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ジョゼ「僕らはフラテッロと呼ばれている」レヴィ「あぁ?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 13:27:11.38 ID:EXj3/vjw0
〜第1話 兄妹 fratello〜

ジョゼ「あ…、ご、ごめん。なんでもないよ…。ヘンリエッt…」

レヴィ「あぁ?今、何か聞き違えたか?コラ」

ジョゼ「い、いや、ごめんよ。…レヴィ」(話が違うぞ…、兄さん…)


【公益法人 社会福祉公社 作戦会議】

マルコー「共和国派への武器密輸の重要参考人の確保…、やはり複数のネストを抑える必要があるのではと…」

ロレンツォ「南部のネストはヒルシャーのフラテッロで…」

ヒルシャー「はい。充分です」

マルコー「しかし、もう一方のジャンのフラテッロには補助が必要です」

ロレンツォ「ジョゼ、やれるか…?」

ジャン「課長、彼らにはまだ、グループ活動は無理なのでは?」

ジョゼ「僕はもう、めげそうだよ、ジャン…」

マルコー「ジャンのフラテッロには、ジョゼ/レヴィをつける…。いいな?ジャン」

ジャン「…はい」
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【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
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ツナ「(雲雀さん?!)」雲雀「・・・」ビショビショ @ 2025/06/07(土) 01:30:36.87 ID:AfN9Rsm0O
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【安価コンマ】障害走を極めるその5【ウマ娘】 @ 2025/06/06(金) 01:05:45.46 ID:RaUitMs20
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阿笠「わしの乳首に米粒をくっ付けたぞい」コナン「は?」灰原「は?」 @ 2025/06/04(水) 04:01:13.39 ID:ZjrmryLdO
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レッド(無口とか幽霊とか言われるけどまだ電脳世界) @ 2025/06/02(月) 21:21:00.13 ID:ix3UWcFtO
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2 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 13:27:33.39 ID:EXj3/vjw0
【共和国派 ネスト 外周】

ジャン「ヒルシャーから連絡があった。どうやら、こっちが本命らしい」

ジャン「例の重要参考人がこっちにいるか確かめ…、って、おい、聞いていr…」

バラライカ「…おい、聞いていたか?軍曹」ザザッ

ボリス『はい。聞こえているであります。大尉殿』ザザッ

バラライカ「部隊の展開は…?」ザザッ

ボリス『すでに、メニショフ伍長の部隊が標的を補足しております』ザザッ

バラライカ「ふっ…。軍曹、撃鉄をおこせ…」ザザッ

ジャン「…」(ジョゼ…。私はとっくに、めげているよ…)

ジャン「フェッロ、出入り口は大丈夫か?」

フェッロ「正面は私とアルフォンソ、裏口はアマデオとジョルジョが抑えたわ。もし逃げ出せるとしたら、その窓くらいよ」

ジャン「いや、たぶん…、彼らは逃げられない…」

フェッロ「え?」

バラライカ「ふっふっふ…」
3 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 13:28:31.95 ID:EXj3/vjw0
【共和国派 ネスト 内部】

共和国派リーダー「南部のネストが襲われた」

共和国派メンバー「なんですって?」

共和国派リーダー「ネストに現れたのは、幼い少女だったらしいが…」

共和国派メンバー「少女?」

共和国派リーダー「あぁ…。ただ、証言者は皆何かに怯えているようだったらしい。何か、無理矢理言わされているような…」

ジョゼ「…」ジリリリリリ… ジリリリリリ… ジリリリリリ…

共和国派リーダー「誰だ…。確認しろ」

共和国派メンバー「背広の男と、それから…、目つきの悪い若い女です」

共和国派リーダー「何だそれ?あからさまに怪しいじゃないか。追い返せ!」

共和国派メンバー「は、はい…」ガチャッ…

ジョゼ「こんにちは。突然お邪魔して申し訳ありません。私はリベロイタリア誌の記者をしている者です」

レヴィ「…」(イラッ)

共和国派メンバー「記者ぁ?」

ジョゼ「こちらに、コステロ社のスカロ氏がいらっしゃると聞いて、ぜひ取材をと思いまして…」

レヴィ「…」(イライラ…)

共和国派メンバー「そんな奴はここにはいない…。住所が違うよ」

ジョゼ「いえ、たしかに、この建物だと聞いt…」

レヴィ「あぁぁぁぁっ!めんどくせぇ!突っ込むぞ!!ジョゼ!!」

ジョゼ「え?」
4 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 13:29:02.53 ID:EXj3/vjw0
レヴィ「死ぃぃぃねぇぇぇ!!!」ッパパパパパパパパパパパパパパ

共和国派メンバー「う、うわっ…。ぐふっ…」

ジョゼ「ちょ、ちょっと…」

レヴィ「おぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」パパパパパパパパパパパパパパ

共和国派メンバー達「ぐわぁっ!」

共和国派リーダー「な、何だ!何事だ!!」

ジョゼ「…」

レヴィ「へへへ…」パパパパパパパパパパパパパパ

共和国派メンバー達「っぎゃぁ!」

共和国派リーダー「おいっ!手榴弾」

共和国派メンバー「は、はいっ…。かはっ…」ッタァァァァァァァン

共和国派リーダー「何?どこから?っくは…」ッタァァァァァァァン


【共和国派 ネスト 外周】

バラライカ「よくやった、軍曹。作戦は終了だ。各部隊は独自に帰投させろ」ザザッ

ボリス『はっ。了解しました。大尉殿』ザザッ

ジャン「…」


〜第2話 天体観測 orione へ続く〜
5 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/24(木) 13:30:55.31 ID:EXj3/vjw0
Gunslinger Girl と Black Lagoon のSSです。
ずいぶん前から考えていたネタで、検索しても過去SSに該当するものがなかったので、投下開始しました。
短編ストーリーを予定しております。
はちゃめちゃな展開となりますが、よろしければおつきあいください。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 13:54:09.36 ID:fWhFsxOIO
ガンスリしか分からない
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 14:32:16.46 ID:L24DhjlSO
ブラクラの方しか分からんが期待してるぜ!
8 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/24(木) 14:49:55.25 ID:EXj3/vjw0
>>6
>>7
お二人のコメントで理解できました。
これらのアニメは、元々視聴者層が異なるんですね。
なるほど、同じようなSSを見なかったわけです…。
レスありがとうございます。m(__)m

ともかく、ご期待にそえるよう、がんばります!
9 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 15:14:22.59 ID:EXj3/vjw0
〜第2話 天体観測 orione〜

【ネスト襲撃作戦からの帰り】

ジョゼ「やってくれたな…。レヴィ」

レヴィ「っつつつ…。あぁ?何か言ったか?」

ジョゼ「どうして暴れた…」

レヴィ「何ぃ?」

ジョゼ「今までも、いつでも現場をめちゃくちゃにして…」

レヴィ「あー、なんかイライラしてさ。まどろっこしいんだよ。いつも」

ジョゼ「…」

レヴィ「なんか文句あんのかよ?」

ジョゼ「いや…。その怪我…、帰ったら先生に見てもらいなさい…」

レヴィ「あたしに命令すんな!」

ジョゼ「…」
10 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 15:14:50.11 ID:EXj3/vjw0
【公社内 病院】

ジョゼ「先生…。ヘンリエッt…、あ、いや、レヴィの具合はどうですか…」

医者「敵が複数人いたってのに、かすり傷程度のものだ。いったい、どういう運動神経の持ち主なんだ…。この娘は…」

ジョゼ「それは良かった」

医者「勘違いするなよ?どのみち、怪我をすれば、手術が必要となる。公社の娘たちは条件付けによって身体に大きな負担を背負っているんだ。こんなことを繰り返していれば、いずれは依存症や記憶障害をおこすだろう…」

ジョゼ「そうですか…」

医者「それで今日は、いったいどうしたんだ?命令を無視して暴れたって言うじゃないか」

ジョゼ「…いつもの、…ことです」

医者「苦労が絶えないな…」

ジョゼ「…」

医者「なぁ、ジョゼ。お前がこの娘に怯えているのはわかるが、それならばもっと条件付けを徹底するべきじゃないのか?」

医者「このままじゃ、お前が不幸なだけだぞ…」
11 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 15:15:16.79 ID:EXj3/vjw0
【レストラン】

ジョゼ「良いかい?君たちは日頃の座学や訓練だけじゃなく…」

レヴィ「あー、かったりぃ…」

ジョゼ「社会に出ても通用するマナーを…」

レヴィ「なんだ?こりゃ。ビールなんかションベンと一緒だぜ…」

ジョゼ「身につけなければならない…」

レヴィ「おーい、そこの兄ちゃん!バカルディ!ロックで頼むぞ!!」

ジョゼ「紅茶を飲む時は…」

レヴィ「…ところで、ジョゼ」

ジョゼ「え?」

レヴィ「さっきから、何をひとりでブツブツしゃべってんだ?」

ジョゼ「い…、いや。気にしないでk…」
12 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/24(木) 15:15:45.24 ID:EXj3/vjw0
レヴィ「あぶねぇっ!!」

ビスッ…

ジョゼ「!!?」

レヴィ「くそっ…。どこから狙ってきやがった…」

ジョゼ(そ、狙撃?えぇー?)

レヴィ「あ!あいつ!ミソッ歯ジョニー!!」

ジョゼ「え?誰?」

レヴィ「あのやろう…。ジョゼ!お前はここで待ってろ!!」ダッ…

ジョゼ「…」

ウェイター「お客様…」

ジョゼ「グラッパはキャンセルだ…。デザートは…、僕の分だけで良い…」

ウェイター「はい。かしこまりました…」

ジョゼ「…」(話が違うにも、ほどがあるぞ…!兄さんっ!)
13 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/24(木) 15:16:51.91 ID:EXj3/vjw0


第2話の途中ですが、急にでかけなければならなくなりました。
夜には戻ります。m(__)m
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/24(木) 23:27:19.82 ID:OcWaYnXAO
シリアスはありますか?
15 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/24(木) 23:45:06.73 ID:EXj3/vjw0
さっき帰宅しました。

>>14
シリアスは無い予定です。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/25(金) 00:22:34.78 ID:4X55QcaC0
>>1乙 姉御とレヴィが(一応)義体?って事は一応ロリ仕様なの?
17 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/25(金) 00:40:41.01 ID:t26Yq8S20
>>16
乙ありがとうございます。m(__)m
仕様については、どうなんでしょう?一応、私の脳内では、通常仕様です。
ただし、状況描写の少ない台詞形式なので、
脳内イメージの仕様は、読んでいただいている方にお任せしたいと思います。
18 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/25(金) 00:41:52.17 ID:t26Yq8S20
【公社 本館屋上】

レヴィ「うーっ、さみぃ…。なんだよいったい。こんなところで」

ジョゼ「いや、その…。少し戦いと離れたところで話ができれば、と思ってね…」

レヴィ「ん?なんだそれ?望遠鏡?」

ジョゼ「あぁ、ほら、覗いてごらん。オリオンが綺麗だ」

レヴィ「んー、どれどれ?」

ジョゼ「猟師オリオンは恋人アルテミスに誤って射殺されてしまう…」

レヴィ「…?」

ジョゼ「悲しみにくれた女神アルテミスは自分が夜空をかk…」

レヴィ「あー!!!」

ジョゼ「レヴィ?」

レヴィ「ミソッ歯ジョニー!!あいつ、あんなところに隠れてやがった!!!」

ジョゼ「お、おい、レヴィ…。何を見て…」

レヴィ「今度こそ逃がさねぇ!!ぶっ殺す!!!」

ジョゼ「…」

レヴィ「ジョゼ!バラライカにも連絡しろ!!ヴィソトニキを動かすんだよ!!あたしは先に行ってるからな!!!」ダッ

ジョゼ「…」

ジョゼ(兄さん…。今日も公社は平和だよ…)

〜第3話 少年 ragazzo へ続く〜
19 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/25(金) 00:42:49.26 ID:t26Yq8S20
〜第3話 少年 ragazzo〜

【公社 射撃場】

バラライカ「全然ダメだ、軍曹」

ボリス「はい。大尉殿」

バラライカ「もう一度始めから。想定、教則217ケースファイブ。復唱せよ」

ボリス「想定、外部支配戦域におけるスナッチミッション」

バラライカ「ダー」

ボリス「よし、始めろ!」

ヴィソトニキ「了解!」ズガガガガガガガガガガガガガ

ジャン「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ヒルシャー「腕をもっと上げて…、って、それは…」

シェンホア「いちいちうるさいですだよ?ヒルシャー」

ヒルシャー「…」

シェンホア「それにバカね、ヒルシャー。大砲だって玉切れなるよ。刃と身体は不滅よ。この世で一等イカした武器ね♪」

ヒルシャー(オレもダメかもしれん…)
20 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/25(金) 00:43:30.29 ID:t26Yq8S20
マルコー「ヒルシャー、シェンホアの指導はしないのか?」

ヒルシャー「僕はそばにいない方が良いのさ。と、言うより、あれの指導なんかできないよ。こっちの命が危ない…」

マルコー「…そうだな」

ヒルシャー「君こそ指導はどうしたんだ?」

マルコー「どうも、何かおもちゃを見つけたみたいで、全然帰ってこないんだよ。しばらく仕事には使えないかもしれない…」

ヒルシャー「同情するよ…」

マルコー「…」

ヒルシャー「で、今度の仕事は何なんだ」

マルコー「あぁ、最近、ある大物政治家がな、個人的な用件を頼みたがっているらしい」

ヒルシャー「個人的…、ね。ウチの子に変な仕事はさせたくないな。もし怒らせたら、間違いなく殺されるのは僕達だ…」

マルコー「そうだな…」
21 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/25(金) 00:44:17.38 ID:t26Yq8S20
【公社 作戦会議】

ロレンツォ「ジャン、作戦を説明してくれ」

ジャン「はい。標的はマスカール下院議員。一週間後、市内のミラガッティホテル滞在中に実行する」

ジャン「マスカール氏は、議会の前には秘書とふたりでこのホテルで資料調査をするのが常になっている」

ジャン「ホテルは、3階2号室が定宿になっており、同じフロアは全室匿名を使っておさえさせた」

ジャン「作戦中、誰もこのフロアにはあがっt…」

ボリス「大尉殿とお電話が繋がっております」

ジャン「…?お前、バラライカの…。どうしてここに…」

ボリス「大尉殿がお待ちです…」

ジャン「あ、あぁ…。もしもし?」
22 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 00:45:14.70 ID:t26Yq8S20
バラライカ『ハーイ、ジャン。お元気かしら?話は聞いているわよ?汚い政治家の遊びにつきあわされてるんでしょ?』

ジャン「誰から聞いたんだ…」

バラライカ『ご本人からよ』

ジャン「な…」

バラライカ『頭痛いんでしょ?頭痛薬になるかわからないけど、おもしろいもの聞かせてあげる。愉快痛快ってやつよ』

ジャン「お、おい…」

バラライカ『ふふふ…』ピッ

『ドガーン!!!』

ジャン「愉快痛快…、って…」

バラライカ『じゃ、またね。ジャン』プツッ

ジャン「…」

マルコー「お、おい、どうした。今の音…」

ジャン「作戦は終了だ…。フェッロ、後始末を頼む…」

フェッロ「…またですか」

〜第4話 人形 bambole へ続く〜
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海・関東) [sage]:2011/11/25(金) 01:01:01.32 ID:obowe4qAO
ガンスリが原型留めてねえwww

ブラクラ勢がキャラ濃すぎるんだな

メイドや双子も出るのか?あとシスターも
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/25(金) 02:07:40.11 ID:mXB0bw9Co
姐さんが有能すぎる
25 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/25(金) 06:00:19.43 ID:CT+7jS540
>>23
原型どころか、各話タイトルが意味をなさなくなってきております…。
登場人物については、ネタばれにもなるので、内緒ということで。

>>24
姐さん、フラテッロと言うか、ジャンの存在意義があやういくらいです。


今日はこれからずっと外出です。
これから第5話まで投下しますが、その次の更新は夜以降となります。
26 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:01:26.62 ID:CT+7jS540
〜第4話 人形 bambole〜

【公社 駐車場】

ヒルシャー「おーい、レヴィ」

レヴィ「あぁ?なんだ、ジョゼかよ。何か用か?」

ジョゼ「あ、いや…。その…」

レヴィ「んだよ、早く言わねぇと、てめぇのケツの穴が増えるぞ?」

ジョゼ「そ、それは…、困る…」

レヴィ「で、何だよ?」

ジョゼ「もうすぐ…、クリスマスだろ?」

レヴィ「…」

ジョゼ「それで、その…」

レヴィ「ジョゼ…。クリスマスだぁ?もうちょっとクールな話をしようや。なぁ、サラリーマン?」

ジョゼ「え?」

レヴィ「あのなぁ、酒ならつきあってやってもいいぜ?子供みたいにはしゃぐ年齢でもねぇんだ。あなたに一杯、あたしに一杯。そういうもんだろ?なぁ」

ジョゼ「あ、あぁ…」

ヒルシャー「ジョゼ…。同情しますよ…」
27 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:01:52.86 ID:CT+7jS540
【市内某所 駐車場】

ヒルシャー「シェンホア!あいつを確保しろ!」

シェンホア「命令するないよ!ほれ」ピシュン

マフィア「うっ…ぐわぁぁぁ…」

ヒルシャー「…」

シェンホア「逃げる、よくないね」

マフィア「ぐっ!いてててててててててて!!」

ヒルシャー「ジャコモッティだな。とりあえず、同情する」

マフィア「…え?」

ヒルシャー「安心できないかもしれないが、安心しろ。ちょっと組織の情報を知りたいだけだ」

マフィア「…」

シェンホア「ダメよ♪」サクッ

マフィア「ぐわっ…!」

ヒルシャー「シェンホア!話を聞くだけだって言っただろう?」

シェンホア「バカね。そんなに自分のケツの穴増やす、好きか?ヒルシャー。こいつ、拳銃抜こうとした、ですだよ?」

ヒルシャー「君は、もっと穏便に…、できないよな。悪かった…」

シェンホア「ほほほ♪」

ヒルシャー「ジャコモッティを…、車に乗せてくれ…」

シェンホア「わかる、ました♪」
28 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:02:39.25 ID:CT+7jS540
【公社 廊下】

ヒルシャー「…ということがありまして」

ジョゼ「それは…、いたしかたないな」

ヒルシャー「彼女をどうやって制御したら良いのか…」

ジョゼ「そうだなぁ。医者も最近じゃ怖がって、条件付けの強化に協力してくれないし…」

ジョゼ「もっとも、僕が言えた話じゃないがな。お互い、不運な仕事についてしまったようだ」

ヒルシャー「シェンホアとうまくやって行くには、どうすれば…」

ジョゼ「彼女達は野生の獣だから、俺たちの恐怖感には敏感だぞ。せいぜい、なめられないように注意するんだな…」

ヒルシャー「…無理です」
29 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:03:11.79 ID:CT+7jS540
【市内 某所】

ヒルシャー「目標は、ヴェロッキオという男だ。コーサ・ノストラの幹部の一人だ。最近、ナポリで悪さをしているらしい」

シェンホア「その、ヴェロッキオを捕まえて、殺すれば、いいか?」

ヒルシャー「なんですぐに殺そうとするんだ…。公社に連れ帰って保護する」

シェンホア「保護?」

ヒルシャー「組織の大幹部の裁判に、内情を知る証人が必要なんだよ。ヴェロッキオには、免責を条件にして裁判で証言をしてもらう」

シェンホア「なんでこんな仕事、一課じゃなく、あたしがやる?」

ヒルシャー「説明が必要か?」

シェンホア「いやー、良く考えたら、説明いらないね。とにかく動けなくする。それだけね」

ヒルシャー「…。む、来たぞ」
30 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:03:44.50 ID:CT+7jS540
ヴェロッキオ「ちきしょー。なんで、この俺様が公社なんぞに狙われなきゃならねぇんだ。ぺっ」

