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上条「立てば芍薬!」美琴「座れば牡丹!」心理「歩く姿は」垣根「ラフレシア!!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/09(金) 20:40:56.62 ID:LEi3pRIu0
1スレ目 美琴「す・・・好きです!!付き合ってください!!」上条「何やってんだ、御坂」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1304/13045/1304506297.html
2スレ目 美琴「当麻♪」上条「なんだ、美琴」垣根「俺も仲間に入れて」心理「はいはい」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1305/13053/1305377166.html
3スレ目 上条「美琴、愛してる」美琴「私も♪」垣根「俺も♪」心理「ジャマしないの」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306063255/
4スレ目 上条「美琴は可愛いな」美琴「えへへ//」垣根「速さが足りない」心理「はいはい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1306724889/
5スレ目 上条「放さないからな」美琴「うん♪」垣根「話さないからな」心理「しゃべりなさいよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307282872/
6スレ目 上条「抱きしめようか?」美琴「うん//」垣根「抱こうか?」心理「やめて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307709819/
7スレ目 上条「守り続けるからな」美琴「うん//」垣根「これがリア充です」心理「あなたもよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308139244/
8スレ目(番外編) 美琴「私の好きな人のことを、それ以上悪く言わないで!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308667506/
9スレ目 上条「結婚に必要な物は?」美琴「愛!」心理「お金」垣根「念のため三行半」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308992651/
10スレ目 上条「まずは!」美琴「そのふざけた!」心理「幻想を!」垣根「守るのこそ愛だ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309355502/
11スレ目 上条「マイホームか・・・」美琴「い、いいわね//」心理「そうね」垣根「欠陥住宅か」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1309860801/
12スレ目 テクパトル「あの月はもう、空には出ない」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310283821/
13スレ目 上条「美琴は可愛いな」美琴「//」垣根「心理定規可愛いハァハァ」心理「やめて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310641032/
14スレ目 上条「恋といえば!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311066610/
15スレ目 上条「旅行かぁ・・・」美琴「どこ行く?」垣根「ヤっちゃうのか?」心理「黙って」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311506386/
16スレ目 上条「愛って何かな」美琴「守ること?」心理「信じること」垣根「疑い続けることさ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311939697/
17スレ目 上条「始まった・・・」美琴「大覇星祭・・・」垣根「アナウンスは俺」心理「やめて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312451177/
18スレ目 上条「引き続き!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスも俺!」心理「もうイヤ・・・」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312969940/
19スレ目 上条「まだまだ続く!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはMeダヨ!」心理「誰よ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313206497/
20スレ目 上条「そして終盤!」美琴「大覇星祭!」垣根「アナウンスはワシじゃよ」心理「誰よ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313568339/
21スレ目 上条「みこと!」美琴「とうま!」垣根「マン」心理「そこまでよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313987737/
22スレ目 上条「1に愛情!」美琴「2に愛情!」心理「3、4がなくて?」垣根「後藤さん」一同「誰だよ」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1314/13145/1314512717.html
23スレ目 上条「海外旅行!」美琴「イギリス!」心理「ご飯がまずい」垣根「ひもじいよぉ」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1315/13152/1315277970.html
24スレ目 上条「デートの定番は?」美琴「遊園地!」心理「映画館」垣根「特別な場所なんていらねぇさ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316091462/
25スレ目 上条「熱い思いは!」美琴「止められない!」心理「燃える心は」垣根「バーニングハート!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1316955436/
26スレ目 上条「異性のどこが好き!?」美琴「優しさ!」心理「温かさ」垣根「声」テクパトル「背中」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318038036/
27スレ目 上条「恋は!」美琴「儚く!!」心理「愛は」垣根「虚しく」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1321338251

黒歴史 今日も学園都市には雨が降る
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1303/13037/1303730725.html
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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2 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/09(金) 20:44:11.75 ID:LEi3pRIu0
キャラ紹介

上条・・・言わずとしれたそげぶマン
美琴の彼氏、第一の主人公であり、正義感溢れます
美琴をかなり愛しています

美琴・・・ヒロイン
可愛いです、可愛いです、可愛いです
ツンデレがデレデレになってますが、それもまた(ry
上条さんにメロメロ

垣根・・・本シリーズでおそらくもっとも愛されてるキャラクター
イケメルヘンからギャグまでなんでもござれ
心理定規と付き合ってます、フリーダム
たまにツッコミ

心理定規・・・垣根の嫁
ていとくんに踊らされながらも彼を支えます
おそらく、心理定規タンハァハァって方もいるかと、俺もそうだ
ホント、マスコットキャラ だったのになぜかだんだんとボケキャラへ

エツァリ・・・本シリーズで地味なキャラの一人
ショチトルと付き合ってる変態ツッコミ

ショチトル・・・地味キャラだった一人
エツァリと付き合ってます、自称ドMの実際ドM
ボケも心理定規に奪われる

削板・・・熱い男
黒子の彼氏、地味なはずがわりとキャラが濃い

黒子・・・ですの
削板の彼女、でもお姉さまも相変わらず好きなのでご安心を

一方・・・歪みないセロリ
番外個体の彼氏、そしてロリコン、意外とまともになった

番外個体・・・一方の嫁
やっとセロリと付き合うことに、マジ可愛いよワースト
わりと奥手

テクパトル・・・美月こと19090号と恋人に、さまざまな苦難も乗り越えイチャイチャリア充、背中フェチ
背中について語ると止まらない人

19090号・・・テっくんの嫁
通称美月
テクパトルと結ばれましたが未だに照れ屋さん、そしてエロい

20000号・・・変態
しかも、テっくんでヤったこともある変態 、たまに男前

14510号・・・セロリのことが好きな乙女
めちゃくちゃ乙女

10033号・・・セロリのことが好きな乙女
恋する乙女は強かった

御坂妹・・・可愛いです
なぜかツッコミに

17600号・・・やや遅れて合流した妹達
意外と男前、おっとこまえー

■■・・・名前が思い出せないキャラ
まさかの存在感、可愛さ
準レギュ、というかエツァリよりも輝いてる気がする

吹寄・・・垣根に告白、失恋するもやはり友達がいいと気づいた強いキャラ
まさかの準レギュ、そしてツッコミ、おっぱい吹寄

ウイーハルさん・・・違った、初春
削板、黒子の出番でたまに登場

13577号・・・かつて20000号に公開オ○ニーをさせられたため、一時離脱していたミサカ
まさかの復活、でもトラウマは奥底に眠る

10039号・・・かつて20000号に公開オナ○ーをさせられたため、一時離脱していたミサカ
磁石のNよりもSが好き
3 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/09(金) 20:46:14.89 ID:LEi3pRIu0
食蜂・・・レズ、美琴に恋してる
最近本当の友達が出来て喜んでいる

打ち止め・・・一方通行と番外個体の娘ポジション
しかし寝取りを企んでいるという噂もある

麦野・・・魅力的なはずなのにアイテムで唯一恋の香がしなかったが、青ピと若干近しくなる
がんばれおばさ・・・お姉さん

絹旗・・・超可愛い超キュートな超ヒロイン
海原に淡い恋心を抱いている
絶賛パンチラ

浜面・・・リア充爆ぜろ

滝壺・・・浜面の彼女
ときどき黒い、実は腕力が半端ない

フレンダ・・・空から帰ってきた我らがアイドルな訳よ!
美人でスレンダー、完璧なスタイルな訳よ!
ゴーグル男なんて好きじゃない訳よ!

ゴーグル・・・スクールの中で一番地味だった人
語尾が「〜っす」とかいう、若者口調
なぜかフレンダと共にこの世に戻ってきた
冷え性、甲斐性なし、天然ボケ


アレイスター・・・冷蔵庫
一体どうしてこうなったのか
最新式の家電

海原・・・絹旗にフラグを立てた男
本物
エツァリと鉢合わせしたら恐ろしいことになるはず


4 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/09(金) 20:47:18.82 ID:LEi3pRIu0
スレ内容

上琴、未元定規がメインのギャグほのぼの

一方通行×番外個体
テクパトル×19090号
削板×黒子
エツァリ×ショチトル
浜面×滝壺
俺×サトリナ


何もおかしいところはない

サトリナさんは俺の嫁

ほのぼの、グダグダ、原作崩壊、キャラ崩壊、マンネリが嫌いな方はご覧にならないほうがいいかと

あと、一部オリキャラ化していますのでそこもご了承を


注意事項

速さが足りないコメ、やろうじゃないのよ

たまに筋肉動画を貼ります、耐性がない人はそっと戻るボタンを


5 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 21:09:30.15 ID:xCNPUNiSo
海原とエツァリってもう鉢合わせしてね?

6 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/09(金) 21:19:58.93 ID:LEi3pRIu0
>>5 細かいところを書き直すのを忘れる、これが>>1の悪いところの一つですw

ということで、海原の紹介は此方


海原・・・絹旗にフラグを立てた男
エツァリではなく、こちらは本物
エツァリと鉢合わせした時に、エツァリの真実の愛を目の当たりにして衝撃を受ける
時を経て変わったエツァリ、彼の愛を受けたショチトル
それは、まるで海原と絹旗の関係に拍車を掛けているようだった
彼は不器用だ、そして時に卑怯である
敬語を使うことによって他人と距離を置き、常に笑顔であるがために自分の内心を探らせない
そんな彼にとって、エツァリとショチトルの間にある何かしらの燃えているものは衝撃的だった
ズキズキとした痛みは、かつてエツァリに剥がれた腕の傷か
いや違う、彼の心に空いてしまった大きな隙間の痛みだった
人が生まれてきたのはなぜか
愛を持つためか、世の中に絶望するためか、明日を見るためか過去に逃げるためか
まだ若い海原には分からない
その名の通り、広い海原の中にまるで小さなカヌーを浮べているような、虚無感と絶望感
たどり着くことの無い未来という名の地平線に、彼はただ手を伸ばすだけだった

 

こんな感じでいいと思う


7 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 21:23:33.65 ID:dR/Jm7od0
ずっと……待ってました…
8 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 21:43:54.58 ID:vSkwMUjVP
あら? ■■さん登場するようになったのか……最初から読んでみるかな……しかしよくここまで書いたものだ
9 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/09(金) 21:56:38.12 ID:LEi3pRIu0
>>8 どうにもヒマなもので

■■さんは、あんまり出てません

わざわざ最初から読むほどの内容でもないようなので、全く読み返す必要もありませぬ

今日は投下はなしです


■■さんも、登場させてあげたい今日この頃


10 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 22:02:03.44 ID:qeINgXi+0
グラックマンや暗部編入れて、だいたい29?スレ目だよなぁ・・・
今年の5月だぜ? これ始まったの。
6月ぐらいからずっと見てるけど、毎回更新楽しみにするほど中毒になっちまった

どうしよ

これからも頑張って!
11 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 22:38:57.07 ID:xCNPUNiSo
一時期投下スピードがおかしかったからなwwwwww
4日で1スレ消化とかあったし
12 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/09(金) 23:07:28.91 ID:FN5zB8z70
浜面の紹介文超短いのに
その文にすべて表せてるww
13 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 07:53:13.53 ID:8K7jFsogo
心理タソはもうあんまりボケさせないほうがいいと思う
前は時々ボケるから、心理タソのボケの価値が上がってよかったのに、
今じゃ常時ボケっぱなしだから心理タソのボケの価値が落ちてきてる気がするのよ
心理タソがただのボケキャラになったら、他のボケキャラのキャラが薄くなるし

まあ可愛ければ何でもいいんだけどね☆
14 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:13:50.20 ID:REzuqigu0


私の名前は姫神秋沙

今をときめく女子高生

誰がなんと言おうと

そんな私は。ある高校に通っている

前は別の高校に通っていたけど。今は訳あってわざわざ三流高校に通っている

でも。私はそんな三流高校が大好き

馬鹿なことをやって笑える仲間がいるから


姫神「おはよう」

土御門「にゃー、姫神じゃないかにゃー」

青ピ「おはよう姫やん」

この二人が。クラスのお騒がせ者

土御門元春

金髪にサングラスの不良

と見せかけてただの童貞

義理の妹に手を出しているという情報がある

正直。あんまり二人きりになりたくない


15 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:14:21.61 ID:REzuqigu0
そして青髪君

こっちはもっと二人きりになりたくない

変態

私の中では最低のランクにいる

でも話している分にはいい友達

吹寄「姫神、おはよう」

姫神「おはよう」

この子は吹寄制理

私の唯一無二の親友

昔はさん付けで呼ばれていたけど。最近は普通に呼び捨て

それくらい近しい友達

優しくてしっかりしてるけど。巨乳なのが羨ましい

心理「おはよう、姫神さん」

姫神「おはよう」

この人が今最もクラスで輝いてる女子


16 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:14:47.62 ID:REzuqigu0
心理定規

体験入学生ではあるけれど。すでにクラスに溶け込んでいる

容姿端麗。頭脳明晰。なおかつ優しい

男子の大半は。心理定規に惚れてしまった

私はそれが妬ましい

目立ちたい

垣根「おっす、相変わらずお前は地味だな」

姫神「・・・君が真面目に来たのは。久しぶりじゃない?」

垣根「そうかもな・・・もう二週間ぶりくらいか」

姫神「ちゃんと来ないと。吹寄が少し寂しがる」

吹寄「さ、寂しがってないわよ」

垣根「だってさ」

彼は垣根帝督

学園都市第二位の超能力者

容姿完璧。頭脳明晰。メルヘンで気が利く

しかも。ただイケメンじゃなくてボケからツッコミまで出来る


17 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:15:14.53 ID:REzuqigu0
クラスの男女から好かれてる。ある意味おいしい立場の人

私にもたまにちょっかいを出してくるけど。イケメンだったら嫌な気はしない

垣根「にしても、久しぶりに来てもなんも代わり映えしないな」

吹寄「・・・二週間で代わり映えするクラスってのはどういうのよ」

土御門「吹寄、そんな厳しいこと言いながらも口元が緩んでるぜぃ」

吹寄「なっ・・・」

青ピ「よっぽど垣根に会いたかったんやねぇ」

心理「はぁ・・・彼氏がモテると心配よ」

垣根「俺のこと好きかぁ?」

吹寄「うるさいわね!そんなんじゃないわよ馬鹿三人!」

垣根「心理定規、お前も馬鹿に入ってるぞ」

心理「あなたのことよ、多分」

垣根「はぁ?俺のどこが馬鹿なんだよ」

吹寄「・・・馬鹿よ、貴様は」


18 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:15:43.83 ID:REzuqigu0
土御門「あぁ!恋する乙女、吹寄制理!」

青ピ「私を一人寂しく待たせるなんて、あなたは馬鹿なのよ!」

吹寄「何勝手な妄想してるのよ!」

垣根「焦るとそれっぽいぞ吹寄」

吹寄「ち・・・違うってば!」

姫神「落ち着いて、吹寄・・・」


上条「あっぶねぇ!まだ先生来てないよな!?」

土御門「カミやん!セーフだぜぃ!」

青ピ「あっはは!なんや、また彼女さんと登校して遅れたんかいな、死ね」

上条「最後の二文字が不謹慎だぞ青髪・・・」

吹寄「・・・貴様、もっと早く学校に来る気はないの」

上条「いや、それが・・・って垣根じゃないか」

垣根「よぉ、学校で会うのは久しぶりだな」

上条「真面目に来たのなんて久しぶりだよな・・・心理さんはわりと来てるけど」


19 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:16:10.85 ID:REzuqigu0
心理「学校、楽しいから」

垣根「飽きちまうよ・・・」

上条「ふーん・・・あ、姫神もおはよう」

姫神「・・・なんで私を最後にしたのか。小一時間問い詰めたい」

上条「いや、理由なんてないけどさ」

そして彼が。私の一番二人きりになりたくない相手

上条当麻

よく分からない右手を使って。私を助けてくれた人

私の初恋の人

私の初めての人

そして。失恋した相手

彼が同じクラスにいるのは。安心するしなぜか辛い

けど。そんなことはどうでもいい

今はこのクラスが楽しい

彼も。ただのクラスメートの一人


20 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:16:36.85 ID:REzuqigu0
垣根「あーあー、一時間目は数学だっけ」

上条「あ、その時間割、変更になったんだよ」

垣根「あぁ?マジか」

心理「今日は臨時で小萌先生の授業よ」

青ピ「最高やでぇ!」

これだから。ロリコンは困る

土御門「にゃー、小萌先生の授業なら外のテニス女子も見てられるぜぃ」

これだから。変態は困る

上条「はぁ・・・どうせ俺は真面目に聞かなきゃ落ちこぼれちまう寂しい人間だ」

・・・これだから。馬鹿は困る

吹寄「授業はちゃんと聞くのが当たり前よ」

姫神「そんなこと。彼等には関係ない」

垣根「・・・俺、保健室でサボろうかな」

吹寄「せっかく来たんだから授業受けなさいよ・・・」

心理「あら・・・保健室、行く?」


21 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:17:02.22 ID:REzuqigu0
垣根「行くか?」

青ピ「な、なんや!?まさか二人だけ全く別の科目の授業をしようなんて言うんかいな!?」

土御門「いや、むしろ実習なんじゃないかにゃー!?」

垣根「ちげぇよ・・・なんで吹寄は青筋浮かべてんだ」

吹寄「・・・垣根、貴様はいくらかまともになったわね」

土御門君と青髪君が。吹寄に潰された

クラスのボスはやっぱり吹寄

垣根「・・・はぁ、なぁ姫神・・・触らせろよ」

姫神「いや」

垣根「ちっ・・・吹寄」

吹寄「き・・・貴様もやっぱりまともじゃないわね!」

上条「吹寄・・・垣根のそれは冗談なんだから軽く受け流せよ」

吹寄「そ、そんな卑猥な冗談なんて学校で言うべきじゃないのよ!」

垣根「なんだよ、やっぱりお前処女か」

吹寄「関係ないでしょ!」

心理「やめなさいな・・・小萌先生が来たら泣くわよ」


22 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:17:29.67 ID:REzuqigu0
青ピ「それはあかん!」

土御門「いってぇ・・・吹寄、すぐに椅子振り回すのはやめるべきだと思うぜよ」

吹寄「・・・ならグーで殴ったほうがいい?」

土御門「遠慮する」

上条「・・・はぁ、垣根はいいよな・・・毎日毎日学校に来なくても頭良いんだから」

垣根「お前達が悪すぎるんだよ」

吹寄「言うわね・・・」

姫神「でも。実際に頭が良いから言い返せない」

垣根「ま、凡人は凡人らしく頑張りな」

青ピ「なんやイメージ悪くなるで」

垣根「イケメンは簡単にイメージを直せるんだぜ」

上条「自分で言うなよ・・・」

姫神「・・・先生が来た」

上条「おっと・・・みんな、席着こうぜ」

吹寄「言われなくても分かってるわよ」



23 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:18:04.49 ID:REzuqigu0

小萌「はいはーい、みなさんおはようなのですよ!」

一同「おはようございます!」

小萌「いい挨拶なのです!」

この人が。一番オカルトな存在

もういい歳なはずなのに。見た目は私より年下に見える

だから。あんまり先生という感じはしない

それが逆に親しみやすいけど。みんなからは可愛い可愛いと言われてる

私も言われたい

垣根くらいしか言ってくれない

垣根「先生、久しぶり」

小萌「おやっ!垣根ちゃん、久しぶりなのですね!」

垣根「悪いな、中々めんどくさくて来れなかったんだよ」

小萌「そういうことを教師の前で言ったらダメなのですよ、垣根ちゃん」

垣根「仕方ないけど・・・でも、先生の可愛い顔が見たくなって来ちゃいました」

小萌「もう!そんなこと言っても許さないのですよ!」

上条「待て待て!なんか垣根の名前欄に二重丸した気がしたんですけど!?」

小萌「上条ちゃん、聞きましたよ」

上条「な、何をですか?」


24 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:18:51.31 ID:REzuqigu0
小萌「御坂さんと毎朝ラブラブで登校してるみたいですね」

小萌先生。ナイス

みんな上条君を睨んでる

当たり前

上条「い、いやいや!ラブラブって言っても仲良く手を繋いでやってくるだけですよ!?」

小萌「それをラブラブと言うのですよ、上条ちゃん」

上条「とにかく!それを先生にどうこう言われる筋合いはありません!」

小萌「か、上条ちゃんが反抗するのですよ・・・」

青ピ「カミやん!小萌先生を泣かせるなんてえぇ度胸してるやないか!」

上条「いやいや待て!別に泣いてないぞ!?」

小萌「うぅうぅ」

上条「下手な泣き真似なんてしなくていいから!」

吹寄「上条!先生に向かってなんていう口の利き方なの!?」

心理「上条君、日本には敬語というものがあるのよ」

上条「つ、ついその場のノリ・・・」


25 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:19:22.41 ID:REzuqigu0
垣根「ノリでタメ口で話せるのか!ずいぶんなご身分だな上条!」

上条「お前はむしろこっち側の人間じゃないのか!?」

垣根「黙れ!御坂と毎朝仲良く登校してくる上条!」

上条「わざわざそれを掘り返すな!」

土御門「カミやん最低!」

垣根「信じられないわ!」

小萌「上条ちゃんは後で職員室なのですよー」

上条「ウソだろおい!?」

いっつも上条君はこう

何か知らないけど。まるで自ら職員室に吸い寄せられるかのような出来事を起こす

別に私は構わないけど

小萌「はーい、じゃあこの時間は今の環境問題について・・・」

いざ授業が始まると。やっぱりみんな真面目に話を聞いてる

土御門君は外のテニスを見てるけど

垣根「・・・なぁ、姫神」


26 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:20:03.25 ID:REzuqigu0
突然。ツンツンと背中を突かれた

私の後ろの席は垣根

先生に気づかれないようにして振り向く

別に気づかれてもいいけど

姫神「何」

垣根「・・・これ、吹寄に渡してくれ」

姫神「・・・手紙?」

垣根「いいから渡してくれよ・・・」

姫神「分かった」

垣根「ありがとよ・・・あと、少し髪切っただろ」

姫神「・・・気づいた?」

垣根「あぁ」

姫神「・・・ありがとう」

垣根「どういたしまして」

垣根が何もなかったように椅子に踏ん反り返った


27 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:20:30.03 ID:REzuqigu0
なんで垣根はそんな細かい変化に気づくんだろう

とにかく、吹寄に手紙を渡さなきゃ

姫神「吹寄」

吹寄「な、何?」

吹寄はやっぱり真面目

あんまり授業中に無駄話はしたくないみたい

手紙だけを渡して。私もすぐ話をやめる

何が書いてあるのか気になる

吹寄「!な、何・・・」

姫神「どうしたの」

気になるから小声で聞いてみた

先生は相変わらず気づいてない

吹寄「・・・ブラジャーのサイズ、聞いてきたのよ」

姫神「・・・変態。そう書いて返すべき」

吹寄「・・・なんでわざわざそんなこと聞いてきたのかしら」

姫神「多分。明日吹寄に渡すため」


28 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:20:56.92 ID:REzuqigu0
吹寄「明日・・・?ホワイトデーにブラジャーを?」

姫神「垣根は。常識が通用しない」

吹寄「そ、そうだったわね・・・すっかり忘れてたわ」

姫神「・・・真面目に書いて渡しても。いいと思うけど」

吹寄「い、嫌よそんなの」

姫神「なら。私が上手くする」

吹寄のそういうところは初心で可愛い

でも後々大変だと思う

吹寄「・・・よろしく」

姫神「垣根」

垣根「なんだよ?手紙か?」

姫神「吹寄は。ブラジャーのサイズなんて教えられないみたい」

垣根「なんでだよ?あいつ胸でかいから別に恥ずかしくないだろ」

姫神「恥ずかしいに決まってる」

垣根「いやそうだけど」

姫神「とにかく。答えたくないみたい」


29 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:21:23.76 ID:REzuqigu0
垣根「じゃあいいや・・・お前は?」

姫神「私は。C」

垣根「いいな、やっぱりCかDが一番いいよな」

姫神「・・・なんでブラジャーのサイズを。聞いてきたの?」

垣根「明日ホワイトデーだから」

姫神「やっぱり」

垣根「分かってるなら教えてくれって言ってくれ」

姫神「吹寄は教えたくないって言った」

垣根「ちっ・・・吹寄、後で揉んでやる」

姫神「逆ギレはやめて」

垣根「・・・はぁ、にしてもつまんねぇ授業だな」

姫神「たしかに。あんまり面白くはない」

垣根「今の環境問題ってよ・・・今更考え出して何になるんだよ」

姫神「一人一人が考えるのは大切だけど。授業で取り上げても意味がない」

垣根「・・・なぁ姫神、お前って一人でやったりすんの?」


30 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 12:21:51.15 ID:REzuqigu0
姫神「・・・なんで君はそんなことを女子に聞けるの」

垣根「暇つぶしだよ・・・」

姫神「しない」

垣根「ちっ・・・はぐらかしやがったな」

姫神「・・・垣根は。吹寄のことをどう思ってるの」

垣根「あぁ?なんだよいきなり」

姫神「吹寄はまだ君を好きみたいだから」

垣根「そうか?諦めたみたいに見えるけどな」

姫神「諦めてはいる。でもまだ君のことが好き」

垣根「女は難しいよな・・・愛情がしつこい」

姫神「しつこいから。求め続けてしまう」

垣根「ふーん」

私がこんな真面目に話してるのに。つまらなそうに机に突っ伏した

なんで

私が地味だから?

垣根「・・・お前も大変だよな」

姫神「・・・そう」

垣根「ま、気楽にいけよ」

姫神「君に言われなくても」


31 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 13:15:55.03 ID:REzuqigu0
垣根はいつもこう

なんだか女子に引け目を取らず。セクハラばっかりしてくる

それでもイヤな感じがしないのは。彼の人徳なのかもしれない

小萌「はいはい、ということで今の環境問題はここまでなのですよ」

上条「はぁ・・・なんか、よく分からないよな・・・」

土御門「地球は熱くなってるって言われても、毎年同じくらい暑いからにゃー」

青ピ「そうやねぇ・・・そこまで時間が湧かないんよなぁ」

心理「あら、でも毎年毎年確実に気温は上がってるのよ」

垣根「・・・環境ねぇ・・・俺達と自然を切り離すか、完全に自然に戻るかしかないんだろうな」

上条「難しいな・・・」

吹寄「・・・でも、それも仕方ないわよ」

姫神「・・・私は。みんなが楽しく生きれればいいと思う」

垣根「珍しくまともなこと言うな」

私はいつでもまとも

そこを勘違いされたら。かなり困ってしまうし悲しい

上条「・・・はぁ、次は体育か・・・」

心理「・・・頑張りましょう、寒いけど」


32 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 13:20:58.33 ID:REzuqigu0

放課後

学校なんて。すぐに授業が終わる

毎朝のホームルームではめんどくさいと思うけど

昼休みに友達と話したり。昼ごはんを食べたりしたらあっという間

授業なんて真面目に聞いてないからなおさら

垣根「・・・今日の掃除当番って誰だっけ」

上条「お前と姫神だぞ」

垣根「あぁ?俺と姫神?」

土御門「お前が来てないとき、ずーっと吹寄が代わりにしてやってたんだぜぃ」

吹寄「べ、別に特別な意味は無いわよ・・・教室が汚れたら困るからよ」

垣根「ふーん・・・ありがとよ、吹寄」

吹寄「貴様が素直だとなんだか怖いわ・・・」

垣根「じゃあ、お前達は先に帰っとけよ」

青ピ「ほんなら心理定規ちゃん、ボクがエスコートしてあげるでぇ!!」

垣根「殺すぞてめぇ」

心理「・・・早く終わらせてよね、垣根」

垣根「あいよ・・・姫神、ちゃっちゃと終わらせようぜ」

姫神「分かってる」


33 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 13:24:00.98 ID:REzuqigu0
垣根と二人なのは。ちょっと珍しいけど。そこまでは緊張しない

暴れん坊とかふざけてるとか言われてるけど。実は上条君たちに比べたら落ち着いてる

なんでこんなことを私が知っているのかは。内緒

垣根「・・・相変わらず寒いよな」

姫神「・・・君は暖かそうな格好してるけど」

垣根「そうか?これでも寒いんだぜ?女子はよくスカートで耐えられるよな」

姫神「慣れてるから」

垣根「そういう問題か・・・」

垣根が雑巾を持ってきた

でも。冷たい水に手を突っ込むのは彼だけ

私の分まで水に浸してくれてる

そういう気遣いが出来るから。彼はモテるんだと思う

垣根「ほれ、冷たいからな」

姫神「ありがとう」

まず自分の周りを丁寧に掃除するのは。決していやしくはないと思う

思いたい


34 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 13:29:29.23 ID:REzuqigu0
垣根「・・・そろそろ春だってのに、なんだよこの寒さは」

姫神「3月はいつだって寒い」

垣根「そうか?まぁコタツに入るのは少し大げさな季節だけどな」

姫神「・・・暖房なんてもってのほか」

垣根「だよな・・・結局、ちょっと厚着して我慢してるよ」

姫神「私も。そんな感じ」

超能力者も。結局は人間なんだ

寒いときは寒いし。厚着してそれを凌ぐこともある

垣根「・・・寒くないか?」

姫神「・・・一つ。君に言っておく」

垣根「なんだよ」

姫神「心理定規以外にそうやって優しくしても。結局君はあんまり得をしない」

垣根「浮気を疑われる、俺に惚れる女を増やすだけ、ってか?」

姫神「そう」

垣根「んなの知ったことか、俺は別に計算して生きようなんて思ってないからな」

姫神「・・・」

垣根「優しくするのには理由なんていらねぇだろ、寒くないか」

姫神「大丈夫。ありがとう」

垣根「そうかい」


35 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 13:36:33.08 ID:REzuqigu0
どうして。垣根はこんなに他人に優しくするのか分からない

何か他人に引け目を感じてるのかもしれないけど

そんな風には見えない

姫神「どうして。君はそんなに人に優しくするの」

垣根「今までひどいことをしてきたから、その償いさ」

姫神「・・・そう」

こんなに優しいなら。きっと償えていると思う

垣根は素敵な人

だけど。私の好みとは少し違う

優しいしかっこいいけど

上条君とはやっぱり。何かが違う

垣根「お前さ、バレンタインに・・・上条にチョコ、渡せたのか」

姫神「・・・どうして。そんなことを私に聞くの」

垣根「・・・いや、気になるだろ?クラスメイトの儚い片思いって」

姫神「一応。渡したけど」

垣根「そうか・・・そりゃよかったな」

姫神「片思いは結構辛いけど」

垣根「誰か素敵な人が現れるまでのデモンストレーションだとでも思っとけ、そうすりゃ人生楽しいぜ」

姫神「・・・そうなの?」

垣根「そう考えときな・・・さて、次は机を磨かないとな」


36 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 14:41:09.24 ID:REzuqigu0
姫神「・・・垣根は。心理定規のどんなところが好きなの」

垣根「なんだよ、俺のことが気になるか?」

姫神「ならない」

垣根「・・・じゃあなんで聞いてきたんだよ」

姫神「今後の参考になればと思って」

垣根「・・・そうだな、心理定規は優しいからな」

姫神「・・・やっぱり。男って優しい女の子が好きなの?」

垣根「あぁ、そりゃ優しいほうがいいんだよ」

姫神「心理定規はどういうところが優しいの」

垣根「・・・どこ、っていうより全部なんだよ」

姫神「全部・・・」

よく分からない

それが恋人なのかもしれないけど

垣根「・・・相手の全部を愛せるから、愛ってのは素晴らしいぜ・・・まぁ愛に答えなんてないけどさ」

姫神「・・・垣根は。そういう話をさせると止まらない」


37 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 14:44:37.94 ID:REzuqigu0
垣根「・・・そうか?」

姫神「顔が輝いてる」

垣根「・・・そうかい」

垣根が私に手を差し出してきた

おひねりはないのに

垣根「ほれ、雑巾貸せよ」

姫神「・・・洗ってくれるの?」

垣根「なんだよ、冷たいのイヤじゃないのか?」

姫神「・・・君は。やっぱり素でプレイボーイ」

垣根「プレイボーイが雑巾掛けなんかするかよ・・・」

姫神「・・・そろそろ綺麗になったし。終わらない?」

垣根「・・・そうだな、これ以上遅くなったらいやだし」

もう5時になった

私も早く帰りたい

垣根「・・・じゃ、片付けるか」

姫神「うん」

垣根「・・・寒い寒い・・・」


38 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 14:49:26.34 ID:REzuqigu0

姫神「・・・私。少し残る用事があるから」

垣根「あぁ?なんかするのかよ」

姫神「・・・というか。本当は君も残らないといけないけど」

垣根「は?宿題なんてちゃんと出したけど」

姫神「違う。教室の鍵を職員室に返して日誌を書かないといけない」

垣根「日誌?・・・あぁ、掃除当番が今日のクラスの様子でも書くんだっけか」

姫神「・・・君も。何度か書いたんじゃないの?」

垣根「いーっつも心理定規に任せてた」

姫神「ひどい」

垣根「そうか?その代わり掃除は全部俺がやってたんだぜ?」

姫神「やっぱり。心理定規の尻に敷かれてる」

垣根「うるせぇな・・・持ちつ持たれつなんだよ」

姫神「・・・とりあえず。日誌は私が書いておくから君は帰っていい」

垣根「・・・でも、結構暗くなってるぜ?」

姫神「私は。どうせ襲われるほどの存在感が無い」

垣根「なんかごめんなさい」


39 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 14:55:13.18 ID:REzuqigu0
姫神「・・・だから。一人で大丈夫」

垣根「・・・じゃ、何かあったら電話しろよ」

姫神「君は優しすぎる」

垣根「男は美人の味方なんだよ」

姫神「ずいぶんと。キザったらしい台詞」

垣根「残念だけど、こいつは受け売りだ・・・じゃあな」

垣根が出て行った

残ったのは私だけ

静かな教室って。なんだか怖い

姫神「・・・」

早いとこ。日誌を書いて帰りたい

クラスの今日の様子なんて。あんまり注意深く見てなかった

適当に書けばいいと思う

姫神「めんどくさい」

垣根に任せればよかったかも

でも。今更言っても仕方ない



40 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 14:59:22.60 ID:REzuqigu0

小萌「姫神ちゃん、お疲れ様なのですよ」

姫神「それじゃ。私は帰る」

小萌「気をつけてくださいね!」

日誌も書き終わったし。職員室に鍵も返した

これで帰れる

と思ったときに。なんでか職員室のドアが開いた

上条君だった

上条「・・・せ、先生!!」

小萌「あれ、上条ちゃん・・・ずいぶん前に帰ったんじゃなかったですか?」

上条「宿題出すの忘れてたんだって!!これ、まだ受け付けてもらえますか!?」

上条君がプリントを差し出しながら頭を下げてる

馬鹿だと思うけど。でも終わらせただけ昔よりはマシになってる

私の存在に触れてくれないのは。少々というかかなりムカつくけど

上条「・・・ダ、ダメですか?」

小萌「はぁ・・・仕方ありませんね、いいのですよ」

上条「ありがとう先生!!!」



41 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 15:07:27.80 ID:REzuqigu0
姫神「・・・ちょっと」

上条「ん?あぁ、姫神・・・いたのかよ」

姫神「いたのかよじゃない」

上条「えっと・・・日直の日誌でも届けに来たのか?」

小萌「そうなのですよ、上条ちゃんと違って真面目なんですよ!」

上条「い、いやいや!!俺だっていつも真面目に書いてますよ!?」

小萌「はぁ・・・上条ちゃん、姫神ちゃんを送っていってあげてもらえませんか?」

上条「お、送る?」

小萌「こんな夜道を女の子一人で歩かせるつもりなのですか?」

上条「あぁ・・・でも、あんまり変な噂流さないでくださいよ?」

小萌「先生は生徒の恋を応援するのですよ!!」

姫神「それじゃあ。エスコートよろしく」

上条「分かった分かった」

思いもよらなかったけど

上条君と二人で帰ることになってしまった

冷静を装ってるけど。正直気まずい


42 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 15:15:45.78 ID:REzuqigu0

上条「・・・すっかり暗くなったな・・・」

姫神「そうね」

上条「はぁ・・・三月って、なんだかんだまだ冬なんだよな・・・」

姫神「でもコタツに入るのは大げさ」

垣根と話してたことを上条君とも話す

上条「・・・そうだな、おかげで俺はずーっと布団にくるまっていたい気持ちを味わってるよ・・・」

姫神「・・・君は。愛によって温まってるんじゃないの」

上条「美琴も寒いから二人して震えてるんだよ・・・」

姫神「・・・彼女が金持ちなのに。そんな生活はおかしい」

上条「美琴のお金なんて使いたくないだろ?」

姫神「・・・」

おかしなプライド

でも上条君らしいと言えば上条君らしい

上条「・・・姫神って、好きな人とかいないのかよ」

これだ

彼は鈍感なんていうものじゃない

こういうのは。時として女の子を傷つけるのに

姫神「君には関係ない」

上条「そうだけどさ・・・せっかく恋愛の話になったから」

姫神「君が好き」

上条「・・・は、はぁ?」

姫神「冗談」

上条「なんだよ・・・そういう冗談は心臓に悪いからやめてくれ」

私の愛は心臓に悪いらしい


43 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 15:20:04.38 ID:REzuqigu0
姫神「・・・上条君は。今幸せ?」

上条「そうだな、めちゃくちゃ幸せだよ」

姫神「・・・そう」

羨ましいけど。でも別に妬ましくは無い

上条君が幸せならそれでいいと思う

上条「姫神はどうだよ?幸せじゃないか?」

姫神「幸せなんて言えない」

上条「そ、そうなのか?」

姫神「でも。不幸せでもない」

上条「・・・普通ってことか?」

姫神「私。あんまりそういうことには興味ないから」

上条「いやいや・・・お前だって、素敵な人と付き合って素敵な人と結ばれたいだろ?」

姫神「・・・」

そういうことを無意識に言ってくるのが。上条君の一番悪いところ

自分が幸せだから浮かれてるのかもしれない

でも。それを責められるほど上条君は嫌味じゃない

ただ。本当に私を心配してるだけ

姫神「・・・好きな人はいる」

だから。ちょっとだけ素直になってみる

上条「へぇ・・・告白はしないのか?」

姫神「出来ない」

上条「出来ない・・・もう会えない相手なのか?」


44 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 15:24:28.70 ID:REzuqigu0
姫神「会えないわけじゃない。というよりむしろよく会う」

上条「ふーん・・・あ、女とか?」

姫神「私にそういう趣味はない」

上条「じゃあ・・・なんで?」

姫神「その人。もう彼女がいるから」

上条「へぇ・・・なんか辛そうだな」

姫神「・・・辛い」

上条「・・・その相手、幸せなのかな」

姫神「幸せだって言ってた」

さっき。私の目の前でそう言っていた

上条「じゃあ・・・なおさら複雑だよな」

姫神「・・・でも。別に構わない」

上条「そうか?」

姫神「もしも。君と御坂さんが別れたとして」

上条「あ、あぁ」

姫神「その後御坂さんが幸せになっていたら。それはイヤなこと?」

上条「・・・嬉しいこと・・・かな」

姫神「それと同じ。私もその人が幸せならそれでいい」

上条「悔しくないのか?」

姫神「悔しいけど。切ないけど。それを言ってもどうにもならない」


45 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 15:28:36.80 ID:REzuqigu0
上条「・・・でもさ」

姫神「何」

上条「・・・美琴が他の人と幸せになっても、それはたしかに嬉しいけどさ」

姫神「・・・」

上条「でも、納得はしたくないのかもな」

姫神「どうして」

上条「・・・自分が幸せにしてあげたいって思うだろ?」

姫神「・・・それが叶わないのが今の私」

上条「・・・そっか」

上条君は本当に鈍い

こんな話をしても。何も気づいてない

上条「・・・姫神も幸せになれたらいいな」

姫神「簡単に言わないで」

上条「・・・でもさ、幸せになれたら・・・あとはきっと楽しいと思うよ」

姫神「幸せなんて。選ばれた人しか手に入れられない」

上条「そっか」


上条「んじゃあ、お前も選ばれた人間になればいいじゃねぇか」

姫神「・・・」


46 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 15:31:58.28 ID:REzuqigu0
上条「選ばれた人間なんていないって、俺みたいなただの男が美琴みたいな女と付き合えたんだぜ?」

姫神「・・・君はただの男の子なんかじゃない」

上条「?」

姫神「私を助けてくれた人じゃない」

上条「それは、偶然だって」

姫神「・・・でも。君は選ばれてると思う」

上条「そうか?」

姫神「・・・私も。幸せになれるかな」

上条「そうお前が望むならな・・・あ、なんか買ってくか?」

コンビニがあった

いっつも帰りに寄っていくコンビニだけど。少し遅い時間だとまた不思議な雰囲気が漂っている

姫神「・・・おでんでも買って行く」

上条「おでんか・・・あるのかな?」

姫神「あると信じたい」



姫神「・・・ない」

上条「・・・そりゃ、三月だとな・・・」

姫神「・・・私。やっぱり選ばれてない」


47 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 15:34:52.39 ID:REzuqigu0
上条「じゃ、チキンでも買って行くか」

姫神「・・・そうする」

コンビニのチキンなんて安っぽいって垣根は言ってた

でも。私達にはそれが懐かしく感じる

上条「・・・これ二つ」

「240円になります」

上条「はい」

姫神「あ。私も出すから」

上条「いいって・・・120円なんて、昔の穀潰しにしたらマシな額だって」

姫神「・・・あのシスターね」

上条「ほら、帰ろうぜ」

姫神「うん」


上条君と二人だけで帰るなんて初めてかもしれない

ポケットに片手を突っ込んでチキンを食べてる彼はただの高校生

でも。私を助けてくれた素敵な人

届かない遠くの人

上条「はぁ・・・明日も宿題一杯だな・・・」

姫神「そうね」

でも。こんなに近くにいてくれる優しい人


48 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 20:23:51.30 ID:REzuqigu0
上条「・・・姫神は勉強とか出来るんだっけ」

姫神「ぼちぼち。君よりは出来る」

上条「はぁ・・・羨ましいな」

姫神「教えてあげてもいいけど」

上条「いいって・・・こっちには優秀な家庭教師がいますから」

姫神「・・・そう」

やっぱり彼は。とても鈍感で馬鹿

こういうところが彼の悪い点

上条「・・・はぁ、寒いな・・・」

姫神「・・・上条君」

上条「ん?どうした?」

姫神「・・・私って。魅力が無いかな」

上条「なんだよいきなり」

姫神「・・・少しそう思っただけ。気にしなくてもいい」

上条「・・・お前にはお前の魅力があると思うけどな」

姫神「たとえば」

上条「たとえば・・・か」

そんなことはすんなり言って欲しい

じゃないと気を遣われてるみたいで切ない



49 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 20:27:40.93 ID:REzuqigu0
上条「料理が出来る、落ち着いてる・・・それに見た目も美人じゃないか」

姫神「・・・それでも。やっぱり私の魅力だけではダメだった」

上条「・・・よっぽどその人が好きだったのか?」

姫神「・・・別に。そういうわけじゃない」

上条「・・・でもさ、お前にそこまで好かれるやつならきっと素敵なヤツなんだろうな」

姫神「・・・そう。とっても素敵」

上条「どんな人なんだ?ちょっと気になるんだけど」

姫神「・・・真っ直ぐすぎてよく壁に当たるタイプ」

上条「・・・それは真っ直ぐっていうより愚直って言うんじゃないのか」

姫神「でも。優しくてカッコイイ」

上条「へぇ・・・なんか珍しいヤツだな」

姫神「・・・自分のことを省みないで。他人を助けることが出来る人」

上条「・・・素敵なヤツなんじゃないか」

姫神「そう。だからこそいつまでも諦められない」

上条「・・・諦められないのか」

姫神「・・・ちょっと違うかもしれない」


50 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 20:30:17.15 ID:REzuqigu0
上条「・・・でもさ、姫神」

姫神「何」

上条「・・・いつまでもそうやって引きずるのは、きっと辛いことだと思う」

姫神「そんなこと分かってる」

上条「・・・そいつに思いは伝えてないんだよな」

姫神「・・・そう」

上条「だったら、そのままでいいと思う・・・伝えたら辛くなるぞ、余計に」

姫神「君は。失恋したこと無いから分からない」

上条「う・・・そ、そりゃそうだけどさ」

姫神「・・・でも。伝えないほうがいいのかもしれない」

もし伝えたら。上条君はビックリするかな

それなら少しだけ伝えてみたいけど

上条「・・・なぁ、もしかして垣根か?」

姫神「違う。垣根は素敵だけど違う」

上条「・・・そっか」


51 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 20:32:42.65 ID:REzuqigu0
姫神「・・・もうここでいい」

上条「あれ?でも女子寮ってここだっけ?」

姫神「君に部屋の番号を覚えられたら。何をされるか分からない」

上条「何もしないって・・・」

何もされないのも悲しい

姫神「・・・それじゃ。家庭教師と仲良くね」

上条「・・・あぁ」

上条君が背中を向けた

その背中に蹴りの一発でも食らわせたい

それから思いきり抱きつきたいけど

上条「それじゃ、また明日な」

姫神「また」

こんなやり取りを誰かが見てたら。恋人に見えるのかな


姫神「・・・上条君の馬鹿」


52 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 20:43:41.92 ID:REzuqigu0

上条「・・・」

美琴「?どうしたのよ当麻」

上条「姫神がさ・・・なんか暗かったんだ」

美琴「・・・へぇ」

上条「好きな人がいるんだけど、その人はもう彼女がいて・・・告白できないまま失恋したんだってさ」

美琴「それって・・・」

上条「あ、もしかして心当たりあるのか?」

美琴「・・・ううん、ないわよ」

上条「でもなんか感づいたみたいな・・・」

美琴「なんでもない、それよりここの問題はね・・・」

上条「いや、気づいてた・・・」

美琴「・・・あのね、女の子の恋に口出しなんて・・・アンタがしていいことじゃないのよ」

上条「そ、そうなのか?」

美琴「そう、だから当麻は知らなくていいのよ」

上条「・・・そっか」


53 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 20:57:35.62 ID:REzuqigu0
美琴「・・・でもね当麻」

上条「ん、なんだよ」

美琴「・・・私はね、当麻のことが好きなのよ」

上条「な、なんだよいきなり」

美琴「・・・別に、姫神さんが誰のこと好きかなんてアンタには関係が無いじゃない」

上条「そ、それはひどいぞ」

美琴「・・・さっきから姫神さん姫神さんって・・・私がここにいるのは無視かコラァ!!」

上条「いやいや!!でも美琴が俺のことを好きっていうのは周知の事実・・・」

美琴「それを確認して欲しいのよ!!」

上条「な、なんか怒ってますか!?」

美琴「彼女が目の前にいるのに他の女の子の話なんてするからよ!!」

上条「わ、悪かったから落ち着いてくれよ!!」

美琴「落ち着いてられるわけないでしょ!?」

上条「み、美琴が一番可愛いよ!!」

美琴「ご、誤魔化さないでよ!!」

上条「あぁ!!とうとうこの手も効かなくなった!!」


54 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:00:26.42 ID:REzuqigu0
美琴「あぁもう!!アンタは鈍感すぎるのよ、だから姫神さんの・・・」

上条「?姫神が何か関係あるのかよ?」

美琴「ひ、姫神さんの好きな人にも気づけないってことよ」

上条「いやいや・・・あいつはなんかあんまりそういうことを表に出さないからさ」

美琴「・・・そう」

上条「と、とりあえず機嫌直してくれよ」

美琴「直して欲しいならそれなりのことをしなさいよ」

上条「た、たとえば?」

美琴「・・・キスとか」

上条「そんなことでいいんですか?」

美琴「そんなことって・・・アンタ、それが一番幸せなことなのよ」

上条「そ、そっか」

美琴「だから、ほら」

上条「・・・じゃ、じゃあ」



55 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:03:14.30 ID:REzuqigu0

上条君は。きっと今頃御坂さんと楽しい時間を過ごしてる

上条君は。きっととても嬉しそうに笑っている

上条君は。きっと今幸せにしてる

さっきからずっと。上条君のことが頭から離れない

一緒に帰ってきてから。ずっと考えちゃう

姫神「・・・」

あの時呼び止めてたら。もう少し一緒にいれたのかな

そう考えたら。あの時呼び止めておけばよかったと思う

姫神「・・・はぁ」

上条君は何をしてるんだろう

そんなこと。私には関係ないのに

そんなこと


心理「姫神さん、いる?」


姫神「?」

いきなりドアがノックされた

あの声は心理定規

ということは垣根もいるのかもしれない


56 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:05:39.63 ID:REzuqigu0
姫神「・・・どうしたの。こんな夜遅くに」

心理「ちょっとあなたと話がしたくなってね」

姫神「・・・上がって」

ドアを開けたけど。垣根はいなかった

心理定規が一人で来るなんて珍しい

もしかしたら初めてかもしれない

心理「ごめんなさいね・・・垣根とあなたが二人で掃除当番してたときの話を聞いてね」

姫神「・・・それで。ヤキモチを妬いたとか?」

心理「違うのよ、あなたがまだ上条君のことを好きでいるってことを聞いたのよ」

姫神「・・・」

垣根はおしゃべり

それを上条君に伝えないところは優しいのだろうけど

心理「あぁ、垣根のせいじゃないわよ?あなたが上条君を好きだなんて私は昔から知ってたから」

姫神「どうして」

心理「私の能力・・・知ってる?」

姫神「・・・詳しくは。教えてもらってない」


57 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:10:05.59 ID:REzuqigu0
心理「相手と他人の心の距離を自在に操るのよ」

姫神「ずいぶんと。残酷な能力」

心理「・・・そして、それはつまりあなたが上条君にどれほど心を許しているのかも分かるのよ」

姫神「・・・」

心理「あなた、他の誰よりも上条君に心を開いていたわ」

姫神「あなたは。そんな風にいつも人の心を覗いてるの?」

心理「つい気になることがあるのよ」

姫神「・・・それは。ちょっとひどいこと」

心理「あら、そうかしら?」

心理定規が笑う

別にこの子は悪気があってやってるんじゃない

でも。やっぱり自分の心を読まれるのは複雑

心理「・・・まぁそれはどうでもいいのよ・・・あなた、それでいいの?」

姫神「何が」

心理「本当は、かなりストレスが溜まってるんじゃないの」

姫神「・・・」

心理「あなた、今も上条君に心を開いてるってことは・・・どこか、彼の温もりが欲しいんじゃないの?」

姫神「・・・それが?」


58 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:20:01.11 ID:REzuqigu0
心理「・・・それでも、諦めなきゃいけないのよね」

姫神「・・・」

心理「辛いなら泣いてもいいのよ?」

姫神「!!」

心理「あなた、吹寄さんと違って泣いたりしないもの」

姫神「・・・でも。私が泣くわけにはいかない」

心理「あら、どうして?」

姫神「・・・私は。そうやって心をむき出しにすることが出来ない」

心理「はぁ・・・あなたって、不器用ね・・・垣根にそっくり」

姫神「・・・」

心理「・・・上条君の前でも泣けないの?」

姫神「彼の前では。一番泣きたくない」

心理「それじゃ、誰の前なら泣けるのかしら」

姫神「・・・泣きたくない」

心理「・・・姫神さん、私だって昔はそうだったけど・・・一度泣いたら意外とスッキリするものよ」

姫神「・・・」

心理「泣いて心が洗われたら・・・また、明日から普通に生活をすればいいんじゃないの?」

姫神「・・・いきなり来てそんなことを言うなんてあなたはちょっとおかしい」

心理「そうね・・・そうかもしれないけど、垣根のおせっかいが移ったのかしら」

姫神「・・・私は。泣いてもいいのかな」


59 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:35:40.86 ID:REzuqigu0
心理「なんなら、友達相手に泣きにくかったら他人の距離にするけど?」

姫神「・・・いい。これでいい」

心理「・・・そう」

姫神「・・・あんまり馬鹿にしないでね」

心理「いいのよ、好きなだけ泣きなさいな」

姫神「・・・上条君は。幸せなのかな」

心理「・・・幸せでしょうね」

姫神「・・・私は。彼を幸せにしてあげられなかった」

心理「違うのよ・・・美琴が上手くやっただけよ」

姫神「・・・どうして」

涙ってこんなにも熱いものだったんだ

もしかしたら。初めて流すかもしれない

姫神「・・・私を助けてくれたのに」

心理「・・・そうね、上条君はずるいわね」

姫神「私の心を奪ったのに」

心理「・・・そうね、彼はそうやってすぐに女の子を泣かせるわ・・・」


60 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:47:13.15 ID:REzuqigu0
姫神「・・・どうして・・・」

心理「・・・大丈夫よ、姫神さん」

心理定規の手かもしれない

優しく私の背中を抱きしめてくれる

なんだか。お母さんの腕の中みたい

私はもう。お母さんのことを覚えていないけど

心理「・・・姫神さん、あなたは幸せになるべきなのよ」

姫神「・・・上条君にも言われた」

心理「・・・あなたは優しくて、そして・・・真っ当な人間じゃない」

姫神「・・・あなたもそう」

心理「・・・姫神さん、どう?」

姫神「もう少し泣きたい」

心理「そう?それじゃ泣きなさい」

姫神「・・・一度」

心理「何?」


姫神「一度だけ。上条君の腕の中で泣いてみたかった」

心理「・・・私なんかで代わりになれる?」

姫神「・・・代わりなんて・・・いない」

心理「・・・そうね」

61 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 21:56:20.31 ID:REzuqigu0
姫神「・・・でも。ありがとう」

心理「・・・ねぇ、あなたは・・・」

姫神「何?」

心理「・・・上条君が、本当に好きだったのね」

姫神「・・・分かる?」

心理「・・・昔の私とそっくりよ」

姫神「昔?」

心理「・・・垣根が帰ってこなくて・・・ずっと一人で帰りを待ってたときの私みたいよ」

姫神「・・・そう」

心理「その時の私は、心の底から垣根を愛していたもの」

姫神「・・・垣根が帰ってきて。よかったわね」

心理「・・・そうね」

姫神「・・・私は。そんな希望も無い」

心理「・・・大丈夫、あなたはきっともっと素敵な人に出会えるわよ」

姫神「・・・それは。結局ただの希望的観測」

心理「いいじゃない、未来なんて希望的観測をしていないと怖くて進めないじゃないの」

姫神「・・・ありがとう。泣いたおかげですっきりした」


62 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 22:06:11.22 ID:REzuqigu0
心理「ごめんなさい、余計だったかしら」

姫神「・・・大丈夫。ありがとう」

心理「それじゃ」

心理定規が背中を向ける

なんだか。その背中が優しく感じる

こんな寒いのにドレスなんて。そんなに好きなのかな

心理「・・・姫神さん」

姫神「何?」

心理「・・・おやすみ、あなたがいい夢を見られることを祈るわ」

姫神「・・・ありがとう」

心理「それじゃ」

そんな台詞が似合うんだから。心理定規はすごい

さすが垣根の恋人

姫神「・・・」

でも

やっぱり。彼女も私のことを思ってくれる大切な友達なんだ


63 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 22:08:41.50 ID:REzuqigu0


土御門「だから、俺はそう思うんだぜぃ」

上条「いやいや・・・やっぱり恋人ならいっつも一緒にいるべきだろ」

青ピ「これだからカミやんは青いんやって」

上条「お前のほうが・・・あ、姫神」

学校はめんどくさいときもある

でも。上条君に会える

姫神「おはよう」

みんなに会える

吹寄「おはよう、昨日はお疲れ様」

姫神「おはよう。心理定規と垣根は?」

垣根「こっちこっち」

姫神「・・・どうして。そんなところに座ってるの」

垣根「クラスの一番前の席の眺めが見たかったんだ」

心理「・・・おはよう、姫神さん」

姫神「おはよう」


64 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 22:13:00.36 ID:REzuqigu0
上条「それでさ、美琴もやっぱり一緒にいるべきだって・・・」

土御門「にゃー、どうせそういう惚気だろ思ったぜぃ」

青ピ「カミやん、そうやってにやけてるのってめちゃくちゃムカつくんやで?」

上条「そうか?」

上条君は相変わらず。いっつも惚気てる

いつもの私なら。それを聞いて少し苦い思いをしてた

でも

吹寄「?ひ、姫神・・・なんでカバン構えて・・・」

心理「あらあら」

上条「・・・姫神さん?な、なんでこっちに向かってきてるんでせうか!?」

姫神「・・・」

でも。もうそれも御終い

姫神「姫神アタック」

上条「ただカバンで殴るだけじゃ・・・あぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

青ピ「リア充ざまぁ!!!」

土御門「にゃーっはっは!!いい気味だぜぃカミやん!!」

上条「不幸だぁ!!!」

さよなら。私の初恋


心理「・・・姫神さん、吹っ切れすぎよ」

姫神「てへっ」


65 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/10(土) 22:28:43.29 ID:REzuqigu0
今日はここまで

2巻を読んでたら姫神が可愛すぎたので

筋肉動画はこちら

ロニーと同じミスターオリンピア8連覇の男、リー・ヘイニー

しかもロニーは疑惑の優勝とされる2002年がありますが、ヘイニーにはそんなことがありませんでした

1983年にミスターオリンピア初出場で3位、そして翌年の1984年から1991年までの8年間、彼に勝るビルダーはいませんでした

彼の何がすごいか、それを書く必要はありません・・・なぜなら何もかもがすごいからなのです

腕は二頭のピークが素晴らしい、胸は大きく背中は広い、カットも深くてシンメトリー抜群、下半身もカットが完璧で、腹筋は絞られている、まさに非の打ち所がない選手でした

コンテスト時で110kgの体重も、当時では信じられないほどのバルク

バルクとカットの両方を持っていた彼のニックネームは「トータル・オーサム」「モストマスキュラー」

彼の背中は広く、「翼のようだ」と言われていました

ビンス・テイラーやショーン・レイといった素晴らしい選手でさえヘイニーの前ではかすんでしまいました

彼らの多くが武器にしていたプロポーションのよさも、ヘイニーは持っていました

ならば大きいほうが勝ちなのです、それがボディビル

でかく、美しい彼は本当に向かうところ敵無しでした

文字通りその翼のような背中で、一人だけどこか遠い高い位置を飛んでいたのです

彼の活躍していた時代、ビルダーは「ヘイニーとその他」と言われてしまうほどでした、ヘイニー以外はその他大勢なのです

あの選手もわりといいよね、とかこの選手ならもしかしたら、なんてありませんでした

ヘイニーは全てが完璧で、誰もそれに敵わなかったんですから

これほどまで弱点がない選手は、本当に稀です

オリバは二頭のピークが、アーノルドは下半身と三頭が、ゼーンはバルク不足と言われますし、その他のオリンピアもどこかしら大きすぎる弱点を持っていました

しかし、ヘイニーは若干三頭が弱い程度でそれ以外の弱点などなかったのです

トータルの完成度は、恐らく歴史上ナンバーワン

才能と努力に溢れた素晴らしいチャンピオン、そして黒人差別を払拭したビルダーです

1990年まで、ヘイニーは本当に独り舞台を続けていました

そこに現れたのがドリアン・イェーツ

1991年オリンピア、初出場のドリアンは恐ろしいフィジークを備え、ヘイニーをあと一歩まで追い詰めました

ヘイニーまでのビルダーと違う、全ての筋肉が恐ろしいほどの発達をしているドリアン

ヘイニーはその年に引退を発表、もうドリアンに勝つことは出来ないと諦めたのです

ドリアンのファンからは、勝負を捨てた卑怯者と思われることもあります

ですがむしろ、ドリアンに合わせてモンスター化しなくてよかったと思います

ヘイニーまでが美しいビルダーだった、当時のボディビルを知っていればそう思います

動画の通り、彼は非常に美しくシンメトリーの取れた体をしています

http://www.youtube.com/watch?v=AdCmxtW-cEQ   

彼ほどのビルダーは絶対に現れません

>>1が一番好きなビルダーはオリバですが、完璧に近い選手は?と言ったら迷い無くヘイニーを選びましょう

それほどまでに熱く語れる、そして素晴らしい選手なのです

ちなみに、黒人でオリンピアを連覇したのはオリバ以降ではヘイニーが初めてでした

意外と政治色の強いオリンピア、やっぱり白人のほうが有利だったりもします

ではおやすみなさい

長くなってしまった
66 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 22:41:47.76 ID:nG5X52300
>>1乙!!
67 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 22:59:50.65 ID:o2CJZlkao
乙乙

筋肉動画、今までで1番長く語ったんじゃないか?wwwwww
68 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/10(土) 23:06:38.20 ID:KQQ6G7Ylo
なんか長いwwwwwwwwwwwwwwww
69 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 01:02:33.59 ID:fNGtNU8Fo
長くてびっくりしたwwwwwwww

顔赤らめながら片目瞑って舌出して自分の頭コツンってやって「てへっ」って言ってる姫神が脳内再生されて萌えしんだwwww
70 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 03:18:18.13 ID:wTH8pZh8o
>>1
71 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:19:35.29 ID:G1ItRY0w0
たしかに長かった

だがしかし、ヘイニーは、いやボディビルは、それほどまでに熱く語れるものなんだ!!

続き



テクパトル「・・・」

なんでこうなったのかはテクパトルにも分からない

というか、よくある光景ではあるのだが

19090「?どうかしましたか、テっくん?」

テクパトル「いや・・・」

目の前の19090号はバスタオルを巻いてテクパトルの前に座っている

それも当たり前だ

なぜなら二人がいるのは風呂場なのだから

では風呂場がいつもと違うのか

そうでもない

いつもの病院の風呂場

だが、それがこれからは特別になってしまう

テクパトル「・・・でもさ、家が完成したなんて信じられないよな」

19090「早かったですね・・・」

テクパトル「あぁ・・・早すぎる」


72 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:21:20.54 ID:G1ItRY0w0
19090「・・・こことも今日でお別れですね」

テクパトル「・・・荷物もまとめたし、他のみんなも準備は終わったからな」

時刻は夜の10時

他のミサカは明日の引っ越しに浮かれて、早く寝てしまった

それがありがたかった

こうやって二人の時間を用意出来たのだから

19090「・・・そういえば、初めてテっくんの顔を見たのはここでした」

テクパトル「この病院で、お前と出会ったからな」

19090「・・・美月は・・・ここに、たくさんの大切な思い出を残していきます」

テクパトル「・・・お前を助けたのも、この病院の中でだったな」

目の前の19090号を強く抱きしめる

美月という存在と、あの時目にした過去の19090号

それは別々の存在ではなかった

こうやっていると、今までのことを思い出す

テクパトル「・・・よくよく考えたら・・・ここにはずいぶん世話になったな」

19090「・・・美月は・・・ここが大好きです」


73 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:22:14.01 ID:G1ItRY0w0
テクパトル「俺も大好きさ・・・でも、ずっといるのはさすがに迷惑なんだよ」

19090「ちょっと・・・ちょっと、寂しいですね」

テクパトル「みんなも寂しいと思うよ」

柔らかな髪を撫でながら、テクパトルが苦笑する

テクパトル「でも、これからはもっと楽しい思い出を作ればいいさ」

19090「・・・テっくんと、ですか?」

テクパトル「あ、あぁ」

19090「・・・なら、大歓迎です」

ニコニコと笑う19090号

そういえば明日はホワイトデーだったな、とテクパトルが考える

ホワイトデーのプレゼントが家、というのはまるで映画みたいな話だった

他のミサカにもプレゼントなのだが

テクパトル「・・・この風呂場で、色々したな」

19090「!?そ、そんな恥ずかしいことを言わないで下さい!」

テクパトル「でもさ、実際そうだっただろ?お前の誕生日が来るまではかなり我慢したな」

19090「あ、あれは・・・その・・・」


74 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:23:37.47 ID:G1ItRY0w0
テクパトル「・・・今思えば、こんな状況で我慢してたんだよな」

19090「あっ・・・」

19090号の胸を、バスタオルの上から撫でる

19090「テ、テっくん・・・」

テクパトル「・・・なんだかさ、こうやってるとよく我慢できたもんだって感心するよ」

19090「い、今も我慢して下さい・・・んっ・・・」

テクパトル「体、洗いたいか?」

19090「・・・はい」

テクパトル「じゃあ・・・俺が洗うよ」

19090「い、いいんですか!?」

テクパトル「な、なんか嬉しそうだな」

19090「だって・・・最近、テっくんが忙しくて一緒に風呂も入れませんでしたから・・・」

テクパトル「あぁ・・・仕事で疲れた後は中々な・・・」

そんなことを言いながら、19090号のバスタオルをそっと緩める

テクパトル「・・・あ、相変わらずいい背中だ・・・」


75 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:24:21.04 ID:G1ItRY0w0
19090「あ、洗うだけですよ?」

テクパトル「分かってる・・・けど」

テクパトルが生唾を飲む

まだ水分が有り余るほどの肌

少し浮き上がった肩甲骨

なだらかな曲線を描く背骨

こんな言葉を並べてもギャグだと思われるだろう

だがテクパトルはいたって真剣だ

彼は人間の魅力が背中にあると考えている

男女問わず、そういうものだと

テクパトル「・・・洗うぞ」

シャンプーを泡立て、直接手で洗う

19090「手で・・・あっ・・・」

テクパトル「・・・いい手触りだよな」

19090「テっくん・・・こ、こしょばゆい・・・はぁっ!」

テクパトル「・・・気持ちいいか?」


76 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:24:53.79 ID:G1ItRY0w0
19090「ま、待って・・・お、お願いします、普通に・・・」

テクパトル「んー・・・でも最近ちょっとご無沙汰じゃなかったか?」

19090「だってテっくんが忙しかったから・・・」

テクパトル「・・・だから、埋め合わせ・・・させてくれよ」

テクパトルが19090号の体の前に手を回す

19090「!」

テクパトル「な、いいだろ?」

グイッ、と19090号の胸を掴む

19090「はぅっ・・・!」

テクパトル「ん?もしかしてイったか?」

19090「ちょ、ちょっと・・・待って下さい・・・」

テクパトル「・・・」

19090号の股に手を持っていく

ボディーソープとは明らかに違う、暖かい液体がついている

テクパトル「・・・なんか、前より感じやすくなってないか?」


77 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:25:35.25 ID:G1ItRY0w0
19090「そ、そんなこと・・・」

テクパトル「だってさ・・・前は背中洗ってるだけではそこまで感じなかっただろ?」

テクパトルが19090号の体を洗いながら尋ねる

ちなみに、今は優しいタッチにしているため大きな波が来るほどの刺激ではない

だがその優しいタッチが逆に中途半端な刺激になり、19090号を少し悶々とさせる

19090「・・・あ、あの」

テクパトル「もっと強く触られたいか?」

19090「は、はい・・・」

顔を赤らめながら、19090号が頷く

テクパトル「よいしょ・・・」

19090「はぁっ・・・あ、テっくん・・・」

テクパトル「ん?どうした?」

19090「愛してます・・・」

テクパトル「!」

顔を真っ赤にして、快感に打ち震えながらも口にするのはそんな甘い言葉だった

そんな19090号がとても愛しく感じる


78 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:26:26.97 ID:G1ItRY0w0
テクパトル「美月・・・俺だって愛してる」

手を休め、優しくテクパトルが首筋にキスをする

19090「はぁ・・・テっくんは洗わなくていいんですか?」

テクパトル「いや・・・でもさ、今日は疲れてるから・・・」

19090「・・・最近、いつもそうやってすぐに寝ますよね」

テクパトル「ほ、ほら!エッチなことばっかりしてたらあれだろ!?」

19090「・・・あれってなんですか」

テクパトル「こう・・・変態カップルみたいに言われちゃうだろ!?」

19090「美月は・・・別に構いません」

テクパトル「マジかよ・・・」

19090「・・・テっくんとそういうことがしたいのは事実なんですから」

テクパトル「それは嬉しいけどさ・・・」

19090「・・・テっくんは、したくないんですか?」

テクパトル「いや・・・そりゃ、したいに決まってるだろ?」

19090「・・・最後の一日なんですよ?好きなだけ、その・・・」


79 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:27:25.16 ID:G1ItRY0w0
テクパトル「乱れたいか?」

19090「そ、そこまでは言いませんが・・・」

テクパトル「分かった・・・そうだな、久しぶりに相手もしてやらないとな」

19090「あ・・・」

テクパトルが19090号の体に手を伸ばす

二人の熱い夜が始まるのだ



一方その頃

20000「・・・明らかに、テっくんと19090号、風呂場でヤってるよな」

17600「あの二人は避妊をしないとヤらない、だから多分前戯だけだろうがな」

20000「それでも風呂場だよ、性欲が盛んだよね」

17600「テっくんは最近仕事が忙しかったんだ、愛してやりたいんだろう」

20000「・・・なんかさ、ミサカ達のことを変態って言うわりにテっくんも変態だよな」

17600「ミサカ達と言うな、変態はお前だけだ」

20000「・・・なぁ、明日にはもう引っ越しなんだよ」


80 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:28:20.14 ID:G1ItRY0w0
17600「だからなんだよ」

20000「なんか思い出を残したくないか?」

17600「別に」

20000「うっわ・・・それを冷めてるって言うんだぜ」

17600「それでも構わないさ・・・ったく、ミサカには分からないな」

20000「なんで、長い間お世話になった病院だよ?」

17600「だからなんだよ・・・別に取り壊しじゃないんだ、来たけりゃまた来れる」

20000「でもさぁ・・・」

二人がそんな話をしていると、トントンと部屋のドアがノックされた

20000「あーい」

テクパトル「・・・起きてたか」

17600「なんだ、あがったか」

テクパトル「・・・悪いんだけどさ、ちょっと貸してほしい物があるんだ」

20000「バイブならそっち、ローターならそっち、媚薬ならそこの棚の中」

17600「おいおい・・・んなこと聞きに来たわけないだろ、テっくんだぜ・・・」


81 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:29:20.88 ID:G1ItRY0w0
テクパトル「・・・ローターの新品ってあるか」

17600「」

20000「そっちにあるよ、でもテっくんが使うなんて珍しいね」

テクパトル「・・・久しぶりに19090号を喜ばせないといけないんだ」

20000「お疲れ様」

テクパトル「・・・悪いな、もらうよ」

20000「ちゃんと避妊はしろよな」

テクパトル「・・・分かってる」

ガチャリとドアが閉じられる

17600「・・・ちょっと、テっくんに幻滅しちまった」

20000「いやいや、19090号を喜ばせてあげたいだけなんじゃないの?」

17600「違う・・・今からセックスします、なんて宣言しに来たようなもんだぞ」

20000「いいじゃん、ミサカ達だってなんとなく感づいてたんだから」

17600「・・・なんか、ため息が出るよ」

20000「テっくんだって男だ、見守ってやろう」


82 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:30:11.33 ID:G1ItRY0w0
17600「・・・あ、あぁそうだな」

17600号が首を振る

それと同時に、ドアが再び叩かれた

20000「あーい」

御坂妹「・・・起きていましたか」

17600「なんだ、どうした」

御坂妹「・・・明日新居に引っ越したら・・・二人と同じ部屋で暮らすことになります」

20000「・・・あぁ、今日から慣らしとくの?」

御坂妹「・・・もう夜遅いですから、迷惑なら・・・」

17600「構わないけどな、ミサカ達は今晩徹夜するつもりだぞ」

御坂妹「隠れて徹夜ですか・・・中々ドキドキしますね」

20000「分かる?なら来いよ、レズプレイでもしよう」

御坂妹「それはイヤですが・・・お邪魔します」

10032号が部屋に入る

17600「・・・しかし、この三人で一つの部屋に暮らすのか」

御坂妹「一応、部屋は若干広めにしてくれたみたいですよ」


83 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:31:09.33 ID:G1ItRY0w0
20000「お、テっくんも気が利くね」

17600「・・・ま、せいぜい気をつけろ」

御坂妹「は、はい・・・?」

20000「ね、10032号はやっぱり処女だよね?」

御坂妹「!?」

17600「そいつ、他のミサカにちょっかい出すの好きなんだよ」

御坂妹「た、助けて下さい・・・!」

17600「洗礼だ、あんまり気にするな」

御坂妹「します!あ・・・」

20000「ミサカならもちろん、胸が感じやすいよね・・・電撃浴びせたら感じるのかな?」

御坂妹「やめて下さい!や・・・」

20000「あ、ここを触ったら黙っちゃうんだ・・・へぇ」

御坂妹「いや、そんなにクリクリ・・・した・・・ら・・・」

17600「うーん・・・やっぱりゲーテは偉大だよな」


84 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:31:47.22 ID:G1ItRY0w0
20000「ね、こことか舐められたくない?」

御坂妹「い、嫌です・・・」

20000「へぇ・・・でもさ、かなり気持ちいいと思うよ?指先でこんなに気持ちいいんだから」

御坂妹「んゃぁっ!はぁっ・・・や、やめ・・・」

20000「やめてって言うわりに気持ち良さそうじゃん、なんで?」

御坂妹「き、気持ち良くなんか・・・んっ、ないですよぉっ・・・」

20000「へぇ・・・」

御坂妹「!?ダ、ダメです!そっちは本当に・・・はぁぁぁっ!」

20000「ね、なんでこんなに濡れてるのかな?」

御坂妹「お、お願いします・・・もう、やめて・・・」

20000「グチョグチョじゃん・・・ね、中に指とか入れられたくない?」

御坂妹「嫌です・・・絶対痛いじゃないですか・・・ふゅっ・・・!」

20000「ふーん、クリちゃんだけの刺激で満足なんだ・・・そっかそっか」

17600「もっと光を・・・か、何か生命の儚ささえを感じさせる言葉だな」

御坂妹「んぁぁっ!もう、なんで焦らすんです・・・か・・・」

20000「あれ?気持ち良くないんだよね?」


85 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:32:37.97 ID:G1ItRY0w0
御坂妹「!も、もちろん!」

20000「だったら・・・こんなのも堪えられるよね」

御坂妹「あふぅっ・・・いや・・・そんな所にビリビリなんて・・・!」

20000「あっはは、結構頑張るじゃんか」

御坂妹「あ・・・あ、あっ!ダメ、本当にダメです!」

20000「どう?胸と中・・・同時に責められたらかなり気持ちいいんだよ、マジで」

御坂妹「ダメです・・・」

17600「・・・ファウストも読んでみたくないか」

御坂妹「17600号・・・た、助けて下さい・・・ひゃぁっ!」

17600「でもそこで終わらせたら、体が中途半端に火照ったままになるぞ」

御坂妹「構いませんから!お、お願いします!」

20000「邪魔するな相棒!ミサカはこいつの体を・・・」

17600「お前の秘密教えるぞ」

20000「」

17600「100円ショップが消費税免除だと思って100円だけしか・・・」

20000「分かったよ!ミサカの負けだぁ!」


86 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:33:38.27 ID:G1ItRY0w0
御坂妹「17600号!怖かったです!」

17600「はいはい・・・とりあえず、悶々としちまってたらトイレで処理して来な」

御坂妹「は、はい!」

10032号が一旦部屋から出ていく

20000「・・・やりやがったな、相棒」

17600「他のミサカを襲って何になる、空しいだけだ」

20000「じゃあお前を襲ってやろうかぁ!?」

17600「出来るならやってみろ、カラシニコフが火を噴くがな」

20000「・・・や、やめといてやんよ」

17600「・・・あんまり10032号を怖がらせるな、明日から一緒に暮らすんだ」

20000「みんな一緒に暮らすじゃんか」

17600「同じ部屋っていうのは、かなり密着した生活になるんだよ」

20000「・・・ミサカ、密着したら擦り合わせて一緒にイきたいな」

17600「・・・あぁそうか」

20000「ちぇー・・・お前はいいヤツだけど、こういうネタにノッてくれないのはちょっと残念だな」


87 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:34:26.74 ID:G1ItRY0w0
17600「ミサカからしたら、お前がそういうことを好きなのが残念だ」

20000「・・・これがミサカなんだから、仕方ないだろ」

17600「あぁ、否定はしないさ」

20000「じゃ、じゃあミサカと一緒にレズプレイ・・・」

17600「理解もしないがな」

20000「・・・ちぇー」

17600「・・・にしても、10032号のヤツは遅いな」

20000「あぁ、わりと本格的に感じさせちゃったからかな」

17600「・・・お前」

20000「いいじゃん、ミサカだってたまには変態を発揮しないと」

17600「せんでいい」




テクパトル「はぁ・・・疲れた」

19090「・・・ん・・・あ、頭がぼーっとします・・・」

テクパトル「美月・・・」


88 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:35:03.35 ID:G1ItRY0w0
19090「テっくん・・・」

情事をある程度終えた二人が、ベッドの上で抱き合う

こんなことをここでするのももちろん最後だ

テクパトル「・・・美月、どうだった?」

19090「気持ち良かったです・・・久しぶりでした」

テクパトル「ゴメンな、最近は本当に疲れてて・・・」

19090「・・・あ、明日は休みなんですよね?」

テクパトル「あぁ、その次も休みがもらえた・・・お前もそうだったよな?」

19090「は、はい・・・だから、その・・・」

テクパトル「・・・今のうちに出来る限りやってみるか」

19090「あ・・・そ、そうですね」

テクパトル「もうちょい待ってくれな・・・」

19090「む・・・無理はしなくていいんですよ?満足ですから・・・」

テクパトル「そんなこと言って・・・本当は、もっとしたいんだろ?」

19090「そ、そんなこと・・・」

テクパトル「・・・俺はもっとしたいけどな」


89 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:35:41.75 ID:G1ItRY0w0
19090「!美月だって、その・・・」

テクパトル「ははは・・・じゃ、そろそろ」

19090「は、はい」



17600「・・・帰ってきたか」

御坂妹「・・・は、恥ずかしいですね」

20000「なになに?オナニーしてきたんだよね」

17600「お前のせいなんだ、それは覚えておけ」

御坂妹「・・・17600号はよく堪えられますね」

17600「いや、ミサカは手を出されないからな」

御坂妹「な、なんでですか?」

20000「だってさ・・・こいつ、どこ触っても感じないんだよ」

御坂妹「触られたことはあるんですね・・・」

17600「・・・あんまりうろたえたらいけないからな」

御坂妹「な、なるほど・・・」


90 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:36:24.86 ID:G1ItRY0w0
17600「まぁ困ったらミサカに言ってくれ、出来る限り力になるよ」

20000「きゃー、カッコイイ!」

17600「誰のせいだと思ってるんだよ・・・」

御坂妹「・・・そ、それで・・・これから何をするんですか?徹夜なら何かやることがあるんですよね?」

17600「そうだな・・・テレビ見ないか」

御坂妹「テレビ・・・ですか?リビングで音を出したらみんなに迷惑ですよ?」

20000「違う違う、携帯の機能で見るんだよ」

御坂妹「な、なんて不良っぽいことを!」

17600「・・・今日はこれから季節外れのホラー特集をやるんだ」

御坂妹「・・・ミサカ、そういうのは信じないんですよねー」

20000「怖いんだね」

御坂妹「ち、違います!ちっとも怖くなんかないですよ!?」

17600「なら見てみようぜ」

御坂妹「ひっ・・・!?」

20000「はいはい、始まるよ!」

御坂妹「本気ですか!?」


91 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:41:07.17 ID:G1ItRY0w0

「あれは、私が小学校に通っていた頃の話でした」


17600「始まったな・・・」

20000「今思えば、こんな季節に怖い話なんて珍しいね」

御坂妹(怖くない怖くない・・・)

20000「怖いの?」

御坂妹「こ、怖くなんかないです」


「友達と二人で、夜の廃校に肝試しに行ったんです・・・少し家から離れた場所で、自転車で行きました」

「行きのときはとても楽しかったんです、幽霊が出るんじゃないか、なんて考えて」


17600「大体、そんな都合よく廃校なんてねぇっての」

20000「しかも、自転車で行くって・・・小学生か」

17600「当時はな」

御坂妹(これは嘘だこれは嘘だ・・・)

20000「もう怖いの?」

御坂妹「こ、怖くないですよ?」

17600「お前の後ろにいるの、誰だ?」

御坂妹「ひぃっ!?」

17600「嘘だよ」


92 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 10:53:20.83 ID:G1ItRY0w0

「ですが、私達がたどり着いた廃校は思ったよりも綺麗だったんです」

「壁につたが生えていたり、窓にくもの巣が張っていたり・・・そんなのを想像していた私達は、すっかり落ち込んでしまいました」

「というのも、その学校が廃校になったのはまだ半年前、私達がそこにたどり着くまでにそこまで劣化するわけもありませんでした」


20000「ふーん・・・半年って結構だと思うけどなぁ」

17600「気にするな、作り話にそこまでリアリティを求めても」

20000「あぁ、そうだった」

御坂妹(・・・は、廃校なんて怖くない・・・)

20000「・・・ねぇ、そんなに怖いならミサカと気持ちいいことして気を紛らわせない?」

御坂妹「そ、それも怖いです!!」

17600「も・・・ってなぁ」


「・・・しかしそこまで来てしまったのなら、とりあえず中に入ってみようということになったんです」

「・・・入ってみて初めて分かったんですが、床一面が水浸しだったんです」

「テストの答案や学校で配られる学級便り・・・そう思われる紙が、何枚か浮かんでいました」



93 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:01:30.23 ID:G1ItRY0w0
「・・・私とその友達が歩くたびに、ひちゃりひちゃりと音がします」

「・・・どこからか水が流れてもおかしくないのに、なぜか建物の床には全て、本当に一定の厚みの水が溢れていたんです」


17600「・・・誰か吐いてるのか?」

20000「マーライオンみたいに?」

17600「そうそう、っていうか・・・なんでこんな物理的にあり得ない話をするんだろうな」

20000「怪奇現象だもん、科学的じゃダメじゃないの?」

17600「それに半年して、紙が残るか?普通粉々になってるはずだが」

20000「だから、そこもやっぱり嘘なんだって・・・」

御坂妹(・・・そ、そうですよこれは嘘ですありえないじゃないですかなんなんですか水浸しの学校って怖くないですよ)

17600「おい、お前・・・泣いてるのか」

御坂妹「な、泣いてませんよ!?」グスッ!!

