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偽新訳 とある魔術の禁書目録 2.5 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 19:55:12.78 ID:cydHv3Lb0


「久しぶり」


ヒーローは戻り、再び誰かの為にその右手を振るった。


こうして、「三人」は集結した。


新しい敵と戦うために。
本当の終わりをむかえるために。


「さっきからペラペラペラペラ。偉そうに語る前に、お前には頭を下げるべき人間に頭を下げるという大事な仕事があったんじゃないのか? ?ったく、一体何人泣かせているのやら」


その前に頭を下げないといけない人達がいる。


ずっと自分が嘘をついてきた人に。


戦場の中心部まで自分を救おうときてくれた人に。


「……新しい世界へようこそ、科学で無知な子供達」

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第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
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ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
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今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
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誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
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A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
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真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
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愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
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2 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 19:59:23.42 ID:cydHv3Lb0

本来ならここから新訳(ものがたり)は進んでいく。


科学で無知な子供達は新しい世界を知り、新たな戦いに気持ちを向けていく。


しかし、これは偽新訳(にせものがたり) 。



世界を救ったヒーローの意識をほんの少し “ 自分を救おうとしてくれた人 ” に向けた物語である。


これにより、進むはずだった道は少しの歪みをみせる事になる。


ヒーローは少年として、自分の気持ちと向き合う事になる。


「もう、ひとりじゃない」


これは、そこに到るまでの物語。


上条当麻は行く。ロシアまで来てくれた ” 電撃姫 ” に頭を下げる為に。

3 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:01:56.89 ID:cydHv3Lb0



〜 偽新訳
        とある魔術の禁書目録  
                                              2.5〜

序章   〜始まり〜




4 :if男 [sage]:2011/12/01(木) 20:08:42.98 ID:cydHv3Lb0
どうも初めまして。
初スレ立てです。
色々わからないところも多いので
アドバイスヨロシクです。

この物語は新訳2巻からのif分岐です。
序章の感じでわかったかもしれませんが
最終的には上琴です。
しかし、当分は上琴好きな人達はもやもやすると思いますのでご注意を。

では、
もう少ししたら
第一章を投下していきます。


5 :If男 [saga]:2011/12/01(木) 20:17:07.81 ID:cydHv3Lb0

上条当麻、一方通行、浜面仕上の三人はバードウェイにより今後の指針を考える為に一時の猶予を与えられた。


そして、主人公の1人である上条当麻は街である少女を捜していた。


(そういえば、昨日御坂には会えなかったよな)


昨日、学園都市に戻ったと同時に事件に巻き込まれ、その後に多くの人(おんな)と再開した上条当麻は、酔った頭であってもその中にいなかった少女に気がついていた。

6 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:18:33.36 ID:cydHv3Lb0

御坂美琴
学園都市が誇るLevel5の第三位。
学園都市の女性の中で最も強く、その中に弱い心を合わせもった女性。


会えば電撃を飛ばし、自販機を蹴り飛ばしていた、トンデモお嬢様。


自分のクローンの為に自らの命を投げ出そうとした、優しい少女。


助けを求めたくても、求められずに抱えこんでいた少女。


上条当麻がロシアで戦っていた時に、その最深部まで助けに来てくれた女性。
7 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:19:42.46 ID:cydHv3Lb0



(なんで来てくれたかはわかんねえけど、あれは助けに来てくれたんだよな。
  あんなところまで来てくれて、俺はその手を振り払ったんだよな……。
  まぁ、何はともあれまずは会ってからだな)


上条当麻はとりあえず、第七学区をまわっていた。

第七学区は御坂美琴との遭遇率が高いからだ。


色々な所を周り、最後にもう一度この “ 上条当麻 ”  が初めて御坂美琴と出会った公園に行くことにした。


そこには、茶髪の髪を肩までのばし、常盤台中学の制服を身に纏った、上条当麻の日常の一ピースである少女がいた。
8 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:20:44.81 ID:cydHv3Lb0



こっちに気づいたのか、満面の笑みを浮かべて手を振っていた。


その行動に若干の違和感を覚えながらも、帰ってきたという実感を持ちながら、手を振りかえそうと手を挙げると、


「光輝〜〜〜」


その瞬間、上条当麻の横から爽やかオーラを撒き散らす長身の男が現れた。


その男は美琴のもとまで真っ直ぐに進み、彼女との会合を果たしていた。


「すみません、御坂さん。
  待ちましたか? 」


「ううん。今、来たばっかりだから。  それじゃ、行きましょ」


このやり取りの後、美琴は男の腕に腕を絡め二人で去って行った。
9 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:22:12.57 ID:cydHv3Lb0



そして、上条は手を挙げたままその場に取り残されていた。


(…………え? 
  あれ海原だよな?  何? あの二人そういう関係?  何、あのピンクいオーラ?  いつから? 最後に会った時はまだだったよな。
  いや、御坂さんデレすぎでしょ。あなた、私に会った時はいつも電撃撃ってきてたでしょ。  あんなの御坂じゃない)


上条はもやもやとしていた。
一瞬の出来事で大量の情報が上条の頭の中を駆けめぐった。
しかし、そのもやもやを振り払うかのように頭を振った。


(いや…… あいつが誰と付き合っていようと、俺を助けに来てくれたのは間違えようもない事実だ。  しっかり、頭を下げないとな)


上条はもやもやを押し殺し、再び美琴に会う為に歩きだした。

それでも、足取りは重かった。

それが何故かは、上条にはわからなかった。

今、上条は押し殺した気持ちが何なのかはわからなかった。

その押し殺した気持ちが嫉妬だというのは、上条は知らなかった。

10 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:22:59.43 ID:cydHv3Lb0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「…いた」


上条はあの後、二人を追いかけて追いついていた。

今、美琴は野外ホットドッグ売り場の近くのテーブルに1人で腰掛けていた。


海原は飲み物でも買いにいっているのだろう。


(あの話は、海原がいない時のほうがいいよな)


上条は美琴に声をかけるために近づいて行く。
そして、

11 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:23:58.16 ID:cydHv3Lb0


「よっ、御坂。久しぶり」


「……誰よ、あんた? 」


美琴は訝しいものを見るかのように返した。
上条は予期していなかった返事に戸惑いながら


「いや、誰って…上条さんですよ」


「だから誰よ? 上条って。
  何? 新手のナンパ?  悪いけど、私待っている人がいるから」


美琴は手をヒラヒラさせて、さっさと帰れ。と言うかのように言葉を返した。

さすがの上条も、この態度には苛立ちを感じた。
若干、言葉が刺々しくなりながらも


「おい、御坂。  いくら彼氏がいるからって、そんな態度はないんじゃないか?  冗談にも程があるぞ」

12 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:24:45.60 ID:cydHv3Lb0



「だから、私はあんたの事なんて知らないって言ってるでしょ。  いいかげん消えてくれないと、焼くわよ? 」


美琴は額あたりに紫電を走らせて脅しをかける。


「だから、俺はお前に話しがあるだけって


「あぁ、もう。 うざい‼ 」


上条が話している途中で美琴は上条に向けて電撃を撃ち出していた。
手加減しているのか、いつもよりも威力は弱めだが、それでも人1人気絶させられるぐらいのものだった。


その電源に向かって上条は反射的に右手をかざしていた。
記憶を失くす前からうけてきた電撃だったので身体が覚えていたのだろう。

そして、右手にぶつかった瞬間に電撃は甲高い音を出して打ち消されていた。

13 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:25:35.24 ID:cydHv3Lb0


「何よ、今の?  あんた何の能力者よ。 上等じゃない。今から勝負よ。勝負」


美琴は自分の電撃が打ち消され驚きはしたようだが、すぐに交戦的な態度を表にだしてきた。


「おっ…おい、御坂、落ち着け。 何か誤解してるぞ」


上条は誤解を解こうとして、とりあえず電撃を止めようと美琴に向かって右手をだしていた。


が、その右手は美琴に届く前に第三者に掴まれていた。


「私の彼女に何か様ですか? 」


海原光輝だった。

海原は顔に笑みを貼り付けてはいたが、眼だけは笑っていなかった。


「とりあえず、今回は手を引いていただけませんか?  こちらとしても、手荒な事はしたくありませんので。  では、行きましょうか、御坂さん」


海原はそう言うだけ言い、美琴の手を引き去っていった。


またもや、取り残された上条は呆然とした中で一言だけ呟いた。



「……忘れてる? 」

14 :if男 [saga]:2011/12/01(木) 20:26:15.70 ID:cydHv3Lb0



第一章       〜御坂と海原〜


15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/01(木) 20:36:48.99 ID:jDPOME8I0
キャラ名間違いも一人称間違いも二次創作SSとしては致命的だぞ
16 :if男 [sage]:2011/12/01(木) 20:36:54.95 ID:cydHv3Lb0

という訳で一章は終わりです。
先に言っておきます。
この海原さんは本物の海原さんです。
そして、結構ゲスくなる予定です。

最終的には上琴なのでヨロシクです。

えっと、この物語は新訳2巻の内容から美琴を抜かしたものです。
なので、上条さんはロシア後美琴に一章で初対面しています。

最後に、自分はスパイス強いのが好きなので当分は上琴要素がまったくありません。
でも、スパイス強いのの後に甘いものって一際甘だつと思いません?

一応書き溜めもあるので、必ず完結させたいと思います。
それでは、次回もヨロシクです。
17 :if男 [sage]:2011/12/01(木) 20:45:21.10 ID:cydHv3Lb0

失礼いたしました。

海原光 “貴”

彼の一人称を “僕” に脳内補完お願いします。

今後もこういったミスがあると思いますが、
こういう風に指摘していただけると嬉しいです。
18 :if男 [sage]:2011/12/01(木) 20:49:56.44 ID:cydHv3Lb0

なんどもすみません。

海原さんの一人称は “自分” でしたね。

勉強してきます
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/01(木) 20:52:08.94 ID:jDPOME8I0
海原一人称は僕でもなく「自分」な
あと、美琴が上条を呼ぶ時はアンタ(カタカナ)
誤変換とかカギカッコ閉じ忘れとか細かいミスが多くて損してるから書き溜めの見直しした方がいいかも

完結目指して頑張ってくれ
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 21:56:35.57 ID:58ghywNNo
書かないやつがあーだこーだ言っても仕方ないけど
頑張ってください
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 22:34:45.79 ID:uDD6QozAO
もっとがんばれ
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/01(木) 22:47:53.94 ID:pMa7T+lqo
乙なんだよ!
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/01(木) 23:18:07.22 ID:zZTvM2vqo
続きを……続きを……
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 02:19:32.32 ID:E24PhnUIO
最終的に上琴になるのはいいとして、もしかしてそれまで海琴のイチャイチャを上条さん視点で読まんといかんのか…?
だとしたら俺にはキッツイわー
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 09:09:12.73 ID:0+XArQfAO
なんか上条さんキモイ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/02(金) 12:07:14.87 ID:DWwSSXFs0
本物の海原の一人称は何でも良いんじゃないの?
エツァリじゃないんだし明確な一人称も無かった気がするんだが…あったっけ?

何はともあれ乙!がんばれ
27 :if男 [sage]:2011/12/02(金) 15:28:11.20 ID:WfWiozZIO
皆さんコメントありがとうございます。
とても嬉しいです。
ただいま、書き溜めている途中なのですが
どうも筆が進みません。

一応、二章は終わっているのですが
ある程度余裕ができて投下したいので…

明日、明後日には短いですが二章のほうを投下いたしますのでヨロシクです。

>>24 海琴のイチャイチャはもう書けません。原典読んでる気分になるので。今回は現状を知ってもらう為に書きましたが。
>>1は自分から地雷を踏みに行くような変態なので、すみません。

>>25 すみません。実力不足です。当分は上条さんの心象がうじうじになるので更に違和感がでると思いますが、最後は男として熱い男って感じにもっていきたいと思っています。

後、安価はこれで大丈夫でしょうか?
心配です。

では、書き溜めに戻ります。

28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/02(金) 17:42:05.59 ID:Am4F3llV0
>>26
エツァリは成りすましのために海原と同じ「自分」を使っていて、
本来のエツァリの一人称の方が明確でない
29 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:08:15.45 ID:Q2ZiZRkv0
どうも、>>1です。

短いですが投下します。
第二章です。


…ミサカ口調が難しい…
30 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:08:46.19 ID:Q2ZiZRkv0


浜面仕上は歩いていた。
今後の戦いにむけて、どうすればいいか考えていた。


ロシアでの戦いを通して、一回り、二回りも成長した浜面は悩んでいた。


滝壺の身体は治せた。
麦野とも和解できた。
ロシアにて素養格付を手に入れて、学園都市相手に交渉した。


やっと、平穏な暮らしを手にできたと思った矢先に、新たなる敵が現れた。
31 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:09:52.64 ID:Q2ZiZRkv0

自分達に関係ないなら、手は出さなかっただろう。

しかし、巻き込んでしまった。
駒場とフレンダの忘れ形見であるフレメアを。

暗部を再結成させるという下らない目的の為に。


浜面は大切なものの為ならなんでもする男だ。
不可能を可能にする男だった。

しかし、今はその気持ちと一緒に恐怖もあった。
32 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:10:37.40 ID:Q2ZiZRkv0


魔術。
超能力とは違う知らない法則。
ロシアでその一端に触れはしたが、それでも訳がわからないものだった。


(俺はあいつらを守れるのか……)


右手に異能を打ち消す力があるわけでもない。
学園都市の第一位というわけでもない。
何の力もない無能者だった。

まったく知らない力。
科学も魔術も取り入れた新しい敵。

恐怖を持つのも無理はなかった。
33 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:11:57.61 ID:Q2ZiZRkv0


そんな事を考えながら歩いていた先に、これから長い関係になりそうなツンツン頭の男が立っていた。


第一印象は最悪だった。
たった、1人で大勢いた自分の仲間達から女を助けだし、自分をぶん殴った男。


そして、その最悪の出会いが自分の人生の転機になった。

あの男の言葉があったからこそ滝壺を守れた。
あの言葉があったからこそ、今生きている。


あの男なら俺がどう進めばいいか教えてくれる気がする。


その思いを胸に浜面はその男に声をかけようと近づいていった。

34 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:12:36.99 ID:Q2ZiZRkv0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


上条は先程のやり取りの後、少しずつ冷えていった頭で状況を整理していた。


(御坂のあの反応は間違いなく俺の事を忘れていた。 記憶喪失か?  でも、ただの記憶喪失なら、あの先生が確実に治しているはず。 それとも、何かに巻き込まれたか…。 それか脅されているか。 御坂を脅せる相手となると、上の相手。 統括理事会か……。
  とにかく、情報を集めてみないことには何もいえないな。
まずは御坂の身近な人間からかな)


上条は幾多の経験を積み、状況整理や分析の力をつけていた。

そんな時に後ろから声をかけられた。
35 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:13:10.05 ID:Q2ZiZRkv0


「よう、大将。 奇遇だな」


浜面仕上だった。

上条からみても、浜面の第一印象は最悪だった。
件の少女の母親を拉致して、殺そうとしていた男。

しかし、あれからどう改心したかはわからないが、今は自分の味方であった。

先のラジオゾンデ要塞の件では彼がいなかったら、多くの犠牲がでていただろう。

まだ彼の事はよく知らないが、彼とは長い付き合いになるだろうと直感していた。
36 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:13:48.03 ID:Q2ZiZRkv0



「おう、浜面か。 こんなところでどうしたんだ? 」


「それはこっちが聞きたいぜ。 どうした? そんな怖い顔して。 また、なんかあったのか? 」


上条は浜面が言うように顔を顰めていた。
事件があったかと思う程の本気の顔をしていた。


「いや……、ちょっと…な」

「何があったんだ? 相談にならのるぜ? 」
37 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:14:35.89 ID:Q2ZiZRkv0


浜面は自分の事を聞いてもらおうと上条に話しかけた。

しかし、その男が何か悩んでいる。

なら、それを聞こうではないかと。

自分の悩みは後でもいい。

もしかしたら、この男と一緒にいる事で答えが見つかるかもしれないから。


「…知り合いが何かに巻き込まれてるかもしれないんだ。 まだわからないけど」


「そうか。それでその知り合いを助けたいって?  いいぜ、協力する」


「いや、まだ巻き込まれたとも限らないし。 それにこれは俺の問題だしな」
38 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:15:18.54 ID:Q2ZiZRkv0


上条の行動原理は必ず他人が絡んでいる。

それがこの男の強さかと浜面は思う。

それらの事が知りたいが為に浜面は上条と共に行動する。

「大将には、デカイ借りがあるしな。気にすんな。くんなって言っても着いていくぜ」


図々しいかもしれない。

それでも上条のように1人で背負いこもうとする男には、こういった強引さが必要なのかもしれない。
39 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:15:54.63 ID:Q2ZiZRkv0


「それじゃあ、宜しく頼むよ。浜面」


「それで、どうするんだ? 」


「まずは、あいつの近くの人間に会いに行く」


「OK。 足は任せろ。それで誰に会いに行くんだ? 」


「……ジャッジメントの白井黒子って奴だ」
40 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:16:42.55 ID:Q2ZiZRkv0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それで、そのジャッジメントは何処にいるんだ?」


「………ジャッジメントって何処にいるんだ⁇ 」


「知るか‼ 自信満々に言ってたから居場所知ってるもんだと思ってたよ。 知らないならどうやって捜すつもりだったんたよ⁉ 」


「そりゃぁ……歩いて? 」


「疑問形⁉ 行き当たりばったりじゃねえか‼ 」
41 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:17:21.47 ID:Q2ZiZRkv0



現在、上条•浜面コンビは白井黒子を捜して学園都市を彷徨っていた。


先程、浜面は 

「足は任せろ」

と言い車を調達してきていたのだが、その調達方法がいつも通りの無断借用だったので、上条が

「 ジャッジメントに会いに行くのに盗難車で行くなんて何考えてんだ 」

 と、至ってまともな正論と魂の右ストレートを浜面にぶつけたので、今は徒歩で彷徨う事になっていた。
42 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:18:00.94 ID:Q2ZiZRkv0


「ってか、ジャッジメントに会うなら支部に行くのが一番だろ。  この辺でいちばん近いのは……177支部だったかな」


「詳しいな、浜面」


スキルアウト時代はアンチスキルのお世話になる事が多かった浜面であったが、ジャッジメントのお世話になる事もそれなりに多かったので、そのへんの事情は詳しいのであった。


こうして、浜面の案内によりジャッジメント177支部に到着した上条と浜面は白井を呼び出す事にした。
43 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:18:59.13 ID:Q2ZiZRkv0

「すみませーん」


上条が扉をノックして数秒。

中から随分とスタイルの良い眼鏡をかけた女性がでてきた。


「はい。何のご用でしょうか? 」

「すみません。 こちらに白井さんはいますでしょうか? 」

たどたどしい敬語で上条はその女性に尋ねていた。

その頃、浜面は

(でけぇ‼ このねぇちゃんでけぇ。滝壺よりでけぇかも……。 眼福眼福)

と、浜面はどこまでいっても浜面だった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「むっ……。なんかはまづらをお仕置きしなくちゃいけない気がする」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
44 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:19:44.53 ID:Q2ZiZRkv0


「白井さんにどういったご用件でしょうか?」


「少し、白井に聞きたい事があって……」


「あっ、白井さんの知り合いの人?  ちょっと、待っててね」


そう言って、眼鏡の女性は中に戻っていった。

数分後、再び扉が開いた。

「はいはい、どちら様ですの……?」

「よっ、白井。久しぶりだな」

中から出てきた、ツインテールの少女は外にいた男の姿に驚愕し

「類…人猿……。 どうしてここにいるんですの?  」

「よかった。 お前は俺の事忘れていないようだな」

白井はその言葉に目を見開き

「……少し外に行きましょう。 ここでは話しにくいことですので」

そこには、いつも突っかかってくる少女はいなくて絶対に目を合わせようとしない少女がいた。
45 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:22:02.05 ID:Q2ZiZRkv0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「それで、そちらの殿方はどちら様ですの?」

「ん? あぁ、俺の事なら気にしなくていいぜ。それより、上条の疑問に答えてやってくれよ」


「そうおっしゃるなら……。
   では、上条さん。あなたが聞きたい事はわかっていますの。 ですが、先に言っておきます。 その質問に答える事はできませんの。 私から言える事は、もうお姉様に関わるのはおよしになって欲しいと言う事だけですの」

「……っ。 どういう事だよ、白井。お前達は何かに巻き込まれているのか? 」

「別に何も巻き込まれていませんの。 もう詮索するのもお止めになってくださいまし。 お姉様は今、幸せなんですの」
46 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:23:09.82 ID:Q2ZiZRkv0

「それじゃあ、なんでお前はそんな顔してるんだよ。 何を耐えるような顔してるんだよ。 俺はお前達の力になりたいんだ‼」


白井は未だに目も合わせようとせずに、今や身体はプルプル震えていた。

しかし、上条の言葉を聞いた瞬間に顔を上げ気持ちを爆発させていた。

「いったい……。 いったい、誰のせいでこんな事になっていると思っているのですの⁉ いったい、誰がお姉様を壊したと思っているんですの⁉ 貴方はいつも、無責任な事ばかり言って。誰がお姉様の世界をぶち壊したと思っているんですの⁉ 」

ひとしきりぶちまけた後、白井はハッとし、顔を再び背け

「失礼しました。 言い過ぎましたの。 では、私は職務がありますのでこれで失礼いたします。 どうか、お姉様の事を思っていただけるのならば、そっとしておいて下さいまし」

白井はそれだけ言い、逃げるようにテレポートした。
白井は最後まで上条と目を合わせようとせずに、帰り際の顔は今にも泣きそうであった。

47 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:23:52.85 ID:Q2ZiZRkv0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それじゃあ、俺の方も調べてみるよ。 何かわかれば連絡する。 嬢ちゃんによろしくな」


「今日はありがとな、浜面。助かったよ」


時は夕暮れ。
上条と浜面は解散するところである。

「上条。 お前はもっと人を頼れ。今、すごい顔してるぞ」

浜面はそう言い残し、その場を後にした。


上条は白井の一言が心に突き刺さっていた。
48 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:24:29.38 ID:Q2ZiZRkv0


〜誰がお姉様の世界をぶち壊したと思っているんですの〜


その一言が頭の中をぐるぐる駆け巡っていた。

そんな時、視界の端に中の良さそうなカップルを捉えた。

長身の爽やかな男と茶髪が肩までかかった女の子。

件のカップルであった。


その姿を見た時、上条の心はズキリと痛んだ。

この時は、約束を守れなかった罪悪感で痛んだものだと思っていた。

この時までは。



(俺は……。お前に合わせる顔がない)

この時、上条が誰に向かってこの言葉を思ったのかは誰にもわからない。

上条以外には誰にも……。

49 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:25:18.55 ID:Q2ZiZRkv0






第二章   〜浜面と白井〜 





50 :if男 [saga]:2011/12/04(日) 18:30:37.51 ID:Q2ZiZRkv0

…という事で第二章は終了です。


うーん。上条さんがとても難しいです。
絶賛病み期に入ってると思って暖かい目てみてやってください。

後、ミサカ口調のアドバイスと本編の指摘、アドバイスをヨロシクです。

では、また次の機会に。
最長でも三日後までには来ます。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 19:06:20.87 ID:z9VlOmSbo
美琴が海原とくっついても上条さんならしれっと、「よかったなー」とか言いそうww

