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魂「友達に謝りたい」 無職「うん」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/08(木) 21:18:48.09 ID:pdwK2NgSO
魂「だからここから出して」

無職「それは駄目です」

魂「ぐ」

無職「屋敷の外は危ないので」

魂「監禁魔」

無職「いいえ無職です。『監禁魔』なんて職業には就いていません」

魂「[ピーーー]」

無職「うぅー」
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寝こさん若返る @ 2024/05/11(土) 00:00:20.70 ID:FqiNtMfxo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715353220/

第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715300281/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715263679/

今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715262444/

誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/

A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715180413/

真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715130904/

愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715108060/

2 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:20:31.39 ID:pdwK2NgSO
無職「監禁っていっても…君を護るための処置なのよ」

魂「知ってるよ」

無職「だったらもっと優しくして」

魂「外出を許可してくれたら優しくする」

無職「それは断る」

魂「死ね」
3 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:21:57.35 ID:pdwK2NgSO
無職「この屋敷は広いから」

魂「つん」

無職「この屋敷の中ならば、どこへ行っていいよ」

魂「つん」

無職「……」

魂「つん」

無職「僕にキスしてくれたら外出許可だしちゃおっかなー」

魂「おとなしくしてます」

無職「おいっ」
4 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:23:37.05 ID:pdwK2NgSO
無職「なんとか折れてくれないかなー?」

魂「やだ」

無職「むー」

魂「この屋敷に謝りたい友達はいないの。だから仕方ないでしょ」

無職「屋敷の外は君にとって危ないから出ちゃいけない。これも仕方ないこと」

魂「私の言う仕方ない以上に仕方ないの?」

無職「うん。君の言う仕方ない以上に仕方ないから仕方ない」
5 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:26:16.20 ID:pdwK2NgSO
魂「……」

無職「だから屋敷の中でおとなしくしてくれないと困る」

魂「……」

無職「分かるでしょ?屋敷に来る途中も死神の襲撃にあったのを忘れたの?」

無職「魂っていうのは、肉体離脱後すぐ死神に連れられあの世へいくもの。今の君はそれに反している」

魂「……わかってる」

無職「よしよし」
6 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:28:09.61 ID:pdwK2NgSO
魂「でも友達に謝るためには、いつか屋敷の外に出なきゃいけないんだけど?」

無職「まあね」

魂「謝ることも止めろと?」

無職「そうとは言わないけど…」

魂「それだけは譲れない」

無職「んーそうだな、じゃあ屋敷内をさがしてみよう」

魂「どういうこと?」

無職「謝りたい友達が、もしかしてこの屋敷内にいるかもよ?」
7 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:29:13.56 ID:pdwK2NgSO
魂「舐めてる?」

無職「あきらめんなよ、可能性を捨てんなよ、さあ探すぞ」

魂「ころすぞ」

無職「すいません」

無職「まあ…機会をみて……こっそりと外へでようか」

魂「機会って、いつ?」

無職「……いつか」

魂「くぅ」
8 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:30:29.19 ID:pdwK2NgSO
魂「腹いせにこの屋敷を荒らしていい?」

無職「どうぞどうぞ。どうせ僕のじゃないしー修復可能な限りならね」

魂「がんがんがん」

無職「でも魂だから壊れないねー。物体干渉不可能」

魂「がんがんがん」
9 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:31:54.29 ID:pdwK2NgSO
魂「ふう…」

無職「気はすんだ?」

魂「あきた」

無職「おつかれさん」

魂「汗かいちゃった」

無職「じゃじゃじゃじゃあ、いっしょにお風呂入ろうかかかかか」

魂「ころすぞ」

無職「すいません」
10 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:33:44.28 ID:pdwK2NgSO
魂「冗談よ。汗なんか出ないわよ」

魂「魂なんだから」

無職「……」

魂「ふあー」

無職「もう寝なさい」

魂「汗はかかないけど、眠くはなるのね」

無職「そうらしいね」

魂「ごろごろ」

無職「まあとりあえず、ここから出るなよ」

魂「わかったわよ」
11 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:35:43.28 ID:pdwK2NgSO
無職「しかし覚悟しろよ」

魂「?」

無職「君はこれからの生活で、睡眠が一番の苦となる」

魂「どういうこと?」

無職「睡眠。それは、唯一君が僕と会えない時間」

魂「……」

無職「眠っていたら君は僕を見ることができない。あ、夢というのは現実ではないから夢に出てくる僕は幻…って、目が怖ぁあっ!!」
12 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:36:42.18 ID:pdwK2NgSO
無職「ていうのは冗談で、魂も眠っている時が一番無防備」

無職「気がついたら死神に連れていかれていた…ってこともあるからね」

魂「大丈夫」

無職「そのこころは?」

魂「護ってくれるんでしょ?」

無職「……まあね」

魂「だから大丈夫」

無職「そうか」

無職「じゃあ、おやすみ」

魂「おやすみ」
13 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/08(木) 21:39:18.31 ID:pdwK2NgSO
今日はこのあたりまでです

色々いたらないところもあるでしょうが、よろしくお願いします

では、読んでくれた方、ありがとうございました
14 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 20:04:49.45 ID:W6RBwL6Go
けっこうすき
15 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 22:37:53.95 ID:k0X+lMKyP
なんで魂は女なの
16 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:17:42.96 ID:/GBseVLSO
>>14
ありがとうございます
>>15
女の子の魂だからです
17 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:18:33.67 ID:/GBseVLSO
2
18 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:19:18.38 ID:/GBseVLSO
魂「こそこそ」

無職「ばあ」

魂「わっ!」

無職「どこへいく?」

魂「……ラジオ体操」

無職「友達に謝りにいくついでに?」

魂「う」

無職「出るなといったでしょう」
19 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:20:48.06 ID:/GBseVLSO
魂「だって…落ち着かないよ」