20000「いや、泣いてるじゃん」

御坂妹「泣いてません!!」


94 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:08:42.05 ID:G1ItRY0w0
「・・・おかしいんですよ、それがもう」

「履いてきたスニーカーがビチャビチャになっていて・・・ですが、それ以外には何もおかしなことはない」

「逃げたい気持ちを抑えて、ある教室に入ったんです」

「・・・そこの教室だけは、なぜか水が張っていませんでした」

「濡れたスニーカーを一旦脱ぎたくなり、私と友達はそこの教室で休むことにしたんです」

「教室の壁を見ると、まだ生徒達の書いた絵や習字が飾られていました」

「・・・取り壊されるはずなのに、なぜ飾られていたのでしょうか」


20000「ふーん・・・なんかさ、夜の学校ってこう・・・変態には堪らないよね」ウズウズ

17600「ミサカには分からないが、そうなのか」

20000「まぁ、そうなんだよ」

17600「・・・たとえばどういうことが出来る?」

20000「知らないどこかの男子学生のリコーダーをあんなところに突っ込んで」

17600「大体分かった・・・10032号、怖かったらこっち来ていいぞ」

御坂妹「こ、怖いんじゃなくて寒いだけですからね!!」ガサゴソ

17600(・・・これでミサカの姉なのか・・・)ハァ



95 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:15:01.93 ID:G1ItRY0w0

「・・・壁に書かれた落書きなどをよくよく読んでみると、どうもそのクラスではイジメがあったみたいなんです」

「○○キモイ、○○死ね・・・そんな心無い落書きがありました」

「・・・そのイジメられていたと思える子の絵は、どこにも飾られていませんでした」

「ふと黒板を見ると、欠席の欄にその子の名前が書いてあります」

「・・・怖いですよね、そういうことが未だにあるんですから」

「私も友達も、少し居心地が悪くなってしまったんです」


17600「お、ここで意外と現実味を入れてきたな」

20000「その子の怨念が、ってパターンで決まりだね」

17600「それで?他に夜中の学校では何が出来るんだ?」

20000「あぁ、青姦とか最高じゃない?なんなら見られてもいいよ」

17600「・・・お前、危ないぞ」

御坂妹「17600号・・・て、手を繋いでもいいですか?」ブルブル

17600「・・・まぁ、仕方ないな」


96 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:19:49.21 ID:G1ItRY0w0

「・・・黒板の欠席の欄の隣には、日直の名前が二人、横に並べて書かれていました」

「きっと男女なのでしょうか、相合傘なんてものを書かれていました」

「・・・それを見ると、ほほえましいだけのクラスに思えます」

「ですが・・・裏では、イジメがあったんだと現実を突きつけてしまいます」

「・・・気味が悪くなったのと、スニーカーもある程度乾いたので私達は教室を出ようとしました」


17600「しました・・・が?」

20000「お、超展開来るかな」

17600「ドアが開かない、とか言うんだろうな」

20000「それってベタだけど地味にイヤじゃない?」

17600「イヤだな、それは」

御坂妹「あ、開きますよね!?きっとドアは開けられますよね!?目の前のドアは!?」

17600「なんで感動的に言ってるんだお前は」

97 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:25:08.64 ID:G1ItRY0w0
「・・・ですが、ドアが開かないんです」

「友達も試しに開けようとしましたが、それでも」

「・・・向こうから誰かに押さえられているような、そんな感覚がするんです」


御坂妹「あ、開きませんでした・・・」ウルウル

17600「・・・ほう、こりゃベタだが王道だな」

20000「・・・となると、ここで幽霊と対面か」

御坂妹「ひぃっ!?」


「・・・おかしいんです、何か黒い影が窓の向こうに見えたんです」

「どこからか、風の様な音もします」

「・・・でも、風だったらどうしてこんなにも私達の恐怖を抉るんでしょうか?」

「そ、その声は・・・だんだんと近づいてきたんです」


17600「語り手も声が震えてるな」

20000「演技にしたらすごいね、もしかしたらマジかな」

17600「ふーん」


98 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:30:39.93 ID:G1ItRY0w0

「・・・私と友達は、とっさに教卓の下に隠れました」

「そんなところに隠れて何になるのでしょうか」

「・・・でも、しばらくしても何も起きなかったんです」

「・・・私達には」


17600「・・・何?」

20000「・・・私達、ってことは教室にでも異変があったのかな」

御坂妹「こ、こここここここれって作り話ですよね?ね?」

17600「・・・いや、語り手の反応はマジっぽいな」

20000「あぁ、もしかしたらマジで体験談かもよ」

御坂妹「・・・」ウルウル

17600(・・・いいな、ミサカも幽霊見てみたいぜ、そして狙撃したい)


「・・・何か、黒板のほうからカタカタと音がするんです」

「・・・まるで、何かを書いているかのように」

「・・・その音が止んでから少しして、私と友達は体を教卓の外に出しました」

「・・・黒板が、どうしても気になったんです」


99 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 11:36:32.91 ID:fNGtNU8Fo
コープスパーティ思い出した
100 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:39:36.42 ID:G1ItRY0w0
「・・・大きなものは何も変わっていません・・・ただ」

「に、日直の欄の生徒の名前が変わっていたんです」

「・・・今度は・・・他の生徒に」


20000「おぉ、ゾクってきたよ」

17600「・・・何の日直なんだろうな、え?」ニヤニヤ

御坂妹「」

20000「・・・どうするんだろうね、これからこの語り手さん」

17600「そりゃ逃げるだろ」


「私達は、その意味が理解できませんでした」

「でも・・・何か嫌な予感がして、すぐさまドアを開けたんです」

「さっきまでは堅く閉ざされていたそのドアが、簡単に・・・」


御坂妹「だ、脱出成功です!!」

17600「ちっ・・・」

御坂妹「な、なんで舌打ちするんですか!?」


101 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:51:18.21 ID:G1ItRY0w0
「・・・すぐさま自転車の元まで駆けつけました、そしてそれに乗って帰ろうとしたんです」

「夜の肌寒い空気の中、私達は自転車のペダルを漕ぎ続けました・・・」

「・・・どれくらい走ったでしょうか、街の見慣れた明かりが見えたんです」

「その時の安心感といったら・・・もう、信じられないほどのものでした」

「・・・やっと帰れる、今日の何か非現実的な出来事から解放される・・・」

「・・・でも、ふと後ろから友達の自転車の音が聞こえないことに気がついたんです」


御坂妹「き、来ましたよ!?」

17600「・・・これは、面白くなったな」

20000「へぇ・・・こりゃいいや」


「・・・友達は、私のはるか後方で止まっていたんです」

「・・・何かあったのかと思って、友達の元まで向かいました」

「・・・友達は、自転車の後ろをじっと見つめています」

「・・・ちょうど、いつも通学用にカバンをくくりつけていたところでした」


17600「小学生で自転車登校か」

20000「いいなーいいなー」


102 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 11:58:17.89 ID:G1ItRY0w0
「・・・私もそこを見て愕然としました」

「・・・さっきまではなかったはずの、小さなノートのようなものが・・・く、くくりつけられていたんです」

「・・・その表紙に書かれていた名前は・・・あの、イジメられていた子でした」


御坂妹「・・・に、日記・・・」

17600「あぁ、そうか日記か・・・」

20000「イジメられて家にいたなら、それでも不思議じゃないね」

御坂妹「ま、まさかその日記を読むなんていう展開には・・・」


「・・・やめればいいものを、私達はその日記を読んでしまったんです」


御坂妹「いやぁぁぁぁ!!!」

20000「静かに、徹夜がバレたらテっくんに怒られる」

17600「どんな内容の日記だろうな」


103 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 12:03:18.72 ID:G1ItRY0w0
「・・・内容は、最初のほうはだんだん普通のものでした」

「・・・イジメられていることなんて、書いてありませんでした」

「・・・で、でも・・・だんだんと、おかしな方向に進んでいったんです」

「・・・覚えているのは、いくつかだけですが・・・」


「・・・10月7日 今日、お母さんにおはようって言ったらびっくりされちゃった」

「その後、お母さんが笑顔でおはようって言ってきた、おはようってどういう意味なんだろう」

「・・・10月39日」


17600「・・・39?」

20000「うわぁ・・・」

御坂妹「ち、違いますよ記憶違いですよね!?」


「・・・お人形さんがゆっくり笑って、私の中には熱くなった・・・で、でも・・・くるみはまだそこにあるよ」

「・・・くるみが食べたいな」


17600「なぁ、やっぱりこれ作り話じゃないか」

20000「うん、ミサカもやっぱそう思ってきた」


104 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 12:07:02.20 ID:G1ItRY0w0
「12月2日・・・先生が来た」

「お母さんと何か話してた、でも私は聞きたくない」

「・・・そして・・・いきなり日付が飛んで、2月の15日でした」

「・・・お母さんが泣いて、よく分からない制服のおじさんが私を抱きかかえてる」

「ピーポーピーポーってうるさいけど、なんだか眠い」

「・・・そ、それが最後に書かれていて・・・」


17600「おぉおぉ、こりゃすげぇな」

20000「ただの三流ホラーゲームみたいだね」

御坂妹「こ、こここここここんな番組を3月にやるのがおかしいんですよきっと!!!」

17600「・・・」


「・・・と、友達と私はその日記を読んで青ざめました・・・」

「小学生ながらに、最後の日記の意味が分かったんです」

「・・・もう読みたくない、そう思って私と友達はその日記を閉じました・・・そして、裏表紙を何気なく見てみたんです」

「・・・そこには、クラス全員の名前が書かれていました・・・」


御坂妹「」

20000「おっほほ!!こりゃいい展開だったね、17600号さんよぉ!!」

17600「・・・ふん、つまんねぇ展開だろう」


105 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 12:24:23.05 ID:G1ItRY0w0
「・・・さっき、私達が教室に入ったときに書かれていた日直の子達の名前の上には・・・赤いボールペンで線が引かれていました」

「・・・私達が・・・か、隠れてから書き直された日直の子達は、まだ名前に線が引かれていなかったんです」

「も・・・もしかしたら、あの日直というのは・・・その日に殺され・・・」


御坂妹「いやぁぁぁぁ!!!!!」

17600「お、おい!!」

20000「大声はあきまへん・・・」


テクパトル「・・・」

ガチャリ、とドアが開いた

肌寒い空気の中に、一人の男の息遣いが混じる

3人のミサカは、振り返らない

振り返られなかった

そこにあるのは、恐怖、不安、焦り

そして、諦めであったのだ


テクパトル「うるせぇ・・・お前達、今何時だと思ってる」

御坂妹「・・・ご、ごめんなさい・・・」

20000「ちぇー、せっかくいいとこだったのに」

17600「テっくん、ミサカたちは決してみんなの安眠を妨害するつもりはなかったんだぜ?」

テクパトル「結果はこれだ・・・10032号の悲鳴で他のミサカは全員起きた」


106 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 12:31:27.73 ID:G1ItRY0w0
御坂妹「わ、悪気は・・・」

テクパトル「・・・んなことは分かってるんだよ・・・」

20000「ねぇねぇ、ローターどうだった?」

テクパトル「・・・今は聞くべきことじゃないだろう」

御坂妹「え、な、何がですか?」

17600「・・・テっくん、交渉といこうじゃないか」

テクパトル「ま、待て・・・」

17600「ミサカ達はテっくんの重要な秘密を握っている」

20000「そして股間も握っている」

テクパトル「それはない」

17600「・・・ここでミサカ達を怒鳴り散らしても構わないが・・・まぁ、他のミサカは引くだろうなぁ・・・」

御坂妹「だ、だから何がですか?」

テクパトル「・・・なるほど、交渉か」

20000「まぁまぁ、どうせ番組も終わってミサカ達はこれから寝るんだし、レズプレイしながら」

テクパトル「17600号、10032号、静かに寝るんだぞ」

御坂妹「は、はい!!」

17600「それじゃ、20000号の説教をよろしくな」

20000「うぉぉぉ!?ミサカだけダメなの!?」

テクパトル「減点200な」

20000「なんか急に復活したよその制度!!」


107 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 12:40:35.34 ID:G1ItRY0w0

鳴呼、なんて朝は美しいのでしょう

徹夜で説教されたなんで、私は少しも思いませんのよ

陽射しが部屋を照らすのは、まるでプリマドンナがスポットライトを浴びるようではなくて?

そうそう、女性の心を秋の空に例えて、私に手紙を送ってきた殿方がいましたの

なんでも、女性の心はすぐに変わってしまう、それを秋の空に例えたようなのですよ

ですが、それでしたらどうして秋の後にすぐさま冷たい冬が来てしまうのでしょうか

私は、秋の空のあとには春が来るものと思っていましたわ

あなたは如何思われます?

それでは、シャンゼリゼの町並みを見下ろしながら、そこを歩く幸せな人々に思いを寄せて

20000号


テクパトル「・・・この反省文はなんだ」

20000「いやぁ、だって反省文とか真面目に書けないし」

テクパトル「・・・シャンゼリゼの町並みを・・・ってなんだ」

20000「オシャレな言葉を並べたかったの!」

テクパトル「・・・これ・・・なんか中世のラブレターみたいだな」

20000「ザッツライト!!!」

テクパトル「・・・はぁ、書き直し・・・引越しまでに書き終われよ」

20000「えぇー・・・」


108 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 12:49:25.57 ID:G1ItRY0w0
テクパトル「・・・それじゃ、俺は先生とかにお礼を言ってくるから」

13577「ミサカ達も行きたいのですが・・・」

テクパトル「あんまり大勢で押しかけたらダメだろ?」

テクパトルが小さく笑ってから、部屋を出る

10033「それじゃ、荷物の最終確認でもしましょうか」

19090「そうですね・・・20000号、あなたは反省文を書いてください」

20000「ちぇーっ・・・拝啓父上様」

17600「真面目にやれ」



テクパトル「はぁ・・・引越しのあいさつってどうするんだろうな」

テクパトル「そうめんとか持って・・・あぁいや、そんな古いあいさつなんて、学園都市じゃ流行らないよな・・・」

テクパトル「・・・騒がしくなりますが、何卒ご理解を・・・」

テクパトル「・・・うーん・・・」

冥土「何を悩んでいるんだね?」

テクパトル「あぁ先生・・・おはよう、ちょっと引っ越した後の挨拶を考えたくてさ」

冥土「ふむ・・・そうだね、まずはそのガラの悪さをどうにかするべきだね」

テクパトル「それは無理だ」


109 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 13:05:56.26 ID:G1ItRY0w0
冥土「・・・そうか、君もついに独り立ちかね」

テクパトル「・・・色々と世話になりました、ありがとうございます」

冥土「こちらこそ、あの子達の世話を任せきりになってしまったね」

テクパトル「・・・それが当たり前ですから」

冥土「・・・たまには帰ってきてくれよ」

テクパトル「もちろん、あいつらの調整もありますから」

冥土「・・・しかし、君は本当に面白い人間だね」

テクパトル「そうですか?」

冥土「愛した人を守るために・・・まさか、あんな奇跡まで起こせるなんて」

テクパトル「あぁ、それなら大した問題じゃないですよ・・・愛した人になら、誰だって奇跡を起こせる」

冥土「・・・そんなものかね」

テクパトル「・・・そうだ、ついでにアレイスターの体を元には戻してもらえませんか」

冥土「おや、いいのかね」

テクパトル「・・・あなたの技術ならすぐに治せるでしょう」

冥土「・・・分かった、約束するね」

テクパトル「・・・元に戻ったら、俺の家に来てもいいって伝えていてください」

冥土「分かったよ」


110 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 13:12:08.87 ID:G1ItRY0w0
テクパトル「・・・さて、それじゃ・・・先生」

冥土「あぁ、何かね」

テクパトル「また、近いうちに挨拶に来ますので」

冥土「その時は美味しい土産でも持ってきてくれると嬉しいね」

テクパトル「はいはい」

手を振りながら、テクパトルが去っていく

冥土「・・・ふむ、妹達のことを彼に任せきりなのはよくないが・・・」

冥土「だが、いつまでもただの患者でいさせるわけにもいかない」

冥土「とりわけ・・・デリケートな彼女達は」

冥土「任せたよ、保護者の君に」

冥土「・・・アレイスター、か」

冥土「・・・これで何度、彼を救うことになるのかね」

溜め息をついてから、冥土返しが自室に帰る


冥土「・・・さて、1日で治してみせるかね」


111 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 14:57:56.62 ID:zVyBEWhP0
1日ww
最新式冷蔵庫⇒見る人によって容姿が違って見える意味不明な逆さ釣りクソロン毛
 を、1日で!?
112 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 22:50:18.03 ID:fNGtNU8Fo
冥土返しなら出来るだろう
脳だけで生きらせれるんだし
113 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/11(日) 23:03:41.57 ID:G1ItRY0w0
ただいま

今日はここまでです

筋肉動画はドリアン最後の栄冠、1997年

1分45秒からドリアンのテーマが始まります

盛り上がりwwww

ではおやすみなさい


http://www.youtube.com/watch?v=HmwQh0Oiaos


114 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:19:54.53 ID:HglZmshk0
乙!!
115 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/11(日) 23:21:35.65 ID:wTH8pZh8o
116 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:54:00.57 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「さて・・・みんな準備は終わったみたいだな」

19090「そういえば・・・アレイちゃんはどうなるんですか?」

テクパトル「今からあいつと話すよ」

部屋に帰ってきたテクパトルが、真っ先にアレイスターの元に向かう

17600「・・・なんだかんだ言って、アレイスターも大切な家族だ」

20000「そうだね」

テクパトル「・・・アレイスター、聞いてるか」

アレイ「もちろん、私はどうなるのかね」

冷蔵庫のような大きな機械に、全ての内臓を分割して入れられているアレイスター

というか、垣根の悪ふざけで音声案内までつけられている

ぶっちゃけ、ただの最新式家電だ

テクパトル「・・・先生に頼んできた、お前は元の姿に戻れ」

アレイ「ほう・・・私のような人間を、普通の状態にしていいと?」

テクパトル「・・・あぁ、構わないさ」


117 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:54:48.95 ID:tOQmjm8f0
アレイ「私が再び、学園都市に様々な悪を蔓延らせるというリスクを考えないのか」

テクパトル「・・・それなら、お前はその姿でも十分出来るはずだ」

アレイ「・・・」

テクパトル「そうしなかったのは・・・俺達との生活が、心地よかったからじゃないのか」

アレイ「それは希望的観測というものだ」

テクパトル「・・・そうだな、くだらない希望かもしれないが・・・」

アレイ「・・・君は、その可能性に賭けてみたいのか」

テクパトル「賭けるほどでもないさ、お前だってそうだろ」

アレイ「・・・人間に戻れば、私は色々君に迷惑を掛けるぞ」

テクパトル「統括理事長様が何言ってんだ・・・どうせ仕事に復帰するんだろ?」

アレイ「当たり前だ、今の学園都市を治めるのは私しかいない」

テクパトル「だとすれば、迷惑になんかならないさ」

アレイ「なぜ」

テクパトル「・・・俺達が幸せに暮らせるような学園都市を作ってくれ」

アレイ「君は何を言っている、私は私利私欲から学園都市を作った」


118 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:55:21.54 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「だがその学園都市で、俺は大切な物を見つけた」

アレイ「・・・」

テクパトル「そのきっかけを作ったのは、間接的にはお前なんだぞ」

アレイ「それは結果論だ、私が何をしてきたか・・・知っているだろう」

テクパトル「知っているさ・・・だが、暗い過去なら俺だって持ってる」

アレイスターの機械の体を、ぽんと叩く

愉快な音に、少しだけテクパトルが笑う

テクパトル「・・・こんな格好悪い姿、お前だっていつまでもはイヤだろ?」

アレイ「格好悪いと言うな、意外と便利だぞ」

テクパトル「・・・それでも、お前は今の姿で満足していたらいけない」

アレイ「・・・」

テクパトル「なぁアレイスター、アンタは自分をあくどいと思ってるみたいだが・・・俺だってかなりあくどい人間さ」

アレイスターの前にしゃがみ込んだテクパトルがにやりと笑う

下品、醜い、狡猾

そんな言葉が似合う笑いだ


119 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:55:49.95 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「・・・アンタが俺達の仲間でいてくれるなら、俺達は学園都市の実権を握ったにも等しい」

アレイ「・・・なるほど、たしかにな」

テクパトル「俺達がアンタを元の姿に戻すことは、それ相応のメリットがあるんだよ」

アレイ「・・・そのために、私に人間の姿に戻れと?」

テクパトル「・・・言ったじゃないか、いつか一緒に酒を飲もうと」

アレイ「・・・」

テクパトル「悪人同士の酒だ、美味いもんになりそうだろ」

アレイ「ふん・・・それで私を説得するつもりか、いささか決定力に欠けるぞ」

テクパトル「・・・最終的な決断はお前が下してくれ」

アレイ「・・・元の姿になっても、君は私を家族として迎え入れるつもりか?この最悪の魔術師を」

テクパトル「最悪の魔術師か、中々面白い呼び方だが・・・」

はぁ、とため息をついてからテクパトルが小さく呟く

テクパトル「最悪の人間よりはいささかマシだろう」

アレイ「・・・いいだろう、元の姿になろう」

19090「ホ、ホントですか!?」


120 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:56:32.02 ID:tOQmjm8f0
御坂妹「アレイちゃんの元の姿・・・」

13577「なんとなくも見たことがありませんね・・・」

14510「どんな感じなんでしょうか?」

10039「話し方からしたら、なんかむさ苦しいおじいさんっぽいです」

アレイ「失礼な」

テクパトル「さて・・・もう先生に話はつけといた、治ったらこの住所に来てくれ」

アレイ「・・・テクパトル」

テクパトル「なんだよ」

アレイ「君は面白い人間だな」

テクパトル「面白い?俺が?」

アレイ「あぁ、君のような人間は世界で見たことがない」

テクパトル「お前が今まで見てきた世界は狭すぎる、暗くて息苦しい泥の中さ」

アレイ「・・・」

テクパトル「俺が面白いんじゃない、光の当たる綺麗な世界の全てがお前には新鮮なのさ」

アレイ「ずいぶん言ってくれるじゃないか」


121 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:56:58.76 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「こっちで長い間過ごせば分かるさ、ここは居心地が最高だからな・・・それじゃ、またな」

アレイ「行くのか」

テクパトル「・・・早いところ行かないと、昼飯までに家具の移動が終わらないんだ」

アレイ「?不動産がやってくれているのではないか」

テクパトル「あぁ・・・いや、こういう細かい家具だよ」

テクパトルがカバンを開け、中身を見せる

食器や携帯の充電器、写真立て

それは家具というよりは小物だった

アレイ「・・・大変だな、引っ越しも」

テクパトル「楽しいものさ・・・じゃ」

10033「アレイちゃん、寂しくなったら君をのせてを歌いといいですよ」

アレイ「更にせつなくなるじゃないか」

20000「だったら、君をつれてがいいよ」

アレイ「アンサーソングだったらいい、という問題じゃない」

御坂妹「その冷蔵庫自体はとっておいて下さいね」

19090「最新式ですから、何かと便利なんですよ」


122 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:57:30.49 ID:tOQmjm8f0
アレイ「あぁ・・・分かった」

17600「じゃあ、また会おうぜ・・・先に行って待ってるよ」

アレイ「不穏な響きだが・・・またな」

テクパトル「じゃ・・・行きますか」


テクパトル「俺達の新居に」

ミサカ一同「おぉ!」



さだのり「よぉ、来たか旦那」

テクパトル「旦那じゃねぇ・・・にしても、マジで完成したんだな・・・」

第七学区

学生寮が並ぶ学区の中に、テクパトル達の新居は出来上がった

外観はシンプルながらも清潔感に溢れている

やはり白を基調にしていると、陽の光に照らされた姿が美しい

テクパトル「・・・水道とか電気も、もう大丈夫なんだよな?」

さだのり「あぁ、そこは保証してやるよ」


123 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:58:00.66 ID:tOQmjm8f0
19090「・・・よく一人で出来ましたね」

御坂妹「家具の運び出しなんかはどうしたんですか?」

さだのり「んなもん、家を建ててから家具を入れるからダメなんだよ」

テクパトル「・・・は?」

さだのり「まず一階の土台だけを作り、そこに家具を設置する」

14510「は、はぁ・・・」

さだのり「その後で家を建てるとあら不思議」

テクパトル「あら不思議、じゃねぇ・・・それは不可能だ」

さだのり「不可能という言葉はいつ生まれた?ならばその前の世界に不可能という概念は存在すらしない」

テクパトル「何を言ってるのか分からないが・・・」

13577「ですが・・・かなり大きな家ですね」

さだのり「耐震強度もばっちり、日当たり良好、交通も完璧ときた」

テクパトル「・・・お前、本当に何者なんだよ・・・」

さだのり「さぁ?誰も俺のことなんて理解出来ないさ」

10039「な、なんだかカッコイイですね」

テクパトル「影響を受けるなよ・・・」


124 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:58:52.95 ID:tOQmjm8f0
御坂妹「さて・・・中を簡単に案内してもらっていいですか?」

さだのり「可愛い姉ちゃんの頼みなら仕方ないな・・・ってかさ、なんで同じ顔が何人もいるんだよ」

テクパトル「あ、いやこれは・・・!」

20000「ミサカ達は軍事のために作られたクローンなのさ」

テクパトル「お、おい!」

さだのり「人間のクローンね、女の子のクローンとか堪らないけどな」

テクパトル「ち、違う・・・」

さだのり「焦りなさんな旦那、人間の軍事用クローンごときで驚くほど俺はヤワじゃないんだ」

テクパトル「お、おう・・・?」

さだのり「さて、まずは玄関だが・・・カードキーと暗証番号、及び普通の鍵になっている」

10033「ずいぶん厳重ですね・・・」

御坂妹「開けるのがめんどくさいです・・・」

さだのり「安心しろ、こっちの指紋認証に登録してたら指を触れるだけで開けられる」

テクパトル「へぇ・・・」

さだのり「ぶっちゃけ、こっちのカードキーだなんだはダミーなんだ」


125 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 17:59:50.09 ID:tOQmjm8f0
17600「ぱっと見で厳重そうな家なんて、誰も盗みには入らないからな」

さだのり「そういうこと・・・今ここでお前達の指紋、登録しとくか」

テクパトル「あぁ」

一同が指紋を登録する

さだのり「この指紋登録は後から追加、削除も出来るが・・・まぁ詳しいことは俺に聞いてくれ」

テクパトル「・・・あぁ」

さだのり「玄関を開けるとまずは靴棚・・・」

御坂妹「げ、玄関がかなり広いです!」

13577「見てください!すぐさま階段がお出迎えしてくれますよ!」

20000「うっひょー!階段もかなり広いじゃんか!」

テクパトル「こら・・・ちゃんと説明を聞けよ」

20000「いいじゃんいいじゃん!説明なんて後で・・・」

さだのり「聞けよクソビッチ」

20000「」

さだのり「聞かないならこの家潰すからな」

ミサカ一同「」


126 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:00:22.95 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「・・・それで?靴棚は?」

さだのり「一応大人数の収納も出来るし、自動的に滅菌してくれる最新式のもんだ」

テクパトル「へぇ・・・そりゃいいな」

さだのり「某春日部に住んでる親父の靴でもない限り、臭いも消すことが出来る」

テクパトル「素直にひろしって言おうぜ」

19090「・・・?なんでこの段だけは縦が長いんですか?」

さだのり「あれ?姉ちゃん達、ブーツは履かないのか?」

ミサカ一同「ブーツ・・・?」

テクパトル「・・・つ、次の案内・・・」

さだのり「ブーツはオシャレの基本だぜ、なんなら旦那に買ってもらいな」

13577「テっくん!」

御坂妹「初めて聞きましたよ!」

19090「テっくん・・・どういうことなんですか?」

テクパトル「ブーツは高いから今まで買えなかったんだよあぁそうだよちくしょう!」

さだのり「まぁまぁ・・・で、玄関の右はリビングになってる」


127 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:01:03.32 ID:tOQmjm8f0
10039「帰ってきたらすぐにくつろげますね」

さだのり「・・・テレビもソファーもCDプレイヤーもある、完璧だろ?」

テクパトル「・・・なるほど、食卓もここにあるのか」

さだのり「キッチンまで突き抜けだからな・・・大人数でのホームパーティーも出来る」

20000「夢が広がりんぐ」

さだのり「・・・あと、空気清浄機もつけといた」

テクパトル「あ、あぁ・・・でもなんで」

さだのり「俺は臭いのが嫌いだ」

テクパトル「知るか」

さだのり「次は玄関から左に行った部屋だな」

テクパトル「ここは・・・客間か」

17600「広いな・・・しかも和室だ」

10033「ふぇー・・・なんか、掛け軸が飾ってます」

さだのり「俺が描いた」

テクパトル「嘘をつくな」


128 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:01:29.14 ID:tOQmjm8f0
さだのり「・・・どっかの安物だ、雰囲気だけ楽しんでくれよ」

御坂妹「書院造りというヤツですか・・・」

19090「なんだか落ち着きますね」

さだのり「お香でも焚けば似合うだろうな、次は階段の向こうだ」

テクパトル「・・・階段の向こうにも部屋があるのか?」

さだのり「こっちはトイレが5つ・・・」

テクパトル「多いな」

さだのり「大家族なら必要だろ?トイレは排泄だけじゃない、集中して勉強したい時や秘密の電話をしたい時にも使える便利な孤立空間なんだよ」

テクパトル「それには賛同しかねるな」

さだのり「・・・で、こっちは風呂だ」

10033「!ちっちゃいライオンの口からお湯が出てます!」

20000「マーライオンだぜテっくん!」

テクパトル「・・・なんでこんなシュールなデザインなんだ」

さだのり「ライオンの口からお湯、これは温泉じゃ当たり前ね」

テクパトル「知るかよ!?ここは自宅だ、こんな凝った作り・・・」

19090「見てください!ライオンの目がつぶらです!」


129 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:02:01.56 ID:tOQmjm8f0
14510「しかもなんだか可愛いです!」

13577「キュートですね・・・」

御坂妹「これは・・・あ、愛くるしいです!」

テクパトル「待ってくれ、盛大に待ってくれ」

さだのり「よかったじゃないか、みんな大喜びだ」

テクパトル「よくねぇ!なんかおかしいぞ!?」

さだのり「ジャグジーついてる、しかも広い・・・文句はないだろ?」

テクパトル「なんなんだ・・・この不思議空間」

さだのり「で、こっちが洗面所な」

17600「これまた明るい洗面所だな」

さだのり「洗面所って薄暗いと不便だろ?」

テクパトル「・・・なんでこんなに広いんだよ・・・」

さだのり「なんだ、広いのは嫌いか?」

テクパトル「嫌いじゃないけどさ・・・スペースもったいないだろ」

さだのり「はぁ・・・みんなが一斉に歯磨きするんだ、こんくらいの広さは必要だろ」


130 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:02:27.41 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「いや、一斉には・・・」

20000「鏡がでかいぜ相棒!全身写しながらオナニーだって出来そうだ!」

17600「話し掛けるなクソ野郎」

テクパトル「・・・次は」

さだのり「こっちは一組の部屋だな・・・たしか10033号と14510号とかいうヤツの」

10033「ミサカ達ですか?」

14510「た、楽しみです」

さだのり「あんまりそれぞれの部屋に変化はつけてない、部屋を比べて喧嘩になったらダメだからな」

テクパトル「なるほど・・・」

二人の部屋の扉を開ける

テクパトル「・・・かなり広いな」

10033「!見てください、ふかふかベッドですよテっくん!」

14510「見てください!ミサカ専用のテーブルです!」

テクパトル「・・・な、なんだこの空間!?おかしい、なんか広さが歪んでないか!?」

さだのり「ちっちっちっ、最大限まで広さを活かせば意外とこんなもんなんだ」


131 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:02:54.53 ID:tOQmjm8f0
御坂妹「・・・いいですね、可愛いぬいぐるみも備え付けですよ・・・」

14510「パンダのぬいぐるみですよ、羨ましいですか!?」

20000「てめぇ潰すぞ!パンダとか可愛いんだよちくしょう!」

さだのり「それぞれのイメージで俺が勝手にぬいぐるみを置いた」

テクパトル「・・・次は二階か」

さだのり「階段を上がってすぐの小さな扉は旦那のサプリメント用の部屋だ」

テクパトル「そこはスルーでいいよ」

さだのり「あ、いや・・・色んなサプリメントを備え付け・・・」

テクパトル「次は・・・右から行ってみるか」

ミサカ一同「はーい」

さだのり「・・・そっちは10039号と13577号ってのの部屋だ」

10039「!ミサカ達は猫のぬいぐるみです!」

14510「!?ね、猫も捨て難い・・・」

テクパトル「・・・広さは下のと同じくらいだな」


132 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:03:21.79 ID:tOQmjm8f0
さだのり「で、階段から左の部屋が残りの三人のためさ」

御坂妹「・・・!い、犬のぬいぐるみです!」

17600「お、スネークのポスターだ」

20000「!猫用のゲージがある・・・!」

御坂妹「これは・・・ま、まさか長い間忘れ去られてしかも誰にもツッコまれずに存在を忘れられていた、通称いぬのためのゲージ!?」

テクパトル「・・・いぬって名前の猫だ、ひらがななのが味噌なんだ」

さだのり「この部屋は若干広め、あと防音加工も若干強めにしてる」

テクパトル「?防音加工?」

さだのり「お盛んな娘は大変なのさ、そして最後は旦那の愛の巣だ」

テクパトル「言い方を変えろ」

19090「・・・ドキドキします」

さだのり「ほれ」

さだのりが扉を開ける

ダブルベッドが一つ、部屋の壁に寄り添うようにして設置されている

部屋の中央には小さなテーブル

そのほか、小さな棚やテレビなんかもある


133 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:03:47.82 ID:tOQmjm8f0
13577「・・・ここだけやけに豪華ですね」

17600「テレビはDVD鑑賞用か?テっくんは色んなDVDを見るからな」

テクパトル「・・・映画とかな」

御坂妹「ダブルベッドですね」

ミサカ一同「!?」

さだのり「当たり前だろ、カップルなら毎晩毎晩・・・」

テクパトル「ま、待てって!」

さだのり「防音加工もかなり強い、おまけに棚の中には女性に嬉しいオモチャ・・・」

10033「あぁぁぁ!これだからリア充は!」

御坂妹「爆ぜろ!」

テクパトル「そこまで言うなよ!」

さだのり「ま、こんな感じかな・・・ほかに聞きたいことは?」

20000「ダブルベッドで何するんですか」

19090「そ、それは」

さだのり「セックスです」

テクパトル「」


134 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:04:22.01 ID:tOQmjm8f0
御坂妹「最低ですテっくん・・・」

14510「・・・ふん!別に羨ましくなんかないですけど!」

17600「お前達、テっくんが困ってるじゃないか」

10033「一人だけいい格好しないで下さい!」

20000「・・・テっくんのアソコはでかいんだぜ」

テクパトル「・・・お前はよほど俺を怒らせたいようだな」

20000「きゃはっ!」

テクパトル「きゃはっじゃねぇ!」

さだのり「なぁ、俺はもう帰っていいかな」

テクパトル「あ、あぁ・・・ありがとよ、まさか本当にこんないい家なんて思わなかったよ」

さだのり「何・・・色々人生で経験してきたからな、あばよ」

さだのりが背中で語りながら去っていく

御坂妹「さて・・・では、今まで登場さえしなかったいぬを連れてきますか」

テクパトル「・・・猫っていうのは人に懐かないんだよ」

19090「ですが、いぬは懐いていますよ?」

13577「・・・まぁ、10032号に一番懐いてますね」


135 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:04:52.25 ID:tOQmjm8f0
10039「というか・・・10032号以外にはあまり懐いてません」

14510「・・・ミサカなんか、この前シカトされました」

御坂妹「?いぬはそんなことしないですよ?」

17600「お前は懐かれてるからそう思うのさ」

テクパトル「・・・はぁ、いぬの世話はお前達がやれよ」

御坂妹「・・・テっくん、まるでいぬを家族として認めていないようですね」

10033「言っておきますが、いぬはテっくんが来る前からミサカ達の家族でした」

14510「特定のミサカと恋人関係になってイチャついてるテっくんなんかと違って、いぬはミサカ達を癒してくれます!」

17600「懐かれてはいないけどな」

テクパトル「あぁそうかい・・・そりゃ悪かったよ」

テクパトルがため息をついてから頭をかく

テクパトル「とりあえず、細かい小物の移動はあとかな」

御坂妹「あ、はい」

テクパトル「昼飯にするにはまだ早いから、各自適当に新居探検でもしといてくれ」

10039「テ、テっくんはどうするんですか?」


136 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:05:27.40 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「新居は嬉しいけど、そこまではしゃげる年齢じゃないんでな」

肩を竦めてからテクパトルが自分の部屋へと向かう

御坂妹「・・・な、なんなんですかあの冷たい態度・・・」

14510「・・・あんまり新居が嬉しくないのでしょうか」

10033「・・・ですが、新居のことを切り出してきたのはテっくんですよ?」

13577「そうですよ、それに病院のお世話になってるのは悪いと言っていたのもテっくんです」

10039「・・・じゃあ、さっきのミサカ達の言ったことで不機嫌になったんでしょうか」

御坂妹「それだけで怒るなんて・・・」

17600「お前達は何も分かっていないな」

14510「ど、どういうことですか?」

17600「・・・テっくんがこの家に、わざわざミサカ達のそれぞれの部屋を用意してくれたのはなぜだ」

御坂妹「それは・・・」

17600「テっくんのための部屋は、あの小さなサプリメントの部屋だけだ」

10039「・・・ミサカ達が、少しでも快適な生活が出来るように・・・」

17600「・・・家の間取りを決める時も、ミサカ達の部屋のことを真剣に考えていてくれた」


137 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:06:10.42 ID:tOQmjm8f0
13577「・・・そうです」

20000「なのにさ、みんなテっくんにありがとうの一言も無しだったじゃん」

御坂妹「あ、あなただって・・・」

19090「・・・それどころか、あんな冷たいことを言われて・・・」

17600「毎日汗水流して働いて・・・やっと自分の家を買えたんだ」

20000「・・・はしゃげないなんて言っていたが、この家を建てられて一番嬉しいのはテっくんに他ならないんだよ」

17600「・・・不機嫌にならないほうがおかしいさ」

10033「テ・・・テっくんは怒っているんですか!?」

20000「そう考えたほうがいいね」

19090「・・・はい」

御坂妹「ミ・・・ミサカがいぬのことばっかり褒めるから・・・」

10033「ち、違いますよ!本当はテっくんが大好きです!」

10039「ちょっと素直になれなかっただけなんですよ・・・」

17600「それをテっくんに伝えなきゃいけないんだ」

20000「・・・感謝の気持ちを伝えないで、何が家族だよ」


138 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:06:41.03 ID:tOQmjm8f0
13577「・・・19090号」

19090「は、はい」

13577「あなたはテっくんの傍にいてあげて下さい」

14510「・・・テっくんの機嫌を一番直せるのはあなたです」

19090「み、みんなは何をするんですか?」

御坂妹「・・・お昼ご飯を作ります」

10039「・・・こんなことだけでは足りませんが・・・」

10033「少しでも感謝の気持ちを伝えたいです」

19090「じゃあ・・・お願いします」

20000「任せたよ、19090号」

19090「はい!」


テクパトル「・・・眠い・・・」

テクパトルは早速、自室のふかふかベッドに横になっていた

実は、彼は不機嫌になどなっていなかった

長い間ミサカ達と暮らしているのだ、いぬの件がミサカ達なりのツンデレだとは気づいていた



139 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:07:07.79 ID:tOQmjm8f0
ならばなぜわざわざ、自室に来たのか

答えは簡単で、ただ眠いからだ

昨日の夜は19090号と遅くまで熱く過ごしていた

そのあとは10032号達を説教

そんなせいで、昨日はほとんど寝ていない

朝からずっと眠気と戦っていた

やっと眠れるチャンスが来たのだ

ミサカ達には悪いが、今は彼女達とはしゃぐ元気もない

しっかり睡眠を取ってから一緒にはしゃいでもいいだろう

テクパトル「はぁ・・・ふかふかだ」

枕に顔をうずめると、自然に笑顔になってしまう

しかしそんな彼のまどろみを、ドアのノックが遮った

テクパトル「誰だ?」

19090「あ、あの・・・」

テクパトル「なんだ・・・お前一人か?」

19090「は、はい」


140 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:07:34.42 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「・・・?お前は探検しなくていいのか?」

19090「だ、大丈夫ですよ」

テクパトル「そうか」

19090号はなぜか部屋の入口のところでうろたえている

19090(ね、寝込んでしまうほどショックだったのでしょうか・・・)

テクパトル「?どうしたんだよ、堅い顔して」

19090「テ、テっくん!」

テクパトル「なんだ?」

19090「美月達はいぬが大好きです、ですがそれ以上にテっくんが大好きです!」

テクパトル「あぁ、分かってるけど」

19090「え?」

テクパトル「・・・あ、もしかして俺がふて腐れて部屋に引きこもったと思ってたのか?」

19090「ち、違うんですか?」

テクパトル「いや・・・昨日あんまり眠れなかったから眠くてさ」

19090「そうだったんですか・・・じゃあ、怒ってないんですね?」


141 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:08:20.58 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「さすがにあんなことで目くじら立てたりはしないさ」

19090「はぁ・・・よかった、てっきりテっくんが不機嫌になったのかと思いました」

テクパトル「悪かったな・・・なんか不安にさせちゃったみたいだな」

19090「い、いえ・・・」

テクパトル「・・・そっか、みんなも不安になってるんだな・・・」

19090「だ、大丈夫ですよ!」

テクパトル「・・・でも今は眠いんだよ・・・」

テクパトルがまた顔を枕にうずめる

柔らかいその感触が眠気を誘う

テクパトル「・・・美月」

19090「なんですか?」

テクパトル「こっちおいで」

19090「は、はい」

19090号がテクパトルの横に移動する

どうやら、一緒にベッドに入れと言っているようだ


142 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:08:50.41 ID:tOQmjm8f0
19090「・・・?どうしたんですか?」

テクパトル「寒いからさ・・・ちょっと湯たんぽ代わりに」

19090号の体を強く抱きしめたテクパトルが微笑む

無邪気な笑いは、子供のようだった

19090「・・・暖かいですか?」

テクパトル「あぁ・・・あったかいな」

19090「・・・なんだか、美月も眠くなってきました」

テクパトル「寝るか?」

19090「はい・・・」

テクパトル「お休み・・・」

19090「お休みなさい・・・」

二人が目を閉じる

温かな布団の中は、かなり快適だ

そのため時間も掛からず、夢の中へと落ちていった



143 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:09:22.98 ID:tOQmjm8f0



13577「な、何を作りましょうか!?」

10039「テっくんが喜びそうなもの・・・」

10033「タンパク質が豊富なものがいいのではないでしょうか!?」

14510「となると・・・親子丼でしょうか」

御坂妹「・・・玉子と鶏肉、たしかにタンパク質が豊富ですね」

14510「!し、しかしテっくんは今増量期とかいう期間らしいです!」

10033「たしか・・・炭水化物や脂肪も豊富なほうがいいらしいです」

17600「なぁ、そこまで深く考え・・・」

御坂妹「となると何品か作ったほうがいいのでしょうか!?」

13577「そうなりますね・・・」

20000「あのさ、感謝の気持ちが伝わればいいんだから」

14510「だからこそ品目にもこだわりたいじゃないですか!」

17600「これじゃ昼までに間に合わないぞ」

御坂妹「うぅ・・・」

20000「・・・ねぇ、ミサカちょっと気になる料理があってさ」

13577「何ですか?」


144 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:10:31.73 ID:tOQmjm8f0
20000「鶏飯って知ってる?」

10039「沖縄の伝統料理ですよね」

10033「・・・たしか、鶏肉や玉子なんかが入っていて・・・」

御坂妹「米もたくさんですから炭水化物も完璧ですね」

20000「しかも美味いらしいんだ、それにしない?」

10039「ですが、難しい料理なら・・・」

17600「鶏飯は比較的簡単なほうだ」

10039「そ、そうなんですか?」

御坂妹「なるほど、簡単でしかも珍しい料理ならいいかもしれません!」

14510「よし、なら材料はMNWで聞きながら作りましょう!」

ミサカ一同「おー!」



145 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:11:01.92 ID:tOQmjm8f0



テクパトル「・・・ん?ここは・・・」

テクパトルが目を開けると、見たことのないホール会場にいた

しかもなぜか真っ暗

周りにいるのは外国人の客ばかりだ

いや、テクパトルも日本人からすれば十分外国人なのだが

その客達はなぜかステージを楽しみな瞳で見つめている

いかにも「これから楽しいことが始まりますよ!」と云わんばかりだ

テクパトル「・・・にしても、なんかこの雰囲気は・・・!」

ステージの真上

セットに一部に書かれている文字

「MR.OLYMPIA」

テクパトルが敬愛して止まない、あの競技の世界最高峰を決める大会

テクパトル(待て待て!俺はさっき美月と寄り添って眠りに・・・あ、これは夢か)

夢だと気づいて少しがっかりしてしまう

だが季節は3月


146 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:11:54.01 ID:tOQmjm8f0
今の時代、オリンピアはそもそもそんな時代には開催されていない

夢の中まで筋肉に支配されるとは恐ろしい

テクパトル「・・・あ、始まった」

ともあれ夢というのは面白いものだ

疲れていてまだ起きる気にもならないため、テクパトルはしばしこの夢を楽しむことにした

テクパトル「・・・?あれ、スコットが出てきた・・・」

ラリー・スコット

初代ミスターオリンピアである

テクパトル「古いな・・・そんな昔の夢を・・・!?」

続いてはセルジオ・オリバ

テクパトル「待て待て!オリバとスコットは直接対決してない・・・おぉぉ!?次はアーノルドじゃねぇか!?」

今ならターミネーターの音楽を頭で流してしまうが、ビルダーの頃の彼はもちろんまだターミネーターではない

未来からも来ていない

テクパトル「・・・フランコ・・・ディッカーソン・・・ゼーン、バヌー、ヘイニー!」

目がキラキラと輝く


147 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:12:56.47 ID:tOQmjm8f0
当たり前だろう、ここまで出場してきたのは全員歴代のミスターオリンピアだ

夢にしては上出来すぎる

テクパトル「!ドリアン!」

会場がより一層沸き立つ

テクパトル「ロニー、ジェイ、デクスター、フィル・・・」

テクパトル「歴代ミスターオリンピア勢揃いじゃないか!すげぇ・・・すげぇぞ、こりゃすげぇ!」

テクパトルのボルテージが上がるのに呼応するかの如く、会場からも歓声が上がる

筋肉を敬遠している人からすれば恐ろしい光景だろう

もはや一種の宗教にさえ見えるかもしれない

テクパトル「・・・ロニーがデカすぎるな・・・でもオリバも綺麗だ・・・」

テクパトル「・・・!アーノルドがターミネーターになった!?」

テクパトル「うわぁ!ゼーンが撃たれた!」

テクパトル「ゼーン!ゼーン!」

テクパトル「ダメだ、もう・・・」

テクパトル「なんで会場はノーリアクションなんだ!?」


148 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:14:02.01 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「おぉ!オリバがオリバポーズを・・・」

テクパトル「でかい!でかいぜオリバ!」

テクパトル「じゃなくてゼーンだよ!」

テクパトル「うわ!?今度はフランコが撃たれた!」

テクパトル「アーノルド、アンタフランコの相棒だろ!?」

テクパトル「と思ったらいきなりステージの床下に熱そうなマグマみたいなのが出てきた!?」

テクパトル「あぁアーノルドが鎖をカタカタカタカタ言わせながら降りていく!」

テクパトル「I'll be back!」


19090「うーん・・・ん?」

19090号が目を開けると、なぜか目の前に猫がいた

19090「あ、あの・・・もしかして、お腹が空いてるんですか?」

わざわざ人間に近づいてくるということはそういうことなのか

テクパトル「・・・なぁ、美月」

19090「は、はい!・・・?声はするけど姿が見えません・・・」


149 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:14:41.39 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「お前の目の前にいるから」

19090「・・・いるのは猫ですよ?」

テクパトル「猫なんだよ」

19090「猫なんですか」


19090「えぇぇぇ!?」

テクパトル「いいリアクションだ・・・」

19090「な、なんでテっくんが猫になっているんですか!?」

テクパトル「・・・違う、ツッコミ所がもう一つないか?」

19090「な、なんでテっくん猫はそんなに大きいんですか?美月より一回り・・・」

テクパトル「・・・お前も猫になってるんだ」

19090「」

19090号が右手を見つめる

それは、前足と形容したほうが正しいだろう

19090「な・・・なんで美月やテっくんが猫さんに!?」


150 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:15:31.71 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「落ち着け、これは夢の中だ・・・ちなみにさっきまで俺はMR.OLYMPIAを・・・」

19090「はい?」

テクパトル「あぁいや・・・とにかく、俺もいきなりこの夢に飛んできたんだ」

テクパトルがあぐらをかこうとする

だが中途半端な足の長さなため、それは叶わない

結果的には変な座り方をしたただの猫である

19090「・・・ど、どうしましょう?」

テクパトル「いや、夢なんだからそこまで気に・・・しなくて・・・」

19090「?」

テクパトルがなぜかムズムズしている

19090「ど、どうかしましたか?」

テクパトル「・・・美月、今猫はなぜか発情期らしい」

19090「は、はい!?」

テクパトル「雌猫が目の前にいると俺は獣になっちまう」

19090「もう獣なんですけど・・・って、それはどうでもいいんです!」

テクパトル「・・・いや、だから早く・・・」


151 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:15:57.91 ID:tOQmjm8f0
19090「・・・テ、テっくんになら・・・は、発情されても・・・」

テクパトル「何言ってんだお前!?落ち着けよ!」

19090「そ、その代わり優しく・・・」

テクパトル「おぉ!?」

19090号がテクパトルに体を寄り添わせる

テクパトル「・・・美月・・・マジでヤバいんだって」

19090「・・・テっくん」

テクパトル「上目遣いで誘うのはやめてくれぇ!」

19090「・・・あ、誰か来ました」

テクパトル「!?」

そこまできて気がついたが、二人がいるのは公園のようだ

美琴「・・・あ、当麻当麻!」

上条「なんですか美琴さ・・・げ、猫・・・」

美琴「げ、って何よ?」

上条「・・・猫を飼わされる予感がします」


152 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 18:16:25.87 ID:tOQmjm8f0
美琴「そ、そうだけど悪いの!?」

上条「俺の家は貧乏なんだよ!」

テクパトル「な、なんでよりによってお前達なんだよ!?」

美琴「ほら、猫ちゃんだってにゃーにゃー言ってるじゃない!」

19090「・・・や、やっぱりただの人間とは話が出来ないんですね」

上条「・・・だ、だって上条さんの家にはすでに一匹猫がいます!影は薄いけど!」

美琴「いいじゃない、スフィンクスだって仲間が欲しいはずよ!」

テクパトル「いや・・・いやいや!めんどくさそうだからいい・・・」

美琴「ほら!嬉しそうににゃーにゃー言ってるわ!」

テクパトル「いやいや!違うんだってば!」

19090「テっくん、逃げましょう!」

テクパトル「あぁ!」

美琴「あ!に、逃げられた・・・」

上条「電磁波かな?」

美琴「うぅ・・・」

上条「ほら、帰るぞ」

美琴「はーい・・・」



153 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 19:20:10.54 ID:tOQmjm8f0

テクパトル(あぁもう!!なんなんだよこの夢は!!)

猫になったテクパトルは、頭を抱えていた

前足が短すぎて抱えられないのだが

19090「・・・ど、どうしたんですか?」

テクパトル「ま、待て待て!!それ以上こっちには来ちゃダメだ!!」

19090「・・・べ、別に・・・その、発情期を気にすることは・・・」

テクパトル「夢の中で過ちなんて笑えないぞ・・・」

テクパトルが溜め息をつく

ヒゲがモフーンと揺れる感覚が面白いが、今はそれどころではない

夢というのは、簡単に気づくことは出来る

だがしかし、それを覚まそうと思っても中々できないものだ

とりわけ、今のテクパトルはとても疲れている

体が睡眠を求めていれば、自然と眠りは深くなるもの

19090「・・・テっくん」

テクパトル「だ、だから頼むから半径20cm以内には来るなよ・・・」

19090「さ、寂しいじゃないですか・・・」

テクパトル「はぁ・・・今頃みんなは新居探検だよな」

19090「あ、それはその・・・」

テクパトル「・・・夢の中にしては現実味があるし・・・イヤになるよ」


154 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 20:18:49.21 ID:tOQmjm8f0
19090「・・・そ、そっちに行っちゃダメですか?」ウルウル

テクパトル「・・・そ、そんなに来たいならいいけどさ」

19090「あ、ありがとうございます」

19090号がテクパトルに寄り添う

テクパトル「・・・というか、なんで猫なんだろうな」

19090「・・・もしかして、美月が猫のことを考えながら寝たからでしょうか」

テクパトル「・・・いや、なんで猫のことを・・・」

19090「いぬが家に来てくれるのが嬉しかったからです!!」

テクパトル「・・・お前から無意識のうちに発せられてる電磁波が・・・お、俺の脳とリンクして・・・」ムラムラ

19090「む、なにやらテっくんがあわただしいです」

テクパトル「・・・よし、素数を数えよう」

19090「ど、どうしたんですかいきなり?」

テクパトル「2!!3!!」

19090「そ、その・・・どうしたんですか?」

テクパトル(ふぎゃぁぁぁ!!!こりゃまずいぜ、誰か助けてくれよぉぉ!!)




155 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 20:23:34.40 ID:tOQmjm8f0

17600「・・・で、材料は揃ったな」

20000「あとはミサカのエッチな汁を・・・」

御坂妹「ふざけるなよ末端の三下が」

20000「」

10039「・・・にしても、この奈良漬というのは初めて見ました、とミサカは久々に語尾をつけて話してみます」

10033「・・・む、匂いがキツイですね・・・とミサカは奈良漬の匂いと格闘してみます」

14510「・・・お、お酒のような匂いですね・・・とミサカは鼻をつまみながらつぶやきます」

17600「・・・いいから、早く作ろうぜ」

20000「ささみを裂くのは10032号ね」

御坂妹「了解しました」

20000「錦糸卵を作るのは10033号と10039号」

10033「あとは・・・?」

17600「奈良漬はミサカが切る、切るのは得意だからな」

20000「じゃあ海苔とかの用意はミサカがするね」

17600「変なものを混ぜるなよ」

20000「わかってるって」


156 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 20:29:47.15 ID:tOQmjm8f0

テクパトル「・・・その時俺は思った、あぁ性欲ってこういうときのためにあるんだなって」

19090(テっくんが壊れました・・・)

テクパトル「はぁ・・・誰か来ないと、マジで俺の理性が・・・」


垣根「きーたっぞーきったっぞアーラレっちゃーん!!」

心理「静かになさい」

垣根「・・・はぁ、なんで俺たちはこうやって公園を歩いてるんだろうか」

心理「・・・いいから、静かに」

垣根「なんで静かにしなきゃならないんだよ」

心理「はぁ・・・空を見てみなさいな、春の暖かい陽射しが差しているのよ?」

垣根「うわぁ、目が潰れるぅ」

心理「・・・それを少しは、静かに散歩しながら楽しみたいとは思わない?」

垣根「お前はとりあえず、日傘を持って淑女っぽく振る舞いな」

心理「日傘が淑女って考えは単純ね・・・」


テクパトル「垣根と心理定規・・・か」

19090「・・・こうやって見ると、本当に美男美女ですよね・・・」

テクパトル「・・・あ、こっちに来た」


157 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 20:36:41.91 ID:tOQmjm8f0
垣根「・・・なんだ、この猫」

心理「あら可愛いじゃない」

心理定規がしゃがむ

ドレスを着ているため、下が少し危ういことになっている

テクパトル「・・・み、見てないからな」

19090「・・・」ポカッ

テクパトル「なんで猫パンチするんだよ!?」

垣根「おーおー、仲いいねぇこいつら」

心理「・・・妬けちゃうわね」

テクパトル「お、おぉ!?」

テクパトルの視界が一瞬にして高くなる

目の前には心理定規の顔のドアップ

彼女に持ち上げられたのだ

テクパトル「な、放せ!!」

垣根「ジタバタしてるな」

心理「そうね・・・それにしても、元気な雄猫ね」

テクパトル「」

19090(あ・・・せ、性別をチェックされてしまいましたね)

テクパトル(もう、お嫁にいけない)

垣根「・・・こっちは雌猫ってことかねぇ」

心理「そうね・・・そうなるかも」

テクパトル「っていうか、放してくれよ!!!」


158 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 20:43:04.33 ID:tOQmjm8f0
垣根「ほれ、放してやれよ」

心理「・・・も、もう少しだけ」

垣根「お前・・・動物とか好きだっけ」

心理「・・・ちょっと」

テクパトル「いいから放せぇぇ!!」

19090「テっくん、そっちの景色はどうですか?」

テクパトル「高くて面白いです、でも俺は放してほしい!!!」

垣根「・・・第一、お前は抱き方が下手なんだよ」

心理「あら、丁寧に持ってるでしょ?」

垣根「こう、体を安定させてやれ」

今度は、垣根が19090号を抱き上げる

19090「ほわわっ!?」

テクパトル「てめぇ垣根!!!」

垣根「んだよ、そっちの雄猫は妙に騒ぐな・・・」

心理「ヤキモチなんじゃないの?」

垣根「この雌猫、キスしたら嫌がるかな」

テクパトル「てんめぇぇぇぇぇ!!!!」フシャー!!

心理「やめてあげなさい、そんな意地悪」

垣根「冗談だって」


159 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 21:01:36.68 ID:tOQmjm8f0
テクパトル「・・・あ、放された」

心理「ごめんなさいね、あなた達の時間を邪魔しちゃって」

垣根「猫にも愛情ってのはあるんだな」

心理「あら、人間よりも純粋なんじゃない?」

垣根「・・・そうかもな」

二人・・・いや、二匹の頭を垣根が撫でる

垣根「・・・お前達、ずっと仲良くしろよな」

テクパトル(・・・?なんか、垣根の顔が嬉しそうだな・・・)

垣根「・・・猫、か」

心理「?何よ、どうかしたの?」

垣根「なんでもねぇよ、行こうぜ心理定規」

心理「ま、待ってよ」

ポケットに手を突っ込んだ垣根が、そそくさと逃げるようにして遠ざかる

19090「な、なんだったんでしょうか?」

テクパトル「さぁ・・・でも、ロマンチックな二人だな」

19090「ふと素の表情に戻ったとき、かなり美形ですからね・・・」

テクパトル「そうだな・・・にしても、いつになったらこの夢は覚めるんだ」

19090「・・・さぁ・・・?」


160 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/12(月) 21:18:21.22 ID:tOQmjm8f0
今日はここまで、つい猫視点を書いてみたくなっただけ

新約3巻買ったけど、中々読む気がしないww

筋肉動画はケビンさん、2002年のトレーニング動画を

http://www.youtube.com/watch?v=yPvHK0OKLd0

http://www.youtube.com/watch?v=6tU7XcSZ1IA

part2の5分10秒辺りを見ていただければわかりますが、肩から腕の三頭にかけての独特なシルエットは、尖ったような印象を与えます

すっげぇ・・・

ちなみに、ところどころの和訳を載せます

それが面白いのでw

part1の1分30秒辺り 「俺のトレーニングビデオ(M3)ってマジで君(岡部ミツル氏、日本人です)一人だけで作ったの?あれすごいね、みんな俺のビデオはまだかまだか、って言ってたけど、みんなに満足してもらえるような出来のビデオになったってわけさ、サンキューミッツ」

3分10秒辺り 「M3の何がすごいって、あれを見たらすぐさまジムでトレーニングしたくなっちゃうことなんだ、だって出演してる俺自信がそうなんだもんwww」

7分15秒辺り 「俺はインクラインベンチプレスを好んで行う、前にフラットベンチで胸を断裂したから、こっちのほうが感触がいいんだ」

※彼はこの動画で180kgを12発、フラットベンチプレスで上げていますが、実は230kgを4発上げたことがあります

そして9分50秒辺りの空耳「あがーる!!」は 「手を放せ、放せ、自分で上げられる・・・上がる、上がる!!上げられるってばー!!!ww」です

空耳と同じ意味なんです、マジで

10分10秒辺り 「怪我させたくなかったんだって、しゃあないね」

最後はpart2 3分10秒、ペックフライで衝撃の一言 「これフルスタック(110kg程度と思われます)?なんだかやけに軽いんだけどさ」

フルスタックで不満ですかww

2002年のケビンは上半身の完成度は過去最高、2002オリンピア全選手の中でも明らかにトップでした

下半身がもう少し太ければ、明らかにロニーに勝利していたでしょう

ロニーの不調、ケビンの絶好調

ロニー、フィルは丸いイメージ、ジェイやマーカスを四角いイメージとするならショーンやケビンは三角形のイメージです

細いウェスト、広がる背中・・・そして厚い胸板と尖った三頭

ここまでカッコイイ体の持ち主はなかなかいません

正直、美しさと大きさを兼ね備えているのはロニーよりもむしろケビンだと思います

彼は、無冠の帝王ですが・・・だからこそ、熱狂的なファンがいるんでしょうね

彼の胸のワークアウトは丁寧です、ベンチプレスは手幅が狭く、かなり難易度が高いです

すっげぇ・・・


ではおやすみなさい


161 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 21:30:45.90 ID:kXiAj9F50
乙です
☆GOODNIGHT☆(´∀`*)
162 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 21:48:06.80 ID:rdLhGysAO
まだ読んでないのかww
早く読みなよ
163 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 22:00:30.04 ID:EV03w2l80
乙です
筋肉動画が今日も長いなwwwww
164 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/12(月) 22:23:51.91 ID:AUhP/o7Do
otunanndayo!
165 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:47:08.01 ID:W31uDlpE0
テクパトル「・・・また、二人になったな」

19090「は、はい」

公園の只中

夢の只中でもあるが、彼等は二人、ぽつんと座っていた

眠ってから何時間経ったのか

かなり長い時間寝ている気がする

実はまだ、1時間も経っていないのだが

テクパトル「・・・美月、そろそろ限界かもしれない」

19090「は、はい・・・?」

テクパトル「・・・な、なんか理性が崩れてきた!」

ガバッとテクパトルが19090号に飛び掛かる

19090「あっ・・・」

テクパトル「ひ、避妊って・・・どうすれば?」

19090「//」

テクパトル「なんで顔を赤らめ・・・ま、まさかお前!?」


166 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:47:33.63 ID:W31uDlpE0
19090「ゆ、夢の中ですし・・・猫なんですから、その・・・」

テクパトル「いやいや!倫理的な問題なんだよ!」

19090「・・・で、ですが避妊なんて方法がありませんよ・・・」

テクパトル「う・・・」

発情期の猫とはこんなにも激しい性欲を抱えていたのか、とテクパトルが唾を飲む

そういえばいぬは発情期になると手当たり次第に、腰を振っていた

その時は「動物ってなんか哀れだよな」なんて考えていたのだ

しかし今、自分がその立場になるとよく分かる

こんなもの、抑えられるわけがない

テクパトル「・・・美月・・・い、いいのか?」

19090「夢ですから・・・だ、大丈夫です」

ゴクリ、と唾を飲む音がする

それは一体どちらの喉から聞こえた音だろうか

もしかしたら、二人ともかもしれない

テクパトル「な、生ってのは・・・正直、その・・・」

19090「美月だって・・・そ、それは結婚してからがいいですが・・・夢なんですから」


167 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:48:04.15 ID:W31uDlpE0
テクパトル「あ、あぁ」

ぐいっ、とテクパトルが腰を浮かす

そして、自分のいきり立ったあれを・・・


ショチトル「見て見てエツァリ、猫が交尾しようとしてる」

テクパトル「」

入れる前に新たな刺客がやってきた

エツァリ「おや、珍しいですね」

テクパトル「お、お前達なんで!?」

19090「あ、危ないところでした!」

ショチトル「なんだ、めちゃくちゃ焦って放れたな」

エツァリ「まるで羞恥心でも持っているようですね」

テクパトル「まるで、じゃねぇんだよ!」

エツァリ「?何か怒っているようですが・・・」

19090「テっくん、その・・・どうしますか?」

テクパトル「・・・逃げるか」


168 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:48:40.08 ID:W31uDlpE0
ショチトル「にしても、可愛い猫だな」

ショチトルが19090号を持ち上げる

19090「にゃっ!」

テクパトル「お、おい!」

ショチトル「・・・見ろエツァリ、こいつは雌だ」

エツァリ「あぁ、ついてませんからね」

19090「」

テクパトル「お前らぁぁぁ!」

エツァリ「な、なんですか!?」

ショチトル「ふむ・・・もしかしてこいつら、夫婦か」

19090「ふ・・・」

ショチトル「だから、自分の愛している雌の恥ずかしい所を見られて怒ったんだよ」

エツァリ「なるほど、寝取りを恐れたんですね」

テクパトル「俺はお前達の発想が怖いよ」

ショチトル「しかし・・・獣姦って気持ちいいのかな」


169 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:49:06.73 ID:W31uDlpE0
19090「!?」

エツァリ「試してみますか?」

テクパトル「お前達変態すぎるだろ!やめろ、それ以上アステカの誇りを汚さないでくれ!」

ショチトル「なんだこの雄猫・・・そんなに私の中に入れたいのか?」

テクパトル「おかしい!こいつおかしい!」

19090「は、放して下さい!」

エツァリ「・・・逃げようともがく雌というのは中々そそりますよね」

ショチトル「しかも、放されなかった時の絶望に満ちた表情は最高だ」

19090「いや、放して!」

テクパトル「・・・!」

テクパトルが思い切り飛び上がり、ショチトルに引っかきを喰らわせようとする

だがそれはすんでの所でかわされる

ショチトル「危ないな・・・やっぱりこいつ、怒ってるみたいだな」

エツァリ「・・・放してあげましょう、さすがに可哀相です」

ショチトル「そうだな」

ショチトルが19090号を放す


170 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:49:36.60 ID:W31uDlpE0
テクパトルはその傍にすぐさま駆け寄る

テクパトル「変なことされなかったか!?目の前で見てたけどさ!」

19090「うぅ・・・恥ずかしい言葉を浴びせられました」

テクパトル「すまない・・・俺が守ってやればこんなことには!」

ショチトル「・・・本当に夫婦なんじゃないか?」

エツァリ「こんなに仲良しな猫は初めて見ましたね」

ショチトル「・・・引き裂きたくなるな」

エツァリ「おや、あなたもSに目覚めましたか」

ショチトル「・・・で、でもお前には虐められたいぞ?」

エツァリ「可愛いですね、ショチトル」

ショチトル「エツァリ・・・」

テクパトル(・・・エツァリのヤツ、まだショチトルの前でタメ口になってないのか?)