とはいえ乙!
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 21:11:16.38 ID:EB08ssQn0
そんな風にしれっと言いそうな上条さんがこの先デレてくれるなんて最高じゃない

てことで続き楽しみにしてます 乙!
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/04(日) 23:39:32.99 ID:gTT5UT8co
乙!
54 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:47:03.53 ID:TNeEG5IK0
コメントありがとうございます。
>>51 >>52 上条さんのデレはもうちょい先ですね。
まだまだ病み期は続きます。 色んな人に支えてもらえる上条さんは不幸でも幸せなんだと思います。


前回の投下で□になってる部分は!?だったり??などの記号です。
今後もそういったミスがあるかもしれませんがお許しを。

では、第三章投下します。
55 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:48:23.16 ID:TNeEG5IK0

「ただいま。インデックス、いるか?」


「おかえり、 とうま。 短髪には謝れた? 」


上条が家に帰るとそこには白い修道服を着たシスターがいた。


上条がずっと守ってきた少女。
そして、ずっと嘘をついてきた少女。

上条を語る上では彼女の存在は外せない。

“ 上条当麻 ”  始まりの少女である。
56 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:49:01.86 ID:TNeEG5IK0

十万三千冊の魔導書をその身に宿し、過酷な運命と戦っていた少女。

彼女を救う為に上条当麻は戦った。

戦い抜いた先にあったのは一つの “ 死 ” であった。

上条当麻は彼女を守り “ 死 ” んでいった。

新たな上条当麻が生まれ、一番初めに思ったことは

インデックスの涙を見たくない。

だった。
57 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:49:39.60 ID:TNeEG5IK0

上条は心のおもむくままにインデックスを守ってきた。

彼女に責任を感じさせない為に自分を偽り暮らしてきた。

これは彼女の為だと思い周りに嘘をつき続けていた。

しかし、それこそが偽りだった。

上条はインデックスが自分のもとから去って行くのが怖かった。
58 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:50:28.31 ID:TNeEG5IK0

それを戦いの中で自覚した上条はインデックスに全てを独白した。

必ず帰ると、お前の前で頭を下げると。

そして、上条は日常の中に帰ってきた。

そこにはインデックスがいた。
上条を迎えてくれた。

上条はインデックスに頭を下げた。
これ以上ないくらい謝った。
59 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:51:09.71 ID:TNeEG5IK0
インデックスは笑って許してくれた。

「もう、いいんだよ。 とうまは帰ってきてくれた。それで充分だよ 」

と。そして、

「これからは、私に嘘をつくのはやめてほしいな」

とも。

だから、上条はインデックスに話した。
もう1人謝らなければならない相手がいる事を。
自分を助けにきてくれた事を。
その人も自分の大事な一ピースであることを。
60 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:51:59.89 ID:TNeEG5IK0

上条は噛まれるだろうと思っていた。
いつもなら噛まれていた。

しかし、いつまで経っても噛みつきがくる事はなかった。


インデックスは悟ったような目をしていた。

上条はインデックスのその姿を見た時、言葉を失っていた。

その姿はまるで聖女のようで、彼女がシスターだと再確認できた瞬間だった。
61 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:52:39.80 ID:TNeEG5IK0


「とうまは短髪に謝らなくてはいけないんだよ。 そして、自分の心を見直してくるといいかも」

そう言ってインデックスは上条を送りだした。

「いってらっしゃい」

インデックスはその言葉にあらゆる意味を込めた。

彼女もまた第三次世界大戦にて成長したのであった。
62 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:53:22.67 ID:TNeEG5IK0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「とうま、どうしたの? ひどい顔してるよ」


「…インデックス。 俺、謝れなかったよ。お前にも送りだしてもらったのに……」


「とうまらしくないんだよ。 何があったか話してみて? 」


上条は話した。
美琴に会いに行ったら、別の男がいた事。
美琴が自分の事を覚えていなかった事。
ある男との約束の事。
そして白井から言われた一言。
63 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:53:59.62 ID:TNeEG5IK0

「本当にどうしたの? とうまらしくないじゃなくて、とうまじゃないみたいなんだよ」


「どういう事だよ。俺は俺だろ? 」


「いつものとうまなら、こんなにうじうじしてないんだよ。
   いつものとうまなら、その幻想をぶち殺す。とか言って、しなくていい怪我までして問題をかたずけちゃうんだよ」


「…今回は違うんだ。 進むべき道が見つからない。どうすればいいかがわからないんだ。
   それに……なんか…痛いんだ」


心が…とは続けなれなかった。

上条自体、何故痛いのかがわからなかったからだ。
64 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:54:33.38 ID:TNeEG5IK0

しかし、インデックスにはわかってしまった。彼の心の奥底に誰が息づいているのかが。

否、わかっていた。
今の上条当麻と最も長くいたインデックスだからこそ、上条よりも先に気づいたのだ。


「ううん、 今までと何も違わないんだよ。 短髪は何かに巻き込まれてる。 とうまはそれを救う。 それで全て解決なんだよ。 道がわからないなら、私が導いてあげるんだよ」


私はシスターなんだから。とその後に続けた。
65 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:55:34.24 ID:TNeEG5IK0

今までさんざん助けてもらった。
救ってもらった。

今の上条を真の意味で救う事はインデックスにはできない。
でも、上条を導く事はできる。

インデックスの気持ちは決まっていた。


「とうまの何が痛いのか、私にはわかるんだよ。
  でも、それはとうまが自分で見つけないといけないもの」
66 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:56:06.91 ID:TNeEG5IK0

そう。
上条に答えを教えるのは簡単だ。

でも、それでは繰り返しにしかならない。


「自分に嘘をつかないで、とうま。  私はとうまの味方なんだよ」


上条はこの時、心の底から思った。


「さぁ、答えを見つけに行くんだよ」


(あぁ。インデックスがいてくれてよかった)


心のつっかえはとれなかったが、心は軽くなった。
なぜなら、上条には自分を支えてくれる相棒がいるから。


「ありがとな、相棒。
   ……飯にしようか?」
67 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 19:56:42.93 ID:TNeEG5IK0





第三章   〜インデックス〜




68 :if男 [saga]:2011/12/05(月) 20:02:37.33 ID:TNeEG5IK0
という所で第三章終了です。

やっぱ、上条さん書くならインデックスは必要ですよ。って事でウジ条さんを導いてもらいました。

しかし、まだまだ根本的な解決にはなってません。これからもほどよく生暖かい目で見てやってください。

続いては第四章ですが、上条さんでません。
上条さんがお説教されてる間の別の人にスポットライトを当ててみました。
恐らく、次も長くて3日後でしょう。

では、感想、指摘、アドバイス、ヨロシクです。


69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 20:44:48.72 ID:naC2Dh8N0

ウジ条さんとは珍しい
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 21:43:48.19 ID:zDbbr4Ct0
病み条+鬱条=ウジ条??


そんなに酷くないかw
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/05(月) 23:45:37.56 ID:ZVHGXaKEo
乙なんだよ!
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/12/05(月) 23:46:00.31 ID:9bP3ZrnB0
これは期待
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(宮城県) [sage]:2011/12/06(火) 00:12:44.03 ID:+x2P+708o
乙ー。なかなかwktkできるSSですな

とりあえずブクマしとこ
74 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:15:25.77 ID:uKYpKpq/0
どうも。
皆さん、コメントありがとうございます。
すごい励みになってます。

さて、本日も時間ができたので投下させていただきます

では、第四章をどうぞ。
75 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:15:54.82 ID:uKYpKpq/0

御坂美琴は苛立っていた。


「何よアイツ。 なんで私の能力が効かないのよ」


楽しいはずだったデートはあの男の所為で台無しだった。


それほどまでに美琴の頭の中はあの男の事でいっぱいだった。
76 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:16:27.37 ID:uKYpKpq/0


自分の事を知っていると言っていた知らない男。

自分の磨き上げてきた超能力をいとも簡単に消した男。


「あーもぅ。イライラするー。 なんなのよアイツー」


思い出すのは終始あの男の姿。

あのツンツン頭。

あの右手。

あの顔。

そして懐かしいあのやりとり。
77 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:16:59.17 ID:uKYpKpq/0


「ん? 懐かしい?  なんで、懐かしいんだろう。 アイツとはあれが、初めてだったのに」

そういえば、なんで初対面の男の事をずっと考えてるんだろう? と美琴は思う。

それを考えている間に軽く漏電している事にも気づかない。
78 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:17:30.99 ID:uKYpKpq/0


「そういえば、アイツに会った後のデートはドキドキしなかったな」

いつもは、ドキドキしていたはずだ。

長かった初恋が叶ったのだ。

叶った時は嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。

なのに、あの男に会った後はその男の事が頭から離れない。


きっと、今ここで鏡を見ていたなら美琴は驚いていただろう。

何故こんなに自分の顔は赤く染まっているのだろう…と。


「ほんとに、誰なのよ。アンタは……」


美琴は今ここにはいない男にむかって呟いた。
79 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:18:10.98 ID:uKYpKpq/0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「お姉様……」


白井は風紀委員の職務を終え、寮への道程をとぼとぼと歩いていた。

思い返すのは今日の出来事と大切なお姉様である御坂美琴の事。


いつかは上条が自分のもとへやって来るとは思っていた。
ただ、少し時期が早かっただけだ。
80 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:18:38.71 ID:uKYpKpq/0


上条当麻。

お姉様の思い人だった男。

お姉様が唯一本来の自分をさらけ出せた男。

お姉様の絶望を払い除けた男。
81 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:19:07.48 ID:uKYpKpq/0


8月21日。

あの日、確かにお姉様の様子は変わった。

あの日以前は、何かに追い詰められたかの様に憔悴していたお姉様。

しかし、あの男が寮を訪ねてきたその日の内にお姉様はいつもの笑顔を取り戻していた。

白井の大好きなお姉様に。


そのお姉様があの男を追いかけていった事はわかっていた。
82 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:19:46.43 ID:uKYpKpq/0


あの二人が自分とは違う世界で戦っていたのも知っていた。

だが、帰ってきたのはお姉様一人だった。

それも大好きなお姉様ではなく壊れたお姉様。


あの男は白井に問いた事があった。

「俺は御坂の世界を守れているか? 」

……と。


お姉様が帰ってきた時にわかってしまった。

あの男はお姉様の世界を守れなかったのだと。
83 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:20:15.00 ID:uKYpKpq/0


そして、お姉様は偽りの幸せを手にいれてしまった。

最近見るのは、偽りのお姉様。

それでもいいと思ってしまった。

お姉様が幸せなら黒子も幸せだと……。


しかし、帰ってきてしまった。


現状を打破できる力を持った男が。

再び、お姉様を不幸にしうる可能性のある男が。


それでも、白井はわかっていた。
お姉様を真に幸せにできるのはあの男だと。


白井黒子は今日も帰る。偽りの幸せをてにいれたお姉様のもとへ。


「お姉様……。黒子はどうすればよいのでしょうか…」
84 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:20:44.77 ID:uKYpKpq/0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


第七学区  某所


「…はい。 今回は報酬もありますので」


暗がりのなか、海原光貴は何者かと電話していた。

その顔にはいつもの薄ら笑いが浮かんでいた。
85 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:21:10.27 ID:uKYpKpq/0


「いえいえ、まだです。 その時がくれば、こちらから連絡いたしますので」


自分と美琴の前に現れた邪魔者。
目の上のたんこぶ。

その邪魔者の所為で今日のデートは散々なものだった。

美琴は優しいから表にはだしていなかったが、昔から好きだった海原にはわかっていた。

美琴があの邪魔者の事を気にしていた事を。
86 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:21:39.96 ID:uKYpKpq/0


しかし、海原に抜かりはなかった。

この時の為に進めていた計画をついに実行する時がきたのだ。


「えぇ。 では、狩りを楽しみましょう」


パタン。

海原は携帯を閉じ、薄ら笑いを増大させた。
87 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:22:11.77 ID:uKYpKpq/0


元々海原は気に入らなかった。

何故自分ではなくて、あの邪魔者なのだろうと。

自分は大能力者。あの邪魔者は無能力者。

それに自分は常盤台の理事長の息子でもある。

客観的に見ても自分のほうが優良物件である。

それなのに何故……と。


しかし、その悩みももうすぐ終わる。

あの邪魔者が消えるのも時間の問題だ。


「さぁ、その日が楽しみですね。 上条さん」


海原の笑みは消える事が無かった。
88 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:22:40.31 ID:uKYpKpq/0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


上条と別れてからも浜面は寝床へと帰らずに外をブラブラしていた。

何かしら今回の件の手がかりを捜していたのだ。

すると、後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。


「おーい、浜面」


「なんだ服部か。 どうしたんだ? 」
89 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:23:08.39 ID:uKYpKpq/0


服部半蔵。

浜面のスキルアウト仲間であり、最近も共に駆けた友達だった。


「なんだとはなんだよ。 
   …って、そうじゃなくて、ちょっとお前の耳にいれときたい事があったんだよ」


「どうした? 何かあったのか? 」


服部は浜面にとって信用できる男だ。
その服部が真剣に話しを持ってきたという事は、それに値する何かがあったのだろう。

浜面はその話を聞く為に頭を切り替え服部の言葉に耳を傾けた。
90 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:24:28.99 ID:uKYpKpq/0

「いいか、浜面。 よく聞けよ。 無能力者狩りが再び始まった。
   しかも、恐らくだが首謀者は前回と同じだ。 手口がほとんど変わってない。
   駒場が殺られた後、どっかの誰かが無能力者狩りをぶっ潰してくれたのは良かったんだが……。
  どうやら、首謀者は上手く逃げていたようだ」


「なん…だと…。 ちくしょう、ふざけやがって。 許せねぇ」


駒場利徳は生前、無能力者狩りを潰そうと試みていた。

その試みは半ばのところで、駒場の死というもので潰えてしまったが。

その試みには浜面も絡んでいた。
浜面は無能力者だ。
自分に無いものを持っている能力者は妬みの対象だった。
その能力者が、自分と同じ無能力者を狩りの対象にしているのが許せなかった。
91 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:24:56.05 ID:uKYpKpq/0

今としては、能力者に対する偏見は無くなりはしたが、そういった無能力者狩りをするような屑共は浜面の怒りの対象だった。


「前回狙われなかったからって、今回狙われないとは限らないからな。 気をつけろって事が言いたかったのさ」


「糞っ。 なんでこう問題が次から次へと……」


「次から次へって……。 お前、またなんか巻き込まれているのか? 」


服部が呆れた様に聞いてきた。

その時、浜面はピンときた。
92 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:25:29.45 ID:uKYpKpq/0


服部はスキルアウトの中でも人脈はあるほうだ。
もしかしたら、今抱えている案件について何か知っているかもしれない。

浜面は藁にもすがる思いで聞いてみた。


「なぁ、服部。 お前、御坂美琴って知ってるか? 」


「御坂美琴って言えば、Level5の第三位様だろ?  この学園都市で知らない奴のほうが珍しいんじゃないか? 」


「まぁな。 それより、御坂美琴で何か噂とか聞いてたりしないか? ここ最近のやつで 」


すると、服部は何か心当たりがあるようで


「そういえば……、俺の仲間の中に御坂美琴が好きなやつがいてだな。そいつから聞いた話しなんだが………」


服部はその後の内容を浜面に耳打ちした。


「……何だよ……それ…」


その内容は浜面を驚愕させるものだった。
93 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:26:38.70 ID:uKYpKpq/0





第四章   〜それぞれの夜〜





 
94 :if男 [saga]:2011/12/06(火) 20:32:39.04 ID:uKYpKpq/0

という訳で第四章でした。

今回は上条さん以外の人物でしたね。
海原さんが美琴に恋していたという設定でお贈りしています。
あと、美琴の部分は違和感感じる人もいると思いますが、誤字脱字以外は第六章でわかりますのでそれまでお待ち下さい。

さて、次もやはり最長三日後ですね。
では、次の機会に。ヨロシクです。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/12/06(火) 21:25:59.94 ID:JtykXr1t0
本物の海原さんてだけでも珍しいのに、ゲスい海原さんとはまた新鮮な……

続きがたいへん楽しみですよ 
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 22:01:04.46 ID:tmaH9kbC0
乙!!
むむむ…海原さん=エツァリさんなの?それとも本物?
理解力なくてすまん…
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/06(火) 22:10:54.88 ID:Nh6Oot3Vo
乙なんだよ!
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/12/06(火) 22:52:30.19 ID:bsI7xXRY0
本物って上の方に書いてある
今後えっつぁんも出てくるのかな…

99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 00:52:52.55 ID:9ymNG9DU0
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/12/07(水) 17:24:01.67 ID:2OgwHNim0
乙!

確かエツァリでない海原は、原作じゃ能力使ってカンニングしたとかなかったっけ?
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 19:11:16.21 ID:EQXBNtyk0
>>98 ありがとう!
本物VS偽物で美琴にふさわしいのはってことで戦ってたら結果は上条さんの勝ちっていう・・・wwww
102 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:15:57.43 ID:b4/I1gUw0
どうも、皆さん。
コメント、レスありがとうございます。

皆さん期待のエツァリさんは次回登場です。
今回は二人 “妹” と “妹スキー” です。

では、五章をどうぞ。
103 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:17:04.11 ID:b4/I1gUw0

夜が明け、新しい朝がやってきた。

上条当麻は憂鬱だった。
インデックスに言われた事を一晩中考えてはみたが、答えは見つからなかった。

それでも、必ず夜がくるように朝もくる。

上条は今日も手掛りを求めて動きだす。
104 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:17:31.67 ID:b4/I1gUw0


「とうま。 別に今日、短髪に謝れって言ってるわけじゃないんだよ。 
   しっかりと考えて、その上で短髪を救ってきて。 謝るのはその後なんだよ」


「…そうだな。 ありがとう、インデックス。 
   いってくるよ」


やはり、上条にはいつもの覇気がなかった。
インデックスは上条の寂しげな後ろ姿を見送っていた。
105 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:18:05.96 ID:b4/I1gUw0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「さて、出てきたはいいけど……。 どうしよう…」


上条は無計画だった。
何も考えていなかった。

いや、考えるには考えていたのだが、これとは別の問題だった。

なので、とりあえず歩く事にした。 
何か手掛りになるようなものが見つかる事を祈って。

106 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:18:33.03 ID:b4/I1gUw0



しばらく歩いていると、見知った姿を発見した。

茶髪を肩まで伸ばし、常盤台の制服を身につけ、頭には軍用ゴーグル。
御坂美琴と瓜二つの顔を持った少女。

御坂美琴の軍用クローンである御坂妹だった。

御坂妹は上条に気がついた様でこっちに近づいてきた。
107 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:19:15.04 ID:b4/I1gUw0


「これは奇遇ですね、とミサカはあなたに挨拶します」


「おっ、御坂妹か? 」


「はい。 私は検体番号10032号のミサカです、とミサカはあなたに貰ったペンダントをチラリと見せます」


この御坂妹は10032号であるようだった。
108 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:19:51.43 ID:b4/I1gUw0


10032号。
一方通行の絶対能力者進化実験の最後の実験体であり、最も上条や美琴と関わりのある個体。

既存する個体の中では、最も長く生きている個体でもある。


「ん? そういえば、今日は調整か? 」


「いえ、今日は調整は無くフリーなので街を散策していたところです、とミサカは答えます。 ところで、あなたは何をしていたのですか、とミサカは問います」
109 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:20:37.75 ID:b4/I1gUw0


「俺は……」


そこまで言って上条は言葉を止め思考した。


(御坂妹なら美琴の事何かしら知っているかも……)


「俺はちょいと調べものをな…。 ところで、御坂妹は美琴の事について何か知らないか? 」


「はぁ…、お姉さまの事ですか……。残念ながら何も知りません、とミサカはお姉さまばかりのあなたに嘆息しながら答えます」


「そうか……、それならいいんだ」


御坂妹は一瞬、上条の顔に陰がさしたのを見逃さなかった。
110 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:21:15.95 ID:b4/I1gUw0


「もしかして、お姉さまの身に何かあったのですか、とミサカはあなたに問いただします」


「………実はな--------------」


上条は御坂妹に美琴の現状を説明した。

海原と付き合っていること。

上条の記憶を失っていること。

白井の様子。
111 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:21:43.65 ID:b4/I1gUw0

「ほう……、それは存じませんでした、とミサカは驚きを隠せずに答えます。  しかし、これはチャンスなのでは、とミサカはあなたに聞こえないように呟いてみます」


御坂妹はそう言いながらも表情を若干だが暗くさせていた。

後半には不吉な言葉を呟いていたが、なんだかんだで美琴の事が心配なのだろう。


美琴の上条への想いは知っていた。

何故なら、御坂妹も同じなのだから。
112 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:22:21.21 ID:b4/I1gUw0


その美琴が上条の事を忘れるなんて只事ではない。


御坂妹はミサカネットワークによって他の個体と脳波で繋がっていたので、ロシアであった事はある程度把握していた。

あの時、救いを拒絶された事で愛想をつかせたのか、と一瞬考えたがその考えはすぐにゴミ箱へと捨てた。

美琴の気持ちはそんな簡単に消せるものではない、と御坂妹は考えていた。

それなら……
113 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:23:10.31 ID:b4/I1gUw0

「では、ミサカのほうでも色々と調べてみたいと思います、とミサカは思考していた事を一時中断しあなたに提案します」


「ほんとか! ありがとな、御坂妹!! 」

と、上条は顔をパッてさせ御坂妹の手を握った。


「…っまたあなたは、とミサカは顔を赤らめて照れます」


「あっ、すまん。 つい握っちまった」

そう言うと、上条は握った手をすぐに離した。
114 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:23:53.81 ID:b4/I1gUw0


「…この鈍感、とミサカはあなたを侮蔑の目でみます」

「えっ、あの、えーと、ミサカさーん? 」


こんな感じに上条と御坂妹はその後を談話しながら過ごしていた。

そうしたら、上条のもとに一本の着信が鳴った。


「っと。悪いな、電話みたいだ」

「ミサカに構わずにでてください、とミサカはできる女を演じます」


携帯にはこう表示されていた。
115 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:24:35.13 ID:b4/I1gUw0


ーーーーーーーーーーーーーーー

着信

土御門  元春

ーーーーーーーーーーーーーーー
116 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:25:25.54 ID:b4/I1gUw0

かかってきたのは、高校の学友であり、お隣さんであり、科学と魔術を股にかける多重スパイでもある土御門元春だった。


「久しぶりだにゃー、カミやん。 元気そうで何よりだぜい。
   ところでカミやん、今暇かにゃー? 」


「……切っていいか? 」


上条がこう言うのも無理なかった。
土御門がこうして連絡してきた時は何かしらの面倒事を持ってきた時だった。
117 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:26:05.70 ID:b4/I1gUw0


