このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

唯「ゲッターロボ!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 19:56:41.23 ID:Hf8Bp6290
原作版ゲッターロボとけいおんのクロスです。

注意点

時期は唯たちけいおん組は高校一年生。ゲッターロボは、恐竜帝国との戦い終盤で武蔵が自爆してから約半年後。

原作ゲッターでは、この時期はすでに百鬼帝国が登場しており、人類・恐竜・百鬼の三つ巴の戦いとなっていますが、このssでは百鬼は存在しないものとします。

ゲッター組の性格は原作序盤とそれ以降を足して2で割った感じに。それに若干アレンジを加えている事をお断りしておきます。

主人公は唯ですが、話のメインはゲッター路線。

「けいおんでやる必要があるの?」の最たる内容ですが、自分がけいおんとゲッターが好きと言う理由のみでクロスさせて見ました。

ノンビリいきますが、よろしければお付き合いください。


なお、あえて厨二テイスト全開にしましたので、その手のが苦手な方はご注意ください。
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 19:57:58.15 ID:Hf8Bp6290
・・
・・


唯 「何かをしなくちゃいけない気がするんだけど・・・」

唯 「いったい、何をすればいいんだろう」


・・
・・
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:01:17.58 ID:Hf8Bp6290
君はゲッターロボを知っているか!?


現代。

人類は突如襲来した恐竜帝国の魔の手の前に、絶滅の危機に瀕していた。

恐竜から進化した彼ら恐竜帝国は、かつて地上の王者として君臨していた栄光をもう一度我が手にしようとたくらんでいるのだ!

圧倒的な恐竜帝国の科学力!そして、驚異的な生命力の前に人類の命運は風前の灯かに見えた。

だが!

しかし!

救いの手は伸べられた!

救いとは何だ!?スーパーロボットだ!!


竜馬 「いくぜ野郎ども!トカゲ野郎を血祭りに上げてやる!」

隼人 「落ち着けリョウ。獲物は逃げやしねぇ。じっくり料理してやるさ」

武蔵 「うおおお!御託はいい!とっとと片付けるぜ!!」


若い命をまっ赤に燃やす若者たちが駆る三機のマシン。

イーグル号・ジャガー号・ベアー号が合体した時、無敵のスーパーロボットは誕生する!

救いを求める者は、彼らの名を呼べ!

その名を高らかに呼べ!!


竜馬 「チェエエエンジ!ゲッター1!!スイッチオンっ!!!」


ゲッターロボ!!

無敵の戦士 ゲッターロボの名を!!!
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:04:11.42 ID:Hf8Bp6290
・・
・・


唯・・・唯ちゃん・・・


唯 「誰・・・?私を呼ぶのは、いったい誰なの?」


唯ちゃん。

私は唯ちゃんの中で、唯ちゃんとずっと一緒にいた者だよ。


唯 「私と一緒にいた・・・?」

唯 「そういえば、何だか懐かしい声・・・とても聞き覚えがあるような・・・」

唯 「憂・・・?ううん、もっと近い・・・ね、いつから私と一緒にいたの?」


唯ちゃんが生まれてから今までずっと。そして、これより先も。

私は唯ちゃんを守ってきたし、守ってゆくんだ。


唯 「私をずっと守ってくれていた・・・?」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:07:53.08 ID:Hf8Bp6290
気をつけて。

これから唯ちゃんには試練の時が訪れるから。

私はそれを知らせるために、こうして唯ちゃんに語りかけているの。


唯 「試練・・・?試練っていったい何?なにが起こるっていうの??」


戦い・・・


唯 「戦い・・・!?」


そう。

唯ちゃんはこれから、多くの戦いの渦中に身を晒すことになるんだ。

そして、たくさんの血と涙をも流す事になると思う。


唯 「なにそれ・・・こ、怖いよ・・・そんなの、よく分からないけど、私、嫌だよ・・・」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:09:24.18 ID:Hf8Bp6290
でもね、唯ちゃんは大丈夫なんだよ。

だってね、私がいるもの。

私が守ってあげる。全てを焼き尽くそうとする、地獄の業火から唯ちゃんを。


唯 「・・・あ、暖かい。あなたと話していると、なんだかとっても心の中がホンワリする。気持ちがいい・・・」

唯 「ね・・・あなたはいったい誰なの?」


私は。

私の名はね・・・


・・
・・


唯・・・唯・・・

起きろって・・・唯ー・・・
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:11:28.91 ID:Hf8Bp6290
律 「唯ってば!」

唯 「はっ!?」

澪 「お、やっと起きた」

紬 「ずいぶんグッスリ眠ってたわね」

澪 「おやつを食べ終わったら、すぐ寝ちゃうんだものな。牛さんになっちゃうぞ?」

律 「おいおい、澪はずいぶん古風だなー」

唯 「あぅ・・・こ、ここは・・・」

律 「なんだ、まだ寝ぼけてるのか?ここは音楽室。私たち、軽音部の部室だろう?」

唯 「あ・・・そ、そか・・・へへ、うっかりうっかり」


あははは♪
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:13:49.32 ID:Hf8Bp6290
唯 「・・・」

律 「ん・・・?どうした??」

唯 「夢・・・見てた・・・」

澪 「のんきな奴だなぁ。で、どんな夢を見ていたんだ?」

唯 「それが・・・漠然としすぎてて、自分でもよく分からないんだけど・・・」

律 「なんだそりゃー」

唯 「ただ・・・なにかとっても懐かしい誰か。その誰かが私に語りかけてくるの。でも、あれはいったい誰だったんだろう・・・」

律 「ふーん。で、そいつは何だって?」

唯 「・・・」

澪 「ん??」

唯 「私がたくさんの血と涙を流すって・・・」

紬 「っ!」

律 「おいおい。なんだそれ、ずいぶん物騒な夢だな。唯が見る夢らしくもない」

唯 「だよね。我ながら、私もそう思うよー」

紬 「・・・」

律 「ん?ムギ、どうかしたのか?」

紬 「あ、ううん。なんでもないの」

律 「・・・?」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:16:40.50 ID:Hf8Bp6290
澪 「地獄って言えばさ・・・恐竜帝国だよ」

律 「・・・そうだな」

澪 「恐竜帝国にさ。襲われた地域の惨状、まさに地獄みたいだったって話、聞くよね」

律 「ああ。ここら辺は無事だったけど・・・でも、犠牲になった人の事を考えたら、良かったなんて口が裂けても言えないよな」

唯 「そうだよね。で、でもさ!確か恐竜帝国って、ゲッターロボがやっつけちゃったんでしょ?」

澪 「ああ、半年くらい前だったよな」

紬 「恐竜帝国と刺し違えて・・・ね」

唯 「・・・」

律 「その時、ゲッターのパイロットも一人、犠牲になったって」

澪 「確か私たちとそう変わらない年だったらしいよ」

唯 「かわいそうだよね・・・」

紬 「・・・そうね」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:21:42.28 ID:Hf8Bp6290
律 「よし、暗い話題はここまでだ!せっかくゲッターロボが守ってくれた平和だ。謳歌させてもらわなきゃ罰が当たるってもんだぜ!」

澪 「そう・・・そうだよな」

律 「てことで、私たちの平和には甘い物が不可欠だろ♪帰りにアイスでも食べていかないか?」

澪 「お前はただ、食べたいだけじゃないのか」

律 「ばれたか!」

唯 「あはは」

澪 「甘い物はともかく、まだ帰るには早いだろ?もう何曲か合わせようよ」

律 「えー・・・疲れたし、もう良いじゃん。それよか早く、甘い物甘い物〜!」

澪 「アリさんか、お前は・・・」

紬 「まぁまぁ。練習し疲れた後のほうが、きっとアイスも美味しいわ」

唯 「それは一理あるよね!じゃあ、美味しいアイスのために!がんばって練習しようよ!」

律 「そういうことなら仕方がない!んじゃ、アイスのために!」

紬 「アイスのためにー!」

澪 「なんだか趣旨が違ってきてる・・・」


あはははっ!


唯 (楽しいな。みんなとの部活におしゃべり。お菓子を食べたり、そんな他愛ない毎日)

唯 (こんな日がずっとずっと。いつまでも続くと良いのになぁ)

唯 (そのためには私、何かをしなくちゃいけない気がするんだけど・・・)

唯 (いったい何をすれば良いんだろう・・・)
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:25:56.30 ID:Hf8Bp6290
・・
・・


律 「よっしゃ!終った終ったー!さ、念願のアイスだぜ。早く行くぞー」

唯 「・・・あっ!」

紬 「どうしたの、唯ちゃん」

唯 「そうだ、そうだ。部活終ったら来てって、和ちゃんに呼ばれてたんだった・・・」

紬 「え・・・」

澪 「今から生徒会室に行くのか?もう、下校時間になっちゃうぞ?」

律 「えー、アイスはー?」

唯 「うう、アイスー・・・でも、和ちゃんとも約束だったし、ちゃちゃっと行って来るよ・・・」

唯 「みんなは先に帰っててー、アイスはまた今度いっしょに行こうね!」テッテッテ

律 「あ、ああ。じゃあなー」

紬 「・・・」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:28:44.94 ID:Hf8Bp6290
廊下!


唯 「あーあ、アイスぅ・・・まぁ、仕方がないよね・・・でも、食べたかったなぁ〜・・・」

? 「ちょっと君」

唯 「はい?」

? 「ちょっと場所を尋ねたいのだが、いいかな?」

唯 「はい・・・(あれ、男の人が二人・・・?どうして男子生徒がいるんだろう・・・)」

? 「僕たちは浅間学園から生徒会交流で来たものなんだけど、この学校の生徒会室はどちらかな?」

唯 「あ、えとえと・・・私も今から行くところだから、良かったら案内しますよー」

? 「それは助かる。お願いしようかな。行くぞ、リョウ」

? 「ああ・・・わかったぜ隼人」

唯 (片方は細身で知的そうだけど、もう一人はなんだか無口でいかつくて怖い感じ・・・)

隼人 「では、よろしく」

唯 「あ、うん。こ、こっちですー」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:32:55.48 ID:Hf8Bp6290
生徒会室!


がらっ


唯 「和ちゃん」

和 「あら、唯。ずいぶん遅かったのね。待ちくたびれたわよ」

唯 「ごめんごめん、部活が長引いちゃいまして・・・あ、それと。こちら・・・」

竜馬 「・・・」

隼人 「・・・」

和 「そちらの人は・・・?」

唯 「生徒会交流だかで来た人だよ。廊下で道を聞かれたんで、つれてきたの」

和 「生徒会交流?そんな話は聞いてないけど」

唯 「え・・・?」

隼人 「ふ・・・うまく化けたものだな」

和 「・・・なんのこと?」

隼人 「おまけにとぼけるのまで上手いと来てる。お前が俺たちの顔を知らないはずはないのだがな」

和 「・・・」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:35:39.66 ID:Hf8Bp6290
唯 「え?え?あの・・・なに?」

竜馬 「どいてろ」ズイ

唯 「きゃっ」

竜馬 「まどろっこしいのは無しだ、トカゲ野郎。とっととテメェをのして、化けの皮をひん剥いてやる」

和 「・・・く」

竜馬 「おらぁ!」ばきっ

和 「きゃぁ!」

唯 「きゃーーーっ!!??」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:36:59.76 ID:Hf8Bp6290
どかっ!どかっ!どかっ!


唯 「あ、あわわわ・・・た、助けを・・・だ、誰か呼んでこなくちゃ・・・」あわあわ

隼人 「待ちな」

唯 「ひっ!」

隼人 「悪いが巻き込まれたのを不運と諦めて、ここで大人しくしていてもらおうか。騒ぎを大きくすると、色々やっかいなんでね」

唯 「な、なんなの・・・いったい何なの・・・」

隼人 「見ていれば分かる」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:46:24.02 ID:Hf8Bp6290
どかっ!どかっ!どかっ!


和 「ひ・・・ぐ・・・あぁ・・・」

竜馬 「おらおら、どうした?このまま無抵抗でやられちまうつもりか!?」

唯 「あ・・・あ・・・」

和 「・・・」ひくひく

唯 「あ・・・!」

竜馬 「なら、望み通りにしてやるぜ。死ねっ!!」

唯 「やめてーーーっ!」ばっ

隼人 「あ、待て・・・!!」


どかぁっ


唯 「きゃああっ!」


がらがらがっしゃーん!!
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:49:16.53 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「・・・!しまった!」

隼人 「・・・」

竜馬 「隼人!なんできちんと抑えておかねぇ!女の子に渾身の突きを食らわしちまったじゃねぇか!」

隼人 「いや、俺はきちんと抑えていた。それを振り切っての、あの反応速度・・・」

竜馬 「隼人がついていけなかったってのか?」


ゆら・・・


唯 「・・・」

隼人 「バカな・・・」

竜馬 「嘘だろ・・・無傷だぜ・・・」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:53:27.64 ID:Hf8Bp6290
唯 「・・・ちゃん・・・を・・・」

竜馬 「・・・!」

唯 「和ちゃんを虐めるなぁっ!」


ぎゅんっ!!


竜馬 「うおっ!」

唯 「和ちゃんを!」どかっ!

唯 「虐めるっ!」どかっ!

唯 「なあああああああ!」どかどかどかっ!

竜馬 「うお!くそ!なんだ!」

隼人 「リョウが・・・あのリョウが少女に圧されている・・・」

竜馬 「この突きの重さ、速さ!とても女子高生の出せるシロモノじゃねぇ!まさかこいつもトカゲ野郎なのか・・・」


ぴぴぴぴぴ・・・


隼人 「・・・ん?」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 20:56:43.38 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「だったら容赦しねぇぞ!まとめてぶっ殺してや
唯 「うああああっ!」どかっ!

竜馬 「追撃だと!?かわしきれねぇ・・・!!」

唯 「ああっ!ああああっ!!」どがどがどかっ!

竜馬 「俺の動きを読んで先回りを・・・何者なんだ、こいつぁ!!!??」

唯 「のどかっ!和ちゃん!!」どがぁ!

竜馬 「ぬぉっ!!」ずざぁ!!

唯 「はーっ・・・はーっ・・・」

竜馬 「ぐ・・・この俺が一発もらっちまうとは・・・な。だが、次はねぇぞ!」

隼人 「そこまでだ、リョウ!」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:00:10.31 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「あ・・・?」

隼人 「早まるな。どうやら、その娘らしい」

竜馬 「なにがだよ!?」

隼人 「俺たちが探している人物だよ。これを見てみろ」


ぴぴぴぴぴ・・・


隼人 「その娘から、常人から発せられる数倍のゲッター値が計測されている」

竜馬 「そいつは早乙女のじじいが持たせた、携帯用のゲッター線計測装置・・・てことは・・・」

隼人 「そうだ。俺たちと共に、地獄を見ることになる娘だ」

竜馬 「こいつが・・・」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:03:47.95 ID:Hf8Bp6290
唯 「はぁはぁ・・・」

隼人 「・・・おい、お前。名前はなんていう?」

唯 「の、和ちゃんを虐めるなっ」

隼人 「和ちゃん・・・か。いいか、落ち着け。そして良く見ろ。そこで倒れているのは、お前の友達なのか?」

唯 「え・・・何を言って・・・」

和 「う・・・うう・・・」

唯 「はっ!和ちゃん、だいじょうぶ!?」

隼人 「あぶねぇ、不用意に近づくな!!」


がっ!!


唯 「あぐっ!?」

和 「ふ・・・とんだ番狂わせだ。まさかゲッターチームが、この娘をかぎつけてここまで来るとはな」

唯 「首が・・・く、苦しい・・・和ちゃん、どうして・・・あっ!?」

和 「ふ、ふふふ」

唯 「か、顔の皮がはがれて、中から鱗みたいなのが・・・」

隼人 「そうだ!目の前にいるのは、お前の友達なんかじゃねぇ。そいつは俺たちの・・・人類の敵・・・」


隼人 「恐竜帝国だ!!」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:11:33.27 ID:Hf8Bp6290
・・
・・


恐竜帝国!

彼らはゲッターロボに倒された!

・・・はずであった。


今より半年前。

ゲッター1のパイロット、流竜馬は恐竜帝国との戦いで一時的に記憶をなくしていた。

ゲッターは三人のパイロットが乗り込んで、初めてその力を如何なく発揮できる。

しかし、記憶を失った竜馬は、ゲッターの操縦法をも忘れてしまっていたのだ!

この危機を見透かすように、恐竜帝国はメカザウルスの大軍を戦線に投入!

戦う術を失ったゲッターチームを押しつぶそうと、一気呵成に攻め寄せてきたのだ!

危うしゲッター!もはや打つ手は残されていないのか?!


いや、たった一つ、彼らには最後の武器が残されていた。


それは命!

残された命こそが、最大にして最後の武器なのだ!!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:13:50.21 ID:Hf8Bp6290
ゲッター3のパイロット 巴武蔵は単身ゲッターロボに乗り込むと、敵陣へと突入しゲッターの炉心を暴走させた!


武蔵 「これが貴様らのもっとも恐ろしがっていた、ゲッターエネルギータンクだ!」

武蔵 「貴様らの先祖は光線で死んでいったんだ。ここでもう一度、ゲッター光線で滅ぶんだ、ト、トカゲ野郎・・・」

武蔵 「さらば、リョウ、隼人。後の事は頼むよ」


武蔵の最後の言葉を合図としたかのように、爆音と共に光の中へと消えてゆくゲッターロボ。

そう、武蔵は己の命と引き換えに多くのメカザウルスを道連れにして、ゲッターを自爆させたのだ!!


竜馬 「武蔵!武蔵ーっ!!!」

竜馬 「俺が・・・俺が・・・記憶さえはっきりしていれば・・・お前を殺さずに・・・」

竜馬 「武蔵!!許せ!!ううっ・・・!」


ゲッターロボと巴武蔵というあまりにも大きな犠牲を代償に、この戦いには勝つ事ができた!!


だが、しかし。

奴らはまだ、滅びてはいなかった・・・


・・
・・
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:19:49.61 ID:Hf8Bp6290
唯 「きょ、きょうりゅう・・・」

和(偽)「動くなよ。少しでも変な動きを見せたら、その細首を搔っ切ってやる」

唯 「ひっ!あわわわ・・・」

和(偽)「お前らもだ、ゲッターチーム。さぁ、道を開けろ」

隼人 「待て、その娘をどうするつもりだ」

和(偽)「我が帝国に連れ帰らせてもらう」

隼人 「なんだと!?」

和(偽)「その後の事は、貴様らには与り知らぬことだ。ふ、本来ならもっと穏便に事を収めるつもりだったのだがな」

和(偽)「さぁどけ!俺はこの娘の体さえ手に入れば、手足の無い姿にしても構わないのだぞ!?」

竜馬 「・・・ぐっ」

唯 「ま、待って」

和(偽)「ん?」

唯 「和ちゃんは・・・本当の和ちゃんはどうしたの?いったいどこに行っちゃったの?」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:26:12.96 ID:Hf8Bp6290
和(偽)「さてな。今頃は、俺の仲間の腹の中にでも納まっているんじゃないか。くはははははっ!」

唯 「・・・え」

和(偽)「俺と入れ替わる際に拉致し、後の処理は仲間に任せてある。骨だけでも残っていれば、帝国に戻った後でお前にくれてやってもいいぞ」

唯 「嘘、嘘だ。和ちゃんが・・・そんな・・・」

竜馬 「・・・下衆め」ぎりっ

隼人 「よせ、リョウ。あの娘を失うわけにはいかん。ここは奴の隙を見つけるまで堪えるんだ」

竜馬 「くそ・・・」

唯 「和ちゃん・・・のどか・・・」


ぴっぴっぴ・・・


隼人 「・・・ん?」


ぴっぴっぴっぴ・・・


隼人 「ゲッター線計測装置が・・・なんだこれは!?この部屋のゲッター値がみるみる上がって・・・」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:32:36.06 ID:Hf8Bp6290
唯 「・・・さない」

隼人 「違う!この娘だ!彼女が発するゲッター値が・・・バカな・・・ありえない・・・」

竜馬 「いったい、どうしたって言うんだ!」

隼人 「ゲッターロボの炉とほぼ同じ数値が、彼女の体から発せられている!」

竜馬 「なにぃ!?」

唯 「許さない・・・」

和(偽)「ぐ・・・ぐああああああっ!な、なんだこれは・・・ゲッター・・・ゲッター線・・・!!」

竜馬 「ここから出るぞ!このままじゃ被爆してしまう!」

隼人 「ダメだ!間に合わん!!」


唯 「許さないーっ!!」かっ!!
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:39:47.88 ID:Hf8Bp6290
和(偽)「ぐああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

竜馬 「うおおおお!?」

隼人 「うわあああ!!」

和(偽)「あああ・・・か、体が溶けてゆく・・・」

唯 「和ちゃんを!和ちゃんを返せええええっ!!!」

和(偽)「ぐぐ・・・俺が・・・崩れていく・・・」どさっ

唯 「ああ・・・!ああ・・・!」

唯 「あああああああああああああああああああああああっ!!!」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 21:59:07.55 ID:Hf8Bp6290
・・
・・


隼人!隼人!しっかりしろ!


隼人 「・・・う、りょ、リョウ・・・」

竜馬 「隼人!良かった。お前も無事だったんだな」

隼人 「無事・・・?そうか、俺たちは大量のゲッター線を浴びで・・・はっ!そうだ、トカゲ野郎は?娘はどうなった?!」

竜馬 「気を失ってはいるが、彼女なら無事だ。それに、俺たちもな」

隼人 「あれだけのゲッター線を浴びて、無事だと・・・?恐竜帝国は?」

竜馬 「あっちの方はお陀仏だ。跡形も無く溶けちまって、骨すら残ってない」

隼人 「バカな。トカゲ野郎が溶けるほどの線量を浴びて、俺たちは無事だというのか?いくら人間のほうが、ゲッター線に耐性が強いとは言え・・・」


? 「それが・・・ゲッターの意志だとしたら・・・?」


竜馬 「だ、誰だ!?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 22:01:40.26 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「だ、誰だ!?」

紬 「・・・」

竜馬 「なんだ、お前は・・・」

隼人 「お嬢・・・」

紬 「お久しぶりです、神隼人。それに、はじめましてね。流竜馬」

竜馬 「おい、誰なんだ・・・?」

隼人 「琴吹紬・・・」

竜馬 「琴吹・・・琴吹財閥のあの琴吹か」

隼人 「そうだ。俺たちの新たな協力者・・・いや、パトロンと言ってもいい。そこのお嬢さんだ」

紬 「・・・」

隼人 「なぜあんたがここに・・・?」

紬 「だって私、ここ桜ヶ丘高校の生徒なんですもの」

隼人 「なっ・・・!?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 22:04:39.41 ID:Hf8Bp6290
竜馬 「・・・そんなの俺の知った事じゃねぇ。おい、あんた。さっきゲッターの意志がどうとか言ってたな?」

紬 「ええ」

竜馬 「そりゃどういうこった?説明してもらおうか」

紬 「今の出来事も、彼女の不思議な力も。その力が敵だけを滅ぼして、あなた方が無事だったのも・・・」

紬 「さらに言えば、彼女がここにいるのも。そして、私が彼女の側に存在しているのも・・・」

紬 「私はすべて、ゲッターの意志のなせる業だと考えているの」

隼人 「・・・ゲッター線がトカゲ野郎のみを敵と認識し、俺たちを生かすと判断した結果だとでも・・・?」

竜馬 「なんだと?まったく意味がわからねぇ・・・ゲッター線に、エネルギーに心があるとでも言いたいのか?」

紬 「その通りです」


答えて琴吹紬は謎めいた笑みを、その美貌の上に浮かべた!

彼女はいったい、何を知っているのか!?ゲッターの意志とははたして!?

そして、平沢唯の発した不可思議な力の正体と、その彼女を連れ去ろうとした恐竜帝国の目論見とは一体なんだったのか!?
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/05(土) 22:07:22.93 ID:Hf8Bp6290
次回へ続く!
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 22:34:19.85 ID:vuKRK7Nl0
ラスト予想

1.儒生歴年表を羅列して完
2.全部終わったと思ったらラスボス登場して完
3.新たな力を得て「さあ、ゆくぞ!」完
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/05(土) 22:35:13.33 ID:vuKRK7Nl0
ラスト予想

1.儒生歴年表を羅列して完
2.全部終わったと思ったらラスボス登場して完
3.新たな力を得て「さあ、ゆくぞ!」完
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県) [saga sage]:2011/11/05(土) 22:36:55.91 ID:MnFX5WJX0
乙!

こりゃ軽音部じゃなくハチュウ人類みな殺し部に入るな
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 23:56:51.02 ID:xY0cRsNSO
よく分からんが頑張れ

ただ、>>1にあるみたいに
「けいおんでやる必要があるの?」とは思うが……

多分、終わる頃にはキャラの原型すら留めてない、オリキャラになると予想する
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/06(日) 02:47:10.66 ID:33p82tBAO
何だ武蔵以外は生存してんのか、寂しくないように2人とも一緒に逝けばよかったのに
どうせならコクピットけいおんで埋めてほしかったわ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 12:56:18.84 ID:AB6779000
再開!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 12:59:32.80 ID:AB6779000
・・
・・


唯・・・唯ちゃん・・・


唯 「あなたは・・・」


怖かったよね。でも、もう大丈夫だよ。


唯 「だ、大丈夫って・・・ね、ねぇ・・・!」

唯 「あれが、あんなのがあなたの言っていた”戦い”なの?」


うん、そう。だけどまだ、さっきのは戦いの始まり。まだ序章に過ぎないんだよ。


唯 「じゃ、じゃあ・・・私、もっとひどい目に遭うの・・・?ううん、私のことより・・・」

唯 「和ちゃん・・・和ちゃんが・・・」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:03:50.97 ID:AB6779000
私、言ったよ。私は唯ちゃんを護ると。

唯ちゃんの命はもちろん、その心をも含めて。


唯 「え・・・」


目を覚まして、唯ちゃん。

そして安心して欲しいな。


唯 「え・・・あ・・・待って!ねぇ、名前は!?あなたの名前、まだ聞いてない!」


私の名は・・・


・・
・・
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:08:36.44 ID:AB6779000
唯 「・・・」ぱちくり

唯 「ここ・・・は・・・?」

唯 「知らない天井だ・・・なんちて」

竜馬 「目ぇ覚めたか?」

唯 「あ・・・さっきの怖い人・・・」

竜馬 「ふ、頭のほうはハッキリしているようだな。自己紹介がまだだったな。俺の名前は竜馬。流竜馬ってんだ」

唯 「あ・・・え・・・えっと・・・唯です。平沢唯・・・」

竜馬 「よし、平沢唯。医者の見立てではどこにも異常なしって事だが、どうだ?痛いところとかは無いか?」

唯 「う、ううん。平気」

竜馬 「そりゃけっこう」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:13:06.75 ID:AB6779000
唯 「え、えと・・・あの、ここは?」

竜馬 「早乙女研究所の医務室だ」

唯 「早乙女研究所って、聞いた事があるよ。確か、ゲッターロボの基地でもあるってテレビで言ってた」

竜馬 「そう、よく知ってるな」

唯 「どうしてそんなところに私が・・・?」

竜馬 「あんな事があった後ではな、普通の医者に診せるより、専門家のいるここの方が安心だと思って連れてきた」

唯 「連れてきたって・・・あなたはいったい何なの・・・?」

竜馬 「俺はこの研究所に籍を置いて、ゲッターロボのパイロットをしている」

唯 「え、ええ!?」

竜馬 「学校で一緒にいた神隼人も同輩だ」

唯 「そんな人がどうして・・・」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:18:46.71 ID:AB6779000
竜馬 「・・・さっきの。学校での出来事だが。どこまで覚えている?」

唯 「・・・」

竜馬 「言ってみろ」

唯 「和ちゃんの偽者に捕まって。そいで、和ちゃんはもう死んじゃってるって聞かされて・・・」

唯 「うう・・・」ぽろぽろ

竜馬 「・・・その後のことは?」

唯 「あと・・・?ううん・・・そういえば、あいつは?和ちゃんの偽者はどうなったの?」

竜馬 「死んだよ。お前が倒した」

唯 「へ・・・?何を言って・・・」

竜馬 「聞いたとおりだ。お前が友達の偽者を倒した。身体から多量のゲッター線を放出してな」

唯 「げったー・・・せん・・・?い、意味が分からないよ」

竜馬 「それはこっちもご同様だ。そんな真似ができる人間がいるなんて、聞いた事もねぇ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:30:33.13 ID:AB6779000
唯 「・・・」

竜馬 「そんな不安そうな顔をするなよ・・・」

唯 「う〜〜〜・・・」

竜馬 「そ、そしてすぐ泣く。ああ、もう。これだから女って奴は・・・ええと、そうだな・・・」

竜馬 「お、おい。廊下の!もう入ってきて良いぞ」

唯 「・・・?」


がらっ


? 「唯・・・」

唯 「!!!!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:34:55.20 ID:AB6779000
・・
・・


流竜馬が馴れない女の涙に脂汗を流しているころ。

同じ早乙女研究所内の会議室にて、三人の人物が顔を合わせていた!

一人はゲッター線研究の世界的権威であり、ゲッターロボの生みの親 早乙女博士。

その傍らには寄り添うように神隼人が立っている。

そして、テーブルを挟んだ彼らの向かいに座しているのは、果たして!

唯の友達にして軽音部の仲間でもある、琴吹紬その人であった!
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:40:46.85 ID:AB6779000
早乙女 「今日はご足労いただいて恐縮でしたな、紬お嬢さん」

紬 「いいえ、こちらこそ私の友達の治療に尽力くださって、感謝いています」

早乙女 「別に慈善事業というわけではない。彼女は私にとっても保護するに値する存在ですからな」

紬 「モルモットとして・・・?」

早乙女 「場合によっては」

紬 「・・・」

隼人 「・・・お嬢。あんたには早乙女博士に不信感を抱く権利なんか、無いんでないですかね」

紬 「どういうことでしょう?」

隼人 「あんた、平沢唯の資質について事前に調べがついていて、それで彼女と同じ学校に入学したんだろう?」

隼人 「監視のためか保護のためかしらねぇが、半年も無為に過ごしたわけを聞きたい」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 13:53:42.61 ID:AB6779000
早乙女 「よさんか、隼人」

隼人 「いや、言わせてもらうぜ。もっと早く彼女の事を教えてくれていれば、今日のようなゴタゴタも防げたかも知れねぇんだからな」

隼人 「今回の事は、お嬢に責任がある。そんなあんたが博士のやりように、どうこう言う資格なんざねぇのさ」

紬 「なにか、誤解されているようですね」

隼人 「なにが誤解だ」

紬 「唯ちゃん・・・平沢唯にあのような力があるのを知ったのは、つい先日のことです」

隼人 「ふっ。なにをバカな」

紬 「本当よ。早乙女博士が実用化されたポータブルタイプのゲッター線計測装置。これを送っていただいてからです」

隼人 「・・・」

紬 「ゲッター線の扱いや解析は一般化されていない技術分野。琴吹の側で独自に”パイロット”を探すなど、できるはずがないではありませんか」

早乙女 「お嬢さんのおっしゃるとおりだ」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:07:40.78 ID:AB6779000
紬 「さらに言わせてもらえば、そちらだって和ちゃん・・・真鍋和が偽者と摩り替わっている事を、こちらに知らせてはくれなかったじゃないですか」

隼人 「お前さんが、まさか同じ学校に在籍しているとは、露程にも思わなかったからだ」

紬 「別に私は身元を隠していたわけじゃなし。調べればすぐに分かる事です」

紬 「私に事前に話を通してくれていれば、唯ちゃんの身を危険に晒す事も無かったかもしれないのに。そちらこそ詰めが甘いんじゃありませんか?」

隼人 「く・・・」

早乙女 「お嬢さんもその辺で。今回の事はお互いの連携不足から出たこと。互いに今後の教訓としようではありませんか」

紬 「そうですね」

隼人 「・・・」

紬 「・・・ただ」

隼人 「ん?」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:20:47.56 ID:AB6779000
紬 「思い返せば確かに。唯ちゃんには”パイロット”に相応しい能力に長けていました。そこで計測装置を手にしてすぐに・・・」

紬 「物は試しとこっそり唯ちゃんに使ってみたんです。そうしたら・・・」

早乙女 「的中だったというわけか」

紬 「そして今日みせてくれた彼女の力・・・あれで私も確信しました。唯ちゃんこそ、私たちが求めていた人材なのだと・・・」

隼人 「ちょ、ちょっと待ってくれ。だとしたらどうしてだ?どうしてあんたは、平沢唯と同じ学校にいたんだ?」

紬 「偶然」

隼人 「そんな都合の良い偶然などあるものか!」

紬 「偶然という名の必然。つまり・・・」


紬 「ゲッターの意志による邂逅・・・」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:30:00.72 ID:AB6779000
・・
・・


和 「唯・・・」

唯 「の・・・和ちゃん?」

和 「ごめんね、唯。心配かけちゃったよね・・・」

唯 「あ、あうう・・・」たじっ

和 「唯・・・?」

竜馬 「心配するな。こいつは本物だ」

唯 「本当?本当のホントに、本物の和ちゃん?」

竜馬 「ああ。トカゲでも幽霊でもない。正真正銘、お前の友達だ」

唯 「あ・・・う・・・私・・・和ちゃん、死んじゃったものだと・・・」

和 「バカ、唯。私が唯を置いて死んじゃうわけなんてないじゃない・・・」

唯 「そ、そうだよね。え、えへへ・・・へへ・・・へ・・・う・・・」

唯 「うえええええん。和ちゃん、良かったよぉ!ええーーーーん!」

和 「ぐすっ。唯・・・」

竜馬 「けっきょく泣くのかよ・・・」

竜馬 「でもま、良かったな・・・」(ぼそっ)

50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:34:58.32 ID:AB6779000
・・
・・


竜馬 「思う存分泣いて、気は済んだか?」

唯 「う、うん。えへへ・・・なんだか泣き疲れちゃった」

和 「ふふ、唯らしい」

唯 「でもでも・・・どうして和ちゃんがここに?あのトカゲの人は、その・・・和ちゃんは死んじゃったって・・・」

竜馬 「簡単だ。殺される前に俺が助けて研究所に保護した。それだけの話だ」

唯 「えっ」

竜馬 「俺と隼人はちょっとした探し物をしていてな。目的の物の反応を追っているうちに、お前の学校の近くまでやってきたってわけだ」

竜馬 「で、そこでこの娘がトカゲ野郎に拉致される現場に出くわした」

竜馬 「おそらくトカゲ野郎も同じものを探しているはずと踏んでな、入れ替わった奴を泳がせた後でこいつを救出したってわけだ」

唯 「探しものって、なんなの・・・?」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:53:10.93 ID:AB6779000
竜馬 「・・・ゲッター線って聞いた事があるか?」

唯 「え・・・う、ううん。ゲッターって言うくらいだから、ゲッターロボと関係があるの?」

和 「私は聞いた事がある。宇宙から降り注ぐ宇宙線の一種で、ゲッターロボのエネルギーにもなってるんですよね」

竜馬 「よく知ってるな、メガネ」

和 「め、めがね・・・」

唯 「あはは」

竜馬 「だが、それだけじゃない。じゃ、簡単にゲッター線の説明からいこうか」


ゲッター線!

神秘の宇宙線にして、ゲッターロボの名前の由来ともなったエネルギーを、人はこう呼ぶ!

では、その正体とはいったい何か!?
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 14:56:52.31 ID:AB6779000
遥かなる太古。

人類が誕生する以前。哺乳類の先祖が、まだネズミのような姿で地べたを這っていたころ。

地球の支配者は恐竜だった。

彼らはただ獰猛だっただけではない。やがて知性を得、高度な科学や芸術を手に入れ、文化というものを生み出した。

そう、一大文明を築いていたのだ!


だがしかし。

彼らの繁栄も永遠のものではなかった・・・
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:01:15.81 ID:AB6779000
ある時、突如地上に降り注ぎ始めた宇宙線、ゲッター線は生物の生態に重大な影響を及ぼした。

それこそが進化!

そう、ゲッター線には生物の進化を促し、新たなステージへと駒を進めさせる、偉大な力が秘められていたのだ!!

進化・・・

それは生態系にとっての成長。それを促すゲッター線こそは、まさに夢のエネルギーともいえた!

だが、進化が成長であるのなら、当然そこには老いと衰えというプロセスも含まれる事となる・・・

すなわち、その時点で進化の頂点に達していた恐竜たちの生態は、ゲッター線の及ぼす影響には適応できなかったのだ。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:13:03.47 ID:AB6779000
ゆえに・・・

ある種は死に絶え・・・

また、かろうじて生き残った種も、地下深くに新たな生活の場を移し、難を逃れる他に術がなかったのである。


和 「え・・・それってもしかして・・・」

唯 「え?なになに??」

和 「もしかして、その時絶滅してしまったのが、化石で見ることのできる、いわゆる”恐竜”で・・・」

竜馬 「ふ・・・察しが良いお嬢さんだな」

和 「やっぱり、そうなんだ・・・」

唯 「えー、いったい何なの?なんの話?ねー・・・」

和 「つまりね、唯。地下に逃れて絶滅を免れた種の子孫こそが・・・・」

竜馬 「そう。恐竜帝国だ」

唯 「えー!?」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:18:06.63 ID:AB6779000
恐竜帝国!

地下に逃れた彼らは、ゲッター線に対抗する手段を手にするまで、長い雌伏の時を耐えていた!

そして同じころ地上では・・・

進化の途上にあった哺乳類が、ゲッター線の祝福を受けていた!

ネズミと大差ない原始的な生物から猿へ、そして人類へと・・・

やがて進化と共に知恵という武器を手にした人類は、地上の覇権を手中に収めるにいたる。

そう、ゲッター線は人類に進化と地上、その二つをもたらしていたのだ!


唯 「・・・」

和 「・・・」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:22:26.96 ID:AB6779000
竜馬 「恐竜帝国は爬虫類だ。とうぜん他の爬虫類同様に冬眠にあたる休眠期間ってもんがある」

竜馬 「長い長い休眠期間を終え、地上のゲッター線量がかつてより下がっている事を確認した奴らは、再び光を求めて地上に這い上がってきた」

竜馬 「そうしたら、暫くぶりの地上では俺たち人間が大きな顔でのし歩いていて、奴らの居場所は無くなっていたってわけだ」

和 「つまり恐竜帝国にとってのこの戦いは、侵略でもなんでもなく・・・」

竜馬 「ああ、元いた場所を取り戻すため。それだけのことだ」

唯 「・・・そうだったんだ。なんだか、かわいそうだね」

和 「唯・・・」

唯 「和ちゃんにあんな事をした恐竜帝国は許せないよ。だけど、あの人たちにも戦う理由っていうのがあったんだね」

唯 「私・・・今まで恐竜帝国の事、たんなる悪者だとしか思っていなかった」

竜馬 「そうさ。あいつらはあいつらの立場で、生きるために戦っている」

竜馬 「これは生存競争だ。人類と奴らの間に、善だの悪だのって関係は存在しねぇ」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:25:59.99 ID:AB6779000
和 「弱肉強食・・・」

竜馬 「そう。奴らとは殺すか殺されるかだ。善悪の問題じゃねぇから、お互い譲歩して手打ちって訳にはいかねぇ」

竜馬 「人類か恐竜帝国か。この戦いはどっちかが滅ぶまで終わらねぇんだ・・・」

唯 「ごくっ」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/06(日) 15:26:38.42 ID:AB6779000
次回へ続く!
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 19:09:08.73 ID:dIAyoQNDO
乙です。

唯に泣かれてうろたえる竜馬がイイねww
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/06(日) 21:41:59.09 ID:UYkOX0ZYo
ついにゲッターロボが虚無戦記とクロスしたと聞いて
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:05:15.51 ID:wkiJsOIE0
再開!
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:06:48.71 ID:wkiJsOIE0
和 「でも・・・恐竜帝国は倒されたと聞いていました。その・・・ゲッターロボと相打ちになって・・・」

竜馬 「違うな。たしかにあの戦いで、奴らは持ち駒の大半を失った」

竜馬 「だが、連中の親玉である帝王ゴールは健在だし、恐竜帝国が滅んだわけでもねぇ」

和 「え、じゃあ・・・最近メカザウルスの襲撃が無かったのは・・・」

竜馬 「力を蓄えているんだろうぜ。今回平沢唯を狙ってきた事を考えても、奴らが本格的に行動を再開するのも間近だろうさ」

唯 「でも、どうして私なんかが狙われちゃったの?私、ただの女の子だよ・・・?」

和 「・・・それに、その事とあなた方の探し物に、いったい何の関係が・・・?」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:12:46.67 ID:wkiJsOIE0
竜馬 「・・・ゲッターロボはメガネがさっき言ったとおり、ゲッター線を利用したエネルギーで動いている」

竜馬 「俺たちゲッターのパイロットは防護服を着用しているとはいえ、通常より数倍ものゲッター線に満たされているコクピットでゲッターを動かさなくてはならない」

唯 「???」

竜馬 「ゲッターのパイロットの資質。それは運動神経であったり、戦い抜く意思であったりと様々だ。だが、一番重要なのが・・・」


紬 「人が自らの体内に保有するゲッター線。その量・・・」


唯 「え・・・」

和 「こ、琴吹さん・・・?」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:16:59.90 ID:wkiJsOIE0
紬 「唯ちゃん、気分はどう?」

隼人 「・・・」

竜馬 「隼人、マユゲと博士の話は終ったのか?」

紬 「マユゲ・・・」

隼人 「ああ、琴吹で用意している例のものは、間もなく建造が終るそうだ」

竜馬 「そうか、いよいよだな。あとは・・・」

隼人 「命を吹き込む者を待つのみだ」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:22:02.73 ID:wkiJsOIE0
唯 「ムギちゃん!もしかして、ムギちゃんも恐竜帝国の人に何かされたの!?」

紬 「ううん」

和 「じゃ、どうしてここに・・・」

紬 「唯ちゃん、ごめんね・・・」

唯 「え・・・」

紬 「竜馬さんがしていた話の続きだけどね。ゲッターのパイロットに最も必要なものは、人類自身がもつゲッター線なの」

紬 「人間はゲッター線を浴びて猿から進化した関係上、誰でも体の中にいくらかのゲッター線を宿している」

紬 「だた、その量は人によって様々でね?生まれもった資質の一つだと考えてもらっても良いかも知れない」

唯 「え?え?む・・・ムギちゃん・・・」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:24:36.40 ID:wkiJsOIE0
紬 「生まれつきゲッター値が高い人は、他から浴びせられるゲッター線に対しても強い耐性を持っているの」

紬 「逆に耐性が低いと、体や・・・もしかしたら心にも。どんな影響を及ぼすか想像もできない」

和 「琴吹さん・・・ちょっと・・・」

紬 「だからね。ゲッターロボに乗るためには、これがもっとも重要な事なのよ」

和 「琴吹さんってば!どうしてその事をあなたが?ううん、それ以前に・・・」

和 「竜馬さんも。どうしてその事を、唯に言うの・・・!?」

竜馬 「・・・」

隼人 「・・・」

紬 「・・・」

和 「ま、まさか・・・」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:29:15.92 ID:wkiJsOIE0
唯 「え?な、なに・・・ちょっと、なんなのかなー・・・?」

紬 「そうよ。唯ちゃんには、常人の数倍のゲッター線が宿っている・・・今までの常識では考えられないほどの莫大な・・・」

唯 「そ、そんな話、聞いた事ないよ・・・?」

竜馬 「そらそうだ。特殊な計測器を使わなきゃ、表には出ないもんだからな」

隼人 「しかしトカゲ野郎は人間以上にゲッター線に敏感だ。やつ等が平沢唯を拉致して何をするつもりだったのかは見当もつかないが・・・」

竜馬 「その高いゲッター値ゆえに連中に見つかり、狙われたことだけは間違いねぇ」

唯 「そ、そんな・・・」

紬 「唯ちゃん、お願いがあるの」

唯 「へ・・・?な、なんだろ。嫌な予感しかしないけど・・・」

紬 「ゲッターに・・・」

唯 「・・・え?」

紬 「ゲッターロボに乗ってちょうだい」

唯 「」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:40:16.79 ID:wkiJsOIE0
・・
・・


同じころ紬たちの去った後の応接室では、残された早乙女博士が一人、物思いにふけっていた。


早乙女 「・・・」


こんこん


早乙女 「入れ」

ミチル 「お父様・・・」

早乙女 「ミチルか。間もなくだぞ。新たな戦いの幕が切って落とされるのは」

ミチル 「・・・」

早乙女 「ワシを非情と思うか?」

ミチル 「はい。竜馬君や隼人君、それに武蔵君に続いて、あんな何も知らない女の子まで戦いの渦中に巻き込もうとしてる・・・」

ミチル 「お父さんは、やっぱり鬼だわ・・・」

早乙女 「鬼か・・・達人が・・・お前の兄が死んだ時にも、そう言われたな」

ミチル 「・・・」

早乙女 「だが、誰かが戦わねば、人類は滅びる。そうなれば、どのみちあの少女の命も失われよう」

早乙女 「ならば、大を生かすためには小を捨てる。摂理であろう?」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:53:49.37 ID:wkiJsOIE0
ミチル 「・・・それで、彼女が乗る新ゲッターは、もうすでに・・・?」

早乙女 「ほぼ完成したそうだ。あとはこの研究所から送ったゲッター炉を機体に組み込めば完成だ」

ミチル 「こちら・・・早乙女研究所で建造中の方は?」

早乙女 「そちらはすでに完成している。肝心の新パイロットの訓練も、すでに修了した。いつでも戦える」

ミチル 「そう・・・」

早乙女 「・・・ワシは先の戦いで学んだ。所詮たった一人の精鋭は、数の前では無力なのだと」

早乙女 「いかにゲッターが強力であっても、戦えなくなった時に補佐できる者がいなくては、敵の成すがままにされるより他に無いとな」

ミチル 「武蔵君・・・」

早乙女 「そう、武蔵の尊い犠牲が教えてくれたのだ。そして,武蔵の死は我が研究所に新たな力をも、もたらしてくれた!」

早乙女 「すなわち、金の力だ!」

ミチル 「琴吹財閥ね」

早乙女 「そうだ。日本の・・・いや、世界有数の資産を有する財閥が、協力を申し出てくれた。これによって、ゲッター計画は新たな一歩を踏み出す事ができたのだ!」

ミチル 「女の子の運命と引き換えにね」

早乙女 「言うな!ここで我らが歩みを止めたら、今まで犠牲になった命のすべてが犬死となってしまう!」

70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 10:58:41.24 ID:wkiJsOIE0
・・
・・


唯 「私が、ゲッターロボに乗る・・・?」

紬 「うん」

和 「それってどういうこと?まさか、唯にロボットに乗って戦えって言っているの?」

紬 「そうよ」

和 「なっ・・・」

唯 「」あんぐり

和 「ねえ、琴吹さん・・・分かるように説明してもらえないかしら・・・」

紬 「わかってる。唯ちゃん、よく聞いてね?」

唯 「う、うん・・・」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:07:31.38 ID:wkiJsOIE0
私ね、ずっと不思議だったの。

なぜゲッターロボはたった一体で戦っているのだろうって。

もしゲッターロボに何かがあったら、戦う力が失われてしまったら、その時はどうなるんだろうって・・・

そして、その不安は現実のものとなってしまった。

もしあの時、ゲッターロボがもう一体あったなら。仲間がいたのなら。

ゲッターは恐竜帝国と刺し違えなくても良かったかもしれない。亡くなったパイロットも、死なずに済んだかもしれないって。

でも、それは仕方のないことだったのよね。

ゲッターロボは、建造費はもちろん維持費や戦いの後の補修にも、莫大なお金がかかる金食い虫・・・

国の後ろ盾があるとは言え、一民間機関である早乙女研究所では、とても複数のロボットを保有できる余裕なんか無かったのよ。

だから私、琴吹の家に働きかけたの。時期当主として、早乙女研究所に協力するようにと。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:15:02.07 ID:wkiJsOIE0
和 「協力・・・?」

紬 「そう。早乙女研究所で一体のゲッターを保有するのが精一杯なのなら、別のところが保有すればいい」

紬 「そして互いに不足な部分を補い合う。敵にとってはまさに、前門の虎 後門の狼・・・」

紬 「つまり・・・名づけてゲッター虎狼計画」

唯 「ころう・・・けい・・・かく・・・」

紬 「そして、それは間もなく完成するわ。琴吹重工製の新たなゲッターロボが・・・」

紬 「それにね、唯ちゃん。あなたが乗って欲しいの。琴吹製ゲッターのメインパイロットとして」

隼人 「俺たちと琴吹のお嬢はゲッターのパイロットを二手に分かれて探していたんだが、奇しくもたどり着いたのは同じ人物のところだった」

唯 「そ、それが私だって言うの・・・?」

竜馬 「そうだ、ヘアピン」

唯 「へ、ヘアピンって・・・」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:20:40.73 ID:wkiJsOIE0
竜馬 「トカゲ野郎を泳がせておいたおかげで、お前にたどり着く事ができたぜ」

和 「まさか琴吹さん、あなたその為に唯に近づいたの?同じ学校に入って、同じ軽音部に所属して・・・」

唯 「へ!?そ、そうなのムギちゃん・・・」

和 「だとしたら、私はあなたを・・・」

紬 「違うわ!それは本当に違う。私が唯ちゃんや他のみんなと知り合ったのは、本当に偶然。それだけは信じて・・・」

紬 「でもね?私は思うの。意味の無い偶然なんか、この世には存在しないって」

竜馬 「さっきも言っていた、ゲッターの意志って奴か」

和 「・・・意味が分からないわよ」

紬 「私が唯ちゃんと出会ったのは、運命だったという事」

唯 「ひゃっ///」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:33:06.26 ID:wkiJsOIE0

和 「か、仮に偶然だとして、どうして唯が?唯の運動神経はあなたも知ってるでしょ?とても使い物になるとは思えないわ」

唯 「あう、和ちゃん。それはあんまり・・・」

隼人 「俺は運命なんて観念めいた事なんか信じてはいない。だが、平沢唯にはゲッターに乗る資質がある」

和 「断言するんですか?」

隼人 「そうだ。それはこのゲッター線計測装置の計測結果が教えてくれている」

和 「・・・だからって」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:42:19.25 ID:wkiJsOIE0
竜馬 「まぁ・・・言葉で言っても納得できないのは当然だ。最初は俺たちもそうだったじゃねぇか、隼人」

隼人 「まぁ、そうだがな」

竜馬 「で、俺たちの時にはどうしたかって話だが・・・」

隼人 「ふ、そういうことだな」

唯 「え・・・なに?また私を置いてきぼりにして、話が進んじゃってる??」

竜馬 「ヘアピン、体の具合はもう良いんだったよな?」

唯 「え、うん・・・」

竜馬 「じゃ、ついてきてもらおうか」にやり

唯 「え?え?」


思惑ありげな笑みを浮かべる竜馬に、戸惑う事しかできない唯。

果たしてその笑みの意味するところとは何なのか!?
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/07(月) 11:42:46.99 ID:wkiJsOIE0
次回へ続く!
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/07(月) 12:05:47.38 ID:SeapknBh0


>隼人 「ふ、そういうことだな」
おい、嘔吐失禁ヤローがなんかカッコつけてるぜ。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 13:05:44.13 ID:Gyz0cyufo
面白い!
続き期待してます。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:07:38.13 ID:ZYbtBDj+0
再開!
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:11:14.70 ID:ZYbtBDj+0
・・
・・


唯 「えーーーー!?」


なぜか唯は、自動操縦で動くよう設定されたベアー号のコクピットの中に放り込まれていた!


