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魔王「覚悟するがよい、魔王よ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:40:17.05 ID:JInAkNyB0
母「起きなさい。もう朝よ」ユサユサ

「んむぅ……」

母「今日はあなたの旅立ちに日でしょう。ほら早く起きて王様の所へ!」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!」

母「ひいっ」

「喧しいわッ!!!」

「何様のつもりだ貴様? 余は万物を統べる王であるぞ……」

母「…はぁ?」

母「バカなこと言っていないでさっさと王様の所へ行きなさい!」

母「朝ご飯は用意したから勝手に食べなさいね」ガチャリ

「……人の親という物は口煩い豚であるな」

「……くっくっくっ! それにしても、いよいよか!」

「この日をどれ程待ちわびた事か」
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:41:47.22 ID:JInAkNyB0
王様「おお、勇者よ! お前にはこれから……」

王様「…は、話は逸れるが、主は随分たくましい肉体を持っておるな」

「ふん、当然であろう」

大臣「お、王に向かってなんて口のきき方を!」

王様「いいのだ。気にするでない」

王様「16という若さで主1人に世界の命運を背負わせてしまうということはわしもとても申し訳なく
思っている」

王様「しかし勇者よ! お主が、勇者の血を濃くひくお主だけが魔王を討つ事ができる!!」

「ほぉ…魔王も舐められたものだな。小物1匹ごときで王を討てるだと」

「片腹痛いわッ!!」

王様「えぇ…」

大臣「っ! ご、50Gやるからさっさと装備整えて魔王倒してこい!」

「ふん! ケチめ!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:44:30.55 ID:JInAkNyB0
「全く、あれが一国を統べる王だと? 情けない」

「…まぁ、よいわ」

「いよいよである。いよいよ余の旅が始まる」

「むふふふふ…はっはっはー!」

兵士「ゆ、勇者様いかがしました」

「んん?」

「いやなに、少し気分が高ぶってしまってなァ」

「おい、そこの!」

兵士「はっ、はい!?」

「余は誰だ?」

兵士「は…? ゆ、勇者様です……」

「そう!! 余は勇者である! 勇者となった!」

「いやァ、めでたいな……くくっ」

兵士(なんなんだこの人)

「ではな、余はこれより魔王討伐の旅へ出る。大手を振るって見送れィ」

兵士「は、はぁ…」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:48:03.19 ID:JInAkNyB0
数日前


勇者「う、うぐ……」

魔王「この程度か、勇者よ。なんと情けない」

魔王「余に挑む勇気は褒め称えよう。だが、このザマはな」

勇者「だ、黙れ…! 僕はお前を倒し平和を手に入れてみせる!」

魔王「余を倒したところで貴様ら人間に真の平和は訪れんわ阿呆ッ!!」

魔王(ええいっ、いつもいつも悪い事は余のせい……)

魔王「ムカつくーーーッ!!」

魔王は強力な雷魔法を唱えた!

バリバリドカーン

勇者「あああああああぁぁっっ!!? ぐっ、ぐ…くそぉ……――――」

しゅ〜

魔王「……ゴミめ」

側近「魔王様」ヒョコ

魔王「おう、生きておったか」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:52:27.43 ID:JInAkNyB0
側近「今回もお見事です! 魔王様!」

側近「しかし、勇者め一行…中々の強さでしたねぇ」

魔王「あの程度の奴ら、余にとっては虫ケラも同然」

魔王「……しかし側近よ。余はそろそろ我慢の限界だよ」

魔王「悪だ悪だと言われて早数百年、余は悪でないッ!!」

魔王「王である! 已然変わりなく!」

魔王「余が、何か悪い事した!?」

側近「に、人間共にとっては悪い事してるように見えるのかもしれません」

魔王「価値観の違いがあろうと! 赤の他人に恨まれるような生活はもう懲り懲りなんだよ!」

魔王「もう余は魔王嫌だ! 魔王やめる!」

側近「は!? そ、それだけは困ります! あなた様程の逸材はそうはいらっしゃらないのですよ
ぉ!?」

魔王「やだやだやだー!」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:53:50.77 ID:JInAkNyB0
魔王「……そうだ」

側近「へ?」

魔王「余は勇者になる」

側近「はぁ!?」

側近「やめてください! 正気ですか!? 魔王様っ」

魔王「正気だッ!! 余が狂ってでもいると申すか」

側近「い、いえ……ですが」

側近「よく考えてくださいよ。魔王様は魔族、魔物ですよ? 人に仇名す絶対悪」

側近「一方で勇者は人間。…もうわかりますよね」

魔王「常識なんぞぶち壊してくれようぞ!」

側近「〜……」

側近「では、魔王の座はどうするのですか? 他にそこへ座る者はいませんよ!」

魔王「あ、あー……」

側近「諦めてください!!」

魔王「しゅん……」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:56:57.62 ID:JInAkNyB0
魔王の寝室


魔王「……」ムスッ

側近「まだ拗ねていられるのですか。諦めください」

魔王「…やだ」

側近「はぁ…ほら、今日も本を読んでお聞かせしますから、どうぞお眠りください」

側近「昔々ある所に悪い悪い人間が……」

魔王(どうにかしてここから抜け出せないものか)

側近「しかし魔物たちが人間を懲らしめ……」

魔王(こいつ邪魔なんだよ……!)

魔王「……なぁ、側近よ」

側近「めでたしめでた…はい?」

魔王「余は、貴様を信頼しておる。貴様は頭も切れ、腕も立つ」

側近「え、いや! そんな照れちゃいますよぅ……///」

魔王「だから余は思うのだ。余の後を継ぐのは貴様だと、な」

側近「えぇ!?」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:01:12.52 ID:JInAkNyB0
側近「ま、またまたご冗談を」

魔王「冗談? 余がそのような事を言うわけがなかろう。本気だ」

側近「マジですか…」

魔王「ああ。頼むぞ、側近よ」ギュッ

側近「! ま、魔王様ぁ……ああ……わ、私、精一杯がんばりますね……」

魔王「頑張れッ!」

側近「はぁい……う、うふふ…」

魔王「ところで次の勇者が旅立つ町知らない?」

側近「ここから山を越え、海を越え、結構離れた地の町だと思いますよ〜……」ふわー

魔王「よしわかった」

魔王「ちょっとお手洗いに行ってくる。ここに待っておれ」

側近「ふぁい…」


その夜、魔王城から魔王が姿を消した。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:05:27.61 ID:JInAkNyB0
はじまりの町(夜)


魔王「はぁはぁ……本当に遠かったわ……」

魔王「さて、勇者の家はどこだろうか」

ぎゃーぎゃーwwwwww

魔王「む?」

ビッチ「勇者くん明日旅出るんでしょーwwwwww」

勇者「おぅwwwwwwちょっくら世界の女抱いてくるわwwwwww」

ビッチ2「やだwwwwwwうけるwwwwwwww魔王でしょ魔王wwwwww」

勇者「あぁ?wwwwww魔王なんて指先一つでダウンっしょwwwwwwww」

ビッチ「wwwwwwwwwwwwww」

魔王(なんだあの豚共は)

魔王(しかし、勇者だと?)

魔王「おい、そこの」

勇者「…あ〜?」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:09:23.93 ID:JInAkNyB0
勇者「テメェおっさん何だよ? 俺らに聞いてんのか?」

魔王「口のきき方がなっていないな、貴様」

勇者「あぁ〜〜〜ん?」ジロジロ

魔王(酒臭いよ)

魔王「その下品な顔を余に近づけるな。菌が移るわ」

ビッチ「ちょwwwwww勇者くん菌だってwwwwww」

勇者「このおっさんマジうぜぇわ…やる? やっちゃう?」

ビッチ2「シメチャッテーwwwwww」

勇者「魔物の前にてめぇボコるわwwwwww」

魔王「待て、貴様が勇者なのか?」

ビッチ「そうだよ、勇者くんwwwwww」

魔王「そうかわかった。悪いが去ねィ!」

魔王の攻撃! 勇者は死んだスイーツ(魔)

ビッチs「いやあああぁぁぁーーーっ!?」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:15:04.63 ID:JInAkNyB0
魔王「勇者は間違いなく、こやつで良いのだな?」

ビッチs「」コクコク

魔王「しっかり口を開けて喋れィ!!」

ビッチs「ひ、ひいぃぃっ!!」ダッ

ビッチたちは逃げだした!

しかし、魔王はまわりこんだ

魔王「行ってよいと誰が許可した? んん?」

ビッチ「ごめんなさいごめんなさい! 私たちは無関係です!」

魔王「いや、勇者を滅したところを目撃された」

魔王「…まぁ、とにかく勇者の家を教えるのだ。早く。3・2……い〜」

ビッチ2「あ、あの赤い屋根のおウチです!! こ、これで許してくれるよネ? ね…?」

魔王「〜〜〜〜ち。ゼロだ、小娘」

魔王の攻撃!

ビッチたちは死んだ!

魔王「余が勇者になる為にも、生かして返すわけにはいかんのでな。すまん許せ」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:22:49.97 ID:JInAkNyB0
勇者の家


魔王「御免!」ガチャリ

母「おかえりなさい。今日は随分早い帰りね」

魔王「ふん、余の勝手であろう。まぁ、そこに掛けておれ」

母「はぁ?」

魔王「ここが勇者の家でよいのだな? そして余は勇者か?」

母「えっと…あんた、酔っぱらってるの?」

魔王「舐めておるのか貴様?」

しーん

母「とりあえず早く寝ちゃいなさい。明日なんだから」

魔王「何がだ?」

母「明日旅立つんでしょうが! あんたどうしちゃったの…」

魔王「お、おぉ! そうであったそうであった! では余はもう寝る!」

魔王「貴様は絵本を持って余の寝室を訪れるがよい。聞いてくれよう」

母(ああ、きっと緊張しているのね…勇者…)

母「ええ…精一杯、今日は甘えてちょうだい!」ニコ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:27:14.91 ID:JInAkNyB0
そして現在に至る


魔王(まずは装備とやらを整えなければな)

道具屋「おお、勇者様。何をお探しで」

魔王「うむ、適当な武器と防具を揃えィ」

道具屋「……あの、うちは道具屋なんですけど」

魔王「構わん。早くしろ、余は気が短い」

道具屋「ですからここは道具屋ですので! 武器や防具は置いていないんです!」

魔王「…真か? ならば貴様、金は渡す。今すぐ買って参れ」

道具屋「ええぇ…」

魔王「不満か? この勇者が買ってこいと申しておるのだぞ」

道具屋「ふ、ふざけるなー! 勇者だろうがなんだろうが客は客だ! 特別扱いはしない!」

道具屋「さっさと失せろ!」

魔王「ぐ、ぐぬぅ……身を弁えろよ、クズめ」

魔王「装備なぞいらんッ! 次は仲魔だ」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:33:18.28 ID:JInAkNyB0
酒場


ワイワイガヤガヤ

魔王(ここへ来ればお供を付けられると言われたが)

魔王「おい、貴様ら。魔王を倒しに行くぞ」

ガヤガヤ…シーン

「あれが噂の」「ああ、勇者様だ」

「わりと風格あるわねぇ」「今度の勇者は骨がありそうだぜ」

戦士「勇者殿。是非俺を連れて行ってくれないかな?」

魔王「……貧弱そうだな。まぁ、勝手にしろ」

魔王「おい、他に!」

僧侶「わ、私を連れて行ってください!」

僧侶「魔王を倒す為にも私の力を生かしたいんです!」

魔王「女か、貧弱だな。OKだ」

魔王「あと一人! 早い者勝ちだぞー!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:38:27.35 ID:JInAkNyB0
盗賊「くっくっく……」

魔王「余の後ろに立つな阿呆」

盗賊「! 俺の存在に気づいただと……?」

盗賊「どうやら、マジであんたが勇者様らしいなぁ?」

魔王「如何にも。なんだ貴様着いてきたいのか? ん?」

盗賊「くくっ…俺は盗賊。月明かりを背に、闇に潜み、くく…」

魔王「着いてきたいのならハッキリせい」

盗賊「ふっ、俺を容易く扱いこなせると思うなよ。じゃじゃ馬だぜ、俺はよ?」

盗賊「油断して背中からズバッ!! …なんてことがないようになぁ」

魔王「よく喋る奴だな。余はそんな事頼んでおらんぞ…」

戦士「あいつ、照れ屋だからちょっと仕方がないんスよ。勘弁してやってください」ヒソヒソ

魔王「ぷっ、愛い奴め。いいだろう、貧弱そうだが来るがいい」

盗賊「へへ…今宵の月は血が滴る紅だぜ……」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:41:50.17 ID:JInAkNyB0
僧侶「えっと、よろしくお願いしますね! 私にできることなら何でも言ってください」

魔王「貴様は何ができる?」

僧侶「は、はい! 主に回復を!」

魔王「余に回復なんぞ不要だわ」

僧侶「えぇっ!?」

魔王「貴様は?」

戦士「ん、俺ですか? 俺は戦えます! 強いですよー!」

魔王「普通だな…」

魔王「おい…んぷっ、お、お前…ぷぷ、お前は何ができる?」

盗賊「ああ、俺は盗みを生業としてきたからな…素早いフットワークを生かし、相手の首を掻っ切
る。他にはアイテムを盗み出すことができるんだぜ……」

魔王「面白いな。いいぞ」

魔王「他にも連れて行きたいが、メンバーの限界とか言われたからな。我慢する」

僧侶「さすが勇者様です!」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:44:44.96 ID:JInAkNyB0
魔王「お前達のことは大体わかった。そろそろ旅立とうではないか!」

僧侶「待って! 装備やアイテムはお持ちですか?」

魔王「それはよく分からんが買う事ができなかったのだ」

僧侶・戦士「え!?」

戦士「そんなことは無いはずだ。まさか、勇者だから売ってくれなかった…?」

僧侶「そ、それはないかと…わかりました。私が代わりにお買い物してきます!」

魔王「そうか、行け」

盗賊「くくっ……待ちな…」

僧侶「盗賊さん?」

盗賊「女にパシリなんてさせられないぜ…俺が代わりに行く…」

僧侶「そ、そんな! いいですよっ」

盗賊「まぁ、任せておくんだな……くく…」スタスタ

魔王「あやつ面白いなー…」

戦士「あー、そうですね」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:50:41.24 ID:JInAkNyB0
盗賊「おい、買ってきたぜ」

魔王「ご苦労。だが、素早いとか謳っておきながら余をこれだけ待たせるとはいい度胸だなァ?」

戦士「色々買い回ってくれたんだし、ここは抑えましょうぜ…ね?」

僧侶「ごめんなさい……私が行けばよかったのに…」

盗賊「ふっ、その分戦闘で頑張ってくれればいいだけだ……気にするな」

僧侶「わぁぁ……!」パァァ

僧侶「盗賊さん優しいんですね、本当にありがとうございますっ」

戦士「盗賊の奴、僧侶ちゃんのこと狙ってるみたいなんですよ〜…」ヒソヒソ

魔王「何だと?」

魔王「あの男、旅の仲間になった理由はそれか」

戦士「違いないですはい」

魔王(仲魔を突然殺されても困るし、ここで討っておくか…)
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:51:17.04 ID:JInAkNyB0
魔王の不意打ち攻撃!

盗賊は自分が攻撃されたことにも気づかず死んだ!

盗賊「†」

僧侶「嫌ぁああああああーーーっ!?」

戦士「うわあああー!! 何やってんスか!?」

魔王「何って……僧侶を守ったまでだが」

僧侶「何から守ったというのですか!? 私は彼から何もされていませんっ」

魔王「今は無いだろうが、いずれは在るやもしれん」

僧侶「間違いでもなければあり得ませんよ!!」

戦士「勇者殿どうしたというんですか? …こいつが気に食わないんですか」

魔王「そんなことはない! 今のところは結構好きな部類に入る」

戦士「わけがわからない……」

魔王「そ、そもそも! お前が盗賊の奴が僧侶を狙っているとかぬかすから!」

僧侶「えっ」

戦士「……」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:51:48.31 ID:JInAkNyB0
魔王の不意打ち攻撃!

盗賊は自分が攻撃されたことにも気づかず死んだ!

盗賊「†」

僧侶「嫌ぁああああああーーーっ!?」

戦士「うわあああー!! 何やってんスか!?」

魔王「何って……僧侶を守ったまでだが」

僧侶「何から守ったというのですか!? 私は彼から何もされていませんっ」

魔王「今は無いだろうが、いずれは在るやもしれん」

僧侶「間違いでもなければあり得ませんよ!!」

戦士「勇者殿どうしたというんですか? …こいつが気に食わないんですか」

魔王「そんなことはない! 今のところは結構好きな部類に入る」

戦士「わけがわからない……」

魔王「そ、そもそも! お前が盗賊の奴が僧侶を狙っているとかぬかすから!」

僧侶「えっ」

戦士「……」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:52:54.87 ID:JInAkNyB0
魔王「何、誤解だと? 余が?」

戦士「はい…」

僧侶「この人に着いて行って大丈夫かしら…」

魔王「おい、心の声が漏れておるぞ。僧侶よ」

僧侶「言ってるんですっっっ」

僧侶「とにかく、これでは盗賊さんが可哀想です…蘇らせましょう」

戦士「僧侶ちゃん。復活の呪文を知っているのか?」

僧侶「いいえ……ですけど、教会へ行って助けてもらえば」

戦士「だが、蘇らせてもらえるほどの金を今持ち合わせていないぞ…」チラッ

魔王「先程の買い物で全部使い切ってしまったようだからな。あの盗賊めが」

戦士・僧侶「〜……」

魔王「ではどうすればよい? こいつがいないと旅も盛り上がらんぞ…」

戦士・僧侶(盛り上げ役かよ…)
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:53:40.42 ID:JInAkNyB0
切りがいいので今日はここまでで
投下タイミング不定期です
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 02:58:31.29 ID:Q3jJyehE0
そんなに大事なことだったのか。まあ仲間死んだしな
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/17(木) 04:08:48.07 ID:Jk/zT/+h0
魔王かわいいな
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方) [sage]:2011/11/17(木) 09:03:08.01 ID:L6EOAC3D0
どうなるんだろ、この先・・・wwwwwwww
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/17(木) 09:08:51.30 ID:vFcmlLZAO

>>1
魔王さm…勇者様可愛いな
期待
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/17(木) 10:09:50.20 ID:4/Pvd0eAO
面白いなww
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/11/17(木) 19:39:26.83 ID:gTW92kJ7o
戦士の今後に期待
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 22:25:49.39 ID:JInAkNyB0
戦士「とりあえず、町の外に出て魔物倒しましょうか」

戦士「奴らは倒すとGを落としてくれるんですわ」

魔王「アイツ等……殺される上に財布から金をぬかれておったのか…嘆かわしい」

戦士「は?」

魔王「では参るとするか。面倒ではあるが、こいつを蘇らせたい」

僧侶「じ、自分で殺しちゃったんでしょう!?」

僧侶「うぅ…ごめんなさい、ごめんね、盗賊さん……」

盗賊「†」ずりずり…

魔王「棺桶を引きずって戦う気か!?」

戦士「置いて行くわけにもいかないでしょう!? ちくしょうっ」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 22:31:55.47 ID:JInAkNyB0
フィールド


魔王「おお…」

魔王(目一杯に広がるこの世界。遂に始まるのだなッ、余の旅が!)

戦士「さ、魔物共を探しましょう。雑魚がその辺にいるはずだ」

魔王「雑魚言うなよ!!」

魔王「そりゃあ…弱い、余より数億倍弱いかもしれん。だが、そんな言い方ないだろう…!」

戦士「え…あ、そうっスよね……」

魔王「奴らも生きているのだ。命を軽く見るでない」

僧侶「勇者様にだけは言われたくない……」

ザザザッ…!

モンスターが1体現れた!

戦士「お、さっそく現れやがったな!」

魔物「ピキー」

僧侶「初めての戦闘、ちゃんとやれるといいけれど…」ぐっ

魔王「……」

魔物(何だ、こいつらは……?)
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 22:37:09.27 ID:JInAkNyB0
魔物(オーラが、何か禍々しいオーラがある)

魔物(それにこれは……魔族の者の匂い!)

魔物「ピ、ピキー?」

戦士「……襲ってこないな?」

僧侶「ですね?」

魔物(言葉が通じていない。ではこの肉ダルマと雌は違う…まさかあの男?)

魔物「チラッ」

魔王「……」パチッ

魔物(うおおおおお!! ウインクしてきた!!)

魔物(では奴が我が同胞! しかし何故このような下等生物どもと一緒にいるのだ?)

魔物(噂では今日この町から新たな勇者ががががががが)ぐちゃあ

戦士「やった、やりましたよ! こいつ何もしてこねぇwwwwww」

魔王「せめてもの手向けだ。お前の死に際、忘れぬぞ」グッ

僧侶「魔物に慈悲深いんですね…?」

戦士「こいつ割と金持ってましたわー!」ジャラジャラ

魔物「」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 22:43:30.02 ID:JInAkNyB0
戦士「うりゃー!」ぶんっ

魔物「ギャフンっ」

僧侶「戦士さん回復します!」

戦士「おうッ 感謝する!」

魔王(ううむ、暇である…)

魔王「ふあぁ〜……」

戦士「むっ」

戦士「勇者殿も戦闘に少しは参加してくださいよぉー! さっきから俺ばっかりだ!」

僧侶「それも…そうですねぇ…」

魔王「ふふん、余は無意味な殺生は行わん主義でなァ」

僧侶「立派な心掛けなんでしょうけど、勇者様が言うとただのサボり……ゲフンゲフン」

戦士「無意味じゃありませんから! 盗賊のためにGを稼ぐというれっきとした目的が!」

魔王「いや、もうどうでもいいやと思ってきてな……」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 22:52:16.43 ID:JInAkNyB0
戦士・僧侶「はぁ!?」

僧侶「盗賊さんに申し訳ないとか思わないんですか!?」

戦士「そうっスよー! さすがに酷すぎますわ…」

魔王「だって、お前らだけでも十分魔物たちと渡り合えているようだし」

魔王「これに盗賊という+αが加わったところで大差ないだろう…」

魔王「以上が余の考えだ。異議は? 聞いてやらん事もないぞ!」

戦士「いやぁ……さすがに俺らだけじゃこの先厳しくなると思いますよ…」

僧侶「同感です」

魔王「ふん、余が居るではないか。…不満と申すか? あァん?」

戦士「そういうわけじゃ…なぁ?」

僧侶「え、ええ…」

戦士「だいたいアンタ、俺たちに色々期待してくれてるのはありがたいですけどねぇ!」

戦士「アンタ自身は何ができるんだ!? さっきから口ばかり達者で…!」

魔王「あ〜〜〜〜〜〜〜……ン?」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 22:54:40.34 ID:JInAkNyB0
魔王「貴様、さっきから黙って聞いておれば好き勝手ぬかしおるなッ!」

僧侶「戦士さんは間違ったことを言ってません! わ、私だってそう思います…!」

僧侶「勇者の名は名ばかりなのですかっ?」

魔王「違うわタコ!!」

魔王「チッ……見ておれ…次に出現した魔物を消し炭にしてくれようぞ……」

戦士「はぁん! どうだかっ」

ザザザッ・・・!

モンスターが現れた!

戦士「ほらほら〜さっそく現れましたよ〜」ニヤニヤ

魔王「」ブツブツ…

戦士(なにぶつぶつ言ってやがるんだ?)

僧侶「魔法の詠唱……まさか!!」

魔王「キエエエェェェーーーーーーッッッ!!!」

魔王は炎の魔法を魔物に放った!

魔物を中心に火柱が天高く立ち上がる!

戦士・僧侶「」ポカーン
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:02:40.24 ID:JInAkNyB0
しゅうう〜・・・

魔王「ふふーん、どうだ? 愚か者どもめ」

戦士「そんな…バカな……ひぃ」

僧侶「あ、あ、あぁ……」ガクガクガク

ペタン、ジョボジョボジョボ…

魔王「おい、くせぇよ…」

僧侶「今のは……まさか、火炎魔法の中でもかなり高等と言われる古の……!」

魔王「否。今、余が放ったソレは下級火炎魔法であるぞ」

魔王「いやァ…余が使ってしまうと、どうもパゥワァが桁違いになるらしい。くっくっ」

戦士「さ」

戦士「さっすが俺たちの勇者殿だよォーーーーーー!!!」

戦士「俺はわかっていた。ああ、見た瞬間気づいていたんだよ! あんたは違うってな!」

戦士「うははは! やべぇwwwwwwwwやべぇwwwwwwww」

魔王「理解したのならそれで良いよ。ん」

僧侶「ひっ!」

魔王「貴様はどうなのだ? 売女よ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:08:25.10 ID:JInAkNyB0
僧侶「っ!」

バチーン

僧侶の平手打ちが魔王に炸裂!

戦士「なっ……!? お前、僧侶ちゃん! 勇者殿に何て事をー!」

魔王「」

僧侶「…あ、あや…あああ、あやまって!!」

魔王「……あァん?」

魔王「余のツラに貴様如き豚が触れて良いと誰が許したよ?」

僧侶「私は売女でも、豚でもないです! 僧侶!!」

僧侶「神に使える者……! 訂正しなさい……っ」

戦士「お、おいおい…変なとこでプライド高い女だな…」

魔王「ふゥん、余が知ったことか。貴様は貴様だ」

魔王「しかし神官程度が余に喧嘩を売るとは、褒めてくれる」ナデナデ

僧侶「!」

魔王「そら、さっさと金を稼げィ! 盗賊の糞っ垂れを蘇らせるのだろう?」

僧侶「……」ギリッ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:16:10.99 ID:JInAkNyB0
テレレレッテッテッテー

戦士「おっ」

魔王「何だいまの音は?」

僧侶「たぶん、レベルアップしたんですね」

魔王「レベルアップぅー?」

戦士「ほら、魔物を倒せばGと一緒に経験値が手に入るでしょう? それが溜まって」

魔王「待て待て、経験値とは何ぞ?」

戦士・僧侶「」ポカーン

僧侶「勇者という立場でありながら経験値の存在を知らない!?」

戦士「あ、ありえん…」

魔王「はぁ?」

魔王「そもそも、余は先程からその経験値とやらを手に入れた覚えは無いが」

戦士「目に見えない物、それが経験値なんですわ」

戦士「これで俺はレベル5になったのかぁ、むふぅ」

僧侶「頑張って強くなりましょう!」

魔王「おい、余を置いてけぼりか…」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:17:34.24 ID:JInAkNyB0
テレレレッテッテッテー

テレレレッテッテッテー

テレレレッテッテッテー

魔王「ぐふっ、何だかこの軽快な音を聞くのが楽しくなってきたぞ!」

魔王「おい、余が許す! どんどん魔物を殺してレベルアップとやらをするがよい!」

僧侶「あんまりレベル上がると、盗賊さんが復活した時に差ができてしまうのでは…」

戦士「あいつの分まで俺達が強くなればいいんじゃないか?」

僧侶「というか、もう十分Gも堪りましたし…そろそろ教会に」

魔王「それもっと早く言わないか」

僧侶「それと……我儘で申し訳ありませんが…あの、私お手洗いに……」

戦士「えっ」

魔王「貴様さっき漏らしたばかりであろう!? 頻尿か貴様!」

僧侶「違いますっ!!」

戦士「まぁ、僧侶ちゃんもこう言っていますし、一旦町へ戻りましょうぜ」

魔王「構わんよ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:23:53.86 ID:JInAkNyB0
教会


神父「お仲間様の復活ですか? 500G程かかりますが」

魔王「その程度の価値なのか盗賊の命はよ……」

神父「えっ!? あ、いやぁ…」

戦士「しーっ、しーっ」

僧侶「ええ、お願い致します。神父様…」

戦士「よっこいしょ、と……よかったな盗賊。もうすぐ日の光を浴びられるぜ」

神父「では、〜〜〜〜」

神父「アバダケダブラッ」

ぽん!

盗賊が棺から飛び出してきた!

盗賊「くっ、勇者ァーーーッ!!」

魔王「数時間程ぶりよのぅ、盗賊」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:29:44.70 ID:JInAkNyB0
盗賊「お前のせいで酷い目にあったぜ……!」

魔王「そう?」

僧侶「もう勇者様! 盗賊さんに何か言う事は無いんですか!」

魔王「えぇ? ……ご苦労様?」

盗賊「[ピーーー]……っ」ギリギリ

戦士「よせ! お前が返り討ちにあうだけだー!」グイグイ

盗賊「離せ…肉ダルマ…! 俺はこいつを…!」

魔王「息がいい奴め、ははっ」

魔王「まぁ、良い。これで盗賊は蘇ったわけだ」

魔王「行くぞ! 旅の始まりだ」

僧侶「ま、待って!」

僧侶「今日はもう私たち体力的にも限界だと思うんです。ですから、旅立ちは明日にしませんか?」

魔王「ハァ!? 甘えた事ぬかすなウンコ!」

魔王「だいたい余はまだまだ動けるわ。余裕のよっちゃん」

戦士「いや、俺はちょっと…」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:37:29.29 ID:JInAkNyB0
宿屋


魔王「貴様ら本っ当に貧弱極まりないなッ」

魔王「だいたい何で貴様らと同じ部屋で体を休ませなければいかん!?」

僧侶「Gの節約です。少しでもかかる費用は削減した方が今後の為ですよ」

魔王「やだやだー!」

僧侶「もう……」

戦士「それはいいんだが、女の僧侶ちゃんまで何も同じ部屋でなくても」

僧侶「いいんです、気にしないで。…それとも私がいると体が休まりませんか?」

戦士「そういうわけじゃあないが…盗賊が、な」

盗賊「…………」

魔王「おい、盗賊。さっきからどうして壁の隅にいる? というかこっちを向けィ」

盗賊「…俺は、壁が好きなんだ……だから……気にしないで欲しいんだぜ」

魔王「はぁ、面白い趣味だな」

戦士(あいつ、僧侶ちゃんと一緒の部屋でガッチガチになっちまってるんだよな)
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:43:33.18 ID:JInAkNyB0
戦士「俺風呂行ってきますわ〜」

魔王「待て待て、余も入る。背中洗え」

戦士「任しといてくださいよぅ」

魔王「何か今の盗賊つまんなくない?」

戦士「まぁまぁ…」

キャッキャキャッキャ、ガチャン

盗賊「…………」

僧侶「お二人とも、行ってしまいましたね」

盗賊「……」コクコク

僧侶「……」

僧侶「あのぉ」

盗賊「ひぃん!!」

盗賊「……何だぜ」

僧侶「あ、いえ…お話でもと」

盗賊「俺は…無用なお喋りはしないんよ……」

僧侶「はぁ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:49:44.27 ID:JInAkNyB0
盗賊「……」ドキドキ

僧侶「それでは、私が一方的に喋ってよろしいですか?」

盗賊「ドウゾドウゾ……」

僧侶「今日勇者様たちと共に行動を共にしました」

僧侶「それで、私あの勇者様に着いて行ってもいいのかなって思っちゃって…」

盗賊「……」

僧侶「陰口はあまり褒められた事ではありませんけれど、私あの人がどうも苦手です」

僧侶「本っ当に! 自分勝手ですし!」

僧侶「…でも、実力は間違いないみたいで。まさに魔王を討ち滅ぼす力を持っていた」

僧侶「悔しいです……なんだか」

盗賊「だ、だから…お前はこのパーティを抜けたいのか……?」

盗賊(それだけはやめてくれマジで)

僧侶「……うう」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 23:59:08.11 ID:JInAkNyB0
盗賊「な、泣いているのか?」

僧侶「いっ、いえ! そんな事は…」

僧侶「私どうしたら…」

盗賊「……そんなこと、俺が知ったことじゃあないんだぜ」

僧侶「え?」

盗賊「てめェが奴を見限ったというのなら……あとはわかるだろう…!」

盗賊「それとも…何か? 俺の口から…パーティを抜けたらいいと言われたいのか」

僧侶「そういうわけでは!」

盗賊「ふっ……くくくっ! くくくくくくっ!!」

盗賊「これだから神に使える奴らは…! 自分の意思をまるで持っていない…!」

盗賊「神に言われるがまま、行動する……! 情けないぜ……!」

僧侶「なんですって……!」

盗賊「俺は……神ではない……! 盗賊だ……!」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 00:05:29.88 ID:gGXorJRJ0
スッ

僧侶「! どこへ行くんですかっ」

盗賊「ふっ、外に行って夜風に当たってくるんだ……今宵は月が美しい…」

僧侶「誤魔化さないでくださいよ…」

盗賊「お前も自分を誤魔化すなよ…僧侶…」

僧侶「っ!!」

盗賊「知らんぜ……自分を誤魔化し続ける事は自分を破滅に追い込む……」

盗賊「抜けるか抜けないか、決めるのはお前だ……くくっ」ガチャリ

僧侶「ちょ、ちょっと! ……何よ」

僧侶「私の何を知ってるというの……何も、知らないくせに……」

・・・

盗賊「くっくっく……」

盗賊「……っく、うぇ…ぐすっ」

盗賊「ごめんよぉ! ごめんよ僧侶ちゃん!! 俺は不器用な男なんだよォォォ…!!」

盗賊「…う、うぐぅ、これじゃあ惚れた女も逃げだすわけだぜ……」ホロリ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 00:15:41.29 ID:gGXorJRJ0
次の日


僧侶「……ん」

僧侶「もう、朝?」

魔王「朝? じゃない阿呆。お前が最後に起床したぞ」

僧侶「えぇ! う、うそっ……やだ…」

戦士「おお、僧侶ちゃんおはよう! 朝ご飯を食べてくるといい」

戦士「俺達はもうとっくに済ませてしまったから」

僧侶「あ、はい…すいません……はぁ」

魔王「おう、ところで盗賊のウンコバカを知らんか?」

魔王「さっきから姿が見当たらんのだ」

僧侶「盗賊さんですか? いえ、私は」

魔王「あっそ。まぁ、良い…さっさと食ってこい」

僧侶「はい……」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 00:16:33.81 ID:gGXorJRJ0
数時間後、旅立ち前


魔王「……あのカスは一体何処をほっつき歩いておる?」

戦士「本当にどこいるんでしょうね? 宿にも結局帰ってこないし」

僧侶「……まさか」

僧侶(甘い考えをしていた私に嫌気が差して、パーティから脱退した…?)

僧侶「……」

戦士「僧侶ちゃん?」

僧侶「あ、はい…」

魔王「あと10秒待って来なければ行くぞ。待っておれん!」

戦士「10秒って」

「おい」

魔王「……貴様、何か言う事はないのか? あァん?」

盗賊「くくっ、遅れちゃった」

僧侶「盗賊さん!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 00:17:26.15 ID:gGXorJRJ0
戦士「盗賊お前! 今までどこ行ってたんだよ、このバカ!」

盗賊「くくっ、少々野暮用をなァ」

魔王「罰を与えよう盗賊。貴様には薬草を2つしか与えん」

盗賊「えぇ…」

僧侶「だ、大丈夫ですよ。私が回復魔法を使えばいいだけですから」

魔王「つまらんことするなよ…また失禁する事になるぞ、僧侶よ」

僧侶「いっ…///」

戦士「今日はトイレ済ませた?」

僧侶「す、済ませましたよっ……!!」

盗賊「……」ボロボロ

戦士「んん? 盗賊、お前なんだか体がボロボロじゃあないか?」

盗賊「くっ…ききき、気のせいじゃないか? こっそり特訓していたなんて口が滑っても言わん
ぜ……」チラッチラッ

戦士(気づいてほしかったんだなぁ)
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 00:18:11.95 ID:gGXorJRJ0
僧侶「まさか盗賊さん…あの後ずっとお一人で特訓を?」

盗賊「そのまさかだぜ」

僧侶「はぁ、あきれた……」

僧侶は回復の呪文を盗賊に唱えた!

盗賊「お、おおっ、お?」ファァ

僧侶「どうして1人でそんな事してるんです。私たち、仲間じゃないですか」

僧侶「…ちょっとは頼ってくれてもいいじゃないですか」

盗賊「ふ、ふん……だぜ……」

戦士「お、中々いい感じじゃないか。盗賊」

盗賊「茶化すな肉ダルマ!」

盗賊「それより、僧侶。決まったのか?」

僧侶「……はい。それにさっき言いました。私たちは仲間、と」

僧侶「私はかならず勇者様と共に、皆さんと共に戦い。魔王を討ちます」

盗賊「……くくっ、勇ましいな…………///」

魔王「終わったー? もう行こうぞー…」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 00:19:27.60 ID:gGXorJRJ0
以上、今日の分
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/18(金) 00:20:02.24 ID:yJJEbMSfo
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 00:35:16.49 ID:J1q5Zyc80

盗賊こんなキャラだったのか・・・
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 02:06:56.83 ID:64PhCBRXo

盗賊がいいキャラ
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/18(金) 02:24:54.63 ID:qjXXDRAxo
今のはメラゾーマではない・・・
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/18(金) 02:45:37.75 ID:XCrUdxeAO

戦士もかなりいいキャラしてるな。長いものには巻かれろというかwwww
今後に期待大。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 11:31:12.74 ID:KUDuv5ZDO
今のは月牙天衝じゃねぇ、剣圧だ
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(中部地方) [sage]:2011/11/18(金) 12:08:08.62 ID:L46RpY780
僧侶あたりを主人公にした方が面白くなったような
気がしないでもないかも・・・
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 17:50:06.29 ID:/wYIlWbDO
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 23:36:01.20 ID:gGXorJRJ0
盗賊「くらえ、呪われし我が暗殺殺法……!」

盗賊の攻撃!

魔物を暗殺した!

戦士「すげぇ」

僧侶「特訓の成果は伊達じゃないってことですね!」

戦士「でも盗賊が暗殺ってあるもんなのか?」

盗賊「」ピク

魔物「クソクソー! オレラガナニシタッテイウンダヨー!」

魔物「ナァ、アンタナラオレタチヲタスケテクレルダロォ……?」

魔王「すまんな、許せ」

戦士の攻撃!

魔物「アギャァ!?」

戦士「危ない危ない、勇者殿。無事か?」

魔王「阿呆、貴様の攻撃で魔物の血が余に飛んだではないか!」

戦士「ひっ…サーセン……すぐに拭かせていただきますわ……」フキフキ

魔王「ったく」

魔王(にしても、同族がズバズバと切られているのを見るとなんとも言い難い気持ちになるな)
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 23:38:57.23 ID:gGXorJRJ0
魔王「ていうかー!」

一同「」ビクゥ

魔王「1匹ぐらいは余の事に気づいてもよいのでない!?」

魔王(これでも元は魔王であるぞ…。もしかして、あんまり顔が知れ渡っていない?)

魔王「ちょっとムカつく…」

戦士「いや、さすがにそこ等の魔物が勇者殿のことは知らないんじゃ?」

魔王「は? え、あ…そ、それもそうであるな」

魔王(そして魔王と永遠気づきそうにない人間ども)チラッ

盗賊「俺の背後に立つんじゃないぜ……命をかすめ取られてしまうから……」

僧侶「へ?」

魔王(魔王とは、顔すらわかっていない輩から恨みを買っている損な職業じゃのぅ)

戦士「この周辺荒されてやがる……きっと魔物たちの仕業だ! おのれ魔王め!」

魔王「おいおい、部下が勝手にしでかした事まで余のせいかよ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 23:43:15.78 ID:gGXorJRJ0
のどかな村


さわやかー…

僧侶「空気が澄んでるわ……風が心地いい…」

盗賊「だが、俺には似合わない……くくっ」

戦士「相変わらず捻くれてるというか。素直じゃないよなお前」

戦士「だから酒場で孤立しちゃうんだよ…」

盗賊「うるさい…!」

魔王「おい、こんな廃れた村に寄ってどうする?」

僧侶「あちらこちらの町村を巡って問題があれば解決する。それも勇者の使命ですよ」

魔王「親善大使でもあるまいし、どうして余がそんな事を」

魔王「だいたい勇者とは魔王を倒すのが使命であろう! 他に何があるというのだ」

僧侶「はぁ、ですから…」

村人「おいおい、何が廃れた村だ」

魔王「あァん?」

村人「こんなに穏やかでいい村もそうないぞ! この野郎」

魔王「ふん、何もなくて退屈な場所と訂正した方が良かったかな?」

村人「てめぇ…!」

盗賊「よぉ、穏やかにいこうぜ」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 23:48:39.78 ID:gGXorJRJ0
村人「チッ…ようこそ、のどかな村へ」

魔王「腹立つなこやつ…」

戦士「まぁまぁ。ところで、向こうの大陸へ渡りたいんだが、港へ行くにはここからどこへ向かえば?」

村人「それならーここから北へ向かうと山があってなぁ」

僧侶「ふふ、よしよし」ナデナデ

魔王「何をしておるのだ、僧侶よ?」

僧侶「ああ、勇者様。犬を撫でていました。ほら、とても可愛いですよ」

犬「へっへっへ」

魔王「つぶらな瞳」

魔王「しかし、見よ。こやつ舌を出して興奮しておる変態め」

僧侶「ち、違います…もう何でそういった事言うんですか」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 23:53:46.89 ID:gGXorJRJ0
僧侶「この辺りは農業が盛んの様ですね」

魔王「家畜やら麦やらか?」

僧侶「ええ、まぁ」

盗賊「あっちの方で食糧が売られているようだぜ」

僧侶「本当! わぁぁ…新鮮そうな卵ですね」

婆「ええ、ええ。今朝取れたての卵ですよぉ」

魔王「そいつは美味いのか? ババアよ」

僧侶「失礼です!」

婆あ「うふふ、気にしないで。美味しいですよぉ。食べてみます?」

魔王「いや、結構だ。余は得体の知れん物は口に入れん主義でなァ」

婆あ「おやまぁ……損な主義だねぇ」

僧侶「ごめんなさい。この人、常識というものがなくて…」

魔王「あァん!?」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:02:15.65 ID:tAHFWpxo0
盗賊「おい、ここらで道具を調達した方がいいと思うぜ……」

僧侶「そうですね。賢明な判断だと思います」

魔王「では、盗賊よ。行け」

盗賊「……くっ、承ったぜ」

僧侶「……もっと頼み方という物があるんじゃないでしょうか」

魔王「ええいっ、一々面倒な奴だな貴様も! 何なのだ、貴様は余のママ上であるか?」

僧侶「ですから常識がなさすぎるんです! 勇者様は」

魔王「そうかぃ!」スタスタ…

僧侶「ちょ、ちょっと! どこへ行くんです!?」

魔王「散歩だ散歩。気晴らしに」

魔王「こう煩い奴とおると気が滅入る……まったく」ぶつくさぶつくさ

僧侶「もう、本当に勝手なんだから!」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:07:57.89 ID:tAHFWpxo0
魔王「……」

モォ〜

魔王「……」

メェー

魔王「……」

コケー

魔王「本っ当にここは何もないな! ちっとも面白くないぞッ!?」

魔王「よくここの住人はこんな何もない所に住んでいられるものだな…」

魔王「これならまだ余の城の方がマシではないか」

キャッキャキャッキャ

魔王「むぅ?」

子ども「あははは! あははは!」

魔王「チッ、子豚か」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:13:21.04 ID:tAHFWpxo0
魔王「おい、ガキ」

子ども「え?」

魔王「貴様、こんな場所に1人で何をしておるのだ」

子ども「何って、遊んでいるんだけど…」

魔王「遊ぶ? 1人でか?」

魔王「ぷふっ、寂しい奴よのぅ」

子ども「し、仕方がないじゃないか。大人はみんな働いていて忙しいんだから」

魔王「では他の子どもと遊べばよかろう。ん?」

子ども「子どもは僕以外にいないよ。みんな大きくなると村を出て行くんだ」

魔王「何も無いし、つまらん所だからなァ」

子ども「そんなこと言わないでよ。僕はこの村が好きだよ」

魔王「へー、余の知った事かよ」

子ども「おじさん変な喋り方だねー」

魔王「黙れ貴様、[ピーーー]ぞ…」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:18:23.11 ID:tAHFWpxo0
子ども「い、いきなり怖いこと言わないでよ…」

魔王「貴様が余を苛立たせるような事を言うからだ阿呆」

子ども「……おじさん、友達少ないでしょ」

魔王「はんっ、何をぬかすと思えば! 友だと!」

魔王「はっはっはー! 余は全ての上に立つものぞ! 対等の者なぞおらんわ!!」

魔王「だから、余に着いてくる者は余の下でなければならんの」

子ども「なんかおじさん寂しい人だねぇ」

魔王「……あ?」

魔王「あまり余を愚弄するでないぞ、ガキ…」

子ども「……よかったら、僕と遊んでくれない?」

子ども「1人遊びも飽きちゃったんだぁ…」

魔王「貴様はよぉ〜……!」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:23:28.30 ID:tAHFWpxo0
魔王「うおおぉぉーーー!!」

子ども「悪い悪い魔王め! 僕がお前を倒してやる!」

魔王「だぁかぁらぁ!」

魔王「何度申せば分かる!? 魔王は決して悪ではないぞ!」

子ども「えー、でも大人たちがみんな魔王のせいで世界が…」

魔王「それは何かの間違いだ阿呆!! 魔王1人で悪い事ができるか! ん!?」

魔王「…ああ、魔王はなんと可哀想な。たまには奴にも花を持たせィ」

子ども「それじゃあ勇者ごっこにならないよー!」

魔王「それではこうしろ、勇者が悪という立場だ。どうだ逆転の発想」フフン

子ども「ないよそれぇ」

魔王「貴様は本当に生意気な糞ガキであるな…ええいっ、くらえィ! 魔王の攻撃ー!」

子ども「こっちも勇者の攻撃ー!」

盗賊「おいおい、あの勇者が子どもと遊んでいるだと…………?」

盗賊「くっ、気色悪い…」スタコラサッサ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:29:04.14 ID:tAHFWpxo0
魔王「うはははー! 生温いわ勇者! 所詮この程度の力か」

子ども「くっ…な、なんて強さだ! 攻撃が強力過ぎる」

子ども「こうなれば……伝説の勇者の盾を使うしかない!」

魔王「なに、勇者の盾!?」

子ども「じゃじゃーん! これだ!」

子どもはボロボロのかわの盾を使用した!

魔王「……ぷふっ、何だそれは。ただのかわの盾ではないかっ」

子ども「せ、設定では勇者の盾なの……それにこれはウチの父さんが昔使ってた盾なんだ!」

魔王「だから何だというのだ」

子ども「この盾で父さんは村へ襲撃してくる魔物や野盗の攻撃を受け止めて、撃退してきたんだぞ!」

子ども「ほら、この表面についたいっぱいの傷がその証拠!」

魔王「へーへーふーん」

子ども「興味なさそうにしないでよぉ…裏にはカッコいい紋章も書かれてるんだぞー!」

魔王「ただのダっサい落書きではないかァ。ぷぷぷっ」

子ども「これでも僕のたった1つの宝物なんだからね!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:33:15.62 ID:tAHFWpxo0
魔王「魔王の攻撃を受け止めるには真の勇者の盾でなくてはな。デュクシデュクシ! ほら、貴様今死んだぞ!」

子ども「えー、ズルいよぉ」

魔王「盾が悪いのである!」

僧侶「あ、いたいた…」

僧侶「勇者様ー!」

子ども「え、勇者?」

僧侶「ここにいたんですか、探しましたよ」

魔王「余が何処にいようが余の勝手であろうが」

僧侶「それはそうですけど……あら、そちらの子どもは?」

子ども「あ、あのっ!!」

子ども「勇者様はどこにいるの!」

僧侶「え? 勇者様なら」

魔王「おう、ガキ。余がその勇者様であるが」

子ども「え!?」

子ども「ええぇ…」

魔王「何だその反応はよ!」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:35:21.93 ID:tAHFWpxo0
子ども「おじさんは勇者って柄じゃないよぉ」

魔王「はぁ? よく見てみるがよい、余を。これほどのTHE勇者は中々おらんぞ」

子ども「ちがうってー!」

僧侶「くすっ、子どもにバカにされてるっ」

魔王「あァん…?」

戦士「おお、勇者殿。探しましたぜ」

魔王「次の目的地の場所がわかったと聞いたが」

戦士「ええ、道案内は俺に任せておいてください!」

盗賊「……」

戦士「どうした盗賊?」

盗賊「くくっ…いや、勇者も人の子だと思って……くっくっく…」

戦士「なんだよ気持ち悪ィなぁ」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:39:22.29 ID:tAHFWpxo0
子ども「おじちゃんもう行っちゃうの?」

魔王「勇者様だ阿呆が。ああ、こんな辺鄙な地でのんびりしている暇はないのでなァ」

魔王「それにこんな所にいても何も面白くないし」

僧侶「勇者様!」

魔王「ちっ…口煩いッ」

魔王「本当の事を言ったまでであろうが。あーあーあぁー!」

僧侶「なんて人……」

戦士「ほら、勇者殿。そろそろ」

子ども「……いくら勇者だからって、僕の大好きな村を貶すのはやめてよ」

子ども「悲しいよ」

魔王「はぁ?」

魔王「何をわけがわからん事を…」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:43:37.88 ID:tAHFWpxo0
魔王「…おお、わかったぞ」

魔王「ふん、ガキよ。お前はまだ世界を知らなすぎる!」

魔王「だからこんなちっぽけな土地で満足しているのだ。違いないな」

僧侶「ちょっと!」

子ども「なんだって…」

魔王「どうせ貴様もいずれはこの村を出て行くのだろう? ならば…」

魔王「余の仲魔にしてくれようか? くっくっく!」

戦士「はぁ!? ちょっとあんた何言って…!」

子ども「いいよっ!! そんな事してくれなくていい!」

子ども「僕は何を言われようとこの村を愛してるんだ! 絶対に!」

子ども「……もう、早く村から出て行ってよ。勇者様」

子ども「こんな何もない所じゃなく、賑わっている町にでもどこにでも行けばいいよ!」

タッタッタッタ…

僧侶「あ! ちょっと……行っちゃった」

魔王「何だというのだ。あのガキ?」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:46:30.47 ID:tAHFWpxo0
数時間後


魔王「……おい」

戦士「あ、あっれぇー……おかしい、おかしいな。この道で合ってるはずなんだが…あれぇ?」

魔王「おいと言っているだろうが!!」

魔王「貴様、任せておけとか自信満々に申しておきながら、なんだこの醜態は」

盗賊「完全に道に迷ってるんだぜ」

魔王「言わんでもわかるわ…」

僧侶「み、ミスは誰にでもあるものですよ! 大丈夫ですっ」

戦士「だよな僧侶ちゃん…!」

魔王「甘やかすと癖になる。余計な事は言わんでいいって」

魔王「とにかくどうするつもりなのだ。じきに日が沈むぞ」

盗賊「さっきの村へ戻る事を勧めるぜ……」

僧侶「ですね」

戦士「すまないな、許してくれ。みんな…!」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:51:04.74 ID:tAHFWpxo0
僧侶「あ、それはそうと勇者様」

魔王「は?」

僧侶「村へ着いたら、先程の子どもにちゃんと謝ってください」

僧侶「あの子、とても傷ついていましたよ」

盗賊「自分が好きな物を貶される気持ち、あんたにもわかるはずだぜ…」

魔王「余なら貶された場合、即そいつ滅するわ。略して即滅な」

僧侶「偉そうに言わないでください! いいですか、絶対ですよ?」

魔王「やーだ」

僧侶「〜……」

ザザザッ・・・!

山賊たちが現れた!

戦士「むっ、みんな! 敵だ」

魔王「人間だと?」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:54:30.85 ID:tAHFWpxo0
山賊「おうテメェら! ありもん全部こっちに寄こせやー!」

盗賊「誇り高き盗賊の俺から物を奪うつもりか……滑稽だな……」

山賊「アァ?」

魔王「臭ェ豚共であるな。こっち寄るなよ…しっしっ!」

山賊「舐めてんのかゴラァ!?」

山賊の不意打ち攻撃!

しかし、魔王は攻撃をかわした!

魔王「貴様こそ余を舐めておるのか」

魔王「者共やってしまうがよいッ!」

戦士「うおおおおぉぉぉーーー!!! 道に迷ったのは貴様らの仕業に違いないっ!」

盗賊「お前たちなど敵ではない……くくっ」

僧侶「神よ…我に力を与えたまえ……!」

戦士たちは山賊へ一斉攻撃!

魔王(さて、余は退屈だわ。…どれ)

魔王のプレッシャー攻撃!

山賊は行動を封じられた!

・・・圧勝!!

魔王(へへ、たまのサービスである)
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 00:58:52.32 ID:tAHFWpxo0
山賊「ぐ、ぐううぅ……!」

盗賊「マジで敵ではなかった」

戦士「ていうかこいつらこっちに攻撃してこなかったよなぁ?」

僧侶「ですよね…?」

魔王「貧弱な貴様らにしてはよく働いた。褒めてやる」

山賊「ま、まさか……テメェらが噂の勇者一行だっていうのか?」

魔王「ふふーん、いかにも!」

山賊「チッ…どうりで強いわけだよ……いいぜ、負けちまったんだ。好きに身ぐるみ剥ぎな」

僧侶「そ、そういうわけには」

魔王「やれと申しておるのだ。やれ、盗賊」

盗賊「やれやれだぜ…」

僧侶「そんな…!」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:00:28.99 ID:tAHFWpxo0
がさごそがさごそ

盗賊「ほう、食糧やら色々手に入ったぜ……」

新鮮な卵を手に入れた!

生肉を手に入れた!

羊のウールを手に入れた!

戦士「……?」

新しい農具を手に入れた!

どうのつるぎを手に入れた!

くさりがまを手に入れた!

戦士「おい、盗賊。これは…」

盗賊「……くっ、貴様たち…これはどこで盗んできたものだ?」

山賊「ああ、さっき下の村を襲ったんだよ」

魔王「……ん?」

魔王は山賊の盗品を漁った!

ボロボロのかわの盾を手に入れた!

魔王「これは…」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:05:07.68 ID:tAHFWpxo0
山賊「それか? そいつは村にいたガキが、それを持って俺らにしつこく向かってきたんだよ」

山賊「何度ぶっとばしても必死に立ちあがってな、しつこいのなんの」

山賊「僕の村を荒すなって、最近のガキは勇敢なもんだ。思わず関心しちまったよ」

山賊「それでちょっと意地悪してやりたくなってよ、その盾は土産にいただいちまったのさ」

山賊「っていう話だ。どうだい、面白いだろ……へへへ」

魔王「……つまらんわカス」

魔王の攻撃!

山賊は絶命した!

僧侶「……ゆ、勇者様?」

魔王「おう、さっさと先程の村に戻るぞ貴様ら。余は歩き疲れたんじゃ」

戦士「勇者殿。こいつらがさっき襲ったという村は」

盗賊「盗品から見るに間違いないぜ」

僧侶「うそ……」

魔王「だから何だと言うのだ阿呆が。行くぞ」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:11:09.10 ID:tAHFWpxo0
のどかだった村


僧侶「酷い……何よ、これ…」

戦士「おい、しっかりしろ! おいっ」

村人「」

返事がない。村人は既にしかばねのようだ。

戦士「ダメか……」

盗賊「おい、ババア。しっかりするんだぜ」

婆「うっ、うう……助けてぇ……」

僧侶「お婆さん! す、すぐに回復をっ」

盗賊「僧侶、やめておけ。無駄だ…」

婆「家が……人が……村が……ああああぁぁぁ…っ」

婆「やめてくださいぃ…やめてくださ…い」

盗賊「ゆっくり眠ってくれ、ババア……」

婆「」

婆は息絶えた。

僧侶「うっ、ううぅぅっ…!! なんて無慈悲な…っ!!」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:19:04.31 ID:tAHFWpxo0
子ども「……」

魔王「おう、ガキよ。生きておるか」

魔王「返事をせい」

子ども「……何だよ」

魔王「こいつを貴様にくれてやる」

魔王は子どもにボロボロのかわの盾を渡した。

魔王「伝説の勇者の盾だ。そうであろう?」

子ども「ただのボロっちい盾だよ……」

子ども「こんなものじゃあ、みんなを、村を、…父さんも母さんも守る事ができなかったよ」

子ども「こんなのいらないっ!! こんなのいるもんかっ!!」

子どもはボロボロのかわの盾を投げ捨てた。

魔王「ふん、そうだな。所詮あんなボロ盾なんぞ使い物にならんわ」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:21:35.30 ID:tAHFWpxo0
魔王「全員殺されたか、村人共はよ」

子ども「男の人は殺されたし、女の人は……うっ!」

子ども「おえぇえぇ…げぇえぇぇ……はぁはぁ……っぐ…」

子ども「奴らに連れて行かれちゃった人もいる……」

子ども「僕は、用なしだって……だったら殺してくれればよかったのに」

魔王「ならば余自らが手を下してくれようか?」

子ども「…え」

魔王「すぐに楽にしてくれよう」

魔王「ふん、お前が大好きだと言ったこの村で[ピーーー]るのだ。嬉しかろう」

子ども「……」

子ども「なにが、勇者だよ…おじさん……おじさんの目」

子ども「人じゃないみたいだ……」

魔王「そうか」


魔王の――――
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:24:40.67 ID:tAHFWpxo0
ここまで
へへ、急に暗くなっちゃったね(´・ω・`)
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:27:22.15 ID:RHByx8rVo
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 01:36:51.70 ID:Q+ADa7HBo
乙乙
86 :死神女 ◆NXKCO.DkAg [sage]:2011/11/19(土) 01:39:55.36 ID:M9+zLkZ7o
乙乙乙
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 02:00:49.42 ID:CZNzrPb20
乙!
勇者様子ども[ピーーー]なよ、だめだぞ・・・
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/19(土) 07:37:33.05 ID:3OyUKciAO

魔王って損だな、確かに…

89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/19(土) 14:34:40.98 ID:CdCfUbdy0
いいね
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 01:52:55.40 ID:0ox9xZgw0
魔王「おう」

戦士「ああ、勇者殿。今までどこに行っていたんスか」

魔王「少しな。なに、貴様らには関係ない事よ」

僧侶「」ブツブツ

魔王「おい、アレは何をしている?」

盗賊「亡くなった村人たちを弔ってやってるんだぜ……くく」

盗賊「情けないもんだぜ。俺たちはさっきまでこの村にいたというのにな……」

戦士「仕方がねぇ、タイミングが悪かったんだ」

魔王「悔いても仕方があるまいよ。こやつらは村を守る事ができなかったそれだけだ」

戦士「俺たちは悪くないと言いたいんですか…」

魔王「うむ」

戦士「……」

盗賊「気が重いぜ……」

僧侶「」ブツブツ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 01:59:06.53 ID:0ox9xZgw0
戦士「さて、そろそろ行くぞ。僧侶ちゃん」

僧侶「……」

魔王「おい、黙ってないで…」

僧侶「この人たちも救えないようで、私たちは魔王を倒し、世界を平和へ導く事ができるのでしょ
うか」

魔王「知るか」

僧侶「……あなた勇者でしょう? どうしてそこまで冷たいの」

魔王「小より大と言うだろうが。余には果たすべき目的がある」

僧侶「だからってこの村が無くなっていいことにはならないですっ!!」

魔王「……ふゥん、この村が無くなっただと? 貴様の勝手を決め付けるな阿呆が」

僧侶「!……冗談も休み休みにしてっ」

魔王「この村は無くなっていない。そうであろう? ガキよ」

僧侶「え!?」


子ども「……うん」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:05:08.90 ID:0ox9xZgw0
子ども「この村は、僕が再建する。まだ死んでないんだ…この村は」

戦士「生き残りがいたのか!?」

僧侶「あなた、さっきの…」

子ども「それに村を出て行った人たちも、いつか戻ってくるかもしれない!」

子ども「帰る家が無いなんて、そんなの寂しいよ」

盗賊「同感だぜ少年」

僧侶「で、でも…子ども1人で村を立ち上げ直すなんてっ」

魔王「だからこれから生き残りを救出しに行くのだ」

戦士「生き残りって…まさか山賊に攫われた村人ってことですか!?」

戦士「そんな、生きているかもわからないというのに!?」

魔王「阿呆が。余裕で生きておるのに違いないわ」

魔王「貴様ら、グダグダ言うてると怒るぞ。んん?」

子ども「おじさん……」

魔王「待っていろガキ。余は悪を潰すついでに村人共を救ってやる」

魔王「その代わり、貴様はこの廃れたつまらん村でも守っていろよ。そのボロくそ盾でなァ」

子ども「……うん、勇者のおじさん!」

魔王「おうよ」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:10:30.33 ID:0ox9xZgw0
山賊のアジト


僧侶「……ここが彼らの。数が多いですね」

盗賊「見るからにソレって感じだぜ」

戦士「見張りどころか……どうもあれっスね。宴でドンチャカ」

魔王「浮かれているあの生ゴミどもを恐怖のズンドコに突き落としてしまおうではないか」

戦士「どん底?」

魔王「黙れよ」

盗賊「しかしここから正面突破はあまり褒められた行為ではないな……ここは」

魔王「怖気ついておるのか盗賊。情けないのぅ」

盗賊「何……!?」

魔王「貴様を出世できないタイプと見た。男なら1人で活路を開いてみろィ」

盗賊「無茶言わないでほしいぜ…」プルプル

僧侶「危険ですよ…いくら盗賊さんが強くてもあの数に…」

魔王「それもそうか。ふん、悪かったよ盗賊。貴様の腕では無理だったな…」

盗賊「」ブチッ
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:16:22.54 ID:0ox9xZgw0
盗賊「アアアァァァーーーーッッッ!」

盗賊は単独でアジトへ突撃した!

僧侶「ちょ、ちょっとー!?」

魔王「乗せやすいな、あやつ」

僧侶「もうっ、勇者様ぁ!」


<な、なんだこいつは! うおおおおぉぉぉー!


戦士「やりましたぜ勇者殿。上手く注意が盗賊にいってくれました!」

魔王「よし、この好機を逃すな。今のうちにあそこから中へ侵入するぞ」

僧侶「あんな横穴、空いてましたか?」

魔王「余が用意しておいた。感謝するんだなァ、くっくっく!」

戦士「さっすが勇者殿ぉ! そこにシビれる憧れるゥ〜〜〜!!」

魔王「デカイ声を出すな肉ダルマ。行くぞ」


<うおおおぉぉぉー! 舐めるんじゃないぜー!

<こいつどうかしてやがる…!
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:22:55.23 ID:0ox9xZgw0
すたすたすた


僧侶「随分中は散らかっていますね?」

戦士「野郎しかいないんだし、散らかるのはまぁ」

戦士「それはそうと中の奴らも盗賊の応戦に向かったみたいですね」

魔王「バカしかおらんな。まぁ、今は村の奴らを救う事を優先している。無用な戦闘は行う必要はない」

僧侶「……」ポカーン

戦士「僧侶ちゃん?」

僧侶「あ、いえ…なんだか今までと違って、勇者様が…その、勇者様らしいというか……」

魔王「何をワケがわからんことを言っておるのだ阿呆。無駄口叩くなよ」

僧侶「す、すみません! 私も村の人々のために頑張りますね。勇者様!」

魔王「変な張り切りとかいらんわ。おら、さっさと歩けィ」

僧侶「はい!」

戦士(ギャップに弱いんだな、僧侶ちゃん)
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:29:16.45 ID:0ox9xZgw0
村女A「……死にたい。生きてる意味なんてもうないわ」

村女B「そんなこと言わないで」

村女A「もう楽にさせてぇ…」

どかーん!!

「!?」

ぼろぼろぼろ・・・

戦士「勇者殿! あんまり大きな音を出したら奴らが気づきますぜ!?」

魔王「牢屋までのショートカットを作ってやったのに文句言うなや」

村女B「あ、あなた達は!?」

僧侶「安心してください。私たちは…これでも勇者一行。あなた方を助けに参りました」

村女B「勇者ですって?」

魔王「おう、貴様らを救ってくれるわ。さっさと村へ戻れ」

村女A「村なんてもう無くなったようなものよ!!」

村女A「勇者一行? 勇者様ならどうして私たちを助けてくれなかったの!?」

村女A「今さら来られたって……お、遅いのよぉ…っ」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:36:55.99 ID:0ox9xZgw0
魔王「これだから女は。キャンキャンと喧しい…」

魔王「貴様勝手な事言ってくれておるがな、余にも都合というものがある!」

魔王「だいたい貴様ら助けるなんぞ魔王退治のついでだ、ついで」

魔王「思い上がるなッ!!!」

村女A「ひぃっ…!」

戦士「言いすぎっすよ…」

僧侶「そうです。それに私たちが無力だったばかりに…」

魔王「ふゥん、力なんぞいくらでもあろうが!」

魔王「あまり勝手な事ぬかすなよ。あの糞ガキに申し訳がつかなくなる…」

村女B「なんて勇者なの……」

戦士「と、とにかくここから出るんだ! 盗賊の犠牲を無駄にはできん!」

僧侶「死んだみたいな言い方はやめてっ」

村女A「何だっていうのよ。何も知らないくせに…!」

魔王「一々個人の事に突っ込んでおられるか、行くぞ」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:45:47.41 ID:0ox9xZgw0
盗賊「はぁはぁ…うぐぅ……痛ぇ……」

山賊ボス「ふぅ……かかかっ! 俺様のアジトに1人で突っ込んでくるとはマジでいい度胸だ」

山賊「ボス。こいついかがしやす?」

山賊ボス「殺せ。もう十分堪能させてもらったしよォー…俺様を舐めた罪は重いわ」

山賊「野郎どもー! ボスの許可がおりたぞー!」

「わーわー!!」

「血祭りにあげろォー」「皮剥いじまおう!」

盗賊「勇者如きに乗せられた俺がバカだったぜ……」

山賊ボス「おう、おめぇ言い残す事はねェかぁ」

盗賊「もっと…自分に素直になりたかったぜ」

山賊ボス「おう」

山賊ボス「殺していいぞ」

「わーわー!!」

盗賊「僧侶、ちゃん…」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 02:53:14.94 ID:0ox9xZgw0
「そこまでだ。生ゴミ共」

「!」

山賊「ボス、あそこだー!」

ばっ

魔王「盗賊よ、ご苦労だ」

盗賊「登場が遅すぎるぜ……!」

僧侶「と、盗賊さん! ボロボロじゃない……酷い」

僧侶「すぐに傷を癒しますっ」

僧侶は回復の呪文を唱えた!

盗賊「心の傷までは癒えなかったよう…だぜ……」

僧侶「え?」

山賊ボス「おう、てめェら。何人様の家で勝手な事してくれてんだ?」

魔王「ふん、もてなしも無かったが?」

魔王「村の女共は余が全て救い出した。後は貴様らを根絶やしにするのみである」

山賊「あァー? お前らに俺らが倒せるっていうのかよォ〜」

魔王「容易いな、その様な事」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:01:29.44 ID:0ox9xZgw0
山賊ボス「…覚悟しろや。俺様を舐めたマネすると痛い目みること、その体に刻みつけてやる」

山賊ボス「男も女もぶっ殺せ! 生かして帰すな野郎どもォーーーー!!」

「おおォーーーッ!!」

魔王「全く、これではどちらが魔物かわからんな」

僧侶「盗賊さん、戦えますか…。今は戦士さんがいない分、私たちで彼らを」

盗賊「くくっ、余裕だぜ…」

魔王「では行けィ!」

盗賊「俺に傷をつけてくれた事、後悔させてやるぜ……!」

山賊ボスと山賊たちが襲いかかってきた!

山賊ボスは力を溜めている。

山賊たちが一斉に切りかかる!

僧侶「やらせません!」

僧侶は素早さ上昇の呪文を味方に唱えた!

僧侶「アシストは任せてっ」

魔王「一匹残らず潰してくれるわッ!!」


BGMにどうぞ
http://www.youtube.com/watch?v=bVukgjnwx68
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:05:10.25 ID:0ox9xZgw0
盗賊「ありがたい、僧侶。間一髪だったぜ…」

盗賊は山賊の群れを掻い潜って山賊ボスに狙いをつけた!

山賊「ああっ、ボスー!」

盗賊(頭を討てば、下のバカどもなんて目でも無い)

山賊ボス「……」

盗賊「その首盗らせてもらうぜ…!!」

盗賊の攻撃!

山賊ボス「…甘いわァッ!!!」

山賊ボスは盗賊の攻撃を無視して攻撃!

会心の一撃!

盗賊「おぅぐぇえっ……!?」

僧侶「きゃああっ! 盗賊さん!!」

魔王「阿呆が。よく相手の動きを見ろ」

山賊「もらったァー!!」

山賊は魔王へ不意打ち攻撃!

しかし攻撃は弾かれた!
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:08:25.07 ID:0ox9xZgw0
魔王「温い、温すぎる」

山賊「ええぇ…」

魔王は山賊の捕まえ、混乱魔法を唱えた!

山賊「ほえ〜……」

魔王「こやつ1人で十分であろう。行け」

山賊「うへへあ〜…!」ざしゅ!

山賊B「ウゲっ!?」

混乱した山賊は次々と仲間の山賊たちへ切りかかった!

「な、なにするだー!」「てめェドサクサに紛れて俺を[ピーーー]つもりかーッ」

魔王「なんという混沌であるか…むふふっ、心地よいぞ!!」

僧侶「ゆ、勇者様! 盗賊さんのカバーを!」

魔王「くっ…余は手下どもの相手で手一杯である……!」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:19:32.23 ID:0ox9xZgw0
一方、戦士たちは


村女たち「はぁはぁ、はぁはぁ…」

戦士「みんな頑張って走るんだ! もうすぐ外だぞっ」

村女B「どうしてあなた達は私たちの為にこんな…」

戦士「そんなの勇者殿にしかわからんよ! 俺はあの人に従うだけだ」

戦士「今はあんた達を全員無事に村へ逃がす事が俺に与えられた使命…だから」

山賊「てめぇ何してやがんだよー!!」

戦士「ふゥんっ!!」

戦士の攻撃!

戦士「…こいつらには指一つ触れさせねぇよ」

村女A「……どうせ、村へ行ってもどうにもならないわ。無駄よ」

戦士「無駄かどうかは村へ着いてからあんたが判断すればいい」

村女A「っ…」

戦士「1つ忠告だぜ、自害しようと思うなよ。せっかくの長らえたてめェの命、死んだ奴らの分まで持っておきな」

戦士「もったいねぇ事はするんじゃねぇ。いいな…」

村女A「……」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:22:50.75 ID:0ox9xZgw0
山賊ボス「ガキがァ…この程度かァッ!」

盗賊「う、げぇ…!?」

僧侶「回復が追いつかないわ…! 盗賊さぁんっ!」

盗賊(ああ、僧侶ちゃんが俺を心配している…)

盗賊(俺は、俺はここで死ぬのか……走馬灯が頭の中で……)

山賊ボス「苦しんでゆっくり[ピーーー]ッ」

山賊ボスは盗賊の首をがっしり握った!

盗賊のHPがみるみると減ってゆく!

盗賊「……」

僧侶「くっ…こうなったら私が!!」ダッ

バッ

魔王「下がれ役立たず! 余がやってくれようぞ」

魔王「ふん、盗賊よ。今助けてやるわ」

魔王は山賊ボスたちに向けて火炎の呪文を唱えた!

一気に燃えあがるボスと盗賊!

「ギャアアアアアァァァァーーー!!!」

僧侶「きゃあああああ!!?」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:25:08.36 ID:0ox9xZgw0
僧侶「な、何て事をしてくれてるんですか!? 盗賊さんまで攻撃することは!」

魔王「余はじれったい事が嫌いなのだよ」

魔王「ほれ、すぐに盗賊の奴に回復魔法をかけてやるが良い」

僧侶「言われなくてもそうしてます…っ!!」

山賊ボス「て、てめェーッ!! あ、あぢぃ…ひぃひぃ……俺の顔がァあああああッ!!」

山賊ボスは火傷に悶えている!今がチャンスだ!

魔王「くくっ、いいトコ取りじゃのぅ」

魔王は山賊ボスの足を切りつけた!

山賊ボスはその場に崩れる!

山賊ボス「う、うぐううぅぅぅぅ…!」

魔王「死ぬ様な傷ではない。なァに、もう歩けない程度である」

山賊ボス「くそッ! てめェてめェ!!」

魔王「おい、僧侶。盗賊を担いでとっととここを出るのだ。なるべく早く」

魔王「巻き込まれたくなければな…」

僧侶「はぁ!? ……わ、わかりました。くれぐれも無理はなさらないように」

盗賊「」よろよろ
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:29:15.82 ID:0ox9xZgw0
山賊ボス「おォォォいィィ!! 野郎どもー! 奴らを逃すなァー! 追えェー!!」

魔王「くっくっくっ! バカ共は宴に夢中の様であるぞ?」

魔王「もう奴らには貴様の声は届いておらんよ。ぷふっ、じきに死ぬであろうし」

魔王「この状況を言うならば……詰み、というところかな!」

山賊ボス「うるせェうるせェうるせェ!! 喋るなアァァ!!」

山賊ボス「俺様は誰よりも強い! 誰よりも偉い! てめェなんぞ雑魚に!!」

ぶしゅううう

山賊ボス「ギャアアアアー!?」

魔王「あまり力むなよ、雑魚。切った足から血が吹き出るぞ…」

魔王は爆発の呪文を唱え、アジトを破壊し始めた!

アジトは崩れ始めている!

山賊ボス「な、なにしやがる!? あああ、アジトが…俺様のアジトがァァァ…!」

魔王「そのうち崩れ落ちるであろう。すぐに脱出せねば生き埋めになるぞー」

すたすたすた…
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:31:57.86 ID:0ox9xZgw0
山賊ボス「ま、待ってくれェー! しし、死ぬのは嫌だァ…嫌だ…」

山賊ボス「あああ、足が動かないんだ! 助けてくれ! 俺様を外へ!」

ずり、ずり、ずり…

魔王「……」

山賊ボス「おォォォいィィ…! 無視しないでくれよ…! 助けてくれェッ」

山賊ボス「誰でもいい! 誰か俺様を助けろッ!! おい、野郎どもォ…」

山賊ボス「嫌だ、嫌だァァァ!!! うわああああああァ…!」

山賊ボス「……頼む、頼むよあんたァ…助けて、くれェ…たずげでぐれえぇ……」

ずり、ずり、ずり、がしっ

魔王「うむ?」

山賊ボス「だずげで、ぐだざ、い……おねがい、じまず……ううぅ…」

魔王「…無理だなァ」

魔王は山賊ボスの手を振り払い、アジトを脱出した!

途端、アジトは音を立てて崩れる!




山賊ボス「ぎゃああああああああああァァァァァァァァ……――――――」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:34:51.06 ID:0ox9xZgw0
戦士「お前ら、無事だったか!」

僧侶「ええ、なんとか。そちらは?」

戦士「こっちもなんとか」

盗賊「おい、見ろ…アジトが崩れていくぜ……!」

僧侶「まさか勇者様の仕業……」

戦士「おいおい! 勇者殿まであの中で潰れちゃいないだろうなっ」

魔王「…安心しろ無事だ」

僧侶「勇者様! ああ、ご無事で……」

魔王「しかし、余が埃塗れになってしまったわ…くそが!」

魔王「おい、戦士。村の女どもは」

戦士「はい。責任もってしっかり村へ送り届けてきましたよ」

魔王「そうか、ご苦労」

魔王「ではそろそろ行くとしよう」

盗賊「? …おい、村へは寄らなくていいのか」

僧侶「そうですよ。せっかくですので、寄っていかれては…」

魔王「阿呆」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:37:06.45 ID:0ox9xZgw0
魔王「あの村へ余たちが戻った所で何になる?」

魔王「礼でも言われたいか、僧侶よ。ん?」

僧侶「そ、そういうわけでは!」

僧侶「あの少年が心配なので……」

魔王「あのガキはもう大丈夫であろう。心配する必要もないわ」

魔王「それにこれはあやつらの為にしたのではないからなァ。余の暇潰しである」

盗賊「……暇つぶしにしてはスリル満点だったぜ」

戦士「ですけどいいんスか、勇者様ぁ」

魔王「余の目的は打倒魔王。あんなチンケな村にもう用は無い」

魔王「そら、邪魔臭い建物も消えて道も開けたわ。ここを直進すれば目的地にいずれつくであろう」

魔王「行くぞ、野郎どもー!」

戦士「うおー!」盗賊「くくくっ……」

僧侶「……」

僧侶「…くすっ」

僧侶(不器用な人!)
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 03:38:12.08 ID:0ox9xZgw0
以上
シリアスパート終了のお知らせ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 04:49:22.18 ID:vnVKV++M0

盗賊ェ

それにしても勇者様が山賊潰したのは子どものためだったのかねぇ
それとも本当に暇潰しだったのか、後者もありえそうだから困るwww
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/20(日) 09:45:28.29 ID:QGwXAGQvo

魔王が少しだけ一方さんとかぶってる
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/20(日) 10:53:04.72 ID:PocwkcBfo
無理矢理禁書に結びつけるなよ
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/11/20(日) 15:24:19.89 ID:TZ/ANlujo
禁書とかキャラだけは無駄に多いんだからだいたいどんなキャラ作っても何かしら被るわクズ
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:18:18.53 ID:0ox9xZgw0
洞窟


魔王「……」

僧侶「ねぇ、戦士さん」

盗賊(…俺じゃなくて肉ダルマに話しかけるのかよ)

戦士「どうした僧侶ちゃん?」

僧侶「先程から勇者様の様子がおかしくありませんか?」

戦士「そうかぁ? 俺には別に」

僧侶「盗賊さんは?」

盗賊「! 見えるぜ…! 滅茶苦茶おかしく見えるぜ!!」

魔王の弱パンチ!

盗賊はお腹を抱えて蹲った!

魔王「適当なことぬかすな次言ったら怒るからな…」

盗賊「ひゅーひゅー……」

僧侶「いつ魔物が現れるかわからないのに味方を攻撃しないでくださいっ」

魔王「わかっとるわ! ああ、クソっ……なんで余がこんな場所に……」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:22:38.70 ID:0ox9xZgw0
魔王「そもそも、貴様が魔物退治の依頼なんぞ受けなければよかったんだよ!」

戦士「えぇ!? 俺ですかっ」

戦士「でも勇者殿だって構わんって言ったじゃない!」

魔王「余は気分屋なんだよ……うぅ……」

僧侶「まぁまぁ、この依頼を達成すれば近隣の村の被害は治まるし、Gもいただけるんですよ? 我
慢しましょ」

魔王「金金と、貴様は金の亡者か」

魔王「……なぁ」

一同「?」

魔王「僧侶貴様、余の前歩いてよいぞ」

僧侶「え、私?」

僧侶「そんなことしたら勇者様が一番後ろ歩く事になっちゃいますよ?」

魔王「では結構」

僧侶「はぁ…?」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:30:18.95 ID:0ox9xZgw0
戦士「にしても暗くて前がよく見えんなぁ…盗賊、お前夜目とかききそうだよな」

盗賊「まぁ、俺は闇に潜む者だからなぁ…くっくっ」

戦士「だったら先頭頼むよ」

盗賊「えっ」

戦士「さっきから俺岩壁に体ぶつけてばっかで痛いんだ。な?」

盗賊「……仕方があるまい」

盗賊(暗いの嫌だな…)

僧侶「ちょ、ちょっと勇者様!?」

魔王「」ギュッ

盗賊「ああああぁっ!? てめぇ何僧侶にひっついてやがんだよあァッ!?」

戦士「お、落ち着け!! どくばりを納めろ!」ガシッ

僧侶「そ、そうです…大丈夫。勇者様、今顔の前を横切ったのは蝙蝠ですよ」

魔王「……本当か」

魔王「はっはっはっ!! 驚いたろう、戦士よぉー!!」

戦士「はぁ…?」

戦士(盗賊の大声で耳キンキンして何言ってるか聞きとれん…)
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:34:30.29 ID:0ox9xZgw0
ゴツンッ

盗賊「痛い!」

僧侶「大丈夫ですか! 頭の上、気をつけてくださいね…そこ岩が飛び出ているようなので」

戦士「僧侶ちゃん、見えるのか?」

僧侶「はい? あ、ええ。まぁ」

僧侶「こう見えても暗いところではよく目がきく方なんですよ! 私」

戦士「……」じー

盗賊「なぜ俺を見る……」

戦士「いやぁ、僧侶ちゃん役に立つなーって」

盗賊「ちっ…!」

僧侶「良ければ、やっぱり私が先頭に立ちましょうか?」

魔王「えぇ! ダメである!!」

魔王「僧侶は余の後ろ…な?」

盗賊(あの勇者…まさか僧侶ちゃんのこと狙ってるんじゃあるまいな…)
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:36:36.72 ID:8HCLm/iIO
魔王かわいいwwwwww
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:43:57.75 ID:0ox9xZgw0
戦士「といってもこれじゃ埒があきませんよ。勇者殿、ちょっと隊列組み換えましょ」

魔王「何で余が」

魔王「ていうかバカみたいに縦列に歩かなければいいだけであろう。バカか!」

盗賊「魔物に遭遇する際はこの陣形の方が都合がいい…知らないのか、勇者のくせに」フフン

魔王「殴るぞ」

盗賊「止せ…!」

魔王「まぁ、そうであるなら仕方があるまい」

魔王「こうしようか」


前  僧侶 魔王 盗賊 戦士  後


僧侶「いいんじゃないでしょうか」

盗賊「待て待て待て…! 女を先頭に立たせて男3人が後列とは情けなさすぎるぜ……!」

魔王「くだらんプライドなんぞ捨てちまえよ」

戦士「まぁ、でもこいつの言い分もわかりますわ」

僧侶「男の人って難しいですね……」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:48:46.72 ID:0ox9xZgw0
魔王「じゃあどの隊列なら貴様は満足するのだ」

魔王「暗所で目がきくのは僧侶だけ! 何が闇うんたらだ阿呆」

盗賊「うるせぇ…」

僧侶「こんな所で仲間割れなんてしないでください!」

僧侶「私は大丈夫ですから。その隊列で構いません」

盗賊「し、しかし」

僧侶「しつこいですね! いい加減にしてっ」

盗賊「うっ……!?」

盗賊(怒られた…僧侶ちゃんから初めて怒られた)

戦士「それじゃあ、こうとかは?」


前  盗賊    僧侶 戦士 魔王  後


魔王「おお…」

盗賊「おかしいだろ……!?」

盗賊「どうして俺がこんな前にポジショニングしなければいけない…!」

戦士「お前が先頭に立って気をつけて歩いて、俺たちは僧侶ちゃんの目に頼りながら進むという隊列なんだが」

盗賊「だからそれ俺を前に立たせる意味がないんだよ…!!」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:51:44.06 ID:0ox9xZgw0
僧侶「もう…私、さきに行っちゃいますよ!?」

魔王「ま、待て僧侶よ!! 余は、余は置いて行かないで…」

僧侶「……くすっ」

僧侶「あー、もしかして…勇者様って暗い所ダメなんですかー?」ププ

魔王「何だとっ……」

戦士「マジすか」

僧侶「大丈夫です。誰にでも苦手な物ってありますし」

魔王「違うわカスッ!! ふざけるなよ!」

盗賊「くくっ…」

魔王の弱キック!

盗賊「フォローしてやろうと思ったのになぜ蹴るっ……!?」

魔王「もう知らんわアホっ」

魔王「余は何も恐れん。余は怖いもの知らずなのだ…」

魔王「いい。余が先頭歩く!」

僧侶「む、無理しなくても」

魔王「うるさい!」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:54:05.29 ID:0ox9xZgw0
のそのそのそ…


魔王「……」

戦士「ゆ、勇者殿」

魔王「ああッ!?」

戦士「顔怖いっスよ…」

魔王「用が無いなら話しかけるな…!」

魔王「……」

戦士「やっぱり勇者殿は」

僧侶「あはは…」

盗賊(イイ気味だな勇者! ここで僧侶ちゃんから飽きれられてしまうがいいぜ!)

盗賊「くっくっくっ……あうっ」

盗賊「〜……!」

僧侶「そこ、小さな段差あるので気をつけて」

盗賊「はい…」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:56:02.69 ID:0ox9xZgw0
魔王「……」

僧侶「さっきの道より暗いですね。少しさきが見え辛いかも…」

戦士「こんなことなら松明の1つは持ってくるんだったなぁ」

魔王「…ひ、火をつけよう」

僧侶「え?」

魔王「火があれば明るくなる…そうであろう…」

盗賊「しかし、火を灯す物なんて持っていないぜ?」

魔王「……脂肪はよく燃えると聞くが」

盗賊「お、おい…止せ」

魔王「」ブツブツブツ

盗賊「おいっ!?」

魔王「邪ッッッ」

魔王は火炎の呪文を唱えた!

戦士「勇者殿ぉー!?」

僧侶「だ、だめぇっ!!」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:06:38.17 ID:qVRa9o5s0
魔物「ギギャッ!?」

魔物は灰塵と化した!

魔王「…ふ、ふふふふ」

僧侶「魔物…?」

魔王「阿呆共めェ!! 目の前の敵にも気づけんとはな!」

魔王「それでいいのか貴様ら!? えェ?」

戦士「め、面目ない……」

盗賊「…マジで殺られるかと思ったぜ」

僧侶「あの、さっきの勇者様の魔法で一瞬先の道が見えたのですけど」

僧侶「どうもこの先道が2つに分かれているようです」

魔王「なに?」

魔王「どうするのだ貴様ら…余はどっちの道も確かめるだなんて面倒なことは嫌だからな」

戦士「まぁ、面倒っスよね。そしたらこれはどうでしょう? 2組に分かれて探索というのは」

僧侶「危険じゃありません…?」

戦士「それは承知だが、その方が効率がいいと思う。魔物に遭遇したらすぐに引き返せばいいだけだし」

盗賊(ふ、2組に分かれるだと……)
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:09:14.86 ID:qVRa9o5s0
グーノ、パッ グーノ、パッ


盗賊「がぁっ……!?」

戦士「それじゃあ俺と僧侶ちゃん。そして」

魔王「余とこやつか頼りない」

盗賊「暗所恐怖症の勇者様にだけは言われたくねぇ!」

魔王「あァん!?」

盗賊「くそっくそっ……!」

僧侶「勇者様、盗賊さん。お気をつけて」

戦士「じゃあ俺たちはこっちの道を進もう」

すたすたすた

魔王「……」ジロ

盗賊「……」ジロ


魔王・盗賊「チッ…!」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:12:12.32 ID:qVRa9o5s0
魔王「おう、貴様。前を歩け」

盗賊「くくっ…断るぜ。てめぇが歩きな」

魔王「余は勇者であるぞ。命令に従え」

盗賊「こんな所で勇者権限なんて使うのはセコイぜ…!」

魔王「黙れ」

盗賊「……歩けばいいんだろ、歩けば」

魔王「分かればよいのだ」


すたすたすた…ゴツン


盗賊「〜……!」

魔王「ぷふっ! 面白いな盗賊よ」

盗賊「チッ……」


すたすたすた…ピタ


魔王「あうっ!」ドン
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:13:37.11 ID:qVRa9o5s0
魔王「何だ貴様! 突然止まるな阿呆ッ」

盗賊「おい、アレを見てみろ……くくっ」

魔王「はぁ?」

盗賊「お宝箱だよ。あそこにちょこんと置かれてやがるぜ…」

盗賊「盗賊の俺ならばアレを見逃すなんて事はできん。きっと中身はいいアイテムだ」

魔王「わかるのか?」

盗賊「ああ…長年の感って奴だぜ」

魔王「ほぉ、貴様にしては中々やりおる。ではさっそくいただくとしようか」

盗賊「待ちな…!」

盗賊「もしかすれば、トラップが仕掛けられているかもしれねぇ……ここは任せろ」

魔王「お〜! なんだか貴様が頼もしく見えてきたぞ!」

盗賊「くっくっくっ……俺の凄さに気づくの遅すぎるんだよ!」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:16:48.49 ID:qVRa9o5s0
盗賊「まずは」

盗賊「お宝を前に一礼」

盗賊は宝箱に向かって頭を下げた。

魔王「物に頭を下げるとは正気か貴様?」

盗賊「何事にも礼儀ってものは嗜むもんだぜ」

盗賊「次に対象をよく見る。舐めるように…」じろじろ

魔王「暗くて何も見えんだろアホか」

盗賊「……くっ!」

盗賊「まぁ、いい。次だ! 次は手で箱の感触を確かめる」

盗賊「慎重に、慎重にだぜ……」サスリサスリ

魔王「それで罠が発動したらどうするつもりだ」

盗賊「しないように丁寧に触ってるんだ! 話しかけるな…!」

盗賊「さぁ、次だぜ。お次はお待たせしました……箱を、開けます」

魔王「作業投げやりすぎぬか…?」

盗賊「オープンだぜッくはは!!! さぁ、ご対面だ!」パカッ

なんと宝箱は魔物だった!

魔物「バアァァァァ〜〜〜〜ッッッ!!!」

魔王・盗賊「うわあああああああああぁぁっっっ!!?」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:19:53.67 ID:qVRa9o5s0
魔王「う、う、ウオオォーーーッ!!」

魔王は雷の呪文を唱えた!

バチバチバチィ

魔物「ギャーッ!?」

魔物は黒コゲになって息絶えた!

毒消し草を手に入れた。

魔王「は、ははは……驚かせおって!」

魔王「それと盗賊よ! 何がお宝だ、これはただの毒消しではないか」


しーん


魔王「おい、盗賊?」

盗賊「†」

盗賊は魔王の魔法に巻き込まれ、死んでいた。

魔王「お、おぉい…冗談は休み休みにしろ馬鹿者……」

魔王「早くそのみすぼらしい棺桶から出てこいっ……なぁ、頼むから。盗賊っ……!」

しかし、盗賊は死んでいる。

魔王「う、うわあああぁぁ……」

魔王「嫌だ、余をこの様な薄暗い所に1人にするなぁー!?」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:22:48.72 ID:qVRa9o5s0
「うおおぉぉー!!」


突然、洞窟内に雄叫びが響き渡った。

どうやら声の主はこちらに向かってきているようだ。

魔王「何だ今の声はっ」

魔王「依頼の魔物か? 糞っ垂れめ、よくも最悪なタイミングで出て来てくれわ!」

魔王「腹いせじゃ……余、直々に手を下してくれる」

「うおおぉぉー!!」

魔王「…来おったな」

「勇者殿ォー!!」

魔王「滅ッッッ」

魔王の全力攻撃!

戦士は無残にも息絶えてしまった。

戦士「がふっ……」

魔王「ふん、余に近づいた貴様が悪かったのだよ」

魔王「は」

戦士「†」

魔王「ぐ、ぐぬぬ!!」

魔王「何故だ、何故貴様が…」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:24:49.47 ID:qVRa9o5s0
僧侶「はぁはぁ…ゆ、勇者様ー! 盗賊さーん!」

魔王「貴様、僧侶であるか?」

僧侶「あっ、はい。あの、ご無事でしょうか…何やら悲鳴が聞こえた気がして」

僧侶「さきに戦士さんが様子を見に向かったのですけど、お会いしませんでした?」

魔王「えっ」

魔王「ああ…会った気もするな…」

僧侶「? どういう意味でしょうか、それと盗賊さんの姿が見当たりませんけど」

僧侶「どちらに?」

魔王「帰ったかな…」

僧侶「そんなわけないでしょ……!」

僧侶「…どうも勇者様怪しいです。何か私に隠していません?」

魔王「余たちは旅を共にする仲間であろうッ!! 隠し事なんてセコいマネせんわッ!!」

魔王「全く、失礼であるな…」

僧侶「そ、それもそうですよね…ごめんなさい…」

魔王「おう、分かればよいよ」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:27:13.56 ID:qVRa9o5s0
僧侶「それで」

僧侶「本当の事言うと、盗賊さんたちは?」

魔王「しつこいな。まだ言うか!」

魔王「よ、余は知らんっ……奴らは何処かへ行ってしまったわ!」

僧侶「私たち2人を置いてですか?」

魔王「……」

僧侶「……」じーっ

魔王(いかん。こやつ完全に余を疑っておる)

魔王「」しれっ

僧侶「どうして目を合わせてくれないんです?」

魔王「…石になるかと思ってな」

僧侶「なりませんよ! 私は魔物じゃありません」

僧侶「いい加減薄情してくださいっ! 本当の事言ってくれなければ、私怒りますよ!?」


ぷっつん


魔王「…あああァァァ、喧しいわッ!!」

魔王の攻撃!

僧侶は息絶えた。

僧侶「†」

魔王「え、嘘であろう……?」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:30:12.71 ID:qVRa9o5s0
魔王「許せ僧侶よ。つい出来心だったのじゃ…そんなつもりは毛頭なかった」

僧侶「†」

魔王「ほら、謝ったからその棺桶の中から出てくるがよい。怒っておるのか?」

僧侶「†」

魔王「〜……!」

魔王「じょ、冗談であろう? おぉい…貴様らぁ…」

盗賊「†」

戦士「†」

僧侶「†」

魔王「うわあああ…本当に余一人になってしまったのか…?」

魔王「この際魔物でもいいッ! 姿を現してくれィ!」

近くに魔物の気配はない!

魔王「嫌である! 暗いの嫌である! 誰か、誰か余の傍に居れよォ!?」

バサバサバサ

蝙蝠の群れが魔王の頭上を通っていった。

魔王「ギャーッ!!!」

魔王は3つの棺桶を担いで駆けだした!
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:32:36.09 ID:qVRa9o5s0
だだだだだ…


魔王「嫌だ嫌だ嫌だ!」

魔王「貴様ら、すぐに蘇らせてやるからな…!!」

盗賊「†」戦士「†」僧侶「†」

魔王「ま、待っておれェ!! 今すぐこのクソ洞窟を抜け……」

強力な魔物が現れた!

どうやら依頼された魔物のようだ。

魔物「ガアーーーッ」

魔王「うわあぁあっ!?」

魔王の攻撃!

強力な魔物を倒した!

魔王「くそっくそっくそっ……もう、嫌だっ…余はもう絶対ここ来ないからな!」

魔王「うううゥゥ……!」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:34:30.72 ID:qVRa9o5s0
教会


神父「どのようなご用件で?」

魔王「見て分かるだろアホッ! そこの仲間3人全員を復活させるのだ…」

神父「お、落ち着いて…何やら余程恐ろしい目に会われたと見た。目が血走っておられますぞ…」

魔王「黙れ! ああ、もうっ……」

神父「では、3人で1000Gに」

魔王「払うから早うせいィ!」

神父「はぁ、では〜〜〜〜」

・・・

盗賊 戦士 僧侶は生き返った!

盗賊「ここはどこだぜ……?」

僧侶「あれ、教会?」

戦士「何があったんだ…」

魔王「……おお、おおォ!!」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:36:16.77 ID:qVRa9o5s0
ぎゅうっ

魔王は3人を思いっきり抱きしめた。

僧侶「きゃ!」

戦士「ゆ、勇者殿。いきなりどうしたんスか、照れますよ…///」

盗賊「おい! 気色悪い…!!」

魔王「バカ者どもめ。余は滅茶苦茶寂しかったのだぞ…」

魔王「貴様ら余の許可無く勝手に死ぬなッ」

僧侶「そんな無茶な……って、そういえば」

僧侶「あなた! あの時どうして私に攻撃してきたんですか!?」

盗賊「ああァ!?」

魔王「後ろに魔物がいたからな。そしたら貴様を巻き込んでしまったようで」

僧侶「そ、そうだったのですか…申し訳ありません…」

盗賊・戦士(ところで俺はどうして棺桶に入っていたんだろう)

魔王「まぁ、元気そうで何よりだ貴様ら。二度と死ぬなよウンコめ…」ぐすんっ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:39:35.47 ID:qVRa9o5s0
僧侶「しかし3人も生き返らせるとなると、かかる金額も安くはなかったはず…」

魔王「その通りである。おかげで依頼達成で手に入れた金もスッカラカンだ」

僧侶「はぁ…」

戦士「金の事より俺たちを優先してくれたとは…おお、我が勇者殿よ!!」

盗賊「礼は言わないからな」

魔王「そんなことより、今後はできるだけ洞窟の様な薄暗い場所は避けて通る」

魔王「異議は受け付けんからな…」

僧侶「はぁ、まぁ勇者様がそう仰るのなら」

戦士「はい! …勇者殿。俺は今回の件であなたがただひたすら強いだけではなく、心優しい方だと
いう事がわかった」

戦士「尊敬っスよ、勇者殿! 一生着いて行かせてくださいねっ」

魔王「暑苦しい…」

僧侶「これでもっと性格が良ければ素晴らしい勇者様かなって、私思います」

盗賊「くくっ、僧侶に同じくだぜ……」

魔王の弱パンチ!

