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唯澪律紬梓「夢オチ…」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/06(火) 00:07:40.30 ID:8ALDGAEDO
厨二病全開でお送りする…ほのぼのハートフルラブサスペンス…!
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/06(火) 00:08:56.81 ID:8ALDGAEDO
ある日の夜。
喫茶店で待ちぼうけ。



澪「悪い、待たせたな」


律「いんや」


澪「えぇと…珈琲ね、律はどうする?」


律「おんなじのでいいよ」


特に喉が渇いているわけでもない。煙草のツマミになればいいと珈琲を頼んだ。


澪「どうだ?」


律「ん…まぁ、ボチボチ」

澪「そっか…」


いつもそう。澪は単刀直入には言わない。まずは世間話などをする。もっとも今日はそんな話をするために来たんじゃない。

珈琲にガムシロップとミルクを入れスプーンでクルクルと掻き混ぜる。
バカヤロー…男ならブラックと決まってんだよ。



律「で…」



煙草をくわえたまま、澪に目で合図を送る。



澪「あぁ」


澪は胸のポケットから写真を取り出す。



律「ん?外人か…」


澪「いや、れっきとした日本人だよ」



律「ふーん…」


澪「財閥の一人娘でな…歳は私達と同じだ。今はOLをしている」


律「…」


澪はペラペラと写真の人物のプロフィールを話し出す。あたしにとっては必要のない情報だ。



澪「〜…であるからして…」


律「あーわかったわかった」


澪「ふふ…余談だったな」

律「せっかちなもんでね」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/06(火) 00:09:40.27 ID:8ALDGAEDO
律「ターゲットはわかった、こいつをどうしろって?」


澪「それはな…」


サラサラとメモに書いてみせる澪。


律「ん…ボディーガードとかいるんじゃ難しくないか?」


澪「それも調べてあるよ、大丈夫。彼女は現在一人暮らし」


律「なるほどね、なら楽勝だな」


澪「頼もしいな」



お互い薄く笑う。
学生時代のように笑うようなことはもうない。時が二人を変えたのだろう。



澪「…まぁ、そんなところで」


律「ん、明日の夜に決行だな」


澪「急がなくていいぞ?」


律「金欠なんだよ、だからな」


澪「ははっ、そうかわかったよ。報酬は用意しとく」


律「よろしく」



商談が成立すると律と澪は席を立つ。夜は冷えるし長居は無用だ。



律「じゃあ…」


澪「終わったら連絡くれ」


澪との話を終え、喫茶店を後にする。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/06(火) 00:10:29.41 ID:8ALDGAEDO
律「ふー…寒い寒い」


古びたアパートの一室。ここが6畳ほどの広さしかないが一人で住むには丁度いい広さだ。


律「(散らかってきたな…)」


なんとも生活感がない薄暗い部屋で、律にとっては家と言うよりは寝床だった。


律「うぅ〜…寒い」


暖房のスイッチを入れ、体を温めるためシャワーを浴びることにした。




〜お風呂場〜



律「あなたがもし望むなら…〜♪」



鏡に映る律の裸体。
体のあちこちに古傷がある。幾多の死線をくぐり抜けてきた証だった。
その体を乱暴にゴシゴシと洗う。



律「(うん、傷も塞がってるな…)」



肌や髪を気にする女性とは違い、律が見るのはそこだった。
女を捨てたわけではない。ただ、こんな生活を続けているうちに、律は変わってしまった。


髪と体を洗い終え早めのシャワーは終了。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/06(火) 00:11:13.44 ID:8ALDGAEDO
部屋のソファーに腰掛け、ミネラルウォーターで喉を潤す。


律「ぷはっ…」


そして煙草に点火し、スーツの内ポケットに入った写真を見る。



律「お嬢様ね…」



ターゲットとなる女性を目に焼き付けておく。



律「まぁ…楽勝だろう」



令嬢ということで豪邸に住んでいるならセキュリティも厳戒なものだろう。しかし、ターゲットはごく普通のマンションに一人暮らしというのだから。



律「…」



煙草を吸い終えると、照明を消し、ソファに横になる。

「仕事」の前日は寝付きが悪い。目を閉じて無理矢理でも寝ておかないと支障がでる。



律「う〜ん…」



なかなか寝付けない…。
そんな時はこれ♪
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/06(火) 00:11:46.11 ID:8ALDGAEDO
律「ウイスキー♪」


酒は弱い。けれどもハードボイルドに生きるためにストレートで飲み干す。



律「きゅ〜…っ」



喉が焼けそうだ…。
しかし徐々に体がポカポカとあったまる。



律「へへ…」



律「へへへ…」



律「……」



律「寂しいよぅ…」



つい本音がこぼれてしまう。泣き上戸な田井中さんを慰める人はいない。



律「えっ…ぐっ…うぇぇ…」



律「…」スースー



酔い潰れた律は携帯の着信に気付かずに眠りについた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道) [sage]:2011/12/06(火) 00:33:36.93 ID:gughmjq8o
「夢オチ!」の人?なら期待
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:00:04.08 ID:JYqu0mGDO
〜翌日〜


律「んにゅぬぬ…」


律「ん…」


置き時計に目をやると昼過ぎ。少々頭が痛み、まだしばらくは横になりたい…がぼちぼち準備をしなきゃなるまい。



律「澪からか…」



携帯を見るとメールが1件。どうやら今日は家に来るらしい。



律「本当に用意周到なんだからん…」



幼少期から二人の仲はよい。しかし、今は違う。
主な下準備は澪が、それを遂行するのが律。今はこの関係で繋がっている。



律「さてと…」



くわえ煙草をしながら部屋の掃除を始める。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:01:20.13 ID:JYqu0mGDO
澪が訪れたのは15時過ぎだった。



律「お疲れさん」


澪「あぁ…久しぶりだな、律の家は」


律「へへ、ちょっと片付けといた」



澪「おじゃまします。あ、これ煙草買っといた」



久々の来客。もてなさねばなるまい。



律「ほいコーヒー、砂糖とミルクはご自由に…」



澪「そんな気を使うなって、悪いな」



律「(すごい砂糖入れるな…)」



澪はミルクと砂糖をたくさん入れる。こういうところは可愛く思えてしまう。
対する律は渋くブラックを飲む。これどダンディズム。ハードボイルド…。



澪「今日来たのは他でもない」



律「わかってるよ」



澪「…はい、これだ」



澪から手渡されるメモ。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:02:02.35 ID:JYqu0mGDO
相手の住所や部屋番号。
いつ頃帰宅するなど様々な情報だ。



律「ご苦労なこって…」


煙草を片手にメモに目を通す。毎回毎回、澪の情報網には感心させられる。
誕生日まで調べる必要はない気がするが…。



澪「今週末までに頼むな」


律「任しときな、へへっ…今日中に終わっちまうかもだけど」



澪「…けっこう、まぁ、油断するなよ?」



律「あいあい…」



お決まりの油断すんなよか…。馬鹿野郎、あたしを誰だと思ってやがる。



律「…」ズズ…


澪「…」ズズ…ペロペロ


律「(澪…また胸大きくなったか…?)」


澪「(酒の空き瓶ばっかだなぁ…)」



律「おい」


澪「ん?」


律「なんか喋れよ」


澪「ん…安酒ばっか飲んでるな。しかも強いお酒ばっかだし…」



律「はは、ほっとけ」


澪「今回の仕事終わったら飲むか、美味しいお酒を」


律「いいな、そうしよう」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:02:36.47 ID:JYqu0mGDO
澪「じゃあ…」


律「おう、風邪ひくなよ」


あれから1時間ほど世間話をし、澪は帰路についた。


律「さて…」



コーヒーカップを片付け、支度を始める。ターゲットが仕事を終え帰宅する頃だ。
基本的には服装は黒で固める。スーツに革の手袋。そしてサングラス…。このスタイルこそがダンディズム、マイポリシー。



律「念のため…持ってくかな」カチャ



基本はあまり大事にはしたくないため持っていくことは少ない。武器を内ポケットに忍ばせ、準備は完了。


律「よし…!」



音楽プレイヤーを必○仕事人のテーマにセットし、律はターゲットのもとに向かう。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:03:47.46 ID:JYqu0mGDO
冬のせいか日が沈むのは早い。
まずはターゲットが会社から帰宅するところを尾行する。幸いにも場所は近い。


律「ん…と」


澪のメモを頼りに、繁華街を歩きだす。相変わらず街は賑やかだ。



律「(ちょっと早過ぎたかな…)」テクテク



どこかで時間をつぶせないものか…。辺りを見渡す。
ふと目に止まったのは「占い」という文字。



律「やぁ…おばあちゃん、やってるかい?」


老婆「やっとるぞぇ…」プルプル



椅子にかける律。


老婆「何を占ってほしいんじゃ…?」プルプル


律「えーと…仕事運で」



老婆「どれ…名前と生年月日を書いておくれ」プルプル


律「おぅ」サラサラ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:04:31.40 ID:JYqu0mGDO
老婆「……ゴニョゴニョ」


律「…」


老婆「律ちゃんと申したかいの…」プルプル


律「あぁ、どうだった?」

老婆「悪いことは言わぬ…。慎重に行動することじゃ…」プルプル



律「…悪かったのか?」


老婆「…」コクンプルプル



老婆は静かに頷いた。占いの結果は思わしくないらしい…。


老婆「しばらくはじっと待つことじゃ…」プルプル


律「ふーん…」


老婆「最悪…命が危ない…気がする…」プルプル


律「な…!」ガーン


老婆「ヌフフフ…」プルプル
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:05:00.98 ID:JYqu0mGDO
律にはわからなかった。
命の危険…?


