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女「不老不死と」男「実験動物」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :1 :2011/11/19(土) 23:46:33.46 ID:I+vtFzqAO

科学が神の領域へと手を出し始めた世界。

そして、魔術が細々と存在している世界。

そんな世界での、人でなくなった女と人に造られた男のお話。


はじまり、はじまり。

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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :1 :2011/11/19(土) 23:49:27.69 ID:I+vtFzqAO
注意

・妄想全開です
・暴力、流血表現が出ます
・遺伝子云々の話がでますが、それはこの世界だけでの話です
3 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:49:56.84 ID:I+vtFzqAO
-裏路地-

男「はぁっ……はぁっ……」

男「ここまでくればいいか…少し休もう」ドサッ

男(他のやつらは無事に逃げられただろうか)

男(特にウサ子…は逃げ足早いから大丈夫か)

ザッ

男「!」

女「ん? そこに誰かいるの?」
4 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:51:56.83 ID:I+vtFzqAO
男「」ビクビク

女「あ、いた。あなたこんなとこで何してるの?」

男「ち、近寄るな…」

女「血だらけじゃん。お医者さんいかないと」

男「医者……」

女「すぐそこにあったよ。連れていくよ、おいで」スッ

男「お……」

男「オレに、触るなっ!」ブン

女「あ」


グシャッ
5 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:52:31.52 ID:I+vtFzqAO
男「………」

男「やっちまった…何してんだオレ…」

男(よりによって一般人を)

男(頭が、割れたトマトみたいにぐっちゃぐちゃだ)

男(これじゃ生きてないよな。人間、だしな)

男「………」

男(食べても、いいかな)
6 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:53:06.02 ID:I+vtFzqAO
男(考えてみれば二日ぐらい飯抜きにされてたんだった)

男(人間の肉は初めてだが…まあ、一応は食えるだろう)

男「……」スッ

女「あの、できれば食べないで欲しいなー」

男「うわ!?」

女「修復が遅くなっちゃう。っていっても十秒程度なんだけどね」

男「!?」キョロキョロ

女「こっちこっち。あなたのちょっと横、の下」

男「生首がしゃべってる……!」

女「失礼な。あなたが千切ったんでしょ」
7 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:53:53.65 ID:I+vtFzqAO
男「な、なんで首だけで生きているんだ!」

女「説明するから胴体に首くっつけてくれないかな。これが一番めんどいのよ」

男「……。……これでいいか」トスッ

女「いぇす。良かった良かった、首だけじゃ動くのめんどくてねー」コキコキ

男「一体なんなんだよもう……まさかお前も実験されているのか?」

女「実験? ちょろっと私たちは住む世界が違うみたいだねー」

男「……」

女「ま、ちゃんと首をくっつけてくれたし話しますか」

女「ねえ、君は魔術を信じる?」
8 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:54:31.37 ID:I+vtFzqAO
男「まじゅつ?」

女「そう、魔術。だいたい五百年ぐらい前に廃れちゃったけどね」

男「魔術とお前に何の関係が?」

女「弟がとち狂って悪魔召喚して契約結んで、私に呪いをかけたのよ」

男「」

女「不老不死のね」

男「ごめん、すごいイタい」

女「うるさい。自覚はあるよ」

男「…悪魔とか不老不死とか、それどんなファンタジーだ」

女「ファンタジーすぎて自分でもたまに嫌になるよ」
9 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:55:19.77 ID:I+vtFzqAO
男「じゃあ、お前は魔術によって不老不死になった――でいいんだな?」

女「ずいぶんすんなり信じてくれるんだね?」

男「アレを見なきゃ信じてなかった」

女「百聞は一見に如かずとは良く言ったものだねー」

男「オレも同じぐらいファンタジーな世界に生きてるのもあるしな」

女「じゃあ次はあなたの番だよ」

男「ああ。話してもらった以上、話さないとな」

女「あなたは誰?」
10 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:56:10.62 ID:I+vtFzqAO
男「オレは、」

バタバタ

兵士1「いたぞ! こっちだ!」

兵士2「応援を呼べ!」

女「え、何?」

男「ちっ、もうバレたか!」ギュッ

女「うわ、うわわわ、いきなりお姫様だっことか」

男「話は後だ! 逃げるぞ!」ダダッ

女「いぇっさーー!!」
11 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:56:39.41 ID:I+vtFzqAO
-研究所-

兵士3『申し上げます。222号の捕獲に失敗しました』

博士「引き続き後を追って絶対に捕まえなさい」

兵士3『はっ』ブチッ

博士「ふぅ……早く戻ってきなさいよ」

博士「アタシの愛しい愛しい、実験動物ちゃん」ニコ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/19(土) 23:58:31.69 ID:3Cfbq60I0
期待
13 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:58:51.47 ID:I+vtFzqAO
-公園-

男(今寒気が…)ゾクッ

女「夜だから誰もいなくて良かったよー。下手すりゃ通報されてた」バシャバシャ

女「よし、血はおおかた落ちたかな」

男「ああ」

女「あなたは怪我してるんじゃないっけ?」

男「これか? 半分以上は返り血だ」

女「そうなんだ……」

女「じゃ、そこのベンチにでも座ろうか。誰か来たらすぐ逃げれるし」ストン

男「ん。……オレは実験動物なんだ」ストン

女「実験動物?」

男「人間と動物の遺伝子を組み合わせる実験で産み出されたバケモンだよ」

女「なにそれ。それを研究・実験してなにかメリットでもあるの?」
14 :1 [saga]:2011/11/19(土) 23:59:49.40 ID:I+vtFzqAO
男「知らん。奴等の考えは分かんないし」

男「オレらにも分かるのは、遺伝子元の動物と似るところがあることぐらいか」

女「例えば?」

男「チーターだったら短距離がめちゃくちゃ早いとか、兎だったら警戒心が強いとか」


女「ふぅん…あなたは?」

男「犬と猫とゴリラ」

女「えっ、そんなに遺伝子があって異常とかないの?」

男「今のところはない。ちゃんと人間の形しているし」

女「顔も一般的な男の子だもんね。酷い実験するなぁ」

男「オレは余った遺伝子で遊んでたら偶然産まれたらしい」

女「わーお…」

15 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:00:51.51 ID:0xZumrvAO
男「聞いたときにはショックが大きかった」

女「だろうね」

男「話は、これだけだ。他には?」

女「あなた達の存在は世に知れていないの?」

男「知られていないはずだ。見ただろ、さっきの兵士達」

女「うん」

男「あの通り、オレ達を必死で探してるんだ」

女「銃器持ってたね」

男「世間に見られちゃマズいからな。違法らしい、人間の遺伝子改造」

女「じゃああの兵士に見つかったら射殺されるってわけね。口封じに」

男「いいや、麻酔銃だと思う」

女「なんで?」
16 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:01:47.81 ID:0xZumrvAO
男「まだオレ達が必要なんだ。数日後に最終テストがあるんだよ」

女「テストってどんな?」

男「殺しあい。どの遺伝子が一番強いのか」

女「最悪……生き残った遺伝子を使って何をするってわけ?」

男「オレ達には何も知らされていない。そもそも、テスト内容も秘密だった」

女「じゃあたまたま内容を知って逃げ出した…という感じ?」

男「ああ。死にたくなかったから」

女「私を一回殺したけどね。で、食べようともしていたけどね」

男「…すいませんでした」

男(ちょっと怒っていたのか…)
17 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:02:15.35 ID:0xZumrvAO
女「他にも仲間はいるんでしょ? その人達は?」

男「逃げられたやつもいるし、捕まったやつもいる」

女「そう」

男「…追っ手が疲れてきたら、研究所をぶっ壊しに行こうと思う」

女「仲間の解放のために?」

男「それに、これ以上実験動物を増やさせない為だ」

女「その先のことは考えているわけ?」

男「どういうことだ?」

女「仮に成功したとしましょう。みんな無事、めでたしめでたし」
18 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:02:42.47 ID:0xZumrvAO
男「……」

女「でもね、残念ながらめでたしめでたしで世界は終わらない。続いちゃうのよ」

男「つまり?」

女「研究所がなくなりました。自由です。――行くあてはある?」

男「…」

女「どうやら研究所で生まれ育ったようだから気になったんだけど」

男「それは…その…」

女「……ま、今は考えて止まってちゃダメよね」

女「終わってから考えることにしよっか」

男「…そうだな」
19 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:03:12.01 ID:0xZumrvAO
女「私はあなた達の戦いに協力するよ。暇だしね」

男「自分勝手だな」

女「でも不老不死の味方って言うのは心強いでしょ?」

男「はは、確かに」

女「それにここまで聞いといて見て見ぬふりをするほど冷血じゃないし」

男(熱血でもなさそうだけどな)

女「まずは服を買わなきゃいけないねー。私もあたなも血みどろなんだから」

男「確かにマズいな。目立つ」
20 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:03:59.95 ID:0xZumrvAO
女「こう、危ないカンジで嫌いではないけど」

