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生徒会長「――キスがしたい」 男「……ああ、良いぞ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :刹那 ◇1IahjnNtgQ :2011/11/12(土) 03:40:10.85 ID:CbfX4AsJo
生徒会長「付き合ってくれないか?」 男「構わないが、良いのか?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317671456/

会長「君はいつまで待たせるんだ?」男「いつまでだろうなぁ……」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1320197379/

上二つの続編となります。
恐らくこれらを読んでいないと分からないと思われますので御注意を。

駄文に付き合ってくれる物好きな方は歓迎します。


元スレ
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1321033146/
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寝こさん若返る @ 2024/05/11(土) 00:00:20.70 ID:FqiNtMfxo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715353220/

第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715300281/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715263679/

今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715262444/

誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/

A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715180413/

真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715130904/

愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715108060/

2 :刹那 ◆1IahjnNtgQ :2011/11/12(土) 03:45:43.14 ID:Zqqeg+rt0
男「……ん」

男「ここは……病院?」

ガラッ

女「よーっし一番――だ?」

男「……女」

女「男……」

友「はぁ……はぁ……本当に、女は早いんだから……。立ち止まってどうし……あ」

生徒会長「これは……」

女「お……お……」

男「…………お?」

女「起きてたああああ!! 良かったよぉぉおお!!!」

男「うわっと!?」

生徒会長「……起きたばかりの人にいきなり抱きつくのはどうなのかな女君?」

女「心配したんだからこの馬鹿あああああ……!!」

男「あー……その、すまんかったな」
3 :テス ◆1IahjnNtgQ :2011/11/12(土) 03:49:12.85 ID:Zqqeg+rto
………………………………。

男「女、落ち着いたか?」

女「ぐすっ……うん……」

友「目が覚めてくれて良かった……ホント……良かった……」

生徒会長「ああ……本当、良かったよ……。男君、いつ目が覚めたんだ?」

男「……さっきだな。本当についさっきだ」

生徒会長「ふむ。では私は医者を呼んでくるよ。女君、友君、少しの間、男を頼む」

友「はいっ!」

女「男〜……ひっぅ……」

男「ああー……もう泣くな。可愛い顔が台無しだぞ?」

女「う……でも……ぉ――ひっく」

男「それと……ちょっと抱きつかれるのは……その、困る」

女「…………?」ふよん

男(胸が当たってるのに気付いてないなこいつ……)
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 03:52:41.39 ID:Zqqeg+rto
…………………………………………。

医者「ふむ……。本当に目が覚めるとは驚きだね。まさに奇跡と言えるだろう」

男「俺……そんな事故に遭ってたのか」

女「本当だよもう! 一ヶ月以上も目が覚めなくて……本当に心配したんだから……」

男「だからその……すまん……」

生徒会長「謝る必要はないよ。むしろ、男は胸を張って良い」

生徒会長「昏睡状態から戻ってきてくれたんだ。男は頑張ってくれた。本当、ありがとう……」

友「そうだよ。戻ってきてくれてありがとう、男」

女「私も、戻ってきてくれて嬉しい……。ねえ、男」

女「あの時、助けてくれて、今回も戻ってきてくれて、本当にありがとう……!」

男「…………ただい、ま?」

女「おかえりっ!」

友「おかえりなさい、男」

生徒会長「……男、おかえり」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 03:58:08.10 ID:Zqqeg+rto
医者「喜ぶのは良いけれど、彼はまだ病み上がりだからね。あまり刺激しないように」

医者「それに、事故による後遺症がないかを検査しなければならない。数日の間待ってくれないか?」

――数日後

男「…………」

女「検査では特に異常はなしって、本当に凄いよね!」

男「ん、ああ、そうだな」

生徒会長「あれほどの大事だったというのに、君は頑丈だな」

男「お褒めに預かり、光栄で御座います」

友「本当に大丈夫なの、男?」

男「ああ。医者から聞いたのは『問題なし』って言葉だよ」

男「気分が許すなら外出も許可するだってさ」

女「本当!? じゃあじゃあ、またボーリングとかしに行こうよ!」

友「病み上がりの人にそれはキツイんじゃないのかな……男ならできそうだけど」

生徒会長「……男、やるんじゃないぞ?」

男「やらねーよ!?」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 04:05:29.87 ID:Zqqeg+rto
生徒会長「それにしても、女君を助けた時の君の行動はとても勇敢だった。……少々、無謀だとは思ったがな」

男「そうなのか?」

友「あれ……男、憶えてないの?」

男「まったくもって」

生徒会長「ふむ……。意識を失う程の事故の前後は記憶に残らないと言われるからな。恐らくそれだろう」

男「ほう」

生徒会長(…………ふむ?)

友「身体とか大丈夫なの、男? 痛い所とかない?」

男「ちょっと身体が硬いが、まあどうにかなるだろ」

女「そう言えば一ヶ月以上も身体動かしてないって事だもんねー」

男「あー……こりゃ筋トレしないと駄目かもなぁ」

友「……お願いだからちゃんと調子が戻ってきてからにしてね?」

男「当たり前だろ?」

生徒会長(……そうか、そういえば一ヶ月以上も頭も身体も動かしていないのか)

生徒会長(それにしても、久しぶりだな……男を交えて会話をするというのは)
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 04:11:12.09 ID:Zqqeg+rto
友「あ、女。久し振りにどこか――」

女「ごめーん。ちょっと男をお見舞いしにいくねー」

友「あ……うん」

――――――――――――――――――――――――

友「女ー」

女「ねえ友、男のお見舞いに行こう?」

友「う、うん。そうしよっか」

――――――――――――――――――――――――

女「えーっと……生徒会の仕事が終わるの十八時くらいだから、病室に着くのが――」

友(声……掛けにくいなぁ……)

――――――――――――――――――――――――

友「あれ? 会長、女は?」

生徒会長「女君か? 女君なら昨日の男の体調が優れていなかったからと言って生徒会の手伝いは休ませて貰うと言っていたぞ」

友「そ、そうですか……。はぁ……」

生徒会長(……これは、よろしくないな)
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 04:19:17.11 ID:Zqqeg+rto
女「やっほー男ー! あ、なんか元気そう」

男「ん、女か。いらっしゃい」サッ

女「お? 何を読んでたの?」

男「秘密だ」

女「えー、ケチー。……あ、もしかして、えっちぃ本とか?」

男「馬鹿言うな。そんなんじゃないさ」

女「ほんとー?」

男「ああ。本当だ」

女「……ちぇっ本当なんだ。もしそうだったらからかうつもりだったのにー」

女「あ、そうそう。友と会長、後で来ると思うよ」

男「うん?」

女「ほぇ?」

女「あー、えっと、生徒会のお仕事」

男「……ああ、なるほど。ご苦労なこったな」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/12(土) 04:22:13.50 ID:4AzFZZ4EP
見ているぞ

てかこっちでたまたま見つけたのは運が良い
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 04:22:51.76 ID:Zqqeg+rto
男「それで、女だけか」

女「そうだよー。不満?」

男「まさか。来てくれて嬉しいよ」

女「ふっふーん。敬いたまへー」

男「色々と間違えてるからな?」

女「…………」

女「き、気にしたら負けだよ、うん」

男「くっくっ」

女「あ、男が笑った」

男「ん、おかしかったか?」

女「ううん。だって、男が笑ったのって久し振りに見たから」ニコ

男「!」

女「んんー? どうしたの? まさか私の笑顔に惚れちゃった?」

男「……そのまさかだと言ったら?」

女「はぇ……?」
11 :>>9前作を見てる人がここに居たのか。驚いた。 :2011/11/12(土) 04:28:34.64 ID:Zqqeg+rto
男「女に惚れたって言ったら、どうする?」

女「な、何言ってるのよ男ったらー。冗談は駄目だよー?」

男「冗談じゃなかったら?」

女「え……ぅ……。それってさ……会長はどうなるの?」

男「ん?」

女「ほら、男と会長、付き合ってるじゃない。二股は駄目でしょ?」

女「それに、友と私も付き合ってるんだからもっと駄目だよ!」

男「…………」

女「え……男……? ちょっと……本気で……?」

男「……くっ」

女「……?」

男「くっくっくっく。本当にオドオドしてどうしたんだ? 冗談に決まってるだろ」

男「俺がそんな軽い奴だと思ってたのか? 心外だな」

女「もー……真顔で言わないでよー……。すっかり騙されちゃった」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 04:37:56.87 ID:Zqqeg+rto
男「まあ、女のレアな顔が見れたから良しとしようか」

女「……うん」

男「…………女?」

女「……ちょっとだけね、怖かったんだ」

男「ん?」

女「男があそこまで真剣な雰囲気で言うからさ、本当に本当なんじゃないかって思ったの」

女「でも、冗談だよね?」

男「当たり前だろ。俺は略奪愛とか嫌いだ」

女「…………はぅー……心臓に悪い」

男「すっかり騙されたな?」

女「ぅー……男には敵わないなぁ……」

男「俺に勝ちたかったら来世からやり直すんだな」

女「来世!? 私って生涯男に勝てないの!?」

男「勝てる見込みがあるのか?」

女「う……無いです……」

男「なら良し」

女「ううー……何が良いのか分かんないけど……何か納得いかない……」

男「……それより、恋人である友を放っておいて良いのか?」

女「え、ううん……良くはないと思う……けど……」

男「それじゃあ、なんでだ?」

女「そりゃあ……男は私の命の恩人だし……それに……」

男「それに?」

女「……今まで私の都合の良いようにしてくれてたよね?」

女「いっぱい、いーっぱい。私の気付いてない事も、きっと知るはずがない事も」

男「……何の事だろうな」

女「…………」

男「…………」

女「信じて、良いよね?」

男「たぶんな……」

女「たぶん、なの?」

男「ああ、そうだ」

女「……どうして?」

男「俺は答える事が出来ない。しちゃいけない事だとも思う」

男「それだったら、女が自分で判断する事だ。女にとって都合の良いようにしてくれたと思うのならそうなんだろう」

男「だが、逆もまた然りだ。違うと少しでも思ったらそうじゃない。俺は答えれないのだから、そうなんだ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 04:43:13.61 ID:Zqqeg+rto
女「…………」

男「…………」

女「……ずるいなぁ、男って」

男「俺は元々ずるいぞ?」

女「そっか……ん、分かった」

女「――だったら、いっぱい私の為にしてくれたって思っておくね!」

男「……りょーかい」

女(……ばーか)


――その日の夜


男「…………ふぅ。これで全部かな」

男「…………月、綺麗だなぁ」

男「それにしても、女のあの感じ……たぶん、義務感とかなんだろうなぁ」

男「恋人が居るっていうのに、俺を優先させて……破綻したらどうするんだ」

男「…………寝よ」


……………………………………………………………………………………。


生徒会長「では、今日はお開きとしようか」

女「じゃあ、また明日ね男」

友「またね」

男「ああまた明日な――っと言いたいところだが、明日は無理だ」

女「え、そうなの?」

男「ああ、検査があってな。だから、明日は友と一緒にイチャイチャらぶらぶでもしてろ」

女「いつ?」

男「……ん?」

女「検査、いつ終わるの? 終わる頃に来るからさ」

男「……時間までは聞いてないが、数種類の検査をするらしい。だからいつになるか分からないぞ」

男「だから、明日はゆっくりしてろ」

女「そっか……」

男「ああそうだ、ちょっと会長と二人にしてくれないか?」

生徒会長「うん? 私とか?」

男「ああ。ちょっと話がな」

友「そ、それじゃあ、僕達はお邪魔するね」

女「……またねー」

パタン

生徒会長「……それで、話とは女君の事かな?」

男「ああ。ちょっと……どころじゃないな。物凄く気になる点があってなぁ」

生徒会長「恐らく、君と私は同じ問題点を気にしていると思う」

生徒会長「友君と女君の事だろう?」

男「そうだ。女が俺を優先させ過ぎている」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛媛県) :2011/11/12(土) 05:06:56.66 ID:Zqqeg+rto
生徒会長「確かにあれは問題があるな……。しかし」

男「しかし?」

生徒会長「……こう言ってはなんだが、君にとっては都合が良いんじゃないか?」

男「…………おい」

生徒会長「いや、気を悪くしないでくれ。確かに君は今まで女君の為に色々と尽くしてきていた。
       その身を、心を削ってまで彼女の望む未来になるようにしてきた。
       だが……それ故に思う事もあるんだ。
       これは、ある意味で君にとってチャンスじゃないか?
       今、女君は君を最優先にしている。
       言い方は悪いが、それを利用すれば彼女を君に振り向かせる事だって――」

男「俺の性格、分かってるだろ?」

生徒会長「……そうだったな。君はそういう人間だった」

生徒会長「…………私と同じく、自分の好きな人が良ければそれで良いという考え。
       ふふ……お互いに辛い道を歩み、そしてお互いに温め合う」

男「…………」

生徒会長「まったくもって愚かだな、私達は」

生徒会長「君は女君を愛し、私は友君を愛し……。
       そして、私達は嘘の付き合いで互いの身体を温もりを分かち合う」


ギュ……


生徒会長「本当に……私達は愚か者だ……」

男「……ああ」


ギュ……


生徒会長「!」

男「本当に……大馬鹿だよ……」

生徒会長「……ふふっ」

男「どうした?」

生徒会長「何。久し振りに君が抱き返してくれたからな」

生徒会長「とても……とても、癒されるよ……」

男「……そうだな。俺も、この温かみには参りそうだよ」

生徒会長「くつくつ。君の口からそんな言葉が出てくるとはな」

男「変だったか?」

生徒会長「ああ、意外だった。てっきり『お互い様だろう?』とでも言うのかと思ったよ」

生徒会長「まあでも、君は眠っている時間が長かったんだ。仕方の無いことだろう」

男「…………ああ」

生徒会長「……さて、彼らはどうしようか?」

男「あいつらなら大丈夫だろ。いつか、ちゃんと気付くさ。
  なんせ、俺が好きになった人と会長が好きになった人だろ?」

生徒会長「くつくつ。確かに。要らぬ心配かもしれないな」

生徒会長「……………………では、名残惜しいが私も帰るとしよう」

男「ん。分かった。じゃあ、またな」

生徒会長「ああ。また明日な」

男(……明日、本当は検査なんて無いって気付いてたのか)
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/12(土) 07:29:07.46 ID:6uPrfd0Ao
違うかと思ったけどやっぱり続きだったか
支援
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/12(土) 15:50:41.09 ID:16nFtx4r0
おう、こっちで続編か
支援しちゃうんだからっ!!
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 00:06:41.04 ID:xkkMbPl1o
わかんないけど支援しちゃう!
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 16:53:42.96 ID:DUwW3kSnP
はよはよ
19 :風邪引いた。 ◆1IahjnNtgQ :2011/11/15(火) 05:48:09.20 ID:UzosGTKxo
――翌日

ガチャ――

生徒会長「やあ」

男「おわっ!? い、いきなり入ってくるなよ」

生徒会長「む。すまない……。どうも前と同じ感覚で入ってしまうな」

男「まあ仕方が無いか……」

男「それで、今日はどういった用事なんだ?」

生徒会長「ん……用が無いと来ては駄目か?」

男「そういう訳じゃないが、あの二人と一緒に居ないと色々と怪しまれるんじゃないかと思ってな」

生徒会長「何。それについては大丈夫さ。私事があると伝えている」

男「それで俺に会いに来たって訳か」

生徒会長「うむ。そうだよ。――ところで、さっきチラッと見えたんだが、咄嗟に隠した本は何だったのかな?」

男「何の事だ?」

生徒会長「誤魔化しても無駄だと思いたまえ。それとも……女性には知られたくないようなものなのかな?」

男「断じて違うから安心しろ」

生徒会長「なんだ……少しばかり興味があったというのに」

男「興味って……お前なぁ……」

生徒会長「何。女性とて性欲はあるし、知的欲求はもっとあるぞ?」

男「それを男性である俺に対して言うか? 色々と勘違いされると思うんだが」

生徒会長「君ならそういった心配はないだろう」

男「俺だって『俺』以前に生物学上男なんだぞ?」

生徒会長「くつくつ。好きな人にしか欲情できない癖によく言うよ」

男「会長も同じなんじゃないのか?」

生徒会長「くつくつ。それはさておき、本の正体は何なのかな?」

男「それだけは言わない。黙秘権を使用する」

生徒会長「ふむ……残念だな」

男「それより、本当に何も目的無しでここまで来たのか?」

生徒会長「無いと言うと嘘だが……その……」

男「どうした? やけに歯切れが悪いな」

生徒会長「昨日みたいに……その、また温かみが欲しいというかだな……」

男「む? なんの事だ?」

生徒会長「い、いぢわるを言わないでくれ。いつもみたいに抱き締めても……構わない、よね?」

男「……分かった」ギュ

生徒会長「あ……。ん……」ギュゥ

生徒会長「……うん。やっぱり、この温かみは癖になるね」

男「……なんか、素が出てないか?」

生徒会長「む。すまない……」

男「いや、俺は別に構わないぞ。ただ単に気になっただけだ」

生徒会長「ん……」

男「……………………」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/15(火) 07:04:27.59 ID:t5fYXJIi0
お大事に
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 07:51:36.57 ID:+aARUmUSO
苦い砂糖か
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 16:07:19.71 ID:6+57pQtIO
コーヒーはミルク入りでな。
一作目から読んでるよ。期待。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/15(火) 18:15:40.64 ID:S6LZGWbL0
最初は苦いけどだんだんと慣れる珈琲の味
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/16(水) 19:57:04.89 ID:2bcmCp/AO
どっちかっつうと一作目がキツすぎた
25 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/19(土) 04:55:20.94 ID:pvNul5cGo
生徒会長「んん…………」スリスリ