ヒルシャー「…」

シェンホア「それ♪」ピシュン

ヴェロッキオ「んがはっ…!」

ヒルシャー「ヴェロッキオ、ようやく捕まえたぞ。悪いが、一緒に公社まで来てもらう」

ヴェロッキオ「…」

ヒルシャー「ヴェロッキオ?」

ヴェロッキオ「…」

ヒルシャー「…!」

シェンホア「あらー。当たりどころ、悪い、だったか?」

ヒルシャー「…もう、良い。公社に連絡して…、死体の回収を…」

シェンホア「マカロニ、茹ですぎたね♪」

ヒルシャー「シェンホア…、クリスマスプレゼントって…、欲しいかい?」

シェンホア「?」

〜第5話 約束 promessa へ続く〜
31 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:04:34.59 ID:CT+7jS540
〜第5話 約束 promessa〜

【公社 射撃場】

ヴィィィィィィィィィィィン

バキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ

ラバロ「…」

ヴィィィィィィィィィィィン

ズギャギャギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ

ラバロ「…もう、良い。片付けをして部屋に戻れ。ソーヤー」

ソーヤー「ワカッタ」
32 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:05:13.94 ID:CT+7jS540
【公社 食堂】

ジャン「ラバロ大尉。今日はソーヤーの姿が見えませんが…」

ラバロ「昨日、射撃場で設備を破壊された。その後始末を命じて、それっきりだ…」

ジャン「それっきりとは?」

ラバロ「それっきりとは、それっきりということだ。作業終了の報告もない」

ジャン「そうですか…。しかし、もう少し丁寧な対応をした方が良いのでは?彼女達は野生の獣だ。あまり邪険に扱うと、自分の命にかかわりますよ?」

ラバロ「そうなんだよ…。彼女が私を見る目…。何を考えているのかわからない。怖くて、怖くて…」

ジャン「とりあえず、様子を見に戻る事をお勧めします…」

ラバロ「…」
33 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:05:39.86 ID:CT+7jS540
【再び 公社 射撃場】

ラバロ「こ…、これは…」

ソーヤー「カタヅケタ」

ラバロ「射撃場が…、壊滅してる…」

ソーヤー「ワタシハ、掃除屋」

ラバロ「片付けるってのは、はぁ…、そういう意味じゃ…」

ソーヤー「…」

ラバロ「もう、良い。後はこちらでなんとかするから、今すぐ部屋に戻れ」

ソーヤー「ワカッタ」
34 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:06:13.70 ID:CT+7jS540
【ラバロの部屋】

ソーヤー「…」

ラバロ「…!」

ラバロ「い、いつからそこにいた、ソーヤー。寮から抜け出して来たのか?」

ソーヤー「本ガタクサンアルワネ」

ラバロ「あ、あぁ…、荷物の整理が終わっていなくてな」

ソーヤー「片付ケ、テツダオウカ?」

ラバロ「いや、できれば、さわらないでくれ…。とにかく、その手に持っているチェーンソーを置いて、ベッドにでも座ってくれないか」

ソーヤー「…」

ラバロ「意外だと思うかもしれないが、俺たちみたいな職業の人間は、よく本を読むんだよ」

ソーヤー「ドンナ本ヲ読ンデイル?」

ラバロ「今は、家庭でできる野菜の育て方を読んでいる」

ソーヤー「鶏ヤ豚ノ解体ノ本ハナイノカ?」

ラバロ「怖い事を言うな」

ソーヤー「…」

ラバロ「家畜を見るような目でみないでくれ…」

ソーヤー「…」

ラバロ「ふぅ…。お前が壊した射撃場の復旧まで時間がかかるから、明日は朝から外にでかける。今日は部屋に帰って、もう寝ろ」

ソーヤー「ワカッタ」

ラバロ(ドアノブが…、壊されている…)
35 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:06:54.17 ID:CT+7jS540
【郊外の湖】

ラバロ「今日は釣りだ。どうやら、こういうことも仕事の一環らしい」

ソーヤー「…」

ラバロ「ほら、こうやって、しもてから竿を湖に投げ込むように…。そして、座って魚を待つ」

ソーヤー「…」

ラバロ「退屈か?子供の頃、父と行った釣りは、案外退屈なものだったなぁ…」

ソーヤー「退屈ナドシテイナイワヨ」

ラバロ「…?って、おい、それ…」

ソーヤー「…」グチャッ ミチャッ

ラバロ「何してる…、その魚…」

ソーヤー「解体シテイルノヨ」

ラバロ(ジョゼ…。ダメだ…。もうダメだよ…)
36 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:07:31.03 ID:CT+7jS540
【公社 駐車場】

ラバロ「ソーヤー…。いつからそこに…」

ソーヤー「探シテイタノヨ?ラバロガ、公社ヲヤメルト聞イタカラ」

ラバロ「あ、あぁ…」

ソーヤー「ドウシテ?」

ラバロ「今までお前を、一人前に鍛えようとしてきたが…。その必要も無いことに気がついた」

ラバロ(と、言うか、お前が怖い)

ソーヤー「…」

ラバロ「チェーンソーは、そんなに気軽に持ち歩いて良いものじゃない。公社の中でどのように仕事をするかは任せるが、作戦以外でそのチカラを使ってはいかんのだ」

ラバロ(と、言うか、そのチカラがこっち向いてる気がするんだよ…)

ソーヤー「…」

ラバロ「俺の前では、おとなしいソーヤーでいてほしい」

ラバロ(と、言うか、その目をやめてくれ…)

ソーヤー「…」

ラバロ「条件付けなどの強制的な命令じゃない。命を懸けた約束だ」

ラバロ(かかってるのは、俺の命だけだがな…)

ソーヤー「ワカッタ。命ヲ懸ケタ約束ネ」

ラバロ「…?」
37 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 06:08:00.40 ID:CT+7jS540
【ソーヤーの部屋】

ジャン「ラバロ大尉が死んだ…」

ソーヤー「ソウデスカ」

ジャン「…」

レヴィ「ん、何だこりゃ?釣り竿?血が付いているじゃないか」

ジョゼ「ジャン、これって…」

ジャン「何も言うな。ジョゼ…」

ソーヤー「…」

〜第6話 報酬 gelato へ続く〜
38 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 22:00:35.04 ID:FVy0UVuG0
〜第6話 報酬 gelato〜

【ローマ市内】

ジョゼ「エンツォ、僕らはエンリコから目を離して平気なのか?」

エンツォ「今はウチの局員を張り付かせてあるから大丈夫さ」

エンツォ「捕らえるのは、奴が爆弾の製造屋と落ち合った、そのときだ」

エンツォ「それまで支局で、襲撃準備を整えていてくれ」

ジョゼ「わかった」

エンツォ「ところで、フラテッロひと組だけで対処できそうか?爆弾屋は殺さずに捕らえたいんだが…」

ジョゼ「生かして捕らえるとなると難しいな…」

エンツォ「それなら、今夜までに何組か本部から呼んでもらえないか?今、ローマ支局は人手不足なんだよ」

ジョゼ「…呼んでも良いのか?…後悔するなよ」

エンツォ「?」

ジョゼ「ところで、エンリコの計画というのは…?」

エンツォ「もちろん、どこかを爆破するつもりだろう。手段が目的と化した、危ない男だからな…」

ジョゼ「危ないと言えば、こちらも負けてないよ…」

エンツォ「ところで、何か用意するものはあるか?」

ジョゼ「レヴィに弾薬の補充、そして…、バカルディを…」

エンツォ「バカルディ?」
39 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 22:01:03.71 ID:FVy0UVuG0
【共和国派 潜伏先】

共和国派メンバー「エンリコさん、何か変です…。さっきから、橋向の交通が途絶えています」

エンリコ「ん?事故でもあったかな…」

共和国派メンバー「ここからでは、わかりにくいですねぇ…」

エンリコ「おい、誰か様子を確認してこい」

共和国派メンバー「わかりました…」

シェンホア「ほれ♪」ピシュン

共和国派メンバー「…っ!」

レヴィ「よっしゃぁぁぁ!行くぞぉ!!」

ジョゼ「エンツォ。あいつら、勝手に始めちゃったぞ…」

エンツォ「待機命令は無視か?やむを得ない。続けろ…」

ジョゼ「…」
40 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 22:01:38.86 ID:FVy0UVuG0
バラライカ「軍曹。部隊の展開状況を報告しろ」ザザッ

ボリス『ホドロフスキー班がポイントB2にて待機。ラボチェク班はC7、ポランスキー班はD4にて、共に標的を捕捉しております』ザザッ

バラライカ「レヴィたちが行動を開始した。各班、状況を開始しろ」ザザッ

ボリス『了解しました。大尉殿』ザザッ

ジャン「…」

レヴィ「あたしは正面から突っ込む!上の窓は任せたぜ!『ですだよ』ねーちゃん?」

シェンホア「バカにする、ないね。あとでそのケツ、4つにしてやる、ますよ!」

シェンホア「ソーヤー!一緒、くるね!」

レヴィ「へへっ!そりゃぁぁぁ!!」ドガシャー

ドガガガガガガガガガガガ

ソーヤー「窓ヲコワスワ」

ヴィィィィィィィィィィィン

バキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ

ヒルシャー「シェンホア!なんで、ソーヤーをつれて来てるんだ?!」

シェンホア「ヒルシャー、だまるね♪」
41 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/25(金) 22:02:04.97 ID:FVy0UVuG0
エンリコ「おい!何だ、この騒ぎは!何が起きている?」

共和国派メンバー「わ、わかりまs…。げはっ…」ッタァァァァァァァン

レヴィ「おらおらぁぁぁ!!」ズガガガガガガガガガガガ

共和国派メンバー「かはっ…」

シェンホア「それ♪」ピシュン

共和国派メンバー「っくぅ…」

ソーヤー「…」ギュギャギャギャギャチャギャギャ

共和国派メンバー「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

エンリコ「くそっ…!ここはひとまず逃げt…」ッタァァァァァァァン

ボリス『標的の狙撃が完了しました。大尉殿』ザザッ

バラライカ「了解した。各班は状況を終了し、独自に撤収。ホドロフスキー班のみ残存する敵勢力の掃討にあたれ」ザザッ

ボリス『了解しました。大尉殿』ザザッ

バラライカ「ジャン、終わったわよ?」

ジャン「…あぁ」

エンツォ「皆殺し?…爆弾屋の確認もせずに?」

ジョゼ「だから言ったろ?後悔するなよって…」

エンツォ「…」

レヴィ「おい、ジョゼ!イエローフラッグに行くぞ!!お前のおごりでな!!」

ジョゼ「はぁ…」

〜第7話 守護 protezione へ続く〜
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/25(金) 23:08:15.80 ID:RreyvXGAo
ラバロが不憫でならないwwww
43 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/26(土) 00:03:22.70 ID:t+otMy7s0
>>42
ラバロは本当に、本当の恐怖に苛まれていたのだと思います。
44 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 00:04:30.42 ID:t+otMy7s0
〜第7話 守護 protezione〜

【美術館前】

ジャン「すみません…。あのー、しつれい?」

フィリッポ「え?あ、あぁ…。何でしょう?」

ジャン「すみませんが、ウフィッツィ美術館の入り口はどちらでしょうか?」

フィリッポ「あぁ、それなら、その角を道沿いに曲がったところですよ」

ジャン「ありがとうございます。助かりました」

ジャン「さぁ、行くぞ。フロレンス」

ボリス「大尉殿は今、車の中で電話中であります」

ジャン「…!ま、また、お前…。なんで…」

ボリス「あ、戻ってまいりました」

バラライカ「ごめーん、ジャン。お待たせ。あら、こちらはどなた?」

ジャン「あ、あぁ、今道を案内してもらったんだよ…」

フィリッポ「フロレンス…?」

ジャン「は、はい。いも、いも、妹のフロレンスです。私は、ジャン・ルイ・バタイユ…」
45 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 00:05:09.05 ID:t+otMy7s0
フィリッポ「妹さん…、ですか…。私は、フィリッポ・アダーニ」

バラライカ「よろしく、フィリッポさん」

フィリッポ「こちらへは観光で?」

ジャン「はい。フィリッポさんは?」

フィリッポ「私は里帰りみたいなものです。このあたりをブラブラしていただけです」

ジャン「地元の方ですか。もし良かったら、フィレンツェを案内していただけませんか?」

フィリッポ「いや、その、私と一緒にいると…」

ボリス「…」

フィリッポ「あ、いや。えぇ、良いですよ」

ジャン「それは、ありがとうございます」

フィリッポ「気にしないでください。ところで…、こちらも…、ご兄弟で…」

ボリス「…」

ジャン「…気にしないでください」
46 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 00:06:21.18 ID:t+otMy7s0
【美術館のトイレ】

共和国派メンバー「美術館と教会だらけだって?」

共和国派メンバー「あぁ、そんなことはわかってるよ」

共和国派メンバー「そうだ、クリスティアーノさんの指示だ」

共和国派メンバー「頼んだぞ」ピッ

共和国派メンバー「…ったく。フィレンツェのどこで襲えって言うんだ」

ボリス「動くな…」

共和国派メンバー「なんだ…、お前は…」

ボリス「電話を捨てろ…」

共和国派メンバー「あ、あぁ…」

ボリス「お前たち、ピリアッツィの殺し屋か?それとも、共和国派か?」

共和国派メンバー「…」

ボリス「…」

共和国派メンバー「うわ!いてててててて!!や、やめてくれっ!!」

ボリス「…」

ボリス「こちらボリス。ウフィッツィ美術館2階南のトイレにて、敵組織の構成員を捕縛した。ラボチェク班が回収にまわれ」ザザッ

ラポチェク『ラボチェク班、了解』ザザッ

ボリス「サハロフ上等兵は、シェンホアに連絡。ゲッタウェイ・ドライバーをレヴィと合流するよう手配しろ」ザザッ

サハロフ『了解しました』ザザッ

ジャン「…」
47 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 00:07:14.87 ID:t+otMy7s0
【フィレンツェ市内】

ボリス「大尉殿、敵は共和国派です」

バラライカ「ふっ。返り討ちにしてやる」

ジャン「…」

フィリッポ「…」

ジャン「あ、あのー、フィレンツェは、路地裏もなかなか良いものですね」

フィリッポ「はい」

ボリス「…」

共和国派メンバー「フィリッポ・アダーニだな」

フィリッポ「あ…!」

共和国派メンバー「帳簿は、そのケースの中か?」

共和国派メンバー「一緒にミラノに帰ろうぜ?さもないと、無関係の人間が不幸になる…」

バラライカ「くっくっく…」

共和国派メンバー「?」

バラライカ「不幸になるのは、キサマらだ…」

共和国派メンバー「な、なんだt…」ッタァァァァァァァン

ボリス「フン!」ザシュ

共和国派メンバー「きはっ…」

バラライカ「もう終わりか?」チャッ…

共和国派メンバー「あ、あぁ…」ッガァァァァァァァァン

フィリッポ「君たちは…、いったい…」

ジャン「そんなことは良い!追っ手が来るぞ!巻き添えで死にたくなければ、こちいにこい!!」

ボリス「この先のグラツィエ橋に、ジョゼ/レヴィ組とゲッタウェイ・ドライバーが待機しています」

ジャン「よし!向かうぞ!!」
48 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 00:08:41.04 ID:t+otMy7s0
【グラツィエ橋】

ジャン「あそこだ!あの車に乗れ!!」

フィリッポ「あ、あぁ…」

ジャン「よし!出せ!!」

レガーチ「え〜?出〜すもんなんて、なんもねぇ〜ぞ〜?」

ジャン「何だ、こいつは!!!」

レヴィ「てめぇの仕事に変わったんだよ!!とっとと出せってんだ!!コラァ!!!」

レガーチ「あー!忘れてたぁ!!リバプール行かなきゃ!!」

バラライカ「もうだめだわ。彼、スーパー・リラックスみたいよ?」

レガーチ「ジミ・ヘンドリクスが、俺を!俺を呼んでいる!!」

レガーチ「クリンゴン星人を倒してくれと!」

レガーチ「ピ、ピカード艦長ぉぉぉ!!!」ギャギャギャギャ

レヴィ「お、ちょ、ちょい、てめぇ!!そっちじゃねぇ!!!」

ジャン/ジョゼ「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

レヴィ「くそっ!しょうがねぇ!正面からぶっつぶすぞぉ!!」

バラライカ「軍曹、レヴィと共闘して、敵を殲滅しろ」

ボリス「了解しました」

レガーチ「おい、見ろ!」

ジャン/ジョゼ「?」

レガーチ「ラクェル・ウェルチとジェリー・フォンダが、徒競走している〜!」

レガーチ「いったい、俺を、どこへ誘おうってんだ?!」

レガーチ「ひょっとして、ひょっとして、伝説のヌーディストビーチィィィ?!!」

ジャン/ジョゼ「…」

〜第8話 御伽噺 Il Principe del regno della pasta へ続く〜
49 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 01:51:51.51 ID:t+otMy7s0
〜第8話 御伽噺 Il Principe del regno della pasta〜

【公社内 診察室】

ビアンキ「レヴィ、最近の調子はどうだい?」

レヴィ「あー、別にどこも悪くねぇよ」

ビアンキ「そうか、それは良かった。でも、担当官のジョゼの言うことを聞かずに暴れることがあると聞いているのだがね?」

レヴィ「あのやろう、そんなこと言ってやがったのか?」

ビアンキ「…」

レヴィ「今度会ったら、ケツの穴溶接して、眉間でタバコ吸う方法、教えてやる…」

ビアンキ「…」

レヴィ「おい、もう良いか?」

ビアンキ「あ、あぁ…。フェッロ、次のふたりを呼んでくれ」

フェッロ「わかりました」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ビアンキ「や、やぁ、ヘンゼル、グレーテル、ふたりともここに座って…」

ヘンゼル「…」

グレーテル「…」
50 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 01:52:33.41 ID:t+otMy7s0
ビアンキ「最近、何か変わったこととかあったかい?」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「ウフフフ…。あのね、先生。おもしろいオモチャを見つけたの」

ビアンキ「おもちゃ?」

ヘンゼル「部屋が…、汚れてしまったんだけどね…」

グレーテル「頭に釘を打つと…、魚みたいに痙攣するの…」

ビアンキ(頭に…、釘…?)