男「危ないカンジって。お前の頭が危ないカンジだろ」

女「ひどいなぁ、君は」

女「…あ、なんか忘れていると思ったら名前聞いてないんだ」

男「名前なんて必要か?」

女「必要だよ。最重要事項だよ。私はアン」

男「オレは222号」

女「番号じゃなくて名前は?」

男「名前といわれても、これしか呼ばれてなかったし」
21 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:04:26.72 ID:0xZumrvAO
アン「あだ名とかは?」

男「うーん…『にーさん』だった」

アン「ふむ。じゃあそれ以上にもっと斬新な名前を考えよう」

男「めんどくせ」

アン「ゴリさん」

男「もう一度頭潰されたいか」

アン「にゃんにゃんにゃん」

男「長いし恥ずかしいだろいくらなんでも」

アン「じゃあ…うーん、『フタミ』でどう? 2(ふたつ)が三つ」

男「すっげぇ強引」

アン「なかなかいいと思うんだけど。他にも候補がいくつか」

フタミ「だー、もうそれでいいよ。よろしく、アン」

アン「ふふ。よろしく、フタミくん」
22 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:04:54.50 ID:0xZumrvAO
フタミ「ところで」

アン「うん?」

フタミ「なんで首だけでしゃべれたんだ? 普通はあんなんじゃ口パク程度だろ」

アン「あれか。魔術をちょちょいと使ったの」

フタミ「便利だな。…いや、お前しか使えないだろその魔術」

アン「なにもそれだけじゃないよ。むしろそれだけしか使えなかったらびっくりだよ」

フタミ「それは良かった」

アン「何か魔術使ってみる? ちょっと複雑な魔法陣描かなきゃならないけど」

フタミ「断る。難しいことは嫌いなんだ」

アン「これだから最近の高校生は」
23 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:08:02.85 ID:0xZumrvAO
フタミ「学校行ったことねーよ。オレは21歳だ」

アン「私の肉体年齢は永遠の18でーす、きゃぴっ」

フタミ「お前の境遇考えると全然シャレになってねーぞ、それ」

アン「ですよねー」

フタミ「で、ここからどうするんだ?」

アン「この町から出よう。で、洋服屋さん探して入る」

フタミ「だな。ここらは危険だ」
24 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:08:29.11 ID:0xZumrvAO
-服屋-

アン「ちょうどお店開いたね。入ろう」

フタミ「血みどろの客が入ったらビビるだろうな…」

ウィーン

店員「らっしゃいませー」

アン「奇抜なファッションと思われてるみたいだねー。セーフ」

フタミ「あの店員の頭は色々アウトなんじゃないか?」

アン「彼の頭よりあなたのファッションセンスがアウトなんだけど」

フタミ「これのどこが駄目だと」

アン「そういうのは200年ぐらい前に着なさい」

フタミ「そんなに昔のファッションセンス!?」

アン「私が適当にフタミくんの服見繕うよ。これとかは?」

フタミ「ふりふりついてるんだけど!」
25 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:11:44.73 ID:0xZumrvAO
アン「いいじゃんふりふり!」

フタミ「逆ギレされた!?」

アン「わがまま言う子はお母さん許しませんよ!」

フタミ「なんか着たら帰ってこれないって本能が告げてんだよ!」

アン「よしじゃあこれ!」

フタミ「またふりふりかよ! 勘弁してくれよもう!」

店員(仲良いなぁ)
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) :2011/11/20(日) 00:19:18.27 ID:0xZumrvAO
-歩道-

フタミ「…まあ、いいんじゃねぇの? 違和感あんまりないし」

アン「私、男の子に女装させるのが夢だったのに〜」

フタミ「じょそうってのが何か分からないがヤバイもんなんだな」

アン「ヤバくないもん。はいコレ」

フタミ「なんだこれ?」

アン「何って…帽子だけど」

フタミ「ぼうし? これはどこに着けるものなんだ?」

アン「頭に被るの。ちょっと印象変わるからいいと思って…」

フタミ「ふーん。はじめて被った」

アン(ずっと外に触れず暮らしてきたってことか…)

アン(これじゃあ道徳があるかどうかも怪し…そういや食べられかけたんだった)
27 :1 [saga]:2011/11/20(日) 00:23:00.47 ID:0xZumrvAO
フタミ「どうした? すごく険しい顔しているけど」

アン「え? ああ、なんでもないよ?」

フタミ「なんかあったとか――」グゥ

アン「………」

フタミ「………」

アン「お腹空いてるの?」

フタミ「かれこれ三日も食べて」グキュルルル

アン「……なんか食べにいこっか。ファミレス探そ」クス

フタミ「悪いな……」キュルル
28 :1 [sage]:2011/11/20(日) 00:25:29.07 ID:0xZumrvAO
一旦ここで止めます
不定期に現れます

不死身キャラって他のスレにもいるけど大丈夫だよね…
29 :1 [saga]:2011/11/20(日) 01:35:39.47 ID:0xZumrvAO
-ファミレス-

フタミ「ところでだ」

アン「ん?」モキュモキュ

フタミ「金ってどっから貰ってるんだ? 働いてるようにも見えないし」

アン(そういう知識はあるのね。研究員っていう働いてる人間がいるから当たり前か)

アン「ちょっと汚い商売をしておりましてね」

フタミ「土掘ったりか?」

アン「ちゃうちゃう。自分の身体を売るの」

フタミ「?」

アン(この分だとキスのキの字も知らないんじゃ…)

フタミ「内臓売るのか」

アン「そっちか。過去に三回ぐらいはやったかな」
30 :1 [saga]:2011/11/20(日) 01:42:25.73 ID:0xZumrvAO
フタミ「よく生きてられるな って、再生するのか…」

アン「私にしちゃあこんなボロ儲けな仕事はないよ」モキュモキュ

アン「食べなくても寝なくても死なないから、もっぱら服代にまわってるかな」

フタミ「やっぱ、そういうのは女だからか」

アン「それもあるし、流行に一応乗らないと浮いちゃうの」

フタミ「ふぅん…」

アン「あとは銭湯行ったりかなー。綺麗な状態は保たないとね」

フタミ「へー」
31 :1 [saga]:2011/11/20(日) 01:50:14.43 ID:0xZumrvAO
アン「さて、これからの予定ですが」

フタミ「そうだな…まず仲間を探すか」

アン「仲間思いですな」

フタミ「20年以上も一緒にいるからな。家族みたいなもんだよ」

アン「そう」

フタミ「でもどこにいるのか分からないんだよな」

アン「隠れながら探す、かぁ……なかなか難易度が高いこと」

フタミ「ごちそうさま」

アン「ごちそうさま」

フタミ「さて……」チラッ

アン「逃げますか」チラッ

フタミ「こっちには気づいてないようだが兵士が二人」

アン「まだ明るいし、派手に目立たない方がいいわ」

フタミ「了解。…たく、ご苦労様なこった」
32 :1 [saga]:2011/11/20(日) 02:13:54.33 ID:0xZumrvAO
-信号待ち-

アン「はい、言ってみて」

フタミ「赤だったら止まれで青だったら進め」

アン「正解。フタミくん、本当に外出たことないんだね…」

フタミ「10歳までは『外』なんて存在すら知らなかった」

アン「おおぅ…」

フタミ「外は楽しいな。刺激がいっぱいあって」

アン「こういう町は賑やかだもんね。お店もたくさんあるし」

ァァァン…

フタミ「毎日飽きないんだろうなぁ。羨ましい」

アン「ずっとここに住んでたらいつかは飽きるとは思うけど」

サァァァァン!!
33 :1 [saga]:2011/11/20(日) 02:18:28.76 ID:0xZumrvAO
フタミ「何かさっきから声が……」

アン「そうだねー。誰かを探しているような」

アン「あの跳ねるように走ってる女の子かな」

フタミ「あ、あれって…」

ピョコピョコピョンッ

少女「にーさん! 生きていたんですね!!」ダキッ

フタミ「ウサ子!」

アン「朝から感動の再開見ちゃった」

ウサ子「にーさん達がいなくなって、ウサ子寂しくて死ぬかと…」

フタミ「死ぬな死ぬな」

アン(兎の遺伝子の子かな。名前的に)
34 :1 :2011/11/20(日) 02:28:52.58 ID:0xZumrvAO
ウサ子「ところでにーさん、この人は誰です?」

フタミ「オレらの味方」

アン「アンだよ。よろしくね」

ウサ子「むむ、ライバル登場ですね…にーさんは渡しません」

アン「あはは、そういう関係じゃないよ」

ウサ子「大変でしたよウサ子。慰めてください」

フタミ「はいはいよしよし」

アン(兄妹みたい。家族当然だって言っていたもんね)

アン「ウサ子ちゃん、他のひとは見かけた?」

ウサ子「いいえ。見つけたのはにーさんが初めてです」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府) [sage]:2011/11/20(日) 15:24:00.40 ID:nrnoprmvo
はい
36 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:42:29.21 ID:0xZumrvAO
アン「みんな散らばっているんだねー。固まるよりかは見つかりにくいけど」