記憶に新しいものでいえば、自宅に睡眠スプレーを撒かれてイギリスへ放り込まれた、と言うものがある。


「…御坂美琴、と言えばカミやんは電話を切るか? 」

「…な…に……。 どういう事だ、土御門!! お前が何か関わっているのか!? 」


土御門が上条に持ってきた案件は常に魔術側のものだった。
今回の件は科学側の事だと思っていた上条は、つい口調が激しくなってしまった。

(まさか、御坂を魔術側に巻き込んでしまったのか…)
118 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:26:51.91 ID:b4/I1gUw0


「そこんとこもキチンと説明してやるから、さっさと俺の部屋まで来るにゃー」


それだけ言うと土御門は電話を切った。


「おっ、おい! 土御門ォ!! 」


「どうやらまた問題事のようですね、とミサカは尋ねます」

「あぁ。 悪いけど俺行くよ…」

「えぇ。行ってらっしゃい、とミサカは別れを惜しみつつあなたを送りだします」


そうして、上条は自分の寮へと走りだした。
残された御坂妹は


「さて、ミサカはミサカのできることをするとしましょう、とミサカは次に自分がすべき事を考えつつ呟きます。」

119 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:27:25.07 ID:b4/I1gUw0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「おぉ、よく来たにゃーカミやん。 さっ、入るぜよ」


上条は土御門に促されるままに部屋の中に入った。
上条が口を開こうとしたら


「さて、カミやんが危惧している事だが……、今回は魔術側は関わってないから心配する事はないぜよ」


その言葉を聞いた瞬間、上条は全身から力が抜けた。

良かった、と。

しかし、そうなると疑問も残る。
120 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:27:57.21 ID:b4/I1gUw0


「それじゃあ、なんで土御門が御坂の事を? 」

「それはだな、俺の知り合いに御坂美琴の事が心配で心配でたまらないって奴がいてだにゃー。 一種のストーカーってやつぜよ」


ストーカーって……。と上条は一種の同情を美琴に覚えたが、そんなところじゃないと頭を切り替える。

「それで-----------」

「最後まで聞くぜよ。 そいつには後で会わせてやるから心配するなにゃー。
   俺が今日、カミやんを呼んだのは少し話しがしたかったからだ」
121 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:28:35.00 ID:b4/I1gUw0


急に口調が変わり上条は気を引き締めた。
土御門の口調が変わる時はとても重要な事を言う時だからだ。


「カミやんは俺の魔法名を知っているよな。  俺は舞夏の為に必要ならカミやんであったとしても背中から刺す。俺はそういう選択をした」

魔法名とは、覚悟を己に誓うという意味で名乗られるものだ。

土御門の魔法名は “Fallere825” 
意味は “背中刺す刃”
122 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:29:07.02 ID:b4/I1gUw0

その意味の通りに義妹の為なら誰であろうと敵になる。 己の犠牲もいとわない。 という覚悟がある。

「カミやんは近々そういった選択を迫られる時がくる。 どう転ぶかはカミやん次第だが…。
   カミやんは今まで手に届くもの全てを守ってきた。 その右手でな。だが、選択をしたら今まで通りにはいかなくなる。
   きっと、全てを守れなくなる。 それでも、カミやんは全てを守るのだと言うだろうが……」

上条はその右手で救えるものは全て救ってきた。
少し前には世界さえ救ってみせた。
しかし、上条はどこまでいっても人間である。
いつかは、救えないものがでてくるかもしれない。
   
123 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:29:57.65 ID:b4/I1gUw0
   
「だからこそ、これだけは言っておく。 心のどこかに留めておけ」

いつかは敵になるかもしれない。
いつかは裏切るかもしれない。
それでも、上条は土御門の親友だった。
その親友が背負い過ぎて潰れてしまう前に土御門は言わなければならなかった。
   
「自分の心を信じて進め。 決して自分を偽るな。 偽れば必ずお前は後悔する。 その後悔はお前の歩みを遅らせるぞ」
124 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:30:38.48 ID:b4/I1gUw0


上条はきっと選択をするだろう。
あのストーカーと会い、全てを知ってしまったら。
そして、自分の気持ちに気づいた時に。
   
「………、まぁ先に選択をした先輩からの言葉だと思ってくれぜよ。 まったく、こういうのは元々カミやんの役目だにゃー」

土御門はいつもの口調に戻った。
元々、土御門の柄ではなかった。
125 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:31:25.34 ID:b4/I1gUw0


「さぁ、言いたい事は言った。 その言葉をどうするのもカミやん次第ぜよ。
   これが、そのストーカーの居場所ぜよ。
    そこで、そいつが待っている」

土御門は通称ストーカーの居場所が書かれたメモを上条に手渡した。

上条はここまで、終始無言だった。
しかし、土御門の言葉は上条の胸に残っていた。
選択云々はまだ上条にはわからない。
恐らく、上条は変わらない。
それでも、いつかはこの言葉が上条の道を照らすだろう。
きっと近い未来に。
126 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:31:46.77 ID:b4/I1gUw0


土御門は上条を追い出すように扉を閉めた。

今の二人に言葉はいらなかった。

再び上条は走りだす。
土御門にもらったメモを握りしめて。

(ありがとう。土御門)

贈ってくれた言葉を胸に抱きながら。
127 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:32:34.32 ID:b4/I1gUw0






第五章  〜御坂妹と土御門〜

    


128 :if男 [saga]:2011/12/07(水) 21:37:01.88 ID:b4/I1gUw0
って事で第五章でした。

ツッチーが熱すぎるかもしれません。
でも、きっとツッチーは内面に熱いものを秘めていると思うのですよ。
だって、上条さんの親友ですから。

次回はお待ちかねのストーカーさんの登場です。
例によって最長三日後までには来ます。
感想、アドバイス、指摘ヨロシクです。

では、またの機会に。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(三重県) [sage]:2011/12/07(水) 21:39:15.90 ID:2OgwHNim0
乙!

アステカの魔術師って、あの後、上条さんが土御門に身柄を預けたんじゃなかったっけ?
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/07(水) 23:15:35.12 ID:ud0RfzX/o
乙なんだよ!
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/08(木) 00:07:16.88 ID:dFWdb8ps0
土御門はなんだかんだで友達思いだよな

132 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 13:16:11.73 ID:mCQMCIJjo
馬面って服部じゃなくて半蔵って呼んでなかった?
133 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:24:34.72 ID:ygw2K+i/0
どうも、皆さんコメント有難うです。

>>129 その後、暗部堕ちして新約時点では解体されたので動かせると思ったのですが…大丈夫ですよね?
まぁ、大丈夫じゃなくても頑張らせて頂きます

>>132 申し訳ありません。またやらかしました。
指摘有難うです。

今日はエツァリ登場です。
では、第六章をどうぞ
134 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:26:13.06 ID:LkcIO3GF0

「お久しぶりですね、上条さん」

薄暗い路地裏を抜け、やってきたビルの建築跡。

8月31日
ある不器用な男と戦い、大事な約束を交わした場所。

そこに居たのはあの時最後に見た顔の浅黒い肌をした少年。
135 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:26:38.27 ID:LkcIO3GF0

「お久しぶりですね、上条さん」

薄暗い路地裏を抜け、やってきたビルの建築跡。

8月31日
ある不器用な男と戦い、大事な約束を交わした場所。

そこに居たのはあの時最後に見た顔の浅黒い肌をした少年。
136 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:27:30.38 ID:LkcIO3GF0

「あぁ、久しぶりだな。 偽海原でいいのか? 」

「自分の事はエツァリとお呼びください。 今はあの顔と名前では呼ばれたくありませんので……」


自分をエツァリと名乗る少年。

アステカの魔術師にして、上条殺害及び上条勢力の無効化の任務を受け学園都市に来た少年。

その任務の途中で対象である御坂美琴に恋をした少年。

そして、上条に自分の想いを託し約束をさせた少年。

そんな少年が今、再び上条の前に立っていた。
137 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:28:26.18 ID:LkcIO3GF0


「この場所も久しぶりだな……。 あの時と全然変わってねぇや。
   お前、まだストーカーかなんかやってんのか? 」

「んなっ。 土御門さんですね、そんな事言ったのは……。
   自分のは、ストーカーではなく彼女の世界を見守っていただけですよ。 あなたの手の届かない場所から変な虫が入ってこないように」


少年は自分の恋焦がれる少女の為に学園都市の闇に堕ちた。

自分の想いが報われる事も無いのに。

少年との約束の手助けをする為に。

彼女と彼女の世界を守る為だけに。
138 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:28:55.29 ID:LkcIO3GF0


「……エツァリ、俺は…お前との約束を-----------」

「いえ、その先は言わないで下さい。  
   ……まずは、これをご覧になって頂きたい」


エツァリは上条の言葉を中断させ、とある資料を手渡してきた。

一番上のページにはこう書かれていた。
139 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:29:25.63 ID:LkcIO3GF0


ーーーーーーーーーーーーーーー


御坂美琴
自分だけの現実 再構築計画

( Level5リターン )



ーーーーーーーーーーーーーーー
140 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:29:54.10 ID:LkcIO3GF0


上条は震える手でその次のページに目を通した。

そこには、計画の概要が書かれていた。
141 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:30:40.27 ID:LkcIO3GF0


ーーーーーーーーーーーーーーー

この計画はLevel5の第三位  超電磁砲の御坂美琴の自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を再構築するものである。

ロシアから帰還後の超電磁砲は著しく自分だけの現実が崩壊していた。

崩壊後の強度は異能力者にも満たないものだった。

さらには、精神的衰弱もあり極めて危険な状態であった。

このままでは、貴重なLevel5を損失する事になりかねない。

そこでこの計画を実行することにした。
142 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:31:06.32 ID:LkcIO3GF0


この計画の概要はLevel5の第五位である心理掌握により超電磁砲の自分だけの現実崩壊の原因である記憶を消去するというものである。

元々、超電磁砲には心理掌握の力は届かなかったが自分だけの現実が崩壊している今、可能なものとなった。

心理掌握はこの計画を承諾。

結果は良好。

超電磁砲の自分だけの現実は再構築された。

この計画は極秘事項とする。

常盤台理事長

ーーーーーーーーーーーーーーー
143 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:31:34.44 ID:LkcIO3GF0


「なん…だよ……、これ……」

上条は激しい憤りを感じていた。
上条は記憶が無くなる苦しみを知っていた。
そして、再び美琴が非人道的な計画に使われたのかと。


「ふざけんな……。ふざけんじゃねぇよ!! 」

ぶっ潰してやる、と上条は今にも駆け出そうとしていた。

「待って下さい、上条さん。 今回はそれでは解決しません」
144 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:32:13.06 ID:LkcIO3GF0


エツァリは上条を抑える。
そう。これはいつも通り計画を潰すだけでは何の解決にもならない。


「ところで上条さん、あなたは自分だけの現実とはどういったものかはご存知ですか? 」


唐突に問われた上条は答えられなかった。
唐突で無くとも答えられなかっただろうが…。


「…はぁ。 いいですか? 上条さん。 元々、自分は科学側の人間ではありませんので詳しくは説明できませんが………」

自分だけの現実とは、能力者が能力を使う為の核になるものであり、能力者の思い込み、すなわち、自分の世界を構築するということである。

自分だけの現実が強い者ほど能力の強度が強くなる。

Level5といえば、自分だけの現実がとてつもなく強固な者達である。
145 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:32:57.45 ID:LkcIO3GF0


溜息一つ吐き、以上の事を説明したエツァリは上条に問いた。


「では、何故御坂さんの自分だけの現実が崩壊したと思いますか? Level5の第三位である彼女が……」

「それ……は……」


上条にはわからなかった。
人の気持ち、こと好意に関しては異常なほどの鈍感さを発揮する上条にはわからないものだった。

しかし、上条の頭には資料の一部分が引っかかっていた。


〜ロシアから帰還後の超電磁砲は著しく自分だけの現実が崩壊していた。〜
146 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:33:44.84 ID:LkcIO3GF0

ロシア帰還後という事は自分に関係があるのか。
しかし、それは何故だ…。

上条にはここまでしかわからなかった。


「ここまで言ってもわかりませんか……。あなたの鈍感さ加減には恐ろしいものを感じますね。 …御坂さんには恨まれるでしょうが言わせていただきます」


本当は美琴自身が言わなくてはならない事だった。
しかし、美琴があの状況ではそれもままならない状況だった。

そんな状況では、上条がそれに気づく訳がない。
上条はそれを知らなくてはならない。
147 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:34:39.10 ID:LkcIO3GF0

エツァリは重々しくその口をひらいた。


「御坂さんはあなたに恋心を抱いていました」


「……………………はい?? 」


予想外の言葉を聞き上条は惚けた顔になった。

「いやいや、それはないだろ。 この状況でそれは冗談にならないぞ。 
   そもそも、御坂が俺の事を好きな訳が無いじゃないか。
   俺はあいつに好かれる事した覚えはないぞ」

言っていて上条は胸の辺りが痛んでいた。
148 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:35:17.49 ID:LkcIO3GF0


「まったく……。
   では、問いますが……Level5の第三位が何も無しで漏電なんてすると思いますか? 」

上条はその言葉を聞き、ある事を思い出していた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ふにゃー」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


でも、何故、本当に、どうして……上条の頭は混乱していた。

そこに追い討ちをかけるかの如くエツァリは話しを進める。
149 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:35:48.79 ID:LkcIO3GF0


「御坂さんはLevel5であると共にただの女子中学生でもあるのですよ。 それはあなたが一番よくわかっているのではありませんか? 」


それはよくわかっていた。
美琴の色んな顔を見てきた上条はよく知っていた。


「女子中学生のあの時期は特に敏感になる年頃ですからね。 こと、恋愛沙汰に関しては特に…。 その中でもあなたは不可能を可能にしたヒーローですからね。 惚れるのも仕方ないと思いますよ」
150 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:36:27.01 ID:LkcIO3GF0


あの実験は美琴の力ではどうしようもなかった。
Level5として培ってきたものが全て壊された時、上条が現れた。
絶望が希望に変わった瞬間。
さらには、あらゆるところで上条当麻という人間を見てきた。
そして、その強さ。特に芯での強さに惚れた美琴はその恋心が焼き付いてしまっていた。
それは、自分だけの現実が揺らぐくらいに。


「それが、今の状況を作りあげてしまったのですよ。 あの海原光貴が御坂さんと付き合ってしまうという状況を……」
151 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:36:55.90 ID:LkcIO3GF0


エツァリは最後のほうを忌々しげに吐き捨てた。

上条は今まででてこなかった男の名前がでて、つい問いかけた。


「海原!? 海原がこれになんの関係があるんだ? 」

「それについては、資料の次のページをご覧下さい。 そこに全てが書いてあります」


上条は慌てて次のページを開いた。
そこに書いていたものは……
152 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:37:36.10 ID:LkcIO3GF0

ーーーーーーーーーーーーーーー

常盤台理事長
記録(ログ)
           ※重要なところだけ抜粋


御坂美琴がロシアから回収された。
しかし、自分だけの現実が崩壊している。

このままでは、常盤台の貴重なLevel5を失う事になる。

そこで用意したのがLevel5リターンだ。

報告では恋愛感情にて動き、その中でロシアで多大なる活躍をしたとある。

しかし、今回それが仇となり自分だけの現実が崩壊した。
153 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:38:02.95 ID:LkcIO3GF0

自分だけの現実が恋愛感情で強固になるのは今回の事で証明された。

リスクになるかもしれないが、それでもこのチャンスを逃すのはもったいない。

Level5を更に進化させられるかもしれない。
そうしたら、常盤台も更に上から認められる。

そこで、Level5の第五位に別件を依頼した。

ちょうど、私の孫は御坂美琴に恋愛感情を抱いていると聞く。

依頼の内容は御坂美琴の想い人と私の孫を記憶の中で入れ替えろ、というものだ。

こうする事により、彼女の自分だけの現実は変質する事は無く、強固なものになるだろう。

後は、自分だけの現実が崩壊することがないように監視するだけだ。

我が案ながら完璧。
常盤台の未来は明るいだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーー
154 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:38:47.54 ID:LkcIO3GF0


「事の重大さがわかりましたか?  確かに、あなたの右腕で彼女の記憶は戻ります。
   しかし、それでは繰り返すだけなんです。
  それなら、今のままが御坂さんにとって幸せでしょう」


そう、このまま幻想殺しで美琴の記憶を取り戻したところで上条がこのままなら同じ事を繰り返す事になる。


「あなたは選択しなければなりません。
    何を差し置いても御坂さんを守り通すか
    このまま、御坂の元から姿を消すか。
    あなたの心に従って行動してください」


エツァリはそう言ってその場を後にしようとした。


「あぁ、最後に一つある人からアドバイスです。 記憶を取り戻す選択をするなら右腕を使わないほうがいいでしょう、との事です。 それが今後の為になるのだとか……」


今度こそ、エツァリは去っていった。
取り残された上条はそこに呆然と立ちつくすだけだった。
155 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:39:14.99 ID:LkcIO3GF0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

上条はあの後、街をフラフラと彷徨っていた。

完全にどうすればいいかわからなくなっていた。

(御坂が俺の事を好きだった)


空が夕日で染まる頃、上条は背後に気配を感じた。

誰かと思い振り向いてみると…


「探したぜ。上条ぉ!! 」


愛する者を己の手で救いだした無能力者(ヒーロー)、浜面仕上が立っていた。
156 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:40:01.26 ID:LkcIO3GF0






第六章  〜エツァリ〜




157 :if男 [saga]:2011/12/08(木) 20:43:23.76 ID:LkcIO3GF0
……と言う事で第六章でした。

エツァリさん出てきましたね。
やっちゃいましたね。
浜面さん再登場ですよ。

しかし、次回は少し時を巻き戻し エツァリ物語といきましょう。

これまた例のごとく最長三日後までには来ます。
では、またの機会に。

158 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 22:16:13.65 ID:41eBQGbSO

エツァリは現在素顔なのね。海原と同じ顔は嫌か
159 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 22:51:45.67 ID:S1wSdkldo
乙なんだよ!
160 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 00:04:27.21 ID:IIC99Qb+o
乙ー!まぁ今の状況だとエツァリは海原嫌いだろうしなぁ
161 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 00:07:11.07 ID:H48w1HmZo
162 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 00:09:33.67 ID:AJt6bsh20

頑張れ上条さん
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/10(土) 15:03:00.12 ID:QxzWXrtV0
乙!!
ストーカーなエツァリがかっこよすぎて惚れそうになったww
164 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:17:33.28 ID:V7eDxXRF0
どうも。
皆様コメントありがとうです。

さて、今回はエツァリ物語です。
彼が何故あそこまで状況を理解していたかが明らかになります。

では、第七章をどうぞ。
165 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:18:01.83 ID:V7eDxXRF0

時は少し遡る。

エツァリはとあるカフェにいる女性に話しかけていた。
その女性は後ろに側近?を立たせて優雅に紅茶を飲んでいた。


「あなたが食蜂操祈さんですか? 」
166 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:18:33.64 ID:V7eDxXRF0


エツァリはLevel5の第五位である食蜂操祈に会いにきていた。
美琴の件を調べていたら彼女の存在がでてきたからだ。


「誰よぉ、あなた。 悪いけど今忙しぃの。 帰ってくれない?」


そう言うだけ言って、手元のリモコンを操作して再び紅茶を飲みはじめた。


「申し訳ありませんが、あなたの能力は対策させていただきました。 少しお話したいだけですので、お願いします」
167 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:19:08.46 ID:V7eDxXRF0


食蜂はエツァリに興味がわいたのか座るように促がした。


「あなた何者よぉ?  …まぁ、いいわ。そこ座ってねぇ」

「自分の事はエツァリとお呼び下さい」


エツァリは促されるままそこに座り二人の会合が開始された。
168 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:19:31.32 ID:V7eDxXRF0



「それで、なんの用なのぉ?? 」

「率直に申しますと、御坂美琴さんの件についてお話しを伺いたいのですが」

「あぁ、あれの事ねぇ」


食蜂は面白いものでも思い出したかのようにニヤつき始めた。
169 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:20:02.43 ID:V7eDxXRF0


「一応は極秘扱いだったはずだケドぉ、どぉして知っているのかなぁ??  まぁ、教えてあげるケドねぇ」

「それは有難いです。 しかし、簡単に教えていただいても大丈夫なのでしょうか? 」

「大丈夫よぉ。 別に話したところで私に害はないしぃ。 それに私の改竄力でどうとでもなっちゃうのよねぇ」


食蜂はニヤつきを隠そうともしない。
それは余裕があるからなのか、それとも……。
170 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:20:29.70 ID:V7eDxXRF0


「それで何を聞きたいのぉ??」

「…それでは御坂さんに起きた事について教えて下さい」

「そうねぇ、それについてはあれを見たほうが早いかも。 ちょっと待っててねぇ」


そう言うと、食蜂は側近の娘に耳打ちして何かを伝えた。
側近の娘はそれを聞き何処かへと去っていった。
171 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:21:35.88 ID:V7eDxXRF0


「それじゃあ、あの娘が帰ってくるまで他の事でも話していましょうかぁ。 あなたは自分だけの現実はご存知ぃ?? 」

「いえ、あまり……」

「……やっぱり、外の能力者なんだぁ。 へぇ、会ったのは初めてだなぁ」


エツァリは目を見開いた。
いとも簡単に見抜かれた。
これでも学園都市に潜り込む為にある程度の事は調べた。
自分だけの現実がわからなかったぐらいでは見抜かれるはずは無いのだ。
172 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:22:07.65 ID:V7eDxXRF0


(ここは嘘をつくのは得策ではないですね)

「…何故おわかりに? 」

「私の能力が効かないのは例外を除けばLevel5だけよぉ。その例外も今は一人しかいないしぃ。 それにあなたは自分だけの現実の事を知らないと言った。 私の掌握力が届かないのに自分だけの現実を知らないのはありえないわぁ。 まぁ、私の推理力にかかれば簡単な事なのよねぇ」

「…なるほど、これは一本とられました」
173 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:22:40.98 ID:V7eDxXRF0


元々食蜂の能力は自分だけの現実の強度にて効きが変わる。

例でいえば、美琴に心理掌握をぶつけたところで美琴の心を操れる訳ではない。
それは美琴が常に電磁バリアを張っているからである。
しかし、Level4のエレクトリックマスターが電磁バリアを張ったところで心理掌握を弾く事はできない。
といったところだ。
174 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:23:08.62 ID:V7eDxXRF0


エツァリは驚いていた。
たった一人のワードで見抜かれた。
それは常盤台のLevel5たる所以かそれとも…


「あなたもこっち側の人間ですか…」


エツァリはついポロリとこぼしてしまった。
それを訂正しようとすると


「無用な詮索は身を滅ぼしちゃうゾ☆ 」

「おっと、失礼しました」
175 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:23:36.15 ID:V7eDxXRF0


サラリと恐ろしい事を言われ、エツァリらつい謝罪が口についてしまった。


「それで、自分だけの現実だったわねぇ。 あれは-----------」


それからLevel5の食蜂操祈による自分だけの現実講座が始まった。
エツァリは科学側の人間ではないので深いところまでは理解が及ばなかったが、ある程度のニュアンスは掴む事ができた。