盗賊は蹲った!
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 00:40:45.57 ID:qVRa9o5s0
以上
明日からは毎日投下が難しくなりそうです
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/11/21(月) 00:54:52.80 ID:aPi4aenyo
魔王ーー!!魔王ーーーーーー!!!!!
かわいいよーーーーーーー!!!
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 01:34:45.51 ID:u3qjbC9T0

ゆっくり書いていってくれ

宝箱のくだり好きだわw
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 18:44:27.56 ID:YCMT+BeDO
魔王が可愛いすぎだろwwwwwwww
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府) [sage]:2011/11/24(木) 10:11:19.71 ID:SBCk+5Zoo
期待
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:28:03.91 ID:YfyN0cj+0
戦士「ここらへんで自由行動はどうでしょう?」

魔王「自由ー?」

僧侶(今、私たちは町の中で休憩中です)

盗賊「賛成だぜ。ずっとお前たちとべたべたくっついていると落ち着かないからな…」

僧侶「それは何だか、申し訳ありません。盗賊さん」

盗賊「いや…僧侶が悪い訳じゃ……!」

魔王「ふん、貴様らの言い分はわかった。それも良かろう」

戦士「いいんですか!? やったー」

魔王「精神、肉体。たまには安らぎも与えるべきである。帝王学を学んだ余は、手下の扱いにおいても長けておるのだよ」フフン

僧侶「勇者で帝王学?」

僧侶「それにしても勇者様、なんだか丸くなられましたね…ふふ」

魔王「…な…何だと」

魔王(最近夜にこっそりお菓子食べてたのが悪かったというか…!?)

魔王「どうして誰も止めなかったよ!?」

僧侶「え、良い方向へ向いてきたのに止める必要なんてないですよ?」

魔王(うわっ、こやつ余を肥やして喰らう魂胆であったか…)
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:35:31.79 ID:YfyN0cj+0
魔王「僧侶よ、貴様とはしばらく距離を置く。余に近寄るでないぞッ」

僧侶「えぇ!?」

盗賊「ほう…?」

僧侶「私が何かしましたか!?」

魔王「いや…これからするのであろう…?」

僧侶「何を、なのか教えてくださいよっ」

魔王「いやー!」ぴゅー

魔王は逃げだした!

僧侶「ちょっとぉ! …わけがわからないわ」

盗賊「前からそんな奴だったろ」

僧侶「…言われてみれば確かに」

戦士「まったく、お前らには忠誠ってもんがないのか?」

戦士「あれ程まで勇者に逸材な方はいないぜ。お前らの目は節穴かよ!」

盗賊「お前がな」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:38:21.45 ID:YfyN0cj+0
盗賊「それはともかく、自由行動だろ。どうするんだぜ?」

戦士「あー…俺は武器でも見るとしよう。新しいのが欲しいんだ」

僧侶「買う時は私にちゃんと相談してくださいね」

僧侶「最近気づいたらGが勝手に減っているという謎の怪奇現象が…」

戦士・盗賊(こっそりくすねていたとは口が裂けても言えまい言えまい)

僧侶「ところで盗賊さんは?」

盗賊「えっ?」

僧侶「盗賊さんはこの時間どうするんです?」

僧侶「良かったら、私と一緒に町の中でもゆっくり見ませんか?」

盗賊「はんっっっ」

盗賊(冗談だろう……夢のようだぜ、僧侶ちゃん直々に俺を誘ってくるとか…)

盗賊(思えば、ここまで長かった気がする)
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:42:01.85 ID:YfyN0cj+0
勇者の仲間になる前 in 酒場


がやがや がやがや

盗賊「……」

「昨日は魔物を10匹仕留めたんだよ〜」

「やるなぁ」

「バカだなwwwwwwそんなの自慢になんねぇよwwwwww」

「はぁ!?」

盗賊「あの…」

ちらっ

「おう何だ。おめぇ新人か?」

「私たちに何か用ですかな」

「初々しいわねー食べちゃいたいわ」ウッフン

盗賊「あ、いえ…いや、その…」

盗賊(会話の仲間に入れてくれと言いたいだけなのに口がうまく動かない…!)

「黙っていては何も分かりませんぞ?」

「シャイボーイねぇ」

盗賊「……くっ、くっくっく」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:44:45.34 ID:YfyN0cj+0
盗賊「お前ら…雑魚が群れて何をしてやがる。自慢話なんぞに華を咲かしていないで」

盗賊「少しは人様の役に立ってみたらどうなんだぜ…この飲んだくれめ…」

盗賊(いや違う!! 言いたいのこれじゃない!!)

盗賊「というジョーク……」

男は盗賊を殴り飛ばした!

どんがらがっしゃーん

「きゃああああー!!」「おっ、ケンカか、ケンカ!」

盗賊「う、ぐっ…!」

「言いたい事はそれだけかルーキー。え?」

盗賊「俺が…何をしたっていうんだぜ…!?」

「貴様、我々に向かってしつれいな口を聞いたでございましょう!!!」

「昼間から酒飲んでて悪いかゴラァ!?」

「働かないで食う飯は美味ェぞ!?」

盗賊(バカかこいつら! そこまで言ってないよ!)

「もう我慢ならねェや……てめぇ表でな」パキ、ポキ

盗賊「うわ…」

戦士「ちょっと待ちな」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:48:09.62 ID:YfyN0cj+0
「あァ!? 何だてめ……げっ」

戦士「ふんす」

「こ、これはこれは…戦士殿ではございませんか…ご機嫌いかが」

「酒ありますよ!? どうぞ飲んでくださいな…」

戦士「俺は昼間から酒をあおるほど落ちぶれちゃいねぇし、暇じゃあないね」

戦士「よぉ、立てるか」

戦士は盗賊を引っ張って立ち上げた。

盗賊「あんたは…」

戦士「なァに、ただの戦士だ。それより」

戦士「さっきのお前、格好良かったぜ。そろそろ奴らに喝を入れようと思っていたんだが、まさか
お前が言ってくれるとはな!」

戦士「おうお前らッ!! 少しはこのルーキーを見習ったらどうなんだよ! あ!?」

「ひっ…そ、そうっスね…」

「戦士殿がそう仰るのならば…」

盗賊(この筋肉男、こいつらを簡単に……)

戦士「おう、お前名は?」

盗賊「……くくっ、盗賊」
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:49:10.02 ID:YfyN0cj+0
戦士「そうか! よろしく頼むぜ、盗賊」

盗賊「……」

戦士「おいおい、せっかく握手しようと手を伸ばしてるんだから、それに答えるのが礼儀ってもん
だろ!」

盗賊「ふん、慣れ合いは嫌いなんでね……」

戦士「…そうか。まぁ、いい。なあ、盗賊! 俺は強い奴が大好きだ!」

戦士「単純に強い奴! 心が強い奴! ああ、強さなら大体」

盗賊「は?」

戦士「だから俺はお前の事が気にいったぜ。困った事があったらいつでも俺に話してくれ」

戦士「じゃあ、俺はこれから剣の特訓だ。またな!」

盗賊「お、おい…!」

盗賊(できれば、これから一緒に酒でもどうだとは口が裂けても言えない。空気的に…)

盗賊(でもいい人だったなぁ)



数日後、戦士は自分に性格的に合わないことがわかり、鬱陶しく思い始めた盗賊であった。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:52:04.55 ID:YfyN0cj+0
「あ、あの!」

盗賊(こ、こんどは誰だ……)

僧侶「先程のあなたの姿に、私感激してしまいました!」

僧侶「ああ、申し遅れちゃいましたね…私は僧侶といいます」

盗賊(……べっぴんだ)

僧侶「普通はあんな事、そう簡単に仰れませんよ。とっても立派です!」

盗賊「ふん、そんなことないぜ…」

僧侶「……」じー

盗賊(見られてる!? うわあああああぁぁぁ)

僧侶「お怪我、されてますね。ちょっとじっとしててください…」

僧侶は回復の呪文を唱えた!

盗賊「殴られた傷が……」

僧侶「私、回復魔法が使えるんです。僧侶ですから」

「おーい、僧侶ー」

僧侶「あ、はーい! では私はこれで。カッコよかったですよ」にっこり

盗賊(この笑顔、守りたい)



後日から盗賊の僧侶へのひっそりとしたアピールが始まるが、中々気づいてもらえることはなかった。
加えて、盗賊の特殊な言動に周りが引き始め、孤立することになるというのはまた別のお話。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 23:57:54.89 ID:YfyN0cj+0
盗賊「……思い出したら具合悪くなってきたぜ」

僧侶「え、どうしたんですか!? 大変っ」

僧侶「…うーん、体調を崩したのなら仕方がないですね。さきに宿で休んでいられては?」

盗賊「はぁ!? えっ!?」

戦士「」ニヤニヤ

盗賊「そんなことないぜ…!! 俺は全然平気だ…!!」

僧侶「強がりはダメです! それで今後に支障をもたらしてしまったらどうするんです?」

僧侶「残念ですけど、私1人で町を見ていますね。では、盗賊さん」

僧侶「お大事に」

盗賊「あ、あああ……うああ……!」

戦士「恋の病は辛いな、盗賊wwwwww うははははwwwwwwwwww」

盗賊「うるせぇクソっ!!! うぐぅ……」

盗賊は宿屋へ1人戻った。

戦士「どれ、俺もそろそろ動くかなぁ」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:00:05.41 ID:1SM7gyTK0
僧侶(1人で町を歩く事なんて、久しぶり)

僧侶(今日は少しぐらい羽根を伸ばしてもいいよね)

僧侶「うー…ん!」

僧侶「それしても、勇者様は一体全体どうしちゃったのかしら」

僧侶「本当に嫌われちゃったのかな、私…」



「陰口はあまり褒められた事ではありませんけれど、私あの人がどうも苦手です」

「本っ当に! 自分勝手ですし!」

「何だか……悔しいです」



僧侶「とか言ってたのに、嫌われたかなんて気にするのはズルいわよね…」

僧侶「あー…私、嫌な女」

行商人「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん」

僧侶「……え、私でしょうか!?」

行商人「ああ、そうさ」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:04:38.66 ID:1SM7gyTK0
行商人「何やらお悩みの様だねぇ。年頃の女の悩みといえば」

行商人「ズバリ恋のお悩みでしょう」

僧侶「勝手に確定させないでっ」

僧侶「そんなんじゃありませんから! それに私は神に仕える者、色恋にうつつをぬかすなんて」

行商人「はぁ、だーからお嬢ちゃんは乳が薄っぺらいんだヨ」

僧侶「神に代わって殴りますね……」

行商人「止せ止せ! 暴力はよくない!」

僧侶「あなたがそうさせる様な事を言うからでしょう!! 失礼ねっ」

行商人「でもさ、男はパイオツのデカイ女が好きなもんだよ!? そんな君に」

行商人「こいつを安く売ってやってもいいが」

行商人は危ない水着を取り出した。

僧侶「うわっ…あぶない…」

行商人「へへ、懐で温めておいたぜ」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:08:40.44 ID:1SM7gyTK0
僧侶「あまり、口に出したくはありませんが……変態さんでしょうかね、あなたは」

行商人「失礼な。これはね、とある伝説の女戦士が身につけていたものだ」

行商人「その女戦士は大変スタイルが良く、シェクシーであったと伝えられる」

僧侶「聞いたことありません。下品な」

僧侶「大体それがその様な品だとしても、人が着た物を売りつけるなんてどうかしてます!」

僧侶「洗濯はきっちり行ったのですかっ」

行商人「……」

行商人「これを一度身につけるとあーら不思議! 胸がみるみる豊かになり、体にくびれが」

僧侶「無視しないで! 大体胡散臭いです」

行商人「チッ……だけどねぇ、実際にこれ着てそうなったという実体験も存在するんだよ?」

行商人「そら、そこの店で働くべっぴんな婦人がいるだろ。あの人はこれを身につけてああなった
のさ」

行商人「ね、お姉さん!」

お姉「はい」バインバイン

行商人「ほらぁー!」

僧侶「そ、そんな……何かの冗談よ…」
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:12:59.02 ID:1SM7gyTK0
行商人「だが事実なんだよ! さて、今ならこの危ない水着に」

行商人「この銀の竪琴とキメラの翼をつけちゃおう! ははぁ、こいつはお買い得だね」

僧侶「そ、そんな高価な物がセットに?」

僧侶「……もう一声」

行商人「おやおや、お嬢さんってば随分欲しがり屋さんだねぇ…」

行商人「…薬草」ボソ

僧侶「か、買った!!」

僧侶「買います! けど、もう少し安くしてください!」

僧侶「でないと私買いませんよ!?」ふんふんっ

行商人「お嬢ちゃんには負けるなぁー! よーし、おじさんちょっとサービスしちゃうゾ」

僧侶「よしきたっ」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:15:54.47 ID:7O7MtCyOo
アホの子かわいいww
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:18:26.19 ID:1SM7gyTK0
戦士「ううむぅ」

武器屋「お客さんお目が高い。そいつは中々の技物ですよ」

戦士「やはりそうか!」

武器屋「お買い上げに?」

戦士「いや、仲間から相談した上で購入しろと言われていてなぁ」

戦士「女が財布を持つと口うるさくて仕方がないや、ははははっ」

武器屋「へぇ、その方は随分としっかりしておられる」

武器屋「どこもかしこも、女は金にうるさいもんですね」

戦士「全くだなっ」

戦士「……ところで、こういった物を探しているんだが」

戦士は武器屋に探し物の説明をした。

武器屋「はぁ、斧ですかい? いや、聞いた事がない」

戦士「そうか…」

武器屋「そいつに何かあるんですか?」

戦士「俺の姉の物なんだ。以前、質に入れてしまったらしくてな」

戦士「もしかしたらと思って。悪いな」

武器屋「あー、いえいえ。どうか気になさらずに」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:23:21.44 ID:1SM7gyTK0
武器屋「お姉さまも武人だったんですか?」

戦士「ああ、名のある誇り高き女戦士だった。今はもうこの世にいないが」

戦士「ふっ……俺の姉であると同時に、恩人であり、師でもあったんだよ」

武器屋「よかったら、聞かせてくださいな。いい暇つぶしになりそうだ」

戦士「うははは!! なるかねぇ」


・・・


姉と言ってもな、血の繋がりはなかった。
魔物に両親を食い殺された孤児の俺を、あの人は拾ってくれたんだ。


女戦士「今日からお前は私の弟だ。だから私を姉と思って接するといい」

戦士「……」


あの人は俺に厳しく、時に優しくもあった。まるで母のようにな。
剣の腕は誰よりも立つが、家事だけはどうも苦手でな。見ていられないぐらいだったよ。


女戦士「今日の飯だ。食べなさい」

戦士「これ、何?」

女戦士「目玉焼き」

戦士「炭じゃん…」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:29:14.38 ID:1SM7gyTK0
姉は俺が生活に慣れる頃には剣を教えてきた。別に頼んでもいないのに。
またそれが随分とスパルタでな、毎日血反吐を吐くほどの特訓だった。


女戦士「男児たるもの弱くては話にならない。さぁ、立て」

戦士「……も、もう無理です」

女戦士「情けない。今日はお前の飯は抜き」

戦士(ありがてぇ!!)


そのうち、そんな姉に反抗したくなってきてな。色々やんちゃしたもんさ。
いたずら、ケンカ、盗み。可愛いもんだろ。

そんな日々を続けていたらいつだったか、1人の少女に怪我をさせてしまった。
それがバレた日には姉は何も言わず俺を殴りつけてきた。


女戦士「……」どかんどかん

戦士「痛い痛い痛いっ!! やべぇよ!」

女戦士「やべぇのはお前だ。弱き者に、暴力を振るわせるために剣を教えたわけではないぞ。私は」

女戦士「いいか、力の強さは相手を黙らせるに絶対の力を持つ。しかし一歩間違えばそれは悪の力」

女戦士「お前は今間違っている。そして何よりも心が弱いんだ、お前は」

女戦士「半端な未熟者め」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:36:20.27 ID:1SM7gyTK0
叱られても俺は懲りなかったさ。むしろヒートアップしたもんだよ。

そんなある日、今度は貴族様の家に忍び込んでな。大変お高い物をぶち壊しちまった。
それがバレ、弁償しろと言われた日には絶望したもんさ。
ガキの俺にはとても払える額じゃなかった。


戦士「……死んで詫びるしかねぇよ」

女戦士「お前が死んだところであちら様には何の得にもならない。無駄に命を散らすな」どかんど
かん

戦士「痛い、死ぬっ!!」


姉は何よりも、命を大切にしていた。当時の俺には無意味な物だったんでな。
そんな姉の思想が何もわかっちゃいなかったのさ。


女戦士「おい、あちら様にこれを持って謝りに行くぞ」

戦士「無駄だろ……って、何だよ! その金は!」

女戦士「偶然仕事で稼ぐ事ができたんだ。気にするな」


後で知った事だが、それは姉がとても大切にしていた武器を質に入れて作った金だったんだ。
後悔し切れねぇな。
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:39:21.44 ID:1SM7gyTK0
ある日、姉は俺にこう言ってきた。
本当に自然に言われたからさ、ビビっちまった。


女戦士「勇者に着いて行って、魔王を討ってくる」

戦士「へぇ……へっ!?」


ちょっくら便所行ってくるぐらいのノリだった気がするぜ。


戦士「いくら姉ちゃんの腕が立つからって、そんなの無茶だ!」

戦士「いいじゃないか! 普段の仕事を続けて、細々と暮らしていけば!」

戦士「姉ちゃんがそんな事をする必要はねぇよ!!」

女戦士「……」


姉の手が上がった。また打たれるかと思ってたよ。
そしたらさ、


なでなで

戦士「っ……え?」

女戦士「安心しろ。私は強い、だから死なないさ」

女戦士「きっとまた、お前の元へ帰ってくる。とても大きな手柄を立ててな」


久しぶりに頭なんて撫でられたよ。
思わず俺、大泣きしちまった。いい歳したガキがよ。


女戦士「私が帰ってくるまでに、私を越えてみせろ。『戦士』」


生まれて初めて、俺の人生に目標が立った。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:43:42.10 ID:1SM7gyTK0
ひたすら、毎日己を鍛えた。

弱音なんて一切出てこなかったね、姉の事を考えたら。
俺は強さを求めた。姉をも越えるような力を。


戦士「……お、おお、できたぞ!」

戦士「く、食える! しっかり食い物になっている!」


姉が帰って来た時の為に、料理も覚えた。
しっかり、食えるような物を作れるようになるまでは時間がかかったもんだ。


「こいつ、並の強さじゃねぇぜ…」

戦士「ふゥん!」


気づけば、俺は町一番の猛者となっていた。

だがよ、それは姉がこの町に今いないからであって、一番なのかはわからねぇよな。
そんな事を考えていたときによ、お手紙が届いたのさ。


戦士「そ、そんな……!」


勇者一行は魔王に返り討ちにあった、てよ。
ただの手紙だけだ。姉の死に顔すら見れねぇ。


戦士「ウソだ! ウソに違いない! あの人が死ぬものか!!」


その日、俺の越えるべき壁が永遠に遠のいた。届かねぇ場所に行っちまったのさ。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:45:41.39 ID:1SM7gyTK0
戦士「は、ははは……姉さんは、あの人は弱かったのか。だから死んだのか」

戦士「それじゃあ、こんなに強くなった俺は姉が戦って敗れた奴にどこまでやれるだろう」

戦士「……俺は強い。だから、勝てるんじゃないか?」


思い立ったら吉日、俺はその日町を出た。
そして勇者が住む地へ行き、酒場でひたすらその時を待ったのさ。


・・・


戦士「で、今は念願叶って勇者一行の1人だ。はははは!」

武器屋「あんた、そうだったのか」

戦士「中々の暇潰し話になったろう?」

武器屋「はい、いい話を聞かせてもらいましたよ」

武器屋「お礼にその剣は差し上げましょう。あんたが持つべきだ」

戦士「おいおい、いいのか? 値が張るだろコレ」

武器屋「そいつも、あんたに持ってもらえた方が幸せですよ」

武器屋「何も言わず持っていってくれ」

戦士「オヤジ…恩に着るぜ」

戦士は鋼の剣を手に入れた!
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:49:51.01 ID:1SM7gyTK0
フィールド


魔王「ひぃひぃ……も、もうダメである。走れない……」

魔王(余も歳かのぅ、それとも今まで椅子に腰かけてばかりだったから?)

魔王「ふふん、まぁ…これだけ汗をかけば体重が落ちたに違いないわ!」

魔王「僧侶ざまぁである」

アーアー…

魔王「うん?」

魔物「ア〜!」

魔物(グール)が現れた!

しかし、いつまで経っても襲いかかってくる気配がない。

魔王「んん? どうした、襲ってこないか腐った死体よ」

魔物「貴方様は、魔王様。違いありませんね?」

魔王「ほう……!」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:52:04.01 ID:1SM7gyTK0
魔王「ようやく余の事に気づく奴が現れたか!」

魔王「ズバズバと切り捨ててきた手下共は一匹も余に気づいてくれず、寂しかったのだぞ」

魔物「それは難儀で」

魔物「実は魔王様。私は側近様のご命令によって、この場へ馳せ参じました」

魔王「……ということは貴様は側近の奴から生み出された魔物?」

魔物「YES」

魔王(そういやあやつ、特技は死体操りだったな)

魔王「大体見当はつく。城へ戻れと申すのであろう」

魔王「嫌じゃ」

魔物「まだ何も言っておりませんが」

魔物「まぁ…だいたいはそんなところです。お願いします、魔王様」

魔物「今、魔王城は突然魔王様が消えた事によって大パニック。城の者達も大変悲しんでいます」

魔王「余の知った事じゃないもん!」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:53:22.36 ID:1SM7gyTK0
魔王「側近の阿呆に伝えておくがいい! 余は消して戻らぬと、次に城へ戻るときは勇者としてである」

魔物「どうしても、ダメだというのですか」

魔王「しつこいとこの場で焼くぞ貴様ァ…」

魔物「わかりました。こうなることは予想していたとはいえ、やむを得ない……」

魔王「おっ、おっ? 貴様、やるか? ん!?」

魔物「いいえ。ですが、これから魔王様一向には刺客を送りつけます」

魔物「また魔王の座へ戻って頂けるように。……では」

魔物(グール)はその場で腐り果てた。

魔王「臭っ」

魔王「……刺客だとォ? 側近もバカなまねをしてくれるわ」

魔王「どの様な奴が来ようと、余が凪ぎ払ってくれる」

魔王「元・魔王を舐めると痛い目みるぞ……」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:57:09.50 ID:1SM7gyTK0
宿屋


僧侶「勇者様!? どうしたんですか、なんだか汗臭いですっ」

魔王「この女は大変失礼であるな…ちょっくらジョギングしてきたのだ。文句でも?」

戦士「まさか、俺たちに黙って内緒の特訓を! さすがっスよ、勇者殿!」

盗賊「なんだ……俺のパクリかよ、くくっ」

魔王「違うわタコ」

僧侶「それより、お風呂に入った方がいいと思いますよ?」

僧侶「汗をかいたのなら、早く体を温めないと風邪を引いてしまいますから」

魔王「余が? 風邪? はァん、その様な物まだ一度もかかったことないわ」

魔王「本当、貴様ら人は貧弱よのぅ!! はっはっはー!!」

盗賊「お前も俺らと同じ人間だろ」

魔王「……え?」

魔王「あ、うん……!! そ、そうであったな! はっはっはー!!」

盗賊「まるで勇者様は人じゃねぇみたいな言い方だぜ……」

戦士「勇者殿は遥かに我々を凌駕しているから。きっとそういう意味でも人では収まらないと言い
たいんだよ!」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 00:59:08.47 ID:1SM7gyTK0
風呂


魔王「で」

魔王「何故貴様らも一緒に入る事になるのだ…」

戦士「いいじゃないですかぁー、ほらほら、俺がお背中流しちゃいますから!」

魔王「貴様に洗われると背中が真っ赤になって痛いんだよ!!」

盗賊「風呂でぎゃーぎゃー騒ぐんじゃねぜ……」

盗賊「こういう所で騒ぐのはガキだけだ。ふん」

魔王「あァん!? ……おう、盗賊よ」にやにや

盗賊「……何だ」

魔王「貴様のココはまだガキな様じゃのう? ぷふっ」

盗賊「っ!!?」

戦士「まぁ、個体差っスよ。仕方がないよな、盗賊」

盗賊「こ、殺ってやる! てめぇらは触れてはいけない所に触れた…!!」

戦士「切れんなよぉwwwwww」

魔王「マジガキであるwwwwww」

ぎゃーぎゃーwwwwww

『こらっ、勇者様たちうるさいですよー!!!』
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:01:55.27 ID:1SM7gyTK0
しーん

魔王「何故僧侶の声が」

戦士「あれ、知らなかったんですか? 隣の方女湯なんスよ」

戦士「ほら、あの大きな壁でこっちと仕切られてるんですわ」

盗賊(ていうことは、さっきの会話聞かれたのか……!?)

盗賊「いや、それよりもだ」

盗賊(隣の女湯には僧侶ちゃんがいる。裸の……)

盗賊「あへぇ……」

戦士「お、おい! 盗賊お前鼻血出てる!」

盗賊「は!? あ……ち、ちがっ、これは……!」

盗賊「汗だ……!」

戦士「ちょっと無理あるぞっ」

魔王「エロガキ」ボソ

盗賊「ああァッ!?」

ぶしゅぅっ

戦士「興奮するなバカ! とりあえず、そこに座って落ち着いてろ。ほら、タオル」

盗賊「チッ…」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:04:26.33 ID:1SM7gyTK0
魔王「それにしても、余たち以外客がおらんな?」

戦士「そういやそうですねぇ……偶然人が多い時間帯に当たらなかったのかと」

魔王「ふむ、そうか。では……」

ぴょーん

魔王は湯船に飛びこんだ!

ばしゃーん

盗賊「お、おいっ……!」

魔王「やっほー! 泳ぎ放題であるー!!」ジャブジャブ

『勇者様ぁ〜!!!』

魔王「あ、あやつ地獄耳かよ…」

戦士「泳いでいいっスけど、静かにしてた方がいいと思いますよ」

魔王「えー、それじゃあ風呂で泳いでる気がしないぞー…!」

盗賊「風呂は泳ぐ場所じゃねぇよ…」

魔王「おら、盗賊! 見るが良い、余の華麗な背泳ぎ!」バシャバシャ

盗賊「やめろっ、お湯がこっちに飛ぶから!」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:10:41.64 ID:1SM7gyTK0
戦士「勇者殿、遊泳は楽しいですか〜?」

魔王「飽きた」

盗賊「早いなっ…!?」

魔王「飽きた〜…なぁ、余だけ先に上がってて良くない?」

戦士「まだしっかり体温まってないでしょ。さぁ、お湯に浸かって」

魔王「戦士の分際で生意気な…」ブツブツ

盗賊「ったく、精神年齢の低い奴は困るぜ……ふぅ」

戦士「おい、盗賊。湯船ではその腰巻タオル取れよ」

盗賊「……断る」

戦士「もう笑わないから。な?」

盗賊「ほっとけよっ……!!」

魔王「」ジー

盗賊「……おい、勇者。さっきから黙って壁なんか見て…何してんだぜ、お前」

魔王「見えるのだ…」

盗賊「は?」

魔王「向こうの風呂が見えると申しておるのだ」

盗賊「ふぶっっっ」
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:13:38.05 ID:1SM7gyTK0
戦士「ゆ、勇者殿! それってまさか……向こうの女湯が見えると?」

魔王「ああ、見える」

魔王「よく見よ、あの壁を。微妙にではあるが、あそこに小さな穴が空いておる」

魔王「目を凝らすとよく見えるぞ…!」

戦士「……」

盗賊「や、やめろバカっ!!」

盗賊は戦士を殴った!

戦士「痛ぇよ! 見えるなんて言われたら気になるだろうが…人もいないんだしよぉ」ボソボソ

盗賊「変態肉ダルマが……ッ」

戦士「いいのかよ、チャンスだぜ。僧侶ちゃんの裸を見れる、な」

盗賊「てめぇ…!!」

『さっきから何を騒いでるんですか! お風呂では静かに!』

男一同「」ビクッ

魔王「……どうやら、向こうの風呂も僧侶1人しかおらんようだな」

盗賊「あ!?」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:19:20.25 ID:1SM7gyTK0
盗賊(ハッキリ言ってしまえば……すごく、見たいっ!)

盗賊(しかし、そんな覗きなんぞ低俗な行為。この俺には相応しくない…)

盗賊「だが……」

魔王「僧侶の乳ってあんま無くね?」

戦士「マニアックな層には受けるんじゃないスかねぇ」

盗賊「てめぇらはよ……!」

盗賊「プライドというものがないのか!? あぁ!?」

魔王「おい、デカイ声出したらバレてしまうだろうが。見ないのなら黙ってろィ」

戦士「そうだそうだー」

盗賊「ぁ、あ……ぅぐうぅぅ……!」

盗賊「……」

盗賊「……見たい。見たいぜ」

魔王・戦士「ん?」

盗賊「僧侶ちゃんの裸……すごく見たいぜ……!」

魔王・戦士「」ニヤニヤ
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:20:45.57 ID:1SM7gyTK0
戦士「お前もやっぱり男だからなぁwwwwwwわかる、わかるよwwwwww」

魔王「おら、変態! しかとその眼に奴のくだらん体を焼き付けるが良い!」

盗賊「チッ……!」

盗賊(まぁ、いい)

盗賊「く、くくっ……えへへへ……!」


一方、女湯


僧侶「ふぅ」チャプン

僧侶「いいお湯……気持ちいいぃー」

僧侶「それにしても、あっちの男湯。さっきから勇者様たちが騒がしくて落ち着けない」

僧侶「本当に男の人っていつまでも子どもなのねー…」

しーん

僧侶「…急に静かになっちゃった。もうお風呂出ちゃったのかしら?」

僧侶「後でお説教しないと! ……さて、それより」

こそこそ

僧侶は危ない水着を取り出した!

僧侶「」チラチラ

僧侶(よし、誰もいない。ナイスタイミングっ)

僧侶は危ない水着を装着した!
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:22:49.63 ID:1SM7gyTK0
盗賊「……あ、あ……うぁ……」

戦士「盗賊?」

盗賊「あ、危ない水着を……僧侶が、着ている……」

盗賊「ぶっっっ…」

盗賊は倒れた!

戦士「どうした! 盗賊、おいっ」

魔王「……真であるな」

戦士「え?」

魔王「僧侶め。あやつ……あんな淫らな物を身につけるのが趣味であったか」

戦士「ちょ、ちょっと俺にも見せて! …わぁ、うわぁ…」

戦士「空いた口が塞がらないって、こういう事でしょうか」

魔王「…さぁ」

『な、何よ…全然胸なんて大きくもならないし、くびれもできないじゃない……!』

『あの人、まさか! もしかして……あぁ』

『また騙されちゃったんだ……うぅ…』
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:24:49.61 ID:1SM7gyTK0
宿の部屋


魔王「……」じーっ

戦士「……」じーっ

僧侶「あの、さっきから黙って私のこと見たりして」

僧侶「どうかしました?」

戦士「いや、何でもない。何でもないんだ。ね、勇者殿」

魔王「ナンデモナイ。ナニモミテナイ」

僧侶「何か棒読みなんですけど…。それより、どうして盗賊さんは気を失っているんです?」

僧侶「まさか! お風呂で盗賊さんに何かしたとかじゃありませんよね!?」

魔王「いや、余たちは何もしておらんよ」

戦士「ええ、俺たちは」

僧侶「はぁ?」

僧侶(それにしても、今日は不覚だったわ…これからはああいう押し売りは断らないと…)ぐぬぬ

僧侶「皆さんも、物を買うときの判断を誤らないようにしましょうね……はぁ」

盗賊「」ピクピク


魔王たちは体力と魔翌力、共に全回復した。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 01:26:26.14 ID:1SM7gyTK0
以上です
ゆっくり物語進めてくけど、これいつ終われるんだ?
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/25(金) 01:27:15.91 ID:3nsjjDrgo
まさかその水着の持ち主って……
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 02:12:02.87 ID:Zbc6WpWX0
この回見て勇者一行全員好きなった
風呂で泳ぐ魔王想像してワロタw
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 11:26:21.99 ID:a+AiNjiDO
おつおつ
スローペースでも面白いからいいんだぜ!!
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/25(金) 23:31:32.79 ID:XGLiBgcxo
これはシリアルの悪寒
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/11/25(金) 23:45:23.46 ID:Cd2zow8bo
僧侶ちゃんは貧乳か〜……ククク……
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 00:54:46.74 ID:9BAaC17w0



魔王「海であるな」

僧侶「ええ、海ですね。この広大な海原を眺めていると心が落ち着きます」

魔王「…泳がんのか?」

僧侶「え?」

戦士「勇者殿っ…ゲフンゲフン」

盗賊「おい、どうやら次の便はすぐらしいぜ」

盗賊「支度しておいた方がよさそうだ……くっくっ」

戦士「何だよ、お前随分物騒なもんの準備してるな?」

盗賊「出るんだとよ……魔物が」

僧侶「あんな大きな船にも魔物が襲いかかってくるんです?」

魔王「あやつらは無鉄砲が過ぎるからなァ……」

盗賊「いや、そんじょそこらの奴が襲ってくるわけじゃないようだぜ…」

盗賊「正真正銘の、化けモンだ」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 00:56:24.26 ID:9BAaC17w0
「あんたら、本当に向こうの大陸渡るつもりか?」

戦士「ああ、問題でもあるか?」

「……いやぁ、船員の命も無駄にしたくなくてな」

魔王「余がその化物なんぞに負けるとでも申すか? え?」

僧侶「こう見えても私たちは勇者一行。大丈夫、その魔物も退治します」

「海の上と、陸の上では勝手が違うんだぞ、おい」

「戦い方もまるっと変わっちまう。まぁ」

「あんたらは魔法も使えそうだし、その辺り力しか能がない俺らとは違いそうだが」

魔王「ふふーん、よう分かっておるではないか! 何も恐れる事はないわ!」

魔王「余は無敵である。ただし、こやつらは何とも言えんがなー」

盗賊「次ピンチに陥ったらてめぇの事助けてやんないからな」

「……そうかぃ」

戦士「なぁ、その化物とは最近になって出てきたんじゃないか?」

僧侶「え、どうしてですか? 戦士さん」

戦士「いやなぁ、そんな噂最近まで耳にした事が無かったんだよ」

戦士「向こうへ渡る事だって、特に危険が生じる心配はいらんとばかり」

「そう、前まではそうだったさ」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:00:38.81 ID:9BAaC17w0
「本当に最近のことなんだよ。奴が現れたのは」

「奴のせいで何人も犠牲になったさ…」

僧侶「そんな…」

魔王「だったら、尚更そやつを余たちが懲らしめねばならんか?」

「できるなら、な」

魔王「できるわ阿呆! 二度も言わすなよっ」

「とにかく、船についた武器や武装は好きに使ってくれて構わん。だから」

戦士「まぁ、任せておけ。困っている奴らがいるなら放っておくわけにもいかないしな」

僧侶「その通り! ……ああ、何だか段々と勇者一行の様になってきましたね! 私たち!」

魔王「前からそうであろうがバカたれ。貴様は今まで何を見てきたというのだ!」

僧侶「勇者様の横暴や暴言が主ですかねぇ……」

盗賊「情けないぜ…」

魔王の腹パン攻撃!

盗賊「……や、やめろっ……腹下したらどうするっ……!?」

魔王「知るか」

「そろそろ出港だ。船に乗ってくれー」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:03:49.06 ID:9BAaC17w0
ボォー


魔王「おう、今のは何じゃ?」

盗賊「船の汽笛だ。そんな事も知らんとはなぁ…」

魔王「あー!? 調子乗るなよ盗賊風情が!」

僧侶「ちょっと、船の上でまで暴れないでくださいよ!」

魔王「へっ、どうせすぐにこの上で暴れ回る事になるのであろうが」

僧侶「……本当に、その魔物は現れるのでしょうか」

僧侶「海はとても穏やかですよ? そんな何か恐ろしい物が現れる気配なんて」

戦士「ま、気を抜かない方がいいとは思う」

戦士「それに見てみろよ。乗客は俺らだけだぜ、この船」

盗賊「くくっ…ビビって向こうへ渡れない奴らもいるってことか…」

戦士「ああ、それに船員たちもどこかピリピリしてる雰囲気だ」

盗賊「……」

魔王「ビビっておるのか、盗賊? ん、ん?」

盗賊「うるせぇっ!!」
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:06:13.87 ID:9BAaC17w0
魔王「……」

僧侶「勇者様、どうかしました?」

僧侶「先程から静かなんですけど」

魔王(こいつの余の判断は喧しいか、静かのどっちかなのかよ…)

魔王「…何でもないである」

僧侶「ですけど、顔色も優れないようですし…」

盗賊「……く、くくっ」

盗賊「おいおい、まさか天下の勇者様が船酔いか?」

魔王「違う……今、話しかけるでないぞ……!」

魔王「うっぷ!」

盗賊「お、おいおい…無理すんじゃねぇよ」

僧侶「船酔いでしたら、船内で横にならせてもらった方が」

魔王「違うと言うておろうが!? 余はこの景色を見ていたいからここでいいの!」

魔王「…うっぷ」

盗賊「ゲロなんて吐くんじゃねぇぞ……」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:10:10.48 ID:9BAaC17w0
戦士「おい、みんなー!」

僧侶「戦士さん。今までどこに?」

戦士「船員たちの話を聞いて回っていた。どうやら何もなければ1時間もしないで目的地に到着らし
い」

盗賊「早いな?」

戦士「できるだけ魔物を避けて通りたいから飛ばしてるそうだ」

僧侶「それにしても、何もなければ、ですか…」

戦士「退治すると言った矢先、そいつが現れてくれないで無事到着っていうのも何だかな」

盗賊「出会わなければ出会わないで悪い事じゃあねぇよ」

戦士「ま、奴と遭遇してもこっちには魔法も使える最強の勇者殿がおられるからな! ね、勇者殿
〜!」ばんっ

戦士は魔王の背中を叩いた!

僧侶「あ、ちょっ!」

魔王「っ!?」

戦士「へ?」



魔王「    」

魔王は―――
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:13:49.73 ID:9BAaC17w0
魔王「戦士、許さん。戦士、焼く……」

盗賊「ばかっ、落ち着け! こんなとこでそんな!」

戦士「うわああああああ!! すみませんすみません!!」

戦士「俺が軽々しく勇者殿に触れなければ…め、面目ねぇ!!」

魔王「ぎゃーぎゃーぎゃー!!」

僧侶「ですけど、吐いて少しは楽になられたんじゃないですか?」

魔王「まだまだ気持ち悪いわ阿呆!! くそっ……」

魔王「……戦士よ、余は貴様のその様な軽々しさが気に食わん」

魔王「覚えておけよ…!」ジロ

戦士「うっ…」

僧侶「勇者殿、そんな言い方は――――」


ドオォーン!!


突如、船に衝撃が走った!

盗賊「な、何だぜ……」

僧侶「まさか…!」

「……あ、あ、現れた…!! 奴だァァァーーー!!!」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:17:11.18 ID:9BAaC17w0
「うわああああああぁぁっ!!? く、く、喰われちまうよぉっ」

「大砲だぁ!! 持ってきやがれ大至急に!!」

「逃げるなら今しかない……ッ」

「バカ! 奴に食われたいのか!?」

戦士「おいっ、出たのか!?」

船長「そうだクソったれめ! ああ、神よ……」

僧侶「み、皆さん落ち着いて!」

「落ち着いてなんかいられるかよぉっ!! 奴を見てみろっ」

僧侶「……!」

盗賊「おい、こいつは……とんでねぇぜ…………」


『オオオオオオオォォォ…オオオオオオオォォォ……』

『グオオオオオオオオオオオオォォォオオオオオォォオオオオオオオオオオオオオオオオ』


戦士「……でけぇや」

大王イカが現れた!!

船長「船員、戦闘準備急げやー!! 奴さんは今日で討ちとるゥゥ!!」

「おおおォォォーーー!!!」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:19:12.69 ID:9BAaC17w0
戦士「お、おい! 俺たちも奴を迎え撃つぞ!」

僧侶「……」

戦士「僧侶ちゃんっ」バチン

戦士は茫然としている僧侶の頬を打った!

僧侶「はっ!?」

戦士「奴を、迎え、撃つ!! いいな、聞こえたな!?」

僧侶「は、はいっ! すぐにっ……」

戦士「盗賊は俺に着いて来い!!」

盗賊「命令するんじゃねぇよ……っ」

僧侶「…そういえば」

僧侶「勇者様! 勇者様どこにいらっしゃいますかぁー!?」

戦士「勇者殿!?」

僧侶「さきほどの船員さんたちの混乱で、はぐれてしまったんです! 勇者様ー!!」

戦士「っ……お、俺が勇者殿を探す!! 君はさきに行け!!」

僧侶「わ、わかりました!」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:26:54.29 ID:9BAaC17w0
ドカン、ドカン…


「だ、ダメだ…大砲が効いてねぇよ……」

「こんな船に乗るんじゃなかった! 死ぬ! 死んじまうよォーーーー!!!」

「あきらめるなよ、お前らぁー!!」

盗賊は投げ槍を持ち、大王イカへ投げつけた!


『オオオオオオオオオオオオオオオォォオオオオオオオオォォォォォ』


盗賊「ビクともしねぇ……! なんて奴だよっ…」

僧侶「盗賊さん!!」

盗賊「僧侶っ! 戦士に勇者はどうしたんだよ!?」

僧侶「戦士さんははぐれた勇者様を探しに行きました! ここは私たちで持ちこたえましょう!」

盗賊「できるといいがな…く、くくっ……」

盗賊(今の俺らのレベルじゃ、あのデカ物を倒せるかどうか…)

僧侶「勇者様……勇者様の魔法でなら、あの頑丈な体に傷をつけられるかもしれません…」

盗賊「……なんだか情けないぜ」

「う、うわあああああああああぁぁぁあああああああーーーー!!?」

船員の1人が巨大な触手に絡められ、海へ連れ去られた!

「うわああ…や、野郎っ」

「怯むなァー!!」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:30:54.01 ID:9BAaC17w0
魔王「う、うぅ……おええぇぇ…」

魔王「ぎもぢわるぅ……」

魔王(急に船の奴らが騒ぎ出すから、船がぐわんぐわん揺れて)

魔王「あううぅぅ……っ」

「…どの、勇者殿ォー!!」

魔王「ん、戦士ィ……?」

戦士「勇者殿! ご無事でしたかッ」

魔王「ある意味無事でないわクソ…」

戦士「船酔いなんてしてる場合じゃないっスよ!! 敵が、敵がいるんです!!」

魔王「そんなのわかっとるわァ…しかし、余は今はパス」

戦士「は!? パスってなんスか!!」

戦士「このままでは、この船もろとも俺たちは沈んじまいますッ!!!」

戦士「一大事……! あなたの力が必要とされているんですっ」

魔王「む、無理だと申しておろうが……! 余は動けんのじゃ……」

戦士「勇者殿ッ!!」

魔王「あァ〜〜〜っ!! さっきから喧しいな! 何なのだ貴様ァ!?」


『ォォォオオオオオォオオオオオオオオオオオ…』


魔王「む?」

大王イカの触手が、魔王を掴んだ!

魔王「うおおおォォーー!?」

戦士「勇者殿ォッーーー!?」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:32:14.33 ID:9BAaC17w0
魔王「な、何じゃコレは! ヌメヌメしてて気色悪いっ」

触手はそのまま魔王を海へ引きずり込もうとしている!

魔王「バカっ! 離せ、離せ! 貴様、[ピーーー]ぞッ!!」

魔王は火炎の呪文を唱え…られなかった!

魔王「…うっぷ、振り回すな……き、気持ち悪い……」

戦士「勇者殿! くっ、俺とした事が!」

戦士は槍を持ち、触手へ向けて次々と投げ放っている!

しかし、槍は命中しない!

戦士(ぐっ…あのデカさであの素早さ……!)

戦士「こうなったら―――!」

戦士は甲板から高く跳び、魔王を掴む触手へ跳び付いた!

魔王「ぬおぅっ!? き、貴様なんだよ!」

戦士「待っていてくださいね! 今、助けるっ……!」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:34:14.72 ID:9BAaC17w0
盗賊「お、おいっ! あいつら何やってやがるんだよ…!」

僧侶「勇者様、戦士さんーーー!?」

盗賊「あのバカが捕まってるのか…チッ、助けないとか言ったが…」

盗賊「援護ぐらいはしておいてやるぜ…!」

盗賊は大砲の1つを魔王たちがいる触手へ向けた!

僧侶「ちょ、ちょっと!? そんな物撃っては2人が…!」

盗賊「四の五の言ってられねェ……!!」

ドカンッ

大砲の弾は見事、触手へ命中した!

戦士「ぐうっ!」

魔王「余、余は目が回ってきた……」

戦士(盗賊の奴、大砲なんてぶち込みやがったのか! 俺たちがいるのに豪快な事してくれるなっ)

戦士「だがよ」

戦士「今、このタイミングがいい。感謝するぜ、盗賊……!」

戦士の攻撃! 会心の一撃!!


『オオオオオオオォォォ…!』


魔王「お、おう? 体の縛りが解かれたぞ…」

戦士「よし! さぁ、勇者殿! すぐに船の上へ――――――」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:35:30.87 ID:9BAaC17w0
別の触手が魔王たち向かって振り下ろされる!

戦士は、魔王を触手から救いあげて甲板へ投げた!

魔王「なっ……?」

戦士「……」

戦士「すみません、勇者殿」

大王イカの攻撃!!

戦士は海へ叩きつけられ、底へ沈んだ!

盗賊「戦士っ……!!」

僧侶「あ、ああああ……」

僧侶「嫌ああああぁあああああああぁぁぁぁっっっ!!!」

魔王「……!」


『オオオオオオオォォォ…』


『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ』
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:36:21.73 ID:9BAaC17w0
今日はこの辺で
日曜日か月曜に続き投下予定
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 01:42:32.17 ID:KTGV8jS80
ちょwwww
戦士いいいいいいいいいいいいいいい
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/26(土) 09:18:09.74 ID:mtD1SmgDO
おつおつ
いいとこで切りやがる
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:17:51.54 ID:mP/jRH000
ザーザー・・・


戦士(波の音がする)

戦士(そうか、俺は死んでしまったのか)

戦士(魔王を討つ事もできず、無念だな)

戦士(しかし…勇者殿を助ける事ができた。それでくたばっちまうのも)

戦士「悪くは……げほっ、おえっ」

戦士「…う、げっ」

戦士「……体中が…痛ぇ…」

ざっざっざっ

戦士「……い、生きてやがるじゃないか…う、へへへ……」

「あのぅ」

戦士「あ……?」

「大丈夫、ですか?」

戦士「……見ての通りさ。ボロボロ」

戦士「お嬢ちゃん、ここは」

少女「漁村、です」
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:19:37.67 ID:mP/jRH000
民家


戦士「ぅっつ…すまないなぁ」

おばさん「ああ、ああ、いいんだよ。気にする事ないさ」

おばさん「あんたは運が良かったねぇ。あの化物に襲われて生きてるだって?」

おばさん「それでこんな村へ流れ着く事ができたんだ。本当にツイてる」

戦士「だろうな、へへ」

戦士「ところでよぅ、さっきの女の子は?」

おばさん「あの子かぃ? あの子はあんたを私に預けた後どっか行っちまったよ」

戦士「そうか。礼の1つは言いたかったんだが」

おばさん「すぐに会えるさ。あの子はこの村の者だし」

おばさん「家を教えようか?」

戦士「いや、教えてもらってもまだ動けるような体力がないんで」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:21:14.47 ID:mP/jRH000
戦士「……ふぅ」

戦士(勇者殿たちは無事だろうか。いや、きっと無用な心配かな)

戦士(あの人なら、あんな魔物如き一捻りで倒すだろうし)

戦士「きっと、今頃は向こうの大陸へ渡っちまってる頃だろうよ…はぁ」

戦士「寂しい」

少女「寂しい、ですか」

戦士「ぶっ!?」

戦士「お、お前っ…!」

少女「あ…ごめん、なさい、驚かせ、ちゃって」

少女「寂しい、なら、私がいます」

戦士「話相手でもしてくれるってかぃ? さっきといい、君には助けられてばかりだな! はっはっはっ!」

戦士「ぅおえっ…」

少女「無理しちゃ、ダメ、です…!」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:22:59.12 ID:mP/jRH000
戦士「へぇ、昔から君はこの村に」

少女「はい」

少女「あ…お水、飲みますか」

戦士「汲んでくれるのか? ふふ、ありがたい」

少女「頑張って、いれます」

チョロチョロチョロ…

戦士(この子、さっきから動きがぎこちないというか)

少女「」ふらふら

戦士「お、おい…大丈夫か?」

少女「だいじょ……ああっ!」

少女は水を戦士にかけてしまった。

戦士「!」

少女「ご、ごめんなさい! ごめんなさいっ!!」

少女「打たないで、打たないで、くださいっ、うあああ…!!」

戦士「お、恩人にそんな無礼な事しない! 大丈夫だ、大丈夫…」

戦士「……まさか、君は目があまり良く見えていないんじゃないか?」

少女「……」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:24:52.89 ID:mP/jRH000
少女「生まれた、とき、からの病気、です」

少女「でも…ちょっとは、見えるから」

戦士「そうか。難儀するな…」

少女「大丈夫」

少女「でも、お母さんもお姉ちゃんも、私の事が、嫌いです」

少女「私、どんくさいですし、何をするにも、みんなより、遅いし」

戦士「遅れてでもいいんだ、ゆっくりで。大事なのはやる気なんだしな!」

戦士「それに君は心が強い。それはとっても立派な事だ」

なでなで

少女「あなたの手、お父さんの手と、よく似ています」

少女「大きくて、ゴツゴツしてて、それで…えっと、えっと」

戦士「何だ?」

少女「とっても、あったかいんです。ふふふっ…」

少女「……」

少女「あの、その…」

戦士「ん? どうしたよ、何かあるなら俺に言ってみろ」

少女「私と、友達に…なって……」

少女「あ、あうっ……」

戦士「友達?」
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:25:54.66 ID:mP/jRH000
少女「私、こんなだから、友達があまり、いないです」

少女「だから、こんなにお喋りするのは、久しぶりで…!」

戦士「嬉しいのか」

少女「は、はいっ! …戦士さんは嫌、ですか?」

戦士「そんなことない。俺は君が好きだよ」

少女「……」

戦士「あ…ち、違うっ!! アレな意味で好きとかじゃないからな!?」

少女「友達、として?」

戦士「そうだ!」

少女「わあぁ……!」

少女「う、嬉しいですっ! とっても、とっても!」

戦士「そうか! 俺もとっても嬉しいぞ! 友達だ、友達!」

少女「友達! 友達、です!」キャッキャ

戦士(なんて嬉しそうだよ。笑顔が輝いて見えるぐらいだ)
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:28:11.01 ID:mP/jRH000
戦士「でも、俺なんか強面が君の友達なんて務まるかねぇ」

少女「戦士さんは、優しいから、大丈夫! 大事なのは、心の強さ、でしょう?」

戦士「わかってるなぁ。うんうん!」

戦士「ところで他の友達は? 君も俺とばかり遊んでいるわけにもいかないんじゃ」

少女「もう1人の、子は、まだ帰って来て、ないです」

戦士「もう1人?」

少女「私の友達は、その子と戦士さん、だけ」

少女「2人です」

戦士「へぇ……そうだ、俺の体の調子が良くなったらその子を紹介してくれよ」

戦士「それで3人で一緒に遊ぼう。どうだ、ナイスアイディアだろ!」

少女「は、はい…!!」

少女「私、楽しみ、です! だから、戦士さんが早く元気になって、くれるように、応援します!」

戦士「おう! じゃあ、今日はもう日が暮れちまうし、家に帰りな」

少女「……おウチ、あんまり好きじゃ、ないです」

戦士「ああ……」

戦士(家の人にあまりよく思われていないんだっけな…)
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:30:02.87 ID:mP/jRH000
戦士「それでは、こうしよう」

戦士「君は家に帰る。その代わり!」

少女「え?」

戦士「明日から毎日俺を尋ねに来てくれよ。それで、お喋りでもして遊ぼう」

戦士「俺の冒険話を聞かせてやる! きっと、面白いぞ!」

戦士「……だ、ダメか?」

少女「そ、そんなこと! そんなこと、ないです!」

少女「私、とっても、楽しみです! お話、いっぱい聞きたい!」

戦士「お、おおぉ…!」

少女「だから今日は、残念だけど、おウチに、帰ります」

少女「……ま、また明日!」

少女は大きく手を振って、民家を出た。

戦士「偉いな……」

おばさん「私の家だという事を忘れていないかい」

戦士「え、あっ!? いや、すまない……」

おばさん「フフン、構わないよ。それに」

おばさん「あの子の事、気にかけてくれてどうも」

戦士「そんな。だってよ、もうあの子と俺は友達っスからね!」
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:31:55.79 ID:mP/jRH000
数日後


戦士「う、おー…! もう体の調子もいい…!」

おばさん「本当、治りが早いもんだね。驚いちまったさ」

おばさん「これが若さかねぇ…」

戦士「なになに、あんたもまだ現役だろう。うははは!」

おばさん「惚れちまうよ?」

戦士「断るッ」

とことことこ…

少女「戦士、さん!」

戦士「おお、今日も来たなー! ほれ、見てみろよ! もうこんなにピンピンだ!」

少女「元気に、なれたんですねっ。おめでとう!」

おばさん「あんた、感謝しなよ。傷の治りが早かったのもきっとこの子のおかげさ」

少女「そ、そんな」

戦士「いや…きっとそうなんだろうな。ありがとよ、少女」

なでなで

少女「あっ……」

少女「…えへへ」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:33:43.59 ID:mP/jRH000
少女「こっち、こっち、です!」

戦士「おいおい、そんなに焦るなって!」

戦士は少女に手を引かれ、村外れの海岸へ向かっている。

戦士(友達に会わせるって、言われたはいいが)

戦士(どうして村の離れに進んで行っているんだ? この子は)

少女「昨日、久しぶりに、戻ってきたんですよ!」

戦士「その友達は旅人か何か?」

少女「違い、ます。海に住んで、いるんです」

戦士「……?」

少女「3年前に、私たちは、あの場所で出会いました」

少女「私の、大切な、大切な、お友達…」

少女「あ、でも、戦士さんも、大切、です!」

戦士「あ、ああ」

少女「さぁ、もうすぐ、その場所に、着きますよ」

少女「えっと、大きいから、ビックリとか、しないでくださいね……?」

戦士(大きい?)
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:35:15.93 ID:mP/jRH000
戦士「……ここが、友達がいる場所なのか?」

少女「はい。あ、ちょっと待って……ここにお魚を落とすと」

少女は海へ魚を落とした

少女「出てきますから」

戦士「は……?」


チャプン…ザバァ…


戦士「っ――――!!?」

海面から見覚えのある大きな触手が伸びてきた!

少女「これは、友達の、手」

戦士「やめろッ!! そこから離れるんだ!!」

少女「え……?」

触手の他に、大きな頭が露わになった!


大王イカが現れた!!
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:38:03.64 ID:mP/jRH000
少女「あ、のっ…!」

少女「どうして、剣を、取るんですかっ」

戦士「…頼むからそこを退いていてくれ。そいつは」

戦士「そいつは魔物だ……!」

少女「ち、違う! 私の友達、です!」

少女「だから傷つけ、ないで…! この子は、何も、しません……!!」

戦士「そんなわけあるかっ! そいつは何人もの犠牲を出した化物だ!」

戦士(今ここで、今ここで俺が討たなければ……)


『ォォオオオオォオオオオオ…』


少女「この子も、怖がってる……や、やめて…」

少女「…大丈夫。大丈夫よ、この人は、私の友達、だから、あなたを傷つけない、わ」

少女は大王イカから離れようとしない。

戦士「……そんな」

戦士(魔物が人に懐いている…? そんなバカな話があるか!?)

戦士「……う、あ…」

戦士は戦意を喪失し、剣を収めた。

少女「あっ」

戦士「……わかった。何もしないよ」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:40:17.86 ID:mP/jRH000
『オォオオォォォォォ』


少女「この子の事は、小さい頃から、知っています」

戦士「確か3年前と言っていたな。…まさか、君がこいつをここまで大きくしたのか」

少女「ご飯は、私があげて、ました」

少女「……この子、私と同じで、一人ぼっち、だったんです」

少女「おかしいですか、人じゃない、友達は」

戦士「……」

戦士(何も言う事ができない自分が情けない)

戦士「さっきも言ったがよ、こいつは実際に多くの人を食っている化物だ」

戦士「本当は、君も知っていたんじゃないか?」

少女「……」

少女「……ごめん、なさい」


『ォオオォオオォォオオオオ』


少女「それでも、この子の事を、見放すなんて、できなかったから」

少女「だって、私の、生まれて初めての、最初の、友達だから」

戦士「…そ、そうか」
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:44:23.14 ID:mP/jRH000
少女「昔は、お魚をあげれば、いいだけ、だったんです」

少女「でも、大きくなっていくと、お肉も、欲しがるように、なって」

少女「それが…人だなんて、思いもしません、でした」

戦士(だろうな)

少女「……」

戦士(今は大人しい。だが、やっぱりこいつを見逃すわけにはいかない)

戦士(しかし、俺はこの子のためにどうしてやればいいんだろう)

少女「…ころしちゃうん、ですか」

戦士「え!?」

少女「この子は、人を襲って、食べちゃうから」

少女「人にあまり、よくないから、魔物だから」

少女「ころし、ちゃうんですか」

戦士「そ、それは……」

少女「この子だって、悪気あって、そんなことしてるんじゃ、ないです」

少女「ただ、お腹が空いてただけ、そうでしょう?」


『オオオオオオォォオオオオオォォオ』


少女「私たちも、お腹が空いたら、ご飯を食べます」

少女「同じ、です」

戦士「う、っぐぅ……!」
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:45:49.35 ID:mP/jRH000
戦士「……そいつに、約束させてくれ」

戦士「しばらくは俺たち2人で、お前にエサをくれる」

戦士「だから、人を襲うなって」

少女「……はい」

少女「あのね、私のお友達が…〜〜〜〜〜」


『オオォ、オオオオォォォ』


戦士(マジで魔物と意思疎通ができてるように見える…)

戦士(時間稼ぎはできそうだとはいえ、俺はこいつをどうするか、だ)


・・・


戦士「……」

おばさん「あんた、さっきから何ボーっとしてるんだい?」

戦士「え? あ、そうだな……ああ」

戦士「何日も世話になってしまって、申し訳ない。飯まで出してもらえるなんて」

おばさん「いいさ。どうせ、あたしゃ1人身の暇人だしね」

戦士「そうか……あ、あのよぉ」

おばさん「は?」

戦士「どうして、俺たちは魔物を倒すんだろうなー…って」

おばさん「はぁ?」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:49:17.53 ID:mP/jRH000
おばさん「そりゃあ、あんた。放って置いたらこっちが奴らにやられちまうからだろう?」

おばさん「それに魔物は農作物も畑も荒すし、家だって壊す。いい事なしさ」

おばさん「どこぞには魔物を飼い慣らすような奴もいるって聞くけど」

おばさん「それはほんの一握り。だから、倒すしかない」

戦士「…だよなぁ」

おばさん「何もしないってのなら後は奴らの思うがまま、ぐちゃぐちゃの世界になっちまうよ」

戦士「魔物と人は相いれないか」

戦士「何でだろうなぁ」

おばさん「何で急にそんな事…まさか、変な事考えちゃいないだろうね」

戦士「い、いや…ただ聞いただけ…!」

おばさん「戦士のあんたがそんなこと考えるだなんて、余も末だね」

おばさん「魔物への情なんて捨てちまってるもんかと」

戦士「捨てたと思ってたさ…」

戦士「少し、外で風に当たってくる」

おばさん「へ? あいよ」

戦士は民家を出た。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:51:14.48 ID:mP/jRH000
戦士「ふぅ、勇者殿。勇者殿ならこんなときどうするんスかねぇ」

戦士「俺、体しか鍛えてなかったバカだから…何もわからねぇや」

戦士(人には人の世界があって、魔物には魔物の世界がある)

戦士「きっと、俺らは互いにこの世界にいちゃダメなんだろうよ。別々の場所で暮らせばいいんだ」

戦士「そんなの夢のまた夢の話だけど…は、ははは」

戦士「はぁ…」


ずり、ずりずり……


何かが地面を引きずる音が辺りに響いている。

戦士(…何の音だ?)

戦士「!」

少女「よいしょ、よいしょ…」ずりずり

なんと、少女が大きな袋を引きずっていた。

戦士「おい、何してるんだ?」

少女「!!」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:55:20.44 ID:mP/jRH000
少女「せ、戦士さん」

戦士「その大きな袋は?」

少女「あの子の、ご飯、です」

戦士「血の匂い……」

戦士(袋から血が染みてる。生肉でも詰めてあるのか? いや、それより)

戦士「おいおい、エサは2人であげる約束だったろ?」

少女「でも、戦士さんに、迷惑掛けられないから」

戦士「そんなに重たそうな物を1人で…よし、俺が運ぶ」

少女「! い、いいですっ」

少女「私が、これを、運びます。戦士さんは、何もしなくて、いい!」

戦士「そんなこと言わずに……」

少女「いいからっっ!!」

戦士「!」

少女「…あっ、ご、ごめん、なさ……」

少女「……ご飯は、私の手であげなきゃ、きっとあの子は、食べて、くれません」

少女「だから、私1人で、いいんです。ごめん、なさい」


ずりずりずり…


戦士「あ……」

戦士「帰るか。面目ねぇなぁ」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 21:57:41.68 ID:mP/jRH000
次の日の夜 外


ずりずり、ずり


戦士「また?」

少女「よいしょ、よいしょ…」

戦士「よぉ」

少女「きゃっ!」

少女「…せ、戦士さん」

戦士「また血の匂い…それは今日のエサか?」

少女「は、はい」

少女「お手伝いは、いらない、です」

戦士「わかったよ…だけど、着いて行くぐらいならいいだろ?」

少女「それは……だ、ダメ」

戦士「どうして? エサは君がやってくれて構わないんだ。俺は見ているだけ」

戦士「それでも?」

少女「」コクリ

戦士(まいったなぁ)

少女「では、私はこれで……」

戦士「俺たち友達だろ…」

少女「そ、そうです…けど……これは、ダメ」

少女は行ってしまった。
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:02:28.98 ID:mP/jRH000
戦士(なんて)

戦士(そこまで拒否されちゃあ、気になってしょうがないだろう)

戦士はこっそり少女に着いてきていた!

戦士(こっちの方向、やはりあの大王イカの所へか)

戦士(いつまでもこうしているわけにもいかないと言うのによぉ)


ずりずり、ばさっ


少女「ご飯、持ってきたよ」

チャポン…


『ォォォォォオオオオォ!!』


戦士「!」

少女「暴れちゃ、ダメ!」

少女「すぐに、あげるから…ね」

少女は大きな袋から肉片を取り出した。

少女「今日も、食べやすいように、小さく切ったんだよ」

少女「固くて、大変だったけど」

戦士「……?」
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:05:41.16 ID:mP/jRH000
戦士「お、おいっ」

少女「!?」


『グオオオオオオオオオオオオオォォオオオオオオオオオ』


少女「だ、大丈夫、だから! この人は、私のお友達!」

戦士「……そいつ、興奮しているな」

少女「…きっと、早くご飯が食べたいから。それより、戦士さん。どうして」

戦士「君が気になって後をつけさせてもらった……」

少女「……私が、信じられなかった、ですか?」

戦士「そういうわけじゃ……だけどよ」

戦士「その袋の中身の肉、どこから調達したんだ?」

少女「……売っていたのを、買いました」

戦士「この量を子どもの君が買えるわけない。それに」

戦士「それは普通の肉じゃ、ないよな?」

少女「!」

少女「……」

戦士「おい、君は…」

少女「昨日は、お姉ちゃんを、この子に、食べさせて、あげました」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:07:59.25 ID:mP/jRH000
戦士「は……!?」

少女「今日は、お母さんを」

少女「いつの日かは、お父さんを、食べさせて、あげました」

戦士「何を言ってるんだよ…お、おい…」

少女「お父さん、食べちゃったら、この子は、お肉しか、食べなくなっちゃいました…」

少女「お魚なんかじゃ、満足、してくれなく、なっちゃいました」

戦士「……家族を殺したのか」

少女「お父さんは、私が、殺して、ないです」

少女「……お父さん、死んじゃったけど、この子に、食べてもらったら」

少女「なんだか、お父さんが、この子の中で生きてて、くれてるみたいに、なるかなって」

少女「でも、違いました。全然、そんなこと、なかったです」

戦士「……」

少女「それに、お父さんいなくなっちゃったら、お母さんとお姉ちゃんが、私を打つんです」

少女「いっぱい、痛かった、いっぱい、苦しかった。だから、つい」

戦士「だからって殺していいなんて事は無い」

少女「……戦士さん、泣いて、いるんですか? ど、どうして…」

少女「どこか、痛いんです、か…!?」

戦士「……ああ」
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:09:43.04 ID:mP/jRH000
戦士は少女を抱きしめた。

少女「わっ、い、痛いですよ…戦士、さん」

戦士「ああ、そうだよな…痛かったよな、そうだよな…」

戦士「ごめん、ごめんなぁっ…!」

少女「どうして、謝るんですか?」

戦士「う、ううっ…ううっ…!」


『オオオオオオオオオオォォオオオオオオオオオォオオオオオオオ』


『グオオオオオオオオオオオォォオオォオオオォォォオオオ!』


戦士(奴の様子が……!)

少女「だ、ダメ! 落ち着いて、ね!」


『ゴゴゴグォオオオオオオオオオオオォォオオオオオオ!!』


戦士「ダメだ!! もうこいつに近づいちゃ…」

漁師「お、おい!!」

戦士「え!?」

漁師「お前ら、そこで何してんだ…そ、それより!!」

漁師「そこの化物は何なんだよォー!!?」

「おい、どうした!」「何かあったのか!?」「魔物の声がしたぞっ」

大王イカは海の中へ潜り、姿を消した。

少女「あ、あ……!」

戦士「……ぐっ」
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:15:02.96 ID:mP/jRH000
牢屋


戦士「……おい、聞こえるか」

少女「は、はい」

戦士「同じ牢に入れてくれてもいいのにな。ケチな奴らめ」

少女「…ここ、冷たくて、寒くて、1人、嫌です」

少女「でも、おウチにも帰りたく、ないです」

戦士「……」

戦士たちの牢へ多くの村人が近づいてきた。

村長「…お前たちは大変な事をしてくれたな」

村長「海を荒しているあの化物を隠れて……許せん」

少女「戦士さんは、なにも、して」

戦士「いいんだ。それで、俺たちはどうなる?」

村人「決まってるだろ! お前たちは死刑だー!」

「死刑!死刑!死刑!死刑!死刑!死刑!」

「魔物を匿っていたなんて、お前たちは魔物の仲間か!?」「正気じゃねぇ!」

村長「…して、あの場にあった物を調べさせてもらったが、あれはお前の母だな」

少女「……」

村人「血の繋がりがある親を殺して、魔物に食わせる気だったんだ…」

「悪魔、悪魔の子だ…」「魔物なんじゃないか…」

戦士「す、好き勝手言ってるんじゃねぇ!!」

村長「黙れッ!!」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:17:52.30 ID:mP/jRH000
村長「例の魔物は見つけ次第、[ピーーー]。そして」

村長「お前たちも[ピーーー]。明日は少女、明後日にはお前…」

少女「う、うぅっ…!」

戦士「こ、この子だけは見逃せ! やったのは俺だけだ! だから!」

村長「ダメだ、許さん。我々は絶対に貴様らを許さない」

村長「では、その時まで…無駄だとは思うが、その中で反省でもしていろ」

村人たちは去っていった。

少女「い、いや、ですっ…死にたく、ない、です…」

戦士「……」

少女「ああ、お父さん! お父さん……私、ここに、いるよ」

少女「迎えに、きて……」

戦士「……な、なぁ」

少女「……え、えへっ」

少女「えへへへへ、えへへへへ…!」

少女「ケタケタケタ」

少女は不気味に笑いだした。

戦士「う、うぐぅ……!」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:23:14.95 ID:mP/jRH000
次の日


少女「ねぇ、戦士さん」

戦士「何だ?」

少女「私、目が不自由でも、とろくても、この事を一度も、後悔したこと、ないです」

少女「幸せかどうか、聞かれちゃったら、うんって、言える自信、ないけど」

少女「でも、後悔、ないです」

戦士「そうか、よかった……のかわからないや」

戦士「俺も、俺が今までしてきた事に後悔…あ、ありまくりだな…うはは」

少女「くすっ、おかしい」

少女「いつか、いい事が起きないか、起きないかって、ずっと待ってる日々、でした」

少女「そしたら戦士さんっていう、友達が、できました。すごい、嬉しかった、です」

少女「だから…満足、です」

戦士「……そんな事言うなよ」

戦士「君にとって、まだまだ楽しい事がこの先待ってる! だから、もうこれでいいだなんて言う
な!」

村人「おい、もういいだろう。時間だぞ」

戦士「ダメだ、行くなよっ……!」

少女は首を横に振った。

少女「さようなら、戦士さん」

少女「あなたと、出会えて、本当に、よかった、です」

村人「よし、行くぞ」

戦士(なんでだよっ……なんでだよっ……!)

戦士「嫌だ、行かないでくれ…やめてくれっ……」
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:25:17.77 ID:mP/jRH000
次の日


戦士「……」

戦士「俺は、どうしてあの時に死ななかったんだろう」

戦士「あの子と出会う為だったのかな…そうかな…」

戦士「そうだったんだろうな」

村人「おい、さっさと出ろ」

戦士「何だよ…もう少し、ゆっくりさせろよ。いいだろ、最後なんだぜ」

村人「さっさと出なきゃ、ここの奴らに見つかっちまうぜ……」

戦士「……え?」

村人は服を脱いだ。

なんと、村人は盗賊だった!

戦士「お、お前!」

盗賊「変装も特技の1つなんだよ。ほら、早く出な」

戦士「ああ……」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:28:58.80 ID:mP/jRH000
戦士「おい、どうして俺がこの村にいるって」

盗賊「本当、探したぜ。俺たち3人でてめぇの事を探しまわったんだよ」

盗賊「まさかこんな所だとは思わなかったがなぁ……」

戦士「死んでるとは思わなかったのか?」

盗賊「…勇者のバカが戦士は必ず生きている、あれで死ぬ弾じゃないってよ」

盗賊「珍しく、人の心配なんかしてたぞアイツ…気色悪い……」

戦士「勇者殿……」

盗賊「僧侶もすごく心配してたぜ。さっさと顔見せてやりな…」

戦士「……そういえば、あの後、俺が奴にやられた後はお前たちどうしたんだよ」

盗賊「勇者の野郎1人であのデカイカを追っ払いやがったんだよ。仕留め損ねてご機嫌斜めだった
ぜ」

盗賊「その後は港にまた戻ってよ、てめぇを探す為だからな。感謝しろ肉ダルマ…くくっ」

戦士「あ、ああ…」
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:32:28.84 ID:mP/jRH000
盗賊「とにかく、早くこの村を出るぞ。見られちゃ困るんだよ」

戦士「……なぁ」

戦士は立ち止った。

戦士「俺は、この村を出ていいのか」

盗賊「はぁ?」

戦士「あの子に、申し訳がつかん」

盗賊「何のことやらさっぱりだが、他人は他人」

盗賊「てめぇはてめぇだぜ……余計な事考えるんじゃねぇ」

戦士「……」

盗賊「おい、マジでてめぇらしくねぇぜ……く、くく」

戦士(あの子は、どうなったんだ。やはり殺されたか?)

戦士「やっぱり、ちょっと待ってくれよ」

盗賊「おいっ!?」

戦士「お前は村の外で待っていてくれ。いや、やっぱりみんなと港で待ってろ」

盗賊「は?」

盗賊「……何する気だ、てめぇ?」

戦士「戻ったらきっと話す」

盗賊「……用事はとっとと済ませろよ、くそったれ」

戦士「おう」
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:35:20.57 ID:mP/jRH000
「脱獄だー!」「男が牢にいないぞっ」「探しだせー!!」


村人「直前になって逃げるとは…あの男、許せませんね」

村長「まだそう遠い所にはおるまい。すぐに見つけ出す!」

戦士「いや、その必要はない」

「!?」

村人「貴様っ、何を企んでやがる!」

村長「わざわざ自分から出てくるとな、死ぬ気になれたか」

戦士「何も企んじゃないないし、死ぬ気もねぇよ」

戦士「おい、あの子は…どうした?」

戦士「殺したのか」

村長「ああ」

村長「死体ならもう処分した。残念だが、もう見せられないな」

戦士「っぐう……!!」

村人「な、なんだ……あの娘の敵討ちでもするつもりか? あ!?」

戦士「いや……違う…」

村長「では何だと言うのだ」

戦士「俺に、あの魔物を討たせてくれ」

村人「は?」

戦士「俺がかならず、奴を仕留める。約束しよう」
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:37:38.16 ID:mP/jRH000
村人「村長! 騙されちゃいけない。こいつ、こんな調子のいい事言っておいて逃げる気だ」

村長「……いや、だったら我々の前に姿を現す事は無かったろう」

村長「そうだな?」

戦士「ああ…!」

戦士「あの子のためにも、俺が必ず奴を討たなければならん。絶対に」

村長「おい、信じていいのか」

戦士「これでも腕には自信がある」

村人「1人でなんて信用なんねぇ…」

戦士「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!」

戦士「俺は戦士だッ!!! 戦士の名は伊達ではない! 武人としての意地!」

戦士「亡き友に誓い、俺は奴を討つ!!!」

村人「……う、うぅっ」

戦士「信じてくれ」

村長「…必要な物があるなら勝手に持って行け。そして」

村長「もう二度とこの村へは踏み入るな。いいな」

戦士「ああ」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:38:23.77 ID:mP/jRH000
すたすたすた


戦士「……ふぅ」

戦士(奴がまだこの場所に潜伏してくれているのを祈ろう)

戦士(悪いな、少女。君の大切な場所を血に染める事になりそうだ!)

戦士は生肉を海へ投げた!


『……ォォォオオオオオオオオオ』


戦士(お前、待っていてくれたのか…)

戦士「よォ、いきなりで悪いがなー!」

戦士「お前やっぱり[ピーーー]わー!!」


『グオオオオオオオオオオオォォオオオオオオォォォオオオオオオオオオオオ』


大王イカが現れた!!

戦士「お前はよ、悪くはない。悪いのは俺ら人間だったのかもしれんな」

戦士「って、俺は考えた」

戦士「けどな…結局何もわかんなかった。俺、バカだからさ!」

戦士「魔物を倒すしか結局脳がなかったんだ! 悪いな!」

戦士「もうてめぇに言う事は何もねぇ、聞いてくれてありがとう……」

戦士「……」


『オオオオオオオオオォォオオオオオォオオオオオオオオオオ!!』


戦士「よし、心置きなく[ピーーー]ッ!!」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:39:23.27 ID:mP/jRH000
大王イカの攻撃!

大王イカの多数の触手が戦士向かって叩きつけられる!

戦士「危ないっ」

戦士は攻撃をかわした!

すかさず、戦士は大槍の1つを持ち、触手へ突き刺した!


『オオオオオオオオ!?』


戦士「ふ、ふぅ……!」

戦士(ようやくてめぇの悲鳴が聞けた気がするぜ)

さらに触手たちへ大槍を突き刺してゆく!

大王イカは悶え始めた!

戦士「マジで、陸と海じゃ戦いの勝手が違うな。実感できた」

戦士は悶える大王イカを前に、大槍を構えた!

戦士「あの子とあの世で仲良くな!!」

戦士は大槍を投げた!

大槍は大王イカの顔へ刺さった!


『グォォォォォ……――――――』


大王イカを倒した!

戦士「…う、う、う……」

戦士「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォォォッッッ!!!」

戦士「俺はやった、俺はやったぞ!! 畜生っ、何も嬉しくねぇ! くそっ、くそっ、くそぉっ……
ぐぅぅ……っ…!」

戦士「正義って何だよ…わかんねぇよ…」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:43:43.79 ID:mP/jRH000



僧侶「……何をしているんでしょうか、あの人」

魔王「おう、僧侶よ。心配しておるのか? え?」

僧侶「当たり前ですっ! でも…生きている事がわかって本当に安心しました」

魔王「ふふーん、余は全然心配ではない。奴なんぞどうでもいいわ!」

盗賊「素直じゃねぇ……」

魔王「ていうか、盗賊よ。アイツまだかよ、遅くない?」

盗賊「やることがあるんだと……」

盗賊「…くくっ、おい…ようやくお出ましの様だぜ……」

戦士「」よろよろ

僧侶「せ、戦士さんっ!! あぁっ…!!」

魔王「あァん!?」

戦士「みんな……!」
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:44:22.66 ID:mP/jRH000
戦士「心配掛けて、すまない」

魔王「本当だよこのクソバカッ!!」

僧侶「あら? 心配じゃないって言ってませんでした? 勇者様」

魔王「そうだ、心配した覚えはない!」

僧侶「うふふっ、言ってる事矛盾してます」

戦士「ゆ、勇者殿ぉ……」

戦士「俺なんかの為に……あなたって人は…」

魔王「ふんっ、貴様はどこまでも余に着いてくるのであろうが」

魔王「…約束はちゃんと守れよ阿呆」

戦士「……はいっ!」

盗賊「それじゃあ、そろそろ出発しようぜ…時間が惜しい」

魔王「いや、今日はダメ」

盗賊「は!?」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:48:05.10 ID:mP/jRH000
盗賊「散々こいつ待っといて今日はダメだと! ふざけろっ」

魔王「そんなノリじゃないであろうが」

魔王「おう、貴様ら。今日は飲もうぞ」

僧侶「はいっ、賛成!」

盗賊「ええぇ……僧侶まで…お、おいおい…」

戦士「まぁ、勇者殿がそう仰るなら仕方がないだろ! 観念しとけって」

僧侶「では、酒場へ出発ですね! おー!」

魔王「なんか僧侶がテンション高くてキモい…」

戦士「……」

盗賊「おい、どうした」

戦士「いやぁ、別に」

戦士「仲間(友達)っていいなって…」

盗賊「はぁ? キモいぜお前…」

戦士「うるせぇバカ」

盗賊「……お、おい…泣いてんのかよ…?」

戦士「汗だ、汗!!」

盗賊「ベタな…っ」

戦士(あの子の分まで、俺は生きていこう。それがあの子を救えなかった俺への戒めだ)

魔王「置いて行くぞ貴様らー」

戦士「待ってください、勇者殿ー!」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 22:50:48.58 ID:mP/jRH000
以上
一番長く書いた話かもしれん
なんか今回はらしからぬ話なっちゃったなと。楽しんでみてもらえれば幸いです


明日投下予定あり
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福島県) [sagesaga]:2011/11/28(月) 23:09:04.70 ID:Pg5Fg1gPo


ちょっと気になったんだけど
死ね→[ピーーー]ぐらいだったらいいけど
魔力→魔翌力とかになると萎えるから、そうなる前に
saga(サガ)ってメール欄に入れといてほしいかな
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage]:2011/11/28(月) 23:10:59.32 ID:+2qy3dGzo
少女・・・
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 23:38:01.09 ID:B+/5/3RX0
乙っス
気分が沈んだ・・・
少女が悪いともなんともいえんが

戦士は人間味あっていいキャラだなおい
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/28(月) 23:41:29.89 ID:mP/jRH000
>>238
おk
申し訳ない
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/29(火) 01:09:53.98 ID:EqoVt/5ao
人間が力を持ちすぎた現代なら野生動物の保護とかもなりたつけど
魔物と拮抗してる世界では人間も自然の一部って感じがするな
だからこそ必要な時には躊躇いなく狩るし刈られる

乙です
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 22:23:51.50 ID:LLCDnJ+10
船の上


僧侶「う゛ぇえええ〜……」

戦士「おいおい、大丈夫かぁ?」

僧侶「ぎもぢわるぅ……」

戦士「次の日は船に乗るんだから、あまり飛ばして飲むなっていったろー」

僧侶「ずびばぜっ……うぐぅ」

盗賊「……」

魔王「ゲロ吐いてる僧侶にも欲情かよ貴様」

盗賊「ああァ!? さすがにねぇよ……」

盗賊(あそこで俺が)




僧侶「わ、私…もうダメ……」

盗賊「大丈夫か、僧侶。さぁ、薬だ。飲むと良くなるぜ…」

僧侶「」キュルルルリン!

僧侶(ああ、なんて、なんて優しくてカッコいい人なの…イッツァ ソークール!)

僧侶は盗賊にベタ惚れだ!

僧侶「抱いて!」

盗賊「くっくっく……」




盗賊「なんて事も…こんな事も…」

魔王「えー?」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 22:26:26.75 ID:LLCDnJ+10



僧侶「よ、ようやく着きましたねぇ…うぇ、うぇへへ…」

戦士「大丈夫かよぅ。宿に入るか?」

魔王「時間が惜しいぞ、すぐに出発!」

僧侶「鬼よ…」

魔王「失礼な」

盗賊「おい、勇者…仲間の体調を管理するのもあんたの仕事だぜ」

魔王「自己管理もできん奴に余が関与する必要があるかよ。まったくもう」

戦士「あ、そうだ」

戦士「途中、砂漠を通る必要があるので、ここで少し道具を整えた方がいいかと」

魔王「砂漠?」

戦士「ええ。砂漠を舐めたらヤバいっスよー」

盗賊「水も重要になるぜ」

魔王「えー…面倒であるから、貴様らにその辺の支度は任せる」

僧侶「私、そこの隅っこで小さくなってます…」

魔王「貴様も働こうぞ」ぐいっ

僧侶「うあー…」
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 22:27:56.06 ID:LLCDnJ+10
魔王「それにしてもよ」

魔王「大陸1つ越えるだけで、なんだか冒険って感じであるな!」←1人待機中

魔王「勇者ばかりこの様なワクワクを堪能できるとか、魔王不遇である」

魔王「魔王は薄暗い城の中で奴らを待っているだけぞ! ああ、魔王可哀想」

「ちょいと、そこの人や」

魔王「さぁ、余の打倒・魔王討伐の旅は始まったばかりであるぞー! くっくっくー!」

「そこの人」

魔王「もう今からこの胸の高まりが抑えられんなっ」

「おい」

魔王「何じゃい」

「気づいていたなら一回でお願いします…」

占師「わしはこの辺で占いを生業にしている者。それでの」

占師「わしはあなた様が気になっておるのじゃ」

魔王「え、惚れたとか言うまいな…」

占師「……」

占師「いえ、是非一度占わせていただきたいと」

魔王「ほっ」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 22:29:23.23 ID:LLCDnJ+10
占師「そこの店で待ってますので、どうぞお仲間さんたちと共に」

魔王「余に連れがおると何故わかった」

占師「……占師ですからねぇ」

占師「それでは」

占師は去っていった。

魔王「気味悪い婆あであった…」

戦士「勇者殿ー! だいたいの用意はできましたよー!」

魔王「ん、ご苦労」

戦士「…さっきの人、なんスか? 勇者殿に話しかけてましたよね」

魔王「占い好きの婆あだそうだ。後で店を訪れるがよいと」

戦士「占い……ああ、もしかして!」

戦士「その人、有名な占師の占い婆かも知れませんぜっ」

魔王(まんまであるな)
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 22:30:35.08 ID:LLCDnJ+10
僧侶「はぁ、占いですか?」

戦士「僧侶ちゃん。もうスッキリだな」

僧侶「ええまぁ…せっかくですので、占ってもらいましょうよ!」

僧侶「私、占いとかそういうまじないみたいなの大好きで!」

魔王「時間の無駄である」

僧侶「えぇ…」

僧侶「ね、ねっ、盗賊さんは興味ありません? 占い」

盗賊(なんて期待の眼差し…)

盗賊(でも、そんなの俺のキャラじゃないし。かといって断るのも。…いやでも待てよ)

盗賊(…もしや、占い婆なら…俺と僧侶ちゃんの今後がわかるかも知れない……)

盗賊「わりと興味あるぜ……!」

魔王「はぁん、女々しい奴よのぅ!」

盗賊「そ、そんなんじゃねぇ…」

戦士「ですけど、俺たちの今後とか占ってもらうのも面白いかも」

魔王「先が見える人生つまらんぞー」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:32:17.97 ID:LLCDnJ+10
占い屋


魔王「結局入るのかよ」

占師「ほっほっほ…お待ちしておりました。勇者ご一行様」

「!」

戦士「俺たちが誰なのかわかるのか?」

占師「占師ですから」

僧侶「あなたが、噂の占い婆様なのですか?」

占師「そう呼ぶ輩もおりますなぁ…」

占師「さぁ、どうやら時間が惜しそうに見える。さっそく始めましょうかね」

魔王「金は払わんぞ」

占師「ええ、結構ですとも。わしが勝手にやりたいと言った事ですし」

盗賊「……ていうか、何を占われるんだ?」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:34:09.95 ID:LLCDnJ+10
魔王「おい、婆あよ。何を占う? 勝手に余の先を読まれてもムカつく」

僧侶「無料で占ってもらうのにそんな態度ダメですよ! 無料で!」

戦士「こらこら、タダを強調するな…」

魔王「婆あ!」

盗賊「しっ……どうやら既に占い始めているようだぜ」

魔王「勝手な…」

占師「ドゥンドゥンドュビドュビ」

占師「ドュピドュピドゥクドゥク」

僧侶「ああ、それっぽいです!」

魔王「余には卑猥な擬音の連続にしか聞こえんが」

占師「……整いました!」

戦士「それ違くね?」

占師「まずは、あなた」

占師は盗賊を差した。

盗賊「……俺か?」

占師「あなたは近い将来、大切なモノを守り」


占師「死ぬ……!」


盗賊「えぇ…」
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:36:32.36 ID:LLCDnJ+10
盗賊「また、そんな冗談面白くないぜ……!」

占師「私は占いの結果に関しては、ウソをつきません」

魔王「でも盗賊もう何回か死んでおるよなぁ」

戦士「あ、あー…まぁ」

僧侶「ですけど、死が待ってるだなんて言う必要ありますか!?」

魔王「だーから先なんぞ知る必要がないと申したであろうが」

盗賊「ち、近い将来……大切なモノ……」

盗賊(俺にとって大切なモノ、僧侶ちゃん…!)

盗賊「くっくっく…そんな死に方なら、名誉もんだぜ…」

戦士「お、余裕見せる盗賊カッコいいぞ」

占師「所詮は占い…信じるか信じないかは、あなた次第」

占師「では次、あなた」

占師は僧侶を差した。

僧侶「ご、ごくり…」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:37:47.11 ID:LLCDnJ+10
占師「あなたはこの旅を通して、自身の過去を断ち切る。そして」

占師「勇者にとって、最大の敵を討つ鍵となるでしょう」


僧侶「ぼー……けー……」

戦士「僧侶ちゃん?」

僧侶「あ、いえ…てっきり盗賊さんの様に死ぬとか言われるかと思って身構えていたんですけど…
その、拍子抜けしちゃって…!」

戦士「何気に凄い事言われてたぞっ」

盗賊「勇者にとって最大の敵だと…くっくっ…大変だな、お前」

魔王「余に敵なんぞおらん。大体楽勝であるぞ!」

魔王「やはり占いは当てにならん…!」

戦士「まぁまぁ、暇潰しにって感じでいいじゃないっスかぁ」

僧侶「私が、勇者様の助けに……」

占師「では次」

占師は戦士を差した。

戦士「どんとこーい!」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:41:19.25 ID:LLCDnJ+10
占師「あなたは迷います。正義と、またもう1つの正義との狭間で」

占師「忠義を貫き通すか、裏切りか。選ぶのはあなた次第」


戦士「……どんとこーい」

盗賊「おい、裏切りなんて洒落になんねぇな」

戦士「だよなぁ…」

僧侶「せ、戦士さん! 所詮占いですし! 本当にそうなるって事では…」

占師「その通り。あなたの行動次第で運命は変わるのです」

魔王「気に食わぬのなら、貴様で運命捻じ曲げろってことだ。戦士よ」

戦士「そう、ですね。は、ははは…」

戦士「……」

僧侶(わりとこういう事気にする人だったんだ…)

盗賊「残るは勇者だけだぜ…くくっ、お前もくたばる結果が出たりしてなぁ…?」

魔王「阿呆め。余は死なんわ!」

占師「……」

魔王「おう、どうした。ここまで来たのなら余の分も読んでみせよ」

占師「は、はぁ」

占師「そのぅ……貴方様は…」

魔王「ん?」



占師「本当に、本当に…勇者、なのか…?」
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:46:09.43 ID:LLCDnJ+10
戦士「は?」

僧侶「え?」

盗賊「お、おい」

魔王「あ、あ、あー…」

占師「確かに、歪んではいますが…正義としての運命が先にあったことはあったんですがね?」

占師「おかしいのですよ、何か。占って初めて分かりました」

占師「どう、なのでしょうかねぇ…」

戦士「き、きっとアレっスよ!! ほら、アレ!!」

盗賊「アレって何だっ」

僧侶「いいい、言いたい事はなんかわかりますっ!! アレですねっ」

盗賊「ええぇっ!?」

戦士「ほら、勇者殿は勇者を越える何かー…とか」

盗賊「何だそれ……」

僧侶「伝説の勇者様! で、ですよね。勇者様!?」

魔王「お、おおおっ、おお! そ、そうである…っ」

魔王「余は勇者の称号では収まりきらない者なのだよ!!」

魔王「そうであろう!?」

占師「は、はぁ……まぁ、そうしておこうかね…」

魔王・戦士・僧侶「……ふぅ」

盗賊(なんだこの空気は)
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:47:25.51 ID:LLCDnJ+10
魔王「それで、余はこの先どうなるのだ!」

戦士「あんた…さっきまで興味ないとか言ってたでしょう…」

魔王「もうっ、気になるのだ! おら、さっさと!」

占師「……よく、分かりませんでした」

魔王「は?」

占師「こんな事は初めて…わしは人の運命の先が全て見通せるのじゃ…それが」

魔王「見えないと申すか…?」

占師「結末が、見えん」

戦士「さ、さすが勇者殿だ…」

盗賊「それでいいのか……?」

僧侶「魔王は」

僧侶「私たちは、魔王を討ちとる事ができるのでしょうか!?」

占師「……それも、何とも」

魔王「占師失格であるな。今日からその占い婆という肩書を取れ」

占師「勉強し直しじゃ…今日はもう店を閉めさせてもらいます。はぁ…」

魔王たちは占い屋を後にした。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:48:54.10 ID:LLCDnJ+10
魔王「……」

戦士「……」

僧侶「……」

盗賊「……」

魔王「なんかぁ、疲れたであるな…」

戦士「あー、はい」

僧侶「頭痛い…」

盗賊「だ、大丈夫か! 薬ならここに…!」

僧侶「盗賊さん、声大きいです…ちょっと、静かに…」

盗賊「えぇ…」

魔王「やっぱり、今日出発するの止めようか」

「異議なーし」

魔王「宿、宿を探すぞ貴様ら」

ふらふらふら

魔王たちは宿屋へ向かった。



?「ふっふっふっ」

?「遂に、遂に見つけたわ。勇者……!!」

256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/29(火) 22:50:37.32 ID:LLCDnJ+10
ここまで
昨日と比べてボリューム足りなかったかも
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 22:53:21.38 ID:rzOqRM1IO
気にすんな乙
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/30(水) 00:04:23.43 ID:LtqX2OLTo

頻繁に更新してくれてるだけでも読む側としてはとても嬉しい
俺の待ってるSSなんて数カ月待って落ちたのばかり……
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 00:38:59.36 ID:NeNBbQoi0
戦士裏切りフラグ立つのか


更新頻度高いし、こっちは満足してるぜ
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/30(水) 15:41:38.00 ID:hvS54HQDO

すごい楽しみ
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 21:34:32.57 ID:CwpAO4za0
砂漠


盗賊「焼けつく様な日差しが体力をみるみる奪ってゆく…そして、それを嘲笑うかの如く頭上で眩
しく輝く太陽…」

盗賊「俺に相応しくない……!」

僧侶「が、我慢しましょうっ…」

魔王「情けないなァ、貴様ら。全く貧弱である」

戦士「勇者殿、汗一つかかずとは…さ、さすが……!」

盗賊「てめぇ、人間かよ…」

魔王「この様な暑さ、屁でもないわ。余にとってはこの程度まだ涼しい」

魔王「でも、ここ砂多くて歩きにくいぞ…」

僧侶「だって砂漠ですし…」

盗賊「お、おい…水」

戦士「悪い、さっき飲んだので最後だ。ていうかお前1人で飲み過ぎだって」

盗賊「暑いの……ダメなんだぜ」

魔王「かーっ!! 貧弱貧弱ゥ!!」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 21:39:04.40 ID:CwpAO4za0
僧侶「夜になると、砂漠は急激に冷えちゃいますし…昼の間にはなんとかここを抜けたいですね」

戦士「全くだなぁ…」

魔王「待て、どうして急に寒くなるのだ?」

盗賊「水が無いからだ……そう聞いたぜ」

魔王「水が無いから寒い? はぁ?」

盗賊「後は自分で勉強しな、勇者様」

魔王「貴様から言われると腹立つ…!」

僧侶「オアシス的なものはこの辺りにはないのでしょうかね…」

戦士「……いや、ある。あるにはあるんだが」

盗賊「マジか? なら、凄く助かるぜ…水も補給できる…」

戦士「見つけられればの話だけどな」

魔王「どういう意味だよ」

戦士「…ここのオアシスは移動するんですってよ」
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 21:46:17.62 ID:CwpAO4za0
僧侶「移動するオアシス? なんですそれ?」

戦士「さぁ…俺もよくは。聞いた話だし」

盗賊「足でも生えてるってのかよ……くだらんぜ…」

魔王「ふむ、何かそれ面白くない?」

盗賊「こんな場面だと面白がる事もできねぇよ…!」

戦士「どうして移動するのかはわからない。だけど、上手く見つけられたらハッピー」

戦士「何か良い事期待してもいいってよ。だから近隣の住民や旅人たちはそのオアシスを見つける為、わざとこの砂漠へ入るらしい」

盗賊「本物のバカかそいつら…!?」

戦士「旅人なんてそんなもんだろ」

僧侶「確かにロマンはありますけど、身を危険に曝してまでそんな事はしたくないです」

魔王「……面白いな」

「は?」

魔王「よし、ちょっと寄り道じゃ! これからそのオアシスとやらを見つける!」

魔王「貴様ら着いて来いー! はっはっはっー!」

盗賊「……よぉ、誰かアイツを止めてくれ」

戦士「怒られそうだからパス」

僧侶「う、うぅ……!」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 21:52:41.61 ID:CwpAO4za0
魔王「おう、貴様ら元気がないぞ! もっと張り切って行こうぞ」

僧侶「無茶言わないでください…っ」

盗賊「なんで…アイツは、あんな元気なんだよ…!? あ!?」

戦士「勇者だからじゃね?」

盗賊「それが通用するところと、しないところがあるだろ…!」

魔王「どうした盗賊。四の五の言わずによく周りに注意を払え」

魔王「オアシスがあるやもしれん!」

盗賊「はいはい、見つかりゃいいなァっ」

僧侶「警戒も怠らないでくださいよ? もしかしたら魔物が出てくるかも」

僧侶「ただでさえ、こんな状態なのに…今、戦闘を行うのは」

魔王「逃走は認めんぞ。余は敵に背を向ける事はせんからなァ」

魔王「ま、今回は特別である。魔物が出現したら余が奴らを滅してくれよう」

戦士「ゆ、勇者殿1人に任せるわけには!」

魔物たちがあらわれた!

魔物「シュルルルル!」

僧侶「ああっ、言っている傍から!」

魔王「余に任せろィ! 焼き魔物にしてくれるわー!」

盗賊「焼きって……おい、待てっ、バカ!?」

魔王は火炎の呪文を唱えた!
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 21:58:43.08 ID:CwpAO4za0
魔物たちは巨大な炎に包まれる!

魔物s「エンッ!!!」

魔物たちを倒した!

