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妹の手を握るまで - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [saga]:2011/12/07(水) 22:43:55.89 ID:VfsFr947o
別に他所の兄妹と特に変わったところのない普通の兄妹関係だったと思う。幼い頃からべったりと兄妹だけで過ごしてきたわけでもなければ、特に仲が悪かったわけでもない。要するにどこにでもいる普通の兄妹だった。別に二人きりでいても気まずくなるような関係でもなく、かといって常に二人きりでいたいと思ったこともない。
たまに大学の友達の話を聞くと、姉や妹と二人きりで外出したり一緒にゲームしたりとかしている奴もいるようだけど、もちろん俺と妹が一緒にそんなことをするなんて想像もできない。

俺の妹はアニメや漫画に出てくるように兄貴にべったりと依存するような妹ではない。どっちかというと家庭の外にもしっかりと居場所があるようで、特に高校生になってからは帰宅時間も遅くなり、帰ったら帰ったで自分の部屋に篭ることが多くなった。親父やお袋とは普通に会話してるみたいだけど、俺と妹は2、3日ほとんど会話しないこともあるくらいだった。

そんな関係だったのだ、俺と妹は。

・・・・・・繰り返すようだが、決して俺と妹の仲が悪いわけではない。お互いに無関心という方が正解に近いかもしれない。ある意味、互いの友人以上に離れた存在だったのだ。

そうあの日までは。
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/12/07(水) 22:44:24.03 ID:VfsFr947o
オリジナルSSで非エロ、もどかしさやムズムズ感しか感じられないSSになるかもしれませんが、それでもよければご覧ください
あと、更新は遅いと思いますのであらかじめご了承ください
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [saga]:2011/12/07(水) 22:45:38.73 ID:VfsFr947o
大学の構内


兄友「よう兄。早いな」

兄「おはよ、兄友」

兄友「おまえも1限あるんだっけ?」

兄「うん。つうかおまえと一緒の講義だろうが。今更何言ってんだよ」

兄友「まあ、俺今までほとんど出席してなかったし。つうか出欠取らない講義なんて普通出ねえだろ? パンキョウなんだしさ」

兄「え? おまえ・・・・・・」

兄友「うん?  俺、何か変なこと言った?」

兄「取ってるんだけど」

兄友「へ?」

兄「だからこの講義出欠確認してるぜ」

兄友「・・・・・・」

兄「おい、顔色悪いよ、おまえ」

兄友「出欠票だよな?」

兄「は?」

兄友「だから! 出欠票で出席確認してるんだろ? そんで当然俺の出欠票も書いてくれたんだよな?」

兄「いや、書いてないけど。だってそんなこと頼まれてねえじゃん」

兄友「・・・・・・」

兄「・・・・・・そろそろ行こうぜ?」

兄友「終わった・・・・・・」

兄「終わったって何が?」

兄友「俺の単位とおまえとの友情が」

兄「何でそうなる!?」


ピピピピピ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [saga]:2011/12/07(水) 22:46:08.94 ID:VfsFr947o
兄友「おまえとは大学入学以来親友だと信じていたのに。全く裏切られた気分だ。走れメロスの登場人物のような気分だ」

兄「・・・・・・携帯鳴ってるぜ? あと走れメロスは友情の素晴らしさを描いたんじゃなかったっけ?」


ピピピピピ


兄友「大学に入って友達を選ぶ時に気をつけるべきだった・・・・・・って、妹だわ」

兄「・・・・・・電話出れば?」

兄友「分かってるって。ああ、妹ちゃん? どうしたの」

兄(いきなり口調が柔らかくなった。妹ごときの電話に何でそんなに甘い声出す?)

兄友「うんうん。そりゃ大変だったな。もちろん車出すよ。講義? そんなもんどうでもいいよ。妹ちゃんがピンチなんだ、そっちを優先するのが兄として当然だよ。じゃあ、これからおまえの高校に車で向うからね。うん、じゃあ後で」

兄「妹さんに何かあったのか?」

兄友「おう。妹がピンチなんでちょっと行ってくるわ」

兄「大丈夫なのか? 妹さん」

兄友「大丈夫じゃねえから俺が救出に行くんだろうが!」

兄「そ、そうか。すまん。妹さんお大事にな」

兄友「は?」

兄「いや、だから。妹さんが大変なんだろ?」

兄友「そう、妹のピンチだ。あいつ、今日高校に持って行くはずだった友達から借りたDVD家に忘れたらしいんだよ」

兄「そうかそうか、それは大変・・・・・・って、え?」

兄友「妹の一大事だ。妹の信用が失われるかもしれん。そんでイジメとかに会うかもしれないしな」

兄「・・・・・・」

兄友「じゃ、ちょっと家によってDVD取って妹のところに届けてくる」

兄「・・・・・・行ってらっしゃい」

兄友「おう。じゃ、遅すぎたかもしれんが今日からは出席票の提出は頼んだぞ」

兄「・・・・・・」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [saga]:2011/12/07(水) 22:49:18.82 ID:VfsFr947o
夜7時 兄の家



兄「ただいま〜」


シーン


兄(親父とお袋は相変わらず遅いのかな)

兄(今日の飯はどうななってるんだろう?)

兄(とりあえず着替えるか・・・・・・って、あ)

妹「おかえりなさい」

兄「ただいま。親父とお袋は?」

妹「・・・・・・今日遅くなるって。電話のとこにお金置いてあるからそれで適当に夕食すませてだって」

兄「今日もかよ。で、どうする?」

妹「・・・・・・何が?」

兄「いや、夕食どうすんだ? ファミレスでも行く?」

妹「面倒くさいからいい。適当に冷凍食品探すからお兄ちゃんは好きなようにして」

兄「そう? それじゃ俺も適当にカップラーメンでも食べるか」

妹「・・・・・・そ」


ピピピピピ


兄「あれ? 俺の携帯かな」

妹「はい。ああ、あたし。どしたの? うん、平気だよ」

兄(・・・・・・)

妹「今から? 別に平気だけど。ううん、今日親帰るの遅いから」

妹「うん。じゃ、着替えたらすぐ出かけるから。いつものカラオケでしょ? わかった、食事してないんで何か食べてもいい?」

兄(こんな時間から高校生が夜遊びか。だいたいこいつの彼氏って3年だろ。受験勉強する気ないのかよ)

妹「じゃ、あとでね」

兄(ま、俺には関係ないか。お湯沸かしてカップ麺食おう」

妹「・・・・・・ねえ」

兄「あん?」

妹「ちょっと友達と外で会って来るから」

兄「そう(カップラーメンよりカップの天そばとかねえかな)」

妹「・・・・・・最近、お母さんうるさいから」

兄「(何だよこいつうぜーな)何だよ、だから」

妹「お母さんたちが帰って来るまでには戻るから、内緒にしてて」

兄「・・・・・・はいよ」

妹「・・・・・・うん」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [saga]:2011/12/07(水) 22:53:53.58 ID:VfsFr947o
キッチン


兄(3分待っちゃうと食い終わる頃は麺がクタクタになっちゃうんだよな)

兄(せっかくの天そばだし、麺には腰がないとな)

兄(・・・・・・よし! ジャスト2分30秒。粉末スープを入れてかき回して)

妹「ねえ」

兄「わ! え、まだいたのおまえ」

妹「行ってくるから」

兄「・・・・・・(ケッ)」

妹「今夜出かけるのお母さんたちに内緒にしてね?」

兄「しつこいな、わかったって」

妹「・・・・・・うん」

兄(あれ? 何だこいつ化粧してるのか!?)ドキ

兄(・・・・・・まるで本当の女みたいじゃん。胸も小さいし身体も細いくせに)ドキドキ

妹「お兄ちゃん?」

兄「(妹の癖に生意気だ、こいつ)ああ」

妹「・・・・・・じゃ、行ってくるね」

兄「おまえさ」

妹「え?」

兄「・・・・・・男と夜遊びはいいけど、ほどほどに付き合えよ」

妹「・・・・・・」

兄「え(あれ? 俺なんでこいつにこんなこと言ったんだろ)」

妹「・・・・・・何で?」

兄「あ、いやその。今のなし」

妹「今まであたしにそんなこと言ったことなかったじゃん」

兄「だから今のなしだって! いいから早く行けよ」

妹「わかった・・・・・・行ってくる」

兄「うん」

兄(何で妹にあんなこと言ったんだろ? こいつのことなんてどうでもいいのにな)

兄(しかし、あいつ何か・・・・・・まるで女のようだったな。いい匂いもしてたし)

兄(まあ、あいつだって高校2年生の女の子であることは間違いないんだけど)

兄(何考えてるんだ、俺は・・・・・・ま、いいや。とにかく飯食ってゲームの続きしよっと)

兄(え?)

兄「あーーーーー!! 麺がぐちゃぐちゃに伸びてるじゃねえか!」

兄「・・・・・・」

兄「はぁ」ズルズル
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [saga]:2011/12/07(水) 23:15:04.45 ID:VfsFr947o
夜10時


兄(しかし、こんな面倒くさいゲーム始めなきゃよかったな。これも兄友のせいだ)カチカチ

兄(だいたいPCゲームって時点で嫌な予感はしてたんだよ。しかも、オンラインじゃねえし)カチカチ

兄(ひたすらAI相手の戦闘とかむなしくなるな)カチカチ

兄(だが確かにはまると止められなくなるな)

兄(予習は明日早出して大学でやろう)

兄(しょうがないよな。ターン制ストラテジーとか時間食いすぎだし)カチ

兄(よし、AIのターンだ。しばらく眺めてるだけでいいな)

兄(・・・・・・)

兄(ええええ!! 何でディアドラ陣営が航空機を使ってんだよ! こいつらより科学技術進んでたはずなのに)

兄(・・・・・・こうなったら全資源を技術革新につぎ込んでやる)

兄(え?)

兄(俺の都市で反乱が起きてる? あ、こっちの都市も)

兄(住民の幸福度を上げるためには、レクリエーション施設を作るんだったよな・・・・・・って、そんなことしてたら技術が航空機開発まで追いつかないじゃん」

兄(あ、シスターミリアム陣営にも戦線布告された)

兄(くそ! ベテランの戦車部隊で反撃してやる。隣の都市からも応援を呼んでって・・・・・・!)

兄(何で連続攻撃可能なヘリコプターがミリアム陣営に!?)

兄(やるなミリアム。マンマシンインターフェースを開発したのか・・・・・・)

兄(あ、この都市を奪われた)



1時間後



兄(10年以上も前のゲームの癖に中毒性ありすぎだろ、これ。もうやめよ)

兄(ふぅ。疲れた・・・・・・しかし、妹のやつまだ帰ってこないんだな)

兄(どうでもいいけど、もう少ししたら親父かお袋が帰ってきちゃうぞ)

兄(外出したことを親父とお袋に黙ってろはいいけど、おまえが親父たちより遅く帰ってきたら弁解のしようがねえじゃん)

兄(どうせ、俺も怒られるんだよな。何で黙って高校生の妹を夜外出させたんだってさ)

兄イライライラ

兄(何であいつが彼氏と夜遊びするのに俺が巻き込まれなきゃいけないんだよ)

兄(だいたい、夜のデートとか俺だってしたことないっつーの)

兄(・・・・・・いや、昼間のデートもしたことないけどさ)

兄(高校時代はおろか大学2年の今まで一度も彼女ができない俺が何で妹の夜遊びで親に怒られなきゃいかんのだ)

兄(・・・・・・それにしてもそろそろ11時半。いくらなんでもまずいだろ)

兄(電話してみようかな・・・・・・)
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [saga]:2011/12/07(水) 23:30:50.12 ID:VfsFr947o
兄(電話出ないよ、あいつ。全く何やってんだよ)

兄(12時には親帰ってきちゃうぞ。今までの経験で言うと)

兄(・・・・・・まさか)

兄(あいつの1年先輩の彼氏ってチャラそうだったし)

兄(・・・・・・あいつ、出かけるときいやに女っぽかったし)

兄(まさかまさか、サイアクの事態に??)

兄(ヤバイ。もしそうなったら絶対に親父に殺される)

兄(俺のせいじゃなくてあいつの自業自得なのに理不尽だけど、親父は昔からそういうやつだし)

兄(あれは確か公園のブランコから妹が落下して、怪我をした時だったか)


幼少時の回想


父「いいか兄」

兄「なあにパパ」

父「おまえはお兄ちゃんだから妹ちゃんが困っていたら助けてあげないといけないんだよ」

兄「そうなの?」

父「そうだよ。妹ちゃんに何かあったらおまえが妹ちゃんを守ってやるんだよ。二人きりの兄妹なんだからな」

兄「うん! わかったよパパ」


回想終了


兄(なんてこともあったしな。しゃーない、車出して探しに)


ガチャ


兄「え」

妹「ただいま」

兄「あ? おまえ遅せーよ。って」

妹「・・・・・・何よ?」

兄「あ、いや(泣いてるのか? こいつ)」

妹「お母さんたちが帰ってくるまでに帰ってきたんだから、お兄ちゃんには迷惑かけてないでしょ」

兄「あ、ああ。(こいつ化粧ぐしゃぐしゃじゃん。何かあったのかな)」

妹「・・・・・・お風呂入るから」

兄「ああ(でも、服は乱れてないし乱暴されたとかじゃなさそうだ)」ジィー

妹「・・・・・・何」

兄「い、いや。何でもない」

妹「・・・・・・じゃ」

兄「お、おう」

兄(何でもなくてよかった・・・・・・うん?)

兄(妹が泣いてたのに何でもないってすませていいのかな)

兄(・・・・・・うーむ)

兄(ま、とりあえず寝よう)

兄(親が帰ってくるまでに寝たほうが勝ちだ)

兄(うーむ)
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/12/07(水) 23:31:24.05 ID:VfsFr947o
今日はここまでです
また投下します

おやすみなさい
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/12/08(木) 01:33:22.28 ID:aRa4YL/8o
ほほう、興味深い
11 :VIPに変わりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/12/08(木) 04:31:28.00 ID:LGDLm6vco
乙乙
12 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 08:25:10.39 ID:7xBzRzaSO
非エロか

非エロかぁ…
13 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 13:24:31.22 ID:lkLCNbxAO

期待してます
14 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 18:34:38.54 ID:1nrq6je6o
期待ワッフル
15 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 22:14:38.85 ID:402Yz1H7o
翌日


?「ほら、起きて! いつまで寝てるの」

兄(・・・・・・何だ?)ムニャムニャ

?「いい加減に起きてよ。学校遅刻しちゃうよ」

兄(妹? いやそんなわけが)

?「いい加減にしろ!」バサ

兄「・・・・・・いきなり布団はぐなよ。起きるから、ほらちゃんと起きたからさ」ウーン

母「やっと目を覚ましたわね。あんた今日は大学行かなくていいの?」

兄「あれ、母さん? 妹じゃないんだ」

母「・・・・・・妹がこんな時間に家にいるわけないでしょ。あんた何寝ぼけてるよ」

兄「いや。何か自分が中学生になったような錯覚を覚えた」

母「はぁ?」

兄「中学の頃まではいつも妹が俺を起こしてたからさ」

母「ああ、懐かしいね。あの頃はお母さん、忙しかったからね。寝起きの悪いあんたを起こすのは妹に頼んでたんだわ」

兄「忙しいのはあの頃も、だろ」

母「まあ、そうなんだけどね・・・・・・何? あんた、お母さんに起こされるより妹に起こされる方がよかったの?」

兄「んなことないけど」

母「あんたの中では昔のいい思い出なのかもしれないけどさ」

兄「いい思い出なんて言ってねえじゃん」

母「あの頃、妹はあんたを毎朝起こすのすごく嫌がってたのよ」

兄「へえ、そうなんだ(そうだったのか。唯一の兄妹の微笑ましい記憶だったのに)」

母「そうそう。あんたなかなか起きないし、布団はぐとパンツだけで寝てたりで。本気でもうお兄ちゃんを起こすのいや! って妹が嘆いていたのを今思い出したわ」

兄「・・・・・・」

母「それよかもう昼過ぎなんだけど、あんた大学はどうしたのよ」

兄「ああ、今日は休講多かったんで休む」

母「多かったんでって、やってる講義がひとつでもあるなら行きなさいよ」

兄「だって今日雨だし。やってる講義だって出欠取らないしさ」

母「まじめにやんなさいよ。そうしないと就活の時に苦労するよ」

兄「そういう母さんは? 雨だから会社さぼったの?」

母「ばか。あんたじゃあるまいし。お母さんは昨日徹夜で仕事になっちゃって、さっき帰ってきたの。そしたらあんた、まだ寝てるし」

兄「そか」

母「お昼食べる?」

兄「うん、腹減った」

母「じゃあ、そばとラーメンどっちがいい?」

兄「・・・・・・カップ麺?」

母「そうよ。仕事で疲れてるけど、愛する息子のために特別に作ってあげる」

兄「・・・・・・」
16 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 22:30:52.70 ID:402Yz1H7o
リビング


兄ズルズル

母「美味しい?」

兄「麺が溶けてるみたい。絶対、お湯入れて5分以上放置したでしょ」

母「だって、麺が固いよりいいじゃん。消化にもいいし」

兄「・・・・・・」

母「雨ひどくなってきたね」

兄「昨日の天気予報じゃ今日は薄曇だったのに」

母「天気予報なんて見る暇ないから知らなかったわ。確かに朝は雨降ってなかったね」

兄「そうなの?」

母「そうよ。ずっと寝てたあんたは知らないだろうけど、徹夜明けの高層ビルからぼうっと眺めた日の出が綺麗だったし」

兄「・・・・・・綺麗だったかも知れないけど、全然うらやましくねえ。頼むから過労死だけはしないでくれよな」

母「うん、平気平気。それにしても急な雨か。お父さんは・・・・・・まあ、どうせ今日も帰ってこれないからいいとして」

兄「・・・・・・」

母「妹は置き傘してあるかなあ」

兄「さあ」

母「この雨じゃ傘なしでは帰れないね」

兄「まあね」

母「妹に電話して、傘持ってるか聞いてみるか」

兄「まだ、授業中じゃない?」

母「そうか。それならとりあえず傘届けた方がいいかな」チラツ

兄ズルズル

母「大学さぼって暇な奴が一人家にいるしね」

兄「・・・・・・俺にも予定があるんだけど」

母「お母さんが起こさなかったら夕方まで寝てたあんたに予定があるんですか」

兄「・・・・・・何時にどこに行けばいいの?」チッ

母「物分りのいい息子って好きだわ」

母「とりあえず4時ごろに校門の前にいれば捕まるんじゃない?」

兄「おい。ずっと妹が出てくるの待ってろって言うのかよ」

母「授業が終わった頃、校門前であんたが待ってるって妹にメールか電話しとくから」

兄「傘届けなくても車で迎えに行くんじゃだめ? 雨の中を外で待ってるのはツライ」

母「まあ、それでもいいか」

兄ホッ
17 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 22:36:24.55 ID:402Yz1H7o
午後4時30分 妹の高校の校門前 兄の軽自動車の車内


兄(母さんめ。何が妹にメールしとくだよ。もう30分も待ってるぞ)

兄(・・・・・・)

兄(だが実は退屈はしていない。さっきから校門を出て行く女子高生を眺めているだけで数時間は退屈しないですみそうだ)

兄(あ、また女子のグループが来た)

兄(何か不思議だな。地味な紺色のブレザーが制服なのに、着こなしがお洒落というか、みんな可愛く見える)

兄(男もイケメンだらけに感じるし。何かおかしい。うちの母校の方が全然偏差値が高いのにな)

兄(つうか、制服のこいつらの方が大学生の俺より格好いい服装してるってなんでだよ)

兄(やはり○ニクロが原因なのか)

兄(○ニクロのカラフルなパーカとジーンズを着ておけば無双だって、兄友が言ってたのに)

兄(まあ、いいや。男のことなんてどうでもいい。今はお洒落で綺麗な女子高性鑑賞を続けようか)

兄(あ、一際目立つ集団が近づいてきた・・・・・・)

兄(あの中の茶髪の娘、可愛いな)

兄(思わず携帯で撮影したくなるくらい可憐だ)ハァ

兄(こういう娘たち見てると楽しい反面むなしくもなるな)

兄(いったいいつになったら俺にも彼女できるんだろ)

兄(あ、茶髪の娘たちが近づいてきた。気持ち悪がれるといけないし、目を逸らそう)
18 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 22:37:36.25 ID:402Yz1H7o
ドンドン


兄(あ?)

?「窓あけて」

兄(あ、妹だ・・・・・・この集団の中に混じるとこいつは地味っていうか幼く見えるな)


ウィーン


妹「お兄ちゃん、ここで何してるの」

兄「へ? 何っておまえを迎えに」


周囲のお洒落な女子生徒たち「キャー。妹いいなあ。車でお迎えが来るんだあ」


妹「何でわざわざ校門の前の目立つところで車止めてるの? っていうかあたし迎えなんて頼んでないよね」

兄「母さんが迎えに行けって。おまえ、母さんからメール来てねえの」

妹「知らない、そんなこと。いいから帰ってよ」

兄「だっておまえ傘」

妹「友達に入れてもらってるから大丈夫。早くここからいなくなって、お願いだから」

兄「・・・・・・」


周囲のお洒落な女生徒たち「妹ちゃん、浮気?」「修羅場か?」「彼氏先輩に言いつけちゃうよ」「きゃははははは」


兄(こいつら見た目は可愛いけど、中身はうぜえ)

妹「じゃあ、あたしもう行くから」

兄「おい」


茶髪の娘「妹ちゃん、知り合いなの?」

妹「・・・・・・うん。お兄ちゃ、兄貴。お母さんに言われて迎えに来たんだって」

茶髪の娘「じゃあ、お兄さんに悪いし今日は帰ったら?」

妹「ううん。気にしなくていいの妹友ちゃん。それに、今日のカラオケって彼氏先輩も待ってるし」

妹友「先輩にはあたしから説明しておくから。せっかくお迎えに来てくれたんでしょ? お兄さんに悪いよ。一緒に車で帰れば?」

兄(可愛いだけじゃなくて気も遣えるんだ。この中にもいい娘っているんだな)

妹「・・・・・・じゃあ、あたし少し寄って行くところがあるから」

兄「え? 一緒に帰らねえの」

妹「お母さんにはご飯までには帰るって言っておいて」

兄「え・・・・・・え?」

妹「じゃ、行こ。遅くなっちゃうし」

妹友「あの。すいません、お兄さん。せっかくお迎えにいらしたのに」

兄「い、いえ(可愛い!!)」

妹友「ちゃんと遅くなる前にはお返ししますから」

兄「い、い、い、いやいやいや。君に謝ってもらうことじゃないし」

妹「妹友ちゃん、もう行こう」

妹友「すいません。これで失礼します」

兄「あ、は、はひ!」

妹(・・・・・・)
19 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 23:09:54.04 ID:402Yz1H7o
自宅の兄の部屋


兄ズルズル」

兄(まさか家に戻ったら母さんが仕事に出かけているとは思わなかったぜ)

兄(妹にメールしなかったこと文句言おうと思ってたのに)

兄(まあ、母さんも大変だよな。大企業じゃないとはいえ管理職なんだもんな)

兄(また今夜も徹夜か。さすがに妹のお迎えが無駄になったなんて文句言うのもかわいそうだな)

兄(しかし、もう9時過ぎ。妹のやつ夕食までに戻るんじゃなかったのかよ。何かカラオケにはあいつの彼氏も来てそうな雰囲気だったし)

兄(・・・・・・だが収穫もあった)


回想

妹友「あの。すいません、お兄さん。せっかくお迎えにいらしたのに」

兄「い、いえ(可愛い!!)」

妹友「ちゃんと遅くなる前には妹ちゃんをお返ししますから」

兄「い、い、い、いやいやいや。君に謝ってもらうことじゃないし」

回想終了


兄(妹友ちゃんだっけ? 礼儀正しくて可愛かったなあ)

兄(まあ、あの可愛い妹友ちゃんにも妹と同じで彼氏がいるんだろうけど)

兄(あーあ。俺、大学生なのに妹の同級生とか気にしててどうすんだよ。何かサークルにでも入ってたら今頃彼女とかいたのかなあ)

兄(諸悪の根源は兄友だ。あいつのせいでサークルに入るのを邪魔されるわ、訳わかんないゲーム紹介されて徹夜になるわ)

兄(・・・・・・明日は学校に行こ)


ガチャ


兄(妹め、ようやく帰ってきたか。こいつのことはむかつくから無視だ無視)

兄ズルズル

兄(お? やった、ようやくマンマシンインターフェイスを開発したぞ。これでヘリコプターを量産できる)

兄(ミリアムめ。思い知らせてくれるわ)カチカチ
20 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 23:11:07.84 ID:402Yz1H7o
コンコン


妹「お兄ちゃん?」

兄「あ?」

妹「開けるよ」

兄「おい」

妹「何でお母さんいないの?」

兄「・・・・・・」

妹「こんな時間になっちゃったから怒られると思って帰ったのに」

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・さっき、会社から電話があってな」

妹「・・・・・・うん」

兄「出社した。今夜も戻らないってさ」

妹「そう」

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・」

兄「まだ何か用あるのか」

妹「さっきはごめん」
21 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 23:12:30.48 ID:402Yz1H7o
兄「・・・・・・え?」

妹「友達とかと一緒だったから」

兄「うん?」

妹「あたしの彼氏と知り合いの子たちばっかだったし。変な誤解されるのも嫌だったし」

兄「変なって・・・・・・兄貴って言えば済む話だろ」

妹「そうでもない」

兄「え? よくわかんねえけど、とりあえずわざわざ車出しておまえを迎えに行った俺がバカだったよ。母さんにも文句言おうと思ったら出かけちゃうし」

妹「だからごめん」

兄「謝るくらいならさっきの態度を何とかしたら? そんなに俺と兄妹だって思われるのが恥ずかしいのか」

妹「違うよ」ボソ

兄「え? 聞こえねえよ。もっと大きな声で話せよ」

妹「あのさ」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんのメアド教えてあげてもいい?」

兄「はぁ?」

妹「髪の毛が茶色の背が高くってすらっとした子がいたの覚えてる?」

兄「おまえの友だちなんて詳しく見てねえよ(え? あの礼儀正しくて可愛い女の子か)」

妹「妹友ちゃんていってあたしの親友なんだけど」

兄「それで?」

妹「何か知らないけど、お兄ちゃんのメアド知りたいんだって」

兄「好きにすれば」

妹「教えてもいいんだ・・・・・・うん。じゃあ、教えるね」

兄「ああ」ドキドキ

妹「じゃあ。今日はごめん」ボソ

兄「もう、いいよ。じゃあな」

妹「・・・・・・おやすみ」

兄「おやすみ(え? え? 何この展開。俺にもようやく春が来ちゃうの?)」

兄ワクワク
22 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 23:14:28.88 ID:402Yz1H7o
>>10-15
レスどうもです
グタグタな文章におつきあいいただきありがとう
今日はこれでおしまい

また投下します

おやすみなさい
23 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 23:19:13.83 ID:1nrq6je6o
乙〜
24 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 08:43:45.59 ID:9sSkqU2IO
兄頑張れや
25 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 20:09:20.55 ID:GqTCOrCSO
26 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 22:49:57.26 ID:0SZQYB3Bo
・・・・・・気がつくと身体がやけに熱い。ベッドが狭い。鼻腔をくすぐるやわかな髪。寝室の薄明かりの下でほの白く反射する華奢な裸身。
一瞬何が起きているのか理解できなかった。試しに腕を伸ばすと滑らかな肌に触れる。無理をして少し顔を上げると、狭いベッドの隣に寄り添って寝ている妹の可愛い顔が目に入る。
可愛い? 俺は今まで妹を綺麗とか可愛いとか意識したことはなかった。でも、裸身の妹が俺の隣に密着しているこの瞬間、はじめて俺は妹の外見を可愛いと感じた。

思わず伸ばした手をそのままずらして妹の白い頬を撫でる。そのまま俺の手は俺の意思とは無関係に妹の肩を経由し腕を下り手に辿り着く。妹の手を自分の手で包みながら、俺はこういうのって何年ぶりだろうかと無駄な感慨にふける。

妹は目を閉じて軽い寝息をたてている。長いまつげが閉じた瞼に薄い影を落としている。
妹の手を離し、両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ・・・・・・。

その時、妹は寝たふりをやめ、閉じた瞼を開きつぶらな瞳で俺をしばらく見つめた後、細いむき出しの腕が俺の首に廻され、そして妹は自分の口を俺の口に近づけてきた。

俺は泣き出したくなるようなたまらない感覚に襲われた、でも俺の下半身は俺に寄り添い抱きついてくる妹に欲情していて、心の中では自分からではなく妹の方から抱きついてくるのを免罪符のように感じている気持ちがざわめいていて。
27 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 22:55:45.88 ID:0SZQYB3Bo
兄「え?」

?「いい加減に起きてよ」

兄「・・・・・・(夢?)」

?「今日も大学行かないの」

兄「夢か・・・・・・」

?「本当にもう起きてよ」

兄「起きたよ。つうか母さんまた徹夜明けに帰って来たの?」

?「え」

兄「あ・・・・・・妹」

妹「な、何?」

兄「何でおまえが俺を起こしてるんだよ」

妹「・・・・・・わかんない」

兄「はぁ?」

妹「わかんない。昨日寝る前にお母さんからメールが来た」

兄「何それ」

妹「これからはあたしがお兄ちゃんを起こすんだって」

兄「・・・・・・何でそんな必要があるの」

妹「わかんない。でもお母さんが起こすよりあたしが起こした方がお兄ちゃんが喜ぶからだって」

兄「んなことあるか。母さんでもおまえでも俺は起こしてなんて欲しくないんだけど」

妹「・・・・・・ごめん」

兄「い、いや。おまえが謝ることはねーけど」

兄(妹に欲情した夢を見た朝に、久しぶりに妹に起されるとは)

兄(気まずいなんてもんじゃねえ)

兄「まあ、ありがとな。起こしてくれて」ケホケホ
28 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:02:41.72 ID:0SZQYB3Bo
妹「お兄ちゃん」

兄「何だよ」ゴホゴホ

妹「もしかして風邪引いてない?」

兄「あ? 引いてねえけど」

妹「咳してるし顔が赤いよ」

兄(それは夢の中でおまえにキスされそうになったせいだ)

妹「体温計持ってきてあげる」

兄「熱なんてねえよ。本当に大丈夫だから」

妹「そのまま寝てて。すぐ戻って来るから」

兄「いいって。それよりもうこんな時間だぜ。おまえ、ガッコに遅刻しちゃうんじゃねえの」

妹「そのままにしてて。起きちゃ駄目だよ」


ガチャ


兄「おい・・・・・・(とりあえず下半身の中心のこの屹立を鎮めようか)」

兄(あれ? 今うちには妹しかいないのかな)

兄(やっぱり風邪を引いたかも。何か身体が重いし頭も痛い)

兄(変な夢のせいでもねえのな)

兄(・・・・・・今日は出欠確認する講義なのに)ボー

兄(何か眠くなってきた)ウツラウツラ

兄(・・・・・・妹と添い寝か.。何であんな夢みたんだろ)

兄zzzz
29 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:33:08.22 ID:0SZQYB3Bo
ブルブル

兄zzz(うん?)

ブルブル

兄(携帯?)

兄(・・・・・・メールだ)

兄(兄友か。一体何の用だ。人が病気だというのに)

兄友『何休んでんだよ引きこもりが。今日の講義は出欠にシビアなんだぞ。まあ、友情に厚い俺がおまえの代返をしてやったけどな。今度おごれ』

兄(・・・・・・返信の必要なし)ゲホゴホ

兄(無視しよ)ウツラウツラ

兄zzzzz

ブルブル

兄zzzz

ブルブル

兄(ええいしつこい!)パカ


from :妹友
sub  :突然すみません
『妹ちゃんの同級生の妹友です。突然メールしてごめんなさい。昨日は妹ちゃんを誘ってしまってすみませんでした』


兄(お! 昨日の茶髪の娘からメールだ)


『お兄さんには妹ちゃんを早く家に返しますと言ったのに、結局遅くなってしまいました。うちらの友だちが妹ちゃんを引きとめたんで、妹ちゃんのせいではありません。妹ちゃんを責めないでやってください。あと、図々しいお願いですけど、私は妹ちゃんのことを親友だと思っていますので、妹ちゃんのお兄さんともお知り会いになれたら嬉しいです。突然なれなれしいメールをしてごめんなさい』


兄(お、おお!)

兄(いい娘だなあ。あんなビッチの集まりにこんな娘が混じってるなんて不思議だ)

兄(こういう娘にこそずっと妹と仲良くしてほしいな。いや、俺得的な意味ではなく妹の保護者的な意味でだけど)

兄(返信しよう、今すぐに・・・・・・って、何て返せばいいんだろ)

兄(少し落ち着いて文章を考えよう)

兄カチャカチャカチャ

兄(よし、これでいいか。送信っと)ピ
30 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:47:29.17 ID:0SZQYB3Bo
from :兄
sub  :RE突然すみません
『メールありがと。妹友さんが謝ることじゃないですよ〜。むしろ妹を心配してくれていて兄として感謝してます。僕も兄として一応妹のことは心配なんで、妹友さんからメールをもらって嬉しいですこれからも妹のことよろしくね(ハート)


兄(最後のハートは余計だったかな。ま、でもそれくらいはいいよな。妹友ちゃんがせっかくメールをくれたんだし)


ブルブル


兄(え?)ピ


from :妹友
sub  :RERE突然すみません
『さっそく返事していただいてありがとうございます。無視されたらどうしようかとドキドキしていました(笑)。もちろん妹ちゃんとはこれからも親友でいたいです。あとお兄さんとももっと親しくなれたら嬉しいかも。なあんて(笑)今日、妹ちゃん学校休んでいるんですが風邪ですか? 妹ちゃんにメールしても返事がないんで心配です。おうちにいるならメールしてくれるよう妹ちゃんに伝えてもらってもいういですか?
あ、あと、あたしの携帯は090-123-××××ですので、何かあったら電話してくださいね(ハート)


兄(妹友ちゃん返信早っ。つうかこれ完全に俺に気があるだろ)

兄(あの可愛い子が俺に)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・あれ? 学校を休むとか何の話だ?)

兄「あーーーーー!!」
31 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/09(金) 23:49:06.37 ID:0SZQYB3Bo
ガチャ


妹「お兄ちゃん、何で大声出してるの」

兄「お、おまえ、もう学校始ってるぞ!」

妹「うん」

兄「うん、っておまえ」

妹「お母さんいないし」

兄「は?」

妹「お兄ちゃんが病気だし、でもお母さんがいないから」

兄「何なんだよ」

妹「あたしが休んで看病するしかないでしょ」

兄「たかが風邪で看病って、おまえ何言ってるんだ。今からでもさっさと学校行けよ」

妹「今日は家族を看病しなきゃいけないから休みますって担任の先生に電話しちゃったし」

兄「・・・・・・おまえさあ」

妹「うん」

兄「今まで俺のことなんかどうでもいいって感じだったし、昨日だってわざわざ迎えに行ったのにあの態度なのによ」

妹「昨日のことは謝ったでしょ」

兄「まあ、そうなんだけどよ。でも、何で急に俺のこと気にしだしたんだよ」

妹「気になんてしてないし・・・・・・お母さんにお兄ちゃんのこと起こすように言われたから」

兄「だから、もう起きたっつうの。とにかく今からでも学校行けよ」

妹「・・・・・・」

兄「俺が母さんに怒られるんだよ。おまえが学校行かないと」

妹「・・・・・・」

兄「何とか言えよ」

妹「妹友ちゃんからメール来た?」

兄「(!!)誰がそんなこと言えって言ったよ!!」

妹「はい、体温計。熱測って」

兄「ああ、どうも・・・・・・ってそうじゃねえだろ」

妹「食欲あるの?」

兄「いやいや」

妹「熱測らないの?」ピト

兄(!!!!! 妹の手が俺の額に!)

妹「・・・・・・熱測らなくてもすごく熱いよ、お兄ちゃん」

兄(やば。夢の中の妹の身体の感触を思い出してしまった)

妹「とにかく寝てて。これからおかゆ作るから」

兄「学校行けって(やば。なんか景色がグルグル回転してきた)フラ

兄「寝る」

妹「うん。じゃ、起きたらおかゆ食べて」

兄zzzz
32 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 23:50:18.10 ID:0SZQYB3Bo
短くてすいませんけど今日はここまで

駄文にお付き合いいただきありがとうございました

またお会いしましょう
33 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 23:54:11.95 ID:Lt/4WKyzo
乙〜
34 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 07:16:28.72 ID:RNB/dq3SO
乙だぜ
35 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 20:36:21.37 ID:c5I6WX2Jo
夕方


兄(・・・・・・あれ、もう夕方? いったいどんだけ寝たんだろうな)

兄(喉痛い。汗もかいてて気持ち悪い)

兄(・・・・・・今度は妹の夢見なかったな。しかし今朝の夢やけにリアルだったな。妹の裸なんて見たことないのにな)

兄(妹の裸の夢を見るって・・・・・・忘れたい! あああああああ!!!)

兄(あんな夢見るなんて俺、変なのかな?・・・・・・自己嫌悪)

兄(でも。貧乳、細く華奢で白い肌。黒髪ロング・・・・・・)

兄(今まで考えもしなかったけど、あいつって意外にも俺の好みど真ん中じゃんか)

兄(もしあいつが妹じゃなく例えば大学の知り合いだったら・・・・・・)

兄(惚れてた気がする。間違いなく一目惚れしている自信がある)

兄(どうしたんだろ。今まで妹のことなんか気にもしてなかったのに)

兄(・・・・・・もう考えないことにしよ。むしろ忘れよう)

兄(何かむずむずするな。自己嫌悪と言いながら夢を思い出いてたら興奮してきてしまった)

兄(忘れる前に一度だけあの夢を思い出しながら抜いたらまずいかな)

兄(いや。人としていろいろまずいよな)ムズムズ

兄(でも・・・・・・一度だけならいいか。こういうことは抜いてしまった後のほうが冷静な判断もできるしな)

兄(よし。ティッシュもあるし布団の中で・・・・・・)


回想


思わず伸ばした手をそのままずらして妹の白い頬を撫でる。そのまま俺の手は俺の意思とは無関係に妹の肩を経由し腕を下り手に辿り着く。妹の手を自分の手で包みながら、俺はこういうのって何
年ぶりだろうかと無駄な感慨にふける。

妹は目を閉じて軽い寝息をたてている。長いまつげが閉じた瞼に薄い影を落としている。
妹の手を離し、両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ・・・・・・。

その時、妹は寝たふりをやめ、閉じた瞼を開きつぶらな瞳で俺をしばらく見つめた後、細いむき出しの腕が俺の首に廻され、そして妹は自分の口を俺の口に近づけ


兄(はあはあ)


両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい、ゆっくりと唇を妹の口に近づけ


兄(はあはあはあはあ)


妹の細いむき出しの腕が俺の首に廻され、そして妹は自分の口を俺の口に近づけ妹の細いむき出しの腕が俺の首に廻され、そして妹は自分の口を俺の口に近づけ妹の細いむき出しの腕が俺の首に廻され、そして妹は自分の口を俺の口に近づけ妹の細いむき出しの腕が俺の首に廻され、そして妹は自分の口を俺の口に近づけ

兄(はあはあはあはあはあはあ)

兄(・・・・・・うっ)


妹「お兄ちゃん起きた? 入るよ」

兄(うあああああああ!!!)ガサガサ
36 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 20:47:58.14 ID:c5I6WX2Jo
妹「少しは熱下がった? ちょっとごめん)ピト

妹「・・・・・・全然下がってないね。医者行く?」

妹「お兄ちゃん?」

兄「あ、ああ」ドキドキ

妹「・・・・・・大丈夫?」

兄「大丈夫、だと思う(色んな意味で大丈夫じゃねえけど)

妹「インフルエンザの季節じゃないのに、相当熱高いみたい。はい、熱測って」

兄「お、おう」

妹「・・・・・・?」

兄「ね、熱測っておくから何か食べるもの持ってきてくれないかな?」

妹「・・・・・・うん、わかった。これ体温計」

兄「わ、悪いな」

妹「別にいいよ」


ガチャ


兄(早く後始末しないと・・・・・・)ガサゴソ

兄(・・・・・・惨めだ。何か涙が出てくる)ポイ

兄(何やってるんだろ? 俺)

兄(あ、熱測らないと)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・妹が部屋に来る直前にちゃんと抜いたのに全然興奮が収まらないのは何で?)

兄(あの最中にリアル妹を見てしまったせいで、ますます興奮してきちゃったじゃねえか)

兄(もう本当にいい加減にしようぜ。妹に知られたら今までの無関心の関係から嫌悪の関係にレベルアップしちゃうぞ)

兄(来週、兄友に付き合ってもらって風俗でも行こうかな)


ピピピピ


兄(・・・・・・38.9度。まじかよ)

兄(高熱の中でオナニーできちゃう俺って)
37 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 21:11:15.90 ID:c5I6WX2Jo
ガチャ


妹「熱何度だった?」カチャ

兄「38.9度」

妹「やっぱり。明日も大学休みだね」

兄「これじゃそうだろうな」

妹「明日は病院に行かなきゃ駄目だよ」

兄「うん・・・・・・(気まずい。何を話せばいいのかわからん)」

妹「はい、おかゆ食べるでしょ」

兄「ありがと」

妹「・・・・・・自分で食べられる?」

兄「当たり前だ。今から起き上がって」

兄フラフラ

妹「・・・・・・」

兄「よし。身体を起こしたからこれで食べられる。頂きます」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・手が震えて」

妹「こぼしちゃったね。いいよ、あたしが拭くから」

兄「悪い。やっぱ後で食べるわ」


ピピピピピ


妹「あたしの携帯」ピ

妹『うん、あたし。うん、うん。それがね』

妹『急用が出来ちゃって家を離れられないんだ。悪いけど、今日はキャンセルしていい?」

妹『・・・・・・違うよ、浮気とかじゃないって! 冗談でもそんなこと』

妹『だから、ごめんなさい』

妹『違うって! あ』

兄「・・・・・・彼氏?」

妹「うん。電話途中で切られちゃった」

兄「そうか(こいつが男のこと俺に話すなんて初めてじゃねえか」

妹「食べさせてあげる」

兄「はあ?」

妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」

兄「な、何言っちゃってんの? おま」ドキ
38 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 21:14:57.67 ID:c5I6WX2Jo
妹「だって手震えてたじゃん」

兄「いい」

妹「え?」

兄「やっぱよく考えたらそんなに腹減ってなかったわ。後で食うからそのまま置いといてくれる?」

妹「・・・・・・」

兄「おまえさ、彼氏のとこ行ってくれば?」

妹「え?」

兄「どうせ今夜も母さんたち遅くなるんだろ?」

妹「さっき電話があって今日は二人とも会社で泊まりだって」

兄「行ってこいよ。彼氏と飯でも食ってきたら。男の誤解も解けるだろうし」

妹「誤解って」

兄「あんな言い方じゃそれは疑われるよ」

妹「・・・・・・だって」

兄「兄貴の、つうか家族の看病っていやいいじゃねえか」

妹「・・・・・・それじゃ駄目なの」

兄「はぁ?」

妹「本当に大丈夫なの?」

兄「うん。もう少し寝るわ。電話のとこに夕食代置いてあるんだろ? 全部持っていっていいから」

妹「・・・・・・ありがと」

兄「ああ」

妹「じゃ、行って来る」

兄「うん」
39 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 21:34:09.89 ID:c5I6WX2Jo
兄(俺の夢のことはさておき。何か最近妹がやたらに接近してくるのは何でだ)

兄(まさか妹も俺のことを)

兄(・・・・・・なんてわけないよな。何考えてるんだ、俺)

兄(も、もう一回しちゃおうか。妹でするのはこれが本当に最後ということで)

兄(もう家には妹もいないことだし)ゾク

兄(よし。リアル映像特典も付加されたことだし)ガサガサ


回想

両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい 妹の細いむき出しの腕が俺の首に廻され 妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」
両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい 妹の細いむき出しの腕が俺の首に廻され 妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」
妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」
妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」
妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」
妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」


兄(はあはあ)

兄(はあはあはあはあ)


ブルルル


兄ドキ

兄(何だ? メール?)

兄(一時中断)パカ


from :妹友
sub  :無題
『妹友です。さっきは返信ありがとうございました。今、下校中妹ちゃんに偶然会いました。お兄さん、病気なんですってね。お加減いかがですか?なんだか心配です。妹ちゃんに聞いたら、しばらく外出できないみたいですね。よかったらお見舞いに行ってもいいですか。図々しいですかね(笑)お大事にしてくださいね(はーと)』


兄(いい子だなあ。そうだ、俺の電話番号を教えてなかったな。返信しよう)カチャカチャ


ブルルル


兄(またメール?)


from :妹友
sub  :無題
『たびたびごめんなさい。そういえば妹ちゃん、すごくお兄さんのこと心配してました。あと、看病しようとしたけど、お兄さんにウザく思われたみたいって妹ちゃん落ち込んでましたよ。妹ちゃんは以前からお兄さんの話ばかりしてて、学校ではブラコンって言われてるくらいお兄さんのこと大好きなんで、どうか妹ちゃんには冷たくしないで優しくしてあげてくださいね。体調が悪いでしょうから返信しなくていいですよ〜。ではまたです(はーと)』


兄(はぁ!?)

兄(いったい何の冗談だ。妹が俺に冷たくされて落ち込んでる? 学校で俺の話ばかりしているブラコン?)

兄(俺に無関心のあいつがそんなわけねーじゃん)

兄(なんでそんなことになってるんだよ)

兄(・・・・・・何がなんだかわからんから、オナニー中止。もう寝よう)

兄(あいつがブラコン・・・・・・)

兄(・・・・・・)

兄zzz
40 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/10(土) 21:47:09.71 ID:c5I6WX2Jo
夜11時過ぎ


ガチャ

妹「・・・・・・お兄ちゃん?」ヒソ

妹「寝ちゃった?」ヒソ

妹「ちょっとごめんね」ピト

妹「少し下がったかな」

妹「・・・・・・」ソー

兄「おかえり」

妹「きゃっ!」ビク

兄「どした?」

妹「おきてたの? お兄ちゃん」

兄「おまえの手が冷たくておきた」

妹「熱さがったかなって思って。ごめん」

兄「何でそこで謝る」

妹「おこしちゃったから。じゃあ、おやすみ」

兄「・・・・・・どうだった」

妹「? 何が?」

兄「彼氏と仲直りできたのか?(何でこんなこと聞いてるのかな、俺)」

妹「・・・・・・」

兄「あ、悪い。余計なこと聞いたわ。今の忘れていいよ」

妹「お兄ちゃんが病気だってことは信じてもらえた」

兄「・・・・・・そう。よかったな」

妹「でも、浮気じゃないってことは信じてもらえなかった」

兄「はぁ?」

妹「精神的な浮気じゃないかって」

兄「・・・・・・俺にはよくわからん。結局仲直りしたの? しなかったの?」

妹「よくわかんない」

兄「そうか」

妹「・・・・・・おかゆ、食べてないね。まだ食べられない?」

兄「そのままにしといて。後で食べるから」

妹「冷めちゃったから片付けるね。お腹空いたらまた作るから」

兄「こんな時間だからもう寝たら? 明日は学校行くんだろ」

妹「だって・・・・・・」

兄「俺は平気だから。熱も下がってきたし」

妹「わかった。じゃあ、おやすみ」

兄「ああ」
41 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 21:47:41.74 ID:c5I6WX2Jo
今日はこれでおしまい

また投下します

おやすみなさい
42 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 22:09:33.75 ID:a1Z/2J+AO
乙です
毎日楽しみにしてます
43 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 23:23:52.66 ID:RNB/dq3SO
エロ期待してたけどなくてもいいなコレ
44 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 10:34:00.24 ID:8ulpxh3ro
翌日


兄(・・・・・・よく寝た。熱も下がったみたいで、身体が軽いぞ)

兄(妹は、今日は学校に行ったみたいだな)

兄(腹減ったな。よく考えたら一昨日の晩飯から何も食ってないじゃんか)

兄(起きられるかな)

兄(よし、起きられた。カップラーメンでも作ろう)


キッチン


兄(あれ? 何だこれ?)

兄(なになに。『お兄ちゃんへ。食欲があるようならお鍋の中にに雑炊があるので暖めて食べて』)

兄(何これ? 何でここまでするんだ、あいつ。理解できねえ。普通こうゆううのって母親の役目だろ)

兄(何年もろくに話しかけてこなかったくせにな。まあ、それはお互い様なんだけど)

兄(雑炊か・・・・・・。カップラーメン食ったらまずいかな)

兄(俺、雑炊とかってあんまり好きじゃないんだよな。しかも、妹って料理下手だって母さんが前に話してたし)

兄(・・・・・・せっかく朝の登校前の忙しい時間に妹が作った雑炊だし)

兄(カップラーメンはお昼にするか)



兄(どれ。暖めたから少しはましな味にになっただろ)

兄(・・・・・・量多いな。これ、三食分じゃねえだろうな)

兄(見た目はまあまあかな。卵も落ちてるし小ネギも散らしてあるし)パク

兄(・・・・・・)

兄(まずい。つうか胡椒入ってる。病人に食わせるもんじゃねえ」

兄(これ、妹に見つからないように捨てられる場所ねーかな)

兄(お湯沸かすか)

兄(カップヌードル食おう)
45 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 10:37:59.87 ID:8ulpxh3ro
夕方 兄の部屋


兄(何だこれ? ディアドラめ。また変なユニット開発しやがって)

兄(精神波攻撃? って、つえええ)

兄(ミ、ミサイルで応戦してやる。早くAIターン終わらねえかな)

兄(しかし、熱はすっかり下がったな。あと妹に欲情するみたいな気持ち悪い感じもなくなってる)

兄(妹がブラコン? 学校で俺の話ばっかりしてるって?)

兄(いったい何の冗談だよ)

兄(・・・・・・)

兄(だいたい兄妹で好きとか嫌いとか普通ねえだろ、いや。嫌いとかは普通にありだが)

兄(妹をネタにオナニーした俺が言うのも何だけど)

兄(普段からお兄ちゃん好き好きオーラが出てるアニメのヒロインじゃあるまいし)

兄(いつもは俺に対しては、ろくに口も聞かなかった妹だぞ)

兄(・・・・・・ありえねえ)

兄(それに。いくら好みのタイプの女の子でも妹は妹だしな)

兄(あれ? 俺のターンだ)

兄(とりあえずここに終結させたヘリコプター部隊で、デイアドラのわけわかんない原生生物みたいな兵器を破壊してやる)

兄(・・・・・・結構強いな、こいつら)

兄(ふふふ。だが、こんな時のために生産しまくったミサイルで)


ガチャ


兄(え? 玄関の方で音が聞こえた・・・・・・。妹が帰って来たのか)

兄(まだお昼前なのに)


?「入って入って。親もいないしお兄ちゃんが寝てるだけだから)

??「本当にいいの?」

?「うん。平気だよ。お見舞いに行くってメールしたんでしょ」

??「でも。来てもいいとかって言われてないし」

?「大丈夫だよ。さ、あがって。お兄ちゃんの部屋2階だから」


兄(何か話し声が聞こえる。しかもあの声ってもしかして)

兄(妹友ちゃん? まさか)

兄(ゲーム止めてベッドに入っていた方が良さげだと、俺の本能が告げている)

兄(まさか妹友ちゃん、本当にお見舞いに・・・・・・やばい、また熱が上がってきたかも)

兄ドキドキ
46 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 10:44:12.47 ID:8ulpxh3ro
15分後


兄(・・・・・・)

兄(妹の部屋から話し声らしい物音が聞こえるけど)

兄(別にここにお見舞いに来る様子はない)

兄(妹と一緒にいるの妹友ちゃんじゃないのかも。あるいはただ家に遊びに来ただけとか)

兄(何で浮き足立ってるんだよ、俺)

兄(馬鹿みたいじゃんか)

兄(もう諦めてゲームを再開しようかな)

兄(ああー!)

兄(・・・・・・セーブし忘れてる。また、あそこからやり直しかよ)

兄(まあ、そうだよな。妹が俺を好きとか)

兄(妹友ちゃんが俺を好きとか)

兄(何の確証もないのに、俺が勝手に思い込んでるだけだもんな)

兄(認めたくはないが。彼女いない暦=年齢の童貞だし、変な妄想してただけかも)

兄(はぁ・・・・・・)

兄(・・・・・・)

兄(やべ。トイレ行きたくなった)

兄(妹の部屋から話し声がしてるし、今ならトイレに)

兄(妹友ちゃんの前でトイレに行きたくはなかったが)

兄(まあ、今家にいるのは妹友ちゃんじゃないかもしれんし)

兄(よし)


ガチャ


妹友「あ・・・・・・」

兄「え? 妹友さん??」
47 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 10:51:08.91 ID:8ulpxh3ro
妹友「あ、あの」

兄「は、はひ」

妹友「風邪、大丈夫ですか」

兄「う、うん」

妹友「・・・・・・よかったあ。心配してました」

兄「あ、あのさ」

妹友「は、はい!」

兄「メールありがとね」

妹友「い、いえ!」

兄(やっぱ可愛いわ。妹よりお洒落だけど、それでいてどことなく清楚な雰囲気がある)

妹友「あの・・・・・・。本当にお体大丈夫なんですか?」

兄「うん、へーき(それに礼儀正しいよな。近年珍しく。絶滅危惧種といってもいい」

妹友「学校で妹ちゃんが、お兄さんが大変だって泣きそうになりながら話してたんで」

兄(へ?)

妹友「あたしも本当に心配になって・・・・・・」

兄「(俺が大変って、妹が?)知り合ったばかりの男をそんなに心配してくれなくても」

妹友「だって・・・・・・。大切な親友のお兄さんだし。それにお兄さんのことはずっと前から妹ちゃんに聞かされていたんで」

兄「はい?」

妹友「知り合ったばかりって気がしません・・・・・・想像していたとおりの人だったし」

兄「え? え〜と。妹はどこかな」テレ

妹友「キッチンで雑炊作ってます。お兄さんが、妹ちゃんの作っておいた雑炊を全部食べくれたって、嬉しそうに張り切って」

兄(げ。やべ)

妹友「あの」

兄「あ、うん」

妹友「あたし、妹友ちゃんの親友で・・・・・・あ、あたしが勝手に思っているだけかもしれないですけど」

兄「うん」

妹友「その妹ちゃんが取り乱してるのって初めて見て、何か辛い気持ちになって」

兄「妹が取り乱した? 何で」

妹友「それは・・・・・・。お兄さんが病気だとかお兄さんに冷たくされたとか」

兄「・・・・・・別に冷たくしてないけどね」

妹友「あ、はい。でも、本人にそのつもりがなくても好きな相手ならいろいろ考えちゃうっていうか」

兄「(好きな相手って何だよ)あのさ」
48 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 10:52:20.85 ID:8ulpxh3ro
兄「妹に彼氏がいるって知ってるよね」

妹友「はい」

兄「何かうまく行ってないみたいでさ。あいつが悩んでるとしたらその男のことじゃないかな」

妹友「違います」キッパリ

兄「え?」

妹友「あたし、彼氏先輩のことはよく知ってますから」

兄「・・・・・・そう」

妹友「そうですよ。妹ちゃんの悩みはお兄さんが原因です」

兄「へ」

妹友「彼氏先輩は確かに妹ちゃんにマジ惚れしてますけど」

兄「そうなの。妹もそいつに惚れてるみたいだし、相思相愛じゃん」

妹友「違いますね」」キッパリ

兄「はい?」

妹友「妹ちゃんが本当に好きなのは、お兄さんだと思います」

兄「は?」

妹友「妹ちゃんとの会話で登場する人物の頻度でいうと、お兄さんが一番ですから」

兄「はあ」

妹友「先輩、根はいい人なんで気の毒ですけど」

兄「・・・・・・」

妹友「あ、いけない」

兄「どうしたの?]

妹友「今日はせっかくお兄さんに会えるので、自分をアピールしようって決めてたのに」

兄「はい?」

妹友「敵に塩を贈り過ぎちゃった」クス

兄「・・・・・わからん(何かめまいがしてきた。結構熱があるような気がする)」フラ

妹友「え?」

兄「ごめん、ちょっと横になって来る」ドタ

妹友「え? え? お兄さん、大丈夫ですか? 妹ちゃーん! 妹ちゃーん、すぐ来て。お兄さんが、お兄さんが」
49 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 10:54:09.17 ID:8ulpxh3ro
とりあえずここまで
今日は休日なのでだらだらと不規則に投下予定です
50 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 11:00:51.58 ID:qoV4hQR2o

以降はRomに徹するがちゃんとみてるぞ 張り切って続けてくれたまへ
51 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 13:47:05.37 ID:r10X5m8SO

ゆっくり期待してる
52 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 17:12:06.90 ID:OYqRiJeSO
期待してる
53 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 17:15:18.93 ID:lxte0FmEo
楽しみに見てる。乙。
54 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 19:23:43.30 ID:8ulpxh3ro
兄(あれ、ここどこだ? 自分のベッドじゃない)

兄(背中痛い・・・・・・って、廊下?)

兄(そういや、さっき倒れたんだっけ・・・・・・あれ? 布団がかかってる。妹?)

兄(もう暗いじゃんか。俺ずっと廊下に放置されてたの?)

妹「あ、起きた」

兄ビク「びっくりした。おまえいたんだ」

妹「・・・・・・うん。いきなり倒れて。それでベッドで寝てよって言っても、大丈夫大丈夫少し寝るからって」

兄「それ、俺が言ったの?(全然覚えてねえ)」

妹「うん。お兄ちゃんそのまま廊下で寝ちゃったんで、お兄ちゃんをベッドに運ぼうとしたんだけど」

兄「おまえじゃ無理だろ、どう考えても」

妹「妹友ちゃんが手伝ってくれたけど、それでも全然動かなかった」

兄「はい?」

妹「あたしが手で妹友ちゃんが足で」

兄「ちょっと待てや」

妹「うん」

兄「あの子が俺の体に触ったっていうこと?」

妹「そうだけど」

兄(風呂入ってない、汗でべとべと、オナニーした後・・・・・・)

兄(・・・・・・いっそこのまま死にたい)

妹「・・・・・・」
55 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 19:25:33.72 ID:8ulpxh3ro
兄「あれ、妹友さんは?」

妹「帰った」

兄「そうか(ほっとしたような残念なような。結局ほんの少ししか妹友ちゃんと話しできなかったな」

妹「・・・・・・ちょっと」ピト

兄「・・・・・・風呂入ってねえし汗かいてるし手汚れるぞ(こいつの手冷たくて気持ちいい)」

妹「熱、全然ないね。さっき何で突然倒れちゃったの?」

兄「さあ(妹友ちゃんが俺に気のある素振りをしたから・・・・・・いや。いくら童貞をこじらせている俺でもあれしきで倒れることはないだろ)」

兄(・・・・・・やはりこいつが)


妹友『妹ちゃんが本当に好きなのは、お兄さんだと思います』


兄(原因はこれだよな。こいつ、俺のこと好きなの? その場合男女的な意味なのか?)

兄(まさか。あの夢って予知夢なのでは)

妹「お兄ちゃん?」

兄「あ、ああ。熱なさそうだしシャワー浴びるわ」

妹「うん」

兄「おまえ今日は出かけねえの?」

妹「彼氏から電話ないし。お母さんたちも今日は帰ってくるし」

兄「そう」

妹「明日休日でよかったね」

兄「まあな。あ、あのさ」

妹「うん」

兄「いろいろありがとな。看病とか雑炊とかさ(う、何か照れくさい)」

妹「・・・・・・別に」

兄「おまえも風邪ひいた? 何か顔赤いぞ」

妹「何でもないよ」

兄「そ、そう?(顔真っ赤じゃんか。まさか俺を意識して?)」ドキドキ
56 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 19:36:32.64 ID:8ulpxh3ro
翌朝


母「あら、おはよう。あんたが自分でこんな時間に起きてくるなんて珍しいね」

兄「おはよ。いや、昨日からずっと寝てたし、もうベッドにいるの飽きた」

母「あんた熱あったんだって? 早く良くなってよかったじゃん」

兄「・・・・・・息子が高熱で寝てたというのに、何? その軽い反応」

母「だってもう治ったんでしょ?」

兄「治ったけどさ」

母「妹が看病したんだって? あの子は昔からいざという時しっかりしてるよね。頼りになるというか」

兄「ああ、そうだな」

母「妹に感謝しなさいよ? しっかり世話してくれたんだから」

兄「・・・・・・わかってるよ。で、あいついないの?」

母「もう学校に出かけたよ」

兄「今日、土曜日じゃん」

母「学園祭の準備があるんだって」

兄「そう。雨の中大変だな」

母「そうだ。あんた、今日も車でいいから妹を迎えに行きなさいよ」

兄「え? やだよ俺」

母「妹に看病してもらったんでしょ? 迎えに行くくらいしなさいよ」

兄「だって、あいつ俺が学校に来るの嫌がるんだもん」

母「・・・・・・最近、あの子帰り遅いじゃない? あんたが行けば夜遊びも出来ないしね」

兄「だから人の話聞けって。あいつ、こないだだって俺のこと無視して友だちと帰っちゃったし、行っても無駄だよ」

母「ちゃんと妹に連絡しとくから平気」

兄「・・・・・・こないだはメールし忘れて仕事に行っちゃったくせに」

母「今度は忘れないからさ。それより朝ごはん食べる?」

兄「うん」

母「じゃ、ちょっと待ってて。妹が昨日作った雑炊温めてあげるから」

兄「・・・・・・え?(マジかよ)」
57 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 19:58:27.93 ID:8ulpxh3ro
父親の車を運転中


兄(母さんが妹に電話したら、あいつ、迎えに来てくれって言ったらしいけど)

兄(何考えているんだ、あいつ)

兄(そういや、彼氏から連絡ないとか言ってたな。今日、予定ないからか。それなら雨の中歩くより車の方が楽だもんな)

兄(何かむかつくな)

兄(それにしても、俺の軽自動車じゃなくて親父の3ナンバーの車で来いとはどういうことだよ、贅沢な。あいつ、看病したくらいで俺に貸しを作ったつもりじゃねえだろうな)


妹友『妹ちゃんが本当に好きなのは、お兄さんだと思います』


兄(昨日からこの言葉がしつこく何度も脳内で再生されてる・・・・・・」

兄(実際のところどうなんだろうな? 妹友ちゃんが言うように、あいつ本当にブラコンなのかな)

兄(ラノベやアニメのブラコン妹ってどんな感じなんだっけ)

兄(うちの妹と比べてみよう・・・・・・いや、比べるまでもない)

兄(幼い頃から仲良く遊んだ記憶なんてひとつもないし、いつも俺に付きまといどこに行くにも俺のそばを離れなかった幼い妹なんて俺にはいないぞ)

兄(あとは、兄友か。でも、あいつのところはなあ。妹がブラコンというより兄友が一方的なシスコンみたいだし、参考にならないな)

兄(・・・・・・着いちゃった。校門の前に停めるとまた目立つって怒られるかな。え? あれって)
58 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 20:07:10.15 ID:8ulpxh3ro
妹友「お兄さ〜ん! ここですよ、こんにちは〜!!」

兄(妹友ちゃんだ)

兄「ああ、どうも。昨日はありがとね」

妹友「いえいえ。お兄さん、もう大丈夫なんですか?」

兄「うん。もう全然元気だよ」

妹友「よかったです。突然倒れて寝ちゃうんで心配しました」

兄「本当にごめん」

妹友「謝らないでください・・・・・・病気なんだから仕方ないですよ。あ、そうだ」

兄「うん?」

妹友「妹ちゃん、今片付けしてます。もうすぐ終わるので少し校門前で待っていて、って言ってました」

兄「うん、わかった。ありがとう」

妹友「・・・・・・あ、あと。妹ちゃんからお兄さんの車で送っていくから一緒に帰ろうって誘われたんですけど、迷惑ですよね?」

兄「いやいやいや。迷惑なんてとんでもない。あ・・・・・・雨の中に立たせちゃっててごめん。さあ、乗って(それで軽じゃない方がいいって言ったのか)」ガチャ

妹友「お邪魔します・・・・・・でも、いいんですか?」

兄「へ?」

妹友「・・・・・・助手席に座っていいのかなあ」

兄「? 何で・・・・・・あ、俺の隣嫌だった? じゃ、じゃあ後部座席で」

妹友「嫌じゃありません」

兄「は、はい」

妹友「・・・・・・でも、妹ちゃんの専用席なんでしょ? お兄さんの隣って」

兄「な、な、何言っちゃってるのかな? 妹友ちゃんは」

妹友クス
59 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 20:07:42.34 ID:8ulpxh3ro
兄(妹友ちゃんと距離が近い。いい匂いがする)

兄(俺の軽ならもっと密着してたのに)

妹友「何か彼氏とドライブに行くみたい」クスクス

兄「・・・・・・妹友ちゃん、可愛いからもてるでしょ? デートなんていっぱいしたことあるんじゃない?」

妹友「か、可愛いいって。あたしデートなんかしたことないです」

兄「そうなの? こんなに可愛いのに意外だなあ」

妹友「男の人とお付き合いしたことないですもん」

兄(結構、派手なグループで遊んでるみたいなのにな。意外だ)

兄「・・・・・・うちの夜遊び妹に見習わせたいよ」

妹友「妹ちゃんは真面目でいい子ですよ」

兄「・・・・・・(どこがだよ)」

妹友「ただ、ちょっと。彼氏先輩のペースに合わせすぎなところはありますけど」

兄「・・・・・・」

妹友「こんなこと言うのもおかしいですけど。最近、妹ちゃんは彼氏先輩とはあんまり相性よくないんじゃないかと思うことがあります」

兄「そうか」

妹友「あ、先輩も悪い人じゃないんですよ? 妹ちゃんのこと本気で好きみたいだし」

兄「うん」

妹友「ただ、何ていうか、世界が違うっていうんでしょうか? あの二人本当には分かり合えてないんじゃないかな」

兄(なんだかよくわからん)

兄(あ、そうだ。この際だから聞いてみるか)
60 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 20:08:27.99 ID:8ulpxh3ro
ちょっと休憩
今日はもう数レスくらい投下したいと思います

では、また後ほど
61 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 20:10:49.56 ID:qoV4hQR2o
はい
62 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 20:40:47.74 ID:bLmkxgzwo
待機
63 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 20:43:22.11 ID:MMmrIrc1o
ワクテッカ
64 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 21:44:57.19 ID:8ulpxh3ro
兄「あ、あのさ」

妹友「はい」

兄「昨日、言ってたじゃん? その、妹が学校で・・・・・・何ていうか俺のこと好きだって言ってて、友だちからブラコンって言われてるって」

妹友「はい?」

兄「え? 何か違った??」

妹友「妹ちゃんはお兄さんのことが好きなんて一言も言ってないですよ」

兄「え? そ、そうなんだ(何なんだ。俺、ひょっとしてすごく恥ずかしいことを妹の友だちに聞いちゃったの!?)」

妹友「はい。妹ちゃんがいつも話しているのは。うちの兄貴がうざいとか、暇があると部屋に引きこもってゲームしたりパソコンしたりしてるとか」

兄「・・・・・・」

妹友「あと、親がいない時、一緒にファミレス行こうとかってキモイこと誘ってくるとか。あ、あと。最近では病気の兄貴を看病してあげてるのに全然感謝しないとかも」

兄(・・・・・・聞かなきゃよかった)

妹友「まあ、妹ちゃんがブラコンって言われてるのは本当ですけどね」

兄「はあ?」

妹友「何て言うんでしょうね。お兄さんの悪口ばかりだけど、それでもお兄さんの話ばっかよくしているから」

兄「え?」

妹友「だから、ブラコン認定されちゃうんでしょうね」

兄(じゃあ、あれはいったい何なんだ)


妹友『妹ちゃんが本当に好きなのは、お兄さんだと思います』


兄「じゃあ、妹が俺のこと好きだってわけじゃないんだよね」

妹友「・・・・・・何か残念そう、お兄さん」クス

兄「そんな訳あるか」

妹友「まあ、あえて言えばツンデレ?」

兄「え?」

妹友「ここから先は自分で考えてくださいね。お兄さん」クスクス


ガチャ


妹「待たせてごめんね、妹友ちゃん」

妹友「あ、妹ちゃん。片付け終わったの?」

妹「うん。雨の中倉庫に運ぶの大変だった」

妹友「ごめんね、付き合ってあげなくて」

妹「妹友ちゃんは係が違うから」

妹友「あ、あと。図々しくお兄さんの隣に座っちゃってごめん」

妹「うん? ああ。よかったね、妹友ちゃん」

妹友「ちょっと、妹ちゃん。やめてよ!」

妹「はいはい」クス
65 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 21:47:19.29 ID:8ulpxh3ro
兄「交差点を過ぎたよ。ここからどう行くの?」

妹友「あ、はい。しばらく道なりで、コンビニが見えたらその交差点を左折です」

兄「了解」

妹友「この辺は初めてですか?」

兄「車で来るのは初めてだな。まあ、初心者マーク取れたばっかりだし、あまり車使わないから」

妹友「でも、運転上手ですよね」

兄「普通だけどな」

妹「・・・・・・」

兄(さっきから、妹のやつ俺に一言も話しかけねえじゃんか)

兄(俺のこと好きじゃないにしても、迎えに来たお礼くらい言えよ)ムカムカ

妹友「何か凄い雨になってきましたね」

兄「うん」

妹友「送ってもらって助かっちゃった」

兄「いいよ、別に。どうせ暇だし」

妹「・・・・・・」

妹友「・・・・・・お兄さんって、何か同級生の男の子たちと違って大人ですよね。ね? 妹ちゃん」

妹「そう?」

兄「そ、そんなこと全然ないけど」ドキ

妹友「何ていうか、余裕があるっていうか。一緒にいて安心できると言うか」

兄(安心? それ誉められてるのか?)

妹友「お兄さんって、彼女とかいるんですか?」

兄「うっ(ついに来てしまったか。恐れていた質問が)・・・・・・いません」

妹友「そうなんですか? 女の人と付き合うの飽きちゃったんですか?」

兄「いや、飽きるとかそういうことでは」

妹友「お兄さん、もてそうですもんね」

兄「そんなことないって」

妹友「大学生の女の人と比べたら、あたしたちって子どもに見えるんでしょうね」

兄(子どもに見えるって。妹友ちゃんの匂いでくらくらしている童貞がそんな余裕かましてるわけないじゃんか)
66 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 21:48:19.71 ID:8ulpxh3ro
妹友「ね、妹ちゃん」

妹「うん?」

妹友「お兄さんってもてるでしょ?」

兄(・・・・・・)

妹「・・・・・・よくわからない」

妹友「ええ? 兄妹なのに」

妹「あまりそういう話しないから」

妹友「そうなんですか? お兄さん」

兄「ま、まあね」

妹友「じゃあ、彼氏先輩とのこととか、お兄さんに相談したりしないんだ」

妹「うん」

妹友「もったいないなあ。大人の男性が身近にいるのに。一人っ子のあたしには理解できないな」

妹「・・・・・・そんなものだよ。兄妹なんて」

兄「(え?)うん。そんなもんだよ」

妹友「そうなんですか。あ、そこ左折です」


妹友「送っていただいてありがとうございました」

兄「どういたしまして(でかい家だな)」

妹友「じゃ、妹ちゃん。また明日ね」

妹「バイバイ。また明日」
67 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 21:49:58.45 ID:8ulpxh3ro
兄(・・・・・・)

妹(・・・・・・)

兄「あ、あのさ」


ピピピピピ


妹「お母さんだ」ピ

妹『うん、今車の中。帰るとこ』

妹『仕事って今から? お父さんは?』

妹『うん。別にいいけど・・・・・・ちょっと待って』

妹「お兄ちゃん」

兄「どうした」

妹「お母さん、会社に呼び出されたんで仕事に行くって」

兄「今からかよ」

妹「お父さんも今日帰れないんで、どっかで食事してきてって」

兄「・・・・・・うん」

妹「あたしあまりお金持ってないけど、お兄ちゃんは?」

兄「あるけど」

妹『お母さん? ごめん。お兄ちゃんお金あるって。うん、うん。わかった。じゃあね』ピ

兄「おまえはいいのかよ?」

妹「何?」

兄「兄貴と二人きりでファミレス行くなんてキモイんだろ?(俺、何言ってんだ・・・・・・)」

妹「・・・・・・妹友ちゃんに聞いたの?」

兄「い、いや。いつもファミレス行こうかって言うと嫌がるし」

妹「別に。そんなに嫌じゃない」

兄「じゃ、どっかで飯食っていくか?」

妹「・・・・・・うん」

兄「じゃ、車出すぞ」

妹「ちょっと待って」

兄「え? 何だよ」

妹「席移るからちょっと待って」

兄「え? 別に後部座席でいいじゃんか」

妹「話しづらいから」バタン

兄「話って(ろくに話しかけないくせに何言ってるんだこいつ)」

妹ガチャ「はい。もう車出していいよ」

兄「・・・・・・(何考えてるんだ? こいつ)」
68 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/11(日) 21:53:24.94 ID:8ulpxh3ro
兄(話しづらいって、隣に座ったって何にも喋んないじゃねーか。こいつは)


妹友『妹ちゃんが本当に好きなのは、お兄さんだと思います』


兄(まただよ。なんでこんなセリフだけいつも繰り返して思い浮かんじゃうんだろうか)

兄チラ

妹「・・・・・・」

兄(今日は休日なんで私服で登校したのか)チラチラ

兄(スカート短い・・・・・・こいつ足細すぎだろ。でも、綺麗な足だ。すべすべしてそう)

兄(首筋とか胸元とかもちょっとやばいんじゃ)

兄(こんなに、こいつのことガン見したの初めてかも)

兄(・・・・・・好みだけでいうと妹友ちゃんより妹の方がストライクなんだよなあ)

兄(やべ。昨日の妄想が・・・・・・)


両手を妹の控え目で小さな乳房にあてがい
妹の細いむき出しの腕が俺の首に廻され
妹「お腹空いてるんでしょ。あたしが食べさせてあげるから」


兄(いかん。不覚にも勃起・・・・・・)

兄(いい加減目を覚まそう。こいつが俺のこと好きなんて事実はなかったんだから。妹友ちゃんが誤解するような言い回しをしただけで)


妹「・・・・・・」

兄「食事、どこ行く?」

妹「どこでもいいよ」

兄「そんじゃわかんねえよ。何が食いたいの?」

妹「お兄ちゃんって」

兄「うん?」

妹「何が食べたいか一緒に行く人に聞くんだ」

兄「・・・・・・はぁ? 何言ってるのおまえ」

妹「先輩はいつも、ここが絶対美味しいから気に入るよって」

兄ムカ

妹「・・・・・・行きたい店とか聞いてもらったことなかったな」

兄「俺はそんなに美味しい店とか知らないからさ」

妹「じゃあ、やっぱりどこでもいい」

兄「だから! どこでもいいじゃわかんねえって言ってるの」

妹「じゃあ、マックでいい」

兄(え? 夕飯にマクドナルド?)

妹「この先にあるよ」

兄「ああ(俺、おまえのくそまずい雑炊以外ほとんど何も食ってないんですけど)」

兄(そんでその日の夕食がマックかよ)

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」
69 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 21:55:22.27 ID:8ulpxh3ro
今日はここまでです

で、明日以降は年末進行中の仕事があるので、投下間隔は遅くなると思います。すいません

では、またお会いしましょう
70 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:37:14.93 ID:psGUlr8IO
71 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:51:57.83 ID:aako3Ikho
会いましょう
72 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 20:03:36.68 ID:wdHNh43Go
マクドナルドの店内


兄「おまえ、それだけ?」

妹「うん」

兄「全然夕飯になってないじゃん」

妹「あんまりお腹すいてないから」

兄「・・・・・・どっか具合悪いんじゃねえの?」

妹「別に平気」

兄「・・・・・・」

妹パク

兄「そういう甘いやつで食事代わりってよくできるよな」

妹「うん? 美味しいよ。食べてみる?」

兄「(えええええ)い、いや。いい」

妹「そう」

兄(・・・・・あ〜んとかじゃないんだ。ま、そりゃそうだ)

兄(・・・・・・よく考えれば、妹とはいえ女の子と二人きりで食事してるのか。経験ねえけどデートってこんな感じなんだろうか)

兄(こうしてみると、服装とかいかにも女の子って感じだし)チラ

兄(妹には彼氏がいるから男と二人きりなんて慣れてるんだろうけど)

兄(いつも彼氏と二人の時どんな感じなのかな。俺といる時はいつも無表情っぽいけど、彼氏といる時は笑ったりはしゃいだりしてるんだろうな)

兄(・・・・・・)

妹「・・・・・・」

兄「お、お、おまえさ」

妹「うん」

兄「彼氏とはどうなってるの?」

妹「どうって」

兄「いやさ。俺の看病とかで彼氏に誤解されたんなら悪いし」

妹「・・・・・・」

兄「あと、まあ。病気しておまえにも心配かけちゃったみたいだし、いろいろ悪いなと思ってさ」

妹「あたしが心配したって・・・・・・。妹友ちゃんに聞いたの?」

兄「ま、まあ、そうなんだけどさ」

妹「・・・・・・妹友ちゃんの言うこと、あんまりマジに受け取らない方がいいよ」

兄「え?」
73 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 20:06:39.19 ID:wdHNh43Go
妹「・・・・・・お兄ちゃん」

兄「何だよ」

妹「妹友ちゃんは面白がって、お兄ちゃんにいろいろ話してるだけだと思うよ」

兄「彼女に限ってそんなことあるか」

妹「・・・・・・お兄ちゃんって女を見る眼がないんだね」

兄「(うっ)そりゃ確かに俺は女の子と付き合ったことねえしよ。でも、妹友ちゃんはおまえのこと心配して」

妹「・・・・・・うそ!?」

兄「わざわざメールしてくれたりとか・・・・・・って、うそって何が」

妹「大学2年になるまで一度も彼女ができたことないの?」

兄「・・・・・・うん」

妹「お兄ちゃんって。中学高校は男子校だから仕方ないけど、大学に入ってからは彼女とかいるのかと思ってた。作ろうと思わなかったの?」

兄「思ったけどできなかったんだからしょうがねえだろ(こいつ、自分には彼氏がいるからって調子にのりやがって)」

妹「作ろうと思ったのに何でできなかったの?」

兄「(絶対俺のことバカにしてるな)欲しいと思ったらできるもんじゃねえだろ」

妹「そうなんだ・・・・・・大学って恋人作るのそんなに大変なんだ」

兄ムカ
74 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 20:07:24.07 ID:wdHNh43Go
兄(あれ?)

兄(・・・・・・俺の彼女いない暦を話題にされるのはむかつくけど)

兄(こいつ、いつもより話しかけてくるな。普段は一言レスのくせに)

兄(あと、心なしか表情が豊かっていうか明るいっていうか)

妹「そうかあ。お兄ちゃん、彼女いないんだ」フフ

兄「(何笑ってやがる。でも、妹の笑ってるとこ久しぶりに見たな)俺の話はもういいよ。妹友ちゃんの話してたんだろ」

妹「うん。お兄ちゃん、妹友ちゃんのことどう思う?」

兄「どうって・・・・・・別に。知り合ったばっかだし」

妹「優しくて思いやりがあって礼儀正しくてお兄ちゃんに好意を持ってるとかって思っていない?」

兄「俺に好意を持ってるかどうかは知らないけど、それ以外はそのとおりだと思ってる」

妹「それ全然逆」

兄「え?」

妹「お兄ちゃんに好意は持ってるかもしれないけど」

兄「え? え?」ドキ

妹「優しくて思いやりがあって礼儀正しくはない」

兄「・・・・・・」

妹「そんな子いるわけないじゃん」

兄「・・・・・・おまえ妹友ちゃんの親友なんじゃねえの?」

妹「親友だと思ってるよ」

兄「・・・・・・」

妹「あたしの親友は、優しくて思いやりがあって礼儀正しい子じゃないけど」

兄「よくわからん」

妹「彼女とかできればわかるんじゃない?」

兄「へーへー。どうせ俺はもてないよ」

妹「そんなことないと思うけど」

兄「へ?」

妹「何でもない」
75 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 20:09:01.76 ID:wdHNh43Go
兄「おまえさ」

妹「うん」

兄「今日はよくしゃべるのな」

妹「え?」

兄「だっておまえ、普段からぜんぜん俺と話しないじゃん。まあ、俺と話すことなんてないからかもしれないけどさ」

妹「・・・・・・」

兄「今日は、久しぶりにおまえの笑い顔も見たし」

妹「・・・・・・そんなこと」

兄「悪い。キモイこと言ったかも。忘れて」

妹「・・・・・・」

兄(・・・・・・何かきまずい)

妹「お兄ちゃん?」

兄「何?」

妹「やっぱりポテトも食べていい?」

兄「うん。買って来ようか?」

妹「お兄ちゃんのを少しもらえればいい」

兄「そう・・・・・・」
76 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 20:11:46.31 ID:wdHNh43Go
自宅


兄(・・・・・・認めたくはないが)

兄(貴重な疑似体験だった・・・・・・デートってこんな感じなのか)

兄(あいつ連れてると少し優越感感じるし。隣のテーブルの高校生のガキなんて、ちらちら妹を見てたしな)

兄(まあ、妹をチラチラ見てたのは俺もだけど)

兄(まずい。また、ムラムラしてきた)

兄(・・・・・・もう1回だけ)ガサガサ


ガチャ


妹「お兄ちゃん、お風呂空いた」

兄(うわ!!!!!!!)

妹「お兄ちゃん、どうしたの」

兄「い、いや。何でもな・・・・・・え?」

妹「お兄ちゃん?」

兄「・・・・・・ちゃんと服着たら?(こいつの脚きれいだ・・・・・・いつのまにか女っぽくなって)」

妹「だって暑いし。もう少ししたら着るよ」

兄(細い肩・・・・・・。肌白いな。あと、女の鎖骨とかって生で見るの初めてかも)ムラムラ

妹「お風呂入らないの?」

兄「う、うん。入る」

妹「出たらスイッチ切っておいて」

兄ジー

妹「・・・・・・あ」カクシ

兄(やべ! 胸タオルで隠された・・・・・・こいつの身体見つめてたの気づかれたか!?)

妹「・・・・・・」

兄「風呂入る」

妹「・・・・・・うん」
77 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 20:13:29.47 ID:wdHNh43Go
ちょっと休憩

また後で数レスくらい投下します
78 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 20:49:34.59 ID:X48DwlEIO
おつ
79 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 22:07:35.26 ID:wdHNh43Go
風呂上り


兄(妹の身体を見て欲情するとか、最近の俺はどうかしてるな)

兄(俺があいつの身体見てたこと、あいつに気がつかれちゃったかもな)

兄(・・・・・・忘れよう。なかったことにしよう)

兄(妹友ちゃんの話だと、あいつが学校で俺のこと好きって言ってるわけじゃない、と)

兄(でも、あいつは妹友ちゃんの言うことをマジに受け取らない方がいいよと言ってたな)

兄(・・・・・・)

兄(つまりどういうことなんだよ)

兄(ああ! わかんねえ!!)

兄(・・・・・・)

兄(とりあえず、俺が妹のことを気になってるのだけは確かだ)

兄(何でこうなったんだろ。今まで何年も妹のことなんか考えもしなかったのに)

兄(やっぱ、風俗でもいいから童貞捨てなきゃだめかな)


ガチャ


妹「お兄ちゃん?」

兄「え?((こいつ何で化粧して普通に服着てるの?)」

妹「・・・・・・ちょっとでかけてくる」

兄「はあ?」

妹「彼氏に呼ばれたんでちょっとだけ行ってくる。お母さんたち今日も帰ってこないし」

兄「・・・・・・あのなあ」

妹「うん」

兄「さすがにそれはまずいだろ? 今何時だと思ってるの」

妹「9時半」

兄「時間聞いてるんじゃねえって。いくら両親がいないからってこんな時間に外出かよ」

妹「でも、話しがあるから出て来いって」

兄ムカ「おまえの彼氏も非常識なやつだな。高2の女の子をこんな時間に呼び出すなんて」

妹「仲直りできるかもしれないから」

兄「え(そんなにそいつが好きなのかよ)」ムカムカ
80 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 22:10:16.65 ID:wdHNh43Go
回想


妹友『ただ、ちょっと。彼氏先輩のペースに合わせすぎなところはありますけど』


回想終了


兄(ちょっとどころじゃねえ。完全に男に振り回されてるじゃねえか)

妹「お兄ちゃん、今まではあたしが夜外出しても何も言わなかったじゃん」

兄「う」

妹「親にも黙っててくれたし・・・・・・何で今日は駄目なの?」

兄(そういや何でだろ? 基本、俺たちってお互いに干渉しあわない仲だったのに)

兄(・・・・・・まさか。俺、こいつの彼氏に嫉妬してるのか・・・・・・?)

妹「・・・・・・彼、電話で謝ってくれて。話しがしたいって・・・・・・それで」

兄「そう」

妹「何で? 何で今日はだめなの」

兄「・・・・・・おまえが心配だからに決まってるだろうが」

妹「え?」

兄「兄が妹の心配して悪いのかよ(何、奇麗事言ってるんだろ? 俺。ただ妹の彼氏に嫉妬してるだけじゃねえか)」

妹「・・・・・本当にあたしのこと心配してるの?」

兄「あ、いや。あの・・・・・・(心配じゃなく嫉妬かもしれねえ)」

妹「・・・・・・うん」

兄「え?」

妹「わかった」ピポパ


妹「あ、あたし。ごめんね、今日は遅いしそっちに行けない」

妹「本当にごめん。でも、今日は行かないから」

妹「お願い、大きな声出さないで。明日、日曜日だけど学祭の準備で登校日でしょ。明日話そうよ」

妹「だから、そうじゃないよ。ねえ、聞いてよ・・・・・・あ」


兄「・・・・・・どうした?」

妹「怒鳴られて電話切られちゃった」

兄「何か・・・・・・悪かった」

妹「・・・・・・ううん。お兄ちゃんは別に悪くないよ」

兄「え〜と」

妹「・・・・・・少しだけお兄ちゃんの部屋にいてもいい?」

兄「あ? な、何で」

妹「今日出かけないからやることなくなっちゃったし」

兄「・・・・・・何だよそれ?」

妹「別に何でもないけど」コテ

兄「・・・・・・当たり前のように俺のベッドに座るなよ」

妹「テレビ見ていい?」

兄「べ、別にいいけど」
81 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 22:12:20.76 ID:rTdvkhMgo
いい感じ・・・?
82 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 22:13:25.05 ID:wdHNh43Go
30分後


兄(落ち着かん。さっきから妹は黙ってテレビのバラエティ番組見てるし)

兄(可愛い服、いい匂いもして)ドキドキ

兄(・・・・・・こいつ、デート邪魔されて怒ってねえのかな)

妹「・・・・・・」

兄(無表情だし。せめてテレビ見て反応しろよ・・・・・・テレビの芸人もがっかりだろ)

妹「・・・・・・」

兄「おまえさ」

妹「え」

兄「何か香水みたいのつけてる?」

妹「・・・・・・うん」

兄「そうか

妹「気になるなら、メーク落としてこようか」

兄「別に、気にならない。つうかいい匂い」

妹「うん」

兄「おまえってさ、お洒落な服持ってるのな。あまり制服以外見たことなかったけど」

妹「そう? これお母さんに買ってもらったの」ニコ

兄「何か俺の部屋にいるとすげー違和感」

妹「ごめん。着替えてくるね」

兄「いやいやいや、別に悪いとか言ってねえじゃん。そのままでいいよ」

妹「そう」

兄「だいたい、おまえが俺のことそんなに気にするなんて今までなかったじゃん」

妹「お兄ちゃんの部屋だし」

兄「あ?」

妹「香水とか臭いから出てけって言われたらやだし」

兄「・・・・・・おまえ、そんなしおらしいキャラだっけ」

妹フフ

兄(また笑った。いったいどうなってるんだ)

妹「お兄ちゃん」

兄「うん?」

妹「ちょっと寒い」

兄「そう? エアコンつける?」

妹「うん」

兄ピ

妹「お兄ちゃんは寒くないの?」

兄「うん、別に」

妹「そう」

兄「おまえ、部屋が暖まるまでベッドの毛布でもかぶっとけ」

妹「わかった。お兄ちゃんも入る?」フサ

兄(!!!!!!)
83 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 22:23:11.02 ID:wdHNh43Go
兄「・・・・・・(妹の身体が密着してる)」

妹「・・・・・・」

兄(こいつ、天然なのかな。俺が兄じゃなかったら、絶対襲われてるぞ)

妹「・・・・・・」

兄(いい匂い。触れている体の華奢な感じ)

兄(とりあえず今は何も考えるのをよそう。何か幸せだし落ち着くし)


ブルブルブル


兄「あ、メールだ」パカ

妹「・・・・・・うん」

兄「妹友ちゃんからだ。おまえも見る?」

妹「・・・・・・何で?」

兄「何でって。おまえの親友だし」

妹「お兄ちゃんあてのメールじゃん」

兄「(もう面倒くせえな。せっかく気を遣ってやったのに)何だろうな」



from :妹友
sub :無題
『遅い時間にごめんなさい。妹ちゃんに電話してもメールしても返事がないんですいません。今、友だちとカラオケにいるんですけど』


兄(こんな時間にカラオケ?)


『彼氏先輩が荒れてて他の男の子たちも抑えられなくて』


兄(は?)


『妹ちゃんとお兄さんの悪口を怒鳴りまくっているんですけど、妹ちゃんと何かあったんでしょうか? 妹ちゃんが家にいるならあたしに連絡するように言ってもらえますか』


兄(何で俺の悪口を)


『先輩って酔うと前から暴れ出すんですけど、今日はいつもよりひどいみたい。こんなメールしてすいません』


兄(酔うって、高校生の癖に酒飲んでるのかよ)

兄(妹の彼氏はどうしようもねえバカだとわかったけど、妹友ちゃんも何だかなあ)
84 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/12(月) 22:24:41.67 ID:wdHNh43Go
兄「おまえも見たほうがいいよ、妹友ちゃんのメール」

妹「何で?」

兄「見りゃわかるよ、はい」

妹「・・・・・・」

妹「・・・・・・みんなには悪いことしちゃった」

兄「ついていってやろうか」

妹「え」

兄「暴力振るわれても困るし、一緒に行ってやろうか? あ、もちろんおまえがよかったらだけど」

妹「いい」

兄「だって、一人じゃ」

妹「テレビ途中だし」

兄「はあ?」

妹「今夜はお兄ちゃんの部屋にいるって決めたから」

兄「・・・・・・」

妹「妹友ちゃんたちには悪いけど、彼氏には今日は行けないっていったし」

兄「いいの?」

妹「・・・・・・今日は、お兄ちゃんと一緒にいるの」

兄「え? え」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」ダキツキ

兄(ええええええ!!!!)

妹シクシク

兄(こいつ・・・・・・泣いてるの?)

妹ギュ

兄(密着されると下半身がヤバイけど)

兄(今はそんな場合じゃない)ギュ

妹シクシク

兄「泣いてるの? おまえ」ギュ

妹「・・・・・・ちょっとだけ。ごめん」

兄「謝るなよ」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんの体、暖かい」

兄「・・・・・・うん」

妹「まだ熱あるのかな」フフ

兄「ねえよ・・・・・・(また笑った)」ギュ

妹「・・・・・・明日、妹友ちゃんに謝らなきゃね」

兄(どっち方面の意味であやまるんだろ)ギュ

兄(・・・・・・)
85 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 22:25:30.24 ID:wdHNh43Go
今日はここまで

また明投下予定です

おやすみなさい
86 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 22:27:58.89 ID:IuClZpcMo
乙〜
87 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 22:29:12.61 ID:rTdvkhMgo
妹可愛いな
88 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 22:31:39.83 ID:giFvSndDo
ごちそうさまでした。
89 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 23:18:07.42 ID:tCQEGbhSO
いいねいいね
90 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 23:35:35.34 ID:tTgB2zs30
妹の可愛さを隠してたベールがどんどん剥がされていくわけだが

妹は、彼氏に対してそれなりの好意はあったんだな。
けど、妹と彼氏は相性が合わないっていう妹友の発言に納得
91 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 00:47:30.14 ID:wVjkWDElo
乙ー
こんな妹ほしかった
92 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 19:14:08.25 ID:LpkoFP6z0
いいね
93 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/13(火) 21:27:02.83 ID:wFvIBuk6o
妹の高校の近くのスタバ


兄(あれは夢だったのか?)

兄(妹が抱きついてきて」

兄(俺も妹を抱きしめちゃって)

兄(・・・・・・そのまま二人で寄り添って寝ちゃったけど)

兄(朝起きたら妹はいなくて・・・・・・学祭準備で日曜だけど登校日だからかだろうけど)

兄(・・・・・・)

兄(妹と抱き合うって、本当にあったことなのか)

兄(あいつは昨日の夜のことどう思ってるんだろう)

兄(それとも全部夢? 童貞の幻想?)

兄(・・・・・・それにしても妹友ちゃん遅いな)

兄(今朝、カップラーメン食ってたら・・・・・・)


回想


ブルルルル


兄(あ)

兄(妹友ちゃんからメール)


回想終了


兄(妹友ちゃんにメールで呼び出された訳だが)

兄(・・・・・・正直、話題はわかってるし。何か気が重いな)

兄(妹友ちゃんがどっちの味方かしらないけど、俺はもう決めた)

兄(妹の彼氏はどうしようもないクズだ)

兄(できれば、妹と別れさせる)

兄(これは家族として当然のことで)

兄(・・・・・・)

兄(家族としてだよな? 男としての結論じゃないよな? 俺)

兄(あいつは彼氏のことまだ好きなのかな)
94 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/13(火) 21:39:23.98 ID:wFvIBuk6o
妹友「お兄さん、こんにちは」

兄「妹友ちゃん」

妹友「ごめんなさい、遅くなちゃって。待ちましたよね?」

兄「いや、俺も今来たとこだから(恋人同士の待ち合わせかよ)」

妹友「学園祭の準備が思っていたより手間取っちゃったんですよ」

兄「来週だっけ?」

妹友「はい。お兄さんもよかったら遊びに来てください。案内しますから」

兄「うん。行けたら行くよ」

兄(可愛い女の子からの誘いか。昨日までの俺なら舞い上がってただろうけど)

兄(妹と抱き合った後だと、全然動じないな。妹のこと気にしすぎてるからだ)

妹友「本当ですか? やった。絶対に来て下さいね?」

兄「うん。それより、昨日の夜は大変だったね」

妹友「ああ、変なメールしちゃってすいませんでした。ごめんなさい」

兄「いや、別にいいけど。あれからどうなったの?」

妹友「メールした後、30分くらいで先輩は酔って寝てしまったので、みんなでタクシーに乗せて先輩の家まで送って行きました」

兄「そうか」

妹友「本当にごめんなさい。お兄さんには関係ないのに」

兄「俺、そいつに会ったことないんだけど。何で俺の悪口言ってたんだろうな」

妹友「嫉妬でしょ。前にも話しましたけど、先輩は妹ちゃんにマジ惚れしてますし」

兄(嫉妬? 自分の彼女の兄貴に嫉妬って何でだよ。よくわかんねえ)

妹友「あまり気にしなくていいと思いますよ。で、実は相談があってせっかくお兄さんに来ていただいたんですけど」

兄「うん」

妹友「ごめんなさい。何か解決しちゃったみたいで」

兄「そう。まあ、解決したんならよかったじゃん」

妹友「先輩と妹ちゃんのことを相談しようと思ってたんですけど」

兄「え?」

妹友「ほら、あの二人最近ぎくしゃくしてたじゃないですか。昨日は先輩あんな有様だったし。で、どうしたもんかと」

兄「(別れさせてしまえばそれで解決じゃんか)で、解決したとは?」

妹友「今日、学校で先輩を見かけたんですけど」

兄「うん」

妹友「妹ちゃんが一緒にいて、二人で手をつないで歩いてました」
95 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/13(火) 21:50:08.40 ID:wFvIBuk6o
兄「・・・・・・え?」

妹友「あと、時々先輩が妹ちゃんを見つめながら何か話しかけてたんですけど」

兄「・・・・・・うん」

妹友「妹ちゃんも笑顔で応えていたんで、まあ無事に仲直りしたんですかね」

兄「・・・・・・」

妹友「今日は校内でずっと二人で過ごしてたし、あたしが心配するまでもなかったみたいです」クス

兄(・・・・・・何でだよ)

兄(納得できねえよ。妹は何であんなクズとより戻したんだよ。泣いてたくせに。泣いて俺に抱きついてきたくせに)

妹友「お兄さん?」

兄「あ、うん。用事がそれだけなら俺もう行こうかな」

妹友「え? せっかくだから少しお兄さんとお話したいなあって思ってたんですけど。ダメですか?」

兄「ごめんな。今日はもともと用事が入ってたんだ」

妹友「そうですか。用事があるのにわざわざ来てくれたんですね? ありがとうございます」ニコ

兄「・・・・・・う、うん。妹の親友の頼みだからね。じゃあ、悪いけど俺はこれで」

妹友「はい! ありがとうございました」

兄「またね」
96 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/13(火) 21:51:38.48 ID:wFvIBuk6o

兄ムカムカ

兄(抱きついてきたくせに)

兄(・・・・・・泣きながら俺に抱きついてきたくせに)

兄(あのクズにいつも泣かされているくせに)

兄(付き合うならもっとましな男がいるだろ)

兄(イライラする。結局、妹はその男に惚れてるってことかよ)

兄(そうか・・・・・・。好きな男に怒鳴られて傷付いて、それで辛くて慰めを求めて俺に寄り添ってきたわけか)

兄(彼氏と仲直りできちゃえば、うざい兄貴なんかに寄り添う必要はないってことだな)

兄(・・・・・・)

兄(妹が落ち込んでいるのを慰められたんだからそれでいいはずなのに)

兄(何でこんなにショック受けてるんだろ)

兄(・・・・・・つうか頭に血が上ってたけど、何か落ち込んできた)

兄(結局、妹は彼氏と喧嘩して寂しかった)

兄(それで身近な兄貴に寂しさを紛らわせてもらおうとした)

兄(翌日、妹は彼氏と仲直りした)

兄(・・・・・・俺は兄貴としての役割を無事はたせた)

兄(何の問題もないな)

兄(唯一の問題は)

兄(昨日の妹を見てて、妹が俺のこと好きなんじゃないかって思い込んで舞い上がったバカがいたということだな)

兄(しかもそのバカは実の兄貴)

兄(どうしようもねえな、俺)

兄(よく考えりゃ近親相姦を期待してるってことだもんな)

兄(クズは妹の彼氏じゃなくて俺の方か)
97 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/13(火) 22:06:52.13 ID:wFvIBuk6o
兄の部屋


兄(ゲームしても面白くないし集中できない)

兄(明日は講義があるけど、レポートに取り掛かる気力もない)

兄(・・・・・・)


回想

妹「・・・・・・今日は、お兄ちゃんと一緒にいるの」

兄「え? え」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」ダキツキ

兄(ええええええ!!!!)

妹シクシク

兄(こいつ・・・・・・泣いてるの?)