実際はテクパトルがその事実を知らないため、夢が改変されているだけなのだが

テクパトル「・・・そうだ、逃げるぞ美月!」

19090「は、はい!」

二人がすぐさまその場を後にする

とりあえず変態から逃げたかったのだ


171 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:50:14.75 ID:W31uDlpE0
テクパトル「・・・ここならいいかな」

裏路地と呼ばれる場所

人通りもほとんどなく、誰かに見つかることもほとんどないだろう

19090「・・・つ、続きを・・・」

テクパトル「あ、あぁ・・・」

一方「・・・こっちの道で本当に合ってるンだろォな」

番外「うん、こっちの道で合ってるよ」

テクパトル「・・・」

テクパトルがため息をつく

やはり、誰かが登場してくるのだ

しかもこんな裏路地が似合うカップルNo.1が

一方「あァ?猫か」

番外「うっわー!可愛い!」

一方「触るなよ、野良猫なンてどンな菌持ってるか分からねェ」

番外「・・・夢のないこと言わないでよ」

一方「夢で食って行けるなら可愛いって言ってやるけどよ」


172 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:50:53.86 ID:W31uDlpE0
テクパトル「・・・一方通行って、なんか嫌味なヤツだよな」

19090「・・・昔からこうですよ、彼は」

テクパトル「そうか・・・」

番外「あ、なんか会話してるみたい」

一方「・・・おい、さっさと行く・・・」

番外「ミサカ、近くのコンビニで猫の餌買ってくる!」

一方「お、おい!」

番外個体は一方通行の制止を振り払い、駆け出して行った

残されたのは猫と接するのが似合わない男だ

テクパトル「・・・どうする、美月?」

19090「で、ですが・・・ここで美月達がいなくなったら、番外個体はきっと悲しみます・・・」

テクパトル「・・・だよな、さすがにそれは可哀相だ・・・」

テクパトルが一方通行を見つめる

イライラしているのだろう、杖をカチャカチャと鳴らしている

19090「・・・な、なんだか怖いです」


173 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:51:29.17 ID:W31uDlpE0
テクパトル「・・・番外個体が帰ってくるまでの辛抱だ」

決して、番外個体も優しそうな見た目はしていない

だが猫などの可愛い生き物に関しては別だろう

テクパトル(・・・そうか、電磁波が通じない俺達は・・・番外個体の傍にいられるからな)

体は猫になっているが、なぜか電磁波の影響を受けていない

美琴の時もそうだった

番外個体にとって、それは嬉しいことなのだろう

一方「・・・ちっ」

テクパトル「な、なんか舌打ちしてるな」

19090「柄が悪いですね・・・」

一方「あァ?なンだよお前ら、さっきからニャーニャー言いやがって」

テクパトル「・・・こいつの口からニャーって言葉が出た」

19090「信じられません・・・」

一方「・・・はァ、俺の言葉が分かるわけねェよな」

テクパトル「いや、分かってるんだよ」


174 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:51:58.00 ID:W31uDlpE0
一方「・・・なァ、番外個体っておかしいだろ」

19090「い、いきなり語り掛けてきました」

一方「あいつは我が儘で、無鉄砲だ」

テクパトル「お前にそっくりじゃないか・・・」

一方「・・・いつも俺を振り回す」

テクパトル「・・・」

19090「本当は、番外個体が嫌いなんでしょうか?」

テクパトル「さぁな・・・」

一方「・・・面倒なヤツだ、あいつのせいで苦労ばっかりしてンだよ」

テクパトル「お前・・・」

一方「・・・でもな、あいつが笑ってると嬉しいもンなンだ」

19090「!」

一方「・・・俺を憎むために生まれたあいつが、俺を愛してくれている」

一方「・・・運命なンてヤツが生まれた時に決まってたなら・・・俺達は運命から外れた人生を歩ンでるンだろォな」



175 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:52:23.57 ID:W31uDlpE0
テクパトル「一方通行・・・」

一方「俺は誰かを殺す運命だった、あいつは俺を憎み続ける運命だった」

一方「・・・そンなクソッタレみたいな運命の歯車を狂わせてやったンだ」

一方「ロシアの時に歯車を欠けさせ、それからの平和な暮らしで動きを止めた」

一方「・・・俺達は歯車の中で苦しむ哀れな存在だった」

一方「・・・だがなァ・・・それでも、俺達はそンな歯車を狂わせてやったンだ」

一方「・・・あいつがいなかったら、俺はいつまでも誰かを殺してたはずなンだ」

テクパトル「・・・」

一方「・・・幸せなのか、そンなことは俺には分からねェ」

一方「・・・でもあいつが笑っているのを見ると、その笑顔を守り続けたくなるンだよ」

一方「・・・はン、こンなことお前達に語っても意味ねェのにな」

19090「一方通行・・・あなたは、本当に変わりましたね」

一方「・・・昔の俺が今の俺を見たら、笑うのかもしれねェ」

一方「だったら俺は昔の俺を笑ってやる、哀れなヤツだと笑ってやるンだ」

一方「中指立てて、下品な言葉を並べて・・・番外個体の肩に手を回して、最高の笑顔を浮かべてな」


176 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:52:56.37 ID:W31uDlpE0
テクパトル「・・・お前は、いいヤツだな」

一方「・・・こンなこと、番外個体には言えねェな」

テクパトル(・・・これが夢じゃなければいいな)

19090(・・・きっと、一方通行はそう思ってるはずです)

番外「やっほー!買ってきた・・・」

一方「遅いンだよ」

番外「だってコンビニ遠かったんだぜ?なんならアナタが能力で周りのビル壊してくれたら通りやすく・・・」

一方「番外個体」

番外「何?」

番外個体が顔を上げる

ちょうど、テクパトル達の前に猫の餌を置いたところだった

その番外個体の唇に、一方通行が自分の唇を重ねる

19090「ふわわっ!?」

テクパトル「ワーオ・・・大胆な」

番外「な、何!?」


177 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:53:20.77 ID:W31uDlpE0
一方「うるせェ、そいつらにもォ餌やっただろ」

番外「そ、そうだけど」

一方「行くぞ、早いとこ帰ろうぜ」

番外「ま、待ってよ!」

番外個体が一方通行の後を追い掛ける

残された二人は、しばらくポカーンとしていた

まさか目の前であんな熱烈なキスをされるとは思わなかったのだ

テクパトル「・・・なんだか、少し幸せな気分になったよ」

19090「美月もです・・・」

テクパトル「・・・はぁ、にしてもこの餌どうする?」

19090「・・・食べてみますか?」

テクパトル「人類としてのプライドが果てしなく無くなる気がするな」

19090「・・・あ、意外といけますよ」

テクパトル「そうか・・・じゃあ食べてみる」

テクパトルが19090号と並んで餌を食べる


178 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:53:51.65 ID:W31uDlpE0
不思議な味だが、決してまずいものではない

しかし実際の猫の餌がこんな味なのかは分からない

これはあくまで夢の中なのだから

テクパトル「・・・はぁ、この流れだと最後は・・・」


黒子「はぁ・・・パトロールも疲れますの」

削板「ははは!本当だな!」

テクパトル「やっぱり・・・」

黒子「おや?こんな所に野良猫がいますの」

削板「?でも餌が置かれてるな」

19090「・・・野良猫が餌をもらっているなんて、たしかに珍しいかもしれないですね」

黒子「・・・あまり野良猫には餌をあげないほうがいいのですが」

そんなことを言いながら、黒子がテクパトルの喉を撫でる

テクパトル「ふぉぉっ!?」

黒子「あらごめんなさい・・・驚かせてしまいましたの」

19090「・・・テっくん、何変な声あげてるんですか」


179 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:54:13.38 ID:W31uDlpE0
テクパトル「いやいや!なんか喉撫でられたら気持ち良かった!」

19090「テ、テっくんを気持ち良くしていいのは美月だけです!」

テクパトル「そういう意味の気持ち良く、じゃなくて!」

削板「なんだ、ずいぶん仲良しだな」

黒子「ふふ・・・まるでわたくし達のようですわ」

テクパトル「あ、自然に惚気たな」

削板「ははは!俺達のほうがもっと仲良しだけどな!」

テクパトル「さらに惚気た!」

19090「・・・な、なんだか爽やかなカップルですね」

黒子「おっと・・・まだパトロールの途中でしたわね」

削板「いいんじゃないか?少しくらいこんな寄り道したってさ」

黒子「で、ですが・・・」

テクパトル「・・・風紀委員も大変だな」

19090「・・・よくやれますよね」

黒子「・・・わたくしは、わたくしの仕事をしなければなりませんの!」

削板「ははは!さすが黒子だ、惚れるぞ!」

黒子「も、もう・・・軍覇さんったら//」

19090「また惚気ました・・・」


180 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:54:40.42 ID:W31uDlpE0
黒子「では、行きましょう」

削板「またな、猫達よ!」

テクパトル「あ、あぁ」

19090「また・・・ですね」

削板「ははは!俺の言ってることが分かってるみたいだな!」

大声を上げながら、削板と黒子が去っていく

これで全員終わった

つまり、二人きりの時間が始まる

テクパトル「・・・美月、我慢出来ないからな」

19090「は、はい」

テクパトル「さて・・・」

勢いよくテクパトルが振り向いた

だがその時、視界が不自然に揺れる

グラグラと、何か嫌な予感をさせながら

テクパトル「あ・・・な、なんだか・・・」



181 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:55:07.33 ID:W31uDlpE0


テクパトル「!」

がばっ、とテクパトルがベッドから起き上がる

体はもう人間の物に戻っていた

つまり、夢は覚めてしまったのだ

19090「ん・・・あ、あれ?」

テクパトル「・・・おはよう」

19090「お、おはようございます・・・その、猫になってましたか?」

テクパトル「あぁ、なってたよ・・・めちゃくちゃいいところで覚めた」

19090「美月もです・・・」

顔を見合わせてから、二人がため息をつく

いつも夢というのはいいところで覚めてしまう

テクパトル「・・・美月・・・」

19090「あんっ!ダ、ダメですよテっくん・・・はぁっ・・・」

テクパトル「いいだろ?さすがに我慢・・・」

トントン、とドアがノックされる

今日の自分は神様に嫌われてるのかな、とテクパトルは泣きそうになる

テクパトル「・・・誰だよ」


182 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:55:46.82 ID:W31uDlpE0
自然と声は不機嫌になってしまう

17600「昼飯が出来た・・・ってなんだ、もしかしてこれからお楽しみだったか?」

テクパトル「・・・いや、その予定は無くなったよ」

19090「・・・そ、それじゃお昼ご飯にしましょう」

テクパトル「・・・そうだな」

階段を下りて一階に向かう

この感覚に慣れるのはいつになるだろうか

しばらくは新しい家に戸惑ってしまうかもしれない

御坂妹「!テっくん、お昼ご飯ですよ!」

10033「ミサカ達が作りました!」

テクパトル「あ、あぁ・・・」

食卓ではミサカ達かなテクパトルを待っていた

みんな、なぜか顔が輝いている

わざわざテクパトルのために作ってくれたのだろうか

13577「い、いつもテっくんにはお世話になっていますから!」

14510「か、感謝の気持ちを伝えたくて・・・」


183 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:56:17.00 ID:W31uDlpE0
テクパトル「・・・鶏飯ってやつか」

目にするのは初めてだが、話に聞いたことはある

10033「め、珍しいですけど必死に作りました!」

10039「お口に合えばいいのですが・・・」

20000「み、みんなテっくんに感謝してて・・・」

テクパトル「・・・?なんだよ、みんなも食べるんだろ?」

箸を持ったテクパトルが首を傾げる

すでに丼の中には鶏飯がつがれている

10039「は、はい」

御坂妹「あ、あの・・・」

テクパトル「ん、美味いじゃないか」

一口食べたテクパトルが、嬉しそうに笑う

テクパトル「これなら俺がいなくても昼飯くらい・・・」

14510「い、いなくても!?」

10039「テっくん、それだけは勘弁して下さい!」

テクパトル「あ、いや・・・いっつも仕事で昼間はいないだろ?」


184 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:57:02.02 ID:W31uDlpE0
10033「で、ですが・・・」

テクパトル「・・・あのな、俺は別に怒ってないんだよ・・・」

20000「な、ならなんで部屋に篭ったのさ!?」

テクパトル「眠かったんだよ・・・昨日もなんだかんだであんまり寝てなかったからさ」

13577「そ、そうだったんですか・・・」

19090「ごめんなさい・・・本当はすぐに伝えるべきだったんですが」

17600「何、お前が傍にいることが何より大切なんじゃないか」

テクパトル「・・・みんな、ありがとう」

14510「!お、お礼を言うのはミサカ達の・・・」

テクパトル「俺はみんなに出会えたから人生を変えられた・・・」

10033「そ、そんなこと・・・」

テクパトル「・・・みんなには感謝しても感謝しきれない、ありがとう」

20000「あ、いや・・・」

御坂妹「ミサカ達も、感謝しきれないですよ」

テクパトル「・・・みんな大好きだよ」

ミサカ一同「!?」



185 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:57:35.25 ID:W31uDlpE0
10033「ミサカが二番目に好きなんですよね!?」

御坂妹「いえいえ、クールなミサカに決まってます・・・ですがミサカはあの少年に未だ恋心を・・・」

14510「ふん!テっくんに一番理解を示しているのはミサカです!」

13577「いえいえ、ミサカのような純粋な子が・・・」

10039「ミサカのような華やかな子が!」

20000「新参者が!そもそもテっくんに最初に会ったのはミサカだ!」

テクパトル「あ、あの・・・」

17600「はぁ・・・テっくんが困ってるからやめてやれよ」

19090「ですが、ミサカが一番ですよね!?」

テクパトル「なんでお前はそこでヤキモチ妬いたんだ!?」

ミサカ一同「テっくん!」

テクパトル「あぁもう!」


テクパトル「こりゃ不幸なのか!?」



186 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 15:58:06.35 ID:W31uDlpE0



垣根「・・・テクパトルのヤツの新居も完成したみたいだな」

心理「そうね」

垣根「つまり、俺達が突撃するべきなんだよな」

心理「明らかに間違ってるわよ」

垣根「なんでだよ、みんなで祝ってやろうじゃないか」

心理「・・・そう?」

垣根「何も悪いことなんてしないって」

心理「はぁ・・・でもみんなで押しかけたら悪いわよ、それにテクパトル君は仕事してるのよ」

垣根「あぁそうだな・・・」

垣根がつまらなそうにソファーに体を預ける

心理「・・・ねぇ、もしかして暇?」

垣根「あぁ、暇すぎて死にそうだ」

心理「・・・それじゃ、久しぶりにデートでもしない?」

垣根「デートか、いいぜ」

ゆっくりと体を起こして垣根が笑う

垣根「ちょうど俺も同じこと思ってたしな」

二人きりのデート編


187 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 18:25:45.97 ID:W31uDlpE0
垣根「・・・なぁ、なんでそんな格好なんだよ」

垣根がぽつりと呟く

そろそろ春になるのか、と感じられる暖かい陽射し

そんな中を二人は歩いていた

心理定規はいつものドレスと違い、今日はかなりラフな服を着ている

上はキャミソールにジャケット

そして、下はジーパン

明らかに適当に合わせましたよ、という感じの服装だった

遠くから後姿を見たら、ビジュアル系に見えないこともない

垣根としては、あんまりそういう女性は好みではない

心理「あら、別にいいんじゃないの?」

垣根「・・・なんか、違和感があるな」

心理「・・・仕方ないじゃない、ドレスはまだ寒いのよ」

垣根「・・・でもさ、家ではドレスじゃん」

心理「家の中は暖かいから」

ジャケットのポケットに手を突っ込みながら、心理定規が垣根のほうを見つめる

垣根「・・・はぁ、せっかく久々のデートなのによぉ・・・」

心理「あら、こういう格好の私は嫌い?」

垣根「嫌いじゃねぇけどさ」


188 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 18:46:31.02 ID:W31uDlpE0
心理「・・・ドレスばっかりだと、飽きられちゃうじゃない」

垣根「誰にだよ」

心理「あなたよ、あなたに飽きられたくなんかないもの」

垣根「飽きるわけねぇだろ」

ふん、と鼻を鳴らして垣根が歩く

心理「あら、そんなこと言いながら最近はあんまり私のドレス、褒めてくれないじゃない」

垣根「毎日毎日感想でも述べられたいのか?俺は週刊誌の記者じゃねぇっての」

心理「・・・そうね、その通りだわ」

垣根「・・・まぁ、たまにはそういうお前もいいかもしれないな」

心理「ありがとう」

ポカポカとした、陽気な空気

体が少し熱いのは、そのせいだろうか

垣根「・・・お前と二人だと、ふざける気にならねぇな」

心理「それでいいじゃない、クールなあなたも素敵よ」

垣根「・・・そうかい」

すれ違うのは、学校をサボった学生ばかりだ

そんな学生達は、目の前を歩く美男美女カップルを不思議そうに見つめている

どこかの映画から飛び出してきたような、そんなカップルを


189 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 21:32:14.71 ID:W31uDlpE0
心理「・・・それにしても、あなたはいっつも服を替えてるわね」

垣根「同じ服なんて飽きが来るだろ」

心理「・・・上条君の前で言ってみなさい、すぐに殴られるわよ」

垣根「デートのときに他の男の名前を出すのはNGだぜ」

心理「キスマークの代わりに張り手の跡がついちゃうかしら」

垣根「そこまでバイオレンスでもねぇさ」

そんなジョークを交わしながら、大した目的地もなく二人は歩く

気がつけば一つ隣の学区にまでたどり着いていた

垣根「・・・そんで?今日はどこ行くんだよ」

心理「そうね・・・」

垣根「レストランか?それとも映画・・・」

心理「今日はあんまりそういう、オシャレな所じゃないほうがいいわ」

垣根「あぁ?」

心理定規の提案に垣根が眉をひそめる

彼女は大抵、ロマンチックなデートを望むものだから

垣根「なんでだよ?」

心理「ちょっとね、昨日読んだ雑誌に・・・たまには平凡なデートもいかが、ってあったから」

垣根「それで今日の予定が決まるのかよ」



190 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 21:35:39.34 ID:W31uDlpE0
心理「あら、時々参考になることも書いてるのよ?」

垣根「どうでもいいよ」

雑誌の記事なんて、そこらへんのオカルト紛いな装飾品となんら変わりは無い

信じたものはそれに没頭しすぎるものだ

もし雑誌の記事が全て本当で、参考になるのなら今頃世界中はハッピーでつまらないものになっている

垣根「・・・UFOの存在とか信じちゃうタイプか」

心理「何言ってるの?」

垣根「・・・なんでもねぇよ、それでその大層な記事にはなんて書いてあったんだ」

心理「いつもオシャレなデートを望んでいるあなた、たまには彼も変化がほしいと思っているはず」

垣根「その時点で間違ってるな、その記事」

心理「あら・・・変化なんて無くても、私がいればいいのかしら」

垣根「常に変化が欲しいんだよ、俺は」

心理「・・・それで、オシャレなデートをいつもする人は普通の学生みたいなデートをしろって」

垣根「たとえば?」

心理「ゲームセンターとか・・・」

垣根「デートでは行くもんじゃねぇよ・・・」


191 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 21:39:48.37 ID:W31uDlpE0
垣根が肩を落とす

心理定規は大きな勘違いをしている

普通の学生だって、デートでそんなところには行かない

少しでもいいところに連れて行こう、というのが普通のデートであって、決して「金のない学生が仕方なく行く場所めぐり」ではないのだ

普通のデートを勘違いする辺り、心理定規は普通ではないのだが

垣根「・・・もっとさ、公園とか遊園地とか動物園とか・・・」

心理「でも、わざわざ今から行くの?」

平日ではあるが、遊園地や動物園はわりと混んでいるはずだ

大学生はすでに休日になっているし、高校もほとんど春休みに入っている

ちなみに二人が体験入学している学校は、恒例の「補習地獄」である

上条や土御門は頭抱えてるんだろうな、と思うと少しニヤニヤしてしまう

そのニヤニヤを心理定規に訝しげな目で見られる

垣根「・・・あ、ちょっとだけマイナーな水族館は」

心理「・・・マイナーかしら?」

垣根「覚えてるか、俺とお前と・・・あと上条たちと水族館デートしたとき」

心理「あぁ・・・あなた、暴れてたわね」

垣根「暴れてねぇよ・・・着ぐるみなんて着てなかったからな」

心理「着てたじゃない・・・まぁいいわ、水族館にしましょう」


192 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 21:43:21.04 ID:W31uDlpE0

水族館の何がいいって、動物園と違ってそこまで匂いがしないことだ

垣根はそう思っている

水槽の中の匂いなんてこっちには伝わらない、よって恐ろしいほどの獣臭がすることはない

それともう一つ、大抵水族館というのはライトが暗めに設定されている

魚を保護するためなのか雰囲気を出すためなのかはわからない

だがそういう暗い場所というのは、なんとも言えない幻想的な雰囲気を漂わせる

休憩用に置かれているベンチに座って、暗い天井を見上げる

そしてふと視線を前に送ればそこには悠々と泳ぐ魚達

そんな水族館が、垣根は好きなのだ

心理「・・・さて、着いたけど・・・」

垣根「じゃあさっさと行こうぜ」

心理「・・・待ちなさいよ」

心理定規は何かのポスターの前で立ち止まっている

垣根「なんだよ?」

心理「カップルだと割引になるんですって」

垣根「へぇ・・・春だからかな」

心理「そうだと思うけど」


193 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 21:47:01.71 ID:W31uDlpE0
垣根「粋な計らいだな、メルヘンだ」

心理「はいはい・・・私達もカップルよね」

垣根「それ、俺たちは今生きてますかって聞くのと同じくらい馬鹿な質問だぜ」

心理「でもそれって哲学よね」

垣根「愛は哲学だ、そんでもって当たり前の感情を難しい言葉で表現するもんだよ」

肩をすくめてから垣根が歩き出す

水族館の入り口に立っている綺麗なアルバイトのお姉さんに声を掛ける

一瞬、そのお姉さんは顔を赤くしていたが、すぐさま自分の仕事を思い出したようだ

垣根「カップルなんだけど、いいかな」

「は、はい・・・そちらの方でよろしいでしょうか?」

心理「えぇ、そうよ」

「それでは・・・何かカップルと証明になるような物がございましたら」

垣根「なんだよ、ここでキスでもしろってか?」

「そ、そんな・・・」

心理「はぁ・・・ほら、私と彼の薬指、見てみなさいな」

「こ、婚約指輪ですね・・・確認いたしました、こちらの券を持たれたまま受付までどうぞ」

垣根「はいはい」

たどたどしい敬語だな、と思いながら何気なしに券に目を落とす


194 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 21:50:03.97 ID:W31uDlpE0
「海よりも深い愛情を!!」なんていう意味のわからないキャッチフレーズと、大して可愛くもないくせにでしゃばっているマスコットキャラクターが目に入る

垣根「・・・なぁ、なんだこのマスコットキャラクター」

心理「・・・イルカン・・・って何?」

垣根「イルカがなんで脚生やしてるんだろうな」

心理「・・・美琴は喜びそうね」

垣根「それはひどい言い方だな」

受付で券をピラピラと見せびらかし、水族館の中へと入る

それでも一人1000円は取られる

魚ってのは大層な金稼ぎになるんだな、と碌でもないことを考えながら垣根は心理定規の手を握る

心理「・・・何?」

垣根「暗いからはぐれないように」

心理「子供じゃないんだから・・・はぐれないわよ」

垣根「子供じゃないからはぐれたくないんだよ」

心理「?」

垣根「いいから」

少し頬を染めた垣根が歩く

垣根「・・・お前って、鈍感だよな」

心理「あなたには言われたくないわよ」


195 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/13(火) 22:07:28.72 ID:W31uDlpE0
今日はここまで
筋肉動画、最近長いですが今日はまた一段と長くなります

サージ・ヌブレ
かつてアーノルドが最高のコンディションで挑んだ1975年のオリンピアで、彼についで二位だった素晴らしい選手です
異名は「ブラック・パンサー」
ステロイドさえ使った事がない、と豪語しています
正直信じられないことですが、彼は晩年まで素晴らしいプロポーションを保っていました
ステロイドを使っていたなら内蔵肥大などが見られてもおかしくないため、もしかしたら本当にステロイドを使用していなかったのかもしれません
彼の素晴らしいところは、トレーニングの内容です

彼はベンチプレスのマックスは225kgと、かなり高いレベルであります
しかし通常胸のトレーニングではわずか70〜100kgの間のウェイトしか使用していません
正しいフォームで効かせる、それだけでも素晴らしいのですが・・・
彼が言うには、「扱っているウェイトの二倍の重さを上げていると思い込みながらトレーニングをする」のだそうです
実は不思議なことに、そのトレーニング法ではかなりの刺激を与えることが出来るのです
怪我のリスクは低く、しかも扱っているウェイト以上の刺激が与えられる・・・
俄かには信じがたいですが、彼の体を見れば頷けるでしょう
その独特のトレーニング法ゆえに、彼は大きな怪我をしたことが無く、また年を取ってもなおトレーニングを続けることが出来ました
若い頃は150kg上げたけど今は70kgだけ・・・なんてことはありません
なぜなら若い頃も70kgくらいでやっているのですから
これは、肉体的ストレスを与えるのではなく、精神的、化学的なストレスを与えるのだそうです
正しいフォームで行うことで目的の筋肉だけに刺激を与え、なおかつ思い込むことで大きな刺激を与える
今のビルダーは重いものばかりを上げようとしています
特に日本のアマチュアの方はそういう傾向が強く、ベンチプレスは手幅を広げてブリッジを高くし、ちょこちょこ上下させるだけ、なんて選手も多いです
それはそれでいいのでしょうが、怪我のリスクも高いですし何よりビデオで見ると滑稽にさえ見えてしまいます
ショーン・レイ曰く「主動筋がウェイトを扱うのであって、ウェイトに主動筋が扱われてはいけない」
セルジオ・オリバ曰く「たまにダンベルをハンマー投げの選手みたくブンブン振り回してるヤツがいるけど、あれって世界記録でも狙ってるのかい?HAHAHA!!」だそうです
それの究極体が、ヌブレの超低重量トレーニングでしょうか
正確には、ビルダーにしては低重量、ですが

彼は長い間・・・というより、生涯現役でした
2003年の動画がyoutubeにあります、その時は65歳なのですが・・・恐ろしい肉体をしています
40歳と言われても頷けるほどの肉体を
オリンピアになることこそありませんでしたが、アーノルドのような「水を入れたような」バルク型の選手というより、「鋼のような」均衡の取れた肉体の選手でした
どちらが素晴らしいか、と言われると答えは出ませんが、アーノルドと並ぶほどの選手と言っても過言ではないでしょう
なおかつ、生涯現役だったのは彼くらいではないでしょうか
70超えてもトレーニングをなさっていましたから

彼の奥さんもビルダーでして、夫婦揃ってトレーニング好きだったのです
そんなこともあり、彼は素晴らしい人生を送りました
享年72歳・・・今年の4月19日、彼は空へと旅立ったのです

幸せな人生を歩み、しかし早すぎる死を遂げました
もしも天国というものがあるならば、ウェイトトレーニングのジムがあればいいですね

彼の異名「ブラック・パンサー」 黒豹は、まさに彼の体を表しています
しなやかで美しい、流れるようなアウトライン
なんで今のビルダーは大きさばかりを求めるのか・・・

http://www.youtube.com/watch?v=XjI1jEOZe_8

ではおやすみなさい

新約読まなきゃww

196 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:18:19.30 ID:XMgUdcU10
お疲れ様ですー
197 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 22:40:34.56 ID:uDVWUdV20
乙なのですよー
198 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/13(火) 23:40:42.60 ID:UcCifIjvo
乙なんだよ
199 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 01:00:24.44 ID:WhYTUd6IO
>下はジーパン
が、下はノーパンに見えた俺はもうダメかもしれん

あと筋肉動画の人達って体重70キロの俺の事を片腕で持ち上げたりできちゃうって事でしょうか?
200 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:34:34.59 ID:LBuDAD930
>>199 何それひわい

難しい話になりますが、まず持ち上げる動作にもよりますね

よく「ウェイトトレーニングって何kgくらい持ち上げるんですか?」って聞かれますが、それって結構難しい質問なんです

まずどの種目で、とも思いますしあと一発のマックスなのか、普段セットで組んでる重量なのか・・・ですね

ですが、ここでは一般的なイメージであろうベンチプレスと仮定します

となると、恐らく70kgの人間を持ち上げるのは難しいでしょう

ダンベルと違い、人間は重心が安定しません

しかも、ダンベルは強く握れますが人間はどこも握ることが出来ませんので、安定させるのが非常に難しいのです

ビルダーが引越しのときに、意外と重い物を持ち上げられないのと同じで、その重さ自体は簡単に持ち上げられるのですが重心が安定しないため、持ち上げるのに苦労するのです

つまり、恐らく70kgの人間を片手で持ち上げるのは難しいと言えますね

では続き


201 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:39:05.81 ID:LBuDAD930

入口から水族館の中までは、いきなりエスカレーターで上がることになる

真っ暗、というわけではないがほとんど前が見えないほどの暗さ

そんなエスカレーターを上がりながら、垣根は考えていた

垣根(・・・そういや、心理定規と二人なんだよな)

いつもなら誰か別の友達が一緒にいるはずだった

デートと言ってもいつの間にかダブルデートになったりしていた

しかし今日はそんな心配もない

本当に二人きりなのだ

それを意識すればするほど、胸は高鳴ってしまう

家で散々二人きりなのに、なぜかデートだと特別に感じてしまうことがある

それは行動自体が特別だからか

それともデートの途中で見られる、愛している人の楽しそうな表情が特別だからか

どちらにしろ、それはとても垣根にとって嬉しいものだった

強く握り締めた手には、自分の鼓動が伝わっていないだろうか

もしも伝わっていたらかなり恥ずかしい


202 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:39:42.54 ID:LBuDAD930
垣根「なぁ」

心理「何?」

声が返ってきただけで、なぜか顔が赤くなってしまう

一度変な風に意識してしまうと、それからずっと緊張するものだ

何をするにも相手がかなりの美人に見え、一日が最高なものになる

垣根はそういうものには強いと自負していた

そこら辺の女に迫られても、特に何も感じない

だが心理定規が相手ならばどうだろうか

答えなんて分かりきっている

先程から高鳴っている胸は何か

垣根「・・・なんかさ、ロマンチックだな」

心理「それはこれから決まるのよ、あなたの努力次第」

垣根「・・・なんだよそりゃ、プレッシャーになるじゃねぇか」

心理「・・・なんだか、今日は少し弱気なのね」

垣根「・・・弱気じゃねぇよ」


203 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:40:10.41 ID:LBuDAD930
照れ隠しはまるで言い訳のよう

強い一言はまるで愛を囁く言葉のよう

何を話すにしても、垣根は緊張しなければならないのか

必死に頭を整理する

こんなの、ただのデートなんだと

今から告白しよう、なんていうわけではない

既に自分の物になっている彼女とのデート

一々緊張なんてしていたら心臓がもたない

なのに

垣根(・・・心理定規の手、柔らかいな)

どうでもいいことを感じ取っては頭が混乱する

自分から勝手に混乱しているのだから、誰に文句を言うことも出来ない

心理「ねぇ」

垣根「な、なんだよ」

いきなり話し掛けられたら驚いてしまう

デートというのは会話から成り立つものだ


204 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:40:39.43 ID:LBuDAD930
普通の垣根ならば、そんなことも理解していただろう

だが今の彼は「普通」ではないのだ

垣根(・・・あぁ、こいつがいつもと違う格好してるから特別なのかもな)

ほんの少しの変化が、彼には大きな変化になる

ましてやそれが心理定規の変化ならば

垣根「・・・なぁ、さっき・・・あんまりその服似合ってないみたいに言っちまったよな」

心理「えぇ・・・正直、ちょっとショックだったのよ?」

垣根「いや・・・そのさ、たまにはそういうのもいいな」

心理「あら、それは気を遣ってるのかしら」

垣根「違う」

もうすぐエスカレーターは終わってしまう

ずいぶん長く感じたが、実際はわずか1分程度だ

エスカレーターの天井は深海をイメージしたようなライトアップに変わってきた

それでも、今はそんなことには気を向けていられない

垣根「似合ってる、お前はなんだって似合うんだ」

心理「あ、ありがとう」


205 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:41:12.71 ID:LBuDAD930
心理定規が面食らったような声を出す

垣根のそんな必死な反応は初めてだった

いつもなら少しはにかみながら、優しく反応してくるはずだ

大人で紳士な彼なら

心理「ねぇ、何かあった?」

垣根「何もねぇさ」

心理「それにしては・・・なんだか、いつもと様子が違うわよ?」

垣根「久しぶりに二人きりだから緊張してるんだよ、察してくれ」

心理「あ・・・」

ぎゅっ、と心理定規が垣根の手を握る

垣根「なんだよ」

エスカレーターが終わってしまう

その先には恐らく、美しい魚達が泳ぐ巨大な水槽が広がっているのだろう

これからデートは本番だ

なのに、なぜかエスカレーターが終わってしまうのが嫌だった

刻一刻と終わりが迫って来る

まるでこのエスカレーターだけが、デートでいられる空間のように感じられる


206 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:41:44.60 ID:LBuDAD930
心理「・・・私も」

ぽつり、と消え入りそうな声で心理定規が応える

実際、周りの客には誰一人聞こえていなかった

心理定規と他人である周りの客には

そんな中、垣根だけには

彼には、聞こえた

心理「私も、あなたと二人きりで緊張してる」

不安ではなく、嬉しさや恥ずかしさから来る震えを持った声が

垣根「・・・お前が楽しめるように努力するよ」

心理「・・・お願いしていいかしら」

垣根「当たり前だろ」

強く心理定規の手を引っ張り、エスカレーターから彼女を降りさせる

想像通り、目の前には大きな水槽が広がっていた

つい、ため息をついてしまう

なんと美しい光景なのだろうか

人間は海から生まれたとは、こういう理由から言われるのかもしれない

海の中に落とされると不安になるだろうが、水族館の中にいるとなぜか落ち着きさえ覚える


207 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:42:18.77 ID:LBuDAD930
文明を築いたせいで海の中で暮らすのは怖くなったのかもな、と垣根は考える

だが少ししてそんな難しいことに思いを馳せるのは辞めた

目の前に広がっているのは哲学や理屈を並べて汚していい光景ではない

難しいことはテレビでよく見る学者にでも任せれば良いのだ

今は、ただこの美しい光景を楽しんでみるべきだ

心理「綺麗ね」

垣根「あぁ、なんだか俺達まで海の中にいるみたいだ」

心理「ふふ・・・そのままじゃない」

垣根「・・・こんなの目にして、難しい言葉は並べられねぇな」

心の底から感動しているのが分かる

水槽の近くには、「写真を撮らないで下さい」との注意書きがあった

フラッシュが魚に影響してしまうからだ

だがしかし、こんな美しい光景ならたしかに写真に収めてしまいたくもなるだろう

垣根「・・・見ろよ、小さな魚はやっぱり群れるもんなんだな」

心理「人間と同じよ、一人じゃ何も出来ないから・・・仲間を集めて動くのよ」

垣根「魚は損得勘定なんてしない、人間なんかと比べたら・・・」


208 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:43:06.04 ID:LBuDAD930
そこまで言ってから、垣根が自分自身に呆れる

どうしてそう難しい方向に持っていってしまうのか

心理定規はただ、「仲良しな魚達」と言いたかったに違いない

なのに自分は難しい解釈をしてつまらない話をしてしまう

もしも自分がそれを聞かされる立場だったらどうだろうか

こんな幻想的な光景を目にしていても、一瞬にして熱が冷めてしまうだろう

申し訳ない気持ちになりながら、何気なく心理定規のほうを見る

視線がぶつかったということは、心理定規も彼を見つめていたのだ

心理「・・・なんだか、あなたらしい解釈ね」

クスクスと笑いながら心理定規が呟く

垣根「・・・悪い、こんな幻想的な光景には似合わなかったな」

心理「でもあなたには似合うわよ」

垣根「・・・」

心理「・・・ねぇ、あっちの大きな魚は何かしら」

垣根「あれはマグロだな」

心理「あら、マグロってあんな見た目だったのね」


209 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:43:39.69 ID:LBuDAD930
垣根「・・・」

垣根が小さく笑う

心理定規がそんなことも知らないわけはない

ということは、場を和ませるためにわざわざそんな話題を振ってきたのだろう

そんな気遣いが今は嬉しかった

垣根「・・・マグロってたしか、泳ぎ続けないと死ぬんだっけ」

心理「泳ぎながら呼吸するのよね」

垣根「進まなければ待つのは死、か」

心理「なんだか上条君みたい」

クスクスと心理定規は笑うが、なぜか垣根は眉をひそめてしまった

なぜだか、彼女の口から他の男の名前が出たのが気に食わない

いつもなら軽く流せるはずなのに

心理「あらごめんなさい・・・デート中だったわね」

垣根「・・・別にいいんだよ、そんくらい」

心理「それにしてはかなり険しい表情ね」

垣根「悪いかよ・・・ヤキモチだヤキモチ」

心理「可愛い人」


210 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:44:24.24 ID:LBuDAD930
垣根「ほら、次行くぞ」

垣根が再び歩き出す

次の水槽は鮫が泳いでいた

ここはかなりの迫力だ

鋭い目つきを見ると、さすが海のハンターだと頷いてしまう

心理「・・・私、海で泳いでて鮫が来たら、気絶する自信があるわ」

垣根「は?なんだよいきなり」

心理「あなたはどう?海ってたまにそんな風な不安に襲われること、ない?」

垣根「うーん、あ・・・でも船に乗ってる時、落ちたらどうしようってことならガキの頃は思ってたな」

心理「深い青って不気味ですもの、私は嫌よ」

垣根「・・・いや、水族館でそういう台詞は考えものだな」

心理「ここはいいのよ、だって安全ですもの」

垣根「・・・そうか?」

水槽のガラスに少し近づく

子供の頃は、このガラスが壊れたら中にいる魚達が自分を襲うものだと思っていた


211 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:45:07.50 ID:LBuDAD930
実際、壊れることなんてありえないのだ

万が一そうなったとしても、魚達は水が無ければ行動出来ない

自分を襲いに来るなんて馬鹿馬鹿しい考えではある

垣根「もしかしたら、このガラスが割れるかもしれないぜ?」

心理「や、やめなさいよ・・・そんな冗談」

垣根「なんだ、そういうの苦手か」

心理「・・・あなた、ジョーズって映画知ってる?」

垣根「この水槽にはホオジロザメなんていないぜ」

心理「・・・あんな映画を知ってたら、多少は怖いのよ」

垣根「・・・そうか?」

水槽の中を泳いでいる鮫を見つめる

昔は怖くて直視出来なかったような気がする

だが今はそんなこともない

よくよく見てみれば、文字通り鮫肌というものが確認できる

あれで山葵をおろすんだな、と感想を抱く

その山葵が刺身の付け合わせになるのはなんともシュールだ


212 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:46:10.96 ID:LBuDAD930
心理「ほら・・・あんまり近づかない・・・」

垣根「あ、ヒビ入ってる」

心理「!」

出まかせを口にするが、心理定規には中々効果があったようだ

手を握る強さが一段と強くなる

垣根「ははは・・・冗談だよ、悪いな」

心理「な、何よ・・・」

垣根「お前って意外と怖がりなところもあるんだな」

心理「・・・あなたと二人きりだと、なんだか弱気になっちゃうの」

垣根「俺に甘えたいからか?」

心理「分からないわよ」

垣根「・・・次、行くか」

心理「えぇ」

鮫に背中を睨まれている気がしたが、それを無視して先に進む

次は小さな水槽がたくさん並んでいるゾーンだ

熱帯魚やクラゲの子供、砂から顔を出したり引っ込めたりしているよく分からない魚


213 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:46:39.57 ID:LBuDAD930
そんな物の中に、海蛇がいた

心理「・・・海蛇って、かなり強い毒を持った種類もいるのよね」

垣根「たしか地球で一番強い毒だったっけな」

心理「あら、そうだったかしら?」

垣根「・・・海蛇って不気味だよな」

心理「メデューサを思い出すわ」

垣根「あれはまた別の恐さがあるけどさ」

心理「・・・海で出くわしたくない生物の二番目ね」

垣根「そうだな」

心理「・・・あ、こっちは小さなカニがいる」

垣根「本当だな・・・なんだか笑えるくらい小さいな」

心理「昔はこういうの見てると、美味しそうって思ってたわね」

垣根「あぁ、あったあった」

心理「そんな夢のないこと・・・って今なら思うけど」

垣根「・・・お前にもそんな時代があったんだな」

心理「あら、私だって普通の女の子なのよ?」


214 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:47:08.51 ID:LBuDAD930
垣根「・・・お前って昔から冷めてるヤツかと思ってた」

心理「・・・冷めてるかしら」

垣根「・・・クールってことだよ」

心理「子供の頃もわりとクールだったけど、内心はわりと普通だったのよ?」

垣根「へぇ・・・」

そんなことを話しているうちに、少し寂しさを覚える

垣根が心理定規と出会ったのは、すでに二人が「落ち着き出す」年齢の時だった

もしももっと早く出会えていたら

今とは違った心理定規を知れたのだろうか

今と違う心理定規の一面を理解出来たのだろうか

それがなぜか、とても悔しく感じられる

垣根「はぁ・・・お前ともっと早く出会ってればよかったな」

心理「何よいきなり?」

垣根「小さい頃のお前とか・・・知りたかったからさ」

心理「独占欲かしら」

垣根「んなつまんないもんじゃねぇよ・・・純粋な愛情から来る好奇心だ」

心理「好奇心・・・ね」

心理定規が目を細める

それなら、彼女だってもっとたくさんのことを知りたかった

垣根のことをたくさん、それこそその全てさえも


215 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:47:48.14 ID:LBuDAD930
垣根「・・・くだらない愛情かな」

心理「あら、私は嬉しいわよ?」

垣根「・・・」

垣根が心理定規をじっと見つめる

彼女の澄んだ瞳には、彼の姿が浮かんでいる

それがとても愛おしい

今すぐにでも抱きしめたくなる衝動を抑え、垣根が彼女の手を引く

垣根「次はラッコのゾーンみたいだ、行こう」

壁に書かれた案内板をちらりと見てから歩き出す

心理「・・・ラッコ、ね」

垣根「なんだよ、ラッコは嫌いか?」

心理「ラッコが嫌いな人なんてあんまりいないわよ」

垣根「・・・ならなんでそんなに嫌そうなんだ」

心理「嫌なんかじゃないわよ」

心理定規がため息をつく


216 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:48:25.50 ID:LBuDAD930
垣根には分からないのだろうか

いや、分かっているはずなのだ

ラッコのゾーンとなると、水族館のちょうど半分の境目になっている

急ぎ足で来たという理由もあるが、楽しいデートの時間が残り半分だと知らされるようなものなのだ

それが悲しくて、あまり進みたいと思えない

垣根「・・・じゃあ、ちょっと寄り道するか」

心理「寄り道?」

垣根「そっちのエスカレーターを下に行ったら、珍しい魚のコーナーがあるんだよ」

心理「あら、よく知ってるわね」

垣根「ちょうどニュースでやってたんだよ」

そんなことを言うが、本当は違った

いつか二人でデートをしたいと思っていたからこそ、事前に調べていたのだ

心理「じゃあ、そっちに行きましょう」

垣根「あぁ」

エスカレーターを下に下りると、面白い色をした魚が目に入った

しかも、何やら牙のような歯が生えている

心理「これ・・・ピラニアよね?」


217 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:49:04.67 ID:LBuDAD930
垣根「あぁ、血の臭いに敏感なヤツらだよ」

心理「すごい・・・初めて見たわよ」

垣根「俺も生で見るのは初めてだな」

鮫とはまた違う恐ろしさがある

アマゾン川で泳いでいてちょっと怪我をしたら

それだけで、ピラニアが大群となって襲い掛かって来る

とは言っても、川の中で怪我をすれば傷口から・・・

なんて考えを、またしても垣根が途中で終わらせる

垣根(・・・科学側にいるとどうしても難しく考えちまうな)

本当は、彼が理屈っぽいというか物事を深く考える性格だからなのだが

心理「・・・あ、あっちにはピラルクがいるわ」

垣根「うっわ・・・ノッペリしてんなぁ」

大きな水槽の中に、長くて地味な印象の魚が入っていた

かなりの大きさだ

一緒に泳いでいいですよ、なんてサービスがあっても絶対に参加したくない

それくらい大きな魚だった


218 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:49:45.97 ID:LBuDAD930
垣根「地球で最も大きな淡水魚だとよ」

心理「・・・ピラルクとピラニアって、名前が似てるわね」

垣根「生存してる地域も同じだしな」

心理「・・・アマゾン川って怖いのね」

垣根「その解釈は間違ってるぞ・・・」

心理「・・・あ、電気鰻がいるわよ」

心理定規がまた別の水槽の元に駆け寄る

こうして見ているとただの女子中学生だ

それを見て笑っている垣根も、ただの男子高校生に見えるのだが

垣根「・・・電気か、御坂みたいだよな」

心理「・・・」

垣根「あぁ悪い」

心理「・・・いいわよ、私もさっきは上条君の名前を出したし」

垣根「・・・御坂」

心理「上条君」

垣根「御坂!」

心理「上条君!」


219 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 10:50:44.28 ID:LBuDAD930
垣根「・・・何やってんだろうな」

心理「はぁ・・・ヤキモチを妬かせようとするなんてくだらないわね」

垣根「あぁ・・・あ、放電した」

電気鰻の水槽の上には、何かメーターのようなものがついていた

どれほどの電流を放ったかが分かるようになっている

垣根「・・・なんかさ、電流を操る魚なんて卑怯だよな」

心理「一体どういう仕組みなのか気になるわよね」

垣根「・・・ビリビリしてるな」

電気鰻自体は感電しないことは今でも不思議に思ってしまう

垣根「っと・・・あっちには小さなクラゲがいるみたいだな」

心理「私、結構クラゲって好きなのよ」

垣根「プカプカしてるの可愛いよな」

心理「分かってくれる?」

顔を見合わせてから、二人が吹き出す

あまりにもおかしな会話だった

彼等のような人間が口にするような会話ではなかった

垣根「ははは・・・でもよ、たしかにクラゲはいいな」

心理「・・・優雅というか、自由というか・・・」

垣根「・・・見た目はちょっとグロテスクだけどな」


220 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 11:00:09.05 ID:LBuDAD930
心理「フワフワしてるなんて、私達の心みたいね」

垣根「どこに落ち着くこともないもんな」

心理「・・・でも、その不安定なのが楽しいのかしら」

心理定規が垣根の肩に頭を乗せる

ちらり、垣根は辺りを見渡す

何組かのカップルはいるが、大して二人には注目していないようだ

それでよかった

垣根「・・・あんまり甘えすぎるなよ」

心理「あら、二人きりなんだからいいじゃない」

垣根「・・・構わないけどさ、俺だってさすがに疲れるもんなんだよ」

心理「男らしくないわね」

垣根「・・・自覚はある」

心理「でも、それもまた素敵よ」

垣根「・・・上上がるぞ、ラッコが見たい」

心理「あ、待ちなさいってば」

照れ隠しなのか、手を放して若干距離を置きながら歩く

心理「もう・・・そうやってすぐ先に行こうとするのね」


221 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 11:09:46.10 ID:LBuDAD930
垣根「・・・ちょっとばかり先に行って、俺の背中を見せてやるよ!」

ニヤリ、と笑いながら垣根が振り返る

心理「・・・でもね、あなたの背中はいつも遠すぎるのよ」

垣根「おいおい、傍にいるんだからそんなことはねぇだろ」

心理「あるのよ」

垣根「・・・じゃあ仕方ねぇな」

垣根が立ち止まり、心理定規が隣に来るのを待つ

そしてその手を再び、優しく握る

垣根「これで文句ねぇんだろ?」

心理「えぇ、これなら安心よ」

垣根「はぁ・・・指輪までつけてるってのによ」

軽く悪態をついた垣根が、エスカレーターに足を踏み入れる

心理「・・・ねぇ、垣根」

垣根「なんだよ」

心理「今、楽しい?」

垣根「・・・楽しいよ、すごくな」

心理「そう」

短い会話だな、と垣根は笑う

その短い会話で愛が伝わるのならそれでも構わなかった


222 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 11:26:11.50 ID:LBuDAD930

垣根「・・・ラッコってなんでこんなに可愛いんだろうな」

心理「さぁ・・・不思議よね」

ラッコのいる水槽の前で、二人はぽつりと呟いた

貝殻をおなかの上に乗せて必死で割ろうとしているラッコ

その姿に愛くるしさを覚えない人間がいるのだろうか

垣根「・・・あれさ、おなか痛くないのかな」

心理「・・・慣れてるんじゃないの?」

垣根「へぇ・・・」

心理「・・・可愛いわよね・・・」

垣根「・・・あぁ、可愛い」

ぽけーっとしながらラッコを見つめる

水の流れに乗って流されるラッコ

のらりくらりとしている丸っこいボディ

こりゃ御坂がいたら卒倒してるな、と垣根が鼻で笑う

心理「・・・ねぇ、あのラッコと私、どっちが可愛い?」

垣根「はぁ?何か言ったか?」

心理「・・・なんでもない」


223 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 11:35:12.57 ID:LBuDAD930

垣根「・・・はぁ、もう最後か・・・」

イルカショーの行われる会場で、垣根は溜め息をついていた

水族館というのは、大抵最初と最後が面白い

遊園地のようにいろんなアトラクションがあるわけでもない

動物園のように、様々な生態の生き物がいるわけでもない

水族館の欠点はそこだろう、たしかにラッコやイルカ、カニなどの変り種もいるにはいるが、大抵は「泳ぐ」だけの魚だ

大きさ、形や種類は違ってもさすがにずっと見るのには堪えられない

象がでかいね、キリンは首が長いね、ライオンは迫力があるね、猿が鳴いてるよ!!という、一一変化のある動物園とは少し違うのだ

心理「・・・そうね」

よって、ラッコのあとは軽く流しながら見るだけだった

もちろん、いくらかは目を引かれるものもあったが

心理「・・・それにしても、まだ正午にもなってないのね」

腕時計をみると、ちょうど11時半

イルカショーは20分間のため、これが終わって外に出る頃にちょうど正午といったところか

垣根「・・・昼飯も考えないとな」

心理「・・・今はイルカショーを楽しみましょうよ」

じっと、イルカの水槽を見つめる


224 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 12:01:54.86 ID:LBuDAD930
つぶらな瞳のイルカが、まるで自分を見つめているかのように錯覚してしまう

それほど、イルカというのは可愛らしいものだ

ずっと自分を見ていて欲しいと思うほどに

心理「見て・・・トレーナーさんに相当懐いてるわね」

垣根「そりゃそうだろうな」

トレーナーが笛を吹くだけで、ジャンプをしたり宙返りをしたり、立ったまま後ろに泳いだりする

人間なんかよりよっぽど利口なものだ

垣根「・・・あぁいうのを見てるとさ、動物も馬鹿には出来ないよな」

心理「ふふ・・・むしろ、動物のほうが人間よりも純粋よ?」

垣根「そうかもしれねぇ」

エサをもらえるから、トレーナーに褒めてもらえるから

それだけでよくもあそこまで頑張れるものだ、と考えると自然に拍手してしまう

子供に混じって拍手をするのはなんとも照れくさいが

垣根「・・・ほら、お手伝いさん募集してるぜ?」

心理「いいのよ、子供達がこんなにも手を上げてるんだから」

垣根「そうか」


225 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 12:53:58.19 ID:LBuDAD930
心理「・・・ねぇ、垣根」

垣根「なんだよ」

トレーナーに当てられた子供が嬉しそうにはしゃいでいる

きっと、イルカに間近に近づくのが初めてなのだろう

心理「・・・私達も、あんな時代があったのよね」

そんな純粋な子供たちを見つめながら、なぜか寂しそうに呟く

垣根「・・・あったのかもな、きっと」

心理「覚えてる?そんな昔のこと」

垣根「忘れてるかもな」

心理「・・・そうよね、私も覚えてないもの」

垣根「でもさ、お前と出会ってからのことは覚えてるけど」

心理「それはもう、昔のこととは言えないじゃないの」

垣根「それもそうだな」

心理「・・・ありがと、垣根」

垣根「あ?何がだよ」

心理「ほら、子供達が頑張ってるわよ」

垣根「おぉ、やるじゃねぇか」


226 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 12:57:59.62 ID:LBuDAD930
心理「・・・ねぇ、垣根」

垣根「なんだ?」

心理「・・・あの子供達みたいな純粋な瞳を・・・私は、もう一度手に入れられるかしら」

垣根「・・・」

イルカに指示を出している子供達

あんなにも純粋な笑顔があるのか、と驚くほどに幸せそうな顔をしている

長い人生を歩んで、穢れを知ってしまってはあんな表情はできないだろう

垣根「・・・何言ってるんだよ」

それでも、垣根は応える

別に純粋な瞳なんかじゃなくても構わないから

そこに自分が映っているなら、それでいいのだから


垣根「俺は、お前の瞳が好きだ」

垣根「・・・綺麗だからな、世界のどんな宝石を集めた輝きにも勝ってる」

心理「・・・そう?」

垣根「あぁ・・・」


垣根「・・・だってさ、俺が虜になってるんだからよ」


227 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 13:30:00.40 ID:LBuDAD930
妹と映画に行くことになった

何が悲しくて、と思うかもしれないがやはり持つべきはオタクの理解者

では行ってきます


投下は夜にちょいとだけになります

228 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 14:23:13.62 ID:1nr5SMMIO
けいおん!かっ…

いてらー
229 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 18:04:27.76 ID:LBuDAD930
>>228 細かいことは(ry

可愛いお姉さんがいたから上機嫌

では続き


心理「あなたって・・・ホント、素敵よね」

イルカのショーから目を放し、隣にいる垣根を見つめる

横顔を見る限り、彼は今の言葉を聞いていたようだ

目の前にある頬は真っ赤に染まっている

それがなぜか愛おしい

心理「垣根」

垣根「なんだよ」

心理「私を見て」

そんな言葉を今まで何度口にしただろう

しかし何度口にしても、彼女の愛情が満ちることはなかった

むしろ更に垣根を欲してしまう

垣根「・・・イルカショー、見てるんだよ」

心理「ごめんなさい、でも私だけを見ていて欲しかったの」

垣根「・・・仕方ねぇな」

心理定規と視線がぶつかった瞬間、垣根の思考が停止する


230 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 18:05:20.21 ID:LBuDAD930
彼女の幸せそうな笑顔にクラリと理性が揺れる

イルカショーを見られたのが嬉しかったのか

違う、垣根と二人でいられることが嬉しいのだ

垣根「・・・そんなに楽しいのかよ」

心理「あら、当たり前じゃない」

垣根「・・・お前はホント、気楽だな」

心理「気楽?どうしてそうなるのよ」

垣根「・・・こんな時間をただ純粋に幸せだと感じている」

心理「幸せ以外の何なのかしら」

垣根「・・・幸せだな」

少し考えてから垣根が苦笑する

闇の中から這い上がった彼に、もうそんな難しく考える必要はない

幸せな日常は、ただの幸せなのだ

心理「・・・あなたの幸せが壊れそうになったら、私が守ってあげるから」

垣根「お前には力がねぇだろ」


231 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 18:05:52.94 ID:LBuDAD930
心理「力なんて無くても守れるわよ」

垣根「・・・そうかい」

ふん、鼻を鳴らす垣根

嬉しそうに見えるのは決して気のせいではないだろう

心理「・・・垣根、ありがとう」

垣根「・・・どういたしまして」

何に対しての感謝なのか

考える必要があるだろうか

こんなに同じ気持ちを抱えているのに

心理「あら、ショーが終わったわよ」

いつの間にか、トレーナーがイルカを一カ所に集めていた

すぐに餌をもらったイルカが満足そうにして水の中へ戻っていく

垣根「もったいねぇ・・・しっかり見とけばよかったな」

心理「いいんじゃない?こういうのも私達らしくて」

垣根「そういうもんか?」

心理「・・・ほら、帰りましょう」


232 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 18:06:26.75 ID:LBuDAD930
垣根「あぁ」

体を起こしてから垣根が首を鳴らす

垣根「・・・すまなかったな、最後の最後にちょっと無駄しちまった」

心理「あら、素敵な無駄じゃない」

垣根「・・・これからどうする?昼飯はいつものレストラン・・・」

心理「言ったでしょ、普段とは違うデートがしたいのよ」

垣根「・・・じゃあどこにするんだよ」

心理「ハンバーガーとかどうかしら」

垣根「・・・お前がハンバーガー食べるのか?」

似合わない、と垣根が感想を抱く

だがそんなイメージはあくまで周りが勝手に作り上げたものだ

心理定規だってそういうのを食べることもあるのかもしれない

垣根「とにかく、出ようか」

心理「えぇ」

垣根が先導する形で水族館の外に出る


233 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 18:11:42.93 ID:LBuDAD930

垣根「うっわ、寒い・・・」

水族館の中にいたから忘れていたが、まだ外は寒さの残る気温なのだ

あれでも、しっかりと暖かい空調になっていたんだな、と感心してしまう

それを感じなかったのは海の生き物に囲まれていたからか

心理「・・・寒いわね」

垣根「手、繋いでいいぞ」

心理「ありがとう」

ぎゅっと垣根の手が握られる

人の温もりとは不思議なもので、簡単には消えることは無い

たとえ手が冷えていても、なぜか温もりを感じることもある

精神的なものなのだろう、と感心しながらも道を歩く

垣根「・・・なぁ、本当にハンバーガーでいいのか?」

心理「それは、私が怒り出しそうなのを心配して?」

垣根「お前ってジャンクフードとか得意だっけ?」

心理「苦手かどうかわからないわ、あんまり食べないから」

垣根「・・・これで苦手だったら、俺が食べることになるんだろうな」


234 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 19:48:24.11 ID:LBuDAD930

心理「あら、ずいぶんと並んでるわね」

大手チェーン店のハンバーガーショップ

その店舗の前で、心理定規は外に貼られているメニューをじっと見つめていた

春だからなのだろうか、「桜バーガー」なんてのが売り出されているようだ

どうせ材料に桜海老でも使われているのだろう

そんな分析をしてから、桜バーガーは候補から除外する

垣根「・・・そうだな、俺はテリヤキバーガーでいいかな」

心理「あら、一つでいいの?」

垣根「お前がハズレを引いた場合のためだよ・・・」

心理「いいのよ、自分の食べたいものを食べなさい」

垣根「・・・テリヤキバーガーとチーズバーガーでいいかな」

心理「なんだか適当な選び方ね」

垣根「ジャンクフードだろ?んなもんどれ選んでも同じだろ」

心理「そんなことないわよ、ちゃんと味付けも・・・」

垣根「こんなもん、冷凍食品とフリーズドライのオンパレードだろ」

心理「・・・そういう裏事情は言わないで欲しいわね」

垣根「そりゃすまなかったな」


235 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 19:54:45.89 ID:LBuDAD930
心理「・・・私は普通のハンバーガーと・・・」

垣根「・・・二つ頼むのか」

心理「・・・これ、何?」

垣根「あぁ、こりゃサラダだよ」

心理「サラダってプラスチック容器に入ってるもの?」

垣根「・・・スーパーとかでよく見るだろ」

心理「そうだけど・・・普通、皿に乗っているものじゃないの?」

垣根「ジャンクフードだって」

心理「・・・美味しいのかしら」

垣根「だから、どうせ冷凍保存した食材でも使ってるんじゃねぇの?」

心理「・・・安いものを提供するにはそれしかないのよ」

垣根「・・・あんまりそういうのって健康によくなさそうだよな」

心理「・・・ねぇ、お願いだからそんなつまらないことを言わないで」

垣根「最近の学生が太ってるのはそういう理由か?」

心理「・・・はぁ、とりあえず頼みましょう」

垣根「あぁ」

列に並び、前の学生たちを見つめる

どうやら大学の昼休みの間に買いに来ているようだ


236 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 20:00:07.81 ID:LBuDAD930
垣根「・・・なんでわざわざ昼飯にこんなもん食うんだろうな」

心理「いつも食べるわけじゃないんじゃ・・・」

そこまで言って、心理定規が口をつぐむ

学生の一人が携帯クーポンをかざしているのが見えたからだ

心理「・・・前言撤回するわ、やっぱりかなりの頻度で利用しているようね」

垣根「・・・はぁ、俺だって普段はこんな店なんて来ないぞ」

心理「・・・私も来ないわよ」

垣根「あぁ寒いな寒いな」

ポケットに手を突っ込んだ垣根が息を吐く

まだ白くなる辺り、春は先なんだろうと考える

心理「・・・ほら、私達の番よ」

垣根「あぁ、わかってる」

アルバイトの女性は垣根の顔を見て少し不思議そうにしている

彼はわりと有名人で、こんな店に来るような人間でないということも知られている

垣根「・・・たまに食いたくなるときがあるんだよ、お嬢さん」

「は、はい」

垣根「こいつとこいつとこいつとこいつ、一つずつ」

わざわざ商品名を口にするのも面倒だ

メニュー表を指差して適当に注文する


237 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 20:06:55.22 ID:LBuDAD930

「お待たせいたしました」

少ししてから、商品が渡される

ビニール袋の派手なデザインがなんとも鬱陶しい

心理「ありがとう、寒いけど頑張ってね」

「あ、ありがとうございます!!」

社交辞令ともとれるような挨拶をしてから、二人が背を向けて歩き出す


垣根「・・・公園でハンバーガー頬張るなんて、俺たちのキャラじゃねぇぞ・・・」

心理「あら、あなたはいっつもこんな感じじゃないの」

垣根「・・・いっつも、か」

心理「ほら、テリヤキバーガーとチーズバーガー、あなたのよ」

垣根「・・・うっわ、見ろよこれ・・・包装紙にまで汁がベットリついてやがる」

心理「相当濃い味みたいね」

垣根「ジャンクフードだからな」

心理「あら、私のはそうでもないわね・・・」

垣根「・・・サラダもそれだけで200円か」

心理「いいじゃない、お金なんて腐るほどあるんだから」


238 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 20:31:12.70 ID:LBuDAD930
垣根「・・・じゃあ、いただきます」

心理「いただきます」

丁寧に手を合わせてからハンバーガーを頬張る

テリヤキのタレが少し邪魔臭いが、なんとか我慢する

垣根「・・・もう少し髪が長かったら、俺は苦戦してただろうな」

心理「ちょっと、ほっぺたについてるわよ」

垣根「あぁ?どこだよ」

心理「こっち向いて」

心理定規がハンカチで垣根の頬を拭く

なんだか母親みたいだな、と思いながらも垣根が礼を言う

心理「・・・あなたも、たまに子供っぽいところがあるわね」

垣根「それもまた魅力だろ」

心理「・・・そうだけど」

垣根「ならいいじゃねぇか」


239 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 21:12:07.19 ID:LBuDAD930
心理「・・・それにしても、こんな平凡なデートは初めてね」

垣根「お前のためにいつも肩肘張ってたからな」

心理「気遣いなんていらないのに」

垣根「・・・でもさ、オシャレなデートにしたいじゃねぇか」

心理「それはわかるけど・・・でも、デートで肩肘張ってどうするのよ」

垣根「仕方ないだろ」

心理「・・・ほら、もう少し気楽にいきなさい」

垣根「・・・お前、ほっぺについてるぞ」

心理「あら、どこ・・・?」

垣根が心理定規の頬を指差す

垣根「取ってやるからハンカチ貸せよ」

心理「・・・えぇ」

少し顔を赤くした心理定規がハンカチを渡す

垣根(・・・なんだよ、こんな平凡なデートなのにな)

心理定規の頬を拭いてから、なぜか垣根は彼女に笑い掛けてしまった

垣根(・・・それなのに、こんなに幸せなもんなんだな)


240 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 21:27:56.25 ID:LBuDAD930
今日はここまで

映画とか久しぶりだったけど、あの大画面でいつかサトリナの声を聞きたい

そして耳に焼き付けたい

今日の筋肉動画は「モハメド・ベナジザ」を

彼のなにがすごいか

ドリアンがプロに転向したあと、敗北を喫したのはヘイニーとベナジザだけなんです

すっごいですよね

そこまで身長の高い選手ではないのですが、ありったけに筋肉を詰め込んだ感じですね

ドリアンにも、背中の精密さで勝っていると思います

しかし、1992年に33歳で高い

これからという選手が、残念でした

http://www.youtube.com/watch?v=zE7i_EpfIW0 

モンスター並のバルクと、美しいカット

今のビルダーとはまた違う迫力があります

ではおやすみなさい


241 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/14(水) 21:30:02.89 ID:LBuDAD930
>>240 33歳で他界、の間違いだ

照れ隠しにオリバの動画を

1分18秒、オリバーポーズ

化け物か・・・


http://www.youtube.com/watch?v=k8fRPqK48KM
242 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 21:40:59.29 ID:PYgnRP5IO
つ ネギま!
243 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 22:12:02.42 ID:Y+DXIZQj0
1乙なんだよ!!
244 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/14(水) 22:39:37.98 ID:eoP8484Do
乙にゃんだよ!
245 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:04:11.20 ID:FtzWZrPQ0
垣根「・・・はぁ、たまにはジャンクフードも悪くはないな」

心理「でしょ?私の選択も間違ってはいなかったわ」

垣根「・・・でもさ、やっぱり俺はレストランのほうがいいな」

心理「私もそう思うわ・・・さすがに毎回これを食べてたら太りそう」

サラダの残り一口を食べた心理定規が顔をしかめる

ちょうどレタスの苦い部分が当たったようだ

心理「・・・それに、少し味付けが合わないわ」

垣根「だから言ったじゃねぇか」

心理「マンネリを回避するためにしか使えなさそうね」

普通は、マンネリを回避するには高いレストランに行く

普段はジャンクフードのほうが当たり前だ

だが二人は金持ちなため、そんなことは分からない

垣根「・・・で?これからは」

心理「・・・予定がないまま出てきたから・・・困るわよね」

垣根「・・・ゲーセンじゃなかったか、行きたいの」


246 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:04:36.30 ID:FtzWZrPQ0
心理「でもデートで行くような場所じゃないんでしょ?」

垣根「お前が行きたいなら構わないさ」

ハンバーガーの袋を公園のごみ箱に捨て、垣根が水道で手を洗う

染み付いたタレの匂いは風呂に入らないととれそうにないが

心理「それじゃ、お願いしていいかしら」

垣根と同じように手を洗いながら、心理定規が呟く

特に行きたい場所が無いのだから、どこに行っても大差ない

垣根「・・・たしか、この近くにあったはずだ」

心理「よく知ってるわね」

垣根「・・・ちょっとな」

美琴がよく荒らしているゲーセンなのだそう

しかし、デート中に他の女性の名前を出すとまたくだらない喧嘩が始まりそうだ

それだけはなんとしても避けたかった

垣根「ちょうどいい公園に来たってわけだ」

心理「なら行きましょう、結構楽しみなのよ」


247 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:05:03.74 ID:FtzWZrPQ0
垣根「ゲーセン、初めてじゃないだろ」

心理「でもあまり行かないから」

垣根「・・・そっか」

ゲーセンに行かないとは中々珍しい、と思われるだろう

心理定規は中学生の年齢だ

むしろ毎日ゲーセンに行ってます、と言われたほうが自然でもある

そんな彼女がそういった平凡な日常を暮らせていなかったのは悲劇と言うべきだろう

垣根「・・・だったら」

心理「?何か言った?」

垣根「なんでもねぇ、行くぞ」

ぐい、と強引に心理定規の手を引っ張る

垣根(・・・俺達のせいで無くなった日常なら、俺が送らせてやる)

垣根(・・・無くしてしまった時間以上の幸せな日常を)


ゲーセンというのはどうしてこうもうるさいのだろうか

こんな時に一方通行のような能力だったら便利だろう、と垣根が眉をひそめる


248 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:05:32.64 ID:FtzWZrPQ0
もちろん、垣根にも騒音に対抗する方法はある

音波が通常の物理法則に従わないよう、未元物質を精製すればいい

彼は決して、二次的な現象を操ることは出来ない

「翼」を作ったら、偶然そこを通った「光」が殺人光線になることから分かる

しかし、逆を言えば一度経験したなら、どういう物質を生み出せばどういう二次的現象が起きるか分かるのだ

ちなみに音波を阻害したいならば空気中に細かい未元物質の粒子を撒き散らせばいい

とは言っても、その粒子の種類は限られているが

心理「・・・なに難しい顔してるのよ」

垣根「あぁ、悪い」

そんなことはどうでもよかった

とにかく、二人は今からそのうるさいゲーセンで遊ばなければならない

義務ではないのだが、せっかく来たなら楽しんで帰らなければ損なのだから

垣根「で、お前はまず何をして遊びたいんだよ」

心理「・・・クレーンゲームとかどうかしら」

垣根「・・・あれ、金の無駄遣いもいいとこだぜ」

ゲーセンには様々なゲームがある


249 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:06:04.55 ID:FtzWZrPQ0
レーシングゲーム、シューティングゲーム、音ゲーやエアホッケー

それらで遊ぶなら文句は無い

金を払えば、必ず楽しめるから

だがクレーンゲームだけはそうではない

中にある商品だって、上手くやれば他で買うことが出来る

金を払って取れなかったらイライラが募るだけだ

しかも、クレーンの操作をする時間なんて1分も掛からない

その間に楽しみを見つけるのは、さすがに垣根には不可能だ

だからこそ、たまにテレビでやっているクレーンゲームの達人には感心するし呆れてもしまう

垣根「・・・なぁ、なんでクレーンゲームなんだよ」

心理「あなたはクレーンゲームに嫌な思い出でもあるの?」

垣根「いや・・・無いけどさ」

心理「ならいいじゃない、大体ゲーセンに来た時点でお金の無駄遣いなんだから」

つまらない現実を突き付けてから、心理定規がどのクレーンゲームにしようか吟味を始める

中の商品は実に様々だ


250 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:06:45.66 ID:FtzWZrPQ0
マスコットのぬいぐるみ、何かのアニメのフィギュア、安物の香水やバッグ、ラジコン

さらに小型の物にはお菓子を取るものもある

衛生的には大丈夫なのだろうか、と気になって仕方がない

心理「あ、これとかどうかしら」

垣根「あぁ?・・・なんでゲコ太なんだよ」

心理「美琴が大好きじゃない」

垣根「俺はあのファンシーお嬢様じゃねぇんだ」

心理「じゃあ私にラジコンでも取れって言うの?」

垣根「・・・」

想像してみる

ゲコ太のぬいぐるみを抱き抱え、少し寒そうにソファーに座るパジャマ姿の心理定規を

中々いいのではないか

保護欲と性欲を同時に掻き立てられそうだな、と垣根は心の中で生唾を飲む

一方、ラジコンを取ったら

家の中にある本や雑誌、箱なんかでコースを作ってラジコンを走らせる心理定規

それはそれで何か可愛さもあるが、決して見たいものではない

普段の心理定規を知っている垣根ならばなおさら


251 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:07:16.50 ID:FtzWZrPQ0
垣根「・・・でもさ、ゲコ太ってなんか・・・可愛くないよな」

心理「あら、私は結構可愛いと思うけど」

垣根「・・・」

クレーンゲームの中でにっこり微笑んでいるゲコ太を見る

こんなのが、真っ暗な夜道に向こうから歩いて来たらどうだろうか

きっと背中から翼を生やして瞬く間に逃げるはずだ

しかしカエルということもあり、恐らくこの未確認生命体はジャンプが出来るはずだ

そうなるとかなり上空に逃げなければ・・・

心理「始めるわよ」

垣根「・・・俺、なんか最近おかしいかもしれない」

心理「あなたは元からボケだったじゃないの」

垣根「・・・根はただのイケメンだと思ってたのにな」

心理「はいはい・・・で?これってどうやって操作するのよ」

垣根「そのボタンでまずは横の位置を合わせる」

心理「あら、こうやって動かすのね」

垣根「・・・なんで押しっぱなしなんだ」

心理「?」


252 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:07:54.26 ID:FtzWZrPQ0
心理定規は未だにボタンから手を放していない

つまり、クレーンは一番端っこでガシャンガシャン音を鳴らしているのだ

擬人化するなら「これ以上はいけないよぉ//」なんて言ってそうな状況

垣根「・・・手を放さないとそいつは止まらないんだ」

心理「あら・・・そうなの」

垣根「おかしいな・・・お前、そんな常識も無かったっけ」

心理「学園都市製だから、心の中で念じれば止まるのかと思ってたわよ」

垣根「んなわけねぇだろ・・・」

心理「とりあえず、続きもやるわよ」

垣根「今度は奥行きを合わせるボタンだ」

心理「・・・こういうことね」

上手くアームを動かすが、さすがに端っこのラインには何もない

垣根「で、最後に高さの調節だ」

心理「あら、わざわざ高さも調節するのね」

垣根「箱に入った商品は下までアームを持っていったほうがいいらしいな」

心理「・・・へぇ」


253 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:08:25.94 ID:FtzWZrPQ0
垣根「でもゲコ太のぬいぐるみみたいに紐が頭の上から出てるヤツは、そこにアームを引っ掛けたほうがいいんだよ」

心理「難しいわね・・・」

一度目のアームは空振りだった

それは仕方ないだろう

練習だったと割り切り、二回目に挑戦する

心理「・・・ここかしら」

垣根「ちょっとずれてる気もするな」

心理「奥行きは・・・横から見ればいいのよね」

垣根「分かってるじゃないか」

心理「・・・高さは、紐を狙ったほうがいいかしら」

垣根「ぬいぐるみは箱と違って安定しないからな、そっちのほうがいいと思うぜ」

心理「・・・ここ」

心理定規がアームの位置を決定する

降りていったアームは、ゲコ太ぬいぐるみの紐に引っ掛かった

だがあと一歩で落ちる、というところでその紐からアームがすり抜けた

心理「あら・・・」


254 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:09:03.37 ID:FtzWZrPQ0
垣根「・・・もうちょいだな、次やったら取れると思うけど・・・」

心理「やるわよ、取るに決まってるじゃない」

垣根「・・・お前って意外と負けず嫌いなんだな」

心理「・・・」

集中しているのだろう、垣根の言葉に返事をせずにゲームを再開する

今度は完璧な位置にアームが降りた

もちろん、目当てだったゲコ太ぬいぐるみも手に入る

垣根「やったじゃねぇか」

心理「・・・取れたわね」

垣根「初めてにしてはかなり上手だったな」

心理「初めてってわけじゃないのよ・・・ただ、あんまり慣れてないだけ」

垣根「へぇ」

心理「・・・はい」

垣根「は?」

心理定規がゲコ太のぬいぐるみを垣根に差し出す

持っていてくれ、という意味なのだろうか


255 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:10:01.69 ID:FtzWZrPQ0
垣根「なぁ、俺は荷物持ちじゃ・・・」

心理「違うわよ、これはあなたの分」

垣根「・・・は?」

心理「今度はあなたが私の分を取ってちょうだい」

垣根「いや・・・俺、こんなぬいぐるみ貰っても嬉しくないんだけど」

心理「・・・私からのプレゼントも嬉しくないのかしら」

垣根「・・・それは嬉しいけどさ」

心理「だったらいいじゃない、交換しましょうよ」

垣根「はぁ・・・分かったよ、待ってろ」

垣根が一回分の金を入れる

角度と位置を確認してから、すぐさま完璧な位置を弾き出す

科学側の人間はこういったことが出来るから便利だ

魔術側は日常にあまり知識を活かせないようで、大変とも聞く

垣根「・・・ほれ、取れたぞ」

心理「・・・あなた、テレビ番組にでも出られるんじゃない」

垣根「俺はあそこまでクレーンゲームに誇りは持てない」


256 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:10:56.92 ID:FtzWZrPQ0
心理「・・・もしかして、かなり練習した時期があったとか?」

垣根「こんなもん、ちょっとした計算・・・ってお前は心理操作系だったな」

心理「あなたみたいな天才と一緒にされたら流石に堪らないわよ」

垣根「それは悪かったな・・・ほら、ゲコ太」

心理「・・・そっちのゲコ太にはシルクハットが付いてるわね」

垣根「デザイン違いなんだろ」

心理「お揃いじゃないのは少し残念ね」

垣根「でも違ったほうが面白みもあるからな」

心理「・・・そうね」

垣根「じゃあ次は・・・パンチングマシンでもやってみるか」

心理「たしか、能力の強さでスコアが決まるのよね」

垣根「あぁ、そうだ」

心理「・・・私がやったら一番になっちゃうんじゃない?」

垣根「お前ってLEVEL4くらいだもんな」

心理「そこら辺の能力者には負けないわよ」


257 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:11:58.81 ID:FtzWZrPQ0
自信に満ち溢れた会話をしながら、心理定規がパンチングマシンの前に立つ

だがすぐに愕然とした

横に貼られているハイスコア表

そこにある、一位の名前は「御坂美琴」

超能力者、その中でも三番目の人間

そして彼女の親友でもある女子中学生の名前

心理「・・・あの子、こういうの好きそうですものね」

垣根「・・・すげぇな、上から10個全部御坂の名前じゃねぇか」

心理「はぁ・・・さすがにモチベーションが下がったわ」

垣根「・・・前人未踏の記録なんだろうな、この記録を破れたらあなたは今日からヒーローだ!だってよ」

心理「・・・あなた、やってみたら?」

垣根「おいおい・・・そりゃ御坂に悪いだろ」

心理「いいじゃない、あの子もまた一つ楽しみが増えるわよ」

垣根「・・・俺の記録を破る楽しみ、か」

しばし考えてから垣根が金を入れる

スコア表全てを自分の名前で埋め尽くすことも出来る


258 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:12:31.74 ID:FtzWZrPQ0
だが流石にそれは大人気ない

垣根「・・・これって能力発動しながらのほうがいいのかな」

心理「さぁ・・・そうしてみたら?」

垣根「・・・」

翼を出すのはまずいため、かなりセーブして能力を発動する

恐らく一方通行と垣根のような、かなり上位の能力者でなければ感知出来ないほどの微妙な変化

しかしその本質に気づけば、絶望してしまうほどの圧倒的な能力

垣根(・・・だがまぁ、そんな能力でも一方通行には敵わないんだよな)

少し胸糞が悪くなる

自分と一方通行ならば、正面からぶつかって敗北するのは自分なのだ

能力の特異性から言えば、むしろ自分のほうが上なのに

垣根「・・・ちっ、ちょっとムカついた」

勢いよく拳を振るなんて必要はない

このパンチングマシンは能力の強さを簡単に測れる物なのだ

だからこそ女子中学生である美琴が上位全てを独り占め出来る


259 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:13:24.34 ID:FtzWZrPQ0
適当に壁を殴る感覚で、垣根がマシンを殴った

表示されたのは当然、ハイスコア

それも美琴の記録さえ霞むほどの記録だった

周りの客や店員は口をぽかんと開けている

無理もない、目の前の少し柄の悪い青年があの「超電磁砲」の記録を破ったのだから

だが垣根の顔を見た人間は全員、納得したような表情を浮かべた

「あぁ、垣根なのか」と

心理「おめでとう・・・でも美琴が少し可哀相になるわね」

垣根「破られない記録なら、あいつはいつまでも挑戦するさ」

ヒラヒラと手を振りながら、垣根が別のマシンに移動する

垣根「・・・な、なんだこりゃ」

学園都市にもこういうものがあったのか、と我が目を疑いたくなる

血液型と生年月日を入力すれば、相手との相性がどうか分かる

いわば占いのような物

垣根「・・・」

心理「あら・・・こんな非科学的な物もあるのね」


260 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:14:09.46 ID:FtzWZrPQ0
垣根「きっと心理学とか生物学の知識が満載なんだろうな」

冷静に考えればそんな気がする

4月生まれはしっかりしていて、3月生まれは甘えん坊

そんな迷信じみたことを真面目に研究している学者もいると聞く

心理「・・・でも運命的な物なら、むしろ非科学的なほうが素敵よね」

垣根「運命と宿命は違うんだよ」

心理「それで?これの前で立ち止まったっていうことは、多少なりとも興味があるのよね?」

垣根「・・・そりゃ恋人との相性が分かるって言われたらな」

心理「・・・なんだかんだ、気になっちゃうわよね」

垣根「・・・やってみるか?」

心理「でも、生年月日知ってるの?」

垣根「・・・」

心理「私、昔の戸籍なんて覚えてないわよ?それにこっちにはそもそも正式な戸籍も無いし」

垣根「俺も・・・そういえば無いんだよな」

心理「それじゃこれは出来ないわね」

少し残念そうにしながら、二人がシューティングゲームの前に移動する


261 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:14:44.89 ID:FtzWZrPQ0
垣根「・・・銃の扱いならお前のほうが慣れてるよな」

心理「本物ではないけれどね」

垣根「・・・はぁ、やってみるか」

心理「・・・引き金を引くのとリロードだけの簡単な操作ね」

垣根「そんくらいシンプルなほうがこっちとしてはありがたいな」

座席について、何か特殊なゴーグルを付ける

ゴーグル、というと彼を思い出しそうになるが頭を振って無理矢理思考から追い出す

今は二人だけのデートなのだ、関係ない人間のことは考えたくない

垣根「・・・これ、3Dなんだな」

心理「中々迫力があっていいんじゃない?」

ゴーグルを掛けた心理定規が微笑む

なぜかそれがかなり似合っていた

垣根「・・・で?どういうルールか分かるか?」

心理「敵を撃つんじゃないみたいね」

垣根「・・・あぁ、飛行機のパイロットな設定なんだな」

心理「今から不時着をする、しかし障害物となる建物が多数・・・」

垣根「銃でそれらを破壊して、安全な滑走路を確保しろ」


262 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:15:16.27 ID:FtzWZrPQ0
心理「・・・ねぇ、シューティングゲームってプレイヤーは大抵正義なはずよね」

垣根「・・・ただの破壊行動じゃねぇかよ」

心理「・・・まぁ、ゾンビが現れたなんていうよりはよっぽど現実味があるけど」

垣根「こんなゲームに現実味なんて必要ないのにな」

心理「・・・ほら、文句言ってる暇があるなら集中しなさい」

既にゲームは始まっている

すごいスピードで景色が流れる映像が目に入る

垣根「・・・これ、苦手なヤツは絶対に酔うよな」

心理「そうね・・・映画とかの演出でたまにあるけど、なんだか背中が寒くなる時もあるわ」

そんな会話をしながら、的確に建物を破壊していく

ゴジラはこういう気分で建物を破壊していたはすだ

邪魔だから薙ぎ倒す、至極簡単な理由から

垣根「・・・てかさ、普通不時着には建物のない平地を選ぶよな」

心理「ゲームにそんな常識は通用しないのよ」

垣根「・・・それは俺に当てつけで言ってるのか」


263 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:15:56.43 ID:FtzWZrPQ0
心理「あら、そんなわけないじゃないの」

垣根「・・・あ、しくじった」

心理「ちょっと、あなたが失敗したら私にまで被害が来るのよ」

垣根「・・・協力プレイは仲間のミスを、もう一人が取り戻すもんなんだぜ」

心理「言い訳してないで、自分のミスは自分で取り返してちょうだい」

垣根「分かったよ」

出来る限り、ゲーム画面に集中する

何を真面目にゲームしているのだろうか

そんな当たり前の疑問が浮かぶが、それがしたいからゲーセンに来たのだ

だったら、真剣にゲームをしなければならない

垣根「・・・ちっ、中々難しいじゃねぇか、これ」

心理「ふふ・・・ガンシューティングだけならあなたに負けない自信があるのよ」

垣根「・・・」

垣根がその言葉に眉をひそめる

負けず嫌いというわけではないが、そういう挑発的な態度をされるのは好きでない

よって、彼が今するべきことはただ一つ


264 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:16:34.20 ID:FtzWZrPQ0
これから先、ノーミスでクリアすること

垣根「はっ・・・やってやるよ」

心理(・・・よかった、楽しめてるみたいじゃない)