無職「まーな、じっとしてたら考えこんじゃうよな」

魂「うう」

無職「じゃあ気をまぎらわそう」

魂「?」

無職「この屋敷にはいろいろ遊び道具あるよ」

魂「あるとは思えないボロさだけど」

無職「でもあるんだ」

魂「ふーん」
20 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:22:03.87 ID:/GBseVLSO
無職「なにする?」

魂「っていわれても…なんでもいい」

無職「じゃあ僕と夜のあそび…」

魂「出る」

無職「まったあああ!」

魂「変態」

無職「ご褒美」

魂「しね」

無職「ご褒美」

魂「……」
21 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:23:47.58 ID:/GBseVLSO
無職「じゃあゲームしよう」

魂「ゲーム?」

無職「どれがいい?なんでもあるよ」

魂「だからなんでこんなボロ屋敷にあるの?」

無職「この屋敷の本当の所有者がゲームマニアなのさ」

魂「ふーん」

無職「ちなみにソイツはドヘタだがね」
22 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:25:00.25 ID:/GBseVLSO
無職「じゃあやろうか」

魂「……」

無職「……」

魂「すかすかすか」

無職「あー、魂だから物体干渉不可能だった…」

魂「わざとだろ」

無職「そんなまさか」

魂「しね」

無職「わおっ」
23 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:26:04.10 ID:/GBseVLSO
魂「ころすからしね、しね、あほ、しねしね」

無職「ぞくぞくぞくぞく」

魂「がんがんがん」

無職「物体干渉不可能なんだからー僕をボコボコにすることも不可能さー」

魂「がんがんがん」

無職「……意味がないと分かっているのに、反抗するのはむなしいよ」

魂「むかつくから仕方ない」

無職「フッ、抵抗できないのに威勢はいい…なんて調教しがいのあるヤツだ」

魂「天罰くだれ変態」

無職「冗談だよー」
24 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:27:56.75 ID:/GBseVLSO
無職「テレビをみようか」

魂「だからなんで」

ピ

『今日は学校の友達について…』

魂「ぴく」

無職「他」

ピッ

『今回のテーマはいじめです』

魂「あ……あ、あぁあ…」

ブツン

無職「……」
25 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:28:57.69 ID:/GBseVLSO
『―――』

無職「テレビはやめようか」

魂「あぁあ…」

無職「大丈夫か」

魂「やっぱりこんなところでジッとしてちゃだめ…」

無職「おい…」

魂「あやまらなきゃ…はやく友達にあやまらなきゃ……」

無職「おい!」

魂「でも、あやまっても、許してくれないかも……」

無職「おちつけ!」

魂「でも、いくっ!」

無職「まて!」
26 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:31:24.34 ID:/GBseVLSO
魂「どいてよ」

無職「…」

魂「どいて!」

無職「ガマンしてくれ…」

魂「だめ!私は友達に、あんな許されないことをした…早くあやまらなきゃ!!」

無職「……俺たちに対する死神側のマークが落ち着くまでここで潜むんだ」

魂「やだ…」

無職「いつか絶対友達のところへ連れていってあげる。約束したよね」

魂「う…」

無職「僕を信じてよ」

魂「……」
27 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:34:08.49 ID:/GBseVLSO
無職「おちついた?」

魂「うん…」

無職「よかった」

魂「あ、あの…」

無職「ん?」

魂「その、色々と、ごめんなさい…」

無職「いいよ、別に」

魂「ごめんなさい」

無職「……あ、そうだ。申し訳ないと思ってるのならキスしてよ」

魂「ほろびろ」

無職「ご褒美」
28 :1 [saga]:2011/12/11(日) 17:35:14.14 ID:/GBseVLSO
今回の分はおしまいです
読んでくれた方ありがとうございました
29 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 19:26:44.29 ID:ggIrERAZo
30 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:34:10.42 ID:ncownZySO
レスありがとうございます
投下します
31 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:34:40.58 ID:ncownZySO
3
32 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:35:44.99 ID:ncownZySO
魂「屋敷探検」

魂「すいすい」

妖怪「すいすい」

魂「ん?」

妖怪「やあ」

魂「……やあ?」

妖怪「ただいま」

魂「おかえりなさい」

妖怪「そして、いらっしゃい」

魂「不審者だー」
33 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:37:40.49 ID:ncownZySO
妖怪「え!?」

無職「なんだ!?」

妖怪「お、久しぶり」

無職「不審者だー!」

妖怪「おいっ!」

魂「この不審者…まさか死神?」

無職「いや違うし、こんなんは死神とはいえないよ」

妖怪「こんなんとはなんだ、こんなんとは」

魂「じゃあ誰?」

妖怪「妖怪」

魂「……結局、不審者か」

無職「そーさー」

妖怪「もー、それでいいから家に入れてくんないかな?」

魂「家?」

妖怪「はい。この屋敷はわたくし不審者の家なのです」
34 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:39:07.58 ID:ncownZySO
魂「そうだったのですか」

妖怪「深く傷つきました」

無職「早く言ってくれたらよかったのにねえ」

妖怪「テメェは知ってただろ!」

無職「てへ」

妖怪「こぉーら?だぁーれがこの屋敷を貸してやってると思ってんのー?」

無職「あなたさまです」

妖怪「わかってんじゃーん。あんまり舐めた態度とってると追い出すぞー?」

無職「むぅ、しかしあなたさまに下出に出るくらいならば、追いだされた方がマシです」

妖怪「よーし、でてけ!」
35 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:40:15.42 ID:ncownZySO
無職「仕方がないな」