妹ギュ

兄(密着されると下半身がヤバイけど)

兄(今はそんな場合じゃない)ギュ

妹シクシク

兄「泣いてるの? おまえ」ギュ

妹「・・・・・・ちょっとだけ。ごめん」

兄ギュ

回想終了


兄(・・・・・・あん時、可愛かったな。あいつ)

兄(でも、前向きに考えれば勘違いして妹に恥ずかしい告白とかしなくてよかったのかもな)

兄(・・・・・・もう6時か。今夜は彼氏とでかけるだろうから帰りは遅くなるか)

兄(いい夢を見たと思ってもう忘れよう)

兄(せっかく妹との距離が縮まったんだもんな。いい兄貴としてでもいいから、気持ちを抑えて妹と話すようにしよう)

兄(妹だって俺があいつのこと女として気にしてたり、あいつのことを想ってオナニーしてるなんて夢にも思ってないだろうし)

兄(気づかれたら本当にいろいろとお終いだな)

兄(よし。辛いけどいい兄貴になろ)

兄(とにかく俺にも彼女が出来ちゃえばてっとり早くあいつのことを忘れられるかも)

兄(・・・・・・妹友ちゃんか。俺に気があるかどうかはわからないけど)

兄(・・・・・・)

兄(とりあえず来週の学祭、行ってみようかな)
98 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/13(火) 22:24:52.33 ID:wFvIBuk6o
ガチャ


妹「お兄ちゃん?」

兄「え?」

妹「今、帰った」

兄「え? おまえ何で」

妹「何でって?」

兄「いや。おまえ今日遅いと思ってたから、ちょっとびっくりした(落ち着いて冷静に話すんだ、俺)」

妹「そうなの? 普通に登校日だっただけだし」

兄「そうか(彼氏と出掛けなかったのかな)」

妹「お母さんからメール来た」

兄「何だって?」

妹「諸君の両親は来週末までの帰還は絶望的につき、各自それぞれ工夫し自給自足で生き延びられるように努力されたし」

兄「はあ?」

妹「そういうメールなんだもん」クス

兄「・・・・・・つまり今度の日曜日まで1週間家に帰らないから子どもたちだけで生活しろと。そういうことか?」

妹「そうみたい」フフ

兄(これまでとは違うな。無表情だった妹が笑顔を俺に見せるようになった)

兄(でも、それは俺と抱き合ったからじゃなくて、彼氏と仲直りしたからだもんな)

兄「しかし、1週間コンビニ弁当かよ」

妹「別にコンビニじゃなくてもいいじゃん」

兄「(どうせおまえは彼氏とデートでお食事だからいいよな)まあ、カップ麺好きだし」

妹「カップ麺1週間とかだめだよ。体壊しちゃうよ?」

兄「コンビニ弁当好きじゃねえんだよな」

妹「電話の下の引き出しにお金入ってるからそれで食事してって」

兄「金の問題じゃなくてさ」

妹「ファミレスも嫌いなんだっけ?」

兄「一人でファミレスで夕食食うくらいなら、自分の部屋でカップ麺食いながらゲームしてた方がいいし」

妹「一人じゃないじゃん」

兄「へ?」

妹「あたしも一緒だし」

兄(な、何だ?)
99 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/13(火) 22:44:21.82 ID:wFvIBuk6o
兄(よくわかんないけど、こいつの彼氏が反省して夜は誘わなくなったとかってことか?)

妹「毎日、ファミレスだけじゃ飽きちゃうよね、昔よく配達してくれたおそば屋さんとかお寿司屋さんとかの出前も取ろうよ」

兄「何でこんなに楽しそうなんだよ? こいつ」

妹「あ、あとさ。お兄ちゃんが好きな雑炊なら、あたしでも作れるけど」

兄(・・・・・・げ)

妹「お兄ちゃんが病気の時に久しぶりに作ったけど、三食分を一度に食べちゃうとは思わなかった」フフ

妹「よっぽど気に入ってくれたんだね」

兄「(何か嬉しそうだな)・・・・・・まあ、食事の話はいいけどよ」

妹「うん」

兄「1週間も二人きりでおまえ、寂しくないの?」

兄(我ながら愚問だ。彼氏さえいればこいつ的にはいいんだろうし。俺にフレンドリーなのはいいけど、彼氏と仲直りできたから機嫌がいいのかと思うとむかつくな)

妹「別に。寂しくないよ。お兄ちゃんもいるし」

兄「え」

妹「・・・・・・いるんだよね? 大学終わったらすぐ帰ってきてくれるんでしょ?」

兄(何でそんなに不安そうに俺を見る。そんなだから誤解しちゃうんじゃねえか)

兄「まあ、今はバイトもしてないし、帰りは遅くはならないけど」

妹「うん・・・・・・よかった」

兄「・・・・・・」

兄「・・・・・・おまえさ。彼氏と仲直りしたんだって?」

妹「よく知ってるね・・・・・・。妹友ちゃんに聞いた?」

兄「うん。今日スタバに呼び出されて」

妹「そうか。お兄ちゃん、妹友ちゃんと会ってたんだ」

兄「まあな。それで彼氏とはどうなの?」

妹「うん、登校したらすぐに彼が誤ってきて」

兄「そんで仲直りして今日一日中イチャイチャしてたわけか」

妹「・・・・・・え。お兄ちゃん?」

兄「あ、悪い。何でもないから今の忘れて」

妹「お兄ちゃん」

兄「う、うん」

妹「・・・・・・」

妹「最近、あたしと彼のことで迷惑かけてごめんね」

兄「俺は別に・・・・・・関係もねえし」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」
100 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:45:44.42 ID:wFvIBuk6o
本日はおしまい

駄文にお付き合いいただきありがとうございました

明日は忘年会なので投下できるかわかりませんが、また次回お会いしましょう

おやすみなさい
101 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:54:22.22 ID:YjpJgni7o
駄文とか・・・今SS速報の妹系で一番クオリティが高い
102 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 23:12:30.40 ID:maCysIJoo
乙〜
103 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 08:35:26.43 ID:a/M9uteSO
104 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 10:23:34.15 ID:KFaTe3u/o

兄が聞いた情報と妹の状況と違いがあるのか
105 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 20:23:04.29 ID:QgChCX2IO
いろいろ気になるよなあ。楽しみに待ってます
106 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/15(木) 21:50:36.19 ID:qTy1A0LMo
妹「・・・・・・何かごめんね」

兄(何で謝る。俺の気持ちに気づいてるのか?)

兄(いや、そんな訳ないか)

兄(つうか俺の気持ちって何だよ。自分にだって自分の気持ちなんかわかんねえのに)

兄(妹を、こいつにふさわしくない彼氏と別れさせたい?)

兄(・・・・・・それとも、むしろこいつを自分のモノにしたい?)

兄(!! な、な、何キモイこと考えてたんだ俺。実の兄妹だぞ)

兄(・・・・・・やっぱ俺最近変だ)

兄「いや。変なこと言って俺の方こそ悪い。無事に彼氏と仲直りできてよかったな」

妹「・・・・・・うん」

兄(やっぱりこいつ、彼氏のこと好きなのかな)

妹「・・・・・・」

兄(何か気まずい。思わず情けないセリフを口にしちゃったけど。あれじゃ嫉妬している男のセリフそものじゃねえか)

兄(こいつ、俺のこと変に思ってねえかな)

兄(・・・・・・)

妹「・・・・・・ねえ」

兄「うん」

妹「お兄ちゃん・・・・・・もうご飯食べちゃった?」

兄「いや、まだだけど」

妹「じゃあ、今日どうする?」

兄「カップ」

妹「カップ麺はダメ」

兄「・・・・・・おまえの雑炊食おうかな」

妹「え」

兄「い、いや。何でもない。コンビニでいいや(さっきから何言ってるんだ俺)」

妹「・・・・・・作ってもいいけど。少し時間かかるよ」

兄「いや。おまえ土日も登校だったし明日も学校だし。今日はコンンビニで何か適当に買ってくるよ」

妹「お兄ちゃんが食べたいなら、雑炊作るよ。ちょっと待ってて」

兄「おい」

妹「・・・・・・嫌じゃなかったら食べて」

兄「・・・・・・」

妹「1時間もかからないと思うから」

兄(え?・・・・・・雑炊作るのに1時間?)
107 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/15(木) 21:54:38.58 ID:qTy1A0LMo
翌日大学の構内


兄友「よし、講義終わったぞ。兄、おまえこの後何もないんだろ?」

兄「講義はないよ。バイトもこの前辞めちゃったし」

兄友「じゃ、飲みに行こうぜ。イケヤマと飲みに行く約束してんだけど、おまえも来ねえ?」

兄「イケヤマ、帰って来てるの?」

兄友「最近帰ったみたいだぜ。昨日電話あってさ、今日飲みに行くことになってる」

兄「半年ぶりか? 久しぶりに会いたいな」

兄友「大学の近くの居酒屋で待ち合わせなんだ。兄も行こうぜ」

兄「イケヤマには会いたいけど」


回想

妹「別に。寂しくないよ。お兄ちゃんもいるし」

兄「え」

妹「・・・・・・いるんだよね? 大学終わったらすぐ帰ってきてくれるんでしょ?」

兄(何でそんなに不安そうに俺を見る。そんなだから誤解しちゃうんじゃねえか)

兄「まあ、今はバイトもしてないし、帰りは遅くはならないけど」

妹「うん・・・・・・よかった」

兄「・・・・・・」

回想終了


兄「・・・・・・やっぱ今日はやめとくわ」

兄友「え? 何で。用事ねえんだろ」

兄(妹が待っていて、俺が帰らないと寂しがるからとは言えないな)

兄友「イケヤマ、明日沖縄に戻っちゃうって言ってたし」

兄「イケヤマには会いたいけど、今日は早く帰って来いって親に言われてるんだ」

兄友「冷たい奴だなあ、おまえ。俺たちの仲間が半年ぶりに会いに来てくれたんだぞ」

兄「今日は悪いけど。イケヤマによろしく言っておいてよ」

兄友「親に言われたくらいで何だよ。俺なんてうちの妹の誘いを振り切って飲みに行くんだぞ」

兄「・・・・・・悪い」

兄友「ま、しゃーねえな。よろしく言っておいてやるよ」

兄「頼むよ」

兄友「じゃあな」

兄(昨日は妹と何か微妙な雰囲気だったけど、やっぱり前よりは明るい表情だったし、いつもより俺に話しかけてきてたな、妹のやつ)

兄(作ってくれた雑炊は、やたら辛かったけど。でも二人で一緒に食事したのって何年ぶりだろ)

兄(いろいろ考えすぎるはやめよう。妹が彼氏を好きでもいいいじゃんか)

兄(今までどうでもよかった妹が大事に思えただけでいいのかもしれないな)

兄(兄友のシスコンが少し理解できるな。うちも妹がブラコンとかじゃなくて俺のほうがシスコンなのかもしれない)

兄(・・・・・・今日はあいつさえよかったら、車でファミレスに行こうか)

兄(・・・・・・)
108 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/15(木) 22:11:07.83 ID:qTy1A0LMo
自宅


兄「ただいま」

兄(・・・・・・時間的にもう妹も帰ってるはずだけど)

兄(自分の部屋にいるのかな)

兄「妹いるのか?」トントン

兄(返事ねえな。リビングかキッチン?)

兄(・・・・・・いねえな。学園祭の準備とかで遅くなってるのかな)

兄(それとも・・・・・・)

兄(やっぱり彼氏か?)

兄(たまたま昨日はデートがなかっただけか)

兄(でもよ)


回想

兄「一人でファミレスで夕食食うくらいなら、自分の部屋でカップ麺食いながらゲームしてた方がいいし」

妹「一人じゃないじゃん」

兄「へ?」

妹「あたしも一緒だし」

回想終了


兄(あれはいったい何だったんだよ)

兄(いや。もうごちゃごちゃ考えるのやめとこう)

兄(・・・・・・・あいつが彼氏とデートするのを止める権利なんか俺にはない)

兄(でも。妹に会いたくて、いそいそとまっすぐ帰って来た俺、まるでピエロだな。ほんとにバカ丸出しだ)

兄(・・・・・・夕飯どうしようか)

兄(カップラーメンでも)

プルルルルル

兄(妹か!?)

兄(・・・・・・兄友かよ)

兄「何だよ、兄友」

兄「会えないならせめてイケヤマと電話で話せって? おお、いいね。イケヤマに(・・・・・・あ)」

兄「あのさ。俺の用事なくなったんだけどさ、今から居酒屋に行ってもいいか」

兄「うん、そうそう。すぐに出るから1時間もかかんねえよ」

兄「店どこだって? ああ、わかる。じゃ、これから行くからさ。イケヤマにも言っておいて・・・・・・うん、うん。じゃあな」

兄(イケヤマと飲むのも久しぶりだな)

兄(・・・・・・あ。あいつら飲み出すと長いからな。妹にメモを置いておこう。どうせ帰るの遅くなるだろうし)

兄(よし。鍵閉めて出かけるか)
109 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/15(木) 22:34:54.90 ID:qTy1A0LMo
深夜1時過ぎ 自宅前


兄(結構酔ったな。終電に間に合ってよかった)

兄(さすがに妹も帰って来て寝てるだろうし、そっと家に入らなきゃ。っておっと)フラ

兄(酔ってるな、俺。結構飲んじゃったからな。でも、イケヤマと久しぶりに会えて楽しかったな)

兄(そのおかげで妹のことも忘れられたし。やっぱり男のダチはいいな・・・・・・って、あぶね)フラフラ

兄(・・・・・・俺の部屋灯り付いてる。消し忘れたかな)

ガチャ

兄(こんだけ酔うとシャワーとか無理だな。もう寝てしまおう)

兄(着替えるのも省略してベッドに)ヨタヨタ

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・え)

兄(な、何でこいつが俺のベッドで寝てるんだ!?)

妹スースー

兄(お、落ち着け! 落ち着いて次に何をするのか考えよう)

兄(こいつを、お、起こして。何でここにいるのか聞けばいいのか)

兄(よ、よし)

兄「おい」

兄「おい!」

兄「妹、起きろ!」

妹スースー

兄(全く眼を覚まさない・・・・・・)

兄(よし毛布を剥いでやる)ガサ
110 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/15(木) 22:35:38.64 ID:qTy1A0LMo
兄(!!!!!!!!)

兄(!!!!・・・・・・)

兄(・・・・・・)ゴクリ

兄(ブラとパンツだけの妹が俺のベッドに寝てる)

兄(何でこうなる)

兄チラッ

兄(前に見た夢と同じじゃねえか)

兄(可愛い)チラチラ

兄ムラムラ

兄(興奮している場合か)

兄(こいつを起こさなきゃ・・・・・・起こしてスエットを着させて)

兄(いや、そんなことよりとにかく自分の部屋に行かせて)フラフラグルグル

兄(いかん、酔いが回ってきちゃった)

兄(とにかく床にでも座って)ドシン!

兄(あ)

兄(妹の隣に横たわってしまった)グルグル

兄(酔っていてきちんと考えられねえ)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・いい匂い)

兄「・・・・・・妹?」

兄「本当に寝ちゃってるのか?」

兄「・・・・・・」

兄(いかん・・・・・・理性を保たないと)フラ

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・綺麗な脚)ナデ

兄(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ

兄(細い肩)ダキ

兄(・・・・・・夢と同じ)

兄(・・・・・・)

兄(意識が飛んでいく・・・・・・)

兄ZZZ
111 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 22:36:21.94 ID:qTy1A0LMo
短くてすいません
今日はこれでおしまいです

お付き合いいただきありがとうございました

また明日投下します
112 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 22:48:54.89 ID:CXFYqGRd0
113 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 22:52:07.03 ID:d4W2mmw7o
おつ
114 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 22:57:40.07 ID:c0cieeuIo
乙シタ
115 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 22:58:46.85 ID:s3fuJazuo
乙〜
116 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 00:02:11.42 ID:glaFjxkSO
ここで終わるかぁ

117 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 12:39:35.73 ID:qfzBLfHL0

兄貴ェ
118 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/16(金) 20:55:24.99 ID:Y7sNijBKo
?「・・・・・・起きて」

?「今日は大学いいの? 遅れちゃうよ」

?「もう・・・・・・いい加減に起きてよ」

兄(・・・・・・う〜ん)

兄(頭痛てえ)

兄「もうちょっと寝かせて」

?「・・・・・・もう」

兄zzz

?バサッ

兄「寒い・・・・・毛布取るなよ」

兄(あ。妹・・・・・・)

妹「もう9時過ぎてるけど、大学行かなくていいの?」

兄「・・・・・・気持ち悪い」

妹「うん。お酒臭いよ、お兄ちゃん」

兄「おまえ、どうして家にいるの? 学校はどうした(制服は着てるんだ)」

妹「・・・・・・お母さんに、これからはあたしがお兄ちゃんを起こしなさいって言われたから」

兄「それはいいけど、おまえ学校遅刻じゃねえの?」

妹「・・・・・・お兄ちゃん、なかなか起きてくれなかったから」

兄「そりゃ悪かったけど、俺なんて放って学校行けばよかったのに」

妹「・・・・・・」

兄「あ、ちょっと、悪い。トイレ行くわ」

妹「うん」

兄「おまえももう学校行けよ」

妹「・・・・・・うん」

兄(吐きそうだ。トイレに行かなきゃ)

妹「お兄ちゃん、大丈夫?」

兄「よくわかんねえ(頭がずきずきする)」
119 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/16(金) 21:07:21.38 ID:Y7sNijBKo
トイレ


兄(・・・・・・もう何も吐く物がない)フクフキ

兄(でも、吐くだけ吐いたら少し胃のムカムカが落ち着いてきた気がする)

兄(兄友とイケヤマのせいだ。あいつら酒強すぎだろ)

兄(・・・・・・俺の経験上、こういう時は寝るしかない。一眠りすれば治る)

兄(よって、今日は自主休講するしかねえな)

兄(・・・・・・あ。昨日)

兄(酔っててよく覚えてねえけど)


回想

兄(・・・・・・綺麗な脚)ナデ

兄(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ

兄(細い肩)ダキ

兄(・・・・・・夢と同じ)

兄(・・・・・・)

回想終了


兄(・・・・・・)

兄(夢じゃないのかな、これ)

兄(記憶は曖昧だけど、手がはっきりと妹の肌の感触を覚えてる・・・・・・)

兄(いっそ童貞の妄想ならいいのに)

兄(・・・・・・・あいつに気づかれたかな)

兄(いくら寝てても体を撫で回されれば普通は気がつくよな・・・・・・)

兄(まさか、寝たふりをしてたとか?)

兄(いや。妹が俺に体を触られながら寝たふりをする理由がないし)

兄(何で手を出しちゃったんだろ、俺)

兄(・・・・・・頭、痛い)

兄(・・・・・・)

兄(白いすべすべの肌。華奢な骨格。細い肩)

兄(・・・・・・全部思い出せちゃうんだな。やっぱりやっちまったかのか)

兄(二日酔で頭痛いのに、ムラムラしてきた)

兄(こんなに自己嫌悪するのって生まれて初めてじゃねえかな)

兄(下半身を鎮めないと、トイレから出れねえ)

兄(・・・・・・妹はもう学校に行ったかな)

兄(・・・・・・)
120 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/16(金) 21:23:13.38 ID:Y7sNijBKo
兄(ここまで落ちちゃえばもう同じだ)

兄(このままじゃ、眠れないだろうし)

兄(・・・・・・トイレットペーパーを)ガサガサ


(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ


兄(はあはあ)


(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ


兄(はあはあはあはあ)


(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ
(・・・・・・綺麗な脚)ナデ(しっとりとして滑らかな肌)ナデマワシ(細い肩)ダキ


兄(妹、妹!・・・・・・うっ)


妹「お兄ちゃん、本当に大丈夫?」

兄(妹!? 何でまだいるんだよ)

妹「お兄ちゃん?」

兄「・・・・・・大丈夫だよ。おまえももう学校行かないと」

兄(自己嫌悪・・・・・・)ガサガサフキフキ


ジャー


ガチャ


兄「吐いたらすっきりしたよ。悪かったな」

妹「でも、顔青いよ」

兄「今日は大学休むよ。寝てればすぐ治るから」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・二日酔って別に病気じゃねえから、看病とかいらねえぞ?」

妹「お母さんから言われてるし」

兄「え? とにかく二人でトイレの前にいるのも変だろ。俺はもう寝るから、おまえ学校行けよ」

妹「あたしも今日休む」

兄「え? 何で。俺病気じゃねえぞ」

妹「・・・・・・休む」

兄「だからどうして」

妹「・・・・・・昨日はごめんなさい」
121 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/16(金) 21:39:16.13 ID:Y7sNijBKo
兄「え?」

妹「今週はお母さんたち家にいないから」

兄「・・・・・・」

妹「でも昨日は、彼に誘われて断われなくて」

兄「(・・・・・・何なんだ)何言ってるのかわかんねえよ」

妹「お兄ちゃんのメモみた。大学からまっすぐ帰ってくれたんでしょ」

兄「ま、まあな。大学からまっすぐ家に帰るっておまえと約束してたし」

妹「あたしがお兄ちゃんにお願いしたのに」

兄「あのなあ」

妹「あたしが約束破っちゃった」

兄「兄貴より彼氏を優先するなんて普通のことだろ? 謝ることじゃねえよ。それに俺もその後飲みに行っちゃったしな」

妹「・・・・・・今週は夜は会えないって彼に言ったの」

兄(・・・・・・)

妹「お母さんたちいないし。お兄ちゃんも大学から家に帰ってくるし、食事とか準備しなきゃいけないからって」

兄「うん」

妹「でも、昨日は仲直りした最初の夜だから付き合えよって」

兄「・・・・・・」

妹「俺より兄貴を優先するのかって言われて」

兄(何だよそれ)

妹「ごめんね」

兄「何で謝る。おまえ、彼氏より俺のほうを優先してるわけじゃねえだろ? そんなことそいつに言われる筋合いねえよな」

妹「・・・・・・ううん。そうでもない」

兄「は?(何言っちゃってるのこいつ)」

妹「お兄ちゃん」

兄「うん?」

妹「もう横になって。お昼ごろまた起こしてあげるから」

兄「・・・・・・学校は?」

妹「もう休むって連絡した」

兄「・・・・・・」
122 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/16(金) 22:01:16.23 ID:Y7sNijBKo
兄「・・・・・・何でおまえも俺の部屋について来てるの」

妹「お兄ちゃんは寝ていいよ」

兄「だからどうして」

妹「テレビ見ていい? ボリューム下げておくから」

兄「・・・・・・いいけどよ」

妹「学校休んだ日って、何かNHK教育テレビを見ちゃうんだけど、何でかな」

兄「ああ〜。わかるわかる。ガンコちゃんとかノッポさんとか、さぼった日は必ず見ちゃうよな」

妹「何でだろ?」

兄「民放が主婦向けの番組しかやってねえからだろ」

妹「うん」

兄(何かいろいろ楽になってきた)

兄(二日酔も上下から出したらよくなってきたっぽいし)

兄(こいつが今日、彼氏じゃなくて俺といる方を選んだ。それだけで物凄く幸せを感じる)

妹「お兄ちゃん、寝ないの?」

兄「何か体も心も楽になってきたな」

妹「お昼食べられそう?」

兄「今は無理。その時になんねえとわからない」

妹「うん」
123 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/16(金) 22:03:28.66 ID:Y7sNijBKo
テレビ

『ガーンコちゃーん♪』


妹「ガンコちゃん可愛い」ジ゙ー

兄「・・・・・・おまえさ」

妹「うん?」

兄「昨日、俺のベッドで寝てなかった?」ドキドキ

妹「お兄ちゃんが帰ってきたら謝ろうと思って」

兄「うん」

妹「でも、自分の部屋だとお兄ちゃんが帰ってきても気がつかないかもしれないから」

兄「うん」

妹「お風呂から出て、お兄ちゃんの部屋でテレビ見て起きてようと思ったんだけど、気がついたらお兄ちゃんの部屋で寝ちゃってた」

兄「おまえ、下着しか着てなかったぞ(俺、何言ってるんだ)」

妹「うん。お風呂出て暑かったから」

兄「・・・・・・俺が帰ったのわかった?(もうやめようぜ。わざわざこんな話することはねえだろ)」ドキドキ

妹「・・・・・・お兄ちゃんが帰って来たの知ってたよ。ベッドに入ってきたのも」

兄「!? もしかして起きてた!?(おい)」

妹「・・・・・・うん」

兄「寝たふりしてたのか?(体を撫で回してたの、知ってたのか!?)」

妹「だって」

兄ドキドキ

妹「・・・・・・何か怖かったし恥ずかしかったから」

兄「あ、あの」

兄「そ、その・・・・・・。ああいうのって嫌じゃなかったの?(言っちまった!)」

妹「ちょっと怖かったけど、別に嫌じゃなかった」

兄(な、何だ)

妹「彼氏にはまだ待ってってお願いしてるけど」

兄(・・・・・・)

妹「・・・・・・お兄ちゃんだったから」

兄「・・・・・・わかんねえ」ボソ

妹「お兄ちゃん?」

兄「う、うん」

妹「本当に体調いいの?」

兄「まあ」

妹「治ったんならお昼はファミレス行かない? もう雑炊も飽きたでしょ」

兄「うん・・・・・・」
124 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:04:33.97 ID:Y7sNijBKo
今日はここまで

短くてすいませんが、土日は仕事がないんで多少は長めの投下になると思います

駄文にお付き合い感謝です

では、またお会いしましょう
125 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:09:26.04 ID:lezvi/Fho
乙した
126 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:11:52.16 ID:TINtnF5Lo
処女厨の俺歓喜
127 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:14:56.99 ID:mrC3lKBdo
乙〜
128 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:23:03.45 ID:G1j9NaVko

面白すぎて待つのが辛い
129 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:32:43.10 ID:pMt9L69v0


こんなに面白いSSが毎日更新されるなんて俺は幸せだ
130 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:40:00.63 ID:0XvRqohIO
素晴らしい
131 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:48:09.62 ID:4O0IUi4ko

ここ最近のSSで一番どきどきしながら見てる
132 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:55:40.76 ID:glaFjxkSO
ぼかぁもう!
ぼかぁもう!!
133 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 23:35:20.61 ID:KpA4iasTo
素晴らしい
134 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 23:54:39.42 ID:rzvaOLg7o

毎回楽しみにしてる
135 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 13:21:51.93 ID:NK5i5v4ro
車内


兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・」

兄(今日は迷う様子もなく助手席に座った)

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・」

兄(・・・・・・とりあえず気まずい)チラ

兄(さっき妹が言ってたことを考えると・・・・・・嬉しさとか恥ずかしさとか情けなさとか、そういうのが交じり合った複雑つうか微妙な感情が)


回想

兄「そ、その・・・・・・。ああいうのって嫌じゃなかったの?(言っちまった!)」

妹「ちょっと怖かったけど、別に嫌じゃなかった」

兄(な、何だ)

妹「彼氏にはまだ待ってってお願いしてるけど」

兄(・・・・・・)

妹「・・・・・・お兄ちゃんだったから」

回想終了


兄(う・・・・・・)

兄(さっきの妹のセリフ思い出すと、精神的にも下半身的にもいろいろヤバイ)

兄(とりあえず、妹はベッドで俺に素肌を愛撫されるのは嫌じゃないと)

兄(そういうことだよな)チラ

兄(・・・・・・さっき私服に着替えてたけど、こういう服装のこいつと一緒って何か恥ずかしいというか)

兄(やっぱり可愛いなこいつ)

兄(妹が・・・・・・い、嫌じゃないならまた今夜にも)ゴク

妹「お兄ちゃん」

兄「(!)は、はひ」
136 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 13:22:35.41 ID:NK5i5v4ro
妹「・・・・・・何で今のところ右折したの?」

兄「え」

妹「このまま行くと高速道路に乗っちゃうよ」

兄(いかん。妹のことを考えながら運転してたら、思わず大学方面への高速に入ってしまった)

兄「ごめん、道間違えちゃった」

妹「うん」

兄「次のインターで降りるよ」

妹「・・・・・・この道ってこのまま行くとどこに着くの?」

兄「まあ、湘南とか小田原とかそっち方面だな」

妹「まだお昼には早いよね」

兄「まあ、12時前だしな」

妹「このまま海に行く?」

兄「へ?」

妹「海の方へ向ってるんでしょ」

兄「う、うん」

妹「じゃあ海見に行こうよ」

兄「別にいいけど(これじゃまるでデートみたいじゃんか)」

妹「・・・・・・あたしたちデートしてるみたいだね」」クス

兄(!)ドキ
137 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 13:24:17.32 ID:NK5i5v4ro
゙ルルル


妹「携帯鳴ってるよ」

兄「運転中だし、それメールだから」

妹「妹友ちゃんかな」

兄「え? 何で」

妹「昨日、彼と遊んでた時、妹友ちゃんと会ったんだけど」

兄「うん(普通に彼氏の話もするんだ・・・・・・。よくわかんないけど、彼氏のことはやっぱり好きなんだな」

妹「その時、明日お兄ちゃんにメールして、学園祭の時の待ち合わせ場所決めるって言ってた」

兄「そう」

妹「あと、お兄ちゃんの携帯の番号も教えといたから」

兄「・・・・・・おまえ、俺が妹友ちゃんと学園祭を見て回るの嫌じゃねえの?」

妹「別に嫌じゃない」

兄「そう(わからん。俺のことは男として意識してなくて)」

妹「妹友ちゃん楽しみにしてるから行ってあげて」

兄「うん(兄として好きだということか? でも兄になら体触られても嫌じゃないとか?)」

兄(わかんねえ)

兄「おまえは学園祭で何するの?」

妹「あたしは実行委員だから案内とか見回りとか」

兄「そうか」

妹「・・・・・・」

妹「車の中暖かいから眠くなっちゃうね」

兄「時間かかるから寝てていいよ」

妹「お兄ちゃんに悪いし」

兄「いいよ。少し休んどけ」

妹「うん。じゃあ」コテ

兄「・・・・・・おい(俺の肩に頭載せるなよ! そんなんだから俺が勘違いしちゃうじゃねえか)」

妹「なあに?」

兄「い、いや。何でもない」
138 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 13:26:09.36 ID:NK5i5v4ro
10分後


兄(軽い寝息をたてて妹が寝ている」

兄(しかも俺にもたれかかって)

兄(こいつ軽いな。あと柔らかい)

兄(今日はすっぴんなのにいい匂いもする・・・・・・シャンプーとかかな)

兄(・・・・・・運転中だぞ? 俺)

兄(でも少しだけなら)

兄(嫌じゃないって言ってたし)ダキ

兄(肩を抱いちゃった)ドキドキ

兄(そのまま少し肩とか腕を撫でてみよ)

兄(運転中で、妹の体を見られないのが残念だけど)

兄(その分、手の感触に集中して・・・・・・っていかん。運転に集中しなきゃ)

兄(服の上からでもわかる腕の細さ)サワサワ

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・何やってんだよ俺は。妹が寝ているところばっかり狙ってさ)

兄(何か情けなくなってきた。もうやめよ)

兄(・・・・・・)
139 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 13:27:22.68 ID:NK5i5v4ro
本日は休暇につき短い投下をだらだら続けます。ご了承ください

次は夕方頃に投下します
140 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 13:37:52.87 ID:6k3o9A6Yo
わーい
141 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 14:27:14.56 ID:TyBAmhPIO
悪魔かこの妹は!
142 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 15:08:16.95 ID:0uLUaWETo
運転席と助手席の間ってマニュアルだったらギアがあるし
ATでも小物入れだとか肘掛けがあるような・・・
あ、森三中がCMやってる奴みたいのか
143 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 15:21:47.18 ID:RjOEve0IO
こまけーこたあ、以下略
この中々進展しないモヤモヤ感がクセになりそう
144 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 15:28:32.78 ID:w51SOcF1o
>>142
コラムATなんだろ
145 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 19:20:13.63 ID:NK5i5v4ro
夜 自宅


兄(すっかり遅くなったな・・・・・・夕食まで外食しちゃったからな)

兄(しかし昼飯久しぶりにうまかった。しらす丼とかさすが湘南だ)

兄(妹と一日外で遊んだわけだが)

兄(あいつ、デートみたいとか言ってたけど、全然デートっぽくなかったな)

兄(だいたい妹って普段から俺と世間話しないけど、今日だって・・・・・・)


回想

妹「お兄ちゃん」

兄「うん?」

妹「江の島って行ってみたい。いい?」

兄「別にいいけど。おまえ、何か見たいものとかあるの?」

妹「何となく。一度も行ったことないし」

兄「・・・・・・」

回想終了


兄(とか)



回想

妹「お兄ちゃん」

兄「どうした?」

妹「あそこにシラス丼のお店があるよ」

兄「うん、あるな。あそこで食べる?」

妹「うん」

兄「俺、シラス丼にする」

妹「あたしはお刺身定食にしよ」

兄「おまえ、シラスが食いたかったんじゃねえの」

妹「うん。でも、シラスだけじゃ飽きちゃうし」

兄「ふ〜ん」

回想終了


兄(まあ、家にいるのと同じ感じだったな)

兄(少しははしゃいでたのかもしれないけど、見た目じゃ全然わかんねえもんな)

兄(ここだけ人に話すと陰気な暗い女の子みたいだけど)

兄(学校では普通に明るいみたいだし)

兄(あと、彼氏の前でも・・・・・・)

兄(やめよ。あいつの彼氏のことを考えるのは。何か暗い気持ちになるし)

兄(・・・・・・)
146 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 19:24:02.26 ID:NK5i5v4ro
ガチャ


妹「お兄ちゃん」

兄「何?」

妹「お風呂空いた」

兄「うん。わかった」

妹「お兄ちゃん?」

兄「何?」

妹「メール返信したの?」

兄「あ。見てもいなかった。やべ」

妹「とりあえず妹友ちゃんに返事してあげたら?」

兄「うん。風呂はその後に入るわ]

妹「うん・・・・・・お兄ちゃん?」

兄「今度は何?」

妹「お兄ちゃんの部屋でテレビ見てていい?」

兄「え・・・・・・。別にいいけど(今度は何なんだ)」

妹「うん」ポス

兄(また、俺のベッドに座った)

兄(え? 俺、こいつの前で妹友ちゃんのメール見て返事打たなきゃいけねえの?)

妹「・・・・・・メール見ないの?」

兄「うるせえな。今見るよ」


from :妹友
sub  :学園祭(ハートの絵文字)
『こんにちは〜。今週末の学祭のこと覚えてますか。来てくれるって行ってましたよね?お兄さんが来るのを楽しみにしてるんですよ〜 あたしはは実行委員だけど当日は役目がないのでずっとお兄さんを案内しますね。10時ごろ、校門の前で待ち合わせしてもいいですか メールしてね(はあと)』


兄(これで俺に気がなかったら詐欺レベルのメールだな)

兄「おまえも見る?」

妹「いい。お兄ちゃんに来たメールだし中身だいたいわかるし」

兄「そう」カチカチ


from :兄
sub  :RE学園祭(ハートの絵文字)
『こんにちは。返事遅れてごめんね。10時に校門の前りょーかいです。俺も楽しみだよ。じゃ、また〜』


兄(少しそっけなかったかな。でも、別に付き合ってるわけじゃねえしな)

兄(しかし。さすがに下着だけじゃないけど、妹め足むき出しじゃんか)

兄「おい」

妹「うん」

兄「その格好じゃ風邪ひくよ」

妹「お風呂上りで暑いから。もう少ししたら上着る」

兄「そう(こいつ俺のこと誘ってるのか)」

兄「(いや、そんな訳ないけど)風呂入ってくるわ」

妹「うん」
147 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 19:24:33.22 ID:NK5i5v4ro
風呂上り


ガチャ

兄(・・・・・・まだテレビ見てるし、スウェットも着てねえ)

兄(しかもバラエティ番組なのに笑ってもいねえし)

兄「なあ」

妹「うん。あ、お兄ちゃんお風呂スイッチ切ってきた?」

兄「切ったよ。おまえ、まだ寝ないの?」

妹「もうすぐ寝る」

兄「そうか」

妹「今日もここで寝るから」

兄「そうか・・・・・・って、はい?」

妹「お母さんたちいないし」

兄「母さんたちいる時だって一人で自分部屋で寝てるじゃん」

妹「でも、昨日もおにいちゃんの部屋で寝たし」

兄「あのさ」

妹「うん」

兄「俺だって男だし。妹とはいえおまえだって可愛い女の子なんだしさ」

妹「え?」

兄「また昨日みたいなことしちゃうかもしれないぞ」

妹「・・・・・・もう一回言って」

兄「へ? だ、だからおまえの体を」

妹「そこじゃない。あたしだって、ってとこ」

兄「(う。恥ずかしいこと言ってしまった)か、可愛い女の子だし・・・・・・」

妹「・・・・・・」

兄「え〜と(こいつ顔が赤い。でもきっと俺も)」

妹「お兄ちゃんにならいいよ」

兄「・・・・・・いいの?」ドキドキ

妹「昨日も言ったじゃん。嫌じゃなかったって」

兄「あ、そうだった。って、本当にいいのか」

妹「お兄ちゃんがしたいなら」

兄「・・・・・・」
148 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 19:25:29.90 ID:NK5i5v4ro
妹「・・・・・・結局スウェット着てなくてよかったね」

兄「そういう問題じゃ(こいつベッドにうつ伏せになった)」

妹「ちょっと寒いからエアコンの温度上げて」

兄「うん」ピ

妹「・・・・・・最後まではダメだよ? 触るだけね」

兄「わかってる(やべえ。緊張してきた、と同時に興奮もしてきた)」

兄(妹の横に横たわろう)

妹「ちょっと狭いね、ベッド」

兄「シングルだからな。なあ?」

妹「何?」

兄「やっぱり怖い?」

妹「昨日ほど怖くない」

兄「そう・・・・・・」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」

妹「テレビ消して」

兄「うん」ピ

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・何もしないの?」

兄(やめるなら今だ。思い留まる最後のチャンスだ)

兄(でも、セックスするわけじゃないし。ペッティングするくらいなら」

妹「・・・・・・」チュ

兄(!!!!!え、え? 妹が俺に抱きついてキスした!)

妹「・・・・・・嫌だった?」

兄「い、嫌じゃねえよ」ボソ

妹「そう」

兄ムラムラ

兄「妹!」ガバ
149 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 19:26:34.29 ID:NK5i5v4ro
中途半端に3レス投下

また、後で投下します。できれば学園祭序盤までは投下したい
150 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 20:02:24.07 ID:2ltiCFKgo
舞ってる
151 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/17(土) 21:53:45.40 ID:8XnA0zpAO
じらすのうまいな。絶妙なタイミングだわ
152 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 22:49:11.72 ID:eAmeOuwGo
三時間舞ってやる
153 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:00:51.07 ID:NK5i5v4ro
>>152
お待たせしました
154 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 23:03:15.01 ID:NK5i5v4ro
日曜日


兄(待ち合わせの時間より1時間も早く着いちゃった)

兄(何となく妹友ちゃんなら早く来てそうだと思ったんだけど)

兄(・・・・・・よく考えれば校内にいるのに、校門に1時間前に来るわけねえじゃん)

兄(暇だ)

兄(しかし賑やかだな。俺の高校の文化祭とえらく違うな)

兄(女の子がいっぱいいる・・・・・・)

兄(妹もこの中のどこかにいるんだな。今日、起きたらもういなかったし)

兄(あんなことしたのが嘘のように、その後の妹はそっけなかったな・・・・・・)

兄(あの夜以来ほとんど話しかけてこないし、俺の部屋に来ることもなくなった)

兄(今までと同じ無関心状態に戻ってしまった)

兄(あいつ。怒ってるのか? それとも後悔してるのかな)
155 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 23:03:43.14 ID:NK5i5v4ro
回想

兄ハァハァ

妹「・・・・・・」

兄ナデナデモミモミ

妹「・・・・・・」

兄(やっぱり綺麗な体してるな、こいつ)ハァハァ

兄(口をつけたら怒られるかな)

兄(よし)チュ

妹「・・・・・・」

兄(拒否されなかった。妹の肌、甘いな)レロレロ

妹「・・・・・・」

兄レロレロカミカミ

妹「・・・・・・あ」ハァハァ

兄(え?)チュチュチュ

妹「・・・・・・あ、あん」

兄(ひょっとして俺、妹を感じさせてる?)

妹「・・・・・・はぁ、はぁ」

兄(息遣いが荒くなってきて、体をよじるように動かすようになった)

兄(もう我慢できん。いっそこのまま)ガバ

妹「きゃ」

兄「妹、妹!」

妹「・・・・・・だめ」グイ

兄「え?」

妹「もうおしまい」

兄「だ、だって」

妹「・・・・・・明日も学校だからもう寝よ」

兄(嘘だろ・・・・・・俺のこいつはどうすればいいの)

妹「おやすみ、お兄ちゃん」チュ

兄「(マジかよ)おやすみ・・・・・・」

妹「電気消しておいてね」

兄「・・・・・・ああ」

兄(・・・・・・このままじゃ眠れねえ。妹が寝たらトイレ行くか)

兄(・・・・・・)

回想終了
156 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 23:04:43.04 ID:NK5i5v4ro
兄(ということがあった訳だが)

兄(堂々と妹の体に触れたし、妹の可愛い反応も見られた)

兄(・・・・・・なのに妹とまた口も聞かない関係になってしまったとか、いったい何がいけなかったんだろ)

兄(妹はどういつうつもりで俺に体を弄られてたのかな)

兄(気持ちいいから? 確かに俺にはテクはないが、あの日は妹も感じてたみたいだったし)

兄(彼氏がいるのにな。それじゃ単なるビッチだけど)

兄(まあ、あと。最大の問題は、あいつはキスはしてくれたけどそれ以外はマグロ状態だったんだよな)

兄(別に高2の妹に変な期待してたわけじゃないけどさ)

兄(あれじゃ俺のムラムラは解消しない訳で)

兄(妹が手とか口とかで・・・・・・)


妄想

妹(お兄ちゃんもそのままじゃ辛いでしょ?)ニコ

妹(処女は彼氏以外の男の人にはあげられないけど)

妹(口でしてあげようか?)ウワメヅカイ

妹(・・・・・・ほら、お兄ちゃんもパンツ脱いで)

妄想終了


兄(んなわけあるか。何期待してたんだ、俺)



?「お兄さん?」

兄(え)

?「びっくりした・・・・・・早く来てお兄さんを待ってようとしたら、お兄さんもう来てるんだもん」

兄「ああ、妹友ちゃん。こんにちは(あ、妹友ちゃん今日も可愛い)」ドキ

妹友「こんにちは。どうしたんですか? まだ待ち合わせ時間まで30分以上ありますよ」

兄「ちょっと早く着いちゃってね。妹友ちゃんを待ってたとこ」

妹友「え? もっと前から来てたんですか」

兄「あ、まあね。あはは」

妹友「・・・・・・電話して呼んでくれればよかったのに」

兄「あ、いや。実行委員の仕事で忙しいだろうし」

妹友「あたしは今日はあまり仕事ないんですよ」

兄「ああ、そう書いてあったね」

妹友「・・・・・・でも、嬉しい。早く来て待っててくれるなんて」

兄「はははは」

妹友「じゃあ、行きましょう」

兄「うん。よろしく」

妹友「・・・・・・人混みだらけだから、はぐれちゃうといけないですよね」ギュ

兄「(え? 手つなぐの??)う、うん」

妹友「まだ、お昼には早いですけど、午前中には確実に売り切れちゃうケーキを買いに行きましょう。調理部の店なんですけど、毎年すぐになくなっちゃうんです」

兄「へえ」

妹友「楽しみにしてたんで付き合ってくださいね」ニコ

兄「いいよ」
157 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 23:05:40.96 ID:NK5i5v4ro
妹友「お兄さん、うちらの学校の中に入るの初めてですか」

兄「うん。校門までしか来たことないよ」

妹友「そうですか。お兄さんってうちらのOBじゃないんですね、残念」

兄「残念って・・・・・・何で?」

妹友「いえ。別に深い意味はないんですけど。どこかでお兄さんと縁があった方が嬉しいじゃないですか?」

兄「え? あははは(何これ。本気で俺に気があるの?)」

妹友「お兄さんってどこの高校なんですか」

兄「××学園」

妹友「ええ! そこって私立の男子校じゃないですかあ」

兄「うん」

妹友「××ってあの固い学校ですよね? 何か意外〜。もっと遊んでたイメージだったのに」

兄「・・・・・・がっかりした?」

妹友「いえ。お兄さんの大学はお洒落な人が多いので有名なところですし。格好いいですから別に」

兄「(え? え?)格好よくなんかないよ、俺」

妹友「そんなことはないですよ。でも、××ってことは中学受験したんですよね」

兄「まあ一応」

妹友「頭もいいんですね。すごいなあ」

兄「いや。俺の学校は入るのそんなに難しくないし」

妹友「あたし、お兄さんの大学に入りたいんですね。ちょっとまだ偏差値的にはチャレンジなんですけど」

兄「ああ。妹友ちゃんまだ2年じゃん。偏差値なんてこれから伸びるよ」

妹友「あたしが現役で合格すればお兄さんはその時4年じゃないですか」

兄「まあね」

妹友「一年間一緒に大学で過ごせますね」

兄「そうなるけど」

妹友「妹ちゃんと一緒に頑張ります!」

兄「はい? 妹って・・・・・・そういやあいつは志望校決めてるのかなあ」

妹友「はぁ? 何言ってるんですか」

兄「え」

妹友「去年、ここに入学した頃から妹ちゃんの目標はお兄さんと同じ大学ですよ」

兄「そうなの?(知らなかった・・・・・・)」

妹友「妹ちゃんもあたしと同じくらいの成績だから、このままじゃ厳しいですけどね。でも、二人で頑張ります」

兄「(俺と同じ大学? 何でだろ)ま、まあ。頑張ってよ。まだ1年以上あるしさ」

妹友「はい! あ、でもそれで・・・・・・」

兄「うん」

妹友「・・・・・・最近、妹ちゃんと先輩、揉めたんですけどね」
158 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 23:07:24.55 ID:NK5i5v4ro
兄「妹と? いったい何で」

妹友「先輩は別な大学志望なんですけど、妹ちゃんにも一緒の大学に行こうって」

兄「はあ?」

妹友「でも、妹ちゃんはお兄ちゃんと同じ大学に行くって決めてるからって断わったみたいで」

兄「・・・・・・」

妹友「それで少し険悪になっちゃったんですけど」

兄「そう・・・・・・(妹の彼氏って何様だよ。妹の進学先まで指図するって、いったいどういつもりだ)」ムカムカ

妹友「・・・・・・まあ、結局仲直りしてるんですから。あの二人の仲は心配するだけ無駄なんですけどね」クス

兄「・・・・・・」

妹友「今日もべったりと一緒にくっついていますよ、妹ちゃんと先輩」クスクス

兄「・・・・・・」ムカ

妹友「・・・・・・どうしました? 何か怖い顔してる」

兄「いや。そんなことないよ、ごめん」

妹友「・・・・・・」

兄「(話変えよう)あ、それでさ」

妹友「・・・・・・はい」

兄「妹友ちゃんはそういうことないの?」

妹友「はい?」

兄「うちの大学志望って言ってたけどさ、彼氏に同じ大学においでとか言われない?」

妹友「・・・・・・彼氏なんていないし」

兄「あ、そうなの」

妹友「そうですよ。いたらお兄さんと二人きりで校内を案内したりしません」

兄「(やばい。ちょっと怒らせたかな)そ、そうだよね。でも、妹友ちゃん可愛いのに意外」

妹友「え? 可愛いってそんな」カァ

兄「(あ、赤くなった)妹友ちゃん、絶対学校でもてるでしょ」

妹友「そんなことないと思いますけど・・・・・・それは、手紙もらったり呼び出されて告白されたりはよくありますけど」

兄「(よくあるのかよ、そういうのをもてるって言うんだよ。リア充死ね)へえ、そうなんだ。何かラノベとかアニメみたい。うらやましいなあ」

妹友「そんなにいいものじゃないですよ。断わったら断わったで逆恨みされたこともありましたし」

兄「何それ? 女々しいやつだな」

妹友「本当にそうですよね。でも、その時は怖くて」

兄「そうだろうね」

妹友「でも、妹ちゃんがその男の子に注意してくれて。それで助かったこともありました。1年生の時ですけどね」

兄「そうなんだ(・・・・・・妹がそんなことをしてたなんて。俺が知らない妹の姿って、実はいっぱいあるんだな)」
159 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 23:08:01.12 ID:NK5i5v4ro
妹友「あたし、同い年の男の子って興味ないんです」

兄「はあ」

妹友「昔から年上の人が好きで・・・・・・」チラ

兄「ふ〜ん。じゃあ先輩みたいな人がいいってこと?」

妹友「妹ちゃんの彼氏には興味ありません」キッパリ

兄「そ、そう(おお! いいこと言うね妹ちゃん。あんなクズに惹かれている妹の方が感覚がおかしい)」

妹友「・・・・・・お兄さんは彼女作らないんですか?」

兄「そんなことはないけど。できないものは仕方ない」

妹友「本気で彼女作ろうとしてないでしょ」

兄「そんなことはないよ。もてないだけで」

妹友「・・・・・・まあ、身近にいるのが妹ちゃんじゃ彼女を選ぶ基準が高くなっちゃうのはわかりますけどね」

兄「何言ってるの。妹友ちゃんみたいに可愛い子がそういうこと言うと皮肉に聞こえるよ」

妹友「・・・・・・え?」

兄「俺、何か変なこと言った?」

妹友「あの・・・・・・あたし、本当に可愛いですか」

兄「うん、すげえ可愛いと思う」

妹友「・・・・・・お兄さん、やっぱりもてるでしょ」

兄「だからもてないって(何なんだ)」

妹友「・・・・・・」
160 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/17(土) 23:09:12.37 ID:NK5i5v4ro
妹友「あ、お兄さん。ケーキのお店はここです」

兄「うん(教室で喫茶店出してるんだ)」

妹友「・・・・・・結構並んでますね」

兄「そうだね」

妹友「並んでもらってもいいですか?」

兄「もちろん。その美味しいケーキ楽しみだよ(やっぱ気が遣える女の子だよね、妹友ちゃんて)」

妹友「・・・・・・やっぱりお兄さんって優しいですね」

兄「何でさ」

妹友「妹ちゃんから聞いてますもん。お兄ちゃんは甘いものとか苦手だって」

兄「あ、いやその」


女子生徒「あ、妹友ちゃん。ここにいたんだ」

妹友「うん。調理部のケーキ売る切れる前に買おうかと思って」

女子生徒「・・・・・・もしかして彼氏?」ヒソ

妹友「ち、違うよ」ヒソ

女子生徒「照れちゃって〜。彼、大学生?」

妹友「だ、だから彼氏じゃないって」

女子生徒「大学生の彼氏がいたんだ。うちの学校の男子がいくら告っても無駄なわけだ」

兄(全部聞こえてるんですけど)

妹友「ちょっと、あんたいい加減に」

女子生徒「はいはい。言い訳しない」

妹友「違うって。この人は妹ちゃんのお兄さんだって」

女子生徒「・・・・・・え?」

妹友「やっと理解してくれたか」

女子生徒「この人がうわさの妹ちゃんのお兄さん?」

妹友「え?」

兄(うわさって何だよ)

女子生徒「何かごめん。あ、あたしもう行くね」

妹友「うん・・・・・・」

女子生徒「あのさ」ヒソヒソ

兄(もっと声を低くしやがった。何言ってるのか聞こえん)

女子生徒(この店の中に・・・・・・だから・・・・・・妹ちゃん)ヒソヒソ

兄(何話してるんだろ)

女子生徒(・・・・・・彼氏先輩もいるし・・・・・・やばいって)

兄(まあいいや。どうせ俺には関係ないし)

兄(・・・・・・)
161 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:10:41.91 ID:NK5i5v4ro
また明日投下予定です(多分明日も今日みたいに不規則投下になると思います)

お付き合いいただいてありがとうございました

おやすみなさい
162 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:13:07.75 ID:47qrq7Q80


楽しみにしてます
163 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:13:58.03 ID:TyBAmhPIO
焦ら焦ら焦ら
164 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:17:14.11 ID:idVYEQIso
165 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:17:17.74 ID:3XzhpTG2o
乙〜
166 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:27:34.89 ID:Lw4noUD9o
お疲れお休みー
167 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:47:18.03 ID:g0G1GZYSO
修羅場くるか

ああ明日が待てん…
168 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 23:55:09.46 ID:eAmeOuwGo
三時間も舞ってたかいがあった乙
169 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 00:15:16.53 ID:p48A4pZEo
舞つわ
170 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 19:35:25.17 ID:zJO2e2sZo
妹友「お兄さん、予定変更しましょう」

兄「はあ」

妹友「今、この店の中に妹ちゃんと彼氏先輩がいるみたいです」

兄「そう(べったりくっついてるというわけだ)」

妹友「なので、今お兄さんが店内に入るのは危険です」

兄「・・・・・・何で?」

妹友「何でって・・・・・・。彼氏先輩は妹ちゃんのこと、本当に好きなんですよ」

兄「それはわかったけどさ」

妹友「いいですか。先輩にとって学校だけは唯一安心できる場所なんです」

兄「?」

妹友「校内ではライバルはいないですからね」

兄「はあ」

妹友「好きなだけ妹ちゃんを独占できるというわけです。妹ちゃんも先輩のこと嫌いなわけじゃないですし」

兄「それはそうでしょ。付き合ってるんだから」

妹友「でも、その先輩の聖域にお兄さんが現れたらどうなるかわかりますよね?」

兄「どうなるの?」

妹友「妹ちゃんは、彼氏に興味を失ってお兄さんにべったりくっつくに決まってるじゃないですか」

兄「え?」

妹友「え? じゃないですよ。先輩、気性が荒いからお兄さんに喧嘩を吹っかけるくらいのことはしますよ」

兄(何がなんだかわからねえ)

妹友「・・・・・・それに。あたしだって、今日は妹ちゃんにお兄さんを盗られるのは困ります」

兄「・・・・・・あのさ」

妹友「はい」

兄「あいつが彼氏を放っておいて俺のところに来るわけないじゃん」

妹友「何でですか?」

兄「何でって・・・・・・。高校生にもなれば家族より恋人のほうを優先するに決まってるじゃん」

妹友「本当にそう思います?」

兄「え・・・・・・」ドキドキ
171 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 19:35:57.00 ID:zJO2e2sZo
兄「妹友ちゃん、ここのケーキ食べるの楽しみにしてたんでしょ?」

妹友「そうですけど・・・・・・。お兄さんには代えられません」

兄「そ、それって・・・・・・」

妹友「あたし、お兄さんのことが好きですから」

兄(え)

妹友「妹ちゃんにお兄さんを独占されちゃうのも嫌だし、お兄さんが先輩に殴られるのも嫌です」

兄「(今、俺のこと好きって言ったよな?)い、一応、俺だって大学生だし。そう簡単に高校生には負けないと思うけど」

妹友「先輩は空手部のキャプテンで過去に全国大会出場経験があります」

兄「う」

妹友「空手と言っても型じゃないですよ?」

兄「わかったよ。確かに俺じゃ勝てないかもしれないけど」

妹友「先輩より強い人は校内ではいません」

兄「だからそいつが強いのはわかったって。だけどさ、妹が俺にベタベタしなけりゃ、そいつが怒り出すことなんてない訳だし」

兄「しつこいようだけど、妹が彼氏を放っておくとは思えねえんだけど」

妹友「・・・・・・こないだ」

兄「うん?」

妹友「お昼の食堂で・・・・・・」

兄「はあ」

妹友「妹ちゃん、彼氏が目の前に座ってるのに、延々とあたしにお兄さんと江の島にドライブに行った話を目を輝かせてしてました」

兄「!」

妹友「妹ちゃん、お兄さんのことばかり話すんですけど、前は悪口が多かったんですね。それでも先輩は嫉妬してたのに」

兄「・・・・・・」

妹友「・・・・・・最近は、惚気に近いことばっか話してるし。正直、いつもあれを聞かされている先輩も気の毒な気がします」

兄「そうなんだ(何だ? 俺のことはあの夜以降避けてるくせに。学校じゃそんな話してるのかよ)」

妹友「まあ、先輩も妹ちゃんに甘いから、むっとして喧嘩しても次の日には謝って仲直りするんですけどね」

兄「そうか・・・・・・」

妹友「最近、妹ちゃんと何かあったんっですか?」

兄「何もないです・・・・・・ないはず」

妹友「はあ? あ、そうだ!」
172 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 20:06:52.82 ID:zJO2e2sZo
妹友「いいことを思いつきました。こうしましょう、お兄さん」

兄「いいことって何?」

妹友「調理部のお店って、この教室の3分の2くらいが客席になってるんですけど」

兄「うん」

妹友「残りのスペースはカーテンで仕切って客席からは見えないようになってます」

兄「そこが調理場つうかスタッフ控え室みたいになってるのか」

妹友「そのとおりです。あたし、調理部に友だちがいるんでそこに入らせてもらうように頼んでみますね」

兄「そこで妹たちに見つからないようにケーキを食べるというわけか」

妹友「まあ、そうなんですけど」

兄「・・・・・・いくら妹の彼氏が乱暴者だってそこまでこそこそするのは気が進まないなあ」

妹友「でも、カーテンの奥から妹ちゃんと先輩の様子が窺えますよ。お兄さんだって少しは妹ちゃんたちッが普段どんな感じが気になるんじゃないですか?」

兄「(う・・・・・・確かに気になる)じゃ、そうしようか」

妹友「はい。じゃ、ちょっとここで待っていてください」

兄「わかった」
173 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 20:07:48.43 ID:zJO2e2sZo
5分後


妹友「OKです。話しはつけてきました。行きましょう」

兄「(何か妹友ちゃん、楽しそうだな。スパイごっこしてるわけじゃねえぞ)う、うん」

妹友「お兄さん、そこの入り口は違います。そこだと客席に入っちゃいますから」

兄「悪い」

妹友「そっちのドアから入りましょう。その先はスタッフの控え室兼準備室で、客席からは見られないですから」

兄「わかった」


カーテンのそば


妹友「少し声を潜めてくださいね。妹ちゃんはこのカーテンのすぐ隣に先輩と一緒に座ってますから」

兄「お、おう」

妹友「あと、これ。名物のケーキとコーヒーです」

兄「ありがと」

妹友「そこにカーテンの継ぎ目があるでしょ? そこを少しだけそうっと開いてみてください」

兄「うん・・・・・・これか」ファサ

兄(げ。こいつらこんな近くに座ってたのか。姿も丸見えだし声もよく聞こえる)
174 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 20:10:17.74 ID:zJO2e2sZo
彼氏先輩「おまえさ」

妹「うん」

彼氏先輩「今日の夜はどうすんの」

妹「先輩とキャンプファイヤのとこでフォークダンス踊ろうかと思ってたんだけど、ダメ?」

彼氏先輩「いや。ダメじゃないけど。明日は今日の振り替えで休みなんだし、フォークダンスなんてやめてゲーセンかカラオケでも行かねえ?」

妹「みんな来ないよ、そんなの。せっかくの後夜祭なのに」

彼氏先輩「二人だけでいいじゃん。今週は全然付き合ってくれねえし、おまえ」

妹「だから言ったでしょ。今週は両親が家にいないから」

彼氏先輩「いないならむしろチャンスじゃんか。つうかおまえだって前はそう言ってたろ? 親がいないと夜出かけやすいって」

妹「お兄ちゃんがいるからね」

彼氏先輩「また、お兄ちゃんかよ。おまえの兄貴って大学生になっても妹が家にいなけりゃ飯も食えねえの? クズだな」


兄(な、こいつ。言いたい放題言いやがって。ふつうは彼女の家族とかにもう少し気を遣うだろ。おまえがクズじゃんか)ムカムカ
175 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 20:10:49.20 ID:zJO2e2sZo
妹「お兄ちゃんの悪口はやめて」

彼氏先輩「だって、本当のことじゃんか。いい年して妹妹って、どうせ彼女もいねえ童貞なんだろ」

妹「あたしのお兄ちゃんのこと、これ以上悪く言ったら許さない」キッ

彼氏先輩「な、何だよ」

妹「先輩とは別れる」

彼氏先輩「おい。冗談だって。もう言わねえよ」

妹「・・・・・・」

彼氏先輩「本当に軽いジョークだったんだよ、ジョーク。おまえの兄貴のこと悪く言ったことは謝るからよ」

妹「・・・・・・本当?」

彼氏先輩「うん。本当だよ。だから別れるとか言うなよ」

妹「反省したのなら許してあげるけど」

彼氏先輩「全く何だって言うんだよ、ブラコンにも程があるだろ」ブツブツ

妹「何か言った?」ニラミ

彼氏先輩「何にも言ってないよ。わかった、じゃあ今日はフォークダンスで一緒に踊ろうぜ」

妹「・・・・・・うん。いいよ」

彼氏先輩「じゃ、仲直りな。こっちのケーキもちょっと食ってみる?」

妹「うん。食べたい」

彼氏先輩「じゃ、あ〜んして」

妹「うん」

妹パク


兄(あ・・・・・・)


妹「こっちも美味しいね」

彼氏先輩「よかったらもっと食っていいよ」

妹「先輩は食べないの?」

彼氏先輩「おまえが喜んでくれるならケーキなんて食えなくても全然OKだぜ」

妹「・・・・・・そう」

彼氏先輩「妹・・・・・・」チュ

妹「先輩」チュ


兄(・・・・・・!!)
176 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 20:28:28.48 ID:zJO2e2sZo
?「妹ちゃ〜ん。ここにいたの」

妹「ああ、実行委員長ちゃん」

実行委員長「何だ? また、彼氏と一緒か」フフ

彼氏先輩「・・・・・・委員長さ。マジ邪魔なんだけど」

実行委員長「こら。仮にも女の子に向かって邪魔とか言うな」

彼氏先輩「せっかく妹と二人きりなのによ」

実行委員長「あのね。妹ちゃんは本当だったら来客整理誘導係で、校門の前に立ってなきゃいけないのよ」

彼氏先輩「わかってるよ」

実行委員長「それを、あんたに『妹と一緒に学祭を回りたいよ〜』って頼まれたから、妹ちゃんをフリーにしてあげたんでしょうが」

妹「ごめんね委員長ちゃん」

実行委員長「いいのよ。あたしはただこいつの言い草が気に障っただけで」

彼氏先輩「だからわかってるって。悪かったよ」

彼氏先輩「ちぇ。今日は何かしらねえけど女に謝ってばっかりだぜ」ブツブツ

妹・実行委員長「・・・・・何か言った?」ジロ

彼氏先輩「言ってねえよ!」

実行委員長「二人のとこ邪魔してごめんね? 妹ちゃん」

妹「別にいいよ」

実行委員長「そういえば妹ちゃんこんなクズと一緒にいていいの?」

彼氏先輩「クズとは何だクズとは」

実行委員長ムシ「今日は妹ちゃんの大好きなお兄ちゃんは来てくれないの?」

彼氏先輩「!!(こいつ、余計なこと言いやがって)」

妹「・・・・・・来てると思うよ」

彼氏先輩「え」

実行委員長「せっかく大切なお兄さんが来てるのに、案内とかしないの?」

妹「・・・・・・うん。妹友ちゃんが案内してくれるって言ってたから」

実行委員長「・・・・・・あんた、それでいいの? いつもは少しでもお兄ちゃんと一緒にいたいオーラを出してるのに」

彼氏先輩「・・・・・・おまえ、余計なこと言うな」

実行委員長「あんたこそ女同士の会話に口出しするな! クズ」

彼氏先輩「・・・・・・くそ」

妹「お兄ちゃんには会いたいけど、妹友ちゃんの邪魔は出来ないし」

実行委員長「え? 何何。妹友ちゃんって妹ちゃんのお兄さんのこと好きなの?」

妹「多分、そうじゃないかな。あ、妹友ちゃんにはこの話は内緒だよ」

実行委員長「わかってるけど」

彼氏先輩「ふ、ふふ。うふふふ。妹の兄貴に彼女が出来そうとか。何て素晴らしい展開なんだ」

実行委員長「だから。あんたは少し黙ってろ」

妹「・・・・・・」
177 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:29:38.37 ID:zJO2e2sZo
ちょっと休憩

書き溜め尽きたので、今後は書きながらの更新になります

今日はまた後で少し投下します

では。
178 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:30:53.75 ID:L5DTq9pKo
179 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:35:15.88 ID:J+6VZpgjo
乙〜
180 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:37:13.55 ID:BW2rqOf5o
181 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:37:49.40 ID:B2iRVEsIO
あぁー!!! じらじらする!!!
乙!
182 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:52:37.41 ID:j2/MNBsV0


彼氏、小物臭がプンプンするぜぇ〜
183 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:17:44.59 ID:syTvFtvDO
妹はクソビッチ
184 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:22:35.30 ID:VE3NJIiSO


彼氏にちょっと同情してまう
185 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:33:12.23 ID:Eow+MpHYo
これは妹が悪い
186 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:34:21.97 ID:OPKy17G3o


妹がなに考えてんのかさっぱりわからん
187 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 21:43:00.39 ID:zJO2e2sZo
兄(妹と彼氏がキス・・・・・・・。ま、まあ。付き合ってるんだから当然で、ショックを受ける方がおかしいけど)

兄(目の前で見たくはなかったな・・・・・・)

兄(目をつぶってキスを受け入れる妹の顔、可愛かったけど。その可愛らしい表情は俺に向けられたんじゃないんだよな)

兄(あ、あたりまえだろ。実の妹に嫉妬してどうするんだよ、俺)

兄(しかし)

兄(実行委員長とかって子も話してたけど、妹が俺の話ばかりするっていう妹友ちゃんの情報は正しいのか)

兄(ふつうに俺の話をしてたし。妹が俺に会いたいって。今週ずっと俺のこと避けてたくせに)

兄(・・・・・・恋愛対象じゃねえけど、兄としては大好きってこと? それも体を兄貴に触らせてもいいくらいに)

兄(いきなり情報量が多すぎて、頭の中が整理できないな。妹友ちゃんが俺を好きっていうのも)

兄(正直、本当なら嬉しいけど)

兄(・・・・・・妹友ちゃんがここにいなくてよかった)

兄(つうか、妹友ちゃんは俺が好きなのは確定だろ)

兄(どうしよう)
188 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 21:44:23.99 ID:zJO2e2sZo
実行委員長「ふう、朝からトラブルだらけで疲れちゃった」ドス

彼氏先輩「だから、何でおまえが一緒のテーブルに座るんだよ」

妹「いいじゃん。委員長ちゃんだって今日は大変なんだから」

実行委員長「ありがと、妹ちゃん」

彼氏先輩「せっかく二人きりでイチャイチャしてたのに」

実行委員長「こんなクズのことはどうでもいいけど、妹ちゃんがこいつと二人きりでいたいならあたしは消えるよ?」

妹「別にいいよ。一緒に話そうよ」

彼氏先輩「・・・・・・」ケッ

実行委員長ジロ

彼氏先輩「・・・・・・」

実行委員長「今日はマジで疲れたわ。揉め事ばっかでさ」

妹「委員長ちゃん、おつかれ」

実行委員長「あ〜あ。妹ちゃん、何か癒される話とかない?」

妹「・・・・・・突然言われても」

実行委員長「妹ちゃんのお兄ちゃんの新ネタとかないの?」

妹「え?」

彼氏先輩「・・・・・・おい。俺への嫌がらせかよ」

実行委員長「別に家族のほのぼのエピソードなんだからいいじゃん。彼女の妹に嫉妬するあんたが異常なんでしょ」

彼氏先輩「・・・・・・」

実行委員長「みんなは妹ちゃんがお兄さんの話をすると、妹ちゃんのことブラコンとかってからかうけどさ」

妹「・・・・・・うん」

彼氏先輩「・・・・・・」

実行委員長「あたしはね、妹ちゃんが話してくれるお兄さんのエピソードって結構好きだな」

妹「え」

実行委員長「何かさ、話聞いていると胸が温かくなるっていうか。妹ちゃんとお兄さんって本当に仲良くてほのぼのしててさ」

彼氏先輩ムカムカ

妹「・・・・・・ありがと委員長ちゃん。あたしのお兄ちゃんの話って、みんなにうざがられてると思ってた」

実行委員長「ははは。そんなことないよ。みんなからかいながらも、楽しんで聞いてると思うよ」

妹「そか」

実行委員長「まあ、彼女の実の兄貴にマジで嫉妬するバカを除いてね」

彼氏先輩「・・・・・・」ムカムカ

実行委員長「しかし妹ちゃんも大物だよね。うざがられてると思っていてもお兄さんの話ばっかしてるなんて」

妹「・・・・・・あたし、お兄ちゃんのこと好きだから」



兄(!!!!!!!!!!!! え?)



実行委員長「何か最近のエピソードないの? お兄ちゃんとラブラブのやつとかさ」

妹「う〜ん。ラブラブじゃないかもだけど」
189 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 21:46:22.34 ID:zJO2e2sZo
実行委員長「うんうん」

妹「あたしってお料理下手なんだけど」

実行委員長「あ〜」

彼氏先輩「そんなことねえよ。おまえの料理は最高だぜ」

実行委員長「あんた食べたことあるの? つうかむしろ口閉じてろ」

彼氏先輩「・・・・・・」

妹「でね。この前お兄ちゃんが風邪を引いて、大学休んだんだけど」

実行委員長「うん。それでそれで」

妹「でね、お兄ちゃんに雑炊作ったんだけど」

実行委員長「おお、まめだねえ。お兄ちゃんのいいお嫁さんになれるね」

妹「な、何言ってるの」カァ

彼氏先輩ケッ

実行委員長「だから、あんたは黙ってろって。お兄さん、食べてくれた?」

妹「味見したんだけど、胡椒だらけで辛くて」

実行委員長「・・・・・・(胡椒って、病人に?)」

妹「3食分くらい作って学校に行ったんだけど、帰ったらお鍋が空になってて」

実行委員長「お兄さん、その辛い雑炊全部食べたってわけね」

妹「・・・・・・うん。きっと不味かったと思うけど、あたしが作った雑炊なら食べてくれるんだと思って嬉しくて」

実行委員長「・・・・・・うん。きっと妹ちゃんの気持ちが通じたんだよ」

妹「あたしもそう思って、何か嬉しいというか恥ずかしいというか。しばらくお兄ちゃんの顔を見られなかったの」

実行委員長「妹ちゃんって本当に可愛いよね。お兄さんもいい妹を持ったよね」

妹「違うよ。あたしがいいお兄ちゃんを持ったんだよ」

実行委員長「そうかそうか」クス


兄(何と言えばいいか・・・・・・)

兄(すごく興奮して嬉しい反面)

兄(・・・・・・こんな話を目の前で聞かされる彼氏が気の毒な気もしてきた)

兄(それに、あの雑炊一口だけ食って捨てちゃったんだよな)

兄(・・・・・・・)
190 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/18(日) 21:48:49.84 ID:zJO2e2sZo
妹友「お兄さん、お待たせしました」

兄「あ、妹友ちゃん」

妹友「・・・・・・お兄さん、顔が赤いですよ。まだ風邪治ってないのかな」

兄「いや。暖房が結構効いてるからかな」

妹友「そういえば少し暑いかな」

兄「うん」

妹友「・・・・・・で。妹ちゃんの学校での日常を十分観察できましたか」フフ

兄「ま、まあね」

妹友「じゃあ、行きましょうか。ケーキも食べたみたいだし」

兄(あ、いつのまにか食ってるよ、俺)

妹友「後夜祭は生徒だけだから残念ですけど、それまではお兄さんと一緒にいられますし」

兄「あ、あのさ」

妹友「はい」

兄「さ、さっき言ってたこと・・・・・・」

兄「その。お、俺のこと好きって言うのさ」

妹友「・・・・・・はい」

兄「どういう意味なのかな? 俺、鈍感だから誤解してたら悪いし」

妹友「どういう意味って。そのままの意味ですよ?」

兄「いやいや。だからさ、何て言うか。妹の兄貴としてとかさ」

妹友「ああ。はっきり言わなかったですからね。でも、これだけ好意を示していればわかってもらえてると思ったんですけどね」

兄「・・・・・・」

妹友「お兄さんのこと、異性として好きです。よかったら付き合ってください」

兄「!! え、えと。俺のことす、好きなのはわかったけど。付き合ってというのは」

妹友「・・・・・・そこまではっきりと女の子に言わせます? 普通」

兄「ごめん」

妹友「・・・・・・惚れた弱みかなあ。いいですよ、はっきり言うと」

妹友「あたしの彼氏になってください」

兄「は、はひ」

妹友「はい?」

兄「はい? って・・・・・・」

妹友「返事早っ。・・・・・・ていうか断わられるかと思ったのに」

兄「な、何で?」

妹友「・・・・・・いえ、何でもないです。お兄さん、嬉しい・・・・・・」

兄「妹友ちゃん・・・・・・」

妹友「お兄さん」

兄「・・・・・・」
191 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:56:16.98 ID:zJO2e2sZo
今日はここまで

また投下します


あと訂正

×実行委員長「別に家族のほのぼのエピソードなんだからいいじゃん。彼女の妹に嫉妬するあんたが異常なんでしょ」
○実行委員長「別に家族のほのぼのエピソードなんだからいいじゃん。彼女の兄貴に嫉妬するあんたが異常なんでしょ」


またお会いしましょう
おやすみなさい
192 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 22:06:29.97 ID:BUbTv+gIO
おつ!
続き楽しみにしてる!
193 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 22:07:55.62 ID:u5B3ABo7o
194 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:11:06.31 ID:VE3NJIiSO
彼氏の校内での嫌われっぷりはどういうことなんだろうな
195 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 23:17:34.91 ID:BW2rqOf5o
委員長と彼氏でみんな幸せ
196 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 02:50:40.22 ID:ZGI4kKJDO
>>1乙である。
さて、これからの展開が楽しみです。
197 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 20:54:53.39 ID:9kBaYclbo
校内 中庭の噴水


妹友「何か不思議です」

兄「うん」

妹友「さっきまでは、今日はお兄さんと一緒に学祭をあっちこっち見て回るんだって、張り切ってたんですけど」

兄「そう」

妹友「何ていうか、お兄さんと付き合うようになった今では」

兄「うん」

妹友「どちらかというとここでずっと二人でお話していたいです」

兄「ああ、よくわかるよ。俺もそう思ってたとこ」

妹友「・・・・・・本当?」

兄「うん、本当」

妹友「嬉しい」

兄「そ、そう?」

妹友「はい。あ、そういえばさっき、調理部のお店の前で話しかけてきた子がいたでしょ?」

兄「ああ、いたね。俺のこと妹友ちゃんの彼氏だと誤解した子でしょ」

妹友「こんなにすぐに誤解じゃなくなるんだったら、あの時あたしの彼氏だよって言えばよかった」

兄「まあ、あの時は付き合う前だったしね」

妹友「そうなんですけど・・・・・・。あたし、嬉しくて友だちに話したくてしょうがない気分なんです。お兄さんがあたしの彼氏なんだよって」

兄「そ、そう(何か可愛い。彼女ができるってこういうことなんだ)」

妹友「でも、さっきはやっぱり彼氏だって言わなくてよかったのかも」

兄「へ? 何で(俺が彼氏じゃ恥ずかしいのかな)」

妹友「だって・・・・・・、妹ちゃんに一番先に報告しないとまずいでしょ?」

兄「(!)う、うん」

妹友「親友のお兄さんと付き合うんですもん。お兄さんとあたしがお付き合いしてるって、他の人から聞かされたら妹ちゃんだっていい感じはしないと思います」

兄「それはそうかもしれないけど(あいつどういう反応示すんだろ?)」
198 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 20:58:26.73 ID:9kBaYclbo
妹友「まあ、彼氏先輩は喜ぶでしょうね。お兄さんとあたしが付き合っていることを聞いたら」

兄「何で?」

妹友「そんなの決まってます。ライバルには彼女がいた方が安心ですから」

兄「実の兄貴をライバルってさ。本当にどうしようもないやつだよな。さっき話を聞いてても、嫉妬深いというか独占欲が強いというかさ」

妹友「それだけ妹ちゃんが魅力的なんですよ。先輩以外の男の子が妹ちゃんの彼だったとしても、反応は同じだったんじゃないですかね」

兄「そうかなあ」

妹友「はい。でも妹ちゃんも悪いんですよ。先輩が自分に夢中なことを知ってて、お兄さんの話ばっかりするし。正直ちょっと先輩が気の毒になることもあります」

兄「・・・・・・まあ、確かにそれもあるかもね(実際、さっき一瞬妹の彼氏のこと気の毒に感じたしな)」

妹友「先輩が自分を振ることは絶対ないって自信がなければそんなこと出来ないですよね?」

兄「まあ、そうだけど。それにしても妹も男と付き合うなら、空手以外に取り得のないあんな男じゃなくてもよかったのなあ」

妹友「確かに妹友ちゃんと相性がいいとは言えないですけどね。あの二人が付き合いだした時、あたしも不思議でした。妹ちゃんは彼氏なんて欲しくないような感じだったし」

兄「そうなんだ」

妹友「はい。他の子たちみたいに男の噂話とかしないし。あ、お兄さんの話はしまくってましたけど」

兄「・・・・・・」

妹友「まあ、でも。先輩って女の子には人気がありますしね」

兄「・・・・・・(理解できない)」

妹友「なので二人が付き合いだして、結果的には校内人気ナンバーワン同士のカップルが誕生したんですけどね」

兄「そう。あ、そう言えばさ。さっき、委員長ちゃんって子が妹の彼氏にいろいろ注意してたけど」

妹友「ああ。委員長ちゃんはあたしたちと同じ2年生なんですけど」

兄「そのわりには、あいつに強い口調で注意してたけどな」

妹友「委員長ちゃんは先輩の幼馴染ですからね。学年なんて関係ないみたいです」

兄「なるほどね」

妹友「たまに考えるんですけど、どっちかというと委員長ちゃんの方が・・・・・・」

兄「何?」

妹友「いえ・・・・・・何でもありません」
199 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 21:01:51.09 ID:9kBaYclbo
妹友「妹ちゃんに報告しなきゃいけないけど、今はここでこうしてお話ししていたいです」

兄「うん、俺も(つうか妹に報告すること自体が気がすすまねえ)」

妹友「・・・・・・ねえ、お兄さん」

兄「うん」

妹友「いつからあたしのこと意識してくれたんですか?」

兄「いつからって。まあ、雨の日に妹を迎えに行って、妹友ちゃんに最初に会った時からかな」

妹友「出会った日じゃないですか・・・・・・」

兄「うん、ごめん」

妹友「何で謝るんですか。すごく嬉しいのに」

兄「妹友ちゃんは?」

妹友「え」

兄「妹友ちゃんは、いつから俺のこと気にしてくれるようになったの?」

妹友「・・・・・お兄さんの意地悪。あたしにそれを言わせたいんですか?」

兄「(やべえ、こういう会話ってすげえ楽しい)教えてよ。車で送っていったあたり?」

妹友「全然違います。お兄さんと実際にお会いするずっと前からですね」

兄「はあ」

妹友「入学して妹ちゃんと友だちになって。それから今までずっと妹ちゃんからお兄さんの話を聞かされて」

兄「・・・・・・それは大変だったね」

妹友「最初は毎日毎日よくお兄さんの悪口ばかり言えるなあって思ってました」

兄「やっぱり悪口かよ」

妹友「でもね、聞き続けているうちにお兄さんの姿が心の中に浮かんできて、いつの間にか会った事もない、悪口しか聞いたこともないお兄さんに恋しちゃったみたい」

兄「・・・・・・ダメダメな話ばっか聞かされてたんでしょ? いったい何で」

妹友「後になって気がついたんです。妹ちゃんってお兄さんのことが大好きなんだなって。悪口言っていても、最近みたいにまるで彼氏の惚気みないな話をしていても、妹ちゃんは一貫して好きな人のことを話していたんだなって」

兄「・・・・・・」

妹友「そうじゃなきゃ、お兄さんの悪口ばっかり話してた妹ちゃんが、友だちからブラコンなんて呼ばれたりしないですよ。きっとみんな感じ取っていたんですよ、妹ちゃんの気持ちを」

兄「・・・・・・」

妹友「そうじゃなきゃ、あたしだって妹ちゃんの悪口から思い浮かぶお兄さんのイメージに恋したりしないと思います」

兄「そうなのかな、よくわかんねえけど」

妹友「・・・・・・そうですよ」
200 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 21:04:46.67 ID:9kBaYclbo
妹友「正直に言うと」

兄「うん」

妹友「妹ちゃんに報告するの、ちょっと怖いです」

兄「何で?」

妹友「多分、あたしがお兄さんを好きなこと、妹ちゃんにはばれています」

兄「・・・・・・そうか」

妹友「でも、妹ちゃんはお兄さんのメアドとか携番とか教えてくれたり、家に呼んでくれたりして、あたしのこと応援してくれたんです」

兄「そうだったね。そういや」

妹友「でも、心から応援してくれているかどうか心配で」

兄「・・・・・・あいつだって彼氏と付き合ってるんだろ? 俺たちの付き合いを嫌がる理由はないじゃん」

妹友「そうは思うんですけど・・・・・・」

兄「仮にあいつがブラコンだったとしても、それは男として好きということじゃないよ。その証拠に、あいつには男がいるじゃん」

妹友「・・・・・・あたしにはよくわかりません。あたしがお兄さんの彼女になることで、妹ちゃんを傷つけなければいいんですけど」

兄「でもさ、俺は妹友ちゃんが好きだよ?」

妹友「?}

兄「こういうのってお互いの気持ち次第じゃん。一方的な想いだけでカップルになれるわけじゃないし」

妹友「え」

兄「要するに俺と妹友ちゃんは相思相愛ってこと!(ああ、恥ずかしい)」

妹友「・・・・・・」

兄「妹がどう思ってもあいつの彼氏がどう思っても、どうしようもないじゃん。俺たちが好意を持ち合っているという事実は変らないんだし」

妹友「・・・・・・うん」

兄(本当にそうなのか? 俺の中にある妹を自分のものにしたいという気持ちはどうなるんだ?)

妹友「やっぱりお兄さんを好きになってよかった」

兄「ありがと(仮に妹も俺のことを好きだとしたらどうなるんだろ)」

妹友「今日はお兄さんとずっと一緒にいたいし、明日以降なるべく早く妹ちゃんと話しますね」

兄「今日家に帰ったら、俺が妹に話そうか?(兄貴の部屋で一緒に寝たがる、兄貴に雑炊を作りたがる)」

妹友「いえ。あたしに話させてください」

兄「・・・・・・いいの?(兄貴に体を触られるのが嫌じゃない)」

妹友「はい。あたしたち親友だから・・・・・・自分でちゃんと話します」

兄「わかった(兄貴にキスをする)」

妹友「ところでお兄さんって、今まで年下の・・・・・・)

兄(それでも普通の兄妹関係と言えるのか? もし妹が俺のこと異性として意識していたとしたら、今妹友ちゃんに話した前提が崩れちゃうじゃんか)」

兄(そして、俺の気持ちは。俺が本当に好きなのは妹友ちゃんだよな?)

妹友「・・・・・・お兄さん?」

兄「あ、ああ。ごめん」
201 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 21:05:25.25 ID:9kBaYclbo
とりあえず4レス分投下

あとで来れたら数レス投下します

では。
202 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 21:13:45.55 ID:+TmnJL7L0
おつです
203 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/19(月) 21:24:46.57 ID:Tfrgej0Eo
乙乙
なんかどんどん破滅に向かっているような気がして生きているのがツラい
204 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 22:18:37.28 ID:9kBaYclbo
当日夜 自宅


兄(明日から親が帰ってくるんだっけ)

兄(ちょうどいいタイミングかも)

兄(俺にも人生初の彼女が、それもすげえ可愛い彼女ができたことだし)

兄(いつまでも妹に欲情しているわけにはいけないし)

兄(よく考えれば簡単なことかもしれないな)

兄(いい兄貴になってやればいいんだ)

兄(妹にも彼氏がいるし、俺にも晴れて可愛い彼女ができた)

兄(妹とはきっと今まで疎遠すぎたんだ。それが急に距離が縮まってお互いに戸惑ってこんなことになってるんだろうな)

兄(妹との関係を正常化すればいいだけだろ。普通に仲のいい兄妹になろう。体を触るとか、よく考えれば全部俺の方からアクションを起こしてるんだし)

兄(それもこれも俺に彼女がいなくて、ど、童貞だからだ)

兄(妹友ちゃんと付き合うようになれば、俺の浅ましい本能も抑えられるに違いない)

兄(これからは。欲情するなら妹友ちゃんに)

兄(い、いや。それはいくらなんでも飛躍しすぎだろ。今日付き合いだしたばかりだぞ。がっつく男は持てないって兄友も言ってたし)

兄(・・・・・・妹が俺のことを兄として好意をもっていることはどうも間違いないらしいけど)

兄(あれは。あの出来事は、急に兄貴との距離が縮まって、当惑して俺の愛撫を受け入れちゃったんだろう)

兄(・・・・・・妹だって、内心は後悔しているかもしれないし)

兄(よし。これで行こう。いい兄貴路線な)

兄(・・・・・・妹は今夜は遅くなるのかな)

兄(後夜祭もあるしな)

兄(先に寝ちゃおうか。顔あわせても、俺と妹友ちゃんのことは俺からは言えないし)

兄(よし、寝よう)

兄(・・・・・・)

兄zzz
205 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 22:21:48.13 ID:9kBaYclbo
ガチャ


兄(何だ?)ムニャムニャ

?ゴソゴソ

兄(うん?)ムニャ

?「おやすみ、お兄ちゃん)

兄「え?」

妹「あ、お兄ちゃん起こしちゃった?」

兄「おまえ・・・・・・ここで何してるの?」

妹「お風呂入ったしもう寝ようかと思って」

兄「しかも、また下着だけしか着てねえし」

妹「お風呂上りは暑いから」

兄「・・・・・・おまえ、しばらく俺の部屋で寝てなかったじゃん(あ、違うだろ俺・・・・・・何でそんなことを蒸し返してるんだ)」

妹「・・・・・・ごめん」

兄「(ああ、やっちゃった)いや、そこで何で謝る」

妹「この前、お兄ちゃんに、その」

兄「・・・・・・」

妹「その、お兄ちゃんに体を撫でられて・・・・・・」

兄(うっ・・・・・・ここでそれを持ち出すか?)

妹「・・・・・・あたしのこと嫌いになったでしょ」

兄「へ?」

妹「だって、あんなに声とか出しちゃって。変な女だと思ったでしょ」

兄「はあ? 何言ってんのおまえ」
206 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 22:22:36.69 ID:9kBaYclbo
妹「あの時・・・・・・体が熱くなって、何かむずむずとして。気がついたら声が出ちゃってて」

兄「・・・・・・それ、普通なんじゃね?」

妹「うそ。あたし、どこか変なのかなと思って」

兄「あのさ。女性経験の少ない俺だってそんな誤解はしねえぞ(少ないじゃなくてないだろ、俺))」

妹「・・・・・・本当? あたし、ああいうの初めてで」

兄「雑誌とかテレビとか友だちとの話とかでわかるだろ? 普通」

妹「でも、彼氏に同じことされかかったけど、全然お兄ちゃんにされた時みたいな感じしなくて」

兄「・・・・・・おまえの彼氏とのことはいいよ、この際」

妹「ごめん」

兄「だから謝るなって。で?」

妹「うん」

兄「ずいぶん帰るの早かったけど。後夜祭とかあったんだろ」

妹「うん。彼とフォークダンス踊った」

兄「そう」ムカ

兄(何でむかつくんだ? もう俺にはどうでもいい話じゃん)

妹「その後みんなで遊びに行こうって話になったんだけど」

兄「おう。それで?」

妹「今日は帰るからって言って帰ってきた」

兄「・・・・・・そう」

妹「あたし、今日はここで寝るから」

兄「・・・・・・はぁ?」

妹「明日からお母さんたち帰ってきちゃうし、もうお兄ちゃんと一緒に眠れなくなるし」

兄「あのさあ」

妹「うん」

兄「前から聞こうと思ってたんだけど」

妹「うん」

兄「お、おまえさ。その、俺のこと好きなの?(言っちゃった・・・・・・)」ドキドキ
207 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/19(月) 22:26:28.68 ID:9kBaYclbo
妹「うん。好き」

兄「だ、だから。少しは考えてしゃべれよ。俺の聞いてる好きはそういうんじゃなくてさ(何言ってるんだ、俺)」

妹「うん?」

兄「よ、よし。わかりやすく言うとだ」

妹「うん」

兄「要するにだ。俺とおまえの彼氏と、おまえはどっちの方が好きなんだよ(うわ。ここまで言っちゃうの?俺)」

妹「お兄ちゃんの方が好き」

兄「へ?」

妹「彼氏よりお兄ちゃんのほうが好き」

兄「あ、え〜と。とりあえず落ち着こうか(落ち着くのは俺の方だろ)」ドキドキ

妹「・・・・・・わかった」

兄「じゃさ、おまえは何で彼氏と付き合ってるの?」

妹「付き合ってくれって言われたから」

兄「・・・・・・おまえは付き合ってくれって言われれば嫌いな相手とでも付き合うのかよ!」

妹「彼のことは嫌いじゃないし」

兄「(う〜ん。これは手ごわい)おまえさ」

妹「うん」

兄「今まで、俺のことなんか無視してたじゃんか。1月くらい話しなかったことだってあったし」

妹「・・・・・・」

兄「何で最近になって俺と一緒に寝たりとか、その・・・・・・身体を触らせたりとかするの?」

妹「お兄ちゃんの言ってることよくわかんないけど」

兄「はあ?」

妹「だって、お兄ちゃん、これまであたしにそういうことしなかったじゃん」

兄「な、何てこと言ってるんだよ。じゃあ、去年とかにおまえを触ってたら」

妹「それでも別によかったのに」

兄「な、何言ってるんだ」ドキドキドキドキ

妹「・・・・・・今日一緒に寝ていい?」

兄「あのなあ」

妹「今日もあたしの身体触るなら、恥ずかしいから灯り消してね?」

兄「・・・・・・おい(まずい。妹友ちゃんと付き合いだしたその日に浮気しちゃいそうじゃねえか)」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」
208 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/19(月) 22:27:13.35 ID:9kBaYclbo
妹「・・・・・・今日は何もしないの?」

兄「な、何、俺の隣に潜り込んでるんだよ」

妹「だってお兄ちゃんのベッド狭いんだもん」

兄「・・・・・・いかん」

兄(華奢な身体。白い肌。いい匂い)

妹「今日は何もしないの?  もう寝てもいい?」

兄(・・・・・・華奢な身体。白い肌。いい匂い・・・・・・可愛い顔)ムラムラ

妹「明日は休みなんだけどね」

兄「おまえ、本当にそういうの嫌じゃねえの?」

妹「嫌じゃないけど・・・・・・お兄ちゃんなら」

兄「・・・・・・」ムラムラ

妹「あ、でも。変な声出しちゃっても、お兄ちゃんあたしのこと嫌いにならない?」

兄「なんねえ・・・・・・(そうじゃねえだろ!!! 俺は何を言ってるんだ)」ボソ

妹「よかった」チュ

兄「・・・・・・(また妹にキスされた。彼女がいるのに)」

妹「触るだけね」

兄「・・・・・・ああ」


俺は再び妹のほの白く輝く肌に手を伸ばし。
209 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:29:58.56 ID:9kBaYclbo
本日はおしまい

明日は忘年会なので投下は無理っぽいです

>>203
BGMは「悲しみの向こうに」でどうでしょうか

では、またです。おやすみなさい
210 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 23:59:20.68 ID:qwc1iMdXo


また不安になるようなBGMをwwwwwwww
211 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 00:15:19.21 ID:stYsHxZPo
BADだけはやめてくれよ・・・
212 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 00:15:45.97 ID:it0TTYp0o
乙〜
213 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 18:24:06.84 ID:k1B2T6DDO
>>1乙である。
いつも楽しみにしてます。
214 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 23:05:28.96 ID:4hoGcgVSO
くそ!
作者は今頃忘年会でおっぱい揉んでるんだろうな!

くそ!
くそ!!
215 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/21(水) 22:10:17.70 ID:a+8qO7rNo
・・・・・・俺は再び妹のほの白く輝く肌に手を伸ばし。


目を閉じて身動きひとつしない妹の身体を両手で抱き寄せると、目を閉じたままの妹の身体は何の抵抗もなく俺の両腕の中に納まった。
しばらくそのまま背中に回した手で妹を抱きしめた後、片手で妹の後頭部を支えながら妹にキスする。少し唇を離し再び妹の唇に近づくと、妹の口が開き舌が俺の舌に絡みついた。
妹の両腕が柔らかく俺の首に巻きつく。

舌を絡めあいながら片手で妹の小さな背中を探りブラのホックを外す。その手で俺は初めて妹の控えめな胸を探るように撫でる。
その時、目を閉じたままの妹が小さく喘ぎ声を漏らしはじめた。

・・・・・・妹の胸を弄りながら、もう片手を背中に沿って撫で下ろし、下着の隙間から小さな尻を少しだけ撫で回した後、内腿を経由して前を目指す。
そこで俺の手はしっかりと閉じた妹の太腿によって、前方への進入を妨げられた。

妹は俺の首に巻きついていた手を離し、唇を遠ざけ。



妹「・・・・・・そこは触っちゃだめ」

兄「あ、悪い」

妹「ううん。そこ以外は好きに触ってもいいから・・・・・・朝までずっとこうしていて」

兄(潤んだ瞳。少し赤みを帯びた白い頬・・・・・・抱きしめている全裸の妹の柔らかで華奢な感触)

兄(やばい。俺、本気でこいつのこと・・・・・・)

妹「もっと強くしてもいいよ」

兄「・・・・・・ああ」

妹「・・・・・・」ギュ
216 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/21(水) 22:18:34.54 ID:a+8qO7rNo
翌朝 兄のベッドの中


兄(・・・・・・何か柔らかいものが俺の腕の中にいる)

兄(昨日のことは夢じゃなかったってことだ)

兄(・・・・・・まだ寝てるのかな)

兄(昨日は部屋を暗くしてたから、こいつの裸をちゃんと見れなかったけど)

兄(明るいところで見ると、やっぱり綺麗な体してるな)

兄(俺にくっついているから胸が見られないのが惜しい)

兄(触りたいけど起こしちゃうと可愛そうだしな)

兄(それにしてもあの後、妹も俺のこと触ってくるとは思わなかった。これまでは身動きひとつしないで横たわっているだけだったのにな)

兄(・・・・・・本当にやばいけど、何か止められねえ。妹友ちゃんに告白されたその日のうちにこれって、俺、最低じゃん)

兄(でも、俺。こいつのこと、本気で好きになっちゃったかも)

妹「・・・・・・・お兄ちゃん」

兄「え」

妹「何考えてるの」クス

兄「起きてたのか」ドキ

妹「何か難しい顔してたよ」ダキ

兄(・・・・・・え)チュ

妹「おはよ」

兄「ああ。おはよう」

妹「・・・・・・う〜ん」ノビ

兄(あ。胸が見えた)

妹「お兄ちゃん、好きだよ」

兄「・・・・・・うん。俺もおまえのこと好きだ」

妹「やっと言った・・・・・・長かったな」ボソ

兄「・・・・・・今何て言ったの?」

妹「何でもないよ。それより」サワ

兄(・・・・・!)

妹「昨日の夜みたいにまた大きくなってるよ」クスクス

兄(パンツ越しだけど。妹が始めて俺に)

妹「また変な声出しちゃってごめんね」

兄「・・・・・・いや。おまえの声可愛かった。ずっと聞いていたかったよ」

妹「そか」フフ

兄「結構寝たの遅かったけど、もう少し寝るか?」

妹「今日学校お休みだし、今日はここでゆっくりする」

兄「うん。俺も大学さぼるよ」

妹「いいの?」

兄「俺も今日はずっとこうしていたいし」
217 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/21(水) 22:25:09.12 ID:a+8qO7rNo
妹「よかった・・・・・・あ」

兄「どうした」

妹「身体中にお兄ちゃんのよだれが付いてる」

兄「わ、悪い! 気持ち悪いだろ」

妹「別に気持ち悪くない。お兄ちゃんのなら」

兄「そう・・・・・・」

妹「お兄ちゃん」

兄「うん?」

妹「ちょっと寒い」

兄「エアコン入れようか」

妹「・・・・・・いい。それよりもっと強く抱きしめて」

兄「うん」

妹「あたしさ」

兄「うん」

妹「お兄ちゃんに触られて変な声が出ちゃって、でも自分では止められなくて」

兄「それはそうだろ」

妹「・・・・・・だから、前とか触られたらきっともっと変な声が出ちゃいそうで」

兄「可愛かったけどな」

妹「うん。お兄ちゃんに嫌われないなら」

兄「はい?」

妹「・・・・・・前も触りたい?」

兄「あ、あの、その」

妹「こんなとこ触ってもお兄ちゃんはつまらないと思うけど」

兄「そんなこと・・・・・・」

妹「ちょっと怖いけど、それでもいいなら」

兄ゴク

妹「お兄ちゃん、急に怖い顔になったよ」

兄「悪い。じゃ、じゃあちょっと仰向けになって」

妹「うん」

兄「で、足開いてくれるか」

妹「・・・・・・わかった」
218 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/21(水) 22:31:31.13 ID:a+8qO7rNo
兄(こ、これが)

兄ゴク

兄(よ、よし。女性のそこに触るの初めてだし、少しシミュレーションを)

兄(まず、軽く触って。それからし、舌で)

兄(・・・・・・これ、触っていいよってことなのか)

兄(それとも、セ、セックスしてもいいのか)

兄(正直、自分を抑える自信ないんだけど)

兄(いつか来る初体験のために用意したあったゴムが役に立つ日が来たのか?)

兄(・・・・・・でも、ああいうのにも消費期限ってあるのかな。あれ、大学入学した頃買ったやつだよな。未開封ではあるけど)

兄(妹・・・・・・)

兄(両手で顔を隠しちゃってるから表情は見えないけど)

兄(少し身体が震えてる)

兄(・・・・・・何かとてつもなくこいつのことがいとおしい)

兄「あ、あのさ」

妹「・・・・・・」

兄「俺、こういうの初めてだから」

兄「痛かったりくすぐったかったっりしたら言ってくれよな」

妹「・・・・・・」コク

兄「じゃ、じゃあ。触るぞ」

妹「・・・・・・」コク

兄(じゃ、じゃあ)


母「兄〜! いつまで寝てるの。大学はどうすんのよ」


兄「へ」

兄・妹ガタ

妹(お兄ちゃん!?)ヒソ

兄(や、やばいぞ)ヒソ


母「早く起きなさい!」


兄(母さん、階段上って来てる!)