垣根「心理定規、てめぇこそミスしてんじゃねぇぞ」

心理「安心して、こういうのは慣れてるんだから」

垣根「上等だ!」

二人が真剣な顔つきでゲームに没頭する

まさか、心理定規が彼のことを心配していたなんてことには気が付かない


垣根「はぁ・・・結局、お前はノーミスでクリアか」

心理「あなたもあの一回だけだったじゃない」

垣根「・・・お前、本当にあのゲーム、初めてだったんだろうな?」

心理「言ってるでしょ」

垣根「・・・なんか納得いかねぇ、上手すぎる」

心理「慣れてるの、ああいうのに」

垣根「あぁそう・・・次はどれがしたい?」

心理「・・・これ」


265 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:17:16.40 ID:FtzWZrPQ0
心理定規が指差したのは、有名な太鼓を使った某ゲームだ

垣根「・・・いいけど、やり方知ってるか?」

心理「これは割と有名でしょ?クレーンゲームと違って全部やり方も同じだし」

垣根「じゃあやってみるか」

バチを持って、二人が太鼓の前に構える

例の真っ赤な顔と青ざめた顔のマスコットキャラクターが出てくる

「曲を選択しろよ」みたいなことを言ってくるため、何にするか考える

どうやら二曲遊べるらしい

まさかいい点数を取ったらもう一曲遊べたりしないよな、と垣根が考える

心理「何にする?私はもう決めたけど」

垣根「・・・アップテンポなほうがやりやすいよな?」

心理「まぁ、一般的にはそうなんじゃないのかしら」

垣根「ならそれでいいか」

垣根が選んだのは「ONLY MY RAILGUN」

心理定規が選んだのは「サウダージ」

垣根「・・・それ、アップテンポなのかよ」



266 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:17:52.29 ID:FtzWZrPQ0
心理「・・・あなたのその選曲、私に喧嘩売ってるのかしら」

垣根「別に御坂が大好きなわけじゃねぇよ」

心理「また美琴の名前出してるわね」

垣根「はぁ・・・ほら、始まるから画面見ろよ」

心理「・・・分かったわよ」

バチを構える二人

中々シュールな光景なのだが、残念なことにそれを披露したい友達は周りにいなかった


垣根「・・・嘘だ、俺が失敗しまくるなんて嘘だ」

心理「・・・あなたってリズム感はあるはずよね」

垣根「・・・違う、ドンとカッを逆にしてやってた」

心理「あなた、やり方知らないんじゃない」

垣根「・・・つい」

心理「・・・まぁいいわ、どうせ一曲出来たところで大して変わりはないんだから」

ふん、と息を吐いてから心理定規がある一角を見つめる

そろそろ時間も遅くなってきた

やってきたのは13時だったのに、様々なゲームをしているうちに4時間も経っていたのだ


267 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:18:45.95 ID:FtzWZrPQ0
となると、最後にカップルでするものは

垣根「・・・プリクラか」

心理「ベタだけど、それがいいじゃない」


どうしてプリクラのボックスはこうも狭いのか、と垣根はいつも疑問に思っていた

男女の仲ならいいが、ただの友人だったり、同性が相手だと困ってしまう

何しろ必然的に顔が近づいてしまうのだから

小さな画面に全員の顔を写すためには仕方ないのだろうが、そこはもう少し配慮してほしい

と、本当にいつも疑問を抱いていたのだが

垣根(今は・・・悪くないかもな)

近づいている心理定規の顔を確認して、少し頬を緩めてしまう

必然的に距離が近づいている、と言い訳だって出来てしまう

心理「・・・ねぇ、こうやって近づいてると緊張するわよね」

垣根「そうか?付き合ってるんだから当たり前じゃねぇの?」

心理「・・・プリクラって、撮ったことほとんどないもの」

垣根「俺もほとんどない」

心理「あなたは撮ってそうなルックスだけど」


268 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:19:36.06 ID:FtzWZrPQ0
垣根「ルックスで中身まで決めるなよ・・・っていうかそれはこっちの台詞だ」

心理「ふふ・・・いいんじゃない?意外と初心なカップルも」

垣根「・・・なんか嫌な言い方だな」

心理「ほら、しっかり笑いなさい」

垣根「・・・作り笑いは苦手なんだよ」

心理「私といる時の自然な笑顔で構わないのよ?」

垣根「お前といる時、ね」

垣根がふと考える

いつもの自分というのはどんな表情をしていただろうか

しかめっつら、無表情、笑顔、泣き顔

そんな喜怒哀楽を浮かべられるのは、心理定規がいたからなのかもしれない

垣根「・・・なぁ」

心理「なに?」

垣根「・・・俺に喜怒哀楽をくれたのはお前なのかな」

心理「・・・どういうこと?」

垣根「お前と付き合ってから、自分の気持ちに素直になることが多くなったんだ」


269 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:20:15.02 ID:FtzWZrPQ0
撮影時間が近づいてくるが、それでも垣根は続けた

垣根「・・・怒りたい時に怒って、笑い時に笑って・・・自分の心に嘘つかないで、素直に表現出来ることが」

デートの最中もそうだった

恥ずかしければ顔が赤くなる

緊張すれば手が震える

そんな当たり前の反応、昔の垣根にはなかった

いつも何かを背負い、地面を這いずり回っていた彼には

垣根「だからさ、お前のおかけで・・・俺はこうやって人間らしくいられるんだ」

心理「・・・あなたは、私と出会った時からずっと人間らしかったわよ」

垣根「そこにも結局お前がいたんだ」

心理「・・・子供の頃から、素直だった可能性は?」

垣根「素直だったら・・・あんな人生は歩まなかったさ」

心理「・・・」

垣根「だがお前に会って素直になれたから・・・また正しい道を歩くことが出来てる」

プリクラの機械というのは便利だ

多少の表情なら変化させることが出来る

笑顔にすることや、困惑したような表情にすること

そんなことまで出来てしまう


270 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:21:00.26 ID:FtzWZrPQ0
人間の表情とは安っぽいものだ

無理矢理作ることが出来るし、それを疑ってしまうこともある

だがかつての垣根には表情さえ無かった

ずっと同じような表情をしていた

垣根「・・・俺は無理矢理笑顔を浮かべないし、無理矢理嫌な表情を作ることもしない」

垣根が心理定規の目を見つめる

そこに映った自分の表情

それが紛れもない「笑顔」だったことが、なぜだか無性に嬉しかった

そんな笑顔をくれたのは

彼に表情をくれたのは

垣根「・・・俺が幸せでいられるのは」

心理「・・・!」

心理定規の背中に、優しく腕が回される

突然のことに顔が赤くなってしまう

そのまま、垣根に唇を奪われた

撮影音が鳴った

しかしそれは高鳴っている鼓動に掻き消されてしまう


271 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:21:29.11 ID:FtzWZrPQ0
垣根「・・・お前なんだ、心理定規」

ぎゅっと抱きしめながら、垣根が心理定規に語り描ける

垣根「だからさ・・・だからさ」

垣根「・・・俺の傍にいてくれよ、ずっと」

デートが終わるのはなぜか寂しいものだ

それが永遠の別れでないことは誰にでも分かっている

けれども、それは悲しいのだ

楽しかった幻想的な一日が終わってしまうから

心理「・・・当たり前でしょ」

だったら、次の一日がもっと幻想的なら

その次の日が、さらに素敵な一日なら

心理「私だって、あなたの傍から離れたくないもの」

きっと、人生が幸せになるのではないだろうか


垣根「・・・お前、顔真っ赤になってたんだな」

ゲーセンからの帰り道、プリクラを見つめながら垣根は笑っていた


272 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:22:06.43 ID:FtzWZrPQ0
心理「いきなりされたんだから、当たり前じゃない」

垣根「目も大きくなってるし・・・驚いてたんだな」

心理「・・・まさか、プリクラの中でキスされるなんて・・・」

垣根「いいだろ、わりとどのカップルもしてることだよ」

心理「・・・ねぇ、垣根」

垣根「なんだ」

心理「星が綺麗よ」

垣根「はぁ?星?」

垣根が空を見上げる

だがまだ時刻は17時半

冬ならまだしも、今はそろそろ春になろうかという季節なのだ

さすがにまだ星は浮かんでいない

垣根「・・・」

どこかに星があったのか、と垣根がしばらく空を見つめていると

何か柔らかいものが自分の頬に当たった

ビックリして心理定規の顔を見る


273 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 16:22:50.06 ID:FtzWZrPQ0
真っ赤になっていた

プリクラに映っているのと同じくらい真っ赤に

夕日が沈みかけている

垣根の横顔もそれに照らされて赤くなっていた

でも、もしも今が真昼だったとしても

彼の横顔は赤かったはずだ

心理「帰りましょう、垣根」

垣根「・・・あぁ」

自然と手を繋ぐ二人

長く伸びた影は、やがて夜の闇に飲み込まれた

だがそこを歩く二人は、決して紛れることのない輝きを持っている

心理「ね、星が綺麗だったと思わない?」

垣根「・・・あぁ、とびっきり綺麗な星だったな」

彼女なりの照れ隠し

それが可愛くて、つい垣根は声を出して笑ってしまう

心理「?何よ」

垣根「あぁいや・・・なんでもないんだ、気にするなよな」

心理「・・・」

垣根「・・・もしもあれが星だったならさ」

心理「?」


垣根「・・・だったらどうして、こんなに強く輝けるんだろうな」




デート編おしまい

これから筋トレですので少々お待ちを

胸とか背中の日はテンションが上がる

274 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 18:33:21.47 ID:FtzWZrPQ0

一方通行の能力名は、そのまま「一方通行」

ベクトル変換はあくまで付加的な能力であり、その本質は事象の解析や逆算である

しかし、日常生活ではどちらかといえばサブである「ベクトル変換」を重視している

今はチョーカーがなければ能力さえまともに使えないが、大した苦労はしていない

ベクトル変換、そして彼の能力の素晴らしかった点は「自動制御」だと言える

生活する上で必要ある物以外のベクトルを、全てデフォで「反射」に設定していた

皮肉なことに、それらは物理現象には有効だが「憎しみ」や「嫉妬」など、心理的なものには通用しない

当たり前のことだが、そのようなものには一定の「法則」なんてものが存在せず、それを操ることなど出来るわけがなかった

もちろん、心理操作系の能力であれば別だろうが

つまり、彼の能力は「危害」を反射することは出来ても彼に向けられる「敵意」を反射することは出来なかった

学園都市最強

それはつまり、様々なスキルアウトや興味半分のチンピラにとっては格好の標的だった

芸能人を蹴って、それを自慢話にするのと同じだ

しかしそれとの決定的な違いは、成功するか否かだった

一方通行の能力は全てを反射するのだから、決して自分に危害が加わることは無かった

そんな生活を繰り返して、彼は誰からも手を差し伸べられることなく闇へと堕ちていった

いや、誰かは手を差し伸べようとしたのかもしれない

しかしその「救いの手」も「彼を呼ぶ声」も

全てを反射してしまっていたのだ


275 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 18:38:53.28 ID:FtzWZrPQ0
もしも人の感情にさえベクトルが存在していれば

彼は、自分に対する全ての感情を反射していただろう

もちろん、感情にベクトルは存在しなかった

この世の中が全て同じ人間だったとしても、感情は同じにはならない

ある人物のクローンを作ったところで、生活態度や暮らす環境によって、結局は「個性」が生まれる

個性が生まれれば、それに伴った他人と異なる「感情」が生まれる

同じ人間だから、同じ感情ではないのかと思う人もいるだろう

だがそれはあり得ない

一方通行がそう断言できる理由がある

彼は、20000ほどの「同じ人間」を見てきた

そのうちの半分以上は、彼の手で葬ってしまった

10031人の「同じ人間」を殺したが、なぜか彼女達は少しだけだが違う感情を抱いていた

尤も、本当に些細な、普通の人間なら見逃してしまうほどの微々たる違いだったが

それに一方通行が気づいたのは、彼が人の感情というものに一段と敏感だったからだろう


一方(・・・同じ人間でも同じ感情を持ったヤツはいない・・・か)

番外個体と打ち止め

彼の傍で暮らしている二人の「同じ人間」は、全く正反対の性格をしている

あれを見てしまえば、「同じ人間のクローンだったら同じ人間なんでしょ」とは言えなくなってしまうだろう

むしろ「クローンを持つご家庭って大変なんですね」と哀れみさえ覚えるはずだ

一方通行はその二人によく振り回されている

特に、その中でも高校生くらいの見た目をした、目つきの悪い下品なほうに


276 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 18:49:09.72 ID:FtzWZrPQ0
はァ、と溜め息をついてから目の前にいる少女を見つめる

彼女もまた「同じ人間」とも言えるだろう

ただし、例の二人とは少し違う

中学生ほどの見た目・・・というより、中学生だ

一方通行は彼女を「オリジナル」と呼んでいる

そう、彼女の名前は御坂美琴

例の「同じ人間」の素体である

美琴「・・・ねぇ」

一方「なンだよ、話し掛けンな」

美琴「・・・アンタってめちゃくちゃ無愛想ね」

仕方ねェだろ、と一方通行が顔をしかめる

なんで彼女が目の前にいるのかというと、一方通行は今上条の寮にいるからだ

ちなみに、上条は「補習地獄」真っ最中で、番外個体は病院で調整を受けている

本来なら四人で楽しい団欒を過ごしたかったのだ、偶然にも都合が合わなかったのだ

それでも一方通行はヒマだったため、ついここに来てしまった

狭い部屋だ、と思いながらもそれを顔に出さないように気をつける

どうして美琴がここにいるのか、なんて疑問もどうでもいい

だって半同棲だから


277 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 21:04:19.22 ID:FtzWZrPQ0
美琴「・・・私、アンタと二人になるとなんとなく緊張するのよ」

一方「・・・なンでだよ」

美琴「なんか・・・こうやって二人でいるのが不思議じゃない」

一方「・・・」

一方通行はそんな話に大して興味は無い

美琴が未だに彼を苦手としているのはなぜか

かつて、自分を巻き込んだあの悲劇に一方通行が関わっていたからか

自分の妹達を、実に10031人も殺害した彼が怖いのか

いや、違うのだ

一方「・・・てめェ、なンで俺といるのがイヤなンだよ」

美琴「・・・だって、私の義理の弟になるじゃない」

一方「・・・あァ・・・」

そうか、と一方通行が納得する

義理の弟が友人で、でも自分よりも年上

なんという複雑な関係だろうか

一方「・・・なァ、オリジナル」

美琴「・・・その呼び方、なんとかしなさいよ」

一方「はァ?てめェはオリジナルだろォが」

美琴「・・・私には御坂美琴ってちゃんとした名前があんのよ、前も言ったでしょ」

一方「・・・」


278 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 21:04:52.44 ID:FtzWZrPQ0
美琴「・・・私、アンタと二人になるとなんとなく緊張するのよ」

一方「・・・なンでだよ」

美琴「なんか・・・こうやって二人でいるのが不思議じゃない」

一方「・・・」

一方通行はそんな話に大して興味は無い

美琴が未だに彼を苦手としているのはなぜか

かつて、自分を巻き込んだあの悲劇に一方通行が関わっていたからか

自分の妹達を、実に10031人も殺害した彼が怖いのか

いや、違うのだ

一方「・・・てめェ、なンで俺といるのがイヤなンだよ」

美琴「・・・だって、私の義理の弟になるじゃない」

一方「・・・あァ・・・」

そうか、と一方通行が納得する

義理の弟が友人で、でも自分よりも年上

なんという複雑な関係だろうか

一方「・・・なァ、オリジナル」

美琴「・・・その呼び方、なんとかしなさいよ」

一方「はァ?てめェはオリジナルだろォが」

美琴「・・・私には御坂美琴ってちゃんとした名前があんのよ、前も言ったでしょ」

一方「・・・」


279 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 21:05:21.09 ID:FtzWZrPQ0
美琴「・・・私、アンタと二人になるとなんとなく緊張するのよ」

一方「・・・なンでだよ」

美琴「なんか・・・こうやって二人でいるのが不思議じゃない」

一方「・・・」

一方通行はそんな話に大して興味は無い

美琴が未だに彼を苦手としているのはなぜか

かつて、自分を巻き込んだあの悲劇に一方通行が関わっていたからか

自分の妹達を、実に10031人も殺害した彼が怖いのか

いや、違うのだ

一方「・・・てめェ、なンで俺といるのがイヤなンだよ」

美琴「・・・だって、私の義理の弟になるじゃない」

一方「・・・あァ・・・」

そうか、と一方通行が納得する

義理の弟が友人で、でも自分よりも年上

なんという複雑な関係だろうか

一方「・・・なァ、オリジナル」

美琴「・・・その呼び方、なんとかしなさいよ」

一方「はァ?てめェはオリジナルだろォが」

美琴「・・・私には御坂美琴ってちゃんとした名前があんのよ、前も言ったでしょ」

一方「・・・」


280 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 21:10:45.14 ID:FtzWZrPQ0
またこの話か、そう一方通行は呆れた

彼が美琴のことをオリジナル、と呼ぶたびにこの話になる

彼からしたら、当たり前の呼び方なのだ

彼女は妹達の「オリジナル」

その印象が、一番強い

呼び方を変えるなんて、簡単には出来ない

一方「・・・ならなンて呼べばいいンだよ」

美琴「・・・御坂、でもいいし・・・義姉さんでもいいし」

一方「御免だな」

美琴「・・・なんでよ」

一方「理由なンてあるかよ、てめェは一生オリジナルだ」

美琴「・・・」

美琴が無言で一方通行を睨みつける

今は彼のことを恨んではいないし、感謝すらしている

だがその呼び方だけはどうしてもいただけない

美琴「・・・ねぇ、呼び方変えてよ」

一方「・・・いいじゃねェか、オリジナルでよォ」


281 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 21:23:09.43 ID:FtzWZrPQ0
美琴「・・・そうやっていっつも誤魔化すじゃない」

頬を膨らませるような表情

よく、打ち止めが見せるものだ

やはり姉妹なんだ、と感じさせられる

美琴「・・・なにジロジロ見てんのよ」

一方「・・・お前は打ち止めそっくりだな」

美琴「姉妹なんだから当たり前じゃないの」

一方「・・・そォだな」

美琴「・・・ねぇ、最近打ち止めと番外個体はどう?」

一方「うるせェくらいに元気だ」

美琴「そう・・・あのね、お母さんがヒマが出来たら遊びに来なさいって」

一方「・・・」

母親、父親、家族

そんなものが自分に出来るとは信じられなかった

しかし、現実はそこにある

一方「・・・ありがとよ」

美琴「?何か言った?」

一方「・・・なンでもねェ」


282 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/15(木) 21:28:31.97 ID:FtzWZrPQ0
今日はここまで

筋肉動画は・・・やはり、ボディビルには欠かせなかった「アーノルド・シュワルツェネッガー」

http://www.youtube.com/watch?v=pgOf7sqcL_Q

1分05秒・・・胸がおかしいですね

彼の素晴らしかった点は、二頭のピークが化け物なのと胸が美しかったことでしょうか

身長も高かったため、迫力がありました

洗練されているのはアーノルド、大きいのはオリバといった感じですね

アーノルドとオリバは身長差が15cm近くありましたが、体重はオリバのほうが重いのです

そう考えると、オリバの筋量の異常さも伺えますね

しかし・・・この頃のボディビルってすごいですよね

オリバのような才能溢れる選手、アーノルドのようなスター性の溢れる選手、そしてゼーンのような恐ろしいまでの美しさを持った選手

今のビルダーはみんなモンスターばかりですから、こういった面白みがないですね

ショーン・レイとケビン・レブローニがオリンピアになれなかったことからも、最近のボディビルのバルク重視がわかります

あぁ、ボディビルはこれからどこへ行くのか!?

ではおやすみなさい


誰だ俺


283 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 21:50:34.00 ID:6/fpx51IO
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
284 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 23:05:41.14 ID:ci2WCFLno
大事なことだから3回言ったんだね
285 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/15(木) 23:18:56.32 ID:WgKhJEOlo
乙にゃんだよ!
286 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 00:02:45.08 ID:cwuOh/OE0
乙である
287 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 00:23:17.40 ID:E17icrrDO
>>1乙なのである。
288 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:20:09.39 ID:gqeRFG0b0
美琴(・・・にしても、会話がないわね)

一方通行と二人きりというのは、一番緊張するし気を遣うシチュエーションだった

会話が全くないのだ、壊滅的に

かといって癒されているから会話がいらない状況なのか、というとそうでもない

ただ単に共通の会話がないのだ

性別は違う、年齢も違う、趣味も違う

服の話なんて出来ないだろうし、ゲコ太の話も興味がなさそうな人間だ

ちなみに、意外と一方通行は女物の服には詳しかったりする

下手をすれば、そこら辺の女子以上の情報量だ

つまり、オシャレに若干疎い美琴よりはよっぽど詳しい

美琴「・・・ねぇ、アンタ何してんの?」

一方「・・・携帯弄ってンのが見えねェのかよ」

美琴「・・・そうじゃなくて、なんで携帯弄ってるのかって話」

一方「携帯は弄るためにあるンだろォが、部屋に飾るためじゃねェ」


289 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:20:39.28 ID:gqeRFG0b0
美琴「はぁ・・・なんで一々そうやって厭味ったらしく言うわけ?」

一方「てめェにはそンくらいしないと覚えてもらえなさそォなンでな」

美琴「・・・鶏と一緒にしないでよ」

一方「卵産ンで人の役に立つだけ鶏のほォがマシだろ」

美琴「ア・・・アンタ!さすがにそれは失礼でしょ!」

一方「ンなことでマジギレすンな、鬱陶しい」

美琴「う・・・」

あぁ、話し掛けたりするんじゃなかった、と後悔する

会話が無ければ寂しいが、会話をしたら喧嘩になる

結局この男とは反りが合わないのだ

一方「・・・垣根の野郎に連絡してンだよ」

美琴「か、垣根?なんで」

一方「・・・お前と二人きりなンて堪えられねェからな」

美琴「・・・それはこっちの台詞よ」

一方「ほらみろ、お前だって垣根がいたほォがいいンだろ」


290 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:21:14.65 ID:gqeRFG0b0
美琴「・・・あれ?もしかして気遣ってたの?」

一方「勘違いすンなよ・・・垣根のヤツがヒマだって言うから」

美琴「アンタ・・・ツンデレなんて今日日流行らないわよ」

一方「鏡見ながら言ってみろ」

美琴「それで?なんで垣根はヒマなのかしら」

一方「心理定規が出掛けてるンだと」

美琴「・・・一緒に出掛けてるんじゃないのね」

一方「・・・さすがに化粧品買いに行くだけなンて垣根もイヤなンだろ」

美琴「化粧品・・・心理定規、そんなものわざわざ買いに行くのね」

一方「お前はもうちょっとそォいうのに気使え」

美琴「なんで?私、化粧なんてしないもん」

一方「だから・・・ちっ、もォいい」

美琴「何拗ねてるのよ」

一方「・・・垣根がこっちに来るみてェだ」


291 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:22:01.37 ID:gqeRFG0b0
美琴「へぇ・・・ま、垣根が来てくれたら話も弾むわよね」

一方「これでてめェみたいな三下と二人きりじゃなくなるな」

美琴「うるさいわよ、ツンデレさん」

一方「てめェのほォがツンデレだろ」

美琴「・・・」

一方「・・・」

火花を散らす視線

どうして仲良く出来ないのか、それとも仲良しだから喧嘩するのか

どちらにしろ、今部屋に険悪な空気が流れているのは事実なのだ




垣根「よぉ!邪魔しに来たぜ!」

一人の男の登場によって、いくらかその空気も和んだ

美琴「早かったじゃない」

垣根「速さを極めようぜ」

一方「本当にヒマだったンだな」


292 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:22:32.97 ID:gqeRFG0b0
垣根「だってさ、学校は休みだし心理定規は出掛けてるし」

美琴「・・・アンタ、他に友達いないの?」

垣根「お前らが一番の親友なんだよ」

キリッ、と垣根が決める

しかし二人はそれを無視して各々の行動に移る

美琴は上条と、一方通行は番外個体と携帯でメールのやり取りをする

そもそも一方通行は何をしに来たんだろうか、と垣根が疑問に思う

垣根「お前らさ、もう少し会話をしようとか努力はしないのかよ」

一方「・・・こンなヤツと共通の会話なンか・・・」

垣根「さっきメールで、オリジナルと何話せばいい?って聞いてきたのはどこのどいつだ」

一方「て、てめェ!」

美琴「あ、なになに?もしかして番外個体とメールしてたんじゃなくて垣根に相談のメールしてたの?」

一方「ウ、ウソついてンじゃねェよ!」

垣根「じゃあ俺の受信ボックスを開示・・・」

一方「おォォォ!」


293 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:23:13.52 ID:gqeRFG0b0
垣根「冗談だから落ち着け・・・まぁ、そういうことだしわりとこいつはお前と話がしたかったみたいなんだよ」

美琴「なら素直に話し掛けてくればいいのに」

垣根「お前との共通の会話なんてないんだ、仕方ないことさ」

一方「・・・悪いかよ」

美琴「ううん、ちょっと嬉しいわよ」

垣根「さて・・・上条もいない、番外個体も、もちろん心理定規もいない」

美琴「・・・そうね」

垣根「珍しいよな、学園都市の上位三人が集まったんだ」

一方「この三人だけで学園都市の戦力の半分くらいになるンじゃねェのか」

垣根「そうだな、そこら辺の国の軍隊なら潰せるレベルだからな」

美琴「はぁ・・・私がいなくても、アンタ達二人だけで学園都市の戦力の半分以上なんじゃない?」

垣根「そりゃ過大評価すぎねぇか?」

一方「・・・俺の能力は今制限があンだよ、さすがに全盛期には及ばねェ」

垣根「よく言うぜ、むしろ今のほうがやべぇじゃねぇか」

美琴「?何の話よ?」


294 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:29:09.50 ID:gqeRFG0b0

一方「なンでもねェよ」

垣根「・・・御坂の能力も応用なら完璧なんだけどな」

美琴「超電磁砲もあるけど・・・でもアンタ達は格が違いすぎるわ」

一方「・・・オリジナルの能力なンて効かねェしな」

美琴「う・・・言わないでよ・・・」

垣根「決まった法則で動くってのは、逆に言えばその法則をどうにかされちまったら使えないってことだからな」

美琴「この世の物理法則自体をいじれる人間がそう何人もいるわけないでしょ」

一方「・・・俺と垣根、例外で上条くらいだな」

垣根「・・・上条は物理法則をどうこうしてるわけじゃねぇだろ」

美琴「・・・一方通行の能力と垣根の能力ってどっちのほうが強いのかしら」

一方「俺だろ」

美琴「うっわ・・・すごい自信ね」

垣根「・・・一方通行の能力はベクトル操作だ、なら俺はその隙をつけばいい」

一方「・・・未元物質にはある程度の法則性がある、それを含めて再演算すればこいつの能力のベクトルも計算できる」

垣根「ただしこいつだって対策を練らないわけじゃない、威力と威力でぶつかれば互角になるな」

一方「だが、こいつが新しい物質をどンどン作れば・・・一々演算しねェといけねェンだ」

美琴「な、なんか信じられない世界ね」


295 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 10:55:24.22 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・なんで友達の家に来てまでこんな話しなきゃならないんだよ」

一方「・・・知るかよ、オリジナルに文句言え」

美琴「な、なんで私一人の責任なのよ!?」

垣根「・・・なぁ、御坂」

美琴「な、何?」

突然垣根が真剣な表情になる

テーブルに頬杖をついているものの、どこかしら真面目な雰囲気を漂わせていた

垣根「お前・・・さ」

美琴「・・・」

つい、ゴクリと唾を飲んでしまう

一体、こんな重たい雰囲気で何を話すのか


垣根「世界に俺と一方通行の二人だけしか男がいなかったらどっちと付き合う?」

美琴「どうせそんなもんだと思ってたわよ・・・」

一方「はァ?なンだよその質問」

垣根「暇つぶしだよ、大体友人との会話なんてこんなもんで十分なんだよ、株価の話とかアメリカ大統領の人気の秘密とか話したいか?」

一方「・・・ンなこと言ってねェだろ」

美琴「・・・アンタ達だったら・・・か」

美琴が腕を組んで考える

もちろん、上条には遠く及ばない二人だが


296 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 12:42:00.16 ID:gqeRFG0b0
美琴「だったら、一方通行かな」

一方「は?」

垣根「え」

美琴「・・・そりゃツンツンしてて無愛想だけど・・・なんだかんだ、番外個体は大切にしてるでしょ?」

一方「あ、あァ」

美琴「・・・自分の大切な人をしっかり守るって素敵じゃない」

垣根「待て待て!!俺だって心理定規めちゃくちゃかっこよく守ってるんだけど!?」

美琴「なんか・・・垣根はカッコイイけど、チャラいし遊んでそうで」

垣根「」

美琴「浮気が不安になりそうだし、それにアンタみたいな人間だと自分がたまにふさわしくないんじゃないかって考えちゃいそう」

一方「垣根、これは褒められてンだ」

垣根「なんだ・・・なんなんだこの敗北感!?」

美琴「・・・一方通行はもう少し愛想よくすれば、素敵なのにね」

一方「うるせェな・・・」

垣根「顔が赤いでちゅよー」

一方「てめェ、死にてェのかよ」

垣根「あぁ?上等だコラ」


297 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 12:45:31.87 ID:gqeRFG0b0
美琴「・・・ねぇ、垣根って心理定規の次に誰が好きなの?」

垣根「俺か・・・好きってのはどういう意味でだ?女としてか、人としてか」

美琴「・・・そうね、付き合うんだったら誰がいいのかって話・・・やっぱり姫神さん?」

垣根「・・・付き合う・・・か、だったら吹寄だな」

美琴「え・・・なんか意外」

一方「・・・なンでだよ、巨乳なンてうざってェだけだろ」

垣根「そう思ってるのはお前だけだ」

一方「・・・で?なンでなンだよ」

垣根「あいつならしっかりしてそうだし・・・姫神は上条のことが好きだったんだから、それは尊重したいだろ?」

美琴「あぁ・・・そういう理由ね」

垣根「一方通行はどうなんだよ?」

一方「二番目は打ち止めだな」

垣根「やっぱりな、クソロリコンモヤシ」

一方「表出ろよ」

垣根「・・・御坂はどうなんだよ」

美琴「え、私?」

一方「オリジナルは・・・エツァリのクソ野郎か?」

美琴「うーん・・・」


298 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 12:53:12.66 ID:gqeRFG0b0
垣根「エツァリはねぇだろ、御坂って意外と痛いの嫌そうだし」

美琴「何の話よ・・・」

一方「・・・誰なンだよ、俺たちに聞いて自分はスルーってのは無しだぜ」

美琴「うーん・・・そうね、当麻以外なら・・・」



上条「・・・不幸だ」

春休み

暖かい陽射しが差し込むこの陽気な季節に、なして僕はこんなに重いカバンを抱えているのでしょうか

なぜならそこに宿題があるから

しかもドッサリと

上条は不幸な人間だ、3学期にもとある事件に巻き込まれ、しばらくの間イギリスにいたりした

そのため、出席日数が恐ろしいほどギリギリだったのだ

それを補うための宿題なのだから、彼は拒むことが出来ない

拒めば今度は土御門たちを先輩として敬わなければならない

上条「・・・ま、美琴に手伝ってもらえばいいか」

そんなことを言いながら自分の部屋のドアを開ける

なにやら中が騒がしいのが気になるが


美琴「だったら、削板と付き合うわね」

上条「」

垣根「あー、やっぱり気が合いそうだからな」

一方「へェ・・・お前、意外と熱血が好きなンだな」

美琴「そういうわけじゃ・・・あ」


299 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 12:56:31.64 ID:gqeRFG0b0
上条「み、みみみみみみみ美琴!!落ち着いてくれ、なんでそうなるんだよ!?俺たちめちゃくちゃ愛し合ってただろ!?」

垣根「よぉ、お帰り」

一方「邪魔してるぜェ」

上条「お前らはあとで話を聞こう、どういうことだ美琴!?」

美琴「か、勘違いなんだってば!!」

上条「どういう勘違い・・・お、俺たちが愛し合ってると思ってたのは俺だけだったのか!?」

美琴「あぁもう!!そっちじゃなくて!!!」


上条「お、驚いた・・・そういう話だったのか」

垣根「いいタイミングで帰ってきたな、お前」

一方「そォいうとこもヒーローだぜ」

上条「・・・で、なんでここにお前達がいるんだよ?」

垣根「御坂といけない遊びをしていました」キリッ

一方「ヒマだったから来ただけだ、垣根は途中参加だけどなァ」

美琴「・・・当麻、お疲れ様」

上条「あぁ・・・そうだ、垣根」


300 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 13:01:30.24 ID:gqeRFG0b0
垣根「ちっ・・・なんだよ」

上条「宿題・・・お前、学校今日来てなかったから」

垣根「・・・宿題なんていらねぇな」

上条「いや、しっかりやろうぜ」

上条が自分のカバンの中から垣根の分の宿題を取り出す

垣根「・・・補習とかご苦労様だな」

上条「全くだよ・・・色々あったから出席日数ギリギリだしさ」

垣根「それはお前が悪いんだよ」

上条「あぁわかってますよ俺が悪かったってことくらいは!!」

美琴「・・・当麻、めげないで」

上条「あぁ・・・美琴のそういう激励だけが俺の栄養だ!!」

垣根「・・・なんだよ、こんなのすぐ終るじゃねぇか」

上条「・・・お前、頭いいよな」

垣根「超能力者だからな・・・」

一方「・・・ンだよ、こンなしけた問題やってンのかよ」

上条「し、しけたって・・・」


301 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 15:40:48.58 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・つうかさ、こんなのならやる必要ないよな」

上条「・・・そ、そうなのか?」

一方「・・・1+1を復習すンのと一緒だろォが」

美琴「まぁ例えはあれだけど・・・たしかにそうよね」

上条「はぁ・・・仕方ないだろ、俺たちの学校は三流ですよ!!」

垣根「いや、それ以下だろ」

上条「言ったな!!クラスのみんなに言ってやる!!」

垣根「あぁそう」

興味なさそうに垣根が美琴をじーっと見つめる

しばらく、ずっと見つめていると美琴が少し顔をしかめた

美琴「何よ・・・顔に何かついてる?」

垣根「いや、そうじゃなくてさ」

上条「・・・も、もしかして見惚れてたとかじゃねぇだろうな」

垣根「若干それに近いかな」

上条「はぁ!?」

一方「修羅場ってヤツか」

美琴「ど、どうしたのよいきなり?」

垣根「・・・お前ってさ、美人だよな」

美琴「はぁっ!?」


302 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 15:47:45.09 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・化粧必要ないって結構すげぇと思うけど」

上条「ま、待て待て!!なんでそんな話になったんだ!?」

垣根「・・・だってさ、野郎三人の中に女一人ならそりゃ目に入るだろ」

美琴「そ、そうだけど・・・」

垣根「うーん・・・髪も綺麗だし、肌もみずみずしい・・・」

ずいっ、と垣根が美琴に顔を近づける

一瞬、キスをされるのではないかと疑ってしまうほどに

美琴「な、何よ?」

垣根「うーん・・・上条、お前よく御坂みたいな美人捕まえたよな」

上条「捕まえたってなぁ・・・」

垣根「・・・胸は今は小さいが・・・美鈴さんの娘なら将来性もある」

美琴「そ、それが?」

一方「ちっ・・・胸なンていらねェよ」

垣根「・・・となると、ほぼ完璧じゃねぇか」

上条「・・・」

垣根「性格がもうちょいおしとやかだったらなぁ・・・」

美琴「ア、アンタに言われたくないわよ!」


303 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 15:57:15.70 ID:gqeRFG0b0
上条「垣根、あんまり美琴にちょっかい出すなよ」ムスッ

美琴「え・・・」

垣根「ちょっかい?素直にお前の彼女褒めてるだけだぜ?」ニヤニヤ

上条「・・・」

一方「垣根、やめろ」

垣根「いいじゃねぇか、上条君は素敵な可愛い彼女を手に入れましたとさ、ってことのまとめだぜ?」

上条「垣根、心理さんって可愛いよな」

垣根「あぁ?てめぇが語るんじゃねぇよ」

上条「ほら見ろ!!お前だって自分の彼女が褒められたら・・・」

垣根「俺は俺の理屈で動いてんだよ!!」

上条「知るかよ!」

美琴「ま、まぁまぁ・・・」

垣根「・・・はぁ、クッソ・・・ヒマだなぁ・・・」

一方「・・・つゥかよ、この四人で出来ることなンてあンのかよ」

上条「そうだな・・・共通の趣味とかないのか?」

垣根「ねぇよ・・・ファッションの話だとお前達二人は疎いだろ」

美琴「・・・う、疎くなんかないわよ」

垣根「私服ダサイくせに」

美琴「何よ!?」


304 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 16:03:13.87 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・だってさ、小学生みたいなセンスしてるじゃねぇか」

美琴「そんなことないわよ!!」

一方「いや、今日日フリフリのスカート着てる女子中学生とかねェよ」

美琴「な、なんで?可愛いじゃない」

上条「そ、そうだ!!美琴が着てればなんだって可愛い・・・」

垣根「・・・上条、お前一瞬どもったな」

上条「い、いや・・・」

美琴「まさか・・・当麻もダサイと思ってたの!?」

上条「そ、そんなことないですよ!?」

一方「素直に言ってやったほォがいい、お前の私服はダサいンだよ」

美琴「何よ!!アンタだって前はウルトラマンみたいな服着てたじゃないの!!」

一方「ありゃ研究所からの無料支給品だったンだ、わざわざ買いに行くのが面倒だったから着てただけだ」

美琴「い、言い訳じゃないの!!」

垣根「・・・御坂、お前もう少し雑誌とか読もうぜ」

美琴「よ、読んでるわよ!?今月号はちょっとストーリーの展開が急だったけど・・・」

垣根「漫画雑誌じゃねぇよ」

上条「美琴・・・お前は何を着ても可愛いからな!!」

美琴「う、うん//」


305 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 16:35:40.11 ID:gqeRFG0b0
垣根「あぁうぜぇ!!目の前でいちゃつきやがって!!」

一方「無視しとけ」

垣根「・・・はぁ、ちくしょう・・・なんでこんな偏ったメンバーなんだよ」

上条「知るかよ・・・」

垣根「御坂、脱げよ」

美琴「イヤよ」

垣根「ちっ・・・一方通行、なんか面白い話でもしてくれよ」

一方「そォだな・・・じゃあ俺の昔話だ」

垣根「お、いいじゃねぇか」

美琴「昔話かぁ・・・小学生の頃とか?」

一方「あァ」

上条「待ってくれ、それは暗い話か?」

一方「・・・」

上条「そうなんだな、そうなんだろそうに違いないの三段活用!!」

一方「・・・始めるぞォ」

上条「ストーップ!!暗い話なんてされて堪るか!!」

垣根「じゃあ明るい話のあるヤツ、手を上げろ」


垣根「はーい!!」

上条「一人コントならよそでやれよ」


306 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 16:52:04.14 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・はぁ、御坂脱げよ」

美琴「だから、イヤだって言ってるでしょ」

垣根「・・・なぁ、上条・・・お前って今まで何人にフラグ建てたんだよ」

上条「知るかよ・・・」

一方「こいつは男にまで建てるからなァ」

垣根「え、マジ?ひくわー」

上条「はぁ・・・そういうのはねぇよ」

美琴「・・・ねぇ、番外個体の調整っていつまで掛かるの?」

一方「今日一日だ」

美琴「え・・・な、なんか長いわね」

上条「もしかして何かあったのか?」

一方「ちげェよ、あの馬鹿ずーっとサボってたからその分を今日で取り返さないといけねェンだ」

上条「あぁ・・・そういうこと」

垣根「・・・心理定規は今頃化粧品売り場で嬉々として商品を見つめてるな」

上条「心理さんは買い物か・・・」

垣根「あーあー、ヒマだヒマだ!!」

美琴「・・・じゃあ、何かする?」

垣根「なんだよ、何かあんのか?」

美琴「うーん・・・何かないかしら?」

垣根「それを探してる途中なんだよ」


307 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 16:54:40.17 ID:gqeRFG0b0
上条「・・・春休みだな」

垣根「なんだよいきなり」

上条「ほら、昔はよく長い休みになったらみんなで旅行とか行ったじゃないか」

垣根「テクパトル君が仕事を始めたのでもう無理でーす」

美琴「・・・そうよね」

一方「・・・つゥかよ、テクパトルの家はどォなったンだ?」

垣根「上手く出来たはずだけど」

上条「・・・まだ一度も行ってないな」

美琴「・・・引っ越してもう一週間だっけ」

上条「そうそう・・・」

垣根「・・・行ってみるか」

垣根がゆっくりと体を起こす

美琴「い、行くって今から?」

一方「・・・どォせ他にはすることもねェンだからな」

上条「・・・アポ無しでも誰かいるだろ」

垣根「そういうフラグを建てるなよ」

美琴「・・・じゃ、じゃあ行ってみましょう」


308 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 18:00:56.38 ID:gqeRFG0b0

御坂妹「いぬ、こっちに来なさい、とミサカは猫じゃらしを振りながらいぬを呼んでみます」

10033「若干複雑ですね・・・とミサカはそんな10032号を見つめながら感想を漏らします」

14510「・・・羨ましいです、10032号だって微弱な電波を発しているはず・・・とミサカは冷静になって考えた分析結果を口にします」

ピンポーン

20000「誰か来たよ」

17600「勧誘だったら追い払え、不審者から逃げてきた子供だったらミサカに言ってくれ」

13577「言ったらどうなるのですか、とミサカは首をかしげて訊ねてみます」

17600「その不審者とドンパチやるのさ」

19090「そ、そんな不穏なことを言わないでください・・・」

10039「はぁ、ではミサカが行ってきますね・・・とミサカはめんどくさそうにしながらも玄関へ向かいます」

10039号が玄関のドアを開ける

ちなみに、とても綺麗なそのドアの外側には「テっくんとみんなのお家」といういかにも可愛らしい表札が飾られている

10039「どなたですか・・・ってお姉様!!」

美琴「やっほー」

上条「悪いな、いきなり」

10039「お義兄様まで・・・それに垣根と一方通行・・・」


309 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 18:08:52.31 ID:gqeRFG0b0
垣根「はーっはっは!!チャイム連打をしようとしたのに、その前に住人が出てきてしまったぜメーン!!」

一方「こりゃ残念だったな」

垣根「どうすんだよ相棒!?」

一方「そォだな・・・とりあえず、中に入ってイタズラでもしちまおうかァ!!」

垣根「性的イタズラ!!」

一方「ロリに限る!!」

10039「17600号、不審者が来ましたー」

垣根「おいおいおいおい!!!違うっての、俺たちはジョークで言ってんだってば!!」

17600「・・・なんだよ、せっかく持ってきたのによ」

垣根「なんで銃を持ってきてるんだ・・・」

上条「よ、よぉ・・・邪魔していいかな?」

17600「・・・まぁ構わないけど、少しまだ片づけが終ってないぞ」

美琴「そうなの?でももう一週間になるんじゃ・・・」

17600「正確には二週間になるほうが近いのさ」

肩をすくめながら、17600号と10039号が四人を家へと案内する


310 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 18:24:31.31 ID:gqeRFG0b0
垣根「よぉ、元気してるか」

13577「あ、垣根・・・!!お姉様、お元気でしたか!?」キラキラ

美琴「うん、みんなも元気だった?」

御坂妹「もちろん、元気ですよ、とミサカはいぬに猫じゃらしを与えてからお姉様に駆け寄ります」

上条「あぁ、ちゃんとそいつ飼ってたんだな」

御坂妹「出番がなかっただけです、とミサカは若干きわどいネタを使ってみます」

一方「・・・にしても、でけェ家だな・・・」

14510「ア、一方通行!!最近はいかがお過ごしでしたか!?とミサカは胸の高鳴りを抑えながら訊ねてみみゃす!!」

一方「噛ンでるぞ」

10033「や、やっぱりいつ見ても真っ白ですね!!とミサカも意味不明な褒め言葉を述べてみます!!」

20000「ふひひ!!セロリたんハァハァ!!」

一方「てめェは近づくな・・・」

19090「今テっくんを呼んできますね」

美琴「あれ、今日は仕事じゃないんだ?」

19090「はい、休みですよ」

上条「ふーん・・・って垣根、どうした?」

垣根「誰も俺のことなんか見てないのさ、俺が太陽を見上げているのに、太陽は俺が空を仰いでることさえ気づかない」

上条(・・・拗ねてる)


311 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 18:52:25.77 ID:gqeRFG0b0

テクパトル「・・・来るなら来るって言ってくれよな・・・」

二階から降りてきたテクパトルは、非常に不機嫌そうだった

上条「わ、悪い・・・」

一方「なンだよ、都合でも悪かったか」

テクパトル「あぁ最悪だね・・・」

17600「気にしないでくれ、休日を寝て過ごしたかったらしい」

美琴「ね、寝てって・・・アンタ、この子達の相手してないの?」

10039「ち、違いますよ!!いつも相手をしてくれていて・・・」

御坂妹「仕事が終った後も、すぐに帰ってきてミサカ達のご飯を作って・・・」

20000「それからオナニーして」

17600「しねぇよ、いっつも迷惑掛けてるから、休日くらいはミサカ達が家事をするって決めてるんだ」

垣根「へぇ・・・完全オフだったってわけか」

テクパトル「ふぁぁ・・・あぁ、そういうことだよ・・・」

大きなあくびをしながら、テクパトルがいぬに近づく

テクパトル「えっと・・・いぬの散歩にはもう行ったのか?」

御坂妹「もちろん、行きましたよ」

美琴「ね、猫なのに散歩・・・」

一方「変わってンなァ」

14510「いいえ、それこそが愛情です!」


312 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 18:55:54.19 ID:gqeRFG0b0
テクパトル「・・・今何時だっけ・・・」

美琴「昼の4時よ」

テクパトル「あぁ・・・夕方の4時か・・・」

美琴「アンタの感覚だともう夕方なのね・・・」

テクパトル「あれ、番外個体と心理定規は?」

一方「番外個体は今日調整だ、心理定規の野郎は買い物だとよ」

垣根「んで、ヒマだったから最初は上条の部屋にいたんだけど・・・」

一方「狭い暗い臭いの三拍子揃ってたンでこっちに来たンだよ」

美琴「暗いと臭いは違うわよ・・・」

上条「あぁもう!!狭くて悪かったなぁ!!」

19090「あ、あんまり大声は・・・」

テクパトル「いいよ・・・もう俺の休日は終りましたとさ」

垣根「いやー、しかしいい家になったな」

テクパトル「それは感謝してるよ・・・暮らしてみると、ホントに快適だ」

一方「・・・そりゃ、こンだけでかけりゃな」

13577「ミサカ達ものびのびと暮らしています」

10039「テっくんのおかげです!!」

テクパトル「はいどうも・・・」


313 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 18:59:35.78 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・なぁ、なんかすることないか?ヒマなんだよ」

テクパトル「散歩でもどうだ、自宅まで」

垣根「素直に帰れって言えよ、そしてヤだよ」

テクパトル「ちっ・・・」

上条「ほ、ほら!!久しぶりに美琴と妹達の時間だし・・・」

テクパトル「そうだな、一方通行もそうだし・・・だから上条と垣根は帰れ」

上条「いやいや!!ここまで歓迎されないものなのか!?」

御坂妹「お義兄様、テっくんはお疲れなんですよ?とミサカはいぬを撫でながら呟きます」

20000「へっへーん、まぁミサカがフェラチオの一発や二発してあげればすぐ元気になるけどね」

10033「そ、そんなことを一方通行の前で言わないでください!!」

14510「そうですよ、エッチぃです!!」

20000「にゃーっはっは!!だからどうした!?」

17600「・・・テっくん、ビールが冷蔵庫にあるぞ」

テクパトル「あぁ、サンキュー・・・」

垣根「・・・その冷蔵庫もていとうこにしてやろうか!!」

テクパトル「あぁ?」ジロリ

垣根「冗談ですから睨まないで」


314 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 19:03:18.75 ID:gqeRFG0b0
美琴「へぇ・・・この猫、あんまり電磁波を嫌がらないのね」

御坂妹「猫ではないです、いぬです」

美琴「いや・・・どっからどう見ても猫よ?」

上条「あぁ・・・そいつの名前がいぬ、なんだよ」

美琴「ね、猫なのにいぬ・・・」クスクス

上条(あ、姉妹でユーモアセンスは一緒なんだな)

御坂妹「いぬは賢いです、お手もお座りも出来ます」

美琴「へぇ・・・いぬ、お手!!」

いぬ「?」

美琴「・・・出来ないじゃないの」

御坂妹「ふん、ミサカにしか懐いていませんから、お姉様なんかにはしませんよ」

美琴「な、何よそれ!?」

御坂妹「いぬ、お手」

いぬ「にゃー!!」

御坂妹「おぉよしよし」

美琴「な、なんでアンタの言うことは聞くのよ!?」

垣根「・・・御坂、そこまでムキになんなよ」

美琴「きーっ!!」

14510「一方通行、御肩をお揉みしましょうか?とミサカは肩を回しながら・・・」

10033「それはミサカの役目です!!とミサカは強引に14510を引き剥がし・・・」

20000「その隙に!!ミサカのバキュームフェ・・・」

一方「うるせェ・・・打ち止めの5倍はうるせェ」


315 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 19:10:44.05 ID:gqeRFG0b0
上条「・・・なぁ、御坂妹」

御坂妹「なんですか?とミサカはいぬにじゃれながら訊ねます」

上条「俺もいぬにお手させていいか?」

御坂妹「ふふん、出来るものなら、とミサカはふんぞり返ってみます」

テクパトル「10032号、パンツが見えてるからやめなさい」

御坂妹「テっくんのエッチ、そこまでミサカの淫らな太ももおよび絶対領域が見たいのですか、とミサカは・・・」

テクパトル「間に合ってます」グビグビ

御坂妹「・・・ビールを飲みながら拒絶されると底知れない敗北感を覚えますね、とミサカはスカートの裾を直しながら肩を落とします」

上条「いぬ、お手」

いぬ「にゃー!!」

上条「おぉ、いい子いい子」

御坂妹「!?な、ななななななんでいぬがあなたにお手をするのですか!?」

上条「うーん・・・俺も昔からいぬを知ってるからかな」

御坂妹「そ、そんな・・・」

美琴「いいなぁ・・・」

上条「いぬ、美琴にもお手してやってくれないか?」

いぬ「にゃー!!」

美琴「!!当麻、いぬがお手してくれた!!」

御坂妹「!?」

上条「おぉ、ホントに頭いいんだなこいつ!!」

13577「う、嘘でしょう・・・10032号にしか懐いていなかったいぬが!!」

テクパトル「・・・上条の優しさに本能で気づいたな」

316 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 19:14:41.30 ID:gqeRFG0b0
御坂妹「いぬがぁ!!いぬまでもがミサカを捨てましたぁぁぁ!!」

17600「泣くな、別に捨てられてもないだろう」

御坂妹「いぬは浮気なんてしないと信じていたのに!!」

19090「そ、そんなつもりじゃないですよ、いぬは・・・」

御坂妹「あなたがいぬについて語らないでください!!」キッ!!

19090「ひぃっ!?」

一方「・・・くっだらねェ、猫にそこまで細かい感情があるかよォ」

御坂妹「あります!!コミュニケーション能力が大幅に欠けているあなたよりは少なくとも!!」

一方「てめェ、ぶち殺すぞ」

垣根「・・・御坂、よかったじゃねぇか」

美琴「に、肉球がプニプニしてる・・・」

上条「そりゃ、猫だからな」

20000「あんっ・・・お、お義兄様のここはガチガチなんだね・・・」カァッ

上条「なに一人コントしてるんだ」

テクパトル「・・・なぁ、お前達いつ帰るんだよ」

垣根「心理定規が帰ってきたら」

テクパトル「ここには来ないだろ」

垣根「あぁ、ここに来てるってさっきメールで連絡したんだよ」

テクパトル「・・・さらに騒がしくなるのか・・・」ハァ


317 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 19:52:48.72 ID:gqeRFG0b0
上条「その・・・すまなかったな、急に来ちまって」

テクパトル「・・・今更謝られてもどうしようもないさ」

ビールを飲んだテクパトルが、顔をしかめる

テクパトル「・・・炭酸が抜けてる」

19090「テっくん、飲みすぎは肝臓に悪いですよ?」

テクパトル「わ、分かってるって・・・」

美琴「あはは、なんだか夫婦みたいな会話ね」

19090「!!」

御坂妹「・・・テっくん、顔がにやけてますよ」

10039「・・・鼻の下が伸びてますよ」

20000「勃起してるよ」

テクパトル「20000号、減点な」

20000「ま、待って!!今の流れだとそうなるじゃん!!」

テクパトル「・・・言っておくけど、にやけてないし鼻の下も伸びてない」

垣根「・・・いぬ、こっちおいでー」

いぬ「?」

垣根「ダメだこいつ、上条と10032号のいうことしか聞かねぇ」

一方「おいいぬ」

いぬ「?」

一方「来いよ」

いぬ「」


いぬ「にゃ、にゃー・・・」

御坂妹「一方通行!!いぬをいじめるのはやめてください!!」

一方「ちっ・・・いじめてねェし」

318 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 20:00:57.79 ID:gqeRFG0b0
19090「ふ、夫婦・・・お、夫と妻ですよ!?」

垣根「そうだな」

一方「そォいやさァ、うちのさいが・・・」

垣根「・・・サイ?君の家、サイがおんの?」

一方「ことわらいでもおるやろォがさいは」

垣根「コアラはおらんかね?パンダとか」

一方「うちは動物園ちゃうぞ」

垣根「違うんかいな」

一方「さい言うたらうちの嫁はン」

垣根「嫁はん?」

一方「妻、家内、ワイフ、女房」

垣根「仰山おんねー」

一方「一人や」

19090「・・・?」

垣根「ちっ・・・で?お前の番外個体がどうした」

一方「俺のってのが引っかかるけどな」

美琴「・・・なんなのよ?」

一方「・・・猫飼いたいって言い出してよ」

上条「うーん・・・でも、お前の家ってマンションだろ」

一方「あァ・・・だからよ、どうすればいいか相談したかったンだよ」

御坂妹「そうですね・・・」


319 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 20:05:30.05 ID:gqeRFG0b0
垣根「シカトしとけ、あいつって気まぐれそうじゃねぇか」

一方「・・・そォなンだけどよ・・・」

10033「・・・いいですね、そこまで愛されている番外個体」

14510「そんな愛すべき女性がいれば・・・ミサカ達に振り向くわけがありませんよね・・・」

20000「はぁ、オチンチンペロペロしたい」

テクパトル「20000号」

20000「この流れだとミサカの役目じゃんか!!」

17600「流れを断ち切るのも勇気だぜ」

19090「そ、そうですよ?」

一方「・・・お前らに相談した俺が馬鹿だったよ」

垣根「バーカ」

一方「あァ?なンだよ、俺より演算能力の低い垣根帝とくン」

垣根「お前、俺を怒らせた」

一方「なンだよ、火山が大噴火か?あァ?」

垣根「うるさーいなんてね!!」

一方「火山が大噴火ァ」

上条(・・・仲良しだな、こいつら)

美琴「・・・猫だったら、マンションでも飼えるんじゃない?」

一方「誰が世話すンだよ・・・」

上条「番外個体は?」

一方「あいつが世話すると思うか?」

20000「すぐ飽きそうだね」

御坂妹「そうなったら我が家で引き取りますよ、とミサカは・・・」

テクパトル「あぁもう!!それは絶対にダメだからな!!」

320 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 20:10:46.87 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・一方通行も色々大変だな」

一方「・・・わがままなヤツが二人いるからなァ」

上条「・・・一方通行、頑張れよ」

美琴「私の妹だから可愛いでしょ」

一方「あァ?」

10039「お姉様ったら冗談キツイですよ」アハハ

美琴「ちょっとイラってきたわよ」

上条「ま、まぁまぁ!!喧嘩はやめようぜ!!」

テクパトル「賛成だ・・・っていうか静かにしてくれ」

17600「みんな、テっくんはお疲れなんだ」

ミサカ一同「はーい」

御坂妹「では、そろそろ夜ご飯を・・・」

垣根「はぁ?まだ4時半だぜ」

一方「お前ら、時計ずらしてンのか?」

13577「いえいえ、我が家ではいつもこの時間から準備をしますよ?」

テクパトル「・・・こいつらだと時間が掛かるのさ」

御坂妹「丁寧に作っていると言って欲しいですね」

テクパトル「・・・丁寧に作った結果がこの前の丸焦げハンバーグか」

御坂妹「ごめん、アンタのために必死に作ったんだけど・・・焦げちゃった」

20000「御坂・・・いいんだよ、俺はお前も一緒に食べちゃいたい」

御坂妹「やん//」

上条「何やってるんだ」

御坂妹「おそらくお姉様とお義兄様が体験したであろうことの再現です」

上条「し、してないしてない!!」

美琴「わ、私そんなに料理苦手じゃないもん!!」

一方「へェ・・・」

美琴「う、疑ってるわね・・・ならいいわよ!!!」


美琴「今日は私が作ってあげるから!!」

一同「お、おぉ・・・」


321 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 20:27:06.56 ID:gqeRFG0b0
早いですが、明日提出のレポートがあるので今日はここまで

筋肉動画はこちら

「ミスターオリンピア」 ロニー・コールマンの2000年

そのバックステージでの撮影

三頭、腹筋、カーフという大きな弱点を抱えますが、それをカバーして余るほどの「背中」「二頭」「下半身」

2003年の大幅な増量で彼は大きなバルクを手にしましたが、同時にシンメトリーを失ったと言われています

もちろん、2005年までは大きすぎる体故にシンメトリーの崩れは目立ちませんでしたが、2006年のバルクが落ちた年、一気にシンメトリーの崩れが顕著になってしまいました

加えて「ステロイド」「HGH」などの筋肉増強剤の副作用でいわゆる「内臓肥大」を起こしてしまい、腹が美しくなくなっていました

シンメトリーが崩れ、さらに腹も出てしまったロニーはその2006年、9連覇をジェイに阻止されてしまいます

しかし、覚えていて欲しいのは「ロニーはただでかいだけ」ではないことです

ジェイと違う点は、背中のセパレーションが素晴らしいこと

ジェイを見ると、ただ背中は分厚いだけですがロニーのバックダブルバイセップスでは、何かの貌が浮かんで見えます

そこまで細かいカット、セパレーションがある背中というのはごく一部の選手です

しかも、それに広さがあるのですから化け物と言えます

また、2000年辺りまではわりと内臓肥大もひどくはなく、ある程度ウェストも絞られていました

そのためラットスプレッド、およびダブルバイセップスでは逆三角の体となっていたのです

この動画でも背中を見せますが、本当に人間のものとは思えません

背中は大きく、細かく、脚は太く・・・

しかも、三角筋も発達していますので、後ろを向けば彼はほぼ無敵でしょう

ケビン・レブローニでさえこの頃のロニーのバックには手も足も出ませんでしたから

というのも、ケビンは胸、三頭、腹筋、二頭、肩などのような、体の表の筋肉が大きく発達していました

一方、背中のセパレーションは若干粗く、ロニーには及ばないのです

そのため、前を見ればケビンが勝ち、後ろを向けばロニーの圧勝、となります

しかし美しさならケビンが互角どころか上と言えるのでしょうが、ドリアン以降のボディビルは「バルク」つまり「大きさ」が重視です

ロニーのように大きく、しかもシンメトリーが取れていればそれがチャンピオンになるのも頷けます

美しいのはショーン、ケビン、フレックス辺りですが

たしか、この当時はコンテスト時で腕周りが59cmほどだったかと

彼の体重、およびバルクが最盛期だった2004年では腕周りがコンテスト時で66cm・・・

たった4年で7cmの発達

それも、現役のミスターオリンピアが

バルクを手に入れるために、どれほどのトレーニングを積み、どれほどの薬物を摂取したのか・・・

それを知っているのはロニーだけですね

>>1はバルク重視の選手はどちらかといえば嫌いなんですが、ロニーは大好きです

陽気で優しく、面白い選手ですから

それに、彼は筋トレのときに役に立つ掛け声を生んでいます

「light weight baby!!」 「こんなの軽いぜ!!」 そうやって自己暗示を掛け、可能な限りの力を出す

あぁ、それこそが筋トレの醍醐味

http://www.youtube.com/watch?v=5mgCaHNENPk 


また長くなってしまった・・・姫神って可愛いよね
322 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 20:31:03.07 ID:cwuOh/OE0
乙!!
323 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 20:41:32.12 ID:IrjWzaHy0
乙です!

324 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 21:46:33.87 ID:gqeRFG0b0
へっへっへ

終ったのでもうちょい投下します


美琴(・・・とは言ったものの)

新しいキッチンの前で、美琴は腕を組んでいた

もちろん、自分の料理の腕が不安だからではない

何を作ろうか考えているのだ

リビングがそこから見えるが、何人かの妹達と一方通行はじっとキッチンを見つめている

視線がぶつからないようにして、チラチラと今いるメンバーを確認する

ちなみに、そろそろ心理定規もここに来るらしい

美琴(・・・当麻の好みは分かるけど・・・他のみんなって何が好きなんだろ)

よくよく考えれば、今いるメンバーの好みなんて分からない

洋食がいいのか和食がいいのか、濃い味がいいのか薄い味がいいのか

それさえも分からないのだ

わざわざ名乗りを上げてしまった以上、いいものを作らなければならない

美琴(・・・そうね、肉じゃがとかどうかしら)

妹達に家庭の味を贈ってあげたい

そう考えたのだが、すぐさまそれについて深く考えてしまう

美琴(・・・テクパトルもよく作るかな?)

家庭の味、といえばテクパトルが作っている可能性もある

美琴「ねぇテクパトル、昨日はなんだったの?」

テクパトル「あぁ、昨日は鍋だったよ」

美琴「ふーん・・・」


325 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 21:50:09.67 ID:gqeRFG0b0
昨日が鍋、となると今日は肉じゃがというのもいただけない

似たような物を二日連続で食べさせられるのは意外ときつい

美琴(・・・当麻には昨日、チャーハンを作ったし・・・)

垣根「ちなみに俺達は昨日、ハンバーグだったからな」

一方「なンだよ、お前の家もか」

垣根「お、お前ん家もか・・・気が合うな」

御坂妹「いいですね、ハンバーグ・・・」

10039「お姉様、ハンバーグがいいです!!」

美琴「こらこら、そこの二人は昨日食べたばかりなんだから」

14510「そうですよね・・・」

19090「・・・そ、そんなにガッカリしなくてもいいじゃないですか」

テクパトル「はぁ・・・今度俺が作ってやるよ」

17600「お、そりゃマジか」

13577「ありがとうございます!!」

20000「アイラブユー、テっくん!!」

テクパトル「はいはい・・・ちなみに俺達はなんでも食べられるから、気にしないでくれよ」

美琴「ふーん・・・」

テクパトル「あ・・・ただ、エビはあんまり使わないでくれ」

美琴「?アレルギーでもあるの?」

テクパトル「いや・・・あんまり好きじゃない」

上条「なんだ、テクパトルってエビ苦手なのか」


326 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 21:56:44.69 ID:gqeRFG0b0
テクパトル「こう・・・噛んだ時の食感が」

垣根「あぁ、たしかにちょっと苦手なヤツはいるかもな」

一方「・・・肉がいいな」

美琴「そういうのは愛する番外個体に頼みなさいよ」

一方「あいつ料理作れねェンだよ」

美琴「・・・苦労するわね」

御坂妹「・・・それで、何を作るんですか?」

10033「ミサカ達にお姉様の料理を思う存分奮ってください」

美琴「・・・そんなに大層なものは出来ないわよ」

14510「・・・そ、そうなんですか?」

美琴「えっと・・・オムライスとかどう?」

17600「うん、いいんじゃないか?」

テクパトル「オムライスか、みんな好きだもんな」

御坂妹「そ、そそそそそそんな子供っぽいものは好きじゃないですから!!」

10039「お、おおおおおおお姉様ったら子供っぽいですね!!」

美琴「・・・」


美琴「そっか、じゃあオムライスは無し・・・」

13577「あ、あぁぁぁぁぁぁ!!でも垣根と一方通行はオムライスが食べたいんですよね!?」

垣根「はぁ?」

13577「お、お願いします・・・」ボソッ

垣根「や・・・」

13577「・・・」ナミダメウワメヅカイ

垣根「・・・」


垣根「あぁあぁオムライスが食べたいなぁ、空の雲が全部オムライスに見えるなぁ!!」

美琴(・・・垣根、頑張ったわね)

327 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 22:01:52.17 ID:gqeRFG0b0
上条「じゃあオムライスだな」

美琴「そうね・・・じゃ、作るからみんなはゆっくりしてて」

19090「手伝いましょうか?」

美琴「いいからいいから」

19090号を手で制して、美琴が食材を準備する

美琴(・・・そういえば、この大人数のを作らないといけないのね)

妹達にテクパトル、上条と垣根、一方通行に自分

更にはそろそろ合流する心理定規の分までを作らないといけないのだ

美琴「えっと・・・この食材って、全部使っていいの?」

テクパトル「あぁ、いいよ」

美琴「・・・それにしても、ずいぶん買い込んでるわね」

テクパトル「この人数じゃ仕方ないんだ・・・」

御坂妹「いぬ、今日のご飯はあなたにはあげられませんよ」

14510「!!いつもこっそり、ご飯を分けていたのですか!?」

10033「道理で10032号だけ懐かれてるわけですね!!」

御坂妹「そんな理由じゃないですよ、ねー」

いぬ「?」

上条「・・・ほ、ほら!御坂妹が一番最初にいぬに会ったんだし、一番懐くのは仕方ない・・・」

ミサカ一同「仕方ないなんてことはありません!!」

上条「ご、ごめん!」


328 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 22:09:52.13 ID:gqeRFG0b0
垣根「・・・美琴、美味しいの作ってくれよ」

美琴「!?な、なに呼び捨てしてんのよ!!」

垣根「いいじゃねぇか、たまには」

一方「おい美琴、頼むぜェ」

美琴「な、何言ってるのよ」

テクパトル「美琴、頼むぞ」

美琴「あぁもう!!なによ、冷やかし!?」

上条「こらこら、御坂・・・怒らないの」

美琴「み、御坂!?」

上条「ははは!!たまには昔の呼び方するのも面白いだろ」

垣根「そういやお前たち、昔は御坂って呼んでたな」

上条「そりゃ付き合う前から美琴って呼ぶことはないだろ」

垣根「そうか?俺は付き合う前から心理定規って言ってたけど」

上条「それは当たり前だろ」

10039「・・・お姉様、今の進行状況はどうですか?」

美琴「まぁまぁよ・・・みんなは玉子、固めがいい?」

ミサカ一同「とろける感じで!!!」

美琴「あ、やっぱり?私もそうなのよ」

テクパトル「さすがは姉妹だな」

17600(・・・ミサカは固めがいいんだけどな)


329 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 22:14:19.90 ID:gqeRFG0b0
上条「・・・俺も柔らかくていいかな」

一方「俺もそれでいいけどよォ・・・肉はねェのか?」

美琴「ないわよ」

垣根「俺はお前の卵が食べたいな」

美琴「・・・」

垣根「ごめん、だから包丁の切っ先をこっちに向けないで」

美琴「・・・あんまりそういうネタ、好きじゃないわよ」

垣根「上条、お前が言ってみて」コソッ

上条「み、美琴の卵が食べたいな」

美琴「//」

垣根「ほれ見ろ!!やっぱりお前は相手の問題じゃねぇか!!」

美琴「さーて、作るわよ!!」

垣根「あ、シカトですか」

上条「・・・心理さんもそろそろ来るんだよな?」

垣根「あぁ、もうそろそろ・・・」

ピンポーン

垣根「お、来た来た」

テクパトル「はぁ・・・騒がしくなるな」

垣根「お出迎えに行ってくるぜ」

御坂妹「いってらっしゃい」


垣根「はいはーい」

心理「あら、あなたがお出迎え?」

垣根「よぉ、めちゃくちゃいい家・・・」


330 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 22:20:43.93 ID:gqeRFG0b0
垣根がそこで言葉を止める

心理定規の両手には化粧品の入った買い物袋が握られていた

しかも5つ

垣根「・・・てめぇ、全部でいくらした」

心理「2万位」

垣根「あのなぁ!!浪費と消費は違うんだよ!!」

心理「てへっ」

垣根「て、てへっじゃねぇよ!!そんな顔赤くして片目粒って頭小突いて若干上目遣いにしても全く効かねぇよ!!」

心理「ちょっと同様してるじゃない・・・失礼するわよ」

心理定規がテクパトル宅に侵入する

侵入、というのは言い方もおかしいが家主の了承をその場では得てないのでそうなるのだろう


心理「・・・あら、みんなおそろいね」

御坂妹「久しぶりですね」

心理「猫?可愛いじゃない」

御坂妹「いぬ、ですよ」

心理「あぁ、いぬなのね・・・美琴は?」

上条(すげぇ、納得しやがった)

垣根「キッチンでエプロンを着ながら料理中です」

美琴「やっほ・・・あ、危なかった!!」

心理「あら、何か作ってるの?」

美琴「・・・で、でもちょっと人数分作らないといけないから同時進行で・・・」

一方「焦がすなよ」

美琴「わ、分かってるわよ!!」

心理「あら、私も手伝うわよ」

美琴「で、でも・・・」

心理「いいから、エプロンって余ってる?」

19090「は、はい・・・」


331 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 22:25:19.72 ID:gqeRFG0b0

垣根「・・・心理定規もオムライス作りに参戦・・・か」

テクパトル「・・・そうだな」

13577「・・・その、なんですね」


心理「美琴、ちょっとマヨネーズ入れると美味しいわよ」

美琴「そ、そうなの?」

心理「卵とマヨネーズを混ぜると少しふんわりするのよ」

美琴「へ、へぇ・・・」


上条「・・・心理さんって、エプロン似合うな」

垣根「だろ」

上条「・・・しかも料理得意だし」

17600「・・・そういうの苦手そうなのにな」

10039「・・・心理定規って、欠点あるんですか?」

垣根「そうだな・・・金遣いが荒い」

一方「致命的だな」

上条「あぁ、致命的だ・・・だが」

一同がキッチンを並べる

常盤台のお嬢様であり、学園都市のマスコットでもある御坂美琴

クールで美人だが、なぜかエプロンも似合う心理定規

そんな二人が、真剣な顔で料理をしている

その光景は、もう何かの小説のようだった

上条「はぁ・・・」


一同「・・・綺麗ですね」


332 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/16(金) 22:28:25.94 ID:gqeRFG0b0
今日はここまで

筋肉動画もういっちょ

ナッサーさん

http://www.youtube.com/watch?v=6ZEDdxRugWc

でっけぇ、超バルク型といってもいいです

しかし、当時としては異常なバルクですが、ロニーやマーカスに比べると見劣りしますね

でもマーカスより完成度は高いです


ではおやすみなさい

333 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 22:57:33.41 ID:ru34xklro
改めて乙
334 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/16(金) 23:30:46.21 ID:cwuOh/OE0
改めて乙
335 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 01:33:20.22 ID:1oJYqU610
乙なのである
336 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 02:03:40.43 ID:nVR5UnUlo
┌─────┐
│改 め て 乙.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
337 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 12:29:09.08 ID:S3ezjGT30
乙だにゃー
338 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:23:31.32 ID:jPkDzPEq0
美琴「・・・心理定規ってなんでも出来るのね」

オムライスを作りながら、ふと美琴が呟く

心理「そんなことないわよ」

美琴「・・・そう?」

心理「あなたは能力が高い、優しくて見た目も可愛いじゃない?そんなあなたが劣等感を抱く必要はないわよ」

美琴「・・・でも、心理定規はすごいわよ」

美琴が少しだけ手を休める

美琴「美人で料理が出来て・・・落ち着いてて、優しくて・・・それで、垣根を一途に愛してる」

心理「・・・美琴、あなたもしかして自分に自信を無くしてる?」

美琴「だ、だって・・・」

美琴が俯いてしまう

心理「・・・だとしたらそれはくだらないことよ」

美琴「くだらない・・・かな」

心理「あなたの人生は、あなただけがレールを敷ける・・・邪魔になる砂利を除けることには誰にでも出来るけど、走るのはあなただけよ」

美琴「・・・でも、私はあんまり自分が好きじゃないのよ」


339 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:24:11.16 ID:jPkDzPEq0
心理「・・・安心しなさい、あなたはとっても素敵じゃない」

美琴「・・・そうかな」

心理「あなた、上条君が大好き?」

美琴「うん、大好きなんてレベルじゃないくらい」

心理「そんな上条君が愛してる女性なのよ、あなたは」

美琴「!」

心理「・・・それとね、私なんかと比べたらダメよ」

コンロのスイッチを切り、オムライスを皿に乗せていく

その間も心理定規は話を続けた

心理「・・・私ね、あなたに憧れてるの」

美琴「私に?」

心理「・・・あの子達」

心理定規がリビングでくつろいでいる妹達を見つめる

全員、美琴と同じ見た目をしている

本当に、寸分違わぬ容姿

見分けがつけられるのはテクパトルだけだろう


340 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:24:47.08 ID:jPkDzPEq0
心理「あなたは、自分の妹として認めてあげているじゃない」

美琴「当たり前じゃない、私の妹なんだから」

心理「それが素敵なのよ」

美琴「?どうして?」

心理「・・・正直、私があなたと同じ立場だったら気持ち悪いと思うわ」

美琴「・・・」

心理「自分と同じ顔、同じ身長、同じ体・・・そんな人間が一万近くいるのよ」

美琴「・・・冷静に考えたら、怖いことなのかもしれないわね」

心理「・・・私だったら、そんなクローンを妹とは認めたくないわよ」

美琴「・・・あの子達は」

心理「分かってる、それに私もあの子達は大好きよ?でもね、自分の立場だったら・・・あなたみたいに優しくは接することが出来ないはず」

美琴「・・・そんなことないわよ、心理定規ならきっと」

心理「言ったでしょ?自分のレールを敷けるのは自分だけ・・・あなたが私のことを想像するのは自由だけど、それは決して現実とは相容れないのよ」

美琴「・・・」

心理「だから、あなたは私なんかと比べたらダメ」


341 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:25:14.83 ID:jPkDzPEq0
美琴「・・・なんかじゃないわよ」

心理「なに?」

美琴「こんな話をして、自分を傷つけてまで私を元気づけてくれた・・・アンタは優しい人間よ」

心理「・・・美琴」

美琴「私、心理定規が大好きよ」

オムライスを見つめながら美琴がぽつりと呟く

二人で作った物なのだと思うと、自然と笑みがこぼれる

美琴「だから、自分をそんなにダメな人間みたいに言わないで」

心理「ふふ・・・あなた、優しいわね」

美琴「アンタもね・・・さて!みんな、出来たわよ!」


上条「お!待ってました!」

垣根「やっと出来たか・・・待ちくたびれたな」

一方「・・・肉は入ってねェンだろ」

美琴「我慢しなさい」

テクパトル「みんな、手を洗ってきなさい」

ミサカ一同「はーい!」


342 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:25:44.51 ID:jPkDzPEq0
上条「・・・俺達も手、洗って来るか」

テクパトル「みんなについていけば洗面所だ」

垣根「あいよ」

一方「はァ・・・ちくしょォ、肉が食いてェな」

心理「あら、不満ならあなたの分は捨てるけど?」

一方「食べますゥ」

美琴「もう・・・アンタってもっと感謝の気持ちを持ったほうがいいわよ」

一方「うるせェな・・・」

テクパトル「そうだぞ一方通行、わざわざ自分のために作ってくれたんだから」

一方「全員の分を作ったついでじゃねェか」

美琴「うわ・・・無愛想」

心理「・・・これだから薄情な男は嫌いよ」

一方「てめェに嫌われてもイヤじゃねェンだよ」

垣根「おい、一方通行!手洗おうぜ!」

一方「今行くから待っとけ」

心理「・・・やけに垣根とは仲良しね」


343 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:26:22.21 ID:jPkDzPEq0
一方「・・・」

テクパトル「いいじゃないか、仲良しなヤツがいるのは」

美琴「・・・ねぇ、アンタは手・・・洗わないの?」

テクパトル「キッチンで洗うからいいよ・・・」

19090「ただいま・・・あー!テっくん、また新しい缶を開けましたね!?」

テクパトル「いいだろ・・・せっかくの休日なんだからさ」

19090「いけません!体を壊したらどうするつもりなんですか!?」

テクパトル「な、なんか今日はやけに厳しいな」

19090「お姉様がいる前で、しっかりミサカが躾しているところを見せなければならないんです!」

美琴「あはは!躾られてるの、テクパトル?」

テクパトル「俺はいぬじゃねぇ・・・」

御坂妹「ふいー・・・?テっくん、手を洗いましょうよ」

テクパトル「分かってるって・・・」

テクパトルがしぶしぶキッチンに向かう

身長の高い彼は、少ししゃがまないと水道で手を洗えない


344 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:27:06.37 ID:jPkDzPEq0
かといって彼の身長に合わせたら、他の全員が不便してしまう

結局、彼が妥協しなければならなかったのだ

テクパトル「はぁ・・・」

心理「あら、ずいぶん疲れてるみたいね」

テクパトル「分かるか・・・?」

20000「そりゃそうだよ、みんなが来なけりゃ今頃19090号とギシアンだったのにね」

17600「避妊はしろよ」

テクパトル「違うからな・・・上条、ちょっと納得したような顔をするな」

上条「なんだ、違うのかよ」

19090「きょ、今日はそんなことしませんよ!」

14510「今日は、ですか」

13577「へぇ、いつかはしたんですね」

19090「あ・・・いや!ち、違いますよ!?」

一方「慌てることでもねェだろ、付き合ってンだから」

御坂妹「・・・一方通行も番外個体とよくするんでしょうね」

20000「な、なにぃ!?」


345 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:28:20.11 ID:jPkDzPEq0
14510「一方通行!ミサカも是非!」

