・・

フロリス「んー……ああ、最近出来た店だな。ちょいと気になってたから行ってみるか」コクッ

ルチア「お任せしますよ」ヤレヤレ・・・

浦上「んじゃ、れっつごー♪」テクテク・・・


  カランカラン・・・・・


受付執事「いらっしゃいませ」コクッ

ルチア「っ!?」ギョッ・・・

フロリス「へぇ。マジモンの執事風なんだな……服装は色々だけど」ジー・・・

受付執事「三名様で宜しいですか?」ジー・・・

浦上「はいはい」コクッ

受付執事「では御案内致します。此方へどうぞ―――」カツカツカツ・・・


フロリス「ふんふんふん……やっぱイケメン多いな! 噂通りだ」ニシシッ!

ルチア「こ、此処は、一体? 男性ウェイトレスしか居ませんが」タラー・・・

浦上「お嬢様喫茶(レディスカフェ)だヨ。多分、日本のサブカルチャーに影響されて作ったんだろうネ」テクテク・・・

フロリス「でもなぁウラっち。日本じゃ『執事喫茶(バトラーズカフェ)』っていうんじゃないのか?」チラッ・・・

浦上「だってそれじゃあ『執事が休憩する為の喫茶店』みたいじゃん。海外的にはコッチで良いんじゃないカナ」フフッ

ルチア「……やはり、日本人の考える事は意味不明です」タラー・・・


受付執事「―――此方のお席に。メニューは其方でございます。ごゆっくりどうぞ、お嬢様方」ペコッ・・・

フロリス「あいよー……うんうん! 中々いい気分だね」フフフッ

ルチア「女性客しか居ない。でも結構な数……なんでこの様な職業差別的飲食店に、これだけの人が」タラー・・・

フロリス「ルチアっちぃ。こういうのは雰囲気楽しむモンだから深く考えんなって。イメージプレイよ、イメプ」フンフンッ♪

ルチア「妄想は家の中だけにして下さいっての……燕尾服に、司祭服風(ストール)、それからただのコスプレ」ジトー・・・

浦上「あははは。日本発祥の奇行(サブカルチャー)に一々突っ込んでたらキリないヨ」ポリポリ・・・

フロリス「ま、コレだけのイケメン達に奉仕して貰えるんだ。文句ないって」ニコニコッ♪

ルチア「……はぁ」タラー・・・

浦上「とりあえず注文しよう。何が良い?」スッ・・・

フロリス「んー、カプチーノとチーズケーキかな。あ、この『DXビックバン執事パフェ』っての気になる!」ジー・・・

浦上「そういう変なのに手を出すのは止めようネ。後悔するヨ」タラー・・・

フロリス「良いじゃん良いじゃん! ルチアっち、頼んでみなよ」ニヤリ・・・

ルチア「自分で頼めば良いでしょうに……私はブラックで。甘味は要りません」キッパリ・・・

フロリス「ちぇっ。ツマんないわ……ねぇウラっち!」キラキラ・・・

浦上「私はアッサムミルクティとプレーンマフィンでOKだヨ」キッパリ・・・

フロリス「……つまんねぇ」ハァ・・・

浦上「だから自分で頼めと……それとも三人で食べる?」チラッ・・・

ルチア「は?」ジトー・・・

フロリス「OK、それだ! すいませーん! そこのイケメンさーん! 注ー文!」バッ!

浦上「ふ、フロリス。ベル有るから大声出さないの」アタフタ・・・///

ルチア「……は、恥ずかしい」カアアァ///
883 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/23(月) 02:11:48.61 ID:gNwl+Vfi0

 コトコト・・・パタパタ・・・・・


ルチア「―――で、結局注文したと」ハァ・・・

フロリス「おおぉ! こりゃ凄いわ」ジー・・・

浦上「アメリカンサイズのパフェ……食べられる気がしないヨ」タラー・・・

フロリス「まぁチョイチョイ抓んでけば良いじゃん」フフッ

ルチア「如何してそう、貴女は楽観的なのでしょう……人生楽しいでしょうね」ジトー・・・

フロリス「褒めても何も出ないよ。ルチアっちみたいにネガティブに生きるより、ポジティブにいた方が有意義だって」ニコニコッ

ルチア「褒めてない。あとネガティブでもないし、貴女のはポジティブではなく破天荒なだけです」ハァ・・・

浦上「レッサー程じゃないけどネ。とりあえず、注文揃ってるしグダグダしよう」フフッ

ルチア「……コーヒー飲み終わったら帰ります」ジー・・・

フロリス「まーだそんな陰険な事言ってんの? 女なら腹決めろよなぁ」ブーブー・・・

ルチア「貴女はフリーで、浦上はアパート暮らしだから良いでしょうけど、私は寮住みなんです」ヤレヤレ・・・

浦上「だからその辺の許可は取ってきてるってば。そんなツレない事言わないで、何か話しましょ」ウンウンッ

ルチア「……何か、とは?」ジー・・・

浦上「んー……ガールズトーク的な」ニヤリ・・・

フロリス「そうそう、色々ゲロってみろよー。ルチアっちぃ」ニヤニヤ・・・

ルチア「……そういうフランクなノリが出来る女に見えますか?」ジー・・・

フロリス「見えるか如何かじゃない。やるの。おーらい?」ビシッ

ルチア「…………、」ムゥ・・・

浦上「こういうのは何でも良いんだヨ。くだらない話でも、普段聞けない様な質問でも」フフッ

ルチア「……と言われても」ポリポリ・・・

フロリス「やれやれ。お固いねぇ……んじゃ私らから質問するか」ジー・・・

浦上「そうだね。じゃあ……――― >>885 」



@好きな男性のタイプは?

A必要悪の教会(ネセサリウス)に来てから、何か変わった?

B将来的に如何なりたい?

Cその他(※聞きたい事を書いて下さい!)


884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 02:42:54.21 ID:UFFAnkzDO
ガールズトークっつったら@だろjk
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 03:31:20.39 ID:b549wc2IO
1
886 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/23(月) 04:21:15.72 ID:gNwl+Vfi0
浦上「―――……異性の話をしようか」ニヤリ・・・

ルチア「……は?」ポカーン・・・

フロリス「お! 良いねぇ! 流石ウラっちだ!」ニヤリ・・・

ルチア「……意味が、分からない」タラー・・・

浦上「単純な話だよ。男の子。好きなタイプとか」フフッ

ルチア「…………、」ジトー・・・

フロリス「ノリ悪いなぁ。ルチアっちの好きなタイプはー?」ツンツン・・・

ルチア「触るな……いきなりそんな馬鹿な質問されても困るでしょ」ハァ・・・

フロリス「馬鹿だけど単純だろ。ほれほれ、言っちまえ」ニヤニヤ・・・

ルチア「……さぁ。パッと浮かびませんね」フンッ

浦上「例えば、私達の周りの男性でいえば誰、とかサ」ニコニコッ

ルチア「居ませんね」キッパリ・・・

フロリス「うわぁバッサリ切りやがった……んじゃこの店内の執事らでいうと?」チラッ・・・

ルチア「…………、」ウーン・・・

浦上「そんな深く考えなくても……フロリスは?」ジー・・・

フロリス「私はー……あのメタリックなアクセサリーつけた爽やかイケメンフェイスくんかな。浦上は?」フフーン・・・

浦上「んー……あのちっちゃめの子。燕尾服に着られてる感が可愛いナー」フフッ

フロリス「えー……ああいうの、男として如何かと思うわ」ジトー・・・

浦上「そうかなぁ。まぁ可愛いって理由なだけなんだけどネ。付き合うって考えると……奥の髭の眼鏡ダンディさんかも」ジー・・・

フロリス「オマエ、両極端だなぁ……普通のイケメン選ばない辺りが浦上っぽいけどさ。んで、ルチアっちは決まった?」チラッ・・・

ルチア「……正直、居ませんね」サラッ・・・

フロリス「難しく考えるなよ。顔で良いんだって、顔で選べ」ビシッ

ルチア「だからですね……そういうの、苦手なんですよ。どれも同じ様な顔に見えます」ジー・・・

浦上「あははは……ルチアらしいっちゃらしいけどネ。顔で判断したくないんでしょ」フフッ

フロリス「ツマんなーい……てかさぁ。もしかしてルチアって……ビアンなの?」ヒソヒソ・・・

ルチア「……てゐっ!!」ビシッ!!

フロリス「あ痛ぁ!!」ガンッ!

ルチア「誰がそんな非生産的な性癖持ち合わせるモンですか。私はノーマルだ、ボケナス」フンッ・・・

フロリス「痛ぅ……だってさぁ、そんだけ枯れてたら疑いもするだろ? なぁ」チラッ・・・

浦上「あははは……まぁ多少は」ポリポリ・・・

ルチア「ふざけんなっつの……自分で言うのも難ですが、自他共に認める敬虔なクリスチャンです。同性愛なんて持っての他でしょ」ジトー・・・

フロリス「まぁそうだけど……でも、流石に恋愛感情はあるだろ?」ジー・・・

ルチア「当然です。慈愛(アガペー)の精神はクリスチャンとしては欠かせない心得ですから」ジー・・・

フロリス「私が聞いてんのは恋愛(ラブ)の方だ。エロスの方でも良い。ああ、好き(ライク)じゃないぞ」ジトー・・・

ルチア「ハァ……真面目に答えますが、未だそういう感情を抱いた事は無いですよ。理由は単純。周りが女だらけ。OK?」ヤレヤレ・・・

フロリス「ただ、その環境から抜け出す気も無いと……勿体無いねぇ。折角もてるのになー」ハァ・・・

ルチア「もてません。私の様な女性に恋愛感情を抱く方が異常なのです」キッパリ・・・

浦上「えー? でも騎士派と王族給仕の見習い男子達からよく声掛けられるんでしょ? 前ラブレター貰ったみたいだし」ニヤニヤ・・・

フロリス「でも、全部スルー。向き合いもしない……男性恐怖症? いや、恋愛恐怖症のレベルか」フーン・・・

ルチア「か、勝手な事を言うな! というか、何故恋文の件を知ってる!? って……またカルテッ娘かああぁ!!」ウガアアァ!!
887 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/23(月) 04:57:41.93 ID:gNwl+Vfi0
フロリス「……てかさぁ。ルチアって、結婚願望ある? それ以前に恋愛願望か」ジー・・・

ルチア「言わなくても分かるでしょ」ハァ・・・

浦上「はははは……じゃあ、家族とか子ども欲しいとは思わない?」チラッ・・・

ルチア「その前提を望まないのに、その後の事は想像も出来ませんね」フンッ

フロリス「こりゃ末期だな。枯れてるにも程がある……あー、なんかランシスがこうなりそうで怖い」タラー・・・

浦上「んー……じゃあもし……もしもだけど……アニェーゼに『告白』されたら如何する?」ニヤリ・・・

ルチア「……はい?」キョトン・・・

フロリス「おぉ! そうだな! オマエんとこの大事なアグヌスちゃんに『好きです、付き合え!』って言われたら!?」キラキラ・・・

浦上「『意味が分からない。過程の話でも性質が悪過ぎる』とか言って逃げるの無しだヨ」ビシッ

ルチア「意味が分からな……え」タラー・・・

フロリス「ほら! 答えな!」ニヤニヤ・・・

ルチア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こ、断るに決まっています」タラー・・・

浦上「超考えたネ」アハハ・・・

フロリス「やっぱオマエ、レズっ気有るわ」ハハハ!

ルチア「う、五月蠅い! 違う! 今のは単にいきなり過ぎる質問だったから、その……困らせないでください」ハァ・・・

浦上「ふふっ。ごめんごめん。じゃあ聞き方を変えよう……ルチアの恋愛観っての教えて」コクッ

ルチア「私の?」キョトン・・・

フロリス「なるほど。それがハッキリすりゃ男紹介出来るかもしれない」ニヤリ・・・

ルチア「……必要無い」ジトー・・・

浦上「まぁまぁ。それで?」ジー・・・

ルチア「……難しいですね。考えた事もない」ムゥ・・・

フロリス「じゃあ真面目に聞くけど……男ってのは『運命的』に現れると思う? それとも『出会いを求めて』現れるモンだと思う?」ジー・・・

ルチア「世間一般的に……後者なのではないでしょうか」ジー・・・

浦上「一般論じゃなくて、ルチアの考えは?」ジー・・・

ルチア「……もしもの話です。私に番(つがい)が出来るとしたら、それは運命以外の何物でも無いでしょう。いや、奇跡ですね」ジー・・・

フロリス「じゃあルチアっちはロマンチストだ。予想通りっちゃ予想通りだけど」フーン・・・

浦上「うん、しかも極度のネ。下手すりゃメルヘンチックだヨ」ハハハ

ルチア「……別に、人並みの恋をしようとは思ってません。何と言われようが構いませんよ」サラッ・・・

フロリス「こりゃ大分矯正が必要だわ……ぶっちゃけ、一生処女で良いやとか思ってるでしょ?」ジー・・・

ルチア「誰が処女だと」サラッ・・・

浦上・フロリス「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」」ピタッ・・・

ルチア「ふふっ」ニヤリ・・・

フロリス「あは、はははは……冗談キツいわ。うそ、でしょ? 嘘だよな?」タラー・・・

ルチア「さぁ……実は息子娘の一人や二人居るかもしれませんよ」ニヤリ・・・

フロリス「そ、そういう心臓に悪いジョークは止めてくれよ……これだからセックスの前に殺しを覚えた女は困るわ」ハハハハ・・・

浦上「で、でも、アニェーゼの部隊の子達って色々過去持ちの孤児出身だから……ルチアも、虐待とか」ボソッ・・・

フロリス「え……ぁ」ダラダラ・・・

ルチア「ふふふっ……ええ、冗談ですよ。私は虐待もレイプもされてないのでご安心を」クスクス・・・

浦上「ほっ……良かったヨ。地雷踏んだかと思いました」タラー・・・

フロリス「こんにゃろー! マジ心臓止まるかと思ったわ!! 性質悪いジョーク吐くんじゃないわよ!!」ムキー!!
888 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/23(月) 05:54:26.34 ID:gNwl+Vfi0
ルチア「まぁでも若気の『過ち』はあるかも……例えばシスター見習い時代、私がトンデモない淫乱売女だったとしたら?」ニヤリ・・・

フロリス「だあああぁかああぁらあああぁ!! そういう怖い『If』を想像させんなっつの! マジ聞きたくない!」ウガー!

ルチア「ふふっ。とりあえず禁則事項で。色々とからかった罰です。精々悩みなさい」ニヤニヤ・・・

浦上「あー……えっと、とりあえずさっきの質問は如何なのカナ?」ハハハ・・・

ルチア「ん? ああ……別に一生処女でも良いですよ。ただ、私が処女じゃなかったらその前提は破綻しますよね」ジー・・・

フロリス「だからそういう恐ろしくも曖昧な返事しないでくれよ……なんか色々気になって今晩眠れなさそうだわ」ハァ・・・

ルチア「ざまぁみろ……えっと続きですが、まぁもし運命的な出会いがあれば別ですよね」フム・・・

浦上「要はルチアの諸々を打ち破って、恋愛にまで発展させられる男子が居るのか、って事カナ?」フムフム・・・

ルチア「そうなりますかね。自分で言うのも難ですが、私はそう簡単に落ちませんよ」クスクス・・・

フロリス「ハァ……コイツ、自分の恋愛に関してはカラっきしなくせに一般論はちゃんと把握してやがるから面倒だ」ジトー・・・

ルチア「仮にも一、部隊の参謀役ですからね。俗世のアレコレは勉強しますよ」ジー・・・

浦上「それを何でプライベートに活用しないかなぁ……そうすれば今頃オリアナ姐さん並のプレイガールなのに」ジー・・・

ルチア「そんなモノ、此方から願い下げです。アレの様になったら逆に恋愛も結婚も出来ないでしょう」フンッ

フロリス「いやいや、でも恰好良いじゃん。恋多き女性って感じでさぁ」ニヤッ・・・

ルチア「捉え方次第でしょう……フロリスはああいう恋愛をしたいのですか?」ジトー・・・

フロリス「うーん……如何だろう? ずっと続けられる自信は無いなぁ。せめて20代半ばくらいまでは良いかもしれないけど」フム・・・

ルチア「……不貞と分かり切っていても?」ジトー・・・

フロリス「いや、流石に姐御ほど露骨にアピールは出来ないよ。する度胸も無いし。単に20代半ばまでは遊んでもいいかなってだけさ」サラッ・・・

浦上「うん。あそこまで露骨にいくと世間体的にもネ……分岐点は結婚考えだしてからじゃないカナ」ピシッ

ルチア「俗っぽい考えです。まぁそれが正常なのでしょうけど」ハァ・・・

浦上「いやぁ。でもお姉とかカオリ姉様みたいに一途な女性もいますけどネ」ハハハ・・・

ルチア「ああ……しかし私には『あの男』の何処が良いのか分からない」ジトー・・・

フロリス「珍しく同感だ。ありゃ論外」ウヘェ・・・

ルチア「ああいう『無意識にチャラい』輩は腹が立つ。唯でさえ異教徒の猿だというのに……何故常に正義側なのかが分からない」グヌヌゥ・・・

フロリス「チャラいだの異教徒だのは無視したとしても、アレは駄目。生理的に無理。私と相性合わない」グデェ・・・

ルチア「ちなみに……同様に、貴女の弟分もですよ。何故アレにアニェーゼとアンジェレネが懐くのかが分からない」ムギギ・・・

フロリス「んー……私は別に、喰って良いなら喰うけど。何だかんだで美形だし。ただレッサーと喧嘩したくないからなぁ」ポリポリ・・・

浦上「そういえば二人は上条さん苦手だったネ……カミやん病ェ……あーでも、香焼もチョイとルチアに似たとこあるかも」フムフム・・・

ルチア「ハァ?」ジトー・・・

浦上「あの子、恋愛から逃げるタイプだから一定のライン越えた『人の好意』を怖がるの。だからいつもフラフラ〜って」コクッ

ルチア「一緒にされたくはないですが……ある意味、助かります。その言葉が真実なら、アニェーゼとアンジェレネは無事ですね」フム・・・

フロリス「あの甘ちゃん坊やがねぇ。自分からはズカズカ踏み込んでくるクセに……結構自己中?」チラッ・・・

浦上「善意の押し付けっていう意味ではそうだネ……ま、あの子の話は如何でもいいヨ。我々の話を!」ニャー!

フロリス「はいはい。んじゃルチアっち。今度こそアンタからの質問をしてくれ。逃げるのは無しだ」ビシッ・・・

ルチア「はぁ……そうですね。では……――― >>892 」



@二人の日常近況は?

Aそういう二人こそ、どんな恋愛してるんだ?

B姉分、妹分、弟分について如何思ってる?

Cその他(※聞きたい事を書いて下さい!)
889 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/23(月) 06:26:22.65 ID:gNwl+Vfi0
はい、今回此処まで。次回で終わらせたいけど……どうなるかな?

あ、補足。


<(妄そ……予想!)3サイズ!>

・浦上―――身長162cm・体重49kg、スリーサイズは80・57・80。

・ルチア―――身長164cm・体重51kg、スリーサイズは85・60・85。

・フロリス―――身長163cm・体重48kg、スリーサイズは81・57・82。


ちなみに、過去に予想したヤツは・・・・・


・神裂―――身長170cm・体重57kg、スリーサイズは98・62・95。(おっぱい聖人)

・麦野―――身長164cm・体重53kg、スリーサイズは85・59・82。(身体改造後は体重upしたと思われる。その他も微変動してる可能性アリ)

・固法―――身長163cm・体重51kg、スリーサイズは88・60・84。(ムサシノ牛乳により、おっぱい日々成長中!)



ねーちんマジおっぱい。五和とか絹旗とかカルテッ娘とかもその内考えますw


では例の如く質問意見感想罵倒指摘リクエストなどなど、よろしくお願いします。

安価協力も宜しくね。ちょいと遠かったかな? 適当に加速させて貰っても構いません。それじゃまた次回! ノシ”

890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/23(月) 09:34:40.02 ID:ELJUj+PNo
乙!
安価ならAで
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 13:10:43.12 ID:r0fkbvouo
ksk
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/23(月) 15:44:18.27 ID:WzUaKetao
ここらではっきりさせんとな2で
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 16:12:45.78 ID:UFFAnkzDO
ルチアっち、おっぱいたわわだなぁ……ファッション云々はよく分からないけど、こういう日常良いね

安価Aかぁ @もやって欲しかったぜぃ
894 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/23(月) 21:41:54.75 ID:gNwl+Vfi0
こんばんわ。短くなると思うけどボチボチ投下します!
895 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/23(月) 22:15:16.80 ID:gNwl+Vfi0
ルチア「―――そういう貴女達こそ、どんな男性がタイプなのですか?」ジー・・・

浦上「……へ?」キョトン・・・

ルチア「人に聞いといて、自分が言わないなんてズルい真似しないでしょう?」フム・・・

フロリス「いや……ルチアがそんな事聞くなんて意外だなって」アハハ・・・

ルチア「そうですか? まぁ聞く事が無いので聞き返しただけなんですが……こういうのがガールズトークなんでしょ」コクッ

浦上「まぁそうだけど……うーん、私達の?」ポリポリ・・・

フロリス「さっき言ったじゃん。私はあのイケメンがタイプ。浦上はあのダンディなのと初々しいのがタイプ」クイッ

ルチア「いや、顔じゃなくて……言い方を変えましょう。恋愛観で」ジー・・・

フロリス「はぁ……何て言うか、人並みだと思うけどねぇ」グデェ・・・

浦上「これもさっき言った通り、20代半ばくらいまでは遊んでも良いかなって感じだヨ。この答えじゃダメ?」フム・・・

ルチア「その『遊び』のイメージがよく分かりません。だって、恋愛の話をしてるんですよ」ジー・・・

フロリス「あー……そゆことね」チラッ・・・

浦上「うーん……要は中身が知りたいと」アハハ・・・

ルチア「言い辛いのであれば無理に言う必要はありませんが……安心して下さい。口は固いつもりです」キッパリ・・・

浦上「それは分かってるヨ。ただ……なんていうか」ポリポリ・・・

フロリス「……オマエさんに話すのはチョイと怖いな」タラー・・・

ルチア「何を気にしているのですか? もしかして、私が怒るとでも? 確かに度を過ぎた不貞なら呆れますが、怒ったりしませんよ」サラッ・・・

フロリス「……ウラっち」チラッ・・・

浦上「あははは……恋愛観、かぁ」ムゥ・・・

ルチア「結局人には聞いといて自分はハッキリしてない、という事ですか?」ジトー・・・

浦上「そういう訳じゃないんだけどネ。とりあえず『恋愛観』から離れて現状から話すと、今私はフリーだヨ。あ、フリーっていうのは」コクッ

ルチア「そのくらいわかります。流石にガキじゃないんですから」コクッ

フロリス「そりゃそうだな。私も今はフリーよ」フンフン・・・

ルチア「……気になるのは『今は』という単語です。そんなにコロコロ変えているのですか」ジー・・・

浦上「いや、長続きする人は長続きするし、しない人は……あーえっと」ポリポリ・・・

ルチア「しない人は?」ジー・・・

フロリス「……大きい声で言えない様な関係って事だよ。私も似た様なモンね」ボソッ・・・

ルチア「『一夜』だけ、と……なるほどねぇ」ヤレヤレ・・・

浦上「ん……あれ? 怒らないの?」キョトン・・・

ルチア「さっきも言ったでしょう。怒りません……呆れはしますが」ハァ・・・

フロリス「はははは。流石にそういう部分は大人だな」クスクス・・・

ルチア「……しかし、それを『恋愛』と言えるでしょうか?」ジトー・・・

フロリス「まぁ禁欲主義のルチアっちには考えられないんだろうね。60年一緒に暮らしても恋愛は恋愛だし、一夜でも恋愛さ」サラッ・・・

ルチア「その二つは大きく違うでしょう」ムッ・・・

フロリス「同じだって。寧ろ『一夜』の方が、その時限りの『愛』だから燃えたりする。短い蝋燭の方が激しく燃えるだろ?」ピッ・・・

ルチア「理屈は分かります……でもそれは恋愛じゃない。ただの『快楽欲求』です」ジトー・・・

浦上「うん、ルチアの言いたい事も分かる。多分そっちの方が倫理的に正しいヨ……ただ勘違いしないで欲しいのは」チラッ・・・

フロリス「私らは別に誰にでも『股』開く訳じゃない。それするくらいなら娼婦になって商売にするさ」ジー・・・

浦上「さっきも言ったけど『恋多き女』って事。日本風に言えば『恋せよ乙女』カナ」ウンウン・・・

ルチア「はぁ……やはり、共感は出来ませんね」グデェ・・・
896 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/23(月) 22:55:57.60 ID:gNwl+Vfi0
フロリス「あ、勘違いして貰っちゃ困るけど『恋愛観』と『セックス』は別だわ」ジー・・・

ルチア「……は?」ポカーン・・・

フロリス「私は例え恋人であっても、ヤりたくなきゃヤんない。逆に恋人じゃなくても、この人に抱かれたいって思えば抱かせる」クイッ・・・

ルチア「それこそ淫売なのでは?」ジトー・・・

フロリス「あー……これは理屈じゃないんだよなぁ。説明し辛い。男女限らず『吊り橋効果』みたいな感じでそういう雰囲気なるモノよ」コクッ

ルチア「ふむ……浦上もそうなのですか?」チラッ・・・

浦上「結局、それが『一夜』の恋愛なんじゃないカナ。雰囲気って大事だヨ」コクッ

ルチア「そういうところはロマンチストなのですね……しかし、そうそう起こらないでしょう?」ジトー・・・

浦上「出会いの機会が多いと存外あるヨ。有名処でいう『戦場で』とか『雪山の掘立小屋で』とかは勿論無いけどネ」アハハ

フロリス「簡単なモンさ。一緒に部屋で映画やドラマの濡れ場シーン長々見てたりしたら……なぁ」ポリポリ・・・

浦上「他にも二人きりのドライブとか買い物とか散歩とか……兎に角、二人きりで楽しかったり心地好かったり安心したりすると、ネ」コクッ

ルチア「いや……そんな軽々しい事を……まるで誰とでもデートするみたいな」タラー・・・

フロリス「デートくらいなら誰でもOKだろ。てか、会ってみないとどんな野郎か分からないし」サラッ・・・

浦上「言っとくけどセックス目的で会ってるんじゃないヨ。勿論『出会い』が先だから」ジー・・・

ルチア「その理屈も分かりますよ。ですが……その『出会い』を頻繁に求めるというのが、私には如何も共感出来ない」ムゥ・・・

フロリス「ソレだ」ビシッ

ルチア「え」ピタッ・・・

フロリス「その考えがアウト。サラっサラ恋愛する気が無い。というか現実から逃げてる。それこそ私には理解出来ない」ジトー・・・

ルチア「な、何を」ムッ・・・

浦上「えっとネ……大袈裟かもしれないけど恋愛に限らず、人間の繋がりって『出会い』から始まる訳じゃん。友情然り、敵対然り」ジー・・・

ルチア「……まぁ、そうですね」フム・・・

浦上「『出会い』が無い人間なんて、一生『孤独』だヨ。人間一人では生きてけないんだから」モグモグ・・・

フロリス「その出会いが恋愛に発展しなかったとしても友情……は変だけど、知人もしくは仲間としての繋がりは出来る。違うか?」チラッ・・・

ルチア「……よく、分かりません」ジー・・・

浦上「とりあえず……出会いを求めるって事は、社会に出てとかコネを作るっていうのにも繋がるんだヨ。それって大事じゃない?」ジー・・・

フロリス「少なくとも『新たなる光(ウチ)』みたいな小さな結社は、そんな感じでコネ作っていかにゃ生きていけないのさ。分かるだろ」コクッ

ルチア「ええ……出会いの重要性は分かりました。しかし……恋愛については、まだ納得できません」ムゥ・・・

フロリス「ハァ……ルチアっちは環境が悪過ぎなんだよなぁ。ある意味同情するよ。ギッチギチの女子校みたいな生活だもんな」ジー・・・

浦上「それが悪い訳じゃないけど、世の中ってのは女だけで構成されてる訳じゃないんだヨ。社会出た後に苦労すると思うネ」コクッ

ルチア「……社会出なければ良いだけの話では? 一生、シスターやってれば問題無いでしょう」ジー・・・

浦上・フロリス「「…………、」」ハァ・・・

ルチア「言いたい事は分かります。ですが……知っているでしょう。私は堅ブツなのです」フンッ

浦上「……でもネ、ルチア。少なくともアニェーゼは貴女にツマらない人生を送って欲しくないみたいだヨ。分かってるでしょう?」ジー・・・

フロリス「だから私らにアンタを引っ張り出してくれって頼み込んできたんだ」ジー・・・

ルチア「……余計なお世話です」ボソッ・・・

フロリス「そーかい……じゃあザックリ言わせてもらうが、アンタは私らに嫌々ついてきたのか?」ジトー・・・

ルチア「…………、」ムゥ・・・

浦上「少なくとも私は同僚として仲間として、友人としてルチアの事をみてる。だからこうして遊びに誘った」コクッ

フロリス「随分とクサい言い方だけど、私もそういうこった。オマエさんはそれを否定するか?」ジー・・・

ルチア「…………、」ジー・・・
897 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/23(月) 23:42:00.95 ID:gNwl+Vfi0

  ぼーん・・・ぼーん・・・ぼーん・・・・・


ルチア「……あまり」ボソッ・・・

浦上・フロリス「「ん?」」ジー・・・

ルチア「あまり……私を困らせないで下さい」シュン・・・

浦上「……はぁ」ポリポリ・・・

フロリス「なんというか……不器用ね、ルチアっち」ヤレヤレ・・・

浦上「ん……そうだネ。今のはフロリスの質問が悪いヨ」フフッ・・・

フロリス「なっ! オマエだって同じ気持ちだったろ?」ジトー・・・

浦上「私はそんなにザックリ聞かないもーん。人の嫌がる事はしないタイプですカラ」ニヤニヤ・・・

フロリス「キー! ズルい! やっぱ日本人は根暗だ」ケッ・・・

浦上「『奥床しい』と言ってくれたまえー」ハハハ

ルチア「……なんだか、ごめんなさい」ジー・・・

浦上「ううん。ま、徐々にだネ。兎に角助言として言える事は、やっぱ積極的に外出てみるべきだヨ」コクッ

フロリス「そうそう、世界が広がるわ。もし一人で出るのが気拙いってんなら一緒に出てやるから安心して」フフッ

ルチア「……ありがとうございます」フフッ・・・

浦上・フロリス「「いえいえ」」ニカッ!