魂「?」

無職「ごそごそ」

妖怪「なにしてんだ?」

無職「じゃん!」

妖怪「うわお」

無職「これは一○○万円」

妖怪「はい」

無職「あげるよ」

妖怪「よっしゃああああ!!」

魂「……」

無職「だから舐めた態度とっても、追い出さないでくださいまし」

妖怪「了解」

魂「もしかしてお馬鹿さん?」

無職「正解」

妖怪「ひゃくまんひゃくまんひゃくまん」
36 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:41:39.55 ID:ncownZySO
魂「それより妖怪さん」

妖怪「はい?」

魂「今までどこにいたのですか?」

妖怪「なぜ訊くの?」

魂「知的好奇心」

妖怪「どーしようかな、教えようかなー」

魂「いらっ」

無職「確か、金持ちになるために、道端に落ちているお金をすべてネコババする旅に出てたんだっけ?」

魂「……」

妖怪「そーそー。でも探している途中で首を痛めてな…断念して帰ってきた」

魂「やっぱりだいぶいたんでる」

無職「ははは」
37 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:42:32.89 ID:ncownZySO
魂「でも…」

無職「ん?」

魂「いや、なんでもない」

無職「……そうか」

妖怪「てか」

魂「?」

妖怪「君が噂の魂ちゃん?」

魂「噂にはなってません」
38 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:44:03.82 ID:ncownZySO
妖怪「そこの恩知らずからきいてるよ」

無職「失礼な。恩を感じてはいるよ」

妖怪「よろしく」

魂「こちらこそ」

妖怪「かわいいねー」

魂「お世辞はやめてください。鳥肌が立つんですよ」

妖怪「……」

無職「ははは、あの子は僕にしか心を開かないのだ」

魂「あなたにも開いてない」

無職「しくしくしく」

妖怪「よしよし」
39 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:45:49.74 ID:ncownZySO
無職「あっというまに夜」

無職「月がきれいだなー」

妖怪「よう」

無職「ん?」

妖怪「なんで外にいんだよお前。さみぃだろ?」

無職「あの子が勝手に出ていかないか見張るため」

妖怪「出ていく?」

無職「あの子、お前が羨ましそうだったから」

妖怪「なんで…?」

無職「馬鹿みたいなことでも、自由に出来るから」

妖怪「……?」

無職「友達に謝ることも出来ないほど制限されてるあの子にとって、お前の自由さが輝いて見えたんだろう」
40 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:47:05.32 ID:ncownZySO
妖怪「だから暴走して、今夜出ていくかもしれないってか」

無職「うん」

妖怪「ってことなら、俺もつきあうぜ」

無職「頼むからやめてくれ」

妖怪「こらてめ」

無職「ふー」

妖怪「ちっ、しゃあねぇな。じゃあ気をつけて見張れよ」

無職「あいあい」

妖怪「おやすみ…」

妖怪「って違う!言いたいことがあったから来たんだ!テメェさっきの一○○万円…偽札」

無職「なぁ、妖怪」

妖怪「あ!?」

無職「いきなりの電話で、詳しい事情も言わずに、良い隠れ家を提供してくれ、なんて要望をきいてくれて」

妖怪「……」
41 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:48:41.97 ID:ncownZySO
無職「そして、巻き込んですまない」

妖怪「いいって言ってんだろ。何回もきいた」

無職「……それと、失礼ついでに一つききたい」

妖怪「なんだ?」

無職「本当にこの屋敷は、死神を寄せ付けにくいのか?」

妖怪「……ああ。寄せ付けにくいってか、そうそう狙ってくることはない、かな」

無職「そうか」

妖怪「ここは、かつて俺が封印されてたところでよ」
42 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:49:59.79 ID:ncownZySO
無職「知ってる」

妖怪「その封印はとても強力だった。だから封印がとけた今でも、力はそこらへんに漂っている」

無職「そうなのか」

妖怪「さすがにもう、何かを封印するほどの力はねぇが、なにかを隠すレベルのことは可能」

妖怪「ちょちょいと力に干渉してイジれば、存在感を隠せるようにもなる。さっきイジってきたから、もう大丈夫」

無職「……さっき?ってことは今までは隠せてなかったの?」

妖怪「まあね」

無職「……」

妖怪「お前も魂ちゃんも、ここにいる限り存在感はほぼゼロになってる。死神も見つけることは難しい」

無職「あいては死神だ」
43 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:51:46.02 ID:ncownZySO
妖怪「……」

無職「何年も厳しい訓練をつむ」

無職「そうやってベテランレベルにまで鍛えあげられはじめて『ライセンス』をもらい、仕事にありつける『新人』となる」

無職「そんなのがたくさんいるんだ。そして組織でもあるんだ」

無職「言葉だけじゃ、信用できない」

妖怪「はいはい弱気」

無職「妖怪は、死神をよく知らないからそんなことが言える」

妖怪「魂ちゃんは誰が守るんだよ」

無職「う」
44 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:52:53.62 ID:ncownZySO
妖怪「屋敷がまもるんなら、その文句は受け入れようじゃねぇか」

無職「……」

妖怪「だがそうじゃねぇだろ、最終的にまもりぬくのは誰だよ?テメェだろ」

無職「うう」

妖怪「自分自身も信じらんねぇ弱気野郎の弱音なんか、聞く耳もたねぇ」

無職「……」

妖怪「目ぇさめたか」

無職「ああ」

無職「さっきの僕は忘れてくれ」
45 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:53:42.13 ID:ncownZySO
妖怪「やだ」

無職「あ?」

妖怪「一生笑い話として語りつぐ」

無職「……」

妖怪「ぎゃははは」

無職「ごそごそ」

妖怪「? なにしてんだ?」

無職「ホラ、一○○○万円やるよ」

妖怪「よっしゃああああ!!」

無職「だから忘れて」

妖怪「了解」
46 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:55:00.28 ID:ncownZySO
無職「ふー」