老婆「そんなところかいの…」プルプル


律「そっか…じゃあな、ほい代金」


老婆「毎度…」プルプル


律「(よし…行くか)」



いい時間帯になった。
歩を早め、繁華街を抜けていく律。



老婆「やっぱ行っちゃったか…」プルプル


老婆「皮肉にもいい出会いはありそうじゃが…短い付き合いになっちゃうなこりゃ」



時刻は17時を回ったところ、繁華街はさらに賑わう。


律「…」


律「(なんだってんだ…)」


占いは信じない性格だ。
しかし、一抹の不安を拭い取れないでいた。



律「(大丈夫…!うん)」



予定を変更せずに今日、決行する覚悟を決めた。
占いの結果などに惑わされる訳にはいかない。

律は百戦錬磨の自分の腕を信じた。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/12/07(水) 15:07:08.16 ID:JYqu0mGDO
>>7
早くもばれた
前回と内容が被るとこも若干あるかもですが頑張ります
16 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/09(金) 16:26:42.11 ID:EDGkPscDO
律「さてさて…」


ターゲットの会社の前。
ここでサングラスを外し、一般人に溶け込む。



律「…」カチッ



会社の出口に目を凝らしながら一服する。



律「(きた…!)」



写真と照らし合わせ確認する。間違いない。



律「(さぁて…パーティーの始まりだぜ)」



静かに動き出す律。
夜の闇に身を隠し、足音も消す。



紬「〜♪」ピョンピョン



律「くくく…」



10分ほど歩いただろうか…。ターゲットはマンションに着いた。

ここで一旦、歩を止める。マンションは死角が比較的少ないためだ。

相手との距離を少し開けつつ尾行する。



律「(あの角で待機だな…)」


ターゲットの部屋が近い。
17 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/09(金) 16:27:22.49 ID:EDGkPscDO
ターゲットは一時、視界から消える。耳をすます…。


律「…!」


バタンと扉が閉まった音が聞こえた。いよいよ正念場。



律「(間違いない…207号室だ…)」



律「ふぅ…」



律は一息つき、チャイムを押した。


律「…?」


おかしい…。反応がない。部屋の番号は合ってるはず。



律「(押し売りと思って無視してんのか…)」ポチッ



もう一度チャイムを押してみても反応はない。
焦りが募る。
18 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/09(金) 16:27:55.03 ID:EDGkPscDO
律「ちくしょう…」ガチャガチャ


ドアノブを捻ってみても、もちろん鍵はロックされている。
出直すかと思ったその時。


紬「あの…?」


律「ひゃいっ!」ビクッ


紬「あっ…ごめんなさい。驚かすつもりはなかったんですけど…」


律「(緊急事態だ…)」



寒いはずなのに額に汗がにじむ。沈黙はまずい、ますます怪しまれるだけだ。



紬「この部屋の者ですけど、何かご用でしょうか?」

律「(考えろ…)」


紬「…?」


焦る律をよそに、不思議そうに見つめる紬。


紬「えと…」



律「(閃いた…)」ピコーン
19 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/09(金) 16:28:24.77 ID:EDGkPscDO
律「…琴吹さんのお嬢様でいらっしゃいますか?」


紬「…はい。父の知り合いでしょうか?」


律「はは…お伺いしたらここにいると聞きまして」


紬「今、父はいません」


律「そうですか…じゃ、また出直しますかなぁ…」



律「(これでいい…、一旦引き返して…!)」



紬「あの…せっかくなんでお茶でも召し上がっていってください。もしかしたら来るかもしれませんから」


律「へ…」


紬「さぁどうぞ」ニコ


律「(待てよ…これはチャンスじゃないか?)」


家の中なら近所の方々に見られる心配はなく、時間を気にする必要はない。災い転じて福となすとはこのことだ…?


律「はい、じゃあお邪魔します」
20 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/09(金) 16:29:28.83 ID:EDGkPscDO
紬「パパも言ってくれればいいのに…」


律「いや、急に伺ったものですから…」


むぎゅはコートをハンガーにかけ、ワイシャツ姿になる。


紬「お茶とコーヒーどちらがいいですか?」


律「あっ…じゃあコーヒーで」


紬「はぁい」


律「(なんだか嬉しそうだ…)」


鉢合わせた時はどうなることかと思ったが…、怪しむ様子もなく無防備な紬を見て、緊張が解れる。


紬「お待たせしました」


律「いやいや、すいませんね」


律「(高そうなカップだ…)」


自分の家にあるのとは大違いだ。透き通るような白に花柄。所々に金細工が施してある。


律「…」ズズ


律「ぬっ…!?」
21 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 16:58:45.75 ID:t3avfS4AO
前作は面白かった
今作も期待
22 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 02:35:58.60 ID:HZXi20y4o
むぎゅかわええ
23 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/10(土) 23:24:14.19 ID:KwWc3wjDO
律「(美味い…!)」


律は驚愕する。何気なく出されたコーヒーの味に。
豆の旨味をそのまま凝縮させた様な味。まろやかな口ごたえ。そして香り…。

全てがパーフェクトだった。このコーヒーだけで喫茶店を経営できるだろう。


律「…すいませんお嬢さん、おかわりよろしいですか?」


紬「はい♪」


再びコーヒーを煎れる紬。流れるような手際の良さはまさに匠の技。


紬「こうやってお客様にお茶をお出しするのも久しぶりです」


律「…そうなんですか?」


紬「はい、最近は仕事ばかりで…だから今、ちょっぴり嬉しいです」ニコ


律「成る程」


紬「ふふっ…あ、灰皿置いときます。遠慮なさらずにどうぞ」


律「あっ、どうも」


コーヒーのおかげで、煙草がいつもより美味しく感じた。
24 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/10(土) 23:25:32.37 ID:KwWc3wjDO
律「…!」キュー


紬「あら、うふふっ」


腹の虫が鳴ってしまった…。そういえば起きてから何も食べてなかった。


紬「よろしかったらご飯も召し上がっていって」


律「いやっ…そんな」


紬「いいんです、いつも父がお世話になっていますから」


律「はあ…」


髪を一つに結わき、料理を始めるむぎゅ。


律「(あれ…何しにきたんだっけ…)」


律「(これじゃ普通の客人じゃないか…)」


一刻も早く隙をついてJOBを済ませてしまいたい。
が、リビングとキッチンの間には仕切りが無く、どうにも動けない。


紬「〜♪」


律「(いい匂い…)」クンクン


料理の匂いが鼻を掠める。

律「…!」キュルル


紬「ふふっ、もうすぐ出来上がりますから待っててくださいね」


もはや律の中にあるハードボイルドプライドはズタズタだった。


律「(くっそぉ…)」
25 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/10(土) 23:26:51.70 ID:KwWc3wjDO
紬「お待たせしました」


律「…どうも」


差し出された料理はシチュー。早速、一口いただく。


律「ほぁ…!」


思わず声が漏れてしまった。空腹だったからではない、この味は、一流レストランの味に匹敵する。
彼女は、将来きっといい奥さんになるだろう。


紬「(口に合わなかったかしら…)」ソワソワ


律「…」ガツガツモシャモシャ


紬「(あ…よかったぁ…)」ホッ


無心にシチューを食べる律。だって…美味しいんだもん!


律「ふぅ…」


紬「おかわりあります」


律「いただきます!」


律は食べることに夢中になり、頭から仕事のことは忘れ去られていた。
26 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/10(土) 23:53:42.83 ID:KwWc3wjDO
結局、律は三杯も食べてしまったとさ。


律「それじゃあ…ごちそうさまです」


紬「いえ、本当に父には知らせなくてよろしいんですか?」


律「いや、また伺いますから大丈夫ですよ」


紬「…」ムムギュ…


律「それじゃあ…」


紬「あっ…あのっ」


律「…はい?」


紬「父に用が無くても、また遊びに来てください…。お料理用意しときますから…」


律「…はい、是非」


紬「はいっ、お気をつけて」


紬の笑顔に見送られ、律は家を出た。何かがおかしい…。


律「はぁ…」


占いはあながち間違ってなかったのかもしれない。
今日は撤退だ。
27 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/10(土) 23:54:23.63 ID:KwWc3wjDO
帰り道。夜になると、より風が冷たい。


律「…おいしかった」


出されたコーヒーとシチューの味が口の中に残る。


律「まぁいい、明日以降にやりゃいいんだ」


律は強引に仕留めることもできるはずだった。
しかし、好意的に接してくれ、嬉しそうに笑う紬を見てためらってしまった…。
仕事の時は徹底して冷徹な自分が、躊躇するなど始めてのことだった。


律「寒いなぁ…」


途中の自販機であったか〜いコーヒーを買う。


律「…」ゴキュ


律「(煎れ方でこうも変わるもんなのか…)」


むぎゅコーヒーに比べ市販の缶コーヒーは味が数段落ちる。


律「澪に連絡しなきゃな…」


一応、今日終わるはずだった仕事の依頼人に結果を報告せねばなるまい。


律「もしもしー?」


澪『あぁ、律か…。お疲れさん』
28 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 01:30:04.23 ID:0gji47CYo
面白いです、地文が可愛い。
29 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/11(日) 23:51:12.17 ID:07hXcF4DO
澪『で、首尾は?』