ルチア「……ところで、話を戻しますが」サラッ・・・

フロリス「んあ? まだ何か聞きたいの? さっき色々話したけど」キョトン・・・

ルチア「いや、貴女達、さっき良い様に言って纏めただけじゃないですか。具体的に答えてませんよ」ジトー・・・

浦上「あはっ! ばれてーら」ニャハハ・・・

ルチア「ったく……とりあえず、出会いを求めた結果に恋愛が生まれるのは納得しました。しかし、では何故別れるのです?」ジトー・・・

フロリス「何故って、そりゃ……ウマが合わないから? 合わなくなったから、か」フム・・・

ルチア「そういうのを乗り越えてこその恋愛なのではないのでしょうか? 話を聞く限り、貴女達はコロコロと恋人を変え過ぎている」ジー・・・

フロリス「いや、だからさぁ……私は大体6人程度だよ。恋人か如何か微妙なライン入れたら、もうちょい増えっけど」ウーン・・・

浦上「私も似た様なものかなぁ。あ、でも私とフロリスの違いは二股掛けるか掛けないかだからネ。私そういうのしっかりするし」ビシッ

ルチア「……は?」ジトー・・・

フロリス「ご、誤解される様な言い方すんなよ! 私だってキチンとフってんだ。ただ相手がそう思ってないだけだし」ブーブー

浦上「だからそこがダメなの。少なくとも電話の一本入れて『バイバイ』って言わなきゃダメじゃん。期間被ったらゴダゴダなるって」ツンツン・・・

ルチア「……理解出来ない。二股? その歳で、浮気ですか?」ジトー・・・

フロリス「うっ……で、でもよぉ。そういう浦上だってその時付き合ってる彼氏より良い男見っけたら、すぐ乗り換えるじゃん」ジトー・・・

ルチア「……え?」ジトー・・・

浦上「だって、より素敵な男子と付き合った方が幸せに決まってるでしょ。それに私はちゃんと『バイバイ』言うもん」サラッ・・・

フロリス「いきなり何の前触れもなく『飽きた』って言われる男の方が可哀想だっつの! 第一オマエのフり方はエグいんだっ」ツンツン・・・

浦上「そんな事無いですよーだ。フロリスみたいに『え? まだ付き合ってんの私ら?』みたいに言われる方がキツいってばっ」グニグニ・・・

フロリス「そんな事言ってませーん。私は後からちゃんとオブラートに別れましょうって言うし。バッサリ切る方がエグい」チラッ・・・

浦上「いやいや、それでもキッパリとケジメはつけないと……でも二股の方が性質悪いですよネ?」チラッ・・・

フロリス「いーや、オマエにフラれて立ち直れなくなった男の事考えりゃ私の方がマシだ……ルチアっち、そうだろ?」チラッ・・・

ルチア「ハァ……どっちもどっちだ、大馬鹿淫売女共!」ジトー・・・

浦上・フロリス「「……Oh」」タラー・・・
898 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/24(火) 00:50:46.59 ID:8DRTrJQW0
ルチア「―――ハァ……ま、これ以上は聞きませんよ」ヤレヤレ・・・

フロリス「んな顔しないでよぉ……しゃーないじゃん。愛に生きる魔術師の宿命(?)ってヤツ?」ウンウン・・・

ルチア「その内絶対『歩く18禁』みたいな不名誉な肩書付きますよ」ジトー・・・

浦上「あははは。それは困るなぁ、世間体的に……あ、そうだ。この話はー」タラー・・・チラッ・・・

ルチア「分かってます。神裂にも五和にも、他の誰にも言いません。安心して下さい」ハァ・・・

フロリス「流石ルチアっち。愛してるわよー」ニヤニヤ・・・

ルチア「五月蠅い。他言無用とはいえ、貴女達に対する見る目は変わりましたからね」モグモグ・・・

浦上「ありゃりゃ……じゃあこれから一生ビッチって罵られるんですネ。悲しいなぁ」ツンツン・・・

フロリス「仕方ないわ、ウラっち。彼女は時代に取り残された人間だもの。理解されるには彼女も巻き込まないとね」ツンツン・・・

ルチア「うっさい! ったく……別に売女呼ばわりしませんから、その口を閉じろ」モグモグ・・・

浦上「でもきっと心の中では『神聖なる十字教徒のくせに、この非処女ビッチが! だからカトリック以外は!』云々……って」ツンツン・・・

フロリス「あーあ、世知辛いなぁ。ただ人よりちょっと恋愛経験が多いだけでコレだもんなぁ」ツンツン・・・

ルチア「面倒臭ぇ女共め……だから思いませんっての。それに……十字教徒だから処女であれ、とは言いませんよ」モグモグ・・・

浦上「ふぇ?」キョトン・・・

ルチア「大事なのは『膜』じゃなく『心』の方でしょう。その点は幼い頃から理解あるつもりです」モグモグ・・・

浦上「あー……なるほど」フム・・・

ルチア「私が言うのも難ですが『処女性』とでもいうのでしょうか……それを大事にしていけば宜しいのでは?」モグモグ・・・

フロリス「あん? どゆことよ?」ポカーン・・・

ルチア「…………、」モグモグ・・・

浦上「……さっきも言ったでしょ。アニェーゼ部隊の子達の諸々」チラッ・・・

フロリス「……あ」ピタッ・・・

ルチア「気にしなくとも、ウチの部隊の一同は皆強い心を持ってますよ。アニェーゼの御蔭ですがね。ただ……やはり、ね」モグモグ・・・

フロリス「……不条理?」ジー・・・

ルチア「残酷にも。虐待、人身売買によって『心』に傷を負う……心の殺人、とはよく言ったものです」モグモグ・・・

浦上「そうだネ。流石に、許容できるモノじゃないかな」ムゥ・・・

ルチア「代われるなら代わってあげたかった……そう考えてしまうのは、偽善でしょうか」モグモグ・・・

フロリス「いや、崇高だと思うわ。私だってそう思う。私より年下のガキをレイプするぐらいなら私犯せ、ってね」フムフム・・・

ルチア「もし……あの子達が『処女』でありたいと望むのであれば、彼女達自身がそう自負する限り、身体は関係無く『処女』ですよ」ジー・・・

浦上「それは……ルチアの宗教観?」ジー・・・

ルチア「いいえ、自己を納得させる為の偽善心です……ですが、こればかりは例え偽善でも譲らない」モグモグ・・・

フロリス「良いんじゃない? それは皆納得するわよ。女として誇るべき意見ね……和姦以外は処刑だ、処刑!」ニカッ!

浦上「同意するヨ。こればっかしはルチアが正しいネ……そっかぁ、処女性かぁ」フムフム・・・

ルチア「ええ。でも『いつまでも心は処女のまま』とか自分を偽って、男取っ変え引っ換え出来るかといえば違いますよ」ジトー・・・モグモグ・・・

浦上・フロリス「「ギクッ……あはは、はははは。ソンナコト、シナイヨ」」ダラダラ・・・

ルチア「やれやれ……兎に角、もう少し一途な恋愛を志してみては如何です? 説得力無いけど、私からはそう忠告しておきます」モグモグ・・・

浦上・フロリス「「……うぃ」」ポリポリ・・・

ルチア「怒ってる訳じゃないですって……私も、少しは参考になりましたから。お互い様です……あと、ごちそうさま」カランッ・・・

フロリス「ん……って、うぇええぇ?! コイツ、殆ど一人で全部喰い切りやがった!? あの『DXビックバン執事パフェ』を!?」ギョッ・・・

浦上「わぉ……やっぱ人は見掛けに依らないネ。ルチアの才能、採掘すればまだまだ露呈しそうだヨ」アハハハ・・・

ルチア「馬鹿な事言ってないで、さっさと出ましょう。もう良い時間です。帰りますよ―――」フフッ・・・
899 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/24(火) 01:22:34.12 ID:8DRTrJQW0
 ―――とある半休日、PM08:00、英国、ロンドン市街、オックスフォード通り・・・・・



  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・



浦上「おーぅ……すっかり暗いですネ」キョロキョロ・・・

ルチア「ええ。ではそろそろ帰りましょう。先のパフェは夕飯代わりになりましたし、アチラで賄い飯を頂く必要は無―――」

フロリス「んじゃ、次何処行こうか?」テクテク・・・

ルチア「―――……え」タラー・・・

浦上「んー、ルチア居るから流石に友達ん家は拙いっしょ? 何処が良いかなぁ」フムフム・・・

ルチア「ちょ……もう8時過ぎですよ? いい加減帰らないと」タラー・・・

フロリス「はぁ? まだ8時じゃない。帰って何すんの?」キョトン・・・

浦上「フロリス。私らとルチアの生活習慣は違うんだから……あーえっと、もう少しブラブラしても大丈夫だヨ」コクッ

ルチア「……正直、私はもう帰りたい」ハァ・・・

フロリス「だーめ。今日のルチアっちは私らが送り届けるまで帰っちゃいけないんだ。そうアニェーゼとも約束してる」ニヤリ・・・

ルチア「わ、私の意志は何処に?!」ダラダラ・・・

浦上「あははは。ま、何事も経験だって! 前向きに前向きに」クスクスッ

ルチア「ぐっ……し、しかし、この時間帯ではもう補導されてしまうのでは?」ジトー・・・

フロリス「心配すんな。警察もこのグレーゾーンの時間帯は余裕で見逃すって。それに、私らは魔術師。如何にでもなる」フフーン♪

ルチア「さ、最低だ」ジトー・・・

フロリス「最低で結構。楽しんだモン勝ちよ。さーて、どーすっかなぁ♪」テクテク・・・

浦上「個人的には、やっぱりルチアに色々経験して貰いたいんだよネ。世俗を知ってもらいたいっていうのカナ?」フフッ

ルチア「だから余計なお世話だと……というか、それ、タダの口実でしょう?」トボトボ・・・

浦上「あはー★ やっぱ分かる?」テヘッ♪

ルチア「……最悪、馬鹿な場所連れてったら独断で帰りますからね」ハァ・・・

フロリス「えっと……―――……よしっ、決めた! アソコ行こう!」ビシッ!

浦上「ん? 何処カナ?」チラッ・・・

フロリス「 >>901 」ニヤリ・・・





@スクールディスコに行こう!

Aオルソラやベイロープら行きつけのクラブ(バー)に行こう!

Bその他(※行きたい所、したい事を書いて下さい!)

900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 01:24:42.85 ID:pkyeboxIO
ksk
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 02:03:54.23 ID:HbDjA25DO
A
902 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/24(火) 03:06:24.48 ID:8DRTrJQW0
フロリス「―――UCC(アンダー・クロック・クラブ)行きましょう!」ニヤリ・・・

ルチア「UCC? え? 時計、下?」キョトン・・・

フロリス「『時計塔(ビックベン)』の近くにあるからっつー単純な名前さ。まぁ名前のセンスは無いけど、そこそこ面白いわよ」フフッ

浦上「それに寮(ランベス)にも近いし、行き来するには便利っちゃ便利だネ」コクッ

ルチア「面白い、とは? というか……クラブ?」ポカーン・・・

フロリス「ディスコ、ともまたチョイと違うんだが、会員制の『色々』楽しめる場だ」フフフ・・・

ルチア「それは……イケナイ店なのでは?」タラー・・・

フロリス「関係無い関係無い。新たなる光(ウチ)のメンバーでよく会合したりするし、私はもうお得意様だよ」ニヤリ・・・

ルチア「それは仕事上止むを得なく行くのであって、プライベートでは普通未成年アウトでしょう?」ジトー・・・

フロリス「細かい事気にすんなよ。存外若い子居るし。まぁ結構なお偉いさんも来るけど……どっかの女王とか」フフフ・・・

浦上「あの女王様は『アンチェイン』だからね。あ、でも顔ばれヤバくないカナ?」フム・・・

フロリス「あー、私とルチアは大丈夫だけどウラっちは拙いか……神裂に知れると後々面倒そうだしなぁ」ポリポリ・・・

ルチア「何故私を貴女と一緒にするのですか?」ジトー・・・

フロリス「だってルチアっち、今日はオールの許可出てるじゃん」ニヤニヤ・・・

ルチア「……よくもまぁあの子(アニェーゼ)も勝手な約束をしてくれたモノです」ハァ・・・

浦上「うーん……まぁ私も色々誤魔化せるし大丈夫だヨ。実際カオリ姉様は危険な事さえしなければ大抵の事は目を瞑るってくれるし」ピッ・・・

フロリス「よっしゃ。OK、レッツゴーだ」テクテク・・・

浦上「あいよー。あ、ちなみにベイロープも行きつけなんでしょ。大丈夫? ばったり会うかもヨ」チラッ・・・

フロリス「全っ然問題無ーい。てかリーダー今頃アパートで彼氏と[ピーーー]してんじゃね?」ハハハ

浦上「なら良いけど。偶にオルソラさんとかも居るじゃん。その辺は?」テクテク・・・

ルチア「オルソ……シスター・オルソラ!? お、オリアナの間違いでは?!」ギョッ・・・

浦上「え? いや、普通にオルソラさんも行くヨ。勿論オリアナさんもしょっちゅう居るけど」テクテク・・・

ルチア「う、そ、でしょう?」タラー・・・

フロリス「だからさぁルチアっち。シスターだって友達と酒の一杯や二杯引っ掛けるんだってば。分かねぇかなぁ」ブーブー

ルチア「……だって、オルソラですよ? あのシスター・オルソラですよ?」ダラダラ・・・

浦上「オルソラさんって結構社交的じゃん。交友関係上、そういうお店居ても不思議じゃないって」ウンウン・・・

フロリス「シェリーも結構頻繁に出入りしてるみたいだよ。ま、知人で一番は新たなる光(私ら)かオリアナ姐御だけどね」ハハハ

ルチア「…………、」アゼーン・・・

浦上「あと『時計塔』の近くだけあって魔術師多いヨ……コネ作るには良いスポットだと思いません? 部隊参謀さん」ニヤリ・・・

ルチア「……え」ピクッ・・・

フロリス「うんうん。ウチの結社も結構著名な魔術師とコネ作って仕事貰ったりしてるし……部隊発展には持ってこいだ」ニヤリ・・・

ルチア「……そ、そうなんですか」ピクッ・・・

浦上・フロリス((興味示してる!))ニヤニヤ・・・

ルチア「で、では……行くだけ行ってみましょう」コホンッ・・・

フロリス「OKそのノリだ! 安心しろ、退屈しない筈だから。あぁ、顔ばれは気にすんな。視察名義で足運んだって事にすりゃ大丈夫」グッ!

ルチア「え、ええ。ちなみに、どの様な感じのお店なんですか? 先程からアバウトなイメージだけで話をしていますけど」チラッ・・・

浦上「その辺は……ふふっ。行ってからのお楽しみだヨ♪ あー、間違ってマスター・V来てないかなぁ」キラキラ・・・

ルチア「マスター・ベr……うぇ!? あ、あの伝説の魔術講師、プロフェッサー・カリスマも来る様な店なのですか!?」ギョッ・・・

フロリス「おうよ! マジであのグレートビッグベン☆ロンドンスター見かけたってベイロープが言ってた! 流石UCC!」ワクワク・・・

浦上「にゃははは。楽しみだネ♪ さぁて……誰が居るかなぁ―――」ニコニコッ
903 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな :2012/01/24(火) 03:13:19.74 ID:8DRTrJQW0
今回は此処まで。因みに『時計塔』のネタってもう有名だよね?
『プロフェッサー・カリスマ』のネタは分かる人だけ分かってくれれば良いww


さて……<クラブで誰を登場させるか>……リクエストください。


無ければまた安価にするか、適当に進めます。それではまた次回! ノシ”

904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/24(火) 04:35:01.39 ID:xIEBGmgAO
乙です。
公式公認の真ヒロインですね、分かります。
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/24(火) 12:34:04.05 ID:Sg/TBgnIo
天草男性陣
子供も一緒に
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 13:12:45.86 ID:HbDjA25DO
>>904がオルソラの事をいってると思ったでござる…まさかU世が真ヒロインな訳ないよな…「戦車男」じゃあるまいにww
しかしコレ浦上にゃんにゃんフラグ? 香焼ついに義姉に手を出すルート解禁か!?

リクエストはオリアナ姐御!
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 15:04:54.82 ID:u/FDNhavo
サローニャとサンドリヨン
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 17:09:16.40 ID:exM9OVNk0
あえての香ちゃん……とか?
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/25(水) 00:13:10.11 ID:RpCVpi+Uo
オルソラにばったりとかいいなぁ
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 09:45:36.93 ID:fCAq+B1DO
大人男性陣に拉致られた香&ステイル
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 12:49:41.02 ID:sBnUymoIO
お忍びのイギリス女王と最大主教
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 00:54:01.86 ID:m5C9CKCk0
夜分遅くにこんばんわ。続き書くよ!


・流石にサローニャとサンドリオンは出せないかな……英国に居たとしても処刑(ロンドン)塔の方じゃないかと

・ステイルと香焼は別の理由で出せません! 彼らは彼らで色々と……うふふ


そんじゃボチボチ投下します!
913 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/27(金) 01:17:11.29 ID:m5C9CKCk0
 ―――とある半休日、PM08:30、英国、ロンドン市街、時計塔付近、『U・C・C(アンダー・クロック・クラブ)』・・・・・



   ガヤガヤ・・・・・



ルチア「―――……まだ着かないのですか?」テクテク・・・

フロリス「もうちょいもうちょい……ほら! 看板」スッ・・・

ルチア「ん……え? でも、ただのアパートにポスター? が張ってあるだけですよ」ジー・・・

浦上「見た目はネ。一応初見さんお断りみたいな処だから偽装効果も兼ねてああいう風に地味看板にしてるらしいヨ」コクッ

ルチア「……へぇ」キョトン・・・

フロリス「まぁまぁ。内装は比べ物にならないくらい綺麗だから、楽しみにしときな」フフッ

ルチア「ふむ……ところで、肝心の入り口は?」キョロキョロ・・・

フロリス「ああ、これもまた面白い仕組みでさぁ。とりあえずついてきて」テクテク・・・ガチャッ・・・

ルチア「え? 普通のアパートの玄関から?」ポカーン・・・

浦上「ふふっ。とりあえず先進もう」クスクス・・・


 カツカツカツ・・・・・


フロリス「……さぁてと。どっちにすっかなぁ」フムフム・・・

ルチア「二階の……普通の部屋の前?」キョトン・・・

フロリス「ルチアっち。普通の『ディスコクラブ』タイプと『VIP』タイプ、どっちが良い?」チラッ・・・

ルチア「はい?」ポカーン・・・

浦上「フロリス。ちゃんと説明しないと分からないヨ」コクッ

フロリス「えー? だって驚いて貰った方が面白いじゃん」フフフ・・・

ルチア「な、何が何やら」タラー・・・

浦上「えっと……あー、一応どっちも行けば良くない?」チラッ・・・

フロリス「まぁそうだな。じゃあ賑やかな方から行くか」スッ・・・

ルチア「……鍵? その部屋の、ですか?」ポカーン・・・

フロリス「おぅ。203号室の鍵。会員になれば貰える……行くわよ」ガチャッ・・・

ルチア「???」アタフタ・・・

浦上「さぁさぁ。私達も」グイグイッ・・・

ルチア「え、あ……はぁ」タラー・・・


  シーン・・・・・


ルチア「……何も無い部屋、ですよ。おまけに真っ暗ですが」キョロキョロ・・・

フロリス「まぁね。ウラっち、ちゃんとルチアの事引っ張って来てくれよ。壁にぶつかったりしたら笑ってやるからな」フフッ

浦上「はいはい。ルチアー、ドンドン先進もうネー」グイグイッ

ルチア「え!? な、何処へ!?」アタフタ・・・

フロリス「心配すんなって……ほら、こっちだ」クイッ・・・

ルチア「よ、よく見えませんが……バスルームですか?」タラー・・・

浦上「そうだヨ。さ、行きましょ」ニコニコッ

ルチア「……うぇ!?」ギョッ・・・
914 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/27(金) 01:44:26.81 ID:m5C9CKCk0
ルチア「ちょ、ちょっと待って!」アタフタ・・・

フロリス「んだよー。此処まで来て待ったは無しだって」ジトー・・・

ルチア「い、いやいやいや……流石に何の説明も無く無人の部屋のバスルームへ侵入なんて」タラー・・・

浦上「あー、怖いのカナ?」ニヤリ・・・

ルチア「そういう問題じゃありません! 兎に角、誰しも突然『アリス』になんかなりたくないでしょう!」ダラダラ・・・

フロリス「ははは。じゃあ宛ら私らは白兎……いや、『時計兎』ってところか」ニヤニヤ・・・

ルチア「誤魔化さないで下さい! 説明を頂けるまで、私は此処に―――」


 ガチャッ・・・・・


ルチア「―――の、こ……ッッ!!?」ビクッ!!

浦上「ルチア、ビビり過ぎ」ハハハ

フロリス「安心しなさい。帰りの『客』が『登ってくる』だけだから」クスクス・・・

ルチア「へ、へ!? か、帰りの、客???」ダラダラ・・・


 カツカツ・・・ぎいいぃ・・・・・


フロリス「……ん? あ」ピタッ・・・

ルチア「……ええぇ!?」ギョッ・・・

浦上「…………、」ウワァ・・・


建宮「―――いや、だからさぁ……そういうのは俺じゃなくて爺さん(諫早)に言って欲しいのよな……って、あ?」ピタッ・・・

牛深「―――ジジィに言ったら最後だろ! どれだけ説教されるか分かったもんじゃない……えぁ?」チラッ・・・

対馬「―――ったく……ノモ(野母崎)が来ないから少しは静かになるかと思ったのに、アンタら二人だけでも結局……って、あら」ジー・・・


ルチア「た、建宮!?」キョトン・・・

建宮「……あー……何だ、これ? 俺遂に幻覚見聞きする様になったのか?」ポリポリ・・・

フロリス「いよっす。天草の中堅衆」ノ”

牛深「いや……俺も見える。てか、フロリスと浦上居るって事ぁマジモンだぜ」タラー・・・

フロリス「いやはや何とも奇遇な。今帰り? てか一人足りなくない?」チラッ・・・

対馬「ええ。野母崎は今月金使い過ぎて女房に説教喰らったの。だから暫く飲み歩き禁止令出されたみたいよ」ハハハ・・・

浦上「なーんだ。給料日前恒例の野母崎さんハブですネ」ハハハ

建宮「それ本人に聞かせてやれ。その場でフリーズするのよね……丁度今のソイツみたいに」クイッ・・・

ルチア「」ポケー・・・

フロリス「あ、事態についていけなくなって遂に思考止めやがった」ジトー・・・

牛深「は? 説明して連れてきたんじゃないのか?」キョトン・・・

浦上「あはははは……驚かそうと思って。というか、多分御三人が出てきたのが輪に掛ってビックリしたのカモ」ニャハハ・・・

牛深「説明しとけよ。こんな辺鄙な場所に突然連れて来られたら誰でもこうなるっつの」ジトー・・・

フロリス「まぁまぁ。これも経験だって。おーい、ルチアっちー。起きろー」ツンツン・・・

ルチア「                                           え」ピクッ・・・

浦上「ルチア、とりあえず先に説明しちゃうけど……要はこの部屋のバスルームが『入口』なんだヨ」クイッ・・・

ルチア「……く、クラブの?」タラー・・・

フロリス「そうよ。あ、辺鄙な所だからって阿片窟って訳じゃないから安心しろ」フフッ・・・
915 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/27(金) 02:13:02.33 ID:m5C9CKCk0
建宮「……しかし、オマエらとルチアが一緒ってのは珍しいのよな。というか、ルチアが出歩いてるのが珍しい」ジー・・・

ルチア「うっ……そ、それは、訳あって」タラー・・・

浦上「コラコラ、建宮さん。女の子に変な探り入れちゃダメですヨ」メッ!