妖怪「フン」

無職「?」

妖怪「同業者にとっても、そんなに怖い存在か?死神ってのは」

無職「……」

妖怪「せっかくもらった『ライセンス』とやらはどうした?」

無職「すてた」
47 :1 [saga]:2011/12/15(木) 16:55:34.63 ID:ncownZySO
ここまでです
読んでくれた方、ありがとうございました
48 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/16(金) 15:20:30.94 ID:8UjXMrRAO
ほう
49 :1 [saga]:2011/12/24(土) 18:59:28.11 ID:m5SXn6qSO
1です
間があいてしまいましたが、投下します
50 :1 [saga]:2011/12/24(土) 18:59:57.39 ID:m5SXn6qSO
4
51 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:00:39.41 ID:m5SXn6qSO
一人の男が立っていた。

そこは広めの公園。
山に近い田舎だが、大規模な団地の中に存在する、子供たちがよく利用する場所だ。

男の目の前には、人がいる。
たくさんいる。
老若男女、あらゆる人々がいる。
公園からあふれるくらい、いる。
52 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:01:48.34 ID:m5SXn6qSO
心「よーし、全員集まったな」

心「団地の住人総出で手伝ってくれるなんて嬉しいぜー」

心「まあ、手伝わせたんだがね」

心「ふふふ、こまけーことはいいや、とりあえず…」

心「お前ら、この写真に写ってるヤツを見ろ」

心「よーし見たか?顔を覚えたか」

心「じゃあ、聞くけどよ、コイツを最近見かけたヤツいるか?」

心「……」

心「チッ、いねーか。役立たず共め」


心「んじゃー、さがせ」

心「俺の見立てじゃ、コイツはここら辺にいるんだ」
53 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:03:04.20 ID:m5SXn6qSO
心「おいおいちょっと待て。まだだ、馬鹿共」

心「これ」

心「俺の携帯の番号とメアドだ」

心「携帯があるヤツは登録しとけ」

心「持ってないヤツは、あるヤツとペアを組め」

心「よし、これで全員携帯もったことになったな」

心「では本題へー」
54 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:06:21.87 ID:m5SXn6qSO
心「ターゲットを見つけたらすぐに、俺に連絡しろ」

心「そして、発見現場を撮影して送れ」

心「まぁ、何故そんなことをするかといえば…」

心「速やかで楽チンに任務を成功させるためかなー」

心「まあ、こっちの下心はおいといてー」

心「以上だ」

心「さあ、さがせ」
55 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:07:43.31 ID:m5SXn6qSO
心「ふぁーあ…」

心「……ん」

ショートカット「感心しないな」

心「相変わらず神出鬼没だな、ショートカットさんよ」

ショートカット「感心しない」

心「なにがご不満ですか?」

ショートカット「死神の仕事に人間を巻き込むなど」
56 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:08:44.67 ID:m5SXn6qSO
心「その方がスムーズに進むだろ」

ショートカット「問題外だ」

心「人間を利用するな、なんて規則はねー」

ショートカット「それは、規則以前の問題だからだ」

心「あー、うっせー。だからコイツと組んでやる仕事は嫌いだ」

ショートカット「言葉をそのまま返そう」

心「……前にお前と組んだ仕事ではソッチにあわせた。だから今回は俺の方針でやる」

ショートカット「……」

心「まぁまぁアメでも舐めて心を落ちつかせましょー」
57 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:10:03.75 ID:m5SXn6qSO
ショートカット「貴様、今回の仕事がどんなものか忘れたのか?」

心「覚えてるよ」

心「死神の導きに従わず、逃亡している魂を、強制連行するんだろ?」

ショートカット「正確には、死神を味方につけ逃亡している魂を、だ」

心「こまけーよ」

ショートカット「細かくなどない」

心「……そんなに死神が魂の逃亡に加担しちゃってるのが許せない?」

ショートカット「もちろんだ。死神がなんたるかを忘れおって…恥めが」

心「……そう、です、ね」
58 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:11:34.80 ID:m5SXn6qSO
ショートカット「ところで、だいたいのメドは立っているのだろうな」

心「なんのー?」

ショートカット「魂と裏切り者の居場所だ!」

心「あぁー」

ショートカット「さっさと言え」

心「はいはい、うるさいなーもー」

ショートカット「まったく…」
59 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:12:49.29 ID:m5SXn6qSO
心「この仕事の前任がやられた場所がこの辺り、って話だろ?」

ショートカット「ああ」

心「だからここらを中心に、捜査網広げりゃーいつか見つかる、って感じ」

ショートカット「……」

心「はいはい、眉間にシワをよせない」

ショートカット「やはり貴様とはあわぬ」

心「文句は仕事を成し遂げられなかった前任にどうぞー」

ショートカット「ふん」
60 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:16:44.88 ID:m5SXn6qSO
心「まぁ、じきに俺の操るコマ共がターゲットの居場所を見つけて、そこの写真をおくってくれるさー」

ショートカット「……」

心「その時はショートカットさん、あんたの『能力』の独壇場なんだからー」

心「そこではアンタの好きにできますし、どうか気をおしずめに」

ショートカット「今の状況でそれは、なんのフォローにもならないが」

心「あは、バレた?」

ショートカット「……」

ショートカット「そんな適当な貴様に一つ言っておくが、人間に魂は見えんのだぞ」

心「知ってるよ。だから、さがさせてんのは裏切り者の方」
61 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:17:37.50 ID:m5SXn6qSO
無職「っ」

無職「なんだ?今の悪寒は…」

妖怪「夕ごはんよー」

無職「なんだ、お前の接近か」

妖怪「よく分かんねぇが喧嘩売られたみてぇだから、買う」

無職「僕はそれを破棄して、すたこらさ」

妖怪「まてまてー」

無職「うわあああ!ノリがきもいいい!!」
62 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:18:21.15 ID:m5SXn6qSO
すこし中断します
63 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:39:07.46 ID:m5SXn6qSO
再開します
64 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:39:51.40 ID:m5SXn6qSO
無職「いただきます」