グレーテル「息が止まってからも、まだ動くわ…」

ビアンキ「…!」

グレーテル「脊髄反射って言うらしいけど…」

ヘンゼル「今度…、先生も遊びにおいでよ?」

グレーテル「それは良いアイディアだわ。兄様…」

ヘンゼル「あぁ、そうだね。姉様…」

グレーテル「先生も、そう思うでしょ?」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「ウフフフ…」

ビアンキ「…」
51 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 01:53:04.79 ID:t+otMy7s0
【公社内 診察監視室】

ビアンキ「ジョゼ、レヴィが何を考えているのか見て、どう思った?」

ジョゼ「どうもこうも…、話が違いすぎるよ…」

ビアンキ「お前が、どうしても診察を見ておきたいと言うから許可してやったが…」

ビアンキ「ジョゼ、レヴィをあまり怒らせるなよ?命にかかわるぞ…」

ジョゼ「…」

ビアンキ「マルコー、君はどうなんだ?」

マルコー「あいつら、頭のネジが緩んでるどころじゃない…」

ビアンキ「…」

マルコー「おもちゃを見つけたって、そういうことだったのか」

マルコー「人間をスマートボールの打台にするなんて…、想定範囲を遥かに超えてるよ…」

ビアンキ「マルコー、お前は彼らを怒らせなくても命にかかわりそうだな…」

マルコー「条件付けでなんとかならないのか…?」

ビアンキ「無理だ。俺も、自分の命はおしい」

マルコー「…」
52 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 01:53:41.36 ID:t+otMy7s0
【マルコーの部屋】

マルコー(とある独裁者が、国民に妊娠中絶を禁じた)

マルコー(貧しい祖国に労働力を作り出すためだったが)

マルコー(貧しければ、育てられるわけがない)

マルコー(大量の孤児達は、国営孤児院に収容され)

マルコー(秘密警察の要員供給源になった)

マルコー(独裁者は殺され、あとには愛を欠いた孤児達が残された)

マルコー「それを、公社が引き取り…」

ヘンゼル「…」

グレーテル「…」

マルコー「…!」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「ウフフフ…」

マルコー「ヘンゼル!グレーテル!いつから、そこに…」

ヘンゼル「ねぇねぇ…、僕たちと遊ぼうよ…」

マルコー「?」

グレーテル「ウフフフ…」

ヘンゼル「ねぇ…、遊ぼうよ…」

グレーテル「マルコー、あなたは、私たちと同じ…、血とドブの腐敗したニオイがするわ…」

マルコー「…」

〜第9話 彼岸花 Lycoris radiata Herb へ続く〜
53 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 04:41:25.76 ID:t+otMy7s0
〜第9話 彼岸花 Lycoris radiata Herb〜

【トスカーナ某所 ホテル】

ラウーロ「それでは、警官ごと?」

ロレンツォ『あぁ、お前たちは今のところ顔を知られていないので好都合だ』

ロレンツォ『ただし油断はするな。あとで県警を脅せるよう、写真を撮ってこい』

ラウーロ「了解」プツッ

ラウーロ「…」トゥルルル…

ロベルタ『ラウーロ様、ロベルタでございます』

ラウーロ「おぉ、様子はどうだ?」

ロベルタ『昨日と変わりございません。ドアの前に警官がひとりおりました』

ラウーロ「そうか。ライフルを使って良いから、なるべく大げさに殺してこい」

ロベルタ『かしこまりました』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ラウーロ『写真を忘れるな』プツッ

ロベルタ「…」

警官「…?」

ロベルタ「…」ドパパパパパパパパパパパパパパ

警官「っぐ…」

ロベルタ「…」ドパパパパパパパパパパパパパパ

共和国派「な、なんだ…」

ロベルタ「…」ドパパパパパパパパパパパパパパ

共和国派「っくぁ…」

警官「かはっ…」

ロベルタ「…」バン!バン!

共和国派「…っ!」

ロベルタ「…」パシャリ…
54 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 04:41:54.61 ID:t+otMy7s0
【バーカウンター】

ラウーロ「…というわけで課長から、県警本部長暗殺の指令が出たってわけさ」

ジョゼ「県警本部長か…。計画はできているのか?」

ラウーロ「あぁ、こっちに来る前に下準備はしてきた。県警の周囲は絶好の狙撃ポイントだ」

ラウーロ「射手がふたりもいれば楽勝だな」

ジョゼ「狙撃か…」

ラウーロ「ん、何だ?レヴィは狙撃がヘタクソなのか?」

ジョゼ「いや、化け物級に上手い」

ジョゼ「だけど、すぐに頭に血がのぼって、余計な死体を作ってしまう…」

ジョゼ「いつ、巻き添えをくらうか、気が気じゃない」

ラウーロ「そうか…」

ジョゼ「ロベルタはどうなんだ?会話の様子を聞いていると従順そうだが…」

ラウーロ「そんなことねぇよ。お前も一度経験すればわかる」

ジョゼ「何をだ?」

ラウーロ「あの機械のような、感情のこもっていないしゃべりかた…」

ラウーロ「ロベルタの視線は、いつも俺の身体を突き抜けて、どこか違うところを見ている」

ジョゼ「フローレンシアの猟犬…」

ラウーロ「あぁ、猟犬の目だ。そいつが、俺を射抜いているようにしか感じられん」

ジョゼ「お互い苦労するな」

ラウーロ「あぁ…」

ジョゼ「お前も僕と同じような悩みを持っていることがわかって良かった」

ラウーロ「そいつは良いね。飲みに誘った甲斐があったってものだ」

ジョゼ「ははは」
55 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 04:42:31.28 ID:t+otMy7s0
【トスカーナ州 シエーナ県警本部前 狙撃ポイント】

ジョゼ「警察庁舎の真ん前で本部長が殺されたら…」

ラウーロ「県警内には良い恣意行動になるだろうよ」

ジョゼ「それにしても、よくこんな場所がおさえられたな」

ラウーロ「まぁな。いろいろとコネもあるし」

ジョゼ「レヴィ。今日の僕たちはバックアップだ。狙撃準備だけして、基本は待機してくれ」

ボリス「大尉殿の指示で、代わりにここに来ました」

ジョゼ「…レヴィはどこへ行った」

ボリス「私は知りません」

ジョゼ「…」

ロベルタ「ラウーロ様、PGMヘカートはシグの横にセットいたしますが、よろしいでしょうか?」

ラウーロ「あ、あぁ…。まかせる」

ロベルタ「かしこまりました」

ジョゼ「ラウーロ、今日のロベルタはどんな感じだ?」

ラウーロ「あぁ、いつも通り。未来から来た殺人サイボーグみたいだ。映画と違うのは、アーノルド・シュワルツネッガーが演じていないことだけだよ」

ジョゼ「笑えないな…」

ロベルタ「ラウーロ様。標的を捕捉いたしました」

ラウーロ「状況は?」

ロベルタ「車を2台確認いたしました。そのうち、2台目に標的が乗車しているはずでございます」

ラウーロ「そうか」

ロベルタ「…」
56 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 04:43:00.07 ID:t+otMy7s0
ロベルタ「Una bendicion por los vivos」

ロベルタ「y una rama de flor por los muertos」

ロベルタ「Quienes han demostrado justicia」

ロベルタ「un castigo tener para los malvados」

ロベルタ「Asi llegaremos al altar de los santos」

ッタァァァァァァァン

ッタァァァァァァァン

ロベルタ「ラウーロ様、終わりました」

ラウーロ「…帰ろう」

ボリス「…」

ジョゼ「ボリス、なぜここに…。そして、レヴィはどこへ…」

〜第10話 熱病 amare へ続く〜
57 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/26(土) 05:22:47.56 ID:t+otMy7s0
今、このあとのSSを書き上げるために Gunslinger Girl 原作10話以降を見直しています。
10話以降は涙なくしては語れない内容で…。
今からこれをブラクラメンバーで自分がぶちこわすかと思うと…。
思いのほかツライものですね。orz
58 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 13:59:01.18 ID:t+otMy7s0
〜第10話 熱病 amare〜

【船のデッキ】

ジョゼ「…」

レヴィ「っくぅー、さみぃー。お、ジョゼ!お前もデッキに出て来てたのか?」

ジョゼ「あ、あぁ」

レヴィ「しっかし、なんだ?突然休暇だなんて。本当はこれも作戦なんじゃないのか?」

ジョゼ「いや…、本当に休暇だ…」

レヴィ「そうか」

ジョゼ「このところ、僕らは働き詰めだったからな…。課長がやっかい払いをしたってところか…」

レヴィ「あぁ?…何かあったのか?」

ジョゼ「ラウーロが殺された」

レヴィ「ラウーロが?」

ジョゼ「あぁ」

レヴィ「じゃぁ、あのキリングマシーンはどうなったんだ?」

ジョゼ「マシーン?」

レヴィ「ロベルタのことだよ」

ジョゼ「ロベルタは…」
59 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 13:59:34.83 ID:t+otMy7s0
【ラウーロ殺害現場】

刑事「ひどい現場ですね…、警部…」

老刑事「これでは、殺害された状況が全くわからないな」

刑事「身体は周囲に四散、地面にはおびただしい数の薬莢が散乱…」

老刑事「いったい、何発の弾丸を喰らったらこうなるんだ」

刑事「これ、犯人が捨てたものでしょうか…?」

老刑事「犯行にはアーウェン37グレネードまで使われたのか。まるで戦場だな」

警官「警部!内務省情報局の方がおみえです」

老刑事「情報局…?どうやら、やっかいな事件らしいな」

ジャン「君がここの責任者か?」

老刑事「市警のバラッキです。突然情報局がやってくるとは、どうしたことですかな?」

ジャン「この事件は、別の重大事件との関わりが疑われているため、我々が担当することになった」

老刑事「どうぞ、ご自由に…」
60 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 14:00:36.09 ID:t+otMy7s0
刑事「警部、なんだか、おかしくないですか?情報局のくせして、現場を見た瞬間に恐怖で凍りついているように見えましたけど」

老刑事「気にするな」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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ロレンツォ「これは…」

ジャン「はい。間違いなく、ラウーロだと思います」

ロレンツォ「…」

ジャン「正式には鑑識の結果を待たねばなりませんが、この現場の状況からして、ロベルタが暴れたとしか考えられません」

ロレンツォ「このフラテッロは任務中だったのか?」

ジャン「記録では、私用で外出とありました」

ロレンツォ「すみやかに問題を解決しろ」

ジャン「はい」

ロレンツォ「マスコミ対策はどうした」

ジャン「フェッロが対応済みです」

ロレンツォ「彼女にはいつも苦労をかけるな…」

ジャン「はい」

ロレンツォ「記録を取ったら、遺体は全て回収しろ。私は戻り、報告を待つ」

ジャン「はい」
61 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 14:01:10.00 ID:t+otMy7s0
【翌日 再びラウーロ殺害現場】

フェルミ「一課の、ピエトロ・フェルミと、エレノラ・ガブリエリです」

ジャン「よろしく。話は聞いている」

フェルミ「で、そっちが…」

ジャン「バラライカ。俺の『妹』だ」

ガブリエリ「それで、そちらの方は…」

ボリス「…」

ジャン「気にしないでくれ」

フェルミ「それで二課は犯人の目星はつけられたんですか?」

ジャン「現在調査中だが、人を殺すのが我々の仕事だ。敵は国中にいる。身内が最も怖いとも言えるが…」

ジャン「とにかく、これまでにフラテッロを襲った連中は、みんな死んでいる」

フェルミ「『フラテッロ』?あぁ、兄妹ゴッコと聞いていたが…」

バラライカ「…」

フェルミ「その『妹』とやらは本当に役にたつのか?でくのぼうでは…」

バラライカ「…軍曹」

ボリス「はい。大尉殿」

フェルミ「な、なんだ…、これはレーザーサイトの光…」

ジャン「彼女たちをからかうな。命がいくつあっても足りないぞ」

フェルミ「どこから狙って…。周囲に背の高い建造物なんて無いぞ…」

ジャン「バラライカ、そのへんで許してやってくれ」

バラライカ「…」

ボリス「狙撃班、ひとりを除いて、トリガーから指を離せ。ただし、照準は外すな」ザザッ

狙撃班『了解』ザザッ

フェルミ「ジャン、妹ゴッコなどと言って悪かった…」

ジャン「…」
62 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 14:01:55.59 ID:t+otMy7s0
【公社】

ジャン「ここが公社の『寮』だ」

フェルミ「…見た目は普通だな」

ジャン「バラライカ、彼らを案内してくれ…」

ボリス「大尉殿は今、お車で商談中であります」

ジャン「…」

ボリス「私が代わりにご案内いたします」

ジャン「もう、それで良い…」

フェルミ「…」

ボリス「ここが、ロベルタの部屋であります」

フェルミ「これは…」

ガブリエリ「まるで弾薬庫だわ」

フェルミ「他の『妹』と話がしたいんだが」

ボリス「シェンホアがいるので、ご案内いたします」

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ボリス「シェンホア、一課からの客人が来たぞ」

シェンホア「はい?客人?」
63 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 14:02:23.09 ID:t+otMy7s0
フェルミ「は、はじめまして。一課のピエトロ・フェルミです」

シェンホア「?」

ソーヤー「…」ガタッ

シェンホア「ソーヤー、どこ行く、ますか?」

ソーヤー「『冷蔵庫』ニ行ッテクルワ」

ガブリエリ「この部屋、チェーンソーと、刃物だらけ…」

フェルミ「さっそくなんだが、ロベルタについて話を聞かせてくれないか?」

シェンホア「ロベルタ?私、あまり、知らないね」

フェルミ「え?」

シェンホア「彼女、無口。自分のこと、話す、ないね」

フェルミ「…」

シェンホア「?」

フェルミ「もう帰るぞ。エレノラ…」

ガブリエリ「そうね…」
64 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 14:02:49.33 ID:t+otMy7s0
【公社 応接室】

ロレンツォ「これが、現場に残された銃弾の鑑識結果だ」

ジャン「これは…、まぁ、そうですよね。あからさまに」

ロレンツォ「何とかならんものか…」

ジャン「…」

ロレンツォ「…」

ジャン「そうだ、ジョゼですよ」

ロレンツォ「ジョゼ?」

ジャン「ジョゼに仕事をしてもらいましょう…」

ロレンツォ「そうだな。よし、すぐに手配しろ」

ジャン「はい」

〜第11話 恋慕 febbre alta へ続く〜
65 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:20:24.75 ID:t+otMy7s0
〜第11話 恋慕 febbre alta〜

【シチリア ジョゼの別荘】

フェッロ「じゃぁ、私たちは港のホテルにいます。しかし、何かあっても、なるべく連絡はしないでください」

ジョゼ「…そうか」

フェッロ「ロベルタの件もありますので、身体には気をつけてください」

ジョゼ「…?」

フェッロ「それでは…」

ジョゼ「さぁ、レヴィ。中に入ろうか…」ガチャッ

ロベルタ「お帰りなさいませ、ご主人様」

ジョゼ「!!」

レヴィ「あー!メイド殺人鬼!!てめぇ、こんなとこで何してやがる?」

ジョゼ「ロベルタ…、どうして君がここに…」

ロベルタ「課長の指示で、こちらにうかがいました」

ロベルタ「ジョゼ様をご主人様とし、身の回りのお世話をするよう、仰せつかっております」

ジョゼ「フェッロが言っていたのは、このことだったのか…」
66 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:21:14.17 ID:t+otMy7s0
【別荘室内】

レヴィ「おぉー!良い家だな!!こんな別荘持ってたなんて、知らなかったぜ!!」

ロベルタ「ご主人様、お荷物をお預かりいたします。どうぞ、こちらへ」

ジョゼ「ふたりとも、ここは僕の想い出の場所なんだ…。なるべく暴れないようにしてくれ」

レヴィ「あぁ?何か言ったか?」

ロベルタ「かしこまりました。ご主人様」

フェルミ「…」コンコン…

ジョゼ「誰か来たのかな?」

ロベルタ「私にお任せください」

ロベルタ「どちら様でしょうか」

フェルミ「メイド?」

ロベルタ「どちら様…、でしょうか?」

フェルミ「ちょ、そんな怖い目で見ないでくれ。一課から来た、ピエトロ・フェルミとエレノラ・ガブリエリだ。中へ入れてくれないか?」

ロベルタ「…」
67 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:22:09.19 ID:t+otMy7s0
ジョゼ「ロベルタ、かまわないから、中へ…」

ロベルタ「かしこまりました。ご主人様」

ロベルタ「お客様。どうぞ、こちらへ」

ジョゼ「一課から来たって、休暇中に何の用だい?まぁ、心が休まるってことも無いんだが」

フェルミ「あぁ、ウチの課でラウーロの事件を担当していてね。少し話を聞きに来た」

ジョゼ「武器は持っているか?」

フェルミ「あ、あぁ、もちろん」

ジョゼ「それは良かった。ここでは、自分の身は自分で守ってくれ…」

ロベルタ「ご主人様。今、お茶のご用意をいたします」

レヴィ「おい、メイド!!あたしにはバカルディ!ロックでな!!」

ロベルタ「…」
68 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:23:03.07 ID:t+otMy7s0
【別荘の居間】

ジョゼ「それで…、ラウーロの件は解決したんだろ?」

フェルミ「あぁ」

ロベルタ「お茶をお持ちしました」

ジョゼ「じゃぁ、あとは犯人のテロリストが捕まるのを待つだけだ」

フェルミ「まぁ、そういうことになってるんだが…。どうもすっきりしないんでな」

レヴィ「おい!メイド!あたしのバカルディはまだかよ!!」

ジョゼ「まぁ、お茶を飲んでくれ」

フェルミ「こ、これは…」

ガブリエリ「ものすごく、不味いわ…」

レヴィ「おい!コラ、メイド!!」

ロベルタ「…」

レヴィ「無視かよ!!」

ジョゼ「お、おい、お前たち…」

ロベルタ「…」

レヴィ「やんのか?コラァ!!」ガタッ

ジョゼ「…」
69 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:23:54.19 ID:t+otMy7s0
ロベルタ「あなたの命令に従う義理はございません…」

レヴィ「くっ!こんのぉぉぉ!!」チャッ

ロベルタ「…」チャッ

ジョゼ「ちょ…」

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ジョゼ「はぁ…、はぁ…、はぁ…」

フェルミ「…」

ガブリエリ「…」

ジョゼ「と、とにかく、レヴィは隣の部屋へ、ロベルタはキッチンにでもいてくれ。頼む」

レヴィ「ちっ…」

ロベルタ「かしこまりました。それでは、ご夕食の準備を整えてまいります。ご主人様」

フェルミ「一応、見た目どおりにメイドらしい仕事もする、のか…?」

ジョゼ「味のほうは期待しないでくれ…。本気で、不味い」

ガブリエリ「お茶の味があれじゃね…」

フェルミ「エレノラ…」

ガブリエリ「え?私、手伝うの?」

フェルミ「…」

ジョゼ「すまない…」

ガブリエリ「…」
70 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:24:48.45 ID:t+otMy7s0
【別荘のキッチン】

ガブリエリ「それで、ロベルタさん、何を作るの?」

ロベルタ「肉のパスタをご用意いたします」

ガブリエリ「そ、それだけ?それに、その肉は何の肉なの?」

ロベルタ「…」

ガブリエリ「しょ、しょうがないわ。買い出しに行きましょう…」

ロベルタ「ご一緒させていただきます。お客様」
71 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:25:37.27 ID:t+otMy7s0
【別荘の外】

ガブリエリ「ロベルタさん、メイドの格好をしているけど、そういうお仕事をしていたこともあるの?」

ロベルタ「…」

ガブリエリ「まぁ、良いわ。さぁ、車に乗って…」

ロベルタ「若様…」

ガブリエリ「あぶない!ロベルタさん!」

ロベルタ「…?」

スクータの男「それっ!」

ロベルタ「くっ!!」

ガブリエリ「ロベルタさん!大丈夫?!」

ロベルタ「…」

ガブリエリ「あなた、眼鏡…」

ロベルタ「若様…!」ダッ

ガブリエリ「ロベルタさんっ!!」
72 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:26:04.33 ID:t+otMy7s0
ロベルタ「…」ガシャン…

ガブリエリ「それ、誰の車…」

ロベルタ「…」ギャギャギャギャ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

スクータの男「へっへっへ…」

ロベルタ「…」ギャギャギャギャ

スクータの男「何だぁ…?」

ロベルタ「…」ギャギャギャギャギャギャ

スクータの男「うわ…!突っ込んで…」

ロベルタ「…」ドガシャーン

スクータの男「くっ…、いてて…」

ロベルタ「…」ガシッ ギリギリギリ…

スクータの男「…!!」

ロベルタ「眼鏡を…、返せ…」ギリギリギリギリギリギリ…

スクータの男「…」

ガブリエリ「待って!ロベルタさん!!」

ロベルタ「…」

スクータの男「…」

ガブリエリ「はぁ…、はぁ…、間に合ったか…?」

ロベルタ「いいえ…」

スクータの男「…」

ガブリエリ「あぁぁ…、この男…、相手が悪かったわね」
73 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:26:43.77 ID:t+otMy7s0
【再び別荘の居間】