建宮「いや、だってなぁ……浦上とフロリスが一緒に居る時ってのは大抵プライベートよな?」ジトー・・・

フロリス「ああ。そこにルチアっちが加わっただけだ。何か問題でも?」ハハッ

牛深「いや……単に意外だなって」フーン・・・

浦上「ルチアも年頃の若者って事ですヨ。とりあえず、そろそろ私達は行きますネ」ペコッ

フロリス「だな。じゃあなー、おっさん達ー」クイッ・・・

建宮「おっさん言うなし。そう言われる年齢は対馬(コイツ)だけでぶぎょっ!!?」ゴツンッ!!

対馬「…………、」ギリギリ・・・

牛深「……余計な事を」タラー・・・

対馬「ハァ……如何でも良いけど……浦上、フロリス」チラッ・・・

浦上「…………、」ピタッ・・・

フロリス「あい?」チラッ・・・

対馬「あんまりルチアに悪い遊び覚えさせちゃ駄目よ。分かってるわね?」ジトー・・・

フロリス「はいはい、しょーちしてますよー」サラッ・・・

対馬「それから、アンタらも羽目外し過ぎちゃ駄目だからね。度が過ぎた場合、女教皇様(プリエステス)と爺さんに言い付けるから」ジー・・・

浦上「……分かってますヨ」フンッ

ルチア「…………、」オドオド・・・

建宮「対馬、それくらいに……あー兎に角諸君。補導されんなよ、とだけ忠告しとくのよね。そんじゃまた」テクテク・・・

対馬「建宮……甘いんだから」ハァ・・・

牛深「まぁまぁ。とりあえず俺らもどっかで呑み直そうぜ。この前言ったバーの―――」カツカツカツ・・・


  バタンッ・・・・・


フロリス「いやぁ、まさか鉢合わせるとは思わなんだ」ハハハ

浦上「うん。ちょっぴり驚いたヨ……あ、ルチア。この階段降りたらクラブはすぐだからネ。下は比べ物にならないくらい賑やかだヨ」フフッ

ルチア「はぁ……それより、浦上」チラッ・・・

浦上「ん?」キョトン・・・

ルチア「彼らは……何故、何も言わないのですか?」ジー・・・

フロリス「え、言ってたじゃん。補導されんなよーって」テクテク・・・

ルチア「そうじゃなくて……何故、注意止まりなのですか? 未成年の貴女が夜遊びしている現場を大人の彼らが見つけたのですよ?」ジトー・・・

浦上「……さぁ。何でだろうネ」テクテク・・・

ルチア「…………、」ジトー・・・

フロリス「あールチアっち。あんま詮索すんなよ。余所は余所、ウチはウチ。建宮達なりの教育方針があるんだって」チラッ・・・

ルチア「……しかし」ムゥ・・・

浦上「あの人達も、若い頃色々馬鹿やってたから私に強い事言えないんじゃないカナ。もしくは不良児の私に呆れてるか」テクテク・・・

ルチア「だとしても、今は聖職者でしょう。あの程度で済むなんて」ジー・・・

浦上「天草(ウチ)も、色々あるんだヨ。ルチアんとこ(アニェーゼ部隊)と同様に、ネ……そろそろ到着だヨ」クイッ・・・

フロリス「……おぅよ! パーっと行きましょう! パーっと!」フフフッ

ルチア「…………、」ムゥ・・・
916 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/27(金) 03:32:37.32 ID:m5C9CKCk0
フロリス「さーて……そんじゃ御開帳ー!」Pi!

ルチア「何故此処は無駄にデジタル?」ジー・・・

浦上「ルチア。そういうツッコミはしちゃいけないヨ」アハハ・・・


  ギイイィ・・・・・


ルチア「……っ!?」ギョッ・・・

フロリス「ははは。やっぱ驚いてる」ニヤニヤ・・・

ルチア「い、いやいや、だって……さっきのアパートから考えて、この空間オカシイでしょう?!」アタフタ・・・


  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・♪


浦上「100uに高さ15m。まぁそれだけでも凄いよネー。外見ただのオンボロアパートなのに」ウンウン・・・

フロリス「一階の数部屋分と、地下三階までほぼこのフロアで使ってるからな」コクッ

ルチア「な、なるほど……物好きな設計者ですね」タラー・・・

フロリス「奥の方にはVIPルームに繋がる階段も入ってる。自由に行き来可能だ」チラッ・・・

ルチア「え? いや、VIPはVIPでしょう? 態々此方の騒がしい方に来る必要無いのでは?」キョトン・・・

浦上「まぁVIPの中にも賑やかな雰囲気が好きな人っているからネ」アハハ

フロリス「ちなみに、私と浦上はVIP室入れる権利カード持ってるから何時でも行ける」ニヤリ・・・

ルチア「……魔術師特権?」ジトー・・・

フロリス「あははは。言わせんなよー」ニヤニヤ・・・

浦上「まぁ仕事的にも、ネ……ええっとー、知り合い居るカナー?」キョロキョロ・・・

フロリス「誰かしら居るんじゃね? ま、ルチアと共通の知り合いは居ないかもしれないが」ジー・・・

浦上「うーん……とりあえず、カウンター行ってみる? いきなり喧しい連中に絡まれるのは嫌っしょ?」チラッ・・・

フロリス「だな。よし! ついてこい、ルチアっち。はぐれんなよー、100人近く居る中探すの大変だから」テクテク・・・

ルチア「は、はぁ」タラー・・・


  ゴチャゴチャ・・・どよどよ・・・・・


フロリス「さーて……おーっす。今日の雇われバーテンはアンディとバグナーか」テクテク・・・

バーテンA「ん? おぅ、不良娘。今日は一人か? ベイロープ達は如何したよ」チラッ・・・

フロリス「一人じゃないし、仕事でも無い。プライベートでね、ツレと一緒」クイッ・・・

浦上「こんばんはー。お久しぶりです」ニコニコッ

ルチア「こ、こんばんは」オドオド・・・

バーテンB「お、久しぶりに日本娘も一緒か。そっちのお嬢さんは……初見だな」フム・・・

フロリス「友人さ。お固いヤツなんで羽目の外し方を教えてやって回ってるのさ」ハハハ

ルチア「ふ、フロリス。あまり馬鹿な事は言わないでください」アタフタ・・・

バーテンA「あははは。まぁ良いさ。それより、何か飲むんだろ? いつものカクテルならすぐ作れるぜ」コトッ・・・

フロリス「ええ。二人は?」チラッ・・・

浦上「それじゃあ同じのを」フフッ

ルチア「……水で結構です」ジトー・・・

バーテンB「あー……お嬢さん? 此処、アルコール席だよ」ポリポリ・・・

フロリス「ったく……アンディ。同じの3つ。あと今日はベイロープ居ないんだぞ。灰皿要らない」サラッ・・・
917 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/27(金) 03:58:59.59 ID:m5C9CKCk0

  にゃーん・・・・・


バーテンA「あいよ、オリジナルカクテル3つ」コトッ・・・

フロリス「どーも。んじゃ乾杯だ」スッ・・・

浦上「はーい。でも何に乾杯?」チラッ・・・

フロリス「そうだなぁ……って、ルチアっち」ジー・・・

ルチア「…………、」ジトー・・・

フロリス「おいおい、心配すんな。これ低アルコールの赤ワインと数種のフルーツジュースカクテルだ。問題無いだろ」ハァ・・・

ルチア「例え、赤ワインが『血』だとしても……そういう問題ではありません」ムスー・・・

フロリス「やれやれ……あのなぁ。少しはこういうノリも覚えろ。将来苦労するぞ?」ジー・・・

浦上「……そうだネ。仮にもアニェーゼの参謀続けて行くなら、気乗りしない飲みの誘いとかも来るかもヨ」チラッ・・・

ルチア「……むぅ」ジー・・・

フロリス「あーほら! グラス持てって」クイッ・・・

浦上「あ、そうだ。此処は私達の驕りにするヨ。ルチアの『プライベート』デビューって事でネ」フフッ

ルチア「…………、」ジー・・・

フロリス「いい加減、箍(たが)外せよ。あと、言いたい事あるならハッキリ言え」ジトー・・・

ルチア「……いえ。とりあえず」クイッ・・・

浦上「ふふふっ。そうこなくっちゃ」クイッ・・・

フロリス「そんじゃールチアっちの外出デビュー祝いって事で……乾杯」スッ・・・

浦上「かんぱーい」スッ・・・

ルチア「……やれやれ」フフフッ


  カツンッ・・・・・


浦上「……ふぁー。甘酸っぱーい」キュー

フロリス「殆ど柑橘系のジュースメインだからな。如何よ、ルチアっち」チラッ・・・

ルチア「なんとも、安っぽい酒です……ですが、おいしい」ジー・・・

フロリス「そりゃ良かった」ニカッ!

ルチア「しかし……やはり納得行きませんね」ムゥ・・・

フロリス「おいおい、早速酔ったのか? 愚痴なのか、ルチアっちぃ?」ヤレヤレ・・・

ルチア「違います……こういう遊びというか、快楽主義の場は……私達未成年が居るべき所じゃないと思います」ムゥ・・・

フロリス「まだそんな事言ってんの? あのさぁ」ポリポリ・・・

浦上「まぁまぁ……ねぇルチア。ちょいと聞きたいんだけど、良いカナ?」ジー・・・

ルチア「何か」コクッ

浦上「ルチアの立場はアニェーゼ部隊の参謀。そして、アニェーゼ部隊は魔術師の部隊。これは合ってる?」クイッ・・・

ルチア「立場は所詮周りの者が勝手に言っているだけですが、後者は正解です」コクン・・・

浦上「ふむふむ。じゃあルチアの考える魔術師って、カタギ? それとも?」コトッ・・・

ルチア「……カタギな訳が無いでしょう。我々は『殺し』すら行います。敢えていうなら『魔道』が正しいかと」ジー・・・

浦上「そうだネ。まぁ天草式(ウチ)は基本『殺し』はやらないけど……私もそう思う。フロリスもでしょ」チラッ・・・

フロリス「だろうなぁ。私らがカタギなら傭兵屋は聖職者集団になるだろうよ」ハハッ

ルチア「……で? それが何か」ジー・・・
918 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/27(金) 04:50:17.38 ID:m5C9CKCk0
浦上「うん……でもさぁ。ルチアって人間を考えてみると、その境遇ってジレンマが生じてるよネ」グデェ・・・

ルチア「…………、」ジー・・・

浦上「正直ネ。ルチアの性格はある意味、香焼より甘い。甘いというより潔癖過ぎるんですヨ。あ、別にそれが悪いってんじゃないですヨ」コクッ

ルチア「一緒にされるのは甚だ不快ですが……続きは?」ジー・・・

浦上「任務で殺奪を行うのは楽だと思うヨ。多分、『教義』や『部隊』の為に何も考えず実行してるんだろうからネ」ピッ・・・

フロリス「んなキラーマシーンみたいな言い方……合ってるか」ハハハ

ルチア「確かに……事実ですね。ですが、だから?」ジトー・・・

浦上「ルチアが、『魔術師(シノギ)』か『聖職者(シスター)』かのどっち色が強いかと言われたら……フロリス」チラッ・・・

フロリス「え? まぁ……シスターじゃないの? 実際敬虔なクリスチャンだし。あ、でも魔術師としても優秀だな」フム・・・

浦上「どっちか、だヨ」ニヤリ・・・

フロリス「んー……じゃあシスターね」コクッ

浦上「私もそう思う。多分、他の殆どの知人もそう言う筈。アニェーゼやアンジェレネでさえ、ネ」チラッ・・・

ルチア「…………、」ムッ・・・

浦上「此処に、矛盾(ジレンマ)。今ルチア悩んでるでしょう?」フフフ・・・

ルチア「…………、」ジー・・・

フロリス「え? どゆこと?」キョトン・・・

浦上「ふふふ……まぁ所詮私の解釈だけど、ルチアは今の言葉を素直に喜べないんですよネ。自分の理想と違うから」ニヤリ・・・

ルチア「……何故、そう思うのですか?」チラッ・・・

浦上「既に貴女は『駒』じゃないもん。アニェーゼの『頭脳』であり『右腕』でありたいと考えている」フンフン・・・

フロリス「まぁそれも殆どのヤツらが思ってる事だよな。多分アニェーゼもな。じゃあその解釈がマジなら願望通りじゃん」チラッ・・・

ルチア「……それも、貴女方の勝手な考えでしょうに」クイッ・・・

浦上「ならそれでもいいヨ。でも……仮に『そうあれ』と期待を寄せられているのであれば、それは裏切れない。でしょ?」ジー・・・

ルチア「……『彼女』がそう望むのであれば」コクッ・・・

浦上「でも、その望みは……綺麗事では勤まらない。参謀であるならば多少汚く生きなきゃいけない」ジー・・・

フロリス「そうね。ぶっちゃけ汚れ仕事とか色々責任負わなきゃならないからなぁ」フム・・・

浦上「加えて、これからアニェーゼに待ち受けているであろう『大人との汚い出資的交渉』をもルチアが背負うつもりでしょ」チラッ・・・

フロリス「あー……つまり、ベイロープがやってる事をルチアに置き換えれば良いのか?」フム・・・

浦上「そゆこと。それが分かり易いネ。英国の保護下(傘下)に居るのは安全だけど……所詮は天草式(ウチ)同様、外様部隊」ハァ・・・

ルチア「……そうですね。使い勝手の良い便利屋です。便所掃除から殺し、死体処理まで任されます」ジー・・・

浦上「そこから一、自由行動(方針)の権利を持った部隊になるには、それなりのバックアップがなければいけない」コクッ

フロリス「そのバックアップ集めは大変よ……ベイロープ見てれば分かるもの。彼氏居るのにホステスみたいな真似してまでさぁ」ハァ・・・

浦上「天草式は女教皇様が主教補佐次席という地位を獲得してるからまだしも……アニェーゼ部隊はそれが無い」ジー・・・

フロリス「あー大体掴めてきた。要は部隊を強くする為には汚い事しなきゃならない。でもルチアはその対に位置する女だ、と」チラッ・・・

ルチア「必要とあらば……私の身体くらい容易く売りますよ。それがあの子達(アニェーゼ部隊)の為になるのでしたら」ジー・・・

浦上「誰もそんな事して欲しいと望んで無いのにネ……本人の意志と周りから要求されてる『在り方』がこうも違う。まさしくジレンマ」ニヤリ・・・

フロリス「なるほどねぇ……なぁルチアっち。もし『そうありたい』なら、もう少し遊びを覚えるべきよ」ヤレヤレ・・・

浦上「機械女に交渉の余地は無いだろうって思われたらおしまい。それに『カタギ』から外れた人間……遊びを覚えないと痛い目見るヨ」ジー・・・

ルチア「理屈では分かってますよ。将来的に困るのでしょう? ですが……やはり、なんとも」グッ・・・

浦上「不器用だネ……『理屈の理解』と『本音心情』のギャップ。ホント、ウチの『誰かさん(甘ちゃん)』にそっくりな葛藤だヨ」フフフ・・・

フロリス「だが……それがいい、ってか。嫌いじゃないわ。そういう崇高な心ってヤツ」ポンポンッ・・・
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 04:05:57.76 ID:uyrCzt/n0
続きはまだかい?
920 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [sage]:2012/01/28(土) 22:40:18.71 ID:uVPpiXUp0
こんばんわ。
先日はすいません、寝オチました……ではボチボチ投下!
921 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [sage]:2012/01/28(土) 23:10:24.64 ID:uVPpiXUp0
 ―――とある半休日、PM09:00、英国、ロンドン市街、時計塔付近、『U・C・C(アンダー・クロック・クラブ)』・・・・・



   ガヤガヤ・・・・・



浦上「―――ま、少し気分変えましょうヨ。折角のプライベートなのに暗いままじゃ難でしょ」フフッ

フロリス「だな。おい、ルチアっち。好きな酒頼めよ。今日は私らの奢りだ」クイッ・・・

ルチア「……と言われましても、ワインくらいしか」フム・・・

フロリス「あーそっか……此処(ショットバー)のワインは安物だから正直オススメ出来ないわ」ハハハ・・・

浦上「じゃあ……VIPルーム行く? アッチなら高い御酒あるヨ」ニヤリ・・・

ルチア「い、いえ。そういうつもりじゃありません。別に良い酒が飲みたいだなんて思ってませんから」ポリポリ・・・

フロリス「まぁまぁ。素直に奢られとけって……ところでウラっち。『例の件』は?」チラッ・・・

浦上「んー……私の方は2人カナ。フロリスは?」ジー・・・

フロリス「私は3人だ。ま、多過ぎず少な過ぎずってところだろ」フフッ

ルチア「ん? 何の話をしているのですか?」キョトン・・・

浦上「なーいしょ♪ 後でのお楽しみ」クスクス・・・

フロリス「それより、杯が空っぽよ。もう一杯頼む?」クイッ・・・

バーテンA「はいはい。また同じの3つで良いね」コトッ・・・

フロリス「お、気が聞くじゃんアンディ。さんきゅー」フフッ

ルチア「……フロリスは、いつも此処で会議をしていると言っていましたよね」キョロキョロ・・・

フロリス「え? ああ、そうだね。勿論、コッチの喧しいフロアじゃないわよ。VIPのプライベートルームの方だわ」チラッ・・・

ルチア「ふーん……浦上は、単に遊びで?」チラッ・・・

浦上「そだヨ。何が面白いって訳じゃないけど、人がいっぱい居るから雰囲気賑やかで盛り上がれるじゃん」フフッ

ルチア「……私には雑多にしか思えませんよ」ハァ・・・

フロリス「その雑多こそ人間らしささ。ローマの教皇挨拶の時みたいなモンだって。ポジティブに考えなよ」グイッ

ルチア「……楽観的過ぎますよ」ヤレヤレ・・・

フロリス「ルチアっちが悲観的過ぎんの。まぁ良いから飲め飲め」トントンッ

ルチア「…………、」ハァ・・・

浦上「何事も勉強だヨ。さっき言ったじゃん。遊びを覚えろって。『禁欲を抑える』苦行だと思いなヨ」ニヤリ・・・

フロリス「そうそう。社会経験、コレもまた勉強なりってね」ハハハ

ルチア「ハァ……しかし欲望のままに動く事を、こうも辛く感じるとは我ながら呆れますね」グデェ・・・

浦上「それってもう禁欲じゃなくて『意思が無い』レベルだヨ。良く言えば瀟洒だけど……いや、違うネ」フムフム・・・

フロリス「ルチアっち。改善したいと思ってる?」ジトー・・・

ルチア「何を如何改善すれば良いのか分かりません」ジー・・・

フロリス「やれやれ……とりあえずこういう時はサラダクラッカーとアルコール飲み込んで雑念捨てるんだ。OK?」ニヤッ

ルチア「……でも、それは」ムゥ・・・

浦上「……ルチア。これ以降、『でも』も『しかし』も禁止ネ。少し何も考えないで行動してみなさい」メッ

ルチア「…………、」ピタッ・・・

フロリス「ほれ、酒だ。あとコッチがツマミ。掻き込め」フフッ

ルチア「……ん」グビッ・・・

浦上「ふふっ。OKOK」クスクスッ
922 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/28(土) 23:11:37.26 ID:uVPpiXUp0
 ―――とある半休日、PM09:00、英国、ロンドン市街、時計塔付近、『U・C・C(アンダー・クロック・クラブ)』・・・・・



   ガヤガヤ・・・・・



浦上「―――ま、少し気分変えましょうヨ。折角のプライベートなのに暗いままじゃ難でしょ」フフッ

フロリス「だな。おい、ルチアっち。好きな酒頼めよ。今日は私らの奢りだ」クイッ・・・

ルチア「……と言われましても、ワインくらいしか」フム・・・

フロリス「あーそっか……此処(ショットバー)のワインは安物だから正直オススメ出来ないわ」ハハハ・・・

浦上「じゃあ……VIPルーム行く? アッチなら高い御酒あるヨ」ニヤリ・・・

ルチア「い、いえ。そういうつもりじゃありません。別に良い酒が飲みたいだなんて思ってませんから」ポリポリ・・・

フロリス「まぁまぁ。素直に奢られとけって……ところでウラっち。『例の件』は?」チラッ・・・

浦上「んー……私の方は2人カナ。フロリスは?」ジー・・・

フロリス「私は3人だ。ま、多過ぎず少な過ぎずってところだろ」フフッ

ルチア「ん? 何の話をしているのですか?」キョトン・・・

浦上「なーいしょ♪ 後でのお楽しみ」クスクス・・・

フロリス「それより、杯が空っぽよ。もう一杯頼む?」クイッ・・・

バーテンA「はいはい。また同じの3つで良いね」コトッ・・・

フロリス「お、気が聞くじゃんアンディ。さんきゅー」フフッ

ルチア「……フロリスは、いつも此処で会議をしていると言っていましたよね」キョロキョロ・・・

フロリス「え? ああ、そうだね。勿論、コッチの喧しいフロアじゃないわよ。VIPのプライベートルームの方だわ」チラッ・・・

ルチア「ふーん……浦上は、単に遊びで?」チラッ・・・

浦上「そだヨ。何が面白いって訳じゃないけど、人がいっぱい居るから雰囲気賑やかで盛り上がれるじゃん」フフッ

ルチア「……私には雑多にしか思えませんよ」ハァ・・・

フロリス「その雑多こそ人間らしささ。ローマの教皇挨拶の時みたいなモンだって。ポジティブに考えなよ」グイッ

ルチア「……楽観的過ぎますよ」ヤレヤレ・・・

フロリス「ルチアっちが悲観的過ぎんの。まぁ良いから飲め飲め」トントンッ

ルチア「…………、」ハァ・・・

浦上「何事も勉強だヨ。さっき言ったじゃん。遊びを覚えろって。『禁欲を抑える』苦行だと思いなヨ」ニヤリ・・・

フロリス「そうそう。社会経験、コレもまた勉強なりってね」ハハハ

ルチア「ハァ……しかし欲望のままに動く事を、こうも辛く感じるとは我ながら呆れますね」グデェ・・・

浦上「それってもう禁欲じゃなくて『意思が無い』レベルだヨ。良く言えば瀟洒だけど……いや、違うネ」フムフム・・・

フロリス「ルチアっち。改善したいと思ってる?」ジトー・・・

ルチア「何を如何改善すれば良いのか分かりません」ジー・・・

フロリス「やれやれ……とりあえずこういう時はサラダクラッカーとアルコール飲み込んで雑念捨てるんだ。OK?」ニヤッ

ルチア「……でも、それは」ムゥ・・・

浦上「……ルチア。これ以降、『でも』も『しかし』も禁止ネ。少し何も考えないで行動してみなさい」メッ

ルチア「…………、」ピタッ・・・

フロリス「ほれ、酒だ。あとコッチがツマミ。掻き込め」フフッ

ルチア「……ん」グビッ・・・

浦上「ふふっ。OKOK」クスクスッ
923 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/28(土) 23:21:55.55 ID:uVPpiXUp0
フロリス「んじゃーそろそろ場所変えるか。さて、どうする?」チラッ・・・

浦上「テーブル席とダンスホールとVIPだけど……ルチア、どんな感じの場所行きたい?」ジー・・・

ルチア「……勝手が分かりません。お任せします」キョロキョロ・・・

浦上「ええっとじゃあ……座ってダンスとステージ見たいか、踊りたいか、全体見渡したいか」クイッ・・・

ルチア「踊りたいとは思いませんよ」タラー・・・

フロリス「いや、踊らなくても良いさ。間近でステージイベント見たり、あの中混じって雰囲気だけ味わうってのもアリよ」フフッ

ルチア「あの、中に?」チラッ・・・


  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・キャーキャーワーワー・・・・・


ルチア「…………、」ウーン・・・

浦上「一応コレも経験だネ。あ、ちなみにVIPの方は知り合い居るかもしれないヨ」ジー・・・

フロリス「でもまぁ此処よか静かに飲めるし話せるわ。さ、如何する?」チラッ・・・

ルチア「……では―――」



@テーブル席でホールやステージ見ながら雑談。

Aダンスホールに混じってみる。

BVIPルームで静か呑みながらに談話。





         ↓+2


924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 23:26:34.59 ID:MEUVtLHXo
ksk
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 23:27:49.85 ID:w+4VSvhNo
3
926 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 :2012/01/29(日) 01:06:33.91 ID:TmrwysLx0
ルチア「―――とりあえず、一度落ち着きたい。静かな場所へ行けますか?」コクッ

フロリス「オーライ。そんじゃVIP室(上)行くか」ガタッ・・・

バーテンA「おい、フロリス。金は?」ジトー・・・

フロリス「また戻ってくる。まぁ来なかったらベイロープにツケとけ」テクテク・・・

浦上「うわぁゲスい」タラー・・・

バーテンB「いつもの事だよ。ま、フロリスはまだマシさ。レッサーは全部タダ喰いだぞ」ハハハ

ルチア「……帰ったら説教ですね」ヤレヤレ・・・

フロリス「おーい、早く来いよー」クイッ・・・

浦上「はいはい。ルチア、急いで。私達と一緒じゃないと入れないから」テクテク・・・

ルチア「ええ」テクテク・・・


   ざわざわ・・・ドタドタ・・・ワイワイガヤガヤ・・・・・


ルチア「―――一転して、静かですね」キョロキョロ・・・

浦上「まぁそういう場所だからネ。建物でいうと地下一階まで上がったんだヨ」コクッ

ルチア「先程の場所も地下一階から三階まで使用していたのでは?」フム・・・

フロリス「そこは器用に括り抜いて設計してあんのさ……んじゃ入るぞ」ポチッ・・・

係員『はい……君か。いつもの3人は?』Pi!

フロリス「私だけよ。仕事じゃなくプライベート」ジー・・・

係員『なるほど……入るのは構わないが、結構お偉いさんが居るぞ? 良いのか?』Pi!

フロリス「別にー。因みに、オルソラかオリアナ姐御来てる?」ジー・・・

係員『オリアナは下に居たんだが、会ってないか? まぁとりあえず入れ』ガシャッ・・・

フロリス「あいよ。行きましょ」クイッ・・・

ルチア「VIPルームの人間と何で此処まで仲良くなれるのか分からない」タラー・・・

浦上「アレ、フロリスの元彼らしいヨ」サラッ・・・

ルチア「うぇ!?」ギョッ・・・

浦上「しかも珍しく彼の方から別れ告げたケースの一人だて痛ぁっ」ポカッ!