兄(し、下着探せ。どっかにあるはず)ヒソ

妹(うん。でも下着だけじゃ)ヒソ

兄(親バレするのか!?)
219 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:35:13.08 ID:a+8qO7rNo
本当に短くてすいませんけど、職場からのお持ち帰り仕事もまだ未着手につき今日はここまで
また投下します

>>214
んな訳ないでしょ。そんなリア充だったらこんなSS垂れ流したりしません

ではまたお会いしましょう
おやすみなさい
220 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:48:28.78 ID:FLK+wtLSO
また…!
こんな所で…!
区切るのかっ…!
乙!!
221 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:50:04.33 ID:ILFfKgoIO
222 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:50:12.06 ID:e0mnoS7bo
焦らし
乙〜
223 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 00:46:16.53 ID:TZCx5ZOAO
乙〜
妹のやっと言ったって発言が気になるな
224 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 07:45:47.12 ID:EdUikzY9o
またか
また焦らしなのか乙
225 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/22(木) 22:19:01.53 ID:67AxmvE6o
妹「お兄ちゃん、今着替えてて、すぐ下に下りるからって言って・・・・・・落ち着いて話してね」ヒソ

兄「あ、ああ」ヒソ

母「いい加減にしなさいって! いつまで寝てるつもりなの?」

妹「ほら早く」ヒソ

兄「わかってるよ。今着替えてるとこだって。すぐに下に行くからさ」

母「やっと起きたか。朝ごはん用意しといたから早く降りてきなさいよ」

兄「うん。すぐ行くから」


兄「母さん、下に降りたぞ」ヒソ

妹「着替えてご飯食べてきて。その間にあたしは自分の部屋に戻るから」

兄「・・・・・・今日はもう一緒にいられないのか」ボソ

妹「・・・・・・お母さんも30分もすれば出かけると思う。お母さんが出かけたらあたしの部屋に来て」ヒソヒソ

兄「わかった」

妹「待ってるから・・・・・・」

兄「・・・・・・妹」グイ

妹「だめ。早く行かないとまたお母さん来ちゃうよ」

兄「そうだな・・・・・・」

兄「(よし着替え終わった)じゃ、行ってくる」

妹「・・・・・・うん。いってらっしゃい、お兄ちゃん」

兄(妹・・・・・・)
226 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/22(木) 22:23:25.40 ID:67AxmvE6o
ダイニング


兄「おはよう」ドキドキ

母「やっと起きたか。あんたねえ、最近ちょっとダレ過ぎじゃないの?」

兄「そんなことねえよ」

母「あんたさあ、お父さんとあたしが仕事で家にいないからって好き勝手にさぼってるんじゃないでしょうね?」

兄「ち、違うよ。ちゃんと大学行ってるって」

母「・・・・・・まあ、いいわ。早く食べちゃいなさいよ。あたしももう仕事行くから」

兄「俺、皿とか片付けておくからもう行ってもいいよ」

母「そう? じゃあ頼んじゃうか。妹は今日はお休みだっけ」

兄「うん。振り替えで休日だって言ってたよ」

母「・・・・・・ほう」

兄「な、何だよ」

母「あんたたち、ここ何年かろくに会話しなかったのに。それくらいのことは喋るようになったんだ」

兄「昔からその程度は話してたって」ドキドキ

母「あんたを起こす役目を妹にさせたのがよかったか」

兄「だから前から話くらいしてるって。人の話聞けよ」

母「あんまり寝すぎても、だらけっちゃうからさ。あんた、大学行く前に妹のこと起こしなさいよ」

兄「俺が?」

母「最近は妹に起こしてもらってるんでしょ? たまにはあんたもそれくらいしなさい」

兄「わかったよ・・・・・・」

母「じゃ、でかけるか。今日もお父さんとお母さん、帰れないからね」

兄「あいよ。体壊すなよ」

母「余計なこと言ってないで自分こと心配しなさいよ」

兄「はいはい」
227 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/22(木) 22:25:25.04 ID:67AxmvE6o
兄(・・・・・・よし、母さん出かけた。しかしまさか昨日母さんが帰っていたとは)

兄(何時に帰ったんだろ? 妹の声とか聞かれてないよな)

兄(いや。それはない。あんな声を聞かれてたら、母さんの性格なら逆上して部屋に踏み込んでいたはずだし」

兄(・・・・・・もういいかな)

兄(早く妹の部屋に行きたい・・・・・・。とにかくあいつと一緒にいたい。そういや、あいつの冗談とか笑い声とか俺に甘えるしぐさとか)

兄(・・・・・・10年以上兄妹やっていて、昨日はじめて見たのかもしれない)

兄(もう自分の気持ちを誤魔化せない・・・・・・)

兄(俺、妹に恋してるんだ)

兄(今、妹と離れて一人でいても思い浮かぶのは、付き合いだしたばかりの妹友ちゃんじゃなくて)

兄(妹のことだもんな)

兄(・・・・・・これからどうしよ)

兄(・・・・・・)

兄(とりあえず今日は妹と一緒に過ごそう。今日だけは妹友ちゃんのことは考えないようにしようか)

兄(絶対に明日からはまじめに今後のことを考える)

兄(でも、今日だけは。今日のこの幸せな時間だけは・・・・・・)

兄(そろそろ妹の部屋に行こうかな)
228 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/22(木) 22:26:32.92 ID:67AxmvE6o
ガチャ


母「言い忘れたんだけどさ」

兄「(!!!!!!)な、何でまだいるんだよ!」ドキドキドキ

母「ちょっと気になったから戻ってきたんだけどね」

兄(え?)ドキ

母「あんたら、あたしたちがいない時ちゃんと食事してる?」

兄「・・・・・・はあ?」

母「食事代として電話のとこに置いてあるお金、全然減ってないじゃん」

兄「ああ。何か外食とか出前とか面倒くさいから」

母「どうしてるのよ? 毎晩の食事」

兄「適当に冷凍食品とかコンビニとか」

母「それじゃダメでしょう。よし、まだ少し時間に余裕があるし妹を起こして」

兄「いやいやいや。あいつ昨日学祭の実行委員の仕事でへとへとになってたから、眠らせてやった方が」ドキ

母「・・・・・・そう? じゃあ、あんたが妹に言っておきなさいよ? コンビニ連続はNGだから」

兄「わかったよ。伝えておくから」

母「材料買ってきて妹が作ったっていいんだけど」

兄「・・・・・・一応、伝えておくけど。あいつの料理の下手さは母さんも知ってるだろ」

母「まあ、そうね。とにかくバランスいい食事しなさいよ?」

兄「わかったって」

母「じゃあね」
229 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/22(木) 22:37:52.83 ID:67AxmvE6o
兄「・・・・・・もういいかな」

兄ドキドキ


コンコン


妹「・・・・・・誰?」

兄「俺。母さん仕事行ったよ」


ガチャ


兄(うわ!)ドシン

兄(妹が抱きついてきた)

妹「お兄ちゃん」ダキ

兄「うん。もう大丈夫だよ」ギュ

妹「・・・・・・お母さん、あたしたちのこと何か気がついてなかった?」

兄「大丈夫だ。昨日のおまえの声も聞かれてなかったっぽいし(まだ裸だこいつ)」ギュー

妹「・・・・・・お母さんもう出かけたの?」

兄「うん」

妹「よかった。入って」

兄(・・・・・・もうだめだ)

妹「お兄ちゃん?」

兄(もういろいろと限界だ)

兄「ちょっと待て」

妹「・・・・・・え?」

兄「ちょっとだけ話させてくれ」

妹「う、うん」

兄「ちゃんと言わせてくれ。この家には二人きりだから大丈夫」

妹「・・・・・・どうしたの」

兄「俺さ」

妹「うん」

兄「おまえのこと・・・・・・女としてしか見られねえ」

妹「・・・・・・え」

兄「おまえへのこと、実の妹じゃなくて一人の女としか見られねえ」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「俺、おまえのこと好きだ、愛してる。おまえを俺のものにしたい」

妹「・・・・・・」

兄「おまえと最後まで、その、セ、セックスだってしたい」

妹「・・・・・・」

兄「お、俺の彼女になってくれ(・・・・・・ついに言っちまったよ、俺)」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃん」

兄「・・・・・・うん」
230 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 22:39:42.98 ID:67AxmvE6o
相変わらず数レス投下ですいませんけど書き溜めないんで、勘弁してやってください

また明日投下します

駄文にお付き合いあいりがとうございました

おやすみさない
231 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 23:13:16.17 ID:IW6A8ardo
うああああああああああああああああああああああああ生殺しいいイいいいいいいいいいいいいいい

>>1は間違いなくS
232 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 23:24:22.00 ID:qLgPa/zSO
おまえ……バカ!バカ!バカ!!
233 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 23:34:18.20 ID:AMrFprqIO
焦らあああああ
234 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 08:33:56.91 ID:5GoaPOuVo
追いついたが続きがきになるううう

クズ先輩とチュウしたとこで処女厨のおれはなんかキツかった
235 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 08:52:36.22 ID:bxdtzYV4o
彼女いるくせに妹に発情してる主人公のほうが・・・
先輩もDQNだけど
236 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 13:55:59.86 ID:LSiefRV/o
何かオラ嫌な予感しかしねえぞ
237 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/23(金) 20:33:24.07 ID:ZBsIgh+zo
妹「・・・・・・お兄ちゃん?」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんの顔、何か怖い」

兄「ああ、ごめんな。緊張しているせいだ」

妹「・・・・・・・裸で廊下にいると寒い」

兄「え」

妹「あたしの部屋、暖房つけたから」

兄「あ、ああ」

妹「とにかくあたしの部屋に入って」

兄「うん」

妹「・・・・・・エアコンついててもこの格好だとまだ寒いかな」

兄「・・・・・・」

妹「あ、そうだ。ベッドに入って毛布にくるまればいいんだ」

兄「・・・・・・普通に服着ればいいんじゃないか?」

妹「それはそうだけど・・・・・・。何かつまんないし」

兄「な、何が?」

妹「何でもない。お兄ちゃん?」

兄「うん」ドキドキドキドキ

妹「・・・・・・あたしもね、お兄ちゃんのこと好きだよ」

兄「うん(だから! どういう意味で好きなのかが問題なんだよ)」

妹「お兄ちゃんのこと彼氏より好きって言ったよね」

兄「・・・・・・うん」

妹「それに」

妹「あたしがお兄ちゃんに身体触られるのを嫌がってないんだから」

兄「・・・・・・」

妹「それだけじゃだめなの?」

兄「・・・・・」

妹「お兄ちゃん?」

兄「・・・・・・おまえさ」

妹「うん」

兄「全然俺の質問に答えてねえじゃん」

妹「そうかな」

兄「そうだよ! 俺のことどういう意味で好きなのかって聞いてるんだよ」

妹「だから、彼より好きだって」

兄「おまえの彼氏のことなんかどうでもいいよ。俺はおまえが何を考えているのか知りたいんだよ!」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「・・・・・・俺はおまえの全部が欲しいんだよ。おまえが何を考えているのか全部知りたいんだ」

兄「おまえの全てを理解したいんだよ! 俺の言ってること変か?」
238 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/23(金) 20:33:55.13 ID:ZBsIgh+zo
妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・頼むから教えてくれよ。おまえが何を考えてるのか。俺のこと本当はどう考えてるのか」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「おまえが何で俺のベッドで一緒に寝ようとするのか。何で俺に身体を触らせるのか」

妹「・・・・・・」

兄「このままじゃ、俺どうしていいかわかんねえよ」

妹「・・・・・・ごめんね」

兄「え」

妹「混乱させてごめんね」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんの言ってること、別に変じゃないよ」

兄「・・・・・・そうか。変じゃなくてよかった」

妹「お兄ちゃんのこと好きだけど」

兄ドキ

妹「でも、もう少し待って」

兄「・・・・・・どうして」

妹「もう少し待って」

兄「わかんねえよ。おまえ、俺のベッドで一緒に寝たり裸の体触らせたりキスしてきたり・・・・・・」イラ

妹「嫌だった?」

兄「嫌なわけねえだろ。でも、俺だってそこまでされたら何か期待しちゃうだろ」イライラ

妹「嫌じゃないんだ・・・・・・よかった」

兄(話が噛み合わねえ)

兄「待つって、いつまでだよ」

妹「だからもう少し」

兄「もう少しっていつまでなんだよ!」

妹「お兄ちゃん」

兄「・・・・・・ああ」

妹「お母さん出かけたんでしょ?」

兄「ああ」

妹「じゃ、ベッドに入ろう。裸だと寒いし、さっきの続きして」

兄「・・・・・・」
239 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/23(金) 20:51:20.47 ID:ZBsIgh+zo
翌日 大学構内


兄(講義に集中できない)

兄(いっそ居眠りしてる方がましだな)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・眠れん)

兄友zzz

兄(隣でだらしない顔でいびきかいてる兄友がうらやましいよ)

兄(寝ようとしても・・・・・・あいつの顔が思い浮かぶ)

兄(あとあいつの裸身も思い浮かんでいるけど)

兄(本当に何考えてるんだろうな、妹のやつ)

兄(・・・・・・ずっと兄貴が好きでようやく俺とイチャイチャできるようになった)

兄(なんていう単純なことじゃなさそうだもんな)

兄(第一、クズの彼氏と別れようとする気配もないし)

兄(あんなやつのどこがいいんだ。いっちょまえに俺に嫉妬しやがって)

兄(妹はあいつにはまだ何も許してないって言ってたな)

兄(俺にはあそこまではさせてるし)

兄(あいつも、彼氏より俺の方が好きだとも言ってた)

兄(じゃあ、何で俺の女になってくれないだ)

兄(やはり・・・・・・禁断の関係になるからか? だから昨日もあそこまでしといて、最後まで許してくれなかったのかな)

兄(少し前まで妹のことなんて考えたことなかったのに、最近じゃいつでも考えるのは妹のことばかり)

兄(・・・・・・いっそ下宿でもして妹から離れてしまうか)

兄(俺が身近にいなくなったら、俺への気持ちを再確認するかもしれないし)

兄(うん。妹を寂しがらせるのも効果的かもな)

兄(だいたい俺って女性経験ないから、駆け引きとかって出来ないもんな。少しそういうこともした方が)

兄(・・・・・・本当に妹相手にこんなことばっかり考えている兄って)


ブルルルル


兄(メールだ。妹かな)パカ

兄(妹友ちゃんからか・・・・・・)ズキ


from:妹友
sub:さっき妹ちゃんとお話しました

兄(あ・・・・・・忘れてた)ドキ
240 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 20:52:03.92 ID:ZBsIgh+zo
ちょっと休憩、またあとで数レス投下します
241 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/23(金) 20:59:02.63 ID:XvTc7VGWo
ん?結局妹とSEXしてないのか。
242 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/23(金) 21:42:40.91 ID:ZBsIgh+zo
『学園祭の時はありがとうございました。お兄さんと別れてからもお兄さんのことを考えるとドキドキしちゃって(笑)、友だちからも何ぼうっとしてるのよとかって言われました(汗)後夜祭の
フォークダンスも去年は踊ったんですけど、今年はお兄さんと付き合うことになったその日にお兄さん以外の男の子に手を握られるが嫌だったので、輪の外で見学してました。その間中、お兄さん
とお話したことが思い浮かんでニヤニヤしちゃって・・・・・・他の生徒には一人でにやにやしている気持ち悪い女がいるって思われてたんじゃないかと思います』


兄(・・・・・・)


『それで、さっきお昼休みに妹ちゃんとお話ししました。妹ちゃんを呼び出して、あたしがお兄さんに告白したこと、お兄さんがあたしを受け入れてくれたことを話したのです。最初は妹ちゃんは
無表情であたしは少し不安になったのですけど、しばらくして妹ちゃんはにっこりして。あたしの手を握ってくれて、お兄ちゃんの彼女が妹友でよかったって言ってくれました。それで、お兄ちゃんのことよろしくねって、言ってもくれたのです。その後、彼氏先輩に呼ばれた妹ちゃんはあたしの手を離して先輩のところに駆けていってしまいましたけど』


兄(・・・・・・)


『妹ちゃんにとってお兄さんはすごく大切な存在であることは、あたしにも前からわかってました。学校でもいつもお兄さんの話をしてたし・・・・・・でも、これは昨日お話しましたね。その大切なお
兄さんを奪っていく(汗)あたしに、妹ちゃんはあたしでよかったって言ってくれたのです。本当に嬉しかった。お兄さん、これからも妹ちゃんに優しくしてあげてね。』


兄(・・・・・・)


『これで今日の報告は終わりです。お兄さん、愛してます。こんなことメールで言うことじゃないかもだけど、本当の気持ちです。今度はいつ会えますか?時間があったら電話かメールしてくださいね(はあと)』


兄(胸が痛い・・・・・・・)

兄(妹友ちゃんを裏切ったこともそうだけど)

兄(・・・・・・妹が俺と妹ちゃんが付き合うことをよかったって言ったのか)

兄(わかんねえ)

兄(全然わかんねえ)

兄(・・・・・・)
243 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/23(金) 21:43:57.69 ID:ZBsIgh+zo
自宅 夜


兄「ただいま」

シーン

兄(妹、まだ帰ってないのか)

兄(・・・・・・こんだけ落ち込んでいるのに、妹に会いたくてまっすぐ帰ってきた俺って)

兄(親父とお袋は今日もいないんだったっけ)

兄(今日の飯はどうななってるんだろう?)

兄(とりあえず着替えるか・・・・・・って、あ)

妹「・・・・・・」

兄「ただいま」

妹「・・・・・・お母さんたち、今日遅くなるって。電話のとこにお金置いてあるからそれで適当に夕食すませてだって」

兄「どうする?」

妹「・・・・・・何が?」

兄「何がって、夕食どうすんだ? ファミレスでも行く?」

妹「あたしは彼氏とでかけるから。お兄ちゃんは好きなようにして」

兄「・・・・・・おまえ、あいつとは夜でかけるのやめたんじゃなかった?」

妹「・・・・・・」

兄「今夜は俺の部屋に来ないのか」

妹「行かない」
244 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/23(金) 21:44:37.53 ID:ZBsIgh+zo
ピピピピピ


妹「はい。ああ、あたし。」

兄(・・・・・・)

妹「わかってる、着替えたらすぐ出かけるから。いつものカラオケだよね?」

兄(・・・・・・彼氏か)

妹「じゃ、あとでね」

兄「あいつから?」

妹「・・・・・・少し出かけるから。お母さんには黙ってて」

兄「何で」

妹「・・・・・・」

兄「何でだよ! 俺のこと嫌いになったのかよ」グイ

妹「・・・・・・別に。腕痛いよ、離して」

兄ムカ「待ってろっておまえが言うから待ってるんだぞ。それなのに何であいつと会いに夜出かけたりされなきゃいけねえんだよ」

妹「・・・・・・そうだね」

兄「・・・・・何だよ」

妹「これ以上は妹友ちゃんに悪いから」

兄「あ・・・・・・」

妹「だからもうおしまいなの」

兄「ちょっと待ってくれ。話を聞いてくれよ」

妹「聞かない」

兄「俺、おまえへの気持ちに気がつく前に妹友ちゃんに告白されて、それで」

妹「・・・・・・付き合ってるんでしょ? 妹友ちゃんと」

兄「いや、付き合っているっていうか」

妹「妹友ちゃんは親友なの」

兄「だ、だから聞けって」

妹「聞かない。あと、妹友ちゃんを傷つけたらお兄ちゃんのこと許さない」

兄「妹・・・・・・」

妹「出かけてくるね。お母さんに言いつけたかったら言いつけてもいいから」

兄「・・・・・・」





妹の手を握るまで 第一部おしまい
245 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 21:45:39.92 ID:ZBsIgh+zo
今日中に書けるようならあと数レス投下するかも
では、これで第一部はおしまいです
246 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 21:58:46.02 ID:MQlS5S1SO
一部…だと…!?
これは大作になる予感
247 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 21:59:38.36 ID:N1rR3f3AO
ふむ
248 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 22:00:03.47 ID:fcybLV0ho
ほう……
乙〜
249 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 22:55:32.69 ID:x0RtsjOr0


ほんと面白いです
250 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:03:12.44 ID:3TJvJ8PBo


楽しみと不安がヤバイ
251 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:12:51.90 ID:pHQBu9eDO
>>1乙である。

マジで期待してます。
252 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 00:15:12.45 ID:HHiTHOmto
大学近くのアパート 夕方


兄(最近、ようやくここが自分の帰る家だと思えるようになった)

兄(最初は家具も何にもない部屋だったけど)

兄(最近では見違えるようにお洒落な部屋に)

兄(・・・・・・まあ、俺のセンスじゃないけどな)

兄(一人暮らしするまで母さんに大反対されたりとか、いろいろ大変だったけど)

兄(これで良かったのかもしれないな)

兄(・・・・・・そろそろ妹友ちゃんが来る時間かな。付き合い出して初めてのイブなのに)

兄(せっかくネットとかでお洒落なレストランとか調べたのにな)

兄(・・・・・・でも、最初のイブは俺の部屋で一緒にとか言われたら)

兄(プレゼント隠さなきゃ・・・・・・)

兄(デスクの引き出しに入れておこう)

兄(妹友ちゃんと付き合い出してから1月以上経つけど、まだキスもしてない)

兄(今日がその日なのかな? 一応、ゴムは新しく買ったけど)

兄(無理にする気はないけど、妹ちゃんがその気なら)ドキドキ

兄(今日は俺のバースデーになるかもしれん)


コンコン


兄(来た!)
253 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:15:43.47 ID:HHiTHOmto
妹の手を握るまで 第ニ部

一応、スレの>>2の注意書きを再掲しときます


オリジナルSSで非エロ、もどかしさやムズムズ感しか感じられないSSになるかもしれませんが、それでもよければご覧ください
あと、更新は遅いと思いますのであらかじめご了承ください
254 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:17:51.96 ID:HHiTHOmto
?「おい、早く開けろ。イケヤマがわざわざ沖縄から来てくれたんだぞ」

兄(え? 兄友。いったい何で今日俺の部屋に来る)

兄友「イブだっつうのにやっぱり家にいたか。酒とつまみ買ってきたから飲み会しようぜ」

兄「イケヤマいるの?」

イケヤマ「久しぶりだね、兄」


ガチャ


兄「おー。こないだ居酒屋で飲んだとき以来じゃんか。元気だったか」

イケヤマ「まあな。年末は実家で過ごそうと思って帰ってきたんだけどさ」

兄友「イブの日に帰ってくるところがおまえらしいよな。よく彼女も怒らなかったもんだ」

イケヤマ「まあ、いろいろあってな」

兄友「まあとにかくさ。イケヤマも帰ってきたことだし、兄んちで飲み会やろうぜ」

兄「・・・・・・ああ、悪い」

兄友「え?」

兄「今日はさ。そのダメなんだわ」

兄友「・・・・・・おまえまさか」

イケヤマ「彼女とイブのデートか?」

兄「デートとかじゃねえんだけどさ」

兄友「じゃ何だよ」

兄「今日は彼女がここに来るんでさ」

兄友「・・・・・・おい」

兄「うん?」

兄友「てめえ、いつのまに彼女とか作ってんだよこの野郎」

兄「いつの間にって・・・・・・ここに引っ越す直前だけどさ」

イケヤマ「おう〜。やっと兄にも彼女ができたのか」

兄「何その上から目線。ま、まあそうなんだけどよ」

兄友「・・・・・・」

兄「兄友?」

兄友「てめえ、親友を裏切りやがって」

兄「裏切るって何だよ。おまえには最愛の妹がいるじゃねえか(妹・・・・・・)」ズキ

兄友「・・・・・・それがさ。今日は妹とと親密に過ごすはずだったのによ」

イケヤマ「何かあったのか」

兄友「・・・・・・あいつ、高校の同級生のパーティーがあるからって」

兄「ほう」

兄友「ほうじゃねえ! イブは妹と過ごす予定だったのに」

イケヤマ「ま、それじゃしょうがないな。兄も彼女と予定があるみたいだし、兄友と俺と二人寂しく居酒屋でも行くか」

兄「悪いな、せっかくイケヤマが来てくれたのによ」

イケヤマ「いや。こんな日に突然押しかける方が悪いしな。気にするな」


妹友「あ、あの」

兄「あ。妹友ちゃん」
255 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:20:54.06 ID:HHiTHOmto
イケヤマ「ごめんね。え〜と、妹友ちゃんだっけ」

妹友「あ、はい」

イケヤマ「兄のことだからどうぜイブはボッチだろうと思って押しかけちゃって」

妹友「い、いえ。こちらこそお友だちが集まってるところにごめんなさい」

イケヤマ「いやあ。じゃ、そろそろどっかに飲みに行くか。おい、兄友行くぞ」

兄友「はいはい。じゃ、兄。酒とつまみはカンパしてやるからな。店には持ち込めねえし」

兄「恩着せがましく言うなよ。連絡もなしにこんな日に来るほうが悪い」

兄友「てめえが彼女が出来たって言わねえからいけねえんだろ」

兄「俺のせいかよ」

イケヤマ「まあまあ。じゃ、兄、またな」

兄「おう。沖縄の彼女によろしくな」

イケヤマ「おう、言っておくよ・・・・・・兄友、行くぞ」

兄友ブツブツ


兄「何か悪いな。やっと二人きりになれたね」

妹友「いえ。初めてお兄さんのお友だちに会えたし、何か嬉しかったです」

兄「妹友ちゃん・・・・・・」

妹友「お兄さん」

兄ダキ

妹友「・・・・・・あ」ギュ

兄「・・・・・・本当にレストランとかじゃなくてよかったの?」

妹友「うん。初めてのイブだし、お洒落な店とかより本当に二人きりになれる場所の方がよかったから」

兄「妹友ちゃん」ダキ

妹友「あ・・・・・・だめです、お兄さん。お料理とかケーキとか支度しなきゃ」ジタバタ

兄「そか。悪い。手伝うよ」

妹友「・・・・・・それもダメ。お兄さんはそこに座っていてくださいね。すぐできますから」

兄「あのさ」

妹友「はい?」

兄「あのさ、いつまで俺のことお兄さんって呼ぶのかな」

妹友「ああ。やっぱり気になりますか」

兄「兄って名前で呼び捨ててくれた方がいいな」

妹友「じゃあ、あたしのことは?」

兄「え?」

妹友「いつまでちゃんを付けて呼ぶ気ですか」

兄「・・・・・・妹友」

妹友「・・・・・・兄」

兄「なんか恥ずかしいな」

妹友「ふふ。すぐ慣れますよ」
256 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:23:13.97 ID:HHiTHOmto
今日はここまで

明日から第二部を再開します(イブの日に読んでくれる人がいるのかわからないけど)

しばらく妹が出てこなくても叩かないでください
タイトルは最後には回収しますので

ではおやすみなさい
257 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:37:16.36 ID:2rYPIwmr0
読むに決まってんじゃん

読むに…………
258 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:46:51.94 ID:3TJvJ8PBo
読むに決まってるだろ
259 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 00:47:46.08 ID:0D7SZCE1o
絶対読む!
260 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:50:22.31 ID:x8EBOBaYo
読むよ〜
今日飲み会だけど
261 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:54:26.44 ID:HHiTHOmto
おまえら。
イブにSS速報張り付きなんて寂しすぎだろ・・・・・・














・・・・・・イブにこんなSSを投下予定の俺もそうだが
262 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:58:54.69 ID:tDm1RHsdo
みんな画面に張り付いてるんだよ
より嫁に近付くために
263 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:59:18.94 ID:uFphYKBro
えっ?
クリスマスは中止だろ?
264 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/24(土) 01:08:46.96 ID:iGyUb0a+o
>>263
俺は今後廃止って聞いた
265 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 01:42:01.42 ID:8yR4Ct0Ko
地球のサンタさん絶滅したらしいな
266 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 01:49:57.32 ID:uyeG9qtIO
サンタさんへ
妹が欲しいです
267 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 01:52:18.32 ID:8cxr78BIO
妹友がたまにはメインはってもいいじゃん……
268 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 05:48:33.44 ID:G/mvwAcDo
妹も妹友も可愛いんだ
なのになんだこのもやもやは・・・

クリスマスだからか?
269 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 06:44:10.15 ID:CyUWWriSO
>(イブの日に読んでくれる人がいるのかわからないけど)

喧嘩売ってんのかコンニャロ


乙!!
270 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 20:26:28.53 ID:HHiTHOmto
兄(妹友ちゃん・・・・・いや。妹友が俺の部屋で料理の支度してる光景にも慣れてきた)

兄(今日はイヴ。多分だけど、今までお預けだった妹友ちゃんとのセックスも・・・・・・)

兄(今日はできるんだろうな。俺、童貞なのに何でこんなに冷静なんだろ)

兄(原因は・・・・・・。わかってるけど考えちゃいけないことで)

兄(・・・・・・今日はイヴ)

兄(妹も彼氏と)

兄(・・・・・・また妹のこと思い出した。俺、妹友ちゃ、妹友と付き合い出してから彼女一筋なのに)

兄(・・・・・・)


回想

妹「これ以上は妹友ちゃんに悪いから」

兄「あ・・・・・・」

妹「だからもうおしまいなの」

回想終了


兄(妹・・・・・・)


回想

兄「俺、おまえへの気持ちに気がつく前に妹友ちゃんに告白されて、それで」

妹「・・・・・・付き合ってるんでしょ? 妹友ちゃんと」

兄「いや、付き合っているっていうか」

妹「妹友ちゃんは親友なの」

兄「だ、だから聞けって」

妹「聞かない。あと、妹友ちゃんを傷つけたらお兄ちゃんのこと許さない」

兄「妹・・・・・・」

妹「出かけてくるね。お母さんに言いつけたかったら言いつけてもいいから」

兄「・・・・・・」

回想終了


兄(あの日、本当に妹とは終っちゃったんだ)

兄(もう1月以上妹と会ってない)

兄(・・・・・・俺、一人暮らし始めて妹のこと吹っ切ろうと)

兄(でもいつも妹のことをうじうじと考えてて)


回想

妹「聞かない。あと、妹友ちゃんを傷つけたらお兄ちゃんのこと許さない」

回想終了


兄(本当いい加減あいつのことは忘れないと)

兄(妹友にも悪いしな)
271 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 20:29:18.38 ID:HHiTHOmto
妹友「準備できましたよお兄さん」

兄「・・・・・・お兄さんって」

妹友「あ、間違えた。兄だった」

兄「俺、呼び方のことで変なこと言ちゃったけどさ。無理しなくてもいいよ、妹友」

妹友「・・・・・・無理じゃありません! ちょっと間違えただけじゃないですか」

兄「はいはい」

妹友「・・・・・・お兄さん、意地悪です」

兄「ほら、また」

妹友「あ、いけない」

兄「・・・・・・」

妹友「・・・・・・」

兄「・・・・・・ははは」

妹友「ふふふ」

兄「まあ、呼び方なんて自然に任せて少しづつ変えていけばいいのかもな」

妹友「そうですね・・・・・・お兄さん。あ、やっぱりこっちの方が自然だ」

兄「さっきのことは忘れて。お兄さんでいいよ」

妹友「あ、はい。でも」

兄「うん?」

妹友「せっかくだからお兄さんは、あたしのこと呼び捨てしてくださいね?」

兄「ええ〜。俺だけ?」

妹友「はい。妹友って呼ばれた方が、本当にお兄さんのものになったみたいで安心します」

兄「安心って何だよ。まあ、別にいいけど」

妹友「はい」

兄「・・・・・・妹友」

妹友「あ・・・・・・」

兄「妹友? どうした(真っ赤になった。やべえ、楽しい」

妹友「な、何でもない」

兄「でも、妹友の顔、真っ赤だよ」

妹友「・・・・・・」

兄「妹友?」

妹友「お兄さんの意地悪。絶対面白がって呼んでるでしょ」

兄「・・・・・・可愛いよ、妹友」ギュ

妹友「あ・・・・・・・」
272 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 20:31:14.24 ID:HHiTHOmto
兄・妹友「メリークリスマス! 乾杯」

兄「妹友、この豪華な料理ってどこで買ってきたの?」

妹友「途中でデパ地下とかで買ったのもありますけど」

兄「うん」

妹友「だいたいは、今朝から自宅で料理したのを持ってきました」

兄「え? すげえ。これ妹友が自分で作ったのか」

妹友「だから全部が自作じゃないし、ママとかお姉ちゃんにも手伝ってもらって」

兄「でも、すごいな」

妹友「・・・・・・最初のイヴだし」

兄「妹友?」

妹友「付き合いだして最初のイヴだし、お兄さんにはあたしの手作りの料理を食べてもらいたくて」

兄「でもさ、今までだってここで料理作ってくれたじゃん」

妹友「でも今日は特別な日だし」

兄「そうか・・・・・・そうだね。じゃあ、いただきます」

妹友「あたしが取ってあげますね」

兄「ありがとう。美味しそう」パク

妹友「・・・・・・どうですか」

兄「うんおいひいお」モグモグ

妹友「よかった」

兄「美味しい美味しい」パクパク

妹友クス

兄「あ、悪い。俺ってムードとかなくてごめんな」

妹友「いいえ。お兄さんに喜んでもらえて嬉しいです」

兄「妹友ちゃんは食べないの? 何か俺ばっかり食べてるじゃん」

妹友「じゃ、食べますね。あ・・・・・・口の端にチキンがついてますよ」ヒョイパク

兄「お、おい」

妹友「うん。我ながらいい出来♪」モグモグ

兄(幸せってこういうことを言うのか)

兄(・・・・・・まったりと心安らかに過ごすイヴ)

兄(何を考えているのかわからない妹を相手にいらいらしたり欲情したりした時とは、全く違うな)

兄(心底から落ち着くわ)

兄(俺なんかをよく好きになってくれたよな、妹友みたいな可愛い子が)

兄(・・・・・・大切にしなきゃ)


回想

妹「聞かない。あと、妹友ちゃんを傷つけたらお兄ちゃんのこと許さない」

回想終了


兄(そうだな)

兄(もう後戻りできないんだもんな・・・・・・)
273 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 20:33:14.85 ID:HHiTHOmto
とりあえず3レス投下

休憩した後、今日中にあと数レスは投下します




・・・・・・つうか自分で書いていて心がとても痛いので、クリスマスイヴ辺は予定よりはしょって、次のシーンに移ってしまおうそうしよう


ではまた後ほど
274 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 20:34:41.61 ID:9C/W/wLfo
はい
275 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/24(土) 20:48:41.69 ID:+JHPbkj8o
乙カレ、そしてどんまい
俺もこのスレと今晩は心中するから頑張れ
276 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 21:04:25.85 ID:HHiTHOmto
>>275
よし。おまえがそこまで言ってくれるなら・・・・・・。

夜の街で楽しんでいるリア充たちのことは忘れて、SS速報に張り付いてるやつらのために、心の痛みを我慢して予定どおりイヴのいちゃいちゃを書かせてもらうぜ




ちょっと待っててね
277 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 21:29:25.69 ID:6uYJ2CWAO
+(0゜・∀・)+wktk+
278 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 21:44:40.99 ID:YyGI8lTao
妹友とのイブシーンは別に要らんです
279 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 22:34:49.24 ID:HHiTHOmto
妹友「何それ? おかしい〜」

兄「いや、本当だって。うちの大学って結構変なサークルあるんだよな」

妹友「でも、今時ナンパサークルってあり得ないでしょ」

兄「まあね。でさ、妹友はこれまでナンパとかされたことある?」

妹友「普通にありますよ。まあ、あたしは妹ちゃんのおまけみたいなものでしたけど」

兄「(妹が・・・・・・)あ、あるんだ。どうだった?」

妹友「どうって・・・・・・。そりゃ、悪い気はしないけど。ちょっと怖いし。あと、妹ちゃん可愛いから心配だし」

兄「うん」

妹友「だから、いつも逃げてました。それに彼氏先輩がいると誰も妹ちゃんには声かけられないですしね」

兄「・・・・・・そうか」

妹友「お兄さんはナンパとかしたことあるんですか?」

兄「ねえよ。そんな度胸ないし、自分に自信もねえし」

妹友「ですよね」クスクス

兄「・・・・・・俺のことからかってる?」

妹友「知りません」ツン

兄「(今がその瞬間だ)あ、あのさ」

妹友「はい」

兄「えとさ。ちょっと」ガサガサ

妹友「・・・・・・」

兄「これ。ダサいかもしれないけど、プレゼント」

妹友「あ・・・・・・嬉しいです」

兄「い、いや」

妹友「開けていいですか」

兄「うん。期待し過ぎないでね」

妹友ガサゴソ「あ。可愛い」

兄「そ、そう?」

妹友「すごく素敵なペンダント・・・・・・大切にしますね」グス

兄「いや、泣くほどの物じゃ」

妹友「お兄さん・・・・・・」ダキ

兄「妹友」ギュ

妹友「じゃあ、お兄さん。これも開けてください」

兄「ありがと」ガサガサ

妹友「・・・・・趣味じゃなかったらごめんなさい」

兄「すげえ。俺、今までキャラクターが描いてない筆箱ってもったことないや。これ、革でできてるじゃん」

妹友「お兄さんもいい大学にいるんだし、そろそろこうゆうの持っててもいいと思いますよ」クス

兄「ありがと。講義に持っていくね。でも、高かったでしょ? これ」

妹友「そんなこといいんです。お兄さんが喜んでくれて嬉しい」

兄「妹友・・・・・・」
280 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 22:36:00.02 ID:HHiTHOmto
4時間後


妹友「もうこんな時間ですね」

兄「・・・・・・うん」ドキ

妹友「お兄さんと一緒にいると何ですぐに時間が経っちゃうんだろ」

兄「そうだな(やっぱり今日も帰っちゃうのかな)」

妹友「そろそろ帰らないと、終電無くなっちゃいますね」

兄「そうだね・・・・・・(駄目か。ちょっとだけお泊りを期待してたんだけど)

妹友「・・・・・・もっとお兄さんと一緒にいたいな」

兄「俺も」

妹友「早く受験したいなあ。それで、お兄さんと一緒に、同じ大学のキャンパスで過ごしたいです」

兄「うん。あ、俺さ。今日は酒飲んでないから車で送って行くよ(今日は諦めるか。妹友は俺の彼女なんだからそんなに焦ることねえしな)」

妹友「・・・・・・嬉しいですけど。でも」

兄「どしたの?」

妹友「・・・・・・ここで朝までお兄さんと一緒にいられればいいのに」ポツ

兄「・・・・・・うん(な、何て言やいいのかわかんねえ)」

妹友「・・・・・・お兄さん」

兄「な、何? 妹友」

妹友「あたし、今日ここに泊まったら駄目ですか?」

兄「(!!!!!)い、いや。駄目じゃねえけどさ。親とかどうすんだよ」

妹友「・・・・・・そうですよね」

兄「・・・・・・そうだよ」

妹友「これは最後の手段だと思っていたんですけど」

兄「(な、何だ)う、うん」

妹友「妹ちゃんに頼っちゃってもいいですか」

兄「(え)頼るって」

妹友「・・・・・・うちの両親には妹ちゃん、すごく信用されてますから」

兄「うん」

妹友「本当に今日、ここに泊まってもいいですか?」

兄「うん、もちろんだけど・・・・・・。でも親とか平気なの?」

妹友「ちょっと電話しますね」

兄「え?」
281 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 22:38:15.88 ID:HHiTHOmto
妹友「あ、ごめんね。イヴで楽しんでる最中に。あたし、妹友だよ」

妹友「そうか。先輩と仲良くやってるんだ・・・・・・」

妹友「あ、うん。お兄さんの部屋に二人でいるとこ。でさ」

妹友「・・・・・・妹ちゃん?」

妹友「妹ちゃん、どうした? 急に黙っちゃって」

妹友「・・・・・・大丈夫? うん、そか。よかった」

妹友「すごく言いづらいんだけど、口裏合わせてもらえないかな?」

妹友「だから、今説明するって」

妹友「そのさ。ちょっと頼みづらいんだけど」

妹友「今日は、妹ちゃんの家でお泊りパーティーしてたことにしてくれないかな」

妹友「あ、うん。うちの親って必ず先方のお家にお礼言わないとって名目で確認するから」

妹友「え? ああ」

妹友「・・・・・・妹ちゃん、何でそんなこと聞くの?」

妹友「うん・・・・・・本当にお兄さんのこと大好きだよ。だから今日はお兄さんのアパートに泊まりたいの」

妹友「・・・・・・だめ?」

妹友「ありがと! 妹ちゃん」

妹友「うん。お兄さん、隣で電話聞いてるけど・・・・・・電話替わる?」

兄(え? 妹と話するのか)ドキ

妹友「いいの? 本当にいいの? じゃあ、悪いけどお願い」

妹友「あたし、これから家に電話するから」

妹友「本当にありがとね、妹ちゃん」

妹友「うん、うん。じゃあね」
282 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/24(土) 22:40:59.01 ID:HHiTHOmto
妹友「・・・・・・」ピポパポ

兄「・・・・・・今の電話って、もしかして妹にかけたの?」

妹友「ちょっと黙っていてください、お兄さん」

兄「・・・・・・はい」


妹友「お母さん? あたし。今日さ、みんなで妹ちゃんのところにお泊りでパーティーしようってことになって」

妹友「だから、急にそういう話になったの! 前もって言わなかったのは悪いけど」

妹友「うん。迷惑じゃないって。女の子だけだしね」

妹友「うん、そうして。明日妹ちゃんの家に電話してお礼を言っておいてね」

妹友「じゃあ、妹ちゃんちに今日は泊まるから」

妹友「じゃあね」

妹友「今日、泊まってもいいって。お母さんが」

兄「そら、妹のとこに泊まってもいいって意味でしょ」

妹友「大丈夫。妹ちゃん、お母さんから電話があっても話を合わせてくれるって言ってました」

兄「・・・・・・あのさ」

妹友「はい」

兄「その、妹は俺たちのこと何か言ってた?」

妹友「妹ちゃん、あたしがお兄さんのアパートに泊まるの気に入らないのかなあ」

兄「妹が何か言ったのか?」ドキドキ

妹友「言ったというか、あたしがお兄さんのアパートにいるって言ったら急に黙ゃって」

妹友「それで、あんた本当にお兄ちゃんのこと裏切らないでしょうね? って聞かれて」

兄(何だそれ)

妹友「だから、お兄さんのこと本当に大好きって言ったんですね」

兄「あ、ああ」

妹友「そしたら、それなら協力してあげるって」

兄「そうか」

妹友「妹ちゃんと先輩の邪魔しちゃいましたけど」

兄「うん」ムカ

妹友「お兄さんと一緒にいるためなら後悔してません」ヨリソイ

兄「・・・・・・え」ドキ

妹友「お兄さん、抱いて」ダキツキ

兄「妹友・・・・・・(え、え。思ってたとおりの展開になるの?)」ギュ

妹友「お兄さん、好きです」

兄「・・・・・・いいの?」

妹友コク
283 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 22:41:42.23 ID:HHiTHOmto
本日はここまで

明日はオフなんで投下できると思います

では。
284 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 23:02:14.44 ID:CyUWWriSO
妹が何考えてんのかわかるようなわからんような……
285 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/25(日) 02:44:09.70 ID:pFbNUDxOo
286 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 02:45:56.64 ID:VgvfhNXHo
しっかり妹と結ばれるの期待乙
兄が妹を破瓜って……
287 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 19:25:00.44 ID:k8SczpS7o
翌朝


兄(・・・・・・俺の横にいる柔らかい可愛い生き物は)

兄(こういうリア充的な朝を迎えるのは2度目だけど、今回は妹じゃなくて妹友・・・・・・)

兄(俺の彼女。妹友なんだよな)

兄(よく寝てるな)

兄(そういや、妹と一緒に朝を迎えた時は、あいつ寝た振りしてたんだよな)

兄(・・・・・・何でここで妹を思い出すんだ、俺は)

兄(昨日は童貞を捨てた記念日か。童貞の俺でも無事に妹友を女にできた)

兄(昨日の妹友の反応、可愛かったなあ。それに声も大きいし積極的だし、普段のきちんとした妹友とは別人みたいだった)

兄(控えめな小さな声を時たま漏らすだけで、身動もきしない妹とは大違いだ)

兄(・・・・・・まあ、どっちが好みかというとそれは)

兄(って何を比べてるんだ俺は)

兄ジー

兄(・・・・・・やっぱり可愛いな、妹友)

兄(妹と違って出るところは出てるし)

兄(締まるとことは締まってるし、ある意味女の子の理想的な体型だな)

兄(・・・・・・妹はひたすら細い体だったけど、よく言えばスレンダーっていうか)

兄(・・・・・・まあ、どっちが好みかというと)

兄(だから、いい加減に妹と妹友を比べるのは止めろって)

兄(つうかもう妹とはそういうことをすることはないんだから)

兄(そう考えるとあの時の記憶は貴重かも。忘れないようにしないと)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・だからそうじゃねえだろ、俺)

兄(冷静に考えればあんなの黒歴史確定ものの出来事じゃねえか)

兄(まあ、妹には無事振られたことだし、これからは妹友一筋で)

兄ジー

兄(うん。何回見ても可愛い。しかも・・・・・・)

兄(妹友って、優しくて思いやりがあって礼儀正しくて)

兄(・・・・・・よくこんな子が俺のこと好きになってくれたよな)

兄(ついこないだまでは、一生童貞で過ごす覚悟を決めようとまでしていたのに)

兄(よく考えれば妹友と知り合えたのも妹つながりでだもんな)

兄(俺の身の回りって、最近急展開すぎるよな。いくらなんでもそろそろ落ち着かなきゃな)
288 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 19:27:42.59 ID:k8SczpS7o
妹友「うーん」ノビ

兄「おはよ」

妹友「あ」ニコ

兄「よく寝てたね」

妹友「おはようございます、お兄さん」チュ

兄「不意打ち過ぎるじゃんか」ドキドキ

妹友「嫌でした?」

兄「そんなわけないじゃん。妹友のこと好きだし」

妹友「あたしも、って。あ」

兄「どしたの?」

妹友「・・・・・・あたしたち、あの後そのまま寝ちゃったんですね」

兄「う、うん。ごめん」

妹友「何で謝ってるの?」

兄「い、いやその。そんなには妹友の裸見てないから」

妹友「今更、何言ってるんですか。お兄さんになら全然気にならないですよ」クス

兄「う、うん」

妹友「それに昨日は・・・・・・」
289 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 19:28:12.37 ID:k8SczpS7o
妹友「・・・・・・」カァ

兄「(顔真っ赤だ。可愛い)ごめん。俺初めてだったから、下手だったでしょ」

妹友「あたしだって初めてだし。上手とか下手とかわからないです」

兄「それはそうだね」

妹友「はい。でも・・・・・・」

兄「うん」

妹友「思ってたより痛くなくて」

兄「うん」

妹友「とっても素敵でした。お兄さん?」

兄「うん」

妹友「愛してます。ずっと一緒にいてね」スリスリ

兄「もちろん。愛してるよ」ダキ

妹友「妹ちゃんに感謝しなきゃ」

兄「え」

妹友「正確に言うと妹ちゃんのブラコンに、かな」

兄「な、何でだよ」

妹友「だって、妹ちゃんが毎日学校でお兄さんの話ばかりしてて」

兄「・・・・・・そう言ってたね」

妹友「はい。それでその話を聞いているうちに、何となくお兄さんのことが気になるようになったわけですし」

兄「そうか」

妹友「それに昨日だってアリバイ工作を引き受けてくれたし。昨日お兄さんと結ばれたのは妹ちゃんのおかげです」

兄「・・・・・・」

妹友「妹ちゃんにお礼言わないとね。お兄さんからもですよ」

兄「え? 俺が?」

妹友「はい」

兄「・・・・・・うん(それ絶対無理)」
290 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 19:40:26.32 ID:k8SczpS7o
兄「さて、天気もいいしイヴは部屋で過ごしちゃったから、これからどっかに遊びに行かない?」

妹友「うーん。どうしようかなあ」

兄「え?(外出するの気が進まないのかな)」

妹友「何か今日は人がいるところに出かけるより、二人きりでいろいろなお話をしていたい気分」

兄「(か、可愛過ぎだろ)じゃあ、今日も部屋にいる?」

妹友「そうですねえ・・・・・・あ、そうだ」

兄「うん」

妹友「お兄さんさえよかったら、車出してもらえませんか」

兄「俺の軽でよければ」

妹友「ドライブしませんか。前に妹ちゃんがお兄さんにドライブに連れって行ってもらたって言ってましたけど」

兄「ああ」

妹友「その話聞いた時、あたしすごくうらやましくて。妹ちゃんに何度もいいなあって言っちゃって」

兄「そんなにうらやましかったの? 江の島とか行って飯食って帰ってきただけだよ」

妹友「だって妹ちゃんの話、ロマンティックでしたよ。海辺で大好きなお兄ちゃんに黙って寄り添う妹ちゃん」

兄「はい?(そんなことされたっけ? 車中で俺に寄りかかってはきたけど、黙ってっていつもどおり無口だっただけじゃん)」

妹友「突然の海風で手元から飛ばされた妹ちゃんのハンカチ。それを慌てて追いかけるお兄さん」

兄「何の話だ」

妹友「吹き飛ばされたハンカチを追って砂浜を駆けるお兄さんを、微笑んで見守る妹ちゃん。ああ〜、いいなあ」

兄「・・・・・・俺、記憶障害でもあるのかな」

妹友「行きましょ? お兄さん」

兄「・・・・・・うん」

妹友「あたしも江の島に行きたいなあ。展望タワーがライトアップしてるんですって」

兄「じゃ、でかけるか」
291 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 19:49:46.43 ID:k8SczpS7o
兄「アパートの鍵閉めてっと。あ、そうだ」

妹友「どうしました?」

兄「はい。これ・・・・・・よかったら持っててよ」

妹友「これって・・・・・・」

兄「この部屋の予備の鍵。もし嫌じゃなかったら」

妹友「・・・・・・」

兄「妹友?」

妹友「お兄さん・・・・・・大好き」ギュ

兄「うん(手を繋いでくれた)」

妹友「じゃ、でかけましょう♪」

兄「うん」


ドライブ中


兄「今日は天気いいな」

妹友「本当。晴れてると景色が綺麗に見えますね」

兄「途中で高速降りて海辺の国道に入ると、もっといいい景色になるよ」

妹友「楽しみだなあ。あたし男の人と二人でドライブするの初めてです」

兄「お父さんとかは?」

妹友「ああ、それならあるけど。でも、お父さんは家族だし。ドライブとかじゃなくて用事があって車に乗ってるだけだし」

兄「まあそうだよね。俺も家族以外の女の人と二人でドライブするの初めてだよ」

妹友「つい最近、妹ちゃんとドライブデートしたくせに」ツン

兄「だからら家族以外でって言ったじゃん」

妹友「あ、そうか。妹ちゃんってお兄さんの妹でしたね」

兄「・・・・・・何わけのわからないこと言ってるの」

妹友「わけわからなくないですよ。あたしね」

兄「うん」

妹友「お兄さんと妹ちゃんを理想のカップルだって考えていたんですね。妹ちゃんがお兄さんの悪口ばっかり言ってた頃から」

兄「はあ?」

妹友「だから、自分が妹ちゃんの席に座れるなんて思ってもいなかった」

兄「そんな大げさな。つうか、妹友が今座ってるのは妹の席じゃねえよ」

妹友「・・・・・・うん」

兄「妹の席は俺の妹っていう家族の席だけど、妹友の席は俺の彼女の席だし」

妹友「ありがとうお兄さん。嬉しい」

兄「うん」

妹友「そうですよね。あたし、妹ちゃんをお兄さんから引き剥がしたんじゃなくて、新しい席を作ってもらってそこに座ったんですよね」

兄「引き剥がすって・・・・・・何の話?」

妹友「少し気が楽になりました。お兄さんと付き合いだしてから、いつも妹ちゃんに対して微妙に罪悪感を感じてたので」

兄「ごめん。よくわからない」

妹友「さて。昨日のお礼と報告しとこうかな。ちょっと、妹ちゃんにメールしますね」

兄「・・・・・・うん」
292 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 19:50:41.74 ID:k8SczpS7o
ちょっと休憩

あとで出来たらもう少し投下するかもしれません
293 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:14:51.27 ID:gRp7WGeSO
ソワソワ
294 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:44:50.17 ID:VRDvZzqWo
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
295 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 22:02:58.57 ID:k8SczpS7o

兄(やけに長いメール打ってるな。妹友、さっきからずっと携帯とにらめっこしてる)

兄(妹への罪悪感・・・・・・か。わかるようなわからないような)

兄(妹は妹友の俺への気持ちを応援してたらしいから)

兄(そう考えると罪悪感なんて感じる必要ねえよな)

兄(だけど、もし。もしもだけど、妹が俺のことを男として好きで)

兄(親友の妹友に遠慮して俺のこと諦めたとしたら。そして妹のそういう気持ちを妹友が察していたとしたら、それなら妹友が罪悪感を感じるのもわかる)

兄(客観的にみれば俺は妹に振られた状態だよな。つまり妹が自分から俺を振った。それなら妹友が罪悪感を感じる理由はないとも言える)

兄(ああ、面倒くせえ。何だかわからなくなってきた」

兄(妹のことは忘れなきゃいけないんだけど、俺と妹友の共通の知人って妹だけだし、何より妹と妹友は親友だし)

兄(妹友と付き合う限り妹の話題からは逃げられないってことだよな)

兄(・・・・・・妹友、まだメールしてるよ)

兄(あの携帯の向こう側に妹がいるのか。もう2月近く妹に会ってねえな)

兄(・・・・・・まあ、前の無関心な状態に戻っただけと思えば寂しくないさ)

兄(それに前とは違って俺には彼女がいるんだし)

兄(あ、メール打ち終わったみたいだ)

妹友「・・・・・・送信っと」ピ

妹友「ごめんなさい、お兄さんを放っておいて」

兄「いいって」

妹友「でも、妹ちゃんにはいろいろ話しておきたくて」

兄「いろいろって・・・・・・・あの、夜のこととかも?」

妹友「はい。妹ちゃんには隠し事したくないので。ダメでしたか?」

兄「そんなことはないけど・・・・・・(ますます妹と距離が広がったか。でもそれでいいんだよな)」

妹友「お兄さん?」

兄「いや。もうすぐ海が見えるよ。いいタイミングだったね」

妹友「はい。海見るのって久しぶりで」ピロリ〜ン

妹友「妹ちゃんから。返信はやっ」カチ

妹友「・・・・・・」

兄「どうした? 妹何だって?」

妹友「いえ・・・・・・、一言だけ『よかったね。そんなにあたしに気を遣わなくていいから』って」

兄「・・・・・・そんだけ?」

妹友「はい・・・・・・」

兄「何考えてるんだあいつ。妹友がせっかく長いメール送ったのに」

妹友「忙しかったんですかね」

兄「う、うん。きっとそうだよ。どうせ彼氏と一緒にいるんだろうし」

妹友「・・・・・・そうですよね。タイミング悪かったかな。今日クリスマスだし、妹ちゃんもあたし達と同じで昨日から」

兄「え?」

妹友「あ、海が見えました、お兄さん。キラキラ輝いててきれい」

兄「・・・・・・うん(妹、昨日は彼氏と)」
296 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 22:08:02.20 ID:k8SczpS7o
江の島


妹友「海のそばだけあって寒いですね」

兄「そうだね。そろそろお昼だけど、何食べたい?」

妹友「そうだなあ、どうしようかな」

兄「ここじゃ、クリスマスっぽいお洒落な店はないと思うけど」

妹友「そういうのは昨日食べたからもういいです。あ、そうだ。妹ちゃんと来た時は何食べたんでしたっけ」

兄「たしか。えーと、シラス丼だったかな」

妹友「あ、そういうの食べたい」

兄「妹の時と同じじゃ何かつまらないな。あ、そうだ」

妹友「はい」

兄「ただのシラス丼じゃなくて生シラス丼ってあるみたいだけど、食べてみない?」

妹友「どう違うんですか」

兄「釜揚げのシラスじゃなくて生のシラスを使ってるんだって。取れたては全然生臭さがなくて美味しいらしいよ」

妹友「あ、食べてみたい」

兄「じゃあ、お店探そうか」

妹友「うん」
297 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 22:08:33.26 ID:k8SczpS7o
店内


兄「生シラス丼のほかにもいろいろあるけど、どれにする?(結構高級そうなお店に入っちゃったな。シラス丼ごときで2,500円とかどうなんだろ」

妹友「・・・・・・結構高いですよ、ここ」

兄「気にするなって。クリスマスだし、これくらい大丈夫だから好きな料理頼んでよ」

妹友「う〜ん」

兄「俺は生シラス丼にしよっと」

妹友「前のデートの時は妹ちゃんは何を食べたんですか?」

兄「だから、デートじゃないって。って、何だっけ?」

兄「たしか、シラスだけじゃ飽きるからって」


回想

妹「あたしはお刺身定食にしよ」

兄「おまえ、シラスが食いたかったんじゃねえの」

妹「うん。でも、シラスだけじゃ飽きちゃうし」

回想終了


兄「って言ってたよ」

妹友「えええ、シラス丼食べに来た意味ないじゃないですか」

兄「まあ、俺のシラス丼勝手に食ってたし」

妹友「・・・・・・」

兄「どしたの?」

妹友「・・・・・・じゃあ、あたしもお刺身定食」

兄「え? シラス食べてみたかったんじゃないの」

妹友「二人で分け合いましょう」ニコ

兄「そ、そうか。そうしようか」

妹友「少なくとも妹ちゃんは生シラスは食べてないんですよね?」

兄「うん。前は釜揚げシラスだった」

妹友「・・・・・・よし!」

兄(何なんだ・・・・・・」
298 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 22:09:05.30 ID:k8SczpS7o
妹友の家


兄「(相変わらずでかい家。うちの実家とは偉い違いだ)じゃあ、今日はこれで」

妹友「あ、今日はありがとうございました」

兄「・・・・・・何でそこでお礼を言うかな(まあ、優しくて思いやりがあって礼儀正しい妹友だから好きになったんだけどね)」

妹友「そうですね・・・・・・。妹ちゃんならここでお礼なんか言わないだろうなあ」

兄「な、何言ってるの」

妹友「じゃあ、お礼は言いませんけど」チュ

兄「・・・・・・あ」

妹友「昨日からはとても楽しかった・・・・・・大好きだよ、お兄さん」

兄「・・・・・・うん。俺も妹友のこと好きだ。愛してるよ」チュ

妹友「じゃあ。またメールか電話してね」

兄「お、おう。おやすみ」

妹友「おやすみなさい、お兄さん」

兄(・・・・・・家に駆け込んじゃった。何か胸が切ない)

兄(これが恋するってことなのかな)

兄(何恥ずかしいこと言ってるんだ俺。それよりここまで来ちゃうと、実家の方が近いんだけど)

兄(大学は休みに入っているし)

兄(今日は親は帰ってるのかな。母さんがいるなら実家に帰った方が楽なんだけど)

兄(・・・・・・妹しかいない実家には帰りたくないな)

兄(どうしようかな。家に電話して妹が出ても気まずいし)

兄(・・・・・・そうか。母さんに電話すればいいんだ)

兄(・・・・・・)
299 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/25(日) 22:12:50.10 ID:k8SczpS7o
兄「あ、母さん? 俺だけど」

兄「俺俺詐欺? 何言ってんだよ。自分の息子の声もわかんねんのかよ」

兄「何? その乱暴な口の聞き方は確かにあたしの息子だ? いい加減冗談はやめて、真面目に聞けって」

兄「いやさ、今実家の近くまで用があって車で来てるんだけどさ、母さんは今家にいるの?」

兄「何でって、いちいちうるせえよ。答えてくれたっていいじゃんか」

兄「はぁ? 俺がマザコン? ふざけんなって」

兄「うん。うん、何だ、まだ職場かよ。で? 今日は家に帰るの?」

兄「だからマザコンじゃねえっつうの! 妹しかいない実家に帰りたくないだけだって」

兄「うん、年末は帰ろうかと思ってたんだけどさ。父さんも母さんもさすがに家にいるだろうし」

兄「うん。そうか、今日は二人とも家に帰れないのか。じゃあ、俺もこのまま車でアパートに帰るわ」

兄「え? やだよ。妹しかいないんでしょ。夕飯だってないだろうし」

兄「妹の雑炊? ぜってーやだ。それに」

兄「妹だって家にいるかわかんねえじゃん(彼氏と一緒かもしれないしな・・・・・・)」ズキ

兄「何? 俺が実家に泊まるなら無理してでも今日は家に帰るって? 本当だろうな・・・・・・」

兄「うん、母さんがそこまで言うなら実家に帰るよ。早く帰ってこいよ?」

兄「あ、あとさ。何か食い物買って来て。この際カップラーメンでもいいからさ」

兄「だから! 妹の雑炊は絶対断る」

兄「うん。じゃあ、後でね」

兄「・・・・・・母さん?」

兄「本当に仕事無理してないんだろうな」

兄「わかった。悪かったよ。じゃあ、家に帰ってるからね」

兄(久しぶりの実家か。妹は今日も夜遊びしてるのかな)

兄(母さんにあえるだけでも実家に帰る意味はあるかな)



ガチャ


兄「・・・・・・ただいま」ボソ

妹「・・・・・・あ」

兄「(妹! いたのかよ)・・・・・・た、ただいま」

妹「・・・・・・」

兄「今日泊まって行くから」

妹「うん・・・・・・おかえり、お兄ちゃん」
300 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 22:13:23.34 ID:k8SczpS7o
今日はここまで

また明日会えたらお会いしましょう
301 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 22:27:57.19 ID:VgvfhNXHo
おつおつ
妹ええ子や
302 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/25(日) 22:45:17.73 ID:7PfGlX6+o
乙です。

なんか妹友の行動にいちいち裏がありそうで気になるなあ
303 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 22:45:56.35 ID:gRp7WGeSO
毎度毎度区切る所が鬼すぎて死にそう
304 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 22:59:15.08 ID:tZtQOlBDO
>>1乙である。
305 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/25(日) 23:56:17.38 ID:J79aVfTP0
乙です。

気が速いかもしれませんが、完結した後に妹視点で書いて欲しいです。
306 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 02:44:44.16 ID:VWZEgl8IO
待ちに待った妹キター!!!!!
307 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/26(月) 21:32:05.65 ID:961dWEdAo
兄「・・・・・・おまえ、家にいたんだ」

妹「うん」

兄「毎晩彼氏といちゃいちゃしてたんじゃなかったのかよ(俺、久しぶりに会った妹に何でこんなこと言ってるんだろ)」

妹「最近は夜は出かけてないよ。先輩も受験勉強始めたし」

兄「始めたって、もう年明けには受験じゃねえか」

妹「・・・・・・先輩の志望校、偏差値すごく低いとこだし」

兄「(何か普通に話してくれるのな。俺の女にはなれないけど普通の妹にはなってくれるってことか)って、あれ?」

妹「・・・・・・」

兄「じゃあ、おまえ親いない日はずっと一人なのか?」

妹「12月になってお仕事が年末進行なんだって」

兄「・・・・・・それじゃ」

妹「うん。ここ半月くらいお母さんとお父さんに会ってない」

兄「え。おまえ・・・・・・」

妹「うん」

兄「寂しくないのかよ」

妹「・・・・・・」

兄(寂しそうな顔。それはそうだよな)


回想

兄「おまえ、寂しくないの?」

妹「別に。寂しくないよ。お兄ちゃんもいるし」

兄「え」

妹「・・・・・・いるんだよね? 大学終わったらすぐ帰ってきてくれるんでしょ?」

兄(何でそんなに不安そうに俺を見る。そんなんだから誤解しちゃうんじゃねえか)

兄「まあ、今はバイトもしてないし、帰りは遅くはならないけど」

妹「うん・・・・・・よかった」

兄「・・・・・・」

回想終了


兄(・・・・・・半月も家で一人きりだったのかよ、こいつ)

兄(俺も一人暮らししてたけど、妹友が来てくれたりしたし兄友もよく押しかけてきたし、寂しいとかなかったけど)

兄(こいつは彼氏にも会えずに一人でこの寂しい家にいたんだ)

妹「・・・・・・お兄ちゃん?」

兄「あ、あのさ。俺大学休みになったから、今日から新学期までここで暮らすから」

妹「え・・・・・・本当?」パァ

兄「ああ、本当だよ(今は妹に振られたとか言ってる場合じゃないな。兄としてこいつのこと考えてやらなきゃ)」

妹「・・・・・・うん」

兄(何でそこでそんなに嬉しそうな顔するんだよ)
308 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/26(月) 21:38:21.07 ID:961dWEdAo
兄「おまえ、親いない時夕飯とかどうしてたの?」

妹「冷凍食品とかコンビニとか。でも、何か最近あまり食欲なくて」

兄「下宿してる俺と変んねえのな。今日はもう食べたのか」

妹「まだ」

兄「あのさ。おまえさえよかったらだけど、一緒にファミレスに行く?(俺と二人では出かけてくれないかな・・・・・・)」

妹「うん、行きたい」ニコ

兄「じゃ、じゃあ、すぐ出られるか?」ドキ

妹「・・・・・・着替えないと」

兄「じゃ、待ってるから着替えてくれば」

妹「うん・・・・・・お兄ちゃん?」

兄「うん?」

妹「・・・・・・ありがとう」ニコ

兄「・・・・・・」

兄(何で礼なんか言うんだよ)


回想

妹友「あ、今日はありがとうございました」

兄「・・・・・・何でそこでお礼を言うかな(まあ、優しくて思いやりがあって礼儀正しい妹友だから好きになったんだけどね)」

妹友「そうですね・・・・・・。妹ちゃんならここでお礼なんか言わないだろうなあ」

回想終了


兄(妹が俺にありがとうって言ったことに、何か意味があるのかな)

兄(俺と恋人同士みたいな雰囲気になってた時には礼なんか言ったことなかったし)

兄(もう普通の兄妹の関係だから、わざわざありがとうなんて言うのかな)

兄(・・・・・・普通の兄妹になれるだけでもありがたいと思わなきゃな)

兄(つうか、俺にはもう妹友がいるんだし、妹と仲良くなりすぎるわけにもいかないから)

兄(・・・・・・こういうのが一番いい結果なんだよな)

兄(それにしても高2の女の子を家に放置するとかってどんな親だよ。いくら仕事が命にしたって限度があるだろ)

兄(金さえ置いとけばいいってもんじゃねえだろ)

兄(俺は、妹と仲良くなる前はこんなことすら考えてやったことがなかったんだ)

兄(・・・・・・これからはいい兄貴、いや普通の兄貴になろう。妹のことも心配してやろう)

兄(今日思いついて実家に帰って本当によかったな)
309 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/26(月) 21:52:03.82 ID:961dWEdAo
近所のファミレス


兄「またそういうデザートみたいのを食う。おまえ、最近食欲ないんじゃなかったのかよ」

妹「何かおなかすいてきちゃって」クス

兄「・・・・・・だったらだな。普通に料理っぽいのとか食べたら」

妹「でも、パフェみたいのって久しぶりだし」

兄「俺も人のことは言えねえけどさ。おまえ、そんな食生活してて体壊さねえのか」

妹「朝はパン食べてるし、お昼ご飯は学食で普通に食べてるから」

兄「でもさ。おまえ少し痩せたんじゃね?」

妹「そうかな? 最近体重図ってないんだけど」

兄「どれ」ジー

妹「・・・・・・あ」

兄(何でそこで襟を手で隠す? 別に胸元を覗いた訳じゃねえっつうの)

妹「・・・・・・お兄ちゃんは少し太ったかな」

兄「変んないと思うよ。まあ、カップ麺ばっか食ってるけどさ」

妹「だって・・・・・・。妹友ちゃんが食事作ってくれてるんでしょ」

兄「はい?」

妹「妹友ちゃんのメールで、『最近よくお兄さんに手料理を作ってるよ』って」

兄「確かに作ってもらったことあるけど、よくってことはないなあ(普通に妹友のこと話せた)」

妹「そうなんだ」

兄「結局一番多いのは一人でカップラーメン食うパターンで、次が兄友、ああ、兄友って大学の友だちなんだけどさ」

妹「うん」

兄「そいつが部屋に押しかけてきて飲み会になるって感じだな」

妹「そうか・・・・・・。妹友ちゃん、毎日お兄ちゃんの部屋に来てるわけじゃないんだ」

兄「ねえよ。週末に来るか来ないかって感じだな」

妹「そう・・・・・・」

兄「何だよ?」

妹「何でもない。お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「それ美味しい?」

兄「いや、普通のハンバーグだけど」

妹「ちょっとちょうだい」

兄「・・・・・・あ(俺の食べかけのとこ口に運んだ)」

妹「本当にまあまあだね」

兄「食いたいなら追加でオーダーしたら?」

妹「ううん。そんなに食べられないし」

兄「そうか」
310 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/26(月) 21:57:02.04 ID:961dWEdAo
ブルルル


兄「メールだ(妹友かな)」パカ

兄「・・・・・・あのくそばばあ」イラ

妹「どうしたの」

兄「母さんから。今日帰って来るって言ってたのに、やっぱり仕事終んないんで帰れないって」

妹クス

兄「・・・・・・おまえも久しぶりに母さんに会いたかっただろ?」

妹「そうだけど・・・・・・。今日は一人じゃないし」

兄「・・・・・・そか」

妹「ねえ」

兄「うん?」

妹「いつまで家にいるの?」

兄「来年学校が始るまで」

妹「そうか。よかった」

兄「・・・・・・」

妹「大晦日とかお正月とか一人で家にいなくていいんだ」

兄「ああ・・・・・・。初詣とか一緒に行くか?」

妹「それはいい」

兄「え?」

妹「・・・・・・多分、お兄ちゃんは妹友ちゃんに誘われると思うから」

兄「あ。うん・・・・・・」


自宅


妹「お風呂沸かすから先に入っちゃって」

兄「ああ」

妹「その間に乾燥機でお兄ちゃんの布団を暖めておくから」

兄「・・・・・・いいよ、そんなの」

妹「2月以上使ってないからそうしないと」

兄「悪い」

妹「お兄ちゃん、着替えとかアパートから持ってきたの?」

兄「ああ、そういや何も持ってきてないな。明日にでもアパートに行っていろいろ持って来ないとな」

妹「今日は家に置いて行った服とか探しておくから」

兄「あ、ああ」

妹「洗面所に予備の歯ブラシ出しておくから」

兄「・・・・・・うん」
311 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/26(月) 22:20:04.73 ID:961dWEdAo
風呂

兄(いったい何なんだこの甲斐甲斐しさは。まるで新婚の夫婦みたいじゃないか)

兄(・・・・・・そんだけ一人でいるのが寂しかったってことか?)

兄(久しぶりに家族と一緒ではしゃいで世話焼いてるのか)

兄(よく考えれば俺が家にいた時だって、ろくに顔を合わせなかったし)

兄(妹が夜遊びしてたんだって、家にいると寂しいからっていうのもあったんだろうな)

兄(妹友を彼女として大事にしなきゃいけないのは当たり前だけど)

兄(・・・・・・妹のことも大切にしてやらなきゃいけないんだ。妹に性的な関心を持ってたって今考えれば最悪の兄だった)

兄(普段親と会えないで夜一人きりなんて、高2の女の子が過ごす環境じゃねえよ。これからは、俺が親代わりをしてやらなきゃいけないんだ」

兄(妹に振られて一人暮らし始めちゃったけど、妹には可愛そうなことしたのかもな)

兄(俺の一人暮らしに両親が反対した訳がようやくわかったよ)

兄(今更、一人暮らしは止められないけど。できるだけ親がいない時は実家にいるようにしよう)

妹「お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「着替えとかタオルとか置いとくからね」

兄「ああ。ありがと」

妹「・・・・・・うん」

兄「もう風呂から出るからな。おまえもすぐ入れよ」

妹「・・・・・・わかった」


リビング

妹「ああ、お風呂上りは暑いね」

兄(・・・・・・こいつ、またそんな格好で)ドキ

妹「でも温まった」トス

兄「(何で俺の隣に密着して座る? 座る場所は他にもあるのに)最近、夜は冷え込むからな」

妹「うん。リビングのエアコンちゃんと動いてよかった」

兄「え? おまえ普段エアコンつけねえの」

妹「だって、普段は寂しいからリビングになんていないし」

兄「そうか。自分の部屋にこもってるんだ」

妹「一人でいるとリビングは広すぎるし」

兄「・・・・・・そうかもな」

妹「でも、今日はなんか狭く感じるね」クス

兄「何で?」

妹「お兄ちゃんと一緒だからかな」

兄「・・・・・・うん」

妹「お兄ちゃん?」

兄「ああ」

妹「・・・・・・久しぶりに今日もお兄ちゃんの部屋で一緒に寝てもいい?」

兄「(!!!!!!)え」

妹「・・・・・・それともやっぱり妹友ちゃんに悪いかな」

兄「い、いや(何なんだよ一体)」
312 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:21:23.53 ID:961dWEdAo
短いですが今日はここまで

29日以降は休みなのでもう少し更新できると思います

それではまた
313 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:23:33.56 ID:961dWEdAo
>>305
別に書く予定はないですけど、エンディング間際で妹視点のモノローグが入る予定です
でも、これ以上は興ざめになるので。
314 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:44:25.86 ID:BdG5bDoKo
妹かわいいよね
315 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 22:47:29.00 ID:Q6zso0ASO
ミステリアスな雰囲気って時に大事
妹視点で書かれるとそれが薄まってしまうから書かなくても問題ない
316 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/26(月) 22:59:53.57 ID:MFb8tpVSo
なんか色々破滅に向かっている感じがして心が痛い
続き楽しみにしてます
317 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 23:42:58.51 ID:/WejkUbIO
自分の彼氏が一回妹と再会しただけで
また一緒に暮らすとなったら心配するだろうなぁ妹友は
318 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 08:35:32.31 ID:UTiK8UIso
非エロってセクロス自体がないって意味じゃなくえっちいシーンを書かないってことなのか
ということはクズ先輩と付き合っている妹は絶対安全ではないのか…
319 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/27(火) 21:16:58.26 ID:3qU7yV8Vo
兄の部屋


兄(あいつ、着替えたら俺の部屋に行くって言ってたけど。本当に寂しかったんだな)

兄(・・・・・・無理ないか。16歳の女の子がずっと一人きりだったんだもんな。久しぶりに帰ってきた家族の側にいたいと考えても全然おかしくない)

兄(それに。よく考えたら、あいつ母さんに代わって掃除とか洗濯とか家事を一人でしてたってことだよな)

兄(リビングも風呂もトイレも・・・・・・俺の部屋だって全然汚れてないし。母さんが半月もいなかったんだから、家ももっと荒れてても不思議はねえのにな)

兄(あいつ。料理こそ下手だけど、そのほかの家事はできるんだ)

兄(寂しくてもやることはきちんとやる・・・・・・か。俺、妹のこと意識したり俺の女になれなってあいつを口説いたりしたけどさ)

兄(あいつのこと、本当は何にもわかってなかったんだ・・・・・・)

兄(自分の気持ちを完全に割り切れたって訳じゃねえけど、今は妹に甘えさせてやるべきなんだろうな)

兄(今まで家族が不在で寂しい思いをさせた妹を、兄が全力で慰める)

兄(そういう関係なら妹友にも話せるし、彼女もきっとわかってくれるだろ。何しろ妹と妹友は親友なんだし)

兄(だけど)

兄(・・・・・・これって妹のためだよな?)

兄(俺が妹と関わりを持ちたいからじゃねえよな)

兄(もう自分の気持ちすらよくわからんけど)

兄(さっきの妹の寂しそうな顔に胸を打たれて、慰めたい笑顔にしたいと考えたことだけは、不純な思いからじゃないはずだ)

兄(・・・・・・もうごちゃごちゃ考えるな。妹の好きなようにさせてやろう)


ガチャ


妹「お兄ちゃん、入るよ」

兄「ああ、どうぞ(上下スウェットに着替えたのか。あと毛布とか枕とか抱えてるな)」

妹「重かった。床に敷いていい?」

兄「・・・・・・うん(そりゃ、同じベッドで寝るわけないか。もう終わりだと宣言されてるんだし)」

妹「どうしたの? お兄ちゃん」

兄「いや。床に布団敷くならそこのテーブル動かした方がいいな」

妹「うん」

兄「俺がテーブルどけるから、おまえそこに布団敷けよ」

妹「うん・・・・・・ありがと」

兄「いいよ(またありがとって言った)」
320 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/27(火) 21:34:49.37 ID:3qU7yV8Vo
妹「できた。あたし今日は床で寝るからね」

兄「おまえの好きなようにしなよ」

妹「・・・・・・え?」

兄「どした?」

妹「何でもない。まだ、寝るには早いね」

兄「うん。テレビでも付けるか?」

妹「お兄ちゃん、何か見たい番組ある?」

兄「ない。つうか俺、普段から全然テレビとか見ないし」

妹「そうだった。お兄ちゃんって昔から本当にテレビ見ないよね」

兄「(・・・・・・俺はこいつのこと何にも知らないのに、こいつは俺がテレビ見ないこととか知ってるんだな)まあな。おまえはテレビとかよく見るの?」

妹「うん。誰もいない時はリビングにいたくないんだけど、あたしの部屋ってテレビないから」

兄「そうだっけ? じゃあ俺の部屋のテレビをおまえの部屋に持って行ってやるよ。大学始ったらここにはいないし、帰ってる時でもほとんどテレビ見ないしな」

妹「ありがと」

兄「今からやるか? おまえの部屋にもアンテナ端子あるはずだし」

妹「ううん。まだいい」

兄「へ? 何で。すぐにできるぜ」

妹「年末年始にお兄ちゃんがいる間は、お兄ちゃんの部屋でテレビみたいから」

兄「・・・・・・そうか。そうだな」

妹「それにお正月はお父さんもお母さんも家に帰ってくるし」

兄「ああ」

妹「そしたらみんなでリビングでテレビ見るし」

兄「(さすがにあいつらも正月くらいはい家に帰るのか。そら、そうだ)よかったな、妹」

妹「うん。電話でお母さんからそれ聞いた時は嬉しくて、少し泣いちゃったくらい」

兄「・・・・・・うん」

妹「でも、お兄ちゃんが帰ってくれたから」

兄「うん?」

妹「ずっと家にいてくれるし、もしお母さんたちがいなくても寂しくない」

兄「そうか。ごめんな、今まで一人で家のこととかさせちゃって」

妹「ううん。あたしこそごめんなさい」

兄「え?」
321 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/27(火) 21:59:25.01 ID:3qU7yV8Vo
妹「最後にお兄ちゃんと話した時、あたし少し動揺してたから」

兄「・・・・・・別に。おまえが言ってたことは正しいよ。俺は」

妹「・・・・・・」

兄「俺は・・・・・・。妹友の告白にOKしたのに、おまえにあんなことを」

妹「・・・・・・呼び捨てで呼んでるんだ。妹友ちゃんのこと」

兄「(あ)・・・・・・うん」

妹「そうだよね。恋人だもんね」

兄「・・・・・・まあな」

妹「とにかくごめん」

兄「だから何で謝る。理由を話してくれよ」

妹「言い方。大好きなお兄ちゃんを傷つけるような言い方だったから」

兄「大好きって」

妹「それは前にも言ったでしょ。彼よりお兄ちゃんの方が好きだって」

兄「・・・・・・」

妹「だから、妹友ちゃんのメール見た時、すごく慌てちゃって。妹友ちゃんのことは応援しようと思ってたのに」

妹「それで」


回想

妹「これ以上は妹友ちゃんに悪いから」

兄「あ・・・・・・」

妹「だからもうおしまいなの」

兄「ちょっと待ってくれ。話を聞いてくれよ」

妹「聞かない」

兄「俺、おまえへの気持ちに気がつく前に妹友ちゃんに告白されて、それで」

妹「・・・・・・付き合ってるんでしょ? 妹友ちゃんと」

兄「いや、付き合っているっていうか」

妹「妹友ちゃんは親友なの」

兄「だ、だから聞けって」

妹「聞かない。あと、妹友ちゃんを傷つけたらお兄ちゃんのこと許さない」

兄「妹・・・・・・」

妹「出かけてくるね。お母さんに言いつけたかったら言いつけてもいいから」

兄「・・・・・・」

回想終了
322 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/27(火) 22:03:05.86 ID:3qU7yV8Vo
妹「・・・・・・」

兄(こいつ、本当にテレビ見るの好きなのかな?)

兄(テレビ見てるというよりは、テレビの向こう側を透かして眺めてる感じじゃんか)

兄(バラエティなのに笑わねえし)

兄(それよりも、何で俺のベッドで俺の隣に座る)

兄(しかも密着して。妹友のことが大切なんじゃねえのか)

兄(・・・・・・いろいろ、こいつなりのルールがあるんだろうな)

兄(ここまではOK、ここから先はNGみたいな。そういうルールがこいつの中ではあるんだろうけど)

兄(問題はそのルールは明示されてないから、俺にはよくわからないってことだ。推理して発見してかなきゃいけないだもんな)

兄(自分の妹ながら何て面倒な女なんだろ。こいつの彼氏も振り回されてるんだろうなあ)

兄(こいつが俺の大学に入学してきたら、コミュニケーションの講義を選択させよう)

兄(絶対こいつには必要なスキルだよな)

妹「お兄ちゃん?」

兄「おう」

妹「・・・・・・明日の予定は?」

兄「特にねえんだけどさ。とりあえず車でアパートに戻って着替えとか取って来るわ」

妹「・・・・・・妹友ちゃんとは?」

兄「・・・・・・明日は会う約束はねえけど」

妹「そか」

兄「うん」

妹「一緒に行ってもいい?」

兄「え」

妹「お兄ちゃんのアパートまで付いて行っていい?」

兄「おまえは予定ねえの?」

妹「うん」

兄「着替えとか取りに行くだけだぞ」

妹「お兄ちゃんの部屋、見たことないし」

兄「そうか。別にいいけど」

妹「じゃあ、行く」

兄「うん」
323 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/27(火) 22:23:52.09 ID:3qU7yV8Vo
深夜


兄(うーん、目が覚めたけど今何時だ?)

兄(3時か。トイレ行ってまた寝直そう・・・・・・あれ)

兄(・・・・・・こいつ寝ぼけたのか?)

兄(何で妹が俺のベッドで俺に抱きついてるんだ?)

兄(ドキドキするけど、とりあえずそれよかトイレだ・・・・・・とにかくこいつの腕を外して)

兄(・・・・・・しっとりとした肌の感触。何かこいつを触った時のこと思い出しちゃった)

兄(そんなこと考えてる場合か。とにかくトイレに・・・・・・よし、これで)



兄(トイレから帰ったのはいいものの)

兄(俺のベッドには妹が寝てるし・・・・・・)

兄(とりあえず、いい兄としては妹と同じベッドには入れないよな)

兄(床の布団で寝よう)

兄(・・・・・・いろいろあるけど、やっぱりこいつのことは気にかけてやらなきゃ)

兄(そのためには俺が妹友を彼女としてしっかり認識して、こいつのことを平常心で妹として可愛がれるようにならなきゃいけないんだ)

兄(・・・・・・もう寝よう)







兄(もう7時か。もう少し寝ててもいいかもな)

兄(って。な、何だ?)

兄(何で妹がベッドじゃなくて俺と一緒の布団で寝てるんだよ)

兄(こいつわざとやってるのか)

兄(人がせっかくいい兄貴になろうとしてるのに)

兄(まさか。こいつも俺に未練があるんじゃねえだろうな)ドキ

兄(いや、こいつは妹友の親友だし。あり得ねえけど)

兄(無意識に寝ぼけて俺の側に寄って来てるのかな)

兄(・・・・・・ま、いいか)

兄(家族と一緒にいれなくて寂しいんだろうな、妹も)

兄(いい兄貴として毅然と振舞おう。妹は妹として可愛がって甘やかすけど)

兄(そこに異性としての感情を持たないように)

妹「もう起きてたの?」

兄「・・・・・・ああ。おはよう」

妹「おはよ、お兄ちゃん」チュ

兄「!!!!!!!」
324 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 22:27:15.83 ID:3qU7yV8Vo
>>318
端的に言うと、実用的なシーンはありませんという事です。
登場人物は普通にエッチなことをしたとしても、それをこと細かく最後まで描写はしないということです。注意書きがわかりづらくてすいません。


今日はここまで

明日以降また投下します。ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございました。

またお会いしましょう
325 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 22:28:10.67 ID:wthDHu4ko
おつ
妹可愛すぎてしょうがない
おつ
326 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 22:29:11.96 ID:lntyFiM70
乙です

妹、寂しかったんだなぁ
327 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 22:37:18.91 ID:tTVBTvQSO
一度兄と妹はとことんまで話し合うべきだな
俺が兄なら生殺しパネェもん
328 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/27(火) 22:39:04.42 ID:3qU7yV8Vo
うわ、やっちゃった
>>321>>322の間のレスを飛ばしてしまいました
まあ、なくてもそれなりに繋がってはいますけど

とりあえ間のレスを投下しておきますので、各自脳内補完お願いします
興ざめで本当に申し訳ない


以下>>321の続きのレス

妹「あの時の気持ちは変わってないけど」

兄「・・・・・・うん」

妹「でも、お兄ちゃんの気持ちを傷つけた。ごめん」

兄(やっぱ、わかんねえ。こいつが何考えているのか)

妹「・・・・・・あたし、妹友ちゃんのこと好きだから」

兄「それはわかってる」

妹「お兄ちゃんは妹友ちゃんのこと、まだ本当には理解できてないと思うけど」

兄「何でだよ」

妹「・・・・・・妹友ちゃん、お兄ちゃんのアパートに泊まったんでしょ」

兄「・・・・・・(ここで嘘はつけねえ)ああ」

妹「そうか」

兄「あのさあ」

妹「お兄ちゃん?」

兄「・・・・・・うん?」

妹「テレビ付けていい?」

兄「はあ?(何なんだよ、いったい)」
329 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 22:51:58.02 ID:3qU7yV8Vo
連続ですいません
またレス飛ばしてました。今日飲みながら投下したせいです本当にスマン


>>322>>323の間に以下のレスが入ります。もう脳内補完も面倒なら、無視してもらっても大丈夫だと思います


1時間後


兄「おまえの見てた番組も終ったか」

妹「うん。面白かった」

兄「(本当かよ)そろそろ寝るか」

妹「うん」

兄(やっぱり床の布団に移動した。それはそうだ、一緒に寝るわけねえし)

兄「じゃあ、おやすみ」

妹「あ、お兄ちゃん」

兄「何だよ」

妹「朝ごはんどうする? あたしはいつもはパンくらいしか食べないんだけど」

兄「ああ、そう言ってたな」

妹「お兄ちゃんがちゃんと食べたいなら何か作るけど」

兄「ああ。俺、朝飯食わねえからいいや(こいつの料理は食いたくないし)」

妹「いいの?」

兄「うん、いらねえ」

妹「わかった」

兄「じゃ、電気消すぞ」

妹「うん」
330 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/27(火) 22:55:37.74 ID:06RV9RTfo
確かになくてもつながるなあ
まあとりあえず乙だった
331 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 23:03:50.06 ID:wHoUtYlQo
332 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 23:25:19.30 ID:ksiWWGXIO
妹可愛過ぎてなんかワロタ
333 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 23:53:26.33 ID:IfNuR16Oo
倫理と衝動は着いて回らないもの
妹友の親友だから、と安心するこの兄は気付くであろうか
334 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/28(水) 21:40:14.44 ID:ewE8K4kao
兄「お、おい」

妹「・・・・・・あ」

兄「キスって。お、おまえ。何で」

妹「・・・・・・やだ」

兄「俺とはもう終わりだって言ってたじゃん。それに妹友を泣かせたら許さないって」

妹「ごめんなさい」

兄「そ、それに何でおまえが俺の布団に入って来てるんだよ」

妹「これ、あたしの布団だから。お兄ちゃんがあたしの側に来ちゃったんでしょ。寝ぼけてた?」

兄「・・・・・・あのさあ」

妹「うん」

兄「おまえ、夜のこと全然覚えてないの?」

妹「え?」

兄「もともと、おまえが俺のベッドに潜り込んできたんだぜ?」

妹「・・・・・・嘘」

兄「ほんと。しかたないから俺の方が床の布団に避難したんだけどさ」

妹「・・・・・・うん」

兄「起きたらまたおまえが俺の横に潜り込んで抱きついてた」

妹「・・・・・・ごめん、お兄ちゃん」

兄「俺は別にいいけどさ」

妹「・・・・・妹友ちゃんに悪いことしちゃった」

兄「まあ、わざとじゃないんだし。黙ってればわかんねえんじゃね」

妹「・・・・・・うん。ごめん」

兄「何度も謝るなよ。それよか、道が混む前にアパートに荷物取りに行きたいんだけど。おまえ、どうする?」

妹「・・・・・・お兄ちゃんが嫌じゃなかったら」

兄「何?」

妹「ついていってもいい?」

兄「別にいいよ」

妹「ごめん」

兄「・・・・・・だからもう謝るなって」

妹「うん。ごめん」

兄「・・・・・・」
335 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/28(水) 21:46:18.64 ID:ewE8K4kao
車内


兄(さっきから妹はずっと黙っている・・・・・・)

兄(いや。こいつが無口なのはデフォだし、今に始ったことじゃないけど)

兄(それにしても、こいつ。今日は景色すら見ないでうつむいてるし)

兄(昨日は久しぶりに家族と過ごせてはしゃいでるくらいだったのにな)

兄(・・・・・・何か)

兄(何か、これじゃだめだ。兄貴としていろいろだめだ)

兄(・・・・・・)

兄「なあ」

妹「・・・・・・うん」

兄「俺さ。前におまえを俺のものにしたいとかキモイこと言って、おまえを困らせたじゃん?」

妹「・・・・・・お兄ちゃん、何言ってるの」

兄「あれ、正直な気持ちだったんだけどさ」

妹「・・・・・・」

兄「でも、その後でおまえに振られて、正直ショックだったけど」

妹「・・・・・・そのことは謝ったでしょ」

兄「いや、違うよ。何ていうか、もうおまえの男にはなれないかもしれないけどさ」

妹「・・・・・・うん」

兄「・・・・・・あ。兄貴からこういう話されるの気持ち悪かったらそう言えよ? すぐに止めてもう二度と言わないから」

妹「・・・・・・別に」

兄「うん?」

妹「別に気持ち悪くない」

兄「そうか。でさ」

妹「うん」

兄「しばらくおまえの顔見たくなくて、実家に帰らないようにしてたんだけどさ」

妹「・・・・・・ごめん」

兄「謝るなって。そうじゃなくて」

妹「・・・・・・」

兄「何というかさ。恋人でも恋人じゃなくても俺たちって家族で兄妹じゃん」

妹「うん」

兄「だからさ、俺の方こそ悪かったよ。親がいない家におまえを一人で放置してさ」

妹「お兄ちゃん」

兄「もうおまえには迫らない。おまえの彼氏に嫉妬して夜外出させないいとかしない。でも、兄貴としてはおまえのことを守りたい」

妹「お兄ちゃん」

兄「それすらダメか?」
336 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/28(水) 21:46:49.94 ID:ewE8K4kao
妹「・・・・・・お兄ちゃん」

兄「以上、気持ちの悪い兄貴の話はおしまい・・・・・・って、泣くなよ」

妹「わかった。ありがと、お兄ちゃん」ニコ

兄(ようやく笑ってくれた。てか、やっぱり可愛い)

妹「お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「何かおなか好いちゃった。朝に食欲あるのって久しぶり」ニコ

兄「途中で何か食ってくか。朝マックでもする?」

妹「うん」ニコ
337 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/28(水) 21:50:23.95 ID:ewE8K4kao
マクドナルド


妹「お兄ちゃん、こっちの禁煙席が空いてるよ」

兄「おう、注文しておくから先に席について待っててくれよ」

妹「うん」

兄「おまえは何食べる?」

妹「グリドルのセット」

兄「了解。席で待ってな(何か吹っ切れたのかな妹も。昨日の夜みたいにはしゃいでる)」



兄「お待たせ」

妹「こんなに朝食が待ち遠しかったのってすごく久しぶり」

兄「待たせて悪かったな。結構混んでてよ」

妹「あ、お母さんが置いていったお金があるから」

兄「おまえが持っとけ。俺と一緒の時は俺がおごるから」

妹「いいの?」

兄「兄貴にそれくら見栄張らせろよ」

妹「・・・・・・うん。いただきます」

兄「おまえがそういうの食うって珍しいな」

妹「何で?」

兄「おまえとファーストフードとかファミレス行くといつもデザートしか食わないのにな」

妹「グリドルって甘いんだよ。メープルシロップがかかってて。はい」

兄(え?)

妹「味見してみて」

兄「う、うん(妹が食べたところに口つけるの?)」パク

妹「どう?」

兄「うん、美味しいな(味なんかわかるかボケ!)」ドキドキ

妹「これだけね。あたしの分がなくなっちゃうから」パク

兄「別に欲しいなんて言ってねえだろ」

妹「はいはい」パク

兄「・・・・・・おまえ今日はよく食うのな」

妹「・・・・・・お兄ちゃんのせいかな」

兄「何でだよ? おまえの食欲に関与した覚えはねえぞ」

妹「何でも。お兄ちゃん口にパンがついてるよ」ヒョイパク

兄「お、おまえ何してるんだ」ドキドキドキ

妹「お兄ちゃんのも結構美味しいね」

兄「・・・・・・」
338 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/28(水) 22:11:09.41 ID:ewE8K4kao
兄のアパート


妹「お邪魔しまーす」

兄「兄貴の家に来るのにお邪魔しますって言わなくてもいいじゃね?」

妹「そうかな」

兄「いや、よくわかんねえけど」

妹「結構広いんだね。何となくワンルームとかって思ってた」

兄「まあ、築年数が古いんで安いんだけどな」

妹「ふ〜ん。ねえ?」

兄「おう」

妹「ここってお兄ちゃんの大学から近いの?」

兄「すげえ近い。それで選んだようなものだし」

妹「歩いて行ける?」

兄「さすがに歩きだと結構あるけど。バスに乗れば15分くらいだ」

妹「今度、お兄ちゃんの大学、案内してくれる?」

兄「別ににいいけど。いったい何で?(・・・・・・こいつ俺と同じ大学に行きたいんだっけ)」


回想

兄「はい? 妹って・・・・・・そういやあいつは志望校決めてるのかなあ」

妹友「はぁ? 何言ってるんですか」

兄「え」

妹友「去年、ここに入学した頃から妹ちゃんの目標はお兄さんと同じ大学ですよ」

兄「そうなの?(知らなかった・・・・・・)」

妹友「妹ちゃんもあたしと同じくらいの成績だから、このままじゃ厳しいですけどね。でも、二人で頑張ります」

兄「(俺と同じ大学? 何でだろ)ま、まあ。頑張ってよ。まだ1年以上あるしさ」

回想終了
339 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/28(水) 22:11:40.27 ID:ewE8K4kao
妹「だって・・・・・・。妹友ちゃんがお兄ちゃんの大学志望してるし」

兄「・・・・・・」

妹「だからどんなとこか見てみたいし」

兄「・・・・・・おまえは?」

妹「え」

兄「おまえはどこを志望してるんだ」

妹「え、えと。その」

兄「・・・・・・おまえ、俺に遠慮するな」

妹「・・・・・・何言ってるの」

兄「おまえ、俺の大学志望してるんだろ?」

妹「何で・・・・・・妹友ちゃんから聞いたの?」

兄「兄貴と同じ大学志望したって恥ずかしいことねえよ」

妹「・・・・・・・」

兄「キャンパスならいくらでも案内してやる」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「偏差値が届かないなら勉強だって見てやるよ」

妹「・・・・・・うん」

兄「兄貴をもっと頼れよ。俺だっておまえにしてやれることがある方が嬉しいんだぜ」

妹「わかった。キャンパス今度案内してくれる?」ニコ

兄「おう」

妹「勉強もみてもらっていい? 年明けに模試あるし」

兄「おう・・・・・・まあ、俺が覚えてる範囲でな」

妹「ありがと、お兄ちゃん」

兄「いいよ、別に。一々礼なんか言うなよ」

妹「うん。ちょっと、この部屋掃除していい?」

兄「おう、って何で?」

妹「妹友ちゃん、普段は来てないんだね。散らかりすぎ」

兄「まあね」

妹「じゃ、お兄ちゃんが着替えとか用意してる間に掃除しちゃうね」


ブルルルル


妹「・・・・・・」

兄「妹友ちゃんからメールだ・・・・・・」

妹「うん・・・・・・」

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・メールみてあげて」

兄「うん・・・・・・」

妹「・・・・・・」
340 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 22:12:41.75 ID:ewE8K4kao
今日はここまでです。駄文におつきあいどうもです

明日また再開します

お休みなさい
341 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 22:14:50.43 ID:V1Ui8JVMo
おつ
342 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 22:47:25.68 ID:qCjgHckFo
ここで切るか乙
343 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 22:56:33.58 ID:G0jEJroSO
妹友「今あなたの家の前にいるの」


ぎゃあああああああああ!
344 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 23:01:23.88 ID:eLwfitqh0
345 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 01:06:44.50 ID:apuvJQwko
346 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 09:18:23.96 ID:dxhcrHXCo
やっぱ妹可愛いよな
347 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 19:28:52.49 ID:ibCqfIx9o
from :妹友
sub  :無題
『妹友です。昨日はありがとうございました。本当は昨日の夜お兄さんからメールが来るかなってちょっと期待してたんですけど。でもお兄さんもずっと運転して疲れていたんでしょうね。
お兄さん、お正月は実家に戻りますよね? もしお兄さんさえよければいっしょに初詣に行きませんか。すごく混んでると思うけど鎌倉に初詣に行きたいな。あ、あと。お兄さんは知っているかわ
かりませんが、彼氏先輩も受験目前なんで『妹断ち』をしてるみたいですよ。こないだ偶然先輩に会ったら寂びしそうに話してました。妹ちゃんもご両親が滅多に家に帰ってこないし、先輩とも会えないし寂しいんじゃないかなあ。お兄さんさえよかったら初詣に妹友ちゃんも誘っていいですか? お兄さんと二人ですごしたい気持ちもありますけど、やはり妹ちゃんは親友だし気になりますから。
じゃあ、お兄さん。今度こそお返事してね(はあと)』



兄「・・・・・・見る?」

妹「いい。お兄ちゃんの彼女からのメールなんだし」

兄「そうだな。初詣に誘われたんだけど」

妹「そう」

兄「おまえと3人で行きたいって」

妹「え? 何であたしも」

兄「彼氏と会えないし親もいないんで寂しいんじゃないかって」

妹「・・・・・・お正月はお母さんたち帰って来るんじゃないかな」

兄「え? 帰るって言ってるんじゃねえの」

妹「はっきり言われてはいない。多分お仕事が忙しすぎてまだ帰れるかわからないんだと思う」

兄「じゃ、おまえも一緒に来い。妹友が気を遣ってくれてんだから」

妹「・・・・・・お兄ちゃんはそれでいいの?」

兄「ああ。っていうかおまえが来てくれた方が嬉しいよ」

妹「・・・・・・ありがと」

兄「礼を言うなって。だいたいおまえみたいな子を夜とかに一人で放っておく方が心配だし」

妹「あたしみたいなってどういう意味?」

兄「あ、うん。おまえ、その、か、可愛いし。何かあったらと思うと」

妹「・・・・・・うん」

兄「(顔を真っ赤にしてうつむいちゃった)じゃあ、決まりな。あとで妹友からお誘いがあると思うよ」

妹「うん」

兄「じゃ、おれちょっとメールに返信するから」

妹「あたしはお部屋片付けるね」

兄「おう」
348 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 19:30:11.30 ID:ibCqfIx9o
自宅 夜


妹「お兄ちゃん、お風呂空いた」

兄「うん」

妹「出る時にお湯抜いてスイッチ切っておいて」

兄「浴槽洗っとこうか」

妹「明日あたしがするからいい」

兄「掃除とか全部おまえにさせちゃってるよな、まあ、前からだけど。悪いな」

妹「・・・・・・お兄ちゃんがそんなこと言うの初めてだね」

兄「まあ、そもそもおまえとはろくに話ししなかったしな」

妹「何か変な感じ」クス

兄「まあな・・・・・・風呂入ってくるわ」

妹「うん」


ガチャ


兄「(やっぱこいつ俺の部屋に来てたか)何見てるの?」

妹「バラエティ」

兄「面白いの? それ」

妹「面白いよ」

兄「(じゃあ、笑えよ)隣座っていいか」

妹「うん・・・・・・お兄ちゃんのベッドじゃん」

兄「そういう意味じゃねえよ」

妹「わかってるよ」

兄(何なんだ)
349 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 19:31:58.02 ID:ibCqfIx9o
妹「さっき妹友ちゃんから電話あった」

兄「そうか。何だって?」

妹「大晦日の夜中から初日の出と初詣に一緒に行こうだって」

兄「え? 元旦からじゃなくて31日の夜からでかけるのか」

妹「妹友ちゃんが二人で計画立てちゃおうっていうから。勝手に決めちゃったけど」

兄「ああ。別にいいよ(こいつと妹友が俺を挟んで仲良くっしてくれるならそれに越したことはないからな)」

妹「紅白と行く年来る年が終ったら出かけようって」

兄「いいよ。電車で行くの?」

妹「お兄ちゃん、車出してくれる?」

兄「いいけど、混むぞ」

妹「妹友ちゃんは混んだ方がそれっぽくていいって」

兄「ふ〜ん。鎌倉は正月中は市内に車で入れないから、どっかに車停めておくようだな」

妹「そうなんだ」

兄「・・・・・・おまえさ。俺と妹友と3人で出かけるのって、気まずいとかそういう感じする?」

妹「最初はそう感じてたけど。でも電話で妹友ちゃんと普通にお兄ちゃんの話もできたし」

兄「そうか。よかったな」

妹「お兄ちゃんは?」

兄「え」

妹「お兄ちゃんは、あたしと妹友ちゃんと一緒に出かけることどう思ってるの」

兄「・・・・・・正直ちょっとツライ気持ちもある」

妹「ごめん」

兄「だから謝るなって」

妹「あたし、家に居ようか」

兄「そうじゃねえよ。俺がツライって言ったのはだな」

妹「・・・・・・うん」

兄「別に妹友と二人きりになれないからとかじゃなくて」

妹「・・・・・・え?」

兄「俺、ついこないだまでおまえのことを自分の彼女にしたかったからさ」

妹「・・・・・・」

兄「だから。今の彼女とおまえと並んだ時に、自分がどう考えるかなとか思うと」

妹「そか」

兄「うまく言えねえけど、そんなとこ。それでもおまえを一人で家に居させたくねえから。だから、おまえも一緒に来い」

妹「うん・・・・・・。わかった」

兄「・・・・・・(やっぱり気が重いけど。妹を一人にできないしな)」
350 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 19:32:55.06 ID:ibCqfIx9o
3レス投下。今日はまた後で投下します

次レスから初日の出と初詣のシーンに入ります
351 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 19:45:44.16 ID:3Qw6pmPSO
待っとる
352 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 20:34:46.32 ID:/GEdy1QIO
妹友ちゃんが妹友ちゃんを誘った!
353 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 20:37:46.65 ID:OcCa2Ppgo
>>352
お前に言われるまで気づかんかったwww
354 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 20:54:31.50 ID:ibCqfIx9o
>>353
私も気がつかなかった
脳内補完してくれ
355 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 21:40:04.01 ID:ibCqfIx9o
12月31日 夜 リビング


妹「お兄ちゃん」

兄「あいよ」

妹「紅白もう終った?」

兄「さあ? テレビ見てなかった」

妹「リビングで何してたの?」

兄「リビングのパソでVIP見てた」

妹「ヴィップ? よくわかんないけど、ネットしてたってこと?」

兄「まあ、そんなとこ」カチ

妹「お蕎麦できたんだけど、食べる?」

兄「うん」

妹「じゃあ、ちょと待ってて」

兄「うん(・・・・・・妹の料理能力の弱さには定評があるわけだが)」

兄(蕎麦って、今日一緒に近所の手打ちそば屋に買いに行ったやつだし)

兄(茹でるだけだからさすがに失敗しないと思うけど)

兄(そば汁も付いてるやつだしな)

兄(おせち料理も母さんが予約してたのが勝手に届いてたみたいだし)

兄(とりあえず明日から餓死する心配はなくなった)

兄(でも・・・・・・。二人っきりの家で甲斐甲斐しく飯の支度する妹か)

兄(・・・・・・ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ幸せを感じる)

兄(ここ数日、妹はやけにまめに俺の世話を焼きたがったし)

兄(今まで寂しかった反動だとしても。それを心地よく感じて楽しんでいる俺がいる)

兄(・・・・・・深く考えるのはよせ。妹は大切だけど、俺の彼女は妹友だ)

兄(笑い話にしちまえ・・・・・・VIPにスレでも立てるか)

兄(『家に二人きりでいる妹がやけに俺の世話を焼きたがる件』)カチカチ
356 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 21:41:21.09 ID:ibCqfIx9o
兄(よし、立った)カチ

兄(・・・・・・)

兄(レス付いたかな?)カチ

兄(・・・・・・『妄想乙』『レス乞食きめえよ』『妹うp』『釣銭マダア?』『爆発のAAはよ』『どうせ超絶ブスな妹なんだろワロスワロス』)

兄(うちの妹を超絶ブスとかふざけんな。うpしたらお前ら手のひらを返すくせに)

兄(まあ、うpとか絶対しないけどな)

兄(それにしても一人くらいkwskとか書き込めよ)

兄(もういいや。このスレは放置だ)

妹「お兄ちゃん、ちょっとテーブルのお皿どけて」

兄「あ、ああ」

妹「二人分をひとつのお皿に盛っちゃったけどいいよね」

兄「おまえがよけりゃ別に」

妹「うん、あたし一人分食べられないと思うし」

兄「まあ、俺は蕎麦は大好きだし」

妹「あたしは暖かいおそばのほうが好きかな」

兄「じゃあ、そうすればよかったのに」

妹「お兄ちゃんはざる蕎麦とか盛り蕎麦とかの方が好きだから」

兄「え」

妹「これがそば汁ね。あとネギとわさび」

兄「うん(こいつ俺の好みなんていつのまに)」

妹「じゃ、いただきます」

兄「いただきます(本当にこいつ、ろくに口も聞かなかった昔から俺のこと気にしてたのかな)」ズルズル

妹「・・・・・・やっぱり手打ちって美味しいね。おそばの香りがする」

兄「う、うん(何だこれ? 茹ですぎで腰が全くないっていうか、ぐにゃっとした食感が気持ち悪い)」

妹「うん、おいしい♪」

兄「そうだな(せっかくの手打ち蕎麦が。これ絶対遺伝だろ。母さんがお湯入れるカップラーメンもぐにゃぐにゃだし)」

妹「ふう。ごちそうさま」

兄「え? もう食べないの」

妹「うん。最近、お兄ちゃんと一緒に三食ちゃんと食べてるから」

兄「うん」

妹「普段より食べ過ぎてるせいか、あまりお腹空かなくて」

兄「そうか・・・・・・」

妹「残り、全部食べておいてね。せっかくの手打ち蕎麦なんだし」

兄「うん(せっかくの手打ち蕎麦が。お店の人ごめんなさい)」
357 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 21:42:05.91 ID:ibCqfIx9o
兄「じゃ、そろそろ出かけるか」

妹「うん。あ、今日は3人だからお兄ちゃんの車じゃなくてお父さんの車で行こう」

兄「あ、そうか。じゃ、父さんの車のキー取ってこなきゃ」

妹「うん。その間に妹友ちゃんに電話しとくね」

兄「火は全部消したか」

妹「大丈夫だよ。あとは鍵を閉めれば」ピポパ

妹『妹友ちゃん? これから家を出るからね。うん、20分くらい?』

妹『え? 妹友ちゃん、着物着てるの? 自分だけずるーい。あたしにも言っておいてくれたらよかったのに』

妹『・・・・・・冗談だよ。あたしは別に、着物着ても彼氏先輩に見せられるわけじゃないし』

妹『お兄ちゃん? お兄ちゃんが見たいのは妹友ちゃんの晴れ着姿でしょ』クスクス

妹『うん、お兄ちゃんには話してある。鎌倉ってお正月は車で市内に入れないんだって』

妹『そうそう。だからどっかで駐車場に入れて』

妹『そうだね。じゃあ、後でね』ピ

妹「じゃあ、行こうか。お兄ちゃん」

兄「ああ。父さんの車のキー持ってきたけど」

妹「どうしたの」

兄「ガソリン入ってるといいな。この車でかいだけにすごく燃費悪いんだよな」

妹「・・・・・・最近、お父さん車に乗ってないから、ガソリン入ってないかも」

兄「まあ、いいや。乗れよ」

妹「うん」

兄(え?)