唯 「なんなの!?いったい何なの!?」

竜馬 「あー聞こえるか、ヘアピン。ちゃんとシートベルトで体を固定して置くようにな」

唯 「なに?なに、この状況?分かるように説明してよー!?」

竜馬 「ああ、これな。これは練習用のゲッターロボだ。実戦には向かないし、本物のゲッターに比べればパワーは劣るが、乗り心地を体感するにはちょうど良いだろ」

唯 「そういうことを言ってるんじゃなくてー!」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:12:52.54 ID:ZYbtBDj+0
隼人 「操縦はすべてコンピューターがしてくれる。お前さんは、ただ座っていれば良い」

唯 「そうは言っても・・・」

竜馬 「じゃあ、行くぜ。ゲッターゴー!」


竜馬の掛け声を合図に、滑走路を爆走し基地の外へと飛び出す三機のゲットマシン!!


唯 「うあ、うあああああああっ!?」

隼人 「悲鳴は黙ってあげろ!舌を噛み切ってしまっても知らないぞ!」

唯 「そ、そんな無茶なああああああっ!?」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:15:13.81 ID:ZYbtBDj+0
竜馬 「よーし、合体するぜ!チェンジゲッター1スイッチオン!!」


併走していた三機は、竜馬の掛け声で隊列を変え、イーグル号 ジャガー号 ベアー号の順に縦列を作った!

見事にして華麗なるフォーメーション!!

そして!

物理法則を無視した変形をそれぞれ行い、ある部分は伸び!ある部分は縮み!そしてある部分は増殖し!!

やがて三機は一ところに吸い込まれるかのように集まり・・・

衝突した!
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:18:06.33 ID:ZYbtBDj+0
和 「・・・っきゃあ!」

紬 「・・・」

和 「ぶ・・・ぶつぶつ・・・ぶつか・・・唯っ!!」

紬 「落ち着いて、和ちゃん。よく見て」

和 「落ち着いてなんていられないわよ!だって、唯が・・・唯がっ!!」

紬 「あれはね、ぶつかったんじゃない。合体したの」

和 「え・・・が、合体・・・?」

紬 「そう、三つの命が一つに重なって、無敵のスーパーロボットが誕生する。それこそが・・・合体!」

和 「合体・・・ゲッターロボ・・・」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:28:10.65 ID:ZYbtBDj+0
衝突した!・・・かに見えた。

そう、研究所のバルコニーにて・・・

少し離れた場所から見ていた和には、ゲッターロボの合体がそう見えても仕方が無かった。

それほどまでにゲッターの合体は高速にして激しく、とても常人の目で追えるところではなかったのだ!!

だが、見よ!

今こそ、刮目してみよ!!

先ほどまで三機のマシンがあった空に、今は一体のロボットの姿。

雄雄しく、凛々しくそびえ立つ姿があった!

それこそがゲッター!

ゲッターロボの勇姿なのだ!!
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:36:41.40 ID:ZYbtBDj+0
竜馬 「ふぅ・・・」

隼人 「竜馬・・・?」

竜馬 「訓練用とは言え、やっぱり良いな、ゲッターロボは」

隼人 「・・・ああ。武蔵が死んだあの戦い以来だったからな。だがさすがだ、勘はちっとも鈍っちゃいない」

竜馬 「当然、俺を誰だと思っていやがる」

唯 「・・・」

竜馬 「と、まぁ。これがゲッターロボの合体だ。練習用でこの速さ。実戦機はもっと・・・」

唯 「お・・・」

竜馬 「ん・・・?」

唯 「おえええええ・・・」

竜馬 「・・・あらら」

隼人 「無理もない。初めてゲッターに乗って、三半規管が音を上げない奴なんか、そういるもんじゃないからな」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:46:45.10 ID:ZYbtBDj+0
唯 「うう・・・けほっ。もうやだよぉ・・・おろして・・・」

竜馬 「目ぇ瞑ってるな!操縦桿の動きを見ていろ!」

唯 「うえぇぇ・・・そ、そんなこと言ったって・・・」


唯ちゃん。


唯 「え・・・この声・・・」


目を開けて。そして、ほら。外を見てみてよ。


唯 「だ、だって・・・」


キャノピー越しに見える景色を。空の色。雲の流れ。風の息吹を・・・ほら。


唯 「そんなこと言われたって・・・怖い・・・ううっ」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:52:20.60 ID:ZYbtBDj+0
大丈夫。

さぁ、私を信じて?


唯 「・・・」


おそるおそる・・・


唯 「わ・・・今、こんな高いところにいるんだ、私・・・」

唯 「うわぁ・・・建物がちっちゃく見えて、おもちゃみたい」

唯 「夕日が雲に照り返して、キラキラ光っていてきれいだなぁ」

唯 「この景色、澪ちゃんにも見せてあげたいな。きっと、良い詞が書けそうだって喜んでくれそう」

唯 「あ、あれ・・・気分が落ち着いてきちゃった。吐き気もおさまって・・・」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 12:59:08.26 ID:ZYbtBDj+0
感じて。コクピットに満ちたゲッターの意志を。

唯ちゃんは護られている。


唯 「・・・うん」

竜馬 「よっしゃ、そんじゃあこのまま空の散歩としゃれ込むとすっか!!」


ぎゅんっ!!


唯 「うわわっ!?」

唯 「あ・・・景色がまるで絵の具をかき回したように、すべてが一つに溶け込んでいく・・・」

唯 「すごいスピード・・・私、いま空を飛んでいるんだ!」

唯 「た、楽しいっ」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:15:38.22 ID:ZYbtBDj+0
隼人 「・・・おい、竜馬」

竜馬 「あ?」

隼人 「モニター越しに、彼女の顔を見てみろ」

竜馬 「ゲロ吐きそうな顔を見たって何にも・・・て・・・」

隼人 「笑ってやがる」

竜馬 「本当だ・・・ゲッター初乗りで笑顔、浮かべてやがるのか。なんて奴だ」

隼人 「こいつは、俺たちの予想を超えての収穫だったかも知れんな」

竜馬 「あ、ああ・・・」

唯 「すごい!すごいよ!あは、あははっ」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:17:36.91 ID:ZYbtBDj+0
・・
・・


紬 「唯ちゃんは天才よ」

和 「え?」

紬 「幼馴染の和ちゃんなら、唯ちゃんの飛びぬけた資質を、今まで何度も見た事あったんじゃないかしら」

和 「どういうこと?」

紬 「例えば音楽。楽器を始めたのは軽音部に入ってからだというのに、彼女は瞬く間にギターをマスターした」

和 「それは、周りのみんなに助けられたからじゃ・・・」

紬 「唯ちゃんが絶対音感の持ち主だったって事、和ちゃんは知っていた?」

和 「え?そんな話は初耳だけれど・・・」

紬 「唯ちゃんね、ギターの音合わせでチューナーを使った事がないの。いつも感覚で作業して、それがピタリと合ってしまう」

和 「そ、そうなんだ・・・じゃあ、軽音部に入部したのも、その才能が引き合わせた事だったのかもしれないわね」

紬 「それはないわ」

和 「どうして言い切れるの?」

紬 「だって入部当初の唯ちゃんに、そんな能力は無かったんだもの」

和 「・・・え」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:24:45.82 ID:ZYbtBDj+0
紬 「ギターが上手になりたい。早くみんなとセッションしたいという唯ちゃんの想いが、能力を開花させたのよ」

和 「・・・絶対音感ってそういう風にして身につくものなの?」

紬 「ううん、唯ちゃんなればこそのことよ」

和 「・・・」

紬 「隼人さんから聞いた話だとね?さっきは学校で、竜馬さんと互角に打ち合ったんだって」

和 「打ち合ったって・・・?」

紬 「拳と拳」

和 「・・・!」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:35:04.58 ID:ZYbtBDj+0
紬 「竜馬さんというのはね、あの流一岩のご子息でね」

和 「え・・・悪評が元で空手界を追放されたって有名な・・・?空手に興味の無い私でも聞き覚えがある・・・」

紬 「そう、その跡取りの竜馬さんも、もちろん空手の達人。その腕を見込まれて、ゲッターロボのパイロットに抜擢されたほどの」

和 「そんな人と互角に・・・?」

紬 「ええ。もちろん唯ちゃんには空手はおろか、殴り合いのケンカをした経験さえ無いでしょうにね」

和 「ありえないわ」

紬 「ありえない事を成すのが天才なの」

和 「・・・」

紬 「あなたを助けたいという一念が、空手の達人と互角に渡り合う術を瞬時に身につけさせた」

和 「信じられない」

紬 「それができるのが唯ちゃん。唯ちゃんは望めば何にでもなれる」

和 「どういうことなの・・・」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:38:08.94 ID:ZYbtBDj+0
紬 「進化の秘密の源泉であるゲッターに愛された存在である唯ちゃん。進化とはすなわち成長・・・」

紬 「ギターの名手にも空手の達人にも。そしてゲッターロボのパイロットにも・・・」

紬 「唯ちゃんが成長を望めば何にでもなれる。もし・・・もしも・・・」

紬 「彼女が人という概念を捨てることができれば、空すら飛べるかもしれないわね」

和 「それって・・・」

紬 「・・・」

和 「それって、唯が人じゃないって言ってるのと一緒じゃない!」

紬 「違う。人よ・・・ただ・・・ちょっとだけ普通と違うだけの・・・」


紬 「ゲッターに魅入られたというだけの、人間・・・」


和 「・・・これから唯はどうなっちゃうの?」

紬 「・・・」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/08(火) 13:43:11.47 ID:ZYbtBDj+0
次回へ続く!
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:32:49.04 ID:xg4PGvc+0
再開!
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [saga]:2011/11/09(水) 00:34:57.69 ID:W1Y6x/Jv0
・・
・・


帰路。隼人の運転する車の中。


隼人 「俺は平沢唯を家に帰すのは反対なのだがな」

和 「どうして?唯を軟禁でもするつもり?」

紬 「違うわ、和ちゃん・・・」

竜馬 「まるで俺たちがヘアピンを取って食おうとしているみたいじゃねぇか」

和 「似たようなものじゃない・・・」

唯 「私、食べられちゃうの?」

紬 「それも違うわ、唯ちゃん・・・」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:37:20.73 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「隼人はな、研究所にいたほうが安全だって、そう言いたいんだよ」

唯 「どういうことなの?」

竜馬 「理由は定かじゃないが、恐竜帝国はヘアピンの身柄を狙っている。再び襲撃をかけてきてもおかしくはない」

紬 「早乙女研究所なら防備は万全でしょうしね」

隼人 「そういうことだ」

唯 「えええ・・・私、また怖い目に遭わされるかもしれないの?うう、和ちゃん・・・」

和 「唯・・・」

竜馬 「だがま、研究所にいたからといって、絶対に安全って訳でもない。研究所の場所はすでに敵に知られているし、現に襲撃を受けた事も過去に何度かあった」

竜馬 「結局どこにいたところで、枕を高く高いびきって訳にはいかねぇのさ。だったら、ヘアピン自身がいたい場所にいるのが一番いいんじゃねぇか」

唯 「竜馬さん・・・」

竜馬 「リョウでいいぜ」

唯 「うん・・・」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:40:07.60 ID:xg4PGvc+0
隼人 「そう言って平沢唯の帰宅を推したのはリョウなんだ。責任を持って、彼女の警護はやり遂げてもらうからな」

唯 「え・・・」

竜馬 「分かってるさ」

唯 「あ、あの・・・ありがとう、リョウさん」

竜馬 「礼には及ばない。お前にはこれから、俺たちの力になってもらわなくちゃならないんだからな」

和 「・・・唯の意思にはお構いなくですか?」

竜馬 「やけにつっかかってくるな?」

和 「・・・ふんっ」

紬 「・・・」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 00:44:19.18 ID:xg4PGvc+0
・・
・・


隼人 「着いたぜ」

竜馬 「隼人はこのまま、マユゲと一緒に琴吹重工に向かうんだったよな」

隼人 「ああ。届いているはずのゲッター炉を琴吹製のゲッターに組み込む作業に立ち会わねばならん」

竜馬 「いよいよ完成だな」

隼人 「作業は明日には完了するだろうさ」

紬 「そういうわけだから、私もここで失礼するわね」

唯 「うん」

紬 「唯ちゃん、ごめんね・・・本当はもっと時間をかけて、順を追ってお話しするつもりだったんだけど・・・」

紬 「恐竜帝国が行動を開始してしまった以上、どうしても・・・」

和 「降りよう、唯」

唯 「え・・・和ちゃん・・・?」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:03:18.41 ID:xg4PGvc+0
和 「琴吹さん」

紬 「はい・・・」

和 「唯にどんな力があって、何ができるにしても・・・唯の意思を無視するのは止めて」

紬 「・・・」

和 「無理強いするような事があったら、もうあなたの事は友達とは思わないから」

紬 「わかってる・・・」

隼人 「話は済んだか?降りる人は、早く降りてくれないかね」

和 「・・・いこう、唯」

唯 「う、うん・・・」


ぶろろろろろろ・・・


唯 「行っちゃったね」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:14:21.72 ID:xg4PGvc+0
和 「早く家に入ろう?遅くなっちゃったし、憂も心配しているよ」

唯 「そ、そうだね・・・」

和 「それと。今日は私、唯の家に泊まっていくから。だって、心配だもの」

唯 「ありがとう、和ちゃん・・・」ちらっ

竜馬 「・・・ん?俺か?俺の事なら気にする必要は無いぞ」

唯 「でも、助けてもらったお礼もまだしてないし。ねぇ、上がって?一緒にご飯食べようよ」

和 「ちょっと、唯!?」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:20:13.93 ID:xg4PGvc+0
唯 「憂のね。あ、憂っていうのは妹なんだけどね。憂のご飯って、とっても美味しいんだよ!」

竜馬 「いや、しかし・・・」

唯 「だめ?なにか、決まりとかあるの?」

竜馬 「そういうわけじゃないんだが、女ばかりの中に男が上がりこむというのも・・・」

唯 「・・・」

和 「・・・」

唯 「ぷっ、もしかしてリョウさん、女の子が苦手なのー?」

竜馬 「ば、ばか。そんなんじゃねぇよ」

唯 「あはは、強面だとおもってたけど、結構かわいいところがあったんだー♪」

竜馬 「ふざけんなよ、バカにするな!俺に苦手なもんなんぞあってたまるか!おお、飯でも何でも食わせてもらおうじゃねぇか!」

唯 「はいはい!」

和 「唯のこの順応性、ほんとう羨ましいわ・・・」
 
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:33:15.89 ID:xg4PGvc+0
がちゃっ


唯 「ただいまー」

憂 「おかえり、お姉ちゃん」ぱたぱた

唯 「遅くなっちゃった。ごめんね」

憂 「だめだよ、いくら紬さんの家だからって、あんまり遅くまでお邪魔してちゃ、ご迷惑になるよ?」

唯 「う、うん(そういうことになってるんだ・・・)」

憂 「あ、和ちゃん」

和 「こんばんわ」

唯 「憂、今日ね。和ちゃん泊まっていくから。良いよね?」

憂 「うん、それはもちろん」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:42:32.22 ID:xg4PGvc+0
唯 「それと・・・」

和 「・・・」

唯 「・・・」

憂 「・・・?」

唯 「リョウさん、なにしてるの?」

竜馬 「あ・・・ああ」すっ

憂 「?」

唯 「こちら、流竜馬さん。一緒にご飯食べようって、お誘いしたの」

憂 「・・・!」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 01:48:01.11 ID:xg4PGvc+0
唯 「急だけど、みんなの分のご飯、用意できるかな?私も作るの手伝うし・・・」

憂 「・・・」ふるふる

唯 「憂??」

憂 「お姉ちゃんが・・・」

唯 「ん?」

憂 「お姉ちゃんが彼氏連れ込んだーーーーっ!!」

唯 「え」

和 「まあ」

竜馬 「・・・!?」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:00:51.50 ID:xg4PGvc+0
憂 「きゃーっ!お姉ちゃんが!お姉ちゃんがっ!けが・・・汚されちゃったぁー!!」

和 「ちょっと憂、落ち着いて!」

竜馬 「ま、待てよ!俺は別に何m
憂 「近寄らないで、けだもの!」

竜馬 「けだ・・・」

和 「ああ、憂が混乱してる。唯、はやくなだめ・・・」

唯 「あはは、憂ったらせっかちさんなんだからー」けたけた

和 「笑ってる場合じゃなくって!」

憂 「いやぁ!私のお姉ちゃんを返して!!」

竜馬 「いやだから、落ち着いて話を聞いt
憂 「触らないで!」

唯 「憂のおっちょこちょいー」あははあはは

和 「だ、だめだこの姉妹・・・」


ぎゃー!ぎゃー!
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:05:14.85 ID:xg4PGvc+0
・・
・・


憂 「・・・ごめんなさい」

竜馬 「・・・」ぶすー

唯 「男の人を連れてきただけで勘違いしちゃって、憂いもまだまだ子供だね♪」

憂 「うう・・・」

和 「流さんもいつまでむくれてるんですか、大人気ない。憂も謝ってるんだから、もう良いでしょう?」

唯 「リョウさんも子供だね♪」

竜馬 「うるせぇよ」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:13:54.51 ID:xg4PGvc+0
憂 「姉がお世話になったみたいで、そのお礼にお食事にお誘いしたんですね。それなのに私ったら・・・本当にごめんなさい」

竜馬 「いや・・・まぁ。分かってくれたんなら、もう良いさ」

憂 「はい・・・お詫びに腕によりをかけてご飯作りました。たくさん食べていってくださいね」

唯 「ね?憂のご飯、おいしそうでしょ」

竜馬 「確かにこれは・・・」ごくっ

唯 「じゃ、いただきまーす♪」

和 「いただきます」

憂 「おあがりなさい♪」

竜馬 「・・・いただきます」

憂 「どうぞっ」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:17:40.35 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「・・・」ぱくっもぐもぐ

憂 「ど、どうですか・・・?」

竜馬 「・・・うまいっ」

憂 「よかったー!」

唯 「そりゃそうだよ!当然だよ!」ふんすっ

和 「どうして唯が得意げになってるのよ」

憂 「ふふ、お口に合って良かったです。どんどん食べてくださいね」

竜馬 「ああ・・・」ちらっ

唯 「もっしゃもっしゃ・・・・美味しい!幸せー・・・」

竜馬 「よくできた妹だな。顔は確かにそっくりだが・・・本当に姉妹なのか・・・?」

和 「それはみんなが言うわね」

唯 「ん??なんだかすごい失礼な事を言われた気がする!」

和 「気のせいよ?」

唯 「そうかなー・・・」

憂 「お姉ちゃん、ほっぺたにお弁当つけちゃってるよ?取ったげるね」

唯 「おっと、こりゃ失礼。えへへ、ありがとう憂ー」

憂 「どういたしまして」

和 「くす。どっちが姉なのか、分からないわね」

唯 「やっぱりひどい事いわれてるー!」

憂 「あははっ」

竜馬 「・・・」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:24:39.27 ID:xg4PGvc+0
・・
・・


食後!

憂は後片付けにキッチンへ。

そして唯は、姉の資質を疑問視されたことを気にしてか、今日は珍しく憂の手伝いをしに、共にキッチンへと行っていた。

うら若い仲良し姉妹が並んでシンクに立つ姿は、なかなかに素晴らしいものがある!

だが今は、あえて視点を食堂に移そう。

そこでは食後の茶をすすりながら、言葉少なにテーブルについている和と竜馬の二人の姿があった。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:30:20.19 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「・・・良いもんだな、こういうのも」

和 「・・・何か言いました?」

竜馬 「ああ・・・なんていうか、こんな家庭的な雰囲気の中で食う飯ってのも、悪いもんじゃないなってな」

和 「・・・流さん、ご家族は?」

竜馬 「いや。親父は最近くたばっちまった」

和 「・・・お母様は?」

竜馬 「さてな。物心ついたときにはどこぞに消え失せてた。ま、あのキチガイ親父が相手じゃ、蒸発したくなる気持ちも分かるってもんだ」

和 「それじゃ・・・」

竜馬 「今じゃ天涯孤独ってやつだな。まぁ、俺みたいな風来坊には、その方が気楽で良いや」

和 「・・・」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:36:25.68 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「まぁ、だからなんだろうな。俺がすんなりゲッターに乗る気になったのは」

和 「流さんは空手の腕を見込まれて、パイロットにスカウトされたと聞きましたが・・・」

竜馬 「はは、あれはスカウトなんて生易しいもんじゃねぇ。なにせ殺し屋を差し向けられたんだからな」

和 「えっ!?」

竜馬 「俺が本当にパイロットに相応しいかのテストだったのさ。その後は拉致されて、無理やりゲッターに乗せられて」

和 「ひどい・・・抵抗はしなかったんですか?」

竜馬 「したさ。だが、すぐに考え直した。ゲッターのパイロットなんて因果な生き方は、案外おれに向いているんじゃないのかって思えたからな」

和 「どうして・・・」

竜馬 「俺には失うものが無い・・・」

和 「え・・・」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:41:05.63 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「そして、戦死しても悲しむ家族もいない。何時くたばるか分からない役目には、うってつけじゃねぇか」

和 「そんな・・・それで良いんですか?納得できるんですか?」

竜馬 「できるさ。ゲッターに乗ったおかげで、守りたい物が俺にはできたんだからな」

和 「それって、なんですか・・・?」

竜馬 「ヘアピンと妹のような・・・家族や大切な人が側にいる。そんな、ささやかな幸せって言うのかな・・・」

竜馬 「上手くは言えないが・・・俺にはその手の幸せに縁が無かった代償として、他人の幸せを守る力が与えられた。今ではそう思うのさ」

和 「それって・・・そんな悲しい事・・・」

竜馬 「悲しい?どうして?」

和 「だってそれって、あなたが誰かの幸せのために犠牲になるって言うことでしょ?どうして納得できるの?」

竜馬 「犠牲になるなんて思っちゃいない。言うなれば役割の違い。たったそれだけのことだろ」

竜馬 「幸せを享受するものと、それを支えるものと。どっちも必要なものだって思わないか?」

和 「それはそうかもしれないけれど・・・」

竜馬 「守るものが無いんじゃ、俺が戦う意味だって無くなってしまうんだからな」

和 「流さん・・・」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:45:40.39 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「だからな、もしヘアピン・・・平沢唯が。守る方ではなく、守られる側の立場を選ぶというなら、俺はその考えを尊重してやりたいと思ってる」

和 「え・・・」

竜馬 「他の連中の考えは知らないがな、俺は嫌がる奴を無理にゲッターに乗せたところで、物の役には立つまいと考えている」

和 「でも、だって。もうすでに、無理やりゲッターロボに乗せちゃってるじゃない」

竜馬 「あれは判断材料にしてもらうためさ。乗るも乗らないも、実際に乗ってみなきゃ判断のしようもないだろう?」

和 「そうかしら・・・」

竜馬 「そういうもんさ。乗ってみて、ゲッターの魅力に取り付かれちまった俺みたいな奴もいる。さてと・・・」がたっ

和 「どこに行くの?」

竜馬 「本来の役目に戻るとするさ」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:51:01.49 ID:xg4PGvc+0
和 「外で・・・まさか一晩中?」

竜馬 「さすがにいくらなんでも女ばかりの中で、ひとり男が泊り込むわけにもいかんだろう・・・あ」

竜馬 「念のため言っとくがな。これは別に、俺が女が苦手だから出て行くってわけじゃないからな。勘違いするなよ?」

和 「わ、分かったわよ。なにもそんな、ムキにならないでも」

竜馬 「大事な事だからな。それじゃぁ・・・おっと」

唯 「・・・」

竜馬 「聞いてたのか」

唯 「うん」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:56:19.17 ID:xg4PGvc+0
竜馬 「じゃ、返事は早めにな。お前がゲッターに乗らない場合、新しいパイロットの選定にかからなにゃならねぇ」

唯 「う、うん・・・」

竜馬 「そんじゃ。妹に、ごっそさんって伝えといてくれ。久々の家庭料理、美味かったぜ」


とことこ・・・ばたん


唯 「・・・」

和 「唯・・・ゲッターに乗らなくっても良いんだって。良かったじゃない」

唯 「幸せ・・・守るほうの立場・・・」

和 「唯・・・?」

唯 「う、ううん・・・なんでもないよ・・・」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/09(水) 02:57:06.07 ID:xg4PGvc+0
次回へ続く!
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/09(水) 14:13:34.06 ID:hoDJ4fFAO
短いスパンで更新してくれるのはいいこと
ロボスレは停滞することが多いから頑張れ
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) :2011/11/09(水) 18:25:46.08 ID:oU7Qu38q0
ゲッターロボ好きだから期待してるぜ
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(ハバロフスク) [sage]:2011/11/10(木) 06:02:36.91 ID:viGoJvABo
この手のSSで久しぶりに良作だと思う。
続き楽しみだ。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:40:38.95 ID:GMsJEgy/0
再開!
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:41:10.39 ID:GMsJEgy/0
・・
・・


同時刻!琴吹重工の特設工場において!

まさに今、新たなる力が誕生しようとしていた!


隼人 「後は早乙女研究所から運ばれてきた、このゲッター炉を組み込めば、いよいよ完成だな」

紬 「ええ・・・」

隼人 「しかし、女性的なフォルムだな。設計思想がまるで俺たちのゲッターとは異なる」

紬 「唯ちゃんがパイロットに相応しいと分かったのは最近だけど、それ以前から何となくね、分かっていたの」

隼人 「ん?」

紬 「私たちの作ったゲッターに乗るのは、きっと女性だろうなって。予感がね、していたんです」

隼人 「怖いな。それもゲッターの意志が成した”偶然”ってやつかい?」

紬 「ううん、女の感」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:43:54.56 ID:GMsJEgy/0
隼人 「そういうことにしておいてやるか。で・・・このゲッターの名前は?」

紬 「まだつけていないの」

隼人 「ずいぶん悠長なことだ」

紬 「違うんです。名前はこのゲッターに乗る、メインパイロットに付けてもらおうと思って」

紬 「生死を共にするパートナーになるんだもの。想い入れのある名前をつけて欲しい・・・」

隼人 「まるで母が子に名前をつけるようだな。どこまでも女性的なことだ」


技師 「ゲッター炉の接続、完了しました!」


紬 「完成ね・・・」

隼人 「ゲッター虎狼計画・・・これで成った・・・あとは中身だが・・・」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:49:57.62 ID:GMsJEgy/0
・・
・・


唯 「ねぇ、声しか聞こえない誰かさん」


・・・。


唯 「やっぱり側にいてくれてるんだよね。だって見えなくたって、あなたの事を感じられるんだもん」

唯 「なんだか、不思議な感じ・・・」


・・・。


唯 「ねぇ、あなたを見たいな。会って、直接お話がしたい」


・・・。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:52:16.80 ID:GMsJEgy/0

唯 「夢の中だし、私のお願い、聞いてほしいな」

唯 「ね・・・?だめ・・・かな・・・」


うん、分かったよ。


唯 「本当?ありがとう!えへへ〜、嬉しいな・・・」

唯 「えっと、どこにいるのかな・・・」きょろきょろ


後ろを見て。

唯ちゃん、あなたの後ろ・・・


唯 「え・・・」くるっ

唯 「!」

唯 「う、うそ・・・わ、私?」


? 「・・・」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:55:00.04 ID:GMsJEgy/0
唯 「私と同じ顔?それが・・・それが、あなたの姿・・・なの?」

? 「ううん、私には固有の体というものが無いから」

唯 「え・・・」

? 「でもね。もし私に体という物があったとしたら、それはきっと、今までの生を一緒に歩んできた唯ちゃん・・・」

唯 「私・・・」

? 「そう、あなたと同じ姿だと思うから。だからね、今は貸してね。唯ちゃんの顔を」

唯 「うん・・・」

? 「えへへ、ありがとう」

唯 「あ、そうか。あなたの声、とても懐かしくって聞き覚えのある声だなって、ずっと思っていたの。なぜだか分かったよ」

唯 「私だ。私と同じ声だったんだね。だからなんだ・・・」

? 「うん」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:57:09.24 ID:GMsJEgy/0
唯 「そっか。そうなんだ・・・ね、今日は本当、すごい一日だったよ」

? 「・・・」

唯 「私を取り巻く周りが、まるでいっぺんに変わってしまったみたいな。そんな感じ・・・」

? 「唯ちゃん、不安?」

唯 「そりゃあ・・・そんでね。あなたに教えて欲しいの。私、これからどうするべきなのかなぁ」

唯 「ゲッターロボに乗ったほうが良いのかなぁ」

? 「唯ちゃんは、どうしたいの?」

唯 「ゲッターロボに乗るって事は、恐竜帝国と戦うってことでしょ?戦いなんてそんな、私は怖い。無理って思う。でも・・・」

? 「でも?」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 17:59:17.73 ID:GMsJEgy/0
唯 「試しにゲッターロボに乗せられた時、私ね。すっごい楽しかったの。心が躍った」

唯 「三つのマシンが一つになって、一つのロボットに合体する。まるで・・・」

唯 「バラバラの楽器が、みんなの心を一つにして演奏したとき、そこに音楽が生まれるのと同じような・・・」

唯 「そんな感動!」

? 「そう・・・」

唯 「それにね、あなたが守ってくれるって言ってくれたから。それほど怖くも無くなったし。私、ちょっとパイロットやってみたいかも」

? 「私もね。唯ちゃんがゲッターに乗ってくれたら嬉しい」

唯 「えー、どうして?」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:02:47.64 ID:GMsJEgy/0
? 「今度、新しいゲッターができるの聞いたよね。それに唯ちゃんが乗ってくれたら、私はそのゲッターの心になれる」

唯 「え・・・?」

? 「新しいゲッターロボを私の体にするの。そうしたらこれからは、物理的な力でも唯ちゃんを守ってあげられる」

唯 「私のために・・・」

? 「そう、すべては唯ちゃんのために」

唯 「ね・・・ねぇ。あなたの事、なんて呼べばいいのかな?いつまでもあなたとかじゃ、なんだか他人行儀で呼びにくいし」

? 「私はゲッター・・・」

唯 「ゲッター?」

? 「ゲッターの意志と呼ばれる者」

唯 「ゲッター・・・ゲッターの唯・・・ゲッター唯・・・」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:05:14.77 ID:GMsJEgy/0
・・
・・


翌朝!通学路!


唯 「・・・」とぽとぽ

和 「唯、夕べはよく眠れた?」

唯 「あ、うん。もう朝までグッスリ!へへ・・・寝坊しちゃうところだったよ」

和 「そう、だったら良かった」

唯 「ありがとねー」

和 「ううん」

唯 「・・・」

和 「・・・」

和 「・・・ね、唯。まさかとは思うんだけれど」

唯 「なぁに?」

和 「唯、ゲッターロボに乗ろうだなんて、思っちゃいないでしょうね?」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:22:09.08 ID:GMsJEgy/0
唯 「え・・・どうして」

和 「今の唯、揺れてる表情をしてるもの」

唯 「そ、そんなにふらふらしてる?!」

和 「そうじゃなくて・・・例えば、そう。軽音部に唯が入った時にね、していた表情とそっくり」

唯 「え・・・」

和 「楽器の初心者だった唯の、これからへの期待や不安が入り混じった、あの時の顔と・・・」

唯 「和ちゃん・・・」

和 「迷ってるなら、やめてよね、唯!軽音部でギターを弾くのとは訳が違う!戦うなんて、死んじゃうかもしれないんだよ?」

和 「私・・・唯に危険な目に遭ってなんか欲しくないの!」

唯 「ありがとうね、和ちゃん。でも・・・」

和 「唯っ」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:26:04.86 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「はいはい、そこまでだ」

唯 「あ、リョウさん」

和 「・・・流さん」

竜馬 「困るぜ、メガネ。変な入れ知恵されちゃ。俺は昨日言ったはずだ、ヘアピンの考えを尊重すると」

竜馬 「お前の考えじゃねぇ。ヘアピン自身の考えをだ」

和 「だって・・・唯は・・・唯はいつも危なっかしくって!だから私が・・・」

和 「私がついてないと、唯はダメなのよ!」

竜馬 「ふーん・・・」

唯 「和ちゃん・・・」

竜馬 「・・・お前のヘアピンを想う気持ちはよく分かった。その篤い友情は買おうじゃねぇか。だかな・・・」


ガンガンガンガン!若い命が真っ赤に燃えて〜♪


竜馬 「おっと・・・電話だ。ちょっと悪い。はい、流・・・なにっ?」

唯 「・・・?」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:37:33.53 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「ついにきやがったか・・・わかった。至急ゲッターをよこしてくれ。弁慶のポセイドン号に先導させて・・・ああ、そうだ!」

竜馬 「隼人にもこちらに合流するよう伝えてくれ。じゃあな」ぴっ

和 「・・・どうかしたの?」

竜馬 「メカザウルスだ」

唯 「えっ!?」

竜馬 「早乙女研の観測所がメカザウルスの接近を発見した。奴ら、とうとう行動を開始したようだぜ・・・」

唯 「ど、どこに・・・メカザウルスはどこにやってくるの!?」

和 「流さん、さっき神さんにこっちに合流するようにって言ってたわよね・・・まさか・・・」

竜馬 「慧眼だぜ、メガネ。メカザウルスはまっすぐこちらに向かって飛んできているそうだ」

唯 「こっちって・・・」

竜馬 「コンピュータで割り出した予想到着地点は、桜ヶ丘高校付近・・・」

唯 「!!」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 18:59:48.42 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「早乙女研からじゃ、俺たちのゲッターの到着はメカザウルスより後になってしまうだろう」

唯 「そんな・・・じゃあ、私たちの学校は・・・」

竜馬 「幸い始業前だ。今から避難誘導すれば、被害は最小限で抑えられるだろう。もっとも・・・」

唯 「・・・」

竜馬 「建物はどうなるか、わからないがな」

唯 「・・・っ!」

唯 「そんな・・・あそこには・・・学校には・・・軽音部やクラスのみんなとの大切な思い出がたくさんあるのに!」

竜馬 「選べ」

唯 「え・・・」

竜馬 「琴吹重工からなら、メカザウルスを待ちうけ、迎撃することができる」

和 「流さんっ!?」

竜馬 「新しいゲッターに乗るか。それとも逃げるか。今が運命の分水嶺だ。お前の意思で選ぶんだ」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:07:14.57 ID:GMsJEgy/0
唯 「う、うう・・・」

和 「唯、ダメだよ。逃げよう?」

竜馬 「・・・」

唯 「わ、私・・・」

竜馬 「・・・守られる立場を選ぶのも、一つの道だ。覚悟が決められないなら逃げたほうが良い」

唯 「だけどっ」

竜馬 「ここは学校から近い。この辺りも危険だ。戦わないなら、早く非難するんだな」くるっ

唯 「あ、リョウさんはどこ行くの!?」

竜馬 「学校に行って、登校してる奴らを非難させる。そうこうしてる内にゲッターが到着するだろう。そうしたら・・・」

唯 「・・・」

竜馬 「守ってやるさ」

唯 「・・・!」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:22:27.03 ID:GMsJEgy/0
竜馬 「じゃあな!」

たったった

唯 「・・・」

和 「・・・唯、流さんの言うとおりだよ。私たちも早く逃げよう?」

唯 「でもでも・・・私たちだけ逃げて良いのかな・・・私、戦う力があるのに、リョウさんたちだけに任せちゃって、それで良いのかな!?」

和 「なに言ってるの?良いのよ!だって私たち、ただの女の子なんだよ?」

唯 「ただの・・・女の子・・・」

和 「唯・・・」

唯 「だけど、和ちゃん。ただの女の子でも、みんなの避難を手伝う事くらいはできると思うんだ。それくらいは・・・」

和 「・・・」

唯 「ね?和ちゃん・・・」

和 「そっか、そうよね。それくらいは・・・行こう、みんなを避難させに!」

唯 「うん!」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:24:09.82 ID:GMsJEgy/0
・・
・・

う〜う〜う〜!緊急警報発令!緊急警報発令!


律 「な、なんだ、このサイレン・・・」

澪 「なにが起こっているんだ・・・?」

唯 「りっちゃん!澪ちゃん!」たったった

律 「おー、唯に、えっと・・・和さんだっけ。どうしたんだ、そんな慌てて」

唯 「メカザウルス!」

律 「は?」

唯 「メカザウルスが飛んで来るから、ここら辺に!だから危ないから、みんな早くっ!」

澪 「落ち着け・・・いったい唯は何を言っているんだ?」

和 「ここら辺をメカザウルスが襲ってくるらしいの。今のサイレンは、その警報よ」

律 「な、なんだって!?」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:26:38.04 ID:GMsJEgy/0
和 「二人はここから引き返して。そして、すれ違う人たちにこの事を伝えて、一人でも多く避難できるように手伝って欲しいの」

澪 「あわわわ・・・」

律 「わ、分かった・・・けど、なんでそんな事、お前たちは知ってるんだ?」

唯 「それは・・・」

澪 「あわわ・・・わ・・・な、なぁ・・・あれ、あれってなんだ・・・?」

律 「なんだよ、どこ指差して・・・て、空?・・・ん?点?空に点・・・」

和 「違う!あれは・・・」

澪 「ど、どんどんこっちに近づいてくる!」


ごうっ!!!


和 「メカザウルス!もう・・・こんなに早く!?」

唯 「学校が・・・私たちの学校が!!」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:32:39.58 ID:GMsJEgy/0
・・
・・

竜馬 「早く逃げろ!学校の中には、もう誰も残っていないな!?」

生徒 「は・・・はい。たぶん・・・」

竜馬 「よし!さぁ、お前も早く行け!一刻も早く、なるだけ遠くに・・・」


ごぉっ!


竜馬 「・・・!?メカザウルス・・・もうきやがったのか・・・」

竜馬 「ドンピシャで学校を襲いに来たってか。やはり狙いはヘアピンか。しかし、いったい何のために・・・くそっ」

竜馬 「頼むぜ弁慶、どうやら新しいのは当てにできない。早く来てくれ・・・」


ずずーん!


メカザウルス 「ぎゃぎゃああああっ!」

生徒たち 「きゃああああっ!?」

竜馬 「く・・・っ!早く逃げろ!後ろを振り返るな!早く!早く行けぇ!!」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:40:22.43 ID:GMsJEgy/0
・・
・・


律 「ああ・・・メカザウルスが学校の校庭に・・・!」

澪 「こ、このままじゃ学校や周りの街が・・・どうなっちゃうんだ・・・」

和 「どうもこうも無いわ。ここにいたら危険よ?早く逃げましょう!」

唯 「・・・」

和 「唯?」

唯 「・・・」

和 「唯っ!」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 19:57:01.35 ID:GMsJEgy/0
・・
・・


いつも、何となく思っていた。

何かしなくちゃいけない気がするんだけど、いったい何をすれば良いんだろうって。
 
私にはなにができるんだろうなって、ずっといつも。

みんなと楽しい時間を過ごして笑っているときも、心の片隅には常にそんな疑問がくすぶっていて。

このまま何となく毎日を過ごしていく事に、焦りみたいな気持ちをずっと持っていた。


私は今。もしかしたら見つけたのかもしれない。

私がするべきことを。私がしたい、本当のことを。


それは手を伸ばせばすぐに届くところにあって、私が一歩踏み出す決意を持つのを待ってくれている。

そして一歩を踏み出したとき、それはみんなを守れる力になるんだ。


それでもし・・・危険な目に遭ったとしても。

守ってくれるって、言ってくれたもんね?


? 「うん。唯ちゃんは私が守るよ」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:03:14.31 ID:GMsJEgy/0
・・
・・


和 「ほら、唯!行くよ!?」

唯 「和ちゃん、ごめんね」

和 「え・・・」

唯 「えへ・・・」

和 「唯、まさか・・・」

唯 「ありがとね、和ちゃん。いつも私のことを心配してくれて、私のことを第一に考えてくれて。本当にありがとう」

和 「唯・・・」

唯 「大好き」

和 「っ///」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:22:40.68 ID:GMsJEgy/0
唯 「私ね、大丈夫だよ、きっと。そんな気がするんだ。だから、ね?和ちゃんは逃げて。私がね・・・」

和 「ああ・・・唯・・・唯・・・」

唯 「ね?私は大丈夫!」

和 「・・・」

唯 「私が学校もみんなも、和ちゃんも。みんな守って見せるから」


たたっ!


律 「え!?唯の奴、学校のほうに走って行っちゃったぞ?」

澪 「あ、あのバカ!何やってるんだ?はやく止めなきゃ・・・」

和 「・・・」すっ

澪 「え、の・・・和さん?」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:27:14.22 ID:GMsJEgy/0
和 「私たちは早く逃げましょう・・・」

律 「な、なに言ってるんだ!?あんた、唯の親友なんだろ!?あいつを見捨てるってのか!」

和 「大丈夫。唯はぜったい大丈夫だから」

澪 「どうしてそんなこと、言い切れるんだよ・・・」

和 「あの子が大丈夫と言って、大丈夫じゃなかったことなんて、今まで一度も無かったから。それに・・・」


和 「普段はいい加減だけど、一度決めたことは絶対に曲げない子なんだもの・・・」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:32:52.51 ID:GMsJEgy/0

・・
・・


琴吹重工 ドッグ内!


紬 「新ゲッターはいつでも出撃できるようにして置いてください!」

技師 「し、しかし!まだ起動実験もしていませんが・・・!」

紬 「恐竜帝国が活動を再開してしまった以上、そんな悠長な事を言っている暇はありません!」

技師 「わかりました・・・」

紬 「神さんは流さんと合流するために飛び出していってしまったけど、早乙女研究所のゲッターを待っていたんじゃ、おそらく手遅れになってしまう・・・」

紬 (・・・もし唯ちゃんが決断してくれなかったら、その時は私が・・・)

紬 (私じゃゲッターの操縦にどこまで体が耐えられるか分からない。でも、唯ちゃん一人に責任を背負わせるなんて事、私にはできないもの・・・!)


ごごごご・・・


紬 「え・・・なんの音?」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:38:37.06 ID:GMsJEgy/0
ご、ごごご・・・


紬 「え、ゲッター?ゲッターが発進体勢に入っている!?」

技師 「紬お嬢様!」

紬 「これはどういうこと?いったい誰がゲッターを動かしているんですか!?」

技師 「誰も動かしていません!ゲッターが勝手に、ひとりでに起動したんです!」

紬 「そ、そんなことって・・・」


ぐるん・・・


技師 「うわっ、ゲッターがこっちを向いた!?・・・我々を見ている・・・!?」

紬 (違う・・・ゲッターは私を・・・私を見ているんだ・・・)
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:45:48.62 ID:GMsJEgy/0
紬 「・・・」

紬 「・・・わかったわ」こくり

紬 「ハッチを開いて!ゲッターをこのまま発進させます!」

技師 「な、なにが起こっているのかも分からないのに、本気なんですか!?」

紬 「本気よ。大丈夫だって」

技師 「え・・・?」

紬 「この子に、ね。そう言われたような気がしたの」

技師 「この子って、いったい誰に・・・」

紬 「ゲッターロボに」にこり

技師 「は、はぁ・・・?」

紬 「信じましょう。ゲッターの意志を」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/10(木) 20:46:26.31 ID:GMsJEgy/0
次回へ続く!
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(ハバロフスク) [sage]:2011/11/10(木) 23:14:16.81 ID:t8WlaKaeo
いいよいいよ〜
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 12:25:13.68 ID:e8vwB1qyo
スパロボに参戦希望だな この熱さは。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:47:09.44 ID:NMEKfpEK0
再開!
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:50:26.32 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


竜馬 「これであらかた避難は終わったか・・・あとは・・・」

唯 「リョウさん!」

竜馬 「ヘアピン!?お前、何でここに・・・ん・・・?」

唯 「来た・・・」

竜馬 「あの飛んでくるのは・・・ゲッターか!しかも見たことが無い・・・琴吹製の新ゲッターなのか!」

唯 「私が呼んだの」

竜馬 「なに?」

唯 「私が呼んだら、応えてくれるの。私、ゲッターに乗ってみるね」

竜馬 「お前・・・」

唯 「私も戦うよ。みんなを守る」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:54:07.20 ID:NMEKfpEK0
竜馬 「ヘアピン・・・本気か?」

唯 「うん」

竜馬 「一度乗ったら、後戻りはできねぇぞ」

唯 「リョウさん、言ったよね。自分には失う幸せが無いからこそ、誰かの幸せを守る力が与えられたんだって」

竜馬 「ああ・・・」

唯 「私はね・・・リョウさんと反対になっちゃうけど、守りたい物がたっくさんある」

唯 「大切な人や、思い出の場所。それを失うことが一番怖い・・・だから、守りたいの」

唯 「そのための力が与えられたんだって・・・」

竜馬 「・・・」

唯 「思えたんだ」

竜馬 「ヘアピン・・・」

唯 「えへ・・・」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:57:22.07 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


ゲッターは飛ぶ!

地上の平和と人々の安らぎと、そして唯の決意を双肩に担って、敵の待つ戦の庭へと!

ゲッターは行く!

敵を打ち倒し、人々の見上げる空に、明日の太陽を照り輝かせるため!

ゲッターは戦う!

大切な人の笑顔を永久に守るために!

ああ、ゲッター!無敵のマシン、ゲッターロボ!!

僕らの未来を守ってくれ!
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 21:58:44.72 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


竜馬 「ゲッターは少し離れた所に降りたな」

メカザウルス 「ぐあああああああっ!!」


ずしんずしん!


竜馬 「案の定、メカザウルスはゲッターに狙いを定めたみたいだぜ」

唯 「あ・・・こ、これでとりあえず、学校は助かった・・・のか・・・な?」

竜馬 「安心するのは早いだろが!」

唯 「ひゃっ!」びくっ
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:00:23.36 ID:NMEKfpEK0
竜馬 「急げ!地形や建物が邪魔して、奴はすぐにはゲッターにはたどり着けないはずだ!」

唯 「・・・!」

竜馬 「小回りの利くお前のほうが、先にたどり着ける!早くゲッターに乗れ。そして少しの間だけ耐えてろ!」

竜馬 「すぐに俺たちのゲッターも駆けつける!」

唯 「・・・うんっ、わかったよ!」


たったった


竜馬 「・・・」

竜馬 「・・・ゲッターに魅入られた馬鹿が、また一人・・・か」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:03:12.55 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


新ゲッター!

その姿は、かつてのゲッター1に酷似していた!

二本の角が突き出たような、特徴的な頭部!

真紅にきらめくボディ!

だが両者の趣を異にしているのは、全身のシルエット!

全体的にほっそりと、まるで女性の体つきを思わせるフォルム!

そして両の腕にそれぞれ取り付けられている、盾だろうか?巨大な円盤!

その頼もしき姿こそ、唯に与えられた力!

大切なものを守るための力!

新たなゲッターロボなのだ!!
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:04:45.97 ID:NMEKfpEK0
いま唯は、ゲッターに導かれるままに、そのコクピットに乗り込んでいた。

計器が光る!モニターに灯が点る!操縦桿が、早く手を添えてくれと震えている!!

唯に動かしてくれと、魂に語りかけてくる!!