フロリス「余計な事言うな馬鹿。行くぞ」フンッ・・・

浦上「っててぇ……にゃはは。ショックだったんだろうネー」ニヤニヤ・・・

ルチア「…………、」タラー・・・


  ガチャッ・・・・・


フロリス「よっ」テクテク・・・

係員「ハァ……プライベートで来れる程容易い場所じゃないんだぞ?」ジトー・・・

フロリス「わーってる。ま、今日は特別なのよ。珍しいツレが居るからね」クイッ・・・

ルチア「え……こんばんは」ペコッ・・・

係員「ふーん……まぁ良い。好きな所に座れ」クルッ・・・テクテクテク・・・

ルチア「……まるで貴女と真逆の男性ですね」ヘェ・・・

フロリス「うっさい。とりあえず要望通り静かな場所に連れてきたんだ。余計な事言うな」ムスー・・・

浦上「にゃははは、おっとめ〜」ニヤニヤ・・・

フロリス「ぐっ……オマエのアレコレもばらしてやるからな。覚悟しておけ」ジトー・・・テクテク・・・
927 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/29(日) 01:28:54.74 ID:TmrwysLx0

  ♪〜

ルチア「……良い雰囲気の場所ですね」ホッ・・・

浦上「気に入った?」フフッ

ルチア「そうですね。こういう場所なら、大丈夫です」コクッ

フロリス「まぁ飲み屋(ガーデン)タイプよりも個店(バー)タイプの方が楽っちゃ楽だからな。でも、一応色んなタイプ慣れとくべきだ」コクッ

ルチア「助言として受け取っておきましょう。ところで」チラッ・・・

浦上「ん……気になる人でも居た?」ジー・・・

ルチア「いえ、気になるというか……其処らから、魔力を感じます」フム・・・

フロリス「そりゃそうさ。さっきも言ったろ? 魔術師御用達場だって。それより酒は? ワインで良いのかしら」ジー・・・

ルチア「ええ。お任せを」コクッ

フロリス「そんじゃ待ってろ。ボトルで注文してくる」スッ・・・テクテク・・・

ルチア「何も態々立たなくても」ジー・・・

浦上「ルチアルチア。察してあげなヨ……ほらっ―――」クイッ・・・


フロリス「―――」スッ・・・

係員「―――」ハァ・・・

フロリス「―――」ニコッ・・・

係員「―――」フフッ・・・


浦上「―――ネ?」ニヤリ・・・

ルチア「……おかしな話です。恋愛に未練など残さないタイプに思えましたけどね」フーン・・・

浦上「本意で別れた訳じゃなかった人も居るんだヨ……アレが典型的なタイプじゃないカナ」ニヤニヤ・・・

ルチア「相手からフラれたパターンが? まぁ理屈は分かりますけど」ジー・・・

浦上「その後ちゃんと割り切ったって思っていても、後悔は残るモンですヨ。二度と付き合えないけど……憧れっていう形で残るのかも」フフッ

ルチア「ほぉ……ちなみに、彼、何歳くらいですか? 見るからに上っぽいですけど」ジー・・・

浦上「上って程上じゃないかも。20代半ばくらいじゃないカナ」フムフム・・・

ルチア「それって……10歳近くも離れてますよ」エ・・・

浦上「そういうのは理屈じゃないんですヨ。ルチアも出会いがあれば分かるって」ニヤリ・・・

ルチア「…………、」フム・・・


フロリス「―――お待たせ。アイスヴァインかっぱらってきた……って、何だ2人とも?」キョトン・・・

浦上「いえいえ、別にー」フフッ

ルチア「貴女も、以外に純粋なんだなぁって」クスクスッ

フロリス「なっ……浦上ぃ」ギリギリ・・・///

浦上「ひゃー、ワインより真っ赤っか」プフー

フロリス「あーもうこれだから日本人は! 陰口ばっか叩きやがってぇ……容赦しないぞ」ジトー・・・

浦上「何を容赦しないのカナ? 此処は喧嘩御法度ですヨー」フフフ・・・

フロリス「……ルチア。コイツ、最大5股掛けてやがったんだぞ。故郷に英国2人、学園都市2人……あ、出張先のスペインでもだっけ」フンッ

浦上「わっ、ちょ!?」ギョッ・・・

ルチア「……やはり、貴女は娼婦に転職すべきでは? きっと年収10million$くらいは稼げますよ」ジトー・・・

浦上「くっ……ま、まぁ此処は私が大人になりましょう。兎に角、乾杯し直しで」ハァ・・・
928 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/01/29(日) 01:48:34.97 ID:TmrwysLx0

  カンッ・・・・・


浦上「―――んー、おいしー!」キラキラ・・・

フロリス「デザートワインだからな。アルコールも3,4度くらいだし」スッ・・・

ルチア「こういうワインもあるのですね……意外です」キョトン・・・

浦上「ふふふっ。こうやってドンドン酒の味を覚えて、終いにはアル中になるルチアなのであった」ニヤリ・・・

ルチア「なりません。ところで……フロリス」キョロキョロ・・・

フロリス「あ?」コトッ・・・

ルチア「私達、場違いなのでは? 多分、その……見られてますよ」タラー・・・

フロリス「気にすんな。何か聞かれたら部隊名応えとけ。それで通せる」フンッ

ルチア「いや、ウチの部隊の名を騙る訳には……プライベートですし」ポリポリ・・・

浦上「じゃあ必要悪の教会(ネセサリウス)って言えば良いんだヨ。一応、所属傘下でしょ。問題ナッシング」フフッ

ルチア「……詭弁もまた使い様ですか」ヤレヤレ・・・

フロリス「詭弁でも方便でも良いよ。それより……そろそろボチボチ腹割って話しましょ」コクッ

ルチア「え?」キョトン・・・

浦上「此処ならもう斜に構えなくて大丈夫だヨ。言いたい事言い合いましょう」フフッ

ルチア「…………、」ポリポリ・・・

フロリス「まぁザックリ過ぎて何話して良いか分からないか。とりあえず、私らが話降るから、包み隠さず話せ。私らも話す」ニヤリ・・・

浦上「さっきのガールズトークともまたちょっと違った、個人としての話ってヤツかな。別にガールズトークの続きでも良いけど」フフッ

ルチア「……ふむ」コクッ

フロリス「勿論、私らだけの話だぞ。そんじゃあそうだなぁ……ウラっち、なんかある?」チラッ・・・

浦上「何も考えてなかったの?」エー・・・

フロリス「いや、聞いてみただけだっつの。んな可哀想な子見る目すんな……それじゃあ―――」




@部隊(チーム)について。

A各々『個人』の将来について。

Bその他(※話したい事を書いて下さい! 下らない雑談、ガールズトークの続きでも可)



           ↓+3


929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/29(日) 01:56:10.45 ID:GHtGGKiXo
kskのついでに>>1に質問
>>1の中で「ビッチ」と「恋多き乙女」の差はなんなのよ
ちなみに俺の勝手な意見だが五股に限らず複数人の異性と関係持つのは完全にOUTだと思ふ
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 02:58:34.65 ID:jyvd79LDO
>>929
いや待て性的に五股とは書いてないぞ まぁでも女狐には変わりないか……
確かに>>1の恋愛観というかビッチ論には興味あるな
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 09:58:21.32 ID:WtrhWCHIO
A
932 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/01/31(火) 23:47:21.20 ID:JYxF4+rg0
こんばんわ。ボチボチ書きます。


>>929-930
ビッチというか……恋多き乙女、恋愛依存症、SEX依存症、援助交際、娼婦業等など、不貞にも種類はあると思います。
依存症レベルの人は持病みたいなモノだと思うので『ビッチ』と吐き捨ててレッテル張るのは私の中では無しですし、
援交や娼婦業もやりがい持ってやってる人もいれば、借金返済など仕方なしに身を埋めてらっしゃる人もいます。

二股(それ以上の股掛け)も器用にこなして、ばれさえしなければ皆幸せのままです。そんな器用な人間はそうそう居ませんけどね。
あとは肉体関係にあったか云々という話も出てくるでしょうが、貞操観念の希薄な人間からしてみれば、
SEXを恋愛行為の『延長線上(ゴール)』ではなく『一部(コミュニケーションツール)』くらいにしか考えない人も居ます。

ぶっちゃけ一概に如何と定義付けは出来ません。その人の『背景』を考えみないと如何いった不貞か判断出来ないでしょう。


まぁでも、この2人は『器用』に恋愛してるんで周りからは『ちょっと胡散臭いけど並の女の子っぽい魔術師』くらいにしか思われてませんよ。
という、勝手なSS設定。関係者各位、申し訳ありません!


んじゃマターリ投下!


933 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/01(水) 00:45:29.37 ID:5ghFwDjI0
フロリス「―――アンタら、将来如何すんの?」コクッ

ルチア「はい?」キョトン・・・

浦上「えっと……随分ザックリとした質問過ぎて返答に困るんですケド」ポリポリ・・・

フロリス「何でも良いさ。将来の事。夢でも良いし、目標でも良い。私らまだミドルティーンズなんだし、お先長いじゃん」ニカッ!

浦上「ふむふむ。なるほど……んじゃ言い出しっぺのフロリスさんどーぞ」クイッ・・・

フロリス「え!? い、いや、こういうのは質問者最後だろうよ」タラー・・・

ルチア「適当な人……しかし、そう言われましてもね……将来ですか」ムー・・・

フロリス「例えばさぁ。将来というより、今の願望っぽいけどルチアっちだったら『学校行ってみたい』とか思わないわけ?」チラッ・・・

ルチア「いえ、まったく。基礎学業は既に納めています。でなければ15前後で魔術師なんかになれませんよ」コクッ

フロリス「あのさぁ、そういう事じゃなくって……学校でワイワイやりたいとか、並のスクールライフを期待したりとか」アーダコーダ・・・

ルチア「私が『並』を望む様なタイプに見えます?」ジー・・・

浦上「……フロリス。質問の仕方が悪いですネ」タラー・・・

フロリス「おぅ……あー何ていうのかなぁ……オマエは一生このままで良いのか?」ピッ・・・

ルチア「『このまま』が何を意味するか把握しきれませんが、そうですね……現状それなりに満足してますから」コクッ

浦上「うーん、ルチア。今の部隊の今のポジションに居続けたいっていうのは分かったヨ。でもそういう事じゃない」ジー・・・

ルチア「ん?」ポカーン・・・

浦上「シスターや魔術師ってのは『職業』みたいなモノでしょう。聞きたいのは、貴女個人の将来だヨ」ピッ・・・

ルチア「……え」ポカーン・・・

フロリス「そう! そういう事よ! 私はそれが聞きたかったの! ナイスだ、ウラっち!」ウンウン・・・

浦上「フロリスはもう少し話纏めてから発言しようネ。レッサーみたいになってるヨ」アハハ・・・

ルチア「……将来」ウーン・・・

フロリス「おうよ。何でも良いから願望言ってみ」ジー・・・

ルチア「……では、部隊の更なる発展でしょうか。もう少し部隊の意見が上に反映されれば仕事をし易くなります」コクッ

フロリス「だからそれ、ルチアっちの願望じゃなくて部隊の願望だろうが!」ビシッ

ルチア「さっき何でもと言ったではありませんか。それに、これも真面目な個人願望です」キッパリ

浦上「……じゃあそれ以外に」ハァ・・・

ルチア「それ以外、ですか……特に何も」ポリポリ・・・

フロリス「ルチア……何の望みも無い人生なんて、そりゃ機械や畜生と同じだわ」ジトー・・・

ルチア「別に良いですよ。修道女の一生に欲望を持ち込む方が間違っています」ムゥ・・・

浦上「それ、綺麗事だヨ。それも古いタイプの悪習な綺麗事」ジー・・・

ルチア「構いません。古い人間ですから」ジー・・・

フロリス「んじゃ女としての望みは? 結婚願望とか家庭願望とか!」ムンッ

ルチア「それは運命的なモノだと考えてます……無論、貴女が言いたい事も分かってるつもりですが、さっき喫茶店で言ったでしょう」ジトー・・・

浦上「要は事流れ主義というか、保守受動的な人生で良いって事?」ポリポリ・・・

ルチア「……そうですね。高望みはしませんよ」ジー・・・

フロリス「ハァ……クッッッッッッソつまんねぇ女だわ。ルチアの言ってる事は結局、受け身の怠惰人生よ」ジトー・・・

ルチア「…………、」ピタッ・・・

フロリス「だってそうでしょ? 自分の意志持たず、ずっとアニェーゼの尻に付いて回る。見方によっては楽してるだけじゃん」ハンッ・・・

浦上「ちょ、フロリス」タラー・・・

ルチア「……そうですね。私は卑怯な女です。でも、それでも良い。それでも『あの子達の為』に生きたいんです」ジー・・・
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/02/01(水) 00:57:18.31 ID:YNwRoxNAO
>>906

俺は>>904なんだけど、
ウェイバーがヒロインみたいな事を公式が言ってなかったっけ?
935 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/01(水) 01:32:44.28 ID:5ghFwDjI0
浦上・フロリス「「…………、」」ジー・・・

ルチア「……私に、この手の話を振ったのが間違いです……謝りませんよ」ジー・・・


   ♪〜


ローラ「なんと、つまらない女」ヤレヤレ・・・

浦上・フロリス「「……え」」ピタッ・・・

ルチア「は」ピタッ・・・

ローラ「考える事を止めてしまったら、それはもう人間ではなく畜生以下になりけるのではなくて?」ゴクゴク・・・プハー

ルチア「……え?」キョトン・・・

フロリス「な……うぇええええぇぃっ!!?」ガタッ!!

ローラ「こらこら。いきなり騒いだら他の客の迷惑になりけるのよ。はしゃぎたいなら下に行けるべきね」フンッ

浦上「しゅ、主教様……な、何故此方に?」ダラダラ・・・

ローラ「何故ってプライベートにありけるのよ。といってもボッチじゃないのよ」クイッ・・・

フロリス「いや、いやいやいやいや! そ、そういう問題じゃなくて……うぇ!?」ギョッ・・・

ローラ「なーに? 私に聞かれたもうては拙い話にけるの? これでも貴女達の最高上司における立場なのだけど」ニヤニヤ・・・

浦上「あーえっと……それはさておき、私達に構っちゃっても良いんですか? 下っ端に気軽に接しちゃ駄目なんじゃ」ポリポリ・・・

ローラ「良いの良いの。プライベートにありけるし。それに……連れがアレであーなって、私ハブられたりて……暇なりけるのよ」ハァ・・・

フロリス「つ、ツレ? 最大主教さんを放って置く程の人なの……ですか?」タラー・・・

ローラ「敬語じゃなくて結構。えっとぉ……奥の席に座ってる2人にありけるわ」チラッ・・・

浦上・フロリス・ルチア「「「え」」」チラッ・・・


エリザード「―――」フフッ・・・

????「―――」コクッ・・・


フロリス「じょ、女王の婆さん……今日はなんか普通の貴婦人みたいだ」タラー・・・

浦上「というか、普通に男性とお喋りしてますけど……え? あれ、誰ですか?」タラー・・・

ローラ「誰ですかって、仮にも英国に務めける魔術師なら把握しておかなければ」ジトー・・・

ルチア「……フィリス陛下殿」ジー・・・

浦上「え?」キョトン・・・

ルチア「エディンバラ公。英国海陸空軍元帥。ロイヤル・ハイネス……女王の旦那ですよ」ジー・・・

浦上「……うぇ!!?」ギョッ・・・

ローラ「これだから日本人は……まぁあまりメディアに出たがらないヤツだから仕方なし、かな」フムフム・・・

フロリス「あー……要は、お忍びデート中?」ボソッ・・・

ローラ「そゆことになりけるわね。んで、久しぶりに2人きりだと気拙いから私にも付いてきて欲しいと女王が……やれやれ」ハァ・・・

浦上「何その無駄に乙女な感じ……普段からは想像できないですヨ」タラー・・・

ローラ「アレもまた『女』って事になりけるのね。ま、今は会話が捗ってきたから私は用済みー。暇にありけるのー」グデェ・・・

フロリス「あはははは……えー」タラー・・・

ローラ「むー? 何だその目はー? 主教にありけるのよー。偉いんだぞっ」ムンッ

浦上(色々面倒臭い……下っ端に絡む最大主教って如何なんでしょうかネ。私達が気拙いって事くらい察して欲しいです)アハハ・・・

フロリス(しゃーねぇわ。だって『必要悪の教会(キ○ガイ集団)』のボスだ……相当アレだもん)ダラダラ・・・

ルチア「…………、」ハァ・・・
936 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/01(水) 02:53:45.40 ID:5ghFwDjI0
ローラ「ハァ……ところで、さっきの話の続きにありけるけど」チラッ・・・

フロリス「え」ピタッ・・・

ローラ「貴女は……ええっと、アニェーゼ部隊の」ジー・・・

ルチア「ルチアです」コクッ・・・

ローラ「あーうんうん。アニェーゼ=サンクティスの部隊の……部隊業績は見せて貰っているわ。中々頑張ってるみたいにありけるわね」フフッ

ルチア「ありがとうございます」ペコッ

ローラ「不平不満はあるだろうけど、それは私じゃなくステイル坊やや神裂にぶつけてちょーだい」クスクスッ・・・

浦上(うわぁ、姉様とばっちり)タラー・・・

ローラ「さておき、今は……個人の話をしたもうてたのよね?」ジー・・・

フロリス「ええ、将来について色々と」コクッ

ローラ「ふむふむ……それで、そこのルチアちゃんは将来的な夢や希望は無いと宣(のたもう)た……あ、ワイン一杯貰いけるわよ」コトッ・・・

ルチア「……お注ぎします」スッ・・・

ローラ「どもども……で、貴女の考えだけど上の立場の人間からしてみれば大歓迎なりけりよ」フフッ・・・

ルチア「如何いう意味で」ジー・・・

ローラ「駒、として使い易い。俗っぽくいえばワーカーホリック。『社畜の鑑』にありけるわ」ゴクゴクッ・・・プハー

ルチア「…………、」ジー・・・

フロリス「……あのさぁ主教さん。言い方ってモンがあるでしょう。仮にもプライベートなら特にさ」ジトー・・・

ローラ「あら。それじゃあその子の為になりにけるのよ。それに……ある意味褒めてるのだから」ニヤリ・・・

ルチア「……駒、ですか」ジー・・・

ローラ「ええ。バッサリ言わせてもらいけるけど、結局のところ……今の考えのままじゃローマに居た頃と同じって事にありけるわね」ジー・・・

浦上「……それは、貴女の采配次第なのでは?」チラッ・・・

ローラ「適材適所。従順で、しかも優秀、更に外様となれば……対応は分かりけるわよね? 日本人(天草式)の娘」フフフ・・・

浦上「…………、」ムッ・・・

ローラ「話を聞く限り、そこなルチアちゃんは部隊の参謀(?)ポジションみたいにありける。参謀がこれでは……高が知れる」ハハッ

ルチア「……私の侮辱は結構。ですが、主教殿といえ部隊の侮辱は聞き逃せません」ジトー・・・

ローラ「だったら貴女が参謀役から離れるべきね。さすれば、部隊は良い方へ導かれりてよ」ニヤリ・・・

フロリス「おいおい、主教さん。確かにルチアっちは無愛想だが、参謀としては敏腕だ。その判断はおかしい」クイッ・・・

ローラ「個人的野心や夢も無い人間に部下が惹かれると思いけるの? 『人間』としての方針が無い輩に人は従わざりてよ」ジー・・・

ルチア「ですが、個人(プライベート)と仕事は別物でしょう。仕事は仕事で頭を切り替えます」グッ・・・

ローラ「では貴女自身に問いけるの。貴女は、貴女の様な上司に従いたくて?」ゴクゴクッ・・・

ルチア「そ、そんな事……分かる訳がない。考えた事もありません」タラー・・・

ローラ「その時点でアウト。つまり、己と他を省みない姿勢……貴女って多分、周り見えなくなるタイプにありけるでしょう?」チラッ・・・

ルチア「……否定はしません。ですが、私は別に参謀だの上司だのの立場に拘ったりしない。一、部隊員として彼女らと共に」ムッ・・・

ローラ「だからねぇルチアちゃん……野心の無い人間に、人は付いていかざりけるのよ」ヤレヤレ・・・

ルチア「っ……し、しかし、野心という欲求を持ち合わせるのは人間として醜いのではないでしょうか」グッ・・・

ローラ「狭い見方にありけるのね……まぁ貴女という人間が良く分かったわ」ハァ・・・

浦上「しゅ、主教様」タラー・・・

フロリス「……言うだけ言って終わりかい」ジトー・・・

ローラ「頑張れ、と在り来たりな言葉を望みけるの? それとも助言が欲しい?」フフフ・・・

ルチア「……いえ、結構です」ジトー・・・
937 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/01(水) 03:30:30.24 ID:5ghFwDjI0

  ♪〜


フロリス「……アンタだって、人の事言えないんじゃないの」チラッ・・・

浦上「っ!? ふ、フロリス」タラー・・・

ローラ「……そうね」ニヤリ・・・

フロリス「だってそうでしょ。アンタに人間味があるとは思えない」ジー・・・

ローラ「ええ、よく言われる。でも私は野心を持ち理解た上で、こういう性格を心掛けてるつもりにありけるわ」フフフ・・・

フロリス「詭弁だ」チッ・・・

ローラ「何とでも。こうやって誤魔化せるのが大人の特権」ニヤニヤ・・・

ルチア「……狡いです」グッ・・・

ローラ「ほぉ……そう思える感情を持ち合わせてるのね。だったらまだ救いはありけるわ」クスクス・・・

浦上「……主教様。もうこれ以上何も言わないで頂きたい。正直、我々も困ります」コクッ

フロリス「だな……折角プライベートで来てるのに、お通夜みたいな雰囲気にしたくないですね」フンッ

ローラ「そう。それは失礼……では貴女達だけで話を続けて。私はこのワインに舌を傾けり……人の苦悩を肴に、ね」クスクス・・・

フロリス「けっ。性格悪ぃ……ルチアっち。あんまり気にすんなよ」ボソッ・・・

浦上「これから色々勉強していけば良いからネ。まだ若いんだし大丈夫だって」コクッ

ルチア「……はい」コクッ

フロリス「んじゃ……次ウラっちの将来像は?」チラッ・・・

浦上「私? そうだネ……私は魔術師とか教義とかに縛られないで生きていきたいカナ。変でしょ」ハハハ

フロリス「え、いや……え? よく分からない」キョトン・・・

ルチア「教義に縛られないとは、つまり……神裂の教えに背くと?」ジー・・・

浦上「いやいや、そういう事じゃないヨ。女教皇様の教えは素晴らしいモノだと思うし、それを心掛けていくのは変わりない」コクッ

フロリス「意味分からん」ポカーン・・・

浦上「何て言うのかなぁ……昇進望まない訳じゃないけど、それって結果でしょ。その点はルチアと一緒かも」ポリポリ・・・

ルチア「何が違うと?」フム・・・

浦上「私は……幸せな家庭が欲しいし、人並みの人生横臥して、天寿を全うしたい……ってな感じだヨ」ニャハハ

フロリス「いやいや、それはそれでツマらないだろ。それとも専業主婦願望って事か?」ジトー・・・

浦上「それもアリだネ。キャリアウーマン願望無いし……対馬さんみたいにやってく勇気も無いヨ。彼女には悪いけどネ」アハハ・・・

ルチア「……言葉が悪いかもしれませんが、その、随分適当な将来像ですね」ムゥ・・・

浦上「ううん、人並み。ルチアも真似して良いヨ」ニヤニヤ・・・

ルチア「あー……考えておきます」ハハハ

フロリス「……で、それだけ?」キョトン・・・

浦上「そうだネ。基本『今』を楽しく生きたいから。将来の事なんてザックリ考えとけば良いんだヨ。でも、やっぱ幸せを望みたいカナ」ジー・・・

フロリス「うーん、哲学的な事言って誤魔化されてる気がする」ポリポリ・・・

浦上「だって職業魔術師やってる以上、そうそうカタギなんかに戻れないでしょ。自分の『幸せ像』を考えるべきじゃない」フフッ

ルチア「ポジティブですね……良いと思いますよ」フフフ・・・

浦上「えへへ。ありがとー」ニパー!