妖怪「いただきます」

魂「むん」

無職「むしゃむしゃ」

妖怪「……」

魂「むぐぐぐ」

無職「この絶妙の塩加減…!」

妖怪「……」

魂「むぐぐぐりゅりゅ…」

無職「この絶妙の砂糖加減…!」

妖怪「いや、その料理に砂糖つかってねぇよ」

魂「りゅりゅりゅりゅ…」

妖怪「……魂ちゃん悪ぃな。魂も食える料理なんてのは知らねぇんだ」

魂「いいの気にしないで」
65 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:40:51.79 ID:m5SXn6qSO
魂「魂だからお腹なんて減らないし…」

無職「ぐわつ、ぐわつ」

魂「あれに腹をたてているだけだから」

妖怪「あ、はは…」

無職「がつがつがつ」

妖怪「オイ、そこの大食い」

無職「むしゃしゃむしゃしゃ」

妖怪「無視しやがった…どんだけ食うのに夢中なんだよ」

魂「……」
66 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:42:25.06 ID:m5SXn6qSO
魂「きめた」

妖怪「ん?」

魂「そっちがその気なら…」

魂「無関心を装ってやる」

無職「もごがつがつ」

魂「うらやましくない、うらやましくない」

妖怪「装えてないぜ魂ちゃん」

無職「ごくごくごく」

魂「うらやまし、く、な……い…」

妖怪「いい加減にしとけ」

無職「ぬぎゃっ!」
67 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:43:35.60 ID:m5SXn6qSO
妖怪「ったくよぉ…」

無職「なにする、舌かんじったじゃん!」

妖怪「少しは遠慮しろよ」

無職「……」

魂「……ふん」

無職「…………」

妖怪「?」

無職「がつがつがつ」

妖怪「おいっ!」

魂「……」

妖怪「オイオイ…」

無職「僕はこうやって調教しているんだよ」

妖怪「は?」
68 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:44:56.35 ID:m5SXn6qSO
無職「焦らして焦らして焦らして、焦らしている!」

魂「……なぜ?」

無職「なぜ?それは決まっているだろう」

無職「君を『もうダメ…素直になるからぁ……わたしにちょうだいっ!』ってな具合に堕とすため…」

魂「がんがんがん」

無職「んもー、反抗期っ」

妖怪「……なんだかなぁ」
69 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:46:02.10 ID:m5SXn6qSO
無職「今日は月が見えにくい夜だな」

妖怪「また見張りか」

無職「……」

妖怪「シカトすんなコラ」

無職「なんの用ですか?滅多なことでは話しかけるなと」

妖怪「……本当に恩の欠片も感じてねぇんだな、お前は」

無職「だから感じてはいるって、感じては」

妖怪「とてもそうは思えねぇんだが」
70 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:47:00.68 ID:m5SXn6qSO
無職「それは、僕を信じていないからじゃない?」

妖怪「あ?」

無職「僕を信じているならば、外側の態度だけで判断はしない!僕の内側の気持ちまで…」

妖怪「内側も真っ黒だろ」

無職「あっ、ひど」

妖怪「お互い様だ」

無職「んー、じゃあ薄情同士、円満かいけつということで」

妖怪「……なんだその突然の解決」

無職「今の流れに不自然がありました?」

妖怪「ムリヤリしかありませんでした」

無職「つまり答えは、あっちいって」
71 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:48:19.74 ID:m5SXn6qSO
妖怪「チッ、せっかく見張りを手伝ってやろうと…」

少女「さがす…」

無職「!」

妖怪「ん?」

少女「さがす……」

妖怪「? なんだ…人間の女の子……か?」

無職「……」

妖怪「こんなとこに来ちまうとは、迷子か?」

少女「……ぁ」

妖怪「仕方ねぇ、人がいるところまで帰してやるか」

無職「……」
72 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:49:31.38 ID:m5SXn6qSO
少女「……あ」

妖怪「大丈夫だよ、危害はくわえねぇよ」

少女「あ」

妖怪「って、こんな面でいっても信じてもらえねぇかな?ハハ…」

少女「いた」

妖怪「へ?」

少女「い、わ、な…きゃ」

無職「……!」

少女「いわなきゃいわなきゃいわなきゃ」

妖怪「ちょ?落ち着いて…」
73 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:51:10.23 ID:m5SXn6qSO
少女「いわなきゃいわな……ちがう、ここをとらなきゃとらなきゃ」

無職「……」

妖怪「一度寝かせて、少し落ち着かせる……ッ!?」

少女「とった」

少女「いわなきゃいわなきゃいわなきゃ」

無職「……」

妖怪「……行っちゃった…なんだったんだ?」

無職「……」

妖怪「まぁ、あのまま行かせんのも心配だから…追いかけて、人のいるところまで送ってくる」

無職「……」

妖怪「どうした?黙っちまって」
74 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:56:45.69 ID:m5SXn6qSO
妖怪「……小さい女の子にお前が反応しねぇなんて珍しいな」