魔王「くっくっくー! 楽勝であるなァ、砂漠の魔物どもと言えど大したことない!」

魔王(あ、いやでも…自分の元・配下であった者を貶すのもよくないな)

魔王「それなりであったぞ!!! 良い焼け様であったッ」

魔王「はっはっはー! ……んん?」

魔王「貴様ら、何そんな所で伸びておるのだ? オアシス見つかった?」

盗賊「ば、バカやろ…………」

戦士「水…水をくれ、かけてくれ……俺を濡らしてくれ…」

僧侶「はい……」

魔王「あァん? 濡らせだと?」

魔王「そんなにして欲しかったら、やれない事もないが」

戦士「ま、マジですか!? お願いしますよ勇者殿っ!」

魔王「うむ。待っておれ、すぐに氷の魔法を唱えよう……」

戦士「やっぱりいいです勇者殿っ!」
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:06:52.89 ID:CwpAO4za0
僧侶「も、もう諦めて次の町まで真っ直ぐ進みましょう! これじゃあ焼け死んでしまいますよ!」

魔王「えー、やだぁー!」

僧侶「ダメ! めっ、です!」

魔王「やぁーだぁー!」

僧侶「ダダをこねてもダメなものはダメ!」

戦士「和むなぁ、まるで親子だ…」

盗賊「色々言いたいことはあるが、砂漠の真っただ中でダダこねるガキはいねェよ……」

盗賊「勇者! 俺も僧侶と同意見だぜっ…このままじゃ身が持たん」

魔王「あァ!? 殺すぞ貴様っ」

盗賊「僧侶に比べて俺の扱い雑じゃねぇ…?」

戦士「でも、勇者殿。所詮、オアシスなんて噂なんスよ? 本当にあるかもわからない」

戦士「過去に見つけて帰ってきた者なんてたった1人ですし」

魔王「な、なおさら燃えるではないか…では、余が次の発見者となろう!」

僧侶「余計にその気にさせてどうするんですかっ、もう!」

戦士「えぇ、俺のせいなの…?」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:16:25.68 ID:CwpAO4za0
魔物「ギャーギャー!」

戦士の攻撃! しかし、攻撃ははずれた!

戦士「フラフラしてきた…」

僧侶「か、回復を!」

僧侶は回復の呪文を唱えた!

魔物は回復した!

僧侶「は、えっ? あれれ!?」

戦士「バカ! 魔物回復させてどうするっ」

僧侶「ご、ごめんさいっ! 今かけ直しますから!」

魔王「貴様らカオスであるな」

魔王「盗賊はくたばったし…」

盗賊「†」

魔王の攻撃! 魔物を倒した!

魔王「情けないッ!」

戦士「め、面目ないっス…」

僧侶「というかさっきの特別みたいな話はどこへいったんです!?」

魔王「アレはアレ、コレはコレである。サービスは1回きりじゃ」ふんっ

僧侶「なんて無慈悲な…っ」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:20:59.51 ID:CwpAO4za0
魔王「くそぅ…全然見つからないではないか! オアシス!」

戦士「だから、ただの噂って言ったじゃないですか」ずりずりずり

戦士「これ以上は無理! 諦めましょうぜ!? 盗賊も背負ってこれ以上砂漠を歩き回るなんて自殺行為っスよ!」

盗賊「†」

僧侶「ま、まさか盗賊さん…この前の占いが当たったんじゃ…」

魔王「こいつフラフラして勝手に魔物に殴られて死んだのだぞ。別に何も守ってなかったわ」

僧侶「……と、盗賊さん」

盗賊「†」

魔王「無様である…」

戦士「こいつはこいつなりに働きましたよ…?」

僧侶「ああ、この調子で砂漠を越えるなんてできるのかしら」

魔王「オアシスぅっ」

僧侶「まだ言いますかぁっ!!」

魔王「しゅん……」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:28:07.52 ID:CwpAO4za0
僧侶「大体これだけうろついて何もなかったんですから、そんなものがっ」

戦士「しっ…静かに」

僧侶「戦士さん?」

戦士「何か声が聞こえないか……?」

魔王「……言われてみれば、確かに」

僧侶「うそっ…何も聞こえませんけれど」

魔王「よく耳を澄ませろ阿呆」

僧侶「? ……んー」


『…ね〜……シス…いら……オ……〜…』


僧侶「き、聞こえるっ! 確かに!」

戦士「おい、こっちに近づいてきてるぞ!」

「えー、オアシス、オアシス。オアシスいらんかねー」

魔王「……お、おい!」

戦士「お、オアシス……」

僧侶「言ってますね……」

「えー、オア」

魔王「おう、貴様待たれよォ!!」

「はいはい?」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:31:36.49 ID:CwpAO4za0
魔王「オアシスよこせ!!」

僧侶「いただける物なんですかっ」

「あ、久しぶりのお客? はいはい、オアシスありますよぉ」

戦士「…ど、どこに?」

「よっこらせ」

女は背負っていたドラム缶をその場に降ろした。

「すぐに用意しちゃいますねぇ」

戦士・僧侶「……ん?」

魔王「おう、貴様。これがソレか?」

「ええ、風呂は心のオアシス。そうでしょう?」

戦士「ゆ、勇者殿…」

魔王「…では、何か。戦士よ、貴様が言っていた話のオアシスは」

魔王「ある旅人とやらが見つけたという、オアシスは、これか」

戦士「……は、ははははははー」

「伝説のオアシス。ここにありですわ」

僧侶「」ポカーン
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:38:00.91 ID:CwpAO4za0
「えー、入るのは…そちらの棺の方ですよね」

魔王「死体を風呂に入れる気か貴様!?」

「大丈夫ですよぉ。入れてみればわかります」

僧侶「……胡散臭い」

戦士「ああ…」

「失礼なー…えいっ」

女は勝手に盗賊を担ぎ、風呂へ入れた。

どぶんっ

魔王・戦士・僧侶「あああああぁぁぁぁっーーー!?」

戦士「おいおいおいィ! 何してるんだよ!?」

僧侶「盗賊さぁんっ! い、今すぐにそこから出しますからっ」

「まぁまぁ。そろそろかな? ……3・2・1」

ぽん!

なんと、盗賊は生き返った!

盗賊「……あ、あ?」

魔王「ま、マジである……」

僧侶「そんなっ!?」

戦士「おいっ、どんな仕掛けだコレ!」

「……企業秘密です」にっこり
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:47:34.25 ID:CwpAO4za0
盗賊「おい、俺は…」

僧侶「どこも異常はなさそう…え、え?」

魔王「貴様マジで死んでたであろうな! あ!?」

盗賊「しらねぇよっ」

「さて、と。では私はこれで」

戦士「ちょっと待て! あんた一体…」

戦士「ていうか、何でこんな砂漠で風呂屋をっ」

「さぁ……そこにオアシスを必要としている人がいるからでしょうかねぇ」

僧侶「移動するオアシスは、本当に必要としている人の前にしか現れない…ですか?」

「ふふっ」

魔王「……うむぅ」

僧侶「どうしました、勇者様?」

魔王「…いやァよぅ。余はこいつの顔に見覚えがあるような、ないような」

戦士「本当っスか?」

盗賊「自信はないのかよ」

魔王「おう、貴様。余と会った事があるであろう」

盗賊「自信ないのに肯定しやがった…!」

「えー、どうでしょう? お会いしましたかねぇ…」

魔王「ハッキリせんなっ…」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:49:04.21 ID:CwpAO4za0
魔王「ていうか、貴様には聞きたい事が山ほどある。ちょっと来い」

「お断りしますよぅ」

僧侶「そうですよ。勇者様、無理強いは…」

魔王「黙っておれッ、いいから…!」

魔王は女に掴みかかった!

盗賊「お、おいっ!」

魔王「……ん、ん?」


『こっちですよー!』


魔王「あー!? いつの間にあんな所にっ」

戦士「魔法か?」

僧侶「ですが、詠唱も何もなかったですよ」

魔王「女、そこで待っておれよー! すぐにとっ捕まえてやるわー!」


『いやでーす! また、どこかでご縁がありましたら、お会いしましょうねー!』


魔王「お、おい!! 貴様はっ」


『私の事は…そうですねぇ、湯女とでもお呼びくださいなー!』


戦士・盗賊「ぶっっっ」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:50:16.53 ID:CwpAO4za0
魔王「何だその変な名は。おい、僧侶」

僧侶「……///」

魔王「どうして顔を赤らめるよ」

僧侶「し、知りませんっ……!」

湯女『それではお客様〜、ご利用ありがとうございましたぁ』

湯女の姿は砂漠の向こうへ消えた。

盗賊「何なんだあの女……」

戦士「オアシス、なんだろうよ」

僧侶「謎です……」

魔王「で、僧侶よ。先程なぜ顔を赤らめた?」

僧侶「し、しつこいですよっ!?」

戦士「勇者殿、後で俺がこっそり教えますよ」

魔王「あァ? …まぁ、いいか」

盗賊「……とりあえず、さっさと砂漠を抜けようぜ」

僧侶「同感ですっ」むすっ

魔王「?」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 22:57:10.15 ID:CwpAO4za0



戦士「ついたーっ!!」

僧侶「もっと早く着いても悪くなかったと思うんですけどね」

魔王「おい、何故余を見て言う…」

僧侶「どうしてでしょうねぇ…」

盗賊「それにしても、砂漠を抜けてすぐの町がこんなに涼しい場所だとはな…ふぅ…」

僧侶「落ち着けますよねー。とりあえず今日の所は宿を探しましょう、勇者様」

魔王「バテたと申すか!? ただ歩いてきただけであろうに」

僧侶「ええ、ええ、色々ありましたから!」

戦士「まぁまぁ…日もすぐに暮れそうだし、今日はもう休んでいいんじゃ?」

魔王「チッ…仕方がない。今日は美味い飯がでる宿を探すぞ! 前のは超絶不味かった!」

盗賊「安い所だったしよぉ、そこらへんは仕方がないぜ。それに」

僧侶「贅沢は敵! ビバ、節約!」ふんっ

盗賊「…財布係がああ言ってる」

魔王「金の亡者めが……!」

?「そこのあなた達ー! 特に勇者! 止まんなさい!」

魔王「あ?」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 23:00:19.41 ID:CwpAO4za0
魔王「今、余を呼んだ奴おる?」

盗賊「ああ、確かに聞こえたが」

戦士「勇者殿を名指ししてたよなぁ?」

僧侶「……あら」

僧侶「可愛いお嬢さん。どうしたの? そんなに怖い顔して」

幼女「子ども扱い禁止よ!」

魔王「何じゃそのガキ?」

幼女「ふん、あなたが勇者だって事はバレバレなのよ!」

盗賊「てことは、さっきのは……この子どもか?」

戦士「ちっこい癖に元気あるなぁ! うはははっ」

幼女「ぐ、ぬ、ぬ、ぬぅっ…!!」

幼女「子ども扱いは禁止って言ってるでしょ! 私は強いのよ、武闘家よ!」

魔王「はぁ? このくそガキが強い? ぷぷっ、笑わせるのぅ」

僧侶「ゆ、勇者様っ」

武闘家「ぎゃーぎゃー!!」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 23:02:00.59 ID:CwpAO4za0
武闘家「私はね、勇者! あなたを追ってはるばるここまで来たの!」

戦士「まさか、勇者殿の仲間になるつもりで?」

魔王「あァ? 定員オーバーじゃ、さっさと帰れ。しっしっ」

武闘家「〜!!」

僧侶「そんな事言っては可哀想ですよ…少しは相手をしてあげましょう?」

魔王「余たちは宿を探すのであろうが。この様なくそガキに構っている暇はない」

盗賊「そういうこった…ガキはさっさと家に帰りな…くくっ」

武闘家「ムカつく人、あなた嫌い!」ビシィッ

盗賊は武闘家に嫌われた!

盗賊「はぁっ!?」

戦士「まぁまぁ…」

僧侶「それで、あなたは結局何がしたいのかな? せっかくだし、言ってみて?」

武闘家「勇者を殺す!!」

僧侶「えぇ?」

戦士・盗賊「……」ポカーン

魔王「あァん?」

武闘家「ふふんっ…!」どどーん
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/11/30(水) 23:04:56.76 ID:CwpAO4za0
以上でした
こんなSSでも、楽しみにしてくれてる人がいて嬉しい。がんばれちゃうわー
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 00:02:16.30 ID:al1KWATf0
幼女キタアアアアアア!!!!

280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/12/01(木) 00:46:02.60 ID:pRsAP5TRo
おいついた。乙。
はよかけつづきかけ
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/01(木) 01:49:57.98 ID:xpeOwDNR0
>>280
じゃあ暇だし、ちょっくら書き溜めてから投下しよう
今日はまだまだいっぱい書いてしまおうの日
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/01(木) 02:32:44.04 ID:xpeOwDNR0
盗賊「…おい、どこで恨み買ってきたんだよ?」

僧侶「勇者様!」

魔王「はぁ? 余は知らんぞっ。何も恨まれるような事してきた覚えはない」

戦士「村を救ったり、村を騒がせてた魔物倒したりもしましたし、結構いい事やってますよねぇ」

魔王「だろ?」

武闘家「別に個人的な恨みは1つもないわ」

武闘家「ただ殺してみたい……それだけよ!」

魔王「嫌なガキであるなっ、貴様!」

盗賊「くっくっく……やれやれだぜ」

盗賊「おい、ガキ。俺たちはお前に構ってるほど暇じゃねぇんだぜ」

盗賊「ごっこ遊びなら他を当たりな…」

武闘家「」しれっ

盗賊「……」

戦士「無視されちゃったな、ははは」

盗賊「面白い…そんなに勇者を殺りたいなら、まずは俺が手始めにこのガキの相手をするぜ…」

戦士「よせって、子ども相手に大人げない」

武闘家「子ども言うなー!!」

盗賊「だとよぉ……!!」

戦士(うあー、どっちがガキかわからんな)
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/01(木) 02:35:16.70 ID:xpeOwDNR0
僧侶「ねぇ、ここは穏便に済ますわけにはいかない? 私たち疲れてて」

武闘家「ダメ! 私だって疲れてるもん」

武闘家「とにかく勇者! 殺すわ!」

魔王(…そういえば)




魔物『これから魔王様一向には刺客を送りつけます』

魔物『また魔王の座へ戻って頂けるように。……では』




魔王(という話もあった気がするが)

魔王「まさか、このガキ?」

武闘家「なにゴチャゴチャ言ってるの? やる気になってくれたのかしら」

魔王「死ねッ!!」

魔王の先制攻撃! 武闘家は死んだ

武闘家「†」

魔王「何が刺客だ。ただの雑魚ではないか…」

戦士「うわあああっ、またやったこの人!?」

僧侶「勇者様ああっ」

盗賊「さすがの俺も引くわ……」

魔王「貴様も先程殺るとかほざいていたであろうがカス!」

戦士「ていうかコレどうすんスか!」

僧侶「うぐ、通行人の視線が痛いっ」←じろじろじろ
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/01(木) 02:37:32.75 ID:xpeOwDNR0
教会


神父「どのようなご用件で?」

僧侶「はい、神父様。死人の復活をお願いしたく参りました」

戦士「この棺桶だ。お願い」どんっ

武闘家「†」

魔王「貴様ら別にこんなのどうでもいいであろうが!」

僧侶「私だって不本意ですよ! ただでさえお金が無い状態なのに!」

盗賊「とんでもない事言うな、神官さんよぉ……」

戦士「こいつで頼む」

戦士は神父へ500G渡した。

神父「宜しい。コホン、では〜〜〜〜〜〜」

神父「えいえいっーーーーー!!」


武闘家が生き返った!


武闘家「うわぁあああーーーん!! バカ、アホ、ウンコ、カエル!!」

戦士「うわっ」

魔王「生き返るなり何だその汚い言葉のオンパレードは」

武闘家「う、ひ…っぐ! …ぐすんっ……あああ〜〜〜んっっっ」
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/01(木) 02:39:37.96 ID:xpeOwDNR0
武闘家「……ぐすんっ」

僧侶「よしよし、いい子だから」ナデナデ

戦士「それで? どうして勇者殿を狙ったりしたんだ?」

武闘家「私…強いから……勇者なんかより、いっぱい強いから……」

魔王「貴様、まだ懲りぬか…」

僧侶「ちょっと、もう止めて!」

盗賊「まさか腕試しのためにこいつに挑んだなんて言わないだろうな」

武闘家「」しれっ

盗賊「……おい」

戦士「腕試しで勇者殿へ挑んだっていうのか?」

武闘家「」コクリ

盗賊「このガキムカつくッ」

武闘家「べーっ」

盗賊「ああァッ!?」

僧侶「落ち着いてください。小さな子なんですし、ね?」

盗賊「ぐぅ……!」
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/01(木) 02:41:58.64 ID:xpeOwDNR0
武闘家「僧侶姉は優しくて好きよ…!」ぎゅっ

僧侶「えへへっ、そう?」

武闘家「……」

僧侶「どうか、した?」

武闘家「おっぱい全然ないわ! 僧侶姉!」

僧侶「……神よ、この者に罰を与える事を」ブツブツ

戦士「こ、堪えろ僧侶ちゃん!」

僧侶「だってだってだってぇー!」

魔王「真、いけ好かないガキよ。貴様、蘇らせてもらった礼の1つも言えんのか?」

武闘家「て、敵の情けには屈しないわ!」

武闘家「……それにしても勇者! あなた、中々強いわね!」

戦士「ああ、この人は強いぞ。俺でも渡り合えるかどうか分からん」

僧侶「戦闘力の高さだけは誰よりも突飛してますものね」

魔王「おい、だけって何だ」

武闘家「…ふ、ふふんっ! わかったわ」

武闘家「今日の所は見逃してあげる! でも次に会ったときは容赦しないからねー!」ぴゅー

武闘家は脱兎の如く、その場から逃げた。

盗賊「今日は変な奴によく会う、くそっ面白くないぜ!」

魔王「…あの様なチンチクリンが毎回刺客として襲ってくるのも嫌であるな」
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 03:09:20.57 ID:al1KWATf0
終わりか?
続きは嬉しいが無理すんなよw
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 16:19:21.32 ID:6j5ScppDO
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:34:51.23 ID:RfVmdQZV0
戦士「にしてもどうします? あの子生き返らせたせいで4人分も宿の宿泊料が払えそうにないですぜ」

盗賊「良くて何人いけるんだよ?」

僧侶「2人ぐらいですかねぇ……ううーん」

魔王「では余はその1人として決まっておるから残りは貴様らで決めるがよい」

盗賊「勝手言ってんじゃねぇ! 勇者だからってそれはないぜ…!?」

魔王「リーダーが野宿するわけにもいかんであろう!!」

戦士「まぁ、勇者殿に風邪を引かれても困るしな」

僧侶「だからと言って、私たちもそうですよ。そうなっては足を引っ張ってしまいます」

「うーん」

男「あの、突然で申し訳ない。いいかな?」

僧侶「はい? 私たちに何か」
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:36:40.53 ID:RfVmdQZV0
男「さっきから話を聞いていると、どうもあなた達は勇者一行だと」

魔王「ふふーん、如何にも! 余が勇者である!」

男「おお、やはり! 何だかそれとなく雰囲気がそれだなと…」

盗賊「…ウソつけ」ボソッ

魔王「あァ?」

盗賊「よせっ…殴るな…!」

戦士「それで何の用なんだ。用もないのに話しかけたわけじゃないんだろ?」

男「おお、失礼……」

男「今からお時間いただけますかな? なぁに、悪いような話じゃない」

盗賊「……おい、胡散臭さがプンプンするぜ」

僧侶「いきなり疑うのも失礼ですよ」

魔王「この勇者の力を求めておるのだ! 話を聞いてやらないわけにもいかんであろうが!」

盗賊「調子いいぜ、ったく…」

戦士「立ち話で済ませられるのか?」

男「ああ、いいえ。家の中でお話しましょう。皆様方、とても疲れていらっしゃられる様に見えますし」

魔王「ほぅ、気遣いのできる奴は余は好きだ。構わん、行こうぞー!」

僧侶「もしかしたら家に泊めてもらえたりするかもですねっ」ボソ

戦士「…せこい僧侶ちゃん、せこい」
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:37:44.20 ID:RfVmdQZV0
お屋敷in応接間


盗賊「おいおい、随分大層な家だぜ…こんな時間に客なんてあげていいのかよ?」

男「問題ありませんよ。ささ、そちらへ掛けてお待ちください」

男は応接間を出ていった。

僧侶「こんなお屋敷で夜を過ごせたら素敵ですねっ」

魔王「図々しいよな、貴様」

戦士「見たところ、話をするのはさっきの男じゃあなさそうっスね」

戦士「一体何を話されるのやら」

魔王「余は今気分が良い。どの様な件でも聞いてくれよう」

盗賊「上手く乗せられた気もするぜ……」

コンコン、ガチャリ

屋敷の主がさっきの男と共に応接間へ入ってきた。

男「こちらが勇者ご一行様でございます。旦那様」

主「お、おお……あなた方が!」

魔王「如何にもである! して、用件とは何だ」

主「まぁ、お茶でも出しますので。落ち着いてから聞いてくださいな」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:38:40.39 ID:RfVmdQZV0
僧侶「この紅茶……いい香り…」

男「私め特製のハーブティ〜〜〜、でございます」

僧侶「はぁ」

主「実は、あなた方には頼みがあるのですッ!!!」ドン

魔王「落ち着けと申しておきながら貴様が落ち着いとらんではないか!」

盗賊「おい、そいつは俺たちにしかできねぇ頼みなのかよ?」

盗賊「この勇者様は大変気まぐれで有られるぜ……もしかしたらって事もあり得る」

主「人の家で茶を飲んでおきながら、お断りになられると?」

「……」

魔王「こやつ、何かみみっちいぞ」ヒソ

戦士「富豪が太っ腹ってのも間違った認識かもしんないっスね…」ヒソ

主「……コホン」

主「とにかく、頼みがあるのです。勇者様!!」がしっ

魔王「ぶ、無礼である! 貴様顔が近いぞ、息臭いっ」

戦士「落ち着いて、落ち着いて!」

主「これが落ち着いていられるか!?」

盗賊「知るかよ……」
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:40:18.38 ID:RfVmdQZV0
男「実は、この様な手紙が屋敷に届きまして」

男は手紙を渡した。

魔王「手紙ィ? おう、僧侶。読んで聞かせよ」

僧侶「私ですか? えっと……」

僧侶「娘はいただいた…返してほしくば、娘の父1人で」

僧侶「砂漠にある遺跡の中へ来い……だそうです」

戦士「そういえば砂漠の途中に遺跡らしき物が見えた気もしたような」

魔王「余は見てないけど?」

盗賊「てめぇは別のもん見つけるのに必死になってたからな…!」

戦士「つまり、この手紙に書かれている娘を我々に救出してもらいたいと?」

主「ぶっちゃけるとそうです……ああ、私の大事な大事な娘よ…」

主「ぐすんすんっ」

男「旦那様…なんとおいたわしや」

魔王「別に余に頼まんでも貴様が行ってくれば良いだけであろうが?」

主「とんでもないッ!! 砂漠には魔物がいるし、暑いし! 遺跡には侵入者を撃退する罠や恐ろし
い魔物もいるのですよ!? 危ないっ」

魔王「問題なかろう」

僧侶「勇者様の常識で当てはめちゃダメですっ」
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:42:16.75 ID:RfVmdQZV0
盗賊「大体どこのどいつが娘を誘拐したんだ?」

主「お、おそらくは…ぐぬぬっ……!」

男「娘様はこの度、砂漠の中にある王国の王子とご結婚の契りを交わす予定だったのです」

男「それをよく思わぬ輩の仕業でしょう。詳しい所は我々も」

戦士「なるほどぅ、王権と関わりを持つ事はその一族にとって、今後メリットをもたらす事にな
るし」

僧侶「王族の親戚となるのならそうなりますよね…」

魔王「ふーん、はー、へぇー」

魔王「面倒臭い話は嫌!」

僧侶「もうちょっと、もうちょっと待っててくださいね勇者様!」

盗賊「とにかく、俺たちはただその娘を救出してくればいいだけだ。後の事は関係ないぜ」

盗賊「単純にそういう事だ…」

魔王「それもまぁ、面倒…」

主「お、お願いしますよー!! 私の愛娘をどうか、どうか! たった1人の娘なんだ!」

主「頼むぅぅっ……! この通り……! 土下座土下座……!」

男「だ、旦那様っ」

戦士「そんな事されても困る…」

僧侶「ゆ、勇者様…ここは引き受けましょう? 困っているようですし」

魔王「えぇー…」
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:44:48.40 ID:RfVmdQZV0
魔王「何だか張り合いというものがないのである」

盗賊「……礼はたんまり、頂けるんだろうな?」

主「あなた方が望む物ならばなんでも! 礼ならいくらでも出す!」

僧侶「お金……」

戦士「こらっ」

魔王「と言われてものぅ。余は興味ないし、魔王討伐の旅に忙しい」

主「それでも勇者か貴様ぁっ」

魔王「毎回これ言われるのか、余は?」

僧侶「言われる方にも問題があると、学んでください……!」

男「……そういえば」

男「その遺跡には大変強力な剣があると、聞いた事があります」

男「なんでもその威力は凄まじく、海をも断つと。まさに勇者が持つべき物…」

魔王「……真か」

男「定かではありませんが、そういった話が昔から」

魔王「よし、遺跡だ。遺跡を目指すぞ貴様ら」

戦士「またそんな噂話に! いいんスかぁ!?」

盗賊「…安易すぎるぜ」

魔王「黙っておれ! まぁ? ついでにその娘とやらも見つけ出せば良いのであろう?」

主「お、おおぉ…!!」

主「ありがとう、ありがとうっ!!」

僧侶「娘さんがついでになっている事には触れないんですか……?」
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/02(金) 01:47:45.94 ID:RfVmdQZV0
以上です
昨日は途中で書き込めなくなっちゃって、申し訳ない


次投下予定、わかんね。暇ができ次第ということで
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 09:26:01.22 ID:NybNwyz60
乙ん
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 09:48:49.15 ID:jcAtlxWDO

待ってる
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 10:35:04.81 ID:o75L4S+IO
僧侶「あ、でもお金は下さいね」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 06:34:40.30 ID:VKS/Sxy40
僧侶がお金にうるさいのにも理由ありそうだよな
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 18:35:00.25 ID:71j0o656o
普通のことも「何かしら理由があるはず」みたいなこと言っちゃうサイドストーリ乞食ってどこにでも発生しますね
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/12/04(日) 21:07:29.66 ID:CMzjwCWZo
まあ、このメンバーじゃ金にうるさくなるのも仕方がないんじゃね?
全員(魔王を筆頭として)子供みたいなもんだし
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 23:27:58.32 ID:R3PRiXfM0
つまり守銭奴貧乳僧侶ちゃんは可愛いってことだよ

そんなことより戦士が魔王のことが魔王ってわかったときが心配でたまりません
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 23:46:05.81 ID:PfQWsB0IO
どちらかと言うと家庭的ないい女だと思うがね
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:07:16.25 ID:FCwBOrUX0
砂漠


盗賊「いくら頼まれたからとはいえ」

盗賊「早速遺跡に向かわせるのおかしくないか……!?」

戦士「でも、あの空気で朝になってからだなんて言い出しづらいだろー」

僧侶「冷えますね…夜の砂漠は…」

魔王「暑い寒いと申したり、貴様らは何なのだ」

僧侶「これが普通の反応だと思いますけど。まぁ、弱音はよくないですよね」

盗賊「…昼間のオアシスが恋しいぜ」

戦士「そんな事言ってると本当に来そうだから怖いな」

魔王「湯女と、申したか? あやつ? まさか一日中この様な砂漠を歩き回る事はあるまいてー」

盗賊「当たり前だ。そんなことできるなら、そいつはもう人じゃねェ」

盗賊「魔物同然だぜ…」

魔王「では同族……?」

僧侶「勇者様?」

魔王「あ、こっちの話である」

僧侶「はぁ…?」
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:08:08.47 ID:FCwBOrUX0
戦士「遺跡っつーのはきっと遠くに見えてるアレっスよね?」

魔王「いや、余は知らんよ」

魔王「だいたいこの様な場所に建物なんぞ何故建てた? 僧侶」

僧侶「建てた人に聞いてください」

魔王「そやつは遺跡に住んでおるのか…? え?」

僧侶「いたら聞いてみてはいかがでしょう…」

魔王「貴様、さっきから返しが投げやり!!」

僧侶「察して……」

盗賊「魔物の活動が昼間より頻繁じゃねぇな…? 寒さが苦手なのか」

戦士「食料になる者が夜になると訪れ辛いからだろ。だから夜は俺らと同じ様に体を休めている」

盗賊「だとしても1匹は夜行性のバカがいてもおかしくないだろうが」

戦士「俺魔物じゃないしそんなのわかんねぇって」

魔王「おそらく、この時間にシフトを入れる者が少ないのであろうな。うんうん」

盗賊「アルバイトじゃねぇんだぞ…」
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:09:50.69 ID:FCwBOrUX0
パチパチ、パチッ…

僧侶「焚火温かいですねぇ」ぬくぬく

魔王「よくも高貴なる余の魔法を焚火の代わりなんぞに……!」

盗賊「あるモンは有効活用すべきだぜ」

魔王「というか、ぐずぐずしてる暇じゃなかろうが。強力な武器が余を待っておるのだぞ?」

戦士「とは言っても、今日は結構歩いたのに全然休めなかったし」

戦士「それに見て。遺跡までまだまだ距離あるっス」

魔王「ぐ、ぬ、ぬ……なんだかさっきより遠くなって見えまいか…?」

盗賊「まぁ、焦るなよ。遺跡は逃げやしねぇ」

戦士「ふぁー…ま、攫われた娘の方はわからんけどなぁ」


「……」


僧侶「ぐ、ぐずぐずしてていいのでしょうか…」

盗賊「依頼を達成できなかったなんて事になれば、俺らの評判がく下がりだぜ…」

魔王「えぇっ、それ嫌!」

戦士「とにかく、助ける為にも俺たちの体力を回復しなけりゃ始まりませんぜ。はい、スープ」

魔王「…んむ?」

僧侶「あら、先程からいい匂いがしたと思ったら…」

戦士「みんなの分、ちゃんと作ってるから。もうちょっと待っててなー」ぐつぐつ
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:11:53.37 ID:FCwBOrUX0
魔王「戦士が料理ぃ〜? はっ、似合わんのぅ」

戦士「はははっ、よく言われますわ。ほい」

僧侶「あ、ありがとうございます戦士さん……ごくっ」

僧侶「…美味しい。体が温まりますねっ」

戦士「そっか、よかったぜ」

盗賊「もっと雑なもんかと思ってたが、中々…イケる……」

戦士「気に入ってもらえてなにより。……ゆ、勇者殿はどうっスか!? 美味い? 不味いっ? どうー!?」

魔王「寄るな、暑苦しい! …まぁ、それなりであるな」

魔王「次はもっと美味い物を食わせよ! 余の舌を満足させるにはこれではいかんぞ」

戦士「ゆ、勇者殿…ありがたいお言葉っ……!」

僧侶「そんな、こんなに美味しいのに。贅沢ですよ勇者様」

魔王「これで贅沢とな! ふん、わからん奴よ…時に僧侶、貴様は料理どうなのじゃ。ん?」

僧侶「……へ?」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:14:02.77 ID:FCwBOrUX0
僧侶「そ、それなりには作れるかと……!」

魔王「はぁ、それなりィ?」

盗賊(僧侶ちゃんの手料理、食べてみたい)

僧侶「それなりはそれなりです! 食べられる物はキチンと作れますよ!?」

戦士「僧侶ちゃん、何でそんな必至だ」

魔王「……貴様の事だから塩と砂糖を素で間違えるなんて事があり得そう」

僧侶「なーいっ! もう、何ですかさっきから!」

魔王「僧侶が勝手にムキになっておるだけであろうが?」

僧侶「うぐっ……見ていなさい、いつか思い知らせてあげますから…!」

盗賊「おい、そろそろいいんじゃねぇか? ここにいるより遺跡の中の方が温かそうだぜ」

戦士「それもそうだな。では勇者殿、そろそろ出発としましょうぜ」

魔王「貴様らが勝手に休憩しだしたのであろうが…! 全く、本来なら極刑ものであるぞ」

盗賊「さすがの勇者でもそんなことさせる権限はねぇよ…!」

魔王「…ところで、遺跡の中って真っ暗?」

戦士「さぁ…どうでしょ。人も使ってなさそうだし、もしかしたらあり得ますねぇ」

魔王「……のぅ。やっぱり帰らない?」

戦士「は?」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:16:31.81 ID:FCwBOrUX0
魔王「だってだって! また暗闇の中を突き進むとか自殺行為であるぞ!?」

僧侶「ですけど、あのお屋敷の主さんに頼まれてしまったからには…!!」

魔王「いいよ! 無かった事にしようぞ!」

盗賊「ねぇよっ」

盗賊「ていうか、行ってみなきゃ暗いかどうかなんてわからねぇだろ…」

盗賊「ワガママもその辺にして、さっさと行こうぜ」

魔王「だって…」

戦士「勇者殿。ご安心を! 今回は松明にランプと、色々用意してありますから!」

戦士「あの洞窟での経験を生かしてこういった物も仕入れておいたんっス!」

魔王「うぐぅ……」

僧侶「そういう事ですし、行きましょ? 勇者様」

僧侶「大丈夫。ほら、私たちもいますし。ね?」

魔王「貴様らが前みたいに勝手に死んだらどうするのだ…!」

盗賊「アレはてめぇが俺らを勝手に殺したんだろうがっ!!」

盗賊「とにかく行くぜ……っ」

戦士「ほら、強力な武器も待ってますからねぇー」ぐいぐい

魔王「いやぁー! 余はいやじゃー!!」ずりずり
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:17:50.74 ID:FCwBOrUX0
遺跡


僧侶「遠くから見ても大きく見えましたけど…本当に大きいですね」

盗賊「……」

僧侶「盗賊さん、どうかしました?」

盗賊「どうも嫌な予感がする」

僧侶「それって」

盗賊「……まぁ、罠には気をつけろって事だな、くくっ」

戦士「そういうの見つけるのは盗賊が得意だよな?」

盗賊「ああ、任しておきな…!」

魔王「だが、そいつ前にあっさり罠に引っ掛かっておったぞ」

盗賊「……」

僧侶「な、なるべく! なるべく頼りにしますね!」

盗賊(なるべくって!?)

戦士「フォローの様で、そうじゃないな」

戦士「とにかく、中に入りましょう。ご丁寧に扉が開いてる」

魔王「……」

僧侶「勇者様ーっ」

魔王「……暗くない?」

僧侶「だ、大丈夫ですからっ!! ほら、行きましょう!」

魔王「しくしく……」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:19:01.81 ID:FCwBOrUX0
遺跡内部


魔王「ぎゃーぎゃー!! 暗い暗い暗いっ!!」

戦士「お、落ち着いて。いま灯りを」

戦士はランプに灯りをともした。

ぼうっ

魔王「あ、ちょっと明るいである……」

戦士「ね? 大丈夫でしょう」

魔王「ふゥん、遺跡! おそるるに足らず!」

盗賊「ホント調子いいな、こいつ……」

僧侶「……んー」

盗賊「どうした、僧侶?」

僧侶「見てください。壁一面に絵の様なものが描かれています」

戦士「これは昔の人々が彫ったものだろうな…内容はさっぱりだけど」

魔王「くくくっ! 見よ、この絵! 下手くそ極まりない! 余の方が上手く描けるぞっ」

盗賊「あー、そうかよ……お?」

魔王「何じゃ? 罠でもあったかよ?」

盗賊「いや、この絵……」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:20:45.61 ID:FCwBOrUX0
魔王「この妙な壁画がどうした?」

盗賊「勇者と、魔王の絵かと思ってよ……」

魔王「はぁ?」

戦士「言われてみれば、そんな気がしないでもないなぁ」

僧侶「これは魔王と魔物が人々を苦しめる絵ですかね?」

魔王「…はぁ?」

魔王「待て待て待て!! 余はその様な事した覚えはないぞっ」

「……?」

戦士「そりゃ、あんた勇者殿ですし。こっちは魔王の絵っスよ?」

僧侶「勇者の絵はこっちです。ほら、剣を掲げて人の中心に立ってる」

魔王「お、おう……」

魔王(余は、魔王は直接こやつらに手を下した覚えはないぞ…!?)

魔王(この絵はなんだ! まるで、全て余が悪いみたいな構図……)

魔王(勇者ばかりが称えられ、人々の希望と化して)

魔王(魔王は唯ひたすら悪! 魔物を従え、世界を破滅に導く存在…だとぅ……?)

魔王「ああァァァーーーームカつくッ!!!」がんっ

魔王は壁を蹴った!

盗賊「お、おいっ! 不用意に壁を蹴ったりするんじゃ――――」




ガシャンッ
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:21:46.89 ID:FCwBOrUX0
戦士「……なんか、今変な音しなかったか?」

僧侶「聞こえましたよね…?」

魔王「あァ!? 何も聞こえなかったわ!」

盗賊「それはてめぇがギャーギャー喚いてるからだろうがっ…静かにしろ…」


ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン…


盗賊「向こうの通路から聞こえるぜ…」

戦士「まさか罠が発動したのか?」

盗賊「どうだか…おい、勇者。どうする?」

魔王「どうもこうも、進むしかなかろう…。何じゃ? 怖いか?」

盗賊「ビビってんじゃねぇ、警戒してんだよ!!」

僧侶「……あの、入口の扉。閉まってません?」

戦士「…う、うおぉっ」

盗賊「完璧、閉じ込められちまったわけだなァ…く、くくっ」

魔王「では、余がこの扉を破壊してしまえば問題あるまいよ……!」

盗賊「だから下手な事はするんじゃねぇっ…!!」
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:23:43.31 ID:FCwBOrUX0
盗賊は魔王の胸倉を掴んだ!

魔王「おうっ、貴様!? 反逆かっ」

盗賊「いいか! てめぇっ、よく聞けよ…!!」

盗賊「……こういう場所じゃあ何するにしても頭を使えっ」

盗賊「行動に責任を持て! てめぇ1人がしでかした事で、俺ら全員お陀仏になりかねん…!」

僧侶「と、盗賊さんっ」

戦士「いや、今回は盗賊が正しい。勇者殿にも学ぶ事はまだまだあるよ」

魔王「盗賊貴様、黙っておればグダグダ抜かしおって…」

魔王「貴様それでも余のお供であるか? 仲間か? あァ!?」

盗賊「……仲間だから言ってんだろうが」

盗賊「とにかくよぉ、慎重になってくれや。俺はまだ死にたくないんでな…」

盗賊は魔王を離した。

魔王「……」

戦士「勇者殿。あいつは勇者殿の為を思ってああいう事言ってくれたんスよ」

戦士「言い方はキツいかもしれねぇけど、あいつなりに俺たちのこと思ってくれてるんス。ね?」

魔王「……ふんっ、盗賊のくせに生意気だ!」

盗賊「生意気結構だぜ」

僧侶「……と、盗賊さん。すごい」

盗賊「えぇっ?」
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:26:19.48 ID:FCwBOrUX0
僧侶「私たちの事、あまり良く思われてなさそうに見えたんですけど」

僧侶「…私以上、ううんっ、一番パーティの事をよく考えてくれていたんですね!」

盗賊(あ、いや…別に僧侶ちゃん以外はどうなっても構わないんだけど…)

盗賊「くっくっくっ……さぁ、どうだかな」

僧侶「ふふふっ」

盗賊(よっしゃ! なんか好感触を得た気がするぞ!! 僧侶ちゃんルートいったかっ)

戦士「とにかく、入口が閉められてちゃ帰りは別の出口を探すしかなさそうだな」

魔王「あァ? 入口も出口もそこしか無かった様に見えたが?」

戦士「まぁ…そうですけど。探さなきゃ元も子もないし」

盗賊「とりあえず、さきに進んでみようぜ」

僧侶「しかし、この様な所に娘さんがいるなんて……心配ですね」

戦士「攫った犯人って奴もとんでもねぇな。ったくよ」
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:29:03.69 ID:FCwBOrUX0
盗賊「……」

魔王「慎重すぎぬ?」

盗賊「これぐらい警戒した方がいいってさっき言わなかったか……ああ?」

魔王「〜♪」

盗賊「ぐっっ……!!」

戦士「にしても、魔物の気配がないな」

僧侶「こう狭い所で出てこられても大変ですよね」

盗賊「建物の作りはだいぶしっかりしている様に見える…戦闘は不可能じゃあなさそうだぜ」

魔王「だが慎重にだぞー。盗賊よ」

盗賊「……てめぇはよぉっ」

僧侶「ここはだいぶ昔から存在したみたいですね」

魔王「にしては罠が現代に通じる程のできの様だな?」

僧侶「古人の知恵をバカにしちゃいけませんよ。私たちが扱う武器や魔法だってルーツはそこから得ているのですから!」

魔王「ふゥん?」

盗賊「……ストップ。全員止まりな」
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:30:30.68 ID:FCwBOrUX0
戦士「行き止まり?」

魔王「はぁ? こんなドでかい建物の中身がこの程度かァ?」

盗賊「てめぇがさっき発動させた罠で壁ができたのかもしれんがな」

魔王「あァ!?」

僧侶「ですがどうするんですか? これでは行きも帰りも通せんぼ状態です…」

戦士「どこかに壁が動くスイッチとかあるんじゃねぇ?」

盗賊「不用意に動くなと言ったぜ……!!」

盗賊は壁に耳をつけた。

魔王「何してんの、あやつ?」

戦士「さぁ?」

盗賊は壁を軽く叩いた。

盗賊「やはり、壁の向こうに道がありそうだ……」

魔王「それで? どうするのだ」

盗賊「……面倒だ、壁を壊しちまおうか」

僧侶「慎重にいくんじゃないんですか!?」
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:31:42.17 ID:FCwBOrUX0
盗賊「だ、だが他にこの先へ行く方法が……!」

戦士「諦め早くないか」

魔王「それなら余が一発魔法をぶち込んで」

盗賊「それは危険だからやめてくれ…!」

魔王「ならばどうすれば良いのだ!! あァ?」

盗賊「ぐぅっ……」

僧侶「……ん」

僧侶「あの、皆さん。ここの床」

魔王「あァん?」

僧侶「ほら、一か所だけ突起している部分が」

盗賊「待て! 罠かもしれねぇ……」

戦士「疑ってばっかでも前に進めなくなるぞ?」

魔王「ふむ……よし、余は今から余が起こす行動に責任を持とう」

盗賊「はぁ?」

魔王「ポチっと」

魔王は床の突起を踏んだ!

盗賊「あああああああァァァァァッッッーーーー!!?」
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:33:59.37 ID:FCwBOrUX0
盗賊「何してくれてんだてめぇっ、あァ!?」

魔王「だから責任を持って行動すると申したであろうがー!」


ゴゴゴゴゴ


遺跡が音を立てて揺れ始めた!

盗賊「そら見ろッ! 今にここは倒壊するぜ!?」

戦士「そいつはすげぇ前衛的な罠だな」

僧侶「ですけど、この音……足元から聞こえません?」

魔王「足元? あ――――――」


魔王たちが立っている床に穴が開いた!


魔王「ぬ、ぬおおおおォォォォォゥゥゥゥッッッ!?」

僧侶「きゃああああぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁーーーっっ!!?」

戦士「ちょちょちょっ……!?」

盗賊「だ、だから…!」

盗賊「だから慎重にいけって言っただろうが……」


ひゅ〜〜〜〜〜〜〜…………


魔王たちは穴の奥底へ落ちていってしまった!
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/05(月) 02:37:34.06 ID:FCwBOrUX0
以上です
今見なおしてみたけど、盗賊の口調安定ねぇ・・・w
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 09:49:35.28 ID:4imGi5UV0
乙乙
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 10:46:08.67 ID:wSG5SbrDO
おつ
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:18:35.80 ID:SRsYE0FV0
???


魔王「……」

「ゆう……ま! …う……さま! きて……おき……」

魔王(余は……)

「起きて、起きてください! 勇者様!」

魔王「…もうちょい」

「起きてくださいってば! 大変なんです!」

「勇者様! 勇者様!」

魔王「アアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!」

僧侶「ひっ」

魔王「耳元でギャーギャー喧しいわッ!! 余の眠りを妨げるとは何事だ!?」

僧侶「ようやく起きたわ……それより大変なんです! 勇者様!」

僧侶「戦士さんと盗賊さんたちとはぐれてしまいました…!」

魔王「それがどうした僧侶よ」

魔王「ん、んぐー……!」

魔王「というより、此処は何処じゃ!」

僧侶「気づくの遅いですよ……」
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:21:10.76 ID:SRsYE0FV0
僧侶「私たち、勇者様が作動させた罠でここまで落ちてきちゃったみたいで」

僧侶「ですが、どうも……他の2人の姿が起きた時見当たらなくて」

魔王「ではあやつらは別の場所へ落ちたと?」

僧侶「そう思いたいですけど……アレを」

僧侶はすぐそこにある大きな穴を指差した。

魔王「……真っ暗である。底が全く見えんぞ」

僧侶「そちらの方に落ちていたなんて事は考えたくないです」

魔王「余たちがこちらに落ちていなかっただけ良かったと思おうぞ…」

僧侶「ええ、まぁ…。それより2人を探しましょうよ! きっとこの辺りにいるはず…!」

魔王「えー、どうかなー?」

僧侶「不安を煽らないでくださいっ」

僧侶「……」

僧侶(そういえば、勇者様と2人きりになるなんて初めてだわ)
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:21:51.50 ID:SRsYE0FV0
僧侶「」ちらっ

魔王「なぁなぁー、腹減ったぞー」

僧侶「……わ、私がしっかりしなきゃ」

魔王「はぁ?」

僧侶「勇者様、先程戦士さんのスープをいただいたばかりじゃないですか」

僧侶「我慢しないと!」

魔王「余の嫌いな事は我慢であるぞッ!!」

僧侶「知りません!」

僧侶「とにかく、ここから動きましょう。黙って待っていても埒があきませんよ」

魔王「こちらが下手に動いても問題あるかも知れんぞ」

僧侶「え?」

魔王「見よ、この先を」

魔王「道がよく見えん。それにこう薄暗くては罠に再び掛ってしまうかも」

僧侶「……」

魔王「おう、聞いておるか貴様?」

僧侶「ゆ、勇者様が冷静に状況を判断、してる……?」

魔王「貴様は余を何だと思っておる!?」
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:25:51.01 ID:SRsYE0FV0
僧侶「て、ていうか!」

僧侶「灯りが無くて少し暗いのに怖くないんですか!?」

魔王「バカにしてるのかよ! 殺すぞ貴様ッ」

魔王「この程度の暗さなら問題ない。それに」

魔王「あそこに火が灯っておるぞ?」

僧侶「通路の先の、アレですか? 微かですけど見えます…」

僧侶(あの距離にある物がすぐに発見できるって…)

僧侶「ゆ、勇者様……お熱は…」

魔王「ないわアホんだら! 何なのだ貴様、先程から失礼であるぞー!」

僧侶「そうですね…ごめんなさい…」

魔王「して、あの火は僧侶が灯してきたのか?」

僧侶「いいえ、私はまだ何も…」

僧侶「……ということは、アレは戦士さんたちが?」

魔王「可能性は無きにしも非ず。ともかく、あの地点まで移動することから始めるとしようかの
ぅ」
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:26:33.76 ID:SRsYE0FV0
すたすたすた


僧侶「勇者様、気をつけて」

魔王「はんっ、貴様こそその辺でコケるなんて無様なまねを余に見せるなよ〜」

僧侶「そんな事っ……ひゃあっ!?」

魔王「あァ!? どうした阿呆!」

僧侶「見てください、これ……」

魔王「……人骨? いや、これは」

魔王「魔物のモノか」

僧侶「魔物が知らずにこの遺跡に入りこんでしまって、私たちと同じ様に罠に掛った……?」

魔王「てことはー」

魔王「ここって出口ないんじゃね?」

僧侶「……」

僧侶「き、希望を持ちましょう!! 信じる者はしゅくわれるっ!!」

魔王「声が上がっておるぞ…」

魔王「で」

魔王「火がある場所まで無事到達できたわけであるが?」

僧侶「……うーん、最近灯された感じです」

僧侶「やっぱり2人が!」

魔王「んむ? おう、僧侶。これは何じゃ」

僧侶「はい?」
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:27:28.21 ID:SRsYE0FV0
僧侶「えっと…パン切れ?」

魔王「食い物を粗末にするとは感心せぬなァー!!」

僧侶「ごもっともですけど、今はそれどころじゃないですよっ」

僧侶「このパンもまだ古くなってません。柔らかい」

僧侶「やはり最近の物……」

魔王「これで、あやつらが此処に来たという証拠になるか?」

僧侶「いいえ……パンはここに来る時、切らしていました。つまり」

僧侶「……私たちとは他に、人間がいる?」

魔王「真か?」

魔王「まさかそれが攫われた娘とは言うまいな」

僧侶「はたまた、その誘拐犯かも!」

魔王「ここで待つと言うておいて、罠に掛るとかどんな阿呆?」

僧侶「とにかく、娘さんが心配ですね。もしかしたらまだ近くに…」

魔王「また先へ進むのは嫌であるぞ……この先は真っ暗じゃ…」

僧侶「確かに。道が見えません……困ったなぁ」
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:28:09.03 ID:SRsYE0FV0
魔王「僧侶何とかせよ〜」

僧侶「待ってください…今考えてますから…!」

僧侶(この場所を動かずに娘さん、又は2人に居場所を知らせる方法…)

魔王「僧侶が声をデカくして呼んでみれば良いんでない?」

僧侶「…それで意味が無ければ、無駄に疲労を進めちゃうだけですよ」

魔王「ならば余がド派手な魔法を一発」

僧侶「やめてください」

魔王「ではどうすれば良いのだァ? ああ言えばこう言う! 全くもうっ」

僧侶「拗ねないでくだいよぉ……あ」

魔王「」がさごそ

魔王「あァ? 何しとるよ、僧侶」

僧侶「確か、あの時セットでついてきた……あ、あったわ!!」

僧侶「ありました、勇者様ぁ!!」

魔王「何が、か落ち着いて教えよ」

僧侶「ふふっ……声を上げずに音を出せて、無駄に魔力を消費することなく人を呼び寄せられる」

僧侶「じゃじゃーん!」

僧侶は銀の竪琴を取り出した!

魔王「それ、魔物も呼びだす事にならん……?」

僧侶「あっ」
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:29:52.92 ID:SRsYE0FV0
ミス >>330の魔王「」がさごそ → 僧侶「」がさごそ


僧侶「で、ですけど! 四の五の言ってはいられませんよっ」

僧侶「これで音色を奏で続けていれば、誰かが気づくかもしれません!」

魔王「あー…まぁ、良いんじゃないのー」

僧侶「なんか反応薄いです…」

魔王「して、それは誰が爪弾く? 余はその様な物奏でた事ない」

僧侶「あ、私も……」

「……」

魔王「て、適当に奏でておればいいんじゃない…」

僧侶「私がですか!?」

魔王「だってそれ貴様の発想であろう! 余は知らんからなっ」

僧侶「ええぇ……」

僧侶は銀の竪琴を構えた。

僧侶「えっと、普通に…こう、ですよね…ね?」

魔王「知らんー」

僧侶「もぅ……えいっ」

ポロン♪

僧侶「あ、それっぽい音が! 聞きましたー!?」

魔王「一々喧しいなっ!? さっさと音出しておれよ!」

僧侶「はい……」ポロンロン♪
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:30:59.02 ID:SRsYE0FV0
ポロンポロン♪ピロロ〜ン♪

僧侶「上手い! 上手くなってきたと思いませんかっ」

魔王「テンション高い僧侶キモいである……」

僧侶「るんるんるん〜」

僧侶「なんだか、こういう物を奏でていると吟遊詩人になったような気持ちになります」

魔王「では何か詠っておれ」

僧侶「聞きたいですか? 勇者様」

魔王「べっつにー」

魔王「はぁ…退屈であるぞ…」

僧侶「勇者様も何かしてください!」

ポロリン♪ポンポポ♪

魔王「音色おかしくまいか?」

僧侶「あ、あれ……おかしいな…え、えっとぉ…」

ピンポポポン♪ギュギュギュッ

僧侶「お、おかしい……! コレ壊れていますよ!!」ドゥ〜ン ボッボッボッ

魔王「貴様の奏法がおかしいだけであろうッ!?」ドゥンドゥンドゥ〜ン

僧侶「私もう弾いてませんよっ!」ドゥクドゥクドゥクドュゥ!

魔王「喧しいぞこの竪琴!!」キュワキャキャキャキャキャキュワキャ!

僧侶「ああ、不良品だわ! コレっ」ドュキューン!
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:31:54.74 ID:SRsYE0FV0
シュウウ〜〜〜……


魔王「……お、収まったな」

僧侶「壊しちゃうなんて勿体ない……」

魔王「あのまま放っておけば、喧しいだけであったろうが…!」

魔王「結局、誰1人として此処へは来なかったぞ。どうするのだ」

僧侶「そうですね…やはり、先に進むしか…………あれ?」

魔王「あァ!? 今度は何じゃっ」

僧侶「勇者様。向こうを見てください……灯りが」

僧侶「灯りがこちらに近づいてきてる……!」

魔王「…何だと?」

真っ暗な通路から松明を持った人物が魔王たちに近づいてきている。

僧侶「攫われた娘さん? それとも戦士さんたち……?」

魔王「あるいは誘拐犯か」

僧侶「……ゴクリ」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:33:42.05 ID:SRsYE0FV0
「…パパ?」


暗闇の中から1人の女が現れた!

魔王「おう、そこの貴様。何者だ」

僧侶「女の人……もしかして」

僧侶「攫われた娘さん?」

「……あんた達、誰よ? あんた達も罠に引っ掛かってここに落ちてきた口?」

魔王「それはこちらの台詞だ阿呆。この様な所で1人、何をしておる」

「関係ないでしょ。何よ、期待させておいて」

僧侶「か、関係ありますよ? 私たち、あなたのお父様から依頼されてきたんです」

僧侶「あなたを救い出せと」

「〜……」

魔王「それでよ、貴様は件の娘で間違いないのか? ハッキリせよ!!」

娘「はい、そうよ……ったく、余計な事してくれて…」

娘「それで? パパは家でのんびりしてるのかしら?」

僧侶「そんな! あなたの事をとても心配していましたよ」

娘「だったら、パパ本人がここに来てくれなきゃ。おかしくない?」

娘「どうせ! 遺跡は危ないとか言って自分は何もしようとしなかったんでしょうね!」

僧侶「あ、えっと、その……」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:34:55.66 ID:SRsYE0FV0
娘「……手紙の内容まで無視して。娘がどうなってもいいのかしら」

魔王「おい! 先程から1人で何喋っておるよ? 余は許可しておらんぞっ」

娘「チッ…」

魔王「身を弁えよ小娘…!」

僧侶「弁えるのはこちらですっ。依頼された娘さんなんですから!」

魔王「しかし、余はこやつがどうも気に食わぬのだ」

魔王「グダグダウジウジと、先程から何だというのだ」

娘「あんたには関係ない」

魔王「貴様ァ…」

僧侶「と、ところで! 誘拐犯はどこにいるんです? あなたを攫った張本人は!」

娘「いない」

僧侶「……え?」

娘「だから、いない。最初からそんなのいないわよ」

魔王「どういう事だ、僧侶?」

僧侶「ま、まさかっ!」

娘「…そ。私があの手紙を出して、勝手に家出しただけ。この遺跡にね」

魔王「僧侶。こやつ何か面倒臭い気がする…」

僧侶「……はぁ」
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:35:44.62 ID:SRsYE0FV0
僧侶「どうして、その様な事を?」

娘「……結婚したくないの」

魔王「結婚だァ?」

僧侶「お屋敷の主さんが言ってたじゃないですか。娘さんは王子様とご結婚なさると」

魔王「聞いた覚えがない」

僧侶「言いましたよ…!」

娘「とにかく、私はあのバカ王子と結ばれる気はないの。だから」

僧侶「突然家を出た、と? お父上様1人をこの場所へ呼びだそうとしたのは?」

娘「……最後に試してみたのよ。私の事、どれだけ思ってくれてるのかって」

娘「昔からパパはね、私の事を愛してる愛してるって口だけ」

娘「いつも私に許可なく何か話を持ってきてみたり、私の知らない所で話を進ませていたの。勝手
にさ」

娘「それが、すっっっごいムカつく!」

魔王「ワガママな小娘ー!」

僧侶「……親は皆、子を愛していますよ。きっとお父上様もあなたの事を思って」

娘「好きでもない奴と無理矢理結婚させるのが私の事を思って? はっ、バカバカしいわ」
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:36:48.13 ID:SRsYE0FV0
娘「私は普通の恋を、恋愛をしたいのよ」

僧侶「わからなくは…ないですけど…」

魔王「はぁ? 面倒臭い奴らじゃのぅ……」

魔王「だいたい王族と関係を持てるのは名誉な事なのであろう? 何が不満か」

娘「だからぁ…!」

僧侶「乙女心がわからない男の人はいけませんよ、勇者様」

魔王「余は男であるッ!! 女なんぞ知るかよ!」

娘「そうよ。男っていつもそう」

娘「パパは自分の家の為に私を売ったんだわ。そう思わない? 僧侶さん」

僧侶「…わ、私にはわかりません」

僧侶「けど、やっぱりお父上様だって!」

娘「……もういい」

娘「帰って。私はここでパパを待ちます」

魔王「そこまで父に固執するのは何故だよ」

娘「え?」
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:38:37.76 ID:SRsYE0FV0
魔王「気に食わぬのなら、家を出れば良いだけであろうが?」

魔王「嫌ならば父にどう思われているだとか、グダグダ言わずにさっさと縁を切るなり好きにしたらどうだ?」

娘「そ、それは」

僧侶「……勇者様。子は誰も親に愛されたいものなんです」

魔王「では僧侶、貴様もそうか?」

僧侶「……まぁ」

魔王「? 貴様何か不満気そうであるな」

僧侶「いいえ、別に。何でもないですよ」

娘「…私だって、パパの事が嫌いってわけじゃない」

娘「ママが死んでからずっと育ててきてくれたわけだし」

僧侶「いいお父上様ではありませんか。素敵です」

娘「……」

娘「……どうして、パパ、どうして私を助けに来てくれないの」

娘「まだ離れたくないよっ…」

魔王「コロコロ言う事が変わる奴だな、貴様は! ハッキリせよッ」

娘「結婚なんてしたくない!! 私を売らないでよ、パパ!!」

魔王「ふむ、それが貴様の真の言葉であるな? いいのだなァ?」

娘「うう、っぐ…ぐすっ……」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:39:37.39 ID:SRsYE0FV0
僧侶「それでは、お家へ帰りましょう? ね」

娘「で、でもっ…!」

僧侶「後はあなた自身がお父上様に先程の言葉を伝えるんです。私たちはあなたたち家族の事情ま
では助けてあげられないわ」

娘「パパはわかってくれるかしら…」

娘「また私の言う事なんて無視して、勝手に…」

魔王「その時は強硬手段である。逃走もまた策の内という」

魔王「まぁ? 余ならば真っ向から勝負するわけだが?」

娘「あ、あはっ…あなた、強いのね」

娘「私もあなたたちぐらいの勇気が欲しい」

僧侶「この様な危険な場所に1人で入るぐらいですもの。勇気は十分じゃないでしょうか?」にこ


娘「そう、かな」

娘「よし! 私、直接パパに言ってやるわ! だから、帰りましょ!」

僧侶「はい、決まりですねっ」

僧侶「それではすぐに…」

魔王「待て」
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:40:15.32 ID:SRsYE0FV0
魔王「どう、ここから帰ればよいと言うのだ?」

僧侶・娘「」

魔王「して、戦士と盗賊は置き去りか?」

僧侶「」

僧侶「忘れてた……」

魔王「薄情だな貴様…」

娘「私、さっきこの先を見てきたの。見事に行き止まりだったわ」

僧侶「そして、私たちが騒いでる事に気づいてこちらに戻ってきたのですね?」

娘「ええ」

魔王「と言う事はだ。あの罠は侵入者を地下に閉じ込め飢え死にでもさせる物だったというわけ
か」

娘「そんな……」

僧侶「大丈夫。希望を持ちましょう」

僧侶「ここは手分けして出口、あとは2人を見つけませんか?」

魔王「余は1人でこの様な場所をうろつきたくない!」

僧侶「ワガママ言わないでっ」

娘「そういえば」

娘は何かを取り出した!

娘「さっきこんな物を見つけたんだけど」
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:42:12.38 ID:SRsYE0FV0
魔王・僧侶「鍵?」

娘「どこで使うのかはわからないけど」

魔王「この場所の物か、はたまた別の場所か」

僧侶「とりあえず、鍵穴を見つけてみましょう! そうする他ありません」

娘「そうね…」

・・・

娘「それで」

娘「どうしてあんた私に着いてきてるのよ…?」

魔王「だから1人は嫌じゃと申したであろうが」

娘「さっきは頼りになるかと思ってたけど、情けない男……」

魔王「あァ!?」

娘「ていうか僧侶さんにくっ付いてけば良かったのに」

魔王「だって僧侶一々怒って鬱陶しいんだもん…」

娘「ねぇ、あんたたち一体何者? 普通の旅人には見えないんだけど」

魔王「……ふふーん聞いて驚くなよ、勇者である!!」

魔王「魔王を討つ為、はるばる遠方から旅をしている途中だ。それがよぉ」

魔王「何やら、貴様を助けろだなんて頼みこまれ、こうして面倒ながら来てやったのだ。感謝するが良いぞ」

娘「感謝は…してる。でもあんたが勇者? 余も末ねぇ」

魔王「やっぱこやつムカつく…」
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:43:52.17 ID:SRsYE0FV0
娘「でも世界を旅してるだなんて羨ましい。いいなぁ」

娘「私もあんな狭い町で一生を終えることなく、世界を見てみたいかも…」

魔王「では、そうすれば良い」

娘「か、簡単に言っちゃってくれるわねぇ」

魔王「貴様がそうしたいならそうしろということだ。それとも言われなければ動けぬのか?」

娘「……ずっと、そうだったかも」

娘「今回が初めてかもしれない。私の意思で家出なんかしたのは」

魔王「ふーん、つまらん人間よのぅ」

娘「ええ、つまらない人間よ。言われたままに物事を成し遂げて」

娘「言われたままに結婚させられようとしてる。受動的なのね、私って」

魔王「そんなのだから貴様の親父は知らぬ男と結婚なんぞさせようとしているのではないか」

娘「……」

魔王「意思を持たぬ者は人形と同じである。さながら最後は遊び壊され終了といった結末かのぅ」

魔王「よぉ、言われるがままの人生は楽しいか?」

娘「……とっても、楽よ」

娘「でも何も面白みがないと思う」

魔王「余もそう思うわ」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:45:00.60 ID:SRsYE0FV0
娘「…たまには敷かれたレールから外れてみるのも、いいかもね」

魔王「脱線事故?」

娘「違う。自分でレールを敷くのよ。先へ進む為の」

魔王「余もそうした。これからも続くくだらぬ道とやらから外れる為になァ」

娘「あんたが? でも、勇者なんて魔王を倒すだけの人生じゃない」

魔王「玉にはそれも良い。長く生きるとそういった事もしたくなるのだ!」

娘「長く生きるって…何よ? あんたまるでずっと昔から生きてたみたいな言い方ね?」

魔王「まぁ、そうであるな」

娘「は…?」

魔王「余はな、人から憎まれる事にもう飽き飽きしたのだ。どこの誰だか知らん奴に命を狙われる
ことにもな」

娘「ふぅん、勇者って大変なんだ」

魔王「いや、楽だよ」

娘「…よ、よくわからないわね」
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:45:52.46 ID:SRsYE0FV0
娘「……ねぇ、あんたちゃんと探してる?」

魔王「あ? 何をだ」

娘「出口とか、あんたたちが逸れちゃったお仲間さんとかよ!」

魔王「…ああ、喋りに夢中で忘れとったわ」

娘「ほんっと、残念な勇者様だこと」

魔王「あァ!?」

娘「……?」

魔王「だいたい余の何を知って貴様は!!」

娘「ね、ちょっと…」

魔王「何だよ!?」

娘「こんなに狭かったかしら…この通路…?」

魔王「…狭かったんじゃないかァ?」

娘「ううん。どうもおかしいわ」

娘「何度もこの道は通ったもの…」


ズズズ・・・


娘「!」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:46:40.05 ID:SRsYE0FV0
娘「今の音聞いた!? ていうか壁!」

魔王「壁がどうした?」

娘「ちょっとずつだけど、こっちに向かって迫って来てるの! 壁!」

魔王「また罠が発動したか…?」

娘「今のところそんな感じはしなかったはずよ…どうしてっ」

娘「このままだと私たちここで圧死しちゃう……どうするの!?」

魔王「最悪ここを余がぶち壊してくれようぞ。何も怖じ気つくことはあるまい!」

娘「そ、そんな事言われたって…!」

「勇者様ー! 娘さーん!!」

僧侶「はぁ、はぁ……き、気づきましたか!?」

魔王「壁が迫ってきた事か?」

僧侶「そ、そうっ!! そうです!! 壁が」

魔王「こやつらはどうも落ち着きがない……情けない奴らめ」

魔王「とにかくよ、潰される前に出口を」


ドーン!!!

ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴ


娘「な、何ぃっ!?」

僧侶「上……!?」

魔王「ほほう! 次は、天井であるな」

天井がゆっくり、ゆっくり下へ下がってきた!
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:47:33.44 ID:SRsYE0FV0
娘「どうすればいいのよ!? し、死にたくないっ…」

僧侶「落ち着いて、落ち着いてくださいっ」

娘「無理よぉっ!!」

魔王「……出口が見つからない。ここには何もない」

魔王「否、あった……」

僧侶「勇者様…!?」

魔王「おう、貴様ら。潰れ死にたくなければあの穴へ跳び下りるが良い!」

娘「はぁ!? 追い込まれて頭イっちゃったの!?」

魔王「阿呆が、余は至って正気であるぞ。とにかくさっさと来い!」ぐいっ

魔王は娘の手を引いた。

娘「ちょ、ちょっと…!」

魔王「僧侶! さっさと着いて来い!」

僧侶「は、はいぃ!」


3人は大きな穴の中へ跳び下りた!


僧侶「きょ、今日は何度穴へ落ちたらいいんですかっ……!」

娘「いやぁああああああああぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!」

魔王「喧しいわ小娘ッ!」




ひゅ〜〜〜〜〜〜〜…………
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/07(水) 02:49:16.15 ID:SRsYE0FV0
穴落ち2連続、以上です
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 08:11:11.61 ID:h3jz8TFDO

今一番楽しみにしてるSSwwwwww
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/12/07(水) 09:09:27.58 ID:Ky7kv/780
おつ
盗賊が僧侶ルート行ったか!?っていってたくせに普通に忘れられててわろた
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 10:42:28.73 ID:850w4loS0
≫僧侶「じゃじゃーん!」

なんか僧侶ちゃんあざといwww
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 13:17:14.84 ID:/IqVgyXDO
面白いなオイ
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 15:49:26.91 ID:q1K9pQnIO
魔王って空飛べたり瞬間移動できないの?
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県) [sage]:2011/12/07(水) 17:17:58.96 ID:8V5k9p5K0
魔王と言ったらエクスデスのイメージしかないから

動きがゆっくりしてそう

ディシディアではワープしてたけど
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 22:14:50.21 ID:/IqVgyXDO
俺の読解力の問題だと思うけど、何で母親は魔王を息子(勇者)と見なしたの?
すまん誰か教えてくれ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/12/07(水) 22:38:14.56 ID:mZCQUDwGo
多分勇者に変身したか、憑依したかじゃね?
話し方や体格が違うとかはギャグ補正
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 23:13:00.62 ID:/IqVgyXDO
なるほどthx
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:17:20.42 ID:n+QFMaj00
盗賊「……」

戦士「おーい、何か見つけたか?」

盗賊「特にないな……はぁ」

戦士「おいおい、元気出せよ! こうテンション低い奴がいると俺まで気が滅入ってくるぞ」

盗賊「勝手に滅入ってやがれ」

戦士「うわっ、ひでぇー」

盗賊(僧侶ちゃんは無事だろうか。どうして離れ離れになってしまった…)


盗賊「!」


盗賊「これが…愛の試練、か?」

戦士「お前がそう思うなら」

盗賊「乗り越えて見せよう……そして俺は見事あの子を物にしてみせるぜ……」

戦士「その為にも、早く勇者殿と僧侶ちゃんと合流しなきゃだなぁ」

盗賊「燃えてきた……!!」

戦士「おっ? 燃え尽きるまで1分とみたな」

盗賊「黙れ肉ダルマ……!!」
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:23:39.79 ID:n+QFMaj00
戦士「にしても勇者殿、大丈夫だろうか。いや、心配はいらないのかな……」

盗賊「戦士、前から思っていたんだが」

盗賊「……てめぇあっち系じゃねぇだろうな」

戦士「あっち?」

盗賊「わかんねぇ奴だぜ…」

盗賊「ホ…ゲフンゲフン、モ!」

戦士「……」

戦士「盗賊お前…」じりっ

盗賊「うわぁっ、何だよ!? 俺に近寄るんじゃねぇっ」

戦士「お前、俺を今までそんな目で見てたのか?」

盗賊「いや…そういうわけじゃないが……だが」

盗賊「何か、勇者の事を見る目が…その」

戦士「俺彼女いるぞ?」

盗賊「ああァッーーーー!!?」
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:26:24.94 ID:n+QFMaj00
盗賊「どこのどいつだ! てめぇ、ホラ吹いてんじゃねぇ!!」

戦士「ウソじゃないって。お前なんかに見栄張ったってどうしようもないだろ」

盗賊(なんか腹立つぞ)

戦士「何? 知りたい? 知りたいか? ん? ん?」

盗賊「うぜぇ……!」

盗賊「てめぇの女なんぞ興味すらわかねぇな。どうせモンスター(顔面的な意味)だろ」

戦士「さぁねぇ〜」にやにや

盗賊「チッ…! 気分最悪だぜ」

戦士「勇者殿には尊敬の眼差しっていうのかな、それが向いてるんだろ」

戦士「第一、俺は女が好きだ。そんな趣味はないって」じりじり

盗賊「わかった…わかったから、俺にじりじり近寄ってくんじゃねぇ…」

戦士「さーて、と。盗賊の誤解も解けた所で2人を探すぜー、それから依頼の娘さんもか?」

盗賊「……その娘だがよ。そいつも罠に掛ったって可能性もある」

戦士「ん? つまり俺たちと同じ様に地下へ落とされたってか?」

盗賊「それもあれば他の罠ってのもあるぜ。つまりだ、最悪の場合…」

戦士「止せよ。縁起悪ィ」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:30:38.61 ID:n+QFMaj00
戦士「こういう、罠だらけにする意味ってあるもんかな」

盗賊「あぁ…?」

戦士「見られちゃいけねぇ物があるとか」

戦士「……お宝が潜んでるとか?」

盗賊「ロマンがあって大変結構だぜ……だがよ、ありえるかもな」

戦士「使いの男が言っていた武器、か」

盗賊「遺跡の壁に彫られてた絵、見たろ。どう考えてもここは勇者の為の遺跡…自信持って、絶対
とは言えんがなぁ……」

戦士「勇者殿の為の遺跡って。つまり何だよ、魔王を倒す為の武器が眠ってるっつーことになるか?」

盗賊「そんなの俺は知らんぜ。……ていうか、そんな物があるなら何で勇者は今まで魔王を殺せなかった?」

盗賊「いや、そもそも……その武器とやらが見つけられていない…?」

戦士「ははっ、そんなバカなぁ」

戦士「勇者ともなれば、こんな所楽勝だろー」

盗賊「さて、な」
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:33:29.64 ID:n+QFMaj00
盗賊「それにしても、勇者……くくっ」

戦士「何だよ? 急に」

盗賊「いつからだか知らねぇが? 勇者とは魔王を討つ為の存在なんだろ」

戦士「それが何だよ。当たり前の事言いやがって?」

盗賊「それが一度も魔王を打ち負かしたなんて話がないぜ。敗北に敗北を塗り固めっていってやがる」

戦士「…お前まさか、勇者なんてものは無駄だって言いたいのか?」

盗賊「わりかし近い……無謀の挑戦もいいところ。犠牲が増えるだけだぜ……く、くくっ」

戦士「おい!」

戦士「俺は自殺志願の為に勇者殿へ着いて行っているわけじゃねぇんだ」

戦士「それに民は皆、勇者が救いをもたらすと信じている! 勇者殿は希望なんだ」

盗賊「信じ続ければ、それは叶うって…? ふん、違うぜ」

盗賊「裏を返せば、その希望とやらは何人もの勇者という名の犠牲で成り立ってるんだよ」

戦士「おい……」

盗賊「世界は、いや、俺たちは今も昔も魔物たちに脅かされてきた。そうだろ?」

盗賊「だからこそ自分たちはいつか救われる、世界はいつか平和になるって幻想を追い求めてきた」

盗賊「……つまり、俺たちが勇者へ求めていたものは1つ。安心…だぜ」
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:40:42.98 ID:n+QFMaj00
戦士「……勇者が、自分たちに代わって魔王を、魔物を倒し…平和を取り戻す」

戦士「しかし、それはいつになっても叶う事がなかった」

盗賊「だが人々の勇者への期待は途絶えない。……何でだろうな?」

戦士「勇者が死んでも、次の勇者がいる……」

盗賊「自分たちより力があり、魔王を唯一討つ事ができる存在。それってマジ話だろうかな…?」

盗賊「でもよ、世界中の人々はそう信じてるんだぜ。真意は誰も問わねぇ」

戦士「……一種の宗教みたいなもんか?」

盗賊「くくっ、心理的には近いんじゃねぇか? ……敗北が続こうと、本当の敗北は訪れない」

盗賊「勇者の血が途絶えることがない限りってところか……ん?」

盗賊「勇者は確か、16になると魔王討伐の旅へ出るよな…子どもは…?」

戦士「ん?」

盗賊「いや、子どもはいつ作ってる……!?」

戦士「16にもなれば生殖機能は十分だし、その辺で孕ませてるんじゃねぇの?」

盗賊「下品だてめぇっ……!」

盗賊「ていうかよ……俺らの勇者様は…あれ、マジで16か?」

戦士「えっ、あの人俺より歳下!?」

盗賊「気づくのおせぇっ」
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:41:49.43 ID:n+QFMaj00
戦士「どう見ても16の少年には見えないかも」

盗賊「同意見だ…!」

戦士「……もしかして、老け顔?」

盗賊「……」

戦士「深い事は気にしない方がよさそうだな、俺たちはー」

盗賊「柄じゃねぇよな」


……ひゅ〜〜〜〜〜〜〜


『きゃーきゃーきゃぁああああ〜〜〜〜!!?』

『このまま落ちても大丈夫なんですかぁーっ!?』

『運に身を委ねるもまた一興である!』

『絶対てきとう言ってるでしょそれっ!!! もういやぁあっー!!』


戦士「何か、聞こえるよな?」

盗賊「ああ…聞こえたぜ…………僧侶ちゃんの声…!!」

戦士「だけかよ」

盗賊「上だ! 上から降ってくるぜ、待ってろ。今受け止めてやる…!」

戦士「お、おぉいっ!?」


ひゅ〜〜〜〜〜〜〜……ドスン!


魔王たちが上から落ちてきた!
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:44:33.70 ID:n+QFMaj00
僧侶「ぶ、無事ですか?」

娘「私、生きてる!? 生きてるの!?」

魔王「残念ながらなァ」

戦士「……」

盗賊「……それより」

盗賊「てめぇ、さっさと俺から降りろ……殺す…!」

戦士と盗賊は魔王たちのクッションとなっていた!

魔王「おう、居ったのか貴様?」

盗賊「降りろって言ったぞてめぇっ!!」

僧侶「お2人とも! 無事でいらっしゃったんですね!」

戦士「……今は無事でないかも」


・・・


戦士「で」

戦士「その子が例の?」娘「こいつらがあんたたちが言ってた?」

魔王「質問は順番にしろ阿呆」

盗賊「ったく、今日は厄日だぜ…」

僧侶「ま、まぁまぁ……それより、本当に無事で良かった」

僧侶「お2人は最初からここに落ちていたのですねっ」

戦士「最初からって、君たちは」

魔王「余たちはこの上の階にいたのであるー!」

戦士「たまげたなぁ…」
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:49:28.45 ID:n+QFMaj00
盗賊「2重の罠、か」

娘「もう少しで私らぺしゃんこスクラップだったわ」

戦士「完全に侵入者を殺しに掛っているというわけか、盗賊」

盗賊「らしいなぁ……くっくっく」

魔王「おう、泥棒のエキスパート何とかしろ」

盗賊「そんな低俗な奴らと一緒にするんじゃねぇ…」

盗賊「俺は、盗賊、だ!」

娘「どう違うの?」

僧侶「えっと…」

戦士「きっと泥棒の1つランク上とかなんだろうな」

盗賊「……」

魔王「おお、泥棒+1」ぽん

盗賊「転職するかな…」
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:51:13.93 ID:n+QFMaj00
娘「泥棒でも盗賊でも何でもいいから、出口!」

盗賊「おい……っ」

魔王「戦士、そいつ抑えておれ」

戦士「合点でさ!!」がしっ

盗賊「てめぇっ!?」

娘「お仲間さんと合流できたんだし、今の目的はそれじゃないかしら」

魔王「珍しく意見が一致だ。この小娘の言う通り、さっさと出口を見つけるぞ!」

戦士「でもでも勇者殿。俺らさっきから辺り調べてるんスけど」

戦士「何もありませんでしたよ。ここ」

僧侶「そ、そんな……」

盗賊「確かにそれらしい物はねぇな……あるとしたら」

盗賊「骨ぐらいだ」

魔王「全く、つまらん場所よ…」

魔王「では何か? 余たちは息絶えるまで永遠此処に留まれと?」

「……」

娘「い、嫌よ! そんなの嫌ぁっ」

僧侶「勇者様! 皆を不安にさせてどうするのですか」

僧侶「ここは冷静になって…」

魔王「冷静に考えた結果がそうであっただけであろうが。他に、誰か何かある?」

盗賊「1つ、提案するぜ」
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 02:55:23.28 ID:n+QFMaj00
魔王「はい、泥棒」

盗賊「まずはその呼び方やめろ」

盗賊「もう一度、ここを調べようぜ…この人数なら何か見つけられるかもしれねぇ」

僧侶「賛成です。もしかしたら何か見落としがあるかも」

魔王「貴様らの事だし、どうせ雑に探索しておったに違いあるまい!」

戦士「うっ……」

盗賊「文句は何か見つけてからにしとけよ、くそったれ…!」

僧侶「ごめんなさい、娘さん。本来助けるべきあなたまで巻き込んでしまって」

娘「……ううん。いいのよ、こうなった事には私にも責任があるんだし」

娘「手伝わせて」

僧侶「あなたは強い人ですね……ほら、皆さんも見習わないと!」

魔王「口だけ達者の僧侶もなァ!!」

僧侶「そんな事ない、そんな事ないわ……しくしく…」
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 03:01:17.57 ID:n+QFMaj00
戦士「とりあえず、行動。OKっスよね?」

魔王「おう」

娘「それじゃ、私はあっちの方を!」

盗賊「俺はこっちだ……」

僧侶「皆さんくれぐれも気をつけて。何があるかわかりませんから」

盗賊「そいつぁ十分心得てるぜ…くくっ」

戦士「勇者殿、何かあればすぐに俺を呼んでくださいね! 即効駆けつけちゃいますから!」

魔王「良いよ? 別に来なくても」

戦士「ゆ、勇者殿……まだ船での事、根に持ってるんスかぁ…?」

僧侶「そんな事もありましたね。とにかく過去の事はいいので、早く探索に行ってください! 娘さんと盗賊さんは行っちゃいましたよ!?」

戦士「出遅れた……! うおおおおおおおぉぉぉぉ!! きっと勇者殿の力になってみせるぅ!!」


『うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!』


魔王「まるで魔物の雄叫びであるな…声でけぇー…」

僧侶「それだけ勇者様の為に頑張りたいという事ですよ。察してあげてくださいね」

魔王「えぇっ…戦士だしのぅ…」
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 03:04:36.78 ID:n+QFMaj00
すたすたすた、ぴたっ

…ぴたっ

すたすたすた、ぴたっ

…ぴたっ


魔王「……おう、貴様」

娘「え?」

魔王「何故余に着いてきておるのだ…ウロチョロと鬱陶しいのだがァ?」

娘「ふっ、さっきのお返しよ。いいでしょ? あんただって私に勝手に着いて回ったんだし」

魔王「余と貴様の立場が違うわカスッ」

娘「はいはい、そうねぇ。ところで」

娘「さっき、私の手を引いてくれて……ありがと、ね」

娘「私が足がすくんで動けなかった事、わかってたの?」

魔王「あァ? そうであったのか? なっさけない〜」

娘「さっきの感謝の言葉返してよ!?」

魔王「一度貰ったものは返さない主義」

娘「嫌な奴ね…ったく」

娘「でも、ふふっ! 嫌いじゃないかも、面白いわ。あんた」
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 03:05:52.71 ID:n+QFMaj00
魔王「……余を愚弄するか貴様」

魔王「貴様如き雑魚が余をその様に評価していいとでも? ああァ!?」

娘「そうやって子どもみたいにムキになるのが面白いの」くすっ


ぷっつん


魔王「貴様は余の仲間ではない。そうだよなァ?」

娘「は?」

魔王「言うて分からぬ愚かな阿呆はぶっ殺してくれよう……」

娘「え、なっ、何…?」

娘「ちょ、ちょっと……何本気に…」

魔王「何だ? 許しを請うか?」

魔王「遅いわッッッ―――!!!」

魔王は突然、襲いかかった!

娘「っひ……!」

娘「い、嫌あああああぁぁぁぁぁぁっっっーーー!!?」

魔王の攻撃!
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 03:11:13.21 ID:n+QFMaj00
『ギャアッッ!!』

『貴様、仲間ニ向カッテ何故攻撃デキル! 攻撃デキル!』

なんと、娘は魔物へ姿を変えた!

凶悪な魔物が現れた!!

魔王「ふゥん、どこのどやつが仲間と申した?」

魔王「貴様は魔物であろうが。わざわざ姿を変えて向かってくるとはご苦労だなァ」

『ドシテワカッタ! ドシテワカッタ!』

『姿モ声モ記憶モ全テ完璧ダッタ! 完璧ダッタ!』

魔王「余を誰だと思っておるのだ……偉大なる勇者であるぞ!」

魔王「低俗なクズめ、消え失せるがよいッ」

魔王2度目の攻げ…

『俺ハ娘ヲ取リコンデイル、ゾ!! ゾ! ゾ!』

魔王(ではこうしよう…)

魔王「まぁ、許せよ」

魔王は魔物の口へ腕を突っ込んだ!

『アゴッ!?』

魔王(……こやつ)

魔王「んん〜〜〜〜〜〜…貴様、どれだけの魔物と人間を喰らったのだァ?」ぐちゃ

魔王「余は同族を喰らってしまう様なハングリー糞魔物を配下に置いていた覚えはないが」

『アブブブッ、アブブブッ』

魔王「あァ? 何と申しておるか聞こえんぞ! しっかり言葉を喋ろよ。完璧に、喋られるのであろ
う……んー?」ぐちゃぐちゃ
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 03:15:22.62 ID:n+QFMaj00
『フガゴッ、フガゴッ』

魔王「貴様は鼻で喋るか。違うであろうが、口で。ほら、口で物を喋れィ」

『ンー! ンンフー…!』

魔王「……チッ」

魔王「ああ、ああ、アアアアアアアアアアアアアァァァァァァァーーーッッッ!!!」

魔王「貴様の様なウンコがおるから余は人間共から憎まれるのだ!! 余は貴様を苦しめ殺してくれるッ!!!」

魔王は空いた片手で魔物の腹を切り裂いた!

開いた腹から娘を救い出す!

『ングゥウウウウーーー!!!!! ン、ン、ンンンゥゥゥーーー!!!!』


娘「……」どさっ


魔王「ふん、まだ溶かされてなかったとは運が良いな。小娘」

魔王「……おう、貴様も良かったな。こやつまで食い殺されておったら、もうちっと苦しめておったところだ。感謝するがよい」

『ヒュー……ヒュー……――――――』

魔物は絶命した。

魔王「闇に潜み、獲物と見定めたなら見境なしに喰らい、姿、言葉、記憶をも奪い取る卑怯者。最悪のゲスである」

魔王(魔物に今まで遭遇しなかったのはあやつが全て食っておったからか…どうりで)

娘「……う、ううぅ」
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 03:18:16.72 ID:n+QFMaj00
娘「わ、私……一体何が」

魔王「気がついたかマヌケが」

娘「どうしてあんたがここに……? ていうか私は……」

魔王「貴様は魔物に食われておったのだよ。まぁ? 余が救ってやったが?」

魔王「感謝しろ。命一杯にな」

娘「……ありがと」

魔王「おい、素直でキモいぞ!!」

娘「あ、あんたが感謝しろって言ったからそうしたんでしょ!? 何よっ」

娘「…………ね、ねぇ…あんた、これ!」

魔王「あァ?」

娘「この魔物、本当にあんた1人で倒したっていうの……冗談でしょ…?」

魔王「余は冗談が嫌いである。おら、さっさと探索を続けよ! もう魔物が出る心配はないわ」

娘「う、うん…」

娘(こんな強そうな魔物を1人で倒すなんて…それにこれ、普通の人間がやれる所業じゃない……)

娘「……」

魔王「のぅ、何か貴様臭い…」

娘「はぁ!?」
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sagesaga]:2011/12/08(木) 03:23:26.98 ID:n+QFMaj00
以上。今週はもう続き投下無理っぽいかもしれないごめんなさい
375 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 07:29:46.45 ID:ad6WBZmUo
えぇー
でも、来週まで舞ってる!
376 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 09:33:40.34 ID:HRX/ehI9o

楽しみに待ってるよ
377 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 14:01:30.58 ID:y9uDflXUo
しつこく来週まで待ってやるからしっかり書けよ、体に気をつけろよ
378 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 16:00:17.67 ID:eHLyFk9g0
乙!
あんたのペースでうまく続けてくれ

魔王様は部下オモイダナー
379 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 17:17:51.31 ID:TnBquTlIO
胃液って言うかゲロの匂いか
380 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 23:20:55.61 ID:k5Zpe5ZDO
面白いから待つよ
381 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 03:48:46.74 ID:ukkXdKDh0
今週は無理だと言ったが、すまん。ありゃあウソになったようだ・・・


魔王「だから臭いのだ」

娘「女の子に向かってそんな事言って失礼だと思わないわけ!?」

魔王「知らんよ。あー臭ぇ臭ぇ!」

娘「最っ低」

娘「……行き止まり、かぁ」

魔王「否、そうとも限らんな」

魔王「これを見るがよい」

娘「何よ? …あ」

娘「ここだけ色が!」

魔王「如何にもである。おう、死にたくなければ下がっておれ……」

娘「ちょっと何する気よ」

魔王「魔法でそこを打ち抜くのだ。手っ取り早くて素敵」

娘「どこがよぉ! ちょっと待ってて、みんなを呼んでくるわ。いい? 待て、よ」

魔王「あァ? チッ……」

・・・

僧侶「言われてみれば確かに」

盗賊「おい、てめぇら……俺がそんな初歩的なもんに気づかねぇと思ってたのか?」

娘「え?」

戦士「俺たちも怪しいと睨んでたって事さ」
382 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 03:50:15.03 ID:ukkXdKDh0
魔王「あァ!? では何故に最初に余に教えなかったのだ!」

戦士「すんません……ですけど、それねぇ」

戦士「ここら一帯、どこの通路の奥にもあったんですわ。一か所だけ色が違う壁」

僧侶「本当ですか?」

盗賊「ああ、しかもいくらどう見ても、いじっても何にもありゃしねぇ」

娘「無駄だったって事? そんな…」

魔王「おう、しっかり見たのかよ貴様ら」

盗賊「ウソなんか言っても仕方がないぜ、勇者様よぉ」

戦士「出来る限りの事はしたんですけどねぇー…俺たちにはどうも」

僧侶「そうですか。ですが、もう一度よく調べてみても」

娘「そうよ! どうも怪しいのよね、これ……」

盗賊「なら調べてみな……くくっ、どうせタダの壁さ」

魔王「と申しておいて何かあれば貴様の面目丸潰れじゃのぅ」

盗賊「はっ、ねぇよ。無い物はない」

魔王「そう、かぃ!!」

魔王は色の違う壁を蹴った!
383 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 03:56:49.66 ID:ukkXdKDh0
僧侶「勇者様!?」

盗賊「まっ、またてめぇは! 何度同じ事俺に言わせるつもりだ!?」

魔王「……」

娘「……何も、起きない?」

戦士「みたいだな」

魔王「何だと…?」

盗賊「く、くっくっく! ……言った通りだったな? 勇者様?」

娘「そ、それじゃあ私たちどうしたらっ」

魔王「あァー!! 面白くないであるー!!」

魔王は壁を蹴り続けた。

僧侶「怪我してしまわれたらどうするんです! やめてくださいっ」

魔王「だってだってー!」

ゴ ゴ ゴ

戦士「……?」

戦士「なぁ、この壁動いてないか」

盗賊「ボケてんのかてめぇ…?」

戦士「いや。ほら、微妙に壁が擦れる音もする」

僧侶「という事は、勇者様が蹴ったことで壁が押しだされている?」

戦士「……だったりしてな」

魔王「おーおー! ならば、蹴り続けてくれるわ! おら、死ね死ね!」がんっがんっ
384 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 03:58:12.73 ID:ukkXdKDh0
ゴゴ ゴ、ゴ


娘「ホントね! 音が私にも聞こえたっ」

魔王「くっくっくー! のう、盗賊〜? 余に何か言う事はないのかァ? え?」

盗賊「ああァ!? ……チッ」

戦士「不可能を可能に変える男……凄い方だよ、勇者殿はさぁ……!」

僧侶「単なる偶然じゃないでしょうか…?」

魔王「運も実力の内じゃ阿呆! ふっはっはっ……あ?」


ズゴゴゴ、ゴ…ゴゴゴゴ…


戦士「な、何だぁ?」

僧侶「ゆ、揺れてますっ…!」

娘「また天井でも落ちてくるっていうのー!?」

魔王「貴様ら一々喧しいぞッ」

盗賊「……いや、天井じゃあねぇな」

盗賊「壁だ。勇者が蹴ったその壁……!」


『オデ、痛イ。オデ、オ前ラ許サナイ』


「!」

戦士「いかんっ、この壁魔物だぞ!!?」

壁は魔物だった!
385 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:00:21.56 ID:ukkXdKDh0
『押シ潰ス!!』

娘「きゃあああぁああぁあーーーーーー!!!」

僧侶「魔物っ、ゴーレム!?」

盗賊「や、厄介な奴が潜んでやがったな……勇者、てめぇのせいだぜ…!!」

魔王「盗賊風情が余に押し付けるな!」

盗賊「てめぇが蹴らなきゃこいつも起き出さなかったんだよっ」

戦士「意思を持つ有機物質の塊、ゴーレム。始めて見た」

戦士「……逃げるが勝ちっじゃないっスかねぇ」

魔王「ならん!! この様な奴、大した事あるまいよッ」

『……オ、オデ怒ッタ。仲間、呼ブ』

盗賊「おいっ、今なんて……!」


『ゴオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ』


魔物は突然咆哮を上げた!

僧侶「すごくマズいですよ……! あの魔物、他の魔物を呼び寄せています!!」

娘「うっ、うそでしょそんなの!? こんな所でこれ以上の魔物がいたら……っ」


『……ゴオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ』


辺りから魔物の呼びかけに答える様にいくつもの咆哮が上がった!

盗賊「……まさかとは思うが」

盗賊「色の違う壁は全て、ゴーレムだったっていうのかよ……?」

戦士「みたい、だな。ははは…」

ずしん、ずしん、ずしん
386 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:01:50.81 ID:ukkXdKDh0
魔物(ゴーレム)の群れが現れた!


『狭イ、狭イゾ…』

『チョット奥ニ詰メテ』

『腕、腕ヒッガガッダァ!』

『ナガマ! ナガマァー!』


僧侶「通路詰まってませんか……?」

戦士「図体デカいからなぁ」

魔王「良かったな貴様ら。ボコり放題であるぞ?」

盗賊「いくら身動きが取れねぇゴーレム相手だろうと、傷つけるのには一苦労だぜ……」

娘「この隙に逃げちゃいましょ!? チャンスよっ」

魔王「待て」がしっ

娘「今度は何よ!? 今逃げなきゃ…」

僧侶「その、無理なんですよ……ほら、前と後ろにゴーレムがいるし」

盗賊「後ろはゴーレムの壁が出来あがっちまってるしな……」

娘「〜……」

娘「じゃあどうしたら!」

魔王「前にいるゴーレムの背後、通路が見えまいか」
387 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:04:16.39 ID:ukkXdKDh0
僧侶「見えます。ですが!」

盗賊「あのデカ物が邪魔くせぇぜ…」


『ゴオオオォォォ!! ゴオオオォォォ!!』


魔王たちの背後からは獲物を捕まえようと、魔物の手が伸ばされている!

戦士「どうも前に進むしかないようだな」

魔王「ただひたすら前へ! である!」

魔王「……カッコよいな、この台詞」

娘「わかったからそうするなら早くそうしましょうよぉっ!!」

『行カセルトオモテル? マチガテル』

僧侶「……だそうです。ただでは通してくれなさそうですね」

戦士「当たり前っちゃ当たり前だがよ。勇者殿、作戦は!」

魔王「申したはずだ! ただ前へ!」

魔王「むふっ…」

盗賊「気に入りすぎだろ」

戦士「つまり、奴をぶち壊してでも先へ進めっつー事っスね」カチャ

僧侶「娘さんは少し離れていて……大丈夫。私たちは無事ここから脱出できます」

盗賊「俺の道に立ちはだかるなら、殺すしかねェな…奴さんもやる気の様だしよ」

娘「だ、大丈夫かしら……」

『大丈夫ナワケナイ。俺、オ前ラ殺ス』
388 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:05:35.08 ID:ukkXdKDh0
魔王「こやつらは仕留める事ができても、余は無理だろうなァ」

『ドウイウ意味?』

魔王「……」

『ウウッ、コイツ、ナンカイヤ。ダメ』

戦士「気迫だけでゴーレムに勝った!? さ、さすが勇者殿ォーーー!!」

僧侶「か、感心してる場合ではありませんよ……!」

僧侶「ゴーレムが向かってきますっ!!」

『オ前ラ4人カラ殺ス! 死ネ死ネ』


どすん、どすん、どすん


魔王「余はスルーかよッ」

ゴーレムの攻撃!