10033「いえいえ!ここはミサカが!」

一方「しねェよ」

御坂妹「なんだ、セックスレスですか」

心理「こら、女の子がそんなことをあんまり口にしたらダメよ」

御坂妹「ですが、事実は事実・・・」

心理「それともなにかしら、もしかしてエッチなことに興味でもあるの?」

御坂妹「!20000号と一緒にしないで下さい!」

垣根「・・・なぁ、いつになったらオムライス食べていいんだ?」

美琴「もう食べていいわよ?」

垣根「マジか!いただきます!」

一方「いただきます」

上条「お、一方通行も普通に挨拶したな」

一方「黄泉川がうるせェンだよ、しっかり礼儀は弁えろってな」

ミサカ一同「いただきます!」

心理「いただきます」


346 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:28:45.29 ID:jPkDzPEq0
テクパトル「義姉さん、ありがとうな」

美琴「どういたしまして!私もいただきます!」

心理「私も作ったんだけど」

上条「心理さん、ありがとうな」

心理「どういたしまして」

垣根「お!美味いじゃねぇかよ!」

13577「玉子がフワフワですね!」

10039「テっくんの男らしい料理とはまた違った魅力があります!」

テクパトル「あぁ、繊細だな」

美琴「よかった・・・」

心理「私と美琴が作ったのよ?美味しいに決まってるじゃない」

垣根「すげぇ自信だな」

上条「でも実際に美味しいんだから文句ないけどさ」

一方「・・・あァ、美味い」

テクパトル「・・・そうだな」


347 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:30:06.06 ID:jPkDzPEq0
19090「で、でもミサカはテっくんの料理も大好きですよ!?」

御坂妹「ミサカだってそうですよ!」

13577「テっくんの料理はテっくんにしか作れませんよ!」

テクパトル「あぁ、ありがとうな」

美琴「・・・みんな、本当にテクパトルが大好きなのね」

14510「・・・それは、まぁ」

一方「いいじゃねェか、家族なンてそう簡単に作れるもンじゃねェンだからよ」

テクパトル「あぁ、俺だって今の生活にかなり満足してるさ」

心理「・・・でも、本当に大変よね」

垣根「こんな大人数の世話なんて俺には無理だな」

テクパトル「やってみれば分かるけど、みんなが笑ってくれるのはかなり嬉しいもんだよ」

上条「その嬉しさがあるから世話し続けられるんだな」

テクパトル「あぁ」

オムライスを頬張りながら、テクパトルが笑う

19090「・・・テっくんがいなかったら、ミサカ達はもっと退屈な日々を過ごしていたはずです」

17600「そうだな、それは違いない」


348 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:31:12.10 ID:jPkDzPEq0
10039「・・・ありがとうございます、テっくん」

20000「まぁ・・・こう言うのは恥ずかしいけどさ、ミサカもテっくん大好きだぜ」

テクパトル「な、なんだいきなり?」

美琴「いいじゃないの、ちょうどいいタイミングだったんだし」

上条「そうそう、新居も建てて、テクパトルに感謝する気持ちも強まったんじゃないか?」

一方「・・・テクパトル、てめェあンまり妹達にちょっかい出すなよ」

テクパトル「出してねぇよ・・・」

20000「嘘、この前の暑い夜は無かったことにするの!?」

テクパトル「そんなの無かったからな」

心理「はぁ・・・ごちそうさま」

垣根「ごちそうさま・・・意外と御坂も料理上手かったんだな」

美琴「何度も言ってるじゃない」

上条「美琴はいつも作ってくれてるんだよ」

心理「愛妻弁当ね」

美琴「あ、愛妻・・・//」

御坂妹「・・・いいですね、仲良しカップルは!」


349 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:32:48.96 ID:jPkDzPEq0
14510「ちっとも羨ましくなんかないですけど!」

垣根「羨ましいんだろ!あぁ!?」

一方「・・・ごちそうさまァ」


上条「はぁ・・・悪かったな、急に邪魔して」

テクパトル「まぁ・・・楽しかったから良しとしておくよ」

広い玄関で、テクパトルは五人と話していた

番外個体の調整が終わったらしく、それをきっかけにして切り上げるになったのだ

心理「ありがとう、みんなにも宜しく伝えててね」

美琴「みんなのこと、頼んだわよ」

テクパトル「任せてくれ、じゃあ気をつけて」

上条「お休み」

テクパトル「あぁ、お休み」


垣根「はぁ・・・もう夜になっちまったな」

一方「当たり前だろォが」

上条「・・・見ろ、めちゃくちゃ月が綺麗だ!」

美琴「ホントだ!手が届きそう!」


350 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:33:54.83 ID:jPkDzPEq0

一方「はァ?届くわけねェだろォが」

美琴「・・・アンタってホント、ロマンチックのかけらもないわね」

一方「なンだよ」

心理「いいじゃない、逆にロマンチックな一方通行のほうが不気味よ」

上条「それは言えてるな」

一方「お前ら・・・喧嘩売ってンのか」

垣根「にしても、本当いい夜だな」

月を見上げながら垣根が呟く

先程美琴が言ったことも馬鹿には出来ない

月が綺麗に写っているため、本当に手が届きそうに感じる

垣根「・・・なぁ、上条」

上条「なんだ?」

垣根「もう寮に帰るのか?」

上条「あぁ、宿題がテンコ盛りだからな」

心理「あら、美琴と二人きりになりたいからじゃないの?」

上条「う・・・」


351 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:35:42.16 ID:jPkDzPEq0
一方「・・・俺はこっちの道だからよ」

美琴「あ、そっちの道なんだ」

一方「あァ」

垣根「じゃあ、気をつけてな」

一方「誰に言ってンだよ」

上条「お前はもう、いつでも能力が使えるわけじゃないんだからさ」

一方「ンなことは俺が一番よく分かってるンだよ」

心理「まぁ、とにかく気をつけて帰りなさいよね」

一方「じゃあな」

美琴「じゃあね」

一方「・・・そォだオリジナル」

美琴「はぁ・・・なに?」

一方「番外個体がてめェに会いたがってた、ヒマが出来たら遊びに来いよ」

美琴「はいはい・・・」

一方「・・・じゃあな」

美琴「私、御坂美琴って名前だから」


352 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:38:04.81 ID:jPkDzPEq0
一方「ンなこと知ってるに決まってンだろォが」

美琴「・・・じゃあね、あんまり遅く帰ったらダメよ」

一方「じゃあな、御坂」

美琴「!」

一方「オリジナルのくせにあンま俺の心配してンじゃねェ!」

中指を立ててから、一方通行が走り去る

能力を使っているようだ

上条「・・・あいつって、結構恥ずかしがり屋だよな」

美琴「うん」

垣根「・・・っと、俺達もこっちになるから」

上条「じゃあ・・・また今度な」

心理「美琴、避妊はしっかりしなさいね」

美琴「な、なに言ってるのよ!?」

垣根「じゃあな・・・いい夜を」

上条「た、互いに」

心理「あら、私達はそんなことしないから」

手を振りながら、二人が上条達の元を離れる

残された二人は、しばし見つめ合っていた


353 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:43:00.15 ID:jPkDzPEq0
美琴「・・・ね、手・・・繋いでいい?」

上条「当たり前だろ?」

美琴「じゃあ・・・」

ぎゅっ、と美琴が上条の手を握り締める

上条「・・・美琴は甘えん坊だな」

美琴「・・・アンタにだけ」

上条「・・・分かってるって、他のヤツにも甘えてたら上条さんは嫉妬に狂ってしまいます」

美琴「そ、そっか」

握り締めた手を、握ったり緩めたりする

何度も手を繋いできたがこの胸の高鳴りには恐らく慣れることはないだろう

上条「・・・帰りましょうか」

美琴「うん」

手をブラブラとさせながら寮へ向かう


上条「はぁ・・・やっぱり我が家は落ち着くな」

美琴「そうね・・・テクパトルの家のほうが大きいのに」

上条「あ、それは言ったらダメです」

美琴「・・・当麻の匂いがするわよね、この部屋」


354 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:43:32.71 ID:jPkDzPEq0
上条「美琴さん・・・ちょっと変態チックな発言」

美琴「そ、そういう意味の匂いじゃないわよ!」

上条「じゃあどういう意味なんですか」

美琴「・・・当麻が暮らしてるって雰囲気の部屋ってこと」

上条「ふーん・・・具体的に」

美琴「なんかいろんな物が割と適当に置かれてて・・・」

上条「それは褒めては・・・ないですよね」

美琴「しかも宿題が山積みになってて」

上条「明日になったらやろうって決めてるんです!」

美琴「そんな言い訳をした結果終わってない宿題もあって」

上条「バレてる!?」

美琴「・・・垣根から借りたのか知らないけど、ベッドの下に漫画押し込まれてるし」

上条「う・・・本棚に入らないんですよ」

美琴「その中にエロ本とかないでしょうね」

上条「ないない!それだけは絶対にありません!あったとしても垣根のいたずらであって俺の故意ではありません!」

美琴「・・・まぁ、故意じゃないならいいわよ」

上条「よ、よかった」

美琴「それでね、こんな当麻の暮らしてる匂いがする部屋って素敵じゃない」


355 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:44:07.28 ID:jPkDzPEq0
上条「素敵かな?」

美琴「うん・・・なんか安心する」

上条「へぇ・・・」

上条が首を捻る

彼には分からないものの、女の子というのはそういうものなのだろうか

上条「・・・美琴、風呂から入るか?」

美琴「うーん・・・それより先に宿題終わらせない?」

美琴が時計を確認する

まだ夜の6時になったばかりなのだ、さすがに風呂に入るには早い

上条「というか・・・美琴さんに宿題を手伝ってもらうのが当たり前になってしまいましたね」

美琴「だって早く終わらせないと当麻・・・」

美琴がため息をつく

自分の彼氏が留年した、なんて流行らない冗談だ

そしてそんな冗談が実際に起きる手間でもある

だとしたら、そうならないように手伝うのが恋人の役目というものではないか

上条「はぁ・・・先生もかなりたくさん出したんだな」


356 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:44:33.42 ID:jPkDzPEq0
美琴「なんか言い方がエロいわよ」

上条「ん?どこがどんな風に?」

美琴「い、言わなくたって分かるでしょ!」

上条「いやいや、上条さんは馬鹿なので・・・って待て待て!電撃はダメだから!」

美琴「エッチ!変態!」

上条「なんだよ!言い出したのはお前じゃないか!」

美琴「そ、そうだけど・・・」

上条「はぁ・・・とりあえず宿題、終わらせないと」

上条がプリントを広げ、そして顔をしかめた

小萌の欠点を一つだけあげるとしたら、宿題があまりに難しいことだ

もちろんそれも生徒のことを思ってなのだから文句は言えないが

上条「・・・これを春休みの間に終わらせるのか」

美琴「余裕よ余裕」

上条「・・・美琴さん、いえ美琴先生」

美琴「そうね・・・仕方ない、手伝ってあげるわよ」

上条「美琴先生万歳!大好きだぜー!」

美琴「わ、分かったから静かにしなさい!」



357 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:44:59.87 ID:jPkDzPEq0


上条「なぁ、美琴」

美琴「なに?」

コタツの代わりに部屋の中央に置かれたテーブル

二人が肩を並べて宿題をしていた

しかしさすがに上条も飽きてきたらしい

上条「なんか、ちょっとしたゲーム性を持たせながら勉強したいんですが」

美琴「具体的にはどんな風に?」

上条「俺が自力で一問解く度に、美琴が一枚脱ぐとか」

美琴「却下、大体それじゃ私に得がないじゃないの」

上条「・・・その代わり、俺が手を借りる度に一回美琴さんの頭を撫でて差し上げましょう」

美琴「な、撫で・・・」

美琴が頭の中で二つを天秤に掛ける

結果として勝ったのは・・・


美琴「うぅ・・・アンタずるいわよ!全部復習のプリントだったらアンタが有利に決まってるわよね!」

上条「ははは!化学は得意なほうなんだよ!」

美琴「にゃあ・・・」


358 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:45:29.89 ID:jPkDzPEq0
美琴はすでにパンツ一枚になっていた

胸を手で隠しながら、顔を真っ赤にしている

上条「・・・にしても、まさか美琴さんがノッてくるとは思いませんでした」

美琴「だってアンタが不利だと思ったんだもん!」

上条「あ、ここも出来た」

美琴「嘘!?」

上条が指差している問題を美琴がチェックする

たしかにそれは正解していた

簡単な問題、と美琴は感じるが上条にとっては大きな進歩なのだ

上条「さて、残りはパンツだけでしたよね」

美琴「ほ、ほら!こういうのって健全な高校生と中学生がしたら・・・」

上条「まぁまぁ、美琴さんはエッチな中学生ですから」

美琴「そんな・・・!」

上条が無理矢理美琴のパンツを剥ぎ取る

上条「やっぱりゲコ太の柄なんですね」

美琴「うぅ・・・いいでしょ別に!」

上条「可愛いな、美琴」

美琴「!?」

上条が美琴の頭を撫でた

それだけで思考が溶けていく

あぁ、やっぱりそういうことになるわよね、と美琴がため息をつく

でもそれは決してイヤなことではなかった



359 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 15:47:51.05 ID:jPkDzPEq0



ゴーグル男はいくつか、女に対して疑問を抱いている

まず、女はなぜ長い買い物が好きなのか

彼にとって買い物はほしい物を手に入れるための手段であって目的ではない

次に、女はなぜくっついてこようとするのか

これにはある誤解があるのだが、全ての男がそうされるわけではない

ゴーグル男が幸せなだけだが、本人にそんな自覚はなかった

そして最後の疑問

なぜ女は、出掛ける時に一人で行動出来ないのか

トイレに行くときでさえ、誰かと一緒でなければ気がすまないらしい

買い物なんてなおさらだ

そして、ゴーグル男もまたそのせいで今ショッピングセンターにいる

彼をつれてきたのは誰か、といえばアイテムの女性全員だ

ちなみに、隣では浜面が肩を落としている

ゴーグル男と同じ不満を抱えているのだろう

ゴーグル「・・・めんどくさいっすね」

浜面「あぁ・・・なんなんだよ、なんでこんなに時間掛かるんだよ!?」

冬から春に季節が変わったため、服を買い換えたいと言われた

それには何の不満も無い

というか、それが当たり前なので不満を言えるはずもなかった

360 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 16:12:31.84 ID:jPkDzPEq0
ゴーグル「滝壺さんが服を買いたいなんて珍しいですね」

浜面「そうだな、ちょっと珍しいけど・・・」

ゴーグル「・・・さすがにジャージじゃないですよね」

浜面「・・・俺には保証できないな」

ゴーグル「・・あ、絹旗さん」

絹旗「超いいのを見つけました!!じゃーん!!」

ゴーグル「・・・超がつくほどのミニスカですね」

浜面「・・・お前、そういうの大好きだよな」

絹旗「ほらほら、見たいですか?見たいですよね!?見せませーん!!」

ゴーグル「そういうのって、軽い女っぽく見えますよ」

絹旗「これだから童貞は超キモイんですよ」

ゴーグル「・・・浜面さんはどう思いますか?」

浜面「子供が無理して大人っぽくしようとしてるみたいな感じだな、心理定規の姉ちゃんを見てみろよ・・・いないけど」

絹旗「あぁもう!!超理解が足りません!!」

ゴーグル「・・・あ、麦野さんもっすか」

麦野「・・・一応二人にも見てもらおうと思って」

浜面「へぇ・・・お前ってジャケットとか着るんだ」

麦野「・・・ちょっとしたイメチェンよ」


361 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 16:34:53.65 ID:jPkDzPEq0
ゴーグル「でも似合ってますよ、麦野さん」

麦野「そう?ありがとう」

浜面「これで意中のあいつも落とせるな」

麦野「・・・いないわよ、そんなの」

絹旗「きーっ!!いいですよ、二人を唸らせる超可愛い服を選んでみせますから!!」

浜面「いや、春にふさわしい服装・・・」

絹旗「待っててくださいね!!」

ゴーグル「・・・行っちゃいましたね」

麦野「絹旗もまだまだ子供ね」

ゴーグル「・・・麦野さんはそれだけっすか?」

麦野「まさか、ちょっと来てみただけ」

ゴーグル「あぁ、それじゃあ他のも選ぶんですね」

麦野「私、あんまりジーパンは好きじゃないのよね」

ゴーグル「?なんでっすか、似合いそうなのに」

浜面「ダメダメ、こいつ脚太い・・・」

麦野「浜面」

浜面「」


362 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 16:39:14.39 ID:jPkDzPEq0
ゴーグル「・・・あ、滝壺さんとフレンダさん」

滝壺「じゃじゃじゃーん」

浜面「・・・滝壺、なんでまたジャージなんだ?しかもピンク・・・」

滝壺「だって私の制服だよ?」

浜面「いやいや!!もう少し胸元を強調しているような服装だと俺も喜べるんだけどな!!」

滝壺「はまづら、エッチ」

浜面「あぁそうだよ!!男なんてみんなエッチだ、なぁゴーグル!?お前だって滝壺が胸元強調してたら興奮・・・」

ゴーグル「フレンダさん、ちょっと短すぎないっすか?そのショーパン」

フレンダ「ふっふーん!!私の脚線美で男を虜にしてみせる訳よ!!」

ゴーグル「いや、そこまでは・・・」

フレンダ「見よ!!このニーハイ、そしてそこから溢れる太もも!!」

ゴーグル「・・・なんか、軽そうっす」

フレンダ「はー・・・これだから童貞はキモイ訳よ」

麦野「フレンダ、たしかに脚見せすぎよ」

フレンダ「だって私は脚細いもーん」

麦野「フレンダぁぁぁ!!!」

ゴーグル「ま、まぁまぁ・・・麦野さんは胸がでかいじゃないっすか」

浜面「そうだろ!?やっぱり女は胸だよ!!」

滝壺「はまづら最低」

浜面「えぇ!?滝壺さんがなんだかお冠!?」

ゴーグル「・・・フレンダさん、もう少し露出減らしましょうよ」

363 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 16:42:49.53 ID:jPkDzPEq0
フレンダ「あ、なになに!?俺だけのフレンダがみんなに見られるのはイヤとか!?」ニヤニヤ

ゴーグル「はぁ・・・それでもいいっすから、もう少し・・・」

フレンダ「ば、ばばばばば馬鹿じゃないの!?アンタのもんじゃないし!!」

ゴーグル「いや、だから妥協してそういうことで」

麦野「ゴーグル君、フレンダは脚を見せないと他に見せるところがないのよ」

ゴーグル「は、はぁ」

滝壺「フレンダは胸が控えめだもんね」

フレンダ「うっわー!!カチンときた訳よ!!」

ゴーグル「中々古い表現ですね」

浜面「なぁ滝壺・・・もう少し、セクシーな服装を・・・」

滝壺「だって、そしたらはまづら、鼻血噴出すもん」

浜面「いやいや!!それに堪える練習をするために・・・」

麦野「じゃあ私がエッチな服でも着てやろうか」

浜面「遠慮しとく!!」

麦野「あぁ!?なんでだよ!?」

浜面「なんで怒ってんだよ!?」

フレンダ「ねぇゴーグル、あれはどうかな?」

ゴーグル「・・・誰か、助けてください・・・」


364 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 16:59:14.98 ID:jPkDzPEq0

フレンダ「じゃーん!!これとかどう!?」

ゴーグル「・・・はいはい、可愛いですからもう帰りましょうよ・・・」

絹旗「浜面!!見てください、これなら超大人っぽいですよね!?」

浜面「・・・だから短すぎるんだよ」

ゴーグル「露出が多い=セクシー、じゃないっすよ」

絹旗「そんなこと言いながらチラチラ見てるじゃないですか、ほらほら」ピラピラ

浜面「おぉぉぉ!!滝壺、俺に力をぉ!!」

滝壺「はまづら、頑張って!」

ゴーグル「・・・はぁ、春物ですよ?そんな露出が高かったら寒いんじゃないっすか?」

フレンダ「そんなこと、やってみなきゃわかんない訳よ!!」

ゴーグル「・・・あなた、馬鹿って言われたことないっすか?」

フレンダ「うっわひどい・・・」

麦野「・・・それより、アンタ達は買わないの?」

浜面「俺か・・・」

ゴーグル「いいっすよ、別に持ってるんで」

フレンダ「あれ・・・でもゴーグルの前暮らしてた場所ってまだあるの?」

ゴーグル「・・・」


ゴーグル「買いますよ、買いますとも」

フレンダ(開き直った訳よ)
365 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 17:38:48.89 ID:jPkDzPEq0

ゴーグル「えーっと・・・これとこれと・・・」

フレンダ「・・・ね、ねぇ」

ゴーグル「ん、なんすか?」

ゴーグル男は男性用の服を見ていた

もちろん、自分が着るのだから

フレンダ「そんなにポンポン決めたら面白くない訳よ・・・もっと、これにしようかあれにしようかって・・・」

ゴーグル「服なんて楽に着れればそれでいいっす」

フレンダ「つまんない!!なんでパーカーとダボダボのズボンばっかりなの!?そういうのは黒人が着てるのが似合う訳よ!!」

ゴーグル「う・・・服なんて自己満足の世界じゃないっすか」

フレンダ「ジーパンとかチェックシャツとか!!もっと年相応のヤツを着るべきな訳よ!!」

ゴーグル「・・・そうっすね、じゃあこれで」

フレンダ「だからパーカーばっかりじゃつまらないの!!」

ゴーグル「・・・だって浜面さん見てくださいよ」


浜面「うーん・・・やっぱりリングとかも必要だよな」

滝壺「はまづら、ゴテゴテしすぎ」

麦野「これだからスキルアウトあがりは・・・」ハァ

絹旗「どこぞのヤクザみたいですね」

浜面「う、うるせぇ・・・」


ゴーグル「あれよりはマシでしょ?」

フレンダ「そ、そうだけど・・・」



366 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 17:49:09.33 ID:jPkDzPEq0
ゴーグル「・・・フレンダさん、選んでくださいよ」

フレンダ「うーん・・・これは?」

フレンダが指差しているのは、最近人気沸騰中のブランドのジャケットだ

ゴーグル「いや・・・こういうのこそ、外国人が着てるほうがいいっすよ」

フレンダ「私外国人だもん」

ゴーグル「・・・アンタが着るわけじゃないんですから」

ゴーグル男がそのジャケットをじっと見つめる

垣根なら、あるいは似合うかもしれない

そう考えると、垣根は非常に恵まれているのだ

ゴーグル「はぁ・・・俺はルーズな格好のほうが楽でいいです」

フレンダ「うーん・・・でもあんまりルーズすぎるとだらしなく見える訳よ」

ゴーグル「実際だらしないですから」

フレンダ「・・・結局、パーカーとダボダボのカーゴばっかり買う訳よ」

ゴーグル「いいでしょ別に・・・」


浜面「滝壺、おそろいのネックレス買おうぜ」

滝壺「うん、いいよ」

麦野(ちっ・・・リア充が)

絹旗(・・・海原さんってオシャレですよね・・・私も超オシャレにしないと!)


367 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 17:54:58.75 ID:jPkDzPEq0
ゴーグル「・・・はぁ、服は買い終わりましたね」

浜面「よし、じゃあ帰ろ・・・」

麦野「次は・・・何見る?」

絹旗「バッグとかどうですか?」

フレンダ「あ、私も見たーい!」

滝壺「バッグ・・・私もほしいな」

ゴーグル「ちょ、ちょっと・・・」

フレンダ「ん、なに?」


ゴーグル「・・・服を買うって言ってここまで連れてこられたんですけど」

フレンダ「うん、買ったじゃん」

麦野「で、これからバッグを見るのよ」

浜面「あぁもう!!これだから女の買い物は面倒なんだよ!!」

絹旗「別についてこなくてもいいんですよ」

滝壺「二人はどこかで時間でも潰してて」

ゴーグル「は、はぁ」

フレンダ「じゃあ、行こう!!」

女四人がバッグ売り場へと向かう

残された男二人は肩を落とした

368 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 18:11:26.56 ID:jPkDzPEq0
ゴーグル「・・・そういえば」

少しして、ゴーグル男が先に口を開いた

ゴーグル「浜面さんと滝壺さんってなんで付き合いだしたんですか?」

浜面「あぁ、そういえばお前は知らないんだっけ」

ゴーグル「・・・タイプ的にはそこまで気が合いそうじゃないのに」

浜面「俺が滝壺を、命を懸けて守ったことがあったんだよ」

ゴーグル「へぇ・・・」

ゴーグル男が驚いたような顔をする

浜面は見た目的には遊んでいそうなタイプだ

スキルアウト、鼻にまでピアスを空けている、色黒

正直、他人のことなんてほっておいて自分だけ先に逃げそうなタイプなのに

ゴーグル「浜面さんって、意外と優しいんすね」

浜面「そうか?」

ゴーグル「・・・俺達なんかよりは、よっぽどまともっすよ」

近くの自販機でコーヒーを買いながら、ゴーグル男が言う

彼の人生に比べれば、マシなものだったのだろう

もちろん浜面も人を手に掛けたことはあるが

ゴーグル「・・・でも、滝壺さんがそれで惹かれたとは・・・」

浜面「元々、滝壺は俺に優しくしててくれたし・・・こう、二人だけの世界が出来てたんだよ」

ゴーグル「あ、なんかちょっとイラってしましたよ今」

369 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 20:34:28.17 ID:jPkDzPEq0
浜面「・・・それでさ、いつの間にか付き合うことに・・・」

ゴーグル「いつの間にかってなんすか、どっちから告白したんですか?」

浜面「あぁ、俺だよ」

ゴーグル「へぇ・・・どんな風に?」

浜面「気になる!?やっぱり気になるよな!?」

ゴーグル「ま、まぁ」

浜面「・・・あれは、ロシアから帰ってきてすぐだった」

ゴーグル「そもそもロシアに行ってたんですね」



浜面「滝壺、聞いてほしいことがあるんだ」

滝壺「・・・バニーさんの素晴らしいところ?この前も聞かされたよ、はまづら」

浜面「違うんだ、今日は・・・ちょっと特別なんだよ」

滝壺「特別?」

浜面「・・・俺達さ、ロシアとか・・・色々な苦境を一緒に乗り越えてきただろ?」

滝壺「うん、そうだね」

浜面「・・・それで分かったんだ、俺が今一番守りたいものが」

滝壺「守りたいもの?」

浜面「・・・昔は、友達とか仲間とかプライドとか金とか・・・そういうもんを守ろうとしてた」

浜面「でもさ、何一つ守れなかったんだ・・・なんでなのか今まではずっと分からなかったんだ」

浜面「・・・お前を守り抜いて、やっとそれが分かったんだ」

370 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 20:40:53.24 ID:jPkDzPEq0
滝壺「どうしてだったの?」

浜面「・・・今までは・・・全部、結局自分が一番だったからなんだよ」

滝壺「自分が?」

浜面「・・・友達や仲間は、自分が楽しめるから守りたかった・・・プライドなんて自分を高く見せるためのものだし、金だって遊ぶために・・・自分がいい思いをするために守ってたに過ぎないんだよ」

滝壺「・・・うん」

浜面「守りたいものを守るとか言って・・・結局、俺は最終的には自分が一番可愛かったんだ」

滝壺「・・・はまづら、みんなそうだよ」

浜面「あぁ、だからそれに疑問を感じたことも無かった・・・そして、もしもずっと疑問に感じなかったら、俺はそこらへんのヤツと同じような人生を、同じような形で、同じようにして過ごしてたと思う」

浜面「・・・でも、でも俺はお前に出会えたんだ、自分よりも大切な人間に」

滝壺「!」

浜面「・・・初めてだ、自分が命を投げ出してまで守ってみたものは・・・お前が守れるなら、自分が死んでもいいって思った」

浜面「不思議だよな、出会ってそんなに経ってない、それまではただの赤の他人で、俺と正反対の人間を・・・そんなにも守りたいって思ったんだ」

滝壺「はまづら・・・」

浜面「・・・俺に誰かを守ることを教えてくれたのはお前だ、滝壺」

滝壺「・・・」

浜面「そして・・・これからも、ずっと守り続けたい」

浜面「だから・・・だから、俺の声も、手も、心も、何もかもが届くところに居て欲しいんだ」

滝壺「・・・それだったら、とっておきの場所があるよ、はまづら」

浜面「・・・どこだ?」

滝壺「それはね、はまづら」


滝壺「・・・はまづらの、すぐ隣」



371 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 20:46:22.34 ID:jPkDzPEq0


浜面「なんてことがあったんだよ!!」

ゴーグル「・・・なんか、うそ臭いっすね」

浜面「いや、ホント・・・滝壺に確認してみてもいいけど」

ゴーグル「はぁ・・・そりゃ、仲良しなわけっすよ」

浜面「あ、やっぱり仲良しに見える?見えるに決まってるよな、そうだよな!!」

ゴーグル「・・・浜面さん、辺りに幸せ振りまくのはいいですけど・・・あとからいざ拾おうって思ったときに大変っすよ」

浜面「え、何が?」

ゴーグル「・・・でも羨ましいっす、そんなに守りたいものがあるなんて」

浜面「お前だって、フレンダを命がけで守ったじゃないか」

ゴーグル「・・・そりゃ、そうっすけど」

ゴーグル男が溜息をつく

もしも浜面と滝壺のように上手くいけば、今頃フレンダとゴーグル男はめでたくカップルだったわけだ

しかしそうはなっていない

つまり、浜面達は特例なのであり決して当たり前なのではない

ゴーグル「・・・フレンダさん、あんまりそのこと言うと嫌がるんすよ」

浜面「い、嫌がるって・・・せっかくお前が命張って守ったのにか?」

ゴーグル「顔真っ赤にして腕振り回して、恥ずかしいから言うなって・・・よっぽど俺みたいな人間に守られたのが恥ずかしいんでしょうね」

コーヒーを飲みながら、ゴーグル男が溜め息をつく




372 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 20:50:41.02 ID:jPkDzPEq0
浜面「・・・ゴーグル、お前・・・」

ゴーグル「なんすか?」

浜面「・・・フレンダにさ、一回冗談でもいいから好きです、付き合ってくださいって言ってみな」

ゴーグル「いやっすよ、断られるの見え見えじゃないっすか」

浜面「どうかなぁ・・・」

ゴーグル「・・・何が言いたいんすか」

浜面「フレンダ、結構お前のこと好きみたいだけどな」

ゴーグル「は?」



フレンダ「ねぇねぇ麦野、これってどう思う?」

麦野「少し持ち歩くには大きいんじゃないの?」

フレンダ「そうかな?結構いいと思うけど・・・」

絹旗「高校生が何若作りしてるんですか」

フレンダ「中学生の背伸びよりはよっぽどマシな訳よ」

絹旗「超うぜぇ・・・滝壺さんはどうですか?」

滝壺「・・・これ」

麦野「・・・エナメルバッグ・・・」

フレンダ「ねぇ、ジャージに合わせる必要は・・・」

滝壺「これがいい」

麦野「まぁ、アンタがいいならいいけどさ・・・」



373 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 20:54:31.40 ID:jPkDzPEq0
フレンダ「さて・・・じゃあ決まったし、二人を呼びに行かないと」

滝壺「そうだね・・・でも、どこにいるのかな」

麦野「あっちのベンチ、見えるでしょ?」

滝壺「あ、ホントだ」

フレンダ「じゃあ私、呼びに行ってくるから」

滝壺「私も」

絹旗「それじゃ、ここで待ってますから」

滝壺「うん、ちょっと待っててね」



滝壺「・・・?何か話し込んでるみたいだね」

フレンダ「どうせ、男の話すことなんてエッチな・・・」



浜面「フレンダ、結構お前のこと好きみたいだけどな」

ゴーグル「は?」


滝壺「は、はまづら・・・」

フレンダ「」

浜面「お、滝壺!バッグは見終わった・・・」

滝壺「はまづらの馬鹿、そういうのって最低」

浜面「え、えぇ!?」

ゴーグル「あぁ、フレンダさんも来た・・・」

フレンダ「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!にゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

ゴーグル「ちょ、ちょっと!!どこ行くんすか!?」



374 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 20:59:06.52 ID:jPkDzPEq0
フレンダが信じられない速度で走っていく

垣根がもしもここにいたら、「速さこそがうんたらかんたら」と喜びそうなものだが、今はそんなに笑える雰囲気ではない

ゴーグル「な、何まずかったですかね?」

滝壺「ゴーグルは悪くないよ、悪いのははまづらだから」

浜面「な、なんで!?」

滝壺「自分の恋は上手くいっても、他人のそういうのにムダに口出しするんだね」

浜面「い、いやいや!!好きってのは決して恋愛感情ではなく!!」

ゴーグル「・・・あーあ、どっか行っちゃいましたよフレンダさん・・・」

浜面「わ、悪い・・・」

ゴーグル「・・・そんなに俺のこと好きって勘違いされたのがイヤだったんすかね・・・」

滝壺「ねぇ、ゴーグル」

ゴーグル「はい、なんですか?」

滝壺「フレンダを追いかけて」

ゴーグル「あ、いや・・・今俺が行ったらまずいんじゃ」

滝壺「行って」

ゴーグル「は、はい!!」

ゴーグル男がフレンダの駆けていったほうへ走る

残された浜面は、怯えるように滝壺を見つめていた

浜面「あ、あの・・・」

滝壺「はまづら、当分キスは禁止ね」

浜面「えぇ!?」



絹旗「・・・フレンダ、なんか走ってますね」

麦野「・・・ゴーグル君も走ってるわね」




375 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 21:03:20.39 ID:jPkDzPEq0
今日はここまで

浜面は結構好きなキャラだけど、リア充は爆ぜろ

筋肉動画はショーン・レイの1998年オリンピア

ロニー初優勝の年でしたが・・・しかし、ショーンのようなプロポーション型の選手が優勝して欲しかった気もします

彼は胸筋から肩にかけてのラインが美しすぎます

洗練度も高く、いい意味で「少し前のビルダー」って感じですね

ケビンと並ぶ、「無冠の帝王」ではないでしょうか

http://www.youtube.com/watch?v=579_SBs50TQ 

ちなみにショーンは身長170あるかないかくらいの、わりと小柄な選手です

それを考えると、すごい筋量でもありますね

ではおやすみなさい



そろそろ正月だから、忙しいので投下量も減ります

ご了承を

みんなきっとクリスマスとかいい夜を過ごすんだろうなぁ、とか思いながら俺は今日もサトリナのCDを聞きますよ



376 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 21:07:28.90 ID:P0pOuXkj0
乙です!!
377 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 21:12:24.33 ID:wpScwUA6o
ゴーグルもふもふしたい
378 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/17(土) 21:26:19.75 ID:jPkDzPEq0
>>377 おかしな趣味の持ち主だ

多分クリスマス辺りからバイトで多忙ですので、長い話は投下できませんので

なので、とりあえず単発リクエストを久々にしようかと

5レスくらいで終れそうなお題ならなんでもいいので、とりあえず>>1に助けを下され

「ていとくんが短小になる」「ていとくんが冷蔵庫に逆戻り」「むしろ世界中の冷蔵庫がていとくん」とかそういうので

おねげぇしますだ、なにとぞこのかっぺに案を・・・


出来れば長い話も投下しますけれども

では
379 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 21:49:25.42 ID:WE5wDw6DO
>>1乙である。


過去スレ確認するのが面倒臭いのでフレメアがどういう扱いか忘れたけど

ゴーグル、フレンダ、フレメアでデート?をする。

的なので。
380 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 21:56:31.62 ID:UjlrHacCo
ゴーグルとフレンダのいちゃいちゃとか
浜面vsゴーグルとか
381 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 21:58:06.34 ID:40v/IS3yo
アレイスたん復活の巻
382 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 22:12:14.06 ID:icnVOHtIO
心理「ねぇ垣根、実は私筋肉が大好きなの」
垣根「任せとけ!」

的なものとか?
383 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/17(土) 22:46:19.05 ID:sex19WVqo
アイテム(垣根とか加えてもらえるとうれしい)の
「いい加減ゴーグルとフレンダくっつけようゼ」計画
384 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 08:10:19.04 ID:ti8lB56SO
黒子と削板ほのぼの
385 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 08:13:53.73 ID:OZRxPTFn0
>>1とサトリナさんのファーストコンタクトについて
386 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 09:05:37.11 ID:Wg0KZdSIO
20000号と17600号、時々御坂妹のテっくん職場潜入リポート
387 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:31:33.81 ID:yJei79al0
>>385 めっちゃどうでもいいことをww
   グレンラガンでしたよ、えぇ


フレンダ「・・・はぁ、なんであんな風に逃げちゃったんだろ」

ショッピングセンター

浜面達がいるのと違う階にフレンダは辿り着いていた

フレンダ(・・・でも浜面が悪い訳よ)

心の中で言い訳をしながら、トボトボと歩く

どうして素直になれないのだろうか、と自問自答も繰り返す

ゴーグル男が嫌いなわけではない

むしろ

フレンダ(・・・むしろ、好きな訳よ)

そう思うだけで、体中が熱くなってしまう

認めるのが恥ずかしいのか、その感情がくすぐったいのか

フレンダ(・・・ゴーグルは、私のことなんてそんな目で見てないよね)

いつも、少しずれた考え方をされてしまう

好き、というのは友情と受け取られる

一緒に寝るのは信頼しているからと思われる

ずっと一緒にいるのはゴーグル男に気を遣っていると勘違いされる

どんなアプローチをしても、それは意味がなかった



 
388 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:32:11.27 ID:yJei79al0
暖簾に腕押しとはまさにこのことだ、とフレンダが自嘲する

フレンダ「はぁ・・・」

ため息をついてから、近くにあるベンチに腰掛ける

春休みなのだから、学生もたくさんいる

彼女一人が目立つことはなかった

だから、きっとゴーグル男が追ってきていたとしても、自分を見つけられるはずは

ゴーグル「あ・・・やっと見つけましたよ」

なかったはずなのに

フレンダ「・・・なに?」

ゴーグル「・・・急に走り出すから、ビックリしました」

おどけたように、ゴーグル男が肩を竦める

フレンダをあまり傷付けないようにしている

そんな気遣いがバレバレな辺り、ゴーグル男は不器用だ

しかし不器用なりにフレンダを喜ばせてくれる

ゴーグル「あの・・・浜面さんも悪気があったわけじゃないっすよ」

フレンダ「分かってる・・・分かってる訳よ」

ゴーグル「・・・だから、あんまり怒らないで下さい」

フレンダ「怒ってなんかない」

ゴーグル「・・・じゃあなんで逃げ出したんすか」

フレンダ「それは・・・」

ゴーグル「・・・あの、一つ確認していいっすか」




389 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:32:44.49 ID:yJei79al0
フレンダ「・・・うん」

ゴーグル「・・・俺、迷惑ですかね」

フレンダ「・・・なんでそんなこと聞く訳よ」

ゴーグル「・・・もしかしたら、迷惑なのかと思って」

フレンダ「迷惑なんかじゃない」

ゴーグル「・・・そうっすか」

安心したように笑ってから、ゴーグル男がフレンダの横に座る

ゴーグル「・・・嫌われてるのかって不安になっちゃいましたよ」

フレンダ「嫌いなわけ・・・ないじゃん」

ゴーグル「・・・あんな反応されたら、誰だって疑いますよ」

フレンダ「それは・・・その」

ゴーグル「・・・フレンダさん、なんか困ってるんすか?」

フレンダ「・・・」

フレンダがゴーグル男をちらりと見る

彼は本当に、心配したような表情を浮かべている

今なら、少しくらい素直になってもいいのかもしれない

フレンダ「アンタにさ・・・」



390 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:33:29.72 ID:yJei79al0
ゴーグル「?はい」

フレンダ「アンタに対して抱いてる感情がなんなのか、分からなくなってきた訳よ」

ゴーグル「・・・それは友情じゃなくてですか?」

フレンダ「うん」

ゴーグル「親愛・・・いや、同族愛とか?」

フレンダ「・・・もしかしたら」

そう、あくまでこれはもしかしたら、仮定の話

別に断言できるわけではないのだから

可能性の一つを述べるだけなのだから

フレンダ「・・・愛情、かもしれない訳よ」

ゴーグル「・・・それは、異性としてってことですか」

フレンダ「・・・」

無言で、フレンダが頷く

ここに来るまでどれ程時間が掛かっただろう

ゴーグル男がなんと返事をするか

確認するのさえ怖かった

ゴーグル「・・・その、ここまで親しくした男が俺だけだからじゃないっすか?」




391 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:34:12.62 ID:yJei79al0
フレンダ「・・・わかんない」

ゴーグル「他の男性と関わってみたら、きっと俺なんてくだらない男に感じるはずっす」

フレンダ「そうかもね」

ゴーグル「それに・・・フレンダさんと俺じゃそもそも釣り合わないっす」

フレンダ「・・・うん」

ゴーグル「・・・だ、だからそうじゃないと思います」

フレンダ「・・・違う、のかな」

ゴーグル「・・・」

ゴーグル男が考える

フレンダは、自分を好きだと言ってくれている

その「好き」という言葉には様々な意味がある

それが一体、どの「好き」なのかが分からないのだ

愛情ならば、異性に対するそれならば

ゴーグル男は、それをやめさせたかった

あるいは認めたくなかったのだろう

ゴーグル「・・・俺は・・・フレンダさんは素敵だと思いますよ」

ゴーグル「優しいし、わがままなのも可愛いかもしれないですし・・・」




392 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:35:02.65 ID:yJei79al0
フレンダ「・・・」

ゴーグル「でも・・・俺はそんな人間じゃないっす、別に取り柄もないし」

フレンダ「でもさ」

フレンダがゴーグル男の目を見つめる

そういえば最近、こうして見つめ合うことが多くなった

それはなぜなのか

フレンダ「・・・私を、私だけを守ってくれた訳よ」

ゴーグル「あ、あれは・・・」

フレンダ「言い訳なんてされたくない」

ゴーグル「・・・言い訳なんてしてないっすよ」

フレンダ「取り柄がない、優しくない、釣り合わない・・・そんな言い訳なんてしないで、私が嫌いだって素直に言えばいいじゃん」

ゴーグル「嫌いなんかじゃないっすよ」

フレンダ「嘘ばっかり・・・いつもそうやって私と距離置いて、自分は近付かないようにしてる」

ゴーグル「・・・それは、触れるのが怖いからです」

フレンダ「・・・どうせ、本当は・・・私が迷惑なんじゃないの?」

ゴーグル「・・・フレンダさん、俺がそう言えば・・・俺を諦めるんすか」

フレンダ「・・・うん」





393 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:35:47.18 ID:yJei79al0
ゴーグル「あなたが迷惑だって言えば、俺に対する感情がなんなのかなんて悩まなくなりますか」

フレンダ「うん」

ゴーグル「はぁ・・・」

頭を掻きながら、ゴーグル男がため息をつく

ゴーグル「・・・やっぱり、無理っす」

フレンダ「・・・何が?」

ゴーグル「フレンダさんのことを嫌いだなんて言えませんよ」

フレンダ「!」

ゴーグル「・・・命懸けて守ったじゃないっすか・・・あ、死んでますけどね」

フレンダ「・・・ホント?」

ゴーグル「大体、嫌いだったら俺はすぐに逃げてます」

フレンダ「ホントに嫌いじゃない?」

ゴーグル「・・・その、距離を置いてたことは謝ります・・・でも、やっぱりフレンダさんが俺に抱いてるのは恋愛感情じゃないと思いますよ」

フレンダ「・・・」

ゴーグル「きっと、ただ兄弟に抱くような漠然とした感情なんすよ」

フレンダ「・・・漠然と、かぁ・・・」

ゴーグル「・・・」



394 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:36:28.82 ID:yJei79al0
フレンダ「・・・ねぇ、ゴーグル」

ゴーグル「はい」

フレンダ「今日のことはさ・・・一旦忘れてほしい訳よ」

ゴーグル「・・・一旦?」

フレンダ「アンタともうちょっと一緒にいて、それで答えが出たら・・・アンタに伝えたいから」

ゴーグル「・・・なんか、ずいぶん時間掛かりそうっすね」

フレンダ「し、仕方ないじゃん!」

ゴーグル「・・・出来れば早く答え、出して下さいね」

フレンダ「・・・だ、だからさ・・・私の感情がもし恋愛感情だったら・・・」

ゴーグル「振りますよ」

フレンダ「な、なんで!?」

ゴーグル「いや、なんでって・・・今は別にフレンダさんに対して恋愛感情なんて抱いてないですから」

フレンダ「うっわ・・・冷める訳よ・・・」

ゴーグル「・・・だから、もし恋愛感情だったら俺好みの人になれるよう頑張って下さい」

ケラケラと笑いながら、ゴーグル男が立ち上がる

ゴーグル「・・・でも」

フレンダ「でも?」




395 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:37:14.27 ID:yJei79al0
ゴーグル「・・・俺、わりとフレンダさんのこと、可愛いと思います」

フレンダ「な、何言ってるのよ!」

ゴーグル「さ、帰りますよ・・・みなさん待ってますから」

フレンダ「う、うん・・・」

フレンダもゴーグル男を追うようにして歩き出す

フレンダ「あ・・・ねぇ、ゴーグル」

ゴーグル「なんすか?」

フレンダ「・・・手、繋いでもいい?」

ゴーグル「・・・まぁ、いいっすよ」

フレンダ「ありがと」

顔を真っ赤にしながら、フレンダが手を握り締める

フレンダ(・・・違う訳よ、ゴーグル)

フレンダ(私は・・・もうとっくに、アンタに対して抱いている感情が分かってる)

フレンダ(だから・・・今回のは、アンタに対する猶予なの)

フレンダ(私がこれからアンタに色々、優しくして・・・それで、絶対アンタをその気にさせるから)

フレンダ(・・・絶対、アンタから告白させてやるから)

フレンダ(今は・・・告白しても受け入れられる自信がないから)

フレンダ(だから・・・だから、今回はちょっと先延ばしにする訳よ)

フレンダ(・・・)




396 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:38:09.30 ID:yJei79al0
ゴーグル「・・・フレンダさん」

フレンダ「うん、なに?」

ゴーグル「・・・俺って、やっぱり冷え症っすね」

フレンダ「はぁ・・・こんな時にまで何言ってる訳?」

ゴーグル「・・・フレンダさんと手繋いでるとめちゃくちゃあったかいっす」

フレンダ「でも私、そんなに体温高くないよ?」

ゴーグル「・・・フレンダさん」

フレンダ「だから何?」

ゴーグル「・・・呼び捨てにしてみていいっすか」

フレンダ「いいけど・・・アンタが誰かを呼び捨てにするのって初めて聞くかも」

ゴーグル「フレンダ」

フレンダ「・・・な、なんかちょっと緊張する」

ゴーグル「・・・俺もっす、やっぱりフレンダさんで」

フレンダ「うわ・・・男らしくない」

ゴーグル「仕方ないっすよ、呼び捨てにするなら口調まで変えないといけないっすから」

フレンダ「・・・ゴーグル」




397 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:39:17.87 ID:yJei79al0
ゴーグル「・・・なんすか」

フレンダ「・・・だ、大好き」

ゴーグル「は、はぁ!?何言ってんすかいきなり!?」

フレンダ「あっはは!引っ掛かった引っ掛かった!」

ゴーグル「じょ・・・冗談っすか」

フレンダ「なに?もしかして期待してた?」

ゴーグル「いや・・・さっきの今でマジかと思っただけっす」

フレンダ「顔、赤い訳よ」

ゴーグル「赤くないっす」

フレンダ「赤い」

ゴーグル「・・・手放しますよ」

フレンダ「あぁゴメンゴメン!そんなに怒らないでってば!」

ゴーグル「・・・フレンダさん、冗談キツイっす」

フレンダ「・・・ちょっとだけ本気なんだけど」

ゴーグル「・・・あ、みなさんいましたね」

フレンダ「ホントだ・・・手、放したほうがいい?」

ゴーグル「・・・」

ゴーグル男が少しだけ手元を見つめる

少ししてから、肩を竦めて笑う

ゴーグル「いいっすよ、いつもこんな感じなんですから」

そんなことを言いながら




398 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:40:03.50 ID:yJei79al0
>>379から




世の中には自分と同じ顔をした人間が四人いるらしい

それは何もオカルトチックな意味ではなく、生物学的な根拠があるようだ

学者が長年研究をした結果、首を縦に振れるようなデータ

しかしそれとは別に、もう一つ

「ドッペルゲンガー」をご存知だろうか

自分と全く同じ顔をした人間がいて、しかもそれを見ると死んでしまうらしい

詳しく言えばそれは人間ではないのだが

ただし、これはあくまでオカルトチックな話だ

ここは学園都市、科学の総本山

そんなところで何が「非科学」だろうか

と、ゴーグル男は考えていた

だがしかし、こんな説はどうだろう

「ドッペルゲンガー」は実は実態のないウイルスで、人間の体の中に侵入する

そしてありはしない「自分とそっくりな人間」の幻覚を見させる作用がある

しかも、そのウイルスはかなり危険性が高くその幻覚を見る頃には手遅れであるとする

となると、「自分そっくりな人間」を見た瞬間に死んでしまってもある程度説明はつく

さて、ここまでいって分かってもらえる通り、なぜか彼は今「そっくり人間」について考えている

なぜか

原因は、目の前にいる二人の少女

さらに正確には、姉妹が原因だった


399 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:43:31.17 ID:yJei79al0
フレメア「にゃあ!お姉ちゃん、ちょっと胸が大きくなってる!」

フレンダ「にゃっはっは!フレメアこそ、かなり大きくなってきた訳よ!」

フレンダとフレメア

瓜二つな二人

なんでも、フレメアはフレンダが死んだと思っていたらしい

まぁ実際には死んでいるのだが

再会を果たした瞬間に、泣き崩れるかのような勢いでフレンダに抱き着いたのだ

それはもう涙腺を刺激するもので、アイテムのメンバーは全員が泣きそうになっていた

フレンダなんか、もう号泣していた

ゴーグル男だけだろう、顔を引き攣らせていたのは

あぁ、フレンダだけでもめんどくさいのに

もう一人、明らかにめんどくさいのが増えたよと

ちなみに、フレメアはアイテムが匿っていたようだ

フレンダと接触しないように別の隠れ家に住ませていたらしい

子供が一人で生活出来たのか、と思うだろうが世話役を雇ったらしい

麦野はフレンダに関して相当引け目を感じていた

だからこそ、フレメアには優しくしたし、こうやってフレンダと再会させた

なんて余計なことを

さらに、麦野はゴーグル男のことを「フレンダの初恋相手」とフレメアに紹介してしまった

フレンダは真っ赤になって暴れるし、フレメアはフレメアでゴーグル男に興味が出てしまったらしい


400 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:44:08.22 ID:yJei79al0
かなり余計なことを

その結果、フレンダ、フレメア、ゴーグル男という意味の分からない三人でデートすることになったのだ

アイテムの全員は「水入らずの時間をどうぞ」と言って逃げ帰った

明らかにめんどくさいと思っていたのがバレバレだ

余計なことを、とゴーグル男は悪態をついていた

というわけで、三人は近くのホテルに来ている

やらしいホテルではなく、ただのホテル

そこがフレメアを匿っていた場所らしい

フレンダ「しっかし・・・フレメア、いつの間にかみんなと知り合ってた訳よ」

フレメア「にゃあ、浜面は優しい」

フレンダ「あんなヤツに騙されたらダメな訳よ!」

フレメア「浜面の悪口は許さない」

フレンダ「ゴーグルぅ!妹が悪い男に騙されたらどうすればいいの!?」

ゴーグル「鬱陶しい、話し掛けんな」

フレンダ「うわぁ!なんかめちゃくちゃ素になってるし口調も変わってる訳よ!」

ゴーグル「・・・知ってましたよ、アンタに妹がいるのは!でもなんで学園都市にいるんすか!?」

フレンダ「それは私が知るわけないじゃん!」

フレメア「大体、私も成り行きで来ちゃっただけ」



401 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:45:20.33 ID:yJei79al0
フレンダ「なんだ、じゃあそれでいっか」

ゴーグル「よくねぇ!全然よくねぇ!」

ゴーグル男が頭を抱える

アイテム勢全員に助けて、とメールをした

しかし返事なんて来なかった

絶対、面白がっているに違いない

ゴーグル「不幸だ、こんなことなら今日は寝とくんだった・・・」

フレンダ「楽しいことがあるからって言われて麦野についていったらフレメアがいた訳よ」

フレメア「麦野のお姉ちゃん、私にも同じこと言ってた、にゃあ」

フレンダ「ふーん・・・」

ゴーグル「ふーん、じゃないっす」

フレンダ「カリカリしすぎな訳よ、私の妹!めちゃくちゃ可愛いでしょ!?」

ゴーグル「姉馬鹿っすね」

フレメア「・・・」

ゴーグル「な、なんすか」

フレメアがじっとゴーグル男を見つめる

フレンダと同じ、美しい色の瞳

相手は子供だと分かっているが一瞬だけドキリとしてしまう



402 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:46:04.50 ID:yJei79al0
フレメア「あなたが、お姉ちゃんの初恋相手?」

フレンダ「ち、違うから!そんなことないわよね、ゴーグル!?」

ゴーグル「大好きだとか言われた気がするんすけど」

フレンダ「あれは忘れろって言ったじゃん!」

フレメア「お姉ちゃん、そんな大胆なこと言ったの?」

フレンダ「違う違う!」

ゴーグル「・・・フレメアさんっすか、なんか名前まで似てますね」

フレメア「にゃあ、呼び捨てでいいよ」

ゴーグル「呼び捨ては慣れてないっす」

フレンダ「はぁ・・・年下にまで呼び捨て出来ないってどういう訳よ」

ゴーグル「いいじゃないっすか、俺の勝手っす」

フレメアの頭を撫でながらゴーグル男が息を吐く

フレメア「にゃあ、ちょっと優しい」

ゴーグル「はは・・・ちょっとっすか」

フレメア「浜面の次くらいかな」

ゴーグル「・・・それは中々いいとこっすね」

フレンダ「な、なにうちの妹勝手に撫でてる訳よ・・・」



403 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:46:45.99 ID:yJei79al0

ムスッとしながら、フレンダがフレメアを庇うようにする

ゴーグル「別にいいじゃないっすか・・・ロリコンじゃないんですから」

フレンダ「怪しい訳よ、アンタって意外と悪趣味っぽいし」

ゴーグル「カチンと来ましたよ」

フレメア「にゃあ、ゴーグルはどうしてお姉ちゃんと知り合ったの?」

フレンダ「そ、それは・・・」

ゴーグル「フレンダさん、理由があってちょっと迷子になったことがあったんす」

フレメア「迷子?」

ゴーグル「その時に俺が助けたんす、それがきっかけですよ」

フレメア「ふーん、運命的、にゃあ」

フレンダ「え、運命的なんかじゃない訳よ!」

フレメア「・・・ゴーグル、膝乗っていい?」

ゴーグル「はぁ・・・いいですけど」

フレンダ「ひ、ひひひひ膝!?」

ゴーグル「なんすか・・・子供なんですから問題ないっすよね?」

フレンダ「膝なんて私もまだ・・・じゃなくて!フレメアにまでちょっかい出さないでほしい訳よ!」

ゴーグル「・・・なんか、俺が他にもちょっかい出してるみたいな言い方っすね」

フレメア「にゃあ、ゴーグル、そんなのはダメ」



404 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:47:16.86 ID:yJei79al0
ゴーグル「信じないで下さい・・・はい、膝乗せますよ」

フレメア「安定感があっていいな・・・」

ほんわか、という表現が合うだろうか

満足そうに目を細めたフレメアが、ぽつりと呟く

それを見ていたフレンダは気が気でないようだ

フレンダ「あ・・・」

フレメア「ふっふーん、中々いい」

ゴーグル「・・・フレメアさん、やっぱりまだ子供っすね」

フレメア「にゃあ、なんで?」

ゴーグル「軽いんすよ、体が」

フレメア「でも胸はあるよ?」

ゴーグル「あれ、フレンダさんとは違うんすね」

フレンダ「私だってちょっとくらいはあるもん!」

ゴーグル「・・・はぁ、そうでしたね」

フレメア「なんでお姉ちゃんの体について詳しいの?」

フレンダ「!?」

ゴーグル「いや、服の上から見れば胸くらいは分かりますよ」

呆れながら、ゴーグル男がフレメアを膝の上から降ろす

フレメア「もう終わり?」

ゴーグル「あんまりしすぎると膝が痛くなりますから」

フレンダ「・・・ずいぶん仲良しな訳よ、へぇ」

ゴーグル「・・・そうだ、フレメアさんって用事があるんじゃないんすか?」

フレメア「・・・そうだった、今日はこれから半蔵達と会うの、にゃあ」

ゴーグル「じゃあここら辺で俺達は」

フレメア「ぶー」



405 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:47:53.80 ID:yJei79al0
ゴーグル「また会いに来ますから・・・それじゃ」

ホテルのドアを開いてから、ゴーグル男が振り返る

ゴーグル「フレンダさん、行きましょうよ」

フレンダ「・・・あ、うん」

フレメア「お姉ちゃん、またね」

フレンダ「またね、フレメア」

フレメアの頭を撫でてから、フレンダもドアから出る


ゴーグル「・・・なんか、あんまりそっくりなんでビックリしましたよ」

フレンダ「・・・」

ゴーグル「・・・なんで不機嫌なんすか」

フレンダ「別に」

ゴーグル「・・・あ、公園・・・」

ゴーグル男が近くの公園に目をやる

その中にはベンチがあった

ゴーグル「そうだ、フレンダさん」

フレンダ「・・・なに」

ベンチを指差しながら、ゴーグル男が微笑む

ゴーグル「別に、膝に乗せるくらいならいいっすよ」

フレンダ「!?」




406 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:48:37.53 ID:yJei79al0
>>382


垣根「・・・コマンドーって面白いよな」

心理「そうね、シュワちゃんってカッコイイし」

垣根「カッコイイよな」

心理「こう、私ってあんまり筋肉フェチじゃなかったけど・・・こんなカッコイイのを見せられたら、好きになっちゃいそう」

垣根「!?」


垣根「ってことがあってさ」

テクパトル「・・・つまり、ある程度筋肉がほしいと」

垣根「あぁ、別に一方通行みたいなガリガリってわけじゃねぇが・・・健全なる精神は健全なる肉体に宿るって言うからな」

テクパトル「嬉しいな、一人でも多くの人間が筋肉に興味を持ってくれた」

垣根「でさ、コマンドーの時のシュワちゃんみたいになりたいんだ」

テクパトル「・・・いや、簡単に言うなよ」

垣根「なんでだよ?お前よりは少し小さいくらいだろ」

テクパトル「馬鹿言うな、俺なんか足元にも及ばない」

垣根「そうなのか?」

テクパトル「大体、映像と実物じゃ全然違うからな」

垣根「ちっ・・・あのレベルは中々難しいのか」

テクパトル「中々どころか、大抵の人間はあそこに辿り着く前に挫折するな」

垣根「だが構わない!俺はどんな手を使っても、心理定規の要望に応える!」

テクパトル「・・・いや、かなり時間掛かるからな」

垣根「構わん!」




407 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:49:08.33 ID:yJei79al0




垣根「聞いてくれよ、明日からしばらくテクパトルのジムに通うことになったんだ」

心理「あら、もしかして昨日私があんなこと言ったから?」

垣根「まぁそれもあるし、一方通行を見下したいし」

心理「・・・そう、まぁ頑張って」

垣根「はっはっは!シュワちゃんみたいになっちまうかもなぁ!」

心理(・・・簡単になれるわけないけど、まぁ私のために頑張ってくれるのは嬉しいわね)


垣根「よろしく頼むぞ!」

一方「・・・お前も通い始めたのか」

垣根「なんとなくな」

テクパトル「さて・・・じゃあ、今日は脚のトレーニングとするか」

垣根「いいぜ!やってやんよ!」

一方「・・・気をつけろ、思った以上にハードだからよ」

垣根「そうなのか?」

テクパトル「中途半端なんて格好悪いからな・・・アーノルドは言った、筋肉がNOと悲鳴を上げたら私はYESと言うのさ、と」

垣根「シュワちゃんかっけぇ」

テクパトル「俺はオリバ派だがな・・・さて、まずはバーベルスクワットから始めるか」

垣根「あぁ、これはなんとなくイメージがつくな」

一方「・・・これ、首痛くなるンだよ」

テクパトル「パットを使ってもいいが・・・バランスが崩れやすくなるな」



408 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:50:13.19 ID:yJei79al0
一方「・・・使う」

テクパトル「ちなみに、しゃがみ方を深くすれば大腿二頭・・・太ももの裏に、浅くすれば表に効く」

垣根「ほうほう」

テクパトル「あと、脚幅が狭ければ表に、広ければ裏に効くな」

一方「・・・なァ、俺って何kgでやってたっけ」

テクパトル「40だったかな」

一方「ちっ・・・仕方ねェ」

垣根「頑張れよ」

一方「あァ」


一方「」

テクパトル「・・・5repsか・・・垣根、やってみてくれ」

垣根「おい、40はさすがに軽すぎないか」

一方「」

テクパトル「じゃあ60くらいかな」

垣根「お・・・いい感じかも」

テクパトル「・・・まぁ、自分の体重辺りなら上がってもおかしくはないか」

一方「なァ、俺って才能ないのかな」

テクパトル「今更かよ」


テクパトル「さて・・・次はレッグエクステンションかな」

一方「・・・これかァ・・・」

垣根「あぁ、なんか見たことあるな」



409 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 09:57:29.26 ID:yJei79al0
テクパトル「これは太ももの表に効く種目で・・・」

一方「あァもォだりィ・・・」

一方通行がレッグエクステンション用のベンチに座る

垣根「・・・頑張れよ一方通行」

一方「おォォォォ!!!おォォォ・・・」

テクパトル「テンション下がりすぎだろ」

垣根「・・・なぁ、これって普通にやるだけか?」

テクパトル「ドロップセットで強い刺激を与えるんだよ」

垣根「ドロップセット?」

テクパトル「マシンとかだとやりやすいセット方法だ、少し重量を軽くしてはインターバルを入れずにまたやる・・・これは、エキセントリックかつ面白いセットだ」

一方「・・・お前、初心者に厳しすぎるンだよ・・・」

テクパトル「まぁまぁ、気にするな」

垣根「じゃあ俺もやるか」

テクパトル「・・・頑張れよ」

垣根「おぉぉぉぉ!!!」




心理「・・・で、今日は激しい筋肉痛なのね」

垣根「・・・馬鹿にしていた、テクパトルはただの筋肉馬鹿だと馬鹿にしていた」

心理「はぁ・・・それで?今日はもう行かないの?」

垣根「・・・昨日の今日で・・・ちくしょう・・・」



410 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:01:13.38 ID:yJei79al0
心理「・・・ま、こんなもんだと思ったわよ」

垣根「何がだよ・・・」

心理「あなたが筋力ないとかいうんじゃなくて、大抵の人間はそこに面白みを見つけられないのよ」

垣根「そういうもんか?」

心理「テクパトル君や削板君はそこに楽しみを見つけた、珍しい人種なのよ」

垣根「・・・ちくしょう・・・シュワちゃんになりたいのに・・・」

心理「・・・ねぇ、垣根」

垣根「なんだよ・・・」

心理「私、別にあなたは筋肉質じゃなくてもいいと思うわよ」

垣根「・・・はぁ?」

心理「・・・だって、あなたは今のままが一番素敵だもん」

垣根「・・・え?」

心理「だから、あなたは別に鍛えなくていいの」

垣根「・・・そ、それはマジで行ってるのか」

心理「えぇ、そうよ」

垣根「・・・」


垣根「え、これだけ?」

心理「はいはい、湿布貼るわよ」



411 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:11:53.47 ID:yJei79al0
>>380の下を


麦野「・・・でさ、なんで二人はそうやってにらみ合ってるのよ」

アイテムの家

いつもは平和なリビングに、恐ろしいほどの殺気が立っていた

その中心にいるのは世紀末ライダー、浜面改めHAMADURAとゴーグル男だ

ゴーグル「・・・聞いてくださいよ麦野さん」

麦野「なに?」

浜面「俺は、巨乳のほうがいいと思うんだ」

麦野「・・・は?」

ゴーグル「どう思いますか、俺は別に胸の大きさは関係ないと思うんすよ」

浜面「かーっ!!女にあって男に無い、たった二つの希望の膨らみだぞ!?それをいらないなんて・・・」

ゴーグル「・・・いや、好きな人が出来たなら胸は・・・」

麦野「待って、それで喧嘩してたの?」

ゴーグル「喧嘩じゃないっす、ディベートっす」

麦野「・・・ディベートには観衆が必要よ」

浜面「そこで!!麦野の意見も聞きたい!!!」

麦野「いやよ」

ゴーグル「いや、ここはぜひ」


412 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:22:32.08 ID:yJei79al0
麦野「いやよ」

ゴーグル「・・・いえいえ、そこは・・・」

浜面「巨乳代表の麦野に聞いて欲しいんだよ!!」

麦野「代表ってね・・・」

ゴーグル「・・・それに、俺達がこういう話をしていた理由を聞いてほしいんすよ」

浜面「・・・実はな、さっき番組に巨乳の姉ちゃんが出てたんだ」

ゴーグル「それを見た浜面さんが、おおいい!!って言ってたんすよ」

浜面「そしたらゴーグルが胸なんて脂肪の塊だって・・・」

ゴーグル「そこまでは言ってないっすよ、ただ俺はせいぜいDまでが限界だって」

浜面「いやいや!!Gでもいけるだろ!!」

ゴーグル「Gなんて怖いっすよ!!なんか重力に逆らって前へ前へ出てるじゃないですか!!」

浜面「んなことねぇって!!」

ゴーグル「いーえ!!俺としては、どれかといえばフレンダさんや絹旗さんみたいなちょっと小ぶりのほうがまだマシだと思いますけど!!」

浜面「ふっざけんな!!滝壺や麦野みたいな巨乳のほうがいいんだよ!!」

麦野「はいはい・・・そんなくだらないことで喧嘩しないの」

ゴーグル「くだらない!?これは殴りあいに発展しても問題ないような話っす!!」

浜面「あぁそうだ!!胸が女の正義なんだよ!!」

麦野(・・・原子崩し、撃てるかしら)



413 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:34:18.01 ID:yJei79al0
浜面「おっぱい!!おっぱい!!」

ゴーグル「はぁ・・・これだからリア充は困りますよ」

浜面「なんだそりゃ!!胸を好きになるのは男の性だ!!!」

麦野「・・・なに言ってるのよ、いい加減にしないと怒るわよ」

ゴーグル「・・・浜面さん、表に行きましょうか」

麦野「ちょ、ちょっと」

浜面「あぁいいぜ!!拳と拳で語ろうぜ!!」

麦野「待ちなさいって!!そんなことで一々喧嘩・・・」

浜面・ゴーグル「女はすっこんでろ!!」

麦野「は、はぁ!?」



絹旗「さぁ!!始まりました、超男なのはどっちか!!」

滝壺「拳と拳で語る、まるで某アニメを彷彿とさせる戦い」

フレンダ「司会は、みんなのアイドル、フレンダ様とその他でお送りする訳よ!!」

麦野「・・・なんで3月末にこんな道路の真ん中で野郎の喧嘩なんか見ないといけないのよ・・・」


ゴーグル「・・・ルールは」

浜面「金的、目潰し以外はありだ」

ゴーグル「了解」

浜面「・・・つまり!!」

浜面が拳銃を取り出す

もちろん、中は空砲だが


414 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:38:50.06 ID:yJei79al0
浜面「こういうのもありなんだぜ、ゴーグル!!」

ゴーグル「!!」


絹旗「おーっと、超せこい方法ですね!!」

フレンダ「ゴーグルはどうする訳よ!?」

滝壺「頑張れ頑張れはまづら」

麦野「・・・なんで胸のことでの喧嘩如きに拳銃持ち出してるのよ・・・」


浜面「テストショット!!」

パン!!と乾いた音が響く

遠くに植えてある街路樹が揺れた

浜面「オッケィ!!いい感じだ!!」

ゴーグル「・・・そっちが道具使うなら、こっちだって!」

ゴーグルが頭につけていた機械のスイッチを入れる

頭の中に、何らかの種類の電気信号が流れる

それが何なのかはわからないが

ゴーグル「さぁ・・・行きますよ!!」

浜面「来い!!」

胸を愛する男と、胸よりも心を愛する男

二人が今、ぶつかる!!!



415 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:43:23.92 ID:yJei79al0
ゴーグル「・・・はぁぁぁっ!!」

ゴーグル男の拳の弾幕と、浜面の打ち出す空気の弾幕

浜面「おらおらおらぁ!!!」

目には見えないほどの速度で、二人の一撃はぶつかり合っていた


絹旗「現在、浜面が若干不利ですね!!」

麦野「・・・あのさ、なんでこんなことしないといけないの?」

滝壺「男には、時々譲れないことがあるんだってはまづらが言ってた」

フレンダ「それがこれ?」

麦野「だとしたら・・・」


女一同「男って、本当に馬鹿」


ゴーグル「おぉぉぉ!!衝撃のぉぉ!!!」

浜面「ビーッグマグナァム!!!」


麦野「ねぇ、あれ何?」

絹旗「さっき滝壺さんが言ってた某アニメの台詞ですね」

麦野「へぇ」

絹旗「・・・でも、なんだかあの台詞を言うといやな予感がします」

滝壺「・・・!!南南西から、何かが飛来してくる!!!」

フレンダ「あ、あれは・・・垣根!?」



416 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:48:58.57 ID:yJei79al0
ゴーグル「ファースト・・・」


垣根「ゴーグルぅぅぅぅぅあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

ゴーグル「か、垣根さん!?」

浜面「あ、あの野郎空から!?」

垣根「違うんだよ!!衝撃のファーストブリッドは、ただ力任せに振るえばいいモンじゃないんだよ!!!」

ゴーグル「こ、こっちに来てる!!」

浜面「逃げるぞ!!」

垣根「速さが足りないんだよぉぉぉぉぉ!!!!」


麦野「か、垣根の馬鹿!!」

絹旗「な、なんか翼が変な色になってますよ!?」

滝壺「綺麗」

フレンダ「うっとりしてないで、避難する訳よ!!」


垣根「瞬殺のぉぉぉぉ!!!」

ゴーグル・浜面「来るなぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

垣根「ファイナルブリッドォォォォォォ!!!!!!!」

辺り一面に粉塵が舞う

地面に伏せたのは、二人の弱者だった


垣根「諸君・・・一つ言おう」

垣根「俺は、胸よりも鎖骨フェチだ」

垣根「・・・こ、こんなオチしかつけられねぇんだよ!!」


麦野(逃げた・・・わね・・・)


417 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:55:16.80 ID:yJei79al0
>>381 


冥土「・・・久しぶりだね、アレイスター」

アレイ「あぁ・・・そうだな」

アレイスターは、右手の拳を開いては閉じ、を繰り返していた

普通の人間ならばそれが当たり前の行動だろう

しかし、彼は・・・いや、彼というのは間違っているかもしれない、この人間は長い間それが出来なかった

なんか知らないけど、青酸カリからの流れで冷蔵庫になっていたのだから

そんな冷蔵庫とも今日でお別れになってしまった

傍らには、昨日まで自分の生命維持を司っていた冷蔵庫のような機材が置いてある

垣根によって、そのまま冷蔵庫に改造されたものが

アレイ「・・・私はこんな姿だったのか」

冥土「なに、仕方ないね」

アレイ「・・・だが、それも今日までだ」

冥土返しの技術は恐ろしい、とアレイスターがほくそ笑む

たった一日で彼の体を再現し、さらには小型化された生命維持装置まで開発してしまった

もはや医師としてではなく、科学者として活動してもいいほどの腕前

アレイ「・・・ほう、しっかりと魔力の精製も出来るらしい」

冥土「当たり前だね、君にも生命力はあるのだから」



418 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 10:59:47.31 ID:yJei79al0
アレイ「・・・さて、私は行くところがある」

冥土「彼らのところかね」

アレイ「この姿を他人に見せるなど、初めてだよ」

冥土「他人ではないだろう」

アレイ「・・・そうだな、私も人並みに家族というものを手に入れたようだ」

冥土「・・・アレイスター、そこの冷蔵庫は明日郵送しておくね」

アレイ「頼む」


こんなにも胸を高鳴らせるのはいつ以来だろうか

今、アレイスターは転移魔術を使用している

ほんの少しすれば、テクパトルの家にたどり着くはずだ

アレイ(・・・彼らは、迎えてくれるだろうか)

家族というものを、アレイスターは過去にも持っていた

そして、それを捨てたのは自分だ

自分の手で、それを葬ってしまった

アレイ(過去のことに思いを馳せるか、未来に確率を投げ捨てるか)

アレイ(人間とは、やはり愚かだよ)

そしてそんな人間に生まれたことは、決して不幸ではなかった

アレイ(・・・彼らは・・・)


419 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:02:56.57 ID:yJei79al0

テクパトル「・・・あぁ・・・冷たいな・・・」

御坂妹「テっくん、右のふくらはぎに湿布を貼ったのはミサカです」

10039「左のふくらはぎはミサカが」

14510「右腕はミサカです」

13577「左腕はミサカです!!」

17600「腰はミサカだ」

20000「ふぐー!!ふんぐー!!」

テクパトル(・・・20000号は縛っといて正解だったかな)

20000「んっ・・・っ・・・//」

テクパトル(失敗だったか)

10033「首はミサカですよ」

テクパトル「悪いな・・・ちくしょう、全身トレーニングなんてするんじゃなかった・・・今日が休みだからって昨日調子に乗りすぎたかな」

19090「テっくん、冷えたビールです!!」

テクパトル「あぁ、悪い・・・」

ピンポーン

17600「ん?誰か来たみたいだな」

テクパトル「・・・アレイスターだ」

御坂妹「ど、どうしてわかるのですか?」


420 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:08:09.92 ID:yJei79al0
テクパトル「尋常じゃない魔力の流れを感じる・・・あの野郎、何か魔術使いやがったな!!」

ビールの缶をテーブルに置いて、テクパトルが駆け出す

筋肉痛など気にもならない

この魔力の流れ

使用している魔術自体は、それほど大きなものではないだろう

しかし、その魔力の精製度、純度が明らかに他の魔術師とは違う

少量の魔力でも、魔術を発動させることが出来るほどに

車で同じ距離を走るなら、純度の高いガソリンのほうが量は少なくて済む

それと全く同じなのだ


テクパトル「おい、アレイスター・・・」

アレイ「ハロー、久しぶりだなテクパトル」

テクパトル「・・・なぁ、一つ聞いていいか」

アレイ「なんだね」

テクパトル「なんでこの春の季節に、アロハシャツと麦藁帽、そして短パンなんだ」

アレイ「オシャレだろう?」

テクパトル(あぁ、こいつは浮世から離れすぎていた)

アレイ「・・・すまないな、色々していたら遅れてしまったよ」

テクパトル「・・・というか、お前は本当にそんな見た目だったんだな、過去に資料で見たままだよ」

アレイ「・・・ほう」

421 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:14:50.04 ID:yJei79al0
19090「テっくん・・・?ア、アレイちゃんなんですか、その人?」

御坂妹「ア、アレイちゃんって女の人だったんですか!?」

13577「え、おじいさんじゃないですか」

10039「こ、子供・・・!?」

17600「おいおい、ミサカには犬に見えるぜ」

テクパトル「・・・アレイスター、お前一体何してんだよ・・・」

アレイ「私はイギリス清教から追われている身なのでね、こうやって視認を乱す必要がある」

14510「えっと・・・つまり、そこのイケイケギャルはアレイちゃんが作り出した借りの姿・・・と?」

テクパトル「お前の目にはイケイケギャルなのか・・・というか言い方が古いな」

20000「ふぐー・・・!?ふ、ふふふんぐ!!ふ・・・//」

テクパトル「・・・何言ってるかわからないぞ」

10033「ガムテープ、剥がしますね」

テクパトル「ゆっくりしてやれよ、さすがに痛い・・・」

10033「えいっ!!」ビリッ!!