妹「どうかした? お兄ちゃん」

兄「いや・・・・・・やっぱガソリン入れねえと駄目だな、こりゃ(おい。こいつ自然に助手席に座ったけど)」

妹「お兄ちゃん、お母さんから預かってるお金があるからガソリン入れるのにこれ遣って」

兄「いや、おまえも一人暮らししてるうなもんだし、金は持っとけ。ガスは俺が入れるから(妹友は後部座席になるよな?)」

妹「うん。ありがと」

兄「じゃ、行くぞ(本当にそれでいいのかな。でも、妹友がいるから後部座席に乗ればとは言いづらい」」ブルーン
358 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 21:42:36.84 ID:ibCqfIx9o
ドライブ中


兄「おまえさ」

妹「うん」

兄「生活費とか小遣いとかどうなってんの」

妹「前は電話のところに現金が置いてあったんだけど」

兄「そうだったな。今は違うのか」

妹「ほとんど家に帰って来れなくなってからは」

兄「うん(一人きりとか。こいつには本当に寂しい思いをさせたんだな)」

妹「お兄ちゃんが家を出て一人暮らし始めた時に」

兄「うん(今となっては一人暮らし始めたことに罪悪感しか感じねえ)」

妹「お兄ちゃんの銀行口座とかカードとか作ったでしょ」

兄「仕送り用のやつか」

妹「その時あたしの口座も作ってくれて」

兄「そうっだったのか」

妹「電話のとこのお金無くなったらその口座からおろしなさいって」

兄「うん(これって高校生の女の子を一人暮らしをさせてるのと同じだよな。考えれば考えるほどこいつのことが可愛そうになってくる)」

妹「だから、今日の費用とかお兄ちゃんが厳しかったらあたしに言ってね?」

兄「・・・・・・」

妹「あたしのお小遣いもこの口座に振り込まれてるって。あまりお金使わないから、結構貯まってるし」

兄「妹・・・・・・(何かたまらないほどこいつのことがいとおしい)」ギュ

妹「・・・・・・お兄ちゃん?」

兄「あ、悪い」

妹「片手ハンドルって危なくないの?」

兄「・・・・・・そうだな(やっぱだめか)」ホドキ

妹「・・・・・・そのままで」ギュ

兄「え」

妹「お兄ちゃん、そのままもう少し手を握っていて・・・・・・妹ちゃんの家に着くまででいいから」

兄「・・・・・・うん」ギュー
359 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 21:45:49.58 ID:ibCqfIx9o
妹友の家


兄「着いたけど」

妹「うん」

兄「どうしようか」

妹「どうするって?」

兄「いや。メールで呼び出そうか」

妹「何で? 普通に迎えに行けば?」

兄「いやいや」

妹「え?」

兄「まだ妹友の家族に会ったことねえし。いきなり夜中にチャイム押すとかハードル高すぎだろ」

妹「妹友ちゃんの家族を気にしてるの? お兄ちゃんなら平気じゃない?」

兄「どういう意味?」

妹「お兄ちゃんって、あたしの彼氏みたいに親に紹介しづらい人じゃないし」

兄「へ? 何の話だよ」

妹「何でもない。じゃあ、あたしが迎えに行って来るね」

兄「すまん。恩に着るよ」

妹「別にいいよ。これくらい」ガチャ



妹友「あ、やっぱり来てた」

妹「妹友ちゃん。今から呼びに行こうとしてたとこ」

妹友「車の音が聞こえたから。妹ちゃん、来てくれてありがと」

妹「・・・・・・妹友ちゃん、きれい」

妹友「着物のせいだよ。お兄さん、こんばんは」

兄「ああ、こんばんは。きれいな着物だね」

妹友「本当にそう思ってます?」クス

兄(あ)

妹友「あ・・・・・・」カァ
360 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/29(木) 21:46:19.90 ID:ibCqfIx9o
回想


兄「ごめん。俺初めてだったから、下手だったでしょ」

妹友「あたしだって初めてだし。上手とか下手とかわからないです」

兄「それはそうだね」

妹友「はい。でも・・・・・・」

兄「うん」

妹友「思ってたより痛くなくて」

兄「うん」

妹友「とっても素敵でした。お兄さん?」

兄「うん」

妹友「愛してます。ずっと一緒にいてね」スリスリ

兄「もちろん。愛してるよ」ダキ

回想終了


妹「・・・・・・」

兄「あ、あのさ」

妹友「は、はい!」

兄「外寒いだろ? とりあえず乗れば?」

妹友「うん」

妹「・・・・・・あ」

兄「どうした、妹」

妹友「どうしたの? 妹ちゃん」

妹「・・・・・・ごめん」

兄・妹友「え?」

妹「ごめんね。深く考えないでお兄ちゃんの隣に座っちゃった」

妹友「何言ってるの。そんなこと、あんまり気にしないでよ」クス

妹「今、後ろに移るから。妹友ちゃん、助手席に座って」

妹友「いいよ。あたしは後ろの席に座るから、妹ちゃんはそのまま座ってて」

妹「・・・・・・でも」

妹友「はい、もうこの話はおしまい。お兄さん、渋滞すると思いますから早く行きましょう」

兄「お、おう」
361 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 21:46:55.33 ID:ibCqfIx9o
本日はおしまい

また明日投下します

ここまで駄文にお付き合いいただき感謝です
362 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 21:49:29.76 ID:DeGOKb9wo
乙〜
363 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 21:52:42.08 ID:/khxGTCDo
おつん
364 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 22:00:34.98 ID:VEX18Rglo
VIPのくだりは確実に必要なかったなおつ
365 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 22:06:25.60 ID:dYQTyKC9o
>>364
遊び心も必要だぜ
じゃないとこれ息詰まりそうじゃん


366 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 22:29:10.85 ID:y8UlvWF4o
たまたま検索したらこんな良スレ見つけれるなんて。
妹が救われますように・・・(´・ω・`)
367 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 22:56:07.39 ID:3Qw6pmPSO
確かにVIPPER設定は要らんかったな
妹や妹友が慕う「素敵な兄」のイメージとは全然違うもんな、VIPって

愛想尽かされる未来しか浮かんでこない…
368 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:04:37.21 ID:JKd7HUDAO
本編は愛読してるけど兄には素敵さの片鱗も感じられないww
顔か。顔なのか?
369 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:06:25.65 ID:OZNHb4Hg0
370 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:42:58.15 ID:y8UlvWF4o
このスレ今日読んで考えて思ったが、
貞操観念強そうに見えるけど、好きでもない人とキスする妹ってのがマジでわからん

371 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:45:47.10 ID:VEX18Rglo
童貞にはわからないんだろう
372 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:47:37.88 ID:DeGOKb9wo
口ビッチとな?
373 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 00:49:52.76 ID:Q7idbiRuo
>>370
好きじゃないとは言ってないんだぜ? まあ、
兄←最大
彼氏←強以下
程度の感情なんだろうけど
374 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 00:56:15.39 ID:rCg863s2o
>>373
悪い人ではない程度って普通じゃないの?
言い方変えて言うと、好きでも嫌いでもないのにキスするのは意味わからん
女からすればキスってSEXのようなもんだって聞いたけど(22歳童貞)
375 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 01:11:06.78 ID:5oCdPj6IO
嫌なら見るなの法則
376 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 01:16:53.31 ID:oxqWHpjAO
>>374
友達感覚でセックスする人だって居るんだし、人それぞれだと思う

妹は体は許さないけどキスは許せた、ただそれだけの話かと

まぁ、クズ先輩に体も許してる可能性はあるけど……
377 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 01:38:16.05 ID:rCg863s2o
>>376
やっぱ価値観か わざわざレスどうも
色々騒いで申し訳ない
378 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 08:51:25.34 ID:WKtasOxKo
クリスマスも投下した1は正月はどうするのか
おれもこのスレに張りつかねばならんのだろうか
379 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 17:41:58.05 ID:6vGNWC+eo
車内


兄「やっぱ混んでるよな。これ、初日の出に間に合うのかな」

妹友「思ってたより渋滞してますねえ。前はここまで渋滞してなかったような」

妹「・・・・・・」

兄「そうなんだ。前にも来たことあるんだね」

妹友「・・・・・・あ。え、ええ。まあ」

兄「?」

妹「・・・・・・お兄ちゃん、前の車動いたよ」

兄「お」

妹「妹友ちゃん、着付けってどうしたの」

妹友「うん。お母さんが行っている美容院でしてもらった」

妹「時間かかったでしょ?」

妹友「そうなのよ。早起きして着付けしてもらったから眠いよ」フワ

妹「着物って大変だよね。でも、すごく似合ってる」

妹友「ありがと」チラ

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃん」

兄「うん? どうした」

妹「似合ってるよね」

兄「(あ、そうか)うん。最初見た時から思ってたけど、すげえ綺麗だ。妹友って普段からお洒落だけどこういうのも似合うのな」

妹友「もう・・・・・・無理して誉めなくてもいいですよ」

兄「無理なんてしてないって」

妹友「でも、ありがと。嬉しいです」

兄「い、いや」
380 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 17:42:37.24 ID:6vGNWC+eo
妹友「でも本当に動かないですねえ。これは初日の出は無理かな」

兄「まあ、着いたとしてもこの分じゃ駐車場に入れるだけで1時間かそこらは並びそうだよな」

妹友「何かごめんなさい。無理な計画立てちゃって」

兄「いや。別に初詣するだけでもいいじゃん」

妹友「・・・・・・はい。お兄さんって本当に優しいですね。妹ちゃんがブラコンになっちゃう気持ちもわかるなあ」

兄「何言ってるの」ドキ

妹友「ねえ、妹ちゃん。お兄さんって普段からこういう感じなの?」

妹「こういう感じって?」

妹友「やさしいとこ」

妹「・・・・・・それはもう妹友ちゃんの方が詳しく知ってるんじゃない?」

妹友「やだ、そんなことないよ。まだ、お付き合い始めたばかりだし」

妹「・・・・・・普段からあたしには優しいよ、お兄ちゃんは」

兄「・・・・・・(こいつ、妹友の前で何言ってんだよ。まるで惚気てるみたいじゃねえか)」

妹友「・・・・・・え」

妹「お兄ちゃんとちゃんと話せるようになったのは最近だけどね」

妹友「ふふ。やっぱり学校のみんなが言ってるとおりだね」

妹「何が?」

妹友「ブラコン」

妹「・・・・・・そうかもね」

妹友「話し変るけどさ。来年の模試って」

兄(ようやく話が変った・・・・・・)

兄(何、この微妙な緊張感・・・・・・。家に帰るまで俺のライフは持つのかな)
381 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 17:47:16.50 ID:6vGNWC+eo
鶴岡八幡宮


妹友「結局、初日の出は車の中でしたね」

兄「せめて海岸線の国道までたどり着いてればよかったんだけどな」

妹友「ふふ。ビルの間から日の出ですもんね」

兄「まあ、それでも駐車場に入れたし」

妹友「でも、ここも行列ですね」

兄「ああ。結構並びそうだけど、妹友ちゃん、その格好でずっと立ってるのつらくない?」

妹友「あ、大丈夫です。でも、疲れたらお兄さんに寄りかかってもいいですか」

兄「おう。遠慮すんな」

妹友「冗談ですよ。着物って意外と楽なんですよ、姿勢もよくなるし」

兄「そうなんだ。でも、本気で時間かかりそうだぜ」

妹友「3人でお話していればすぐですよ。ねえ、妹ちゃん」

妹「そうだね」

兄(仲いいんだよな? こいつら)


1時間後


妹友「あ、ようやくお賽銭箱が見えてきたよ。妹ちゃん」

妹「もうすぐだね」


1時間半後


兄「見えてからが意外と長かったな」

妹友「やっとお参りできましたね」

兄「おみくじ買う?」

妹友「はい・・・・・・でもまた並ぶんですね」

兄「まあ、しゃーないね。ほら諦めて並ぼう」

妹友「はい。妹ちゃん、おみくじ買おうよ」

妹「・・・・・・」ジー

妹友「妹ちゃんどうしたの」

妹「あれ、委員長ちゃんじゃないかな」
382 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 17:48:47.51 ID:6vGNWC+eo
妹友「あ、本当だ。委員長ちゃんも来てたのか」

妹「え」

妹「・・・・・・先輩?」

兄「何かあいつら手繋いでるんじゃ・・・・・・」

妹「・・・・・・先輩と委員長ちゃんが」

兄(やばいとこ見かけちゃったな。こいつショックだろうな)オロオロ

妹「・・・・・・」

兄(ど、どうすりゃいいんだ)

妹「・・・・・・行こう」

兄「行こうって、あいつに声かけなくていいのか」

妹「・・・・・・いい。おみくじももういい。帰ろ」

兄「・・・・・・まあ、おまえがそれでいいなら。妹友もいい?」

兄(え? な、何だ)

妹友「・・・・・・」

兄(妹友、怖い顔して固まってる・・・・・・つうか泣いてるじゃん)

妹「・・・・・・妹友ちゃん?」

兄(妹が泣くならわかるけど、何で妹友が泣くんだ?)

兄「妹友どうした?」

妹友「・・・・・・」

兄「妹友? 大丈夫か」

妹友「・・・・・・るさ・・・・・・」

兄「え?」

妹友「うるさい! あたしのことは放っておいてよ!」
383 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 17:51:18.11 ID:6vGNWC+eo
とりあえず4レス投下

のちほど数レス投下します


>>378
大晦日も正月も通常営業しています
リア従のみなさんは、初詣等からお帰りになった後にまとめ読みするのが吉かと
384 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 17:54:56.57 ID:+VhXIoSGo
あらやだこの>>1イケメン
385 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 19:21:29.52 ID:bUOeFc+IO
よし。非リアな俺はこのスレ張り付きで年越しだ
とりあえず乙だった
386 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 19:26:35.15 ID:6vGNWC+eo
兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・」

妹友「あ・・・・・・。ごめんなさい」

兄「い、いや」

妹友「大きな声を出して本当にごめんなさい、お兄さん」

妹「・・・・・・妹友ちゃん、大丈夫?」

妹友「ごめんね妹ちゃん。あたし、一人で電車で帰るから」

兄「・・・・・・どうして」

妹友「ごめん。妹ちゃん、あんな先輩を見てショックだったでしょ」

妹「・・・・・・」

妹友「お兄さん、妹ちゃんをしっかり慰めてあげてくださいね。じゃあ、これで」

兄「おい・・・・・・」



帰りの車内


兄(何が何だかわからねえ)チラ

妹「・・・・・・」

兄(うつむいて何か考えているのみたいだ)

兄(こいつも自分の彼氏の浮気現場に遭遇しちゃったんだから相当ショックだろうけど)

兄(・・・・・・それよりわからないのは、さっきの妹友の態度だ)

兄(何かにショックを受けたんだろうけど。だからと言ってうるさいなんて怒鳴る子じゃないのに)

兄(うん? そういや)


回想

妹「うん。お兄ちゃん、妹友ちゃんのことどう思う?」

兄「どうって・・・・・・別に。知り合ったばっかだし」

妹「優しくて思いやりがあって礼儀正しくてお兄ちゃんに好意を持ってるとかって思っていない?」

兄「俺に好意を持ってるかどうかは知らないけど、それ以外はそのとおりだと思ってる」

妹「それ全然逆」

回想終了


兄(・・・・・・)

兄(そういや・・・・・・この間も)


回想

妹「・・・・・・あたし、妹友ちゃんのこと好きだから」

兄「それはわかってる」

妹「お兄ちゃんは妹友ちゃんのこと、まだ本当には理解できてないと思うけど」

兄「何でだよ」

回想終了
387 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 19:27:45.00 ID:6vGNWC+eo
兄(優しくて礼儀正しくて思いやりがあって)

兄(・・・・・・もしかして、俺すげえ勘違いしてるのかも)

兄(何かこれ以上は考えるのが怖い)

兄(・・・・・・次に妹友に会えば何か話してくれるだろうし、思考停止しとこうか)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・だめだ、妹友のこと考えるのを止められねえ)

兄(妹友は本当に俺のことが好きなんだろうか)

兄(・・・・・・自分では妹友にベタ惚れされてるって自惚れてたけど)

兄(本当は全く俺のことなんか好きじゃなかったのかもな)

兄(でも、じゃあ。一体あれは何だったんだ)


回想

妹友「お兄さんと一緒にいるためなら後悔してません」ヨリソイ

兄「・・・・・・え」ドキ

妹友「お兄さん、抱いて」ダキツキ

兄「妹友・・・・・・(え、え。思ってたとおりの展開になるの?)」ギュ

妹友「お兄さん、好きです」

回想終了


兄(とか)


回想

妹友「それに昨日は・・・・・・」

妹友「・・・・・・」カァ

兄「(顔真っ赤だ。可愛い)ごめん。俺初めてだったから、下手だったでしょ」

妹友「あたしだって初めてだし。上手とか下手とかわからないです」

兄「それはそうだね」

妹友「はい。でも・・・・・・」

兄「うん」

妹友「思ってたより痛くなくて」

兄「うん」

妹友「とっても素敵でした。お兄さん?」

兄「うん」

妹友「愛してます。ずっと一緒にいてね」スリスリ

回想終了
388 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 19:30:06.11 ID:6vGNWC+eo
兄(好きじゃない男に抱かれるわけがないじゃないか。それに妹友は初めてだったんだぞ)

兄(そうだよ。錯覚じゃない、妹友は俺のこと好きなんだ)

兄(・・・・・・でも、本当にそう言えるのか)

兄(さっき、うるさいって怒鳴った妹友には俺への愛情のかけらも感じられなかった)

兄(妹友と付き合い出した頃から何かひっかかってたこと)

兄(積極的な行動、剥き出しの好意、礼儀正しい言葉遣い)

兄(理想的な彼女だよな。でも)

兄(この年になるまで女と付き合ったことがない俺にいきなりそんな完璧な恋人ができるわけないじゃねえか)

兄(演技してたのか? 俺のことが大好きなふりをしてたのか)

兄(・・・・・・じゃあ、何で俺に抱かれた?)

兄(そこまでして何で俺に近づいたんだ)

兄(・・・・・・)

兄(だめだ。思考がループしてる。そんなことより妹のことを第一に考えよう)

兄(妹だって俺以上につらいはず)

兄(・・・・・・手を)ギュ

妹「・・・・・・あ」ギュー

兄「(手を強く握り返してきた)おまえ、大丈夫か」

妹「うん。よくあることだし、先輩、もてるから」

兄「へ?」

妹「今までもあたしに隠れて他の女の子と遊ぶことなんてよくあったもん」

兄「おまえなあ。堂々と彼氏に浮気されて黙ってるんじゃねえよ」

妹「・・・・・・あたしも」

兄「うん?」

妹「あたしも先輩のこと非難できる立場じゃないし」

兄「(あ)それって」

妹「そう。あたしもお兄ちゃんと浮気してたようなものだし」

兄「・・・・・・そうか」

妹「うん」

兄「おまえ、彼氏と付き合い続けるの?」

妹「わかんない」

兄「わかんないって、おまえ」

妹「今回は相手が委員長ちゃんだったし。あ、委員長ちゃんって先輩の幼馴染なのね」

兄「うん」

妹「だから、今回は浮気じゃなくて本気かもしれないね」

兄「・・・・・・おまえ、他人事みたいに」

妹「ねえ、お兄ちゃん」

兄「ああ」

妹「今日、何も食べてないからおなか空いちゃった」

兄「そういや、もう3時近いな。どっかで飯食ってくか」

妹「うん」ニコ

兄(こんな時によく笑えるな、こいつ)
389 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 19:41:00.48 ID:6vGNWC+eo
ファミレス


妹「あたし、オムライスと食後にいちごパフェ食べよ」

兄「(食欲ねえなあ)俺は、コーヒーでいいや」

妹「何か食べなきゃ駄目だよ。今日何も食べてないんだから」

兄「だって、食欲ねえし」ハァ

妹「・・・・・・お兄ちゃん」

兄「うん」

妹「・・・・・・さっきの妹友ちゃんの態度、驚いたでしょ」

兄「・・・・・・うん」

妹「多分、お兄ちゃんの考えているとおりだと思う」

兄「え?(何それ恐い)」

妹「妹友ちゃんって見かけどおりの子じゃないし」

兄「お、おまえは」

妹「なあに?」

兄「おまえは、何か知ってるのか」

妹「うん・・・・・・。でもお兄ちゃんに言う方がいいのかどうかはわからない」

兄「なあ、頼むよ。おまえが彼氏と大変な時にこんなこと頼んで悪いけど」

妹「・・・・・・それは別にいいよ」

兄「生まれて初めて付き合った子なんだ・・・・・・。それは俺だっておまえを好きになって妹友を裏切ったのかもしれねえけど」

妹「・・・・・・」

兄「でも、妹友のことを好きだって思った気持ちには嘘はねえんだよ」

妹「・・・・・・そうか」

兄「・・・・・・」
390 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 19:43:30.38 ID:6vGNWC+eo
妹「妹友ちゃんはね、入学した時からずっと彼氏先輩に憧れていたの」

兄「やっぱりそうか・・・・・・」

妹「でも・・・・・・、先輩は、あたしのことがずっと気になっていて」

兄「・・・・・・うん」

妹「あたしもその頃一番寂しかった時期で」

兄(あ)

妹「家にはお母さんもお父さんもいないし」

兄「・・・・・・」

妹「大学に入ったばかりのお兄ちゃんも滅多に家にいないし、いても自分の部屋でゲームとかしてるし」

兄「(当時の俺をぶん殴ってやりてえ。こいつをそんなに寂しいまま放置してたなんて)悪かった」

妹「もういいの。それに今はあたしの話じゃないし」

兄「うん」

妹「それで、先輩って人気もあったし。告白された時に思わずはいって返事しちゃって」

兄「・・・・・」

妹「妹友ちゃんの気持ちも知ってたのに・・・・・・悪いことしちゃったの」

兄「そうだったのか」

妹「それでも妹友ちゃんは自分の気持ちを隠して祝福してくれた」

妹「妹友ちゃんは完璧な人間じゃないよ。嫉妬もするしずるいこともするし人のことを傷付けもする」

兄「ああ」

妹「でも、あの時はあたしに気を遣ってくれて、よかったねって言ってくれた」

妹「だから、あたしは妹友ちゃんの親友なの」

兄「うん」

妹「雨の日にお兄ちゃんが学校まで迎えに来てくれたでしょ?」

兄「ああ、妹友に初めてあった日ね」

妹「そう。その時、それまで先輩以外に関心を示さなかった妹友ちゃんが、初めてお兄ちゃんのメアドを教えてって」

兄「そうだったな」

妹「本当はお兄ちゃんが女の子と付き合うの嫌だった。でも、妹友ちゃんがあの日以来初めて自分から行動を起こそうとしていたし」

兄「・・・・・・」

妹「あたしは、応援するしかなかったの」

兄「・・・・・・(こいつも辛かったのか)」
391 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 19:54:50.73 ID:6vGNWC+eo
妹「お兄ちゃんと妹友ちゃんが付き合い出して、お泊りもする仲になったし」

兄「・・・・・・」

妹「だから、もう大丈夫だと思った・・・・・・寂しかったけど、妹友ちゃんからメールを貰った時、もうお兄ちゃんとああいうことをするのは止めようと思った」

兄「・・・・・・うん」

妹「でも、またわからなくなちゃった」

兄「俺にもわからねえよ。今の話だと妹友は俺のこと好きになったってことだろ?」

妹「うん」

兄「さっき、おまえの彼氏のほうを睨んでいた表情とか、俺にうるさいって叫んだ声とか」

妹「・・・・・・」

兄「絶対好きな男に対する態度じゃねえよ。女性経験なんて無いに等しい俺でもそれくらいはわかるよ」

妹「そうだね」

兄「妹友はまだおまえの彼氏に未練がある?」

妹「・・・・・・多分」

兄「おまえは親友だしおまえなら許せたけど、委員長って子と付き合うのは我慢できなかった?」

妹「違うと思う」

兄「何で? おまえと彼氏のことは祝福してくれたんだろ?」

妹「今日ね、妹友ちゃんを見て、きっと、あたしのことも本当に許してないんだと思った」

兄「え?」

妹「お兄ちゃんごめんね」

兄「何でおまえが謝る」

妹「妹友ちゃんがお兄ちゃんと付き合ったのは、あたしへの復讐だったんじゃないかって思う」

兄「!」

妹「あたしが一番大切にしている人が誰か、妹友ちゃんは知ってたし。大切な人を奪って行ったあたしに、同じ想いをさせたかったのかも」

兄「じゃ、じゃあ」

妹「多分、妹友ちゃんが好きなのはお兄ちゃんじゃなく」

兄「・・・・・・」

妹「妹友ちゃんは今でも先輩のことしか好きじゃない」
392 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 19:55:49.39 ID:6vGNWC+eo
本日はここまで

明日また投下します

では明日またお会いしましょう
393 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 19:59:52.40 ID:PojmBO1/o
おつ
394 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 20:03:43.71 ID:Atl6W4XDO
乙です
395 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 20:07:05.37 ID:+VhXIoSGo
乙〜
396 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 20:09:23.43 ID:ehi1Eo3SO
ドロドロー

ドロドロだぁー
397 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 20:33:12.88 ID:rCg863s2o
今日も一日このスレの事考えてた。
妹が幸せになりますように(´・ω・`)
398 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 21:13:28.87 ID:oxqWHpjAO
兄に嫉妬するわ筋肉バカだわ浮気性だわのクズ先輩がなぜこんなにモテるのか不思議。

妹友も妹別れさせて自分の処女を武器にクズ先輩に迫れば良かったのに……

399 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 21:40:54.98 ID:NIVGyy/v0
これからどうなるのか気になる
400 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 21:46:31.88 ID:oQreEbxvo
>>398
ヒント:顔

401 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 23:30:48.04 ID:dHOtG8H0o
これだから恋愛ってヤツぁ……( ´・ω・`)
402 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 23:36:53.66 ID:6vGNWC+eo
今日は投下終了って言いましたけど、きりのいいとこまで書けたんで投下しときます

明日から第3部です

では、投下
403 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 23:39:24.98 ID:6vGNWC+eo
兄「・・・・・・そうか」

妹「ごめんね、お兄ちゃん。こんなことに巻き込んじゃって」

兄「何度も謝るなよ。どっちかって言うとおまえも被害者なんだから」

妹「・・・・・・ありがと」

兄「それによ」

妹「うん」

兄「これを言うとおまえに嫌われそうだけどさ」

妹「・・・・・・うん」

兄「妹友の本当の気持ちを知ってショックだったけど。俺、少しだけほっとしているかも」

妹「え? 何で」

兄「俺さ、妹友の告白にOKしたその日におまえと、その」

妹「・・・・・・あたしとペッティングしたこと?」

兄「そうはっきり言うなよ」

妹「ああ、ごめん」

兄「それって結構罪悪感感じててさ。妹友と一緒にいてもいつも重く心にのしかかってて」

妹「そう・・・・・・」

兄「でも、妹友が俺を利用しているだけだとしたら、そんなに罪悪感感じなくてもいいからさ」

妹「・・・・・・うん」

兄(辛いはずなのにほっとしている、か。これから俺たちってどうなるんだろうなあ)

兄(って、あれ)

兄(・・・・・・何か変だな)

兄「あのさ」

妹「うん」

兄「妹友が俺に近づいた目的は多分おまえへの嫌がらせだったとしても」

妹「うん」

兄「効率悪すぎね?」

妹「効率って? どういうこと??」

兄「効率じゃねえかな。何ていうかさ、妹友っておまえに嫌な思いをさせるだけの目的だけのために、俺に抱かれたりとかするかな? 高校生の女の子がさ(出血もしたし処女だったのは間違いな
いしな)」

妹「・・・・・・そう言われればそうだね」

兄「何か他にも目的とかあるんじゃねえか?」

妹「お兄ちゃんに少しでも気があったってこと?」

兄「ち、違うよ。そうじゃなくて他にも何か狙いがあったんじゃねえかって」

妹「うーん。何だろ?」

兄「わかんねえけど」

妹「・・・・・・」
404 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 23:40:11.48 ID:6vGNWC+eo
兄「まあ、妹友の目的が何にせよ、俺の人生初の恋人は最初から俺のことを好きにじゃなかったってことだな」

妹「お兄ちゃん」ギュ

兄「だからそこで手を握るとか優しくするなよ・・・・・・また勘違いしちゃうだろ」

妹「別に勘違いじゃないんだけど」ボソ

兄「え? 悪い、聞こえなかった」

妹「お兄ちゃん、妹友ちゃんと別れるの?」

兄「別れるって・・・・・・。もう連絡も来ないだろ」

妹「それはわからないよ。ここで話してることって妹友ちゃんは知らないわけだし」

兄「え」

妹「普通に昨日はごめんなさいって言われたらどうするの?」

兄「・・・・・・わかんねえ」

妹「やっぱり妹友ちゃんに未練ある?」

兄「・・・・・・おまえは?」

妹「え?」

兄「おまえ、さっきわかんないって言ってたけどよ」

妹「・・・・・・うん」

兄「今日目撃されてることって、妹友が話さなきゃあいつら気づいてないじゃん」

妹「そうだね」

兄「何も無かったようにあいつと付き合うの?」

妹「・・・・・・・」

兄「それとも、あいつの浮気を咎める?」

妹「・・・・・・わかんない」

兄「・・・・・・」

妹クス

兄ハハ

兄「そうだよな。考えたって仕方ないか」

妹「うん・・・・・・。お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「あたし、やっぱり」

兄(え?)

妹「・・・・・・お兄ちゃんのことが好き」
405 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 23:40:55.87 ID:6vGNWC+eo
自宅


妹「お兄ちゃん、お風呂入っちゃって」

兄「おう(あんなことがあったのに。こいつ本当に普段とと態度変んねえな)」

兄(妹は、寂しくて彼氏と付き合い出したみたいなこと言ってたけど)

兄(でも、学園祭の日には普通に彼氏とキスしてたし)

兄(少なくともキスする位にはあいつのこと好きだってことだよなあ)

兄(・・・・・・)

兄(少しは彼氏に浮気されて悩まねえのかなあ)

兄(俺のことが好き・・・・・・って)

兄(好きって言うのはいいけどよ。問題はどの程度好きってことなんだけど)

兄(・・・・・・俺って人間として欠陥があるのかな。妹友に裏切られ利用されたっていうのに、妹に好きって言われただけで)

兄(もうあまり妹友のこと気にならなくなっちゃった。今、話したらすぐに許せるくらいに)

兄(やっぱり。俺が本当に気になっているのは・・・・・・)


ブルルル


兄(・・・・・・メール)パカ

兄(やっぱり妹友から)ドキ

兄(・・・・・・・)カチ
406 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 23:43:00.34 ID:6vGNWC+eo
from :妹友
sub :今日はありがとうございました
『遅い時間にごめんなさい。今日は初詣に付き合ってもらってありがとうございました。最後に、ちょっと気持ち悪くなっちゃってお兄さんに失礼な態度をとってしまってごめんなさい。お兄さん
にそういう自分を見せたくなかったので、先に帰らせてもらいました。気を悪くしましたよね? 本当にごめんね。妹ちゃんにも謝っておいてくださいね。それで、明日会えませんか? 今日は中
途半端になっちゃったのでまたお兄さんに会いたいです。できれば妹ちゃん抜きで二人で。ではあまり体調もよくないのでもう寝ます。メールくださいね。おやすみお兄さん。愛してます(はあと
)』


兄(・・・・・・愛してます(はあと)じゃねえよ、ビッチが。まだこの糞ゲームを続ける気かよ)イラ

兄(いったい俺のこと何だと思ってるんだよ。ゲームの駒か? おもちゃか?)

兄(人の純情と童貞を弄びやがって)

兄(・・・・・・・)

兄(・・・・・・どうしようか)

兄(こういう時、俺ってダメダメだな。こんなことされてもまだ)

兄(断ったら妹友が傷つくかもなんて考えるなんて)

兄(・・・・・・・まあ、俺も実の妹に浮気してたわけだし、一方的に妹友を責められる立場ってわけでもないんだけど)

兄(妹に相談するか。情けないけど)
407 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 23:43:37.96 ID:6vGNWC+eo
ガチャ


妹「お兄ちゃん、いい加減にお風呂に入ってよ。掃除できないじゃん」

兄「いいところに来たな。おまえ、ちょっと部屋に入れよ」

妹「え? あ、あの」

兄「うん? どした」

妹「お兄ちゃんのこと、その、好きって言ったけど」カァ

兄「(顔赤くして何言ってるんだこいつ)うん」

妹「お互いにいろいろ整理がつくまでは、前みたいなことしない方がいいと思う・・・・・・それは、あたしだってああいうの嫌いってわけじゃないけど」

兄「・・・・・・お、おまえ何言ってるんだよ?」

妹「え」

兄「何か勘違いしてねえか」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・!」

妹「・・・・・・やだ。恥ずかしい」

兄「(こっちが恥ずかしくて死にそうだっつうの)いや、それよりこのメール見てくれよ」

妹「あ・・・・・・妹友ちゃん」

兄「おまえが俺へのメール見たくないのは知ってるけど、これだけは見てくれ。それで相談させてくれよ」

妹「うん・・・・・・わかった」

妹「・・・・・・」

兄「見たか」

妹「・・・・・・」

妹「・・・・・・妹友ちゃん、ひどい」ブルブル

兄「・・・・・・・」

妹「あたしの、あたしの」

兄「おい」

妹「・・・・・・あたしのお兄ちゃんを何だと思ってるの」ブルブル

兄「おい、落ち着け」

妹「あたしに復讐したいなら、あたしにひどいことすればいい。何でお兄ちゃんを巻き込むのよ」

兄「・・・・・・」

妹「こんなメール無視していいよ、お兄ちゃんは」

兄「え?」

妹「お兄ちゃんがこれ以上困ることはないよ」

兄「だ、だってよ」

妹「あたしが妹友に会うから」

兄「(呼び捨てにした)え?」

妹「あたしが憎いんだったらあたしに言えばいい」

兄「ちょっと落ちつけ、妹」

妹「妹友のこと・・・・・・絶対に許さない」

兄「おい・・・・・・」
408 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/30(金) 23:45:06.87 ID:6vGNWC+eo
兄「風呂あがったぞ」

妹「・・・・・・うん」

兄「なあ?」

妹「うん」

兄「少しは落ち着いたか?」

妹「うん・・・・・・」

兄「俺やっぱり明日妹友に会うわ」

妹「・・・・・・お兄ちゃんはもうこんなくだらないことに巻き込まれることないよ」

兄「おい」

妹「あたしのせいで・・・・・・ごめん」

兄「まあ、聞けって」

妹「・・・・・・うん」

兄「俺、おまえのトラブルになら、巻き込まれても本望だぜ」

妹「え?」

兄「おまえが困ってて、俺が犠牲になればおまえが助かるならいくらでもトラブルに巻き込んでくれ」

妹「・・・・・・お兄ちゃん」

兄「おまえの気持ちはすげえ嬉しいけど」

妹「・・・・・・・」

兄「妹友とちゃんと話してくるよ」

妹「・・・・・・・」

兄「一応、あいつ俺の初の彼女だしさ」

妹「・・・・・・うん」

兄「ちゃんと話聞いて、けじめをつけてきたいんだ」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「・・・・・・俺、やっぱりおまえのこと好きみたいだ」

妹「・・・・・・」

兄「キモイ兄だけどさ。やっぱり俺、おまえを俺のものにしたい。誰にも渡したくない」

妹「・・・・・・うん」

兄「だから。妹友とちゃんとけじめつけられたら」

妹「・・・・・・」

兄「おまえも彼氏と別れて俺の女になってくれ」

妹「・・・・・・」

兄「だめか?」ドキドキ

妹「・・・・・・」

兄ドキドキ

妹「・・・・・・うん。それでいいよ」

兄「・・・・・・妹」

妹「あたしもそれでいい」

兄「・・・・・・メールに返信するな」

妹「うん」

妹の手を握るまで 第2部おしまい
409 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 23:48:03.96 ID:PojmBO1/o
すばらしい
410 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 23:48:37.05 ID:6vGNWC+eo
何か予定より書けたので投下しました。キリがよかったので

明日から第3部です

一応いつもの注意書きを再掲しときます

オリジナルSSで非エロ(登場人物がエッチなことをしないと言うわけではありません。エッチを詳細に描写しないということです)、もどかしさやムズムズ感しか感じられないSSになるかもしれませんが、それでもよければご覧ください
あと、更新は遅いと思いますのであらかじめご了承ください
411 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 23:49:32.07 ID:+VhXIoSGo
これは不味い。妹友と妹が彼氏の毒牙に……
乙〜
412 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 23:52:10.32 ID:rCg863s2o
毎日投下してくれるだけでありがたい。
楽しみにしてる
413 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 00:39:49.26 ID:ne/oHLrIO
414 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 00:47:33.68 ID:JeXzU8/do
415 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 00:56:04.06 ID:nBtW3L3IO
いい
ただ一言いい
416 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 01:37:32.50 ID:8b674MdPo
むむむう、望める限りの望んだ事態だが

修羅場になりそうねえ……
417 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 02:21:35.89 ID:5Eh1VwdGo
うひょー
418 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 18:25:06.39 ID:wNDKa6rTo

勘違いした妹かわえー
419 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 19:52:21.67 ID:QgCL5tjyo
翌日 スタバ


兄ドキドキ

兄(メール見た時は正直すげえむかついたけど)

兄(・・・・・・何か、少し怒りが収まってきちゃったな。多分、妹が俺に好意的な反応を示してくれたせいだ)

兄(怒りが収まって冷静になって考えると)

兄(やっぱり何かおかしいよな)

兄(好きでもない男に抱かれてまでして、やり遂げたいこと)

兄(何かピント来ねえな。復讐とかって妹は言っていたけど、よく考えると復讐ってほどのことじゃないじゃん。妹が少し辛い思いはしたかもしれないけど、もともと恋人同士だったわけなくて単なる兄妹だったわけで。妹友が俺と付き合うなんて、せいぜい嫌がらせっていうレベルだよな)

兄(この程度の嫌がらせをするために処女をささげるもんかな)

兄(まあ、これから妹友の言い訳を聞けるだろうし。本当のことを話すかどうかはわかんないけど)

兄(・・・・・・)

兄(・・・・・・俺って本当にヘタレだ、この期に及んで誰も傷つかないエンディングはないかなんて考えてるし)

兄(妹友が彼氏先輩と付き合って、俺と妹が・・・・・・)

兄(いろんな意味でねえよな。委員長ちゃんっていう子もいるし)

兄(妹の彼が委員長ちゃんのこと本気だとすると、先輩=委員長ちゃん、俺=妹という組み合わせになるけど、それじゃ妹友の場所がないし)

兄(もうそろそろ来るかな。あんな短いメールしたの初めてだから、彼女も何かおかしいと考えているはず)

兄(・・・・・・あ)
420 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 20:08:25.18 ID:QgCL5tjyo
妹友「・・・・・・お兄さん」

兄「よ、よう(何で俺の方がきょどってるんだよ)

妹友「本当に昨日はすみませんでした。ごめんなさい」フカブカ

兄「よ、よせよ、こんなところで頭下げるの。目立つじゃんか。とにかく座れば?」

妹友「はい・・・・・・失礼します」

兄(表情が硬いな。うつむき加減だからよくわかんないけど)

妹友「あんな失礼な言い方しちゃって。お兄さんの短いメールを読んで、あたし本当にひどいことしちゃったんだって気がつきました」

兄「(そういうことじゃねえだろ)とりあえず、何で昨日あんなことになったのか教えてくれるか」

妹友「・・・・・・はい。あたし、先輩と委員長ちゃんが手を繋いでいるのを見て、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなって」

兄「(正直に言ったか)・・・・・・やっぱりね」

妹友「あの・・・・・・あたしが先輩のこと好きだったって、妹ちゃんから聞きましたか?」

兄「うん。昨日教えてくれたよ」

妹友「そうですか。もう、吹っ切れていたと思ってたんですけど、やっぱり突然ああいうのを見ると動揺してしまいました」

兄(うん? 何かちょっとおかしい)

妹友「妹ちゃんと先輩のことは見慣れていたし、妹ちゃんは親友だし。本当に二人に嫉妬することなんてなかったんですけど」

妹友「妹ちゃん以外の子が、委員長ちゃんが先輩と一緒にいるのを見たら・・・・・・」

兄(・・・・・・)

妹友「どうかしてたんです、あたし。あんなのを見たくらいで我を忘れて。大好きな人に、お兄さんに怒鳴っちゃうなんて」

兄「え(何か妹の言ってた話と違ってきたぞ)」

妹友「あんなことした後で信じてくれないかもしれませんけど、あたし本当に先輩にはもう未練なんかないんです」

兄「え〜と」

妹友「あたし、先輩が妹ちゃんに告白してからも、ずっと先輩のこと引きずってて」

兄「・・・・・・うん」

妹友「でも、あの雨の日にお兄さんにお会いして・・・・・・お兄さんのこと妹ちゃんの話を聞いていて気にはなってたんですけど。実際に会ったあの日、お兄さんに一目ぼれしました」

兄「・・・・・・(言い訳聞くはずが何で俺の話になってるんだよ)」

妹友「それから不思議と先輩のことを思い出さなくなって、代わりにお兄さんのことばかり考えるようになっちゃいました」

兄(これも嘘かもしれない。気をつけて聞かないと)

妹友「それでお兄さんに告白しようって決めたんです。駄目でもいい。振られたとしても先輩のことを引きずるよりはお兄さんのことを引きずっていたいって」

兄「・・・・・・」

妹友「少なくとも親友の彼氏のことを密かに想っているっていう状態はは無なくなるし、そうすれば妹ちゃんへの罪悪感も無くなるって思いました」

兄「それで、俺が可愛い女の子に告られて有頂天になってOKしたってことだよな」

妹友「本当に嬉しかったし、信じられなかった。ただ、その時一つだけ考え違いしてたことはありましたけど」

兄「それは何?」

妹友「先輩のことを忘れてお兄さんと結ばれても、妹ちゃんへの罪悪感が無くならなかった。むしろ前より強く感じるようになったことです」

兄「え?」

妹友「妹ちゃん、本当にお兄さんのこと慕っているんだって改めて気がついちゃって。妹ちゃんはあたしから先輩を奪ったかもしれないけど、あたしは妹ちゃんからお兄さんを奪ったんですね」

兄「・・・・・・(やっぱりわざとしたんじゃ復讐じゃないのか?)」

妹友「でも、先輩の時みたいに身を引くことしたくなかった。それに先輩はあたしを選んでくれなかったけど、お兄さんはあたしを選んでくれた」

兄「・・・・・・(泣いてる。何か嘘ついてるような感じがしないな)」

妹友「お兄さんと結ばれた夜、あたし本当に幸せでした。好きな人に初めてをあげることができたんだって思って」

兄「・・・・・・」
421 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 20:15:13.60 ID:QgCL5tjyo
妹友「お兄さん」

兄「うん」

妹友「あんな取り乱したところを見たら信じてもらえないかもしれませんけど、あたし本当にお兄さんのことを愛しています」

兄「・・・・・・」

妹友「お兄さんが気になるなら、もう先輩とは話しません。だから」

兄「・・・・・・」

妹友「だから、あたしのこと嫌いにならないで」

兄「え〜と」

妹友「これまでどおりあたしの彼氏でいてください。本当に好きなんです、お兄さんのこと」

兄(泣いてるし震えてる。演技でここまでできないよな? 普通)

妹友「・・・・・・」

兄「あのさ」

妹友「・・・・・・はい」

兄「俺、前にも言ったかもしれないけど、全然女の子にもてないし、女の気持ちとかに疎いと思うんだけど」」

妹友「・・・・・・」

兄「そんな俺でもさ。俺にうるさいって言った妹友の声が好きな男に向けたものじゃないことくらいはわかるよ」

妹友「・・・・・・ごめんなさい。でも、本当に違うんです。自分でも何であんなに動揺したかわからないけど」

兄「・・・・・・うん」

妹友「自分の好きな人までは間違えません。あたしが好きな人は先輩じゃなくてお兄さんです」

兄「う〜ん」

妹友「それだけは信じてください」

兄(どうしたもんか。事情を聞いてから許してあげた上で、もう付き合うのはやめようって言うつもりだったんだけど)

兄(妹友の言うことがもし本当なら、俺は単に妹を自分のものにしたくて妹友を捨てる最低な男になっちまう)

兄「悪いけど」

妹友「え?」ビク

兄「(不安そうに俺を見つめる目。これが嘘だとしたら女優級の演技力だよな)少し考えさせてくれるか」

妹友「・・・・・・」

兄「あと、妹友も少し考えてみたら? 自分の好きなのが誰なのか」

妹友「考える必要はないです。あたしが好きなのは」

兄「でも、昨日先輩を見て我を忘れるくらい、自分の彼氏に怒鳴っちゃうくらい動揺しちゃったんでしょ」

妹友「・・・・・・それは。ごめんなさい」

兄「責めてるんじゃないよ。もう少し深く自分の気持ちを考えてみたらどうかな」

妹友「・・・・・・あの。あたし、お兄さんに振られたんですか」

兄「いや、違うよ。結論を出す前にお互いにもう少し考えようって言ってるんだよ」

妹友「・・・・・・わかりました。お兄さんの言うとおりにします」

兄「うん(結局中途半端な結論にしてしまった・・・・・・。でも、妹友も嘘を言ってる感じじゃないしな)」

兄(妹に報告したら、あいつどう思うかな)

兄(・・・・・・何かいつまでたってもすっきりしないな)
422 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 20:16:21.72 ID:QgCL5tjyo
とりあえず3レス投下

また後で再開します
423 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 21:26:32.47 ID:SQk/lR9vo
おつさま
424 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 21:47:56.54 ID:DEHhLpRPo
425 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 21:50:20.63 ID:8LTegTmIO
このスレとともに新年を迎える覚悟です。
>>1もお前らも良いお年を
426 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 21:50:35.06 ID:h9yK9uUoo
乙〜
427 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 21:54:54.62 ID:QgCL5tjyo
帰宅途中


兄(妹は、妹友が彼氏を奪った自分をまだ許していないと思っている。そして自分に復讐するために、自分から俺を奪ったと)

兄(この場合、妹友が本当に好きなのはまだ彼氏先輩で、俺とは妹への復讐のために付き合っていただけ)

兄(妹友の話では。俺と出会って先輩のことが吹っ切れた、そして俺に惚れて俺に告って俺と付き合うようになった。結果的に妹から俺を奪う形になって妹友は罪悪感を感じている)

兄(・・・・・・事実しては両方とも同じことなのに、そこに流れる感情は全然違うな)

兄(・・・・・・妹友が俺のことを好きかどうか、あと妹友が妹にざまあみろって思ってるのか罪悪感感じてるのかどっっちなんだってことになるんだけど)

兄(妹友が嘘を言ってて、さっきは演技をしてたって可能性もある。あるいは本当のことを言ったけど、自分で気がつかないだけで心の底ではやはり先輩のことが好きだったっていう可能性も)

兄(・・・・・・じゃあ、俺の気持ちはどうなんだ? 俺が妹に惚れているのはもう自分でも誤魔化しようがないほどの真実だ)

兄(妹友が俺のことを好きじゃなかったって思ったときはショックだったけど、すぐにこれで妹友と別れる理由ができたと思った。そして妹に告白できるって)


回想

兄「だから。妹友とちゃんとけじめつけられたら」

妹「・・・・・・」

兄「おまえも彼氏と別れて俺の女になってくれ」

妹「・・・・・・」

兄「だめか?」ドキドキ

妹「・・・・・・」

兄ドキドキ

妹「・・・・・・うん。それでいいよ」

兄「・・・・・・妹」

妹「あたしもそれでいい」

回想終了


兄(妹も俺を受け入れてくれた。彼氏が自分の友だちと浮気してたし、別れるのにもいいタイミングだったし)

兄(だけど、妹友の話が本当だったら)

兄(俺は妹友と別れちゃいけないよな。あんなことまでしておいて、妹友を振るようなことはできない)

兄(・・・・・・その場合は、妹はどうするんだろ)

兄(彼氏を許して今までどおりの関係が続くのかな)

兄(俺、ついこの間までは人間関係なんてすげえシンプルだったのに。何でこんなことになったんだろ)

兄(・・・・・・)
428 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 21:55:23.04 ID:QgCL5tjyo
自宅


兄「ただいま」

シーン

兄「妹? いないのか?」

兄(買い物にでも行ったかな)


妹の部屋


兄「妹いるのか? 空けるぞ」


ガチャ


兄(・・・・・・いねえな。やっぱり外出してるのかな)

兄(・・・・・・妹友のこと、どうやって話そうかと思ってたけど)

兄(少し、気が抜けちゃったな)

兄(何か眠くなってきた。自分の部屋で仮眠するか)

兄(・・・・・・脳の普段使い慣れてない部分を酷使してるからすげえ疲れる)

兄(・・・・・・)

兄zzz
429 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 21:56:39.16 ID:QgCL5tjyo
?「・・・・・・お兄ちゃん」チュ

兄「うん?」

妹「あ、ごめん。起こしちゃったね」ダキツキ

兄「・・・・・・おまえ、何してんの」

妹「お兄ちゃんに抱きついてる」

兄「おいおい」ドキ

妹「大好きだよ、お兄ちゃん」クス

兄「え(な、何だいったい)

妹「お兄ちゃん、あたしのこと抱きしめてくれないの?」

兄「ちょっと待て」

妹「・・・・・・ずっと待ったんだもん、もう待たないよ」チュッチュ

兄「(な、何だ)とにかく、落ち着け。つうかおまえどこ行ってたの?」

妹「うん。先輩に呼び出されたんで、先輩と話して来た」

兄「え。しばらくは会わないんじゃなかったのか?」

妹「うん。だけど昨日あたしたちに見られていたこと、委員長ちゃんが気がついてたんだって」

兄「そうか・・・・・・」

妹「それで、あたしのこと呼び出したみたい」チュ

兄「(またキスされた。こいつがこんなに俺に甘えるのって初めてだ)何か言ってたか」

妹「委員長ちゃんって、先輩の幼馴染だって話したっけ?」

兄「うん、つうか俺から離れて落ち着いて話そうな?」

妹「やだ」ダキツキ

兄「・・・・・・(何? このテンション)」

妹「委員長ちゃんって先輩の悪口ばっか言ってたけど、本当は小さい時から先輩のことが好きだったんだって」

兄「うん」

妹「それで振られるの覚悟で告白したら、先輩が委員長ちゃんを受け入れて」

兄「・・・・・・うん」

妹「二人とも不器用だよね。お互いにずっと側にいたのに結ばれるのにこんなに時間かけて。あ、あたしたちも人のことは言えないか」クスクス

兄「何? おまえが振られたってこと?」

妹「うん、そうみたい」
430 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 21:58:12.71 ID:QgCL5tjyo
兄「そうみたいって・・・・・・それでいいの? おまえ」

妹「だって、お兄ちゃんがあたしのこと欲しいって言ってくれたし、あたしどうやって先輩と別れようかと考えてて」

兄「・・・・・・おい(まずい)」

妹「先輩が真面目な顔で、『ごめんな、俺やっと自分の気持ちに気づいた。俺、委員長のことが好きだ』って言ってたよ」

兄「・・・・・・」

妹「委員長ちゃんもそこにいて、泣きながらごめんねって」クス

妹「あたし、本当は嬉しかったんだけど、頑張って彼氏に振られた女の子みたいな演技しちゃった。こんなの初めてだったよ」

兄「・・・・・・(何でこうなるんだ)」

妹「振る前に振られちゃった。一気に解決しちゃったね」

兄「おまえ、未練とかねえの?」

妹「ないよ。もう彼氏とかいらない」

兄「・・・・・・」

妹「これからはお兄ちゃんがあたしの彼氏」

兄「・・・・・・あの」

妹「もう先輩も妹友もあたしたちとは関係なくなったね」

兄「い、いや」

妹「待たせちゃってごめんね。あたしは全部お兄ちゃんのものだよ」チュ

兄「おまえ、何やってるんだよ」

妹「服脱いでる・・・・・・それとも脱がしたい?」

兄「そうじゃなくてだな」

妹「あたしね、先輩と付き合ってたけどキス以上は許したことなかったの」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんと結ばれるなんて100%ないって考えてたけど、それでももしかしたらって」

兄「・・・・・・」

妹「本当にバカみたいだけどもしそうなったら後悔すると思ったから」

兄「・・・・・・」

妹「初めてがお兄ちゃんで本当によかった」

兄「・・・・・・違うんだ」

妹「うん?」

兄「違うんだよ、ちょっと聞け」

妹「うん。どうしたの」

兄「妹友とはまだ別れてないんだ」

妹「・・・・・・え?」
431 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2011/12/31(土) 22:04:01.17 ID:QgCL5tjyo
妹「・・・・・・そうか」

兄「本当のとこはわかんねえけど、一概に嘘とも言えねえだろ」

妹「・・・・・・」

兄「(さっきまでが嘘みたいにしょんぼりしちゃった。何か胸が痛い)まあ、妹友が好きなのは先輩かもしれねえし」

妹「・・・・・・あたしが考えすぎてたのかな」

兄「まあ、妹友が好きな男が先輩だとしても、報われないんだけどな(何かいろいろ辛いな)」

妹「そうだね。先輩もようやく自分の気持ちに正直になっちゃったしね」

兄「とりあえず、数日間は考えようってことにしたんだけど」

妹「うん。あたし、バカだな。お兄ちゃんが妹ちゃんと別れ話をするもんだと思い込んでて。一人ではしゃいで」

兄「おまえはバカじゃねえよ。俺だってそのつもりで行ったんだし。でもさ、おまえへの復讐じゃないとしたら・・・・・・」

妹「うん。お兄ちゃんの性格じゃ妹友ちゃんを振ることはできないでしょうね・・・・・・」

兄「・・・・・・悪い」

妹「謝らないで。昔からお兄ちゃんのことはよくわかってる。だから、好きになったんだし」

兄「俺さ、おまえが一番好きだ」

妹「・・・・・・うん」

兄「でも、妹友が悪意で俺と付き合ったんじゃないなら」

妹「・・・・・・」

兄「それで、やっぱり妹友が本当に好きなのが彼氏先輩じゃなくて俺だったとしたら」

妹「・・・・・・うん」

兄「そうだったとしたら俺、妹友とは別れられねえよ。そんで、数日したらそれがわかるんだ」

妹「お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「自分を責めることはないよ」

兄「・・・・・・」

妹「あたしは待つことには慣れてるし」

兄「・・・・・・おまえ」

妹「これまでもずっと待ってきたんだもん。数日くらいどうってことない」

兄「・・・・・・俺が妹友と別れなかったら?」ズキ

妹「・・・・・・そしたら、お兄ちゃんのいい妹になる」

兄(泣いてるのか)

妹「それで、もう彼氏とか絶対作らない」

兄「・・・・・・妹?」

妹「もう、彼氏と一緒にいながらお兄ちゃんのことを思い出すような生活はいや」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんに彼女がいても、あたしは一人でいい。それでお兄ちゃんのいい妹になるの」

兄「妹・・・・・・」ダキ

妹「・・・・・・お兄ちゃん!」ギュ
432 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:04:57.51 ID:QgCL5tjyo
大晦日の更新はここまで

みなさん良いお年をお迎えください

また新しい年にお会いしましょう
433 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:05:42.00 ID:BSlkG6rAo
いつまでたってもスッキリしないのがこのssの見所か
また楽しみにしてる
434 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:08:57.95 ID:h9yK9uUoo
乙〜
妹彼氏なんていなかったんや

いつかえっちぃのも見たいなぁ……
435 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:23:31.83 ID:QgCL5tjyo
>>433
最近、こういうレス多いし作者はチキンなんで一応予防線を張っておきます
当初の説明レスから抜粋

「もどかしさやムズムズ感しか感じられないSSになるかもしれませんが、それでもよければ」

多分最後になるまですっきり感は感じないと思います。昔からそういう作風なんで
それでもよかったら頑張りいますのでお付き合いください

以上言い訳でした

みなさん、よいお年を
436 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:29:55.51 ID:iOr04FtDO
>>1が何度書こうとも俺は書くぜ


むずむずする。


だが、それがいい!!
来年も楽しみにしてます。

よいお年を。
437 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:32:00.35 ID:DEHhLpRPo
兄め...
438 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 22:34:53.53 ID:SQk/lR9vo
おつやん
439 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:46:49.99 ID:W9Dcm2ASO
おけおめことよろ乙
440 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 02:21:18.01 ID:k+5fmsWIO
焦らイラ焦らイラする
いい意味で
441 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 10:40:46.66 ID:cL3P+paSO
兄は酷い男だ
442 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 18:56:06.22 ID:VcwqQ+aDO
キス以上は許してないって…
キスしてたじゃん
443 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 19:05:37.97 ID:abZ5eqLYo
キスより先は許してないんだろ……
444 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 19:25:56.98 ID:/SfhEu1go
>>442
すいません、ミスです
意味としては>>443のとおりです。もう少ししたら本日分の投下を始めます
445 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 19:58:52.38 ID:YWGGo2kAO
ヨッ!待ってましたッ!
446 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 20:04:10.66 ID:/SfhEu1go
2月初旬 妹友の家の前


妹友「・・・・・・今日は楽しかった。おやすみなさい、お兄さん」

兄「うん、映画も面白かったしね。じゃあ、次は土曜日な」

妹友「うん。あの、お兄さん?」

兄「うん?」

妹友「今日は実家に帰るの?」

兄「うん。最近、また親が忙しくなったみたいでさ。ここんとこ妹一人にしちゃってるから」

妹友「・・・・・・」

兄「妹友を家に送った時はなるべく実家に泊まるようにしてるんだ」

妹友「・・・・・・そう」

兄「どうしたの?」

妹友「ううん、何でもない。お兄さん?」

兄「うん」

妹友「愛してる・・・・・・。この前お兄さんに許してもらって、お兄さんの彼女のままでいられて本当によかった」チュ

兄「そうか」

妹友「好き・・・・・・お兄さん、大好き」ダキ

兄「・・・・・・俺も」

妹友「本当?」ウルウル

兄「うん(演技じゃねえよな。嘘でここまで出来る高校生なんていねえよ)」

兄(あと俺に対してあまり敬語を使わなくなった。だんだんと普通の落ち着いた恋人関係になってきてる)

妹友「よかった」

兄「うん」

妹友「お兄さん、一つお願いがあるんだけど」

兄「何?」

妹友「今日お家に帰ったら、妹ちゃんに伝えて」

兄「うん」

妹友「・・・・・・あたし、本当にもう先輩のこと何とも思ってないからって」

兄「・・・・・・あいつはもう彼氏と別れたんだし、そういうの気にしてないんじゃない?」

妹友「・・・・・・確かに先輩と妹ちゃんは別れて」

兄「うん」

妹友「先輩は委員長ちゃんと付き合い出したけど」

兄「けど?」

妹友「妹ちゃん、あれからずっとあたしによそよそしいの」

兄「・・・・・・そうか」
447 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 20:06:23.70 ID:/SfhEu1go
妹友「あからさまに無視したりとか口も聞いてくれないってことはないんだけど」

兄「うん」

妹友「でも、あたしと二人きりになるのを微妙に嫌がってるみたいだし、先輩のことも直接妹ちゃんに話たいんだけど、その話をすると話を逸らされちゃうし」

兄「そうか、わかったよ。妹に話してみる」

妹友「・・・・・・こんなこと頼んじゃってごめんね」

兄「別にいいよ」

妹友「じゃあ、またね。メールしてね」チュ

兄「うん、またな」

兄(あの後。妹友がやっぱり俺のことが好きだと言って)

兄(・・・・・・嘘をついているって証拠もねえもんな。結局、妹友を許して付き合ってるけど)

兄(実際、妹友って前から積極的だったけど。何か最近では以前より俺に気を遣うようになったというか)

兄(それに・・・・・・やたらと俺の部屋に泊まりたがるようになったし)

兄(やっぱり妹が言ってたことって考えすぎだったんだろうな)

兄(妹友はやっぱり俺のことを・・・・・・)

兄(喜ぶべきなんだけど・・・・・・嬉しくないわけじゃないけど。あの時、妹友と別れていれば今頃)

兄(いや、よそう。それこそ考えちゃいけないことだよな)

兄(・・・・・いろいろ辛いな。妹友のことは好きだけど)

兄(今でも、今でも俺が本当に好きなのは・・・・・・)
448 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 20:08:48.12 ID:/SfhEu1go
自宅


兄「ただいま」

妹「あ、お兄ちゃん。おかえり。今日も帰って来てくれたんだ」

兄「うん。最近、またあいつら家に帰って来ないんだって?」

妹「・・・・・・うん。でもしようがないよ、お母さんたちだって仕事で帰れないんだし」

兄「それはそうだけどよ、限度ってものがあるだろ」

妹「それに、あいつらって言っちゃだめ」

兄「うん、悪かったよ。もう言わねえから」

妹「ううん、謝らないで。お兄ちゃんがあたしのこと考えて言ってくれてるのはちゃんとわかってるから」

兄「お、俺は別に・・・・・・」

妹「あたしね、お兄ちゃんがこうやって帰って来てくれるならお母さんたちがいなくても別に寂しくないし」

兄「・・・・・・そうか(こいつ健気で可愛い)」

妹「ご飯は?」

兄「妹友と食べてきた(無性にこいつを抱きしめてあっちこっちにキスしたい衝動に駆られる)」

妹「・・・・・・そうか」

兄「風呂沸いてる?」

妹「うん」

兄「じゃあ、風呂入るわ。その後でちょっと俺に部屋に来てくれる?」

妹「え? な、何で」

兄「言っとくけどそういうんじゃねえからな」

妹「・・・・・・そ、そんなこと言ってないじゃん」

兄「おまえの顔真っ赤だぞ」

妹「う、うるさい。さっさとお風呂入ってよ」

兄「はいはい(俺が妹友と別れないことを決めた日)」

妹「早く出てね。お兄ちゃんお風呂長いし、お風呂掃除するのが遅くなっちゃうじゃん」

兄「わかってるよ(彼氏と別れてあんなに明るくなって、俺に甘えて来たこいつの)」

妹「うん」
449 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 20:11:26.65 ID:/SfhEu1go
風呂


兄(・・・・・・こいつの希望を奪っちゃったんだけど)

兄(でも、こいつが彼氏と別れても、俺は妹友と別れなかったわけだけど)

兄(それでもこいつ明るいよな)

兄(無理に明るく振舞っている感じじゃねえしな)

兄(そういえばあいつ、こんなこと言ってたな)


回想

妹「もう彼氏とか絶対作らない」

兄「・・・・・・妹?」

妹「もう、彼氏と一緒にいながらお兄ちゃんのこと思い出すような生活はいや」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんに彼女がいても、あたしは一人でいい。それでお兄ちゃんのいい妹になるの」

回想終了


兄(妹への罪悪感は今でも半端ないけど)

兄(それなりに俺の生活って落ち着いて来ちゃったのかな)

兄(・・・・・・罪悪感と言えば、妹友への罪悪感もあるけど)

兄(妹とはエッチなことはもちろんないけど。それ以外では結構こいつ、俺にベタベタ甘えてくるし)

兄(それが嫌かというともちろん嫌なはずなくて)

兄(妹友と深い関係なのに)

兄(妹友が俺と妹の会話とか聞いたら確実に悲しむよな)

兄(でも、これで妹の笑顔を見れるなら)

兄(この関係を断ち切るなんて考えられないし)

兄(・・・・・・ただ、正直自分を抑えるのが辛い)

兄(俺が今妹を襲ったとしてもレイプにしかならないだろうな)

兄(妹友と付き合ってる俺には絶対に体は許さないだろうから)

兄(・・・・・・妹友の伝言、妹に伝えなきゃ)

兄(妹はまだ、妹友が自分への復讐で俺と付き合い出したって考えているのかな)

兄(・・・・・・)
450 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 20:12:21.18 ID:/SfhEu1go
4レス投下

投下できるようならまた後ほど投下します
451 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 20:14:56.76 ID:mWC/q4UUo
楽しみにしてる
452 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 21:06:36.26 ID:/SfhEu1go
兄の部屋

兄「風呂上がったぞ(当然のように俺のベッドに横になってバラエティ番組を見ている妹がいる)」

妹「うん。結構早かったね」

兄「おまえに早く出ろって言われたからな。あと湯船も洗っといた」

妹「・・・・・・あたしがするって言ってるのに」

兄「いつもおまえにばっかり家事とかさせちゃってるからな」

妹「お兄ちゃんが洗うと雑なんだもん。結局あたしが洗い直してるんだよ」

兄「ちゃんと綺麗にしたって」

妹「・・・・・・でも、ありがと」

兄「う、うん」

妹「こっちに来て」

兄「お、おう」

妹「そこじゃないよ、ベッド。あたしの隣に座って」

兄「な、何で?」ドキ

妹「ドライヤーかけてあげる」

兄「へ?」

妹「お兄ちゃん、いつも髪の毛のケア雑だから」

兄「そう?」

妹「あたしが整えてあげるね」

兄「・・・・・・別にいいのに」

妹「じっとしてて。動いちゃだめだよ」

兄「・・・・・・」

妹「はい、終わり」

兄「うん」

妹「お兄ちゃん、こっちの方が全然いいよ」

兄「こっちの方がって、おまえ何を・・・・・・って、あ」

妹「うん、格好いい♪」

兄「俺の上がツンツンと立ってるじゃん」

妹「だって、お兄ちゃん。今までヘアスタイルとか全然気にしないし」

兄「・・・・・・こっちの方がいい?」

妹「うん。絶対に」

兄「でもよ、これって俺が自分で毎朝できるのかな」

妹「う〜ん。あたしがいる時は朝整えてあげるけど」

兄「俺のアパートとか、おまえがいない時は?」

妹「自分でしなよ」

兄「できねえよ」

妹「・・・・・・妹友ちゃんならできると思うけど」

兄「え」

妹「あ、ごめん。余計なお世話だったね」

兄「そんなことはねえけど」

妹「・・・・・・」
453 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 21:07:49.63 ID:/SfhEu1go
兄「あ、あのさ」

妹「うん」コテ

兄「(また俺の肩に頭を乗せてもたれかかる。俺の理性がやばいっつうのに)ちょっと真面目な話していいか」

妹「いいよ」

兄「今日さ、別れ際に妹友からおまえへの伝言を預かってきたんだけどさ」

妹「・・・・・・うん」

兄「そのまま言うとさ」

妹「うん」

兄「『あたし、本当にもう先輩のこと何とも思ってないからって妹ちゃんに伝えて』だって」

妹「・・・・・・そう」

兄「おまえさ」

妹「うん」

兄「まだ、妹友が俺に告った動機を疑ってるのか」

妹「・・・・・・」

兄「正直、おまえに嫌がらせするだけのために俺にさ。そ、その。処女を」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「悪い。つまりそういうことまでするとは思えないんだけど」

妹「・・・・・・うん。あたしの考え過ぎかもしれないね。それはお正月の時から考えてた」

兄「じゃ、じゃあ。何でおまえは妹友と仲直りしねえの?」

妹「してるよ、っていうか喧嘩もしてないし」

兄「妹友、言ってたぞ」


回想

妹友「妹ちゃん、あれからずっとあたしによそよそしいの」

兄「・・・・・・そうか」

妹友「あからさまに無視したりとか口も聞いてくれないってことはないんだけど」

兄「うん」

妹友「でも、あたしと二人きりになるのを微妙に嫌がってるみたいだし、先輩のことも直接妹ちゃんに話たいんだけど、その話をすると話を逸らされちゃうし」

回想終了
454 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 21:09:28.37 ID:/SfhEu1go
兄「そう言ってたぞ。妹友」

妹「・・・・・・そうだね」

兄「うん?」

妹「確かに妹友ちゃんが先輩いのことまだ忘れられないって言ったのは、あたしの思い違いかもね」

兄「うん」

妹「でも、今はそんなことどうでもいいの」

兄「え」

妹「あたしも先輩と別れたし」

兄「・・・・・・」

妹「むしろ、妹友ちゃんが先輩のこと好きだった方がよかった」

兄「おまえ」

妹「あたしが妹友ちゃんとちゃんと話さない理由、知りたい?」

兄「・・・・・・ああ」

妹「先輩と別れて、あたしは今フリーだし」

兄「・・・・・・」

妹「妹友ちゃんが先輩を好きじゃないなら」

兄「・・・・・・(な、何言ってるんだ、こいつ)」

妹「妹友ちゃんが好きなのがお兄ちゃんなら・・・・・・・。今では妹友ちゃんはあたしの親友じゃなくて、あたしの敵なの」

兄「おい」

妹「お兄ちゃん?」

兄「う、うん」

妹「前にあたし、兄ちゃんのいい妹になるって言ったけど」

兄「・・・・・・」

妹「その言葉に嘘はないけど」

兄「・・・・・・うん」

妹「あたし、妹友ちゃんが何を考えているかなんかどうでもいい」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「おい、よせ」
455 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/01(日) 21:12:18.95 ID:/SfhEu1go
妹は俺をしばらく見つめた後、細いむき出しの腕を俺の首に廻し、そして自分の口を俺の口に近づけてきた。

俺は全く抵抗も拒否もできなかった。

・・・・・・正確に言うと、抵抗も拒否もする気は全くなかった。

俺は、目を閉じている妹の身体を両手で抱き寄せると、妹の身体は何の抵抗もなく俺の両腕の中に納まった。

妹の口が開き舌が俺の舌に絡みついた。

妹の細い両腕は相変わらず柔らかく俺の首に巻きつく。

舌を絡めあいながら片手で妹の小さな背中を探りブラのホックを外す。その手で俺は妹の控えめな胸を探るように撫でる。
その時、目を閉じたままの妹が小さく喘ぎ声を漏らしはじめた。

・・・・・・妹の胸を弄りながら、もう片手を背中に沿って撫で下ろし、下着の隙間から小さな尻を少しだけ撫で回した後、内腿を経由して前を目指す。

前はそこで侵入を拒否された。俺には今日もそうだろうと少し期待する気持ちがあった。

だけど俺の手は妹の手には導かれ、開き気味の妹の太腿の奥に到達して
456 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 21:14:08.54 ID:/SfhEu1go
今日はこれでおしまい

可能ならまた明日投下します

みなさん新年あけましておめでとうございます

もう少しお付き合いください
457 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 21:17:40.84 ID:/fgqDXj8o
おつかあ
458 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 21:18:30.18 ID:abZ5eqLYo
乙〜
459 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 21:20:53.81 ID:ThmEvCCT0
乙・・・
460 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 21:25:24.33 ID:cvK57lBA0
461 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 21:59:43.03 ID:ULN2kdCyo
乙だけど
乙だけども
462 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 23:08:08.34 ID:mWC/q4UUo
お疲れ様
463 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 23:13:53.56 ID:cL3P+paSO
この作者は鬼畜

紛れもない鬼畜
464 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 23:25:37.38 ID:2P1WNa9IO
うん。鬼畜すぎて末恐ろしい
465 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 23:40:13.12 ID:SrJ/FGUIO
この>>1は姉スレからの刺客なんじゃなかろうか
466 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 00:11:50.55 ID:7mzKTssAO
なんですか焦らしプレイですか。


最高です。
467 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 00:29:12.60 ID:n2mrkHXJo
正月早々風邪ひかせる気かっっっ
468 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 00:53:30.31 ID:aC1xApm+o

てっきり妹友には『ゆりかごを揺らす手』ばりの意図があるのかと思ってたが……これは……
いや、まだ判らんが
469 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 04:58:56.28 ID:u/9ipL4IO
妹友かわいそう……
470 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 06:14:57.44 ID:uFlteD1IO
妹友はビッチ
471 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 13:11:30.17 ID:9uH3AEAYo
妹のがビッチ
472 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 13:43:43.28 ID:UVCu5zcAO
結果的に問題なかったけど、一番最悪なのは委員長だと思うんだ。

彼女持ちって知ってて告白して略奪するとか……

473 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 14:12:30.21 ID:5Edw93wDO
委員長じゃなくて告白を受けた彼氏が最悪だろ
474 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 14:40:15.61 ID:Bg/yZMeWo
言動を見る限り主人公が一番……
475 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 14:56:05.90 ID:69jfPfuIO
妹補正が強すぎて妹以外カスに見える不思議
476 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 17:23:06.67 ID:4msMtSJ7o
乙ですよん。

ところで>>1は以前アマガミの二次創作書いてた人?
違ってたらごめんなさい
477 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 18:36:26.09 ID:mK7XNpp0o
>>468
あそこまでサスペンスな話じゃないです。あれ、結構恐いですよね、何気に二人くらい死んでるし

>>476
そうです。純一×美也の二次を3スレにわたって垂れ流しておりました。その節はご愛読感謝です


では、再開します
478 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 18:40:21.77 ID:mK7XNpp0o
翌朝


兄(妹・・・・・・俺の横で裸で寝ている妹)

兄(とうとうこいつを自分のものにしてしまった・・・・・・)

兄(昨日の長い夜に半端じゃなく快楽を味わった分、今は俺すげえ憂鬱な気分だ)

兄(今まで俺たちの関係に歯止めをかけていたのは、妹の妹友への友情とか遠慮とかだったんだけど)

兄(昨日の様子じゃ妹はもう妹友のこと気にしなくなったということで)

兄(・・・・・・本当にそれでいいのかな。妹友の様子を見ていても、妹を苦しめるために俺と付き合っているとは思えないんだけど)

兄(妹友から先輩を奪ったことに、妹はずっと引け目を感じていた・・・・・・でも、妹と先輩は別れたし)

兄(もう妹友に引け目を感じなくていい、だから遠慮もしないと。こういうことなのかな)

兄(でも、先輩を奪ったという事実は別れたとしても消えないような気がするし、何よりも妹友は妹の親友だ)

兄(自分に嫌がらせするために好きでもない俺を誘惑し、俺を傷つけた。最初は妹はそう思い込んでいた)

兄(それなら妹が妹友に遠慮しないのは当然だけど。どうもそうじゃないみたいだしな)

兄(・・・・・・そういや、こいつ前に言ってたよな)


回想

兄「ちょっと待て」

妹「・・・・・・ずっと待ったんだもん、もう待たないよ」

回想終了


兄(その後、いい妹になるって言ってたけど)

兄(もう待たないよの方が本音だったのか?)

兄(・・・・・・これからどうなるんだろ、俺たち)

兄(妹がその気になった以上、俺はもう留まれないのは確かだ)

兄(かと言って妹友のことは? 別れる?)

兄(何と言って別れるんだよ。妹と結ばれたから俺と別れてくれとでも言う気か)

兄(妹友が学校で一言でもそのことを話せば、妹は社会的に終わりだ)

兄(つうか親バレして別れさせられるのが落ちだろう)

兄(想いを寄せていた相手と結ばれた夜の翌日なのに)

兄(こんなに胃が痛い思いをしなきゃならないなんて)
479 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 18:44:17.32 ID:mK7XNpp0o
妹「・・・・・・お兄ちゃん?」

兄「起きた?」

妹「うん・・・・・・あ」

兄「(真っ赤になっちゃった)おはよ」

妹「・・・・・・おはよう」ニッコリ

兄「・・・・・・(やっぱり可愛いな。俺、ついこの間までこんな可愛い子が身近にいてどうして無視とかできてたのかな)」

妹「・・・・・・今何時かな」

兄「(すごく不思議だ)まだ7時前。今日、日曜だしまだ寝ててもいいよ」

妹「目が覚めちゃった。お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「お腹空いた?」

兄「え? いや大丈夫だけど」

妹「そう」ギュ

兄「(抱きついて来た。何も着ていない妹が)妹?」ギュ

妹「しばらくこうしていて」

兄「うん。おまえ寒くない?」

妹「お兄ちゃんの体あったかい。それに」

兄「うん」

妹「お兄ちゃんこそ、何も着てないじゃん」クス

兄「・・・・・・うん」

妹「・・・・・・さっき、暗い顔してたね」

兄「・・・・・・見てたの?」

妹「うん。寝た振りしてチラチラ見てた」

兄「そうか」

妹「お兄ちゃん」

兄「うん」

妹「あまり考えすぎないで」

兄「え」

妹「考えてもどうしようもないこともあるから」
480 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 18:46:23.69 ID:mK7XNpp0o
兄「・・・・・・どういうこと?」

妹「あたしは昨日の夜のこと後悔してない。初めてがお兄ちゃんで本当によかった」

兄「ああ」

妹「本当はね、お兄ちゃんのこと独り占めしたい。長い間待ったんだから」

兄「・・・・・・うん」

妹「でも、お兄ちゃんの気持ちもよくわかる」

兄「俺の気持ちって・・・・・・」

妹「だから、お兄ちゃんは悩まないで。お兄ちゃんが妹友ちゃんの彼氏でもいい」

兄「おい」

妹「あたしは妹友ちゃんにはもう遠慮しないけど」

兄「・・・・・・だけど、妹友には悪意なんてなかったんだぞ」

妹「それでも・・・・・・あたし、自分に正直になることにしたの」

兄「・・・・・・」

妹「だから、あたしはもう妹友ちゃんに恨まれてもいいの」

兄「・・・・・・」

妹「だけど、お兄ちゃんは妹友ちゃんと別れられないでしょ」

兄「・・・・・・うん」

妹「だからお兄ちゃんは何も考えないで。もう、あたしからおねだりはしないから」

兄「・・・・・・妹」

妹「でも、お兄ちゃんが、その・・・・・・あたしのことを可愛がりたくなった時は」

兄「・・・・・・」

妹「いつでもあたしの部屋に来て。あたしはもう二度とお兄ちゃんを拒否しないから」

兄「・・・・・・だけど」

妹「はい、もうこの話はおわり」クス

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「昨日は痛い痛いって大きな声出しちゃってごめんね」

兄「いや。おまえも初めてだったし」

妹「もう、あまり痛くないと思うんだ」

兄「え」

妹「お兄ちゃん、また大きくなってるし」

兄「そ、その」

妹「まだお腹空いてないなら・・・・・・もう一度あたしのこと可愛がって」

兄「・・・・・・!」ドキ
481 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 18:47:21.03 ID:mK7XNpp0o
とりあえず区切りのいいところまで3レス投下

また後で再開します。次から視点が変ります
482 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 19:06:40.20 ID:mgmeLOxSO
おお、妹の可愛さが天井知らず……
それに反比例して兄の株価が暴落中……
483 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 19:50:16.59 ID:uABlUY0AO
ストップ安かと思ってたら、まだ上げ底だったでござる>兄株
484 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 20:10:56.51 ID:c+u0M72IO
乙乙。
すっかりスレタイを置き去りにして兄妹の関係が進行しているな
485 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 20:38:32.74 ID:mK7XNpp0o
あたしが自分の性癖をはっきりと自覚したのはいつ頃からだったろうか。多分、中学生の頃だったんじゃないかと思うけど。

周囲の友だちは、皆、同級生や先輩の男の子に関心を持ち、告白したり告白されたり付き合い出したり、別れて泣きながら仲の良い親友に相談したりしていた。
あたしだけはその輪の中に入れなかった。友だちはたくさんいたし、親友もいた。でも、この子たちのコイバナの中には、あたしは入らなかった。入れなかったのだ。

この頃からもうあたしの好きな人は自覚できていたはずだけど、それは友だちにとても話せないたぐいの恋だった。世の中に聞かない話ではない。その証拠に、あたしたちが休み時間に話題にする
深夜アニメとかの設定にもよく登場していたし、そういうアニメも普通に違和感なくあたしたちの話題にはなっていた。でも、二次の世界の話として普通に話題にできることであっても、自分の実
際の恋愛対象として相談できるわけはない。同じような子もいたと思うけど、それを公言するような女の子はもちろんいなかったし、あたしも例外ではなかった。

・・・・・・あたしは自分と同性の女の子にしか恋愛感情を持ったことがなかったのだ。
486 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 20:40:28.05 ID:mK7XNpp0o
自分で言うのもおかしいけど、あたしの容姿はそれなりでよく男の子に告白された。そのたびに真っ赤になってお断りしていたあたしのことを、友人たちは、あの子は可愛いけどまだ子どもだよね
とかって話をしていたみたい。それはあたしにとって好都合だった。可愛いけど奥手で恋愛対象とするにはまだ早い女の子という仮面を、あたしはその後の中学時代にずっとつけていた。ほのかに
恋心を抱いた女の子もいないわけじゃなかったけど、もちろんその思いはあたしの胸の中に秘められ、恋が成就することはなかった。

高校生になって真っ先に出来た友人は、委員長ちゃんという子。活発で物怖じしない彼女と過ごしているうちに、いつの間にかあたしは彼女のことが好きになってしまっていた。
中学時代と異なり、周囲には自分の恋愛対象が同性の女の子であることを隠さない子も噂になっていて、あたしはそのことに勇気付けられた。それまであたしは、自分の性癖のことを異端で少数派
で、カミングアウトしたらみんなに虐められるんじゃないかと思い込んでいたから。
噂になっていた子も別に周囲に迫害されることなく普通に学校生活を過ごしているようだった。そのことに励まされたあたしは、人生で始めての告白をしようと心に決めた。
487 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 20:44:04.10 ID:mK7XNpp0o
委員長ちゃんを呼び出した屋上の夕焼けの景色は今でも胸の中に残っている。あたしは、緊張のあまり顔に無意味な笑いを浮かべながら委員長ちゃんに告白した。
委員長ちゃんは最初驚いた様子だったけど、早口でまくりたてるようなあたしの告白をまじめに受け止めてくれた。

「心配しないで。妹友ちゃんのことを変だなんて思わないよ」
委員長ちゃんはあたしの目を正面から見ながら、淡々と返事をしてくれた。

「でも、あたしは妹友ちゃんの気持ちに応えられないの。ごめんね」

委員長ちゃんの最初の言葉で、気持ちが軽くなったあたしは、次の言葉で奈落の底に落とされた。

「あたしね、片思いだけど好きな人がいるの。昔からずっと好きだった人」

「それって女の子?」
ようやく搾り出したあたしの言葉は今思い返すと何て滑稽だったのだろう。
それでも、委員長ちゃんは苦笑しながらもまじめに返事をしてくれた。

「ううん、違うよ。男の子。うちの学校の先輩なんだけど、妹友ちゃんは彼氏先輩って知ってるかな」

「・・・・・・聞いたことあるよ。空手部の人でしょ? よく女の子たちが噂してるもん」

「そうだね。あいつ、クズのくせに人気だけはあるからな」
委員長ちゃんはつぶやいた。

「あたしね、あのクズとは幼稚園の頃からずっと一緒なの」

「幼馴染ってやつ?」

「そうね。あいつは女に手が早いし女の噂が耐えないし、多分あたしなんか女の子として見てないと思うのね」
委員長ちゃんは自嘲的に言った。

あたしは委員長ちゃんに告白して振られたのだけど心の底は妙に冷めていて、何か恋愛相談を受けているようだなんて考えていた。

「でも、やっぱりあのクズのこと好きなの。だからごめん」

「うん・・・・・・」

委員長ちゃんは泣き出したあたしの肩を抱いた。

「これまでどおり友だちでいてくれる?」
あたしの肩を抱きながら委員長ちゃんがそっとあたしに声をかけてくれた。

振られたあとも委員長ちゃんとは友だちだった。彼女はあたしのことを秘密にしてくれ誰にも話さなかった。その優しさに馴れたあたしが調子に乗って自分の同性愛的な悩みを語っても、彼女は、ごめん、あたしそういう気持ちってよくわからないからと突き放され、あまり相談に乗ってはくれなかった。

委員長ちゃんへの失恋を引きずってはいたけれど、あたしには少しづつ友人は増えてきた。特に同じ1学年の中でも華やかな女の子たちのグループがあたしに声を掛けてくれた。

「妹友ちゃん可愛い」「何かお人形みたい」「合コンするんだけど、妹友ちゃんも来ない?」「こらこら。この子は初心なんだからあまり誘っちゃ駄目だよ。ごめんね? 妹友ちゃん」

この子たちのグループの中に、妹ちゃんがいた。
488 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 20:47:27.00 ID:mK7XNpp0o
最初に妹ちゃんに会った時の胸のときめきは今でも忘れられない。背中の途中まで伸ばした黒髪、整った顔立ち、細くて華奢な体つき。あたしは妹ちゃんに一目で恋をしてしまったようだ。

委員長ちゃんの時の失敗もあって、今度はあたしも慎重だった。妹ちゃんはグループの他の女の子たちのように遊びまわっているわけではなく、男の子にも興味はないようだった。だからといって
、グループの子たちからはあたしのように初心認定されていたわけではない。不思議なことにみんなが妹ちゃんに一目置いていて、妹ちゃんが話し出すとそれまで黄色い声を張り上げて男の子の話題に興じていた他の子たちは口を閉じて妹ちゃんの話に聞き入った。妹ちゃんはに周囲を引きつける何か不思議な魅力が備わっているとあたしは思った。

幸いなことに、他の子たちが合コンとかに出かけても妹ちゃんは全く参加しようとしなかったおかげで、同じくそういうイベントに参加しないあたしは、放課後妹ちゃんと二人で帰るようになった
。自分の気持ちを隠していい友人を演じたせいか、すぐにあたしたちはお互いに親友と呼び合う仲になった。

あたしはいろいろ考えた。妹ちゃんのことが大好きになっていたけど、委員長ちゃんの時の失敗はまだ心に残っていた。思い切って告白しても妹ちゃんに好きな男の子がいたらそれでおしまい。今回は慎重に行こう。委員長ちゃんは恋人にはなってくれなかったけど、あたしがレズビアンであることを知っても友人ではいてくれた。でも、妹ちゃんが同じ行動をしてくれる保証なんて何もないんだ。

それに妹ちゃんは色恋に対して何の興味もないようだった。よく家族の話、特に(彼女によれば)駄目人間のお兄さんの話はするけど、好きな男の子の話は一度もしたことがない。まして、女の子と恋人関係になるなんてことは考えたこともないんじゃないかな。

あたしは、妹ちゃんに嫌われるのが恐かった。だから告白しようなんて夢にも思わなかったし、ずっと友だちでいるためにはどうすればいいのかということだけを、いつも考えていた。そして。
今にして思うと馬鹿げているけど、あたしにも好きな男の子がいる振りをしようと思いついたのだ。
489 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 20:48:09.39 ID:mK7XNpp0o
ちょっと休憩。できれば後で数レス投下します
490 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 20:54:07.79 ID:K4u9QiPc0


真相がわかる……!
491 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 21:13:11.73 ID:YRska/0so
百合ッ子ちゃんか
素晴らしい
492 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 22:09:27.21 ID:mK7XNpp0o
あたしは、再び委員長ちゃんを屋上に呼び出した。そこに現れた委員長ちゃんは少し困惑している様子だったけど、あたしの話を聞くとすぐに笑い出した。

「全く健気だね、妹友ちゃんは」
笑いすぎて出てきた涙を拭きながら委員長ちゃんは言った。

「少し考えすぎじゃない? 妹ちゃんと友だちでいたいだけなら何もわざわざ好きな男なんてでっち上げる必要ないじゃん」

「あたし、妹ちゃんに少しでも変な子だって思われたくないの。周りのみんなが好きな男の子の話してるのに、あたしだけこれじゃ、レ、レズビアンだって思われるかもしれないし」

「だいたいさ、妹ちゃん自身が男の子の話なんてしないじゃん」

「それはそうだけど・・・・・・」

「まあ、妹ちゃんもある意味あんたと同じマイノリティなのかもしれないね」
委員長ちゃんは少し嫌な笑いを浮かべて言った。あたしはその時、ある希望を抱きどきどきしながら委員長ちゃんに聞いた。

「もしかして、妹ちゃんも」

「違うよ」
委員長ちゃんはあっさり否定した。

「妹ちゃんはレズじゃないと思うな」

「そ、そう」

「それで妹友ちゃん、いったい誰を好きなことにしたいの」
委員長ちゃんは妹ちゃんのことにはそれ以上触れずにあたしに質問した。あたしは少し緊張して委員長ちゃんの表情を気にしながら口に出した。

「彼氏先輩」
あたしは思い切って口にした。
493 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 22:09:58.50 ID:mK7XNpp0o
「え?」
委員長ちゃんのからかっているような表情が一変した。

「妹友ちゃん、あんたまさかあのクズのことを」

「違うよ。校内で一番人気のある人を好きなことにした方がいいでしょ」

「何でよ?」
それから委員長ちゃんを納得させるのは大変だった。

「あの、別に自慢じゃないんだよ? でもね、この噂が広がるとあたしが好きだってことになってる男の人があたしのこと気になるかもしれないし」

「・・・・・・それで?」

「それでね、その人に彼女とかいたら、その子に悪いでしょ」

「はぁ。あんたそれって自分が誰よりももてるって言ったのと同じだよ」
委員長ちゃんは怒りというより飽きれたように言った。

「でもまあ、そうかもね。あんた妹ちゃんと一緒で可愛いし」

「可愛いなんてそんな」
かつて恋していた委員長ちゃんに可愛いと言われて、あたしは赤くなった。

「そこで顔を赤くなるとこも可愛いわ。あたしが男なら放っておかないレベル」
委員長ちゃんのその言葉にあたしが喜びを感じる前に、次の言葉を畳み掛けた。

「でも、だからって何であのクズになるの?」

「それはね。先輩もてるし1年生の女の子が自分を好きらしいって噂だけで行動したりしないでしょ?」
あたしなりに数日間吟味した答えだった。

「どうかなあ」
委員長ちゃんは考え込んだ。

「意外とあいつまめだしなあ。それにあいつだって、妹友ちゃんとか妹ちゃんくらいレベル高い子と付き合ったことないだろうし」

「そ、そうなの」

「あいつが本気にならなきゃいいけど」

「でもまあ、話はわかったよ」
委員長ちゃんはにっと笑って言った。

「いざとなったらあのクズがあんたに本気にならないように釘を刺しといてあげるから」

「・・・・・・本当にありがとう」

「友だちだから」
委員長ちゃんは笑った。

「でも」

「え?」

「妹ちゃんとは親友でいるだけにしといた方がいいよ」
さっきまでの表情と打って変った真面目な口調で委員長は最後に言った。

「同性愛とか関係なく、妹ちゃんはいろいろ難しいと思うなあ」
494 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 22:12:30.47 ID:mK7XNpp0o
あたしが彼氏先輩に片思いしているという噂は、自分でも驚くほどすぐに校内に広がった。グループで行ったカラオケでお酒の入ったグループの子に、妹友ちゃんって好きな男とかいないのって聞かれたのがきっかけだった。その席には女の子しかいないこともあり、珍しく妹ちゃんも一緒にいた。

「え、えと」
あたしはドキドキしながら必死で恥らう女の子の演技をした。

「えとじゃなくて。本当は誰かいるんでしょ?」

「う、うん」
あたしの周りの女の子たちからいっせいに嬌声があがり、席の反対側で曲を選んでいた子たちまでこっちを見た。その中に妹ちゃんもいるのを確認したあたしは、ゆっくりと言葉を吐き出した。

「あの。最近気になってるんだけど」

「うんうん」「誰誰?」「妹友ちゃんなら告れば大丈夫だって」「協力してあげるから誰だか話してみ」

その時、あたしは必死で演技していたので妹ちゃんの表情を確認する余裕はなかった。でも。

「・・・・・・空手部の彼氏先輩」

一瞬、いっせいに女の子たちの嬌声があがったけど、それはすぐに静まった。

「う〜ん。先輩か」「妹友ちゃんならたいていの男の子は落ちると思うけど、先輩かあ」「あの人もてるからなあ」

狙いどおり。あたしは緊張が解け身体が弛緩していくのを感じながら、改めて妹ちゃんを眺めた。

妹ちゃんはうつむいて、カラオケの曲集を眺めているようだった。でも、すぐ顔を上げ静かに話し出した。妹ちゃんが話し始めると、周囲の声が静まりみな妹ちゃんの話を聞こうとした。

「よかったね、妹友ちゃん」
妹ちゃんは静かに言った。その言葉はあたしの胸を突き刺した。妹ちゃんが恋人的な意味であたしのことを気にしているわけはないけど、あたしに好きな人ができたことを静かに素直に祝福されると、予想できていたはずの言葉がやけに大きく胸に届いたのだ。

「先輩が妹ちゃんのことを好きになってくれるかはわからいないけど」
妹ちゃんは続けた。

「それでも好きな人がいるのって素敵だと思うよ」
妹ちゃんの言葉にそれまで静まり返っていたみんなが再び騒ぎ始めた。

「え、何それ意味深」「妹ちゃんも恋してるでしょ」「誰誰? 応援するから教えてよ」

だけど、妹ちゃんは再びカラオケの歌集に目を落としてしまい、その後騒ぎは静まりいつのまにか話題はイケメンだと評判の新任の英語教師の話に移ってしまった。
495 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [saga]:2012/01/02(月) 22:15:27.28 ID:mK7XNpp0o
委員長ちゃんが釘を刺してくれたのか、あたしになんかに興味がなかったのかわからないけど、あたしが彼氏先輩に口説かれることはなかった。無事にレズじゃないアピールを果たしたあたしは、相変わらず恋愛に関心がなく家族(特に駄目人間のお兄さん)のことしか話さない妹ちゃんとこれまで以上に親しくなっていった。

もちろん親友としてだけど、あたしはそれだけでも満足だった。

こんなことがあった。同じクラスの男の子に放課後呼び出され告白された。もちろんあたしは断ったんだけど、断るにしてもその子に逆恨みされないように細心の注意を払って断った。

「あたし、お付き合いとかまだよくわかんないから。ごめんね」
これは本当に誤算だったんだけど、その時既にあたしが先輩を好きらしいという噂が広がっていてその男の子もそれを知っていたのだ。

「どういうつもり? 俺より好きなやつがいるならそう言えばいいじゃん。よくわかんねえとか言うことねえだろ」

結局その子にはしばらくつきまとわれ恐い思いをしたんだけれど、そのことをグループの子に聞いた妹ちゃんが直接その男の子に注意してくれて、それ以降その男の子に悩まされることはなくなった。

妹ちゃん。華奢でか弱そうな外見の下に強烈に強い意思がある。グループの女の子たちに一目置かれているのもうなずけた。あたしは、このときから妹ちゃんがどういう子なのか何を考えているのか必死に探ろうとした。

あたしは妹ちゃんといるとくだらない話ばかりしている。学校のいろいろな噂とか、最近好きなアーティストの話とか。妹ちゃんはあたしの話を楽しそうに聞いてくれるけど、でも、妹ちゃん自身はあまりそういう話をしてくれなくて、自分から話し出すのはいつも家族のエピソードが多かった。それも(彼女が言うには)うざいお兄さんの話。それでも、あたしは妹ちゃんの隣で妹ちゃんを独占して話しているだけで幸せだった。

思い出そうとすればいくらでも思い出せる妹ちゃんとの出来事。夕暮れの下校、冬の朝の登校。学食でのひと時(あたしはママが作るお弁当だったけど妹ちゃんの両親は仕事で忙しいとかで、妹ちゃんはいつも学食派だった。うちの学食は持ち込みOKなのであたしはいつもお弁当を持って妹ちゃんに付き合っていた)。そんな不安だけど幸せで充実した日々も長くは続かなかった。委員長ちゃんの制止も効果がなかったのだろう。



彼氏先輩が複数の女の子と縁を切り、妹ちゃんに告白したのだ。
496 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 22:16:24.23 ID:mK7XNpp0o
本日は投下終了
駄文にお付き合い感謝です

また明日投下予定です

では、おやすみなさい
497 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 22:37:07.43 ID:K4u9QiPc0


wktkして待ってる
498 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 22:39:21.31 ID:YRska/0so
乙〜
499 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:02:16.69 ID:mgmeLOxSO
おおう…これは……
500 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:02:56.61 ID:VxAa+ygv0
乙 
明日も楽しみ
501 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:03:34.89 ID:VexnY98Zo
502 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:57:59.45 ID:PTcnOLLeo
おいおい、冗談だろう……
503 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/03(火) 00:26:21.94 ID:uBSQaCOFo
おつおつお
なんとなく百合っぽいなあという気はしてたが
504 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/03(火) 00:45:19.17 ID:RVY2MB2DO
>>1乙です。

もやもやするのが好きなんだが、アマガミのを書いていた人だったとは……
納得だわ。
505 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 01:40:24.28 ID:eLdT6SB4o
すいません。それなりに書けちゃったんで出来た分だけ投下しときます
506 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 01:41:24.88 ID:eLdT6SB4o
あたしに先輩からの告白を相談してきた妹ちゃんは本当に可愛かった。何で神様はこんな可憐な生き物を創造して、あたしの側に配置したのだろう。あたしはそんなとりとめのないことを考えなが
ら妹ちゃんの言葉を待っていた。正直に言うとこの次の話はわかっていたのだ。妹ちゃんは男の子に関心がない(同性愛的な意味ではないことは委員長ちゃんに釘をさされていたけど)。妹ちゃん
は親友のあたしが先輩に恋していることを知っている。だから、あたしは何の心配もしていなかった。いや心配はしていたのだけれど、それは心配の方向が少し違っていた。あたしは妹ちゃんのこ
とではなくて委員長ちゃんのことが心配だった。委員長ちゃんは幼馴染の先輩を密かに慕っている。委員長ちゃんはあたしたちのグループとは少し距離を置いていた。むしろ、もう少し真面目で成
績のいい女の子たちとかと一緒に過ごしていた。だから、委員長ちゃんは妹ちゃんとそんなに親密というわけじゃないけど、それでも妹ちゃんとはそれなりに親しい仲といっても過言ではなかった
だろう。たまに時間が会うと3人で一緒に帰ったこともあったし(その時のあたしの複雑な心境はおわかりいただけるだろうか。元カノと今惚れている彼女、あるいは元彼と今惚れている彼氏と一
緒にいたようなものだから)、先輩の告白でどんなに委員長ちゃんが傷ついたか考えるだけでも心が痛んだ。

でも。妹ちゃんが真剣な表情であたしに語りかけた言葉はあたしの想像をはるかに超えたものだった。

「妹友ちゃん、ごめん」
何であたしに謝るのだろう? あたしが好きだということになっている先輩に告白されたから?