フタミ「ただ、この外の世界に出るのは全員初めてだからな」

ウサ子「余計な騒ぎが起こらないといいんですけど。ね、にーさん」ギュウ

フタミ「はいはい」

アン「しかし、手かがりなしに仲間を探すのは思ったより骨が折れるね」

ウサ子「な、仲間探すと骨が折れるんですか!?」

アン「……比喩表現よ」

フタミ「折れてもすぐ治るけどな、お前の場合」
37 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:42:55.63 ID:0xZumrvAO
アン「そういえば武器とか無いの?」

フタミ「まさか。そんなの触れたこともないし」

アン「…フタミくん、まさか無謀にも素手でいくつもりだった?」

ウサ子「にーさんは素手でも充分ですよ。そーゆー注射を打たれたんで」

アン「注射?」

フタミ「特別に作られた、筋肉を増強させる薬だ」

アン「……」

フタミ「それからは意識的に制限しないと何でも壊しちまうようになったんだけどな」

アン「ははあ。だからあなた、私の頭を潰せたわけね」

ウサ子「えっ?」

フタミ「…怒ってる?」

アン「別に」
38 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:43:36.03 ID:0xZumrvAO
ウサ子「!」ピク

アン「?」

ウサ子「金属が触れあう音がします」

フタミ「鉄の匂いもするな。兵士がこっちに来るようだ」スンスン

アン「…死なないことしか取り柄がない私って…」

フタミ「この場から逃げるぞ。また追っ掛けられちゃ体力が持たない」

ウサ子「はーい」

アン「はいさー」

フタミ「もっとまともな返事しろよ…ま、いいけどさ」

タタッ
39 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:44:05.78 ID:0xZumrvAO
-建物の隙間-

フタミ「人通りの多いところはやっぱ危険みたいだな」

アン「かといって、裏路地も警戒されているだろうしね」

フタミ「……」

アン「上なんか見上げちゃってどうしたの」

ウサ子「まさか」

フタミ「下が駄目なら――上に行くまでだ」

アン「え?」

フタミ「背中に乗れ。上まで登っていく」

アン「えっ、馬鹿じゃないの? 屋根をつたって逃げるの?」
40 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:44:31.06 ID:0xZumrvAO
フタミ「それしかないだろ」

アン「私、あなた達みたいなスキル持ってないよ。屋根から屋根に跳べないよ」

ウサ子「人間ですもんね」

アン「人間かどうかはともあれ…落ちて死んだらどうするの」

フタミ「いや、死なないだろ」

アン「ひっでー! そうだけどデリカシーってもんがないよ!」

ウサ子「とにかく、早く上に登りましょう。近いです」

アン「もう……」ガシ

ウサ子「えいっ」ガシ

フタミ「あ、これ地味に首が締まって死にそうなんだけど」
41 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:45:37.08 ID:0xZumrvAO
フタミ「うぐぉぉおお!!」スルスル

アン「速い速い」

フタミ「つ、ついた…お前ら、首にかける力が強すぎなんだよ」ハァハァ

アン「ごめん」

ウサ子「なんとかバレずにはすんだようですね」

フタミ「心こもってねぇ…ウサ子にいたってはスルーかよ」

アン「謝罪なんて薄っぺらなものなの」

フタミ「悟ってんなぁ。死ななくなってから何年生きているんだよ」

アン「…ざっと、500年」

フタミ「えっ」

ウサ子「えっ」
42 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:46:04.13 ID:0xZumrvAO
アン「呪いをかけられて何年か、細かくはもう覚えてないけどね」

ウサ子「えっと、さっきから何の話を…」

フタミ「そうか、何だかんだで話してなかったな」

アン「私は不老不死なんだよ」

ウサ子「ええ!? じゃあ本当はすっごい年取ったお婆さんなんですね?」

アン「寿命を縮ませたいならお婆さんと呼べばいいけどねぇ?」

ウサ子「ひっ…お、おねーさん」

アン「よし」

フタミ「………」
43 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:46:30.59 ID:0xZumrvAO
アン「さて。こんな上からならあなた達の仲間をあっさり見つけられそうだけど」

フタミ「どうだろうな。建物や地下に隠れている可能性もあるが」

アン「それもあるかー。一進一退というか、進んでいるのかこれは」

フタミ「でも屋根の上なら少しはゆっくりできそうだ」

ウサ子「いえ、そうでもないみたいですよ」

アン「そうでもないって…」

バララララ

フタミ「……あれは、ヘリコプターってもんか?」

アン「……まさかあんなもんまで使って捜索なんてね」
44 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:47:02.97 ID:0xZumrvAO
ウサ子「博士に愛されてますね、ウサ子たち」

フタミ「愛され過ぎて困るな」

アン「いやぁあはは、愛情って重いと困りものよねー」

バララララ

アン「…本当、愛されてるよ。機関砲まで積むほどにね」

フタミ「物々しすぎて目を引くな」

ウサ子「あれって弾出てきますか?」

アン「うん、バンバン出てくるね」

バララララ

ウサ子「ウサ子、特別小さいしモロバレですね」

フタミ「こんな人のいない所じゃ帽子の意味もないなぁ…」

アン「あ、いやでも私がいるよ」
45 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:48:27.82 ID:0xZumrvAO
フタミ「お前がいると何になるんだよ」

アン「迂闊には撃ってこないはずだよ。一般人の可能性ありって感じで」

バララララ

フタミ「オレたちといる時点で全然一般人じゃないよな」

アン「そりゃそうだけど」

ウサ子「でも、あの機関砲も脅しのつもりかもしれませんしね」

アン「撃たれたくなきゃ投降しろってやつね」

フタミ「ああ、撃たれたくなきゃ、逃げるか」ギュ

ウサ子「わわっ!?」ガシ

アン「へ?」ガシ

フタミ「逃げるぞ! 撃つつもりだ、あいつらは!」

バララララ

アン「…わー、標準が私たちを向いてるー」


46 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:49:09.04 ID:0xZumrvAO
ドドダダダダ

フタミ「ぎゃあああああ!!」

ウサ子「いやぁああぁあ!!」

アン「全く容赦ないね」

フタミ「暢気にしゃべってる場合じゃねぇぇぇ!!」

ウサ子「危険承知で下に行きましょう!」

フタミ「だな! 降りるぞ!」タンッ

ツルッ

フタミ「やば、手が離れ――」

アン「うわぁーい」

ドシャア
47 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:49:39.54 ID:0xZumrvAO
-裏路地-

アン「この短期間で二回死ぬとかどういうことなの。あんまないよ」

フタミ「悪い、手が滑って……」

アン「私だったから良かったものの」

ウサ子「ウサ子だったら間違いなくゲームオーバーでしたもんね…」

アン「しかし、連中はあなた達を殺そうとしていたのかな?」

フタミ「あれを見るとそうとしか言えないな」

ウサ子「用済みになったのでしょうか、ウサ子たちは…」

アン「どうなんだろうね。さっぱり分からない」

アン(まさかこれも実験の一部として見られているとか?)

アン(予定を変更して、外で生き残りをかけた…なんて)
48 :1 [saga]:2011/11/20(日) 22:59:33.02 ID:0xZumrvAO
ウサ子「あ!」

フタミ「ちっ!」

バタバタ

アン「……こっちは行き止まり。退路がないね」

フタミ「だな」

兵士4「見つけた! 大人しく手をあげろ!」

兵士5「これは実弾だ! 抵抗すれば撃つぞ!」カチャ

フタミ「ウサ子、オレの後ろに」

ウサ子「はい」

アン「ちょっとあなたたち、お待ちなさい」

兵士4「…誰だ貴様は」

アン「少なくともあなたじゃないのは確かよ」

兵士4「なんだと?」

アン「ねぇ、教えて。この子たち危害なんて誰にも加えてないのに――」

バン

フタミ「!」

兵士5「本部へ、一般人ひとり射殺。回収を頼む」

フタミ「おいおい…なにやっちゃってんだよ」
49 :1 [saga]:2011/11/20(日) 23:08:38.94 ID:0xZumrvAO
兵士4「貴様達は見られたらマズい存在だ」

フタミ「だからって一般人を口封じに殺すのかよ」

兵士4「たまたまそこにいたそいつが悪いだけの話だろう」

アン「なかなか酷いこというじゃん」ムク

兵士4「!?」

アン「脳天に一発はきたけど、」

パンパン

兵士4「打ち所が甘かったか……」

兵士5「心臓にも念のため入れとけ」

兵士4「分かっている」パン

フタミ「………」

ウサ子「………」

兵士4「貴様達、こうなりたくないなら素直に――」

アン「ちぇいさー!」ボカッ

兵士4「鼻っ!?」

兵士5「ま、まだ生きていやがったのか!? さっさとくたばれ!」パンパン

アン「死にたくても死ねないのよ、私は!!」メキャッ

ドサ

兵士4「」

兵士5「」

アン「せめて人の話は最後まで聞きなさい」

フタミ「聞こえてない聞こえてない」
50 :1 :2011/11/20(日) 23:19:06.61 ID:0xZumrvAO
アン「やっばいね。これは本格的に殺られるよ」