フロリス「そうだなぁ。そう言われちゃうと、私もそういう将来望みたくなるよ」フムフム・・・

浦上「うんうん。皆で幸せになろうヨ。それが一番だって」ゴクゴク・・・

ローラ「…………、」フーン・・・
938 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/01(水) 04:04:45.39 ID:5ghFwDjI0
ローラ「浦上、といったかしら。神裂のとこ(天草式)の」ジー・・・

浦上「ええ。まぁ偽名(コードネーム)ですけどネ」コクッ

ローラ「……そう」ジー・・・

フロリス「何ですかー? またイチャモンつける気?」ジトー・・・

浦上「フロリス、喧嘩腰にならないの」タラー・・・

ローラ「いや……幸せになれると良いわね、と思っただけ」ジー・・・

ルチア「え?」キョトン・・・

浦上「……主教様」ジー・・・

ローラ「分かってる。教皇(神裂)にすら秘密にしてる事にありけるものね」ゴクゴク・・・

ルチア・フロリス「「は?」」ポカーン・・・

浦上「……このプライベートの事だヨ」ニコニコッ

フロリス「あー、そゆこと」フムフム・・・

浦上「それより、フロリスは? 言い出しっぺが最後なんだから言い締め方して頂戴ヨ」ニヤリ・・・

フロリス「そ、そんな期待されてもなぁ」ポリポリ・・・

ルチア「少なくとも、私よりつまらない将来像じゃないでしょう」フフッ

フロリス「んな卑屈んなよ……まぁその、将来的に『魔術師』として励みたいなーって思ってるんだ」ポリポリ・・・

ルチア「魔術師として?」ポカーン・・・

フロリス「ああ。浦上には色々話してるけど……別に『魔人』やら『根源』目指すって訳じゃないが、自分なりに魔術を極めたい」コクッ

浦上「だからフロリス、こう見えて普段から文武両道真面目に勉強してますもんネー」フフッ

フロリス「こう見えてってのは余計だ……今の目標としては、せめてベイロープよりは強くなりたいって思ってるだけ」ジー・・・

ルチア「成程。殊勝な心掛けだと思いますよ。私が言うのも難ですが、目標があるのは指針が定め易い」コクッ

フロリス「うん、まぁそれだけなんだけど」アハハ・・・

浦上「あるぇ? ちゃんと最後まで話したらー? 折角、腹割って話そうって言ってるんだしルチアにも教えてあげなヨ」ニヤニヤ・・・

ルチア「え?」キョトン・・・

フロリス「おい、馬鹿……だって、さ」チラッ・・・

ローラ「んー? 私は気にしないでー」グデェ・・・

フロリス「……いや、気になりますって」ハァ・・・

浦上「フロリス、大丈夫だヨ。主教様に聞かれても多分デメリットは無いから」フフッ

フロリス「う、うーん……えっと、ね……他言無用だぞ? 絶対アニェーゼとかにも言うなよ」ポリポリ・・・

ルチア「先程も言いましたが、口は固い方です。安心して下さい」コクッ

フロリス「ん……一応、進学考えててさ……時計塔(魔術協会)に。勿論、結社の所属はしたままでね」ポリポリ・・・

ルチア「へぇ。それは何とも……しかしアソコは後見人が必要なのでは? それに未だ貴族階級の様な仕組みを取っているらしいですよ」ジー・・・

フロリス「うん。だから願望なんだけどね……私の家、別に魔術の名門家系じゃないから夢のまた夢よ。でも、勉強出来たら良いなって」ハハハ・・・

浦上「いやいや、結社の業績履歴送ってやればきっと実力認められるって。行けるんじゃない?」キラキラ・・・

フロリス「あはは。だと良いんだけど……とりあえず今は模索中。バイトして金溜めつつ、独力で魔術の勉強もしてるよ」ポリポリ・・・

ルチア「……見直しました。貴女がそこまで勤勉な人だったとは」ヘー・・・

フロリス「私は基本真面目ちゃんだって。遊びは遊び、仕事は仕事、夢は夢でしっかり区切れるの。出来る女でしょ」フフッ

浦上「自分で言うなー」ツンツンッ

フロリス「はっはっは。ま、リーダーには色々迷惑掛けてるからさ……そういう方面からバックアップしてあげたい訳よ」コクッ

浦上「フロリスの将来の為にもなるし、結社の骨組みも協会とパイプが出来て強くなる。理想的な将来像だネ」フフフッ
939 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/01(水) 05:12:11.13 ID:5ghFwDjI0
ローラ「へぇ……協会ねぇ」フーン・・・

フロリス「……何か文句あります? 英国教会と魔術協会の仲は良好でしょう」チラッ・・・

ローラ「いやいや、そういう問題じゃなくて……必要悪の教会(ウチ)で実戦経験積んで勉強した方が効率的にありけるでしょ」ジー・・・

フロリス「実戦は、ね。でも本格的な学術面やパイプを作るには協会がもってこいでしょう」コクッ

ローラ「ふふふ……『牛に乗って牛を探す(灯台下暗し)』とはまさにこの事になりけるのね」クスクス・・・

浦上「え?」キョトン・・・

ローラ「私、時計塔の特別講師で特別顧問にありけるの。アソコの内情は並の魔術師よりは詳しいわ」フフフ・・・

ルチア「……では、主教殿が推薦してあげては如何です。彼女の結社は嘱託とはいえ尽力してくれているでしょう」ジー・・・

ローラ「あんなところに行って、つまらない魔術師になりたもうくらいなら逆に落としてくれと頼みけるわよ」フーン・・・

フロリス「んなっ!?」ギョッ・・・

ローラ「それに、折角結社予備軍という身軽な立場なのに、態々それにウェイトを掛ける様な真似をしけるの?」ジー・・・

フロリス「……バックアップの無い組織は大変なんですよ」チッ・・・

ローラ「あら? 教会(ウチ)やキャーリサが居るじゃない」フフフ・・・

フロリス「アンタらの嘱託や第二王女の我儘聞くだけのバイトしてるだけじゃいつまでも三下結社予備軍止まりなんですよーだ」フンッ

ローラ「変な矛盾。行動理念が『英国の為』とありけるのに、英国の教会や王女の下には居たくないと宣う」ニヤニヤ・・・

フロリス「居たくない訳じゃない。ただ、結社として在り続ける以上は金と後ろ盾が必要なんだ」フンッ・・・

浦上「新たなる光(フロリスんとこ)は『愛国者』の集まりだけど、教会や王女の飼い犬って訳じゃないですから」コクッ

フロリス「嘱託扱いだけど、それが英国の為にならないって私らが判断したら、絶対手伝いませんよ」フンッ

ローラ「やれやれ。理念を持った傭兵程扱いが面倒な輩はあらざりけるものよ……何故飼い犬に甘んじないのか」ハァ・・・

フロリス「悪いけど、私は傘下論争をする気は無いですよ。方針を変える気はありませんから」サラッ・・・

ローラ「まったく……可愛くないわんこ。そっちの2人は?」グデェ・・・

ルチア「ウチの部隊は基本、隊長の方針次第なので。今は貴女達に借りがありますから境遇に甘んじてます。ただそれだけです」コクッ

浦上「然りですヨ。まぁまず有り得ませんが、女教皇様が主教補佐次席を離れるというのであれば私らも離れますけどネ」ニャハハ

ローラ「ふふふ……可愛くないけど、素直で宜しい。へこへこ媚び諂ってくる政治屋共よりは素敵にありけるの」クスクス・・・

フロリス「兎に角、実戦じゃなくもっと論理的に魔術を勉強したいんです。この望みを他人にとやかく言われたくない」キッパリ

ローラ「OKOK。応援はしないけど、頑張ってみなさい」フフフ・・・

フロリス「ったく、含みのある言い方しやがって」フンッ

浦上「あははは……えっと、とりあえずルチア。私らの話、アバウトだったけど参考なったカナ?」ジー・・・

ルチア「ええ……主教殿の話も、参考にさせてもらいますよ」コクッ

ローラ「殊勝な心掛けにあられるのよ。精進なさい、人形少女。何も修道女や魔術師だけが人生にあらざりけるわ」クスクス・・・

フロリス「まぁ……カタギに戻れって言われても難しいが、一理あるよ。もしこれから先やりたい事見っけたら乗り換えたって良いさ」コクッ

ルチア「生憎、私は修道女と魔術師以外の生き方を知らないので……ね」ジー・・・

浦上「ルチア……それも勉強していこうヨ。端っから諦めちゃ駄目だって、ネ」ポンッ・・・

ルチア「…………、」コクッ

ローラ「ふむふむ……やはり若者の『生きる力』を育てていくべきか……そうなると教育機関を……うんうん」ゴニョゴニョ・・・

フロリス「なーんかまた訳分かんない事考えだしたみたいだ」ジトー・・・

浦上「あははは……基本、面白半分で行動起すイメージあるから放っておこう。下手に関わると火傷しますヨ」ポリポリ・・・

フロリス「ああ。とりあえず何か呑もう。グラス空いちまったわ……またワインで良いか?」スッ・・・

ローラ「あ、白が呑みとうてよ。よろしくねー」ノ”

浦上・ルチア・フロリス(((まだ居座る気か……面倒臭い)))タラー・・・
940 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/02/01(水) 05:29:55.14 ID:5ghFwDjI0
はい、短いけど今日は此処まで。相変わらずローラの口調がめんどい・・・・・


次回のアンケート・・・・・主教から逃げる為の行動!


@下のホールの方へ逃げて、男と合流。

Aホール裏に居るオリアナに合流。

Bフロリスの家(アパート)でお泊まり会。

Cその他(したい事、行きたい場所を書いて下さい。 ※一応全年齢指定!)



それでは質問意見感想罵倒アンケート協力等など、宜しくお願いします。また次回! ノシ”

941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/02/01(水) 08:49:10.40 ID:j4gcq2Zuo
disるわけじゃないけどなんか>>1は肉体関係云々とか関係なしに人を不幸にしそうな恋愛をしてそうで怖い

アンケはC→Bで
Cは女子寮の夜
女子寮のみんなはどんなふうに夜を過ごしているのか気になる
そのあとお泊まり会

無理ならお泊まり会だけでも
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 14:14:51.07 ID:1FKcByXDO
乙! @でのルチアの反応も見てみたいけど……
やっぱB、女三人姦しくにゃんにゃんウフフわっふるわっふるお風呂とかベッドとか!
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 17:52:03.91 ID:mCPCVfo10


Bで
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 23:30:58.12 ID:s0rmLSwmo
>>936
シスター達からしたら胡散臭い野心家や異性にだらしない女よりも裏表のない篤信家の下
に付きたいと思うんじゃなかろうか
隊長がアニェーゼみたいなのなら尚更

つうか先の二者は命懸けの状況で信頼すんのは難しくね
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/09(木) 08:55:17.93 ID:2omKpt0DO
(´・ω・`)
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/02/10(金) 21:55:03.06 ID:+Y+SyD6Vo
生存報告ないから怖い
早く来てくれんかな―
947 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/02/11(土) 00:00:01.20 ID:Jl+Pe32H0
こんばんわ。お久しぶりです。色々立て込んでいて中々投下出来ませんでした、すいません。

今日はゆっくりですがボチボチ書きます。ちなみに、アンケはBでいきます!


>>944・・・命懸けの仕事というか『一点』で考えるなら確かに、敬謙で従順な修道女の方が良いでしょう。その点は主教も褒めています。
     ですがこれからの部隊の方向性、あくまで『長い目』で見た日常を含めた『在り方』を考える上では、人間味・俗っぽさも必要かと。


理屈っぽいSS書いといて今更ですが、少年少女達の『戦闘色の無い日々』を追い求める姿勢を大事にしていきたいと考えています。
だったらこんな屁理屈説明すんなし、というツッコミは勘弁してね♪


しかしまぁグダグダ長引くなぁ・・・・・でもとりあえず、ダラダラ投下しまーす!

948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/02/11(土) 00:01:36.41 ID:jmlrFIMeo
久しぶりの投下ktkr!
949 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/11(土) 00:28:43.53 ID:Jl+Pe32H0
 ―――とある半休日、PM10:00、英国、ロンドン市街、時計塔付近、『U・C・C(アンダー・クロック・クラブ)』・・・・・



   ・・・♪〜



ローラ「―――……だぁかぁらぁさぁ〜……あん時にステイルが余計な事宣わなきゃ〜……ぜーんぶ上手くいったと思いけるのぉ」グデェ・・・

フロリス「あーはいはい、そーですねー(面倒臭ぇ……泣き上戸の第二王女並に面倒臭ぇ)」ハァ・・・

ルチア「あははは……(正直、関わりたくない……もー帰りたいです)」タラー・・・

ローラ「ってぇ……むむむぅっ!!? 貴女達、ちゃんと聞きたもうておるの?」ジトー・・・

浦上「はいはい、聞いてますヨー……あ、フロリス! そろそろ時間じゃないカナ?」チラッ・・・コクッ

フロリス「え……あー! そうだね! そろそろ行かないと!」コクッ・・・

ローラ「むっ? 何処に?」グデェ・・・

浦上「すいません、主教様。私達、これから待ち合わせをしてるんですヨ」ポリポリ・・・

ローラ「待ち合わせぇ……男か!? 男を待たせたもうとるの!? カアアアァ!! これだから最近の若者は!!」ムキーッ!!

フロリス「違いますー! そんな合コン染みた事しませんよ。ルチアも一緒なんですから……この子にはまだ早いっての」ハァ・・・

ルチア「……まだも何も、今後も絶っっっ対に行きませんよ」ジトー・・・

浦上「まぁまぁ。その件についてはさておきで」アハハ・・・

ローラ「うー……不純異性交遊は宗教裁判になりけりよー。神裂にも言い付けてやるんだから」グダァ・・・

浦上「だからしませんって……兎に角、また機会があればお付き合いしますから。今日はこの辺で、ネ」ペコッ・・・

ローラ「はぁ……はいはい。絡み症のウザいオバさんに思われたくないから、私は寛容に見逃しけるのよ」フンッ・・・

浦上・ルチア・フロリス(((もう思ってますから)))アハハハ・・・

ローラ「とーりあえず、遅くなり過ぎない事。間違っても市警の連中に補導されたもうては駄目なりけるのよ」ビシッ

フロリス「分かってますって……それじゃ行こうか」クイッ・・・

ルチア「はい。では、お先に失礼します」スッ・・・

浦上「主教様。御機嫌よう」ペコッ

ローラ「……待った」ジー・・・

フロリス「まだ何か?」タラー・・・

ローラ「ん……ほぃ」ゴソゴソ・・・スッ・・・

浦上「え!? い、いや、一応プライベートで来てますから……お金は」タラー・・・

ルチア「自分達で払えます。そういう恵みは要りません」キッパリ・・・

ローラ「場を汚した謝金と、大人に付き合った権利になりけるの。少女共、受け取っておきなさい」フフッ・・・

フロリス「で、でも」ムゥ・・・

ローラ「でももテロも無い。同じビンの酒を呑んだら、上の者が支払う。これ、社会のルールにありけるわ」ニヤリ・・・

ルチア「主教ともあろう御方が、俗っぽい考えですね」フーン・・・

ローラ「何とでも。将来、貴女達が下の子のケツ持ちしてやりたもうて。主教様との、や・く・そ・く♪」ニコニコッ

フロリス「……では、ありがたく頂戴します」ペコッ

ローラ「善哉善哉☆」ノシ

ルチア「……ありがとうございます」ペコッ

浦上「あ、因みに……一応今日の事は女教皇様達には内緒で」アハハ・・・

ローラ「分かってる分かってる。気を付けて帰りたもうてね〜」フフフッ

浦上「……おやすみなさい」テクテク・・・
950 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/11(土) 01:37:22.95 ID:Jl+Pe32H0
フロリス「んじゃ、とりあえず下のカウンターの分も払って行くか」テクテク・・・

ルチア「……ちゃんと支払うのですね。そのままツケにするのかと思ってました」フム・・・

フロリス「あのなぁ……私はレッサーみたいにガサツでセコいな女じゃねぇっての」ハァ・・・

浦上「ふふっ。まぁとりあえず下降りようネ―――」カツカツカツ・・・



エリザード「―――うぃ、待たせた……若い子相手にしてたみたいだけど、アレはアンタの部下かい? 如何みても未成年だったけど」チラッ・・・

ローラ「んー。そういう事にツッコむのは野暮ってモノなりけるのよ」クスクス・・・

エリザード「まぁそうだわな。魔術師に年齢なんて関係無いし」ハハハ

元帥閣下「…………、」ジトー・・・

ローラ「フィリス、そんな渋い顔しないで頂戴。魔術に興味が無い貴方でも、非常識なモノという事くらいは分かりけるでしょ?」チラッ・・・

元帥閣下「……子どもは子どもだ。唯でさえ我が国の未成年飲酒喫煙率は高いというのに、聖職者たる貴様がそれを見逃すとは」ハァ・・・

エリザード「世も末? 今に始まった事じゃないでしょ」クスクス・・・

元帥閣下「一国の女王もコレだ……困ったものだよ」ヤレヤレ・・・

ローラ「相っ変わらず細かい男。よくこの男の種からあの三人娘が産まれたもうたわね」ニヤニヤ・・・

エリザード「それはほら、私の卵の方が色々強かっただけの話で……あ、ごめんなさい、睨まないで」タラー・・・

元帥閣下「オマエらはオマエらで、相変わらず下品極まりない……騎士団長の苦悩が手に取るように分かる」ハァ・・・

エリザード「あははは……そ、そんな事より、さっきの子達の何が面白かったの?」チラッ・・・

ローラ「何って、別に。若い子と話をすればするほど自分が老いてないなぁって確認出来たもうてよ」ニヤリ・・・

エリザード「それだけだったらいつもステイル坊やと話してるじゃない。何か『色』があったんじゃないの?」ジー・・・

ローラ「色、ねぇ……まぁ魔術師にしては珍しく俗っぽく型に嵌まらない2人と、ガッチガチに敬虔なクリスチャン1人だったかな」コクッ

エリザード「その組み合わせってのも不思議だけど……それだけ?」フム・・・

ローラ「……一人はローマが作り出した狂信者。箍の外し方を知らない。外そうともしてない……でも徐々に自我を持ち始めてる」フンフン・・・

元帥閣下「……オマエも、物好きな女だ。態々敵の部隊を丸々捕虜後保護しているのだったか」ジー・・・

ローラ「実力主義にありけるの。そういう意味で、もう一人……協会(時計塔)と教会、両方に所属しようと考えてる嘱託魔術師の娘」クイッ

エリザード「は? オマエの下に居るのに態々協会の方にも顔を伸ばす意味は? 魔術師として大成したいのか?」キョトン・・・

ローラ「さぁ。でもある種の『学歴社会』と勘違いしてる節がありけるの……化けたら化けたで、いとおかしけるわ」ニヤニヤ・・・

エリザード「時計塔(あそこ)は指導者次第だからなぁ。間違って貴族派の教授講師に当たったらアウトじゃないか」フム・・・

元帥閣下「私からしてみれば、あの胡散臭い機関を一刻も早く英国外に追放したいのだがな……で、もう一人は?」ジー・・・

ローラ「あら? 意外とノリノリ……えっと、もう一人は……危険で、悲しい娘。幸せを望んでる憐れな咎子」コロコロ・・・

エリザード・元帥閣下「「は?」」キョトン・・・

ローラ「……天草式十字凄教。知りたもうて?」チラッ・・・

エリザード「あー、おっぱい聖人神裂の宗派だろ? 日本カトリックの総本山……えっと、アマクサって何処だっけ?」チラッ・・・

元帥閣下「ナガサキだ。日本西部、爆心地(グラウンド・ゼロ)の一つ……一番大きな教会は大浦天主堂、だったか?」ジー・・・

ローラ「ええ。あの子の出身、コードネームは『浦上』。神裂が大浦・長崎・日本の神子(みこ)なら、あの子は……浦上天主堂の巫女」ボソッ

エリザード・元帥閣下「「???」」ポカーン・・・

ローラ「『被爆のマリア像』と『天主堂(アンジェラス)の鐘楼』……14万と9000人の御霊……それだけなら、まだ良かった」ジー・・・

元帥閣下「私に魔術礼装云々の詳細は分からないが……まだ良かった? 素人目から聞いても、大分悲惨だがまだ何か?」フム・・・

ローラ「魔術師の中に、目の当たりにした現象を留め様とする輩が居たまうの……伝承保菌者(ゴッズホルダー)、知りたもうて?」ボー・・・

エリザード「宝具の伝承者だろ。いや、でも日本のクリスチャンに? 神道(シントー)じゃなく? というかあの子が?」ポカーン・・・

ローラ「アレを宝具と呼びたもうて良いのか分からない。伝統・宗教的なモノでも無いわ。でも、あの子に内包された『アレ』は―――――」
951 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/11(土) 02:16:07.12 ID:Jl+Pe32H0

  ・・・♪〜


浦上「―――へっくちんっ!!」ブルッ・・・

ルチア「風邪ですか?」チラッ・・・

浦上「いや、うーん……誰か噂してる?」ムゥ・・・

フロリス「ははは、予想付くわ。きっと、アンタの弟くんよ」フフッ

浦上「うーん、想像付くネ。陰口とかじゃないけど、常にグチグチ言ってるから」アハハ

ルチア「……ああいう男のくせに理屈っぽい野郎は、嫌いです」フンッ

フロリス「ありゃりゃ。ざっくり言うねぇ……やっぱアニェーゼとアンジェレネを取られた妬みかい?」ニヤニヤ・・・

ルチア「と、取られてません! それに妬みでも無い! からかわないで下さいよ」ジトー・・・

フロリス「はいはい、そーですねー。あ、でもさぁ。実際真面目に話してみれば馬合うんじゃない? ルチアも知的派だし」ニヤニヤ・・・

ルチア「…………、」ウワァ・・・

フロリス「何その咋(あからさま)に嫌そうな顔……ありゃりゃ、もう完璧生理的に無理なんだな」アハハ・・・

浦上「まぁまぁ。とりあえず、次如何する?」チラッ・・・

フロリス「ん? 折角だから男呼んでみようかと思ってたけど」チラッ・・・

ルチア「なっ!? さっきと言ってる事が違いますよ!」キッ・・・

フロリス「いや、あれは主教の前だから適当に言い訳しただけで……実際はこういう経験もさせておこうかなぁって思ってたわ」ポリポリ・・・

ルチア「嫌です」キッパリ・・・

フロリス「うぇえ……ツマンネ」ジトー・・・

浦上「フロリス。確かにいきなり過ぎるヨ……この件についてはまた日を改めて、ネ」コクッ

ルチア「日を改めたって合コンなんてしません」ムンッ

浦上「ルチアも、そんなにツンケンしないの。兎に角今日は帰りましょ」チラッ・・・

フロリス「はいはい……じゃあ店出っか」テクテク・・・

ルチア「……はぁ」テクテク・・・


  ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・


ルチア「―――しかし、この階段の先があのアパートのバスルームに繋がってると考えると……難ですね」ジー・・・

浦上「ルチア。そういうのツッコんじゃ駄目だヨ」アハハ・・・

フロリス「まぁ建築家は薬キめながら此処の設計図描いてたとは思うけどな……って、上から誰か来るぞ」ジー・・・

ルチア「客ですか……一人二人で見れば気になりませんが、この狭い階段を行き来して、あの弩デカいフロアに人がギュウギュウとは」ムゥ・・・

浦上「確かに広い通路か階段作って欲しいけど……って、だからそれは言わない約束だってば」タラー・・・

フロリス「……ん? あれって?」ジー・・・

浦上・ルチア「「ん」」チラッ・・・


  カツカツカツ・・・・・


オルソラ「―――……あら」ピタッ・・・

浦上・フロリス「「あ」」ピタッ・・・

ルチア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」ギョッ・・・

オリアナ「んー?」ジー・・・

一同『…………、』ピタッ・・・
952 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/11(土) 03:06:43.35 ID:Jl+Pe32H0
ルチア「し、シスター・オルソラ……こ、これは、その」アタフタ・・・

オルソラ「……今お帰りでございますか?」チラッ・・・

フロリス「ああ、今日は早めに上がる。ルチアも居るしね」クイッ

オルソラ「あらら、残念。折角一緒に呑めるのかと期待したのに」フフッ

ルチア「え」タラー・・・

浦上「あれ? オリアナさん、下に居たんじゃないんですか?」ポカーン・・・

オリアナ「さっきまで居たわよ。オルソラがこっち来るっていうから、態々お姉さんが抜けて迎えに来たのよ」チラッ・・・

オルソラ「何とも律義にありがたい事でございますけど、私も大人。一人で来れるのに」ムゥ・・・

オリアナ「アンタ一人でこの店訪問させると毎回騒ぎ起すでしょ? 少しは自重しないさいっての」ハァ・・・

ルチア「さ、騒ぎ!? オルソラが?!」ギョッ・・・

オリアナ「そうなのよ。オルソラが何か仕出かす訳じゃないんだけど、知らない内に何人もの男達にナンパされてて喧嘩の原因に」ジトー・・・

フロリス「あははは。オルソラは断らないからなぁ」クスクスッ

オルソラ「だって、殿方の御誘いでございますもの。女性としてはお酌くらい一緒にするのが礼儀でございますよ」フフッ

ルチア「」タラー・・・

浦上「あ、ちなみにオリアナさん。今日は踊らないんですか? オリアナさん踊るんだったらもうちょっと見て行こうカナ」フフッ

オリアナ「今日はお姉さんの『箱番日』じゃないわよ。あ、でも教え子達がポール(ダンス)するわ。見てく?」ニヤリ・・・

フロリス「うーん……ルチアっち。もうちょい見てっても大丈夫か?」チラッ・・・

ルチア「」チーン・・・

浦上「……あれ? 固まってるヨ。おーい、ルチアー」ツンツン・・・

ルチア「                          あ                え、あ、はい?」フルフル・・・

オリアナ「……大丈夫? というか、珍しい顔が居るとは思ったけど……言葉通り場違いの気に当てられたんじゃないの?」ジー・・・

フロリス「そう言わないでくださいよ、姐御。私らはルチアっちの社会勉強させてたのさ」ハハハ

オルソラ「ふふふ。ああ、素晴らしき友情青春かな、でございますね」ニコニコッ

ルチア「い、いやいやいやいや……色々オカシイデス」アタフタ・・・

浦上「あールチア。一応、さっき言ったじゃん。オルソラさんも偶に此処来るって」ポリポリ・・・

オルソラ「ええ。私はこう見えてお酒やらお喋りやら、賑やかな雰囲気は大好きなのでございますよ。シスター・ルチア」クスクスッ

ルチア「そ、そこじゃない! そこじゃなくて……何故、怒らないのですか」ジー・・・

オルソラ・オリアナ「「……は?」」キョトン・・・

フロリス「ちょ、る、ルチア?!」タラー・・・

ルチア「私はシスターで、未成年なのに夜遊びをしていたのですよ。寮の門限もとっくに過ぎてる」ジー・・・

浦上「ルチア……えっと、二人ともすいません。今夜はこのくらいで」タラー・・・

ルチア「というか、同じシスターたる貴女まで……プライベートでこの様な場所に!」ムッ・・・

フロリス「ルチア、止めろよ……良いから行くぞ」アタフタ・・・

オルソラ「んー……何となく、仰りたい事は分かるのでございます……要は怒って欲しいと? ルチアってば、まぞひずむ?」ジー・・・

ルチア「ふざけないでください……見えない範囲を黙認するならまだしも、実際発見しておいてそれを咎めない大人って如何なんですか」キッ・・・

オリアナ「やれやれ。小難しい事を一々グダグダと……まぁルチア嬢の性格からするとそうなるのかもねぇ」ハァ・・・

オルソラ「ふぅ……シスター……いえ、ルチア。こういうのを、理屈で考えてはいけないのでございますよ。疲れるだけです」ジー・・・

ルチア「っ」ギリッ・・・

浦上「る、ルチア、行くヨ」クイッ・・・

フロリス「ったく……何でこうなるかなぁもぅ」グデェ・・・
953 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/11(土) 03:59:45.12 ID:Jl+Pe32H0
オリアナ「お固いヤツだとは思ってたけど……いや、融通が聞かないのかしら」ヤレヤレ・・・

フロリス「ぶっちゃけ姐御とは真逆の人間ですからね」ボソッ

ルチア「……何とでも言えばいい。だけど、私は納得いかない。子どもを叱るのは大人の義務でしょう」ジー・・・

オリアナ「アンタねぇ……これだから灰色の青春送ってきたガキは面倒臭い」ジトー・・・

オルソラ「オリアナ、少々静かに。ではルチア……一つお説教を。今、貴女はプライベートで此処に居るのでございましょう」ジー・・・

ルチア「……はい」コクッ

ルチア「ええ……ですが、門限を破り、あまつさえ未成年の分際で夜遊びをしていました」コクッ

オルソラ「今此処で懺悔は聞きたく無いのでございます。それより、私に対しても個人(プライベート)として向き合って下さい」メッ

ルチア「……はぁ」ジー・・・

オルソラ「ルチア……賢しいフリをしないで欲しいのでございますよ」ジー・・・

ルチア「は?」キョトン・・・

オルソラ「何を偉そうに、規則を破ったから自分を叱れなどと。子どもの言う事ではございません」ハァ・・・

ルチア「っ」ピクッ・・・

オルソラ「そのくせ、こう言われれば青筋を立てる。子供扱いして、と腹立っているのでございましょう? なんて、矛盾」ジトー・・・

浦上「お、オルソラさん」タラー・・・

オルソラ「大人の条件の一つとして『寛容さ』というモノがあると、私は考えるのでございます……貴女にはそれがない」チラッ・・・

ルチア「…………、」グッ・・・

オルソラ「聖職者だから? 魔術師だから? 申し訳無いのでございますが、神の下では皆人間風情(平等)でございますよ」スッ・・・

オリアナ「要は、人間だったら俗っぽくてOKって事。それともお嬢さんは神様か天使様にでもなりたい訳かしら」ジー・・・

ルチア「そ、そんなおこがましい事、考える訳が無い」フルフル・・・

オルソラ「だったら、人でありなさい。貴女はもう駒じゃない。自分の考えを持って生きるべきでございましょう」コクッ

ルチア「…………、」グッ・・・

オルソラ「少なくとも、貴女の隊長さん……いえ、妹分達は自分の『人生』を探そうとしているのでございますよ。貴女と違って、ね」ヤレヤレ・・・

オルソラ「駒で居る方が楽なのは分かる。だから強制は出来ないけど……今は規則や聖書よりも大事にすべき事があるんじゃなくて?」チラッ・・・

浦上・フロリス「「…………、」」ジー・・・

ルチア「…………、」ムゥ・・・

オルソラ「まずは親しい者から人間らしさ……いえ、人間臭さを学ぶべきでございます。それがルチアの為となるでしょう」フフッ

ルチア「…………、」ジー・・・

オリアナ「やれやれ。理解はしても納得はしたくない、と。態々自分を苦しめる子ねぇ。この先辛いわよ」ハァ・・・

ルチア「……もう、何が正しいのか分かりません。悪い事が正しい? 規律が悪い事?」ジー・・・

浦上「ルチア……深く考え過ぎだヨ。もう帰って休もう」スッ・・・

ルチア「……はい」ショボン・・・

オルソラ「あらら……少々苛め過ぎたのでございます。申し訳ございません、ルチア……でも間違った事は言ってませんからね」ペコッ

ルチア「…………、」ジー・・・

オルソラ「あ、そうだ。言い忘れていたのでございますけど……朝帰りだと思ってましたので、寮の鍵は閉めたのでございますよ」サラッ・・・

ルチア「……へ」ピタッ・・・

オルソラ「明日の朝5時までは飽きませんよ。という訳で、後は宜しくお願いするのでございます。浦上、フロリス」ニヤリ・・・

ルチア「」ボーン・・・

浦上・フロリス「「あ、あはははは……、」」タラー・・・

オリアナ「……アンタもやる事エゲツないわね」タラー・・・
954 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/11(土) 05:39:00.53 ID:Jl+Pe32H0
ルチア「はぁ……何かもう……如何にでもなれ」ドヨーン・・・