「あたし、先輩とお付き合いしてもいいかな」
あたしはその瞬間、妹ちゃんの話している言葉の意味が理解できなかった。あたしがいるのにとか、そういう自惚れた意味ではない。妹ちゃんはまだ恋愛に興味がなかったんじゃないの。

真っ白になって何も考えられないあたしに、妹ちゃんの言葉が追い討ちをかける。

「あたしね、少し先輩のことが気になるかも」

「それで、本当はいろいろ考えなきゃいけないこともあるんだけど」

「もう、疲れたっていうか。そろそろいつまでも結ばれることのない人のことは忘れなきゃいけないし」
何の話しているの? 妹ちゃんにも好きな人がいたの? それでその人とは結ばれない運命なの?
その時は本当に混乱していた。妹ちゃんくらい可愛いなら振り向かない相手なんていないだろう。それでも、妹ちゃんが諦めなきゃいけない相手。
正直に言うと、あたしはその時ずいぶんと自分勝手な感想を抱いた。妹ちゃんの方から好意を抱いていながら結ばれることはないと諦観している相手。それは、禁断の恋の相手以外には考えられな
いのではないか。まさか、あたし?

「妹友ちゃんが先輩のことを好きだって知ってるのにごめん」

「あたし、先輩と付き合ってみるね。ごめんね、妹友ちゃん」
あたしの意思に反して、これまで演じ続けた自分が声を出した。

「妹ちゃん、よかったね」

「妹友ちゃん・・・・・・」

「先輩が妹ちゃんを選んだんだもん、自信を持ちなよ」

「・・・・・・」

「あたしは大丈夫。もともと惚れっぽいしさ。すぐに好きな人見つけちゃうから」

・・・・・・あたしの言葉は妹ちゃんの心を動かしたようで、あたしと妹ちゃんの絆は更に深くなった。
妹ちゃんを手に入れた先輩は、すぐに妹ちゃんが今までのお相手のように自分のいいなりになるような子ではないことを思い知ったようだった。学校で一番人気があり学校で一番好き勝手に過ごし
ていた先輩は、今では妹ちゃんが気まぐれに見せる好意に飛びつくくらいに妹ちゃんに夢中になったのだ。学内では噂が流れていた。先輩はすぐに妹ちゃんを怒鳴る。妹ちゃんが自分の思うように
振る舞わないと妹ちゃんに当り散らすとか。それらの噂には全く信憑性がないわけではなく、根底に流れている事実は本当のことだったと思う。ただ、乱暴者の先輩の精一杯の威嚇に妹ちゃんが全
然動じていないことはあまり知られていなかった。それは、妹ちゃんのすぐ側にいたあたしとかグループの女の子しか知らないかもしれない。

あたしは本当に傷ついていた。妹ちゃんを失ったことに。周りの子たちはあたしが先輩に失恋したと思い、腫れ物に触るようにあたしを扱ってくれた。特に妹ちゃんと一緒の時は、グループの子が
さりげなくあたしと妹ちゃんを引き離そうと努力しているのがわかった。
507 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 01:42:15.76 ID:eLdT6SB4o
それなのに。
これは当時本当に不思議だったけど、妹ちゃんは先輩と付き合いだしてからもあたしと一緒に過ごす時間を減らそうとしなかった。先輩は女の子と付き合いだすと、その子はべったりと学校の内外
で先輩にくっついている。そんな光景は日常茶飯時なほどによく見かけたものだった。でも、妹ちゃんを落とした先輩は学校で一人でいるか男の友人達と一緒にいるようになった。要は妹ちゃんが
先輩とべったりと一緒にいるようなことをしなかったのだ。それで、あたしは相変わらず妹ちゃんと一緒に過ごすことができた。いや、むしろ妹ちゃんがあたしに罪悪感を感じている分、妹ちゃん
は以前よりあたしに優しく接してくれるようになったのだ。それはあたしにとって奇妙な時間だった。妹ちゃんに彼氏ができるという最悪の結果になったにも関わらず、以前より妹ちゃんと親密に
なるという。


委員長ちゃんは思っていたよりショックを受けていないようだった。ある日、他に人がいない時に語ってくれた話によると、こんなことで一々気にしてたら体が持たないよとのこと。ただ、その後
に独り言みたいにボソッと付け加えた言葉はあたしの胸の中にしばらく留まった。

「妹ちゃんもかわいそうだよね。妹友ちゃんと一緒で」

その頃、妹ちゃんの話には付き合い出したばかりの先輩の話題は滅多になく(あたしに気を遣ったのかもしれないけど)、むしろ妹ちゃんは以前より頻繁に家族の話をするようになった。
専業主婦でいつも家に居る口うるさいママを持つあたしと異なり、妹ちゃんの両親は共働きだった。両親ともに多忙な管理職ということもありなかなか家に帰ってこないのだとか。妹ちゃんは一人
で家事をしたりして両親不在の家を支えているのだ。妹ちゃんにはお兄さんがいる。今年大学に入ったばかりだけど、遊び歩いていたり帰ってきても家事の手伝いもせずに部屋でゲームとかしてい
るらしい。それでも妹ちゃんはいつだってそのお兄さんの話を繰り返してする。時に顔をひそめながら、時に笑いながら。

その頃からあたしの中に育って来た疑念。
妹ちゃんはあたしにだけではなく、グループの女の子たちにもお兄さんの話ばかりしていたらしい。先輩とのエピソードを期待していた子たちがその期待を裏切られて、密かに妹ちゃんのことをブ
ラコンと言い出し始めた。もちろん、妹ちゃん本人の前で言う子はいなかったけど。あたしも直接妹ちゃんに聞いたことがあった。

「ねえ妹ちゃん」

「うん」

「妹ちゃんってさ、彼氏の話とかあまりしないよね」

「そうかな。まあ、あまり話すようなこともないし」

「・・・・・・普通は彼氏のことって話したいんじゃない? もしかしてあたしに遠慮してる?」

「別にそんなことはないよ」

「・・・・・・妹ちゃんってさ。よくお兄さんの話をするけど、お兄さんのこと好きなの?」

「好きって? どういう意味で」
妹ちゃんは微塵も動揺しないで平静に聞き返した。

「だってさ。彼氏の話よりお兄さんの話の方が多いなんて。いつもお兄さんの悪口ばっか話してるけど・・・・・・実は妹ちゃんってブラコンなの?」

「そうかもね」

「え?」

「あたし、少しブラコンかも」
508 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 01:43:09.08 ID:eLdT6SB4o
妹ちゃんの発言には深い意味はなかったのかもしれない。両親が要職について多忙な家庭で、兄妹ふたりきりで過ごして来た妹なら持つであろう当然の感想だったのかもしれない。
だけど。その時あたしの脳裏に突然委員長ちゃんの言葉が再生された。

『まあ、妹ちゃんもある意味あんたと同じマイノリティなのかもしれないね』

『妹ちゃんとは親友でいるだけにしといた方がいいよ』

『同性愛とか関係なく、妹ちゃんはいろいろ難しいと思うなあ』

・・・・・・妹ちゃんの恋心は実のお兄さんに向けられているのだろうか。一度そう考えると、いろいろしっくりくることがたくさんあった。
これだけ容姿に恵まれているのに同じ学校の男の子に興味を示さない妹ちゃん。
いつも楽しそうに実のお兄さんの悪口を言う妹ちゃん。
先輩と付き合うときの辛そうな口調でこう言った妹ちゃん。

『それで、本当はいろいろ考えなきゃいけないこともあるんだけど』

『もう、疲れたっていうか。そろそろいつまでも結ばれることのない人のことは忘れなきゃいけないし』

あたしは、もしかして妹ちゃんはお兄さんのことが好きなのかなって思い始めた。レズと近親相姦。どちらの方が世間的にマイノリティなのかはよくわからないけど。
509 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 01:46:54.55 ID:eLdT6SB4o
その日は朝自宅で見た天気予報では曇りのはずだったんだけど。授業が終わり間近に迫った学園祭の実行委員会の会合が終る頃には、結構な土砂降りになっていた。あたしは、傘を持ってこなかっ
た妹ちゃんと相合傘で、いつもの仲間たちと一緒にカラオケに向かおうと校門を出ようとしていた。今日のカラオケには先輩と先輩の友だちも来るようだった。普段なら絶対に顔を出すことすらな
かったどろうけど、妹ちゃんは先輩に気を遣ったのか、あたしも行くよと言い出したのでそれに付き合うことにしたのだ。先輩達は先に行ってるみたいなので、あたちしたちはうるさいくらいに傘
を叩く雨の中を街中のカラオケに向かおうとした時だった。

校門の前の目立つ場所に軽自動車が泊まっていた。気にせずに通り過ぎようとしたその時、妹ちゃんがその車のフロントグラスを勢いよく叩き始めた。

「窓あけて」
妹ちゃんが車の中にいる男の人に声をかけた。

「お兄ちゃん、ここで何してるの」

「へ? 何っておまえを迎えに」
男の人が正直まぬけな声で妹ちゃんに話しかける。

「キャー。妹いいなあ。車でお迎えが来るんだあ」
女の子たちが嬌声をあげたが、妹ちゃんはあたしたちには目もくれず男の人に話しかけた。この人って、噂の妹ちゃんのお兄さんなんだろうか。

「何でわざわざ校門の前の目立つところで車止めてるの? っていうかあたし迎えなんて頼んでないよね」

「母さんが迎えに行けって。おまえ、母さんからメール来てねえの」

「知らない、そんなこと。いいから帰ってよ」

「だっておまえ傘」

「友達に入れてもらってるから大丈夫。早くここからいなくなって、お願いだから」
お兄さんが言いよどむと、周りの女の子たちが再び嬌声をあげる。

「妹ちゃん、浮気?」「修羅場か?」「彼氏先輩に言いつけちゃうよ」「きゃははははは」

「じゃあ、あたしもう行くから」
妹ちゃんは無表情で男の人に話しかける。

「おい」
車の中の人は慌てたように声を出した。
510 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 01:47:31.41 ID:eLdT6SB4o
あたしはようやくその時我に返って、妹ちゃんに質問した。

「妹ちゃん、知り合いなの?」

「・・・・・・うん。お兄ちゃ、兄貴。お母さんに言われて迎えに来たんだって」
やっぱり・・・・・・・。

「じゃあ、お兄さんに悪いし今日は帰ったら?」

「ううん。気にしなくていいの妹友ちゃん。それに、今日のカラオケって彼氏先輩も待ってるし」

「先輩にはあたしから説明しておくから。せっかくお迎えに来てくれたんでしょ? お兄さんに悪いよ。一緒に車で帰れば?」


「・・・・・・じゃあ、あたし少し寄って行くところがあるから」
妹ちゃんは憮然としている様子のお兄さんに止めを刺した。

「え? 一緒に帰らねえの」

「お母さんにはご飯までには帰るって言っておいて」

「え・・・・・・え?」

「じゃ、行こ。遅くなっちゃうし」
妹ちゃんはあたしの方を向いて話しかけた。
え? 本当にいいの。近親相姦かどうかはともかく雨の中をわざわざ迎えに来たお兄さんが気の毒になったあたしは、初めて直接お兄さんに話しかけた。

「あの。すいません、お兄さん。せっかくお迎えにいらしたのに」

「い、いえ」
お兄さんは律儀に礼儀正しくあたしに返事をした。

「ちゃんと遅くなる前にはお返ししますから」

「い、い、い、いやいやいや。君に謝ってもらうことじゃないし」
お兄さんはびっくりした様子であたしに応えてくれた。
・・・・・・いい人だな。男の人に関心がなかったあたしでもそう思う。妹ちゃんのお兄さんだったからかもしれないけど。もう少しお兄さんとお話ししようと思ったあたしの次の言葉は妹ちゃんに乱暴
にさえぎられた。

「妹友ちゃん、もう行こう」
何でだろう? 妹ちゃんがここまで強い口調であたしのことを遮ることなんてなかったのに。

「すいません。これで失礼します」
とりあえずあたしは儀礼的な言葉を何とかお兄さんに伝えることが出来たのだった。

お兄さんは、こう言っては悪いけど間抜けな返事をした。

「あ、は、はひ!」
女の子たちがクスクス笑いながら、もうお兄さんに背を向けて傘なしで街中に歩きはじめた妹ちゃんの背中を追っていく。あたしは慌ててお兄さんに会釈して、妹ちゃんに傘を差し出しながら足を
速めて小さな妹ちゃんの背中を追いかけた。
511 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 01:49:06.37 ID:eLdT6SB4o
その夜のカラオケのことはよく覚えていないけど。妹ちゃんが早く帰ろうとして、先輩や先輩の意向を忖度した周りの子に引き止められていたのはかすかに覚えている。
その時の先輩の態度はひどかった。妹ちゃんへの普段の鬱積お酒の力を借りて迸り出たみたいだった。周りに女の子がたくさんいたのも、先輩の気が大きくなった要因かもしれない。
あたしは何とか、終電前に密かに妹ちゃんをカラオケから脱出させることに成功した。

そして。自分でもどういう衝動に駆られたのかは今もわからないんだけど。何とか先輩から引き剥がした妹ちゃんをカラオケ店の出口まで送った時に、あたしは妹ちゃんにお兄さんのメアド教えて
もらってもいい? って聞いた。

さっき会ったばかりのお兄さんのことが気になったせいか、妹ちゃんのブラコンの度合いを確かめようとしたせいか。妹ちゃんは珍しくちょっと嫌な表情をして、お兄ちゃんに聞いてみるって答え
た。その日の夜中に妹ちゃんからメールを受け取った。本文にはただお兄さんのメアドだけが書いてあった。
512 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 01:50:08.64 ID:eLdT6SB4o
今日はこれで本当におしまい
これから録画したバクマン。を見るので

また明日
513 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 01:55:24.18 ID:RVY2MB2DO
まさか更新されてるとは……

乙!
514 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 02:27:36.37 ID:0yU6ZAyDO
素晴らしい…
一気に読んだけど金払ってもいいレベル

515 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 02:37:23.64 ID:kST6W0pDo
先が見えないね
516 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 03:55:14.32 ID:uJQMytYIO
いいね
先輩は高校生で飲酒か
委員長は苦労しそうだなぁ
517 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 04:25:52.06 ID:Fb8dYnWIO
委員長は先輩を飼いならしてるので大丈夫です
518 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 11:15:14.42 ID:eLdT6SB4o
今日で休みは終了
明日以降は更新ペースが落ちると思います

今日は数レスづつだらだらと投下予定です

では再開します
519 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 11:19:01.82 ID:eLdT6SB4o
これは一つの転機だった。あたしはない頭を振り絞って一生懸命考えた。妹ちゃんともっと親密になる方法。妹ちゃんとずっと親友でいる方法。望むべくもないことだけど、ありていに言えばあた
しの本当の望みは妹ちゃんと恋人同士になることだった。でも、妹ちゃんには彼氏がいた。そればかりか妹ちゃんの中で一番好きなのは(多分)雨の中で軽自動車に乗っていた男の人、妹ちゃんの
お兄さんだろう。正直に言うと、この頃になると先輩のことはあまり気にならなくなっていた。妹ちゃんと先輩は校内で公認のイケメン・美少女カップルとなっていたけど、妹ちゃんの先輩への態
度はあまりにも淡白だったから。

カラオケで先輩の隣に座らされつまらなそうにオレンジジュースを飲んでいた妹ちゃんは、校門の前の出来事を話題にされると、先輩を気にする様子もなく驚くほど生き生きとした表情で、お兄さ
んの悪口を喋りはじめた。その話しがあまりにも長いので軽くからかうつもりだった女の子も困惑している様子だったし、先輩もいらいらした様子で途中何度か話題を変えようとしたくらいだ。で
も、妹ちゃんが語るお兄さんの話には何か人を引き込むような感じで、妹ちゃんの周りに座っていた人たちはみな妹ちゃんのことをブラコンとかからかいながらも、妹ちゃんの話に聞き入っていた
のだった。

妹ちゃんがここまで入れ込んでいるお兄さん。正直さっきの印象ではあまり格好いいいいとは言えなかったけど、どうしてかお兄さんと話した時のお兄さんの口調とか表情があたしの心を占領し居
座ってしまった。妹ちゃんにとって一番大切な人はあたしじゃなくて、先輩でもなくて。

その時の心理状態は自分でも不思議だけどあたしの脳裏に浮かんだイメージは、妹ちゃんの一番大切な人の恋人として妹ちゃんの一番近くにいる自分だった。
近親相姦は同性愛以上に実現性が低いんじゃないだろうか。妹ちゃんもそれをよく知っているだろうし、だからこそ妹ちゃんは自分の気持ちを振り切るために先輩の告白を受け入れたのだろう。
それにお兄さんが妹ちゃんのこと恋愛対象として大切にしているようには、雨の校門での兄妹のやりとりからは窺えなかった。つまり妹ちゃんの恋は近親相姦以前に片思いなのだ。

あたしはなぜか震えた。あたしはレズビアンだ。あたしは別にお兄さんのことを好きになったわけではない。でも、お兄さんの恋人になれば、妹ちゃんに一番近い席に座っていられるだろう。
あたしから先輩を奪った(と思っている)妹ちゃんにはあたしをお兄さんからブロックすることはできないはずだ。現に大切なお兄さんのメアドを聞かれ嫌な顔はしたけど、結局アドを教えてくれたように。
520 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 11:20:26.20 ID:eLdT6SB4o
次の日、妹ちゃんは学校を欠席した。メールしても返事はない。あたしは教室で開いた携帯の画面を見つめていた。そして。意を決したあたしは震える指でそのメールを打って送信ボタンを押した



from :妹友
sub  :突然すみません
『妹ちゃんの同級生の妹友です。突然メールしてごめんなさい。昨日は妹ちゃんを誘ってしまってすみませんでした。お兄さんには妹ちゃんを早く家に返しますと言ったのに、結局遅くなってしま
いました。うちらの友だちが妹ちゃんを引きとめたんで、妹ちゃんのせいではありません。妹ちゃんを責めないでやってください。あと、図々しいお願いですけど、私は妹ちゃんのことを親友だと
思っていますので、妹ちゃんのお兄さんともお知り会いになれたら嬉しいです。突然なれなれしいメールをしてごめんなさい』

お兄さんからの返信は早かった。携帯の着信音にビクッとしたあたしは、ドキドキしながら画面を見た。こんなに胸が高鳴るのは委員長ちゃんに告白した時と初めて妹ちゃんを見た時に続いて人生
で3番目だったかも。


from :兄
sub  :RE突然すみません
『メールありがと。妹友さんが謝ることじゃないですよ〜。むしろ妹を心配してくれていて兄として感謝してます。僕も兄として一応妹のことは心配なんで、妹友さんからメールをもらって嬉しい
ですこれからも妹のことよろしくね(ハート)

期待していたほどの内容ではなかったけど、語尾のハートがあたしの背中を押してくれた。あたしはそのメールにすぐに返信した。少し焦らそうとか考えなかったわけではなかったのだけれど、そ
れよりもせっかく掴んだお兄さんとの接点を少しでも手放すのが不安だったのだ。


from :妹友
sub  :RERE突然すみません
『さっそく返事していただいてありがとうございます。無視されたらどうしようかとドキドキしていました(笑)。もちろん妹ちゃんとはこれからも親友でいたいです。あとお兄さんとももっと親し
くなれたら嬉しいかも。なあんて(笑)今日、妹ちゃん学校休んでいるんですが風邪ですか? 妹ちゃんにメールしても返事がないんで心配です。おうちにいるならメールしてくれるよう妹ちゃんに
伝えてもらってもいういですか?
あ、あと、あたしの携帯は090-123-××××ですので、何かあったら電話してくださいね(ハート)』

ここまで書けばお兄さんにもあたしの気持ちは届くだろう。あたしは自分のしたことに満足した。お兄さんの気持ちを弄ぶことになるのだけれど、妹ちゃんの一番近くの席にいるためなら、あたし
はそれでも後悔はしていなかった。
521 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 11:21:16.29 ID:eLdT6SB4o
学校から帰宅途中に私服姿の妹ちゃんと出合った。今日はお兄ちゃんが風邪を引いたし家には誰もいないので看病するために休んだそうだ。わずか数分ほど立ち話しただけで妹ちゃんと別れた。妹
ちゃんはこれから先輩と待ち合わせなのだと言う。お兄さんのことはいいのかなと思ったけど口には出せなかった。あたしは近所のスタバに入りお兄さんにメールした。


from :妹友
sub  :無題
『妹友です。さっきは返信ありがとうございました。今、下校中妹ちゃんに偶然会いました。お兄さん、病気なんですってね。お加減いかがですか?なんだか心配です。妹ちゃんに聞いたら、しば
らく外出できないみたいですね。よかったらお見舞いに行ってもいいですか。図々しいですかね(笑)お大事にしてくださいね(はーと)』

しばらく待ったけど返信は来ない。結構高熱みたいなので寝ているのかもしれない。この次のメールを出すかどうかは相当迷ったけど、お兄さんの関心を引くため、お兄さんと長く付き合うために
は避けて通れない話だとあたしは判断した。それに内容は嘘ではなく立ち話で妹ちゃんがあたしに言ったことだ。あたしは少し震える指で携帯の送信ボタンを押した。


from :妹友
sub  :無題
『たびたびごめんなさい。そういえば妹ちゃん、すごくお兄さんのこと心配してました。あと、看病しようとしたけど、お兄さんにウザく思われたみたいって妹ちゃん落ち込んでましたよ。妹ちゃ
んは以前からお兄さんの話ばかりしてて、学校ではブラコンって言われてるくらいお兄さんのこと大好きなんで、どうか妹ちゃんには冷たくしないで優しくしてあげてくださいね。体調が悪いでし
ょうから返信しなくていいですよ〜。ではまたです(はーと)』
522 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 11:26:20.93 ID:eLdT6SB4o
翌日、あたしは勇気を振り絞って今日は登校していた妹ちゃんに話しかけた。2時間目が終ったとの休み時間。今日は入学希望者へのオープンスクールがあり半日で授業が終るのでもうあまり時間
がなかったのだ。

「お兄さんの具合はどう?」

「だいぶ熱下がったみたい。ありがと」

「あのさ、その。お見舞いに行きたいってお兄さんにメールしたんだけど」
一瞬、妹ちゃんの顔が曇りそれまで見せていた笑顔が消えた。あたしは自分が始めてしまったこと後悔したけど、それでもこのゲームを止める気にはならなかった。

「妹友ちゃん、うちのお兄ちゃんのこと好きなの?」
妹ちゃんはすごく複雑な笑顔を浮かべて聞き返してきた。

「わかんないけど・・・・・・何か気なるっていうか」
あたしは必死で返事した。

「そうか。先輩のこと吹っ切れた?」

「うん」
少なくともこの言葉だけには嘘はなかった。

「妹ちゃんと先輩のツーショットを見ているのって正直辛かったけど、でも今は気にならない」
妹ちゃんは黙り込んだ。

「自分でもよくわかんないんだけど、今は妹ちゃんのお兄さんのことが気になる」

「・・・・・・今日、うちに来る?」

「いいの?」



「本当にいいの?」
妹ちゃんの家に上がる前、あたしはまた繰り返した。

「うん。平気だよ。お見舞いに行くってメールしたんでしょ」

「でも。来てもいいとかって言われてないし」

「大丈夫だよ。さ、あがって。お兄ちゃんの部屋2階だから」

その時、あたしはお兄さんと会った時に何を話すのか全く考えていなかったことに気づいて動揺した。

「妹ちゃん」

「何?」

「お兄さんに会う前に妹ちゃんの部屋に行ってもいい?」

「いいけど・・・・・・どうしたの」

「心の準備をしたいっていうか」

「何言ってるの。たかがお兄ちゃんに会うくらいで」
その時、学校で妹ちゃんに話しかけてから初めて、妹ちゃんは心から優しい微笑をくれた。
523 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 11:26:49.48 ID:eLdT6SB4o
とりあえずここまで

また後で投下します
524 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 12:32:27.98 ID:x3OJgI5co

うわぁきゅんきゅんする
525 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 18:29:31.25 ID:eLdT6SB4o
家に上がると妹ちゃんはあたしをリビングのソファに座らせ、まずキッチンに向かい、それからニコニコしながら戻って来た。

「どうしたの?」
あたしは機嫌のよさそうな妹ちゃんに不審を感じた。
妹ちゃんは少しためらったけど、すぐに破顔してこう言った。

「お兄ちゃんに雑炊作って置いたんだけど、全部食べてくれてた」

それが喜ぶことなのか? 好きになるとこういうことでも嬉しいものなのだろうか。
あたしたちは妹ちゃんの部屋で少しお話したけど、すぐにあたしは妹ちゃんに部屋から追い出された。

「底の廊下の一番奥がお兄ちゃんの部屋だから」

「え? 一緒に来てくれないの?」

「あたしは雑炊作んなきゃいけないし。妹友ちゃんだってお兄ちゃんと面識あるんだから一人でも平気でしょ」

あたしは、何とかお兄さんの部屋の前まで来て、恐る恐る中の気配を探った。すると、いきなりドアが開きお兄さんが廊下に出てきた。
526 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 18:31:07.53 ID:eLdT6SB4o
「え? 妹友さん??」

「あ、あの」
突然のことにあたしは混乱していたみたい。

「は、はひ」
でもそれはお兄さんも一緒のようだった。

「風邪、大丈夫ですか」

「う、うん」

「・・・・・・よかったあ。心配してました」

「あ、あのさ」

「は、はい!」

「メールありがとね」

「い、いえ!」

「あの・・・・・・。本当にお体大丈夫なんですか?」
あたしはお兄さんの緊張振りを見てだいぶ平静さを取り戻した。それに知り合ったばかりという気がしない。妹ちゃんから毎日のようにお兄さんの話を聞かされていたせいかもしれないけど、あたしは目の前の人のよさそうな年上の大学生に親しみを覚えた。それとともにこの人を騙すことに少し罪悪感を感じた。

「うん、へーき」

「あたしも心配で・・・・・・」

「知り合ったばかりの男をそんなに心配してくれなくても」

「だって・・・・・・。大切な親友のお兄さんだし。それにお兄さんのことはずっと前から妹ちゃんに聞かされていたんで」

「はい?」

「知り合ったばかりって気がしません・・・・・・想像していたとおりの人だったし」

「え? え〜と」
527 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 18:33:51.99 ID:eLdT6SB4o
お兄さんは少し顔を赤くした。あたしは外からは冷静なように見えていたと思うけど、実際はお兄さんに関心を持ってもらえたことに興奮していた。お兄さんもあたしのことを好きなのかもしえな
い。その興奮のせいか、あらかじめ話す内容を考えてこなかったせいか、その日あたしは大失敗をしてしまったのだ。

多分、お兄さんは妹ちゃんから向けられている好意に気づいていない。妹ちゃんが好きなあたしは、お兄さんにそのことを気づかせていけないはずなのに。お兄さんと話せて興奮気味のあたしは、妹ちゃ
んがお兄さんが好きなこと、それも彼氏先輩より好きなことを力説してしまったのだ。しかもご丁寧にお兄さんがそんなことはないよと否定するたびに更に妹ちゃんがいかにお兄さんに好意を
寄せているかを重ねて説明する始末。確かに前のメールで、妹ちゃんが学校ではブラコンと呼ばれているという内容をお兄さんに送信したことはあったけど、それはお兄さんにあたしへの関心を持
ってもらうための言わば餌だった。こうしてお兄さんと会えて、しかもあたしの言葉に顔を赤くしているお兄さんにこれ以上こういう話をする必要は全くなかったのに。

お兄さんと話しながら、いろいろと嘘を付き慣れているあたしが何でこんなに素直になっているのかを考えてみたけどよくわからない。でも、お兄さんには何か人を素直にさせる安心感のような不思議な魅力が備わっているんだと感じた。そしてその感覚には既視感があった。妹ちゃんと出会ったときも同じことを考えたっけ。

このまま話していたら妹の兄への禁断の恋まで話してしまったかもしれないが、幸か不幸かそういうことにはならなかった。



お兄さんがなぜか突然気を失ってしまったのだ。
528 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 18:34:30.59 ID:eLdT6SB4o
今日は、また後で数レス投下予定です
529 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 20:00:54.08 ID:eLdT6SB4o
そういうわけであたしはお兄さんと知り合いになることができた。いきなりお兄さんが倒れた時はびっくりしたけど、それ以上に驚いたのはその時の妹ちゃんの狼狽振りだった。お兄さんの名前を
懸命に呼ぶ妹ちゃんの姿はあたしの心を打った。あたしはこんなにまで純粋な愛を邪魔しようとしているのだから。

結局お兄さんは廊下の床に倒れて眠っているだけという結末になった。妹ちゃんとあたしで眠っているお兄さんをベッドに運ぼうとしたのだけれど、もちろんそれは無駄な努力だった。ただ、お兄
さんの身体に触れた時の奇妙な、今まで経験したことのない胸のうずきはあたしを少なからず困惑させた。少し落ち着いた妹ちゃんはお兄さんに布団をかけるとそのままペタンとお兄さんの横に寄
り添うように座ってしまった。

「今日はお兄ちゃんが目を覚ますまでここにいなきゃいけないんで」
妹ちゃんがあたしに言った。

「うん。お兄さんお大事にね」
あたしは、妹ちゃんに嫉妬しているのかお兄さんに嫉妬しているのかどちらなんだろう。混乱する気持ちを抱きかかえたままであたしは妹ちゃんの家を後にした。

次の日の雨の放課後、お兄さんは車で(前に見た軽自動車ではなく大きなセダンだった)妹ちゃんを迎えに来た。
学祭の準備で遅くなったあたしを、妹ちゃんとお兄さんは家まで送ってくれた。お兄さんが車の中に迎え入れてくれた時、一瞬遠慮して後部座席に座ろうかと思ったけれど、お兄さんに積極性をア
ピールしたいという気持ちもあって、あたしは遠慮して見せながらも助手席に座った。

学祭の準備で遅れている妹ちゃんを待つ間、お兄さんは妹ちゃんが自分のことを普段どういう風に話しているのかを聞いてきた。あたしはお兄さんに妹ちゃんへの関心を持たせてしまったことを後悔した。遅れて来た妹ちゃんが黙って後部座席につくと、車は雨の中を走り出した。この時も、あたしは少し興奮していたようだ。家に付くまでの間、お兄さんのことを大人っぽいとか女の人にもてるでしょうとか一人でペラペラ話しかけてたのだから。そして、それはあながち演技ではなかったのだ。

家まで送ってもらってお風呂に入った後、あたしは友だちの子のメールで急なカラオケに誘われた。正直、こんな雨の中を夜カラオケなんかに行きたくなかった。むしろ早めにベッドに入って出会ってからのお兄さんとの会話を思い出していたかった。
・・・・・・そう、信じられないことにあたしはお兄さんのことを、恋愛の対象として意識するようになっていたのだ。
530 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 20:03:37.71 ID:zRv92ghSO
待ってる
531 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 20:03:50.19 ID:eLdT6SB4o
もともとの目的は、お兄さんと恋人同士になることにより、妹ちゃんとお兄さんの関係が進展するのを邪魔することだった。妹ちゃんがお兄さんと結ばれないからと言って、妹ちゃんがあたしに靡
いてくれるわけではないことは承知の上で。それにその頃あたしは、先輩に対して全く嫉妬することがなくなっていた。妹ちゃんは先輩のことは嫌いじゃないかもしれないけど、愛しているわけで
もない。そのことは普段の二人を見ていて段々と理解できるようになっていた。

あたしの恋のライバルはお兄さん。そのお兄さんに彼女ができてしまえば、妹ちゃんはお兄さんを諦めるしかなく実質的にフリーとなる。それに、お兄さんの彼女であるあたしは単なる親友以上の
親しい関係を妹ちゃんと築くことができる。妹ちゃんが同性愛者ではない以上、これがあたしにとっての最善の選択だった。

それなのに、あたしは会ったばかりのあの人に好意を抱いてしまっていた。長く話したこともなく、知り合ったばかりのお兄さんに対して。自分の気持ちを錯覚だと偽ることはできなかった。あた
しは男性に恋をしたことがない。そしてこのお兄さんに対するこの感覚はかつて委員長ちゃんや妹ちゃんに対して抱いたものと全く同質だった。かといって妹ちゃんに対する恋愛感情も薄れてはいなかったのだけれど。
あたしが生まれて初めて恋愛感情を抱いた男性は、好きな女の子のお兄さん。そう、あたしは兄と妹の二人に対して同時に恋してしまったのだ。
532 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 20:07:42.60 ID:eLdT6SB4o
・・・・・・そのメールには、今日のカラオケには先輩と妹ちゃんも参加するからと書き込まれていた。妹ちゃんと会うことで少しは自分の心の整理ができるのではと期待して、あたしは親に断って家を
出た。雨は相変わらず強く路面に叩きつけられていた。

びっしょりと濡れてしまった服を持て余しながらカラオケに入って席に着いた時には10人くらいの顔見知りが既に盛り上がっていた。妹ちゃんはまだ来ておらず、先輩は携帯電話に向かって何か話していたが、突然大きな声で怒鳴り散らし始めた。周囲は一瞬で静まり返った。おそらく妹ちゃんがここに来るのを拒んだんだろう。こういう状況も最近ではよく見かける状況だった。妹ちゃんは先輩を少しも恐れていないのだ。

お酒が入ってテンションが高ぶっていた先輩は怒鳴ったり暴れたり最低だった。妹ちゃんの悪口だけならいつものことだけど、今日はお兄さんの悪口を繰り返し怒鳴っていた。周囲にいる先輩の友
人の男の子たちが先輩をなだめようとしたけど全く効果はなかった。


「どうせ兄貴に家にいろって言われたんだよ、あいつはよ。あいつの兄貴って大学生になっても妹が家にいなけりゃ飯も食えねえのかよ。クズだなクズ」

「いい年して妹妹って、どうせ彼女もいねえ童貞なんだろうけどよ」

先輩のお兄さんへの罵詈雑言は、あたしの心を乱した。先輩の乱暴な言葉に怯えたのではない。妹ちゃんの家族を貶める怒鳴り声に憤慨したのでもない。あたしは、まぎれもなくあたしの好きな人
への悪口に憤ったのだ。あたしには心を安らがせてくれる何が必要だった。あたしは震えながらお兄さんへのメールを打った。内容なんてどうでもよかった。とにかく愛する人と繋がっていたかったのだ。
あたしが愛してしまったお兄さんと。

結局お兄さんは昨日の夜のメールni返信してくれなかった。翌日、あたしは改めてお兄さんをメールで呼び出した。口実は何でもよかった。ただ、お兄さんと会いたいだけだったから。それでも少しは説得力ある口実を作ろうと考えた末、妹ちゃんと先輩の仲直りの相談をすることにした。もっとも、待ち合わせ当日の校内で仲良く手を繋いでいる妹ちゃんと先輩を見かけた。二人は仲直りしたようだった。それでこの口実はもう使えなくなったけど、お兄さんとの待ち合わせを中止する気はなかった。

もはやあたしには、お兄さんへの自分の恋愛感情がはっきりと認識できていた。男の人を愛するなんて一生ないだろうと考えていたあたしだけど、それは突然やってきたのだ。同時に妹ちゃんへのr
恋愛感情も少しも薄れていなかった。

あたしは混乱していたけれど、どちらの恋のほうが成就しやすいかはよくわかっていた。
533 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 20:19:07.99 ID:eLdT6SB4o
店に入ると既にお兄さんが窓際の席に座っているのが見えた。お兄さんは何か考え込んでいるようだった。あたしの胸の奥で何かがどくんと音を立てた。これって、妹ちゃんを始めて見た時の感じ
と全く一緒だ。あたしは声が震えないよう明るい声が出るように努めながらお兄さんに声をかけた。

「お兄さん、こんにちは」

「妹友ちゃん」
お兄さんは少し微笑んだ。

「ごめんなさい、遅くなちゃって。待ちましたよね?」

「いや、俺も今来たとこだから」
まるでドラマとかによくある恋人同士の待ち合わせのような返事がお兄さんから返ってきた。

「学園祭の準備が思っていたより手間取っちゃったんですよ」
うん、大丈夫。落ち浮いてちゃんと話せている。

「来週だっけ?」

あたしは、なけなしの勇気を振り絞った。
「はい。お兄さんもよかったら遊びに来てください。案内しますから」

「うん。行けたら行くよ」

「本当ですか? やった。絶対に来て下さいね?」
行けたら行くよ。それはあたしの期待していた言葉ではなかったが、あたしは必死で失望を表さないように努力した。

「うん。それより、昨日の夜は大変だったね」

「ああ、変なメールしちゃってすいませんでした。ごめんなさい」

「いや、別にいいけど。あれからどうなったの?」
あたしはあの夜の出来事をかいつまんでお兄さんに説明した。お兄さんは困惑したようだった。

「俺、そいつに会ったことないんだけど。何で俺の悪口言ってたんだろうな」

「嫉妬でしょ。前にも話しましたけど、先輩は妹ちゃんにマジ惚れしてますし。あまり気にしなくていいと思いますよ。で、実は相談があってせっかくお兄さんに来ていただいたんですけど」

「うん」

「ごめんなさい。何か解決しちゃったみたいで」

「そう。まあ、解決したんならよかったじゃん」

「先輩と妹ちゃんのことを相談しようと思ってたんですけど」

「え?」

「ほら、あの二人最近ぎくしゃくしてたじゃないですか。昨日は先輩あんな有様だったし。で、どうしたもんかと」

「で、解決したとは?」

「今日、学校で先輩を見かけたんですけど」

「うん」

「妹ちゃんが一緒にいて、二人で手をつないで歩いてました」
534 :以下、あけまして [saga]:2012/01/03(火) 20:30:43.81 ID:eLdT6SB4o
「・・・・・・え?」
その瞬間、心なしかお兄さんの表情が曇ったように思えた。

「あと、時々先輩が妹ちゃんを見つめながら何か話しかけてたんですけど」

「・・・・・・うん」

「妹ちゃんも笑顔で応えていたんで、まあ無事に仲直りしたんですかね」

「・・・・・・」

「今日は校内でずっと二人で過ごしてたし、あたしが心配するまでもなかったみたいです」
お兄さんの表情は更に暗くなった。まさかと思うけど、妹ちゃんが先輩と仲直りしたことに嫉妬しているのだろうか。いや、それはないはずだ。あたしは必死で自分に言い聞かせた。お兄さんはま
だ明確には妹ちゃんの恋心には気が付いていないはず。まだ、お兄さんの心に食い込めるチャンスがあたしにもあるはずなのだ。
ざわめく心を押さえつけながらあたしは険しい顔で考え込むお兄さんに再び声をかけた。

「お兄さん?」

「あ、うん。用事がそれだけなら俺もう行こうかな」

「え? せっかくだから少しお兄さんとお話したいなあって思ってたんですけど。ダメですか?」
・・・・・・え? 自分の顔色が変るのが自分でもわかった。あたしは勝手に思い込んでいたんだろうか。今日はお兄さんとここでずっとお話しし、その後お兄さんがあたしの家に送ってくれる。あたし
は今日は何となくそういう風に過ごせるつもりだったのだ。


「ごめんな。今日はもともと用事が入ってたんだ」

「そうですか。用事があるのにわざわざ来てくれたんですね? ありがとうございます」ニコ
あたしは必死で平静を装った。

「・・・・・・う、うん。妹の親友の頼みだからね。じゃあ、悪いけど俺はこれで」

「はい! ありがとうございました」

「またね」


お兄さんが帰った後、あたしはぐったりり放心していた。失望と悲しさと後悔が胸の奥に繰り返し去来している。。
あたしは間違えたのだ。完全な自業自得だった。お兄さんに妹ちゃんの感情を気が付かせるきっかけを与えてしまったのはあたし自身だった。
そして、ひょっとして今ではお兄さんも妹ちゃんのことを・・・・・・。
535 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 20:31:53.92 ID:eLdT6SB4o
本日はここまです。そして明日からは仕事なので休日ペースでの投下は無理っぽいです

ではここまでお付き合いいただきありがとうございました
536 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 20:38:45.08 ID:mB5CvzVpo
乙〜
537 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 20:40:18.31 ID:r5YXfuspo
ここまでの流れを踏まえて今までの話を思い返すとなかなか……
乙!
538 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 21:38:23.12 ID:E9KpsYdC0
乙1!
なんてこった……妹友……
539 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:13:16.76 ID:uJQMytYIO
こんがらがってますな
540 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:43:17.96 ID:RVY2MB2DO
乙乙
541 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 00:09:14.65 ID:IjCN6e+/0


氷解した!
542 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 04:00:09.80 ID:m23fZYb6o
乙ー
引き込まれるなー
543 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 20:37:21.18 ID:knVjhM40o
作者です。職場からこんばんは

本日、深夜まで残業決定につき投下できません

申し訳ありません
544 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 20:56:55.58 ID:y7Lks2YAo
いつまでも待つわ
545 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 21:24:46.46 ID:pnRK+kzW0
残業頑張れ
待ってる
546 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 23:17:59.97 ID:R8O9LQyZo
>>543と言いましたが意外と早く帰宅できました。
これから昨日書き溜めてあった2レス分(短いですけど)を投下、その後風呂飯後、書けたとこまで投下します
多分1レスか2レスくらいだと思いますけど
547 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 23:20:10.20 ID:R8O9LQyZo
翌日。妹ちゃんはまた学校を休んだ。昨日の夜はほとんど眠れなくて、お兄さんと妹ちゃんの関係がどこまで進展したのかをぐるぐると同じ思考回路を辿りながら考え続けていた。お兄さんは妹ちゃんを恋愛の対象として意識しているのだろうか。さっきは先輩と妹ちゃんの仲直りに嫉妬してしていたのだろうか。妹ちゃんと先輩の和解なんて実はほとんど意味のない出来事だった。それはこれまでも常に繰り返されていて、妹ちゃんに先輩が謝るという形式まで確率されていた儀式に過ぎなかった。それをお兄さんに話せばお兄さんは安心するかもしれない。でも、それはできなかった。妹ちゃんは今ではあたしの恋愛の対象であるとともに、あたしの恋愛のライバルでもあったから。敵に塩を送るという表現は前にお兄さんに軽く暗示したことはあったけど、その頃はお兄さんを演技で騙して自分に振り向かせようと思っていた。でも、今では当初の目的は吹き飛んで無くなっていて、あたしの目標はお兄さんの彼女になることだった。それも演技ではなく心からの。外形的な目的は以前と全く変っていないのだけれど、通底に流れると感情は180度変っていてそれとともにあたしの必死加減も異なってしまっていた。手段が目的となるとはまさにこのことだった。

それで今日は、勇気を出して妹ちゃんに、昨日のお兄さんの自宅での様子を知りたかったのだけど、妹ちゃんは学校に来いていない。一瞬嫌な予感があたしの頭をよぎったけれど、あたしは必死にその思いを振り払った。

・・・・・・行動しなければ。早ければ早いほどいい。幸いなことに、昨日偶然先輩と一緒にいる妹ちゃんを見かけたあたしは妹ちゃんを先輩から引き離し、学祭にお兄さんを招待し案内していいか聞いてみた。妹ちゃんの答えはシンプルにいいよ、という答えだった。

その出来事があたしに勇気を与えてくれた。女の子同士と違い、女の子が男の子にメールするのにはきっかけとか理由が必要みたいだ。男の子に恋したことのないあたしは、今手さぐりで男の子へのアプローチの方法を実践しながら手さぐりで必死で学んでいるのだった。あたしは精一杯の想いを込めてお兄さんにメールした。


from :妹友
sub  :学園祭(ハートの絵文字)
『こんにちは〜。今週末の学祭のこと覚えてますか。来てくれるって行ってましたよね?お兄さんが来るのを楽しみにしてるんですよ〜 あたしはは実行委員だけど当日は役目がないのでずっとお兄さんを案内しますね。10時ごろ、校門の前で待ち合わせしてもいいですか メールしてね(はあと)』

意外にもお兄さんの返事は早かったけど、その内容はそっけないものだった。でも、あたしはお兄さんが来てくれると約束してくれただけで満足だった。

from :兄
sub  :RE学園祭(ハートの絵文字)
『こんにちは。返事遅れてごめんね。10時に校門の前りょーかいです。俺も楽しみだよ。じゃ、また〜』
548 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 23:23:14.66 ID:R8O9LQyZo
学園祭当日。こんなに早く来ているわけはないと思ったけど、お兄さんを待たせるのが嫌であたしは30分以上前に、待ち合わせ場所に向かった。
待つことを覚悟したあたしが校門の前に着いた時、やや逆光気味に人込みからやや離れた場所にたたずんで何か物思いにふけっているお兄さんの姿が目に入った。
・・・・・・その瞬間、早鐘を打つように胸が高鳴った。

「お兄さん?」
あたしは努めて冷静に、でもお兄さんへの好意を込めて話しかけた。お兄さんは少しびっくりした様子であたしを見つめてから、こんにちはとあいさつしてくれた。
あたしはお兄さんが控えめだけど熱心にあたしの全身を眺め回していることに気が付いた。女の子は自分をさりげなく眺めてくる男の人の目線って結構気づいてしまうもので、あたしもこれまでそういうことに不快感を感じたことがあった。
でも今日は違っていた。お兄さんに眺められていると考えただけで、これまで以上に胸のどきどきが高まっていくようだった。

あたしは自分の慌てているさまを隠すように、お兄さんに早く来てくれて嬉しいと言い、早速お兄さんを学校の中に案内した。
お兄さんと少し話しただけで既にいっぱいいっぱいだったあたしだけれど、昨日、積極的に行動しようと決心したばかりだった。
あたしは勇気を振り絞ってお兄さんの手を握った。お兄さんは少し驚いたようにあたしの方を見た。

「人混みだらけだから、はぐれちゃうといけないですよね」
うん。平静に明るく言えている。大丈夫、ちゃんとできている。そのことであたしは少し心が軽くなった。
549 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 23:45:09.77 ID:R8O9LQyZo
この日、あたしは精一杯お兄さんに自分の好意をアピールした。

「お兄さんってうちらのOBじゃないんですね、残念」

「いえ。別に深い意味はないんですけど。どこかでお兄さんと縁があった方が嬉しいじゃないですか?」

「××ってあの固い学校ですよね? 何か意外〜。もっと遊んでたイメージだったのに」

「いえ。お兄さん格好いいですから別に」

「頭もいいんですね。すごいなあ」
それはお兄さんの出身校やお兄さんが通っている大学の話題になっていた時だった。

「あたし、お兄さんの大学に入りたいんですね。ちょっとまだ偏差値的にはチャレンジなんですけど」
それは嘘ではなかった。お兄さんのことを意識しだしてから考え始めたことではあったけど。

「ああ。妹友ちゃんまだ2年じゃん。偏差値なんてこれから伸びるよ」

「あたしが現役で合格すればお兄さんはその時4年じゃないですか」

「まあね」

「一年間一緒に大学で過ごせますね」
お兄さんの反応はあまりよくなかった。そのことに失望したあたしはその日初めての失敗をやらかしてしまった。

妹ちゃんがお兄さんと同じ大学を志望していることは前から知っていたので、当然家族であるお兄さんはそのことを知っているだろうと思ったのだ。

「妹ちゃんと一緒に頑張ります!」
お兄さんはきょとんとした様子で言った。

「はい? 妹って・・・・・・そういやあいつは志望校決めてるのかなあ」
まずい。妹ちゃんは自分がお兄さんと同じ大学を志望していることをお兄さんには話していなかったのだ。また、お兄さんに妹ちゃんの好意をほのめかすようなことを知られてしまった。
そのことに動揺したあたしは更にひどい間違いを犯した。パニックになっていたあたしの頭の中に妹ちゃんの志望する大学に関するエピソードが浮かんでしまった。普段のあたしならそれを言うべきではないと判断し、そのままま黙っていただろうけど、好きな男の人の前にいてしかも失敗したばかりのあたしにはもう何の判断能力も残っていなかった。

「去年、ここに入学した頃から妹ちゃんの目標はお兄さんと同じ大学ですけど、それで最近、妹ちゃんと先輩、揉めたんですけどね」

「妹と? いったい何で」

「先輩は別な大学志望なんですけど、妹ちゃんにも一緒の大学に行こうって」

「はあ?」

「でも、妹ちゃんはお兄ちゃんと同じ大学に行くって決めてるからって断わったみたいで」

「それで少し険悪になっちゃったんですけど」

「そう」
550 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 23:49:18.93 ID:R8O9LQyZo
このあたりであたしはようやく少し冷静になり、先輩と妹ちゃんの仲の良さをアピールすることにした。同時に自分のアピールも忘れないようにした。

「まあ、結局仲直りしてるんですから。あの二人の仲は心配するだけ無駄なんですけどね」
お兄さんは黙ってしまった。どういうわけか少し胸が痛たんだけどあたしは話を続けた。

「今日もべったりと一緒にくっついていますよ、妹ちゃんと先輩」
そして強引なアピール。

「あたし、同い年の男の子って興味ないんです」

「はあ」
お兄さんはよくわかっていないようだった。

「昔から年上の男の人が好きで」
これは嘘。だけど今、年上の男の人が好きなのは嘘ではなかった。お兄さん限定だけど。

「ふ〜ん。じゃあ先輩みたいな人がいいってこと?」
お兄さんは間の抜けた感想を口にした。

「妹ちゃんの彼氏には興味ありません」

「そ、そう」

「お兄さんは彼女作らないんですか?」
あたしは必死で追撃した。

「そんなことはないけど。できないものは仕方ない」

「本気で彼女作ろうとしてないでしょ」

「そんなことはないよ。もてないだけで」
551 :以下、あけまして [saga]:2012/01/04(水) 23:54:50.68 ID:R8O9LQyZo
「・・・・・・まあ、身近にいるのが妹ちゃんじゃ彼女を選ぶ基準が高くなっちゃうのはわかりますけどね」
すっかり冷静さを取り戻したあたしは、少しお兄さんに探りを入れてみた。
すると。帰ってきた答えはあたしの予想と全く異なるものだった。あたしにとっていい意味で。

「何言ってるの。妹友ちゃんみたいに可愛い子がそういうこと言うと皮肉に聞こえるよ」
お兄さんはあたしにそう言った。

「・・・・・・え?」
あたしは一瞬絶句したが、次の瞬間胸の中に何か暖かいものが満ちてくるのを感じた。

「俺、何か変なこと言った?」

「あの・・・・・・あたし、本当に可愛いですか」
あたしは多分真っ赤になっていたと思う。

「うん、すげえ可愛いと思う」

そのあと、お兄さんと一緒に調理部の喫茶店の行列に並んだんだけど、その時の会話は正直よく覚えていない。妹ちゃんのことでまた失言もしたかもしれないけど、あたしの脳裏にはさっきのお兄さんの言葉が繰り返し再生され続けていたから。

「うん、すげえ可愛いと思う」

あたしは予定を繰り上げ、今日中にお兄さんに告白することを決めた。
552 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 23:56:26.64 ID:R8O9LQyZo
今日はこれでおしまい。
明日の投下も残業次第ですけど、投下できなさそうな時はその旨レスします。

では今日もお付き合いいただきありがとうございました
553 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 23:59:06.58 ID:he0Ih3FLo
妹友ちゃん乙女だね
乙っぱい
554 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 23:59:29.08 ID:Aw4MIK3ro
おつおつ
両方共幸せになればいいなって
555 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 00:16:22.28 ID:5JO7EHir0
乙〜
全員幸せになればいいなぁ
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 08:07:49.03 ID:ccf2XuhDO
おつおつ
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/06(金) 18:21:39.20 ID:Kir/yBk8o
昨日は投下できなかったのでその間に書きためた分を投下します

あとでできれば再び数レス追加で投下予定です
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/06(金) 18:22:07.98 ID:Kir/yBk8o
「あたし、お兄さんのことが好きですから」
お兄さんを案内している時に、あたしはこの言葉を何度か口にした思う。お兄さんへの今日中の告白を決意したあたしだったけど、この言葉は特に告白を意識したものではなかった。お兄さんのことが大好きになってしまっていたあたしは、この程度の言葉は何の抵抗もなく普通に口を出るようになっていた。
でも。それが結果的には良かったみたい。お兄さんはあたしの言葉を気にするようになり、あたしを意識してくれるようになったのだから。
それは喫茶店から出て中庭の方に歩いていた時だった。

「あ、あのさ、さっき言ってた・・・・・・俺のこと好きって言うのさ」
お兄さんが顔を赤くしながらあたしに尋ねた。予定より少し早かったけど、自分の気持ちを伝えるのは今だ。あたしは極力冷静な声を出すよう努めた。

「ああ。はっきり言わなかったですからね・・・・・・。お兄さんのこと、異性として好きです。よかったら付き合ってください」
驚いた表情のお兄さんに構わずあたしは言葉を畳みかける。

「あたしの彼氏になってください」

「はい」
お兄さんは迷わず即答した。あたしは驚いて思わずお兄さんに、はい? って聞き返しまった。内心では振られるかもしれない、正直どうせ妹ちゃんに負けるのだろうという気持ちもあったから。
でも。あたしの精一杯の告白を聞いたお兄さんの表情は真剣だった。あたしはこのゲームで妹ちゃんに競り勝ったのだ。



こうして、あたしはお兄さんの彼女になった。あたしに生まれて初めて恋人ができたのだ。
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/06(金) 18:27:00.88 ID:Kir/yBk8o
学園祭の後半、あたしとお兄さんは学園祭を回るのをやめ中庭の噴水脇のベンチでずっと他愛もないお話をして過ごした。
その後、校庭ではキャンプファイアを囲んでフォークダンスの輪が広がっていたけど、お兄さんとお別れしたあたしはその輪の中に参加せず赤々と輝く炎を眺めながら今日の出来事を何度も何度も心の中で反芻していた。


・・・・・・お兄さんの彼女になった今、あたしはできれば今までのことは全てなかったことにしたかった。あたしがお兄さんの彼女になリたいと思った最初の目的は、妹ちゃんとお兄さんが親密な関係になるのを防ぐためだった。
その気持ちは今でも失われていない。
だけど、決定的に違うのは、もともと妹ちゃんをお兄さんにとられたくないということから始めたこのゲームの目的がすっかり変容し、お兄さんを妹ちゃんにとられたくないという気持ちの方があたしの中ではるかに大きく育ってしまっていた。
お兄さんへの告白が受け入れてもらえた今でも、甘い安堵心は訪れて来なかった。時が過ぎるにつれお兄さんを妹ちゃんにとられるのではないかという恐怖、お兄さんに嫌われるのではないかという心配があたしの脳裏を占め始めた。


できればもう全てを忘れ自分を誤魔化したかった。あたしは最初からお兄さんに惚れお兄さんに夢中になりお兄さんに告白しお兄さんと恋人になったのだと自分に言い聞かせたかった。
でも、そういうわけにはいかない。あたしにはまだするべき事が残っていたのだ。
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/06(金) 18:29:36.54 ID:Kir/yBk8o
学園祭の翌々日。あたしは登校してすぐに妹ちゃんを見つけ、いつものように妹ちゃんの側に行き一緒に授業前の雑談をしようとした。もちろん今日妹ちゃんに言わなければならないことはあるんだけれど、それは朝一番で話すようなことでもなかったのでとりあえずいつものように妹ちゃんと過ごそうかと思ったのだ。


あたしが自分の席を立ったその時、妹ちゃんがちらりとあたしの方を見た。その時の妹ちゃんの一瞬の表情にあたしはドキッとした。それは妹ちゃんがあたしに対して一度も見せたことのない表情だった。後ろめたいような、それでいて覚悟を決めているようで挑発的ですらある一瞬の表情。


まさか。あたしの脳裏に嫌な思い大雨前の暗雲のように広がっていった。あたしは一昨日お兄さんと付き合い出したばかりだ。昨日は学祭の振替日の休日。お兄さんは大学があったはずで妹ちゃんと何かあったはずはない。それでも、その嫌な感覚はあたしの感情をかき乱した。あたしは妹ちゃんにあいさつし、努めて冷静な声でいつものようにお話をしようとした。でも。


「ごめん、ちょっと用があるから」
妹ちゃんはあたしから目を逸らして呟くように話した。いつも相手の目を真っ直ぐ見る妹ちゃんが・・・・・・。

「あ、そうなんだ。うん。ちょっと話があったんだけど後でいいや」

「・・・・・・話って?」
妹ちゃんは今日はじめてあたしの目を見つめた。

「うん。ちょっとお兄さんのことでお話があるの」
あたしはようやく話すべき内容の口火を切ったが、次の瞬間妹ちゃんは席を立っていた。

「ごめん、用事があるから行くね」
妹ちゃんは教室から小走りに出て行った。これまでこんなことは一度もなかったのだ。あたしは呆然と妹ちゃんが出て行った教室のドアを見つめた。
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/06(金) 18:33:42.79 ID:Kir/yBk8o
とにかく予定どおり妹ちゃんにお兄さんと付き合い出したことを報告しなければ。午前の授業中あたしはそればかりを自分に言い聞かせていた。

昨日お兄さんと妹ちゃんに何があったかはわからないけど、あたしはもうお兄さんの彼女だ。何かあったのなら早いうちにその芽を摘まなくてはならなかった。
午前中の授業はいつまでたっても終らないように思えた。ようやく昼休みになった時、妹ちゃんはあたしの方を振り向きもせず教室を出て行った。先輩と学食で待ち合わせなのだろう。
あたしは小走りで妹ちゃんの背中を追った。


「妹ちゃん、ちょっといい?」
妹ちゃんに追いついたあたしは、妹ちゃんの正面に回りこみ彼女に話しかけた。

「ごめん、妹友ちゃん。今日は先輩とお昼の約束してて」
妹ちゃんはいつもと違いどことなく弱々しい口調で歯切れ悪く節目がちに返事した。あたしはそんな妹ちゃんを見るのは初めてだった。

あたしは一瞬躊躇した。あたしが好きだった妹ちゃんをこんなに困らせ弱らせてもいいのだろうか。



え? あたしは自分の思考に混乱した。
今あたしは頭の中で好きだったと言った。好きだ、ではなく。一瞬であたしは自分の気持ちを正確に理解した。あたしが好きなのはお兄さんだ。かつてあたしがあんなにも恋焦がれた妹ちゃんは今ではあたしの恋のライバルなのだ。
そう気づいたあたしは急に冷静になった。妹ちゃんとお兄さんが休暇の間何をしてたかは知らないけど、今あたしが言うべきことははっきりわかっていた。そしてその結果が妹ちゃんを追い詰めることになることも。
それでもあたしは言わなければならなかった。


「そんなに時間はかかんないって。5分、いいえ2分でもいいの」
あたしは微笑を浮かべながら妹ちゃんに言った。

「どうしたの? 妹友ちゃん」

「うん。あたしね、一番先に妹ちゃんに報告したくて」
妹ちゃんの体が一瞬ぴくっと震えるのがわかった。

「あたしね、一昨日学祭でお兄さんに好きって告白したの」

「そうなの」
妹ちゃんの表情は一見冷静に見えた。でも、妹ちゃんの心がざわめいていることは、あたしには手に取るようにわかった。


「で、お兄ちゃんは何て言ったの?」
妹ちゃんが顔を上げてあたしに尋ねた。ちょっとだけ普段の意志の強さが窺える表情で。
でも、妹ちゃんにはこのゲームに勝ち目はなかったのだ。あたしはチェスでチェックメイトをかけるプレイヤーのように冷静に駒を進めた。


「うん、お兄さんとお付き合いすることになったの。あたし、絶対振られると思ってたからびっくりしちゃって」
これで終わりだった。一昨日の夜や昨日何かがお兄さんと妹ちゃんに起きていたとしても、それはお兄さんがあたしを恋人として受け入れた後の出来事になる。
妹ちゃんとお兄さんとの仲が何か進展したとしても、それは浮気になるのだった。
妹ちゃんはあたしから先輩を奪った思い込んでいる。その時あたしは妹ちゃんを許した。その妹ちゃんがが再びあたしからお兄さんを奪えるわけがなかった。あたしたちは『親友』なのだから。
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/06(金) 18:36:54.22 ID:Kir/yBk8o
妹ちゃんはしばらく無表情だったけど、彼女の心の奥に何かが溢れておりそれを必死で鎮めようとしていたんだと思う。数秒して妹ちゃんは顔をあげ、いつものようにあたしの目を真っ直ぐにみながらあたしの手を握った。

「お兄ちゃんの彼女が妹友ちゃんでよかった」

「妹ちゃん」

「お兄ちゃんのことよろしくね」
・・・・・・チェックメイトだった。あたしはこのゲームに勝ったのだ。あたしとお兄さんはこれで晴れて恋人同士になれたのだ。


その時、妹ちゃんを呼び寄せる先輩のいらいらした大声が聞こえ妹ちゃんは、じゃあねと言って手をひらひら振って学食で待つ先輩の方に駆けて行ってしまった。


あたしは心が落ち着くのを待って、お兄さんにメールした。



from:妹友
sub:無題
本文学園祭の時はありがとうございました。お兄さんと別れてからもお兄さんのことを考えるとドキドキしちゃって(笑)、友だちからも何ぼうっとしてるのよとかって言われました(汗)
後夜祭のフォークダンスも去年は踊ったんですけど、今年はお兄さんと付き合うことになったその日にお兄さん以外の男の子に手を握られるが嫌だったので、輪の外で見学してました。
その間中、お兄さんとお話したことが思い浮かんでニヤニヤしちゃって・・・・・・他の生徒には一人でにやにやしている気持ち悪い女がいるって思われてたんじゃないかと思います』

『それで、さっきお昼休みに妹ちゃんとお話ししました。妹ちゃんを呼び出して、あたしがお兄さんに告白したこと、お兄さんがあたしを受け入れてくれたことを話したのです。
最初は妹ちゃんは無表情であたしは少し不安になったのですけど、しばらくして妹ちゃんはにっこりして。あたしの手を握ってくれて、お兄ちゃんの彼女が妹友でよかったって言ってくれました。
それで、お兄ちゃんのことよろしくねって、言ってもくれたのです。その後、彼氏先輩に呼ばれた妹ちゃんはあたしの手を離して先輩のところに駆けていってしまいましたけど』

『妹ちゃんにとってお兄さんはすごく大切な存在であることは、あたしにも前からわかってました。学校でもいつもお兄さんの話をしてたし・・・・・・。
でも、これは昨日お話しましたね。その大切なお兄さんを奪っていく(汗)あたしに、妹ちゃんはあたしでよかったって言ってくれたのです。本当に嬉しかった。お兄さん、これからも妹ちゃんに優しくしてあげてね。』

『これで今日の報告は終わりです。お兄さん、愛してます。こんなことメールで言うことじゃないかもだけど、本当の気持ちです。今度はいつ会えますか?時間があったら電話かメールしてくださいね(はあと)』

全てが欺瞞ではないけど全てが真実でもなかった。でも、あたしはようやくほっとしていた。これでもうゲームをしなくてすむ。これでようやく何も考えずにお兄さんの恋人の席に座っていられると。
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/06(金) 18:37:23.20 ID:Kir/yBk8o
とりあえず昨日投下できなかった分を投下

また後ほど
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/01/06(金) 18:50:29.52 ID:WPmr48nAO
乙!

妹友の気持ちはわかるけど、行動が計算づくすぎてやっぱり妹のが好きだなぁ……

565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/06(金) 19:09:34.82 ID:/ZbSH8Cto
乙!
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/06(金) 21:35:32.42 ID:Kir/yBk8o
あたしとお兄さんが恋人同士となった一月後、お兄さんは実家を出て一人暮らしを始めた。何でこのタイミングなのかはわからない。お兄さんに聞いてみたけど、大学に近い方がいろいろ便利だしねって笑っているばかりだった。引越しの理由はわからなかったけど、まだ心の底に妹ちゃんへの警戒心を抱いていたあたしにとっては悪い話ではなかった。

あたしの告白をお兄さんが受け入れてくれた日以降、あたしとお兄さんは絵に描いたような初心なカップルとして振る舞った。一緒にいる時間は高校生同士のカップルのようなわけにはいかなかったけど、それでもデートの回数は飛躍的に増えた。そして、お兄さんはあたしに手を繋ぐこと以上は求めようとしなかった。

その頃のあたしはお兄さんに夢中になっていたのであまり気にしなかったけど、妹ちゃんは微妙にあたしと二人きりで過ごすのを避けるようになっていたみたいだった。妹ちゃんとお兄さんの仲に進展がないのは確かだったと思う。その頃はあたしがお兄さんを見つめておねだりするだけで、お兄さんの時間はほぼあたしのものになっていたのだから。この頃のあたしは久しぶりに本当にリラックスしていた。何のためにお兄さんと付き合うのか、その目標のためには何をしなければいけないのか。そういうことを考えずにただお兄さんに甘えるだけの日々るがようやくあたしにも訪れたのだった。

一番幸せな日々だったのかもしれない。今ではあたしはゲームのプレイヤーではなく単なる恋する女の子だった。そしてお兄さんと妹ちゃんの仲を心配することもあまりなくなっていた。その頃、一時期のように妹ちゃんとべったり一緒に過ごさなくなったあたしは、学校ではグループの他の女の子たちと過ごす時間が増えていた。彼女たちの好きな、あるいは付き合っている男の子の話題は以前のあたしなら全く受け付けなかったろうけど、今のあたしにとっては十分共感できた。

その頃の妹ちゃんと言えば、あたしともグループの女の子たちとも距離を置き、もっぱら委員長ちゃんたちのグループと行動を共にするようになった。委員長ちゃんたちのグループはあたしたちの
グループほど派手な子はいないけど、総じて成績がよく真面目に大学進学に取り組んでいるような子たちの集まりだった。
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/06(金) 21:38:54.61 ID:Kir/yBk8o
妹ちゃんがそういうグループの子たちと一緒にいるのには少し違和感があったけど、お兄さんを独占していたあたしはあまり気にしなかった。昔好きだった委員長ちゃんと妹ちゃんが並んで歩いている姿を校内で見かけると不思議な感慨があたしの胸に巻き起こったけど、それでもその感情には懐かしさはあっても不快感とか嫉妬心はなかった。

先輩に片思いをしている委員長ちゃん。お兄さんに届かない想いを抱えている妹ちゃん。認めたくないけど、当時のあたしは二人に対して憐憫とか優越感とかを感じていたのかもしれない。本当に好きな人とは結ばれない二人。それに対してあたしは本当に好きになったお兄さんと相思相愛の仲だ。もうあたしはこの二人に嫉妬することはないんだ。



クリスマスイブの日、お兄さんはあたしにどこかのレストランで食事をしようと言ったけどあたしはお兄さんの部屋で過ごしたいとおねだりした。これまでと同じであたしがお兄さんにお願いしたことはすぐにお兄さんのOKが出る。愛されているという安心感。

イブの日、あたしは自宅で用意したお料理やデパ地下で予約したオードブルを両手に携えてお兄さんのアパートを訪れた。
お兄さんの部屋の前にはお兄さんの大学の友だちがいて、最初は驚いたけど俺の彼女って紹介してくれたお兄さんの言葉にあたしは顔を赤らめた。お兄さんの部屋で過ごすクリスマスイブ。

あたしはその時、妹ちゃんを牽制したり苦しめたりする意図は本当になかった。ただ、お兄さんとのこの時間がずっと続けばいいと思っただけで。

お兄さんの部屋で過ごすイブは楽しかった。お兄さんは買ってきたオードブルよりあたしの手料理の方が美味しいと言ってくれた。お兄さんがあたしにくれたプレゼントは星を象ったシルバーのペンダント。正直に言えば少し子ども向け過ぎるかなと思わないでもなかったけど。でも、お兄さんの気持ちは伝わってお兄さんからプレゼントを受け取ったときあたしは不覚にも本心から涙をこぼした。

その日。お兄さんとあたしはお互いに呼び捨てようと決めたけど、あたしはどうしてもお兄さんを名前で呼び捨てできなかった。でも、お兄さんには妹友って呼捨てしてほしい。あたしのお願いを聞いたお兄さんはあたしに意地悪をした。あたしのことを何度も名前で呼び捨て顔を赤くするあたしのをからかったのだ。

今思い返すと本当に幸せなひと時。だけどそろそろ終電の時間が近づいていた。


何度も繰り返すけど、その時あたしが考えていたのはお兄さんと一瞬でも長く一緒にいたいということだった。
でもそれには妹ちゃんの協力が必要だった。それはお兄さんを諦めた妹ちゃんを更に傷つけることになるのかもしれないけど。
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/06(金) 21:40:59.82 ID:Kir/yBk8o
もうこんな時間ですね」

「・・・・・・うん」
お兄さんは口ごもった。

「お兄さんと一緒にいると何ですぐに時間が経っちゃうんだろ」

「そうだな」
お兄さんも名残惜しそうにぼそっと言った・

「そろそろ帰らないと、終電無くなっちゃいますね」

「そうだね・・・・・・」
お兄さんのその様子にあたしは勇気付けらた。あたしはその言葉をようやく口にした。

「もっとお兄さんと一緒にいたいな」

「俺も」
お兄さんはポツンと呟いた。

「・・・・・・ここで朝までお兄さんと一緒にいられればいいのに・・・・・・。あたし、今日ここに泊まったら駄目ですか?」
それは偽りでも妹ちゃんへの牽制でもなく本心からの願いだった。


「・・・・・・うちの両親には妹ちゃん、すごく信用されてますから」
あたしはお兄さんの目を真っ直ぐに見つめながら言った。

「本当に今日、ここに泊まってもいいですか?」

「うん、もちろんだけど・・・・・・」
お兄さんはすぐに答えてくれた。その返事の速さに促されるようにあたしも心を決めた。

「ちょっと電話しますね」
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/06(金) 21:57:25.27 ID:Kir/yBk8o
あたしは多分先輩とふたりきりでイブを過ごしているだろう妹ちゃんに電話した。妹ちゃんはワンコールで電話に出た。

「あ、ごめんね。イヴで楽しんでる最中に。あたし、妹友だよ」

『どうしたの? 妹友ちゃん』

「先輩と一緒だった?」

『・・・・・・ううん』

「そうか。先輩と仲良くやってるんだ・・・・・・」

『・・・・・・妹友ちゃんは? 今お兄ちゃんと一緒なの?』
ここまで冷静に受け答えしていた妹ちゃんの声が少し震えた。

「あ、うん。お兄さんの部屋に二人でいるとこ。でさ・・・・・・妹ちゃん?」
妹ちゃんは黙りこくっている。お兄さんと一緒に泊まれるかもしれないという期待の前に、あたしには妹ちゃんという恋のライバルを思いやる余裕はなかった。

「すごく言いづらいんだけど、口裏合わせてもらえないかな?」
あたしは容赦なく次の言葉を口にした。

『な、何言ってるのかわからないよ』
妹ちゃんの弱々しい声。

「だから、今説明するって」

「そのさ。ちょっと頼みづらいんだけど」

「今日は、妹ちゃんの家でお泊りパーティーしてたことにしてくれないかな」

「あ、うん。うちの親って必ず先方のお家にお礼言わないとって名目で確認するから」
あたしが畳み掛けるようにそこまで話した時、妹ちゃんも弱々しい口調ながらも反撃してきた。

『・・・・・・妹友ちゃん、本気なの』

「・・・・・・妹ちゃん、何でそんなこと聞くの?」
あたしは落ちついて返事をした。

『妹友ちゃん・・・・・・本当にあたしのお兄ちゃんのこと好きなんでしょうね?』

「うん・・・・・・本当にお兄さんのこと大好きだよ。だから今日はお兄さんのアパートに泊まりたいの」
あたしはついにその言葉を口にした。そしてそれは心底から正直な言葉だった。



・・・・・・妹ちゃんはあたしの親から電話があった場合に口裏を合わせることを了解した。正直親なんて今はどうでもよかった。お兄さんのアパートにお泊りするあたしのことを妹ちゃんが認めたことが収穫なのだった。


「・・・・・・お兄さん、抱いて
あたしはお兄さんに抱きついた。

「・・・・・・いいの?」
お兄さんはあたしの体に腕を回しながら言った。あたしはお兄さんの腕に抱きしめられて陶酔しながらうなづいた。
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/06(金) 21:59:47.26 ID:Kir/yBk8o
すいませんsageて投下しちゃいました

とりあえずageておこう

今日はここまでです。駄文にお付き合い感謝です

また明日可能なら投下します
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/06(金) 22:01:00.37 ID:e5eadBYHo
乙んこ
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/06(金) 22:27:54.01 ID:GeVmsfaTo
乙なんだけどさあ、またとんでもねーところで止めるんだから・・・・
分かっててやってるよね?ね?
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/06(金) 22:31:40.00 ID:xFY5iDO+o
乙〜
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 22:32:54.44 ID:ccf2XuhDO
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 22:34:59.45 ID:pmu5zgdZo

相変わらずのムズムズ感
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/06(金) 22:42:13.63 ID:FCyWlgqGo
毎回いいとこでCMでぶった切るTV番組って何度も何度もやられるとイラッときて途中でチャンネル変えちゃわね?
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 23:29:55.65 ID:/4yyrbcIO
いちいち不満を言わなきゃ見れないくらいなら切ってくれ
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/06(金) 23:45:42.12 ID:/ZbSH8Cto
乙!
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 23:53:10.73 ID:zni+m3IOo
面白いな相変わらず
気になって夜も妄想しながら寝る毎日
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2012/01/07(土) 00:27:47.40 ID:67ss70qb0
この独白を兄と妹が聞いていたらいいのだが……
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/07(土) 22:28:26.23 ID:HOVzDNi8o
今日はこないのか
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/07(土) 22:37:42.22 ID:YsVY+4Y9o
>>581
遅くなりましたけど再開します。

その前にとあるブログで意味不明と指摘された箇所の修正

>>569
×『・・・・・・ううん』

○『・・・・・・う、うん』

ご指摘のとおり意味が180度違ってしまいますね.。イヴは妹は彼氏と一緒に過ごしていました。

では、投下します
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/07(土) 22:38:11.55 ID:YsVY+4Y9o
翌朝、あたしはお兄さんのベッドの中で目を覚ました。目覚めたあたしのすぐ横に、何か考え込んでいるお兄さんの顔があった。今まで一番近い距離。
あたしは昨日の行為より昨日の行為があたしの気持ちに与えてくれた影響について考えながら、お兄さんにキスした。

「不意打ち過ぎるじゃんか」
お兄さんは驚いた様子で言い、それからすぐに顔を赤くした。

「嫌でした?」
あたしはお兄さんに声をかけた。

「そんなわけないじゃん。妹友のこと好きだし」
その言葉は体を重ねる前にも何度も聞いたことがあったけど、一夜を共にした後で聞く好きだというお兄さんの言葉には今まで全く違った意味が感じられた。
あたしは心底からリラックスし、お兄さんといる間常に感じていた罪悪感が完全に心から去って行ったのがわかった。もう、お兄さんに悪いと思わなくていい。もう妹ちゃんに遠慮しなくていいんだ。

その後お兄さんとあたしはベッドの中で他愛もないイチャイチャとした話を続けた。昨日お兄さんにより女になったあたしはいつもより大胆な話をすることができて、その度にお兄さんは顔を赤くしながらそれでも楽しそうに言葉を重ねてくれた。

今日はこのまま江の島までドライブに行くことに決め、部屋を出たところでお兄さんがあたしに部屋の鍵をくれた。それは幸せの絶頂にいるあたしにとって更に幸せな不意打ちだった。正直、昨夜のペンダントの何倍も嬉しかった。
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/07(土) 22:38:41.95 ID:YsVY+4Y9o
車が湘南に向かう高速に乗った後、あたしはお兄さんに断って妹ちゃんへのメールを打ち始めた。決して妹ちゃんへの嫌がらせでも勝利宣言のつもりでもなかった。あたしは昨日協力してくれた妹ちゃんには全てを報告する義務を感じたのだ。ただ、今にして思うとお兄さんの特別な人になれた優越感から、それを誰かに聞かせたいという意識はあったのかもしれない。そうでなければ、妹ちゃんを傷つけるこんなメールを出す必要なんてなかったのだから。


from:妹友
sub:昨日はありがとう!
『昨日は先輩とイヴのデート中に邪魔しちゃってごめんね。本当に助かったよ! で、妹ちゃんには報告する義務しなきゃだと思うのでメールしました。あたし、お兄さんと結ばれちゃった(汗)』

『昨日勇気を出してお兄さんに泊まってもいいですかって聞いたときは本当に恥ずかしかったよ。お兄さんは少しびっくりしたみたいで、だけど家は大丈夫なのって言っただけでした。もちろん大丈夫じゃないんで、妹ちゃんには悪かったけど協力してもらちゃった。本当にありがと! 一生恩に着るからね(はーと)』

『それでさっきまでお兄さんとベッドの中でいちゃラブ状態だったんだけど(恥ずかしいぃぃぃぃ!)、今は江の島にドライブしている途中だよ。そう言えば妹ちゃんもお兄さんと江の島にドライブしたって言ってたけど何食べた? 何かああゆうことするとお腹へっちゃって(汗)』

『あ、あと、お兄さんから部屋の合鍵をもらったよ。すごく嬉しかった。何もかも妹ちゃんのおかげです。これからも親友だよ(はーと)、つうか妹ちゃんがあたしの義妹になったりして←気が早い(汗)。じゃ、またね。ほんとにありがとね!』

・・・・・・別に嫌がらせをするつもりで書いたわけじゃなかった。このメールは単純にこの時のあたしの心理状態をそのまま反映してしまっただけなのだけど。
今、思うと妹ちゃんの返信が冷たかったのも無理はない。でも、その時はあまり気にしなかった。最愛の人が運転する車の助手席があたしの専用席になったのだから。


from:妹
sub:Re昨日はありがとう!
『よかったね。そんなにあたしに気を遣わなくていいから』
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/07(土) 22:39:10.67 ID:YsVY+4Y9o
デートの後、自宅まで送ってくれたお兄さんに別れを告げたあと、あたしはベッドに入り甘い記憶を何度も何度も反芻していた。お兄さんからメール来ないかな。お兄さんはメールがあまり得意じゃないようで、あまりメールをくれなかったしくれてもすごく短かった。でも今日は特別な日だし。
その時あたしは妹ちゃんのメールの短さとそっけなさを思い出した。お兄さんが大好きな妹ちゃんが多少なりともショックを受けたのはわかる。それでも親友が初めて彼氏と結ばれたのにいくらなんでも素っ気ないのではないだろうか。

妹ちゃんだってイヴの夜は彼氏と二人で過ごしていたくせに。それであたしに嫉妬するなんて何て自分勝手な子なんだろう。あたしは少し妹ちゃんにむかついたけど、それは長く続かなかった。
・・・・・・お兄さんと結ばれたことを考えると怒りの感情を持続させることができず、頭の中は幸せな想いでいっぱいになってしまうのだ。

結局。あたしはもそもそとベッドに入り寝る準備をしながら考えた。あたしの方から妹ちゃんに歩み寄ってあげるしかないな。お兄さんと付き合うのに妹ちゃんと険悪なままでいるわけにはいかない。いつまでも学校で避けられていて委員長ちゃんと妹ちゃんの間に入り込めないのも何か嫌だし。
それに。よく考えればお兄さんのことを誰かに惚気たくてしょうがないけど、それができるのはお相手のお兄さんのことをよく知っている妹ちゃんしかいなかった。

あたしは眠りに引きずりこまれながら考えた。そうだ、初詣には当然お兄さんと二人で行くはずだったけど、妹ちゃんも誘ってあげよう。先輩はイヴを最後に入試まで妹断ちをするそうだから、妹ちゃんも寂しいだろうし。
もう眠さが限界だった。あたしはお兄さんのメールを待つのを諦め、自分が妹ちゃんの寂しいお正月を救ってあげられることにも満足して眠りについた。
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/07(土) 22:39:45.50 ID:YsVY+4Y9o
とりあえず3レス投下

この後書けたらもう少し追加します。明日は休みなので
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/07(土) 22:51:28.96 ID:HOVzDNi8o
待ってた乙乙
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/07(土) 23:50:01.76 ID:OVq+3DLJo
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 23:58:23.72 ID:Ow1PGCJIO
妹友かわいそうやで…
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 00:00:21.37 ID:sCd4xElDo
翌日、すっきりとした気分で起きたあたしは携帯の画面を眺めたが、お兄さんからのメールも着信もなかった。きっと運転とかで疲れているんだろうな。あたしはそう考えた。メールが来ないくら
いで動揺する段階は既に通りすぎていた。
あたしは久ぶりに家でのんびり過ごした。動揺することはなかったけどお兄さんから連絡がないのにあたしの方からメールや電話をする気はなかった。こういうのって、きっと男の人の役目なんだ
と思ってたし。

男の人の役目か。あたしがこんなこと考えるようになるなんて少し前までは考えられなかった。女の子しか愛せなかったあたし。それが女の子ととは何も起こらないうちにお兄さんを好きになり
、お兄さんにあたしの初めてを捧げるなんて。あたしはやっぱりレズビアンじゃなかったのだろうか。少しだけ真剣にあたしは考えた。いや、今までのあたしの衝動とか感情は勘違いではない。何
年の間好きになるのは女の子だけだったのだから。

もう考えられる結論は一つしかなかった。あたしにとってお兄さんは特別な人なんだ。大げさに聞こえるかもしれないけど運命の人って言い換えてもいい。女の子でも男の子とか関係なくあたしに用意されていた運命の相手はお兄さん。たまたま男の人であるお兄さんだったのだ。

もう、起きてからかなり時間も経っていた。まだお兄さんからの連絡はなし。あたしは意地を張るのはやめようと思った。どちらから連絡したっていいじゃない。あたしとお兄さんの仲で恋愛ゲー
ムみたいなことをしてもしょうがない。
あたしはお兄さんにメールし、わくわくしながら返事を待った。


from :妹友
sub  :無題
『妹友です。昨日はありがとうございました。本当は昨日の夜お兄さんからメールが来るかなってちょっと期待してたんですけど。でもお兄さんもずっと運転して疲れていたんでしょうね。
お兄さん、お正月は実家に戻りますよね? もしお兄さんさえよければいっしょに初詣に行きませんか。すごく混んでると思うけど鎌倉に初詣に行きたいな。あ、あと。お兄さんは知っているかわ
かりませんが、彼氏先輩も受験目前なんで『妹断ち』をしてるみたいですよ。こないだ偶然先輩に会ったら寂びしそうに話してました。妹ちゃんもご両親が滅多に家に帰ってこないし、先輩とも会
えないし寂しいんじゃないかなあ。お兄さんさえよかったら初詣に妹友ちゃんも誘っていいですか? お兄さんと二人ですごしたい気持ちもありますけど、やはり妹ちゃんは親友だし気になります
から。じゃあ、お兄さん。今度こそお返事してね(はあと)』
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/08(日) 00:00:22.21 ID:340nq86Bo
妹友はやり方を間違えた
それだけだ
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 00:02:09.04 ID:sCd4xElDo
さほど待たずにお兄さんからメールが帰ってきた。

from :兄
sub  :無題
『悪い! 本当にごめんな。運転で疲れててずっと寝ちゃってたよ。』

『昨日は楽しかったよ(ハート)。初詣の件、把握。でも二人きりでなくていいの?』

『まあ、正直言うと両親が年末年始自宅に帰って来れないみたいで、妹を一人にしちゃいそうだったから助かるけど』

『細かいことはまた打ち合わせしような? 愛してるよ妹友(汗)』

愛してると言いつつ微妙に妹のことを気にかけているところとか少し引っかかる部分もあったけど、まあ良しとしよう。やはり体が繋がっているって大きいんだ。あたしはそう思った。
これまでプラトニックな部分に重きを置いていたあたしだけど、相手が男の人だからというわけではないけど体のつながりってやっぱりすごいんだなってあたしは考えた。お兄さんに短く返信し
た後、あとで妹ちゃんに電話して直接話そうと思った。
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 00:04:54.63 ID:sCd4xElDo
大晦日の夜、お兄さんは車であたしの家まで迎えに来てくれた。門のチャイムを押してもらってもよかったんだけど、お兄さんには気が重いだろうと思ったあたしは外の音に気をつけていた。事前
に妹ちゃんから電話を貰っていたおかげで、だいたいお兄さんたちが到着する時間は想像がついていた。電話といえば妹ちゃんとの関係も修復されたみたいだった。
今日の予定を決めるための電話も妹ちゃんと普通に親友同士の会話もできたし、さっきの電話だって昔どおりの親しさだった。妹ちゃん、あたしだけ晴れ着なんてずるいって言ってたっけ。

何もかもがうまく行き始めていた。あたしの大好きな彼氏。彼氏の妹で親友の妹ちゃん。あたしはこれからこの二人と一緒に新年のスタートを切るのだ。

お兄さんの車(正確にはお兄さんたちのお父さんの車)のエンジンの音を聞きつけたあたしは家の門から路上に出た。吐く息が真っ白なくらい寒い夜だった。
・・・・・・え? あたしはほんの一瞬だけ固まった。当然、お兄さんの隣の助手席はあたしのために空けてあるだろうと思い込んでいたから。でも、お兄さんの隣には妹ちゃんが座っていた。
綺麗な黒髪、華奢な体格、整った顔立ち。久しぶりに近くで見る妹ちゃんは本当にきれいだった。

一瞬、妹ちゃんに嫉妬したけど、妹ちゃんの慌てたような言葉にあたしは苦笑し心が軽くなった。

「・・・・・・あ」
妹ちゃんは本心で困惑したように呟いた。

「どうした、妹」
「どうしたの? 妹ちゃん」
お兄さんとあたしは同時に言った。

「・・・・・・ごめん」
すごくしょげた様子で妹ちゃんが小さく言った。一瞬妹ちゃんが好きだった頃の思い出があたしの脳裏をよぎった。それくらい可愛い表情だった。

「ごめんね。深く考えないでお兄ちゃんの隣に座っちゃった」

「何言ってるの。そんなこと、あんまり気にしないでよ」
あたしは本心から言った。

「今、後ろに移るから。妹友ちゃん、助手席に座って」
慌てて腰を浮かした妹ちゃんにあたしは精一杯の優しさを込めて返事した。

「いいよ。あたしは後ろの席に座るから、妹ちゃんはそのまま座ってて」

「・・・・・・でも」

「はい、もうこの話はおしまい。お兄さん、渋滞すると思いますから早く行きましょう」

「お、おう」
何故かお兄さんはあからさまにほっとした表情で車を出した。
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 00:06:27.07 ID:sCd4xElDo
そして。渋滞のせいで海辺で迎える初日の出に間に合わなかったあたしたちは、ようやく神社の長い参拝の列に加わった。その頃には妹ちゃんも元気を取り戻していた。
並び始めてから1時間半後、参拝を終えておみくじでも買おうかということになり再びその行列につこうとした時。妹ちゃんが委員長ちゃんを見つけた。
委員長ちゃんに声を掛けようとしたが、委員長ちゃんは誰かと手を繋いで相手に甘く寄り添っているのに気がつく。ここは気を利かせてあげようか。

その時妹ちゃんがぼそっと呟いた。

「・・・・・・先輩?」

「何かあいつら手繋いでるんじゃ・・・・・・」
お兄さんが気まずそうに言った。

・・・・・・委員長ちゃんと先輩が手をつなぎ寄り添っている姿を目にしたあたしは、どういうわけか頭が真っ白になり体が動かせなくなってしまった。
妹ちゃんが嫉妬するならわかる。一応、今でも先輩は妹ちゃんの彼氏なのだから。でも、何であたしがこんなにショックを受けるのだろう。

先輩が女の子といるせいでは絶対になかった。あたしは先輩を好きな振りをしたことはあるけどそれは最初から最後まで演技だった。
親友の妹ちゃんの彼氏の浮気に動揺したのだろうか? それも違う。妹ちゃんが本当に好きなのはお兄さんだ。
それとも。委員長ちゃん? かつてあたしは委員長ちゃんが好きだった。その委員長ちゃんが幼馴染の先輩と仲がいいの姿を見かけて昔の感情に火がつき嫉妬したんだろうか。
いや、それはない。あたしが好きなのは今ではお兄さんしかいなかった。


混乱しながらも感情を整理しようとしているあたしに、誰かがしつこく話しかける。その声はあたしの心をかき乱した。放っておいて欲しい。あたしには考える時間が必要なのだから。
再びしつこくあたしの思考を邪魔するその声の主に対して、あたしは無意識のうちに怒鳴ってしまった。

「うるさい! あたしのことは放っておいてよ!」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 00:10:19.79 ID:sCd4xElDo
それから先のことはよく覚えていない。どうやって家にたどり着いたのかも。

最愛の人にこれ以上はないくらいに最悪な言葉をかけてしまったあたしは、すぐにお兄さんと妹ちゃんに謝った。

でも、心の中では委員長ちゃんと先輩を見かけたときの動揺がまだ渦巻いていた。あたしは、二人に別れを告げ込み合った電車で何とか家までたどり着いた。
取り返しのつかないことをしてしまった。自分の感情が見えないあたしはとりあえず最愛の人に最大の不信感を与えてしまったことに後悔した。

その時、ふと動揺の正体が見えた。わかってしまえば簡単なことだった。委員長ちゃんと先輩が本気で付き合い出すなら妹ちゃんは先輩に振られることになる。フリーになった妹ちゃんがお兄さんに剥き出しの好意をぶつけた時、お兄さんはどうするのだろうか。お兄さんと体を重ねたあたしは今まで自信過剰なくらい何の心配もしてこなかった。それが突然揺らいだのだ。

そう。認めたくなかったけどあたしは本心ではお兄さんの愛情を信じ切れてはいなかったのだ。妹ちゃんに対するお兄さんの気持ちをどこかで疑っていたのだろう。

・・・・・・もう認めざるを得なかった。やはり妹ちゃんは強敵だ。彼氏がいなくなった妹ちゃんがお兄さんを誘惑すれば体の関係を持ってるくらいでは勝てないかもしれない。あたしが考えるより早くあたしの本能は危機を察し、そのためにあたしはあれほどうろたえることになったのだ。ようやく自分の心理を理解したあたしは、泣き出したい気持ちを必死に抑えてお兄さんの心をあたしに引き止める策を練りだした。あまり重くしてはだめ。軽く済ませたほうがいい。
あたしは数時間後、お兄さんに吟味に吟味を重ねたメールを送った。

from :妹友
sub :今日はありがとうございました
『遅い時間にごめんなさい。今日は初詣に付き合ってもらってありがとうございました。最後に、ちょっと気持ち悪くなっちゃってお兄さんに失礼な態度をとってしまってごめんなさい。お兄さん
にそういう自分を見せたくなかったので、先に帰らせてもらいました。気を悪くしましたよね? 本当にごめんね。妹ちゃんにも謝っておいてくださいね。それで、明日会えませんか? 今日は中
途半端になっちゃったのでまたお兄さんに会いたいです。できれば妹ちゃん抜きで二人で。ではあまり体調もよくないのでもう寝ます。メールくださいね。おやすみお兄さん。愛してます(はあと
)』



妹の手を握るまで 第3部おしまい
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/08(日) 00:11:05.40 ID:sCd4xElDo
今日はこれでおしまい

明日は休暇なので投下予定です

ここまで長文駄文にお付き合い感謝です

明日から第4部(最終章)に入ります
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/08(日) 00:14:13.54 ID:340nq86Bo
おつ
途中に挟んでしまってすまんかった
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/08(日) 00:19:54.14 ID:h5iGDfnH0

ついに最終章か 楽しみにしてる
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/08(日) 00:20:19.51 ID:OL4H6FNZo
乙〜
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/08(日) 00:24:21.33 ID:XYYdM7M4o
乙乙でした

最終章は妹視点なんでしょうか。超楽しみです
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/08(日) 00:26:41.85 ID:AYzG8pAuo
乙!

途中でもしやと思ったけど、妹友の動揺はやっぱりそういう理由だったか。
しかし既に泥沼状態……
妹→→←←兄→←←妹友
くらいの感情の向き方なんだろうか
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 00:33:50.12 ID:pgbEHnJbo
おつおつ
楽しみ
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 00:50:16.30 ID:RKz9Id6IO
どうなる…!?
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 00:50:56.16 ID:UWAsCSQDO
イイヨイイヨ-
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/08(日) 00:56:08.64 ID:YKExWAALo
あ〜これは、三角形で安定してほしい

無理か
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 02:18:46.19 ID:puVaMQECo
妹が幸せでいますように(´・ω・`)
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/08(日) 07:36:14.53 ID:civS7+s0o
乙!
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/08(日) 18:07:01.30 ID:MabylxgH0
乙!!妹友の動揺は、兄たちが予想したのと違うなら、
妹がフリーになったことによる恐怖なのかもって思ってた

最終章をハラハラしながら待ってます。
どうなっちまうんだこれ……
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 20:59:35.92 ID:sCd4xElDo
第4部(最終章)を始めます。

一応、お約束の注意書きを再掲

オリジナルSSで非エロ(登場人物がエッチなことをしないという意味ではない。エッチなことを実用的な意味で細かく描写しないという意味です)、もどかしさやムズムズ感しか感じられないSSになるかもしれませんが、それでもよければご覧ください

ということで再開
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 21:02:09.42 ID:sCd4xElDo
2月初旬



兄(・・・・・・後始末もしないで寝ちゃったんだっけ)

兄(妹も俺に抱きついて寝ちゃってる・・・・・・こいつ、寝顔までこんなに可愛いんだな)

兄(こいつはずっと昔から俺のことを意識してたみたいだけど)

兄(だとしたら俺ってすげえ無駄な時間を過ごしてたんだよな。もっと早くこいつの好意に気づいてれば)

兄(兄友に教わったゲームなんかに一日8時間も費やすなんてバカなことはしなかったのに)

兄(それだけじゃない・・・・・・妹とこうなっていれば、妹友と付き合うなんて考えもしなかったのに)

兄(妹友だって被害者だよな。俺なんかを好きにならなければ辛い思いをすることだってなかった)

兄(妹友が辛い思い? 何考えてるんだ、俺は。妹と寝たからって何の罪もない妹友を振る気なのか?)

兄(そんなことできるわけがないよな)

兄(じゃあ、どうする? 妹はもう俺におねだりしたりしないって言ってたけど)

兄(妹友とこのまま付き合って、妹とは今日が最後にする?)