フタミ「どうすりゃいいんだ」

ウサ子「というか、おねーさん、顔をなぐるとかエグいことしますね」

アン「だって防弾チョッキみたいなの着てたから、弱点そこしかないもん」

フタミ「えげつないことには変わりないけどな…鼻血垂れ流し…」

アン「体はともかく服が穴ぼこになった恨みもかねてね」

ウサ子「血はそのまんまなんですね」

アン「うん。体は治るからいいけど服は買い直さないとだめじゃん」

フタミ「普通逆なんじゃないかと思う」
51 :1 [sage]:2011/11/20(日) 23:19:33.39 ID:0xZumrvAO
続く
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 23:27:45.41 ID:yadqHlS7o
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府) [sage]:2011/11/20(日) 23:33:25.34 ID:nrnoprmvo
はい
54 :1 [saga]:2011/11/22(火) 16:10:28.01 ID:DKCHJsLAO
アン「予備の服を着ました」

フタミ「はい」

アン「はいじゃないが」

ウサ子「もう何度目かになる『これからどうする?』です」

フタミ「こうなっちゃ仕方ないよな……。行こう」

アン「どこに」

フタミ「研究所に、だ」

アン「仲間を見つけてからのほうがいいんじゃない?」

フタミ「今となっちゃ危険すぎる。探している間に殺られたら元も子もないだろ」

アン「まあね」

フタミ「それに、早めに根っこを潰せば仲間もこれ以上危険な目にあわないかもしれないし」

ウサ子「根っこですか? 草を引っ張れば出てきますよ、ほら」

アン「……」

フタミ「……」

ウサ子「あれ?」
55 :1 [saga]:2011/11/22(火) 16:16:54.90 ID:DKCHJsLAO
アン「研究所の位置は分かるの?」

フタミ「大雑把にな。あっちの方向だ」スッ

アン「あっちの…どんなところ?」

ウサ子「山の中です」

アン「ちょっと遠いね」

フタミ「遠いな…。無我夢中で逃げてきたから気づかなかったけど」

アン「ヒッチハイクでもしていく?」

フタミ「ヒッチハイク?」

アン「車をつかまえて乗せてもらいながら移動することだよ」

ウサ子「車を捕まえるんですか!? 網でですか!?」

アン「………」

フタミ「………」

アン「どうかな、ヒッチハイク」

フタミ「三人も乗せてくれるところなんかそうやすやすとないだろ」

アン「あー…」
56 :1 [saga]:2011/11/22(火) 16:21:28.53 ID:DKCHJsLAO
フタミ「いい案だとは思うが。時間を短縮できるんだろ?」

アン「うん、歩くより遥かにね」

フタミ「どうするか……ヒッチハイクなぁ」

ウサ子「……」

フタミ「ウサ子? どうした?」

ウサ子「ちょっとだけ、疲れました…夜を徹して逃げたので」

アン「そういえばフタミくんも寝ていなかったね」

フタミ「オレは数日は大丈夫なように造られた、というより遊ばれたからな」

アン「遊ばれたって……」

フタミ「ウサ子は普通の人間みたいに休息をとらないといけなかったな。忘れてた」

ウサ子「うう…」ウトウト
57 :1 [saga]:2011/11/22(火) 16:25:24.48 ID:DKCHJsLAO
アン「彼女の体調を優先したほうがいいかな」

フタミ「そうだな。無理はさせないほうがいい」

ウサ子「すみません…」

アン「休息とろう。フタミくんも案外疲れてたりするし」

フタミ「いいけど、とれるところがあるのか?」

アン「あるのよ」

フタミ「?」

アン「人とわざわざ会わなくていいし。彼らもさすがにあそこ行くとは思わないでしょう」

フタミ「??」
58 :1 [sage]:2011/11/22(火) 17:45:11.17 ID:DKCHJsLAO
-研究所-

兵士7「報告します」

博士「なに?」

兵士7「それが…再び222号と233号を見つけたそうです」

博士「逃げられたんでしょう? なにをわざわざ――」

兵士7「兵士二人が倒れているところを見つけたのですが、どうも二人とも証言がおかしく」

博士「続けなさい」

兵士8「『撃っても死なない女がいた』、と」

博士「……薬物でも打ってて幻覚をみたのでは?」

兵士7「薬物使用を確認しましたがまったくの白でした」
59 :1 [sage]:2011/11/22(火) 17:50:50.82 ID:DKCHJsLAO
博士「ふぅーん……」

兵士7「報告は以上です」

博士「撃った箇所は?」

兵士7「頭に三発、心臓に一発だと聞いています」

博士「…なるほど。引き続き頼むわ」

兵士7「はっ」

ガチャ

博士「死なない、か……」

博士(今の科学では、死者を、それも即座に蘇らせることなんかできない)

博士(ずいぶん面白いものと出会ったのね…ねえ、222号…)
60 :1 [sage]:2011/11/22(火) 18:34:34.03 ID:DKCHJsLAO
-ラブホ-

フタミ「ここは?」

アン「ラブホだけど」

ウサ子「zzz」

フタミ「聞いたことあるぞ。男女が性交する場所って」

アン「帽子すら知らなかったくせになんでそんなことは知ってんの」

フタミ「夜勤の研究員が持っていた雑誌から情報を入手した」

アン「oh…」

アン(赤面しないから、からかいがいない…。行為のひとつ程度にしか認識してないのか)

フタミ「で、ここでどうするんだ」

アン「休むだけだよ。ベッドもシャワーもあるから丁度いいし」
61 :1 [sage]:2011/11/22(火) 18:41:36.63 ID:DKCHJsLAO
フタミ「だな。よいしょ」

ウサ子「うー…」zzz

アン「ビジネスホテルはフロント通らないといけないんだよね」

フタミ「へえ」

アン「ここは無人とまではいかないけど、人に会うことは極力避けられるの」

フタミ「モニターで部屋選択してたもんな」

アン「便利になったよねー。一昔前はこんなんじゃなかった」

フタミ「何度かこういうところ利用してるのか」

アン「……お金稼ぎにね」

フタミ「……」

アン「弟は私に永遠の純潔を願ったから、すぐ何もかも元通りだけど」

アン「いつでも新品だよ、私は」
62 :1 [sage]:2011/11/22(火) 18:49:40.49 ID:DKCHJsLAO
フタミ「お前……」

アン「私は永遠にこの姿のまま。だから、どこか一ヶ所に留まれない」

フタミ「……」

アン「短期間なら働けるけど――住所がないと働けない世の中になっちゃってさ」

フタミ「そうなのか」

アン「そうだよ。だから、手っ取り早く稼ぐには水商売がいいの」

フタミ「……」

アン「水商売は住所も何もなくてもすぐ入れてくれるし」

フタミ「……」

アン「まあ…さすがに怪しまれるよ。だっていつまでも綺麗な身体のままだもん」

アン「だから、夜の世界にも長くはいれなかった」
63 :1 [sage]:2011/11/22(火) 19:12:03.61 ID:DKCHJsLAO
アン「結局不老のままじゃ、どこにも住めない」

フタミ「いつまでも若いままだと周囲は次第に不思議に思い始めるからか」

アン「いぇす。だからずっと旅をしていた」

フタミ「歩いて?」

アン「もちろん歩いて。私の時間は悠久だもん」

フタミ「すげーな」

アン「靴とかボロボロになっちゃうけどね。それなりにお金は必要だったから、」

フタミ「そういう意味での体を売った…か」

アン「……ごめんね、こんな話をしちゃって」

フタミ「いいよ、別に」
64 :1 [sage]:2011/11/22(火) 19:17:28.84 ID:DKCHJsLAO
アン「シャワー浴びてくる。血でよごれちゃったし」

フタミ「ああ」

パタン

フタミ「で、ウサ子。いつから起きてた?」

ウサ子「…にーさんには敵いませんね。おねーさんが永遠にあのままって下りからです」

フタミ「話半ばぐらいか」

ウサ子「話が重すぎて起きるチャンス見失いましたよ」

フタミ「ずっと一人だったわけか、あいつ」

ウサ子「でしょうね。――にーさん、本当に彼女を連れていっていいんですか?」

フタミ「なんでだ?」
65 :1 [sage]:2011/11/22(火) 19:28:14.19 ID:DKCHJsLAO
ウサ子「博士は…ママは、絶対おねーさんに興味を示しますよ」

フタミ「だろうな、母さんのことだから」

ウサ子「本当に死なないのか、容赦なく実験しますよ」

フタミ「するだろうなぁ、あの人は」

ウサ子「もう何十人も死んでますよね、ママの実験で」

フタミ「一時期は250あまりいたのに、今はもう10人そこらだもんな」

ウサ子「だから、おねーさんが巻き込まれるのはウサ子としては心苦しいです」

フタミ「望んで巻き込まれに行っている気もするが」

ウサ子「そうですか?」

フタミ「もしかしたらあいつ……いや、気のせいだ。気のせい」

ウサ子「なんですか、もー」
66 :1 [sage]:2011/11/22(火) 19:48:33.02 ID:DKCHJsLAO
アン「あがったよー」

フタミ「じゃあ次入っとくか…」

ウサ子「シャワー嫌いのにーさん行ってらっしゃい」

フタミ「うっせーやい」パタン

アン「あれ。起きてたんだ、ウサ子ちゃん」

ウサ子「年下っぽい人にちゃんづけは変な気分です…」

アン「何歳?」

ウサ子「にーさんと同い年です」

アン「あー、じゃあ変だろうね」

ウサ子「……おねーさん」

アン「ん?」

ウサ子「ウサ子が、他の仲間がいなくなったらにーさんを頼みますね」

アン「何を――」
67 :1 [sage]:2011/11/22(火) 20:16:26.91 ID:DKCHJsLAO
ウサ子「遺伝子上のミスで、ウサ子はもうこれ以上は生きられないそうです」