無職「……っ」

妖怪「んじゃあ、いってくんぜ」

無職「……だめだ」

妖怪「ダメ?やっぱりお前が行きたいのか?」

無職「違う…」

妖怪「じゃあ、なんだよ」

無職「なんか、マズイ…」

妖怪「なにが…?」

無職「さっきの女の子から…」

無職「嫌な気配を感じた……!」
75 :1 [saga]:2011/12/24(土) 19:58:40.15 ID:m5SXn6qSO
妖怪「いやな気配ぃ?」

無職「あぁ」

妖怪「どんなだよ…?」

無職「説明できるほど、漠然としたものじゃないが、とりあえずヤバイ感じだ…」

妖怪「……」

無職「急いで…お前はあの子のところへ行ってくれ!」

妖怪「あの子って、魂ちゃんのところへか…?」

無職「はやく…!」

妖怪「ッ……わかったよ!」
76 :1 [saga]:2011/12/24(土) 20:01:16.24 ID:m5SXn6qSO
妖怪「お前はどうすんだ?」

無職「ここで見張ってる…」

妖怪「……さっきの女の子をか」

無職「……」

妖怪「死神、なのか…?」

無職「それは分からないが、一応…ってやつだ」

妖怪「……」

無職「あの子のもとへ、行ってくれ…」

妖怪「わかった」

妖怪「お前も気をつけろよ」
77 :1 [saga]:2011/12/24(土) 20:03:31.76 ID:m5SXn6qSO
妖怪の言葉に無職が軽く頷いた、次の瞬間。

二人のそれぞれ目の前に『なにか』が現れた。

まるで、空間と空間の隙間から捻りでたかのような、突然の出現だった。

その『なにか』が銃弾だと、無職と妖怪が気付けた時には、
銃弾は二人の額に直撃していた。
78 :1 [saga]:2011/12/24(土) 20:04:28.04 ID:m5SXn6qSO
投下はここまでです
では、読んでくれた方々、ありがとうございました
79 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:45:31.39 ID:8rWUTN+SO
1です
投下します
80 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:46:26.52 ID:8rWUTN+SO
5
81 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:47:12.29 ID:8rWUTN+SO
少し時間を遡ろう。

私の名前は、ショートカット。
死神の一人である。
82 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:48:21.17 ID:8rWUTN+SO
私の隣で寝転がっていた、『心』という死神がいきなり飛び起きた。
何事かと、そちらを見ると、携帯なるものを弄っている。

彼は、死神を捜索させている人間に、見つけたら携帯に連絡を寄越すように命じていた。
おそらく、その連絡が来たのだろうと推測する。

心は携帯を操作しながら、顔をにやつかせている。
そして、無言でこちらに、携帯の画面を向けてきた。

私がその画面をみると、そこには大きな屋敷の画像が表示されていた。
83 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:49:24.09 ID:8rWUTN+SO
その屋敷は、百年近くの年月を経ている建物のように見えた。

しかし、それ以上に私の目を捕えたものが画像には写っていた。

屋敷の屋根にある二つの人物の影。
一人は知らないが、もう片方の人物には、見覚えがある。

知らないはずがない。今回のターゲットである人物。
魂の逃亡に力を貸すという、死神に反した行為に手を染めた死神。
許せない裏切りモノ。
84 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:50:14.29 ID:8rWUTN+SO
心「こんなに早く見つかるとは、予想外」

心「もっと楽してたかったー」

ショートカット「馬鹿をいうな」

ショートカット「いくぞ」

心「あ、待った待った。そんな馬鹿正直に突撃する馬鹿あるかよ」

ショートカット「?」
85 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:51:01.51 ID:8rWUTN+SO
心「お前の能力は、隠れて使ってこそ、イイ」

心「そんな能力を、堂々と相手に晒しても『使える』ようにするには…」

心「準備が必要」

ショートカット「なにをするつもりだ?」

心「じゃん」

ショートカット「銃…?」

心「まず、この画像に写ってる二人の前と、ここを繋げてくれ」

ショートカット「暗殺か」

心「まぁな」
86 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:51:51.28 ID:8rWUTN+SO
私の能力。

それは、空間と空間を繋げる『門』を作り出す能力。

たとえ、どれだけ離れた場所と場所であっても、
その二つの地点を繋げることができる。
瞬間移動能力といってもいいだろう。

しかし、私自身が見知らぬ場所には、繋げることができない。

心が、ターゲットの居場所を人間たちに撮影させたのも
私の能力を、即座に使えるようにするためであろう。
87 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:54:28.10 ID:8rWUTN+SO
そして今は、ここと、ヤツらの目の前の空間を繋げる『門』を作り出した。

この『門』を通過すれば、一瞬でターゲットのもとに、辿り着ける。


そんな『門』の先に、心は手に持つ銃を構えて狙いを定め、引き金をひいた。

銃口から、二つの弾が飛び出す。

そしてそれは、ヤツらの目の前に繋がっている門を潜り、
見事に二人の額に直撃した。
88 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:55:08.80 ID:8rWUTN+SO
ここからが、続き。
89 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:55:50.88 ID:8rWUTN+SO
ショートカット「門を、消去」

心「ヤツらに気づかれないように即座に消去か、賢明だね」

ショートカット「こんな無駄なことをした理由を教えろ」

心「無駄じゃねーよ」

ショートカット「裏切り者も、腐っても私たちと同じ訓練をうけた死神だ」

ショートカット「銃ごときで、死ぬわけがない」
90 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:56:34.17 ID:8rWUTN+SO
心「ああ」

心「俺もそこが本命なわけじゃない」

ショートカット「ではなんのために」

心「きかないとはいえ、突然の攻撃に相手はビックリしただろーね」

心「多分、感知すら出来なかったんじゃないかな」

心「警戒でガチガチになるだろう」

ショートカット「撹乱か」
91 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:57:34.33 ID:8rWUTN+SO
心「そう」

心「そしてヤツらは確実に、相手には距離を無視した移動ができるヤツがいる!って、思うだろう」

心「そうなると、護りたがってる魂を手元におこうとするわなー」

ショートカット「ふむ」

心「そう」
92 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:58:59.80 ID:8rWUTN+SO
心「相手がそう警戒しているからこそ、ショートカットさん」