ぶんっ


盗賊「っっぐ……!」びりびり

盗賊(鈍いとばかり思っていたが、デカさを物にいわせた厄介な攻撃…)


『グオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!』


盗賊「こいつ、出来る……っ」


……ずどん


盗賊「……は?」

ゴーレムを倒した!
389 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:06:48.30 ID:ukkXdKDh0
魔王「余を無視した罰であるぞー!」

盗賊「勇者、てめぇが仕留めたのか……?」

魔王「あァ? だってあやつ余に目も触れずにそちらに向かって行ったのだぞ!?」

僧侶「だ、だからって…まぁ、結果オーライなんでしょうか?」

戦士「そう、なるなぁ。意気込んでいた俺らが恥ずかしいぐらいアッサリ」


『ナガマァー!!』

『仲間、ヤラレタ! 仲間、ヤラレタ! ドウシヨウカ?』

『復讐ノ鉄槌ヲ人間ドモニ与エロ!』

『ソ レ ダ』


娘「と、とにかく! これで先へ進めるのね!? だったら早く!」

戦士「そうだな。モタモタしてると奴らが強行突破してくるかも」

魔王「ならば貴様ら、突っ立っていないでさっさと先へ進め。おら、盗賊!」

盗賊「なんで俺が先頭だ…!?」

魔王「罠があるといかんからな」

盗賊「てめぇっ!!」

僧侶「と、盗賊さんファイトー!」

盗賊「任せておきな……」

魔王「な? 扱いやすい奴じゃろう」

娘「そ、そうね…」

戦士「急げ! 急げ!」
390 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:09:23.17 ID:ukkXdKDh0
すたすたすた


盗賊「特に異常はねぇ。安心しな、ただの通路だぜ」

戦士「じゃあ、あのゴーレムは罠代わりだったわけか」

盗賊「そうとも限らんけどな……」

娘「」ちらっちらっ

僧侶「後ろ、気になりますか?」

娘「だ、だって魔物がいっぱいいるのよ!? あんたたち平気なのっ?」

僧侶「まさか。これでも焦っていますよ」

僧侶「ですが、ここで私たちがうろたえている姿を見せてしまえばあなたを不安にさせてしまうで
しょう?」

娘「え、えっと……」

僧侶「大丈夫、最後までお守りしますわ。だから安心してください。ね、勇者様?」

魔王「さて、な」

僧侶「もうっ! ここは気を効かせた一言を言う場面ですよ!?」

魔王「知るか! その様なくだらん茶番に一々付き合っていられるかよッ」

娘「……くすっ」

娘「大丈夫よ、幾分落ち着けたと思うから。あなたたち見てると不安なんて吹っ飛んじゃう!」

僧侶「……そ、それはお褒めの言葉として受け取っても?」

戦士「はっはっはっ、どうだか」

僧侶「うっ、複雑極まりない……」

娘「ふふふっ!」
391 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:10:33.86 ID:ukkXdKDh0
盗賊「……あ?」

僧侶「盗賊さんどうしました?」

盗賊「扉だ。扉があるぜ」

僧侶「本当……ですが、錠がついていますよ」

魔王「鍵なんぞ付けんでも普通この様な場所など気づくまいに。阿呆じゃのう!」

戦士「もしもを想定して付けたんでしょうな。しかし、どうするかねぇ…」

戦士「引きかえすわけにもいかんし、ぶち壊しちまいましょうか?」

魔王「構わん。やれ、戦士」

戦士「応っス!」

娘「待って!」

魔王「……よぉ、貴様は水を差すのが好きな様だが」

娘「鍵、持ってるじゃない!」

魔王「あァん?」

僧侶「…そういえばっ」

戦士「どういう事?」

娘は拾った鍵を取り出した。

娘「これよ。拾ったの」
392 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:12:09.68 ID:ukkXdKDh0
盗賊「……」

がちゃり

扉の鍵が開いた。

盗賊「くくっ、マジだぜ。ビンゴだ…」

娘「やったー!」

僧侶「ふふっ、良かったですね」

娘「うん! やったやったっ」

魔王「そこまで喜ぶ事かよ、小娘」

娘「だ、だって! 初めてみんなの役に立てたみたいな……とにかく、何か嬉しいの!」

戦士「別に君は俺たちの脚を引っ張ってもないんだし、ていうかそもそも守られる側なんだから」

娘「ほら、守られてばかりも何か悪い気がするし…」

僧侶「ううん、そんな事ないです。これが私たちの今のお仕事なんですし」

魔王「飽きてきたけどなァ。ふぁ〜…」

僧侶「勇者様っ!」

盗賊「……おい、部屋の中見てみろ」

魔王「あ?」
393 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:13:48.22 ID:ukkXdKDh0
娘「……中に何か置いてある。棺?」

戦士「こんな所だと、開けたらゾンビがわぁーっ…と」

僧侶「やめてください」

盗賊「……もしかすると、お宝じゃあねぇのか?」

魔王「何だと?」

盗賊「てめぇ、例の武器の話に釣られてここへ来たんだろうが。忘れたのかよ」

魔王「武器……おおぉ!」

魔王「では何か!? アレが件の強力な武器とやらか?」

盗賊「開けるまではわからねぇぜ。とりあえず、部屋を調べてから…」

魔王「やっほぉーーーーうッ!!」

魔王は棺へ真っ先に向かい、蓋を開けた。

盗賊「……どうなっても俺は知らねぇ…」

戦士「おい、無責任だぞ!?」

盗賊「うるせぇ、アイツが悪いんだろ!」

魔王「……」

僧侶「ゆ、勇者様? いかがしましたか…?」

魔王「……これか」

魔王「強力な武器とはこれの事か? えぇっ? 盗賊ッ」

魔王は棺の中にあった物を取り出し、見せた。

「!!」
394 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:15:45.68 ID:ukkXdKDh0
盗賊「……わ、わからねぇ。だがよ」

盗賊「そ、その剣…何だよ……っ」

魔王「余は知らん。貴様らにはコレがどの様に見える?」

僧侶「勇者様。悪い事は言いませんから、その剣を棺に戻して…お、お願い……!」

娘「こ、こわい……見たくない、それ…」

戦士「……アレが勇者が持つべき武器だと?」

戦士「そんな筈ねぇ…あんな禍々しい剣始めて見るぞ……」

魔王「はぁ? 貴様ら何を」

僧侶「いいからそれを持っていてはダメですっ!! いけません!」

僧侶「それは、人が持っていい物じゃ……」

盗賊「気持ち悪くなってきた……僧侶の言う通りだぜ。さっさとそいつを仕舞ってくれ…」

魔王「んんー? ……にやり」

魔王「オラオラ、貴様らコレが嫌か? 嫌なのかー? えー?」ぐいぐいっ

娘「きゃああぁっ!!? それ持ってこっち来ないでよぉっ!!」

僧侶「ひぃっ…!」

魔王「戦士と盗賊はどうじゃ? うりうり〜」ぐいぐいっ

盗賊「…うっぷ、おええぇぇぇ…………」

戦士「や、やめろぉっ! 見せないでくださいっ、お願いしますからっ!!」

魔王「……面白いな、コレ」

僧侶「ふざけないでくださいっ!!」
395 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:17:04.97 ID:ukkXdKDh0
僧侶「勇者様といえど、おフザケが過ぎます!!」

僧侶「……本当に、お願いしますから。その剣を棺の中へ」

魔王「えぇ…」

僧侶「えぇ、じゃないですっ!! は、早く!」

魔王「チッ…わかったわクソったれ。何じゃい、折角面白い物を見つけたというに」

魔王は剣を棺の中へ戻した。

戦士「……勇者殿はなぜあんな物を持つ事ができたんです?」

魔王「別に剣ぐらい普通に持てようが? まぁ、割と軽い物であったが」

盗賊「くっそ、気分悪ィ…! あれはお宝なんかじゃなく、ここに封印されてある魔剣か何かじゃな
いのか…あ?」

娘「……う、うぅ、いやぁ…こわい、こわいよっ」

僧侶「もう大丈夫、大丈夫だから。安心して」

娘「っひ、ぐ……あぁあーっ…!」

僧侶「大丈夫、大丈夫」なでなで

戦士「見た物に不快感と恐怖心を植え付ける、とでもいうのか? アレは」

魔王「別に余は何も感じなかったがなァ」

戦士「じゃあ、所有者には無害?」

盗賊「…とにかく、出口だ。出口を探そうぜ」

戦士「あ、ああっ」
396 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:18:30.81 ID:ukkXdKDh0
僧侶「そちらはどうですか?」

戦士「いや、何も」

盗賊「……」ポチ

盗賊は壁にあったボタンを押した。

魔王「おうッ、貴様!? 慎重にとか申しておったやつが何を!」

盗賊「…間違いないと思ったから押した。それだけだぜ」


ゴゴゴゴゴ


娘「また揺れてる……?」

盗賊「見な、あそこ。徐々にだが壁が開けていってる……階段だぜ」

戦士「階段って、まさか! ここから上に昇って帰れるってのか!」

僧侶「よかったですね、娘さん! なんとかなりそう!」

娘「ほ、本当に!? よ、よかった……」

魔王「出口やもしれんし、はたまた罠が待ち受ける部屋かも知れんなァ」

娘「……」

魔王「安易に良かった、なんて言葉を使うのはまだ早いという事だ」

僧侶「で、ですけど…」

戦士「とにかく行ってみなければ分からんさ。行こう」

魔王「では盗賊よ、前へ!」

盗賊「結局また俺なのかよ……!」
397 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:20:11.09 ID:ukkXdKDh0
こつ、こつ、こつ


娘「長い階段なのね。ふぅ」

戦士「おぶろうか?」

娘「だ、大丈夫。1人で歩けるから…」

僧侶「無理だけはやめてくださいね。ダメだと思ったら甘える事も勇気です」

娘「うん…」

魔王「随分と歩かせるが、余たちはここまで奥底の方に落ちていたと逆に実感させられるな」

戦士「ですねぇ。よく生きていられたもんだって思いますわ」

盗賊「…こんな所でくたばるなんてゾッとしねぇぜ」

魔王(あの魔物に食われ死ぬのが大抵の山の落ちであろうがな)

娘「はぁはぁ……ん…?」

娘「み、見て! あれ出口じゃないかしら!? 光が見えてる……っ」

戦士「本当だ。もしかすればもしかするかもっスよ! 勇者殿!」

魔王「さてなぁ」

娘「わ、私一番乗りぃっ!」

娘は出口に向かって駆けだした!

僧侶「あぁっ、娘さん! ダメです!」

魔王「小娘如きが余を出し抜こうと? 阿呆めー! 余が一番じゃ!!」

僧侶「魔王様まで!?」

戦士「じゃあ俺もっ」

僧侶「戦士さぁんっ! ……もうっ。…盗賊さんは?」

盗賊「くっくっ、僧侶のペースに合わせてやるぜ…」

盗賊(俺、気遣いできるイイ男だ)

僧侶「結構ですよ。お気遣いなく」

盗賊「はい……」
398 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:20:57.91 ID:ukkXdKDh0
???


娘「……ここは」

戦士「遺跡の中、じゃなさそうだ」

魔王「むしろどこぞの家の地下とでも言ったところか?」

戦士「こんなにだだっ広い地下が普通の家の下にありますかねぇ」

僧侶「ふぅ……皆さん、どうしたんですか?」

娘「遺跡の中じゃないみたいなの、ここ」

盗賊「あ? どういう事だよ。そんなわけ…」

盗賊「……おい、ここにある箱の紋様」

魔王「紋様? どれじゃ?」

盗賊「これだ、これ……見覚えがあるぜ。これ」

僧侶「あ、私も。確かこれはー」

魔王「余にはさっぱりであるな」
399 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:24:27.05 ID:ukkXdKDh0
戦士「……わかった」

戦士「おいおい、何だ。ここって…」

戦士「砂漠の町の中の城じゃないか?」

娘「はぁ!? そ、そんなわけっ」


『お前たち、そこで何をしているー!!!」


「!」

兵士「侵入者が地下にいたぞー!! 大至急応援をよこせー!!」

僧侶「ちょ、ちょっと待ってください! 私たちはっ」

兵士「問答無用だ! 大人しくしていろ!」

盗賊「……ここは大人しく捕まった方がよさそうだな」

魔王「はぁ!? ふざけるでないっ、余はそんな事!」

盗賊「王宮の兵士を倒すわけにもいかねぇだろ……!」

魔王「ぐ、ぬ、ぬぅぅぅ……!」

兵士「け、剣を抜くなよ。いいな!?」

戦士「おう。お手上げ、お手上げだよ」

娘「ど、どうしてこんな……」

魔王「くっそ、面白くないである!!」

兵士s「確保ォーーーーーー!!!」

400 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/10(土) 04:26:06.05 ID:ukkXdKDh0
お、400ジャスト。一応、以上です
次の投下は月曜か火曜になると思われ
401 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 04:59:28.79 ID:siI8lAqjo
402 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 05:59:30.22 ID:xM/d0dXAo
403 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 11:23:49.96 ID:BhtgzB8fo
>>397


さりげに僧侶が名前で呼んでるな
404 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 12:23:28.24 ID:LKYXRvZ20


次回がとても待ち遠しい
405 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 16:11:32.97 ID:CksMUpQDO
406 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 16:53:21.85 ID:TytH1Mh/0
ゴーレム、とか名前がついた魔物が出てくるの初めてだな
407 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 18:57:06.72 ID:alQklxIDO
あれ側近が送った魔物は名前ついてなかったか
408 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 20:23:19.92 ID:PBqQUVzHo
FFにゴーレムなんていたっけか?
409 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 20:55:54.01 ID:Me+ngLD4o
>>408
召喚獣ならいる
敵としてもいた気がする
410 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 21:08:28.32 ID:PUk2Ixwa0
戦士が倒した大王イカいるな
411 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 02:49:48.66 ID:yIIbeewK0
牢屋


魔王「ここカビ臭いである!! 出せオラ、出せー!!」

兵士「喧しいぞお前ら! 少しは大人しくしていろ」

魔王「ち、調子に乗るなよ、阿呆。良かろう…余の強力な魔法で」

戦士「抑えてください勇者殿っ。そんな事したら俺たちマジで王族を敵に回しちまいますから!」

僧侶「私たちどうなっちゃうんでしょうね……」

盗賊「さぁな、くっくっ…城に無許可で侵入したんだ。結構な重罪じゃねぇか」

娘「って事は死刑……? い、いやよ!」

魔王「そうなる前に余がこの国を滅ぼしてくれようぞ」

僧侶「勇者の位が没収されちゃいますよ。穏便に済ませましょう」

魔王「……貴様らよォ、よくもこんなに悠長に構えていられるものだな?」

魔王「この様な場所で、しかも余たちは何もしておらんぞ! だのに此処だぞ!?」

魔王「バカかアホかッ!!」

戦士「まぁ、理不尽っスよねぇ」

盗賊「だったらそこの牢屋番に言ってみたらどうだ。俺たちは無実とな」

娘「そ、そうよ……! もしかしたら分かってくれるかもしれない!」

魔王「ムカつくが、申すだけ申してみようか」
412 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 02:50:38.52 ID:yIIbeewK0
魔王「おう、そこの」

兵士「……」

魔王「おい、貴様ァー! 聞こえておろうがッ。余が呼びかけておるのだぞ!」

兵士「……」

魔王「余は勇者であるぞ!? 無視するでないッ」

兵士「……」

魔王「ぐ、ぬぅ…!!」

盗賊「基本だんまり決め込んでるようだな、くくっ」

僧侶「これでは無実の晴らし様が」

僧侶「お、お願いです! 大切なお話なんです。どうか聞いていただけませんか」

兵士「……」

僧侶「どうして…」

娘「ケチ! バカバカ!」

戦士「……いい事思いついた」
413 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 02:51:34.43 ID:yIIbeewK0
戦士「ちょっと、耳貸してくれ」

魔王「あァ?」

戦士は仲間たちに秘密の相談を耳打ちした。

戦士「ごにょごにょ……」

娘「はぁ!?」

僧侶「戦士さん冗談ですよね!?」

戦士「いや、マジだマジ」

盗賊「事と次第によってはてめぇを殺そう……」

戦士「大丈夫だってみんな! 俺を信じろ!」

魔王「やむを得んな。おう、僧侶に小娘。出番である」

僧侶・娘「いや!」

魔王「勇者からの一生のお願い」

戦士「俺からも……な?」

僧侶・娘「ううぅ…」
414 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 02:53:35.40 ID:yIIbeewK0
兵士(急に大人しくなったな。諦めたのか)

僧侶「ね、ねぇー?」

兵士「……」

僧侶「そこの兵士さぁん。きっ、聞こえてるでしょ〜?」

娘「ちょっとこっちに来てくれないかしらぁ…ふふっ」

兵士「……」

娘「話を聞いてくれるだけでいいのぉ…ね、お・ね・が・い」

兵士「黙っていろ」

僧侶「つれない人……女の話に付き合う事もできないの…?」

兵士「俺は罪人と話す様な無駄な事はせん」

僧侶「少しぐらい、いいじゃない…お願い、こっちを見るぐらいはして?」

兵士「あ? ……んぶっ」

兵士「き、き、貴様ぁ!? 何て破廉恥な恰好を…!!」

僧侶「……///」

僧侶は危ない水着を装備していた。

娘(僧侶さん。あなただけごめんなさいっ)

僧侶(最悪……いっそひと思いに殺して……)

僧侶(というか、どうして私がこの水着を隠し持っていた事をみんな知ってるのよ!?)

兵士「ふーっ、ふーっ」

魔王「おう、あやつムッツリであったな。戦士の睨んだ通りである!」

戦士「上手くいくかもっスねー!」

盗賊「……」
415 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 02:54:49.11 ID:yIIbeewK0
娘「ね? このお姉さんを見ててくれてもいいのよ」

娘「だから、もっとこっちに来てぇ……」

兵士「……少しだけだからな」

魔王「んぷぷっ」

戦士「男って困った生き物っスよねぇ! うぇへへ!」

僧侶「……あ、あんまり見ないで…恥ずかしい…」

娘「そ、僧侶さんっ」

僧侶「だ、だって!」

兵士「いや、恥ずかしがる姿も中々……!」

盗賊「チッ……!」

戦士「ここは抑えててくれ。お前は下手に動いちゃダメだ!」

盗賊「うるせぇ、クソ……!!」

兵士「」じろじろ

僧侶「あ、やっ……だ、ダメです……」

兵士「良いではないか。お前らが俺を誘ったんだろう」

娘「そ、それで! 私たちの話は聞いてくれるのよね?」

兵士「あ、もうちょっと待って…もうちょっとな」

盗賊「殺す」

戦士「ダメだぁ!!」
416 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 02:56:38.74 ID:yIIbeewK0
兵士「……」

兵士「……遺跡から?」

娘「そうなの。お願い、信じて」

兵士「そんなバカな話があって堪るか。ウソに決まっている」

魔王「真じゃボケ! 何故信じようとせんッ」

盗賊「牢屋に入ってる奴の話をまともに取りつくろう奴がいるかよ…」

僧侶「確かに、ウソに聞こえてしまうのは分かります。ですが事実なんです」

兵士「遺跡の地下から階段を上るとそこは城の地下と。ふっ」

兵士「……いや、待てよ」

娘「信じてくれるの!?」

兵士「…誰にも言うなよ?」

兵士「あの砂漠にある遺跡だがな、過去にこの城に住まう王が建設させたと聞いた事があるんだ」

戦士「王が? 何の為に」

兵士「俺が知るか。目的はハッキリとせん。ご自身の力の大きさを形にしたかったのではないか?」

盗賊「へっ、富豪の発想だな。遺跡の中身の罠は自分の財産に踏み込まれるのを防ぐためか、それとも王自身のただの悪趣味か……」

魔王「は? 罠が趣味?」

盗賊「悪趣味と言った。世の中にはそういう変態もいやがんだよ」

魔王「レベル高けぇのぅ」
417 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 02:58:41.27 ID:yIIbeewK0
兵士「それにしてもあの遺跡に入るなんてバカな真似を。目的は?」

戦士「この子の救出だ。依頼でな」

娘「……そう、私が原因」

娘「だから悪いのは私一人よ。この人たちは関係ないの」

兵士「城に無断侵入した時点で同罪だ。言っても変わらん」

娘「頑固者! ムッツリスケベのくせに!」

兵士「結構だ」

盗賊「……そういえば」

盗賊「おい、遺跡の地下には剣があった。アレは何だ」

兵士「剣だと?」

僧侶「はい。とても禍々しく、恐ろしい物でした」

戦士「まさかアレを守るか封印でもする為の遺跡?」

盗賊「十分あり得るだろう」

魔王「いつの日か、勇者に譲るときまで大切に保管していたんであろう?」

盗賊「あんなもん勇者様が持つもんじゃねぇよ…」

兵士「待て待て。話が分からん」

娘「あんまりあの剣については話たくないわ……」

兵士「ここまで話を振っておいてそれは酷い。いいから説明できる程度で…」


『おい、そろそろ交代の時間だぞー』


「!」
418 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:01:09.86 ID:yIIbeewK0
戦士「お、おい」

兵士「すっかり忘れていた…。じゃあな、俺はそろそろ」

娘「ま、待って! 城の人に説明してよ! 私たちは無実だって」

兵士「それは無理だ。そんな事した日にゃ俺まで牢にぶち込まれてしまうよ」

兵士「じゃあな」

兵士は去っていった。

僧侶「せ、せっかく少しばかり話ができると思っていたのに……」

魔王「のぅ、次の奴も色仕掛けで」

僧侶「嫌です!! 勇者様がすればいいじゃないですか!」

盗賊「……そんな地獄絵図見たくねぇぜ」

魔王「やらんけどそう申されると殺したくなる程ムカつく…」

戦士「しかし、王が遺跡を建てたとなれば、この城の地下に通じていた事にも説明がつくな」

魔王「ではそれを王に伝えてくれれば良いのではないか?」

僧侶「過去の話ですから…もしかしたら、現王はわからないかも」

魔王「んな阿呆な!」

僧侶「あり得ない話でもないんです。それに、王へ接触できるなんてこの状況じゃ不可能に等しい」

娘「……できなくは、ないかも」

魔王「あァ? 適当抜かしておると打っ飛ばすぞ小娘」

娘「適当なんかじゃないわ。いい? 思い出して。私、一応この国の王子と婚約する予定なのよ?」

盗賊「……なるほど、な」
419 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:03:10.90 ID:yIIbeewK0
戦士「しかし、牢屋に入ってる奴らの話なんてまともに取りつくろう奴らじゃないだろ」

戦士「しかも婚約者が牢の中、だなんてな」

盗賊「婚約する相手としては最悪だぜ…」

僧侶「そんなものやってみなければ分かりません! 諦めるにはまだ早いです」

娘「……私、できるだけの事はやってみたい」

娘「可能性としては0じゃないと思うわ。どう?」

魔王「余は別に小娘がどうなろうと知ったこっちゃあない。やれば?」

娘「ええ」

盗賊「……正気か?」

戦士「勇者殿がそう言うのなら、俺はそれに従おう」

僧侶「実行させるには、まずはどうやって王とアポを取るかですよね」

盗賊「牢の中から王まで話を通させるなんてありえねぇ……また牢屋番捕まえるか?」

戦士「同じ手が通じるかなぁ」

僧侶「だから二度としませんってば!!」

魔王「面倒だから牢ぶっ飛ばしちまおうぞ」

僧侶「やめてください……!」

戦士「仕方がないな。おーい!! ちょっとこっち来て話聞いてくれー!」

兵士「……」
420 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:04:01.98 ID:yIIbeewK0
戦士「なぁ、ちょっとだけでいいからさー」

僧侶「これ着ます?」

戦士「着ねぇよ……!!」

盗賊(ここで俺がしゃしゃれば、一度僧侶ちゃんが着た水着を着れる?)

盗賊「くくっ、仕方がねぇな……」

兵士A「あれ、今呼んだ?」

戦士「お、何かイケそうじゃないか!?」

盗賊「あ、ああ……」

兵士A「何? 飯はまだだよ」

娘「実は聞いてもらいたい話があって」

兵士A「話? あーダメダメ。そういうのは聞かない決まりだから」

僧侶「そ、そこを何とか! 大切なお話なんです」

魔王「勇者からもお願い〜」

盗賊「おい、キメぇよ」

兵士A「……貴様、勇者だと?」
421 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:05:29.15 ID:yIIbeewK0
魔王「おォ? 如何にもであるぞ、余は勇者である!」

兵士A「はっ、ウソか本当かはわからんけどな。勇者なんてのなら俺は尚更お前たちの話を聞く気に
はなれん」

戦士「おい! 失礼だぞっ、本当にこの方は…」

盗賊「待てよ。こっちには証拠になるもんがねぇんだ。無理強いしてまで認めさせる必要はね
ぇ…」

盗賊「それに見たかよ。あの兵士、勇者って聞いただけで態度が一変したぜ?」

僧侶「私も気になりました。驚きよりも先に劣等感が顔に現れていたというか……」

娘「どういう事?」

僧侶「あまり言うべき事ではありませんが、一部ではいるんです。反勇者を掲げている人々が」

僧侶「何を持って勇者に対し、悪く思っているのかはわかりませんが」

盗賊「勇者制度崇拝から離れた奴らか……」

魔王「おう、その様な話余は聞いた事が無いが?」

盗賊「世の中色々あるっつーわけだ」

戦士「……勇者様は関係ないんだ。話があるのはこの娘1人」

戦士「何とか聞きいれてはくれまいか」

兵士A「黙っていろ」

戦士「……」
422 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:07:24.10 ID:yIIbeewK0
すたすたすた


『俺がわーざわざこんな所に来たというのにもてなしの1つもないのかー?』


兵士A「……!」

盗賊「何だ?」

娘「…この声、まさか」

兵士A「し、失礼いたしましたぁっ」

「チッ、次はしっかりしろよな」

魔王「おう、何者だ。あの生意気そうなクソガキは」

兵士A「き、貴様! 身を弁えろ!」

兵士A「このお方を誰と存じられる! 砂漠王国の次期王となられる王子であるぞ!!」

王子「如何にも。俺がこの国を治める王の息子、王子だ!」

王子「今日は俺のペットにする奴を選別しに来た。感謝しろ糞っ垂れ罪人どもめー」

僧侶「……どことなく、勇者様に雰囲気が」

魔王「はぁ!? 僧侶貴様ァ!」

王子「あァん? 喧しい猿がいるなー?」
423 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:09:39.03 ID:yIIbeewK0
魔王「あァ?」

王子「おい、お前。頭が高いぜ。伏せな」

魔王「誰に対してものを言っておるよ、貴様」

戦士「ゆ、勇者殿! マズイですって!」

魔王「だってこやつが…!」

盗賊「いくら勇者だろうと王族の位には敵わねぇよ…!」

王子「ん、勇者だって? どこのどいつだよ?」

魔王「……余だが、何だ?」

王子「ふぅーん……」

王子「……弱そうだねェ」

魔王「……」

王子「こんな勇者じゃまーた魔王に殺されて終わりじゃないのー!? ははは!!」

王子「それとも、そこ等の魔物にかな? なぁ、お前どう思うー?」

兵士A「野垂れ死んで終わりを迎えるのではないか、と」

王子「はっはっはー!! そりゃいい!」

魔王「……話はそれだけか。虫けらよ」

僧侶「だ、ダメです!! 抑えて勇者様!」

戦士「結婚すんなら相手はしっかり選んだ方が良さそうだな…」

娘「…改めてそう思わされるわ」
424 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:10:32.76 ID:yIIbeewK0
王子「あれ、お前」

王子「隣町の娘だよな。確か俺と婚約予定の」

娘「…そうです。王子様」

王子「……へぇ〜、写真しか見てないけどさ。結構イイじゃんよ」

王子「その目付きがイイ。俺の事バカにしてそうなさ」

娘「そ、その様な事はありませんわ……」

王子「よく言うじゃん。目は口ほどにものを言うって」

王子「俺はわかるんだよ! ウソをついてるか、ついてないか。相手の目を見てな」

魔王「どうだかなァ…その程度がどうした? 貴様の低い器は何も変わらんわ」

兵士A「貴様ぁ!!」

王子「まぁ、かっかすんなよ。それで? お前ら何でこんな所に入ってる?」

僧侶「わ、私たち、遺跡の地下からこのお城の地下へ辿りついてしまって…」

王子「本当?」

兵士A「地下に不法侵入していた事は確かの様です」

盗賊「する気でしたんじゃねぇよ……」
425 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:12:50.95 ID:yIIbeewK0
王子「こいつら出してOK」

「!」

兵士A「お、王子!?」

王子「俺の言う事が聞けないと言うか! いいからさっさと出せよ!」

王子「お前らに興味が沸いた。その話、俺とパパに詳しく聞かせてみろよ!」

魔王「……貴様、何を考えておる」

王子「勇者には関係ねぇー」

戦士「勇者殿、ここは大人しくそうされましょう。経緯はアレだが、何とか王に話をつけられそうだ」

盗賊「しかし、あのバカ王子の事だぜ。良い展開が見えん……」

戦士「そのときはそのときだ、思いっきり暴れてやろうぜ」

盗賊「そっちの方が性に合うな。くっくっく…」

僧侶「穏便に済めばいいのですが…」

兵士A「……お前ら、出ろ」

魔王たちは牢屋から出る事ができた。

王子「俺はさきに謁見の間にいるから。支度できたら来て」

王子は牢屋から出ていった。

兵士A「全くあの方は……何を考えているのかわからん…」

魔王「王となる者が常人と同じ頭をしていてはつまらんであろう。おら、さっさと所有物を返せ」

兵士A「……ほらよ」
426 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:15:18.75 ID:yIIbeewK0
兵士A「武器はまだ預からせてもらう。何かあると困るからな」

盗賊「ケチ臭ぇな」

僧侶「仕方がありません。私たちの汚名はまだ晴れてはいないのですから」

娘「……」

魔王「びびっておるのか、小娘」

娘「当然でしょ。王様に会うんだから…」

魔王「威勢が良いのか、そうでないのか、イマイチ分からん奴だな」

魔王「王と言えど、この様な城に住まう者など程度が知れておるわ」

娘「…どうしてわかるのよ?」

魔王「城の守りが固すぎる」

娘「はぁ? だって王様ならいつ命が狙われてもおかしくないのよ。だったら守りが固いのは普通で
しょ」

魔王「ふゥん、どうだかなァ。城に限らずな、住居という物はそこに住まう者によって印象が変わる物なのだ」

娘「……よく、わかんないんだけど」

魔王「だから小娘なのだよ。貴様は」

盗賊「おい、準備できたかよ。そろそろ行くぜ…」

戦士「はぁー、緊張してきたー!」

盗賊「冗談だよな?」

僧侶「行きましょう。そして、解放してもらいましょう!」
427 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:16:48.02 ID:yIIbeewK0
すたすたすた


兵士A「そこの扉を抜け、通路を真っ直ぐ先へ進むと謁見の間だ」

兵士A「くれぐれも王に対し、無礼が無いように」

戦士「はいよ。案内ごくろうさん」

兵士A「チッ…」

兵士Aは去っていった。

娘「大きい扉……」

戦士「ノックしたら開けてもらえるのか? それとも手動?」

盗賊「どっちだっていいだろ」

「お、おい! お前たち牢屋から出られたのか!」

僧侶「この声……確か」

兵士「俺だよ。ほら、さっきまで牢屋番だった兵士だ」

戦士「今から仕事に戻るのか?」

兵士「まぁな。…それより、こんな所にいるって事は」

魔王「ちょっくらここの王と話をしてくるのだよ。面倒だが」

兵士「何がどうしてそうなった」

僧侶「説明すると長いので……」

兵士「そうか。まぁ、いいさ」
428 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:18:21.62 ID:yIIbeewK0
兵士「それじゃあ俺はそろそろ。頑張れよ」

戦士「ああ」

兵士「あ、っと! 忘れていた。一つだけ忠告させてくれ」

娘「忠告って、王様の前で変な事はするなって?」

兵士「というかだ。そこの、えっと、自称勇者様」

魔王「余の事?」

兵士「あんた、身分をバラさない方がいい。できるだけ」

兵士「この国はな。住人の殆どが勇者を毛嫌いしてるんだよ」

魔王「はぁ!? 何故じゃ!」

僧侶「だからあの兵士さんは……」

兵士「理由は俺にはよく分からんよ。俺は別に勇者だからって差別する気はない」

兵士「ただ1つ、それだけに気をつけていればいい」

戦士「忠告ありがとう。助かるよ」

兵士「気にするな。ただの気まぐれで言っただけなんだから。それじゃあな」

兵士は去っていった。

魔王「あやつ割と良い奴だった?」

僧侶「ですね。……あんな姿見せてしまったけど」

盗賊「……なぁ、さっきの忠告がマジだって言うんなら」

盗賊「色々とマズイかもしれねぇな」

娘「どういう意味?」

盗賊「…王に会えばわかんだろ」
429 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:20:33.30 ID:yIIbeewK0
謁見の間


王「我が息子から話は聞いている」

王「砂漠の遺跡がこの城の地下に通じていたとな」

魔王「貴様も真と信じぬか」

「王に向かって何て口を!!」

王「良いのだ。控えておれ」

娘「結構いい人そう……」

盗賊「表面だけで判断するのは甘ぇな」

王「君が今回息子と婚約の契りを交わす約束になっている娘さんだね?」

娘「えっ……あ、はい」

王「息子をどうかよろしくお願いするよ」

娘「は、はいぃっ!」

戦士「婚約破棄しようとしてなかった?」

娘「面と向かって言えるわけないでしょ…!?」

僧侶「しっ、皆さんお静かに」

王子「パパ。アイツが例の」

王「……ふむ」

魔王「……おう、何をジロジロ見ておるよ。気色悪い!」

王「君が勇者という話は本当かね」

「!」

僧侶「あ、あの時王子様に話していたの忘れていましたね……!」

戦士「まさかこの件についての呼び出し?」

魔王「……如何にもだが。それがどうした」

王「ははっ、気に食わんな」
430 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:23:26.19 ID:yIIbeewK0
王「勇者。無駄だとは思わないかね、君の旅は」

魔王「どういう意味か」

王「魔王。いや、魔王様はけして我々人間が敵う相手ではないという事だよ」

王「いい加減諦めるべきだと思わんかね?」

戦士「お待ちください、王。それは人々が、魔王に対し負けを認めろという事でしょうか」

王子「簡単に言っちゃえばそうなるんだよねぇ」

僧侶「なんて事を……!」

盗賊「国民もそうだと聞きゃあ、上に立つ人間も反勇者ときやがった」

盗賊「そんなんでよく周りの国から嫌われねぇもんだぜ…」

王「この事について、私は表立って意見しているわけではないからな」

娘「隠れて、貶していたんですか」

王「……人の耳に触れなければ良い事よ」

王「我が砂漠の国は、心は既に魔王様へ忠誠を誓っている」

「!」

戦士「正気か、王よっ」

王子「俺らは長い物に巻かれる主義。強い奴の味方ってことさ」

魔王「……く」

僧侶「勇者様…」

魔王「く、くくくっ……ぷふっ!」

僧侶「……勇者様?」

魔王「ふっっっはははははっっっ!!! うわはははははははぁー!!」

王「気違えでもしたかね、勇者」

魔王「ま、真! 真面白いぞッ!! 笑わせてくれるわァー!! はっはっはっはっ!!」
431 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:25:05.14 ID:yIIbeewK0
王「…どういう意味だね」

魔王「余は貴様らが嫌いではない! 気に入ったッ」

「……」

戦士「ゆ、勇者殿。ジョークでしょうかね?」

魔王「余はその様な馬鹿げた事申さんわ阿呆」

魔王「それで? 貴様らは魔王の為に何をしておるのだ?」

魔王「進んでその身を魔物にでも差し出しておるのか? 国を譲るか?」

王「い、いや……」

王「だが今後の予定としては魔王城へ使いを出して、この国と…!」

魔王「弱者は虎の威を借りねばいかん、と」

魔王「所詮、最後にものを言わせるは力よのぅ。力は絶対である!」

戦士「……」

魔王「余は素直に己の弱さを認める者は嫌いではないよ。王」

王「ぐ、ぐぬぅっ……」

王子「パパ。アイツの言ってる事は間違ってねぇよ。それがわかった上でだろ?」

王子「理解がある勇者でマジで助かるわ。というわけで」

魔王「まぁ、余は勇者止める気ないけどな」

王子「……あ?」
432 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:26:56.22 ID:yIIbeewK0
魔王「別にー? 貴様らが魔王の下へ就こうが余には関係ないしぃー?」

僧侶「勇者様……!」

盗賊「無理矢理流れを変えやがったな…」

魔王「貴様らは好きにするが良い。しかし、余は魔王を討つからな」

魔王(言うても、余が魔王なわけであるが)

王「む、無理だ!」

魔王「やる前から負け事を申すな愚か者。やらねばわかるまいよ!」

魔王「……それだけだ。何か異議はあるか」

王「……」

王子「パ、パパ…!」

王「よいッ。良いのだ…我々には彼奴の事などもう関係がない」

王「……話を変えよう」

王「遺跡に入ったと聞いた」

王「して、地下から城の地下へ出たのだな?」

僧侶「ええ。やはり遺跡は」

王子「そうだよ。うちの城と繋がってる」
433 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:30:14.93 ID:yIIbeewK0
王「遺跡は先々代の王が作られた物だ」

王「魔王様崇拝の為に。そして今は」

王「魔王様の為の剣を納める為の遺跡でもある」

盗賊「じゃあ地下の棺に入ってたのが…」

王子「お前ら見たのか! あの剣を」

魔王「余が直々に手に取ってみせたが?」

王「なんと愚かな。アレは君の様な人間が触れて良い物ではない」

戦士「お待ちくださいよ。あの剣は何なのですか?」

王「……先程申した通り、剣は魔王様の為の物だ」

王「以前、我々の思想に共感してくれた半魔族の者と共に我が国一の武器職人が作り上げた」

僧侶「アレが人の手によって作られた? そんなっ…」

盗賊「マジだとしたらそいつはとんでもねぇ野郎だな」

王「君たちも見たというのなら分かるだろう。あの剣の恐ろしさを」

王「剣は全ての朽ちていった人間の無念、苦しみ、痛みを取り込む」

戦士「負の意思を食う剣? そんなバカな話があるか」

王「ゆえにアレは魔剣と呼ばれ、人目につかぬ場所で寝かされている」
434 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:32:44.45 ID:yIIbeewK0
王「我々人間には到底使いこなせぬ品だよ。我々には人の苦しみも痛みも分かる」

魔王「人の気持ちが分からぬ魔族ならでは使いこなせる剣という事か?」

王「如何にも」

王子「だからいつの日か、あの剣を魔王に渡して俺たちだけでも救ってもらおうとしてたんだよ」

娘「そんなの、最低よ」

娘「調子良い事ばっかり言って! あなたたち卑怯だわ……!」

王「生き延びるとはそういう事だ! 今に魔物たちが国に押し寄せ、滅ぼしかねない!」

娘「……こんな所に嫁ぐなんてこっちから願い下げ。軽蔑するわ」

王子「……」

魔王「うむ、余は決めた」

戦士「い、いきなり何っスか? 勇者殿」

魔王「あの剣は余が頂戴するとしよう。アレは余にこそ相応しい…むふっ」

王子「バカ言ってんじゃねぇよ!! お前は人間だ! 剣は使えない!」

魔王「申したであろうが。余は剣を手に取ったと」

魔王「余には何も感じられなかったが? 真、大層な剣かのぅ。アレは」

王子「じょ、冗談言ってんじゃねぇよ……!」

魔王「冗談など申さん。余は本気であるぞ!」

王「ゆ、勇者、貴様……」

魔王「そういうわけだ砂漠の王よ。あの剣、余が頂くとするッ!」
435 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/13(火) 03:35:43.38 ID:yIIbeewK0
以上です
次回、金曜日か土曜日予定で

>>403
そこに気づくとは・・・
たんなるミスです。そっとしておいて


どうも魔王なのに勇者と周りに呼ばせてるからごっちゃになりやすい
436 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 03:37:16.09 ID:WkQjm1Goo
おつ
437 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 03:37:57.80 ID:tDt/GMtOo

そろそろ終盤のほうに差し掛かってくる頃合いかなー
438 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 04:32:08.46 ID:6gJZugCe0

相変わらず面白いな

盗賊が好きを通り越して変態になりつつある・・・www
439 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 05:41:21.88 ID:ueSq/zmDO
いつ正体がバレるのかバレないのかワクワクがとまらないぜ
440 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 08:23:37.84 ID:kawk0FkIO
>>305
441 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 08:37:19.79 ID:jPH7gdCDO
442 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 09:05:43.29 ID:Ji1B/zLDO
面白すぎる。
急がずに完結を目指してくれ!

てか、魔王が本気出せば、砂漠の国なんて一瞬で吹き飛ぶんだろうな(笑)
443 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 14:23:08.76 ID:Jbtnr8d6o

いけー魔王いったれー
444 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/14(水) 15:49:30.17 ID:d4RrcKzo0
実際、魔王の正体バレたらこの仲間たちなら簡単に突き放してしまいそうな……ww
戦士とかは姉が殺されちゃってるわけなんだしほぼ仇同然なんだよな
445 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 17:07:34.40 ID:2hLSFPhQo


>>435
なんだ仲良くなって僧侶ルートじゃなかったのかwwwwww
446 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 22:42:10.62 ID:fwI2168k0
僧侶ちゃんは盗賊に好きとかの感情じゃなくて尊敬の念みたいなのをいだいてるんだろうなw
447 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 13:13:26.32 ID:0ZxpRkIDO
まだかな
448 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 23:54:43.41 ID:o+UCanlAo
まだかなまなかな
449 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:12:13.50 ID:iJehPTH30
城の一室


僧侶「広いお部屋ですねぇ。それに家具が……す、素敵」

娘「僧侶さん、すっごく嬉しそう」

僧侶「だってお城に泊まらせていただいているのですよ!?」

僧侶「ああ、夢みたいだわ……」

娘「ふふっ、可愛い人ねぇ」

僧侶「はい?」

娘「なーんでもない」

娘「……それよりあの勇者ってば、本気なのかしら」

僧侶「例の、魔剣のことですよね」

娘「僧侶さんはどう思ってる? やっぱり止めた方が…!」

僧侶「た、たぶん無駄です。あの方は、一度こうだと決めたら絶対なんです……」

僧侶「私としても今回ばかりは反対したい。あの剣は異常です」

娘「剣だけじゃないわ。この国自体も異常よ!」

娘「でもこれでハッキリした……私はここへ嫁ぐべきじゃないって」

娘「パパにも言わなきゃ」

僧侶「……この砂漠の国の内事情は、外に漏らさない方がいいかも」
450 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:13:47.06 ID:iJehPTH30
娘「どうして!? だって王様たちは」

僧侶「ええ、わかります。…彼らはとても弱い」


僧侶「いえ、違いますね。彼らだけじゃない、私たち人間はこの世界において弱い立場なのです」

娘「でもあなた達の様に勇敢に魔物に向かっていく人たちもいるわ」

僧侶「力だけが全てだとは私は思いません」

娘「そんなわけない! 相手を征服するには力の強さが一番でしょ」

僧侶「……残念ですが、それが現状ですよね。人と魔物の」

僧侶「私が言いたい事はそれではありません。生きていくには力以外にも大切な物がある、と言いたいのです」

娘「知恵……とか」

僧侶「はい、私たちは頭で考える事ができます。その知恵を振り絞り、生き残る術を考えているのです」

僧侶「術なんていくらでもあります。それは人それぞれ」

娘「だから、この国の様に強い方に着く事も許容すべき、って事?」

娘「でも私、そんなの認められない。卑怯よ」

僧侶「道理から外れる事で人から貶される。当たり前ですよね」

僧侶「ですが、彼らはそれを選んだのです」

娘「……じゃあ別にそれが知れ渡ったっていいって事じゃない。そうでしょ?」

僧侶「慈悲の心です。私は全ての人々に幸せになってもらいたい」

僧侶「……所詮、私のただのエゴですね。すみませんでした」

娘「僧侶さん…」
451 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:14:49.35 ID:iJehPTH30
娘「僧侶さんって、優しいわよねー!」

僧侶「は、はい?」

娘「私、この国の奴らなんてどうにかなっちゃえばいいんだってばかり考えてたもん」

娘「それに比べてさぁ、僧侶さんってば幸せになってもらい、だって」

娘「なんか、スゴイね……!」

僧侶「そんなっ、別に凄くなんてありませんよ!」

娘「ううん、スゴイ。だからこその僧侶さんなんだろうね」

僧侶「どういう意味、です…?」

娘「何でもないわ。わかった、私この国の事は他に言わない」

娘「胸の内に秘めとく。それでいいよね?」

僧侶「娘さん……ありがとうございます」

娘「お礼なんていいの。あー、疲れちゃった! 私もう寝るね」

僧侶「はい。お疲れ様です、娘さん」

娘「おやすみ……」

僧侶「おやすみなさい。ふふっ」

僧侶(私の思想は正しいのかわからない)

僧侶(それでも、私は望みたい。不幸な人が1人もいない世界を)
452 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:16:05.27 ID:iJehPTH30
盗賊「まさか、牢屋からこんな部屋に移れるとはな」

盗賊「運が良いのかよく分からんぜ…」

戦士「今はゆっくり休もう。せっかくなんだし」

盗賊「だなァ……くくっ」

戦士「それより、勇者殿。マジっスか?」

魔王「あ? 何がじゃ」

戦士「剣を物にするって事ですよ。マジでやばいですって、アレは」

盗賊「同感だぜ。てめぇは異常だ」

魔王「余は正常であるぞ。素晴らしい物を欲しがるのは悪い事ではあるまいよ」

戦士「すみませんが、素晴らしいなんて俺には思えません」

戦士「あの剣はまずい。きっと身を滅ぼされてしまいますよ」

魔王「ふんッ、余が剣如きに呑まれるだと? バカらしいである」

魔王「ともかく余はアレが気に入ったのじゃ! 何を言われようが決心は変わらんぞ」

盗賊「戦士。こいつに何言っても無駄だ……馬の耳に念仏って奴」

魔王「盗賊ムカつく。その様な勝手を申してただで済むと思うなよ…」

盗賊「わ、わかった…! わかったからその拳を引っ込めろ……」
453 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:17:28.90 ID:iJehPTH30
戦士「それにしても勇者が魔剣」

盗賊「前例ねぇな、そんなの。似合わんが、勇者らしく聖剣でも持っておけよ」

魔王「その様な物、余には相応しくないである!」

魔王「魔剣……良いではないか! 実に余に合う代物だ……」

盗賊「……寝る」

魔王「おう!? 余の話を最後まで聞けよッ」

戦士「まぁまぁ、こいつ疲れてますし。ささ、俺らも寝ましょう?」

魔王「余は興奮が収まらんのだ! 戦士も付き合え」

戦士「いやぁ…俺はちょっと」

魔王「全く、張り合いが無い奴らよのぅ!」

魔王「いーよもうっ、余はお手洗いへ行く」

戦士「廊下暗いから気をつけて…」

魔王「……」

魔王「戦士よ。着いてきてくれても構わぬぞ…」

戦士「へいへい、喜んで」
454 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:18:51.64 ID:iJehPTH30
廊下


魔王「無駄にだだっ広くて嫌な城であるな」

戦士「城ってそんなもんじゃないっスかぁ?」

魔王「……余の城よりデカイのがいけ好かん」

戦士「はい?」

魔王「何でもないわ! くそぅ…」

魔王「のぅ、戦士。あの剣を見た時、お前はどう思った」

戦士「魔剣っスか……とても嫌な感じしかしませんでしたわ」

戦士「あんな感情になったの久々でしたよ」

魔王「恐怖か?」

戦士「ええ……」

戦士「あんな剣を魔王に使われるのだとしたら、そっちの方が恐怖っスけどね」

魔王「へーへー、そうかそうか……」

「お前たち、何をしている?」

戦士「あんた! …こんな時間まで仕事か。難儀だな」

兵士「こんな仕事だしな。それで?」

戦士「便所だよ。寝る前にちょっと」

兵士「ああ」

魔王「のぅ、早く…漏っちゃうー……」
455 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:20:25.34 ID:iJehPTH30
じゃー


魔王「……ふぅ」

戦士「スッキリしましたか」

魔王「うむ。してよ、何故そいつがまだ居るのだ」

兵士「ちょっと世間話が長引いてな」

兵士「それより勇者様。あんたとんでもない事言いだしたらしいな」

魔王「まぁのぅ!」

兵士「まぁ、王は譲る気なんてないだろうな」

魔王「だとしてもである。無理矢理奪うまでよ」

戦士「やばいっスよ、それ! 勇者が泥棒なんて前代未聞だ!」

兵士「いや、結構人の家に土足で入り込んでタンスや壺の中を漁ると聞くが」


「……」


魔王「まるで盗賊であるな…」

戦士「それ盗賊が可哀想っス」

兵士「置いといて、まさか本当にあの遺跡と城が通じていたとはなぁ」

戦士「その様子だと、一部の兵士だけらしいな。遺跡の秘密を知っているのは」

兵士「そうなるな。どうもキナ臭いとは思ってはいたが……」

「おい、お前ら何の話だよ」

兵士「! お、王子……!」

王子「うっす」
456 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:22:24.23 ID:iJehPTH30
魔王「出おったな、バカ王子」

王子「そんなお前はバカ勇者じゃねぇかよ」

王子「全くとんでもない事言ってくれるぜ。てめぇは」

兵士「王子。この様な時間にどうされました?」

王子「ちょっくら散歩だ。それとママの様子を覗きにな」

戦士「……砂漠の国の女王は病に倒れていると聞いたが」

兵士「ああ、流行病を拗らせてしまわれたらしくな。随分とお苦しみになられている」

戦士「大変だな…」

王子「パパはさ、ママの為に頑張ってんだよ」

魔王「魔王へへーこらするのが母の為か? くだらんのぅ」

王子「何とでも言えよ。…もともとママは体が弱い」

王子「どんな事にもショックを受けて、心が安らがない毎日を送ってやがんだ」

王子「この国は砂漠に囲まれてるだろ? 魔物は人が多いこの町をよく狙ってきてさ」

戦士「砂漠の魔物は血気盛んで凶暴な奴らが多いからな。ここもいつまでも平和を保っていられるかわからんということ
か」

魔王「すぐにでも攻め入ってくるとはそういう事か?」

王子「そう。パパは毎日ハラハラしてる」

魔王「弱き者は日々脅えながら過ごすしかないと。まるで貧弱であるな」

王子「仕方がねぇだろ……」
457 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:24:06.19 ID:iJehPTH30
王子「……俺はそろそろ寝る」

兵士「はっ。お疲れ様でした、王子」

王子「明日、また謁見の間に来いよ。勇者」

王子「あばよ」

王子は去っていった。

戦士「…どこもかしこも大変っスよね」

魔王「知るかよ。余には関係ない事である!」

兵士「あんた勇者だろう。救ってくれよ、この世界を」

魔王「あァ? その為に今余たちは魔王討伐の旅をしているではないか」

魔王「魔王を殺せば救われるのであろうが? あァ!?」

戦士「……勇者殿、怒ってます?」

魔王「怒っとらんわ阿呆!」

魔王「戦士。余はもうベッドへ入る。さっさと部屋へ戻るぞ」すたすた

戦士「ああ! ちょっと待ってくださいよー!!」

兵士「……魔王を倒せば平和な世界が訪れる、か」

兵士「そんなの誰が言い始めた事なんだろうなぁ。へへっ」
458 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:25:46.74 ID:iJehPTH30
次の日 謁見の間


魔王「さて、王よ」

王「……」

魔王「剣をよこせ」

僧侶「単刀直入すぎます…!」

魔王「ふん、何も申さぬのなら余はこれから遺跡へ再び向かう!」

娘「ま、またあそこへ戻るの!? 冗談でしょっ」

盗賊「そんな事言うような奴には見えねぇだろ。ありゃマジだぜ」

娘「そんな……!」

魔王「ではな。行くぞ、者共」

王「待ちなさい」

魔王「あ? 何じゃ? 剣を奪われるのがまだ嫌と申すか?」

王子「ていうかそもそも譲るなんて一言もこっちは言ってないだろー!」

王「いや、譲っても構わない」

「!」

王子「パパ!?」

僧侶「ですけど、あの剣は魔王へ献上するのでは…?」

王「その通りだよ」

王「……例の物は既にこちらへ運ばせてもらった。おい」

側近「はっ」
459 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:26:47.65 ID:iJehPTH30
数人の兵士が棺を担いで部屋へ入ってきた。

娘「」びくっ

戦士「あの棺、間違いないな」

僧侶「剣が納められていた物ですね……」

盗賊「……アレが入ってるってわかるだけで気分悪ィ」

魔王「おお、準備が良いではないか!」

魔王「貴様らにしては気が効くなァ。むふふっ」

王子「パパ! 一体どういうつもりなんだよ!?」

王「黙っていなさい。さぁ、勇者よ。その棺から剣を取り出し、君に相応しいかその姿を見せてはくれまいか」

魔王「望むところよ」

魔王は棺から魔剣を取り出した!

王子「うわっ……」

娘「い、いやぁっ!」

僧侶「大丈夫、目を逸らしていてください。直視しないで」ぎゅっ

娘「怖い、怖いよ……」

盗賊「……」

戦士「…無理して見ていなくてもいいんだぞ」

盗賊「て、てめぇもな…く、くくっ」

魔王「どうじゃ、王よ。余は確かにこの手で剣を手にしておる」

王「……」

王「……見事よ、勇者」
460 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:28:25.34 ID:iJehPTH30
王「……」

魔王「顔が引きつっておるが。貴様、これが恐ろしいか?」

王「…いや、嬉しくてな」

魔王「は?」

王「ここで君が死ぬ事になると思うと、嬉しくてな!!」

戦士「勇者殿、王は何か企んでいる!!」

盗賊「すぐにその剣を手放せ……っ!」

魔王「断るッ!! これは既に余の物であるぞ!」

魔王「一度手に入れた物は二度と手放さんッ!」

王「では勇者よ、魔王様の為、世界の為に死んでくれぃ…!」

王子「パパ何をっ!?」

王「勇者以外の者たちを捕らえよ! 大人しくさせるのだ」

兵士s「おおおおおぉぉぉーーー!!!」

娘「な、何!? 何なの!」

僧侶「娘さんは下がっていてください……」

盗賊「ったく、何てマヌケだ。俺たちは……!」

戦士「勇者殿! 剣を!」

魔王「嫌じゃ!」

王「くっくっく……」

王子「ぱ、パパ……どうしたんだよ…ヤバいって…」
461 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:30:17.93 ID:iJehPTH30
王「勇者。その剣はね、あるキーワードを言う事で真に目覚めるんだ」

魔王「キーワードだと?」

王「そうだ! そいつはまだ目が覚めていない。眠っているんだ…!」

戦士「剣が眠っている? どういう事だ!」

盗賊「さぁな、楽しいお喋りでも始めるんじゃねぇのか!」

王子「どういう事だよ、パパ! 俺わけわかんねぇよ!」

王「今にわかるさ。剣が目覚めるとき、そいつは自分の近くにいる人間を」

王「食い殺す……!」

魔王「ふん、つまりは何か? 剣を握っている余が最初に食われると?」

魔王「バカらしいである。剣が食うだと? どこに口があるというのだー? ぷぷっ」

王『魔王へ勝利を! 勇者へ敗北を!』

魔王「……何を申しておるのだ、貴様」

王「君を死へ誘う呪文と言ったところかな。勇者」


・・・・・・カチャリ


魔王「あァん?」


『苦しい、苦しい、苦しい、苦しい……』


娘「な、何…この声……」

王子「おい! 誰だよ、やめろよこういうの!! バカ! アホ!」

盗賊「……剣だ」

盗賊「剣が喋ってやがる……!」


『死んでしまう、殺される、死ね、お父さんお母さん死んじゃう、食べられちゃったよ、死んだぜ』

『ああ、お父さん! お父さん……私、ここに、いるよ。迎えに、きて……』


戦士「!?」

戦士「な、何だよ…何であの子の……!」

僧侶「戦士さんっ、どうしたんですか!」


『いらない子、死ねばいいの、売女、汚い子、死ね、出ていけ』


僧侶「いや……!?」
462 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:34:11.08 ID:iJehPTH30
僧侶「あああああああぁぁぁぁあああぁああっっっ!!!」

盗賊「僧侶、どうした……!?」

僧侶「いやあぁっ!! いやあああぁぁぁぁっ!!!」

娘「……う、ううぅっ!」ガクガク

魔剣によって心を抉られた者たちは意識を失い、倒れた。

王「剣は、心の奥底に潜んでいる過去の精神的ショックを強制的に呼び起こさせる」

王「……ひ、ひひひ…あの剣は我々人間を不幸に陥れるしかないよ!」

王子「パパ止めろよ! どうしちゃったんだよ、さっきからおかしいぞ!?」

王「黙りなさい! これも全てママの為なのだよ! お前のママのな!」

盗賊「あの王……完全にイカれちまってんだ…。おい、勇者…!」

魔王「はいー?」

盗賊「…てめぇ、やっぱ平気なのかよ」

魔王「そういう貴様こそ平気そうであるなァ」

盗賊「そうでもねぇ…結構きてるぜ。……幸せな家庭に生まれた自分を褒めてやりたいね」


魔剣『ウォボオオオオオオオオオオォォォォォオオオオオオオオォォォォォ』


魔王「うむ?」

魔剣『おはよォォォーーーーーー』

魔王「……あ?」

魔剣『おはよォォォーーーーーー』

魔王「のぅ、何かこの剣キモい…」

盗賊「色々と遅ぇよてめぇは!」
463 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:36:36.25 ID:iJehPTH30
魔王「おう、魔剣よ! 貴様はどこから言葉を発しておるのだ」

魔剣『お腹減ったァーーー』

魔王「……では、どこで飯を食うのだ」

魔剣『お腹減ったァーーー』

魔王「ダメだこやつ! 全く話が通じんぞ!?」

王子「そんな事よりその剣、さっさと棺に戻せよ! 頼むから!」

魔王「……そうするかな」

盗賊「2度と手放さないって言ってたのはどこのどいつだ…!」

魔王「しかしよ、このままでは戦士や僧侶たちがマズイのではないか」

戦士・僧侶・娘「」

盗賊「落ち着け。いいか、勇者…どんな剣だろうと、刃を納める鞘がある筈だ」

盗賊「異常さが感じられるのはその刃。そいつを何かで隠せ……!」

王「無駄だよ! 鞘なんてその剣には存在しない!」

王「さぁ、魔剣よ! 勇者を喰らえ!」

魔剣『お腹減ったしィーーー』

魔剣は魔王へ向かって襲いかかった!

魔王「!」

魔剣『いただきま――――』

魔剣『……え?』
464 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:38:12.72 ID:iJehPTH30
魔剣『君は』

魔王「……様子が変わった。どうした、魔剣」

魔剣『君は誰だい?』

魔王「のぅ、盗賊。この剣は頭がどうかしておる…」

盗賊「剣の頭がイカれてるってのもまたおかしい話だがな。わからなくもねぇぜ…」

魔剣『僕は正常なつもりだよ。長い眠りから覚めたばかりだからね、色々とボーっとしちゃってて』

魔剣『でも君のその溢れ出てる魔力に当てられて正気になれたみたい』

魔王「あー、そうか。そうか」

王「どうした魔剣ー! 早く勇者を!!」

魔剣『君は勇者なの?』

魔王「あァ? そうだがー?」

魔剣『……そう、勇者。ふふっ』

魔王「キモいッ!! 貴様先程から色々キモいであるッ」

魔剣『ねぇ、勇者ちゃん。僕をここから連れ出して!』

盗賊「……勇者ちゃんだとよ」

魔王「貴様ァー!!」

魔剣『僕……君を好きになっちゃったみたい。えへへっ』

魔王「……おええぇ」
465 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:39:52.67 ID:iJehPTH30
魔剣『チューして、チュー。んーんー』

魔王「止せ! 止めろ阿呆ッ! 誰かこやつをどうにかしろ!?」

盗賊「こっちの台詞だぜっ。早くその剣をどうにかしろ!」

魔王「無理無理無理! 生理的にこの剣無理である!!」

魔剣『勇者ちゃん大好き! 結婚して!』ムチュチュー

王「っぐ…! 魔剣よ、何をしている!」

王「何故勇者に食らいつかんのだ!? 腹を空かせているのだろう!?」

魔剣『外野うるさいよ!』

魔王「どうでもいいから貴様! 戦士たちを元に戻すのだ!」

魔剣『そんな事言われても……僕が何かしてるわけじゃないし……』

魔王「では貴様を叩き折ってくれるッ! 3・2……」

魔剣『待って待って、勇者ちゃん! それはダメ!』

魔剣『わかったよ。何とかしてみる……けど、お腹が減って力が出ないの』

王「食え! 勇者を食って飢えを満たすのだ!」

魔王「喧しいわッ」

魔王「食えれば、何でも良いのだな…」

魔王は魔剣を王へ向けた!

王「き、貴様っ…」

王子「正気かお前!? や、やめろ…パパぁ…!!」

魔王「うははは、試し切りじゃ。じっとしておれよ」

魔王は王へ切りかかった!
466 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:42:09.61 ID:iJehPTH30
王「がっ……!」

王子「パパぁーーー!!」

魔王「いいや、違うな。こやつは貴様のパパとやらではないよ」

魔剣『勇者ちゃん。こいつ、マズイ! マズイよ!』

魔剣『魔族の味だよ!』

盗賊「魔族だと……」

王?「……な、何故わかったのデス」

王?「何故ワかった!」

魔王「……ぶっちゃけ、切る直前まで気づかなかったわ」

魔王「人を殺す感触とは別の、違和感というものを感じてなァ」

魔王「いつからだ貴様。いつから砂漠の王とすり替わっていた?」

王?「ぐっ……!」

王?は魔法を唱え、姿をその場から消した!

王子「う、ウソだろ……どうなってやがんだよ…!」

盗賊「魔物にすり替わってやがったんだよ。てめぇの親父は」

盗賊「どうする、勇者。奴が何を企んでいやがるかわからねぇが」

盗賊「仕留めるに越した事はなさそうだぜ…くくっ」

魔王「当然である。あの者を見つけ、殺す」
467 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:44:47.45 ID:iJehPTH30
魔王「戦士たちはここへ置いて行く。面倒臭い」

盗賊「あの魔物、相当な魔法の使い手と見たがよ。2人でいけるのかよ?」

魔剣『もう1人いるよ』

盗賊「……正しくは1本だな」

盗賊「いいか、その剣を俺に直視させんなよ。そんな事されちゃ、これ以上正気を保っていられる自信がねぇ…」

魔王「情けないカスよのぅ。まぁ良い、魔剣よ。貴様は戦士たちを早く助けろ」

魔剣『んー、今頑張ってるの! 人を助けるなんて、僕の専門外なんだからね…』

盗賊「頼むぜ、おい……」

魔王「さて、そろそろ行く。奴の魔法を見るに、そう遠くへ移動したわけではなさそうだ」

盗賊「というと、まだ城の中の可能性があるな」

魔剣『アイツの匂いは僕が覚えたから大丈夫! 任せて〜』

盗賊「頼りになる、な…く、くくっ」

王子「ま、待てよ!!」

魔王「あァ?」

王子「お、俺も着いてく!」

盗賊「王子サマは引っ込んでな。てめぇは足手まといだ」

王子「頼む……パパが、パパが心配なんだ! だから! お、お願いだ……」

魔王「勝手にするが良いバカ王子。間違っても余の邪魔だけはせぬ事だ。良いな?」

王子「あ、ああ…!」

魔剣『勇者ちゃんレッツゴーだよ!』

魔王「こやつ、一々ウザいぞ……」
468 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/17(土) 04:48:21.61 ID:iJehPTH30
以上でした。明日続きいけそう

>>437
とっても言いづらいけど、もうそろそろ中盤に入るって感じです・・・
たぶん、最悪次スレ行く可能性ある
469 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 07:46:12.42 ID:Te7QuAKDO
支援!
何だかんだで、魔王はいいやつだなぁ。
魔剣が話すとか可愛らしいな!
470 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 11:57:27.07 ID:wiMcjPTN0


魔剣可愛いけど男女どっちだよwww
471 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 13:11:01.45 ID:hDnlS8VDO
明日もとかワクワクすんな
乙!
472 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 16:20:42.66 ID:FqWi+LjHo
魔剣が最初に気づくのか?
まぁいいや楽しみにしてる
473 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 22:44:06.49 ID:OhM7ghrRo
乙!盗賊の過去がきになる
474 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:37:19.26 ID:G32wJbwE0
魔王「貴様、せっかく連れて来てやったのだ。少しでも役に立ってみせよ」

王子「……城の中の案内は俺がする。それでいいだろ」

魔王「ふん、そんな事されんでも」

魔剣『僕があの魔族の匂いがする方へ案内すれば一発だね』

王子「じゃあどうすればっ」

盗賊「そんな事は自分で考えな。俺たちは今アンタに構ってる暇じゃねぇんだよ…」

王子「うっ……パパ…」

王子「おかしいと思っていたんだ…! パパは人を喜んで殺す人間じゃない…」

盗賊「気弱な野郎だ。だから魔王へ就くなんて考えができんだろうよ」

王子「いいじゃん。強い奴に守ってもらいたいってのは誰だってそうだろ…」

魔王「……しょぼいのぅ。貴様、それで真に股間に物がついておるのかァ?」

王子「はぁ!?」

魔王「弱者の考えなんぞ余には理解できん。理解するつもりも毛頭ない」

魔王「しかし、地べたを這い蹲ってでも生きながらえようとする、そのハングリー精神は認めようか」にやにや

王子「……」
475 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:39:38.35 ID:G32wJbwE0
魔剣『勇者ちゃんあの角を右に!』

盗賊「……気づいてるか、勇者」

魔王「あァ? 何がだ!」

盗賊「城の兵士だ。さっきから1人もすれ違ってねぇ」

王子「そういえば……城が静かだ」

盗賊「謁見の間に全員の兵士が集まっていたわけじゃねぇだろ。…まさかだが」

盗賊「これもその剣の仕業か?」

魔剣『失礼だね。僕は別に何もしてないよ』

盗賊「僧侶たちの気を失わせただろ…っ」

魔王「という事は何か? あの魔物が余たち以外の人間を如何にかした?」

魔剣『そうさせる意味がわからないけどー…』

盗賊「……これも罠と見る、か」

魔王「ふゥん、どうも今回は罠に縁があるらしいな。面白くない!」

魔剣『勇者ちゃんストップ!!』

魔王「!」

突然目の前の床から鋭い氷柱が立った!

魔王「……この城にはこの様な猪口才な仕掛けも施しておるのか? え?」

王子「こんな凝った仕掛けはねぇよ! どう見ても魔法だ!」

盗賊「って事は……!」

盗賊は短刀を天井向けて投げつけた!

「チッ……!」

しゅたっ

ローブに身を包む男が落ちてきた!
476 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:41:08.03 ID:G32wJbwE0
ローブ「勘が良い奴」

盗賊「その身動き、てめぇ俺の同族か。それとも」

ローブ「関係ないな。すぐに殺してくれる!」

魔王「あやつは先程の者の仲間か?」

魔剣『僕に聞かれても』

魔王「役に立つか立たんか、よくわからん剣じゃ…!」

魔王はローブの男へ切りかかった!

ローブ「ふんッ……!」

なんと!攻撃が外れてしまった!

魔王「小癪な」

王子「曲芸師か何かかアイツ!?」

盗賊「王子サマは邪魔だぜ! 退いてろ…」

ローブの男の攻撃を盗賊が受け止める!

盗賊「……その剣、毒を塗ってやがるな。てめぇ」

魔剣『近くで匂いを嗅ぐだけでも危ないよ、盗賊ちゃん』

盗賊「ちゃん、言うなっ……!!」

盗賊の攻撃!
477 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:42:26.69 ID:G32wJbwE0
ローブ「ギャッ」


どさっ


王子「さ、刺しやがった……!」

盗賊「殺さなけりゃこっちがやられちまうだけだぜ」

魔王「仕留めたー? なら、さっさと…」

ローブ「」ピクッ

盗賊「……何」

ローブの男は致命傷を受けてなお、立ちあがった!

ローブ「全然、効かないな」

盗賊「こいつ、人か……!?」

魔王「手下だとすれば魔物である可能性があるであろう。しかし」

魔王「貴様、死人ではないか」

盗賊「死人だと!」

ローブ「答える必要はない。私はお前たちを殺す為のただの駒!」

ローブ「ピィー!」

ローブの男は口笛を高く鳴らした!
478 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:44:22.05 ID:G32wJbwE0
ローブs「……」

魔王たちの周りに、次々とローブに身を包む男たちが現れた!

王子「うわあああああぁぁぁ!?」

盗賊「……魔物じゃねぇぜ、こいつら」

盗賊「人間だ! しかも殺しを生業としている奴らの動き……!」

王子「そんなの魔物と変わりねぇよぉっ」

盗賊「勇者、こいつらは厄介だぜ…最悪だ」

魔王「ふむ」

魔王は火炎の呪文を唱えた!

ローブの男たちが焼け苦しむ!

ローブs「ギャアアアアアアアーーーーー!!!」

ローブ「……無駄だな、勇者。我らはその様な魔法程度では」

ローブ「死なんのさ」

ローブの男たちはダメージをものともしていない!

魔王「あれ、なぜ炭にならん……!」
479 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:45:45.72 ID:G32wJbwE0
魔王「少々、余の火加減が弱すぎたようだが……随分と丈夫な体よのぅ、人間」

ローブ「便利ではないがな」

ローブの男たちはじりじりと魔王たちへにじり寄ってくる!

王子「ひ、ひぃ……来るなァ!!」

ローブ「こいつはどうする?」

ローブ「構わん。一緒に仕留めておけ」

ローブ「了解」

盗賊「……こんな気味の悪い相手、初めてだぜ」

盗賊「何か策はあるかよ、勇者」

魔王「無きにしも非ずといったところかー」

魔剣『さすが勇者ちゃん! 僕の勇者ちゃんは一味違うね』

魔王「貴様の物になったつまりはないわッ、キモい!」

ローブ「お喋りもそこまでにしてもらおうか!!」

魔王は氷の呪術を唱えた!

周りを囲むローブの男たちはみるみる内に氷漬けになっていく!

王子「ひぃっ」

魔王「オラオラー! 砂漠の国に相応しい人間かき氷であるッー!!」

続けて風の呪術を唱えた! 荒れ狂う風は氷漬けの男たちをガリガリ削っていく!

盗賊「……えげつねぇな、おい」
480 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:48:08.39 ID:G32wJbwE0
魔王「こんなところか! あー、スッキリしたである!」

魔剣『やったね! 勇者ちゃん!』

魔王「もし奴らがアンデッドの魔物であろうと、体をバラバラに裂いてしまえば」

魔王「絶対の死が訪れないとしてもよ、再生まで時間がかかるであろう?」

盗賊「…わからねぇ。とにかく、こいつらが蘇っちまう前にさっさと行こうぜ」

王子「……」

魔王「おう、ボーっとしておるとここに捨て置くぞ。小便垂れ王子よ」

王子「う、うるせぇよ……何なんだよ…」

王子「敵も化物だったら、アンタらも化物じゃねぇか!」

王子「きめぇんだよ!!」

魔王「あァん!?」

盗賊「一々ガキの言う事に突っかかってくのも野暮ったいぜ。放っておけよ」

王子「ガキじゃねぇ!」

盗賊「そうかよ」

魔剣『……勇者ちゃあん。何か臭いよ』

魔王「誰じゃ! 屁をこいたのは!?」

魔王「今申し出れば腹パン一発で済ませてやらん事もないぞ」

盗賊「してねぇし、それいい加減止めろ」

魔剣『オナラじゃないの勇者ちゃん。これ、たぶんさっきの魔族の奴の匂いを撹乱させる為の匂いだ』

盗賊「匂いでつけていた事がバレたってのか?」

魔剣『かもかも。僕のあまりの有能さにアイツもうろたえちゃったんだね』
481 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:49:24.81 ID:G32wJbwE0
魔王「ではどうするのだ? 先程の男どもも全員仕留めてしまったのだぞ。これでは聞き出す事もできん」

盗賊「そもそも、奴らじゃ絶対口割らねぇだろうぜ。俺には分かる」

魔王「何、こちらには対人間兵器の魔剣があるのだ。こやつを使用して、苦しませれば」

魔剣『そんな変な使い方しないでよぅ…』

魔王「……」じーっ

王子「な、何だよ。何こっち見てんだよ…」

魔王「いや、王も魔物だったわけだし、その息子の貴様もかなと」

王子「パパが魔物じゃねぇし! 入れ替わってただけだろ!?」

王子「ていうか、俺は俺だ! 本物の王子だよ…!」

盗賊「まぁ、根拠も証拠も確かにねぇ。魔物かもしれん」

王子「おいおいおいっ! アンタまで何言いだしてんだ!?」

盗賊「……冗談だぜ。散々てめぇにコケにされた気がするからなぁ」

魔王・盗賊「ちょっとからかっただけ」ぷぷっ

王子「〜……!」

王子「死刑だ! お前らなんてパパに言って死刑にしてやる!」

魔王「はっ、無理無理。悔しかったら貴様が余たちに刑罰を与えられる程偉くなってみせよ〜」

王子「ぐううぅっ……!」

盗賊「で、冗談はさておき。どうすんだよ」
482 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:51:45.66 ID:G32wJbwE0
盗賊「もたもたしてらんねぇんだ。奴さんは俺らを完全殺る気みたいだしな」

王子「俺の事も殺すって言ってたんだぞ……冗談じゃねぇよ!」

魔王「魔剣よ。貴様の鼻はもう当てにできんか」

魔剣『うーん、ちょっとね』

盗賊「ところで僧侶たちはもう目が覚めたんだろうな……?」

魔剣『だから! それはちょっと待ってってば。急かすと嫌いになっちゃうよ、盗賊ちゃん』

盗賊「……結構だぜ」

魔王「……あやつは余たちの命を狙っておる。しかるに、この城からまだ離れぬ事はないと見る」

王子「はぁ? そんなのわかんねぇだろ。町の中に隠れてるかもしれない」

魔王「それもある」

魔王「しかし、殺すと決めたのならば、そう遠くには離れまい。逃走が目的ではなさそうだしのぅ」

盗賊「だな。しかし、変装だったり罠だったり……随分とセコイというか、慎重というかだ」

盗賊「奴が扱う魔法については何らわかりもしねぇが、奴自体は戦闘に不向きなタイプなのかもしれんぜ」

魔王「ならば、自身は安全地帯に居座るのが一番であるな。おう、この城の中で完全防備な部屋はあるか」

王子「城の中なら、ほぼ完全防備だ…。侵入者も泣いて逃げだす程の……ああぁ!」

王子「パパだ! パパの部屋だよ!」

王子「パパは誰よりも心配症だからな、あの部屋なら!」

魔剣『決まりだね、勇者ちゃん!』

魔王(真……王の部屋かのぅ)
483 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:53:08.12 ID:G32wJbwE0
王子「ここだ。ここがパパの部屋」

盗賊「ここまで辿り着くのに妨害も罠も1つもなかったが……」

魔王「怪しいと踏むか」

盗賊「…ああ」

王子「よし、行くぜ」がちゃり

王子は部屋の扉を開けた。

盗賊「待てっ!」


カチッ



ドオオオォォォ〜〜〜ンッッッ!!!


王子「えっ……――――――」

なんと!王の部屋が爆発した!

爆炎と爆風が魔王たちに襲いかかる!!

盗賊「冗談じゃねっ…」

魔王「ぬっ」

魔剣『勇者ちゃん!!』
484 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:55:16.88 ID:G32wJbwE0
しゅうう〜〜〜……


王子「……あ、あれ」

魔王「おう、貴様ら生きておる? 死んだか」

盗賊「死んでねぇ…それどころか傷一つ…」

盗賊「勇者! てめぇが何かしたのか」

魔王「いいや、余は何もしておらん。したのはこやつよ」

魔剣『えっへん!』

王子「魔剣…? そいつが何したっていうんだよ!?」

魔剣『僕に切れない物はない。攻撃は最大の防御です』

盗賊「さっきの炎を切り裂いたっていうのか」

魔王「瞬時にこの魔剣が余の意思とは関係なしに動いてのぅ。勝手に切りおったわ」

魔剣『スゴイでしょ〜? ご褒美にチューしてもいいんだよ!? はーい、勇者ちゃーん!』

魔王「断るッ」

盗賊「魔剣の名は伊達じゃねぇってか……それより」

盗賊「この部屋に俺らが来る事を見越して、罠を設置しやがったな…くくっ」

盗賊「先が読まれてるようで気味が悪い。舐めたマネしてくれるぜ……!」

王子「ぱ、パパの部屋が……ていうか、この部屋に本物のパパがいたんじゃ…」

魔王「何故そう思う?」

王子「……そんな気が」

魔王「阿呆。この様な事で簡単に殺してしまうのなら、入れ替わったときにでも即効殺してしまうわ」

王子「だったら! どっちみち死んでる方にしか考えられねぇよぉっ!!」

魔王「否、このクソ卑怯なあやつの事だ。奥の手に王を人質に取っていてもおかしくはあるまいて」
485 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:57:45.63 ID:G32wJbwE0
魔王「うむ、敵の居所は大体掴めてきた。おら行くぞー」

王子「掴めたって……どこだよ」

魔王「奴は恐らく、王妃の部屋に居るのではないか」

魔王「王は心配症なのであろう? ならば、病によって衰弱しきっておる妻を心配しているに違いあるまい」

盗賊「……らしくねぇ発想だが?」

魔王「段々と、人の情けない貧弱な心情というモノが理解できてきたという事だよ」

魔王「ならば、この城の中でもっとも厳重に警備が固められ、防備が堅そうな部屋というのなら?」

盗賊「ふっ、成程。一理あるぜ」

王子「ママが……危ないって事だよな?」

盗賊「それどころか、既にソレに曝されている可能性が高い」

盗賊「最悪、死んでるんじゃねぇか」

王子「心にもない事言ってんじゃねぇよ!! やめろ!!」

王子「ま、ママ……!!」たたたっ

王子は駆けだした!

魔王「おう貴様ァ! 勝手に先へ行くでない! 道案内はどうしたっ」

盗賊「だから余計な奴は連れて来たくなかったんだよ……!」
486 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:59:06.13 ID:G32wJbwE0
謁見の間


戦士「起きろ、起きるんだ。僧侶ちゃん!」

僧侶「うっ……」

娘「よっぽど苦しい思いをしたのね。僧侶さん…」

戦士「これも例の魔剣の力だってのか。マジでありえんな」

側近「き、貴様ら! 王と王子を何処に隠したというのだ!」

戦士「だから俺たちも知らないっつってんだろ…! こっちだって勇者殿と盗賊の姿が見当たらねぇんだ」

「城の兵士たちもまだ起き上がらない者がいるし…一体全体」

側近「王が姿を消したと伝達せよ! 城の者全員で尽力をつくして王を探すぞ」

「警備に回らせなくても? もしかしたら族が侵入したのかも」

側近「それどころではあるまい!! 王だ、王の発見が最優先!」

娘「私たちが気を失っている間にここで何か起きたっていうのかしら……?」

戦士「あり得る。とにかく、そうだとしたら早く勇者殿たちと合流しなきゃ」

僧侶「……戦士さん?」

娘「僧侶さんっ!」
487 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 03:59:56.39 ID:G32wJbwE0
僧侶「一体何が」

戦士「僧侶ちゃん立てるか? すぐに勇者殿たちを探す。いける?」

僧侶「勇者様…そうだ、私……」

僧侶「ええ、行きましょう。事態がまだよく把握できていませんが、悪い事だということはわかります…」

戦士「よし。娘はここの兵士たちと一緒にこの部屋で待ってるんだ。どうも嫌な予感がしてならん」

娘「そ、そんな! ここまで来て私…」

僧侶「気持ちはわかります。ですが、あなたを危険に曝すわけにはいかないの。だから」

娘「……わかったわ。きっと、無事にみんなで帰って来てね」

僧侶「はい!」

戦士「ほらほら、退いた退いた! 無能な兵士どもはそこを退けー!」

兵士s「ああぁっ!?」
488 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:02:23.33 ID:G32wJbwE0
盗賊「ひぎぃ」

盗賊ちゃんは体がシビレちゃう罠に掛っちゃった!

盗賊「ウソ言うな、てめぇ! 俺の尻に何しやがるっ……!」

魔剣『ちょっと可愛いお尻だったから。ついつい』

盗賊「てめぇの刃が刺さったらどうするんだよ!?」

魔王「貴様ら喧しいであるッ」

盗賊「お前は……いつになく真面目じゃねぇか。どうした」

魔王「余はいつだって真面目な勇者であるがー?」

盗賊・王子「ねぇよ」

王子「ふざけてないで早くママの部屋へ向かうぞ!?」

魔王「そう焦るでない。敵の思う壺であるぞ」

王子「そんな事言って、さっきから罠の1つも出てこねぇだろうが! 慎重に進んでる場合じゃねぇんだよ!!」

盗賊「死にたければ1人で勝手に突っ走りな。俺らは命が惜しい」

魔王「罠如きで余は死ぬ事もないがな。盗賊が死んでしまうから」

盗賊「……」

王子「っぐ…」

盗賊「おい、お客さんだぜ」

ローブ「……」

ローブの男が現れた!
489 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:04:14.29 ID:G32wJbwE0
魔王「貴様、しつこい!」

ローブ「この先へ通すわけにはいかん」

盗賊「おいおい、それってつまりよ。てめぇらのボスがこの先にいるって教えてるようなもんだぜ?」

ローブ「……」

魔剣『ドジっ娘だね!』

ローブ「ふんッッッ!!」

ローブの男が襲いかかってきた!

魔王「剣如きの挑発に乗るとは、アホ極まりないなァ!」

ローブ「っ……」

魔王の攻撃!

魔王「次は、外さんわ!」


魔剣での攻撃だ! 会心の一撃!


ローブ「んんふっ…!!?」

魔剣『ヒャッハアアアアアーーーー!! 久しぶりのお肉ですよォーーーー!!』

魔王「くっくっくー! 存分に味わうが良い、魔剣よ」

王子「口だ…! ま、魔剣の口が開いた……」

盗賊「もうありゃ剣じゃねぇよ。魔物だ」

魔剣『ガブリっ』

魔剣『……ゆ、勇者ちゃん。やっぱりこいつ人間じゃないよぉ』

魔王「あ?」
490 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:06:12.85 ID:G32wJbwE0
ローブ「」ぴく、ぴく

魔剣『詳しく言っちゃうと、人間だけど人間じゃないの!』

魔王「ワケわからんわ阿呆。ただのアンデッドではないのか」

魔剣『うん。変な味がする……僕、これ無理だよ…』

王子「おいおい! こいつ放って置いたらまた復活しちゃうだろ!?」

魔剣『無理なものは無理! お腹壊しちゃう…おえぇー』

魔王は火炎の呪文を唱えた!

ぼおおぉぉぉ…

魔王「…確実に炭にしてくれたわ。これでもう蘇る心配もあるまい」

盗賊「わけわかんねぇ奴もいるもんだな。……しかし、こいつの仲間はどうした?」

盗賊「いくらこいつがヤバいからって、1人で向かってくるのはねぇだろ」

魔王「さっき余が殺った奴らで、こやつだけが偶然生き残ったのではないかァ?」

盗賊「だったらいいが」

王子「……そうだ! ママ!」

王子「…また、爆発とかないよな」

盗賊「さぁな。わからねぇよ」

魔王「ではこうしよう。魔剣よ」

魔剣『あいよー!』

魔王「この部屋の扉に仕掛けられた罠だけを切り捨てよ。できるな」

魔剣『任せて勇者ちゃん。僕、万能だから!』


ざしゅっ


魔剣『切った! 刃応えアリ! やっぱり罠あったよ!』

魔王「……臆病者のマヌケめが。ようやく追い詰めたであるッ!!」どーん!

魔王は部屋の扉を蹴り開けた!
491 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:06:58.29 ID:G32wJbwE0
僧侶「この氷……魔法で作られた物でしょうか」

戦士「戦闘がここであったのか?」

僧侶「わかりません。強力な魔力の痕跡を感じます…」

僧侶「勇者様の仕業でしょうか」

戦士「……これは?」

僧侶「えっと、骨」

戦士「だよな。しかも大分古い物だ」

僧侶「人の骨でしょうか……」

僧侶「この骨からも魔力を感じます」

兵士「どうやら大変な事になってしまったようだな」

「!」

戦士「またあんたか! こんな状況だ、急に驚かさないでくれよ」

兵士「すまんすまん。そんなつもりはなかったんだ」

僧侶「あなたは昨日の……ここで何をしているんです?」

兵士「1人寂しく警備だよ。得体が知れんモノが城内へ入り込んだ様でな」

僧侶「やはり、魔物でしょうか?」

兵士「わからない。だが良くないモノだという事はわかる」

戦士「……」
492 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:08:11.08 ID:G32wJbwE0
兵士「とにかく俺たちでどうにかしなきゃな」

僧侶「他の兵士さんたちも動き出しているんですね。では、戦士さん。私たちも…」

戦士「なぁ」

「?」

戦士「あんたは魔剣の力を受けなかったのか?」

兵士「……? どういう事だ」

戦士「魔剣のアレは城全体に影響を及ぼさせたらしくてな。城の者たちもほとんど気を失ったらしい」

兵士「確かに、そういう伝達があったが」

兵士「俺は無事だったんだ。何でかな」

戦士「王が消えた事は知っているか?」

兵士「勿論だ」

僧侶「ならこんな所で警備なんてしてる場合ではないんじゃ…?」

兵士「そういうわけにもいかない。警備がザルだと困るだろう」

戦士「……王の側近が告げてたぜ。王の発見が最優先だと」

戦士「いいのかよ、サボっちまって」

兵士「さっきから何が言いたいんだ。お前は…」

戦士「お前、さっきからきな臭いんだよ」

戦士は剣を抜いた!
493 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:10:06.33 ID:G32wJbwE0
僧侶「せ、戦士さんっ!?」

戦士「……」

兵士「冗談が過ぎるな。どういうつもりだ」

戦士「どういうつもりなのかはこっちの台詞だな」

戦士「お前、この骨を回収していたんじゃないか?」

僧侶「で、ですけど! 兵士さんは私たちの後から現れたんですよ」

戦士「城の中を知っているこいつなら何処かに隠れて俺たちをやり過ごす事もできる」

戦士「教えろ! この骨は何だ」

兵士「おいおい……本気か…」

戦士「……」

兵士「また牢へ逆戻りしたいようだな」

僧侶「それは困ります!」

戦士「質問に答えろ!! 濁すようならお前を切り捨てる!」

兵士「バカな真似は止すんだ。いいか、落ち着けよ。俺は知らん」

兵士「その骨の事は俺は知らない。これで全てだ」


兵士は戦士へすっと近づき、顔を掴んだ!


戦士「!?」

兵士「本当に、骨の事は知らないんだ。ただ回収しろと命令された。それだけだ」

戦士「てめっ――――」

兵士「勘がいいのにも困った物だな。若造」
494 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:14:14.71 ID:G32wJbwE0
兵士「〜〜〜〜〜〜!」

兵士が魔法の呪文を唱えると、戦士はこと切れた様にその場に崩れた!

僧侶「っ!!」

僧侶「戦士さぁんっ!?」

兵士「早いうちにこうしておけば良かったんだな。面倒だ、全く」

僧侶「あなた何者ですか!!」

僧侶の攻撃!

しかし、攻撃は外れた!

兵士「俺を知らないとは。最近の若い連中はダメだな」

魔法使い(兵士)「とても有名な魔法使いさんだよ、お嬢さん!」

僧侶「はっ―――――」


魔法使いは僧侶へ掴みかかり、呪文を唱えた!


僧侶「」

魔法使い「なんと美しい寝顔か。むふふ…」

魔法使い「今頃、魔王はまだ、存在しない敵を探しまわっているところか」

魔法使い「連れ戻す際に、生死は問われていなかったわけだが……」

魔法使い「そいつは死体でOKで構わんのだな。魔王殺して構わんのだな!! ひっひっひ!」

魔法使い「さぁ……地獄の底から貴様を討つ為、俺は蘇ったぞ! 魔王!」

魔法使い「覚悟するがいい、魔王よ…!」
495 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/18(日) 04:15:55.96 ID:G32wJbwE0
以上です。次回はたぶん月曜にでも

>>470
性別不明
剣だし
496 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 07:59:03.92 ID:NUmLMFOt0
魔剣が強くて可愛い・・・
てか、魔法使いが刺客なのか。wktk !

続き楽しみぎる
497 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 08:50:27.52 ID:mKV5ufMDO
剣だもんな
乙明日も楽しみ
498 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 14:34:51.36 ID:2A/AymWDO
499 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 14:35:29.55 ID:2A/AymWDO
やばいやばいあげちまったすんません!!!!
500 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 15:13:49.86 ID:GP9PhP/2o
魔法使いは魔王って呼ぶんだな、
正体を知ってるって事か?
501 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 16:02:33.70 ID:hk+tN+Rlo
前に魔王にやられる→側近が蘇生→刺客にって流れじゃね
502 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 16:18:56.67 ID:MVqEVn8Ko
Gって略すと黒光りの奴が思い浮かんで
503 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:35:40.87 ID:/v7Ju8mw0
王妃の部屋


王・王妃「」

王子「パパ! ママ! しっかりしてくれよ!」

盗賊「特に変わったところは見当たらん。異常なしだぜ」

魔王「この部屋もフェイクだったと?」

盗賊「さてな。魔剣がマジで罠を切ったというのなら」

盗賊「……敵は王たちごと俺らを抹殺しようとしていた事になる」

魔王「それはそこで寝ておるそやつらが本物だとしたらであろうが」

王子「!」ぴくっ

王子「おい、待てよ。このパパ達まで魔物が化けてやがるっていうのか…」

魔王「可能性はある。どうだ、魔剣よ。何か匂うか」

魔剣『ううん、特に』

魔王「イマイチこの剣も信用ならんからな…」

魔王「おら、王よ! さっさと目を覚ますのだッ」ぺしぺし

王「」ぷるんぷるん

王子「やめろバカぁ!」
504 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:42:51.76 ID:/v7Ju8mw0
盗賊「敵の狙いがわからねぇとなっちゃ、下手に動けねぇな…」

魔王「この様な所で立ち往生も嫌である! こうなっては奴を叩きのめさねば気が済まん」

魔剣『勇者ちゃんがそう言うなら僕はそれに従うよ!』

魔王「貴様は黙っておれ。もしかすれば、城の者を全て滅ぼすことが狙いか?」

魔王「それとも、国自体を」

王子「じょ、冗談じゃねぇよ……何考えてんだ…」

盗賊「てめぇらの魔王へ亡命って狙いがどこかで漏れたのかもしれねぇ」

盗賊「相手にしてるのはさっきから人間もどきだぜ」

魔剣『でもアイツら魔物と大差ないよー?』

盗賊「そこだ。わけがわからねぇ」

魔王「そこで悩んでいても前に進む事はできんぞ。さっさと敵を発見し…」

王「……む、むぅ」

王子「パパ!」
505 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:43:41.18 ID:/v7Ju8mw0
王「私はここで何を……! ああ、王妃!」

王「これは一体どういう事なのだ!? 説明してくれっ」

王子「お、落ち着いて…俺たちも何がなんだかわからないんだ」

王「……勇者、君はどうしてここに」

魔王「んむゥ?」

魔王「初見のときに話をしたのは本物の王であったか」

盗賊「じゃあ入れ替わっていたのはその後か?」

王「?」

王子「パパ、説明すると長くなりそうなんだ。だから」

王「…うぅ!? 貴様、何故魔剣を手にしている!」

魔剣『やっほ〜』

魔王「流れで余が頂いてしまった。別に返却してくれても構わぬぞ…」

魔剣『やぁーんっ!! やだやだー!』

「……」

王「魔剣が扱えている事には深くは聞かない事にしよう。しかし」

王「この様子、城の中に族が忍びこんだか……?」

盗賊「まぁ、そんなところか。魔物がアンタの姿を借りていたんだ」

王「ま、魔物が!?」
506 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:44:30.68 ID:/v7Ju8mw0
王「警備の者たちは何をしていたんだ! ああっ」

魔王「貴様はその間ずっとこの部屋で眠っておったのか? 王妃と共に」

王「…わからない。気がつけばここだった」

王「昨日の夜も私は何もされた覚えはないし、いつも通り横になって眠りについたはずだ」

盗賊「……アンタの部屋の前には警備の兵士をつけていた筈だよな」

王「ああ。そうだが」

盗賊「内部の人間の仕業っていう線もあるぜ。勇者」

魔王「それ真?」

盗賊「確証はねぇが。さっきの罠といい、城の中を知っている奴の犯行だってのがある」

魔剣『どうしてわかるの? 盗賊ちゃんちょっとカッコいいんだけど』

魔剣『あ、でも1番は勇者ちゃんなんだからね!』

魔王「こやつを折っても罰は当たらんぞ、王よ」

王「ええぇっ…」

盗賊「話、続けるぜ……」

盗賊「そもそも敵が慎重な奴だという事はわかっている。俺らをおちょくっている事もな」

盗賊「いいか、木を隠すなら森の中……つまり」

王子「城の誰かにすり替わってるってのか!?」

盗賊「かもなァ」
507 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:45:21.86 ID:/v7Ju8mw0
魔王「盗賊の言う通りだというのならばどうする? 虱潰しに城の者を殺して回るか」

王「それは止めてくれないかね……!?」

魔王「ではどうする。他に良い策があると申すか」

盗賊「……思いつかねぇな」

魔剣『面倒臭い敵だね!』

王子「ふふーん」

盗賊「…どうしたよ、王子サマ」

王子「お前らさ、牢屋で聞いただろ。俺の特技を」

王子「俺は人の目を見ることでそいつがウソをついてるかどうか分かるんだよ!」

魔王「……もし仮にそうだとして、貴様はよ」

魔王「1人1人の目を一々チェックしつつ、嘘を暴かねばならんのだぞ?」

魔王「そんな事していては日が暮れてしまうわカスッ!!」

王子「ひぃっ…」

ドンドン、ドンドン

「!」

部屋の扉がノックされている。外からは数人の兵士たちの声。

「王妃さまー! 王妃さまー!」

王「何事だ! 騒々しいぞっ」

盗賊「……城の兵士たちが目を覚ましたのか」

魔剣『ねー、ちゃんと僕仕事したよ! 今頃みんなちゃんと起きてるから!』
508 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:46:34.29 ID:/v7Ju8mw0
「王ですか!? どうか御姿をっ」

王「待て! 今、開ける…」

盗賊「そっちこそ待て!! 今ここに兵士が雪崩れ込んできてみろ」

盗賊「……どさくさに紛れて敵が攻撃してくるかもだぜ」

「……」

ドンドンドン!

兵士「王、王!」

王「……それは本当かね」

魔王「何処からか、この部屋から出る方法はあるまいか」

魔王「もし無いのだとしたら、余が今から入ってくる兵士共を殲滅するぞ!」

王「うぐっ…」

王子「完全に脅しじゃねぇか! そんな事言われたって」

盗賊「言ったぜ。敵の狙いがまだ掴めんと」

王妃「では……こうしましょうか…」

王子「ママぁ!」

王「お、おおぉ! お前、気が付いていたのかっ」

王妃「私1人が部屋から出ます。それで」

盗賊「様子見に1人ってことか……?」

王「ならん!! それはならん!! お前がもし賊に殺されてしまったら…」

王妃「大丈夫。安心して」


ガチャリ


王妃は部屋を出ていった。

王妃「……っぷ」


・・・カチッ
509 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:47:25.38 ID:/v7Ju8mw0
王妃『殺されなんてしないわ! だって死ぬのはあなた達の方ですもの!』

「!」

王妃の部屋が爆発した!

魔王「魔剣よッ」

魔剣『あいあいさー!!』

魔剣が魔王たちを爆炎から守る!


ドオオオォォォ〜〜〜ンッッッ!!!


「ど、どういう事だ……部屋が…!」

「王は、王はどうされたのです! 王妃!?」

王妃?『んふふっ……やった、やったわー!』

王妃?『ご命令通りですわ!』

「……灯台もと暗しというかである」


しゅうう〜〜〜……


王妃?『えっ!?』

魔王「ようやく、捕まえたー!」がしっ

魔王は王妃?を掴み、拘束した!

「うわああああああっ、王妃!!」

魔王「死ねッ!!」

魔王の攻撃!
510 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:48:30.78 ID:/v7Ju8mw0
ぴたっ


魔王「……あ?」

魔王「魔剣よォッ!! 何故こやつを切らせんのじゃ!!」

魔剣『ダメだよ勇者ちゃん! こいつ関係ない普通の人間だよ』

魔王「普通? 普通なわけなかろうッ」

魔王「こやつは余たちの命を狙った敵! しかも現に今、部屋を爆破し、殺そうとしたである!」

王妃「……」

魔剣『でもこの人間から悪意を感じないよ? 僕にはわかるの』

魔王「はぁ?」

盗賊「……おい、勇者。早くそこから離れろ」

兵士「王のご命令をこれより実行する! 奴らを1人残らず討ち取れ!」


「わあああああぁぁぁぁぁーーーっっっ!!!」


大量の兵士たちが魔王へ襲いかかってきた!