アン「は?」

ウサ子「いわゆる成功作の中の失敗作だったわけですね」

アン「失敗作って。それよりなんで死ぬとか…」

ウサ子「20越えたあたりから細胞が異常をきたしているようです」

アン「……マジで?」

ウサ子「マジです。現に、具合も少しずつ悪くなっています」

アン「…今は?」

ウサ子「良い感じです。外の空気を吸ったからでしょうかね」

アン「……」
68 :1 :2011/11/22(火) 20:20:45.26 ID:DKCHJsLAO
ウサ子「数日後、テストが――実験動物同士の殺しあいが行われます」

アン「あ、うん。彼から聞いたよ」

ウサ子「なら話は早いです」

ウサ子「テストはウサ子が死なないうちに行われる、ということなんですよ」

アン「は……?」

ウサ子「殺しあわせて、残った強い実験動物で博士は何かをするみたいで」

アン「何か、は分からないわけね」

ウサ子「はい。まあ、死にかけの実験動物でも一応は戦わせようってやつでしょう」

アン「そんなことが……」
69 :1 :2011/11/22(火) 20:25:57.10 ID:DKCHJsLAO
ウサ子「だから、にーさんが自由になったら…にーさんを頼みます」

アン「死なせないから」

ウサ子「え?」

アン「なんとかして死なせないから、あなたを」

ウサ子「……」

アン「ダメ元でも、やってみなきゃ分からないでしょ?」

ウサ子「…そうですね」

アン「指切りしよう」

ウサ子「えっ指切るんですか!?」

アン「違うから……小指出して」

ウサ子「はい」

アン「あなたのお願いはちゃんと聞く。だからあなたも生きなさい」
70 :1 :2011/11/22(火) 20:29:48.23 ID:DKCHJsLAO
ウサ子「えっと…はい」

アン「ゆーびきーりげーんまんうそついたーらはりせんぼんのーますっ」

アン「ゆびきった!」

ウサ子「これは?」

アン「おまじないみたいなものかな?」

ウサ子「おまじない…」

アン「約束破ったら針千本つっこむからね」

ウサ子「ひぃぃぃぃ!?」

アン「あはは」

ウサ子「嘘ですよね!? それ嘘ですよね!?」

アン「あははははは」

アン(全く……迂闊に[ピーーー]なくなっちゃったじゃん)
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage saga]:2011/11/22(火) 20:44:33.34 ID:QEA3f+37o
sageとsaga入れたら殺すとか入れても規制かからんよ
72 :1 [sage]:2011/11/22(火) 21:07:53.43 ID:DKCHJsLAO
ありがとう…
気をつける
73 :1 [saga]:2011/11/22(火) 21:58:33.27 ID:DKCHJsLAO
-翌朝-

ウサ子「zzz」

フタミ「ん……」ムク

アン「おはようフタミくん」

フタミ「早起きだな」

アン「寝ていないもん。寝る必要ないから」

フタミ「さいですか」

アン「まだバレてはいないみたいだねー。でも長居は危険」

フタミ「まさか一晩中見張っていたのか?」

アン「そうだけど? これぐらいはしなきゃ」

フタミ「よく飽きないもんだな……一時間も持たんぞオレは」

アン「時たまフタミくんの寝顔も堪能させていただきました」フンス

フタミ「殴って良いか。割りと本気で」

アン「やめてよ、死んじゃうじゃない」
74 :1 [saga]:2011/11/22(火) 22:11:04.36 ID:DKCHJsLAO
フタミ「今日中には研究所に行こうと思う」

アン「このまま逃げるのが得策だと思ったんだけど」

アン「フタミくんはフタミくんのことだけ考えて生きればいいって」

フタミ「…オレたちに接触したというだけで、お前は殺されただろ?」

アン「そうだね。直後に復活したけどね」

フタミ「まあな。つまり、連中は一般人にも構わず銃を向ける」

アン「自分達によって誰かを傷つかせたくないと」

フタミ「ああ。それに、決着もつけないといけないしな」

75 :1 [saga]:2011/11/22(火) 22:18:26.33 ID:DKCHJsLAO
アン「決着、か」

フタミ「オレたちを造った目的を聞きたいんだ。今まで聞けなかったから」

アン「内容によってはショックを受けるかもしれないのに?」

フタミ「ああ」

アン「真実は、酷だよ」

フタミ「それでも知りたいんだ」

アン「……」ハァ

フタミ「……」

アン「昨日から思っていたけど、自分から逃げてまた戻るってなんなの…」

フタミ「…本当は研究所壊して皆で脱走予定だったんだけどな」

アン「うまくいかなかったわけか。現実は甘くないね」

フタミ「まったくだ」

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府) [sage]:2011/11/22(火) 22:19:52.06 ID:/63wTUr1o
うむ
77 :1 [saga]:2011/11/22(火) 22:27:07.83 ID:DKCHJsLAO
ウサ子「……」ピク

フタミ「起きたのか、ウサ子」

ウサ子「にーさん…おはようございます」ウトウト

アン「おはよ、ウサ子ちゃん」

ウサ子「おねーさんもおはようございます…」ウトウト

フタミ「今日は長距離移動だが、体調は万全か?」

ウサ子「熱っぽいです…昨日動きすぎたので」

アン「……」

フタミ「動けなくなったらいえよ。オレがおぶってやるから」

ウサ子「本当ですか!? やったー!」

フタミ「いきなり元気になった!?」

アン「現金な子だね…」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/22(火) 22:36:06.91 ID:XAdI36aAO
*)ミテルヨ
79 :1 [saga]:2011/11/22(火) 22:45:36.94 ID:DKCHJsLAO
-外、表道路-

フタミ「行こう」

アン「うん」

ウサ子「はい!」

アン「ところで私、いいこと思い付いたの!」

ウサ子「なんですか!」

アン「車、奪い取ればよくね!?」

フタミ「お前はいったい何を考えているんだ馬鹿!」

兵士8「! いた!」

フタミ「うわっ、バッドタイミング」

アン「フタミくんが大きな声を出すから…」

フタミ「九割はお前のせいだ」

ウサ子「一割は責任感じていたんですね…」

80 :1 [saga]:2011/11/22(火) 22:48:15.11 ID:DKCHJsLAO
兵士8「し、至急おう…」バタ

ウサ子「あっさり気絶しちゃった…」

アン「これが世にも有名な斜め45度チョップである」

フタミ「嘘だ」

アン「……あ、丁度いいところにいい車が」

フタミ「研究所のだな。見たことある」

アン「鍵かけっぱ。エンジンつけられるね、これなら」

フタミ「お前はなにをしとるんじゃ!」

ウサ子「人のものは盗んじゃいけないですよ……」

アン「盗みじゃないよ。返しに行くの」

フタミ「すげぇ強引」
81 :1 [saga]:2011/11/22(火) 22:57:18.19 ID:DKCHJsLAO
アン「まさか盗みは駄目だといわれるとは思わなかった」

フタミ「いや、いくら一般常識なくても分かるが」

ウサ子「ご飯とられたら悲しいじゃないですか!」

フタミ「食べるの遅かったもんな、ウサ子」

アン「長生きするとこういうところは『ま、いいか』って思い始めるのよ」

フタミ「基準が分からねぇ…。服とか律義に買うくせに」

アン「じゃあこうなったら仕方ない。てっとり早く…」

フタミ「?」

ウサ子「?」


アン「あそこにトラックあるよね」

ウサ子「ありますね」
82 :1 [saga]:2011/11/22(火) 23:00:38.35 ID:DKCHJsLAO
フタミ「あれも研究所のだな」

ウサ子「まさか中に潜り込むんですか? バレますよ」

フタミ「最悪蜂の巣だな」

ウサ子「えっ、蜂蜜とか体に蓄えられるようになるんですか!?」

アン「………」

フタミ「………」

アン「潜り込みはしないよ」

フタミ「じゃあなんだよ。運転手を追い出して運転か?」

アン「ちっちっち…まあ、私たちにしかできないことだよ」

フタミ「は?」

アン「危険ですので真似をしないで下さいってね」

ウサ子「まさか」
83 :1 [saga]:2011/11/22(火) 23:04:52.43 ID:DKCHJsLAO
-トラック、荷台の上-

ウサ子「やっと上れた…」

フタミ「…確かにオレ達にしかできないな」

アン「フタミくん筋力あるから、トラックにしがみつけるし」

アン「で、ウサ子ちゃんがフタミくんに」

ウサ子「しがみつくんですね。えい」ギュウ

フタミ「お前は?」

アン「適当にとっかかりにつかまっているよ。落ちても死なないし」

フタミ「そんなことしなくてもいーよ…ほら、腕でも掴まれ」

アン「……」パチクリ

アン「…ありがとう」ギュ
84 :1 [saga]:2011/11/22(火) 23:10:27.45 ID:DKCHJsLAO
アン「問題はいつ出発するのかだよね」