唯 「これが・・・私のゲッターロボ・・・」

唯 「・・・あ」

唯 「分かる・・・私の中から、何かがゲッターロボに染み渡って行ってる・・・これは・・・」


唯ちゃん・・・


唯 「私だ。私の中のもう一人の私がいま、ゲッターロボの心になったんだ」


唯ちゃん、動かして。

私の新しい体、唯ちゃんに動かして欲しいな。


唯 「うん、分かった。任せてよ!」

唯 「動かせる・・・私、ゲッターの動かし方を知ってる・・・!」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:09:48.81 ID:NMEKfpEK0
ぶぅん


紬 『唯ちゃん』

唯 「あ、画面にムギちゃんが映ってる!」

紬 『ゲッターに乗ってくれたのね。ありがとう、唯ちゃん』

唯 「えへへ、そんな礼には及ばないよ〜。ていうか、ムギちゃんもゲッターロボに乗ってるの?」

紬 『ううん、私は琴吹重工の通信室から、ゲッターに回線を繋いでお話してるの』

唯 「そっかぁ。ムギちゃんも一緒だったら心強いなって思っちゃったんだけど・・・そう都合よくは行かないかー」

紬 『ごめんなさい・・・』

唯 「あ、こっちこそゴメンね。別に責めてるわけじゃないんだよ」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:12:30.09 ID:NMEKfpEK0
紬 『ええ・・・でも、本当に良いの?私からお願いしておいて、今さらって思うかもしれないけれど・・・』

紬 『きっと危険な目にもたくさん遭うと思う。命の危険にだって・・・それでm
唯 「ムギちゃん」

唯 「私ね、自分で乗るって決めたんだよ。だからムギちゃんは謝らなくっても良いし、お礼だって言わなくても良いんだよ」

紬 『唯ちゃん・・・』

唯 「あ、でもでも。あのメカザウルスを追っ払った後で、ムギちゃんのお菓子が食べたいな〜」

紬 『うん、分かった。飛び切りの紅茶も用意して、待ってるわね』

唯 「やったぁ〜!」

紬 『じゃあ、唯ちゃん・・・ゲッターに。あなたの乗っているゲッターに名前をつけてあげて』

唯 「え・・・」

紬 『その名前を呼んであげて。その声を唯ちゃんのパーソナルデータとして、ゲッターに登録するわ』

唯 「ぱそ・・・?よく分からないけど、名前だね!うん、それはもう、とっくに決めていたよ」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:16:54.88 ID:NMEKfpEK0
紬 『じゃあ唯ちゃん、お願い』

唯 「うん、この子の名前はね・・・」


(唯 「ね・・・ねぇ。あなたの事、なんて呼べばいいのかな?いつまでもあなたとかじゃ、なんだか他人行儀で呼びにくいし」)

(? 「私はゲッター・・・」)


唯 「ゲッター・・・」


(唯 「ゲッター?」)

(? 「ゲッターの意志と呼ばれる者」)


唯 「ゲッターぁ・・・」


(唯 「ゲッター・・・ゲッターの唯・・・ゲッター唯・・・」)


唯 「ゲッタァアアアアア・・・ユーーーーーイっっ!!!」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:25:10.50 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


律 「おい、ゲッターロボが来てくれたぞ!」

澪 「本当だ!これで助かった・・・けど・・・確かゲッターって壊れちゃったんじゃなかったか?」

律 「そうだよな・・・それに何だか、私の知ってるゲッターとちょっと違うような・・・」


ゲッタァアアアアア・・・ユーーーーーイっっ!!!


律 「うわっ、叫んだ!」

澪 「名乗りを上げたのか・・・?」

律 「ゲッターユイって・・・ん・・・?ユイ?唯・・・?」

澪 「い、今の声、気のせいかなぁ・・・唯の声に聞こえなかったか・・・」

律 「あ、あは・・・あはは・・・まさかなぁ〜」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:28:11.11 ID:NMEKfpEK0
澪 「でもさ、唯は学校のほうに走ってっちゃったし・・・も、もしかして・・・」

律 「んなわけあるかよ・・・」

澪 「だって唯、なんだか様子もおかしかったし!守るとか何とか、そんな事も言ってたし!」

律 「嘘だろ・・・」

和 「唯・・・」

律 「なぁ、和さん・・・あんた、なんか知ってるのか?」

和 「・・・」

律 「なぁ、違うよな?私たちの友達が、あんな危険なところになんて、いるはずがないよな・・・?」

和 「・・・」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:31:43.92 ID:NMEKfpEK0
律 「何とか言えよ。和さん・・・おい、和ぁ!」

和 「うるさいっ!」

律 「なっ・・・」

和 「あの子は私の言うことなんか、なにも聞いてはくれないのよ!親友の私の言うことなんか!!」

和 「あの子が決めた以上、私には見てることしかできないの!一度決めたことは、曲げない子なんだから!!」

和 「う・・・うう・・・」ぽろぽろ

律 「和・・・」

澪 「そ、そんな・・・じゃあ、本当にあの中に唯が・・・?」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:35:02.47 ID:NMEKfpEK0

・・
・・


メカザウルス 「ぐるるる・・・」


ずしんずしん


唯 「き・・・来たっ」ごくっ

紬 『唯ちゃん、メカザウルスはもう目前よ!準備はいい?』

唯 「うん、やれるだけやってみる!」

紬 『無茶はしないで。今はとにかく、流さんたちが救援に来てくれるまでの間、耐えることだけを考えてね』

唯 「うん!」

紬 『武器を用意しておいたわ!そこの赤いボタンを押してちょうだい!』

唯 「え、どこどこ・・・」


メカザウルス 「ぎゃああああああっ!!」


唯 「これかっ!」


ぽちっ


メカザウルス 「があああっ!」ぶんっ!!


がきぃいいいいん!
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:38:34.74 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


澪 「ゲッターの肩から斧みたいな物が飛び出して、それで敵の攻撃を受け止めたぞ!」

律 「ゲッターロボの武器でトマホークってあったじゃないか!前に雑誌で読んだことある!それじゃないか!?」

和 「・・・」じー

澪 「ああ、あれな!ゲッタートマホークか!」

和 「なんか・・・違う気がする」

澪 「え?」

和 「あれって、斧って言うよりも・・・」

律 「ん・・・!?」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:48:03.78 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


唯 「これって・・・」

紬 『うっふっふ』

唯 「巨大なギー太!?」

紬 『そうよ!唯ちゃんにふさわしい武器を特注で作ってもらったの!唯ちゃんのギターに模して作られたトマホーク。名づけて・・・』


紬 『ギー太トマホークっ!!』どどーん!!


唯 「・・・」

紬 『ふんすっ』←得意げ

唯 「・・・」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 22:55:15.17 ID:NMEKfpEK0
紬 『あ、あれ・・・?お気に召さなかった・・・?ていうか、ちょっと引いてる??』

唯 「ムギちゃん・・・ギー太で敵を叩いたりとか、したくないよぉ」

紬 『え・・・や・・・でも・・・ほ、ほら、あくまで形を似せてるだけで、実際は斧だから・・・ね?』

唯 「で、でもぉ・・・」

紬 『唯ちゃんっ!二撃目くるっ!!』

唯 「っ!」


がっきいいいん!


メカザウルス 「っ!?」ぐらっ

紬 『敵が攻撃を弾かれてよろけたわ!唯ちゃん、逃しちゃダメ!』

唯 「うう、ごめんねギー太・・・えーーーーーーいっ!」


がすっ!!!


メカザウルス 「ぎゃあああああっ!!」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [saga sage]:2011/11/11(金) 22:55:38.42 ID:ffGQo2re0
なんて暴力的なギー太なんだ・・・!
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 23:01:05.40 ID:NMEKfpEK0
唯 「当たった!」

紬 『効いてる!たたみかけて、唯ちゃん!』

唯 「う、うん!」


ごめんね、恐竜帝国の人・・・

地上を取り戻したい。大切な場所を取り戻したいって言う気持ち、私には分かるよ。

でも、だからこそ負けられない。

大切な場所を守りたいって気持ちは、私もいっしょだもの!


唯 「ギー太トマホークっ!!」


どがっ!どがっ!どがっ!


メカザウルス 「うぎゃあああああっ!!!」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 23:06:24.98 ID:NMEKfpEK0
・・
・・


ギー太トマホークっ!!


澪 「気のせいかな・・・私にはギー太トマホークって聞こえた気がするんだけど・・・」

律 「大丈夫。私もそう聞こえたから・・・」

和 「ギターで恐竜に殴りかかってるロボットの図か・・・何というか、シュールね・・・」

澪 「でも、敵はタジタジだ。効いてるみたいだぞ」

律 「見た目なんか、どうでも良いや!が、がんばれゲッター!負けんなよ、唯!」

澪 「がんばれ唯!!」

和 「・・・」

和 (唯・・・こうなってしまった以上、不本意だけど私も応援するわ)

和 (そして勝って、怪我なんかしないで、笑顔で戻ってきてね・・・唯っ)

和 「がんばって、唯ーーっ!」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/11(金) 23:11:27.86 ID:NMEKfpEK0
次回へ続く!
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長万部) [sage]:2011/11/12(土) 04:40:35.14 ID:o3fPrf0vo
おっつーん
ナレーションの昭和の感じがいいねえー
今後の展開が楽しみだわ!
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/12(土) 20:41:11.60 ID:0H5JdF/AO
ギー太で首っだけ!
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:12:21.70 ID:Nd36LrMn0
再開!
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:13:22.47 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


がすっ!がすっ!がすっ!


唯 「あれ、これってこのままいけちゃうんじゃない?」

唯 「私って、かなり強いのかも!」ふんすっ

紬 『唯ちゃん、気を抜いちゃダメ!』

唯 「え・・・」


ずでーん!


唯 「きゃぁっ!いってて・・・なに、なにが起こったの!?」

紬 『敵が尻尾を足にからめてきて、転倒させられたの!早く起き上がって!!』
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:16:20.06 ID:Nd36LrMn0
唯 「え、え、そんなこと言われても」


ずしっ・・・


唯 「あ・・・あ・・・メカザウルスに馬乗りにされちゃったよ・・・」

唯 「く、ギー太・・・!て、無い!?あ・・・あれれ・・・???」

紬 『転んだ衝撃で手から離してしまったんだわ・・・』

唯 「あんな遠くまで飛ばされちゃってる!これじゃ届かないよ・・・」

メカザウルス 「ざまあああああああっ!」


ばきっ!


唯 「うわぁ!」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:19:39.55 ID:Nd36LrMn0
ばきっ!ばきっ!


唯 「ひっ!身動きとれないのに、これじゃタコ殴りだよぉ!!」

紬 『大丈夫!ゲッターユイの武器はギー太だけじゃないわ!』

唯 「えっ!」

紬 『さぁ、今度はこっちの青いボタンよ!』

唯 「よ、よーし、いったれー!」ぽちっ


唯がボタンを押したとたん!

ゲッターユイの両腕に装着されていた盾のような円盤が、するすると移動を開始する!

やがて、それは両掌の上で動きを止め、固定された!

その図はさながら、シンバルを持った奏者の如し!
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:23:53.05 ID:Nd36LrMn0
唯 「え・・・こ、これは・・・」

紬 『さぁ、かけ声と共に、それで敵の頭を挟み込んでちょうだい!これこそが、ゲッターユイの第二の武器!』


唯 「うん・たんっ!」


ばしいいいんっ!!


メカザウルス 「ぎゃああああああっ!?」

紬 『”ゲッターうん・たん”よっ!!』
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:28:03.56 ID:Nd36LrMn0
唯 「ムギちゃん・・・」

紬 『どうしたの唯ちゃん?戦いはまだ終ってないわ!さぁ、敵がひるんでいる内にたたみかけるのよ!』

唯 「うう・・・えーいっ!うん・たん!うん・たん!うん・たん!うん・たん!」


ばっしん!ばっしん!ばっしん!ばっしん!


紬 『ゲッターうん・たん!両腕に装着した巨大カスタネットによって敵の頭部を粉砕するという、とぼけたネーミングからは想像もできない恐ろしい技よ・・・!』

唯 「うん・たん!うん・たん!うん・たん!うん・たん!うわーん」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:30:59.23 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


えーいっ!うん・たん!うん・たん!うん・たん!うん・たん!
 
ばっしん!ばっしん!ばっしん!ばっしん!


律 「・・・」

澪 「・・・」

和 「・・・」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:38:38.81 ID:Nd36LrMn0
唯 「私、やったの?」

紬 『油断しないで・・・唯ちゃん、ツンツンしてみて』

唯 「う、うん・・・拾ってきたギー太の先っぽで・・・ツンツン・・・」


つんつん。つんつんつんつん。

しーん・・・


唯 「動かない・・・か、勝った・・・?」

紬 『唯ちゃん!』

唯 「ムギちゃん!」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:39:56.96 ID:Nd36LrMn0
ごめんなさい、投下順番間違えました。

>>182 は、無かったことにして下さい。
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:40:39.61 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


ばっきゃあっ!!


メカザウルス 「ぎゃああああああっ!!!」


ずしーんっ!!


唯 「はぁはぁはぁ・・・」

唯 「・・・」

紬 『ゆ、唯ちゃん・・・』

唯 「ムギちゃん。メカザウルスが倒れて・・・動きを止めたよ・・・」

紬 『・・・』
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:41:23.19 ID:Nd36LrMn0
唯 「私、やったの?」

紬 『油断しないで・・・唯ちゃん、ツンツンしてみて』

唯 「う、うん・・・拾ってきたギー太の先っぽで・・・ツンツン・・・」


つんつん。つんつんつんつん。

しーん・・・


唯 「動かない・・・か、勝った・・・?」

紬 『唯ちゃん!』

唯 「ムギちゃん!」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:44:28.59 ID:Nd36LrMn0
紬 『やったわね!すごい、唯ちゃん!まさかやっつけちゃうなんて、本当にすごいわ!』

唯 「えへへ、それほどでもー。だけどこれ、この後どうしたら良いのかな・・・」

紬 『メカザウルスの残骸は専門の部署が回収してくれるわ。唯ちゃんはこのまま誘導に従って、琴吹重工のドッグまで帰還して』

紬 『美味しいお紅茶と、とびきりのお菓子を用意して、待ってるから』

唯 「やったー♪お菓子お菓子っ」


唯ちゃん、まだだよっ!


唯 「・・・え?」


ががががっ!!!


唯 「きゃぁっ!?」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:48:36.11 ID:Nd36LrMn0
ずしーん!


紬 『唯ちゃん、だいじょうぶ!?』

唯 「な、なに、なにが起こったの?」

紬 『攻撃を受けて、転倒させられたの!』

唯 「え・・・攻撃って、だって・・・」


メカザウルス 「・・・」ぬぼー・・・


唯 「うそ・・・頭、潰されちゃってるのに、立ち上がってる・・・」

紬 『唯ちゃん、立って!はやく!』

唯 「なんなの、これ・・・やだ・・・」

紬 「唯ちゃん・・・?」

唯 「こ、怖い・・・怖いよ・・・っ!」

紬 『唯ちゃん!』
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:52:00.72 ID:Nd36LrMn0
唯は眼前の壮絶なメカザウルスの姿に、なす術を忘れた。

前日からの、あまりの現実離れした出来事の連続に、半ば麻痺しかけていた感情が今。

頭部を失ってなお戦いを止めようとしない敵の姿を呼び水として、強引に現実に引き戻されたのだ。

恐怖という、負の感情を伴って・・・!


紬 『唯ちゃんっ!』

唯 「あ・・・あ・・・」

紬 『唯ちゃん、避けてーっ!!』

唯 「いやああっ!」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:54:52.50 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


律 「お、おい、ゲッターロボ、転ばされちゃったぞ!」

澪 「はやく起き上がらないと、唯っ!!」

律 「うわぁ、あぶねぇ!!やられちゃうぞ!!」

和 「・・・に・・・ってん・・・よ」

律 「え・・・?」

和 「何やってるのよ、ばかー!」

澪 「うわ、の、和さん!?」

和 「あんた、大丈夫だって言ったじゃない!みんなを守るって、大見得きったじゃないのよ!」

和 「倒されてんじゃないわよ!私に心配かけさせないで!立って!立ちなさいよ!」

律 「和・・・」

和 「唯!唯っ!唯ーーーーっ!!」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 18:59:27.46 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


(和 「唯ーーーーーっ!!」)


唯 「和ちゃん・・・?」

紬 『唯ちゃんっ!』

唯 「・・・はっ!」


メカザウルスの腕が振り下ろされようとした刹那!!


ガキィンっ!!


まさに危機一髪!!

唯は巨大カスタネットを盾代わりに、攻撃を受け止める事に成功したのだった!
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:06:06.58 ID:Nd36LrMn0
紬 『唯ちゃん!よ、良かった・・・』

唯 「和ちゃんの声が・・・」

紬 『え・・・?』

唯 「和ちゃんが私を呼ぶ声が聞こえたの。それで私、我に返ることができて・・・」

紬 『そう・・・』


しかしゲッターユイが、依然危機的状況に置かれている事に変わりはなかった。

いかに攻撃を受け止めたとはいえ、こちらは未だ倒されたままの不利な体勢。

一方の敵は、受け止められた腕に全体重をかけて、ゲッターユイを押し潰しにかかっている!

危うし、ゲッターユイ!
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:10:02.02 ID:Nd36LrMn0
唯 「くっ、負けらんないよね・・・」

紬 『唯ちゃん・・・』

唯 「負けらんないでしょ・・・怖がってる余裕なんて、無いんだもん」

唯 「守るって決めたんだ。大切な場所を。和ちゃんと一緒に入学した、軽音部のみんなと出会えた学校を・・・」

唯 「大切な思い出の場所を、守るためにゲッターロボに乗るって・・・」

唯 「そう決めたんだから!」


竜馬 「お前の決心、たしかに聞いた!」


唯 「え・・・?」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:11:18.16 ID:Nd36LrMn0
唯ちゃん、もう大丈夫だよ。

ほら、空を見上げて。

さあ・・・!


唯 「・・・あ」


竜馬 「ダブルトマホークブーメラン!!!」


唯 「・・・ああ!」


かけ声と共に飛来したトマホークは、一点の狂いなくメカザウルスに命中すると、その肉を削ぎ、勢いを殺さぬままにやってきた方向へと戻っていった。


唯 「!!」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:17:34.04 ID:Nd36LrMn0
唯は見た!トマホークの帰ってゆく先を。

もし、希望という言葉に形があるのならば、それはいま唯が目にしている光景の事を言うのだろう。

そう。

唯の視線の先。

中空に屹然と佇立し、照り返す陽光を全身に浴びながら、トマホークを構える勇姿にこそ、その言葉はふさわしい!

それは・・・

それは何だ!?


唯 「ゲッターロボ・・・?」


唯は呼ぶ。

その者の名を!


唯 「ゲッターロボっ!!」

竜馬 「そうだ!これこそが俺たちの新たな相棒、ゲッターロボG・・・」


そう、それこそは!!


竜馬 「その空中戦形態、ゲッタードラゴンだっ!!」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:32:53.98 ID:Nd36LrMn0
唯 「やっぱりリョウさんだ!リョウさん、私・・・」

竜馬 「なかなかやるな、ヘアピン!その化け物をはじめて相手にした割にゃあ、なかなかの戦いぶりだったぜ」

竜馬 「お前の守りたい物、立派に守り通したじゃないか」

唯 「で、でも、私・・・やっぱり怖くなっちゃって・・・それで倒されちゃって・・・」

竜馬 「そいつがどうした!戦いってなぁ、最後の最後に立っていた方の勝ちになるんだ!」

唯 「・・・うん!」

竜馬 「それとな、そいつらは普通のやり方じゃダメだ」

唯 「え・・・」

竜馬 「奴らはしぶとい爬虫類でな。一部分をやっつけても、他の細胞は生きている」

竜馬 「そして、すぐ再生して元通りになる。頭を潰したくらいじゃ、なんともならねぇのさ」

唯 「え、じゃ、じゃあ、どうしたら良いの・・・?」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:35:08.03 ID:Nd36LrMn0
竜馬 「くさい奴は元から絶たなきゃダメ!どいてろ!!」

唯 「う、うん・・・!」すたこら


竜馬 「くらいな、トカゲ野郎。貴様らに殺された武蔵の恨み、熨斗をつけて叩き返してやる」

竜馬 「思い起こさせてやるぜぇ、ゲッターの恐ろしさを嫌って程にな!!」

竜馬 「うおおおおおっ、受けてみろ!ゲッタービーーーーームっっ!!」


竜馬の気合一閃、ゲッタードラゴンの口に当たる部分からほとばしる、高熱4万度の光線!

敵対するもの全てを焼き尽くし、溶かし尽くすこの光線が今、竜馬の怒りの叫びと共に放たれた!

鋭い矢のように空を切り裂きながら、ゲッタービームはメカザウルスへと一直線に突き進む!

そして・・・


メカザウルス 「ーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

メカザウルス 「ーーーー・・・」

メカザウルス 「・・・」


頭部を失い、すでに断末魔の叫びをあげる口すら持たぬメカザウルスは、静かにゆっくりと。

焼かれ溶かされ、やがて一塊の消し炭と成り果てて、地に崩れ落ちた。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:45:39.36 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


腰をぬかした格好で地べたに尻を着いているゲッターユイの隣に、ゲッタードラゴンが降り立つ。


竜馬 「お疲れさんだな、ヘアピン」

唯 「リョウさん・・・私・・・」

竜馬 「どうだった?戦いは」

唯 「こ、怖かった・・・」

竜馬 「正常な反応だな。どうだ?ゲッターに乗ったこと、後悔しているか?」

唯 「う、うん・・・正直すこし」

竜馬 「そうか。だが、俺は言ったよな。一度乗ったら後戻りはできないと」

唯 「うう・・・」
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:47:38.15 ID:Nd36LrMn0
竜馬 「まぁ、そう悲観する事もない。お前は俺たちがみっちり鍛えてやる。ゲッター乗りとして、恥ずかしくない程度になれるようにな」

竜馬 「まともに戦えるようになれれば、恐怖感も減る。そういうもんだ」

唯 「ええー?あはは・・・お手柔らかに・・・」

竜馬 「遠慮するなって、ヘアピン!なにせお前は、今日から俺たちゲッターチームの一員なんだからな」

隼人 「そういうことだ。よろしくな、平沢唯」

弁慶 「新入り同士、仲良くしような」

唯 「うあ・・・あはは・・・これから私、どうなっちゃうのかな〜・・・」


紬 『みなさ〜ん』


竜馬 「お?」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:50:21.56 ID:Nd36LrMn0
紬 『お疲れ様でした。このまま琴吹重工のドッグに帰還してください。戦闘後のメンテナンスを行います』

唯 「あ、ムギちゃん!ねぇねぇ、例の物は〜」

紬 『うふふ、分かってるわよ唯ちゃん。パイロットの皆さんにもお紅茶とお菓子で、心身のメンテナンスをしていただきます』

唯 「やったー!お菓子♪お菓子♪」

竜馬 「とたんに元気になりやがった。現金な奴だぜ」

隼人 「まぁ、そのくらい楽天的なほうが、パイロットには向いてるだろうさ」

竜馬 「違いねぇ。さぁヘアピン、立ち上がれ。勝者らしく、堂々とな」

唯 「うん!」


差し出されたゲッタードラゴンの手をとり、立ち上がるゲッターユイ。

その光景は、あたかも桜ヶ丘高校を遠景に、二体のゲッターが握手を交わしているかのようだ!

そう、今まさにこの時が、ゲッター虎狼計画結実の時!

二体のゲッターが名実共に手を握り、人類を狙う魔手を払う大いなる力となった、これはその記念碑的瞬間なのだ!
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:52:30.93 ID:Nd36LrMn0
ひとまずの戦いは終った。

しかし、力を盛り返した恐竜帝国は、すぐに第二第三の魔手を伸ばしてくる事だろう。

だが、虎狼あい揃ったゲッターには、もはや恐れる物などありはしない。

みんなの希望を明日に繋ぐため、降りかかる火の粉を払い除けるのだ!

行けゲッターユイ!

戦えゲッターロボG!

人類に明日の夜明けを照り輝かせられるのは、君たちしかいないのだから!!
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:55:57.37 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


律 「どうやら、終ったようだな・・・」

澪 「が、学校は助かったんだな・・・一時はどうなる事かと」

律 「何はともあれ、もう近づいても平気だろう。行こうぜ、唯に事の次第を納得のいくように説明してもらわないと」

澪 「そうだな。なんであいつがロボットなんかに・・・ていうか、和さんは唯がゲッターに乗ってたこと、知ってたんだよな?」

澪 「・・・あれ?和さんがいない・・・?」

律 「え、だってさっきまで、ここで一緒に・・・どこ行ったんだ?」

澪 「さ、さぁ・・・」
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 19:59:16.07 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


和 「・・・」


とぼとぼ


和 「唯・・・唯・・・嫌だよ、私、やだよぉ・・・う・・・ひっぐ・・・」

和 「これからずっと、ゲッターロボに乗り続けるの・・・?そして、危ない目に遭い続けるの?唯・・・唯ぃ」

和 「た、耐えられない・・・!胸を掻き毟られるような感覚、あとどれくらい味わえば良いって言うのよ・・・!」


? 「お前さんを苦しませるようなゲッターなら、壊してしまえば良い」


和 「え・・・!?だ、誰!?」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 20:01:10.20 ID:Nd36LrMn0
? 「ゲッターが無くなれば、もう二度と。お前さんの大切な人が危険に晒されることも無いだろう」

和 「あ、あなたは・・・?」

? 「ワシの事なぞ、どうでも良い。さぁ、ワシの目を見るんだ。お前さんの望みを叶えてやろう」

和 「・・・あ」

? 「ふふ、お前さんが自分の気持ちに素直になれば、大願成就はほれ、すぐ目の前じゃ・・・」

和 「あ・・・あ・・・」

? 「ふふ・・・ふはははは・・・」

和 「・・・ゆ、唯・・・私は唯のために・・・唯のために・・・」


和 「ゲッターロボの敵になる・・・!」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 20:02:28.15 ID:Nd36LrMn0
・・
・・


次回予告!


ゲッターユイでの戦闘にも慣れてきた頃。

唯は軽音部のみんなと海へ合宿に来ていた。

過酷な戦いを一時忘れ、年頃の少女らしい楽しみに心を弾ませる唯。

しかしその裏では、恐ろしい計画が進行していた!!

やがて唯の前に現れた、もう一体のゲッターロボ!

その正体とは!?そして、目的とするところは一体なんなのか!!


次回 唯「ゲッターロボ!」第二話にご期待下さい!
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/11/13(日) 20:06:19.73 ID:Nd36LrMn0
とりあえず、第一話終了です。

第二話の構想はすでに出来ているのですが、まだ手付かずの状態なので、投下するのはちょっと先になってしまいそう。
それでも読んでやろうと言う優しい方がいましたら、お待ちいただけたら幸いです。

それでは、お付き合いいただき、ありがとうございました。
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 21:05:28.35 ID:4Z8j4ne8o
乙!

>>180
> 唯 「うん・たん!うん・たん!うん・たん!うん・たん!うわーん」

ゲッターうんたんは予想の範囲だったけどこの台詞は不覚にもワロタwww

207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/14(月) 10:23:52.57 ID:ggGoYw7AO
宇宙はお前を待っている

乙!
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 17:16:45.84 ID:5fSdLsq6o
おつ
和がちょっと子供っぽいというか女々しいな
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 23:35:47.82 ID:XNeAs7uso
ゲッターロボ斬が両肩にシンバルつけてるイメージでいいのか?
210 :1 [saga]:2011/12/04(日) 21:32:13.17 ID:KOzASjbk0
再開します。

>>209

ああ、そういえばそんなゲッターもありましたね。
自分としてはゲッターQにシンバルってイメージだったんだけど、そっちのが格好いいかもですね。
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:33:19.98 ID:KOzASjbk0
唯「ゲッターロボ!」第二話
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:34:08.24 ID:KOzASjbk0
今日もまた、青く輝く地球を汚し恐竜帝国は迫り来る。


「うわー!メカザウルスが襲ってきたぞ!」

「きゃぁっ!!」


人々のささやかな幸せ砕けと、メカザウルスが襲い来る。


メカザウルス 「ぐあああああっ!」


だが人々は諦めない!

絶望しない!

何故ならば!


「生き延びるんだ!彼らが、彼らが助けに来てくれるまでは!」


我々人類には恐竜帝国を打ち倒す、大いなる力が残されているからだ!
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:37:13.82 ID:KOzASjbk0
その力を人々は、希望を込めてこう呼ぶ。


「ゲッターロボG!」


そして。


「ゲッターユイ!」


と!!


大空高く火花を散らし、平和のために悪を討つべく、二つの希望はやって来る!


「あ・・・来た!来てくれた!彼らが来てくれたぞ!!」

「不滅のマシン ゲッターロボがっ!!」


人々の平和と幸せのために、急げ四人の若者たちよ。

正義の心で合体だ!!
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:39:51.20 ID:KOzASjbk0
・・
・・


唯 「ギー太トマホーク・ブーメラーン!!」ぎゅんっ


どががっ!!


メカザウルス 「ぎゃあああっ!!」

唯 「ひるんだ!今だよ、リョウさん!!」

竜馬 「よし、任せろ!!喰らいやがれ、ゲッタービィィィィィムっ!!」


どっがぁああああああん!!


唯 「・・・やった!」

竜馬 「一丁上がり・・・だな」

唯 「うん!」
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:41:43.37 ID:KOzASjbk0
隼人 「しかし、お前さんも場慣れしてきたもんだな」

唯 「え、そうかなぁ・・・そんな、まだまだだよー」


はじめてゲッターユイに登場してより一ヶ月。

あれより幾度かの出撃を経験して、唯はゲッターをすでに自分の手足のように扱えるまでに成長していた!


竜馬 「謙遜なんざしなくったって良いんだぜ。実際たいしたもんだ。弁慶、お前もうかうかしてられないぞ」

弁慶 「俺は良いんだよ。先輩たちのケツ持ちをシッカリ勤めさせてもらいますから」

竜馬 「プライドの無い野郎だぜ」

唯 「あはは」


こうして今日も、人々の平和は守られた!

さあ、今は休むと良い。ゲッターの戦士たちよ。

次の敵が、君たちの仮寝の夢から引き離すまでは!
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:43:11.21 ID:KOzASjbk0
>>215

誤)はじめてゲッターユイに登場してより一ヶ月。

正)はじめてゲッターユイに搭乗してより一ヶ月。

失礼。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:44:58.88 ID:KOzASjbk0
・・
・・


夏休みも間近いある放課後。

桜ヶ丘高校 音楽室!


律 「なぁなぁ、唯」

唯 「なぁに?りっちゃん」

律 「ゲッターユイって、合体したり変形したりしねーの?」

唯 「へ?」

律 「いやだって、変形と合体ってゲッターロボの代名詞みたいなもんじゃん?」

唯 「そ、そうなの?」

律 「そうでしょ?」

紬 「そうでもないの」

律 「あら」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 21:51:32.99 ID:KOzASjbk0
紬 「ゲッターユイは開発期間や琴吹重工の技術力の関係もあって、合体機構や変形機能はオミットされてるのよ」

律 「それってつまり、ゲッターユイは一人乗りって事なのか?」

紬 「ううん。一人ひとり別のマシンを操縦するわけではないけれど、基本的にはゲッターユイも三人乗りなのよ」

唯 「え、そうなの!?」

紬 「操縦担当のメインパイロットの他に、機体制御と武器管制それぞれを担当するサブパイロットの計三人乗りとして設計されているの」

唯 「そんなの初めて聞いたよ!!」

律 「おいおい・・・良いのかそれで。それでよく、今まで戦ってこられたなぁ」

唯 「本当にね・・・ムギちゃん〜、そゆことはもっと早く教えてよ・・・」

紬 「ごめんなさい。でも、唯ちゃんったら問題なく操縦しちゃうんだもん」

唯 「へ・・・」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:00:18.45 ID:KOzASjbk0
紬 「本来なら三人のパイロットが揃って初めて100%の力が発揮できるはずのゲッター。でも、唯ちゃんは三人分の役割をすべて一人でこなしてしまっている」

紬 「天才のなせる業か、それともゲッターの導きによるものか・・・」

律 「唯ってやっぱり、もしかしなくっても凄いんだな」

唯 「私は普通に操縦してるだけで、ぜんぜん実感が湧かないんだけど・・・」

唯 (あ・・・ユイだ。きっと私の手が回らない分は、ユイが手伝ってくれてるんだね)

唯 (ありがと、ユイ)

律 「話は変わるけど、澪の奴は何をグズグズしてるんだろうなぁ」

紬 「澪ちゃんが一番遅くなるなんて、珍しいわねぇ」


がらっ


澪 「・・・」
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:04:19.92 ID:KOzASjbk0
律 「おー、噂をすれば。澪ー、早く来いよ。ムギが煎れてくれたお茶が冷めちまうぞー」

澪 「・・・」


つかつかつか


唯 「澪ちゃん??」

澪 「すーっ」

律・紬 「?」


澪 「合宿をしますっ!!」


唯・紬・律 「合宿??」
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:06:13.27 ID:KOzASjbk0
澪 「そう、合宿!もうすぐ夏休みだし」

律 「もしかして海? それとも山とか!?」

澪 「遊びに行くんじゃありません!!バンドの強化合宿。朝から晩までみっちり練習するの!!」

律 「着ていく服や水着、買いに行かなきゃ!」

澪 「聞けーーーーっ!」

唯 「合宿・・・」

和 「夏休みが終わったら、もうすぐ学園祭でしょ」

律 「学園祭・・・・?」

澪 「そう。桜高祭での軽音部のライブといえば、昔はけっこう有名だったんだぞ!」

澪 「ムギはどう思う?いくら慌てずやっていこうって言っても、もう三ヶ月にもなるのに一度もあわせたことが無いなんて・・・」

紬 「え・・・その・・・」

律 「お、おい澪・・・」

澪 「え?」

唯 「ご、ごめん・・・」

澪 「・・・あ」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:13:50.87 ID:KOzASjbk0
唯 「練習の時間、まともに取れないの、私のせいだよね。私、よく呼び出しかかっちゃうから・・・」

澪 「ち、ちが・・・そんな意味で言ったんじゃなくって・・・」

律 「ばか・・・」

唯 「ほんと、ごめんね」

澪 「違うんだ。さっき偶然にさ、昔の桜高祭でのライブのテープを見つけたんだ。で、聴いてみたらあんまりレベルが高くって・・・それで・・」

律 「焦っちゃったってわけか」

澪 「うん・・・唯がみんなの為に戦ってくれてる事、分かってたのに、つい慌てちゃって・・・私こそゴメンな」

唯 「んーん。澪ちゃん、なんも間違ったこと言ってないよ」

澪 「え・・・」

唯 「みんなさ、行っておいでよ!私はいつ敵が現れるか分からないから参加できないけど」

律 「唯・・・」

唯 「ね、私の分まで練習してきてよ!」
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:25:34.80 ID:KOzASjbk0
澪 「だめだよ、そんなの!唯がいないんじゃ、みんなが揃ってできないんじゃ、そんなの私たちが合宿やる意味が無いもの!」

紬 「・・・行きましょう、ぜひみんなで」

唯 「ムギちゃん・・・でもでも・・・もしメカザウルスが襲ってきたら・・・」

紬 「唯ちゃん、何事にもね。息抜きって必要だし、大切だと思うの」

唯 「だけど・・・」

紬 「初めてゲッターユイに乗ってくれてから、唯ちゃんがどれだけ頑張ってくれたか、私は知っている」

紬 「そんな唯ちゃんが少しくらい骨休めをしたところで、いったい誰が唯ちゃんを責められるというの?」

唯 「・・・」

紬 「実はね。私、みんなでお泊りに行くの、夢だったの」

唯 「え・・・」

紬 「だから、ね?お願い。私の夢を叶えるために、助けると思って・・・ね?」

律 「そうだよ。ムギもこう言ってるし、行こうぜ。な、唯!」

澪 「私、唯と一緒に合宿に行きたい・・・」
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:31:57.50 ID:KOzASjbk0
唯 「りっちゃん・・・澪ちゃん・・・ありがとう。うん、私もみんなと合宿、行きたいな!」

紬 「決まりね。じゃあ、さっそく流さんたちに報告しておきましょ」

律 「流って、ゲッタードラゴンのパイロットだっけ?」

澪 「確か、浅間山ふもとの早乙女研究所にいるんだったよな」

紬 「ううん、今はゲッターロボGごと、琴吹重工に出向して来てもらっているの」

律 「そうなんだ?」

紬 「ええ、その方がゲッターユイと同時に整備もできるし、何かと手間が省けるから」

唯 「メカザウルスが襲ってきても同時に発進できるし、連携もとりやすいもんね」

澪 「へー・・・」

紬 「それじゃ、流さんに電話を・・・」

唯 「あ、そうだ。待って待って、ムギちゃん!」

紬 「どうしたの?」

唯 「どうせならさ・・・」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:52:10.08 ID:KOzASjbk0
・・
・・


竜馬 「・・・」ムスー

律 「こ、こんにちわ」

澪 「はじめまして・・・」

竜馬 「おい、こりゃいったいどういうつもりだ」

紬 「え・・・紅茶は口に合いませんでした?日本茶のほうが良かったかしら・・・」

唯 「日本男児だもんね、リョウさん」

竜馬 「そういう意味じゃねぇよ・・・」

紬 「イラついてますね?そういう時は、はいダージリンティー。気持ちが落ち着きますよ」

竜馬 「俺は落ち着いてるっ!」

澪 「ひゃぁっ」

紬 「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

唯 「六回・・・」

竜馬 「俺が言いたいのは・・・なんでお前等のお茶会に、俺がわざわざ学校まで呼び出されなくちゃならないのかって事だ」

律 「・・・荒れてるなぁ」

澪 (この人怖いよ〜・・・)
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:55:11.04 ID:KOzASjbk0
竜馬 「たまのオフ、ゆっくり羽を伸ばしてたところを呼びつけられたんだ。おいマユゲ、納得のいく理由を説明をしてもらおうじゃねぇか」

律 「マユゲって・・・」

紬 「理由は・・・知りません♪」

竜馬 「はぁ・・・!?」

紬 「ちょっと報告したいことがあったんです。私は電話で十分だって思ってたんですけど、唯ちゃんが」

竜馬 「ヘアピンが?」

唯 「うん、私がリョウさんを呼ぼうって言ったの」

竜馬 「ほほぉ」ギロリ

唯 「ムギちゃんの言うとおり聞いておきたい事もあったし、それにちょうど良い機会だと思って」

竜馬 「機会?なんのだよ」

唯 「私のお友達、リョウさんにも紹介したいなって♪」

竜馬 「・・・は?」

律 「・・・え?」

澪 「そ、それって、私たちのことか?」

紬 「あら、それが理由だったのね」

唯 「えへへっ」

竜馬 「い、意味がわからねぇよ・・・」
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:57:48.41 ID:KOzASjbk0
唯 「えー・・・分かんないかなぁ。だって、リョウさんには私の友達とも仲良くなってもらいたいんだもん」

竜馬 「だから、意味がわからねぇって・・・」

唯 「リョウさんも、私の大切な友達だから♪」

竜馬 「・・・っ!?」

紬 「あらあら、まぁまぁ♪」

唯 「友達の友達は、友達だもん!」ふんすっ

竜馬 「あ・・・ぐっ・・・!?」

律 「鳩が豆鉄砲くらったような顔になっちゃったぞ」

竜馬 「・・・」

澪 (押し黙っちゃった・・・やっぱりこの人、怖いよー)
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 22:59:07.95 ID:KOzASjbk0
澪 「ね、ねぇ唯・・・流さん、怒っちゃったんじゃないの?何だか私、怖いよ・・・」ぼそっ

唯 「えー、怖くなんかないよ」

澪 「でも・・・」

唯 「リョウさんって言葉使いは乱暴だし、ちょっとぶっきらぼうな所もあるから、はじめは私も怖い人なのかなって思ってたんだけど、でもね」

唯 「本当はリョウさん、とっても優しい人なんだ。困ってる人を見捨てて置けない。そんなね、優しい人」

竜馬 「っバカか・・・お前、な、何を言って・・・」

紬 「今は照れちゃって、荒れたふりをしてるだけよねー」

竜馬 「俺は照れてねぇっ!!」だんっ!

澪 「きゃっ!」

唯 「あ、もぉー。急に大きな声出しちゃだめだよ。澪ちゃん、ビックリしちゃったじゃない」

竜馬 「え・・・あ・・・うぐ・・・」
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 23:01:27.80 ID:KOzASjbk0
律 「でもさぁ、さっきから怖い顔して、なぁんか感じ悪いんだよな。そりゃ、澪じゃなくってもおっかなくなるって」

唯 「違うよ。リョウさん、怒ってるんじゃなくって、緊張してるんだよ」

律 「緊張ー?何にさ」

唯 「ここだけの話。リョウさんねぇ。女の子がちょっと苦手なんだ」

竜馬 「!?」

律 「あ、そうなんだ?それはまた意外な・・・」

竜馬 「お、俺に苦手なもんなどねぇっ!!」

澪 「ひゃぁっ!」

唯 「あ、ほらまたぁ!」

竜馬 「ぐっ・・・こ、これだから女って奴は・・・!」

紬 (あらやだ。なんだか面白いわ・・・)

律 「ぷっ(思ったよか、馴染みやすそうな人なのかもな)」
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 23:03:32.08 ID:KOzASjbk0
・・
・・


竜馬 「合宿?別に良いんじゃねぇか」

唯 「え、そんなあっさりと・・・良いの?もし私が留守の間にメカザウルスが現れたら・・・」

竜馬 「何ヶ月も留守にするってわけじゃねぇんだろ?その間の事くらい、俺たちだけでどうとでもなるさ」

竜馬 「万が一、どうにもならない事態が起こったら、その時はレディーコマンドを迎えにやるから心配すんな」

律 「なぁムギ。レディーコマンドってなんだ?」

紬 「ゲッターロボの支援戦闘機よ」

竜馬 「その代わり、行き先は早乙女研の方にも通達しておいてくれ。あと、毎日の定時連絡も忘れずにな」

唯 「あ・・・じゃ、じゃあ。私、本当に合宿にいけるんだ!」

紬 「よかったわね、唯ちゃん」

唯 「うん・・・ゲッターロボに乗るようになって、こういう楽しみは犠牲にしなくっちゃならないのかなって、漠然と考えていたから・・・」

唯 「すっごく嬉しいよ!ありがとう、リョウさん!」

竜馬 「お・・・おう」

紬 「私からも。ありがとう、流さん」

律 「ありがとうございます!」

澪 「あ、ありがとうございます・・・」

竜馬 「べ、べつに礼を言われる筋合いのことでもないだろ。用が済んだんなら、俺は行くぜ」
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 23:04:45.84 ID:KOzASjbk0
律 「あ、そうそう!」

竜馬 「・・・まだなにか?」

律 「流さんって、唯やムギの事、あだ名で呼んでるんですね」

唯 「ヘアピンとマユゲ」

紬 「和ちゃんのことはメガネだし。あだ名というか、そのまんまよね」

律 「あははっ、センスないなー!」

竜馬 「ほっとけ。俺が呼びやすいんだから、それで良いんだよ」

唯 「あ、じゃあさ。ここで澪ちゃんやりっちゃんにも、あだ名をつけてもらおうよ!」

澪 「ええっ??」

律 「お、良いね良いね!ひとつ、よろしくお願いします!」

竜馬 「お、お前ら勝手になに言ってるんだ!」

紬 「まぁまぁ。それとも、そんなに早く帰りたいんですか?」

唯 「そっかぁ・・・残念だけど女の子が苦手なんじゃ、居心地悪いもんねぇ」

竜馬 「こ・・・このっ・・・だから、何度も言うが、俺に苦手なもんなんざ・・・」

紬 「じゃあ、良いじゃない。はい、まずは澪ちゃんから」

澪 「え・・・」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 23:08:33.61 ID:KOzASjbk0
竜馬 「くそっ、わぁったよ!あだ名つけりゃ良いんだろ、つけりゃ・・・ったく」

竜馬 「・・・そうだな。んー・・・」じー

澪 どきどき

竜馬 「黒髪」

澪 「他に特徴は無いのか、私は・・・」

紬 「予想を裏切らない安直さですね」

唯 「あははっ」

律 「じゃあ、はいはーい!次はアタシ!私は?」

竜馬 「お前は・・・そうだな・・・」じー

律 (唯はヘアピンだって言うし、だったら私はカチューシャかな?百歩譲ってヘアバンでも・・・)わくわく


竜馬 「デコ」


律 「っですよねー!そういうオチだとは思ってましたよ!」

紬 「ぶれないわねぇ、流さんは」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/04(日) 23:09:41.49 ID:KOzASjbk0
次回へ続く!
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 11:10:31.57 ID:L70AFnnDO
乙!
ゲッターあまり詳しくないけど面白い。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 11:29:34.00 ID:LAOtg2Xio
竜馬の性格は世界最後の日設定なのか
原作だとスパロボでネタにされたが合コンとかでちゃう女好きなんだぜ

と誰かにささやかれた
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 12:14:48.52 ID:SbsgGv68o
(・ω・`)乙 
面白かった!
>>235
スパロボは原作に入るのかそこが問題…
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 12:19:37.90 ID:LAOtg2Xio
>>236

おうっふ日本語ミスしたよ
スパロボだと原作では女好きだったのにみたいなネタがあったんだよ!!!
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/12/05(月) 14:57:06.29 ID:nlIBvUHAO
てっきり新スレ立てるかと思ってたけど乙!

漫画版はけっこう普通のギャグも多いよね
早乙女がパーティーに出発するとことか竜馬笑いすぎ
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 16:58:54.35 ID:aqCOEAfQ0
1です。

竜馬が女好きな言及のあったスパロボって、たしかWだったっけか・・・

たしかに原作では普通にミチルにモーションかけたりして、女好きな一面が垣間見えてましたね。

このSSでの女嫌い設定は、書いているうちに何となくなってしまったというか。


では再開!
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 16:59:46.14 ID:aqCOEAfQ0
・・
・・


恐竜帝国!

遥かな昔にゲッター線の難から逃れるため地下に潜った彼らは、自分たちが居住するに足る環境を新たに作り上げねばならなかった。

それこそが彼らの本土 マシーンランドである!

マシーンランドは普段はマグマ層に潜行しているが、地上侵攻作戦が発令されるや地底を自在に移動し、メカザウルスを作戦区域に送り込むことができた。

強力なステルス機能をそなえたマシーンランドを発見する事は容易ではなく、それが故に人類は守りの戦いに徹せねばならない立場に陥っているのだった!


そんなマシーンランドの宮殿内。

帝王ゴールの執務室にて。

ゴールは腹心のバット将軍より、地上進行戦のとある作戦についての報告を受けていた!!
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:01:06.56 ID:aqCOEAfQ0
ゴール 「例の計画の進行状況は如何になっておる?」

バット 「は・・・かの者の報告によりますれば、間もなく実行に移せるものと」

ゴール 「そうか」

バット 「しかし陛下。かの者、本当に信用ができるのでしょうか。私にはあのような者に大権をお与えになられた陛下のお心が・・・」

ゴール 「・・・気が知れぬ。そう申したいのか?」

バット 「畏れ多きことなれど・・・」

ゴール 「よい。その疑念も全て、お前の忠心から出る心情であることは百も承知しておる」

バット 「なれば陛下・・・」

ゴール 「我々には時間がない」

バット 「・・・」
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:04:25.58 ID:aqCOEAfQ0
ゴール 「長き眠りより目覚め、ようやくにも地上奪還の時が来たれりと思わば、ゲッターロボという大患が帝国に襲いかかり・・・」

ゴール 「あまたな忠良なる臣民が、戦の庭で斃れていった・・・」

バット 「栄えある戦死です・・・」

ゴール 「最後の勝利を手にせねば、彼等の死は無駄死にである」

バット 「・・・」

ゴール 「まもなく、次の休眠期が訪れる。そうすれば我が帝国は再び地に潜り、陽光を手にできるのもいつの日になる事か・・・」

バット 「その前に確固たる勝利を、偉大なる帝王ゴールと恐竜帝国に」

ゴール 「その為には、手段を選り好みしている余裕など、すでに我々には無いのだよ」

ゴール 「あのような者、元より信用などしてはおらぬ。しかし、使える物は使うほかあるまい」

バット 「・・・陛下、お許しあれ。私が浅慮でありました」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:07:14.87 ID:aqCOEAfQ0
ゴール 「良い。では報告の続きを」

バット 「は・・・では・・・」


? 「お父様ーっ!」とてとて


ゴール 「ジャテーゴ・・・執務室には入らぬよう、言い聞かせていたであろうが」

ジャテーゴ 「だって、お父様ったら最近ちっとも構ってくれないんですもの」

ジャテーゴ 「寂しくなったから、来ちゃった!」

ゴール 「仕方のないやつだ」

バット 「良いではありませんか。ご機嫌うるわしゅう、姫殿下」

ジャテーゴ 「こんにちわ、バット将軍!ね、お父様。お仕事終った?遊びましょうよ!」

ゴール 「いや、これから大事な報告を受けねばならぬのだ。お前は下がっていなさい」

ジャテーゴ 「えー・・・」

バット 「内容は、こちらの報告書にまとめております。後で裁可を頂ければよろしゅうございますので」

ゴール 「そうか・・・すまんな」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:11:15.20 ID:aqCOEAfQ0
ジャテーゴ 「仕事終ったのね!やったー!お父様、遊びましょっ」

ゴール 「やれやれ・・・」

バット 「ふ・・・勝たねばなりませんな」

ゴール 「そうだ。ジャテーゴと、娘が統べる次代の恐竜帝国の子らのため・・・我らに負けは許されぬ」

バット 「我ら臣民、粉骨砕身。犬馬の労を厭いませぬぞ」

ゴール 「・・・ありがとう。さぁ、おいで、ジャテーゴ・・・うっ!?」ぐらっ

ジャテーゴ 「お父様!?」

バット 「陛下!いかがなされました!?」

ゴール 「あ、案ずるな・・・ただの目眩よ。されど・・・」

バット 「陛下・・・?」

ゴール 「この感覚。いよいよ近いな。忌まわしい休眠期が・・・」

バット 「・・・」

ゴール 「急がせねばなるまい。かの計画を・・・」

バット 「は・・・」

ゴール 「そして、さらにその次の一手を、な・・・」

バット 「・・・」

ジャテーゴ 「?」
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:15:46.21 ID:aqCOEAfQ0
・・
・・


竜馬 「じゃあ、本当に俺は帰るぜ。たく、とんだ休日の無駄遣いだ」


ばたんっ


澪 「帰っちゃった・・・な」

律 「あははっ、なんだぁ。けっこう面白い奴じゃん、流って人」

澪 「そ、そうかなぁ・・・」

律 「そうだぜ。とっつきにくいタイプだけど、悪い奴じゃないって」

唯 「そだよ。リョウさん、いい人だよ」

紬 「そうね。それに、唯ちゃんに対しては、だいぶ砕けて接するようになったみたいね」

唯 「そう?」

紬 「うん。認めてるんじゃないかな。唯ちゃんのこと、仲間として」

唯 「え・・・そ、そうなのかな。え、えへへ・・・」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:20:19.59 ID:aqCOEAfQ0
澪 「と、とにかく合宿の件はこれで決まったな。それじゃ、行く場所とか決めてしまおうよ」

律 「じゃあさ、海にする!?それともぉ・・・」

澪 「だから!バンドの強化合宿って言ってるだろ!」

唯 「わくわく・・・あ・・・でも、費用っていくらくらいかかるのかな・・・?」

律 「・・・あ。そうだぞー。きつくないのか?」

澪 「そ、それは・・・む、ムギ・・・」

紬 「はい?」

澪 「別荘・・・とか・・・」

紬 「ありますよ?」

律・澪 「あるんかいっ!」

唯 (ゲッターロボ作れちゃうくらい、お金持ちだもんね。ムギちゃんち・・・)
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:25:06.96 ID:aqCOEAfQ0
・・
・・


律 「それじゃ今日は、そろそろ帰るかー?」

澪 「そうだな、すっかり遅くなっちゃったし。合宿に持っていく物は、次の土曜にでもみんなで買いに行こう」

紬 「うわぁっ、楽しみ」

唯 「こういうのって、準備するところから、もう楽しいんだよね」

律 「そうそう!」

澪 「何度も念を押すけど、遊びに行くんじゃないんだからな?」

律 「分かってる分かってるって」

澪 「なら良いけど。さ、戸締りしたら帰ろう」


廊下!