魔王「!」

王「どうした兵士たちよ!? 私はその様な事を命じた覚えはない! 止まれ!!」


「うぉおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」


盗賊「無駄だ、聞こえちゃいねぇ…! さっさとこの場から逃げるぜ」

王子「う、うわあああああぁぁぁぁっっ!!」

魔王「悪意無き殺意……。余はまだこやつらに恨まれる様な事はしておらんぞ」

魔王「そして、自身の主君の命すらも無視とな。これは」

魔剣『勇者ちゃん。アイツら魔法でやられちゃってる』

魔王「……混乱魔法?」
511 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:49:15.19 ID:/v7Ju8mw0
『オオオオオオオオオォォォォォォ……』


どたばた、どたばた


魔法使い「この混沌具合が実にいい。心地良いな」

魔法使い「さぁ、魔王。苦しめ…苦しめ…」

魔法使い「俺はお前に殺された時、そりゃあもう苦しんだもんさ」

魔法使い「……今回は俺とお前の魔法。どちらかが勝つかな」

魔法使い「天才魔法使いさんの力、とくと味わうがいい!」

戦士・僧侶「」

魔法使い「お前たちにもしっかり働いてもらうよ」

魔法使い「ひっひっひ……」
512 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:50:32.81 ID:/v7Ju8mw0
たたたたっ


王子「はぁ、はぁ……どこまで逃げるんだよ!?」

盗賊「無理なら置いて行くぜ。構ってる余裕ないんでね…」

王子「やめろっ…!」

魔剣『でもこいつらちょっと邪魔だよね。守りながらとか面倒だよ…』

魔王「珍しく意見が一致したな、魔剣よ」

魔剣「きゃ、嬉しいー」

王「ま、待ってくれ……ここで置いて行かれては、私たちは」

魔王「余が知った事ないである」

王「ぐぅっ…! き、貴様それでも勇者か……!」

魔王「ハァー? 貴様、勇者にはもう頼らんのだろうー?」

魔王「都合が悪くなると、どちらの味方でもいられるという事かのぅ」

王「……」

魔王「とんだコウモリ野郎であるな」

王子「パパを悪く言うんじゃねぇよ!!」

魔王「その息子も甘ったれの阿呆と来たものだ。このままではこの国の将来が危ういな」

盗賊「おい、その位にしておいてやれよ。後でグダグダ言われると面倒だぜ…」

魔王「…ふんッ、やはり余は貴様らの事大っ嫌いじゃ」

魔剣『じゃあ僕も!』

王「うううぅぅ……!!」

王子「……」
513 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:51:51.63 ID:/v7Ju8mw0
盗賊「それにしてもあの兵士といい、王妃といい」

盗賊「この城は色々と狂ってやがるぜ……!」

魔王「完全防備の城とは笑わせてくれるのぅ! して、盗賊よ」

魔王「奴らは恐らく魔法に掛っておる」

盗賊「……何故わかる」

魔王「集団でこうも異常な行動が起きるのは普通の事だと思うか?」

魔王「そして奴らは、命を受けたと申しておったな。余たちを殺せと」

盗賊「…敵が魔法で兵士たちを操ってるっていうのかよ?」

魔王「その様な高等魔法、その辺の魔術師には使えまいよ。恐らく、混乱魔法の一種である」

魔剣『僕もそれに近い物をアイツらから感じたかも』

盗賊「……それがもしマジだとしたら、僧侶が心配だぜ」

魔王「こんなときでも女の心配かよ…やだのぅ…」

魔剣『盗賊ちゃんキモーい』

盗賊「言ってろ…!」


「助けて!!」


魔王「あァ?」

娘「はぁ、はぁ……た、大変なのよ! 勇者!」

盗賊「てめぇは」
514 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:52:52.15 ID:/v7Ju8mw0
娘「おかしいの! 城のみんなが突然わけわかんなくなって…」

盗賊「それで逃げてきたってか。おい、僧侶たちは」

娘「わからない……」

盗賊「どうして一緒に行動してねぇんだよ」

娘「戦士さんが、嫌な予感がするから兵士たちと一緒に部屋で待ってろって…それで」

魔王「待て!」

娘「え?」

魔王は娘を殴った!

娘「あがっ……!?」

魔王「……むふっ、快感である」

王子「おいおい! 勇者様が何女殴ってんだよ!」

魔王「貴様は黙っておれ。盗賊よ、娘の手からその刃物を取り上げるのだ!」

魔王「それから、そこの腰ぬけ王……!」

魔王「憤怒ッ」

魔王は王を殴った!

王「ぶふっ!?」

魔王「まだ殴り足らんなァ! ほれほれほれー!!」

王子「お、おいっ!? 何してんだやめろ!! こ、こいつまで…洗脳されて…」

魔王「余は正気じゃ。正気でないのはこやつらよ」
515 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:54:12.45 ID:/v7Ju8mw0
王「ぶくぶくぶく……」

盗賊「おい、気を失わせちまっていいのか」

魔王「そやつの懐をよく調べてみるが良い。きっと何か武器が入っておるな」

魔王「最初から気づくべきであった。余と盗賊、それとそこのクソ王子以外にまともな奴がいるわけないと」

王子「でもパパは今まで!」

魔王「掛けられておる魔法は時間経過で発動するやもしれんし、ある行動を取って初めて発動。どちらかのタイプと見
た」

盗賊「じゃあ王妃の場合は、目が覚めると同時に、といった感じか……?」

魔王「うむ。まずあの王妃と共に寝かされておったのだ。こやつに何もないとは思えまい」

王子「だからって気絶させるほど殴る事はねぇだろ!!」

魔王「荒治療ではあるがよ、それぐらいのショックを与えればきっと起きた時に正気に戻ってくれるかもしれんしー」

王子「かも、なのかよ…」

娘・王「」

盗賊「それで? こいつらはここに置いて行くのか」

魔王「無論である。邪魔だからのぅ!」

魔王「奴らの狙いが絞れてきた。魔法に掛っていない余たちを執拗に追い回しておるのだよ」
516 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:55:27.00 ID:/v7Ju8mw0
魔剣『どしてどして?』

魔王「操られておった奴らの特徴にな、微量の魔力が感じられたのだ。それもどれも似た様な魔力よ」

盗賊「くっくっく、奴らにはその魔力を目印にして敵味方の判別をつけさせていたわけか」

魔王「如何にもである」

王子「わっけわかんねぇ…。じゃあさ、敵は俺ら3人を除いて城のみんな全員にその魔法を使ったってのかよ?」

王子「マジならそいつ相当ヤバい魔法使いじゃ…」

魔王「だとしても、余の足元にも及ばぬ奴よ!!」

魔王「罠やら死人やらに頼らねばいかん様な魔法使いが、調子に乗りおって…」

魔剣『ムカついちゃうよね!』

魔王「ぶち殺し決定である…」

盗賊「言わなくても最初からそのつもりだったろうが」

魔剣『でもでも、逃げ回ってばっかりじゃ殺せないよ?』

魔王「そう、それである。真、困った」

魔王「……もうこの城焼き払ってしまった方が手っ取り早い」

王子「やめろ!!」
517 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:56:39.99 ID:/v7Ju8mw0
盗賊「…勇者、お前は魔力の痕跡がわかるんだよな」

魔王「あ? それがどうしたというのだ」

盗賊「操られた奴らの中にある敵の魔力を逆探知みたいな事はできねぇのか?」

魔王「余は犬でないぞ阿呆! その様な事は余の専門外である!」

盗賊「じゃあ魔剣…」

魔剣『無理だよ!!』

盗賊「役たたねぇ野郎どもだぜ……」

魔王「あーん? 今のところ何もしておらん貴様に言われる筋合いはないが!?」

盗賊「役立たずで悪かったなっ……」

王子「……おい、向こうから誰か来る」

魔王・盗賊「あ?」


すたすたすた


僧侶「勇者様たちは何処にいらっしゃるのでしょうね…」

戦士「盗賊もついていながら、情けないよなぁ」

盗賊「……僧侶! と戦士」
518 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:57:48.95 ID:/v7Ju8mw0
王子「あれってお前らの仲間じゃん? お前らの事探してるみたいだぞ」

盗賊「…らしいが。このまま姿を現さずに様子を見た方がよさそうだぜ」

王子「あいつらも操られてるっていうのかよ…?」

盗賊「今までの傾向を見るに確実にそうだろ」

魔王「ならば、あやつらも殴って!」

盗賊「俺がてめぇを殺すぞ…」

戦士「うーん、これじゃあ埒が明かんな」

僧侶「ですが城の中にいるという事は既にわかっています」

僧侶「そして、この辺りに隠れていらっしゃるという事も」

「!」

僧侶は風の呪文を唱えた!

僧侶「これで炙り出しましょう」

戦士「ナイスだ僧侶ちゃん!」

鋭い風の刃が辺りを無差別に散らかしていく!

盗賊「僧侶っ!? あいつあんな魔法が使えたのかよっ…」

魔王「このままでは貴様ら切り刻まれかねんぞ」

王子「う、うそだろ!?」

盗賊「……一か八か、不意打ちであいつらの気を失わせるしかねぇ」

魔王「では盗賊。やれ」

盗賊「俺一人でかよ…」
519 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:58:47.65 ID:/v7Ju8mw0
僧侶「隠れても無駄です! 出てきてください!」

戦士「今なら優しく首をへし折りますよー! 勇者殿ー」

盗賊(洒落になんねっ……)

盗賊は僧侶の背後へ素早く駆けだすと、首元目掛けて手刀を繰り出した!

がんっ

盗賊「……!?」

戦士「惚れた女に乱暴するのは関心しないな」

なんと!戦士に攻撃を受け止められてしまった!

盗賊「てめぇら…! 正気に戻れっ…!」

僧侶「盗賊さん、大人しく倒されてくださいっ」

僧侶の攻撃!

盗賊「うぐっ…」

戦士「じゃあな、盗賊」

盗賊は戦士の攻撃をさっと避け、2人と距離をとった!

盗賊「まるで悪夢だ……」
520 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 02:59:58.68 ID:/v7Ju8mw0
戦士の突進攻撃!

戦士「すばしっこい、まるで猿だぜー!」

盗賊「寄るんじゃねぇ! 肉ダルマ…!」

僧侶「戦士さん。これから強力な魔法を唱えます。詠唱時間を稼いで!」

僧侶「〜〜〜〜〜〜……」

僧侶は死の呪文を唱え始めた!

戦士「了解ィーーー!」

盗賊「や、やめろっ……!!」

魔王「低レベルな争いよのぅ」

盗賊「勇者、助けろ!」

魔王「あー? 聞こえなーい」

盗賊(あいつが死なねぇかな)

魔王「助けてやっても構わぬが」

魔王の攻撃!

僧侶「あぁっ!!」

魔王「少々面倒だ。一度こやつらを殺す」

戦士「僧侶ちゃんっ」

魔王の攻撃!

僧侶「っか、は……!」


僧侶は力尽きた。
521 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 03:00:51.26 ID:/v7Ju8mw0
戦士「勇者殿ォー! な、仲間を討つとは…何て事を…」

盗賊「てめぇ!! 何も殺す必要はなかっただろうが!」

魔王「問題あるまい。貴様らは金で蘇るッ」

盗賊「最悪だ……!」

戦士「ウオオオオオオオオォォォォォォーーーーっっっ!!」

戦士が雄叫びを上げながら魔王へ向かっていった!

魔王「今じゃ、盗賊」

盗賊「……あいよ」

盗賊は戦士へ跳び付くと、首を短刀でかっ切った!

戦士「がっ」

戦士「……ぐ、うぅ、とうぞ…く…」

戦士は力尽きた。

盗賊「くそ、後味悪い……」

魔剣『盗賊ちゃん泣かないでー…。2人とも暴れてる相手なんだもん、仕方がないよ』

盗賊「だからってこんな手荒なマネするこたなかったろ…!」

魔王「貴様はもっと非情だと思っていたのだが」

魔王「少々買い被り過ぎたか。うむ、やはりこやつらにも魔力の痕跡が」

盗賊「……チッ」
522 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 03:02:20.60 ID:/v7Ju8mw0
魔王「魔剣よ。匂いは」

魔剣『ごめんね、無理っぽいかも。ちょっと色んな匂いが混ざって分かり辛いの』

魔王「これでは何時になっても奴の元へ辿りつけん……ッ!」

盗賊「……」

王子「お、おい…元気出せよ。な…?」

盗賊「……放っておけ。てめぇに慰められる程、落ちぶれたつもりないぜ」

王子「あぁ!? 人が心配してやってんのにそんな態度ないだろ!」

盗賊「そういう気遣いがウザいんだ!!」

盗賊「てめぇは大人しくしていろ、ガキ……」

王子「うぅ…」


?『身も心も、そろそろ疲弊しきった頃だろう』


魔王「……あ?」

?『楽しんでくれたか? 俺はお前が俺の策に翻弄される姿を見れて楽しかった』

盗賊「……何だ。どっから喋ってやがる、どこにいるっ」

王子「もう、止めてくれよ! 俺が何したっていうんだよ!」

魔剣『勇者ちゃん!』

魔王「ふゥん、痺れを切らしてようやく出てきおったか」

?『いいや、元々お前の止めは俺が刺すつもりだったんだ。計画通りだよ』

突如、魔王たちの周りを囲むように炎の壁が立った!

王子「うわああぁあっ、ごめんなさいごめんなさいっ!」

盗賊「魔法か……!」

魔王「くだらぬマネを」
523 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 03:03:54.66 ID:/v7Ju8mw0
廊下の空間が歪むと同時、魔法使いが霧の様に姿を現した!

魔法使い「ひっひっひ…」

魔法使い「俺の炎の呪文はさぞ熱かろう。これが地獄の炎だ」

魔王「大した事ないである」

魔王は氷の呪文を唱え、炎の壁を凍らせた!

魔王「魔法で余に敵うとでも? 甘いわクソったれめが!」

魔王「ようやく出会えたである……確実に、殺そう」

盗賊「俺もてめぇが気に食わん。許す気も毛頭ねぇ……」

魔法使い「……」

魔法使い「結構! 結構! いい、面白い!」

魔法使い「さぁ、オードブルはここまででいいだろう? 充分だろう」

魔法使い「メインディッシュのお時間だよ! 魔王!」


魔王「!!」


魔王「……貴様が例の刺客と見て良いのだな」

魔法使い「はぁい」

盗賊「おい、何の話だ…?」
524 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 03:07:22.42 ID:/v7Ju8mw0
魔法使い「な、俺を覚えているか?」

魔王「知らん」

魔法使い「……」

魔法使い「貴様に殺された恨み、俺は忘れんよ」

魔法使い「俺はお前を許さない。今度こそ貴様を討ってみせよう」

魔王「血気盛んな奴よのぅ」

王子「おいおい、お前アイツの知りあいなのかよ!?」

魔王「だから知らんと申したであろうが。余は奴を初めて見る」

魔法使い「……」

盗賊「奴さんはそんな感じでもなさそうだが」

盗賊(さっき、奴は勇者の事なんて呼んだ……?)

魔法使い「覚悟しろ、魔王」


魔法使い『地獄帰りのこの俺の魔法、とくと味わうがいい!!』


魔法使いが襲いかかってきた!

魔剣『来るよー!』

魔王「返り討ちにしてくれるわッ」

盗賊「……」

盗賊(魔王……?)
525 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/19(月) 03:10:25.70 ID:/v7Ju8mw0
以上。続きは明日またいけそうな、いけなさそうな

>>502
gkbrじゃないよ!ゴールドだよ!
まぁ、ほとんどお金って名称のまま本編で通ってきちゃってるけど
526 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 03:11:34.04 ID:4hum331Lo
魔王と盗賊は何気に良いコンビだな
527 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 03:34:11.70 ID:L8vPihkDO
ワクワクがとまらない…
528 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 04:14:45.45 ID:MG2BiFBs0
乙!!

盗賊どうなるんだ
それと魔剣が可愛いすぎてつらいよ
529 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 07:05:44.00 ID:qiY3HTxDO
おらワクワクすっぞ!
530 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 20:15:17.58 ID:1hMdwW3DO
薬草一個にゴキを8匹狩らなきゃいけないとか無理ゲーすぎる

物価高過ぎ
531 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 20:42:10.44 ID:kBFS+mBDo
>>530
えるしってるか
田舎のばあちゃん方はな

素手でGを握りつぶす

ばあちゃんっ子だった俺はそれを真似てたから周りにドン引きされると同時に対G最終兵器として重宝されていた
532 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:46:28.44 ID:qiY3HTxDO
>>531
都会の子も素手で掴むんだぜ…?
可愛い女子にやられたときのあのショック…
533 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 02:22:06.63 ID:CEeZ0fRl0
Gの話とかどうでもいいだろ
続きはよー!
534 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:20:26.94 ID:RhBqEUXd0
盗賊「待て! 今、お前…」

魔王は魔剣を握りしめ、魔法使いへ切りかかった!

魔法使い「おい、物理攻撃なんて卑怯だっ」

魔王「余が知った事かよ」

魔王の攻撃!

魔法使い「」

魔法使いの姿が消えた!

魔王「盗賊、動けッ」

盗賊「!」

盗賊は王子を踏み台に

王子「ぐげっ…!?」

高く跳び上がった!

魔法使い「俺の位置がわかるのか……?」

盗賊「ああ、派手な登場しやがるから」

盗賊「わかりやすいっ…!」

盗賊の攻撃!
535 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:21:42.61 ID:RhBqEUXd0
魔法使い「ああぐううぅぅぅッ」

盗賊「チョロいぜ」

すたっ

王子「お前何するんだよ!! 王子の俺を踏みつけていいと思ってるのかー!?」

魔王「役に立てて良かったのぅ」

魔王は爆発の呪文を唱えた!

魔法使い「冗談っ……!」


ドオォーーーン!


魔王「…っんくく! ザマァみろである! 同じ目にあわせてくれたわッ」

魔剣『勇者ちゃんカックイー!』

盗賊「やったか……」

魔法使い「いいや、まだ」

魔法使い「この程度の威力だったか? 弱くなったものだな」

魔法使いはピンピンしている!

魔王「まさか」

魔法使い「まぁ、だろうなァ……」
536 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:23:17.93 ID:RhBqEUXd0
魔法使いの足元から毒霧が発生した!

王子「うわっ、おい!!」

盗賊「僧侶がいない今、アレを喰らっちゃマズい…」

魔剣『その為の僕だよ』

魔王は魔剣で毒霧を消し飛ばした!

魔剣『ふっ、チョロいぜ』

盗賊「……パクるな」

魔王「今のが奥の手ではあるまいなァ」

魔法使いは炎の呪文を唱えた!

荒れ狂う炎の竜巻が魔王たちへ襲いかかる!

魔王「温い温い温いィー!!」

王子「うわああああああぁあぁああーーー!?」

盗賊「自分だけ余裕こいてんじゃねぇよ…!」

魔王「はぁ? あんなモノ、全く大した事ないであろう」

盗賊「そんなわけねぇ! あんな火炎魔法、お前のでしか見た事がない!」

魔王「アレと同等だと。ふゥん、笑わせてくれるわ…」

魔王「貴様ら、これが真の魔法というものだッ」

魔王は炎の呪文を唱えた!
537 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:24:23.71 ID:RhBqEUXd0
魔王の手の中に小さな火球が生まれた!

王子「そのチンケな火の玉がなんだってんだよ!」

魔王「派手にぶちかますだけが全てではないのだよ…」

魔王「それに、この城を破壊されては困るであろう?」

魔王が放った火球と炎の竜巻が衝突する!

火球は竜巻を打ち消し、形を保ちながら魔法使い目掛けて飛んでゆく!

盗賊「あんな魔法で!?」

魔法使い(膨大な魔力の塊……)

魔法使い「大したもッ――――――」


ドオオオオオォォォォォーーーーーーッッッン!


魔剣『ストライク〜〜〜!!』

魔王「はっはー! 雑魚よのぅ」

王子「今度こそ本当に倒したよな? だって、もろ当たりしたもんなぁ!?」

盗賊「そうでなきゃ困る……」

魔王「安心するが良い。奴めは確実に殺してやったわ」



しゅうう〜〜〜……
538 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:25:53.13 ID:RhBqEUXd0
魔剣『……勇者ちゃん!』


『ひっひっひっ』


魔王「んむぅ?」

魔法使いは生きていた!

魔法使い「ひゃひゃひゃひゃー! 耐えたッ! 耐えてみせたッ」

王子「おい! ダメじゃねぇかよ!!」

魔王「どういう事だ貴様。何をした」

魔法使い「何も!? 何もしていないが!?」

盗賊「ダメージは通っている様には見える」

盗賊「……しかし、奴は化物だぜ」

魔法使い「違うな。俺は人間だ」

魔法使い「人間は無限の可能性の塊だよ。魔王…」

魔王「ならば余を討ってみせよ」

魔法使い「言われなくとも、だ!」

魔王は雷の呪文を…

魔法使い「」にや

盗賊「ゆう……おいッ、魔法での遠距離戦でなく近接戦に持ち込め!」

魔王「黙れ盗賊如きが余に口出しするな」

唱えた!

魔法使い「ひゃあァーーーーーー!!」
539 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:27:15.20 ID:RhBqEUXd0
魔法使いへ雷が落ちる!

魔王「去ねッ」

魔法使い「無理」

雷は落ちる! 落ちる、が

魔法使い「実に愚かだ君は…!」


雷は魔王たち目掛けて落ちる!


魔王「!」

王子「わあああぁあああぁああああああああーーーっ!?」

盗賊「っぐ……!」


バリバリドカーン!


魔法使い「凌いだだと……」

魔王「貴様ァ!!」

王子「はふはひひ…」

王子は倒れた!

魔剣『間一髪だったね』

盗賊「てめぇ、何しやがった! また妙な魔法かっ」

魔法使い「はぁい」
540 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:28:23.08 ID:RhBqEUXd0
魔剣『勇者ちゃん。アイツ勇者ちゃんの魔法を!』

盗賊「どういう事だ…!?」

魔法使い「そっくりそのままお前の魔法を返させてもらった」

魔王「魔法の反射だと。聞いた事がない…」

魔法使い「当たり前だ! これは俺だけの魔法!」

魔法使い「お前を倒す為に俺が! 俺の為に! 作った、考えた!」

魔法使い「……自身が放った魔法に焼かれた気分はどうだね?」

魔王「殺すッ!!」

魔王は雷の呪文を唱えた!

盗賊「やめろっ!」

魔法使い「ダメだねぇ……」


バリバリドカーン!


魔剣『痛い痛い痛いぃっ! 』

魔王「……ぐ、ぬ、ぬ」

魔王「貴様ァ! 貴様貴様貴様ァッー!」

盗賊「奴に乗せられるな! 魔法はもう止めろって言ってんだ…!!」

魔王「人間如き豚が、魔王を愚弄するか!? 余を誰だと思っておる!」

盗賊「……お前」

盗賊「勇者じゃ、ねぇのかよ…? なぁ…」
541 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:30:35.21 ID:RhBqEUXd0
魔王「うがー!!」

盗賊(今のこいつに何言っても無駄か)

盗賊「なら、俺がやるしかないよな……!」

盗賊は魔法使いへ跳びかかった!

魔王「邪魔をするでないッ」

魔王は盗賊を叩き落とした!

盗賊「ぐえぇっ!?」

盗賊「て、てめぇ……!」

魔王「退いておれ。それとも貴様から殺すか…」

盗賊「目がマジじゃねぇか……」

魔法使い「仲間割れかな? 所詮、魔王が勇者の真似ごとなどできるわけがない」

魔王「余はれっきとした勇者!」

魔法使い「しかし、先程貴様は言ったな。自分を魔王と」

魔王「聞き間違いだろ……貴様、耳悪いんじゃないか……」

盗賊(いや、俺もしっかり聞いた)

盗賊(勇者が魔王? 全くわけがわからん。だがよ)

盗賊「こいつの普段の言動に行動……」

魔王「ま、全く出鱈目言いおって! 貴様ウザいであるぞ!」

魔法使い「俺は事実しか言っていないが」
542 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:32:19.89 ID:RhBqEUXd0
魔法使い「そこのお仲間にもちゃんと説明してやったらどうだ。自分は魔王で、勇者になり替わっているだけだと」

盗賊「……マジか?」

魔王「盗賊貴様ッ、余を疑っておるのか!」

盗賊「……」

魔法使い「いい仲間だなぁ」

魔王「貴様それでも余の仲間か!?」

盗賊「うるせぇ……」

盗賊「何が仲間だよ。都合のいい時ばっかりそんな事言いやがって」

盗賊「ちゃんちゃらおかしいぜ……!」

魔法使い「だとさ」

魔王「貴様ァ、盗賊までも洗脳しおったか。相変わらずセコい…!」

魔法使い「は……いや、俺は」

魔王「魔剣よ、盗賊を一度殺すぞ」

魔剣『了解ー』

盗賊「何っ……!?」

魔王の攻撃!
543 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:33:37.23 ID:RhBqEUXd0
盗賊は間一髪攻撃を避けた!

盗賊「てめぇ、何のつもりだ!!」

魔王「大人しくしておれよ。すぐに楽にしてくれる…」


ブンッ


盗賊「うおおおおおおぉぉ!?」

魔剣『大丈夫! 盗賊ちゃんの体力なら僕の一撃で即死だからね!』

盗賊「ふ、ふざけるのも大概にしろっ!!」

魔王「余はいつだって真面目よッ」

魔法使い「……予想外だが」

魔法使い「まぁ、いいさ。仲間同士、精々仲良く争ってくれ」

魔法使い「俺は高みの見物を決め込むとするよ」

魔王「待つであるー!」


ブンッ、ブゥンッ


盗賊「このクソがぁっ!!」
544 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:36:09.44 ID:RhBqEUXd0
盗賊は壁際に追い詰められた!

魔王「……観念するが良い、盗賊」

盗賊「……冗談じゃねぇ」

盗賊「まさか、今までもそうやって俺たちの事を殺そうとしていたんじゃねぇだろうな!」

魔王「……」

盗賊「答えろよ……魔王っ!!」

魔王「生憎だが」

魔王「その名は既に何処かへ捨て置いてきたわッ」

魔王は氷の呪文を唱えた!

魔法使い「!」

魔法使いの背後の床から鋭い氷柱が飛び出す!

魔法使い(いかんッ、反射が間に合わ――――)


氷柱は魔法使いを貫く!


魔王「……っぷ」

魔法使い「がぶぅっ……!?」

盗賊「何!?」

魔王「くくくっー!! やはりそうか。貴様、咄嗟に対魔法反射防壁を貼れぬのだな…」

魔法使い「き、貴様ぁっ……!」がくっ

魔王「貴様如き相手なんぞ、魔法で十分よ」
545 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:39:49.24 ID:RhBqEUXd0
魔剣『作戦成功だね、勇者ちゃん!』

盗賊「てめぇ……どういうつもりだよ…」

魔王「敵を騙すにはまず味方から、といった言葉があるがー」

魔王「余がそれを体現したまでよ」

盗賊「……」

魔王「余は勇者だ。盗賊よ」

魔王「已然変わりなく!」

盗賊「そんなの……」

魔王「そして、余にこれからも着いて来い!! 貴様は余の仲間よ!!」

魔王「それも已然変わりなく!」

盗賊「……やれやれだ」

盗賊「とんだ勇者様だぜ」

魔王「申したであろうが。余は一度手に入れた物を二度と手放さぬと」

魔法使い「とんだ友情ごっこ…だなァ!! 魔王のくせに、魔王のくせに!」

魔法使い「そこのお前…。お前はいつか痛い目を見るぞ…」

盗賊「それは……俺が望んでそうなっちまったのなら、それは仕方がねぇよな」

盗賊「元魔王の勇者だ? わけわかんねぇが退屈しねぇ……」

盗賊「上等だぜ…」

魔法使い「……お、愚かな奴。げぼっ…!」

魔王「そのまま苦しみ、死に絶えよ。貴様は余が直々にまた地獄へ送還してくれる」

魔法使い「……まだだ、まだ終わらんよ!!」
546 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:41:51.67 ID:RhBqEUXd0
魔法使い「〜〜〜〜〜〜……」

魔法使いは魔法の呪文を唱えた!

盗賊「しつこいな、まだ何かあるってのか?」

魔王「鼬の最後っ屁と言ったところかのぅ。無駄である」

魔法使い「ひ、ひひっ……どうかな」

魔法使い「今唱えた呪文は、爆発の魔法のものだ!」

魔王「しかし、何も起きている様には見えんがァ?」

魔法使い「当然だよ! 魔法は俺自身にかけたのだから……!」

盗賊「どういう意味だ…」

魔法使い「今から3分後、俺は大爆発を起こす…なぁに、この城を吹き飛ばすぐらいの威力はあるよ…」

魔法使い「ゲームだ! ゲームをしよう、魔王!」

魔法使い「俺を見つけて殺してみろッ……! 爆発が先か、俺を見つけるのが先か」

魔法使い「勝負だよ……!」


魔法使いは姿を消した!


魔王「あの外道、大変面倒な事を考える」

盗賊「……しかし不味いぜ。奴の言ってる事が確かなら、城にいる奴は全員吹っ飛ぶ」

盗賊「それに、5分じゃ全員の脱出はほぼ不可能…!」

魔王「ならば見捨てていくかのぅ」

盗賊「……」
547 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:44:07.36 ID:RhBqEUXd0



…シュッ

魔法使い「はぁ、はぁ……ぅおえっ!」

魔法使い(やはり、体が治癒しない……)

魔法使い(自動治癒の魔法を犠牲に、反射壁を作った代償といったところか…?)

魔法使い「恐ろしい程の魔力の減り具合だ……くそぅ!!」

魔法使い「……まぁ、いい。俺は魔王を殺す事ができればどうだっていいんだ」

魔法使い「その為なら、どんな汚い手でも使ってみせよう……」

魔法使い「……」

魔法使い(勇者様、いや…みんな……どうか、どうか俺に奴を倒す為に…)

魔法使い(みんなの仇を取る為に、力を、勇気を!)

魔法使い「見つけてみるがいい、魔王ッ……!」
548 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/20(火) 03:44:59.32 ID:RhBqEUXd0
今日はこれぐらいです。次回、水曜か木曜予定で
549 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 07:31:32.79 ID:jWTJkQqxo
550 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 12:38:29.82 ID:r9UX6ei0o

魔法使いシャアかよwwwwwwwwwwwwww
551 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 13:12:08.16 ID:CEeZ0fRl0
乙!
盗賊かっけぇ。けど、戦士と僧侶の場合だとそう簡単にもいかなそうだよな
552 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 13:18:35.47 ID:wXhQyxlIO


盗賊が勝手にさりげなく延長してるな
553 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:40:06.00 ID:S2r2dslP0
魔剣『勇者ちゃん、のんびりしてていいの?』

魔王「面倒だし」

盗賊「てめぇ、バカか…!」

魔王「えー、だって盗賊だって僧侶が無事ならそれで良いのだろう?」

盗賊「……」

魔王「素直じゃのう」

盗賊「…うるせぇ」

盗賊は僧侶と戦士の棺を持ってきた。

盗賊「準備OKだぜ」

魔王「うむ」

王子「うむ、じゃねぇよ!!」

魔王「…バカ王子か。貴様いつの間に目覚めたのだよ」

王子「さっきだ! それよりふざけるんじゃねぇ」

王子「このままじゃパパたちが…城が、国が!」

盗賊「ぶっちゃけ、俺たちの知った事じゃねぇよ」

魔王「その通りである。もっと言ったれー! 盗賊ー」

魔剣『盗賊ちゃんカックイー!』

盗賊「外野は黙ってな…!」
554 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:45:43.74 ID:S2r2dslP0
王子「お前らそれでも勇者……うぐっ」

魔王「また余に同じ事を言わすつもりかと思ったぞ」

魔王「こやつの申す通り、余たちはこの国と全く関係が無いである」

盗賊「望んで魔王の配下へ就こうとしてたんだ。理由はそれで十分だぜ」

王子「でも…お前がその魔王なんだろ!? よくわかんねぇけど…」

王子「だったら魔王様! 俺たちを助けてくれよっ」

魔王「余は勇者だし〜」

王子「っぐぅ……!」

魔剣『でも勇者ちゃんは魔王ちゃんを倒さなきゃいけないんでしょ?』

魔剣『魔王ちゃんって今いないんじゃ、倒しようなくない?』


「……」


魔王「……何とかなるであろう」

盗賊「てめぇ何も考えてねぇのか!?」

魔王「だってだってー!」

盗賊「騙し騙し旅を続けたって何も意味がねぇぞ…それこそ無駄だ」

盗賊「せめて今まで自分がしてきた事にケジメをつけなっ」

魔王「だから余は何もしておらんのだッ!!」
555 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:46:46.52 ID:S2r2dslP0
盗賊「はぁ……? そんなわけ」

王子「そんな話いつでもできるだろ!? いいから早く助けて!」

魔王「断るッ」

盗賊「揺るがねぇな」

魔剣『揺らがない勇者ちゃん好き!』

王子「どうしてだよぉ…何で、いいじゃねぇか…」

王子「俺らは無力だ…何もできねぇ……」

魔王「何故、最初から何もできんと決めつける?」

王子「え?」

魔王「諦めるには少々早いであろうが。まだタイムリミットは3分じゃ」

魔王「ま、余は時間内にこの国から出ていくが」

王子「3分程度じゃ…!」

魔王「十分であろう。ただのかくれんぼである」

盗賊「俺らが鬼だってのか…」

魔王「奴を見つけて殺せ。それで終わり」

王子「見つけたとしても反撃されちまう! あんな化物相手無理だ!」

魔剣『アイツほぼ死にかけだし、大丈夫だよ。魔力も底が尽きてるもん』

盗賊「魔力の底が尽きたってのは」

魔剣「例の反射防壁のせいであろう。恐らくアレはかなり魔力を食う」
556 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:47:44.91 ID:S2r2dslP0
王子「……」

魔王「ほれ、これで貴様程度ゴミであろうと何とかなる事がわかった」

魔王「行け。余もすぐにここを行く」

盗賊「話は済んだかよ? だったら、お前は戦士の棺を」

魔王「重いから嫌である。貴様がこやつらを運ぶが良い」

盗賊「チッ…!!」


ずりずりずり


王子「ま、待ってくれ!!」

魔剣『まだお話しするつもり? そんな事してる余裕ないよ』

盗賊「だろうな。俺らも急いで逃げた方がいいぜ…」

王子「……手伝ってくれ」

魔王「あァ?」

魔王「甘ったれた事を申しおるなァ? 貴様には誇りが無いのか?」

王子「恥じてる場合じゃねぇんだ…俺は、パパとママを守りたい」

王子「俺に協力してくれ! あんた達が敵をどうにかするんじゃない」

王子「……お、俺の手で何とかする為に!」

盗賊「…今度は屁理屈か」

王子「違うッ! 頼むッ!」

魔剣『勇者ちゃんどうするの〜?』

魔王「ふむ」
557 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:48:24.06 ID:S2r2dslP0
魔王「良い目になったな」

王子「……」

魔王「先程とは比べ物にはならない、死んではいない目である」

王子「……」

魔王「なんてのぅ」

王子「は……」

魔王「別に変わりないわ。おらおら、さっさと何処かへ失せるがよい!」

王子「ちょ、ちょっと待てよ!?」

盗賊「…今の流れから、ある意味すげぇな」

魔剣『時間ないよー』

魔王「うむ。今度こそ帰るである」

盗賊「俺らまで爆発に巻き込まれたら洒落にならんぜ」


すたすたすた


王子「お、おぉい……」

魔王「腹が空いたぞ」

魔剣『僕もー……』

盗賊「剣の腹って何だよ」

魔王「早く戦士復活させて何か作らせようぞ」
558 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:49:06.89 ID:S2r2dslP0
王子「あ、ありえねぇ」

王子「もういい! 俺は1人でもやってやるかんな!? 絶対だからな!」

魔王「おーおー、分かったである。精々足掻くが良い」

盗賊「どこから帰ればいいんだ。この城?」

魔王「出ようと思えばどこからでも出られるわ」

魔剣『僕もいるしね!』

王子「待って、待って、待って! 待ってくれ!」

王子「お、俺の話聞いたろ…? マジなんだぞ……」

魔王「貴様の決意は聞いた。でも別に手伝う義理がないである」

盗賊「ごもっともだぜ」

王子「え、あ……」

王子「れ、礼ならする。金でいいか……」


ぴくっ


盗賊「おい、礼が出るとよ」

魔王「うむうむ! ならば仕方あるまいな。おう、クソバカ! 手伝ってやらん事もない」

王子「あ、ああ…」

盗賊「たっぷり搾取してやるぜ…くっくっく…!」

魔王「盗賊外道よのぅ」

王子「信じらんねぇよ……」

王子が一時的に仲間になった!
559 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:49:44.93 ID:S2r2dslP0
魔剣『残り時間、1:36だよー!』

王子「くそっ、全然時間無くなっちまってるじゃねぇか…!」

魔王「余裕である」

盗賊「しかし、また奴のことだ。厄介な事してるに違いねぇ」

王子「だけど魔力の底は尽きてるんだろ? だったら…」

魔王「死人の味方が居ったな。奴らはどうよ?」

魔王「足止めくらいにはなりうる」

王子「うぐっ…」

盗賊「まずこの部屋だな。魔剣、罠は?」

魔剣『勇者ちゃん以外の人の命令は聞く気ないでーす』

盗賊「……おい」

魔王「魔剣よ」

魔剣『大丈夫だと思うよ! 勇者ちゃん!』

盗賊「俺がその魔剣を折ってやる……」

魔王「構わんよ」

魔剣『やぁーんっ!』


がちゃり
560 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:50:26.62 ID:S2r2dslP0
魔王「居るかー!?」

王子「いたら返事しやがれッ」

盗賊「普通はしねぇよ…」


しーん


魔王「あァ? ハズレか」

王子「ていうか、こんなのんびり探してられねぇよ!」

王子「1分じゃ絶対に間に合わない…!」

魔王「だそうだが」

魔剣『確かに残り時間から見ると、絶対に無理です!』

王子「ほらっ」

魔王「喧しいわ。良いか、こちらが焦り出すのも敵の作戦よ」

魔王「冷静さを欠いてしまえば、奴の思う壺。見つかる事はあるまい」

盗賊「とんだかくれんぼだぜ」

盗賊「しかし、それならどうするんだ。さっきだって、俺らはマトモに奴を見つけられなかったぜ」

王子「……何処かへ隠れているんじゃなくて」

王子「誰かに、隠れているっていうのは…?」

盗賊「つまりまた誰かに化けてるって考えるのか? それもあり得なくはねぇぜ」

魔王「では片っ端から殺してゆくか」

王子「だから止めろって言ったよなぁ!?」
561 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:51:02.34 ID:S2r2dslP0
魔剣『でも魔力が…』

魔王「多少は回復していてもおかしくはあるまいよ。剣如きが知った気でいるな」

魔剣『怒らないで! ごめんね』

王子「考えろ。考えるんだ俺……誰に化ければ最もバレにくいか…」

王子「パパ? それともママ? いや、兵士……」

魔王「日が暮れるぞ」

王子「黙っててくれよ!」

盗賊「誰に化けようが、この城には人が多い。大抵見つかりっこねぇよ」

盗賊「考えるだけ無駄だぜ」

王子「そんな事……っ」

魔王「盗賊の申す通りである。さて、どうにかして欲しいか?」

王子「……どうにかできるってのか」

魔王「簡単な事よ。奴は自身に魔法をかけたであろう」

魔王「その魔法は今も発動しておる。ならば、その魔力が奴の中で今も輝いておろう」

盗賊「だがお前は魔力を目印にして追跡とかできないとか言ってなかったか?」

魔王「痕跡を頼りには、だ。魔法自体の追跡は余にとって造作もない」
562 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:51:48.19 ID:S2r2dslP0
・・・


王子「おい、何だよこれ……」

兵士s「」

兵士たちが廊下で気を失っている。

盗賊「マジでここに奴が潜んでいるのか」

魔王「余が嘘をつくわけなかろう! 後は知らんである!」

王子「そんな無責任なっ」

魔王「ここからは貴様の仕事であろう。こやつらを1人残らず殺せば、奴にいずれ当たる」

王子「できるか!」

魔王「大を救うに小の犠牲は付き物よ。奴は余たちの良心を上手く使ってきておる」

盗賊「無関係な人間の命までは取らないと踏んでやがるのか」

盗賊「だが、元魔王のお前に良心なんてあるか?」

魔王「あるわけ無かろう! 人間なんてどうでもよいッ」

盗賊「偉ぶって言う事じゃあねぇぜ…!」

魔剣『てことはー、最初から勇者ちゃんを中心に考えた作戦じゃないって事だよね』

王子「どういう事だ」

魔剣『面倒になった勇者ちゃんは、きっとこいつら殺そうとするでしょ?』

魔王「その方が楽であるからのぅ」

盗賊「……」

魔剣『それに最悪殺しちゃうかもだし。でも、こっちには2人も勇者ちゃんのストッパーがいるよ』

魔王「…盗賊とそこのバカか」
563 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:52:48.27 ID:S2r2dslP0
魔王「読めた」

王子「えっ!?」

魔王は王子へ魔剣を向けた!

王子「……ど、どういうつもりだよ」

魔王「貴様を切る。チェックメイトであるぞ!」

魔王「この城から余を出さぬ為に説得し、敵を見つける様に協力を催させる」

魔王「しかし、見つかるわけもないわけだ」

盗賊「どういう事だぜ…?」

魔王「木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中」

魔王「では、一番余たちから疑いが掛り辛い隠れ場所は?」

王子「……」

盗賊「俺たち……」

王子「ま、待てよ…何言ってるんだ。俺はこの城のみんなを救おうと…」

魔王「貴様なら、両親が助かりさえすればと真っ先に逃げ出すであろう」

魔王「それに余たちは貴様が起き上がる瞬間を見てはいない。突然、貴様が割って入ってきた」

魔王「結論、一番怪しいッ」

魔王の攻撃!

王子「うわああああぁぁああああああぁあああーーーっっっ!?」
564 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:53:43.18 ID:S2r2dslP0
ざくっ


王子「うおおおおおぉぉォォオオオオォオォオォオオオオオオオオオオオオ!!」

王子は魔物の姿へ変わってしまった!

魔剣『おええぇ……!』

魔王「むっ!?」

盗賊「魔物だとっ」

魔王「……こやつが先程、王に化けていた者か」

魔物『貴様、貴様! ドウシテワカッタデス!? デス!』

盗賊「お前を当てたくて当てたわけじゃねぇけどな…」

盗賊「しかし、奴は魔物も従えていたのか」

魔王「猪口才なッ」

魔王「申せッ!! あの男はどこへ隠れた」

魔物『言ウワケナ――――』

魔王は魔剣に力を込めた!

魔物『ゲェエエエエエエエエエエエ!!』

魔王「申さねば、さらに苦しむ時間が増えるだけよ」

魔剣『勇者ちゃん…こいつゲロマズ…』

魔王「我慢せいッ」

魔物『ヤァメロォー! ヤ、ヤメロォー!』

魔王「無理である」
565 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:54:35.22 ID:S2r2dslP0
魔物『居場所ヲ教エタラ、俺ガ主ニ殺サレテシマイマス…』

盗賊「バカか。どのみち勇者がてめぇを殺すから関係ねぇよ」

盗賊「死ぬのなら、置き土産の1つに奴の居場所を吐きな」

魔物『ドウセ、ドウセ場所ヲ教エテモ、今カラジャ遅イ…』

盗賊「ああ、てめぇが散々時間稼ぎしてくれたみてぇだからな…!」

魔王「勝手申すなよ。間に合わせる」

魔王「貴様も元は余に忠義を誓った身であろう。最後くらい余に華を持たせぃ」

魔物『……俺タチハ、アンタニ忠義ヲ誓ッタ覚エハナイデスヨ』

魔王「あァ?」

魔物『俺タチ、マンイーターハ、魔王ノ元カラ離レタ者タチデス…』

盗賊「マンイーターだと? 聞いた事がねぇ魔物だが…」

魔王「……そうか、貴様らであったか」

魔王「くくっ! すっかり忘れておったわ!」

魔王(では、遺跡の地下で余が殺したあやつも)

魔物『俺ガ忠義ヲ誓ッタノハタダ一人、魔法使イ様ダケ…!』

盗賊「人間が魔物を飼い慣らす、か。話には聞いていたがマジもんだったとはな」

盗賊「しかし、奴は言ったな。一度魔王へ殺されたと。ならよ、てめぇの主はとうに死んじまってる」

盗賊「奴は、ただの生きる屍だぜ…」

魔物『……』
566 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:56:29.22 ID:S2r2dslP0



魔法使い「は、はは……!」

魔法使い(残り1分切ったッ。俺の、俺の勝ちだよ。魔王!)

魔法使い「すまないな、マンイーター。お前も俺と共に朽ちてくれ…」

「いいや、奴は既に殺しておいた」

魔法使い「!」

盗賊「奴の方から懇願しやがったぜ。殺せってな」

盗賊「死人のマスターじゃ威厳もねぇよな。そりゃあ」

魔法使い「貴様らァ……!」

魔王「あの兵士たちにも爆発魔法をかけていたとはな。いつだ?」

魔王「恐らく、何かあったときの保険としてかけておいたのだとは思うが」

魔法使い「……」

魔王「最初からその様なセコいマネをする貴様なんぞに、勝利は見えんよ」

魔王「爆弾魔法は紛らわしいから魔剣で全て切り捨ててくれた。後は貴様だけ」

魔法使い「っ……!」

盗賊「にしても、何だ」

盗賊「隠れた当の本人は…牢屋に隠れているだなんてな」

魔法使い「……皮肉だろ。最近までは貴様らが牢に入っていたのに、今度は俺が入っているだなんて」

魔王「あァ? 何の事だか知らんが、もう殺して良いか」
567 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 04:58:21.76 ID:S2r2dslP0
魔法使い「……悔しいな」

盗賊「残念だったな」

魔法使い「とても、とてもだ。悔しすぎるよ」

魔法使い「俺はな、魔王。今度こそ貴様を討てると思っていた」

魔法使い「しかし……貴様も腐っても魔王か。恐ろしいよ、本当に」

魔王「グダグダ抜かすな。死人に口無しである」

魔剣『ゆ、勇者ちゃん。それ意味違うー!』

魔王「……」

魔法使い「…んぷっ」

魔王「よし、殺す」

魔法使い「ま、待て…まだ色々と話したい…」

盗賊「爆弾魔法が発動しちまうだろ。さっさと死んでくれた方が助かるぜ」

魔法使い「……」

魔法使い「そうだな。最後ぐらい、潔く朽ちよう」

魔法使い「だが、魔王ッ!! 俺は貴様を許さない! 死んでも許さん!」

魔法使い「貴様がしてきた事…忘れるなよッ」

魔王「死ねッッッ」


魔王の攻撃! 魔法使いへ止めの一撃!
568 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 05:00:17.19 ID:S2r2dslP0
魔法使い「……そうか」

魔法使い「これが、本当の――――――」

魔法使いの体が風化していく様にボロボロと崩れてゆく。

盗賊「元の姿へ戻ってるのか…」

魔王「そのまま朽ちて行け。貴様の居場所はここではない」

人の形が保てなくなると、最後に魔法使いの骨の一部だけが残った。

魔王「余に挑んだ事、後悔するが良い…! あの世でなァ」

魔王は魔法使いの骨を粉砕した!


ぱらぱらぱら・・・


魔剣『これで本当に倒せたって事?』

盗賊「おそらくはそうだろ」

盗賊「これで終わりだ。地獄帰りの男……大したもんだったぜ」

魔王「死人が生者を越えられるわけが無い。生きる者こそ強者よ、強いからこそは余は生きておるのだから」
569 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 05:02:48.74 ID:S2r2dslP0
魔王城


「魔王代理様ー! たった今、刺客に送り込んだ魔法使いが討たれたと報告が」

側近「えぇっ、やられちゃったんですか!?」

側近(まぁ、そう簡単に魔王様へ敵うわけがないとは思ってはいましたけど……)

「それと、彼奴に持たせた骨の回収が」

側近「暗殺部隊の骨まで……」

側近「色々とやってくれちゃいましたね」

「はい…」

側近「所詮はただの魔法使い。役に立つ筈がありませんでした」

「ですが、魔法の反射防壁とか素晴らしいとか代理様が申されて…」

側近「過去を振り返ってはいけません!! 未来に生きましょう!」

「はぁ…」

側近「それに敗因はその反射防壁にもありました。アレのせいで私がかけたアンデッド用自動回復魔法がダメになった」

側近「いいえ、そもそも。その魔法自体を逆に利用した物だったのでしょうね。あの対魔法・魔法……」

「全く、愚かな奴ですね。あの刺客!」

側近「本当ですよ! もうっ」

側近「ううぅ……魔王様、どうして御戻りになってくれないの…」

側近「こうなったらどんどん刺客送っちゃいますからね…知りませんからね……ぐすんっ」

「おいたわしや、側近様…」

「今日も飲みましょう。付き合いますよ」

側近「ありがとう、ありがとうっ……!」
570 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/22(木) 05:04:37.69 ID:S2r2dslP0
ここまで。続きは明日にでも
砂漠でのお話も次で最後になりそうです
571 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 11:10:16.45 ID:tiic+/ZT0


敵サイドも憎めない奴らばかりだな
それから、最近更新頻度高くてすごく嬉しい。頑張ってくれ!
572 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 12:45:55.75 ID:y8HQDPbDO
明日もとかテンションだだあがりだわ
573 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 21:42:27.82 ID:ycmNBwS4o
側近がヒロインだったのか
574 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 02:21:56.76 ID:OIbw6T0DO
側近可愛いなぁ乙
575 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:40:39.49 ID:m/aZUn9i0
教会


僧侶「……ん…」

神父「おめでとうございます。お二人は無事、蘇りました」

戦士「ゆ、勇者殿。俺たち…」

魔王「全く、貴様らのせいでただでさえ薄い財布がまた薄くなってしまったわー」

盗賊(てめぇが躊躇なくこいつらを殺したのが悪い)

僧侶「そ、そうよ! 大変なんですっ、あの兵士さんが……!」

戦士「!」

盗賊「たぶんだが、その件は既に俺とこいつで片付けたぜ」

魔王「貴様ら、もっと頑張れよ阿呆」

戦士・僧侶「うぐっ……」

魔剣『ねーねー、本当にお城の人たちに事情話さなくて良かったの?』

僧侶「ひぃっ!?」

戦士「ま、魔剣ッ」

魔剣『怖がらないでー』

魔王「そうか、何か忘れていたと思っていたが」

魔王「……こやつを返却する事を忘れておったわ」

魔剣『それダメぇ〜〜!!』
576 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:41:50.53 ID:m/aZUn9i0
戦士「やっぱり、あの城で敵が」

盗賊「ああ。目的は」

魔王「」ジロ

盗賊「……わ、わからなかった」

盗賊「城の奴らも何がなんだかわかっていない様子だったぜ」

僧侶「それは……嫌ですね。お城の何かを狙っていたんでしょうか」

僧侶「それより娘さんは?」

魔王「外で待たせておる。一応顔を見せてやってはどうだ」

戦士「そうっスね! 不安にさせちゃったし。僧侶ちゃん行こうぜ」

僧侶「はい、そうですね」


すたすたすた


魔王「……分かっておるとは思うがァ」

盗賊「てめぇの素性をバラすなって事だろ…」

魔王「分かっておるのなら良い! もし口が滑ってしまいそうなときは余が貴様の口を裂いてくれよう」

盗賊「そいつは笑えねぇな……!」

魔剣『でも大丈夫なの? いつかバレちゃうかも』

魔王「そのときは何とかして懐柔するだけよ! なァに、余にとってそれは造作もない」

盗賊「脅しか?」

魔王「それも1つの手段である!」

盗賊「マジか……」
577 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:43:13.16 ID:m/aZUn9i0
娘「2人とも! ああ、無事で良かったわ…」

僧侶「心配を掛けさせてしまいましたね。ごめんなさい」

戦士「偉そうなこと言っておいて、俺ら棺桶入ってたんだもんなぁ…」

娘「本当にビックリしちゃったんだから! もうこういうの止めてよね!」

魔王「そーれは無理な話である」

娘「……どういう意味よ?」

盗賊「俺たちは常に危険と隣り合わせって事だぜ。いつ死んでもおかしくはねぇ…」

娘「ダメ! そんなのダメだからっ」

娘「私……本当にあなたたちの事……」

僧侶「…あなたは、とても優しい方ですよね。私、ちゃんと知ってます」なでなで

娘「僧侶、さん」

僧侶「大丈夫よ。私たちは死んだりなんてしないわ」

僧侶「魔王を倒して平和を取り戻す為にも」

盗賊「……皮肉ってるぜ」

戦士「盗賊?」

盗賊「いや……」
578 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:44:35.05 ID:m/aZUn9i0
戦士「ところで」

戦士「勇者殿…その剣、どうにかなりませんかね?」

魔剣『僕?』

僧侶「さっきから疑問でしたけど、どうして剣が喋ってるんですか!」

魔剣『魔剣ですから!』

魔王「こやつには余も困り果てておるのだ」

魔王「おう、娘。土産にどうよ?」

娘「絶対嫌よ!!」

娘「だってその剣見てると嫌な気持ちに……あれ」

戦士「そういえば…」

僧侶「私たち、さっきから平気ですよね…?」

魔王「魔剣よ」

魔剣『僕もね、みんなと一緒にいたいからちょっと努力してるんだよ』

魔剣『無理矢理抑え込んでるから苦しいけど…』

盗賊「そういえば俺もあの時から魔剣を直視できてるな」

戦士「……しかし、そいつは勇者殿が持つに相応しい物じゃないだろ」

戦士「魔剣だぜ? どう考えてもヤバい」

魔王「だそうだがー?」

魔剣『うう……』
579 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:45:59.91 ID:m/aZUn9i0
魔剣『みんな、僕の事嫌い?』

魔王「余は嫌い」

魔剣『ぼ、僕は勇者ちゃんの事大好きだよ!?』

魔王「知らんわ」ぷいっ

魔剣『そんなぁ……』

盗賊「しかしよ、こいつがいたから敵を討てたってのもあるぜ。役に立った」

魔剣『盗賊ちゃん…!』

僧侶「盗賊、ちゃん?」

盗賊「そこには触れるな……」

盗賊「こいつの力は今後も役に立つ。勇者、ここはこいつを利用する形で持っていくってのはどうだぜ」

魔王「はぁ? こやつが居らんでも余1人で何とでも」

盗賊「それは、俺ら3人がいなくても旅ができるって事でもあるな…くくっ」

魔王「……も、勿論よ」

盗賊「だそうだぜ? くっくっく!」

戦士「勇者殿…」

僧侶「そんな……」

魔王「えっ、い、いやっ! 待つのだ! そういう意味ではない!」
580 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:48:12.60 ID:m/aZUn9i0
僧侶「でも確かに、私たち…勇者様のお役に立てているのかと聞かれたら」

戦士「いや、そんなわけ! そんな…わけ……えっと」

娘「だ、大丈夫よ! みんな役に立ててるわ!」

娘「それにこいつ1人でこの先進めるなんて私思えないな」

魔王「あァん!? こいつと申したか貴様ァ!!」

娘「ええ、言ったわ! 絶対あんた1人じゃ無理よ」

魔王「小娘如きが…」

娘「だから、みんなこのダメ勇者についていってあげて。こいつにはみんなが必要なの」

僧侶「娘さん……」

戦士「俺たちなんかで、いいのか」

娘「むしろ贅沢なぐらいだと思うけどー?」

魔王「……」

魔王「……余を1人にするな、バカども」

盗賊(素直じゃねぇ…)


ぎゅうっ


戦士「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉっーーー!!」

魔王「むぐぅっ!」

戦士「そうっスよね! 俺は一生勇者殿へ使える身ですもんね!」

戦士「1人になんかぜってぇさせませんよォーーー!!」

魔王「や、止めろ貴様ァ!!」
581 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:50:38.75 ID:m/aZUn9i0
ぎゅっ


僧侶「私もっ」

盗賊「ああァァッ!!? てめぇてめぇー!!」

魔王「余は知らんッ! むしろこやつらを引っぺがすのだ、盗賊よ!」

僧侶「私も、私もついて行きますからね! ダメって言ってもダメですから!」

僧侶「ね、勇者様ー!」

魔王「う、うぐっ……」

魔剣『ねー、それより僕はどうなるの!?』

魔王「あァん? 忘れておったわ」

魔王「…ふぅん、魔剣よ。貴様にはその身折れ、ただのゴミとなる時まで」

魔王「余が酷使してくれる! 構わぬなッ」

魔剣『……わあぁあ』

魔剣『で、でもみんなは? 戦士ちゃんに僧侶ちゃんは?』

戦士「……好きになるように努力してみるか」にこ

僧侶「ええ」にこ

魔剣『あ、あ、あ』


ぶわっ


魔剣『うわぁぁああぁ〜〜〜〜〜〜っっっん!!!』

盗賊「ぶっ、剣が泣いてやがる……!?」

魔剣『み、みんなみんな大好きだよぉ〜! えーんっ!』
582 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:52:00.65 ID:m/aZUn9i0
娘「なんだ、みんな結構仲良いんじゃない」

魔王「慣れ合いは好きくないであるっ……」

娘「羨ましいな、とっても」

娘「私もあんたの仲間になればそんな思いができるのかな?」

魔王「ふん、貴様の様な小娘に余の仲間が務まるかよ。雑魚は大人しくしておるのだ」

僧侶「こら! そんな言い方ないですよっ」

娘「ううん。勇者が言ってる事、間違ってないと思う。それに」

戦士「それに?」

娘「その後はみんなで考えてよね!」

娘「……さて、と」

盗賊「…くくっ、ようやく依頼達成か」

僧侶「あ……」

魔剣『その子、お家に帰るの?』

戦士「ああ。そういう話になってたしな」

戦士「後の事は、あの子次第さ」

魔剣『ふーん』

娘「……」
583 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:53:55.39 ID:m/aZUn9i0
魔王「何を躊躇しておるのだ。貴様は家に帰る、それだけである」

娘「うん…」

僧侶「不安ですよね。これからお父様とちゃんと向き合わなきゃいけないのは」

娘「私、ちゃんと言えるかしら……怖い」

魔王「貴様はあの時決断したのではないのか。ならば簡単であろうよ?」

僧侶「皆が皆、勇者様じゃないんですっ」

戦士「……子どもの最初の壁って、親なんだよな」

盗賊「そんなもんか?」

戦士「経験ない奴にはわかんねぇ話だって」

盗賊「…わるかったな」

娘「……わ、私」

娘「行くわ――――」

魔王「御免ッ」

魔王はお屋敷の玄関を開けた。

娘「ええぇぇっーーー!?」

僧侶「空気読みましょうよ!?」

魔王「空気は読む物ではない、吸う物よッ」

男「お、おお……あなた方は!」

娘「……ただいま、爺や」
584 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:56:13.84 ID:m/aZUn9i0
応接間


主「娘ェーーーー! 娘ェーーーー! おお、我が愛しき娘ェーーーー!」

魔王「ウザい…」

戦士「しーっ、勇者殿」

主「ん〜! ムチュチュー!」チュッチュ

娘「い、痛いわっ…あんまり強く抱きしめないでよ…」

主「だってだって! パパの可愛い娘が戻って来てくれたんだぞー!? どこぞの輩に攫われたと知った時はもうっ…!」

娘「その事で、ちょっと私からお話があるの」

主「話? …お前がパパに話なんて珍しいな。どうした」

娘「……」

僧侶「そ、それより先に! お約束にされていた報酬の方をー!」

戦士・盗賊(僧侶ちゃんすげぇ)

主「あ、報酬? そうだな、娘。話は後でゆっくり聞いてあげる。おい!」

男「はっ」

男「こちらが報酬になります」

戦士「っん!? こ、こんなに……」

僧侶「きゃーきゃーきゃー!!」ぴょんぴょん

魔王たちは1万Gを手に入れた。

魔王「これで何度でも蘇られるな、貴様ら!」

盗賊「もっと別の用途は考えられねぇのかよ……!」
585 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:57:48.70 ID:m/aZUn9i0
魔王「ところで貴様ッ」

男「はい? 私めでございましょうか」

魔王「貴様が申しておった遺跡の武器……とんでもなかったぞ」

魔剣『そんな褒めたら照れちゃうんだけど……///』

魔王「…余がいつ貴様を褒めたよ」

男「何と、剣が……」

主「これは珍しい!」

魔剣『ダメだよ! 僕はもう勇者ちゃんだけの物なんだから!』

戦士「好かれてますねぇwww何あったんスかwww」

魔王「殺すぞ」

男「しかし、そちらの剣……刀身が剥き出しの様で」

魔剣『あんまりジロジロ見ちゃ嫌だよ。恥ずかしんだからね』

僧侶「つ、つまり……私たちで言うと衣服を纏っていない状態と?」

魔剣『僧侶ちゃんのえっちー』

僧侶「私はそんなつもり言ったわけじゃ…!?」

魔王「エロいのぅ、僧侶」

僧侶「怒っていいですか…」

男「その様な大層な剣がそのままではきっと宜しくありません。どうか鞘に仕舞われた方が」

魔王「そう申されてもなァ。こやつには最初から収まる鞘がないのである」
586 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 04:59:34.47 ID:m/aZUn9i0
盗賊「そういやそうだったな。最初からコイツはこのままだった」

魔剣『生まれたままの姿です』

男「ふむ……では、私めから、娘様を助けて下さったお礼という事で」

男「最高の鍛冶職人を紹介いたしましょう。少々お待ち下さい」

魔王「この流れだったからてっきりくれるものかと思ったぞ…」

戦士「俺もっス…」

男「これを」

男は魔王に紹介状を渡した。

男「この町を出て、北東へ真っ直ぐ向かうと湖があります。そこに建っている古い小屋を訪れてください」

主「あれ? でもあそこのオヤジさんは」

男「大変頑固者であられます」

魔王「では行きたくないである」

僧侶「せ、せっかく紹介していただいたんですし、ご厚意を受けましょう?」

魔王「だってのぅ…」

男「ああ、大丈夫。この紹介状を見せれば何とかなられるかと」

盗賊「何とかって、無責任だろ……!」
587 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 05:01:18.00 ID:m/aZUn9i0
娘「……」

戦士「さて、そろそろ行きましょうか?」

僧侶「ええ。長居も失礼ですもんね」

主「なに? もう行ってしまわれるのですか!? せっかくだし、ゆっくりしていけば…」

魔王「ただでさえ無駄な時間を過ごしてしまったのだ。余は暇ではないのだよ!」

魔王「それに貴様は娘の話を聞かねばなるまい」

娘「えっ……」

主「あ、ああ! これは失礼…余計な気を使わせてしまいまして…」

魔王「ふん、そういう事である! ではな、邪魔した」

盗賊「らしくねぇ、キモいぜ」

魔王のローキック!

盗賊「〜……!」

戦士「ナイスキック、だな」

盗賊「やられる身になってみやがれっ!」

娘「……ふふっ」

588 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 05:07:23.39 ID:m/aZUn9i0
魔王「行くぞ、貴様ら」

魔剣『レッツらゴー!』

主「待ってください。せめて、お見送りぐらいは」

魔王「要らぬッ、その様な事せんでもきちんと帰るわ阿呆」

主「はぁ…」

戦士「じゃあな、元気で!」

僧侶「あなたに神が微笑みますように。幸運を」

盗賊「特になし」

娘「みんなっ…」


がちゃり


主「行ってしまわれたな。あの方がたなら今後も上手くやっていける事だろう」

男「それでは、私めも。邪魔者はささっと退室させていただきます」

男は応接間から出ていった。

主「え、どしたのどしたの? な、何……?」

娘「……パパ!!」

主「はい!?」

娘「あ…あ……」

主「ゴクリ…」




「意思を持たぬ者は人形と同じである。さながら最後は遊び壊され終了といった結末かのぅ」

「よぉ、言われるがままの人生は楽しいか?」





娘「あのねっ――――――」
589 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 05:10:08.48 ID:m/aZUn9i0
魔王「……」

僧侶「勇者様、娘さんが心配ですか?」

魔王「あァん? 僧侶貴様、調子に乗るのも大概にしておけよッ」

僧侶「ですが、何だか浮かない顔をしていましたよ。ふふっ」

魔王「ぎゃーぎゃー!!」

戦士「俺らの旅は続きますけど、あの子の旅はこれから始まるって感じっスかねー」

盗賊「カッコつけた事言っても、てめぇじゃ様になってないぜ…」

魔王「そういう台詞は余が申してこそだからなァ!」

魔剣『勇者ちゃんは何言ってもカッコいいもんねー!』

僧侶「勇者、ちゃんって……ぷぷっ」

戦士「可愛らしさも兼ね備えてる勇者殿は最高っスねぇ」がしっ

魔王「なんか先程から戦士が、余に過剰にベタベタ触ってくるである…」

戦士「愛情表現ですよー!! うりうり〜」

盗賊「やっぱこの筋肉ダルマぜってぇアレだぜ……」

僧侶「アレ?」

盗賊「……」

僧侶「えぇっ、気になるじゃないですかー!」

魔剣『そんな事よりお腹減ったねぇ』

魔王「真である…」

僧侶「もう少しこの先へ進んでから休憩にしましょうね」

魔王・魔剣「『えぇー……』」

戦士「ほらほら、俺のうまーい手作り料理が待ってますから」

盗賊「……僧侶のが食いてぇな」
590 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/23(金) 05:13:44.22 ID:m/aZUn9i0
以上でした。ようやく次へ進めるよ魔王

それから次の投下なんだけど、たぶん来週からになっちゃいそうで
申し訳ないけど、気長に待っていてくれたら嬉しいな
591 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 05:38:06.02 ID:AmdtP9iMo
乙乙
592 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 10:21:37.01 ID:odp+N7jIO


クリスマスデート楽しんでらっしゃいな
593 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 10:38:23.96 ID:E5wlvhRco
乙乙!待つ待つ
594 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 11:12:56.91 ID:7P7fqtn40
魔王は寂しがり屋だなぁw
久々に4人パーティー揃っててよかった

595 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 13:01:27.02 ID:DXvfavgDO
596 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 13:14:38.97 ID:MN8wjXODO
戦士が可愛く思えてきた……なんだろうこの気持ち
597 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 14:18:49.81 ID:1OEkE9ORo
おまえさん、そりゃぁ…変ってヤツだよ
598 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 14:27:22.34 ID:jnuLt67DO
魔王の見た目が想像できん…
599 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 16:05:28.76 ID:SSBWg0Jm0
おじさんとか言われてたときがあったけど、どうなんだろうな
600 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/24(土) 17:13:09.06 ID:DhuTrqRq0
>>596
盗賊「お前アレじゃね……?」
601 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/25(日) 01:50:23.53 ID:61Cl8bq60
そういえば盗賊は掘られたような描写があったな・・・
602 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:02:05.76 ID:6Quk2P/G0
廃墟が建ち並んだ町


僧侶「……寂しい場所ですね。荒れ果ててる」

戦士「ああ、恐らくはドラゴンの仕業なんだろう」

戦士「見てみろよ、ここ。どう見ても人間の所業じゃないよなぁ」

魔剣『なんか大きいのが踏んづけてった跡っぽいよー』

僧侶「でしょうね…」

魔王「あああああああァァァァァーーーーーー!!!」

魔王「そんな事はどうでもよいのだ! さっさと件の魔物を探せよ貴様らァー!」

盗賊「ドラゴンっちゃー相場はデカ物だと決まってるもんだぜ……」

盗賊「この町から出てさえいなければ、すぐに見つかる」

魔王「では何故すぐに見つからんのだ…!」

僧侶「焦っても仕方がありません、勇者様。相手はあのドラゴン」

僧侶「慎重に行きましょう…っ」

魔王「ふん、僧侶は全くの臆病者よ。ドラゴン程度が何だという」

魔王「……糞っ垂れめ。貴様の為にこの様な廃れた場所まで来たのだ。感謝しろよ、魔剣め」

魔剣『えへへ〜っ!』

戦士「にしてもドラゴンの鱗っスかぁ…あのじいさんも凄いもん要求してきましたよね」

魔王「マジ面倒である」

盗賊「同感」

僧侶(私たちは今、魔剣ちゃんの鞘を鍛冶屋さんに作ってもらう為、必要な素材とされたドラゴンの鱗を手に入れるべ
く、この町へ訪れました)

僧侶(町といっても、今は人が住んでいないゴーストタウンの様なものですが……)
603 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:03:43.78 ID:6Quk2P/G0
数時間前 湖にて


戦士「うひょー! 砂漠砂漠と続いたから何だかこの景色が目に染みるっスねぇ!」

魔王「おう、あの魚美味そうである! アレ、今日のご飯!」

戦士「了解っスー!」

僧侶「ふふっ、お2人とも元気ですね」

盗賊「うぜぇだけだぜ…。うぜぇうぜぇ…」

僧侶「そんなにネガティブじゃダメですよ。盗賊さん」

僧侶「ここ最近、ずっと肩筋ばかり張っていて体も心も落ち着かなかったし、いいじゃないですか」

盗賊「……僧侶がそう言うなら」

僧侶「それにしても、綺麗な湖ですね…水がとても澄んでいるし。ほら、あそこなんてお花がすごい!」

盗賊「……」

盗賊(ひょっとして今結構いい雰囲気なんじゃないか?)

僧侶「このお花なんて、ほら! とっても綺麗な色してるわ…」

盗賊「き」

盗賊「ききき、君の方がっ……!」

魔剣『僧侶ちゃんって乙女だよねー!!』

盗賊「ぶぐっ」

僧侶「そう? 魔剣ちゃんはこういう物は好きじゃないの?」

魔剣『僕が好きなのは勇者ちゃんのみです!』

盗賊「……うぜぇ」
604 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:05:01.78 ID:6Quk2P/G0
魔王「魚、魚、魚ー」

戦士「そうだ。ここに雷の魔法撃てば魚取り放題じゃないですか?」

魔王「それは良いな」

僧侶「よくありません…!」

僧侶「色々と台無しにする気ですか!? 絶対ダメですから!」

魔王「僧侶うざいのぅ」

僧侶「もうっ……魔剣ちゃんからも勇者様に何か言ってあげて」

魔剣『僕、基本的に勇者ちゃんの味方だからね』

戦士「魔剣ちゃん? もうそんな仲?」

僧侶「あ、えっと…」

魔剣「戦士ちゃんも僕の事そう呼んでくれていいよ」

戦士「……魔剣ちゃん?」

魔剣『いえーす!』

戦士「魔剣ちゃーん!」

魔剣『きゃー!』

魔王「調子こくな阿呆。さっさと目的地へ行くぞ」

盗賊「さっきまで浮かれていた奴が何を…」

魔王「それとこれとは別である。良いか、本来ならこやつの鞘なんぞどうでもよいところ、仕方が無くなのだぞ」

僧侶「でも、このまま裸じゃ可哀想ですよ?」

魔剣『スースーする』

盗賊「剣だろてめぇ」
605 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:06:12.80 ID:6Quk2P/G0
子ども「兄ちゃんたち、何騒いでんの?」

魔王「あァん? 何だこのガキは」

戦士「君、もしかしてあの小屋の子か」

子ども「そうだよ。鍛冶屋のじいちゃんの孫」

子ども「あ、もしかしてウチに用?」

僧侶「はい。ご主人はご在宅でしょうか」

子ども「じいちゃんならあそこ」

「?」

子どもが指差した場所は湖だった。

盗賊「あそこの……どこだぜ?」

子ども「あれ? 確か、湖で泳いでくるって言ってたんだけど」

盗賊「泳いでるも何も、人影一つ見当たらんが」

戦士「いや、待て……何か水面に浮かび上がって来てるぞ…」


ぼこぼこぼこ・・・


じじい「 」

魔王「土左衛門?」

子ども「じ、じいちゃん…!」
606 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:07:05.49 ID:6Quk2P/G0
職人(じじい)「 」

子ども「うわぁーん! じいちゃんの顔が青いよー!」

魔王「こやつが例の鍛冶屋の……?」

戦士「じ、人工呼吸だ! 盗賊!」

盗賊「なんで俺なんだよっ…!?」

僧侶「戸惑っている場合ですか! わ、私がいきますっ…」

盗賊「止せぇっ!!!」

盗賊「俺が、俺がやるぜ……」

僧侶「ですが…」

戦士「止めてやるな、僧侶ちゃん。男に二言はねぇんだ」

僧侶「……」

職人「 」

盗賊(ファーストキスは)

職人「 」

盗賊「ごくりっ」

盗賊(じじいの味……!)

盗賊は職人に人工呼吸を施した。

魔王「ふむ、これは」

魔剣『いやん……』

僧侶「と、盗賊さん…ごめんなさい…」

戦士「カッコいいな、盗賊」

盗賊「……知ってる」
607 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:08:40.74 ID:6Quk2P/G0
職人「……げほっ、ごほっ!」

子ども「ああっ、じいちゃん!!」

僧侶「気が付きましたか。待っていてください、今回復を!」

職人「俺は」

職人「俺は死ねなかったのか…」

子ども「じ、じいちゃん何言ってんだよ」

盗賊「……何やら物騒な言葉が聞こえたぜ」

戦士「あんた、まさかとは思うが。あの湖で溺れ死のうとしたんじゃないだろうな」

職人「フン、通りすがりのお前たちには関係あるまい」

子ども「俺には関係あるだろ!? どうしたんだよじいちゃん…」

僧侶「良ければ、お話を聞かせてもらえませんか? 少しは気が軽くなるかと」

職人「余計な御世話だよ。子ども、家に帰るぞ」

魔王「待てじじい」

魔王「貴様に今死なれては、余が直々にここまで来た甲斐がなくなってしまうではないか」

職人「……あんた、客かぁ?」
608 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:09:52.61 ID:6Quk2P/G0
鍛冶屋


職人「……成程な」

職人は紹介状を読んだ。

職人「で、件の剣とやらは」

魔剣『僕だよー』

子ども「うわぁ、剣が……」

戦士「驚くのも無理はないな。俺たちも初めて聞いたときは」

職人「……よりにもよって、そいつかい」

魔王「貴様、この魔剣を存じておるのか?」

職人「そいつぁ俺の親父が昔作り上げた物よ。知ってるに決まってるだろうが」

魔王「知るか阿呆。よいからさっさと鞘を作るのだ、老いぼれ」

僧侶「あの、金額の方はいかほどに…」

職人「断る」

僧侶「えぇー! タダですか!?」

戦士「……僧侶ちゃん」

職人「どこか別の鍛冶屋を当たってくれ。俺はもう何も作らん」

盗賊「どういうつもりだ、じいさん。俺らに無駄足踏ませるつもりかよ…」

魔王「助けさせておいて、何というクソじじいであるか! さっさと死ね!」

職人「助けろと頼んだ覚えはないね」
609 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:11:31.65 ID:6Quk2P/G0
職人「それに俺はその魔剣に関わるつもりはない。懲り懲りだ」

職人「てめぇのせいで俺の親父は狂っちまったんだよ…!」

魔剣『知らないよそんなの』

職人「舐めてやがる…」

魔王「過去は過去である。貴様は鍛冶屋なのであろうが、ならばさっさと自分の仕事をしろ」

職人「今日限りで店は畳む。だから出ていけ」

魔王「断る」

職人「……」

僧侶「頑固者同士、って感じですかね…」

盗賊「お互い一歩も引かねぇな」

子ども「じいちゃんどうしちゃったんだよ。……もしかして婆ちゃんの事?」

戦士「婆ちゃん?」

子ども「うん。前にじいちゃんがさ、ドラゴンの鱗を取って来てくれってばあちゃんに」

職人「それ以上言ったら後で歯を一本抜くぞてめぇ!」

職人「あんたらにゃ関係ない。さっさと行ってくれ」

魔王「嫌である」

魔王「そこまで断られてはこちらも引けぬ。貴様が首を縦に振るまで余はここを一歩たりとも動かぬからなァ」

職人「生意気な若造が……!」
610 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:13:07.29 ID:6Quk2P/G0
盗賊「おい、ドラゴンの鱗ってのは」

戦士「文字通り、魔物・ドラゴンの肌に張り付いてる鱗の事だろうよ」

戦士「何でも、その鱗ってのが武器や防具を作ったりする奴らにとっちゃ、喉から手が出るほど欲しい一品だそうだ」

僧侶「それ程素材として優秀な物ってことでしょうか…」

職人「優秀なんてもんじゃねぇ。最高だ」

職人「そいつ一枚ありゃ、最高の一品を作り上げられる」

戦士「だけどよ、ドラゴンなんて並大抵の人間じゃ敵わないだろ?」

戦士「それを婆さん1人に頼むなんて」

子ども「婆ちゃんは、昔凄腕の武人だったって言ってたよ」

子ども「でも最近はあんまり元気なさそうだったんだー…」

魔王「老いぼれは死を迎えるだけだからのぅ。寿命が近かったのであろう」

職人「違うね。最近どころか、あいつは剣を握る事をやめてからずっと元気なかった」

職人「戦う事こそが、あいつにとってたった1つの生き甲斐だったんだろうよ」

戦士「気持ちは、わかるな」

盗賊「まぁ、生粋の肉ダルマだからな。てめぇは…くくっ」

戦士「どういう意味よ?」

僧侶「…まさか、ドラゴンの鱗を取ってくるように頼んだのは」

職人「ああ、あいつにドラゴンと一戦噛ませてやりたくてな」

盗賊「婆さんがドラゴンなんて相手にできるわけねぇだろ…」

職人「さて、な」
611 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:14:39.15 ID:6Quk2P/G0
職人「俺ら老いぼれは、そいつが言う通り後は死を待つだけよ」

職人「なら、1つ。死ぬ前に華咲かせて終わらせてぇのさ」

子ども「意味わかんない…」

職人「だろうよ。ガキのお前じゃ」

魔王「だのに貴様はあの湖で死のうとしたではないか」

職人「……あいつがドラゴンの所へ向かって2、3ヶ月経った」

僧侶「それって…」

戦士「死んだと思って、そんな事をさせた自分に嫌気が差したってか?」

戦士「あんた、さっきは立派な事言っておいて、やる事が最低だな」

職人「……心がよぉ、ポッカリ穴空いちまった感じなんだよ」

盗賊「だからって、そのガキを残して後追い自殺は関心しねぇぜ……」

僧侶「盗賊さんと同意見です。なぜ、奥さんを信じてあげないのですか」

僧侶「そんな事では、あなた地獄行きです!!」

魔王「おお、ではあのクソ魔法使いが先に待っておるな!」

職人「は?」

盗賊「……こ、こっちの話だぜ」

魔王「のぅ、老いぼれ。地獄へ旅立つのは一仕事終えてからにしておけ」

魔剣『僕の服作ってー!』

職人「だから何度言えば!」

魔王「親父は親父、貴様は貴様よ。それに貴様の事情なんぞ余が知った事ではない」

魔王「鞘を、作れィ」

職人「ぐううぅ……!」
612 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:16:15.15 ID:6Quk2P/G0
戦士「勇者殿。オヤジが言う通り、別の鍛冶屋当たりましょうぜ?」

戦士「こんなんじゃ話になんないっス……」

盗賊「同感だぜ」

魔王「いいや、余はこやつに作らせるよ。気に食わんから!」

職人「どういう意味だ…」

魔王「気に食わんからこそ、貴様に仕事を与えるというのだ。しかも、魔剣の!」

僧侶「嫌がらせって事ですか…」

魔王「ふふーんっ」

魔剣『勇者ちゃんカッコいい! 抱いてー!』

魔王「貴様、キモいである。して、返事はどうしたよ」

職人「……」

職人「……1つ、取ってきてもらいたい素材がある」

魔王「申してみろ」

職人「ドラゴンの鱗……!」

盗賊「…このじじい」

職人「ふん、嫌がらせには嫌がらせで返すのが礼儀だ。それに」

職人「その魔剣じゃ鱗を使った鞘でなければ収まりきらんだろう、その膨大な力ならな。……俺の腕にかけて最高の鞘を
作ってやる」

職人「鱗が俺への支払いだ。いいな? それで物を作る」

魔王「やはり、こやつはいけ好かん老いぼれよ」

魔王「よいだろう。貴様はここで余が再び訪れる時を待つが良い」

魔王「間違っても、死のうだなんて考えるなよ…?」

職人「当たり前だ。若造」フッ

子ども「じ、じいちゃんカッケェ……!」

職人「おうよ」
613 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:17:19.62 ID:6Quk2P/G0
戦士「……いいんスか、勇者殿」

魔王「構わん。なに、鱗を一枚引っぺがすだけの事よ。時間はかかるまい」

盗賊「いや、ドラゴンだぜ……今回こそマジでヤバいぞ…」

僧侶「で、ですよね…」

魔王「相変わらず貧弱であるな、貴様ら!」

魔王「楽勝に決まっておろう。余がおるのだし」

魔剣『僕もいるもんね!』

魔王「引っ込め、ボロ剣ッ!」

魔王「…して、取ってくると申したものの、何処にドラゴンが居るか分からん」

戦士「聞いた話だと」

戦士「ここから東の方へ行くとゴーストタウンがあるそうなんでさ。そこで一匹のドラゴンが暴れてるって話が」

僧侶「それって、ドラゴンが町を滅ぼしたって話のあの町ですか!?」

僧侶「危険ですよ……」

魔王「ふゥん! 婆あ如きが行けて、貴様は無理だと申すか。愚かな僧侶」

魔王「余についてくると申したのは何だったのか」

僧侶「……い、行きますよ! やってやります!」ふんっふんっ

僧侶「さぁ、行きましょう皆さん! 私、頑張りますから!」

魔剣『僧侶ちゃん、どったの?』

盗賊「燃える女は美しいって事だな…」

魔剣『えー、何々?』

魔王「つまり僧侶おかしいって事である」

戦士「いやいや」
614 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:18:40.26 ID:6Quk2P/G0
現在に至る


盗賊「魔物の姿は全然見あたらねぇな…こんなに荒れ果てた場所なのによ」

僧侶「ドラゴンがこの辺りを支配しているから、とか?」

盗賊「魔物同士でもやはり上下があるってことか」

魔王「おう、何故余を見てそれを聞く…」

盗賊「……くっくっく!」

盗賊へ腹パン!

盗賊「げぇっ!?」

僧侶「ちょっと勇者様! …大丈夫ですか」さすりさすり

盗賊「……! あ、ああっ」

盗賊(ちょっとアイツに感謝してしまった自分が憎い…)

魔王「戦士ー、ドラゴンおったー?」

戦士「居らんですねぇ」

魔剣『もうそこら辺の魔物の鱗剥いで持っていって、これがアレですよ〜って渡すのは?』

魔王「それ良いな」

僧侶「いえ、流石に騙されないと思いますよ……」

僧侶「それに魔剣ちゃんの鞘はドラゴンの鱗でなくてはいけないんでしょう?」

魔剣『別になんでもいいのになぁ』

盗賊「ただの鞘ならてめぇの力がダダ漏れになるって言ってたぜ…」

戦士「そういえば、まだ魔剣ちゃんは力を抑えてるのか?」

魔剣『うん。なんかね、トイレを凄く我慢してるみたいな気分…』

盗賊「……剣のくせに何だその例は」
615 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:20:26.79 ID:6Quk2P/G0
戦士「ところでドラゴンの事もそうなんですけどね」

戦士「俺が気になってるのは婆さんの方なんですわ」

魔王「いやっ、戦士ってばそういう趣味であったか!?」

盗賊「お前! 彼女って……」

盗賊「別の意味でモンスター級だったわけ、か」

戦士「バカ、やめろ」

戦士「あのですねぇ、普通に気になりませんか? 話だとドラゴンに立ち向かったんだろ?」

僧侶「いくら昔は凄いお方だったとはいえ、無事では済みそうにありませんよね…」

戦士「だがよ、もしかしたら生きていたりするかもしれん」

魔剣『老いぼれ婆あが? ちょっと無理あるんじゃないの、戦士ちゃん』

戦士「俺は良い方向に信じたいんだ。彼女はきっと生きてる」

盗賊「もしからきっとになったな。だが、ドラゴンも見つけられない今、その婆さんをどう見つけるんだぜ?」

魔王「余はこれ以上時間を食うようなマネしたくないからなー」

戦士「そんなぁ」

僧侶「……戦士さん、もしかして鍛冶屋さんの事を気にかけていらっしゃるんですか?」

戦士「そうなるのかねぇ。でも生きていなくとも、せめて死体ぐらいは持って帰ってやった方が」

魔王「死体なんぞ土産に渡されて喜ぶ奴が居るか? それとも婆あの死体が鞘の素材に」

盗賊「不謹慎だしさすがにねぇよ……」

僧侶「私も戦士さんと同意見です。ついでにとは言いませんが、そのご婦人を見つけるべきかと」

盗賊「……!」

盗賊(最近、僧侶ちゃんが戦士の意見になびいたり、一緒に行動してたりしてないか…)
616 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:21:57.63 ID:6Quk2P/G0
魔王「余は反対! さっさと物を手に入れて終わらせるのだ!」

僧侶「そこをなんとかっ」

魔王「嫌ッ」

戦士「戦士からのお願い〜」

魔王「気色悪いよ…」

魔王「そんなに婆あを探したいのなら貴様ら2人が探せ。余たちはドラゴンである」

盗賊(ダメだ!)

盗賊(この流れはマズい! ……またじゃねぇか…ヤバいぜ)

盗賊「お、俺はドラゴンに遭遇しても倒せる自信がないぜ……!」

戦士「あれ、珍しく弱気な盗賊」

魔王「甘ったれた事を抜かすなカスめ。それに鱗剥ぐだけ、何も倒す必要はあるまい」

魔王「まぁ? 余なら勢いあまって仕留めちゃいそうだが?」

僧侶「そうですよ、目的は鱗だけなんですから。では勇者様の提案通り…」

盗賊「止せッ!!!」

僧侶「ひゃ!?」

魔剣『どったの盗賊ちゃーん? 急に大きな声出して』

盗賊「あ、いや……やっぱり二組に分かれて行動するのは危険な気がするぜ…」

戦士「今までもよくやってた事だろ。お前どうしたんだ?」

盗賊「嫌な予感がするな、と…」

戦士「はぁ?」
617 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:22:58.87 ID:6Quk2P/G0
僧侶「嫌な予感? それは一体どの様な」

盗賊「ルート外れそうな予感っていうか…」

僧侶「るーと?」

魔王「戦士よ、何それである?」

戦士「盗賊、専門用語なんか使われても俺らわかんないよ。普通に頼む」

盗賊「……」

魔剣『盗賊ちゃーん、おーい』

魔王「何も申さぬのなら異議はないと見てよいのだな。では行くぞ」

僧侶「え、ええ」

盗賊(素直に僧侶ちゃんと一緒がいいって言えばいいだけだろ、俺…)

盗賊(どうして肝心な時にいつも何も言えないんだよ……)
618 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:24:05.04 ID:6Quk2P/G0
戦士「……ああ!」

戦士「勇者殿、勇者殿」ひそひそ

魔王「あーん?」

戦士「かくかくしかじか……で、やっぱり俺が勇者殿について行きますよ」

盗賊「え?」

魔王「はぁ? まぁ、別によいけど……馴れ馴れしくするでないぞ」

戦士「わかってますよぉーぅ!」

僧侶「えっと、あのぅ…」

戦士「僧侶ちゃん悪い! 俺、やっぱりドラゴン探すわー! だから盗賊と一緒にそっち頼むよー」

僧侶「あ、はぁーい! …どういう風の吹き回しでしょうか? とにかく、盗賊さん」

僧侶「行きましょう?」

盗賊「あ…あぁ……うぁぁ……!」

戦士「俺ってイイ男だと思わないっスかー?」

魔王「キモい肉ダルマである」

魔剣『勇者ちゃんには敵わないよ!』

戦士「えぇー」




盗賊(戦士……!)グッ
619 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:25:30.95 ID:6Quk2P/G0
戦士「勇者殿、見てくださいコレ……」

魔王「でっけぇ足跡であるな」

戦士「たぶん恐らく、ドラゴンの物でしょうな」

魔剣『何で?』

戦士「何でってほら、デカいし」

魔剣『大きけりゃドラゴンってわけでもなくない?』

魔王「……まず、先程から居ったという痕跡しか見当たらぬ」

魔王「まさか、ドラゴンの奴は引っ越ししたのではないか」

戦士「この土地から離れたって事っスか?」

戦士「あり得なくも無さそうだが」

魔王「そうであろう?」

魔剣『でもドラゴンなんてでっかち、他に何処行くの?』

魔王「山とか海ではあるまいか?」

戦士「いやいや! もしかしたら小さくなれたりするかも」

魔王・魔剣『「あー」』

戦士「でしょー?」

魔王「それにしてものぅ」

魔王(余はこの様な町を滅ぼせなんて命を魔物どもに下した覚えないぞ)

魔王(……腹立たしい)

魔王「やっぱし、完全な違反である!」

戦士「あれ、小さくなる説否定っスか?」
620 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:26:48.43 ID:6Quk2P/G0
魔剣『ねぇ、ドラゴンはどうしてこの町壊したりしちゃったんだろうねぇ』

戦士「そりゃあ……魔物だから…いや、違うか」

戦士「魔王が指示したんじゃないか?」

魔王「あ!?」

魔剣『本当にー?』

魔王「貴様折るぞッ」

魔剣『あ……ごめんっ』

戦士「どうしたんスか?」

魔王「何でもないわ! 無駄口叩いておらずにさっさとドラゴンを見つけよ!!」

戦士「お、おっす!」

魔剣『勇者ちゃんごめんねぇ…僕うっかりしてて』ひそ

魔王「次に余計な事を聞いてくる様なら、貴様を火山の火口へ投げ落す」

魔剣『ごめんってば〜! ……あの、勇者ちゃん』

魔剣『2人っきりの時はー…魔王ちゃんって呼んでいい?』

魔王「本気でキレる5秒前である…!」

魔剣『ごめんっー!! でもでも、2人だけの内緒みたいなのを共用してみたくて』

魔王「……何故じゃ?」

魔剣『恋人、みたいでしょ……きゃっ』

魔王「ふーっ、ふーっ、ふーっ!」

魔王は魔剣を投げた!

魔剣『やぁーっ!?』ぴゅー
621 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:27:57.86 ID:6Quk2P/G0
戦士「うわっ、何やっちゃってんスか!」

魔王「知らんッ。奴はもうダメである!」

戦士「ダメって…」

魔剣『え〜んっ! 壁に刺さって抜けないよぉ〜!』

戦士「ほら、勇者殿。魔剣ちゃん可哀想っスよ」

魔王「し・ら・ん ッ!!」

魔王(これ以上魔剣と共に居っては余が持たんし、何より元の素性がバレかねん)

魔王(……盗賊は余計な事洩らさんだろうな)

戦士「ごめんなー魔剣ちゃーん! 俺、魔剣ちゃん触ったらヤバいからー!」

魔剣『やぁーんっ!』

魔王「いざとなれば、殺すだけか」

戦士「何を急に物騒な!?」

魔王「こっちの話である。おら、もうドラゴンに用は無くなった。帰る」

戦士「ま、マジで言ってます……?」

魔王「おう、マジよ」

戦士「でもそれじゃあ鍛冶屋のオヤジにも示しがつかないし、それに」

魔王「では貴様だけで探しておればよいだろうッ! 余は外で待ってる! もう嫌!」

戦士「そんなぁー!」


ばさ、ばさ、ばさ、ばさ・・・
622 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:29:03.64 ID:6Quk2P/G0
戦士「……何か、聞こえません?」

魔王「知るか、もう知らん。知らんである」すたすた

戦士「いや、待ってください! …これって」


どしーん


ドラゴン『ギャオオオオオオオオォォォォォウ!!』

ドラゴンが現れた!

魔剣『出た出た出たぁー! 勇者ちゃん、ドラゴン来た!』

戦士「何てタイミングでっ…!」

戦士は剣を抜いた!

魔王「」すたすた

戦士「勇者殿ォー! 敵、敵! ドラゴン出たっスよー!」

魔王「貴様らで勝手にしておれ!」

ドラゴン『……違う』

ドラゴン『お前たちは違う。さっさと我の町から出て行けッ!』

戦士「何を言っているんだこいつ…」

ドラゴン『今逃げるなら見逃してやる。だから出ろ』
623 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:30:28.99 ID:6Quk2P/G0
ドラゴン『同じ事を言わせるつもりなら我はお前らを焼いて喰らうぞ』

魔剣『何か、イメージとちょっと違うかも』

戦士「あ、ああ…」

魔王「おらー、ドラゴンも出て行けと申しておるぞ。さっさと出るのだ」

ドラゴン『物分かりが良い人間は長生きする。さぁ、お前もあの腰抜けと同じ様に町を出ろッ』

魔王「」ぴくっ

戦士「……あの人煽っちゃマズいって」

ドラゴン『その様なつもりは我にはない。思った事を口にしただけ…』

魔王「……ほぉ」

魔王「貴様如き雑魚に、余の姿はその様に見えたわけか? え?」

魔王「もう一度、その汚らわしい口で同じ事を申してみろ貴様ァッ!!」


びりびりびり・・・


戦士「う、ぐ……な、何だなんだ…!?」

魔剣『まお…勇者ちゃんが怒ってるんだよ!』

ドラゴン『むゥ……ッ!』

魔王「予定変更だ、戦士よ。余はこやつをぶち殺す…!」

戦士「え、マジっスか!」

魔王「鱗一枚などと安い事では済ません。丸裸に引ん剥いてくれようぞッ」

ドラゴン『我に挑むか、小さく愚かな者どもよ。……良かろう』

ドラゴン『奴との一戦の前に準備運動とゆこうか! この誇り高きドラゴンが、貴様らの腸を喰らいつくしてくれる
わ!!』

魔王「それは……」

魔王「余の台詞であるッーーーー!!」

戦士「マジかよ……っ」
624 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:31:40.05 ID:6Quk2P/G0
僧侶「やはり、人らしき物も見つかりませんね」

盗賊「ああ…!」

僧侶「あの」

盗賊「はいっ」

僧侶「先程から盗賊さん。いつもよりハキハキとしていて、何というか…」

盗賊(どのタイミングで手を繋げばいいんだ!?)

僧侶「盗賊さん?」

盗賊「何でしょうか」

僧侶「……い、いつも通りの盗賊さんでいいんですよ?」

盗賊(誘ってんのかよ畜生……!)

盗賊(いや、でもここで理性を失っては男としてアウトだぜ)

盗賊「そ、僧侶は……食べ物の中なら何が好きなんだぜ……?」

僧侶「は、食べ物!?」

僧侶(どうして今そんな事を……もしかして、今日は盗賊さんが料理をするの?)

盗賊「……ゴクリ」

僧侶「そっ、そうですね! えっと……」

僧侶「辛い食べ物が好きなんですけど……えーっと、その……ハンバーグ?」

盗賊「ハンバーグは、辛い食い物じゃ、ない」

僧侶「ですよね……あはは…」
625 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:32:42.64 ID:6Quk2P/G0
僧侶「では、盗賊さんはどの様な食べ物が?」

盗賊「っ……!!」

盗賊(ここで好物を答えると、次の日に言われた料理を作って僧侶ちゃんが登場!)

盗賊(ルート確定じゃないか…)

盗賊「俺は――――!」

盗賊(待てよ、俺。できるだけ手間がかかって難しそうな料理を答えるのは避けるべきだ)

盗賊(僧侶ちゃんがわざわざ俺なんかの為に料理だぞ? 面倒な事はさせられん)

盗賊「おにぎり」

僧侶「え?」

盗賊「おにぎり、だぜ。うんと塩が効いているのがいい……っ!」

僧侶「あ、おむすび! 私も好きですよ、夜食なんかに作っていただくと嬉しいですよね」

盗賊「その展開もたまらねぇ…」

僧侶「展開? ああ、おむすびを焼いたものとか食べたいですねぇ……お味噌を塗って…」

盗賊「いいな……いいな……!」
626 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:33:34.79 ID:6Quk2P/G0
僧侶「……」

盗賊「……ど、どうした僧侶!?」

盗賊(会話が途絶えてはマズい! もっと、もっと話題を)

僧侶「今日のご飯はおむすびにしましょう! いいえ、お願いします!」

盗賊「え!?」

盗賊「お、俺に頼んだのか……?」

僧侶「だ、ダメでしょうか」

僧侶「おむすびのお話をしていたら、何だか……え、えへへ」

盗賊「任せるんだ、僧侶……」

僧侶「本当ですか!? あ、ありがとうございますっ」

盗賊(お、俺が……俺が丹念に握ったお握りを、食わせてやるぜ……く、くくっ…!)
627 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:34:43.36 ID:6Quk2P/G0
僧侶「…あのっ」

僧侶「盗賊さんって、お料理できるんですか!?」

盗賊「おにぎりぐらいなら任せなっ」

僧侶「あ、あのそういった簡易な物とかではなくて……!」

僧侶「カレーとか!」

盗賊「……切ったり、皮剥いたりする料理か」

盗賊「無理だぜ。生まれてこのかた、俺は手の込んだものは作った事が無い」

僧侶「そ、そうですか」

僧侶「……あの、お料理が下手な女って、世間一般から見ていかがなものでしょう?」

盗賊「……」

盗賊「まさか…」

僧侶「い、言わないでっ! この事は内緒に!」

盗賊(いやいや、落ち着け俺。料理ができなくても、下手でも頑張って作ってきてもらえるというイベントもある)

僧侶「…どうしてか、いつもちゃんとしたお料理を作ろうとは思うんですよ?」

僧侶「でも、それができないんです。想像していた物とは違った物ができていて…」

盗賊「それは、つらいな」

僧侶「はい……でも私、このままでは良くないと思っているんです!」

盗賊(……何だ、この感じ)

僧侶「ですから、お料理が上手な戦士さんに今度色々と教えていただこうかと!!」

盗賊(うわああああああああぁぁぁぁぁっっっ!!)
628 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:35:39.67 ID:6Quk2P/G0
盗賊「っぐ……!」

僧侶「と、盗賊さん? どうしました、盗賊さんっ」

盗賊(このままではヤバい!! 戦士ぃぃぃ……っ!!)