それによって美琴の恋愛感情の莫大さを知ってしまったのだった。
176 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:24:05.81 ID:V7eDxXRF0

(これは……入り込む隙間もありませんね…)


講座も終わりに差し掛かる頃、食蜂の側近が帰ってきた。
その手には書類があった。


「あら、やっと来たわねぇ。 それじゃあ、これに目を通してねぇ」


そう言われ書類を手渡された。
それはなんであろう “ 御坂美琴 自分だけの現実再構築計画 ” の書類だった。
177 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:24:37.49 ID:V7eDxXRF0


エツァリは目を通している間、終始無言だった。
しかし、その目には形容できない感情が浮かんでいた。


「やれやれ…。これで自分だけの現実ですか……。こうなると解決は簡単な事ではありませんね」

「そうねぇ。このまま “彼” の力で能力を解除したって訪れるのはまた “崩壊” でしょうねぇ」

「 ……!! 彼をご存知で!? 」
178 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:25:07.88 ID:V7eDxXRF0


エツァリは予想外だった。
まさか食蜂が彼と面識があったとは。
また、フラグでも建ててたのかと…。


「まぁね。御坂さんの記憶を弄るのに “視”させてもらったわぁ
。 それにしても……、御坂さんもあなたも何であんな人にお熱なのかしらぁ? ただ右手が変な無能力者でしょ?」

「彼の良さは会った人でないとわかりませんよ」


そう。彼の良さは彼と直接対峙して、その芯に触れる事によって初めてわかるものである。
だからこそ彼の周りには人が集まるのである。 
179 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:25:36.74 ID:V7eDxXRF0


「さて、聞きたかった事は聞けましたのでここで失礼させて頂きます。 せめてものお礼にここの料金はお任せください」

「あら、ありがとぉ。お言葉に甘えるとするわぁ。
   それにしても、Level5を虜にする無能力者かぁ。是非とも会ってみたいわぁ」


エツァリは料金を支払いそのまま去ろうとした。
しかし、後ろから声をかけられた。


「あっ、どうせあなた今から彼と会うんでしょ? 能力かけた本人からのアドバイス伝えてくれない?
   御坂さんの能力は解こうと思えば彼の能力無しでも解けるようにしといたわぁ。 っていうか、能力無しのほうが将来的にはいいと思うケドぉ。まぁ、良く考えて選択してねぇ、って」

「…!! わかりました。必ず伝えます」


そう言い今度こそエツァリは去っていった。
180 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:26:04.06 ID:V7eDxXRF0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「良かったのですか? あんな得体のしれない人に教えて……」


本日、一度も口を開いていなかった側近が食蜂に問いた。


「ん〜〜。私は別に常盤台の味方でも御坂さんの味方でもエツァリさんの味方でもないしぃ、こっちの方がきっと面白い事になると思ってねぇ。 それに…」
181 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:27:17.90 ID:V7eDxXRF0


食蜂はここで一度切り、側近の顔をじっと見つめた。


「あなたは人間最後の不可侵な領域が心だって事は知ってる? 私はその領域に侵入して掌握する事ができる。 それでも、心の全てを知ってる訳じゃないのよねぇ」


側近は驚いていた。
普段の女王からは聞けないような事を聞いたからだ。
182 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:27:41.02 ID:V7eDxXRF0


「御坂さんの心に侵入した時は驚いたわぁ。あんなに人の心を変質させる想いがあるのかと。 そして、変質させた男にも興味がわいたのよ」


美琴は食蜂の能力が効かないもっとも身近な人間である。
その美琴の自分だけの現実が崩壊したのだ。
興味がわかない事などあり得ない。


「だからこそ、私は依頼をうけたのよ。 最もまともに依頼を完遂したわけじゃないケドねぇ」

「どういう事ですか、女王!? 」
183 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:28:08.65 ID:V7eDxXRF0


今、聞き捨てならない事をサラリと言われた側近は声を高らげた。


「怒らないでよぉ。別に依頼をすっぽかした訳じゃないんだから。
   ただ、御坂さんの記憶の中の海原光貴を上条当麻の位置に変更はしたけど、上条当麻の位置は変更せずに放置しただけよぉ」


ただで済むような事ではないのだが、と側近は考えていた。
184 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:28:35.17 ID:V7eDxXRF0


「では、御坂様の記憶の中で上条様は……」

「そうよぉ、御坂さんの記憶の中で上条当麻は存在しない事になってるわぁ。
   だから、御坂さんは上条さんの事を忘れてるのよ。
   こうする事によって自然に記憶を取り戻す事も可能なのだケドねぇ。
   まぁ、普通にしてれば間違いなく記憶は取り戻せないケドぉ」

「……何故そんな事をなさったのですか? 」
185 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:29:05.75 ID:V7eDxXRF0


「言ったでしょぉ? 私は心理掌握なんて言われてるケド、心について全ては知らないの。 特に科学じゃ説明できない事なんかはまったくね。
   元々、御坂さんレベルの人間の自分だけの現実が崩壊するなんて事自体がおかしいだケドぉ。
   だからこそ、知りたいのよ。見てみたいのよ。 心が引き起こす奇跡を。Level5の第一位を殴りとばして、第三位を骨抜きにした男が引き起こす奇跡を」


側近は純粋に驚いていた。
食蜂は普段ここまで何かに興味を抱く事などないからだ。
186 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:29:32.08 ID:V7eDxXRF0


「…しかし、簡単にいくでしょうか?  」

「知らないわぁ。 まぁ、簡単にいかないから奇跡っていうんだケドねぇ。
    それにしても、本当に興味深いわねぇ、彼。 御坂さんから盗っちゃおうかしら」

「 女王!! 」

「冗談よぉ、もう。 
   でも……本当に会ってはみたいわぁ…」


もう一人の常盤台のLevel5は想いをはせる。
まだ会った事もない男に。
食蜂でも理解できない奇跡を起こしかねない男に。
187 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:29:59.57 ID:V7eDxXRF0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


そして時間はエツァリと上条が話した後に戻る。


「お疲れ様だにゃー。海原」

「その名前で呼ばないで下さい、土御門さん。 
    …ではなくて、ストーカーとは何ですか!? 」

「ストーカーはストーカーぜよ。俺は間違えたつもりは無いにゃー」
188 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:30:27.73 ID:V7eDxXRF0

エツァリが上条の元を去った後、そこには土御門が待っていた。


「それにしても、今回お前はとんでもなく働いたにゃー。
   零から食蜂操祈まで辿りつき、スキルアウトに潜入してさりげなく御坂美琴の情報を流して、浜面仕上を動かし、最後にはカミやんに情報提供。
   お前、働きすぎだにゃー」

「想い人の為ならどこまでも、何でもできるんですよ」

「やっぱ、お前はストーカーぜよ」
189 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:30:53.58 ID:V7eDxXRF0


「……もういいですよ。  それよりも、浜面さんは上条さんに会えましたかね……」

「…どうして、あいつにやらせたんだ? 役目でいったらお前の方が適任じゃないのか? 」

「僕じゃ役不足ですよ。ヒーローを再起させるのはヒーローでないと。
   それに僕はあと一人のヒーローを動かすという仕事が残っていますから…」
190 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:31:20.97 ID:V7eDxXRF0


そう言って、エツァリは携帯を取りだしてある人物に電話をかけ始めた。


「もしもし、久しぶりですね一方通行(アクセラレータ)さん。  
   ……あぁ、怒鳴らないで下さい。あなたにお話しがあります」


エツァリは暗躍する。
自分の想い人の為に。
ヒーローがヒロインを救えるように。

何故なら、そのヒロインが笑っている世界こそエツァリののぞんでいる世界なのだから。
191 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:32:03.42 ID:V7eDxXRF0






第七章  〜エツァリ物語   食蜂操祈の憂鬱〜




192 :if男 [saga]:2011/12/10(土) 22:37:02.07 ID:V7eDxXRF0
という事で第七章でした。

食蜂様の口調、キャラが把握できなかったです。
それでも出したかったキャラなんですよね。

後、思わせぶりに登場した一方通行さんですがあまり活躍はしません。
ファンの方には申し訳ないです。

次は上条sideに戻ります。
遂に上条さん再起です。
浜面には頑張ってもらいます。

これまた例のごとく三日後までには来ますのでヨロシクです。
では、次の機会に。
193 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 22:48:09.11 ID:SBgGLpD50
乙!なんだよ。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/10(土) 22:49:37.32 ID:u7nywdTQo
乙!
195 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 22:59:50.07 ID:lh4tgxvjo
乙なんだよ!
196 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 00:18:17.85 ID:exfXa2mSO
乙ァリ
エツァリがカッコいい且つゲスい海原(本物)が見れるのはこのスレだけ!たぶん!
197 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 15:36:27.76 ID:X8BvLK0i0
乙!!
みさきちがええ人やww
そろそろストーカーコンビ(黒子とエツァリ)が奇跡起こすしかないな!!←
198 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:40:42.14 ID:wTH8pZh8o
199 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 01:44:15.83 ID:6Ddv1M6no

今日発見して一気に読んでしまった。
ハラハラしながら上条さんが頑張るシーンを待ってます。

んで、ちょっと重箱の隅をつつくようで指摘で申し訳ないが
×役不足 (自分に対して役が軽い、不足しているという意味。ただし最近はめったに本来の意味で使われない)
○役者不足(まあこっちの表現はあまり見ないけど) or 力不足

ちなみにかまちーも17巻でやらかしてる。
まあ流れから言いたいことはわかるから、読む分には問題ないんだけどね
200 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:23:21.08 ID:ve/pPIN/0
どうも、皆様。
新約三巻やらゼルダやらで筆が止まり気味の>>1です。

皆様コメント有難うです。
>>196 海原さんは…はい。とことんやりました。若干心が痛いです。
>>197 エツァリは役目を果たしてくれたのでもう出番はないですね。 黒子は……。まぁ、奇跡を起こすには皆の支えが大事って事ですね。言えるのは。
>>199 いえいえ、指摘有難うです。>>1はアホなのでこういった指摘はじゃんじゃん欲しいじゃんです。


本日は上条当麻再起の章です。
では、第八章どうぞ!!
201 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:24:02.86 ID:ve/pPIN/0



「探したぜ、上条ぉ!! 」


肩で息をしながらも声を張り上げるのは、最強の無能力者 浜面仕上。


「……なんだ、 浜面か……」


上条を見た瞬間、浜面は思ってしまった。


(誰だ、こいつ…)


そこにいたのは上条当麻ではなかった。
いや、上条当麻ではあるのだがそう信じたくない程に変わりはてていた男だった。
まるで全てに絶望し今から命を絶とうとするかのような状態だ。
202 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:24:31.95 ID:ve/pPIN/0



「どうしたよ、上条? 嬢ちゃん心配してたぞ。 さぁ、帰るぞ」

「心配…ね……。 そんな価値、俺には無いのにな。
   なぁ、知ってたか? 御坂は俺の事好きだったんだとよ」


いや、お前以外はだいたい知ってたと思うぞ。俺でも話しを聞いただけでだいたい予想はついたし。
と浜面は思っていたが口にはださなかった。
203 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:25:06.79 ID:ve/pPIN/0



「今思えばわかる事だったよ。 そりゃ、好きな男の為だったら戦場のど真ん中まで助けにくるよな……。
   なのに、俺はその手を振り払った。 振り払っちまったんだ!! 」


上条は懺悔する様に言葉を続ける。
それはまるで赦しを求めるかのごとく紡いでいく。


「好きな男が目の前で北極圏に沈んでいけば、そりゃ絶望ぐらいするよ。
   特に御坂は優しいからな。 自分を責め続けたんだろうな」
204 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:25:40.89 ID:ve/pPIN/0


言葉を紡いでいくたびに表情に光が失われていく。
それは涙を堪えているようにも見えた。


「ははっ、自分の鈍感さ加減に腹がたつよ。 
   他人に言われてやっとあいつの気持ちに気づけたんだぜ。
   何があいつとあいつの周りの世界を守るだよ。 壊しているのは俺自身じゃねぇか」


そう語る上条にはいつもの面影はなかった。
そこにいたのはただただ後悔している男だった。
205 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:26:06.99 ID:ve/pPIN/0


「そんな俺がどうやって御坂を救うんだよ。
    俺がいない方が御坂は幸せなんじゃねぇか。
    なぁ、浜面。教えてくれよ。俺はどうしたらいいんだ? 」


上条は縋るように浜面に聞いた。
そこには浜面が憧れた男はいなかった。

そこで浜面は “キレた” 。
206 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:26:40.31 ID:ve/pPIN/0


「だぁぁぁぁぁぁああああああ!!
   うっせえんだよぉ!! とりあえず、歯ぁ食いしばりやがれぇぇぇえええ!!!! 」


バキッ!!


浜面の力を込めた一撃が上条にクリーンヒットした。
上条はそのまま地面へとダウンした。
207 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:27:08.97 ID:ve/pPIN/0


「何しやがる!! 浜面ぁ!! 」


いきなり殴られて憤り立ち上がる上条。
それでも浜面は止まらない。


「黙れっていってんだろぉ!! ウジウジウジウジしやがって。
    そんなんなら、黙って御坂から離れていって、別の男と仲良くしてるのを指咥えて見てやがれぇ!! 」
208 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:27:32.78 ID:ve/pPIN/0


浜面は歯痒かった。
自分を変えた男が見る影もなく落ちていたのが。
浜面みたいな人にとって上条は希望だった。
上条みたいに生きられたら、上条みたいに考えられたら。

上条に影響されて大事なものを守り抜けた浜面は今、此処で、上条の幻想をぶち壊す為に立ちはだかる。
209 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:28:20.08 ID:ve/pPIN/0


「てめえは何の為に御坂を救おうとしていた!?
   考えてみやがれ、御坂がお前以外の男と歩んで行く未来を!!
   問いかけてみやがれ、自分の心によぉ!! 
   お前はそれでいいのか!?」


浜面にそう言われ考えてみた。
自分以外の男と一緒にいる美琴を。
210 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:29:38.37 ID:ve/pPIN/0


海原と一緒に歩いている美琴。
普通にデートをしている美琴。


胸の痛みが強くなった。

211 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:30:08.91 ID:ve/pPIN/0



海原に助けられる美琴。
海原を助ける美琴。


モヤモヤが大きくなった。

212 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:30:45.23 ID:ve/pPIN/0


何よりも優しい笑みを向ける美琴。 
それの向く先は自分ではなく別の男。


美琴の世界に自分の居場所は無い。
213 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:31:14.10 ID:ve/pPIN/0


そう考えた瞬間、上条は信じられないほどの恐怖に襲われた。

(何故?
この気持ちは何なんだ?)

上条はまだ知らなかった。
その感情の名前を。

それでも、上条の中のピースは揃い始めていた。


「てめぇだろ!! 誰かの為に強くなれって俺に言ったのは。
   だから、俺は歯ぁ食いしばって大事なものを守り抜いた。
   何度だって転んださ。だか、その度に立ち上がった。
   てめえはどうなんだ、上条ぉ!! 」
214 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:31:41.63 ID:ve/pPIN/0


(俺は……)

上条は思考する。
自分がどうしたいか。

(御坂をまだ守りたいのか)

何故…?
美琴の中には自分の記憶はない。
それに、今は別の男が側にいる。

215 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:32:08.68 ID:ve/pPIN/0


(いや…。違うな。そんなんじゃない)

そう。そんなものではない。
上条の気持ちはもっと単純なものだ。

(俺は…ただ……)

少しずつピースが揃っていく。
上条の底に埋められた感情のピースが。

(御坂と一緒にいたいんだ!! )

上条は気づいた。
自分の本当にしたかった事を。
守りたいなんて、それの延長線上に過ぎない。
216 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:32:35.38 ID:ve/pPIN/0


浜面は見た。
少しずつだが上条の目に光が戻っていっているのを。

上条はもう扉の前に立っている。
上条の美琴に対する感情の名前がわかる扉に。
扉を開けるのは上条だ。
それなら、俺はその扉の鍵を壊してやるだけだ。
217 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:33:07.76 ID:ve/pPIN/0


「他人の気持ちに鈍感なのは仕方ないかもしれねぇ。
   だが、自分の気持ちに鈍感になってんじゃねぇぞぉぉぉぉぉおおおお!!!!!!! 」


もう一度浜面は力と気持ちを込めて上条を殴りとばした。

今度は上条は立ち上がらなかった。
218 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:33:35.28 ID:ve/pPIN/0

「立てよ、ヒーロー」


浜面はロシアで会ったヒーローにかけた言葉をもう一度使った。
あの時とは状況はまるで違う。
しかし、浜面の気持ちは同じだった。
心の底からの咆哮をその場に轟かせた。


「立てよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!! 」


浜面の咆哮は空に消え、この場に静寂が戻った。
219 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:34:07.37 ID:ve/pPIN/0


すると、倒れたままの男が声を発した。


「浜面……」


上条は仰向けになって右腕を空に伸ばした。


「俺は今まで色んな人の理想、夢、目的を自分の正義を押しつけて幻想をぶち壊してきた……」
220 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:34:34.88 ID:ve/pPIN/0



上条は伸ばした右の掌を眺めていた。
数々の幻想を殺しつくしてきた右手。
それで救われてきた人も少なくはない。


「それで救われた、助けられた。なんて言う人もいるけど、結局は自分がしたかった事をしただけなんだよな…」
221 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:35:01.08 ID:ve/pPIN/0

思い出すのは8月22日。
一方通行と初めて戦い、入院したオヤツ時の事。


〜それで結局、とうまは何のために戦ってたの?〜

〜自分のためだろ〜


あの時はなんの躊躇いも無くそう言えた。
222 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:35:48.75 ID:ve/pPIN/0

いつからだろう戦いに理由を求め始めたのは。
そういえば、ロシアの時もそうだった。
フィアンマから記憶の事を指摘され、ウジウジ悩んでいた。

振り払ったはずだったのにな……。と上条は心の中で自嘲する。

223 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:36:19.92 ID:ve/pPIN/0


だが、


「だから、今回も自分のしたい事をする。 もう悩まない。 御坂と一緒にいたいから、俺はあいつの記憶を取り戻す!! 」


今、いつもの上条当麻は再起した。
その目に光を取り戻し、開いた掌をグッと握る。


「浜面…聞いてくれるか? 」


否、いつもの上条当麻では無い。
自分の気持ちを理解して、成長する事のできた上条当麻だった。
224 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:36:57.24 ID:ve/pPIN/0






「俺……、御坂の事が好きだ」




225 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:37:25.93 ID:ve/pPIN/0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「本当に世話になったよ、浜面」

「いやいや、こんくらいじゃ俺の借りは返せねぇよ」


上条は起き上がり、浜面に感謝を述べていた。
浜面はホッとしていた。
自分の憧れたヒーローが戻ってきたと。
226 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:38:02.30 ID:ve/pPIN/0


しかし、浜面はここで上条に言っておかねばならない事があった。


「御坂への気持ちを気づけて嬉しい気持ちはわかるけどよ、今日は家に帰って、嬢ちゃんを安心させてやれよ」


そう。
上条は元々、超行動的な男だ。
思い立ったが吉日が最も似合う男だ。
美琴への想い自覚した今、御坂のもとへ走っていきそうなくらいに危ない男だ。
227 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:38:34.61 ID:ve/pPIN/0


美琴が記憶を失っていたとしても生活が変わっているわけではない。
今は浜面の説教により夕方から夜、それも遅い時間になっていた。
今、上条を行かせるわけにはいかない。
正直、常盤台の寮で捕まるイメージしかできない。


「想いを伝えるなら明日にしろよ」

「流石にこんな時間からは行かないさ。 まぁ、今日は本当にありがとな」
228 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:39:21.07 ID:ve/pPIN/0



上条はもう一度、浜面に感謝を述べると自宅へと歩きだした。
帰って行く後ろ姿は今日までの上条ては違い見る人を安心させるものだった。

さて…、と浜面も帰ろうとしたら最近、良く聞くようになった杖をつく音が聞こえてきた。
音が聞こえる方を見ると、そこには白髪で赤い目をした細身の男が立っていた。


「オマエにしては上出来じゃねェか。 良く上条を再起させられたなァ」
229 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:39:51.05 ID:ve/pPIN/0


その男、学園都市最強の超能力者である一方通行(アクセラレータ)
先程のやりとりを見ていたようだ。


「それで浜面、上条に伝えなくてはいけない事は伝えたのか? 」

「…………あ………」


浜面はダラダラと滝の様な汗をながし始めた。
元々、上条に気持ちを気づかせる為に来たのではなかった。

警告しに来たのだった。
230 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:40:32.75 ID:ve/pPIN/0

「やべっ…、無能力者狩りの事伝え忘れた」

「はァ……、この馬鹿面がァ…。 もォいい。 元々、黒幕は上条にやらせるつもりだったしな。
   それがケジメにもなンだろォ。
   俺達があいつに被害がいかねェ様に周りの雑魚共を殺ればいいんだからな」


浜面は上条が今回の無能力者狩りのターゲットになってる事を伝えるつもりで来たのだった。
231 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:41:10.52 ID:ve/pPIN/0


しかし、すっかり駄目になっていた上条を見たら熱くなり過ぎて本題を忘れていたのだった。

一方通行は呆れていたが、今回の浜面の功績を考えると強くは言えなかった。
一方通行では上条を再起させられなかっただろう。
今回の事は愛する者のいる浜面だったからこそできたのだった。

上条は無能力者、浜面も無能力者。
そんな奴らをターゲットにする奴は一方通行の敵だった。


「さァ、狩りの時間だぜェ。 糞野郎(能力者)共が」
232 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:41:42.92 ID:ve/pPIN/0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ただいまー」

「とうま、大丈夫!? はまづらが家に慌てて来た時は驚いたんだよ」


玄関を開け中に入るとインデックスが慌ててやって来た。
どうやら相当心配したらしい。


「もう大丈夫だ。心配させて、すまなかった」


上条はインデックスに頭を下げた。 
233 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:42:12.53 ID:ve/pPIN/0


インデックスは上条の表情の変化に気がついた。
そして悟った。
上条は自分の想いを自覚したのだと。


「うん。とうま、いい顔になってるね。 これなら心配いらないんだよ」



こうして忙しかった一日は終わりを告げた。

しかし、終わりを告げるという事は始まりを告げるという事でもある。

全ての想いが交差する三日目は始まったばっかりだ。

234 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:42:44.88 ID:ve/pPIN/0






第八章 〜ヒーロー達〜




235 :if男 [saga]:2011/12/13(火) 20:47:45.20 ID:ve/pPIN/0
って事で第八章でした。

ウジ条さんから恋条さんに進化しました。
実を言うと浜面に、立てよ、言わせたくて頑張ってもらいました。
一方通行は……新約三巻ではあんなんだったけど、ここではこんな感じでいきます。