20000「おぉぉぉいってぇ!!でもこの痛さがいずれは快感に!!そして、アレイちゃんって愛玩奴隷だったんだね!!」

テクパトル「てめぇの目にはどう見えてるんだよ!?」

アレイ「・・・まぁ、この家ならば視認を乱す必要もないな」

アレイスターがなにやら小さな機械をいじる

ポケットに入るサイズで、オーディオプレイヤーに見えないことも無い


422 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:24:59.51 ID:yJei79al0
19090「あ、なんか銀髪の・・・だ、男性・・・でしょうか」

御坂妹「女性に見えないこともないですね」

テクパトル「こいつは男だ、歴史上でもそうなってる」

アレイ「ミステリアスというのも不思議だろう?」

テクパトル「とにかく上がってくれよ、歓迎するぜ」

アレイ「では遠慮なく」

驚いているミサカ達をよそに、二人はズカズカと家の中を進む

テクパトル「にしても、お前は恐ろしいオーラを放ってるもんだな」

アレイ「そうかね?最悪の魔術師もイギリス清教全てを敵に回せば死に追いやられるものさ」

テクパトル「・・・馬鹿を言え、こうして生き残っているぞ?イギリス清教全てを敵に回してもなお」

アレイ「・・・こんな話はここまでにしよう、ところで」

テクパトル「あぁ、なんだよ」

アレイスターが家を見回す

とても綺麗な新築だが、少しだけ部屋が少ないように感じる

それは、なぜか


アレイ「私の部屋はどこなのかね?」

テクパトル「あ」



テクパトル「キッチン・・・かな」

アレイ「」



423 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:31:40.62 ID:yJei79al0
>>384 


黒子「・・・はぁ、風紀委員はいつでも忙しいですの・・・」

削板「そうだな・・・しかもこんなときに限ってウイーハルさんはいない・・・」

黒子「外部研修とか言ってましたけど・・・どうせ、他の支部で遊んでいるに違いありませんわ・・・」

削板「固法さんは?」

黒子「・・・初春の付き添いですの、もうイヤになりますわ・・・」

削板「ふーん・・・ここに二人きりって珍しいな」

黒子「そうですのね・・・」

風紀委員の支部

やっと新しい支部にも慣れ・・・というが、元々構造は変わってないのだから問題はなかったが

とはいえ、全ての機材の移動も終了し、やっと普通に勤務をすることが出来るようになった支部

そこには、山積みの問題と書類が置かれていた

なんでも、最近近くで正体不明の力が発生したそうだ

科学でさえ、未だに解明できないほどの

ちなみにそれは、アレイスターが使った転移魔術だったりもする

削板「正体不明か・・・それは後回しでいいだろ」

黒子「そうですわね・・・あ、コーヒー淹れますの」

削板「サンキュー」



424 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:37:39.65 ID:yJei79al0
黒子「やっていられませんのよ・・・春休みで浮かれて、妙な騒ぎを起こす学生も多いですの」

削板「・・・連続窃盗犯か、そういうのってまだいるんだな」

黒子「盗んだものは食料品や衣服・・・どうせ、愉快犯でしょうが」

書類に目を通しながら、黒子が溜め息をつく

彼女からすれば、そういう犯罪を犯す人間は見下すべき存在でもある

そして、同時に立ち直らせてあげたい存在でも

削板「・・・そっか、世間はもう春休みか・・・」

黒子「わたくし達にはあまり実感が湧きませんの・・・」

削板「一日中勤務なんて、独房で暮らすのと変わらないよな」

黒子「あら、食事と衣服が保証されるだけ、独房のほうが楽かもしれませんの」

削板「はぁ・・・どっかのミュージシャンを思い出すよ、人生は独房での生活となんら変わらないってさ」

黒子「・・・いいこと言いますわね・・・」

はぁ、と黒子がもう一度溜め息をつく

時間というものが鎖になって、彼女達を縛り付けている

しかし、削板と二人なら・・・

黒子(悪くはありませんわね)

削板「・・・なぁ、黒子」

黒子「はい、なんですの?」



425 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:43:09.72 ID:yJei79al0
削板「・・・春休み、暇なときとかないのか?」

黒子「もちろん、一応風紀委員にも休みはありますの」

削板「本当か!?じゃあ二人でどっか行こうぜ!!」

黒子「あら、デートのお誘いですの?」

削板「そういうこと!!」

ソファーの上で笑いながら、削板が頷く

純粋な人だな、と黒子は笑う

削板「最近色々忙しかっただろ、だから息抜きも必要だって」

黒子「・・・息抜き、ですのね」

削板「それに、お前と二人きりでデートしたいしな!!」

黒子「!そ、それなら・・・まぁ」

削板「ひゃっほー!!黒子、ありがとう!!」

回転イスに移動した削板が、グルグルと回る

いつまでも回転し続けている辺り、彼は「説明できない」人間だ

黒子「目・・・回りませんの?」

削板「あぁ、回ってるけどさ!!」ハハハ!!

黒子「・・・ふふ、軍覇さんは子供らしいですの」

削板「子供だからな!」


426 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:50:34.00 ID:yJei79al0
黒子「・・・子供なんかじゃないですけどね」

削板「子供だよ、未だにな」

黒子「・・・そうでしょうか?」

削板「子供ってのは素晴らしいぞ、いつまでも純粋だ!!」

黒子「純粋ゆえに人を傷つけることも・・・」

削板「ノンノン!!それは傷つけるためにした行動じゃない、つまり子供に悪気はないんだよ!!」

黒子「・・・?そ、そういえばそうなりますわね」

削板「事故か過失か、そういうことだ!!」

黒子「でも結果は同じですの」

削板「・・・あれ?」

黒子「はぁ・・・それで、どこにデートに行きますの?」

削板「うーん・・・込み合ってる場所はイヤだな」

黒子「となると・・・公園でしょうか?」

削板「でもさ、そろそろ花見の季節だろ?公園も込み合いそうだ」

黒子「・・・そういえば、最近あの公園には行ってませんのね」

削板「あぁ、黒子と知り合った場所か」

黒子「たしか、あそこでわたくし達が花見をしている最中に・・・」

削板「なんだ、みんなで花見してたとこだったのかよ」


427 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 11:59:58.19 ID:yJei79al0
黒子「・・・あれから月日が経ちましたの」

カタカタとキーボードを叩きながら、黒子が笑う

削板「月日が経つほど愛は深まる、ってな!!」

黒子「そ、そうですわね」

削板「なんだ、もしかして照れてるのか?」

黒子「す、少し」

削板「あっはは!!照れるなって、そんなに・・・」

黒子「!!軍覇さん、これ!」

削板「ん?」

削板がパソコンを覗き込む

黒子「ス・・・スイーツの・・・セール情報・・・」

削板「なんだ、さっきから何か調べてると思ったらこれか」

黒子「軍覇さん、今から行きますの!!」

削板「お、仕事はどうする!?」

黒子「ちょうどお昼ご飯の時間ですのよ!!」

削板「よっしゃぁ、甘いものでも食べに行こうか!!」

削板が拳を天井に突き上げる

他のカップルほど派手ではないが、こういうのもいいかも、と黒子はいつも思っている



428 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 12:06:39.84 ID:yJei79al0
>>386


17600「やぁ、読者のみなさん」

御坂妹「そういう発言は控えましょう、とミサカは・・・」

20000「しっ、ここでその語尾は禁物だぜレディ」

御坂妹「・・・誰なんですか」

17600「今、ミサカ達はテっくんの職場に潜んでいる」

20000「いわゆる、スネークってやつだな」

御坂妹「・・・どうして段ボール箱に隠れているのですか」

17600「最近、ミサカ達よりも心理定規のほうが人気らしくてな」

20000「ここらでミサカ達の破壊力を見せつけようと思って」

17600「音声でしかお送りできないのが心苦しいよ、諸君」

20000「でも、ミサカは音だけでイけちゃうタイプだね」

17600「黙れ変態・・・そして、どうしてミサカ達がこのジムに潜入したかというと」

御坂妹「テっくんが、普段どんな仕事をしているかをレポートするためです」

17600「カメラは用意した、これでいける」

20000「特殊メイクもしてるし、万が一見つかってもセーフかな」

御坂妹「いえ、アウトでしょう・・・」


429 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 12:44:35.79 ID:yJei79al0
17600「・・・さて、今は正午・・・!!」

20000「移動した!!行くぞ、みんな!!」

御坂妹「は、はい!!」


テクパトル「はぁ・・・今日の休憩は一時間か」

19090「少なくなりましたね・・・」

テクパトル「まぁ、春休みだから・・・何食おうかな」

19090「きょ、今日はお弁当を作ってきました!」

テクパトル「え、本当か?」

19090「は、はい!!」


17600(・・・なるほど、昼食の時間は自由に摂ってきていいんだな)

20000(そりゃ、ジムとかじゃ賄いなんて用意できないしね)

御坂妹(・・・愛妻弁当ですか)

17600(・・・しかし、昼休みは1時間とは・・・)

20000(中々ハードだね)

御坂妹「・・・あ、ミサカ達も昼食にしましょうか」

17600・20000「いきなりだね」


430 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 12:48:06.74 ID:yJei79al0

御坂妹(・・・現在、昼の2時です)

17600(・・・一方通行がジムにやってきたな)

20000(セロリたんの汗・・・)ハァハァ

17600(落ち着け)


テクパトル「今日は腕の日だな」

一方「・・・お手柔らかにィ」

テクパトル「厳しくいくぞ」

一方「勘弁してくれよォ・・・」


17600(・・・なるほど、ジムのトレーナーはああやって一人一人丁寧に補助するのか)

御坂妹(ちなみに、普通のジムのトレーナーはほとんどウェイトトレーニングに関してはさっぱりな人が多いのです!)

20000(んはぁっ!!セロリたんのアヘ顔!!)

17600(ありゃバテてるだけだ・・・日本のジムは、そこまでウェイトトレーニングには向かないな)

御坂妹(フィットネスなら十分ですけどね)

17600(・・・しかし、意外と他のお客さんにも丁寧に教えてるな)

御坂妹(テっくんが敬語を使ってるのは違和感が・・・)

20000(あ・・・イ、イっちゃった//)

17600(ちょっと失せろ)



431 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 12:51:26.68 ID:yJei79al0
テクパトル「・・・あれ、お前って今日はまだだっけ?」

19090「はい、今日はテっくんと同じ時間にあがりですよ」

テクパトル「へぇ・・・大変だな」

19090「いえ、テっくんと一緒なら!」

テクパトル「そうか・・・あ、アックアさん」

アックア「相変わらず仲良しであるな」

テクパトル「アックアさん、どうですか?」

アックア「最近は中々繁盛しているのであるが・・・私に教えてもらいたいという人は中々いないのである」

テクパトル「・・・そりゃ、その図体ですからね」

アックア「・・・ちょっとしょんぼりなのである」

テクパトル「でも、アックアさんが専属の人はみんな記録伸びてるじゃないですか」

アックア「そうであるが・・・」

19090「テっくんは、一方通行に苦労してますから・・・」

アックア「なるほど」


17600(・・・職場の同僚との関係も良好)

20000(ガチムチだぜありゃ)

御坂妹(なんか・・・ジムの職員のオーラがおかしいです)

20000(みんな肩幅がおかしいね)



432 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 12:56:21.01 ID:yJei79al0
テクパトル「・・・はぁ、お客さんもこの時間は一度減りますね」

アックア「今のうちに、サプリメントのほうの管理をするのである」

テクパトル「そうですね」


17600(・・・ジムでサプリメントの販売って珍しいよな)

御坂妹(学園都市は外からの物に厳しい管理体制を置いてますから・・・ただの薬局なんかでは売れないのでは?)

20000(それに、テっくんやあのガチムチみたいな人が飲んでますって言ったらそりゃ飲むよ)

御坂妹(・・・なんというプロパガンダ)

17600(ちょっと違うぞ)


19090「・・・?プロテイン以外にもこんなにあるんですね」

テクパトル「あぁ、お前は初めて見るんだっけ?」

19090「はい、いつもは受付ですから・・・」

アックア「学園都市はあまりサプリメントの開発はしていないのであるな」

テクパトル「筋肉のことに関して、アメリカに勝る国はないですよ」

アックア「少し残念なのである」

テクパトル「・・・通販で今は買える時代ですから、国の壁も関係ないですよ」

アックア「わがジムでもパソコンで注文することが出来るのである」キリッ


17600(わざわざ説明してくれたぞ)

20000(あのガチムチ、いいヤツだ)

御坂妹(・・・うわぁ、サプリメントがたくさんです・・・ミサカ達も前はあんなのを飲んでましたね)



433 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 12:59:06.99 ID:yJei79al0
テクパトル「はぁ・・・そういやアックアさんは、今日のトレーニングはもうしましたか?」

アックア「もちろん、仕事の前にするのが日課である」

テクパトル「へぇ・・・俺はまだなんですよ」

アックア「補助、するのである」

テクパトル「助かります」

19090「テっくん、頑張ってください!」

テクパトル「あぁ」


17600(あ、音楽が掛かったな)

20000(ジムではやっぱり音楽掛けるんだね)

御坂妹(これは・・・ヒップホップですか?)

17600(DR.DREのSTILL D.R.Eだな)

御坂妹(なんで知ってるんですか)

20000(へぇ、仕事の合間に筋トレしてたんだ・・・)

御坂妹(・・・どうりで、帰ってきたらヘトヘトなわけですね)

17600(・・・お客さんもまだ一応はいるのにな)

御坂妹(ずいぶんアットホームな職場ですね・・・)


434 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 13:02:23.23 ID:yJei79al0

テクパトル「はぁ・・・お疲れ様、アックアさん」

アックア「お疲れ様なのである、また明日」

テクパトル「それじゃ」


17600(テっくん、勤務終了)

20000(・・・潜入捜査って言っても、わかったことはあんまりないね)

御坂妹(・・・結局、テっくんはこの仕事が大好きそうということでした)

17600(いいことじゃないか)

御坂妹(そうですね・・・)


19090「テっくん、これからどうしますか?」

テクパトル「そうだな・・・19090号はどうしたい」

19090「19090号・・・あ、あの」

テクパトル「お前達はどうする?どっか食いに行くか?」

御坂妹「!?」

20000「バ、バレてたの?」

テクパトル「17600号は隠れるの上手いけど・・・お前ら二人、もろ見えてたぞ」

17600「・・・お前ら」

御坂妹「な、なんだ・・・」

テクパトル「・・・それで、どうする?飯でも食いに行くか」

20000「じゃあ、ラブホ・・・」

テクパトル「はいはい・・・それじゃ、行こうか」

17600(・・・)


17600(みんな、仕事も家庭も上手くいって男は素敵だぜ)キリッ




435 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 13:37:18.59 ID:yJei79al0
>>383


垣根「・・・今日、ここに集まってもらったのは他でもない」

麦野「・・・何よ」

浜面「せっかく滝壺とデートしたかったのに」

滝壺「かきね、これでつまらない話だったら怒るよ?」

垣根「安心しろ」

絹旗「・・・海原さんからせっかくお誘いがあったのに・・・」

垣根「うるせぇ、どうせお前はパンツ見せてヤらせる計画だったんだろ」

絹旗「超違います!!」

とあるファミレス

いつもアイテムが使っているファミレスなのだが、今日はメンバーが少し違った

フレンダとゴーグルがいない代わりに、垣根が加わっている

垣根「・・・正直な話、俺はゴーグル馬鹿を友人と思っている」

麦野「アンタも変わったわね、ということで解散・・・」

垣根「まぁまぁ、それでさ・・・ゴーグル馬鹿とフレンダを付き合わせてやりたいんだ」

浜面「あぁ、それはなんか賛成だな」

垣根「・・・だがしかし、ゴーグル馬鹿の野郎はフレンダの気持ちになんか気づいてない」

麦野「・・・それが何よ、私達がどうこうできるものじゃないわよね?」



436 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 13:48:05.85 ID:Hl3WgLpT0
1つ気になることが・・・
アックアさんはアレイちゃん出現には気がついてるのかな?
437 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 13:50:10.24 ID:yJei79al0
垣根「ところが、だ」

垣根がアイスコーヒーの氷をストローでカチャカチャと鳴らしながら笑う

垣根「・・・あいつらは、既にちょいとそういう関係になりつつある」

麦野「どういうことよ?」

垣根「見てればわかる、あいつらは互いを必要としあっているのさ」

浜面「そりゃ・・・そうかもしれないけどさ」

滝壺「でも、ゴーグルはそんなつもりじゃないみたいだよ?」

垣根「・・・いいか、ゴーグルがなんでフレンダをそういう目で見ないか、わかるか?」

絹旗「超色気がないから・・・ですか?」

麦野「それは言ったらダメよ」

垣根「・・・フレンダが素直にならないからさ、そりゃ素直な女の子にアタックされたら男だってその気になる」

浜面「そう・・・なのか?」

垣根「なのに、フレンダはいつも誤魔化しては逃げてを繰り返してる」

麦野「うーん・・・最近はちょっと素直だけど?」

垣根「それでもあと一押しが足りない」

浜面「・・・そのもう一押しを、俺達が・・・」

垣根「わかってるじゃねぇか」

滝壺「いいの?そんなことして」

垣根「元々、引かれかかった引き金だ」



438 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 14:00:18.90 ID:yJei79al0
>>436 気づくのではないでしょうか

魔術師としてはもう普通のレベルとはいえ、魔術師ですから、アックアさん


滝壺「いいのかな?」

垣根「問題ねぇさ、別に」

アイスコーヒーを飲み終わった垣根が、溜め息をつく

そういえば、彼が心理定規と付き合う前にも他の友達はこんなことをしていたらしい

くだらない、と当時は思っていたが今ならその気持ちがよく分かる

麦野「・・・でも、それでいいの?」

垣根「あぁ?何が」

麦野「そうしたら、ゴーグル君はアイテムの・・・」

垣根「知るかよ・・・んなことより、あいつらの今後が気になる」

絹旗「超おせっかいですね・・・」

垣根「愛が生まれる瞬間はメルヘンだぜ?」

浜面「・・・でもなぁ、一押しってどうすればいいんだ?」

垣根「・・・手を繋がせる」

浜面「いっつも普通にやってるよ」

垣根「デートさせる」

絹旗「超普通に二人で出かけますよ?」

垣根「あぁもう!!一緒に寝させりゃ・・・」

麦野「寝てるわよ」

垣根「・・・なんであいつら付き合ってねぇの?」



439 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 14:18:19.56 ID:yJei79al0
浜面「さぁな・・・」

麦野「・・・でも、付き合ってないにしては親密よね」

垣根「だーかーらー、もう一押しなんだよもう一押し」

滝壺「かきねはどうするつもりなの?」

垣根「・・・そうだな、デートさせてやるが・・・俺らがちょこちょこ指示を出してやる」

絹旗「指示?誰にですか?」

垣根「決まってるだろ、当事者だよ当事者」


フレンダ「な、なんで垣根がいる訳よ・・・」

急に呼び出されたと思ったら、垣根がアイテムのメンバーと一緒になって食事をしていた

それは少しおかしな光景でもある

垣根「・・・いいじゃねぇか、座れよ」

フレンダ「・・・なんかイヤな予感」

滝壺「ねぇ、フレンダ」

フレンダ「・・・なに?」

麦野「ストレートに聞くわよ」

フレンダ「うん・・・?」

麦野「アンタ、ゴーグル君大好きでしょ」

フレンダ「」




440 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 14:29:50.15 ID:yJei79al0
浜面「お、おい・・・」

絹旗「フレンダ、顔が超真っ赤ですよ」

フレンダ「ち、違う違う!!!そう、そうそうそうそうそういうのじゃなくて!!」

垣根「滝壺さんに出題です!!今、フレンダはそうと何回言ったでしょう」

滝壺「・・・6回」

垣根「正解!!」

滝壺「やったぁ」

垣根「んで、フレンダに提案なんだが・・・」

浜面「な、なんだ今のやり取り・・・」

垣根「・・・俺達が、お前のデートをプロデュースしてやろう」

フレンダ「produce?」

垣根「なんで流暢なんだよ」

フレンダ「じゃなくて!!そんなんじゃないってば!!」

滝壺「・・・フレンダ、素直になろうよ」

絹旗「そうですよ、フレンダ」

フレンダ「・・・そ、その・・・さ」


フレンダ「どんな風に・・・手伝ってくれるの?」

垣根「しゃぁぁぁ!!こりゃ楽しくなるぜぇ久々に!!!」

滝壺(・・・五七五・・・)

浜面(全然違うぞ)




441 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 14:45:49.30 ID:yJei79al0
垣根「・・・俺が、お前に通信で連絡を取る」

浜面「・・・どうやって」

垣根「この、小型無線機で!!」

麦野「あぁ、イヤホンのイヤーピース並の小ささで、いつでも声が聞こえます、って売ってるやつね」

滝壺「でも、あんまり好評じゃないんだよね」

絹旗「超地味ですし、普通の工事現場なら普通の無線で足りますし・・・」

麦野「っていうか、どうしてアンタがそんなの持ってるのよ」

垣根「スパイごっこをするためだ」

フレンダ「・・・それで、どうするの?」

垣根「お前がいつもどおり、ゴーグルを出かけるように誘ってくれ」

麦野「私達はそれを木陰から見守るわ」

絹旗「そして、その場に超ぴったりなアドバイスを出します!!」

滝壺「そうすれば、フレンダも大丈夫だよね?」

フレンダ「なんか不安だけど・・・わかった」

浜面「・・・よーし、じゃあゴーグルを落とそうぜ作戦、始めるか!!」

垣根「おうよ!!!」

麦野(ふん・・・これは中々面白くなりそうじゃない)ニヤニヤ

絹旗(何か企んでますね)



442 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 14:47:23.67 ID:yJei79al0
今日はここまで

リクによって書きやすいのと書きにくいのがありますが、とりあえず短く済ませないといけませぬ

リクはまだまだどうぞ、ただちょっと適当な感じになってしまいますのでご了承を


バイト、めんどくさいし寒いしちくしょう


コナン読み直してたら、灰原のあまりの可愛さに鼻血を噴出しそうになった俺



443 :379 [sage]:2011/12/18(日) 14:49:05.00 ID:lm72jOkDO
>>1乙である。

リクエストありがとうございました!!
444 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 16:28:33.03 ID:UKQHKkpIO
>>1ありがとー
445 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 16:47:57.68 ID:Hl3WgLpT0
お疲れ様ですー
446 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 19:06:33.45 ID:QhrNMXNVo
>>1乙、ありがトゥース!
アレイスタん哀れwwww
447 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 20:48:58.61 ID:15kQYJJTo
ここの筋肉動画のせいでダンベル買ってしまった
20kgの買ったけど重すぎてあがらねぇ……

一方さんのことワロエナイ
448 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:07:35.68 ID:QhrNMXNVo
>>447
よォ心の友さン
449 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:30:55.32 ID:KqxG8Q2Do
>>1

灰原さんに浮気ですかそうですか
サトリナが泣いておりますよ
450 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/18(日) 21:40:29.10 ID:eB2sy3z/0
乙です
フレメアと一方さんを出会わせてみる
451 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/18(日) 23:06:19.38 ID:yJei79al0
>>447 ダンベルカールの20KGならちょっとレベルが高いかもです

>>1もまだ20KGのダンベルカールは12repsがせいぜいですの

ベンチも買ったほうがいいですけど、とりあえずまずは楽しむことです

>>449 いや、だって灰原可愛いじゃないですか、でもサトリナは天使だよ

リクは明日にでも


久しぶりに来週週5勤務だ

筋トレの時間が減るけど仕方ないね

ではおやすみなさい


452 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:09:19.97 ID:ZGI4kKJDO
>>1に質問

レッグレイズすると腰の方が痛くなるのだがどうすればよいでしょうか?
453 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:27:20.26 ID:tCA9ON+j0
オリバとか言うなwwwwwwあれは筋肉フェチの到達点だ
454 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 00:44:00.43 ID:gQU2f6q9o
乙にゃんだよ!
455 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 05:27:59.86 ID:UMxo3R35o
Still Dre良いよね。PVもかっこいいし。ドレーはエミネムのI need a doctorのPVだったかでトレーニングしているシーンがあったような気がする
アルバム出す出す詐欺だけどうにかしてほしいねww
456 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 05:28:26.87 ID:UMxo3R35o
Still Dre良いよね。PVもかっこいいし。ドレーはエミネムのI need a doctorのPVだったかでトレーニングしているシーンがあったような気がする
アルバム出す出す詐欺だけどうにかしてほしいねww

457 :384 [sage]:2011/12/19(月) 07:58:00.94 ID:lnY0IgpSO
乙!
マッタリさせていただきましたww
458 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 16:01:39.26 ID:ZHy9mZBQ0
>>452 痛くない範囲でやる、もしくはクランチのみで十分かと

正直、腹筋は割れればいいだけって感じですのでw

>>455 N.W.A時代の尖ったドレーも大好きですよ

でも、やっぱりwu-tangを超えるグループなどいませぬ

ラッパーで筋肉って言ったらLLでしょうね

投下はもうちょいお待ちを

冬はアップを念入りにしないと関節痛めやすいのでご注意を

459 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:50:31.24 ID:ZHy9mZBQ0
垣根「さて・・・フレンダは上手くやれるかな」

麦野「・・・なんだかんだ、気になるもんね」

浜面「・・・いいのか、本当に・・・」

滝壺「はまづら、諦めよう」

絹旗「・・・超ドキドキしますね」

フレメア「にゃあ」

浜面「・・・なんでフレメアがいるのかは分からないけどな」

フレメア「お姉ちゃんが告白するって、そこのお兄さんから聞いた」

垣根「あぁ、一世一代のメルヘンだぜ」

浜面「なに吹き込んで・・・」

麦野「しっ!ゴーグル君が来たわよ!」

絹旗「よし・・・みんな、息を潜めましょう!」


フレンダ「ご、ごめんね・・・急に呼び出したりして」

ゴーグル「いや、いいんすけど・・・」

ゴーグル男が辺りを見回す

何かを見つけようとしているみたいに



460 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:51:02.15 ID:ZHy9mZBQ0
フレンダ「どうしたの?」

ゴーグル「いや・・・なんか視線を感じたもので」

フレンダ「!」


垣根「ちっ、やっぱりゴーグル馬鹿も暗部の端くれだな・・・」

絹旗「まぁ、ここから近いですから気づかないほうがおかしい・・・」

麦野「フレンダ、上手くごまかしなさい」

麦野が無線機を使って連絡を取る

ちなみに、すこし無線機は加工してピアス状にしている

これならゴーグル男に怪しまれることもないはずだ


フレンダ「ほら!あんまりピリピリしてたらつまんない訳よ!」

ゴーグル「す、すいません・・・で、用事ってなんすか?」

フレンダ「・・・デ、デート・・・かな」

顔を赤くしながら、フレンダが応える

若干縮こまってしまうのは緊張からか

ゴーグル「あぁ・・・てっきり何か相談かと思いましたよ、他の誰も呼ぶなって言うから」



461 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:51:33.17 ID:ZHy9mZBQ0
フレンダ「・・・?もしかして心配してくれてたの?」

ゴーグル「一応は・・・でもそれなら安心っす」

あくびをしながらゴーグル男が言う

デートのお誘いをされながらあくびをするとは中々失礼なものだが

フレンダ「・・・それで、デートは・・・」

ゴーグル「・・・確認なんすけど、俺達はまだ付き合ってないっすよ?」

フレンダ「わ、分かってる訳よ!」

ゴーグル「ならいいっすけど・・・なんでまた」

フレンダ「アンタを・・・その気にさせたいから」

ゴーグル「・・・」


垣根「いい・・・いいぜフレンダ!見直したぜ!」

絹旗「アンタをその気にさせたいから・・・超映画みたいです!」

麦野「あんまりはしゃがないの・・・でも、今日はフレンダも大胆に出たわね」

フレメア「にゃあ、きっと私達がついてるから」



462 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:52:00.67 ID:ZHy9mZBQ0
浜面「・・・でも、ゴーグルはガードが高そうだな」

滝壺「簡単には落とせないよ、きっと」

垣根「それは俺達が上手くやるんだ・・・」

垣根が無線機を握る

垣根「フレンダ、どこでもいいから景色の綺麗な・・・そうだ、観覧車のあるショッピングモールにでも行け」

絹旗「景色を見ながら並ぶ二人・・・超素敵じゃないですか」

フレメア「ちょっと夢見すぎ」

滝壺「・・・はまづら、私達も観覧車乗ろうね」

浜面「ま、まぁ・・・いいかな」

麦野「ダメよ、今日はフレンダの恋を応援するんだから」


フレンダ「じゃあ・・・観覧車、乗りたい訳よ」

ゴーグル「・・・観覧車?」

フレンダ「観覧車って素敵だし・・・景色綺麗で、しかも・・・」

途中まで言いかけたフレンダが顔を真っ赤にする

言いたいことはなんとなく、ゴーグル男にも分かった

ゴーグル「別に変なことするつもりはないっすよ」



463 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:52:51.34 ID:ZHy9mZBQ0
フレンダ「わ、分かってるから!」

ゴーグル「じゃあ・・・そうっすね、ここからなら近くのショッピングモールが」

フレンダ「へ、へぇ・・・詳しいんだ」

ゴーグル「・・・一応、学園都市の構造は把握してますから」

フレンダ「・・・そっか」


麦野「ゴーグル君って情報担当だったの?」

垣根「あいつは戦力にはあまりならねぇからな、雑用押し付けてたんだ」

フレメア「にゃあ、お仕事の話?」

垣根「あぁ、うざったい上の連中に従うお仕事だったよ」

フレメア「やめちゃったの?」

垣根「・・・やめた、かな」

浜面「・・・フレメア、あんまり人の過去について聞いたらいけないぞ」

フレメア「にゃあ、分かった」

絹旗「にしても・・・ゴーグルからショッピングモールを提案してくれるなんてラッキーですね」

麦野「私達も急ぐわよ」

滝壺「うん」



464 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:53:43.69 ID:ZHy9mZBQ0


ゴーグル「・・・やっぱり、春休みには混みますね」

フレンダ「・・・うん」

ショッピングモールというのはこんなにも騒がしかったのか、と驚いてしまうほど賑わっていた

あちこちでアルバイトの店員がセールだ安売りだと叫んでいる

普段の平日からは想像がつかないほどの騒がしさ

フレンダ(・・・ちょっと無線機が聞きにくい訳よ)

ゴーグル「フレンダさん、ピアスつけてるんすか?」

フレンダ「あ、あぁ!穴開けてはいない訳よ!」

ゴーグル「へぇ・・・?」

フレンダ「そりゃ、デートの時くらいは少しオシャレもする訳よ!」

ゴーグル「・・・そんなに俺とのデートって特別なんですか?」

フレンダ「・・・言わせないでよ」

ゴーグル「・・・」


垣根「言わせないでよ・・・」

絹旗「かーっ!ここにカメラがあったら一本映画が撮れちゃいますよ!」

浜面「いや・・・無理だろ」

麦野「ちっ・・・なんか見ててだんだんイライラしてきたわね」

フレメア「お姉ちゃん・・・なんだか幸せそう」

滝壺「はまづら、私達も今度あんなやり取りしようね」



465 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:54:15.30 ID:ZHy9mZBQ0
浜面「いや、打ち合わせしてするもんじゃないから」

垣根「・・・ゴーグル馬鹿、マジで疎いな・・・それともわざとああやってフレンダの反応を楽しんでるのか?」

麦野「どっちにしても、ちょっとがっかりするわね」

垣根「・・・フレンダ、出来る限り人の少ないとこに行け、観覧車はそれからで構わない・・・今は昼だから、どうせ観覧車は列になってる」


フレンダ「・・・ね、ちょっとうるさすぎない?」

ゴーグル「ちょっとどころじゃないっす・・・このままここにいたら気が狂いそうですよ」

フレンダ「だったら移動しよう」

ゴーグル「いいっすけど・・・どこ行きますか?」

フレンダ「うーん・・・座れる場所がいいな」

フレンダが脚を見つめる

新品の靴を履いてきたからか、どうも先程から脚が疲れて仕方がない

ゴーグル「・・・はしゃいで新品の靴なんか卸すからですよ」

フレンダ「な、なんで新品って分かったの?」

ゴーグル「フレンダさん、今までその靴履いたことなかったじゃないっすか」

フレンダ「!」



466 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:54:41.40 ID:ZHy9mZBQ0
ゴーグル「汚れてないし紐もまだ形がついてない・・・新品以外には有り得ないっす」

肩を竦めながら、ゴーグル男がショッピングモールのマップを見つめる

ゴーグル「・・・そういや、あのショッピングモールはどうなったんすかね」

フレンダ「あぁ、もう完成したみたい・・・でもかなり人気な訳よ」

ゴーグル「人間は新しい物が大好きですからね」

そんな会話をしながら、ゴーグル男が一カ所を指差した

ゴーグル「ここ、簡単な食事とか飲み物がとれますよ」

フレンダ「うーん・・・そこ以外にはないかもね」

ゴーグル「ちょうど喉も渇きましたし、行きましょうか」

フレンダ「うん!」


垣根「・・・なんだ、なんなんだよ!?これでこいつら付き合ってないんだぜ!?」

絹旗「世の中の下手なカップルよりよっぽどカップルらしいですよ!超うぜぇ!」

滝壺「あんまり騒ぐと変な目で見られちゃうよ」

フレメア「お姉ちゃん、とっても嬉しそう」

麦野「・・・あんなフレンダ、初めて見た・・・」

浜面「ありゃ、デートを本当に楽しんでるみたいだな」



467 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:55:23.50 ID:ZHy9mZBQ0
垣根「女の顔になってるんだよ、好きなヤツと二人でいられるんだから」

麦野「・・・なんか、私達がいるってことも忘れてそうね」

垣根「・・・無線機があるんだからそれはないだろ」


フレンダ「はぁ・・・なんか、結構疲れるね」

ゴーグル「こんだけ人混み掻き分けたら、そりゃだれますよ」

フレンダ「・・・あ、私は・・・コーラ」

ゴーグル「ビールを」

フレンダ「・・・ちょっと」

ゴーグル「一応、偽造免許証持ってますから」

小さな声で、ゴーグル男が答える

それは無線機を通じて垣根達にも伝わっていた


麦野「偽造免許証・・・」

浜面「マジかよ・・・ぱっと見、普通の免許証なのか?」

垣根「あぁ、便利だろうからって昔渡したんだけどな」

絹旗「・・・年齢もごまかしてるんですか」



468 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:56:42.31 ID:ZHy9mZBQ0
垣根「俺達には正式な戸籍なんてないのさ・・・特にあいつは」

浜面「へぇ・・・」

垣根「だったら大体二十歳でいいだろ」

フレメア「にゃあ、かなり適当」


フレンダ「・・・ゴーグルってよくお酒飲んでるよね」

ゴーグル「好きなんすよ、酒」

フレンダ「・・・酔わない?」

ゴーグル「ちょっと酔うのが気持ちいいんすよ」

フレンダ「・・・ねぇ、酔ったら・・・男はエッチになるってホント?」

ゴーグル「なる人もいるんじゃないっすか?俺はそうでもないですけど」

フレンダ「・・・ゴーグルがエッチになったら、どんな感じなんだろ?」

ゴーグル「知らないっすよ・・・なんでそんな話するんすか」

フレンダ「・・・ゴーグルになら、ちょっとくらい悪戯されてもいいかなって」

ゴーグル「・・・」


ゴーグル「毎朝抱き着いてくる人が言う台詞じゃないっすね」

フレンダ「う、うるさい!」




469 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:57:31.40 ID:ZHy9mZBQ0
垣根「あいつ毎朝抱き着いてんのかよ!?」

麦野「初耳・・・フレンダ、中々やるじゃない」

浜面「待て待て!ってことは同じ布団の中にいるってことか!?」

絹旗「!?そんな、まだ付き合ってないのに!?」

フレメア「お姉ちゃん・・・ちょっとがっかり」

滝壺「はまづら、あんまり妄想したらダメ」

浜面「してないから!滝壺とのなら妄想したいけど!」

滝壺「//」

垣根「・・・ゴーグル馬鹿、それでも気づかなかったのかよ・・・」


ゴーグル「・・・悪戯って」

フレンダ「な、なに?」

ゴーグル「どこくらいまでなら許されますか?」

フレンダ「は、はぁ!?待って、ここではダメな訳よ!」

ゴーグル「いや、しないっすよ・・・最近の女性はどれくらいオープンなのかと思って」

フレンダ「あぁ・・・脚を触ったり、とか」

ゴーグル「あれ・・・前触らなかったっすか?」

フレンダ「うん」

ゴーグル「・・・なんだか拍子抜けっす」

フレンダ「そ、それより!早く飲んで!」

ゴーグル「?」



470 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:58:24.88 ID:ZHy9mZBQ0



垣根「早く飲ませろ!観覧車に乗る前に酔わせるんだ!」

麦野「酔って密室なら、アンタもチャンスがあるはず!」

浜面「フレンダ、グッドラック!」

滝壺(みんながおかしい)


ゴーグル「ぷはーっ」

フレンダ「よ、酔った?」

ゴーグル「いやいや・・・だから、俺は最近酒にはめっぽう強いんすよ」

フレンダ「嘘!?垣根と心理定規と飲みに行った時は弱かっ・・・」

ゴーグル「あれ、なんでフレンダさんがその話知ってるんすか?」

フレンダ(まずっ!)


垣根「あの馬鹿!無線機での会話をペラペラ・・・」

麦野「フレンダ、上手くごまかしなさい」

浜面「な、なんかドキドキしてきた・・・」

絹旗「バレたら超やばいです・・・」

フレメア「大体、お姉ちゃんはこういう細かいことは苦手」

滝壺「お腹減ったなぁ」




471 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 17:59:14.17 ID:ZHy9mZBQ0

フレンダ「ま、前に聞いた訳よ!ゴーグルってお酒強いイメージだったから意外だなーって・・・」

ゴーグル「・・・なんか、今日のフレンダさん怪しいっす」

フレンダ「うぃっ!?な、何が?」

ゴーグル「行動パターンがコロコロ変わるし、たまに何かに頷いてるし・・・」

フレンダ「そ、それは・・・」

ゴーグル「多重人格者ですか?」

フレンダ「にゃーっはっは!そ、そうな訳よ・・・」

ゴーグル「んなわけないでしょ」

フレンダ「う・・・自分から言っといてひどい訳よ・・・」

ゴーグル「・・・それで?なんかあったんすか」


垣根「まずいな・・・」

絹旗「ご、ごまかして下さいフレンダ!」

浜面「こう、さっきみたいに・・・」


フレンダ「ごめんね、ゴーグル」

ゴーグル「・・・」



472 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:00:23.45 ID:ZHy9mZBQ0
フレンダ「・・・じ、実はさ・・・これ、無線機・・・なんだ」

フレンダが耳元を指差しながら呟く

あぁ、ゴーグル男は怒るだろうと思いながら


垣根「バラしやがった!」

麦野「撤収!」

フレメア「面白いとこだったのに、にゃあ」

絹旗「超残念ですが・・・」

浜面「仕方ないだろ、ここは撤収するしか・・・」

滝壺「はまづら、私達も観覧車」

浜面「う・・・」

垣根「行きたきゃ行け・・・俺は知らねぇぞ」

浜面「サンキュー!」


ゴーグル「・・・そんなことだろうと思いましたよ」

フレンダ「ご、ごめん」

ゴーグル「はぁ・・・一体、誰と連絡取ってたんですか?」




473 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:01:57.45 ID:ZHy9mZBQ0
フレンダ「アイテムのみんなと・・・垣根、あとフレメアの声も聞こえた」

ゴーグル「なんでこんなことを?」

フレンダ「・・・アンタとのデート・・・どうしたらロマンチックになるか、分からなかったから」

ゴーグル「アドバイスをもらいながら・・・だったんですか」

フレンダ「うん」

何か納得したような表情で、ゴーグル男が苦笑する

ゴーグル「やっぱり・・・最初から変だと思いました」

フレンダ「な、なんで?」

ゴーグル「フレンダさん、観覧車に乗りたいならショッピングモールじゃなくて遊園地に行くタイプですから、他に遊べますし」

フレンダ「今日は混んでるからって・・・」

ゴーグル「あなたがそこまで後先考えるとは思えませんよ」

フレンダ「な、何それ!?」

ゴーグル「いつも行き当たりばったりのぶっつけ本番じゃないっすか」

フレンダ「う・・・」

ゴーグル「・・・途中でビールをたくさん飲め、とかもおかしかったですし・・・」

フレンダ「おかしかった・・・かな?」



474 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:03:08.87 ID:ZHy9mZBQ0
ゴーグル「フレンダさんだったら自分も飲む、とか言い出しそうですから」

フレンダ「そんなことないもん!」

ゴーグル「・・・だから、なんか怪しいなとは思ってました」

フレンダ「・・・ごめん」

ゴーグル「・・・いいっすよ、別に」

ビールを置いて、ゴーグル男が立ち上がる

フレンダ「か・・・帰っちゃうの?」

ゴーグル「まさか、観覧車・・・乗るんでしょ?」

フレンダ「!う、うん!」


浜面「でけぇ観覧車だな・・・」

滝壺「高いよ、はまづら」

浜面「あぁ、高いな・・・」

滝壺「景色が綺麗だね、はまづら」

浜面「お前のほうがもっと綺麗だよ」

滝壺「//」

垣根「・・・なんだこのベタなやり取り」



475 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:04:32.23 ID:ZHy9mZBQ0
麦野「・・・で、とりあえず先に観覧車に乗って待ち伏せと」

垣根「気づかれたならさ・・・仕方ない、遠くから見守ろうぜ」

絹旗「ゴーグルは怒らないですか?」

垣根「俺の名前が出てたら怒るわけないって」

絹旗「・・・私だったら、むしろ怒りに狂いますけど」

垣根「そうか?まぁどうでも・・・!観覧車、今乗り込んだみたいだ!」

麦野「本当?」

垣根「あぁ」

無線機から聞こえる、二人の会話に耳を傾ける


ゴーグル「・・・観覧車に乗りたいってのも垣根さん達の案でしたね」

フレンダ「・・・うん」

ゴーグル「・・・ロマンチックなデートなんていらなかったんすけどね」

フレンダ「・・・どうして?」

ゴーグル「俺達にロマンチックなんて必要ないっす、もったいないだけですから」

フレンダ「・・・」

ゴーグル「それに・・・」



476 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:05:31.22 ID:ZHy9mZBQ0
フレンダ「それに・・・何?」

ゴーグル「・・・フレンダさんが俺のために考えてくれたデートコースのほうがよかったっす」

観覧車の外に見える夕陽を、目を細めながら見つめる

沈んでいくそれは、どこか儚い色を放っている

フレンダ「・・・ゴーグル」

ゴーグル「・・・他人に頼ったり、何かに縋り付いたりしないで・・・俺のために頭使って・・・考えてくれたほうがよかったっすよ」

フレンダ「・・・ごめん」

ゴーグル「・・・いいですよ、そこまで真剣に謝らなくて」

フレンダ「謝らなきゃいけないもん」

ゴーグル「・・・」

フレンダ「だって私は真剣・・・!?」

突然、フレンダの腕が握られる

ゴーグル男が外を指差しながら笑っていた

ゴーグル「そうやって俯いてたら、景色見えないっすよ」


垣根「・・・」

そっと、垣根が無線機の電源を切る

麦野「ちょ、ちょっと・・・」



477 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:06:12.40 ID:ZHy9mZBQ0
垣根「・・・ゴーグル馬鹿の野郎、分かってんじゃねぇか」

麦野「はぁ?私達が連絡取ってたってのはフレンダが自分から言ったことじゃない」

垣根「お前は馬鹿だな」

麦野「・・・あぁ?」

垣根「そういうことじゃないさ・・・もっと、人間的なことだよ」

絹旗「どういうことですか?超分かりません・・・」

垣根「ガキは知らなくていいんだよ」

絹旗「ガ、ガキじゃないです!」


フレンダ「・・・ゴーグル」

ゴーグル「はい」

フレンダ「私、やっぱりアンタのことが大好きみたい」

ゴーグル「・・・それは指示、もらってないですよね」

フレンダ「うん、だから私からの素直な気持ち」

ゴーグル「・・・そうっすか」

ゆっくりと動くゴンドラが、ちょうど頂上付近に近づいた




478 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:06:46.42 ID:ZHy9mZBQ0
ゴーグル「・・・フレンダさん、目・・・閉じて下さい」

フレンダ「え・・・?」

ゴーグル「いいから」

フレンダ「う、うん」

ゴーグル男の言葉通りに、フレンダが瞳を閉じる

ドキドキと高鳴っているのはどちらの鼓動なのか

ゴーグル「ちょっと失礼します」

フレンダ「!」

暖かい感触が唇に触れていた

思わず目を開けてしまう

かなり近い距離・・・それこそゼロに近い距離に、ゴーグル男の目があった

フレンダの頭に手を回して、優しくキスをしていたのだ

フレンダ「・・・は、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????」

ゴーグル「・・・まぁ、アメリカとかじゃ普通に挨拶でキス、するみたいっすね」

少しだけ顔を赤くしながら、ゴーグル男が頭を掻く



479 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:08:58.64 ID:ZHy9mZBQ0
フレンダ「・・・ファーストキスだった訳よ」

ゴーグル「え・・・そうなんすか、マジで!?」

何かタイヘンなことをやらかしてしまった、とゴーグル男が頭を抱える

フレンダ「ファーストキスだったらもっとロマンチックにしてほしかった!」

腕を振り回しながら、フレンダが文句を並べる

フレンダ「だ、大体なんで今の流れでキス・・・」

ゴーグル「あぁ、それはご褒美っす、こんな楽しい時間をくれたことに」

フレンダ「だ、だって今日は垣根達の・・・」

ゴーグル「今日だけじゃないっすよ」

フレンダ「・・・」

ゴーグル「いつも楽しい時間をありがとう、ってことで」

フレンダ「ゴーグル・・・」

ゴーグル「・・・それに、まだあなたに恋愛感情はないですけど・・・ファーストキスの相手が今の、い・ま・の・フレンダさんなら、悪くはないですから」

フレンダ「・・・なんで今を強調した訳よ」

ゴーグル「普段はこんなことしないってことっす」

ケラケラと笑いながらゴーグル男が外を指差す

夕日が沈む瞬間は、とても切なく美しい

ゴーグル「・・・また、ここに来れたらいいっすね」

フレンダ「うん、また今度・・・今度は、私が私で選んだコースで!!」




480 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:15:11.94 ID:ZHy9mZBQ0

垣根「あぁぁぁ!!お前ら何度乗るつもりだよ!?とっくにフレンダとゴーグル馬鹿帰りやがったぞ!!」

観覧車の中、垣根が大声で浜面と滝壺に訊ねる

滝壺「あと3分」

垣根「眠たいときの言い訳じゃねぇか!!大体それ23回目だ!!!」

滝壺「22回目だよ、かきね」

垣根「変わらねぇ!!全然変わらねぇからな!!」

絹旗「はぁ・・・何が悲しくてこのメンバーで観覧車に乗らなきゃいけないんですか」

フレメア「にゃあ、浜面、あそこは学校?」

浜面「あぁ、あれは多分・・・霧ヶ丘かな?」

滝壺「・・・はまづらの膝の上に乗らないで」

フレメア「なんで?」

滝壺(この女狐、いつか狩ってやる)

麦野「・・・絹旗は海原と来ればいいじゃない」

絹旗「いつか、超来てみたいです・・・」

麦野「いいわよね、私にはだーれもいないから・・・」

そう言いながら、麦野が垣根を睨む

垣根「なんだよ、カップルごっこならしてやらねぇぞ」

麦野「・・・アンタも、結局は彼女いるもんね・・・」


481 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:19:31.17 ID:ZHy9mZBQ0
垣根「うるせぇな・・・俺は観覧車より景色のいい所知ってるんだよ」

麦野「あら、どこよ?」

垣根「俺と心理定規しか知らない場所だ」

麦野「はぁ・・・?」

浜面「お、見ろよ!!あそこの街、街灯がつき始めた!!」

フレメア「お星様みたい」

滝壺「・・・はまづら、はまづらはロリコンなんだね」

浜面「な、なんでそうなったんだよ!?俺は滝壺だけが大好きなんだけどぉ!?」

絹旗「はぁ・・・海原さん、何してるんでしょうか・・・」

垣根「・・・なぁ、麦野」

麦野「何よ」

垣根「・・・もしお前がいい男見つけたら、相談くらいは乗ってやるよ」

麦野「・・・なんで」

垣根「いや、なんでもねぇけどさ・・・」

垣根がはしゃいでいる4人を見つめる

垣根「・・・お前、ちょっと哀れだから」

麦野「表に出なさいよ」

垣根「死ぬからな、ここじゃ」



482 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:28:34.03 ID:ZHy9mZBQ0
>>450

一方通行はロリコンである

それは、太陽が東から昇って西に沈むのと同じだ

そして、彼にとってロリとは正義である

正義を貫くのは当たり前

だから


フレメア「にゃあ、道に迷っちゃった」

目の前にいるこの小さな女の子に手を差し伸べるのも当たり前なのだ

しかも、この子は知り合いである

理由は省くが、知っている相手なのだ

一方「・・・おい、クソガキ」

一方通行は、ロリと接するときにあえて汚い言葉を使うようにしている

そうすれば、優しい行動を取ったときとのギャップが生まれる

最近流行っている、「ヤンキーが更生してスポーツで成功するドラマ」みたいなものだ

悪かった人間が優しくなると、元から優しかった人間の何倍も素晴らしく感じられる・・・らしい

実際、一方通行はそんなドラマを見下している

ヤンキーがスポーツで成功するわけが無い、と知っているからだ

だがしかし、こういうやり方は子供にはよく効くのだ



483 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:36:16.07 ID:ZHy9mZBQ0
フレメア「あ、たしか・・・」

一方「・・・一方通行だ」

フレメア「一方通行・・・?そんな名前だった、にゃあ」

一方「・・・」

一方(にゃあ・・・だと?)

一方通行が知る限り、にゃあというのは猫の鳴き声だ

そして、最近は動物の格好をした女の子が人気らしい

それも一方通行には理解できない、いや・・・出来なかった

だがどうだろう、ロリがにゃあと言うのはあまりにも破壊力が高い

道端で可愛い猫を見つけて、「あー、猫さんだー!!」と言って駆け寄ったところ、その猫が嬉しそうにロリに向かって「にゃあ」と鳴いたのだろう

それを真似して、そのロリはずっと「にゃあにゃあ」と鳴き真似をする

いつしかそれが口癖にさえなってしまった

そんな設定だったら素晴らしいのに、それがいい、そうしよう

フレメア「あのね、道に迷っちゃったの」

一方「あァ?お前、どこ行くつもりだったンだよ」

フレメア「浜面のところ、今日はお姉ちゃんと遊ぶんだ」

一方「あァそォかい・・・でも俺はアイテムの家なンて知らねェからなァ」

一方(お姉ちゃン、かァ・・・姉とか言うンじゃなくて、お姉ちゃンだぜ、保護欲を掻き立てられる・・・あァ、ロリはたまらねェ・・・)

フレメア「一方通行、なんだか顔が笑ってる」



484 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:41:35.30 ID:ZHy9mZBQ0
一方「大体よ、なンでお前に迎えがいないンだよ」

フレメア「ううん、一人で行けるって言っちゃったの・・・」

一方「・・・ガキが無理するからなンだよ」

一方(聞いたかよ!?一人で行けるの、だって!!!ロリが自立しようとして無理矢理背伸びをするけど、やっぱり大人にはなれねェって分かった時の少し寂しそうな表情はたまンねェよなァ!!)

フレメア「どうしよう・・・携帯はあるけど、電池が切れてるし・・・」

一方「・・・お前、ホント計画性ねェのな」

フレメア「にゃあ・・・」ショボン

一方(うつむいた!!帽子被ってるからつむじが見えねェ!!なンか残念だけどこれはこれで可愛いなァおい!!)

一方「・・・待ち合わせは何時なンだよ」

フレメア「・・・11時」

一方「はァ?お前、今もォ12時だぞ」

フレメア「・・・お、遅れちゃった・・・」

一方「・・・仕方ねェな」

一方通行が携帯を取り出す

浜面の電話番号だけは知っているため、そこに連絡をする

浜面『ア、一方通行か!?今ちょっと取り込んでるんだ、後で・・・』

一方「フレメアなら俺の目の前にいるけどよォ」

浜面『お・・・お前、とうとう攫ったのかよ!?』

一方「迷子だったところに偶然鉢合わせしただけだ、黙れ」



485 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 18:50:24.91 ID:ZHy9mZBQ0
浜面『そ、それで・・・今どこなんだよ?』

一方「俺の家のすぐ近くだ・・・ったくよォ、クソガキ共に買い物頼まれたと思ったらもォ一人クソガキ見つけちまった」

フレメア「・・・クソガキって言わないで」ウルウル

一方「フレメアを見つけちまった」

浜面『・・・フレメアに替われるか?』

一方「あァ」

一方通行がフレメアに携帯を渡す

一方(俺の携帯がロリに触れられる・・・)

フレメア「あ、浜面?」

一方(俺の携帯にロリの吐息が掛かる!!!)

浜面『あぁ、フレメアか・・・安心した、迷子になって攫われたかと思ったよ』

フレメア「ごめんね・・・やっぱり、一人じゃ・・・」

浜面『いいっていいって・・・今日は、もうお開きかもしれないな』

フレメア「そ、そんな・・・」

浜面『明日、明日でいいだろ?』

フレメア「!!うん、絶対にね!!」

浜面『今日は・・・ちょっと不安だけど、一方通行に送ってもらえばいい』

フレメア「うん、それじゃ!!」

フレメアが携帯を一方通行に返す

浜面『なぁ・・・悪いんだけど、フレメアを家まで連れていってもらえるか?』



486 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 19:04:55.77 ID:ZHy9mZBQ0
一方「ちっ・・・仕方ねェな、めンどくせェがやってやるよ」

一方(俺にも神が微笑ンだ!!!)

浜面『じゃ、頼むな』

一方「あァ」

通話を切ってから、一方通行がフレメアの顔を見つめる

一方(洋物ロリもたまンねェ・・・)

フレメア「にゃあ・・・それじゃ、連れて行ってもらえる?」

一方「感謝しろよ」

あえて不機嫌そうに振舞ってから、一方通行がフレメアに住所を尋ねる

どうやら、ホテルに住んでいるようだ

一方「・・・お前、ホテル住まいかよ」

フレメア「にゃあ、アイテムのみんなが用意してくれた」

一方「あァそォかい」

一方(・・・ってことは、アイテムのヤツらはフレメアちゃンの居場所は知ってるのか・・・)

フレメア「・・・浜面は、たまに遊びに来てくれるの」

一方「あァ!?」

フレメア「にゃぁっ!?」

一方「・・・ちっ、野郎が同士だったとはなァ・・・」


487 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 20:43:04.69 ID:ZHy9mZBQ0
一方「・・・で、これから帰るンだろ」

フレメア「うん、ここから近いから大丈夫」

一方(・・・てことは何か、ロリといられる時間は少なくなンのか・・・)

一方「なァ、そこにクレープ屋があンだけどよ」

フレメア「?」

一方「食うか」

フレメア「いいの!?」

一方「あァ、別にクレープの一個や二個なンざ安いモンだしな」

フレメア「一方通行大好き!!」

一方「!?」

一方(あァ・・・たまンねェ・・・やべェ、俺の下半身のベクトルが・・・)


番外「何やってるの」

一方「」

フレメア「あれ?誰・・・だっけ?」

番外「やっほう、ミサカは番外個体っていうんだけどまぁそれは今はどうでもいいよね」

一方「お、お前・・・なンでここにいるンだよ!?」

番外「なんでって、ここミサカ達のマンションのまん前だよ」

一方「あァ・・・そォだったな」

番外「でさ・・・ミサカ達の頼んだ買い物は無視して小さな女の子と話してたんだ」



488 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 20:53:22.30 ID:ZHy9mZBQ0
一方「いや、これは・・・」

フレメア「一方通行がクレープ買ってくれるの!」

一方「あ、あァ・・・」

番外「へぇ、そう・・・へぇ」

一方「・・・お、お前も食うか?」

番外「いいよ、ミサカは買い物しないといけないから、上位個体がうるさくてさ、さっさとゲコ太のストラップが欲しいって」

一方「じ・・・自分で買いに行けばよかったじゃねェか、俺は・・・」

番外「だから今から行くんだってば、大忙しな第一位様の代わりに」

不機嫌そうに呟いてから、番外個体が踵を返す

アオザイを着ているのを見るのは久しぶりだ

一方「・・・なンだよ、何不機嫌になってやがる」

番外「べーつーにー」

手を振りながら、番外個体が駆けていく

一方「・・・なァ、クレープ代やるから自分で買って来てくれねェか?」

フレメア「にゃあ、いいけど・・・」

一方「・・・あとあれだ、ちょっとクレープ食いながら待ってろ」

フレメア「?」





489 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 21:03:25.79 ID:ZHy9mZBQ0

番外(・・・あぁもう!!なんだこりゃ、めちゃくちゃムカつく!!)

足元の石を蹴りながら、番外個体が近くのコンビニへと向かう

ゲコ太フェアなるものをやっている、大手のコンビニだ

最近はアニメ会社とコンビニエンスストアなどが協力してキャンペーンをやることが多い

そのせいで、何人ものアニメファンが泣いているとも聞く

ともあれ、番外個体が今欲しているのはクジやら抽選やらで当たる賞品ではなく、金を出せば普通に店頭で買えるものだ

番外(・・・一方通行のロリコン、ありゃないぜ・・・)

いらつきを隠せないのか、もう一度石を蹴り上げる

高く上がった石は少し先の道路に落ちる

ちなみに、1時間後にはそれをある不幸な少年が踏んづけて足を捻るのだが

番外(・・・ヤキモチかぁ、ミサカもそういう感情抱くもんなんだね)

ネットワーク上からの影響ではなく、自分の中から生まれた感情

番外(うっぜぇうっぜぇ!!なんだよ、ミサカのことは放っておいて・・・)

一方「おい」

番外「あ、あれ?あのチビはどしたの?」

一方「・・・待たせてンだよ、あいつ一人で家まで帰らねェといけねェみたいでよ、浜面のくそ野郎から送ってやれって言われたンだ」

番外「な、なんだ・・・そうだったの」


490 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 21:11:27.30 ID:ZHy9mZBQ0
一方「・・・だから急ぐぞ、ロリを待たせるのは気が引ける」

番外「そういうアナタにミサカは引いてるよ」

一方「あァ?俺がロリ好きなの、お前は知ってンだろ」

番外「知ってるよ、そして気味悪いと思ってる」

一方「・・・理解が足りねェな」

番外「当たり前じゃん、理解したくないし」

一方「・・・お前も、年齢的にはロリなンだぜ」

番外「だっからー?」

一方「・・・なンでもねェ」

はァ、と溜め息をつきながら一方通行が歩く

そういえば、いつもこうやって誰かに邪魔をされる気がする

それは不幸なのか、それとも犯罪に手を染めなくて済むから幸福なのか

一方「なァ、番外個体」

番外「なに?」

一方「フレメアを送れば、フレメアの笑顔が見れるしよォ・・・ゲコ太のストラップ買えば打ち止めの笑顔が見れる、今日は最高な一日だな」

番外「・・ミサカは?」

一方「あァ?俺がいるだけでいいンだろ」

番外「・・・まぁね」

コンビニに行く道を、二つの影が歩いていく

女性のほうの影は、嬉しそうに笑っていた




491 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 21:22:33.67 ID:ZHy9mZBQ0
リク終ったので、テっくん単発


テクパトル「・・・アレイスター、お前何してるんだ」

アレイ「何って、私の書いた論文を読んでいるのだよ」

テクパトル「論文?なんだよそれ、学会のか?」

アレイ「いや・・・そうだな、著書と言えばわかるかね」

テクパトル「ま、まさか法の書か!?」

アレイ「君も読んでみるか、昔の私の落書きのようなものだ」

テクパトル「落書きってな・・・ベルリンの壁の落書きの、何億倍も価値があるぞ、それ」

アレイ「価値などただの付加要素に過ぎない、私がこれを読むのは、知識を得るためであり自分のかつての行いに、悦に浸るためではないのだよ」

テクパトル「知識って・・・それ、お前が記したんだから今更読まなくても・・・」

アレイ「知識というのは常に昇華されるものだ、火を知った人間は松明を生み出し、松明につけるための油を今度はライターへと変貌させた・・・それこそが人の知識の骨頂だよ」

テクパトル「・・・それで、その法の書を読んだお前は、何の知識を得たんだ?」

アレイ「すでに私の知識は完成している、という知識だよ・・・知の知、とでも言っておくか」

テクパトル「なんだよそりゃ・・・」

アレイ「・・・君も魔術師の端くれだ、法の書の内容くらい知っているのだろう」

テクパトル「・・・エイワスなる存在から啓示を受けたアレイスター・クロウリーが記した聖典・・・十字教の考えさえ否定していたせいで、相当な弾圧を受ける原因にもなった」

アレイ「ふふ・・・人というのは真実を知ることを恐れる、イギリス清教もまた然りなのだよ」



492 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 21:33:37.65 ID:ZHy9mZBQ0
テクパトル「・・・大体、法の書って原典並のものだろ?そう簡単に・・・」

アレイ「何を言う、原典程度のものを読んだくらいで、私がどうにかなるとでも?」

くつくつ、とアレイスターが笑う

今まで接してきたときも何度か感じたが、やはり目の前の存在は「最悪の魔術師」なのだ

テクパトル「・・・お、お前・・・一体どれほどの魔力を備えている」

アレイ「さぁね、私自身にも分からない、それに興味が無いさ」

ページを捲りながら、アレイスターが目をテクパトルに向ける

しかし、その間もページは捲られていく

テクパトル「・・・魔力は生命力を精製して生まれるものだ、お前の生命力が尽きるまで、魔力も生まれるということだ」

アレイ「つまり、どれほど魔力を備えているのか、という問いは君はいつまで生きるのか、と訊ねるのと同じだ・・・いや、それよりもさらに難しい」

テクパトル「・・・ちゃんと読んでるのか?こっち見ながらページ捲るなんて・・・」

アレイ「君は何も分かっていないな、この中にある文章などとうに頭の中に入っている・・・だが、それを反復しているとき、無闇やたらに声を掛けられたら困る、よって私はこうやって形だけは本を読んでいるようにしているのだよ」

テクパトル「・・・別にそれは見せ掛けだけで、実際には頭の中の記録を呼び起こしているのか・・・」

アレイ「・・・遠回りに、読書の邪魔をするなと言ったのだが」

テクパトル「・・・そんなもの読み返して、今更どうするつもりだ」

アレイ「それは君には言えないな」

テクパトル「・・・何か起こすつもりじゃねぇだろうな」

アレイ「あいにく、私は今の平穏な日々も嫌いではなくてね」



493 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 21:40:26.63 ID:ZHy9mZBQ0
テクパトル「・・・ちなみに、お前の魔法名は」

アレイ「様々だな、我耐え忍ばん、我、真理の力もて生きながらに宇宙を征服せり・・・大いなる獣」

テクパトル「・・・そんなにも、あるのかよ・・・」

アレイ「・・・そもそも魔法名は殺しをするときのためのものだ、私はわざわざ殺しなどしない」

テクパトル「・・・お前」


19090「あー!!アレイちゃん、そのイスはミサカのものです!!」

御坂妹「もっと言えば、ミサカのものと二つを並べて座るのはやめてください!!」

10039「しかも、ミサカのイスは本を置く場所じゃありません!!」

アレイ「・・・ど、読書中・・・」

20000「うるせぇ!!部屋がないからってキッチンで読みやがって!!」

17600「何が最悪の魔術師だ、そういう厨二発言はよそでやりな」

アレイ「いや、本当・・・」

14510「はいはい、アレイちゃん、今からキッチンの掃除なのでのいてくださいね」

アレイ「」

テクパトル(・・・妹達って、すげぇよな)

19090「テっくんも、のいてくださいね」

テクパトル「あ、あぁ」



494 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 21:49:02.82 ID:ZHy9mZBQ0

アレイ「・・・どうして私の周りには面倒なことが多いのだろうか」

テクパトル「・・・お前が面倒を呼んでるんじゃないのか」

アレイ「・・・そうかもしれないな」

パン、と本を閉じたアレイスターが冷蔵庫の元へと向かう

音声案内が付いている、例のあれだ

アレイ「・・・垣根帝督も、中々面白いことをしてくれたな」

テクパトル「仕返しはやめろよ」

アレイ「なに、そんなことはしないさ」

冷蔵庫の中からビールの缶を二つ取り出す

アレイ「・・・約束を覚えているかね」

テクパトル「あぁ、もちろん」

アレイ「君の分だ」

ぽん、とビールの缶を放るアレイスター

それを片手で受け取りながら苦笑するテクパトル

何か、友情にも似たものがそこにはあった

アレイ「では」

テクパトル「あぁ」


テクパトル・アレイ「乾杯!」



495 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/19(月) 21:53:02.38 ID:ZHy9mZBQ0
今日はここまで

リク、まだまだどうぞ

筋肉動画はメルビンさん、踊ります

http://www.youtube.com/watch?v=68ZiSQK416E  

普通の人と比べると、腕が信じられないほどの太さですね

当たり前ですが

後ろにはフィルがいます、仲良しっぽいですねw

ではおやすみなさい



496 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:22:00.49 ID:fty7dSET0
乙です!!
上条くん10万拾う
497 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:28:11.61 ID:QSHfrNmco

アレイスターの初めてのオツカイ
498 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:28:34.12 ID:ZWyZi886o
アレイスターvsエイワスとか
美琴一文無しとか
499 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/19(月) 22:43:43.45 ID:c8D+BtNMo
つまり美琴が落とした10万円を当麻が拾うということか
500 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 00:44:03.26 ID:oLgrAU7Co
乙なんだよ!
501 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 01:46:28.17 ID:na8VK5KSO
黒子のヤキモチ
502 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 03:05:03.28 ID:p0wHP5ffo
                           ,,,,,,_
                     ,,,,,iiiilllllllllllllliii,,,,
          ,,,,,_   .,,,,,,,,,,iiiiiiillllllllllllllllllllllllllllllllllll丶
          ゙llllllllliiillllllllllllllllllllllll!!!!llllllllllllllllllllllll!!゙
           ゙!llllllllllllllllllll!!!゙゙゙° ,,illllllllllllllllllll!゙゜
              ゙!lllllll!!l゙゙’   .,,illlllllllllllllll!!゙゜
             ^     .,,illllllllllllllll!!゙゜
                  ,,illlllllllllllll!゙°
                 ,,illlllllllllll!l゙゜
                  ,,illllllllllll!l゙゜
                 ,,illllllllll!!゙゜.
                ,,illllllllll!゙゜            liiii,,
             ,,illllllll!゙゜                'llllllli,,
            ,,illllllll!゙                  lllllllllli,,
           ,illlllllll゙                  ,lllllllllllllii,
           llllllllllli,_             ,,,,illlllllllllllllllli,
           !llllllllllllllliiiiiiiiiiiii,,,,,,,,,,,,,,,iiiiiiiiiiiiiillllllllllllllllllllllllllllll
            ゙゙!!llllllllllllllllllllllllllll(´・ω・`)lllllllllllllllllllllllllllllllllllll
              ゙゙゙゙!!!!!!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!!!!!!!l゙゙゙゜
                    ̄”””””” ̄ ̄


黒子と20000号の変態談義
503 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 03:40:03.62 ID:eLYVIen+o
一方通行、黒子、ショチトル、あわきんによる徹底討論

「一番は兄(ショチトル)かショタ(あわきん)か姉(黒子)かロリ(一方通行)か」

進行役は賢者青髪ピアス
504 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 03:53:14.18 ID:xRKvh7GAO
まだやってたのね
505 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:42:17.83 ID:4CVTA5NF0
リクは筋トレのあとで

ちょっとした短編


垣根「・・・知ってるか、世間は花粉が舞う季節だ」

心理「・・・そ、そうね」

垣根「3月も末、そんな時期に外に出掛けたらそりゃ花粉を浴びる」

心理「わ、分かってるわよ」

垣根「俺は未元物質で防げばいいから問題ない」

心理「・・・分かってる・・・くしゅっ!」

垣根「・・・お前、なんで花粉対策しなかったんだよ」

心理「うぅ・・・」

心理定規の花粉症編

垣根「とにかく、お前はしばらく外に出るな」

心理「出たくないわよ・・・目がかゆい・・・」

垣根「掻くな、目薬あるけど」

心理「貸してもらえる?」

垣根「あぁ・・・にしても、大丈夫か?目、真っ赤だけどよ」

心理「う・・・私、結構そういうのに弱いのよ・・・」

垣根「紫外線にも弱いからな・・・でも対策を怠ったのはお前だからな」

心理「わ、分かってるわよ・・・」

目薬を点しながら、心理定規が顔をしかめる



506 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:42:46.51 ID:4CVTA5NF0
上を向くと鼻水が詰まりそうになる

心理「はぁ・・・今の姿、みんなには見られたくないわね」

垣根「鼻水ズルズルなお前とか面白いな、風邪の時にもここまではならない」

心理「うるさいわよ・・・馬鹿にしないで」

垣根「馬鹿になんかしてねぇって、可愛いもんだよな」

心理「今の私を見て可愛いって言うのはあなたくらいよ・・・」

垣根「そうか?世の中にはマニアックなヤツもいるんだよ」

心理「・・・私が苦しんでるのを喜ぶなんて最低よ」

垣根「まぁまぁ、いいじゃねぇか」

心理「よくな・・・はっくしゅん!」

垣根「ティッシュ足りるか?」

心理「分からない・・・ねぇ、ティッシュが無くなったらどうすればいいのよ」

垣根「知るかよ・・・」

心理「・・・もうイヤ・・・」

心理定規がソファーに横になる

横になれば楽になれるような気がしたのだ

だがしかし、決してそんなことはない

下になっているほうの鼻が詰まるのだ



507 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:43:19.85 ID:4CVTA5NF0
それがいやで寝返りを打っても、すぐもう片方が詰まり出す

なんて適当な構造なのか、と思いながらもどうすることもできない

垣根「ちなみに、鼻詰まりって鼻から外に出ようとしてる鼻水が詰まるんじゃなくて、喉に行こうとしてる鼻水が鼻の奥の炎症に引っ掛かったせいで起きるんだぜ」

心理「知ってるわよ・・・」

垣根「・・・なんだよ、不機嫌になるなって」

心理「不機嫌にもなるわよ・・・なんで私だけ・・・」

垣根「対策しなかったのは誰だよ」

心理「・・・あぁ、目がかゆいわ・・・」

垣根「・・・どうすることも出来ないな」

心理「ねぇ・・・ここは学園都市よ、花粉症をすぐさま治してしまう薬があっても・・・」

垣根「冗談言ってる余裕があるなら大丈夫だな」

心理「はっくしゅん!くしゅっ!」

垣根「・・・」

心理「ぐす・・・は、鼻水ってなんで無くならないのよ・・・」

垣根(あれ、可愛い)

心理「・・・何よ、何笑ってるの・・・ひっく!」

垣根「いや、しゃっくりかよ」

心理「もういや!寝るわよ!」



508 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:43:47.73 ID:4CVTA5NF0
垣根「おい、寝るったってまだ昼だぞ」

心理「寝るったら寝る!こんなのクールじゃないわ!」

垣根「別にクールである必要はないんだけどな」

心理「最近、あなたより私のほうがボケ・・・くしゅん!」

垣根「あぁ、そりゃ仕方ないな」

心理「仕方なくないわ・・・ぐす、くしゅっ!」

垣根「話してたらキツイんじゃないか?」

心理「なんでこ・・・はくしゅっ!」

垣根「パチパチパチ」

心理「拍手じゃな・・・ひっく!」

垣根「なぁ、マジで寝たほうがいいぞ」

心理「分かってるわよ・・・」

顔を真っ赤にしながら、心理定規が寝室へ向かう

残された垣根は、しばし考え事をしていた

ああいう心理定規は非常に珍しい

中々お目にかかれるものではなかった

だから、治ってしまうのは少し残念でもある

垣根(・・・第一、対策怠ったあいつが悪いんだよな)



509 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:44:14.57 ID:4CVTA5NF0
心理定規が散らかしたティッシュを片付けながら、垣根が肩を竦める

2階からも、心理定規のくしゃみは聞こえていた

垣根(・・・辛そうだったな、少しからかい過ぎた)

垣根(・・・はぁ、こんなの俺の柄じゃねぇ)

頬を掻いてから、垣根が玄関へ向かう

垣根「心理定規、ちょっと出掛けてくる」

返事の代わりに、大きなくしゃみが聞こえた

苦笑しながら、ドアを開ける

垣根「・・・花粉症に効く薬くらい、すぐ見つかるだろ」

未元物質で花粉を防ぎながら、垣根は歩いていく


一方、残された心理定規はくしゃみに鼻水、涙との戦いだった

心理(何よ・・・私がこんなに苦しんでるのに、自分は出掛けるなんて・・・)

布団の中で、できる限りくしゃみをこらえるようにしている

しかしどうしても堪えられないものだ

心理(・・・垣根の馬鹿)

出来れば傍にいてほしかった

それを素直に言えないのは、心理定規が悪いのだろうか

心理「はぁ・・・私も案外、不器用なままね」

目を閉じると、少し眠気が襲ってくる

何度かくしゃみに睡眠を妨害されたが、すぐさま眠りに着くことが出来た



510 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:45:05.80 ID:4CVTA5NF0

垣根「・・・で、花粉症に苦しんでる子がいるんだ」

冥土「つまり、君の恋人だね?」

垣根は冥土返しの元を訪ねていた

彼なら花粉症の薬も持っているだろう

一瞬にして細胞を活性化させ、回復を促進する薬さえ作っていたのだから

垣根「あぁ、出来ればすぐに欲しいんだ」

冥土「構わないが・・・少し時間が掛かるよ」

垣根「時間?なんでだよ、そんなもんすぐに・・・」

冥土「僕だって世界中の薬を常に持っているわけではないんだ、それに花粉症は君も知っているようにウィルスによるものではなく、自らの免疫によって起きるものだ」

垣根「あぁ・・・」

冥土「ウィルスなんて殺すだけでいい、だが免疫に対する薬品は少し時間が掛かるのだよ」

垣根「時間・・・どれくらいだよ」

冥土「明日には完成させるね、今日は引き取ってもらわなければならないが」

垣根「・・・明日だな、頼んだ」

それだけ伝えて、垣根がすぐさま病院を去る

冥土「全く・・・彼等が引っ越した途端に患者が多くなったね、手伝いが欲しいよ・・・」


心理「待って・・・垣根・・・」

心理定規は、夢にうなされていた

垣根がいなくなる夢

あの、この世のものとは思えない美しい翼を広げて、どこか遠くへ行ってしまう夢

そんな夢を見てしまっていた

心理「垣根!」



511 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:45:36.72 ID:4CVTA5NF0
垣根「んだよ、うるせぇな」

心理「・・・ゆ、夢・・・?」

垣根「ずいぶんうなされてたぜ、お前」

心理「そう・・・帰ってきてたのね」

垣根「目当てのもんは明日に出来るみたいでさ、だからそれまで辛抱してくれ」

心理「・・・?なにのこと?」

垣根「あれ、お前の花粉症の薬・・・言ってなかったっけ」

心理「ま、まさかわざわざ病院に・・・」

垣根「あぁ、あんまり辛そうだったからさ」

心理「そう・・・ありがとう、ごめんなさいね」

垣根「いいってことよ・・・で、どうだ?」

心理「最悪よ・・・嫌な夢まで見たんだから」

垣根「どんな夢だったんだよ、俺の名前連呼してたぜ」

心理「・・・あなたがいなくなる夢」

垣根「うっわ・・・なんかフラグが建ったぜ」

心理「・・・ねぇ、いなくなったりしないわよね?」

垣根「あのな、夢が何でもかんでも現実になって堪るかよ」

心理「そうよね・・・」

垣根「大体、ずっと一緒だって約束したじゃねぇか」

指輪を指差しながら、垣根が答える

心理「・・・えぇ」

垣根「だから安心しな」

心理「・・・ありがとう・・・はっくしゅん!」

垣根「・・・まだ調子は良くならない、か」



512 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:46:35.27 ID:4CVTA5NF0
心理「・・・そうだ、夜ご飯・・・」

垣根「俺が作るから気にするな」

心理「でも・・・」

垣根「今のお前が作っても鼻水とよだれの味付けになるだろ」

心理「・・・ちょっと、下品なこと言わないで」

垣根「事実なんだから仕方ないだろ」

心理「・・・そうね、ならハンバーグが食べたい」

垣根「はぁ?ハンバーグ?」

心理「風邪じゃないんだから、別に食欲は普通にあるわよ」

垣根「あぁそうなのね・・・」

呆れたようにため息をつきながら、垣根が一階に向かおうとする

心理「ねぇ、垣根」

垣根「なんだよ、何か欲しいのか?」

心理「・・・どこにも・・・行かないでね?」

垣根「花粉症の時ってのは不安になりがちなもんなのか?めんどくさい症状だな」

心理「・・・冗談で言ってるんじゃないのよ」

垣根「どこにも行かないって、俺は」

心理「・・・本当?」

垣根「俺は今まで、嘘をついたことがないんだよ」




513 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:47:11.53 ID:4CVTA5NF0

心理「嘘じゃないの」

垣根「・・・今、初めて嘘をついたんだよ」

心理「ふふ・・・そうね、そういうことにしておくわ」

垣根「・・・じゃ、出来たら呼ぶからな」

心理「えぇ」


垣根「出来たぞ、心理定規」

しばらくしてから、寝室に垣根がやって来た

心理「ありがとう・・・早かったわね」

垣根「あんまりゆっくりしたら悪いからな」

心理「・・・優しいのね」

垣根「お前にはな、早く食べよう」

心理「えぇ」

食卓に並べられた食器の上には、丁寧にハンバーグが盛られていた

心理「あなたって本当に料理上手ね」

垣根「そうか?普通だろ」

心理「男性にしたら十分よ、いただきます」

手を合わせてから心理定規がハンバーグを口に放り込む

ゆっくりしていたら、何度もくしゃみをしてしまいそうだ

心理「あら・・・ずいぶん薄い味付けなのね」

垣根「どうせ鼻が詰まってたら、味付けなんて分からないだろ?」




514 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:48:07.06 ID:4CVTA5NF0
心理「そうだけど・・・あなたは濃いのがいいんじゃないの?」

垣根「そうだけどさ、お前に合わせなきゃ」

心理「・・・優しいわね」

垣根「そうかい」

満足そうに笑ってから、垣根がハンバーグを食べ始める

素敵な食事はすぐに終わってしまう

もちろん、それは当たり前なのだが

垣根「風呂は」

心理「すぐに入るわ・・・はぁ、明日が待ち遠しい」

垣根「ははは、鼻声になってるな」

心理「もういや・・・」

垣根「冥土返しならすぐに薬も作れるって、気にするなよ」

心理「・・・ねぇ、垣根」

垣根「なんだよ」

心理「あなた・・・前もそうやって、私のために薬を調達してくれたことがあったわね」

垣根「まぁな、お前が傷ついてたら困るんだ」

手をヒラヒラと振りながら垣根が風呂に向かう

心理「・・・ありがとう、垣根」

垣根「どういたしまして」

花粉症になったのは辛いが、垣根に優しくしてもらえるなら悪くない

心理定規はそう思いながら笑っていた


翌日

心理「はっくしょい!」

垣根「おう、おはよう」

心理「ぐす・・・くしゅっ!」

垣根「分かってるって、病院は9時から開いてるから、すぐ行こうな」

心理「くしゅん!」

垣根「いいって・・・つぅか、だんだんひどくなってんのな」

心理「よく私が言いたいこと分かったわね・・・ふぇっ!」

垣根「なんだよその中途半端なくしゃみ・・・なんなら派手にやれよ」

心理「いいでしょ・・・」

垣根「はぁ・・・外出る時はこれから花粉対策、しろよな」

心理「痛いほど理解したわよ・・・」



515 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:48:39.59 ID:4CVTA5NF0
垣根「・・・そろそろ出掛ける準備な、あとマスク」

心理「えぇ・・・」

時計を確認してから、心理定規が部屋へと向かう

化粧は、一応花粉を防ぐ効果があるらしい・・・のだが、正直垣根からしたらくだらない女の見栄っ張りでしかない

垣根「まぁ・・・それが女の性なのかな」

感心したように呟いてから、垣根も病院に行く支度を始めた


垣根「・・・お前がマスク付けてグラサンかけてるとシュールだよな」

心理「あら、花粉対策よ」

垣根「・・・それ取ったら暗殺者でした・・・みたいなオチがありそうで怖いな」

心理「暗殺者じゃなくて狙撃手じゃないかしら、あなたの心を撃ち抜いたんだから」

垣根「だとしたらお前のSPはヘッポコしかいなかったんだな、俺に撃ち抜かれたんだから」

心理「・・・なんか、周りの視線が痛いかもと思ってたけど・・・」

辺りには自分と同じような格好をした学生が大勢いる

心理「・・・意外とみんな、花粉症には悩んでるのね」

垣根「だってさ、学園都市とはいっても一応緑はあるんだぜ?」

心理「・・・そうね」

垣根「そのくせ学園都市には花粉なんてない、とか思ってるヤツが多いからな」

心理「建物に花粉除去装置があれば、誰だって油断するわよ」



516 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:49:12.30 ID:4CVTA5NF0
垣根「建物の外は花粉と紫外線のパラダイスだってのにな」

心理「あんまりそういうこと言わないで・・・」

垣根「お前、そういう話には敏感だからな」

呆れたように笑いながら、垣根が先に進む

心理「・・・あなた、一体どんな種類の未元物質で花粉を防いでるのよ?」

垣根「花粉を防ぐってよりは、周りに薄い未元物質の膜を張ってるんだ」

心理「・・・あの翼の小さい感じ?」

垣根「そうそう、それには隙間がねぇから花粉なんて入る余地もないんだよ」

心理「だったらあなたに抱き着けば問題解決かしら?」

垣根「いや、無理だって」

心理「冗談よ・・・くしゅん」

垣根「・・・」

垣根が心理定規をちらっと見る

心理「・・・なによ、顔に何かついてる?」

垣根「マスクとグラサン」

心理「・・・怒るわよ」

垣根「はいはい・・・」

ため息をつきながら、垣根が未元物質の膜を心理定規の周りにも発現させる

心理定規にはそんなこと、分からないが

垣根「・・・花粉症、これからもうならなきゃいいな」


517 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:49:55.63 ID:4CVTA5NF0
心理「えぇ、金輪際御免よ・・・」

鼻を啜りながら歩く心理定規

垣根「・・・どうでもいいけどさ」

心理「なに」

垣根「マスク、裏表反対」

心理「・・・」


冥土「待たせたね、完成してるよ」

冥土返しに顔を合わせた瞬間、そんな一言を告げられた

これだからこの医者はお人よしなんだ、と垣根が眉をひそめる

それを頼んだ彼自身もまた

冥土「それにしても、最近は花粉症で悩む学生が一段と増えたね」

垣根「学園都市のヤツらはそういう自然と触れ合う機会が少ないからな」

冥土「もとは外の住人だったのだがね」

垣根「長い間こんな快適な街で暮らせば忘れるって」

冥土「忘れることもまた、一種の人間の本能かもしれないね」

心理「・・・そんなこと、今はどうでもいいじゃない」

不機嫌そうに心理定規が呟く

診察室に入って、既にティッシュを15枚使ってしまった

恥ずかしくて顔が赤くなる

冥土「・・・そうだね、ここに免疫力を抑える薬がある」

垣根「・・・もしそれを服用してる間に他の抗原が体内に侵入したら」

冥土「問題ないね、花粉に反応している免疫を一時的にストップさせるだけだ」

心理「あら・・・それじゃすぐに花粉症に戻る・・・っくしゅん!」



518 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:50:27.59 ID:4CVTA5NF0
冥土「花粉が体の外から出れば花粉症は治まるのだよ、ただし花粉症の間はずっと花粉を浴びるから長引くんだが」

垣根「つまりあれか、この薬が切れる頃には心理定規の体からは花粉が取り除かれていると」

冥土「正直、あまり出来のいい薬ではないね・・・何しろ免疫なんて破壊するわけにはいかない、かといって残せばまた花粉症になる・・・」

垣根「風邪と同じなんだろ、外敵を潰すのは楽でも中からの対抗力にはどうすることも出来ない」

冥土「風邪に完全に効く薬を開発出来るとしたら、それは人間の免疫が無くなる瞬間だね」

垣根「へぇ」

心理「・・・どうでもいいって言ってるでしょ、早くそれをちょうだいよ」

冥土「あぁ、すまないね」

冥土返しが心理定規に粉末の入った袋を渡す

心理「・・・水、貰えるかしら」

冥土「ここで飲むのかね」

心理「善は急げよ」

垣根「・・・」

冥土「そこに水道がある」

心理「・・・ありがとう」

心理定規が診察室から一度退室する

残されたのは二人だ

垣根「・・・なぁ、冥土返し」

冥土「なんだね」

垣根「・・・負の遺産、って知ってるか」

ぴくりと冥土返しの眉が動く

冥土「どこでそれを聞いたのかね」



519 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 15:50:57.89 ID:4CVTA5NF0
垣根「聞いたも何も、使ったことがあるんだよ」

冥土「誰に」

垣根「心理定規だ・・・尤も、俺が使ったのはそれを応用した塗り薬みたいなもんだったが」

冥土「あれは私の人生の中で最大にして最悪の汚点だよ」

垣根「・・・下手すれば死にかけの人間だって蘇る」

冥土「・・・」

垣根「・・・だがそんな御託はいい、あいつは結果的にそのおかげで傷を癒せた」

くるり、と冥土返しのほうを振り向く

垣根「・・・ありがとよ、アンタに助けられるのは何度目かな」

冥土「構わないよ、それが私の仕事・・・」

バン!と診察室の扉が開かれた

診察室、というより病院の壁は白で統一されている

その中に黒のオーラを纏った心理定規がいた

心理「・・・良薬は口に苦しとはよく言ったものね・・・」

垣根「なんだ、苦かったのか」

心理「苦いなんてものじゃないわ、味覚が二、三日は狂いそうよ」

目が潤んでいるのは花粉症のせいではないだろう

そんな心理定規を見て、二人は声を上げながら笑った

心理「な、なによ!」

垣根「あはは!お前ってホントガキなのな!」

冥土「ふふふ・・・意外だね」

心理「ちょ、ちょっと!?何の話!?」

垣根「またマスク、裏表逆につけてるって!」

心理「!?」

顔を真っ赤にしながら心理定規が叫ぶ


心理「不幸よ!」


 
520 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 18:18:58.52 ID:4CVTA5NF0
>>496>>498をあわせて


AM 11.30

上条「・・・こ、これは・・・?」

上条は、とある公園のベンチに座っていた

補習が終わり・・・早すぎると思うだろうが、今日の一時間だけでやっと補習が終ったのだ・・・公園でジュースでも買おうかな、と思っていたところ

正確には、買おうかなと思ってお金を入れてからその自販機が壊れていることを思い出して返却レバーを連打した結果、結局は120円を損したところだ

しかし、彼は幸運にも、あるものを見つけていた

恐らくATMで卸したばかりなのだろう、封筒に入ったお金を見つけたのだ

なんでベンチに置いてあったのかは分からない

おそらく、そのお金の持ち主も上条と一緒でジュースを飲んだのだろうか

その時に置き忘れたと推測されるが

上条「・・・10枚か・・・へぇ、1000円札10枚なんて結構な大金だな」

10枚、ということをまずは確認する

彼は大量のプリントを見慣れているだけあって、枚数を数えることだけは早い

それから、そのお札の種類を確認して・・・びっくりした

1000円札じゃない

1万円札だ

上条「・・・は?」



上条「はぁぁぁぁぁ!?」



521 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 18:24:25.17 ID:4CVTA5NF0
AM 11.30

美琴「・・・お、落とした・・・」

美琴は、道端で少し肩を落としていた

上条のために美味しいものでも奢ってあげようと思い、彼女は10万円を卸したのだ

しかし、今彼女の手元にはそんなものなどない

無くしたのだ

肩を少し落とすだけで済んでいるあたり、彼女はお金持ちだ

しかも肩を落としているのはお金を落としたからではない

上条に美味しいものをご馳走できなかったからだ

美琴「はぁ・・・こういうのを不幸って言うのかなぁ・・・」

せめて、そのお金を拾った人が怪我をしていたり、明日の生活に困ったりしている人だったら、と美琴は思う

スキルアウトやらただの不良なんかに拾われていたら、救いようも無い

美琴「・・・今日はご馳走、出来ないか・・・」

彼女がATMで一日に卸せる最高金額は10万円らしい

本当は、色々契約内容を変えればいじれるのだがそんな面倒なことはしない

大体にして、彼女はそこまで贅沢をしたがるタイプでもないからだ

美琴「はぁ・・・」


美琴「・・・帰ろう」


522 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 19:18:58.76 ID:WMzSyf2Jo
>>451
とりあえず20kgでアームカール出来るように頑張るか……

>>1が始めたころに扱ってた重量と筋トレ始めて今何年目か聞きたい
523 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 19:33:36.04 ID:4CVTA5NF0
>>522 20でアームカールできる頃にはかなりいい感じかと

>>1は12.5kgのダンベルカールからでした、お恥ずかしいことに

今は1年ちょいではないでしょうか

ボクシングやってた頃はウェイトトレーニングなんてしてなかったので、本格的にやり始めたのは今年の頭くらいですから

あとアームカールに限らず、デッドリフトとかチンニングとかのためにリストストラップとリストラップは買ってたほうがいいです

特にリストストラップは握力補助になりますので

http://www.wildfit.com/komono/P8134/p8134.html こんなやつ

でも、トレーニングの小物ならシークとかの外国大手がいいですよ、うん



AM 12.30

上条「・・・これ、どうしよう」

1時間

実に1時間、上条は悩んでいた

10万円なんて大金、人生でもほとんど手にしたことが無い

一ヶ月の食費を1万円以下に抑えている上条からすれば、恐ろしいほどの大金なのだ

上条「・・・ほ、本当に10万円だよな?」

ちらりと封筒を確認する

やはり、10万円

上条「・・・ど、どうしよう」

風紀委員に届けるべきか

それとも、警備員?