盗賊「……俺が教えよう」

僧侶「はい?」

盗賊「俺が僧侶に料理を教えると言った…!」

僧侶「え、で、ですけど! 盗賊さんは手の込んだ料理は」

盗賊「あれはウソだぜっ!!」

僧侶「ウソついちゃったんですか!?」

僧侶「ウソはよくありませんっ」

盗賊「……すまん」

盗賊(いや、これもその場凌ぎのウソなわけだが)

僧侶「…でも、盗賊さんが教えて下さるというのなら」

僧侶「お願いできますか?」

盗賊「っ!」

盗賊「ああ、ああッ!! 任せろ、僧侶!!」

僧侶「ええ、お願いします。盗賊さん!」にこ

盗賊(や、やった……来た……)

盗賊(俺の時代がっ……!)

盗賊「……しかし、まずは俺が戦士に料理を教わらなきゃだな」

僧侶「どうしました?」

盗賊「いや……! 別にっ」

僧侶「ふふ、おかしな盗賊さんです」
629 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:36:38.22 ID:6Quk2P/G0
すたすたすた


僧侶「……待って!」

盗賊「どうかしたか、僧侶」

僧侶「何か、匂いませんか」

盗賊「えっ」

盗賊「いや、俺は……!」

僧侶「臭い匂いではありませんよ。その」

僧侶「お風呂、みたいな」

盗賊「風呂だと……?」

盗賊(言われてみればそんな匂いがしなくもない)

盗賊「しかし、こんな人も住んでいない町で誰がわざわざ風呂に入る?」

僧侶「普通ならありえませんよね……」

盗賊「…だが、どうもこの匂い。嗅ぎ覚えがあるような」

僧侶「見て! あの場所から湯気がっ」

盗賊(覚えはあるが、あまり思い出したくないような……)


たたたっ


盗賊・僧侶「!?」

湯女「あらぁ?」

なんと!そこにはいつの日か遭遇したオアシスの女、湯女がいた!

湯女「どうもですわ」にこにこ

盗賊・僧侶「……」
630 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:37:19.55 ID:6Quk2P/G0
僧侶「あなたは確か……ゆ、ゲフンゲフン!!」

湯女「私の名前をお忘れになってしまいました? ではもう一度…」

盗賊「結構だぜ! それより、てめぇこんな場所で風呂なんて沸かしやがってどういうつもりだ……?」

湯女「ふふっ」

湯女「私はそこにオアシスを必要とするお客様がいらっしゃるのなら、何処へでも駆けつけます」

盗賊「別に俺たちは今…」

僧侶「ええ」

湯女「違う違う。今日は、あなた方がお客様ではないのです」

湯女「こちらの」すっ

湯女は1つの棺を抱えて見せた!

僧侶「棺!? どなたかが魔物に殺されてしまったのですかっ」

湯女「いいえ、あぁ…でも、間接的には殺された内に入るのかしら?」

湯女「とにかく、このお客様は今、とても生きたいと強く願っていられるのです」

盗賊「そいつが? よっぽど何かに執着でもしてるってのかよ」

湯女「はぁい」

湯女「ああ、そろそろ調度良いお湯加減に……それっ!」

湯女は棺を風呂へ突っ込んだ!


ざぶんっ
631 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:38:39.09 ID:6Quk2P/G0
僧侶「うっ……」

盗賊「俺もこうやって生き返ったわけか…情けねぇぜ…!」

湯女「あの時はちょっとしたサービスでした。本来なら、あの程度では私はあなた方の元へは訪れませんよ」

僧侶「で、ではなぜ?」

湯女「そうねぇ……気に入った、からかしら」

盗賊「舐めてんのかよ、おい」

湯女「そんな! 滅相もございませんわ。そろそろです、3・2・1」


ぽん!


ざばぁ


婆「ふあぁっ!」

風呂の中から1人のお婆さんが現れた!

婆「ここは……あたしは一体?」

僧侶「お婆さん……まさか!」

盗賊「鍛冶屋が言ってた婆さんか……?」

婆「…何だいあんたらは」

湯女「うふふっ」
632 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/26(月) 04:42:54.34 ID:6Quk2P/G0
以上です。続きは火曜、水曜どちらかに

>>598
魔王の容姿は・・・特に考えてない
だから、読む人が勝手に頭の中でしっくりくる姿を思い浮かべてくれればいいなと
633 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 05:32:39.82 ID:/UFNx6/DO
>>1

戦士に彼女がいるなんて………嘘といってくれ
634 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 05:44:47.64 ID:/UFNx6/DO
>>1

戦士に彼女がいるなんて………嘘だといってくれ
635 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 06:00:18.67 ID:A1WTEB7/0
乙乙

盗賊wwwww
もう魔王の容姿適当に描いてくれ
本当にイメージつかんw
636 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 09:37:09.94 ID:HOgcixNDO
乙!
見た目年齢もゴツいのかもわからんからイメージしにくいぜ
しかし剣可愛いな
637 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 09:51:19.84 ID:QNBkqwxLo
魔法使いタイプだからゴツくはないんじゃない?
638 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 14:44:05.36 ID:3/bZpdiAo

魔王はラハールが成長した感じをイメージしてる
639 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 20:53:21.80 ID:Oo10M20E0
かなり逞しい肉体を持ってるようだからなあ
アックアとか近いんじゃね?
640 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/27(火) 00:45:54.29 ID:oiVEdvQx0
続き火曜いけるとか言ったけど、今日はちょっと魔王の事について


容姿のイメージ全く考えてなかったのはちょっと失敗だったかも
確かに、話だけ見てると全然魔王の姿が思いつかないよなw

逞しい(ゴツイ)とかおっさんとか他キャラが言ってるわりに、言動がかなり幼稚だったり
アンバランス差を出したかったからこそ、こんな感じになってるわけだが
それが逆に紛らわしくさせてしまったわけで・・・

ちなみに書き始めの時はハンターハンターの王に近いイメージで書いてたんだけど
もうそれ魔王の一人称の部分にしか面影ないという

とりあえず、今の時点で俺がこれって思った魔王は
もう見た目からしてザ・魔王(世界観ドラクエ3から引用してるからゾーマかな?)で



詳細的なものは次のレスに書きます。ついでに戦士、盗賊、僧侶のものも
641 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/27(火) 01:30:08.02 ID:oiVEdvQx0
魔王(勇者) 歳:不明(数百年は生きたらしい)

本物の勇者を殺害し、勇者となり替わって4人パーティを組み、打倒・魔王の旅をしている元・魔王様。

大変な我儘者で、自分勝手が過ぎるというとんでもなく子どもじみた性格。
さらに冷血、非情、クズ、阿呆、残酷とおまけがついている。人や魔物を殺す事に躊躇わない所を見ると、決断力が早い。
好きな物は自分。暗所と孤独が大の苦手。

見た目年齢だけなら、20代前半。どことなく、顔に幼さが残っている。
長年、勇者たち人間と戦ってきただけあり、体は逞しい(戦士には及んではいない様)。
ちなみに作中で触れなかったが、結構身長が低い。



戦士  歳:26

勇者と共に、魔王を討つ為にパーティへ入ったムキムキ男戦士(通称:肉ダルマ)

人柄も良く、とても大らか。誰に対してもすぐに心を開いてしまうお人好しでもある。
元々リーダー気質だったのだが、魔王を傍で助けたいがため、パーティ内では参謀的なポジションについている。
顔に似合わず、特技は料理や洗濯、掃除といったとても家庭的な面を持っている。
好きな物は勇者殿、強さ。嫌いな物は難しい事。

2m程あるその巨体に、逞しい程の筋肉がガッツリとついている。顔は強面で、全盛期は一睨みで魔物が逃げていくほどだったという。
赤い鎧に兜は戦士の目印。
642 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/27(火) 02:09:10.87 ID:oiVEdvQx0
盗賊 歳:22

勇者と共に、魔王を討つ為にパーティへ入った捻くれ陰男盗賊

いじられキャラ代表選手。常に考える事はネガティブな方向で、人と接する事をとても苦手としている。
本人は親しくなろうと近づくも、思いもしない毒舌トークと不気味な笑いで相手を
自動的に牽制状態へさせてしまうのが彼の悩み。割と熱くなりやすく、クールを装いきれていない。
好きな物は僧侶ちゃん、酒、お宝、妹。嫌いな物は勇者(魔王)、戦士、馴れ馴れしい人間。

女性と間違うほどの身体の華奢さが、テクニカルで素早い動きを生み出している。
肌が雪の様に白く、手も繊細な為、後ろ姿だけならほぼ女性である。
目付きがとても悪く、完全に悪人顔。笑うと顔が引きつります。

勇者(魔王)の正体を知ってしまった内の1人でもある。



僧侶 歳:23

勇者と共に、魔王を討つ為にパーティへ入った守銭奴貧乳女僧侶

パーティの紅一点。神に仕える者らしく、人に対して優しくて献身的な頑張り屋。頑張り過ぎて空回りする事も多々。
日ごろからお金に関してはパーティ一うるさく、我流・節約秘術を駆使してお財布の中身を減らさないように四苦八苦。
神や自分、仲間をバカにされる事を異常なまでに嫌い、途端に無謀な行動に出る事がある。
好きな物は神様、色んな景色、お金。嫌いな物は無駄に高い品物、親、故郷

盗賊が「べっぴん」と評価したように、顔は大変整っていて、男たちから評判が良い。
身長はパーティ中一番低く、小柄。下がスカート式の法衣を装備している。
作中でも言われた通り、胸はまるで壁の様。推定カップはA



魔剣 歳:不明

勇者(魔王)に恋する禍々しい力を持つ変な剣

女の様な口調で語りかけてくるが、性別は不明。
時折、余計な事を喋って魔王から破壊されかける事が多々ある。
刃の部分には閉じた口の様なものが部分的に存在し、敵を切り裂く時に口が解放される。
現時点では魔剣について詳しく魔王も、仲間たちもわかっていない。

勇者(魔王)の正体を知ってしまった内の1本でもある
643 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/27(火) 02:11:59.14 ID:oiVEdvQx0
これぐらいで
>>640 で書いたゾーマのイメージってのは忘れてくれ

今日はこれだけで終わりです
本編の続きは明日に
644 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 02:18:07.43 ID:WholNbvXo
俺は勇者を勝手にランスでイメージしてたわ…最近剣も喋るし…
645 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 02:29:36.97 ID:HkDp8ZsDO
逞しいチビでベジータが出てきた
646 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/27(火) 02:32:11.08 ID:a++qh8CF0



魔王以外も設定見れて嬉しい
けど魔王のモデルがメルエムってのが・・・w
647 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 00:15:52.00 ID:1L5UZpXro
マダー?
648 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 00:16:53.38 ID:I8fdBXW5o
まだ火曜日だ。焦るんじゃない
649 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/28(水) 00:34:33.65 ID:0t52C/ma0
最近は朝早くに更新してるし今回もそうだろ?
650 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 05:47:37.12 ID:1L5UZpXro
朝まで待ったけどこないじゃないか!
もう寝るから来たら起こせよ
651 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 16:19:07.09 ID:PyTYDZFDO
乙!
舞おうが結構若かったwwww
盗賊はアンゴの因果になったわ
続きまってる
652 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 19:48:50.84 ID:2RrsqxNIO
魔王は10代であるばずの勇者となりかわれるんだぜ?
653 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:20:33.24 ID:seAVcQCz0
僧侶「あの、私たちは」

婆「わかってる。この町に訪れたってのなら目的はドラゴンだろう」

婆「でも……奴に手を出すのは頼むからやめてくれないかねぇ」

盗賊「アレを倒すのは老いぼれのあんたには無理だぜ…」

婆「……どうしてあたしが奴を狙っている事がわかる?」

僧侶「鍛冶屋の主さんからお聞きしたんです。ですから」

婆「あのお喋りじじいはよぉ」

僧侶「ところで、あなたはここで最初亡くなっていた様でしたけど」

僧侶「まさかドラゴンにやられて…?」

婆「違うよ。よくわからないけどね、疲れて動けなくなっていたらそのまま……」

盗賊「疲労死か」

婆「歳食うと疲れが溜まって中々取れないからねぇ…」

婆「そうだ、アンタどうして私を――――あれれ」

いつのまにか、湯女の姿が消えていた!

婆「……おかしな女だったねぇ」

盗賊「…そいつは俺も同意だぜ」

僧侶「一体何者なんでしょう?」

婆「さぁねー。さて、と」
654 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:29:19.28 ID:seAVcQCz0
僧侶「ど、どこへ行くんですか? まさかっ…」

婆「決まってるだろうね。奴が来たんだよ、ほら」


『ギャオオオオオオオオォォォォォウ!!』


盗賊・僧侶「!」

僧侶「盗賊さん! あれ! それにあの場には勇者様たちが…」

盗賊「……気に食わんが、あいつがいるなら大抵なんとかなるだろ」

盗賊「それより婆さん。あんたも懲りねぇな」

婆「あたしゃ、じじいから奴の鱗を剥いでこいって言われてんだ。それに」

婆「奴と戦うと……ゾクゾクくるのさ」

盗賊「そういうのは俺には理解できねぇぜ……くくっ」

僧侶「私もです…」

婆「若いねぇ。そんなんでいいのかい、あんたらは?」

盗賊「そういう役は俺らの中だと肉ダルマが引き受けてんだよ」

婆「はぁ? よくわからんけどさ、あたしはそろそろ行くよ」

僧侶「無茶です!!」

婆「無茶は先刻承知ッ!!」

婆「奴と戦えるのなら、この腐った身朽ちようが」

僧侶「……死んでは、あなたを待っている人たちが悲しんでしまいます」

僧侶「ダメです…っ」

婆「……ふん」

婆「やかましい小娘だねぇ!」どんっ
655 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:30:55.42 ID:seAVcQCz0
僧侶「ああっ!」

僧侶はお婆さんから突き飛ばされた。

僧侶「てめぇ……!!」

僧侶「だ、ダメです盗賊さん! 私は大丈夫ですから」

盗賊「しかしっ」

婆「何だい? 小僧、あたしに掛ってこようってのかい?」

盗賊「アンタがそれを望むなら……構わんぜ」

盗賊の攻撃!

僧侶「盗賊さ――」


婆「……軽いねぇ」


盗賊「!」

盗賊の攻撃はお婆さんに受け止められてしまった!

婆「攻撃ってのは、こうするんだよ!」

お婆さんの攻撃! 痛恨の一撃!

盗賊「ぐえぇ……!?」

婆「まだ生きてるかい」

僧侶「やめてください! こんなの無意味ですよ!?」

婆「まだまだこれからぁ」ぐいぐい

盗賊「ギブ、ギブ……っ」
656 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:32:27.36 ID:seAVcQCz0
盗賊「ぜぇ、ぜぇ……とんでもねぇ婆さんだよ。あんたは…!」

婆「褒め言葉として受け取っておくよ。それじゃあね」

僧侶「待ってください!」

婆「あんたもしつこい女ねぇ。小僧の様に扱かれたいってか?」

僧侶「どうしても待っていただけないというのなら、力づくで」ぐっ

婆「イイ表情だ! その必死な感じは好きだよ」

僧侶「……」

盗賊「僧侶止せ、俺たちに婆さんを止める理由はねぇ…!」

僧侶「あのお婆さんはこんな所で死んではいけない。彼女は生きて、鍛冶屋さんたちの元へ帰らなければいけないんで
す」

婆「……そいつは何だい。あたしはドラゴンにかならず負けるってことか」

僧侶「勝てるわけがありません」

婆「ムカつく女だねぇ。あたしは生粋の武人、戦場で果てるなら本望よ」

婆「それを赤の他人のあんたに、あたしの自由を奪われてたまるものか」

お婆さんの攻撃!

僧侶(早いッ――!)

婆「甘いのさァーーーっ!!」
657 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:33:50.12 ID:seAVcQCz0
がんっ


僧侶「っ……あれ…」

婆「いい動きだ! だが、これを無謀といって何と言うものか」

僧侶「盗賊さぁんっ!?」

盗賊に大ダメージ!

盗賊は倒れた!

盗賊「……ま、マジで殺しにかかったなぁ…てめぇ…!」

婆「邪魔するし、しつこいからね」

盗賊「がふっ…………」

盗賊「†」

僧侶「そんなっ!? ど、どうして…」

婆「これでもあたしとドラゴンが渡り合えないとでも思うか。え?」

僧侶「……」

僧侶は再びお婆さんの前に立ちはだかった。

婆「殺すよ。脅しじゃないわ」

僧侶「退きません」

僧侶「私にはあなたがわかりません…! 何故そこまでしてドラゴンに拘るんです!?」

婆「愛しちまったのさ」

僧侶「は……?」

婆「こいつは愛に違いない。じじいと初めて出会ったときと同じ感覚」

婆「まさしく、『愛』よッ!!」

お婆さんの攻撃!

僧侶「あ、っ、ぅぅ…」

婆「愛ゆえにあたしは奴と対峙し、剣を振るうのさ。身惚れちまったんだ」

婆「ま、あんたには理解できないだろう? ねぇ…」

僧侶「†」


すたすたすた・・・
658 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:35:50.95 ID:seAVcQCz0
魔剣『勇者ちゃん、油断は禁物だよー!』

魔王「壁なんぞに刺さっておるマヌケな貴様に忠告されるまでもないわ」

魔剣『勇者ちゃんが投げたのが悪いんじゃん…』

魔王「あァ?」

ドラゴン『よそ見をしている場合か。人間如きが』

戦士「やめとけよ! 冗談抜きで死ぬぞお前!!」

ドラゴン『そちらが冗談を言っている様にしか思えんのだが…』

魔王は雷の呪文を唱えた!


バリバリドカーン


ドラゴン『フングゥッ』

魔王「……えい」

魔王は雷の呪文を唱えた!

ドラゴン『ギャオオオォォウゥッ!?』

魔王「……それ」

魔王は雷の呪文を唱えた!

ドラゴン『ア、アアアウウゥッ…!』

魔王「貴様は楽には死なせんからなッー!!」

戦士「何だよ。このワンサイドゲームはよ…」

魔剣『僕まで色々痺れちゃいそう……きゅんっ』

戦士「ゆ、勇者殿ー! ドラゴンも悪気があったわけではないようですし、そろそろ」

魔王「ならんッ こやつにはまだまだお仕置きが足らんのだァッ! はははははっー!!」

ドラゴン『うぬぅ……!』
659 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:37:36.41 ID:seAVcQCz0
ドラゴン『我を侮るなよォォォォーーー!! ギャオオオオオオオゥゥゥウウウ!!』

ドラゴンの咆哮は耳をつんざくほど強力だ!

戦士「やっ、べぇ……! 勇者殿ォっ……!?」

魔王「余は無事だ。ふんっ」

魔王は魔剣を引き抜き、咆哮を防いでいた!

魔剣『ゆ、勇者ちゃん! やっぱり僕がいなきゃ……ひゃっ!?』ひゅー

魔王「貴様はいらんわ。ポイっちょである」

魔剣『あぁーんっ!! また刺さっちゃった……』

ドラゴン『……あの剣は一体』

魔王「気にするなよ、ただそこに落ちていたから使ったまでの事」

魔剣『酷いよぉー! うっぐぅ…ぐすっ……』

戦士「勇者殿!!」

魔王「手出しは無用! 戦士よ、貴様はそこで黙って見ておれ!」

戦士「そんな事してられねぇんスよ! 俺はあんた1人で戦わせたくないっ」

魔王「……勘違いするなよ、これは戦闘ではない」

魔王「余が奴へただ一方的に暴力を振るう。それだけ」

ドラゴン『貴様、何者か!』

魔王「勇者だッ!!」
660 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:39:34.05 ID:seAVcQCz0
魔王の攻撃!

ドラゴンは激しく火炎の息を吐いた!


ボオオオォォォ


戦士「無茶だ、勇者殿! 奴の吐き出す炎は…!」

魔王「良い火加減である!」

魔王「貴様ァ…そのまま、その醜き口を開けておれよ…」

魔王は爆発呪文を唱えた!


ドオォーン!


ドラゴン『もがふっ…!?』

ドラゴンの口の中で、魔法による爆発が発生した!

ドラゴン『ギャアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ……』

戦士「なんと豪快なっ…」

魔王「ぬんッ」

魔剣『え!?』

魔王は魔剣を再び引き抜き、ドラゴンの喉を切り裂いた!

ドラゴン「ガボッ…!?」

魔王「余は貴様のその悲鳴が嫌いである。耳障りよ」

魔剣『ぐすんすんっ……僕、勇者ちゃんに使われてすぐ捨てられちゃうような剣でも…っ』

魔剣『僕は勇者ちゃんの事、何があっても好きでいるからぁー!!』

魔王「ええい、黙っておれ! 剣如きに好かれる筋合いはないわカスッ!!」

ドラゴン『』ビクンビクン

戦士「……こいつ、もう死んじまったんでしょうかね」

魔王「ドラゴン。大した事ない魔物であった」

「……何してんだい…あんたら…!」
661 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:41:59.09 ID:seAVcQCz0
お婆さんの攻撃!

しかし、魔王は攻撃をひらりと避けた!

魔王「いきなり余に切りかかってくるとは、良い度胸だなァ」

婆「……」

戦士「もしかして…勇者殿!」

婆「お前たちは、あの2人の仲間っていったところかねぇ?」

魔王「名乗れ貴様。余は今、最高に気分が悪いのだぞ」

婆「お生憎だ。あたしも最悪の気分よ」

ドラゴン『』

婆「……情けないね」

婆「悪いが、あんたたちと戦う意味があたしにはできたようだ」

戦士「突然切りかかっておいて、何もないなんて方が稀だが」

戦士「止してくれよ。俺たちは何の罪もない人間とは戦えない」

魔王「害があるというのなら、排除するがのぅ」

お婆さんの攻撃!

魔剣『勇者ちゃん!』

魔王「老いぼれよォ……貴様」

きぃんっ!

婆「2人でかかってきなッ 奴を討ったお前たちの力、見せてもらうよ!!」

戦士「いや、俺は何もしてないんだけどな」
662 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:44:05.06 ID:seAVcQCz0
戦士「勇者殿! 彼女は本気で俺たちにっ」

魔王「この程度で本気と?」

魔王「舐めておるッッッ」

魔王は魔剣で攻撃した!

婆(なんと重いっ……)みしっ

お婆さんは鍔迫り合いのさなか、魔王の腹目掛けて膝蹴りを放った!

戦士(させる、か!)

戦士の突進攻撃! 後ろへ跳び、お婆さんはこれを回避した!

戦士「アレが老人の動き…?」

婆「年寄りでも死ぬ気で踏ん張れば、中々イケるもんさね」

魔王「あやつを切り捨てる!」

魔剣『久々に人を切れるんだ! いいのぉー!?』

魔王「おう、構わんである。戦士よ、退けておれ」

戦士「は…?」

魔剣『ひゃっはぁああああッ〜〜〜〜!!!』

魔剣の力が発動!


『死ね、死ね。死ね、死ね…』

『死んじまえー』


婆「!」

婆「み、妙な力を使うね……!?」

魔王「貴様は心も体もこやつに蝕まれ、食われ死ぬのだ」
663 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:46:39.10 ID:seAVcQCz0
お婆さんの動きが止まった!

チャンス!魔王の攻撃!

婆(あたしも情けなかったかね…)

戦士「ゆ、勇者殿ー!? いかんっ、ダメ!!」

魔王「去ねィ!」

婆「……」


ドスン!


突如、魔王の前にドラゴンの尻尾が叩き落された!

婆・戦士「!」

魔王「……貴様ァ」

ドラゴン『まだ、まだだ……我は…』

婆「あんた! あたしを助けたつもりかい!? 余計な事をッ」

ドラゴン『我の勝手だ。貴様の相手は次にしてやるから、下がれ!』

戦士「……どういう仲?」

魔王「知るかである! ともかく、まだ息があるというのなら」

魔王「止めるまでよッ」

婆「やめてくれっ…!?」

魔王「邪魔をするでない。それとも貴様から殺すか」

魔剣『早くこいつ切っちゃおうよ〜!!』

ドラゴン『ならん! その者はならんッ!!』

魔王「面倒である! 貴様らまとめて仕留めてくれるかァー!?」

戦士「勇者殿! 勇者殿! ちょっとタンマっスよぉー!」ぐいぐい

魔王「ええいっ、離すのだ!!」じたばた
664 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:48:59.89 ID:seAVcQCz0
戦士「お、落ち着いて落ち着いて…」

魔王「戦士貴様ァー!」

戦士「……俺たちに説明してくれないか。あんたたちの事を」

魔剣『戦士ちゃん? そんなこと聞いたって』

戦士「魔剣ちゃんは黙っていろ。意味が分からな過ぎるんだ、こいつらは」

魔王「これから殺す相手に理由なんぞ尋ねるとは愚か。戦士よ」

婆「ごもっともさね」

ドラゴン『……我らはただの敵よ。勇者も、老婆も』

魔剣『その婆あとはライバル的な?』

婆「違うよ。狩る者と狩られる者さ…」

婆「毎日、毎日。もう3ヶ月は経つのかねぇ」

ドラゴン『ああ、我らはこの町を戦場に、日々殺し合っているのだ』

戦士「やっぱり、この婆さん。勇者殿、覚えてますよね? 鍛冶屋の」

魔王「知らん。忘れた」

魔剣『勇者ちゃんがボケちゃった……』

魔王「ふん、そこの老いぼれのモノが移ったのやもしれんなァ!」

婆「かっかっか……じゃあ、脳が完全に老化しない内にさっさとこの町から出てくれないかねぇ」

魔王「あァん?」

戦士「自分たちだけの戦いを邪魔されたくないってか」

ドラゴン『……』コクリ
665 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:50:48.16 ID:seAVcQCz0
魔王「ところでよ、貴様。先程、余が傷つけたものはどうした」

戦士「そういえば……あんだけ派手にやったのに、無傷…」

ドラゴン『む、確かに……』

婆「あんたはまだ何か隠し持ってんのかい!」

ドラゴン『断じてそれは無い! だが』

「……わ、私が治癒魔法を…かけました…っ」


がくっ


僧侶「はぁ、はぁ…!」

戦士「僧侶ちゃん! ま、魔物を回復させたって…一体どういう……?」

婆「それより何であんた生きている?」

僧侶「あ、あなたを…全力で、止めたかったから……!」

僧侶「そう強く思っていたら、生き返って……っく、はぁ、はぁ…」

婆「……あの女、余計なマネを」

ドラゴン『しかし、それとこれとでは…我を回復させた意味がわからぬ』

魔王「…こやつが余を止めるストッパーになると思ったからか? あ?」

僧侶「……」コクリ

魔王「老いぼれ婆あ如きを救う為、余を危険に曝したのかッ!!」

魔王「僧侶ォ…!」がしっ

僧侶「っ……」
666 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:52:29.08 ID:seAVcQCz0
戦士「勇者殿! 抑えてくださいよっ……彼女は魔力をかなり消費してる…」

魔王「……チッ」

僧侶「も、申し訳ありませんでした。勇者様…!」

ドラゴン『……貴様は我の一撃を喰らおうが、どうせ平然としておろう』

魔王「貴様は黙っておれッ」

魔王「……」

魔王(何なのだ、僧侶の阿呆め。裏切られた気分である)

魔剣『勇者ちゃん?』

婆「……っくく!」

婆「あっ、ははははははぁー!! バカかい、あんた!?」

僧侶「!」

婆「あんたはあたしを止めたかったんだろう? だったら、ドラゴンを回復させたのは痛恨のミスじゃないかね!」

戦士「確かにこいつが生きている限り、この婆さんは止まらないな」

ドラゴン『……恩にきる。娘』

僧侶「…っぐ」

魔王「貴様は後先考えずに、敵を治癒させてしまったわけだな。僧侶」

魔王「バカが」

僧侶「……すみません」
667 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:55:06.76 ID:seAVcQCz0
戦士「ところで盗賊は?」

僧侶「……死んでしまいました」

魔王「あの雑魚っ」

婆「あたしが殺ったよ。その子らがどうしてもあたしの邪魔をするんでね」

戦士「あんたは間違いすぎているっ……!」

婆「あたしの勝手だ。道を阻むのが悪いのさ」

婆「そう思うだろう? え?」

ドラゴン『……』

婆「沈黙は肯定と受け取るよ。さて、部外者は出ていきな!」

僧侶「い、いい加減にしてよ……」

僧侶「どうしてわかってくれないんですか!? やめてよ!」

魔王「貴様は何故にこやつを気に掛けるのだ」

僧侶「それは……」

婆「そもそも、じじいだってこの事については認めてくれるよ」

婆「だから、あたしが帰ってこようと帰ってこまいと…」

僧侶「鍛冶屋の主さんはあなたを死に追いやってしまったのではないかと後悔していた!」

僧侶「言ってましたっ、心に穴が空いてしまったようだと」

婆「……やれやれさね」

戦士「じいさんはそれで自殺しようとしてたんだぜ。子どもを残してさ」

婆「……バカか、あのじじい」
668 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:57:17.06 ID:seAVcQCz0
魔王「おう、バカよ。あやつは真の馬鹿阿呆」

魔王「1人で腐っておったなァ」

婆「まぁ、老いぼれだしねぇ。その言葉がよく似合う」

婆「しかしねぇ! あたしゃ、もう何を言われようと家に帰る気はないよ!」

僧侶「わ、分からず屋……」

僧侶「っ!」

僧侶「頑固ババア!! バカ!! バカぁ!!」

戦士「お、おいおい…」

魔剣『僧侶ちゃんがキレたぁー!』

僧侶「残された者の身になった事はないの!? お孫さんだっていたじゃないっ!」

婆「いたよ。だが、直に大きくなり、あの家を去るさ」

僧侶「それまで一緒にいてあげるのが家族でしょ? 違うの!?」

婆「さぁ、ドラゴン!! 戦いの続きを!!」

僧侶「あっ、ぐぅぅっ……!」

ドラゴン『……ぐるる』

婆「どうしたよ……早くッ」

ドラゴン『我は、お前と出会うまではただただこの地で生きていた』

婆「誰も1人語りを始めろなんて言っていないっ!!」

ドラゴン『まぁ、聞け。友よ』

婆「っ!!」

ドラゴン『人を喰らい、我に寄る魔物を蹴散らし、つまらん日々よ』

ドラゴン『しかしな、お前と出会ってからといい、我の退屈は何処かへ消えたのだよ』
669 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 06:59:57.55 ID:seAVcQCz0
婆「……あたしもさ、毎日が潤っていた」

ドラゴン『そうか』

ドラゴン『だからこそ友よ。我はお前に感謝したい』

ドラゴン『ありがとう……!』

婆「……こちらこそ、だね」

魔王「おう、魔物と人間に友情が生まれた瞬間であるぞ。シャッターチャンスだ」

戦士「いやいや!」

魔王「真、滑稽な光景であるか…ふははははッ!」

魔剣『とりあえず笑っておけば正解?』

僧侶「……」

ドラゴン『今だけは、今だけは我らの話に横槍を入れないでくれ。頼む』

ドラゴンは魔王へ頭を下げた。

魔王「……その様な事されると、余は苛めたくなるぞ」

婆「最低さね」

ドラゴン『……友よ。お互い、伸ばし伸ばしと決着をつけずにいた』

ドラゴン『だが遂に訪れたよ。その時が』

婆「……あんた、何言ってんだい!?」

ドラゴン『我らのこの意味なぞ存在しない闘いに、決着をつける時が来たのだ!』

戦士「あのドラゴン……」

僧侶「そ、それって!」

ドラゴン『娘。我は借りを作りたくないだけだ』

婆「冗談がすぎるよっ、あんた!!」

婆「この女が何だっていうんだい!? バカか、紳士気取りか!? 魔物がッ」

ドラゴン『ふん……!』
670 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:02:55.49 ID:seAVcQCz0
ドラゴン『人間如きが我に意見するなよッ! 我は貴様にいつまでも構っておれぬという事だ』

ドラゴン『帰るべき場所があるならそこへ、もしくは死に絶え大地へと埋まれ!』

婆「上等だよ…!」

婆「あんたはあたしに勝てば、またこの町で一人ぼっち」

婆「殺して楽にしてやろうッ」

僧侶「……これって、何の解決にも」

魔王「簡単な事よ。僧侶、貴様が望む婆あの帰還は、婆あがあやつに打ち勝てばよいだけ」

魔王「くく、見物であるなァー!」

僧侶「ですが、それでお婆さんが死んでしまっては!!」

婆「ないよ。あたしは勝って生きるさ」

婆「別にあの2人が待っているからじゃあないよ。生きる事が、敗者への手向けとなるとあたしが信じてるからだ」

僧侶「あなたは……っ!」

婆「しかし、あたしゃじじいに頼まれたもんがあったんだっけね?」

戦士「ドラゴンの鱗か」

婆「ああ、アレを一枚引っぺがして奴に届けるよ」

僧侶「…その後はどうなさるのですか」

婆「さぁねぇ……わからない!」

婆「とりあえずはさ、戦うさ」

婆「あいつと」



ドラゴン『ギャオオオオオオオオオオォォォォォウウウゥゥゥ!!!』
671 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:04:53.83 ID:seAVcQCz0
ドラゴンの攻撃! 大きな爪でお婆さんを切り裂きにかかった!


びゅんっ


婆「何度同じ事をされた事か!」

お婆さんは爪の一撃を掻い潜り、ドラゴンの懐へ飛び込んだ!

お婆さんの攻撃!

ドラゴン『ッ』

ドラゴン『チクリともせぬ!』

ドラゴンはお婆さんもろとも、その場を踏み荒らす!


ドシン、ドシン


婆「ははぁっー! いいダンスだ、じじいと昔踊った下手くそなダンスを思い出す!」

ドラゴン『では舞おう! 貴様を死へと誘う、我の舞いだ!』

婆「いいや、そんなチャチなもんじゃ無理臭いね…!」

戦士「……何て、楽しそうな」

僧侶「しょ、正気ですか?」

戦士「俺もああしていつか、好敵手と出会い、闘いたいよ…」

魔剣『戦士の血が騒ぐぜ、ってやつー?』

戦士「かもしれない!」

魔王「理解できんわ。あの様な下等な争いの何が羨ましいか」

戦士「……ごくり」
672 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:06:14.95 ID:seAVcQCz0
ドラゴン『終わりにしよう……』

婆「ああ、いいさ」

ドラゴンは激しい火炎の息を吐き散らした!

婆(あっ、づ……熱い…)

お婆さんは盾を構えながら、炎の中を突き進み、

ドラゴン『相変わらずの無茶を!』

婆「歳だからねぇ、今日でこれぐらいにしておくよッ」

婆「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーッッッ!!!」

お婆さんはドラゴンの眉間目掛けて、剣を突き刺した!

ドラゴンは途端に沈黙し、どすんと音を立ててその場へ横たわる。

ドラゴン『―――――――――……っふぅ』

戦士「た、倒した…」

戦士「人間一人の力で、あのドラゴン倒しちゃったぜー!? やべぇ、やべぇよ!!」

魔剣『凄いの!? それ凄いの!? 僕、わかんなぁーい!』

僧侶「……凄いなんてものじゃ」

戦士「ああ、何ていうか……感動?」

魔王「貴様喋るな。ワケ分からんである」

婆「……」

ドラゴン「ふー……ふー……ふー…」
673 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:08:31.76 ID:seAVcQCz0
婆「手ェ抜いたんじゃないだろうね。あっけない」

ドラゴン『そ、その様な舐めたマネは、けしてしない……と、誓う…』

ドラゴン『大したものだ、な。たかが人間が』

婆「人間様を舐めるんじゃないさ。……あのさ」

ドラゴン『はぁ……?』

婆「あたしゃ、あんたの事が好きだったよ。ラブ」

魔王・戦士「」ぽかーん

魔剣『きゃーきゃー! 愛の告白ー!?』

僧侶「魔剣ちゃん。しーっ」

魔剣『はぁい』

ドラゴン『……そう…か』

婆「旦那もいる身だというのに、こりゃあ浮気だねぇ…ふふっ」

ドラゴン『参った、ものだ』

ドラゴン『……貴様は、お前は…友よ……!』

婆「振られちまったかい」

ドラゴン『……帰るべき場所へ、帰るのだ。お前は』

婆「……ああ、あたしの武人伝説はここで幕引きだよ」

婆「さよならだ。友よ」

ドラゴン『先に、あの世で待っておるから、な……』

ドラゴンは息絶えた。
674 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:10:34.08 ID:seAVcQCz0
戦士「……姉さん」

魔王「あ?」

戦士「いえ、何でも」

僧侶「……あの、幕引きって」

婆「あたしの戦いは終わったって事さ。後は残された時間を有意義に生きる」

婆「何をしたらいいか、わからないけど。それを見つけるのも悪くはないね」

僧侶「……はい」

婆「さぁて」

お婆さんはドラゴンの亡骸に近づき、鱗を一枚剥いだ。

婆「あんたたちも取るなら取りな」

魔王「いらんー」

魔剣『ぼ、僕の鞘は!?』

魔王「婆あが持つあの一枚で十分であろうが」

婆「これ?」

戦士「本来の目的とは違うけど、頑固な婆さんを連れて帰れそうですしねぇ」

戦士「それもこれも、僧侶ちゃんがドラゴンに恩を売ったのが良かったって事かな?」

僧侶「あ……ゆ、勇者様! 謝っても謝りきれませんが…!!」

魔王「次にあの様な事があれば、余は貴様を許さんからなッ」

僧侶「は、はいっ…」

婆「ほら、さっさと行くよ。もうここには用無しさ」

魔剣『早く僕の鞘〜!』

魔王「チッ……やはりこやつ、捨て置けば良かったわ」

魔剣『そんな事言っておいてちゃーんと僕の事拾ってくれたもんねー?』

魔王「地に刺しておくか」ズブッ

魔剣「やぁーんっ!」
675 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:11:47.51 ID:seAVcQCz0
鍛冶屋


職人「……まさか」

婆「生きているとは、ってかい? こっちはしっかりお土産も取ってきたんだよ」

お婆さんは職人へドラゴンの鱗を渡した。

婆「あたしの友の一部だ。丁重に扱いな。……して、あんた」

魔王「何じゃメルヘンクソ婆あ」

婆「結構な言い草だ。あんたは鞘を大切にしな」

婆「粗末に扱ったら容赦しないよ!」

魔王「さて、のぅ」

僧侶「勇者様っ!」

子ども「わぁーい! 婆ちゃんが帰ってきた! 婆ちゃんだぁー!!」

婆「この甘ったれー。いい加減婆ちゃん離れしないか」

子ども「だって、婆ちゃん好きなんだもん」

婆「……ふーん」

魔剣『ドラゴン←婆あ←子ども って、いやぁー! 何これ、ドロドロのドラマが始まりそうだよー』

戦士「どっからそういうの覚えてくるんだ? 魔剣ちゃんは」

魔剣『内緒!』
676 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:13:05.96 ID:seAVcQCz0
魔王「おら、じじい。貴様は早く貴様の仕事をするのだ!」

職人「…勝負は俺の勝ちだな」にっ

魔王「あァ?」

職人「いやァ? 何でもねぇぞー? くかかっ!」

子ども「じいちゃんも喜んでるー!」

職人「うるせぇ!! ケツ蹴り飛ばすぞっ」

戦士「とんだDVじじいか……」

僧侶「あれが、彼らのコミュニケーションの1つなんでしょうね」

戦士「あれ、珍しい。ああいうのにはカッとなるかと思ってたんだけど?」

僧侶「ふふっ」

婆「あんた、1つ言いたい事があったよ」

僧侶「…わ、私ですか!?」

婆「一度しか言わないからよく聞きな」

婆「……ありがとうね」


僧侶「」ぽかーん


婆「それだけだ」

僧侶「あ……はい」
677 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:17:17.74 ID:seAVcQCz0
数時間後


職人「おう、できた」

魔王「遅ェーであるッ!! 余をどれだけ任せるか!?」

職人「それだけこっちも気合が入ってたんだ。ケチつけんなよな」

魔王は魔剣の鞘を手に入れた!

僧侶「うわぁ、綺麗です……」

戦士「大した品だな」

職人「言ったろ。ドラゴンの鱗さえあれば最高の品ができるって」

職人「……こいつにその魔剣を納めれば、剣自身の力を抑えられるだろう」

魔剣『もうムズムズっての我慢しなくていいの?』

戦士「トイレ我慢してる感覚だったんだっけなぁ…」

職人「ただし、1つ気をつけな。鞘は力を抑えてくれる。だがよ」

職人「持ち主に対する力の働きだけは今まで通り、何も変わらん」

魔王「持ち主に対する力ァ? 余は何も感じぬが」

職人「おいおい…」

職人「……あんた、人間か?」

魔王「おう、人間である」

魔王は魔剣を鞘の中へ納めた。

魔剣『似合う似合うー?』

戦士「おお、イカすなぁ! カッチョイー!」

魔剣『可愛いとか言って欲しかったんだけど…』

職人「じゃあよ、流石は勇者様って事なんだろうよ。俺は後は知らん」

職人「あばよ。二度とくんじゃねぇぞ」

魔王「では明日もう1度訪れるか?」

僧侶「嫌がらせですか!?」

戦士「……ところで」

戦士「どうして皆、盗賊の事忘れてんだ…?」

「……」

魔剣『僕はちょっぴり覚えてたから!』

僧侶「だったら、すぐに教えてっ!!」

魔王「戦士ィ、貴様も今思い出したのであろうー?」

戦士「ぶっちゃけそうっスねー! ははっ!」

僧侶「はは、じゃないですよ!? ああっ、盗賊さんっ」
678 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/29(木) 07:20:29.35 ID:seAVcQCz0
ここまでです。昨日は続き書きに来れなくてごめんよー…
次回は金曜予定
679 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 08:24:11.62 ID:6k9zwWrQo
680 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 09:25:25.30 ID:jlUNRYMIO
なんで誰も起こしてくれないんですかー
681 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 09:29:17.86 ID:zKF4W52io
盗賊……乙!
682 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 12:08:56.73 ID:NpGt6GUDO
おつ
683 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 12:22:47.19 ID:KCipMDnjo
>>655
僧侶が自演してる…
684 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage ]:2011/12/29(木) 14:29:04.44 ID:vkNokdKn0
魔剣の台詞が平沢唯の声で脳内再生される
685 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 01:42:09.48 ID:l/T84i9c0
>>684
俺が見える…
あれ?いつから液晶画面が鏡に?
686 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 01:56:00.34 ID:HTbjbk87o
お願い…こんなところでけいおん厨煽りたくないの…やめて…
687 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:35:50.95 ID:Tyd8yYla0
盗賊「……」

魔剣『盗賊ちゃん拗ねないで〜』

盗賊「うるせぇ…」

魔王「こうして蘇られたのだ。何が不満か」

戦士「たぶんそういう問題じゃねぇっス」

戦士「それにしても、見てくださいよぉー! 盗賊1人蘇らせても財布がまだまだ厚いっス!」

魔剣『お財布が大きいと幸せな気分だねぇ』

盗賊「もう少し俺に何かかける言葉はねぇのかっ…!?」

僧侶「盗賊さん。ごめんなさい……」

僧侶「一緒にいたのは私だったのに、気づかずに…」

盗賊(それってまだ僧侶ちゃんの中で俺の存在が薄いって事でしょうか?)

魔剣『僕の鞘も手に入った事だし、次は〜』

戦士「ああ、それなんだが……」

魔王「何だ戦士よ。言いづらい事でもあると?」

戦士「次の目的地なんスけどね。森の中を通らなきゃなんスよ」

盗賊「森って、まさか」

戦士「そう。通称迷いの森とも呼ばれるあの森だ……!」

魔王「ふゥん、森程度が何だというのだ。問題でも?」

戦士「そこ、昼でも滅茶苦茶真っ暗なんス……!」

魔王「がっ……!?」
688 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:36:55.95 ID:Tyd8yYla0
魔王「断固拒否であるッ」

盗賊「だがそこを通過するのが一番だと思うぜ?」

魔王「嫌である!!」

僧侶「そ、そんな事仰らずに…私たちもいますし」

魔剣『僕もいるんだよ!?』

魔王「剣はカウントせぬわ!」

魔王「余は以前申した筈! 暗い所だけは二度と行かんと」

魔王「約束守れ!」

盗賊「お前にだけは言われたくなかったぜ、それ」

盗賊「……曲りなりにも、勇者なんだからよ。少しは我慢ってのもしな」

魔王の攻撃!

魔王「んむぅ、貴様の腹には実に余の拳が馴染むなァ…」

盗賊「ぶふっー!? …や、めろって言ったよな!? こ、れ…!」

僧侶「うーん……戦士さん。他に道は?」

戦士「ある事にはあるんだけど、このペースだと目的地まで3、4日は」

僧侶「時間かかっちゃいますね。急いでも私たちの体力がキツいでしょうし」

僧侶「ね、勇者様?」

魔王「」ぷいっ

僧侶「〜……」
689 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:38:02.86 ID:Tyd8yYla0
盗賊「だったらてめぇだけ別ルートで向かえばいい…」よろり

戦士「盗賊! そんな無茶言うなよ」

盗賊「うるせぇ」

魔王「薄情者め。絶対に嫌だぞ」

盗賊「だったら、この先進み様がなくなるじゃねぇか!」

僧侶「そうですね。それに、もたもたしていては魔王の元へ辿り着くのに何年かかってしまうか…」

魔王「え……それ程かかる?」

戦士「知らないんスか? 魔王城って結構離れてるんですわ」

魔王(城からさっ、と飛んできたから何もわからなかったである)

魔王「その気になれば1時間ほどで到着するぞ…」

戦士「いや、流石にありえねぇっスよ!?」

僧侶「船を使ったって無理です!」

魔王「空があいておろう? 飛ぶのだ」

「……」

盗賊「くっくっく…そりゃ何だ? 俺たちの背中に翼でも生やせって事か?」

盗賊「……おい、『魔王』の感覚で色々言われても人間様には無理があるんだよ」ひそ

魔王「あァん?」

魔剣『で、結局どうすんのー? 本題からどんどんズレていってますよー』

戦士「お願いっス、勇者殿ー! ここは我慢していただくという形で…」

魔王「ダメであるッ」

戦士「目を閉じてればすぐですから! ねっ」

魔王「バカか貴様は!」

戦士「はいっ!」

盗賊「……バカだな」
690 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:39:10.50 ID:Tyd8yYla0
ぎゃーぎゃー


魔剣『揉めてるねぇ』

僧侶「あ、あの3人で話し合っていてもどうにもならなそう…」

魔王「嫌と申したぞ! 何度同じ事を余に言わせるつもりかッ」

戦士「おぉ願いしますよぉぅ〜……美味しいご飯作っちゃいますから…」

魔王「いつも作れよ!」

戦士「は、はい…」

盗賊「そこで負けるなよっ…!」

魔王「何と申されても…エサを出されても余は釣られぬからなァー!」

僧侶「ゆ、勇者様ー!」

魔王「あァ!?」

僧侶「私、勇者様が今言う事を聞いていただけるのなら、後でなんでも言う事を聞きます!」

魔王「なんでも?」

僧侶「やれる事なら、はい!」

盗賊「ぶっっっーーー!」

盗賊「やめろ僧侶……それはよくない……」

僧侶「で、ですけど…私、他に勇者様を乗せる方法がわからなくて……」

戦士「それで女を武器にしたわけ?」

僧侶「は?」

僧侶「……えっ」

魔王「僧侶、やらしいである…」

魔剣『ダメ! 絶対ダメだからねー!! 僧侶ちゃんぶっ殺しちゃうよ!?』

僧侶「違います違います違いますっ!!! 何考えてるんですかっ、ああぁぁーーーっ!!?」ぶんぶん
691 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:40:02.21 ID:Tyd8yYla0
魔剣『仕方がないなぁ…じゃあ僕が勇者ちゃんの言う事を』

魔王「却下」

魔剣『えーんっ!』

戦士「よしよーし」

盗賊「……もう我慢の限界だぜ。行くぞ」

僧侶「行くって、まさか勇者様を置いてですか?」

盗賊「当たり前だぜ。こいつはその気になれば森なんて通らなくても大丈夫なんだろ」

魔王「その通りである」

盗賊「じゃあ1人寂しくそうする事にするんだな! 俺らは知らねぇ…」

魔王「え、1人……」

戦士「……勇者殿ぉ」

魔王「1人とか寂しくて死んでしまうではないかッ」

僧侶「ウサギか何かでしょうかね……」

魔王「そうだ! こうするとしよう」

魔王「森を燃やすのだ」

僧侶「やめてくださいっ…!」

魔王「その様な厄介な森なんぞ誰が望む!? ならばいっその事…」

盗賊「自然破壊する勇者様がいてたまるかよ……」

魔王「勇者=正義という概念をまずは頭から離せ。常識に囚われるなよ」

魔王「勇者も人の子、つまりは人間よ!」

戦士「すんません。俺バカだから勇者殿が言う事理解できないっス……」

盗賊「する必要がねぇから」
692 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:40:56.21 ID:Tyd8yYla0
森の前


魔王「……」

魔王「…何故辿り着いてしまったか」

僧侶「勇者様。置いて行っちゃいますよー?」

魔王「ならんッ」

魔剣『どうしても入りたくないの?』

魔王「うむ」こくり

盗賊「…肉ダルマ。てめぇが先に余計な事言うからこんな事になったんだぞ」

戦士「言っておかなければ後で殺されちまうかもだし、仕方がないだろぉ?」

戦士「参ったなぁ……」

戦士「ほらほら、暗所用の道具もこんなに揃ってるんだし。全然平気っスよ」

魔王「その様なガラクタでは心元ない」

僧侶「ですが勇者様。遺跡の地下へ落ちた時は大丈夫だったでしょう?」

僧侶「でしたらきっと大丈夫。ね?」

魔王「あの時は何故か知らんが平気だっただけよ」

僧侶「それって、もしかして私が一緒にいたからですか?」

魔王「知らん」

盗賊「気に食わねぇ……!」

戦士「そうイライラすんなって。カルシウム、足りてないんじゃ?」

盗賊「うるせぇよ……」
693 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:41:40.56 ID:Tyd8yYla0
盗賊「……仕方がないぜ」ぼそ

盗賊「天下の勇者に弱点なんてあっていいのかよ…情けないぜ」

魔王「」ぴくっ

盗賊「これで勇者なんかになれちまうんだから、世の中どうかしてる」

魔王「暗所が苦手な事は悪い事か、ああァッ!?」

盗賊「苦手だと自覚はしてるんだな、くくっ!」

盗賊「そんなビクビクしていちゃザマぁねぇ。それなら」

盗賊「弱点を克服してみやがれよ……!」

魔王「貴様ァ!」

僧侶「と、盗賊さん…」

戦士「いや、待つんだ。僧侶ちゃん!」

戦士「盗賊なりに考えてああいう事を言ってるのかも」

盗賊「ふっ、戦士、僧侶。さっさと中に入っちまおうぜ……」

盗賊「こんな臆病な勇者なんて置いて行ってなぁ…くっくっく!」

戦士「ああ」

僧侶「あ……うーん」


すたすたすた・・・


魔王「あ・や・つ・らァァァ……」

魔剣『勇者ちゃん、いいの? みんな森の中に入ってくよー』

魔王「……上等である」

魔王「やってやろうではないか。なに、余に取って闇なぞ恐れる物ではない…」

魔王は仲間たちの後を追った。
694 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:42:31.57 ID:Tyd8yYla0
森の中


魔王「……」

僧侶「ゆ、勇者様?」

魔王「……うむ」

僧侶「うむではなくて……大丈夫ですか?」

戦士「道具もあるし、結構明るいとは思うんスけど」

盗賊「ま、それでも先がよく見えねぇな……」

魔王「今は真に昼であろうな…?」

戦士「それは確かっスよ。ただ…この森、日差しが植物に遮られていて届かないんですわ」

魔王「何故それで植物共が育つ?」

戦士「何ででしょうねぇ…」

僧侶「まるで、この森自体が生き物みたいですね」

魔剣『どういう事?』

僧侶「個々でなりたっている様な場所には見えないの。この森自体が個に見えて」

戦士「実は魔物だったりしてー」

「……」

盗賊「ねぇよ……」

魔王「否、そうとも限らん」

盗賊「何?」

魔王「確か余の手下にその様な者がおった…もがっ!?」

盗賊「バカかてめぇはっ…!」ぐいぐい

僧侶「2人とも何をなさっているんですか? 仲が良さそう…」くすっ

魔王・盗賊「ねぇよ(であるッ)!」

魔剣『盗賊ちゃん、僕嫉妬しちゃうよ……』

盗賊「やめろっ」

戦士「……ああ、そういえば」
695 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:43:29.84 ID:Tyd8yYla0
戦士「こんな話聞いた事ないか?」

魔剣『何ー? 知らないよぉ、面白い話〜?』

僧侶「この森にちなんだ話でしょうか」

戦士「……とっておきのだぜ! ふっふっふ…」

盗賊「キモいぜ。何だって言うんだ」

戦士「……皆々様、お待たせいたしました」

戦士「第一回、ドキッ 戦士の怪談話大会」

魔剣『わーわー! パチパチパチっ』

盗賊「…誰も待ち望んでないのは確かだな」

魔王「戦士は何がしたい」

戦士「2人ともノリが悪い! こんな暗い場所だからこそっス!」

魔王「余計なお世話じゃ阿呆ッ」

僧侶「まぁまぁ、そう仰らずに。面白そうですよ」

戦士「良いフォローだ! 僧侶ちゃんっ」

戦士「じゃんじゃかじゃん」

戦士「……どろどろどろ」

魔王「何のマネよ」

戦士「しっ、雰囲気出しっスよ…雰囲気…」

盗賊「やってらんねぇ…」

魔剣『真っ暗だし、もう十分じゃない?』

戦士「どろどろどろー……ひゅ〜ひゅ〜…」


「……」


戦士「……お待たせいたしました」

盗賊「待たせるの好きだなっ、てめぇは…!」

僧侶「あははは…」
696 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:44:25.37 ID:Tyd8yYla0
戦士「この森が迷いの森って呼ばれ方をされてるのはみんな知ってるよな」

僧侶「ええ。確か、この森へ入り込む旅人たちが、中々森を抜けだせない事にちなんで」

戦士「そう。下手すりゃ迷いに迷って、森から出れないとも言われてる」

魔王「どちらか一方の方角へひたすら真っ直ぐ進めばいつかは出られるであろうが?」

戦士「そう思うでしょう?」

戦士「それが、こういう話があるんスよ。……この森は生きている、と」

魔王「おお、ではやはり魔物か!」

戦士「勇者殿っ、しーっ!!」

「……」

戦士「この森は生きている。そして、森の中で迷った旅人を、食べちまうんです…!」

盗賊「……食うって、魔物がか?」

戦士「いや、森がだ」

盗賊「は?」

戦士「森自身が人を食うらしい。バリバリ! と……」

僧侶「そんなバカな…」

戦士「これがマジらしい」

魔王「だから、この森が魔物だからであろう?」

「……」

戦士「…そういう説も、なくはないっスねぇ……」

魔剣『勇者ちゃんは空気読まないよねぇ。でも、僕そんなところも愛しちゃうから!』

魔王「黙れ」
697 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:45:21.36 ID:Tyd8yYla0
戦士「でもでも! それだけじゃないんス!」

戦士「この森を歩いていると、何処からともなく亡霊の声が聞こえるらしいんですわ」

戦士「無念の末、森に食われてしまった旅人たちの……寂しいから仲間を増やそうと…」

僧侶「まさか、その亡霊たちの声が旅人たちを迷わせたと?」

戦士「それもあるんじゃないかな。とにかく、人をよく惑わすらしい」

僧侶「へぇ……」

戦士「……」

僧侶「あの」

戦士「ん?」

僧侶「……もしかして、これでお話は」

戦士「終わりだけど?」

僧侶(怪談と言っていいかわからないっ……)

魔剣『でも、さっきから亡霊の声なんてしないよ?』

戦士「きっと、もっと奥深くへ進めば…!」

魔王「……暗さが増すだけよ」

盗賊「魔物もうじゃうじゃいそうな雰囲気でもあるぜ」

魔剣『そういや、入ってから一回も魔物と遭遇してなくなーい?』

盗賊「勇者様、がいるからじゃねぇのか。こっちには……くくっ」

戦士「つまり勇者様の猛者っぷりに魔物共は怖じ気ついているってか?」

盗賊(魔王だしな)

魔王「……む?」
698 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:46:29.50 ID:Tyd8yYla0
≪魔王様……魔王様……≫


魔王(何やら声が。というより、魔王だと)

ちらっ

僧侶「とにかく、油断しないようにしましょうね」

戦士「勿論よー」

魔剣『怖い話とかしてたクセにー』

盗賊「あれが怪談話には思えないがな」

魔王「聞こえぬのか?」

僧侶「え、何がですか?」

戦士「もしかしなくても亡霊の声ですかッー! 聞こえちゃいましたぁ!?」

魔王(こやつらにはどうも聞こえておらん様だなァ)

≪魔王様……魔王様ですよね……≫

魔王「」ちらっちらっ

魔王(暗くてよく周りが見えんッ……! くそっ…)

魔王(声の主は勿論魔物よのぅ。しかし、これは)

≪貴方様だけに、失礼ながら語りかけているのです≫

魔王「はぁ?」

盗賊「……どうした。お前さっきからおかしいぜ」

魔王「盗賊風情にその様に言われる筋合いはないわ。黙っておれ」

盗賊「暗闇の中にいすぎて、頭がどうかしちまったようだな……」

戦士「どこかで休めるといいんだが、この辺りは…」

魔王(何故、余が魔王だとわかった。魔物相手に気づかれるのはあまり無かったのだが?)

≪わかりますとも。私は貴方様にお使いしていた身≫

≪一瞬たりともこの匂いを忘れた事はないです……くんくん……≫

魔王「キモっ!!」

盗賊「ほら、言った通り」

僧侶「ゆ、勇者様……っ」
699 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:47:21.08 ID:Tyd8yYla0
≪はぁ、はぁ、もっと嗅いでよろしいでしょうか≫

魔王「気色悪い! 止せであるッ」

僧侶「本当にどうしてしまわれたんですか、勇者様!」

戦士「亡霊の声だ、亡霊が勇者殿を……!」

魔王「貴様ら、喚くな!」

魔王(使えていたと申したな。今は)

≪残念ながら、過去の事です。ですが、今でも心は魔王様に≫

魔王(余は既に魔王である事を捨てたのだ。今は勇者よ)

≪あら、ご冗談を≫

魔王(冗談は好きくないである)

≪…………≫

魔王(貴様は側近から何も言われてないようだな。余を連れ戻すとか)

魔王(その方が都合はよい。ここは大人しく下がっておるのだ)

≪……魔王様は私をお忘れになって? 違いますよね≫

魔王「知らんわ」

戦士「勇者殿ォっ……なむあみ、なむあみ」

盗賊「それ止せ!」

僧侶「こ、怖い……何これ……!」

魔王(森に住まう魔物か?)

≪……いいえ、私はこの森自身。そしてこの森が私≫

魔王(ああ……姿だけは覚えておる。しかし、名は忘れた)

≪ご冗談を≫

魔王「知らんものは知らんと申しておろう!」

盗賊「何がだ!?」
700 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:48:09.34 ID:Tyd8yYla0
≪あんなに、あんなに、貴方様を思っていたのに≫

≪本当にお忘れになったというのですか? 本当?≫

魔王「貴様もしつこいなァ! あまりに喧しいとこの森を焼くッ」

僧侶「わ、私たちまで燃えてしまいますよ!?」

僧侶「本当にどうなされたんですか……っ」

魔剣『……いらいら』

≪貴方様がそうしたいと仰るのなら。しかし……いや……≫

≪魔王様。私です。私なのですよ……いや……≫

≪こんなに、愛しているのです。貴方様が好きです≫

魔王「やはりキモい。貴様は先程から余に何がしたいというのだ」

戦士「えぇー!? 何かされちゃってんスかぁー!」

戦士「言葉攻め? 言葉攻めっスかね!?」

魔王「……」

≪ああ、そうですか。きっとこの人間達が魔王様へ何かしでかしたのですね≫

魔王「何を」

≪皆まで仰る必要はございませんわ。わかりますもの≫

≪貴方様が仰られる言葉。いいえ、心が……私にはわかります……≫

魔王「あ……?」
701 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:49:37.30 ID:Tyd8yYla0
≪愛は全てを超越するのです。ええ、ええ≫

魔王「貴様、狂ったか?」

盗賊「……OKわかった。俺はこれからてめぇを可哀想な目で見てやる」

僧侶「き、きっと何か状態異常にかかっているはずっ!」

≪私は魔王様を愛しています。ずっと、ずっと誰よりも≫

≪私と魔王様は結ばれる運命……そうですよね?≫

魔剣『かっちーん』

戦士「魔剣ちゃん?」

魔剣『あったまきた!! こいつさっきから黙ってれば何!?』

魔剣『勇者ちゃんを一番好きなのは僕だよ! 勝手に決めつけないでよねっ』

盗賊「魔剣まで……何だってんだ…?」

僧侶「2人はきっと見えない物が見えているのでは……ああ」

僧侶「なんだか、私……だ、ダメです。こういうの……」

盗賊(これはチャンスと見た!)

盗賊「僧侶、俺の手をにぎ――――」

≪鉛棒如きが。お前に何が分かるというの≫

≪魔王様……少しお待ちくださいね。私があなたの周りの虫を排除しますから……≫

魔王「!」

魔剣『勇者ちゃん! くる!』

魔王は魔剣を抜刀し、戦士たちへ迫りくる触手を切り落とした!


ざしゅっ


戦士「えぇ!?」

切り落とされた触手は生き物の様に悶え、跳ねまわる!


ギィギィギィ…ビチビチビチ……


盗賊「この触手…! おい、勇者っ!?」

魔王「貴様らは今、攻撃されておるのだ。余に感謝するがよい」
702 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:52:36.87 ID:Tyd8yYla0
≪あああぁぁっ…………いいっ……いいの……!≫

魔王「あァ!?」

≪ギモヂイィ……いいですわ、魔王様。貴方様になら傷つけられたって≫

≪この傷は愛の痕。そうですよね、わかりますよ。うふふ……気持ちいいの……≫

魔王「」ぞぞっ…

魔王「があああぁぁぁぁッッッ!!? こやつ嫌ァー!!」

戦士「敵が俺らには見えません! 勇者殿、魔物ですかっ」

僧侶「この触手……上から?」

魔剣『みんな、全力でこいつぶっ殺そうよ!! 気持ち悪いの!』

盗賊「……何がなんだかわからねぇが。敵が見えなければどう動けばいいかわからんぜ」

盗賊「勇者!」

≪ダメ、ダメです。虫が語る言葉に耳を傾けてはいけません。腐ってしまいます≫

≪お願い、私と1つに。魔王様……≫

魔王「ぎゃあー!? ぎゃあー!?」

魔王は精神的にダメージを受け続けている!

魔剣を落としてしまった!

盗賊「勇者……くっ、魔法の類か!?」

僧侶「ですが辺りから魔力を感じられません! 考えられるのは…えっと」

魔剣『アイツと勇者ちゃんの心が繋がりかけてるのっ!』

戦士「精神系の攻撃? 魔剣ちゃんにはわかるのか!」

魔剣『いいから誰か僕を使って勇者ちゃんを切って!』

「!?」

魔剣『急いで! 勇者ちゃんが持ってかれちゃう!』

魔王「」がくがく

≪私の声に耳を傾けるだけで気持ちが良いでしょう? もっと、もっと聞いてください≫
703 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:53:36.10 ID:Tyd8yYla0
盗賊「てめぇの能力で敵との繋がりを断てるのか」

魔剣『そう!』

戦士「……しかし、勇者殿を切るのは」

僧侶「そ、それに! 私たちには魔剣ちゃんを持てない!」

魔剣『いいから早く! 間に合わなくなる前に!』

魔王「余は……余は……」ぶつぶつ

≪こっちですわ……ほら、こちらに来ていただけるとさらに気持ちが良いでしょう≫

≪まるで天にも昇ってしまわれる様な……さぁ、私の元へ……≫


魔王「」ふらぁ


魔王は茫然としながら、森の奥へ誘い込まれている!

盗賊「っ!」

盗賊は魔剣を拾い、手にした!

僧侶「盗賊さんっ!?」

盗賊「うぐっ……!」

魔剣『一度切るだけでいいの。我慢して……!』

盗賊(あ、頭の中がワケ分からん……!? し、死ぬ、死んじまった方が楽になれるんじゃないか…)

盗賊は混乱し、魔剣の切っ先を自分の首へ向けた!

魔剣『ダメ!?』
704 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:54:21.60 ID:Tyd8yYla0
戦士「う…」

戦士「うおおおおおおおおぉぉぉーーーっっっ!!」

僧侶「戦士さん!? 何をっ」

戦士「四の五の言ってられねぇんだっ」

戦士は勢いに任せて、魔剣を盗賊の手ごと掴み

盗賊「……あ、ぐっ…う…………」

戦士「勇者殿、すまないッ!!」

魔王を切った!

≪あぁっ…………―――――――≫

魔王「……あ?」

魔王「戦士?」

戦士「勇者殿、ご無事ですか!? おお、お怪我とか…」

魔剣『大丈夫ー 僕は勇者ちゃんを切ったわけじゃないから』

僧侶「それって…?」

盗賊「……その魔剣は、切りたいものだけを切れるんだよ」

僧侶「盗賊さん! 大丈夫ですか…」

盗賊「ちょっとばかり、大丈夫じゃあねぇぜ……く、くくっ」

盗賊「肉ダルマてめぇ……俺の手を使って魔剣の力を防ぎやがったな…」

戦士「あれしか方法が見つからなかった。すまん」

盗賊「チッ……!」

魔王「……やはりこの森は焼いてしまった方が良いと見た」

魔剣『異議なーし』
705 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:56:11.49 ID:Tyd8yYla0
僧侶「ですが、これ程大きな森を焼けるわけが……いえ、できますか」

魔王「無論である。あやつ、もう許さんわ」

魔王「迂闊にも奴の術中に嵌まってしまった様だが、魔法ではない」

魔王「では、何だというのだッ……」

戦士「その前に、敵が俺たちにはよくわからなかったんですけど」

魔王「この森自身よ! ああ、ムカつくしキモい…」

戦士「キモい?」

魔剣『うん!』

僧侶「森が魔物って想像つきません……どれ程の大きさなのでしょうか…」

盗賊「聞いた事ねぇな」

魔王「大きさ自体は大したことないである!」

僧侶「え?」

魔王「奴を中心に森が形成されるのだ。そしてそれは奴自身」

戦士「ありゃ、随分と詳しいっスね!?」

魔王「……まぁのぅ」

盗賊「てことは、敵の本体自体はこの森の中の何処かって事か?」

魔王「うむ。しかし、探しだして殺すのは面倒。だから全て焼く」

戦士「待ってくださいよ! 焼くにしても、俺らがこの森にいる間にはしないで!」

魔王「貧弱な…」



シュルシュルシュル・・・
706 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:57:18.40 ID:Tyd8yYla0
魔王は火炎の呪文を唱えた!

戦士「えぇっ!!」

魔王「狙われておるぞ」

数本の触手たちを炎で焼き殺した!

魔王「……こう暗くては面倒である」

盗賊「暗いの怖いだなんて言ってる場合じゃなくなってきたかぁ…?」

魔王「殺すぞ貴様!」

僧侶「っ!」

僧侶「……」ふらふら

魔王「ふんッ」

魔剣で僧侶を切った!

魔剣『いっちょ上がりー』

僧侶「……あ、あれ?」

盗賊「……冗談じゃねぇぞ。何してきてんだ、敵は!」

戦士「わかってればこんな苦労してないなー!」

戦士は触手を切り裂いた!

僧侶「あれ……なんか、聞こえません?」

魔王「また精神攻撃か、魔剣よ」

魔剣『うぃー!』

僧侶「ち、違います! これは……」


がくんっ


僧侶は倒れた。

盗賊「……っ」

盗賊は倒れた。

戦士「僧侶ちゃん、盗賊! 勇者殿、一旦ここは引きましょう! ここでは分が悪い!」

魔王「だぁからこの様な森に入るのではなかったのだッ…」

≪この森を出てはいけませんよ。ここは私とあなたの愛の巣なのですから≫

≪さぁ、耳を傾けて……聞こえますよね。歌が……ほら……≫

魔王「ッ!!」

魔王は魔剣で自分を切りつけた!

魔王「戦士よ、耳を塞げィ!!」
707 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 05:59:00.00 ID:Tyd8yYla0
戦士「……」

戦士は倒れた。

魔剣『勇者ちゃん! みんな眠らされてるっ』

魔王「知っておるわッ」

魔王(僧侶が申した歌、あやつが申した歌……)


〜♪


魔王「!」

森の奥から、優しげな歌声が聞こえてきた。

魔王「これは……」

魔王「魔剣よ、耳を傾けてはならんぞ」

魔剣『……』

魔王「……クソ剣が!!」

魔剣の機能が停止した。

魔王「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーー!!」

魔王(声をでかくして、あやつの歌声を掻き消すまでよ)


〜♪


魔王「アアアアアアアアーーーーアアアアアアアアーーーー! 聞こえないであるーー!!」

≪魔王様……ふふっ、可愛らしいですわ……≫

魔王「げっ」

≪もう、私との繋がりを断つ剣は使えませんね。良かった……≫

魔王「貴様ァー!」

魔王は火炎の呪文を唱えた!

森が巨大な火柱によって、燃えていく!

魔王「…っくくく!! 戦士たちが死ねば、金を使って蘇らせるまで! 恨むでないぞッ」

魔王はさらに火炎の呪文を唱えていく!

≪ああ、熱いです……体が、もうっ……はぁ、はぁ……火照ってるのぉ……≫

魔王「っ!?」

≪もっと、もっとぉぉぉ……魔王様っ、ああ……愛しの魔王様……≫

≪来てぇ…………!≫

魔王「」ぞくっ

魔王「ギャアアアアアアァァッッッーーー!!?」
708 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 06:02:15.00 ID:Tyd8yYla0
魔法の炎が消えると、森の木々たちが再び元の姿へ戻っていく!

森は、焼かれる前の状態に戻ってしまった!

魔王(どういう、事である……!)

≪私の子どもたちはこの程度の炎では死にません。丈夫な子たちなのですよ≫

≪さぁ、虫ケラは私が持ってゆきますね……≫


シュルルルル・・・


何処からか伸びてきた触手が、仲間たちをどこかへ連れ去っていった!

魔王「うぅ、ぐっ……」

魔王「体が……何故である……っ!」

≪最初は足の先から、それから太もも、お腹、胸、頭≫

≪どんどん痺れてしまいます。でも、それが気持ち良い。わかりますね≫

魔王は体が麻痺して身動きが取れない!

≪次は……魔王様はどんどん…どんどん……意識が無くなって行きます……≫

魔王「むぐぐ……!!」

魔王「余が、何故貴様如き魔物に…! ぐううっ……!」

≪……あれからとても長い年月が経ってしまいましたね。魔王様≫

≪長く生きると、色んな事がありますよね。魔王様も、そうでしょう?≫

魔王「か、かっ…ぐ、がぁ…………!」

≪はい、落ちました……おやすみなさい……≫

魔王「」

魔王は倒れた!


・・・魔王たちは全滅した。


≪来てください……私の元へ……さぁ、来て……≫


触手は魔王を連れ去っていった。
709 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/30(金) 06:04:37.41 ID:Tyd8yYla0
以上。明日もなんとか続きいけそうです

>>683
ミスだよ!! すまなかったな、許してくれ

710 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 06:25:51.19 ID:GPGNeuYDO
おぉ…う全滅だと…
711 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage ]:2011/12/30(金) 06:56:08.81 ID:rJKNmrB80
乙乙

敵の催眠みたいなやつ、完全に催眠おなぬーじゃないかwww
712 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 00:07:57.23 ID:W9Bp0NLDO
全力で乙
713 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 01:48:31.96 ID:qOUS7uUDo

続きが気になる状態で年越しはしたくないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
714 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 03:58:37.81 ID:fdqwbSqv0



『んー息子よォ。貴様はまたくだらぬ事をしてくれたァ…』

魔王子(現・魔王)「してないである! してないである!」

魔王子「だから、早くここから出せー!」

ドンドン

『んーならァん』

『1週間与えようゥ!! それまでに貴様の立場というものをよく考えるのだ』

魔王子「ぎゃー! ぎゃー!」

『言って分からぬ愚かな馬鹿息子よォ。んー哀れなりィ』

『父は去る。再び顔を合わせる時、貴様が改心している事を祈ろうゥ……』

魔王子「待つのだ! 止せ、やめろ! 余をここから出してから…!」


すたすたすた・・・


父は魔王を狭く、カビ臭い暗室へ閉じ込め、去っていった。

魔王子「今度こそ、顔を合わせた時は殺してくれるわッ!!」

魔王子「ぐすんっ……」
715 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 03:59:18.12 ID:fdqwbSqv0
魔王子「魔法で扉をふっ飛ばそうにも、魔力が空で何もできん……」

魔王子「パパ上強すぎである」

魔王子「……」


しーん・・・


魔王子(真っ暗で何も見えんではないか)

魔王子「して、この部屋はすごく寒い…」

魔王子「……」

魔王子「……寂しい」

魔王子「誰も余をここから救い出しに来てはくれぬのか」

魔王子「余は次期魔王ぞ。何故だ!」


・・・しーん


魔王子「もう嫌である……暗い……一人ぼっち……」

魔王子「うぅ……」

魔王子「腹も減ったのだ…」ぐぅ

魔王子「パパ上死ね、死ね、死ね……」
716 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:00:06.96 ID:fdqwbSqv0
魔王子(もう1週は経ったのではないか。何故まだここから出られん)

魔王子「……おーい、誰かー」

魔王子「……」

魔王子「誰か扉の前におるのであろうッ!? 聞こえておろうがァー!!」

魔王子「出せ出せであるッ!! うがー!」どかんどかん

魔王子「はぁ、はぁ……うぐっ、もう嫌である……」

魔王子「限界だ、気が狂ってしまう……!」

魔王子「誰でもいい……余に語りかけてくれよ……」

魔王子「話相手が欲しい、誰か……っ」


『はい……王子……』


魔王子「!」

魔王子「誰かおるのか?」

『ええ、います。ここに』

部屋の外から優しげな声が聞こえてきた。

魔王子「た、頼む! 余をここから出せ! これは命令なのだッ」

『それは聞けませんわ。魔王様からけしてここを開けるな、と』

魔王子「知るかよッ」
717 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:00:45.91 ID:fdqwbSqv0
『王子は闇がお嫌いで?』

魔王子「好き好む奴がおるというのか! 阿呆がっ」

『闇は心を落ち着かせます……目を閉じてみて……』

『聞こえるでしょう。貴方様の鼓動の音が……トクン、トクンと……』

魔王子「喧しいわァー!」

魔王子「パパ上に何を言われたのかは知らんがな、この余が命じておるのだ」

魔王子「もう1度だけ申す。ここを、開けろ……!」

『ダぁメ』

魔王子「」ぷっつん

魔王子「ならばさっさと何処かへ消え失せろ!!」

『畏まりました……王子の命のままに……』

魔王子「全く!」

魔王子「……」

魔王子「……おう」

魔王子「本当はまだおるのだろう? 返事をせぃ」


しーん


魔王子「……チッ!」

魔王子「ムカつく」
718 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:01:47.33 ID:fdqwbSqv0
次の日


こんこん

魔王子「! ……誰じゃ」

『私です。王子……おはようございます……』

『今日はとても良い天気ですわ……嵐が来ていますの……』

魔王子「この部屋に居って外など見られるわけが無かろう」

魔王子「…貴様、昨日は何故馬鹿正直に余の言う事を聞いたのだ」

『貴方様がそう私にご命令なさったからです』

『もしかして……寂しかったのでしょうか……?』

魔王子「その様な事があるわけがないッ」

魔王子「…話相手がおらんから、退屈なだけよ」

『私が……貴方様のお話の相手になれ、そういう事でしょうか』

魔王子「うむ」

『……うふふ』

魔王子「何を笑っておる。余の耳にしかと聞こえたぞ」

『申し訳ございません。ただ……嬉しかったのです』

『嬉しい……』

魔王子「キモいな」

魔王子「魔物如きがその様な情けない感情を抱くなよ」

魔王子「隙ができてしまうわ。勇者どもに殺されるぞ」

『魔王様と貴方様をお守りできるのならこの身果てようと』

魔王子「ふん、くだらん奴め!」
719 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:02:53.84 ID:fdqwbSqv0
次の日も、次の日も、その優しげな声の魔物は訪れた。

魔王子も次第に聞き上手な魔物へ心を許してゆき、会話を弾ませた。


魔王子「しての、側近の奴がバカなのだ」

『存じております。アレは無能です』

魔王子「貴様も分かっておったか。あやつは非情にウザいのだ」

魔王子「余の躾役などいらんというに!」

『ですが、魔王へとなられた時、礼儀作法はとても大切です……』

『何よりも、全ての者の上に立つ身として……』

魔王子「知るか。魔物どもの上に立つだけなら、その様なものは不要であろうが」

『そうでしょうか……ですが、現魔王様はとても立派な方であられますわ……』

『皆が魔王様を慕っています。あの圧倒的なカリスマ、威厳、存在感……』

魔王子「……パパ上はダメである」

『なぜ、でしょうか』

魔王子「浮かれておるのだ」

魔王子「確かに奴は強い、そして頭も良い」

『ええ』

魔王子「だが、近頃は勇者どもに油断を見せまくりである」

魔王子「歳のせいか、判断力も落ちておる」

魔王子「奴はもう魔王の椅子から降りるべきなのだ……!」

『それで、魔王様へ襲いになられたのですか……王子……』

魔王子「うむ」
720 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:04:18.79 ID:fdqwbSqv0
魔王子「貴様はどう思う。奴はまだ魔王でおるべきか?」

『いいえ』

魔王子「……即答かよ。何故である」

『魔王へ相応しいのは、王子……貴方様だと私は思います……』

『数百年以上も続いた……魔王独走の道も、このままでは終わります……』

魔王子「他の魔物が聞いたら殺されるぞ、貴様」

『構いませんわ』

『私が真にお慕いするのは、王子……貴方様です……』

魔王子「ほうほう?」

『魔族へ新たな光を、希望を与えられるのは、王子……いいえ、魔王様』

『貴方様です……』

魔王子「……」

魔王子「貴様、名を何て申す?」

『アルラウネですわ……』

魔王子「その名、しかと覚えた。感謝するが良い」

魔王子「……アルラウネよ。余はこれよりパパ上、否」

魔王子「魔王を討つ。その手伝いを貴様に命じるのだ」

アルラウネ『ああ……ああ……』

魔王子「勿論、応じるであろう? 貴様は既に、余の物だ!」

魔王子「余は魔王になるッ!! 貴様はその瞬間を見届けるのだ……」

アルラウネ『貴方様の仰せのままに……ああ、この時をどれ程待った事か……』

魔王子「では、こう申してやろう。待たせたな、と!」

魔王子「……次はしくじらん。確実に首を落とす」

アルラウネにより、魔王子は暗室から解き放たれた。
721 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:05:20.57 ID:fdqwbSqv0
父「んーそろそろォ、息子を出してやっても良い頃合いだと思うゥ」

側近(旧)「まだ約束の1週間は経っていませんが…」

父「飴と鞭ィ! 甘やかし過ぎも良くはない。しかし、厳しすぎても悪く育つゥ」

側近「ですが、魔王様は多少甘過ぎる傾向が!」

側近「それでは王子が魔王となられる時、困ります」

父「んーそうゥ……?」


父「だァが、久しぶりに息子の顔が見たくて堪らアアァァァんッッッ」


父「くぁwせdrftgyふじこlp」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


側近「ひぃー!? おやめください、おやめくださいぃ!」

側近「どうか…どうかお怒りを鎮めて……」

父「……んーごめェん」

父「胃が痛む」

側近「だ、大丈夫ですか? すぐにそこの者に胃薬を」

父「頼むゥ」

側近「いえいえ。ちょっとそこのー!」

「あい」
722 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:06:38.71 ID:fdqwbSqv0
〜♪


父「あァ……?」

側近「歌が……。はっ、魔王様!」

≪私の声が聞こえますね……ゆっくり、ゆっくりと瞼を閉じてみましょう……≫

側近「この声に耳を傾けてはいけません! 誰かー! 誰かー!」

「Zzz……」

城の魔物たちは全て眠らされている!

父「何事かァ」

側近「これはきっと、アルラウネの奴の仕業です!」

側近(あいつは以前から不審な行動が多すぎました…まさか、魔王様を…)

側近は呪文を唱え始めた!

父「魔法障壁を展開せいィ」

側近「既に、始めています……!」

≪お願いです。耳を傾けてみて……ほら、よく聞こえますよね……≫

≪声を聞くと、とても気持ちが良い……一言一言が身に染みわたるように……≫

側近「はぁうんっ!」

父「その様な色気づいた声を出しておる場合ではなァい」

側近「ひゃ、ひゃあい……」


父「情けのない。グオルルルルァアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!」


魔王が咆哮すると、大気が震えだす!

≪あうっ…………≫


父「んーそこだァアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」


人差し指をピン、と伸ばすとその先から電撃が発射された!

電撃は分厚い壁をも貫通し、アルラウネ目掛けて飛ばされてゆく!

アルラウネ『あああぁぁっーーー!!?』

側近「流石魔王様、お見事です……!」

父「他愛なァい」
723 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:08:24.37 ID:fdqwbSqv0
アルラウネ『う、く……』

側近「さぁ、立ちなさい。お前はとんでもない重罪を犯してくれましたね!」

側近「魔王様! この者をいかがしましょう」

父「んー」

父「貴様ァ、何故この様な事をしでかしたァ……」

アルラウネ『……』

父「余が気に入らぬか」

父「良ォい、その眼を見るだけで一目瞭然。貴様は余の元には居られぬのだな」

アルラウネ『……』

父「余はァ……とても、んとォてもォ! 悲しい……」

側近「魔王様、この様な者に哀れみは不要では…」

父「去れ」

側近「はい?」

父「アルラウネよ。貴様はァ、余の元から、この城から離れるのだ」

父「それが、余から与える貴様への罰よ」

アルラウネ『え……?』

側近「魔王様!? 正気なのですか! だって、こいつは…」

父「んー側近」

父「余は、こやつを許そうゥ。しかしィ、出ていってもらうのだ」

側近「甘いですっー!!」

父「憎むべきは人よ。魔物は全て我が同士。ならば同士を傷つけるなど愚かな事ォ」

父「余は同士を皆まで愛す! 側近、汝も愛せよ。同士をォ」

側近「そんな……!」

アルラウネ『……今です』
724 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:09:30.92 ID:fdqwbSqv0
側近「は!?」

魔王子「魔王覚悟ォ〜〜〜!!」

魔王子が魔王目掛けて火球を飛ばしてきた!

父「うぬゥ?」

側近「危ない! あうっ……」

側近が魔王の代わりに攻撃を受けた!

父「…ゥ愚かな。貴様がアレを受けるまでもないというにィ」

側近「す、すみません……少しでも、お役に立ちたくて……」

父「十分だ。休むがいい」

父「さァて、やはり側近が申した通りィー」

父「余はお前を少々甘やかし過ぎた様…」じろ

魔王子「……ふゥん!」

魔王子「今日こそ貴様の終わりよ! 余にその座を譲るのだ」

父「まだ早い」

魔王子「ならば、力づくで奪うまでだが?」

父「んー何も、何も反省していなかったのかァ。息子よ」

魔王子「何がであるッ!!」

魔王子は魔王へ襲いかかった!
725 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:10:53.31 ID:fdqwbSqv0
側近「王子、いけません!」

側近は束縛の呪文を魔王子へ唱えた!

魔王子「むぐっ……!?」

側近「どうしてわからないんですっ……」

側近「魔王様は貴方様の為を思って!」

魔王子「余計なお世話なのだよッ」

魔王子「……やれ!」

アルラウネ『魔王様の仰せのままに……』

アルラウネの腕から伸ばされた触手が、側近を縛り上げた!

側近「あっ!?」


ギュウギュウ・・・


側近「痛いぃ……!」

アルラウネ『魔王様の邪魔はさせません……ダメです……』

魔王子にかかっていた束縛魔法が解けた!

父「……もはや」

父「罰だけは済みそうになァい」

魔王子「勝手申しておれよー!」

魔王子の攻撃!
726 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:12:15.86 ID:fdqwbSqv0
父「猪口才な」

攻撃を迎え撃つ様に、魔王は拳を突き出した!

魔王子「ぶぐっ―――――!」


痛恨の一撃!


魔王子「……ぐ、ぬ、ぬ、ぅぅっ」

父「んーお前をォ殴るのはこれが初めてだァ」

父「パパはとてもォ、悲しい……!」

魔王子「ぐううぅ……」よろ

アルラウネ『魔王様……!』

魔王子「問題ないであるッ」

魔王子「それより、側近をしっかり縛っておくのだぞ」

アルラウネ『はい……仰せのままに……』

側近「あうぅっ……!」ぎゅうっ

父「ん、ん、ん…………!」


父「ングオォオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーー!!!!」


魔王は魔王子へ掴みかかった!

魔王子「むっ!?」

父「余の教育が悪かった! 余が全て悪い!」

魔王子「余が知るかッ」

父「すまなかった! すまなかったァ!!」

魔王は泣きながら魔王子を殴り続けた!

魔王子「ぶふっ……ぐえっ……」

父「余はァ! 自らの子を! 同士を平気で傷つけてしまう様な子へ育ててしまったァ!」

父「何と罪深いィッ!!!」

側近「ま、魔王様……」
727 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:14:35.20 ID:fdqwbSqv0
父「ふーっ、ふーっ、ふーっ…」

父「うぅ……!」

魔王は顔を涙でぐしゃぐしゃにし、戦意を喪失させてしまった!

魔王子「……」

アルラウネ『魔王様、今です。今しかありません……』

魔王子「黙っておれ!!」

魔王子「魔王よ、最後に言い残す事はないか」

側近「王子ー! おやめ下さい!!」

アルラウネ『黙って見ていてください……とても素晴らしい時なのですから……』

父「んー息子よォ……」

父「お前はとても魔王として向いておるゥ」

魔王子「そうであろうなァー! 余は最高の魔王になれるぞ」

魔王子「だから、貴様は安心して死ね」

父「んー良かろうゥ。ただし、覚えておくがいいィ…」

父「貴様はろくな死に方だけはしないであろう。それだけは父から言えるゥ」

魔王子「そうか」

魔王子の攻撃! 会心の一撃!


父「無念よ……――――――」


魔王を倒した!

魔王が死んだ事により、魔王子は魔王へ昇格した!


側近「っ!!」

側近「あ、ああ……魔王様ァーーー!!!」

アルラウネ『違いますわ。そちらの方は既に魔王ではありません……』

アルラウネ『真の魔王はあの方よ……ああ、なんと凛々しい御姿……』

魔王「……」

魔王「……っく」
728 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:15:54.07 ID:fdqwbSqv0
魔王「くっくくくく……ひひひひひ……!」


魔王「ギャハハハハハハー!!」


魔王「ウギャアアアハハハハハハハハハハッッッ…げほっ、おえぇ……!」

魔王「余が、余が魔王であるッ! 祝福せよ、盛大にー!」

側近「……」

魔王「側近よ、貴様は今日から余に従う身となったのだ」

側近「嫌です!」

魔王「ならば去ねィ!」

魔王の攻撃! 側近を倒した!

アルラウネ『流石ですわ、魔王様……』

魔王「さて、魔王かァ……くくっ」

魔王「魔王はまず何をしたら良いのだ?」

アルラウネ『人間を滅ぼし、魔族へ完全なる勝利をもたらすのですわ』

魔王「……それ、面倒であるな」

魔王「そういうのは魔物どもに任せておけば良いのだろう?」

魔王「さすれば、余はー……」

魔王「……そう! ひたすら余へ挑んでくる勇者を殺していれば良いのだ!」

アルラウネ『あら……』

魔王「余計な事など考える事もなく、ただひたすら勇者殺し!」

魔王「立派な魔王の仕事ではないか」

アルラウネ『はい、魔王様……魔王様が思う様に、全てを進めて行けば良いのです……』

アルラウネ『うふふ……』
729 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:17:34.49 ID:fdqwbSqv0
アルラウネ『……それでは、私は』

魔王「あァん? 貴様、何処へ行く」

アルラウネ『先代魔王様が命じました。私はこの城へ居てはいけないと』

アルラウネ『去ります……私はもう自由……』

魔王「あっそ、わかったである」

魔王「さぁ、これから楽しくなる筈よッ……!」

アルラウネ『……』

魔王「どうした。去らぬのか?」

アルラウネ『いえ、引き留めてはいただけないのかと……申し訳ありません……』

魔王「何故?」

アルラウネ『……そうですわよね。私は既に、貴方様の物』

アルラウネ『何処へ行っても、離れていても……私は貴方様だけのアルラウネです……』

魔王「〜♪」

魔王「そういえば、側近を殺してしまったのだったなァ。新しいのを用意しなければ」

アルラウネ『……ふふっ』

アルラウネ『いつまでも……いつまでも……』

アルラウネ『愛しています……魔王様……』

アルラウネは城から去って行った。

魔王「おう、誰か居らんー? 急だけど余が魔王になったのだがー」



その日、新たな魔王が誕生した!!
730 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:19:00.98 ID:fdqwbSqv0
森の中


魔王「―――――むぐっ!」

魔王「夢か……」


≪魔王様……魔王様……≫


魔王「!」

≪もう体の痺れはとれましたね? 足を動かせられるはずです……≫

魔王「貴様ァ!! 余に何をした!」

≪少しだけ、お休みになられて頂いただけです……大丈夫……≫

魔王「……随分と勝手なマネをしてくれた様だが。お陰で貴様を殺す理由が更に増えた」

魔王「して、余の仲間はどこへやったよ」

≪あの虫たちは魔王様に相応しくありません。私の養分となっていただきます≫

≪魔王様は……私と、1つに……ああ……≫

魔王「」ぞぞっ

魔王「貴様にはこれまでになく、最悪な、酷い殺し方をしてくれる…」

魔王「しかし、その前にあやつらを返して貰おうか。アレは余の所有物よ!」

魔王「貴様の汚らわしい手で触れてはならぬ物であるッ」

≪私はこんなにも魔王様を愛しているのです……私より、アレを欲するのですか……≫

≪それはとても悲しい事です……≫

魔王(こやつ程、やり辛い相手もいまい…!)

魔王「貴様は何処に居る!? これから貴様を殺しに行く…!」

≪私と会っていただけるのですか? 嬉しい……!≫

≪この先を真っ直ぐ、お進みください……すぐそこに私がいます……≫

≪お待ちしていますわ。魔王様≫

魔王「おう、待っておれよ。ド阿呆めが」
731 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:20:22.28 ID:fdqwbSqv0
魔王(あやつは余を知っておった)

魔王「だが、余はあやつを知らぬ」

魔王「つまりはどうでもよい相手だという事である」


すたすたすた・・・


魔王(暗い、灯りが全く無い……!)




『闇は心を落ち着かせます……目を閉じてみて……』

『聞こえるでしょう。貴方様の鼓動の音が……トクン、トクンと……』




魔王「ただでさえ、真っ暗だというに…さらに瞼を落として闇にする必要があるか」

魔王「闇は嫌いである……!」

魔王「しかし、引き返すという選択肢は余には無い」

魔王「…何故ならば、余の所有物どもがこの先にあるからのぅ」

魔王「仕方がなく、先へ進んでいるだけである……」

魔王「仕方がなくだからな……」


すたすたすた・・・


しばらく道を進むと、淡い光を放つ花やキノコが道端に生えていた。

真っ暗な一本道が光に照らされている。

魔王「……ふゥん」
732 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:21:51.13 ID:fdqwbSqv0
魔王「待たせたな、クソっ垂れ」


先へ進むと、巨大な花を中心に開けた場所へ出る。

蕾状だった花は、魔王が近づくと花弁を展開させた。

『お待ちしていました……ああ、魔王様……』

『ずっと、ずっと……貴方様を……私は……』

中から、とても美しい女性の形をしたソレが、上半身を見せている。

『さぁ、お疲れでしょう……私の中でお休みになって……』

魔王「気味が悪い姿しおって! 本当にキモいであるッ」

『そう、ですか……魔王様の為に日々美しくなろうと努力したつもりだったのですが……』

魔王「余計なお世話である。このブス」

『大丈夫。もっと人間を栄養にし、さらなる美を高めますわ……』

触手が外から伸ばされてきた!

触手は、仲間たちを絡め取っている!

魔王(あやつらの意識はまだ戻っていないままか)

魔王「おう、魔剣はどうした」

『はい、捨てました』

魔王「そうか」

魔王「貴様はこうして森の中で迷い込んだ人間どもを食らっておったのだなァ」

魔王「それも長い間か…ふん」

『全ては魔王様の為です……いつの日か、こうしてお姿をお見せできる日の為に……』

『見て……私を見て……もっと見て……この姿を……』

魔王「おえぇ……」
733 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:23:46.60 ID:fdqwbSqv0
『もっと、もっとぉ……美しくならなきゃ……ああ……』

仲間たちを掴んでいる触手が花の元へ寄せられていく!

女が生えた花からはグロテスクな太い触手が、液を垂らして伸びてきた!

魔王「余にその様な不快な物を見せつけるな!!」

魔王は火炎の呪文を唱えた!

掌から発射された火球は女目掛けて飛ばされる!

『あはああぁっん……! しゅごい……いいのぉ……』

『はぁ、はぁ……流石ですわ、魔王様ぁ……とても、いい』

魔王「ぐぅっ!?」


魔王に精神的ダメージ!


魔王(何故だ……余は奴を焼き殺すつもりでアレを放ったのだぞ!)

魔王(奴は何故……!?)

『いいです……最高です……魔王様……』

『もっと、傷つけてくださって構いません……それはとても気持ちが良い事なのですから……はぁ……』

魔王「マゾか貴様ッ」

『魔王様がそれを望むのなら……』

『うふっ……ああぁ……ジリジリするのぉ……いい……』

魔王「生理的にヤバいである…あやつ…」

『さぁ、魔王様……前戯はこれぐらいにしておきましょう……』


〜♪


魔王「っ!」

女は突然歌いだした!

美しくも優しい歌声は魔王へ向けられている!

魔王(いかんッ 聞きいってはならん!!)

魔王(足が…体が、意識せずとも奴の方へ動いてしまう……)


ずり、ずりずり・・・
734 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:25:05.72 ID:fdqwbSqv0
〜♪


魔王「ぐ、ぐ、ぐっ……」

魔王は必死に抵抗して見せる! しかし、体が言う事を聞かない!

『魔王様……魔王様……魔王様……!』

魔王「〜〜〜〜〜〜!」

魔王は雷の呪文を唱えた!

『ひああぁあんっ……痺れて、痺れてすごい、です……!』

『でもいけませんわ……さぁ、魔王様……』


〜♪


魔王(全く堪えておらん!?)


ずり、ずり、ずり・・・


魔王「ふぐぐぐぅぅ……!!」

魔王「貴様らァ! さっさと起きるのだー!?」

戦士「」

僧侶「」

盗賊「」

魔王「役立たずッ……!」

『人間に構うなんて、魔王様らしくありません……ダメ……』

『どうしてこいつらに執着するの……?』

『私がいますよ……魔王様……』

女は手を広げて魔王を迎えている!

魔王「嫌である!! 嫌である!!」

『あと少し……ああ、1つに……』



ぐさっ
735 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:28:17.50 ID:fdqwbSqv0
『……え』

魔王「!」

女の体目掛けて何処からともなく魔剣が飛ばされてきて、刺さった!

魔剣『僕の勇者ちゃんに触るなぁーーー!』


『アアアアアアアアァァァァァァァっ……!!?』


会心の一撃!


魔王「何故ここに魔剣がおる…?」

魔剣『あの人が僕の事拾ってくれたんだよー』

魔王「あァ?」

魔王たちから離れた場所に、1人の女がいる!

体を鎧に包んでいるわけでもなく、ほぼビキニ水着の形状の様な物に身を包んだ女。

魔王「……ち、痴女であるっ」

女戦士「違う。私は戦士だ」

女戦士「援護しよう。早くその剣を引き抜き、戦え」

魔王「貴様に申されんでもー!」

魔王は魔剣を女から力いっぱい引き抜き、


『っぐ…ああぁああっぁー!! い、いや……いやあぁっ!!』ぶしゅっ


後ろへ下がると間合いを取った!