男「…………」ナデナデ

生徒会長「ぁ……ん、ふ」ピクン

男「…………」ナデナデリ

生徒会長「んー……にゃぅ……」ギュー

男「…………」ギュゥ

生徒会長「ふ、ぅ……ぁう」ボー

男「…………」ギユゥゥ

生徒会長「ぃっ……ぅ……く、ぅん」ビクッ

生徒会長「――――はっ!?」

男「どうした?」

生徒会長「わ、私は一体……何を……。
       あろう事かあんな破廉恥な声で……!」

男「……駄目な事だったのか?」

生徒会長「ぁ……いや、そういう訳ではないが……君は嫌がるんじゃないかと」

男「別に何も嫌がらないが?」

生徒会長「そ、そうなのか?」

男「ああ」

生徒会長「……ふふっ。なんだか今日はいつもにも増して優しいな。
       頭を撫でてくれたり、少し痛いくらいに抱き締めてくれたりと……」

男「む、痛かったか。すまん」

生徒会長「謝る必要はないさ。……とても心地良かったよ。
       あんな、頭の中が真っ白に蕩けてしまいそうな甘い感覚は初めてだ」

男「ふむ。喜んで貰えて何よりだ」

生徒会長「私は確かに非常に心地良かったが、男はどうだったのかな?」

男「俺か? 会長なら聞かなくても分かってると思うが」

生徒会長「君の口から聞きたいんだ」

男「……………………。
  良かったよ、物凄く。あのままずっと時間が止まってしまっても良いって思った程だ」

生徒会長「そうなのか?」

男「ああ……自己嫌悪してしまいそうにな。
  あまりに温かくて、気持ち良くて、優しくて……。
  もう何もかもこのままで良いって思ってしまった」

生徒会長「自己嫌悪、か。私もだよ。
       私達はあくまでもお互いの温もりを分かち合うだけの関係。
       なのに、あのまま永遠に続けば良いと思ってしまった。
       ……心に決めた人が居るというのに、これではまるで節操の無い獣の心みたいだ」

男「そうだよな……。俺も同じだ。
  本当に……自分を殴りたくなる」

生徒会長「ああ……。こんな場面を見たら、私も自分を引っ叩いている所だろう」

生徒会長「しかし……本当になぜなんだろうな」

男「何がだ?」

生徒会長「前にも言ったように、どうして君よりも友君の事が好きなのか、だ。
       性格、学力、体力、才能、体躯、顔、全て君にアドバンテージがあるだろう。
       欠点を述べるなら、何も知らない第三者を怯えさせてしまいそうな雰囲気を出しているという点くらいか。
       だが、言い換えるとそれだけしか欠点がないと言える。
       ……いや、恋愛に対して少々潔癖な所もあるかな?」
26 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/19(土) 05:25:34.75 ID:pvNul5cGo
生徒会長「ともかく、だ。君は明らかに友君よりも好意的に見られるはずなんだ」

生徒会長「仮に恋仲になったとして、将来的に見ても友君よりも君の方が明らかに幸せな家庭が確実に築けると思える」

男「……簡単な事だろ?」

生徒会長「ああ。『好きだから好き』これに尽きる訳だ。
       だが……それでも時々、なぜなのかと考えてしまうんだ」

男「それだけで良いんじゃないのか? 恋愛なんて、好きになったから好きになるものだ」

生徒会長「私達の中では、な。
       ……まったく、本当に不思議な事だよ」

男「そうだな……。俺も同じ事を考えたよ」

生徒会長「――ほう?」

男「女よりも遥かに頭脳も良い。空気も読めている。
  スタイルだってそうだろう。顔は……俺には良く分からないからパスだが、他にも女よりも勝っている部分なんていくらでもある。
  それでも、俺は女が好きだし、女以外に恋愛感情を持てる自信なんてこれっぽっちも無い」

生徒会長「ふふ……褒めてくれてありがとう」

男「ああだが、初対面だと少しばかり会長は冷たい人間に見られるかもな。
  会長のイメージは氷だ」

生徒会長「……上げて落とすというのは如何なものかな?」

男「だからこそ、なんだよ。氷のイメージがある会長が、さっきみたいにとても甘えてくるというのは可愛らしいと思う。
  ……もしかしたら、それで友を靡かせる事もできるかもしれないな」

生徒会長「くつくつ。リカバーは及第点といった所かな」

男「これは手厳しい」

生徒会長「くつくつくつ。お互いを分析するのはなんだか不思議な感覚だな」

男「ああ。普通なら有り得ないだろうな」

生徒会長「そもそも私達は普通の交際ではないだろう?」

男「おっと、そうだったな」

生徒会長「それにしても、だ」

男「ん?」

生徒会長「……こうやって強く抱き締められるのは、本当に蕩けてしまいそうになる」

男「……頼むから正気は失うなよ?」

生徒会長「くつくつ。なんとか抑えているさ。
       君を押し倒したいという感情も、もっと肌を露出させて、もっと直に体温を感じたいという欲求も」

男「……俺の貞操がピンチだな」

生徒会長「どれも温もりを感じたいという一心から来るものさ」

生徒会長「どうかな? 本当にそうしてみないか?」

男「試すな。丸分かりだぞ」

生徒会長「くつくつ。バレていたか。
       もし首を縦に振ったり悩んだりしたら引っ掻いてやろうと思ったというのに」

男「意外と攻撃的だな」

生徒会長「何。君を信じているからな。本当は何も考えていなかったよ」

男「……それはそれでどうなんだ? もし俺が頷いたらどうするんだ」

生徒会長「君はそんな事をする人間ではないとよく知っているから問題ないさ」

男「なんだか色々と間違ってる気がするんだが……」

生徒会長「くつくつくつ」
27 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/19(土) 06:27:14.10 ID:pvNul5cGo
生徒会長「そうそう、一つ言い忘れていた」

男「ん?」

生徒会長「さっき『君を押し倒したい、もっと肌を露出させてもっと直に体温を感じたい』と言ったが、あれは本当だ。
       同時に、そこまで踏み込みたくないとも思ったが」

男「…………」

生徒会長「……たぶん、寂しいんだろうな。
       今、きっと友君と女君は二人っきりで恋路を進んでいるだろう。
       そう思うと、心が痛くなって、寒くなって、心にポッカリと穴が空いてしまったかのような感覚になるんだ」

男「ああ……」

生徒会長「だから、さっきのような行動に出たくなる。出て貰いたいとすら思う。
       恐らくだが、君にそんな事をされても今の私は拒まないだろう。
       むしろ、そうしてくれると気が楽だ。
       そして、自己嫌悪するんだ」

男「自分の狡さが分かるからか」

生徒会長「ああ。自分から踏み出す勇気も根性も無い。
       だが、求められると受け入れるだけだ。
       とても簡単で、とても楽で、とても汚い。そんな自分が見えてくる」

男「人間なんて恋の病に掛かると誰もが滑稽だし馬鹿で単純になるさ。
  その時その時の好きな人の行動一つで今とは正反対の感情になる事すらある。
  まるで精神病だ」

生徒会長「正にそうだと思うよ。恋とは深みに嵌れば嵌る程、性質の悪い精神病と似ていく。
       そして正常な思考すらも奪われてしまう。
       恋の闇路に迷ってしまうとどんな結末が待っているのか、想像すらしたくない程に怖いよ」

男「ああ……本当に怖いな。
  自分が何をしているのか、何をしたのか、過去に何があって今何がどうなっているのか分からない。
  ……この上なく怖い事だ」

生徒会長「だが、この闇路から抜け出す方法も無い事は無い」

男「ほう? 確実なものなんてあるのか」

生徒会長「ああ、あるとも。それは、他のモノに矛先を変える事さ。
       人でも無機物の物体でもなんでも良い。ただ、対象を変えてしまえば良いんだ」スッ―シャッ!

男「ん? 立ち上がって……カーテンまで閉めて、どうした?」

生徒会長「……男、少し後ろを向いてて貰って良いかな」

男「…………構わないが、変な事はするなよ?」クルッ

……………………シュル……パサップチ……プチ……

男「おい会長何を――!!」

生徒会長「今振り向くと、私の下着姿を見る事になるぞ?」

男「……本当に何をするつもりだ。変な事をするなって言っただろ」

生徒会長「私がそれを承諾した記憶は無いな。んっ……」スルッパサン

パチッ……パサッシュル……スルル……パサッ

生徒会長「ボタンは……半分までで良いかな。男、こっちを向いても構わないよ」

男「俺が素直に振り向く馬鹿だと思うか?」

生徒会長「思っていないさ。だから、私は一つの対策をしてみた」

男「……対策だ?」

生徒会長「そうだ。今さっき脱いだのは上下の下着とブレザーだけだよ。
       スカートとシャツは着たままだ」

男「上下の下着ってお前……」

生徒会長「そう。ブラジャーとショーツを、だ」
28 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/19(土) 07:00:19.62 ID:pvNul5cGo
男「それなら俺は振り向くとでも?」

生徒会長「まったく思わないな」

男「……なら、何が対策なんだ?」

生徒会長「簡単な事さ。男が振り向かない限り、今から五秒毎にこのシャツのボタンも外していく。
       そして、その次はシャツを脱いで、そして最後はスカートとなる」

男「……一応聞いておくが、それでも俺が動かなかったらどうする?」

生徒会長「そんな裸も同然の状態で抱き付こう」

男「勘弁してくれ……そもそも、なんでこんな行動に出たんだよ」

生徒会長「さっきも言っただろう? ……寒いんだ、心が」

男「それと服を脱ぐのに何の関連があるんだ」

生徒会長「今日は一段と寒くてね。もっと、温かくならないと耐えれそうにないんだ」

男「…………なあ」

生徒会長「露骨に時間を稼ごうとするのは愚考だぞ?」

男「チッ……」

生徒会長「ああそれと、暖房は利いてるようだが、それでも少し肌寒いな」

男「ならさっさと服を着ろ。下着もだ」

生徒会長「その言葉には従わないとしよう。
       ……さて、掛けているボタンは三つ。つまり、二十秒もすれば私は上半身を完全に露出させるという訳だ」

男「……俺にも考えはあるぞ?」

生徒会長「下着は掛け布団に包まらせておいた。後ろ向きで下着を飛ばさず、尚且つ私の抵抗を無力化して羽織らせれるかな?」

男「…………」

生徒会長「では、カウント開始だ。……一」

男「…………」

生徒会長「二……三……四」

男「…………」

生徒会長「……五。まずは一つ目のボタンだ」プチ

男「本当に外しやがったのか……」

生徒会長「有言実行な性格でね。六……七……八……九……」

男「………………」

生徒会長「十。二つ目――残り一つだ。早く覚悟を決めようじゃないか」プチ

男「………………」

生徒会長「だんまり、か……。十一……十二……十三……十四……十五」プチ

生徒会長「さあ、次はシャツを脱ぐ番だな。十六……十七……十八……十九……にじゅ――」

男「ああもう分かった!!」クルッ

生徒会長「やっと振り向いてくれたな。それとも……君はこんなギリギリな裸シャツが好きでワザと?」

男「黙れ痴女め」

生徒会長「くつくつ。そんなに怒らないでくれ。……私は、必死なんだ。許してくれ」

男「…………」

生徒会長「さて、このままいつものように抱き付こうではないか」

男「おい……」

生徒会長「――私は本気だ」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 11:29:40.03 ID:b4fOMfPDo
なんてところで止めやがる・・・
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/19(土) 21:18:05.34 ID:uxLkt+l/0
乙!
こんなところで…
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 22:25:41.70 ID:X4vqYzBtP
はよはよ
32 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/21(月) 06:33:42.63 ID:GuPAlLJdo
生徒会長「……なあ、男」

男「……なんだ?」

生徒会長「良いよね?」ギシッ

男「その前にベッドに乗るな。身体を屈めるな」

生徒会長「――ああ、見えてしまいそうなのか」

男「そうだ。だから――」

生徒会長「良いじゃないか。もう」

男「良い訳がないだろうが。どういう状況なのか分かってるのかお前は」

生徒会長「勿論分かっているよ。
       シャツとスカートのみの私が、ベッドの上で膝と手で這うように……いや、男を誘惑するような体勢と言った方が良いな。
       そんな体勢で君に尋ねている。……ちゃんと、分かっているよ」

生徒会長「だが、それがどうしたというのかな?」

男「どう考えても大問題だ。お前は何をする気だ」

生徒会長「さっきも言っただろう? いつものように抱き締めたくて、抱き締められたいんだ」

生徒会長「先に言っておくよ。私は今、正常な思考はしていないと思う」

男「……ああ。異常としか言いようがない」

生徒会長「最初は、もう少しだけ男と近く居たくなったんだ。だが、服を脱いで居る時に少しだけ……少しだけ、友君と女君の事を考えてしまってね。
       きっと、彼等はこれ以上の事を済ませているのかと……。
       自業自得だとも分かっている。それを君に押し付けようとしているのも分かっている。
       これは私の自分勝手な我侭だ」

男「だから、狂いそうになる、か」

生徒会長「ああ。彼等がそういった事をしてしまったのかと思うと狂いそうになるんだ。
       奪うどころか、もはやあの二人の間に割って入る隙間すら無いんだ……。
       そう思うとな、いつまでも私は我慢しなくても良いんじゃないかとすら思ってくる」

男「…………」

生徒会長「……実を言うとな、私の肌に触れるのを許した男性は、友君と男の二人だけなんだ」

男「人の事を恋愛が潔癖と言いながら、会長もそうじゃないか」

生徒会長「お互い様、なんだろう?」

男「……ああ。俺の憶えてる限りじゃな」

生徒会長「ふふっ。やはりな。
       ――それで、私は今こう思ってるんだ。
       『このまま、男に全てを捧げてしまおうか』……とね」

男「俺の意思は関係無しか?」

生徒会長「いいや。だから聞いているんだ。
       このまま抱きついて良いか、と。君の意思を無視するのならば、もう既に肌を重ねているよ」

男「ここまでお膳立てしておきながらよく言うな」

生徒会長「今の私の小さな常識と良心だと思ってくれ。
       最後は、君の意思に任せたいんだ」

生徒会長「なんて答えるのかはもう見当が付いている。
       だが、それでも万に一つ……いや、億や兆、那由他の彼方に一つでもあるのならば、私はそれに賭けたい」

男「……何が会長をそこまで動かすんだ。
  会長は友以外となんて考えてないだろ」

生徒会長「今此処で君が私を受け入れてくれたら、私は生涯男だけを愛すると誓おう」

男「会長、アンタって人は……!」

生徒会長「……こういう所では、君と私は違うのかもしれないな。君は納得しない、か」

男「ああ」

生徒会長「……目に曇りすら無い。やはり君は、強いな」
33 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/21(月) 07:15:22.25 ID:GuPAlLJdo
生徒会長「ふふっ……賭けは負けたようだ。では男、キッパリと拒絶してくれ。
       そうしたら、この関係も解消だ」

男「会長、何か勘違いしてるな」

生徒会長「え……?」

男「俺は会長を受け入れれない。だが、今までと同じ事ならなんの問題も無い。
  寂しくて苦しいのは俺も同じだ」

男「歩み寄りたければ歩み寄れば良いだろ。会長は、ただ単に急いているだけだ。
  泣きたければ泣けば良い。必死ならそれなりにもがけば良い。だけど、さっきの会長の申し出は間違ってる。
  もう少し、ほんのもう少しでも良いから冷静になって考えてみろ」

生徒会長「だが――」

男「ほら、ちゃんと座れ。そして深呼吸」

生徒会長「……?」

男「いいから深呼吸だ。ゆっくりと時間を掛けて三回」

生徒会長「………………。スゥ……ハァ…………スゥ……ハァ…………スゥ……ハァ…………」

男「少しは冷静になったか?」

生徒会長「…………」ジワ…

男「なっ……!?」

生徒会長「男……こっち、来て……胸、貸して……」

男「…………ああ」スッ


ギュッ――ばふっ――!