さて、次は三日目ですね。
海原さんゲスいので注意です。
恋条さんは恋する男補正うけてます。

また例によって三日後までには投下しますんでヨロシクです。
では、次の機会に。
236 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 20:54:35.24 ID:JTii4nUo0
乙!!
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/13(火) 21:23:31.53 ID:tunn1ODQo
乙!
238 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:40:51.01 ID:Hcir5GF80
乙!!
人生で初めて浜面をかっこいいと思ったww
海原さんのゲスッぷりに期待してるぜぃ!!
239 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:52:36.32 ID:9SbQwu3SO
新訳三巻見てないけどどんなんだったんだ…
240 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:57:37.17 ID:t12lhJ520
乙!
3主人公はこんな関係がいいなぁ
241 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 23:39:24.43 ID:UcCifIjvo
乙なんだよ
242 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 11:40:57.93 ID:Q4MEgbOc0
新約上条さんは病み条さんの予感
243 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:12:57.53 ID:I1UxmCHR0
どうも。
皆様、コメント有難うです。

今回はなんちゃって戦闘がはいります。
では、九章をどうぞ!!
244 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:13:24.03 ID:I1UxmCHR0


上条当麻は走っていた。
学園都市を全力で走っていた。
それは、朝の電話が原因である。
245 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:13:56.84 ID:I1UxmCHR0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「とうまー。電話なんだよー」

「はいはーい、今行くから少し待っててくれ」


上条は上機嫌だった。
昨日までの鬱状態が嘘のようだった。

それもそのはず。
遂に上条は自分の想いを自覚できたのだ。
今や恋する男、上条当麻は初めての感情にウキウキ状態であった。
246 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:15:10.69 ID:I1UxmCHR0


しかし、その気分も目の前の電話のせいでぶち壊される事になる。


『もしもし、自分が誰かわかりますか? 上条さん』


腹がたつぐらいに爽やかで人を不快にするような声だった。


「なんでお前がこの電話知ってんだ、海原ぁ!! 」
247 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:15:43.45 ID:I1UxmCHR0


自分の好きな女と共にいる男からの電話だった。

上条は怒りを隠そうともせずに怒鳴った。
計画の全容を知り、自分の想いを自覚してからは海原光貴という男の事を許せなくなった上条だった。


『怒鳴らないで下さい。 自分はただ貴方に良い話を持ってきただけですよ』


上条が問いた事は華麗にスルーして、自分の話しを進める海原。
248 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:16:13.31 ID:I1UxmCHR0


『今日なんですが、自分主催のパーティーを開こうと思いましてね。 上条さんも参加しませんか? という事で電話いたしたところです。
    もちろん御坂さんも来ますよ。というか、女性は御坂さん一人ですけど。 自分の仲間は沢山来ますので、楽しいものになると思いますよ。
    上条さんは随分と御坂さんに執着なさってたようですので、声をかけさせて頂きました。
    参加の意思があるなら、第七学区の○○ビルまでお越し下さい。 それでは……』


……電話が切られた。
249 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:16:42.15 ID:I1UxmCHR0


「とうまー、急に怒鳴って……ヒッ……どうした……の? 」


インデックスが悲鳴をあげた。
上条は何も話していない。
しかし、上条からは凄まじいほどの怒気。



殺気が溢れでていた。
上条は今の話の意味を理解してしまった。
受話器をミシミシと音がなるほど握りしめ歯を食いしばりすぎて口からは出血していた。
250 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:17:10.12 ID:I1UxmCHR0


「悪いな、インデックス。 少し出てくる」


上条はそれだけ言うと家を後にした。
インデックスは何も言えなかった。
あそこまで怒りをあらわにした上条は今まで見たことがなかった。
251 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:17:36.81 ID:I1UxmCHR0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


という事で上条は走っていた。
美琴を奴らの毒牙にかけさせない為に。
海原光貴をこの手で殴り飛ばす為に。

やがて目的のビルが見えてきた。
どうやら、最近取り壊しが決まったビルの様だ。
周りには鉄骨やら何やらが散乱していた。
252 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:18:34.18 ID:I1UxmCHR0



「海原ぁぁぁぁぁぁああああああ!! 」


上条は腹の底から声をあげた。
その声の大きさは上条の怒りの強さを表すかのごとく辺りに響き渡った。


「叫ばなくても聞こえてますよ。 うるさいですね…」


そこには海原がいた。
しかし、予想外だったのはそこには海原しかいないという事だった。
253 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:19:02.48 ID:I1UxmCHR0


「予想外でしたか? ここには自分しかいませんよ。
    まったく、うまい具合に騙されてくれたものですね」

「騙…した? 」

「自分の大事な彼女をそんな風に扱うとでも思いましたか?
    もしそうなら、本当に “馬鹿” ですね」


海原は馬鹿を強調するように言った。
上条は馬鹿にされたのはスルーし一応の安心をした。
美琴の無事は確立された。
254 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:19:31.46 ID:I1UxmCHR0


「あっ、上条さん。 御坂さんがいないからって帰らないで下さいよ。 あなたには参加してもらうアトラクションがありますので」


そう言うと、海原は虚空を掴み手を振った。
すると、何処からか鉄骨が飛んできた。
上条は早い段階でそれに気づき、回避をとっていた。


「危ねっ…。 何しやがんだ、てめぇ!! 」

「あなたはね、邪魔なんですよ。 あなたがいると御坂さんが混乱するんですよ。
   だから…………全治三年ぐらいで勘弁してあげますよ!!!! 」
255 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:20:07.03 ID:I1UxmCHR0


それが合図だった。
海原はまず己の能力で近くにあった鉄骨を “掴んだ”
鉄骨はそれだけで宙へと浮かび漂っていた。

それを上条へと振りかざし横に払った。


(念動力[テレキネシス]か!!)


上条はそれを何なく躱し、鉄骨を右手で軽く触り能力を解除させた。
256 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:20:46.61 ID:I1UxmCHR0



「あなたの能力は存じていますよ」


すると、今度は間髪いれずに上から鉄骨が降って来た。
上条はそれを転がり躱した。
が、海原は再び二本の鉄骨をまるで二刀流の様に振るってきた。


「あなたの能力は厄介でもあり、戦いやすいものでもあります。
   あなたを直接 “掴む” 事はできませんが、これなら近寄る事はできないでしょう。
   あなたなど近寄らせなければ怖くなどありません。 
   あなたの運命はもう決まっているのですよ」


海原は高笑いして自分の勝利に酔っていた。
257 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:21:22.44 ID:I1UxmCHR0


しかし、対象的に上条は涼しい顔をしていた。
確かに近寄れていない。
上条にとって相性の悪い戦いだった。
それにもかかわらず、上条はまっすぐに海原を見つめ、振るわれる鉄骨を躱していた。


「…言いたい事はそれだけか? 」


海原は知らなかった。
上条の事は変な右腕を持つただの高校生程度の意識でしかなかった。

上条は記憶を失ってからも多くの強大な敵と戦ってきた。
その戦いは確実に上条を成長させていた。
258 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:22:24.30 ID:I1UxmCHR0


「お前は何がしたいんだ? 俺がお前にとって邪魔?
   そりゃ、そうだろうよ。 俺はお前の邪魔をしたいんだ。 俺のエゴの為に、御坂と一緒にいる為に」


上条にはわかっていた。
鉄骨がどこから振るわれるか、どうしたら躱せるか。


「だが、お前はどうする。 俺を倒した後も御坂と付き合い続けるか? 
   だが、それは偽りの恋愛だぞ。 そこに本物の御坂の気持ちはないんだぞ!! 」
259 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:22:55.75 ID:I1UxmCHR0


海原は明らかに焦っていた。
この戦法で倒せると踏んでいた。
しかし、現実は違った。
いくら鉄骨を降るおうと、同時に、連続に、波状に、攻撃しようとも一度も上条には当たらなかった。


「俺はむかついてるよ。 好きな女の子の気持ちを弄ばれて、くだらない計画の対象にされて、挙句にはお前みたいな男が御坂と付き合っていて。
   だから、俺はこのくだらない計画を終わらせる。 お前をぶん殴って、御坂の記憶を取り戻してなぁ!! 」
260 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:23:28.89 ID:I1UxmCHR0


その時、ビルの外で稲妻が落ちたかの様な轟音が鳴った。
上条はその聞き慣れた音につい、気を向けてしまった。


「よそ見しましたねぇ!!!! 」


海原はその瞬間、上条の足元の床を能力で引っぺがして上条の体制を崩した。
そして、大量の鉄骨を上条の上から降り注いだ。

その場は土煙に覆われて上条の姿は見えなくなった。
261 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:24:07.46 ID:I1UxmCHR0


「…っく。ははははははははははははははははは。
   うるさいんですよ。 戦いの途中にベラベラと。 だから、こんな結果になるんじゃないんですか?
   あぁ、あなたが言ってた事ですがね、これからも御坂さんとはお付き合いさせていただきますよ。 あなたへの感情が大きかったのでしょう。 実に自分の事を想ってくれていますよ。
   Level5の第三位、こんな良い女手放すわけがないでしょう。
  では、あなたにトドメでも刺すとしましょうかね」


海原は今度こそ、勝利を確信した。
この鉄骨の雨をよけきれるわけがないと。
だから、言いたい事を言ってやった。
上条に聞こえているかはわからないが、彼を少しでも惨めにする為に。

そうして、土煙が晴れてきた。
そこには、
262 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:24:47.57 ID:I1UxmCHR0


「っ、何故、何故あなたは立っているのですか?
   どうやってあの鉄骨の雨の中、生きているのですか」


あらゆる所に鉄骨が突き刺さる中、上条はその中で立っていた。
確かに無傷ではなかった。
いたるところに傷をこさえていたが、それでも倒れはしなかった。


「結局お前もか…。 御坂を御坂として見ていないのは 」
263 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:25:12.59 ID:I1UxmCHR0


アウレオルスの様に呟いただけで死ぬようなわけでもない。

美琴の電撃の様に速いわけでもない。

一方通行の様に規格外の翼をぶつけてくるわけでもない。

エツァリの様に金星の光を浴びせようとしてくるわけでもない。
264 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:25:56.09 ID:I1UxmCHR0





「どうして、御坂の人生をお前みたいな奴に渡さなくちゃいけないんだ!! 」




265 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:26:27.95 ID:I1UxmCHR0


シェリーの様に巨大なゴーレムをけしかけてくるわけでもない。

天草式やアニェーゼ部隊の様に連携して攻撃してくるわけでもない。

オリアナの様に様々な魔術を行使してくるわけでもない、

キャーリサの様にに次元ごと切りさかれそうになったわけでもない。
266 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:27:56.60 ID:I1UxmCHR0






「お前も御坂の事が好きだったのかもしれない。 だが、お前は選択を誤った!! 」




267 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:28:25.34 ID:I1UxmCHR0


ヴェントのように台風のごとき風の術式をぶつけられたわけでもない。

テッラのようにギロチンで身体を切りさかれたわけでもない。

アックアのように半死半生の目にあわされたわけでもない。

フィアンマのように世界を真っ二つにできるほどの力で攻撃されたわけでもない。
268 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:28:54.66 ID:I1UxmCHR0


「お前がこれからも御坂を好きにできて、俺を黙らせられるって今だに思ってんなら……」


海原はがむしゃらに能力を振りかざしていた。
だが、上条には当たらない。
潜り抜けてきた修羅場の数が違う。

上条は今までと同じ様に右拳に力を込めて、
ただ、想いだけは違うものを乗せて、
269 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:29:34.68 ID:I1UxmCHR0





「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!! 」




270 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:30:12.25 ID:I1UxmCHR0


振り抜いた。

その右拳は轟音をたて海原の顔面に突き刺さった。
海原は後ろへと吹き飛ばされて、そのまま動かなくなった。


「俺は御坂の元へ行く。 お前もまだやり直せるんじゃないのか? 」


上条は海原にそれだけを言い残してビルを後にしようとした。
すると、上条の耳にとても聞き慣れた声が聞こえた。
271 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:30:39.19 ID:I1UxmCHR0


「とうまっ!! 大変なんだよ!!」

「インデックスぅ!?  なんで、お前がここにいる? 」


我らがインデックスだった。
インデックスはとても慌てていてた。


「クールビューティーに言われてきたんだよ。 それよりも、短髪が! 短髪が大変なんだよ!!  とうまは早く行かないと!! 」

「落ちつけ!! 御坂がどうし---------」
272 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:31:10.98 ID:I1UxmCHR0

上条が言い終わる前に状況は一変した。
インデックスのほうへ鉄骨がすごいスピードで飛んできたのだ。
上条は手の届かないところに立っていた。


(糞っ!! 油断した。 あいつはまだ動けたのか!! )


上条には悔やむ時間も惜しかった。
とにかく必死に手を伸ばしていた。
しかし届かない。

間に合わないっ。
273 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:31:36.13 ID:I1UxmCHR0


上条がそう思った時、インデックスと鉄骨の間に白い何かが割り込んだ。

その白い何かに鉄骨が当たった瞬間、その鉄骨は同じスピードで反射された。


「海原ぁ!! てめぇ!! 」


鉄骨を飛ばしてその場から逃げた海原を上条が追おうとしたら
274 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:32:08.43 ID:I1UxmCHR0


「上条ォ!! 追うンじゃねェ。 あいつは俺達に任せとけェ。 オマエはオマエのしなくちゃいけない事をしろ!! 」


インデックスを庇った白い何かが声を発した。
その声の主はだれであろう一方通行だった。
インデックスの隣には浜面もいた。

一方通行の意思を汲み取った上条はその言葉の通り御坂の元へ行こうとした。
275 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:32:46.44 ID:I1UxmCHR0


「大丈夫か? インデックス。 それで、御坂の場所は知ってるのか? 」

「大丈夫なんだよ。 …えっと、大きな橋だよ。 とても大きな橋」


上条はあそこか、と言い皆の方へ振り返った。


「皆、ありがとう!! お前達のおかげだ! 」


感謝の言葉を最大の笑顔で伝えた。
276 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:33:15.35 ID:I1UxmCHR0


「いいから、さっさと行け」

一方通行。

「短髪泣かせたら、頭を噛み千切ってやるんだよ」

インデックス。

「海原の仕掛けた無能力者狩りの残党に気をつけろ。 
   ……早く想いを伝えてこい!! 」

浜面。


皆の想いを受け取った上条は走りだした。
御坂美琴に自分の想いを伝える為に。
御坂美琴の記憶を取り戻しに。

277 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:33:53.30 ID:I1UxmCHR0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


上条はあの鉄橋まで走っていた。
というか追われていた。
浜面の言っていた無能力者狩りの残党だ。


「待ちやがれ〜〜!! 」

「誰が待つか〜〜!! あぁ、もう不幸だぁぁぁぁ」


後ろから飛んでくる数々の能力。
火に始まり、電気、水、風やら選り取り見取り。
相手にするのも大変なので逃げていた。
278 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:34:20.68 ID:I1UxmCHR0


「ジャッジメントですの!! 」


しばらく逃げていたら、能力が飛んでこなくなった。
後ろを振り返ると、白井黒子が能力者共を一蹴していた。


「…この先にはお姉様がいますの。 貴方には関わらない様にと言ったはずですが? 」


白井はその場からテレポートして上条の前に立ちはだかった。
その凛とした瞳を上条にしっかりと向け、迷いを打ち消したように胸を張って立っていた。
279 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:34:56.44 ID:I1UxmCHR0


「白井……どいてくれ」

「何故、そこまで貴方はお姉様に関わろうとするのですか?  貴方はお姉様の世界を壊した張本人でしょうに……」



「好きだからだ!! 」



上条は即座に言い放った。
280 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:35:38.83 ID:I1UxmCHR0


「確かに俺は御坂の世界をぶち壊してしまった。 この気持ちに気づいたのも少し前だ。
   ……壊れたものはもう取り返せない。 だが、それでも俺は御坂と一緒に居たい。 あいつと共に世界をつくっていきたいんだ」

「…本当に勝手な方ですの。これだけは聞かせてくださいまし。 貴方はお姉様を幸せにする自信はありますの? 」
281 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:36:02.82 ID:I1UxmCHR0


白井はずっと悩んでいた。
上条が帰ってきてから。
美琴の幸せとは何か。

答えはでていた。
しかし認めたくなかった。
あのままの上条に美琴を託しても美琴に幸せはこない。

だが、上条は言い切った。
美琴を好きだと。
きっと上条は美琴を一番に考えてくれるだろう。

白井もここで一つの選択をした。
282 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:36:46.39 ID:I1UxmCHR0


「勿論だ!! 俺はどんな不幸になろうとも御坂だけは絶対に幸せにする!! 」

「貴方は本当にわかっていませんの。 貴方の幸せはお姉様の幸せでもありますの。 そこをお忘れなく肝に命じておいてくださいまし 」


愛するお姉様を憎くもあり、しかしお姉様を任せるにおいては最も信頼できる男に託すという選択を。


「お姉様を泣かせたら、この手で貴方を磔にして学園都市中を引きずりまわしてあげますの。
   さぁ、この雑魚共は黒子に任せてお姉様の元に行きやがれですの」
283 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:37:18.77 ID:I1UxmCHR0


白井は上条に憎まれ口を、しかしその反面清々しいほどの笑顔で送り出した。


「白井!!  俺は必ず御坂と一緒に幸せになる!! そして御坂とその周りの世界を守りぬく!! 」


上条は美琴の元に走り去ろうとしたが、振り向いて白井に叫んだ。


「それなら、さっさと行きなさい!! 」


白井は叫び返した。
上条は再び誓ってくれた。
白井はそれだけで満足だった。


長かった三日間もそろそろ終わりを迎える。
あらゆる人に支えられて、転がりながらも、上条は走る。

この先で待ってるであろうヒロインの元へ。

284 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:38:06.85 ID:I1UxmCHR0






第九章  〜戦う者と支える者〜




285 :if男 [saga]:2011/12/16(金) 20:44:43.22 ID:I1UxmCHR0
という事で以上です。

上条さん、暴論すぎ?
恋する男って事で許してやって下さい。
上条さん、強過ぎ?
恋する男補正は強いって事で許して下さい。

……さて、次回は上条さん視点から外れて同時刻に何が起きていたかを掘り下げます。
いつもは三日以内と言うんですが、今回は自信ないので断言はできません。
とにかく、頑張りますんでヨロシクです。

では、またの機会に♪
286 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 21:13:17.60 ID:kexguLqH0
乙!!
続きが楽しみすぎるww
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/16(金) 21:47:43.11 ID:Itbl61qLo
乙!
288 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:21:06.12 ID:aoqVobPe0
乙です!
黒子がスゲーイイ奴だな!
289 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 00:09:02.98 ID:nR717fPf0
290 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 01:52:37.10 ID:9DQ7rvYv0
>鉄骨 逃げた 海原

タオパイパイの移動法思い出したわ
291 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 21:57:57.16 ID:WZveAOD6o
続き楽しみにしてます!
292 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:18:09.85 ID:Hzvm3tNBo
乙にゃんだよ!
293 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:04:31.18 ID:5kyXEnbIO
どうも。
やっと書けました。

では、第十章をどうぞ!!
294 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:05:32.08 ID:5kyXEnbIO


美琴 side



時はこの日の朝に遡る。


美琴は第七学区を歩いていた。
別にやる事も無く、海原も今日はやる事があるとの事で暇だった。

コンビニでの立ち読みも早々に切り上げて気分転換に散歩をしていた。

そんな時に見てしまった。

能力を使い一般生徒を追いたてている複数の人間を。
恐らく逃げているのは無能力者か低能力者だろう。
295 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:06:02.58 ID:5kyXEnbIO


「馬鹿っ! 無能力者を狩っていいのはターゲットを狩ってからだって言われただろう!! 」

「うっせえ、こいつは俺にガン垂れてきたんだよ!! そんな無能力者は狩ってやらないとな!! 」


美琴は正義感の強い人間だ。
そんな彼女がこの状況を静観できるわけがなかった。
296 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:06:39.88 ID:5kyXEnbIO


「何やってんのよ、アンタ達!! 」

「あぁ" !? 見てわかんねぇのか? 無能力者狩ってんだよ!! 邪魔してんじゃねぇぞ!!  てめぇも狩ってやろうか?!」


(無能力者狩り……。 噂には聞いてたけど…)


その言葉を聞いた美琴は身体から紫電を迸らせた。


「ほう…、それなら私も全力で相手してあげないといけないわね!! 」

(無能力者狩りだなんて、下衆な真似は私が止めてやる!! 
   それに無能力だったら、アイツにも被害が…………って)


ここで美琴は疑問を持った。
297 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:07:23.53 ID:5kyXEnbIO


(アイツって……誰よ)


それでも込み上げてくる怒りは止められそうになかった。
何故ここまで怒りがわいてくるのかはわからない。
美琴の身体から迸る電流がどん
どん大きくなっていく。


(…って、ヤバッ!!  能力が制御できない)
298 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:08:27.51 ID:5kyXEnbIO


最近、美琴は能力が不安定だった。
詳しくいえば、あのツンツン頭と会ってからだが。
あの男の事を考えるだけで自分だけの現実が揺らぐ気がしていた。
事実、漏電現象などを起すにいたっていた。

今回も口では全力と言ったが、軽く痺れさせる程度ですませるつもりだった。

しかし、感情に比例するかのごとく電流は大きくなっていく。
299 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:09:03.49 ID:5kyXEnbIO


そして、

とてつもない轟音を響かせて、稲妻を落としてしまった。
幸い、人的被害も電化製品的な被害も無かったが…。

無能力者狩りの連中は我先にと逃げだしていた。

残された美琴は


「どうしちゃったのよ、私……」


いつもの彼女らしからないか細い声で呟いていた。
300 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:09:51.86 ID:5kyXEnbIO


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
御坂’s side


あれから美琴は例の鉄橋まで来ていた。
あの時、“ 海原光貴 ” に救われて以来、何かあるとこの鉄橋までくる様になっていた。

あの時と同じ様に鉄橋の端で物想いにふけっていると
それこそあの時と同じ様に、


『何やってんだよ、お前』


「何をやっているんですか、とミサカは稲妻を落としたお姉さまに問いかけます」


記憶にないはずの少年と目の前の妹が重なった。
301 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:10:26.38 ID:5kyXEnbIO


「どうしてアンタがここに? 」

「お姉さまを捜していたら異常な電磁波を観測したので、それを追って来たらここについたのです、とミサカは返答します」


御坂妹は上条に会った後、どうすれば美琴の記憶を取り戻せるかを考えていた。
ミサカネットワーク内で会議をしたり、冥土帰しを尋ねたり、色々な手段を考えた結果、単純だが最も効果があるであろう事を実践する事にしたのだ。
それの為に美琴を捜していたところに先程の落雷であった。
その後、垂れ流しになっていた彼女の電磁波を追跡した結果がこれであった。
302 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:11:13.45 ID:5kyXEnbIO


「そう……。 それで? 何かあったの? 私を捜していたってよっぽどの事でしょう。 私ができる事ならなんでもするわ」


アンタは私の大事な妹なんだから、と美琴は続けた。

御坂妹は美琴の優しさに心打たれながら、これから自分がやることに罪悪感がわいていた。
最悪、再び美琴を壊す事になりかねない。


「それでは率直に聞かせていただきます、とミサカは一拍おきます」


それでも、自分の大事な姉の本当の幸せの為に御坂妹は心を鬼にする。
303 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:11:48.58 ID:5kyXEnbIO