彼の困ったというか、素晴らしいところはそれを自分のものにしようとはしないところだろう

もちろん、欲しいという気持ちもないことはない

それどころか喉から手が出るくらいに欲しかった

上条(でも・・・こんな大金、きっと大切なものだろうからな)

小さく笑ってから、上条が歩き出す

やはり、彼にはそれをネコババするなんてことは出来ない



524 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 19:39:27.22 ID:4CVTA5NF0
AM 12.30

美琴「あぁそっか・・・当麻は補習なんだっけ」

上条の部屋の合鍵を取り出してから美琴が思い出す

たしか、今日で終わりだと言っていたが

美琴「あっはは・・・本当なら補習終わりのお祝いに何か買ってあげたかったんだけどなぁ・・・」

そんなことを思っていると、美琴の携帯が鳴った

相手は上条だ

美琴「あ、もしもし・・・」

上条『あぁ美琴、あのさ・・・ちょっと聞きたいんだけど』

美琴「うん、なに?」

上条『落し物を拾ったら・・・風紀委員に届ければいいんだっけ?それとも警備員?』

美琴「落し物?大抵のものなら風紀委員よ」

上条『そっか、サンキュー・・・なんか声が暗いけど』

美琴「私も落し物したのよ・・・」

上条『え、何を?』

美琴「そ、そんなこと・・・教えないわよ」

上条『あ、もしかして俺へのサプライズプレゼントだったとか?』

美琴「ち、違う!!っていうかそうだったとしても素直に教えるわけないでしょ!!」

上条『そうだよな・・・んじゃ、落し物届けたらすぐ帰るから』

美琴「うん」



525 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 19:46:33.15 ID:4CVTA5NF0
PM 1.30

上条「・・・それにしても、美琴の落としたものってなんだろ?」

首を捻りながら、ふと手元にあるものを見つめる

お金

上条「・・・ま、まさかな」

そんなことを言いながら封筒をノ祖着込む

やっぱり、10万円と・・・

何かが書かれたメモが入っていた

上条「・・・?メモ?」

もしかしたら、持ち主の手がかりになるかもしれないと思ってそれを見てみる

「当麻にご馳走する!」

そんな、可愛らしい文字が書かれていた

あぁ、この当麻って人は幸せ者ですねちくしょう、と思って歩き出し・・・


上条「って当麻は俺じゃねぇか!?」

気づいた

これは、やはり美琴の落し物だったのだ

上条「・・・ご、ご馳走・・・?なんで?」

うーん、と唸りながら考える

上条「と、とにかく・・・寮に帰りますか」



526 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 19:52:31.71 ID:4CVTA5NF0
PM 2.00

上条「ただいまー」

美琴「あれ・・・早かったわね」

上条「ん?あぁ、途中で帰ってきたんだ」

美琴「落し物は?」

上条「・・・これ」

上条が封筒を差し出す

その瞬間、美琴の顔色が変わった

美琴「こ、これ私の落とした・・・」

上条「・・・や、やっぱりお前だったか」

美琴「な、中身を見たの!?」

上条「あ・・・」

上条が少し言葉に詰まる

美琴は、きっと何らかのお祝いとしてご馳走を奢ってくれようとしたのだ

それも、サプライズで

それを上条が知っていたら、どう思うだろうか

上条「・・・あぁ、10万円なんて初めて持ったよ」

美琴「他には!?」

上条「他?他って、小銭とか入ってたのか?」

美琴「よ、よかった・・・」

上条(・・・そうだよな、それがいいよ)



527 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 19:55:55.53 ID:4CVTA5NF0
美琴「じゃあ、ちょっと待ってて!!」

上条「どっか行くのか?」

美琴「うん、一緒にね!!」

美琴が上条を部屋の外に押し出す

美琴「えっと・・・このメモはもういらないわね」

わざわざメモを書く必要もなかったのだろうが、万が一のときもある

そう思って書いたメモだった

美琴「・・・あれ?」

しかし、そこで気づいた

メモの折り目が、変わっていることに

どんな折り方をしたかまでは覚えていないのだが、明らかに一度開いてもう一度別の折り方をした跡がある

美琴「じゃ、じゃあ当麻は・・・」

知っていたのだ

なのになぜ、知らない振りを

美琴「・・・そっか、気・・・遣ってくれてたんだ」

小さく笑ってから、そのメモ用紙をポケットに入れる

なんとなくだが、それを捨てるのがもったいない気がして


美琴「お待たせ!!行こう行こう!!」

上条「あぁ、行きますか」

微笑み合ってから、二人は和食料理店へ向かった



528 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:03:19.41 ID:4CVTA5NF0
>>497>>498の混合


アレイ「・・・買い物・・・だと?」

19090「はい、ちょっと醤油が切れたものでして」

20000「近くのスーパーで買ってきてよ」

アレイ「・・・見ての通り、私は読書中・・・」

17600「いつも読書ばかりだと体がなまるぞ」

10039「それに、こんなにもいい天気なのですよ?」

御坂妹「晴耕雨読です、晴れた日は読書なんてダメですよ」

アレイ「・・・仕方ない」


あれいすたーくん、はじめてのおつかい


アレイ(・・・だーれにもーなーいしょっでー)

頭の中で例の適当な歌を歌いながら、アレイスターは歩いていた

そういえば、買い物なんていつ以来だろうか

彼が「人間」だった頃も、大抵は妻に任せていた

だから、買い物をした記憶など数回しかない

その数回も、買い物というよりは取引に近かった

アレイ「・・・私がこんなことをする日が来るとはな」

苦笑しながら、指定のスーパーに向かう



529 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:08:36.42 ID:4CVTA5NF0

よく考えて欲しい、醤油にもかなりの種類がある

甘口と辛口、更には大豆の種類から違うのだ

ミサカ達が何の醤油を頼んだのか

アレイスターには分からない

だから

アレイ「・・・どれだ」

目の前にたくさん並んでいる醤油たちとにらめっこしていた

かすかな記憶では、右端にある醤油を使っていた気がする

しかし、テクパトルが「煮っ転がしにはこれがいいんだよ」と言って自慢げに見せ付けてきた醤油は左の中央にある

どっちの醤油が切れたのか

アレイスターには分からない

携帯も持っていない、そもそもそんなものを持つ必要が無かったから

アレイ(・・・どうすればいいのだろうか)

はぁ、と溜め息をついてからアレイスターが渡された財布を見る

そこには一枚のメモが入っていた

「買って来るのは○○醤油、辛口だ by17600号」

アレイ(・・・しっかりしている)

あの子だけはなぜか大人びているな、と考えながらもアレイスターが無事にその商品を手に取った

やはり、右端のものだった

記憶力は衰えていないようで、ひとまず安心する



530 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:14:30.12 ID:4CVTA5NF0

アレイ「・・・」

「一点で、298円になります・・・シールでよろしいでしょうか?」

アレイ「え?」

シールでよろしいでしょうか、とはどういう意味か

それは別にシールじゃなくて醤油だし、とか自分はアレイスターだし、とか

そんなツッコミがまず思い浮かぶ

だが店員が手にしているものを見て、納得した

一点だけの商品をわざわざ袋に詰めるのは自然に悪い

だからこそ、それだけならシール一つで会計を済ませましたよ、という証明にしようというのだ

アレイ「・・・構わない」

「ありがとうございました」

ぺこりと頭を下げる店員

しかし、醤油の大きなボトルを手に持って歩くのは中々おかしな光景だ

アレイスターともあろうものが片手に醤油を持って歩く

信じられないし、信じたくも無い光景だ

アレイ(・・・袋、もらえばよかったかもしれないな)

今更後悔しても遅い



531 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:22:25.73 ID:4CVTA5NF0

アレイ「・・・それにしても、重いな」

久々に物というものを持った

いや、本などは持っているのだがこういう不安定なものを運ぶのは久々だ

テクパトルに言ったら笑われそうな台詞だが、醤油でも「重い」と感じてしまうのだ

体の機能を全て機械に任せる生活を、どれだけ送ったことか

アレイ「・・・はぁ、たまには運動もしないといけないな」


エイワス「くだらないな、アレイスター」

アレイ「・・・エイワスか」

エイワス「・・・何をしている、君はなぜそんなことをしている」

アレイ「どこから現れた、あなたは」

エイワス「何を言う、私は常に君の頭の中にいる」

アレイ「違う、あなたは確実にここに存在している」

突然目の前に現れた、エイワス

アレイスターのよく知っている存在だ

しかし、その存在は不安定で、実体を持つにはある特殊な条件が揃わなければならないのだが

アレイ「偶然にもそれが揃ったのか、珍しいこともあるものだ」

エイワス「・・・もう一度訊ねよう、なぜ君がそんなことをしている」

アレイ「理由などない、私も所詮は一人の人間だったのさ」


532 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:31:14.70 ID:4CVTA5NF0
エイワス「・・・くだらないな、そのような日常になど君は戻る必要が無い」

アレイ「しかし、戻らない義理も無い」

エイワス「・・・」

エイワスの出現が突然だったのだとしたら、それに翼が現れたのはまさしく「一瞬」だったのだろう

プラチナ、この世のものとは思えない、信じられない、理解不可能

どのような言葉でも表せない色の翼が一瞬にして、エイワスの背中に現れた

アレイ「おや、ここで私と一戦交えるつもりか」

エイワス「・・・日常を送っている君が、非日常に引き込まれるのもまた然り」

アレイ「・・・安心したまえ、日常を送っているからと言って非日常の理を忘れたわけではない」

エイワス「・・・」

無言のまま、エイワスが翼を振るう

周りには、一陣の風が吹いた

しかし、何も変わらない

電柱も、家も、道路も、何一つ変わらないのだ

あれほどの威力の風が起きたにも関わらず

アレイ「・・・何をしている、余裕でも見せ付けるつもりか」

エイワス「・・・君は、忘れているのかね」

アレイ「・・・」

エイワス「私は、この世界の存在ではないのだよ」



533 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:43:10.33 ID:4CVTA5NF0
アレイ「・・・何をした」

エイワス「垣根帝督も同じような風を起こすだろう」

アレイ「・・・何を撒いた」

エイワス「撒いた・・・という言い方は間違っている」

エイワスが笑いながら、アレイスターに少しだけ近づく

エイワス「・・・広げたのだよ、私のこれを」

アレイ「・・・」

ジリジリとした痛みが、突如アレイスターの右腕を襲う

アレイ「・・・魔術、いや・・・あなたのそれは魔術でも科学でもないか」

エイワス「垣根帝督、そして・・・一方通行のそれと同じだ」

アレイ「同じ?まさか、鉄くずと刀を比べるようなものだ、鋭利さがまるで違う」

エイワス「・・・」

アレイ「・・・ところで、何をしに来た?私を殺すことが目的か」

エイワス「まさか、君を殺すなどわざわざするまでも無い」

アレイ「・・・日常を送っている私に忠告か」

エイワス「そうだな、そういうことにしておこう」

アレイ「・・・あなたはまだここにいる、そして・・・それが世界にどのような影響を与えるのか」

エイワス「・・・君は、それでも日常に居直るつもりか」

アレイ「くだらないことを聞かないでくれ、私は日常にも非日常にも、日向にも闇にも存在などしていない」

エイワス「・・・」



534 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:49:28.68 ID:4CVTA5NF0
アレイ「・・・ふん、それだけならもう帰ってくれ」

エイワス「・・・一つ、訊ねていいか」

アレイ「なんだ」


エイワス「なんで醤油をシールだけにしたんだ」

アレイ「あ、おかしい?」

エイワス「おかしい、しかもレジの姉ちゃんが可愛かったらいえ、袋でって言って少しでも会話を長引かせるのが普通だ・・・」

アレイ「あなたはどうしてそんなに詳しいのかね」

エイワス「あ」


エイワス「く、詳しくないし、偶然だし」

アレイ「何がだ」

エイワス「・・・とにかく、君には日常で安穏としてもらっていては困る」

アレイ「・・・私も一つ訊ねていいか」

エイワス「なんだ」


アレイ「その右手に持ってる大量の駄菓子、なんだね」

エイワス「・・・」


エイワス「アレイスター、やはり君は面白い人間だよ」

アレイ「誤魔化すな」


535 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 20:57:29.08 ID:4CVTA5NF0


19090「あ、おかえりなさい!!」

アレイ「やぁ、少し遅くなった」

御坂妹「迷子になったかと心配しましたよ」

17600「あぁ、ミサカもだよ」

アレイ「なに、少し旧友に会ったものでね」

13577「旧友?」

20000「あれだよ、ちくびの友ってやつ」

17600「竹馬だ」

10033「それで、醤油は?」

アレイ「あぁ、これだ・・・すまなかったな17600号、助かった」

17600「・・・?何が」

アレイ「何って、財布のメモだよ」

17600「メモ?なんだそれ・・・」


御坂妹「あー!!アレイちゃん、これは違いますよ!!」

10039「こっちはまだ大量に残っています!!」

アレイ「え?」

17600「・・・」

20000「あっはは!!あっはははははははは!!!」

17600「・・・お前だな・・・」

アレイ「・・・も、もしかして・・・はじめてのおつかい・・・失敗?」


アレイ「・・・不幸だ」



536 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 21:01:09.70 ID:F6OzgETKo
心理タソは花粉症になっても天使
537 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 21:08:08.41 ID:4CVTA5NF0
>>501


黒子「はぁ・・・初春、最近あなたやけに外部研修が多いですわね」

初春「えぇ・・・パソコン関係が得意な風紀委員なんて、ほとんどいませんから・・・」

風紀委員の支部

二人は、ソファーに座りながらコーヒーを飲んでいた

仕事もひと段落着いたため、ゆっくりとくつろいでいるのだ

一方、回転椅子にはもう一人、座っていた

削板「ふーん・・・でもさ、ウイーハルさんがいないとちょっと寂しいよな」

初春「・・・初春です」

黒子「そうですわね・・・こう、イジり倒す相手がいませんの」

初春「イジらないでください・・・」

削板「そうだぞ、あんまりウイーハルさんをじいめたらダメだって」

黒子「わ、分かってますの」

少しバツが悪そうにしながら、縮こまる

初春「いやぁ・・・削板さんがいなかった頃は、もっとひどかったんですよ?」

黒子「そ、そんなことないですの」

削板「黒子・・・ウイーハルさんをいじめすぎたら、ウイーハルさんの頭の花に食べられるぞ?」

初春「そんなことないですって」アハハ

削板「そうか?」アハハ


黒子(な、なんですのこのいいムード!?)



538 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 21:18:51.04 ID:4CVTA5NF0
初春「でも、本当に削板さんがいて助かりましたよ・・・白井さんの暴走を止められるのは、御坂さんか削板さんだけですから」

削板「黒子、あんまりイタズラはよくないぞ?」

黒子「わ、分かっていますの!!」

削板「?なんか不機嫌だな」

黒子「き・・・気のせいですの」

黒子がソファーから立ち上がり、パソコンへと向かう

何かをしていれば気になることはないはずなのだが


初春「そうだ、削板さんにもこの花、一個あげます!!」

削板「おぉ!?これって取れるのか!?」

初春「はい!!花言葉は、今日のあなたは輝いてるね、です!」

削板「あっはは!!俺はいつだって太陽のように熱い男だぜ!!」

初春「おぉー!!」


黒子(・・・ふん、なんですの初春も軍覇さんも・・・)カタカタ

黒子(・・・ま、まさかわたくしハブられてますの!?)

黒子(・・・そ、それに・・・)


削板「でも!!この花はウイーハルさんに返すとしよう!!」

初春「えぇー!」


黒子(な、なにやら本当にいいムード!?)



539 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 21:24:31.51 ID:4CVTA5NF0
削板「そうだ!!ウイーハルさん、疲れてるだろうし俺が肩を揉んでやろう!」

初春「な、なんか痛そうなんで却下・・・」

削板「えいやー!!!」

初春「ぎゃぁぁぁ!!な、なんか垣根さんに外された肩の古傷が疼きますよ!?」

削板「あはは!!そりゃ悪かったな!!」

初春「は、花はマッサージしないでいいですから!!」


黒子(くぉぉぉ!!)

黒子(これはかつて!!佐天とお姉さまが仲良くしていたときに感じたジェラシーそのもの!!)

黒子(わ、わたくしの軍覇さんが初春に盗られる!?ま、まさかそんな・・・)チラッ


削板「よーし!!なら肩を叩いてやろう!!そーれ!!」

初春「ぎゃぁぁぁ!!!外れる、外れますから!!」

削板「ははは!!気持ちいいだろ!?」


黒子(な・・・なんですの、あの仲良しな・・・)

黒子(・・・わ、わたくしに隠れて浮気などされていたり!?)

黒子(そんな、まさか・・・)



540 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 21:33:31.88 ID:4CVTA5NF0
削板「いやぁ!!ウイーハルさんは出来た子だ!!お嫁にいつ出しても問題ない!!」

初春「なんでお父さんみたいなこと言ってるんですか・・・」

削板「あれ、違うの?」

初春「違います・・・はぁ」

削板「・・・でもさ、ウイーハルさんって彼氏いないんだっけ」

初春「い、言わないでください!」

削板「もったいないぞ、恋ってのは楽しいもんだ」

初春「だって・・・よく話す人って、垣根さんか削板さんしかいませんから」

削板「ふーん・・・」

初春「はぁ・・・削板さんな人だったら、彼氏でも・・・」


黒子「そ、それはダメですの!!」

削板「おぉ!?なんだいきなり!?」

黒子「軍覇さんはわたくしの彼氏ですの!!」

初春「わ、分かってますよ・・・」

黒子「・・・そ、それならよろしくてよ」

ふん、とそっぽを向いてから、またパソコンの前に座る

黒子(・・・よ、よろしいのですが・・・)


削板「ところでさ、ウイーハルさん・・・その頭の花ってなんなんだ?」

初春「これは、友達です!」


黒子(・・・悶々と・・・してしまうますの)ハァ




541 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/20(火) 21:38:20.71 ID:4CVTA5NF0
>>503は明日にでも

筋肉動画は、フィル・ヒースのプロモーションみたいなのを

http://www.youtube.com/watch?v=s5K5zUEz80Q 

30秒辺りの腕・・・質量感が半端じゃないですね

ドリアン、ロニー、ジェイとシンメトリーやプロポーションが微妙なオリンピアが続いていましたが・・・

20年ぶりに、完璧なシンメトリーのオリンピアが誕生したと言ってもいいでしょう

デクスターも、もちろんですが・・・彼はオリンピアになるほどの驚異的なものではないので

デクスター、好きなんですがオリンピアと言われると印象が薄いですね

フィルは大きくなったショーンみたいですね


ではおやすみなさい


542 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 22:03:12.41 ID:UBEiDVJX0
乙なんだよ!!
543 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 22:52:48.87 ID:hFL+c/yB0
こういう年相応な(☆除く)日常も良いのう
544 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 01:09:03.70 ID:GIsMIUOao
545 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 08:41:02.97 ID:kO7W3khSO

佐天さんが呼び捨てになってるのは間違い?
546 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:47:01.55 ID:V3CT/5J00
>>545 超電磁砲のほうで呼び捨てになっていたのですが、ありゃボケなのか素なのか分からなくて

仲良ければ呼び捨てだろうということで

>>503にメンバーを一人加えて



一方「・・・なァ」

土御門「なんだにゃー」

一方「なンで俺は呼び出されたンだ」

土御門「そんなこと、こっちが聞きたいぜぃ」

結標「大体、なによその口調?気味悪いわ」

土御門「おいおい、普段はこんな口調なんだぜよ」

一方「どこの方言なンだよ・・・」

土御門「で?このメンバーが集められたってことは・・・」

結標「あとは海原が来るのかしら」

一方「・・・だろォな、このメンツならそォなる・・・」

ガチャリ、とドアが開けられる

ちなみに三人がいるのはあるビルの一角

小さな会議室のような場所だ

なんでこんな所に呼び出されたのかは分からない

だが、恐らく真剣な理由があるのだろう

ショチトル「ん?なんだ、一方通行もいたのか」

一方「あァ?なンでお前が来てンだよ」



547 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:47:59.62 ID:V3CT/5J00
ショチトル「呼び出されたから仕方ないだろう」

結標「あら・・・海原じゃなかったのね」

土御門「・・・まぁ、ショチトルでも代わりには・・・ならないかにゃー」

ショチトル「・・・で?何の集まりなんだよ」

一方「知るかよ」

ショチトル「・・・何か、変態チックな匂いを感じるんだが」

土御門「んなことないと・・・」


青ピ「みんな集まってくれたんやねぇ!嬉しいわぁ!」

土御門「すまない、あった、あったんだそんなこと」

一方「・・・てめェは上条のクラスメイトの」

青ピ「呼び方は青ピでええで、それより早速始めようか!」

結標「ま、待ちなさいよ!あなたが私達を呼び出したの!?」

青ピ「そうやで!それよりお姉さんかわええなぁ!」

結標「あ、ありがと・・・じゃなくて!あなたみたいな一般人がなんで・・・」

青ピ「今日は、みんなに話し合ってもらいたいことがあるんよ」

いきなり、青髪が真剣な顔になる

ごくり、と誰かが唾を飲んだ


548 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:48:58.42 ID:V3CT/5J00
青ピ「ロリ、ショタ、兄、妹、姉のどれが一番か」

一方「帰るからなァ」

青ピ「まぁまぁ!待ってぇな!」

土御門「・・・大体、人数が足りないぜぃ」


黒子「お待たせいたしましたの!」

土御門「・・・」

ショチトル「あれ、黒子も来たのか」

黒子「あら、ショチトル・・・それに一方通行さんも・・・!?結標淡希!?」

結標「久しぶりね、白井さん」

黒子「なんであなたのような方が・・・」

青ピ「はいはい、かくかくしかじかやでぇ」

一方「・・・なンでそれで伝わるンだよ」

黒子「・・・いいですわ、わたくしが姉の素晴らしさ、説いて差し上げますの!」

ショチトル「いいだろう、やってやる」

青ピ「ほんなら、誰から語るか決めてぇな」

土御門「・・・じゃあ俺からいくぜぃ」

結標「あら、ずいぶんやる気ね」

土御門「こんなくだらない論争、さっさと終わらせてやる」

土御門がゆっくりと立ち上がる

サングラスの奥の瞳がギラリと光る



549 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:50:04.54 ID:V3CT/5J00
土御門「妹・・・とくに義理の妹の素晴らしさ、それはギリギリの理性が働くことだ」

結標「ギリギリの理性?」

土御門「本当の妹ならば、法律が関わってくるから完全なストッパーが掛かってしまう」

黒子「・・・たしかに」

土御門「だが義理ならどうだ?もしかしたら、とか血が繋がってないなら、とかいう希望を抱いてしまう」

一方「・・・まァ、分かるな」

土御門「・・・もちろん、倫理的には完全にアウトではある」

ショチトル「ふむふむ」

土御門「・・・それでも、やはり欲求は深まるばかりだ!妹というのは素晴らしい、女の本能である母性を持ちながらも普段はお兄ちゃんと言って甘えてくる!」

青ピ「そうやねぇ、可愛い妹にお兄ちゃんなんて言われたら死んでもえぇわ!」

土御門「料理を作ってくれる母性、でも褒めてくれとせがんでくる幼さ!その津波のように押し寄せるギャップ!まだ一人前の女として成長していない頃から、思春期を迎えて段々と女に変わっていく瞬間を間近で見られるその興奮!なおかつ義理なだけあって中途半端な垣根が出来上がり、触りたいけど触れない、愛したいけど愛せない、そんなジレンマが生まれる!」

一方「・・・違いないな」

結標「でも、義理なら妹と言っていいのかしら?本当の妹こそ・・・」

土御門「むしろ俺はこう言いたい!本当の妹は女ではなく家族なだけだと!義理だからこそ、家族として見てしまう一方で女としても見てしまう!」

黒子「な、何やら難しいですの」

土御門「・・・どうだ、妹は素晴らしいだろ」

黒子「ですが!やはり姉が素晴らしいことに変わりはないですのよ!」

青ピ「はい、こっからはツインちゃんのターン!」



550 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:52:11.87 ID:V3CT/5J00
黒子「姉という立場は素晴らしいですわ、女性が生まれながらにして持った母性を完全に活かせる立場ですの!」

ショチトル「?母親は?」

黒子「母親は高い位置から見守るだけに留まってしまいますわ、優しく見守ることはあっても一緒の道を歩むことはない・・・ですが!姉ならば違いますの!」

結標「・・・なるほど、一緒にいてくれる、頼れる存在ってことね」

黒子「先に行って待ってはいるものの、わたくしが転べば手を差し延べて下さる!自分の少し先を歩く姉、それに追い付こうとするわたくし、限りなく近付くことはあってもその手を掴むことは出来ない!あぁしかし!それが掴めないからこそ、わたくしは姉を求めてしまいますの!」

土御門「なんとなくは分かるかにゃー」

一方「けどよォ、そンなこと言ったって姉ってのはあくまで家族・・・」

黒子「違いますの!家族としての姉ではなく、立場としての姉ですの!引っ張ってくれる、褒めてくれる、時には同じ目線で喧嘩をすることも出来る!まさに!姉こそが正義ですの!」

ショチトル「ふん・・・姉なんぞ、兄に比べたらたわいもない」

青ピ「はい、グラマーちゃん!」

ショチトル「兄は、一人の男として成長した人間だ、昔は一緒に風呂にも入っていたのにある時を境にそれは無くなってしまう」

結標「思春期ね」

一方「・・・あァ」

ショチトル「それからというもの、なぜか兄は妹を一人の女として見てしまう、性に目覚めた兄は時折野獣の顔をちらつかせるんだ」

黒子「そ、それは魅力というより危険性ですの」

ショチトル「違う・・・分からないか?一人の女として見てしまう、ということは自分が女性だと認めてくれているからなんだ」

土御門「!」



551 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:53:50.23 ID:V3CT/5J00
ショチトル「妹がお兄ちゃんを見つめるとき・・・姉が妹や弟を見つめるとき、そこに色目は混じっているか?ほとんどないな、女は家族に対してはほとんど性欲を抱かない」

黒子「だ、だからお姉さまは・・・」

ショチトル「兄はどうだ?少し胸の谷間が見えたとき、パンツが少し見えたとき、私を女として見てくる・・・それを隠すために、必死にお兄ちゃんとして優しく接してくる」

土御門「ま、全くその通りだ・・・」

ショチトル「理性と本能が戦っている存在、不安定であるがため、触っただけで野獣に変貌してしまう存在・・・それが兄なんだよ」

結標「・・・だとすれば、ショタも通じることがあるわ」

青ピ「サラシちゃん!」

結標「ショタはまだ男性には成り切っていない・・・いえ、むしろ女性に何も感じないはずの男の子」

一方「・・・性に目覚めてねェからな」

ショチトル「純粋なんだな」

結標「私がちょっかいを出すと、困ったような顔をしながらも優しく接してくる」

黒子「犯罪ですの」

結標「・・・でもね、それはこれから開発すればいいのよ、私が女を教えれば・・・そのショタは私しか知らない、私だけを知っているショタになるのよ」

一方「・・・」

結標「育っちゃダメ、でも育たないと先には進めない・・・成長を願う気持ちと拒む気持ち、そのどちらもを抱いてしまう」

土御門「なるほど・・・」



552 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:55:37.10 ID:V3CT/5J00
結標「分かる?男の子ってのは若い頃からスカートめくったりするものだけど、いざこっちから仕掛けたら萎縮しちゃうものなの、それは完全に性には目覚めていないから」

黒子「・・・そ、それが目覚める瞬間を拝みたい・・・と?」

結標「えぇ・・・どう?私のショタに対する愛情」

ショチトル「私の兄に対する愛情だって・・・」

土御門「にゃー、妹が最強だぜぃ」

黒子「姉ですの!」

青ピ「一方通行、あとは君だけやで」

一方「はン、くっだらねェ」

土御門「く、くだらない!?」

ショチトル「ここまで熱く語れるんだ、私達の愛情は・・・」

一方「熱く?これだけの短い説明で熱くか、笑わせるな」

結標「み、短い・・・ですって!?」

黒子「では・・・あなたの、ロリの魅力を教えて下さいな!」

一方「いいだろォ・・・ロリの魅力は、三つだ」

土御門「み、三つ!?」

一方「一つ目は将来性・・・これはショタにも通じることだが、ロリはこれから育っていく存在だ、美人になるか並になるか、おしとやかになるか明るくなるか・・・そンなことはこれから決まるンだ」

一方「それは一種の賭けなのかもしれねェな、下手をすればあまり自分好みの女にはならないかもしれねェ」

一方「・・・だが、それがなンだ?リスクが無ければつまンねェ、リスクがあったからこそ成功した時の喜びはでかいンだ」



553 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:56:11.04 ID:V3CT/5J00
一方「あァなって欲しい、こォなったら嬉しい・・・そンな妄想、大人相手に出来るか?無理だな、そいつらには未来がない」

一方「現在に在りながら未来を感じさせる、甘美なる矛盾に満ち溢れた存在、それがロリだ」

一方「ショタがなンだ?どォせ男は全員エロくなる、妹がなンだ?結局兄貴だから懐いてくれてるだけで赤の他人なら関係ねェ、兄がなンだ?性的対象として見られたところで手を出されなければ意味がねェ、姉がなンだ?これから先に、自分の好みにする楽しみなンて微塵もねェ」

一方「ロリは可能性がある、成功と失敗、両方のなァ・・・これが一つ目」

土御門「ふ、二つ目は」

一方「警戒心が高い」

黒子「それはむしろ、マイナスなのでは・・・」

一方「違うンだよ・・・誰にでもホイホイ着いていくヤツなンざ、まるでビッチだぜ」

結標「・・・言うわね」

ショチトル「ビ、ビッチ・・・」

一方「俺が初めて声を掛けたとしても、恐らくロリは警戒するだろォな・・・当たり前だ、それが自然の節理なンだからよ」

一方「分かるか?壁は最初から低かったら意味がねェ、好きだからって最初から受け入れられたいもンじゃねェ」

一方「最初は拒絶され、本当は手を繋いで歩きたいのに電柱の陰からしか見守ることができねェ・・・あァ、最初は辛いさ」

一方「だがな、何度も話すうちにふと心を許してくれる・・・一瞬、ほンの一瞬だが女になるンだ、まだ背伸びしねェと棚にも届かねェロリがな」

一方「・・・そォなったらどれだけ嬉しいと思う?毎日通い詰めて、やっと心を開かれるンだ、血の繋がりはない、別に男の性に興味があるわけでもない・・・本当に純粋な気持ちで、受け入れてくれるンだ」

一方「さらに、自分のお気に入りのロリがいたとして・・・そのロリも当然、ガードが固い」

一方「だが裏を返せば、他のヤツともある程度距離を置いているということになる」



554 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:57:09.54 ID:V3CT/5J00
一方「誰が一番最初にそのロリに心を開かせるか・・・ロリコンの間で競争が起きる」

一方「ガードが高ければ高いほど、自分のお気に入りのロリが汚される可能性は少なくなるンだよ」

一方「・・・分かるか?最初からは上手く話せない、難しい、我慢が必要・・・だからこそ、ロリコンにはロリコンにしか分からねェ苦しみがある」

土御門「ロリコン同士気が合うのは・・・そういう理由からだったのか」

結標「なるほど・・・」

黒子「そ、それで・・・三つ目はなんですの?」

一方「・・・背徳感だ」

一方「大体、胸もねェ、毛も生えてねェ女に欲情するのは男として間違ってンだ」

一方「普通ならそこら辺の女に恋をするべきだがなァ・・・だからこそ、ロリコンは特別なンだ、選ばれた人間なンだよ」

一方「まだ性も知らないロリの体を嘗め回したいと思う、人として間違ってることだ」

一方「おおっぴらになンか言えやしねェ、言えるわけがねェ・・・周りが普通の女に恋をする中、自分は女と言っていいのか分からない存在を追い求める」

一方「・・・ある一線を超えてロリに手を出したらどォなる?」

一方「社会からは白い目を向けられる、あいつはロリコンの変態だってなァ」

一方「それに、性を知らない女の子を襲った罪悪感・・・そンなものに苛まれる」

一方「だが一番は・・・自分が手を出した時の、ロリの見下したような、怯えるような表情だ」

一方「信じていた者に裏切られ、知らない大人の世界に無理矢理引きずり込まれ・・・何も分からないまま、俺を見てくる」


555 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 09:57:54.73 ID:V3CT/5J00
一方「俺のイチモツを、汚れたよォな目で見てくる」

一方「俺の手を、まるで蛇かのよォに恐れる」

一方「あァ・・・怯えるロリ、怖がるロリ・・・まさに美しい存在だ」

一方「俺がロリの胸を触れば、ロリは身をよじって抵抗する」

一方「何かは分からないが、それがいけない行動なンだと感づくからな」

一方「・・・見下されたい、馬鹿にされたい・・・あァ、ロリを汚してしまう背徳感はどンなもンなンだろォな」

土御門「・・・一方通行、負けたぜぃ」

ショチトル「まさかそこまで確固たる信念を持っていたとは・・・」

結標「・・・さすがね」

黒子「あとで逮捕しますの」

青ピ「さて・・・じゃあ、今回の勝者は一方通行!ロリはかわええなぁ!」

一方「はン・・・当たり前だろォが」

青ピ「第二回は誰が優勝・・・」

一同「もうしないから」





556 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 10:00:32.47 ID:V3CT/5J00





それは別れの季節

しかし同時に、新たな出会いの季節でもある

上条達にとって、別れの季節なんてどうでもいい

卒業するわけではないし、仲たがいした仲間がいるわけでもない

つまり、春には新しい出会いだけを期待していればいいのだ

上条「・・・そして・・・もう一つ」

美琴「春といえばあれよね・・・」

二人がいるのは、近くの公園だ

すでに桜は満開

遠くでは、ブルーシートに座った友達が手を振っている

そう、今日は・・・


上条・美琴「花見だ!」


垣根「おっす、やっと来たか」

心理「待ちくたびれたわよ」

美琴「ゴメンゴメン・・・みんな、来るのが早いわね」

エツァリ「久しぶりにみなさんで集まれますから」

削板「そうだな!久しぶりだ!」

番外「いやぁ、懐かしいメンツだねぇ」

ショチトル「そうか?わりと最近も集まったじゃないか」

黒子「たしか・・・ひな祭りでしたわね」

テクパトル「一ヶ月近く経ったことに変わりはないさ」

19090「長かったですね・・・」

一方「・・・あァ」

垣根「さて・・・じゃあみんな集まったことだし、始めますか」

垣根がゆっくり立ち上がる

肩を回し、首を鳴らしてから大声で叫ぶ



垣根「花見、始めるぞ!!」



こっからはちょいとリク、受け付けられませんが

変わりにラジオのイマジンマターやるのでお便りをどうぞ


557 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 10:15:28.73 ID:V3CT/5J00
一方「・・・花見なンて久しぶりだな」

心理「そうね・・・お弁当、作ってきてるけど食べる?」

黒子「あら、本当ですの?」

削板「悪いな、わざわざ」

上条「心理さん、料理上手だからな」

美琴「・・・」

心理「ほら、あなたのわがままなお姫様が怒ってるわよ」

上条「あぁ、美琴も上手だぞ」

美琴「べ、別にヤキモチなんて・・・」

ショチトル「お、玉子焼き発見」

19090「おいしそうですね・・・心理定規はどこでお料理を習ったのですか?」

心理「胎教よ」

19090「た、胎・・・」

テクパトル「真に受けるな・・・」

番外「あっはは!!真に受けるとか馬鹿じゃん!」

19090「ば、馬鹿とは失礼な!」

エツァリ「ですが、本当にどこかで習われたのですか?」

心理「まさか、練習の成果よ」

垣根「よく言うぜ・・・初めての料理作るときは本めちゃくちゃ買いまくってたから、練習ってより入れ知恵・・・」

心理「なにか言ったかしら」

垣根「なんも」



558 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 10:30:54.36 ID:V3CT/5J00
上条「お、美味い・・・」

美琴「く、悔しいけど・・・私より上手よね」

心理「あら、料理は愛よ?愛さえ篭っていれば美味しく感じるの」

垣根「そんな曖昧な調味料があるかよ」

エツァリ「ですが、これは愛情が篭っている味ですよ」

心理「あなたには愛情なんて抱いてないわよ」

エツァリ「」

テクパトル「・・・いいよな、料理の上手な女って」

19090「!!」

番外「へぇ・・・アナタもそうなの?」

一方「・・・花が綺麗だなァ・・・」

番外「うっわ、誤魔化した・・・」

削板「黒子もよく弁当作ってくれるもんな!!」

黒子「軍覇さんのためですから・・・しかし、花を見ていると初春を思い出しますの」

削板「あぁ・・・春になったら桜が生えるのかな」

美琴「初春さんの頭から桜・・・ね」

垣根「いいんじゃねぇの?すぐ散るし」

心理「それ、アウトよね」

ショチトル(・・・何の話だ)



559 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 10:44:34.56 ID:V3CT/5J00
垣根「しっかし・・・この花見の季節はやっぱり公園が混むねぇ」

垣根が辺りを見渡す

遠くに見慣れた人間もいる

垣根「あれ、吹寄達だよな?」

上条「あれ?ホントだ・・・土御門たちもいる」

心理「・・・一番最初に目に入るのが吹寄さんなわけね」

垣根「うるせぇな、こっち見てたから目が合ったんだよ」

美琴「・・・遊びに行く?」

心理「私はパス、騒がしくなりそうだから」

上条「俺はちょっくら行ってくるかな・・・垣根は」

垣根「アイアムフリーダム!!俺の翼はなんのため!?向こうの仲間へ向かうため!!」

上条「はいはい・・・行くか」


姫神「あ。来た」

青ピ「なんや、心理定規ちゃんは来ないんかいな」

小萌「ぷはー!!桜を見ながらのビールは最高なのですよー」

吹寄「先生、アルコールは肝臓を痛めますよ」

土御門「にゃー、難しい話はなしだぜぃ」

上条「おーっす・・・みんなも花見だったか」

姫神「・・・そう。私達はあなたと違ってクラスの仲間を裏切らない」

上条「そ、そんなんじゃないって・・・」



560 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 11:45:37.29 ID:V3CT/5J00
垣根「お前達も花見だったんだな、誘えばよかった」

姫神「誘っても。どうせ用事があるって言ってた」

垣根「あぁそうかい」

吹寄「・・・それで、貴様はなんで花見を?私達は新たな春の始まりを祝ってるのだけど」

垣根「世の中の寂しい学生達を呪い殺すために」

土御門「にゃー!!殺されるぅぅぅ!!」

青ピ「なんやー!!急に息苦しくぅぅ!!」

垣根「そ、そんな!!今のは冗談だったのに・・・こ、この呪詛の力は本当なのね!!マグダリア!!マグダリアはどこ!?」

吹寄「勝手にコントを始めないで」

小萌「せっかくだから、上条ちゃんたちも一緒に花見、しましょうなのです!!」

上条「あぁ、みんな呼んでくるからちょっと待っててな」

姫神「・・・キャラが増えると。収拾はつかないし、誰に話させるか迷うし」

垣根「・・・そういうネタは控えろ、にしてもお前の私服ってなんか落ち着いてるのな」

姫神「私は。こういうキャラクターだから」

垣根「結構似合ってるぜ、あと髪の毛、少し跳ねてる」

姫神「・・・知ってる。寝癖」

垣根「あぁ、そうなの」


561 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 12:57:44.84 ID:V3CT/5J00
姫神「・・・君は。いつも通り決まってる」

垣根「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか」

吹寄「・・・ちょっと、あんまり垣根に手を出したらダメよ、心理定規が怒るから」

姫神「・・・分かってる」

土御門「そんなこと言って、吹寄もちょっぴり不機嫌だぜぃ」

青ピ「あ、ほんまやなぁ」

吹寄「違うわよ!!」

垣根「お前、俺のこと好きかぁ?」

吹寄「うるさい!!」


美琴「お邪魔しまーす・・・」

土御門「にゃー、いらっしゃいだぜぃ」

一方「ちっ・・・なンで花見に来てまでてめェの面拝まなきゃならねェンだよ」

土御門「それはこっちの台詞だ」

エツァリ「まぁまぁ、いいじゃないですか」

テクパトル(まずい!美月、特殊メイクしてない・・・)

19090「あ、美味しそうなお弁当を!!」

姫神「・・・あなたは。御坂さんの妹?」

19090「はい!!」

小萌「どうぞどうぞ、食べてくださいなのですよー」

テクパトル(受け入れたぁぁぁ!!!!)



562 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 13:21:42.07 ID:Ir5psumDO
心理定規かわいいよ、心理定規


最近垣根は学校に行っているのかな?


後、皆さんの休日の過ごし方を教えてください。
563 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 13:41:04.80 ID:2GB8lJ7b0
アイテムも花見してるのか?
564 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:05:29.17 ID:V3CT/5J00
垣根「はっはっは!!今は春休みだから学校なんてナッシング!!」

上条「補習、来なかっただろ・・・」


心理定規かわいいよ、心理定規


最近垣根は学校に行っているのかな?


後、皆さんの休日の過ごし方を教えてください。


上条「俺は・・・そうだな、美琴とデートしたり家でゴロゴロしたり」

美琴「私もそんな感じかな・・・あとゲコ太のガチャガチャしに行ったり」

垣根「俺は読書だな」

心理「私はエステに行ったりお茶しに行ったりね」

黒子「休日は・・・ゆっくり休むことにしていますの」

削板「ははは!!俺に休みなどない!!」

一方「・・・ロリと戯れる」

番外「そんな一方通行を抑える、かな」

テクパトル「みんなの世話で一杯一杯だよ」

19090「ミサカも、テっくんの手伝いで精一杯です」

エツァリ「外にしに行ったり」

ショチトル「中で出されたり」

垣根「やめろ」


565 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:09:12.30 ID:V3CT/5J00
美琴「っていうか、また心理定規が可愛いって・・・」

心理「あら、一種の社交辞令じゃないの」

上条「もう決まり文句みたいになってるな」

ショチトル「ほっほぉ、それほどまでに可愛くて当たり前と」

上条「あ、いや・・・」

エツァリ「実際、アイドル性だけでしたら御坂さんか心理定規さんの二人が群を抜いてますからね」

一方「そォか?オリジナルは微妙だろ、騒がしいし」

美琴「なによ」

青ピ「でも心理定規ちゃんってたまにどす黒いことあるけどなぁ」

土御門「にゃー、だからこそアイドルなんだぜぃ」

姫神「・・・私も。黒くなる」

吹寄「姫神はそのままでいて・・・」

削板「うーん・・・みんな、それぞれ良さがあるはずだ!!」

小萌「先生も、若い頃は可愛い可愛いって言われていたのですよー!」

上条「アンタが綺麗って言われることはないでしょうね・・・」

小萌「上条ちゃん、あとで屋上なのです」

上条「ここ公園だからね!?」

垣根「小萌は可愛いんだけど、なんか違うよな」

小萌「垣根ちゃんもですよー」

垣根「怖い怖い」



566 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:11:58.43 ID:V3CT/5J00
麦野「・・・なによこれ」

アイテムも花見してるのか?


浜面「はがき・・・かな?」

絹旗「なんか、お便りみたいですね」

フレンダ「なになに?」

滝壺「お便り・・・してるよ、花見」

浜面「・・・って言っても、垣根たちからは逃げるようにして離れた場所にいるけど」

麦野「あの絶賛馬鹿騒ぎ男には巻き込まれたくないもん」

ゴーグル「・・・持って来ましたよ、お酒」

浜面「おぉ、悪いな」

フレンダ「ジャンケンで負けたんだから当たり前な訳よ!!」

ゴーグル「・・・っていうか、なんでまた花見なんか・・・」

絹旗「超綺麗じゃないですか!!」

滝壺「そうだよ、自然と触れるのもまた人間」

浜面「滝壺、いいこと言うな!!」

ゴーグル「あなたは花より団子でしょ・・・」ハァ

フレンダ「ゴーグル、一発芸!!」

ゴーグル「無茶振りしてんじゃねぇ!!」


567 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:39:49.58 ID:V3CT/5J00

垣根「つうかさぁ・・・なんだよこの大人数での花見はよ」

吹寄「仕方ないでしょ・・・貴様達にクラスのメンバーが加わったんだから」

上条「賑やかでいいじゃないか」

土御門「にゃー、でも収拾がつかないのも事実だぜぃカミやん」

姫神「どうせ。どこにいても私の影の薄さは変わらない」

心理「あら、それがあなたの魅力よ」

小萌「姫神ちゃん、元気出すのですよー!!」


美琴「・・・なんか、やっぱりあそこには入りにくいわね」

黒子「クラスメイトというのは不思議な絆がありますの」

一方「はン、くっだらねェ・・・ただ同じクラスになったってだけで友達気取ってやがる」

エツァリ「羨ましいのですか?」

番外「あぁ、アナタってたしか特別学級だから・・・」

一方「ンなンじゃねェよ」

削板「ははは!!仲良しなのはいいことだ!!」

19090「テっくん、お酒は禁止ですよ」

テクパトル「えぇ・・・」

ショチトル「ふっふっふ、ならば私のワカメ酒・・・」

テクパトル「いらん」


568 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:45:16.08 ID:V3CT/5J00
垣根「・・・にしても、桜は綺麗だなぁ」

食蜂「そうねぇ」

垣根「・・・」

食蜂「・・・」

垣根「揉ませて」

食蜂「いやよ」

美琴「なんでアンタがいるのよ!?」

食蜂「やっほー、みこ・・・御坂さん」

美琴「今、名前で呼ぼうとしたわね」

食蜂「そんなことないわよぉ」

黒子「あら、食蜂先輩・・・」

心理「あなたも花見?」

食蜂「そうそう、桜が綺麗だったから」

垣根「へぇ、どこでやってるんだ?」

食蜂「何を?」

垣根「いや、花見だよ花見・・・ブルーシート、こっちに持って来いよ」

食蜂「あ、その・・・」

垣根「・・・と、取り巻きの子達は?」

食蜂「・・・私置いて、みんなで花見・・・」

垣根「・・・」

食蜂「・・・」

垣根「お、俺達と花見、しないか?」

食蜂「いいの!?」ウルウル

垣根「あぁ、構わないけど」



569 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:49:57.88 ID:V3CT/5J00
黒子「・・・常盤台組になりましたのね」

美琴「・・・なーんか気まずいのよね」

食蜂「あらぁ、私みたいな魅力に溢れた女の子が目の前だと自分の地味な魅力が霞んじゃうってぇ?」

美琴「アンタ、そういう性格直さないと友達出来ないわよ」

食蜂「えっ・・・」

吹寄「大丈夫、食蜂は私達の友達じゃないの」

食蜂「吹寄ぇ!!」

垣根「吹寄ェ・・・」

吹寄「なんでそんな言い方してるのよ」

心理「そこまで気にしないことね、友達なんて多ければいいってものじゃないんだから」

食蜂「・・・」

心理「何よ、私の顔に何かついてる?」

食蜂「ふっふーんだ!!心理操作系では私のほうが上、オマケにバストも私のほうが上!!財力だって私に敵うわけないアナタには、友達なんていないもんね!!」

心理「あら、財力と能力だけでしか人間関係を構築できなくて、なおかつ本当は中学生じゃないかもしれない疑惑の掛かってるあなたには言われたくないわね」

食蜂「う・・・」

心理「メンタルが弱すぎるわよ、あなた」

食蜂「悪魔!!鬼!!」

心理「あら、小悪魔なんて素敵じゃない?」

上条「あ、あの・・・喧嘩はやめましょうね」

一方「・・・ちっ、LEVEL5がほとンど集まってやがる」




570 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 15:55:13.28 ID:ASgapgZDO
そーいやインデックスは?
英国なのか?
571 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:55:33.63 ID:V3CT/5J00
心理「・・・はぁ、あなたとの接し方は難しいものだわ」

食蜂「あらぁ、遠慮しちゃうの?」

心理「宇宙人と同じよ、何を言えばいいのか分からないの」

食蜂「わ、私・・・宇宙人?」

心理「えぇ、宇宙人」

食蜂「う、宇宙人・・・」ポワー

心理(なんで喜んでるのよ)

垣根「・・・にしてもさ、同じ心理操作系でも全然正確違うのな」

心理「あら、自分だけの現実がそもそも違うもの」

一方「けどよォ、白井と結標はそっくりだぜ」

黒子「だ、誰があんな露出狂ショタコンと一緒なんですの!?」

エツァリ「ひどい言い様ですね」

青ピ「あっはぁ!!露出狂もショタコンもえぇでぇ!!」

姫神「君は。少し黙ってて」

吹寄「はぁ・・・下品な会話」

小萌「青春なのですよー!」

美琴「・・・食蜂、お弁当は?」

食蜂「な、ない・・・」

美琴「・・・私達の、食べなさいよ」

食蜂「」ズッキューン

美琴「な、なんでそこでそんな効果音が入るの!?」

垣根「その時食蜂操折は気づいてしまった、御坂美琴の純粋な心に・・・そしてその瞬間彼女の体に電撃が走った、御坂美琴の能力とは違う、それでいて自分の自分だけの現実全てを揺るがしてしまうほどの電撃が」

美琴「ナレーションいらないわよ」



572 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 15:58:43.98 ID:V3CT/5J00
イン「もちろん、日本にいるんだよ!!」

ステイル「・・・僕も、なぜかここにいる」

神裂「・・・私もです」

そーいやインデックスは?
英国なのか?


イン「最近、私達の出番がないんだよ!!こんなんだから空気とか言われちゃうんだよ!!」

ステイル「・・・君は、花見なんかだと食費がかさばるからね」

神裂「そうですね・・・上条当麻の気持ちも、分からなくはないです」

イン「?」


建宮「女教皇様ー!!団子、買って来たのよなー!!」

五和「あと、お酒もありますよー!!」

対馬「はぁ・・・どうして私たちまで日本に・・・」

神裂「お帰りなさい、すいません・・・」

建宮「いいのよな、俺達だって花見を楽しみたい!!」

五和「桜は日本で見てこそですから!!」

イン「ビバ、日本人なんだよ!!」

ステイル「君はイギリス人だ・・・しかも、ビバは英語でもない」

イン「あ、そうだった」



573 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 16:03:40.79 ID:E/0YlLRpo
自分たちに娘息子ができたとして
こいつとは関わらせたくねえな
もしくはこいつだったら嫁、婿に出せるなってやついる?
574 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 16:33:31.69 ID:V3CT/5J00
上条「あぁ、もちろんいる」

自分たちに娘息子ができたとして
こいつとは関わらせたくねえな
もしくはこいつだったら嫁、婿に出せるなってやついる?


一同「娘だったら一方通行には関わらせない」

一方「」

垣根「そうだな・・・娘だったら、上条くらいになら嫁に出してもいいかな」

上条「え、俺?」

垣根「真面目だし、優しいからな」

心理「息子だったら、黒子には出してもいいわよ」

黒子「あら、嬉しいですわね・・・」

上条「娘なら・・・俺は、削板に出すかな」

エツァリ「あぁ、それは自分もですね」

削板「ははは!俺は黒子一筋だけどな!!」

テクパトル「・・・娘も息子も、誰にだって構わないけどな」

19090「本人が愛した人と一緒なら、それがいいですよね」

一方「・・・息子ならオリジナルにくれてやってもいいかな」

番外「それか、お姉様の子供とかに」

美琴「それ・・・いとこ同士の結婚じゃない」

垣根「ギリギリセーフなんだよ」

ショチトル「わ、私は息子でも娘でもいいけど?」ハァハァ

一同「黙れ」



575 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 16:34:37.69 ID:gQLa6szFo
春をテーマに一句
576 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 16:37:42.73 ID:V3CT/5J00
上条「・・・てかさ、垣根と心理さんって・・・子供出来たら名前は何にするんだ?」

垣根「あぁ?そうだな・・・」

美琴「・・・心理定規、名前は?」

心理「だから、私には戸籍なんてないわよ」

黒子「ですが、結婚するなら戸籍を作らなければなりませんの」

心理「知らないわよ、心でいいんじゃない?」

黒子「垣根心・・・なんか、微妙ですの」

心理「こころちゃんよこころちゃん、最近流行りのくっだらない名前に乗っかってみるのよ」

吹寄「地味に社会批判ね・・・」

心理「それか、麗ね」

土御門「麗?なんでだにゃー?」

心理「麗しいのよ、その漢字が私一番好きだもの」

上条「まぁ・・・れいならいいかもな」

美琴「・・・なんか、別のレイを思い出すわね」

垣根「若干キャラも被ってるからな」

食蜂「私が死んでも代わりはいるもの・・・」

垣根「お前は、お前しかいないんだよ!!」

一方「いいぜェ、お前がもしも自分の代わりがいるなンていう悲しい幻想を抱いてるなら!!」


垣根・一方「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!」


垣根「決まった・・・」

一方「俺も今日からヒーローだぜェ・・・」

19090(MNWは正常ですね、よかった)



577 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 16:44:46.79 ID:V3CT/5J00
上条「春か・・・」

春をテーマに一句


上条「桜咲く・・・桜咲く・・・桜咲く、季節にお前はもういない」

垣根「何があったんだよ」

美琴「散る花に、寂しさ覚える、春の色」

垣根「えー、無難すぎる」

心理「舞い散れど、君には届かぬ、思いかな」

垣根「うーん・・・」

一方「この花に、名前をつけて、あげましょう」

垣根「ふざけんな」

黒子「木漏れ日を、浴びて飲むのは、桜酒」

垣根「・・・別に桜じゃなくてもいいんだぜ」

ショチトル「あぁ痛い、違うのそこは、別の穴」

垣根「てめぇ・・・」

姫神「・・・春よ来い。願いを掛ける。あの空に」

垣根「・・・なんか、違う」

エツァリ「もうダメだ、誰かの桜を、散らせたい」

垣根「消えろ変態・・・」

吹寄「じゃあ、垣根が詠みなさいよ」

垣根「俺か?春の朝、桃の灯りが、目に痛い」

上条「お前もダメじゃねぇか・・・」



578 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 16:50:40.94 ID:V3CT/5J00
垣根「てかさ、俺は五七五でこの美しさを表現するのは無理だと思う」

上条「そこを昔の俳人は詠んだんだよ・・・」

垣根「鶯よ、春を呼んだは、君の声、とかでもいいんだけどさ」

美琴「あ、それ結構まともじゃない?」

垣根「でもよ、そうやって恋と春をかけるのはもうベタなんだよ」

エツァリ「そこで、桜を純潔とかけたんですよ」

垣根「お前は黙ってろ」

テクパトル「・・・咲けなけりゃ、酔いしれることも、無き春よってか」

垣根「・・・てめぇ、地味にさらっと詠むな」

テクパトル「でもさ、桜がやっぱり思いつくよな」

上条「日本人じゃなくても・・・な」

19090「・・・そうですね、やはり桜を詠まなければ」

小萌「桜より、団子とお酒と、酒の華!!なのですよ」

上条「アンタ・・・おばさんみたいなこと」

小萌「上条ちゃん、もう一回言ってください」

上条「先生は今日も可愛いなぁ!!」

美琴「な・・・アンタ!!浮気するつもり!?」

上条「ち、違うってば!!!」



579 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:01:24.80 ID:0+tqXmKAO

宝クジが当たったらパーッと使っちゃう系と貯めておく系があると思いますが皆はどちらに当てはまるでしょうか
580 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:03:22.44 ID:lWSrs1nTo
>>567
テっくんとショチトルのセリフが混ざって
テクパトル「ふえぇ……」 に見えた死にたい
581 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:07:15.91 ID:V3CT/5J00
上条「うーん・・・」

宝クジが当たったらパーッと使っちゃう系と貯めておく系があると思いますが皆はどちらに当てはまるでしょうか


上条「俺は、ぱーっと使うかな」

垣根「あれ、意外だな」

上条「ずっと貯めておくとさ、まだ残りがある、まだ残りがあるって長期的に使っちゃうだろ?」

心理「あぁ・・・中途半端に贅沢に慣れちゃうのよね」

上条「だから、一回でパーっと使って、いい思いでを作りたいかな」 

美琴「私もそんな感じ」

一方「俺はどォでもいいぜ、金なンて腐るほどにある」

垣根「俺は貯めるかな、必要なものを買うときのために」

心理「あら、一気に服を買いたいとか思わないの?」

黒子「いけませんの、将来のことも考えて貯めますの!!」

テクパトル「・・・税金は引かれるけどな」

ショチトル「ヤクザだよなー、税金って」

上条「義務だから仕方ありません・・・」

垣根「・・・でもまぁ、宝クジなんて買わないに限るよな」

小萌「それは、私に喧嘩を売ってると受け取っていいのですか、垣根ちゃん!?」

垣根「お前、買ったのかよ」

小萌「夢はハワイ旅行なのです!!」

姫神(私は。ぱーっと使いたい)

食蜂(・・・取り巻きのみんなに、何かご馳走してあげればいいかな?)



 
582 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:07:50.04 ID:Ir5psumDO
心理定規かわいい

と思っていたら、みさきちが出てしまった……

やっぱりみさきちの方がかわいいね
583 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:10:27.79 ID:V3CT/5J00
テクパトル「なんだそのシチュエーション」

>>567
テっくんとショチトルのセリフが混ざって
テクパトル「ふえぇ……」 に見えた死にたい


テクパトル「俺がふえぇ・・・って言うか普通」

ショチトル「私がふえぇ・・・って言ったら萌えるだろうけどな」

一方「あァ?しょっちゅう言ってそォだからンなことねェよ」

美琴「うん、言ってそう」

削板「ははは!!ふえぇ、か!!」

19090「テっくんが言ってると違和感が半端ないですね」

番外「ふえぇ・・・ねぇ、今のどう!?」

一方「ねェな」

吹寄「ふえぇ・・・なんか可愛い響きね」

青ピ「女の子が言ってたらたまらんなぁ!!」

心理「はぁ、くだらないわよあなた達」

垣根「・・・お前、言いたいんだろ」

心理「言わないわよ、そんな台詞」

垣根「そして、心理タソ、ふえぇ・・・って言ってというお便りが届くことに」

心理「ならないから」



584 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:12:25.00 ID:0kiYYKxlo
心理タソ、ふえェ……
585 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:12:51.55 ID:0kiYYKxlo
と言ッて!
586 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:14:09.84 ID:V3CT/5J00
食蜂「ふん!これが世間の声よ!!」

心理定規かわいい

と思っていたら、みさきちが出てしまった……

やっぱりみさきちの方がかわいいね


食蜂「やっぱり私が一番!!」

垣根「あぁ、そうですね」

食蜂「やった・・・やった、操らないでも私のことをよく言ってくれる人がいたんだ!!」ウルウル

美琴「そ、そんなに嬉しいの?」

食蜂「だって・・・お、男の人と会話することなんてほとんど無かったから・・・」

黒子「取り巻きの方には言われないのですか?」

食蜂「・・・それって、どうせ私に気を遣ってるんだって思っちゃうのよ」

吹寄「なんか・・・大変ね」

食蜂「だ、だからこうやって何もしないでも可愛いって言われるのが嬉しいのよ!!」パーッ

心理(ダメね、この子の可愛さには敵わないわ)

美琴(・・・でも、心理定規かわいいって最初は言われてるわよね・・・)

ショチトル(もはや可愛さの基準は心理定規・・・?)

さだのり(私、悔しい!!!)キーッ!!

エツァリ(誰ですか)



587 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:18:17.15 ID:V3CT/5J00
心理「・・・」

垣根「ははは!!マスコミのやり方と一緒なんだよ、ごり押しすればなんだって出来る!!つまらねぇクソみてぇな風潮も作り上げられるんだよ!!ははははははははは!!!」

一方「消されるぞ」

心理タソ、ふえェ…… と言ッて!


心理「言わないわよ、そんな台詞」

美琴「でも、ファンサービスしないと食蜂に人気取られるわよ」

心理「いいわよ・・・あの子、とっても喜んでるじゃないの」

黒子「そ、そうですが・・・」

心理「それに、万が一>>582さんが私のその言葉を聞いて気変わりしちゃったらどうするの?まぁそんなことはないでしょうけど、そうなったらあの子がとってもかわいそうじゃない」

垣根「お前・・・」

心理「なによ?」

垣根「優しいのな」

心理「そ、そう?」

垣根「・・・俺だったら、安直にお便りに応えて言ってたはずだ・・・そこまで食蜂のことを考えてやれるなんて、すげぇよ」

心理「あ、当たり前でしょ・・・私を誰だと思って・・・」

垣根「でもな、一つ言おう」


垣根「俺は、お前が一番可愛いと思ってる」

心理「ふ、ふえぇ!?」

美琴(垣根・・・)

黒子(このメルヘン野郎最低ですの)



588 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:21:40.62 ID:gQLa6szFo
なぜか上条さんが真顔でふえぇ・・・と言ってるのが出て来てしまった俺はどうすれば・・・

LV5の女の子は皆かわいいなあ!!
ツンデレ美琴にヤンデレむぎのん、デレデレみさきち
最高じゃないか!!
589 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:21:54.16 ID:0+tqXmKAO

俺も心理定規さんが一番可愛いと思ってる
590 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:23:46.81 ID:lWSrs1nTo
一方通行に垣根、御坂に麦野

あれ?LEVEL5って半分以上がツンデレじゃね?
591 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:25:12.89 ID:DQvULVaQo
みなさんご一緒に









































ジャッジメントですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!
592 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:26:02.29 ID:gQLa6szFo
ジャッジメントですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!
593 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:30:58.27 ID:V3CT/5J00
上条「・・・ふえぇ」

垣根「あ、お前不幸なキャラだから似合ってるな」

なぜか上条さんが真顔でふえぇ・・・と言ってるのが出て来てしまった俺はどうすれば・・・

LV5の女の子は皆かわいいなあ!!
ツンデレ美琴にヤンデレむぎのん、デレデレみさきち
最高じゃないか!!


美琴「やったぁ!!可愛いって言われちゃった!!」パァッ

食蜂「わ、私も!!」キャッキャ

心理「あら、よかったじゃないの」

美琴「べ、別に当麻以外に可愛いって言われても嬉しくないんだから!!」

食蜂「えへへ・・・嬉しいなぁ」ニコニコ

ショチトル(あぁ、なんて可愛い二人なんだ)

垣根「・・・で?麦野がヤンデレ、かぁ」

一方「私はここまで捨てたぞ、ねェ・・・」

垣根「どうしてこんな怪物になっちゃったのかな?だっけ、それとも化け物?」

一方「まァババアなのには変わりねェよ」

垣根・一方「HAHAHA!!」


麦野「てめぇらぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


垣根・一方「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

上条「ど、どこからか原子崩しが!?」




594 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:33:36.63 ID:V3CT/5J00
心理「あら、ありがとう」

俺も心理定規さんが一番可愛いと思ってる


心理「でもね、あなたのほうが可愛いわよ」

垣根「誰に対して言ってるんだよ」

心理「ほら、こんなお便りをくれた素敵なファンの方に」

垣根「媚びるな媚びるな」

食蜂「・・・わ、私も・・・可愛いよね?」オドオド

垣根「あ、あぁ・・・可愛い・・・と思うよ?」オドオド

心理「なんであなたもオドオドしてるのよ」

美琴「・・・心理定規の人気の秘密は何なのかしら」

心理「さぁ、別に人気なんてなくてもいいわよ」

ショチトル「うわぁ、強者の余裕・・・」

19090「羨ましいです・・・」

姫神「ふふふ。私は一部のマニアにはうけるキャラ」

番外「ミサカもだね」

一方「お前はちげェだろ・・・」



595 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:35:48.26 ID:0kiYYKxlo
ミサワたんぺろぺろ
596 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:36:29.59 ID:V3CT/5J00
垣根「はぁ?」

一方通行に垣根、御坂に麦野

あれ?LEVEL5って半分以上がツンデレじゃね?


美琴「わ、私はツンデレなの?」

上条「言わずもがな」

一方「・・・俺はツンデレじゃねェだろ」

番外「いんや、ツンデレだね」

エツァリ「紛う事なきツンデレですね」

美琴「麦野さんも、たしかにツンデレかもね」

食蜂「ふーん・・・でもさでもさ、垣根は?」

垣根「俺ってツンデレか?デレデレじゃなくて?」

心理「あら、意外と素直じゃないじゃない」

垣根「じゃないが二回続くとめんどうくさいじゃない」

心理「・・・それに、どれだけあなたの本心を聞き出すのに時間が掛かったか」

垣根「・・・そりゃ、ツンじゃねぇだろ別に」

心理「ふふ、でもそれが分かったときは嬉しかったわよ?」

垣根「・・・ふん、うるせぇ」

一同(あ、ツンデレだ)



597 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:37:30.38 ID:CualMd0oo
自分は高一なんですが最近人を好きになるというものがなんなのか本当にわからなくなってしまいました。

外見がかわいい?性格が好み?一緒にいて落ち着く存在?

教えてくれると助かりまする!
598 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:39:38.85 ID:V3CT/5J00
上条「ジャッジメントですのぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

黒子「ジャッジメントですの!!」キリッ

垣根「ジャッジメントですの!!」

一方「黒子ですの!!」

エツァリ「テクパトルぅぅうううううううううう!!!!!!!」

テクパトル「さて、お便りの紹介だ」

心理(あ、進めるのね)


ミサワたんぺろぺろ


番外「ミサワ?番外個体の略はミサワだよね?」

一方「・・・ふざけンな、ペロペロしたらてめェぶち殺すぞ」

美琴「・・・あ、もしかして地獄のミサワのほうじゃない?」

一同「・・・あぁ・・・」

上条「あ、あれをペロペロか?」

青ピ「どんな変態なんやろ」

土御門「いや、このお便りはあくまで番外・・・」

一方「汚いものを舐めたらいけませン」

垣根(すまねぇミサワ・・・俺は、アンタの書く絵がカッコカワイイと思ってるぜ)


599 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:39:43.52 ID:lWSrs1nTo
心理定規の人気は>>1の実力だよね
原作だとほとんど出番なかったからクールなことくらいしかキャラが分からないし
そんな心理定規をここまで可愛いキャラに出来たのは凄いと思うよ
600 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:45:12.48 ID:V3CT/5J00
垣根「そうだなぁ」

自分は高一なんですが最近人を好きになるというものがなんなのか本当にわからなくなってしまいました。

外見がかわいい?性格が好み?一緒にいて落ち着く存在?

教えてくれると助かりまする!