律「えーと…」


言葉に詰まる。


澪『ん?』


律「今日はちょっとさ…駄目だったんだ」


澪『へぇ、珍しいこともあるもんだ。律がしくじるなんてな』


律「はは…スランプかなーなんて」


今まで澪から依頼を受けた100件以上。決行する日に必ず仕留めてきた。


澪『まぁ、あと3日の内に済ませてくれればいいよ』


律「ああ…うん」


いつもの律なら「任せとけ」なんて強気な返事をするはずが、なぜか返事が吃ってしまった。


澪『それじゃ、なんかあったら連絡くれ』


律「…了解、じゃな」プチッ


律「…」ホッ


澪からお咎めを受けることはないとは思っていたが、後ろめたさのせいか安堵の溜め息。


律「(明日こそは必ず…)」


缶を握りつぶし、来た繁華街を通り、帰路についた。
30 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/11(日) 23:51:53.07 ID:07hXcF4DO
場面変わって紬家。


紬「ふふふーん♪」


紬「(喜んでもらえたみたいでよかったぁ…)」


ベッドで足をパタパタさせながら嬉しそうに本を読む。


紬「やっぱりパパに連絡しようかな…」


名前ぐらい聞いとけばよかったと後悔。

しかし、疑念が残る。父親の仕事関係であんなに若い女性がいただろうか…?


紬「(まさか…愛人…!?)」ガバッ


律には言付けしなくていいと言われたが、これは父親に問い詰める必要がありそうだ。


紬「…」ピポパ♪


紬「あ、パパ?紬です」


紬父『おお、なんだホームシックか』


紬「ううん、違うわ」


紬父『なんだ…つまらん』


紬「単刀直入に聞くけど、パパ…浮気してない?」


紬父『ブフッ』
31 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/11(日) 23:52:30.66 ID:07hXcF4DO
電話越しに吹き出す父。


紬父『何を言うんだ急に、母さんから相談されたのか』


紬「今日ね、パパのお客様がお家にいらしたの。若い女の子で…」


紬父『ん?そんなん聞いてないがな』


紬「え…」


紬父『だいたい俺の客なんてじじいばっかだよ』


紬「(どういうことかしら…)」


紬父『まぁ…紬は心配する必要はない、パパはママ大好きだ』


紬父『週一のデートは欠かしたことはないし、今でもママに夢中だ』


紬「…うん、知ってる」


紬父『用件はそれだけかな』


紬「うん、さっきの私じゃなくママに言ってあげて」


紬父『いや…それはさ…恥ずかしいじゃん』


紬「ふふふっ、じゃあ、おやすみパパ」


紬父『ああ、おやすみ』
32 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/11(日) 23:53:51.93 ID:07hXcF4DO
紬母「あら、電話?」


風呂上がりの母が寝室に入ってきた。


紬父「ああ、紬からだよ」

紬母「ええっ、あたしも喋りたかったぁ…」


紬父「ちょっと遅かったな。まあ元気そうだったよ」

紬母「ならいいんだけど…」


久しぶりの連絡だったらしい。娘の声を聞きたいのは親心から来るものだろう。

紬父「ああそうだ…ママ」

紬母「はい?」


紬父「私は今でも君に夢中だよ」


紬母「何言ってんの気持ち悪い」


紬父「さーて明日も仕事だし寝るかな!」


紬父「(やっぱこうなったか…)」グスン


娘の頼み事を断れない父だった。
33 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/11(日) 23:59:04.20 ID:07hXcF4DO
紬「(どういうことなんだろ…)」


抱きまくらを抱きながら紬は考え込む。


紬「また会えるかな…」ムギュ


紬「その時に聞いてみよう…」ムギュギュ



初めに律を見た時は、若干の怪しさを感じていたが、紬は、心のどこかでまた会えることを期待していた。一人暮らしのせいか寂しがりになってしまったのだろう。
この点は今の律と似通ったところはあるのかもしれない。


特に危害を加えられなかったことからか、何のために訪れたのがわからなかった。



紬「ふぁ…」


仕事の疲れか眠くなってきた。


紬「ううん…」ゴロ


紬「う〜ん…」ゴロゴロ


紬「明日考えよう…」


夜更かしして明日の仕事に支障が出てはいけない。これ社会人の常識。
34 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/12(月) 00:04:58.96 ID:kLrLrVPDO
>>21>>22>>28
コメントありがとうございます。

まったり5レスづつ投下していきたいと思います。遅くなりますがご容赦を
35 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:12:26.11 ID:53a8dgdCo
乙でした。
可愛いのはムギちゃんだけでなくてムギパパもだった!
36 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 00:26:53.05 ID:puH44gbLo
37 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 00:08:46.38 ID:akwtc2yDO
次の日。
昼間に律は目を覚ました。


律「くぁ…」


大きく欠伸する。
キッチンに向かい、目覚めのコーヒーを作ることから一日は始まる。


律「…」ズズ


律「(夕方までは待機か…)」


紬が帰宅するまでは動きはとれない。さて、どうしようか…。


律「(澪んとこにでも顔出すか)」ピポパ


律「もしもーし」


澪『ん、どうした』


律「今何してんのかなーって」


澪『特に何もしてないぞ』

律「よし、じゃ今から行く」


澪『はいはい』


いつものように暇な時は澪の事務所で時間をつぶすことにしている。
38 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 00:09:37.28 ID:akwtc2yDO
〜澪の事務所〜


律「おっす」


澪「…ああ、律か」


律「特に用事もないんだけどな」


澪「夕方までの時間つぶしだろ?」


律「当たり!」


親友にはお見通しのようだ。


律「特にやることもないしなー…澪は何してんだ?」


澪「給料の計算、うちは歩合制だからな」


律「ほほう」


忙しそうに電卓やパソコンを打ち込んでいる。


律「明細まで作っちゃってまぁ…」


澪「ちょっと、散らかすなよ?」


律「わーってるって」


生憎、澪は忙しそうで構ってくれそうにない。
39 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 00:11:33.11 ID:akwtc2yDO
〜地下〜


律「あったあった」


澪家には地下に部屋があった。そこには律のドラムが置かれている。
律のアパートは狭く、スペースがないためだ。


律「…」


腕を捲り、スティックを両手に握る。


律「1234!」


ドラムが部屋中に鳴り響く。


律「〜♪」ダンダンポコポコ


不思議と演奏を体は覚えている。
学生時代に毎日のように練習したもん。


澪「…」


澪「…♪」パタパタ


下で演奏をするリズムに合わせ、革靴をタップさせる澪。


澪「お前も演奏したいか…?エリザベスさんよ」


脇にあるベースに問い掛ける。
40 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 00:12:07.89 ID:akwtc2yDO
エリザベス「へへ…わかっちまったか」


澪「ふふ、相変わらずだな、お前も」


エリザベス「たまには弾いてくれないと錆びちまうよ」


澪「悪かったよ」ヨシヨシ


エリザベス「うははっ…くすぐったいってば」


澪「さーて…」



仕事も一段落ついた所で澪も地下室に向かう。



律「おう、澪しゃん」


澪「ヴォーカルが必要かと思ってさ」ニヤ


律「へへ…腕は鈍ってないだろうな」ニヤリ


澪「ふっ…律こそ」


律「じゃ、いくぞー…1234!」


エリザベス「(懐かしいな…)」ワクワク


二人は暫し日々の闇を忘れ、思い切り演奏をした。
41 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 00:13:43.13 ID:akwtc2yDO
思い切り演奏してたら3時間も過ぎてた。


律「ハァ…ハァ…」


澪「フゥ…フゥ…」


律「…やっぱ楽しいな」


澪「ああ、けど、さすがにちょっと疲れたよ。休憩しよう」


エリザベス「(消えちゃいなかったか…二人の中で燻ってたもんが再び燃え移った…)」


エリザベス「(ロック魂によ…!)」


エリザベスは少々興奮気味だ。



律「休憩、と言いたいところだが…そろそろ時間みたいだ」


澪「そっか、もうそんな時間か」


律「ほんじゃま、行ってくらあ」


澪「ああ、気をつけて」


丁度いい時間になったところで、律は澪の事務所を後にする。
42 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 18:59:18.48 ID:akwtc2yDO
律「さよならだ、お嬢さん」チャキ


紬「そんな…」


その場にへたりこむむぎゅ。


紬「いや…いやっ…助けて」


泣きながら哀願する紬。


律「(う…)」


紬「りっちゃんは悪くない人だって信じてた…」


律「…悪かった、これも仕事でね」


紬「…ぐすん」


律「(辞めてくれ…そんな顔しないでくれ…)」


銃を持つ手が震える。
脳がやれと命令を出しても引き金を引くことができない。


紬「りっちゃん…さよなら…短い間だったけどありがとう…」


覚悟を決めたのか紬は目を閉じた。


律「ハァ…ハァ…」




律「うわぁぁっ!!」


紬「っっ…!」


倒れ込む紬。
引き金は引かれた。
43 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 19:08:30.13 ID:akwtc2yDO
銃声と共に紬は倒れた。


紬「あはっ…はぁ…」


律「すまないな…お嬢さん、じきに…楽になるから…」


涙目で悶え苦しむ紬。


紬「うぅぅ…痛い…痛いよぅ…りっちゃん…」


律「っっ…!」


紬「りっちゃん…助けて…ねぇ…お願い…」


紬「りっ…ちゃ…」ガク


紬の体はピタリと動かなくなった。まるで電池が切れた時計の秒針のように…。

律「畜生っ…!!」


律は握りしめた銃を床にたたき付けた。
44 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 23:23:46.73 ID:akwtc2yDO
自分にとってはただ任務を遂行しただけ。こんな場面なんて今までに何度も見てきた。


律「うぅっ…なんで泣いてんだよ…!あたしはっ…」ポロポロ


それなのに涙が止まらない。体がまだ震えている。

仕留めた後はすぐに去るはずが、律は立ち上がることができなかった。







ふわ…


ん…


あれ…?なんか柔らか暖かいよぅ…


天使か…!?天使なのか…!?