フタミ「だな。目立つから長くはいないと思うんだが…」

ウサ子「あ」ピク

フタミ「ウサ子?」

ウサ子「今このトラックの運転席に無線連絡入りました」

アン「私には聞こえなかった…さすが兎…」

ウサ子「交代とかで、本部…研究所に行くそうですね。これ」

アン「やった、ビンゴ」

フタミ「ラッキーだ。さくさく進むな」

ブロロロ…

アン「あ、動くみたいだね」

フタミ「しがみついておけよ」

ウサ子「はいっ」ギュ

85 :1 [saga]:2011/11/22(火) 23:13:50.33 ID:DKCHJsLAO
ギュン

フタミ「!」

アン「初っぱなからアクセル全開なんて…! しかも運転荒っ」

フタミ「頑張れウサ子! 振り落とされるんじゃねぇぞ!」

ウサ子「はい!」

アン「私の心配はしてくれないの?」

フタミ「心配のしようがないじゃんお前!」

アン「女の子だもん、ちょっとは何もなくても心配されたいよ!」

フタミ「口閉じておけ! 舌噛むぞ!」

アン「舌噛んでもすぐ修復するもん!」

フタミ「だああああめんどうなやつだなああああああ」
86 :1 [sage]:2011/11/22(火) 23:15:15.84 ID:DKCHJsLAO
続く
見てくれているかた、ありがとうございます
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/22(火) 23:52:29.45 ID:FAgS+Z7W0

wktkして待ってる
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/23(水) 01:11:50.15 ID:OU287HJco
まさかアンデッドだからアンなんて安直なネーミングじゃないよな?
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage saga]:2011/11/23(水) 06:43:30.60 ID:xZIxJzu1o
>>88
気づかなかった
90 :1 [sage]:2011/11/23(水) 10:08:02.15 ID:M4fqrBaAO
せ、千葉県め…
名前についてはもうちょいしたら出るかもしれない
91 :1 :2011/11/23(水) 11:05:52.52 ID:M4fqrBaAO
-研究所、入口手前-

フタミ「……」スンスン

ウサ子「……」キョロキョロ

フタミ「よし…あっちの見張り以外はもう他にいないっぽいな」

ウサ子「荷台から下りましょう」

アン「安全確認ご苦労様。どうにかこうにかしてついたね」ストッ

フタミ「もう嫌だからなあんなの。指がガチガチだ」スタッ

ウサ子「よいしょ」ピョン

フタミ「ぐぇ」ドス

アン「問題はどこから入るかなんだよねー。入口他に無い?」

ウサ子「ないです。あれが唯一の出入口です」

アン「勝手口は?」

ウサ子「うーん…探せばあるのかもしれません」

フタミ「とりあえずウサ子、上から退いてくれないか」
92 :1 [saga]:2011/11/23(水) 11:11:40.80 ID:M4fqrBaAO
アン「勝手口探す? でもあそこ以外にもポツポツ見張りいそうだし」

フタミ「ところ構わず壁壊して中に入ればいいじゃないか」

アン「あのね…どんなところに行き着くか分からないよ?」

ウサ子「そうですよ。ウサ子の部屋だったらどうするんですか」

アン「そこか」

フタミ「オレらの生活スペースは地下だぞ」

アン「とはいえ、正々堂々と行くにしても見張りが邪魔なんだよね…」

フタミ「殴って気絶させればいいだろ」

アン「あなたの場合、相手を永眠させちゃうよね?」
93 :1 [saga]:2011/11/23(水) 11:17:28.62 ID:M4fqrBaAO
ウサ子「ウサ子はか弱き乙女ですし」

アン「私もつつかれたらすぐ死んじゃうか弱き乙女ですし」

フタミ「さっき兵士を一人気絶させた不死身はどこのどいつだ」

アン「あたしだよ!」

ウサ子「さっきの要領で気絶させてしまえばいいんじゃないですか?」

アン「あれは相手も慌ててたし半ば不意打ちみたいなもんだからね」

フタミ「警戒体制に入っているやつはそう簡単に気絶させられないか」

ウサ子「困りました」

アン「あ、いいこと思いついた」

フタミ「いいことって、どんな?」
94 :1 [saga]:2011/11/23(水) 11:21:56.62 ID:M4fqrBaAO
アン「まぁ見てなさい」スタスタ

フタミ「あっ、馬鹿!」

ウサ子「しーっ、おねーさんは何か考えついたみたいですよ」

フタミ「侵入者だと報告されたら終わりだ」

ウサ子「あれ、なんかおねーさんヨロヨロしてますね。怪我したのかな」

フタミ「あいつは弾けた頭すら瞬時に修復するんだぞ。怪我したフリじゃないか」

ウサ子「にーさん、おねーさんになんかやったんですか? やけに詳しいですが」

フタミ「あー…まあ…」
95 :1 [saga]:2011/11/23(水) 12:10:00.28 ID:M4fqrBaAO
ウサ子「見張りに声をかけましたね」

フタミ「『道をお尋ねしたいのですが…』か。スタンダードな話しかけ方だな」

ウサ子「『どうしてこんなところに』と聞かれましたよ」

フタミ「……うわぁ、まあずらずらと躊躇いもなく嘘を…」

ウサ子「即興にしてはかなり出来の良い嘘ですね」

フタミ「長生きしてるから変なところがスキルアップしてんだろーな」

ウサ子「あっ、なんか見張りがちらちらおねーさんのお胸を見てます」

フタミ「艶っぽく笑いやがった。あ、そういうことか」

ウサ子「つまり?」
96 :1 [saga]:2011/11/23(水) 12:30:49.58 ID:M4fqrBaAO
フタミ「お色気で落とすんだろ」

ウサ子「ならウサ子でもいける気がします!」

フタミ「お前はなんか足りない。特に胸の大きさが」

ウサ子「むきー!」

フタミ「お? 見張りの首に腕を回したな」

ウサ子「耳元でなにか囁いています。さすがにウサ子も聞こえませんね」

フタミ「あ」

ウサ子「あ」

フタミ「見張り倒れた」

ウサ子「幸せそうな顔でばったりと」

97 :1 [saga]:2011/11/23(水) 13:24:12.32 ID:M4fqrBaAO
アン「」チョイチョイ

フタミ「呼んでる」

ウサ子「行きますか」

トトト

フタミ「なにしたんだ一体。斜め45度チョップしたのか?」

アン「ううん。軽く太い血管を止めただけだよ」

ウサ子「軽くどころの話じゃない気が……」

フタミ「…過程はどうであれ、第一関門は突破したってことで」

アン「うん」

ウサ子「何事もなくて良かったです」

フタミ「さて、お前ら気を引き締めろ。――入るぞ」

アン「うん」
98 :1 [saga]:2011/11/23(水) 16:42:42.17 ID:M4fqrBaAO
-モニター室-

博士「入ってきたようね」

兵士7「どうしますか」

博士「あの女と222号達を別れさせなさい」

兵士7「はい」

博士「彼らは第一実験室に誘導して」

兵士7「あの女はどうしますか」

博士「第六実験室に誘き寄せましょう。色々確かめたいから」

兵士7「第六……はい、分かりました」



兵士8「よう、なんだって?」

兵士7「あの女を第六に誘導しろってさ」

兵士8「だ、第六!?」

兵士7「あの人、冷血にも程があるだろう…」
99 :1 [saga]:2011/11/23(水) 17:09:07.25 ID:M4fqrBaAO
-通路-

フタミ「とりあえず地下に行くか。仲間がいるかどうか見たい」

アン「そうね」

ウサ子「動くなら早くがいいですね。防犯カメラがありますから」

フタミ「あれが一番厄介だな。よっ」バシッ パリン

ウサ子「わお」

アン「破壊したよこの人」

フタミ「行く先々で壊していけばこっちはいくらか動きやすくなるだろ?」

アン「そうだけど…」

ウサ子「にーさんは昔から本当に突拍子のないことしますね」

フタミ「あれ、オレ悪口言われてる?」
100 :1 [saga]:2011/11/23(水) 17:14:31.47 ID:M4fqrBaAO
アン「別れ道だね。どっち?」

ウサ子「ええっと……」

フタミ「こっちだ」

アン「ほいほい、了解」

ウィン

フタミ「! ウサ子危ない!」ドン

ウサ子「わぁっ!」

アン「うわっ!?」キャッチ

ガシャアン

ウサ子「ああっ、防火扉が閉まってしまいました……!」

アン「嘘…フタミくんと離ればなれになっちゃったってこと!?」

ウサ子「にーさん! にーさん聞こえていますか!」バンバン
101 :1 [saga]:2011/11/23(水) 18:04:04.12 ID:M4fqrBaAO
フタミ「防火扉か…よっ」バシッ