魔王「礼は言わんからなァ。痴女よ」

女戦士「私が勝手にした事だ、必要ない。痴女と呼ぶな」

魔剣『勇者ちゃん! あいつ魔法耐性高すぎだから魔法意味ないよ!』

魔王「では物理で殴るまでよ…」

女戦士「……」

『うあああぁ……あああぅううっ……』

『魔王様、魔王様、魔王様、魔王様、魔王様、魔王様、魔王様……』

『マオウサママオウサママオウサママオウサママオウサママオウサママオウサマァァァーーーーーー!!!』

魔王「しつこい女は糞であるぞッ」

女戦士「来る……!」
736 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagesaga]:2011/12/31(土) 04:31:32.05 ID:fdqwbSqv0
以上です。年越す前に中途半端で切ってしまった
次の投稿予定日、不明で。暇があり次第、昼でも夜でも適当な時間に投下しておきます

よいお年をー
737 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 04:47:47.46 ID:k9B30+dDO
お疲れ。
まさか、女戦士は…

>>1よ、良いお年を。
体調崩すなよ。
738 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2011/12/31(土) 04:53:50.43 ID:Z9I+aMm3o
>>1
2011ラスト乙
そして良いお年を
739 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage ]:2011/12/31(土) 06:04:31.70 ID:R2/KiFny0
乙かれ様!

魔王幼少時代がクズすぎるwwwwww
アルラウネは歪んではいるけどなんか可哀想だわ

本当にお疲れ
来年も楽しみにしてる
740 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 08:47:55.85 ID:W9Bp0NLDO
魔王幼少可愛いな
乙!よいおとしを!
741 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 13:39:02.65 ID:Es+gGOKDO
742 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:28:49.51 ID:w7Bm2nHSo
あけおめだよ!魔王ちゃん!
743 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage ]:2012/01/01(日) 00:55:36.82 ID:SQ8f9d7i0
僧侶ちゃんが活躍する日を待ってます
744 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:12:10.44 ID:48dc72V30
魔物の攻撃!

触手が魔王たち目掛けて束となって振り下ろされる!

女戦士「ふっ!」

魔王「容易い」

触手を切り落とし、攻撃を回避した!

魔剣『勇者ちゃん、右!』

魔王「言われんでもっ」

『どうして! 何故ですか、どうしてなの!』

『私はこんなにも愛しているのです! とても、深く、深く……!』

女戦士「愛の押し売りか」

女戦士は弓を展開させ、魔物を射る!

ひゅっ

『違う! 私と魔王様は誓い合った!』ぶんっ

『仰りました……アルラウネは魔王様の物だと! どれ程その言葉に助けられてきた事か』

魔王「貴様は何か勘違いしておるな」

魔王「もうかける言葉もない!」

魔王の攻撃!

『いやぁ……!!』

魔物は仲間たちを盾にした!

魔王「!」

魔王は攻撃を止めてしまった!

女戦士「退け、そこにいられると邪魔」

魔王が横へ体を反らすと、女戦士が放った矢が勢いよく通り抜ける!


ぶすぅ


『あぐっ……!?』
745 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:13:45.48 ID:48dc72V30
魔剣『ちょっと! みんなに当たったらどうするのさ!』

女戦士「当てるわけがない」

魔王「では、そのまま貴様は余の援護をするのだ」

女戦士「了解」

『女! そうよ、その女が魔王様を誘惑してしまった!』

『違いありません……!!』

女戦士の足元から、木の杭の様なものが飛び出す!


女戦士「っ」


女戦士にダメージ!

杭は女戦士の太ももへ突き刺さる!

魔王「おう」

女戦士「……気にしなくていい。馴れている」

魔剣『勇者ちゃん!!』

『魔王様ぁ……さぁ……!』

大量の触手が魔王へ向かう!

『来て!!』

魔王「断る」

魔王は攻撃を回避した!

勢いに任せ、魔物へ跳びかかる!


魔王「死ねッ」


魔王の攻撃!

『あっ、ダメ……!?』


ざくぅっ
746 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:14:52.11 ID:48dc72V30
『う、く……あああああああぁあぁっっっ!?』

魔剣『こいつ、まだまだ体力残ってる! 気をつけてー!』

魔王「何っ?」

『……なんて。……待っていましたわ、魔王様ぁ』

魔物は腹に魔剣が刺さっているにも関わらず、魔王へ手を伸ばした!

魔王「貴様、余にその手で触れるな!」

魔王(刺し込みすぎた…魔剣を上手く抜く事が…)

魔剣『触るなァー! バカバカバカー!』

『やっと……ああ……やっと、この手で魔王様を……』

『私はなんて幸せ者なのでしょう……ああ……!』


〜♪


魔王「うぐっ……!」

魔王は歌を至近距離で聞いたせいで、体が動かせない!

魔王「ま、魔剣よッ……」

魔剣『』

魔剣は機能停止した!

魔王「クソであるッ…!」

『魔王様ぁ……』

女戦士「人の恋路を邪魔するマネはあまりしたくはなかった」

『!』

女戦士は魔物の背後へ回り込んでいた!

『私の歌が効いていないの……?』

女戦士「だが、それは人だからこそ通る道理。魔物に対しては」

女戦士「私は非情だ」

女戦士の攻撃! 会心の一撃!



『ギャアアアアアァアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアァァァァァ』
747 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:18:10.66 ID:48dc72V30
女戦士「今だ。仕留めろ」

魔王「終わりである。真のマゾよ」

深く刺さった魔剣を、横へ薙ぐ!


『か、はっ……』


魔物の体は花と分離した!

巨大な花は急激に枯れてゆく!

魔剣『勇者ちゃん! こいつまだ生きてるよー!』

魔王「痛みは十分楽しめたか。足りぬのならもっとくれてやろう…」

『……』

女戦士「止せ。もうそれで十分」

魔王「貴様に止められる筋合いはないッ」

魔王「よくもまぁ、好き勝手してくれたわ。えぇ?」

『……魔王、さま……私……』

魔王「……言葉を話せる気力もまだあるとはな。化物並みの生命力か!」

女戦士「正真正銘の化物だが」

魔王「余計な事は申さんでいいから」

『好き……愛しています……』

『ずっと、ずっと……たとえ、貴方様に嫌われてしまっても……いつだって……』

魔剣『ねぇ、もうこいつ倒しちゃおうよー? ウジウジってウザい』

魔王「待て」

魔王「……アルラウネ」

『! ……思い出して、いただけたのですね。ふふ』

魔王「今、思い出したのだ」

『待っていましたわ……再び、私の名を呼んで頂ける時を……』
748 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 03:22:29.27 ID:DzeHDjsko
アルラウネたんかわいいよ
749 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:22:42.92 ID:48dc72V30
魔王「名を呼ばれる事がそこまで嬉しいか」

『はい、とても……とても……っ!』

『あ、うっ……ぐっ……』

アルラウネは死掛けながらも、涙を流した。

『嬉しい……嬉しい……!』

女戦士「……驚いた」

女戦士「魔物が泣くとは。初めて見た」

魔王「こやつらにもいらぬ感情が存在するという事である」

魔王「貴様が何故そこまで余に執着しているかはよく分からんがなァ…」

魔王「これは余から与える罰である。貴様は死をもって罪を償うのだ!」

『魔王様の……仰せのままに……』

『……最後に一つだけ、お願いをしても、よろしいでしょうか』

魔王「申してみろ」

魔剣『変な事だったら即効ぶった切るからね!』

女戦士「血も涙もない剣だな。いや、剣だからか」

魔剣『うるさーい!』

『……最後に、これで最後です。私の名を……もう一度……』


魔王「アルラウネ」


魔王「おう、これで十分?」

『あ、ああ……嬉しい……嬉しい……』

『……生まれ変わっても、貴方様のお傍にいたい』

『今度は……魔王様……私、とても綺麗な花へ生まれますね……』

『とても、とても……綺麗な――――――――』



アルラウネを倒した!
750 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:25:36.36 ID:48dc72V30
アルラウネを倒した事により、森に日差しがさした!

魔剣『明るいよー』

魔王「うむゥ……」

魔剣『勇者ちゃん?』

魔王「なーんか、いまいちスカッとしないである」

魔王「この様な奴に時間をかけてしまったのがとても情けない!」

魔剣『今回は結構強敵だったんだし、仕方がないよー』

魔王「余の魔法すら受け付けんかったからな…ムカつくっ…」

女戦士「……」

魔剣『あ、助けてくれてありがとねー! 痴女のお姉さん』

魔王「というか、何故余に助太刀なんぞした。貴様」

女戦士「ここで死なれては困るからな」

魔王「あァん?」

女戦士「たかが魔物如きに、お前が殺されるのは気に食わなかっただけだ。魔王」

女戦士は魔王へ武器を向けた!
751 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:29:43.10 ID:48dc72V30
魔剣『あれれ……もしかして、この人…!』

魔王「刺客という事か。ふん、次から次へと側近の奴はよくも飽きぬなァ!!」

魔王「それでは何か? 今、この場で貴様を始末しろという事か。痴女よー」

女戦士「いや、今日のところは引こう」

女戦士は踵を返すと、森を出ていこうとする。

魔王「待て、貴様ァ」

女戦士「…何か」

魔王「側近が送った刺客ということであれば、貴様も死人か」

女戦士「……どう見える」

女戦士「お前にはこの私がどう見える。生者か、死人か」

魔王「知るか」

女戦士「正直だな」

女戦士「今度こそ、私は去る」

女戦士「いつまでも勇者の真似事ができると思うな」

女戦士は森を去って行った。

魔剣『変なのー。敵なのに助けたりとか、恰好とか?』

魔王「際物しか送りつけてこないのか、側近の奴は…」
752 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sagesaga]:2012/01/01(日) 03:32:58.78 ID:48dc72V30
短いけどこの辺で終わり


あけましておめでとうー
753 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 04:10:00.73 ID:w7Bm2nHSo
おつおつ
754 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 04:30:37.37 ID:Ss9ODg9AO
あけましておめでとうございます
755 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 09:40:38.46 ID:jih27uMIO
おめでと
756 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 11:06:45.97 ID:tOxFotjyo
おめでと乙
女戦士はボインちゃんなのかな!?
757 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 11:29:02.35 ID:2/yPKbsDO
新年早々乙!!おめでとう!!
俺の第六感がぼいんといっている
758 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 12:09:12.35 ID:9yNxJ+rro
あけおめ
759 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage ]:2012/01/01(日) 17:09:15.27 ID:SQ8f9d7i0
痴女つえー!
760 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 17:52:14.08 ID:M3Z3qrE40
謹賀新年
761 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 18:27:47.75 ID:jih27uMIO
これ戦死のあれだろ?
762 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 11:58:02.59 ID:QwgER0WIO
>>761
今すぐ死んで塵になって吹き飛べクズ
763 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage ]:2012/01/02(月) 12:07:32.36 ID:siSXULgh0
なんか知らんがワロタ
764 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 17:19:06.88 ID:+seY26HDO
そうそう変な事言うなよ戦士たんは俺のだからな!

>>1あけましておめでとう今年もまったり頑張ってくれ
765 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage ]:2012/01/02(月) 17:49:38.07 ID:siSXULgh0
側近ちゃんは僕が持っていきますね
766 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 01:27:34.35 ID:elA70UWm0
じゃあ魔剣ちゃんは僕が持って行きますね
767 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 04:04:37.34 ID:K7TOLs1Vo
>>765.766 それ盗賊
768 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 18:34:11.13 ID:XhLE1INH0
じゃあ魔王父はもらっていきますね
769 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 19:08:13.95 ID:EGOLvas70
魔王父の穴子臭がやばい
770 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:17:46.45 ID:xQyZ0YqS0
盗賊「森に日差しがさした途端、道がよく見えるようになったな……?」

戦士「魔物が故意に人を迷わせる為の暗闇だったんだろうなぁ」

戦士「それより勇者殿ー……今回も大変申し訳なかったっス……」

魔王「全くである。まぁ? 貴様らがおっても足を引っ張っていたに違いないがー?」

僧侶「うっ」

魔剣『でもでも、ぶっちゃけ今回の奴はみんなとのレベル差すごく開いてたのー』

盗賊「ヤバいのか」

魔剣『生きて帰ってこれたのが奇跡だよ!』

盗賊「……マジか」

戦士「あぁー! つまり!!」

戦士「もっと俺らは強くならなきゃいけない! そういう事っスね!?」

魔王「何故だ」

僧侶「こ、このままでは私たち……お役に立つかわかりませんからね」

魔王「ふん、貴様ら。強さとはな、時間をかけてコツコツ積み重ねてゆくものよ」

魔王「それが強くなりたい? 特訓しよう? 阿呆。すぐに強くなれるわけがないである」

戦士「……」

僧侶「なんだか、勇者様っぽくない発言ですねっ……」

戦士「だが、勇者殿の言っている事は正しい」

戦士「それでも俺たちはあなたの役に立ちたいんス! 勇者殿ォー!」

僧侶「お願いします! 私たちをどうか鍛えてください!」

魔王「えぇ…」

盗賊「……まずはこの森から出る事が優先だろうが」
771 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:18:49.27 ID:xQyZ0YqS0
すたすたすた


僧侶「強さ……強さとは一体……」

戦士「形には現せられない何かだと俺は思うな」

魔剣『僕はそれが形に出ちゃってるけどねぇ』

盗賊「そういった風にお前は作られたんだからな…」

僧侶「こういった事、深く考えるのこれが初めてです。私」

魔王「強さとはー、複雑な物として扱うものではない」

僧侶「はっ! と仰いますと!」

盗賊「メモ帳?」

魔王「それは実に単純な物だ。強さとは自身の力である。そして、己自身よ」

僧侶「つ、つまり! 強さとは己のアイデンティティーにもなり得ると!」

魔王「あい…? 何であるかそれ」

戦士「横道それる必要ないですぜ! 続きをどうぞ」

盗賊「すっかり、勇者様講座だな。俺は遠慮しとくぜ…」

僧侶「そんな、盗賊さんも聞いておきましょう。きっとこれからに役立つ筈ですよ」

魔王(こやつら非常にウザい…)

魔王「よいか、この様な話を聞いたところで貴様らには何の力も加算されん!」

魔王「つまり無駄である。大体、貴様らがどれ程強くなろうと余には敵わんわッ」

盗賊「おい、そいつは聞き捨てならんぜ……!」

魔王「あァ?」
772 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:19:29.78 ID:xQyZ0YqS0
盗賊「大体、強くなりたければ俺たちはすぐにでも鍛えて、レベル上げればいいだけだぜ」

盗賊「だいたい俺らの強さはレベルとステータスで形に残るだろ」

盗賊「勇者が言ってる事が正しいとは思えねぇな」

戦士「盗賊! マジか…」

魔剣『ちなみに、みんなの今のレベルは?』

戦士「……お、俺途中からレベル数えるの面倒で何も知らないや」

盗賊「おい」

戦士「いや、だってー! 最近じゃレベル上がってるのかすらわからないんだぞー?」

魔王「あの音が鳴ってないからのぅ。言われるまですっかり忘れておったわ…」

魔剣『じゃあじゃあー! 僕がみんなのレベル見てあげるね!』

僧侶「え、魔剣ちゃんわかるの?」

魔剣『わかるよー。すごいっしょ』

僧侶「すごい! …地味に!」

魔王「魔剣よ、貴様はあとどのくらい機能を隠しておるのだ」

魔剣『内緒!』

魔王「まぁ、どうせ大した事なさそうである!」

盗賊「今まででとんでもないぐらいなのに、大した事ないってか……く、くくっ」

戦士「魔剣ちゃん、俺何レベ? 何レベ?」

魔剣『解析中〜……』

戦士「わくわく、そわそわ」

魔剣『戦士ちゃん。レベル14』

盗賊「……普通だな」

戦士「えー……」
773 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:20:12.12 ID:xQyZ0YqS0
僧侶「つ、次は私を!」

魔剣『はいはぁーい。えっと』

魔剣『僧侶ちゃん。レベル11』

僧侶「え、どうして…!?」

盗賊「安心するんだぜ。そ、僧侶は俺が」

僧侶「しゅん……」

魔王「貴様ら弱過ぎ!」

戦士・僧侶「い、言わないでください……」

魔剣『もっとみんな頑張らなきゃ! がんばー』

盗賊「……」

魔王「何故貴様らのレベルが低いか。簡単である」

魔王「ボスクラスは殆ど余が仕留めているから」

僧侶「あ!!」

戦士「おぉ、言われてみれば確かにっ」

盗賊「……」

魔剣『勇者ちゃんも見たげる〜』

魔王「見るなウンコ」

盗賊「おい、俺は」

魔剣『おおっ、盗賊ちゃん興味あり気?』

盗賊「煽るな。この流れなら誰だって気になるぜ…」

盗賊(これでも俺はボス級の敵を相手しまくってるんだ)

盗賊(僅かでも、戦士よりは差がついている筈!)

魔剣『解析中〜』
774 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:20:52.87 ID:xQyZ0YqS0
盗賊「そわそわだぜ」

魔剣『盗賊ちゃん』

盗賊「……来いっ」

魔剣『レベル18』


盗賊「キタァーーーーーー!!」


戦士「マジで!?」

僧侶「私たちレベルが斑すぎませんか!?」

魔剣『よかったね、盗賊ちゃん!』

盗賊「うっし! うっし!」

僧侶「盗賊さんどうして! あなた、私たちの中では死亡率高じゃないですかぁ!」

戦士「そうだそうだー!」

盗賊「えっ、微妙に貶されてる…」

魔王「おそらくは余のお零れであろうなァ」

魔剣『お零れ?』

魔王「魔法使いを討ったであろう。あやつが盗賊よりも相当強かったというわけである」

盗賊「くっくっくっ……お零れでも何でも」

盗賊「俺はパーティ中(魔王を除いて)で最強という事だぜ……(笑)」

戦士「うがぁー! なんか納得いかないっス!」

僧侶「く、悔しい……!」

盗賊「くくくっーwwwwww 精々悔しがってろだぜーwwwwww」

魔王「盗賊、今までで一番調子に乗っておるな」

魔剣『キモーい』
775 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:21:40.84 ID:xQyZ0YqS0
森の外


盗賊「っく、くくく! 森を抜けたぁ…!」

戦士「言わんでもわかりますぅー。盗賊さんちょっと調子乗り過ぎですぅー」

僧侶「それ、私のマネですかね……!?」

魔王「で、目的地は何処にあるよ」

戦士「ここから少し歩けば町が見える筈っス。まずはそこに」ムス

魔王「戦士よ、何をむくれておるか?」

戦士「だってー!」

盗賊「ひがめひがめ……くくっ」

戦士「アレ! アレがムカつくんですよー!」

僧侶「ですが、私たちのレベルが低いのがいけないんですし」

魔剣『2人も頑張ってレベル上げたらいいんだよー』

戦士・僧侶「」ぴくっ

魔王「魔剣、余計な事は…」

魔剣『えー、でも魔物倒しまくれば経験値なんて簡単に溜まるでしょ?』

僧侶「勇者様!」

魔王「……」

僧侶「ちょっと魔物倒しませんか!」

魔王「断る!」

戦士「俺も僧侶ちゃんに賛成っス!!」

戦士「いいじゃないっスか! どうせ町に行ったら宿っスよ」

戦士「回復する前に、ね!」

僧侶「はいっ」

魔王「おら、面倒な事になりおったわッ!!」ぺちぺち

魔剣『ひぃーんっ!』

盗賊「むふふぅ……www」によによ
776 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:22:24.94 ID:xQyZ0YqS0
魔王「余はもう疲れたの! 寄り道嫌である!」

戦士「そんな事言わずにー!」

僧侶「あ、いましたよ。経験値(魔物)です!」

魔王「貴様は魔物を何だと思っておる…」

盗賊「まぁ、少しぐらいいいんじゃねぇか」

盗賊「頑張らせてやろうぜ……www」

魔剣『盗賊ちゃん煽っちゃダメー!』

戦士「」ぷつんっ

戦士「ウガァアアアアアァァァーーーーーー!!」

戦士は道端に佇んでいる魔物へ襲いかかった!

魔物『ギャアー!? 顔怖いー!』

戦士「お前は俺の強さの糧となれぇー!!」

僧侶「させませんっ」

僧侶は素早さ低下の呪文を戦士へ唱えた!

戦士「んぐっ……!」

僧侶「わ、私が……あの魔物倒しますから……戦士さんは…ね?」

戦士「僧侶ちゃん卑怯じゃね!?」

僧侶「アレを最初に見つけたのは私ですからー!」

僧侶の攻撃!

しかし、攻撃は外れた!

戦士「やーいやーいwww 攻撃スカッてやんのーwwwwww」

僧侶「ぐぬぬぅっ……!」

魔王「……しーらないである」

盗賊「僧侶、ちゃん……?」
777 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:23:23.67 ID:xQyZ0YqS0
魔物「ひゃー!」

魔物は逃げだした!

僧侶「あっ……そんなぁ…」

戦士「僧侶ちゃんが下手な事するからー!」

僧侶「せ、戦士さんが怖い顔してるのがイケなかったんですよ…!」

戦士「ちくしょう、これ生まれ付きなんだよっ…」

盗賊「お、お前ら少し落ち着けよ……?」

戦士「黙ってろよ!」僧侶「黙っててください!」

盗賊「うぐっ」

盗賊「ゆ、勇者! こいつらどうにかしろ…!」

魔王「知らんと申したぞ。知らんったら知らんから」

盗賊「おいおい……」

魔王「余は先に町へ入る。行くぞ、魔剣」

魔剣『置いてっちゃっていいのー?』

魔王「だってあやつらが勝手に暴走してるんだもん。余は関係ないもん」

魔剣『じゃあ…仕方がないよねぇ』

魔剣『盗賊ちゃん! 後は任せた!』

盗賊「ウソだろっ!?」

僧侶「きゃんっ」

僧侶は魔物に殺されてしまった!

戦士「僧侶ちゃーんっ!!」

盗賊「ウソだろぉっ……!!」
778 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:24:17.47 ID:xQyZ0YqS0
盗賊「肉ダルマてめぇ、どうして僧侶を助けなかったんだぜ!?」

戦士「だ、だって僧侶ちゃんが勝手に魔物に跳びかかっていったから…」

戦士「ていうかここら辺の魔物、急に強くなってきてないか」

盗賊「お前らのレベルが低いんだよっ……!」

戦士「……しゅん」

僧侶「†」

盗賊(とにかく、僧侶ちゃんを早く教会へ連れていかなくては)

ずり、ずりずり・・・

戦士「僧侶ちゃんは任せたぜ!」

盗賊「任せたって、お前……まさか」

戦士「俺は経験値を溜める為に」

盗賊「却下だぜ…! 既に勇者たちは町へ行ったんだぞ」

戦士「え……置いてけぼりくらったの……?」

戦士「い、行こう! 勇者殿を1人にさせるわけにはいかん!」

盗賊「どうしてこいつの原動力は勇者なんだよ……」


ずりずりずり


盗賊「僧侶、無茶しやがって……」

戦士「ちょっとハリキリ過ぎたよな、俺ら」

盗賊「とち狂ったかと思ったぜ…」

戦士「マジか」
779 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:25:12.18 ID:xQyZ0YqS0
賑やかな町


チャンチャカチャンチャカ♪

魔王「何やら町が騒がしいが」

魔剣『お祭りじゃない?』

魔王「祭りとな? 何のである?」

魔剣『そんなの僕が知ってると思うー?』

魔剣『あ! …ねぇねぇ、勇者ちゃん! せっかく2人っきりなんだからさー!』

魔王「ダメ」

魔剣『まだ何も言ってなぁーい!!』

魔剣『デートしようよ、魔王ちゃん!』

魔王「あァ!?」

魔王「……貴様分かっておるであろうな。ただでさえ、言葉を語る剣は奇怪だというに」

魔王「それが余を魔王と呼んでおる。ふざけるでないぞ!」

魔剣『でもでもぉ〜…2人っきりのときは本当の名前で呼びたいしぃ…』

魔王「もう一度捨てられなければ理解せぬのか貴様ァ!!」

魔剣『怒鳴っちゃ嫌だよぉっー!』

「……ゆ、勇者。あんた何1人で喋ってるのよー!」

魔王「次は何じゃクソっ垂れェー!!」ぐわっ

武闘家「ひゃあぁー!?」

魔王「……あァん?」

武闘家「」プルプルプル

魔剣『お子様ー?』

魔王「おう、このガキは何であるか」
780 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:26:01.33 ID:xQyZ0YqS0
魔王「余に何の用だ。ガキよ」

武闘家「えっ」

武闘家「ちょ、ちょっと待ってよ! 私の事忘れちゃったのー!?」

魔王「忘れる前に知らんわ」

武闘家「バカでしょ! 勇者あんた、さてはバカねー!」

魔王「殺す」

魔王は武闘家の顔をむんずと掴んだ!

武闘家「むぐぅっ!?」

魔剣『人殺すなら僕を使ってよ〜!!』

魔王「町中で貴様を使えば目立つわ阿呆。おう、ガキよ」

魔王「余を愚弄すれば、死が待っておるのだと身を持って知るが良い!」

武闘家「むぐぐぅ〜!?」

「あ、こんな所にいた!」

魔王「……あ?」
781 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:26:50.43 ID:xQyZ0YqS0
「ちょっと何やってるんだよ。もうすぐ試合が始まるんだよ?」

魔王「貴様、何を申しておるのだ」

武闘家「ぶぐぐぅー! ふぐぅー!」

「おお、その子が君の相方かい。何だ、ちゃんと見つかったんだな、よかった」

魔剣『ちょっと話の流れわかんないんですけど』

魔王「余もだ」

魔王「貴様ァ、分かるように説明しろ。さっぱりである」

「……ボケてんのか? 今日は闘技場で君の試合があるんだろうが」

魔王「闘技場?」

魔剣『勇者ちゃんが、試合ー?』

武闘家「ふんぐぅ〜!! ぐぶぶぅー!」

「ていうか、何やってんのさ……相方いじめちゃダメだろー!」

魔王「だってこのガキが!」

「もういいから。ほら、闘技場へ急いだ! 急いだ!」

ずりずりずり

魔王「貴様ァー!? 離せ、離すのだー! 余を何処へ連れていく気かぁー!」

「無駄口叩かない。逃げようったってそうはいかないんだからね」

魔剣『勇者ちゃんー!』

魔王「こやつ力強すぎであるッ……」

武闘家「むぐぐっ……」

魔王と武闘家は男へ連れ去られてしまった!
782 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:27:56.33 ID:xQyZ0YqS0
闘技場・控室


「さ、次が出番だからね! 今回は頑張ってくれよ。期待してるから!」

がちゃり

魔王「何なのである……」

魔王(というか、何故人間如きに余が力で勝てなかったのだ…)

武闘家「それはこっちの台詞よー!」

武闘家「私は関係ないでしょ。ここから出してー!」

『無理だよ。またそう言って逃げだす気なんだろ』

武闘家「ワケわかんないのよ! コンチクショー!」どかんどかん

魔剣『僕達どうなっちゃうの?』

魔王「知るかッ」

武闘家「け、剣が喋った…?」

武闘家「……もしかして、さっきは1人で喋ってたんじゃなくて」

魔剣『剣が喋ったら悪いの? 文句あるかぁ』

武闘家「」ぶんぶん

武闘家「むしろ超カッコいいんですけどぉー!」キラキラ

魔王「目が輝いておる…キモい…」

武闘家「ねぇ、勇者! これ触っていい!?」

魔王「ぶっ倒れても良いならな。後の事は知らんぞ」

武闘家「どういう事?」

『おい、そろそろ出番だぞー。準備してくれー』

魔王「だから何の支度であるか……」
783 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:28:44.86 ID:xQyZ0YqS0
武闘家「そもそも勇者! あんたが変な事したからこんな事になっちゃったんでしょ」

魔王「余が何かしたか? してないわッ阿呆がァ!!」

魔王「余は帰るぞ、出さんかオラァ!!」どかんどかん

『無駄だ無駄ー! 諦めて準備しときなよー』

魔王「はぁ、はぁ……な、何故……」

魔王(何故この扉びくともせんッ)

武闘家「……諦めた方が良さそうねー。この私でも打ち抜けなかったのよ、それ」

武闘家「それが勇者如きに壊せるわけないでしょ!」

魔王「マジ殺すであるぞ、貴様…」

武闘家「ひぃっ、ごめんなさい! ごめんなさい!」

魔王「ったく…」

魔剣『勇者ちゃん、勇者ちゃん』

魔王「あ?」

魔剣『僕を使えばいいんだよー!』

魔王「…おおぉ」

魔王は魔剣を鞘から抜いた。

魔王「余は何故この様な簡単な事に気づかなかったか!」

武闘家「な、何する気よ……!」

魔王「こう、するのだ!!」

魔王は扉を切――――


ふらり・・・


魔王「あ……?」
784 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:29:57.88 ID:xQyZ0YqS0
魔王「……な、何であるかコレ」

魔王(頭がフワフワ、体がフラフラ)


魔王「」よたよた


魔剣『ゆ、勇者ちゃん…?』

武闘家「ちょっと、何かあんたフラフラしてる!」

魔王「ん、むぅ……」

魔王はその場で尻もちをついてしまった。

魔剣『勇者ちゃん大丈夫!?』

魔王「……んぐぐ」

武闘家「ちょっと、顔色もあんま良くない感じなんですけど」

魔王(頭ボーっとするである)

魔王「体、熱い……」

『おい、試合だぞー! そろそろ頼むよー!』

扉が開いた。

武闘家「そ、そんな場合じゃないのー! こっちは勇者の調子が」

『いや、そんな事言われてもな。ほらほら、さっさと行った!』

武闘家「もうっ、わからず屋のバカー!」

魔王「はぁ、はぁ……」

魔剣『勇者ちゃん。僕を支えにして立ってて大丈夫だからねぇ…』

魔王「げほっ! ごほっ!」

魔王「んぐぅ〜…」

『ほら、ここから入ればすぐにステージだからね。んじゃ、ファイト〜』

武闘家「もぉー! 何なのよー!」

魔王「……けほっ」
785 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/03(火) 20:32:51.30 ID:xQyZ0YqS0
ここまでです。続きは未定

3DS楽しいよ。でも目が疲れるよ
閃乱カグラのおかげで大きいおっぱいに目覚めそう
786 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 20:37:23.37 ID:CY0LVOiPo
夜にやるとは
787 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 20:42:33.46 ID:2R5CzRDj0
この時間に来るとは思わなかった乙
デカ乳キャラ登場フラグか!
788 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 21:03:38.60 ID:bLu2r4K8o

飛鳥ちゃん可愛いよモフモフしたいよ!!
789 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:45:35.58 ID:iYkYeLzDO
来てた乙
790 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:31:54.18 ID:hPq+Cshx0
僧侶「申し訳ありませんでしたっ」←無事復活

盗賊「次からは気をつけてくれ…」

僧侶「はい……ところで、勇者様と魔剣ちゃんは?」

戦士「探してるんだけど、何処にもいねぇんだ……」

戦士「こんな人ゴミの中迷子になっただなんてマズいぞ。盗賊!」

盗賊「バカか、ガキじゃねぇんだし」

戦士「俺は心配なんだよ!!」

戦士「……誘拐されちゃいないだろうなぁ」

僧侶「あははは、そんなまさか」

僧侶「きっと既に宿へ入られているんですよ。だから町の中に…」

戦士「宿行って聞いてみたら、そんな奴知らんって」

僧侶「あれれ……?」

盗賊「……もしかするとだが」

盗賊「アイツ、闘技場にいるんじゃねぇか」

僧侶「闘技場で何を? まさか、コロシアムに参加してるだなんて無いですよね」

盗賊「余はこの様なくだらんお遊びには付き合わん、とか言うような奴だぜ。ありえねぇ」

戦士「でも、物珍しさが勝って参加してたりするかもだ。勇者殿だし」

僧侶「では試しに探してみますか? 闘技場」

盗賊「面倒臭ェ……」
791 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:32:50.92 ID:hPq+Cshx0
わっ〜〜〜〜〜〜!!! きゃあきゃあーーーーーーー!!!


武闘家「きゃっ、もしかして私注目されてるの? いえぇーいっ」

魔王「ウザい…頭が割れる…」

魔剣『勇者ちゃぁん、しっかりして〜……』

『さぁ、次のタッグの登場ぉ〜〜〜!!』

『今年のコロシアムマッチも大変盛り上がっているところー、連戦覇者の怪物へ挑むのはこの2人、ザ・ルーキー!』

『見たところ、容姿だけでもう凸凹コンビってとこですかね(笑)』

武闘家「あ、バカにすんなー!?」


ぶぅー! ぶぅー!


魔王「げほんっ…豚か?」

武闘家「ブーイングされてんの! 完っ全に舐められてるわ!」

魔王「ワケ分からん……」


どしん、どしん


おおぉ〜〜〜〜!? おおぉ〜〜〜〜!!?


『さぁ、出てきた。今宵も彼らは哀れな子羊を天へ滅する事になるのかぁー!』

『神の処刑人、男僧侶&地獄の番犬、狂戦士〜!!!』


わきゃきゃ〜〜〜〜〜!!!


狂戦士「ふーっ、ふーっ……!」

男僧侶「おー、よしよしよし〜〜〜…まぁだ暴れちゃメっ、よ?」

狂戦士「ふぎゅぎゅ…っ!!」

武闘家「……あ、アレ絶対人間じゃないでしょ!? インチキー!」

男僧侶「失礼しちゃうわね。んもぅ」

魔王「……」
792 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:34:28.45 ID:hPq+Cshx0
『さぁ、両者ともに睨みあってるー……』

『運命の時です! ファイッッッ!!!』カァン


わあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!


魔剣『勇者ちゃん! 動いて! 来るよ!?』

魔王「んぐ……」ゆらり

狂戦士「フォオオオオオオオオオォォォォォーーーーーーーー!」

狂戦士は雄叫びを上げた! 武闘家は怯んで動けない!

武闘家「ひっ…!」

男僧侶「敵の動きを固めた今! ここがチャンスよ!」

男僧侶は攻撃力上昇の呪文を狂戦士へ唱えた!

男僧侶は素早さ上昇の呪文を狂戦士へ唱えた!

男僧侶はry

『こーれはぁ! 重ねに重ねて、ステータスUP! まだまだ重ねるぅ…まだまだ…まだいくか!?』

武闘家「ま、マズイわ」

武闘家「ちょっと勇者! あんたもさっさと行動しなさいよー!」

魔王「ごほんっ、けほけほ……あやつらを、ボコれば良いのか」

魔剣『そだよー!』

男僧侶「無駄無駄ァー。私たちを傷つける前にこの子が倒しちゃうもの」

狂戦士「ォォォォオオオオオオオオオ…!」

狂戦士は獣のように荒ぶり、襲いかかってきた!

男僧侶「やーっておしまい!」

武闘家「何よ、ただのドーピング男じゃないっ…!」

武闘家は狂戦士の横を抜け、男僧侶へ向かう!
793 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:35:27.08 ID:hPq+Cshx0
武闘家「あちょ〜!」

武闘家の攻撃!

『小柄な体から繰り出す華麗な蹴り技! どうだ!』

狂戦士「ンバァアアン!!」

武闘家「えっ」

狂戦士は素早い動きで男僧侶の元へ駆けつけると、武闘家の攻撃をガードした!

武闘家(何よっ、こいつ滅茶苦茶硬いわ……!)

『凌いだァー!! その巨体のどこからその速さは生まれるのか!?』

魔剣『能力強化したんだからあんなの当たり前だよー!』

魔王「」ブツブツ

男僧侶「ん〜〜〜〜フゥ〜〜〜……いい子。いい子ねェ〜〜〜〜」

狂戦士「ォォォオオオオオゥ」

『コンビの仲は最高! 2人は仲良しベストパートナーだ!』

『一方でルーキーコンビは最悪ぅ。片方動いてないぞ、どうしたー?』

魔王「」ブツブツ

武闘家「そうよ! あんたもちょっとは手伝ってよー!」

男僧侶「よそ見はダメよぉ」

武闘家「!」

狂戦士は武闘家を片手で掴み、ギュウギュウと締めつけてきた!

狂戦士「ゲ、ヘヘ」

武闘家「あぐぅっ……うあっ…!?」

『おっと、少女が拘束されたぁー! いいのか、相方が大ピンチ!』

魔剣『勇者ちゃん放っておいていいのー?』

魔王「ごほっ、ごほ……」ブツブツ

魔剣『勇者ちゃん?』
794 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:37:14.91 ID:hPq+Cshx0
魔王「纏めて葬ってくれる…」

魔王を中心に冷気が拡散していく!

魔剣『何々ー!? 勇者ちゃん何したのー!』

『おぉ、何やら様子がおかしいぞ。これは魔法でしょうか? 急に冷えてきたぁ』

武闘家「わ…私もいるの、よ……! 巻き込む気なのっ……!?」

魔王「……」

『何だ何だ! 仲間割れが起きたのか!?』

男僧侶「……嫌な予感がするわ。私の可愛い狂戦士ちゃん! やっちゃって〜!」

狂戦士「フンゴッ」

狂戦士は武闘家を掴んだまま、魔王へ突撃していった!

『狂戦士一気にいくかぁー!?』

魔王「……けほっ」

狂戦士「フゴオオオオォォー!!」

狂戦士の攻撃!

『拳が振り下ろされるゥーーーー!!! ……おや?』

狂戦士「ンゴ? ンゴゴ…!?」

魔王へ攻撃が当たる寸前、狂戦士が振り下ろした拳が凍りつき始めた!

拳から腕へ、体、足、頭と順々に凍っていき、遂にはただの氷像と化してしまった!

『なぁんですかコレはー!?』


狂戦士「」武闘家「」かちこちかちこち


魔王「ごほっ、げほっ! …邪魔である」

魔王が氷像へ息を吹きかけると、氷象は粉々になって壊れてしまった!

『えぇー!!』

魔王「……残るは、1人」
795 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:38:57.56 ID:hPq+Cshx0
男僧侶「狂戦士ちゃあぁーーーーんっ!!?」

男僧侶「ていうかアンタ、どうして仲間まで殺したのよ!?」

魔王「仲間? あのガキがか?」

魔王「ワケの分からん事を申すなよ…」

魔剣の刃を床に引きずる様にして、魔王は男僧侶へゆっくりと向かう!

ガリガリガリ・・・

男僧侶「ひぃー! 無理無理無理ィー!!」

魔王「ごほっ、げふっ…」ふらふら

『……唖然としちゃって私声が出ないの』

男僧侶「は、早く助けなさい! 殺されちゃうでしょうが!?」

『試合内での殺人行為は認められています…アフターケアもあるからご安心を…!』

男僧侶「ウソでしょ!?」

魔王「……ふん」

魔剣『勇者ちゃん様子おかしいー!』

魔王「余は今気分が悪い……横になりたいのだ、早く……」

男僧侶「降参! 降参よぉっ! だから、ね…?」

『降参は……認められないッ』

男僧侶「あ、ああ……!?」

魔王「覚悟はよいか、げほっ!!」

魔剣『OK! ひゃっはァ〜〜〜!! 殺せ殺せ殺せェー!!』

魔王の攻撃! 魔剣の口が開き、男僧侶へ噛り付いた!

男僧侶「アギャッーーーーー!!?」
796 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:40:16.13 ID:hPq+Cshx0
ざわざわ・・・ざわざわ・・・


『な、何だこれはー……剣が人を食べてるぞー……えぇ…』

男僧侶「」ビクン

魔剣『むしゃむしゃむしゃっ、がぶ、はむぅっ! …うま、うま!』

魔王「……」

「あれ、人間がやる事かよ」「ちょっとやばくない…?」「おえぇ」

「ていうか剣喋ってるよな!?」「さっきの魔法とか何だよ」

『私が説明してもらいたいくらいだぁ……』

魔王「あ、う……」

ばたり

魔王は倒れてしまった。

魔剣『あ、あれ…? ちょっと勇者ちゃん!? 大丈夫!?』

『ルーキー惨殺の途中で急に倒れた! 一体何が起きているというんだ!?』


しゅたっ


盗賊「ったく、世話が焼けるぜ……!」

魔剣『盗賊ちゃん!』

盗賊は魔王を抱えると、その場から即離脱した。

『……何がなんだかぁ』
797 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:41:04.69 ID:hPq+Cshx0
闘技場外


しゅたっ

盗賊「……ふぅ」

戦士「勇者殿!」

魔王「ん〜…」

魔剣『みんな! 勇者ちゃんが何か変なの!』

盗賊「変なのはいつもの事だが……どうやら熱があるみたいだぜ」

僧侶「熱? 勇者様、少しすみません」

僧侶は魔王の首筋に手を当てた。

僧侶「……熱っ!?」

僧侶「何ですかこれは! 異常なほど熱いですよ」

戦士「死んじゃ嫌だ、勇者殿ォー!!」

戦士はわんわん泣きわめいた。

魔王「はぁ、はぁ……!」

魔剣『どどど、どうしたらいいの!? 僕わかんない!』

盗賊「……とにかく、宿へ運んで医者を呼んだ方が」

盗賊(待てよ、魔族のこいつを普通の医者なんかに見せて平気か?)

盗賊「とりあえず、宿へ……」

僧侶「ですねっ」

戦士「ぐすんっ……!」

魔王「うむぅ〜…」
798 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:42:00.28 ID:hPq+Cshx0
宿屋


僧侶「主さんからお水とタオル貰ってきました」

僧侶「勇者様のご様子はいかがですか…?」

戦士「全然熱が下がらないんだ! このままでは死んでしまう!」

魔剣『死んじゃ嫌ぁー!!』

盗賊「勝手に決め付けるんじゃねぇよ。ただの風邪かもしれないぜ」

僧侶「……最近はろくに休憩も取れませんでしたもんね」

僧侶「私がすぐに気づいていればこんなことには」

盗賊「僧侶だけが悪いんじゃねぇ……」

魔王「う、ぐ、ぐうっ…」

戦士「勇者殿!」

魔王「甘い物が…食べたい……」

戦士「買ってくるっス! すぐに買ってきますからねー!?」

戦士は部屋を急いで出ていった!

僧侶「もう少し様子を見た方がいいか、お医者様をお呼びした方がいいか」

僧侶「……悩みますね」

盗賊「こいつの事だぜ。この程度、すぐに直すだろ」

魔剣『うえぇ〜んっ…』

魔王「プリンがいいである、けほっ……」
799 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:43:33.93 ID:hPq+Cshx0
コンコン


僧侶「お客さん? はい…?」ガチャリ

「失礼。私、今回のコロシアムの係の者でして」

盗賊「……こいつを連れ戻しに来たとか言わねぇだろうな」

僧侶「あの、今彼は病に冒されていまして…」

「病? それはご愁傷様で。それで、あのですね…よっこらせ」

係の男は泣き疲れて睡眠中の武闘家を渡してきた。

「この子をお忘れになっていった様ですのて。あ、しっかり蘇らせておきましたから」

武闘家「すー…すー…」

僧侶「この子は確か」

盗賊「生憎だが、そのガキは俺らのじゃねぇぜ」

「えぇ? ですけど……」

僧侶「いいじゃないですか。とりあえず、そちらの空いたベッドへ寝かせておいて下さい」

「ん、あぁ」

武闘家「むにゃ…」

盗賊「おい、いいのか? 曲りなりにも、こいつは勇者の命を」

僧侶「ですけど、まだ子どもですし。ね?」

「それから、まだ少し話があるんですがね」

盗賊「……言ってみな」

「そこの方が殺してしまった男僧侶。蘇らないんです」

「肉塊は多少残っていたから、大丈夫かと思っていたんですけどねぇ」

僧侶「殺したって!?」

盗賊(……魔剣で殺した影響か?)

盗賊「それで、何か要求があるなら言ってくれ」

「本大会では死者を出しても構わないというルールでした。アフターケアもありますし」

「ですがね、これでは……単刀直入に申してしまいますと、そこの彼を捕まえにきました」

盗賊「マジで単刀直入だな」

僧侶「だ、ダメですよ! 今は……!」

「そう仰られましてもねぇ」

魔王「んぐぅ……」
800 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:44:43.00 ID:hPq+Cshx0
僧侶「そこを如何にかなりませんか?」

「ちょっとねぇ…」

僧侶「……わかりました。代わりに私が」

盗賊「止せっ……!」

盗賊「大体、何故こいつがあんな大会に出ていた? こいつは好んでそんな物に参加しないぜ」

「あー……それが、何やら係の者の手違いがあったみたいで」

僧侶「どういうことですか!」

「間違って、連れてきてしまった様です」

盗賊「間違いならこいつがしでかした事もチャラになってもいい筈だが……?」

「あ、それとこれとは別ですよ。むしろ選手じゃないのに人殺しちゃったし」

「とにかくすぐにでも連れて来いと上の方から言われてます。いいですね?」

僧侶「いいわけないでしょう!?」

僧侶「勇者様は正当防衛をしたまでです! …少し過剰過ぎたかもですけど」

僧侶「とにかく、お渡しできませんから」

「……弱ったなぁ」

「ていうか今、勇者様と言いました? もしかして?」

僧侶「あっ」

「勇者様があんな事しでかしちゃったんですかー? やばいっスよー……」

「ちょっとこれ上に言うだけじゃ済みそうにないですわ。私はこれを王へ報告――――」


盗賊の攻撃!


「うぐっ……!?」

僧侶「ひっ!?」
801 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:46:49.11 ID:hPq+Cshx0
盗賊は男を殺してしまった!


魔剣『あーあ、盗賊ちゃんやっちゃったね!』

盗賊「……」

僧侶「と、盗賊さん! 何も殺す事はなかったのでは…っ」

盗賊「…よ、余計な事が知れ渡ったら面倒になる。なら、ここで芽は摘んでおいたほうがいいぜ……」

盗賊は死体をベッドの下へ隠した。

盗賊「俺が後で何処かへ埋めておく…」

盗賊「すぐにこの宿、いや町を出た方が良さ気だぜ」

僧侶「で、ですけど勇者様が!」

盗賊「戦士が来たら、背負わせてすぐに出ていくんだ」

盗賊「……チッ、俺とした事が!!」

魔王「んぐぐぅ〜……」

戦士「ただいま帰りましたぜ、勇者殿〜!!」

戦士「さぁ、さぁ! 甘い物どれがいいっスか!? ゼリー? チョコ?」

魔王「プリン……」

戦士「えっ……」

盗賊「おい、肉ダルマ。すぐにこの宿を出るぜ…」

戦士「はっ? 何でよ?」

盗賊「り、理由は今は言えん……とにかく」

僧侶「待ってください! この子はどうするんです…?」

武闘家「すやすや」

魔剣『別に関係ないんだし、置いてけばいいんじゃないの?』

僧侶「……一応、連れて行きましょうか」
802 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:48:10.04 ID:hPq+Cshx0
町の外


戦士「盗賊、お前ばっかじゃねぇーの!?」

盗賊「……うるせぇ」

戦士「このままじゃ俺らお尋ね者になっちまうだろうが!」

僧侶「えぇ…」


ざっく、ざっく・・・


盗賊は男を土の中へ埋めた。

盗賊「……やっちまったモンは仕方がねぇ。俺が全部背負うぜ」

魔剣『盗賊ちゃんカッコいい事言ってるけど』

魔剣『僕達にも全部罪が飛んでくるんだよー?』

盗賊「うぐっ…」

戦士「まぁ、もう遅いからどうしようもない……」

戦士「とにかく、勇者殿を休ませられる場所を見つけなければ」

僧侶「あの町以外でこの辺りに休める場所なんてありますか……?」

戦士「うぅーん……」

盗賊「……」

盗賊「あるには、ある」

僧侶「本当ですか? 盗賊さんっ」

盗賊「…ここから西へ進むと小さな町があってな」

盗賊「…………俺の実家がそこにある」
803 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:49:49.12 ID:hPq+Cshx0
僧侶「盗賊さんの実家?」

戦士「お前、この辺りの出身だったのか」

戦士「とにかく休めるならそこへ進もうぜ。このままだと、勇者殿のお体に触っちまう…」

盗賊「あ、ああ……」

盗賊「……ぅぅ」

僧侶「盗賊さん? どうしました、行きましょう」

盗賊「そう、だな」

武闘家「……むにゃ」

僧侶「この位の子どもって、まだこんなに軽かったんですね。ふふ」

魔剣『僧侶ちゃんお母さんみたいだよぉ』

僧侶「私、まだそんな歳じゃないからね!?」

戦士「勇者殿がまた熱くなってきた……勇者殿ぉ」

魔王「汗臭い……」

戦士「風呂入ってませんから! すみませんね、勇者殿っ……!」

魔王「ふぐっ…」

盗賊(実家か)

盗賊(まさかこんな形で帰るなんて思っても見なかった)

盗賊「アイツは元気にしてるだろうか…」
804 :以下、あけまして [sagesaga]:2012/01/05(木) 00:54:27.96 ID:hPq+Cshx0
以上です。明日の夜に更新予定あり

で、次の更新以降、用事ありまして来週の木、金曜辺りまで続きを投下できそうにないです
いつも待っていただいてる皆さんに申し訳ない

その分、明日は一杯投下できたらいいなって
805 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 01:04:48.83 ID:CmOROcwDO
乙!
お尋ねものになってしまったがさてどうなることやら
楽しみにしてる
だが無理はするなよ
806 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 01:19:35.11 ID:kLMI/7110
あれ、弱ってる魔王めちゃくちゃ可愛い・・・

乙だよ!
無理しないで頑張ってー!
807 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 02:37:35.84 ID:2k5IpCmvo
なんかずいぶんダークな感じになってきたな
808 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 06:32:02.32 ID:7jWwMlkDO
乙!

汗臭い戦士……ゴクリ
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/06(金) 03:22:12.65 ID:/1IOSP1r0
鯖につながらないっぽいね





僧侶「ここが盗賊さんの故郷?」

戦士「言うほど小さな場所でもないじゃないか。それで、家は?」

盗賊「今、案内するぜ……黙ってついて来い」

武闘家「それより! 私をかどわかしてどうするつもりよ!」

戦士「子どもなのにそんな難しい言葉知ってるの? すげぇなぁ」

武闘家「子ども扱い禁止って前に言ったでしょー!」

僧侶「別に私たち、あなたを攫ってきたわけじゃないの。流れからこんな事になっちゃって」

武闘家「ぶー……」

戦士「なぁ、頬っぺた突っついていい?」

武闘家「子ども扱いの次はセクハラ! やめてよ、おっさん!」

戦士「」

魔剣『戦士ちゃん。僕がよしよししてあげるー』

盗賊「剣にされたところで返って空しいだけだろ…」

盗賊「それよりまだ雑談続くのかよ? 俺はもう行くぜ」

僧侶「あ、すみません。勇者様、もう少し頑張ってくださいね…」

魔王「〜……」

戦士「さっきより熱が酷くなってきてる……」
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/06(金) 03:23:26.27 ID:/1IOSP1r0
屋敷前


戦士・僧侶「……」

盗賊「ここが俺の……おい、何だぜ」

僧侶「い、いえっ!! とても大きなお屋敷だなぁって…」

戦士「盗賊お前! ボンボンの息子かよ!」

魔剣『ボンボン? 何それ、魔物?』

武闘家「お金持ちって意味よ! 知らないの? 常識よ」

魔剣『お前すごい! 子どものクセに物識りなんだねー!』

武闘家「子どものクセに、が余計」

盗賊「……」

戦士「どうした? お前の家なんだろ。早く入れよ」

盗賊「……いや、心の準備がまだ」

戦士「何そんなビクビクしてんだ?」

ピンポーン

盗賊「ば、ばかっ…!」

戦士「夜分遅くにすみませーん!」

盗賊「お荷物をお届けにまいりました……!!」

戦士・僧侶「は?」

盗賊「宅急便です!」

魔剣『盗賊ちゃん何言って』

盗賊「いいか、魔剣! お前はこの家に入ったら絶対に話すんじゃねぇぜ…!」

魔剣『えぇー!』

がちゃり

盗賊「!」
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/06(金) 03:24:29.20 ID:/1IOSP1r0
「はーい。何かな、もしかしてこの前の通販?」

「……あっ」

盗賊「ひっ……」

盗賊「た、ただいま」

「お兄ちゃん!?」

「お母さん、お母さん! 大変だよ、お兄ちゃんが帰ってきたのー!」どたどた

僧侶「お兄ちゃん?」

盗賊「……あいつは妹だ」

戦士「盗賊お兄ちゃーん!」

盗賊「殺すぞてめぇ!!」

妹「ほ、ほらお母さん! 本当にお兄ちゃんでしょ!?」

母「……うそ」

盗賊「あ、あの…その……」

盗賊の母は盗賊へ近づくと顔をペタペタと触った。

戦士「すげぇ」

僧侶「何がでしょうか!?」

母「間違いない。この男は」

盗賊「母さん、久しぶ――――」

バチィーン

盗賊「うぶっ…!」

僧侶「だ、大丈夫ですか盗賊さん!」

母「……盗賊? あんた、家を出てそんな情けない職に着いてたの」
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:25:42.42 ID:/1IOSP1r0
母「ともかく上がりなさい。後ろの方々は? お友達?」

盗賊「そんな、ところ」

母「ああそう、わかったわ。どうぞ皆さんも」

戦士「す、すみません急に…」

僧侶「お言葉に甘えて、お邪魔させていただきます」

武闘家「あ……」

盗賊「ガキ。てめぇもさっさと上がれ…」

武闘家「で、でも私」

僧侶「いいのよ、大丈夫だから。さ」ス

武闘家「うん……」

盗賊「実は病人がいるんだ。すぐに空いた部屋で寝かせてやりたい」

母「そう、わかった。お医者様は?」

盗賊「明日の朝でいい」

盗賊「俺たちで全部するから。母さんたちは何もしなくていいよ」

母「はい」

戦士「……なんか、盗賊が盗賊じゃないみたいだな」

僧侶「で、ですよね」

魔剣『新鮮〜』

盗賊「っ!」ギロ

魔剣『あわわ……』

母「今そちらの方の剣から声が」

盗賊「新鮮〜」

「は?」

盗賊「俺が喋ったんだ! 何でもないから!」

盗賊「お、お前たちはここの部屋に入っていてくれ。俺は少し、話をしてくるから」

戦士「あ、ああ…」
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:26:49.70 ID:/1IOSP1r0
部屋


魔王「ぐぅー…すこー…」

魔剣『勇者ちゃぁ〜ん…』

僧侶「本当に何から何まで、大きなおウチですね」

戦士「へへ、僧侶ちゃん。盗賊へ嫁げば玉の輿じゃないのー」

僧侶「ば、バカな事を言わないでくださいっ!?」

武闘家「……ぁ」

戦士「おーい、そんな隅っこなんかにいないでこっち来いよ」

武闘家「で、でも」

戦士「さっきまでの強気な態度はどこ行ったんだっての」

僧侶「私たちは怖くないですよ。だから、いらっしゃい?」

武闘家「僧侶姉…」たったった

ぎゅっ

僧侶「あっ」

武闘家「……」ヒシッ

魔剣『この子どうかしたのー?』

戦士「子どもだし、色々あるんだろ。ところで盗賊の奴」

僧侶「…家を出た、とか言われてましたね」

僧侶「盗賊さん。どうしてこんな素敵なおウチを出て、盗賊なんてものになったんでしょうか」

戦士「それは盗賊のみが知るってところじゃないの」

がちゃり

「!」

妹「こ、こんにちはー…」
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:28:10.76 ID:/1IOSP1r0
妹「あ、この時間だし、こんばんはかな…失敗しちゃった」

僧侶「あなたは確か盗賊さんの」

妹「はい、妹です。兄がいつもお世話になっているようで、少しご挨拶を」

戦士・僧侶(れ、礼儀正しい…!)

魔剣『盗賊ちゃんとは大違いだねぇ』

妹「え?」

戦士「と、盗賊ちゃんとは大違いだねー! お、おほほ…!」

魔剣『僕そんなんじゃないよー!』

妹「……剣が」

僧侶「あの!! この事は他の方へは秘密という事にできませんか!?」

戦士「どうして喋っちゃうんだよっ」

魔剣『喋ってないと死にそうになるんだもん…』

妹「わ、わかりました。秘密ですねっ」アタフタ

妹は魔王が寝ているベッドへ近づいた。

妹「……それで、こちらが」

僧侶「ち、近づくと病気が移ってしまいますよ」

魔剣『なんかそれ勇者ちゃんに失礼発言っぽくなーい?』

妹「勇者…」

妹「あの、失礼ですが。皆さんは一体何をしていられる方々なのでしょうか…?」

魔剣『僕たちは勇者一行だよー!』

妹「えぇ!?」

戦士「この剣は勝手にべらべらと…!」

魔剣『でもこれ事実じゃんー』

妹「お、お兄ちゃんは! …兄はそんな凄い方々と一緒に」
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:29:22.75 ID:/1IOSP1r0
僧侶「そんな、凄いなんてものではありませんよ」

妹「でも! 勇者様ご一行と言われたら」

妹「……あの、お兄ちゃんはしっかりやっていますか!?」

戦士「盗賊? あいつ頑張ってるよ。俺らの中じゃ一番レベルも…高いし……」

僧侶(自分で自分を追い込んだ……)

妹「ほ、本当ですか! お兄ちゃん強いんですね!」

妹「〜♪」

戦士「お兄ちゃんの事、好きなんだな」

妹「はい! 大好きです!」

武闘家「……」

妹「あれ、こちらは?」

僧侶「この子は成り行き上で私たちと一緒にいるだけです」

妹「そうなんですか。こんなに小さな子が闘っているだなんて知ったら……私…」

武闘家「た、戦えるもん! 私だって、一人前だもん…!」

武闘家「一人前だから勇者殺せるもん!」

魔剣『そんなの僕が許さないよ!』

妹「こ、ころ…」

戦士「なんでもないっスー!! 何でもない、何でもないから!」

僧侶「……なんだかごめんなさい。突然お邪魔なんかしたりして」

妹「ううん、歓迎しますよ。久しぶりにお兄ちゃんとも会う事ができたし…」

戦士「どれぐらい前から?」

妹「かれこれ7年になりますね」

僧侶「そんなに!?」
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:30:41.95 ID:/1IOSP1r0
妹「お兄ちゃん。突然家を出て行ったきりで」

妹「それも私たち家族に何も言わずにですよ! それが凄く心配で…」

戦士「まぁ、だよな」

妹「もしかしたら、何処かで死んじゃってたりするんじゃないかなって思った時も」

妹「でも、ちゃんと生きてました! きっと皆さんのお陰ですよね!」

僧侶「いえいえ! 私たちはそんな…」

戦士「ていうか、盗賊が前に何かしてたなんて聞いた事もなかったよなぁ」

戦士「酒場に来てから1年も経ってないんだぜ?」

僧侶「そういえば……」

妹「え…」

妹「お兄ちゃんたら、ずっと何してたんだろ……盗賊なんてのになっちゃって…」

盗賊「……余計な話してんじゃねぇよ」

「!」

魔剣『盗賊ちゃーん』

僧侶「盗賊さん! いつからそこに」

盗賊「ついさっき……人の過去に興味なんて持つんじゃないぜ」

戦士「そう言われると気になるんですけど」

盗賊「俺が言うと思うか? 言わねぇよバカが…」

妹「でもお兄ちゃん! 私、すごく心配なんだよ…お父さんとお母さんだって」

盗賊「だったら、尚更言う気になれない」
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:32:40.71 ID:/1IOSP1r0
盗賊「わ、悪いけど、お前は席を外してくれないか」

妹「えっ…」

盗賊「少しこの人たちと話をしなくちゃいけないんだ。頼むよ」

妹「……うん」

妹「…お兄ちゃん。後で私の部屋にきてね…約束だよ」

盗賊「」ビクッ

盗賊「あ、ああ」


がちゃり


盗賊「勇者の容体はどうだ……」

僧侶「いえ、先程と変わりは」

盗賊「なら、やはり明日の朝医者を呼ぶぜ」

戦士「盗賊お前ぇ…」

戦士「あんな礼儀正しくて可愛い妹置いてずっと何してきたんだよ!?」

盗賊「寄るな、肉ダルマ。汗臭い……!」

盗賊「てめぇには関係ないだろ」

僧侶「そんな、私たち仲間なんですし、少しぐらい話を聞かせてくれても」

盗賊「」いら

盗賊「仲間だろうが、なんだろうが、触れてほしくない話は誰にでもあるだろ!!」

僧侶「っ!?」

魔剣『と、盗賊ちゃん! おっきな声!』

盗賊「……うるせぇ」

戦士「お前、さっきから様子おかしいぞ?」

盗賊「おかしくない!」

盗賊「くそったれ……」ブツブツ

魔剣『もしもーし?』

盗賊「……」

魔剣『あれ、黙っちゃったぁ…』
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:33:40.95 ID:/1IOSP1r0
盗賊「……」

戦士「そ、それにしても盗賊! お前家族の前だと全然キャラ違うんだなー」

戦士「俺も僧侶ちゃんもビックリしたぞ!」

盗賊「そうか」

戦士「えぇ……」

戦士「俺が求めてるリアクション違う! もっとこう毒づいてみたり、がぁーっと!」

僧侶「戦士さんっ」

僧侶「なんだか盗賊さん、お疲れみたいですし。少し放っておいておかれた方が」

戦士「そ、そう…?」

戦士「」しゅん

魔剣『あれ、その子ども寝てるのー?』

僧侶「うん。疲れちゃったのかな」

武闘家「すやすや……」

魔剣『寝顔だけは可愛いね』

僧侶「だけって…」

戦士「盗賊。両親には挨拶したのか」

盗賊「……母さんには。父さんはいなかった。たぶん仕事だ」

戦士「そ、そっか」

「……」

魔剣『ねぇ、気まずいんですけど!』

戦士「ごめんなぁ…」
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:34:52.22 ID:/1IOSP1r0
盗賊「風呂でも入ってきたらどうだぜ…」

僧侶「そ、それは何か悪い気が」

盗賊「俺の家だ。好きにしてくれて構わん…」

魔剣『でもでも、盗賊ちゃんってば8年も前に勝手にでてっちゃったんでしょ?』

魔剣『それはもう自分の家じゃなくないー?』

戦士「こ、この剣はまた!!」

盗賊「……一応出迎えてくれたんだ。まだ俺がこの家に入れるって事だろ」

僧侶「そうですね。とても良いご家族をお持ちで」

盗賊「まぁ、な」

戦士「俺からしたら羨ましいぐらいだぞ、このやろー!」

盗賊「そりゃ良かったな……」

魔王「……どこ、であるか。ここ」

僧侶「勇者様!?」

戦士「うおおぉぉーーーーー!! 勇者殿ォ!!」

魔王「戦士喧しい……貴様の声で頭が割れそうじゃ…」

魔剣『勇者ちゃん大丈夫? まだ辛い?』

僧侶「熱は……下がってませんね」ぴたっ

魔王「僧侶の手、冷たい……」

僧侶「えっ、ご、ごめんなさい!」

魔王「良い…今だけ許す……も少し手置いとくのだ…」

僧侶「は、はぁ」
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:36:00.24 ID:/1IOSP1r0
戦士「勇者殿、甘い物ありますからね! 何か食べとくっスか!?」

魔王「食欲ない」

戦士「で、でも少しは腹に入れておいた方が…」

僧侶「ゼリーとか戦士さん買ってきてましたよね。そういった柔らかい物ならどうでしょう?」

戦士「買ってて正解だった…! 勇者殿ッ、はい口開けてー! あーん!」サッ

魔王「戦士キモい……げほっ」

魔王「なんか、体の節々が痛いである」

僧侶「やっぱりただの風邪でしょうか。きっと疲れが祟ったんですね」

魔王「風邪…?」

盗賊「……そうだ」

盗賊「魔剣で風邪の菌を切る、だなんて事はできねぇのかよ」

魔剣『残念ながら、そういうフクザツなのは僕の専門外なんですけどー』

盗賊「妙な所で役に立たねぇぜ……」

魔王「…で、ここはどこか」

僧侶「はい、盗賊さんの実家ですよ。無理言って泊めていただいているんです」

魔王「盗賊の…」

盗賊「何だ、文句でもあるか」

魔王「特になしである」

盗賊「ふん……」

盗賊「……

盗賊「俺は少し抜ける。お前らは好きにしてな」

戦士「おい、どこ行くんだー? せっかく勇者殿が話せる状態になったのによぉ」

盗賊「い、妹に…用があるから…」

戦士「へぇ? 兄妹で仲良いんだなぁ」

盗賊「……」

盗賊は部屋を出て行った。
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:37:30.10 ID:/1IOSP1r0
魔王「よせ、マジで止めろであるッ……!」

戦士「さぁ、勇者殿ォー! あーん!」

魔剣『いいなぁ。僕も勇者ちゃんにあーんしてあげたいよ…』

戦士「へへっー! いいだろ、いいだろー! ほら、勇者殿ぉー」

魔剣『ダメぇー!!』

僧侶「こら、勇者様で遊ばないでください! これでも病人なんですよ」

魔王「これでもとはなんだ…」

武闘家「ん、くぅー……」

魔王「…おう、何故このガキが居るのだ」

僧侶「えっと……」

魔王「即刻、摘まみ出せ…げほんっ!」

戦士「え、でもそれは可哀想っスよ…。少しぐらいいいじゃないですか」

魔王「良くない!」

魔王「ガキはウザいだけ…今の余には毒と同等の存在よ…!」

僧侶「そんな事ありませんよ。見ていると癒されませんか?」

魔王「まだ戦士見てた方が癒えるわ」

戦士「えっ…いや、勇者殿……それは、ヤバいっス……///」

魔王「前言撤回…んごほっ!」

魔剣『じゃあ僕はー!?』

魔王「ノーセンキューである」

魔剣『しくしく……』
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:39:17.48 ID:/1IOSP1r0
魔王「それにしても…これは、何なのだ…」

魔王「生きていた中で、初めての体験だぞ……けほっ」

僧侶「今まで風邪を引かれた事なかったのですか? よっぽど健康だったんですね」

魔王「うむ…」ズズーッ

戦士「勇者殿、鼻水! 鼻水!」ささっ

魔王「グッジョブ戦士。ふんっっっ……!」ブーッ!

魔剣『ズルい、ズルい! 戦士ちゃんばっかり!』

魔剣『どうにかしてよ、僧侶ちゃんー!』

僧侶「そう言われても……」

僧侶「勇者様。ここは魔剣ちゃんに気を利かせて…」

魔王「何故余があやつの事を…」

魔剣『ぐすっ…ズルいよぉ……』

僧侶「ほら、泣いてますから。ね」

戦士「いつ見ても涙流してる光景は異様だ…」

魔王「……」

魔王「あー、急に背中に痒い部分が」

魔剣『!』

魔剣『はいはーい! 僕使ってよ!』

魔王「うむ…げほっ」

魔王は魔剣を使って背中をかいた。

戦士「剣で背中かくとか危ないっスよ!?」

僧侶「〜……」

魔剣『どう? ねぇねぇ、どうどう? 気持ちいいー!?』

魔王「それなり…げふっ……である…」

魔剣『やったぁー!! 勇者ちゃんに喜んでもらえたよ〜!』

僧侶「よかったね、魔剣ちゃん」

魔剣『うん! 戦士ちゃんいいでしょー? えへへっ』

戦士「お、おう…」

僧侶(何でこの人微妙に悔しそうなの)
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:40:44.14 ID:/1IOSP1r0
僧侶「さぁ、勇者様。お体に触りますよ。まだ寝ていないと」

魔王「余はもう平気よ……」

魔王はベッドから降りた。


魔王「」よろ


戦士「おっと! まだフラフラじゃないっスか…無理しちゃダメっスよ」

魔王「この様な場所でゆっくりなどしておれんのだ」

僧侶「ダメです。こんな状態で動き回ったらまた倒れてしまいます」

魔王はベッドへ戻された。

魔剣『ごめんねー…僕が勇者ちゃんの病気代わってあげられたらいいのに』

魔王「全くである…げふっ」

戦士「とにかく、しばらくはここで大人しくしておきましょうや」

僧侶「ですがあまり長居をしていても、盗賊さんのご家族に迷惑が…」

魔王「待て、盗賊の家族は皆同じ顔とか面白い話はないのか」

僧侶「ありませんから……」

戦士「妹いたんですけどね、あいつに似ないで滅茶苦茶可愛かったス」

戦士「胸デカいし」

僧侶「さ、最低っ!!」

戦士「だって!」

僧侶「何がだって…ですか!?」

魔王「げほっ…自分は無いから僻んでおるのか、僧侶よ」

僧侶「怒りますよ!」

魔王「既に怒っているではないか…」

魔剣『そこの子どもとどっちが大きいー?』

僧侶「もういやー!」
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:42:20.82 ID:/1IOSP1r0
僧侶は部屋を出ていこうとした。

戦士「おいおい、何もそこまで本気にしなくても」

僧侶「知りませんっ。……盗賊さんのご厚意に甘えてお風呂借りてきます」

魔剣『僕も入るー』

魔王「錆びるぞ、貴様」

僧侶「…それでは!」

がちゃり

魔剣『行っちゃったー。もう、戦士ちゃんが変な事言うからだよー』

戦士「え、俺!?」

魔剣『乙女の心は繊細なのです』

魔王「その前に貴様は女かどうかすらわからんであろうが」

魔王「…げほっ、ごほっ!!」

戦士「ゆ、勇者殿。僧侶ちゃんの言う通り、まだ寝ていた方がいいっス」

戦士「俺と魔剣ちゃんが見てますから。ね?」

魔王「……」

魔剣『子守唄歌ってあげようか〜!』

戦士「あ、だったら俺も!」

魔王「貴様らがおるから余は寝れんのだッ……!」

魔王「休ませる気があるのなら少しは黙っていろ! げほぉっ」

戦士「大きな声なんか出したら体に負担がっ」

魔王「だったら、その様な事を余にさせぬよう静かにしておれ…」

戦士・魔剣「『はい…』」

魔王「全くである…」
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:44:27.92 ID:/1IOSP1r0
妹の部屋


妹「……」

コンコン

妹「お兄ちゃん? どうぞ」

がちゃり

盗賊「……」

妹「えへっ、来てくれたんだね」

盗賊「約束したからな」

妹「私、お兄ちゃんに一杯話したい事があるの! 今晩で話し尽くせるかなぁ…」

妹「あ、ほらほら! そんな所に立ってないで座って。お茶もいれるから」

盗賊「…そうだな」

妹「〜♪」

盗賊「……ぅぅ」

妹「お兄ちゃんはあの人たちと旅をしてるんだよね。楽しい?」

盗賊「それなりには」

妹「そっか、なら良かったよ。勇者様と一緒に旅なんかしてて緊張しっぱなしじゃないかなって心配したんだぁ」

盗賊「あんなの勇者じゃないのと同じだからな」

盗賊「……お前は変わりないのか」

妹「うん、毎日平和に過ごしてるよ。最近だと専ら勉強ばっかりかなー」

盗賊「すごいな。医者か何かになるのか?」

妹「違うよ。勉強ってのは花嫁修業の」

盗賊「……え?」

妹「私ね、もうすぐお嫁に貰われるの。ここから遠くの方に住んでる人の」

盗賊「ちょっと待てよ!?」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:46:28.12 ID:/1IOSP1r0
盗賊「そんな話俺は聞いてないぞ…!」

妹「あははっ、お兄ちゃんおかしい! そりゃだって、お兄ちゃんは家出てたわけだし」

妹「わかる筈ないでしょう?」

盗賊「っ……」

盗賊「だけど、お前はまだ若いだろ。なんだってそんな急に…」

妹「若いって言っても、もう結婚しても問題ない歳なんだけどなぁ」

妹「7年間も私を見てなかったから、実感湧かないかな…?」

盗賊「…ああ」

妹「おめでとう、っては言ってくれない?」

盗賊「おめでとう」

妹「ふふっ、何それ。やっぱりお兄ちゃん面白いっ…」

盗賊「父さんが決めた事なのか」

妹「それもあるけど。私が決めた事でもあるの」

妹「ウチね、裕福な暮らししてる様に見えて結構ギリギリなんだ」

妹「でも、私がいい所に嫁げばウチもまだ何とかなるでしょ?」

盗賊「お前は自分を売る気なのかっ……!」

妹「売るんじゃないよ。結婚だから、ね?」

妹「なんとか向こうのお婿さんの事を好きにならなくちゃ」

盗賊「お前が無理する必要はないだろ」

盗賊「お、俺が…家を出たのが悪かったんだな」

妹「お兄ちゃんは悪くないよ。大丈夫、大丈夫…」ぎゅっ

盗賊「うわっ…!?」
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:48:25.38 ID:/1IOSP1r0
妹「大きい声出さないで……。お母さんたちに聞かれちゃうよ……」

盗賊「お前!」

妹「…ねぇ、お兄ちゃん。あの日もこうやって、私が抱きしめて頭を撫でてたよね」

妹「お兄ちゃんはどうしてあの時落ち込んでたの?」

盗賊「言いたくない……」

妹「そっか」

盗賊「なぁ、もういいだろ。そろそろ」

妹「……ねぇ、お兄ちゃん。あの時の続き、しよっか」

盗賊「や、やめろぉ!!」

盗賊「俺たちは兄妹だろ…? アレは何かの事故だったんだ…だから、やめてくれ」

妹「事故? 事故であんな事しないよ……」

妹「お兄ちゃんだってその気だったじゃない。私、知ってるもん」

盗賊「知った気になってるだけだ…」

妹「……えいっ!」どん

盗賊「!?」

盗賊はベッドへ押し倒された!

盗賊「だ、ダメだって……」

妹「あの日から3日ぐらい経ってからかな。お兄ちゃんが家を出て行っちゃったの」

妹「ね、どうして出て行っちゃったの…? 寂しかったんだよ…」

盗賊「……」

妹「もしかして私のせいかな」

盗賊「お前は悪くない」

盗賊「俺が悪かっただけだよ……」
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:50:28.90 ID:/1IOSP1r0
すたすた


僧侶「ふぅ、いいお湯だった……」

僧侶「久しぶりに熱いお湯へ浸かったからちょっとフラフラするかも」ふら

僧侶「水を一杯もらえるといいのだけれど…」


『ねぇ、お兄ちゃんは私の事好き?』


僧侶「……ん」

僧侶(お兄ちゃん……? だ、ダメよ僧侶。盗み聞きなんてしたら)

僧侶「で、でも」


『一言言ってくれるだけでいいの。それで私、満足できるから』

『ねぇ……もう私ここの子じゃなくなっちゃうんだよ……だから、その前に…お願い』


僧侶「あわわわ……」


『……昔から、小さい頃からだ』

『お前の事が好きだった。恋愛のそれとして』


僧侶(これって盗賊さんと妹さんの声よね!? ど、どうして)


『だけど、もう過去の話だから…今はもう、むぐっ――――――』


妹の部屋から『音』が聞こえてくる。

僧侶「あわわわわわわ……!?」


『む、むぐぅっ、ぷはっ!? お、お前っ……!!』

『……セカンドキスもお兄ちゃんとだよ、私』

『えっ…』

『初めても、次もお兄ちゃんと……私もお兄ちゃんの事が好き。男として』

『うぐっ……!』

『私、なんだか切ないよ……お兄ちゃん……』

『お願い。あの時の続き、しよ……?』


僧侶「ひいいいいぃぃぃーーー!!?」ぴゅー


僧侶は逃げだした!
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/06(金) 03:52:41.23 ID:/1IOSP1r0
がちゃり!


僧侶「はぁ、はぁ、はぁ……!!」

戦士「うわ、どうしたんだよ僧侶ちゃん。大きい音出したら勇者殿起きちゃうだろ」

僧侶「しゅ、しゅみましぇ…っ……すみませ、ん…」

魔剣『何か汗びっしょりだよ? お風呂入ったんじゃないの』

僧侶「入った! 入ったけどっ……!」

ぺたん

戦士「おいおい、大丈夫か?」

僧侶「ご、ごめんなさい。無理ですっ……」

戦士「水飲む?」

僧侶「」ごくごくごく

魔剣『いい飲みっぷりだねぇ、姉ちゃん!』

戦士「だからドコでそういうの覚えてくるわけよ?」

僧侶「ふぅ…」

戦士「落ち着いた? 何があったんだ」

僧侶「い、言えません」

戦士「えぇ…。ここまで来てそれはないっしょー…」

僧侶「言えませんったら言えませんから! わ、私今日はもう寝ますね!」

僧侶「おやすみなさいっ!!」

戦士「そ、そこ俺のベッドだったんだが……」

魔剣『ねぇ? 乙女の心は繊細なんだよー』

戦士「よくわからないけど、そうらしい…」

僧侶「ぐぅぐぅ! ぐぅぐぅ!」

830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/06(金) 03:56:01.10 ID:/1IOSP1r0
以上。いっぱい投下したいとか書いたわりに普通だったかも
次回は>>785 で書いたとおりの予定です

831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/06(金) 03:59:02.19 ID:/1IOSP1r0
ミスったwww
どんだけカグラ推したいんだ俺は

次回は>>804に書いた予定です。何度も申し訳ない
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/01/06(金) 07:56:46.98 ID:EuJDvX+vo
盗賊がほんとに良いキャラしてる
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 08:01:05.43 ID:WnZGjRQIO


おまえもそっち(巨乳)の世界に行っちまうのかよ!
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/06(金) 08:31:43.64 ID:WRsVFvLGo
このSSで始めてのエロシーンか?
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 10:24:11.57 ID:Nh8craYe0
盗賊近親相姦してるとかよせよ・・・!
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/06(金) 10:39:51.74 ID:WRsVFvLGo
まあ妹との近親相姦は俺得
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 10:43:48.74 ID:/+cye0pDO

うむヤンデレ妹か…
女キャラヤンデレ多いな
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 12:18:49.97 ID:BprcQGODO
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 13:24:34.42 ID:wJ3Gnly4o
はぁはぁ
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/06(金) 14:06:33.50 ID:wIJ7PKPp0
これじゃ足りないんだ・・
足り・・・な・・・い・・・
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 01:09:50.70 ID:Q5slixzSO
追い付いたぞ面白いな
盗賊は私がもらいうけよう
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 02:26:21.18 ID:sjI3rnGf0
盗賊は俺のだろ
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 03:59:12.13 ID:zqfqYKXDO
じゃあ戦士は遠慮なく貰っていきますねハァハア
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2012/01/08(日) 15:25:52.58 ID:pA5fG7RIo
んじゃあ僧侶ちゃんもらってくわ
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/08(日) 17:51:52.58 ID:yAFrpvBZ0
な、なら魔王様は私が!
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 18:10:41.13 ID:awgrfGSIO
黙れ魔剣!!
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/09(月) 13:40:34.81 ID:LdgLSfh9o
おまえらなぁいい加減にしろよ!!
少しは黙れ!そして聞け!!
女戦士は俺の嫁
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 17:42:05.89 ID:CMHI7cKm0
続きが見たいよ・・・
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 23:30:16.89 ID:bZpRc7X60
>>1は成人式かな?
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/10(火) 00:08:59.37 ID:DpltiLKCo
はよ
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 22:22:33.91 ID:kYsz+05DO
今週末ぐらいかな
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/11(水) 04:53:31.57 ID:+7+MfALq0
つーかお前等、盗賊は貰うとか戦士は俺が貰うとかもう本当うんざりなのよ
見てるこっちが恥ずかしくなるからいい加減この流れやめろ


盗賊の妹は俺の嫁
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 06:45:54.93 ID:it/oJTg+0
盗賊妹可愛いよな
お兄ちゃん大好きっ子は大好物
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 22:45:38.09 ID:HDL5hPkDO
一番可愛いのはどう考えても魔剣
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/12(木) 00:13:40.25 ID:zHAEGOoK0
いいや、一番可愛いのは側近だろう
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:09:32.55 ID:inKctqE40
魔王城


側近「……魔王様帰ってきませんねぇ」

「いきなりどうしたんですか。魔王代理様!」

側近「ああ、いけませんね…どうも疲れが溜まっているみたいで」

側近「昨日も魔王様の幻を見てしまいました」

「禁断症状じゃないですかね、それは…」

「それはそうと、また新たな刺客を送りつけたとおき聞いたしましたが」

側近「え? あー……」

側近「どうせまた失敗するでしょ…最初から期待してませんからね…あはは!」

「自分でやっといてそれはないんじゃ……」

側近「だって!」

「…むくれないでくださいよ」

「あ、今週の飲み会の話なんですけど」

側近「来ますよね!? 私あなたがいなきゃ一人ぼっちなんですから!」

「えぇ…」

側近「あなたにはわかりますかっ、端っこの方で寂しくちびちびお酒を飲んでいなければいけない私の辛さが!」

「すみません。今回は親のところへ帰省しなければいけなくなってしまって……」

側近「裏切るんですね!? やだぁー!」

「別にそういうわけじゃ…」

「そうだ。貴女様のお力で死体を蘇らせて連れて行くというのはどうです?」

側近「何処の世界に死体とお酒飲んで楽しいと思える人がいるんですかね!」

側近「ああ、魔王様ならきっと……しくしく…」

「おいたわしや、側近様…」
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:11:31.34 ID:inKctqE40
?「先程から何を馬鹿な話をしている」

側近「へ?」

「……あ、貴方様は!」

リビングアーマー「如何にも、誇り高き魔の騎士。リビングアーマー」

側近「あなた! また勝手に部屋から出てきちゃったんですか!」

リビングアーマー「何処にいようと我の勝手。それより話がある」

「飲み会の出欠席ですか? だったら」

リビングアーマー「我が酒を飲めるわけがないだろう! 貴公、首を刎ねられたいか!?」

「ご、ごめんなさい…」

側近「あなた首ありませんしね。仕方がないです」

側近「それで話って?」

リビングアーマー「感じるのだ…魔王様の身がナニカに侵されているのを」

「えぇ!?」

リビングアーマー「魔力に不審な揺らぎを感じる。いや」

側近「……魔力が増加している。そうではありませんか」

「増加って、どういう事ですか? 魔王様はまだお強くなられると…?」

リビングアーマー「魔力の増加……成程。早かったな」

側近「ええ……」

「えっ? え?」

側近「どうもゆっくりしていられなくなってきましたね。リビングアーマー、ここに」

リビングアーマー「応ッ」

側近「あなたは魔力の感知能力が高い。その力を見込んで命じます…」

側近「魔王様の居所を大至急掴みなさい! 本気で探しにかかりますよ!」

リビングアーマー「御意…」

(今まで本気で探してなかったんだ)
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:12:32.83 ID:inKctqE40
屋敷・妹の部屋


音が部屋に響いている。

盗賊(部屋の外にも音が漏れてそうだな)

妹「ん……ふっ、は、ん…っちゅ…………」

妹「お兄ちゃんの唇…柔らかくて、プニプニしてて…可愛い……ふふっ」

盗賊「……」

妹「ねぇ、どうして目を合わせてくれないの?」

盗賊「昔からそうだったろ。俺は人の目を見て話せない」

盗賊「忘れたか?」

妹「……お兄ちゃんのいじわる」

妹は盗賊の服を脱がしていった!

盗賊「お、おい」

妹「お仕置きだからね」

盗賊「……これ以上は止そう。ここから先に踏み行ったら、俺たちは」

妹「体だけの関係でもいいの」

盗賊「ふざけてるのか!」

妹「違うよ、そんなんじゃないから…」

妹「好きだから。だから…」

盗賊「理由になってないっ……!」
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:13:41.18 ID:inKctqE40
妹「ねぇ、お兄ちゃんは私を見てもなんとも思わない?」

盗賊「欲情する気は全く起きん」

妹「それって妹だからかな。家族だから、生理的にって事?」

盗賊「……」

妹「こうしても、かな」

妹は身に付けている服を脱いだ。

盗賊「ばかっ!?」

妹「……目を逸らさないで。しっかりと見て」

盗賊「見れるわけないだろ!!」

妹「どうして?」

盗賊「どうしてって……」

妹「それは、私の事を妹としてじゃなく、女として見てるからだよね」

妹「家族の裸を見たって、普通は平気なはずでしょう?」

盗賊「知るかよ! いい加減にしろっ」

盗賊「お前おかしいぞ…どうかしてる…」

妹「どうかしちゃったのかも」

盗賊「は?」

妹「お兄ちゃんが家にいない間、私の体もどんどん成長した」

妹「あの時の子どもの体じゃないんだよ。見て」

盗賊「嫌だ!」

妹「見てよ…」

盗賊「……頼むからやめてくれ。服を着ろ」

妹「……」
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:14:52.75 ID:inKctqE40
妹「お願いだよ。抱いて」

妹「一度でいいから」

盗賊「……そろそろ、あいつらの所へ戻る」

盗賊「俺たちは兄妹だ。間違いを犯しちゃいけない」

盗賊「お前もわかってるだろ」

妹「わかりたくないの…」

ぎゅっ

盗賊「ふぶっっっ」

妹「行かないでよ…」

盗賊(お、落ち着けよ俺。ダメだ)

妹「お兄ちゃんあたたかい」

妹「もっと感じてたいな、ずっと、ずっと」

盗賊「……」

妹「抱いてくれないならね。ずっとこうして抱きついてるからね、私!」

妹「離してあげないからっ!」

盗賊「俺は、童貞」

妹「……え?」

盗賊「童貞なんだ。俺」
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:16:47.15 ID:inKctqE40
妹「あ、うん…」

盗賊「だから女にも慣れてないから」

盗賊「そんな事されたら俺っ……!」どんっ

妹「きゃあっ!?」

盗賊は妹を押し倒した!

妹「はぁ、はぁ……」

盗賊「……ゴクリ」

盗賊(何してんだ、俺!?)