紬「なーんて…つむぎです」ピョコ


律「うわぁっ!」


泣きじゃくる律の頭を撫でてくるのは紬だった。
45 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 23:24:59.80 ID:akwtc2yDO
紬「泣きじゃくるりっちゃんにときめいてたの」


律「な…泣いてねーし」


律「けど…なんで?」


紬「あぁ…これこれ、よいしょっ」


何やら着込んでたみたい。随分と重そうだ。


律「これは…防弾チョッキか!」シェー


紬「うふふっ、私ね、防弾チョッキを着てなおかつ、実弾をくらうのが夢だったの〜♪」


律「ブフッ」


紬「あ、笑った」


律「わ…笑ってねーし!」


紬「やっぱり、りっちゃんは笑顔が一番だわ」


律「むぎゅ…」


紬「りっちゃん…」


むぎゅぎゅむぎゅう…
抱きしめ合う二人。


律「暖かいなぁ。湯たんぽみたい」


紬「湯たんぽむぎゅ発売です…」


律「ははっ」


紬「また笑ったぁ」
46 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/13(火) 23:26:27.36 ID:akwtc2yDO
律「(途中からちょっとおかしくなったけど…)」


繁華街を歩きながらイメージしてみた。

明日は祝日のせいかいつもより賑やかだ。みんな楽しそうに騒いでる。

あんなふうに笑うことも久しくしてない気がする。



律「…」


哀愁に浸るのもまたハードボイルドライフ。


律「(酔っ払いばっか…)」

律「(お酒飲みたい)」


繁華街を早く抜けたい律は早歩きになった。ここにいると自分だけ取り残された気分になる。



律「む」ポツッ


律「ちっ…雨かよ…」



このままじゃびしょ濡れになってしまう。舌打ちすると律は走り出した。ターゲットの紬のもとへ
47 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 23:38:04.86 ID:uoAglgOko
むぎゅむぎゅかわいい
48 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 17:33:27.12 ID:ftA0NmYXo
ムギの名前聞けばよかったが矛盾してるぞ
49 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/16(金) 00:59:00.05 ID:QYYlvNRDO
>>48
これからは見直しします
すいません…orz
50 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/16(金) 01:00:13.61 ID:QYYlvNRDO
律「あー…もう!」


紬家に着いた頃には服はずぶ濡れだった。


律「寒い…」ピンポーン


もう隠れる必要はない。顔はすでに知られているのだから、あとコーヒー飲みたい。


紬「はぁい」カチャ


律「あっ…お嬢さん、今日もお美しい…」


紬「あなたは昨日の…」


律「通りすがったもんでね」


紬「風邪ひくといけないわ、上がってください」


律「お邪魔しま…へくちっ」


暖気が律を包む。
紬は駆け足でバスタオルを持って来ると、律をゴシゴシ。


紬「ふふ、また来てくださったんですね」ゴシゴシ


律「まっ…まぁ、約束しましたしね」
51 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/16(金) 01:00:50.96 ID:QYYlvNRDO
紬「あの、お風呂ありますからどうぞ」


律「いやっ、そんな」


紬「風邪ひかれたら困ります」


律「んむむ…」


紬「さぁさ、スーツ預かりますね。着替えは置いときますから」


紬に促されお風呂に入ることに、まるで旦那が仕事から帰ってきたようだ。



律「(こんなにもてなされていいのか…)」ヌギヌギ


律「じゃ、お邪魔します」

紬「ごゆっくりと」


バスルーム入った律を見送ると紬はキッチンに向かう。


紬「今日はちょっと張り切っちゃおう♪」


しかし、今だに疑念は残ったままだ。律が何者であるのか


紬「(今日は聞いてみよう…)」
52 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/16(金) 01:01:58.11 ID:QYYlvNRDO
〜風呂場〜


律「はぁ…極楽…」チャポン


思えば湯舟に浸かるのも久しぶりだ。雨で冷えた体の芯から暖まる気がする。


律「(至れり尽くせり)」


普通は神経がピリピリするものだ。それがなぜだろう…落ち着いてしまっている、ハードボイルド田井中。


律「ん…」


窓越しにシルエットが見える。


紬「あの…お湯加減はいかがでしょう」


律「あぁ、いいですよー」


紬「よかった、着替え置いときますね」


律「ありがとう」
53 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/16(金) 01:02:56.29 ID:QYYlvNRDO
紬「あ…」


着替えを置き、風呂場を後にしようとした紬にあるものが目に留まる。


紬「これは…」ゴクリ


それは…純白のパンティー。まだ律が履いた後の温もりが残っている。
窓越しには律が居るというのに、紬は何を思ったかそれを手に取る。



紬「…」


紬「…」クンクン…


甘酸っぱい香り。
柑橘類のようなちょっぴり刺激的な香りが鼻をくすぐる。


律「あがりましたよっと…」ガラガラ


紬「!」ビクッ


紬は咄嗟に律のパンティーをポケットに隠した。


律「ん、お嬢さん」


紬「しっ…失礼しましたー」


律「あらら、そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに…」


紬が用意してくれた服に着替える律。


律「(ふふ、久しぶりに女っぽいの着るな)」
54 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/16(金) 01:03:28.44 ID:QYYlvNRDO
律「ん」


几帳面に畳んである下着。


律「(これって…お嬢さんのだよな…)」


律「…」ゴキュ


律「…」クンクン…


シルクの手触り、洗剤の香り、どれをとっても文句なしだった。


律「って…何やってんだ、あたしは////」


律「もうっ…」


律「あと一回だけ…」クンクン…


クセになる香りだ。
今度から同じ洗剤を使おう。


律「お、ぴったしだ」


体格がさほど変わらないせいかジャストフィット。

着替えを済ませリビングに向かう。
55 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 01:17:53.65 ID:JTt/XHBDo
いきなり変態化したwwww
56 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 02:07:43.52 ID:91EyDBd6o
なぜ2人とも変態に…
あとりっちゃんピストルとか持ってなかったのかな?
57 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 03:14:26.19 ID:IVwI+f7mo
常に持ってるんだろ
58 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 16:30:33.41 ID:fQLNYKLDO
紬「わぁ、お似合いですよ」


律「いや…ははは」


紬「どうぞ、掛けてください」


今日のメニューは天ぷら。普段の食事に比べたら、なんとも贅沢だ。


律「(海老もあるなー。やった)」


紬「あの、お酒とか飲まれます?」


律「ん、あぁ、嗜む程度には」


紬「じゃあ…付き合ってくれますか?」


律「ん…」


律「(…!待てよ…これは罠じゃないのか…?)」


酔わせてその隙に逃げ出すのか、あるいは返り討ちにする気なのか…。


紬「年代もののワインなんですけど…」


律「…」ピク


紬「私一人で飲むのもあれなんで…」


律「いや、いただきましょう!」ガタッ


紬「わっ…わかりました」
59 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 16:31:35.95 ID:fQLNYKLDO
グラスに注がれるワイン。天ぷらには合わない気がするが気にしない。



律「じゃあ、いただきます」


紬「はい、乾杯♪」


カチンとグラスが鳴らし、一口いただこう。



律「おいし…」


今まで飲んできたワインは何だったんだと思える味わい。


紬「うふふっ、おかわりありますから」


律「じゃあ…」


遠慮を忘れてしまう美味さ。ワインもあり食も進む。


紬「そういえば…お名前聞いてなかった」


律「あたし?田井中律ってんだ」


紬「田井中律…」
60 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 16:32:07.76 ID:fQLNYKLDO
律「りっちゃんて呼んでいいよ?お嬢さん」


早くも酔いが回ってきたのかフレンドリー。


紬「りっちゃん」


律「はい」


紬「あ…じゃあ私のことはムギって呼んでください」

律「むぎゅ?」


紬「ちがっ…紬だからムギなんです…」


律「そうかそうか、ムギ」

紬「りっちゃん、うふふっ」


仲良し度がみるみる上がっていく。お酒のおかげだろう。
61 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 16:32:41.38 ID:fQLNYKLDO
紬「くぴっ」