フタミ(……凹んだだけか。どんだけ強い材質なんだよ)バシッバシッ

フタミ(しかも厚いときたか。突き破るには時間かかるな)

フタミ「…ちっ、母さんは相変わらず汚ねーや」

ウサ子『にーさん! にーさん聞こえていますか!』バンバン

フタミ「聞こえてる」

ウサ子『大丈夫ですか!』

アン『挟まれているとかは?』

フタミ「ない。オレは地下に行くよ」

ウサ子『一人でですか?』

フタミ「ああ。確認終わったらそっちいくからウサ子達は隠れておけ」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage saga]:2011/11/23(水) 18:18:57.53 ID:xZIxJzu1o
ダメ~
103 :1 :2011/11/23(水) 18:46:57.21 ID:M4fqrBaAO
ウサ子「なに言っているんですかにーさん!」

ウサ子「にーさん一人じゃ何やらかすか分かったものじゃありません!」

フタミ『どれだけ信頼ないんだよオレ』

アン「ウサ子ちゃん、そこはせめて心配とかしようよ…」

フタミ『大丈夫だって。後でちゃんと合流しよう、な?』

ウサ子「……はい」

フタミ『ウサ子のこと任せたからな、アン』

アン「任されたよ、フタミくん」

フタミ『じゃ』タタタ

アン「ほら、ウサ子ちゃん。どこか隠れられるとこ探しましょう」

ウサ子「はい…」

アン「大丈夫だよ、フタミくんなら」
104 :1 :2011/11/23(水) 18:56:29.35 ID:M4fqrBaAO
アン「私たちはまずは逃げようか」

ウサ子「へ? 逃げるって?」

アン「足音消してるけど、殺気はなんとなく分かるでしょ?」

ウサ子「殺気……、って、え!?」

アン「お出まししたよ」

犬「フー、フー」

アン「…ずいぶんと大きな犬ですこと。狼ぐらいかな?」

犬「グルルル……グワァ!!」

ウサ子「ぴぃ!」

アン「………」スッ


ガブ


アン「……」ポタッ

ウサ子「お、おねーさん!」

アン「大丈夫。ほぉら…たくさんお食べ」

犬「グルルル」ガツガツ
105 :1 :2011/11/23(水) 19:01:22.91 ID:M4fqrBaAO
ウサ子「おねーさん…」

アン「どうせすぐ回復するし…お腹がいっぱいになれば落ち着くんじゃないかな」

ウサ子「そういうことじゃなくて…痛くないんですか!?」

アン「……」

ウサ子「もろに肉を抉られて骨をかじられて…痛くないはずがありません!」

アン「……慣れたから」

ウサ子「慣れた……」

犬「ウウー」ガツガツ

アン「可哀想に。何日も食べていなかったんだね」ナデ

ウサ子「そんなに痛い思いをしてきたんですか…?」

アン「……。お腹いっぱいかな? 良かったね」

犬「グル…」

アン「この犬は私たちにはもう手を出さないと思う」
106 :1 [saga]:2011/11/23(水) 19:07:50.28 ID:M4fqrBaAO
ウサ子「……」

アン「斬られて刈られて刺されて抉られて絞められて燃やされて吊るされて沈められて溶かされて熱されて凍らされて撃たれて落とされて殴られて食べられて解されて」

アン「そこまでしても、まだ生きているんだ」

ウサ子「そんなに…」

アン「死は私を救わないし、生はひたすらに私を虐める」

ウサ子「……」

アン「痛みで気が狂えない。――精神的な死も、弟は許さなかったから」

アン「慣れるしかないでしょ?」

ウサ子「おねーさん…」

アン「ごめんなさい。こんな、湿気った話なんかしちゃって」

ウサ子「おねーさんも、大変だったんですね」

アン「私がしてしまったことに比べればどうってことないよ」

ウサ子「?」
107 :1 [saga]:2011/11/23(水) 19:43:57.25 ID:M4fqrBaAO
-地下、第一実験室-

フタミ「くそ、どこもかしこも閉められてやがる」

フタミ「ここは…開いてるのか?」ガチャ

フタミ「開いた」

??「……」

??「……」

フタミ「お前ら…なんだよ、この惨状は…」

博士『はーい、222号。それにはこっちから説明しようか?』

フタミ「この放送は…母さんか! これはなんのマネだ!」

博士『一足先に最終テスト始めたのよ』

フタミ「な……!」

博士『233号は…まあ、仕方ないわ。戦うタイプじゃないし』フゥ
108 :1 [saga]:2011/11/23(水) 20:33:04.83 ID:M4fqrBaAO
フタミ「母さん、あなたは何をしたいんだ!」

博士『誰が――どの遺伝子が強いのか見たいの。それじゃダメ?』

フタミ「ダメに決まってんだろ! 母さん、皆もこんなのおかしいと思うはずだ!」

博士『ああ、そうそう。あなたと233号以外は捕獲したときちょっと頭いじったの』

フタミ「な――」

博士『理性は戦闘するとき、いらないでしょう?』

フタミ「何を言って……」

博士『最後に言っとくわ。殺されたくなければ殺しなさい』プツ

フタミ「…おい…」

??「……」ユラ

??「……」ユラ
109 :1 [saga]:2011/11/23(水) 20:47:04.90 ID:M4fqrBaAO
-通路-

アン「……」

ウサ子「……」

アン「ドン引きしちゃった?」

ウサ子「い、いえ。…ただ」

アン「?」

ウサ子「誰か、今まで本当のことを言った相手とかいるんですか?」

アン「いるよ。その子は…まあ、すごい特別な存在の子だけど」

ウサ子「特別な存在…巫女や修道女とかですか?」

アン「違う。死神」

ウサ子「……マジすか」

アン「担当地区云々あったからここには来ないだろうけど…その子だけだったかな」

ウサ子「仲は良かったんですか? 友達とか、そういう関係とか」
110 :1 [saga]:2011/11/23(水) 20:52:53.05 ID:M4fqrBaAO
アン「基本的に無口無表情な子だったからなあ…そんな関係にはならなかった」

ウサ子「わお」

アン「でも、はじめて吐露したときはすっきりしたかな」

ウサ子「ウサ子の時はどうですか?」

アン「ウサ子ちゃんの時は違ったすっきりさがあるよ。かわいいしっ」ガバッ

ウサ子「うわわわ」

アン「…頑張ってここを出ようね。で、明るい世界で暮らすの」

ウサ子「…はい」

アン「ええっと、ここはどこだろ? 隠れられるかな?」

ウサ子「第六実験室…? なにかあったような」
111 :1 [saga]:2011/11/23(水) 21:01:04.20 ID:M4fqrBaAO
アン「……開けるよ?」

ウサ子「はい」ゴクリ

キィィ…

アン(なに、この獣の…それも血の混じった臭い…)

博士「待ちくたびれたじゃない」

ウサ子「マ、ママ!」

アン「…こんにちは。一応あなたの名前を聞いていいかな」

博士「聞いて何になるというの? 名乗るほどじゃないわ」

アン「そう。じゃ、あなたは何をしてる人? これならいいでしょ?」

博士「ええ。わたしは、その子たちを造ったヴァルツ博士の娘、よ」

アン「――娘?」

博士「ま、父の研究を続けてって感じかしらね。彼は早死にしちゃったし」
112 :1 [saga]:2011/11/23(水) 22:09:11.90 ID:M4fqrBaAO
アン「あなたのお父さんの事情なんてどうでもいい」

博士「つれないわね」

アン「私が聞きたいのは…あなたの後ろの檻のこと」

博士「失敗作」

ウサ子「失敗作って…ウサ子たちの他にも、いたんですか?」

博士「当たり前でしょう? ならどうしてあなたは233号なの?」

ウサ子「じゃあ…」

博士「その前には、失敗作だっているってことよ」

アン「それもお父さんが?」

博士「そ。お父さんは失敗作を処分しようとしていたけど」

博士「当時10歳だったわたしは生かすようにお願いした」

113 :1 [saga]:2011/11/23(水) 22:13:22.74 ID:M4fqrBaAO
アン「どうして?」

博士「解剖したかったから。そこらの人間を解剖するわけにはいかないでしょ?」

ウサ子「……」

アン「趣味の悪い10歳ね。一番友達になりたくないタイプかな」

博士「なんとでもいえば? それで、ズルズルと今まで『飼育』してきたけど」

カチャン

博士「たまには、運動させてあげようかなって思い立ったの」

アン「なるほど。なるほどなるほど、理解した」

ウサ子「え? え?」

アン「ウサ子ちゃん…ごめんなさいね、あなただけでも逃げて」

ウサ子「な…何が起こるんですか?」
114 :1 [saga]:2011/11/23(水) 22:16:04.57 ID:M4fqrBaAO
アン「あの人、私と遊ばせるつもりだよ。ウサ子ちゃんを守りきれない」