生徒会長「う、ぁぁ……! ひっ、く――ぐすっ…………っぁあ……!」

男「よしよし……」ナデナデ

男(結局、この姿で抱き締めさせてしまったな……。しかも押し倒されてるし)

生徒会長「――っく……ぅえ、あぁぁ……っ!」

男(女の涙に弱いなぁ、俺って……)

男(だけど、これで落ち着いてくれるよな)


…………………………………………………………………………………………………………。


生徒会長「……………………」

男「落ち着いたか?」

生徒会長「……少しだけ」

生徒会長「…………………………ごめんね……?」

男「気にするな。
  ……それより、そろそろ離してくれないか?」

生徒会長「ヤダ」

男「ヤダって言ってもなぁ……」

生徒会長「絶対にヤダ。まだ足りないもん」

男「…………分かった分かった。それくらいは譲歩するよ」

生徒会長「ん……ありがと……」

男(妹が居たらこんな感じなのかねぇ?)
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 12:50:43.19 ID:8tXjlbXSO
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 19:55:33.87 ID:9ntCo12do
もうくっついてしまえよ
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 20:37:27.16 ID:Lae38Qrco
うん。そう思う。生殺しはよくない。読者的にも
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/21(月) 21:46:21.22 ID:dbKvGeoU0
素が出た会長すごく…イイです
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 22:44:42.46 ID:8tXjlbXSO
いやくっついたら駄目だろ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 21:17:06.70 ID:ol0jlCU2o
くっつかないからこそいい
40 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/24(木) 03:31:29.09 ID:BngIAVgyo
………………………………………………………………


生徒会長「……それでは、そろそろ帰るとしようか」

男「ああ。気を付けて帰れよ?」

生徒会長「…………」

男「ん?」

生徒会長「……やはり、君は変わったな」

男「そう、なのか?」

生徒会長「うむ。なんだか優しくなったと思うよ」

男「……変か?」

生徒会長「いいや、むしろ一層に好ましいと思える。何気の無い、相手を心配する言葉はとても心地良いよ」

男「そうか。これからは少し冷たくしてみようか」

生徒会長「くつくつ。君らしい返答だな」

生徒会長「――ああ、そうだ。男、どちらでも構わないから手を出してくれないか?」

男「ん。これで良いか?」スッ

生徒会長「いや、逆だ。手の甲を上にしてくれ」

男「…………?」クルッ

生徒会長「うむ。ありがとう」


スッ――チュ


男「なっ!?」

生徒会長「くつくつ。敬愛の証だよ。こんな事をしたのは君で初めてだ」

男「……他意は無いんだな?」

生徒会長「うん? あった方が良かったかな?」

男「答えてくれると嬉しいんだが」

生徒会長「全く……。急くのは嫌われるぞ?
       ――敬愛の他にも心に思った事はあるが、これは秘密にしておこう」

男「む」

生徒会長「くつくつくつ。女とはな、秘密が多ければ多いほど美しくなるものだよ」

男「はぁ……」

生徒会長「そうだな、一つだけ吐露しておこう」

生徒会長「どうやら、私は友君以外を好きになれるかもしれないな――」

男「!」

生徒会長「くつくつ。それではまた明日」


ガチャ――パタン


生徒会長「……ふぅ。友君以外を好きになる、か……」

生徒会長「心にも思っていない事を……。私は、ただ単に逃げたいだけなんだろうな……」

生徒会長「だから私は自分が嫌いだ……。男にはすまない事をしてしまったな……」

生徒会長「……嫌われなければ良いんだが」

生徒会長「ハァ……。男を好きになれたら良いのになぁ……」
41 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/24(木) 04:13:57.23 ID:BngIAVgyo
――次の日


女「そういえばさ、男と会長って、お互いの家に行った事あるの?」

男「――は?」

生徒会長「うん?」

女「いや、だってさー。男も会長も基本的に生徒会の仕事でそれなりに忙しかったでしょ?
  今はこうやって入院してるし、どうなのかなって思ったの。はい、林檎剥けたよ」

男「……ありがとう」シャクッ

生徒会長「ふむ……そういえば今までに一回も無かったな。…………ふむ」

男「それよりか、お前と友こそどうなんだ?」

友「都合が合わないっていうかなんというか……アハハ……」

男「……行ってない、と」

女「何でホッとしてるの?」

男「まあ、色々と思う事があってな」

女・友「?」

男「そうだな……一回、招いても良いかもしれない。どうする? 会長」

生徒会長「ありがたいんだが、そういうのは両親が煩くてね。逆にこっちが招待するのならば問題は無いよ」

生徒会長「むしろ、両親は君に会いたがったりしてるんだけれどね」

女「ほっほう。親公認になるのも時間の問題かしらぁ?」

友「婚約もしたりとか?」

男「それは流石に早いだろ」

生徒会長「うむ。ちゃんと先を見詰めないといけない事だよ」

友「だよね。でも、結構憧れるなぁ」

女「何々? 友はそんなシチュエーションが好きなの?」

友「うん。なんだか夢があるでしょ?」

女「確かにねー。なんだかこう、光ってイメージ!」

男「どういうイメージだ……」

友「女の頭の中は摩訶不思議だからね……。あ、コーヒー無くなっちゃった。買ってくるけど、三人はどうする?」

女「マスター、いつもの頼むわ」

男「ではマスター、俺もいつものを頼む」

友「なんでそんなハードボイルドに……まあいいや。会長は?」

生徒会長「私は……そうだなぁ」チラッ

男「!」コクッ

生徒会長「……すぐには決めれないな。ついていくとしよう」

友「ん、分かった。じゃあ二人共、行ってくるね」

男「ああ、いってこい」

女「いってらっしゃーい」

男(頑張ってこい、会長)ジッ

生徒会長(くつくつ。君もな)クスッ


ガチャ――パタン
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 10:49:39.39 ID:Wwk2X8Fh0
続編始まってたか
出遅れてしまったが期待しないわけにはいかないな
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/24(木) 12:40:53.55 ID:Oj8kQz6/o
乙乙。

会長の笑い声が靴靴に勝手に変換されていたたまれない
44 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/26(土) 11:57:55.59 ID:oZJ46TCuo
女「……ねえ、男」

男「ん?」

女「ちょっと変な事、聞いても良いかな」

男「やけに真剣だな。どうしたんだ?」

女「あのね、えっと……その……なんて言えば良いかな。
  うーんと…………私がさ、男に何か出来る事ない?」

男「……いきなり何を言い出すかと思えば、どういう意味だ?」

女「私って馬鹿だからさ、気の利いた言葉とか行動とかできなくて……。
  だから、男に言ってほしいの。私が男に出来る事。なんでも良いからさ」

男「何を言ってるんだか……」

女「私は本気だよ。命令でもなんでも、男の言う事をなんでも聞く」

男「……本当にどうしたんだ、女?」

女「男が起きてからね、ずっと考えてたの。私が男にしてあげれる事って何かなって。
  でも、私が思いつく事っていったら、男のお見舞いとか林檎を剥く事とか、そんな小さい事ばっかりでさ……。
  なんかこう、ちゃんと男の役に立てる事をしたいの」

男「どうしてそんな事を考えたのかさっぱりなんだが」

女「だって、男は命の恩人だもの。
  それに、男は答えてくれなかったけど、今まで私の都合が良いように物事が運んだのって、男のおかげだと私は思ってる。
  私は恩を受けてばっかり。だから、男に恩を返したいの!」

男「そんな事なんて気にするな。俺はいつも通りのお前で居てくれたらそれで良いぞ?」

女「それじゃダメなの! そんなのじゃ一生を掛けても返しきれない!!
  だって、色々な事を影から支えてくれてて、その上に命まで助けてもらったんだよ!?」

男「だから、気にするなって」

女「気にするよ!」

男「……俺はさ、お前が笑顔で居てくれたらそれで良いんだよ」

女「ダメだよ、そんなのじゃ……。全然返せれないよ……」

男「……はぁ。本当にそれだけでも充分過ぎるんだって」

女「私が納得できない」

男「どうするかなこりゃ……。むー……………………」

女「なんでも良いよ。どう足掻いても無理な事以外なら、なんでもやる」

男「……そうか。なら、一つだけあるな」

女「何?」

男「俺の……――」

女「?」

男「――……俺の事は気にしないでくれ」

女「だから、それだと――!」

男「記憶、無いんだよ」

女「――意味が……え?」

男「女の記憶だけがさ、無いんだよ。だから、感謝とか言われてもしっくりこないんだ」

女「嘘……」

男「本当なんだよな、これが」

男「だから、いつも通りでいてくれないか?」
45 : ◆1IahjnNtgQ :2011/11/26(土) 12:18:06.82 ID:oZJ46TCuo
男「それにさ、なんだか無理してるだろ?」

女「……何が?」

男「本当は友と一緒に居たいんだろ?」

女「――っ」

男「恋人を泣かせたら、自分まで泣く羽目になるぞ?」

女「で、でも……――」

男「でももだってもない。女は履き違えてるんだ」

女「履き違え……?」

男「女が本当に大事にするべきなのは友。これは絶対だ。
  俺は女の命を救ったのかもしれない。色々と何かをしたのかもしれない。
  だが、もしやってたとしても、それは俺が勝手にやった事だ。それに対して感謝する事があっても、無理に恩を返す必要はないんだ」

女「…………」

男「友の事、好きなんだろ?」

女「うん……」

男「絶対に、手放したくないんだろ?」

女「うん……」

男「泣かせたり、悲しませたくないだろ?」

女「うん……」

男「だから、俺よりも友を大事にしろ。俺よりも友を優先しろ」

女「……………………はい」

男「ああ。それで良い。素直だ」

女「……男」

男「ん?」

女「ありがと……本当に、ありがと……」ジワッ

男「あー、泣くなって。ほら、ハンカチ」

女「あり、が……ひっく…………」

男「良いって良いって」

男「あ、そうだ。興味本位で聞くが、なんでもやるって言ってたよな?」

男「あれは、俺と付き合えって言ってもやってたのか?」

女「ぐす……。たぶん…………やってた」

男「……ていっ」ペシッ

女「あうっ……」

男「そういう事は絶対にするなよ? 例え、命の恩人相手でもだ」

女「ごめんなさ……ひっ、く……」

男(……なーにやってるんだか、俺って。
  女の記憶だけが無いなんて嘘を吐いて……)

男(……………………)

男(ほーんと……明らかにチャンスだったのにな……)

男「……バーカ」

女「ううっ……」

男(本当……馬鹿だよな、俺って)
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/26(土) 15:17:54.96 ID:sJHDpvdu0
乙!
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/26(土) 15:33:17.59 ID:sCAVk5am0
あ?
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/29(火) 15:24:46.51 ID:WfdodFoK0
おわりか
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/29(火) 20:12:51.49 ID:0eWyLUCAO
うむ。どっかの正義の味方と違ってブレなくてなによりだ
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 15:21:59.16 ID:E8pe82auP
飽きるのはやっ
51 :リアル事情とか体調不良が重なってる。すまない ◆1IahjnNtgQ :2011/12/08(木) 10:33:12.47 ID:QX//8mbqo
――屋外 自販機前

友「まさか院内の自販機が壊れてるなんてねー……」

生徒会長「確かに面倒ではあるが、仕方の無いことだろう」

生徒会長(おかげで、こうして誰にも邪魔をされずに友君と一緒に居られるから私は返って好都合なのだがな)

友「はぁ……」

生徒会長「…………。私と居るのはそんなにつまらないかな?」

友「え!? いや、そういうわけじゃなくてでしてね!!?」

生徒会長「くつくつ。冗談だ」

友「――え……び、びっくりしたぁ……」

生徒会長「しかし、何か悩み事はあると見た。私で良ければ相談に乗るぞ?」

友「……悩みなんて無いですよ?」

生徒会長「ほう?」

友「……………………」

生徒会長「…………」ニコニコ

友「……ぅ」

生徒会長「うん?」ニコニコ

友「……僕の負けです。本当は悩んでます……」

生徒会長「うむ。素直で宜しい。して、悩みとは?」

友「えっと……女と男の事について、なんですけど」

生徒会長(ああ、やはりか)

友「最近、女が男とずっと居てて……なんだか僕の事がどうでも良いのかなって思っちゃって……」

生徒会長「ふむ……」

友「男も男で、なんだか楽しい、というかなんというか……。なんだかそんな感じだし、邪魔しちゃ悪いかなーって思って……」

生徒会長「…………」

友「でも、やっぱり僕にも独占欲があって、女を独り占めしたいというか……えっと……」

生徒会長「イチャイチャしたい、と?」

友「あぅ……。うん……」

生徒会長「ふむ」

友「あと、こういうのって本当は言っちゃいけないんだろうけど、男って女の命の恩人だし……ね?」

生徒会長「どうしても遠慮してしまうか」

友「うん……」ジワッ

生徒会長「自分が無力に感じて、それでいて何をしようにも思いつかない苦しみ。
       おまけに自分の大切な人までも自分に気に掛けてくれない悲しみもある」

友「…………っ! は、い……」ポロ

生徒会長「友君、やはり辛いかな」

友「はい……っ。辛い……です……」ポロポロ

生徒会長「そうか……ならば――」ギュ

友「ふ、ぇ……?」

生徒会長「――少しばかり、こうして泣くが良い」

友「…………ぅ、ああ……っ」

生徒会長「…………」ナデナデ
52 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 10:36:09.40 ID:UKqaHUESO
きたか
53 : ◆1IahjnNtgQ :2011/12/08(木) 10:59:32.74 ID:QX//8mbqo
生徒会長「どうしても辛いなら、視点を変えてみるのも良いものだぞ?」ナデナデ

友「…………?」

生徒会長「例えば、だが。恋人が冷たくなったのならば原因を探ると同時に、何か今までとは違う事をしてみるとかな」

生徒会長「一例として『アプローチ方法を変える』『自分も冷たくしてみる』『喧嘩になるのを覚悟して話す』」

生徒会長「後は……『別の誰かに乗り換える』だな」

生徒会長「すれ違いが続くようであれば、自分から行動するしかないだろう?
       たとえ、それが別の誰かを選ぶ形になったとしてもだ」

友「……………………」

生徒会長「そうだな。私みたいなのはどうかな?」

友「――え?」

生徒会長「これも例え話だ。もし、私が男と付き合っていない独り身で、君を誘うとしよう。
       その場合、友君はどうするかな?」

生徒会長「君を受け入れる自信があると言い、君を何があっても大事にすると言われたら、どうする?」


ぎぅ…………


友「あ、ぅ……っ」

生徒会長「こうして、少し痛いくらいに抱き締められるのは、とても心地良いものだと私は思っている。
       ……どうかな?」

友「……会長」

生徒会長「うん?」

友「慰めてくれて、ありがとうございます」スッ

生徒会長(……ふふ、そうだな)

生徒会長「何。私とて君達が離れ離れになってしまうのは惜しいと思っているからな」

生徒会長(そう。最初から分かっていた)

生徒会長「喧嘩でもしてくると良い。互いに本心を語り合う事で、また絆というものは深くなるものだぞ?」クルッ

友「……・? 会長、どこへ?」

生徒会長「何。少々お花畑へと赴いて摘んでくるだけさ。すまないが、病室へコーヒーをお願いして良いかな」スタスタ

友「はい。――ありがとうございます」

生徒会長(彼が誰かに乗り換えない事くらい、最初から分かっていた――)

生徒会長「…………もう少し強引でも良いんだけれどな、私は……」

生徒会長(本当……馬鹿だよね、私って)


……………………………………………………………………………………


生徒会長(誰にも見つからずにトイレへと着いたな。……早く顔を洗って男の病室へ向かうとしようか)

ジャー…………。

生徒会長「……………………おかしいなぁ……」

生徒会長「涙……今更、溢れって…………」

生徒会長(弱いね……私って……)

ジャー……………………。
54 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 13:34:46.77 ID:PMlucRJd0
フォイ!
55 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/12(月) 17:49:36.63 ID:fnmTo59O0
なんかきてた
56 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 20:29:37.23 ID:ughFKQSIO
あげんな
57 : ◆1IahjnNtgQ :2011/12/19(月) 19:36:34.79 ID:7NACZK28o
………………………………………………………………。


皆が帰った後の病室。
寂れた感じのする部屋で、俺は時間が過ぎるのを待っていた。

男「そろそろ、かな。行くとするか」

女と友が、どうなるのかを――。


………………………………………………………………。


生徒会長「では、また明日。友君、ちゃんと女君を送って行くのだぞ?」

友「は、はいっ。またね、会長」

女「ばいばーい」

生徒会長(……さて、こっそりと様子を見るとするかな)

友「…………」

女「…………」

生徒会長(空気が少し重いな……。男の方も何か言ったのだろうか?)