ロベルタ「ご主人様。お食事のご用意が整いました」

ジョゼ「あぁ、ありがとう」

フェルミ「…」

ジョゼ「…」

フェルミ「なんだ、この味は…。エレノラ?」

エレノラ「私のちからだけで、どうこうなる物じゃなかったのよ…」

ジョゼ「…」

フェルミ「もう、俺たちは帰るよ。ジョゼ」

ジョゼ「事件のことは良いのか?」

フェルミ「あぁ。ここにいると、色々な意味で命が危ない気がする…」

ジョゼ「そうだな」

フェルミ「ジョゼ、お前には同情するよ…」

ジョゼ「ありがとう…」
74 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:27:11.40 ID:t+otMy7s0
【公社 応接室】

ロレンツォ「ジョゼには、すまないことをしてしまったかな…」

ジャン「他にしかたありません。ジョゼに我慢してもらうしかないでしょう…」

ロレンツォ「ところで、ラウーロは、なぜ殺されたんだ…」

ジャン「さぁ…。何か彼女を怒らせるようなことでもしたのでしょう…」

〜第12話 共生 simbiosi へ続く〜
75 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:28:09.12 ID:t+otMy7s0
〜第12話 共生 simbiosi〜

【公社 訓練施設】

ジョゼ『レヴィ、シェンホア、エントリー』ザザッ

レヴィ「おぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」ドガガガガガガガガガガガガガガ

シェンホア「はいっ♪」ピシュン ピシュン

レヴィ「そっちは任せたぞ!『ですだよ』ねーちゃん!!」ドガガガガガガガガガガガガガガ

シェンホア「次殺すのは、あなたね。この、あばずれ」ピシュン ピシュン

ドガガガガガガガガガガガガガ ピシュン ピシュン

ドガガガガガガガガガガガガガ ピシュン ピシュン

ジョゼ『終了しろ』ザザッ

ジョゼ『…お前たち、やりすぎだ。施設ごと壊すつもりか』ザザッ
76 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:28:37.15 ID:t+otMy7s0
ジョゼ『次、ヘンゼル、グレーテル、バラライカ、エントリー』ザザッ

ヘンゼル「さぁ、姉様。僕らの命をつなげよう」

グレーテル「えぇ、兄様。天国への扉は私たちが開けるのよ?」

ズガガガガガガガガガガガガガガガガ

バラライカ「軍曹」

ボリス「はい。大尉殿」

ギョバババババババババババババババ

ズガガガガガガガガガガガガガガガガ

ギョバババババババババババババババ

ジョゼ『よ、よし。ひとまず訓練は終了だ』ザザッ

バラライカ「…」

ボリス「状況終了しました」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「ウフフフ…」

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ジャン「あいかわらずだな…」

ジョゼ「マルコー、顔色が悪いぞ?」

マルコー「あ、あぁ、ちょっと気分がすぐれない。病院へ行ってくるよ…」

ヒルシャー「…」
77 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:29:22.73 ID:t+otMy7s0
【公社 作戦会議】

ジャン「共和国派の過激分子たちにより、有力議員の子息誘拐が計画されている」

ジャン「フィリッポ・アダーニ、組織の会計係からの情報だ。間違いない」

ジャン「敵の標的のカテリーナは、幸いソーヤーに似ている」

ジャン「ソーヤーを誘拐させ、テロリスト共のネストを特定。いっきに壊滅させる」

ジョゼ「ソーヤーを囮に…。危険すぎないか?いろんな意味で」

ヒルシャー「あぁ、気が進まないな」

ソーヤー「私ハ、カマワナイワ」

ジョゼ「…」

ジャン「ソーヤー」

ソーヤー「何カシラ?」

ジャン「その手に持っているチェーンソーは置いて行くんだ」

ソーヤー「…」

ロレンツォ「今、組織への風当たりが強くなっている…」

ジョゼ「そりゃそうだろ…」

ロレンツォ「多少のリスクを負うのはやむを得ない」

ジョゼ「そういうリスクのために、風当たりが強くなっているんじゃないのか…?」

ロレンツォ「…」
78 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:30:02.92 ID:t+otMy7s0
【市街】

フェッロ「それではソーヤー、ここから身代わりになって」

ソーヤー「ハイ」

フェッロ「その手に持っているチェーンソーは、こっちに渡してちょうだい…」

ソーヤー「ハイ」

ジャン「…」

誘拐犯「おい、あの娘じゃないか?」

誘拐犯「んー、なんか写真より目つきが怖くないか?」

誘拐犯「とにかくさらうぞ」

誘拐犯「よし」

ジャン「ソーヤーが敵と接触した。各員、予定通り追尾しろ」

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ジョゼ「くそっ!渋滞で目標に追いつけない!」

ヒルシャー「こっちも渋滞に巻き込まれた…」

マルコー「配置した他の課員はどうだ?」

ジャン「ダメだ…。完全に見失った…。作戦は失敗した」

バラライカ「あらー、ジャン、心配はいらないわよ?」

ジャン「何だと?」

バラライカ「軍曹。状況を報告しろ」ザザッ

ボリス『標的は市内中心部を北東へ向けて走行中。現在、ポランスキーのチームが追尾しております』ザザッ

バラライカ「了解。そのまま追尾を続けろ。絶対に逃がすな」ザザッ

ボリス『了解しました。大尉殿』

バラライカ「どうかしら?ジャン」

ジャン「…」
79 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:31:10.39 ID:t+otMy7s0
【公社 作戦会議】

ロレンツォ「経過はどうあれ、敵の本拠地はつきとめたわけだ…」

ジャン「現在、目標の周囲は、バラライカのヴィソトニキが抱囲しています。虫一匹逃げる隙は無いでしょう」

ジョゼ「敵の本拠地は北部の山間部にある別荘か」

フェッロ「議員の自宅には、最初の脅迫電話が入り、収監されているテロリストとの人質交換を要求しているようです」

マルコー「まだ、ソーヤーの正体には気づいていないってわけか…」

ジャン「もし、奴らが身代わりに気づいたら…、少なくとも、人質の見張り役は瞬殺されるだろうな」

ヒルシャー「ただし、今のソーヤーはチェーンソーを持っていない」

ジャン「でも彼女は、身体のどこに武器を隠し持っているかわからない。暴走が心配だな」

ロレンツォ「いずれにしても、敵の命運は尽きている。しかし、ソーヤーひとりでは時間もかかるから、全員でテロリスト殲滅作戦を強行する」
80 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:33:08.16 ID:t+otMy7s0
【北部山荘 テロリスト本拠地】

ヒルシャー「地上からは、ジョゼ/レヴィ組とジャン/バラライカ組。そして私とシェンホア、マルコー/ヘンゼル/グレーテル組がテラスからエントリーする」

ジョゼ「ヴィソトニキがソーヤーの生存を確認した」

ジャン「3分後に突入する。各員、時刻を合わせる。5、4、3、2、…」

バラライカ「軍曹、状況を報告しろ」ザザッ

ジャン「え?」

ボリス『現在、回収目標が2階室内にいることを確認。テロリストの配置は、メニショフ伍長により把握できております』ザザッ

バラライカ「部隊の展開は」ザザッ

ボリス『ホドロフスキー班とポランスキー班が突入に備えた待機完了。ラポチェク班は敵の逃走に備え、周囲を固めております』ザザッ

バラライカ「よし。同士諸君、今、同胞たるソーヤーが敵の手に捕われている」ザザッ

バラライカ「だが、これは全て想定通りだ」ザザッ

バラライカ「現刻より状況を開始する」ザザッ

バラライカ「勇敢なる同士諸君、今、我らの銃は復讐の女神となる」ザザッ

バラライカ「カラシニコフの裁きの元、5.45mm弾で、奴らのアギトを喰いちぎれ!!」ザザッ

ヴィソトニキ『おぉー!!』

ジョゼ「…」

バラライカ「レヴィ、外野席にいたままじゃ、活躍できないわよ?」

レヴィ「わかってるよ!姐御!」
81 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 17:34:26.34 ID:t+otMy7s0
レヴィ「うおぉぉぉりゃぁぁぁ!行くぞぉ!」

バラライカ「全部隊、突入しろ!!!」

シェンホア「あいやー、もう始まった、ますね」

ヘンゼル「ボクたちはどうしようか?姉様…」

グレーテル「しかたないわねぇ…。天使を呼んであげましょう…」バサー

グレーテル「天国は良いところだって、言うものね…。ねぇ、兄様」

ゲンゼル「そうだね…、姉様」

レヴィ「最初に死にたい奴は、どいつだぁぁぁ!!コラァァァ!!!」

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガ

ッタァァァァァァァァン

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

ピシュン ピシュン

シェンホア「ソーヤー、はい、チェーンソー、持って来た、ますよ」

ソーヤー「アリガトウ、シェンホア…」

ヴィィィィィィィィィィィン

バキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガ

共和国派メンバー「ぐはっ…!」

ッタァァァァァァァァン

共和国派メンバー「っくぅ…」

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

共和国派メンバー「あぅっ…」

ピシュン ピシュン

共和国派メンバー「かはっ!」

ヴィィィィィィィィィィィン

ギュギャギャギャギャチャギャギャ

共和国派メンバー「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ロベルタ「あなた方を生かしておく理由は無いそうです…」

共和国派メンバー「…え?」

ロベルタ「なので、これをぜひ、受け取ってくださいまし…」ガチャン ガチャン ガチャン…

共和国派メンバー「…あ」

ドッグァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

ヒルシャー「マルコー、顔色悪いぞ?」

マルコー「お前だって…」

〜第13話 流星 stella cadente へ続く〜
82 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:35:37.18 ID:t+otMy7s0
〜第13話 流星 stella cadente〜

【公社 レヴィの部屋】

レヴィ「あぁ?どういうことだぁ?もいっぺん言ってみろ、ジョゼ!!」

ジョゼ「いや、だから、明日の夜は急な仕事が…」

レヴィ「…」

ジョゼ「レ、レヴィ…?」

レヴィ「そうかそうか、よくわかったよ…」

ジョゼ「レヴィ、わかってくれたか…」

レヴィ「ジョゼ…、残念だよ…」

ジョゼ「え?」

レヴィ「掛け値無し、言う事無しのドデカ地雷を踏んだぜ?」チャッ

ジョゼ「…!!」

レヴィ「ホントに残念だ…」ガチャリ…

レヴィ「最期にひとつ、聞いとくぜ…。墓には何て、書けば良い…?」

ジョゼ「ちょ、ちょっと…」

バラライカ「待ちなさいよ、レヴィ…」

レヴィ「うるせぇよ…、姐御はすっこんどいてくれ…」

バラライカ「何も、イエローフラッグで飲む約束がで無くなったからって、殺さなくても良いじゃない…」

レヴィ「…」

バラライカ「レヴィ…」

レヴィ「…ちっ。わかったよ」

バラライカ「そうそう。銃を抜いてばかりじゃ、ダメよ?レヴィ」

ジョゼ「はぁー…」

バラライカ「レヴィ、あたしが代わりに良いところに連れて行ってあげるわ」

レヴィ「良いところ?」
83 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:36:04.87 ID:t+otMy7s0
【公社 医療棟 マルコーの病室】

フェッロ「…あと、本日は、明日の検査に備えて休食となります。20時以降は飲み物の摂取も控えてください」

マルコー「あ、あぁ…。わかった」

フェッロ「…」

マルコー「なんだ?」

フェッロ「本当に顔色が悪いですね。でも、どこか重大な病気が無いことを祈っています」

マルコー「あぁ、ありがとう。フェッロ」

マルコー「俺が入院しているあいだ、ヘンゼルとグレーテルはどうしている?」

フェッロ「あいかわらず、部屋にこもって遊んでいるようです」

マルコー「『おもちゃ』で遊んでいるのか?」

フェッロ「はい」

マルコー「…」

フェッロ「新しい『おもちゃ』が欲しいと言っていたそうです」

マルコー「フェッロ。彼らが言う『おもちゃ』の意味、知ってるか?」
84 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:36:48.09 ID:t+otMy7s0
【暴力教会】

レヴィ「おい、姐御。良いところって、ここかよ?」

バラライカ「そうよ。たまには、こういうところで飲むのも良いんじゃない?」

シェンホア「紹興酒はあるか?」

リカルド「はい!どうぞ!姉さん!」

バラライカ「リカルド、あたしにはウォッカを」

エダ「なぁんだよ、『二丁拳銃』あいかわらず、しけたツラしてんなぁ?どうよ、景気は?」

レヴィ「エダ!てめぇに言われたかねぇよ!」

エダ「例の色男とはどうなんだよ?今日は一緒じゃねぇのか?『お兄様』なんだろ?」

レヴィ「くっ、この…。日照ってるからって、てめぇの男漁りの話なんか聞きたくねぇよ。殺すぞ」

エダ「おー、コワーイ。聞いたか?シェンホア。コイツ、万年生理子ちゃんなんだぜ?」

シェンホア「あいやー、そうなのか?それは、たいへんね」

レヴィ「お前ら…、ちょっとオモテ出ろ…」

ソーヤー「少シ静カニシテ。外ノ様子ガオカシイワ」

エダ「?」

ッガァァァァァン ッガァァァァァン

レヴィ「何?」
85 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:37:14.33 ID:t+otMy7s0
バラライカ「共和国派か?」

ボリス「そのようです。大尉殿」

レヴィ「うぅぅぅおぉぉぉ!!エダァ!!」

エダ「よっしゃぁ!!」

レヴィ「やろう!あたしらに手を出したバカたれにゃぁ…」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

エダ「それなりの覚悟をしてもらうよっ!!」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

バラライカ「そうね。軍曹、レヴィ達を援護しつつ、敵を殲滅しろ」

ボリス「了解しました。大尉殿」

ボリス「各班へ通達。教会外部に展開する敵勢力を、各個に襲撃。ポランスキー班は上空から援護しろ」ザザッ

ヴィソトニキ『了解』ザザッ

ソーヤー「…」ヴィィィィィィィィィィィン

リカルド「姐さん!加勢します!!」

ヨランダ「おやおや、こりゃ何だい…?」

ヨランダ「エダ!!」

エダ「げっ!シスター…!!」

ヨランダ「礼拝堂で酒を飲むなと言いつけておいたはずじゃないか?」

エダ「あ、あのそれはシスター…」

ヨランダ「ま、とりあえず後だ。そこの不信人者どもを、レテシメシの連中と同じ目に会わせてやらなくちゃね…」ジャキン

シェンホア「ところで、ロベルタと双子は、どうしたね?」
86 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:38:20.92 ID:t+otMy7s0
【公社 医療棟 マルコーの病室】

マルコー「はぁ…。今夜は食事抜きか…」

マルコー「それにしても、他の課員たちは、よく入院せずにいられるな…」

マルコー「あ、でも、殺された奴もいるか…」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「ウフフフ…」

マルコー「!!」

ヘンゼル「ボクたち…」

グレーテル「マルコーさんのお見舞いに来たのよ…」

マルコー「お、お見舞い…?」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「そう…、お見舞い…」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「歌を…、聴かせてあげるわ…」
87 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:38:47.67 ID:t+otMy7s0
【公社 ジョゼの部屋】

ジョゼ「…」

ロベルタ「お茶が入りました。ご主人様」

ジョゼ「あぁ…、ありがとう」

ロベルタ「どうぞ…」

ジョゼ「…」

ロベルタ「…」

ジョゼ「不味い…。不味すぎて、目がチカチカする。まるで流れ星が見えるような…」

〜二周目に続く〜
88 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:39:17.04 ID:t+otMy7s0
さて、ここまで Gunslinger Girl と Black Lagoon のSSを書いてきました。
福祉公社のメンバーは、レヴィ達をもてあまし、身も心も満身創痍です。
そこで、メンバーを入れ替えて、もういちど最初から二周目を書きます。
実は、SSを書き始めた頃、この「二周目」ができるかどうか確認するため、SSを2本同時に書いていました。

入れ替わるメンバーは、GHOST IN THE SHELL の公安第九課攻殻機動隊のメンバーです。
ここから、Gunslinger Girl のストーリーで、攻殻機動隊と Black Lagoon のSSになります。

それでは、二周目、スタートです。
89 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:39:53.91 ID:t+otMy7s0
第二週目

〜第1話 兄妹 fratello〜

【公益法人 社会福祉公社 作戦会議】

トグサ「共和国派への武器密輸の重要参考人の確保…、やはり複数のネストを抑える必要があるのではと…」

荒巻「南部のネストはボーマのフラテッロで…」

ボーマ「あぁ、充分だ」

トグサ「しかし、もう一方のバトーのフラテッロには補助が必要です」

荒巻「少佐、やれるか…?」

バトー「課長、こいつらにはまだ、グループ活動は無理なんじゃねぇのか?」

素子「バトー。私のチームを過小評価するな」

トグサ「バトーのフラテッロには、少佐/レヴィ組をつける…。いいよな?旦那」

バトー「…わかったよ」
90 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:40:19.84 ID:t+otMy7s0
【共和国派 ネスト 外周】

バトー「ボーマから連絡があった。どうやら、こっちが本命らしい」

バトー「例の重要参考人がこっちにいるか確かめ…、って、おい、聞いていr…」

バラライカ「…おい、聞いていたか?軍曹」ザザッ

ボリス『はい。聞こえているであります。大尉殿』ザザッ

バラライカ「部隊の展開は…?」ザザッ

ボリス『すでに、メニショフ伍長の部隊が標的を補足しております』ザザッ

バラライカ「ふっ…。軍曹、撃鉄をおこせ…」ザザッ

バトー「あんま好き放題してくれるなよ?まったく…」

バトー「イシカワ、出入り口は大丈夫か?」

イシカワ「正面は俺とプロト、裏口にはタチコマを配置してある。もし逃げ出せるとしたら、その窓くらいだ」

バトー「あっそ…」

バラライカ「ふっふっふ…」
91 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:41:12.28 ID:t+otMy7s0
【共和国派 ネスト 内部】

共和国派リーダー「南部のネストが襲われた」

共和国派メンバー「なんですって?」

共和国派リーダー「ネストに現れたのは、幼い少女だったらしいが…」

共和国派メンバー「少女?」

共和国派リーダー「あぁ…。ただ、証言者は皆何かに怯えているようだったらしい。何か、無理矢理言わされているような…」

ジョゼ「…」ジリリリリリ… ジリリリリリ… ジリリリリリ…

共和国派リーダー「誰だ…。確認しろ」

共和国派メンバー「女がふたりです。どちらも、ものすごく目つきが悪い…」

共和国派リーダー「何だそれ?あからさまに怪しいじゃないか。追い返せ!」

共和国派メンバー「は、はい…」ガチャッ…

素子「こんにちは。突然お邪魔して申し訳ありません。私はリベロイタリア誌の記者をしている者です」

レヴィ「…」(イラッ)

共和国派メンバー「記者ぁ?」

素子「こちらに、コステロ社のスカロ氏がいらっしゃると聞いて、ぜひ取材をと思いまして…」

レヴィ「…」(イライラ…)