「……お姉さま、8月21日に、ミサカ達とお姉さまを救ってくれた人は誰ですか、とミサカは最初から話の核心をつきます」


つまり御坂妹の考えた手段とは、美琴にとっての上条との強い思い出、特にトラウマレベルである絶対能力者進化実験での事をあくまで “自主的” に思い出してもらう事だった。
冥土帰しからは推奨されなかったが記憶の戻る可能性の一つとして教えられたものだ。

御坂妹は何よりもこの手段に自信を持っていた。
結果的には、感情の無かった自分達に感情を生ませて更には恋までさせてくれたあの実験。
あれの事なら美琴の記憶を刺激できる。
そう信じてこの場所に立っていた。
304 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:12:28.57 ID:5kyXEnbIO


「いきなり聞いてきたかと思えば、何よそれ……。 まさか “光貴” に助けてもらった事忘れたわけないわよね? 」


ここで御坂妹に誤算が生じた。
御坂妹は計画の事を知らなかった。
現在の美琴は “海原光貴” に救ってもらったと記憶している。
それなら、と御坂妹は自らの計画に修正をいれながら美琴に問いた。


「本当にその “光貴” と言う人に助けて頂いたのでしょうか、とミサカは再三にわたりお姉さまに問います」

「…はぁ? アンタ本当に忘れちゃったの? アンタもその場にいたでしょう」
305 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:13:00.30 ID:5kyXEnbIO


御坂妹は布石をうっていく。
次の言葉に意味を持たせる為に。
次で確実に矛盾点を突く事ができる。
一方通行が最強の能力者でよかったと思いながら御坂妹は美琴にトドメを刺す。


「どうやって?、とミサカはこの言葉に重みを持たせます」

「………………………………えっ? 」

「その “光貴” と言う少年は一方通行にどのようにして勝利したのですか、とミサカはお姉さまにトドメを刺します」
306 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:13:28.99 ID:5kyXEnbIO


美琴はその答えを返そうと口を開こうとするが、疑問を持った。

どうやって。

確かに美琴の記憶の中には海原光貴が一方通行を倒した記憶がある。
しかし、その記憶自体に矛盾がある事を美琴自体が認識してしまった。
自分の信じてきた記憶の矛盾点は美琴にとって大きな負担だった。
特に今の不安定な状態では尚更の事だった。

美琴の身体から少しずつ紫電が迸り始めた。
307 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:14:11.42 ID:5kyXEnbIO


「あ…れ……? どうやって倒したの…? 光貴が救ってくれたんじゃないの? それじゃあ、この記憶は何?…… 」

「…お姉さま……、とミサカは己のした事に罪悪感を覚えます。 
……………おや、あなたは……、とミサカは見覚えのある乱入者に興味を引かれます」
308 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:15:18.44 ID:5kyXEnbIO


御坂妹は姉の自分だけの現実を再び崩壊させた事に心を痛めていた。
しかし、美琴の記憶を取り戻す為にはやむを得なかった。

この後の行動に移ろうとした時、御坂妹の目にある少女が入った。


「短髪が二人いるんだよ!? 」


白い修道服に身を包んだ少女は目の前の光景に驚き、戸惑っていた。
309 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:16:10.13 ID:5kyXEnbIO


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

インデックスside


インデックスは上条が部屋を飛び出した後、どうすればいいか悩んでいた。


(とうまのあんな顔、初めて見たんだよ……)


上条が電話をとった後の顔が忘れられなかった。
怒気を纏った、というか殺気を纏った上条の顔。
昨日の嬉しそうな顔が一瞬にして消えていった。
310 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:16:50.25 ID:5kyXEnbIO


インデックスはそんな上条の助けになりたかった。
それでもどうすればいいかがわからない。
魔術関連の事ならなんでもこいのインデックスでも今回の事はどうしようもなかった。
美琴の事は上条が解決すべき事。 それでも、インデックスは不安に駆られていた。
女の感というものか、何かたいへんな事が起きそうな予感というか。

そんな時に外で物凄い音が轟いた。
天気は晴れ。なのに落雷。
ここは科学の街であり超能力者が住んでいる街。
落雷くらいは不思議では無いはずだった。
しかし……。
311 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:17:17.20 ID:5kyXEnbIO


(…確か、短髪の能力は……!! もう、こうしちゃいられないんだよ!! )


インデックスは不安を爆発させて家を飛び出した。
もう待っているのは嫌だった。
待っているだけなのは嫌だった。
なにもできないかもしれない。
自分がいても邪魔になるだけかもしれない。
それでも、インデックスは上条の助けになりたかった。
312 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:17:50.13 ID:5kyXEnbIO


(…でも、出てきたはいいけど……。 どこに行けばいいんだろ?? )


とりあえず外に出たはいいが、何処に行けばいいかがわからないインデックスは落雷付近を目指していた。

落雷のあった方へ走っていると鉄橋が見えてきた。
そこで一瞬だが中央付近で光るものが目に入った。
まるで、稲光のような。
インデックスはそこに向かって走った。
313 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:18:25.94 ID:5kyXEnbIO


鉄橋にはすでに二人の人物がいた。

一人は短髪、茶髪で紫電を身に纏わせて、何かに苦しんでいるような少女。

もう一人も短髪、茶髪だが、頭には軍用ゴーグルを付けている少女。


「短髪が二人いるんだよ!? 」


この状況で目的の少女が二人いた事にインデックスは驚きを隠せなかった。
すると、ゴーグルの少女から声をかけられた。
314 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:18:54.42 ID:5kyXEnbIO


「あなたは…何故こんなところに……、いや、そんな事よりもあなたに頼みがあります、とミサカはいきなりですがあなたにお願いします」

「うぉ!! こっちはクールビューティだったんだよ。  それで、なんなのかな? できる事ならするんだよ!! 」

「それでは、あの少年をここに連れてきてください、とミサカは最後の希望をあなたに伝えます。 その間はミサカがこの場を抑えます、とミサカは一抹の不安を抱えつつ宣言します」


きっとあの少年とは上条の事だろう。
インデックスはそう思いながら御坂妹に問いた。
315 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:19:39.32 ID:5kyXEnbIO


「一人で大丈夫なの? 」


インデックスの目から見ても美琴は暴走を起こし始めているのがわかる。
しかし、御坂妹は


「大丈夫です、とミサカは伝えます。 何故なら、ミサカは “御坂美琴” の “妹” なのですよ、とミサカはこの事実に胸を張ります」


インデックスは美琴達の事情を知らない。
それでも、御坂妹の薄い表情からでも、嬉しさ、というか誇りのようなものが感じとれた。
だからこそ、インデックスは


「わかったんだよ。 必ずとうまを連れてくるよ!! 」
316 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:20:15.01 ID:5kyXEnbIO


そう誓い、踵を返して走りさった。
御坂妹の決意を無駄にしない為に。
上条の大切な人を助ける為に。
インデックスは上条の元へ走る。

上条の居場所はわからない。
それでも、インデックスは止まらない。

〜祈りは届く〜

かつてインデックスが言った言葉だ。
317 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:20:48.92 ID:5kyXEnbIO


多くの人が上条と美琴の幸せを祈った。

浜面仕上

白井黒子

御坂妹

土御門元春

エツァリ

一方通行

そしてもちろん、インデックスも。

そして、その祈りは確実に届いていた。
318 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:21:44.68 ID:5kyXEnbIO


不幸体質の上条を幸せにしてくれる神様はいないかもしれない。
それでも、 “神様”  はインデックスの元に舞い降りた。
上空から物凄い速度で降下してきた白髪に細い身体をした “神様” が。


「アクセラレータ!! 」


インデックスは力の限り叫んだ。
彼なら上条の居場所を知っているかもしれない。
そんな希望を抱きながら。
319 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:22:20.26 ID:5kyXEnbIO


「おォ、シスターじゃねェか。 こンなところでどォしたンだ? 」

「と…とうまの…ぜェ…居場所を…ハァ…知ってる? 」


インデックスは息を切らしながら一方通行に近寄った。
いつものインデックスの運動量を軽く越すぐらい走ってきたのだ。


「とりあえず落ちつけ。 上条の居場所は知ってる…てか、今そこに向かってるンだが……どォしてだ? 」

「とうまに…ハァ…伝えなくちゃいけない事があるんだよ! お願い、一緒に連れてって!! 」
320 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:22:49.66 ID:5kyXEnbIO


インデックスは懇願した。
折角のチャンスなのだ。

しかし、一方通行の答えは。


「…ダメだ。 危険が多すぎる。伝言なら俺が伝えて--------」


一方通行達は今、海原光貴が配置した能力者を狩りながら上条の元へ進んでいた。
そんな中にインデックスを連れて行くわけにはいかない、と思い同行を拒否したのだが、


「私が行かなくちゃダメなんだよ!!!! 」
321 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:23:31.15 ID:5kyXEnbIO


一方通行の言葉を遮り、インデックスは思いの丈をぶち撒けた。
いつも待っているだけ、任せるだけ。
そんな自分に終止符を打つためにここにいるのだ。


「危ねェぞ。本当にいいのか? 」

「うん!! 」


嫌になる程まっすぐな眼差しだった。
まるで、どこかのアホ毛の少女の様な純粋で硬い意志を感じさせる眼差し。
そんな目で見られて、一方通行が断れるわけがなかった。


「…ハァ。 俺から離れるなよ? 」

「もちろんなんだよ!! 」


インデックスは目をキラキラさせて一方通行の言う事に頷いた。
一方通行は溜息一つにインデックスを抱えて “跳んだ”
322 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:23:59.72 ID:5kyXEnbIO





そして、第七学区○○ビル数十メートル前。


インデックスと一方通行は能力者に囲まれていた。
どうやって集めた、と言いたくなる程の数だった。
一方通行は殺すつもりはなかったので加減してやらなくてはならない。
それを考えると、若干の時間がかかる程の人数だった。
それに今はインデックスもいる。
そこで、
323 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:24:33.72 ID:5kyXEnbIO


「おいシスター。 道つくってやるから、あのビルまで走れ」


そう言って、とりあえず正面にいる能力者達にベクトルを操った風の弾をぶつけて薙ぎ払った。

その瞬間、インデックスは全速力で正面のビルを目掛けて走りだした。
しかし、そう簡単にはいかなかった。

どうやら、海原光貴は空間転移の能力者も配置していた様だ。
その能力者はインデックスを捕まえようとテレポートした。

その時、その場に銃声が轟いた。
324 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:25:12.67 ID:5kyXEnbIO


「ゴム弾だ。 死にはしねぇよ。 …走れ!! 嬢ちゃん」


その銃を撃ったのは世紀末帝王の浜面だった。
浜面はインデックスに迫りくる能力者を銃で蹴散らしながら激をとばした。


「ありがと!! はまづら」


インデックスは浜面にお礼を言い、再びビルに向かって走りだした。

インデックスが行ったのを確認した一方通行はその道を塞ぐように能力者の前に立ちはだかった。
325 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:25:46.77 ID:5kyXEnbIO



「こっから先は一方通行だァ!! スクラップの時間だぜェ、クソ野郎共!!!! 」


(こいつ、良いとこ全部持っていきやがった)


そこからは一方通行の独壇場だった。
浜面は一人見せ場を持っていかれた事をごちながら、一方通行の攻撃から逃れた能力者を撃っていた。

ほんの数分で動いている人間は一方通行と浜面だけになった。

いざビルへ行こうとしたら、一方通行が凄い速度で跳んで行った。

浜面はそれを追う様に走っていった。
326 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:26:28.65 ID:5kyXEnbIO


ーーーーーーーーーーーーーーー

上条を送りだした後〜


「良かったのか? 行かなくて」


一方通行はインデックスに尋ねていた。
一方通行視点から言えば、インデックスも上条からフラグを建てられた一人であり、上条を追わなかったインデックスの行動に不可解な点があったのだ。


「………私じゃ駄目だったんだよ」

「………なンかあったのか? 」

(俺、空気だなー)

「ちょっと、長くなるんだよ? 」

「かまわねェよ。 吐き出してスッキリしちまえ」
327 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:26:59.99 ID:5kyXEnbIO


そうしてインデックスは語り始めた。
上条当麻から身を引いた理由を。
彼女の決意を。

一方通行と浜面は真剣に聞きいった。


「私はね、前に短髪に言った事があるんだよ」
328 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:27:26.13 ID:5kyXEnbIO


インデックスは語る。

あれはシェリー•クロムウェルが学園都市に攻めてきた日。
インデックスと御坂美琴は白井黒子のテレポートにより二人きりになる機会があった。
その時のインデックスの言葉。


〜とうまは何があっても、絶対に帰ってきてくれるんだから〜


「その時の私はその事を疑いもしなかったし、とうまもちゃんと帰ってきてくれた。
   ……でもね、この前気づいたんだよ。 私は待ってるだけだったんだって」


上条が帰ってきてからインデックスは聞いた。
インデックスがフィアンマに操られている間、美琴は上条を追いかけていた、と。
329 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:28:02.75 ID:5kyXEnbIO


「とうまを助けたり、一緒に戦ったりする人はたくさんいたんだよ。 でも、とうまの手を掴もうとしたのは短髪一人だった。」


上条と共に戦う事はあった。
共に過ごした時間もインデックスのほうが多い。

それでも、インデックスは待つだけで上条の手を自分から掴もうとはしなかった。


「それを考えると、わかっちゃったんだよ。 私じゃ駄目だったんだって」

「……オマエは辛くねェのか? 」

「…辛かったんだよ。とうまの事大好きだったもん…。
   でもね……とうまはこんな私の事を相棒って呼んでくれたんだよ」
330 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:28:35.11 ID:5kyXEnbIO



インデックスは辛かったと言った。
しかし、その瞳に辛さはまったく感じられなかった。


「とうまが私の事を相棒って呼ぶなら、私はその場所は誰にも譲らないんだよ。 短髪にだって……」


一方通行はインデックスの強さに驚いた。
見た目は中学生ぐらいなのに、その心に宿すものはとても大きなものだった。


「そして、私はこれからとびきり良い女になってやるんだよ!! とうまが私を選ばなかった事を後悔するぐらいに!! 」
331 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:29:13.17 ID:5kyXEnbIO


インデックスはとびきり良い笑顔で締めた。
つい、一方通行や浜面が見惚れるぐらいの笑顔で。

一方通行はインデックスの頭に手を乗せ、


「……オマエは既に良い女だよ」

「…!! ありがとうなんだよ。アクセラレータ!! 」


今まで空気だった浜面は、
332 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:29:45.87 ID:5kyXEnbIO


「かぁ〜〜、上条は勿体無い事したな。 こんな良い女を振っただなんてな。 俺だったらほっとかないぜ」

「はまづらもありがと!! でも、今の発言はいただけないんだよ。 もう、うちのドアは壊されたくないかも」

「あの時の滝壺は怖かったです……」


そんな浜面を見て、吹き出すインデックスと一方通行。

笑いながらも一方通行は敵わねェな、と思っていた。
そして、心地良いな、とも…。

この場所を守る為に一方通行は能力(チカラ)を振るう。
その為にできる事をする。
333 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:30:17.54 ID:5kyXEnbIO


「さて、と!!  話しは終わりだ。 ここの後始末は俺に任せなァ! オマエはアイツの相棒を名乗るのなら、アイツとオリジナルの帰ってくる場所を護りやがれェ!! 」

「もちろん、なんだよ!! 」


インデックスは力強く応えた。
インデックスはまたここで一つ成長した。
女としても、相棒としても。

役目を終えたインデックスはヒーローとヒロインの帰還を待つ。
強い想いを胸に抱きながら。

334 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:30:53.78 ID:5kyXEnbIO


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

御坂’s side


「あぁ言ったものですが、まずいですね、とミサカは現状況を分析します」


御坂妹はインデックスに上条を呼んでくるように頼んだ後、内心焦っていた。

美琴は依然暴走したままだった。
さらにインデックスの登場により更なる記憶の矛盾点が顕になり、漏電に拍車をかけていた。
335 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:32:04.74 ID:5kyXEnbIO


「おっと、とミサカはお姉さまの電撃を受け流しながら次の手を考えます」


御坂妹は自分の能力により、美琴の電撃を受け流していた。
美琴と御坂妹の能力にはとてつもない差がある。
が、暴走状態であっても御坂妹に怪我のない様に力を無意識的に抑えている美琴であった。


「あの娘はアイツと一緒にいた……、でも、アイツって誰よ……、私はアイツを知らない、それでも、あの娘の事は知っている。 どうなってるのよ。どうなってるのよぉぉぉぉおおおお!! 」
336 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:32:36.73 ID:5kyXEnbIO


美琴は愛していたはずの彼氏の事で矛盾を見つけてしまった。
知っているはずの女の子との出会いに矛盾を見つけてしまった。
今まで信じてきた記憶に矛盾を見つけてしまった。

何よりも、知らないはずの男に心を乱された。

Level5の第三位とは呼ばれているが、それでも結局は中学生の女の子だった。
337 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:33:05.43 ID:5kyXEnbIO


この美琴は救いがある前に大人の自分本位な計画により記憶を改竄された。
その大きな恋心を消されるのではなく悪用されるように。

莫大な恋心に矛盾点を見つけた美琴は再び、自分だけの現実を崩壊させる事になった。


「……少し刺激しすぎましたかね、とミサカは自分の行いを反省します。
   それにしても、記憶を改竄した人は何適当な仕事をしているのですか、とミサカは知らない人に憤ります」
338 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:33:35.06 ID:5kyXEnbIO


御坂妹はたまに飛んでくる電撃を受け流しながら、一人文句を言っていた。
どこかで、金髪の少女がくしゃみをしたのは気のせいだろう。


「お姉さま!! とミサカはお姉さまに大声で語りかけます」

「な……に……? 」


御坂妹はそろそろ来るであろうヒーローの為にもう一押しする事にした。
この後どうなろうともヒーローがなんとかするだろう、と若干投げやりになりながら。
339 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:34:05.74 ID:5kyXEnbIO


「お姉さま、深呼吸して思い出してください。 お姉さまの心には誰が息づいているかを、とミサカはお姉さまに最後の駄目押しをおこないます」


美琴は御坂妹の言葉を聞いた。

深呼吸する必要なんてなかった。
美琴には誰が自分の心にいるかがわかっていた。
それでも認められなかった。
自分の恋心を否定する事になるから。
自分だけの現実を否定する事になるから。

美琴はついに頭の中が真っ白になった。
340 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:34:43.26 ID:5kyXEnbIO


「…まずっ、とミサカはこの状況に戦慄します」


御坂妹の目の前にはとてつもない電撃が迫っていた。
今までの漏電など比較にならないくらいのが。

御坂妹では受け流せない。
御坂妹は己を守るように目を瞑った。

しかし、いつまで経っても電撃は自分の身を襲わなかった。

そして恐る恐る目を開けると、目の前にはこういった状況の時にピンポイントで駆けつけられるツンツン頭のヒーローが立っていた。

そのツンツン頭のヒーローはかざした右手を降ろすと、一つ大きく息を吸い、


「御坂ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!! 」


己の想い人の名前をこれでもかというほどの大声で叫んだ。


ついに、ヒーローとヒロインは邂逅した。
341 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:35:19.20 ID:5kyXEnbIO


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

逃走者  side


「糞ッ!!!! 」


暗い路地裏。
海原光貴は拳を壁に叩きつけていた。

自分の作戦は完璧だったはず。
勝っても、負けても上条当麻は殺れるはずだった。

能力を考慮した戦略。
完璧な配置の能力者達。
場所。

不備は無かったはずだ。
342 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:35:53.38 ID:5kyXEnbIO


「誰なんですか! あの人達は!! 」

「教えてやろォかァ?! 」


海原はハッとして振り返った。
そこには全身真っ白な男が立っていた。
先程、海原の邪魔をした男だ。


「本当に馬鹿ですかァ、オマエは。 折角逃げたのに、わざわざ大声あげてたら意味ねェだろうが」

「大きなお世話ですよ。 貴方みたいな人が追いかけてきたぐらいで、どうにかなるようなものでもありませんよ。 さっきはどうやったかは知りませんが、怪我する前に帰った方がいいですよ。 今、自分は気分が悪いので手加減してあげられそうにありません」
343 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:36:25.18 ID:5kyXEnbIO


海原はその人物を見るなり興味を失ったかの様に接した。
見るからに貧弱で、杖までついている白髪の男。
先程は鉄骨を防いでいた様だが、能力者ならあんな物防ごうと思えば簡単に防げる。
それに海原は大能力者。
ある程度、それこそ超能力者級の人間が来ない限りは負けるつもりはなかった。
それが自信を生んでいた。
自信を生んでしまった。

白髪の男はそれを愉快そうに聞きながら、
344 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:36:53.98 ID:5kyXEnbIO


「そうか、そうか。 それなら、こっちも……全力で相手してやらねェとなァ!!!! 」


白髪の男は地面を軽く蹴った。
そうすると、その男を中心に亀裂が走り始めた。


「…………は???? 」


海原は今起こった現象が理解できなかった。
その男はほんの少し、地面を蹴っただけだった。
それだけで、周りの地形が変化する程の力が発生した。

そして、気がついたら目の前にその男が移動していた。
345 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:37:36.91 ID:5kyXEnbIO

「何、悦に浸ってるかは知らねェけどよォ、オマエ、誰にケンカ売ってるか良く見ねェと寿命を縮めるぞ」

「あ、あなたは一体? 」


海原は震えていた。
絶対的な力を目の前で見せられて。
そんな力にケンカを売ったのを後悔した。


「オマエが倒したって事になっている男だよ」


白髪の男は海原の耳元でそう囁いた。
海原は理解した。
目の前の男が誰なのか。

346 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:38:10.95 ID:5kyXEnbIO


美琴の記憶を改竄してもらった時に聞いた事。


『御坂さんの想い人だケドぉ、どうも超能力者の第一位を倒してるみたいなのよねぇ。 都合が悪いなら、そこの部分は消してあげましょうかぁ? 』


海原はこう答えていた。


『いえ、消さなくて大丈夫です。 そちらの方が都合がいいので』


海原はその事を聞いた時、歓喜に震えた。
自分が美琴の中では超能力者の第一位を倒した男になれる。
それだけで強くなった気分になれる。
347 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:38:39.65 ID:5kyXEnbIO


結局は見栄と自己満足だった。
そのツケがここでまわってきた。


「善だの悪だの考えるのはやめたンだが、今回だけは前言撤回だ。 オマエには一流の悪党ってやつを教えてやるよ」


それにサービス残業の続きだしな、とその男は呟いた。

その後、その崩れた路地裏ではこの世のものとは思えない断末魔が響いた。
348 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:39:27.21 ID:5kyXEnbIO


ーーーーーーーーーーーーーー


「あァ、こっちは終わった。 さっさとこのガキ回収して適当な病院にでも放り込みやがれ」


白髪の男。……一方通行は海原に教育的指導を行った後、昔の同僚に連絡をとっていた。

パタン、と携帯を閉じて一息いれる。

349 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:40:26.49 ID:5kyXEnbIO


浜面にはインデックスを送らせた。
まだ、無能力者狩りの残党が残っているかもしれなかったからだ。

とにかく、これで無能力者狩りは終結を迎えるだろう、と一方通行は思う。

あの男との約束も護れただろう。


「やれやれ。俺がここまで働いたンだから絶対成功させやがれ、ヒーロー」


一方通行は誰に向けたのかもわからない呟きを放ち、空を見上げた。
足下には海原。眼前には星空が広がる中、一方通行は何を想うのか。

とりあえずは、コーヒーが飲みたいな、と思いながら彼は帰路につく。

350 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:40:54.93 ID:5kyXEnbIO






第十章  〜舞台裏で支える人達〜




351 :if男 [saga]:2011/12/21(水) 21:50:30.23 ID:5kyXEnbIO
……って事で第十章でした。

いやー、普通にSS書ける人を尊敬しますよ。
書きたい事がうまく書けないって言うか……。
もっと頑張ります……ハイ。

今回は上条さん視点から外れて舞台裏でした。
一方通行が原作からかけ離れていく…。
インデックス大人になりすぎた。
浜面空気。
美琴ぉぉぉ。

一方通行とインデックスに関しては>>1の願望が強いです。
生暖かい目で見て下さい。


さて、次回からはやっと上琴のターンです。
てか、最終章一歩前です。
次回投下はまだ未定です。
なんせ、殆んど書きあげていません!! ドヤッ

ごめんなさい。物投げないで。
できるだけ、早くに来ますので待ってて下さい。
では、また次の機会にお会いしましょう!!
352 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:57:05.29 ID:nYyNeIOc0
乙です!