唯 「・・・あ」

和 「・・・」


ばったり!


唯 「和ちゃん。和ちゃんも、いま帰り?だったら、みんなで一緒に帰らない?」

和 「・・・唯。ううん、私はまだ、生徒会の仕事が残ってるから」

唯 「そっかぁ・・・」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:41:09.47 ID:aqCOEAfQ0
和 「それじゃ・・・」

紬 「和ちゃん」

和 「・・・なに?」

紬 「今度ね、私たち合宿に行くの。私の別荘に泊りがけで」

和 「そう。楽しそうで良いわね」

紬 「和ちゃんも来ない?」

和 「え・・・」

唯 「ムギちゃん・・・」

和 「どうして部外者の私が?」

紬 「合宿って言っても、練習だけをしに行くわけじゃないもの。みんなとの想い出作りも大切な目的」

紬 「だったらそこに、唯ちゃんの親友の和ちゃんがいるのは自然な事じゃないかしら。それに大勢の方が、イベント事は楽しいわ」

和 「・・・」

紬 「私たちの練習の時も、観客役の人がいてくれた方が演奏にも身が入ると思うし・・・どうかしら」

和 「・・・悪いけど、遠慮しておくわ」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:45:50.59 ID:aqCOEAfQ0
和 「・・・悪いけど、遠慮しておくわ」

紬 「夏休みは用事でも?」

和 「そんなところね」

紬 「そう・・・」

和 「用事はそれだけ?」

唯 「え・・・」

和 「・・・誘ってくれてありがとう。それじゃ私、生徒会に行くわね」


すたすた


唯 「・・・和ちゃん」

紬 「・・・」
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 17:52:40.73 ID:aqCOEAfQ0
律 「なんだあいつ。感じ悪いなぁー」

澪 「真鍋さんって、あんな冷たい雰囲気の人だったっけ・・・?」

唯 「違う。たぶん和ちゃんは私のこと、怒ってるんだよ」

唯 「ゲッターユイに乗るって決めた時、和ちゃんは本気で私のこと心配して止めてくれたのに、言うことを聞かなかったから・・・」

律 「唯・・・」

唯 「だから、和ちゃんのこと冷たい人だと思わないでね?全部、私を思っての事なんだから」

紬 「・・・ごめんなさい、勝手な事をして。でも、さいきん唯ちゃんと和ちゃんがギクシャクしてたの見てたから、和解の良いきっかけになればって思って・・・」

唯 「ううん、ムギちゃん。気を使ってくれて嬉しかったよ」

紬 「・・・うん」

澪 「でもさ、ああいうのは違うと思う」

律 「澪?」

澪 「友達の事を心配して、あれこれアドバイスするのは良いよ。でも、言うことを聞いてもらえなかったからって態度を変えるのは、間違ってると思う」

唯 「澪ちゃん・・・」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:05:29.25 ID:aqCOEAfQ0
澪 「だって、唯は自分のためじゃない。みんなを守るために戦ってくれてるんだ。一番辛いのは唯なんだ。なのに・・・」

澪 「も、もし私が唯の立場で、それで律に冷たくされたらと思うと・・・やりきれなくって・・・ひっく」

律 「・・・ばかお前、なに言ってるんだよ」

澪 「バカとは何だ・・・」

律 「・・・和のことは、合宿じゃなくってもさ。また何か機会があったら誘ってみようぜ。押しの一手って言葉もあるだろ」

澪 「それ・・・男の人が女性を口説くときの言葉だぞ・・・」

律 「細かい事は良いんだよ。だからお前も泣いてんなって」

澪 「泣いてなんかない・・・」ぐすっ

唯 「りっちゃん・・・ムギちゃんも澪ちゃんもありがとね。私もまた、和ちゃんと話してみるよ」

紬 「ええ」

澪 「うん・・・」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:06:05.89 ID:aqCOEAfQ0
律 「・・・っよし!じゃあ、辛気臭いのはこれでおしまい。景気づけにケーキでも食べて帰ろうぜ!」

紬 「景気にケーキ?」

澪 「・・・くすっ。上手いこと言ったつもりか?」

律 「なんだよー。笑えよ、みんな。つか、私はケーキが食べたいんだよ。生クリーム!甘いもの!胃が糖分を求めているー・・・」

唯 「えー、さんざんムギちゃんのお菓子たべたのに、まだ食べるの?」

律 「私の四次元胃袋は、甘いものならいくらでも格納できちゃうんだよ。お前らだってそうだろ?」

澪 「そうかも」

紬 「異議なーし。さ、そうと決まったら行きましょう!」


あははは♪


和 「・・・」

和 「泊りがけで・・・合宿・・・か」

和 「・・・ふふっ」
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:11:51.38 ID:aqCOEAfQ0
・・
・・


憂 「私はお姉ちゃんが戦うなんて、反対だよ!」

唯 「憂・・・」

憂 「どうしてお姉ちゃんが、そんな危険なことをしなくっちゃいけないの!?お姉ちゃんはただの女の子なのに!」

唯 「うん・・・ただの女の子だって、私も思ってたんだけど・・・」

憂 「え・・・」

唯 「ちょっとね、違ったみたい」えへ

憂 「違うって・・・だって・・・」

唯 「私ね、みんなを守るための力を持っているんだ。みんなを守る力なんだから、みんなのために使わなくっちゃ」

憂 「だって・・・だって・・・お姉ちゃんは怖くないの?」

唯 「・・・怖いよ」

憂 「だったら!」
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:17:41.53 ID:aqCOEAfQ0
唯 「ある人にもね、言われたんだ。戦いたくないなら戦わなくっても良い。守られる立場を選ぶのも、道の一つだって」

憂 「そうだよ!お姉ちゃんが戦う必要なんかない!そういうのは専門の人が・・・」

唯 「でもね」


私、思ったんだ。

せっかくみんなを守れる力を貰ったのに、それを使わなかったら。

それでもし、取り返しのつかない事になっちゃったら・・・すっごい後悔しちゃうんだろうなって。

それはきっと、怪我をする事よりも。もしかしたら死んじゃう事よりも・・・

ずっとずっと、恐ろしい事なんだろうなって。


唯 「そう、思ったの」

憂 「取り返しのつかないことって・・・?」

唯 「友達や大切な場所や・・・憂を。失ってしまう事」

憂 「あ・・・」

唯 「えへへ・・・もし・・・もしもね。憂が今の私の立場だったとしたら、きっと憂は私と同じ選択をしたと思うんだ」

憂 「・・・」

唯 「それにね、お姉ちゃんは大丈夫!私には心強い仲間もいるし、なにより!」

唯 「私が憂をおいて、やられちゃうなんて事、あるわけないもんね!」ふんすっ

憂 「お姉ちゃん・・・」
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:28:33.27 ID:aqCOEAfQ0
・・
・・


ぴぴぴぴ・・・ぴぴぴぴ・・・


憂 「・・・ん・・・あ、朝・・・?」

憂 「夢・・・だったんだ。お姉ちゃんがゲッターロボに初めて乗った、あの日の・・・」


(憂が今の私の立場だったとしたら、きっと憂は私と同じ選択をしたと思うんだ)


憂 「ずるいよね、お姉ちゃん」

憂 「あんな風にいわれたら私、もう何も言えなくなっちゃうじゃない・・・」

憂 「・・・」

憂 「私がお姉ちゃんの立場だったら・・・か・・・」

憂 「もし・・・もしも・・・私に強大な力が授けられたなら・・・私は・・・」
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:32:23.64 ID:aqCOEAfQ0
・・
・・


憂 「もうすぐ10時か。お姉ちゃん、あいかわらずのお寝坊さんだなぁ」

憂 「いくら夏休みだからって・・・仕方ない、お越しに行きますか」


唯の部屋!


憂 「お姉ちゃん」がちゃっ

唯 「くかー」

憂 「そろそろ起きたら?ていうか、それ。私のパジャマじゃん・・・」

唯 「うーん・・・むにゃらむにゃ・・・もうちょっと・・・」

憂 「しょうがないなぁ・・・ん・・・?」


憂 (え・・・旅行カバンが用意されてる・・・て、あれ?そういえば今日って・・・)


憂 「お、お姉ちゃん・・・?」

唯 「・・・っいま何時!?」がばっ!
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:37:30.34 ID:aqCOEAfQ0
憂 「えっと・・・」


じりりり・・・じりりり・・・


唯 「も、もしもし・・・」がちゃっ

澪 『お、おはよう・・・』

唯 「・・・おはようございます」


唯 「ごめんなさーーーいっ!」


・・
・・


唯 「じゃ、いってきまーす!!」

憂 「お姉ちゃん、急ぐのは良いけど、車に気をつけて。楽しんできてね」

唯 「ありがと、憂!そんじゃっ!」


ばたんっ


憂 「行っちゃった。もう、昨夜は楽しみにしすぎて、眠れなかったのかな?」
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:40:27.47 ID:aqCOEAfQ0
憂 「それでお寝坊しちゃうなんて、お姉ちゃんらしい」

憂 「くすっ」

憂 「・・・」

憂 「さ、さて。今日はこれから何しようかな。積読してた本でも読んじゃおうかなぁ・・・」


ぴんぽーん


憂 「あれ、お姉ちゃん?忘れ物かな?」

憂 「はーい・・・」がちゃっ


和 「こんにちわ」


憂 「和ちゃん・・・?」
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:44:37.72 ID:aqCOEAfQ0
・・
・・


憂 「お茶、どうぞ」

和 「悪いわね。急に押しかけて」

憂 「ううん、でもどうしたの?お姉ちゃんだったら、今日から合宿に行ってて、しばらくは留守だよ?」

和 「知ってるわ。今日はね、憂とお話がしたくって来たの」

憂 「私と・・・?」

和 「うん。ねぇ、憂。憂はここ最近、心安らかに過ごせているかしら」

憂 「え・・・どういうこと?」

和 「唯のことよ」

憂 「あ・・・」

和 「唯が出撃するたび、心が張り裂けそうな想いを強いられているんじゃないかしら」

憂 「の、和ちゃん・・・?」

和 「憂は唯がゲッターロボに乗って戦う事、どう思ってるの?」

憂 「どうって、私は・・・」

和 「・・・」

憂 「お姉ちゃんが選んだ事なんだもの。誰かがやらなくっちゃいけない事で、納得した上でお姉ちゃんがその役割を請け負うって言うなら・・・」

憂 「私は、お姉ちゃんを応援するよ」

和 「本心?」

憂 「え・・・」
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:48:41.51 ID:aqCOEAfQ0
和 「答えが模範解答すぎるのよ。きれいすぎる」

憂 「和ちゃん、なにが言いたいの?」

和 「憂の言葉の裏側に、私には別の本音が見え隠れしているように感じる・・・」

憂 「っ!」

和 「ゲッターユイなんか、壊れてしまえ」

憂 「え・・・」

和 「そうすれば唯は、もうゲッターに乗らないですむ。身の危険に、再びさらされる事もないわ」

憂 「な・・・何を言ってるの」

和 「私の本心よ。そして・・・」

憂 「の・・・和・・・ちゃん・・・?」

和 「あなたの本音」

憂 「違うよ!私はそこまで思ってない!」

和 「そうかしら・・・」
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 18:53:00.53 ID:aqCOEAfQ0
憂 「そうだよ。そりゃ、正直お姉ちゃんには危ない事はしてもらいたくない」

憂 「毎日、いつ出撃になるかと思うと心配で心配で・・・出撃したらしたで、やっぱり心配でたまらなくって・・・」

憂 「でも、それでも!お姉ちゃんが選んだ事だから・・・だったら、私は応援しなくっちゃって・・・」

和 「・・・」

憂 「そう思ってるから・・・」

和 「唯の選択が正しかったのか、それは考えないの?」

憂 「え・・・?」

和 「唯が決めたことだからと、無批判に応援することが、本当に唯のためになるのかしら」

憂 「それは・・・」

和 「私はそうは思わない。唯は間違ってる」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 19:20:55.17 ID:aqCOEAfQ0
憂 「ど、どうして言い切れるの?」

和 「私も唯が心配。唯が出撃した時は、今度こそ死んでしまうんじゃないかと、気が気でない」

和 「心配で心配で、夜も眠れなくって・・・そんな想いを・・・」

和 「親友の私や妹の憂にさせる選択が、正しいはずなんてないじゃないの!」

憂 「和ちゃん・・・どうしたの?こんな感情的になって、和ちゃんらしくないよ・・・」

和 「憂、私の言ってること、間違ってると思う?」

憂 「そうは思わないけど・・・」

和 「だったら、お願いよ憂。私に力を貸してちょうだい」

憂 「力って、何をする気なの?」

和 「さっき言った事を実行に移す。ゲッターユイなんか壊れてしまえば良い・・・」

憂 「・・・!?」

和 「あなたの力が必要なのよ。唯の妹・・・ゲッターに選ばれた唯の、妹の力が・・・」

憂 「や、やだよ・・・そんな、いくらなんでも・・・壊せるわけないもの・・・」

和 「壊せるわ」
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 19:23:58.73 ID:aqCOEAfQ0
憂 「・・・和ちゃん、怖いよ・・・」

和 「私が怖い?どうして?」

憂 「だって・・・」

和 「本当に怖いのは、普通の女の子を戦わせて当然としている現実の方よ!!」

憂 「ひっ!」

和 「私と一緒に来て。私たちの唯を取り戻しましょう」

憂 「い・・・いや・・・」

和 「どうしても?」

憂 「だって・・・いまの和ちゃん、ぜったい変だもの・・・!」

和 「そう。じゃあ、仕方がないわね」

憂 「え・・・」

和 「憂、私の目を見て・・・」

憂 「あ・・・」

和 「ほら・・・見つめ合いましょう?」

憂 「あ・・・あ・・・?」

和 「くすくすくすくす」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 19:28:51.70 ID:aqCOEAfQ0
憂 「・・・」くらくら


どさっ


和 「・・・」

和 「ごめんね、憂。でも、これもすべて唯のためだから・・・」


? 「首尾よく、事は済んだようだの」


和 「博士・・・」

? 「では、その娘を運ぼうか。平沢唯が手に入いらなんだのは残念だが、なに。お前がいれば妹の方でも事は足りよう」

和 「じゃあ・・・」

? 「ああ・・・お前の大好きな、平沢唯を取り戻す戦いを始めるとしようかの・・・」

和 「・・・はい。もうすぐよ、唯。ゲッターロボなんて不要なもの、私が壊してあげる・・・」


和 「私が・・・あなたを助けてあげるから・・・!」
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/05(月) 19:32:48.52 ID:aqCOEAfQ0
次回へ続く!
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/12/05(月) 20:40:47.16 ID:nlIBvUHAO
こ、これは乙じゃなくてトマホークブーメランなんだからね!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 21:43:17.97 ID:Fc8ZE2uY0
再開!
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 21:45:42.70 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


ここは・・・夢の中・・・?


ユイ 「・・・」


あ、ユイだ!

久しぶりぶり〜。最近あまり会いに来てくれなかったよね。寂しかったよー。


ユイ 「・・・」


・・・?

どうしたの?そんな悲しそうな顔をして・・・

何かあった?いやな事でもあったの・・・?


ユイ 「ごめんね、唯ちゃん」


え・・・?

ユイったら、なんで謝ってるの?


ユイ 「もうすぐね。唯ちゃんにとって、とても辛い出来事が起こるの・・・」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 21:47:46.02 ID:Fc8ZE2uY0
ユイ 「でも、私はそれを食い止めてあげることができない・・・」

ユイ 「唯ちゃんが悲しい想いをすることが分かっているのに、私には何もしてあげることができないの・・・」

ユイ 「だから・・・ごめんなさい・・・」


どうしたの?ね、ユイ。いったい、なにが起こるっていうの・・・?


ユイ 「この戦いを終らせるための、転機・・・」


え!

この戦いって・・・恐竜帝国との戦いが終るっていうこと!?


ユイ 「うん、唯ちゃんがこの悲しみを乗り越えることができれば・・・」


そっか・・・そっか!

うん、じゃあ私がんばるよ!

なにが起こるか分からないけど、それでこの悲しい戦いが終るっていうなら、何があったって負けないよ!

それに、いっつもいっつもユイに頼ってばかりもいられないしね♪


ユイ 「唯ちゃん・・・」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 21:50:27.43 ID:Fc8ZE2uY0
だから、ね。悲しい顔はもうやめて?

ユイは私と同じ顔だから、なんだか自分がションボリしてるみたいで、私まで悲しくなっちゃう。


ユイ 「ありがとう」

ユイ 「でも、唯ちゃん。気をつけて・・・そして、心を強く持って。そして」

ユイ 「時には非情になる事もまた、必要なことだと知っておいて・・・」


・・・?

う、うん。


律 「唯ー・・・」

律 「唯、起きろって。唯ー!」
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 21:54:50.15 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


唯 「はっ!?」

律 「おー、やっとこ起きたな。たく、遅刻までして、さらに居眠りとは良い度胸してるなぁ、唯は」

唯 「こ・・・ここは・・・?」

澪 「寝ぼけてるなぁ、唯」

紬 「おはよう、唯ちゃん。ここは私の別荘に向かう列車の中よ」

唯 「あ、そうだった。えへへ・・・寝不足だったから、つい・・・」

律 「これから遊び倒すってのに、今からそんなんじゃ先が思いやられるぞ」

澪 「いや、違うから。練習するんだから。これ、合宿だから」

紬 「大丈夫?唯ちゃん」

唯 「う、うん。へへ、ごめんね」


唯 (ユイったら、なにを言いたかったんだろう。これから起こる悲しい事って、いったい・・・)


律 「それよりそろそろ教えてよ。別荘ってどこにあるんだ?」

紬 「あ、えーっと・・・もうすぐ♪」

唯 「あ・・・窓の外・・・」

律 「んー?」

唯 「ほらほら、りっちゃん!むこう!」

律 「え・・・?おー!!」

澪 「海か・・・!」

紬 「はい、海♪」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:14:50.74 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


海!

寄せては返す波。

陽の光を受けて、きらきらと輝く水面。

水平線のかなたには大きな入道雲が、唯たちを包み込むかのようにそびえている。


律 「おーし、遊ぶぞー!!」

唯 「おー!いえーい!」

澪 「て、はやっ!練習は!?」


紬の別荘に着くが早いか、さっそく水着に着替えて海へと繰り出す唯と律。


唯 「先いってるから、澪ちゃんとムギちゃんも急いでねー!」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:17:08.67 ID:Fc8ZE2uY0
紬 「はーい。じゃあ私も・・・待ってるから」

澪 「ムギまで・・・」


こうなると、練習の鬼を自認する澪でさえ、いてもたってもいられなくなる。


澪 「わ、私も行くー・・・」

唯・律・紬 (にやり)


こうして軽音部の面々は、揃って海へと飛び出した!

いくら練習のための合宿とはいえ、ここは夏の海。

しぶく波に誘われては、若い命が真っ赤に燃えて、心が弾むのを抑えられない。

そうだ。ここで遊びにもし怯んだら、世界の果てまで後ずさる!!

命を賭けて遊ぶわけは、友よ自分の胸に聞けっ!!


紬 「なんか、大げさねぇ・・・」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:21:10.65 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


・・・そして数時間後。

ムギの別荘内のスタジオ!


唯 「あー、床が冷たくて気持ち良い・・・」

唯 「こうやって目を閉じると、なんか波に流されてるみたいな感じするよねぇ・・・」

律 「あ・・・本当だ」

唯 「お休みなさい」

律 「おやすみ」

澪 「はじめるぞっ!」

紬 「二人とも起きてー」

律 「だって、もう眠い・・・」

澪 「こうなるの目に見えてたから、あれほど先に練習しておこうって言ったのに」

律 「そんなこと言って、一番楽しそうに遊んでたのは誰だっ」

澪 「つーん」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:26:02.69 ID:Fc8ZE2uY0
紬 「まぁまぁりっちゃん。私たち、唯ちゃんに言うことがあったでしょ。だから、ね?」

律 「あー・・・そうだったな。仕方がない、起きるか・・・っしょっと」むくっ

唯 「ん?ん?私に言うこと?」むくっ

澪 「うん、実は私たちさ。唯には内緒で、ある準備をしてたんだよね」

唯 「えー、なにそれ。私だけ、のけ者なのー??」

紬 「じゃなくってね。唯ちゃんに三人からのプレゼントがあるの」

律 「教えちゃったら、サプライズにならないだろ?」

唯 「プレゼント!なに?なに?お菓子!?早くちょーだいっ」

律 「慌てんなって。じゃあ、立案者の澪から発表してもらおうか」

澪 「うん。こ、こほん。じ、実はさ、唯。私たち、今日の合宿に合わせて歌を一曲つくって来たんだ」

唯  「歌?」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:29:18.12 ID:Fc8ZE2uY0
澪 「うん。私が詩を書いて、ムギが曲をつけてくれて、律が・・・」

律 「私が総指揮・総監督をした!」

澪 「そうそう、律はいろいろと横から口出しをしてきた」

律 「な、なんか嫌な言いかた・・・」

澪 「まぁ、そんな感じで三人で作った歌」

紬 「唯ちゃんに捧げる歌」

唯 「・・・私に?」

澪 「うん・・・いつもみんなの為に、一生懸命がんばってくれてる唯に感謝を込めて」

律 「私たちは一緒に戦うとかできないからさ。こんな事くらいしかできないけれど」

紬 「少しでも唯ちゃんの支えになれたら良いなって。心を込めて作った歌なの」

唯 「みんな・・・」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:35:43.77 ID:Fc8ZE2uY0
律 「ほら、流さんたちのゲッターロボには、かっこいいテーマソングがあるだろ?」

紬 「ガンガンガンガン♪」

律 「だったら、ゲッターユイにもそんなの、あっても良いんじゃないかなーって、さ」

澪 「唯に内緒にしてた手前、学校での練習ができなかったから、三人で合わせるの実は今日が初めてで・・・」

澪 「だから失敗する所もあるかもしれない。でも・・・良かったら聴いて欲しいんだ」

唯 「う、うん・・・聴きたい!私、聴きたいよ!!」

律 「よーし、じゃあ初音合わせがぶっつけの本番だけど、いっちょやってやりますか!」

紬 「どんとこいです!」

澪 「じゃ、いくよ!曲名は」


〜わたしの恋はげったぁ☆ハート〜

(歌のシーン割愛・・・)
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:38:33.97 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


じゃーん・・・♪


紬 「・・・ふぅ。やっぱり、何度か失敗しちゃったわね」

律 「やっぱり練習してからじゃなきゃ、満足のいく演奏はできないって話だな」

澪 「分かってるじゃないか。じゃ、この合宿では身を入れてがんばる事だな、律」

律 「あう、やぶへびだったか・・・」

唯 「みんな・・・」

澪 「で・・・唯、どうだった?」

唯 「うん、すごく良い・・・」

澪 「そうか、良かった!」

唯 「みんな、本当にありがとう。私、嬉しくって・・・もう、言葉にならないよ」

律 「唯・・・」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:42:26.10 ID:Fc8ZE2uY0
紬 「さっきは三人での演奏だったけれど、当然ギターのパートも考えてあるのよ。ね、唯ちゃんも良かったら合わせてみましょう」

唯 「え・・・う、うん!」

澪 「ボーカルは私と唯のツインだぞ」

唯 「そなの!?私、ギター弾きながら歌なんて歌えるかな?」

澪 「そのために練習するんだろ。なに、唯ならすぐにできるようになるさ」

唯 「そっかな。うん、よーし。がんばってみる・・・!」

律 「おっしゃ、そんじゃ眠気も覚めちゃった事だし、いっちょ本気で練習がんばりますか!」

澪 「最初から本気だしといてくれよ・・・」


あははは♪


唯 (嬉しいな!楽しいな!みんながいて、みんなの中で笑っている私がいて、そんな時間がとっても愛おしい!)

唯 (みんなが大好き。私、大好きなみんなを守るためだったら、どんな試練だって耐えられるって思うよ)

唯 (だからユイ。ユイも心配しないでね)


ユイ (唯ちゃん、敵が来るよ・・・!)


唯 「・・・え!?」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:49:06.20 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


浅間山麓・早乙女研究所

同 観測所内


早乙女 「・・・こ、これは」

ミチル 「このレーダーの反応・・・お父様、これは間違いなく・・・」

早乙女 「ああ、ゲッター反応だ。それも二つ」

所員 「一つは琴吹重工付近よりの反応。ゲッターユイのものと思われます」

早乙女 「もう片方は?」

所員 「地中より湧いて出たかのように、突然に反応が現れたのです。正体は不明・・・」

早乙女 「ゲッターロボGではないのか?」

所員 「ありえません。認識パターンが不適合です」

早乙女 「ううむ・・・メカザウルスの出現情報は?」

所員 「ありません」

早乙女 「メカザウルスが現れたわけでもないのに、ゲッターユイが出撃したという事か・・・なぜ・・・」
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 22:57:51.92 ID:Fc8ZE2uY0
ミチル 「お父様。琴吹に出向中の隼人君から電話です」

早乙女 「スピーカーに繋いでくれ。隼人か、どうした・・・」

隼人 『博士・・・そちらでも掴んでるとは思いますが、ゲッターユイが出撃しました』

早乙女 「誰が動かしている?」

隼人 『いえ、誰も。初めてゲッターユイが出撃した時と、同じ状況だと思われます』

早乙女 「ということは、ゲッターユイは平沢唯の元へ向かったという事か」

ミチル 「もう一つの反応もゲッターユイを追うように、同じ方角へ向かっているようね」

隼人 『もう一つのって・・・なんの話だ?』

ミチル 「それが、正体不明のゲッター反応が感知されていて・・・」

早乙女 「待て・・・地から湧き出たように反応が現れたと言ったな・・・」

所員 「はい・・・」
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 23:00:42.26 ID:Fc8ZE2uY0
早乙女 「・・・まさか!いかん、隼人!お前たちは直ちに出撃して、平沢唯の元に向かうんじゃ!」

早乙女 「ミチルはすぐさま、琴吹のお嬢さんに連絡を!」 

ミチル 「お父様・・・?」

早乙女 「く・・・くくく・・・ハチュウ人類どもめ。とうとう禁断の力に手を染めおったか・・・」

早乙女 「しかし、その決断こそ、奴らが破滅への第一歩よ・・・くく・・・くははははっ!」

隼人 『博士・・・何を言っているんです・・・?』

早乙女 「レーダーを注視せよ!正体不明のゲッター反応が出現した位置から割り出すぞ」

所員 「割り出すとは、いったい何を・・・」

早乙女 「決まっておる。奴らの穴倉をよ!!」
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 23:04:51.36 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


紬 「はい・・・はい・・・わかりました・・・」がちゃっ

律 「ムギ、電話だれからだったんだー・・・?」

紬 「・・・」

澪 「ムギ・・・?」

紬 「唯ちゃん」

唯 「分かってる。敵が来るんだね。さっき、ユイが教えてくれたんだ」

紬 「ゲッターユイがこちらに向かっているそうよ。ゲッターGも、その後を追って来てくれるみたい」

唯 「うん・・・ムギちゃん、りっちゃんと澪ちゃんを連れて、遠くへ避難して。あと、この辺にいる人達にも呼びかけを・・・」

紬 「だいじょうぶ。ここら辺は琴吹家のプライベートビーチだから、私たちさえ避難すれば、他に人的被害が出る心配はないわ」

唯 「良かった・・・じゃあ、私はここでユイを待つよ。ムギちゃん、早く・・・」

律 「ちょ、ちょっと待てよ。ここにメカザウルスが来るっていうのか?」

唯 「うん・・・ごめんね」

律 「な、なに謝ってるんだよ」
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 23:08:21.68 ID:Fc8ZE2uY0
唯 「あのね、きっと私がさ・・・敵を呼び寄せてるんだと思うんだ。だから・・・」

律 「そんな・・・唯・・・」

唯 「ほんとごめん。せっかくの合宿なのに」

澪 「なに言ってるんだよ!そんなのは良いんだ!それよりも私は唯の身が・・・」

唯 「あはっ、大丈夫だよー!」

澪 「だけどっ」

唯 「今までだって、いっつも勝って帰ってきてたじゃん。今回もちゃちゃっと片付けてしまうんだから!」

唯 「だからさ、ね?終ったら、合宿の続きをしようね!」

澪 「唯・・・」

紬 「・・・さぁ、早く行きましょう。私達がいたんじゃ、唯ちゃんの邪魔になっちゃう」

律 「あ、ああ・・・唯!ぜったい勝てよ!勝ってさっきの歌、みんなで練習するんだからな!」

唯 「うん、ぜったいだよ!」
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 23:31:20.71 ID:Fc8ZE2uY0
・・
・・


海岸線!

紬の別荘を出、ひとり海岸線でゲッターユイの到着を待つ唯。

心細さが無いと言ったら嘘になる。

しかし彼女には、ゲッターユイという心強い仲間と、自分のことを気遣ってくれる篤い友情が共にあるのだ。

だから唯は恐れない!

愛する友と、それに連なる人たちと、すべての人の笑顔を守るために。

今日も唯は、若い命を真っ赤に燃やす!!


唯 「・・・来た!」


水平線のかなたより、猛スピードで飛来する一つの影。

やがて影は、唯から間近い海岸線沿いに着水した。

月明かりの下、照らし出された影の正体こそゲッターユイ!

夜の闇を切り裂き、ゲッターユイが今、唯の元に到着したのだった!
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/06(火) 23:32:22.46 ID:Fc8ZE2uY0
次回へ続く!
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 07:05:31.48 ID:GZC3XFuyo
乙乙!
あぁ、また憂ちゃんが辛い目に…
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/07(水) 23:59:15.55 ID:5FCyvMG90
再開!
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:00:16.91 ID:hXZ0enNA0
・・
・・


ゲッターユイ コクピット内!


唯 「ふぅ、敵が来る前に乗り込むことができて良かったぁ・・・」

竜馬 「ヘアピン!」

唯 「あ、モニターにリョウさんからの通信が・・・やっほー、リョウさん!」

竜馬 「まもなくそちらに敵が行く。俺達の到着は、その後になってしまうだろう。しばらく一人で持ちこたえていてくれ」

唯 「心配いらないよ。メカザウルスくらい、私一人でも何とかしてみせるから」ふんすっ

竜馬 「・・・敵はメカザウルスじゃない」

唯 「え・・・メカザウルスじゃないって、だったら一体・・・」

竜馬 「敵はな・・・」

唯 「?」

竜馬 「敵はゲッターだ!」

唯 「!」
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:01:39.22 ID:hXZ0enNA0
唯 「敵はゲッターって、どういう意味・・・?」

竜馬 「そのまんまの意味だ。正体不明のゲッター反応がお前めがけて移動している。敵と考えるのが自然だろう」

唯 「だって・・・ゲッター線って、ハチュウ人類の弱点なんでしょ?なんでゲッターエネルギーで動くゲッターロボが敵になっちゃうの!?」

竜馬 「わからねぇ。どういうことなのか、俺たちが聞きたいくらいだ」

唯 「そんな・・・きゃぁっ!」

竜馬 「どうした、ヘアピン!」

唯 「いきなり地面からドリルが・・・え・・・違う・・・ドリルのついた・・・腕・・・?」

唯 「ロボットだ・・・地面の中からロボットが出てきたよ・・・これが敵のゲッターなの・・・?」

隼人 「平沢唯!メインカメラの映像をこちらに転送してくれ!敵の姿を確認したい!」

唯 「う、うん・・・こ、こうかな・・・」ぴっ
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:04:49.33 ID:hXZ0enNA0
隼人 「よし、映像受信・・・うっ!?」

弁慶 「え・・・まさか・・・先輩・・・こいつって・・・」

竜馬 「ど、どういうことだ・・・」

唯 「どうしたの・・・?」

隼人 「こいつは・・・こいつは紛れもねぇ。ゲッター2じゃねぇか!」

唯 「ゲッター2・・・?」

竜馬 「俺たちが以前に乗っていたゲッターロボ。それの地上戦形態だ・・・」

唯 「以前乗っていたって・・・だって、前のゲッターロボって確か・・・」

竜馬 「ああ、武蔵と共に跡形もなく破砕した・・・はずだったんだが・・・」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:06:05.29 ID:hXZ0enNA0
弁慶 「じゃあ、あれは見てくれだけで、中身はメカザウルスのハリボテか何かじゃないのか?」

隼人 「だとしたら、奴のゲッター反応の説明がつかない。第一・・・」

竜馬 「映像とはいえ、俺や隼人がゲッターを見間違えるはずがねぇ。死んだ武蔵と共に、何度も死線を潜り抜けてきた相棒のゲッターをな」

唯 「じゃ、じゃあ・・・」

竜馬 「どんなからくりなのかは知らないが、そいつは正真正銘、俺たちのゲッターロボだ」


? 「元・俺たちのゲッターロボ・・・でしょ?」くすくす


唯 「え・・・?」
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:08:49.13 ID:hXZ0enNA0
隼人 「敵のパイロットの通信か。この声、女か・・・」

竜馬 「いや、ちょっと待て・・・この声・・・まさか・・・」

唯  「嘘・・・」

? 「助けに来たわよ、唯。くすくすくす」

唯 「嘘だ・・・」

? 「ふふ・・・くすくすくす」

唯 「和ちゃん・・・っ!和ちゃんなの!?」

和 「正解・・・!」

唯 「・・・っ!!」
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:13:59.65 ID:hXZ0enNA0
竜馬 「やっぱりお前、メガネか!」

和 「うふふ・・・気安くあだ名なんてつけないで欲しいわね、流竜馬」

竜馬 「あだ名なんざどうでも良い。お前、そいつを一体どうやって手に入れた?いや、それよりも・・・」

竜馬 「ゲッターに乗って、何を企んでいるんだ?」

和 「決まっているわ。唯を良いように利用して、危険な目にあわせている奴らに裁きを下すのよ」

和 「流竜馬、ゲッターチーム、早乙女研究所、琴吹重工・・・そして・・・」

和 「ゲッターユイ!」

唯 「・・・!」 

和 「そいつらを私が、完膚なきまでに叩き潰してあげる。そうすれば、唯はもう二度とゲッターに乗せられる事はない」

和 「唯の敵は、私がこの手で地獄へ堕としてあげる・・・!」

唯 「違う!違うよ!私は自分でゲッターに乗るって決めたんだよ。私の敵は恐竜帝国だけ、他にはいないんだよ!」

和 「かわいそうな唯・・・純粋な心に付け込まれて、そう思わされているんだね。でも、もう大丈夫だよ?私が必ず助けてあげるからね」

唯 「和ちゃん!」
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:18:02.42 ID:hXZ0enNA0
隼人 「・・・おかしい」

弁慶 「確かにおかしいぜ、あの和って子。唯ちゃんとの会話が、まるで噛み合っていない」

隼人 「それだけじゃない。真鍋和・・・彼女が体内に含有するゲッター値は、ごくごく平均的な値だったはずだ」

隼人 「そんな彼女に、ゲッターの操縦なぞ、できるはずがない」

竜馬 「それどころか、コクピットに座っているだけでもやっとのはずだ。なのに、あのゲッターは動いている・・・どうしてなんだ・・・」


? 「それはじゃのー・・・こういうことなんじゃ!」


唯 「・・・?だ、誰の声・・・?」


ぶぅんっ


唯 「え?・・・サブモニターに、なにか映像が・・・」

隼人 「こっちにもだ。強引に映像を送り込んできやがった・・・これは・・・うっ!?」

唯 「ひっ!」
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:20:55.51 ID:hXZ0enNA0
竜馬 「・・・な、なんだこれは・・・」

弁慶 「ひでぇ・・・」

竜馬 「なんだ・・・なんなんだ・・・」

竜馬 「いったい、なんなんだ、これはぁーっ!!」


強引に二体のゲッターに送り込まれてきた映像。

そこにはゲッター炉心の様子が、薄明かりの中ぼんやりと映し出されていた。

ゲッターロボの心臓部・ゲッター炉心。

その中心部。複雑に積み上げられた機械と機械の間。

ちょうど炉心の中心部にあたる部分が、ほのかに光を放っている。


唯 「いや・・・いやぁ・・・」

唯 「いやああぁああああっ!?」


その光の正体を目の当たりにし、唯は驚愕の叫びをあげる以外になす術を持たなかった。

何故なら、そこには・・・

唯たちが目にした物とは・・・


隼人 「人だ・・・ゲッター炉心に人が埋め込まれている・・・」
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:28:11.40 ID:hXZ0enNA0
そう。

人だ。それもまだ、年若い少女が・・・

物言わぬ一部品として、炉心を構成する機械郡に組み込まれていたのだ。


弁慶 「ど、どこの映像なんだよ・・・それにこの子・・・唯ちゃんに似ていないか?」

竜馬 「ヘアピンの妹だ・・・」

隼人 「な、なんだと・・・?」

竜馬 「一度会った。間違いねぇ。平沢唯の妹の憂だっ!」


送り込まれた映像の中心に映っていたのは・・・

紛れもない、平沢憂の変わり果てた姿だったのだ!


唯 「憂っ!憂いいいっ!!いや、いやああああああ!」
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:35:39.42 ID:hXZ0enNA0
? 「怖いか!?恐ろしいか!?ふはははっ!良いぞぉ、絶望に我を忘れゲッターの力に呑まれるが良い!」

竜馬 「!」

? 「そしてワシを・・・ワシを醜く殺してくれぃっ!!」

竜馬 「・・・この物言い・・・まさか、まさか貴様・・・っ、敷島か!?敷島博士なのか!?」

敷島 「ご名答ー!」

隼人 「敷島博士・・・生きていたのか・・・」

弁慶 「だ、だれなんだ、このいかれた声の主は?」

隼人 「ゲッターロボを早乙女博士と共に造り上げた、共同開発者にしてマッドサイエンティスト・・・ゲッターの武装は、敷島博士の発案に拠る所が大きい・・・」

弁慶 「そ、そんな人が、どうしてこんな事を?」

竜馬 「そうだ!てめぇ、武蔵の自爆に巻き込まれてくたばったかと思ったら、今さらのこのこ墓から這い出してきやがって・・・」

唯 「あ・・・あ・・・」

竜馬 「・・・っ、しかもこんな!・・・くっ」

竜馬 「一体てめぇ、何をしてやがる!何がどうなってやがるんだ!!」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:40:58.39 ID:hXZ0enNA0
敷島 「なにって、見た通りじゃよ。平沢憂をゲッター炉心の制御装置に改造し、真鍋和をゲッターロボのパイロットに仕立てた」

敷島 「ワシの願望を実現するために・・・!」

竜馬 「願望・・・?」


・・
・・


早乙女研究所。

先ほどの敷島の話はゲッターGの回線を通して、早乙女研にいる面々の耳にも届いていた・・・!


早乙女 「願望・・・か」

ミチル 「まさか・・・行方不明だった敷島博士が恐竜帝国に寝返っていたなんて・・・」

所員 「どうして・・・今はまだ利用価値があるから受け入れられたとしても、用が済めば処分されるのは目に見えているのに・・・」

ミチル 「それとも、恐竜帝国が地上を制圧した後も生き残る、何か手立てでもあるというのかしら?」

早乙女 「なかろうな・・・」

ミチル 「だったら、どうして・・・」

早乙女 「お前たちには理解できないじゃろう。だが・・・ワシには奴の気持ちが分かる気がする」

ミチル 「え・・・それって・・・」

早乙女 「そう、立場が違えば、いまゲッターに敵対していたのは、ワシだったやも知れん」

所員 「博士・・・」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:45:48.50 ID:hXZ0enNA0
早乙女 「科学者とは・・・いや、その筋の求道者とはな。確かめたいものなのだよ」

ミチル 「確かめる?」

早乙女 「そう。己が志した道の果てに待つ結果を。そして、その結果を身をもって体験し、証明したいと思うのが道理・・・」

早乙女 「その先に待つ、己や他者の運命など度外視して、自分が生涯を賭して成して来た事への結果を・・・」

早乙女 「この身に刻みたいと思うものなのじゃよ」

ミチル 「それが敷島博士の願望だって言うの!?」

早乙女 「うむ」

ミチル 「人類を裏切って?年端も行かない女の子に、あんなひどい事をして、それが願望だったとでも!?」 

早乙女 「・・・」

ミチル 「そんなの、たんなるエゴじゃないの!」

早乙女 「エゴじゃよ。だが、ワシには理解できる。わが子を焼き殺してまでゲッターを守った、このワシになら、な」

ミチル 「・・・やっぱりお父様は・・・いえ、あなたたち科学者は鬼なんだわ・・・」

所員 「そ、そのエゴの結果が、どうして敵への亡命になるんです?」

早乙女 「敷島の事だ、おいおい自分で語るじゃろう。さぁ、それよりも我々は課せられた仕事をしよう。レーダーから目を離すなよ」

ミチル 「分かってるわ。レーダー監視。ゲッターが現れた近辺の策敵強化。怠りないわよ」

早乙女 「敷島め・・・禁断の力をハチュウ人類に使わせたお前のエゴ、せいぜい有効に使わせてもらうぞ・・・!」
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:50:02.28 ID:hXZ0enNA0
あ・・・投下順番間違えてしまった・・・

>>299

>>300

の二つは、無かったことにして下さい。

順番入れ替えて、また同じ文を投下します。

紛らわしくってごめんなさい。
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:52:58.72 ID:hXZ0enNA0
敷島 「なにって、見た通りじゃよ。平沢憂をゲッター炉心の制御装置に改造し、真鍋和をゲッターロボのパイロットに仕立てた」

敷島 「ワシの願望を実現するために・・・!」

竜馬 「願望・・・?」

隼人 「平沢憂を制御装置に・・・そうか、そういうことか」

弁慶 「ど、どういうことだよ」

隼人 「つまりはゲッターユイを同じ原理だ。本来三人で動かすはずのゲッターを、平沢唯は自身の強大なゲッターエネルギーで不足人員を補い・・・」

隼人 「結果、単座でゲッターユイの力を遺憾なく発揮できている」

弁慶 「それとこれと、どういった繋がりがあるって言うんだ?」

隼人 「考えてみろ。あの平沢唯の妹だ。妹もまた、常人以上のゲッターエネルギーを宿していると考えて、まず間違いはないだろう」

弁慶 「じゃ、じゃあ・・・」

隼人 「そうだ。その彼女をゲッター炉に直接ぶち込む事で、機体の制御を強制的にさせているんだろう。だから、真鍋和でもゲッターを動かすことができたんだ」

弁慶 「てことは、この映像は唯ちゃんの友達が動かしている、ゲッターの内部って事かよ!」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:54:41.83 ID:hXZ0enNA0
敷島 「さすが隼人よ!その頭脳、判断力・・・まったく敬服に値するわ」

竜馬 「・・・そのゲッターはどうしたんだ?俺たちのゲッターが、なぜそこにある」

敷島 「簡単じゃ。武蔵が自爆後の残骸をワシが回収。とある場所で修復したのよ。新たに一から作るには時間がかかりすぎるし、なによりゲッター炉心はワシでは作り出せないからな」

竜馬 「とある場所って・・・まさか・・・」

敷島 「そう、恐竜帝国じゃ!ワシはゲッターを手土産に、恐竜帝国に亡命したんじゃよぉ!」

竜馬 「敷島!貴様ぁああっ!!」


・・
・・


早乙女研究所。

先ほどの敷島の話はゲッターGの回線を通して、早乙女研にいる面々の耳にも届いていた・・・!


早乙女 「願望・・・か」

ミチル 「まさか・・・行方不明だった敷島博士が恐竜帝国に寝返っていたなんて・・・」

所員 「どうして・・・今はまだ利用価値があるから受け入れられたとしても、用が済めば処分されるのは目に見えているのに・・・」

ミチル 「それとも、恐竜帝国が地上を制圧した後も生き残る、何か手立てでもあるというのかしら?」

早乙女 「なかろうな・・・」

ミチル 「だったら、どうして・・・」

早乙女 「お前たちには理解できないじゃろう。だが・・・ワシには奴の気持ちが分かる気がする」

ミチル 「え・・・それって・・・」

早乙女 「そう、立場が違えば、いまゲッターに敵対していたのは、ワシだったやも知れん」

所員 「博士・・・」
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:55:41.29 ID:hXZ0enNA0
早乙女 「科学者とは・・・いや、その筋の求道者とはな。確かめたいものなのだよ」

ミチル 「確かめる?」

早乙女 「そう。己が志した道の果てに待つ結果を。そして、その結果を身をもって体験し、証明したいと思うのが道理・・・」

早乙女 「その先に待つ、己や他者の運命など度外視して、自分が生涯を賭して成して来た事への結果を・・・」

早乙女 「この身に刻みたいと思うものなのじゃよ」

ミチル 「それが敷島博士の願望だって言うの!?」

早乙女 「うむ」

ミチル 「人類を裏切って?年端も行かない女の子に、あんなひどい事をして、それが願望だったとでも!?」 

早乙女 「・・・」

ミチル 「そんなの、たんなるエゴじゃないの!」

早乙女 「エゴじゃよ。だが、ワシには理解できる。わが子を焼き殺してまでゲッターを守った、このワシになら、な」

ミチル 「・・・やっぱりお父様は・・・いえ、あなたたち科学者は鬼なんだわ・・・」

所員 「そ、そのエゴの結果が、どうして敵への亡命になるんです?」

早乙女 「敷島の事だ、おいおい自分で語るじゃろう。さぁ、それよりも我々は課せられた仕事をしよう。レーダーから目を離すなよ」

ミチル 「分かってるわ。レーダー監視。ゲッターが現れた近辺の策敵強化。怠りないわよ」

早乙女 「敷島め・・・禁断の力をハチュウ人類に使わせたお前のエゴ、せいぜい有効に使わせてもらうぞ・・・!」
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 00:57:58.85 ID:hXZ0enNA0
・・
・・


和 「お話はもう済んだかしら・・・じゃあ私、唯を助けるわね」

唯 「ああ・・・ああ・・・憂・・・憂・・・」

竜馬 「くっ、おい!ヘアピン、しっかりしろ!聞こえないのか、おいっ!」

隼人 「リョウ、急げ。このままでは平沢唯はおろか、彼女の友達も助からん」

弁慶 「え・・・?」

隼人 「ゲッターを動かせるようにお膳立てさせられても、真鍋和は所詮普通の人間だ。コクピットを満たすゲッター線に体が耐えられるはずがない」

隼人 「このままでは良くても廃人か・・・あるいは・・・」

竜馬 「くそっ、くそっ!なんでこんな事になってるんだ!ちくしょう、待ってろよヘアピン!」
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 01:03:37.67 ID:hXZ0enNA0
・・
・・


和 「唯・・・唯は私が助けてあげる・・・」はぁはぁ


どがっ!ばきっ!


和 「私が唯のことを一番に想っているんだ・・・私だけが唯を助けることができるんだ・・・」はぁはぁ


どがっ!ばきっ!


和 「壊れろ、ゲッター・・・壊れろ・・・壊れろ壊れろ・・・壊れろぉー!」


どがどがどがっ!!


唯 「憂・・・憂・・・あうっ・・・!」

敷島 「どうにも期待はずれじゃのう。妹のこの様子を見れば、怒りに我を忘れてくれると期待していたんじゃが・・・」

敷島 「茫然自失の体で、一方的にやられるだけか・・・まぁ良い・・・」

敷島 「さぁ、和。早く引導を渡してやれ。お前はこの後、ゲッターGとも戦わねばならぬのだからな」

和 「言われなくっても分かっているわ」はぁはぁ

敷島 「ワシの望みを叶えてくれるのは、やはりリョウ。お前さんになりそうだの・・・」
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 01:04:48.45 ID:hXZ0enNA0
和 「ゲッタードリル・・・」


ゲッター2の左腕のドリルが、和の声を合図に回転を始める。

大きく腕を振り上げ、ゲッターユイに狙いを定めるゲッター2・・・


和 「さよなら、ゲッターユイ・・・!」

唯 「・・・ゲッターうん・たん!」


ばしっ!


和 「え・・・?」


間一髪!

真剣白刃取りよろしく、巨大カスタネットでゲッタードリルを挟み込むゲッターユイ!