律「酔ってますなぁ…」


紬「久しぶりだったから…くぴっ」


律「ははは、しゃっくり」


紬「トイレ〜…行ってきま〜す」


律「おう」


律「はぁ…」


あれから1時間ほど飲み交わし、お互いにかなり酔いが回ってきた。


律「これでラストかな…」

残り少ないワインをそれぞれのグラスに均等に注ぐ。
ムギがトイレから戻ってきたらお開きだろうか。


紬「ただいま〜…」


律「はは、しゃっくり治ったみたいだな」


紬「おかげさまで…」
62 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/18(日) 16:33:14.72 ID:fQLNYKLDO
紬「あんっ」ドタッ


律「おおぉぅうっとぉ」


紬「紬はもう立てません…」


律「ふー…どれどれ、よいしょっ」


紬「わぁ、力持ち」


子供のようにはしゃぐ紬。


律「寝室までお連れしましょう、お嬢さん」


紬「あっちあっち」


紬に誘導され6畳ほどの部屋。ベッドにそっと寝かせてやる。


紬「…お疲れ様でした、りっちゃん優しいね」


律「へへ、お冷やでも持ってくるよ」
63 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:56:09.56 ID:FAlxp5vKo
りっちゃんイケメンだ…
そしていいところで終わってるw
64 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/22(木) 15:21:01.05 ID:QBU7V7uDO
律「ん…」


手を握ってるむぎゅ。
自分とは違う柔らかく白い暖かい手。


紬「…」


律「ふふっ、お嬢さん。お冷や持ってこれないよ」


紬「一緒に寝よ…?」


律「ふぉ…」


紬「ねぇ…りっちゃん」グイグイ


律「やれやれ、わがままなお嬢さんだぜ…」


紬「うふふっ」


酔ったせいだろう。
首に手を回して、ムギの顔が近くに。


紬「お酒臭い?」


律「いや、いい匂いがする」


紬「…ならよかった」
65 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/22(木) 15:22:00.66 ID:QBU7V7uDO
静かな部屋。
雨音と微かな二人の息が聴こえる。


紬「…」


律「(早く寝てくれ…)」ドキドキ


こんなにも至近距離だと緊張してしまう。


紬「汗…」


律「へ」


次の瞬間に首筋にくすぐったい感触。


紬「ふふ、ちょっとしょっぱい…」


律「(今のって…)」


紬「りっちゃん…?」


律「あ…うん…」


紬「嫌だった…?」


律「いや、ちょっと驚いただけさ」


紬「…」ニコ


律「(くそっ…!反則だろぉい…!!)」
66 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/22(木) 15:22:34.83 ID:QBU7V7uDO
突如、首筋を舐められちゃった律。


律「あっ…あのさ…」


紬「なぁに…?」


律「あたしも…」


紬「え…?」


律「あたしも舐めたい…!」


紬「えっ…!」


頼んでしまった。最早、ハードボイルドコンピューターのサーバーはパンク状態。


紬「ふふっ…いいよ。はい」


舐めやすいようにと、長い髪を指で束ねる紬。これでおあいこと意味だろうか。


律「よしっ…じゃあ…」


紬「うん」


体をお越して、ムギに覆い被さるような体勢になる。
67 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/22(木) 15:23:14.69 ID:QBU7V7uDO
傍目から見てはもうあれだ…。


紬「お手柔らかに…」


律「(むぎゅ…むぎゅ…)」


紬「やっぱりちょっと…緊張するね…りっちゃん?」


律「(むぎゅ…むぎゅ…)」


今は紬の言葉は律の耳には届かない。
律は紬の首筋を指でなぞった。



紬「んん…」


律「(この感触…まるで絹豆腐だ…!)」


紬「りっちゃん…」


律「あぁ…」


ゆっくり紬の首筋に顔を近づける。紬の心臓の音が聴こえそうだ。



律「じゃあ行くぞ…?」


紬「!」
68 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/22(木) 15:23:45.14 ID:QBU7V7uDO
紬「はぁ…あ…」


律「…」ペロペロ


律の舌が紬の首に触れ、紬の口から吐息が漏れる。


紬「っ…あっ…はぁ…」


律「…へへ」


小刻みに体が震えて、喘ぎ声を漏らす紬が律をより一層駆り立てる。


律「…どう?」


紬「う…うん…くすぐったいのと気持ちいいのが…」


律「感じているということか…」


紬「ち…違うもん…」


律「(顔真っ赤にして強がってもなぁ…)」クス


紬「なんで笑うんむぎゅ」


律「いや、ふふふっ」


紬「もぅ…りっちゃん、からかってるでしょう」
69 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 16:20:46.32 ID:2nM7WMr7o
いいぞいいぞ
70 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:59:54.73 ID:KODNL5y1o
絹豆腐ってw
71 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 12:45:18.62 ID:ek4oUeWDO
律「ふーっ…」


紬「?」


律「なんだか…酔ったせいか調子乗りすぎちゃったよ」


紬「ううん、ペロペロしたのは私からだし」


律「このままじゃ抑え切れなさそうだからこの辺で…」


紬「…うん」



ここまでしといて止めるなんてチキンだろと思うかもしれない。しかし、これが律にとってのハードボイルド。


紬「(おっぱいぐらいなら触ってよかったのに…)」シュン


自分に魅力がないのだろうかと思ってしまう紬だったが…、まだ秘策は残されている。


律「な…何を…」


紬「ね…寝る時は取るの」


律「…そっかぁ」


紬「…///」ムギュギュ


ブラジャーを外した紬は律の腕に抱き着いた。
果たして紬の捨て身の技は律に通用するのだろうか。
72 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 12:46:25.62 ID:ek4oUeWDO
律「(くっ…)」


腕につたわる感触は、限りなく実物だ。
寝巻だけを挟み、自分の体に密着している。


律「(落ち着け…律!)」


ここからはむしろ自分との戦いであろう。この魔性のおっぱいの誘惑に打ち勝つことだ。


紬「(動揺してるみたい…チャンスね)」


紬「あふ…」


律「…そろそろ、おねむみたいだな」


紬「うん、おやすみなさい…」


目を閉じた紬。


律「(あんだけ飲んだらな…)」


紬「…」スースー


律「…」チラ


律「(気になって眠れないよぉ…)」ムラチラッチラッ
73 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 12:48:22.77 ID:ek4oUeWDO
紬の胸は例えるなら、砂漠をさ迷うところに出現したオアシス。喉から手が出るほど欲しいものだ。


紬「…」スースー…


律「(寝てるよな…?)」


律「(ちょっとだけなら…)」ゴクリ


ぽにゅ


律「(え!?)」


音が聴こえた。


律「(そんなはずは…)」


ぷにょ


律「(なんだってんだ…)」

現実、音が聴こえたわけではない。あまりの柔らかさに律は幻聴を起こしてしまったのだ。


紬「んん…」


律「!」ビクッ


律「(よーし…いいぞ、大人しくしといてくれよ)」
74 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 12:49:17.32 ID:ek4oUeWDO
紬「…ふふっ」


律「はぅあ!」


紬「りっちゃんのエッチ」


してやったりといった表情を見せる。


律「ご…ごめ…」


紬「もっと触りたい?」


律「そりゃ…まあね、嫌じゃないなら」


紬「嫌じゃないよ、りっちゃんなら…」パサ



そういうと寝巻を脱ぐ紬。白い肌に金髪がよく映える。


律「うん、綺麗だ…」


紬「嬉しい」


この駆け引きは紬に軍配があがった。


律「(ハードボイルドやーめた…)」


それでいいのか律!
75 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 12:50:19.47 ID:ek4oUeWDO
律「(たまには欲望に忠実でもいいじゃない、人間だもの)」


紬「ふぅ…あっ…」


さながらライオンが獲物を捕らえるがごとく、律は貪りついた。


律「あなたはいけない人だ…」


紬「言わないで…」


律「むぎゅ…!むぎゅぅう…!」


紬「あぅぅ…んんっ…りっちゃん…」


眠ることを忘れ二人は裸で激しく求めあった。また風呂に入る必要があるほど紬の体は律の唾液で濡れた。

紬「(パパ…ごめんなさい…)」


快感に身をよじらせながら紬は父親に懺悔する。
こんなにもわがままなボディになってしまった自分を。


〜ムギ家〜


紬父「…!」ザワ


斎藤「いかがなさいましたか」


紬父「いや…紬の声が聴こえたような気がしてな…」


斎藤「…?左様でございますか」


紬父「(まさかな…夜を営んでるわけないよな)」


父を悩ませるHな胸騒ぎ。娘にはそれはないだろうと気にしなかった。
76 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 13:17:55.02 ID:YZviw/tTo
わっふるわっふる
77 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 00:56:25.84 ID:/YZmOuWDO
律「…」


紬「…」スヤスヤ


律「(よく眠ってら…)」


律は紬の頭を撫でながら寝顔を見て、薄く微笑む。
情事を済ました後。ベッドで寄り添うように横になる。


律「えいっ…」ツン


紬「ん…」ピクン


律「ふふっ」


乳房を指で摘みながら余韻に浸る。


律「…」


相手は悪人といえども、何人もの血を吸ってきた手。そんな手で紬の体を汚してしまったように思う。


律「(いやいいんだ。ムギは許してくれた…はず)」


そう自分に言い聞かせる。


律「一服すっかな」


自分の腕の中で眠る紬を起こさぬように、そっとベッドを離れた。
78 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 00:57:13.05 ID:/YZmOuWDO
律「ふぃー」