ショートカット「……」

心「あんたは堂々と、正面から向かうんですよ」

ショートカット「なに?」

ショートカット「私の能力は、隠れて使用してこそのものとか言っていたではないか」

心「堂々と真正面から使ってもいいようにする、とも言っただろーが」

ショートカット「どういうことだ」

心「ん」

心「相手は今、アンタの瞬間移動能力を警戒している」

心「その警戒対象が真正面から、やってきたら?」

心「それを全力で潰そうと相手は思うだろう」

ショートカット「むぅ」
93 :1 [saga]:2011/12/29(木) 23:59:38.14 ID:8rWUTN+SO
心「そして俺が裏で動きやすくなる」

ショートカット「つまり私がヤツらを引き付け、その隙に貴様が魂を回収…ということか?」

心「ご名答」

心「てわけだからー、頑張って」

ショートカット「ふん」
94 :1 [saga]:2011/12/30(金) 00:00:56.05 ID:MGuHPagSO
ショートカット(つまり、自分が楽をして、なおかつ大きい手柄を立てるため、か)

ショートカット(この作戦、気に入らん)

ショートカット(が、裏切り者と私が闘える、という構図だけは気に入った)

ショートカット「よし、参る」

心「いってらっしゃーい、俺の苦労をなるべく減らしてきてねー」
95 :1 [saga]:2011/12/30(金) 00:04:20.26 ID:MGuHPagSO
私はさっそく、ココと、ターゲットのいる屋敷を繋げる『門』を新しくつくる。

そして門を通った先には、当然、大きく古い屋敷が見えた。
その周りにはとくに変わったものもなく、ただ自然の木々が並ぶのみ。

しかし、そんな風景にも、古く鎮座する屋敷にも、私は注目できないでいた。

いたからだ。
裏切り者が、目の前に、いるからだ。

私は、手に力をこめる。
96 :1 [saga]:2011/12/30(金) 00:05:30.97 ID:MGuHPagSO
ショートカット「意外だな、魂のもとへと一目散、と思ったが」

無職「……」

ショートカット(二人いたはずだ、おそらくもう一人の方が魂のもとへ行ったか)

無職「なるほど、そのいきなりの登場」

無職「さっきの銃弾も、お前の仕業か」

ショートカット「……」

無職「あれビックリしたよ、何事かと。死んだかと思った」

ショートカット「そうか」
97 :1 [saga]:2011/12/30(金) 00:06:51.04 ID:MGuHPagSO
無職「ヤバそうだから、潰しておかなきゃ」

ショートカット「その前に、ひとつ」

無職「?」

ショートカット「なぜ裏切った?元同士」

無職「……」

ショートカット「お前の死神時代の功績はきいている」

ショートカット「真面目で、どんな仕事もこなした」

ショートカット「そんなお前が何故?」

無職「……」

無職「そんなことを訊きにきたのか?」

ショートカット「いや、ただ個人的に気になってな」

無職「じゃ、教えない」

ショートカット「……そうか」
98 :1 [saga]:2011/12/30(金) 00:07:39.61 ID:MGuHPagSO
ショートカット「では、参る」

無職「はいはい」
99 :1 [saga]:2011/12/30(金) 00:08:35.95 ID:MGuHPagSO
今回はここまでです
めんどくさくてすいません

では、読んでくれた方々ありがとうございました
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/07(土) 17:24:57.04 ID:h3+s3nCOo
ふむ。
101 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:02:38.63 ID:sesBbcASO
1です
投下します
102 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:04:18.93 ID:sesBbcASO
6 反則
103 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:05:01.69 ID:sesBbcASO

ショートカット(相手は私が瞬間移動能力だと気付いているだろう)

ショートカット(だから、私の動きを警戒するだろう)

ショートカット(私がなにかアクションをおこしたら、それに対応する)

ショートカット(相手が何かをするまで無闇やたらに、動かないで様子見)

ショートカット(そんな受け身の体勢でいるはずだ)

ショートカット(だが、あまい)

ショートカット(すでにお前の周りの全ての空間を、灼熱のマグマの中と繋げた)

ショートカット(一歩でも動けば、マグマの中に落ち、溶け死ぬ)

ショートカット(私が現れた時に、お前は負けていたのだ)

ショートカット(しかし…)
104 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:06:51.18 ID:sesBbcASO
私たちがいう能力とは、人間が超能力や魔法と呼んでいるもの。

人間はそれに目覚めている者を、稀な存在とするが
私たち死神にとっては、訓練過程で能力を目覚めさせることが必須となっているほど、
普通の力として広まっている。

つまり死神ならば、誰もが能力を保有している。

無論、目の前の孤立した裏切り者も、かつて死神であった以上、
なにかの能力をもっているはずだ。

周りの空間全てが、マグマの中へと繋がっているという、一歩も動けない詰んだ状況。
それを打破する可能性も、能力次第ではあるのだ。


あの、裏切り者の能力は、なんであったか。
105 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:10:29.52 ID:sesBbcASO
無職「わかった」

ショートカット「?」

無職「すこし、僕の意見をきいてくれますか」

ショートカット「…」

無職「あんたの能力について」

ショートカット「……ほう」

ショートカット(やはり気付いたか)

無職「はじめのいきなり現れた銃弾」

無職「そして宣戦布告をしたにも拘らず、なにもしてこないアンタの姿勢」

無職「ま、おそらく瞬間移動系能力かなんかでしょう」

ショートカット「へぇ」

ショートカット(まあ、ここまでは予想通り)

無職「ヤバイね」

ショートカット「……」

無職「アンタがその気になれば、僕はどこかのマグマの中へ移動させられちゃう可能性も」

ショートカット「……!」
無職「こうして考えるとおっかないね、瞬間移動能力って」

ショートカット(コイツ…)
106 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:13:29.78 ID:sesBbcASO
無職「反則な能力だね」