敷島 「おお・・・」

和 「唯・・・」

唯 「和ちゃん・・・」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 01:14:28.04 ID:hXZ0enNA0
和 「唯、何をしているの?その手をどけて。ゲッターユイを壊せない。唯を助けられないじゃないの」

唯 「和ちゃんは、憂の今の姿が見えてるんだよね・・・?」

和 「ええ。それが?」

唯 「その姿を見て、何も思わないの?憂だって、私と同じ。和ちゃんの幼馴染じゃない・・・!」

和 「・・・?」

唯 「本当の妹のように可愛がってくれた、憂も和ちゃんの親友でしょ!?」

和 「・・・?」

唯 「・・・」

和 「・・・え?」

唯 「のど・・・か・・・ちゃん・・・?」

和 「・・・それで、憂がどうしたって言うの?」

唯 「・・・なに・・・違う、なんか違う。和ちゃん変だよ?ぜったい変だよ!!」

敷島 「彼女はな。お前さん以外、見えていないんじゃよ」

唯 「え・・・」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 01:16:00.82 ID:hXZ0enNA0
敷島 「この娘はのぉ、かわいそうな子なんじゃ。お前さんにゲッターユイから降りて欲しい。そう言いたいのに、言い出すことができない」

敷島 「なまじ頭が良いからかの、お前さんの決心や周りの反応を如実に感じてしまって、自分の思いを押し出せなかったのじゃ」

唯 「そんな・・・」

敷島 「不憫じゃろう?だからワシが手を貸してやった。なに、簡単じゃ。自分の心に素直になるよう、簡単な催眠術を施してやったんじゃ」

唯 「じゃあ、あなたが和ちゃんを操っているの!?」

敷島 「それは違う。催眠術といって、なんでも術者の思い通りにできるわけではない。例えばそうさなぁ・・・」

敷島 「死にたくもない者に、自殺するように催眠をかけることができないようにな」

唯 「それじゃ、今の和ちゃんは・・・」

敷島 「己の願望に素直になっただけで、行動の元となっているのは、すべて和の意志じゃ。そう、彼女にとっては・・・」

敷島 「人類の未来よりも平沢憂よりも・・・お前さんのことが大切だったんじゃろうなぁ・・・」

唯 「じゃあ・・・じゃあ・・・和ちゃんがこうなってしまったのは、私のせい・・・?」

敷島 「私のせいついでに、もう一つ教えておいてやろうか」

唯 「え・・・?」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 01:18:40.87 ID:hXZ0enNA0
敷島 「最初、お前さんを拐うようハチュウ人類を嗾けたのは、このワシじゃ」

唯 「っ!」

敷島 「ワシの願望成就のため、ワシのゲッターに乗せるパイロットとするためにな。しかし、それはリョウたちの妨害もあって失敗してしもうた」

敷島 「だから和と平沢憂はお前の代替なのじゃ。お前さんなら一人で充分じゃったんだが、妹ではゲッター線の含有量が不足しておってなぁ・・・」

唯 「え・・・え・・・?」

敷島 「それでも常人からしたら数倍の含有量はあるのじゃが・・・憂にゲッター炉の制御を専心させるためには、どうしてもあと一名。パイロット役が必要じゃった」

唯 「じゃあ憂は・・・憂は私のために・・・?」

敷島 「そこで和に目をつけたのよ。分かったか?今あるのは、全てがお前の存在のせいであるのを!」
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 01:21:07.21 ID:hXZ0enNA0
唯 「そ、そんなの・・・いや・・・いやだよ」

和 「唯・・・唯が悲しんでる・・・何が悲しいの・・・?」

唯 「いやだっ!そんなの嫌だよぉ!!」

敷島 「可哀想にのぉ・・・さぁ、お前の手で早く楽にさせてやるが良い・・・」

和 「ええ・・・さ・・・その手をどけて、唯。お願い、私に唯を助けさせて・・・」

唯 「あ・・・う・・・」

敷島 (さぁどうする、ゲッターユイ!このままではお前は死んでしまうぞ?)


力が抜け、うん・たんの束縛から解放されるゲッタードリル。

再びゲッター2は腕を振り上げ、ゲッターユイを狙う。

まさしく絶体絶命。唯はこのまま、ゲッタードリルに貫かれ果ててしまうのだろうか!?
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [saga]:2011/12/08(木) 01:21:53.43 ID:hXZ0enNA0
次回へ続く!
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/12/08(木) 01:23:08.22 ID:q5gT7MWKo
乙乙!
314 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 13:34:26.01 ID:6u5IBeyAO
こ、これは乙乙じゃなくてダブルトマホークブーメランなんだからねっ!
315 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/09(金) 00:16:02.87 ID:Ja3uGXri0
神ゲッターロボの様な取り込まれ方か、ゲッター聖ドラゴンの見せた地獄のような世界の取り込まれ方か・・・
316 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:37:17.06 ID:JAnq6YYm0
再開!
317 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:39:16.21 ID:JAnq6YYm0
だが、救いの手は常に!

ヒロインの危機一髪の間際に差し伸べられる!

そう。ヒーローは、一歩遅れてやってくるものなのだ!!


竜馬 「ゲッターパーーーーンチッ!!」


ばきぃっ!!


和 「きゃぁっ!?」ずざざー
318 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:42:20.43 ID:JAnq6YYm0
竜馬 「間一髪、何とか間に合ったようだな!」

敷島 「おお、リョウ!来たか!」

竜馬 「メガネ、そのゲッターを降りろ!このままじゃ、お前の命があぶねぇ!」

和 「く・・・流竜馬・・・また、また私の邪魔をするのはお前なのね!」

竜馬 「そんな事はどうでも良い!お前は何をやってるんだ!ヘアピンを悲しませて、それがお前の本望なのか!?」

和 「何を言ってるの?私はすべて唯のために!唯を思って行動してるのよ!利用しているだけのお前たちとは違う!」

竜馬 「わからずやが!腕ずくでもコクピットから引きずり出してやる!」

敷島 「おおっと、動くなよリョウ!」
319 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:45:40.56 ID:JAnq6YYm0
竜馬 「敷島!お前はお前で、どこから通信を送ってきてやがる!」

敷島 「お前の目の前よ・・・」

竜馬 「なに・・・?ま、まさか・・・」

弁慶 「そのゲッターに、あんたも乗っているって言うのか?」

隼人 「バカな・・・あんたじゃゲッター線に耐えられるはずがねぇ!死ぬ気か?」

敷島 「応よ、死ぬ気よ!」

竜馬 「!」

敷島 「リョウよ・・・常々言って聞かせたではないか。ワシの夢は、ワシの作った武器で醜く死ぬ事であると・・・」

敷島 「ワシの作った武器で、その威力の程を味わいながら・・・汚く死にたいと、なぁ」

竜馬 「それがお前の願望・・・?まさか・・・まさかそんな事のために!?」

竜馬 「そんな事のために、恐竜帝国に亡命したって言うのか!?」
320 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:50:48.91 ID:JAnq6YYm0
敷島 「利いた風な口を利くな、小童めが!老いさらばえ、後は死に行く身であるワシの気持ちを、若造ごときが否定するつもりか!」

竜馬 「たったそれだけのために、ゲッターを・・・いや、人類の命運をハチュウ人類に売り渡したって言うのかよ・・・」

敷島 「そうよ、ワシはワシの武器で・・・ゲッターの武器で死にたかった。それもその威力の確かである事を身に感じながらな」

敷島 「その為にはワシ自身がゲッターに乗り込み、ゲッターと相対して、その攻撃を受けねばならん」

竜馬 「・・・」

弁慶 「・・・狂ってる」

隼人 「呆れて物も言えねぇぜ」
321 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:54:38.57 ID:JAnq6YYm0
敷島 「分かれとは言わん。しかし、否定はさせぬぞ。人間、極めたものの先に、己が成した成果を見届け死したいと思って何が悪い!?」

隼人 「その為に無関係の者を巻き込んでの自己満足に、何を肯定しろというんだ?」

敷島 「科学の発展と天才の行く道には、常に余人の犠牲がつきものなのじゃよ」

竜馬 「勝手な理屈を!なら望みどおり、ぶっ殺してやる!お前の乗っている場所を寸分たがわず貫いてな!」

敷島 「おおっと、だから動くなというのに。お前たちの相手をするのは後じゃ。まずは和の望みを叶えてやらねばならない」

竜馬 「なに・・・」

敷島 「それがワシの計画に力を貸してくれた者への、通すべき筋という奴よ。良いか、ゲッターユイとの決着がつくまでその場を一歩も動くな」

敷島 「さもなくばゲッター炉が暴走して、どのような惨事が巻き起こるか想像もできんからなぁ・・・」

竜馬 「敷島・・・てめぇ、どこまで腐って・・・」

和 「そうよ、邪魔しないで・・・唯・・・さぁ、今度こそ助けてあげる・・・もうちょっとの辛抱だからね・・・」はぁはぁ

唯 「憂・・・憂・・・」
322 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:59:32.96 ID:JAnq6YYm0

・・
・・


唯 「憂・・・いやだよ、憂・・・誰か憂を助けて・・・」

ユイ 「・・・」

唯 「あ、ユイ!ねぇ、ユイ!お願いだよ・・・憂を、私の大好きな憂を助けてあげてよ!」

ユイ 「唯ちゃん・・・それは無理だよ」

唯 「無理って・・・どうして!?」

ユイ 「憂ちゃんは、もう完全にゲッター炉心と結合させられている。あそこから引き剥がしたら、生きてはいけない・・・」

唯 「・・・!」

ユイ 「和ちゃんも・・・すでに致死量のゲッター線に侵されてしまってる。今ゲッターを降りたとしても、もう助ける事はできないの・・・」

唯 「う、嘘だっ!」

ユイ 「・・・」

唯 「嘘だ嘘だ、嘘だっ!!」

ユイ 「私、唯ちゃんに嘘はつけないよ」
323 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:02:50.15 ID:oLhiLiuT0
唯 「嫌だよ、嘘だといって!ね、何か方法があるんでしょ?だってユイ、私を助けてくれるって言ってたよね!?」

唯 「じゃあ、私の大好きな人たちも助けてあげてよぉ!」

ユイ 「これが試練だよ」

唯 「え・・・」

ユイ 「この事を乗り越えた先に、恐竜帝国への勝利が与えられるの。だから・・・」

唯 「もしかして・・・ユイ・・・ま、まさか・・・」

ユイ 「すべてはゲッターの意志」

唯 「・・・っ!」

ユイ 「ゲッターの意志に全てを委ねて、唯ちゃん」

唯 「ひどい・・・ひどいよ!ユイを・・・私はユイを信じていたのに!」

ユイ 「・・・和ちゃんと憂ちゃんを助ける事はできない。でも、”生かす”事はできる。そして・・・」

唯 「・・・え?」

ユイ 「その事が恐竜帝国への勝利に繋がる・・・」

唯 「・・・和ちゃんと憂を・・・生かす・・・?」

ユイ 「その方法はたった一つ・・・」

唯 「二人を・・・生かす・・・」
324 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:06:40.58 ID:oLhiLiuT0
・・
・・


和 「壊れろ、ゲッター!」


ひゅんっ


和 「!?」

敷島 「ゲッターユイが消えた!?」

和 「違う、上!?」


ゲッター2の攻撃が振り下ろされる刹那。

ゲッターユイは目にも止まらぬ速さでゲッタードリルをかわし、そのまま宙へと飛び上がっていた。


隼人 「なんと言う動きだ!」

弁慶 「人間が操縦する機械に、あんな動きができるのかよ」

竜馬 「す、すげぇ・・・」


そして・・・


唯 「ギー太トマホーク!!」


着地と同時に、トマホークを横になぎ払う!
325 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:09:56.92 ID:oLhiLiuT0
攻撃は誤らずゲッター2の腰に命中し、機体は上下に分断された!

すなわち、和と憂が搭乗する上半身部分と、敷島が乗る下半身部分とにである!


和 「きゃあっ!」


支えを失って、地に墜ちるゲッター2の上半身。

だがゲッターユイはそちらには見向きもせず、残された下半身に向かって、一瞬のためらいもなく・・・!


ざしゅっ!!


今度はトマホークを縦に振り下ろした!!


敷島 「・・・っ!?」


操縦席の敷島ごと、真っ二つに分断されるゲッター2の下半身!
326 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:13:33.18 ID:oLhiLiuT0
敷島 「」


コクピットの隔壁を粉砕しながら、眼前に現れたトマホークの切っ先。

それが今まさに、自分の全身を砕こうと迫ってくる。

これが敷島が見た、この世で最後の光景であった。


幾条もの光が連結部や亀裂、あらゆる隙間からほとばしり・・・次の瞬間。

ゲッター2の下半身は、大音響と共に爆ぜて四散した!!


竜馬 「・・・敷島」

竜馬 「これで良かったのかよ・・・こんな最後で、てめぇは本当に満足だったのかよ・・・!」


かくして。

一大の奇人にして傑物。天才科学者 敷島博士は己が望んだとおりゲッターの武器に切り裂かれ・・・

しかし、その威力を味わう寸分の間も与えられることなく、爆煙の中にその数奇な生涯を終えたのであった。
327 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:23:32.10 ID:oLhiLiuT0
竜馬 「・・・」

隼人 「・・・リョウ。ゲッター2を回収しよう。早乙女博士ならば、中の二人を助けられるかも知れない」

竜馬 「あ、ああ。そうだな・・・よし、ヘアピン・・・え?」


竜馬は己の目を疑った。

何故ならば。

先ほど敷島を屠ったギー太トマホークの切っ先は、今。

残された上半身の方へと向けられていたのだから・・・!


竜馬 「へ、ヘアピン!?なにをやってる?そいつはもう抵抗力を失っている!」

竜馬 「もう良いんだ!やめろ、ヘアピン!聞こえないのか!?」


その必死の呼びかけは届いているのか、いないのか・・・

唯は、構えたトマホークの切っ先を下ろそうとはしなかった。

竜馬の叫びはコクピットの中で、ただむなしく響くのみ・・・

そして・・・
328 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:26:53.05 ID:oLhiLiuT0
和 「動け!動けゲッターぁ!!足くらい、足が無いくらい何だっ!足なんか、ただの飾りだぁっ!!」


足を失ってなお、残された腕で地を這い、ゲッターユイににじり寄ろうとするゲッター2。

だが、唯はそんな無様なゲッター2の上に、無慈悲にもトマホークを振り下ろす・・・!


唯 「・・・ギー太トマホークっ」


ざしゅっ!ざしゅっ!


竜馬 「・・・っ!」

隼人 「・・・」

弁慶 「ひっ!!」


繰り出された二撃は正確に、ゲッター2の両腕を切り落としていた。

これをもってゲッター2は、完全に動きを封じられてしまったのだ!


竜馬 「び、ビックリさせやがって・・・動きを封じ込めただけか・・・」

隼人 「だが、その判断は的確だ。これでゲッター2が運びやすくなった。さぁ、はやく早乙女研究所へ・・・」

弁慶 「待てよ、様子がなんだか変だぜ・・・」

竜馬 「え・・・?」
329 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:32:55.87 ID:oLhiLiuT0
唯 「・・・」


トマホークを収納し、半壊したゲッター2を抱えあげるゲッターユイ。

そして・・・


唯 「和ちゃん・・・憂・・・」ぎゅっ


まるで愛しむかのように抱きしめたのだった。


唯 「ごめんねぇ、和ちゃん・・・」

唯 「ごめん、憂ぃ・・・」

唯 「ごめん、ごめんねぇ・・・」ひっくひっく

竜馬 「・・・ヘアピン?」

唯 「ごめん・・・ごめん・・・ほんと、ごめんね・・・」


贖罪の言葉をとつとつと述べながら、きつくゲッター2を抱きしめるゲッターユイ。

きつく・・・きつく・・・

唯が抱いている思いの丈よ届けと、そう言わんばかりに強く、きつく・・・


みし・・・みしっ・・・
330 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:37:51.91 ID:oLhiLiuT0
・・
・・


琴吹家の執事 斉藤が運転する自動車の中にて。

避難中の軽音部の面々。


澪 「なぁ・・・唯、大丈夫かなぁ・・・」

律 「・・・」

澪 「唯、勝てるよな?ちゃんと、私たちの所に帰って来てくれるよな!?」

律 「落ち着けよ、澪」

澪 「落ち着いてられないよ!だって唯が戦ってるんだぞ?」

律 「帰ってくるよ。ちゃんと、笑顔で。なぁ、ムギ」

紬 「そうよ。だって私たち、唯ちゃんと約束したじゃない」

澪 「え・・・」

紬 「歌の練習の続きをするって」

澪 「あ・・・」

律 「唯は約束を破るような奴じゃないだろ」

澪 「そっか・・・そうだよな・・・」

紬 「うん、そうよ」
331 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:39:21.96 ID:oLhiLiuT0
律 「唯が敵をやっつけてくれたらさ、また練習再開だ!今度は私もサボらないからな」

澪 「本当か?今までの行いから、どうも信用ができないな」

律 「本当だって!んでさ、たくさん練習して、今よりずっと上手くなって・・・」

律 「夏休みが終るころにはさ、さっきの歌、完璧にこなせるようになってような!」

紬 「あら、何か考えがあるようね、りっちゃん」

律 「ご明察!二学期が始まったら、いの一番に私たちの歌を聴かせてやりたい奴がいるんだ」

澪 「あ・・・もしかして」

紬 「和ちゃん?」

律 「あたり♪」

澪 「律・・・」
332 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:42:25.86 ID:oLhiLiuT0
律 「澪はさ、和の態度が許せなかったみたいだけど、あれも唯のことを思えばこその態度だったと思うんだ」

律 「和は、ちょっと不器用で感情の表現が下手くそなだけ。ただ、それだけなんじゃないのかな・・・」

紬 「うん、私もそう思うわ」

律 「だろ?なんせ、あの唯の親友なんだ。嫌な奴のはずがない!」

澪 「うん・・・そうかも・・・そうだよね・・・」

律 「親友同士の唯と和が、このまますれ違ったままってのも、悲しいだろ?だからさ。仲直りのきっかけ、作ってやろうぜ!」

紬 「和ちゃんを招いての、オンステージね」

澪 「良いかも」

律 「だろだろ?じゃ、決まりだな。へへ・・・そんでさ、私たちも和と友達になれたら、言うこと無しだよなー」

澪 「なれるさ。だって、唯の友達に嫌な奴はいないんだろ?」

律 「だよな!」

紬 (でも・・・)

紬 (なんだろう?なにか嫌な予感が・・・胸騒ぎがする・・・)

紬 (だいじょうぶ?だいじょうぶよね・・・唯ちゃん・・・)

律 「和と唯の喜ぶ顔、今から目に浮かぶぜ」
333 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 00:44:39.68 ID:oLhiLiuT0
次回へ続く!
334 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 02:21:56.27 ID:HZXi20y4o
乙でした。
なんと次回が気になる展開…
憂ちゃん、和ちゃん…
335 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:02:24.57 ID:hHeRzb5o0
再開!
336 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:03:30.50 ID:hHeRzb5o0
・・
・・


みし・・・みしみしっ・・・


隼人 「いかん、このままではゲッター2が押し潰されてしまう!」

竜馬 「ヘアピン、何やってんだ!友達と妹を殺す気か!?」

唯 「だって・・・和ちゃんも憂もこのままじゃ、どうせ助からないんだって・・・だから・・・」

竜馬 「お前まさか・・・だったら、一思いに楽にとでも言うつもりなのか!?」

唯 「違うよ。だけど、和ちゃんと憂を生かすためには、こうするより他に方法が無いんだって・・・」

竜馬 「生かす・・・?」

唯 「そう・・・ユイが・・・言ってた・・・」

竜馬 「唯・・・が・・・?」
337 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:04:40.13 ID:hHeRzb5o0
やがて。

過度な強さで抱きしめられ続けたゲッター2の装甲が、不快な音をともなって歪みはじめるのに、それほどの時間は要しなかった。


めきょっ・・・


和 「あ・・・きゃぁ!?こ、コクピットが・・・あぐっ!?つ、潰され・・・」

憂 「」

和 「唯を!唯を助けなきゃいけないのに、いやぁ!こんなところで!こんなのいやぁ!」


めきめきめき・・・っ


竜馬 「や、やめろぉっ!!」


だが・・・

ここで異変が起こった。
338 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:11:42.64 ID:hHeRzb5o0
ゲッターユイの胸の中できしみ続けていたゲッター2が、ひしゃげ潰れる代わりに、ゲッターユイの中へと沈み始めたのだ。

書き間違えではない。

そう、文字通りに・・・まるで水中に没するかのように、沈み始めたのだ!!


隼人 「バカな・・・」

弁慶 「俺は・・・幻でも見ているのか・・・?」

竜馬 「・・・」


己が目を疑るゲッターチーム。

しかし、彼らの眼前に突きつけられている出来事は、紛れもなく現実のそれであった。

そう。その光景はまるで、獲物が底なし沼にかかり、徐々に沈み行くかのように・・・

ゲッター2はゲッターユイの内に呑まれ、その姿を消し去ろうとしていたのだ・・・!
339 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:17:22.40 ID:hHeRzb5o0
和 「なにこれ・・・なにこれぇっ!?」


ずぶずぶ・・・


弁慶 「あ・・・あ・・・っ!」

隼人 「ば・・・ばかな・・・ゲッター2がゲッターユイに吸い込まれ・・・いや、融合している!」

竜馬 「どういうことだよ、なにが起こってるんだよ・・・」

隼人 「ゲッターユイが・・・ゲッター2を喰らっている・・・」

弁慶 「ゲッターを喰らう!?」

竜馬 「なんなんだ・・・なんなんだよ、これぁ・・・なにがどうなってるんだよ・・・」

竜馬 「なんなんだっ!答えろ、ヘアピンっ!」


ずぶっ・・・ずぶっ・・・
340 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:22:01.48 ID:hHeRzb5o0
和 「飲み込まれる・・・ああ・・・ゲッターの中へ墜ちてゆく・・・」

唯 「和ちゃん・・・」

和 「ああ・・・ゆ、い・・・」

憂 「」

和 「ゆ、い・・・だいす・・・き・・・」

唯 「うん、私も大好きだよ。だから、ね・・・」

和 「ゆ・・・い・・・」

憂 「」

唯 「三人一緒になろう。ずっと、一緒にいようね・・・」

和 「」

憂 「」


唯 「ごめんね・・・和ちゃん・・・ごめんね・・・憂・・・」
341 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:25:22.63 ID:hHeRzb5o0
やがて・・・

程なくゲッター2は完全にゲッターユイという沼に沈み込み・・・

その存在はこの世から、一片の痕跡すら残さずに抹消されてしまった。


唯 「う・・・う・・・えっぐ・・・ひぐっ・・・」

唯 「私・・・私が戦えば、みんなを守れるって思ってたのに・・・後悔するような事、起こらないって思ってたのに・・・」

唯 「守れなかったよぉ・・・私がゲッターに乗ったから・・・乗ったせいで、和ちゃんも憂も・・・」

唯 「私のせいだ・・・私の・・・」

唯 「うあ・・・わああぁあああ・・・」


あとに残されたのは、ただ嗚咽を繰り返すのみの唯と。

為すすべもなく、一連の成り行きを見守る事しかできなかった竜馬たち。
342 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:28:06.82 ID:hHeRzb5o0
竜馬 「隼人・・・」

隼人 「・・・」

竜馬 「ゲッターて、何なんだよ・・・」

隼人 「リョウ・・・」

竜馬 「なぁ、教えてくれ・・・ゲッターってのは・・・」


竜馬 「ゲッターってのは、いったい何なんだぁああっっ!!」


竜馬の雄たけびがむなしく響く。

だが、その問いに答えられるものなど、いよう筈もなかった。
343 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:35:16.80 ID:hHeRzb5o0
・・
・・


次回予告!


ついに敵本土の在り処を突き止める事に成功した早乙女博士。

今ここに、人類の逆襲戦が開始される!

悲しき戦いに終止符を打つために出撃した、ゲッターチームの前に立ちはだかるのは最強にして最大の敵・・・

果たして唯は、そして竜馬たちは強敵に打ち勝ち、人類の明日を手にすることができるのだろうか!?


次回 唯「ゲッターロボ!」第三話にご期待ください!
344 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 23:36:36.13 ID:hHeRzb5o0
第二話終了です。お付き合いいただき、ありがとうございました。

第三話でもお付き合い頂ければ、大変嬉しく思います。

それではまた後日に。
345 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 01:23:15.84 ID:0gji47CYo
辛すぎる…
346 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 01:24:39.69 ID:0gji47CYo
あ、乙でした。面白いです。
憂ちゃん好きすぎて冷静さを欠いてしまった。
347 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/12(月) 20:30:42.33 ID:NHNdRIye0
これである意味ゲッターユイにも三人のパイロットが揃った様なものか・・・
348 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:29:38.69 ID:4Mq6VhXI0
再開します。
349 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:30:41.61 ID:4Mq6VhXI0
唯「ゲッターロボ!」第三話
350 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:35:12.04 ID:4Mq6VhXI0
人類の生活の場、地上より遥か地の底。

恐竜帝国の本拠地 マシーンランドの宮殿内。

帝王ゴールの執務室において今、ゴールは腹心のバット将軍より、先の作戦が失敗に終ったとの報告を受けていた。


ゴール 「そうか・・・不首尾に終ったのか・・・」

バット 「はい、申し訳ございません・・・」

ゴール 「ゲッターという虎にもう一頭の虎をけしかける、二虎共食の計・・・終ぞ成らず・・・か」

バット 「は・・・」

ゴール 「ゲッターロボにゲッターロボを差し向ける作戦、魅力的な策ではあったが・・・しかし」
351 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:37:01.25 ID:4Mq6VhXI0
ゴール 「失敗した以上、マシーンランドの所在は人類に知られてしまったであろうな」

バット 「は・・・おそらくゲッターの反応を元に割り出されているものかと・・・」

ゴール 「ならば・・・最後の策に賭けねばなるまい・・か・・・」

バット 「・・・遺憾ながら」

ゴール 「例の機体、もう完成していような」

バット 「はい。敷島めが持ち込んだ旧ゲッターのデータを解析し、建造を急がせておりましたので。いつでも出撃できます」

ゴール 「そうか」

バット 「しかし・・・その乗り手ですが・・・」

ゴール 「余が乗ろう」

バット 「・・・!いけません!それは、それだけは・・・」

ゴール 「いや、余にしか乗りこなせまい。余が乗る事により、あれは最大の力を発する事ができる」

バット 「しかし、あれに乗り込むということは、すなわち乗員の身体を・・・」

ゴール 「バットよ・・・」

バット 「は・・・」
352 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:38:19.68 ID:4Mq6VhXI0
ゴール 「余の出撃と同時にマシーンランドがいつでも発進できるよう、準備を整えておくように」

バット 「はい・・・」

ゴール 「余が勝利した暁には地上に上がり、人類の残存戦力を駆逐し、地上を制圧せよ」

バット 「はい、陛下・・・」

ゴール 「しかし、万が一にも余が敗れし後は・・・」

バット 「・・・」

ゴール 「地底に逃れ休眠を迎えよ。雌伏し、再び地上に上がる日に備え力を蓄えるのだ」

バット 「陛下・・・陛下・・・っ」

ゴール 「娘、ジャテーゴの養育の件、全て卿に任せる。見事、次代の帝王に相応しく育て上げてくれ」

バット 「・・・はっ、このバット、身命を賭しまして」

ゴール 「このゴール、心より礼を言うぞ。これで、心置きなく出撃できる」

バット 「うう・・・も、もったいないお言葉・・・」

ゴール 「・・・戦いの渦中、非業に斃れし臣民たちの英霊よ。どうか余を導いておくれ・・・」


ゴール 「そして人類よ、ゲッターロボよ!恐竜帝国の帝王が力、恐怖の烙印と共に、その身に刻み込んでくれようぞ!」
353 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:39:35.80 ID:4Mq6VhXI0
・・
・・


敷島の襲来より三日がたった。


傷心の唯は今、琴吹重工の宿舎内にあてがわれた部屋で一人、悲しみと自責の念に囚われていた。

己が戦いを選んだから。和の友であり憂の姉であったから。

大切な二人を戦いに巻き込み、あまつさえ死なせてしまった・・・!

重すぎる現実。

たかだか16歳の少女に過ぎない唯にとって、突きつけられたその現実は、あまりに酷な物であった。

そう、周囲の心配をよそに、部屋に引きこもってしまうほどに・・・!!


今、唯は夢の中にあった。

泣き疲れ、心も体もクタクタになっていた唯は、一時の眠りに癒しを求めたのだ・・・

そして・・・


唯 「いつもの夢の中・・・」

唯 「ユイ・・・ユイ・・・どこにいるの?」
354 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:41:08.89 ID:4Mq6VhXI0
唯 「・・・」

唯 「ううん・・・やっぱり出てこないで。今は私、ユイとお話したくない・・・」

ユイ 「唯ちゃん」

唯 「・・・」

ユイ 「あのね・・・聞いてほしい事があるの。和ちゃんや憂ちゃんの事・・・そして、これからの戦いの事・・・」

唯 「安心してよ」

ユイ 「え・・・」

唯 「私、キチンと戦うよ。だから、今はそっとしておいて」

ユイ 「・・・」

唯 「だって、ユイには分かってるんでしょ?私が戦い続ける事も、何もかも・・・」

ユイ 「唯ちゃん・・・」

唯 「私がゲッターに乗ることも、それが原因で和ちゃんと憂が死んじゃう事も。そして・・・」

唯 「私には意味が分からないけど、その事が恐竜帝国への勝利に繋がる事。こうなる事、すべて、お見通しだったんでしょ?」

ユイ 「・・・」

唯 「ぜんぶ仕組まれたとおりに動かされていたんだよね、私。だから、今さら悲しいからってゲッターユイから降りられない事くらい、ちゃんと分かってる・・・」

ユイ 「・・・」
355 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:42:27.81 ID:4Mq6VhXI0
唯 「な、なんでそんな悲しい顔をするの?私がこう言う事も、どうせ分かっていたんでしょ!?」


? 「だめよ、唯。そんな言い方をしては」


唯 「え・・・」

和 「唯」

憂 「お姉ちゃん」

唯 「和ちゃん!それに憂も・・・!ど、どうしてここに?死んじゃったんじゃなかったの!?」

和 「あいかわらずのあわてんぼうさんね、唯。ユイはきちんと説明してくれたはずでしょ」

憂 「私たちを”生かす”ことはできるって。だからお姉ちゃん、私たちをゲッターユイに取り込んだんじゃないの?」

唯 「そ、それはそうだけど・・・」
356 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:48:34.38 ID:4Mq6VhXI0
和 「私たちは生きている。ただ、少しだけ。存在のありようが変わってしまっただけ」

憂 「お姉ちゃんが言ったんだよ、”三人一緒になろう。ずっと、一緒にいよう”って」

和 「だから、そのとおりになった」

憂 「何も変わらないよ、お姉ちゃん。今までもこれからも、私たちはずっといっしょ」

唯 「うう・・・和ちゃん・・・憂ー・・・」

和 「ごめんなさいね、唯。私は愚かだったわ・・・そのために、あなたをとても苦しめる結果になってしまった」

唯 「そんなの・・・和ちゃんは私のために、私の事を思ってくれて・・・」

和 「うん・・・でもね、今。ゲッターと一つになることができて、私はいろいろな事が分かるようになったの」

憂 「なぜ私たちが、ゲッターに取り込まれたのかも。全てが理解できる」

唯 「え・・・」
357 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:52:59.69 ID:4Mq6VhXI0
和 「唯、最後の戦いが始まるわ」

憂 「敵はとても強大だよ。お姉ちゃん一人のゲッターユイじゃ、とても歯が立たない」

和 「本来ゲッターは三人乗り。だけど、唯ほどの力を持ったパイロットなんて、そうそう見つかるはずもないわ」

憂 「だからね、私たちがゲッターと一つになったの。旧ゲッターロボのゲッター炉心と共に」

和 「そうする事によって、後天的にゲッターに相応しいパイロットを造り上げたってわけ」

唯 「そんな、それじゃ・・・それがユイの言ってた、敵への勝利に繋がるって事なの・・・?」

和 「悲しまないで、唯」

唯 「そんなこと言ったってぇ・・・」
358 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 21:56:46.03 ID:4Mq6VhXI0
憂 「私たちは死んだんじゃない。元の形に戻るだけ。生物以前のものに・・・」

和 「唯、何も心配はいらないわ。全ては元の空間に戻っただけなのだから」

憂 「そう、全ては一つに・・・」


すっ


唯 「・・・あ、和ちゃん?憂・・・?」

ユイ 「・・・」

唯 「ユイ・・・」

ユイ 「私はあなたを導く。それがゲッターの意志だから。だけど・・・」

ユイ 「私が導き出した答えを掴むかどうかは、全てが唯ちゃん次第。だってね・・・」


ユイ 「唯ちゃんの想いもまた、ゲッターの意志なのだから・・・」
359 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:00:53.09 ID:4Mq6VhXI0
・・
・・


琴吹重工宿舎内休憩所


隼人 「お嬢。平沢唯はあいかわらずか?」

紬 「ええ・・・お部屋にこもったきり。食事にもほとんど手をつけてくれなくって・・・」

隼人 「無理もないな・・・自ら友達を手にかけてしまったんだ。今はそっとしておくより他はあるまい」

紬 「・・・辛いわ。本当に私にしてあげられることはないのかしら」

紬 「私にしてあげられたのは、憂ちゃんの温もりが残る家に帰りたくないって言う唯ちゃんのために、お部屋を用意した事くらい・・・」

隼人 「そのこと・・・妹や真鍋和の件は、彼女の友達に説明したのか?」

紬 「言えるはずないじゃない・・・」

隼人 「・・・そうか。では、急に平沢唯と会うことができなくなって、さぞ心配している事だろうな」

紬 「合宿が中止になったって伝えた時に、作戦上しばらく忙しくなるから・・・と誤魔化してはおいたんだけれど・・・」

隼人 「いつまでも誤魔化せるものでもない。そう遠からず、全て知られてしまうだろうよ」

紬 「ですよね・・・」

隼人 「・・・」
360 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:06:04.00 ID:4Mq6VhXI0
竜馬 「甘ぇんだよ・・・」ぼそっ

紬 「え・・・」

竜馬 「俺たちは戦争をやってるんだぜ。誰かが死ぬのは当たり前だ。それが今回は、たまたまヘアピンの関係者だったってだけの話だろう」

紬 「なっ・・・」

隼人 「おい、リョウ・・・」

竜馬 「次は誰が死ぬか分からない。俺か?隼人か?もしかしたらマユゲかも知れねぇ」

竜馬 「戦いが続く限り、誰かが傷つき死んでいくんだ。そのたびに感傷にふけっていたら、体がいくつあったって足りやしない」

紬 「あなた・・・良くそんなこと言えるわね。唯ちゃんはつい最近まで戦いとは無縁の生活を送っていたのよ」

紬 「そんな彼女がみんなのためにゲッターに乗ってくれた。だけど、それが友達を失う原因になってしまって・・・」

紬 「その事がどれだけ唯ちゃんを苦しめているのか、あなたには考えられないの!?」

竜馬 「考えたくもねぇな」

紬 「ひ、人でなしっ!」

竜馬 「・・・」
361 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:08:28.30 ID:4Mq6VhXI0
隼人  「リョウ、やめろ。お嬢も少し落ち着いてくれ」

竜馬 「・・・不安があるなら戦いからは身を引く事だ。よけいな感傷で足を引っ張られるのはゴメンだぜ」


すたすた


紬 「・・・なんて人なの。言葉使いは乱暴だけど、悪い人じゃないって思ってたのに・・・」

隼人 「お嬢・・・」

紬 「唯ちゃん、流さんのことを信頼してたのに・・・あれじゃあんまりだわ・・・」

隼人 「お嬢、リョウを悪く思わないでやってくれ。あいつはおそらく、誰よりも平沢唯の気持ちを理解しているはずさ」

紬 「何を言ってるの・・・?」

隼人 「平沢唯が親友と妹を手にかけた様に、リョウは戦友の武蔵を殺している」

紬 「・・・あ」

隼人 「直に殺したわけではないが、武蔵の死の原因を作ったのは間違いなくリョウだ」

隼人 「今の平沢唯は、まさしくあの時のリョウそのものなのさ。少なくとも、リョウにはそう見えている」
362 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:09:42.56 ID:4Mq6VhXI0
紬 「だったら・・・だったら、何もあんな言い方することないじゃないですか」

隼人 「不器用なのさ」

紬 「どういうこと・・・?」

隼人 「あいつは後の事は全部引き受けるつもりで、戦えないならゲッターから降りても良いと・・・」

紬 「え・・・」

隼人 「そう、平沢唯に言ってやりたいんじゃないかな」

紬 「流さん・・・」

隼人 「言葉を選ぶことができない奴だからな、あの朴念仁は」


弁慶 「おお、隼人に紬ちゃん。ここにいたか」どてどてどて


隼人 「どうした、弁慶。そんなに慌てて」

弁慶 「通信室に早乙女研究所から連絡が入ったんだ。二人とも一緒に来てくれ」

紬 「なにかあったんですか?」

弁慶 「・・・恐竜帝国の本拠地が判明したらしい・・・」

隼人・紬 「!!」
363 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:16:24.46 ID:4Mq6VhXI0
・・
・・


唯の部屋。


こんこん


唯 「・・・ん?」


こんこんこん


唯 「あ・・・私、いつの間にか眠っちゃってたみたい・・・」

唯 「・・・」

唯 「私自身がゲッターの意志・・・?」

唯 「和ちゃん・・・憂・・・私・・・」


こんこんこん


竜馬 「ヘアピン、起きてるか?」

唯 「・・・あ」

竜馬 「いるんだろ?その・・・開けてくれないか?」

唯 「リョウさん・・・?」
364 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:23:26.41 ID:4Mq6VhXI0
竜馬 「ああ・・・」

唯 「ごめんね、ウトウトしてたの。ちょっと待ってね」


がちゃ


唯 「・・・」

竜馬 「・・・よぉ」

唯 「どうぞ・・・」

竜馬 「ああ、邪魔するぜ」

唯 「適当にかけて?今、お茶煎れるね」

竜馬 「あ、ああ・・・」


こぽこぽ・・・


竜馬 (なんて顔だ。三日三晩泣きあかしたってのがバレバレだぜ。目まで真っ赤にして・・・)

唯 「どうぞ」

竜馬 「悪いな」
365 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:26:16.75 ID:4Mq6VhXI0
唯 「・・・で?」

竜馬 「・・・ん?」

唯 「なにか用事があってきたんじゃないの?」

竜馬 「・・・まぁな」

唯 「ん・・・聞くよ?」

竜馬 「俺は口下手だ」

唯 「うん」

竜馬 「あれこれ相手の事を考えて、言葉を選べるようには、あいにくと頭の方ができていねぇ」

唯 「知ってる」

竜馬 「それ、踏まえて聞いてくれ」

唯 「うん」

竜馬 「これからも戦えるか?」

唯 「・・・」

竜馬 「もしこれからの戦いに戸惑いがあるんだったら、足手まといだ。ゲッターを降りろ」
366 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:28:49.65 ID:4Mq6VhXI0
唯 「・・・」

竜馬 「・・・」

唯 「ぷっ・・・あははっ」

竜馬 「なっ、何がおかしい!」

唯 「だってー・・・リョウさん言ったじゃん。一度ゲッターに乗ったら、もう後戻りはできないって」

竜馬 「それは・・・確かに言ったが」

唯 「だったら私、戦うしかないんじゃん?」

竜馬 「そうだ・・・一度ゲッターに関わり魅せられた者は、もう二度とゲッターから逃れる事はできねぇ」

竜馬 「・・・俺がそうだったように」

唯 「リョウさんが・・・?」

竜馬 「・・・武蔵のことは知ってるよな」

唯 「うん。ゲッター3のパイロットで、恐竜帝国との戦いで亡くなったんだよね」

竜馬 「あいつを殺したのは、この俺だ」

唯 「え・・・」

竜馬 「・・・」

唯 「じょ、冗談だよね?」
367 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:29:31.80 ID:4Mq6VhXI0
竜馬 「・・・あの時の俺は、記憶喪失にかかっていてな」

唯 「記憶喪失・・・リョウさんが・・・?」

竜馬 「敵との戦いで頭を打って、一時的にな。武蔵はそんな戦えない俺の代わりに、たった一人で出撃したんだ」

唯 「・・・」

竜馬 「奴は俺や研究所の皆を救うため、自爆して果てた。俺がしっかりしていれば、防げた死だったんだ」

唯 「リョウさん・・・」

竜馬 「記憶を取り戻した俺は、ゲッターを降りる決心をした。仲間を死なせた俺に、ゲッターに乗る資格なんざ無い。そう思ったから・・・」

竜馬 「だが・・・ダメなんだ。俺はゲッターから離れる事ができなかった」

唯 「どうして?」

竜馬 「俺は戦う事しかできない人間だ。他に生き様を見出す事もできない。すでに俺にとっては、ゲッターこそが全てになっていたんだ」

唯 「・・・」

竜馬 「だがな・・・お前は違うだろう?」

唯 「え・・・」

竜馬 「お前には大切な友達も居場所もあるし、ゲッターに拘らずともいくらでも他に進むべき道がある」

唯 「軽音部・・・学校のみんな・・・」

竜馬 「一度ゲッターと関わった者が、そう簡単にゲッターを降りられるはずも無い。だがな、お前が戦いをこれ以上望まないのなら・・・」


竜馬 「お前の抜けた穴くらい、俺が幾らでも埋め合わせてやる」


唯 「・・・あの時の武蔵さんみたいに?」

竜馬 「・・・」
368 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:30:33.79 ID:4Mq6VhXI0
唯 「そして、リョウさんも死んじゃうの?」

竜馬 「それは・・・」

唯 「ありがとう、リョウさん。リョウさんって、やっぱり優しいね」

竜馬 「ば、違う・・・俺はただ、覚悟のできてない奴に足を引っ張られたくないだけだ・・・!」

唯 「嘘ばっかり」

竜馬 「・・・ぐっ」

唯 「戦えるよ」

竜馬 「え・・・」

唯 「戦える。今、私が戦う事を止めちゃったら、和ちゃんや憂がああなっちゃった事、全てがムダになっちゃうんだもん」


唯 (そう、私は逃げちゃダメなんだ。負けられない、最初に戦うって決めた時、そう誓ったんだもん)

唯 (ね、そうだよね和ちゃん。それで良いんだよね、憂)

唯 (・・・ユイ)


竜馬 「ヘアピン・・・」
369 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:32:02.18 ID:4Mq6VhXI0
唯 「次の戦いが、最後の戦いになるんだって」

竜馬 「なに・・・!?」

唯 「全てはそのために必要な事だったって、ユイが言ってたの」

竜馬 「唯・・・お前・・・が?」

唯 「ああ、ユイってのはね。んー・・・?ゲッターの意志って・・・リョウさん知ってる?」

竜馬 「ゲッターの意志・・・マユゲが言ってた、ゲッター線にも意志があるという、あれか」

唯 「うん。その意志が私に話しかけてくる時にね、私と同じ姿で現れるの。だから、私は彼女のことをユイって呼んでるんだ」

竜馬 「そんなことが・・・信じられないが・・・そいつが次の戦いが最後だと、お前に言ったのか?」

唯 「うん。だからね、がんばって勝ってね。そんで、戦いを終らせなくちゃダメなんだ。私と一つになった、和ちゃんや憂もそれを望んでるから」

竜馬 「・・・?」

唯 「えへ」

竜馬 「・・・驚いたぜ」

唯 「へ?」

竜馬 「お前・・・ずいぶんと強くなったな」

唯 「そ、そうかな?えへへ、女の子ってね、いざとなったら男の子なんかより、ずっと強いんだよ」

竜馬 「そうかもな」

唯 「うん・・・」

竜馬 「・・・」

唯 「・・・」


隼人 「あー、お二人さん。ちょっとお邪魔していいかな」こんこん、がちゃっ


唯 「ひゃっ」

竜馬 「な、なんだ隼人!急に出て来て驚かせるんじゃねぇ!」
370 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:32:51.09 ID:4Mq6VhXI0
隼人 「急も何も、ノックをしただろうが。まぁ、そんな事よりもだ」

竜馬 「なにかあったのか?」

隼人 「敵の本拠地が判明した」

竜馬・唯 「!」

隼人 「今度はこっちから攻めて行くぞ。というわけで、これから作戦会議だ。ブリーフィングルームに集合だぜ」

竜馬 「最後の戦いって、このことか・・・ヘアピン・・・」

唯 「・・・うん」

隼人 「・・・?」

唯 「あ。私、寝起きだったから顔洗って行くね。二人とも、先に行っててもらえるかなぁ」

竜馬 「あ、ああ。わかった」

隼人 「それじゃ、後でな」


ばたん


唯 「・・・」

唯 「うん、ちょっと元気出てきた」

唯 「いつまでも引きこもってるわけにはいかないしね・・・さ、顔あらっちゃおう」


竜馬の不器用な優しさ。

それに不思議な安らぎを感じながら、唯は顔を洗うために重くなっていた腰を上げたのだった。

371 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 22:33:40.16 ID:4Mq6VhXI0
次回へ続く!
372 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 04:25:39.58 ID:VB18sdq0o
きたあああああああああああああ
373 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 22:55:08.34 ID:gR32P0p90
みなさん、あけましておめでとうございます。

それでは再開します。
374 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 22:55:58.76 ID:gR32P0p90
・・
・・


廊下。


隼人 「彼女、思ってたより元気そうだったな」

竜馬 「あいつは強いよ。俺たちが思っていたより、ずっとな」

隼人 「それと、お前に力づけられたからかな?」

竜馬 「はぁ・・・?」

隼人 「くっく・・・ずいぶんと平沢唯にご執心のようじゃないか、硬派の竜馬さん?」

竜馬 「な、何を訳の分からない事を言ってやがる・・・俺はただ、戦えないならゲッターから降りろと、そう言いに行っただけだ」

隼人 「優しいな。放っておけなかったんだろう?」

竜馬 「そりゃ、否定はしねぇよ」

隼人 「惚れたか?」

竜馬 「・・・!?」
375 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 22:57:21.60 ID:gR32P0p90
隼人 「放っておけないというのは、つまりはそういうことだろう?」

竜馬 「違う!俺は、あいつが危なっかしくって、目が離せなくなったというか・・・その、つまりだな!」

隼人 「そういうの、世間一般では惚れたって言うんじゃないのかね」

竜馬 「なっ・・・」

隼人 「俺は嬉しいぜ。お前さんは女の事となるとからっきしだったから、もしや変な趣味でもあるんじゃないかと気が気じゃなかったんだ」

竜馬 「隼人・・・お前、楽しんでるだろう」

隼人 「ふ・・・」

竜馬 「てめぇ、覚えてろよ。敵の親玉の後は、てめぇをのしてやるからな」

隼人 「受けて立つぜ。思えば、”隼人の校舎”での決着も、まだ着いてなかったからな」

竜馬 「その分も上乗せして、地べた舐めさせてやる」

隼人 「楽しみにしてるぜ。俺との決着もお前の色恋沙汰も、すべては戦いに勝ってからだ。気合入れていくぜ」

竜馬 「色恋って・・・だからっ、そんなんじゃねぇって!」
376 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 22:59:31.17 ID:gR32P0p90
・・
・・


ブリーフィングルーム。


本来は琴吹重工の重要案件を議題する時に使われる、特別会議室である。

今は施設自体がゲッターチームの基地となっているために、一時的にブリーフィングルームとして使用されていた。


唯 「は、入りまーす」がちゃっ


そこの扉をおずおずと開け、顔を覗かせたのは平沢唯である。


唯 「こ、こんちわぁー・・・」こそっ

紬 「唯ちゃん!」

唯 「あ・・・あはは・・・ムギちゃん、お久しぶり」

紬 「・・・うん、お久しぶり。体調はどう?具合悪いところとかは無い?」

唯 「うん・・・」

紬 「そっか」

唯 「あのね、ムギちゃん。その・・・心配かけさせちゃって、ごめんね」

紬 「ううん。一番つらいの、唯ちゃんだもの。だから良いの。私の心配なんて、どって事ない」

唯 「うん、ありがとね」

紬 「唯ちゃん、酷なこと聞くけれど・・・だいじょうぶ?戦える?」

唯 「うん、あのね。その事なんだけど・・・」


隼人 「そろそろ良いか?説明を始めたいのだが」


唯 「あ、ごめんなさい!ムギちゃん、この話は後で私の部屋ででも、ね」

紬 「う、うん」
377 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 23:04:37.37 ID:gR32P0p90
唯 「それじゃ席は・・・えーっと・・・じゃあ私、リョウさんの隣っ」ちょこん

竜馬 「!」

唯 「えへへ」

竜馬 「・・・おう」

唯 「・・・ん?」

竜馬 「な、なんだよ」

唯 「リョウさん、ほんのり顔が赤い」

竜馬 「・・・!」

唯 「風邪でも引いちゃった?」

竜馬 「き、気にするな・・・それよりも今は、作戦会議に集中だ」

唯 「うん・・・?」

竜馬 (ち・・・どうも調子がでねぇ。隼人のやろうがくだらねぇこと言うから・・・!)
 
隼人 「では、はじめようか・・・早乙女博士から送られてきた情報を元に俺から説明を・・・て、なに睨んでんだ、竜馬」

竜馬 「何でもねぇよ」

隼人 「そうか・・・?」
378 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 23:06:11.20 ID:gR32P0p90
竜馬 「とっとと本題行くぜ。敵の本拠地を突き止めたってな。だが、その根拠は確かなものなのか?一体どうやって見つけたんだ?」

隼人 「まぁ、言うなれば敷島の置き土産といったところか」

竜馬 「?」

隼人 「事のきっかけは前回の戦いによる。恐竜帝国に亡命した敷島が、敵の本土よりゲッターロボを発信させた事・・・」

弁慶 「それが・・・?」

隼人 「わからねぇか?つまりだな」

唯 「ゲッター反応だね」

竜馬 「え・・・」

隼人 「・・・平沢唯」

唯 「ゲッターエネルギーの塊であるゲッターロボを発進させれば、当然その場所には反応の痕跡を残す」

唯 「その痕跡を元に、敵本拠地を割り出したんだね。ゲッター線の研究には人類の方に一日の長があるもの」

紬 (和ちゃん・・・?)