共和国派メンバー「そんな奴はここにはいない…。住所が違うよ」

素子「いえ、たしかに、この建物だと聞いt…」

レヴィ「あぁぁぁぁっ!めんどくせぇ!突っ込むぞ!!少佐!!」

素子「よし!行けっ!!」
92 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 19:42:00.01 ID:t+otMy7s0
レヴィ「死ぃぃぃねぇぇぇ!!!」ッパパパパパパパパパパパパパパ

共和国派メンバー「う、うわっ…。ぐふっ…」

素子「イシカワ!何してる!こちらは接敵した!タチコマをすぐ応援によこせ!!」

イシカワ「わかった!すぐ向かわせる!」

タチコマ「そぉーれー。いっくぞー♪」

レヴィ「おぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」パパパパパパパパパパパパパパ

共和国派メンバー達「ぐわぁっ!」

共和国派リーダー「な、何だ!何事だ!!」

素子「レヴィ!バトーのチームが狙撃してくる!あんまり暴れて味方の的になるなよ!!」

レヴィ「へへへ…。わかってるよ!少佐!」パパパパパパパパパパパパパパ

タチコマ「そりゃー♪」ドガガガガガガガガガガガガガガガガ

共和国派メンバー達「っぎゃぁ!」

共和国派リーダー「おいっ!手榴弾」

共和国派メンバー「は、はいっ…。かはっ…」ッタァァァァァァァン

共和国派リーダー「何?どこから?っくは…」ッタァァァァァァァン


【共和国派 ネスト 外周】

バラライカ「よくやった、軍曹。作戦は終了だ。各部隊は独自に帰投させろ」ザザッ

ボリス『はっ。了解しました。大尉殿』ザザッ

バトー「あーあ…。やり過ぎじゃねぇのか?」

〜第2話 天体観測 orione へ続く〜
93 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 20:20:55.53 ID:t+otMy7s0
〜第2話 天体観測 orione〜

【ネスト襲撃作戦からの帰り】

素子「ご苦労様…。レヴィ」

レヴィ「っつつつ…。あぁ…」

素子「もうちょっと暴れても良かったんだけどね…」

レヴィ「そうか?」

素子「今までだって、いつでも現場をめちゃくちゃにしてくれたじゃない」

レヴィ「あー、なんか二日酔いでさ。今日は調子が悪かった」

素子「…」

レヴィ「なんか文句あんのかよ?」

素子「文句なんかないわよ?それよりその怪我…、帰ったら先生に見てもらいなさい」

レヴィ「あたしに命令すんなよ、少佐」

素子「上官なんだから命令するのはあたりまえでしょ?」

レヴィ「…ちぇっ」
94 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 20:22:25.20 ID:t+otMy7s0
【公社内 病院】

素子「先生…。レヴィの具合はどうかしら?」

医者「敵が複数人いたってのに、かすり傷程度のものだ。いったい、どういう運動神経の持ち主なんだ…。この娘は…」

素子「あれは、野生の獣ね。なかなか似合う首輪が見つからないわ」

医者「まぁ、どのみち、怪我をすれば、手術が必要となる。公社の娘たちは条件付けによって身体に大きな負担を背負っているんだ。こんなことを繰り返していれば、いずれは依存症や記憶障害をおこすだろう…」

素子「そう…」

医者「それで今日は、いったいどうしたんだ?いつもより元気が無かったって言うじゃないか」

素子「…二日酔いだったらしいわ」

医者「苦労が絶えないな…」

素子「…」

医者「なぁ、少佐。あんたがこの娘に期待しているのはわかるが、それならばもっと条件付けを徹底するべきじゃないのか?」

医者「このままじゃ、余計な死体が増えるだけだぞ…」

素子「私たちは『攻性』の組織よ。死体が増えるのは、しかたのないことだわ」
95 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 20:22:57.54 ID:t+otMy7s0
【レストラン】

素子「良いかしら?あなたたちは日頃の座学や訓練だけじゃなく…」

レヴィ「あー、かったりぃ…」

素子「社会に出ても通用するマナーを…」

レヴィ「なんだ?こりゃ。ビールなんかションベンと一緒だぜ…」

素子「身につけなければならない…」

レヴィ「おーい、そこの兄ちゃん!バカルディ!ロックで頼むぞ!!」

素子「紅茶を飲む時は…、ってコラ」

レヴィ「あ…」

素子「あなたは、もっとちゃんと人の話を聞きなさい」

レヴィ「そんなこと言われたって、たいくつなんだもんよー」

素子「気持ちはわかるけど、知っておいた方が良いことというのもあるのよ?」
96 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 20:23:36.32 ID:t+otMy7s0
レヴィ「あぶねぇっ!!」

ビスッ…

素子「狙撃…、か!?」

レヴィ「くそっ…。どこから狙ってきやがった…」

素子「レヴィ!あそこだ!!」

レヴィ「あ!あいつ!ミソッ歯ジョニー!!あのやろう…」

素子「レヴィ、他にも仲間がいるかもしれない。本部からタチコマを呼ぶから、合流できるまでは慎重に行動しろ!!」

レヴィ「わかった!じゃ、行ってくるぜ、少佐!!」ダッ…

素子「レヴィ!接敵してもひとりは殺さず捕縛しろ!!証言が必要だ!!」

レヴィ「オーケー!!『クチ』がひとつ動けば良いんだな!!」

素子「ふぅ…」

ウェイター「お客様…」

素子「グラッパを入れ直してくださる?デザートは…、私の分だけで良いわ」

ウェイター「は、はい。かしこまりました…」

素子『本部。今、レヴィが襲撃犯を追跡している。すぐに場所を検索してタチコマを1機まわせ』

オペレータ『了解しました』
97 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 20:24:45.50 ID:t+otMy7s0
【公社 本館屋上】

レヴィ「うーっ、さみぃ…。なんだよいったい。こんなところで」

素子「そうね。あなたにも女の子らしい趣味のひとつでも持ってもらおうかと思ってね」

レヴィ「ん?なんだそれ?望遠鏡?」

素子「そうよ、ほら、覗いてごらんなさい。オリオンが綺麗に見えるわよ」

レヴィ「んー、どれどれ?」

素子「猟師オリオンは恋人アルテミスに誤って射殺されてしまう…」

レヴィ「…?」

素子「悲しみにくれた女神アルテミスは自分が夜空をかk…」

レヴィ「あー!!!」

素子「レヴィ?」

レヴィ「ミソッ歯ジョニー!!あいつ、あんなところに隠れてやがった!!!」

素子「何?ジョニーを取り逃がしていたのか?」

レヴィ「あぁ。でも今度こそ逃がさねぇ!!ぶっ殺す!!!」

素子「責めはしないわ。それより、私は本部に応援を要請する。あなたは先に行って、できるだけ敵の戦力を削いでおいて」

レヴィ「わかった、少佐!!バラライカには、あたしの背中を狙うなって言っといてくれ!!!」ダッ
98 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/26(土) 20:25:26.03 ID:t+otMy7s0
素子『本部。このあいだ取り逃がした襲撃犯の残党を発見した。バトー/バラライカのヴィソトニキを展開。タチコマも4機手配して!』

オペレータ『了解しました』

素子『バトー、聞こえる?』

バトー『あぁ、聞こえてるよ』

素子『バラライカには、周囲から網を狭めるような展開を指示してね』

バトー『わかった』

素子『イシカワ!』

イシカワ『はいよ』

素子『イシカワは、ボーマと敵の潜伏先を検索。逃走予想経路を調べてちょうだい』

イシカワ『へいへい』

素子『トグサとパズはバックアップ!サイトーは上空待機、いつでも狙撃できる準備を進めて!』

素子『ここは公社だ!敵の好きにはさせるなよっ!!』

〜第3話 少年 ragazzo へ続く〜
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/27(日) 01:22:42.96 ID:ehNN+7Wp0
>>1乙 超乙 えらいペースで書いてるけど、体壊すなよ
とりあえずシェンホアの声が脳内再生余裕でした クソワロタ
100 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/27(日) 09:10:52.44 ID:GsrFiAjH0
>>99
お気遣いいただき、ありがとうございます。m(__)m
体調管理には気をつけて、ダメそうならば、ゆっくりとさせていただきます。
シェンホアのしゃべり口調は可愛いですよね。
私は彼女が最も「女の子」らしいキャラだと思います。
101 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 09:12:29.11 ID:GsrFiAjH0
〜第3話 少年 ragazzo〜

【公社 射撃場】

バトー「全然ダメだ」

バラライカ「ですってよ?軍曹」

ボリス「はい。大尉殿」

バラライカ「もう一度始めから。想定、教則217ケースファイブ。復唱せよ」

ボリス「想定、外部支配戦域におけるスナッチミッション」

バラライカ「ダー」

ボリス「よし、始めろ!」

ヴィソトニキ「了解!」ズガガガガガガガガガガガガガ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ボーマ「おい、そこ、もう少し狙いは下げてだな…」

シェンホア「いちいちうるさいですだよ?ボーマ」

ボーマ「んなこと言ったってよぉ。ダメなもんはダメなんだよ」

シェンホア「わかるましたよ、ボーマ。でも、あまりうるさいと、そのケツの肉削いでやるですだよ?この、ハゲ」

ボーマ「口が悪いのもたいがいにしてくれよ。それに、ハゲてること、そんなに気にしてねぇよ」
102 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 09:13:12.63 ID:GsrFiAjH0
トグサ「ボーマ、シェンホアの指導はしないのか?」

ボーマ「オレの言うことなんざ、たいして聞かねえよ。あいつは」

トグサ「それもそうだな」

ボーマ「お前こそ指導はどうしたんだ?」

トグサ「どうも、何かおもちゃを見つけたみたいで、全然帰ってこないんだよ。しばらく仕事には使えないかもしれない…」

ボーマ「そっちは、そっちで、たいへんそうだな」

トグサ「あぁ」

ボーマ「で、今度の仕事は何なんだ」

トグサ「最近、ある大物政治家がな、個人的な用件を頼みたがっているらしい」

ボーマ「個人的…、ね。ウチの子に変な仕事はさせたくねぇな。後始末もラクじゃねぇんだし」

トグサ「そうだな…」
103 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 09:15:15.90 ID:GsrFiAjH0
【公社 作戦会議】

荒巻「バトー、作戦を説明してくれ」

バトー「あぁ。標的はマスカール下院議員。一週間後、市内のミラガッティホテル滞在中に実行する」

バトー「マスカールのやろうは、議会の前には秘書とふたりでこのホテルで資料調査をするのが常だ」

バトー「ホテルは、3階2号室が定宿になっているから、同じフロアは全室匿名を使っておさえさせた」

バトー「作戦中、誰もこのフロアにはあがってこない。…質問あるやついるかぁ?」

素子「バトー、それは、例の代議員の依頼なのか?」

バトー「そうだ」

荒巻「マスカール議員は、とある法案の件で、代議員と対立しているらしい」

バトー「で、やろうはテロリストどもを毛嫌いしているから、体よくテロの犠牲になってもらおうって寸法だ」

素子「なるほどね。悪趣味な作戦だけど、しかたないわ」

バトー「バラライカが、動きたくてうずうずしてやがる。質問が無いなら、さっさと、おっぱじめようぜ」

荒巻「ボーマとトグサは、公社の課員を使って準備を進めてくれ」

トグサ「了解…。しかし、これじゃ俺たち、まるで悪人みたいじゃないか…」

素子「『みたい』じゃなくて、悪人なのよ」

トグサ「…」
104 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 09:16:01.00 ID:GsrFiAjH0
【ミラガッティホテル】

素子「よし!行け!」

レヴィ「よっしゃぁぁぁ!!」ドバン!

マスカール「だ、誰だ!」

レヴィ「身体中にケツの穴こさえてやんぜ!おらぁぁぁ!!」ドパパパパパパパ

マスカール「ぐはっ…」

秘書「かはっ…」

素子「終わったか?」

レヴィ「あったりまえよぉ!見ろよ、これ、少佐!簡単すぎてつまらねぇぜ」

素子『目標の殺害を確認した。そっちはどう?バトー』

バトー『周囲に怪しい人影無し。何も問題はねぇよ?』

ボーマ『こっちはひとり、目標のフロアに侵入した人物を始末しました』

素子『何者?』

ボーマ『シェンホアは「少し気の毒な子」って言ってました。シェンホアが遭遇したときに、なんかキザな台詞を吐いてたらしいです』

素子『そう。死体の始末はバックアップに任せる。各自撤収しろ!』

素子「私たちも撤収するぞ!レヴィ!!」

レヴィ「はいよ、少佐!」
105 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 09:16:30.85 ID:GsrFiAjH0






ロットン・ザ・ウィザード「…バ、バラの花が…、咲いた、ようだな…」ガクッ

〜第4話 人形 bambole へ続く〜
106 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 12:38:59.29 ID:GsrFiAjH0







〜第4話 人形 bambole〜

【公社 駐車場】

バトー「ん?あれは、少佐とレヴィ…。何してんだ?こんなところで…」



素子「レヴィ、ちょっと良いかしら?」

レヴィ「あぁ?なんだ、少佐かよ。何か用か?」

素子「ちょっとね…」

レヴィ「?」

素子「もうすぐ…、クリスマスだわ?」

レヴィ「それで?」

素子「それで、たまにはふたりで飲みにいかない?っていうお誘いなんだけど」

レヴィ「少佐!それ、おごりか?」

素子「えぇ、そうよ」

レヴィ「おほー!ラッキー!あなたに一杯、あたしに一杯。良いね、良いね!」

素子「そうね」

レヴィ「んじゃ、楽しみにしてるぜ!おやすみ、少佐!」

素子「おやすみ、レヴィ」



バトー「んー、これじゃ誘えん。少佐に先手を打たれたか…」
107 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 12:40:04.01 ID:GsrFiAjH0
【市内某所 駐車場】

ボーマ「シェンホア!あいつを確保しろ!」

シェンホア「命令するないよ!ほれ」ピシュン

マフィア「うっ…ぐわぁぁぁ…」

ボーマ「よし!」

シェンホア「逃げる、よくないね」

マフィア「ぐっ!いてててててててててて!!」

ボーマ「ジャコモッティだな。逃げるから余計な怪我するんだよ」

マフィア「…」

ボーマ「これ以上、痛い目にあいたくなかったら、組織の情報を吐くんだ」

マフィア「…」

シェンホア「ダメよ♪」サクッ

マフィア「ぐわっ…!」

ボーマ「おい、シェンホア!…やるなら、もう少しだけ手加減しろよ」

シェンホア「バカね。そんなに自分のケツの穴増やす、好きか?ボーマ」

ボーマ「コイツがしゃべれなくなったら、困るのは俺たちなんだよ」

シェンホア「ほほほ♪」

ボーマ「ジャコモッティを車に乗せろ。ひとまず連行する」

シェンホア「わかる、ました♪」

ボーマ『少佐。ジャコモッティの身柄、確保しました』

素子『よくやった、ボーマ。あとはこちらで取り調べをする。脳みその中、隅々まで検索してやるわ』

ボーマ『了解』
108 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 12:41:09.14 ID:GsrFiAjH0
【公社 廊下】

ボーマ「その後、ジャコモッティからの情報は得られたんですか?少佐」

素子「大丈夫よ。必要な情報は全て引き出したわ」

ボーマ「そうですか。しかし、シェンホアも手加減ってものを知らなくて…」

素子「そうね。レヴィにしたって、戦いを遊びかなんかのように考えているし…」

素子「もっとも、私たちが言えた話じゃないけどね。お互い、フラストレーションを向ける先を探しているってことかしら」

ボーマ「シェンホアの矛先がこっちを向かないようにするには、どうすれば…」

素子「常に生け贄を用意するのが簡単なんじゃない?」

ボーマ「…ですね」
109 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 12:42:06.99 ID:GsrFiAjH0
【市内 某所】

ボーマ「目標の名前は、ヴェロッキオ。コーサ・ノストラの幹部の一人だ。最近、ナポリに潜伏しているところを発見した」

シェンホア「その、ヴェロッキオを捕まえて、殺すれば、いいか?」

ボーマ「なんですぐに殺そうとするんだ…。最悪でも、数日は生きていられる程度でとどめてくれ」

シェンホア「その男、死んだら、困るか?」

ボーマ「組織の大幹部の裁判に、内情を知る証人が必要なんだとよ。ヴェロッキオには、免責を条件にして裁判で証言をさせる」

シェンホア「なんでこんな仕事、一課じゃなく、あたしがやる?」

ボーマ「知らね…。少佐か課長にでも聞いてくれ」

シェンホア「ふーん…。とにかく動けなくする。それだけで、よいね」

ボーマ「シェンホア、標的が来たぞ」
110 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 12:42:55.86 ID:GsrFiAjH0
ヴェロッキオ「ちきしょー。なんで、この俺様が公社なんぞに狙われなきゃならねぇんだ。ぺっ」

ボーマ「今だ…」

シェンホア「それ♪」ピシュン

ヴェロッキオ「んがはっ…!」

ボーマ「ヴェロッキオ、ようやく捕まえたぞ。悪いが、一緒に公社まで来てもらう」

ヴェロッキオ「く、くそぉ…」

ボーマ『少佐、ヴェロッキオを捕縛しました』

素子『よし。すみやかにその場から撤収しろ。続きの手配はイシカワに任せる』

イシカワ『了解』

ボーマ「シェンホア、帰るぞ」

シェンホア「はいな♪」

シェンホア「ところで、ボーマ。クリスマスプレゼント、何くれるか?」

ボーマ「はぁ?」

シェンホア「レヴィ、少佐から、おごってもらう、言ってた。ボーマも、プレゼント用意する、よいね」

ボーマ「わかったよ…」

〜第5話 約束 promessa へ続く〜
111 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:26:10.98 ID:GsrFiAjH0
〜第5話 約束 promessa〜

【公社 射撃場】

ヴィィィィィィィィィィィン

バキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ

パズ「…」

ヴィィィィィィィィィィィン

ズギャギャギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ

パズ「…よし、そのへんでやめろ。片付けをして部屋に戻れ。ソーヤー」

ソーヤー「ワカッタ」
112 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:26:57.63 ID:GsrFiAjH0
【公社 食堂】

バトー「パズ。今日はソーヤーの姿が見えないが、どうかしたか?」

パズ「今日、朝っぱらから、射撃場でひと暴れさせた。それの後片付けを命じて、それっきりだ…」

バトー「ふーん」

パズ「『片付け』って言っても、どうしてるんだかな。ま、だいたい予想はつくんだが…」

バトー「そうか。ところで、お前んとこのフラテッロ。お前も無口だし、会話とかできてるのか?」

パズ「別に、興味ねぇな…」

バトー「ま、何にせよ、『妹君』のフラストレーションを解放させてやるのも、『兄』の役目ってことか」

パズ「…このコーヒーは俺の口にあわねぇ」
113 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:27:28.17 ID:GsrFiAjH0
【再び 公社 射撃場】

パズ「やっぱりそう来たか…」

ソーヤー「カタヅケタ」

パズ「射撃場をぶっ壊しやがって」

ソーヤー「ワタシハ、掃除屋」

パズ「チェーンソーぶら下げて何言ってんだよ。また俺が課長に怒鳴られる…」

ソーヤー「…」

パズ「まぁ、良いか。後は俺がなんとかするから、今日のところは部屋に戻って休め」

ソーヤー「ワカッタ」
114 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:28:20.74 ID:GsrFiAjH0
【パズの部屋】