浦上「あ、ルチアが壊れた」ジー・・・

フロリス「よしっ! そんじゃもう一軒、お店変えて呑み直しか! 誰呼ぼっかなぁ」ニヤリ・・・

ルチア「も、もう勘弁して下さい……あぁでも帰る場所が無い……久しぶりに野宿か」トボトボ・・・

浦上「ダイジョブダイジョブ。そうだ! 今日はフロリスん家でお泊まり会って事で! 呑むなら宅呑みネ」ニヤリ・・・

フロリス「そうそう大丈b……うぇ!? う、ウチ!?」ギョッ・・・

浦上「うん。駄目?」ジー・・・

フロリス「い、いやいやいや……何でウラっちの家じゃないの? おかしいっしょ!」アタフタ・・・

浦上「私、天草の同僚とルームシェアしてるし。ドタドタ帰ったら迷惑だもん。同じアパート内に居る同僚にも気付かれるしネ」キッパリ・・・

フロリス「い、で、でもさぁ……マジで?」タラー・・・

浦上「フロリス、アパートで一人暮らしでしょ。しかも周りの住人の顔知らないって言ってたじゃん」ニヤニヤ・・・

フロリス「ぐっ……う、ぃ……る、ルチアっちは、遠慮しちゃうよなぁ」チラッ・・・

ルチア「寝れるなら狭かろうが汚かろうが構いません。どうせ宛てないですし飲み屋でオールするくらいなら貴女の家の方が安心ですね」サラッ・・・

浦上「という訳で、目的地決定! ささっ、行きましょ」フフーン♪

フロリス「い”っ……へ、部屋入る前に、ちょっとだけ、待っててくれよ」ハラハラ・・・

ルチア「そんなに汚いのですか?」ジー・・・

浦上「違うヨ、ルチア……見られちゃ拙いモノとかあるんじゃないカナ? というか今現在、男上がり込んでるとか」フフフ・・・

ルチア「…………、」ジトー・・・

フロリス「な、無ぇよ! 私は自分家に男泊めないっつの! ただ、ちょっと……あーもう! 兎に角、泊める条件だ! 良いな!?」ムググ・・・

浦上「はーい」ニヤニヤ・・・

ルチア「……我儘は言いませんよ。しかしそこまで隠されると、奈何せん興味が沸いてしまいますね」フフッ・・・

フロリス「はぁ……あんまりだわ―――」トボトボ・・・


 カツカツカツ・・・・・


オリアナ「―――……随分と、辛く当たるじゃない。珍しいわね」チラッ・・・テクテク・・・

オルソラ「ルチア(あの子)に対して怒ろうとする人間が居ませんから……誰かが叱らないと」コクッ・・・

オリアナ「悪い事してないのに叱られる、ねぇ……ルチア嬢、相当参ってるんじゃないかしら?」フフッ

オルソラ「そうでなくては困るのでございますよ。あのままでは、駒である事を『選択』する人生を歩んでしまうのでございます」ジー・・・

オリアナ「選択? 駒を? 何それ」テクテク・・・

オルソラ「あの子は俗っぽい生き方も理解出来ています。ただその生き方を侮蔑している。堕落だ、快楽主義だ、退廃だと吐き捨ててね」コクッ

オリアナ「まぁそれがいつものルチアちゃんね……でも、理解してる? お姉さんにはそう見えないけど」フム・・・

オルソラ「あの子は賢いから、体験しなくても書物などの情報だけで娯楽や風俗を理解してしまうのでございます」ハァ・・・

オリアナ「んー、でもそれって所詮理解した『つもり』じゃないのかしら? さっきの見る限り、分かってなかった様に思えるけど」チラッ・・・

オルソラ「分かった上で、納得していないのでございます。意固地にも、幼少時より植え付けられた強迫観念……禁欲主義によって」ムゥ・・・

オリアナ「植え付けられたっていうより、変な解釈したんじゃないの? 流石のローマも禁欲主義なんて強制しないでしょうに」タラー・・・

オルソラ「何にせよ、自分を律する事が美徳であり、それが全てと解釈している時点で個人的幸福に制限を掛けているでのございます」ハァ・・・

オリアナ「そんなの、見過ごしちゃえば……冗談よ。睨まないで頂戴。オルソラの考え方は理解してるつもり」ポリポリ・・・

オルソラ「例えルチアであっても、せめて未成年の内は『子ども』として生活して貰いたいのでございます。甚だお節介でしょうけど、ね」ジー・・・

オリアナ「折角自由になったのだから機会を捨てるな、って事ね……良いんじゃないかしら? 機会の『平等』を教える事は大事よ」フフフ・・・

オルソラ「ええ、歳相応人並みの自由を。シスターだって人間でございますもの。願わくば、あの子にも少女らしい青春時代を……ね――――」
955 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/11(土) 05:45:27.85 ID:Jl+Pe32H0
短いけど、一旦切ります。多分、今夜また続き書くつもりです……次回で終わるかな。

<今後の方針について!>
・リアルが忙しいので、次スレについては未定です。需要があればトローリトロリ書くかもしれませんが……とりあえず未定です。

・余談ですが親戚が、単発で久しぶりに『アフター』モノ書くかもって言ってました。もしかして最後にアンケ協力お願いするかも。

以上、ではまた次回! ノシ”
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 09:35:54.71 ID:pnTNUVKz0
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/12(日) 23:08:25.05 ID:R6aQdqHu0
乙です
958 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/02/17(金) 23:07:58.16 ID:rk2d16fh0
こんばんわ。久しぶりにボチボチ書きます。

959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 23:12:07.96 ID:bWg6jPuZo
まだかなと書き込もうとしたら来てたww
960 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/18(土) 00:05:36.95 ID:rg0oU/F/0
 ―――とある半休日、PM10:30、英国、ロンドン市街、ランベス周辺・・・・・



   パタパタ・・・しーん・・・・・



ルチア「―――……はぁ」テクテク・・・

浦上「んー? どしたの?」チラッ・・・

フロリス「まーださっきの事気にしてんのかしら? この頭でっかちん」テクテク・・・

ルチア「……別に」ムスー・・・

浦上「にゃははは。ま、ルチアの事を子供扱いする人ってのも珍しいからネ」フフッ

ルチア「子供扱いというか、何というか……しかし、修道女にあるまじき考えだと思いますよ」ムンッ

フロリス「はいはい、シスターシスター。でもさぁ、ぶっちゃけ禁欲が過ぎる人間ってのも胡散臭いと思うわよ?」チラッ

ルチア「如何思われようが構いませんよ。『私の中』にある主の教えが全てです」キッパリ・・・

フロリス「ったく……大概、自己中かもしれないわね」ヤレヤレ・・・

浦上「ある種の精神的超人かもネ。厄介であると同時に、美徳だヨ」フフッ

ルチア「……それより、フロリス。貴女の家は何処なのですか? もう橋を渡ってランベスの方まで来ましたよ」ジー・・・

フロリス「口頭説明どうも。私ん家はグリーンランドドッグの方さ。もうちょい歩くよ」クイッ

ルチア「また中途半端な所に家を置いてますね……因みに、一人暮らしを?」フム・・・

フロリス「ええ。再開発地区の辺りだから外装も新しくなった綺麗なアパートよ。そこまで広くは無いけど、何とか三人は寝れる」ニヤリッ

ルチア「ふむ……別に、広い狭いは気にしませんよ」コクッ

浦上「そんじゃー宿泊費は?」フフッ

フロリス「宿泊費? 45£(約5,500円)のところ、40£にまけてやるよ」ヒヒッ

ルチア「……がめつい」ジトー・・・

フロリス「ははは。冗談だって。とりあえず部屋入る前に片付けだけさせてくれ。それが条件だ」クイッ

浦上「むむむっ。ルチア警部。ホシは家宅捜索が入る前にブツを隠す気ですヨ」ヒソヒソッ

ルチア「…………、」ジトー・・・

フロリス「べ、別に見られちゃ拙いモノってのは無いんだけど! ただほら! 淑女の嗜みっつーの!? それだよ、それ!!」アタフタ・・・

ルチア「フロリスの口から『淑女(レディ)』などという言葉が出るとは……やはり何かあるんでしょうね」タラー・・・

フロリス「無ぇよ! 変な勘繰りすんな!」ムガー!

浦上「はいはい、生温かい目で見守る準備しときますネー」ニヤニヤ・・・

フロリス「ぐっ……この女郎」ムギギッ・・・

ルチア「ふふっ……ところで、フロリス。少々尋ねてもよろしいですか」ジー・・・

フロリス「あ? PCは使わせないぞ。履歴とか調べられんのは流石に嫌だからな」ジトー・・・

ルチア「んな真似しないっつのボケ……ではなく、アパートの家賃は自分で?」チラッ

フロリス「当たり前じゃん。何でそんな事聞くのよ?」フムッ?

ルチア「いえ、その……もしかして親が出してるのかなぁと」ポリポリ・・・

フロリス「んな訳あるかっつの。親の反対押し切って一人暮らししてる以上は自分で生活費やりくりしてますよーだ」ヘーンッ

ルチア「……ほぉ」キョトン・・・

浦上「ふふっ。案外、フロリスはそゆとこ真面目だヨ。家出少女っぽいのは否定しないけどサ」クスクス・・・

フロリス「家出じゃないし、勘当でもねぇよ。一人暮らし社会勉強だろっつって親黙らせたんだ。それに……仕事もし易いしね」フンッ

ルチア「…………、」フーン・・・
961 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/18(土) 00:47:07.23 ID:rg0oU/F/0

  数十分後・・・・・


フロリス「―――あいよ。到着」クイッ

ルチア「……此処が、立派?」タラー・・・

フロリス「学生の一人暮らしって考えれば立派なモンだろ。ルチアっち、高望みはらしくないわ。贅沢病?」ジトー・・・

ルチア「いえ、ただその……普通ですね」ジー・・・

フロリス「オマエんとこ(ランベス女子寮)が立派なんだっつの。てか公務員(魔術師)の社宅と比べんなし」フンッ

浦上「まぁまぁ。乏してる訳じゃないんだから。フロリスが大豪邸かの如く期待させる様な言い方したのが悪い」アハハ・・・

フロリス「むぅ……ま、良いや。こっちだ」テクテク・・・


  わおーん・・・・・


フロリス「……さて、ちょいと待ってろよ。5分で片付ける」ガチャッ・・・バタンッ

浦上「そんなに焦らなくても良いのに……マジで見られるとヤバい物とか置いてたのカナ」ニャハハ・・・

ルチア「…………、」ハァ・・・

浦上「それにしても、酔い覚めちゃったネ。ルチアは?」チラッ

ルチア「元々酔ってませんから」サラッ

浦上「あははは。お酒強いんだネー。ところで、誰かん家にお泊まりするのは初めてなんでしょ?」ジー・・・

ルチア「ええ。アパートに泊まるのも初めてですね。任務を除けば、今まで寮やら宿舎が殆どでしたから」コクッ

浦上「ローマに居た頃も?」キョトン・・・

ルチア「何度か引っ越しはしましたけど、基本全寮制です」ジー・・・

浦上「引っ越し? 寮なのに?」ポカーン・・・

ルチア「……色々あったんです」ボソッ

浦上「んー、そこまで言っといて言わないのは卑怯だなー」ツンツン・・・

ルチア「……詮索屋は嫌われますよ」フンッ

浦上「隠し事ばっかする子も嫌われるヨ」フフッ

ルチア「…………、」ハァ・・・

浦上「じゃあ当ててみようか……純粋に、子ども用ベットとかじゃ寝られなくなったとか」ピンッ

ルチア「それは、当たりです。流石に10にも満たない歳の頃とは体格も変わりますからね」コクッ

浦上「あとは……男の子と別部屋にされた」ニヤッ

ルチア「それについては、初めから別個でしたよ。孤児として拾われてくる子どもは男女共に居ましたが、別々に育てられましたから」コクッ

浦上「へぇ……あとは……分かったけど、言わないでおこう」ジー・・・

ルチア「え」キョトン・・・

浦上「アニェーゼが言ってた事、思いだしたんだヨ……虐待とかあったんでしょ?」チラッ

ルチア「あの子も余計な事をベラベラと……まぁ、馬鹿な司教やら聖職者は居ますからね」ジー・・・

浦上「ローマ内部の虐待事情は酷いって聞くからネ」フム・・・

ルチア「聞いているなら知っているでしょうけど、部隊の子の数名も被害者です……その度、私がその子と部屋を変えたり変わったり」ハァ・・・

浦上「え!? わ、態々ルチアが?!」ギョッ・・・

ルチア「私は年長者ですから……無論、虐待の証拠を取る為に部屋の入れ換わりをしたまでです。私が司教に犯された事はありませんよ」フフッ

浦上「……怖くなかったの?」ジー・・・

ルチア「怖いに決まってるでしょう。だけど、年下の妹達が泣いているのを黙って見過ごせませんから」キッパリ・・・
962 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/18(土) 01:09:42.06 ID:rg0oU/F/0
浦上「おー……っべー。惚れたヨ」キラキラ・・・

ルチア「馬鹿な事言わないでください。年長者として当然の事をしたまでです」ハァ・・・

浦上「いやいや、ルチアは強い娘だネ。私感動しちゃったヨ」グッ・・・

ルチア「ったく……『拠り所』を壊されたくなかっただけですから。ただそれだけの事」ポリポリ・・・

浦上「ふむふむ。部隊が『拠り所』かぁ……いや、大事な家族カナ」フフッ

ルチア「ええ……私には、そこしかありませんから」ジー・・・

浦上「……ありゃりゃ」フゥ・・・

ルチア「それにしても、フロリス」チラッ・・・

浦上「あ、うん。ちょっと遅いかも。インターホン鳴らしてみる」ピンポーン・・・


フロリス『―――……て! ちょい、まだだ! あとちょっとだけ!』バタバタ・・・

浦上「あー、手伝うヨ。見られても気にしないならネ」ハァ・・・

フロリス『気にする! 超気にするから待ってくれ! あと3分、いや1分半で良い!』アタフタ・・・


浦上「……だってさ」ヤレヤレ・・・

ルチア「仕方ありませんね」フフッ


 わんわんおーん・・・・・


フロリス「―――……お待たせ」ガチャッ・・・

浦上「ホントに大丈夫? 使用済みのコンドームとか転がってたらルチアに殺されるヨ。あと『玩具』とかも」チラッ

フロリス「だーから、この家に男は上げないって言ってんだろ! あとマス掻くのに玩具なんぞ使わんわ!」ムガー!

ルチア「大声でそういう事ベラベラ喋んなこの淫売娘共! 見つからなくても殺してやろうか?」ギロッ・・・

浦上「にゃはは。そうカッカしないの。さ、お邪魔しよー」テクテク・・・

フロリス「はいはい、狭い処だがどーぞ」クイッ

ルチア「……ハァ」ヤレヤレ・・・


 しーん・・・・・


浦上「……え? 特に何も無いじゃん」キョトン・・・

フロリス「ま、まぁな」アハハ・・・

ルチア「……クローゼットがパンパンなのは何故でしょうか? とは、ツッコみませんよ」チラッ

フロリス「い、言うなよ! と、兎に角ベッドに2人。ソファに1人寝れる。OKだろ」ムンッ

浦上「はいはい、OKでーす……ところでベッドの下がゴチャゴチャしてるのは何で?」ジー・・・

フロリス「み、見るな! 別に変なモンは無いけど、とりあえず汚いから見るな!」アタフタ・・・

浦上「うふふふっ……フロリスがシャワー浴びてる最中がチャンスだネ」ニヤニヤ・・・

フロリス「ぐっ……泥棒みたいな真似を」タラー・・・

浦上「あはっ。冗談だヨ。さて……如何する? 呑み直す?」チラッ

ルチア「……まだ呑む気ですか?」ジトー・・・

浦上「あらら。ルチアがその気じゃないみたい」フゥ・・・

フロリス「まぁ買い置きも少ないし、ジュースと菓子で良いんじゃね。その前にシャワーか?」チラッ

浦上「そだネ。あ、その前に寝巻貸して貰える?」ポリポリ・・・

フロリス「はいはい、2人分な……あ! 折角だし、ルチアっちに……ふふふっ」ニヤニヤ・・・
963 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/18(土) 01:30:37.31 ID:rg0oU/F/0

 にゃーん・・・・・


フロリス「―――……っと、これとこれで良いか」ドサッ

ルチア「……寝巻やらジュースやらお菓子やら……一気にアンジェレネの部屋の様になりました」ハァ・・・

フロリス「も、文句言うなよ。普段は誰も見ない部屋なんだしさ」ムゥ・・・

浦上「分かる分かる。人に見られない生活してると雑になっちゃうよネ」ニャハハ・・・

ルチア「まったく、生活習慣病になりますよ」ヤレヤレ・・・

フロリス「大丈夫大丈夫。食生活と運動には気ぃ使ってるからな」ムンッ

ルチア「はいはい……ところで、この音は?」チラッ

フロリス「え? 風呂場からだな……あれ?」キョトン・・・

浦上「ああ、ごめんごめん。おトイレ行ってきたついでにお風呂沸かしてきた」フフッ

フロリス「おま、人ん家で勝手な真似を」タラー・・・

浦上「まぁまぁ。今度何か驕るから」ニヤニヤ・・・

フロリス(……何か考えアリ、と)フム・・・

ルチア「ふむ。神裂といい貴女といい、日本人は湯船(バス)に入るのが好きですね。流石温泉(スパ)郷出身者」ジー・・・

浦上「スパじゃないけど、お風呂が嫌いな日本人は居ませんヨ。さて……それより」チラッ

ルチア・フロリス「「ん?」」キョトン・・・

浦上「順番、如何する?」クイッ

ルチア「……私は最後で構いませんよ。泊めてもらってる身分ですし」ポリポリ・・・

フロリス「いやいや、私こそホストなのに客人より先に入る訳にゃいかんて。つーか風呂沸かしてんなら普通ウラっち最初じゃね?」ジー・・・

浦上「……日本人ダカラ謙遜シトキマス」フフッ

フロリス「何だそりゃ……まぁしゃーない。ジャンケンだ」スッ・・・

浦上・ルチア「「ん」」コクッ・・・

フロリス「せーのっ……―――」


@別個にお風呂!

A三人でシャワー!

B三人でバスタブ!



      >>965

964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 03:46:49.39 ID:QUiUZHWio
1?
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/02/18(土) 04:24:25.64 ID:gwngATOAO
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/02/18(土) 20:00:18.20 ID:2UaWOruu0
1
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 08:25:20.37 ID:Z+3nOAADO
(´・ω・`)
968 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 16:27:08.36 ID:eX1hS7A90
遅れてすいません、ボチボチ投下!
969 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 16:42:03.06 ID:eX1hS7A90
フロリス「―――ほいっ」パー

ルチア「んっ」パー

浦上「よっと……あらら。ねぇ、こういうのって勝った人の順から入るもんなんじゃ」グー・・・ポリポリ・・・

フロリス「言い訳がましいわよ。ウラっち一番な。てか風呂(バス)沸かしてたんだし、普通に考えりゃオマエからだろ」ビシッ

浦上「うーん、仕方ないネ……次は?」チラッ

フロリス「……ジャンケンっ」バッ

ルチア「はいっ」チョキッ

フロリス「うぃっ……うわっ。まぁしゃーないか」パー

ルチア「お気になさらず。私は最後で結構ですから」コクッ

浦上「何かゴメンネ。あ、フロリス。寝巻きは? あとタオルとか」チラッ

フロリス「タオルは洗濯機の上の棚にあるヤツ適当に使って。使い捨てのハブラシもそこにあるよ。寝巻きは準備しとくから」コクッ

浦上「はいはい。それじゃあ行ってきまーす」テクテク・・・

ルチア「あ……そういえば、換えの下着が」ピタッ・・・

フロリス「一晩くらい我慢なさいよ」サラッ

ルチア「……はぁ」ポリポリ・・・


 にゃーん・・・・・


ルチア「―――ふむ」ソワソワ・・・

フロリス「ん? どったの?」チラッ

ルチア「え、あ、いや……その」モジモジ・・・

フロリス「へ?」キョトン・・・

ルチア「…………、」ポリポリ・・・

フロリス「何だよ。ハッキリ言えって」ムゥ・・・

ルチア「……いえ、単に落ち着かないというか、何といいますか」タラー・・・

フロリス「あー、なるほど。ルチアっちって外泊で緊張するタイプっしょ」ハハハ

ルチア「いや、任務の時はそんな事無いのですが……どうも」モジモジ・・・

フロリス「ふむふむ……まぁある意味『初夜(お泊まり会初体験)』だもんねぇ」ニヤニヤ・・・

ルチア「そ、そういう言い方しないでください!」カアアァ///

フロリス「はっはっはっ! まぁでもそりゃ仕方ないさ。誰だってそういうのは緊張するって」フフッ

ルチア「……何とも」ペコッ

フロリス「でも、トイレ行きたいとかそんなんじゃなくて良かった。ま、それならそれでも良いけどね」ニヤリ・・・

ルチア「その程度なら浦上がシャワー終えるまで我慢出来ますよ。子どもじゃあるまいに」ムゥ・・・

フロリス「はいはい。しかし、ねぇ……ふむ」ジー・・・

ルチア「……何ですか」キョトン・・・

フロリス「いやぁ……ルチアっち、やっぱ純粋に眺める分には可愛いよなぁ」ハハハ

ルチア「んなぁ!?」ギョッ・・・///

フロリス「人形みたいにチョコンと座って。あといつもは凛々しいけど、今は普段と違ってモジモジしてる」ニヤニヤ・・・

ルチア「ヴぁ、馬鹿な事言わないで下さい!」ムググ・・・

フロリス「褒めてんのよ。素直に受け取りなさい」クスクス・・・

ルチア「……ったく」ムゥ・・・///
970 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 17:08:44.26 ID:eX1hS7A90

 わおーん・・・・・


浦上「―――ふぅ。お先しましたー。次どーぞ」テクテク・・・

フロリス「ん? そんじゃ先失礼するよ」スタッ・・・テクテク・・・

ルチア「ええ、遠慮なさらずに」コクッ

フロリス「あ、ウラっち。好きに冷蔵庫開けて良いからな。ルチアっちも遠慮すんなよ」クイッ

浦上「あいあいまむ」b"

ルチア「ありがとう」ペコッ

浦上「そんじゃー……オレンジで良いや。ルチアは?」チラッ・・・ガチャッ・・・

ルチア「同じのを……それより、浦上」ジー・・・

浦上「んー? 何々?」バタンッ

ルチア「……何故、下着姿のままなのですか?」ジトー・・・

浦上「え? うーん……へ?」ポカーン・・・

ルチア「いや、『何言ってんの?』みたいな顔されても。こっちがしたいくらいですって」タラー・・・

浦上「だって男相手じゃないし、知らない仲でも無いし……気になるの? あ、はい、コップ」コトッ

ルチア「どうも……気になる、というより女性として如何なものかと」フム・・・

浦上「別に男性の前って訳じゃないんだからサ。それとも、何かい? ルチア、やっぱ『そっちの気』あるとかぁ?」ニヤニヤ・・・

ルチア「ぐっ……貴女達は如何してそう、捻くれた応えを」グヌヌゥ・・・

浦上「あははは、ジョーダンだヨ。ま、友達に見られても減るもんじゃないしネ。それに……、」チラッ

ルチア「はい?」キョトン・・・

浦上「……フロリス、寝巻きの準備するの忘れてシャワー浴びに行っちゃったヨ」ハァ・・・

ルチア「……なるほど」ハハハ・・・

浦上「仕方ない、勝手に探そっか」スッ・・・

ルチア「うぇ!?」ギョッ・・・

浦上「良いの良いの。私、何見ても気にしないし」ニャハハ

ルチア「い、いや、その……拙いのでは? 色々仕事のモノとかプライベートのモノとかがしまってあるのでは」タラー・・・

浦上「仕事のモノは素人目に付く様な場所に置かないでしょ。プライベートのモノは……ダイジョブだって」ニヤリ・・・

ルチア「いやいやいやいや。駄目でしょ」ダラダラ・・・

浦上「良ーの。だって前フロリスが私ん家泊まりに来た時、色々覗いて帰りやがったしぃ……仕返し的なアレですって」フフフ・・・

ルチア「…………、」ハラハラ・・・

浦上「とりあえず、一声掛けとけばおk。おーい、フロリスー。勝手に寝巻き探すヨー」テクテク・・・

フロリス『え? 何、聞こえなーい』ジャアアアアァ・・・

浦上「寝巻きー! クローゼット開けるネー!」スッ・・・

フロリス『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞こえなーい! とりあえず勝手にしてー』ジャアアアァ・・・

浦上「はーい」ニヤリ・・・

ルチア「……い、良いのでしょうか」タラー・・・

浦上「おkおk。そんじゃー御開帳ー……さぁて、何か面白いモノないかなぁ」ガチャッ・・・ニヤニヤ・・・

ルチア「…………、」タラー・・・

浦上「ふむふむ、真面目な勉強道具……あ、この香水良いなぁ……うひょー大胆! 見てルチア! スケスケアミアミの穴あき!」キャッキャ!

ルチア「あ、あはははは……(まったく……この2人は)」タラー・・・
971 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 17:48:07.64 ID:eX1hS7A90

 ホー・・・ホー・・・・・


浦上「―――うーん、でもこのショーツ、引く人引くよネ……如何思う?」マジマジ・・・

ルチア「さ、さぁ。穿こうと思わないので」タラー・・・

浦上「んー……じゃあチョコッと穿いてみ」ニヤリ・・・

ルチア「い、嫌ですよ! そんな破廉恥なの」カアアァ・・・///

浦上「えー。似合うと思うのにぃ」ブーブー

ルチア「似合う似合わないの問題じゃないでしょう。というかそろそろしまわないと……フロリスが上がってきますよ」ハァ・・・

浦上「あ、そだネ。さっさと寝巻き探さないと―――」


 ガチャッ・・・・・


フロリス「ふー……風呂上りに野菜ジュースっと……って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」ピタッ・・・

ルチア「あ」ピタッ・・・

浦上「―――……あちゃ」タラー・・・

フロリス「……浦上くん。何、してんのかな?」ジー・・・

浦上「ええっと……寝巻き探し?」アハハ・・・

フロリス「その、手に持ってるのは?」ギギギギ・・・

浦上「あー……くぱぁ」アナーキー・・・

フロリス「」プツッ・・・///

浦上「あ、あわわわぁ……る、ルチアがフラグ建てるからぁ!」アタフタ・・・

ルチア「私の所為!?」ギョッ・・・

フロリス「浦上テメェ!! 人のクローゼット勝手に開けてんじゃねぇよ! しかも、それ……そ、それぇ!!」ウガアアァ///

浦上「えっと……ごめんなさい」クパァ♪

フロリス「止めろ変態女ぁ! 大人しく死ねええええぇ!!」カアアアァ///

浦上「こんなの持ってる方が変態だヨ! って、ぎゃー! せめて髪乾かして下着穿いてから襲いかかれー! この痴女ー!」キャー!