ショートカット(おちつけ、いまのはあくまで予想を口にしただけ…)

無職「ま、相手がそんな危ない能力だということで」

無職「……こっちも能力を使うか」

ショートカット「……!」

無職「僕が魂のもとへ駆け付けなかったのも、能力を使うためだし」

ショートカット「なに?」


無職「人形さん」
107 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:21:58.40 ID:sesBbcASO
そう裏切り者が呟いた途端に、ヤツの目の前に『なにか』が現れた。

警戒しながら、現れた『なにか』を観察する。
すると、その『なにか』が何かは、何故今まで分からなかったのかが分からないくらいすんなりと分かった。
それは、二つの人形だ。

一つは、剣をもったクマの人形。

もう一つは盾をもったイヌの人形。

私は、裏切り者の能力をなんとなく察した。

まだ予測の域を出ないが、
おそらく、人形を使役する能力だろう。

剣を持つクマの人形で攻撃し、
盾を持つイヌの人形で身を守る。

そんなところだろう。

警戒を怠らなければ、私の『門』の能力で、十分勝てるもののはず。
108 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:25:05.09 ID:sesBbcASO
裏切り者は、大げさに手をかざして「攻撃しろ」と命じるように叫んだ。

すると剣を持ったクマの人形が、ゆらりと動く。
真っすぐ、私に突撃するつもりだろう。

しかし甘い。
すでに周囲の空間は、マグマの中に繋がった門に囲まれている。
その場から一歩でも進めば、マグマの中に突っ込んで溶けるのがオチだ。

『門』は私以外には見えない。
つまり相手には周囲の空間がマグマに繋がっているということが確認できない。

まあ、能力が発動されているという感覚をつかむことはできるだろうが。

裏切り者は先程、マグマに落とされる可能性を述べたが、
今まさにその状況に陥っているとは気付いていないのだろう。

剣の人形を馬鹿正直に私の元へ向かわせ、その途中で門をくぐらせてしまう。

クマの人形は、マグマの中へと沈んでいった。
109 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:35:03.51 ID:sesBbcASO
あのクマの人形は失われた。マグマの中に沈んで溶けたはず。
それは、マグマの中に繋がる門をくぐったならば、それは絶対だ。

だが浮かれてばかりはいられない。

クマの人形がここから消えたのは、相手も見た。
相手に『門』は認識できない。
だから、人形が『マグマの中に沈んだ』とまでは予測できないだろう。
しかし、私のことを瞬間移動能力持ちと予想している裏切り者は
私が、能力を発動させたと構えるはず。

つまりは、相手がマグマの中に沈む確率がガタ落ちしたということ。

次の作戦を考えねば、と私は親指の爪を噛んだ。

そのとき
110 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:37:02.38 ID:sesBbcASO

胸のあたりに鋭い痛みが走った。

いきなりのことで、頭の処理が追いつかず
とりあえず痛みのもとへと視線を運ぶ。

すると、私の胸から突き出る、なにかが見えた。
111 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:38:58.80 ID:sesBbcASO
それを、ただ眺める。

ようやく動き出した頭が胸から出る突起物がなにかを考察しだす。

なんだこれは。鉄?鉄の棒か?
いや、違う。

剣だ。

血に濡れた剣だ。

私の身体を貫いている、剣。

つまり私は刺されたのか。
一体誰に?
まさか。

後ろを見た。

するとそこには、手に持った剣を私の背中に突き刺すクマの人形がいた。
112 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:40:03.63 ID:sesBbcASO
ショートカット「馬鹿な、お前はマグマの中に…まさか剣の人形は二体いたのか!」

無職「違うよ」

無職「攻撃人形はたったひとつしかないよ」

ショートカット「しかし」

無職「私の能力」


無職「相手を壊すまで壊れない人形と、脅威が去るまで必ず私を守りぬく人形をつくり、使役するちから」
113 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:42:08.00 ID:sesBbcASO
ショートカット(ではつまり、いま私を刺しているのはマグマに沈んだ人形!?)

ショートカット「馬鹿な、マグマだ、ぞ…」

ショートカット「しかも…マグマの場所は…ここから一○○○キロ以上も、離れている…そこから一瞬で…戻ってきた?」

ショートカット「……ゲホ」

ショートカット「そんな反則な能力、あるはず、が…な、い…」
114 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:47:47.80 ID:sesBbcASO
私の胸から突き出ていた剣が、動く。クマの攻撃人形が剣を横に振ったのだろう。

トドメ、か。

私の傷が、横に裂けて広がる。
いや、裂けるなんてレベルではない。
千切れるという表現の方が、近いかもしれない。

胸の中心あたりから心臓も含めた脇の下までの部分が、上と下にぱっくりと開かれた。

少量とはいえない血が、その傷口から噴き出す。

致命傷だ。さすがの死神でもこの怪我では助からない。

視界の薄れが、激しくなり、暗幕でもかかったように前が見えなくなる。

設置した、マグマへと繋がる『門』が消えゆくのを感じる。
能力が持続できなくなった。

これは、死んだな。

薄れゆく意識の中で、私はきいた。
115 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:48:32.09 ID:sesBbcASO
無職「……反則ねえ」

無職「さっきも言ったけど、アンタの能力もわりと反則と思うけどな」

無職「そんな能力者からみても、やっぱ僕の能力は反則にみえる?」

無職「まあ、そうだろうね」

無職「僕も重宝してるよ、できすぎなくらい優秀なこの能力を」
116 :1 [saga]:2012/01/09(月) 23:49:53.50 ID:sesBbcASO
投下はここまでです

所々ぶんしょうをミスってしまった

とりあえず読んでくれた方、ありがとうございました
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/10(火) 02:23:51.05 ID:RsbgGZ/AO
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