竜馬 「ヘアピン、お前・・・」
379 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 23:07:50.88 ID:gR32P0p90
隼人 「そ、その通りだ。敵の本土は自由に移動ができる人工要塞のようだが、一度痕跡を発見したからには、どう移動しようが見失いはしない」

唯 「でも・・・」

隼人 「なにか気になることでも?」

唯 「敵だって、ゲッターを手駒に使った以上、こちら側に居場所を知られる事は覚悟していたに違いないよね。だったら・・・」

隼人 「驚いたな、ご明察だ」

紬 「・・・」

唯 「やっぱり・・・」

弁慶 「なに、なに・・・?どういうこと・・・?」

隼人 「敵の本拠地にさらにもう一点、強大なゲッター反応が観測されたんだよ」

唯 「つまり、敵はもう一体べつのゲッターを持っていて・・・」

隼人 「俺たちが来るのを万全の体制で待ち受けている」

弁慶 「そうか・・・つまり次の戦いは攻める俺たちも、攻め込まれるハチュウ人類側も・・・」

唯 「どちらが勝っても、それが最後の戦いになる・・・という事だね」
380 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 23:09:33.36 ID:gR32P0p90
紬 「待って・・・敵にゲッターロボがいるという事は、まだ他にもハチュウ人類側に寝返った人間がいるっていうことなの?」

隼人 「そいつはなんとも言えねぇが・・・」

唯 「仮にいたとしても」

紬 「唯ちゃん?」

唯 「今度こそは、その人を助けて見せる。もうこれ以上、この戦いで悲しい想いをする人を増やしたくない」

竜馬 「ヘアピン・・・」

紬 「うん・・・」

隼人 「そうだな」

弁慶 「で、敵の本拠地の場所は?」

隼人 「いまスクリーンに出す。ここが早乙女博士から送られてきた、敵の本拠地の所在だ」


ぴっ


竜馬 「・・・地底の大空洞、か」
381 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 23:10:42.48 ID:gR32P0p90
隼人 「先述したように、奴らのアジトは自由に移動できる。しかし、この大空洞を拠点として活動している事は間違いないそうだ」

竜馬 「よし、そこに行き、敵のゲッターをぶっ壊し、奴らのねぐらをフッ飛ばしちまえば、この戦いは終るんだな」

隼人 「そういうことだ。敵が次の手に出ないうちに、決着をつけるのが好ましい。作戦決行は急だが明朝の開始とする」

弁慶 「異議は無いぜ。なぁ、唯ちゃん」

唯 「うん」

隼人 「では解散だ。今夜はゆっくり休み、明日に備えて鋭気を養っておいてくれ」
382 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:13:22.25 ID:gR32P0p90
・・
・・


唯の部屋!

会議後、紬は唯と話しをするために、彼女の部屋を訪れた。

紅茶の乗ったテーブルを挟み、差し向かって腰を下ろした二人。

不安げにも最初に口を開いたのは、紬の方だった。


紬 「さっきの唯ちゃん、ビックリしちゃったわ」

唯 「えー、なにが??」

紬 「敵の本拠地を発見できた理由。あんなに的確に言い当てるなんて・・・まるで唯ちゃんじゃないみたいだった」

唯 「うん?」

紬 「気を悪くしないでね・・・私にはね、まるで和ちゃんが話しているように聞こえたの」
383 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:14:26.73 ID:gR32P0p90
唯 「・・・」

紬 「ご、ごめん」

唯 「ううん、ムギちゃん当たり」

紬 「・・・」

唯 「今の私の中にはね、ゲッターユイを通して流れ込んできた、和ちゃんと憂が宿っているの」

紬 「宿っている・・・?」

唯 「うん。今ここにいるのは私の体一つだけれど、その中には三人の意志が宿っている・・・」

唯 「ううん、ユイも含めて四人かな」

紬 「四人の意識が唯ちゃんの体を借りて、思考したり話したりしているって言うの?」

唯 「そういうのともちょっと違う。私も全部が分かったわけじゃないんだけれどね。全ての物は元々が一つなんだって」

唯 「だからね、私と和ちゃんと憂は、元の一つに戻っただけなの。生物以前のありように・・・」

紬 「唯ちゃん・・・」
384 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:15:27.29 ID:gR32P0p90
唯 「それでも私は体を持った普通の女の子だから・・・やっぱり実体としての和ちゃんと憂が消えてしまった事が、すごく悲しい」

唯 「だけど・・・だからってそこで立ち止まってちゃダメなんだよね。ね、ムギちゃん。さっき私に、戦えるかって聞いたでしょ?」

紬 「うん」

唯 「戦えるじゃなくって、戦わなくっちゃいけないんだ。その戦いに備えて、和ちゃんと憂は私と一緒になったんだから」

紬 「え、それってどういうこと・・・?」

唯 「もう一つ」

紬 「え・・・」

唯 「敷島博士が人間を裏切って、和ちゃんと憂をゲッターロボのパイロットにした事によって、恐竜帝国の場所がわかった」

紬 「そ、そうね」

唯 「そうなるように、最初っから決まっていたんだよ」

紬 「・・・!?」

唯 「和ちゃんたちの事も敷島博士の裏切りも、それによって暴かれた敵の本拠地も。偶然のめぐり合わせなんかじゃない」

唯 「ゲッターの意志に仕組まれていたの」

紬 「っ!」
385 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:16:56.82 ID:gR32P0p90
唯 「ね・・・?だから私は戦わなくちゃならないんだ」

紬 「唯ちゃん・・・私・・・こんな事になるなんて・・・」

唯 「良いの。ムギちゃんは人類を、私たちみんなを助けたい。その一心で行動していたんだものね。私、ちゃんと分かってるよ」

唯 「それに、ユイが言ってた。私を導くのはゲッターの意志でも、それを選択するのは私なんだって」

唯 「私自身がゲッターの意志なんだって・・・」

紬 「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

唯 「謝らないで、私が決めた事なんだから、ムギちゃんは何も悪くないんだよ」

紬 「でも・・・」

唯 「ね、最後の戦いが終ったらさ、またみんなで”けいおん!”やろうね。その時には私のギターも、メッチャクチャ上達してるんだから!」

紬 「・・・」

唯 「ムギちゃん、ビックリしちゃうよ!」

紬 「・・・うん」
386 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:18:03.69 ID:gR32P0p90
紬 「あ・・・そうだ」

唯 「どうしたの?」

紬 「唯ちゃん、これ・・・ね。受け取って」

唯 「ん?なにこれ・・・CD?」

紬 「うん。この前の合宿の時のね。例の演奏。実は録音しておいてたんだ」

唯 「えっ、それ、この中に入ってるの!?」

紬 「うん。これ、明日の戦いに持っていってくれるかしら」

唯 「ムギちゃん・・・?」

紬 「私や、りっちゃんや澪ちゃんは唯ちゃんと一緒に戦う事はできないけれど、でも・・・心は・・・」

紬 「私たちの友情は、いつも唯ちゃんと共にあるから」

唯 「・・・」
387 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:19:23.40 ID:gR32P0p90
紬 「ごめんなさい。実際に戦うのは唯ちゃんなのに、こんなの虫が良い話よね。だけど・・・」

唯 「違うよ。嬉しいんだ。ありがとね、ムギちゃん。りっちゃんと澪ちゃんも・・・」

紬 「唯ちゃん・・・」

唯 「心強いよ、私。これがあれば、軽音部のみんなが側にいるみたいで、怖いものなんか無くなっちゃう!」

紬 「・・・うん!」

唯 「えへへ」

紬 「・・・じゃあ、私はこれで・・・また夕食の時に、ね」

唯 「うん。それじゃ、また後でね」

紬 「あとで・・・」


とことこ・・・ばたん。


紬 「・・・なんだろう」

紬 「嫌な予感・・・唯ちゃん・・・」

紬 「胸騒ぎが収まらない・・・」
388 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:20:25.94 ID:gR32P0p90
・・
・・


翌朝。

琴吹重工内、ゲッターロボ格納庫。


ゲッターチームは最後の決戦に赴くべく、機上の人となっていた。

それぞれの想い。それぞれの決意。

ある者は亡き友の仇討ちを誓い・・・

またある者は、皆が笑顔で暮らせる明日を必ずもたらすと誓い・・・

異なる気持ちを胸のうちに宿しながらも、ただ一つ。

必ず勝つ!!

この想いだけは、寸分違わず誰の心にも強く根付いていた。
389 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:21:26.04 ID:gR32P0p90
ゲッターユイのコクピット内にて。

唯は静かに出撃の時を待っていた。

手元には愛用の携帯。中には昨日紬から貰ったCDから取り込んだ、軽音部の演奏が入っている。

音量を小さめにセットして、そっと再生する。


唯 「・・・あ」


澪のよく通る、透き通った声。

走りがちだけど、軽快かつ力強い律のドラム。

そして、皆の演奏を調和するようにリズムを取る紬のキーボード。

まだまだ荒削りではあるけれど、息の合った演奏がコクピット内に再現された。
390 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:22:28.51 ID:gR32P0p90
唯のために作られた歌。

皆の偽りない友情が込められた演奏。

まるであの日の紬の別荘が、今ここに現出したかのようだ。

聴いている唯の胸の中に、暖かくて優しい何かが満たされていく。


唯 「〜〜〜♪」


知らず知らず口ずさんでしまう。


唯 「〜〜〜♪」


自分も今、演奏の輪の中にいる。

唯は実感する。

和や憂と同じ、軽音部の皆も自分といつも一緒。皆が一つの存在であるのだと。
391 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:24:09.80 ID:gR32P0p90
唯 「〜〜〜♪」

竜馬 「ヘアピン」

唯 「うわぁ、リョウさん!き、聴いてたの!?」

竜馬 「聴いてたも何も、作戦中は両ゲッターの回線を常に繋げとくと、説明されてただろうが」

唯 「だ、だってまだ発進前だし・・・お、女の子のプライベートを盗み聞きするなんて、リョウさん中々ワルですなぁ・・・」

竜馬 「アホか、ゲッターのコクピットに乗ってて、プライベートもくそもあるもんかよ」

唯 「むぅー」

隼人 「まぁ、緊張でガチガチになってるよりは良いじゃねぇか」

弁慶 「そうそう。唯ちゃん、それ、良い歌だな」

唯 「でしょー。世界一のバンドによる、世界一の歌だよ」

弁慶 「今度、ライブで聴いてみたいもんだな」

唯 「うん、もうすぐ学園祭があるんだ!軽音部もライブをやるから、みんなで聴きに来てよ!」

竜馬 「・・・女子高だろ・・・あんま気がすすまねぇな」

弁慶 「何でだよ。女子高、最高じゃねぇか。絶対行くからね、唯ちゃん!」

竜馬 「いやらしい野郎だ・・・」

唯 「あはは」
392 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:26:02.56 ID:gR32P0p90
隼人 「恐竜帝国が滅んだら、どうせ暇になるんだ。女子高の学園祭なんて華やかな場所に顔を出したって、誰も文句は言うまいよ」

唯 「そうそう。軽音部総出で歓迎するよー。まぁ、四人しかいないんだけど」

隼人 「そのためにも、とっとと敵の親玉を片付けちまおう。そろそろ発進の時間だ」

唯 「・・・」

竜馬 「いよいよだな」

弁慶 「ああ・・・」

隼人 「外に出たら、すぐに地下に潜るぞ。ゲッターライガーで地面を掘り進む。ゲッターユイはその後に続いてくれ」

唯 「了解!」

竜馬 「じゃあ、蛇が出るか鬼が出るか。いくぜ・・・!ゲッター・・・ゴォーっ!!」


竜馬のかけ声と気合が空を裂き、それを合図に三機のゲットマシンが飛び立った。


唯 「・・・さぁ行こう、和ちゃん、憂・・・」

唯 「よーしっ!ゲッターユイ、ごーっ!!」


続いてゲッターユイが後を追う!

爆音を轟かせ格納庫から飛び立ったゲッターユイのコクピット内では。

唯を励ますように、友達より贈られた歌が・・・

静かに、優しく。

奏で続けられていた。
393 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 23:34:55.61 ID:gR32P0p90
そして。


紬 「お願い・・・」

紬 「神様お願い、どうかみんなを守って」


戦士たちが飛び立った後の格納庫内には・・・


紬 「みんなが無事に、この場所に帰ってきますよう・・・どうか・・・」


彼らの無事を祈り、いつまでも祈り続ける紬の姿だけが残されていた。
394 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 00:49:40.91 ID:1IiJRPKJ0
次回へ続く!
395 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 01:54:13.22 ID:d4KuS9ZSO

ゲッターユイは火星に飛んでったりしないことを祈る
396 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 15:17:44.31 ID:V4gVoIxAO
一年後、ゲッターでピザを作る隼人の姿が!
397 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 21:58:16.03 ID:fe/20ntgo
二年後、そこには顔に「ヨーロッパ」と落書きされたゲッターユイの姿がっ!
398 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:29:03.23 ID:t5gd2oPJ0
再開!
399 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:30:30.30 ID:t5gd2oPJ0
・・
・・


地中。

ゲッターライガーとゲッターユイは、早乙女博士から送られてきた敵本拠地の座標を元に、地下へ地下へ・・・

ひたすら地底へと潜り続けていた。

ゲッターライガーが穴を掘り進み、ゲッターユイも遅れじと後を慕う。


隼人 「間もなく大空洞に出るぞ」

竜馬 「そこに敵の本拠地と・・・」

唯 「謎のゲッターが待ち受けているんだね」

隼人 「そういうことだ。竜馬、大空洞に出たら即オープンゲットする。すぐにゲッタードラゴンにチェンジだ」

竜馬 「分かってるぜ。ヘアピンも飛行の準備をしておけよ。空洞に出たとたん、真っ逆さまに墜落ってオチじゃ笑うに笑えねぇ」

唯 「だいじょうぶ!」
400 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:34:57.73 ID:t5gd2oPJ0
ゲッターライガーが行く手を塞ぐ最後の岩盤を砕き、その先の空間へと飛び出す!

とたんに重力に引かれ、自由落下を開始する二体のゲッター!!


隼人 「よぉし、みんな飛べぇーー!オープンゲット!!」

唯 「ゲッターウイングっ!!」

竜馬 「チェンジゲッタードラゴン スイッチオン!」


飛行形態をとり、改めて周りを見渡した一行の目の前に広がっていたのは。


竜馬 「こ・・・これは・・・」

隼人 「なんて広さだ・・・」

弁慶 「に、日本の地底にこれだけの空間があっただなんて・・・」

唯 「ここ、本当に地底なの・・・?間違って外に出ちゃったんじゃないの・・・?」


見渡す限り広がる、無辺の大空間であった!
401 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:36:57.18 ID:t5gd2oPJ0
隼人 「間違いなく地底だ。その証拠に下を見てみろ」

唯 「え・・・下・・・?」

隼人 「遥か下・・・俺たちの真下の光景をよく見るんだ」

弁慶 「ん・・・?なんだ、あれ。赤い・・・何かが流れている・・・?」

竜馬 「溶岩・・・マグマだ!」

唯 「え・・・!!」

隼人 「その通りだ。あの中に落ちたら、いかにゲッターと言えどもひとたまりも無い。気をつけねばな」

竜馬 「そんなへまはしねぇ。さぁ、目的のものを探すとしようぜ」

唯 「う、うん!」

弁慶 「敵の本拠地、移動可能ってことはどんな形をしているんだろうな?やっぱり、なにか戦艦とかみたいな感じなのかな」

竜馬 「まぁ・・・そういうのをイメージしてしまうわな」

隼人 「レーダーの反応では形までは分からなかったが、何せ巨大な人工物だ。見つければそれと分かるだろう」

唯 「巨大な何か・・・か。それならすぐに目に付きそうなものなんだけど・・・んー・・・」

唯 「・・・?」
402 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:43:37.49 ID:t5gd2oPJ0
竜馬 「どうした、ヘアピン」

唯 「・・・っ、みんな・・・あ、あれ・・・」

竜馬 「ん?」


何かを見つけたゲッターユイが一点を指差す。

その示された先、視線を向けた一行の目に入ったものとは・・・!!


隼人 「・・・見つけたな」

弁慶 「な、なんだありゃぁ。きょ、巨大な岩・・・?」

竜馬 「ああ・・・他に例えようがねぇな」


そう、それはまさしく巨大な岩。

いや。

巨大すぎる岩であった!


竜馬 「だが、ただの岩じゃねぇ。間違いねぇ、あれこそは・・・」

隼人 「俺たちが捜し求めていた・・・敵の本拠地だ」
403 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:47:57.23 ID:t5gd2oPJ0
単純に岩と言い捨てるには、あまりにも巨大すぎる”それ”は、悠然と地底の大空間の中で浮遊していた。

いったいその巨体のうちには、いか程のハチュウ人類が生息しているのだろうか。

泰然と見えるその姿はまさに、敵の居城に相応しき威容であった!


弁慶 「な、なんであんなでっかい物が、すぐに目視できなかったんだ」

隼人 「これこそ、奴等お得意のステルス機能なんだろうよ。それゆえ、恐竜帝国の本拠地はずっと発見される事がなかった」

竜馬 「たった今までは、な」

唯 「・・・行こう」

竜馬 「ああ、これで終らせる。ゲッタービームを何百と打ち込んででも、あの岩の化け物をぶっ壊してやる」

隼人 「・・・ん!?」
404 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:49:25.49 ID:t5gd2oPJ0
隼人 「待て、リョウ!例のゲッター反応、急速にこちらに向かってくるぞ!」

竜馬 「そりゃそうだ!今来なきゃ、一体いつくるってんだ!」

弁慶 「どこだ!どこから来るんだ!?」

唯 「上ーっ!!」


唯の叫びと同時に、散会する二体のゲッター!

その間を黒く巨大な影が、一陣の風のごとく突き抜ける!

そして影は、唯たちの下方数百メートルの位置で停止すると向き直り、凶悪な全貌を皆の前に晒したのだった!

その姿ははたして・・・


竜馬 「黒い・・・ゲッター・・・」

唯 「黒い・・・ブラック・・・ブラックゲッター・・・?」

隼人 「ああ、設計思想から形状まで紛れもない。明らかにゲッターロボだ・・・」


そう、影さながらの黒いゲッターロボであった!!
405 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:50:26.69 ID:t5gd2oPJ0
竜馬 「おいでなさったか。だがな、敵の紛い物が俺たち本家に敵うと思うなよ。かかってきやがれ、粉微塵に砕いてやるっ!」

唯 「ま、待って・・・!」

弁慶 「どうしたんだ、唯ちゃん」

唯 「待ってよ、ちょっと待って!そこの黒いゲッターさんも。ねぇ、あなたは誰?もしかして人間なの?」

隼人 「・・・」

唯 「それなら、なにか理由があって恐竜帝国に力を貸してるの?だったら止めて!そんな事をしたら、自分も周りの人も悲しい想いをする事になっちゃうんだよ!」

竜馬 「お、おい、ヘアピン・・・」

隼人 「そうだな。ハチュウ人類がゲッターロボに乗れるはずがない。ならば操縦しているのは・・・」

弁慶 「唯ちゃんの友達の時みたいに、人間ってことだよな」

隼人 「同じ人類同士、そして同じゲッター同士だ。戦わずに済むならその方が良い・・・」

竜馬 「いや、しかし・・・」
406 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:51:45.66 ID:t5gd2oPJ0
唯 「聞こえてるよね!?応えて・・・っ」


? 「ゲッタートマホーク・・・っ!!」


唯 「!!」

竜馬 「ヘアピン、あぶねぇ!!」


どがっ!!


唯 「きゃぁっ!!」

唯 「・・・」

唯 「あ、あれ・・・無事・・・??」

竜馬 「しっかりしろ、ヘアピン!」

唯 「りょ、リョウさん・・・」

竜馬 「こいつは人間なんかじゃねぇ!」


間一髪で間に割ったゲッタードラゴンが、ブラックゲッターの攻撃を己のトマホークで受けとめていた。


唯 「ありがとう、リョウさん。でも、どうして人間じゃないって・・・」
407 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:54:08.13 ID:t5gd2oPJ0
竜馬 「考えても見ろ!攻め込まれたハチュウ人類にとって、この戦いはまさに本土決戦!そんな大事な戦いに敵である人間を使うなんてありえねぇだろうが!」

隼人 「しかしリョウ。ゲッター線が弱点のハチュウ人類が、ゲッターロボのコクピットに入れるはずは・・・」

竜馬 「俺なら入る!」

弁慶 「え・・・」

竜馬 「守る物のため、人々のささやかな幸せを守るために死ねと言われたら、俺はゲッターに乗って喜んで死地におもむく!」

竜馬 「その覚悟は、敵だって同じはずだ!!」

唯 「リョウさん・・・」


? 「その通りだ、ゲッターロボ・・・」


弁慶 「話しかけてきた・・・」

竜馬 「お前は誰なんだ。わざわざ出向いた客人に対して、名乗りの一つもあって良いんじゃねぇのか・・・?」

? 「もっともだ。では名乗ろうか」

竜馬 「・・・」

? 「我が名はゴール」

竜馬 「ご、ゴール!?」


ゴール 「そう。光輝ある恐竜帝国が万乗の帝王・・・ゴールとは我のことよ・・・!!」
408 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:57:32.49 ID:t5gd2oPJ0
弁慶 「て、帝王・・・」

隼人 「帝王ゴールだと・・・」

唯 「敵の王様が・・・一人で私たちに挑んできたって言うの!?どうして・・・」

唯 「あ・・・」

唯 (そ、そうか・・・この人を倒せば戦いも終る。ユイが言ってたのは、そういう意味だったんだ)

唯 (じゃあ、強大な敵って言うのは、このゴールという人のことだったんだねっ!)

隼人 「敵の親玉が一人で向かってくる理由・・・それは一体なんだ・・・」

竜馬 「・・・へ、びびってんじゃねぇ」

隼人 「しかし、なにかの策かも知れん・・・」

竜馬 「理由なんざどうでも良い。ここでこいつをぶっ殺ししまえば、敵は頭を潰されたも同然・・・!」
409 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 22:59:00.27 ID:t5gd2oPJ0
竜馬 「恐竜帝国を滅ぼすのには、千載一遇のチャンスだぜ!」

ゴール 「舐めるなよ、若造」


ぎりぎりぎり・・・


竜馬 「な・・・!?」

隼人 「なんてパワーだ。ゲッタードラゴンが力負けしている・・・」

ゴール 「我等があまたの勇士を打ち破ったゲッターロボの力とは、この程度の物なのか?」

竜馬 「く、くそ・・・っ!」


ぎりぎりぎり・・・


隼人 「平沢唯!敵の手が塞がっている今が好機だ!お前も攻めかかれ!」

唯 「う、うん!ギー太トマホークっ!!」


トマホーク対トマホークの鍔迫り合いを演じているブラックゲッターの横合いから、その隙を突かんとゲッターユイが襲い掛かる!

だが、しかし!!


唯 「ごめんねーっ!!」


がしっ!!


唯 「え・・・」
410 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 23:04:09.98 ID:t5gd2oPJ0
竜馬 「なっ!?」

弁慶 「嘘だろ・・・」

隼人 「あ、ありえん・・・」


ブラックゲッターはトマホークを片手に持ち替えると鍔迫り合いはそのまま、空いたほうの手で、しかもやすやすと・・・

ゲッターユイの攻撃を受け止めて見せたのだ!


竜馬 「桁違いのパワーだ・・・」


そして・・・


ゴール 「ぬんっ!」

唯 「え、ひゃぁっ!?」


そのままゲッターユイの腕を掴み、力任せに振り回す!


唯 「あわわ・・・きゃぁー!」


予想外の力に抗う術とてなく、ゲッターユイはあらぬ方向へ投げ捨てられてしまった。

そして・・・


ゴール 「まずは貴様等からだ」

竜馬 「な、うわぁあああ!?」


鍔迫り合いに競り勝ったブラックゲッターのトマホークが一閃!

ゲッタードラゴンの右腕は、無残にも肩先から切り落とされてしまった!!
411 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 23:08:52.41 ID:t5gd2oPJ0
竜馬 「ぐ・・・、ドラゴンの右腕が!」

唯 「りょ、リョウさん!!」

隼人 「お、おかしい。なぜブラックゲッターはここまでの力を発揮できるんだ・・・?」

隼人 「・・・いや。それだけじゃない。これ程のゲッターを持ちながら、なぜハチュウ人類はこの土壇場まで戦線に投入してこなかったんだ・・・!?」

竜馬 「こんな時になにを・・・」

ゴール 「投入したくとも、できない理由があったのだよ」

隼人 「なに・・・!?」

ゴール 「その理由、知りたくば冥土の土産に教えてやろうか」


・・・ぶぅん


竜馬 「・・・これは?サブモニターに映像が・・・」

ゴール 「その答えが、これよ!!」

唯 「え・・・っ!?」
412 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 23:10:22.52 ID:t5gd2oPJ0
強制的に送られてきたその映像に、一同は息を呑み、そして驚愕した!

衝撃的な映像と、そしてその映像に抱く既視観とに・・・!!


唯 「あ・・・あ・・・」


映し出されたのは、薄暗い空間。

その中央に、なにやら複雑に積み上げられた機械がある。

ほのかに光を放つ、その機械の中央には・・・


竜馬 「お、おい・・・まさかこりゃぁ・・・ゲッター炉なの・・・か・・・?」

弁慶 「これって、あの時と同じ・・・」

隼人 「なんということだ・・・」


装置と装置の狭間に、生ける部品となって埋め込まれている一人の人物があった。


唯 「こんなのって・・・こんなのってないよ!」


爬虫類とも人間ともつかない容貌。

しかし機械の一部品とは成り下がっていても、王者の貫禄は決して失っていない。

己が埋め込まれている機械を玉座に見立て、悠然と構えている者こそ・・・


竜馬 「お前が・・・ゴールか・・・」

ゴール 「いかにも、我こそが帝王ゴールよ!」


そう、彼こそがゴール!

かつて恐竜帝国を統べた帝王の、その変わり果てた姿であった!!
413 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 23:21:06.89 ID:t5gd2oPJ0
次回へ続く!
414 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:42:59.41 ID:dxw9re780
ゴール様ktkr
415 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 21:47:39.79 ID:Sr0xVIEw0
再開!
416 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 21:48:44.28 ID:Sr0xVIEw0
竜馬 「・・・」

ゴール 「ふふ・・・驚きのあまり、言葉もなし、か」

唯 「だめだよ、こんなの・・・これじゃ、憂と・・・憂と同じだよ・・・」

隼人 「憂と一緒?・・・そ、そうか。そういうことなのか」

竜馬 「一人で納得してるんじゃねぇ!一体、どういうことなんだ!?」

隼人 「ブラックゲッターのパワーの秘密は、ゲッター炉心にコアとして埋め込まれた、ゴール自身にあったんだ」

唯 「うん・・・憂がコアとなったゲッター炉のおかげで、和ちゃんがゲッターロボを動かせたように・・・」

隼人 「ゴール自身が、あのゲッターのエネルギー源となっているんだ!」

ゴール 「この姿を見ただけで、全てを推察できるとはさすがよ、ゲッターロボ・・・」

唯 「やっぱり・・・」

ゴール 「我らハチュウ人類は進化の終着点に達し、ゲッター線に見放されし種族。だが、言い換えれば、進化の頂点にあるのもまた我々よ」

ゴール 「その帝王である余・・・すなわち進化の頂点の、さらに頂点に座すこのゴールが・・・」

ゴール 「ゲッター炉心と・・・いや、ゲッターエネルギーと強制的に同化すれば、さてどうなるか・・・くっくっく・・・」

隼人 「強大な力を得られる事は、自明の理・・・と言うことか」
417 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 21:52:32.73 ID:Sr0xVIEw0
ゴール 「故に我々は、このブラックゲッターを造り上げたのだ。最後の切り札とするために!」

隼人 「待て!だが、お前が組み込まれているゲッター炉心は、どうやって手に入れたんだ?」

竜馬 「そ、そうだ。敷島が持ち去った旧ゲッターロボの炉心は・・・」

唯 「ゲッターユイが、吸収しちゃってる。取り込まれてた憂と一緒に・・・」

弁慶 「そ、そうだよな。いま現存するゲッター炉心は、ゲッターユイとゲッターGの二機分しか無いはずだ」

竜馬 「ああ。敷島ははっきり言っていた。自分ではゲッター炉心を作り出す事はできないと」

隼人 「なのになぜ、あるはずのない第三の炉心が、お前等の元に存在するんだ!?」

唯 (あ・・・もしかして・・・)

ゴール 「ふ・・・ふははは・・・我々も舐められたものよ」

竜馬 「!?」

ゴール 「認識が甘いぞ、人間」
418 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 21:53:43.21 ID:Sr0xVIEw0
唯 「恐竜帝国で作ったんじゃないかな・・・」

隼人 「ま、まさか・・・ハチュウ人類にそんなノウハウは無いはずだ!」

ゴール 「貴様は我々の科学力を過小評価しているのではないか?」

隼人 「なんだと・・・」

ゴール 「我々がゲッター関連の研究で貴様らに遅れをとっていた理由は、ただの一点」

ゴール 「この、ゲッター線に耐えられぬ肉体のせいに過ぎぬ」

ゴール 「だが、もし我々の手元に手本とすべきゲッター炉心の実物があったとしたら、どうか?」

隼人 「旧ゲッターロボと、その炉心・・・!」

ゴール 「いかにも。敷島が持ち込んだ”旧ゲッター”という手本があれば・・・」

ゴール 「それを複製・改良して、新たに造り上げる事なぞ造作もないことなのだよ!」

隼人 「敷島が亡命してから出撃するまで、半年ほどしかたっていない。そんな短期間のうちに・・・」

弁慶 「なんて技術力なんだ・・・」
419 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 21:58:05.91 ID:Sr0xVIEw0
唯 「で、でも!いくら作り方が分かったからって、それじゃあなたたちは・・・」

ゴール 「そう・・・このブラックゲッターを完成させるために、百にも上る技術者をゲッター線により失った・・・」

唯 「それに、あなた自身だって・・・!」

隼人 「ゲッター炉心と一つになった以上、ゴールの命も間もなく燃え尽きる・・・」

ゴール 「我一個の命など、鴻毛の軽きに如かずよ」

弁慶 「なんていう勝利への執念なんだ・・・」

ゴール 「そう思っているのは、我一人ではない」

ゴール 「これまで多くの仲間が死んでいった。叫び、吼え、呪い、のたうち・・・過去の栄光と地上の生活を求め夢見て死んでいった同胞たち・・・」

ゴール 「だが、この犠牲が次代の恐竜帝国の繁栄へと繋がるのならば、安いもの。皆その心持があればこそ、喜んで死んでいったのだ」

竜馬 「ゴール・・・!!」

ゴール 「そして、その死の連鎖の最後の締めくくりは、帝王である余自らがやらねばならぬ。そう、余の死を持って・・・」


ゴール 「薄暗き地底でコケを食んで生きた帝国の惨めな歴史に、終止符が打たれるのだ!」
420 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 22:04:17.61 ID:Sr0xVIEw0
唯 「お、同じなんだ・・・」

弁慶 「唯ちゃん?」

唯 「この人も仲間を大切に思って、だからなんとしても勝ちたいって・・・そう思って命まで賭けて・・・」

唯 「私たちと、同じなんだ・・・」

隼人 「奴の言葉に惑わされるな!利害が違えば戦いは起こる!その事はリョウからも説明されたはずだ!」

唯 「分かってるよ。私たちだって譲れない物があるんだもん。ぜったいに負けられない。それは分かるけど・・・」

隼人 「同情している余裕はねぇぜ。ゴールは死ぬ。この戦いに勝っても負けても。そう、奴の体は持ってせいぜい、一時間と言ったところだろうな・・・」

唯 「うん・・・」

隼人 「死を意識した者は強い。燃え尽きる寸前の炎が、ひときわ激しく輝くように」

弁慶 「たった一度の出撃しかできない。だからこその切り札・・・!」

竜馬 「・・・」

ゴール 「そういう事だ!話はこれまでよ、死ねぃ!怨敵ゲッターロボ!!」
421 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 22:08:34.61 ID:Sr0xVIEw0
隼人 「来るぞ!」

竜馬 「へ・・・へへへ・・・」

唯 「リョウさん・・・?」

竜馬 「楽しくなってきやがった・・・そうだよ、そうでなくっちゃなぁ・・・なぁ、隼人。弁慶」

隼人 「リョウ、お前・・・」

竜馬 「最後の敵が小悪党じゃぁ、俺たちも戦い甲斐がないってもんだ」

弁慶 「あ、ああ・・・」

竜馬 「お前だぜ、ゴール。お前こそが俺が求めていた敵だ。大儀のため、守る物のために命を惜しまねぇ。お前こそ、男の中の男だ!」

竜馬 「俺の敵に相応しい男だぜっ!」

ゴール 「そうだ、ゲッターロボ!余も楽しいぞ!勝負の帰結は必ずや余が手にせねばならない!だがその前に・・・!」

ゴール 「我が最後の戦いを、狂乱の宴を存分に楽しもうぞ!!」

竜馬 「応よっ!!」

隼人 「リョウらしいぜ。それじゃあ俺も、互いの民族の命運をかけた大博打、乗らせてもらうとしようか」

隼人 「こいや、ゴール!!堂々とやろうぜ!」

弁慶 「隼人まで・・・こうなりゃ俺もやけだ!やってやる!!」

唯 「私だって負けられない!澪ちゃんやりっちゃん、みんなの未来を守るんだ!」
422 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 22:23:48.47 ID:Sr0xVIEw0
激闘が始まった!

己が命の灯火を燃やし、絶大なパワーで竜馬たちを圧倒するゴール!

三位一体、片腕を失ってもチームワークで足りずを補い一歩も引かぬゲッターロボG!

そして、和や憂の想い、大切な友人たちの明日を背負って戦うゲッターユイ!

三者三様の戦う理由を胸に抱き、三体のゲッターロボは激しくぶつかり合う!!


戦いは熾烈を極め、両陣営一歩も退かずの攻防戦はすでに開始より三十分を過ぎ・・・

勝敗の帰結は依然として靄のむこう、杳として知れなかった。
423 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 22:25:12.49 ID:Sr0xVIEw0
竜馬 「ゲッタービーム!!」

ゴール 「甘いわ、ゲッターシールドっ!!」

竜馬 「奴の手を封じた!いまだヘアピン!」

唯 「うわあああっ!ギー太トマホークブーメラァーン!!」

ゴール 「ぬおっ!?」

隼人 「隙ができた!この機を逃すな、リョウ!」

竜馬 「分かってる!もう一度喰らえーっ!ゲッタービー・・・」

ゴール 「甘いと言っておるぞ、木っ端がっ!!」

竜馬 「か、かわしやがった!?」

弁慶 「そのまま突進してくるぞ!」

ゴール 「うおおおお、ゲッタートマホーク!」

隼人 「リョウ、かわせぇ!!」

竜馬 「・・・っ早い!?」

弁慶 「喰らっちまう!」
424 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 22:29:24.28 ID:Sr0xVIEw0
唯 「リョウさぁーん!」

竜馬 「ヘアピン!」

唯 「ゲッターぁ、うん・たんっ!」

ゴール 「間に入って、余の攻撃を受け止めただと!?」

竜馬 「真剣白刃取りとは、魅せるじゃねぇか!」

唯 「今だよ!」

竜馬 「分かってる!喰らえぇええ、ゲッターパンチっ!!」

ゴール 「ぐああっ!」

竜馬 「うおっ!?」

隼人 「パンチが弾かれただと!?」

竜馬 「く、なんて硬い装甲なんだ・・・パンチじゃ威力に限界がありすぎる・・・」

弁慶 「右腕ごと、トマホークを持っていかれたのは痛かったな・・・」

ゴール 「ぬうううん!」

唯 「ひゃあっ!」

竜馬 「ヘアピン!」

唯 「すごい力だよ!カスタネットが壊されちゃった!」

ゴール 「うん・たん敗れたりぃ!」
425 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 22:31:17.07 ID:Sr0xVIEw0
ゴール 「そして、受けよっ!」」

唯 「あ・・・」

ゴール 「ゲッターぁぁビーぃぃぃムっ!!」

竜馬 「ヘアピン、避けろぉー!」

唯 「え・・・あああああっっ!!」

竜馬 「ヘアピンーっ!」

隼人 「真正面から、ゲッタービームをもろに食らいやがった・・・!」

唯 「あ・・・うぁ・・・」

竜馬 「ヘアピン!ヘアピン、しっかりしろ!機首をあげろ、このままじゃ溶岩に真っ逆さまだぞ!」

唯 「りょ、リョウさん・・・」

竜馬 「くっ・・・、待ってろ、今・・・」

ゴール 「行かせん!」

竜馬 「ご、ゴール、貴様!」

弁慶 「ああ・・・あああー、ゲッターユイがマグマの中に・・・」

隼人 「・・・くっ!」

唯 「・・・」

竜馬 「うお、ヘアピン・・・ヘアピン・・・」

唯 「りょ・・・リョウ・・・さ・・・」


ザッパーンッ!


竜馬 「唯ぃーーーーっ!!」

ゴール 「ふはははは!ゲッターロボよ、これで一対一よな!次は貴様が溶岩に溶かされる番よ・・・!」

隼人 「お、おのれ・・・」

弁慶 「唯ちゃん・・・ちくしょう・・・」

竜馬 「・・・てめぇ・・・てめぇ・・・てめぇ・・・」

竜馬 「てめぇーーーっ!!貴様は絶対に俺の手で息の根を止めてやる!楽には殺さねぇからな・・・っ!!」
426 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 22:32:25.55 ID:Sr0xVIEw0
次回へ続く!
427 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 03:08:48.36 ID:y/hWPsBL0
乙!このゴール様、割と小物だった漫画版及びTV版より威厳があっていいな。ネオゲに近いかも
428 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 05:10:54.34 ID:hLnppT1go
大魔王ユラーとはなんだったのか乙
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 22:55:13.77 ID:CNg5fGw80
再開!
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 22:58:00.84 ID:CNg5fGw80
・・
・・


凄いなぁ・・・凄く強い・・・

これじゃ私、敵わないよ。


ユイ 「唯ちゃん」


ユイ・・・

あは、ごめんね。私、やられちゃったみたい。

マグマの中に落ちちゃったんだよね。隼人さんが言ってた。いくらゲッターでも、マグマに落ちたら一たまりもないって。

私ね・・・負けちゃった。


ユイ 「戦いはまだ続いてるよ」

ユイ 「見て・・・」
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:02:31.36 ID:CNg5fGw80
あ・・・頭の中に映像が・・・

ああ・・・戦ってる・・・

ゲッタードラゴンとブラックゲッターが戦ってる。


ユイ 「みんな、唯ちゃんが死んじゃったって思ってる。でも、誰も諦めてないよ」

ユイ 「最後の勝利を信じて、悲しみをかみ殺して戦ってる」

ユイ 「絶対に負けられない戦いだって、そう思ってるから」


うん。

きっとリョウさんなら敵をやっつけてくれるよね。勝ってくれるよね。

みんなの未来、守ってくれるよ・・・ね?


ユイ 「無理だよ」


え・・・


ユイ 「リョウさん達は負ける」


え、うそ・・・


ユイ 「負けるよ。ブラックゲッターの性能とパワーと、そしてゴールの執念の前に」
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:03:56.45 ID:CNg5fGw80
うそ、うそうそ!

だって、リョウさんだよ!あんなに強いリョウさんが負けるはずなんてない!


ユイ 「唯ちゃん、忘れてるでしょ。なぜ、唯ちゃんがゲッターのパイロットに選ばれたのか」


え・・・


ユイ 「そして、どうして和ちゃんや憂ちゃんがゲッターと一つにならなきゃならなかったのか」

ユイ 「唯ちゃん、忘れてる」


それって・・・


ユイ 「あなたがいて初めて、人類は勝利する事ができる」

ユイ 「そのためのゲッターユイであり、和ちゃんと憂ちゃんであり・・・」


・・・


ユイ 「そして、あなた。平沢唯なんだよ?」


・・・!!
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:06:06.11 ID:CNg5fGw80
そっか、そうだよね。

私、こんなところで溶かされてる場合じゃないんだもんね?

あんまり敵が強いものだから、つい弱気になっちゃって・・・

私がいま戦うことをやめたら、いままでの事。全部が無かったことになっちゃうんだもんね。


ユイ 「うん」


だけどさ。

じゃあどうしたら良いのかな。

ゲッターユイじゃブラックゲッターには勝てそうにないし・・・

それにマグマに落ちちゃって、機体も溶け始めてる。

この状態で戦いに戻っても、とてもみんなの力になれるとは思えないよ。


和 「バカね、唯」


え・・・


憂 「お姉ちゃん、あいかわらずなんだから」


和ちゃん・・・憂・・・
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:07:46.55 ID:CNg5fGw80
和 「私たちがここにいる理由、考えて見なさい」

憂 「お姉ちゃんと一つになるために、こうしているんだよ?」


あ・・・

そ、そうか・・・私も・・・和ちゃんや憂と一緒に・・・

そうか、そうだったんだ・・・


和 「唯、怖い?」


うん、ちょっとだけ。


ユイ 「何も恐れることはない。全ては同じエネルギーから発生しているのだから」

ユイ 「そして、みんな同じ次元に存在する」


みんな・・・?
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:10:50.00 ID:CNg5fGw80
〜〜〜♪


あ・・・このメロディは。


〜〜〜♪


みんなが、ムギちゃんやりっちゃん、澪ちゃんが私のために作ってくれた歌・・・

みんな・・・みんな・・・

みんな、大好き。

みんな一緒。

みんな、私と一緒にいてくれる。


〜〜〜♪


ユイ 「そう」

和 「みんな」

憂 「ここにいる」


和ちゃん・・・憂・・・


竜馬 「唯いいいいいっ!!」


リョウさん・・・

リョウさんも呼んでる。

・・・

分かったよ、和ちゃん、憂・・・ユイ。

私もみんなと一つになる。


和 「行こう、唯!」

憂 「お姉ちゃん!」


うんっ!


唯 「チェンジゲッターユーイ、スイッチオンーっ!!」
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:12:43.53 ID:CNg5fGw80
・・
・・


竜馬 「・・・!」

隼人 「どうした、リョウ」

竜馬 「唯の・・・唯の声が聞こえた」

弁慶 「え、だって唯ちゃんはさっき・・・空耳じゃねぇのか?」

竜馬 「聞き間違いなんかじゃねぇ!確かに聞こえた・・・あれは唯の声だ!・・・見ろっ!」

隼人 「え・・・!?」


竜馬に促されて、隼人が目を向けた先。

灼熱のマグマが轟々と流れる、彼らの足元の遥か下。

先ほどゲッターユイが消えて行った、その奔流の中。


隼人 「あれは・・・」

弁慶 「何かが・・・何かが浮き上がってくる・・・」

ゴール 「お、おおおお」

竜馬 「・・・」


溶岩の表層を突き破り、彼らの眼前に現れた物とは・・・


ゴール 「・・・なんだ、あれは」
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:14:26.97 ID:CNg5fGw80
弁慶 「ギター・・・」

隼人 「巨大な・・・ギー太!?」

竜馬 「唯いぃぃいぃぃっ!!」


敵味方入り混じった視線を一身に受けながら。

マグマの飛沫を飛散させて、巨大なギー太は飛び上がる!

ゲッターロボGへ!

その左腕に向かって!

流竜馬の差し伸べる、その先へ向かって!!


隼人 「何だあれは!?ゲッターの身の丈ほどもある、巨大なギー太だと・・・!?」

竜馬 「唯だ!」

弁慶 「なんだって!」

竜馬 「ゲッターユイがチェンジした姿だ!」
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:15:55.66 ID:CNg5fGw80
隼人 「そんなはずはない!ゲッターユイに変形機構は付いていないはずだ!」

竜馬 「俺にはわかる!あれは唯だ!」


唯 「リョウさん、受け取ってーっ!」


竜馬 「おおよっ!!」


巨大なギー太と化したゲッターユイのネックを掴み、見事キャッチに成功するゲッタードラゴン!

途端に、己が身の程の重量を片手だけで受けた衝撃が、ずっしりとドラゴンを震わせる。

その重さを、唯の生存の確かな実感として、竜馬はしっかりと受け止めた。


竜馬 「へ・・・心配させやがって・・・ちゃっかり生きてやがったか」

唯 「嬉しかったよ」

竜馬 「あん?」

唯 「リョウさん、初めて名前で呼んでくれたね」

竜馬 「ば、馬鹿野郎!こんな時にどうでもいいこと、言ってんじゃねぇ!」

唯 「へへ」
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:18:05.10 ID:CNg5fGw80
隼人 「平沢唯・・・これは一体、どうなっているんだ」

唯 「一つになるの」

隼人 「・・・?」

唯 「私たちがバラバラに戦っても、あの人には勝てない。だから、みんなの力を一つに合わせる。そのために・・・」

唯 「ゲッターユイは武器になったんだ。ユイや和ちゃん、憂の力を借りて・・・」

隼人 「武器に・・・”なった”?」

唯 「うん。組成から構造を組みなおし、まったく新しい形にゲッターユイを作り変えたの」

隼人 「そんな事が可能なのか・・・」

唯 「それがゲッターの力だから・・・」

竜馬 「ゲッターの・・・力・・・」

唯 「そう、ゲッターの力。みんなの力。ね、感じて・・・」

隼人 「・・・う!?」

弁慶 「おい、こりゃぁ・・・」

竜馬 「・・・感じる」

唯 「うん」

竜馬 「唯、感じるぞ。ゲッターユイを通して、強大な力が俺たちに流れ込んでくるのが分かる・・・!」

隼人 「ゲッタードラゴンのゲッター値がどんどん上がっていく・・・これはまるで、俺たちが始めて平沢唯とであった、あの時のようだ」

竜馬 「これなら・・・これなら勝てる!パワーで競り負けなければ、ゲッターの扱いはこっちの方が上なんだ!」
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:19:52.36 ID:CNg5fGw80
ゴール 「おおお・・・恐ろしや・・・ゲッターとは・・・ゲッターとはどこまで底が知れない化け物なのか」

唯 「違うよ、私たちはどこまでもただの人間だよ。人間だから、人間であったから・・・」

唯 「こうして、心と力を一つにできる・・・!」

ゴール 「認めん、認めんぞ・・・この身を犠牲にしてまで得た力、それの上を行く化け物の存在など、断じて余は認めんぞ!」

竜馬 「ならばゴール。その化け物の力、一つになった俺たちの力を、その身に刻んで死んで行け!」

ゴール 「余の帝国のため、勝利のため!認めるものかぁあああっ!!」

竜馬 「来い、ゴール!長年の因縁に決着をつける!今がその時だ!」

ゴール 「うおおおお!」


半狂乱となったゴールが、後先省みずにゲッタードラゴンに向かって突撃してくる!


ゴール 「死ねぇい、ゲッターぁ!」


負けじとゲッタードラゴンもゴールに向かって跳躍した!

彼我の距離は、たちまちにして互いの攻撃範囲の内に縮まる。

振りかざされる、二対のトマホーク!

今まさに。

敵味方双方の、渾身の力を込めた最後の一撃が・・・

振り下ろされようとしていた・・・!!
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:21:47.00 ID:CNg5fGw80
ゴール 「死ね、死ねぇえい!ゲッターァトマホォォォォクっ!!」


竜馬 「俺たちも行くぜ、唯!」

唯 「うん、リョウさん!」


竜馬 「グレートぉ・・・!」

唯 「ギー太ぁ・・・!」

竜馬・唯 「トマホォォォォォォォクっ!!」


がきいいいいいんっ!!


竜馬 「これが俺たちの、人類の力だあああああああっ!!」
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:22:59.80 ID:CNg5fGw80
・・
・・


静寂が、訪れていた。

そこにあるのは、森閑とした静けさと・・・

トマホークを振り下ろした姿勢のまま微動だにしない、二体のゲッターロボ。

それだけであった。

だが、やがて。

その静謐の時間にも終わりが訪れる。

沈黙の時を破ったもの。

それは、片方のゲッターから起こった爆音であった。


どんっ!


最初に肩口から起こった爆発は、トマホーク諸共その腕を跡形もなく破砕しさり、続いて・・・


どんっ!

どんっ!

どどんっ!


爆発は全身へと鎖的して行った。
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:24:01.49 ID:CNg5fGw80
ひとつ爆焔が上がるごとに、その部分のパーツは跡形もなく吹き飛んでゆく。

頭部が消し飛び。

脚部が粉砕され。

ゲッターは瞬く間に人の形を失わせていった。

そのゲッターこそ果たして・・・


ゴール 「う・・・呪ろわしや・・・ゲッターロボ・・・・っ!」


今や胴体と片腕を残すのみの無残な姿となり果てし・・・

帝王ゴールのブラックゲッターであった・・・!
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/05(木) 23:25:23.91 ID:CNg5fGw80
次回へ続く!
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/06(金) 13:58:56.99 ID:ACryCCZQ0
乙!
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:35:10.77 ID:DemzQWa60
再開!
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:35:57.41 ID:DemzQWa60
ゴール 「やられたわ、完膚なきまでに。余の完敗よ・・・」

竜馬 「ゴール・・・」

ゴール 「堅牢なり人類の盾・・・見事なりゲッターロボ・・・!!」

隼人 「・・・」

弁慶 「・・・」

ゴール 「なれどっ!!」

ゴール 「栄光ある恐竜帝国が歴史、ここで潰えさせはせぬ!」


ごごごごご・・・


竜馬 「な、なんだ、この振動は・・・」
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:38:39.12 ID:DemzQWa60
唯 「リョウさん、恐竜帝国の本拠地が!」

竜馬 「敵の本土が、急降下を始めただと!?」

弁慶 「そんな・・・自分の親玉を見捨てて、テメェ等だけ逃げようって寸法なのか!?」


・・
・・


マシーンランド司令室。


バット 「マシーンランド急速潜行。マグマ最下層まで退避。その後、我々は・・・」

兵A 「・・・」

兵B 「・・・」

バット 「休眠期に入る」

兵A 「しかし、陛下をこのまま置き去りにするなど、それではあまりに・・・あまりに・・・」

バット 「言うな。全ては陛下が思し召しである。陛下が身を挺し、時間を稼いで下さるからこそ、我々は望みを次代に繋ぐ事ができるのだ」

兵B 「将軍・・・」

兵A 「む、無念です・・・」

バット 「今日のこの日を。この無念さを忘れるな。我々は再び地底に潜み、薪に臥し胆を嘗めてでも生き延びねばならない」

バット 「そして休眠を終え力を盛り返した暁にこそ、今日この日の恨みを雪ぐ。必ずな・・・」

兵A 「は・・・!」

バット 「・・・偉大なる帝王ゴールに最敬礼!」

兵士達 「ゴール陛下、万歳!」

バット (陛下、ご安心召され。姫殿下は必ずやバットめが、陛下に劣らぬ帝王に育て上げて見せましょうぞ・・・)
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:42:55.11 ID:DemzQWa60
・・
・・


隼人 「逃すな竜馬、追え!マグマに潜られたら、ゲッターでも追う事はかなわん!」

竜馬 「分かっている!!」

ゴール 「そうはさせん!!」


それは突然の出来事だった。

ブラックゲッターがゲッタードラゴンの前に立ちふさがり、そして。

おもむろに、残った腕で己が胸の装甲を剥ぎ取ったのである!