兄(常識的にはそっちが正解だよな。俺と妹は実の兄妹だし。)

兄(どう考えたって妹友と付き合うほうが現実的だ。妹友なら親に紹介もできるけど、妹なら親に隠し通さなきゃいけないし)

兄(かといって、今この瞬間も俺にしっかりと抱きついて寝ているこいつのことを諦めることができるのか)

兄(できっこないよな。つうか、妹友も可愛いけど、こいつの場合は何ていったらいいか)

兄(抱き合っててすごくしっくりと来るんだよな)

兄(近親相姦物のエロゲとかでよく兄妹は性的にも相性がいいとか言うけど、そういうんじゃなくて)

兄(すげえ心が落ち着くって言うか、帰るところに戻ったような感覚というか)

兄(・・・・・・何で俺こんなきもいこと考えてるんだろ)

兄(これからどうしようか・・・・・・)
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 21:14:05.68 ID:sCd4xElDo
妹「お兄ちゃん?」

兄「おう、おはよ」

妹「・・・・・・ごめん。あたし、また寝ちゃってたの?」

兄「うん。あの後しばらくおまえの背中を撫でてたらいつのまにか寝てたよ」

妹「そうか。何かあたし猫になった夢見てた」

兄「猫って何だよ」

妹「わかんない。でも、お兄ちゃんの膝の上で丸くなって寝てて、お兄ちゃんが猫になったあたしをずっと撫でてるの」

兄「まあ、おまえが寝ちゃってからもずっと撫でてたけどな」

妹「だからあんな夢見たんだ」クス

兄「・・・・・・痛くない?」

妹「うん。もう平気。昨日の夜はすごく痛かったけど、さっきのは痛いというより」

兄「うん?」

妹「何でもない・・・・・・ばか」

兄「顔赤いぞ、おまえ(こいつと話してるとさっきまでの不安とかどっかに吹き飛んじゃうな)」

妹「うん。今何時?」

兄「もう2時だよ」

妹「え? いけない。朝ごはんも昼ごはんも作らなかった」

兄「そりゃ、あんなことしてりゃそんな暇はないだろ」

妹「・・・・・・お兄ちゃんの意地悪」

兄「(また顔赤くした)まあ、でも確かに腹減ったな」

妹「何か作るよ」

兄「それよか、たまにはどっかに飯食いに行かねえ?」

妹「お兄ちゃんがそうしたいならそれでいいよ」

兄「うん(こいつの唯一の欠点は致命的なほどの料理音痴だしな)」

妹「・・・・・・」

兄「どした?」

妹「・・・・・・何かわからないけど、お兄ちゃんに馬鹿にされた気がした」

兄「(超能力者かよ)別になんも言ってねえだろうが」

妹「まあ、そうなんだけど」

兄「じゃあ、決りな。俺着替えてくるから」
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 21:15:42.16 ID:sCd4xElDo
妹「あ、お兄ちゃん?」

兄「うん?」

妹「体中が、何か汗とか・・・・・・その、お兄ちゃんのよだれとかだらけだから」

兄「・・・・・・わ、悪い(胸とかにかけちゃったし、しかもこいつの肌にあちこちにキスマークつけまくってるじゃん、俺)」

妹「別に悪くないよ。でも、ちょっとシャワー浴びて来ていい?」

兄「お、おう」

妹「・・・・・・」

兄「どうした?」

妹「一緒に入る?」

兄「え」

妹「・・・・・・冗談だよ。じゃ、すぐにシャワー浴びて支度するね」

兄「別に一緒に入っても良かったのに」ボソ

妹「うん?」

兄「何でもない。じゃ、俺も支度するわ」

妹「うん」
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 21:25:09.32 ID:sCd4xElDo
ファミレス


兄「おまえ、またそんな甘いものだけ頼んで」

妹「だって好きなんだもん」

兄「おまえを一人暮らしさせとくと心配だわ。俺よりちゃんと食事してないんじゃねえの」

妹「そんなことないよ。お昼は学食で定食とか食べてるよ」

兄「ああ、そういや妹友がお弁当持って学食に付き合ってるんだっけ」

妹「・・・・・・」

兄「あ・・・・・・。悪い」

妹「別にいいよ、気にしなくても」

兄「前にそういう話聞いてたんで思わず口に出しちゃった」

妹「だからいいって。そうね、前はそうだったんだけど」

兄「うん?」

妹「最近はあまり妹友ちゃんと一緒に食事とかしないし」

兄「・・・・・・」

妹「というか新学期になってからは妹友ちゃんとはあまり一緒にいない」

兄「そうか」

妹「うん」

兄「(話題をそらそう)じゃ、おまえは普段どういう友だちと一緒にいるんだ?」

妹「委員長ちゃん」

兄「・・・・・・え?」

妹「え? って・・・・・・何でびっくりしてるの?」

兄「いや、だってさ。」

妹「委員長ちゃんとは入学した頃からの知り合いなんだよ」

兄「でもよ、おまえから彼氏を奪ったのって委員長って子なんだろ」

妹「・・・・・・委員長ちゃんはいい子だよ」

兄「いや、そうかもしれねえけど」

妹「どっちかって言うと、あたしの方が委員長ちゃんに嫌われても当然なのに」

兄「うん?」

妹「それを全然表に出さないで仲良くしてくれてるんだよ」

兄「あ、そうか。もともと委員長って子は先輩のこと好きだったんだな」

妹「うん。だからあたしの方が先に奪っちゃったってことだよね」

兄「・・・・・・おまえさ」

妹「うん」

兄「先輩と付き合う時には、委員長の気持ちを知ってたの」

妹「・・・・・・知ってた。あと妹友ちゃんの気持ちも知ってた」

兄「あ・・・・・・」

妹「だから委員長ちゃんには恨みとかないの。悪いことをしたとは思っても」

兄「・・・・・・妹友には?」

妹「恨みとかはない。でも、妹友ちゃんには悪いとも思わない」
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/08(日) 21:25:37.24 ID:sCd4xElDo
とりあえず数レス投下

また書き溜めができたら今日中に再開します
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/08(日) 21:58:30.47 ID:v8JEq8LTo
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/08(日) 22:16:56.35 ID:h5iGDfnH0
乙〜
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/08(日) 22:18:56.61 ID:AYzG8pAuo


じらじら感が凄いから続きを早く読みたいぜ!
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 22:55:26.17 ID:sCd4xElDo
兄「わかんねえなあ。おまえは委員長ちゃんから先輩を奪った。そんでこの間、委員長ちゃんがおまえから先輩を奪い返した」

妹「うん。それで合ってる」

兄「おまえは委員長ちゃんに悪いことをしたとは思ってるけど、委員長ちゃんに先輩を奪われた恨みはない」

妹「そうだよ」

兄「じゃ次。おまえは妹友から先輩を奪った」

妹「うん」

兄「・・・・・・以上。なのに何故妹友に悪いと思わないって発想になるんだよ」

妹「妹友ちゃんはライバルだから」

兄「うん?」

妹「一つ抜けてるよ、お兄ちゃん」

兄「何が?」

妹「あたしはは妹友ちゃんから先輩を奪った」

兄「うん」

妹「・・・・・・・でも、妹友ちゃんはあたしからお兄ちゃんを奪ったの」
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 22:56:31.00 ID:sCd4xElDo
兄「・・・・・・あ」

妹「妹友ちゃんが先輩のことを今でも好きなら、あたしにも悪いという気持ちがあったかもしれないけど」

兄「うん」

妹「妹友ちゃんは先輩のことなんか今では何とも思ってないんでしょ?」

兄「・・・・・・妹友はそう言ってる」

妹「じゃあ、あたしが妹友ちゃんに罪悪感を感じる理由なんてないよ」

兄「あ、あのさ」

妹「うん」

兄「妹友に恨みはないって言ったよな?」

妹「そうだよ」

兄「・・・・・・おまえ、俺のこと一番好きなんだろ?(話していてとても恥ずかしい)」

妹「うん」

兄「妹友が俺に告白した時とか、本当は嫌だった?」

妹「すごく嫌だった。本当は妹友ちゃんの顔も見たくないくらい」

兄「じゃあさ、罪悪感は感じてないのはわかったけどさ」

妹「うん」

兄「何で妹友のこと恨まねえの? 好きな男を奪われたんなら少しは恨むとかするんじゃね?」

妹「初詣に3人で行ったでしょ?」

兄「ああ」

妹「で、妹友ちゃんがお兄ちゃんに怒鳴ったじゃない?」

兄「うん。あの時は驚いたよ」

妹「あたしも。妹友ちゃんってまだ先輩のこと好きなんだって思った」

兄「ああ、そう言ってたな。おまえ」

妹「うん。あの時は妹友ちゃんに罪悪感を感じたよ。そんなに好きだった人を奪っちゃったのかって」

兄「ああ」

妹「それで、あの時は妹友ちゃんへの恨みもすごく強く感じたの」

兄「え」

妹「だって、そうでしょ。内心では先輩のことを好きなのにお兄ちゃんに告白するなんて」

兄「あ」

妹「あたしのお兄ちゃんを何だと思ってるのよって思った」

兄(そういやあの時。妹友のメールを読ませた時、こいつは)
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 22:57:02.34 ID:sCd4xElDo
回想


兄「おまえが俺へのメール見たくないのは知ってるけど、これだけは見てくれ。それで相談させてくれよ」

妹「うん・・・・・・わかった」

妹「・・・・・・」

兄「見たか」

妹「・・・・・・」

妹「・・・・・・妹友ちゃん、ひどい」ブルブル

兄「・・・・・・・」

妹「あたしの、あたしの」

兄「おい」

妹「・・・・・・あたしのお兄ちゃんを何だと思ってるの」ブルブル

兄「おい、落ち着け」

妹「あたしに復讐したいなら、あたしにひどいことすればいい。何でお兄ちゃんを巻き込むのよ」

兄「・・・・・・」

妹「こんなメール無視していいよ、お兄ちゃんは」

兄「え?」

妹「お兄ちゃんがこれ以上困ることはないよ」

兄「だ、だってよ」

妹「あたしが妹友に会うから」

兄「(呼び捨てにした)え?」

妹「あたしが憎いんだったらあたしに言えばいい」

兄「ちょっと落ちつけ、妹」

妹「妹友のこと・・・・・・絶対に許さない」

兄「おい・・・・・・」

回想終了
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 22:59:16.69 ID:sCd4xElDo
兄「そうだったな」

妹「でも。あの後、お兄ちゃんが妹友ちゃんに会って、妹友ちゃんは嘘を言ってる様子はなさそうだってあたしに話したのを聞いてね」

兄「ああ」

妹「それなら恨むのはやめようって思った。妹友ちゃんがあたしへの嫌がらせじゃなくて、本当にお兄ちゃんに惹かれてお付き合いしたのだったら」

兄「うん」

妹「あたしが妹ちゃんを恨むのは筋違い。でもね」

兄「・・・・・・」

妹「あたしも先輩と別れて、本当にお兄ちゃんを愛してるのはあたしなのか妹友ちゃんなのかどっちかなって考えて」

兄「・・・・・・おまえ」

妹「まあ、家で一人きりで暇だったせいもあるんだけど」

兄(妹・・・・・・)

妹「そしたら心が吹っ切れてね。お兄ちゃんがどっちを選んでもしょうがないけど、あたしも妹ちゃんに悪いと思うのはやめようって思った」

兄「おまえ」

妹「妹友ちゃんもあたしも、お兄ちゃんを好きな気持ちに嘘は無いんだったら、正々堂々と勝負してもいいんじゃないかって」

兄「・・・・・・おまえは俺の妹にしておくのはもったいない女だよ」

妹「・・・・・・やだ。そんなこと言わないの」

兄「何でだよ? 誉めてるんだぜ」

妹「どうせ言うなら、おまえが俺の妹でよかったって言ってよ」

兄「言わねえよ」

妹「・・・・・・意地悪」

兄「おまえが俺の女ならよかったのになあ、とは思う」

妹「・・・・・・え?」

兄「おまえ、また顔真っ赤だよ」

妹「うるさい!」

兄「おまえ、そのパフェ食わねえの?」

妹「口の中が甘ったるくなっちゃったよ。お兄ちゃんのせいだからね」

兄「何でだよ」

妹「お兄ちゃんのステーキ一口ちょうだい」パク

兄「おまえ、最後に残しておいたとこ食べるか? 普通」

妹「筋だらけで固いじゃん。食べなきゃよかった」

兄「ソースついてるから口拭け」

妹「わかってるよ!」
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 23:02:52.42 ID:sCd4xElDo
当日夜


妹「お風呂入っちゃって」

兄「うん」

妹「・・・・・・またパソコンでゲームしてる」

兄「いいところなんだけどな」

妹「早く入ってくれないとお風呂掃除できないじゃん」

兄「だから俺が掃除しとくって」

妹「お兄ちゃんの掃除は雑だからだめ」

兄「ちゃんとやるって」

妹「前もそう言ってたけど、汚れがあっちこっちに残ってたよ」

兄「・・・・・・おまえはもう風呂入ったのか」

妹「まだ」

兄「じゃあ、先に入れよ。俺はゲームするのに忙しい」

妹「お兄ちゃん、大学入ってから暇があるとこれやってるけど」

兄「うん」

妹「何のゲーム? スマブラみたいなの?」

兄「アホかおまえは。これはストラテジーゲームといって」

妹「うん」

兄「まあ、もう昔のゲームなんだけど」

妹「うん」

兄「・・・・・・まあ、いいや」

妹「何よそれ。ちゃんと教えてよ。そもそも何ていうゲームなの?」

兄「アルファ・ケンタウリ」

妹「・・・・・・早くお風呂入ってね」

兄「ちょっと待てや。おまえがこのゲームのこと知りたがったんだろうが」

妹「名前からして面倒くさそうだからもういい」
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/08(日) 23:04:37.84 ID:sCd4xElDo
兄「・・・・・・一緒に入るか」

妹「え?」

兄「だ、だから。たまには久しぶりに一緒に風呂に入るかって聞いてるの!」

妹「え、え? 久しぶりって一緒に入ったことなんてないじゃない」

兄「・・・・・・あったよ」

妹「嘘。あたしの方がお兄ちゃんとの思い出は覚えてるし。少なくともあたしが小学生になって以降は、一緒にお風呂に入ったことなんてないよ」

兄「(こいつはそんなに昔の俺との思い出を覚えてるのかよ)まあ、細かいことはともかく、もうただならぬ仲になっちゃったんだし一緒に入ろう」

妹「ただならぬって・・・・・・・そうだけど、はっきり言わないでよばか」

兄「で、どうする?」

妹「お兄ちゃん、妹友ちゃんとはどうするの?」

兄「あ」

妹「・・・・・・あ、ごめん。今のなしね」

兄「いや」

妹「あたしはお兄ちゃんが妹友ちゃんの恋人でもいい、あたしからはおねだりしないけど、お兄ちゃんが求めてくれるのならいつでもお兄ちゃんのこと拒まない」

兄「うん・・・・・・」

妹「って、昨日言ったばかりなのにね。ごめん」

兄「いや。俺の方こそおまえと一つになれて浮かれちゃったみたいだ」

妹「・・・・・・本当?」

兄「うん、本当」

妹「・・・・・・先にお風呂に入ってるから。のぼせちゃうからあまり待たせないでね」

兄「・・・・・・わかった(え? マジで妹と一緒に風呂入るの?)」ドキドキ
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/08(日) 23:05:59.68 ID:sCd4xElDo
本日はここまで。明日まで休暇なんで、また明日投下できると思います

駄文に辛抱強くお付き合いいただいて感謝!

ではまたお会いしましょう
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/08(日) 23:07:46.56 ID:YKExWAALo
乙でした〜
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 23:09:03.45 ID:AG0RHifUo
兄ならきっとガイアでスタート
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/08(日) 23:16:34.58 ID:sCd4xElDo
>>626
やっと小ネタに反応してくれて嬉しい
いやいや。兄のこの優柔不断な性格を考えると、ラルでプレイ以外は考えられません
つうかそういう設定になってます。前にガイアの原住生物兵器に苦労している描写もしたし
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/08(日) 23:18:35.49 ID:v8JEq8LTo
さてどう転ぶのか
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/08(日) 23:19:49.56 ID:340nq86Bo
おつ
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 23:28:00.89 ID:tg4NvQ8SO
俺らに説明するためかも知らんけど今日の投稿分はちょっとクドかったな
いちいち「どういうことだ?」って質問する兄にイラッときた
俺が妹なら、言わせんなゴルァ!と言ってしまうレベル
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/01/08(日) 23:29:49.83 ID:0bdcROLHo
まぁ中身はキモヲタそのものだし
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/08(日) 23:33:15.60 ID:+coayNpMo
さっさとかけたろう先生かいてくださいまし
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/09(月) 00:47:39.76 ID:oc4lEH8Zo
乙!

近親相姦への抵抗はもう無いのか……
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 02:51:30.19 ID:3vfZ/C1ro

それより二股平気でしてる癖に妹友をそこまで好きでもないのに付き合い続けて両方傷つけるってね
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/09(月) 02:56:40.53 ID:G78rMMRVo
記憶の食い違い
これは伏線かな
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 12:37:17.99 ID:tkfG5M5DO
>>1乙です。
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/09(月) 20:05:08.03 ID:YmRW507zo
楽しみだ
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 22:00:55.88 ID:8CpsmRrMo
あたしが屋上に通じる階段を上りきり重い鉄製のドアを苦労して開くと、夕日の中に彼女のシルエットがぼうっと浮かんでいるのが見えた。
逆光になっているためその表情は覗えなかったけど、教室で話せばいいものをわざわざあたしを放課後の屋上に呼び出すくらいだから、彼女も大切で秘密の用件を抱えているだろうとあたしは思った。何となく硬直したような彼女の姿勢からその緊張ぶりが伝わってくるみたいだった。


・・・・・・高校に入学して最初にできた友人は妹友ちゃんだった。何かやたら可愛らしいというか女らしい子で、そういうところはあたしと正反対だったけどそこがこの子とうまが合った原因かもしれない。女らしいと言ったけど、彼女は周りの女の子たちのように男の子への関心は全くないようだった。要するにまだ子どもだったのだろう。彼女の外見は幼いとは正反対でちょっと見には大学生のお姉さんのように見えたけど、中身の方は年齢よりもう少し幼い感じだった。

その頃あたしには意中の人がいたんだけど、友だちに相談できるような恋ではなかったので妹友ちゃんのように恋バナをしたがらない友人は好都合だった。そういうこともあたしと妹友ちゃんが仲良しになるのに一役買っていた。あたしたちはすぐに打ち解け校内で一緒に過ごすようになった。同級生の子たちからは夫婦とかって呼ばれてからかわれるくらいいつもべったりと一緒にすごしていた。

そんなある日、妹友ちゃんは珍しく顔を赤くして緊張した様子で放課後屋上に来てくれない? とあたしに言った。

あ〜あ。あたしはすぐに直感した。この子にもついに好きな男ができたか。ちょっと人より遅れてるかもしれないけど、妹友ちゃんもちゃんと成長してるのね。あたしはそんな妹友ちゃんの母親の様な感想を抱くとともに、少しだけ彼女のことを羨んだ。あたしの好きな男は既に彼女と付き合っていたし、顔を赤くして親友に相談することすらできないのだから。

あたしが屋上に続くドアを開け妹友ちゃんに声を掛けたあと、妹友ちゃんが話し出した内容はあたしの想像のはるか斜め上を行くものだった。




・・・・・・あたしは親友から好きだと告白されたのだった。
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 22:06:29.69 ID:8CpsmRrMo
妹友ちゃんは緊張しているせいかずいぶん早口でしゃべりだした。そのため最初は何を言われているのかしばらく理解できなかったくらいだった。

「・・・・・・中学生の頃から」

「女の子のことしか・・・・・・」

「最初は勘違いだと思ってたんだけど」

「あたし、女の子しか好きになれないみたい」

ようやく彼女の言うことが少しづつ理解できてきた。妹友ちゃんは自分がレズビアンであることをあたしにカミングアウトしていたのだ。あたしは彼女にかける言葉を脳裏に探りながら彼女の言葉を聞いていたが、そのうち彼女はとんでもないことを言い出したのだ。

「そ、それでね。今あたしが一番気になっていて・・・・・・その、好きなのは委員長ちゃんなの」

え、あたし?

正直予想だにしなかった告白だった。冗談で済ませるならそうしたかったけど、妹友ちゃんの表情は受け流すにはあまりにも張り詰めていたものだった。あたしは、妹友ちゃんに悟られないように心の中でため息をついてから彼女に返事をした。

「心配しないで。妹友ちゃんのことを変だなんて思わないよ」
あたしは妹友ちゃんの目を間真っ直ぐに見ながら返事した。

「でも、あたしは妹友ちゃんの気持ちに応えられないの。ごめんね」
妹友ちゃんの精一杯の告白を受けたからにはいい加減に返事するのは失礼かもしれない。あたしはとっさに正直に自分の気持ちを披露することに決めた。

「あたしね、片思いだけど好きな人がいるの。昔からずっと好きだった人」

「それって女の子?」
妹友ちゃんは予想外の答えにぶつかったかのように困惑した様子であたしに聞き返した。

「ううん、違うよ。男の子。うちの学校の先輩なんだけど、妹友ちゃんは彼氏先輩って知ってるかな」
妹ちゃんの言葉に思わず苦笑しながらあたしは返事した。

「・・・・・・聞いたことあるよ。空手部の人でしょ? よく女の子たちが噂してるもん」
妹ちゃんは気を取り直した様子で返事した。

「そうだね。あいつ、クズのくせに人気だけはあるからな」
よく女の子たちが噂してるか・・・・・・本当に彼女の言うとおりだな。そう考えながらあたしはつぶやいた。

「あたしね、あのクズとは幼稚園の頃からずっと一緒なの」

「幼馴染ってやつ?」

「そうね。あいつは女に手が早いし女の噂が耐えないし、多分あたしなんか女の子として見てないと思うのね」
あたしは自嘲的に言った。

「でも、やっぱりあのクズのこと好きなの。だからごめん」

「うん・・・・・・」
妹友ちゃんは俯き静かに泣き出した。あたしは妹友ちゃんの肩を抱いた。

「これまでどおり友だちでいてくれる?」
あたしはそっと彼女に声をかけた。
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 22:08:21.21 ID:8CpsmRrMo
その後もあたしは以前と変らないように妹友ちゃんと接するように心がけたし、もちろん妹友ちゃんの性的嗜好を誰かに話すなんてことはしなかった。
だけど正直に言うと同性を恋愛対象にするような嗜好はあたしには理解しかねた。ただ、妹友ちゃんも人に話せない秘密を抱えて苦しいんだろうなと考えたあたしはできるだけ今までどおりの友だち付き合いでいようと思ったのだ。

でも、妹友ちゃんは悪いことにあたしになら何でも隠し立てせずに相談できると思い込んだようで、自分の同性愛的な悩みをよくあたしに相談してくるようになった。
気持ち悪いとは言えなかったけど、正直なあたしの気持ちはそんなところだった。幼馴染のろくでもない男が好きなあたしが言っても説得力はないかもしれないけど、世の中に男と女が存在するのに何も同性を恋愛の対象とすることはないじゃんとあたしは考えていたのだ。

それで、少しづつあたしは妹友ちゃんを突き放すようになった。もっともそれは、あながち彼女の性的嗜好が理解できないからという理由からだけではなかった。
何といっていいか、あたしは妹友ちゃんからはナルシスト的な匂いを感じていたのだ。もっとわかりやくすく言えば自分勝手。彼女は常に自分の気持ちを最優先した。それは恋とか友情とかそういう次元でなくても日常の、例えば放課後の過ごし方とか昼食をどこで食べるかとかういう日常的な場面で頻繁に感じたことだった。

つまらないことかもしれない。つまらない日常的なことだからあたしは妹友ちゃんの意向を尊重して折れていたけど、それが重なるにつれあたしも少しいろいろとイライラする感情が重なってきていた。そんな時、妹友ちゃんに新しい恋愛対象の女の子ができた。


それはあたしもよく知っている同学年の女の子だった。
・・・・・・妹ちゃん。
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 22:08:50.95 ID:8CpsmRrMo
少し休憩

またあとで2レスほど投下予定です
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 22:28:27.49 ID:RNfagLSIO
まさかの委員長視点
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 23:10:44.72 ID:hFE6cp1SO
最終章でこの展開とは
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/09(月) 23:14:55.47 ID:1Gha003vo
さて、どう纏めていくのか、、、
楽しみです
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 23:30:41.08 ID:zR/BtPdIO
まさか委員長か
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/09(月) 23:31:47.06 ID:xOrtryBno
予想GUY
待機ワッフル
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 23:33:18.14 ID:8CpsmRrMo
その頃、妹ちゃんは同学年の見た目が華やかな女の子たちのグループから声がかかっていたみたいだった。あまり成績のいい子はいないけど、同級生の男の子たちからはよく声がかかるような子たち。でも、彼女たちはよほどイケメンと評判な同学年の男の子は別として、もっと遊び慣れている上級生の男たちとカラオケに行ったりゲーセンに行ったりしていた。
そんなグループから妹ちゃんは声を掛けられたのだった。

そしてそんなグループの中にいるのにはひどく違和感があったのに、普段からその子たちと一緒に行動していたのが妹ちゃんだった。
あたしは同じクラスだった妹ちゃんとは既に知り合いだったけど、それほど親しいというわけでもなかった。何せその頃のあたしは妹友ちゃんとべったり一緒に過ごしていたのだから。
でも、時たま妹ちゃんと話すこともあってその度にあたしはこの子は何を考えているんだろうと不思議に思っていた。

妹友ちゃんと同じく妹ちゃんも男の子の話は全くといっていいほどしなかった。そんな彼女が何であんな男の子と遊びまわっているグループの子たちと一緒に行動しているのかあたしには不思議だった。妹ちゃんは好きな男の話はしないけど、かといって彼女は妹友ちゃんのように同性を恋愛対象にしている様子もなく、また幼すぎて恋愛を意識していないようにも思えなかった。

なぜかと言えば、妹ちゃんはすごく大人びた雰囲気を醸し出していたのだ。あたしも同世代の女の子よりよほど大人の考えを持っているつもりだったけど、それでも妹ちゃんと話し込むと彼女がいかにしっかりと自分を見つめていて、固い意志を持っているのかを思い知らされた。

それはグループの子たちも感じていたようで、彼女たちの判断基準である男の子と付き合った経験が全くないらしい妹ちゃんにはすごく遠慮して気を遣っているようだった。何か不思議に人を引きつける、大げさに言えばミステリアスな雰囲気の女の子。それがあたしが当時妹ちゃんに抱いていた印象だった。

そんな彼女だけど、唯一楽しそうにリラックスして話してくれる話題は彼女のお兄さんの話だった。妹ちゃんが語るお兄さんは頭はいいけどオタク、もっと言えばキモヲタそのものだった。
大学に入ってからも両親が留守がちな妹ちゃんの実家を省みず、部屋に篭って何やらひどく時間のかかるゲームに熱中しているらしい。

妹ちゃんが繰り返しお兄さんの話ばかりするせいで、次第に周囲の子たちは面白がって妹ちゃんのことをブラコンと呼び始めた。妹ちゃんは顔を赤くすることもなく、静かにそうじゃないよと反論してたけど。

でも。あたしには、なんとなく妹ちゃんはお兄さんのことを本気で男性として好きなんじゃないかという気持ちが沸き起こっていた。世間的にはマイノリティだけど、妹友ちゃんの同性愛じゃないけど、あたしたちの身の回りにそういうことが全くないとは言えないし。

何より、お兄さんの話をする妹ちゃんの幸せそうな表情があたしの脳裏に住み着いてしまった。それは世間的には不幸な恋かもしれないけど、あたしも実ることがない想いを抱えていたせいか妹ちゃんに素直に共感できたのだ。もちろん、このことは妹ちゃん本人にも誰にも話さなかったけど。

あたしは妹ちゃんの話すお兄さんのエピソードを聞くのが楽しみだった。別にお兄さん本人には興味はないけど謎が多い妹ちゃんの本心の一部がお兄さんの話を通して少しだけ理解できるような気がしたから。

そんな時、あたしは再び妹友ちゃんに屋上に呼び出されたのだった。
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 23:36:03.92 ID:8CpsmRrMo
再び妹友ちゃん呼び出されたあたしは少し困惑しながら、屋上に赴いた。その頃、あたしはあまり妹友ちゃんと一緒に過ごさないようになっていた。あたしは妹友ちゃんが最近付き合っているグループとは相性がよくなかった。でも妹友ちゃんが最近グループの子たちの中でも妹ちゃんとよく一緒にいるみたいだということは見知っていた。
あたしはその頃一年生ながら生徒会の書記を努めていたし、むしろ難しい性格の妹友ちゃんから距離を置こうとしていたのであまり気にしたことはなかった。

あたしは久しぶりに二人きりで会った妹友ちゃんの再度の告白を聞いて、それまで感じていた困惑が吹き飛ぶほど笑い出してしまった。

「全く健気だね、妹友ちゃんは」
笑いすぎて出てきた涙を拭きながらあたしは言った。

「少し考えすぎじゃない? 妹ちゃんと友だちでいたいだけなら何もわざわざ好きな男なんてでっち上げる必要ないじゃん」

「あたし、妹ちゃんに少しでも変な子だって思われたくないの。周りのみんなが好きな男の子の話してるのに、あたしだけこれじゃ、レ、レズビアンだって思われるかもしれないし」
妹ちゃんはあたしに笑われたのがいかにも心外だという表情を見せた。

・・・・・・思われるかもってあんた実際にレズじゃん。あたしはそう思ったけどそれを口にしないだけの理性は保っていた。

「だいたいさ、妹ちゃん自身が男の子の話なんてしないじゃん」

「それはそうだけど・・・・・・」

「まあ、妹ちゃんもある意味あんたと同じマイノリティなのかもしれないね」
あたしは少し余計なことを話してしまったが、妹友ちゃんはその意味を誤解したようだった。

「もしかして、妹ちゃんも」

「違うよ」
あたしははっきり否定した。変な思い込みは妹友ちゃんを不幸にしかねない。

「妹ちゃんはレズじゃないと思うな」

「そ、そう」
妹友ちゃんは傍目にも明らかなほどがっかりしたようだった。いったいこの子は何を期待したんだろう。

「それで妹友ちゃん、いったい誰を好きなことにしたいの」
あたしは妹ちゃんのことにはそれ以上触れずに妹友ちゃんに質問した。

「彼氏先輩」
妹友ちゃんは思いつめた顔で口にした。
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 23:38:09.03 ID:8CpsmRrMo
「え?」
あたしは一瞬血の気が引くような感覚に囚われた。まさか、レズのこの子が。まさか、あいつのことを?

「妹友ちゃん、あんたまさかあのクズのことを」
自分でも余裕のない声だったと思う。

「違うよ。校内で一番人気のある人を好きなことにした方がいいでしょ」
妹ちゃんは既に落ち着きを取り戻したみたいだった。

「何でよ?」
あたしは妹友ちゃんを睨みつけた。

「あの、別に自慢じゃないんだよ? でもね、この噂が広がるとあたしが好きだってことになってる男の人があたしのこと気になるかもしれないし」

「・・・・・・それで?」

「それでね、その人に彼女とかいたら、その子に悪いでしょ」

「はぁ。あんたそれって自分が誰よりももてるって言ったのと同じだよ」
一気に怒りのボルテージが下がり、あたしはむしろそこまで自分に自信のある妹友ちゃんに飽きれていた。

「でもまあ、そうかもね。あんた妹ちゃんと一緒で可愛いし」

「可愛いなんてそんな」
どういうわけか妹友ちゃんは顔を赤くした。

「そこで顔を赤くなるとこも可愛いわ。あたしが男なら放っておかないレベル・・・・・・でも、だからって何であのクズになるの?」
そこは確認しておかなければいけないポイントだった。

「それはね。先輩もてるし1年生の女の子が自分を好きらしいって噂だけで行動したりしないでしょ?」

「どうかなあ」
あたしは考え込んだ。

「意外とあいつまめだしなあ。それにあいつだって、妹友ちゃんとか妹ちゃんくらいレベル高い子と付き合ったことないだろうし」

「そ、そうなの」
レベルが高いと言われたせいか妹友ちゃんは再び顔を赤くした。

「あいつが本気にならなきゃいいけどね。でもまあ、話はわかったよ」
この子が妹ちゃんを自分に繋ぎとめるためにこんなことまでするのはやり過ぎだと思ったけど、まあ彼女がここまで思い込んでいるなら止めるのも大変そうだった。
でも、一言だけ釘を刺しておこうか。

「でも」

「え?」

「妹ちゃんとは親友でいるだけにしといた方がいいよ」

「同性愛とか関係なく、妹ちゃんはいろいろ難しいと思うなあ」
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/09(月) 23:41:28.60 ID:8CpsmRrMo
妹友ちゃんが彼氏先輩に片思いしているという噂はすぐに校内に広がった。多分同じグループの子たちがあちこちで言い触らしているのだろう。
妹友ちゃんと妹ちゃんの仲がその後どうなったのかなんてあたしには全く情報が入ってこなかったし、あたし実はそれほど気にはしていなかった。

多分妹ちゃんは自分のお兄さんに恋をしているんだろう。それも周囲の子たちが妹ちゃんをブラコンだってはやし立てている意味以上の意味で。
あたしはそのことを誰にも話さなかったし、それほどの興味も関心もなかった。

ただ、妹友ちゃんの恋は一方通行なんだろうなって少し気の毒な感じは抱いていた。あたしに恋をし次に妹ちゃんに恋した。
・・・・・・そして、あたしの恋も妹友ちゃんの恋も妹ちゃんの恋もおそらく実ることはないだろう。

あたしたちは3人とも実ることのない想いを抱えていたのだった。でも。あたしは単に相手に意識してもらえないだけだ。
ところがあたしとは異なり妹友ちゃんも妹もある意味マイノリティなのだった。
決して他人には話すことができない恋。目くそ鼻くそを笑うとはこのことだ。実らないという意味ではあたしも彼女たちと同じなのに。



そんな時、あたしがすごくショックを受けた出来事が起こった。
あいつは昔から複数の彼女とよろしくやっていたけど、その頃から今まで以上にあいつに振られた女の子たちの噂があちこちから聞こえてくるようになった。
いったいどういう心境の変化だろう? 正直に言うとあたしには少し期待する気持ちがあった。別にあたしのことを思い出したんじゃなくてもいい。
あいつが受験を意識したり複数の女の子と付き合う意味のなさを意識し出したんならそれでいい。あたしはそう思ったのだ。だけど、あいつにはそんな気持ちは全くなかったようだ。
あたしにとって最悪なことに。




噂どおり複数の女の子たちとの仲を清算したあいつは、妹ちゃんに告白したのだ。
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/09(月) 23:44:32.39 ID:8CpsmRrMo
本日はおしまい

明日以降は普通に仕事が始るので投下ペースは落ちると思います

あと伏線を深読みしている人もいるようですけど、ここまでで誤字脱字は言うまでもなく設定矛盾や伏線回収漏れが相当生じていますでの、あらかじめご了承ください

ではまたお会いしましょう
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/09(月) 23:47:08.12 ID:3DzsfHuK0

また明日〜
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/09(月) 23:50:36.92 ID:mFmS8UFro
おつん
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/09(月) 23:51:17.36 ID:xOrtryBno
乙〜
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/09(月) 23:56:11.90 ID:1Gha003vo
酸素〜
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/09(月) 23:56:35.81 ID:GVCjA8xwo
乙乙でした

そう言えば、妹友が前に初詣に来たことあるっぽいことを言ってたことの種明かしがまだ来てないよね
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/10(火) 00:11:56.20 ID:TszowrXeo
>>656
だから、>>651ですって

無理なく回収できるようならしますけど、あまり期待しないでね
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/01/10(火) 03:45:02.14 ID:xF3EPq3Bo


あといまさらなんだけど>>1が書いたっていうアマガミのSSのスレタイ誰か教えて
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 12:44:02.14 ID:Fgg6qgpDO
>>1

>>658
美也「にぃにお願い・・・・・・もう許して」純一「美也、僕のこと好きなんだろ?」

から
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/01/10(火) 20:58:14.49 ID:xF3EPq3Bo
>>659
ありがとう
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/10(火) 22:16:16.40 ID:TszowrXeo
あいつが妹ちゃんに告白し、妹ちゃんもそれを受け入れたことを教えてくれたのは妹友ちゃんだった。

正直に言うと、これまであたしはあいつの彼女に今まで本気で嫉妬心を抱いたことがなかった。自分の恋を実らない恋だと考えてはいたけれど、今まであいつが付き合った子たちには負けている気はしなかったから。

あいつはあたしのことを女として見ていない。昔からそうだったしこれからもそうだろう。でもあいつが付き合ってきた女の子は今までは派手だけど頭の悪そうな子ばかりだった。
その相手が妹ちゃんだとすると事態は全くこれまでと変ってしまう。今までのあいつのお相手と違って妹ちゃんは可愛いだけでなく自分をしっかりと持っている女の子だった。成績は学年で真ん中くらいなのでその点だけはあたしも負けていなかったけど、妹ちゃんが本気で勉強に集中したらその優位すら危うい。

そう、全ての点においてあたしは妹ちゃんに勝てるところがなかったのだ。

これまであたしがあいつに片思いをしながらも平静でいられたのは、あいつの相手を見下せたからだった。あいつはあたしのようなこんなにいい女が長年身近にいたというのにそのことに気がつかない大馬鹿だ。あたしは自分の心の中でいつもそう呟いて自分の心のバランスを取っていた。その相手が妹ちゃんになるともう自分に言い訳すらできなくなってしまう。

どうしよう。あたしはみっともないくらいうろたえていたけど、そのことを妹友ちゃんには見せたくなかった。ここに至ってもまだあたしは、活発で積極的でいつも冷静な生徒会役員というイメージを壊したくなかったのだ。

「心配してくれてありがとね」
あたしは、あたしの片思いを知っている唯一の女の子にお礼を言いその後に相当無理をして強がって見せた。

「でも、あたしこういうの慣れてるから。あいつが女を変えるたびに一々気にしてたら体が持たないよ」
あたしは妹友ちゃんににっこりと笑って見せることまでしたのだ。
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/10(火) 22:17:14.47 ID:TszowrXeo
その時、あたしはふと妹友ちゃんも好きな子を失ったということに気がついた。自分の心のざわめきで精一杯だったとは言え、妹友ちゃんはあんなにも恋焦がれていた妹ちゃんを失ったのだ。
そのわりには妹ちゃんの表情からはそれほど暗い感じが見受けられなかった。考えてみれば自分の好きな子が男と付き合い出したというのにそれをわざわざあたしに報告してくれることすらおかしい。妹友ちゃんはあたしがあいつに長い片思いをしていることを知っていたけど、彼女は自分が落ち込んでいる時に人の恋まで気にするようなタイプではない。
前にも感じたことだけど妹友ちゃんは基本的には自分中心な性格をしている。その彼女がこんな時にあたしのことを気にしてくれるはずがないのだ。

あたしはそのことに少し驚き、おかげで妹ちゃんとあいつが付き合い出したことへの悩ましさを一瞬忘れることができた。

「あたしなんかより妹友ちゃんの方が辛いでしょ? こんな時にあたしのことなんか気にしてくれてごめんね?」
あたしは妹ちゃんに言った。

「ううん。委員長ちゃんはお友だちだし。それに・・・・・・」
妹友ちゃんは声をひそめた。

「あたしの恋なんて女同士だし初めから妹ちゃんに受け入れてもらえるなんて思ってなかったから」

そう話す妹友ちゃんは表情にはあまり思い悩んでいる様子はなさそうだった。

「妹ちゃんね、あまり先輩と二人で一緒にいないくてこれまでどおりあたしと一緒にいてくれるし。むしろ前より親密になったみたい」

「あ、そうか。妹ちゃんは妹友ちゃんから男を奪ったって思い込んでるのか」
あたしはようやくそのことに気が付いた。

「うん。妹ちゃんに怪しまれないように好きな男の人がいる振りをしてただけなのにね」
妹友ちゃんは複雑な笑みを浮かべて言った。

その時、何か小さな違和感があたしの中で浮かんだ。
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/10(火) 22:18:24.26 ID:TszowrXeo
あたしが妹ちゃんを見ていて気が付いたこと。これは間違っていないと思うんだけど妹ちゃんは実のお兄さんに恋愛感情を抱いているはずだった。
多分それは間違っていないはずだ。

なのに、なぜ妹ちゃんはあいつの告白を受け入れたのだろう。
自分に関心がないお兄さんへのあてつけ? お兄さんに嫉妬させ自分に振り向かせる手段として?

いや、違うだろう。妹ちゃんの話によればお兄さんとはほとんど会話がないはずだった。しかもお兄さんは妹の私生活に全く関心がないはずだった。
これまでの妹ちゃんの話を信じるとすれば、仮に妹ちゃんが自分が学校で先輩と付き合うことになったとお兄さんに話したとしても、お兄さんが妹ちゃんの付き合いにさほど関心を示すとも思えなかった。

ここまで考えると消去法で一つの考えだけがあたしの脳裏に浮かんできた。しばらくはそんなことはないと否定してみたけど考えれば考えるほどそれが真実ではないかという気がした。
そして妹友ちゃんがあまり動揺していないのは、妹ちゃんと過ごす時間が妹ちゃんとあいつと付き合ってからも減らなかったということだけではなく、妹友ちゃんが本能的にこの事実に気が付いているからではないか。


妹ちゃんは、報われない恋を清算しようとしている。そのためにそれほど好きでもないあいつと付き合うことを選んだのだ。
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/10(火) 22:19:01.21 ID:TszowrXeo
・・・・・・それに気が付いた時、あたしはまず妹ちゃんに対する怒りがこみあげてきた。あたしの大切なあいつのことを好きでもないくせに自分の心を整理するために利用しようとしている妹ちゃん。
でもその怒りは長く続かなかった。恋多き妹友ちゃんと違っておそらく妹ちゃんは長い間お兄さんのことを思い続けてきたのだ。
それはあたしと全く同じだった。その長い片思いを清算しようとしている妹ちゃんを恨む気にはなれなかった。

あたしは思わず呟いていた。
「妹ちゃんもかわいそうだよね。妹友ちゃんと一緒で」

それから校内で妹ちゃんと手を繋いだあいつの姿を見かけることになったけど、その頻度はそれほど高くはなかった。これまでのあいつの彼女とは違って妹ちゃんはあいつのことを最優先することはなく、むしろ妹友ちゃんと一緒にいる時間の方を優先したようだった。
あたしは妹ちゃんを憎みたくても憎めなかった。あたしの大好きな片思いのあいつを利用している妹ちゃん。
でも、妹ちゃんと同じく長い片思いを続けてきたあたしには妹ちゃんの辛い気持ちもよくわかった。

そして月日が流れ学園祭当日。生徒会の書記だったあたしは学園祭の実行委員長も押し付けられていた。
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/10(火) 22:39:35.06 ID:TszowrXeo
その日あたしは学園祭で生じた細々としたトラブルを処理するのに疲れ、少し休憩しようと調理部のケーキ目当てに調理部が出店している喫茶店に入ったところで、窓際の席で座っているあいつと妹ちゃんに気が付いた。
あたしは迷わずその席に割り込んだ。あいつは邪魔するなと言わんばかりの態度だったけど、妹ちゃんは喜んであたしを受け入れてくれた。

その妹ちゃんの態度を見る限りやはり妹ちゃんがあいつに惚れているようには見えなかった。あたしたちは少し世間話をした。
本当に他意はなかったのだけれど、その時ふと気が付いてあたしは妹ちゃんに尋ねてみた。

「今日は妹ちゃんの大好きなお兄ちゃんは来てくれないの?」

「・・・・・・来てると思うよ」
妹ちゃんは軽い口調で答えた。彼女のお兄さんが学園祭に来てると知って、あいつがすこし慌てたのがわかった。

「せっかく大切なお兄さんが来てるのに、案内とかしないの?」
あたしは少し妹ちゃんを試してみた。すると帰ってきた答えは意外なものだった。

「・・・・・・うん。妹友ちゃんが案内してくれるって言ってたから」
妹ちゃんはポツリと言った。

「・・・・・・あんた、それでいいの? いつもは少しでもお兄ちゃんと一緒にいたいオーラを出してるのに」
あたしはざわめく感情を鎮めえようと努めながら聞いた。

「お兄ちゃんには会いたいけど、妹友ちゃんの邪魔は出来ないし」
妹ちゃんが答える。

「え? 何々。妹友ちゃんって妹ちゃんのお兄さんのこと好きなの?」

「多分、そうじゃないかな。あ、妹友ちゃんにはこの話は内緒だよ」
そんな訳がない。妹友ちゃんが好きなのはあんたなんだから。あたしは危うく妹友ちゃんの秘密を口にしてしまいそうになった。
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/10(火) 22:53:03.65 ID:TszowrXeo
・・・・・・妹友ちゃんは妹ちゃんの本当の気持ちに気が付いていたのだ。だから妹ちゃんとこいつが付き合いだしてもさほど動揺しなかったのだ。
そして妹友ちゃんは再び行動に出た。おそらく妹友ちゃんはお兄さんには全く恋愛感情はないのだろう。妹友ちゃんの目的は自分がお兄さんの彼女になることにより妹ちゃんとお兄さんとの関係の進展を阻止することに違いない。

あたしは本当にいらいらしていた。妹友ちゃんのこれまでの自分勝手な相手の感情を配慮しない行動が次々に心の中に浮かんできた。理性的判断ではなかったかもしれない。気がつかない振りをして見過ごせばいいのかもしれない。

正直に言えばそれよりもあたしが恐れたのは妹友ちゃんとお兄さんが付き合い出したら、妹ちゃんは本当にお兄さんのことを忘れるように努めるだろうということだった。
そしてそれはこいつと妹ちゃんの仲が本当の意味で固まるということを意味する。あたしにはそれが怖かった。

もし妹ちゃんとお兄さんが相思相愛になれば妹ちゃんに振られることになるこいつを、このあたしが慰め、そしてこれまで喧嘩ばかりしていた幼馴染以上の関係になれるかもしれない。そういう意味では妹友ちゃんの行動はある意味あたしにとってチャンスなのだった。そしてそういうことに気が付いていないだろう妹ちゃんにとってもチャンスだった。


ただ、それを仕掛けることができるのは関係者の中で唯一全容を把握できたあたしだけだった。


あたしは妹ちゃんにお兄さんのエピソードを聞かせてくれるようにせがんだ。本当にそんなことを聞きたかったわけでもなければ、あいつに嫌がらせをしたかったのでもない。
妹ちゃんのお兄さんへの感情を再確認したかったのだ。


妹ちゃんのまるで彼氏の惚気のようなお兄さんの話を聞きながら、あたしには一つの考えだけを頭の中で追求していた。





それはあたしと妹ちゃんの恋の両方を同時に救う方法はないものかということだった。その考えの中に妹友ちゃんが救われる道はないことは承知の上だった。
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/10(火) 22:53:47.17 ID:TszowrXeo
本日はこれでおしまい

明日は新年会なので投下できないと思います

またお会いしましょう」
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 22:55:15.64 ID:ZI6/ZA9IO
おつ
委員長厳しーい
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/10(火) 22:55:20.89 ID:3jyr5yvmo
おつさま
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/10(火) 22:56:48.29 ID:HIuppjCNo
酸素〜
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/10(火) 23:05:55.47 ID:D9prfisNo
乙乙

委員長、実はモブキャラじゃなかったんだな。怖い怖い
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 02:55:49.24 ID:OG8DXasWo
いいないいな
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/11(水) 21:51:55.47 ID:qVqXECXeo
今日はこないのか
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/01/11(水) 22:06:49.68 ID:VQBHn/AMo
>>673
すいません、二次回の誘いをふりきり今帰宅しました。
もう少ししたら短いですけど再開します
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 22:13:09.68 ID:R6V9cxhwo
>>674
待ってる
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/11(水) 22:35:41.99 ID:qVqXECXeo
>>674
こないと思ってただけに更新してたまげた
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/11(水) 22:35:49.39 ID:LWWFKoxOo
無理しすぎワロタ
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/11(水) 22:45:45.81 ID:VQBHn/AMo
あたしが妹友ちゃんの意図を悟った学園祭当日、妹友ちゃんはお兄さんに告白しお兄さんも妹友ちゃんの気持ちを受けいれたようだった。
それは妹友ちゃんからではなく妹ちゃんから得た情報だった。


クリスマスの休暇が明けると妹友ちゃんにとって唯一の誤算じゃないかと思うんだけど、先輩と付き合い出してからも妹ちゃんとの時間を削らなかった妹ちゃんは、お兄さんと付き合い出した妹友ちゃんとは距離を置き始めたのだ。
あたしにとって幸いなことに、妹友ちゃんと一緒に過ごさなくなった妹ちゃんはあいつといる時間を増やしたりもせず、一人ぼっちで食事したり帰宅したりするようになった。

あたしは少し不思議だった。妹友ちゃんがお兄さんに付き合い出した目的はお兄さんの気持ちを妹ちゃんに向けないため。それと大好きな妹ちゃんの近くにいたいためだったのは間違いないとあたしは思ったていた。なので、妹友ちゃんは妹ちゃんが自分から距離を置き出したことに狼狽して妹ちゃんとの仲の修復に走るはずだった。
だけど、妹友ちゃんはそういう様子を見せずグループの他の女の子たちと過ごすようになってしまった。

その妹友ちゃんの行動がどういう意味を持つのかはさすがのあたしにも計りかねた。とりあえずあたしは妹友ちゃんからもグループの子たちからも距離を置き一人ぼっちになってしまった妹ちゃんに声をかけた。以前からそこそこ仲が良かったあたしが妹ちゃんに声をかけるのは別に不自然ではなかった。

そういう訳であたしと妹ちゃんは校内で一緒に過ごすようになった。二人きりの時もあればあたしの生徒会関連の知り合いたちと一緒のこともあった。
そんな時、お昼休みにたまたま妹ちゃんと二人きりだったあたしは、冬の曇った薄暗い中庭の噴水脇のベンチで妹ちゃんに聞いてみた。

「そういえば妹ちゃんってさ、最近妹友ちゃんと一緒じゃないけど喧嘩でもしたの?」

「別に喧嘩なんかしてないよ」
いつものとおり平静な声で妹ちゃんは答えた。

「もしかしてさ、妹友ちゃんとお兄さんが付き合い出したから?」
あたしは妹ちゃんに聞いた。ストレートすぎるかもしれないけど、ここから先の相談を妹ちゃんに持ちかけるには避けては通れない質問だった。
妹ちゃんはしばらく黙っていたけど、やがて顔を上げて答えてくれた。
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/11(水) 22:47:52.99 ID:VQBHn/AMo
「・・・・・・うん」
それは、やはり感情の起伏のない平静な声だった。

「やっぱりね。大好きなお兄さんが妹友ちゃんに盗られちゃって寂びしいんでしょ?」
あたしは、そういう感情が特別なことではなくさも一般的な普通の感情であるかのように聞き返した。

「正直寂しい。お兄ちゃんのこと好きだから」
妹ちゃんは相変わらず抑揚のない声で冷静に喋っていたけど、その華奢な小さい手が膝の上でブルブルと震えているのをあたしは見逃さなかった。

あたしは妹ちゃんの肩に手を廻して彼女を抱き寄せた。

「妹ちゃん・・・・・・かわいそうに」
妹ちゃん一瞬ビクッとしてあたしから体を離そうとしたけど、あたしはそれを許さなかった。妹ちゃんの体を自分に引き寄せながらあたしは妹ちゃんに言った。

「もう一人で悩むのはやめなよ」
あたしの腕の中で体を固くしている妹ちゃんにあたしは畳み込むように言葉を続けた。

「前から気が付いていたよ。あんたはブラコンとかそういうんじゃなくて、お兄さんのこと男として好きなんでしょ?」
あたしはついに本人にその言葉を掛けたのだ。

妹ちゃんは静かに泣き始めた。あたしは空いている方の手でそっと妹ちゃんの頭を優しく撫でた。

「全部話してくれる? きっと力になれると思うから」
あたしは精一杯優しく妹ちゃんに囁きかけた。
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/11(水) 22:49:39.31 ID:VQBHn/AMo
妹ちゃんはためらいながら少しづつ話し始めた。それは約17年間に及ぶせつない片想いの記録だった。

妹ちゃんは幼い頃から三つはなれたお兄さんを慕い続けてきた。ただ、その恋は不器用なものだった。アニメやラノベでよくあるような特別に仲のいい兄妹とかでは全然なかった。
妹ちゃんとお兄さんはお兄さんが中学校に入学する頃からほとんど話をしないような関係だった。同じ家に住んでいるのに下手をすると2〜3日くらい平気で顔を合わせることもなかったらしい。
妹ちゃんらしかぬ本当に不器用な恋。そして妹ちゃんには悪いけれどこれだけ可愛い妹ちゃんが思い悩むほどお兄さんに惹かれた理由もよくわからなかった。
それついては今で正直よくわからない。

とにかく妹ちゃんは長い静かな報われない恋心を実のお兄さんに向けてきた。お兄さんはといえば、これまでは妹ちゃんへ全くといっていいほど関心がないようだった。
その日の夜までは。
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/11(水) 22:50:36.38 ID:VQBHn/AMo
妹ちゃんは長い報われない恋に終止符を打とうと自分に告白してきた先輩と付き合うことに決めた(あたしはその話を聞いたとき胸の痛みを感じたけど、あたしがあいつに長い片想いをしていることを知らなかった妹ちゃんを恨もうとは思わなかった)。

ある雨の放課後、お兄さんはお母さんに言いつかり傘を持っていない妹ちゃんを車で迎えに来た。お母さんがそのことを妹ちゃんに伝え忘れたそうで妹ちゃんにとってそれは全くの不意打ちだった。妹ちゃんはその時パニックになっていたとか。これまで疎遠だったお兄さんがわざわざ自分を車で迎えに来るなんて。
・・・・・・本当は駆け寄って助手席に飛び乗りたかった。一緒にいた女友ちゃんも他の友人も、カラオケで自分を待っている先輩すらどうでもよかった。
でも、パニックになった妹ちゃんはお兄さんに冷たく当たってしまったらしい。

お兄さんを心ならずも無視してしまった妹ちゃんにはさらに心を乱す出来事が次いたそうだ。その日のカラオケの帰り際、妹友ちゃんからお兄さんのメアドを教えてと頼まれたのだ。
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/11(水) 22:54:21.03 ID:VQBHn/AMo
妹友ちゃんのお兄さんへの関心に気が付いた妹ちゃんは再び悩み始めた。

お兄さんを忘れるために先輩と付き合い出したけど、逆にこの頃は家でお兄さんとの会話が増えてきていた。
またこの頃から(ここで妹ちゃんは顔を赤くした)、なぜかお兄さんの視線が自分の胸元とか体に向けられるようになってきた。
お兄ちゃんもあたしを女として意識し始めているのだろうか。これまで両親不在の夕食はそれぞれ勝手に済ませていた夕食を兄妹で一緒に食事をするようにまでなった。その際の会話でお兄さんに今まで彼女がいたことがないことを知り、妹ちゃんは本当に嬉しかったそうだ。
そればかりではなくお母さんからお兄さんを朝起こすように頼まれた妹ちゃんは、渋る振りをしたけど心の中は飛び上がりたいほど嬉しかった。これでお兄さんとの接点が増える。

その後の妹ちゃんの思い出は悩ましくも辛いものだった。急速に接近する兄妹。ある夜、妹ちゃんは我慢できずにお兄さんに抱きついた。最初驚いたお兄さんだったけど。自分に抱きつきながら静かに泣く妹ちゃんの肩を抱いてくれた。

そして、両親不在のある夜。その日、妹ちゃんは早く帰ってお兄さんと一緒に過ごそうとしていたけど、あいつに無理にカラオケに引っ張られて行った(そこでまたあたしの胸は痛んだ)。ようやくあいつを振り切って帰宅した妹ちゃんはお兄さんが不在なことにがっかりし、泣きながらお兄さんのベッドに横になったそうだ。そして。

酔ったお兄さんが深夜に帰宅し、自分のベッドにいる妹ちゃんを見つけた。お兄さんは黙ってベッドに入り妹ちゃんの身体を愛撫し始めた。妹ちゃんは怖さと恥ずかしさと喜びが入り混じった複雑な気持ちを抱えながら寝たふりをしてお兄さんの手に身を任せていた。抵抗しようとか怒ろうとかそういう気持ちは夢にもなかったとのこと。
妹ちゃんにとって不幸なことにそんな密かな兄妹の幸せは長くは続かなかった。

学園祭の日、お兄さんを校内を案内していた妹友ちゃんがお兄さんに告白しお兄さんもそれを受け入れたのだ。そしてそれに追い討ちを掛けるようにクリスマスイヴの日が訪れた。
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/11(水) 22:56:09.81 ID:VQBHn/AMo
その頃、妹ちゃんと付き合い出したお兄さんに対して妹ちゃんは冷たく突き放すような態度を取っていた。もちろんお兄さんと一緒に寝るとか妹ちゃんの身体に触れたがるお兄さんを受け入れるとかはもう全く考えられなかった。
妹ちゃんの中では妹友ちゃんはまだ親友だった。それに妹ちゃんから先輩を奪ったことが心の中に重く圧し掛かっていたのだ。
イヴ当日、先輩と予約したレストランで食事中の妹ちゃんに妹友ちゃんから電話がかかった。それは妹ちゃんにとって厳しい内容だった。


・・・・・・結果としてイヴの日に妹友ちゃんはお兄さんと結ばれたのだ。

妹ちゃんの苦しい告白はようやく終わった。あたしは震えながら涙を浮かべている妹ちゃんが心底かわいそうだった。同時に好きでもないくせに妹ちゃんからお兄さんを奪い体の関係まで結んだ妹友ちゃんには怒りと嫌悪の気持ちしか抱けなかった。
妹ちゃんにここまで言わせた以上、次はあたしの番だった。

あたしにはおぼろげだけどもう取るべき道が見えていたのだから。
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/11(水) 22:57:19.50 ID:VQBHn/AMo
短いけど酔っているのでこれでおしまい

また明日投下予定です
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/11(水) 22:58:25.10 ID:ocF51fywo
続きが気になって夜しか眠れません!
乙!
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 23:00:49.74 ID:/N9pxZR0o
>>685
十分寝てるじゃねえかwwwww




>>1
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/01/11(水) 23:03:43.60 ID:bDiMdU46o


今更だけど地の文うまいな
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/11(水) 23:04:45.86 ID:39Mpi4efo
乙〜
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 01:09:58.05 ID:T2f0kvvIO
妹と妹友の打ち間違いかなり多いな
がんばれ
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/12(木) 01:14:43.44 ID:AEiysx04o
妹友のイメージ悪くなりそうだな
でも年齢相応の一般的女子の感覚だと思うんだけど
幼稚な打算や甘い駆け引きなんかは

普通に妹友は可愛い
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 08:00:58.83 ID:S3YBLgLIO
ということは初詣で会ったのは委員長の策略だったのか。
委員長こえーよ。

692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/12(木) 21:43:53.31 ID:X+RsRxlyo
あたしの感情は振るえ、そして揺れ混乱した。あたしは必死になって最善の道を模索しようとした。
奇麗事だけではなかった。あたしがしようと考えていることは、あたしが半ば諦めていた幼馴染のあいつを自分に振り向かせることだった。
それはあたしの腕の中で泣きながら震えている妹ちゃんが真に救われる道でもあったけど、正直に言うとやはりその一番の動機は自分自身のためだった。

あたしは長い片想いをもはや宿命のように受け入れていたけど、妹友ちゃんの無節操な恋心や妹ちゃんのお兄さんへの一途な恋によってあたしにも道が開けたのだ。
でも、これを成就させるには妹ちゃんに全てではなくてもある程度の真実を話す必要があった。
正直、この頃には妹友ちゃんへの友情は薄れていたけれど、それでも今まで秘密にしていた彼女の性癖を妹ちゃんに話すのはためらわれた。なにしろ妹ちゃんは現在もその性癖の対象なのだから。

あたしは意を決した。そしてあたしに自分の全てを告白してくれ、まだ身を震わせ泣いている妹ちゃんに話しかけた。

「あのさ」
妹ちゃんは無言のまま涙が残る瞳であたしを見上げた。

「今まで黙っていたけど。あたしもさ、実は彼氏先輩のことが好き」
あたしは思い切って告白した。長年抱いててきた本心を白状するのは妹友ちゃんに告白されて断る時に続いて人生で二度目だった。

妹友ちゃんは少し不思議そうな表情であたしを見上げた。

「知ってるよ?」

「え? 何で妹ちゃんが」
気が付かれていたのだろうか? あたしは少し動揺した。

「だってずいぶん前に妹友ちゃんが話してくれたし・・・・・・あたし、あの時妹友ちゃんにも悪いことしたなって思ったんだけど、それ以上に委員長ちゃんには罪悪感を感じていて」

「ちょっと待って」
あたしは妹ちゃんの言葉を遮った。

「本当に妹友ちゃんから聞いたの?」

「うん」
何を言っているのだろうという表情で妹ちゃんは言った。

・・・・・・あの女。あたしは怒りに震えた。あたしはあの子の同性愛嗜好とか妹ちゃんを好きになったという秘密は全て自分の胸の内に収めてきた。妹友ちゃんの自己中心的な性格に辟易して距離を置
いてからだって彼女の秘密を誰にも言う気はなかったのだ。
それなのに。妹友ちゃんはあっさりと噂話の種にあたしの知られたくない秘密をペラペラ喋っていたと言うのだろうか。
まだ少し迷いの残っていたあたしの気持ちはこれで瞬時に固まった。

「妹ちゃん、本当に言いにくいんだけどさ」
あたしはまだあたしの腕の中にいる妹ちゃんに話し出した。

「妹友ちゃんはあんたのお兄さんのこと全然好きじゃないと思うよ」
妹ちゃんの身体が一瞬震えた。それから怖いほど深い色をたたえた彼女の瞳があたしに向けられた。
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/12(木) 21:46:30.27 ID:X+RsRxlyo
「妹友ちゃんは自分からあいつを奪って行ったあんたに仕返しがしたかったんだろうね」
あたしは話を進めた。

「先輩を奪った妹ちゃんの大切な人を奪ってあんたを苦しめたかった。だから」

「お兄さんはあの子に騙されてるの。それだけでもひどいけど、次はあんたの大事なお兄さんを手ひどく振って苦しませることとか考えてるんじゃないかな」
妹ちゃんは身じろぎもせずあたしの話に聞き入っていた。

「そしてそれがお兄さんを大好きな妹ちゃんを一番苦しめることになるってあの子は知ってる」
あたしは続けた。

「・・・・・・これ以上あんたもあたしももう妹友ちゃんに遠慮しなくていいと思う」

もちろんこれは妹友ちゃんにとってアンフェアなやり方だった。あたしは真実を小出しにして妹ちゃんに伝ええようとしていた。
妹友ちゃんの行動の本当の理由は妹ちゃんへの復讐ではない。

妹友ちゃんがお兄さんと付き合い出したのはお兄さんと妹ちゃんの仲が親密になるのを防ぐためで、妹ちゃんを苦しませることが真の目的ではないことはあたしにはわかっていた。
でもだからどうなのだ。妹友ちゃんの行動が自分本位の恋心から始っていることは確かだし、それが妹ちゃんへの恋から始めたことにしても結果的に今これほどまでに妹ちゃんを苦しめているのは
間違いないのだから。

まだあたしは躊躇していた。妹友ちゃんの行動の真の動機、つまり妹友ちゃんが同性の友人である妹ちゃんを愛しており妹ちゃんを独占したいからだとはあたしには言えなかった。
ここに至ってもまだ妹友ちゃんが同性愛的な嗜好を持っていることを暴露してもいいのかという躊躇もあったし、あたしの話によって弱っている妹ちゃんを更に混乱させたくなかった。
妹友ちゃんがお兄さんを愛していないことだけは事実だったので、あたしは便宜的に妹ちゃんへの復讐という安易な動機を妹ちゃんに伝えることにした。


それからあたしは妹ちゃんを説得することに専念した。妹友ちゃんがある意味自己の欲望に忠実であるなら、妹ちゃんもあたしももう遠慮すべきではないことを必死に説いた。
妹ちゃんはもう自分の心に素直になりお兄さんに対して距離を置くのを止めるべきだ。それが妹友ちゃんに騙されているお兄さんを救う道でもある。
一方あたしもあいつに対して行動を起こそうと思う。これまで臆病だったけど本当にあいつのことを好きな気持ちをもうこれ以上隠せないから。

お兄さんに対する妹友ちゃんの情け容赦ない行動にショックを受けていた妹ちゃんは、ついにあたしの提案に同意した。


それは単純な計画だった。
年内に妹ちゃんが先輩を振って別れる。あいつの妹ちゃんへの執着はあたしもわかっていたしそう簡単にあいつが妹ちゃんを諦めるとは思えなかったけど、これだけはやり遂げなくてはいけない
ことだった。あたしにとっても妹ちゃんにとっても。
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/12(木) 21:49:35.70 ID:X+RsRxlyo
結果だけを話すと、妹ちゃんとあいつは別れた。

妹ちゃんに呼び出されたあいつは待ち合わせのスタバにあたしが一緒にいることに驚いたようだった。

「何でおまえがいるの?」
あいつは混乱した様子で言った。これはあたしにとっては賭けだった。これからしようとしていることを考えるだけで心拍数がヤバイ感じ。
混乱するあいつとドキドキしているあたしを尻目に妹ちゃんはいつものように冷静な表情だった。これから起こることを心配している様子は微塵もなかった。
きっといろいろ吹っ切れたのだろう。あたしの計画に同意するまでは長かったけど一度納得してその気になってしまえばもう迷わないのが妹ちゃんだった。

あたしはあいつに抱きつきあいつの唇にキスした。

「ちょっとおい」
驚いた声であいつはうめいた。妹ちゃんに見られている前であたしに抱きつかれキスされたあいつだけど、あたしを無理に振りほどこうとする様子はなくただ何が起こっているのかわからないで
うろたえているだけのあいつ。

「お願い。あんたのこと好きなの。小さな時からあんたのことだけを見てきた・・・・・・もうこれ以上気持ちを抑えられない」
それは演技でも何でもなくようやく口に出すことができたあたしの真実だった。

「あたしのこと嫌い? 何か言ってよ」
あたし震える声を振り絞った。

「だ、だってよ。いきなりそんな・・・・・・だいたいおまえいつだって俺のことクズとかカスとか呼んでて。俺のこと好きだったってマジかよ」
こいつらしからぬ混乱した声。ひょっとしたら。あたしは希望を抱いた。

「それに俺には妹が」
バツが悪そうに妹ちゃんをようやく気遣うことを思い出したあいつが言った。

「いいよ」
妹ちゃんが静かに言った。

「もう許してあげるよ。先輩が前から委員長ちゃんのこと気にしているのは何となくわかってた」
これは演技? それとも真実なのだろうか。ここまでは事前に打ち合わせなんかしてなかったのに。

「二人とも不器用なんだね。これだけ長い間常に側にいたのにね」
妹ちゃんは言った。その時奇跡が起きた。
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/12(木) 21:50:13.49 ID:X+RsRxlyo
あいつは少しだけ妹ちゃんをじっと見つめたけどすぐにあたしに手を廻してあたしを抱きしめた。

「妹ごめん」
あいつはらしくなく震える声で神妙に言った。

「ごめんな、俺やっと自分の気持ちに気づいた。俺、委員長のことが好きだ」

「・・・・・・うれしい」
あたしはかすれた声をようやく口にした。あたしはついに長い片想いを解消し想いを遂げたのだ。だけど、感傷に浸っている時間はなかった。
あたしはすぐに言葉を継いだ。

「ごめんね、妹ちゃん。今日はこんなこと言うつもりで来たんじゃなかったのに」
涙というものは感情が高ぶれば勝手に出てくるものだとあたしは知った。あたしは今本気で泣いていた。

「いいよ、許してあげる。二人とも」

「妹、本当に悪い」
泣きそうな声であいつが言った。

「先輩、これまでありがとう」
妹ちゃんは静かに微笑んだ。

「じゃあ、あたしは帰るね。お幸せに」
妹ちゃんは席を立った。
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/12(木) 21:53:29.32 ID:X+RsRxlyo
あたしが妹ちゃんの本当の想いを聞きあいつを呼び出し、結果として長い片想いを解消したのはクリスマスの日だった。
妹ちゃんが帰った後、あたしは何も考えずひたすらあいつに甘えた。こんなのあたしのキャラじゃないのに、あいつにキスされ髪を撫でられてただ好きという言葉だけを口にしていた。

でもあいつは受験生だあたしはあいつを適当な時間に家に追い返した。あたしのせいであいつの受験に失敗させる訳にはいかなかったから。
自室で甘い余韻に浸っていたあたしの感傷は、鋭く鳴り響いた携帯の着信音に邪魔された。あいつからかな。
でもその電話は妹ちゃんからだった。

『よかったね、委員長ちゃん』
妹ちゃんは言った。

「ありがとう妹ちゃん。やっとあいつと結ばれたよ」
あたしはきっと蕩けるような声を出していたに違いない。

『うん』
妹ちゃんは続けた。

『今度はあたしから話があるんだけどいい?』

「あ、うん」
正直あたしはもうここで止めたかった。あいつが妹ちゃんではなくてあたしを選んだ。そして妹ちゃんはあいつには未練がない。もうこれでいいのではないか。
でもあたし自身が始めたゲームはこんな都合のいいところで終わってはくれなかった。

『今日ね、久しぶりにお兄ちゃんと会って仲直りした』

「よかったじゃん妹ちゃん」

『でもね、お兄ちゃんはまだ妹友ちゃんのこと気にしてる。あたしとは普通のいい兄妹になろうって』

「そうか」
あたしは気を取り直した。妹友ちゃんが仕掛けたこのゲームに反撃しようと妹ちゃんを誘ったのはもともとあたしだ。自分が想いを遂げたからといってここで止めるわけにはいかなかった。
妹ちゃんとお兄さんが結ばれるまで続けなくてはならないのだ。

『それでね、妹友ちゃんから鎌倉に初詣に行こうって誘われたの。お兄ちゃんと三人で』
ありえる話だった。もともと妹ちゃん狙いの妹友ちゃんがいつまでもお兄さんと二人きりで満足するはずがない。

「じゃあ、あいつの次はお兄さんの目を覚まさそう。お兄さんはまだあんたがあいつと付き合ってると思ってるんでしょ?」
あたしは自分勝手なことに本心ではもうこのゲームをリタイアしたかったけど、さっきあれほど協力してくれた妹ちゃんを突き放すわけにはいかなかった。

「うん。先輩と別れたことはまだ話してない」
妹ちゃんはあたしの次の指示に期待しているようだった。あたしはため息を押し殺し次の作戦を提案した。

「初詣の時にあいつと一緒に同じ場所に行くからさ、お兄さんとあんたはあたしたちが一緒にいるところを目撃して」
あたしは妹ちゃんに指示した。

『わかったけど、そうするとどうなるの?』
妹ちゃんがたずねた。

「あんたは彼氏に浮気された傷心のヒロインになるのよ。お兄さんが見逃せないくらい傷つき助けを求める女の子にね」

『・・・・・・お兄ちゃんには妹友ちゃんがいるんだよ?』
妹ちゃんは疑問を呈した。

『いい兄貴としてあたしを慰めるだけなんじゃ』

「そんなのやってみなきゃわからないよ。まあ、それで駄目でも次の手を考えるからさ。あんたは逐一現在地と到着予想時間をあたしに密かにメールしなよ。できる?」

『うん、やってみる』

元旦の昼、作戦は予定どおり決行されたが想定外の出来事が起きた。あいつにもあたしにも今では関心のないはずの妹友ちゃんがあいつとあたしが寄り添って手を繋いでいるところを目撃し、お兄
さんに怒鳴り散らすくらいにパニックに陥ったというのだ。
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/12(木) 21:54:29.24 ID:X+RsRxlyo
今日はここまで

明日も投下できると思います
もう少しで終了しますので、しばしお付き合いくださると嬉しいです

ではおやすみなさい
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/12(木) 22:10:06.79 ID:UlmIAvYFo
ああ! 気になって夜しか眠れません!
乙!
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage saga]:2012/01/12(木) 22:27:12.04 ID:08TujU7AO
乙!

委員長が同性愛のことバラしてれば兄もきっちり別れただろうに……
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 00:23:09.79 ID:uFi1hGkDO
続きが楽しみだなぁ。
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 01:25:12.78 ID:VvgmJxgEo
楽しみだ乙
妹友はなんというか、不憫
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 02:11:44.45 ID:oTHL238IO
おつ
妹友は子供っぽい
委員長はなんか捻くれてる
妹はふらふらしすぎ
委員長はとりあえず先にアガったけど残り2人どうなる……
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 18:50:34.99 ID:XfzHoYT/o
人によって印象が全然違うのがリアリティあって好きだわ
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/13(金) 22:15:14.86 ID:rO4o6nxQo
その日、参拝を終えたあたしと先輩がファミレスで休憩していると、妹ちゃんからメールが来た。これから電話しても大丈夫かという内容だった。あたしは先輩に断ってトイレに立った。大丈夫だよと返信するとすぐに妹ちゃんから電話がかかってきた。

妹ちゃんとお兄さんは二人きりで車で帰宅する途中食事のためファミレスに立ち寄った。妹ちゃんはそこでトイレに行く振りをしてあたし電話してきたのだ。
あたしたちは二人ともトイレの中で電話をしていたのであまり長く会話を続けるわけにはいかなかった。

妹ちゃんはあたしにとって想定外の報告をした。

『やっぱり委員長ちゃんの言うとおりだったみたい。妹友ちゃん、先輩が委員長ちゃんと手を繋いでるのを見かけてショック受けてた』
淡々と報告する妹ちゃんの声が携帯から響いた。

「え? ショックって」
あたしは一瞬絶句した。妹ちゃんを愛している妹友ちゃんがあたしと先輩のツーショットを見かけたくらいでショックを受けるはずがない。

『やっぱり妹友ちゃんが好きなのはお兄さんじゃなくて先輩だったのね。だからあんなにショックを受けてたんだね』
妹友ちゃんの行動は妹ちゃんにはいろいろ納得できるものだったらしかった。

『お兄ちゃん、妹友ちゃんの言葉に傷ついてた』
妹ちゃんはポツンと言った。それだけでも彼女にとっては許しがたい罪だったのだろう。はっきりと言わなかったけど妹ちゃんの口調には覚悟と言うか、決心のような非常に強い意志の片鱗が感じられた。

『妹友ちゃんは先輩を諦めたけど、先輩を奪ったあたしに復讐するつもりでお兄ちゃんに近づいたんだと思ってたけど』
妹ちゃんは続けた。

『まだ先輩のことを諦めていなかったのね。それでいてあたしのお兄ちゃんを』
あたしがこのゲームを持ちかけた時には、親友の妹友ちゃんを思ってためらっていた頃の妹ちゃんはもうどこにも見当たらなかった。
妹ちゃんの静かな口調の裏には、むしろ自分と自分の大切なお兄さんを引き裂いたばかりか、お兄さんを騙し利用した妹友ちゃんへの剥き出しの憎悪が感じられた。
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/13(金) 22:20:25.50 ID:rO4o6nxQo
・・・・・・何かおかしい。あたしは必死に考えを巡らそうとした。妹友ちゃんのお兄さんへの気持ちについては妹ちゃんの言うとおりで、妹友ちゃんはお兄さんのことは好きではない。
でも、妹友ちゃんがこんなひどいゲームに踏み切ったのは妹ちゃんへの愛情が故だったはずだ。先輩のことを好きな振りをしたのだってそう。つまり妹友ちゃんにとっては先輩もお兄さんも道具に過ぎず、妹友ちゃんの本当の恋愛感情は妹ちゃんに向けられていたはずだった。

あたしと先輩が一緒にいるところを目撃したくらいで妹友ちゃんが取り乱したりするはずはなかった。それも彼女が大好きな(ふりをしている)お兄さんに刺々しい言葉で怒鳴るほどには。
あたしは何か間違えているのだろうか。何か勘違いをしているのだろうか。


『それでね、委員長ちゃんの指示を受けないで勝手にしちゃったんだけど』
妹ちゃんの話は続いていた。

『傷ついたあたしをお兄ちゃんが慰めるって感じじゃなくなっちゃって。むしろお兄ちゃんの方が考え込んでたんで』

「うん」
あたしは返事をした。まだ頭の中は混乱している最中だったけど。

『だから。妹友ちゃんがお兄ちゃんのことを好きじゃなかったことを、先輩を自分から奪ったあたしへの仕返しのためにお兄ちゃんに近づいたことを話しちゃった』

「・・・・・・」
それがいいのか悪いのかあたしには判断できなかった。でも、妹友ちゃんの意図がどうであれ妹ちゃんとお兄さんの仲が接近すればよいのだ。
あたしは気を取り直して妹ちゃんに聞いた。

「それで? お兄さんの反応はどうだった?」

『うん、混乱してはいたけどそんなに傷ついてはいなかったみたい』
妹ちゃんの話によると。お兄さんはこう言ったそうだ。
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/13(金) 22:21:05.13 ID:rO4o6nxQo
「妹友の本当の気持ちを知ってショックだったけど。俺、少しだけほっとしているかも」

「俺さ、妹友の告白にOKしたその日におまえと、その、そういうことをしたわけだけど」

「それって結構罪悪感感じててさ。妹友と一緒にいてもいつも重く心にのしかかってて」

「でも、妹友が俺を利用しているだけだとしたら、そんなに罪悪感感じなくてもいいからさ」

いい反応だった。お兄さんも妹ちゃんのことが好きなのだろう。

とりあえず化粧直しを口実にするにしてもそろそろ限界だった。あたしはまたお兄さんや妹友ちゃん関係で進展があれば連絡するように妹ちゃんに頼み、あいつの待つ席に戻った。
あいつは席に戻ったあたしの手を握りあたしの目を見て微笑んでくれた。あたしは幸せだったけど、何も考えずにただあいつに甘えていることはできなかった。
あたしだけが漁夫の利を得ているのだろうか。あいつの柔らかい視線に抱かれて幸せを感じながらみ、あたしは妹ちゃんとそしてなぜか妹友ちゃんにまで罪悪感を感じた。
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/13(金) 22:24:29.41 ID:rO4o6nxQo
この後の話を語るのは正直気が重い。

結局、妹友ちゃんはお兄さんに初詣の言い訳をしお兄さんはそれを受け入れ妹友ちゃんと復縁した。
それを知らなかった妹ちゃんは先輩と別れた話をお兄さんに伝え、お兄さんに抱きつき甘えた。妹ちゃんはお兄さんが妹友ちゃんとの関係を整理したものだと思い込んでいたそうだ。

妹ちゃんは結局辛い思いをすることになった。お兄さんは妹友ちゃんと別れなかった話を自分に抱きついている妹ちゃんにせざるを得なかったのだ。
お兄さんが妹友ちゃんについて語った言葉を妹ちゃんも受け入れた。妹友ちゃんには微塵も信頼を抱かないようになっていた妹ちゃんだったけど、大好きなお兄さんの判断は受け入れた。

妹友ちゃんは泣きながら本当に好きなのがお兄さんだけ、昔好きだった先輩とあたしのツーショットを目撃してなぜかうろたえただけだとお兄さんに釈明したらしい。そして、結局お兄さんもそれを信じた。仕返しのためだけに処女を捧げる女の子なんているはずないよという意味のことをお兄さんは辛そうに妹ちゃんに話した。

妹ちゃんとお兄さんがこの時点で相思相愛なのは間違いなかった。でも、妹ちゃんによればお兄さんは悪意がない妹友ちゃんを一方的に振れるような人ではないそうだ。
結局あたしが仕掛けたこの騒動で一人きりになってしまったのは妹ちゃんだけだった。
ただ不思議なことに妹ちゃんにはそれほど落ち込んだ様子はなかった。この一連の無意味に思われた騒動で妹ちゃんはお兄さんの自分への想いを確認できたのだろう。結果として妹友ちゃんとお兄さんは付き合い続けているけど、お兄さんが本当に好きなのは自分のことだと確信したのではないか。

こうして1月が終わりカレンダーは2月に入った
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/13(金) 22:25:37.91 ID:rO4o6nxQo
とりあえず4レス投下

風呂飯後、あと数レスは投下できればと思います
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/13(金) 22:39:29.44 ID:b0vfcl+6o
乙乙
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/13(金) 22:40:27.41 ID:XNRtDFQwo
乙〜
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/13(金) 22:40:50.59 ID:7QbS6ox5o
乙!
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/13(金) 23:19:17.27 ID:rO4o6nxQo
妹ちゃんは相変わらず妹友ちゃんと距離を置き、あたしやあたしの知り合いの生徒会系の女の子たちと過ごしていた。妹ちゃんはすぐにあたしのグループの女の子たちをも魅了し彼女は以前からこのグループで過ごしていたかのように自然に馴染んでいた。あたしのグループの子たちは、妹ちゃんがあんなに派手な女の子たちと一緒にいたのは妹ちゃんが可愛いから誘いを断れずにあの子たちと一緒にいたのに違いない、でも軽薄なあの子たちに嫌気がさした妹ちゃんは本来いるべき場所にようやく来たのだと考えているようだった。

あたしの作戦の暗澹とした失敗の後も、妹ちゃんはあたしを責めようとはしなかった。客観的に見ればあたしは妹ちゃんからあいつをただ奪っただけの女だった。あたしたちのグループ内では彼氏がいる子の方が少数派だったからあまり噂になることはなかったけど、妹ちゃんが元いたグループの子たちの間ではあたしと妹ちゃんと先輩の話は相当センセーショナルな噂になっていたようだ。
妹ちゃんから先輩を奪ったあたし。それなのに妹ちゃんはあたしを許してあたしと一緒に行動している。妹ちゃんが元のグループの子たちと距離を置きだしてもなお妹ちゃんを悪く言う子はいなかったみたいだ。

むしろ悪者になったのはあたしだった。略奪愛とか囁かれていたけど、でもあたしにはそのこと自体はそんなに気にならなかった。その頃あたしはあいつと肉体的にも結ばれた。それはあいつの受験が失敗だったことがわかった日だった。あたしはあいつを励まして来年一緒に同じ大学を受験しようと慰めているうちに・・・・・・。
つまりそういう関係になったのだった。

先輩と心身ともに結ばれたあたしは初詣の日以来漠然感じるようになっていた不安と正面から向き合おうと考えた。あたしは最初から妹友ちゃんのことを思い返してみた。
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/13(金) 23:22:47.76 ID:rO4o6nxQo
妹友ちゃんは同性愛者。高校に入学して最初に好きになったのはあたし。その次は妹ちゃん。
ここまでは本人の告白なので間違いはないだろう。

そして妹ちゃんに同性愛者だと悟られて嫌われるのを避けるために、妹友ちゃんは先輩が好きな振りをする。

・・・・・・あくまで振りで嘘なのだ。だから妹ちゃんが信じているように妹友ちゃんが先輩に未練がある可能性はない。

ではなぜあたしと先輩は手を繋いで一緒にいるのを目撃して本気で狼狽したのか。
まだあたしに未練がある? 先輩と結ばれたあたしには正直気持ち悪い想像だった。でもそれはないはずだった。あたしを諦めた妹友ちゃんは妹ちゃんに一目惚れをしたのだから。そのことを告白したあの子の表情に嘘は無かったと思う。

妹友ちゃんがあたしの先輩のことを好きでもないのに好きな振りをしたせいであたしには彼女への偏見があるのだろうか。
あたしは妹友ちゃんのそれまでの行動を忘れることにして、とりあえずあの雨の日にお兄さんと出合ってからの妹友ちゃんの行動を思い起こしてみた。大部分が妹ちゃんからの伝聞だったけど。

雨の日にお兄さんと出会いその夜に妹ちゃんにお兄さんのメアドをねだった妹友ちゃん、病気になったお兄さんを見舞った妹友ちゃん、学園祭にお兄さんを案内しその日のうちにお兄さんに告白した妹友ちゃん、お兄さんと付き合いだした最初のイヴの日にお兄さんのアパートにお泊りした妹友ちゃん。

・・・・・・それは、妹友ちゃんがレズビアンであることを考慮しなければ始めて恋した男の人に夢中になった普通の女の子の姿だった。
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/13(金) 23:28:43.59 ID:rO4o6nxQo
あたしには恐ろしい考えが脳裏に浮かんでいた。
・・・・・・あたしは何かものすごく思い違いをしていたのかもしれない。

一方的に悪者にしていた妹友ちゃん。
勝手に女の子しか好きにならない少数派の子と決め付けていた妹友ちゃん。
妹ちゃんの本当の恋を成就させないために好きでもないお兄さんを誘惑した妹友ちゃん。

その全てが間違いだとしたら?

あたしは震える心を宥めつつ冷静になろうと努めた。あくまで仮の話だ。
妹友ちゃんが本当にお兄さんを好きになったとしたら、今までの妹友ちゃんの行動で説明のつかないのは初詣の時の行動だけだった。
ただ、妹友ちゃんは妹ちゃんのお兄さんへの切なく報われない想いに気がついていたことは間違いない。

あたしはこの辺りでもう確信していたのだろう。

妹友ちゃんはあいつのことは好きではない。
それなのに妹友ちゃんが妹ちゃんとあいつが別れるのを恐れる理由。それはあいつと別れた妹ちゃんの剥き出しの好意がお兄さんに向けられるのを恐れたのだろう。
そこまでは今までもあたしには理解できていた。
でもあたしはひどく考え違いをしていたのかもしれない。校内で妹ちゃんと疎遠になってもあまり気にする様子がなくお兄さんと逢瀬を重ねている妹友ちゃんのことを思い浮かべると。


そう。あたし、妹友ちゃんが初詣事件をきっかけにお兄さんに剥き出しの好意をぶつける妹ちゃんを、お兄さんにを取られることを心配しているのだと考えていた。
でも。実は妹友ちゃんは初詣事件をきかっけけにお兄さんに剥き出しの好意をぶつける妹ちゃんに、お兄さんを盗られることを心配していたのだとしたら。


その場合妹ちゃんはバイセクシャルで本当にお兄さんを愛してしまったということ。妹友ちゃんのお兄さんへの好意は全て真実で、あたしと妹ちゃん、いやあたしは妹友ちゃんの純粋な恋愛をただ邪魔しただけになるのだ。
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/13(金) 23:29:22.67 ID:rO4o6nxQo
本日はここまで

明日また投下します。辛抱強く駄文にお付き合いいただき感謝です
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/01/13(金) 23:39:48.39 ID:o+cCAfwBo
乙っす


>>714の下の方だけど
これだと妹がバイ
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/13(金) 23:40:08.50 ID:XNRtDFQwo
乙です〜

それぞれの理解が深まってゆく過程
それぞれの迷いと不安と憶測が
それぞれの行動の揺れを解き解していくのが

とってもスリリング

高校生と言うにはちょっと思考過程が高度に設定されてるけど
面白いから全ておk

期待して待ってます
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 23:42:19.45 ID:nDKNbr3SO
乙っす

妹がバイなら3Pでみんな幸せ
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/13(金) 23:42:59.15 ID:rO4o6nxQo
>>716
すまんこ
誤字脱字は言うまでもなく矛盾や伏線回収不能等の事態が生じてるのでまことにすいませんが各自脳内補完をお願いしたい。
そのうち機会があれば完全版をどっかにアップしたいですね
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県) [sage]:2012/01/14(土) 03:34:01.27 ID:unfJeeb5o
いもスレは文化
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 21:01:21.58 ID:0mvEX45Yo
あたしの悩みをよそに妹ちゃんはいろいろ吹っ切れたようだった。妹友ちゃんが好きな人が先輩でもお兄さんでもどちらでもいい。
昼休みの中庭で妹ちゃんはそう言った。

「妹友ちゃんが先輩のことの意趣晴らしにお兄ちゃんを利用したのなら妹友ちゃんを許さない」
妹ちゃんの表情は感情に高ぶることもなく冷静だった。

「・・・・・・妹ちゃん」
あたしは彼女の言葉聞くのが辛かった。妹友ちゃんの今度だけはうまく行きそうな恋愛感情を邪魔しているのだから。

「でもね」
妹ちゃんは続けた。

「妹友ちゃんがお兄ちゃんの言うように本当にお兄ちゃんのことを好きだとしても」

「うん」

「あたしはもう遠慮するのをやめたの。無理にお兄ちゃんの気持ちを振り向かせる気はないけど」

あたしは黙った妹ちゃんの言葉の続きを待った。

「お兄ちゃんに妹友ちゃんと別れてとかは言わない。でもお兄ちゃんがあたしを求めるならいつでも」

「ちょ、ちょっと待ってよ」
あたしは口を挟んだ。

「あんたまさか」

妹ちゃんは俯いて赤くなった。

「・・・・・・うん。あたしお兄ちゃんと結ばれたの。後悔はしてないよ」
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 21:02:56.94 ID:0mvEX45Yo
まずい。あたしはその時そう思った。ここまでしてしまった以上今更どうしようもないことはわかっていたけど、せめて事態が悪化しないようにと考えていた矢先だった。
妹友ちゃんのお兄さんへの気持ちが真実だとしたら、あたしは相当ひどいことを彼女にしたことになる。確かに彼女は自己中心的で周囲の迷惑も顧みないし口が軽く気軽に人の秘密を洩らしたりす
る。今のあたしは妹友ちゃんが好きか嫌いかと聞かれたら嫌いだった。それも大嫌いだった。

だからといって妹ちゃんが仕掛けたことがゲームではなく純粋な恋心から来ているものならあたしが邪魔をするなんてもってのほかだった。まして妹友ちゃんを邪魔することによりあたしも長年の片想いを成就させたことだし。

ただひとつ救いだったのは妹ちゃんのお兄さんへの恋心もまた純粋なものだということだった。妹ちゃんはあたしに唆されて妹友ちゃんからお兄さんを取り戻すことにした。でも、妹友ちゃんへの嫌悪と自分の恋の達成を動機として妹ちゃんをアシストしたあたしと違って、妹ちゃんは自分の本心に従って行動しただけなのだ。妹友ちゃんの本当の動機を知っても後悔はしないだろう。
現に、妹友ちゃんが本当にお兄さんのことを好きだとしてももう妹友ちゃんには遠慮しないと明言しているのだから。

あたしは妹友ちゃんへの罪悪感に妹ちゃんを巻き込まないですんだことに少しだけほっとした。いずれにせよもう引き返せなかった。これ以上あたしにできること何もなかった。
仕掛けておいて無責任なようだけど、これまで周りに振り回され流されてきたお兄さんにやっとボールが渡ったのだ。混沌とした事態が急にくっきりとした姿を現し始めていた。
一人の男を巡る二人の女の子の争い。決着はお兄さんがどちらを選ぶかで決まるのだ。
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/14(土) 21:03:35.76 ID:0mvEX45Yo
とりあえず2レス

あとでまた投下しますが投下量は少ないと思います
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 21:08:51.64 ID:KKxa32JSO

ぢっと松
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 21:22:19.76 ID:QyyZTlqDO
もう終盤だなあ
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 22:35:58.03 ID:0mvEX45Yo
兄「ただいま・・・・・・って。おまえ何で玄関に座ってるんだよ」

妹「あ、お兄ちゃん。おかえり」

兄「・・・・・・何やってんの?」

妹「さっきまで立っていたんだけど疲れちゃったから」

兄「はい?」

妹「同じ場所にじっと立ち続けるって結構体力いるんだね」

兄「・・・・・・それ答えになってねえし」

妹「お兄ちゃんを待ってたんだけど、よく考えたら何も立ってることないじゃんって途中で気がついた」

兄「・・・・・・そもそもわざわざ玄関ホールで待つ必要あるの?」

妹「帰ってきたお兄ちゃんに一番早く会える場所だから」

兄「この狭い家の中じゃ1分も変んないだろ(やべえこいつ今日も可愛すぎる)」

妹「これまでずっとずっと待ってたからね」

兄「・・・・・・」

妹「もうほんの少しでも待ちたくないの」

兄「・・・・・・妹」ダキヨセ

妹「なに?」ギュ

兄「風呂入るわ」

妹「うん。もう沸いてるよ」

兄「一緒に入ろう」

妹「・・・・・・誘ってくれないかなって思ってた」

兄(・・・・・・もうこいつと離れては暮らせないな)
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 22:37:37.41 ID:0mvEX45Yo
風呂の中


妹「お兄ちゃん」

兄「うん?」

妹「最近はいつも大学終わるとうちに帰ってきてくれて嬉しいけど」

兄「うん」

妹「アパートには帰らなくていいの?」

兄「別にいいんじゃない? 家賃滞納してるわけじゃないし」

妹「それはそうだけど」

兄「母さんたちの仕事の山を越えるまではここにいるから。そんでおまえが家に一人きりじゃなくなったら、アパートに戻る」

妹「あたしは嬉しいけど・・・・・・家って住んでいないとすぐ汚れちゃうんだよ」

兄「ああ」

妹「・・・・・・じゃあ、明日は土曜日だから掃除しに行く」

兄「別にいいのに」

妹「いいの・・・・・・それとも妹友ちゃんがいるのにまずいかな」

兄「そんなことねえよ。じゃあ、明日一緒に行くか」

妹「うん。たまにはお兄ちゃんのアパートに泊まってもいいね」

兄「あそこで初エッチか・・・・・・って、痛てえよつねるな」

妹「お兄ちゃんのエッチ」

兄「・・・・・・つうかさ、おまえわざとやってる?」

妹「何が?」

兄「おまえが風呂の中で抱きついてくるから当たってるんですけど。胸が」

妹「・・・・・・昨日はおまえは当たるほど無いなって言ってたじゃん」

兄「無いなりに感触がある。おまえ誘ってるだろ」

妹「・・・・・・」

兄「どうした」

妹「・・・・・・ちょっとだけ誘惑してみたかったかも」

兄「その気になっちゃったよ。おまえのせいだからな」

妹「お兄ちゃんが勝手に気分出しちゃったんでしょ。あたしいのせいじゃないよ」

兄「・・・・・・誘惑したくせに」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・風呂上がるか」

妹「うん」

兄「今日はどっちの部屋?」

妹「・・・・・・お兄ちゃんの部屋で」
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 22:39:26.75 ID:0mvEX45Yo
翌朝兄の部屋


兄(腕が重い。痺れて感覚がないくらいだ。こいつすげえ華奢で軽いんだけど)

兄(それでも一晩中腕枕させられると辛いものがあるな)

兄(・・・・・)

兄(でも。これまでこいつはもっと辛かったんだろうな)

兄(腕の一本や二本くらい痺れたってどうでもいいか)

兄(妹・・・・・・)

兄(別に身体の関係ができたからというわけじゃない)

兄(うちの親はどちらも仕事が忙しくて昔から家で子どもたちだけなんてよくあったことだった)

兄(俺は別に寂しくなんかなかったけど、こいつはずっと寂しかったんだ)

兄(唯一そばにいる俺を頼りたくて、繋がりたくて)

兄(それを俺はずっと無視し続けていた。悪気があったわけじゃないけど)

兄(全然兄らしいことしてやれなかったし)

兄(あ、そういやこんなこともあったな)

兄(親の帰りが遅い時には電話のところにいつもお金が置いてあった。だいたい近所のそば屋とかで出前を取って夕食にするんだけど)

兄(まあ、俺はいつも自分の皿を持って部屋にこもって食ってたけどな)

兄(それはともかく、あの時はコンビニで売っているトレカを買いたいけど小遣いは使い果たしてたし、電話のとこの金でトレカ3セット買っちゃったんだよな)

兄(残った金でおにぎり1個だけ買って妹に渡したっけ。母さんが置いておく金を間違えたみたいだって言って)

兄(次の日妹は母さんに文句言うだろうからてっきり母さんに怒られるかと思ったけど)
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 22:42:43.35 ID:0mvEX45Yo
回想

母「何で出前のお皿がないの? 昨日夕食はどうしたのよ。お釣りはどこにあるの」

兄(ドキドキ)

妹「あ、お母さん。昨日はあたしがお兄ちゃんにお願いしてファミレスに連れて行ってもらったの」

兄(え?)