リビングのソファに腰掛け、一服。真っ暗な部屋を煙草の火が照らす。


律「濡れてやがる…///」


パンツに忍ばせた小型のリボルバーをなんか濡れていた。
見つからぬよう、その液を拭き取ると再びパンツの中に収納した。


紬「りっちゃん、煙草?」


律「あっ…悪い、起こしちまったか」


部屋が暗くて助かった。


紬「ちょっと明かりつけるね」


律「って…真っ裸なんかい」


紬「ふふっ…」


律「やれやれ…」


紬「コーヒー作ったげるね」


律「あぁ、すまんな」


紬「いえいえ」ニコ


裸のむぎゅがコーヒーを作る。なかなかに貴重な光景?だ。
79 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 00:58:42.49 ID:/YZmOuWDO
律「ほら」パサ


紬「あ、持ってきてくれたんだ」


寝室にあった寝巻をかけてやる。


律「目のやり場に困るもんで…」


紬「ふふっ…りっちゃんのカップ」


粉末をお湯で溶かすとコーヒーの香りが広がる。
二人でソファに座り、いただくことにした。


律「うーん…」


紬「どうかした?」


律「なんでこんなに美味しいんだろ…」


紬「…さぁ」


律「なんかコツとかあるのかな」


紬「うん…特には意識はしてないけど…けど、飲んでもらう人に美味しいと、思ってもらえるようにはしてるなぁ」


律「ふむ…愛情か…」


紬「そんなところかな」フフッ
80 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 01:00:25.66 ID:/YZmOuWDO
律はブラック、紬はミルクを入れている。


律「(まるであたし達だな…)」


真っ白なミルクが紬だとしたら、律はブラックのコーヒー。


紬「りっちゃん、ブラック好きなんだ?」


律「あぁ、この苦味がクセでね」


紬「いいなぁ、かっこいい…」


律「ムギはミルクを入れるべきだよ」


紬「えっ、なんで?」


律「うーんと…イメージだよ、似合うからさ」


紬「そうなんだ?じゃあ…このままでいいや」


コーヒー片手にしばし談笑する。
裸のティータイムを二人でするほど、親密になったのだろう。


紬「雨…止まないね…」


律「あぁ…」
81 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 01:02:11.36 ID:/YZmOuWDO
紬「ねぇ…りっちゃん?」


律「ん?」


コーヒーを飲み終え、紬はトーンを下げた口調で話す。


紬「昨日ね、りっちゃんが帰った後、パパに電話したの」


律「そ…そうか」


紬「そうしたらね、昨日はパパにお客様はいらっしゃらなかった…て」


律「…」


紬「嘘…だったの…?なぜ私の家に来たの?」


律「(ばれちまったか…)」


「あなたの命を狙う者です」なんて言えるはずもない。沈黙の中、不安そうに見つめる紬の視線が痛い。


律「あたしは…」


紬「うん…教えて?」


言葉に詰まる律を、後押しするように手を握るむぎゅ。
82 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 18:39:53.05 ID:CtoLCmX9o
字の文に時々混ざるむぎゅが笑える
83 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/30(金) 17:02:08.39 ID:tBaOf1uDO
律「う…」


紬「…」


律「(嫌だ…嫌われたくない…)」


律「あたしは…」


駄目だ、声が震えてしまっている。


律「殺し屋…だよ」


紬「え…」


律「今回のターゲットは…ムギだったんだ…」


紬「嘘…嘘でしょう…?」


律「(言ってしまった…)」


真剣に見つめられ、嘘を突き通せなかった。



紬「じゃあ…私、りっちゃんに殺されちゃうんだ…」


今にも泣き出しそうな紬。その表情を見て、胸が張り裂けそうになる。


律「けど、やめたんだ」
84 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/30(金) 17:02:41.55 ID:tBaOf1uDO
紬「どういう意味…?」グスン


律「あたしにはムギは殺せない…いや、殺したくないんだ」


律「だから泣かないでくれ」


紬「う…うぇーん…」ガババッムギュウ


律「おわっ」


紬「りっちゃんの馬鹿馬鹿…怖かったんだからっ…」ポカポカ


律「いてて…わかったわかった、よしよし」


紬を泣かしてしまったが、全てを話したことで、喉に詰まった物が取れた気がした。


律「(にしても…)」


律「(柔らかいおっぱいだなぁ)」キュンキュン
85 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/30(金) 17:03:12.99 ID:tBaOf1uDO
律「よし…そろそろ寝ようか。ムギ」


紬「うん…」グスッ


律「ほら」


紬「おんぶ…」


律「おう、よいしょっと」


泣かせた罰というわけか、おんぶをねだる紬。



律「落ち着いたか?」


紬「…うん」


律「よかった」


再び寝室に向かう。


律「ふう」


紬「くしゅんっ」


律「ほら、裸で来るからだよ…へっくち」


紬「ふふ…りっちゃんも」
86 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/30(金) 17:03:43.37 ID:tBaOf1uDO
律「はは、笑ったな」


紬の笑顔を見て、ホッと胸を撫で下ろす。


紬「りっちゃんに暖めてもらう」


律「ひゃあ、大胆発言〜」


紬「またからかう…///」


律「わりぃわりぃ、ほら」


さっきと同じように腕枕をしてあげると。ピッタリとくっつく紬。


律「ムギは暖かいなぁ、助かるよ」


紬「湯たんぽむぎゅ」


律「ぶふっ」


あれ…?このやり取り、前もあったような…。まぁ、そんなことはどうでもいい。


紬「はい、おやすみのキス」チュ


律「んっ…」


舌を絡めると、先程飲んだコーヒーの味がした。


律「甘いな…」


紬「ふふ、私は苦かった」
87 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/30(金) 17:04:38.61 ID:tBaOf1uDO
紬「おやすみなさい」


律「あぁ、おやすみ…」


律「…」


目を閉じた紬を横に、律は天井を見つめながら考える。


律「(せっかく仲良くなったんだけどな…)」


雨が止み、雨音も静かになった。部屋の時計の秒針のカチッカチッという音が、カウントダウンをしているように聞こえて仕方がない。


律「(まぁ、ムギを守れるなら仕方がない)」


律「(あたしが死ぬことも)」


律はこの世界に生きて、何度もあった命の危機をかい潜り、生き残ってきた。
しかし、思いもよらぬ形で天運は尽きた。


律「…」モニュモニュ


紬「ふぅ…んん…」ピクン


律「(ふふっ、お前のせいだからな)」


律「(そのかわりムギは幸せになれよ…絶対に)」


律「指切りげんまん…」


自分の小指と、紬の小指を勝手に結ぶ。
88 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/30(金) 17:06:01.09 ID:tBaOf1uDO
おそらく年内最後の更新だと思われます。よいお年を
89 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 17:10:43.80 ID:Xgc2Iyl0o

律は悪人しか殺したことがないみたいなことを言ってたけどムギは何かやらかしたん?
90 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 17:17:30.19 ID:/OxtvQk2o


しかし何故改行を二行も空けてるんだろうかという疑問が
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 22:08:45.60 ID:hjWF4jE6o
待ってるよ
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 00:12:58.04 ID:DMH5I4wYo
待ちます
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 10:01:11.78 ID:p4o3Enc9o
まだー?
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/09(木) 18:02:22.48 ID:qWlQ9gaDO
本当にすいません
近いうちに投下できそうです
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/13(月) 00:57:40.65 ID:cG7zY4QDO
律「さて…行くか」


紬を起こさぬように、そっとベッドを離れる。
あちらこちらに散乱した下着を履き、寝室を後にする。


律「あばよ」


紬の手を軽く握り、お別れの挨拶。


律「ん」


律「(ムギのパンティ…)」

律「…」クンクン


最後にパンティをテイスティングする。


律「じゃあな、天ぷら美味しかった」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/13(月) 00:58:57.09 ID:cG7zY4QDO
紬「えいっ」ムギュ


律「ひゃあ!」


紬「どこ行っちゃうの♪」ムギュムギュ


律「いやぁ、その…」


静かに去るつもりが紬が後ろから抱き着いて離れない。


律「ちょっと急に仕事が入っちゃってさー…」


紬「え…そうなの」


律「…悪いな」


紬「ううん…」ムギュムギュムギュムギュ


律「(ううっ…)」


紬の表情が暗くなる。
朝食を振る舞う予定だったのだろう。このまま置き去りにするのは忍びない…
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/13(月) 00:59:45.48 ID:cG7zY4QDO
律「よし…風呂入っていいか?」


紬「…うん!」


律「汗かいちゃったしな、ムギも一緒に入ろう」


紬「はぁい♪着替え持ってくるね」


律「…」ホッ


これでもうちょっと一緒にいれる。


紬「お待たせ」


律「よっしゃ、行くか」


紬「…りっちゃん、わがままでごめん」


律「気にすんなって」


二人で浴室に向かう。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/13(月) 01:00:14.73 ID:cG7zY4QDO
〜お風呂場〜