――――――…………。

生徒会長(何も話さないままここまで来たか……。絶対に何かあると思ったのだが、私の勘が外れたかな?)

友「……ねえ、女。ちょっと公園に寄っていこうか」

女「え? う、うん」

生徒会長(ほう、動いた。さてさて、どうなるかな)

友「…………あの、さ」

女「……うん」

友「その……男の事なんだけど」

女「………………うん」

友「……単刀直入に言うと、女は僕よりも男の方が大事?」

女「…………」フルフル

友「男の方が、好き……?」

女「…………」フルフル

友「ここ最近さ……なんだか僕の事を放っておいてるみたいな感じがしてたんだ……」

女「…………」

友「あまり僕と話さなくなって、男の方にばかり気に掛けてて……」

女「だっ……て……」

友「女は、どうしたいの……?」

女「……わかんない」

友「わかんないって、そんな――」

女「分からないのよ!! 友と一緒に居たい! けど、男は命の恩人だから何かで返したい!! でも、私は何も出来ないのよ!!!」

女「男にだって今日言われた!! そんな事、気にするなって! でも、気にするななんて無理じゃないの!!」

友「だったら!! いつも無理をしてそうな顔しないでよ!!」

女「…………っ!」

友「いつも何か思いつめてるようなそんな顔してて、周りの人が、僕が心配しないとでも思ってるの!?」
58 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 19:53:49.69 ID:EkJukN5IP
はよ
59 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/28(水) 23:24:00.62 ID:8xEbw7bq0
友が自己中に見えてきた
60 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 00:01:13.24 ID:vr+ITz+P0
見てます
61 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 00:03:44.47 ID:vr+ITz+P0
邯壹″wktk
62 :あけでとう。今、最高に鬱。良いモノが書けそう。 ◆1IahjnNtgQ :2012/01/01(日) 06:56:01.95 ID:nAv9Ll3wo
女「じゃあ……友ならどうするのよ……」

友「え――?」

酷く冷えた声色で、彼女は言った。

女「友なら、どうする?」

友「女……?」


急変。
まさしくその言葉がそのまま当て嵌まるような豹変振りだった。
彼女の全身を強張らせていたはずの緊張は弛緩しきってしまったかのように脱力し、目には光が一切灯っていない。
希望を捨てたような人間。そう言っても良いくらいだった。


女「悪い頭で必死で考えて、男を、友を辛くさせたくなくて、どうしようかってずっと悩んでさ」

女「まるで山積みになった洗濯物みたいで、何をどうしたら良いのか分かんないから、足元から片付けようとするのに片付かない。洗っても落ちないの」

女「重いかもしれないけど、友は私の大切な人。友が拒絶するまで、ずっと私の大切な人」

女「だけど男は違う。男は元気になったら今までと同じように――とまではいかなくても、それに近い状態で収まる」

女「命はとっても重いもん。同じように私の命を捧げる位じゃないと返せれない。でも、それは無理って分かってるし、男もそんなのを望まないって分かってる」

女「だからせめて、男が元気になるまでの間くらい――せめてそれだけの短い間だけでも、世話をしなきゃって思った」


ゆらり、と女は死人のように友へ近付いていった。


女「私の考えた事、やった事、そんなに間違ってたかな……」


力無く首を傾げ、友の瞳を覗き込む彼女。
感情の無い人形のようなその動きに、彼は少しだけ怖気付いてしまった。


友「っ……! 間違ってたかどうかなんて、分からない……」

女「だよね。私も分かんないや」

友「でも……僕なら女と同じ行動にはでないよ」

女「――へぇ?」

友「僕が女の立場なら、まずは女に頼ってた!」

友「僕だって頭が良いわけでもなんでもない! だけど、分からない事とか、自分一人じゃ解決できそうにないものが目の前に立ち塞がってきたら、僕は女に頼る!」

友「それでも解決しないなら会長にも頼ったと思う! 僕は弱いし馬鹿だ! だから頼るしかないんだよ!」

友「1しか数字がないならずっと1だよ! だけど、1+1は1じゃない! 1になるって事は無いんだよ!!」

女「…………」

友「一人で……抱え込まないでよ……。僕は、女の隣に居るって決めてるんだから……」

女「……やっぱり、馬鹿だね」

友「う……で、でも――」

女「ううん。私の事。私って、馬鹿だよね。本当に……」

女「近くに頼れる人が居るのに……友の言うように一人で抱え込んじゃって、それで空回って……本当に馬鹿」

友「女……」
63 : ◆1IahjnNtgQ :2012/01/01(日) 07:29:04.49 ID:nAv9Ll3wo
女「すぅ――はぁ…………」

女「ん、ごめ――ううん、ありがとう。落ち着いたわ」

友「もう、一人で無茶しないでよ?」

女「――うんっ」

女「じゃあ、どうしたら良いかな。友、何か良いアイディアとかない?」

友「え……きゅ、急に言われても――」

女「もー。しっかりしてよね? 友は私の――」

……………………――――――。

生徒会長(ふむ。いつもの二人に戻ったか。良かった)

生徒会長「……なのに、どうして私はこんなに残念がってるんだろうね?」

男「そんなの、分かりきってる事じゃないのか?」

生徒会長「!! 男……」

男「よ」

生徒会長「もう歩いても大丈夫なのか?」

男「一応、な。少しは身体も動かしたいもんだよ」

生徒会長「そうか……。良かったよ」

男「……それで、どうやら大きな問題は解消したみたいだな」

生徒会長「……ああ」

男「やれやれ。『1+1は1じゃない』ってか。よく考えたよな、あいつも」

生徒会長「ああ。……是非とも、女君のポジションを私に譲ってほしいくらいに羨ましかったよ」

男「同感だ。俺も、あの女の隣に居たいくらいだ」

男「だけど、可愛いなぁ……ホント。今までに見た事のないくらいに」

男「俺なんかじゃ、あの笑顔にしてあげる事なんて出来ないだろうな」

生徒会長(…………?)

男「ん、どうした?」

生徒会長「……いや、なんでもない」

生徒会長「それよりも、私は一つ、良い事を思い付いたんだ」

男「ほう、なんだ?」

生徒会長「何。明日は二人でデートしようってだけさ。久々にね」

男「……もうそんなに期間が開いてたのか」

生徒会長「うむ。なので明日はデートをしよう。ついでに外泊許可も取っておいてくれ」

男「りょーかい。って、あの二人はどうするんだ?」

生徒会長「私から、明日は私達の密事だから邪魔しないでくれるとありがたい――とでも伝えておくさ」

男「……できるだけオブラートに包んでくれよ?」

生徒会長「善処しよう」

男「怖いなぁ、おい……」

生徒会長「くつくつくつ」

生徒会長(……………………)
64 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 20:48:15.94 ID:9P+qeZiC0
待ってた
65 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/02(月) 20:52:38.12 ID:qMOLrCzZ0
がんば
66 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 22:51:36.94 ID:qkjGwypIO
続きまだー
67 :書き溜めた文章が消えてあばばばばばb ◆1IahjnNtgQ :2012/01/19(木) 14:39:23.95 ID:uhHsusEwo
病院 朝八時半――

男「…………ふむ」パタン

男「九時に病院前だったよな。そろそろ行くか」

男(財布にケータイっと。……何か持って帰るような物とか出来た時の為に鞄も持っていくか)ガサゴソ

男(ついでに、ノートも――)

男「さて、と。行きますか」

病院前――

生徒会長「――む? やあ男。約束の時間よりも大分に早いじゃないか」

男「よ、会長。いつから居たんだ?」

生徒会長「何。書籍を数ページ読むくらいの短い時間さ」

男「……寒くなかったか?」

生徒会長「男がすぐにやって来てくれたから特にそうとは感じなかったよ。ありがたい事だ」

男「そうか」

生徒会長「……ふむ。何やら反応が少しばかり薄いな。何かあったのか?」

男「…………目が覚めて一時間ぐらいならこんなもんだろ」

生徒会長「ああ、なるほど。納得したよ」

男「それより、よくこんな寒い場所で長時間待とうと思ったな? 九時まであと二十分はあるぞ?」

生徒会長「何。寒空の中、恋人を待つ者の気持ちというものが気になってね」

男「ほう。どうだった?」

生徒会長「いやはや、中々に良いものだよこれは。辿り着いた時に見渡して待ち人の居なかった時の少し残念な気持ち。書籍を一ページ捲る毎の周囲と時間を確認するもどかしさ」

生徒会長「そして何よりも、待ち人である恋人の姿が見えた時のあの胸が軽くなるような感情。とても心地の良いものだと思えたよ」

生徒会長「君も一度体験してみると良いだろう」

男「機会があればな」

生徒会長「くつくつ。それでは、少しばかり早いがデートとしよう」

男「ふむ。行き先は?」

生徒会長「先ずは朝食を摂ろう。すぐ近くの喫茶店でモーニングをしていたから、そこでどうだろうか?」

男「そうだな。朝食は大事だ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/19(木) 14:50:04.89 ID:yIDeCc+Co
あばばばば乙
69 : ◆1IahjnNtgQ :2012/01/19(木) 15:36:00.31 ID:uhHsusEwo
………………………………………………………………。

カランカラン――。

店員「ありがとうございましたー」

男「ふう。満足満足」

生徒会長「……相変わらず君の食欲は凄いな」

男「そうか? 入院してて減ったと思うが」

生徒会長「起きて間もないというのにダブルハンバーグは充分に凄いぞ……?」

男「むしろ会長が少ないんじゃないか?」

生徒会長「トーストとサラダとコーヒーならば平均だろう……」

男「そんなもんか」

生徒会長「そんなものだよ」

生徒会長「まあそれはさておき、次の場所へと向かうとしよう」

男「そうするか。楽しみにしてるぞ」

生徒会長「珍しいには変わりないだろうが、そんなに期待するようなモノでもないよ。ただのフリーマーケットさ」

男「ほう。そんなのやってるのか」

生徒会長「月に一度、隣町で開催されてるそうだ。――ああ、歩いて行こうと思っているが、構わないかな?」

男「むしろその方が嬉しいな。身体も鈍ってるだろうし、丁度良い運動だ」

生徒会長「ふむ。それは喜ばしい事だ」ギュ

男「……なんで腕を組むんだ?」

生徒会長「うん? 何か?」

男「いや、珍しいなと思って」

生徒会長「そうかな? 前から腕を組んでいたじゃないか」

男「む、すまん。まだ寝惚けてるのかな」

生徒会長「何。気にする事はないさ。それに――」

男「それに?」

生徒会長「――こうして身体を寄せると、温かいだろう?」

男「……そうだな。そうだった」

生徒会長「何が『そうだった』のかな?」

男「言わなくても分かってる癖に」

生徒会長「くつくつ。では、さっきのは聞かなかった事にしておいてくれ」

男「まったく……」
70 : ◆1IahjnNtgQ :2012/01/19(木) 16:04:53.49 ID:uhHsusEwo
………………………………………………………………。

生徒会長「ふむ。中々に賑わってるようだね」

男「……そう、だな」

生徒会長「男、君が今心に思った事を言い当ててみせよう。ガラクタ市場だろう?」

男「ああ……」

生徒会長「フリーマーケットなんてこんなものさ。まだ使えるが自分には必要の無くなった物を出品する。そういうものさ」

生徒会長「良い物があると思えば買えば良いし、無いと思ったら冷やかし程度に見て回ろうではないか」

男「いや、それもあるんだが」

生徒会長「?」

男「デートって、こういう場所に来るものなのか?」

生徒会長「さてね。一般的なデートというものを私は知らない。ただ、お互いが楽しめそうな場所を検討して行き着いたのがコレだったわけだよ」

男「なるほどな」

生徒会長「それとも、男はこういうのが苦手なのかな?」

男「苦手かどうかはちょっと分からないな。フリーマーケットというものには初めて来た……というより、買い物自体が俺にはほとんど経験が無いな。どうしたら良いのか少し分からん」

生徒会長「ふむ。買い物なんて簡単な事さ。さっきも言ったが『気に入ったものがあれば購入する』これだけだよ」

男「それで、気に入るものが見つかるまで見物して回ろう、かな?」

生徒会長「うむ。では、早速見て回ろうじゃないか」

男「ああ」

生徒会長「――おや。男、男。これを見てくれ」

男「うん? ……なんだこれ?」

生徒会長「所謂パチスロと呼ばれるものだと思う。こうして見ると、結構大きいものだな」

男「なんでそんな物が売られてるんだ……?」

生徒会長「物好きになると個人で購入する人も居るらしいぞ?」

男「…………買う人、居るのかこれ?」

生徒会長「同じく物好きが買っていくんじゃないだろうか?」

男「買ったら運ぶのが大変そうだな……うん?」

アノ、コレクダサイ アイヨー

男「……………………マジか」

生徒会長「……少々驚いた」
71 : ◆1IahjnNtgQ :2012/01/19(木) 16:31:18.55 ID:uhHsusEwo
男「……次行くか」

生徒会長「……そうしよう。――おや、これは?」

男「なんだそれ。石か? なんか所々赤いな」

生徒会長「恐らくガーネットか何かだろう。それでこっちはアメジストで……青いのはラピスラズリかな?」

おっちゃん「いや、それはラズライトっていうものだ。知らない奴には似てっから間違えるだろうなぁ」

男「見た目も名前の響きも似てるって事は、仲間か何かなのか?」

おっちゃん「そいつも違うな。まあ、主成分で言っちまうとどっちもラズライトになるが、RとLの違いだ。日本語じゃわかんねぇよ」

おっちゃん「ほれ、これがラピスラズリだ。んで、こっちがラズライト」

生徒会長「見分け方は?」

おっちゃん「感覚だ」

男「そ、そうか……」

おっちゃん「にしても嬢ちゃん、こういう物に興味があるのか? 大抵の奴は青い天然石なんて見たらサファイアと呼ぶものだが」

生徒会長「いや、残念ながら大した興味は無いんだ。ただ、昔読んだ図鑑ではサファイアはもう少し透明度が高かったと記憶しているだけですよ」

生徒会長「それに、宝石の類は少々苦手で……」

おっちゃん「ふむ。今時珍しい。そっちの坊主はどうなんだ?」

男「さらさら興味が無いな」

おっちゃん「そうか。残念だな……」

アノー、スミマセーン

おっちゃん「ん、客か。すまんな。ではこれにて」

コレッテアレキサンドライトデスカ? オオ、ヨクシッテオルナ!