母「ファミレスって・・・・・・中学生と小学生で夜外出したら駄目でしょ!」

妹「・・・・・・ごめんなさい」

母「兄もお兄ちゃんなんだから妹を止めなさいよ」

兄「う、うん」

妹「あたしがお願いしたんだからお兄ちゃんを怒らないで」

兄「・・・・・・(何だこいつ)」

回想終了

兄「今にして思えば、この頃からこいつにここまで想われていたのになあ」

兄「・・・・・・俺って鈍感なんだろうか」

妹「うん。すごく鈍感だと思う」クス

兄「あ、俺声に出してたか」

妹「おはよ、お兄ちゃん」

兄「ああ、おはよ。どの辺りから声に出してた?」

妹「お兄ちゃん、最初は何か考え事してて」

兄「うん」

妹「・・・・・・今にして思えば、ってところから声に出てた」

兄「そうか(恥ずかしいなんてもんじゃねえ)」

妹「お兄ちゃん?」

兄「おまえ俺が中学2年の頃さ、電話のとこに置いてあった食事代使い込んじゃったこと覚えてる?」

妹「うん。お兄ちゃんとのエピソードはほとんど覚えている」

兄「(・・・・・・マジかよ)あんときおにぎり1個しかおまえに渡さなかったじゃん?」

妹「うん、覚えてるよ。あの夜お腹すいて困った」

兄「おまえ何で母さんにチクらなかったの?」

妹「お兄ちゃんトレカ欲しかったんでしょ?」

兄「・・・・・・よく知ってるな」

妹「うん。あたしのお小遣いあげたかったけど、お兄ちゃん絶対受け取らないと思ったから」

兄「・・・・・・」

妹「だからお母さんに嘘ついた」

兄「・・・・・・」
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 22:46:31.52 ID:0mvEX45Yo
妹「お兄ちゃん? どうしたの」

兄「妹・・・・・・愛してる」ギュ

妹「・・・・・・うん」チュ

兄「俺、妹友と話すわ。あいつを傷つけちゃうかもしれないけど、許してもらえないだろうけど」

妹「・・・・・・」

兄「妹友と別れる。だから妹」

妹「・・・・・・」

兄「俺の彼女になってくれるか? 正式に俺と付き合ってくれるか」

妹「・・・・・・はい」

兄「妹・・・・・・」

妹「うれしい・・・・・・お兄ちゃん」

兄「泣くなよ」

妹「泣いてもいいの。うれしい涙だから」

兄「・・・・・・そうだな」
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/14(土) 22:47:28.90 ID:0mvEX45Yo
妹「お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「ちっちゃな時からお兄ちゃんを好きだった」

兄「・・・・・・」ギュ

妹「ずっとお兄ちゃんだけ見てたの」

兄「・・・・・・鈍くてごめんな」

妹「ううん、もういい。こうやってお兄ちゃんに愛してるって言ってもらえて」

兄「愛してるよ」

妹「・・・・・・17年間の片想いがようやく実った」

兄「・・・・・・そうだな」

妹「お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「あたし、まだいろいろこどもかも知れないけど、お兄ちゃんに喜んでもらえるように頑張っていろいろ覚えるから」

兄「・・・・・・うん?(な、何だ?)」

妹「あたしは、その・・・・・・男の人とエッチしたことなかったし」

兄「おいおい・・・・・・別に無理するなよ」

妹「え」

兄「おまえに頑張られたら俺が困るよ。おまえはもう一生俺だけしか知らなくていいよ」

妹「・・・・・・うん」

兄「・・・・・・念のために言っておくけど、俺おまえの体目当てだけじゃねえからな」

妹「・・・・・・わかってるよ。でもそういうのでも喜んでくれた方があたしもうれしい」

兄「妹」ギュ

妹「ねえ」

兄「うん」

妹「お兄ちゃんってその・・・・・・胸とか大きい女の子の方がいい?」

兄「おまえの胸が一番好き」

妹「・・・・・・無理してない?」ジト

兄「してねえよ。つうかおまえわざとやってる?」

妹「お兄ちゃんこそあたしの足に何かぶつかってるけど」クス

兄「じゃあ、もっかい」

妹「・・・・・・いいよ。して」
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/14(土) 22:48:48.24 ID:0mvEX45Yo
本日はおしまい

>>725
既に終盤に入ってます
もうすぐおしまいになる予定

では、またお会いしましょう
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 22:49:50.49 ID:8tewm55oo
乙〜
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 22:56:23.40 ID:soQEiPmdo
乙!
ついにクライマックスか……
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/14(土) 22:56:35.61 ID:SbAoXhUIo

センターの傷が癒された
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 23:00:25.75 ID:Gp8ahMZeo
>>735
お前・・・
来年もあるさ元気だせ
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/14(土) 23:15:36.89 ID:S/5OXtjno
うーん
妹友をどう消化するのか、お手並み拝見
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 00:09:10.86 ID:ARS8cF1IO
妹友は貰って行くんで気にせず続けて
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 07:12:57.98 ID:darQZQO2o
兄がヘタレになりませんように
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/01/15(日) 07:26:03.44 ID:xO1aD6ogo
こんなに妹に胸キュンするのは妹援交以来だな
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/15(日) 07:48:12.45 ID:oe7kCSHoo
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/15(日) 20:27:34.35 ID:e+aIKLKOo
wktk
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 20:48:03.32 ID:3VXZ2tD9o
自宅の玄関ホール


兄「じゃ行こうか」

妹「うん。お兄ちゃん、お昼どうするの」

兄「・・・・・・アパート行く途中で何か食って行こうぜ」

妹「・・・・・・お兄ちゃん?」

兄「う、うん」

妹「まさかと思うけど・・・・・・もしかしてあたしの手料理は食べたくない?」

兄「ば、バカなこと言うなよ。愛する彼女の手料理を食べたくない男なんているわけねえだろうが」ドキドキ

妹「・・・・・・それならいいけど。最近お兄ちゃん外食ばっかりしたがるし」

兄「おまえと外でデートしたいからだよ。言わせんなよ恥ずかしい」

妹「そか。うん、わかった」ニコ

兄「(何とか誤魔化せたか)じゃあ行こうぜ。俺の車でいい?」

妹「うん。お兄ちゃんの軽自動車の方がお兄ちゃんとの距離が近くて好き」

兄「・・・・・・妹(可愛いこと言うな、こいつ)」ダキヨセ

妹「お兄ちゃん・・・・・・」チュ


バタン
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 20:49:36.47 ID:3VXZ2tD9o
兄「・・・・・・え?」

妹「風でドアが開いたみたいだね。お兄ちゃん昨日ちゃんとドア閉めなかったでしょ」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃん?」

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・どうしたの」

兄「妹友」

妹「え」

兄「妹友がドアの前にいた・・・・・・」

妹「うそ」

兄「・・・・・・本当。目が合って・・・・・・おまえと抱き合ってキスしてるとこ見られた」

妹「・・・・・・お兄ちゃん」

兄「ちょ、ちょっと待っててな。走って行っちゃったからとりあえず追いかけるわ」

妹「よしなよ」

兄「・・・・・・え?」

妹「よした方がいいよ、お兄ちゃん」

兄「い、いや。でも」

妹「追いかけて何を話すの?」

兄「・・・・・・それは」

妹「誤解を解く?」

兄「・・・・・・」

妹「もう誤解じゃないじゃん。あたしたち恋人同士になったんでしょ」

兄「そうだよ。でもこのままじゃ妹友が」

妹「こんな時に妹友ちゃんを捕まえて別れ話をするの?」

兄「いや・・・・・・」

妹「それともあれは一時の気の迷いであたしとは何でもない、本当に好きなのは妹友だとかって話すの?」

兄「んなわけねえだろ。とりあえず謝ってだな」

妹「それは妹友ちゃんがそこそこ落ち着いてからの方がよくない?」

兄「・・・・・・・」

妹「・・・・・・行くの?」

兄「・・・・・・いや。おまえの言うとおりかもな」

妹「・・・・・・」

兄「ちょっと車出してくる」

妹「うん・・・・・・」
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 20:50:04.71 ID:3VXZ2tD9o
兄の車の中


妹「お兄ちゃん」

兄「・・・・・・うん」

妹「まだ、引き返せるよ」

兄「何言ってんだよ、おまえ」

妹「今ならまだ妹友ちゃんに謝って、あたしとのことはなかったことにできるよ」

兄「・・・・・・どういう意味だよ」

妹「そのままの意味だよ。あたしはお兄ちゃんのこと大好きだから」

兄「・・・・・・」

妹「お兄ちゃんがそうしたいならあたしもそれでいい。我慢するよ」

兄「・・・・・・ふざけんな」ボソ

妹「え?」

兄「ふざけんなよ、おまえ」

妹「お兄ちゃん・・・・・・」

兄「俺はおまえに惚れてんだよ。おまえが嫌がって逃げたってストーカーみたいに追いかけるくらいに」

妹「・・・・・・」

兄「おまえが嫌がっても抱き寄せてキスする」

妹「・・・・・・うん」

兄「おまえが拒否してもおまえを裸にして・・・・・・え?」

妹「ありがと、お兄ちゃん」ギュ

兄「・・・・・・礼を言うなよ」

妹「そうだね」

兄「2,3日したら妹友に電話するわ」

妹「それがいいと思うよ」

兄「もう俺の決心は決まってるし変ることもないから」

妹「お兄ちゃん?」

兄「うん」

妹「あそこにマックがある」

兄「またマック行くの?」

妹「うん」

兄「・・・・・・わかった」
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/15(日) 20:50:46.70 ID:3VXZ2tD9o
とりあえず3レス投下

書けたらまたあとで投下します

早ければ今週中、遅くても来週中には完結させたい
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/15(日) 20:57:47.02 ID:e+aIKLKOo
毎日 俺がレスすると投下してくれる不思議
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/15(日) 21:02:57.21 ID:21D+eoI0o
しゅ・ら・ば!しゅ・ら・ば!
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 21:15:15.67 ID:Ru32GVwSO
これ修羅場になるかなぁ…
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 21:29:12.85 ID:QajtndRD0
マックでするにはレベル高い修羅場だなwww
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 22:32:41.48 ID:3VXZ2tD9o

「で、妹ちゃんに妹友ちゃんからメールが来たと」
あたしは初めて見たかもしれない妹ちゃんの暗い表情を眺めながら言った。正直に言えばあたしはもう妹ちゃんと妹友ちゃんの恋の争いには参加したくなかったのだけれど、そもそもこれを始めたのがあたしである以上、ここで妹ちゃんを突き放すわけにはいかなかった。

「つまりあんたとお兄さんが無事に結ばれて」
あたしは念を押した。

「その翌日、二人でいちゃいちゃしてるところを妹友ちゃんに目撃されたわけね」

「うん。それでお兄ちゃんが妹友ちゃんに電話とかメールしても全然返事してくれないの」
妹ちゃんは相変わらず俯き加減に答えたけど、何か暗い表情の奥に何と言っていいかお兄さんに愛されている自信のような雰囲気が感じられた。

「それで?」
あたしは妹ちゃんの白く整った顔立ちを眺めながら聞いた。

「それで、昨日妹友ちゃんからあたしにメールが来て」
妹ちゃんはポツリと言った。

「そのメール見せて」
あたしは妹ちゃんに頼んだ。妹ちゃんは自分の携帯を開いて少し操作するとあたしに渡した。


from :妹友
sub  :無題
『お願いだからもうお兄さんに電話もメールもしないように伝えて。すごく迷惑だから。あと、あたしはまだ妹友ちゃんの友だちだと思っているから、あなたが不幸になるのは見過ごせないの』

『近親相姦とか正気じゃないよ。妹ちゃんはお兄さんに性的に弄ばれているとしか思えない』

『妹ちゃんとお兄さんが正気に戻って別れれば何もしない。でもこの警告を無視してこのまま汚い関係を続けるんだったら、みんなに妹ちゃんとお兄さんの仲を言い触らすから。あなたちのことを
思って仕方なくそうするんだからね』

『じゃあ、よく考えて。2、3日は待ってあげるから』
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 22:35:05.27 ID:3VXZ2tD9o
「それで今日がその期限の3日目ってわけか」
あたしは話しながら、妹ちゃんではなく妹友ちゃんのほうに深い憐憫を感じた。初めて成就した恋を邪魔された妹友ちゃん。
このメールからは妹友ちゃんの深い傷心が感じられた。そして、妹友ちゃんをここまで追い詰めたこのゲームを仕掛けたのはあたしなのだ。

「このメールのことお兄さんに話したの?」
あたしは聞いた。

「ううん。お兄ちゃんには言ってない。というかとても話せなかった」
妹ちゃんは答えた。

「お兄さんには黙っていなよ?」
あたしは念を押した。

「あたしが妹友ちゃんと話するから。あんたたちは動いちゃだめだよ?」

「でも・・・・・・委員長ちゃん、いいの?」
細い声で妹ちゃんが尋ねた。あたしはここで本当に腹をくくった。

「いいも何もないよ。そもそもあたしがけしかけたことだから」
その後にそのおかげであたしもあいつと付き合うことになれたんだし、と続けたけどそれはあたしの胸の中だけだった。


今日はこのまま下校すると言う妹ちゃんと別れたあたしは妹友ちゃんにメールした。まだ彼女が校内にいれば反応してくれるだろう。
あたしは妹友ちゃんに放課後に2回も呼び出された1号館の屋上に彼女を呼び出したのだった。
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 22:40:11.35 ID:3VXZ2tD9o
妹友ちゃんからはメールの返信はなかった。でもあたしは夕暮れの屋上でぼんやりと景色を眺めながらたたずんでいた。
この屋上であたしは妹友ちゃんに好きだと告白され、またあたしの片想いの相手を好きななったふりをしたいと妹友ちゃんに頼まれたのだった。先輩と恋人同士になったあたしにはもうずいぶんと昔の話のように感じられた。

もう今日は来ないかな。諦めたあたしが階段に続く鉄の扉に手を伸ばした時、その扉が逆側にゆっくりと開き妹友ちゃんが姿を現した。
・・・・・・やっぱり可愛いな、この子。そんな調子の狂った感想が頭に浮かんだけど、すぐに妹友ちゃんのその可愛らしい外見を裏切る歪んだ表情があたしの目に入った。

「来てくれたんだ」
あたしは妹友ちゃんに話しかけた。

「・・・・・・どうせ妹ちゃんから全部聞いてるんでしょ? 委員長ちゃんは最近妹ちゃんとべったりだもんね」
目を伏せた可愛らしい妹友ちゃんの悪意のある声音。あたしは今までこの可愛い見た目にずっと騙されてきたのだ。

「妹友ちゃんには気の毒だと思うけど」
あたしは切り出した。

「妹ちゃんのお兄さんへの想いは17年越しなんだよ」
この期に及んでもあたしは妹友ちゃんを説得し納得してもらおうと努力したかったのだ。

「あんたの気持ちはすごくわかるよ」
あたしは言った。この時、妹友ちゃんは初めてはっきりとあたしを見た。

「何がわかるの?」
妹友ちゃんは激情を込めた、でも静かな声で応じた。

「どうせ、レズのあたしが妹ちゃんの恋を邪魔してるとか思ってるんでしょ」

「確かにあたしは同性愛者かもしれない」
妹友ちゃんは続けた。

「でもね、あたしにもようやく普通の恋が訪れたんだよ。お兄さんのことを本気で好きになって」
妹友ちゃんの目には涙が浮かんでいた。

「委員長ちゃんはそんなこと考えてもいなかったでしょうね。どうせ妹ちゃんにあたしがお兄さんを騙したと言われたんでしょ」

「違うよ」
あたしは反論した。

「あたしはあんたがお兄さんのこと本気で愛してるってわかってたよ」

「え?」
妹友ちゃんは絶句した。

「あんたが最初にお兄さんに接近した頃からか、お兄さんと付き合っているうちにお兄さんのことを愛してしまったのかはわからないけど」
あたしは呆然としている妹友ちゃんに語りかけた。

「でも、今ではあんたは本気でお兄さんのことを愛してるでしょ? あんたが最初に狙っていた妹ちゃんのことを疎ましく思うようになったくらいに」

妹友ちゃんは少し驚いたようだったけど、すぐにあの嫌な歪んだ微笑を浮かべて話し始めた。その話は長く正直今のあたしには聞きたくないような内容だった。
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 22:41:42.73 ID:3VXZ2tD9o
妹友ちゃん曰く

あたしはこんなことになってもお兄さんと妹ちゃんを救いたいと思っている
あの二人の近親相姦という禁断の関係から

自然界では近親交配は避けられるような生態学的システムができている
それは生物の生存戦略上不利だからであり、文明を築いた人類にも当てはまる真理である

お兄さんと妹ちゃんはこの自然界の摂理に反した行動を取っているため、彼らのことを真に心配している人間がこれを止めてあげなくてはならない。一見すると彼らに意地悪しているようだが真に彼らのことを思えばあたしの取ったこの行動は理解されるだろう

それでも妹ちゃんは言うかもしれない。『お兄ちゃんだから好きになったわけではない。好きになった相手がたまたまお兄ちゃんだったのだと』

だが遺伝子的な側面を別にしても欧米では近親相姦は軽蔑される。なぜなら兄妹の恋愛は外部でもてない同士が手近な兄妹で恋愛の欲求を解消しているものと見做されるからだ。お兄さんと妹ちゃんは恋愛の相手には不自由しないはずで、何もわざわざタブーを犯してまで近親相姦する意味はない

したがって、生物学的・遺伝子学的にも社会学的にもお兄さんと妹ちゃんを別れさせることは正しい


・・・・・・だから、あたしはあの二人の関係をみんなに言い触らす。同級生や先生やご両親にも
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 22:42:47.40 ID:3VXZ2tD9o
・・・・・・もうこれ以上妹友ちゃんの話は聞きたくなかった。彼女の精神のどこかが狂いだしていいるとしか思えなかったから。でもあたしには妹ちゃんを守る義務があった。あたしがけしかけたせいでこんなことになったのだから。本当は妹友ちゃんをここまで追い詰めた責任もあたしにはあるのだけれど、今は妹ちゃんを守ることが最優先事項だった。

「あんたはお兄さんのこと愛してるって言うけどさ」
あたしは反撃を開始した。

「もともとは妹ちゃんが好きだったんでしょ? 妹ちゃんが好きな人がお兄さんだと知ってあんたはお兄さんに接近した」
妹友ちゃんは黙り込んだ

「そんな不純な動機でお兄さんを弄んだあんたがどの面下げて偉そうにあの二人を救うんだとか言えるのよ」
あたしももう必死だったから言葉を選ぶ余裕はなかった。あたしの言葉がどんなに妹友ちゃんを傷つけようが妹ちゃんとお兄さんを守らなければならなかった。
でも妹友ちゃんは全くこたえていなかった。

「そんなことどうでもいいじゃん」
妹友ちゃんは微笑んで言った。

「もうそういうことはどうでもいいでしょ? あたしは二人を救いたいから二人の秘密を皆に話すの」
・・・・・・それは強がり出なく復讐でもなく本心なのだろうか。
あたしはここに至ってついに決心を固めた。
756 :BQ :2012/01/15(日) 22:47:54.93 ID:dk/+/pKB0
キョン「ダァァァァァァァァァァ、お前鬼畜だろ
俺の頭が狂ってもシランぞ

ピンポロピンポロ送信したよ

返信がきたわけだが

はぁばかじゃないの[ピーーー]今からあんた殺しに行くからよろしく

だとよ

どうする>>106
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/15(日) 22:53:11.24 ID:3VXZ2tD9o
「もしあんたが妹ちゃんとお兄さんのことを一言でも誰かに喋ったら・・・・・・」
あたしは静かに微笑みながら言った。自分で考えても嫌な女だったと思うけど。

「・・・・・・どうする気?」
妹友ちゃんは冷静に反応した。彼女はかつてあたしに惚れていたことをもう忘れているのだろう。初めての告白の時のことを。

「あたしはあんたのご両親に、あなたたちのお嬢さんは同性愛者です。あたしも妹友ちゃんに迫られて迷惑してるんですって電話する」
妹友ちゃんの表情が興奮した赤みを帯びた色から蒼白に変った。

「・・・・・・何で、何でそんなこと」
妹友ちゃんはうめくように呟いた。でも、あたしはそれに追い討ちをかけた。

「あと、同級生とか先生とかにも相談する。だってあたしさ、今でも忘れられないほど気持ち悪かったんだよ? あんたに呼び出されて告白されたこと」
・・・・・・あたしは冷静に、というか冷酷に話せていたと思う。最初からそうするつもりだったから。でも胸中は妹友ちゃんへの憐憫と後悔で胸が張り裂けそうだった。

妹友ちゃんは妹ちゃんとお兄さんの秘密を誰にもばらさないこと、お兄さんのことはもう諦めることをあたしに約束した。

あたしの勝利だった。でも少しもうれしい気持ちや勝利感は胸に沸き起こってくれなかった。
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/15(日) 22:55:09.26 ID:3VXZ2tD9o
>>756
誤爆ですか?

今日はこれでおしまい

また、できたら明日投下します
駄文にお付き合い感謝です

おやすみなさい
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/15(日) 22:55:40.34 ID:79OtXPywo
乙〜
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/15(日) 22:56:22.36 ID:R4I0lMTqo
本人の気質で自業自得とは言え、報われないなぁ妹友……
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/15(日) 22:56:55.33 ID:Me5IVE8w0
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/15(日) 22:57:16.45 ID:nnePwAmio
乙した
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/15(日) 22:58:00.73 ID:brkEfilwo
酸素〜

だけど何とか妹友ちゃんも笑顔で終わらせてほしいな
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/15(日) 22:59:33.66 ID:plM0hzp0o
おつ

近親相姦が蔑視されるのは優生思想という危険な考えの表れ
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/01/15(日) 23:14:13.24 ID:IOTg3WXAO
胸が痛い
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 23:33:24.57 ID:darQZQO2o
妹友は自分勝手な事言ってるようにしか聞こえないなぁ
兄はやっと心決めたのか
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 23:39:49.84 ID:Ru32GVwSO
いやいや、好いたの惚れたのは基本的に自分勝手なもんだぜ?
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/15(日) 23:48:07.50 ID:R4I0lMTqo
>>767
それはそうだけど、
私を捨てるなら破滅させる!

の行動の動機が「私を捨てるなんて許さない!」ならまだしも、
「こうするのが相手の為なんだ! 相手の幸せなんだ!」って責任転嫁が見苦しいと言うか身勝手に見えるわけよな
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/15(日) 23:52:39.06 ID:e+aIKLKOo
高校生くらいの時の恋心なんてそんなもんじゃねえかな
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/15(日) 23:59:51.05 ID:oe7kCSHoo
乙!
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/01/16(月) 01:11:40.77 ID:4cgHM++lo
妹と妹友も愛し合っちゃえば3人でうまくいくんじゃね
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 02:07:22.65 ID:d29YvXDDO
なんだかんだで一番ウザいのは委員長
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/16(月) 02:14:41.63 ID:Eb+Z2hiDo
委員長、打算的過ぎ
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/16(月) 02:19:47.32 ID:CgCFLWNz0
委員長は憎まれ役か
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/16(月) 03:19:14.83 ID:CH4/lUiAO
乙です

委員長の汚い部分が自分に被りすぎて
俺は最後に上手く行かないパターンだけど
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/16(月) 07:36:29.62 ID:LBdAEjboo
妹友はめちゃくちゃにしたいだけなんだろうけど
実際、近親でハッピーエンドとは思えないんだよな

このままだと委員長一人勝ちENDか!?
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/16(月) 07:53:00.05 ID:OPQbiKT9o
近親≠ハッピーエンドってのはおかしい
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 07:54:58.04 ID:n9Mo3FaIO
うん。なんかどう進んでもhappy endが見えなくて辛い。ただし委員長だけは安全圏だけど。
とにかく続きを待つしかない
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 08:59:11.88 ID:lbXn68ZIO
近親がハッピーエンドじゃないってまた危険な思想の持ち主だな
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 09:34:19.25 ID:kLdBAK1IO
法律上、結婚は出来ない、以外の制約って無いけどな。
あとは周り人にどう見られるか。

実際のところ、この二つ以外に問題は無いだろ
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/01/16(月) 13:01:35.24 ID:JKUqu0zoo
2人だけで生きるわけじゃないからな
周りの目ってのは想像以上に気になるもんですよ
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/16(月) 18:44:41.48 ID:U0ubl8Lko
そこら辺はまあ社会科学の込み入った話になるので放っておきましょうそうしましょう
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/16(月) 22:34:36.71 ID:mj48c4a7o
妹友ちゃんが階段に続く鉄のドアを開けその小さな姿を消したあと、あたしは妹ちゃんに電話して全てが終わったことを告げた。

「・・・・・・ありがとう」
妹ちゃんは小さな声で言った。

「まあ、けしかけたのはあたしだから」
妹ちゃんはどうやって妹友ちゃんを説得したのか聞かなかったし、あたしにもそれを話す気はなかった。
妹ちゃんとお兄さんの中では、お兄さんを愛していた妹友ちゃんにひどいことをしたという記憶が後味悪く残ってしまうだろう。
妹友ちゃんは妹ちゃんに先輩を盗られた復讐のためにお兄さんを誘惑したんだよ。そう言ってあげれば妹ちゃんとお兄さんの心の負担は軽くなるだろうけど、あたしにはそこまで出来なかった。


最初の動機はどうあれ、妹友ちゃんは本気でお兄さんのことを愛したのだ。もうこれ以上妹友ちゃんを貶すことはできなかった。
あたしには妹友ちゃんの身勝手な行動への嫌悪感がまだ残っている。でもそれ以上に自分が妹友ちゃんにしてしまったことへの罪悪感と後悔の方を今では大きく感じていた。

・・・・・・妹友ちゃんとお兄さん、それにあたしも妹友ちゃんにしたこの仕打ちをずっと後悔しながら生きていくしかないのだろう。
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/16(月) 22:36:34.80 ID:mj48c4a7o
「じゃああとはあんたとお兄さんの問題だから」
あたしは話を切り上げた。

「・・・・・・そうだね」
妹ちゃんがポツンと言った。

「本当にありがとう」

「いいよ、お礼なんか言わなくて。でも」
あたしは少し迷ったけど最後のお節介を口にした。

「実の兄妹で恋人同士でいることって大変だよね。こんなことあたしが言わなくても十分わかってるだろうけどさ」

「・・・・・・うん、わかってる」
妹ちゃんはそう答えた。

「じゃ、あたしはもうあんたとお兄さんの関係には関わらないから。もちろん誰にも言ったりはしないけど」
あたしはふと心配要素を一つ思い出して言葉を続けた。

「あいつにも余計なことは言わせないからね。じゃあ、これであんたとお兄さんのことを忘れて関知しないけど」

「うん」

「でも。本当に・・・・・・本当に辛いことになったら、その時は声かけて」

「・・・・・・え?」

あたしは戸惑っているらしい妹ちゃんに最後に言った。
「その時は、しょうがないからアフターサービスしてあげる。じゃあね」

これであたしが仕掛けたゲームは後味が良くないながらも本当に終わったのだった。
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/16(月) 22:39:18.63 ID:mj48c4a7o
その後、あたしは妹友ちゃんとは口をきくことはなかった。もちろん妹友ちゃんはあたしだけでなく妹ちゃんとも全く関わらないようにしていた。
妹友ちゃんは約束を守って妹ちゃんとお兄さんの関係を暴露することはなかったし、あの日以降お兄さんとも全く会っていないようだった。

あたしは相変わらず妹ちゃんと一緒にいることが多かったけど、妹ちゃんとお兄さんの関係がどうなっているのか聞かなかった。妹ちゃんもお兄さんのことは何も話さなかった。

以前は四六時中お兄さんの話しかしなかった妹ちゃんは、あたしに対してだけではなく誰に対してもお兄さんの話をしなくなったのだった。
それで、妹ちゃんがブラコンだと言う噂はなくなったけど、あたしはよく考えたものだ。

妹ちゃんがお兄さんのことを他人に話さなくなったのは、逆にお兄さんとの仲が進展しているからだろうな。もう気軽に話せるような関係ではないのだろう。
この二人がこの先どうなるのかはもうあたしが心配することではなかったし、もはやあたしにできることはなかったし。

こうして3学期は平穏に過ぎていった。
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/16(月) 22:43:55.33 ID:mj48c4a7o
あたしが最後に妹友ちゃんを見たのは3学期の最終日だった。


・・・・・・妹友ちゃんは家族と一緒に4月から都内に引越しすることになり、都内の私立高校に編入することになったのだ。

あの日以来初めてあたしは妹友ちゃんからメールを貰った。妹友ちゃんが最後に待ち合わせに指定したのは校門の前だった。

ロッカーを整理したのだろう。大きなバッグを肩にさげて現れた妹友ちゃんは、俯きながらあたしに言った。

「・・・・・・あたしが妹ちゃんを好きだったこと、あの子には黙っててくれる?」
全てを失って敗北した妹友ちゃんが最後の日に頼んだことがこれだった。

意味がわからなかった。もうあたしは自分で始めたこの妹友ちゃんを追い詰めるゲームのことを忘れようとしていたのに、何で最後の日になってまでこの子はこんなことを蒸し返すのだろう。
それにあたしは妹友ちゃんの性的嗜好については秘密にするという約束を守るつもりだったから、一時妹友ちゃんが妹ちゃんに抱いていた恋情を妹ちゃんに話す気は全くなかったのだ。

妹友ちゃんは再び話を続けた。
「それで、あたしは先輩を好きだった。そしてあたしから先輩を奪った妹ちゃんに復讐するためにお兄さんを誘惑したって、妹ちゃんには言っておいて」
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/16(月) 22:45:16.82 ID:mj48c4a7o
「え?」
あたしは思わず聞き返した。

「あんたがお兄さんのこと本当に好きだったことは、妹ちゃんたちにもわかってると思うよ」

「・・・・・・だから。あたしはお兄さんのことは本当には好きじゃなかったって言って。もう二度と会えないと思うし。お願い」
妹友ちゃんはあたしの顔を見ないで俯きながら答えた。

「別にいいけど・・・・・・それって何か意味あるの」
あたしは妹友ちゃんに問い質した。

「意味はないかもしれないね」
妹友ちゃんはここで初めてあたしを見た。


「でも、あたしが妹ちゃんを好きだったって妹ちゃんに思われるのは何か悔しい」

「・・・・・・お兄さんを妹ちゃんに盗られたから?」

「それもあるけど・・・・・・」
寂しそうに笑う妹友ちゃんの顔・・・・・・。

あたしは徹底的に妹友ちゃんに嫌われたはずだけど、なぜか妹友ちゃんは最後にあたしに笑いかけた。それはかつてあたしに好きだと告白したあの屋上での妹友ちゃんの恥ずかしそうな微笑みを思い出させた。

「あたしの大好きだったお兄さんにはあたしのことで変な罪悪感を感じて欲しくないから」
だからお願いと妹友ちゃんは再び言って、あとは後ろを振り向くことなくその場から去って行った。




あたしが妹友ちゃんを見たのはこれが最後だった・・・・・・不本意ながらあたしは自分を見失しなうくらいに泣きじゃくった。その後泣いているところを妹ちゃんに発見され慰められつつ、理由を問い質されることになったんだけど。
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/16(月) 22:46:53.53 ID:mj48c4a7o
短いけど今日はおしまいです

あと数レス投下できないことはないんだけど、もう次回くらいで完結しそうなんでまとめて投下した方が読みやすいですし

ではもう完結間近なのでもう少しだけお付き合いください

おやすみさない
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/16(月) 23:01:21.25 ID:mhRwGqMf0
乙。 しかし貴様は焦らしのプロか
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 23:05:32.78 ID:Zdn/eEGSO
妹友ェ…
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/16(月) 23:11:37.35 ID:U0ubl8Lko
おつ
なんかこうもやもやしたわだかまりというか圧迫感というかが
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/16(月) 23:44:03.43 ID:9bRtdyhuo
おっぱい
なんだかみんな幸薄そうだなー
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/16(月) 23:50:44.96 ID:Eb+Z2hiDo
おーつー
よし、委員長と妹友がちょっとageられてた
あとは傷を引きずらない展開になると良いな
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 23:58:09.49 ID:YI7CwAnIO
言っちゃ悪いがなんというか尻窄みな感じ……
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/17(火) 05:05:48.48 ID:JpkQTGWAO
おつおつ
正座してまってます
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/17(火) 07:52:28.58 ID:uorByrgGo
これ結局、兄は妹友に謝罪できてないよな
妹友がメール電話を無視してたのはあるが
直接会おうと思えば会えただろうに
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 13:11:47.02 ID:3MboKgaDO
合い鍵の所在が不明な件
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 15:57:52.29 ID:OA2wBxnR0
追いついた!乙です。

全部ばらしちゃえばみんなすっきりしそうな気がする……
でもそれは妹友は望んでないんだよな。
なんというか……胸が苦しくなると言うか、切なくなると言うか。
少しでもいい方向に進むと嬉しいな。
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/17(火) 22:19:27.56 ID:IpfYatZ3o
あたしには物心ついた頃からお兄ちゃんと二人きりで過ごした記憶がほとんどない。

お母さんはお兄ちゃんを出産した際1年間の育児休業をした後、お兄ちゃんを保育園に預けて仕事に復帰したそうだ。次にあたしたちが生まれた時も最初は同じように育児休業したんだけど、1年後に復業することなく仕事を辞めた。

お母さんはもともとファッション雑誌の編集者だったから、そもそも仕事の時間が不規則で長時間に及ぶ職種だったことに加え、この頃からお父さんも管理職となりこれまでのように育児や家事に協力できなくなった。
そのため二人の子どもを育てて行くには不本意ながら専業主婦として家庭に入るしかなったみたい。

この話はあたしが中学生になってお母さんが再び仕事を始めるまで、繰り返しお母さんから聞かされていた話だった。お母さんは普通に育児と家事をしながら自分の望んでいた仕事に復帰する日を待ち望んでいた。

ともあれあたしとお兄ちゃんが小学生だった頃はいつもお母さんが家にいた。
朝食を用意してこどもたちを学校に送り出し学校から帰るとおかえりと声をかけてくれる。いつも家にお母さんがいたせいなのか、その頃あたしとお兄ちゃんが二人きりで過ごす時間はほとんどなかった。

あたしが小学生でまだ異性とかを意識し始める前は、それでも普通の兄妹として日常的なやりとりはあったと思う。特に仲が良いわけでもないし二人きりで外出したり一緒にゲームをするとかはしなかったけど、特に仲が悪いというわけでもない。
これがきっと普通の兄妹なんだろうなってあたしはその頃から漠然と考えていた。
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/17(火) 22:25:00.30 ID:IpfYatZ3o
小学校も中学年になるとそろそろ早熟な同級生の女の子は男の子の噂を始めるようになったけど、当時のあたしにはまだ全然実感できない話だった。

その頃お兄ちゃんは中学受験をして私立の中高一貫校(それも男子校)に合格した。
その学校は全国的に知名度が高いわけでもなかったけれど、あたしたちが暮らしている県内では上位に入る学校で偏差値もそれなりに高かった。

その中学の制服は胸に金のエンブレムが刺繍された普通のブレザーだったけど、近所の公立中学のようにジャージ姿で登校している男子たちに比べるとその制服に身を包んだお兄ちゃんはすごく大人びて格好よく思えた。
あたしは制服姿のお兄ちゃんを間近にすると胸がときめいてお兄ちゃんの顔を直視できなかったことを今でもよく覚えている。


お兄ちゃんの学校は電車で1時間以上通学に時間がかかったので、お兄ちゃんとはこれまで以上に話をすることはなくなった。
同時にお母さんがもといた会社より大分小さな出版社に入社することが決まり、我が家は再び両親が共に多忙な共稼ぎ家庭に戻った。


あたしはもともと家事は苦手ではなかったので(ただし料理は除く)、仕事が忙しいお母さんに代わって掃除とか洗濯を引き受けるようになった。
家事自体は負担ではなかったけれど、帰宅後、家で一人きりで過ごすのは気が滅入った。
家事をしている間は気が紛れるのでまだよかったけど、一通り家事が終わるとあとは食事して寝るだけだ。食事は大概近所の大衆食堂とかおそば屋さんの出前かコンビニのお弁当だった。

お兄ちゃんは片道1時間半かけて学校から家に戻ると、自分の分の夕食を持って部屋に篭もってしまうようになっていた。
学校でパソコン部に入部したお兄さんは、お母さんを言いくるめて自室に自分専用のパソコンを買ってもらいインターネット回線まで繋げてしまったのだ。


多分滅多に帰宅しないか帰宅しても深夜になる両親となかなか会えないあたしは、寂びしかったせいか帰宅した制服姿のお兄ちゃんに会うのがその頃の唯一の楽しみだった。
帰宅してもあたしにはろくに口をきいてくれないお兄ちゃんと会えるこの短い時間をあたしは心待ちにするようになった。

お兄ちゃんが自分の鍵で自宅の玄関を開けている音を聞きつけると、掃除していても洗濯していてもとりあえず玄関ホールに行き、その床を掃除する振りをしながらドアを開けるお兄ちゃんにおかえりなさいと声をかけた。
おにいちゃんもただいまともそもそ口にするだけ。それでもそれだけが変化に乏しい自宅で過ごしているあたしにとっては唯一と言っていい楽しみになっていた。
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/17(火) 22:27:57.04 ID:IpfYatZ3o
お兄ちゃんがお風呂から出て自分の夕食をトレイに乗せて自分の部屋に戻ってしまってからは、あたしは毎晩手持ち無沙汰だった。高校生になった時あたしが友人から無口だねとかって言われたりすることになるのもこの頃一人で過ごしていた夜の影響かもしれない。一人で喋るわけには行かなかったから、あたしは広いリビングでぽつんとソファに座って毎晩テレビを見た。
毎晩それを続けていたせいであたしはテレビ中毒みたいになってしまった。見ていて決して面白いわけではないんだけど、静かな部屋に耐え切れない気持ちもあった。


小学校も高学年になると男の子の噂をする子たちが増えてきて、あたしも、誰か好きな子いるの? と友だちに聞かれることがあった。そのたびに、よくわかんないとかいないよとか返事をしていたのだけど、そのうちにそう聞かれるたびにお兄ちゃんの制服姿が思い浮かぶようになって来た。
最初は自宅では一人きりなので寂しいのだろうと思っていた。寂しいから唯一同じ家の中にいるお兄ちゃんのことを恋しく思うのだろうと。


たまに両親が家で過ごす晩をあたしはすごく楽しみにしていたのだけど、お兄ちゃんは両親がそろっている時でも自室で過ごすのを止めようとはしなかった。
両親が揃ったリビングで久しぶりに声を出して会話をする楽しみも、そのうちに何だかそんなに楽しく思えなくなってきた。

せっかく久しぶりに家族が一緒に過ごしているのに何でお兄ちゃんはリビングにいてくれないんだろう。
その頃になると夜自宅でいる時だけではなく、昼間学校で過ごしている時もお兄ちゃんの姿が胸の中に現れるようになっていた。


優しくもなく特に格好よくもないお兄ちゃん
普段ろくに口をきいてくれないお兄ちゃん



あたしはこの頃ようやくお兄ちゃんへの恋を自覚したのだった。
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/17(火) 22:30:16.76 ID:IpfYatZ3o
お父さんとお母さんがあたしにも中学受験をするよう勧めてくれたけど、あたしはそれを断った。お兄ちゃんが受験していた頃と違って今の我が家は両親不在と言ってもいい状態だった。こんな中で家事をこなしながら受験勉強ができるとは思えなかったし、何よりお兄ちゃんが男子校にいる以上あたしがわざわざ中学受験する意味はなかったし。

近所の公立中学校に進学したあたしにも、好きだとか付き合ってくださいとか告白してくる男子がいた。中には大人びて見えた先輩もいたし同級生の普段は騒がしい男の子もいたけど、あたしには興味がなかった。いつも告白した男の子とお兄ちゃんを瞬時に比べてしまい、その心の中の競争にお兄ちゃんが負けることはなかったのだ。
こうして中学3年間を彼氏ができることなく、またお兄ちゃんとの仲が改善されることもなく過ごしたあたしも人並みに高校受験しそこそこの偏差値の第一志望の高校に入学した。

同時にお兄ちゃんも地元の国立大学に現役合格した。お兄ちゃんの学校では中くらいの成績だったお兄ちゃんは東京の国立大学や有名私立大学を志望することさえせず、お兄ちゃんらしく地元の国大を専願し無事に合格したのだった。
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/17(火) 22:47:11.25 ID:IpfYatZ3o
高校生になるとあたしはお兄ちゃんへの恋心をはっきりと自覚するようになった。他人から見ればスポーツもせず部屋にこもってゲームに熱中している大学生に過ぎないかもしれないし、あたしだってお兄ちゃんの良さを説明しろと言われてもうまく説明できなかったと思う。

でも理屈じゃなかった。幼い頃から特に親しいわけでもないお兄ちゃんしかあたしの目には入らなくなっていた。ただ、同時にお兄ちゃんがあたしのことを全く女性として意識していないこともわかっていたし、万一この恋が成就しても兄妹間の恋愛という世間一般では不毛とされる関係であることも理解するようになっていた。

高校入学後の生活は、変化の少ない生活を過ごしてきたあたしとっては、めまぐるしい生活となった。

新しい友達。

・・・・・・そして、お兄ちゃんへの不毛な片想いに疲れたあたしが、お兄ちゃんを忘れようとして初めて男の人の告白に応えたあの日。

先輩は見た目は乱暴だったし我がままだったけど、本当はすごく繊細で優しい人だった。それでも、付き合い出してからもあたしは先輩に本心から心を許したことはなかったと思う。
・・・・・・そして身体も。

お兄ちゃんのことを忘れるためには、もっと先輩と深い仲になった方がいい。あたしは何度もそう考えたけど、そうできなかった。

一つには常にいつかは先輩を傷つけるのではないかという不安があたしの中にあったこと。
それから自分でもバカみたいだったけど、万一奇蹟がおきてあたしがお兄ちゃんと結ばれる時に、あたしはお兄ちゃんが初めての男性であって欲しかったのだ。



・・・・・・自分でも予想だにしなかった。途中いろいろあったけど、高校2年の冬。あたしはお兄ちゃんと結ばれたのだ。
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/17(火) 22:48:49.03 ID:IpfYatZ3o
今日はおしまいです

予定どおり今週中には終われそうです

それではまた投下します

おやすみなさい
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/17(火) 22:49:08.22 ID:moFPAgnjo
乙した
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/17(火) 22:51:44.14 ID:4chOYh2so
乙〜
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/17(火) 22:55:24.74 ID:UJN76pJqo
おつ〜
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/17(火) 22:57:39.16 ID:HiYl3Sqbo
おつやま
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/17(火) 23:08:10.26 ID:KN+lT97Vo
乙乙です
ついにキタ、妹視点。でもなんか心が痛い・・・・
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 23:38:41.89 ID:2rTScmuJo

妹死ぬほど欲しくなるな
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 23:50:12.22 ID:sE2vkYYDO
やはり妹だなー
心が痛いが
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 00:05:16.64 ID:+wc+APWq0
乙です
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 00:05:54.15 ID:+wc+APWq0
乙です
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/18(水) 22:00:36.79 ID:/yleCiHto
前兆みたいなことはあった。相変わらず両親不在の夜、あたしは先輩に呼び出され遊びに行く支度をしていた。

先輩と付き合い出してから、あたしはよく夜に外出するようになっていた。両親は不在でそれを咎めることはなかったし、お兄ちゃんはあたしが外出しようがリビングで黙ってテレビを見ていようがどちらでもいいようだった。

今までずっと一人で夜を過ごしてきたしそれに慣れてもいたけど、一度夜先輩や友だちと一緒に騒ぐ楽しさを覚えるとやはりそれは一人でテレビを見ているよりは気が晴れた。
何よりお兄ちゃんを忘れようとして先輩と付き合ったのに、それも妹友ちゃんや委員長ちゃんの想いを壊してまでそうしたのに、夜家にいるとお兄ちゃんのことを忘れることができなかったから。


お兄ちゃんがこもっている2階の部屋のドアがたまに開く音がすると、あたしはびくっとして少し期待して階段を眺める。お兄ちゃんがリビングに来るのかもしれない。

お兄ちゃんは飲み物を取りにあたしのいるリビングを通ってキッチンに向かう時もある。そしてお兄ちゃんがあたしの横を黙って通り過ぎると、あたしは溜めていた息を吐き出してやっぱり一言も口をきいてくれなかったなと落胆する。

こんなことをしていたらお兄ちゃんのことを忘れるどころではなかった。それであたしは自分から言い出すことはなかったけど、先輩や女の子たちに誘われればなるべく夜の街での遊びに付き合うようにした。

お兄ちゃんはあたしが夜出かけても全く気にしていなかったし。
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/18(水) 22:03:13.88 ID:/yleCiHto
ところがその日は違った。

先日どういうわけか早めに帰宅したお母さんより遅く家に帰ったことを、お母さんに見咎められて注意されたばかりのあたしはお兄ちゃんに口止めをしておこうと思った。
あたしは最近覚えた薄い化粧を手早くして服を着替え、キッチンでカップ麺でも作っていたお兄ちゃん話しかけた。

「ねえ」

「え、まだいたのおまえ」
出かけたと思っていたあたしに話しかけられたお兄ちゃんは少し驚いたように言った。

「行ってくるから」
あたしはお兄ちゃんに断ったけど、お兄ちゃんの反応は冷たいというか無関心そのものだった。

「今夜出かけるのお母さんたちに内緒にしてね?」
あたしはお兄ちゃんに念を押した。

「しつこいな、わかったって」
少しいらいらしたようなお兄ちゃんの返事。

「・・・・・・うん」
あたしは答えたけどその時、お兄ちゃんのこれまでは全く見せたことのない態度に気がついた。
お兄ちゃんが、あたしの顔や身体をじっと見詰めていたのだ。
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/18(水) 22:05:50.44 ID:/yleCiHto
「お兄ちゃん?」
少し不安になったあたしは反射的にVネックのセーターの胸元を手で押さえた。あたしの顔は赤くなっていたかもしれない。とりあえず動悸は経験したことがないほど早くなっていた。
あたしはそれでも気を取り直した。そろそろ行かないと遅くなってしまう。


「・・・・・・じゃ、行ってくるね」
その時、お兄ちゃんがぽつんと口にした言葉をあたしは多分一生忘れないだろう。

「おまえさ・・・・・・男と夜遊びはいいけど、ほどほどに付き合えよ」

あたしのことを心配しているの?
瞬時にあたしの心に何か暖かく優しい気持ちが溢れたけど、お兄ちゃんの言葉を素直に喜ぶにはこれまでの無関心な兄妹の期間が長すぎた。

「・・・・・・何で?」
あたしはどきどきしながら聞き返した。

「今まであたしにそんなこと言ったことなかったじゃん」

「今のなし! いいから早く行けよ」
お兄ちゃんも心なしか顔を赤くし慌てたように言った。



その時の話はそれで終わった。そしてその夜は最悪だった。先輩の話を聞き流してさっきのお兄ちゃんの視線と言葉の意味をかみ締め続けていたあたしに、先輩は何か不穏なものを感じたのだろう。
いつにもまして先輩の態度が酷かったため、引き止める先輩の手を振り払いあたしは家に帰ることにした。
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/18(水) 22:07:43.11 ID:/yleCiHto
次にあたしがお兄ちゃんの気まぐれな好意に悩まされたのは、その翌日だった。

その日は突然に雨が振り出して、傘を持っていなかったあたしは妹友ちゃんの傘に入れてもらいながら校舎を出て街中に向かっていた。


・・・・・お兄ちゃんが校門の前に車を止めて待っているのを見つけた時。

その時はあたしのこれまでの人生で一番幸福ででも心が混乱し自分がどう行動しているのか何を喋っているのかその時には全くわからないほど、頭の中が真っ白に輝いてあたしの思考は停止していた。


「窓あけて」
あたしは夢遊病者のようにお兄ちゃんの車のフロントガラスを叩いていた。

「お兄ちゃん、ここで何してるの」
あたしの口から勝手に周りの子たち、彼氏とも仲のいい子たちに配慮した言葉が口から出ていた。

「へ? 何っておまえを迎えに」
お兄ちゃんは言った。

「キャー。妹いいなあ。車でお迎えが来るんだあ」
ただでさえ真っ白なあたしの頭を混乱させる無責任な女の子たちのからかう声。

「何でわざわざ校門の前の目立つところで車止めてるの? っていうかあたし迎えなんて頼んでないよね」
あたしは何を言っているのだろう。落ち着いてありがとうお兄ちゃんって微笑んで、助手席に入りさえすればいいのに。

「母さんが迎えに行けって。おまえ、母さんからメール来てねえの」

「知らない、そんなこと。いいから帰ってよ」

「だっておまえ傘」

「友達に入れてもらってるから大丈夫。早くここからいなくなって、お願いだから」
お兄ちゃんは黙ってしまった。


17年間生きてきて初めてのお兄ちゃんのお迎え。
17年間生きてきて初めてお兄ちゃんと二人きりのドライブ。
何であたしは素直にお兄ちゃんの車に乗り込めないのだろう


「妹ちゃん、浮気?」「修羅場か?」「彼氏先輩に言いつけちゃうよ」「きゃははははは」
再び面白がっているでも悪気のない嬌声が聞こえて来る。


もう駄目だ。ここまで最悪な態度を示してしまった以上、これからいそいそとお兄ちゃんの車の助手席に乗り込むわけには行かなかった。
17年間で初めて訪れたお兄ちゃんと親しくなるチャンスをあたしは自分で潰してしまったのだ。
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/18(水) 22:09:15.85 ID:/yleCiHto
「じゃあ、あたしもう行くから」
あたしは外見は平静に、でも心中は声をあげて泣きたくなるような気持ちで言った。

「おい」
あたしの気のせいかお兄ちゃんは少し慌てたように声を出した。

「妹ちゃん、知り合いなの?」
それまであたしをからかう子たちの中に入らず、静かに様子を見守っていた妹友ちゃんがあたしに話しかけてきた。

「・・・・・・うん。お兄ちゃ、兄貴。お母さんに言われて迎えに来たんだって」
あたしは答えた。

「じゃあ、お兄さんに悪いし今日は帰ったら?」
・・・・・・あたしはまるで救世主のような妹友ちゃんの言葉にうなずきたかったけど、半ばパニックになっていたあたしは自分で始めたわけのわからない演技を続けてしまった。

「ううん。気にしなくていいの妹友ちゃん。それに、今日のカラオケって彼氏先輩も待ってるし」
あたしは心にもないことを言った。

「先輩にはあたしから説明しておくから。せっかくお迎えに来てくれたんでしょ? お兄さんに悪いよ。一緒に車で帰れば?」


「・・・・・・じゃあ、あたし少し寄って行くところがあるから」
あたしはお兄ちゃんに言った。本当はこんなことが話したいんじゃなかったのに。


お兄ちゃん、迎えに来てくれてありがとう。
帰りに夕食を買いたいんでコンビニに寄ってくれる? それともファミレスとかにする?

一緒に帰れば口に出していたかもしれない言葉がほんの一瞬だけ心をかすって行った。


「え? 一緒に帰らねえの」
お兄ちゃんは困惑したように言った。

「お母さんにはご飯までには帰るって言っておいて」
あたしはそれに追い討ちをかけてしまったのだ。

「え・・・・・・え?」

「じゃ、行こ。遅くなっちゃうし」
あたしは妹友ちゃんに言うとそのまま後ろを見ずに妹ちゃんの傘の下から駆け出した。
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/18(水) 22:18:15.73 ID:/yleCiHto
その夜のカラオケの様子なんて全く覚えていない。ひたすら考えていたのはお兄ちゃんが始めて示してくれたあたしへの関心や優しさ、そしてそれに対して考えうる限り最悪の態度を取ってしまった自分についてだった。

あたしはお兄ちゃんのことを諦めようとしていたけど、お兄ちゃんにこんな些細な好意を示されただけで動揺するほどお兄ちゃんのことをまだ想い続けていたんだ。
冷静に考えればただお母さんに言い使ったお兄ちゃんがいやいやあたしを迎えに来ただけかもしれないけど、それでもこんなことは初めてだった。
あたしはこれ以上この騒がしい場所にいることが耐えられなくなった。早く帰ってお兄ちゃんに今日の態度を謝ろう。たとえお兄ちゃんが許してくれなくても再び無関心な関係に戻ってしまうにしても。



しつこくあたしを引き止める先輩を上手に宥めて、あたしをカラオケの出口に連れて行ってくれたのは妹友ちゃんだった。あたしは妹友ちゃんにお礼を言った。
その時、妹友ちゃんが気軽な口調であたしに言った。

「あのさ、よかったらお兄さんのメアド教えてもらってもいい?」
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/18(水) 22:20:04.61 ID:/yleCiHto
短いけど今日は投下終了

今週中には終わると言いましたけど、一日の投下量がこの程度だと難しいかもしれません

それでは駄文にお付き合い感謝です

できればまた明日再開したいと思います
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage saga]:2012/01/18(水) 22:24:23.01 ID:jimEM5OAO
おつつん!
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/18(水) 22:25:19.18 ID:fUPI3orz0
たのむ、、今週中に何とか終わらせてくれまいか、、、
テストが、、テストが、、、、
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/18(水) 22:26:57.22 ID:VvYEC+iCo
乙〜
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/18(水) 22:29:09.54 ID:93v9K10do
乙乙。
日増しに心の痛みが・・・・。妹のモノローグまじ破壊力抜群
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 23:00:57.53 ID:9A4z6ObSO
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 23:04:13.07 ID:yBKalctDO
完結させてくれるなら待ってる
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/19(木) 21:20:29.96 ID:5b3z4PZMo
再開しますけど投下ペース遅いです。あとレス数も少ないと思います。
今日の投下を終えるときにはその旨レスしますけど。

と言うわけで今週中の完結はどうなるのか自分でもわかりません

では再開
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/19(木) 21:21:08.95 ID:5b3z4PZMo
その夜何とか先輩たちを振り切って帰宅したあたしは真っ先にお兄ちゃんの部屋に向かった。こんな時間の帰宅をお母さんに叱られることは覚悟していたけれど、あたしが家に着いた時にはどういうわけかお母さんは家にはいなかった。

お兄ちゃんにさっきの酷い態度を謝ること。そして・・・・・・嫌な予感がするし正直気が進まないけれど妹友ちゃんに約束したとおりお兄ちゃんのメアドを教えてよいか聞くこと。
あたしはそれだけを考えてお兄ちゃんの部屋をノックした。


いつものようにパソコンの前に座ってゲームをしているお兄ちゃんはあたしが謝ってもそれを受け入れようとしてくれなかった。


「わざわざ車出しておまえを迎えに行った俺がバカだったよ。母さんにも文句言おうと思ったら出かけちゃうし」

「謝るくらいならさっきの態度を何とかしたら? そんなに俺と兄妹だって思われるのが恥ずかしいのか」


お兄ちゃんの冷たい言葉にあたしは萎縮し声がだんだん出なくなっていった。言い訳していてもお兄ちゃんから声が小さくて聞こえねえよなんて責められるほど。

あたしが悪いんだ。大勢の女の子たちの前でお兄ちゃんに恥をかかせお兄ちゃんを傷つけた。

お兄ちゃんが迎えに来てくれて本当は嬉しかったけど、恥ずかしくてついあんな態度をとってしまってごめんなさい。
こんな簡単な言葉をあたしは口に出来なかった。こんなことを言ったらお兄ちゃんに対するあたしの気持ちが伝わってしまうかもしれない。
普通の恋愛なら相手に気持ちが伝わるところから始るのだろうけど、実のお兄ちゃんに向けられたあたしの恋にはそんな贅沢な選択肢は許されていなかった。

お兄ちゃんがあたしの気持ちに気づいてしまったら、実の兄に恋愛感情を抱いている妹のことを気持ち悪いと感じるかもしれない。そうなったら今までの無関心なだけの関係が更に悪化してしまう。あたしにはそれが怖かった。
なので、あたしには、さっきは彼氏の知り合いがいっぱいいたからお迎えが来たことが先輩に知られて嫉妬されるのが怖かったということを、もそもそと言い訳するしかなかったのだ。

それは自分で考えても意味不明な言い訳だった。彼氏に嫉妬される? 普通の彼氏はお兄さんには嫉妬しない。これではまるであたしがお兄さんのことを男性として見ていることを仄めかしているようだった。幸いお兄ちゃんはそこまで考えずにいたって普通に反論した。

「誤解って・・・・・・兄貴って言えば済む話だろ」

その言葉はあたしの心に突き刺さったけど、あたしにはもう一つお兄ちゃんに言うことがあったので、お兄ちゃんに許してもらうことを半ば諦め無理に話を変えた。


・・・・・・あたしの友だちの妹友ちゃんにお兄ちゃんのメアド教えていい?
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/19(木) 21:40:19.84 ID:5b3z4PZMo
好きにすれば?

関心のなさそうな声でお兄ちゃんが言った。
本当に妹友ちゃんに関心がないなら嬉しかったのだけど、お兄ちゃんの目が何となくいつもより輝いていることにあたしは気がついてしまった。
お兄ちゃんに今日のことを責められていた時よりさらに重苦しい気分であたしは答えた。

「教えてもいいんだ・・・・・・うん。じゃあ、教えるね」

「ああ」
お兄ちゃんは少し動揺しているみたい。

「じゃあ。今日はごめん」
最後にあたしが謝ると、お兄ちゃんはあたしを許してくれた。

「もう、いいよ。じゃあな」


お兄ちゃんは妹友ちゃんに関心があるのだろうか。
あんなに冷たい態度だったお兄ちゃんが、妹友ちゃんがお兄ちゃんのメアドを知りたがったということを聞いただけで、明らかに態度が柔らかくなってあたしのことも許してくれた。
許してくれたのはいいけど、手放しで喜べるようなことではなかった。


今しないと二度と出来なくなってしまうかもしれない。部屋に戻ったあたしは携帯電話を開き、妹もちゃんにメールした。本文に何か書く気力もなかったのでただお兄ちゃんのメアドだけを記して。

重いい気分を持て余し気味にあたしがベッドに入ったその時、携帯電話が鳴りメールの到着を告げた。
妹友ちゃんかな。正直あたしには妹友ちゃんのメールを見る気分ではなかったけど、そのままにしておくのも気になってあたしはメールを見た。


from :お母さん
sub  :無題
『もう寝ちゃった? お母さんはしばらく家に帰れないからね。電話のところに3万円置いてあるからそれで食事とか必要な物を買って。あと今朝お母さんがお兄ちゃんを起こしたら、お母さんよりあんたに起こされる方がいいって言ってたからしばらくはあんたがお兄ちゃんを起こしなさい。いいわよね?』


あたしは呆然とお母さんのメールを眺めていた。これまであたしの心をしつこく苛んでいた暗い気分が一気に晴れたようだった。


『お母さんよりあんたに起こされる方がいいって言ってたから』
それから10回くらいメールのその部分を繰り返し読んだあたしははっと気がつき毛布に潜り込んだ。明日は遅刻できない。いや当分は夜遊びもやめないとお兄ちゃんを起こせないかもしれない。


お兄ちゃんがあたしに起こしてもらいたがっている。すぐに寝ないといけないと考えても、そのことに興奮したあたしの頭は変に冴えてしまい、結局はほとんど眠れない状態で朝を迎えたのだった。
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/19(木) 21:41:00.89 ID:5b3z4PZMo
ここまでsageて投下してしまった

次からageます
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/19(木) 21:46:32.12 ID:vEj24+Eto
乙〜
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/19(木) 21:54:16.05 ID:5b3z4PZMo
次の朝、あたしはきちんと身支度をしてからお兄ちゃんの部屋に行きドアをノックした。返事がないのは予想どおりだったので、ドアを開けてお兄ちゃんの部屋に入った。


「いい加減に起きてよ」
あたしはお兄ちゃんに朝堂々と声をかけられる喜びを隠して眠っているお兄ちゃんに声をかけた。

「今日も大学行かないの」
お兄ちゃんは目を開けたけど何が起こっているのかわからない様子で最初はあたしのことをお母さんと間違えていた。


あたしだとわかるとお兄ちゃんは少し慌てたみたいだった。
「何でおまえが俺を起こしてるんだよ」

「これからはあたしがお兄ちゃんを起こすんだって」
あたしはお母さんのメールを説明した。

「まあ、ありがとな。起こしてくれて」ケホケホ
少しやり取りした後ようやく納得したお兄ちゃんはありがとうって言ってくれた。
あたしが平静を装うのももう限界で、あたしはついにっこりと微笑んでしまった。


その時あたしはお兄ちゃんの様子がおかしいことに気がついた。顔が真っ赤だし、咳きもしている。
お兄ちゃんは風邪をひいたらしかった。今日は平日だったけどこれではお兄ちゃんは大学に行けないだろう。
そして、あたしもその時すぐにあたしがしなければいけないこと、あたしが本当にしたいことをすることに決めた。

今日は学校を休んでお兄ちゃんを看病しよう。お兄ちゃんと一緒に過ごそう。
昨日までの鬱が嘘のようにあたしは浮き浮きとしていた。
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/19(木) 21:54:40.03 ID:M1hFy1Kxo
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/19(木) 22:17:34.45 ID:5b3z4PZMo
お兄ちゃんの熱は相当高いようだった。あたしは少し悩んだけど思い切ってお兄ちゃんの額に手を当ててみた。熱を測るまでもなく相当高熱みたいだ。
しばらくしてお兄ちゃんはそのまま寝込んでしまった。

その間あたしはおかゆを作った。正直に言うと料理が下手なあたしには作り方さえ知らなかったので、リビングのパソコンでおかゆの作り方を検索するところから始めなければならなかった。
何とかおかゆを作り上げたけど、お兄ちゃんはずっと眠り続けていた。


夕方、お兄ちゃんの部屋から人が動いているような気配というか振動のような揺れを感じたあたしは、お兄ちゃんの部屋に向かった。お兄ちゃんが目を覚ましたのかもしれない。

「お兄ちゃん起きた? 入るよ」
ドアの前で声をかけたあたしが部屋に入ると、どういうわけかすごく慌てた様子のお兄ちゃんが毛布に包まって赤い顔であたしを見上げた。

よほど熱が高いのだろうけど、何か後ろめたい表情でもあった。
あたしはおにいちゃんの何か慌てている様子には構わず、お兄ちゃんの額に手を当てた。

「少しは熱下がった?」
相変わらず熱っぽいお兄ちゃんの体温があたしの手に伝わりなぜかあたしは少し動悸が早くなった。

「・・・・・・全然下がってないね。お兄ちゃん? ・・・・・・大丈夫?」

「大丈夫、だと思う」
あんまり大丈夫な様子はなかったけどお兄ちゃんはそう答えた。

「インフルエンザの季節じゃないのに、相当熱高いみたい。はい、熱測って」

「熱測っておくから何か食べるもの持ってきてくれないかな?」
お兄ちゃんはそう言った。よかった。おかゆはもう用意してるので暖めればすぐにお兄ちゃんに食べてもらえる。

あたしはキッチンでおかゆを暖めお兄ちゃんの部屋にそれを運んだ。
お兄ちゃんの体温は38.9度だった。これでは明日も大学は休まないといけないだろう。あたしも高校を休もう。
あたしがそう決めた時、あたしの携帯が鳴った。
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/19(木) 22:31:45.13 ID:5b3z4PZMo
電話は先輩からだった。

『今日はおまえ学校休んでたけど、夜は来れるんだろ?』
先輩はなぜか強気な口調であたしに言った。多分周りに取り巻きの子たちがいるのだろう。先輩はあたしと二人きりの時は弱気であたしの機嫌をとろうとするけど、周りに人の目がある時はうって変わって強気なところを見せようとする。この頃にはあたしにももう先輩のそういう性格がわかっていた。

「急用が出来ちゃって家を離れられないんだ。悪いけど、今日はキャンセルしていい?」
あたしは先輩に言った。先輩は一瞬黙り込みそれからいきなり怒鳴り始めた。

『浮気してんのかよ。誰だよおまえと一緒にいる奴は』

「・・・・・・違うよ、浮気とかじゃないって」
あたしは先輩に言い返した。

次の先輩の言葉はあたしには決して許せないもので、でも核心を突いていた言葉だった。
あたしは先輩の怒鳴り声がお兄ちゃんに聞こえたのか心配だった。
『・・・・・・兄貴か。またおまえのクズの兄貴なんだな!  おまえの兄貴って妹以外に話ができる女がいねんのかよ。クズの童貞が!』

「冗談でもそんなこと」
あたしの声は少し震えていたかもしれない。それは先輩を恐れたのではなくお兄ちゃんに聞こえなかったかを恐れたのと、あと、お兄ちゃんへの誹謗中傷はともかく結局この先輩が言っている事実、つまり彼氏よりお兄ちゃんを優先していると言うことは事実だったからだ。

あたしはやはりお兄ちゃんへの気持ちが忘れられない。先輩と付き合ってもやはりお兄ちゃんのことを忘れることはできなかったのだ。

先輩は怒鳴るだけ怒鳴って一方的に電話を切ってしまった。あたしは気まずい思い出お兄ちゃんの方を見た。お兄ちゃんには先輩の声は聞こえなかったようだ。それならお兄ちゃんはあたしとか先輩とのトラブルなんて無関心だろう。あたしは気を取り直してお兄ちゃんにおかゆを勧めた。

その時。お兄ちゃんが信じられないようなことを口にした。
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/19(木) 22:44:09.60 ID:5b3z4PZMo
「おまえさ、彼氏のとこ行ってくれば?」


「え?」
一瞬あたしにはお兄ちゃんが何を言っているのかわからなかった。
お兄ちゃんはあたしのことなんか関心がない。ましてあたしと先輩の関係なんかもっとどうでもいいと思っていることは間違いないはずだった。
では何で?


「どうせ今夜も母さんたち遅くなるんだろ?」
お兄ちゃんは続けた。

「さっき電話があって今日は二人とも会社で泊まりだって」
とりあえずあたしは何とか平静を装った。

「行ってこいよ。彼氏と飯でも食ってきたら。男の誤解も解けるだろうし」
お兄ちゃんは何を言っているのだろう?

「あんな言い方じゃそれは疑われるよ」
冷静に話すお兄ちゃんの声

信じられないことにお兄ちゃんはあたしと先輩の仲を本気で心配しているようだった。
正直、あたしは先輩のとことに行く気は全くなかった。それよりむしろ看病と言う名目でお兄ちゃんの部屋で寝るまでお兄ちゃんと一緒に過ごせないかと考えていたのだ。

でもお兄ちゃんがあたしのことを心配してアドバイスしてくれている。これまでそんなことをあたしに言ったことなんか一度もなかったのに。
もちろんお兄ちゃんへのあたしの恋愛が届き始めたと言うことでは全然なく、疎遠だった兄妹がようやく普通の兄妹の関係になり始めたということに過ぎないのだけれど。

あたしはお兄ちゃんのアドバイスどおりにしようと決めた。心中は複雑だった。本心では先輩のことなんて放っておいてこのままお兄ちゃんと話していたかったけど、せっかく好転の兆しが見えたあたしたち兄妹の関係を潰してしまうのもいやだった。

「・・・・・・ありがと」
あたしは呟いた。

「ああ」
お兄ちゃんはあたしに微笑んだ。

「じゃ、行って来る」
あたしは後ろ髪を引かれるような思いでおにいちゃんの部屋を出て、先輩たちの待つからカラオケボックスに向かった。
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/19(木) 22:46:03.23 ID:5b3z4PZMo
gdgdな投下になっちゃってすいません
今日はおしまいです

・・・・・・これやはりこのペースだと今週中の完結は厳しそう

ではお付き合いありがとうございました。

また明日投下します

おやすみなさい
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 22:51:27.04 ID:Lmx5ycqIO
おつ
このまま語って終わりなのかはたまた何かが起きるのか…
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/19(木) 22:51:38.20 ID:vEj24+Eto
今度こそ乙〜
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 23:01:25.39 ID:zLRmgJwDO

俺は妹属性だったらしい…
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/19(木) 23:02:52.16 ID:OHgnpzjGo
乙乙です
ぶっちゃけ無理に今週中に終わる必要はないと思うんだな
いつまでも妹ちゃんの語りを聞いていたい気分だ
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/19(木) 23:05:55.51 ID:uuLHGuIbo
おつやまさん
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/19(木) 23:50:05.22 ID:ZoMG4DAfo
乙でした〜
変に期限なんか課さないで、マイペースでやってください

妹ちゃんモノローグ、淡く切なく一途で良いです
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/20(金) 21:37:40.73 ID:Ohn7E77eo
再開します

いろいろ考えたんですけど、方針を変更して妹視点のモノローグをもう少しきっちり書くことにしました。
そんなに引っ張るつもりはないけど、今週中には間違いなく終わりません。
終わる終わる詐欺ですいません。

あと、尻つぼみに感じた人もいるかもだけど謎解き部分はもう終了していますのでこれ以上は何も新しい謎解きはありません
妹視点を少し引っ張る理由はその方が妹が可愛く感じられるかもしれないから。
これは所詮いもスレなんで

今日も投下量少ないです
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/20(金) 21:40:03.87 ID:Ohn7E77eo
その夜、あたしは先輩と過ごしながらずっとお兄ちゃんのことを考えていた。

お兄ちゃんがあたしと彼との仲を心配してくれた。お兄ちゃんを恋する立場から言えばそれは最悪な出来事だと思うのが普通だ。好きな人があたしの恋愛を応援するということは逆に言えばあたし
に恋愛感情がないということ。お兄ちゃんはあたしの彼に嫉妬したのではない。

だけど、彼との仲をお兄ちゃんが心配するということだけでもあたしにとってはすごく嬉しい進歩だった。今までお兄ちゃんはあたしに全く関心がなかったのだから。
あたしはお兄ちゃんの態度について考えることに一生懸命没頭していたせいで、先輩を置き去りにしたようだった。

「・・・・・・俺の話聞いてるの? おまえ」
先輩は途中で話をやめ、面白くなさそうに言った。今夜は二人きりだったせいで、周囲の取り巻きにいいところを見せる必要がないので、先輩も敢えて乱暴な態度を示すことはなかった。

「ちょっと考えごとしてた。ごめんね」
あたしは答えた。

「まあ、おまえが他の男と遊びに行ったんじゃねえことはわかったよ」
先輩は気を取り直して話を続けた。

「おまえの兄貴が病気で家には誰もいないってこともわかったけどよ」

「うん」

「・・・・・・やっぱり、それって浮気の一種なんじゃねえの」
先輩は少し寂びそうに言った。

「だから他の男の人とは会ってないよ」
あたしは少しイライラして答えた。何度同じ話を蒸し返すつもりなんだろう。

「だから、そうじゃなくてよ。おまえが兄貴と一緒にいたいっていう気持ちが、精神的な浮気なんじゃねえのか」
先輩はそう言いながらも少しも怒っている様子ではなかった。
あたしは反論しようとしたけど、できなかった。

・・・・・・先輩の言うとおりだと自分にもわかっていたから。

「じゃあ、今日は帰るか」
先輩はレシートを掴んで席を立った。

「え?」

「送ってくよ。兄貴のことが心配なんだろ」
先輩は静かに言った。決して怒っている風でもなく、ただ少し寂しげに。
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/20(金) 21:43:05.23 ID:Ohn7E77eo
11時過ぎ、家の前まで送ってくれた先輩にさよならのキスをした(それはいつもの習慣だった)あたしは、家に入ると真っ先にお兄ちゃんの部屋に向かった。

部屋は明かりは既に落ちており、お兄ちゃんは寝ているようだった。
あたしはとりあえずお兄ちゃんの熱が下がったか調べようと、寝ているお兄ちゃんの額に手を当てた。
・・・・・・少し下がったようだけど相変わらず熱は下がりきっていないようだ。

その時お兄ちゃんが身じろぎした。
「おかえり」

お兄ちゃんが寝ているものと思い込んでいたあたしは思わず小さく悲鳴を上げた。

「どした?」
お兄ちゃんが落ち着いた声でたずねた。

「おきてたの? お兄ちゃん」
まだドキドキしている胸を必死で静めながらあたしは聞いた。

「おまえの手が冷たくておきた」

「熱さがったかなって思って。ごめん」

「何でそこで謝る」
お兄ちゃんが言った。

「おこしちゃったから。じゃあ、おやすみ」
あたしがお兄ちゃんの部屋を出ようとしたその時だった。

「・・・・・・どうだった」

「? 何が?」

「彼氏と仲直りできたのか?」
お兄ちゃんはやっぱりあたしのことを心配してくれている。気にかけてくれている。
ひょっとしたらさっきの優しさは気まぐれなんじゃないかとも思ったけど、あたしの帰宅直後にそう聞いてくれるほど、あたしのことを考えていてくれたのだ。
繰り返すようだけどそれはもちろんあたしへの恋愛的な意味ではなく兄妹的な優しさだ。
でも、それだけでもあたしはすごく嬉しかった。

「あ、悪い。余計なこと聞いたわ。今の忘れていいよ」
お兄ちゃんは慌てたように言い繕ったけど、あたしは構わず答えた。

「お兄ちゃんが病気だってことは信じてもらえた」

「・・・・・・そう。よかったな」
お兄ちゃんはぼそっと言った。

「でも、浮気じゃないってことは信じてもらえなかった」

「はぁ?」

「精神的な浮気じゃないかって」

「・・・・・・俺にはよくわからん。結局仲直りしたの? しなかったの?」

「よくわかんない」
・・・・・・実際にはすごくよく理解できていたのだけど、それはお兄ちゃんにだけは話せないことだった。

「そうか」
考えるのを諦めたようにお兄ちゃんが言った。

「・・・・・・おかゆ、食べてないね。まだ食べられない?」
あたしはおかゆが手付かずのまま残されているのを見て尋ねた。

「そのままにしといて。後で食べるから」
もちろんこんな冷めたおかゆをお兄ちゃんに食べさせるわけにはいかない。

「冷めちゃったから片付けるね。お腹空いたらまた作るから」
あたしはおかゆの乗ったトレイを片付けようとした。

「こんな時間だからもう寝たら? 明日は学校行くんだろ」
お兄ちゃんが言った。

「だって・・・・・・」
あたしはお兄ちゃんの風邪が治るまではずっとお兄ちゃんの看病をするつもりだった。

「俺は平気だから。熱も下がってきたし」
あたしは落胆のあまり泣きそうだったけど、病気のお兄ちゃん相手にわがままを言うわけにもいかなかった。

「わかった。じゃあ、おやすみ」

「ああ」
お兄ちゃんは短く答えると再び目をつぶった。
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/20(金) 21:43:59.04 ID:Ohn7E77eo
とりあえず2レス投下

風呂飯後、また数レス投下します
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 21:52:12.05 ID:5a6YdkTIO
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/20(金) 22:04:01.95 ID:jQOedtnDo


妹ちゃんモノローグ
これだけ独立させてもいいくらいだね

風呂上がり投下もいいけど、湯冷めするなよ〜
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 22:10:49.91 ID:TPGfJXGDO
妹モノローグもっとしっかりとか俺得
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/20(金) 22:13:47.27 ID:O2Iul1H40
>>850
横浜へいへーいwwwwwwwwww
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/20(金) 22:25:38.97 ID:Ohn7E77eo
次の日の放課後、あたしは妹友ちゃんを連れてお兄ちゃんが寝ている自宅に帰った。

正直に言うと、妹友ちゃんのお兄ちゃんへの関心はすごくあたしを不安定にした。アドレスを教えるだけでもすごく辛かったし、ましてお兄ちゃんのお見舞いをしたいと暗に持ちかけてくる妹友ちゃんの頼み方も気に障った。

でも、あたしには前科がある。妹友ちゃんの気持ちを知りながらそれを無視して先輩を奪ったこと。
その負い目を考えるとあたしには妹友ちゃんを突き放すことは出来なかったし、妹友ちゃんもそれを承知であたしにいろいろ言ってきている感じもしていた。


「妹友ちゃん、うちのお兄ちゃんのこと好きなの?」
あたしがついに我慢できずにそう聞くと妹友ちゃんは待っていたかのように恥ずかしそうな笑顔を浮かべて答えた。

「わかんないけど・・・・・・何か気なるっていうか」

「そうか。先輩のこと吹っ切れた?」
あたしにはそれが気になっていた。

「うん」
妹友ちゃんはすぐに答えた。この言葉には嘘はないのだろうと何となくあたしは感じた。

「妹ちゃんと先輩のツーショットを見ているのって正直辛かったけど、でも今は気にならない」
・・・・・・考えすぎかもしれないけど、妹友ちゃんがあたしに貸しを返せと言っているように思えてあたしは黙り込んだ。

「自分でもよくわかんないんだけど、今は妹ちゃんのお兄さんのことが気になる」
妹友ちゃんははっきりとそう続けた。

「・・・・・・今日、うちに来る?」
あたしは負けた。

「いいの?」
妹友ちゃんは白白しくにっこりとしながらあたしに聞き返した。
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/20(金) 22:28:22.89 ID:Ohn7E77eo
「本当にいいの?」
妹友ちゃんはどういうわけか、家に上がる前に再び繰り返した。
妹友ちゃんらしくなく緊張している様子に嘘はないようだ。あたしは胸が痛くなった。

お兄ちゃんに会うのに緊張している妹友ちゃん・・・・・・妹友ちゃんは本当にお兄ちゃんが好きなのかもしれない。
でもそれが本当の恋愛感情で、お兄ちゃんもその感情を受け入れるのならあたしはそれを応援しなければいけない。お兄ちゃんにあたしへの恋愛感情がない以上、お兄ちゃんのことを本当に愛する子がいてお兄ちゃんもそれを受け入れたのなら。


「うん。平気だよ。お見舞いに行くってメールしたんでしょ」
あたしは妹友ちゃんに言った。

「でも。来てもいいとかって言われてないし」
さっきまでの図々しい様子は全くなく、今では妹友ちゃんは本気でおどおどしているようだった。

「大丈夫だよ。さ、あがって。お兄ちゃんの部屋2階だから」

「妹ちゃん」
妹友ちゃんが慌てたように言った。

「何?」

「お兄さんに会う前に妹ちゃんの部屋に行ってもいい?」

「いいけど・・・・・・どうしたの」

「心の準備をしたいっていうか」
あたしはその時初めてお兄ちゃんのことを気にしている妹友ちゃんに心から微笑みかけることができた。

あたしの友だちにはお兄ちゃんはあまり評判が良くなかった。偶然お兄ちゃんを見かけた子たちは、妹ちゃんが夢中になるほどイケメンじゃないじゃん、むしろオタっぽいよとかって言われたりもした。そのお兄ちゃんに会うのに妹友ちゃんが緊張している。妹友ちゃんにお兄ちゃんを盗られるという気持ちとは矛盾しているけど、あたしには妹友ちゃんの心の動きが嬉しかった。

「何言ってるの。たかがお兄ちゃんに会うくらいで」
あたしは妹友ちゃんを優しくからかった。
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/20(金) 22:30:06.91 ID:Ohn7E77eo
その日は妹友ちゃんと廊下で出くわしたお兄ちゃんが突然廊下で倒れてしまったせいで、妹友ちゃんはお兄ちゃんは大して話が出来なかったようだ。
廊下で寝てしまったお兄ちゃんをベッドに運ぼうとしたけど(不本意ながら妹友ちゃんの助けも借りて)、当然ながら女の子二人の力では眠りこけているお兄ちゃんを動かすことはできなかった。

あたしはお兄ちゃんに布団をかけてお兄ちゃんのすぐ横に座った。お兄ちゃんに何かあるといけないのでお兄ちゃんが起きるまでは側についているつもりだった。

「今日はお兄ちゃんが目を覚ますまでここにいなきゃいけないんで」
あたしは妹友ちゃんに言った。

「うん。お兄さんお大事にね」
妹友ちゃんは意外にもあっさりと言い、自宅に帰っていった。

しばらくしお兄ちゃんが目を覚ました。何が起きたのか理解できていないお兄ちゃんに説明しながらあたしはお兄ちゃんの額に手を当てた。この頃になるともうお兄ちゃんの額に直接触れることは恥ずかしくなくなっていた。

「・・・・・・風呂入ってねえし汗かいてるし手汚れるぞ」
お兄ちゃんが言った。

「熱、全然ないね。さっき何で突然倒れちゃったの?」

「さあ」

「お兄ちゃん?」

「あ、ああ。熱なさそうだしシャワー浴びるわ」

「うん」

「おまえ今日は出かけねえの?」

「彼氏から電話ないし。お母さんたちも今日は帰ってくるし」

「そう」

「明日休日でよかったね」
明日は土曜日だからお兄ちゃんと一緒にいられるはずだったけど、あたしは学園祭の準備で休日登校しなければならなかった。

「まあな。あ、あのさ」
お兄ちゃんがぼそっと言った。

「うん」






「いろいろありがとな。看病とか雑炊とかさ」

「・・・・・・別に」
あたしにはそう答えるのが精一杯だった。普通の兄妹なら何と言うこともない言葉だろうけど、あたしにはすごく大きな意味を持った言葉だった。無関心な兄妹の仲がここ数日でこんなに接近したのだ。あたしは幸福感に酔いつぶれそうでそれ以上の言葉が出なかった。

「おまえも風邪ひいた? 何か顔赤いぞ」
あたしの気も知らずにお兄ちゃんは呑気に言った。

「何でもないよ」
ようやくあたしはそれだけ答えた。
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/20(金) 22:31:17.55 ID:Ohn7E77eo
今日はここまで。

土日は仕事がないので投下予定です

では明日再開します

おやすみなさい
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/20(金) 22:35:59.93 ID:jQOedtnDo
さんそ〜
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/20(金) 22:40:52.48 ID:V/L2qd1Vo
乙〜
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/21(土) 00:18:09.47 ID:6sqzcNc1o
おつ
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 01:07:39.83 ID:79NzRwLIO
尻つぼみ…だと…
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/01/21(土) 01:19:34.56 ID:9H1DsqKoo
おつ

妹彼氏とキスしまくってたのか・・・
なんかやだなあ
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/21(土) 15:29:22.54 ID:gps4upcpo
先輩には心も体も許してなかったといいつつ
キスはしてるあたりなんだかなあって感じ
クリスマスまで兄との関係が変化せず先輩と続いてたら
処女上げてんじゃないかと思うわ

あと終盤だとは言っているがこのスレに収まるのだろうか
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/21(土) 16:32:35.15 ID:eluEyCu/o
忘れるために付き合ってるから、そこらまではがんばるんじゃないかね。嫌でも。
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 18:00:37.82 ID:dAui9sOIO
身体は許してもキスは絶対NGってかなりいるんだけどな…
彼女ら曰く、キスは心まで許せる相手じゃないと無理、だそうだ
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/21(土) 18:05:19.56 ID:X8XFhYdAo
ちょっと言ってる意味がわかりませんね
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 18:20:57.60 ID:qngjCvrSO
それは少女漫画で得た知識かね
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/21(土) 18:32:31.60 ID:bgHUD4Hgo
それぞれの価値観だろうな
風俗嬢でも、キスは本命のみって奴もいるし
逆に軽いキスは挨拶って思ってる奴もいるし
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 21:22:45.01 ID:Fm8w6/Rho
翌日の土曜日、学園祭の準備登校していたあたしはパンフレットの校正作業もうわの空でお兄ちゃんがあたしにかけてくれた言葉を思い出していた。



「行ってこいよ。彼氏と飯でも食ってきたら。男の誤解も解けるだろうし」

「彼氏と仲直りできたのか?」

「・・・・・・そう。よかったな」

「いろいろありがとな。看病とか雑炊とかさ」



こんな何でもない言葉を何度も心の中で反芻しているなんて滑稽でバカみたい。誰かに知られたらそれこそ呆れられるだろう。
でもあたしにとってはすごく大切な言葉だった。優しい言葉というだけなら友だちからも先輩からも両親からもかけてもらっているけど、幼い頃からあたしの一番近くにいたお兄ちゃん、それでいてあたしに無関心だったお兄ちゃんが初めてあたしに言ってくれたことだったから。

あたしはお兄ちゃんを忘れようとして先輩の告白を受け入れ先輩と付き合うようになったのだけれど、まだこんな何気ない言葉をお兄ちゃんからかけてもらうだけでこれほど高揚し、動揺し、幸福感に満たされる自分のことを考えると、お兄ちゃんのことを忘れることなんて本当にできるのかしらと、いつも考えていた疑問が更に強くあたしを苛んだ。

・・・・・・それでもあたしはまだ甘い幻想を抱いてはいなかった。お兄ちゃんがあたしに大して恋愛感情がない以上、お兄ちゃんとの仲は改善しても普通の兄妹どまりだ。あたしはそのことについては何の期待もしていなかったのだ。だから先輩と別れる気もないし、いつかは先輩がお兄ちゃんのことを忘れさせてくれるのではないかということもまだ期待していた。
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 21:25:34.44 ID:Fm8w6/Rho
いろいろと思いにふけっていると突然携帯が鳴り出した。着信を確認するとお母さんからだった。

今日もお母さん帰ってこないのかな。あたしはそう考えながら携帯を開いた。いつもなら受けたくない電話、受けるだけでまた今夜も一人かと重苦しい感情だけをもたらすお母さんからの電話だったけど、今日は家にお兄ちゃんがいるせいだろうか。今のあたしにはお母さんに帰ってきて欲しくない気持ちが先立っていたようだった。

『もしもし? お母さんだけど』

「うん。今日も遅いの?」
あたしはいつもと違ってつい期待を込めた声で返事をしてしまったようだ。

『うん? 遅い方がいいの?』
お母さんは少し面食らった様子で言った。

「そんなわけないじゃん」
あたしは取り繕った。幸いなことにそれ以上お母さんからの追求はなかった。

『ていうかお母さん今日は休みだもん。今だって家にいるよ』

「そうだった」
そういえば今朝はお母さんが朝食を用意して送り出してくれたんだった。

「で、何?」

『結構ひどい雨になってきたからさ』
お母さんは言った。

『兄に車で迎えに行かせるからね。そろそろそっちも終わるんでしょ?』

え? あたしは一瞬息を呑んだ。
・・・・・・お兄ちゃんがまた車であたしを迎えに来てくれる?


『どしたの? 何か友だちと約束でもあった?』
お母さんののんびりとした声が聞こえ、あたしは我に返った。

「ない・・・・・・ないよ。もう少しで準備も終わるし」
それは嘘だった。まだ校正は30分以上はかかりそうだったから。でもあたしはこのチャンスを失いたくなかった。

『そう。じゃあちょうどいいわ。20分くらいでお兄ちゃんも校門のところに行けると思うから』

「わかった」
あたしは電話を切ったあと、急いで校正を再開しようとした。なにせ時間がもうない。
・・・・・・あと、20分。
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 21:28:52.62 ID:Fm8w6/Rho
その時、教室の反対側で作業をしていたはずの妹友ちゃんがあたしの方を見つめていることに気がついた。
あたしが妹友ちゃんの視線に気がついたのを知って、彼女はあたしの側に寄ってきた。

「妹ちゃん、何かまずい電話だった?」

「え? 何で」
あたしは冷静を装って答えた。

「だって、真っ赤になってすごく慌ててる様子だったし。いつも落ち着いている妹ちゃんらしくないもん」
妹友ちゃんは言った。

「あたし慌ててないよ?」
あたしは反論した。

「慌ててたよ」
妹友ちゃんも譲らなかった。

「お家からの電話? もしかしてお兄さん具合良くないの?」
その時の妹友ちゃんの顔には、お兄ちゃんの具合を真剣に心配している表情が浮かんでいた。
それであたしもさっきの電話のことを適当に誤魔化すことが出来なくなってしまった。

「違うよ。お母さんから電話で今日結構雨降ってるからお兄ちゃんが車で迎えにくるんだって」
あたしは冷静に見えるように努めながら言った。

「あ、そうなんだ。お兄さんもうよくなったんだね」
妹友ちゃんは安心した様子で言った。

「うん。ありがとね、妹友ちゃん」
あたしは心底からお礼を言った。彼女がお兄ちゃんを心配してくれているのは本当だろうから。
でも、妹友ちゃんの次の言葉を聞いてあたしはまた憂鬱になった。こんなことを考えるのは妹友ちゃんには悪いのだけれど。

「雨かあ。そういや今朝降ってなかったから傘忘れちゃったな」
あたしと妹友ちゃんはどちらか一方が傘を忘れてきた時は、一つの傘に入って一緒に帰る仲だった。遠回りになっても傘を持っている方が持っていない方の自宅まで送る。

あたしは内心溜息をついたけど、これは迷うまでもないことだった。

「妹友ちゃんも一緒にお兄ちゃんの車に乗って行きなよ」
あたしは言った。

「もう仕事終わるんでしょ」

「でも、いいの?」
妹友ちゃんは遠慮している様子だった。

「別にいいよ」
あたしは答えた。

「妹友ちゃんの家って帰る途中じゃん」

「ありがとう。じゃあお言葉に甘えるね」
妹友ちゃんはそう言って学園祭のポスター作成作業に戻っていった。あたしは気を取り直してお母さんに電話した。
乗ったことはないけど、お兄ちゃんの軽自動車は後部座席がすごく狭そうだった。そんなところに妹友ちゃんを座らせるのも可哀想だし。
あたしはお母さんに、お兄ちゃんがお父さんの車で来てくれるように頼んだ。
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/21(土) 21:29:47.40 ID:Fm8w6/Rho
とりあえず3レス投下

またあとで再開します。
というか万が一このスレで完結しなかったらどうしよう
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/01/21(土) 21:59:09.13 ID:0usedCeIo
おっつ
次スレいけばいいじゃまいか
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/21(土) 22:00:23.00 ID:Fm8w6/Rho
>>871
次スレ行ってもすぐ終わっちゃいそうだけどそれでもいいんですかね
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/21(土) 22:01:23.02 ID:X8XFhYdAo
>>872
依頼忘れなきゃそれでおk
何の問題もない
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/21(土) 22:09:28.47 ID:Fm8w6/Rho
>>873
でも1000いったスレッドはhtml化されるわけで、途中から新スレだけ読む人には何が何だかわからないのでは?

まあでもできるだけこのスレに収めるよう頑張ります。

では風呂飯に行って来ます
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/01/21(土) 22:17:00.48 ID:lQ4qw7010
こちらに次スレ、向こうに前スレのURL書いとけば無問題
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/21(土) 22:19:15.38 ID:ovPmylhNo
いやいや。この登場人物で延々と2スレ目まで引っ張るんだよ
人はそれを少年ジャンプ方式と呼ぶ
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 23:09:40.49 ID:Fm8w6/Rho
案の定あたしの作業は20分以内には終了しなかった。妹友ちゃんは自分の作業を終えて手持ち無沙汰に友だちと何か話をしているようだった。
本当は妹友ちゃんにこれをお願いするのは嫌だったんだけど、今日こそはお兄ちゃんと一緒に帰りたかったあたしは妹友ちゃんにお願いした。

「妹友ちゃん」

「終わった?」
彼女は話を中断して振り向いた。

「ううん、ごめん。あと15分くらいかかりそう」
あたしは正直に言った。

「そうか。お兄さんをお待たせしちゃうね」
妹友ちゃんは何気なく言った。

・・・・・・何気ない言葉なんだろうけど、あたしが心配していることと同じだった。今日も来ないのかと思っていきなり帰ってしまっても不思議ではないのだ。あたしとお兄ちゃんのこれまでの関係を鑑みれば。

「妹友ちゃん、悪い。先に校門に行ってお兄ちゃんの車に乗ってて」
あたしは妹友ちゃんにお願いした。

「もうすぐ終わるので少し校門前で待っていてって伝えてくれる?」

妹友ちゃんはすぐに頷いた。

「うん、わかった。じゃあ早く来てね」
それまで話をしていた子を置き去りにして彼女はすごい勢いで教室を出て行った。置き去りにされた子はポカンとして開けっ放しのドアを見つめていた。
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 23:10:57.24 ID:Fm8w6/Rho
あたしがようやく後片付けを終えて校門の前に駐車している見覚えのある車に駆け寄った時、車の中で助手席に収まった妹友ちゃんとお兄ちゃんが何か楽しそうに話をしている様子が最初に目に入った。

何となく妹友ちゃんは後部座席にいるものだと思っていたあたしは少しだけショックを受けた。

「待たせてごめんね、妹友ちゃん」
あたしは車の外からお兄ちゃんに向かって微笑みながら何かを話しかけている妹友ちゃんに声をかけた。

「あ、妹ちゃん。片付け終わったの?」

「うん。雨の中倉庫に運ぶの大変だった」

「ごめんね、付き合ってあげなくて」

「妹友ちゃんは係が違うから」

「あ、あと。図々しくお兄さんの隣に座っちゃってごめん」

「うん? ああ。よかったね、妹友ちゃん」
あたしは少し意地悪をしてみた。

「ちょっと、妹ちゃん。やめてよ!」
・・・・・・赤くなって慌てている妹友ちゃんは可愛らしかった。あたしはすぐに自分のしたつまらない行動を後悔した。

「はいはい」
あたしは始めてしまった演技を終わらせることが出来ずに、妹友ちゃんを軽い口調でからかう振りをしながらやたらに広く感じる後部座席に座った。
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 23:13:38.40 ID:Fm8w6/Rho
・・・・・・その後、妹友ちゃんの家に着くまでは主に妹友ちゃんがお兄ちゃんに話しかけ(というよりはお兄ちゃんのことを一方的にほめたて)、お兄ちゃんがそれに答えるという会話がずっと続いた。あたしはほとんど口を出さずに2人の会話を聞いていたけれど、妹友ちゃんのどこまで本気かわからない好意に応えるお兄ちゃんの本心もよくわからなかった。戸惑っているようでもあり軽くいなしているようでもあり。

やがて車が妹友ちゃんの家に着くと、妹友ちゃんは丁寧にお兄ちゃんにお礼を言いあたしにはまた明日ねと声をかけて家の中に入って行った。
ほとんど一人で喋っていた妹友ちゃんがいなくなると、急に車内は沈黙に包まれた。

「あ、あのさ」
お兄ちゃんがあたしに話しかけたその時、あたしの携帯が鳴り響いた。

「お母さんだ」
あたしは携帯を耳に当てた。

『お母さんだけど、あんた今どこにいるの』
お母さんのさっきののんびりとした口調と違う声が響いた。仕事モードのお母さんの声だ。
それはいつもこの類の電話を受けてきたあたしにはすぐわかった。
もしかして・・・・・・あたしは思わず少し期待した。

「うん、今車の中。帰るとこ」

『悪いんだけどさ、職場から呼び出されたから仕事行ってくるね』
お母さんは慌しく喋った。

「仕事って今から? お父さんは?」
念のために確認しておかないと

『言わなかったっけ? お父さんは来週まで香港にいるの』
お母さんのもどかしそうな声。お母さんがこの声を出す時はいつだって早く電話を切りたがっているのだ。
早く自分を待っている仕事上の困難な課題に立ち向かいたいのだろう。

『だから悪いけどあんたたち家に変える途中で、ファミレスかどっかに寄って食事して来ちゃって。今夜は遅くなっても許してあげるから。お金は持ってる?』

「うん。別にいいけど・・・・・・ちょっと待って」

「お兄ちゃん」
あたしはお兄ちゃんに話しかけた。

「どうした」

「お母さん、会社に呼び出されたんで仕事に行くって」

「今からかよ」
お兄ちゃんはちょっと顔をしかめた。お兄ちゃんはお母さんのことが好きで、いつも仕事漬けになっているお母さんを心配していた。
お兄ちゃんは認めないだろうけど、ずっとお兄ちゃんを見つめてきたあたしにはわかっていた。そのことでお母さんに大して無意味な嫉妬をしたことさえあったのだ。

「お父さんも今日帰れないんで、どっかで食事してきてって」

「・・・・・・うん」

「あたしあまりお金持ってないけど、お兄ちゃんは?」

「あるけど」

あたしは再びお母さんに話しかけた。

「お母さん? ごめん。お兄ちゃんお金あるって。うん、うん。わかった。じゃあね」
あたしは早く会社に行きたがっているお母さんをあたしとの会話から解放してあげた。
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 23:15:33.82 ID:Fm8w6/Rho
「おまえはいいのかよ?」
お兄ちゃんがあたしに聞いた。

「何?」
何を言い出したのだろう、お兄ちゃんは。

「兄貴と二人きりでファミレス行くなんてキモイんだろ?」
お兄ちゃんは別に嫌味で言ってる風でもなく言った。

「・・・・・・妹友ちゃんに聞いたの?」
あたしはこの時おしゃべりの妹友ちゃんを恨んだ。

「い、いや。いつもファミレス行こうかって言うと嫌がるし」
お兄ちゃんは誤魔化した。

「別に。そんなに嫌じゃない」
あたしはようやくそれだけ口することができた。

「じゃ、どっかで飯食っていくか?」

「・・・・・・うん」
何か複雑な気持ちだけど、お兄ちゃんと2人きりで夜のドライブとファミレス。
何かデートみたい。

もういろいろ考えこむのは辞めよう。とにかく昔からの夢の一つがかないそうなのだから。

「じゃ、車出すぞ」
お兄ちゃんが車を出そうとするのをあたしは制止した。

「ちょっと待って」

「え? 何だよ」
お兄ちゃんが言った。

「席移るからちょっと待って」
あたしは後部座席のドアを開けた。

「え? 別に後部座席でいいじゃんか」
お兄ちゃんは困惑したように言った。

「話しづらいから」
あたしはようやくそれだけを口にして後部座席から助手席へ、お兄ちゃんの隣へと場所を移した。
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 23:18:41.51 ID:Fm8w6/Rho
お兄ちゃんは再び車を走らせた。ハンドルを握っているお兄ちゃんは学校のどの男の子より格好よく思えた。少なくともあたしにとっては。

そのうち、あたしは何か奇妙な感じに襲われた。
それはよく学校とか街中では感じることがあるあの視線と一緒だった。
あたしはあたしの身体をチラチラ眺める視線に気がついたのだ。

お兄ちゃん?

あたしに関心のなかったお兄ちゃんがあたしを見るなんて。これはあたしの勘違いか夢なのでは。
お兄ちゃんの視線はこれまでの嫌悪感しか感じなかった男の子たちの視線と違ってあたしにとって不快なものではなかった。
むしろ何かを期待させるようなわくわくする感じがした。

それでもあたしはどう振る舞っていいのかわからず黙ったまま身体を固くしていた。



「食事、どこ行く?」
突然お兄ちゃんが沈黙を破った。

「どこでもいいよ」
あたしは何とか声を出した。

・・・・・・結局マクドナルドに寄っていくことに決まったけど、お兄ちゃんはなぜかお店に不満があるようだった。


「おまえ、それだけ?」
あたしのバニラシェイクを眺めながらお兄ちゃんは言った。

「うん」

「全然夕飯になってないじゃん」
考えてみればお兄ちゃんがあたしの食べる物に興味を示すのも珍しい出来事だった。

「あんまりお腹すいてないから」

「・・・・・・どっか具合悪いんじゃねえの?」

「別に平気」
お兄ちゃんは納得していないようだった。

「そういう甘いやつで食事代わりってよくできるよな」
それからお兄ちゃんは再び意外なことを聞いてきた。

「おまえさ、彼氏とはどうなってるの?」

え? もうあたしの勘違いではなかった。お兄ちゃんは少なくとも妹としてのあたしのことを気にするようになってくれている。
再びあたしの胸に考えられないほどの幸福感が訪れた。

「どうって」
あたしは必死で冷静に見えるように振る舞った。

「いやさ。俺の看病とかで彼氏に誤解されたんなら悪いし」

「あと、まあ。病気しておまえにも心配かけちゃったみたいだし、いろいろ悪いなと思ってさ」
お兄ちゃんは続けた。


・・・・・・あたしがお兄ちゃんのことを心配した?
それは真実だったけどお兄ちゃんがそんなことに気がつくはずはなかった。
あたしは常に冷静に振る舞っていただずなのに。

この応えは一つしかなかった。おしゃべりな妹友ちゃん。

「あたしが心配したって・・・・・・。妹友ちゃんに聞いたの?」
あたしは確認してみた。

「ま、まあ、そうなんだけどさ」
やっぱりそうか。
ちょっと妹友ちゃんに含むところがあるあたしは、ここでお兄ちゃんに忠告しておこうと考えた。
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 23:23:25.89 ID:Fm8w6/Rho
それはいずれは言わなければいけないことだった。
お兄ちゃんにとってはあたしは恋愛対象ではない。最近仲のいいい兄妹になれる気がして浮かれていたあたしだけど、そこは履き違えてはいなかった。
だから、仮に妹友ちゃんがお兄ちゃんを好きになってお兄ちゃんもその気持ちに応えるのなら、内心どんなに辛くてもあたしはそれを祝福するつもりだった。
ただ、妹友ちゃんの複雑な性格のことは前もってお兄ちゃんに伝えておきたかった。そのせいでお兄ちゃんが傷つくことになるかもしれないのだから。

「・・・・・・妹友ちゃんの言うこと、あんまりマジに受け取らない方がいいよ」
あたしはその言葉をついに口に出した。

「え?」
お兄ちゃんは戸惑っているようだった。

「妹友ちゃんは面白がって、お兄ちゃんにいろいろ話してるだけだsi」

「彼女に限ってそんなことあるか」
お兄ちゃんのその反論にあたしの心は痛んだ。やはりお兄ちゃんは妹友ちゃんのことを気にしているのだろうか。

「・・・・・・お兄ちゃんって女を見る眼がないんだね」
あたしは少し温度の下がった声でお兄ちゃんに言った。

「そりゃ確かに俺は女の子と付き合ったことねえしよ。でも、妹友ちゃんはおまえのこと心配して」


え?
お兄ちゃんに警告を続けなければいけないはずなのに、あたしの心はまた脱線した。
女の子と付き合ったことがない?