めちゃくちゃ面白いです!
353 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/21(水) 21:57:18.68 ID:W1n68vda0
乙なんだよ!

期待して待ってる!
354 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:07:20.28 ID:4s7wsZLf0
乙なのですよー
続きも楽しみにしてます!
355 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:07:22.38 ID:4qXjOZe30
期待に震えながら>>1に乙を投げつけてみたりww
356 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:26:43.47 ID:UBpm6p9/o
乙乙
357 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:28:52.15 ID:zCOLodmTo

         /|
       /  |   φ(・ω・´)
           |  /  oノ )
     |\   L/     〈〈
  __  \
__   |
   |  |
   |
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/12/21(水) 23:12:05.55 ID:2dq9zvbVo
乙!
続き楽しみにしてるぜ!
359 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 02:00:34.35 ID:y3z+mzFIO
超乙
360 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 02:13:02.26 ID:BI0mYUwU0
これは期待
361 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 14:39:52.28 ID:esNhjezB0
超乙ッス!
続き楽しみにしてマスデス
362 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 22:45:10.80 ID:juU+dyzBo
まってるぞ
363 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 10:12:56.28 ID:FCxbebxA0
をーい、生きてるかー?
364 :if男 [sage]:2011/12/31(土) 12:25:36.87 ID:xLZGtjw+0
ごめんなさい!!
生きてます。
しかし、筆的には死んでます。

次は上琴部分なので下手糞なりに納得のいくものを模索している途中でございます。
それがどうも難航して……。
でも、必ず完結はさせますのでご安心を。

って事でもう少し時間はかかります。
お待ちの方にはもう一度謝罪の言葉を。
では、次の機会に。
365 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 14:15:44.10 ID:eK7NsvHAo
待ってます
366 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 14:18:07.75 ID:xibhLNtxo
がんばってくだしあ
367 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:46:03.03 ID:VRSnVcGRo
待ってるんだよ!
368 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:35:56.38 ID:H9c8R3dgo
生殺しですの…
369 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:43:35.15 ID:nfdJw1wW0
もう限界だ・・・
>>1、すこしでもいいので・・・更新を・・・
370 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 17:35:29.60 ID:X8O7iLfj0
だ、だれか早く>>1を!
変態黒子と>>369が死にかけてるぞww
371 :if男 [saga]:2012/01/04(水) 19:37:15.36 ID:kFoF8PQf0
ごめんなさい。
筆が全然進まないんです。
リアルでも論文やらなんやらでてんてこ舞いの状態です。

なので、本当に少ないのですがお許し下さい。
では、第11章のさわりの部分で御坂妹と上条さんです
372 :if男 [saga]:2012/01/04(水) 19:37:52.40 ID:kFoF8PQf0


「やっと来ましたか、とミサカはいつもいつも都合のいいタイミングで現れるあなたに呆れてみます」

「悪いな。遅くなった」

「まったくです、とミサカは言葉に棘をもたせます」


御坂妹は上条に対して少量の毒を吐いていた。
最後まで鈍感だったこの男に対しての最後のあがきだった。
373 :if男 [saga]:2012/01/04(水) 19:38:24.15 ID:kFoF8PQf0


「では、ミサカは帰るとします。あとは、あなたがお姉さまを取り戻して下さい、とミサカはあなたに丸投げします」

「あぁ!! ありがとな、美琴の為にここまで動いてくれて」


お姉さまの為だけでは……と御坂妹は呟いていたが、上条には聞こえていなかったようだ。
はぁ、と御坂妹は溜息をつき上条に一言だけ残した。
374 :if男 [saga]:2012/01/04(水) 19:38:51.17 ID:kFoF8PQf0


「お姉さまを泣かせる様な事があれば、妹達全員が敵に回ると思っていて下さい、とミサカは脅しをかけてみます」

「……俺は………」


上条は言葉を続けられなかった。。
泣かせない自信はなかった。
上条の生きていく道にはきっと美琴を泣かせる事も多くある。
それでも一緒にいたいと思った。
375 :if男 [saga]:2012/01/04(水) 19:39:30.90 ID:kFoF8PQf0


「それでは言い方を変えてあげます。 お姉さまに哀しみの涙を流させないようにしなさい、とミサカは口調を少し強めます」

「…あぁ、誓うよ」


不安はあったが、心配はなかった。
きっと上条なら美琴を大事にしてくれる。
上条なら、今まで誰かを護る側だった姉を護ってくれる。
そんな信頼を上条に置いていた。
…鈍感だけど。
376 :if男 [saga]:2012/01/04(水) 19:39:51.74 ID:kFoF8PQf0


(ミサカのやるべき事は終わりましたね。 ………今日は他の個体と自棄酒ですかね、とミサカは最近覚えた言葉を使ってみます)


そんな内心とは裏腹に御坂妹は足取り軽くその場を去っていく。
大好きな姉を大好きな男に託して。
377 :if男 [saga]:2012/01/04(水) 19:45:27.74 ID:kFoF8PQf0
……はい。ごめんなさい。
こっから先は上琴パートなので、纏めて投下したいのです。
結果、これだけという事に……。。。。

肝心の上琴パートも、展開は決まってるのに筆が進まなくて。
でてくる単語はテンニースやら、アーミシュやら……。

もうしばらくお待たせさせると思いますが、気長にお待ち下さい。

因みに質問なんですが、上条さんの家にテレビはありましたよね?


言い忘れてました。

あけましておめでとうございます♪
皆様に良い年がくる事をお祈りしています
378 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 19:54:20.46 ID:7/8xfiBko
乙!
待ってたよー

テレビはあったはずだよ
379 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 20:03:06.02 ID:KKJC5hpco
乙!
テレビはインデックスがアニメやらニュースやら観てたから間違いなくあるよー
380 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 23:21:36.36 ID:X8O7iLfj0
乙!
あけおめっ論文がんばれ
体壊さないように暖かくして寝なさい!!
381 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 23:46:06.04 ID:bb8wGWjJo
待ってたんだよ!
382 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 23:52:15.19 ID:b2hPFAD9o
おつおつ〜
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/06(金) 20:58:19.61 ID:3qQ54o3A0
超乙ッス!
ついに更新が来た・・・
あやうく逝きかけた・・・
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 16:26:23.43 ID:4wsZJkWto
うおおおお
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 13:57:43.38 ID:j0XkTq4Fo
ぐぬぬ…
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/11(水) 16:21:52.00 ID:XqPzh87u0
ごっ、があああああぁぁぁ!!?
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 23:50:10.46 ID:TMY+qh8Ko
禁断症状が…
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 23:28:55.60 ID:LuuKaWD6o
うう…まだだろうか…
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/21(土) 01:10:11.90 ID:rJkw9eR10
>>1があまりに遅いから一通さンが八つ当たりで海原ハンバーグにしちまったよ
390 :if男 [sage]:2012/01/21(土) 17:15:19.23 ID:CHzzuEA00
絶対に投げません。
書き終えます。
もう少しだけ待っていて下さい。
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/21(土) 22:31:24.26 ID:pz26/UYd0
ほ、ホントか?!
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 23:41:19.03 ID:NbCeq0ELo
待ち切れず福岡に行くところでしたの
393 :if男 [sage]:2012/01/22(日) 00:39:29.88 ID:4xBmXhvs0
すいません、一ついいですか?

>>392
何処で福岡特定に到ったのでしょうか?
気になって筆が進みません。


394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 01:07:11.05 ID:G6HJQNi30
筆に進んで欲しいので横レス失礼  おそらくですが答えは支部なんじゃないでしょうか(笑)
395 :if男 [sage]:2012/01/22(日) 01:54:55.59 ID:4xBmXhvs0
あぁ(笑) なるほど。

あっちの事は頭にありませんでした。
ありがとうございます。
これで気持ち良く寝れそうです(オイ
396 :if男 [sage]:2012/01/23(月) 22:12:14.72 ID:+aT5Npzs0
予告

明日の晩

第十一章 投下

397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 22:15:59.86 ID:yWZqM5VWo
ヒャッハー!
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 22:23:44.26 ID:/15+bNRn0
楽しみにしてます
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/23(月) 23:03:13.19 ID:Hkw0a78D0
楽しみですね〜
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 12:49:38.33 ID:Hg1s82ASO
カウントダウン始めました
401 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:08:51.79 ID:AEUTrrKj0

皆様お待たせいたしました。
長々と申し訳ありません。

では、予告通り第十一章です。
どうぞ!!
402 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:09:41.11 ID:AEUTrrKj0

ーーーーーーーーーーーーーーー




    御坂妹が去り、その場には上条と美琴が残された。

    二人の間にギスギスした空気が流れる。
    静寂の中できこえるのは美琴の漏電の音だけ。
    上条はしっかりと美琴を見ていたが、美琴は俯き加減で顔を背けていた。
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/24(火) 20:09:56.21 ID:d/bPFAHD0
いつでも来いやー!
404 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:10:08.59 ID:AEUTrrKj0


    美琴は今の今まで言葉を発していなかった。上条と御坂妹のやり取りから、混乱していたのだ。
    今一番会いたくなくて、心の奥底では最も求めていた男が現れたのだから。


    そんな状態の美琴に上条は静かに近寄ってくる。
    ゆっくりと、それでいてしっかりとした足取りで一歩づつ進んでいった。
    しかし、上条が一歩近づくたびに、美琴は一歩後ずさる。
    二人の距離が縮まる事はなかった。
405 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:10:35.56 ID:AEUTrrKj0



「いや……いや…近づかないで………」


    美琴の声はか細く、身体は震えていて、普段の彼女からは想像できないくらい弱々しい姿だった。


    美琴の心を占めている感情。 それは恐怖だった。
    自分の積み上げてきた能力が目の前の男に打ち消された、という事実。
    御坂妹に指摘された記憶の矛盾点。
    そして、海原光貴に抱いていたはずの感情への不信感。
    その全てに上条が関係している事を自覚した美琴は恐怖を抱くと共に、信じてきたものが音をたてて崩れていく音が聞こえていた。
406 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:11:07.90 ID:AEUTrrKj0


    美琴は頭を振り、無理矢理にでも恐怖を振り払う為に行動にでた。
    上条の足元に雷撃の槍を放ったのだ。
    上条の歩みは止まり、美琴は口を開いた。


「そ、それ以上来ないで!! それ以上来るっていうなら……私はアンタを撃ち抜く!! 」


    美琴は思った。
    いつもと同じだと。
    ナンパしてくる男共を焼くのと同じだと。
    しかし、頭で考えていても心が否定していた。
    この男は他とは違うと。
    心が言っていた。
    その男に矛を向けるなと。
407 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:11:41.21 ID:AEUTrrKj0



「アンタにどんな能力があるかは知らない。けど、私は負けない。 負けちゃいけないのよ!! 」


    美琴の声は震えていた。それでも気丈に振る舞う。
    これ以上、上条に進まれたら自分が壊れる気がして。
    自分の信じてきたものが全て否定される気がして。
    だからこそ、美琴は上条に負ける訳にはいかない。
    上条を倒して、自分というものを証明する為に。
    美琴の漏電がいっそう激しくなる。
408 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:12:15.92 ID:AEUTrrKj0



「…やれよ。 それで気が済むなら、好きなだけ電撃を浴びせろ」


「……えっ? 」


    美琴は上条の予想していなかった返答に戸惑った。
    てっきり、拳を握り突っ込んでくるか、そのまま去るだろうと考えていたからだ。

    上条は静かに言葉を紡ぐ。


「でもな、俺は……お前とは戦わない」


    それは美琴の覚悟を両断するかの様な言葉だった。
    上条はその言葉と共に両腕を水平に広げた。
    それはいつかの如く、立ち塞がる十字架のように、同時に優しく美琴の全てを包みこむかのように。
409 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:12:44.70 ID:AEUTrrKj0


    8月21日に上条は同じ言葉を同じ場所で同じ相手に放った。
    あの時は美琴の身が心配だったから、美琴に傷ついて欲しくなかったから、ここに立ち塞がった。
    最後まで誰にも救いを求める事なく、一人孤独に死を望む美琴を止める為に “戦わない” という選択をした。


    今回、上条がその選択をした理由はもっと単純な理由だった。
    確かに、上条の右手を美琴の頭に乗せるだけで今回の件は決着し二人は結ばれ、めでたしめでたしになるだろう。
410 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:14:07.28 ID:AEUTrrKj0


    だが、上条はそれをしない。
    理由は簡単。
    純粋に上条自信の力で、幻想殺しという “能力” を使わずに美琴の記憶を取り戻したいという意地。
    それだけだった。


    その姿を見た美琴は更に紫電を迸らせた。
    美琴自身の意思で発しているわけではない。 
    感情に比例して漏電は大きくなる
411 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:14:37.26 ID:AEUTrrKj0


「戦わないって、何よそれ……。  それなら私の前から消えてよ!! アンタを見てると、頭の中がぐちゃぐちゃになって……もう、何がなんだか……」


    最後の方は声がどんどん小さくなっていった。

    そんな美琴の声を聞き届けた上条は、


「消えないし、戦わない……。
   俺を見ろ、 御坂ぁッ!! 」


    美琴に対して叫んだ。
412 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:15:26.63 ID:AEUTrrKj0



    それに対してキッとした目つきで上条を見た美琴は驚きで言葉を無くした。
    上条は優しく微笑んでいたのだ。
    目の前に電撃を撒き散らして、既に威嚇ではあったが電撃を足下に放った女がいるにもかかわらずだ。


「御坂……、俺はお前に話したい事が沢山あるんだ。
    これが、わがままだって事は重々承知してる。
    お前が俺に電撃を浴びせたいなら好きなだけ浴びせればいい」


「…アンタ、馬鹿じゃないの? 私の電撃の最大出力は10億ボルト。 普通の人間、それこそアンタの様な妙な力を持ってない限りは耐えられる様なものじゃないのよ」
413 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:15:56.17 ID:AEUTrrKj0


「全部受け止めてやるよ。 俺はお前の電撃じゃ死なないし、止まりもしない。
    それぐらいじゃないと---------------」
    

    上条は美琴の目を真っ直ぐに見据え


「-------お前の隣には居られないだろ? 」


    何よりも優しく上条は告げた。

414 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:16:24.48 ID:AEUTrrKj0



「ふ…ふざけてんじゃないわよッ!!  」


    上条に告げられた美琴は、もう我慢できなかった。

    言われて何よりも嬉しいはずの言葉。
    ずっと、待っていたはずの言葉。


「アンタはいつもいつも勝手なのよ。
    人の気持ちなんて何も考えずに勝手な事を言ってんじゃないわよ!!」


    美琴の記憶の中の上条当麻というピースはまだ揃っていない。
    それなのに、美琴の口からは上条当麻の事が次から次へと出てくる。
415 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:17:36.17 ID:AEUTrrKj0


「アンタは考えた事がある?
    目の前で大切な人が沈んでいくのを指を咥えて見てるしかないのがどんだけ辛いか!!」


    一つ吐き出す毎に消えていたはずの大事なものが戻ってゆく。

    感情とは真逆の本心。
    
    頼ってほしかった。自分を見て欲しかった。

    
    戦い続ける上条を助けたかった。


    美琴は記憶に無いはずの上条当麻への不満を吐き出し続ける。


「北極海でアンタのストラップを拾った時なんて、絶望じゃ足りないくらいだった。
    それなのに……それなのに……」

     
416 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:18:11.35 ID:AEUTrrKj0

     

    美琴が言っている事は上条からみれば理不尽極まりない。
    あの時だって、上条が残らねば世界は崩壊の一途を辿っていたかもしれない。
    美琴もその事はわかっていた。
    本来、美琴はこんな事を言うつもりはなかった。
    

    ただ、美琴はいっぱいいっぱいだったのだ。
    記憶を改竄され、恋愛感情を弄ばれて。
    それを今回刺激されて、抑え込んでいた感情が爆発したのだった。
417 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:18:50.12 ID:AEUTrrKj0


    初めは違和感を感じていた。

    それでも、自分を保てるように、大事な後輩に心配をかけないように振る舞っていた。

    それがいつしか自分の中での現実になった。

    海原光貴に告白された時は跳び上がる程喜んだ。

    デートしている時はずっとドキドキしていた。

    デートが終わる時は物凄く悲しくなった。

    毎日、寝る前にくるメールに心を踊らせていた。
    
    そこまで惚れ込んでいた筈なのに、上条当麻が目の前に現れてからはそれが全て否定された。

    一目見ただけで、心は上条一色になった。

    海原に向いていた筈の感情が上条に向くのを感じた。

    上条の事を想うだけで感情が溢れ出しそうだった。

418 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:19:30.16 ID:AEUTrrKj0


    だが、美琴はそれを否定した。 
    自分を救ってくれたのは海原だ。
    自分の心を奪っていったのは海原だ。
    自分が本当に好きなのは海原だ……と。

    しかし、見つかる矛盾点。
    消そうとしても消えない上条当麻の影。
    無意識の内に表れる、上条への感情。

    美琴はそれを否定せずに認める事にした。
    それによって、上条に何を求めているのかを知る事ができた。
   

「ねぇ…………」
419 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:20:15.84 ID:AEUTrrKj0



    美琴は今までの雰囲気から一転していた。
    先程までの、何かに足掻くような表情は消えていた。
    が、その顔には一筋の涙が流れていた。



「……………助けて」



    それは、美琴が初めて “上条に” 対して求めた救いだった。
    別に現状をどうにかして欲しい等の願いからではない。
    失ったものを取り戻したい、 もう一度だけ “自分” を救って欲しい、という願いが心の奥底から、その言葉になって現れたのだった。

    上条はその言葉を、願いを受け取った。
    救いを求められたら全力で救うのが “上条当麻” である。 
    もっとも、救いを求められようが、拒絶されようが、救うのだが……。
420 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:20:52.14 ID:AEUTrrKj0



    しかし、上条が返事を返す前に状況が一変した。
    

    美琴の自分だけの現実が限界を迎えたのだ。
    
    美琴の漏電は自分の感情がキャパ越えした時に起こる現象である。
    美琴は記憶を改竄された時に感じていた違和感を押し殺し、自分だけの現実を形成していた。
    その自分だけの現実を自ら否定し、上条に救いを求めた。
    元々、今日はずっと感情が不安定で漏電を起こしていた。
    それが今、自分だけの現実が完全に崩壊した事によって暴走を起こしたのだ。
    
421 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:21:19.69 ID:AEUTrrKj0


    天を裂くかの如き凄まじい閃光。
    地を震わせ、周りの音を全て飲み込むかの如き轟音。

    美琴の内に溜め込んだ電気が一気に爆ぜ、巨大な雷撃の槍となり上条に襲いかかる。

    しかし、上条は閃光に飲み込まれそうになっても、その右手を構えない。
    その顔に浮かべた笑みを崩さないまま聞こえてるかもわからない美琴に対して、先程の返事をした。


「…………………当たり前だ」


    上条当麻は何の抵抗もせずにその閃光の中へ飲み込まれていった。
422 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:21:45.32 ID:AEUTrrKj0



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


    美琴は自分だけの現実が崩壊した後、思考の中を漂っていた。
    崩壊した自分だけの現実を修復するために。
    失くした大切な物を捜す為に。
    
    流れてくる数多くの情報、記憶。
    バラバラになった記憶を一つ一つ紡いでいく。

423 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:22:12.89 ID:AEUTrrKj0



『こんな大勢で女の子一人を囲んで情けねえ。 
    大体おまえらが声かけた相手、よく見てみろよ。
    まだ、子供(ガキ)じゃねーか』

『さっきの見ただろ。
    年上に敬意を払わないガサツな態度。
    見た目はお嬢様でも、まだ反抗期も抜けてねーじゃん』

『おまえらみたいな、群れなきゃガキも相手できないようなヤツらはムカツクんだよ!! 』


『私が一番ムカつくのは…
  オマエだああああッ!! 』



(そういえば、これが出会いだったわね………。
    今思えば、不思議な縁よね…)


424 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:22:39.23 ID:AEUTrrKj0




『いいの?
    何かみんな、あの場を救ったのは私だって思ってるみたいだけど。
    今名乗り出たら、ヒーローよ』


『? 何言ってんだ。
    みんな無事だったんだから、それで何の問題もねーじゃんか。
    誰が助けたかなんて、どーでもいい事だろ』



(あの時は、スカしてるなんて考えてたけど……。
    アイツは昔から変わらないんだなぁ…)

425 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:23:12.74 ID:AEUTrrKj0



『歯を食いしばれよ、最強---------------』

『------------俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ』



(アイツ……右手以外は普通の無能者なのに、一方通行相手に勝っちゃうんだもんなぁ。
    こんなの、意識しちゃうに決まってるじゃない…)

426 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:23:41.42 ID:AEUTrrKj0




『……、私のせいで、一万人以上の妹達が殺されちゃったのに? 』


『妹達はきっとお前の事を恨んでない。
   あの【実験】では色々歪んだ所があったけど、それでも自分が生まれてきた事だけは、きっとお前に感謝してたと思う』

『だから、お前は笑って良いんだよ。
    妹達は絶対に、お前がたった一人で塞ぎ込む事なんか期待してないから。
    お前が守りたかった妹達ってのは、自分の傷の痛みを他人に押し付けて満足するような、そんなちっぽけな連中じゃねーんだろ? 』



(アイツは……初めから妹達を一人の人間だって認めてくれてた。
    それに、元凶である私も笑って良いんだ、って……)


427 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:24:13.79 ID:AEUTrrKj0




『御坂美琴! 
   私の名前! ビリビリじゃなくて御坂美琴 !!  
   いっつもいっつも、いーかげん憶えなさいよね!  ま…アンタに言っても無駄かもしれないけどさ……』