男「随分とフレンドリーだな」

生徒会長「うむ。良い人だと思うよ。――まあ」ギゥ

生徒会長「君には負けるがね」ニコ

男「お褒めにあがり光栄で御座います」

生徒会長「むぅ。そこは少しくさい台詞を言って欲しかったかな」

男「キャラじゃないだろ……」

生徒会長「次に期待しておくよ」

男「困ったもんだ……」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 18:37:49.11 ID:2jgTeyrSO
シマリスくん「あばばばばばば」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/02/19(日) 22:00:14.38 ID:38qWvuCqo
期待あげ
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 22:50:51.51 ID:nakRb9ZIO
まだか
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/02/20(月) 01:17:59.39 ID:Z/yCYiMR0
本当に長屋ってのは
ほんの一部のまともな人と、大部分のキチガイで構成されてんだな
76 : ◆1IahjnNtgQ :2012/02/29(水) 04:20:04.41 ID:2SSntnL5o
生徒会長「くつくつくつ。……む?」

男「……お?」

生徒会長「ふむ……」

男「アクセサリーか。何か欲しいもんでもあったか?」

生徒会長「いや、どちらかと言うと興味の方が正しい。特にここから左半分の商品がそうかな」

男「言われてみれば、なんとなく変な気がするな……」

少女「おや、お客さんは解る人かな?」

生徒会長「君は……このアクセサリーの販売者かな?」

少女「ああ、そうだよ。販売者であり製作者でもある」

男(……なんか、会長と口調が似てるな)

生徒会長「解る人とはどういう事なのかな」

少女「そうだね、それは……」チラ

男「?」

少女「……ふむ、二人共か。これは難儀な方々だ……」

男「どういう事だ?」

少女「……初対面の人に言うのはアレだけれど、君達、恋愛で何か問題を抱えているだろう。しかも君達ではない誰かに対して」

男・生徒会長「!!」

少女「恐らく、報われない恋をしているか、愛する人をもう亡くしているか――いや、これは前者かな?」

生徒会長「……何者なんだ、君は?」

少女「ただ単なる装飾細工師さ。……少しばかり傷心しているけれどね」

少女「あと、少々痛いと思われるかもしれないが、僕は人の不幸や幸福を予知できるという変な特技がある。あまり詳しい事までは分からないが、大雑把にならなんとかといった所だ」

少女「君達からそれを感じ取った。それだけの事さ」

生徒会長「……驚いた。そんなに不自然なように見えたかな?」

少女「いいや。傍から見れば良いカップルに見えるよ」

少女「羨ましいくらいに、ね」

男(カップル、か……)

生徒会長「ふむ……。それで、私達にこれから何があるのかな?」

生徒会長「っと、すまない。これは占いの類なのだろうか?」

少女「――ああ、誤解させてしまったようだね。ただ単なる私の戯言だから気にしなくても良いし、勿論金銭も発生しない」

少女「……ただ、少しでも耳に入れておいて欲しいと思ったのさ」

生徒会長「ふむ」

男「…………」

少女「そちらの方はどうかな?」

男「俺か? 俺は……どっちでも良いっていうのが本音だな」

少女「ほう。どうしてだい?」

男「単純だ。予知とかそういうものに、大して興味を持てない。下らなかったら聞き流すだけだ」

少女「成程。確かに単純だ」クスクス

少女「……それでは話そう。これから先、君達にとてつもない事態が起きる。内容は……そうだな。これは重大な隠し事がバレるって所かな? ――いや、バレるというのも少し御幣があるが……他に当て嵌まる言葉が無い」

少女「それで辛い思いをするのが……彼女さんの方だな。彼氏の君は……分からないと言った感じか。いや……これは……ふむ…………」

男「なんだ?」
77 :今日はこれで最後 ◆1IahjnNtgQ :2012/02/29(水) 04:34:35.80 ID:2SSntnL5o
少女「そうだな。少し耳を貸してくれないか?」

男「大っぴらには言えない事か」

少女「ああ」

男「まったく……なんだ?」スッ

少女「――――」ボソボソ

男「なっ……!?」

生徒会長「ど、どうしたんだ?」

少女「……どうかな?」

男「…………お前、なんでそれを知ってるんだ」

少女「言っただろう? 僕は人の不幸や幸福を予知できるという変な特技があるって」

男「……プライバシーもへったくれも無いな」

少女「安心したまえ。僕は予知しただけだよ。その内容から予測しただけであって、本当かどうかは二割ほど不安だった」

男「八割確信してたって事じゃねぇか」

少女「そうとも言うね」

男「もっと性質が悪いわ!」

生徒会長「…………?」

少女「それでは、話を元に戻そうか」

少女「まず彼女さんだが、貴女の恋愛に対する考えが少しばかり変わる。少しだけ、ね」

生徒会長「……ふむ」

少女「おや、今ので伝わってしまったか……」

男「……伝わるのか、今ので?」

生徒会長「いや、大体の見当が付いたという程度かな」

男(それでもおかしいだろ……)

少女「次に彼氏さんだが、君は変わらないが変わるって所かな」

男「矛盾してるって分かってるよな?」

少女「いや、これで正しいよ。変わってしまっても変わらないモノはあるという事さ」

男「……そうか」

少女「これ以上は言えないかな。二人の為にも――僕の為にも……」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 06:40:27.00 ID:SK3E3v/SO
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 06:32:17.67 ID:kT0i8qKSO
まだか
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 01:33:44.12 ID:XAmZmHvJ0
はよ
81 : ◆1IahjnNtgQ :2012/04/21(土) 01:14:38.64 ID:2GOqeHODO
ケータイから失礼。
ちょっとした軽い重大発表でふ。

ネ ッ ト 切 れ た

口座に振り込むの忘れてたお……。
復旧するまではケータイで書き込むので、しばしお待ちを……。


試験的にケータイで一回書き込みます。
82 : ◆1IahjnNtgQ :2012/04/21(土) 01:56:22.67 ID:2GOqeHODO
男「……そうか」

生徒会長「…………」

少女「彼女さんは大丈夫かな。言わなかった方が良かったかもしれない」

生徒会長「いや、ちょっとした考え事さ。気にする事はないよ」

少女「……そっか」

生徒会長「うむ」

男(……どうやら二人には言葉に表さなくても伝わる事があるみたいだな。
  なんというか、本当に初対面なのか……?)

少女「それじゃあ、何か質問はあるかい?」

男「俺には無いな。会長は?」

生徒会長「私は……一つだけある」

生徒会長「君の言う予知は、あくまで私達が聞いてなかった場合の話なのかな?」

少女「そうだね。その通り、なんだけれど……」

男「やけに歯切れが悪いな」

少女「や。君達の場合は知っていようと知ってなかろうと同じ道を歩みそうだ」

生徒会長「ふむ。それも予知か何かなのかな?」

少女「これは私の勘だね。なんの根拠も無いよ」

生徒会長「……そうか、ありがとう」

少女「礼を言われるような事ではないよ。ただのお節介さ」

男「礼というものは素直に受け取っておくものだぞ」

少女「…………」

男「ん?」

少女「ああ……そうだったね。すまなかった」

男「いや……何も謝る事じゃないんだが……」

男「まあいいや。ところで会長。話は変わるが、会長はアクセサリーを付けるのか?」

生徒会長「うん? いや、付けた事も無いが」

男「苦手なのか」

生徒会長「それも違うな。ただ単に付ける機会が無かっただけだよ」

男「そうか。じゃあ、お嬢ちゃん。これはいくらだ?」

少女「…………確かに僕は君より生きてきた年月が短いが、まさかお嬢ちゃん呼ばわりされるとは思わなかったよ」

男「む。失礼した」

少女「……まあ、良いとしようか…………。これは……二千円でどうかな?」

男「ああいや、その隣のも合わせてくれ」

少女「いや、ペアで二千円だよ?」

生徒会長「……随分と安いんだな」

男「だよな。安過ぎるくらいだ」

少女「そうなのかな? ……ふむ。前にも同じ事を言われたけれど、やはり実感が沸かないね」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/21(土) 07:32:22.44 ID:grsz2mcQo
ともかく乙
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 08:17:57.84 ID:1gzcDbESO


ちょっと流れ忘れた
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/26(木) 19:15:56.16 ID:y+uETfzAO
マダー
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/31(木) 21:43:01.07 ID:IwBtXthAo
SS速報の奴は甘え過ぎ
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/06/07(木) 19:06:00.91 ID:zULSZSmlo
6月
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/08(金) 00:15:51.78 ID:EqkwzfUDO
なにげにすげー楽しみにしてるんだ、完結させてくれよ?
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 04:58:51.99 ID:SdQ6boYco
未だに完結してないことに驚いた
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/06/16(土) 18:53:41.68 ID:R4XPRrPuo
んんー?
91 :仕事が忙しくてごめんよ…… ◆1IahjnNtgQ :2012/06/21(木) 07:09:33.98 ID:qW4aaY+DO
少女「まあ、掘り出し物だとでも思ってくれると気が楽かな。僕自身、この値段以上のお金を貰う気も無いよ」

男「……頑固だなぁ」

少女「ふふ。よく言われるよ」

男「それじゃあ、そのペアアクセを一つくれ」

少女「まいど」

生徒会長「……ちなみにだが男、その十字架のネックレスはどうするつもりなんだ?」

男「うん? この状況でやる事と言ったら一つだろ」

生徒会長「や、君の場合だとそうもいかなくてね。二つ三つほど予測ができる」

男「そうなのか? じゃあ、これが答えだ」

生徒会長「ん……」

男「ふむ。思った以上に似合ってるな」

生徒会長「……君という人は」

男「む?」

生徒会長「何。……確かに私は抵抗しなかったが、まさか直接首に掛けさせてくるとは思わなかっただけだよ」

男「…………すまん」

生徒会長「あ、いや……その、ごめ――すまない。あまりに突然の事で驚いただけだ。不快には思っていないよ」

男「それなら良いんだが……」

少女「ふふっ。まあ、頑張ってくれたまえ。――それじゃあ、また機会があれば会おう」

男「ああ――む?」

生徒会長「!」

男「……なあ、会長」

生徒会長「ああ、不思議だ不思議だとは思っていたが、ここまでとはな」

男「目を少し離したら、店の商品ごと消える。……本当になんなんだ?」

生徒会長「大掛かりな奇術なのか、はたまた私達が幻影を見ていたのか……。だけれど、君に付けてもらったこの十字架は確かに存在している」

男「本当に、なんだったんだろうな」

生徒会長「……分からないな。だが、私が今何をするべきなのかは分かっているつもりだよ」

男「ほう?」

生徒会長「ほら、もう一つの十字架を貸してくれ」

男「――くくっ。なるほどな」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/21(木) 07:21:09.47 ID:Lbhv1H2DO
>>1乙!
待ってたよ!
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/21(木) 07:36:02.05 ID:gYf7kFiSO
よしこれでこのスレはしばらく生きてるな
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 02:42:47.75 ID:L/2a0ZzTo
まだー
95 :眠い ◆1IahjnNtgQ :2012/07/16(月) 20:50:08.24 ID:7ttWfs8Lo
生徒会長「さて、お互いにアクセサリーを付けた所で、どこへ行こうか?」

男「……さっきあんな非日常的な事があったっていうのに、やけに平然としているな」

生徒会長「私にはそれよりも大事なものがあるからね。それに、あれは考えても分からないものだよ。類稀なる才能を持った奇術師として憶えておくしかない」

生徒会長「それとも、君はネタを暴くつもりなのかな?」

男「……いや、やめておく」

生徒会長「うむ。それが良い。――いや、その方が私が良い……」

男「ん? 何か言っ――」

生徒会長「ただの独り言だよ」

生徒会長「さあ男、この話はもう終わりだ。次はどこへ行こうか?」

………………………………………………………………

男「もう日が暮れてきたな」

生徒会長「そうだな。そろそろ良い時間だし、行こうか」

男「どこにだ?」

生徒会長「私の家」

男「…………は?」

生徒会長「うん? どうかしたのか?」

男「お前なぁ……いきなり何を言い出すんだ?」

生徒会長「……………………むぅ? 前にも来たじゃないか」

男「……そうだったか?」

生徒会長「……まさか、忘れているのか? ――ああ、いや。仕方の無い事かもしれないな」

男「む?」

生徒会長「ほら、事故に遭う少し前。事故の影響で記憶が飛んでいるんだろう」

男「……なるほど」

生徒会長「さあ、行くぞ? あまり遅くなり過ぎると不安にさせてしまう」

男「ああ、分かった」

………………………………………………………………

生徒会長「さ、寛いでくれ」

男「寛げって言われてもなぁ……」

生徒会長「何。自宅と思えば良いさ」

男「できるわけないだろ。こんな金持ちが住むような豪邸で」

男「……今更で悪いんだが、会長ってお嬢様?」

生徒会長「……そうなる。私はそんな風に扱われるのは苦手だけれどね」

生徒会長「学友達を含めてもこの事を知っているのは君だけだろう」

男「…………なんて言えば良いのやら」

生徒会長「何も変わらないでいて欲しいな。前にも言ったけれど、君だから招待したんだよ」

男「違う違う。純粋に掛ける言葉が見当らなかっただけだ。接し方とかは何も変わらんよ」

生徒会長「ありがとう」

男「礼を言われるような事をした覚えは無いんだがな」

生徒会長「いや、何も変わらずに私と接してくれる。それだけでも私にとっては有難い事だよ」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/07/16(月) 21:00:12.73 ID:LWRtlbWEo

お嬢様だったか
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 04:13:09.33 ID:GRlOAJI+o
一ヶ月近くかけて1レス
こいつは間違いなく仕事ができない
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 08:05:35.58 ID:Cc4DBj1IO
まあ、実質的に2月から話が進んでないわけで。

多分次回更新は9月だな
99 :そうだ、良い事を考えた ◆1IahjnNtgQ :2012/07/18(水) 02:59:15.97 ID:iEHZFG52o
男「そんなものなのか」

生徒会長「そういうものだよ。――というわけで、だ」

男「それでも寛げんぞ」

生徒会長「むう……。どうしてだ?」

男「そりゃ……」チラ

メイド「…………」

生徒会長「? 彼女が何か?」

男「普通の家庭にはこんな応接間もメイドも居ない」

生徒会長「確かにそうなのだが……これは父の決めたルールだからな……」

生徒会長「『客人と接する時は一名以上の付き人を置いておく』……過保護というべきかなんと言うべきか」

男「ああ、なら無理だな」

メイド「――申し訳御座いません」ペコリ

男「いや、貴女が謝る事じゃないですよ。お仕事でしょうし」

メイド「勿体無きお言葉、感謝致します」ペコリ

男「……真面目だなぁ」

生徒会長「それが彼女の長点であり、欠点かな。少々真面目過ぎる所がある」

ボーン…ボーン…

生徒会長「む、もうこんな時間か」

メイド「そろそろ夕食の時間です。旦那様も奥様も、もうじき御帰宅なさいますのでご案内させて頂きます」

生徒会長「頼んだよメイド」

メイド「はい、畏まりました」

男(……なんだこれ。会長の両親に会って挨拶っておい……)

生徒会長「ああ、男」

男「……なんだ?」

生徒会長「父と母は君と会うのを楽しみにしていたぞ」

男「…………は?」

生徒会長「はっはっはっ。私も楽しみだよ」

メイド「では男様、お嬢様、私に付いて来て下さいませ」

男(……本当になんなんだよ、これ)
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/18(水) 05:19:09.18 ID:nKInrsBZ0
続きが楽しみだ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 07:14:32.88 ID:NZ+KVM6SO
良いことってなんだ
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/19(木) 06:22:49.05 ID:+qCdixrF0
豈取律縺薙%繝√ぉ繝繧ッ縺励※繧九s縺縺詣ww
103 :ケータイケータイ ◆1IahjnNtgQ :2012/07/19(木) 13:15:57.55 ID:VhGl6XqDO
会長父「はじめまして男君。私が義理父の会長父だ」

会長母「義理母の会長母よー。よろしくねー」

生徒会長「…………」ハァ…

男「……はじめまして。男と申します」

男(なんかこの二人の言葉がおかしい気がした……。なんださっきの違和感?)

会長父「まあそう気構えなくても良い良い。気楽にしたまえ、はっはっはっ」

男(ああ、会長の笑い方はここからきてるのか)

男「……分かりました。それにしても、凄い数の料理ですね。なに――」

会長父「男君」

男「はい?」

会長父「ほれ、敬語を止めなさい。家族と接するようにしたまえ」

男「は、はぁ……」

会長父「はっはっはっはっ。これから家族となるのだ。もっとフランクになってもらわねばな」

男「は? ………………はあ!?」

生徒会長「やはりそのつもりだったか父上」

会長父「いいや? これは妻が言い出した事だ。私はそれに乗ったにすぎんよ」

生徒会長「どっちも変わらないだろう……」

会長母「あら、だめ?」

生徒会長「そうではないけど……」

会長父「なら良しだな。はっはっはっ」

男(なんだこの家族……)
104 : ◆1IahjnNtgQ :2012/07/20(金) 16:36:09.68 ID:cu13ziZYo
会長父「おっと話が逸れてしまったな。料理の量は男君に合わせただけだよ。気にする事なかれ」

男「は、はあ……。ありがとうございます」

会長母「こ、と、ば、づ、か、い♪」

男「…………ありがと」

会長父「うむうむ。よろしい」

男「って待てよ。サラッとスルーしそうになったけど、家族になるってなんだ」

会長父「うん? 言葉通りの意味だが?」

男「理由や過程を知りたい」

会長父「妻と娘と私が気に入った。以上じゃ」

生徒会長「……そんな軽々しく言ってほしくはないのだが……」

会長父「事実じゃろう?」

生徒会長「たしかにそうだが……」

会長父「ならば問題ない。そうじゃろう?」

生徒会長「むう……」

男「……それだけ?」

会長父「うん? それだけあれば充分じゃろうて」

メイド「――お話の途中で申し訳ありませんが、お一つ宜しいでしょうか」

会長母「あらあら、何かしら?」

メイド「お料理が冷めてしまいます」

会長父「おっと、そうであった。では食事をしながら話を進めるとしよう。――いただきます」モグ

会長父「うむ、うまい。メイドよ、料理長に腕を上げたなと伝えておいてくれ」

メイド「かしこまりました」ペコ

男(金持ちも食事をしながら会話ってするんだな。ちょっと意外だ)ムグムグムグ

会長父「何。食事中に談笑するなど家族の団欒くらいじゃよ」

男(なんで心が読めてるんだよ……)

会長父「はっはっはっはっ」

男(ああ……やっぱり会長の親だな……)

生徒会長「男、今なにか失礼な事を思ってなかったかな?」

会長父「失礼とは酷いのう」

生徒会長「何か間違っていたかな?」

会長父「妻よ! 娘が反抗期じゃ!」

会長母「機嫌が良いのは分かるけれどー、度が過ぎたら怒るわよー?」

会長父「……はい」モグモグ

男(……本当になんなんだこの家族)