律「ほっ…」


紬「〜♪」


湯舟に浸かる律は、体を洗う紬をまじまじと見ていた。


律「(いいなぁ…おっぱい)」


浴室の照明で、寝室に比べよく見ることができる。
揉んだ時に感じたボリューム。


紬「うん、りっちゃんおいでなさい」


律「おう」


紬「くすぐったかったら言ってね」


律「いや、自分で洗えるよ」


紬「ううん、任せて」


律「はは…本当に世話好きなやっちゃ、じゃあお願い」


紬「はぁい♪」


シャンプーを手に取ると優しい手つきで律の頭を洗髪する。


律「(気持ちいい…)」ワシャワシャ


人に髪を洗ってもらうのがこんなに気持ちいいなんて知らなかったよ。


紬「りっちゃんの髪、すごいツヤツヤ」


律「そうか?ムギこそ」


紬「私、ちょっとくせっ毛だから…羨ましいな」ゴシゴシ


律「平気だよ、ムギだって綺麗な髪だ」


紬「ふふっ、ありがとう。じゃあ流すね」


律「へーい」


頭からシャワーをかけられ目を閉じる。
紬が使うシャンプーで少しは女の子女の子できるかな。


律「ふぅっ…さっぱり」


紬「お疲れ様でした」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/13(月) 01:00:53.16 ID:cG7zY4QDO
むぎ美容室が終わると二人で湯舟に浸かる。


紬「お仕事…忙しい?」


律「まぁ…ほどほどにな」


紬「そっか…」


律「(しょんぼりしてるな…)」


律「むぎゅ」


紬「はい」


律「また来るよ」


紬「ほんとに?」


律「あぁ、ムギの料理もまた食べたいし」


紬「うふふっ、じゃあ頑張っちゃう」


今日はよく嘘をつく日だ。また来れる確証もないのに、ムギの寂しさを紛らせたいが為に嘘をついた。


律「(神様…許したもーれ)」


心の中でそんな事を思う。

紬「りっちゃんの好きなお料理って何?」


律「んー…いや、なんでもいいよ。きっと美味しいだろうから」


紬「うん、じゃあシェフのお任せコースで」


律「はは、それでいい」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/13(月) 01:07:23.80 ID:cG7zY4QDO
>>89
何をしたんでしょうね…。自分の不手際です、すいません。考えとけばよかったorz
>>90
見やすいように空けてます。窮屈にならないように
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 07:00:08.78 ID:DnFlytK7o
待ってた
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 17:28:44.42 ID:dXF7ZKlso

死ぬなよ律……
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/17(金) 18:26:22.98 ID:DKhPs6pDO
風呂から上がり、リビングに到着。


紬「りっちゃんのスーツ、まだ乾いてないみたいだから…はい、これ」


律「あぁ、いや…もっとラフなのでいいよ」


紬「そう?似合うと思ったんだけどな」


律「ジャージとかでいいからさ」


紬「はぁい」テコテコ


律「…」ゴキュゴキュ


ムギから渡されたミネラルウォーターが喉を潤す。
眠気が強くなり、できればこのまま朝まで寝ていたい。遅めに起きた頃に、ムギはいなくてリビングに行き、キッチンでエプロン姿で朝食を作っているムギに「おはよう」ニコッと言われたい。


紬「あったよ、着てみて?」


律「お、サンキュ」


紬「ピッタリだね」


律「うん」


紬「えーと…あと、りっちゃんに似合いそうなの選んだの」


律「いや、いいよぅ…」


紬「ダメ、風邪ひいちゃうから暖かくしなきゃ」


黒の革ジャンだ。ジャージに革ジャンて似合わない気がするけど、そこは…まあ我慢。


紬「わぁ、似合うね」


律「たはは…こんな高そうなの汚したら大変だな」


紬「今度、来た時に返してくれればOKだから」


律「あ…うん」カチッ


ぎこちない返事をごまかす為に煙草に着火する。


紬「時間大丈夫?」


律「ああ、これ吸い終わったら行こうかな…と」


紬「そう…」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/17(金) 18:27:14.88 ID:DKhPs6pDO
別れの時。
玄関まで見送ってくれるらしい。


律「じゃあ、お邪魔したな」


紬「うん…頑張って」


律「ああ」


律「(ん…)」


紬「…」モジモジ


律「(ほっぺが赤い)」


紬「んっ」チュ


律「!」


紬「いってらっしゃいのキス…///」


律「はははっ、めっちゃ照れてるじゃん」


紬「むむぎゅ…///」


律「はぁー、おかげでやる気が出たよ。それじゃあ」

紬「うん、バイバイ…」


律「おう」


ドアを閉じた。
やっぱり寂しかったのだろうけど、最後は笑顔で見送ってくれた。


律「(さてさて…澪の事務所に向かわなきゃだな…)」


律「…」ポチポチ


携帯片手に歩を進める。
早めに事を進めねばなるまい。


律「もしもし、澪」


澪『あぁ…律か』


律「今から行きたいんだけどさ…いいか?」


澪『ん、うちは24時間営業だぞ』


律「へへ、じゃあ行くから」

澪『ああ、じゃあ後ほど』
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/17(金) 18:27:44.56 ID:DKhPs6pDO
律「ご苦労さん」


運転手「あい」


律「…」


澪の事務所の前に着いた。深夜まで働く澪には頭が下がる。


律「…」プルッ


律「…武者震いなんて久しぶりだ」


律「たのもー!」バァン!


澪「!」ビクッ


ウトウトとしてたのか、思い切りびっくりした澪。


澪「…律か、驚かすなよ」

律「ふふっ、可愛いわね」

澪「茶化すなって、寒かったろう。今、コーヒーでも煎れるよ」


律「お、サンキュー」


平静を装っても、徐々に心臓が鼓動を速める。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/17(金) 18:28:26.27 ID:DKhPs6pDO
律「あっ…あのっ」


澪「ん…」


律「仕事の件なんだけどさ、駄目だったよ」


澪「…」ピク


沈黙が流れる。
澪は何も言わない。


律「あたしも衰えたかなー…はは…」


澪「…」ピクピク


律「う…」


澪は無言で見つめてくる。それはとても冷たい目だ。

澪「…そっか」


律「へ?」


澪「律が仕留め損なうなんて珍しいな」


律「あ…うん」


澪「まぁいい、代わりに向かわせるよ」ポチポチ


澪は携帯で電話をかけようとしている。


律「駄目だ!」


澪「…!」


律「ムギは…」


澪「なぁ…律」


律「助けてやってくれ…」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/17(金) 18:29:16.14 ID:DKhPs6pDO
澪「…何があった?」


律「…」


言えるはずもない。料理をご馳走になり、あんなことやこんなことをしていたなんて…


澪「ふぅ…帰っていいぞ」

律「え…」


澪「疲れたろう?ゆっくり休むといい」


律「じゃあ…見逃してくれるのか?」


澪「…ああ」


律「ごめんな、澪…」


澪「いや、今日はもういいから帰るんだ」


律「うん…」


帰宅を促され、席を立つ。紬の命は保証されたみたいだ。


律「じゃあ邪魔したな」


澪「ああ」


律は澪の事務所を出た。


澪「…」


エリザベス「おい」


澪「〜♪」


エリザベス「おいったら」


澪「ああ…エリザベス、聞いてたのか」


エリザベス「いいのか?」


澪「…」


エリザベス「幼なじみだろうに容赦ねぇんだな」


澪「仕事だからな…仕方ないよ、おそらく律はもう駄目だ。この仕事は続けられない」


エリザベス「…クビっつうことか」


澪「そう」


エリザベス「はぁ…神様は残酷だねぇ…」


澪「…残酷なのは私さ。今からすることは完全に騙し討ちだからな」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 22:32:10.82 ID:bEj1T1JCo
色々ピンチ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 23:32:36.34 ID:DAfwZf2SO
むぎが危険だな。
夢オチ!の律紬編の新しいのを見たいな。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 20:35:50.60 ID:252jkLlDO
澪「せめて私がやるのが親友への手向けってもんだろ」


エリザベス「澪自ら行くのか」


澪「あいつをこの世界に連れ込んだのは私だからな」

エリザベス「ふむう…」


澪「うかない顔するなよ」

エリザベス「…いや、気をつけてな」


澪「ああ…」


そういうと澪は事務所を出る。見送ったエリザベスは、澪の背中は、心なしか寂しさを漂わせているように感じた。


澪「もしもし」


澪「ああ…そうだ」


澪「そう…律だ」


澪「これは業務命令だからな、よろしく…」ブチ


澪「さて…行くか」


連絡を済ませると澪は車を走らせた。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 20:58:16.25 ID:37m+63FDO
この人が書く律紬が好きだ
むぎが可愛すぎる
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 22:11:03.60 ID:252jkLlDO
〜紬家〜


紬「(りっちゃん…もうお家に着いたかな)」


紬「…」ギュ


その手には律が脱いだパンツがしっかり握りしめられていた。


紬「…」クンクン


紬「はぁ…落ち着く…」


温もりは冷めてしまったが、残り香を味わう紬。


紬「(私ってば変態…)」


罪悪感に悩まされながらも律のパンテーの匂いを嗅いでしまう。


紬「…」パク


ついには食してしまう…。


紬「…//」


紬「ふっ…ふぅ…」モゴモゴ


口に含んだ布が唾液で濡れる…。律の体液が染み付いたパンツが、紬には愛おしく思えた。


紬「…駄目」


紬「りっちゃんごめんね。ちょっと借りました…」


暴走気味だった。
人様のパンツの匂いを嗅ぎ、さらには食す。
律はその行為を許してはくれないだろう、と思い踏み止まった。


紬「おやすみ…りっちゃん(のパンツ)」


パンツを大事に胸に抱き、眠りについた。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 22:11:48.77 ID:252jkLlDO
律「くぅ…寒い」


まるで夜の様な冬の朝。
その暗闇を一人歩く律。


律「(何かひっかかる…)」

お咎めがなく安心した半面、疑念が残る。
お咎めがなかったのは澪の情けなのか…?