フロリス「うっさい! アンタのラバーボンテージに比べりゃマシだああぁ!!」ギャーギャー!

ルチア「ら、ラバー……何に使うんですか」ハラハラ・・・

フロリス「何ってナニだろ、って言わせんな馬鹿恥ずかしい!」ウギャー!

浦上「やーい、自爆してやんのー。って、髪乾かしてからチョーク掛けろー! ベタベタするー!」ベタッ・・・

フロリス「喧しい! こんのぉ! どうしてアンタは毎度毎度そうやって私の家の中を探索しようとするかなぁ!」グギギィ・・・

浦上「ぐへぇ……だ、だって、来る度、エッチぃ下着が増えてるから……友人として、チェックを……うきゃぱっ!」バシッ!

フロリス「んな事求めてねぇわ! レッサーみたいな事すんじゃない!」ギリギリ・・・

ルチア「あ、え、と……シャワー、お借りしますね」イソイソ・・・

浦上「ぎゃー! 助けろー!」ジタバタ・・・

ルチア「自業自得でしょう……頑張れ」トコトコ・・・

浦上「薄情者ー! っとわぁ! 耳引っ張るなぁ!!」イデデデェ!

フロリス「反省しろー! あと、いい加減そのショーツから手を離せ馬鹿女郎っ!」グリグリ・・・

浦上「フロリスが先に手ぇ離してー! ぐるじぃ!」クパァ・・・

フロリス「だからドサクサ紛れて穴の部分広げてんじゃねぇボケナス!!」ウガアアアァ///

ルチア「……ははは」トコトコ・・・
972 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 18:22:39.23 ID:eX1hS7A90

 ぬぉ〜・・・・・


フロリス「―――ぜぇぜぇ……次、勝手に覗いたら、アンタの家にあるショーツ、全部穴開けるからね」グデェ・・・

浦上「―――はぁはぁ……そんな事したら、フロリスの下着を、全部お子様プリントかドロワーズに変えといてやるヨ」グデェ・・・

フロリス「チッ。抜かしおる……あ、そういえば寝巻きだったわね……ジャージで良い?」ヨイショッ・・・

浦上「何でも良いヨ……ルチアのは如何する?」ピクッ・・・

フロリス「え? 何か適当に……ん!」ピクッ・・・

浦上「フロリス……ねぇ」ニヤリ・・・

フロリス「おぅ……そうねぇ」ニヤニヤ・・・


 ガチャッ・・・・・


ルチア「……あの、すいません。寝巻きを此方まで持ってきて貰えませんか」イソイソ・・・

フロリス「―――あ、ちょい待った……コレじゃなくコッチにしようよ!」バッ・・・

浦上「―――いやいや、コレの方が……大丈夫だって! ルチア、普段から結構大胆な下着とか着てるし!」グイッ・・・

ルチア「え? あの……もしもし?」キョトン・・・

フロリス「はいはい今行く。てか女同士なんだから下着のまま出てきても良いよ。気にされると私達まで気にするんだぞ……ほれ」テクテク・・・スッ・・・

ルチア「すいません、こういう泊まりに慣れていないので。ありがとうございます―――」コクッ・・・

浦上・フロリス「「ふふふふ……、」」ニヤニヤ・・・


 ブーン・・・・・


ルチア「―――ってぇ! 何じゃこりゃあああぁ!!」ガチャッ・・・

浦上「あ、下着のまま飛び出て来た」チラッ

ルチア「こ、こここ、これ! ね、寝巻きじゃないでしょ?! てか下着です!」バッ!!


※参考 ・・・・・ http://item.rakuten.co.jp/sexyqueen/sq1110301010/


フロリス「いやいや、一応ベビードールだから寝巻きだって」ニヤニヤ・・・

ルチア「肌が隠れません! 下まで隠れません!」ウガアアァ!!

フロリス「そりゃルチアっちの方が私よりお胸が大きいから仕方ないよ……言ってて虚しくなってきた」ハァ・・・

浦上「ていうか、ルチアのその下着姿に比べたら幾分かマシだと思うけどネ。そのガーターベルトって下着にくっ付いてるタイプなんだぁ」ヘー

ルチア「わ、私の下着云々は如何でも良いのです! 兎に角丈が足りない! てか、貴女達パジャマ着てるのに何で私だけコレ!?」ギロッ・・・

フロリス「いやぁパジャマが2人分しか無くてさぁ」ニヤニヤ・・・

ルチア「だったら譲って下さい! フロリスがコレ着れば良いでしょう? 貴女のなんだから!」ギリリ・・・

フロリス「えー、だって寒いしぃ」ブーブー

ルチア「私だって寒いです! お願いですから普通の寝巻きを下さいよぉ」ジー・・・

フロリス「うーん……(まぁ恥ずかしがるルチア見れたから良いか?)」チラッ

浦上「(そだネ。満足ですヨ)……仕方ないネ。フロリス、いつものレギンス一枚出して穿いちゃいなヨ」ニャハハ・・・

フロリス「やれやれ。じゃあ私のコレ着なよ」ヌギヌギ・・・

ルチア「ありがとうございます……はぁ」ホッ・・・

浦上「ふふふふ……困ってる時のルチアは可愛いなぁ。でもソレ着たルチアはもっと可愛かっただろうなぁ」ニヨニヨ・・・

ルチア「ちゃ、茶化さないで下さい」ンモー・・・///
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 18:59:54.79 ID:OgTZTpUDO
キテターーーーーーー!!
974 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 19:22:47.43 ID:eX1hS7A90
 ―――とある休日、AM00:10、英国、ロンドン市街、グリーンランドドッグ周辺、フロリス宅・・・・・



  やんややんや・・・・・



ルチア「―――……はぁ」ホッ・・・

フロリス「ルチアっちぃ。その溜息は何の溜息だね?」チラッ

ルチア「え、いや、特に意味は……とりあえず落ち着いたかなぁと」コクッ

フロリス「ふむふむ……ま、今日はずっと気ぃ張ってたから仕方ないか」ニヤリ・・・

ルチア「すいません」ポリポリ・・・

浦上「いやいや。連れ回したのは私らだしネ。んで、こういう日常は如何ヨ」ゴローン・・・チラッ

ルチア「……如何なんでしょう」フム・・・

フロリス「まぁ疲れただろうけど、その他には?」ジー・・・

ルチア「……新鮮でしたね。まるで別の世界で暮らしている様でしたよ」ハハハ

浦上「ふふっ。ルチアは、ある意味風韻としてるからネ……でも、偶には俗っぽくなっても良いと思うヨ」ニカッ

ルチア「…………、」フム・・・

フロリス「んー、その表情から察するに、まだ抵抗あると?」ジー・・・

ルチア「抵抗、という訳ではないのですが……私には向かない、と考えてしまいます。日中一緒に過ごして、貴女達も感じたでしょう」ジー・・・

浦上「いやいや、向き不向きじゃないっしょ。こういうのに理屈持ち込んじゃ駄目だヨ」ビシッ

フロリス「勿論、私ら程俗っぽくなれって言ってる訳じゃないんだからさ。何つーのかねぇ……自分なりの羽目の外し方っての?」コクッ

ルチア「……如何なのでしょう」ムゥ・・・

フロリス「今までみたいに、休日は部屋の中で引き籠って聖書と右派新聞読んでるだけの生活よか清々しいと思うわよ」クイッ

浦上「じゃあ敢えて助言というか忠告しとくと……日常・プライベートに理屈捏ね出すと、香焼みたいになるカナ」フフッ・・・

ルチア「うっ……そ、それは、嫌ですね」タラー・・・

浦上「でしょ。だったらもう少し『人並み』ってのを経験しなきゃ……今までして来なかった分、ネ」ツンツン・・・

ルチア「……努力します」ペコッ

フロリス「いつでも誘って頂戴。極力都合合わせるから。自分から言うのが難だったら、私達から誘うしね」クスクスッ

ルチア「ええ、ありがとう」フフッ

浦上「……さーて、そんじゃーこれから如何します?」ニヤリ・・・

ルチア「そんじゃーって、もう深夜回ってますよ……また何処か行く気ですか?」タラー・・・

浦上「いやいや、そうじゃなくて此処で何しよっかって話。部屋の中でーって事だヨ」フフッ

フロリス「んー、とりあえず寝るスペースは準備したから……ゴロゴロ酒飲むか?」スッ・・・

ルチア「ま、まだ飲むの?」エ・・・

フロリス「もう酔い覚めただろ? ルチアっち、まだキツいの?」チラッ

ルチア「そういう問題ではなく、今飲んだら明日に残りますよ。酒気帯びたまま寮に帰るのはちょっと」ポリポリ・・・

浦上「気にすんなーって。明日、というかもう今日だけど、休みでしょ。グダグダして明日の昼頃帰れば大丈夫!」ニヤリ・・・

ルチア「そんな不健康で不健全な生活スタイルは出来ませんよ」ジトー・・・

フロリス「だからさぁ、たかが一休日くらいゴロゴロしてたって誰も咎めやしないって。それ否定したら休日のリーマン如何なんのよ」フンッ

ルチア「し、しかしですね……私が居ないとダラしない生活を送ろうとする修道女達も居ますから」ムゥ・・・

浦上「それも気にし過ぎ。というか、ルチアがいつまでも面倒見てあげられる訳じゃないんだから、少しは自立させないと」メッ

ルチア「…………、」ピクッ・・・
975 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 20:05:11.79 ID:eX1hS7A90
フロリス「あー、それだ。チョイと気になってた点よ。他の子の自立の話」ジー・・・

ルチア「自立、ですか」ムッ・・・

浦上「そうだネ……というか、ルチアの心境は如何なの?」チラッ

ルチア「……あの子(部隊の子)達の自立について、ですか」ジー・・・

フロリス「それもだし、ルチア自身それを許すのかって事よ」コクッ

ルチア「それは勿論、部隊を離れて個人の生活を送りたいという子が居るのであれば留めませんよ。昔(ローマ時代)は別ですけどね」コクッ

浦上「それはアニェーゼの言葉? あ、フロリス、飲み物プリーズ」フム・・・

フロリス「はいはい……昔ってかローマの頃は、逃亡罪っていうか背徳罪扱いされたから駄目ってんだろ?」テクテク・・・

ルチア「ええ。ですが、今の方針は個人を優先させています。無論、隊長の言葉であり、私も賛同してますから」コクッ

浦上「でも離れる子は居ない。良く言えば結束力が強いんだろうけど、悪くいえば今も心の何処かで旧体制に縛られてるって事じゃない?」フム・・・

ルチア「それは、分かりません。個々人に聞いて回ったりはしていませんので」コクッ

フロリス「だから今更自立出来ないんだろ。今まで色々監視下に居た訳だし、今だって似た様なモンだ……ほれ」コトッ・・・

浦上「さんきゅ。今は監視っていうより保護下だろうけどネ」プシュッ・・・ゴクゴク・・・

ルチア「……あの子達なら、自分一人の力で生きていけるとは思ってますよ」ジー・・・

フロリス「そうか? 確かに年長組やアニェーゼみたいにしっかりしてる連中らは大丈夫だろうけど、全員が全員そうじゃないだろ」ゴクゴク・・・

ルチア「ですが、仮にも一同魔術師です。生きていく術は幾らでも」コクッ

浦上「『どんな手を使ってでも』っていうなら可能だろうネ。でもそれじゃ『人並み』の生活は望めない」ピッ!

フロリス「勿論私みたいに、二十歳前に独立して生活しろって言ってんじゃないけど……そういう勉強はしといた方が良いんじゃない?」コクッ

ルチア「それは私の決める所ではありません。アニェーゼやマグヌスが方針を定めてくれれば良いだけの事です」ジー・・・

浦上「……あー、なるほど」ジトー・・・

ルチア「……何か」チラッ

浦上「主教様の言ってた事が少しだけ分かったヨ」ジー・・・

フロリス「は?」キョトン・・・

ルチア「如何いう意味です?」ジー・・・

浦上「確かに、ルチアは戦闘や規律に関しては敏腕の補佐官。でも、事生活や教育方針に関してはまったくと言って良い程……駄目駄目だ」コクッ

ルチア「……だって、それは私が決める事ではないでしょうに」ムゥ・・・

浦上「いんや。決めなきゃ駄目だと思う。少なくとも、アニェーゼやステイルさんに任せちゃ駄目」ジー・・・

ルチア「しかし、彼らは上官です」ジー・・・

浦上「だけど、ルチアの方が年上だヨ。そして部隊の事を誰よりも……は、言い過ぎか。でも2,3本指には入る程知ってるし考えてる筈」コクッ

フロリス「そりゃそうだな。確かにそういう部分で率先しないのは、狡い気がする」フム・・・

ルチア「しかし適材適所でしょう。私は見た目通りお固い敬虔な人間(クリスチャン)ですから、自立とかそういう事には向きませんよ」ジー・・・

浦上「それが逃げ腰だって言ってるの。まぁルチア自身が『自立』に興味が無いってのは分かったけど、他の子は別なんでしょ?」クイッ

ルチア「ええ。自立した生活を送りたい子はそうして貰って構わない……だからこそ、私が関与しては駄目でしょう」ジー・・・

浦上「ルチア……悪いけど、友人としてザックリ言わせて貰うヨ。別に怒っても良いからネ」コトッ・・・

ルチア「……はい」コクッ

浦上「他の子達、自立しないと思う。というか現状じゃ出来ないヨ」ジトー・・・

ルチア「如何いう意味です」ムッ・・・

浦上「……ルチアが『旧体制そのもの』だから」キッパリ・・・

ルチア「っ」ゴクッ・・・

フロリス「ちょ、う、浦上」タラー・・・
976 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 20:36:34.19 ID:eX1hS7A90
浦上「……私の言ってる意味、分かる?」ジー・・・

ルチア「…………、」グッ・・・

フロリス「い、いや、浦上さんよぉ。確かにルチアっちは今も変わらず狂信的なカトリック信者だけど、旧体制じゃないだろ」タラー・・・

浦上「ううん。ルチアは部隊のお母さん役。だから皆を律するし、皆が手本にしてる。実際、そうなってるでしょ」チラッ

フロリス「まぁ、そうだけど……でもそれは教義の上で」ポリポリ・・・

浦上「日常生活は? ルチアは皆に対して、オルソラさんや女教皇様みたいに個人主義に接してる?」ジー・・・

フロリス「……してないけど、さ」ムゥ・・・

浦上「つまり幾ら方針や指針が何であれ、部隊の手本たるルチアが昔変わらずのままで、厳粛な生活を強いてるのなら……変わらない」チラッ

ルチア「…………、」ジー・・・

フロリス「……あー、えっと……その……だーもぅ! 訳分かんない!」ウガー!

浦上「いや……簡単でしょ」ジー・・・

ルチア「……要は、私に丸くなれと」ジトー・・・

浦上「ザックリ言えばネ。じゃないと、永遠に他の子達へその風韻を強いる事になるヨ」ゴクゴク・・・

ルチア「しかし……でも……むぅ」シュン・・・

フロリス「い、いや……そんな難しく考えるなって。ウラっちもルチアの事困らせんなよ」タラー・・・

浦上「ごめんネ。でも、誰かが言ってあげないとルチアは変わらないヨ……オルソラさんも言ってたでしょ」コクッ

フロリス「う、うーん」チラッ

ルチア「…………、」ドヨーン・・・

フロリス「……はぁ」ポリポリ・・・

浦上「かといって私がルチアに垢抜けした生活を強いる事もしないし、出来ない……自身と部隊の今後決めるのは、自分だヨ」コクッ

ルチア「…………、」ジー・・・

フロリス「……意地の悪いヤツ」ハァ・・・

浦上「性悪で結構。ルチアの為になるならネ」チラッ

フロリス「……ったく、何も言えんわ」ヤレヤレ・・・

ルチア「……私は」ボソッ・・・

フロリス「え」ピクッ・・・

ルチア「では……私は如何すればいいのですか? 丸くなって手本となる? それとも今のままで、あの子達の面倒を見る事を止める?」シュン・・・

浦上「…………、」ジー・・・

ルチア「いっそ、私が部隊を辞めてしまえばあの子達の気が楽になる? それは不安で……あの子達だけでは、とても一人にはできない」ジー・・・

フロリス「……ルチア」タラー・・・

ルチア「私は……如何すれば……私の拠り所なのに……私が、邪魔をして……私が」シュン・・・

浦上「……どーーーーーん!」ガシッ!

ルチア・フロリス「「っ!!?」」ギョッ・・・

浦上「このお馬鹿さんめ! そういうとこは不器用なんだからー」ンモー・・・ムニムニッ

ルチア「ちょ、え、何を、は……うぇ」アタフタ・・・

浦上「ホンっト不器用だネ……そういう時は大人を頼るんだヨ」ギュウウゥ・・・

ルチア「……え」キョトン・・・

浦上「えーい♪ このまま同衾じゃー!」モゾモゾ・・・ムニュッ!

ルチア「え、な、ちょっと……きゃー!!」ジタバタ・・・

フロリス「い、いきなり何してんのよ」ハァ・・・
977 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 21:23:03.52 ID:eX1hS7A90
ルチア「う、浦上! 物事が唐突過ぎて、何が何だか……って、おま、胸掴むな!!」ギョッ・・・

浦上「良いから良いから……おー、お姉とまではいかないが……流石のパイパイだ」ムニムニ・・・

ルチア「じょ、冗談やってないでさっさと離れなさい! 怒りますよ!」ジタバタ・・・///

浦上「ふむふむ……それで良いんだヨ」フフッ

ルチア「……え」ピタッ・・・

フロリス「…………、」フム・・・

浦上「結局のところ、教義やら職務から離れればルチアも歳相応の子ども。私達と同じティーンガールズでしょ」フフッ

ルチア「そ、それが……何が」タラー・・・

浦上「私が今話してた悩みって、こういう事だヨ。子どもが背負う必要無い部分なんです」ギュッ・・・

ルチア「……え、と」モジモジ・・・

浦上「第一、ルチアが自立してないのは当然。ルチアだって『自立』の何たるかを理解してないもん」クスクス・・・

ルチア「…………、」チラッ

フロリス「……そうだな。根本からして間違いだ。ルチアもまだ教育対象よね」フッ・・・

ルチア「……そう、なんですか」ジー・・・

浦上「そうなの。だから大人ぶっちゃ駄目だヨ……全てにおいて、ネ」ポンポン・・・

フロリス「まぁ部隊の姉貴分止めろとか方針考えるの止めろって訳じゃないけど、何事にも『分』はあるだろ。そういうこった」フフッ

ルチア「分、と?」フム・・・

フロリス「ルチアっちが関与する範囲。大人に任せる範囲。アニェーゼ達他の部隊の事も話し合って決める範囲。要領良くね」コクッ

浦上「全部を全部背負う必要は無いんだし、かといって、此処は不得手分野だからまったく関与しないってのは無しにするの」ツンツン・・・

フロリス「そういう部分で賢くなっていけば、より頼れるシスターになるんじゃないかな」テクテク・・・

ルチア「……難しいですね」ムゥ・・・

浦上「勿論、そういう相談にも乗るヨ。私達が歳相応の回答を上げる」ニヤリ・・・

ルチア「まったく……頼もしいのやら、恐ろしいのやら」フフッ・・・

浦上「時に厳しく時に優しく、だヨ。人間って飴と鞭が無ければ生きてけないもんネ」フフッ・・・

フロリス「そうだな……って事で、飲むわよ! アンタら暗い話ばっかしやがって! 此処は私ん家なのに辛気臭くなっちまうわよ!」フンッ!

浦上「にゃははは! さーせん。あ、ルチアも拒否権無しだヨー」ニヤリ・・・

ルチア「やれやれ……では、すいません。寮に一報入れておきたいので電話を借して貰えますか」フフッ・・・

浦上「アニェーゼに?」フム・・・

ルチア「いえ、あの子達は多分既に寝てると思うのでシェリーか神裂辺りに一報を」コクッ

浦上「……いや、多分寝てないヨ」ポリポリ・・・

ルチア「え」キョトン・・・

フロリス「ああ、寝てないだろうな。レッサーか弟君、もしくはマグヌスの携帯に電話してみりゃ分かる」ハハハ・・・

ルチア「……ぁ」ピタッ・・・

浦上「……如何する?」アハハ・・・

ルチア「……ドチラでも構いません。電話をお願いします」ハァ・・・

フロリス「はいはい、りょーかい。ウラっち、多分レッサー暴走してるから弟君に電話して」ヤレヤレ・・・

浦上「あいまむ。んじゃちょっと待っててネー」テクテク・・・

ルチア「……出来れば、貴女達の予想は当たって欲しくないんですけどね」ハァ・・・

フロリス「でもぶっちゃけアイツらの方がルチアっちより歳相応だよ。頑張って『人並み』を経験しようとしてる。悪く言ってやんなって」フフッ

ルチア「ったく……しかし、貴女方に免じて目を瞑ってあげましょう。彼女達の大事な『友情』と『日常』ですものね」フッ・・・
978 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 22:09:16.53 ID:eX1hS7A90
 ――一方その頃、ステイルの部屋(兼執務室)・・・・・


  ギャーギャー! ワーワー!


アニェーゼ「―――だーかーらー! その女はテメェをペットにする気ですって!」ガー!

サーシャ「第3の補足ですが、その前のパツキン巨乳の超能力者ってのも危ないですね。同じ彼女と匂いがします」コクッ

レッサー「むきー! コウヤギは私のペットなんだからそんな年増共にくれてやる気はありませんよ!」ウガー!

アンジェレネ「でも実際、多分だけど、レッサーちゃんはペットになる側だと思うけどね」フフフ・・・

ランシス「同感。レッサーはこう見えてヘタれ」ハッ

レッサー「な、何をぅ……私程女王様ファッションが似合う女も居ないでしょう! ほれ見ろ!」シュバッ!

ランシス「……黙れ痴女。てかその早着替え、無駄な技術だよね。魔術師辞めて奇術師(マジシャン)にでもなったら?」ハァ・・・

アンジェレネ「それに、その衣装が一番似合うのはサーシャちゃんだと思うよ」フフッ

サーシャ「なっ!? だ、第一の注意ですが、私のコレは趣味とか性格とか関係無しに上司からの命令で仕方なくですね!」アタフタ・・・

アニェーゼ「お黙る! 兎に角、コーヤギは私(ら)のわんこなんですからホイホイ尻尾振って歩き回るのは止めなさい!」ビシッ・・・


 ガヤガヤ・・・ざわざわ・・・・・


香焼「―――……寝たい。自分、明日仕事なのに」ハァ・・・

ステイル「喧しい。何で毎度毎度僕の部屋なんだ……貴様の家で騒げば良いだろうに」ギリリ・・・

香焼「仕方ないだろ、広くて空調とかも充実してるんだから」ハァ・・・

ステイル「知ったこっちゃない。第一、アイツらが居ると落ち着いて煙草も喫えん……いい加減さっさと出てってくれよ」グデェ・・・

香焼「ステイル! 見捨てる気っすか!? あの猛獣の檻に自分だけ放りこむの!?」ウルウル・・・

ステイル「うっ……そ、そんな目されても、僕は」タラー・・・

香焼「……すているぅ」クーン・・・

ステイル「ぐっ……か、勝手にしろ。だが執務の迷惑になるなよ……へ、部屋に居る事だけは許可してやるから」コホンッ・・・

香焼「ありがと!」ニパー!

ステイル「お、おぅ」ヘヘッ

アニェーゼ「―――なんです! って……何ホモホモしい空間作ってやがるんですか! わんこーやぎ! 私の話聞いてます!?」ギロッ・・・

香焼「あ、はいはい……うん、はい、ごめんなさい」タラー・・・

アニェーゼ「ったく……五和の言う事は本当ですね。アッチはアッチでサイアイやらルイコの溜息姿が目に浮かびますよ」ハァ・・・

香焼「え? 最愛? 佐天さん? 何で?」キョトン・・・

アニェーゼ「……うっせぇです」ヤレヤレ・・・

ステイル「……というか、貴様ら。今そのテーブル上のワイン類は僕の貯蔵庫からかっぱらったモノでは無かろうな?」ジトー・・・

レッサー「は? 何で?」ポカーン・・・

ステイル「いや、何でって……まぁ違うなら良いが」ハァ・・・

サーシャ「第一の回答ですが、未成年である私達が易々と酒を購入できる訳無いでしょう。コレらは勿論、貴方の酒です」キッパリ・・・

ステイル「んなっ!? ま、真顔で言い切りやがった……いい加減金払えよ!」バンッ!

レッサー「ケツの穴小さい発言ですねぇ、ホモのクセに」ジトー・・・

ステイル「黙れ淫売娘! 誰がホモだ、誰が! くっそぅ……調子狂う」グヌヌゥ・・・

アンジェレネ「まぁまぁ。ステイルくん一人じゃ辛気臭くなっちゃうでしょ。私達が居れば明るくなるし、オールオーケーですよ」フフッ

ステイル「誰が辛気臭いだ……あとステイルくん言うな」グデェ・・・

香焼「あははは……って、こんな時間に電話……あ、浦上?」キョトン・・・
979 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 22:33:59.22 ID:eX1hS7A90
香焼「……はい、もしもし」Pi!

浦上『やぁやぁ。いつもの様に賑やかしてそうだネ』ハハハ

香焼「まぁね。そっちは?」コクッ

浦上『こっちはこっちで楽しんだヨ。ところで、アニェーゼまだ潰れてない?』ジー・・・

香焼「うん。若干ハイテンションだけど、大丈夫だよ……ところで、ルチアさん一緒なのに馬鹿な事してないだろうな?」タラー・・・

浦上『言ってる意味がワカラナイヨ。兎に角、アニェーゼお願ーい』フフッ

香焼「ったく……アニェーゼ」チラッ

アニェーゼ「んー?」キョトン・・・

香焼「電話。多分、ルチアさん」コクッ

アニェーゼ「は? え、ああ、泊まりの件ですか。直接電話とは律義ですね……ほいっ」スッ・・・

レッサー「むむむっ? 何故フロリスが私に掛けてこないんです!?」ジトー・・・

ランシス「信憑性」キッパリ・・・

サーシャ「……第5の感想ですが、ランシスはかなりザックリ言いますね」ハハハ・・・

アニェーゼ「あー、ちょい静かに……もしもし、私です」コクッ

浦上『もっしー、そっちはそっちで楽しんでるみたいだネ』フフッ

アニェーゼ「ええ……そっちは如何でした?」テクテク・・・

浦上『まぁ一応、矯正の種くらいは埋め込んだヨ……変わるか如何かは今後次第かな』コクッ

アニェーゼ「結構です。少しでも人間味が増してくれりゃ感謝モンですよ。ところで、あの子は?」フム・・・

浦上『あ、うん、今代わるね……ほいっ』スッ・・・

ルチア『……もしもし』Pi!