ソーヤー「…」

パズ「ん?なんだ、ソーヤーか…。ドアをノックするのに、いちいちドアノブを壊すのはやめろ」

ソーヤー「…」

パズ「ソーヤー、寮から抜け出して来たのか?」

ソーヤー「本ガタクサンアルワネ」

パズ「あぁ…、荷物の整理がめんどくさくてな」

ソーヤー「片付ケ、テツダオウカ?」

パズ「お前は『片付け』の意味を良く考え直せ。とりあえず、その手に持っているチェーンソーを置いて、ベッドにでも座ってろ。コーヒーくらいは出してやるよ」

ソーヤー「…」

パズ「どうした?」

ソーヤー「ドンナ本ヲ読ンデイル?」

パズ「心理学とかの本が多いかな」

ソーヤー「鶏ヤ豚ノ解体ノ本ハナイノカ?」

パズ「あるぞ。貸してやろうか?」

ソーヤー「ウン」

パズ「ふぅ…。お前が壊した射撃場の復旧まで時間がかかるから、明日は朝から外にでかける。今日は部屋に帰って、本でも読んで寝ろ」

ソーヤー「ワカッタ」
115 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:29:00.10 ID:GsrFiAjH0
【郊外の湖】

パズ「今日はナイフの使い方を教えてやる。これも仕事の一環だ。得物は多い方が良いだろ?」

ソーヤー「…」

パズ「ほら、こうやって、逆手に握ったときには、自分の手を傷つけないように注意するんだ」

ソーヤー「…」

パズ「退屈か?でも、チェーンソーばかりじゃ、暗殺には向かないぞ?」

ソーヤー「退屈ナドシテイナイワヨ」

パズ「…?って、おい、その牛、どっから捕まえて来たんだ」

ソーヤー「…」グチャッ ミチャッ

パズ「まぁ、良いか。シェンホアも呼んでやれ。仲良いんだろ?昼飯はバーベキューだ」

ソーヤー「ワカッタ」

パズ「野菜が…、足りないな…」
116 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:29:40.31 ID:GsrFiAjH0
【公社 駐車場】

パズ「ソーヤー…。どうかしたか?」

ソーヤー「変ナ噂ヲ聞イタワ。アナタガ、公社ヲヤメルト…」

パズ「はぁ?やめるわけないだろ…」

ソーヤー「ソウカ。ソレハ良カッタ」

パズ「バカなこと言ってないで、射撃場へ行くぞ。今度は壊すなよ」

ソーヤー「努力、シテミルワ」


【ソーヤーの部屋】

素子「パズはいるか?」

ソーヤー「ソコニ…」

素子「パズ。課長が呼んでいる」

パズ「また課長に怒鳴られるのか…」

レヴィ「ん、何だこのチェーンソー、刃がボロボロじゃないか」

素子「ソーヤー、今度は何を壊したの?」

ソーヤー「…」

〜第6話 報酬 gelato へ続く〜
117 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:30:28.74 ID:GsrFiAjH0
〜第6話 報酬 gelato〜

【ローマ市内】

素子「エンツォ、あなた今、こんなところをブラブラしていて平気なのかしら?」

エンツォ「今はウチの局員をエンリコに張り付かせてあるから大丈夫さ」

エンツォ「捕らえるのは、奴が爆弾の製造屋と落ち合った、そのときだ」

エンツォ「それまで支局で、襲撃準備を整えていてくれ」

素子「わかったわ」

エンツォ「ところで、フラテッロひと組だけで対処できそうか?爆弾屋は殺さずに捕らえたいんだが…」

素子「すでに、複数のフラテッロが展開を開始している。安心して」

エンツォ「それは助かる。今、ローマ支局は人手不足なんだよ」

素子「その『爆弾屋』とやらの行動も、今は我々の監視下にあるわ」

エンツォ「さすが、仕事が速いな」

素子「ところで、エンリコの計画というのは…?」

エンツォ「もちろん、どこかを爆破するつもりだろう。手段が目的と化した、危ない男だからな…」

素子「危ないと言えば、こちらも負けてないけどね」

エンツォ「ところで、何か用意するものはあるか?」

素子「レヴィに弾薬の補充、そして…、バカルディとジェラートをお願い」

エンツォ「バカルディとジェラート?」
118 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:31:16.10 ID:GsrFiAjH0
【共和国派 潜伏先】

素子『バトー。状況はどうなっている?』

バトー『さっき、目標近くの道路で交通事故を装い、付近の交通を遮断したぜ』

素子『よし。その近くには爆弾屋がいるはずだ。そっちの確保はトグサのフラテッロとタチコマでことにあたれ』

トグサ『了解』

素子『それじゃ、私たちもでるぞ!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

共和国派メンバー「エンリコさん、何か変です…。さっきから、橋向の交通が途絶えています」

エンリコ「ん?事故でもあったかな…」

共和国派メンバー「ここからでは、わかりにくいですねぇ…」

エンリコ「おい、誰か様子を確認してこい」

共和国派メンバー「わかりました…」

シェンホア「ほれ♪」ピシュン

共和国派メンバー「…っ!」

素子「よし。爆弾屋はトグサに任せてあるから…。レヴィ、ここから先は、あなたの好きなようにして良いわよ」

レヴィ「よっしゃぁぁぁ!行くぞぉ!!」

素子「エンツォ。作戦行動を開始する」

エンツォ「わかった。続けてくれ…」
119 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:32:22.81 ID:GsrFiAjH0
素子「バトー、バラライカの準備はどうなっている?」

バラライカ「軍曹。部隊の展開状況を報告しろ」ザザッ

ボリス『ホドロフスキー班がポイントB2にて待機。ラボチェク班はC7、ポランスキー班はD4にて、共に標的を捕捉しております』ザザッ

バラライカ「レヴィたちが行動を開始した。各班、状況を開始しろ」ザザッ

ボリス『了解しました。大尉殿』ザザッ

バトー「…だとよ。少佐」

素子「よし、行動開始だ。ボーマとパズも出遅れるなよ!」

ボーマ「あれ?ソーヤーまでつれて来てたのか?」

パズ「あぁ、ソーヤーはシェンホアと仲が良いからな。少佐が気を利かせてくれたらしい」

ボーマ「へぇー。敵にしてみりゃ、不幸な話だな」

レヴィ「あたしは正面から突っ込む!上の窓は任せたぜ!『ですだよ』ねーちゃん?」

シェンホア「バカにする、ないね。あとでそのケツ、4つにしてやる、ますよ!」

シェンホア「ソーヤー!一緒、くるね!」

レヴィ「へへっ!そりゃぁぁぁ!!」ドガシャー

ドガガガガガガガガガガガ

ソーヤー「窓ヲコワスワ」

ヴィィィィィィィィィィィン

バキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ
120 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:33:44.11 ID:GsrFiAjH0
エンリコ「おい!何だ、この騒ぎは!何が起きている?」

共和国派メンバー「わ、わかりまs…。げはっ…」ッタァァァァァァァン

レヴィ「おらおらぁぁぁ!!」ズガガガガガガガガガガガ

共和国派メンバー「かはっ…」

シェンホア「それ♪」ピシュン

共和国派メンバー「っくぅ…」

ソーヤー「…」ギュギャギャギャギャチャギャギャ

共和国派メンバー「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

エンリコ「くそっ…!ここはひとまず逃げt…」ッタァァァァァァァン

ボリス『標的の狙撃が完了しました。大尉殿』ザザッ

バラライカ「了解した。各班は状況を終了し、独自に撤収。ホドロフスキー班のみ残存する敵勢力の掃討にあたれ」ザザッ

ボリス『了解しました。大尉殿』ザザッ

バラライカ「バトー、終わったわよ?」

バトー「…はいよ」

エンツォ「作戦時間は2分と少しか…。爆弾屋の確保は?」

素子『トグサ。状況を報告しろ』

トグサ『こちらトグサ。爆弾屋2名の確保完了。うち1名が怪我をしたので、医療班の手配を頼みたい』

素子『了解。本部、聞こえていたか?』

オペレータ『はい。直ちに手配いたします』

エンツォ「上出来だ」

レヴィ「おい、少佐!イエローフラッグに行くぞ!!あんたのおごりでな!!」

素子「フフフ、良いわよ」

素子「各部隊、各々の作戦終了を確認しだい、独自に帰投しろ!」

〜第7話 守護 protezione へ続く〜
121 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:35:05.86 ID:GsrFiAjH0
〜第7話 守護 protezione〜

【美術館前】

バトー「おい、そこのあんた」

フィリッポ「え?あ、あぁ…。何でしょう?」

バトー「悪いんだが、ウフィッツィ美術館の入り口を教えてくれるか?」

フィリッポ「あぁ、それなら、その角を道沿いに曲がったところですよ」

バトー「そうか。助かる」

バトー「ほら、行くぞ。フロレンス」

バラライカ「そうね。でも、少し退屈だな…」

バトー「そんなこと言うなよ。たまには良いもんだぜ?」

フィリッポ「フロレンス…?」

バトー「あぁ、妹のフロレンスだ。俺は、ジャン・ルイ・バタイユ」
122 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:35:42.16 ID:GsrFiAjH0
フィリッポ「妹さん…、ですか…。私は、フィリッポ・アダーニ」

バラライカ「よろしく、フィリッポさん」

フィリッポ「こちらへは観光で?」

バトー「あぁ、そうだ。あんたは?」

フィリッポ「私は里帰りみたいなものです。このあたりをブラブラしていただけです」

バトー「ほぅ、地元の人なのか。それなら、もし良かったら、フィレンツェを案内してくれないか?」

フィリッポ「いや、その、私と一緒にいると…」

ボリス/バトー「…」

フィリッポ「あ、いや。えぇ、良いですよ!ぜひ案内させてください!」

バトー「おぅ、悪いな」

フィリッポ「気にしないでください。ところで…、こちらも…、ご兄弟で…」

ボリス「…」

バトー「従兄弟だ。俺とは似てないだろ?」
123 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:36:30.90 ID:GsrFiAjH0
【美術館のトイレ】

共和国派メンバー「美術館と教会だらけだって?」

共和国派メンバー「あぁ、そんなことはわかってるよ」

共和国派メンバー「そうだ、クリスティアーノさんの指示だ」

共和国派メンバー「頼んだぞ」ピッ

共和国派メンバー「…ったく。フィレンツェのどこで襲えって言うんだ」

バトー「動くなよ…」

共和国派メンバー「なんだ…、お前は…」

バトー「いや、やっぱり動きたければ動いても良いぞぉ…」

共和国派メンバー「う、うぅ…」

バトー「お前ら、ピリアッツィの殺し屋か?それとも、共和国派か?」

共和国派メンバー「…」

バトー「…」

共和国派メンバー「うわ!いてててててて!!や、やめてくれっ!!」

バトー「あ、わりぃ。痛かったか?でも今のは、お前が動くのが悪いんだぞ?」

バトー「ボリス、ヴィソトニキに連絡して、予定の手配を進めてくれ」

ボリス「こちらボリス。ウフィッツィ美術館2階南のトイレにて、敵組織の構成員を捕縛した。ラボチェク班が回収にまわれ」ザザッ

ラポチェク『ラボチェク班、了解』ザザッ

ボリス「サハロフ上等兵は、シェンホアに連絡。ゲッタウェイ・ドライバーを手配しろ」ザザッ

サハロフ『了解しました』ザザッ

バトー『少佐、こちらの作戦は順調。ボリスが手配したドライバーと合流しておいてくれ』

素子『了解』

バトー「んじゃ行くかぁ。バラライカも、待ちくたびれてるだろうしな」
124 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:37:21.04 ID:GsrFiAjH0
【フィレンツェ市内】

ボリス「大尉殿、敵は共和国派です」

バラライカ「ふっ。返り討ちにしてやる」

バトー「頼むぜ。お前ら」

フィリッポ「…」

バトー「いやしかし、なんだその、フィレンツェは、路地裏もなかなか良いもんだな?」

フィリッポ「はい」

ボリス「…」

共和国派メンバー「フィリッポ・アダーニだな」

フィリッポ「あ…!」

共和国派メンバー「帳簿は、そのケースの中か?」

共和国派メンバー「一緒にミラノに帰ろうぜ?さもないと、無関係の人間が不幸になる…」

バラライカ「くっくっく…」

共和国派メンバー「?」

バラライカ「不幸になるのは、キサマらだ…」

共和国派メンバー「な、なんだt…」ッタァァァァァァァン

ボリス「フン!」ザシュ

共和国派メンバー「きはっ…」

バラライカ「もう終わりか?」チャッ…

共和国派メンバー「あ、あぁ…」ッガァァァァァァァァン

フィリッポ「君たちは…、いったい…」

バトー「そんなことは後だ!追っ手が来る!巻き添えで死にたくないなら、黙ってろ!」

バトー「ボリス!ドライバーとのランデブーポイントは?」

ボリス「この先のグラツィエ橋です」

バトー「よし!向かうぞぉ!!遅れるんじゃねぇよ、フィリッポ!」

フィリッポ「ひぃぃぃ…」
125 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:38:21.94 ID:GsrFiAjH0
【グラツィエ橋】

バトー「あそこだ!あの車に乗れ!!」

フィリッポ「あ、あぁ…」

バトー「よし!出せ!!」

レガーチ「え〜?出〜すもんなんて、なんもねぇ〜ぞ〜?」

バトー「おい、死ぬ順番を入れ替えてやろうか…?」グググッ…

レガーチ「あー!忘れてたぁ!!リバプール行かなきゃ!!」

バラライカ「もうだめだわ。彼、スーパー・リラックスみたいよ?」

バトー「ったく…」

レガーチ「ジミ・ヘンドリクスが、俺を!俺を呼んでいる!!」

レガーチ「クリンゴン星人を倒してくれと!」

レガーチ「ピ、ピカード艦長ぉぉぉ!!!」ギャギャギャギャ

レヴィ「お、ちょ、ちょい、てめぇ!!そっちじゃねぇ!!!」

素子「レヴィ、好都合だ!ついて来た追手に挨拶してやれ!!」

レヴィ「よーし、わかったぁ!正面からぶっつぶすぞぉ!!」

バラライカ「軍曹、レヴィと共闘して、敵を殲滅しろ」

ボリス「了解しました」

レガーチ「おい、見ろ!」

バトー「?」

レガーチ「ラクェル・ウェルチとジェリー・フォンダが、徒競走している〜!」

レガーチ「いったい、俺を、どこへ誘おうってんだ?!」

レガーチ「ひょっとして、ひょっとして、伝説のヌーディストビーチィィィ?!!」

バトー「ま、俺はラクができてるから良いか…」

〜第8話 御伽噺 Il Principe del regno della pasta へ続く〜
126 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:39:17.39 ID:GsrFiAjH0
〜第8話 御伽噺 Il Principe del regno della pasta〜

【公社内 診察室】

赤服「レヴィ、最近の調子はどうかね?」

レヴィ「あー、別にどこも悪くねぇよ」

赤服「そうか、それは良かった。でも、たまに酒を飲み過ぎて二日酔いになったりするそうじゃないか?少佐が心配していたぞ?」

レヴィ「あれま、全部ばれてるのかよ…」

赤服「当然だ。しかし、あまり少佐に心配をかけさせるな」

レヴィ「そうだな、気をつけるよ」

赤服「それで良い…」

レヴィ「おい、もう良いか?」

赤服「あぁ。プロト、次のふたりを呼んでくれ」

プロト「わかりました」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

赤服「やぁ、ヘンゼル、グレーテル、ふたりともここに座って」

赤服「そうだ、餡子のお菓子でも食べるかね?お茶もあるぞ?」

ヘンゼル「うん…」

グレーテル「いただくわ…」
127 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:39:59.82 ID:GsrFiAjH0
赤服「最近、何か変わったことはあったかな?」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「ウフフフ…。あのね、先生。おもしろいオモチャを見つけたの」

赤服「おもちゃ?」

ヘンゼル「部屋が…、汚れてしまったんだけどね…」

グレーテル「頭に釘を打つと…、魚みたいに痙攣するの…」

赤服(頭に…、釘…?)

グレーテル「息が止まってからも、まだ動くわ…」

赤服「ふむ…」

グレーテル「脊髄反射って言うらしいけど…」

ヘンゼル「今度…、先生も遊びにおいでよ?」

グレーテル「それは良いアイディアだわ。兄様…」

ヘンゼル「あぁ、そうだね。姉様…」

グレーテル「先生も、そう思うでしょ?」

ヘンゼル「ウフフフ…」

グレーテル「ウフフフ…」

赤服「私は遠慮しておくよ。別のおもちゃを見つけたら、また教えてくれたまえ」
128 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:40:57.16 ID:GsrFiAjH0
【公社内 診察監視室】

赤服「少佐、レヴィの酒癖は治せそうですか?」

素子「そうねぇ…。難しいわね」

赤服「少佐が、どうしても診察を見ておきたいと言うのでお呼びしましたが…」

赤服「レヴィは、思いのほか少佐を信用しているようですな…」

素子「フフフ…」

赤服「トグサ、君はどうなんだね?」

トグサ「彼らは…」

赤服「…」

トグサ「彼らは、これから心の傷を取り除かなければならない」

トグサ「人間をスマートボールの打台にするなんて…、今までどれだけ深い闇に生きていたんだ」

赤服「トグサ、お前は彼らに感情移入しすぎては危険だと思う。条件付けの強化を提案する」

トグサ「それはダメだ。条件付けは好きじゃない」

赤服「私は程度の問題ではないと思うのだが…」

トグサ「…」

素子「トグサ。今のところ、作戦行動に支障は出ていない。だから、とりあえず、あなたのやりたいようにしなさい」

素子「ただし、問題が出てきたら話は別だ。良いな?」

トグサ「少佐…。ありがとうございます」
129 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:41:42.78 ID:GsrFiAjH0
【トグサの部屋】

コンコン…

トグサ「入って良いぞ」

ヘンゼル「…」

グレーテル「…」

トグサ「どうした?入って、そこに座れよ」

ヘンゼル「ボク達と遊んでくれるって…」

グレーテル「でも、おもちゃは置いて来てしまったわ…」

トグサ「良いんだ。あの『オモチャ』は、プロト達が片付けてくれている」

ヘンゼル「そう…」

グレーテル「もう動かなくなってしまっていたから…」

トグサ(とある独裁者が、国民に妊娠中絶を禁じた)

トグサ(貧しい祖国に労働力を作り出すためだったが)

トグサ(貧しければ、育てられるわけがない)

トグサ(大量の孤児達は、国営孤児院に収容され)

トグサ(秘密警察の要員供給源になった)

トグサ(独裁者は殺され、あとには愛を欠いた孤児達が残された)

トグサ(それを、公社が引き取り…、彼らは今ここにいる…)
130 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/27(日) 16:42:16.66 ID:GsrFiAjH0
ヘンゼル「トグサさん…?」

グレーテル「どうしたの…?」

トグサ「あ、あぁ、ごめん。さぁ、さっそく遊ぼうか。ほら、ゲームを用意したんだ」

ヘンゼル「ゲーム、したことない…」

グレーテル「…」

ヘンゼル「…」

グレーテル「ねぇ、トグサさん…」

トグサ「何だい?グレーテル」

グレーテル「あなたは…、私たちとは違うニオイがするわ…」

トグサ「そうかなぁ、そんなはずないんだけど…」

グレーテル「どうして…、私たちと遊んでくれるの…?」

トグサ「どうしてかな…。はははは」

〜第9話 彼岸花 Lycoris radiata Herb へ続く〜
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/27(日) 23:57:44.03 ID:VuZZa5Ne0
>>1乙 意外と攻殻とブラックラグーンってあうのか?
ソーヤーはタチコマたちとうまくやりそうだし
レヴィはもう猟犬まる出しだし
トグサはバラライカに怒鳴られてそうだし
シェンホアが勝手にグサグサやっても「脳には傷をつけるな」とか言ってフォロー可能そうだし?
132 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/28(月) 05:49:57.05 ID:zyVSX6fa0
>>131
レスありがとうございます。m(__)m
攻殻とブラクラの相性の良さは、SSを書きながら、私も改めて気がつきました。
「主従関係」がはっきりしているストーリーがあれば、GSGirl以外でも簡単にいけるかと思います。
シェンホアに対する、そのフォローはとても面白いですね。w
133 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:52:01.80 ID:zyVSX6fa0
〜第9話 彼岸花 Lycoris radiata Herb〜

【トスカーナ某所 ホテル】

サイトー『それじゃぁ、警官ごと?』

荒巻『あぁ、お前たちは今のところ顔を知られていないので好都合だ』

荒巻『ただし油断はするな。あとで県警本部に圧力をかけるから、写真を撮影しろ』

サイトー『了解。しかし、今回はまた、ずいぶんと強引なんですね』

荒巻『そう言ってくれるな』

サイトー「…」トゥルルル…

ロベルタ『サイトー様、ロベルタでございます』

サイトー「ご苦労。様子はどうだ?」

ロベルタ『昨日と変わりございません。ドアの前に警官がひとりおりました』

サイトー「そうか。ライフルを使って良いから、なるべく大げさに殺せ」

サイトー「俺は、バックアップとして、外から狙撃する準備ができている」

ロベルタ『かしこまりました』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

サイトー『気をつけろよ。それと、写真を忘れるなだとさ』プツッ

ロベルタ「…」

警官「…?」

ロベルタ「…」ドパパパパパパパパパパパパパパ

警官「っぐ…」

ロベルタ「…」ドパパパパパパパパパパパパパパ

共和国派「な、なんだ…」

ロベルタ「…」ドパパパパパパパパパパパパパパ

共和国派「っくぁ…」

警官「かはっ…」

ロベルタ「…」バン!バン!