竜馬 「な、なんだ?なんのつもりだ!?」

ゴール 「貴様との勝負には負けたが、マシーンランドの退避だけは必ず成し遂げさせて見せようぞ!」

竜馬 「!?」

唯 「あ・・・っ!」
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:47:32.24 ID:DemzQWa60
ゴール 「黄泉路への道ずれになってもらおうか、ゲッターロボぉ!!」

唯 「リョウさん、逃げて・・・!」

竜馬 「唯、一体なにが・・・」


竜馬が逡巡している間にも、ゴールの奇行は続いていた。

むき出しになった胸部の機械郡。その中にブラックゲッターは、己の腕を突っ込んだのである・・・!

そして、次に腕が引き抜かれた時。

その手には一つの装置が握られていた。

そう、それこそは・・・ゲッター炉心。

ゴールというコアが埋め込まれた、ブラックゲッターの心臓部その物であった!


ゴール 「はは・・・ふははははっ!」


弁慶 「あ、あれがゴール・・・」

竜馬 「ゴールが俺たちの目の前に・・・哀れな姿を晒しやがった・・・」
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:49:46.11 ID:DemzQWa60
唯 「・・・あの人、武蔵さんと同じことをするつもりだよ!」

隼人 「ゲッター炉心を暴走させようとしているのか・・・」

竜馬 「自分もろとも、ブラックゲッターを自爆させるつもりなのかよ」

唯 「うん。そうして私たちをここから追い払って、そして・・・」

隼人 「その隙に本土をマグマの中に逃す算段ってわけだな」

弁慶 「じゃああいつ、最後には元から自爆するつもりで・・・」

竜馬 「ゴール、お前・・・」

隼人 「リョウ、脱出しよう。巻き込まれたら、俺たちはみんな蒸発しちまう」

唯 「ブラックゲッターのゲッター値、どんどん上昇してるよ。爆発までもう、時間が無い!」

弁慶 「無念だけど・・・リョウ」

竜馬 「・・・わかってる。行こう、脱出だ!」
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:53:18.58 ID:DemzQWa60
・・
・・


ゲッタードラゴンが、大空洞に侵入してきた穴より脱出し。

マシーンランドが溶岩層へ退避を終え。

大空洞には今、ただ一人。

死に体の帝王ゴールのみが残されていた。

どんどんと高まっていくゲッター値。炉心の暴走は、間もなく臨界を迎えようとしていた。

己の死が寸刻の先に迫った今、ゴールの胸に去来しているものはなにか。

勝負に敗れた無念か。

強敵に向ける敬意か。

己の人生の軌跡か。

帝国の行く末への懸念か。

それとも・・・


ゴール 「ジャテーゴ・・・」


万感の想いを込めて囁かれた娘の名前を最後に。

帝王ゴールの肉体は乗機と共に轟音の中で四散した。
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:55:39.26 ID:DemzQWa60
・・
・・


地上を目指すゲッターチームの元へも、岩肌を震わせ大空洞での爆発が伝わってきた。


竜馬 「ゴール・・・」

隼人 「さすがは恐竜帝国の帝王と言ったところか。奴もひとかどの男だったな」

竜馬 「ああ・・・多くの人の命や幸せを奪ったゴールを許す事はできねぇが・・・だけどよ」

竜馬 「もし、さだめが少し変わっていたら、あいつとは美味い酒が飲めてたかも知れねぇよな・・・」

隼人 「・・・考えても、せん無い事だ」

竜馬 「分かってる。なんにせよ、まだ終わりじゃねぇ。ゴールは倒したが、奴らの本拠はけっきょく無傷で残しちまった」

弁慶 「戦いはまだ終っちゃいない。物思いにふけるには、ちょいと早いってことか」

隼人 「確かに終わりじゃない。だが、物思いにふけるくらいの時間は貰えるんじゃねぇかな」

竜馬 「どういうことだ?」

隼人 「ずっと考えていたんだ。そしてやっと、納得のいく答えを割り出す事ができた」

竜馬 「・・・?もったいぶらずに、結論を言ってくれ」

隼人 「じゃあ、言おう。なぜやつ等が住処を発見される危険を冒してまで、俺たちにゲッターをぶつけてきたか」

隼人 「発見されたらされたで、ゴール自らが出てきて、賭けのごとき戦いを仕向けてきたのはどうしてか」

竜馬 「どうしてって、そりゃぁ・・・あ」
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 20:58:19.68 ID:DemzQWa60
竜馬 「奴らに残された時間がわずかだったってこと、か」

隼人 「ああ、おそらくはな」

弁慶 「あのー・・・俺にもわかるように、もちっと噛み砕いて話してくれないかなぁ」

竜馬 「休眠期だよ」

弁慶 「え・・・と?」

隼人 「爬虫類から進化した奴等が”冬眠”をする事はお前も知っているだろう」

弁慶 「じゃあ、あいつ等は目前に迫った休眠を前に地上を手に入れようとして、焦ってたってことなのか?」

竜馬 「ああ。そして、その目論見は俺たちがブッ潰した」

隼人 「奴等がどれ程の期間を休眠に費やすかは分からんが・・・ゴール自らが命を捨てて向かってきたくらいだ」

隼人 「おそらく当分は、日の目を見る事はなかろうよ」

弁慶 「そうか・・・じゃ、じゃあ、と言うことはさ・・・俺たち・・・勝った・・・んだよな・・・?」

竜馬 「とりあえずはな」

弁慶 「そうか・・・そうか!やった、やったぜ、俺たちは人類の未来を守り通したんだ・・・やった!!」

竜馬 「ああ、やったんだ。やったんだぜ。なぁ、武蔵・・・お前の死、無駄にはしなかったぞ・・・」

隼人 「リョウ・・・」

弁慶 「・・・」
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 21:02:31.66 ID:DemzQWa60
隼人 「・・・まぁ、とりあえずは一段落だ。だが、いつか奴等が復活した時のために、準備はおろそかにはできんがな」

竜馬 「わかってるさ・・・だが・・・」

隼人 「だが?」

竜馬 「こいつは・・・唯は。なぁ、もう良いだろう」

弁慶 「そうだよな。唯ちゃんはもう、十分過ぎるほど頑張ってくれたんだしな」

隼人 「ああ。いつ復活するか分からない敵に、いつまでも彼女を縛り付けておく必要も無いだろう」

竜馬 「そうさ。そういうのは、他に行き場が無い、俺たちみたいな人間の役割だ」

隼人 「・・・」

弁慶 「・・・」

竜馬 「唯・・・お前が言ってたとおり、戦いは終ったぞ。そう、最後の戦いが終ったんだ」

竜馬 「だから、お前はお前の居場所に戻れ。お前が守り通した友達の未来と、おまえ自身も共に歩むんだ」

唯 「・・・」

竜馬 「唯・・・?」
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 21:04:22.34 ID:DemzQWa60
弁慶 「疲れちゃって、寝ちゃったんじゃないか?」

隼人 「ならば、寝かせておいてやろう。琴吹重工までの道すがら、コクピットを揺りかごにするのも、なかなかおつな物さ」

竜馬 「そうだな。どうせ、唯がゲッターに乗る事はもう無いんだ。だったら最後くらいは、な」

弁慶 「それはそうとリョウ、唯ちゃんのこと、すっかり名前で呼んじゃってるのな」

竜馬 「・・・あ」

弁慶 「しかも呼び捨てにして、いやらしい奴だなぁ」

竜馬 「そんなんじゃねぇ、これはその、勢いでつい・・・」

弁慶 「勢い余って馴れ馴れしくしてみましたってか?自称硬派の言い訳はみっともないぜ」

竜馬 「弁慶、てめぇ後で覚えてろよ!ボロ雑巾みたいにズタズタに引き裂いてやるからな!」

弁慶 「おー、怖い怖い」

隼人 「ふ・・・青春だぜ」


唯 「・・・さよなら」


竜馬 「ん・・・?誰か、なにか言ったか?」

隼人 「いや・・・?」

竜馬 「そうか・・・空耳だったか?」


唯 「・・・」
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 21:06:12.92 ID:DemzQWa60
・・
・・

次回予告!


帝王ゴールは倒れ、恐竜帝国の脅威は去った。

人類に再び、希望に満ちた明日がもたらされたのだ!

・・・しかし。

唯を取り巻く人々にとっての本当の悲劇・・・

それはむしろ、戦いが終った今より始まろうとしていた。


次回 唯「ゲッターロボ!」最終回にご期待ください!
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/07(土) 21:10:16.62 ID:DemzQWa60
第三話終了です。

それでは次回の最終回でも、またお付き合い頂けたら嬉しく思います。

では、また後日・・・
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/07(土) 23:37:44.37 ID:4FyTYK710
乙!
次回から最終回か…楽しみなような寂しいような
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/10(火) 07:31:55.66 ID:irHmPLq7o
乙!
最終回楽しみに待ってるお。
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:11:22.44 ID:o0Z6kccI0
再開します。
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:12:18.84 ID:o0Z6kccI0
唯「ゲッターロボ!」最終回
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:14:31.36 ID:o0Z6kccI0
ある日の放課後!音楽室!


律 「あー、食った食った。ムギの煎れてくれるお茶は、お菓子が進むよなぁ」

澪 「お前はただ、食べたいだけだろ」

律 「あ、ばれてました?」

唯 「あはは」

紬 「お菓子もお茶も、まだあるわよ。たくさんお代わりしてねー」

律 「ひゃっほーい♪」

澪 「こら律!いつまでも食べてないで、いい加減練習をはじめるぞ!ムギも律を甘やかしすぎちゃダメだ!」

律 「へーい」

紬 「はぁーい」
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:15:30.07 ID:o0Z6kccI0
澪 「まったく・・・唯からもなにか言ってやってくれ」

唯 「あ・・・ごめん。私、そろそろ行かなきゃなんだ・・・」

澪 「え・・・あ、そうか。確か今日は・・・」

唯 「うん。ゲッターユイの操縦訓練の日」

律 「そっかぁ・・・じゃあ練習はお預けかな。唯がいないんじゃな」

唯 「ほんとゴメンね。私のせいで練習遅れちゃうよね・・・」

澪 「唯が謝る事ないよ。大変なのは唯だし、なによりもだ!」ギロリ

律 「どきっ!な、なぁに??」

澪 「どっちにしろ、律がまじめに練習をするはずがない」

律 「それはあまりと言えば、あまりじゃないかな!?」

唯 「澪ちゃん・・・」

律 「ちょっと腑に落ちないけど、まぁ、そういうことだ。ゲッターの訓練、がんばってな」

唯 「りっちゃん・・・」
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:17:43.45 ID:o0Z6kccI0
紬 「それじゃ私も・・・」

唯 「あ、ムギちゃんは良いよ。ここでみんなとお茶していて?」

紬 「え、でもそれじゃ・・・」

唯 「んーん、良いの。ね、ムギちゃん」

紬 「うん・・・わかった」

唯 「えへへ・・・それじゃ、みんな!行ってくるね!」

澪 「気をつけてな!」

律 「根性だぞ!」

唯 「へーい♪」


たったった・・・ばたん。


紬 「唯ちゃん・・・」

澪 「なんか・・・唯に気を使わせてしまったな」

律 「うん。気をつかってやらなきゃならないのは、本当はこっちの方なのにな」

紬 「・・・」
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:19:54.21 ID:o0Z6kccI0
澪 「あのさ・・・ちょっと聞いて欲しいんだけど」

律 「なんだぁ?」

澪 「私さ、いろいろ考えたんだ。唯は大切な友達だ。その友達が私たちやみんなのために戦ってくれてる」

澪 「すごく・・・ありがたい事だと思う」

律 「うん」

澪 「でさ、そんな唯に何かしてあげられることはないかなって。ずっとね、考えてたんだよ」

紬 「してあげられること・・・」

律 「気持ちは分かるけど、してあげられる事ったってなぁ。一緒に戦うなんてわけにもいかないし・・・」

澪 「別にそういう風に考える必要はないと思うんだ。私たちには、私たちにしかできない事があるだろ」

律 「例えば?」

澪 「律、ムギ。私たちはなに部だ?」

律 「けーおんぶ・・・」

紬 「あ・・・もしかして!」
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:22:52.68 ID:o0Z6kccI0
澪 「そうだよ、私たちは軽音部なんだよ!だったらさ、私たちにできる事。もう分かるだろ?」

律 「唯のために、音楽を演奏する!」

澪 「もう一歩ふみこんで!」

紬 「唯ちゃんに捧げる曲を作る!」

澪 「それだよ!」

澪 「命を賭けて戦ってる唯に歌のプレゼントなんて、正直能天気すぎるんじゃないかって、私も思う。だけどさ・・・」

澪 「私たちにできる事。唯に喜んでもらえる事。同じ軽音部の仲間として、もっとも相応しいこと。いろいろ考えたらさ・・・」

澪 「これしか、思いつかなかったんだ・・・」

紬 「澪ちゃん・・・」

律 「でもさー・・・」

澪 「律ぅ・・・反対か?」

律 「反対じゃないよ?悲しそうな目で見るなよ・・・」

澪 「うぅ・・・」

律 「良いアイデアだとは思うよ。だけどさぁ、歌詞は?曲は?私は歌なんて作ったことがないぞ?」
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:24:45.31 ID:o0Z6kccI0
澪 「あ・・・それだったらさ」


ごそごそ


澪 「これ、見て!」

律 「ノート・・・?」

澪 「詞、書いてみた!」

紬 「まぁ!」

律 「う・・・」

澪 「恥ずかしいけど・・・ちょっと読んでみてくれないかな・・・」

紬 「わぁ、楽しみだわ!りっちゃん、早くノート開きましょ!」

律 「あ、ああ・・・(嫌な予感しかしない・・・)」


ぺらっ


律 「う・・・こ、これは・・・!?」


タイトル 『わたしの恋はげったぁ☆ハート』


律 (タイトルだけで、この破壊力・・・そうだった。澪はこういう奴だった・・・)


紬 「・・・」

律 (ムギ、無反応だよ・・・!く・・・本文を読むのが、なんだか怖い)
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:26:41.85 ID:o0Z6kccI0
澪 「えへへ・・・な、なぁ・・・早く感想聞かせてくれよ・・・」

律 「ま・・・待ってろ。今、読むから・・・」


がんがん☆がんがん☆


律 (出だしから、これかぁ)


若い命 いっぱいに詰め込んだ 甘い想い

真っ赤に燃えて チョコレートフォンデュみたいに もうトロトロ☆


律 (うわぁ・・・)

紬 「・・・」


今だよ 無敵のげったぁ☆ハート! 

ガッツだ!ファイトだ!げったぁ☆ハート!


律 (う・・・もう限界だ)
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:29:26.27 ID:o0Z6kccI0
澪 「ど、どうかな!佐々木功さんのゲッターロボの歌、ちょっと参考にして作ってみたんだけど・・・」

律 「参考にしてこれかい!」

澪 「え・・・だめ?律、気に入らなかった・・・?」

律 「あ・・・いや・・・ダメって言うか、ほら・・・な、なぁムギ・・・」

紬 「素晴らしい・・・」ぼそ

律 「え・・・」

紬 「すごい、良いわ!良いわよ、これ!澪ちゃん、天才ね!私、気に入っちゃった!」

律 「えぇー・・・」

澪 「だ・・・だろ?!我ながら、私も上手にできたと思ってたんだ!」

紬 「うんうん!じゃあ、私。この歌詞に曲をつけるわね。きっと唯ちゃんに喜んでもらえる曲に仕上げてみせるわ!」ふんす!

律 「あ・・・あのさ、お二人さん・・・」
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:30:28.24 ID:o0Z6kccI0
紬 「りっちゃんには最終的なチェックをお願いするわ!部長として、いろいろな意見を聞かせてね!」

澪 「頼んだぞ!」

律 「えっと、じゃぁ・・・じゃあさぁ・・・」

澪 きらきら

紬 きらきら

律 「・・・あー・・・わかったよ。分かりました!もう、どうにでもなれだ!」

律 「よーし!じゃあ、夏休みの合宿までには完成させるぞ!そんで、唯にお披露目だ!」

澪 「そして、桜高祭では、唯も交えてこの曲で盛り上がれるといいなっ!」

律 「え・・・これ、人前で歌うの・・・?第三者の前で・・・?」

澪 「そんなの、当たり前だろ」

紬 「楽しみだわー」

律 「はぁ・・・ボーカルの役目は・・・澪が責任もって果たせよ」

澪 「えっ!?わ、私は無理だよ!」

律 「なんで?」

澪 「こんな恥ずかしい歌詞なんか歌えないよー」

律 「おい、作者!」

紬 「うふふ・・・」


紬 (私たちの歌・・・唯ちゃんへ贈る、私たちの紡いだ歌・・・軽音部みんなの歌!)

紬 (楽しみだわ、みんなで演奏する日の来るのが。ふふ・・・桜高祭が待ち遠しいわね)

紬 (ね・・・唯ちゃん・・・)
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:33:53.53 ID:o0Z6kccI0
・・
・・


琴吹邸 紬の私室


ちゅんちゅん


紬 「ん、ん・・・唯ちゃん」


ちゅんちゅん


紬 「・・・あ」

紬 「ゆ、め・・・?」


がばっ


紬 「・・・夢だったのね・・・あの日の・・・」

紬 「・・・」

紬 「唯ちゃん・・・唯ちゃん・・・今日はね、桜高祭なのよ・・・」

紬 「唯ちゃんが楽しみにしてた学園祭・・・軽音部初のステージがあるの」

紬 「そう、ステージよ。私たちが初めて人前で演奏を披露するの。曲はもちろん・・・」

紬 「・・・」

紬 「・・・」

紬 「唯ちゃん・・・あなたに会いたい・・・」
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:36:18.39 ID:o0Z6kccI0
・・
・・


同時刻 琴吹重工宿舎

社員食堂


弁慶 「ここの飯を食うのも、今日で最後か。美味かったからな、なんだか名残惜しいや」

隼人 「戦いも済んで、ゲッターの修理も終えた。俺たちがいつまでもここに厄介になるわけにもいかんだろう」

弁慶 「わかってるって。さてと、ちょっとお代わり持ってくら」

隼人 「豚になるぞ」

弁慶 「ぬかせ」とことこ

竜馬 「・・・」

隼人 「リョウ、荷物はまとめ終わったのか?間もなく集荷が来るころだが」

竜馬 「ああ」

隼人 「そうか・・・俺たちはこの後、桜高の学園祭に行くが・・・」

竜馬 「前にも聞いたよ。学園祭見て、その足で早乙女研に戻るんだろ」

隼人 「ああ。リョウ、お前も・・・」

竜馬 「何度も言わせるなよ。俺はいい。時間になったら、適当に早乙女研に戻るさ」

隼人 「・・・」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:40:31.39 ID:o0Z6kccI0
竜馬 「女がキャイキャイ喧しい所なんざ、興味はねぇよ。お前らだけで楽しんで来い」

隼人 「ああ、そうするか」

弁慶 「へへ・・・山盛り山盛りっと・・・なぁリョウ。お前、それで良いのか?」

竜馬 「なにがだよ、豚」

弁慶 「桜高祭に、そこでの軽音部のライブに来てくれって、それは唯ちゃんの望みだったんだぜ」

弁慶 「・・・正直、俺や隼人はおまけみたいなもんでさ。唯ちゃんは、一番親しくなったお前に来て欲しいって言ったんだ」

竜馬 「・・・」

弁慶 「なぁリョウ、行こうぜ。唯ちゃんが見せたがってた学園祭にさ」

竜馬 「食い意地張った豚が、いっちょまえに女心を語りやがる」

弁慶 「茶化すなよ」

竜馬 「・・・悪い」
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:43:33.15 ID:o0Z6kccI0
弁慶 「じゃあs
竜馬 「その唯が、もういない・・・」

隼人 「・・・」

弁慶 「リョウ・・・」

竜馬 「・・・ごっそさん。弁慶、気ぃ使ってくれてありがとな」とことこ

弁慶 「あ、待てよリョウ・・・」

隼人 「今は放っておいてやれ」

弁慶 「だけど・・・」

隼人 「あいつは強い男だ。じきに自分を取り戻すだろう。だが、今は・・・」

隼人 「今は時間が解決してくれるに頼るしかない」

弁慶 「残酷だよな・・・」

隼人 「大切な人を失うというのは、そういうことなのさ・・・」

弁慶 「・・・」

隼人 「だがまぁ、奴の中の時間を進める手助けなら、手立てが無いわけでもないんだがな」

弁慶 「え、なんだよ、それ」

隼人 「出掛けにでも、あいつの尻を蹴っ飛ばしに行ってみるさ。ま、そこは任せておけ」

弁慶 「了解だ」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:44:54.70 ID:o0Z6kccI0
・・
・・


桜ヶ丘高校 音楽室


律 「間もなく本番だな」

澪 「うん・・・ギターが抜けちゃってて、何ともしまりが無いバンドになっちゃったけどな」

律 「仕方がないだろ。唯がいないんだから」

澪 「うん」

律 「私たちのギターは、唯しかいないんだから、さ・・・」

澪 「そうだね」

紬 「・・・」

律 「ムギ・・・」

紬 「・・・なぁに?」

律 「なぁ、唯はいつ私たちの前に戻ってこられるんだ?」

紬 「そ、それは前にも話したとおり・・・」

澪 「うん、作戦上の都合で、しばらく顔を出せないってんだろ。何度も聞いたよ」

紬 「そうなの・・・だから・・・」

澪 「でも、そう聞かされてから、もう一ヶ月近くになる・・・」

紬 「・・・」

律 「私たちが最後に唯に会ったのはさ。海に行った、あの合宿の初日だぞ。それからずっと・・・一回も顔を見せないなんて・・・」

澪 「親友の真鍋さんも、それと相前後して姿を消してしまったし」

紬 「・・・」
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:46:33.44 ID:o0Z6kccI0
律 「なぁムギ。いくら私たちが戦いの外にいたからって、さすがに何かがおかしいって事くらい気がついてる」

澪 「ねぇ・・・唯に何があったんだ?」

紬 「あ、あは・・・別に何も。もうすぐ本番前なのに、なにも今こんなこと・・・」

澪 「今だからだよ!」

律 「唯の抜けた状態で演奏するんだ。何があったか知らないままじゃ、自分に納得ができないんだよ」

紬 「澪ちゃん・・・りっちゃん・・・」

澪 「・・・」

律 「・・・」

紬 「・・・ごめんなさい」ぽろ

律 「ムギ・・・」

紬 「・・・ほんと・・・ごめんなさい・・・ごめんねぇ・・・」ぽろぽろ

澪 「・・・聞かせてくれるよね、ぜんぶ。本当のこと」

紬 「うん・・・うん・・・」
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:47:56.56 ID:o0Z6kccI0
そして、紬は話した。

涙をふきふき、嗚咽交じりに。ゆっくりと、しかし包み隠さず。

唯の身に起こった全ての事を。

一部始終。


あの合宿の日に襲ってきた敵が、真鍋和であった事。

和が乗っていた機体には、憂も一緒だった事。

二人を救う術が無いと判明した時、唯はやむなくゲッターユイに親友と妹を取り込ませた事。

その事で心に深い傷を負った唯は、とても皆の前に顔を出せる状態ではなくなってしまった事。


律 「・・・」

澪 「・・・」

紬 「それでね、りっちゃん達には唯ちゃんが忙しいから顔を出せないっていう嘘をついてしまったの・・・ごめんなさい・・・」

澪 「そんなことが・・・」

律 「唯・・・」
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:49:36.10 ID:o0Z6kccI0
紬 「それでも唯ちゃんは、敵の帝王を倒すために再びゲッターユイに乗ってくれた。そして・・・」


苦戦しながらも、なんとか帝王ゴールの駆るブラックゲッターを倒せた事。

しかし、その代償として支払った対価は、あまりにも大きなものだったという事・・・


律 「え、なんだよそれ。敵のボスを倒せて、それならそこでハッピーエンドじゃないのか?」

澪 「戦いは終ったんだろ?だったらどうして、唯は私たちにメールの一つも返してくれないんだ?」

紬 「唯ちゃんのこと、二人にずっと黙っていられるなんて、最初っから思っていなかった。だけど・・・」

紬 「せめて桜高祭だけは・・・唯ちゃんが楽しみにしていたライブだけは無事に終らせたい。そう思ったから・・・」

紬 「だからね、これから言う事は・・・本当はこの後。ライブが全て終ってから、打ち明けるつもりでいたの」

澪 「ちょっとムギ・・・それってどういう意味?」

律 「聞いちゃったら、ライブもまともにできない・・・つまり、それだけショッキングな内容だってことか?」

紬 「うん・・・」

澪 「り、律・・・」

律 「今さらビビッても仕方がないだろ。聞いても聞かなくても、起こってしまった事に変わりはない。そうなんだろ、ムギ」

紬 「そうよ・・・」

律 「じゃあ、話してくれ。唯にいったい、なにが起こったのかを・・・」

紬 「分かったわ・・・あの時・・・戦いを終え、琴吹重工に帰還したゲッターロボを出迎えた、あの時のことを・・・」
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/25(水) 15:51:31.32 ID:o0Z6kccI0
次回へ続く!
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/25(水) 20:06:08.88 ID:DoK1QzCZ0
乙!
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 06:53:12.79 ID:Loh1ThXSO
乙!
実は虚無ENDを期待してたりする
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:40:49.09 ID:sy4M6jFs0
再開します。
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:43:36.50 ID:sy4M6jFs0
・・
・・


回想


最終決戦の後

早乙女重工 格納庫内


竜馬 「・・・唯の反応が無いって、そりゃどういうことだ?」

紬 「わからないわ!・・・無理な変形をしたため搭乗口を失ってしまった機体に、新たに出口を作ろうとしたんだけど・・・」

紬 「どこに唯ちゃんがいるのか分からない。呼んでもぜんぜん応えてくれない!・・・それどころか・・・」

紬 「ゲッターユイ・・・グレートギー太トマホークのどこにも、生体反応が存在しないの!」

竜馬 「バカな・・・そんなバカな・・・だって唯は、あいつは俺たちと一緒にゴールを倒して、生きてここに戻ってきたじゃねぇかよ!」

紬 「じゃあ、どうして唯ちゃんの反応が無いの?!呼びかけても答えてくれないの!?」

紬 「流さん、あなたたち唯ちゃんとずっと一緒だったじゃない!彼女に何があったの!?」

竜馬 「なにって・・・」

隼人 「・・・」

紬 「ねぇ!」
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:45:07.17 ID:sy4M6jFs0
隼人 「リョウもお嬢も少し落ち着け。今、ゲッターユイの機体をスキャニングしてるんだろ?」

弁慶 「そ・・・そうだよ。コクピットの場所さえ分かれば・・・」

隼人 (だが、まさか・・・な・・・)

技師 「皆さん、お嬢様・・・ゲッターユイのスキャン結果がでました・・・」

紬 「あ・・・!そ、それで、どうだったんです!?唯ちゃんは?コクピットの場所は・・・!?」

技師 「そ・・・それが・・・非常に申し上げにくいのですが・・・」

竜馬 「まどろっこしいな!とっとと結果を話してくれ!」

技師 「・・・スキャンした結果をプリントアウトした写真・・・これを見ていただいたほうが早いかと・・・」


すっ


竜馬 「・・・え」

紬 「そ、そんな・・・」

弁慶 「どうしたんだ、二人とも・・・俺にも見せ・・・な、なんだよ、これ!?」

隼人 (・・・やはり、そうか・・・そういう事なのか・・・)
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:48:31.31 ID:sy4M6jFs0
技師 「ご覧の通り、現状のゲッターユイには・・・」


技師 「コクピットが存在しません・・・!」


竜馬 「存在しないって、何だよ・・・だっておかしいだろ!?唯は現に、ゲッターのコクピットに乗って出撃したんだぜ!?」

紬 「そうよ・・・こ、この写真は何かの間違いよ・・・もう一度、ね?もう一度、スキャンしてみましょう?そうすれば・・・」

技師 「し、しかし・・・」

隼人 「・・・融合だ」

紬 「え・・・」

隼人 「平沢唯はゲッターユイを変形させるために、真鍋和や妹の憂の時と同じように・・・」

竜馬 「・・・は、隼人・・・まさか・・・」

隼人 「自分自身をゲッターと融合させたんだ・・・!」

紬 「え・・・そ、そんな・・・」

竜馬 「ゆ、唯・・・」
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:50:10.82 ID:sy4M6jFs0
紬 「そんなの、嘘よ・・・嘘って言ってよ・・・ねぇ」

隼人 「・・・」

紬 「いや・・・いやよ、そんなの・・・和ちゃんや憂ちゃんに続いて、唯ちゃんまで・・・」

紬 「そんなのいやぁっ!」


くらっ


紬 「・・・あ」


どさっ


弁慶 「紬ちゃん!」

紬 「・・・」ぺたん
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:51:21.72 ID:sy4M6jFs0
隼人 「ショックで腰が抜けたか・・・無理もない。弁慶、彼女を部屋まで運んでやってくれ」

弁慶 「あ、ああ。行こうぜ、紬ちゃん・・・」

紬 「唯ちゃん・・・唯ちゃん・・・う・・・う・・・」

紬 「うえええええええん・・・」


よたよた・・・


隼人 「・・・」

竜馬 「・・・んなわきゃねぇ」

隼人 「ん・・・?」

竜馬 「へ・・・そんなはずあるかよ・・・融合って・・・唯が消えちまったって?」

竜馬 「悪い冗談だ、ありえねぇ。だってさ、そうだろうが。なぁ、隼人・・・」

隼人 「・・・」

竜馬 「唯には帰る場所があるんだぜ?守り通した大切な友達と、そいつらが待つ居場所があるんだ。それなのに・・・」

竜馬 「それをほっぽって、唯がいなくなるはずなんざねぇ!」

隼人 「リョウ・・・」

竜馬 「いなくなるはず、あってたまるかあああああああっ!!」
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:53:20.62 ID:sy4M6jFs0
・・
・・


回想終って、舞台は再び現在の軽音部へ。


澪 「う・・・嘘だろ・・・」

律 「和も憂ちゃんも消えちゃって・・・今度は唯までいなくなってしまったって言うのか・・・?」

紬 「うん・・・」

澪 「もう唯に会えないって言うの!?唯の笑顔、見られないって言うのか!?」

紬 「うん・・・」

律 「は・・・はは・・・じょ、冗談きついぜ・・・」

紬 「・・・」

律 「は・・・」


ぺたん


澪 「り、律・・・だいじょうぶか!?」

律 「あー、だいじょうぶだいじょうぶ・・・だいじょ・・・う・・・ふぐぅ・・・」

律 「唯・・・唯ぃぃ・・・ふぐっ・・・うえええええん・・・」

澪 「律ぅ・・・う、ぐすっ・・・」

紬 「・・・」くすん
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:55:20.42 ID:sy4M6jFs0
・・
・・


琴吹重工宿舎 竜馬の部屋


こんこん


竜馬 「どうぞ」


がちゃっ


隼人 「よう」

竜馬 「おう、どうした?」

隼人 「そろそろ出るんでな。一応、言いに来た」

竜馬 「そうか。ま、楽しんできてくれよ」

隼人 「お前の分もな」

竜馬 「へっ」

隼人 「それとな、もう一つ。ちょっと、お前に言っときたいことがあってな」

竜馬 「なんだよ、改まって。早く行かないと、ライブに間に合わないんじゃねぇのか?」

隼人 「なに、そんなに時間はとらせないさ」

竜馬 「ふーん・・・で、なんなんだよ?」

隼人 「平沢唯との、ちょっとした思い出話だよ」

竜馬 「あん?」
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 09:58:28.35 ID:sy4M6jFs0
隼人 「あれは・・・彼女がゲッターユイに乗って間もないころの事だ。たまたま二人きりになる事があったんでな、その時に聞いてみたんだ」

竜馬 「聞いてみたって・・・なにを?」

隼人 「どうしてゲッターに乗って、戦いの渦中に身を投じる気になったのか。その決心をどうやってつけたのかを、な」

竜馬 「・・・」

隼人 「正直俺は、今までを普通の少女として過ごしてきた平沢唯が、自らゲッターに乗る事を承諾するとは思っていなかった」

隼人 「故にだ。場合によっては、多少手荒なマネをしてでも、なんて事を考えていた時期もあったのさ。ところが・・・」

隼人 「俺の意に反して、彼女はゲッターと共に戦う道を進んで選択した。ほんと、意外だったよ」

竜馬 「・・・それで?」

隼人 「だから聞いてみたのさ。なにがお前さんの背中を押したのかってな」

隼人 「彼女は言った。戦う理由。それはもちろん、大切な人や場所を守りたいが為だ。だが・・・」

隼人 「戦いを恐れ逡巡する気持ちに蹴りをつけ、一歩踏み出す事ができたのは、リョウ。お前のおかげであると」

竜馬 「え・・・」

隼人 「人々のささやかな幸せを守りたい。そして・・・」

隼人 「幸せを享受するものと、それを支えるものと。どちらも必要なもの。ならば自分は守る立場になろう・・・」

竜馬 「それって・・・」

隼人 「ああ、お前の言葉だそうだぜ。その言葉に触れ、背中を押され・・・彼女は戦う決意を固めたと俺に語っていた」

竜馬 「・・・」
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 10:00:01.40 ID:sy4M6jFs0
隼人 「お前の言葉がずっと心に残っていたんだろう。だから、戦いの最後の局面で彼女は・・・」

隼人 「わが身を投げ捨ててでも、守る立場に回る事を選んだのではないかな・・・」

竜馬 「唯がそんなことを・・・」

隼人 「慣れない戦いの中にあって、お前は確かに彼女の心の支えだった。そのお前がだ・・・」

隼人 「自分のことでいつまでもいじけられたとあっては、平沢唯はどう思うかね?」

竜馬 「俺は別にいじけてなんて・・・」

隼人 「と、まぁ。ちょっとした思い出話を語りたくなって、ここに来たってわけだ。聞き流してくれて良いぜ」

竜馬 「お前な・・・」

隼人 「ふ・・・さて、本当にそろそろ時間がやべぇ。じゃ、行ってくるわ。・・・リョウ」

竜馬 「なんだよ」

隼人 「お前も気が向いたら、後から来い」


とことこ・・・ばたん。


竜馬 「あ、ちょ・・・」

竜馬 「・・・」

竜馬 「隼人の野郎・・・」
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 10:02:44.64 ID:sy4M6jFs0
・・
・・


桜ヶ丘高校 音楽室


律 「・・・」ぼー

澪 「・・・」ぼー

紬 「りっちゃん、澪ちゃんも。そろそろ講堂に行かないと・・・もうすぐ私たちのステージの時間になっちゃうわよ」

律 「はぁ・・・ムギさぁ、無理だよ。こんなんじゃとても・・・」

澪 「とても歌を歌う気分になんかなれない・・・」

律 「棄権しよう。こんな気分で歌ったって、ぜんぜん楽しくないしな」

澪 「そうだよな。唯がいないんじゃ・・・」

紬 「だめよ」

律 「ムギ・・・」

紬 「そんなこと、唯ちゃんは望んでいないわ」

澪 「そんな事言ったって・・・なぁ」

紬 「唯ちゃん、桜高祭を・・・ライブを・・・ううん・・・ライブそのものよりも・・・」

紬 「私たちみんなで作った歌をステージで歌える。その事をとても心待ちにしていたの、二人とも知っているでしょ?」

澪 「・・・」
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 10:06:19.14 ID:sy4M6jFs0
紬 「それなのに、自分のことでライブが中止になっちゃったら、唯ちゃんどう思うかしら。きっと、悲しむわ」

律 「だけど・・・だけどさぁ・・・」

紬 「繋がってる・・・」

澪 「え・・・?」

紬 「唯ちゃん言ってた。全ての物は、元々は一つなんだって。和ちゃんも憂ちゃんも、唯ちゃんも・・・だから・・・」

紬 「存在のありようは変わってしまったけれど、私たちだって一緒」

紬 「今までもこれからも、ずっと変わらない・・・唯ちゃんたちと私たちは一つ・・・」

紬 「軽音部を通じて、ずっとずっと繋がっているの」

律 「だってそんなの、あんまり悲しすぎるじゃないかよ・・・」

紬 「うん、悲しいわ。だからせめて、彼女との繋がりを。唯ちゃんが大切にしたものを無下にはしたくないの」

紬 「みんなの未来。私たちの明日。大切な場所・・・軽音部」

澪 「唯が守ってくれた・・・大切な場所・・・」

紬 「私たちが今の悲しみに負けて、それを放り出したら。それこそ唯ちゃんに会わせる顔が無い。私はそう思う」

律 「そうか・・・唯・・・今日のライブだって、お前が守ってくれた未来の一つなんだよな・・・」

澪 「唯・・・」

律 「やろうか、ライブ」

澪 「うん・・・」

紬 「りっちゃん・・・澪ちゃん・・・」

律 「ただし。この悲しい気持ちは切り替えられない。こんな気分で歌うんだ。ちゃんと演奏しきれるかどうかは、保障できないからな」

紬 「わかってる。それは私も一緒」

律 「よし、そうと決まったら講堂に移動だ」
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/26(木) 10:08:12.17 ID:sy4M6jFs0
次回へ続く!
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:28:20.88 ID:Q8uWwCnM0
再開!
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:32:06.97 ID:Q8uWwCnM0
・・
・・


琴吹重工 格納庫


かつては二体のゲッターロボが、その勇姿を競っていた格納庫。

しかし、過日の華やかさは失われ、今は寂しくただ一機。

巨大なギー太と姿を変えたゲッターユイのみが、静かに安置されていた。


「・・・よぉ」


そんな人影が絶えた格納庫で、物言わぬゲッターユイに語りかけたのは誰あろう。

桜高祭に行かずに独り残った、流竜馬であった。


竜馬 「ここも寂しくなっちまったな。ゲッターGは俺たちに先だって、早乙女研の方に戻しちまったからな」

竜馬 「なぁ・・・こんなガランとした中で独りじゃ、お前も寂しいだろうな」


しかし返される返事とてなく。

人気にない格納庫内には、空しく竜馬の声のみが反響していた。


竜馬 「・・・へ」

竜馬 「なんつっても、返事があるわけもねぇか。ま、いいや。聞こえてるなら、黙って聞いていてくれ」
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:34:07.78 ID:Q8uWwCnM0
竜馬 「俺たちな、今日。早乙女研に帰るぜ。戦いも終ったし、ここに厄介になる意味も無くなったからな」

竜馬 「そうしたら、お前ともお別れだ」

竜馬 「・・・」

竜馬 「だからな、最後くらい一緒にCDでも聞こうかと思ってな・・・」

竜馬 「ほれ、ラジカセ持ってきたんだ。喋れない今のお前でも、音楽くらい聴くことはできるんだろ?」

竜馬 「・・・」

竜馬 「・・・じゃ、かけるぜ」がちゃっ


〜〜〜♪

がんがん☆がんがん☆

若い命 いっぱいに詰め込んだ 甘い想い〜♪


竜馬 「・・・」


真っ赤に燃えて チョコレートフォンデュみたいに もうトロトロ☆

今だよ 無敵のげったぁ☆ハート!


竜馬 「へ・・・すげぇ歌詞だな」
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:38:38.74 ID:Q8uWwCnM0
竜馬 「ああ、そうだよ。唯・・・お前たちの歌だ。お前がコクピットで聴いていたのと、同じ音源のな」

竜馬 「悪いな。ちょっとお前の部屋から拝借させてもらったぜ」


〜〜〜♪


竜馬 「・・・」

竜馬 「・・・さっきな。隼人の奴から活を入れられちまった。お前の事で俺がいじけていたら、お前はどう思うんだろうなって」

竜馬 「とっさにいじけてねぇって言い返しちまったが、強がっても仕方がねぇ。認めるぜ、確かに俺はしょげ返っていた」

竜馬 「お前を失った辛さに・・・心が萎縮して卑屈になりすぎていたんだ。なさけねぇ・・・」

竜馬 「だけど、それは仕方がない事だろ・・・なぜなら・・・お前は・・・俺にとって・・・」

竜馬 「・・・」


ガッツだ!ファイトだ!げったぁ☆ハート!


竜馬 「・・・俺は歌の事はよく分からん」

竜馬 「上手いのか下手なのか。流行の曲調なのか、そうじゃないのか。俺にはさっぱりだ」
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:41:06.81 ID:Q8uWwCnM0
竜馬 「だが、分かることもある。一つ言えること、この歌・・・本来のあり様じゃ決してねぇ」


〜〜〜♪


竜馬 「・・・大切なものが足りない。パズルのピースが一つ、抜け落ちてしまっているかのように・・・」

竜馬 「不完全だ。そう、魂が欠けちまってる」

竜馬 「そうだ。この歌には、本来ピッタリとはまるはずのピースが欠けているんだ」

竜馬 「平沢唯というピースがな・・・!」


〜〜〜♪


竜馬 「この歌は今の俺と一緒だ。お前を失ってしまった事によって、魂の真ん中にぽっかりと穴が開いちまってる」

竜馬 「それだけお前と言う人間は俺たちに・・・お前と関わった人間すべてに影響を与えているんだ」


〜〜〜♪


竜馬 「俺はもういじけないぜ。思いの丈、この場で全部お前にぶつけてやる!」

竜馬 「今お前の友達が、学祭のステージに立とうとしている!」

竜馬 「お前は”平沢唯”というピースが抜けた紛い物の歌を、衆人環視の中で友達に歌わせるつもりか!?」
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:42:05.89 ID:Q8uWwCnM0
竜馬 「お前たち軽音部は四人で一つのチームなんじゃないのか?」

竜馬 「俺たちゲッターチームと同じ、一人でも欠けちゃいけない、最高の仲間のはずだろうが!?」


〜〜〜♪


竜馬 「だったら、唯!お前の居場所はどこだ!?」

竜馬 「誰とも触れ合えない、語り合う事もできない、ゲッターという得体の知れない霧の向こう側にあるのか!?」

竜馬 「そうじゃねぇだろ!俺のいる・・・マユゲやデコや黒髪、みんなのいる・・・」

竜馬 「こっち側にあるんじゃねぇのか?・・・そうだ、お前の居場所はここに・・・」


竜馬 「ここにあるんだああああああっ!!」
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:43:20.09 ID:Q8uWwCnM0
・・
・・


桜ヶ丘高校 講堂


アナウンス 「〜以上、合唱部でした」


ざわざわ ざわざわ


弁慶 「いやぁ、今の合唱部の女の子たち、可愛かったよなぁ!」

隼人 「お前は・・・もう少し芸術を愛でるという、高尚な目線で見られないものかね」

弁慶 「だってここは、女子高生たちの花の園だぜ。そんなん無理無理!」

隼人 「恥ずかしい奴だな」


アナウンス 「次は、軽音楽部によるバンド演奏です」


弁慶 「お・・・いよいよだな」

隼人 「ああ・・・」

弁慶 「幕が開くぜ」


ぱちぱちぱちぱち


紬 「・・・」

律 「・・・」

澪 「・・・」


なにあれー 

かわいー

何組の子ー??


さわ子 「私、グッジョブ!」←初登場・出番終わり
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:44:59.77 ID:Q8uWwCnM0
弁慶 「あの子らが唯ちゃんの仲間たちか」

隼人 「お嬢以外は、俺たちは初めて見るものな」

弁慶 「可愛い衣装着てるなぁ。みんな良く似合ってる」

隼人 「ああ」

弁慶 「唯ちゃんも・・・あんな服着て、ステージに立ちたかったろうな・・・」

隼人 「・・・」

弁慶 「みんな、唯ちゃんのこと・・・知ってるのかな」

隼人 「いつまでも隠し通せる事じゃない。お嬢の口から聞かされているんじゃないか」

弁慶 「そうか・・・」

隼人 「しんみりするな。今までのテンションでステージを楽しもうぜ」

弁慶 「でも」

隼人 「じゃなきゃ、この場に来られない平沢唯に申し訳が立たん」

弁慶 「あ・・・う、うん。そうか・・・そうだよな!」
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:46:46.88 ID:Q8uWwCnM0
隼人 「さ、始まるぜ」


澪 「え・・・えっと・・・みなさんこんにちわ。軽音部です」

澪 「今日は私たちの演奏を聴きに来てくれて、どうもありがとう・・・」

澪 「・・・その・・・ええと・・・」

澪 「今回・・・私たちのバンドには、いるべきはずの人がいません・・・」


ざわざわ


澪 「ギター兼ボーカルの子が、今日はちょっと・・・その・・・」

澪 「・・・事情があって来られなくなっちゃって・・・」

澪 「・・・」

澪 「・・・ぁぐっ」


ざわざわ


弁慶 「隼人ぉ・・・」

隼人 「情けない声を出すな。俺たちはただ、見守ることしかできん」

弁慶 「辛いなぁ・・・」

隼人 (あの子らの表情・・・全てを知ったな・・・)
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:48:17.00 ID:Q8uWwCnM0
澪 「・・・」

律 「澪っ」

紬 「澪ちゃん!」

澪 「うん・・・」

澪 「ごめんなさい!えっと、今日はその子の分も精いっぱい演奏します。聴いてください!」

澪 「わたしの恋はげったぁ☆ハートっ!」


じゃじゃーんっ♪

わーわー!


澪 「若い命 いっぱいに詰め込んだ 甘い想い〜」


わーわー!


澪 「真っ赤に燃えて〜」


わーわー!


澪 「チョコレートフォンデュみt


わーわ・・・


澪 「・・・たいに・・・もう・・・と・・・」


ざわざわ


澪 「・・・ト・・・ロ・・・ト・・・」

澪 「・・・」


ざわざわ

どうしたんだろう?

歌詞忘れちゃったのかなー?


弁慶 「ああ〜・・・」おろおろ

隼人 「・・・」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:51:18.61 ID:Q8uWwCnM0
律 (澪・・・)

紬 (澪ちゃん・・・)

澪 「ご・・・ごめ・・・二人とも、私やっぱり、こんなんじゃ歌えない・・・」

澪 「ごめん・・・ごめんね・・・ごめんねぇ唯ぃ・・・」ひっくひっく

律 「仕方がないよ・・・ムギ、やっぱり私たち・・・」


? 「真っ赤に燃えて チョコレートフォンデュみたいに もうトロトロ〜☆」


澪 「・・・えっ」

律 「っ!!」

紬 「あ・・・あっ!」


? 「みんなぁ、遅れてごめんねーっ!」とてとてとてっ


澪 「ゆ・・・ゆ・・・」

律 「唯っ!!」

紬 「唯ちゃんー・・・っ!?」
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:52:39.51 ID:Q8uWwCnM0
唯 「えへへ・・・澪ちゃん、りっちゃん。それにムギちゃん。遅くなっちゃってごめんね」

澪 「ほ、本当に唯・・・本当に本物の唯なのか?」

律 「お前・・・だって・・・え、どういうこと?ど、どうしてここにいるんだ・・・?」

唯 「どうしてって・・・そんなの当然じゃん。だってさ、ここが。みんなのいる、この場所が」


唯 「それが私の居場所なんだもん!」


紬 「唯ちゃん・・・お帰りなさい」

唯 「うん。ただいま!ムギちゃん」

澪 「うわーん、唯ぃ、唯が帰ってきたぁ〜〜〜!」がばっ

唯 「ひゃぁ、澪ちゃん!あ、あは・・・澪ちゃんの甘えん坊さん」

澪 「だって、唯・・・私、私ぃ・・・」ぐすぐす

唯 「・・・ただいま、澪ちゃん」

律 「・・・そうだよな。そうだよ!唯が私らおいて、いなくなっちゃうなんて、あるはずがないもんな・・・!」

唯 「うん、そうだよ!りっちゃん、ただいま!」

律 「おかえり、唯!」
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:53:35.92 ID:Q8uWwCnM0
ざわざわ

え、なになに?

なにかあったのかしら?


唯 「あ・・・いけない。みんな、まだ幕は開いたばかりなんでしょ?演奏、仕切りなおそうよ!」

澪 「うぇ?」

唯 「お客さんたち、待ってる!」

律 「あ、いっけね!」

澪 「そ、そうだったな!」

律 「よーし!積もる話はステージの後だ!まずはやるべき事、やっちまうぞ!」

澪 「うん!」

紬 「やっちゃおー!」

律 「それ!わん・つー!」


じゃじゃーん!