アニェーゼ「うぃ。中々貴重な経験出来た様で」フフッ

ルチア『ええ。幾分疲れましたが、今日半日だけで大分視野が広がった気がします』ハハハ・・・

アニェーゼ「そりゃ良かったです。んで?」ジー・・・

ルチア『えっと……多分、大分遅れて帰ります』ペコッ

アニェーゼ「OK。構わねぇです。明後日までに戻ってくりゃ良いですよ」フフッ

ルチア『すいません。色々頼みます……それから』キリッ・・・

アニェーゼ「ん?」キョトン・・・

ルチア『……夜更かし厳禁ですよ。節度を守って遊びなさい。以上』コクッ

アニェーゼ「ふーん……あいよ。そんじゃ土産話は帰った時に聞かせて下さいね」フフッ

ルチア『え? あ、はい。それではおやすみなさい』Pi!

アニェーゼ「おやすみ……ほぅほぅ」クスクスッ

香焼「終わった?」テクテク・・・

アンジェレネ「……ルチアから?」タラー・・・

アニェーゼ「はい。いやはや……面白いですね」フフフ・・・

レッサー「何ニヤけてるんですか? 不気味ですよ」タラー・・・

アニェーゼ「少々嬉しい事があったんですよ……今回だけの一過性じゃない事を願いますけどね」コクッ

サーシャ「と、いうと?」フム・・・

アニェーゼ「『寝なさい』ではなく、『節度を持って遊べ』かぁ……ふふふ」ニヤリ・・・

一同『へ?』ポカーン・・・

アニェーゼ「駒から人間へ……境遇だけではなくあの子自身の心持ちも、このままそうなって貰いたいですね―――」
980 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 23:02:44.80 ID:eX1hS7A90
 ―――再度、フロリス宅・・・・・



ルチア「―――……どうも」スッ・・・

浦上「うん、何だって?」チラッ

ルチア「明後日までに戻れば構わない、だそうです……些か心配ですが、お言葉に甘えます」コクッ

フロリス「ふーん……良いのかい?」チラッ

ルチア「良くはありません……ですが『親離れ』も必要でしょう。先程、考えさせられましたから」フフッ・・・

浦上「親離れもだけど、ルチアの『子離れ』も大事だヨ」ニャハハ

ルチア「言ってくれます」フッ・・・

フロリス「でも、御尤もかもな。部隊から離れろって訳じゃないよ。ただ、切るとこ切らなきゃ駄目って事さ」コクッ

浦上「器用に生きるのも人間だヨ。大人になってから遊びたいって言っても間に合わないんだから今の内に、ネ」フフッ

ルチア「……やれやれ」ポリポリ・・・

フロリス「いーよっし! じゃあゴロゴロしながら朝までトークといこうぜ」ハハハ

ルチア「そこまで話題が持ちますか?」フフッ

フロリス「持たせるのー。とりあえずルチアっちも座りなさい」クイッ

ルチア「はいはい」スッ・・・

浦上「にゃはは。そんじゃー……ルチアを抱き枕にベッドイーンっ♪」ギュウゥ・・・

ルチア「うわっ!? ちょ、う、浦上!?」アタフタ・・・

浦上「ムフフー! ムニムニプニプニー」グニグニ・・・

ルチア「い、意味が分からない……って、離れろー!」ムギャー!

フロリス「ははは。そんじゃ私もベットにお邪魔しよーっと。ルチアのおっぱい枕もーらいっ」ニシシッ!

ルチア「ば、馬鹿じゃないの!? え、う、待、顔押し付けるなー!」ウギャー!

浦上「フロリスー。ルチアにさっきの穴あきパンティ穿かせようヨー」ニヤリ・・・

フロリス「いやいや、ルチアっちには奥に隠してた穴々ストッキングの方が合うってぇ」ニヤリ・・・

ルチア「どっちの嫌です! って、だからドサクサ紛れて服の中に手ぇ突っ込むなー!」ウギャアアァ///

フロリス「良いじゃん減るモンじゃないしー。寧ろ揉めば揉むだけデカくなるって」ムフフ・・・

ルチア「んな迷信信じるか! てか、タダでさえデカくて邪魔なのにこれ以上膨らんで貰ったら困りますよ!」ジタバタ・・・///

フロリス「かあああぁ! 先天的にデカい女は皆こう言う! 御仕置きだ! スタイリッシュ体型なめんなよ!」ムギュウウゥ!!

浦上「フロリスばっかおぱーい占領しててずるーい! じゃあ私は御美足をー」スリスリ・・・

ルチア「ん、なっ……ひぅっ! こ、この……ひゃっ!?」ビクンッ・・・

浦上「うふふっ♪ 脚スベスベー。しかも敏感だヨー」ツンツン・・・

フロリス「碌にケアしてないクセに綺麗な身体してるもんなぁ……羨ましい! こん畜生め!」ツンツン・・・

ルチア「だから、そこ……ひんっ! さ、触るな! せ、狭いから離れろー!」ンギギィ・・・///

フロリス「こんにゃろぅ! 無駄に可愛い反応しやがってぇ……私が男なら犯してるぞ!」ギュウウゥ・・・

浦上「ずるーい! 私が先だヨー! 渡さないもーんだ」グイッ・・・

フロリス「いーや、私が先だー。というか、私こそ渡さんわ」グイッ・・・

ルチア「馬鹿な事言ってないで……さっさと離れろー!」ウガアアアァ///

浦上・フロリス「「きゃー!」」キャッキャッ♪



 ギシギシ・・・ガヤガヤ・・・・・―――――
981 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/24(金) 23:30:52.64 ID:eX1hS7A90
 ―――とある休日、PM01:30、英国、ランベス宮・女子寮、応接の間(サロン)・・・(神裂side)・・・







とある普通の休日の昼下がり。
普段は寮から出歩いたりしない、頭にクソが付く程規律正しく厳粛な彼女が帰って来た。

別段、何を言う訳でも無く『ただいま帰りました』と一言告げ、部屋に上がっていく。
そんな普通の動作に違和感を感じてしまった。周りに座る女性陣も私と同じ感想の様で、皆顔に現れている。

唯一、彼女の上司たる部隊長と寮長役(?)だけは何かを察している様で、ただただ微笑むだけだった。


シェリー「何つーか……妙だ」ジー・・・

神裂「ええ……奇妙です」フム・・・

オルソラ「あらあら、そうでございましょうか。私は『らしい』と思いますけど」フフッ


一同、寮長役の不可解な発言に首を傾げる。


オルソラ「だってあの子も『御年頃』ですもの。ねぇ、アニェーゼ」フフッ

アニェーゼ「まぁ年頃か如何かは別として、私はアレで良いと思いますよ。てかアレが良い」ハハハ

シェリー「いや、でもよぉ……なぁ神裂」チラッ

神裂「え、ええ」ポリポリ・・・


普段の彼女であれば『この度は門限を破って申し訳ございません。後で反省文を提出するので、然る後、罰を与えて下さい』とか言い出す筈。
しかし、今回は……やけに垢抜けした様に見える。良い事といえば良い事なのかもしれないが、些か急過ぎて難とも言えない。


ベイロープ「……フロリスと」チラッ

五和「ウラ、ですね」タラー・・・

シェリー「いや、だとしても……もしかして『男』でも覚えたか?」ムゥ・・・


その発言にオルソラとベイロープを除く一同立ち上がった
まさかとは思うが……浦上(ウチの子)に限って、友達を非行に誘うなどと……考えられない。


シェリー「過保護な親は皆言うよな。『ウチの子に限ってそれはありません!』って……神裂」チラッ

神裂「ぐっ……だ、大丈夫、だと……ベイロープ」チラッ

ベイロープ「うーん、フロリスなら合コンくらいやりかねないから分かんないわ。そのまま断れずお持ち帰りされたとか?」フム・・・

五和「アニェエエエエェゼエエエェ!! ウチの愚妹がトンだ粗相をおおおおおぉ!!」ドゲザァ!!

アニェーゼ「い、いや、まだ分かんねぇですし……というか、あの子に限って軽々しく不貞を働く様な真似は……ハッ!?」バッ・・・

シェリー「……さぁ」フンッ


以後『あの子に限って〜〜』は禁止。
それから彼是思案する事数分……ひょっこりと、問題児(?)2人がサロンを訪れた。
彼女らの顔を見るや否や、我が家の姉分が態々縮地を使ってまで妹君に詰め寄った。


五和「う、うううう、うら、ウラあああぁ! アンタって子はああぁ!!」ブンブンッ!

浦上「あbbbbbbbbbbbbbbbbbbbbなmmmmmmmmmmmmmmmmmmmm」ガクガクッ!

フロリス「あー……どったの?」チラッ


とりあえず、五和を止めてから話しをしよう。このままでは浦上の脳味噌が液状化しかねない。

982 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/25(土) 00:00:53.58 ID:eoFMGbTf0
グダってる浦上を後目に、もう一方の姉妹分達がザックリ話を始めた。


ベイロープ「アンタら、昨日男と会った?」ジー・・・

フロリス「え? 会ってないけど、何で?」キョトン・・・

ベイロープ「……ホントに?」ジー・・・

フロリス「マジだって。何なら魔術で記憶覗いても良いわ」フンッ


そこまで言われて信用しない訳にはいかない。


フロリス「てか何でそんな事聞くの? ルチアが何か言った?」ポカーン・・・

シェリー「いや、何つーか……アイツの雰囲気が変だったからな。もしかして何かあったのかもって思ってね」コクッ

フロリス「あー成程……ははは! そんな気にしなくて良いよ。ちょいと話しただけだから」クスクスッ

五和「話って?」フム・・・

浦上「痛ててぇ……なーいしょっ。私達だけのガールズトークですからネ」フフッ♪

オルソラ「あらあら、ガールズトークでございますか? 素敵な響きでございますね」クスクスッ


『ガールズトーク』とやらは人間の雰囲気まで変えてしまうらしい。ある意味魔術より凄い。
と、最近学園都市で友人らとペチャクチャお喋りに興じるのが日課の私が考えてみる。


浦上「ま、とりあえず……アニェーゼ。こんな感じでおk?」チラッ

アニェーゼ「ええ、上等です。これからもチョイチョイ頼みますね」グッ・・・

フロリス「あいよー。任された」フフッ


つまり、プライベートとか何とか在るものの……一番は『友人』か。


アニェーゼ「さて、と……そんじゃあの子と話してきますかねぇ」テクテク・・・

オルソラ「お一人で?」チラッ

アニェーゼ「まずはね。オルソラも後でお願いします」コクッ


何やら彼女ら2人はルチアが如何変わったのか目星がついてるらしい。気にはなるが、口に出して聞くのは野暮か。
さておき小さな隊長殿が個室棟の方へ向かった。


シェリー「……まぁ何だ。少しは丸くなったのか?」ジー・・・

フロリス「さぁねぇ。相変わらずトゲっちぃとは思うけど」フフッ

浦上「とりあえず、自分なりに模索し始めたんだと思いますヨ」クスクスッ

ベイロープ「……ま、偶にはアンタのやり方でも役に立つのね」フッ・・・

フロリス「まぁね」グッ・・・


どんな『やり方』なのか、浦上に小一時間問質したい処だが……正直聞くのが怖いので後でベイロープ辺りに聞いてみよう。
あ、聞くのが怖いというのは浦上自身が怖いのではなく、彼女から帰ってくる回答が怖いという意味で―――


五和「ウラ! ルチアにどんな事したのよ!」バッ

浦上「……聞きたいの?」ニヤリ・・・

五和「え」ピタッ・・・

浦上「……聞いて、後悔しない?」ニヤニヤ・・・


―――こういうのが、怖い。
変な笑みを浮かべたままフリーズする五和の肩を叩き、私達、弱気な姉貴分2人は静かに緑茶を啜る事にした……―――
983 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/25(土) 00:34:21.66 ID:eoFMGbTf0
 ――一方、ルチアの個室・・・・・


   コンコンッ・・・・・


アニェーゼ「―――……ルチア、私です」ジー・・・

ルチア「隊長? 少々お待ちを……どうぞ」ガチャッ・・・

アニェーゼ「失礼しますよ……座っても?」クイッ

ルチア「ええ、どうぞ」コクッ

アニェーゼ「ん……それで、如何でした?」チラッ

ルチア「色々と大変でした。変な喫茶店に行ったり、買い物に出たり、クラブに行ったり……疲れましたよ」ハハハ・・・

アニェーゼ「ふーん……それ。服、買ったんですか?」ジー・・・

ルチア「あ、ええ。一応……正直彼女らがふざけて選んだので着れたものでは無いのですけどね」ポリポリ・・・

アニェーゼ「そりゃ気になりますね。今度着て見せて下さいよ」フフッ

ルチア「冗談キツいですって」タラー・・・

アニェーゼ「ふふっ。まぁさておき……他には?」ジー・・・

ルチア「と、言いますと」ジー・・・

アニェーゼ「楽しかった事は?」クイッ

ルチア「楽しかった、こと……うーん、よく分からない」ムゥ・・・

アニェーゼ「…………、」フム・・・

ルチア「ですが……何といいますか、少し、気持ちが楽になった……気がします。すいません、あやふやな応えで」ハハハ・・・

アニェーゼ「いや、それで良いと思いますよ。変に理屈捏ねるよか、そういう風に感じる気持ちが大事でしょう」クスクスッ

ルチア「そうなのでしょうか。よく分かりません」フフッ

アニェーゼ「分からなくて良いんです。大事なのはその感受性ですよ……他に、何か得たモノは?」フフッ

ルチア「得た、といいますか……考え方を少々。『分』やら何やら……あと『自立』についてなど」コクッ

アニェーゼ「ほぉ」コクッ

ルチア「部隊の事を考える前に、自分の事も考えなければならないのかも……そう思わされました」ジー・・・

アニェーゼ「確かに、ね……個人あっての部隊であって、部隊の為の個人じゃねぇですから」コクッ

ルチア「そう、ですね。確かに、私は部隊を大義にして甘楽していたのかもしれません」フム・・・

アニェーゼ「いや、それは甘えとか楽じゃなく現実逃避。自分の未来から逃げてるだけですよ……でしたよ、かな?」フフッ

ルチア「未来から逃げる、ですか……似た様な事を言われました。私は『旧体制』だと」ジー・・・

アニェーゼ「ほー。言い得て妙ですね……確かに言っちゃ悪いですけど、その厳格さはローマのジジィ共に近いですからね」ハハッ

ルチア「……はぁ」ポリポリ・・・

アニェーゼ「まぁでも……ルチア」スッ・・・

ルチア「はい」ジー・・・

アニェーゼ「過去を振り返るな、とは言いません。でも、今と未来を見なさい。私達は折角個々の道を歩めるようになったんです」コクッ

ルチア「……個々とは、自由なのでしょうか。一緒に居る事が旧体制なのですか?」ムゥ・・・

アニェーゼ「ルチアの言いたい事は分かります。仲間が大事だから『みんな』で居たいんでしょ? 勿論、その選択だって個人の自由です」ニカッ

ルチア「……私は、我儘?」シュン・・・

アニェーゼ「いんや、私は嬉しい限りです。皆を愛してくれている……皆だって、私達を、部隊を愛している。分かってるでしょ?」フフッ

ルチア「ええ、ですが……その、何といいますか……言葉が出ないのですが、えっと」ジー・・・ポリポリ・・・

アニェーゼ「……ふふっ」クスクスッ
984 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/25(土) 01:12:53.30 ID:eoFMGbTf0
アニェーゼ「まったく……ルチア」トコトコ・・・スッ・・・

ルチア「え、あ」ピタッ・・・

アニェーゼ「よしよし」ナデナデ・・・

ルチア「い、ちょ、うぇ!?」アタフタ・・・///

アニェーゼ「簡単な事です。アンタは単に『マンモーニ』なだけ」フフッ

ルチア「なっ……そ、そんな事は」カアアァ///

アニェーゼ「部隊が『母親』。ルチアが『子ども』……そういう意味じゃ、親離れ出来てねぇのはアンタなんです」クスクスッ

ルチア「むぅ」ポリポリ・・・///

アニェーゼ「ルチア、勘違いしないでくださいよ。別にこの部隊から自立するといっても、家族は家族のままなんです。分かりますか?」ポンッ

ルチア「……何となくは」コクッ

アニェーゼ「子どもが親から独立しても、家族という事実は変わらねぇんです。ウチの部隊だってそういうモンですって」ジー・・・

ルチア「帰る場所、ですか」フム・・・

アニェーゼ「ええ。部隊から自立していく子達を『巣立った』んだと考える事にするつもりでしたよ。今はまだ誰も巣立ててませんけどね」コクッ

ルチア「巣立ち、と」キョトン・・・

アニェーゼ「ルチア。この部隊から出て行きたいという子が居ても、それはローマの頃の背徳行為・敵前逃亡扱いとは違うんです」コクッ

ルチア「それは分かっています。分かってるつもりです」コクッ

アニェーゼ「でも許容出来ない心があるんでしょ……それじゃ駄目です。寛容さを持ち合わせなさい。それと、祝福の心もね」ピンッ

ルチア「……はい。変わっていきます」ペコッ

アニェーゼ「うん……とりあえず、話は以上です。他に何か言いたい事は?」ジー・・・

ルチア「特には……あ」ピタッ・・・

アニェーゼ「ん?」キョトン・・・

ルチア「その、大変申し訳無いお願いなのですが」ポリポリ・・・

アニェーゼ「何ですか? 遠慮しないで言いやがって下さい」チラッ

ルチア「えっと……また、その……偶にで良いので」ポリポリ・・・

アニェーゼ「うん」コクッ

ルチア「外出しても、宜しいですか?」チラッ・・・

アニェーゼ「…………、」キョトン・・・

ルチア「え、と……駄目ですか?」ジー・・・

アニェーゼ「ぷっ……あはははははっ!」ケラケラケラケラッ!

ルチア「た、隊長!?」アタフタ・・・

アニェーゼ「はー、ひー……ええ、良いですよ。構いません……ってか態々許可取んねぇでも良いですっての」フフフッ

ルチア「しかし、ルールはルールですから。外出時はちゃんと報告しますよ」ペコッ

アニェーゼ「やれやれ。そんなんじゃ彼氏が出来ても逢引出来ねぇですよ」テクテク・・・

ルチア「なっ!? つ、作りませんってば!」アタフタ・・・

アニェーゼ「あー、年齢的に言えば一番最初に結婚するのはルチアなのになぁ。ルチアの子どもの顔みたいなぁ」ニヤニヤ・・・

ルチア「ぶふっ!? と、突然何を!!?」ギョッ・・・///

アニェーゼ「なぁに、無駄な老婆心ですよ。私の方が年下ですけどね……んじゃまた後ほど」フフッ

ルチア「んもぅ……余計なお世話です」ハァ・・・///

アニェーゼ「ふふっ、兎角今日は休みなさい。本気で遊ぶのって疲れるでしょ? しっかり休むこと……じゃあね」クスクスッ・・・ガチャッ・・・

ルチア「はい……ありがとうアニェーゼ(シスター)……また、ね―――」
985 :第五話―――神裂「正直、あの子の考えてる事は分かりません」 香焼・五和「「うんうん」」 [saga]:2012/02/25(土) 01:55:04.06 ID:eoFMGbTf0
  <おまけっ!>


レッサー「ぐぬぬぅ……結局、フロリスのあーだこーだを暴けませんでした」ジトー・・・

ランシス「いや、だから無理矢理探る必要無いって。まぁ多少は気になるけど……話すとなればその内、アッチから話してくれるよ」ハァ・・・

レッサー「んな呑気な事を……って、ほら、噂をすればアッチから来ました! 今日こそ問いただしてやります!」ムンッ!

ベイロープ「―――だから、来週はなるべく空けといて頂戴」チラッ

フロリス「りょーかい……って、ん?」コクッ

レッサー「うきゃぱー!!」バッ!

フロリス「……そぉい!」ガンッ!

レッサー「うぎゃー!」メリコミィ!!

ベイロープ「うわぁ、拳がメり込んだ。漫画みたいね」ハハハ

フロリス「いきなり何? 相変わらず突飛押しも無いわね。気持ち悪いったらありゃしない」ハァ・・・

レッサー「前が視えません……じゃなくて! フロリス! 今日こそ白状して貰いますよ! 普段のアレやコレを!」ビシッ

フロリス「……意味が分からない。代名詞多過ぎ。馬鹿な証拠だ」ヤレヤレ・・・

レッサー「くっそぅ! 馬鹿にしやがってぇ……こうなったら今度フロリスんアパート乗り込んで荒してやりますからね!」ビシッ

フロリス「……やったら、警察呼ぶから。あとアンタの家族と学校にも通報してやる」ジー・・・

レッサー「じょ、冗談ですよぉ! そんな事する訳無いじゃないですかぁ……肩でも揉みましょうか? ジュース飲む?」エヘヘェ・・・

ランシス「うわぁ……恰好悪い」タラー・・・

ベイロープ「この子、実家と先公だけには弱いからね」ハハハ・・・

フロリス「ったく……私らはこのくらいの関係が丁度良いのよ。特に私とアンタ(レッサー)は、ね」フフフ・・・



  <おまけっ!!>


浦上「…………、」タラー・・・

神裂・五和「「じー……じー……じー……、」」ジロジロ・・・

浦上「んー……えっと」ハァ・・・

香焼「……浦上、何したの?」チラッ

浦上「何もしてないヨ。寧ろ私が聞きたい。私、何かしたカナ?」タラー・・・

香焼「普段が普段だから、難とも言えないっす」ハハハ・・・

浦上「うーん……あのー、お二人さん?」チラッ

神裂・五和「「ぇ……っ!?」」ビクッ・・・

香焼「何でビビってるの?」タラー・・・

神裂「い、いえ、その……あはははは……う、浦上。私に相談事とかありませんか?」オドオド・・・

五和「ね、姉さんに言い辛いなら、私に気軽に話してくれても良いんだよ」オドオド・・・

浦上「は? えー……ふーん……じゃあ、そうですネ……先週、都市の簡易サロンで2人っきりになった時なんですけどぉ」チラッ

神裂「か、簡易サロン!? 2人っきり!? そ、そういう話ですか!!?」ガタッ・・・

五和「ちょ、待、心の準備が! え、あ、ね、姉ちゃん真面目に聞いてあげる! ウラが例えどんな娘でも姉ちゃんは味方だよ!」ゴクッ・・・

浦上「……任務の話ですヨ?」キョトン・・・

神裂・五和「「な、なぁんだ……(よ、良かったぁ)」」ホッ・・・

香焼「姉さん達。こういう部分、チキンっすね」ハァ・・・

もあい「にゃー」オワリッ!
986 :VIPにかわりまして建宮がお送りするのよな [saga]:2012/02/25(土) 02:14:16.37 ID:eoFMGbTf0
はい、長々お付き合い頂きありがとうございました。これにて・・・・・『あまくさっ』第三部完ッ!!です。
後半思ってた以上に時間が掛ってしまいました。申し訳ございません。

今後の予定ですが、リアルにハードスケジュールなので続きは未定です。だけど、続けられるなら続けたいと思います。
ただし、次もまた『あまくさっ』の続編やるか如何かは分かりません。需要あれば第四部のスレ立てます。
仮に書くとしたら極力、戦闘色省いたSSにしたいね。自分、下手なくせに書こうとするので(苦笑)

あと、因みに親戚が単発で『香焼アフター(R-18)』書くかも言ってました。
対象キャラは未定です。多分、アンケ取るらしいけど……とりあえずスレ立てたらアンケ協力等宜しくです。


それではこれにて第三部終了です! 感想質問意見罵倒、一応今後のリクエスト等々よろしくお願いします。ではまたの機会に! ノシ”
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/25(土) 03:35:31.08 ID:2Dnoqqp9o
乙!

988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 04:04:12.22 ID:KZ0Cpu0AO
是非よんどめを!!続きをお願いします………

ともかく>>1ありがとうお疲れさん
リアルでも無理せんようにな〜
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 10:09:34.63 ID:5D+HWFxDO
乙! 今回も色々楽しかった!
次スレも望みたいけどリアル落ち着いたらで良いからねー

ちなみに親戚さんの『アフター』ものはいつからアンケート開始?ww

とにかく次回も期待してるぜぃ! 可能なら遅くなっても良いからまた頼むよー
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/02/25(土) 15:31:10.47 ID:yeCI4QL9o
乙!
次スレも楽しみにまってる!
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:28:11.70 ID:R2bRbdwJ0
ksk
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:29:51.11 ID:R2bRbdwJ0
ksk
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:30:43.64 ID:R2bRbdwJ0
ksk
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:31:38.43 ID:R2bRbdwJ0
ksk
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:32:12.04 ID:R2bRbdwJ0
ksk
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:34:58.83 ID:R2bRbdwJ0
ksk
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/26(日) 21:35:43.21 ID:R2bRbdwJ0
ksk
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:36:22.93 ID:R2bRbdwJ0
ksk
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:37:02.03 ID:R2bRbdwJ0
ksk
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:37:43.95 ID:R2bRbdwJ0
ksk
1001 :1001 :Over 1000 Thread
              わ〜い、>>1001ゲット〜
               __
                    ‖ _~",ー 、,,_
      |           ‖ /  |ノ  ,>
   \ |  /      ‖ /ヽ_,:-−'´
                ‖/~         ヽ | /
                    ‖     ,   ))
       ,、      ,、   /'ll__/ ヽ
      / ヽ__/ ヽ/ _‖   _  ヽ.    ∧___∧
    /       /  ´ ‖ー/  `   l ロ. / _    _
    / ´ 、__,  ` |.    ‖∨      ,! || | l--l `
   _l    ∨    ヽ/ ̄)( ̄ ̄`"::::ノ (⌒ヽ, ..ヽノ   ,
  ( ヽ_        /   /ll `'ー、....::ノ ∀\/ー- /`l  ヽ
   ヽ、       ,ヽ:..:ノ ‖   '::::|⊃  iー- l (_〕i__     SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
     l          : :::Y  ‖     ::|   |"|ー-,|   |( .      http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
ここだけ魔王の城 コンマ00で魔王様に怒られる @ 2012/02/26(日) 21:15:10.06 ID:NryQyaipo
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空が灰色だから今日もA雑をしよう @ 2012/02/26(日) 21:09:36.93 ID:7mPqf3y3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1330258176/

相思相愛の二人が出会った変態!好き…変態!4P目 @ 2012/02/26(日) 20:12:24.20 ID:j5+OnhKz0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1330254739/

このブラクラ @ 2012/02/26(日) 20:06:46.12
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/vip4classic/1330254406/

真夏の夜の淫夢 @ 2012/02/26(日) 19:54:51.60 ID:h2rfk1xIO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1330253691/

俺「俺の名を言ってみろ!」 @ 2012/02/26(日) 19:32:22.80
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【Fate】やる夫で聖杯戦争47 @ 2012/02/26(日) 18:26:13.82 ID:2qwbOm4do
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まゆゆの可愛さに思わずトキメキAKBSKENMBHKTスレ @ 2012/02/26(日) 18:20:10.36 ID:NwQCsFKno
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