共和国派「…っ!」

ロベルタ「…」パシャリ…
134 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:52:45.22 ID:zyVSX6fa0
【バーカウンター】

サイトー「…というわけで課長から、県警本部長暗殺の指令が出たってわけです」

素子「県警本部長が標的か…。あのタヌキ親父め。計画はできているのか?」

サイトー「こっちに来る前に下準備は完了しています。県警の周囲は絶好の狙撃ポイントです」

サイトー「射手がふたりいれば充分だから、俺のフラテッロだけで楽勝ですよ」

素子「狙撃か…」

サイトー「ん、レヴィは狙撃がヘタクソなんですか?」

素子「いや、化け物級に上手い。それでも、サイトーの方が上だがな」

サイトー「そうですか…。でも、いつ追いつかれるか、油断はできませんね」

素子「ロベルタはどうなの?会話の様子を聞いていると少し心配なんだけど」

サイトー「そうですねぇ…。とくに気になるのは、あの『目』ですかねぇ」

素子「目?」

サイトー「えぇ、『目』ですよ。昔の俺を思い出してしまいます。少佐に会う前の、俺の『目』を…」

素子「フローレンシアの猟犬…」

サイトー「そう、猟犬の目です。そいつが、どうにも居心地が悪くて」

素子「昔のことを思い出すのはやめておきなさい」

サイトー「はい…」

バトー「よぉ、遅れたか?」

素子「別に待ってなどいなかったわよ?」

バトー「そんなこと言うなよ、少佐」

サイトー「バトー、バラライカの様子はどうなんだ?」

バトー「あー、あいかわらずだ。ヴィソトニキを上手くコントロールしてくれるから、ラクできて助かる」

バトー「それより、少佐はトグサのことが気になるんじゃないのか?」

素子「えぇ。トグサは少し考えすぎてるかもしれないわね」

サイトー「無理もないですよ。あいつは所帯持ちで子供もいる。そりゃ、あの双子のことだって心配もしますって」

バトー「だな」
135 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:53:10.95 ID:zyVSX6fa0
【トスカーナ州 シエーナ県警本部前 狙撃ポイント】

素子『警察庁舎の真ん前で本部長が殺されたら…』

サイトー『県警内には良い恣意行動になるでようね』

素子『それにしても、よくこんな場所がおさえられたな』

サイトー『プロトが手配してくれました』

素子『サイトー。念のため、タチコマを2機手配してある。狙撃が困難な場合には、光学迷彩を使って、テロを偽装しろ』

サイトー『了解』

ロベルタ「サイトー様、PGMヘカートはシグの横にセットいたしますが、よろしいでしょうか?」

サイトー「あぁ、それで良い。ヘカートはそっちの窓にも、もう1丁用意してくれ。俺が使う」

ロベルタ「かしこまりました」

素子『サイトー、今日のロベルタはどんな感じ?』

サイトー『あぁ、いつも通り、未来から来た殺人サイボーグみたいです。映画と違うのは、アーノルド・シュワルツネッガーが演じていないことだけですかね』

素子『それは頼もしいわね』

ロベルタ「サイトー様。標的を捕捉いたしました」

サイトー「状況は?」

ロベルタ「車を2台確認いたしました。そのうち、2台目に標的が乗車しているはずでございます」

サイトー「そうか。じゃ、俺も準備を…」

ロベルタ「…」
136 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:53:39.63 ID:zyVSX6fa0
ロベルタ「Una bendicion por los vivos」

ロベルタ「y una rama de flor por los muertos」

ロベルタ「Quienes han demostrado justicia」

ロベルタ「un castigo tener para los malvados」

ロベルタ「Asi llegaremos al altar de los santos」

ッタァァァァァァァン

サイトー「とどめだ…」

ッタァァァァァァァン

ロベルタ「サイトー様、標的の死亡を確認しました」

サイトー「…よし、帰ろう。そっちの片付けは任せる」

ロベルタ「かしこまりました」

サイトー「ロベルタ、公社に戻る前に、街を観光して帰るか?」

ロベルタ「ご一緒させていただきます」

サイトー(しかして我ら聖者の列に加わらん…、か。たまには神とやらの顔を拝んでみるのも良いだろう)

〜第10話 熱病 amare へ続く〜
137 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:54:17.76 ID:zyVSX6fa0
〜第10話 熱病 amare〜

【船のデッキ】

素子「…」

レヴィ「っくぅー、さみぃー。お、少佐!あんたもデッキに出て来てたのか?」

素子「えぇ。ここは風が気持ちいいわ」

レヴィ「しっかし、なんだ?突然休暇だなんて。本当はこれも作戦なんじゃないのか?」

素子「いいえ、本当に休暇よ。ちょっとしたご褒美ね」

レヴィ「そうか」

素子「このところ、私たちは派手に動いたから、共和国派の連中もおとなしくなっているしね」

レヴィ「…そうなのか」

素子「ところで、レヴィ」

レヴィ「ん?」

素子「私に何か隠し事していないかしら?」

レヴィ「え?いやー、なんだろ。心当たりが多すぎて、どれのことやら…」

素子「ふぅ…、しかたないわね…」

レヴィ「…」

素子「ロベルタのことよ…」
138 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:54:49.26 ID:zyVSX6fa0
【ローマ市内公園】

刑事「ひどい現場ですね…、警部…」

老刑事「これでは、殺された状況が全くわからないな」

刑事「遺体は粉々、公園の彫像や施設はほとんど全壊、さらに地面にはおびただしい数の薬莢が散乱…」

老刑事「あそこには、クレータみたいな痕跡まであるじゃないか」

刑事「これ、犯人が捨てたものでしょうか…?」

老刑事「なるほど、犯行にはアーウェン37グレネードまで使われたのか。まるで戦場だな」

警官「警部!内務省情報局の方がおみえです」

老刑事「情報局…?どうやら、やっかいな事件らしいな」

バトー「おい、タチコマぁ、さっさとこっちこい!」

タチコマ「バトーさーん、ちょっと待ってくださ〜い」

バトー「あんたがここの責任者か?」

老刑事「市警のバラッキです。突然情報局がやってくるとは、どうしたことですかな?」

バトー「あぁ、この事件は、別の重大事件との関わりが疑われていてなぁ…」

荒巻「途中からで申し訳ないが、我々が担当することになった」

老刑事「どうぞ、ご自由に…」
139 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:55:14.63 ID:zyVSX6fa0
刑事「警部、なんだか、おかしくないですか?情報局のくせして、現場の保全なんか関係無いってふうでしたが。それに、あの多脚戦車…」

老刑事「気にするな」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

荒巻「これは…」

バトー「間違いない…」

タチコマ「うわ〜、なんだろこれ〜」

荒巻「…」

バトー「正式には赤服連中の鑑識結果を待たなきゃだけどよ、この現場の状況からして、ロベルタが暴れたとしか…」

荒巻「サイトーのフラテッロは任務中だったのか?」

バトー「記録によると、デートしてたみたいだぞ?」

荒巻「すみやかに問題を解決しろ」

バトー「へいへい」

荒巻「報道管制はどうした」

バトー「プロトが対応済みだよ」

荒巻「彼にはいつも苦労をかけるな…」

バトー「まぁな」

荒巻「記録を取ったら、遺留品は全て回収しろ。私は戻り、できる手配を進める」

バトー「了解。よーし、タチコマ。片付けるぞぉ」

タチコマ「はい!バトーさん♪」
140 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:55:55.08 ID:zyVSX6fa0
【翌日 再びローマ市内公園】

フェルミ「一課の、ピエトロ・フェルミと、エレノラ・ガブリエリです」

バトー「あぁ。話は聞いてる」

フェルミ「で、そっちが…」

バトー「バラライカ。俺の『妹』だ」

ガブリエリ「それで、そちらの方は…」

ボリス「…」

バトー「俺の従兄弟だ」

ガブリエリ「…え?」

フェルミ「それで二課は犯人の目星はつけられたんですか?」

バトー「現在調査中。でも人を殺すのが俺たちの仕事だから、敵は国中にいる…」

バトー「とにかく、これまでにフラテッロとやり合って生き残った奴はいないよ」

フェルミ「『フラテッロ』?あぁ、兄妹ゴッコと聞いていたが…」

バラライカ「…」

フェルミ「その『妹』とやらは本当に役にたつのか?でくのぼうでは…」

バラライカ「…軍曹」

ボリス「はい。大尉殿」

フェルミ「な、なんだ…、これはレーザーサイトの光…」

バトー「ははは、彼女たちをからかうからだ。そんなことじゃ命がいくつあっても足りないぞ?」

フェルミ「どこから狙って…。周囲に背の高い建造物なんて無いぞ…」

バトー「バラライカ、そのへんで許してやれよ」

バラライカ「…」

ボリス「狙撃班、ひとりを除いて、トリガーから指を離せ。ただし、照準は外すな」ザザッ

狙撃班『了解』ザザッ

フェルミ「兄妹ゴッコなどと言って悪かった…」

バトー「良い勉強になったな?」
141 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:56:33.31 ID:zyVSX6fa0
【公社】

バトー「ここが公社の『寮』だ」

フェルミ「…見た目は普通だな」

バトー「バラライカ、お前はもう休んで良いぜ」

バラライカ「あら、そう?じゃ、またね、バトー」

バラライカ「軍曹、例の会合の予定は?」

ボリス「はい、各組織とも予定の変更は無いとのことであります。大尉殿」

バラライカ「そうか。事前にチャンと話をしておきたい。手配しろ」

ボリス「はい。大尉殿」

ガブリエリ「軍曹…?大尉…?従兄弟なんじゃ…」

バトー「タチコマ。コイツら、寮の中を案内してやれ」

タチコマ「はーい♪どーぞ、こちらへ〜。ささ、どーぞ、どーぞ」

バトー『イシカワ、一課の人間がタチコマの案内で寮内にいる。念のため映像記録を取っといてくれ』

イシカワ『もう始めてるよ』

フェルミ「…」

タチコマ「こちらが、ロベルタさんの部屋でーす」

フェルミ「これは…」

ガブリエリ「まるで弾薬庫だわ」

フェルミ「他の『妹』と話がしたいんだが」

タチコマ「そうですねー…。あ、シェンホアさんのところに行きましょうか」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

タチコマ「シェンホアさ〜ん、お客様ですよー♪」

シェンホア「はい?客人?」
142 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:57:03.04 ID:zyVSX6fa0
フェルミ「は、はじめまして。一課のピエトロ・フェルミです」

シェンホア「?」

ソーヤー「…」ガタッ

シェンホア「ソーヤー、どこ行く、ますか?」

ソーヤー「『冷蔵庫』ニ行ッテクルワ」

タチコマ「冷蔵庫?え?冷蔵庫ぉ?どこどこー?」

ソーヤー「タチコマハ、ツイテコナイデ」

タチコマ「がーん」

ガブリエリ「この部屋、チェーンソーと、刃物だらけ…」

フェルミ「さっそくなんだが、ロベルタについて話を聞かせてくれないか?」

シェンホア「ロベルタ?私、あまり、知らないね」

フェルミ「え?」

シェンホア「彼女、無口。自分のこと、話す、ないね」

フェルミ「…」

シェンホア「?」

フェルミ「もう帰るぞ。エレノラ…」

ガブリエリ「そうね…」

タチコマ「もう帰っちゃうんですか?それなら、こちらへ〜」
143 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:57:33.45 ID:zyVSX6fa0
【公社 応接室】

荒巻「これが、現場に残された銃弾の鑑識結果だ」

バトー「んー、こっちがロベルタで…。あぁー!こっちは?!」

荒巻「そういうことだ…」

バトー「あいつら…」

荒巻「プロトとイシカワが動いている。ひとまず事件はスムーズに解決するだろう。ただし問題は…」

バトー「少佐に任せるしかないんじゃねぇのか?」

荒巻「やむを得まい…」

〜第11話 恋慕 febbre alta へ続く〜
144 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:58:05.87 ID:zyVSX6fa0
〜第11話 恋慕 febbre alta〜

【シチリア 素子のセーフハウス】

素子「さぁ、レヴィ。中に入るわよ」ガチャッ

レヴィ「へぇー、セーフハウスねぇ。別荘みたいなもんか?」

女「あー、素子ぉ!待ってたぁ〜。今回はゆっくりしていけるの?」

レヴィ「うわ!なんだ?この女…」

素子「フフフ…、久しぶりね」

女「素子ぉ〜♪」

レヴィ「…」

女「あら?こっちの女の子は誰なの?初めて見るけど…」

レヴィ「『女の子』だとぉ?」

素子「レヴィよ。今の仕事のパートナー」

女「へぇー。よろしくね、レヴィ♪」

レヴィ「あ、あぁ…」

ロベルタ「お待ちしておりました。草薙様」

レヴィ「あー!メイド殺人鬼!!てめぇ、こんなとこで何してやがる?」

素子「あら、あなたの方が先に着いていたのね」

ロベルタ「はい。サイトー様の指示で、こちらにうかがいました」

ロベルタ「しばらくの間、ご一緒するよう、仰せつかっております」

素子「課長の指示で、私が呼んだのよ」
145 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:58:31.72 ID:zyVSX6fa0
【セーフハウス室内】

レヴィ「なんだこりゃ?やけにデカイな、このベッド…」

ロベルタ「草薙様、私はどのようにしたら…」

素子「ふたりとも、ひとまずシャワーでも浴びてきて。汗を流しておいてちょうだい」

レヴィ「へ?…シャワー?」

ロベルタ「かしこまりました。草薙様」

女「はい、私が案内するわね。ほらほら、こっちきて♪」

レヴィ「ちょ、ちょっと、おい…」

フェルミ「…」コンコン…

女「あれ、また誰か来たの?」

素子「…」

ロベルタ「私にお任せください」

素子「いいえ、あなたはシャワー。客は私が対応するわ」

ロベルタ「…かしこまりました」

素子「誰?」

フェルミ「一課から来た、ピエトロ・フェルミとエレノラ・ガブリエリだ。中へ入れてくれないか?」

素子「一課だと?休暇中に何の用だ」

フェルミ「あぁ、ウチの課で公園の事件を担当していてね。少し話を聞きに来た」

素子「普通、中には入れないけれど、しかたないわね。今回は特別よ。入って」

フェルミ「あぁ、ありがとう」

素子「ただし、武器と通信機器、録音録画機器も全て持ち込み禁止よ。そこのセーフティボックスに入れなさい」

フェルミ「わかった…」
146 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:59:05.78 ID:zyVSX6fa0
【セーフハウスの居間】

素子「それで…、公園の件は解決したとの報告を受けているが」

フェルミ「あぁ」

素子「じゃぁ、あとは形式的な事後処理が終わるのを待つだけだ」

フェルミ「まぁ、そういうことになってるんだが…。どうもすっきりしないんでな」

素子「何がすっきりしないと?」

ガブリエリ「具体的にはうまく言えないのですが、予定調和のようなものを感じています」

フェルミ「何か、隠された事実があるのではないかと、考えている」

素子「何も無いわよ…。単純と思えるものほど複雑で、複雑と思えるものほど単純なものよ」

フェルミ「…」

素子「私から何かを引き出そうとしても無駄よ?」

フェルミ「…でしょうね。さほど期待はしていませんでしたが、今はっきりとわかりました」

素子「ところで…、そっちのあなた」

ガブリエリ「私ですか?」

素子「この男と付き合ってるのかしら?」

ガブリエリ「な…!」

素子「フフフ…」
147 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 05:59:35.01 ID:zyVSX6fa0
フェルミ「もう…、私たちは帰ります」

素子「それは残念ね」

フェルミ「エレノラ、行くぞ。これ以上ここにいても時間の無駄だ…」

ガブリエリ「…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

女「シャワー、浴びて来たよ〜♪素子ぉ〜♪」

素子「さてと…。それじゃ、なぜこうして、ふたりが呼ばれたかわかるかしら?」

レヴィ「…」

ロベルタ「…」

素子「わからないなら教えてあげる」

素子「まず、サイトーが追っていた共和国派のテロリストを発見した」

素子「そこで、急遽その現場にロベルタが同行」

素子「バックアップとして、レヴィ、あなたを配置した」

素子「ここまでは予定通り。何か違うことはあるかしら?」

レヴィ「…」

ロベルタ「ございません」

素子「そこから先が問題よ」
148 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 06:00:00.56 ID:zyVSX6fa0
素子「あなたたち…。手加減ってものを…、いいえ、手加減という言葉を知っているのかしら?」

素子「テロリスト掃討作戦の一部だったから、通常なら事後報告で済むはずだったのに」

素子「現場の公園は全壊。目標は粉々。情報操作はしたものの、未だに何名を殺害したか不明」

素子「後始末するこちらの身にもなって欲しいわ」

素子「何か申し開きはあるかしら?」

ロベルタ「申し訳ございません」

素子「レヴィは?」

レヴィ「…悪かったよ。やりすぎた」

素子「ふたりとも反省しているわね?」

レヴィ/ロベルタ「…はい」

素子「それでは、懲罰も覚悟していると?」

レヴィ/ロベルタ「…はい」

素子「そう…。それじゃ…」

レヴィ「え?」

ロベルタ「あ、あの…」

素子「おとなしくしてなさい…」

レヴィ「ちょ…」

女「うふふふ〜♪」

ロベルタ「ぁ…」
149 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 06:00:30.85 ID:zyVSX6fa0
【公社 応接室】

荒巻「ロベルタとレヴィは反省している頃か…」

バトー「少佐が『説教する』と言ってたが…、どんな説教なんだかな。おー、コワイコワイ」

荒巻「ところで、サイトーは、今どうしている?」

バトー「どこかで博打でも打ってるんじゃねぇのか?」

荒巻「サイトーの奴め、面倒ごとから逃げおったか…。始末書の提出はさせておけ」

バトー「了解」

〜第12話 共生 simbiosi へ続く〜
150 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 19:17:31.58 ID:zyVSX6fa0
〜第12話 共生 simbiosi〜