「・・・・・・うそ!?」

「わざわざメールしてくれたりとか・・・・・・って、うそって何が」

「大学2年になるまで一度も彼女ができたことないの?」

「・・・・・・うん」
お兄ちゃんは少し嫌な顔で呟いた。

「お兄ちゃんって。中学高校は男子校だから仕方ないけど、大学に入ってからは彼女とかいるのかと思ってた。作ろうと思わなかったの?」
あたしは何か急にうきうきした気持ちでお兄ちゃんをからかうように尋ねた。

「思ったけどできなかったんだからしょうがねえだろ」
お兄ちゃんは不貞腐れたように答えた。そういうお兄ちゃんを見るのは初めてだった。
あたしは少し調子に乗っていたかもしれない。こういう恋愛関係の話を軽い口調でお兄ちゃんと話せることに浮かれていたから。

「作ろうと思ったのに何でできなかったの?」

「欲しいと思ったらできるもんじゃねえだろ」

「そうなんだ・・・・・・大学って恋人作るのそんなに大変なんだ」
ちょっとした皮肉。こういう会話をお兄ちゃんと続けることができるならもう何もいらないと思えるほどに、あたしは幸せだった。

「そうかあ。お兄ちゃん、彼女いないんだ」
あたしはお兄ちゃんに微笑んだけど、言うべきことはまだ言い終わっていなかった。

「俺の話はもういいよ。妹友ちゃんの話してたんだろ」
お兄ちゃんもそこで話を戻した。

「うん。お兄ちゃん、妹友ちゃんのことどう思う?」

「どうって・・・・・・別に。知り合ったばっかだし」

「優しくて思いやりがあって礼儀正しくてお兄ちゃんに好意を持ってるとかって思っていない?」
あたしはついにこの話の核心を話し始めた。

「俺に好意を持ってるかどうかは知らないけど、それ以外はそのとおりだと思ってる」
お兄ちゃんだけではない。男の子はみんなそう思うのだ。

「それ全然逆」
あたしは続けた。

「え?」
お兄ちゃんは再び戸惑っているようだった。

「お兄ちゃんに好意は持ってるかもしれないけど」

「え? え?」

「優しくて思いやりがあって礼儀正しくはない。そんな子いるわけないじゃん」
あたしは言いたいことを言い終えた。
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/21(土) 23:24:14.53 ID:Fm8w6/Rho
「・・・・・・おまえ妹友ちゃんの親友なんじゃねえの?」
しばらくしてお兄ちゃんがそっと尋ねた。

「親友だと思ってるよ・・・・・・あたしの親友は、優しくて思いやりがあって礼儀正しい子じゃないけど」

「よくわからん」
お兄ちゃんがは苦笑した。
それで一気にこの場の空気がほぐれた。

「彼女とかできればわかるんじゃない?」
あたしは軽口を聞いた。こんなやりとりをお兄ちゃんとできるなんてそれ自体が夢みたいだった。
あたしの言うべきことはもう終わったのだ。あとは何も考えないでお兄ちゃんとの時間を楽しんでもいい。

「へーへー。どうせ俺はもてないよ」
少し拗ねたお兄ちゃんの声

「そんなことないと思うけど」
あたしは言った。

「へ?」

「何でもない」
あたしはお兄ちゃんから目をそらし自分のシェイクに目を落としながら呟いた。
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/21(土) 23:24:47.14 ID:Fm8w6/Rho
今日はここまで

明日もまた投下予定です

ではおやすみなさい
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/21(土) 23:51:09.85 ID:qngjCvrSO
話をきっちり作ってからスレ立てたのか即興で書き続けてるのか
軸のブレなさがすごいな
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/22(日) 02:36:57.76 ID:kbw/NzdIo
乙!
二人の行く末や如何に
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 04:44:11.93 ID:USipLa/jo

やはり妹が一番かわいい
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/22(日) 06:05:43.50 ID:aAYZg0D2o
乙〜
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/01/22(日) 07:23:34.40 ID:lH5nKKhAO
妹友〜〜(ToT)
890 :saga :2012/01/22(日) 19:41:24.20 ID:1Eq+XbUTo
帰宅後、お風呂から上がったあたしはお風呂が空いたことを知らせにお兄ちゃんの部屋に向かった。

「お兄ちゃん、お風呂空いた」
あたしがそう声をかけてかドアを開けるとお兄ちゃんは何だか慌てた様子であたしを見た。
すぐにおにいちゃんはあたしの目から視線を逸らしたけれど、今度はその視線はあたしの身体に止まった。

「・・・・・・ちゃんと服着たら?」
お兄ちゃんは少しかすれた声で言った。まだ風邪が完全によくなっていないのかもしれない。

「だって暑いし。もう少ししたら着るよ」
あたしはそう答えてからふと自分の今の服装に気がつき密かに狼狽した。

あたしは血行がいいのかお風呂に入るとすぐに体温があがる。冬でも風呂上りは暑くてたまらないので暑さが落ち着くまではショートパンツとタンクトップだけで過ごす癖があった。
そして今まではお兄ちゃんは部屋にこもっていることが多かったため、そういう姿のあたしとお兄ちゃんと向き合うことはなかったのだけど、ここ最近は家の中でお兄ちゃんと過ごす時間が増えて
いた。

・・・・・・まずかったかな、こんなだらしない格好で。あたしはもう少しきちんとした服装でお兄ちゃんの部屋に来ればよかったと少し後悔した。だらしのない子だと思われたかもしれない。

「お風呂入らないの?」
お兄ちゃんが一向に腰かけているベッドから立ち上がらないので、あたしはお兄ちゃんに聞いた。

「う、うん。入る」
お兄ちゃんは相変わらずじっと座ったままだ。

「出たらスイッチ切っておいて」
その時、あたしはお兄ちゃんがさりげなくあたしの身体を見つめていることに気がつき、反射的に髪の毛を拭くために持っていたタオルをタンクトップの胸元に持っていった。

「風呂入る」
身体を隠したあたしから視線を外して、お兄ちゃんはぽつんと言った。
891 :saga :2012/01/22(日) 19:41:55.21 ID:1Eq+XbUTo
お兄ちゃんはあたしに興味があるのだろうか? あるいはあたしの身体に興味があるのだろうか?

お兄ちゃんの視線を感じた時とっさに身体を隠してしまったけど、それはどんな女の子で突然の男の視線に気がつけば取るであろう反射的な行動で、本心ではあたしはお兄ちゃんが少しでもあたし
に関心を持ってくれることが嬉しかった。もっと言えばお兄ちゃんがあたしの身体を見たせてもいいくらいに嬉しかったのだ。

ただ、お兄ちゃんだって男だ。あたしの中では理想化してしまっているかもしれないけど、普通に異性の生身の肌に興味があって当たり前だった。あたしたちは最近普通の兄妹らしい会話や行動ができるようになって、あたしはそれがすごく嬉しかった。でもそれ以上のことは望んでさえいなかった。あたしのお兄ちゃんへの恋は一生片想いだと信じていたから。

あたしはお兄ちゃんの視線に混乱していた。さっき車内でお兄ちゃんの視線を感じた時の混乱がまたあたしの中に起こった。
お兄ちゃんがあたしの身体をじっと見詰める意味は何だろう。

今までのあたしたちの関係を考えれば考えるほど、お兄ちゃんはあたしを特別な存在として意識したのではなく、妹とはいえ露出度の高い服装をした女の子の肌に関心をもっただけなのだという思
いが強くなった。

あたしはため息をついた。これからは暑くてももう少し肌の露出のない格好をしよう。
それにしても妹友ちゃんや委員長ちゃんと違って、ただ細いだけでめりはりのないあたしなんかの身体でもお兄ちゃんは関心を持つんだな。あたしはふとそんなことを考えた。


その時ショートパンツのお尻のポケットに突っ込んでおいた携帯が鳴り出した。
先輩からの電話だった。
892 :saga :2012/01/22(日) 19:42:26.53 ID:1Eq+XbUTo
先輩の背後からは聞いたことのある声が重なり合ったざわめきが聞こえていた。いつものみんなでカラオケにでもいるのだろう。
先輩が話し出すまでもなく用件はわかっていた。

案の定、先輩はあたしにこれから出て来いよと誘った。

昨夜の少し気弱になっている先輩の声はそこには片鱗もなかった。いつものことだけど知り合いに囲まれて気が大きくなっているのだろう。
それでも精一杯静かに話すよう先輩も努力しているようだった。

『あのさ、昨日は悪かったよ。兄貴とのこと浮気なんて言っちまって』
先輩は周りの子たちに聞こえないよう声をひそめているらしかった。

『仲直りしようぜ。俺やっぱりおまえがいないと駄目なんだ』
今日はお兄ちゃんと一緒に過ごすと決めていたのだけど、あたしはふと気を変えた。

あたしとお兄ちゃんの仲がいい兄妹以上に進展しない以上、やはりあたしは最初に考えていたとおりお兄ちゃんのことを忘れる努力をすべきだ。
最近、兄妹としての間が改善されたからといってそれにのめりこんじゃ駄目。それはあたしにもお兄ちゃんにもいい結果をもたらすことはないのだから。

「うん、わかった。あまり遅くなれないよ」
あたしは先輩に答えた。

『おう、早い時間に送って行くよ。じゃあ待ってるから』

先輩の電話が切れたあと、あたしは急いで服を着替えた。
893 :saga [sage]:2012/01/22(日) 19:43:02.00 ID:1Eq+XbUTo
とりあえず3レス投下

またあとで再開します
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2012/01/22(日) 19:44:03.33 ID:awK1kk4yo
ねぇ…… 名前欄がsagaになってるけど仕様なの?
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/22(日) 19:44:09.44 ID:aAYZg0D2o
効果はなかった
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/22(日) 20:09:00.03 ID:1Eq+XbUTo
>>894
メ欄と間違えただけです
すまん
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県) [sage]:2012/01/22(日) 20:22:04.42 ID:awK1kk4yo
>>896

あっ 気にしないで続けてください!
なんかごめんねm(..)m
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/22(日) 22:32:31.90 ID:1Eq+XbUTo
とりあえずお兄ちゃんに断ってから出かけることにして、あたしはお兄ちゃんの部屋のドアを開けた。

お兄ちゃんは基本的にあたしの夜遊びに無関心な人だし今夜はお母さんも帰ってこないので、黙って出かけてもよかったんだけど、最近ようやく築いた普通の兄妹関係だけは維持したいと思ったあたしは一言お兄ちゃんに声をかけるつもりだった。
もちろんお兄ちゃんの反応には期待していなかったので無反応かせいぜい嫌味の一つでも言われるだろうと思っていた。


「お兄ちゃん?」
お兄ちゃんはびっくりした様子であたしを眺めた。

「・・・・・・ちょっとでかけてくる」

「はあ?」
お兄ちゃんは飽きれたように言った。何か少し予想していた反応と違う。

「彼氏に呼ばれたんでちょっとだけ行ってくる。お母さんたち今日も帰ってこないし」
あたしは正直に言った。昔からお兄ちゃんに対しては黙っていることはあっても話すときには一度も嘘をついたことはなかったので。

「・・・・・・あのなあ」

「うん」

「さすがにそれはまずいだろ? 今何時だと思ってるの」
お兄ちゃんはちらっと壁の時計を見た。

「9時半」

「時間聞いてるんじゃねえって。いくら両親がいないからってこんな時間に外出かよ」
お兄ちゃんは少しイライラした様子で続けた。


「でも、話があるから出て来いって」

「おまえの彼氏も非常識なやつだな。高2の女の子をこんな時間に呼び出すなんて」

いつものお兄ちゃんと反応が違う。どうしてだろ。何でお兄ちゃんは珍しくあたしの外出に文句を言ってるんだろうか。
あたしはもうこの時には、正直先輩と会いにいけるかどうかはどうでもよかった。お兄ちゃんがあたしが外出するのが嫌なら家にいてもいい。
ただ、その理由は知りたかったのであたしは少し粘ってみた。

「仲直りできるかもしれないから」
気のせいなのか。お兄ちゃんの顔色が少し変ったように見えた。

「お兄ちゃん、今まではあたしが夜外出しても何も言わなかったじゃん」
あたしは決心してはっきりと聞いた。お兄ちゃんはあたしの外出になぜ反対するのか。外出なんてどうでもいいけど、それだけは何が何でも知りたかった。

お兄ちゃんは言葉に詰まったようだった。

「親にも黙っててくれたし・・・・・・何で今日は駄目なの?」
あたしはお兄ちゃんの目を見ながら繰り返した。



その時低い声で下を向いたままお兄ちゃんは言った。

「・・・・・・おまえが心配だからに決まってるだろうが」

「え?」
あたしは一瞬絶句した。

「兄が妹の心配して悪いのかよ」
お兄ちゃんは顔をあげあたしの目を見ながら、今度ははっきりと言った。
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/22(日) 22:35:09.79 ID:1Eq+XbUTo
お兄ちゃんがあたしのことを心配しいて夜遊びを止めようとしている。

「・・・・・・おまえが心配だからに決まってるだろうが」
確かにお兄ちゃんはこう言った。

今、あたしが期待できる限りの中では最高の言葉だった。
長い間あたしに無関心だったお兄ちゃんがあたしのことを心配してくれている。

あたしは胸の動機が激しくなって行くのを感じながら念押しした。

「・・・・・本当にあたしのこと心配してるの?」

「あ、いや。あの・・・・・・」
お兄ちゃんはまた俯いてしまったけど。

「・・・・・・うん」
あたしは携帯を取り出した。

「え?」
お兄ちゃんは面食らった顔であたしが電話をするのを見つめていた。

「あ、あたし。ごめんね、今日は遅いしそっちに行けない」

『・・・・・・どうしてだよ』
先輩の低い声。

「本当にごめん。でも、今日は行かないから」

しばらくの沈黙のあと、先輩はいきなり怒鳴りだした。声が大きいせいで何を言ってるのか聞き取れなかったけど、浮気とか兄貴という言葉だけがはっきりとあたしの胸に突き刺さった。

「お願い、大きな声出さないで。明日、日曜日だけど学祭の準備で登校日でしょ。明日話そうよ」
あたしは言い出したけど最後まで言わせてはもらえなかった。

『兄貴兄貴っておまえわざとやってんのかよ・・・・・・つもいつも・・・・・・ブラコンとかきめえんだよ・・・・・・どうて』
途切れ途切れにしか聞き取れない先輩の怒声がしばらく続いた。

「だから、そうじゃないよ。ねえ、聞いてよ・・・・・・あ」
あたしはようやく途中で口を挟んだけど話し始めたとたんに電話は一方的に切られた。

普段先輩の怒りには動じないあたしがなぜか今は動揺していた。それは先輩の怒りに対するものではなく、お兄ちゃんを忘れるために先輩を好きになるという目標が遠ざかったことに対する動揺だ
ったのかもしれない。
そしてあたしは動揺はしていたけど後悔はしていなかった。

お兄ちゃんがあたしのことを心配してくれたのだから。
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/22(日) 22:37:33.13 ID:1Eq+XbUTo
「・・・・・・どうした?」
お兄ちゃんの心配そうな声が聞こえた。

「怒鳴られて電話切られちゃった」
あたしは答えた。

「何か・・・・・・悪かった」
お兄ちゃんがすまなそうな声で謝った。
・・・・・・いけない。あたしを心配してくれたお兄ちゃんに謝らせちゃだめ。

「・・・・・・ううん。お兄ちゃんは別に悪くないよ」
あたしは本心から言った。

そして今の一幕で動揺していたあたしだけど、同時に恋愛感情ではなくてもお兄ちゃんの好意があたしに向けられていることを初めて知ったあたしはある種の高揚感を抱いていた。
その高揚した気分のせいだろう。いつもなら遠慮してとても言えないことをあたしは口にすることができたのだ。

「・・・・・・少しだけお兄ちゃんの部屋にいてもいい?」

「あ? な、何で」
お兄ちゃんは困惑している様子だった。

「今日出かけないからやることなくなっちゃったし」
いつものあたしならお兄ちゃんを困らせるくらいなら自分からさっさと自分の部屋に戻ったろう。
でも少し好かれている自信をもったあたしには、お兄ちゃんを試す余裕が生まれていた。

「・・・・・・何だよそれ?」

「別に何でもないけど」
あたしはお兄ちゃんのベッドに座った。

「・・・・・・当たり前のように俺のベッドに座るなよ」
それでもお兄ちゃんは本気で迷惑がっている様子はなかった。あたしの思いは確信に変った。お兄ちゃんはあたしと一緒にいることが嫌じゃないんだ。

「テレビ見ていい?」
あたしは返事をまたずにリモコンに手を伸ばした。あたしは、前よりずいぶんお兄ちゃんの前でも自然に振る舞えるようになっていた。そして前よりずいぶん心が軽くなったように感じた。
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/22(日) 22:41:23.17 ID:1Eq+XbUTo
その夜、あたしはおにいちゃんの部屋でテレビを見ていたのだけど内容は全く頭に入っていなかった。あたしはすぐ近くの床に座っているお兄ちゃんのことがずっと気になっていたのだ。
それにあたしの方を何気なくちらちら見ているお兄ちゃんの視線にも気を取られていた。


突然お兄ちゃんが話しかけた。

「おまえさ、何か香水みたいのつけてる?」

「香りが気になるならら、メーク落としてこようか」
お兄ちゃんに不快な思いをさせていたんだろうか。あたしは一瞬どきっとした。

「別に、気にならない。つうかいい匂い」
お兄ちゃんが言った。

「うん」
平静を装って答えたけどあたしはお兄ちゃんの言葉にどきどきして、それ以上何を話していいのかわからなかった。
それは、妹を心配している兄いちゃんが妹にかける言葉じゃなくて、まるで自分の彼女にかけるような優しい言葉だった。
そのことを考えて心を乱しているあたしに更にお兄ちゃんは追い討ちをかけた。

お兄ちゃんはあたしの服装をお洒落だと誉めたのだ。


期待してはだめ。結局傷つくのは自分なんだから。あたしは自分に言い聞かせたけど、お兄ちゃんがあたしにかけてくれた言葉は無視するには大きすぎた。
もしかしたら・・・・・・お兄ちゃんもあたしのことを。

急に緊張が解けた。さっきあたしに心配だと言ってくれた時に感じた以上の自由な感じ。いろいろとあたしが自分で自分を縛っていたものが突然消えたようだった。
勘違いをしているのかもしれないけど、もう傷つくのを恐れてもしょうがない。そう考えるとあたしの心は落ち着きを取り戻した。そして心の奥には落ち着きだけでなくやはり高揚感が少し潜んでいるようだった。

あたしは、お兄ちゃんがあたしの服装が気になるなら着替えてこようかとお兄ちゃんに聞いた。

「・・・・・・おまえ、そんなしおらしいキャラだっけ」
お兄ちゃんは面食らった様子で言った。

あたしは黙ってお兄ちゃんに微笑んだ。

「お兄ちゃん」

「うん?」

「ちょっと寒い」

「そう? エアコンつける?」

「うん」

お兄ちゃんはエアコンを付け、そしてベッドに座っているあたしに毛布をかけてくれた。

「部屋が暖まるまでベッドの毛布でもかぶっとけ」

「わかった。お兄ちゃんも入る?」
あたしは自然に言った。そしてあたしの隣に来るようにお兄ちゃんの手を引っ張った。


・・・・・・毛布の中でお兄ちゃんの身体が密着している。
あたしたちは黙って毛布の下で寄り添いながらテレビを眺めた。17年間もお互いのそばにいたことがなかったあたしたちだけど、こうして寄り添うと何か自然だった。


その時お兄ちゃんの携帯が振動してメールの着信を告げた。
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/22(日) 22:43:41.82 ID:1Eq+XbUTo
「あ、メールだ・・・・・・妹友ちゃんだ」
お兄ちゃんは一緒に読もうかと言ってくれたけどあたしは断った。お兄ちゃんはメールを開き黙って読んだ。

「おまえも見たほうがいいよ、妹友ちゃんのメール」

「何で?」

「見りゃわかるよ、はい」
お兄ちゃんはメールを開いたままの携帯をあたしに手渡した。


from :妹友
sub :無題
『遅い時間にごめんなさい。妹ちゃんに電話してもメールしても返事がないんですいません。今、友だちとカラオケにいるんですけど』

『彼氏先輩が荒れてて他の男の子たちも抑えられなくて』

『妹ちゃんとお兄さんの悪口を怒鳴りまくっているんですけど、妹ちゃんと何かあったんでしょうか? 妹ちゃんが家にいるならあたしに連絡するように言ってもらえますか』

『先輩って酔うと前から暴れ出すんですけど、今日はいつもよりひどいみたい。こんなメールしてすいません』


それは不思議なメールだった。妹友ちゃんのこのメールは目的がよくわからない。
あたしは自分の携帯をちらっと眺めた。やっぱり妹友ちゃんからの着信もメールも今日はない。
それにこのメールだけ読むとあたしと先輩の仲を心配しているようだけど、お酒の入った先輩が少し大声を出すなんてよくあることだった。あたしはそのことについてあまり気にしたことはなかっ
たし、それは妹友ちゃんも同じはずだった。

ただ、このメールを出した妹友ちゃんが本気で混乱しているのは嘘ではないのかもしれない。不安定になっているのは先輩ではなく妹友ちゃんの方ではないのだろうか。あたしはふと思った。
妹友ちゃんが不安定になる理由。あたしはもう考えるのをやめた。せっかくお兄ちゃんと初めて寄り添った夜なのだ。

「・・・・・・みんなには悪いことしちゃった」
とりあえず当たり障りのないことをあたしは口にした。
するとお兄ちゃんが意外なことを言った。

「ついていってやろうか」

お兄ちゃんは何を言ってるのだろう。

「暴力振るわれても困るし、一緒に行ってやろうか? あ、もちろんおまえがよかったらだけど」
そんな心配をしてくれること自体が今まではなかったことだったけど、今はそれすらどうでもよかった。

「いい」
あたしははっきりと言った。

「だって、一人じゃ」

「テレビ途中だし」

「はあ?」
お兄ちゃんは何を言ってるんだこいつ、みたいな目であたしを見た。

「今夜はお兄ちゃんの部屋にいるって決めたから」
あたしはもう自分に正直になっていた。その時あたしは生まれて初めてお兄ちゃんの前で本当に自分のしたいことをお兄ちゃんに主張していたのだ。

「・・・・・・今日は、お兄ちゃんと一緒にいるの」

「え? え」
お兄ちゃんは見るからに狼狽した様子だった。
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/22(日) 22:44:59.37 ID:1Eq+XbUTo
「お兄ちゃん・・・・・・」

あたしは自分の気持に従った。つまり隣に座っているお兄ちゃんに抱きついたのだ。
同時に嬉しさか悲しさか自分でもよくわからない不思議な涙が目に浮かんだ。
あたしは更に強くお兄ちゃんに抱きついた。

「泣いてるの? おまえ」
お兄ちゃんは驚いたようだけど、それでもあたしの肩に手を廻してあたしを抱き寄せてくれた。

「・・・・・・ちょっとだけ。ごめん」

「謝るなよ」
今ではお兄ちゃんの声も落ち着いていた。

「お兄ちゃんの体、暖かい」
あたしは多幸感に包まれながら言った。

「・・・・・・うん」

「まだ熱あるのかな」
あたしはまだ目に涙を浮かべながら微笑んだ。

「ねえよ・・・・・・」
そう言ってお兄ちゃんは黙ってあたしの肩を抱く力を少し強めた。

「・・・・・・明日、妹友ちゃんに謝らなきゃね」
あたしはお兄ちゃんに呟いた。
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/22(日) 22:45:49.00 ID:1Eq+XbUTo
今日はこれでおしまいです

駄文にお付き合い感謝です

明日またお会いしましょう

おやすみなさい
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 23:00:02.56 ID:4lOMHhy9o
おやすみ。
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/22(日) 23:02:39.64 ID:aAYZg0D2o
乙〜
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/22(日) 23:08:43.14 ID:I4o4dtjno
おつさま
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 01:15:01.45 ID:HXivPkmIO
やっぱ個人的にキスしちゃってるのはきついなぁ
それ以外は最高なんだけど
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 01:19:41.47 ID:XSNgq90IO
挨拶のちゅーレベルだろ
外人がするような
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 01:47:41.67 ID:/lA3LngYo

妹視点かわいすぎるわ
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 07:51:05.75 ID:bwsYFs6IO
キスしてるのが嫌とか童貞丸出しでワロタ
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/01/23(月) 09:16:28.19 ID:Z3N7ykoLo

「・・・・・・明日、妹友ちゃんに謝らなきゃね」の意味がようやく読み取れたわ
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/23(月) 09:30:24.28 ID:ELJUj+PNo
乙!
どうなるかはわかっていて、しかし妹の心はまだ見えきらず、この焦ら焦ら感がたまらん!
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 12:46:04.51 ID:9wxdCwNIO
俺もキスしちゃってるのは悲しいと思った
三次元だと気にならんが二次元はきつい
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/23(月) 16:08:57.91 ID:WReeWkudo
妹がクズさんのことを兄と同じくらい好きならちゅっちゅしても気にならんが
そんなに好きでもない相手とキスしてるのがもやもやする
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 16:37:15.98 ID:6Ty9X+yIO
たぶん今後もそんな好きでもない奴とちゅっちゅするんやな
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/01/23(月) 16:59:12.01 ID:FpXoYRSio
気に入らないから訂正しろってのかアホ
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/23(月) 18:16:57.97 ID:I2uhTqVko
先輩に対し
×そんなに好きでもない
○それなりに好き

兄に対し
誰より何より好き
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/23(月) 19:40:02.16 ID:9HZ2jQbIO
兄を諦めるために付き合ってんだからいいじゃん
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/23(月) 22:39:31.65 ID:cC0z6VNso
翌朝目が覚めるとあたしは一瞬自分がどこにいるのかわからなかった。早朝の柔らかい光が窓から差し込んでいたけど、その光はいつもと違う角度から部屋を照らしていてあたしはそのことに違和
感を覚えた。次の瞬間すぐ横にお兄ちゃんの顔が半ばあたしの髪に埋まっており、お兄ちゃんの腕があたしの背中に左右から回されていることに気がついた。

あたしは昨日泣き笑いしながら黙ってお兄ちゃんと抱き合っていたのだけれど、どうもそのまま会話もなく寝入ってしまったらしい。できることならそのままずっとお兄ちゃんの腕の中にいたかっ
た。でも今日は日曜日だけど学園祭の準備のため登校しなければならなかった。

あたしはなるべく静かにお兄ちゃんの腕の中から抜け出し、お兄ちゃんのベッドから降りた。
一瞬お兄ちゃんが身動きしたので起こしちゃったかなと心配になったけど、お兄ちゃんは目を覚まさず再び寝息を立て始めた。

あたしはドアのそばに立ったままその場を去りがたく感じていた。お兄ちゃんのぼさぼさの髪や寝相の悪い寝姿や今まで抱きしめていたあたしを失って中途半端に伸ばしているお兄ちゃんの両手。

あたしはこのままお兄ちゃんをじっと見詰めていたかった。
昨日外出するために着替えた服がしわくちゃになっている。
これから身支度をして登校しても集合時間に間に合うにはぎりぎりの時間しか残されていなかった。

もう一度だけ寝ているお兄ちゃんを名残惜しく見つめてからあたしは部屋の外に出た。
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/23(月) 22:43:59.41 ID:cC0z6VNso
あたしはいつもと同じ道をいつもより少しだけ早足で学校に向かった。
普段と同じように登校している間も、あたしの胸の中にはときめきと興奮と幸福があふれるようだった。お兄ちゃんと抱き合って一緒に寝た夜。
あたしは本気でもう何も望んでいなかった。お兄ちゃんともっと親密になりたいとかお兄ちゃんに異性としてあたしを意識して欲しいとか、そんな欲張ったことを望んだらようやく現実になったこ
の幸せまで壊れてしまいそうで。

極端な話、ああいう夜がこれで最後でもいい。ただ、普通の兄妹以上に親密で、そしてほとんどお互いに言葉も交わすこともないのに、心が満たされたこの関係だけはずっと続いて欲しかった。
あたしはお兄ちゃんの彼女にはなれないかも知れないけど、お兄ちゃんが心配して可愛がってくれる妹にはなれるのかもしれない。

普段から感情がストレートに表情に出ないあたしだったので、これだけ興奮しながらも外見は冷静に見えていたと思う。
学校の正門に続く最後の坂道を登りきったところで、レンガ造りの校門に半ば寄りかかったまま誰かを探している先輩の姿をあたしは見つけた。


「よう」
先輩の目は充血しその声はがらがらだった。

「おはよう先輩」
あたしはいつものように先輩にあいさつした。あたしが先輩のところまで来ると、先輩は校門にもたれていた身体を起こしあたしに並んで歩き始めた。

「あのさ」
先輩はいつもより小さな声であたしに言った。

「昨日は悪かった。ちょっと飲みすぎちゃってさ。反省してる」
飲みすぎたというのは嘘ではないみたいで、赤い目や割れた声は二日酔のせいらしかった。

「先輩、二日酔なの?」
あたしは尋ねた。

「まあな。今日は授業があるわけじゃねえから、よっぽどサボろうかと思ったんだけどさ」

「休んじゃえばよかったのに」

すると先輩は突然立ちどまり、でもあたしの方を見ることなく話した。
「本当にごめん。ちょっと嫉妬しちゃったんだけど、あんな態度は取るべきじゃなかったよ」

先輩はいつも間違ったことをしては、翌日心底から反省する。この人の言葉には基本的には嘘はないのだ。

「うん、いいよ。もう気にしてないし」
あたしは答えた。そしてあたしの中にも本当は先輩に謝らなければいけないかもしれないことがあることを思い出した。

結局、先輩はあたしに謝罪できたことに満足したのかそのまま回れ右をして自宅に帰ってしまった。

・・・・・・今日の先輩はキスも手を握ることもしなかったな。何となくあたしはそう思った。
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/23(月) 22:47:20.41 ID:cC0z6VNso
学園祭の準備をしている間に、あたしの心の中から先輩の姿が消え再びお兄ちゃんのことが心の大半を占めるようになった。
今日はずっと、手と体を動かしながら昨日のお兄ちゃんとの会話を何度も繰り返し思い出したり、あたしを抱き寄せたお兄ちゃんの手の感触を思い出し心を悩ませたりして過ごしてしまったようだ。

ようやく作業が終わった頃には、あたしたちの係以外の生徒の姿はほとんどなくなっていた。いつもは自分の作業が終わっても一緒に帰るために待っていてくれる妹友ちゃんの姿ももうなかった。
本当はすぐにでも家に帰ってお兄ちゃんに会いたかったけど、もしも妹友ちゃんがどこかであたしを待っているとまずいと思い、あたしはたまたま見かけた妹友ちゃんと同じ係の子に妹友ちゃんは
どうしたのか聞いてみた。

今日は係の仕事が終わるとすぐに帰ったよという返事だった。そういう時はいつもあたしに一言ある妹友ちゃんなのにおかしいな。あたしは少し不審に感じたけどそれ以上に早く帰宅したいとい
い気持ちのほうが優っていた。

あたしは同じ係の生徒や今日は何時に帰れるかわからないと笑っている実行委員長ちゃんにさよならを言い早足で校門を出たその途端に携帯にメールが来ていたことに気づいた。


from :お母さん
sub  :無題
『諸君の両親に来週末までの帰還は絶望的につき、各自それぞれ工夫し自給自足で生き延びられるように努力されたし』

『ということであんたには悪いんだけど家のことよろしくね。あと、朝昼はいいけど夕食はお兄ちゃんのも用意してやって。出前とかでいいから』

『じゃあ気をつけてね。何かあったらお母さんに電話すること。あと、お金は電話のところにあるのを使って。まだ残ってると思うから』


一週間、お兄ちゃんと二人きりだ。昼間はお互い学校で会えないけど下校して家に帰ればお兄ちゃんと一緒にいられる。
あたしの幸運は尽きることがないように感じられた。もう夜遊びはやめよう。せっかくお兄ちゃんと寝るまで過ごせるのだから。それに朝お兄ちゃんを起こすのは今ではあたしの役目になっていた
。そのためにも夜は早く寝ないと。

あたしは携帯を閉じると再び早足で学校を後にした。
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/23(月) 22:50:40.27 ID:cC0z6VNso
帰宅したあたしは自分の部屋にカバンを置いただけで制服を着替えることもせず、お兄ちゃんの部屋に向かった。口実ならあった。お母さんたちが帰れないってお兄ちゃんに伝えなければいけない
し。あたしはうきうきしながらお兄ちゃんの部屋の前に立った。

「お兄ちゃん?」
あたしはお兄ちゃんに声をかけながらドアを開けた。玄関にお兄ちゃんの靴があったのでお兄ちゃんが帰ってきていることはわかっていた。

「今、帰った」
あたしはお兄ちゃんに言った。考えれば帰ったことなど見ればわかるのに我ながら無駄な報告だった。

「え? おまえ何で」
どういうわけかお兄ちゃんは驚いたようだった。

「何でって?」

「いや。おまえ今日遅いと思ってたから、ちょっとびっくりした」
あたしが今日遅いなんて何でそんなことを考えたのだろう。あたしは必死で少しでも早く帰ろうとしていたのに。

「そうなの? 普通に登校日だっただけだし」

「そうか」

そんなことよりお兄ちゃんに報告しなければいけないことがあった。

「お母さんからメール来た」

「何だって?」

あたしはメールを読み上げた。
「諸君の両親の来週末までの帰還は絶望的につき、各自それぞれ工夫し自給自足で生き延びられるように努力されたし」

「はあ?」

「そういうメールなんだもん」
あたしはお兄ちゃんに微笑みかけた。

「・・・・・・つまり今度の日曜日まで一週間家に帰らないから子どもたちだけで生活しろと。そういうことか?」
お兄ちゃんがいった。

「そうみたい」
あたしは再び微笑んだけど、それはどういうわけかお兄ちゃんを戸惑わせているようだった。

「しかし、一週間コンビニ弁当かよ」

「別にコンビニじゃなくてもいいじゃん」
あたしは意気込んで言った。

「まあ、カップ麺好きだし」
コンビニの次がカップ麺ってどういう発想なんだろうこの人は。お母さんがいない以上あたしがお兄ちゃんの健康管理をする必要がありそうだった。
そんなことをあたしは再びうきうきしながら考えていた。

「カップ麺一週間とかだめだよ。体壊しちゃうよ?」

「コンビニ弁当好きじゃねえんだよな」
物分りの悪い人だな。

「電話の下の引き出しにお金入ってるからそれで食事してって」

「金の問題じゃなくてさ」

「ファミレスも嫌いなんだっけ?」
あたしは平静を装って、でも心の中ではデートに誘っているみたいにドキドキしながらやっとこの言葉を口にした。

「一人でファミレスで夕食食うくらいなら、自分の部屋でカップ麺食いながらゲームしてた方がいいし」

「一人じゃないじゃん」

「へ?」

「あたしも一緒だし」
この時あたしは少し赤くなっていたかもしれない。
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/23(月) 22:52:21.06 ID:cC0z6VNso
「毎日、ファミレスだけじゃ飽きちゃうよね、昔よく配達してくれたおそば屋さんとかお寿司屋さんとかの出前も取ろうよ」
あたしは傍から見たらはしゃいでいるように見えたかもしれない。いや、お兄ちゃんと二人きりの一週間の生活をお兄ちゃんと話し合っているという状況があまりに幸せで、実際にあたしは珍しく
はしゃいでいたのだ。

「あ、あとさ。お兄ちゃんが好きな雑炊なら、あたしでも作れるけど」
あたしは料理が下手だけど、唯一お兄ちゃんが全部食べてくれたのが雑炊だったことを思い出してあたしは言った。

「お兄ちゃんが病気の時に久しぶりに作ったけど、三食分を一度に食べちゃうとは思わなかった・・・・・・よっぽど気に入ってくれたんだね」

「・・・・・・まあ、食事の話はいいけどよ」
お兄ちゃんがどうでもいいという感じで口を挟んだ。

「うん」

「1週間も二人きりでおまえ、寂しくないの?」

「別に。寂しくないよ。お兄ちゃんもいるし」
あたしは本当のことを答えた。あたしは言葉を惜しんでお兄ちゃんに誤解されることはあるかもしれないけど、お兄ちゃんに話す言葉はいつだって本当のことだったし、それはこの時も例外ではな
かった。

「え」
お兄ちゃんは戸惑ったように言った。
あたしはその言葉を聞いて不安になった。考えてみれば大学生のお兄ちゃんが夜予定が入っていても不思議はないのだ。

「・・・・・・いるんだよね? 大学終わったらすぐ帰ってきてくれるんでしょ?」
あたしは不安を隠さずお兄ちゃんに聞いた。

「まあ、今はバイトもしてないし、帰りは遅くはならないけど」
お兄ちゃんはあっさりと答えた。

「うん・・・・・・よかった」
一時の不安が去りあたしはまた落ち着きを取り戻した。

次の瞬間お兄ちゃんが予想外の質問をしてきた。
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/23(月) 22:54:44.72 ID:cC0z6VNso
「・・・・・・おまえさ。彼氏と仲直りしたんだって?」
それは今朝の校門でのできごとで誰にも知られていないことだった。それにお兄ちゃんの知り合いはうちの高校にはいないはずなのに。

・・・・・・いや、あたしと先輩の仲直り見ていたかも知れない子が一人いたことにあたしは気づいた。

「よく知ってるね・・・・・・。妹友ちゃんに聞いた?」

「うん。今日スタバに呼び出されて」

「そうか。お兄ちゃん、妹友ちゃんと会ってたんだ」
・・・・・・お兄ちゃんが妹友ちゃんと二人きりで会っていた。あたしには妹友ちゃんはそんなことは何も言ってなかったのに。

「まあな。それで彼氏とはどうなの?」
お兄ちゃんがまた聞いた。

「うん、登校したらすぐに彼が謝ってきて」
あたしは正直に言った。あたしはお兄ちゃんには嘘を言ったことがないのだ。

「そんで仲直りして今日一日中イチャイチャしてたわけか」

「・・・・・・え。お兄ちゃん?」
お兄ちゃんのその口調はお兄ちゃんから初めて聞く聞きなれないものだった。
怒りを隠しているというか失望を隠しているというかそういういろいろな感情を言葉の背後に隠し持った複雑な口調。

「あ、悪い。何でもないから今の忘れて」
お兄ちゃんはこの話題を切り上げようとした。


確かにあたしと先輩は仲直りをした。そして二日酔で苦しんでいた先輩はすぐに家に帰ってしまった。
一日中いちゃいちゃなどできるわけがない。
そしてお兄ちゃんはあたしと先輩が仲直りしたと聞いただけで、いちゃいちゃしてたわけかなんていうことを思い浮かべるような人ではない。
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/23(月) 22:57:14.04 ID:cC0z6VNso
あたしはため息をついた。

今日お兄ちゃんに会ったという妹友ちゃん。
昨日何度もあたしに電話やメールをしても返事がないってお兄ちゃんに嘘を言った妹友ちゃん。

妹友ちゃんは朝あたしと先輩が仲直りしているところを見かけたのかもしれない。
でもあたしと先輩が一日中いちゃいちゃしているところを見られるわけはなかった。そんな事実はなかったし何より先輩は今日すぐに家に帰ってしまったのだから。
妹友ちゃんはあたしには何も言わずにお兄ちゃんを呼び出し、あたしと先輩が一日中いちゃいちゃしていたという事実ではない報告をお兄ちゃんにしたのだろう。

・・・・・・結局あたしは、昨日の夜お兄ちゃんに抱いた感情について妹友ちゃんに謝らなくてもいいのかもしれない。


でもそれをお兄ちゃんに言うことはできなかった。妹友ちゃんの性格についてはお兄ちゃんにもう話をしてある。あとはお兄ちゃんがそれを信じるか信じないかだった。
親友の妹友ちゃんから先輩を奪ったあたしがしていいことは多分ここまでだとあたしは考えたのだ。


あたしは先輩とのことでお兄ちゃんにも心配をかけたことを謝って、その場はそれで終わった。
あたしはキッチンで今日の夕食の雑炊をお兄ちゃんのために作り始めた。そうすると少し重い気分も晴れてくるようだった。
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/23(月) 22:59:09.63 ID:cC0z6VNso
本日はここまでです

やはりこのスレだけでは完結しないかもしれません
その時はまたご相談させていただきます

それではここまでお付き合いありがとうございました

おやすみなさい
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/23(月) 23:02:33.51 ID:O1T2/4Jto
おつさま
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/23(月) 23:07:51.68 ID:I2uhTqVko

楽しみにしてる
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/23(月) 23:20:38.51 ID:NmQ91s4Uo

駆け足で話を無理に締めるよりも
じっくり書き上げてほしいです
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/23(月) 23:27:31.72 ID:CIRUVE1no
乙〜
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 01:39:29.04 ID:IUpYf3Tyo

>>1自身も言っていたが妹スレだから、妹を可愛く書いてくれたほうがうれしい
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 11:03:52.50 ID:pw8gvvnIO
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/24(火) 22:15:53.20 ID:RrfoawJyo
次の日。

授業が終わるとあたしは妹友ちゃんに断って真っ直ぐに家に帰ろうとした。今日から家にはお兄ちゃんしかいないし、お兄ちゃんの夕食のことを考えてあげなければいけない。
何より放課後学校で友だちと過ごしたり先輩と一緒に過ごしたりするより、お兄ちゃんと二人で家で過ごしたかったのだ。

昨晩は何か少し微妙な雰囲気だったけど、それでもあたしが作った食事を一緒に食べ何気ない日常的な会話を交わすことはできた。
一昨日の夜みたいに抱きしめてもらえなくてもいい。もともとお兄ちゃんのことを諦めようとしていたあたしは多くを望むつもりはなかった。ただお兄ちゃんと普通に会話ができるだけでも以前のあたしたちの関係を考えれば十分に幸せだった。

あたしが、いそいそと校門から外に出たところであたしを待ち構えていたらしい先輩に捕まった。
あたしは先輩が何か言い出す前に先輩に言った。

「先輩、悪いけど今週は夜は一緒にいられないの」
先輩は何か言いかけたけど思いなおしたように黙ってしまった。

「家にお母さんたちいないから。お兄ちゃんの食事とか準備しなきゃいけないし」
あたしは続けた。

「だからごめん。今日ももう帰るね」

先輩は相変わらず黙っていたのであたしがこのまま帰ろうとした時、先輩はぼそっといった。

「・・・・・・頼むよ」

「え?」

「今日はは仲直りした最初の夜だから・・・・・・頼むから少しでも付き合えよ」
先輩はあたしの目を見ずに小さく言った。こんな気弱な先輩を見るのは初めてだった。
でも、あたしは大学から真っ直ぐ帰って来てくると約束してくれたお兄ちゃんを家で迎えたかった。

「・・・・・・ごめんなさい、先輩。あたしやっぱり帰らないと」
あたしは先輩に言った。いつもの先輩なら二人きりで大人しい時でさえ声を荒げていただろうから、相当酷いことを言われるのだろうと思いながらあたしは先輩の次の言葉を待った。

「おまえさ。このままいつまでたっても俺より兄貴を優先するの?」
予想に反して先輩は寂しそうな声で言った。
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/24(火) 22:17:59.51 ID:RrfoawJyo
結局あたしは先輩に誘われるまま学校近くのスタバについて行った。

先輩には今日は家で食事するので夕食は付き合えない、どんなに遅くなってもお兄ちゃんが帰る前には家に着いていたいので時間がかかるカラオケやボーリングはいや。
それでいいならと少しだけ付き合うことにしたのだけれど、先輩も行き先にはこだわらなかったようで結局スタバで向かい合って座ることになった。

大した会話もなく1時間くらい経ったとところであたしが帰ると言い出すと、それまであたしが話しかけてもろくに話そうとしなかった先輩が急に喋りだした。



「もう少し一緒にいてくれてもいいじゃんか」

「俺が勘違いしてるんでなければ、俺たちって付き合ってるんだよな?」

「おまえの気に触るならもうおまえの兄貴の悪口とか言わねえから」

「遅くなるとおまえが兄貴に怒られるんだったらさ、俺がおまえの兄貴に謝るよ。妹さんを連れまわしちゃってすいませんでしたってさ」



もうこれ以上聞きたくなかった。先輩は悩んでいたのだ。そしてその原因を作ったのはあたしだ。

先輩と付き合い出して先輩のいいところとか弱いところとか親しみやすいところとかをあたしは知った。逆に言えば常に周りの友人たちに虚勢を張っている先輩は、あたしには弱みを無防備にさらしてくれるようになっていたのだ。
お兄ちゃんを忘れようとして始った付き合いだったけど、あたしは先輩のことが嫌いではなかった。あたしの心の中からお兄ちゃんの存在さえなくなればあたしはもっと先輩に夢中になったかもしれない。

でも結局あたしはお兄ちゃんを忘れることはできなかった。

・・・・・・特にお兄ちゃんがあたしを抱きしめてくれたあの夜以降は、あたしは先輩のことはほとんど考えずいつもお兄ちゃんのことを考えていたのだ。
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/24(火) 22:20:25.83 ID:RrfoawJyo
2時間くらい経った後、先輩は諦めたのかあたしを家の前まで送ってくれた。お兄ちゃんにあいさつすると言い張られたらどうしようかとあたしは悩んだのだけど、家は全体が暗く沈んでいてお兄ちゃんの部屋も含めてどの部屋からも灯りが点いている様子はなかった。その時はもう夜の7時30分を回っていた。

「お兄ちゃん、まだ帰っていないみたい」
あたしはほっとしながら先輩に言った。

「そうか」
先輩はそう言って、いつものとおりあたしにお別れの軽いキスしようと顔を近づけた。



あたしはとっさに顔を離して先輩のキスを避けた。こんなことをしたのは初めてだった。一瞬、先輩の驚き傷つきそして唖然とした表情があたしの目に入った。




「ごめん・・・・・・」
あたしは先輩に謝り、今度はあたしから先輩にキスしようとしたけど、先輩はあたしの手と顔をそっと払いのけた。



「じゃ、もう帰るわ。今日は無理言って悪かったな」
それだけ言って、キスのことには触れずに先輩はもうこちらを見ることなく消えていった。
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/24(火) 22:21:38.46 ID:RrfoawJyo
あたしは混乱する心を沈めながら家に入った。お兄ちゃんももうすぐ帰ってくるだろう。その時お兄ちゃんにイこんな変な顔は見せられない。

ダイニングに入って灯りを点けた時、テーブルの目立つ場所にメモが置いてあるのに気づいた。
あたしはそのメモを手に取った。



『おまえと早く帰る約束したんで帰ったんだけど、おまえ今日も遅くなるみたいだな。実は久しぶりに会う友だちに飲みに誘われたんだけどおまえが帰ってると悪いと思って断ったんだ』

『でもおおまえも遅いみたいだからこれからまたそいつと飲みに行って来るから。食事はいらない。帰りは遅くなるからちゃんと戸締りしとけよ。玄関は鍵してチェーンロックだけ外しといてな』



それはお兄ちゃんのあたしへのメモだった。あたしが先輩と寄り道していた間にお兄ちゃんは一度家に帰ってきてくれていたのだ。



『別に。寂しくないよ。お兄ちゃんもいるし』

『・・・・・・いるんだよね? 大学終わったらすぐ帰ってきてくれるんでしょ?』

『まあ、今はバイトもしてないし、帰りは遅くはならないけど』

『うん・・・・・・よかった』



昨晩の会話を思い出したあたしは声を出して泣いた。
何で真っ直ぐ帰ってこなかったんだろう。中途半端に先輩に付き合ってかえって先輩を傷つけた。
そして何よりあたしとの約束を守って友だちの誘いを断ったお兄ちゃんは真っ直ぐに家に帰ってくれたのだ。
あたしとの約束のためだけに。
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/24(火) 22:22:19.42 ID:RrfoawJyo
ちょっと風呂飯

その後2レスくらい投下予定です
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/24(火) 23:06:42.33 ID:RrfoawJyo
お風呂から上がったあたしは何となく吸い寄せられるようにお兄ちゃんの部屋に入っって行った。
お兄ちゃんが帰ってくるまでの間だけでも、お兄ちゃんの部屋にいよう。

いつもようにお風呂上りで身体が火照っていたため下着だけ着けたあたしはお兄ちゃんのベッドに横になり、テレビをつけた。
お兄ちゃんが帰ってくるまでにテレビを消して部屋を出てスウェットの上下を着れば問題ないだろう。
今あたしはおにいちゃんの部屋で一人きりだった。

・・・・・・考えることが多すぎてテレビには全然集中できなかったので、あたしはテレビのスイッチを切った。



別れ際の先輩の傷付いている目。
友だちの誘いを断って家に帰ってきてくれたお兄ちゃん。



何で物事は好転したと思った途端に新たな障害を生み出すのだろう。
無性にお兄ちゃんに会いたかった。今日真っ直ぐに家に帰っていれば、今頃お兄ちゃんと一緒にいたはずだ。そして先輩のキスを避け先輩の傷付いた表情を見ることもなかったのだ。

あたしはもう何も考えられなかった。混乱する思考をもてあましながらいつのまにかあたしは寝入ってしまったようだった。
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/24(火) 23:07:20.27 ID:RrfoawJyo
・・・・・・遠くで音がした。
玄関のドアがきしんで開くと音。酔っ払っているのか不規則であちこちにぶつかりながら階段を上って来る音。

あたしは眠りから覚め、近づいてくる音に耳をすませていた。玄関のドアには鍵をかけていたので、その物音はお兄ちゃんだった。
もうお兄ちゃんの部屋からそうっと抜け出せる段階は過ぎてしまっていた。

あたしは覚悟を決めた。お兄ちゃんにちゃんと謝ろう。許してくれなくても仕方ない。あたしのわがままに付き合って一度家に帰ってくれたお兄ちゃんにとにかく謝ろう。
そう考えたけど、もう鬼ちゃんに見つからずにベッドから出るタイミングは完全に逸していた。しかも悪いことにあたしは下着しか身につけていないのだ。

もうどうしたらいいのかわからなくなったあたしは、ベッドに入ったままお兄ちゃんのフラフラとした足音がドアの前で止まり、お兄ちゃんがドアを開けて部屋に入ってくるのを感じていた。


やがてお兄ちゃんは自分のベッドに毛布に包まったあたしが寝ているのを見つけたようだった。

「おい」

「おい!」

「妹、起きろ!」
あたしは必死で寝た振りをした。謝るにしたって勝手にお兄ちゃんのベッドに寝ていた状況ではまずい、
あたしにはどうしていいかわからず寝ているふりを続けるしかなかった。


突然お兄ちゃんの手があたしが包まっている毛布を剥いだ。
お兄ちゃんの目にはほぼ裸に近い格好でお兄ちゃんのベッドに横になっているあたしが見えてしまったはずだった。

その時突然お兄ちゃんがベッドに入ってきた。横たわって寝た振りをしているあたしの隣にまるであたしに添い寝するように。
あたしはすぐにでも死んでしまいそうなほどドキドキしていたけれど、何とか身動きせずに寝たふりをしていた。


「・・・・・・妹?」
あたしの隣に寄り添ったお兄ちゃんは妙に静かな口調で寝ているあたしに話しかけた。あたしが本当に寝ているのか確かめるかのように。

「本当に寝ちゃってるのか?」

その時、あたしの剥き出しの太腿に冷たい感触があった。お兄ちゃんの手だった。
その手はあたしの身体を確かめるように静かにあたしの脚を上下に撫で回してから、少し力を込めてぎゅっと握るような動きを繰り返した。
そのままその手は身体を這い上がって脇腹や背中を愛撫するように撫でたりつねったりした。

・・・・・・あたしは凍りついたようにじっとしていた。初めて男の人に身体を触られる恐怖と恥ずかしさと、それから少しだけその手がお兄ちゃんの手であることから来る変な安堵と。
避けようとか嫌がるとかそういう考えは全く浮かばなかった。でも、ただひたすら怖かったあたしは身体を硬直させてお兄ちゃんの手の動きを感じ続けていた。

その手はいきなりとまり、そして次の瞬間あたしはお兄ちゃんの両手で引き寄せられお兄ちゃんの腕の中に収まっていた。
あたしは少し震え次に来ることを待ち構えたけど、結局その後には何も起こらずお兄ちゃんはそのまま眠ってしまったようだった。

ようやく身体を縛っていた何かがはずれたように、既に寝息を立てているお兄ちゃんにあたしは必死で抱きついた。
ほとんど裸に近い格好だったのに。
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/24(火) 23:07:49.13 ID:RrfoawJyo
短いですけど今日はこれでおしまいです

おやすみなさい
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/24(火) 23:18:08.76 ID:05EO2Fsho
おつでーっす
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/25(水) 12:14:11.80 ID:byk/sJ0vo
乙!
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/25(水) 22:37:32.70 ID:WrmlNkbKo

その夜あたしはお兄ちゃんの腕の中で眠れない夜を過ごした。お兄ちゃんの息からはお酒の匂いがした。
3時頃、あたしはなるべくそっとお兄ちゃんの腕の中から抜け出した。お兄ちゃんを起こしたらどうしようと心配だったけど、着替えもせずに熟睡しているお兄ちゃんは全く起きる気配もなかった。

寝ているお兄ちゃんに毛布をかけた後、自分の部屋に戻ったあたしは自分の部屋のベッドに入ってさっき起きた出来事を思い返してみた。その頃には大分落ち着いてきていてあの時強く感じた恐怖や羞恥はもう姿を消していたけど、戸惑いだけはあいかわらずもや
もやと胸の中に滞留していた。

お兄ちゃんがあたしの身体を撫で回した。そのことには一体どんな意味があるのだろう。
ひょっとしてお兄ちゃんはあたしのことを本当に好きなのだろうか。最近お兄ちゃんとの仲が急速に改善して距離が縮んでいることを考えるとその可能性もあながち否定できないとあたしは思った。
一方であれは酔った上での出来事だし、何の気なしにということも考えられた。また、あたしのことが好きなのではなく単に女の子の肌に触りたかっただけということもあるかもしれない。
この間の会話でわかったことだけど、お兄ちゃんは今まで彼女がいたことはないそうだ。そんなお兄ちゃんのベッドで肌を露わにした女の子が誘っているように横たわっていればいくら妹とはいえ身体くらい触りたくなっても仕方ないかもしれない。
しかもお兄ちゃんは相当酔っていたようだし。

一方あたしはと言えば、お兄ちゃんに素肌を触られたことによってお兄ちゃんに嫌悪感を抱くとかそういう負の感情は一切なかった。驚いたことは確かだったけど、それがお兄ちゃんの手だとわかっていたから拒否しようなんて夢にも思わなかったのだ。
ただ戸惑いはあった。振り向いてもらえないと思い込んでいたお兄ちゃんと最近は急速に親しくなったのだけど、さっきの出来事は急すぎた。もしお兄ちゃんがあたしのことを異性として恋愛の対象として見ているのだとしたら。
あたしにはまだ十分な心の準備がなかったのかもしれない。肩を抱かれ寄り添って一晩過ごしたことだけでもあれほど幸福を感じたあたしだったけど、何かさっきの愛撫は少しそういう幸福感とは違った影響をあたしの心に及ぼしていた。

それは率直に言えば性愛ということであり、そういう経験のないあたしにはそれをどう取り扱っていいのかわからなかったのだ。
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/25(水) 22:38:04.35 ID:WrmlNkbKo
それでも考えていくうちにあたしは少し冷静になった。やはりお兄ちゃんが好きという想いは突然のお兄ちゃんの愛撫によっても変ることはなかった。それによく考えればそれほど嫌ということもなかったのだ。
一度二人きりのカラオケの個室で先輩に同じことをされかかったことがあったけど、その時は驚きのほかにも嫌悪感を強く感じていて、あたしは先輩を突き飛ばした。
それに比べるとお兄ちゃんに触られたこと自体は驚いたし少し怖かったけど別に嫌ではなかった。

お兄ちゃんだったからだ。それが大好きな人の手だったからだ。やはりお兄ちゃんはあたしにとって特別だった。
そこまで考えると急に心と身体が軽くなった。好きな人があたしを求めてくれるならあたしはそれを許そう。もちろん限度はあった。そこから先はまだあたしには早い気がする。けどお兄ちゃんがあたしの身体に触りたいなら、それくらいは微笑んでいいよって答
えてあげたい。

あたしは急に眠くなった。でも明日も学校があるし何より登校前にお兄ちゃんを起こさなければならない。あたしは眠りに引き込まれる前にかろうじて目覚ましをセットすることができた。
・・・・・・肌にはまだお兄ちゃんの手の感触がぴりぴりと残っているようだったけど、それも次第に薄れあたしは眠りに落ちた。
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/25(水) 22:40:46.66 ID:WrmlNkbKo
翌朝あたしは学校に何とか間に合う時間に起きられた。あたしは制服に着替えてからお兄ちゃんの部屋に行きお兄ちゃんを起こした。おにいちゃんの部屋の中にはお酒の匂いが充満しているみたいだった。
ようやく起きたお兄ちゃんは案の定ひどい二日酔いだった。

「・・・・・・気持ち悪い」
お兄ちゃんは枕に顔を押し付けるようにしながら呻いた。

「うん。お酒臭いよ、お兄ちゃん」

「おまえ、どうして家にいるの? 学校はどうした」

「・・・・・・お母さんに、これからはあたしがお兄ちゃんを起こしなさいって言われたから」

「それはいいけど、おまえ学校遅刻じゃねえの?」

「・・・・・・お兄ちゃん、なかなか起きてくれなかったから」

「そりゃ悪かったけど、俺なんて放って学校行けばよかったのに」
あたしはそれには答えなかった。

「あ、ちょっと、悪い。トイレ行くわ」
お兄ちゃんはよろめきながら起き上がった。きっと吐き気がするのだろう。

「おまえももう学校行けよ」
よほど苦しいのかお兄ちゃんの顔は真っ青だった。

「・・・・・・うん」
あたしは答えた。もともと学校に行くつもりで制服も着たのだけど、今の苦しそうなお兄ちゃんを見ていると登校する気がだんだん揺らいできた。
二日酔は病気じゃないというけど今のお兄ちゃんはこのあいだ高熱が出た時よりも苦しそうだった。

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「よくわかんねえ」
お兄ちゃんはよろよろと部屋を出てトイレに向かった。

あたしは時間を確認し自分の携帯を取り出した。この時間ならもう担任の先生は職員室にいるはずだった。
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/25(水) 22:41:17.03 ID:WrmlNkbKo
それからずっとお兄ちゃんはトイレから出てこなかったので心配になったあたしはお兄ちゃんに声をかけた。

「お兄ちゃん、本当に大丈夫?」

トイレを流す音がして、お兄ちゃんがよろよろとトイレから出てきた。

「吐いたらすっきりしたよ。悪かったな」

「でも、顔青いよ」
お兄ちゃんの顔はまだ真っ青だった。

「今日は大学休むよ。寝てればすぐ治るから」

あたしが一緒にいてあげると言おうとした矢先にお兄ちゃんが言った。

「・・・・・・二日酔って別に病気じゃねえから、看病とかいらねえぞ?」

「お母さんから言われてるし」
この人と一緒にいたい。あたしは強くそう思った。

「え? とにかく二人でトイレの前にいるのも変だろ。俺はもう寝るから、おまえ学校行けよ」

「あたしも今日休む」

「何で。俺病気じゃねえぞ」

「・・・・・・休む」
もう理屈ではない。あたしはただ繰り返した。自分の想いがお兄ちゃんに届けばいいのにと思いながら。

「だからどうして」
お兄ちゃんは腑に落ちないようだった。
その時あたしは昨日言わなければいけなかったことを、昨日言おうと思っていたけどあの出来事のせいで言えなかったこと思い出した。
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/25(水) 22:41:47.96 ID:WrmlNkbKo
「・・・・・・昨日はごめんなさい」

「え?」

「今週はお母さんたち家にいないから」
あたしは全部正直に言おうと思った。

お兄ちゃんは黙って聞いていた。

「でも昨日は、彼に誘われて断われなくて」

「何言ってるのかわかんねえよ」
お兄ちゃんが口を挟んだのであたしは最初から説明しなおした。あたしは感情や思いを人に伝えるのが少し苦手なのかもしれない。

「お兄ちゃんのメモ見た。大学からまっすぐ帰ってくれたんでしょ」

「ま、まあな。大学からまっすぐ家に帰るっておまえと約束してたし」
お兄ちゃんはあっさりと言ったけど、友だちの誘いを断ってわがままなあたしとの約束を守ろうとしたお兄ちゃんの気持ちがあたしには嬉しかった。

「あたしがお兄ちゃんにお願いしたのに」

「あのなあ」

「あたしが約束破っちゃった」

「兄貴より彼氏を優先するなんて普通のことだろ? 謝ることじゃねえよ。それに俺もその後飲みに行っちゃったしな」

「・・・・・・今週は夜は会えないって彼に言ったの」
あたしは淡々とありのままの話を続けた。お兄ちゃんは黙って聞いていた。まだ苦しそうな顔をしていたけど、それでもあたしの話をまじめに聞いていてくれた。

「お母さんたちいないし。お兄ちゃんも大学から家に帰ってくるし、食事とか準備しなきゃいけないからって」

「でも、昨日は仲直りした最初の夜だから付き合えよって」

「俺より兄貴を優先するのかって言われて」

「ごめんね」
あたしは話を締めくくった。

「何で謝る。おまえ、彼氏より俺のほうを優先してるわけじゃねえだろ? そんなことそいつに言われる筋合いねえよな」
お兄ちゃんにはまだわかっていないようだった。

「・・・・・・ううん。そうでもない」
あたしは正直に答えた。あたしは実際に先輩よりお兄ちゃんと過ごす方を選んだのだ。あの時あたしは先輩の言うとおりお兄ちゃんのほうを優先したのだった。

「お兄ちゃん」

「うん?」

「もう横になって。お昼ごろまた起こしてあげるから」

「・・・・・・学校は?」
お兄ちゃんはまた繰り返した。

「もう休むって連絡した」
お兄ちゃんは再び黙ってしまった。
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/25(水) 22:42:49.62 ID:WrmlNkbKo
あたしが部屋に戻って休んだ方がいいよと繰り返すとお兄ちゃんもその気になったようで、自分の部屋に向かった。
あたしはお兄ちゃんの背中を眺めながらお兄ちゃんについて行った。

「・・・・・・何でおまえも俺の部屋について来てるの」

「お兄ちゃんは寝ていいよ」

「だからどうして」

「テレビ見ていい? ボリューム下げておくから」
あたしは今日はお兄ちゃんのそばから離れるつもりはなかった。たとえまた身体を触られるようなことになったとしても。

「・・・・・・いいけどよ」
お兄ちゃんはようやくそう言ってくれた。それからお兄ちゃんはベッドに横になった。

あたしは床に座り込んでテーブルの上のリモコンを手に取った。
スイッチを入れると何か懐かしい番組が映し出された。
そっれはピンクの恐竜が登校している場面だった。


「学校休んだ日って、何かNHK教育テレビを見ちゃうんだけど、何でかな」

「ああ〜。わかるわかる。がんこちゃんとかノッポさんとか、さぼった日は必ず見ちゃうよな」

「何でだろ?」

「民放が主婦向けの番組しかやってねえからだろ」

「うん」
やっぱりお兄ちゃんとこういう何気ない会話ができるのは幸せだった。気分の悪いお兄ちゃんのことは心配だったけど、それでも学校を休んでお兄ちゃんの隣にいて世間話をする。ただそれだけのことが本当に何にも変えがたい貴重な時間のように思われた。

「お兄ちゃん、寝ないの?」
しばらくしてあたしは心配になった。あたしの会話の相手をしてくれるのは嬉しいけど、早く寝た方が治りも早いに違いない。

「何か体も心も楽になってきたな」
お兄ちゃんがぼそっと言った。

「お昼食べられそう?」

「今は無理。その時になんねえとわからない」

「うん」
再び会話が途切れた。
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/25(水) 22:43:21.44 ID:WrmlNkbKo
テレビからは『ざわざわ森のがんこちゃん』のテーマソングが流れている。

『がーんこちゃーん♪』

「・・・・・・おまえさ」
お兄ちゃんが気のせいか少し緊張した声であたしに話しかけた。

「うん?」
あたしはがんこちゃんから目を離しお兄ちゃんの方に振り向いた。

「昨日、俺のベッドで寝てなかった?」

「お兄ちゃんが帰ってきたら謝ろうと思って」
あちゃしはすぐに答えた。

「うん」

「でも、自分の部屋だとお兄ちゃんが帰ってきても気がつかないかもしれないから」

「うん」

「お風呂から出て、お兄ちゃんの部屋でテレビ見て起きてようと思ったんだけど、気がついたらお兄ちゃんの部屋で寝ちゃってた」

「おまえ、下着しか着てなかったぞ」

「うん。お風呂出て暑かったから」
そこまでは冷静に答えていたあたしだけど、お兄ちゃんの次の質問が耳に入るとあたしは狼狽した。

「・・・・・・俺が帰ったのわかった?」
お兄ちゃんも昨日のことを覚えていて気にしているのだろうか。急に動悸が激しくなった。

「・・・・・・お兄ちゃんが帰って来たの知ってたよ。ベッドに入ってきたのも」
あたしは答えた。

「もしかして起きてた?」
お兄ちゃんはかすれた声で聞き返した。

「・・・・・・うん」

「寝たふりしてたのか」

「だって」
あたしは答えた。あたしはお兄ちゃんに嘘を言ったことはない。

「・・・・・・何か怖かったし恥ずかしかったから」

「そ、その・・・・・・。ああいうのって嫌じゃなかったの?」
やはりお兄ちゃんは昨日あたしの身体を触ったことを覚えているのだ。

「ちょっと怖かったけど、別に嫌じゃなかった」
あたしは冷静に答えているように見えたかもしれない。でも心の中は恥ずかしくてパニック状態だった。
それでもあたしはお兄ちゃんに自分の想いを正直に伝えようとした。

「彼氏にはまだ待ってってお願いしてるけど」
あたしは更に踏み込んだ。

「・・・・・・お兄ちゃんだったから」
それはまるで愛の告白のようだ。

「・・・・・・わかんねえ」
お兄ちゃんは理解に苦しむように黙ってしまった。




「ちょっと怖かったけど、別に嫌じゃなかった」
「・・・・・・お兄ちゃんだったから」

あたしはお兄ちゃんに嘘をつくことはないのだ。
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/25(水) 22:45:06.89 ID:WrmlNkbKo
今日はここまで

また明日投下予定です
駄文長文にお付き合い感謝です

それではおやすみなさい
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 22:56:43.74 ID:xSvkgWySO
乙〜
おやすみ
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/25(水) 23:05:18.60 ID:1B8nFMWOo
おつん
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/01/26(木) 00:00:23.01 ID:F5r+tDOWo
おつんつん
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/26(木) 01:27:55.91 ID:nEP2Ll3qo
乙!
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/26(木) 22:11:24.24 ID:1OhvfVmto

「じゃあ海見に行こうよ」
あたしはお兄ちゃんにおねだりした。


お兄ちゃんの二日酔が収まってきたので、あたしたちは昼食を取るためにお兄ちゃんの車で外出していた。
二日酔なんだから車じゃなくてとも考えたけど、今日学校を休んでいるあたしにとって徒歩で繁華街まで出るのは危険だった。
でもそれもあたしが自分に言い聞かせた言い訳かもしれない。あたしはお兄ちゃんと二人きりで出かけたかった。それにはドライブするのが手っ取り早い。

普通にファミレスに行くだけなら片道で15分もあれば目的地に着いてしまう。でも幸いなことにぼうっと運転していたお兄ちゃんは道を間違えた。不要な交差点を右折して高速道路に入ってしまったのだ。
まだ昼食には早い時間だった。

「・・・・・・この道ってこのまま行くとどこに着くの?」
あたしはお兄ちゃんに聞いた。

「まあ、湘南とか小田原とかそっち方面だな」

「まだお昼には早いよね」

「まあ、12時前だしな」

「このまま海に行く?」
あたしはお兄ちゃんを誘った。

「へ?」

「海の方へ向ってるんでしょ」

「う、うん」


「別にいいけど」
お兄ちゃんはぼそっと言った。熱意も喜びのかけらも感じられない声だけど、あたしにはこれまでにはなかった余裕があった。

「・・・・・・あたしたちデートしてるみたいだね」」
あたしはくすっと笑いながらお兄ちゃんを見上げた。お兄ちゃんの顔が赤くなった。
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/26(木) 22:13:51.53 ID:1OhvfVmto
これまで必死にお兄ちゃんを求めてもがいていたあたしがこんなに余裕を持ってお兄ちゃんと接することができたのは、別にお兄ちゃんに身体を求められたからじゃないと思う。
身体を武器にお兄ちゃんを誘惑するなんて考えるほどあたしは自信過剰じゃなかった。妹友ちゃんみたいに女らしい体つきをしているわけじゃないし。

むしろ昨日の夜のできごとをお兄ちゃんと話し合ったことがあたしの中では大きかった。お互いにお互いの感情を手さぐりで模索していた段階は終わり、お兄ちゃんはあたしの身体を触ったことを誤魔化さず否定もしなかった。
そしてあたしも、その愛撫がお兄ちゃんだったから嫌じゃなかったのとお兄ちゃんへの好意を生まれて初めて剥き出しでぶつけることができたのだ。

今でもあたしには将来への不安がある。お兄ちゃんは事実としては認めたけれども、その動機があたしへの好意だと言ったわけではない。
あたしにしても、お兄ちゃんを諦めるために付き合い出した先輩との関係を清算したわけではない。この先どうなるのかは全く目隠しされていて何にも見えていなかったのだ。

それでもあたしには焦燥感はなかった。いろいろ不安を感じる様子はあったけど、今のあたしはお兄ちゃんと二人きりでいるだけで幸せだった。そしてお兄ちゃんも多分・・・・・・。
これはあたしたち兄妹に許された一瞬のモラトリアムに過ぎないのかもしれない。それでもあたしの心は軽かった。

気軽にお兄ちゃんに話しかけられる喜び。
お兄ちゃんにわがままを言い、お兄ちゃんがそれをしぶしぶながらも聞き入れてくれる喜び。
今までのように遠慮しながらお兄ちゃんの後姿を眺めていなくてもいい関係になれた喜び。

今のお兄ちゃんならあたしの無様なところ、醜いところ、嫉妬深いところ、その全てをあるがままに受け入れてくれるような気がした。
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/26(木) 22:16:28.73 ID:1OhvfVmto
相変わらず景色は街中のそれで一向に海辺らしくならなかった。昨日ほとんど寝ていなかったあたしは眠気を払うのに苦労した。

途中お兄ちゃんの携帯の着信音が鳴り、それが誰からのメールかわかっていたあたしは一瞬眠気が覚めた。
それでもあたしの軽い気持ちは曇らなかった。正直に言えば妹友ちゃんでさえ今のあたしには脅威に思えなくなっていたのだ。

妹友ちゃんがお兄ちゃんを学園祭に誘いたいなら誘ってもいい。昨日の夜を踏まえると仮に妹友ちゃんがお兄ちゃんに告白したとしてもお兄ちゃんは妹友ちゃんには靡かないだろう。
今のあたしにはそれくらいお兄ちゃんの気持ちを自分にひきつけているという自信があったのだ。


お兄ちゃんと何気ない会話を交わしながらもあたしはだんだん眠くなってきた。車内の暖房や適度な車の振動が心地よくあたしを眠りに誘った。

「車の中暖かいから眠くなっちゃうね」
あたしはあくびをかみ殺しながら言った。

「時間かかるから寝てていいよ」

「お兄ちゃんに悪いし」
二日酔のお兄ちゃんに運転させているのだ。助手席で眠るわけにはいかない。

「いいよ。少し休んどけ」
それでもお兄ちゃんはあくまであたしに優しかった。これまでの無関心な関係がまるで嘘のように。

「うん。じゃあ」
あたしはお兄ちゃんの言葉に甘えた。それで体をできるだけ運転席の方にずらして、お兄ちゃんの肩に頭を乗せるようにしてお兄ちゃんにもたれかかった。

「・・・・・・おい」
少しだけ慌てているお兄ちゃんの声。

「なあに?」
あたしは半ば目つぶりながら言った。

「い、いや。何でもない」

うとうとしながら、あたしは肩にお兄ちゃんの手が回されるのを感じた。お兄ちゃんの手はあたしの肩でおとなしくじっとしていることもなく、服の上からあたしの腕を撫でたり掴んだりしながら遠慮がちにあたしの腕を上下にさするように往復していた。あたしは昨日のように驚かなかった。むしろ好きな人に自分の体を好きなようにさせながらも安らかに目をつぶって半分眠りについていたのだ。

お兄ちゃんの控えめな愛撫はすぐに終わったけど、この時お兄ちゃんがもっとあたしを求めたとしてもあたしはそれを受け入れていただろう。
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/26(木) 22:19:00.16 ID:1OhvfVmto
お兄ちゃんと湘南でデートしたその夜、あたしはお風呂上りに再びお兄ちゃんの部屋に行った。もうあまりお兄ちゃんに遠慮しなくなっていたのだ。

お兄ちゃんが妹友ちゃんへのメールの返信を忘れているようなので、返事するように催促しながらあたしは勝手にお兄ちゃんのベッドに座ってテレビをつけた。
何をしても愛する人に拒否されることはないという心地よい安心感。

お兄ちゃんは短くメールの返信をするとあたしを部屋に残してお風呂に向かった。

お風呂上りのお兄ちゃんが部屋に戻ってきた時、あたしはテレビのバラエティ番組を見ていた。


「なあ」
お風呂上りのお兄ちゃんは髪の毛をバスタオルで拭きながら言った。

「うん。あ、お兄ちゃんお風呂スイッチ切ってきた?」
お兄ちゃんはよくスイッチを切り忘れるのだ。あとこの後お風呂の掃除もしなければいけない。いつもならそれを次の日に廻すことなんて考えられないんだけど、今日のあたしは一歩だってお兄ちゃんの部屋から出て行くつもりはなかった。

「切ったよ。おまえ、まだ寝ないの?」

「もうすぐ寝る」
あたしは答えた。

「今日もここで寝るから」

「・・・・・・はい?」

「お母さんたちいないし」

「母さんたちいる時だって一人で自分部屋で寝てるじゃん」

「でも、昨日もおにいちゃんの部屋で寝たし」

「あのさ」

「うん」


その時予想外の嬉しい言葉がお兄ちゃんの口を飛び出した。

「俺だって男だし。妹とはいえおまえだって可愛い女の子なんだしさ」

「え?」
可愛い。お兄ちゃんはあたしのことを可愛いって言ってくれたのだ。

「また昨日みたいなことしちゃうかもしれないぞ」

あたしが可愛いから兄としてでなく男として我慢できないということ?
あたしはもう一回お兄ちゃんにあたしのことが可愛いと言わせたかった。

「・・・・・・もう一回言って」
あたしは真っ直ぐお兄ちゃんを見た。もう曖昧な言葉は言わせない。

「へ? だ、だからおまえの体を」

「そこじゃない。あたしだって、ってとこ」

「おまえ、その、か、可愛いし・・・・・・」
お兄ちゃんは顔を赤くし困惑したようにぼそっと言った。
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/26(木) 22:22:35.24 ID:1OhvfVmto
瞬時にあたしの心は決まった。
「お兄ちゃんにならいいよ」

遠まわしな愛の告白のような言葉。それはあたしたちらしいのかもしれない。長年お互いに無干渉だったお兄ちゃんへのあたしの告白のは、愛してるとか好きではなくお兄ちゃんなら触ってもいいよなんて言葉だった。

「・・・・・・いいの?」
お兄ちゃんも恥ずかしそうだったけど、もう誤魔化すことなく言った。

「昨日も言ったじゃん。嫌じゃなかったって」

「・・・・・・本当にいいのか」

妹「お兄ちゃんがしたいなら」

あたしは黙ってベッドにうつ伏せになった。さすがに仰向けになるのは恥ずかしかったから。

「・・・・・・結局スウェット着てなくてよかったね」

「ちょっと寒いからエアコンの温度上げて」

「・・・・・・最後まではダメだよ? 触るだけね」

あたしの言葉にお兄ちゃんも頷いた。

「わかってる」
お兄ちゃんがあたしの隣に横たわった。

「ちょっと狭いね、ベッド」

「シングルだからな。なあ?」

「何?」

「やっぱり怖い?」

「昨日ほど怖くない」
これは強がりではなかった。どきどきしていたけど恐怖心や戸惑いは昨日とは異なり全く無くなっていた。

「そう・・・・・・」
沈黙の中にテレビの笑い声だけが響く。この場にはひどく不似合いなBGMだった。

「テレビ消して」

「うん」

「・・・・・・何もしないの?」
お兄ちゃんは戸惑って、ためらっているようだ。あたしは両手をお兄ちゃんの首に廻しお兄ちゃんにキスした。

「・・・・・・嫌だった?」

「い、嫌じゃねえよ」

「そう」

「妹!」
突然お兄ちゃんがあたしの名前を低く叫び、あたしはお兄ちゃんに抱きしめられベッドに押し倒された。
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/26(木) 22:24:15.38 ID:1OhvfVmto
短くてすいません
今日はこれでおしまいです

やはりこのスレでは完結できないっぽいです
次スレたてる方向で検討します

いつもお付き合いどうもです

おやすみなさい
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/01/26(木) 22:27:56.73 ID:1pv4hujko


妹視点での再生とは言えやはり鬼畜だな
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/26(木) 22:28:43.43 ID:w0kfDtVyo
乙〜
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/26(木) 22:32:39.80 ID:M/4yrDtZo
乙〜
じっくりいってね
965 :ぐんじ :2012/01/26(木) 22:45:00.23 ID:XyfPG5Zo0
慰謝料はそんないらなかったので、100万ほど

そこまで大きくなかったニュースにも出てないし
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 23:14:18.49 ID:UgLjhbuSO
相変わらずドSな作者だな
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/26(木) 23:30:18.51 ID:1SOeADXbo
乙乙

2スレ目も目一杯引っ張ってほしい
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県) [sage]:2012/01/27(金) 07:01:59.06 ID:az//yGV6o

ふむ
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/27(金) 22:18:24.47 ID:qSeizNVEo
それから学園祭までの間、その準備に忙しかったこともあって、あたしは朝早く家を出て帰宅は常に遅かった。
だからというわけではないけれども、あたしは夜お兄ちゃんの部屋に行かなかった。
主に二つの理由で。

一つ目は単純に恥ずかしくてお兄ちゃんの顔が見れなかったから。
あの時、あたしの意思とは全く関係なくあたしは大きな声を出した。お兄ちゃんに体を触られて変な気持ちになって息が荒くなったりはしたことがあったけど、あそこまで大きな声が漏れたのは初めてだった。
お兄ちゃんに初めて剥き出しの肌にキスされあたしの胸は急に熱を帯び、むずむずとして熱くそして気持ちのいい感覚があたしを支配したのだった。
思わず口から出た声は意味を成しておらず「あ」とか「あん」とか繰り返し喘いでていただけ。

お兄ちゃんはあたしのことを変な女だと思っただろうか。こんなに簡単に感じてしまうあたしをはしたない女だと思ったのではないか。
あたしはお兄ちゃんの好意に臆病になっていたから、やっと掴んだこの幸せが壊れるようなことは一つたりともしたくなかったのに。今にして思えば枕を噛んででも声を出すのを我慢すればよかったのだ。

二つ目は先輩との関係。
あたしの思い過ごしでなければお兄ちゃんはあたしに好意があるようだった。今まで考えたこともなかったけどあたしの初恋、絶対に成就しないだろうと諦めていたその恋が実るかもしれない。
あたしは先輩のことが好きだった。いくらお兄ちゃんを忘れるためとはいえ、全く好きでもない人と付き合うはずがない。
校内の女の子が噂する先輩の美点、格好いいところとか運動神経がいいところ、女の子の扱いに慣れているところ。先輩のそういうところは全くあたしの感情を動かさなかった。でも、先輩の意外に気の弱いところ、虚勢を張っても長続きせずすぎに相手の感情を気遣うやさしさ、相手の心を洞察できる繊細な感情、あたしは先輩のそういうところが好きになったのだった。そしてそれはお兄ちゃんの中にあたしが見つけていたものろとほとんど一緒だった。
オタクで恋愛経験のないのお兄ちゃんと真逆のように見える先輩の中に、あたしは初恋の人との共通点を見出し初恋の人の面影を先輩の中で追っていたのだ。

あたしは先輩と付き合っていることをお兄ちゃんには隠していない。先輩と付き合うあたしをお兄ちゃんがどう考えているかもよくわからない。でも、お兄ちゃんと結ばれるかもしれないというかすかな希望があたしの胸の奥に灯った今、あたしは先輩と付き合い続けていいのだろうか。
これはまさに先輩があたしに言ったように「浮気」そのものだった。それも先輩が言っていた精神的浮気の状態でさえもう通り過ぎてしまっていた。


あたしは先輩よりお兄ちゃんのほうが比べ物にならないくらいに大好きだ。そしてそのお兄ちゃんとの関係が深くなっていっている今、先輩とこれまでどおり付き合っていていいのだろうか。
お兄ちゃんには彼女がいない。妹友ちゃんはお兄ちゃんのことが好きなのかもしれないけど、妹友ちゃんはまだお兄ちゃんの彼女ではない。
お兄ちゃんに特定の相手がいない以上、あたしだけ彼氏がいるのは不公平ではないのか。それにあたしと付き合うことは確実に先輩を苦しめている。


どうするか気持ちが固まったわけではなかった。ただあの夜から学園祭までの間、こういうことを繰り返し考えて悩んでいた。そして悩んでいる最中のあたしをお兄ちゃんに見られるのは嫌だった。
そういう訳で学園祭まであたしはお兄ちゃんと夜一緒に寝ることもなくほとんど話もせずに過ごしたのだった。
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/27(金) 22:20:30.64 ID:qSeizNVEo
学園祭当日、あたしは実行委員の当日の役目をどういうわけか免除され、先輩と二人で調理部が出店したカフェに座っていた。

その日も先輩の感情は不安定だった。お兄ちゃんに嫉妬して悪口を話すかと思えばそれに怒ったあたしに気遣い突然謝って前言を取り消したりする。
あたしは、お兄ちゃんへの誹謗は許さなかったけどそう言うしかない先輩の気持ちもよくわかった。なので先輩が謝罪すればそれを受け入れ、最近では避けていた先輩の求めに応じてキスしたりもした。
あたしが先輩と仲直りしたその時だった。あたしは委員長ちゃんに話しかけられた。


「妹ちゃ〜ん。ここにいたの」

「ああ、委員長ちゃん」

「何だ? また、彼氏と一緒なんだ」
委員長ちゃんはあたしたちをからかった。

「・・・・・・委員長さ。マジ邪魔なんだけど」
先輩が委員長ちゃんを睨んだけど、委員長ちゃんは全く気にしていない様子だった。

「こら。仮にも女の子に向かって邪魔とか言うな」
委員長ちゃんが先輩に言い返した。


「せっかく妹と二人きりなのによ」

「あのね。妹ちゃんは本当だったら来客整理誘導係で、校門の前に立ってなきゃいけないのよ」

「わかってるよ」

「それを、あんたに『妹と一緒に学祭を回りたいよ〜』って頼まれたから、妹ちゃんをフリーにしてあげたんでしょうが」

「ごめんね委員長ちゃん」

「いいのよ。あたしはただこいつの言い草が気に障っただけで」

「だからわかってるって。悪かったよ」

「二人のとこ邪魔してごめんね? 妹ちゃん」

「別にいいよ」

「そういえば妹ちゃんこんなクズと一緒にいていいの?」

「クズとは何だクズとは」

委員長ちゃんと先輩との会話はまるで漫才のようだったけど、二人の掛け合いを聞いているうちにあたしはふと奇妙なことに気がついた。
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/27(金) 22:23:40.39 ID:qSeizNVEo
委員長ちゃんは先輩に憎まれ口を叩いていたけど、よく見るとその間全くといっていいほど先輩の方を見ていなかった。あたしに向かって先輩の悪口を言っている感じだった。
一方、先輩は委員長ちゃんに返事をする時はチラッと委員長ちゃんの様子を伺いそしてすぐに委員長ちゃんから視線を逸らして返事をする。
そのパターンが見事に繰り返し続いていることにあたしは気がついた。

委員長ちゃんが先輩を好きなことは妹友ちゃんが嬉しそうに噂話をしていたので知ってはいた。その時は話半分に妹友ちゃんの噂話を聞き流していたあたしだけど、委員長ちゃんの反応を見るにやはり委員長ちゃんが幼馴染の先輩に恋をしているというのは本当だろうとあたしは今改めて実感した。

そしてそれよりも奇妙だったのは先輩の反応だった。あたしは先輩の長所として意外と人に気を使うところがあると思っていたけど、その長所は普段は先輩の乱暴な言動に隠れていて誰もが理解できるようなものではなかった。
でも、委員長ちゃんと長い言葉のラリーを続けている先輩は傍から見れば遠慮のない幼馴染に一方的にやり込められているように見えただろうけど、その実よく観察すれば先輩の言動は細やかなまでに委員長ちゃんに配慮したものだった。
自分をクズ扱いする委員長ちゃんに反論しつつも、最後は必ず委員長ちゃんに折れて謝る先輩。

あたしは二人の掛け合いを聞きながら考えていた。
先輩があたしを好きだというのは嘘ではないだろう。先輩の美点(というかこれは欠点かもしれないけど)として自分に正直ということがある。先輩があたしを欲しいという時は本当にあたしが欲しい時なのだ。
でも、一方で委員長ちゃんに見せる細やかな配慮は、普段はあたしにだってそこまでしないレベルのものだった。
ひょっとしたら。

委員長ちゃんが先輩を密かに想っていることは多分間違いないだろう。
そして先輩はあたしに夢中だと、あたしは今までは何となくそう考えていた。でも先輩自身も気がついていないかもしれないけど、本心では先輩は委員長ちゃんのことを好きなのではないか。
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/27(金) 22:24:10.49 ID:qSeizNVEo
「今日は妹ちゃんの大好きなお兄ちゃんは来てくれないの?」
委員長ちゃんは話題を変えてあたしに言った。

「・・・・・・来てると思うよ」
あたしは答えた。

「え」
それを聞いて先輩は少し慌てたようだった。

「せっかく大切なお兄さんが来てるのに、案内とかしないの?」
ちらっと先輩の方を覗った委員長ちゃんは、先輩の反応を無視して話を続けた。

「・・・・・・うん。妹友ちゃんが案内してくれるって言ってたから」
あたしの言葉からは少しだけ苦いニュアンスが滲み出ていたかもしれない。

「・・・・・・あんた、それでいいの? いつもは少しでもお兄ちゃんと一緒にいたいオーラを出してるのに」

「・・・・・・おまえ、余計なこと言うな」
そこで委員長ちゃんの言葉に先輩が反応したけど、次の委員長ちゃんの暴言に一瞬で黙殺された。

「あんたこそ女同士の会話に口出しするな! クズ」

「お兄ちゃんには会いたいけど、妹友ちゃんの邪魔は出来ないし」
それはあたしの正直な気持ちだった。

「え? 何々。妹友ちゃんって妹ちゃんのお兄さんのこと好きなの?」

「多分、そうじゃないかな。あ、妹友ちゃんにはこの話は内緒だよ」

「わかってるけど」

「ふ、ふふ。うふふふ。妹の兄貴に彼女が出来そうとか。何て素晴らしい展開なんだ」
何か不自然な先輩の反応。この言葉はあたしに向けられていたのか。それとも無意識のうちに気になっている委員長ちゃんへのものだったのか。

「だから。あんたは少し黙ってろ」
委員長ちゃんは相変わらず先輩の方を見ないで言った。
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/27(金) 22:27:28.11 ID:qSeizNVEo
あたしと先輩はその後一緒に校内を回ったけれど、お兄ちゃんにも妹友ちゃんにも会うことはなかった。
正直、先輩と一緒にいるところをお兄ちゃんには見られたくなかったので、あたしはほっとしていた。

後夜祭のフォークダンスを踊っている時、ダンスの輪に入らずキャンプファイアの灯りを横顔に受けながらじっと考え事をしている妹友ちゃんを見かけた。あたしは妹友ちゃんとお兄ちゃんの間に今日何かあったのだろうかと考えたけど、それについて深く考えこむことはなかった。
あたしはお兄ちゃんのあたしへの好意や関心(愛と言い切れるほどの自信はまだなかったけど)について、珍しく自信をもっていたから。

後夜祭が終わったあと、先輩にはグループの女の子たちから声がかかった。みんなで遊びに行くらしい。先輩や女の子たちはあたしも誘ってくれたけど、あたしはそれを断った。そして先輩もいつものようにしつこくあたしを付き合わせようとはしなかった。
それはあたしにとってラッキーなんだけど、少し違和感を感じた。先輩があたしをしつこく誘わないのは珍しい。
でもその時は深く考えることなく先輩やみんなにさよならを言ったのだった。
先輩たちにさよならを言ってまだキャンプファイアの灯りが残っている校庭を振り返った時、あたしは先輩を囲んだ女の子たちの中にどういうわけか委員長ちゃんも混じっていることに気が付いた。


あたしは家に帰る途中いろいろ考えた。変な声を出してしまったことも先輩と付き合いながらお兄ちゃんの方が好きなことも、お兄ちゃんから逃げていても解決しない。

先輩と委員長ちゃん、お兄ちゃんと妹友ちゃん。
あたしが逃げているい間もあたしの周りの人たちの相互の関係は進展したり足踏みしたりしながらも少しづつ変っているように思えた。

・・・・・・お兄ちゃんに会おう。会ってこれまでの態度を謝ろう。
そして。

お兄ちゃんがそれでもあたしを求めてくれるならそれに応じよう。
あたしは少しでも早く家に帰れるよう少しでも早くお兄ちゃんに会えるよう、足を速めた。
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/27(金) 22:28:16.97 ID:qSeizNVEo
短くて申し訳ないですけど今日はおしまいです

明日明後日はオフなのでそれなりに話を進めたいと思います

駄文にお付き合い感謝です

おやすみなさい
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 22:30:41.53 ID:0V34ocoIO
>>974

おやすみー
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/27(金) 22:31:07.77 ID:xAj0U8eQo
乙です
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 22:44:40.83 ID:1q+ZYQ26o
乙で〜す
毎回楽しみにしてます
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 22:47:15.94 ID:oHhBmlUUo
乙です
次スレはどうするのかな?
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/27(金) 22:49:19.64 ID:AUmE6ZjSO
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/27(金) 23:27:48.03 ID:qSeizNVEo
>>978
明日の投下終了後、レス番に関わらず次スレを立てようと思います。
その際は誘導させていただきます
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/28(土) 00:12:53.41 ID:qDDXAwsco
先輩は妹のファーストキスと委員長の色々初めてを頂いてそうで羨ましいのう

それ以上に兄がアレだが…
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/28(土) 21:32:29.56 ID:OgGbePyto
あたしが帰宅した時間はそんなに遅い時間ではなかったけれど、あたしがお兄ちゃんの部屋を覗くとお兄ちゃんはもう眠ってしまっているようだった。
あたしはしばらくお兄ちゃんの寝顔をじっと見詰めた。もう迷いはなかった。ここ最近お兄ちゃんを避けていたことを謝ろう。先輩のこととか妹友ちゃんのこととかいろいろ心の中で整理できてはいないけど、とにかくお兄ちゃんと仲直りがしたかった。

17年間ほとんど無関係に生きてきたあたしたちだったけど、最近お兄ちゃんとの仲が接近した後だけに、ここ数日お兄ちゃんと話ができないだけであたしはもうぼろぼろだった。勝手にお兄ちゃんを避けたそのあたしがもう限界なのだ。
我ながら自分勝手な女だと思うけどそれが正直な気持ちだった。

このままお兄ちゃんのベッドに潜り込もうと思ったけど、何とかそれを思いとどまってお風呂に入って着替えるくらいの理性は保てていた。
あたしはお風呂を出て手早く下着だけを身につけるとどきどきしながら再びおにいちゃんの部屋に入り、そうっと眠っているお兄ちゃんの隣に横たわった。寝相が悪いせいかはだけている毛布をあたしとお兄ちゃんの上にかけなおす。

今夜はもうこれでいい。
お兄ちゃんの体温と息遣いを身近に感じたあたしにようやく安堵感が訪れた。こんなに落ち着くのは久しぶりだった。


「おやすみ、お兄ちゃん」
あたしはそっと寝ているお兄ちゃんに言った。
なるべく低い声で言ったつもりだったけど、お兄ちゃんはもぞもぞと身じろぎし目を開けた。

「え?」

「あ、お兄ちゃん起こしちゃった?」

「おまえ・・・・・・ここで何してるの?」
お兄ちゃんは困惑していた。

「お風呂入ったしもう寝ようかと思って」

「しかも、また下着だけしか着てねえし」

「お風呂上りは暑いから」
もちろん今夜はそれだけの理由ではなかった。
あたしは自分の貧相な裸をお兄ちゃんに見てもらいたかったのだ。それは今まで感じたことのない不思議な心の動きだった。

「・・・・・・おまえ、しばらく俺の部屋で寝てなかったじゃん」
そう言われても仕方がなかった。

「・・・・・・ごめん」
あたしは今こそきちんとお兄ちゃんに謝ろうと思った。

「いや、そこで何で謝る」

「この前、お兄ちゃんに、その」
あたしは恥ずかしかったけど思い切って話し始めた。
お兄ちゃんはあたしの話を黙って聞いていてくれた。

「その、お兄ちゃんに体を撫でられて・・・・・・」

「あんなに声とか出しちゃって。変な女だと思ったでしょ」

「・・・・・・あたしのこと嫌いになったでしょ」
あたしはもう泣き出しそうだった。自分が嫌らしい女であることを大好きなお兄ちゃんに告白しなければいけないなんて。
でも予想に反してお兄ちゃんの声には嫌悪感はなく、むしろ心底戸惑っているようだった。

「はあ? 何言ってんのおまえ」

「あの時・・・・・・体が熱くなって、何かむずむずとして。気がついたら声が出ちゃってて」

「・・・・・・それ、普通なんじゃね?」

「うそ。あたし、どこか変なのかなと思って」

「あのさ。女性経験の少ない俺だってそんな誤解はしねえぞ」
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/28(土) 21:33:57.09 ID:OgGbePyto
「・・・・・・本当? あたし、ああいうの初めてで」
お兄ちゃんはあの時あたしが抑えきれずに声を出してしまったことをあまり気にしていないようだった。
あたしは急に気が楽になった。
お兄ちゃんに嫌われていなかった。変な女の子だとも思われていなかったのだ。

「雑誌とかテレビとか友だちとの話とかでわかるだろ? 普通」
お兄ちゃんは何だか飽きれたように言った。

「でも、彼氏に同じことされかかったけど、全然お兄ちゃんにされた時みたいな感じしなくて」

「・・・・・・おまえの彼氏とのことはいいよ、この際」
彼氏のことを持ち出したのは失敗だった。お兄ちゃんの声が少し険しくなった。

「ごめん」
あたしはすぐにお兄ちゃんに謝った。もうお兄ちゃんには嫌われたくなかった。

「だから謝るなって。で?」

「うん」

「ずいぶん帰るの早かったけど。後夜祭とかあったんだろ」

「うん。彼とフォークダンス踊った」
お兄ちゃんに嘘は言えない。あたしは正直に話した。

「そう」

「その後みんなで遊びに行こうって話になったんだけど」

「おう。それで?」

「今日は帰るからって言って帰ってきた」

「・・・・・・そう」


そしてあたしはここで今日は絶対に言わなくてはいけないことを口にした。
「あたし、今日はここで寝るから」

「・・・・・・はぁ?」

「明日からお母さんたち帰ってきちゃうし、もうお兄ちゃんと一緒に眠れなくなるし」

「あのさあ」

「うん」

「前から聞こうと思ってたんだけど」

「うん」

「お、おまえさ。その、俺のこと好きなの?」
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/28(土) 21:37:47.13 ID:OgGbePyto
それは根源的な問いかけだった。何となく一緒にドライブするとか何となく体を触らせるとか何となく一緒に寝るとか。
そんな曖昧な兄妹の関係をはっきりと定義させるようなそういう質問だった。
この質問への答え方次第であたしとお兄ちゃんの関係が変化するだろう。お兄ちゃんは今まで曖昧にしてお互いの心を探り合っていた関係をはっきりとさせようとしていた。
あたしのお兄ちゃんへの長い片想いもこの後の数分で決着が付くのかもしれない。
そしてここまではっきり聞く以上、お兄ちゃんがあたしのことをどういう風に考えているのかもわかるだろう。

でもあたしはあまり慌てなかった。これまで一度もお兄ちゃんに嘘を言ったことはない。今までと同じく素直に自分の考えを言うだけでいいのだ。その結果がどうだろうと。

「うん。好き」
あたしは短く答えた。短いけれど万感の想いを込めて。
でもお兄ちゃんはそれでは納得できないようだった。

「だから少しは考えてしゃべれよ。俺の聞いてる好きはそういうんじゃなくてさ」

「うん?」
あたしは聞き返した。

「よ、よし。わかりやすく言うとだ」

「うん」
あたしはおにいちゃんの言葉を待った。お兄ちゃんが何を知りたいのかよくわからなかったけど。

「要するにだ。俺とおまえの彼氏と、おまえはどっちの方が好きなんだよ」
何だ。こんな簡単な質問か。あたしはすぐにその簡単な質問に答えた。

「お兄ちゃんの方が好き」

「へ?」
お兄ちゃんは面食らったようだった。

「彼氏よりお兄ちゃんのほうが好き」
あたしはもう一度念押しした。

「あ、え〜と。とりあえず落ち着こうか」

「・・・・・・わかった」
とりあえず素直にそう答えたけど、もう既にあたしは落ち着きを取り戻していた。

「じゃさ、おまえは何で彼氏と付き合ってるの?」
お兄ちゃんが聞いた。これは答えやすい質問だった。

「付き合ってくれって言われたから」
嘘ではない。でもお兄ちゃんを忘れるためというところまでは話さなかった。

「・・・・・・おまえは付き合ってくれって言われれば嫌いな相手とでも付き合うのかよ」

「彼のことは嫌いじゃないし」
これも本当。

「おまえさ」

「うん」

「今まで、俺のことなんか無視してたじゃんか。1月くらい話しなかったことだってあったしさ。何で最近になって俺と一緒に寝たりとか、その・・・・・・身体を触らせたりとかするの?」
質問の意図がよくわからない。それにそろそろあたしは待ちくたびれていた。お兄ちゃんはあたしのことを、最近あたしと一緒に寝るようになったことをどう考えているのだろう。

「お兄ちゃんの言ってることよくわかんないけど」

「はあ?」

「だって、お兄ちゃん、これまであたしにそういうことしなかったじゃん」

「な、何てこと言ってるんだよ。じゃあ、去年とかにおまえを触ってたら」

「それでも別によかったのに」

「な、何言ってるんだ」

「・・・・・・今日一緒に寝ていい?」
あたしは少しがっかりして話を変えた。お兄ちゃんにはなかなかあたしの真意が伝わらないし、お兄ちゃんが何を考えているのかもよくわからなかった。

「あのなあ」

「今日もあたしの身体触るなら、恥ずかしいから灯り消してね?」
あたしは思い切って誘った。こんな会話を続けていたら朝になってしまう。それに正直に言うとあたしの体の奥が何か熱く痺れているような感覚があり、つまりあたしはお兄ちゃんの愛撫を期待して体がその期待に反応してしまっていたのだ。
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/28(土) 21:38:18.24 ID:OgGbePyto
お兄ちゃんはあたしに触ってこなかった。

「・・・・・・今日は何もしないの?」
あたしは少しがっかりしながらお兄ちゃんに聞いた。

「な、何、俺の隣に潜り込んでるんだよ」

「だってお兄ちゃんのベッド狭いんだもん」
これまであたしの顔を見ていなかったお兄ちゃんが初めてあたしの方を向いた。

「今日は何もしないの?  もう寝てもいい?」

「おまえ、本当にそういうの嫌じゃねえの?」

「嫌じゃない・・・・・・お兄ちゃんなら」
でも念のために確認しておこう。変な女だと思われたくないし。

「あ、でも。変な声出しちゃっても、お兄ちゃんあたしのこと嫌いにならない?」

「なんねえ・・・・・・」
お兄ちゃんはぼそっと言った。

「よかった」
あたしはお兄ちゃんに抱きつきキスした。
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/28(土) 21:41:05.75 ID:OgGbePyto
ちょっと次スレ立ててきます。
今日は風呂飯後数レス投下しますけど、新スレの方に投下しますので
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/01/28(土) 21:43:51.21 ID:OgGbePyto
続きはこちらで

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327754599/
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 21:52:00.92 ID:VRdcRlZVo
おつつ
うめ
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 21:52:20.68 ID:SACjlUsxo
うめ
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 21:57:32.35 ID:amH+g3Qfo
乙です

991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/01/28(土) 22:10:12.89 ID:lQkqmGCAO
うむ
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/28(土) 22:11:57.70 ID:fMBR+uouo
乙乙です
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(徳島県) [sage]:2012/01/28(土) 22:38:46.97 ID:eVaTK0Azo
乙乙!!

994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/01/28(土) 22:45:19.54 ID:UTXYso9Io
おつうめ
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 22:49:48.25 ID:WcniqtI3o
うめ
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県) [sage]:2012/01/28(土) 22:53:05.76 ID:fQmUnijYo
乙んつん
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/01/28(土) 23:18:26.85 ID:0pxvHhARo
おつ
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 23:29:22.48 ID:WPn+V99SO
妹視点で見ると兄の確認がしつこいなw
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2012/01/28(土) 23:54:59.28 ID:h2aMRvco0
おつ
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/01/29(日) 00:11:00.72 ID:NMNSq5lAO
1000なら妹友の逆襲
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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ふらっとどこかに行ってしまいたい @ 2012/01/29(日) 00:10:14.39 ID:wTsarjhDO
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サイコロ『ねぇ!!お願いだから 私を振らないで!!』 @ 2012/01/29(日) 00:04:24.65 ID:RTb0WABAO
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男「けっ・・・け・・・結婚しよう!」 女「うん!!!」 @ 2012/01/28(土) 23:51:42.65 ID:+4DSeUPE0
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最近のスパムメールがやばいんだが @ 2012/01/28(土) 23:42:08.20 ID:KmHYD12N0
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放置ゲーを作ろう @ 2012/01/28(土) 23:35:44.14 ID:l0vGwq01o
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公家の王朝 @ 2012/01/28(土) 23:34:28.75 ID:mKaeNpu8o
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【Fate】やる夫で聖杯戦争27 @ 2012/01/28(土) 23:24:17.80 ID:J988NksWo
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心理定規「安価で上条当麻と付き合えたわ」 @ 2012/01/28(土) 23:18:16.95 ID:3SB+L9o60
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