会長父「ああ、それでだ男君。真剣に我々と家族にならないか?」

男「……やっぱりジョークじゃなかったのか」

会長父「うむ。大真面目じゃよ」

男「……なら、考えさせてくれ。いきなりの事過ぎて頭がついていけないから整理したい。あと、家族と相談だな」

会長父「――君の両親からは承諾を貰っておるぞい。だから、後は君自身の問題じゃ」

男「いつの間に……。ってか俺の両親も決断早いなおい……」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 17:50:44.95 ID:LfVACH/SO
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 18:45:06.91 ID:nMCXoFlIO
なんかキャラが隋分変わってしまってないか?
107 : ◆1IahjnNtgQ :2012/07/22(日) 02:34:56.23 ID:Upfq2Xn9o
会長父「言い方は悪いが、逆玉の輿じゃからなぁ」

男「断る理由が無い、ってか」

会長父「そういうことじゃな」

男「やれやれ。まったく……」

会長父「おや、男君は嫌だったのかな?」

男「嫌って訳じゃないが……釈然としない」

男「俺と相談する前に親が了承ってなると……なんだろうなこれ。俺の意思を尊重する気がないっていうのか、俺よりも家柄が大事なのかって思う」

会長父「そうじゃのう……そこは本当に難しい所じゃ」

男「おっと、すまん。せっかくの料理がまずくなる。この話はこれでおしまいで良いか?」

会長父「うむ、構わぬよ。さて、楽しく話に花を咲かせながら食事としよう!」

……………………
…………
……

――食事終了後、会長自室にて

男「ふぅ。食った食った」

生徒会長「ふふっ。良い食べっぷりだったよ。見ていてこっちが嬉しくなるくらいにね」

男「そうなのか? 俺にはよく分からないんだが」

生徒会長「そういうものなのだよ。……私の料理も、いつかあんな風に食べてもらえるのかな?」

男「まずくなければな」

生徒会長「……練習しておこう」

男「料理、苦手なのか?」

生徒会長「そういうわけではないが、なんと言えば良いんだろうな。何かが足りない気がするんだ」

男「ふむ?」

生徒会長「料理長は『いずれ分かる時がくる』と仰っているが……未だに、な」

男「……まあ、そんなに深く考えなくても良いんじゃないか?」

生徒会長「うん? どうしてかな?」

男「いずれ分かるっていう事は、時間が解決するものか、もしくは今の会長には無いものが関係しているかのどっちかだろ」

生徒会長「そこは経験や知識でどうにかするものじゃないのか?」

男「それだけじゃないモノもあるだろうさ。何かよく分からない、形として無いモノかもしれない」

男「もしくは、あまりに簡単すぎて灯台下暗しになっているか、かもな」

生徒会長「ふむ……なるほど」

コンコン

メイド「失礼します。お嬢様、宜しいでしょうか?」

生徒会長「ん? 構わないよ」

ガチャ

メイド「旦那様と奥様が御呼びでございます。いつもの場所へ、との事です」

生徒会長「ふむ、分かった。すぐに行こう。――では男、私は少し席を外そう」

男「ああ、行ってこい」

生徒会長「……一応言っておくが、部屋を漁るような真似は止してくれよ?」

――パタン

男「……案外、信用されてないのか俺?」
108 :>>106まあまあ。 ◆1IahjnNtgQ :2012/07/22(日) 02:49:55.76 ID:Upfq2Xn9o
メイド「そのような事はないかと」

男「あれ、メイドさんは行かないのか?」

メイド「旦那様からの命で、男様と話をするようにと承っております」

男「……なんでまた俺なんかと」

メイド「それは将来、男様が私の御主人様になるからではないかと」

男「御主人様ってなんだそれ……」

メイド「言葉通りの意味でございます。いずれ、この家の主となりますから」

男「まだ決まってないっていうのに……せっかちだなぁ」

メイド「そうでもないと思いますよ?」

男「そうか?」

メイド「はい。男様は――」

男「すまん。話を切るが良いか」

メイド「はい、なんでしょうか?」

男「……その『男様』っていうのをやめてくれないか?」

メイド「…………? なぜでしょうか?」

男「物凄くこそばゆくて落ち着かない」

メイド「そうでしたか。気付けず申し訳――」

男「そんなに畏まらなくても良いぞ、疲れるだろ? それに、気軽に話してくれないとこっちも疲れる」

メイド「…………………………………………えっと」

男「ん?」

メイド「……申し訳ありません。どのような話し方をすれば良いのか判別が付きません……」

男「…………もう少し、砕けた言い方でも良いんじゃないか?」

メイド「砕けた、ですか。はい、やってみます」

メイド「すぅ……はぁ……。男さん、これくらいでも宜しいでしょうか?」

男「もうちょっと砕けても良いんじゃないかな? 『宜しい』を『良い』とか」

メイド「えと……はい。畏ま――分かりました」

男「そうそう」

メイド「……なんだか喉が変な感じになります」

男「慣れだよ、慣れ」

メイド「そうですか……。はい、頑張ります」

男「頑張るほどのものじゃないと思うけど……まあいいか。すまんな」

メイド「いえ、大丈夫です」

男「それで、だ」

メイド「はい」

男「……一体、何を話したら良いんだ?」

メイド「……さあ。世間話、でしょうか?」

男「どうなんだろうな。まあ、テキトーに話そうか」

男「そうだな。メイドさんは何か俺に話したい事とかあるか?」

メイド「話したい事……ですか」

メイド「………………………………………………………………あ、一つだけあります」
109 : ◆1IahjnNtgQ :2012/07/22(日) 03:15:57.08 ID:Upfq2Xn9o
男「何?」

メイド「お嬢様の事をどう思ってるのか、というのが聞きたいです」

男「どう、と言われてもな……」

メイド「なんでも構いま――良いです。率直にどう思ってるのかが気になります」

男「んー……良い人だと思うぞ。俺なんかとは釣り合わないくらいに」

メイド「釣り合わない、ですか?」

男「ああ。言ってしまえば俺は極々普通の一般人だ。何も特筆する事なんて無い。それに比べて会長はどうだ?」

男「容姿端麗、頭脳明晰、身体能力抜群、血統家柄も文句なし。俺とは天と地ほどの差がある」

メイド「それでも、お嬢様は男さんを選びました」

男「そこだ。そこがまったく分からない。なんで俺みたいな特別でもなんでもない奴を選んだのか理解不能だ」

メイド「私にも分からないですが、もし私がお嬢様の立場だった場合、そういう『普通』に憧れたのでは?」

男「ふうん?」

メイド「お嬢様に対して一切の引け目を取らず、対等に、極々普通に接している。それがお嬢様の心を動かしたのでは、と私は思います」

男「ああ、そういえばそんな事を言ってたな、会長」

メイド「これが真実かどうかは分かりかねま――分からないですが、私ならそう考えます」

男「ん、ありがと」

メイド「いえ、あくまで私の考えを述べただけですので……」

男「その他人の意見っていうのは物凄く大事な事だって俺は思う」

男「一人で考えるだけじゃあ一人の考えでしかない。そんなのじゃあ、ただの独りよがりだ」

メイド「……そうですね。確かにその通りです」

コンコン

生徒会長「男、メイド、入っても良いか?」

男「ああ、良いぞ」

ガチャ

生徒会長「すまない。待たせた」――パタン

男「おかえり、会長」

生徒会長「ん……ただいま」

メイド「それでは、私はこれにて失礼します。何か御用がありましたらお申し付け下さいませ」

生徒会長「いや、大丈夫だよ。メイドもゆっくり休むと良い」

メイド「ありがとうございます。では、おやすみなさいませ」

ガチャ――パタン

男「……そうか。もうこんな時間なのか。世間じゃ深夜に入る頃だな」

生徒会長「そうだな。もう深い深い夜だ」

生徒会長「それに、今日は新月。何か秘密にしたいような事をするならば今日だな」

男「……随分と変な言い回しだな。どういう事だ?」

生徒会長「……察してくれると嬉しいのだが」

男「心当たりはあるが、確信は持っていない」

生徒会長「やれやれ……前回と同じく君はいぢわるだな。本当は分かっている癖に……。ならば、同じように言おう。男」

生徒会長「――キスがしたい」

男「……ああ、良いぞ」
110 :なんだろ。このまま一気に終わりそうな勢い。物量的に無理だけど ◆1IahjnNtgQ :2012/07/22(日) 03:45:04.21 ID:Upfq2Xn9o
生徒会長「……今回は随分と素直なのね」

男「そうか?」

生徒会長「うん。すっごく素直」

男「……会長? なんか地が出て――」

生徒会長「まるで、何も知らない人が合わせてくれてるみたいに」

男「…………なにを」

生徒会長「もう……もう充分だよ、男……。もう、無理しなくて良いから……」

男「何を、言ってるんだ、会長」

生徒会長「……前、デートをしたのはいつだったかしら」

男「……すまん。よくは覚えて――」

生徒会長「今日が初めてよ」

男「な……」

生徒会長「デートなんて今までした事ない。キスもした事なんてない。そもそも――」

生徒会長「男の家族は、居ないはずよ――?」

男「――――…………」

生徒会長「さっき、お父さんから聞かせてもらった……。男は、一人暮らしをしていたんだって」

生徒会長「両親は海外で不運にあって、男はそれの遺産で暮らしてた……」

生徒会長「ねえ男……。ホントは、私の事が分からないんでしょ……?」

生徒会長「記憶……無いんでしょ?」

男「……やられた。隠し通せるかと思ったんだけどな」

生徒会長「やっぱり……」

生徒会長「ねえ、苦しくなかったの……?」

男「……確かに辛かったし、苦しかったさ。でも、忘れられた側の事を考えたら、な」

生徒会長「……でも、女の事は覚えてたんだね?」

男「……よく知ってるな」

生徒会長「男が昏睡状態から覚めた時、女以外の――私と友君を他人を見るような目で見てたから……」

生徒会長「初めは気のせいだって思ってた……。でも……時間が経てば経つほど……」

男「俺らしくなかった、と」

生徒会長「…………」コク

生徒会長「ねえ、どうして……? どうしてそんな風に振舞えるの……? 男が辛いだけじゃない……!」

男「……なんでだろうな。一番は、女の悲しむ顔を見たくなかったから、かな……」

生徒会長「諦めてるのに……?」

男「諦めてるさ。諦めてるけど、諦めてない」

男「あの友っていう人と女は、たぶん付き合ってるんだろ? 俺は、それを奪いたくない。女を悲しませるような事はしたくない」

男「だから、俺は奪わない。だけど、待つんだ」

男「もし……もし、あの二人が別れてしまって、そこから女が俺を選んでくれたら――」

男「仕方なしでも妥協でも何でも良い。だから、俺は女を待つ――ように思ってた」

生徒会長「なんで過去形なの……?」

男「なあ、会長……」

男「――俺、そろそろ疲れた……」
111 :さてお仕事行ってくる ◆1IahjnNtgQ :2012/07/22(日) 04:01:26.93 ID:Upfq2Xn9o
生徒会長「疲れた……?」

男「そろそろ、楽になりたい」

生徒会長「……死ぬのはダメ」

男「ああ違う違う。死ぬわけじゃない。……ただ、隠し事をもうしたくないだけだ」

生徒会長「隠し事……?」

男「まあ……それは明日、朝になれば分かるさ」

男「だから、今日はもう寝ようか」

生徒会長「……一緒に寝て」

男「……なんで?」

生徒会長「今日は……独りになりたくないから……。独りになりたくないよぉ……」

男「…………分かった。じゃあ、おやす――」

――チュ

生徒会長「………………」

男「会長……!? 何を――」

生徒会長「私も、疲れたから……。それに、友君よりも良い人を見つけたから……」

男「会長、それはどういう事だ」

生徒会長「あの時の女の子が言っていた事、覚えてる?」

男「……ああ」

生徒会長「『恋愛に対する考えが少しばかり変わる』……そう、好きな人が変わった」

生徒会長「私が今好きなのは、男。友君じゃない、男だよ……?」

男「……会長は今、正常な判断がつかないだけだ! 会長にとってのキスはどういうものなのか――!」

生徒会長「分かってる! けど、もうヤダ……ヤダなの……。男ぉ……、辛いよ……」

男「会長……」

生徒会長「……遅れたけれど、今言う」

生徒会長「男……私と付き合って。生涯、共に生きよう?」

男「……………………明日だ」

生徒会長「……?」

男「明日、俺に同じ事を言えるのなら、良い」

生徒会長「うん……分かった……」

男「その時は『2008年12月25日の決意』って言葉を言ってくれたら良い」

生徒会長「どうして……?」

男「……明日になれば分かるさ。それじゃあ、もう寝ようか」

生徒会長「……うん」ギュ

男「会長は、案外甘えん坊なんだな」ギュ

生徒会長「……えへ。おやすみ」

男「ああ、おやすみ――」

そして

さようなら、会長――…………。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 08:01:31.56 ID:Zw/rQ/kDO


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113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 12:13:37.54 ID:jS7h8iSSO
114 :ケータイ ◆1IahjnNtgQ :2012/07/23(月) 23:23:15.94 ID:EHHTrayDO
「誰?」

……どういうことだ?

「誰だ?」

いったい、何の冗談だ?

「君は、誰?」

やめろ……やめて……。

「ダレナンダ?」

生徒会長「――――っ!」ガバッ

生徒会長「はっ――! はっ――!」キョロキョロ

男「…………」

生徒会長「……なんだ、夢か…………」

男「――……ん?」

生徒会長「男……。すまない、起こし――」

男「誰?」

生徒会長「――――――え?」

男「誰だ? てか、どこだここ……」

生徒会長「男……?」

男「……俺を知ってる? …………すまん、俺にはまったく記憶に無い」

そ、っか……そうだったのね……。

生徒会長「……私は生徒会長。男、貴方からは会長って呼ばれてたわ」

男は、記憶が消えただけではなく――

男「そうか。……状況を教えてもらって良いか?」

リセットまでされるのね――。

……………………
…………
……
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 08:12:15.07 ID:LT+V7s7SO
116 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/06(月) 15:55:51.77 ID:llWF5jFqo
生徒会長「――こんなところかな」

男「…………」

生徒会長「……信じられないのは無理もない。私が逆の立場ならまず信じないよ」

男「――ああ、確かに信じていない。だが、まるっきり信じていないって訳でもない」

生徒会長「ほう」

男「……アンタが、やけに悲しそうに話してくるからな」

生徒会長「……失礼した」

男「いや、むしろ俺が謝るべきだろう。……すまんな」

生徒会長「君は何も謝る必要なんてないさ。これは、仕方の無いことだ」

男「…………」

生徒会長「…………あ」

男「うん?」

生徒会長「一つ、男が信じれるかもしれないものがある」

男「ふむ」

生徒会長「……2008年12月25日の決意」

男「!!」

生徒会長「ど、どうしたんだ?」

男「……そうか。アンタの言葉を信じよう」

生徒会長「え、っと?」

男「それを知ってるっていうのなら、アンタは相当『俺』に信用されてたようだ。遅れたが、アンタの名前は?」

生徒会長「……生徒会長」

男「じゃあ会長と呼ばせてもらおうか。会長、俺の荷物とかあるか?」

生徒会長「あ、ああ。こっちにあるよ」

男「それじゃあ、探そう」ゴソゴソ

生徒会長「探すって、何を?」

男「俺の事だ。どうせ記憶障害対策に何か残してるだろうよ――っと、これっぽいな」

生徒会長「ノート?」

男「日記……メモ帳――いや、記憶の切れ端って言った方が良いかもしれないな」ペラ

生徒会長「ん、ここにも『2008年12月25日の決意』とあるな」

男「ああ、これは俺の人生が変わった時の日付だ」

生徒会長「人生が?」

男「それはまあ置いておこう。中身を読み進めようか」

……………………
…………
……
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 16:25:42.31 ID:mEBvi5uDO
>>1
なんか映画みたいだな
118 :一応、今日はこれで終了の予定 ◆1IahjnNtgQ :2012/08/06(月) 16:26:00.87 ID:llWF5jFqo
男「――これで終わり、か」パタン

生徒会長「……昨日の事は書いていなかったな」

男「会長の言った事が昨日の出来事だろう。ならば書く余裕なんて無かっただろうさ」

男「それに、だ」カキカキ

男「こうして書き加えたら良い話だろ?」

生徒会長「……ありがとう」

男「何も礼を言われるような事をしたとは思っていないんだがな」

男「むしろ、俺は謝らないといけないだろう」

生徒会長「なぜかな?」

男「俺は、会長の想い人を諦めさせた。それで――」

生徒会長「それは違う!」

男「――会長?」

生徒会長「あ……いや、すまない……」

生徒会長「だが男。私は君に諦めさせられたんじゃない。私が私の意志で君へ傾いただけだよ」

生徒会長「それだけは、信じてほしい」

男「……なら、もし友が会長に告白をするような事をしてきたらどうする?」

生徒会長「断ろう」

男「……嘘じゃないみたいだな」

生徒会長「嘘なものか。私の想い人は男、君一人だよ」

男「俺が会長の告白を受け取らなかったらどうする?」

生徒会長「何も変わらんよ。君に迷惑を掛けない範囲でアタックをするさ」

男「……強いんだな」

生徒会長「君には敵わないさ」

コンコン

生徒会長「ん? 良いぞ、入ってくれ給え」

ガチャ

メイド「失礼します。さくや は おたのしみ でしたか?」

男「…………?」

生徒会長「……………………そのくだらないジョークは父からの指示か?」

メイド「はい」

生徒会長「よし男、まずはあの腐れジジィの目の前を真っ暗にするぞ」スタスタ

男(どういう意味なんだ……?)