律「(早急にムギの家に行かなきゃだな)」


まずは紬の安否を知ることを優先した。


律「(…後ろの雑魚共を片付けてからな)」


仕事柄、警戒心はかなり強くなったせいか、何者かが迫ってきていることはわかっていた。


律「(ひーふーみー…かな)」


律「(澪、わかった…)」


律「(それがお前の答えだろ)」


律は煙草に火をつけ、足を止めた。


律「ふぅー…」


律「(こっちは全力で抵抗させてもらうわ)」


律「ファイッ」ダッ


律は走り出し、狭い路地裏に入った。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 22:12:51.24 ID:csBQQZ7Ao
変態wwww
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 22:13:05.86 ID:252jkLlDO
下っ端A「ぬっ」


下っ端B「逃げたぞ…」


律が走り出したのを見て、尾行していた二人も駆ける。


下っ端A「あっ…」


律は曲がり角で待機していた。


律「夜勤か、ご苦労さん」

律「ふんっ」


下っ端A「ぶふっ」


有無も言わさず頭突きを食らわせる。下っ端の鼻血がブシュッ。


律「へへ…」


下っ端B「このぉ…」


律「とうっ」


もう一人には肘を顎に当てる。


下っ端B「いやっ…」バタン

律「ふぅ…雑魚めが」


パチパチパチ…


律「(拍手…?)」


律「…最後はお前か」


律「あ…」


二郎「さすが。見事な速攻だ」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 22:13:54.55 ID:252jkLlDO
現れたのは二郎さん(58)。185cm90s。
彼こそが澪の手下の中で最強の刺客。


律「二郎さんか…」


二郎「体は暖まったか?」

律「(くそっ…二郎さんが夜勤なんて)」


律「(やむを得ないか…ここは銃で…)」


律「あ」


二郎「ん?」


律「(ムギん家に忘れたーーーー!!)」


うっかりっちゃん。
まあそれよりピンチだ。


二郎「事情は詳しくは知らねぇが…社長から言われたんでな」


律「…」


二郎「うちの会社としてはNo.2がいなくなるのはきついが」


律「へっ…No.1はあたしだろ」


二郎「おん?」ピク


律「こっちはずっと第一線で戦ってきたんだ…」


律「定年間近の二郎さんには負けない」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 22:24:38.83 ID:252jkLlDO
>>109
ムギがお母さんのやつでしたね。続きができるよう頑張ります。4人目の子供を誰にするか…放課後テータイムのメンバーは皆出てるから、迷う。

その前に律編を完結させねばなりますまい。頑張ります
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 22:26:36.59 ID:CUVRPvCdo
>>117
憂だな
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:14:47.66 ID:1x/4A93DO
二郎「ふふふ…はっはっは…」


律「…余裕だね」


二郎「いやいや弟子の成長が嬉しくてな…」


律「今なら見逃してやってもいいよ?」


二郎「ほざけ」


律「うっ…」


二郎「久しぶりに相手してやるよ…来い」


律「(ちょっと怒っちゃった…)」


覚悟を決めた。
この男を倒すしか選択肢はないみたいだ。


律「…」ヌギヌギ


二郎「それを脱ぐと強くなるのか?」


律「違うね、これは借り物なんだ」


革ジャンを丁寧に畳む。だっていい革なんだもん。


律「(ちょっと寝不足だが…コンディションはいい。いける)」


二郎「準備はいいか」


律「おう」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:15:33.74 ID:1x/4A93DO
二郎「…」ザッ


律「…!」ビクッ


二郎「はは、どうした」


律「ぬぐぐ…」


様子見をしている場合はなさそうだ。できれば早く片付けたい。


律「よしっ!」ダッ


二郎に向け、一気に踏み込む。


二郎「(速い…!)」


律「受けてみよ!田井中流…」


律「8ビートパーンチ!!」


二郎「ぐうっ…う」


律「(決まった…高速で繰り出される八つの拳の衝撃!)」


律「(あたしの勝ちだ!)」


二郎「ふ…まだまだぁ」


律「ですよねー」


先手を取った律。
しかし下っ端のように一撃でのされる二郎ではない。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:16:08.54 ID:1x/4A93DO
二郎「ほらどんどん来な」


律「言われなくても…」


律「行くよ!」


二郎「(どれ…)」


律「(必殺技の名前は考えてない…)」


律「えーい!」


瞬時に後ろに回り込むと、そのままヘッドロックをかける。


二郎「ぬぬ…」


律「…時間がないからな、このまま締めさせてもらう…!」


二郎「(小振りだが確かに感じる…胸が…なんかいい香りするしー)」


律「ふぬっ…」


ゴキッ
鈍い音とともに二郎の巨体が倒れる。


律「(決まった…!)」


律「悪いな…二郎さん」


律「アイムチャンピオン!」


二郎「ぶふぅ」


律「!」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:16:49.06 ID:1x/4A93DO
律「な…///」


二郎「くっくっ…」


律「なんで起きれるんだ…確かに極めたはず」


二郎「確かに、ゴキッっつったな」


二郎「ありゃ、俺の屁の音だ」


律「なんだと…道理で臭いと思ったぜ」


二郎「まあ、素直に決めさせるつもりもなかったが…」プス


律「(またこきやがった…)」


屁こき二郎。
様々な音のバリエーションで、幾多ものピンチをくぐり抜け。たかが屁でだ。


律「しゃあねー…続行だ」


二郎「律よ」


律「あ?」


二郎「お前が俺に決めた技…全然、ハードボイルドってねぇよ」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:18:15.93 ID:1x/4A93DO
二郎「がっかりっちゃん」


律「うっさい」


二郎「お前が社長の会社に入ってからずっと武道を教えてきたが…」


律「昔話なんていいよ」


二郎「まあ聞け、俺は何を教えてきたか、覚えてるか?」


律「急所を突けだろ?聞き飽きた…」


次の瞬間、二郎の足が律の顔面を目掛け飛んだ。
咄嗟にガードはした。あまりに重い一撃に、律は後退する。


律「いつつ…」ハッ


二郎「脇が開いたな」


律「ぐっ…」


二郎の膝が肋にヒットした。


二郎「もろに決まったろ」


律「あぅぅ…」ドサッ


激痛が走り、呼吸が急激に荒れる。


律「はっ…はっ…はぁっ…」


二郎「呼吸がおかしいな、折れたんじゃないのか」


律「折れてないもんっ…」


二郎「強がりはよせ、ちょっと泣いてるじゃねぇか」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:19:10.01 ID:1x/4A93DO
二郎「そうか…まだ続けるんだな」


律「あ…当たり前だろっ…」


律「(折れてる…)」


二郎「攻撃はかなり上達したよ」


再び脇腹を二郎の蹴りが襲う。


律「くっ…!」


二郎「が…防御はまだまだだ…」


律「(フェイント…!)」


二郎「一郎二郎三郎ー!!」


律「きゃっ…!!」


拳が律の腹にめり込む。


律「あぁ…うっ…はっ…はぁ…」


二郎「苦しそうだな、律よ」


律「ううっ…痛い…痛い…」


二郎「仕上げに入ろう」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:20:38.80 ID:1x/4A93DO
二郎「…」


二郎は自分の右手を尻にかざすと…
ブブブッオッウァッ


律「(あ…あれは…)」


うずくまる律に近づいてくる。


二郎「俺の後釜はお前しかいないと思ってたが…残念だ」


律「や…嫌…」フルフル


二郎「…」


律「嫌だ…死にたくない…はっ…はぁ…」


二郎「…さらばだ」


二郎の手が律の顔を掴む。


律「ああぁあぁっ!」


強烈な臭気に律は悲鳴をあげ、体をガクガクと痙攣させた。


二郎「約1時間かな…お前に残された時間だ」


律「ひっ…ひっ…はっ…はぁっ…」


二郎「終いだ。行くぞ。いつまで寝てんだ」


下っ端AB「は…はいっ」


下っ端達はあまりの戦慄に加勢することなど忘れ、ただ傍観していた。
律は臭気立ち込める路地裏で、ただ去り行く二郎の背中を、見送ることしかできなかった。
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/22(水) 17:30:30.03 ID:1x/4A93DO
>>118
意見ありがとう。自分も考えてますが、なかなか思い付かない。今回、むぎゅ編はラストに回してゆっくり考えようかなと…。
子供達のセリフを考えるのはなかなかに難しいので(個人的な意見になっちゃうけど)
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/02/22(水) 19:16:04.94 ID:Jc839WTXo
まあ無理に続きと言わなくても、例えばちょっと時間遡ったりするという手も
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/27(月) 15:47:19.15 ID:QTZ6wva50
毒ガス・・・
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/06(火) 18:09:47.89 ID:wC3NfI5uo
まつわ〜
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 21:25:24.35 ID:fuxF14VDO
ゆるりと待ってる
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/04/11(水) 02:04:18.12 ID:stVHbj5Jo
あと11日でスレが落ちてしまう
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(dion軍) [sage]:2012/04/24(火) 18:47:26.77 ID:7TTCkpymo
まだー?
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