妹「……いいよ。触ってみて」

妹は盗賊の手を手に取り、自分の体を触らせた。

盗賊「ひぃっ」

妹「ど、どう……?」

盗賊「すごく、柔らかい」

盗賊(じゃねぇよ…)

盗賊「……」

妹「むっつりスケベ」ボソ

盗賊「はっ!?」

妹「」くすくす

盗賊「……悪かった。帰るから」

妹「え?」

盗賊「俺はもう同じ過ちをしない」

盗賊「じゃあな」

盗賊は妹の部屋を出て行った。

妹「……振られちゃった」
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:17:57.18 ID:inKctqE40
俺は町中では一番裕福な家の生まれだ。

とても幸せな家庭に生まれたと思うし、環境にも恵まれていた。
父さんも母さんはどちらも優秀な人たち。そして妹も。

ただ1人、俺だけが落ちぶれていた。


父「お前は少々遊び過ぎる傾向がある。勉強は大切だ。将来の為になる」

「面白くない事をやっても仕方がないよ。それなら子どもらしく遊ぶべきだ」

父「はぁ、まるで遊び人だぞ。いつも何をしているんだか」


俺には1人も友人と言える人がいなかった。
1人で遊ぶのが好きなんだ、とよく自分に言い聞かせた物だがけしてそうじゃない。
友達は欲しかった。ただ作り方が分からない。


「おい、一緒に遊ぼう。道行く女の背中に虫をつけてやるんだ…くくっ」

子「キモっ」

「お前はどうだ…今なら闇の組織へ加入させてやっても構わんぜ」

子「宗教の勧誘?」

「……今宵の満月は血に染まっている。へへへーっ…!」

子「やだぁー!」


色々とズレていった。
俺的には最高にイカした台詞は、相手にとって気味悪く受け取られていたらしい。

泣けるぜ。
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:19:24.71 ID:inKctqE40
そんな俺を気味悪がらずに相手してくれたのは妹だけ。
妹はいつも俺の話や妄想を聞いては、笑顔でうんうんと最後まで聞いてくれた。
それが俺には嬉しくて、妹の事が好きになるキッカケの1つとなった。


「組織を裏切った俺を奴らは今頃必死こいて探しまわってる筈だ」

妹「えー! お兄ちゃん捕まったらどうなっちゃうの?」

「恐ろしい罰が待っているに違いないな。まぁ、俺は絶対に捕まらない。最強だから」

妹「ふふふっ、お兄ちゃん強いもんね。私も知ってる!」

「……なぁ、俺と話してて楽しい?」

妹「ん? 楽しいけど…お兄ちゃんは楽しくない? もしかして私といたら面白くないかな…?」

「い、いや! そんなわけない! 俺はお前とこうして喋っているのが楽しい! すごく!」

妹「えへへっ…」


可愛い妹だ。俺の自慢の妹だ。

小さな頃からいい女になれる素質があったんだ。違いないよな。
俺にはこいつさえいれば友達なんて1人もいらなかったんだ。

だが、ある日から


母「お前は本当にどうしようもない子ね。妹と違って」

父「いい加減にしろ! 何なんだ。それに比べて…」

母「全く、あの子と違ってあんたったら!」

父「……情けない」

子「君の妹と比べて、君といったら」

男「お前の家の長女はとってもいい子だよねー」

女「両親はとても凄い方なのに息子の方ときたら…」

「なんだよ…妹ばっかり褒めんな……チッ」


俺と妹は常に、誰からも、比較された。

まるで対極の存在だと。
俺にできない事は、全て妹ができる事。

今まで俺が怠けていたのが悪かった。これは自業自得。自分が招いた結果だ。
分かっていながらも、俺は妹へ対して劣等感を抱くようになり、嫉んだ。
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:21:12.86 ID:inKctqE40
家の事もあったからな、できそこないの俺は外でとても目立った。

どうして家で人を見るんだ。俺を見ろ、個人として見ろよ。比較するなよ。
そんな気持ちは誰もわかってくれなかった。

当然だ、俺は両親にも、他人にも自分の心の内を晒した事がないから。
というか晒し方がわからない。自分の見せ方がわからない。


「闇の住人だからな。くっくっく」


気づいたらマジで闇の住人(笑)になっていた。
家族以外はまともに相手してくれない。


母「夕食の支度ができた。さっさと食べなさい」

「……」

父「返事くらいしたらどうだ?」

「う、うん」

父「全く…」

妹「お兄ちゃん。ご飯食べたら一杯お話聞かせてよ!」

「……」

妹「お、お兄ちゃんってば」

「……ごちそうさま」


妹は外でも家の中でもとことん無視した。
心は痛まなかった。優秀、優秀言われている妹が、糞っ垂れの俺に無視されて落ち込んでいる姿がとても嬉しかった。
変な優越感に浸れたんだろう。

しかし、懲りずに妹は毎日俺へ話しかけてくる。
相手をしてくれる反面、それがウザかった。
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:23:23.24 ID:inKctqE40
どうしてまだ笑顔で話しかけてくれるんだ。優しくしてくれるんだ。
わけが分からないし、そうしようとする考えが全く理解できない。

こいつは俺に何を求めているんだ。本当は俺を心の中で嘲笑っているんだろ。
糞っ垂れな俺に優秀な自分が優しくして、話しかけて、優越感に浸ってんだろ。


「そうなんだろ!?」


言えるわけがない。俺はマジで臆病な阿呆だ。

ある日のこと、俺は外をうろついていると妹を見つけた。
この野郎、どうせ町のみんなからチヤホヤされて楽しんでるんだろう、だなんて思いながらずっと見ていた。

違った。

コッソリ妹の話に聞き耳を立ててみたんだ。するとあいつはずっと俺の話を友達にしている。


妹「お兄ちゃんはすごいんだよ。強くて、カッコよくて、話も面白くて」

女s「えぇ……でもぉ」

妹「みんなが思ってるような人じゃないんだよ」

男「そんな事ないだろ。あいつ何考えてるかわかんないし、変だし」

女「わけ分からないよね」

妹「変じゃないよ。それに、お兄ちゃんがどういう人なのかわからないのは」

妹「みんながお兄ちゃんを知ろうって気がないからでしょう? お兄ちゃんは知ってもらおうとしてたよ。昔から」

男・女「?」

妹「えっとね、お兄ちゃん不器用だから……でも頑張っててね…!」


俺は情けなくなった。

同時に、妹へ恋した。
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:25:21.66 ID:inKctqE40
後から知った事だが、妹は何処へ行っても俺の話ばかりしてたらしい。
ブラコンなんて呼ばれていたりもしたのだろうか。
俺の事を侮辱されればすぐさまフォローをする。兄の事を知ってほしいと。

余計な御世話だ。ちくしょう。

悔しいし、自分が情けないと思える反面、少し嬉しかった。
俺はなんて単純なんだろうか。

妹がとても愛おしくなった。


「……」

妹「お兄ちゃん?」

「何だよっ!?」

妹「ご飯食べに部屋から出てこなかったから、心配で」

妹「何かあったの? 食欲ない?」

「……ぐすんっ」

妹「……泣いてるの?」

「なんでもねぇよ!」

「ううっ……」

妹「お兄ちゃん」


ふと、柔らかい感触が俺を包んだ。

その後、小さな手が俺を優しく撫でてきた。


妹「大丈夫、大丈夫だよ」
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:27:40.87 ID:inKctqE40
「……」

妹「落ち着けた、かな。ごめんね、こんな事しかできなくて」

「何だよこれ」

妹「私、元気なお兄ちゃんに戻ってほしくて」

妹「余計な事しちゃった?」

「ぐうっ――――――――!」

妹「!」


その瞬間、俺の理性はぶっ飛んだ。

妹をめちゃくちゃに、好きな女をめちゃくちゃにしてやる事しか頭になかった。

服を引ん剥いて、触って、抱きしめて、舐めて。

あいつはそれを嫌な顔一つせずに、俺を受け入れていた。

昔の様に笑顔で、俺に優しく「大丈夫、大丈夫」と言い続けてくれた。

そんな優しさに気づかされた。あと一歩というところで。


「……!」

妹「お兄ちゃん…?」

「うわああああああああああぁぁぁぁ!!?」


俺は実の妹を犯しそうになった。俺は実の妹に悪戯してしまった。

裸で涎まみれの妹の体を見ると、正気に戻った俺は発狂した。


絶望というか、なんというか。この瞬間から、俺の世界はさらにまっ黒になったんじゃないか。
家を飛び出し、何度も死のうとした。できなかった。

家へ帰ると妹は何事もなかった様に接してくる。それが俺にとっては苦痛にしかなり得なかった。
もう顔を合わせることすら苦痛。地獄。


逃げ出すように家を出て行った俺は


盗賊「くっくっく……」


盗賊になった。
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:28:30.23 ID:inKctqE40
部屋


がちゃり

盗賊「……寝たのか?」

戦士「んあっ!? ……ボーっとしてたわ」

魔剣『盗賊ちゃん遅かったねぇ。何してたのー?』

盗賊「妹と話していただけだぜ」

戦士「7年ぶりに会話してどうだったよ」

盗賊「まぁまぁだな…」

戦士「どういう意味?」

魔剣『あ、妹ちゃんで思いだしたよ! さっきね、僧侶ちゃんが』

戦士「やめれ、やめれ! まだ起きてたらどうすんのよ…」

盗賊「僧侶がどうかしたのか?」

戦士「ほらぁ、僧侶ちゃんの胸って小さいだろ」

戦士「だから、盗賊の妹はそれに比べてでっかいから…コンプレックスがな…」

盗賊「……殺す」

戦士「悪かった悪かった!! もう変な事言わないからっ、な!?」

盗賊「チッ…」

魔剣『盗賊ちゃんももう休んだらー? 疲れてる顔してるよ』

盗賊「…そうだな」

「はぁ、はぁ、はぁっ……!!」

戦士「ん?」
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:29:31.04 ID:inKctqE40
魔剣『勇者ちゃん!?』

魔王「うっ、ぐ! はぁ、はぁ、はぁ…!」

戦士「勇者殿ォ!!」

戦士は魔王へ近づいた。

戦士「熱っ…!」

盗賊「どうした」

戦士「勇者殿の周りが異常に熱い! 何だこれ!」

盗賊「僧侶、僧侶起きろ…!」

僧侶「んっ……あ、ひいぃっ!?」

盗賊「は?」

僧侶「と、盗賊さ……!」

戦士「僧侶ちゃん!! 勇者殿の体調が悪化したみたいだ、マズいぞ!」

僧侶「えっ、悪化?」

魔剣『うわあぁ〜んっ、勇者ちゃぁ〜んっ!!』

魔王「あ、ぅう…がっ、ふ……!」

僧侶「これは……ただの風邪じゃないの…?」

盗賊「医者をすぐ呼んでくる。お前たちは勇者を」

戦士「あ、ああ! 勇者殿ぉ〜…」

魔剣『死んじゃいやぁーっ!』

僧侶「勇者様…!」


魔王「ぐううぅぅっ、う゛ううううぅっ…!!」
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/12(木) 05:31:54.82 ID:inKctqE40
以上です。一週間近く投下できなくてすまんかった
次回の投下予定、まだ立ってないです。できるときにひっそりと
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/12(木) 06:02:13.62 ID:1WUxK2rAO
>>1
舞ってる
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/12(木) 06:54:23.24 ID:d8iciiIFo
盗賊ちゃん…
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 08:12:54.99 ID:M9Zo6U7o0
妹天使じゃないか
盗賊は複雑だね・・・

乙だ
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 17:14:53.69 ID:q/rdyM5IO
妹はいい女(ヤンデレ)の素質があるな…
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 22:05:48.36 ID:GhSKblHSO
>>870
盗賊は微妙なとこだな…
ていうか僧侶ちゃんは見ちゃって顔合わせにくいだろうなwwwwww
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 02:32:17.36 ID:MHRk3g740
なぜ誰も側近のかわいさに触れんのだ
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 12:58:04.76 ID:D1hvgsODO
可愛いのが当然だからだな
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/14(土) 20:40:44.91 ID:Ab/PDuzao
側近女だったのか
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/14(土) 22:29:43.22 ID:ZngLT2yKo
最近、魔王系SSにハマってるんだけどみんなのオススメ教えてくれさい
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/01/14(土) 23:08:57.92 ID:T/X8p0NDo
農業魔王のシリーズ
女勇者「魔王は死んだ…」ってやつ
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 23:49:48.87 ID:5zdjuMP9o
オススメはこのスレ

騙されたと思って行ってみな
マジ面白いから
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1321461616/
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 00:17:28.02 ID:qnuPzIASO
>>879
勇者「魔王倒したし帰るか」

有名どころだけど
>>1他のSS出してすまん
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 02:58:48.13 ID:2UnxmtIIO
サンクス
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/15(日) 03:58:38.30 ID:W3bS/xRao
>>882
読んで来たけど全然魔王関係ないじゃないですかー

885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 03:59:41.34 ID:r5mNTQvM0
てか側近が女とは一度も言われてないよな・・・
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/15(日) 07:12:48.42 ID:avqo3z22o
>>885
>>856
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 08:40:38.03 ID:r5mNTQvM0
マジかよ・・・!
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/15(日) 09:01:08.84 ID:W3bS/xRao
>>880
全部読んだ
いい話だった

>>881
俺もそのSS好きだよ
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 12:05:03.49 ID:Zf0mgiQDO
他のSSの話出すなよ
雑談スレでやれ


側近が男……だ、と?
890 :!ninja [sage]:2012/01/15(日) 17:35:52.71 ID:nI/BTci20
え、なんで側近が男って話になってんの・・?
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/15(日) 20:15:01.84 ID:SdiuPa/AO
え、女だよな?
貴女って呼ばれてるし
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 21:06:39.42 ID:Zf0mgiQDO
はい
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:17:13.31 ID:GHHDvej80
武闘家「ん…僧侶姉、どうかしたの?」

僧侶「起こしちゃった? ご、ごめんね。今ちょっと大変で」

医者「……」

戦士「先生! 勇者殿死んじまうんじゃないでしょうね!? 殺しちゃダメっスよ!」

医者「いや、私は殺さないけど…」

盗賊「落ち着け、肉ダルマ。騒いでちゃ検診の邪魔になるぜ」

戦士「しかし!」

僧侶「一旦私たちは部屋から出ていた方がよろしいでしょうか…?」

医者「騒がないと約束してくれるのならいてくれても構わない」

医者「……やけに体温が高いな」

魔王「う、ぐ…」

戦士「勇者殿ォーーー!!」

医者「〜……」

盗賊「悪い。すぐにこいつは摘まみ出す…」ぐい

戦士「ちょ、ちょっとぉ!?」

盗賊「たくっ……」

盗賊は戦士を連れて部屋を出ていった。

武闘家「ねぇ、勇者死ぬの?」

僧侶「ううん、平気よ。すぐに治るから」

武闘家「そうよね! こんなんでくたばったら私が勇者殺せないもん!」

医者「は、えっ……?」

僧侶「転がせないだそうですっ!! どうかお気になさらずにっ」

医者「はぁ……」

武闘家「?」
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:18:16.00 ID:GHHDvej80
戦士「勇者殿ぉ…勇者殿ぉ…っ!」ウロウロ

盗賊「少しは落ち着け。お前が騒いでもアイツはどうもならんぜ…」

戦士「うぅ……だってよぅ…」

母「一体何の騒ぎ?」

盗賊「母さん……実は仲間の容体が悪化したようで」

母「そう、それは大変ね。でもそれだったらウチではなく、病院へ運んでくれないかしら」

母「ドタバタしていたらご近所様にも迷惑でしょう。こんな夜更けに」

盗賊「……仕方がない。戦士」

戦士「あ!?」

盗賊「場所を移そう。これ以上は迷惑がかかりそうだぜ…」

戦士「…そ、そうだな。すんません、お騒がせしてしまって」

母「治療費は出せるの?」

盗賊(たしか、あの時報酬で貰ったGが残っていたはず)

盗賊「なんとか」

母「そう。じゃあ余計な手出しは不要ね」

盗賊「……母さんたちにはもう迷惑かけられないからな」

戦士「お前……結構いい息子な!」

盗賊「…笑わせてくれるぜ、肉ダルマ。くくっ」
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:19:06.32 ID:GHHDvej80
診療所


僧侶「……先生、勇者様の容体は」

医者「けしていい状態には見えない事は確かだ。それ以外は詳しく見てみなければ」

戦士「あぁ!? だったらさっさとそれをしろよ!! ヤブ医かお前は!?」

盗賊「おい…」

医者「とにかく、もうしばらく待っていて欲しい。ところで」

魔剣『』

医者「こういう場に人を傷つける様な物を持ちこんでもらいたくはないんだがね」

僧侶「あ、えっと…その剣は……」

武闘家「そういえばさっきからそいつ喋らないわね?」

医者「喋る?」

僧侶「な、なんでもありません! こちらの話です…」

医者「ふぅん…。まぁ、とにかくそういう事だ。頼むよ」

医者は再び魔王の元へ戻っていった。

戦士「くそ!!」

武闘家「な、なに怒ってんのよ…落ち着きなさいよ、おじさん」

戦士「落ち着いてられるかよ!」

僧侶「戦士さん。ここは先生に任せるしかありません。ですから」

戦士「……ふんっ」

盗賊「にしても、魔剣か」

僧侶「さすがに盗賊さんのお宅へ魔剣ちゃんを置いておくわけにはいかないし、どうしましょうね…」

魔剣『僕も勇者ちゃんの傍にいたいの』

盗賊「苦労して運んできたんだ。いまさら何処かへ置いてくるとか勘弁だぜ……」
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:19:53.14 ID:GHHDvej80
魔剣『……』

戦士「魔剣ちゃん、さっきから静かだな」

盗賊「どこかの肉ダルマと違って、現状がしっかり理解できてんだろ」

魔剣『そんなんじゃないよ…』

僧侶「どうしたの? なんだか元気がなさそう」

魔剣『元気でいられるわけないよぉ……僕がもっと早く勇者ちゃんの病気に気づいてあげられてたらこんな事にならなか
ったのに』

魔剣『こ、これで死んじゃったら…殺したのは、ぼ、僕だよ……!』

僧侶「そんな事ない。気づいてあげられなかったのはここにいるみんなもそうなのよ?」

戦士「ああ…情けないったらありゃしねぇ…」

僧侶「だから、魔剣ちゃんも勇者様が早く元気になる様に祈ろう? ね」

魔剣『ぐすんっ……』

盗賊「……」

看護士「あの」

戦士「ど、どうした! 勇者殿が治ったか!?」

看護士「いえ、どなたかご同伴お願いできますか。先生からお話が」

戦士「だったら俺が!!」

盗賊「てめぇはそこで冷静になれるまで落ち着いて待ってろ。俺が行く…」

僧侶「で、では私も」

僧侶「……はっ」

武闘家「僧侶姉?」

僧侶(と、盗賊さんと2人って……私……)

僧侶「うぅ…」チラッ

盗賊「!」ドキ
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:22:13.04 ID:GHHDvej80
盗賊(な、なんで僧侶ちゃん俺をチラチラと)

僧侶「……///」

盗賊(顔が赤い……惚れてるとか)

盗賊「い、行くぜっ!! 僧侶ぉっ」

僧侶「は、はいぃぃっ!!」

武闘家「なんでどっちも声上がってんのよ」

看護士「……では、こちらに」


・・・


医者「一通り見てみました。で、わかった事なんだがね」

医者「体内に魔力を生み出している器官があるという事はわかるね」

盗賊「まんま、魔力器官……それで、そいつが?」

医者「アレがどうも異常を来している」

僧侶「では、あの発熱も」

医者「だろうな。魔力器官から止めどなく魔力が生産され続けているんだ」

盗賊「待てよ。そいつは普通の事だろ」

僧侶「ええ、でなければ魔力なんて直ぐに尽きてしまいますよ。勇者様は魔法もお使いになられますし」

医者「ああ、生産は常に行われる。しかし、限界を超えてすらだよ」

僧侶「……限界?」

医者「コップに水を注ぐにしても限界があるだろう。それと同じだ」

医者「要するに、彼のは今魔力が器からこぼれていても、増え続けている状態なんだよ」
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:23:03.89 ID:GHHDvej80
盗賊「……それはヤバい事なのか」

医者「私は前例を見た事がないが、魔力というのは知っての通り、魔法の素なわけだが」

医者「人体には非常によろしくない素にもなりえる。量が多すぎれば毒なわけだ」

盗賊「…そうなのか?」

僧侶「ええ。ですから、膨大な魔力の注入は禁止行為と見なされています」

僧侶「現在では魔力回復のアイテムですら回収処分されている程ですよ。過去の魔法使いたちはこれが原因で何人もの方
が命を落としたと」

医者「そいつらは自分自身で魔力を勝手に供給して自爆したわけだが、今回は違う」

盗賊「その、魔力器官って部分が狂っちまったってか」

医者「本来なら全くありえない事だ。…彼は本当に人間かね」

盗賊「ぶっっっ」

僧侶「盗賊さん!?」

盗賊「い、いや……」

医者「とにかく……その器官をどうにかしなければいけないわけだが」

僧侶「……取り除くんでしょうか」

医者「やむを得ない場合は。とにかく、今は状態が多少落ち着いてくれた様だ。私はこれから抑制剤になる物を探してみ
るよ」

僧侶「ありがとうございます。先生」

盗賊(そうか、忘れていたがアイツ元は魔王だったんだよな)
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:23:58.69 ID:GHHDvej80
魔王の病室


武闘家「よく個室のベッドなんて貸してもらえたわね」

戦士「ああ、丁度空いてたらしくてな」

魔王「すー……すー……」

魔剣『勇者ちゃん治ったー?』

戦士「治っていて欲しいなぁ……うぅ…」

魔剣『戦士ちゃん泣かないでー…』

盗賊「とにかく、しばらくは安静どころか寝たきりだぜ。下手に動けば逝っちまう」

戦士「そ、そんなにヤバいのか」

僧侶「良い状態ではなさそうです…」

僧侶「このままでは旅の継続も困難かと」

戦士「ウソだろおいぃ!?」

戦士「バカ言うなよ! ここで俺らの旅は打ち切りってか!? まだ1ヶ月ちょっとだぜ!?」

盗賊「落ち着け。止めになるとは誰も言ってない…」

武闘家「でもこの間に魔王に世界滅ぼされちゃうかもよ!」

魔剣『そんなのありえないよ! だって』

盗賊「ぎゃーーーっ!!! ぎゃーーーっ!!!」

「!?」

盗賊「……なんでもねぇぜ」

武闘家「今ので何でもないってのおかしくない!?」

戦士「気でも狂ったかよ」

盗賊「ふんっ」

盗賊「おい、余計な事は口にするな……」

魔剣『え?』
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:24:59.95 ID:GHHDvej80
戦士「にしても勇者殿、どうして急に」

僧侶「元々勇者様の魔力器官が優れ過ぎていたからかもしれません」

戦士「優れ過ぎていた?」

僧侶「はい。勇者様ってば唱える魔法も強力なものばかりだったでしょう?」

僧侶「あの様な高度な物は一回の魔力の消費だってバカにならないはずですよ」

戦士「俺、魔法とかわかんねぇよ…」

盗賊「その分俺たちは体張ってるからな。基本知識さえ押さえておけばどうという事もないだろうぜ」

魔剣『そもそも魔法って何なのー?』

武闘家「あんたそんな事も知らないの? 魔法って言ったら魔法よ!」

盗賊「説明になってねぇな…」

僧侶「魔法というのは、元々は魔物の技だったんです」

僧侶「それを人が解析して、今の魔法となりました」

戦士「って事は何よ。魔物が使う魔法は人間とは違ったもんなわけ?」

僧侶「多少の違いはありますが、本質は同じかと」

僧侶「違いが生まれるのは、魔力の質が原因でして」

魔剣『あ、たしかに人と魔物の魔力って違った味がするよー!』

武闘家「味…?」

盗賊(てことは…勇者が扱う魔法は、やはり魔物のそれと同等のもんなのか)
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:26:03.42 ID:GHHDvej80
魔王「……うぐ!」

魔剣『勇者ちゃん!』

魔王「熱い、熱い……! 爆発しそうである……!」

戦士「爆発っスか!?」

盗賊「医者を呼んでくる……」

僧侶「勇者様、気を確かに!」

魔王「ひぃ、ひぃ、ひぃ…」

武闘家「ちょっと…冗談抜きで死にそうじゃないのよ」

戦士「勇者殿ォーッ!!!」

魔剣『ああぁ〜んっ!!』

僧侶「み、みんな落ち着いて! 私たちが慌てていてもどうしようもありませんっ」アタフタ

僧侶「落ち着きましょう!! 深呼吸!!」


「すー…はー…すー…はー」


戦士「…こんなんで落ち着けるわけないだろ!?」

戦士「だいたい俺たちに何ができるっていうんだよ!」

僧侶「い、祈るぐらいは」

戦士「神頼みなんてしてる場合じゃ…」

がちゃり

?「失礼します」

戦士「あぁ!? 何だお前…!」

?は眠りの呪文を唱えた!

僧侶「こ、これ…は…………」

武闘家「ん〜…」

戦士たちは眠ってしまった!

?「部外者には出ていてもらいますよ。下っ端! 人間共を外へ!」

「下っ端って名前酷くないですか…」

魔剣『お前ら誰ー! 勇者ちゃんに近づかないでよ!』
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:27:02.92 ID:GHHDvej80
「側近様。剣が喋りましたよ……!」

側近「そういう玩具なんですよ。気にしないであなたは任せられた仕事を!」

「了解です…」

魔剣『無視すんなぁー!』

魔王「あ、う……ぐぅっ…!」

側近「ああ、魔王様……久しぶりにお姿を見られたと思ったら、こんな」

側近「待っていてくださいね! すぐに私が何とかしてみせます!」

リビングアーマー『何とかするのは構わんが。魔王様は城へ運んだ方が良いと我は思う』

側近「ちょっとー! あなたどうして持ち場から勝手に離れてるんですか!?」

リビングアーマー『我の勝手だろう。それより…ここのドアを通り抜けられんのだ…詰まった、そっちから引いてく
れ……』グイグイ

側近「ただでさえ図体でっかいんですから無理して部屋に入ってこないでくださいよっ!」

側近「今はあなたに構っている暇ではありません! 思っていた以上に魔王様の容態が」

リビングアーマー『むぅ、このままでは生産された魔力が溢れ切って大爆発しかねんか』

魔剣『ちょ、ちょっと待ってよ! 大爆発って何さ!』

リビングアーマー『け、剣が……面妖な……』

側近「…あなたも鎧のクセに喋ってるじゃないですか」

魔剣『ていうかお前ら何なのさ! 魔物のくせに!』

側近「そうですよ、私たちは魔物。そして魔王様へ仕える者です…えっへん!」

リビングアーマー『側近殿、なんか偉そうだな』

魔剣『勇者ちゃん、本当に魔王だったんだ……』

側近「そもそも! その勇者ってのがおかしいんです! 魔王様は魔王様ですからねー!」
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:28:04.85 ID:GHHDvej80
魔剣『魔王でも勇者でもどっちでもいいもん! 僕は勇者ちゃんに一生着いてくからね!』

側近「け、剣如きが戯言を…」イラ

リビングアーマー『雑談などいつでもできる事。それよりも優先すべき事があるのではないか』

側近「はっ……そうですね。スライム召喚!」

側近はスライムを召喚した!

側近「これからこいつに魔王様の体内に溜まってしまった余分な魔力を移します…」

リビングアーマー『その様な芸当が貴公にはできるのか』

側近「じ、実は初めての試みでして……うぅ…」

盗賊「っ! 何だこのデカ物は…!」


「!」


盗賊「戦士、僧侶! おい、一体何が起きてやがる!?」

医者「ひ、ひぃ…」

リビングアーマー『どうやら邪魔が入った』

魔剣『盗賊ちゃーん! 大変だよ、魔物がー!』

盗賊「魔物って……!」

側近「あなたはそのまま入口を塞いでいてください! 大丈夫、ちょっとやそっとじゃあなたは死にませんから!」

リビングアーマー『我を壁に使うとはいい度胸だ。御意…』

盗賊の攻撃! しかし、リビングアーマーはビクともしない!

盗賊「硬ぇ…」

リビングアーマー『オラオラ、どうしたそんなもんかよー』

盗賊「こいつムカつくな…」

盗賊「とりあえず、あんたは助けを呼んできてくれ! ここは俺が何とかするぜ…」

医者「あ、ああっ」

スライム「ぷるぷる」

側近「さぁ、張り切っていきます……!」

魔王「っふぅー、ふぅー…! はぁ、はぁ……」
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:29:30.82 ID:GHHDvej80
もわもわもわもわ・・・


スライム「」ビグンッ、ビクンビクンッ

側近「これが魔王様の……以前の時よりも魔力が」

魔剣『以前?』

側近「……元々、魔王様は魔力器官が異常だったんです。だから、過去にもこういった症状に近い事が数度ありました」

側近「その時はこんな事になる前に対処していましたけど。今回は色々と遅すぎた…」

魔剣『で、でも勇者ちゃんはこんな事初めて体験したって言ってたよ』

側近「そんな筈ないでしょうっ!! 魔王様は過去にもこうした発熱を起こしています!!」

魔剣『で、でもでも…』

側近「あなた程度の玩具が知っていたとは思えませんが、魔王様は記憶力が全然ないんです!」

側近「ご自身に都合が悪い事は忘れるし、大切な事もすぐ忘れてしまいます……昨日の晩ご飯の献立すら!」

魔剣『それ、どうして?』

側近「そういった病気というか、障害があるんでしょう。話はここまでです」

魔王「ごほっ、げほぉっ!」

側近「いいですよ魔王様。そうやって魔力をどんどん吐き出してください…少しは和らぐから…」

盗賊「てめぇら勇者になにしてやがんだっ…! 妙な事してたら殺すぜ!」

リビングアーマー『勇者ではない。魔王様だ』

リビングアーマー『貴公らがもっと早く魔王様の症状に気づいていれば、こんな事にはならなかったものを』

リビングアーマー『無責任で役立たずな人間共め』

盗賊「今まであいつを放置してたお前らも相当無責任な方だと思うがな…」
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:31:07.09 ID:GHHDvej80
魔王「……ん」

魔剣『勇者ちゃん!?』側近「魔王様!?」

魔王「何だ、この魔物は」

スライム「はぁ、はぁ…ん……」ビグン

魔王「キショいッッッ」

魔王の攻撃! スライムを倒した!

側近「ま、魔王様! まだ動かないでくださいよ!」

魔王「何故ここに側近の糞が居るのだ!」

魔剣『こいつら勇者ちゃんの事誘拐しようとしてたんだよー!』

側近「は、誘拐って! ま、まぁ…確かにお城へ連れ戻す気はありましたけど……」

側近「お願いです魔王様ぁ! 私たちと一緒にお城へ帰りましょう!? 美味しいお菓子一杯用意しましたから! ねっ」

魔王「断るッ!! ついに貴様自らがこうして出向いてくるとはなァ…」

魔王「わざわざ遠方からご苦労な事であるが、とっとと帰れウンコめ!」

側近「酷いです酷いです! もう少し歓迎してくれても罰は当たりませんよっ」

盗賊「勇者! ここのデカ物を何とかしろっ…」

リビングアーマー『は、えっ』

魔王「何だあの首無し鎧はよ。どうせ貴様が用意した魔物であろうな。趣味悪っ」

魔王「ムカつくからアイツぶっ壊すである」

側近「ま、待ってくださいー! 味方ですよ!?」

リビングアーマー『我が主よッ!! お忘れなのか!? 我は主に長らく仕えてきた魔の騎士――――』

魔王「知らんわ阿呆ッッッ」ぶんっ

魔剣『えぇーいっ!』

魔王の攻撃! リビングアーマーはバラバラに破壊された!


リビングアーマー『無念…』ばらばら


側近「きゃああああぁー!?」
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:32:34.45 ID:GHHDvej80
盗賊「もっと綺麗にバラせ…部屋が滅茶苦茶になったぜ」

魔王「掃除は盗賊がするのだ」

側近「う、ウソ……」

「側近様ぁー! 何やら悲鳴が……」

「魔王様じゃないですか!!」

魔王「あァん? 貴様も魔物か」

「魔王様、無事だったんですね…よかった、よかった!」

側近「し、下っ端! 今の魔王様へ近づいたらダメですよ!」

「へ?」

魔王「滅ッ」

魔王の攻撃! しかし、攻撃は外れた!

魔剣『惜しい〜! もうちょっと右だったねぇ』

魔王「チョロチョロと鼠の様に動くなよ、仕留め辛い!」

「ななななな、何してくれてるんですかぁ!?」ガクガク

側近「魔王様! お気を確かに! 私たちは魔王様の配下の者ですよ? ど、どうして…」

魔王「魔王? 魔王とは余に申しておるのか? ん?」

側近「あなた様以外にいませんっ!! 魔王様ぁー!」

魔王「余は勇者である。勘違いもよい所だなァ…」

盗賊「おい、もういいだろ…こいつらはお前の事を」

魔王「魔物は勇者の敵であろうが。倒すしかあるまい。ウザいし」

側近「う、ウザいって…!? 酷いです…私、悲しいです……ぐすんっ」
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:33:21.01 ID:GHHDvej80
魔王「貴様ら後5秒以内に余の目の前から失せろ。見逃してやらん事もないである」

側近「うぅ……」

「そ、側近様」

側近「嫌ぁ! 私たちの魔王様はあなた様しかいないんですっ! 戻ってきてくださいよぉっ」

魔王「5ぉ…」

魔剣『ほらほら、早く行った方がいいと思うよ〜』

側近「うぅ、うぐぅ…ひっ、く……ぐずっ……あうぅう……」ポロポロ

「行きましょうよ。また日を改めて、ね?」

側近「やだやだぁ……折角こうして会えたんですもん。連れて帰らなきゃ…」

魔王「4、3、2」

「ほ、ほら! 魔王様も何だか殺気立ってますし…まずいですって…」

側近「わ、私は去りませんから……魔王様が戻ってきてくれるまで、ここから…」

魔王「……人がこうも待ってやっておるというのに、何なのだ貴様ら」

盗賊「おい、止せって…」

魔王「もう一度だけ申してやろうか…失せろッッッ!!」

側近「嫌です! 諦めませんよ!」


魔王「」ぷっつん
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:34:05.28 ID:GHHDvej80
魔王「ブツブツブツ……」

魔剣『勇者ちゃん?』

「側近様、やばいです。これはやばいです…」

側近「ふ、ふんっ……!」プルプル

魔王「ん……」

魔王(何だ、体が凄く熱いである……熱い……)

側近「そのまま魔法なんて唱えてみて下さいよ! まだ完全に魔力器官の暴走は収まってないんですよ…」

側近「どうにかなっちゃいますからね!」

盗賊「おい、ちょっと待て。魔法って、お前……こんなところで何出す気だ!?」

魔王「黙っておれよ糞っ垂れェェェ〜〜〜……!! 余は魔王というくだらぬしがらみをここで断ち切るのだッ」

盗賊「だからって今、ここではマズイだろ! 落ち着けっ」

「側近様! 本当にまずいですって! 逃げましょうよっ!?」

側近「逃げませんし、失せません! 魔王様!」

魔王「だぁかぁらぁぁぁ……」

魔剣『ゆ、勇者ちゃ―――』


魔王「うがあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!!」


魔王は爆発の呪文(強)を唱えた!

全てが吹っ飛ぶ!
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:34:49.65 ID:GHHDvej80
ぼろぼろ・・・


魔王「……はぁ、はぁ」

魔剣『勇者ちゃん! 勇者ちゃん! しっかりして!』

魔剣『勇者ちゃんっ!!』

魔王「喧しいッ……聞こえておるわ阿呆…」

魔王「はぁ、はぁ」

魔剣『全部綺麗に吹っ飛んじゃったね。何もなくなっちゃったよぉ』

魔王「側近の阿呆が悪いのだ! 余は何も悪くはないである…」

魔剣『……でも、盗賊ちゃんたちまで巻き込む事はなかったんじゃ』

魔王「ふん、あやつらは金を払えば蘇るのだ。だから大丈夫」

魔剣『うーん…』

湯女「良いお知らせと残念なお知らせがあります。さて、どちらからお聞きになるのがお好みでしょう?」

魔王・魔剣「『!』」

魔剣『何この女!』

魔王「貴様はいつかの……ここで何をしておる?」

湯女「ふふっ、良いお知らせからお聞かせしましょう」

魔王「おう、貴様っ」

湯女「あなたを連れ戻そうとしていたあの魔物たちは、完全に塵と化してしまいました」

湯女「良かったですねぇ、魔王へ戻れなんてしばらくは言われずに済みそうですよぉ」

魔王「貴様には関係ないであろうが。マジで何なのだ」

魔剣『勇者ちゃん! こいつなんか怪しい臭いがプンプンだよ! やっちゃおう」

湯女「別に危害を加える気はありませんよ。さて、最後に残念なお知らせです」

湯女「あなたの魔力器官は完全に機能しなくなりました。よって、魔法はもう使えないかと」

魔王「あァ……?」
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:35:34.24 ID:GHHDvej80
魔王「なぜ貴様にそれがわかる! その前に何者か!」

湯女「あら、前に簡単な自己紹介は済ましたつもりだったはずですけど。うふふ」

魔王の攻撃! しかし、攻撃は外れてしまった!

魔剣『あれ!?』スカッ

魔王「チッ、外したか…」

湯女「お痛はいけませんわ。私は戦う気なんてありません」

湯女「さて、ここから取引のお話ですわ」にこにこ

魔王「……」

湯女「町を1つ滅ぼし、多くの人間を殺したとなっては勇者としてはこの先やっていけませんよね」

魔王「バレなければよいのだ!」

魔剣『そうだそうだー!』

湯女「いずれはバレてしまいますよ。そこで、私がこの町と人間を元通り直してさしあげようと思うんです。あなたのお
仲間方も」

魔王「ふゥん、やれるものならさっさとやって見せよ」

湯女「ですが! その代わりといっては何ですが。私のお願いを1つ聞いていただけませんか」

魔剣『お願い? どうせ面倒な事頼む気でしょー』

魔王「ならば断る」

湯女「話は最後まで聞くものです。頼みはとても簡単な事ですよ」

湯女「とある人物を殺害して欲しいのです。ね、簡単でしょう?」

魔王「物騒な女であるな…」
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:36:13.61 ID:GHHDvej80
魔王「して、その人物は?」

魔剣『頼み受けちゃうのー!?』

魔王「黙っておれ、魔剣」

湯女「はい」ニコ

湯女「この写真に写っている少女を殺害してほしいのです」

写真には10代後半に見える少女が1人写っていた。

魔王「こやつは」

湯女「勇者でございます」

魔王「勇者……? おう、勇者は余だけで十分だ! この様な小娘が勇者だと!?」

魔王「貴様に頼まれずとも、余が直々に手を下してくれるわ」

湯女「さすがですわ、勇者様」

魔剣『ほ、本当にやっちゃうの? 勇者ちゃん』

魔王「やると言ったらやるのだ! グダグダ抜かすなよッ」

湯女「ふふふっ…この少女はいずれあなたの邪魔になる人物です。殺しておいて損はありませんよ」

湯女は魔法を唱えた!

壊れた町は元の姿を取り戻していき、死んだ人間は全て蘇ってしまった!

魔剣『本当に直しちゃった……』

魔王「余計な奴まで蘇らせんかっただろうなァ?」

湯女「ええ、きちんと魔物はそのままですわ」
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:36:56.84 ID:GHHDvej80
湯女「では、私はそろそろ」

魔王「貴様はマジ何者である。人間か、魔物か?」

湯女「内緒です!」

湯女「女勇者は強力な装備を所持しています。くれぐれもお気をつけて殺して下さいね」

湯女は去って行った。

魔剣『……変なのー』

魔王「わけわからんわ」

盗賊「…わけわかんねぇのはてめぇだ」

魔剣『盗賊ちゃーん!』

盗賊「あんな爆発起こしておいて、どうしてこんな…」

魔剣『変な女が全部直してくれました!』

盗賊「変な女?」

魔王「なんでもないである。それより、魔王討伐以外に次の目的ができた」

魔王は写真の少女を盗賊へ見せた。

盗賊「……何だ? この女は」

魔王「こやつを探しだし、即刻仕留めるぞ」

盗賊「は…?」

魔剣『勇者なんだって、この子』

盗賊「勇者って……お前だろ?」

魔王「事情はよくわからんが、どうせこの小娘が勇者と語って何かしておるのだろう」

魔王「そんな偽者はさっさと潰すに限るである!」

盗賊「マジか……」
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:37:52.55 ID:GHHDvej80
戦士「勇者殿ォ〜! 治って良かったっスね!! 俺、滅茶苦茶嬉しいっス!」

魔王「寄るな、汗臭いッ!」

僧侶「それにしても一体何があったんですか?」

盗賊「まぁ、話すと長いぜ…」

僧侶「はぁ…………うっ!」

盗賊「! ど、どうしたっ…」

僧侶「ご、ごめんなさい! なんでもないから…ちょ、ちょっと離れていただけませんか…」

盗賊「は!?」

僧侶(色々あったから意識してなかったけど、盗賊さん……)

僧侶「しばらく、まともに目を合わせられる気がしない…」

魔剣『僧侶ちゃーん?』

盗賊「 」

戦士「盗賊どうしたんだ。顔青いけど?」

盗賊「な、何でもねぇ……へ、へへへ……あへ…」

戦士「アイツも風邪っスかね?」

魔王「あやつなら元々顔色良くなかったであろうが」

盗賊・僧侶「うぅ……」

武闘家「勇者ぁー!!」

魔王「あァん?」
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:38:50.41 ID:GHHDvej80
武闘家「元気になったのなら、今度こそ私と戦いなさいよ!」

魔王「何じゃこのクソガキ」

戦士「勇者殿忘れちゃったんスか?」

魔王「知らんわ、こんなの」

武闘家「し、しつれいな奴ね…あんたは!」

僧侶「そうですよ。せっかく勇者様のお身体の心配もしてたのに、この子」

魔王「だって、余はそんなの頼んでないし」

盗賊「……とにかく、体調が良くなったのならさっさと出発しようぜ」

盗賊「下手したら前の町から追っ手が来るかもしれねぇ」

戦士「お前が殺人なんてしなけりゃ……あーあ」

盗賊「…うるせぇ」

僧侶「しょ、しょれよりぃっ!!」

魔王・戦士「は?」

僧侶「と、盗賊さん……出発の前にご家族に、妹さんにご挨拶はいいんですか…?」

盗賊「……」

盗賊「構わん。どうせ、一度家を出た身だ。なんも思われねぇだろ…」

戦士「そうでもないんじゃないか? 妹さんなんてお前の事」

僧侶「じゃ、じゃあいいですね!! さぁ、出発しましょー!」

魔剣『なんか僧侶ちゃん変〜』

魔王「いつもの事である」

盗賊(本当によかったのか、俺)
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:45:24.17 ID:GHHDvej80
武闘家「ぐ、ぬ、ぬぅ……!」

武闘家「無視すんなぁーーーっ!!」

武闘家の攻撃!

魔王「蚊トンボめッッッ」

魔王のカウンター攻撃が炸裂!

武闘家「あうっ…!?」

戦士「勇者殿、やり過ぎっスよ…相手は子どもなんだから、もっと手加減ってやつを」

武闘家「子どもで悪かったわね…! なによ、子どもなら手加減しちゃうの!? バカでしょ!」

盗賊「バカはてめぇだぜ、さっさと家へ帰りな。行き場がないなら俺の家へ行って養ってもらえ」

魔剣『盗賊ちゃん優しいねぇ』

僧侶「そ、そうね…」

武闘家「うるさいうるさいうるさぁーい!! 何よ、舐めないでよね……ふんっ」

武闘家は去って行った。

魔王「また掛ってくるやもしれんし、追い打ちかけた方が良くない?」

僧侶「やめてくださいっ」

魔王「……んむー」

魔王(先程、魔法で迎え撃とうと思ったのだが…)

魔王「どうしたものか」

戦士「勇者殿? そろそろ出発しましょうぜ」

魔王「うむ…」

916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/16(月) 03:47:20.55 ID:GHHDvej80
今日はここまで。明日か明後日に続きいけるかもです

側近は女の子だよー
退場しちゃいましたけど
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/16(月) 03:48:37.01 ID:gD5JZbp8o

本物の勇者きたか
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/16(月) 03:51:44.14 ID:IyDCTPAco
乙!魔王ピンチ続きだな
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/16(月) 04:13:35.86 ID:2SksSYFso
側近死んだの?
酷いよ…
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 04:25:15.35 ID:/xbwY4YD0
うわああああああああ側近退場早すぎだろおおおおおおおおお
きっと再登場するんだよね・・・?
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 06:54:05.47 ID:qo5TmI5DO
魔王チートは好きだったから不安だ…
魔翌力器官戻ってほしいなぁ
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/01/16(月) 11:17:41.18 ID:21W1gDlJo
側近ェ…
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/16(月) 12:55:53.75 ID:USJ44QZI0
側近たんが・・・
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 13:02:45.80 ID:xw+Ry6iSO
側近消えるの早すぎだろ…おい…
魔王に記憶障害あるとか扱いづらいな
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:42:01.98 ID:Zhc+xsGf0
魔王城


「伝令です。先程、側近様たちが魔王様の返り討ちにあい、亡くなってしまったと……」

?「なーんと愚かな。魔族の恥さらしめが」

?「んくくく…しかし、奴は魔王親衛組の中でも最弱……」

?「そう、我らがまだ控えておるのだよ」

?「ところでピザとお寿司どっちがいいんだ?」

(三魔官様たちは側近様がやられても余裕であられる……凄い方々だ!)

「しかし、この先側近様のアンデッド攻めが使えなくなってしまい、戦略的に大幅な低下かと」

1「案ずるでない。奴の死体操りの技は既に我らの手の中だ」

3「そう、最早側近など不要な存在」

4「私的には脂っこいピザでも食べながらビールを頂くのがオツだと思うんだ」

2「あの女の存在価値は無いに等しかったというわけよ……ふふふ」

「そ、そうでしたか! さすが三魔官様!」

1「……さて、魔王様奪還についてだが。もうわかっているな」

2「ええ、奪還は放棄する。そうでしょう」

「な、なんと!? 何をなさるつもりですか」

2「わからないの? 魔王様、いいえ…魔王を始末し、私たちが魔族の頂点へ立つのよ」

4「いい加減にしろ。お前たちはどうして人の話を聞かないんだ……」

3「そう、あの魔王には消えてもらう。それが我ら魔族の為となるのだ……お寿司」

4「!」

2「ダイエット中だからヘルシーなスシが食べたいわ」

4「おお」

1「お寿司を欲する。ああ、出前取るなら前取ったとこやめなさい。あそこ来るの遅い」

3「そう、我らは一刻も早くこの腹を満たしたい……」

2「お腹ぺこぺこだし」

「あ、私が連絡入れときますよ。チラシくださいな」

4「お前いい奴だな」
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:42:46.94 ID:Zhc+xsGf0
2「ところで、既に側近が送り込んだ刺客なんだけれど」

1「アレについてはまだ動かしておくのだ。どうせ、奴らも狙いは魔王の首よ」

4「サビ抜きって言っておいて!」

「はぁい」

4「……ところで以前、側近に黙って我らが送り込んだ刺客だが」

2「ああ、アレね」

4「中々良い仕事っぷりだよ…ふふっ」

3「そう、魔王は既に詰みの状態の様なものだ」

1「魔法が使えない今が好機。一気に攻め立ててしまうべきよ」

1「さぁ、魔王よ。貴様の終わりは近いぞ……!」

2「んくくく……」

3「ふっ」

「なんか道が混んでるらしくて40分程度かかるって言われました」

2「ふざけんなよッ」

4「40分以上かかったらその店潰しに行くと伝えろ…」

「は、はい」

3「そう怒るな。店側の事情もあるのだ」

1「如何にも。お客様は神様なんて言葉はないのだよ」

4「お前ら優しいな…」

「お店から謝られました!」

2「謝って済むと思ってるの!? 意味分かんないんですけど」

「すみません……」

4「いや、お前が謝っても仕方がないよ。ドンマイ」

「はぁ……」
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:49:07.93 ID:Zhc+xsGf0



魔剣『海だよ〜』

魔王「言わんでもわかるわ。この程度ではしゃぐとかあり得ん」

盗賊「また魔物が出てきたりとかしないだろうな…」

戦士「たぶん、大丈夫じゃないか」

僧侶「戦士さん顔色が優れませんね…。船酔いですか?」

戦士「いや、ちょっと思い出に浸ってたら」

魔剣『海で泳いで溺れちゃった時の事だね!』

盗賊「どうしてお前がそれを知ってんだ」

魔剣『え、マジ?』

戦士「はははは……」

僧侶「ま、まぁ! 今回はゆっくりと船旅を楽しめそうですし、海でも眺めて心を落ち着かせましょうよ」

魔王「ずっと溜まった水ばかり見ていてもつまらん」

僧侶「そうですか? あ、ほら! あそこで今魚が跳ねましたよ!」

魔王「戦士、今日は魚を食うぞ!」

戦士「あいあいさー!」

僧侶「……ムードっていうものを知らないんですか」

僧侶「盗賊さんは……あっ」

僧侶「うぅ…」

盗賊「え……」

魔剣『……む〜ん』

戦士「魔剣ちゃん?」

魔剣『なんかこの間から盗賊ちゃんと僧侶ちゃんおかしくない…?』
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:49:55.05 ID:Zhc+xsGf0
魔王「何度も申しておるがな。あやつらの頭がおかしいのは」

魔剣『そうじゃなくてね! なんか変なの』

戦士「……言われてみれば、どことなく余所余所しい」

魔剣『変でしょう』

戦士「ああ、変だ!」

僧侶「さっきから変変って、しつれいじゃないですか…!」

魔王「盗み聞きは感心せぬなァ!!」

盗賊「何言ってんだてめぇ…」

盗賊「……」チラ

僧侶「」サササ

盗賊「 」

戦士「何があった!?」

盗賊「わりとこっちがソレを聞きたいところだぜ…」

魔王「やーい、振られたー! やーい、盗賊ウンコー!」

盗賊「っ……怒る気もしねぇ」

魔王は盗賊を叩いた!

盗賊「ああぁっ!? なぜ叩いた!」

魔王「そういう投げやりな態度が一番腹立つのだ」

魔剣『盗賊ちゃんらしくなーい』

僧侶「わ、私…ちょっと静かなところに移動しますね……考え事があるので」

盗賊「えぇっ…」

魔王「やーい!」

戦士「うーむ……」
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:50:32.63 ID:Zhc+xsGf0
僧侶「はぁ……」

僧侶「盗賊さんにどんな顔を向ければいいんだろう…」

僧侶(あの時、盗賊さんのお宅で聞いた、あの)




『お前の事が好きだった。恋愛のそれとして』

『初めても、次もお兄ちゃんと……私もお兄ちゃんの事が好き。男として』




僧侶「」ブルブル

僧侶「き、きっと空耳か何かだったのよ。そんなバカな事が」

戦士「何がよ?」

僧侶「ひいぃっ!?」

戦士「そ、そこまで驚かなくてもいいでしょ…」

僧侶「ごめんなさい…ちょっとボーっとしてて」

戦士「考え事の邪魔しちゃったかねぇ」

僧侶「い、いえ! 別にそんな」

僧侶「ただ……」

戦士「ただ?」

僧侶「……あまり言いたくありません。すいません」

戦士「うーむ…」

戦士「なんか盗賊の家に泊まってからだよな。僧侶ちゃんと盗賊の様子が変なのは」

僧侶「そ、そんな事ないですよっ」

戦士「そんな事あります!」
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:51:06.14 ID:Zhc+xsGf0
戦士「見ていて面白いっちゃあ面白いけどな、そろそろ息が詰まりそうだ!」

僧侶「そこまでですか!?」

僧侶「……わ、私だって盗賊さんと元の関係に戻りたいですよ」

僧侶「ですけど…」

戦士「お、お、フクザツなお話くるー?」

僧侶「茶化さないでください」

戦士「あい……」

僧侶「…戦士さんは、家族同士っていうか…兄妹同士での愛ってどう思います?」

僧侶「あ、恋愛として!」

戦士「家族で恋愛? すげぇな。見てて面白い事になりそう」

僧侶「……ふざけているならこの話は聞かなかった事に」

戦士「んー……難しいところだと思う」

僧侶「え?」

戦士「愛って結局辿り着くところがSEXじゃない? つまり近親相姦になるんだろ。それだと」

僧侶「ぶふぅっっっ」ブー

僧侶「何言ってるんですか!?」

戦士「今のは結構マジな話なんだけど…」
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:51:41.58 ID:Zhc+xsGf0
戦士「なんかそういうのって本人同士が良ければいい、みたいな事が言われてそうだけど」

戦士「世間の目とか気にしたりすれば、その家族にも迷惑がかかるよな」

僧侶「はい…」

戦士「俺にも姉が1人いるんだけどな。美人だとは思ったが恋をした事は一度たりともない」

戦士「まぁ、昔パンティー一枚盗んだけど……」

僧侶「はぁああ……///」

戦士「…げふんっ」

戦士「ところで僧侶ちゃんはそんな事聞いて俺にどう答えて欲しい?」

僧侶「どうって」

戦士「こんなもの、正解なんて存在しねぇよ。愛の形はいっぱいあるんだ」

戦士「まぁ、言ってしまえば…俺はあんまりそういうの好きじゃないな。家族との恋愛」

僧侶「……」

戦士「聞かなかった事にしておきます?」

僧侶「お、お願いできますか」

戦士「構わんよ。俺はちょっと暇つぶしに僧侶ちゃんに会いに来た、って事でな」

戦士「昼飯あるからみんなで食べよう。俺ら僧侶ちゃん来るまで待ってるからー」

戦士は去って行った。

僧侶「なんだか難しいわ……全然わからない…」

僧侶(ていうか、私がこんな事で悩まなきゃいけないってわけでもないような)

僧侶「今優先する事は、盗賊さんと向き合う事よね。うん!」

僧侶「」ふんふんっ
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:52:22.19 ID:Zhc+xsGf0
魔剣『潮風が心地いい……おほほ』

盗賊「は?」

魔剣『これ言うのが夢だったの』

魔王「貴様がまともに潮風受けたら錆びるだけである」

戦士「おーい、そろそろ昼飯にしましょうぜー!」

盗賊「作っておいたのか?」

戦士「おう、簡単な物だけど。あ、僧侶ちゃん来るまで待て、よ」

魔王「僧侶とか別に待たんでよいッ!! 早く!」

魔剣『僕も食べたいー』

盗賊「刃が汚くなるぜ…」

僧侶「お、お待たせしました!」

盗賊「!」

僧侶「ととと、盗賊ひゃんっ!!」

盗賊「お、おう!?」

僧侶「お隣、宜しいでしょうか!!」

戦士(お…)

盗賊「ど、どうぞどうぞ…」

僧侶「ああ、ありがとうございますっ!!」

魔王「なーに顔赤くしておるのだ貴様。発情しておるの?」

魔剣『勇者ちゃんってばえっち…!』

僧侶「違いますから! さ、さぁ…ご飯にしましょ」

戦士「はいはいー」ニコニコ

盗賊「はぁ、はぁ……///」
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:53:08.58 ID:Zhc+xsGf0
魔剣『勇者ちゃん美味しい〜? 僕があーんしてあげる』

魔王「貴様では無理であろうが阿呆。できたとしてもノーセンキューである」

魔剣『照れちゃって〜』

魔王「海へ投げれば二度と目にしなくて済みそうだな…」

魔剣『やぁーんっ!』

戦士「相変わらず仲いいなぁ」

魔王「戦士ウザい」

戦士「そんなっ」

僧侶「ふふふっ…」

盗賊「」パクパク

僧侶「お、おむすび美味しいですか?」

盗賊「ふ、普通だと思う……」

僧侶「盗賊さんは好きなんですよね。おむすび…」

盗賊(そんな好きでもないんだけどな…)

盗賊「そ、僧侶はハンバーグが好きだったはずだ。そうだろ」

僧侶「! 覚えていてくれたんですか。嬉しいです」ニコ

盗賊「んぐぅぅっ!!」

僧侶「と、盗賊さん!? 戦士さん、水をー!」

戦士「へ?」

盗賊(なんかよくわからんが、どうした僧侶ちゃん。まさか……)
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:53:52.45 ID:Zhc+xsGf0
僧侶「盗賊さんは〜〜」

魔剣『うむむ、なんか急に僧侶ちゃんが積極的…』

戦士「愛だよ、愛」

魔王「なにやら面白そうである。うひひ……」

戦士「ゆ、勇者殿! 人の恋路を邪魔しちゃいけませんぜ!」

魔王「だって盗賊だぞ! あのままでは色々とダメである!」

戦士「盗賊だって人並に幸せになりたいはずっスよー!」

盗賊「……全部聞こえているが」

戦士「お、俺たちの事は気にするな! 勇者殿は俺が抑えてるから!」ぐいぐい

魔王「ウガァー!!」ジタバタ

僧侶「なんだか久しぶりに賑やかな感じですね」

盗賊「へ?」

僧侶「ほら、色々あったじゃないですか……色々…」

僧侶「い、色々……!」

僧侶「あうっ」

盗賊「そ、僧侶!」

僧侶(私のバカ…自爆してどうするのよ…)

魔王「なんだが、ぎもぢわるぅ……うぷっ」

戦士「ああっ、揺れてるのに騒いだりするからー!」

魔剣『勇者ちゃーん!』

魔王「……おええぇえ」

「……」

船員「……掃除しておいてくれよ」

戦士「あ、すんません…」
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:54:33.24 ID:Zhc+xsGf0



魔剣『着いたー! 陸だー!』

魔王「おう……」ヨロ

戦士「勇者殿、しっかり!」

僧侶「どこか座って休める場所を探しましょうか…」

盗賊「ったく、自業自得だぜ」

魔王「盗賊のせいである…っ」

盗賊「何でだよ!」

戦士「ほらほら、口喧嘩は後にして。ちょっとそこのベンチに座りましょうや」

魔王「んぐぅ…」

魔剣『勇者ちゃーん…』

魔王「今話しかけるでない…頭に響く…」

盗賊「二日酔いじゃねぇんだからよ」

僧侶「二日酔い……はっ」

僧侶(そ、そうだわ。あまり使いたくない手段だったけれど)

僧侶「今日は早めに宿を取りませんか? それから各自自由行動という事で」

戦士「あー、そうだな。そうしますか」

盗賊「……」

僧侶「という事で、今夜飲みましょう!」

盗賊「は、えっ…」

僧侶「ここ最近、皆さんも疲れやらストレスやら溜まっているみたいですし」

僧侶「ど、どうでしょうか?」

戦士「さんせー」

魔剣『僕もー!』

魔王「貴様は剣だ阿呆…」
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:55:18.79 ID:Zhc+xsGf0
宿・部屋


戦士「ふぅー」

魔剣『ベッドふかふか〜』

僧侶「感触わかるの!?」

魔王「復活、である!」ピンピン

盗賊「はえぇな…」

魔王「しかし、する事もないな」

僧侶「日が暮れるまで自由行動ですよ。私は港を見てきます」

戦士「俺もかなぁ」

魔剣『勇者ちゃんも行こうよー、僕も持ってってね』

魔王「静かになりたいから置いて行く」

魔剣『やだぁー! 一緒行きたいのっ』

盗賊「……」

盗賊「肉ダルマ。話がある」

戦士「は、何よ?」

盗賊「」チラ

僧侶「ひっ…」

盗賊「ここでは何だ。外で話すぜ…」

戦士「あ、ああ…」


がちゃり


魔王「……モーホーか」

僧侶「やめてください」

魔剣『何それ?』
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:55:58.71 ID:Zhc+xsGf0
戦士「で、話って」

盗賊「」キョロキョロ

盗賊「誰も聞いてないな……」

戦士「聞かれちゃマズイ話なのか…?」

盗賊「てめぇに頼み事ってのも癪だが」

盗賊「俺に料理を教えてくれ」

戦士「ん?」

盗賊「……」

戦士(目が怖ェ)

戦士「一体どういう風の吹き回しだ。覚えなきゃいけない理由があるのか」

盗賊「僧侶に俺が料理を教えたいんだ」

戦士「んん?」

戦士「待て待て」

盗賊「頼むっ……!」

戦士「いや、頼まれからには教えるけど」

戦士「……まぁ、いいか」

戦士「よし、着いてきな」

盗賊「……? どこへ行く」

戦士「簡単な料理から教えようと思ってな。食材を買いに行こう」

戦士「さっき市場を見つけたんだ。ほれ、早く来いって!」

盗賊「肉ダルマ先生……感謝する……」

戦士「その肉ダルマはやめようぜ」
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:56:31.57 ID:Zhc+xsGf0
僧侶「今日は天気が良いですねぇ」

魔剣『ポカポカだね〜』

魔王「眩しいである…」

僧侶「暗いのダメだったり、眩しいのダメだったり、大変ですね…」

魔王「バカにしておるのか僧侶!」

僧侶「別にそういうわけでは……」

僧侶「勇者様も港をご覧になります?」

魔王「……いや、余は」

魔剣『何するのー?』

魔王(魔法がマジで使えなくなったか確かめたい)

魔王「ちょっくら外に出るわ」

僧侶「特訓ですか? でしたら、どうかお気をつけて」

魔剣『またまたレベル差開いちゃうねぇ』

僧侶「うっ……!」

魔王「そういえば、僧侶よ。なぜ急に酒なんぞ飲みたがる?」

僧侶「へ!? あ、えっと……」

僧侶「息抜き、ですかね…あはは…」

魔王「ロクに仕事してないくせに」

僧侶「言わないでくださいよ…」


どんっ
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:57:42.81 ID:Zhc+xsGf0
魔王「痛ぇであるっ! おう、貴様ァー!」

「あ、すみません……お怪我は」

僧侶「大丈夫ですよ。何ともなさそうです」

魔王「勝手に貴様が判断するなよ。肩が外れてしまったぞ! 金を置いてゆくのだ!」

僧侶「恐喝紛いの事は止して下さい…! 一応勇者なんですからっ」

「……勇者?」

魔王「一応とは何だ。余は列記とした勇者だ!」

魔剣『そうだよー!』

僧侶「あ、はい。そうですね」

魔王「…何だ。貴様まだいたのか? さっさと失せろ」

「……」

少年は魔王をじっと見つめている。

魔王「……あァ〜ん?」

僧侶「ちょ、ちょっと!」

魔王「こやつがガンを飛ばしてくるから、それに答えておるだけであろうが。邪魔するでないぞ」

「勇者なんですか」

魔王「同じ事を何度も申すのは嫌いである」

「そうですか。では、しつれいします」

少年は去って行った。

魔王「何だあのしつれいなガキ!」

僧侶「きっと勇者様に見とれてたんですよ」

魔王「真か?」

僧侶「冗談ですっ、ふふ」

魔王「あァ!?」
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:58:21.31 ID:Zhc+xsGf0
市場


「新鮮な上に安いよー! 買ってけよー!」

盗賊「」ビクッ

盗賊(どうしてこう、ああいう奴らはデカイ声で…)

戦士「何おどおどしてんの。しっかり食材見ろよ」

盗賊「あ、ああ」

盗賊「…しかし、どれがいい奴なのかわからんぜ」

戦士「野菜なら、虫が食ってる奴が甘かったりしていい感じだったりする」

盗賊「マジか…」

戦士「全部が全部ってわけでもないけどなー」

戦士「簡単に作れそうな物ならぁー……んー」

盗賊「ハンバーグにしよう」

戦士「ハンバーグ?」

盗賊「……僧侶の好物らしいんだ」

戦士「おほぉ〜…」

戦士「愛い奴めっ、うりうり!」

盗賊「調子乗ってると殺すぞ、てめぇ……」

戦士「そういうところが可愛くねぇ…」

戦士「あんまり汚い言葉ばっかり吐いてると僧侶ちゃんから嫌われるぞー!」

戦士「僧侶ちゃん、神官なんだしな!」

盗賊「うっ……」
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:59:10.91 ID:Zhc+xsGf0
盗賊「言葉使い、気を付けた方がいいのか」

戦士「できる限りならな! そんな死ねだか殺すだかばっかり言ってたら近づき辛いしよぅ」

盗賊「ああ……」

戦士「死んでください、お殺しになります。ぐらいにしとけよ」

盗賊「インパクトねぇだろ。それ」

戦士「俺も思った」

戦士「まぁ、今さら言葉訂正した所で逆に変に思われそうだけどなぁ」

盗賊「チッ、何なんだよ……」

戦士「相手は女の子なんだ。そんなんじゃあの子のハートを盗めないぜ、盗賊!」

盗賊「まさか盗賊とかけてるわけじゃないだろうな…」

戦士「……あー」

戦士「この玉ねぎを使おう。いい感じだ!」

盗賊「〜……」

盗賊「おい、お前はどうして料理ができる」

戦士「へぇ?」

盗賊「男が料理なんて、その道の奴しか普通できねぇだろ」

戦士「んなこたぁーない。最近のイイ男は料理ができる事も条件の1つだからな」

盗賊「マジか…!」

戦士「まぁ、俺は育ての親が料理の腕だけは絶望的だったからよ。上手くならざるを得なかったわけ」

戦士「その人に美味い飯食わせる為になー」

盗賊「ふぅん……」
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 02:59:49.18 ID:Zhc+xsGf0
僧侶「さすが港。色んな露店があるわ」

僧侶「でも僧侶! ここはお財布の為に我慢しなきゃダメ!」

僧侶(あの変なビキニの事もあったし…気をつけなきゃ…)

「そこの道行くお穣さん。ちょいと待ちな」

僧侶「……その声は」

行商人「いい物があるよ〜。ちょっと暇つぶしに見ていこう! ね!」

僧侶「あー! やっぱり!」ズビシ

行商人「は? ……あ」

行商人「やっぱり、見ていかなくてもいいよ。無理してこんなところでさ…」

僧侶「誤魔化そうたってダメですよ!」

僧侶「よくもあんなインチキ商品を売りつけましたね! おまけも酷かったし!」

行商人「でもでも、あんなお得なセットが格安で手に入ったんだよ? いいじゃん!」

僧侶「薬草ぐらいしか役に立ちませんでしたからね、あれ」

行商人「あちゃー……」

僧侶「何とか言ってみたらどうです!?」

行商人「…おや、お嬢さん」

行商人「ちょっとスタイル良くなったんじゃ? 胸もちょっと…おぉ」

僧侶「ひっ……///」
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:00:25.58 ID:Zhc+xsGf0
僧侶「ジロジロ見ないでくださいっ!」

行商人「うおぉー! これもあの危ない水着のおかげじゃないのかぁー!?」

行商人「いやぁ、毎日欠かさず装備してたんだね。うふふ」

僧侶「変態!!」

僧侶「もう騙されたりしませんからね…。では」

行商人「待ちなっ」

僧侶「……何ですか」

行商人「お嬢ちゃんはもうウチのお得意様みたいなもんだ。そこで」

行商人「こいつを特別に見せてやろう……」

僧侶「…これは?」

行商人「エッチな本」ボソ

僧侶「最っ低ですね!!」

僧侶「女性にそんな物を見せつけるなんて…うぅっ」

行商人「まぁまぁまぁ! こいつは普通の本と違うのだよ」

行商人「今のこの暗黒時代。セクシーギャルが需要があると言われている」

僧侶「はぁ?」

行商人「エロチックなお姉さまが嫌いな男はいるかい?」

僧侶「知りません……だいたい、私は神に仕える身です。そういった物には」

行商人「そこで新しいジャンルを生み出しちまえって事だよ! 神官のくせにエロい!」

行商人「まさにエロスの神」

僧侶「意味分かりません……」
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:01:04.58 ID:Zhc+xsGf0
僧侶「私、もう行きますから。それでは」

行商人「安くするよ」

僧侶「」

行商人「今ならお得なセットにしちゃうよ」

僧侶「はうっ」

行商人「このエッチな本を読めば、セクシーギャルになれちゃうし」

行商人「もっと胸が大きくなるよ!」

僧侶「本当…ですか…?」

僧侶「もう藁にもすがる気持ちなんですっ! 本当なんですか!?」

行商人「…ああ!」

僧侶「……お値段」

行商人「500G」

僧侶「まだ下がりますよね」

行商人「じゃあ50引くかな…」

僧侶「甘いですよねっ!!」

行商人「お嬢ちゃんは交渉上手だなぁ! わかった、370Gだ!」

僧侶「もう一声いっちゃいましょうよ!」

行商人「うおおぉぉ…!」

僧侶「むむむっ…!」
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:01:51.59 ID:Zhc+xsGf0
フィールド


魔王「〜〜〜〜〜……」

魔王「カアアァーーーーーッッッ!」

呪文は唱えど、何も起きない。

魔王「……むぅ」

魔剣『もしかして、本当にあの女が言ってた通りに』

魔王「体内から魔力が全く感じられん…」




「そのまま魔法なんて唱えてみて下さいよ! まだ完全に魔力器官の暴走は収まってないんですよ…どうにかなっちゃいま
すからね!」




魔王「どうにかなってしまったというのか!?」

魔剣『勇者ちゃん可哀想だよぉ…』

魔王「糞っ垂れェー!」

魔王「……まぁ、余なら魔法なんて使わんでも最強だろうが」

魔剣『そうだよ! それに僕もいるんだから、ね!』

魔王「貴様は関係あるまい。余の実力よ」

魔王「……」

魔剣『やっぱり、ちょっと悲しい?』

魔王「喧しい…」

「その剣、やっぱり喋っていたんですね」

魔王「あ?」

魔剣『あれ、あの子さっきの』

魔王「しつれいなガキか」

「どうもです」
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:02:32.58 ID:Zhc+xsGf0
魔剣『僕が喋ってて驚かないの?』

「驚いてるよ。びっくり」

魔剣『ウソくさー…』

魔王「何用か。余に因縁でも付けに来おったか」

「いいえ、そんな事は…」

「ただ、少し話をしたいなって」

魔王「余から貴様に話す事は1つもない! 消えろ」

「……冷たい人ですね」

魔剣『そんなことないよぉ』

「ううん、冷たい人。それにとっても寂しい人です」

魔王「貴様ァ…!」

魔王は少年へ掴みかかった!

「っ!」

魔王「失礼極まりない。無礼であるぞ!」

「ご、ごめんなさ…」

魔王「いいや、許さん! こういうクソガキは殴って教育し直してくれる!」


むにゅ


魔王「……あ?」

「あ、あの……手どけてくれませんか。その、触ってますから…えっと…」

魔王「柔らかい……」ムニュムニュ

「うあぁっ…!」

魔剣『ちょっとちょっとー! やめてよー!』

魔王「こやつ、女か?」

なんと! 少年は少女だった!
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:03:18.61 ID:Zhc+xsGf0
魔王「なぜ女だと黙っていた!」

少女「き、聞かれませんでしたし」

魔剣『でもどうしてそんな男の子みたいな恰好してるの? 顔も隠しちゃって』

少女「それは……言えません。あなたたちには関係ありませんから」

魔王「関係ないが、気にはなる。ツラをよく見せよ」

少女「ちょ、ちょっと!」

魔王は少女の顔にかかったフードを取った。

魔王「!」

少女「……」

魔王「……貴様、見た事があるぞ」

魔剣『有名人?』

少女「…有名人っていえば、確かにその部類ですけど」

魔王「見た事はある。あるのだが、知らん」

少女「え?」

魔王「貴様は何者か」
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:04:05.17 ID:Zhc+xsGf0
少女「ただの旅人ですよ」

魔剣『でも有名人なんでしょー?』

少女「ゆ、有名な旅人です」

魔王「ワケがわからん事をぬかすな」

魔王「ふんっ…」

魔王は少女を開放した。

少女「あっ」

魔王「さっさと消え失せるのだ。貴様などどうでもよい」

魔剣『いいの?』

魔王「興味が無くなったわ」

少女「俺……ううん、私は興味あります。あなたの事が」

少女「勇者なんですよね」

魔王「それがどうした、小娘」

少女「ふふっ……いいえ、なんだか私が知ってる勇者と違うなって」

魔王「あァん?」

少女「何でもありません。それでは、また何処かで出会えたら」

少女「道中気をつけて下さいね。この辺は物騒ですから」

魔王「ふん、貴様もなァ…」

少女「それでは、勇者さんと喋る剣さん」

少女は去って行った。

魔剣『アイツ、一瞬変な感じしたよ…?』

魔王「貴様もか魔剣」

魔剣『僕もどっかで見覚えあるかもー…』

魔王「うーむ…思い出せないぐらいだ。どうでもいいのである」
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:04:46.37 ID:Zhc+xsGf0
酒場


戦士「そう気に病むなって。ハンバーグなんて練習すれば誰でも作れるもんさ!」

盗賊「いいや、俺には……」

戦士「それより2人はまだ来ないのかねぇ。待ちくたびれちゃったんですけどー」

戦士「…さきに飲んでるか?」ニヤ

盗賊「ダメだ! 僧侶の提案なんだからアイツが来なきゃ…」

僧侶「あ、あのー……」

盗賊「ひぃ!」

僧侶「ごめんなさい。遅れてしまって」

戦士「遅いー。何してたんだよ?」

僧侶「あ、えっと……内緒で」

戦士「なんだよそれ。飲ませて白状させてやるか」

僧侶「あ、今回は負けませんよ!」

盗賊「無茶して前みたいな事にはならない様にな…」

僧侶(お酒が入れば、盗賊さんともまともに話しあえるはず)

僧侶(あわよくば、例のアレについても聞けたりするかも……)

戦士「そういや盗賊って酒強いよな」

盗賊「慣れてるからな、くくっ」

僧侶(聞け……るかしら)

魔王「勇者様登場である」

魔剣『僕もいるよー』
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:05:23.31 ID:Zhc+xsGf0
盗賊「お、おい…人がいる所に魔剣なんて連れてきたら…!」

魔王「こんなに騒がしいのだ。特別何かしなければバレもせんわ」

魔王「まぁ、部屋に置いてきても良かったがな」

魔剣『ダメだよそんなのぉっ!』

戦士「可哀想だし、一緒にいてもいいじゃんよ」

盗賊「……じゃあいいんじゃねぇのか」

魔剣『わーい!』

僧侶「よかったね」

僧侶「…店員さん!!」

「!」

僧侶「とりあえず生中4つでー!」

戦士「いきなりだな、おい…」

魔王「僧侶テンション高いとどうもキモい…」

僧侶「どうしてですか!?」

盗賊「はぁ……」

魔剣『盗賊ちゃん、元気ないね?』

盗賊「あ? 手先の器用さなら自信あるんだが、どうもな……」

魔剣『何の話…?』
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:06:21.94 ID:Zhc+xsGf0
1時間後


僧侶「ぐ、っひゃっひゃっひゃっwwwwww」

魔剣『あわわわわ……』

僧侶「何なんですかぁ! 剣が喋ってますよぉぅ〜!」

戦士「ま、魔剣ちゃんだからな」

僧侶「ん魔剣〜? 知りましぇー…うぇっへっへwww」

魔剣『そ、僧侶ちゃん怖いよ……』

魔王「さっきから摘まみ来ないんだがァー!!」

盗賊「今日は混んでるみたいだからな。店も大変だろうぜ…」

戦士「船乗りばっかりだな」

僧侶「ちょっとぉ! 盗賊ひゃぁんっ!」ガシッ

盗賊「ぶっっっ…」

僧侶「仲良くしましょうねぇー…www」ニコニコ

盗賊「あ、ああ…そうだな…うん」

僧侶「ひひひwwwwwwww」

魔剣『ねぇ!? 僧侶ちゃんってばいつもこんなになっちゃうの!?』

魔王「僧侶は酒癖が非常に悪かった。今なら何しても笑って済まされるぞ!」

魔剣『怖いからいいよぉ…』

戦士「勇者様も今日は酒の入りがいいですねぇ〜! どんどん行きましょうよー!」

魔王「うむ…www」

僧侶「はぁい、一気! 一気ー! 勇者様一気〜、のーんで飲んで飲んでへぇー!!」

盗賊「僧侶、無理するなよ…」
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:07:27.31 ID:Zhc+xsGf0
戦士「これー美味くないっスか!」

魔王「なぁにwww 戦士の作った料理の方がうめぇーであるwwwwww」

戦士「うはぁっwwwww 勇者殿嬉しいっスよぉぅ!」

僧侶「2人は本当になぁかいいへふよねぇ wwwwwww羨ましいぃ〜」

魔王「おう、僧侶も混ざるのだwwwww」

僧侶「うひひっwwwwwww」

盗賊(順調に周りができあがり始めてる…)

盗賊「シラフは俺だけか」

魔剣『盗賊ちゃぁん…』

盗賊「……こいつもか」

魔剣『みんなおかしいの…きっと、敵の魔法のせいだよ!』

盗賊「酒ってこういうもんだと知っとけ」

魔剣『おかしいよぉ〜!!』

盗賊「……」チビチビ

僧侶「盗賊ひゃあんっ!!」ギュッ

盗賊「は!?」

僧侶「ん〜飲んでますかぁーーーwwwww」

盗賊「は、はい…」

僧侶「よしよーし〜ならOKですよぉぅ〜」ナデナデ

盗賊「おっ、ぐぅ…!?」

盗賊(抱きつかれて…頭撫でられて……ああ、あああ……!)

盗賊「せ、戦士っ」

戦士「へぁ?」

盗賊「酒の力ってやべぇ…!」

戦士「そうなぁ〜wwwww うひひひwwwww」

僧侶「勇者様ぁ〜抱き心地いいですねぇ〜!」ギュッ

魔王「僧侶臭ぇ! 臭ぇであるっ!」
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:08:12.80 ID:Zhc+xsGf0
数時間後


魔剣『もう僕ここいたくないよぉー! 帰ろうよ!?』

戦士「何言ってんのよぅ。これからでしょーが!」

魔王「これだからガキは困るのだ…wwwww」

魔剣『変な勇者ちゃんやだよーっ!』

盗賊「我慢しな、魔剣…」

僧侶「盗賊さぁあーんっ!!」

盗賊「こ、今度はなんだ…」

僧侶「……いひゅも、ありがとーございます」

盗賊「んん…?」

僧侶「盗賊ひゃんがわたひたちの中でも、レベリュが高いりゆーがわかりまひたぁ…」

僧侶「だれよひも、いっしょうけんめーだからでふよねぇ〜…」

盗賊(……何言ってるかわからんぞ)

盗賊「なぁ、僧侶。そろそろ水飲んで…」

僧侶「まだいけまふっ!!」

魔王「余裕のよっちゃんであるーwwwwww」

戦士「うわっ、じじ臭いっスよそれっ!」

魔王「この老け顔誰であるかwwwwww えぇ?wwwwww」

戦士「はぁ!?」

魔剣『戦士ちゃんだよぉー! 忘れちゃったの?』

魔王「知らへん知らへんwwwwww」

僧侶「勇者様おかひーwwwwwww うひゃっひゃwwwww」

盗賊「……くっくっくーwww」

魔剣『盗賊ちゃんまでおかしくなってきちゃったよ…うぅ……』


こうして、長い夜が過ぎていった。
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:09:02.72 ID:Zhc+xsGf0
戦士「んごぉー……ぐ、ごー……」

魔王「ふー、ふぅー……ぐぅ…」

盗賊「おい、そろそろ起きやがれ。おい…」

僧侶「……うぅ、頭痛いし気持ちが悪い」

魔剣『い、いつもの僧侶ちゃんだよぉー!!』

僧侶「へ……?」

盗賊「僧侶、大丈夫か。水でも飲んでおくんだぜ」ス

僧侶「あ、ありがとうございます」

僧侶「あの、すみません……私、変な事言ったりしてませんでしたか」

盗賊「…いや特には」

僧侶「盗賊さんはお酒強いんですね」

盗賊「まぁな。こんなもの強くても何にもなりはしないが」

僧侶「ふふっ、そうですね……あ痛っ…」

盗賊「まだ横になっていたらどうだぜ。この調子なら、無理に今日出発する事もないだろ」

僧侶「は、はい…」

魔剣『えー! まだ港出ないのー!? 僕錆びちゃうよー!』

盗賊「部屋から出なけりゃどうもしねぇだろ…」

僧侶「あ、あの。盗賊さん」

盗賊「何だ」

僧侶「……わ、私! 盗賊さんが何をしていようが、軽蔑なんてしませんからね!」

盗賊「……え?」

僧侶「大事な、大事な仲間の1人ですもの! はい!」


盗賊「  」


僧侶「あ、あれ」

魔剣『盗賊ちゃん、僧侶ちゃんに何かしたのー?』

僧侶「え!? さ、されてませんよね…と、盗賊さん?」

盗賊「  」
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:15:28.03 ID:Zhc+xsGf0
以上です。明日に続きいけたら投下しとく

で、なんとか950レス越えたわけだけど、そろそろ次スレを立てようかなと
次回投下する量にもよるけど、中途半端で次に移るのもあれだし、もう立てちゃおうかどうしようか


とりあえず明日様子を見てから、どうしようか考えておきますね
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/17(火) 03:20:04.04 ID:WxtbWezmo

次スレ立てちゃえば?
話も次の段階に入ってきたところでちょうど良さそうだし
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/17(火) 03:22:29.97 ID:Zhc+xsGf0
ああ、じゃあ立てちゃいましょう
作り次第こちらにURL張っておきますね
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 03:26:22.50 ID:Ix96SCpu0
乙かれ


初めてリアルタイムで読んだぜ
僧侶ちゃん・・・w
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 06:02:54.12 ID:YN+42jEDO

ふぇぇ…魔王ちゃんが可哀想だよぉ
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 07:03:07.95 ID:wmuW+gcIO
三魔官様が1〜4までいるのはツッコミ待ちなんだよな?な?
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/17(火) 13:40:26.51 ID:yqT/EVlH0
僧侶ちゃん相変わらずあほの子はげ萌え
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 15:16:36.43 ID:GTmZV1hDO
戦士良い奴だ惚れた
戦士になら掘られてもいい
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 21:06:15.86 ID:inpou/fao
側近の復活はまだか
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 03:54:49.36 ID:9yeilFOr0
やっぱり、立てる前に最後に一回ここに投下しちゃいます


僧侶の攻撃!

僧侶「これで止めよ! えいっ」

魔物「アババ…」

魔物たちを倒した!

魔剣『やったね、僧侶ちゃーん!』

戦士「アグレッシブ僧侶ちゃん!」

僧侶「や、やった……」

僧侶「…私だってやるときはやるんです!」

魔王「調子乗るなよカス」

戦士「いやいや、ここは褒めなきゃ! 伸びる物も伸びませんよー」

魔王「では胸を褒めればでかくなるのか」

僧侶「怒りますよ!?」

魔王「既に怒ってる…」

盗賊「おい、魔物からアイテムを盗めた。おそらく回復系だぜ」

魔剣『ご苦労! 盗賊ちゃん!』

戦士「なんか最近調子出てきたんじゃないっスか、俺らー」

僧侶「結構頑張れてますよね!」

魔王「むしろ、今までがダメダメ過ぎたのだ。この程度普通である!」

盗賊「無茶言うんじゃないぜ…」

僧侶「……あのー、ところで勇者様」

魔王「あ?」

僧侶「今日気づいたのですが、最近魔法をお使いになられませんよね」

盗賊「確かにな。どうした、単に控えているだけか」

魔剣『あ……』

魔王「」
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 03:55:59.42 ID:9yeilFOr0
戦士「勇者殿は魔法なんて使わなくても、ちょー強いから大丈夫だろう!」

魔剣『そ、そうだよー。それに僕の力もあるんだし!』

魔王「図に乗るな、魔剣如きが」

僧侶「まぁ、別にそれで戦闘が苦戦しているというわけではありませんもんね」

魔王「うむ。魔法なんて使ってしまっては魔物どもが弱過ぎて哀れになってしまうのだ」

魔王「そういう事で余はしばらく魔法を封印するぞ! 貴様らもっとガンバ」

盗賊「マジでいきなりだな…。言うのも癪だが、お前の魔法は頼りになっていたんだぜ」

僧侶「はい。ですから、今までこれといった苦戦があまりなかったんですね、きっと」

戦士「勇者殿は偉大だなぁー!!」

魔王「むふふふ、もっと褒めても良い。気分が良いである」

魔剣『勇者ちゃんカックイー! 結婚してー!』

魔王「魔剣! 貴様は黙っておるのだッ」

魔剣『な、何でー!』

戦士「勇者殿ぉ…俺、あなたに着いて行けて本当に幸せっスよ」

戦士「きっと俺たちなら魔王なんてドカーンと倒せそうっス!」

魔王「魔王舐めんな阿呆」

盗賊「くくっ…」

僧侶「盗賊さんどうかしました?」

盗賊「いや、必至だなと思ってな……くくっ!」

魔王「あァーん!?」
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 03:56:39.96 ID:9yeilFOr0
僧侶「そういえばですけど」

魔剣『どったのー?』

僧侶「……私たちって、今どこへ向かっているのですか?」

僧侶「特に目的地も決めずにうろついているような」

盗賊「いや、目的ならあるぜ」

僧侶「え?」

盗賊「…勇者、あの娘の写真は見せてないのか?」

魔王「写真ー? 何じゃそれは」

盗賊「前に俺に見せてきただろ……」

魔王「」ごそごそ

魔王「む、懐に何か入ってた」

戦士「それが例の写真スか? 女の子…可愛いっスねぇ〜」

僧侶「……どこかで見た事があるような」

戦士「……この子、勇者じゃないか?」

魔王「余が勇者ァー!!」

戦士「あ、いや! 確かに勇者殿もそうっスけどね。勇者って別に世界に1人存在しているってわけじゃねぇんスよ」

盗賊「どういう事だ?」

魔剣『勇者ちゃんいっぱい説?』

盗賊「こんなのがウジャウジャいられて堪るかよ」

魔王「盗賊死ね」

僧侶「それで、どういう事なんです?」
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 03:57:14.77 ID:9yeilFOr0
戦士「こんな言い方するのもアレだけど、世界から見て勇者っていうのは消耗品に等しいんだ」

僧侶「そんなっ」

盗賊「まぁ、魔王を討つ為だけに存在している様なものだからな…くくっ」

魔王「しかし、勇者はずぅっと連敗続きではないか」

戦士「そうなんスよ。ですけどね、勇者にしか魔王を倒す事はできないんス」

盗賊「……とは言われているが、それって何でだぜ?」

僧侶「それはですね。勇者にしか装備できない伝説の聖なる装備があるんです」

魔剣『聖なる〜? 胡散臭ぁ…』

戦士「魔剣ちゃんが言うとギャグだぞー」

僧侶「その装備は勇者の血が流れる者だけに扱えるんです。まぁ、伝説と言われているだけあって、何処にあるのかわか
りませんけれどね」

魔王(今までに余に向かってきた勇者どもは、その様な物を身につけて現れた事なかったが)

魔王「つまりなにか、その伝説の装備を身に付けずに魔王へ挑むから毎回負けておると?」

僧侶「た、たぶん」

魔王「勇者単品では雑魚という事であるなァー!」

盗賊「自分もディスった発言だぜ、それ…」
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 03:58:04.10 ID:9yeilFOr0
盗賊「案外、その伝説もただのデマなのかもしれねぇな」

僧侶「真意は誰もわかりませんよ。ですが、挑み続ければいつか魔王を討てる日が」

魔剣『つまりー…数打ちゃ当たるって事?』

戦士「悪く言えばそうだと思うわ」

僧侶「そう考えると、酷い話ですね……」

魔王「それ程魔王が脅威ということ! ぐわははははッ」

僧侶「喜ぶところじゃないですよ!」

盗賊「そういうわけで、勇者の子孫ってのは何処かしらにも存在しているという事か?」

戦士「ああ」

魔王「では勇者の父は毎日何処かでハッスルか?」

僧侶「やめてください……大体、あなたのお父様なのですよ?」

魔王「あー」

僧侶「他人事ではありません」

魔王「いや、結構どうでもよいわ」

盗賊「だろうな…」

戦士「それで、その勇者の女の子に何か用なんスか?」

魔王「ころ」

盗賊「会って話がしたいそうだっ…! ゆ、勇者同士だしな……」

僧侶「はぁ、なるほど」

戦士「上手くいけば、協力して魔王を倒す事ができるかもですしねぇ」

魔王「余1人で十分だが」

魔剣『ねー』

僧侶「とにかく、もう1人の勇者様に会う事が目的ですね。でしたら何処かの町で情報を集めないと!」

魔王「なぜ?」

僧侶「ウロウロしていても会えるわけありませんでしょう? でしたら確実に会う為に調べなきゃ」

魔王「ふむ…」
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 03:58:48.42 ID:9yeilFOr0



魔剣『到着でーす』

僧侶「それでは早速聞き込みを始めましょうか」

僧侶「ここは大きな町ですし、それなりに情報が集まりそうですね」

戦士「それだけに一々聞いて当たるのも一苦労っぽいけどなぁ…」

魔王「面倒な事は貴様らに任せるとするわ」

盗賊「てめぇもだ、バカ…」

魔王「なーぜ余がその様な事をせねばならんのか!」

魔剣『じゃあ勇者ちゃんの代わりに僕が頑張って聞いて回るよー!』

僧侶「ま、魔剣ちゃんは何もしなくていいのよ!」

魔剣『ぶーぶー!』


ざわざわ、ざわざわ


「号外だよー! 号外ー!」

盗賊「……何だアレ?」

僧侶「随分と人が集まっていますね?」

「砂漠の国の王が処刑されたー! 砂漠の国の王が処刑されたぞー!」

「!」

戦士「おいっ…」

僧侶「ど、どういう事……?」

魔王「砂漠の国って何ぞ?」

盗賊「おい…!?」
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 03:59:28.10 ID:9yeilFOr0
「まさか王が魔王側へ肩入れしていたとは」「最低ね!」

「いい人そうに見えたのに、残念だなぁ」「それにしてもどこから漏れたんだかね?」

戦士「……いつかはとは思ってはいたが、早かったというか」

魔剣『砂漠の国って僕と勇者ちゃんが初めて出会った場所だよ』

魔王「知らん。覚えとらんわ」

盗賊「つい最近の事だろうが…」

「処刑したのは勇者様だそうだ」「勇者が正義の鉄槌を下してくれたんだね」

「悪は滅ぶべきだもんな。仕方ないよな」「魔王へ媚び売ってたから罰が当たったんだ!」

戦士「……? おい、勇者が処刑したってどういう事だ?」

「んー? アンタ、まだ記事を読んでないのか?」

盗賊「……確かに、それらしい事が書いてあるぜ」

僧侶「そんな!? 私たちはあの国でそんな事していません!」

魔王「うむ、記憶にない」

魔剣『ねー。きっとウソついてるんだよ! あいつら!』

僧侶「そうとしか思えませんが……もしかして、ここにいらっしゃる勇者様が手を下したというわけではないのかもしれ
ませんね」

盗賊「さっきの勇者は全国にいるってやつか?」

僧侶「はい…! ですから、別の勇者が」

戦士「だとしても、勇者にそんな事をする権限は普通ねぇよ。こんなのただの殺人と代わりない」

僧侶「ええ。いくらあの王があんなだったからといって、殺す事はありませんでしたよ……」
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:00:29.96 ID:9yeilFOr0
魔王「つまり、そやつは余の偽者という事であるなァ…」

魔剣『ムカつく〜!』

盗賊「偽者っつーわけではなさそうだが、極端な勇者だという事はわかるぜ」

戦士「……その勇者って、まさかあの写真の女勇者じゃないだろうな」

僧侶「ああっ!!」

魔王「よく分からんけど、見つけ次第殺す理由ができたというわけだな。盗賊よ」

盗賊「まだ無理があるぜ…!」

戦士「とにかく、余計にその女勇者に会う理由ができたって事っス」

戦士「力ってのは無暗矢鱈に翳すもんじゃねぇよ…」

魔王「全くだなァ!」

僧侶「ゆ、勇者様では説得力がないかと」

魔王「喧しいわッッッ」

魔王「…ふゥん、勇者なんて1人で十分よ」


「俺もそう思うわー。マジで」


魔王「……あァ?」

「1カ月ぶりだよなぁぁぁ〜〜〜……おっさんよぉ? えぇ?」

戦士「おい、チンピラ。何、人の勇者殿に絡んでんだよ!」

「外野引っ込んでろよwwwwwww お呼びじゃねぇーのwwwwww」

男の攻撃!

戦士「が、ふっ……!?」

魔王「!」

僧侶「戦士さんっ!?」

勇者「勇者は1人で十分! そうだよ、俺1人でいいよ!! ヒーローは俺だwww」
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:01:32.46 ID:9yeilFOr0
「な、何……? なにしてんの、アイツら……」「人が切られたぞ!?」

「きゃああああああああああぁぁあぁああああああァーーーー!!」

盗賊「……チッ!」

盗賊は素早く動き、勇者と魔王の間へ割って入った!

勇者「ほらほら、出番だぞオラァーーー!!!」

火球が何処からか飛ばされてきて、盗賊へ当たった!


ボオオォ・・・


盗賊「っ!?」

「ま、魔法だ!!」「すぐに自警団を呼ぶんだー!」

僧侶「盗賊さんっ!! 待っていてください、2人とも…! すぐに回復を」

遊び人「動いちゃダメですよぅ。綺麗なお姉ちゃん!」

僧侶「!」

僧侶は遊び人に拘束されてしまった!

魔剣『勇者ちゃん、みんなが!』

魔王「分かっておるわッ」

勇者「動くなおっさん!! 動けばこいつら魔法ですぐに殺す」

魔王「やってみせよ。そいつら金で蘇るしなァ、どうせ」

勇者「舐めてんのかァ〜!? 賢者ぁーーー!!!」

賢者「勇者くん超ヤバいんですけどー…www ウケるぅ」

賢者は氷の魔法を唱えた!

氷柱が魔王の体を貫く!

魔剣『勇者ちゃん!!』

魔王「ふん…」
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:02:26.15 ID:9yeilFOr0
魔王「大した魔法ではないなァ。全くダメージになっとらんぞ!!」

賢者「うっそ、マジ?」

勇者「賢者お前手ぇ抜いてんじゃねーよ、ビッチ!!」

遊び人「ビッチてwwwwww ビッチてwwwwww」

賢者「うっざ…」

戦士「てめぇら何者だ…!」

賢者「勇者一行ですけどぉー」

勇者「知らねぇとは言わせねーよ? 俺、有名人なんだし」

僧侶「勇者……!」

盗賊「穴の青いガキにしか見えないぜ…くくっ」

勇者「っるせぇーよ!!! 死ね死ね!」

勇者はひん死の盗賊を蹴り飛ばした!

盗賊「あうっ……!」

僧侶「やめてください!! 盗賊さんが死んでしまいますっ」

遊び人「動いちゃ嫌だよぅ。女の人を傷つけたくないんだから」

僧侶「離してぇっ!」

遊び人「めっ」

魔王「……で、貴様らは余に何か用でもあるのか」

勇者「……まずよ、おっさんは俺らの事覚えてないわけ?」

魔王「知らんわ。誰であるか」

勇者「こいっつ…! うぜぇええええ〜〜〜……」
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:03:22.90 ID:9yeilFOr0
賢者「じゃ、私の事は覚えてる?」

魔王「知らんッ」

魔王「だーれも知らんぞ」

賢者「あらやだ……」

戦士「ゆ、勇者殿! こいつらと知り合いだったとかんじゃ…?」

魔王「この様なウザい豚共といつ余が知りあったのか! 興味すら湧かんわ」

魔剣『もうこいつらやっちゃおうよ…!』

勇者「おい、ふざけんなよな」

勇者「俺はお前ぶち殺す為にここまで来たんだぜ…なのに忘れたとかありえねぇわ…」

賢者「ねぇ、もうあれ言っちゃった方が早いと思うんですけど」

魔王「あァ?」

勇者「……ふっ、へへへ……よく聞けよ、このおっさんはよォ〜〜〜」

盗賊「! お、おい…よせ……」

勇者「黙れよッ」

盗賊「っ……」

勇者「このおっさんはこの俺、勇者を殺した! そしたらどうだ、今は勇者なんて名乗っちゃってるじゃないの……」


勇者「ぶっちゃけこいつ魔王だからァ〜〜〜〜〜〜!!!」


賢者「ついでに私も殺されたんだからね。ムカつくし」

戦士「…………あ?」

僧侶「え、えっ……今、なん…て……」

盗賊「くそっ!」

魔王「……貴様ァ」
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:04:15.49 ID:9yeilFOr0
「お、おい。今魔王って……」「聞こえたよね……?」

魔剣『あちゃー……』

戦士「デマカセ言ってんじゃねぇよくそガキ!! ぶっ飛ばすぞっ…!」

勇者「これマジ情報だからwwwwww ウソじゃないーwwwwww」

戦士「ゆ、勇者殿っ…!」

魔王「いやいや、あやつウソついておる! 余は勇者であるぞッー!」

勇者「俺が勇者だアホ! お前が今乗っ取ってる座は元々俺のもんだァー!」

勇者の攻撃!

魔王の攻撃!

勇者「うげぇっ…!?」ぐしゃ

魔王「他愛無いッ」

賢者・遊び人「」にやにや

盗賊(こ、こいつら…仲間がやられているのに笑ってやがるぞ……)

魔王の攻撃!

魔王「魔剣よッ、偽勇者退治だ!! 殺せッ」

魔剣『死ねェッーーーーー!!!』


ぶしゅうぅぅぅ〜〜〜・・・


勇者の首が落ちた!

勇者「」

僧侶「ひっ!」

賢者「んふ、ふふふふふ……w」

遊び人「あひょひょひょひょひょ! ウケるwwwウケるwww」

僧侶「な、何て人たちなの……!」

戦士「…ただのキチガイかよ」

魔王「残るは2匹か。こやつと同じ目にあわせてくれようぞ」
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:05:08.48 ID:9yeilFOr0
「何言ってんだか。俺まだ生きてるぜ」

魔王「……何だと」

勇者「じゃじゃーん」

勇者の首は繫がっているし、傷一つない!

戦士「はぁ!?」

盗賊「……勇者、こいつらもあの時の魔法使いと同じじゃねぇのか」

魔王「アンデッドか」

魔剣『もうこいつ人間って感じしないよ! 何か変!』

勇者「変じゃねーし! 勇者だし!」

勇者「……魔王。俺はちょっとやそっとじゃ殺せね〜」

賢者「もしかしたらまともに戦ったら勝ち目ないかもw あなた」

魔王「戯言を…」

僧侶「勇者様! 勇者様は……勇者様ですよね?」

魔王「そうだ!」

勇者「ウソこくなボケ! 大体お前ら変だって思わなかったのかよ。こいつは普通じゃねーだろ」

戦士「……」

勇者「魔王だから! 勇者でも、人間でもねぇよ! 魔物だからな!」
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:06:11.93 ID:9yeilFOr0
魔王の攻撃!魔王の攻撃!魔王の攻撃!

勇者「うひひひひ…www い、痛ぇ……でも死なねぇしwww」

「ば、化物かアイツら……」「ひぃぃ……」

魔剣『勇者ちゃん! ダメージ全然通ってない!』

魔王「黙れ! 黙っておれッ! 殺し続ければいつか死ぬ!」

勇者「無駄ァ〜〜〜……!」

勇者の攻撃!

魔王「んぐっ……」

賢者「〜〜〜〜〜〜……」

賢者は拘束の呪文を魔王へかけた!

魔王「チッ!」

賢者「勇者くん今がチャーンス!」

勇者「ふひっwwwwwww」

魔王「助けろ、盗賊!!」

盗賊「了解したぜ……」

盗賊は魔王を抱えて敵と距離を取った!

勇者「あぁ!? なんでお前回復してんだよ!」

僧侶「……はぁ、はぁ。戦士さん、ありがとうございます…」

遊び人「あひぃ…あひぃ……」ぶしゅぅ

戦士「……くそ!」

勇者「あの役立たずっ……!」
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:07:28.87 ID:9yeilFOr0
盗賊「勇者! ここは一旦引いた方がいい……!」

魔王「その様な情けのない事できるか阿呆! あやつらを倒す!」

盗賊「今は無理だ!」

魔王「喧しいッ」

遊び人「おらおらどうしたぁ〜! 掛って来いよぅ、うひひ…」

戦士「……こいつ、もう傷が」

魔剣『勇者ちゃん無理しちゃダメだよー!』

魔王「ふんッッッ」

魔王の攻撃!

賢者「あぎゃ!?」

しかし、賢者にダメージはない!

魔王「んん…!?」

賢者「言ったわよね。私たち死なないから……てへっ」

魔王「死ねよ!」

賢者「一回は死んだから。アンタに殺されてサぁ」

魔王「っ……化物めが」

勇者「お前にだけは言われたくねぇよ。魔物め」

盗賊「……僧侶!」

僧侶「はいっ…!」

僧侶はキメラのつばさを使った!

魔王たちはフィールドへ飛ばされる!

遊び人「ああー、逃げられたよっ」

勇者「探しだしてソッコー殺すぞ。逃げられると思ってんなよ…」

賢者「wwwwww」
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:08:14.35 ID:9yeilFOr0
フィールド


僧侶「は、はぁ……何とか、逃げられましたね」

魔王「僧侶貴様ァ! 余計なマネを!」ガシッ

僧侶「っ」

盗賊「止せ! 俺が指示した……殴るなら俺にしとけ」

魔王「糞っ垂れ……!!」

僧侶「……」

僧侶「あ、あの」


戦士「勇者殿ッ!!!」


魔王「何じゃ!?」

戦士は魔王を殴った!

魔王「ぶふっっっ…」

魔剣『あー!? ちょっと戦士ちゃん!』

戦士「はぁ、はぁ……うぐっ」

盗賊「お、おい肉ダルマ」

戦士「……ぶっ殺してやる!」

戦士は抜刀し、魔王へ向けた。

僧侶「戦士さん!? 落ち着いてくださいっ」

魔剣『せ、戦士ちゃんやめてよぉ!』

戦士「黙ってろッ!!」

魔王「戦士……」

戦士「ふーっ、ふーっ、ふーっ……!」
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:09:34.15 ID:9yeilFOr0
僧侶「勇者様が魔王なんてウソに決まっています! きっと彼らの罠で…」

戦士「黙ってろって言ったのがわからなかったか!?」

僧侶「うあっ…」

魔剣『こんなのおかしいよ! 戦士ちゃんってば!』

戦士「おいっ、その剣を黙らせろ!」

盗賊「おいおい……よせよ…」

魔王「戦士、貴様よォ」

戦士「あんたは俺らの事ずっと騙してたのか……え?」

戦士「勇者って証拠見せてみろよ……」

魔王「その様な物はない」

戦士「てめぇ!」

魔王「しかし、余は勇者である」

戦士「ふざけた事言ってんじゃねぇよ!! このっ…!」

戦士は魔王へ掴みかかり、何度も殴り始めた。

僧侶「もう止めてくださいよ! 十分でしょう!?」

魔剣『うえぇ〜…ん……』

戦士「十分? 十分じゃないだろ!? 魔王なんだろ!?」

戦士「あの人を返してくれよ……俺のたった1人の家族、返してくれよ……!」

魔王「むぅ……」
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:10:25.34 ID:9yeilFOr0
戦士「あぁー……もう、何言ってるかワケ分かんねぇ……くそ…」

戦士は魔王を離して、その場にへたり込んだ。

盗賊「頼むから落ち着けよ」

戦士「……少し落ち着いたよ」

僧侶「……」

僧侶「あそこの陰で休憩しませんか。見え辛いし、すぐに彼らから見つかる事もありませんよ」

盗賊「そうだな…」

魔王「……」

盗賊「おい、立てるか?」

魔王「うむ」ムクリ

魔剣『勇者ちゃ…』

魔王「のぅ……戦士よ。聞け」

戦士「聞きません」

戦士「少し、俺に時間をください。色々考えさせてほしいんだ」

魔王「……構わん。待ってやろう」

盗賊「火をくべる為の薪を探してくる…」

僧侶「…はい」

魔剣『うぅ、やだよぅ……』

僧侶「そう、だね……」
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2012/01/18(水) 04:15:11.83 ID:9yeilFOr0
ここまで。このスレでの投下は以上で最後になります

次スレ↓
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1326827615/


2スレ目でも魔王たちをよろしくお願いします〜
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/18(水) 07:20:18.38 ID:lHIPoGPno
おつ
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 07:43:32.81 ID:/P6dqCRr0
何てこったい・・・
戦士はやっぱり魔王って知ったらキレるしかないよな・・・

乙!次スレでも頑張ってくれよ
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 07:57:15.96 ID:oYgbiwvDO
何か戦士(僧侶もだが)が急変すぎて驚いた
簡単にDQN勇者の言うこと信じすぎじゃね?
心境の変化的にもう一段階小イベントがあった方が良かった気がせんでもない


ともあれ乙
面白いよー
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 18:41:41.10 ID:rQLsOvsDO
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/19(木) 00:19:39.02 ID:oWkqh+Pco

魔王の鳥頭っぷりが思った以上だ……
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/19(木) 01:30:31.88 ID:VX7imzoOo

このスレは何がいいって、面白い上にエタる気配の無い所
このまま最後まで突っ切ってください
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 20:57:23.90 ID:GJP+ENmto
お、おお………
うまいこときれたな
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/01/20(金) 13:23:09.76 ID:nCshlZPAO
埋めますね
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/20(金) 13:29:11.25 ID:UG8F6SIVo
1000なら魔王の記憶障害が回復
失っていたはずの記憶を全て取り戻す
さらに、魔翌力器官も回復したあげくに
世界を滅ぼして最後に一言

盗賊「……寝よ」
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 14:02:18.84 ID:3SDVsdJz0
そういや盗賊は死ぬみたいなこと言われてたがどうなるかねえ
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/20(金) 14:20:46.29 ID:nCshlZPAO
>>992
もう何回も死んでるじゃん
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 14:21:11.24 ID:3SDVsdJz0
そういや盗賊は死ぬみたいなこと言われてたがどうなるかねえ
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/20(金) 14:26:45.25 ID:nCshlZPAO
>>994もう何回も死んでるじゃん
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 19:20:48.92 ID:bAiF8nEDO
>>1000なら魔王復活
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/20(金) 19:42:44.97 ID:HJaTmzH2o
>>1000なら幼女魔王登場
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 19:46:16.00 ID:82/DxEOIO
1000なら魔王が美少女になる!
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/01/20(金) 19:48:53.98 ID:lXeptyVNo
>>1000なら>>909以降は夢
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/20(金) 19:54:19.71 ID:HnhcxD1Zo
>>1000なら側近ちゃん復活
1001 :1001 :Over 1000 Thread
 _,,..i'"':,  @    @   @
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黒桜「安価の力で大計成就」アンリ士郎「こ、こっちも安価で対抗するお!」 @ 2012/01/20(金) 19:49:09.24 ID:YeL03Idp0
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おまいらに質問 @ 2012/01/20(金) 17:01:35.83 ID:pv3Xiukx0
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ここだけ全員焼肉店(姿が消えても覚えていて) 498店舗目 @ 2012/01/20(金) 16:41:22.98 ID:PrW6Bktz0
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眼鏡うp 正月太り続行中。 @ 2012/01/20(金) 16:07:10.69 ID:QZGZod7N0
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澪「晴れる明日の決まりごと」 @ 2012/01/20(金) 12:44:06.81 ID:qDthev5k0
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魔法少女まどか☆マギカ―運命を超えた者達― 9スレ目 @ 2012/01/20(金) 12:14:05.62 ID:adq2DzDoo
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今授業中で暇だから安価行動する @ 2012/01/20(金) 10:32:29.14 ID:0zA76b9L0
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言葉の頭や尻に「童貞」をつけてみる @ 2012/01/20(金) 09:18:55.03 ID:YCvd8jxro
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