ギィヤアアアアアアアアアッッ!!!

メイド「……旦那様もジョークが過ぎますね。自業自得です」

男「……あれってどういう意味だったんだ?」

メイド「……それは真面目に聞いてますか?」

男「あ、ああ……」

メイド「…………………………………………男女の密事、という意味です」

男「メイドさん、ちょっと旦那様とやらの場所へ連れて行ってくれないか」

メイド「畏まりました」
119 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/06(月) 16:27:45.58 ID:llWF5jFqo
>>117
映画とは恐れ多い。
私はただのシナリオライターですハイ。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 17:47:10.78 ID:mEBvi5uDO
>>119

いやそれもスゲエだろオイw
フライングすまない、改めて>>1
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 20:40:19.60 ID:YMigwbDSO
ただのシナリオライターとかサラっといいやがったwwwwww

122 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/09(木) 12:05:53.96 ID:8K1Wgmm9o
会長父「いや……すまなかった。本当にすまなかった……」

会長母「あなたー」

会長父「うん……?」

会長母「こ、と、ば、づ、か、い、が?」ニコニコ

会長父「……ごめんなさい…………」

生徒会長「まったく……」

男「…………」

会長母「ごめんねー? 朝から騒がしくしちゃってー」

男「ああいや……大丈夫」

男(…………今は八時か。会長の両親の仕事は大丈夫なのか?)チラ

会長父「ああ、今日の私達の仕事は無いから安心したまえ。全て任せてきた」

男「……俺、何も言ってないんだが」

会長父「何。これも人生経験の賜物だよ」

男「……言葉を交わさなくても目だけで話しそうだな」

会長母「たまにするわねー」

男(するのかよ)

会長父「まあそれは置いておこう。男君や」

会長父「娘とはもう、今後の事について語ったのかな?」

男「……何の話だ?」

会長父「――記憶、無いのじゃろう?」

男「…………」チラ

生徒会長「――――」フルフル

男「……いつから気付いてた?」

会長父「最初から薄々とな。確定と判断したのは昨日の養子の際の会話だがのう」

男「…………ふむ」

会長父「今の君には分からなくても無理はない。昨日の会話でそのような事があったのだよ」

会長父「そしてそれでも尚、娘は今の君を愛するという自信があるだろう」

生徒会長「ちょ、父よ――」

会長父「ここに居る者全員が分かっている事じゃ。今更じゃよ」

生徒会長「ぅ…………」

会長父「それで……『今の君』はどう思っているのか。それを私達は聞きたい」

男「………………………………」

男「その前に、一つ質問がある」

会長父「うん?」

男「確か以前、会長にお見合い相手を用意したよな?」

会長父「うむ」

男「それなのに、なぜ俺にそんな質問をするのかが分からない。俺には特別な何かなんてないと思うんだが」

会長父「なぁに、簡単な事じゃよ。娘がどれだけ本気なのかを知りたかったんじゃ」

会長父「私達の事を、家の事を、会社の事を踏まえての見合い。それを蹴れる程の愛なのか、と」

会長父「要らぬ心配じゃったようじゃがなぁ。ハッハッハッハ」
123 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/09(木) 13:46:49.74 ID:8K1Wgmm9o
生徒会長「やけに強引に見合いをさせたのはそういう事か」

会長父「うむ。まあ、相手方には悪い事をしてしまったが、娘の愛の強さがよく分かったよ」

生徒会長「……どうせ『娘を振り向かせる事が出来たら娘をやろう』とか言ったんじゃないのかな?」

会長母「あら鋭い」

生徒会長「やはりか……」

男(……なんだ? 何か話がおかしいような――)

会長父「さて、また話が逸れてしまったな。――『男君』は娘をどう思っているのかな?」

男「……正直な所、初対面だから何も言えない、というのが本音だな」

生徒会長「…………」

会長父「まあ、そうじゃろうな。そこでじゃ。とある人物に会ってみないかね?」

男「とある人物?」

会長父「うむ。性格に少々難ありじゃが、その腕はまさに本物の医師じゃ」

男「……その人が俺の記憶をどうにかできると?」

会長父「そこは分からん。実際に診てもらわないとな」

会長父「もしかしたらどうにか出来るかもしれぬし、どうにも出来ないかもしれない」

会長父「さて、どうするかね?」

男「悩むまでもない。治る可能性があるならば是非会いたい」

会長父「うむ、分かった。では、すぐにでもこの場所に行くと良い。何分、忙しい身の人物じゃからな」

男「……今から行っても問題ないのか?」

会長父「この時の事を考えて暇を作って貰った」

男「ありがとうございます」

会長父「ほれほれ男君」

会長母「言葉遣い♪」

男「……ありがと」

会長父「うむ。では行ってきなされ」

生徒会長「では、私も付いて行く。男、良いかな?」

男「ああ、その方が俺も気が楽だ」

生徒会長「――――君という奴は……」

会長父「うむうむ」

会長母「くすくす」

まったく……。男、その言葉が嘘でも嬉しいよ――。

……………………
…………
……
124 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/09(木) 13:49:45.53 ID:8K1Wgmm9o
さて、今日のところはこれにて終了でございます。お仕事とかお仕事とかお仕事してきますね。

読んでくれてる方々、感謝致します。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/09(木) 13:53:27.41 ID:SaYBOFaWo

最近チョコチョコ更新があって嬉しい
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/09(木) 13:56:51.75 ID:BXtdF7BDO
乙だす

楽しみにしているよ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/10(金) 14:37:36.60 ID:BZbfUHqIO
流れを完全に忘れてしまっている俺
もっかい読み直すしかないな
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/10(金) 20:45:08.23 ID:Yecpuw150
会長見合いの時点で落ちてたのか、あるいは断る理由が別にあったのか
129 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/13(月) 14:45:10.90 ID:+jKpai/DO
男「…………」

生徒会長「ふむ……次は右だな」

生徒会長「しかし、やけに入り組んだ場所にあるようだな……この町にこんな路地裏があるなんて初めて知ったよ」

男「そうか……」

生徒会長「……男? どうしたんだ?」

男「……なあ、どういう事なんだ」

生徒会長「……すまない、主語が無くては分からない」

男「会長の両親、俺と友の事を間違えてるよな」

生徒会長「………………」

男「なあ会長。あれはどういう事なんだ?」

生徒会長「……父と母が勘違いするように話した。ただそれだけの事さ」

男「なんでまたそんな無意味な事を?」

生徒会長「……見合いをした時に言った男性とは違う人が好きです、なんて言うのが後ろめたくて……な。すまない男」

男「まあ良いさ。害は無いんだ。それくらいなら許せる」

生徒会長「ありがとう……」

男「その代わり……――」

生徒会長「?」

男「…………ちゃんと、俺を見てくれよ?」

生徒会長「……っく、あははっ」

男「笑うとは酷いな」

生徒会長「ふふっ。いや、すまない。男が恥じらいを隠しながら言う姿を初めて見たものでな」

男「……むう」

生徒会長「いやはや、すっごく良いモノが見れたわ。胸がキュンとして思わず抱き締めそうになっちゃった」

男「……そんなにか?」

生徒会長「ええ。もう、ぎゅ〜ってくらいに」

男「会長、口調」

生徒会長「あ――、っと。すまないな。いつもの口調の方が良かったかな?」

男「どっちでも良いと思うぞ」

生徒会長「――そうか」

男「……ただ、強いて言うなら、だが」

男「――さっきみたいな会長は、頭を撫でたくなる可愛さだった」

生徒会長「――――」

男「……会長?」

生徒会長「さ――さっさと行こうではないか。ほら、えっと……うむ、待ち人を待たせるのは悪いだろう? さあ行こうっ」スタスタスタ

男(――くくっ。顔を真っ赤にしてからに)

男(…………はぁ。後ろめたいなぁ……)
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/08/13(月) 20:01:37.11 ID:4DQDMwlqo
ん??
131 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/18(土) 03:15:51.81 ID:Ue0LUC/DO
ぎゃあ。矛盾が発生してる。
>>129のお見合いの話ですが、会長と雑談していて男は知っているという事でお願いします。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 12:17:33.33 ID:hAukDnb30
そうそう、見合いの時点でまだ「いいんだ、友が幸せなら」的な状態だったとしたら謎の断り方だよな
133 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/22(水) 22:17:09.62 ID:k1wF0RZqo
男(会長が俺を想いだしたのはつい最近……。見合いをした時点ではまだ会長は友が好きだったはず)

男(見合いの時点ではまだ両親に友の詳細を言ってなかったのか? それなら両親が勘違いするのも――いや、そもそもあの二人を勘違いさせれるのか? 言う前に気付きそうなものだが)

男(……分からないな)

生徒会長「あれ、男?」

男「ん、ああすまん。ちょっとした考え事だ」

生徒会長「ふうん……?」

男「まあ、それは置いておこう。それより、まだ着かないのか?」

生徒会長「もうそろそろ着くはずだ。この道の突き当たりが目的地だよ」

……………………
…………
……

男(それで、だ)

医者「まずはティーブレイクとしよう。何事も落ち着くのが一番だよ」

医者「ああ、お茶菓子はどうかね? どちらもウチで採ったハーブを使ったもので、市販には無い味だよ」

生徒会長「あ、ああ……ありがとう」

医者「新たに栽培したハーブでどんな味かは分からないけれどね」

男「んなもの飲ますなよ……」

医者「なあに。味は保障しないが、効能は保障するよ」

男「……どんな効能だ?」

医者「美容、健康、安息。副作用に少々幻覚が見える程度かな」

男「んなもん飲ますなよ!!」

医者「幻覚といっても悪い幻覚じゃないから安心したまえ」

生徒会長「幻覚が見えている時点で悪いものじゃないか……?」

医者「このハーブの幻覚は良いぞぉ? 意識はハッキリしているのに自分の望むモノが見えるのだからね」

医者「所謂、夢の中を体験しているようなものだ」

男「どっちにしろ現実と幻覚が区別できないんじゃないかそれ……」

医者「慣れればどうという事はない」

男「慣れなきゃダメなのかよ」

医者「幻覚は僕も最初は苦労した……」

生徒会長「……私は飲むのをやめておこう」

男「俺もだ。危なっかしすぎる」

医者「残念だよ」

生徒会長「……そろそろ話に入っても良いかな?」

医者「おお、すまない。僕のハーブ談義はまた今度にしよう」

男(できればもう二度と聞きたくない)

医者「男君の記憶がリセットされる、だったかな?」

生徒会長「ああ……。何がどういう理由でリセットされてるのかまったく分からないんだ」

医者「精神的な問題とかは」

生徒会長「彼の性格上それは有り得ないと思う」

医者「ふむ……ならば脳の海馬が問題かもしれないね」

男「海馬が問題……?」
134 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/22(水) 23:16:47.60 ID:k1wF0RZqo
医者「うむ」

男「……海馬ってなんだ?」

医者「必要な記憶かどうかの選択をしたり、記憶を短い間保存しておく器官だよ」

医者「ちなみに、リセットされるのはどのタイミングかな?」

生徒会長(男の記憶の切れ端であるノート……あれを見た事があるのは朝ばかり)

生徒会長(つまり、目が覚めた時か)

生徒会長「私が知っている限りでは眠りから覚めた時かな」

医者「ふむふむなるほど」

医者「という事は、記憶の処理をしている時に何か問題あるのかな」

医者「男君、少々質問を良いかな? どういう状態なのかを診察してみるよ」

……………………
…………
……

医者「ふむ。診察の結果を言おう」

生徒会長「……こんなすぐにでも分かるものなのか?」

医者「僕は天才だからね」

男「自分の事を天才って言う奴って居るんだな」

医者「うむ。君の目の前にね」

男「…………」

医者「まあそれは置いておこう」

医者「君の場合、中期記憶は働いてるみたいだから海馬が大脳皮質に送られる要素が欠落していると思うんだ。
   LTSに送られ……ああすまない、長期記憶貯蔵庫に送られないのが原因で新しい物事を覚えれない。
   簡単に言えばアルツハイマーと同じような状態だね。起因は違うが、これが一番近いんだ。すまないね。
   アルツハイマーの治療薬は最近になって出てきたが、これを使っても悲しい事に効果が無い患者は居る。
   いくら受容体内のカルシウムイオン流入を抑え、グルタミン酸受容体の一つであるNMDA受容体の活性を
   抑えても、外傷が原因である君みたいな人だと効果はまず無いと言って良いだろう。
   そこで僕は傷付いた脳細胞を再生させる事を考えたんだ。
   現代医学では傷付いてしまった脳細胞を治すという事はマウス以外実現していない。
   bc12癌遺伝子は確かに脳細胞をも再生させる。だが、それをどうやって生きている人間に適用させる?
   マウスと同じく脳を取り出して培養する? 語るまでもなく人間には無理だ。
   そこで僕は考えたのさ。bc12癌遺伝子は異常が起きると癌や細胞の増殖、分化が発生する。
   それをうまく使えないかってね。
   色々と実験してみた所、特定周波数の電磁波を交差照射すると近辺の細胞を再生させてから死滅するという
   実に面白い結果が得られた。
   だけど、これはまだまだ研究段階の事でね。この電磁波によって何が起きるのか、詳しくは分かっていない。
   もしかしたら死に至る可能性だってあるし、脳に人とは違う何かしらの変異が起きる可能性だってある」

生徒会長「…………」

男「会長、翻訳してくれ」

生徒会長「すまない……私には分からないよ……」

医者「簡単な話、治るかどうかも分からない死ぬかもしれないことに手を出すのかな? って事だよ」

男「…………悩むな」

医者「悩めるだけ凄いと思うよ。僕なら絶対に手を出さない」

生徒会長「私もだな。あまりにも危険すぎる」

男「これしか方法が無いんだろ?それならそれをやるまでだ」

医者「それは、命を差し出しても良いくらいなのかな?」

男「ああ。新しい記憶を積み重ねれないのは辛い」

医者「……そうか。ならば、私は準備に取り掛かるよ」

医者「後悔、しないようにね」
135 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/22(水) 23:18:00.21 ID:k1wF0RZqo
今日はこれにて終了でございます。
物語りも終盤。四人がどうなるのかドキドキですね。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 00:18:49.02 ID:Z6Y3FkWDO
ああまったくだぜちくしょうめ

>>1
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 07:25:10.90 ID:1j0PgrwQo
ここは何スレ目なんだっけか
初めから全部追いかけていたつもりではあるんだけど、ログが散らばってる
138 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/23(木) 10:32:48.84 ID:UutdJSJBo
>>137
3スレ目ですね。

1 生徒会長「付き合ってくれないか?」 男「構わないが、良いのか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317671456/

2 会長「君はいつまで待たせるんだ?」男「いつまでだろうなぁ……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1320197379/


となっております。
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/23(木) 10:53:13.62 ID:1j0PgrwQo
>>1ありがとう
205レス
100レス
まででログもってた
140 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/23(木) 15:52:23.69 ID:MJUjZpjDO
>>139
そこまであればたぶん物語は全部あると思われます。
141 :ケータイからこれだけ ◆1IahjnNtgQ :2012/08/23(木) 16:17:24.55 ID:MJUjZpjDO
生徒会長「ちなみにだが、その電磁波の照射は男が初めてなのか?」