アン「ここまで来て本当にごめん。フタミくんと合流して」ガチャ

ウサ子「そんな…あっ」トン

ガチャリ

ウサ子「おねーさん! なんでおねーさんが犠牲になろうとするんですか!」ドンドン

ウサ子「……」ピク

ウサ子「ううぅ……後で、にーさんと来ますから!」ダッ
115 :1 [saga]:2011/11/23(水) 22:23:41.79 ID:M4fqrBaAO
-第六実験室内-

ガチャリ

アン「!」

ケダモノ「グワァウ!!」ガブッ

アン「いきなり…噛んでくるとはね?」ポタポタ

博士「うっかり餌あげるの忘れていたわ」

アン「それはダメだよ。保健所が許さない」

博士「傷が瞬時に治ったわね。やっぱり普通の人じゃないか」

博士「あなた、なんなの?」

アン「弟に魔術で呪われた哀れな女の子よ」

博士「へえ、魔術ね」

アン「ちょっと怖くなっちゃった?」

博士「まさか。ちょうどいい、今ここで確かめましょう」

博士「魔術がどんなものかをね」
116 :1 [saga]:2011/11/23(水) 22:30:38.94 ID:M4fqrBaAO
-第一実験室内-

フタミ「目をさませ、にい! いっく!」

にい「……」

いっく「……」

フタミ「オレはお前達とは戦いたくないんだ! 仲間だったじゃねえか!」

いっく「……」ブン

フタミ「…っ! オレが、殴ったらどうなるか分かるだろうが」パシッ

にい「……」ガス

いっく「……」ゲシ

フタミ「がはっ…」

いっく「……」ドスドス

フタミ「やめてくれって…言ってるよな!」ドン

いっく「!」ズシャアッ

フタミ「にいもいっくも! 戦いたくないって言ってたじゃねーか!」
117 :1 [saga]:2011/11/23(水) 22:35:00.40 ID:M4fqrBaAO
フタミ「なあ、にい――」

にい「……」バキッ

フタミ「ぐぁ」

にい「……」ドスン

フタミ「うわ…まさかの馬乗りからのフルボッコかよ」

いっく「……」

フタミ「しかも二人で? 卑怯にもほどがあるだろ」

にい「……」スッ

フタミ(おいおいおい眼球潰そうってのか)

いっく「……」ガシリ

にい「……?」

いっく「…にー…さん…」

フタミ「いっく!?」

いっく「もう…ダメだ…意識が……持たない…」

フタミ「何を言って――」

いっく「頼む……俺たちを殺してくれ」
118 :1 [saga]:2011/11/23(水) 22:42:06.82 ID:M4fqrBaAO
フタミ「ばっ、この馬鹿!」

いっく「……自分…忘れると……聞いた」

フタミ「そうなる前に殺してくれってか!?」

いっく「ああ……もう、意識……保てな…」

にい「……たの…」

いっく「……頼む……」

フタミ「おい……おい、いっく! にい!」

にい「……」ググッ

いっく「……」スッ

フタミ(……さっきの状態に戻って…にいの腕を離した)

フタミ「…ちくしょう、皆で逃げるって決めたじゃねえかよ!」

にい「……」ブン

いっく「……」ブン

フタミ「うわあああぁぁあああああ!!」

グショッ ベシャリ



  「ありがとな、にーさん」

  「生きろよ」
119 :1 :2011/11/23(水) 22:50:50.91 ID:M4fqrBaAO
-第六実験室内-

アン「」キュッ

ケダモノ「グゥゥ」

ケダモノ2「ガァッ!」

アン「魔法陣展開」シュンッ

ケダモノ「」バタ

ケダモノ2「」バタ

博士「へえ、それが魔術。一気に二匹も[ピーーー]なんてね」

アン「あんまり殺したくないんだけどね。もう、この子達は楽にしたかったから」

博士「あら、それが殺害に対する言い訳?」

アン「そうかもね。悪いけど、あなたよりかは人を殺しているし」

博士「失礼ね。『人間』は殺したことないわよ」

アン「…本当、友達になりたくないタイプだよ」
120 :1 訂正 [saga]:2011/11/23(水) 22:51:17.85 ID:M4fqrBaAO
-第六実験室内-

アン「」キュッ

ケダモノ「グゥゥ」

ケダモノ2「ガァッ!」

アン「魔法陣展開」シュンッ

ケダモノ「」バタ

ケダモノ2「」バタ

博士「へえ、それが魔術。一気に二匹も殺すなんてね」

アン「あんまり殺したくないんだけどね。もう、この子達は楽にしたかったから」

博士「あら、それが殺害に対する言い訳?」

アン「そうかもね。悪いけど、あなたよりかは人を殺しているし」

博士「失礼ね。『人間』は殺したことないわよ」

アン「…本当、友達になりたくないタイプだよ」
121 :1 訂正 [saga]:2011/11/23(水) 23:04:58.58 ID:M4fqrBaAO
博士「不死身のあなたは一体何人殺したのかしら?」

アン「400人」

博士「……」

アン「間接的、だけど」

アン「弟が私を不老不死にするために、住んでいた町民と自分の命を引換にしたの」

博士「ふぅん。あなたの経歴はまるで、ファンタジー世界の悪役みたいね」

アン「ならあなたは映画とかである悪役の狂気におかされた科学者かもね」

博士「あら。狂気とは失礼ね、魔女さん」

アン「そう、私は魔女。もはや人間ではない」

アン「だから人間だった頃の名前を捨ててこう名乗っているよ」

博士「なんて?」

アン「――Undead(アンデッド)、略してアンってね」
122 :1 [saga]:2011/11/23(水) 23:05:31.81 ID:M4fqrBaAO
続く
まさか見破られるとはな…
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県) [sage ]:2011/11/23(水) 23:13:36.64 ID:xZIxJzu1o
マジだったんだなw
だがカッコいい
124 :千葉県民 [sage]:2011/11/24(木) 00:20:21.88 ID:u4vhWeX2o
なんかゴメンな
本当に合ってるとは思わなんだ
125 :1 [saga]:2011/11/24(木) 19:05:51.52 ID:VM/umC3AO
博士「……アンデッドね。あなたにぴったりじゃない」

アン「でしょ?」

博士「じゃあ不死身さん――あなたがどこまで死なないのか、見てあげる」

ケダモノ3「ウゥ」

ケダモノ4「ガゥルル」

ケダモノ5「フシュー」



ケダモノ10「フギュウウ」

アン「こんなにいるのかよっ!」

博士「行きなさい」パチン

ケダモノ3〜10「バウ!!」バッ

アン(魔法陣を描く暇すらない――!!)
126 :1 [saga]:2011/11/24(木) 19:12:18.61 ID:VM/umC3AO
-第一実験室-

フタミ「……」

フタミ「……」

フタミ「『生きろよ』とか、勝手なことほざきやがって」

フタミ「オレはお前らに生きていて欲しかったのに」

フタミ「……」

フタミ「もうわかんねえ。オレはどうしたらいいんだ」

??「死ねばいいと思う」

フタミ「……てめぇは」

??「やあ、問題児」

フタミ「…やあ、優等生君」

??「きみとは一対一で殺りたかったんだ。ここは邪魔もないしね」

フタミ「……」

??「母様に認められるのはどっちになるだろうね? わくわくしないかい?」
127 :1 [saga]:2011/11/25(金) 00:15:07.45 ID:OyWe0KkAO
フタミ「勝手にわくわくしてろ、200号。オレは別に母さんに認められなくてもいい」

200「きみは僕のこと本当にあだ名で呼ばないね」

フタミ「うるせーよ。馴れ合いが嫌いなくせに、今更それか」

200「ああ、覚えていた? だってそうじゃないか」

200「いつか殺しあう相手と馴れ馴れしく関わっているなんて馬鹿らしい」

フタミ「…知っていたのか? 殺しあいがあるってことを」

200「知らなかったけど、分かってはいた」
128 :1 [saga]:2011/11/25(金) 00:20:57.07 ID:OyWe0KkAO
フタミ「…楽しかったか?」

200「?」

フタミ「この先殺しあう実験動物達が仲良しこよししているところを見るのは」

200「ああ――」

200「――とても楽しかったよ」

200「そして全てを知ったときの皆の顔もね」

フタミ「お前は頭を弄られる必要なくおかしいやつだな」

200「失礼だなぁ。脱走してないから弄くられてないし」

フタミ「そうだったな。お前は残ったんだよな」

200「いつ皆戻るのかすごく楽しみにしていたんだよ」

フタミ「そうか」
129 :1 [saga]:2011/11/25(金) 00:24:35.70 ID:OyWe0KkAO
200「233号は真っ先に捕まると思ったけど、案外粘ったようだね」

フタミ「そうか」

200「199号と221号――まあきみが殺したばかりだけど――が、意外と早かったし」

フタミ「そうか」

200「得意不得意があるんだろうね。きみはどうだった?」

200「ここまで長く外にいられたからある程度は才能あるんだろうね」

200「てっきりのたれ死んでいるんじゃないかと心配したよ」

200「杞憂だったね」

フタミ「そうだな」

フタミ「だから、黙れ」
130 :1 [sage]:2011/11/25(金) 00:25:02.73 ID:OyWe0KkAO
短いが続く
131 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 21:32:47.08 ID:5YklM6hJo
待ってる
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