憂 「きゃー、お姉ちゃんっ!」

和 「唯、がんばってー!」


弁慶 「唯ちゃん・・・」

隼人 「真鍋和に、妹の憂まで・・・これは一体、どうなっているんだ・・・」

竜馬 「はーやれ、どうにかまにあったな。車飛ばして来た甲斐があったってもんだぜ」

隼人 「リョウ!」

弁慶 「リョウ、ゆ、ゆ、唯ちゃんたちが!!」

竜馬 「落ち着けよ。説明は後だ。まずはあいつらの音楽を聴かせてもらうとしようぜ」

竜馬 「ピースの揃った、連中の本当の音楽を、な?」
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:55:17.24 ID:Q8uWwCnM0
・・
・・


時間も空間も、個体の別も無く。

ただ全てが一つとして存在する空間。

そこに私はいた。

全ての物は、元々はひとつ。みんながそこにいる。

その場所のいる時の私には、確かに全てが”分かって”いた。

宇宙の原理に身を任せよう。

そう、思っていた。


でも・・・


心の別のところでは、その場所に居続けることに抗っている私もいた。

ここじゃない。

私の場所は。私の居場所はここじゃないはず。

全てが一つとなった世界。全てが存在する空間。

だけど・・・

ムギちゃんやりっちゃん、澪ちゃん。そしてリョウさんたち・・・

大好きな人たちとは、同じ時間を歩む事ができない場所・・・

たまらなく、寂しかった。
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:56:55.04 ID:Q8uWwCnM0
受け入れるしかない。


だんだんと薄れいこうとしている私個人の自我が、今あるこの状況を肯定しようとしていた。

だってこれは、私自身が選択したこと。

ゲッターの意志とか運命とか、そんなの関係無しに、私が選んだ未来。

大好きな人と大切な場所のために、たとえ私が私じゃなくなってしまっても。

そう、私のために和ちゃんや憂がしてくれたのと同じように。

私もみんなのためにできる事をしようと、行動した結果が今の状況なのだから。


ユイ 「唯ちゃん、ありがとう」

唯 「・・・ユイ?」

ユイ 「私のお願い、聞いてくれてありがとう。人類を・・・生物の進化を守ってくれて、どうもありがとう」
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:57:49.95 ID:Q8uWwCnM0
唯 「そんな〜、礼を言われることじゃないよ。私は自分がやりたい事をやっただけ」

唯 「お願いされたとか、誰かの意思だとか。きっかけはともかく、やり終えた今はね・・・」

唯 「そんなことは関係ないんだよ」

ユイ 「うん、それでもね。唯ちゃんが守りたいって思ってくれたから、思ってくれたから。いろいろな物を守る事ができたんだよ」

ユイ 「唯ちゃんの意志こそが、ゲッターの意志なんだから」

唯 「でも、守れないものもあったよ・・・」

ユイ 「うん・・・」

唯 「だから私、ここで守れなかった人たちと一つになる。そして、これからずっと・・・」

唯 「もう、大切な人を失って悲しい想いをする人が現れないように・・・みんなを見守っていくの」

ユイ 「・・・」

唯 「なんで寂しそうな顔をしているの?」

ユイ 「唯ちゃんには無理かも・・・」

唯 「え・・・なにが・・・?」

ユイ 「悲しい想いをする人が現れるの、あなたに防ぐ事はできない」
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:58:43.26 ID:Q8uWwCnM0
唯 「な、なんで〜?」

ユイ 「だって、ほら・・・」


(律 「唯・・・唯ぃぃ・・・ふぐっ・・・うえええええん・・・」)

(澪 「律ぅ・・・う、ぐすっ・・・」)

(紬 「・・・」くすん)


唯 「みんな・・・」

ユイ 「唯ちゃんがいなくなって悲しんでいる人のこと、ここからじゃ助けてあげる事なんてできやしないよ」

唯 「あ・・・あぐ・・・で、でも!じゃあ、どうしたら良いの?」

ユイ 「・・・」


(竜馬 「お前たち軽音部は四人で一つのチームなんじゃないのか?」)


唯 「あ・・・リョウさん・・・」


(竜馬 「俺たちゲッターチームと同じ、一人でも欠けちゃいけない、最高の仲間のはずだろうが!?」)


唯 「チーム・・・最高の仲間・・・」


(竜馬 「だったら、唯!お前の居場所はどこだ!?」)

(竜馬 「誰とも触れ合えない、語り合う事もできない、ゲッターという得体の知れない霧の向こう側にあるのか!?」)


唯 「・・・っ!」
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 13:59:36.93 ID:Q8uWwCnM0
(竜馬 「そうじゃねぇだろ!俺のいる・・・マユゲやデコや黒髪、みんなのいる・・・」)

(竜馬 「こっち側にあるんじゃねぇのか?・・・そうだ、お前の居場所はここに・・・」)


唯 「私の居場所・・・私がいたい場所・・・それは・・・」


(竜馬 「ここにあるんだああああああっ!!」)


唯 「リョウさんっ!」


ユイ 「・・・」

唯 「う・・・う・・・ひっぐ・・・ふぇええ・・・」

ユイ 「唯ちゃん・・・」
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 14:00:22.26 ID:Q8uWwCnM0
唯 「戻りたい。みんなの所に戻りたいよぉ・・・だけど、だけど・・・」

唯 「私のせいで、和ちゃんも憂もこっちに来ちゃったのに、なのに私ひとり・・・」

唯 「私ひとりだけ帰りたいなんて、そんなふうに思っちゃいけないんだもん・・・絶対ダメなんだもん!うあああああん・・・」

ユイ 「・・・」

唯 「ユイのバカバカ。せっかく気持ちの整理がつきかけてたのに、なんでこんなの見せるのさぁぁ・・・うああああん・・・」

ユイ 「・・・望んで欲しかったから」

唯 「ふぇ・・・?」

ユイ 「唯ちゃんの意志で、元の場所に戻りたいって、そう思って欲しかったから・・・」

唯 「ユイ・・・??」

ユイ 「唯ちゃんの意志で帰りたいと。そう願って欲しかった。そうしたら、私は・・・」

唯 「か、帰れるの?私、元の場所に戻ることができるの?」

ユイ (こくり)
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 14:01:30.21 ID:Q8uWwCnM0
唯 「で、でも・・・やっぱりダメだよ。和ちゃんや憂を残してはいけない・・・」

ユイ 「唯ちゃん、覚えてる?私たちがお話できるようになって、間もなかったころの事」

唯 「え・・・」

ユイ 「私、言ったよ。私はあなたを守る。それは、あなたの身体だけではなく・・・」

唯 「・・・」

ユイ 「心・・・までも」

唯 「あ・・・」

ユイ 「ね。私が唯ちゃんたちを戻してあげる。それが、私の願いを聞いてがんばってくれた、あなたへのせめてものお礼」

唯 「・・・それも・・・ゲッターの意志・・・なの・・・?」

ユイ 「ううん。これはね、あなたの友達としての、ユイの・・・私の意志だよ」

唯 「・・・っ、私、帰りたい!みんなの所に帰りたいよっ!」

ユイ 「うん、戻してあげる。唯ちゃんがゲッターに身を捧げてくれたように、今度は私があなたに身体をあげる」

唯 「え・・・」
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 14:02:33.08 ID:Q8uWwCnM0
ユイ 「ありがとう。唯ちゃん、大好きだよ」

唯 「私も・・・私もユイが大好き!」


私の言葉を受けて、ユイがにっこりと微笑んだ。

と、その直後。

眩い光が辺りを包み、私の視界を遮ってしまった。

と、同時に立ちくらみにも似た感覚が私を襲う。

何も見えない・・・

気が・・・遠くなってゆく。


ユイ 「さようなら」


意識が混濁とする中で。

私はユイの、そんな言葉を聞いたような気がした。


唯 「え、それって・・・どういうk


私はユイの言葉の真意をただそうとしたけれど、それは叶わなかった。

どうしてって、問いかけを言い尽くす前に、私の意識は暗がりの中へと落ち込んでしまったから。
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 14:03:53.30 ID:Q8uWwCnM0
眩い。全てが白色に埋め尽くされた世界。

その中に一瞬。ほんの一瞬だけ。

寂しそうに微笑む、ユイの顔が見えたような気がした。


そして、意識は暗転する。


次に私が目を覚ました時・・・


うすぼんやりと帳が覆ったかのような、不明瞭な視界がクリアになるにつれ。

目の前で私を覗き込む、その人の顔がはっきりと見えてきた。

リョウさんが、私を見つめている。

今にも泣き出しそうな表情で・・・


唯 「え・・・リョウさん・・・?」

竜馬 「唯・・・唯・・・っ!」

唯 「え・・・ここ・・・は・・・?」

竜馬 「・・・琴吹重工の格納庫だよ」
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 14:06:24.62 ID:Q8uWwCnM0
唯 「ユイは・・・ゲッターユイは・・・?」

竜馬 「消えちまったよ・・・いきなり眩く光ったかと思ったら、お前たちが現れ、それと入れ替わるようにして、な・・・」

唯 「お前た、ち・・・?」


ぼんやりする頭に意識を集中し、何とか自分の傍らに視線を向ける。

そこには私がコクピットの中に持ち込んだ携帯と・・・そして・・・

和ちゃんと憂の二人が、横たえられていた。


唯 「和ちゃん・・・憂・・・」

竜馬 「心配するな。二人ともキチンと息をしている。意識を失っているだけだ」

唯 「そっか・・・そっかぁ・・・」

竜馬 「・・・」

唯 「よかったぁ・・・ほんと、よかったぁ・・・」

竜馬 「ああ・・・ああ・・・」

唯 「あはは・・・変なの・・・リョウさん、なんで涙なんか浮かべちゃってるの・・・?」

リョウ 「バカやろう・・・誰のせいだと思ってやがるんだ・・・」


言って、リョウさんがクシャっと、私の頭を撫でてくれた。

少し乱暴だけど暖かい、大きなリョウさんの手。

その感触を肌に感じ、それで私は悟る事ができた。

ああ、帰ってきたんだ。

私の居場所に、戻ってこられたんだ・・・と。
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/28(土) 14:07:43.43 ID:Q8uWwCnM0
次回へ続く!
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/28(土) 20:49:05.76 ID:+XcK89tMo
ついにハイパーしましまタイムか
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/30(月) 20:36:41.25 ID:rK0GCjdq0
ドワオツ!
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:44:00.01 ID:nZTeYbKX0
再開します。
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:44:40.93 ID:nZTeYbKX0
・・
・・


じゃじゃーん♪


唯 「みんな、ありがとぉー♪」


ぱちぱちぱち!


隼人 「いい演奏だったな・・・」

竜馬 「・・・やっぱり俺には歌の事はわからねぇ」

弁慶 「リョウ、少しは素直にn
竜馬 「だが」

竜馬 「楽しそうに歌ってるあいつらを見てると、胸が熱くなってきやがる」

隼人 「リョウ・・・ああ、そうだな」

竜馬 「戦う事しか知らん俺だが、歌も良いもんだなって。今なら思えるぜ」

弁慶 「へへ・・・同感だぜ」
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:46:30.28 ID:nZTeYbKX0
隼人 「さて、何があったのか・・・説明してもらおうか」

竜馬 「なに、大したことじゃない。唯がこっちに戻って来たいと望んだ。だから戻ってきた。それだけの事さ」

隼人 「真鍋和や妹は?」

竜馬 「あいつが友達を向こうに残して、一人で帰ってくると思うか?」

隼人 「まぁな」

竜馬 「唯は戻ってきた。ゲッターユイの機体を、今度は自分たちの身体に作り変えてな」

弁慶 「ええ!?」

隼人 「逆融合・・・ゲッターユイを変形させた時と、その逆を今度はやってのけたって事なのか」

竜馬 「その結果、ゲッターユイは失われてしまったが・・・そんなのは大きな問題じゃねぇ」

竜馬 「あいつが、俺たちの元に帰ってきた。それだけで十分だ」

弁慶 「同感だぜ」
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:47:18.31 ID:nZTeYbKX0
隼人 「全ては決着って訳か。絵に描いたような大団円だな」

竜馬 「まったくだ・・・さて、行くか」

弁慶 「みんなに会っていかないのか?」

竜馬 「・・・戦いは終ったんだ。唯は友達を連れ、俺たちの居場所に戻ってきた。それで、あいつの役目は終わりさ」

竜馬 「役目が終った以上、これからも戦う事を宿命を課せられた俺たちとは、住む場所が別たれて当然だ」


ステージの上を見つめる竜馬。

彼の視線の先には、眩しいほどの笑顔を仲間たちと交し合う、唯の姿が会った。


竜馬 「唯・・・お前はそこで、笑っていろ。ずっと・・・ずっとな」

弁慶 「リョウ・・・」
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:48:19.47 ID:nZTeYbKX0
隼人 「明日からはまた、暑苦しい男所帯に逆戻りというわけだな。立つ鳥跡を濁さず、だ。行こうぜ」

弁慶 「あ、ああ・・・」

竜馬 「・・・」

竜馬 (唯・・・いつかまた、な・・・)


唯 (リョウさん、私の歌、ちゃんと聴いてくれたかなー・・・)


きょろきょろ


唯 「あ、あれ・・・?」

唯 「リョウ・・・さん・・・?」
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:49:29.59 ID:nZTeYbKX0
・・
・・


そして時は流れて。

世は平穏、こともなし。

私、平沢唯に今まで通りの日常が戻ってきました。

朝は寝坊して憂に起こされて。

宿題を忘れては、和ちゃんの小言を聞き。

軽音部でまったりお茶会。

ムギちゃんの美味しいお茶とお菓子。

おいしそうにお菓子をほお張るりっちゃん。

早く練習しようと怒る澪ちゃん。

全てが当たり前。なにも無い、これといった事が起こらない。

代わり映えの無い日々が、今日も明日もその先もと紡がれていく。

だからこその日常。

私たちが・・・

私とリョウさんたちとで守った、私の居場所。

そんな場所で毎日を過ごせる事が、たまらなく幸せで。

ついつい・・・笑顔になってしまう私。
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:50:49.86 ID:nZTeYbKX0
律 「唯ー、なにニヤニヤしてるんだー??」

唯 「えへへ・・・このモンブランがあんまり美味しくってぇ〜」

紬 「あらあら。そんなに気に入ったんだったら、私のもあげようか?」

唯 「ほんとっ!?やったぁ、ムギちゃん大好き!」

紬 「うふふ」

澪 「ムギ、あんまり唯を甘やかすな。ほら、食べ終わったら練習するぞ!」

律 「まったく澪はまじめだにゃー。そんなに気を張り詰めてると、将来はげるぞ。ねー?」

唯 「ねー?」

澪 「なんだとっ!」

紬 「まぁまぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

唯 「七回・・・」
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:51:44.05 ID:nZTeYbKX0
澪 「まったく・・・新歓ライブも近いんだからな。キチンと練習しておかないと、新入生の前で大恥かきかねないだろ?」

唯 「新歓かぁ〜。かわいい一年生、入部してくれないかなぁ〜」

律 「お、いいねぇ。イビリ甲斐のある奴が欲しいぞ、私は。先輩風ふかせてやるんだ」

澪 「バカか・・・」

紬 「そんなこと言って、りっちゃん。本当は優しいから、すごく良い先輩になってくれると思うわ、私は」

律 「ふふん、まぁなぁ〜♪」

澪 「ムギ、あんまり律を調子に乗らせるなって・・・」

唯 「あははっ。そっかぁ、新歓かぁ・・・えへへ・・・かわいい新入生、楽しみだなぁ♪」


そう、あれから。

あの、最後の戦いから、すでに半年以上。

私たちは二年生になった。
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:52:39.99 ID:nZTeYbKX0
・・
・・


ある日の放課後。

桜ヶ丘高校玄関。靴箱前。


和 「あら、唯。いま帰り?」

唯 「あ、和ちゃん。うん、そだよー」

和 「軽音部のみんなは?」

唯 「今日はみんな用事あるみたいで、部活は中止。和ちゃんこそ、生徒会は?」

和 「うん、こっちも珍しくお休み」

唯 「そうなんだぁ」

憂 「あ、お姉ちゃんたち!」

和 「あら、憂じゃない」

唯 「憂もいま帰り?」

憂 「うん!」

和 「じゃ、たまには三人で帰りましょうか」

唯 「わぁ、賛成!この顔ぶれで下校するなんて、中学校の時以来だね!」

憂 「えへへ・・・またこうやってお姉ちゃんたちと同じ学校に来られるようになって、すっごい嬉しいなぁ・・・」

和 「・・・あいかわらず憂は可愛いわね。唯、憂をちょうだい」

唯 「だーめー」

憂 「くすくす」
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:54:34.50 ID:nZTeYbKX0
・・
・・


帰り道。


唯 「そんでね、その時にりっちゃんったらさぁ、おかしいの!」けらけら

憂 「へぇー」くすくす

和 「・・・」

唯 「おでこに懐中電灯の光を反射させて”デコビームっ!”だって、傑作だよねぇ〜!」

憂 「あははっ。面白い人だよね、律さん」

和 「くすっ」

唯 「あとね、あとね・・・」

和 「唯・・・最近よく笑うわね」

唯 「えー、そっかな。私、もともとこんなんじゃん?」

和 「うん、そうかも。だけど・・・」

唯 「変な和ちゃん。憂ー、私いつもと変わりないよねぇ」

憂 「うんー・・・変わりないと言ったら、変わりないんだけれど・・・」

唯 「あれー?憂までなんか、歯切れが悪いぞ??」

憂 「少し・・・無理してる感じ」

唯 「え・・・」
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:55:57.51 ID:nZTeYbKX0
和 「唯・・・分かっちゃうのよ、私と憂には。今の唯の笑顔。けっして偽りの笑顔なんかじゃない。偽りじゃないけれど・・・」

憂 「だけど、心からの笑顔でもない。感じられるんだ、お姉ちゃんの気持ち・・・」

唯 「そっか・・・そうだよね。二人には誤魔化せないよね。だって・・・」


私たちは同じ、ゲッターユイの機体を分けあって存在している、いわば同じ身体を共有している者どうしなんだもの。


和 「唯・・・」

唯 「ものたりない・・・んだ・・・」

憂 「・・・」

唯 「今の毎日が。みんなと過ごす日常がとても楽しい。幸せなの。これは本当。本当なんだけど・・・」

唯 「でも、心の別のところが乾いて求めている。その渇きを癒してくれる水となってくれる物を・・・」

憂 「それって・・・」

和 「ゲッターロボ・・・」

唯 「うん・・・」

憂 「お姉ちゃん・・・」
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:56:57.92 ID:nZTeYbKX0
唯 「だけどね、そんなことを思っちゃいけないんだ。だって、ゲッターロボに乗ると言うことは、また戦いが始まってしまうと言うことだものね」

唯 「リョウさんたちやみんなが、犠牲を出してまでガンバって、やっと取り戻した今の平和。これが壊されちゃうってことなんだもん」

唯 「そんなの思っちゃ・・・望んじゃいけないんだ」

和 「唯・・・」

唯 「それに、ゲッターロボに乗るといっても・・・ゲッターユイは私たちの身体になってくれて、もうどこにも存在しないんだし」

唯 「ユイも・・・消えちゃったし・・・」

憂 「・・・」

和 「・・・」

唯 「私にできる事は、今ここにある幸せを目いっぱい楽しむ事だけ。だから、自然に笑顔がこぼれ出て・・・」

唯 「だからね、無理をして笑ってるわけではないんだよ!」

唯 「・・・本当だよ」

和 「うん、分かってる。分かってるよ、唯・・・」

憂 「だって、私たちもいっしょだもの。ね、和ちゃん」

唯 「え・・・?」
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:58:00.19 ID:nZTeYbKX0
和 「私たちも唯と同じ。この身体を形作るゲッターの意志が・・・」

憂 「呼びかけてくるの。ゲッターに乗りたい、乗りたいよって・・・」

唯 「・・・リョウさんが言ってた」

和 「ん?」

唯 「以前、リョウさんから聞いた事があるの。ゲッターに関わってしまった者は、もう二度とゲッターから離れられないって」

唯 「漠然としすぎていて、それがどういう意味かよく分かっていなかったんだけど・・・」

和 「・・・」

憂 「・・・」

唯 「こういうことなのかも・・・知れないね」

唯 (ね・・・ユイ、リョウさん)

唯 (戦いなんか望んでいない。だけど私、ゲッターに乗りたい・・・・・・)

唯 (どうしたら良いの、私。ねぇ、リョウさん。私、どうしたら・・・)

唯 (リョウさん・・・リョウさん、会いたいよ・・・)
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 21:58:59.12 ID:nZTeYbKX0
♪一秒あればそれで十分 恋に落ちれる〜♪


唯 「あ・・・電話だ。二人とも、ちょっとゴメンね」


(携帯ぱかっ)


唯 「・・・えっ!?」

和 「・・・ん?」

憂 「お姉ちゃん、どうかしたの?」

唯 「そ、そんな・・・こんな事って・・・」

和 「唯、いったい・・・誰からの電話なの?」

唯 「わ、私から・・・私の番号からの電話・・・」

憂 「えっ!?」

和 「なにそれ、気味が悪い・・・貸して、私が出てあげるから」

唯 「あ、ううん。いいよ、私が出る・・・意味わかんなくて、ちょっと怖いけど・・・」


がちゃっ


唯 「も、もしもし・・・」

和 「・・・」

憂 「・・・」

唯 「え・・・あなた、誰?え・・・え・・・」

唯 「え・・・?」
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 22:10:00.08 ID:nZTeYbKX0
・・
・・


後日。

琴吹重工内特別会議室。

この日、とある契約の締結のため久方ぶりに琴吹重工を訪れた神隼人が、琴吹紬と向かい合っていた。

数ヶ月ぶりに顔を合わせた二人であったが、交わす言葉は契約に関することのみ。

旧交を温めあうそぶりなど、二人の間には微塵も感じられなかった。


隼人 「よし・・・取りまとめの書類はこれで全部だ。これからも末永いお付き合いをよろしく願うぜ」

紬 「ビジネスライクに・・・でしょう?」

隼人 「ずいぶん棘のある言い方をするな」

紬 「当然。だって私、怒っているんだもの」

隼人 「ほぉ・・・では、取りまとめも終ったことではあるし。何にご立腹なのか、お聞きしましょうか」

紬 「茶化して・・・」

隼人 「そんなつもりはなかったんだがな。まぁ、気に障ったのなら謝る。・・・で?」

紬 「・・・」
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 22:14:48.60 ID:nZTeYbKX0
紬 「唯ちゃんの事よ・・・」

隼人 「ほう・・・?」

紬 「唯ちゃん、寂しがってる・・・」

隼人 「リョウの事でか?それなら本人同士の問題だ。俺に言われても、何もしてやることはできん」

紬 「そんな言い方・・・仲間でしょ?友達なんでしょう?」

隼人 「仲間だからさ。人の内心にズカズカ踏み込むのが友達だとは、俺は思わん。あいつがそう決めたんなら、俺は決断を見守るだけさ」

紬 「それが・・・唯ちゃんと距離を置くということだと?」

隼人 「リョウなりに気を使ってるのさ」

紬 「分からないわ・・・」

隼人 「ゲッターユイを失ったとはいえ、平沢唯はゲッターに選ばれし者だと言う事実に変わりはない。いや、むしろ・・・」

隼人 「己の新しい肉体をゲッターユイから授かった以上、その傾向は以前よりも強まっていると言って良い」

紬 「それと、流さんが唯ちゃんに会えない理由のどこに繋がりが?」

隼人 「平沢唯がゲッターの申し子なら、リョウは戦いの申し子だ」

紬 「え・・・?」
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 22:30:27.05 ID:nZTeYbKX0
紬 「え・・・?」

隼人 「恐竜帝国は倒れた。だが、リョウと俺たちゲッターチームの行く先には、これからも戦いの日々しか在り得ない」

隼人 「ゲッターの力を身に宿す平沢唯の側にいたら、否応なく戦いの渦中に巻き込んでしまう」

隼人 「リョウにはそれが耐えられないのさ」

紬 「・・・」

隼人 「せっかく戻ってきた平穏な日常。それをあの子から再び奪ってしまう事を、あいつは何より恐れているんだ」

隼人 「故に、あいつはあんたたちからの連絡を全て絶った」

隼人 「本当は今日俺がここに来るのにも良い顔はしていなかったんだが、今回は仕事の話だ」

紬 「真・ゲッター虎狼計画。日本国際航空宇宙技術公団の橘博士を琴吹へ招いて、新たなゲッターロボを建造するプロジェクト・・・」

隼人 「そして早乙女研でも、その計画に一枚噛ませててもらう。取り決めには、俺が出向かなきゃならん。こればっかりは仕方がなかったからな」

紬 「流さん・・・そこまで唯ちゃんのことを考えて・・・」

隼人 「俺たちの主な仕事は、新しいゲッターパイロットの選定。人選に関しては、我々に一任する事・・・」

紬 「・・・」

隼人 「契約が締結された以上、俺とあんたもこれ以降、直接顔を合わすことはなくなるだろうな」
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 22:32:04.67 ID:nZTeYbKX0
紬 「・・・勝手だわ、あなたたちゲッターチームは。なんでもそうやって、一方的に決めちゃって」

隼人 「お嬢も俺に会えなくなるのが寂しいとか言うつもりか?」

紬 「自惚れないで。私は男の人になんか興味はありません」

隼人 「おっと、これは問題発言だな」

紬 「でも・・・あの戦いの渦中にあるあなたたちを見てきたから、あなたたちがどういった人間かは分かっているつもり」

紬 「人として、信頼してたわ・・・なのにもう会えなくなるなんて・・・ただ・・・そう、ただ残念だわ・・・」

隼人 「そう言ってくれるな・・・リョウだって・・・あいつだって辛いんだから」


隼人 (そう、初めて惚れた女だったんだからな、彼女は・・・)
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/01/31(火) 22:34:28.96 ID:nZTeYbKX0
次回へ続く!
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/01(水) 01:22:22.39 ID:FSk97SiB0
乙!
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/03(金) 15:57:04.56 ID:vezDzw45o
ゲッターのクロスだから期待して読んでみたけど糞だったわ
つまんねえよ死ね
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:01:21.86 ID:WAmQ4gbx0
再開します。
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:02:20.13 ID:WAmQ4gbx0
・・
・・


同じころ。

早乙女研究所・流竜馬の部屋


竜馬 「788・・・789・・・790・・・」


こんこん


竜馬 「791・・・開いてるよ・・・792・・・」

ミチル 「リョウ君、入るわよ・・・あら、日曜の真昼間からトレーニング?」

竜馬 「身体は動かさないと鈍る一方だからな・・・ふぅ・・・」

ミチル 「行き場のない若いエネルギーを、腕立て伏せにぶつけてるわけだ。不健全ねぇ」

竜馬 「身体を鍛えて、そんな風に言われるとは思いもしなかったぜ」

ミチル 「だって、抑圧された気持ちを発散させてるようにしか、私には見えないんだもの」

竜馬 「ち・・・これだから女は」

ミチル 「なによ、その言い方は」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:03:46.37 ID:WAmQ4gbx0
竜馬 「で、なんだ?何か用があって来たんじゃないのか?」

ミチル 「そんなに女の子が嫌いなら、帰ってもらっちゃう?」

竜馬 「・・・はぁ?」

ミチル 「ふふ。さ、どうぞ?」

唯 「こ・・・こんにちわ・・・」おずおず

竜馬 「・・・!?」

ミチル 「さぁ、唯ちゃん。遠慮しないで入って入って。むさくるしい部屋だけど、遠慮しないでね」

唯 「はい、お邪魔します」

竜馬 「お・・・お・・・お前・・・」

ミチル 「適当にかけて。今なにか、飲むものでも持ってくるわね」

唯 「あ、えっと・・・お、おかまいなく・・・」

ミチル 「良いのよ。唯ちゃん、なにが良いかしら。コーヒーで良い?」

竜馬 「ちょ・・・おい。ま、待て・・・」

唯 「苦いの苦手で・・・あの、紅茶があったら、そっちの方が良いかなぁ・・・なんて」

ミチル 「おっけー。それじゃ、少し待っててね」

竜馬 「待つのはあんたの方だろ、ミチルさん!」

ミチル 「なによー」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:06:33.54 ID:WAmQ4gbx0
竜馬 「どういうつもりだ?なぜ唯をここにつれてきた!?」

ミチル 「どういうも何も、休みの日にわざわざ来てくれた唯ちゃんを、門前払いにしろとでも言うわけ?」

竜馬 「だからって、俺の部屋に連れてこなくっても良いだろうが!」

ミチル 「だって、あなたに会いに来たって言うんだもん。他にどこに案内すれば?」

竜馬 「あんただって聞いてるはずだ。俺たちの決断を・・・唯とはもう・・・」

ミチル 「ふざけないでよ」

竜馬 「!?」

ミチル 「あなたたちで勝手に決めて、彼女の意志も確認しないで。それで一方的にさよならして」

ミチル 「それで彼女のために何かをしてあげた気になっちゃうなんて、ふざけないでよって言ってるの」

竜馬 「ミチルさん・・・?」

ミチル 「ずっと腹が立ってたのよ。お父様もあなたたちも。いっつも相手の気持ちは後回しで、決めつけた事を押し付けてばっかりで」

ミチル 「リョウ君の言葉を借りれば、これだから男はって感じだわ」

唯 「あ、あの・・・」

ミチル 「そのあげく、自分も傷ついちゃって身体を酷使する事に逃げ場を求めちゃうなんて、とんだお笑い種だわね」

竜馬 「・・・そこまで言わなくても良いだろうが」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:09:42.56 ID:WAmQ4gbx0
ミチル 「リョウ君、覚えてるでしょ。あなたが初めてここに連れて来られた時の事・・・あなたの意志なんかお構いなしに、無理やりゲッターに押し込められた、あの時のことを」

竜馬 「・・・ああ」

ミチル 「理不尽を押し付けられた事に憤りを感じたでしょう。同じ事をあなたが、他の人にしてしまってはだめよ・・・」

竜馬 「・・・」

ミチル 「言い過ぎた、ごめん。飲み物いれて来るから。唯ちゃん、ごゆっくりね」

唯 「は、はい・・・」


がちゃっ ばたん


竜馬 「・・・」

唯 「・・・」

竜馬 「唯・・・久しぶりだな・・・」

唯 「う、うん・・・」

竜馬 「元気だったか?」

唯 「元気だよ。リョウさんは?」

竜馬 「ああ、見ての通りだ」

唯 「そっか・・・」

竜馬 「・・・」

唯 「・・・」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:11:42.06 ID:WAmQ4gbx0
竜馬 「で、今日はどうしたんだ?なにか・・・俺に用があってきたんだろ?」

唯 「あ、うん・・・ちょっと相談と言うか、決めてきた事があって。それ、リョウさんにも聞いてもらいたくって」

竜馬 「決めてきた・・・?一体なにを・・・」

唯 「ムギちゃん家・・・琴吹重工でさ。今、ゲッターユイに代わる新しいゲッターを作ってるんでしょ?」

竜馬 「・・・!?」

唯 「その事でちょっと」

竜馬 「お、おい。お前がなぜ、その事を知っている?マユゲから話が漏れたのか?」

唯 「んーん。ムギちゃんは何も言ってないよ」

竜馬 「だったらなぜ・・・」


一秒あればそれで十分 恋に落ちれる〜♪


唯 「あ・・・」

竜馬 「ケータイ?・・・着信だろ?良いぜ、出ても」

唯 「あ、んーん。たぶん私じゃなくって、リョウさん宛だから」

竜馬 「え、それってどういう・・・」
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:15:02.61 ID:WAmQ4gbx0
唯 「はい、リョウさん出て?」

竜馬 「出てって・・・なんなんだよ・・・ん?」

竜馬 (画面に唯の写真?こいつ、自分の顔を待ち受けに使ってるのか?)


唯の写真 『こらぁ、流竜馬っ!!』


竜馬 「・・・っ!?」


唯の写真 『唯ちゃん悲しませちゃダメじゃない!』


竜馬 「が・・・画面の写真が喋ってる!?ど、動画なのか?!」

唯 「そうじゃなくってね」


唯の写真 『唯ちゃんの意志はゲッターの意志なんだよ。だったら、ゲッターに関わるものとして、あなた達は唯ちゃんの意志こそ尊重するべきなんじゃないの?』


唯 「前に話した事があったよね。ゲッターの意志と呼ばれる存在。それが私の姿を借りて、私に話しかけてくるって」

竜馬 「そんなことも・・・あ、じゃあ、この画面の中から話しかけてきてるのが、もしかして・・・」

唯の写真 『直に話をするのは初めてだね。ゲッターの意志ことユイです』

竜馬 「あ、どうも・・・流竜馬です・・・」

ユイ 『今日はあなたにお説教をしたくて、唯ちゃんに言って連れて来てもらいました。てことで、心して聞くように』

竜馬 「説教って・・・え・・・と・・・」
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:16:19.97 ID:WAmQ4gbx0
ユイ 『あなたたちが連絡を絶ってからの唯ちゃん、まったく見てられなかったよ』

ユイ 『落ち込んじゃって。だけど、周りに心配させたくなくって無理に笑って』

唯 「や、別に無理して笑ってたつもりはないんだけど・・・」

ユイ 『唯ちゃんはだまってて!』

唯 「あ、はい(ユイってこんな性格だったかなぁ・・・)」

ユイ 『わかってんの?あなたは良かれと思ってした決断だったんだろうけど、その独り善がりのせいで彼女がどれだけ悲しい思いをしたか・・・』

竜馬 「・・・なんで俺と会えないからって、こいつが悲しむ必要があるんだよ」

唯 「え・・・」

竜馬 「俺なんかと一緒にいたら、唯は必ず再び、戦いの渦中に放り込まれちまう」

竜馬 「やっと取り戻した平和と居場所なんだ。こいつをまた、そこから引き離すような事、絶対にあっちゃいけねぇんだ」

竜馬 「独り善がりだろうが、なんだろうが。唯にそんな思いをさせるくらいなら、それならいっそ・・・」
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:17:35.12 ID:WAmQ4gbx0
唯 「リョウさん・・・」

ユイ 『ばっかじゃないの』

竜馬 「え」

唯 「うわ、一刀両断だね」

ユイ 『居場所から引き離すとか、そんな思いだとか。あなた一体、何様のつもりなの?』

竜馬 「何様って・・・俺は別に」

ユイ 『唯ちゃんの居場所は、唯ちゃんが自分で決めるわ』

竜馬 「・・・」

唯 「ユイ・・・」

ユイ 『唯ちゃんが戻って来たいと思ったからこそ、彼女は一度は入り込んだゲッターの世界から戻ってこられた』

ユイ 『それは、軽音部のみんなや大好きな友達。そして、あなたのいる場所に戻って来たいと、彼女自身が決めたからだよ』

ユイ 『唯ちゃんは自分で自分がいたい場所を決められる。誰かが決め付けた場所なんて、彼女には必要がないの』

竜馬 「・・・」
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:20:26.47 ID:WAmQ4gbx0
ユイ 『ぐうの音も出ないの』

竜馬 「お、俺は・・・俺はただ、こいつにずっと笑っていてもらいたくって・・・」

唯 「ユイ、言いすぎ」

ユイ 『唯ちゃん・・・』

唯 「リョウさん、ビックリしたでしょ。へへ、私もビックリしちゃったの。だってさ、消えちゃったと思ってたユイが、こうして、ね」

唯 「ゲッターユイっていう身体は失っちゃったけど、ケータイに姿を変えて帰ってきてくれたんだもん」

ユイ 『本当はもう、表に出てくるつもりは無かったんだよ。あの時・・・私の体で唯ちゃんたち三人分の肉体を再生した時・・・』

ユイ 『一緒に唯ちゃんのケータイも再生して、実はこっそり私の新しい体にしてたんだ。唯ちゃんをそっと見守り続けるために』

ユイ 『なのにさ・・・(ぎろり)』

竜馬 「う・・・!」

唯 「ユイ、もうやめてあげてね?リョウさん、私のことを考えてのことだったんだから」

ユイ 『まぁ・・・唯ちゃんがそう言うなら・・・』

唯 「へへ、ありがとう。そして、リョウさんもありがとね」

竜馬 「あ、ああ・・・て、いや・・・だから、俺は何も・・・」

唯 「リョウさん、やっぱり優しい人だ。だけどね、ユイが言ったとおり、私の居場所は私が決めたい」
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:21:55.79 ID:WAmQ4gbx0
竜馬 「また、ゲッターに乗るつもりなのか?」

唯 「新しいゲッターロボのパイロット、まだ見つかってないんでしょ?」

竜馬 「ああ、その取り決めをしに、今日は隼人がマユゲのところに出張ってるんだが・・・」

唯 「だったら、もう探す必要は無いよね。パイロットはほら、リョウさんの目の前」

竜馬 「・・・」

唯 「ここにいるんだから!」

竜馬 「本当に・・・本当にそれで良いのか?俺たちと一緒にいたら、お前はまた戦いの・・・」

唯 「それ、私も考えたんだ。ゲッターに乗るという事は、戦いたいと思うこと。そんな事、望んじゃいけないんじゃないかって。悩んだの」

唯 「でもね。ゲッターって、戦うだけの物じゃないよね」

竜馬 「え・・・」

唯 「最初。一番最初にね、私がゲッターユイに乗った時。あれは学校や友達を助けたいって、その想いからだった」

唯 「あの時に私が戦う事を拒んでいたら、今ごろ桜高なんて跡形もなくなっちゃってるよねー」

竜馬 「お前・・・」

唯 「自分の手柄を誇ろうってんじゃないよ。ただね、考えて考えて。そんでね、分かったんだ」

唯 「ゲッターって、何かを救うための力にもなってくれるんだって」

竜馬 「救うための力・・・」
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:27:14.41 ID:WAmQ4gbx0
唯 「うん。戦いだけじゃないよ。何かの災害があった時とかさ、ゲッターロボがあればたくさんの人を救えるかもしれない」

唯 「他にももっと。もっともっと・・・ゲッターにしか、ゲッターでしかできない人助けって、たくさんあると思うんだ」

竜馬 「唯・・・」

唯 「そのための力に、私はなりたい」

竜馬 「・・・そうか・・・そうだよな・・・お前だって、あの戦いを通して成長してるんだよな」

唯 「そうだよ!絶賛成長中です!」ふんすっ

ユイ 「そうだよ。成長の速さで言えば、あなたたちゲッターチームより唯ちゃんのほうがだんぜん上なんだから!」ふんすっ

竜馬 「あ、そう・・・」

唯 「えへへ・・・リョウさん言ったよね。俺と一緒だと戦いに巻き込んでしまうって」

竜馬 「ああ」

唯 「その言葉、ちょっとだけ変えて、リョウさんに返したげる。私たちと一緒にいたら、人助けに巻き込まれちゃうよ!」

竜馬 「分かったよ、負けたよ。認めるぜ、今回は俺の独り善がりだったと」

竜馬 「だから、唯。お前はお前の好きにしたら良いさ。それがお前の決めた居場所だというなら・・・て・・・?」

唯 「ん?」

竜馬 「ちょっと待て。今お前、確か・・・私たちって、言ったな」

唯 「言ったよ?」

竜馬 「たちって、なんだ?たちって」
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:28:22.66 ID:WAmQ4gbx0
唯 「あ、それはー・・・」


和 「私と」ひょこっ

憂 「私もいるからです・・・えへへ、お邪魔します・・・」ひょこっ


竜馬 「!!」

和 「何を驚いてるの?唯がゲッターに乗る決断をした以上、私たちも付いてくのは当然じゃない」

憂 「だって私たち、一心同体も同然なんだもん」

唯・和・憂 「ねー♪」

竜馬 「ああ・・・もう、何でもありなんだな。好きにしろよ、好きに。ただし、自分からゲッター乗りに戻ると決めたんだ」

竜馬 「半端はゆるさねぇからな」

唯 「うん!」

憂 「はい!」

和 「言われるまでもないわ」

竜馬 「うんとか、はいじゃない!ラジャーと言え!」

唯 「・・・え?」

憂 「えっと・・・」

和 「流さん、なに言ってるの?」

竜馬 「ラジャーだ!」
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/05(日) 10:34:20.66 ID:WAmQ4gbx0
次回へ続く!
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/05(日) 10:53:52.68 ID:zzyVz5wzo


>>542
(首が折れる音)
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/05(日) 11:09:17.25 ID:9tcP7zsNo
もしくは了解
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:33:03.63 ID:884NC/hi0
再開します。
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:34:29.29 ID:884NC/hi0
こうして・・・

私は憂や和ちゃんと揃って、ゲッターチームに復帰したのでした。

もっとも、私たちの乗ることになるゲッターロボは、これから建造が始められるので。

本格的な活動が開始されるのは、もうちょっと先になりそう。

今は週に何回か、琴吹重工に設置されたシミュレーターで訓練をすることが決まったくらい。

後はいたって普通の、どこにでもいるごくごく普通の。

いち女子高生としての生活をおくっています。


やがて新歓ライブも無事に終わり。

後は待望の新入生が入部してくれるのを待つだけとなった、ある日。
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:35:23.07 ID:884NC/hi0
唯 「えへ・・・えへへ・・・ふふふ〜」

律 「・・・どうした唯。なんだか、いつにも増してニコニコしちゃてさ」

唯 「だってだってさ、新しいゲッターロボに乗る事は決まったし、新歓ライブも大成功だったし」

唯 「これが笑顔にならずにいられますかっ!」どどんっ

律 「おー!」

唯 「て、感じ」

澪 「言い切ったなぁ」

紬 「美味しいお茶とお菓子が、その笑顔にさらに花を添えるわね。はい、どうぞ」

唯 「やったぁー♪」


今日も今日とて軽音部は通常営業中。

お茶とお菓子に舌鼓を打ちながら、おしゃべりにまったり花を咲かせ中。

今までと同じ、見慣れちゃった。けれど大切な、愛おしい風景。

ただ一つ、違うところもあって。

それは、テーブルの上に開かれた状態で置かれた、私のケータイ。
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:38:33.71 ID:884NC/hi0
唯 「ねぇねぇ、ユイ。ムギちゃんがね、新しいゲッターの名前、また私が考えても良いんだって」

紬 「どうせなら、やっぱり乗る人が馴染みやすい名前をつけてあげたいもの」

律 「そういや前のゲッターユイは、やっぱり唯が乗るからゲッターユイって名付けたのか?」

ユイ 『ううん。あれはね、私がいたから唯ちゃんが”ゲッターユイ”って名付けてくれたんだ』

律 「へぇ〜、そうなんだ」

唯 「そうなんです!」ふんすっ

澪 「しかし、この携帯もすっかり場に馴染んじゃったよな・・・」


私のケータイという新しい身体を得たユイ。

今では軽音部内での市民権も得て、すっかりみんなともお友達。

ティータイムには欠かせない、いつもの顔になっちゃってたりします。


ユイ 『だって私も、軽音部の一員なんだもん。当然だよ!』

律 「お茶は飲めないし、楽器も弾けないけどなぁ」

ユイ 『うう・・・でも、着メロは流せるよ??』
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:41:27.83 ID:884NC/hi0
紬 「まぁまぁ。お菓子も食べられない代わりに、充電はしてあげられるから」

ユイ 『ありがとぉ、ムギちゃん。ケータイにとっては、充電はお茶やお菓子と同じだから嬉しいよ』

唯 「良かったね、ユイ。あ、それでね。話の続きなんだけど・・・」

澪 「新しいゲッターロボの名前か?」

唯 「うん。今回もね、ゲッターユイって名前は残そうと思ってるんだ。思い出深い名前だし・・・」

ユイ 『唯ちゃん・・・』じーん

唯 「えへへ。それでね!リョウさんたちのゲッターロボGみたいに、今までの名前プラスαで強そうな名前、無いかなって考えて・・・」

澪 「いい名前、思いついたのか?」

唯 「ふんすっ!」こっくり

ユイ 『もう決めてたんだ!聞かせて聞かせて』

唯 「ふっふっふ。では発表します!私たちの新しいゲッターロボの名前・・・それは!」

紬・律・澪・ユイ 『それは!?』


唯 「ゲッターユイ號(ゴウ)っ!!」どどん!


紬・律・澪・ユイ 『おおっ!』どよっ
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:43:46.37 ID:884NC/hi0
唯 「・・・なんてどうかなぁ!」

律 「ゴウって、なんなんだ?」

唯 「よっしゃ、行くぞ!つきすすめー!みたいな感じで。ふへへ、かっこよくない?」

澪 「はは・・・なんというか」

律 「唯らしいっちゃ、唯らしいな」

唯 「えー・・・変かな、やっぱ」

紬 「そんなことない!勢いがあって、私は好きだわ!」

唯 「えへへ、そうでしょう?ムギちゃん、わかってるねー♪」

ユイ 『・・・?』

唯 「ね、ユイはどう思う?」

ユイ 『・・・』

唯 「ユイ。気に入らなかった?」

ユイ 『みんな、気をつけて』

唯 「え?」


こんこん


唯 「あ、誰か来た・・・?」
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:46:49.40 ID:884NC/hi0
律 「開いてるよ、どうぞー」


がちゃっ


梓 「・・・」

唯 「・・・?」

梓 「あのー・・・ここ、軽音部・・・ですよね?」

唯 「そうだけど・・・あなたは?」

梓 「私、入部希望なんですけど・・・」

澪 「え・・・」

唯 「今、なんと・・・?」

梓 「入部希望・・・」

律 「おおおぉぉぉおおおーーーー!」がたっ

梓 「え!?」

律 「かぁくほおおおおおぉぉぉぉー!!」がばーっ!!

梓 「きゃあああー!?」

唯 「ずるい、私も!」がばーっ

梓 「えー!?」

紬 「あ、じゃあ私もー♪」がばーっ

梓 「ちょ・・・っ、ふぐっ、お、重・・・」


もみくちゃもみくちゃ


澪 「おい・・・新入生、潰れちゃうぞ」

唯 「あ・・・」

梓 「あーうー」きゅうー
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:50:15.13 ID:884NC/hi0
・・
・・


梓 「うう・・・」ぼろっ

澪 「だ、だいじょうぶ?ごめんね。ここの人たち、みんなちょっと変なの」

律 「まともなのは、私くらいなもんd(ばこっ)いってぇ!?」

澪 「お前はいの一番に謝っておけ!」

梓 「・・・」

紬 「お名前はなんていうの?」

梓 「え?」

紬 「あなたのお名前」

梓 「あ・・・私は、じゃt」

紬 「じゃ?」

梓 「でなくって!あの・・・な、なかの・・・中野です!」

律 「中野さんか。パートはなにやってるの?」

梓 「えっと・・・ギターを少し」

律 「あ、唯と一緒だな!」

梓 「唯・・・先輩?」きょろきょろ

唯 「私が唯先輩です!」ふんすっ

梓 「あなたが・・・唯・・・」
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 14:53:41.59 ID:884NC/hi0
唯 「んー??」

梓 (じー)

唯 「あ・・・あれ?な、なにかな??」

梓 「いえ・・・よろしくお願いします、唯先輩」ぺこり
 
唯 「唯、先輩・・・?」

唯 「先輩・・・」

唯 「先っ輩・・・っ!」ぽわー

律 「おーい、帰ってこーい・・・」

梓 「・・・」

ユイ 『・・・』


梓 (平沢唯・・・)


唯 「んー?どうしたの、中野さん。そんな、さっきから私の顔をじっと見て」


梓 (ゲッターユイ・・・)


唯 「や、やだなー、なんだろなー。照れちゃうよー・・・えへえへ」

梓 「・・・」


梓 (やっと・・・見つけたよ・・・)
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 15:00:19.02 ID:884NC/hi0
・・
・・


君はゲッターロボって知っている!?

若い命を真っ赤に燃やす、私たちが駆るスーパーロボット!

救いを求める人は、私たちの名前を呼んで!

その名を高らかに叫んでみて!


唯 「チェエエエンジ!ゲッターユイ號!!スイッチオンっ!!!」


ゲッターユイ!!

無敵の戦士、ゲッターユイ號と平沢唯withその仲間たちの名を!!!


憂・和 「おいっ!」

569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 15:01:10.13 ID:884NC/hi0
新しいゲッター。

ゲッターチームの仲間。

いつもの軽音部。

大好きな友達。

可愛い後輩。


変わらないけれど、新しい刺激で満ちている。そんな私の居場所で。

平沢唯。私の新しい一年が始まろうとしています。


終わりぃっ!
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [saga]:2012/02/07(火) 15:11:20.64 ID:884NC/hi0
以上です。


本当はもう少し明るい話にするつもりで、そういったエピソードもいくつかは考えていたんですが・・・




○ゲッター3に乗ることになって、「やっぱり私はこういうポジションなのか!」と嘆く律とか。

○ゲッターユイが戦う後ろで、バックバンドよろしく演奏する軽音部とか。


自分の性格が暗いためか、和が暴走する辺りからどんどん話も暗い方向へ進んでしまい・・・

まぁ、こんな感じの話になってしまいました。

最初のノリを維持できなかったのは、まったくもって自分の力量不足です。


何はともあれ、読んでくださった方。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

次回もあれば、その時にはまた読んで下さったら嬉しいです。


依頼は明日か明後日あたりに出します。

 
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga sage]:2012/02/07(火) 17:02:50.56 ID:pPGuizFb0
完結乙でした!

そうかジャテにゃんか
だからゲッターユイ號なのか
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 19:56:08.16 ID:BY+tpuZSO
虚無るかとハラハラしながら見てたが面白かった
乙!!
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/02/07(火) 20:21:48.50 ID:b7qHyvvAO
こ、これは乙じゃなくてストナーサンシャインなんだからね!!

書ききりおめでとう
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/07(火) 20:29:48.73 ID:aoOM5u0zo
ジャテにゃん可愛いよジャテにゃん
アークとは違う道を歩んだゲッター世界にたどり着いてくれる事を祈って
乙!
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 21:46:42.06 ID:cvSf9RDSO
完結おめでとう

最初ジャテにゃん思いつかなくて『邪気王ktkr!』とか思ってたらちゃんとtがついててようやくわかったwwwwww

面白かったよ!
次回作も期待してます
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/09(木) 17:23:41.64 ID:49uBpjNR0
ジャテにゃんワロタwwww
乙!面白かったよ!
392.79 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)