『またな、御坂』



(私の名前を初めて、まともに呼んでくれた時。
    なんだかんだ言って、これが “始まり” だったのよね……)


428 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:24:35.45 ID:AEUTrrKj0



『ごめーん、待ったー? 』

『待ったー? って言ってんでしょうが無視すんなやこらーっ!! 』



(……我ながら、恥ずかしい事をしたものだわ。
    恋人ごっこか…)

429 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:25:02.70 ID:AEUTrrKj0




『おっしゃーっ!
    つっかまえたわよ私の勝利条件!  わははははーっ!! 』


『ちょ、待……苦じィ!
    ひ、一言ぐらい説明とかあっても……ッ!! 』



(わざわざアイツを捜して引きずって行くなんて…。
    そういえば、この後は……関節………)

430 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:25:28.35 ID:AEUTrrKj0



『とにかくツーショットってな恋人っぽい感じで撮りゃ良いんだろ!
    御坂こっち来い! こうしてやるーっ!! 』


『え、なに? きゃあ!! 』



(ペア契約に、ツーショット。
    ここまでやってるのに、自分の気持ちに気づいてなかったのが不思議だわ……。
    私も、アイツの事言えないわね…)

431 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:25:57.27 ID:AEUTrrKj0




『アンタが記憶喪失だって事ぐらい、私は知ってるわよ!! 』

『私だって、戦える』

『私だって、アンタの力になれる!! 』


『多分、そういう事をいう為に、記憶がなくなるまで体を張ったんじゃないと思うんだよ』

『俺は行く。 誰かに任せれば良いっていう訳じゃない。 別にやらなきゃいけないなんて強制力がある訳でもない。
    ……ただ、俺は行く。 結局、変わんねえんだよ、そういうのって。
    もしも何かの歯車がズレて俺の記憶が失われなかったとして、俺のやるべき事は同じなんだ。
    上条当麻っていうのは、記憶のあるなしぐらいで揺らぐものじゃないんだよ』



(アイツの芯を垣間見て、私は動けなかった。
    自分だけの現実が吹き飛ぶほどの莫大な感情に気がついたのがこの時だったのよね…)
432 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:26:30.49 ID:AEUTrrKj0



そして


『もっと右!!  もうちょい!!  もっと近くに寄って!! 』


上条当麻と同じ時間、同じ空間に到達できた時。

上条は首を左右に振り、助けを拒絶した。



まだ、やるべき事がある。



    たとえどれほどの戦車をまとめて相手にするほどの力でも、核ミサイルの発射すら阻止するほどの力であっても。
    たった一人の少年を、救い出すには足りなかったのだった。
433 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:26:57.32 ID:AEUTrrKj0



    途方に暮れて周囲を見回していた美琴は、北極海沿岸で見覚えのある物を見つけた。
    それは、9月30日に、二人で一緒に手に入れたはずのゲコ太のストラップだった。

    
    自分だけの現実は絶望により崩壊し、そのまま学園都市へ戻された。

    大人の汚い計画により、仮初めの幸せを手に入れた美琴。
    
    仮初めの幸せを堪能しながら生活する美琴の前に現れた上条当麻。


    美琴は最後に、とある記憶を思い出す。

434 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:27:31.51 ID:AEUTrrKj0




『守ってもらえますか、彼女を』

『いつでも、どこでも、誰からでも、何度でも。
    このような事になるたびに、まるで都合の良いヒーローのように駆けつけて彼女を守ってくれると、約束してくれますか』


『                                       』

435 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:27:54.75 ID:AEUTrrKj0




(あぁ、そうか……)



    美琴は気づく。

436 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:28:25.25 ID:AEUTrrKj0




(なんて、簡単な事だったんだろう……)



    どんなに記憶を改竄されようと、上条当麻が何処へ行こうとも。

437 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:28:58.51 ID:AEUTrrKj0




(アイツは……、心《ここ》 に居てくれたんだ)



    上条当麻は御坂美琴の中で息づいているという事に。
438 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:29:30.91 ID:AEUTrrKj0



    それに気付く事ができた時、美琴はもう一度心の中で涙を流した。
    その涙が落ちきる頃、美琴の自分だけの現実は再構築される。
    今まで以上に、何よりも強固な自分だけの現実が。

439 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:30:00.41 ID:AEUTrrKj0



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



    美琴の意識が覚醒していく。
    長い間思考の中を漂っていた様に感じたが、現実の方は数分ぐらいしか経っていないようだった。

    今は美琴の雷撃の槍が上条を飲み込んで数分。
    辺りは砂煙が立ち込め、美琴の視界を遮断していた。

    
440 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:30:34.47 ID:AEUTrrKj0


    
(アイツはッ!! )


    美琴は雷撃の槍が直撃したであろう上条の姿を探す。
    目を凝らして探していたところに、上条の姿を確認する事ができた。

    上条は飲み込まれる前と変わらぬ位置に、変わらぬ体勢で立っていた。
    両手を水平に開き、その場に仁王立ち。
    変わったところでいえば、頭をたれていた、というところだ。

    美琴は若干の安心感を得た。
    上条は雷撃の槍を上手く躱したのだろうと。

    上条は異様にゆっくりとした動きで、頭を上げて美琴を見据えた。
441 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:31:02.18 ID:AEUTrrKj0


「言っ、ただろ……。  お、前の、電撃じゃ、死、なな、いって……」


    美琴はハッ、として上条の言葉を聞いた。
    上条は美琴の雷撃の槍に直撃していたのだ。

    限界を迎えたのか、前のめりに倒れる上条に美琴は急いで駆け寄ってくる。


(あぁ、安心した……)


    上条は先程とは全くといっていい程違う雰囲気を纏った美琴を見て、そう心の中で呟き意識を手放した。

442 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:31:33.17 ID:AEUTrrKj0



ーーーーーーーーーーーーーーー



    上条の身体は風も音も無い鉄橋の上に転がっていた。
    意識を手放し数十秒。 上条の意識は徐々に覚醒していく。

    
(まったく……。
    お前の電撃じゃ、死なないなんて大口叩いた後に卒倒かよ。
    これじゃ前の時と同じ…………)
443 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:32:02.27 ID:AEUTrrKj0



    同じ、まで考えて思考が停止した。
    状況は8月21日と似通ったところがある。
    決定的に違うのは、上条が美琴へ抱いている感情。
    あの時は色々と切羽詰まっていたので対して意識していなかったが、今は違った。
    意識すればする程鮮明になってくる感覚。
    上条には、己の頭に感じる柔らかい幻想(かんかく)は殺せそうにもなかった。


    惚れた女の子の膝枕は、それだけで当人の意識を鮮明にする力があったのだ。
444 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:32:38.21 ID:AEUTrrKj0



    ゆっくりと瞼を開いてゆく上条。
    そこには、上条を見つめる不安そうな顔をした美琴がいた。


「アンタは本当に馬鹿よ……」


    美琴の声は震えていた。
    たった数十秒、されど数十秒。 美琴は再び上条を目の前で失った気持ちになっていたのだ。


「私の電撃を浴びたのは、初めてじゃないでしょ。
    それなのに、どうしてこんなに体張って無茶するのよ……」
445 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:33:07.11 ID:AEUTrrKj0


    上条の頬に冷たいものが当たる。
    それは美琴から溢れだした涙だった。
    一度溢れ出した涙は止まらなく、美琴の頬を伝い流れていた。


「……どうして、アンタは、そんな風に、笑って、いられるのよ」


    上条の顔は穏やかだった。

    自分の意地、というものの為に幻想殺しを使わず、記憶を取り戻させた。
    精神的に何よりも辛かったのは美琴だ。
   それなのに、美琴が一番に心配したのは上条の事だった。
   自分の事よりも、上条の事を心配してくれる美琴の優しさが上条には嬉しかった。


「どうしてって、それは--------------」
446 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:33:33.15 ID:AEUTrrKj0


    上条はもう一度目を瞑り、左手を美琴の頭に優しく撫でるかの様に置き、





「-----------俺の惚れた女の子がこんなに優しかったって事が再確認できたからさ………」





    心の底から自然と生まれた言葉を口にした。
    
    
447 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:34:27.86 ID:AEUTrrKj0

    
    
    美琴はその言葉に驚きを隠せなかった。
    
    惚れた? 誰が誰を?

    思考が追いついていかない中、上条は言葉を続ける。


「お前は泣いていい。
   俺の前では好きなだけ泣いていいんだ」


    美琴は誰に対しても、強く、気丈に接する。
    誰しもが美琴を強い女だと思い、彼女に普通の女の子でいる事をさせなかった。
    学園都市のLevel5 と言う立場が美琴に弱さを見せる事を封じたのだ。

    
448 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:35:15.01 ID:AEUTrrKj0


    だが、上条は知っていた。
    美琴はただの優しい女子中学生だという事を。
    嬉しい時は喜ぶし、ムカついた時は電撃を飛ばしてくる。 
    髭の生えたカエルが好きで、上条がピンチだとわかると戦時中であろうと駆けつけてくるような、そんな女の子。
    そんな女の子でも、涙を見せる事は殆どなかった。 
    それは、他者に不安をかけなせない為の美琴の優しさ。
    
    だからこそ、上条は伝える。
    俺には弱さを見せていい。俺の前では泣いていいんだ。 という意味をこの言葉に込めた。

   

「だから……ってのも違うか……。
    だあー、もう!!
    とにかく、お前はずっと俺の側にいてくれ。
    お前を失うのは俺には耐えられない。


    そして、最後には笑っていてくれよ。
    俺はお前の笑っている顔が、何よりも好きだから……さ」

449 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:35:43.49 ID:AEUTrrKj0




    今も昔も変わらない。
    上条は美琴には笑っていて欲しかった。
    そんな美琴が好きだった。
    不器用ながらも、その気持ちを上条は告白した。

    美琴は上条のその言葉を受け取り、顔を涙でグシャグシャにしながらも、



「クスッ…………うん!! 」



    誰も文句が言えないくらいの最高の笑顔を上条に向けた。



450 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:36:26.66 ID:AEUTrrKj0






第十一章        〜上条美琴〜




451 :if男 [saga]:2012/01/24(火) 20:47:53.09 ID:AEUTrrKj0
っという訳で、第十一章でした。

うん。やる事はやりました。
自虐しようと思えば幾らでもでてきますが、今は無粋なのでやめておきましょう。
せめて、待っていてくれた人、新たに読んで頂いた人が少しでも楽しんでいた頂けたら幸いです。

今回の章は漫画版超電磁砲 6巻7巻を意識しました。
鉄橋の膝枕とかは、モロあのシーンです。

後は……まぁ、いいでしょう。

上琴書けて幸せでした。


さて、次は最終章です。
短くなるとは思うのですが、まだ忙しさから抜け出せてないので……。

次回投下は未定です。


感想、指摘、アドバイス、その他諸々のレスは超感謝です。
では、またの機会に♪


海原くンはハンバーグにはなってませンよ(汗
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 21:07:13.47 ID:Xqyo5tBSO
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/01/24(火) 21:52:15.86 ID:DgMmYTUAO


お疲れ様です、次の更新も楽しみにしてます
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/01/24(火) 22:07:18.07 ID:UA2/vbmdo

待ってたかいがありました
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 22:23:28.85 ID:RxZlnaeio

凄く良かったです、次も楽しみにしてます

あくまで個人的な要望ですが、記憶を取り戻した美琴が記憶を改竄されていたころを改めて振り返ってみる描写とか欲しいかな
ようやく上琴になったのに今更無粋でしょうかね・・・・・・
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/24(火) 23:28:10.77 ID:xkgPSW800
更新KITAAAAA!!
これまで見た中で一番の上琴だったよ!
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 00:39:29.43 ID:EGGmLvue0
乙!!
超ハイクオリティな上琴キターっ!!
感情移入しすぎて涙出てきたよ!
続きも全力で待ってるので風邪ひかないように頑張れwwww
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 03:18:24.62 ID:YUV7LkuJo
待ってたんだよ!
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 07:24:32.84 ID:DirBb/fNo
お疲れ様です!
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 07:36:37.37 ID:sBnUymoIO
乙!
さて、美琴の純粋な恋心を弄んだ海原とみさきちその他諸々関係者にはどんなお仕置きが相応しいか…
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/25(水) 09:54:22.93 ID:APRiaYgZo
海原とみこっちゃんはどこまで進んだんですか?
普通に考えていくらなんでもキスぐらいは済ませてますよね?
奥手だからエッチはまだかもしれませんが
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2012/01/26(木) 00:25:28.42 ID:lqWBi/+M0
>>461
それかなり重要だよな
場合によっては海原に制裁が必要だし

何にせよ乙でした
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 07:05:03.87 ID:+I2ZT5rIO
俺は別に上琴だから読んでるわけじゃないからある程度進んだ関係のが面白いと思うけどな
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 07:10:01.93 ID:Nty7Jwj0o
みさきちには別にあまり怒る必要はないと思うが…
記憶を取り戻す穴をあけておいてくれたわけだし
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 12:46:38.63 ID:3ri4a1g00
その辺りのことは>>1も対策済だったんじゃ?  

常盤台の理事長をシメに行くのはやっぱり美琴自身になるのかな   
466 :if男 [sage]:2012/01/26(木) 13:27:26.44 ID:v6/Nm+aIO

講義中に失礼


皆さんが議論している部分は書くつもりだったけど削った部分です。
しかし、海原、美琴の所は後日談として執筆中でございます。
最終章すら書いてないのに、後日談とか……。

理事長の件に関しては、一方通行が海原シメてる裏で、インデックスを送ったはーまづらぁが特攻してるっていう裏話がありました。
が、チンピラがじじぃシメてるのなんて書いてて面白くなかったので削りました。

まぁ、そういう事なんで……。
気長にお待ち下さい。

レスありがとうございました♪
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 13:57:12.14 ID:P2hjDP3SO
原作の美琴の完落ちっぷりから考えれば、セクロスでも求められたらホイホイ許してしまうだろうな
美琴の純潔の行方はもはや海原の性欲次第でどっちにも転ぶ
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 14:12:32.15 ID:qYQE0cpFo
そもそも漏電とかあるから上条さん以外じゃ手出しできなくね?
記憶も人物の置き換えしかしてないっぽいし、強引な手段に出ようとしたら流石に攻撃されるだろうしな
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/26(木) 21:00:25.69 ID:bJrfqKbj0
今追いついた。
そしてこんな展開の時に一方通行の口調が気になってる俺は無粋な奴か……
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 21:17:04.07 ID:/Xh6gN8mo
海原も何回か迫ってみたけどわずかに美琴の中に残ってた上条さんの断片によって思い留まったとかなら萌える
471 :if男 [sage]:2012/01/26(木) 21:51:29.05 ID:bIRHIA/70
>>470
ストップ。 それ以上は駄目だ
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/26(木) 22:37:56.63 ID:Ol1NYwOko
乙!
素晴らしい上琴だ
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 23:39:45.67 ID:Nty7Jwj0o
あんまり気にせず書けばいいと思います
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 06:02:39.23 ID:sM7vmcgDO
みさきちに関しては、御坂に自分だけの現実を取り戻させた上条に興味を持ち接近、誘惑。

あの手この手で調査してたら居候のインデックスの存在を知り、上条の情報を探ろうと試みたら自動書記にカウンター食らって病院送り……ってどっかで読んだなコレ。
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 22:07:25.00 ID:E/95WhkAo
待ってるお
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 23:14:58.01 ID:ntXqmkvBo
待ってるんだよ!
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 21:40:39.14 ID:Ax3HH84uo
まだでござるか
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 02:35:40.12 ID:pj44JdPRo
試験が終わるまでの我慢ですの
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 18:04:25.78 ID:z49ZilYoo
待ってる
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 16:47:22.96 ID:tdBIquIUo
あぐぐ
481 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:11:09.79 ID:t12jIKso0
どうも皆様、お久しぶりです。
多くのレスありがとうございます。

あれから検定やら、試験やらで身動きがとれませんでした。
更には書こうとしても新しい作品の事ばかりが頭に浮かび筆が進まず……。


まぁ、とにかく最終章です。
どうぞ!!
482 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:11:45.25 ID:t12jIKso0



    美琴の涙が乾く頃、上条はまだ美琴の膝枕を堪能していた。

    美琴は美琴で上条の頭を撫でて、その感触を楽しみながら、何でもない内容の会話をしていた。
    


「あっ、ちょっと頭退けてくんない? 」



    上条は美琴にそう言われ、渋々ながらに頭をどかし、立ち上がった。
    
    美琴はポケットに手を突っ込みゴソゴソっと何かを取り出していた。
483 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:12:14.17 ID:t12jIKso0




「はい。忘れ物よ」



    そう言い、美琴は上条に何かを放り投げた。

    それは緑色のストラップ。

    あの時、二人でペア契約した時に貰ったゲコ太のストラップであり、上条が北極海に沈んだ際、無くしていた筈のものだった。

    携帯電話に繋げる紐の部分は千切れていた筈だったが、そこには別の紐が通してあった。

484 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:12:48.12 ID:t12jIKso0




「折角のお揃いなんだから、あっさりと無くしたりしないでよね」


「悪い。ありがとな、拾ってくれて」



    上条はそう謝って、自分の携帯電話に改めてストラップを取り付ける。

    今まで、たいして何も考えずに付けていたストラップだったが、好きな娘とのお揃いだと再認識すると思わず顔が綻んでしまう。

    美琴はそれを見て、小さく笑った。

    ようやく何かが元に戻った。いや、先に進めたと言いたげな表情だった。
485 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:13:25.52 ID:t12jIKso0


「アンタの事だから一ヶ所でじっとしているなんてありえないんだろうけど……どうせ、またどっかに行くんでしょ? 」


「……みたいだな」



    上条はため息をついて、



「正直、訳知り顔をしている俺だって今何が起きているか大して分かっちゃいない。元凶の正体だって名前ぐらいしか知らない。
    ただ、その波はもう学園都市まで届いている。学園都市を狙った過程で俺が巻き込まれたんじゃない。俺を狙った過程で学園都市が巻き込まれた。
    ……だったら、放っておく訳にはいかないだろ」



    ここにはお前もいるんだしな、と上条は最後に付け加えた。

486 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:13:58.85 ID:t12jIKso0


    それを聞いた美琴は顔を赤くさせながらも、



「ま、言って聞くようなヤツじゃないのは分かってるから、今さら止めはしないけどね」



    美琴の忘れ物とはストラップの事だけだったようだ。

    上条は自己完結し、自分の携帯電話をポケットにしまう。

    受け取ったストラップからは彼女の気持ちを感じるが、その暖かさが上条には辛い物だった。

    これ以上ここに居たら戦いに行けなくなる。この居心地の良さに甘えてしまう。と思い上条は自らこの場を去ろうとする。

487 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:14:26.49 ID:t12jIKso0



「必ず帰ってくるから……」



    上条はそう言った。

    言葉にすれば必ず帰ってこれると信じて、今度は “彼女” に誓った。

    美琴から背を向ける。

    色々な思い出ある鉄橋から離れようとする。

    学園都市の科学的な常識に整えられた世界から、その外側へと大きく踏み出そうとしていく。

    そんな少年の “左手” を、美琴が掴んだ。

    ふらりと離れようとする少年を、確かに。

    その手の温もりに驚き、動きを止めた上条の耳に、美琴の言葉が届けられる。

488 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:15:30.54 ID:t12jIKso0




「何勝手に話進めてんのよ」


「アンタが誰かの為に、引いては自分の為に戦うようなヤツだって事は良くわかってる」


「だから、私はアンタを止めない」


「思う存分その右手を振るいなさい」


「好きなだけ人を、世界を救いに行きなさい」

489 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:16:27.12 ID:t12jIKso0



「でもね」


「私は、掴んだこの左手を絶対に離さない」


「アンタがその右手で皆を護るってんなら、無防備なアンタは私が護る」


「必ず帰って来るって?、ふざけんじゃないわよ」


「いつもいつも、ボロボロになってる癖によくそんな事が言えるわね」


「まぁ、だからこそ、私はついて行くんだけどね」



「ねぇ、わかってる? アンタは---------------」

490 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:17:06.85 ID:t12jIKso0






「--------もう、ひとりじゃない」




491 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:17:44.28 ID:t12jIKso0

















492 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:18:16.92 ID:t12jIKso0



    こうして “2” と “3” の間の物語は終幕を迎えた。

    少年は自分の想いを認識し、少女はほんの少しだけ素直になる事ができた。

    しかし、これは偽新訳(にせものがたり)。

    この先、少女は指輪を渡す事はできないだろうし、少年は再び一人で戦う事を覚悟する。

    物語はその様に収束していくだろう。

    だが、結局全ては if の話。

    未来は誰にもわからない。

    きっと、この二人なら本物だろうと偽物だろうと幸せを自分達の手で掴みとっていくだろう。

    少なくとも、この物語ではそうなると言い切れよう。

    何故ならこの物語は、どこまでいってもご都合主義満天の “偽物” な物語なのだから。



493 :if男 :2012/02/15(水) 20:22:40.14 ID:t12jIKso0




 偽新訳  とある魔術の禁書目録 2.5

    最終章     終劇





494 :if男 [saga]:2012/02/15(水) 20:29:09.63 ID:t12jIKso0

って事で、最終章でした。
元々、前の章の最後に入れるつもりだったのですが、新約二巻にあわせて最終章って事にしてみました。

新約二巻を持ってない人にもわかる様に、持ってる人には何処が改変されているか楽しめる様にしてみたのですが如何だったでしょうか?

誤字で始まったこの物語ですが、この後も少しだけお付き合い下さい。
今、後日談というか、軽くハワイに行く前のデート編的なものを執筆中です。

しかし、始まる前に書いた通りに新作品の事で頭が一杯な状態なのでいつ投下できるかわかりません。
特に二月は魔の月なので、不可能かと思われます。

まぁ、気長に待って頂けると幸いです。

では、またの機会に!!
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage saga]:2012/02/15(水) 21:25:35.46 ID:dA8GAEi30
乙!

乙なんだよ!!

後日談、待ってるんだよ!
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/02/15(水) 21:31:43.82 ID:2v65+Ssr0
楽しみに舞ってるよ
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 22:12:42.12 ID:xdT3tUabo
お疲れ様です
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 22:23:55.26 ID:KvNdywSSO
乙!
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/16(木) 02:09:57.60 ID:YTznBTGao
おっつ
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 11:39:59.61 ID:tI6svVXzo
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/02/17(金) 00:05:27.48 ID:Rg2DSRqVo
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 21:15:21.99 ID:c17oG0ww0
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 22:26:59.96 ID:vfOr9qC5o
そろそろ来てもいいのよ
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 23:42:27.52 ID:SOpXt6gto
ぐぬぬ
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 22:31:03.15 ID:NHopifAro
まってr
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 23:52:44.28 ID:ZFs8yaOuo
そろそろ生存報告だけでもほしいかも
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 23:19:03.66 ID:qZbb4Ciko
マダカナー
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 02:26:04.70 ID:x/ZDSB40o
もう時間がないんだよ…
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 10:35:49.41 ID:wBCZcbmPo
「マダー」ドゴバギグシャメキベキゴスバキグシャドガメギョベギャドガベコベゴ
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