医者「いや? マウスでの実験を何回かしているけれど、どうかしたのかな?」

生徒会長「もし初めてだったのなら無理矢理にでも止めていた」

医者「流石に僕でもそこまで危険な事は出来ないさ。リスキー過ぎる」

男「むしろ、実験していない訳が無いと思うが……」

生徒会長「……すまなかった」

医者「いやいや。想い人を心配しての事だろう? 美しいじゃないか」

生徒会長「……ありが、とう」

医者「頬を紅くするなんて若いねぇ。羨ましいよ」

医者「――それじゃ、いくよ」

……………………
…………
……

少女「おや、着いたようだ」

少女「……ふむ。やっぱり分からないな」
少女「…………それより、さっきの二人は大丈夫だろうか」

少女「何をやっても、運命は変わらないというのに……。絶望だけはしないでほしいな……」

少女「…………さて、私も私で動くとしよう」
142 :ちょっとだけ ◆1IahjnNtgQ :2012/08/24(金) 13:32:07.14 ID:wo8TvGWOo
医者「bc12癌遺伝子を注射してからの電磁波の照射。何か違和感とかはあるかい?」

男「……ちょっと頭がふらつくくらいだな」

医者「ふむ……電磁波の影響か、はたまた細胞の再生効果なのか。どっちにしろ時間を置かないと分からないね」

生徒会長「…………」

男「会長、どうした?」

生徒会長「いや……今更になって怖くなってきてね」

男「本当に今更だな」

生徒会長「……男は怖くないのか? 動脈に癌遺伝子を打ち込まれ、どうなるか分からない実験とも言えるような行為が」

医者「実験……ああ、確かに実験って言えるねこれって」

男「さてな。特に怖いっては思わない」

生徒会長「…………前々から思っていたけれど、やっぱり君はどこか壊れていると思うよ」

男「そうかなぁ……俺だって怖いものはあるぞ」

生徒会長「男はどこか、自分を蔑ろにする節がある。それも、かなり重大なところで、だ」

生徒会長「自分を犠牲にして他人の幸せを願ったり、こうやって実験紛いの『治療』を受けたり……。心身共に壊れてもおかしくないじゃないか」

生徒会長「どうして、そんな行動ができるんだ……?」

男「…………さあなぁ。俺にも分からない。俺にとってこれが普通なんだ」

生徒会長「普通……? これがか……?」

男「ああ」

生徒会長「…………」

医者「まあ、この話はここまでにしておこう? 色々と落ち着いてから話をすると良いさ」

男「すまん」

生徒会長「……すまない」

男「…………? なんか違和感が出てきたな」

医者「ほう? どこがどんな風にだい?」

男「弱いけれど吐き気がするな。あと、頭がボーっとしてきた」

ツゥ…

医者「ふむ。涙も出てきているね。自覚はあるかい?」

男「いや、無い。そうか、視界がぼやけてるのは涙のせいか」

生徒会長「男、大丈夫か……?」

男「今の所はそれぐらいだな」

医者「……いや、これは………………」

ポタッ

男「ん?」

生徒会長「え……?」

男「なんだこれ。血? 鼻血か?」

生徒会長「男っ!?」

男「すまん。止まりそうにないから布か何か持ってきてくれないか」

医者「……それは鼻血じゃないよ。涙の代わりに血が出てきているんだ」

医者「これは……本当に死んでしまうかもしれないね」

生徒会長「――――――え……」
143 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/24(金) 13:33:43.12 ID:wo8TvGWOo
今日はここまで。お仕事行ってきますー。
本当にあと数レスで終わると思いますので、あともう少々お待ちください。

それでは。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/24(金) 13:52:04.82 ID:9r//L9XTo
――――――え……

145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/25(土) 02:41:08.88 ID:dhM8R4SDO
寂しいな

>>1
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/25(土) 14:53:23.76 ID:BJjez3CIO
繧ゅ≧邨ゅo繧翫°
147 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/25(土) 20:23:27.24 ID:7jcckUtFo
男「……マウスでもこんな症状は出たのか?」

医者「いや、十数回程度の実験だけど出ていないよ」

生徒会長「ならなぜ……?」

医者「血の涙が出るのは過度のストレスを感じた時や血管に傷が入った時なんだけれど、見た感じ男君は現在ストレスを感じていない」

男「ああ、俺は至って普通だ」

医者「ならば血管が傷ついた可能性が高いんだけど、いきなりなんの前触れもなく傷が付く訳がないし、何よりも血の量が多い」

医者「血が出た原因以前に、このまま止まらなかったら失血死も有り得る」

生徒会長「……止血剤は?」

医者「もう既に用意しているよ。ほら、ノボセブン」

生徒会長「…………やけに高価なものね?」

医者「僕としてはこれを無償で使っても良いくらいの協力をしてもらってる。このくらい安いものさ。流石に何回もは無理だけどね」

医者「あと、僕なりに改良を加えてみて、多少なり安価に提供できるんだ」

医者「はい、注射するよー」

男「……………………」

医者「二、三時間後にまた様子を見て投与しようか。男君、大丈夫かい?」

男「んー……?」

医者「……反応が悪くなってきてるね。失血が原因かな? 血圧はっと……ふむ、低くなってるね。出血量から見て輸血した方が良さそうだ」

生徒会長(触るだけで分かるものなのか……)

医者「何か言いたそうな顔だね」

生徒会長「や。天才というものはここまで常人離れしているのかと思って。触るだけで血圧が低下しているのが分かるとは」

医者「ああそれ? 訓練すれば誰でも出来るようになるんじゃないかな。よくは知らないけれどね」

医者「っと、輸血はこれでオッケー。男君は――」

男「…………」

生徒会長「……寝てる、のか?」

医者「そうみたいだね。気絶って感じじゃない。このまま安静にさせておこう」

医者「ふー……」

生徒会長「…………」

医者「……………………」

生徒会長「…………」

医者「ああ……薬剤を投与したいな……」

生徒会長「?」

医者「折角の良い実験体なのに様々な薬を投与できないなんて、なんてお預けなんだ……」

生徒会長「…………」

医者「もっと……とか、精神干渉――、……とか……………液破壊………ああ、あれも……――りたいなぁ」

生徒会長「……何を?」

医者「ん? ああ、もしかして僕、ぼやいてた?」

生徒会長「……あまり良さそうじゃない単語が少々聴こえてきた」

医者「あらら。まあいいや。僕はそういう人間なんだよね。人もマウスも同じようにしか見えない。ただ単に生活する為に医者をしているだけで、お金を気にしなくても良くなったら毎日実験三昧したいくらいだ。
   まあでも安心すると良いよ。ちゃんとお金は貰ってるから悪いようにはしない。全力で治しに掛かる。だけどそこまで。確実に治せる訳じゃないし、限度額を超えたら僕は何も知らないよ。
   冷たいかもしれないけど、僕の世界ではこれが当たり前なんだ。例え非合法や認定されていない薬剤を使ってでも患者が後遺症無く治ればそれで良いって思想でね。なかなか理解してもらえないんだけどね。
   さっきのぼやきは確かに本音だけど、誰彼構わずやってる訳じゃないし、彼にやりたいって思っただけでやるつもりも無いよ」

医者「おっと、また長々と一方的に喋ってしまった。すまないね」
148 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/25(土) 20:28:13.00 ID:7jcckUtFo
>>146の文字化けさん、毎日見ているって書き込んでくれた人かな?
そうだとしてもそうじゃなくても、見てくださってありがとうございます。
確かにもうそろそろ終わりますが、また新しいモノを私は書きますよー。

さてさて、今日はここまで。
そろそろ『良いこと』にも着手しないと……。
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/26(日) 11:19:34.36 ID:kj2uzu0Yo
150 :わはー、前回の書き込みからもう一週間近くも経ってる ◆1IahjnNtgQ :2012/08/31(金) 08:04:15.57 ID:Mn4QZ/Bqo
生徒会長「『天才は凡人には理解されない』って言われているのが今やっと実感できた気がする」

医者「そうかい? 僕のさっきのぼやきはむしろ狂人の類だと思っているのだけど」

生徒会長「私からしてみたらどっちも同じように見えるよ」

医者「んー……そっかぁ」

生徒会長「……ところで、彼はどうなんだ?」

医者「なんとも言えないのが本音かなぁ」

医者「流石に前例も似たような症状も無いから判断が付かないね」

生徒会長「……死ぬかもしれないというのはどうして?」

医者「ただ単にこれをやったマウスの一匹が死んだから」

生徒会長「…………」

医者「言いたい事はなんとなく分かるよ」

生徒会長「もし男が死んだら、その時は――」

医者「ああ、僕の所に来ると良いよ。それなりに覚悟はしてるさ」

医者「それじゃあ、今日はもう帰ってもらえるかな。これから彼の治療に専念するからね」

……………………
…………
……

生徒会長「…………」トボトボ

生徒会長「…………」トボトボ

生徒会長「…………」トボトボ

少女「おや? また会ったね」

生徒会長「っ?」

少女「やあ」

生徒会長「……こんにちは」

少女「ふむ……彼の身に何かあったのか」

生徒会長「なぜそれを……?」

少女「…………」

生徒会長「ああ……そういえば君は不思議な力を持っていたんだったな」

少女「……こんな場所で話すのも宜しくないから、どこかのお店にでも――」

生徒会長「いや、こんな状態だからこそ人目の付かない路地裏が良い……」

少女「そっか……」

少女「…………辛いかい?」

生徒会長「…………」コクリ

少女「……彼がどうなるのか、教えても良いのだけ――」

生徒会長「やめてっ!!」

少女「っ」

生徒会長「ぁ……。ごめん……」

少女「いや、私も無神経だった。すまない」

生徒会長「……知るのがこんなにも怖いだなんて、思わなかったよ」

生徒会長「貴女は、全部分かってるのよね……?」

少女「……うん、分かってるよ」
151 : ◆1IahjnNtgQ :2012/08/31(金) 08:06:05.76 ID:Mn4QZ/Bqo
さて、今日はここまで……。
あと数レスで終わるかと思ったらもっと掛かりそうだったという。

ではでは、また会う日まで。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 15:49:44.11 ID:FDvcJpzs0
まだ楽しませてくれるのか
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/08(土) 07:05:23.23 ID:IA3DwY9a0
医者たんペロペロ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) :2012/09/08(土) 07:37:02.03 ID:g529NXVAO
ちゃんちゃん
155 :家に帰っても寝るかお風呂か洗濯の毎日 ◆1IahjnNtgQ :2012/09/09(日) 23:27:49.23 ID:XbdDonmFo
生徒会長「そっか……」

少女「…………」

生徒会長「……私は、男を支えようと思う」

少女「……………………」

生徒会長「例え、私を覚えてもらえなくても……私はずっと、支えて生きたい」

少女「……それは、愛しているから?」

生徒会長「ああ」

少女「…………」

少女「ちょっと、良いかな――?」

……………………
…………
……

男「…………」

医者「やあ、起きたかい?」

男「……ああ」

医者「僕のことは分かるかな?」

男「ああ……分かる」

医者「ふむ。意識が落ちただけでは記憶が消えないとなると、やっぱり睡眠時の記憶の整理が問題なのか」

医者「んー、どうしたものかなー」

男「……何も手段はないのか?」

医者「無いことは無いけれどねー。このままだと君が死にかねないし」

男「…………」

医者「ぶっちゃけ、君の記憶能力を治せる見込みは二つしかない」

医者「一つは今回の『治療』を繰り返して治るまでやる」

医者「もう一つは頭の中に記憶チップを埋め込んで、そこを記憶領域とする」

男「記憶チップ?」

医者「何かの映画で使われてたと思うけれど、機械を頭に埋め込んで、それを記憶の保管場所にするんだよ」

男「……そんなのできるのか?」

医者「可能だね」

男「なぜ言い切れる」

医者「それは秘密」

男「……アンタ、本当に何者だ?」

医者「ただの天才であり狂人である医者だよ。それ以上でもそれ以下でもない」

男「そうか。で、その記憶チップとやらを埋め込む費用はいくらなんだ?」

医者「ざっと一億」

男「…………」

医者「一般人には無理な話だよ。あと、チップと細胞の適正も問われる」

医者「君が適正者かどうかは分からないけれど、細胞的には別の色々な適正を持ってるから、いけるかもね?」

男「…………アンタ、本当に自分に素直だな」

医者「そうかな?」

男「そうだよ。じゃあ、ビジネスの話をしようか――」
156 : ◆1IahjnNtgQ :2012/09/09(日) 23:31:18.17 ID:XbdDonmFo
今日はここまで。
色々と頭が狂ってきてるから変な場所とかあるけれどご了承くださいませ……。
終わりまでのプロットは頭の中で組み立てれているから、あとは書くだけなのじゃ。

ではでは、また会う日まで。
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/10(月) 09:18:23.02 ID:V5PRUpcn0
158 : ◆1IahjnNtgQ :2012/09/12(水) 23:39:30.95 ID:lg71vvL0o
――会長宅

メイド(枯れ葉、多いです……)ザッザッ

男「よ。掃除か」

メイド「! お帰りなさいませ」ペコ

男「だからそんなに畏まらないでくれって」
メイド「……はい」

男「まあいいや。会長は帰ってきてるのか?」

メイド「――はい。自室にて休まれてます」
メイド「……ただ、心あらずといった感じで元気がありません」

男「……そうか。ありがとう」

メイド「……あの」

男「ん?」

メイド「……お嬢様を、よろしくお願いします。お嬢様を癒せるのは、きっと男さんだけですから」

メイド「私には……出来ない事です」

男「へぇ……。そんな顔も出来るんだ?」

メイド「?」

男「いつも淡々としているけど、さっきの顔は良かった」

メイド「……もしかして、口説いていますか?」

男「そう思わせたのなら謝る。すまん」

メイド「違いましたか……」

男「……なんで残念そうにしてるんだ?」

メイド「主人と従者の禁断愛を体験できるのかと思いまして」

男「…………」

メイド「冗談です」

男「本当か?」

メイド「……冗談です」

男「…………」

メイド「…………」

男「……………………」

メイド「………………えっと」

男「…………………………」

メイド「……ちょっとだけ思いました」

男「…………」

メイド「だって……非日常とかって憧れるじゃないですか……」

男「ああ、なるほど」

メイド「……この話はもうおしまいです。お嬢様の部屋へどうぞ」

男「ああ、行ってくるよ。仕事の邪魔をして悪かった」

メイド「いえ、邪魔ではありませんよ」

男「そう言ってくれると助かる。じゃあ、頑張れよー」スタスタ

メイド「……お気を付けて」
159 : ◆1IahjnNtgQ :2012/09/12(水) 23:41:30.37 ID:lg71vvL0o
今日は此処まで。
もっと書きたいけれど他にやる事があるというジレンマ。

微妙に寒くなったりやけに暑くなったりしてるので、皆さん体調管理にはお気を付けてくださいませ。
では、また後ほど――。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/13(木) 06:47:25.24 ID:j5dX190bo
乙乙
メイドもなかなかだね
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/13(木) 08:22:32.52 ID:QhnnhU5g0
メイドかわいいよメイド
162 : ◆1IahjnNtgQ :2012/09/18(火) 14:30:01.90 ID:PtdInbxDO
男「よ、ただいま」

生徒会長「…………」ボー

男「会長?」

生徒会長「……ぁ」

男「……どうした?」

生徒会長「……………ない」

男「ん?」

生徒会長「…………ど……て」

男「会長、本当にどうし――」

ガバッ――ドサッ

男「っ……、すまん会長。つい――」

生徒会長「いいよ……大丈夫だから」

生徒会長「いきなり飛びかかったのは私だから……。だから、組み伏せられても仕方がないよ」

生徒会長「……ね、久しぶりに抱きしめさせて?」

男「……ああ」

生徒会長「…………」ソッ

男「………………」

生徒会長「…………」

生徒会長「やっぱり違う……」スッ

男「……何がだ?」

生徒会長「男……寒いよ……」

男「……寒い? 今日はむしろ暖かい方のはずな――」

生徒会長「…………」

男「……すまん」

生徒会長「ううん……男は悪くないよ……」ジワ

生徒会長「……けど、許す代わりに二つ条件」

男「なんだ?」

生徒会長「一つ目、今日は私と一緒に寝ること。二つ目――」

生徒会長「――キスがしたい」

男「……ああ、良いぞ」

生徒会長「…………ありがと」

――甘いはずのキスの味。
けれど……とても、とてもとても苦かった……。
それは、まるで苦い砂糖のよう――。
163 : ◆1IahjnNtgQ :2012/09/18(火) 14:33:26.26 ID:PtdInbxDO
今日もこれだけです。
終わる手前の曲を聴いてるみたいで、書いてる私がなんだかしんみりしちゃってます。

また時間を作って書きますのでまたしばらくお待ちくださいませ。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/18(火) 15:53:08.67 ID:7YvdFr+w0
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/19(水) 07:32:52.60 ID:2tUyHz8uo
切ないな…

166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岐阜県) :2012/11/11(日) 05:51:11.05 ID:cCSMhUNr0
ずっと待ってあげてるんだから
は、早くしなさいよ////
ホモネタ書かせるわよ!?
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/11(日) 11:00:52.18 ID:rhdbtsODO
そういえばこのスレ読んでたんだったw
待ってるよー
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