【公社 訓練施設】

素子『レヴィ、シェンホア、エントリー』ザザッ

レヴィ「おぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」ドガガガガガガガガガガガガガガ

シェンホア「はいっ♪」ピシュン ピシュン

レヴィ「そっちは任せたぞ!『ですだよ』ねーちゃん!!」ドガガガガガガガガガガガガガガ

シェンホア「次殺すのは、あなたね。この、あばずれ」ピシュン ピシュン

ドガガガガガガガガガガガガガ ピシュン ピシュン

ドガガガガガガガガガガガガガ ピシュン ピシュン

素子『よし、終了しろ』ザザッ

素子『…レヴィ、あなたまた二日酔いでしょ。またおしおきが必要なのかしら?』ザザッ

レヴィ「あ、いや…」

素子『訓練だからこそ、万全の体調で臨みなさい』ザザッ
151 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 19:18:05.79 ID:zyVSX6fa0
素子『次、ヘンゼル、グレーテル、バラライカ、エントリー』ザザッ

ヘンゼル「さぁ、姉様。僕らの命をつなげよう」

グレーテル「えぇ、兄様。天国への扉は私たちが開けるのよ?」

ズガガガガガガガガガガガガガガガガ

バラライカ「軍曹」

ボリス「はい。大尉殿」

ギョバババババババババババババババ

ズガガガガガガガガガガガガガガガガ

ギョバババババババババババババババ

グレーテル「っきゃぁ…」コケッ

ヘンゼル「姉様!」

素子『訓練中止!トグサ、グレーテルの様子を確認しろ』ザザッ

トグサ「…」

バラライカ「…」

ボリス「状況中断しました」

ヘンゼル「姉様…」

グレーテル「…」
152 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 19:18:35.61 ID:zyVSX6fa0
【公社 訓練施設 司令室】

素子「レヴィはあいかわらずとして…」

バトー「トグサ、お前んとこの双子、様子がおかしくねぇか?」

トグサ「あ、あぁ…」

イシカワ「もしかして、あれか?」

素子「…電脳硬化症」

トグサ「はい」

バトー「なんだと?」

トグサ「今はグレーテルのみ発症していますが、ヘンゼルにもその兆候が確認されています…」

イシカワ「なんてこった…」

ボーマ「よりにもよって、いちばん若い義体とはな…」
153 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 19:19:10.00 ID:zyVSX6fa0
【公社 作戦会議】

バトー「共和国派の過激分子たちにより、有力議員の子息誘拐が計画されている」

バトー「フィリッポ・アダーニ、組織の会計係からの情報だ。間違いない」

バトー「敵の標的のカテリーナは、幸いソーヤーに似ている」

バトー「ソーヤーを誘拐させ、テロリスト共のネストを特定。いっきに壊滅させる」

素子「ソーヤーを囮に…。ちょうど良いな」

ボーマ「あぁ、あいつは近距離戦闘向きだからな」

バトー「ソーヤーには、光学迷彩のタチコマを1機つけ、ヴィソトニキも展開させる」

トグサ「…」

素子「トグサ、双子のことが心配か?」

トグサ「いえ、少しだけ…」

荒巻「とにかく、今は組織への風当たりが強くなっている…」

バトー「公園の事件があったからな」

荒巻「今回の件はすみやかに処理する。少佐、レヴィにも良く言って聞かせろ」

素子「大丈夫よ。最近の彼女は素直でしょ?」

バトー「…」
154 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 19:19:47.17 ID:zyVSX6fa0
【市街】

プロト「それではソーヤー、ここから身代わりになって」

ソーヤー「ハイ」

プロト「チェーンソーは、この専用ホルスターに入れて、服の中に隠してください」

ソーヤー「ハイ」

タチコマ「それじゃソーヤーさん、がんばりましょ〜♪」

ソーヤー「タチコマ、ヨロシクネ」

タチコマ「は〜い♪」

誘拐犯「おい、あの娘じゃないか?」

誘拐犯「んー、なんか写真より目つきが怖くないか?それに、あの服のふくらみはなんだ?」

誘拐犯「何でも良い。とにかくさらうぞ」

誘拐犯「よし」

素子『ソーヤーが敵と接触した。各員、予定通り追尾しろ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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バトー「追尾状況はどうだ?」

バラライカ「軍曹。状況を報告しろ」ザザッ

ボリス『標的は市内中心部を北東へ向けて走行中。現在、ポランスキーのチームが追尾しております』ザザッ

バラライカ「了解。そのまま追尾を続けろ。絶対に逃がすな」ザザッ

ボリス『了解しました。大尉殿』

バラライカ「今のところ順調ね。バトー」

バトー「そりゃ良かった」
155 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 19:20:24.08 ID:zyVSX6fa0
【公社 作戦会議】

荒巻「予定通り、敵の本拠地はつきとめられた」

バトー「目標の周囲は、バラライカのヴィソトニキが抱囲してる。虫一匹逃げる隙は無いぜ」

イシカワ「タチコマからの定時連絡も予定通りだ」

素子「敵の本拠地は北部の山間部にある別荘か」

プロト「議員の自宅には、最初の脅迫電話が入り、収監されているテロリストとの人質交換を要求しているようです」

パズ「まだ、ソーヤーの正体には気づいていないってわけか…」

バトー「奴らが身代わりに気づいたら…、少なくとも、人質の見張り役は瞬殺されるだろ」

ボーマ「でも、ソーヤーの武器はチェーンソーだろ?」

素子「彼女が暴れたら、すぐに他の敵にも気づかれるだろうな」

トグサ「…」

素子「トグサ、双子は今回の任務から外すか?」

トグサ「いえ、彼らにとっては、任務から外される方がツライと思います」

トグサ「彼らは、敵の命を奪うことによって、自らの命を延ばすことができると信じています」

バトー「救われねぇ話だな…」

荒巻「いずれにしても、敵の命運は尽きている。すみやかに全員でテロリスト殲滅作戦を続行する」
156 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 21:17:37.17 ID:zyVSX6fa0
【北部山荘 テロリスト本拠地】

素子『バトー、現在の状況を知らせろ』

バトー『ヴィソトニキによる抱囲網展開は、2班を除いて現状維持。そのうち1班は狙撃地点でサイトーと待機。残り1班は突入部隊として準備できてる』

素子『メインの突入部隊は?』

バトー『レヴィ、シェンホア、ロベルタ、ヘンゼル、グレーテルの5名。それぞれタチコマ1機ずつを追従させる』

素子『バラライカはどうしている?』

バトー『ヴィソトニキの指揮を執るため、俺と一緒に待機してるぜ』

素子『ソーヤーは?』

イシカワ『それはこっちで上空から捕捉してる。まだ暴れてないみたいだ』

素子『よし。イシカワは、作戦の開始を確認したら2分以内に降下しろ』

イシカワ『了解』

ボーマ『いちおう、ソーヤーも自重してるってことか』

パズ『…』

素子『そろそろ、ソーヤーも我慢の限界だろう。さっさと片付けるぞ。各員、時間を合わせろ。5、4、3、2、1、ゼロ。これから3分後に突入を開始する。先頭はレヴィ、その突入を合図にして、その後は好きなように入れ』

ボーマ『少佐、ソーヤーへのフォローは、シェンホアに行かせます』

素子『それで良い』

バラライカ「軍曹、状況を報告しろ」ザザッ

ボリス『ホドロフスキー班が狙撃地点に到着。すでに狙撃体勢に入っております。ラポチェク班は突入準備完了。残りの班は敵の逃走に備え、周囲を固めております』ザザッ

バラライカ「よし。同士諸君、今、同胞たるソーヤーが敵の手に捕われている」ザザッ

バラライカ「だが、これは全て想定通りだ」ザザッ

バラライカ「現刻より状況を開始する」ザザッ

バラライカ「勇敢なる同士諸君、今、我らの銃は復讐の女神となる」ザザッ

バラライカ「カラシニコフの裁きの元、5.45mm弾で、奴らのアギトを喰いちぎれ!!」ザザッ

ヴィソトニキ『おぉー!!』

バトー「コワイコワイ…」
157 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 21:18:17.12 ID:zyVSX6fa0
素子「そろそろ時間だ。敵の情報はヴィソトニキの働きにより全て手に入れた。もう奴らに聞かなければならないことは、何も無い。囮とは言え、ソーヤーをさらった罪をきっちり償ってもらうわ」

素子「この際、敵の生死はいっさい問わない!心行くまで思い切り暴れて良いぞ!!」

ロベルタ「草薙さま…」

素子「レヴィ!エントリー!!」

レヴィ「はいよ、少佐!うおぉぉぉりゃぁぁぁ!行くぞぉ!」

タチコマ「さぁ、みなさん、行きましょ〜♪」

ボリス「ラポチェク班、レヴィに続け」ザザッ

シェンホア「あいやー、もう始まった、ますね」

ヘンゼル「ボクたちはどうしようか?姉様…」

グレーテル「しかたないわねぇ…。天使を呼んであげましょう…」バサー

グレーテル「天国は良いところだって、言うものね…。ねぇ、兄様」

ゲンゼル「そうだね…、姉様」

ロベルタ「全ての不義に鉄槌を!!」

レヴィ「最初に死にたい奴は、どいつだぁぁぁ!!コラァァァ!!!」

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガ

ッタァァァァァァァァン

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

イシカワ「始まったみたいだな…。よーし、降下だ!!」

オペレータ「了解しました」

バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ…
158 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 21:18:53.16 ID:zyVSX6fa0
ピシュン ピシュン

シェンホア「ソーヤー、迎えに来た、ますよ。平気か?」

ソーヤー「アリガトウ、シェンホア…」

タチコマ「お久しぶりで〜す♪元気でしたか?」

ソーヤー「タチコマ、チョット、ソコドイテ…」

ヴィィィィィィィィィィィン

バキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ

タチコマ「ひぃやぁぁぁぁぁ!ソーヤーさん、こわい〜」

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガ

共和国派メンバー「ぐはっ…!」

ッタァァァァァァァァン

共和国派メンバー「っくぅ…」

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

共和国派メンバー「あぅっ…」

ピシュン ピシュン

共和国派メンバー「かはっ!」

ヴィィィィィィィィィィィン

ギュギャギャギャギャチャギャギャ

共和国派メンバー「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ロベルタ「草薙さまのお話によると、あなた方を生かしておく理由は無いそうです…」

共和国派メンバー「…え?」

ロベルタ「なので、これをぜひ、受け取ってくださいまし…」ガチャン ガチャン ガチャン…

共和国派メンバー「…あ」

ドッグァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
159 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 21:19:19.84 ID:zyVSX6fa0
ヘンゼル「姉様!あぶない!」

グレーテル「え?」

共和国派メンバー「こんのクソガキがぁぁぁ!!」パパパパパパパパッ

ヘンゼル「ぐふっ…!」

グレーテル「兄様!!」

レヴィ「何しやがる!このケツ穴野郎がぁぁぁぁぁ!!!」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

共和国派メンバー「ぐっ…」

レヴィ「死ぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

共和国派メンバー「…」

トグサ「やめろ、レヴィ!敵はもう死んでる!!」

素子『どうした、トグサ』

トグサ『ヘンゼルが敵の銃弾を受け負傷しました。至急回収するので、医療班の準備を!!』

素子『何だと?了解した。プロト、手配急げ!!』

プロト『了解しました』

イシカワ『敵戦力の殲滅を確認。逃走者もいないぜ』

素子『よし、作戦を終了する。各自、所定の合流地点まで撤収』

素子『トグサは怪我人の収容を急げ。ボーマ、サポートしろ』

ボーマ/トグサ『了解』

ヘンゼル「う、うぅ…」

グレーテル「兄様…」

トグサ「タチコマ、合流地点まで移送する。ヘンゼルを中に収容してくれ」

タチコマ「了解!」

〜第13話 流星 stella cadente へ続く〜
160 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 23:27:49.98 ID:zyVSX6fa0
〜第13話 流星 stella cadente〜

【公社 レヴィの部屋】

素子「どういうことなのかしら?レヴィ」

レヴィ「あ、いや、その…」

素子「…」

レヴィ「…あ、バラライカ!た、助けてくれ、姐御!」

バラライカ「あら、レヴィ。どうしたの?」

素子「…」

バラライカ「少佐、レヴィは今日どうかしたの?」

素子「いえね、飲みに誘っただけなんだけど…。ふぅ…」

レヴィ「そうだ、バラライカ!姐御も一緒に、な!どうだ?」

バラライカ「飲みに?」

素子「バラライカ、せっかくだから皆で行く?」

レヴィ「それなら…」

バラライカ「そういうことなら、今度あたしが良いところを教えてあげるわよ。少佐」

レヴィ「良いところ?」
161 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 23:28:15.50 ID:zyVSX6fa0
【公社 医療棟 双子の病室】

プロト「…あと、本日は、ふたりとも明日の検査に備えて休食となります。20時以降は飲み物の摂取も控えてください」

ヘンゼル「…」

グレーテル「…」

トグサ「わかった」

ヘンゼル「…」

グレーテル「…」

トグサ「ヘンゼル、グレーテル。今日はタチコマを残して行くから、何かあったら何でも頼むんだ」

トグサ「タチコマ、よろしくな」

タチコマ「ほ〜い♪」

ヘンゼル「トグサさん…、僕たち、死ぬのかな?」

トグサ「…」

グレーテル「それはおかしいわ、兄様。私は、すぐに治ると思うの…」

タチコマ「なんで?」

グレーテル「だって私たち、いっぱい…、殺したわ…」

ヘンゼル「あぁ…、そうだね…、姉様」

グレーテル「いっぱい、いっぱい、いっぱい、殺したの…。いっぱい、いっぱい…」

トグサ「ふたりとも…」

グレーテル「なぁに?トグサさん…」

トグサ「歌を…、聴かせてくれないか…?」
162 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 23:29:11.83 ID:zyVSX6fa0
【暴力教会】

レヴィ「おい、姐御。良いところって、ここかよ?」

バラライカ「そうよ。たまには、こういうところで飲むのも良いんじゃない?」

素子「あら、素敵な教会ね」

シェンホア「紹興酒はあるか?」

リカルド「はい!どうぞ!姉さん!」

素子「私にはグラッパをお願い」

リカルド「はい!あ、初めまして!リカルドっていいます。リコって呼んでください!」

素子「よろしくね、リコ」

ロベルタ「リカルド、草薙さまのお世話は、私に任せて…。余計な手出しは無用…」

リカルド「…」

バラライカ「リカルド、あたしにはウォッカを」

リカルド「は、はいっ!」

エダ「なぁんだよ、『二丁拳銃』あいかわらず、しけたツラしてんなぁ?どうよ、景気は?」

レヴィ「エダ!てめぇに言われたかねぇよ…」

エダ「あれが例の女少佐かよ?近くで飲まなくて良いのか?『お姉様』なんだろ?」

レヴィ「そ、そこは、ほっといてくれ…。頼む」

エダ「?」

エダ「ところでよ、レヴィ。他のお兄様方はどうしたよ?今日は妹ばっかりなのか?」

レヴィ「あぁ?日照ってるからって、てめぇの男漁りの話なんか聞きたくねぇよ。殺すぞ」

エダ「おー、コワーイ。聞いたか?シェンホア。コイツ、万年生理子ちゃんなんだぜ?」

シェンホア「あいやー、そうなのか?それは、たいへんね」

レヴィ「お前ら…、ちょっとオモテ出ろ…」

ソーヤー「少シ静カニシテ。外ノ様子ガオカシイワ」

エダ「?」

ッガァァァァァン ッガァァァァァン

レヴィ「何?」
163 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 23:29:41.55 ID:zyVSX6fa0
バラライカ「共和国派か?」

ボリス「そのようです。大尉殿」

レヴィ「うぅぅぅおぉぉぉ!!エダァ!!」

エダ「よっしゃぁ!!」

レヴィ「やろう!あたしらに手を出したバカたれにゃぁ…」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

エダ「それなりの覚悟をしてもらうよっ!!」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

バラライカ「そうね。軍曹、レヴィ達を援護しつつ、敵を殲滅しろ」

ボリス「了解しました。大尉殿」

ボリス「各班へ通達。教会外部に展開する敵勢力を、各個に襲撃。ポランスキー班は上空から援護しろ」ザザッ

ヴィソトニキ『了解』ザザッ

ロベルタ「草薙さまは、私の後ろに…」ガシャン

ソーヤー「…」ヴィィィィィィィィィィィン

リカルド「姐さん!加勢します!!」

ヨランダ「おやおや、こりゃ何だい…?」

ヨランダ「エダ!!」

エダ「げっ!シスター…!!」

ヨランダ「礼拝堂で酒を飲むなと言いつけておいたはずじゃないか?」

エダ「あ、あのそれはシスター…」

ヨランダ「ま、とりあえず後だ。そこの不信心者どもを、レテシメシの連中と同じ目に会わせてやらなくちゃね…」ジャキン
164 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 23:30:19.60 ID:zyVSX6fa0
【公社 医療棟】

トグサ「…と、言うわけで、ヘンゼルとグレーテルは」

荒巻「そうか。思っていたより、病状は進行していたのだな」

トグサ「はい」

赤服「それに加え、ヘンゼルは戦闘での負傷もありました。病状の度合いはグレーテルの方が速かったのですが、身体への負担はヘンゼルの方が大きかったと思われます」

荒巻「彼らの治癒は…」

赤服「はい。はっきり言って、最初から絶望的だったわけです」

トグサ「それで、少佐が…」
165 : ◆0Cw1O/qGmE [saga]:2011/11/28(月) 23:31:15.29 ID:zyVSX6fa0
【再び 暴力教会】

レヴィ「うおぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁ!!」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

ロベルタ「…」ドガガガガガガガガガガガガ

シェンホア「はいっ♪」ピシュン

ソーヤー「…」ヴィィィィィィィィィィィン

シェンホア「もう、怪我の具合、よいなったか?」

ヘンゼル「うん…。ねぇ、姉様」ジャキン

グレーテル「そうね、兄様」ズガガガガガガガガガガガガガガ

ソーヤー「ヨカッタワネ」

素子「村井ワクチンの効果は、やっぱりすばらしいわね。苦労して入手した甲斐があったわ」

素子『トグサ、聞こえるか?』

トグサ『はい、少佐』

素子『お前の妹と弟は、すばらしく元気になったぞ』

トグサ『はい』

素子『今、敵の襲撃を受けているが、彼女たちに任せておけば大丈夫だろう。応援は必要ない』

トグサ『了解しました。少佐、ありがとうございます』

素子『気にするな』

素子「それにしても、この銃弾の嵐。まるで流れ星のようにも見えるわね」

〜完〜
166 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/28(月) 23:32:12.74 ID:zyVSX6fa0
※御礼※

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。m(__)m
ひとまず、このSSはここで終了します。
また次回、どこかで見かけましたら、よろしくお願いいたします。

※反省※

実験的試みとして、似たような内容のSS2本立てとして書いてみました。
もう少し内容をアレンジできるかと思っていたのですが、イマイチだったかも知れません。
そのうえ、ニッチなSSは、メンバー変更により、さらにマニアックになってしまいました。

※最後に※

これ以上メンバー変更すると、スレッドタイトルの意味が完全に消失してしまいます。
三周目の構想もあるのですが、反省点にもある問題を解決できるか考えてみますので、
しばらくこのスレッドは休眠させ、適当なタイミングでHTML化の依頼をかけます。
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/29(火) 18:21:26.20 ID:pIeIVEzso

オモシロカッタヨ
168 : ◆0Cw1O/qGmE [saga sage]:2011/11/29(火) 22:42:22.14 ID:8AcbzKlg0
>>167
乙ありがとうございます。m(__)m
ところで…、そのしゃべり方…、ソーヤーさん…?
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