垣根「好きってのは、時と場合によるもんだ」

垣根「可愛いから好きになることもある、性格がいいから好きになることもあるし落ち着ける相手がいいときもある」

垣根「別に好きに答えなんてないんだよ、分かる分からないではなく答えなんてないもんだ」

垣根「食べ物が好きなのと一緒で、美味しいから好きなのか見た目が好きなのか高級感があるから好きなのか」

垣根「・・・理由は様々だ、だからお前がどういう人間を好きになるか分からないしお前の好きの形さえ分からない」

垣根「・・・ただな、別に人を好きにならなくてもいいと思うぜ」

垣根「人生なんてあっという間だ、たかだか80年程度のもんさ」

垣根「人間、骨になって土の中にいる時間のほうが果てしなく長い」

垣根「だったらわざわざ、生きている間に悩みまくる必要はないんだ」

垣根「友達がいるならそいつといればいい、一人が好きならお前はその一人という空間が好きなんだ」

垣根「無理して好きになったって、それはただの枷にしかならない」

垣根「人を好きになるってどういうことなのか悩む必要は無い、もしも好きだと思える人が出来て、それをどうやって伝えようか迷ったら・・・またお便りを出してくれ」

垣根「ちなみに>>1は目下サトリナに夢中だ」

垣根「結局、好きなんて突然生まれる感情なのさ」




601 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:49:14.10 ID:V3CT/5J00
垣根「あぁ、そういえばお前ってほとんど出番ないしな」

心理「でも2巻に出てるわ、15と19」

上条(こ、このネタはいいのか!?)

心理定規の人気は>>1の実力だよね
原作だとほとんど出番なかったからクールなことくらいしかキャラが分からないし
そんな心理定規をここまで可愛いキャラに出来たのは凄いと思うよ


垣根「・・・いやいや、違うんだよ」

垣根「見た目が可愛いと分かった瞬間から、すでにそのキャラは可愛いことになる」

垣根「たとえば心理定規が・・・」


心理「え、えっと・・・その、これ・・・バレンタインのチョコ・・・なんですけど・・・せ、精一杯あなたのために作りました!!」


垣根「って言おうが」


心理「別にアンタのために作ったんじゃないわよ!!パパに作った分が余っただけ!!」


垣根「って言おうが」


心理「・・・チョコ・・・さ、失敗しちゃったんだけど・・・ちょっと苦いのでいいんだったら、アンタにあげる」


垣根「って言おうが可愛いんだ」

垣根「結局、見た目が可愛ければ万能なのさ」

垣根「そして、人は内面が分からない以上外見でしか判断できない」

垣根「まずは、外見が可愛ければいいんだと思う」

垣根「・・・いや、外見だけが可愛ければいいってわけじゃないからな」



602 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 17:50:37.61 ID:2GB8lJ7b0
心理タソ かわいかったよ!!
もう一回言って!!
603 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:51:23.48 ID:2GB8lJ7b0
すいませんsage忘れました
604 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:53:29.49 ID:V3CT/5J00

心理「・・・にしても、花粉が気になるわね・・・」

垣根「はぁ?あれから花粉症、なってないだろ」

心理「えぇ、不思議なことに・・・でも耐性が出来たわけじゃないわよね」

垣根(・・・俺が未元物質の膜張ってやってるからだよ)

心理「・・・ねぇ、もしも私がまた花粉症になったら・・・」

垣根「ならないって、もう」

心理「・・・そうね、そうよね」

垣根「・・・」


垣根「・・・花粉症になったら、また薬せがんでやるって」

心理「あら、ホント?」

垣根「・・・でもめんどくさいんだぜ、あの冥土返しに頭下げるの」

心理「わざわざ頭まで下げたの?」

垣根「・・・まぁな、俺の頭一つでお前の体調がよくなるなら悪くないだろ」

心理「ふふ・・・だったら、あなたが花粉症になったら私が優しくしないとね」

垣根「・・・そうかよ」


垣根(・・・未元物質の膜・・・解除しようかな)



605 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 17:57:52.38 ID:V3CT/5J00
垣根「よーし、言ってみようか!!」

心理「いやよ」

心理タソ かわいかったよ!!
もう一回言って!!


心理「大体ね、私はそういう不思議系キャラを目指してないの」

垣根「でもさ、可愛かったって」

心理「だから、そういうのは食蜂さんに言わせなさい」

食蜂「ふえぇ!?」

心理「ほら、これで満足でしょ?」

垣根「・・・」

心理「な、なんでジト目で見てくるのよ」

垣根「やっぱり、お前のほうがいいな」

心理「!そ、それは・・・ダメだってば」

垣根「お前のほうが可愛い」

心理「な、なに言ってるのよ・・・もう乗せられないわよ」

垣根「なぁ、言ってくれってば」キリッ

心理「あ、あ・・・」カァッ


心理「ふ、ふえぇ・・・」

垣根(これで満足か>>602よぉ!!俺は満足だぜぇ!!!!)



606 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 18:03:26.87 ID:Ir5psumDO
みさきちが可愛くて生きるのが辛い
みさきちー受験勉強してる俺を励ましてくれー
607 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 18:11:51.34 ID:V3CT/5J00
食蜂「やったぁ!!私の時代が来たわよ、みこ・・・御坂さん!!」

美琴「名前で呼ぼうとしたでしょ」

みさきちが可愛くて生きるのが辛い
みさきちー受験勉強してる俺を励ましてくれー


食蜂「おほん!!」

食蜂「受験に成功したら!!あなたのみさきちが精一杯の魅力を振り絞ってご奉仕しちゃうぞ☆」

垣根「うっわー、媚びてるぅ」

食蜂「いいじゃない、私のファンみたいだしぃ」

垣根「そんな君に朗報だ、とある科学の超電磁砲、7巻のスペシャルサンクスでみさきちがパンモロを披露している」

心理「もちろん、冬川さんが描いている訳じゃないけどとても可愛い仕上がりになっていたわ」

垣根「それを見て、受験勉強頑張ってくれよ」

食蜂「ちなみに!!落ちたらバツとして私の愛玩奴隷だぞ!!」

垣根「それはそれでご褒美なんじゃねぇの」

食蜂「えぇ・・・」


608 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 18:14:14.37 ID:2GB8lJ7b0
まだだ!
まだ足りない!!
あっといっかい!! あっといっかい!!
609 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 18:18:45.32 ID:2xefJn6N0
このSSには時間軸は存在しているんですかね?

もし、存在してるならもうそろそろ美琴タソは高校生なのでは?


アレイさん! 教えてください
610 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 18:21:06.06 ID:V3CT/5J00
心理「ちょっと、いい加減にしないと怒るわよ」

垣根「そうやって怒るお前もまた可愛いの」

心理「・・・」

まだだ!
まだ足りない!!
あっといっかい!! あっといっかい!!


心理「はぁ・・・しないわよ、もう」

垣根「えー」

美琴「ふえぇ!?」

ショチトル「ふえぇ!?」

19090「ふえぇ・・・」

姫神「ふえぇ」

黒子「ふえぇですの!!」

番外「ぎゃはは!!ふえぇふえぇ!!」

食蜂「ふえぇ・・・」

吹寄「はぁ・・・ふえぇ」

小萌「ふえぇなのですよ」

心理「・・・言っておくけど、私はしないから」

垣根「・・・しろよ、最後の一回だ、これ以上はもうないからな」

心理「・・・分かったわよ」


心理「ふえぇ・・・」ウルウル

垣根(ひゃひゃひゃ!!こりゃ録音成功だぜぇ!!)



611 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 18:24:59.97 ID:V3CT/5J00
アレイ「存在しない、それが答えだ」

このSSには時間軸は存在しているんですかね?

もし、存在してるならもうそろそろ美琴タソは高校生なのでは?


アレイさん! 教えてください
 

アレイ「そもそも時間というのは曖昧な定義なのだよ」

アレイ「一年が365日、それはなぜか」

アレイ「太陽の周りを地球が回るから?では一日はなぜ24時間なのか」

アレイ「自転に24時間が掛かるから」

アレイ「では、なぜ1分は60秒なのか、一時間は60分なのか」

アレイ「なぜ自転を一日の基準と決めたのか、公転を一年と決めたのか」

アレイ「所詮、時間軸というのは人が生み出した不定形、アモルファスなのだよ」

アレイ「人間の一生を一日に例えることもあれば、たった一日を一生に例えることもある」

アレイ「時間など曖昧だ、もしかしたらすでに全員は成長しているかもしれない・・・」

アレイ「しかし、実際にはこれら全てが一日の中の出来事なのかもしれない」

アレイ「ふふ・・・人間の存在という曖昧なものが、時間軸という不定形の波に収まると思うかね」

アレイ「・・・つまり、時間軸を考えるのがめんどくさいだけだ」

アレイ「・・・なんで花見呼ばれなかったんだろ」


612 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:10:15.62 ID:lWSrs1nTo
心理定規心理定規ってみんな言ってるけど俺は美琴の方が好きだよ
心理定規は最近キャラが崩壊してきてるし
心理定規は前のキャラの方が好きだったな
心理定規の何倍も美琴は可愛いよ!
早く胸が大きくならないかな〜って考えてる美琴も大好きだし
可愛いもの好きでちょっと子供っぽいところも大好きだよ
美琴のことがきになって毎日ほとんど眠れない
613 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:15:37.71 ID:2GB8lJ7b0
心理タソありがとう
もう満足だ
垣根ぇ!!その音声ファイルよこせぇ!!
614 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 19:41:47.94 ID:V3CT/5J00
美琴「よっしゃぁ!」

心理「あらあら」

心理定規心理定規ってみんな言ってるけど俺は美琴の方が好きだよ
心理定規は最近キャラが崩壊してきてるし
心理定規は前のキャラの方が好きだったな
心理定規の何倍も美琴は可愛いよ!
早く胸が大きくならないかな〜って考えてる美琴も大好きだし
可愛いもの好きでちょっと子供っぽいところも大好きだよ
美琴のことがきになって毎日ほとんど眠れない


美琴「でも・・・別に子供っぽいところってないわよね?」

上条「いや・・・ゲコ太好きだったり」

心理「あなた、動物見たら豹変するでしょ?子猫とか」

美琴「う・・・そ、それは」

垣根「胸が大きくなりたいのかよ、お前」

美琴「・・・そりゃ、ねぇ・・・」

一方「けどよォ、上条はオリジナルが大好きなンだろ?」

上条「あ、あぁ」

一方「だったらわざわざ変わる必要はねェンじゃねェのか?」

美琴「ど、どういうことよ?」

一方「今のお前だろうと、胸が大きくなったお前だろうと、大人っぽくなったお前だろうと子供のままのお前だろうと、上条は愛するンだ、ならくだらねェ悩みなンて捨てて、自分に少しは自信持てよ」

一同「・・・」

一方「あァ?なンだよ」

心理「あなた・・・意外といい人なのね」クスクス

一方「はァ?」


615 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:43:34.50 ID:ASgapgZDO
アレイちゃん、他のミサカと花見いけばいいんじゃないかな?
616 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 19:45:35.05 ID:V3CT/5J00
垣根「奪えるものなら奪ってみろ!!」

心理「やめなさいよ」

心理タソありがとう
もう満足だ
垣根ぇ!!その音声ファイルよこせぇ!!


心理「大体ね、あんなお便りがなかったらあんな台詞なんて一生言わなかったのよ?」

垣根「しかし!!言ったことに変わりは無い!!」

心理「はぁ・・・」

垣根「よこさねぇ!!これは俺だけの宝物なんだからな!!」

心理「どうでもいいけど、変なことには使わないでよね?」

垣根「な、何に使うんだよ・・・」

心理「私の弱みを握ってもいいことなんてないわよ?」

垣根「あ、そういうこと」

ショチトル「しかし・・・そのレコーダー、さっきからずっと画面が消えたままだな」

垣根「は?」

一方「・・・お前、それ再生ボタンじゃねェの?」

垣根「は?」

一方「録音ボタンじゃなくて、再生ボタン押したンだろ、よくある省エネモードってやつだろ、録音したものの再生中は画面の消費電力を・・・」

垣根「じゃ、じゃあなにか!?心理定規のふえぇは録音されてない・・・」

心理「ふふ、そうだったみたいね」

垣根「ふざけんな!!時間よ戻れ!!!」


617 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 19:48:47.19 ID:V3CT/5J00
アレイ「・・・私だってそれくらいは考え付いたんだよ」

アレイちゃん、他のミサカと花見いけばいいんじゃないかな?


アレイ「この手紙・・・さっき机の上に置いてあるのを見つけたんだ」

「アレイちゃんへ
   ミサカ達はテっくんの後を追います
   花見、お姉様も来るらしいので少し遅くなるかと思います
   冷蔵庫にカレーがあるので、チンして食べてください
   あと、花見には来たらダメですよ、いざこざが起きるので
   それでは                    10032号」   
   
アレイ「・・・どういうことだと思う?」

アレイ「つまり、留守番してろってことなんだ」

アレイ「・・・い、いいんだ・・・私は一人の生活など慣れている・・・」

アレイ「・・・誰にも話しかけられなくたって生きていける・・・」

アレイ「・・・は、花なんて見ても・・・何にもならない・・・」

アレイ「べ、別に泣いてないんだ・・・泣いてなんかいないんだ・・・」

アレイ「・・・」


アレイ「寂しいよぉ・・・」


618 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:49:32.03 ID:lWSrs1nTo
>>614
ごめん美琴

文が長くて分かりづらかったか、ちょっと斜めに読んで見てくれ
619 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 19:53:34.76 ID:V3CT/5J00
美琴「・・・ふえ?」

>>614
ごめん美琴

文が長くて分かりづらかったか、ちょっと斜めに読んで見てくれ


美琴「・・・心理定規大好き・・・ぃぃぃぃぃぃぃ!?」

心理「あら、気づかなかったわね」

垣根「俺はうすうす分かってたぜ、行を詰めてたし気になってた、の気が平仮名だったしな」

上条「・・・み、美琴さん?」

美琴「・・・」ズーン

上条「み、美琴ぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

垣根「しかし一つ言おう、心理定規を一番愛しているのは俺なんだ」

一方(俺の名言を返せ)

心理(というか・・・かなり手の込んだ犯行ね、>>614さんグッジョブよ)

番外(お姉様泣いてるよ・・・)

テクパトル(・・・>>614、ちょっと屋上に行こうか)

エツァリ(そうですね、さすがに御坂さんを泣かせることは許しません)

心理(>>614君、もしもあなたがこの二人に怪我させられたら、治療してあげるわよ)

垣根(今日も空が青いです)


620 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 20:02:34.78 ID:lWSrs1nTo
なんで>>1は自分を褒めて自分に怒ってるの?
621 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 20:03:47.71 ID:V3CT/5J00
>>620
 

  安 価 を 間 違 え た



それが、たった一つの真実です

622 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 20:10:53.76 ID:0+tqXmKAO

松岡修造って何であんなに熱いのだろう
623 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 20:20:10.81 ID:V3CT/5J00
削板「ははは!!そんなことは決まっている!!」

垣根(あぁ、暑苦しい)


松岡修造って何であんなに熱いのだろう


削板「人というのは何をするために生まれてきた!?なぜ太陽の下に生まれてきた!?」

削板「俺達は明日を生きるために生まれてきたんだ、今日を乗り越え明日に進むために!!」

削板「明日は一体どこにある、後ろか横か下か!?違うんだ、前にあるんだよ!!」

削板「手を伸ばせばそこにある、しかし決して掴むことはできない、それが明日だ!!」

削板「俺達は後ろを向きながら走ることは出来ない、走るんなら前向きだ!!」

削板「明日を目指せ、太陽に向かって走れ!!」

削板「その太陽の輝きを浴びれば、人は自然と熱い人生を送れる!!」

削板「周りが冷めていれば冷めているほど、人はそれに耐え切れずに自分が熱く生きようとしてしまう!!」

削板「愚かだ馬鹿だ、愚直だ単純だ!!だがそれゆえに!!!」


削板「俺は、そんな男に・・・いや、漢に憧れる!!」ドーン!!

黒子「さ、さすがですの!!!」

美琴(・・・心理定規大好き・・・)ズーン


624 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 20:26:52.35 ID:lWSrs1nTo
上条さんは美琴のことが1番大好きなんだろ?
自分の好きな人が自分を一番に思ってくれてるならそれでいいじゃん
俺らがどう思ってようと美琴の好きな上条さんは美琴が1番なんだよそれでいいじゃん
だから落ち込む必要ないよ!


という訳で俺は悪くない
625 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 20:38:59.22 ID:V3CT/5J00
美琴「ふんにゃぁぁぁぁ!!!!」

上条「うわぁぁ!?」

上条さんは美琴のことが1番大好きなんだろ?
自分の好きな人が自分を一番に思ってくれてるならそれでいいじゃん
俺らがどう思ってようと美琴の好きな上条さんは美琴が1番なんだよそれでいいじゃん
だから落ち込む必要ないよ!


という訳で俺は悪くない


上条「うーん・・・そうだよな、その通りだ」

美琴「だって・・・」

上条「・・・それに、さ」

美琴「う、うん」

上条「お前がみんなに可愛いって言われて喜んでたら・・・俺、ヤキモチ妬いちゃうかもしれないしさ」

美琴「」ズキューン


美琴「ふんにゃぁぁぁぁ!!!」

上条「な、なんだよ!?」

美琴「と、当麻大好き!!」

上条「あ、あぁ・・・?」

一同(・・・甘いぜ上条当麻・・・)


626 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 20:40:36.59 ID:2xefJn6N0
超電磁砲7巻に削板サン出てたね
予想を遥か斜め上を行きすぎてるイケメンで、めちゃくちゃビックリした


そうそう垣根さん
アレイスターが肉体を再び手に入れたの知ってます?
627 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 20:51:00.54 ID:V3CT/5J00
垣根「俺とかも一応は出てたな」

心理「私もね」

超電磁砲7巻に削板サン出てたね
予想を遥か斜め上を行きすぎてるイケメンで、めちゃくちゃビックリした


そうそう垣根さん
アレイスターが肉体を再び手に入れたの知ってます?


削板「そうか!!イケメンだったか!!」

黒子「男前でもありますの」

垣根「なんかちょっとワイルドっぽい口元だったしな・・・ってなにぃ!?」

心理「なによ」

垣根「アレイスターの野郎・・・もとに戻ったのかよ!?」

テクパトル「あぁ、元気だぞ」

垣根「てめぇ!!俺の作った冷蔵庫はどうした!?」

テクパトル「いや・・・取ってるけど、便利だし」

垣根「ならいいや」

一同「いいのかよ」


628 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 20:59:54.42 ID:lWSrs1nTo
妹達の様子も見てみたい

主に17600号とか17600号とか17600号とか
629 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 21:08:04.95 ID:V3CT/5J00
17600「こちらスネーク・・・19090号とのMNWでのリンクを試みている」

妹達の様子も見てみたい

主に17600号とか17600号とか17600号とか


17600「・・・仕方ない、特別にお見せするとしよう・・・」

御坂妹「す、少しペースを落として走ってください・・・」ハァハァ

20000「あっはぁ、早すぎるよ相棒・・・」ハァハァ

17600「たるんでいるぞ、諸君」タッタッタ

10039「そ、それで・・・19090号とのリンクは?」

17600「ダメだな・・・あいつ、恐らくリンクを切ってやがる・・・芳川研究員に頼んでつけてもらったはいいが、こういうときに困る機能第一位だな」

14510「はぁ・・・ちょ、ちょっと休みませんか?テっくん達がいる場所もまだ特定は・・・」

17600「なに、近場で桜の綺麗に見える、なおかつ大人数の集まれる公園なんて3つしかない」

10033「そ、それを虱潰しというのは・・・」

17600「たしかに効率が悪い、ミサカだってテっくんやお姉様に一刻も早く会いたいが・・・仕方ないんだ」

ミサカ一同「・・・」

17600「ん?なんだ、そんな顔して」

10033「お姉様より先にテっくんが来るんですね」

17600「」ドキッ

御坂妹「なんだかんだ、17600号も女子でしたか・・・」

17600「・・・訂正しよう、お姉様とテっくんに会いたいんだ」

ミサカ一同(素直じゃないなぁ・・・)



630 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/21(水) 21:24:13.62 ID:V3CT/5J00
今日はここまで

花見、行きたいなぁ・・・まだ季節じゃないけど

超電磁砲の心理定規可愛すぎてやばい

筋肉動画はメルビンさん、2008年のゲストポーズ

http://www.youtube.com/watch?v=5WysvfFSWW0 2分10秒辺りから本番

ボディビルは、アメリカではわりとメジャーなスポーツですが・・・それでも、他のスポーツと比べるとマイナーなんです

そのため、世界トップの大会であるミスターオリンピアの優勝賞金さえ、たった「2000万」ほどなんですね

正直、世界トップを決める大会の優勝賞金にしたら些細なものに感じるでしょう

しかし、一度でもミスターオリンピアになればサプリメント会社や、マッチョ御用達の服の店など、様々なスポンサーがつきます

そりゃ、あれほどの筋肉の持ち主が「ここの会社のサプリ、使ってるんだよねぇ」とか言ったら飲みますよ

あともう一つの稼ぎ方は、地方の大会などで、選手としてではなくゲストポーザーとして出場すること

もちろん、審査されるわけではないため絞る必要もなく、またフリーポーズもやりたい放題です

特に、メルビンやカイなど、ダンスを得意とするビルダーとロニー、ケビンやジェイのような超人気のあるビルダーは、ゲストポーザーとして重宝されます

そういうので稼げば、ビルダーとしてだけで「億単位」の年収を稼げるらしいです

ですがこのレベルになれるのはほんの一握り・・・

そこで活躍する日本人、山岸秀匡選手には脱帽ですね


ではおやすみなさい


メルビンさんのあのくるっとターン・・・どういう動きなんだ、あれは



631 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:24:58.06 ID:2xefJn6N0
お疲れ様ですー
632 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:25:37.95 ID:2GB8lJ7b0
乙なのですよー
633 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:46:44.16 ID:Ir5psumDO
>>1乙である。
634 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:49:07.60 ID:lWSrs1nTo
この時、>>1が日本を代表するビルダーになるとは、まだ誰も予想していなかった


>>1ってまだ学生だったよね?
なら今から鍛えれば可能性はあるよな
635 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:59:02.18 ID:4s7wsZLf0
乙ですの!
636 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 00:51:39.87 ID:6ACVxP3go
乙!
637 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:52:23.83 ID:yrgka/2B0
>>634 いや、才能の問題もありますし、何より薬物の副作用は怖いのなんのwww


心理「ねぇ、垣根」

垣根「なんだよ?」

モグモグと団子を頬張りながら垣根が心理定規を見つめる

心理「・・・ちょっと、いいかしら」

垣根「はぁ?みんな今花見・・・」

心理「分かってるけど・・・いいでしょ、少しだけ」

垣根「なんだよ・・・」

めんどくさそうに垣根が立ち上がる

吹寄「どこか行くの?」

垣根「あぁ、ちょっとな」

土御門「はぁ、羨ましいぜぃ」

垣根「何がだよ・・・」

心理「ちょっと、早く早く」

垣根「分かってるって・・・じゃあ、ちょっと席外すな」

青ピ「ごゆっくりなー」


垣根「・・・なぁ、なんだよ」

桜並木の間を二人は歩く

他のみんながいる場所から、かなり離れてしまった

遠くにかろうじて確認出来るが、何をしているかまでは目を凝らさない限り見えないほどに



638 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:52:59.77 ID:yrgka/2B0
垣根「・・・おいって」

心理「ふふ、ちょっとあなたと二人きりになりたかっただけなのよ」

垣根「はぁ?」

心理「・・・もちろん、みんなといるのも楽しいんだけどね」

垣根「それだけか?」

心理「・・・えぇ」

垣根「・・・そうか」

頬を掻いてから、垣根がベンチを指差す

垣根「座ろうぜ、桜を見るには立ったままってのもなんだしさ」

心理「そうね」

二人がベンチに腰掛ける

ギシ、と少しだけ軋んだベンチに体重を預ける

垣根「・・・いいな、桜って」

心理「日本人の心ですもの」

垣根「・・・それに、愛情に似てるからさ」

心理「愛情に?」

垣根「あぁいや・・・愛情の答えなんて分からないけどさ、一度華々しく咲いたとしても・・・すぐに散ってしまう、愛情って多分そんなもんじゃないかなってさ」

心理「詩人ね」

垣根「悲しい詩だな、だとしたら」




639 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:53:34.55 ID:yrgka/2B0
心理「・・・ねぇ、膝枕してもらっていいかしら」

垣根「なんだよ、眠いのか?」

心理「違うわよ」

垣根「・・・冗談だよ、ご自由に」

心理「ありがとう」

垣根が膝を揃える

といってもピッタリくっつけたわけではないが

心理「・・・あなたの膝って、なんだか落ち着くわ」

垣根「普通逆だろ?男が女にしてもらうもんなのによ」

心理「・・・ここからの景色が大好き」

垣根「空が見えるからか?」

心理「もっと素敵なものが見えるの」

垣根「・・・」

心理「あなた、あなたの瞳が見えるんですもの」

垣根「・・・同じ景色が見えてるんだよな」

心理「お互い、愛してる人の瞳が見えるのよね?前も言ってたわよ」

垣根「・・・心理定規、愛してる」

心理「私も」



640 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:54:18.14 ID:yrgka/2B0
垣根「・・・こうやって、お前と普通の日常を送るのが夢だったのかな」

心理「夢だったら覚めちゃうもの、そんなのはイヤよ」

垣根「正夢だったんだよ」

心理「あら素敵」

垣根「・・・心理定規、お前が叶えてくれた夢だったんだよ」

心理「・・・違うわ、私達が叶えた夢よ」

垣根「あぁ・・・そうだな、そうだよ」

笑いながら、垣根が心理定規の髪を撫でる

一体どんなトリートメントを使っているのか、それを知りたくなるほどに柔らかな髪の毛だ

指の隙間からスルスルと逃げてしまう

心理「綺麗でしょ、私の髪」

垣根「でも金髪にしてる理由が分からないな」

心理「ちょっとしたオシャレよ、あなただって茶髪じゃない」

垣根「・・・そうだけどさ」

心理「・・・子供の頃からずっとなの、憧れていたアメリカの女優さんが金髪だったから」

垣根「へぇ、憧れてた女優か」

心理「・・・その人の真似をして、高いブランドも調べたりしたわね」

垣根「だからお前はオシャレなんだな」

心理「・・・でもね、私はその女優さんにはなれなかったの」

垣根「・・・そうか」



641 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:54:53.51 ID:yrgka/2B0
心理「・・・なれなくてよかったわ」

垣根「なんで?子供の頃からの憧れだったんじゃねぇのかよ」

心理「女優なんかになったら、あなたとの素敵な恋はなかったのよ?」

垣根「・・・」

心理「だったら・・・だったら、女優にはなれなくていい、あなたと一緒にいたいから」

垣根「・・・お前は俺が知ってるどんな女優よりも美人だよ」

心理「ふふ・・・ありがとう、あなたに言われると喜びが格別ね」

垣根「・・・俺は、さ」

心理「えぇ」

垣根「ガキの頃から空を見るのが好きだった」

心理「どうして?」

垣根「・・・綺麗だろ、雲が浮かんでいて、その晴れ間から青が見えて、真ん中には太陽がある」

心理「・・・」

垣根「それなのに、夜になれば闇に溶ける・・・それも、月や星が浮かんでいる、どこか悲しげな闇に」

心理「・・・子供の頃から、そんなロマンチックだったのね」

垣根「いや・・・リアリストだったのさ」

心理「?」

垣根「人間も同じだと分かっていた、結局いつかは闇に紛れて・・・わずかな光に頼ることしか出来ず、ただ次の朝を待つしか無くなる、そんな存在だってことが」

心理「・・・ロマンチックじゃない」



642 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:55:24.83 ID:yrgka/2B0
垣根「・・・だからさ、空を見上げれば・・・俺も同じなんだって感じることが出来た」

心理定規が空に向かって手を伸ばす

掴むことは出来ない空に

垣根「・・・あんなに美しい空と俺は同じなんだ、だから俺だって・・・きっと」

心理「あの空と同じように、明るい存在でいられると」

垣根「あぁ」

心理「・・・私も、私もその憧れていた女優さんと同じ服を着れば、彼女みたいに愛される人間になれると思っていたわ」

垣根「だが実際は違った」

心理「・・・そんなのは悲しい幻想だったの」

垣根「気づいた時には、俺はもう夜を迎えていた・・・覚めることがないはずの、真っ暗な夜を」

もう一度、垣根が心理定規の髪の毛を撫でる

垣根「・・・でもな、俺の夜にも月は浮かんでいたんだ」

心理「私を物語のヒロインにしてくれる、素敵な男優がいたの」

垣根「他の誰も照らせないほどちっぽけでも・・・俺だけをいつも照らしてくれたお前が」

心理「不器用で素直じゃないけど、私をいつも守ってくれたあなたが」

垣根「・・・愛情なんて滑稽なもんだ、ただ寄り添い縋り付くだけだからな」

心理「いいじゃない・・・そうしていれば、あなたの温もりを感じられるでしょ?」

垣根「あぁ・・・そうだ」



643 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:56:09.55 ID:yrgka/2B0
心理「・・・垣根、キスしてちょうだい」

返事の代わりに、垣根が心理定規の唇を奪う

桜の香りが少しだけくすぐったい

心理「・・・私は、あなただけが欲しかった」

垣根「俺もだよ、お前さえいてくれたら俺はもう何もいらねぇ」

心理「・・・わがままね、ずっと一緒にいろなんて」

垣根「わがままだろ?人間は昔から、綺麗なものを逃したくはないもんだからな」

心理「あら・・・私が歳を取ったら捨てられるのかしら」

垣根「アホか、美しいのはお前が俺に向けていてくれる感情だよ」

心理「・・・それが色褪せない限り、あなたは私を欲してくれるの?」

垣根「あぁ・・・ずいぶんお前を待たせたからな、これからは俺が抱きしめ続けてやるんだよ」

心理「・・・幸せ」

垣根「そんな言葉、簡単に口にするもんじゃねぇ」

心理「どういう時には言っていいのかしら」

垣根「・・・世界のもう何もいらないと思えるくらい、必要なものを手に入れて・・・その何かのためになら命を張れるほどになって、それでその何かがお前から逃げなければ言っていいかな」

心理「だったら、今も言っていいのよ」

垣根「・・・バーカ、これからもっと幸せにしてやるんだ、今のだけで満足するんじゃねぇよ」

心理「あら、どんなことをしてくれるのかしらね」

垣根「・・・う、うるせぇな・・・」



644 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:57:06.10 ID:yrgka/2B0
心理「なによ・・・!な、変なこと想像してないでしょうね・・・!?」

垣根「してねぇよ!でもいつかはそうなるだろうが!」

心理「・・・い、いいわよ・・・もう」

心理定規がそっぽを向く

垣根「・・・なぁ」

心理「・・・なに?」

垣根「お前の髪に桜の花びらが乗っかってる」

心理「あら、取ってくれない?」

垣根「・・・似合ってるのにもったいないぜ?」

心理「・・・そう、ならもう少しこのまま」

垣根「でも足、痺れてきたんだけど」

心理「今起きたら桜の花びらが落ちちゃうでしょ?だからこのまま」

垣根「はぁ?お前なぁ・・・」

ため息をついてから、垣根が空を見上げる

眩しい太陽は、直視することなんて出来ない

垣根(・・・あぁ、そうか)


垣根(・・・俺が最近、空を見上げることが少なくなったのは・・・)




645 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:57:53.13 ID:yrgka/2B0


上条「・・・なんか、いい感じだなあの二人」

そんな垣根と心理定規を遠巻きから眺めていた上条がニヤニヤとする

美琴「うん、二人だけの世界って感じよね」

一方「・・・ずりィよな、自分達だけ逃げやがって」

番外「ミサカ達もしちゃう?愛の逃避行」

一方「いや・・・遠慮しとく」

削板「うーん・・・でも、抜け駆けってのはずるいよな!」

エツァリ「自分もショチトルと二人きりになりたいですよ」

ショチトル「嬉しいことを言ってくれるじゃないか」

19090「テ、テっくん!ミサカ達も・・・」

テクパトル「いやぁ、まさかこんなに酒に強いなんて・・・人は見た目によらないな」

小萌「先生は人生経験豊富な大人の女性なのですよ!」

テクパトル「・・・俺の知り合いは大抵酒が弱いから、少し嬉しいな」

小萌「お酌、するのですよ」

テクパトル「あぁ、すみません」

19090「・・・テっくん」

テクパトル「ん?お前はダメだ、酔うだろ」

19090「テっくん、ミサカを好きになったことから分かってましたが・・・あなたも若干ロリコンだったんですね・・・」

テクパトル「な、なんで泣きそうになってるんだよ!?違う違う!俺はただ酒飲み仲間として・・・」



646 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:58:20.25 ID:yrgka/2B0
19090「・・・ミサカを愛していますか?」

テクパトル「当たり前だろ!」

小萌「私は遊びだったのですね!?」

テクパトル「アンタは悪乗りするな!」

土御門「にゃー、賑やかだぜぃ」

姫神「・・・疲れる」

吹寄「そうね・・・あ、飲み物無くなっちゃった」

青ピ「ほんならボク、ちょっと買ってくるわぁ」

吹寄「いいの?」

青ピ「こんな中にいたらリア充爆発させたくなってまうやん」

肩を竦めてから青ピが立ち上がる

青ピ「すぐ戻ってくるから待っててなぁ」

上条「あぁ、悪いな」

青ピ「ええってええって」


フレンダ「ジャンケン!」

絹旗「ポン!」

滝壺「あ、むぎのの負け」

麦野「ま、待った!浜面、アンタ今後出し・・・」

浜面「してねぇよ・・・大体、みんな見てただろ」



647 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:59:02.52 ID:yrgka/2B0
フレンダ「麦野の負けー!ジュース買ってきてね!」

麦野「ちっ・・・なんで私が」

ゴーグル「お、俺も手伝いましょうか?」

麦野「いいわ・・・フレンダに嫉妬されそうだから」

フレンダ「そ、そんなこと・・・」

ゴーグル「・・・フレンダさん、麦野さんのこと大好きですからね」

絹旗「・・・」

浜面「・・・」

ゴーグル「な、なんで呆れたような表情なんすか」

フレンダ「・・・なんでもない訳よ」

麦野「じゃ、待ってなさい・・・あんまりお菓子食べるんじゃないわよ」

滝壺「うん」


青ピ「あぁ、だから今夜だけはー」

歌を歌いながら、青ピが辺りを見回す

ブルーシートの上に座っているのはカップル、カップル、カップル

ほとんどカップルばかりだ

会社の付き合いで仕方なく、という光景は学園都市ではほとんどない

何しろ会社の数自体が外と比べてかなり少ないのだから

青ピ「えぇなぁ・・・ボクも彼女がいたらなぁ」

肩を落としながら歩く



648 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 08:59:37.69 ID:yrgka/2B0
彼は別に、顔が悪いわけではない

ただその濃すぎるキャラクターのせいで損をしていた

青ピ「はぁ・・・一人でこの中歩くんは辛いなぁ」


麦野「・・・だったら、私が一緒に歩いてあげようか?」

青ピ「?あれ、麦野さんやんか、どうして・・・!まさか彼氏と花見に!?」

麦野「・・・私、彼氏いないから・・・友達と花見よ、しかも他は全員オス付きの」

青ピ「なんや、そうやったんか」

麦野「君は?」

青ピ「クラスメートと花見や、もれなく目の前でいちゃついてくれてるけどなぁ」

麦野「・・・たしか、垣根と同じクラスなんだっけ」

青ピ「あぁ、麦野さん垣根と知り合いなんやっけ」

麦野「まぁ・・・ちょっとね」

青ピ「・・・もしかして、垣根のこと好きやったりするん?」

麦野「なんであんなヤツが好きじゃなきゃいけないのよ・・・」

青ピ「違うん?」

麦野「・・・一時期、男友達を好きになったけど・・・そいつ、結局私の友達と付き合い出したから」

青ピ「なんや、かなり辛い状況やんか」

麦野「いいのよ、別に最初から期待してなかったから」

そんな会話をしながら、二人は桜並木を歩く

青ピ「でももったいないけどなぁ・・・麦野さん、めちゃくちゃ美人やん」

麦野「・・・見た目だけじゃないのよ」



649 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:00:19.45 ID:yrgka/2B0
青ピ「・・・でも、ほんま麦野さんって綺麗やん」

麦野「・・・おだてたって何も出ないわよ」

青ピ「でも、麦野さんは笑顔になれるんちゃうの?」

麦野「・・・美人なんて、今までも言われてきたわ」

青ピ「えぇなぁ・・・そういうの」

麦野「いいかしら?あんまり私は嬉しくないわ」

青ピ「なんでなん?」

麦野「美人、綺麗、美しい、アイドルみたい・・・全部外見ばかりを褒める言葉なのよ」

青ピ「ふーん」

麦野「ふーんってね・・・私はそういう外見ばかりで判断する人間って嫌いなのよ」

青ピ「ってことは、さっき美人って言ったボクのこともかいな」

麦野「あ・・・そ、それは違うんだけどさ」

青ピ「・・・やっぱり、麦野さんは美人さんやって」

麦野「・・・外見を褒めないで、あなたは今まで出会った男達なんかと・・・」

青ピ「中身のことやで?ボクが落ち込みそうになったらすぐフォローしてくれたやんか」

麦野「それは・・・」

青ピ「中身が綺麗やから、外見も綺麗になるんやて」

麦野「・・・君は」



650 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:01:16.43 ID:yrgka/2B0
麦野が顔をしかめる

外見だけで人を判断するな

それを教えてくれたのは浜面だ

スキルアウトの、ただの不良少年だった彼が

超能力者の麦野を変え、滝壺を守り通した彼が

見た目通りの人間ではなかった彼が、教えてくれた

麦野「あなたは、昔の私を知らないからそんなことが言えるのよ」

青ピ「昔の麦野さんかぁ・・・どんな人やったん?」

麦野「・・・飛び切りのクズだったわ、人を見下して、自分に自信を持ちすぎていて・・・気に入らないことがあれば怒りぶつけて、他人をすぐに傷付ける・・・」

青ピ「・・・」

麦野「・・・人を・・・殺したことだってあったわ」

ぽつり、と麦野が呟く

目の前の純粋すぎる青年には、恐らく辛い一言だろう

それが自分に対する償いでもあった

もしもこれで彼が自分を拒絶したら

やはり、昔の自分は世界から憎まれるべき存在だったのだから

青ピ「それで、麦野さんは何を思ったん?」

麦野「・・・は?」



651 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:02:01.28 ID:yrgka/2B0
青ピ「昔は、って言ってたやん、今は全然違うんやろ?」

麦野「そりゃそうだけど・・・」

青ピ「なんで変われたん?」

麦野「・・・変わりたかったから、みんなともう一度やり直すために」

青ピ「ほんならそれでえぇやんか」

麦野「・・・人殺しよ、私は」

青ピ「知ってるで、さっき言ってたもんなぁ」

麦野「なんで怖くないのよ」

青ピ「怖いわけないやん、ボク殺されるわけちゃうもん」

麦野「もしかしたら私があなたをこの場で・・・」

青ピ「もしかしたら、だったら、そんな可能性なんて溢れ返ってるんやで、この世界」

ビシリ、と青ピが麦野の顔を指差す

青ピ「そして、麦野さんはそんな可能性の中でベストのもんを選んだんや」

麦野「!」

青ピ「人殺しは悪いことや、それは誰だって分かる」

麦野「だ、だったら・・・」

青ピ「でもな、こんなこと言ったらおかしいのかもしれへんけど、今の麦野さんは人殺しなんて出来ないと思うんよ」

麦野「・・・」




652 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:02:42.25 ID:yrgka/2B0
青ピ「麦野さんが最後に殺したんは古い自分や、もう人殺しだった麦野さんはいないんやで?」

麦野「綺麗事よ、そんなの」

青ピ「綺麗事やで、綺麗すぎる言葉や」

麦野「・・・」

青ピ「でも、汚れた世界なら綺麗な言葉で埋め尽くしたいって思ってもえぇやんか」

麦野「君は・・・不思議ね」

青ピ「そうかな?全部適当に言ったことやけど」

麦野「・・・初めて会った時から変な男だとは思ってたけど」

青ピ「なんやそれ、傷付くなぁ・・・」

麦野「・・・ねぇ、青髪君」

青ピ「なんや?」

麦野「・・・私はさ、変われてるのかな」

青ピ「昔の麦野さんをボクは知らんもん、比べようが無いで」

麦野「・・・そうね」

青ピ「でもまぁ、今の麦野さんは最高の別嬪さんやから、変わったんやと思うわ」

麦野「・・・着いたわね、私はジュース買いに来たんだけど青髪君は?」

青ピ「ボクも飲み物買いに来たんよ」

麦野「そ、そう・・・じゃあ一緒に買う?」

青ピ「えぇの?」

麦野「もちろん」



653 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:03:30.05 ID:yrgka/2B0
青ピ「やったぁ!麦野さんみたいな美人さんと二人きりで買い物やって!夫婦みたいやんか!」

麦野「な、なに言ってるのよ・・・先行くわよ!」

青ピ「あぁ、待ってぇな!」



麦野(・・・なんなのよこいつ・・・見た目は平凡、なんか口調は似非関西弁だし・・・)

麦野(多分無能力者、しかもあんまり冴えてる感じもしない・・・)

麦野(あぁもう!だったらなんで私はこの子がいると少し落ち着いちゃうのよ!)

麦野(・・・浜面に昔抱いてたのと同じ・・・ってことは!?)

勢いよく麦野が振り返る

青ピは既に何本かジュースを手に取っていた

ご機嫌なのは、恐らく可愛い店員さんを見つけたからだろう

麦野(まさか・・・好きになっちゃったの!?こんな普通の男を!?)

青ピ「ん?どないしたん麦野さん?」

麦野「な、なんでもないわよ!」

青ピ「顔真っ赤やけど・・・風邪?」

麦野「違う!気にしなくていいから!」

青ピ「?」

麦野(!そんなに見るなってのぉぉぉ!)

青ピ「あ、麦野さんもしかしたらボクのこと好き?」

ニヤニヤとしながら青ピが尋ねる

核心を突かれてしまった

だから、麦野は素早く返した

人間の反射ってすげぇなと思うほどに

麦野「アンタみたいな変態を好きになるわけないでしょ馬鹿!」

麦野(しまったぁぁぁ!ついいつものくせで浜面に言う台詞を!てか青髪君は変態って決まったわけじゃ・・・)

青ピ「あっはぁ!美人さんに馬鹿って言われるなんて、しかも公衆の面前で!最高や、今日は最高の一日やでぇ!」

麦野「・・・」

麦野(あれ、もしかして・・・本当に変態・・・?)




654 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:23:29.60 ID:yrgka/2B0

浜面「滝壺、あーん」

滝壺「あーん」

浜面「美味しいか?」

滝壺「うん、美味しいよ」


フレンダ「あぁもう!!なんであーんを拒む訳よ!?」

ゴーグル「だってこんな人前で恥ずかしいでしょうが!!」

フレンダ「いいじゃんいいじゃん!!ゴーグルのケチィ!!」

ゴーグル「そんなに俺が悪いのか!?」


絹旗「・・・超うぜぇです」

絹旗は、一人で寂しくお弁当を食べていた

周りの仲間はイチャイチャしている

絹旗「はぁ・・・私だってイチャイチャしたいですよ、そりゃ・・・」

絹旗「・・そうですよ、ここに海原さんがいれば私だって!!!・・・なーんて・・・」


海原「お呼びでしょうか?」ニコニコ

絹旗「ひゃいいっ!?う、海原さん!?」」

海原「お久しぶりですね、絹旗さん」

絹旗「な、なななななななにゆえここに!?」




655 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:30:30.87 ID:yrgka/2B0
海原「いえ・・・最近、家の者と花見で忙しかったもので、ゆっくり桜を見る機会がなかったんですよ、ですので久々の休みに一人で花見ということです」

絹旗「そ、そうだったんですか!!」

海原「・・・絹旗さんはお友達さんとですか?」

絹旗「は、はい!!」

浜面「ん?絹旗、そいつ誰だよ」

絹旗「そいつ、なんて言わないでください!!海原さんですよ!!」

浜面「あぁ、アンタが海原さんか・・・俺は浜面仕上だ」

海原「海原光貴です、よろしくおねがいします」ニコニコ

滝壺「よろしくねうなばら、私は滝壺理后」

フレンダ「私はみんなのアイドル、フレンダな訳よ!!あーんしろ!!!」

ゴーグル「ゴーグルっす・・・しませんからね」

海原「ずいぶん賑やかですね」ニコニコ

絹旗「お、お恥ずかしい限りです・・・」

浜面(へぇ・・・絹旗って海原が好きなんだっけ)

滝壺(・・・爽やか)

フレンダ(・・・でも、どっかで見た顔な訳よ)

ゴーグル(・・・海原っていうと、たしか常盤台中学の・・・)


656 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:35:12.91 ID:yrgka/2B0
海原「・・・そうだ、みなさんと一緒に花見をしてもよろしいでしょうか?」

浜面「あぁ、もちろん!!」

滝壺「どうぞ」

海原「失礼します」

絹旗(う、海原さんが来ちゃいました!!どうしましょう!?)

ゴーグル(・・・絹旗さんがワチャワチャしてますね)

フレンダ(・・・イケメンすぎる訳よ・・・絹旗、よくこんな男捕まえたなぁ・・・)

ゴーグル(・・・常盤台中学の理事長の孫かなんかですよね、たしか)

フレンダ(・・・すっげぇ、爽やかすぎて眩しい訳よ)

ゴーグル(・・・ってことは、ロリコンなんでしょうかね)

フレンダ(でもなんでよりによって絹旗?)

海原「?あの、自分の顔に何かついてますか?」

フレンダ「あ、あぁ、違う違う!!」

ゴーグル「海原さんってアイドルにでもなれそうな顔だなぁ、って」

海原「あはは、そんなことを言ったら精一杯努力されているアイドルの方々に申しわけがありませんよ」

フレンダ(謙虚ぉぉぉぉぉ!!!)

ゴーグル(こりゃモテるでしょうね・・・垣根さんとどっこいどっこいじゃないっすか?)

滝壺(・・・うなばら、たきつぼ・・・海と滝・・・)

滝壺「・・・負けた」

海原「はい?」



657 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:44:37.88 ID:yrgka/2B0

上条「あ、帰ってきた」

美琴「お帰りなさい・・・」

青ピ「ふんふーん♪」

土御門「なんだにゃー、やけにご機嫌だぜぃ」

青ピ「えぇやんえぇやん、飲み物買ってきたから飲もうや!!」

上条「あ、あぁ」

姫神「・・・青髪君」

青ピ「姫やん、なに真面目な顔しとるん?」

姫神「君。もしかして彼女がいる?」

青ピ「はぁ?おらんけど」

吹寄「ど、どうしたのよ姫神・・・」

姫神「・・・香水の匂いがしたから、それも女物の」

上条「な、なんだって!?」

土御門「お前、まさか女の・・・」

青ピ「あぁ、ちゃうちゃう・・・さっき麦野さんにぱったり会ったんや」

美琴「麦野さんに?」

吹寄「・・・だ、誰?」コソッ

土御門「第四位の巨乳だ」

吹寄「な、なんで青髪がそんなすごい人と・・・」

土御門「知るかよ・・・」


658 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 09:50:27.59 ID:yrgka/2B0
上条「へぇ・・・麦野さんと買い物か」

美琴「・・・でも、麦野さんってそんなキャラだったっけ?」

小萌「?麦野ちゃんならあっちにいるのですよ?」

美琴「え、どこ?」

小萌「ほら、向こうの桜の木の下で花見しているのです!!」

上条「・・・み、見えない・・・」

テクパトル「・・・アンタ、視力いいのか?」

小萌「先生の体は衰えを知らないのです!!」

ショチトル「すごいな」

エツァリ「・・・あれは、アイテムの面々でしょうか」

番外「おっほー、浜面もいるじゃんか」

一方「・・・あァ?あれ、海原じゃねェのか」

エツァリ「!?な、なんで彼がここに!?」

黒子「あら、海原さんの・・・」

削板「ははは!!なんか、みんな花見しに来てるんだな!!!」

美琴「・・・・考えることは一緒なのね」

19090「そうですね・・・!!!」

美琴「!!」

テクパトル「ん?どうした、真剣な顔して」

美琴(こ、この・・・電撃使い特有の磁場!!)

19090(し、しかも美月と全く同じパターンのものとなると・・・)


659 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 10:03:53.72 ID:yrgka/2B0

17600「!!19090号の姿を目測で確認・・・」

御坂妹「さらに、オリジナルのものと思われる強力な磁場を探知・・・」

10039「現状、このまま敵地へと潜入を継続・・・」

20000「んっはぁ、桜の咲いてる公園で青・・・」

14510「あ、一方通行もいます!!」

20000「ひゃっほぅマジかよセロリたん・・・」

17600「待て、他の人間がいる」

10033「!?あ、あれはお義兄様のクラスメイトの・・・」

13577「きょ、今日は特殊メイクなんてしてませんよ!?」

17600「・・・仕方ない、ミサカに任せろ」

御坂妹「ど、どうするのですか?」


美琴(あ、あれは・・・妹達!?)

19090(しかも特殊メイクなしですよね!?)

番外(あっちゃー、こりゃまずいけどね)

一方(・・・いや、向こうもこっちの状況には気づいてるみてェだな)

テクパトル(・・・ん?)

19090(て、手招きされてますね・・・)

テクパトル「・・・美月、ちょっと行ってきてくれ」コソッ

19090「は、はい」コソッ



660 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 10:14:10.87 ID:yrgka/2B0

御坂妹「・・・お疲れ様です」

19090「は、はい」

17600「・・・テっくんとのデート花見はどうだ」

19090「そ、それは・・・」

14510「羨ましいですね、ちくしょう」

20000「ミサカ達だってあの中に入りたいね」

19090「そ、それは・・・」

13577「ここで、交渉です」

19090「は、はい」

御坂妹「これからミサカ達と入れ替わりながら、花見をしましょう」

19090「は、はぁ・・・」

20000「テっくん以外の人には見分けなんてつかないからね」

19090「で、では誰が・・・」

御坂妹「まずはミサカから行って来ます」

19090「は、はい」


テクパトル「・・・あ、あれ?」

美琴「あ、おかえり・・・」

御坂妹「はい、ただいま」



661 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 10:38:15.23 ID:yrgka/2B0
テクパトル「お、おい・・・」

御坂妹「なんですかテっくん?」

テクパトル「・・・お前、10032号だよな」

御坂妹「は、はぁ」

テクパトル「・・・19090号は向こうにいるよな?」

御坂妹「はい、そうですが・・・」

テクパトル「何してるんだよ・・・」

御坂妹「入れ替わりばんこで花見をしよう、と」

テクパトル「あぁそうか・・・すまなかったな、誘わなくて」

御坂妹「いいですよ、別に」

テクパトル「ふてくされるな・・・」

上条「相変わらず仲良しだな、二人は」

ショチトル「そうだな、さすが恋人だ」

テクパトル「こっ・・・」

御坂妹(・・・この二人はミサカが19090号だと思っているのですね)ニヤニヤ

突然、10032号がテクパトルの腕に抱きつく

テクパトル「はぁ!?」


662 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 11:45:16.99 ID:yrgka/2B0
御坂妹「テっくん、お酒はあんまり飲んだらダメですよ?」

テクパトル「わ、分かってるから放せ・・・」

ショチトル「ふん、いつも通り見せ付けてくれるな」

上条「・・・美琴、俺達もイチャイチャしましょうか?」

美琴「ふえぇ!?」

テクパトル「ち、違う!!こいつは・・・」

御坂妹(にひひ、向こうで19090号がワナワナと震えています・・・ミサカ達を誘わなかった罰ですよ)

番外(あ、あれ?MNWから莫大な負の感情がぁぁぁぁ!!!!)

テクパトル「おい10032・・・」

番外「ミサカもぎゅってしてやんよぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

テクパトル「タックルはやめろぉぉぉぉ!!」

一方「・・・」

青ピ「なんや、あの人モテモテやなぁ」

吹寄「そうね・・・」

姫神「ふふふ。私もタックルデレに目覚めようかな」

エツァリ「・・・な、何をしてるんですかテクパトル・・・」

テクパトル「俺は・・・悪くない・・・」グッタリ


663 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 12:04:19.76 ID:yrgka/2B0
御坂妹「ねぇ、テっくん・・・」ギュッ

テクパトル「お、押し付けるな押し付けるな!!」

御坂妹「何をですか?」ギューッ

テクパトル「上条!!助けてくれよ!!」

上条「なんだよ、彼女がそういうことしてくれてるんだからいいじゃないか」

美琴「そうよ・・・なんで番外個体が抱きついてるのかは分からないけど」

番外「ミサカにだって分からないけどぉぉぉ!!」

一方「・・・テクパトル、てめェ・・・」

テクパトル「違うんだって!!第一・・・」

御坂妹「何が違うんですか?」ギュッ

テクパトル「胸を当てるんじゃねぇぇぇ!!!」

御坂妹(これは中々面白いですね)

番外「ミサカも抱きしめてやんよぉ!!」

テクパトル「いいんだよそういうのはぁ!!」

一方「てめェ!!」

テクパトル(・・・む、向こうで美月が妖気を放っている・・・)



664 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 12:14:18.14 ID:yrgka/2B0
上条「仲良しってのはいいことだな」

削板「ははは!!そうだな!!」

ショチトル「そうだな、羨ましい」

姫神「・・・ずるい」

テクパトル「・・・おい、ちょっと向こう行くぞ」

御坂妹「えっ、こんなところで//」

テクパトル「ちげぇんだよ!!」

テクパトルが10032号の手を引いていく

エツァリ「・・・なんだかいつもと少し違いましたね」

番外「ふぅ・・・解放されたぜ」

一方(テクパトルの野郎・・・)

美琴「・・・ねぇ、それより花見を進めましょうよ」

小萌「なら、ジャンジャン楽しみましょう!!」

エツァリ「そうですね」

黒子「では、乾杯ですの!」

一同「かんぱーい!!」


垣根(・・・すっかり帰るタイミングを失った)

心理(そうね)



665 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 12:26:00.36 ID:yrgka/2B0

テクパトル「おい・・・10032号!!」

御坂妹「はい、なんですか」

テクパトル「あのな・・・お前、悪ふざけが・・・」


10039「テクパトルぅぅううううううううう!!!!!」

テクパトル「な、なんだよ!?」

19090「10032号!!あなた、調子に乗りすぎですよ!!」

御坂妹「えー、何がですか?とミサカはしらばっくれながら鼻で笑います」

17600「・・・遠くから見ててヒヤヒヤしたぞ」

14510「はぁ・・・それにしても、みなさんは入れ替わったことに気づいていませんでしたね」

13577「若干の違和感はあったようですが・・・」

テクパトル「俺は違和感ビンビンだったぞ・・・」

20000「ビンビンなんて、テっくんおませさん!!」

テクパトル「・・・」

20000「・・・俺とコンビ組まへんか」

テクパトル「黙れ」

10033「・・・しかし、この方法だと一人一人が楽しめる時間が減りますね・・・」

テクパトル「うーん・・・」


垣根「おっす、そこの皆さん」

テクパトル「ん?あぁ、垣根」

心理「あなた達もちょうどこっちに来たのね」

テクパトル「まぁな」



666 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 13:20:08.85 ID:yrgka/2B0
垣根「しっかし・・・ミサカ達大集合だな」

20000「へっへっへ、垣根にはどれがどのミサカか分かるかな?」

垣根「お前は2000号だな・・・明らかに変態オーラが出てる」

心理「あなたは17600号ね」

17600「ほう、なぜ分かった」

心理「・・・もうね、一人だけオーラが違うのよ、あなたも」

テクパトル「へぇ・・・じゃあさ、他のみんなも見分けられるのか?」

垣根「・・・」

心理「・・・」

10039「ミサカは何号でしょうか」

垣根「・・・100・・・67?」

10039「・・・10067号は日本にはいませんよ」

心理「分かった、あなた14510号でしょ」

10039「違いますよ・・・」

御坂妹「やっぱり、この顔を見分けるのは普通では無理ですよね」

17600「というか・・・テっくんはどうやって見分けてるんだ、いつも」

テクパトル「うーん・・・どうって言われても、感覚で」

一同(親だなこりゃ)


667 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 13:23:56.13 ID:yrgka/2B0
テクパトル「・・・にしても、どうやってお前達を花見させるか・・・」

垣根「あぁ?みんな花見したいのかよ」

テクパトル「あ、あぁ・・・でも特殊メイクはしてきてないみたいだしさ」

心理「あら、そんなの簡単よ」

テクパトル「簡単?」

心理「えぇ・・・」



上条「でさ、やっぱり宿題が多すぎるんだよな」

姫神「それは。君がいつもサボるから」

吹寄「毎日コツコツやれば、普通に終わるはずよ」

土御門「にゃー、カミやんがコツコツ出来るのは貯金と節制だけだぜぃ」

青ピ「かく言うボクは、もう終わったんやけどね」

上条「はぁ!?もう終わったのかよ!?」

青ピ「あっはぁ!!これからは薔薇色の春休みやでぇ!!」

姫神「相手もいないのによく言う」

小萌「青髪ちゃんはいつもしっかり宿題を終わらせるから偉いのですよ」チラッ

上条「なんでジト目なんですか!?」


垣根「そりゃお前が宿題終わらせないからだろ」

上条「あ、垣根・・・!!」

上条(堂々と妹達を連れてきてるぅぅぅ!?)



668 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 13:28:21.02 ID:yrgka/2B0
吹寄「な、なに?御坂さんと同じ・・・」

削板「お、おい!!垣根、お前何して・・・」

垣根「ちょっと聞いてくれ、みんな・・・」

美琴「か、垣根!!」

垣根「・・・こいつらを見てくれ、御坂と同じ見た目をしてるだろ」

青ピ「ほんまや・・・そっくりやね」

吹寄「え、えっと・・・テクパトルさんの彼女さんも・・・たしか御坂さんと同じ・・・」

一方(・・・やべェな)

番外(ミサカはお姉さんと嘘ついてもバレないけど・・・みんなは明らかに同い年にしか見えない)

ショチトル(・・・かといって、同時に生まれましたなんてありえないだろう)

黒子(ど、どうしますの垣根さん!?)

垣根「こいつらは、俺が未元物質で作ったんだ」

一同「・・・は?」

垣根「分からないか!?俺はついに未元物質を使って、人間の形をしたものを生み出したんだ!!」

吹寄「あ、いや・・・そんなの無理じゃないの?」

垣根「Why!?」

吹寄「こ、この世に存在しない素粒子を作っても、人間の形には・・・」

垣根「だとしたらなんだ!?こいつは御坂の姉妹か、御坂に憧れて整形したファンか、御坂のクローンか、それても能力で見た目を変えてるのか!?」

上条(さらっと本当のことを言った!!)



669 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 13:34:27.67 ID:yrgka/2B0
姫神「そ・・・そこまでは言わないけど」

垣根「だったら認めちゃえよ、俺の能力はとうとう人間を生み出したんだ!!いや、人間じゃなくてもいい、人間の形をした生き物を生み出したんだ!!」

心理「俄かには信じがたいことね」ツーン

美琴(棒読みすぎるわよ心理定規!!)

垣根「あぁそうだ、それがなんだ!?俺の能力で生み出した存在だからただの物質だって言うのか、だとしたら俺はお前達を軽蔑する!!おてんとさんに唾吐いて、世界を敵に回してやる!!」

土御門「お、落ち着け垣根・・・」

青ピ「そ、そうやって・・・大体なんでカミやんの彼女の見た目・・・」

垣根「知るか!!作ったらこうなったんだ、偶然の産物だ東洋の神秘だ生命の誕生だ!!」

小萌「す、素晴らしいことなのですよこれは!!」

テクパトル「感銘受けてやがる・・・」

垣根「見ろよ、こいつらだって一人の人間なんだぜ!!」

御坂妹「あー、立ってるのだりー」

垣根「ほら見ろ!!」

姫神「・・・?でも。私はその中の一人に会ったことがある気が・・・」

垣根「ないんだよ!!だって俺がさっき作ったんだもん、きっとお前の勘違い!!」

姫神「いや。それはな」

垣根「ないんだよ!!あぁそうだ、こいつらはたった一度の偶然で生まれたのさ、だからなんだよ!!ありえないからと言ってこいつらの存在を否定しようってのか、こいつらなんて人間じゃねぇと見下すのか!?不気味と笑い人形と嘲り、お前らは驕り昂ぶるのか!?だとしたら最低だ、お前らなんかよりこいつらのほうがよっぽど人間らしい!!」

吹寄「か、垣根・・・」

垣根「いいぜ、お前達がこいつらを俺が能力で作ったと認めず、なおかつ人間として扱わないなんて言うなら!!」


垣根・ミサカ一同「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!」



670 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 13:39:02.97 ID:yrgka/2B0
吹寄「・・・わ、分かったわ・・・あなた達は垣根が生んだ人間なのね?」

御坂妹「そういうことです、細かいことは気にするな」

テクパトル(・・・頭が痛い・・・)

ショチトル「そういうことだ、気にしないで花見を楽しもうぜ」モグモグ

14510「あ、チョコばっかり食べないでくださいよショチトル」

ショチトル「んー?お前もいるか、はいよ」

10039「あ、ミサカもほしいです」

20000「ミサカはチョコバットのほうが・・・」

ショチトル「お、気が合うな」

青ピ「・・・な、なんか怪しすぎるんやけど」

土御門(・・・妹達、だよな・・・こんなフリーダムな連中だったか?)

一方「・・・テクパトル、お前・・・」

テクパトル「違う、俺が呼んだんじゃない、こいつらが勝手に来ただけだ・・・」

上条「まぁまぁ・・・元気出せよ」

垣根「そうそう、元気出してマッタリしようぜ」

心理「そうね、細かいことを気にしすぎると雄大な桜の景色が目に入らないわよ」

垣根「辺り一面、桜が満開・・・」

心理「はぁ・・・いいわね、落ち着くわ・・・」

吹寄(・・・な、なんか・・・)

青ピ(・・・ボク達、場違いなんとちゃうんかな?)


671 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 13:58:23.78 ID:yrgka/2B0
テクパトル「先ほどから少し話そう話そう、と思っていた面白い話題がある」

削板「こちらの質問・・・というかお便りみたいなのに対する、興味深い答えだな」

テクパトル「・・・みんな、放してくれ」

ミサカ一同「テっくんにお酌するのはミサカです!!」


この時、>>1が日本を代表するビルダーになるとは、まだ誰も予想していなかった


>>1ってまだ学生だったよね?
なら今から鍛えれば可能性はあるよな


テクパトル「そうだな・・・もちろん、若い頃からトレーニングをすれば素晴らしい体になれる」

削板「それはプリーストやショーン、ケビンやアーノルドなんかを見れば分かることだな」

テクパトル「だがしかし、それだけではどうすることも出来ないある問題があるんだ」

削板「それは、遺伝なんだ!!」

テクパトル「ビルダーは170cm後半くらいが一番向いているスポーツだ、小さすぎると当然迫力に欠けるし、大きすぎると相当な筋量が無い限り身長の割には・・・って言われてしまう」

削板「骨格も問題だな、フィル・ヒースのように筋肉が大きくても、肩幅がどうしても骨格が小さいためにそこまでぬきんでない選手がいる」

テクパトル「・・・最も大きな遺伝は、人種だろうな、黒人は生まれつき速筋・・・つまり、ビルダーに必要な筋肉が多い」

削板「その中でも特に恵まれた、筋肉の回復速度が速く筋肉がつきやすいビルダーがいる」

テクパトル「フレックス・ウィラーなんかがそうだな」

削板「フレックスは史上最も遺伝子に恵まれた体質だったんだ・・・なにしろ、2週間以上トレーニングをサボることも多かった彼があの肉体だからな」

テクパトル「そう、ある程度のところまでは努力でいけても、最後はやはり素質の壁に阻まれる」

削板「オリンピアでも、10位と1位じゃ全然違って見える・・・」

テクパトル「あぁ、もしも俺にもあんな素質があれば・・・誰もがそう考えることもあった」

削板「・・・そして、今アメリカではある研究が進められている」

テクパトル「そういう先天的な素質を、生まれて成長した後から後天的に体に組み込ませるドーピング・・・」


削板「遺伝子ドーピングだ」

テクパトル「ステロイドのようなホルモン剤とは違い、摂取しても証拠が残りにくい」

削板「筋肉組織を採取すれば調べられるが・・・正直、オリンピックなんかでそんなことを毎回していたら、選手の体が傷ついてしまう」

テクパトル「・・・つまり、いきなり筋肉がついた、みたいな状況証拠でしか検挙できないのだが・・・」

削板「それじゃ、言い訳される可能性がある」

テクパトル「・・・ステロイドも、最初は医学目的で作られたものだったのだろう、それを筋肉学に応用すればすさまじい筋肉が得られる」

削板「・・・将来、遺伝子ドーピングが完成して世の中に蔓延すれば、オリンピックの世界記録なんてがらりと塗り替えられる」

テクパトル「実際、マウスで研究したところ、筋肉の寮が通常のマウスの二倍になったそうだ」

削板「試作品段階でそれなんだから、完成したら恐ろしいことになるな」

テクパトル「・・・ますます、ボディビルがつまらなくなりそうでもある」

削板「・・・そうだな、生まれ持った自分の体の限界だけで勝負してみたいもんだ」

テクパトル「というか、日本を代表するビルダーになるにはまず普通のジムに通わなきゃな」

削板「ホームジムじゃごっこもいいところになってしまうからな」


672 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/22(木) 14:48:28.67 ID:yrgka/2B0
今日はここまで

続きは明日の午後投下です

質問、お便りなどどうぞ


遺伝子ドーピングって怖いよな・・・


673 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 14:52:24.46 ID:nYTYbhrDO
>>1乙である。
674 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 16:16:25.60 ID:PLyIBD5SO
黒子のふともも辺りに針を入れるホルダーがあるけどあれ跡つかないの?
675 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 17:30:12.04 ID:yu5a6yCTo
これは恋人が「やれ」って言ってもやりたくないなということある?

例 牛追い祭りに参加する

みたいな
理由もお願いします
676 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 17:54:17.90 ID:LeTPCwJA0
乙なのよな!
677 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 17:54:33.89 ID:IMD/EFDE0
ミサカ一家に通告
MNWに接続してるよね?
上位個体呼んでないけど、泣き喚いてないの?
678 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 18:07:28.58 ID:6Z7xsEJl0

679 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 18:17:59.36 ID:kz9hDpb00
筋肉の寮www
どんな寮だよ暑苦しそうだなwwww
680 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 00:24:33.84 ID:1P1c1b1Bo
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
681 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 17:13:18.18 ID:Mb4wF2Pw0
お願い、あけましておめでとう、ことしもよろしくで友達に送る縦読み年賀状の内容を考えてください
682 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 17:45:25.78 ID:K/r93wWp0
ただいま筋トレ中なのでお待ちを

疲れすぎて頭がフラフラするけど気にしないww

>>679 いいじゃない、そういう寮があっても

>>681 なんと鬼畜な

でも頑張って考えます



683 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 19:21:44.35 ID:K/r93wWp0
黒子「あら、そういえばそんな疑問もありそうですの」

黒子のふともも辺りに針を入れるホルダーがあるけどあれ跡つかないの?


黒子「実はこれ、内側が皮膚に優しいスポンジ製ですの」

垣根「はー、そんな工夫がされてたのかよ」

黒子「ですので、あまり跡はつきませんわね」

美琴「でも、走っても戦っても外れないって・・・相当締め付けてるんじゃないの?」

ショチトル「締め付けが激しいのか・・・」

黒子「・・・ベルト式なので、しっかりと固定も出来ますの」

一方「・・・つゥかよ、こいつはこンなこと知ってどォするつもりだよ」

テクパトル「大量生産するんじゃないのか?」

一方「誰のためにだよ」

テクパトル「・・・そ、そりゃ全国に住んでいる・・・白井ファンとか」

削板「いや・・・でも、それって必要ないよな?」

19090「・・・みなさん、針なんて持ち歩かないようにしましょうね!!」

上条(・・・持ち歩かない、普通は)


684 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 19:26:25.28 ID:K/r93wWp0
上条「・・・これは、ギャグととらえていいよな?」

垣根「真面目に答えるかよ、バーカ」

これは恋人が「やれ」って言ってもやりたくないなということある?

例 牛追い祭りに参加する

みたいな
理由もお願いします


上条「・・・裸踊り、恥ずかしいし」

美琴「ピカチュウの真似・・・最後のプライドが削られるわね」

垣根「私の足をお舐め、ってやつ・・・あんなの出来ないな」

心理「オデコに肉って書くこと、だって寒いじゃないの」

一方「・・・コーヒーの中身が入ったまま缶を潰すことだな、ブラックに限るが」

番外「キャラを薄くすること、だってミサカはキャラ濃いほうがいいもーん」

削板「ハチマキを取ることだな!!これが俺の元気の源だ!!」

黒子「一人ジャンケンですの、寂しいですし」

テクパトル「・・・商店街で匍匐前進、させられたら死ぬ」

19090「えっと・・・お姉様より胸が大きいことの告白でしょうか・・・」

美琴「え・・・」

ショチトル「バイブを全て捨てること」

エツァリ「・・・自分のあれを飲むこと」


685 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 19:29:49.39 ID:K/r93wWp0
17600「あぁ、それなら問題ないぞ」

ミサカ一家に通告
MNWに接続してるよね?
上位個体呼んでないけど、泣き喚いてないの?


一方「打ち止めは今、黄泉川と一緒に買い物行ってンだよ」

御坂妹「まぁ、我々が花見に来てるとは知らないでしょうが・・・」

打ち止め(・・・知ってるよ・・・ってミサカはミサカはMNWで会話してみたり・・・)

20000「おっす、運営さん」

打ち止め(ずるい!!ミサカだって花見したかった!!ってミサカはミサカは駄々をこねてみたり!!)

10039「ダメですよ、あなたがいるとはじけられませんから」

13577「気を遣いながらの花見とかイヤですよ」

14510「そうですね・・・一方通行にあなたがベタベタしてるの見るとイラつきますし」

10033「・・・ミサカは何も言いません、お仕置きが怖いですから」

打ち止め(10033号と17600号、19090号以外、アウト!!!ってミサカはミサカは某番組の年末スペシャルっぽく言ってみたり!!)

ミサカ一同「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」ビリビリ

テクパトル「・・・何してるんだよ」



686 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 19:35:00.49 ID:K/r93wWp0
垣根「よし来た任せろ」

お願い、あけましておめでとう、ことしもよろしくで友達に送る縦読み年賀状の内容を考えてください


垣根「あなたがあの時言っていた
   けっして世界は醜くないと
   まるで小さな子供のように
   しんじる心を忘れずに
   てを伸ばしながら、言っていた
   おれには分かることはない
   めいろに嵌ったこの俺に
   でぐちの見えないその迷路は
   とっくの昔に形を変えて
   うれいと成って俺を襲った

   こんな世界を醜くないと
   とうぜんのように言ったあなたを
   しんじた俺が馬鹿なのか
   もう一度だけ、世界を愛そう
   よけいな期待を持ちながら
   ろとうに彷徨う影となって
   しかし世界は俺を愛さない
   くるしさだけが胸を突く」


垣根「なぁ、完璧じゃない?」

一同「年賀状じゃねぇよ」



      
687 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 19:53:19.21 ID:d6jQKarbo
垣根君にばーかと言われて傷つきました
なんかメルヘンなこと言って謝ってください
688 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 20:01:54.93 ID:K/r93wWp0
垣根「ちっ、仕方ねぇな」

心理「・・・いや、どうやってメルヘンにするのよ?」

垣根君にばーかと言われて傷つきました
なんかメルヘンなこと言って謝ってください


垣根「・・・悪かったよ、お前のことを馬鹿なんて言っちまってよ」

垣根「・・・でもさ、お前のそういう馬鹿なところも、俺は好きなんだ」

垣根「・・・そういう馬鹿を聞いて笑って・・・そういう馬鹿を少し面白く思って」

垣根「たまには馬鹿も悪くねぇのさ」

垣根「・・・それに、世の中もっと馬鹿もいる、家族のために働いたり、恋人のために命を投げ出したり・・・」

垣根「そんな馬鹿が世の中にはたくさんいるのさ」

垣根「だから、俺と一緒に高い所から、そんな馬鹿な世界を見つめようぜ」


垣根「ほら、一緒に空、飛んでみようぜ」キリッ

上条「・・・キリッが余計だ、あとそんなにメルヘンじゃねぇ」

垣根「メルヘンなんて、しろって言われて出来るもんじゃねーっつーの」

心理(いじけたわね)


689 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 20:08:59.48 ID:rfYRerfY0
心理タソのポニーテールが見たいですハァハァ
690 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 20:09:24.72 ID:Q70+vwHAO

宇宙って凄いですよね……いろんな星や惑星があって……そしてそれらは輝き続けているのが……
皆さんは宇宙に行ってみたい思った事はありますか?
691 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 20:57:51.67 ID:7KlUXA52o
>>689に便乗

恋人にして貰いたい髪型はありますか?
恋人が居ない人はスクワットでも
692 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 21:05:40.23 ID:pc1lyZHSO
御坂さん以外の常盤台生に質問です
制服のスカート短いですが戦闘中はスカートめくれるの気にしないのですか?
御坂さんは短パンで対策してますが
693 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:11:02.27 ID:K/r93wWp0
心理「あら、そうね・・・」

心理タソのポニーテールが見たいですハァハァ

恋人にして貰いたい髪型はありますか?
恋人が居ない人はスクワットでも


心理「ほら、ポニーテール」

垣根「・・・この映像を全国の皆さんにお届けできないのは非常に遺憾だ・・・だが美しい!」

心理「あら、そう?」

上条「すげぇ・・・心理さんってなんでも似合うのな」

心理「そうかしら?さすがにそれは言いすぎよ」

女一同(・・・ポニーテール・・・)ゴクリ

上条「俺は・・・もう少し髪を伸ばした美琴が見てみたいかな」

ショチトル「エツァリはそのままでいいかな」

番外「一方通行は・・・三つ編み!!」ゲラゲラ

一方「・・・」

19090「テっくんは坊主とかも似合いそうですね」

テクパトル「いや・・・柄が悪くなるからやめとく」

黒子「軍覇さんは・・・とりあえず、ハチマキを・・・」

削板「外さない!!」


土御門「15!!」

青ピ「16!!」

姫神(・・・真面目にスクワットをしている)



694 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:15:54.05 ID:K/r93wWp0
垣根「これは、代表して俺が答えようかな」

宇宙って凄いですよね……いろんな星や惑星があって……そしてそれらは輝き続けているのが……
皆さんは宇宙に行ってみたい思った事はありますか?


垣根「・・・もちろん、宇宙は美しいと思う、星が闇の中に輝いていて・・・そして、それらを見上げるのもたしかに楽しい」

垣根「でもな、俺はあまり宇宙には行きたくないんだ」

垣根「近づくことは出来ても、決して完全に触れることは出来ない」

垣根「宇宙なんてそんなもんさ、遠くから眺めていれば美しいが、実際は孤独な闇の世界なんだ」

垣根「・・・俺は、地球からあの遠い夜空に輝く星を眺め、それに思いを馳せるのが好きだ」

垣根「・・・昔の人々も同じ空を見たんだ、昨日の月と今日の月は少し違う・・・」

垣根「そんなくだらねぇことを考えながら、夜空を見上げるのが好きだ」

垣根「宇宙に行って、間近で星を見れたとしても・・・結局、それは絶望するのと同じさ」

垣根「あぁ、いつかあの星に行ってみたい、と思いながら一生を過ごすほうが俺はいいと思う」

垣根「もちろん、その夢を叶えた人間は素晴らしいけどさ」

垣根「それにな、俺達が愛している夜空は・・・俺達がいつも見上げてる夜空は、決して宇宙から見ることは出来ない」


垣根「・・・きっとさ、地球から夜空が見渡せるのは、神様がくれたご褒美なんだよ」

一同(う、上手くまとめた!!)


695 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:19:20.34 ID:K/r93wWp0
黒子「そうですわね・・・」

食蜂「ふーん、男の子ってそういうところばっか見るんだ」

御坂さん以外の常盤台生に質問です
制服のスカート短いですが戦闘中はスカートめくれるの気にしないのですか?
御坂さんは短パンで対策してますが


黒子「わたくしは別に見られたってどうってことないですの」

食蜂「私も、大体外で男と戦ったことなんてないしぃ」

黒子「・・・それに、本当に真剣に戦っていれば、相手もそんなことは気にしませんのよ」

食蜂「強盗がパンツに見惚れて捕まるなんて、ほとんど聞かないものねぇ」

黒子「・・・ちなみに、お姉さまの短パンは決して戦闘のことを気にしてではありませんの」

食蜂「あれ、そうなのぉ?」

美琴「・・・黒子がよくローアングルから写真を撮ってきてたのよ、昔」

黒子「それに対処するため、短パンを・・・」

上条「へぇ・・・」

美琴「あと、自販機蹴る時のためかな」

黒子「お姉さま・・・常盤台生にあるまじき行為ですの」

美琴「いいじゃない、型破りな美琴先生も」


696 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 21:23:05.16 ID:LNCSTkVL0
よいおとしを であいうえお作文をよろしくお願いします!!
697 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:31:41.41 ID:K/r93wWp0
ショチトル「・・・あいうえお作文か・・・」

上条「やっぱり、新年の挨拶にちなんだほうがいいのかもな」

垣根「そうだろうな」

よいおとしを


垣根「でもさ、をって無理じゃね?」

上条「・・・そこはこう・・・お、にしたりウォ、にしたり・・・」

垣根「・・・しょうがねぇ、それで妥協してやるか」


垣根「よ!!世の中いろいろあったけど!!」

垣根「い!!一年無事に過ごせたのは!!」

垣根「お!!お前がいてくれたおかげなんだ!!」

垣根「と!!年を越してもお前とは!!」

垣根「し!!親友でいたいと思ってる!!」

垣根「を!!ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトはそう言った!!」


垣根「さて、次は・・・」

上条「待て・・・最後はなんだよ?」

垣根「最後のを、くらいは自分で考えてやれよってメッセージだ」

心理(を、がなかったのね)


698 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:32:26.05 ID:K/r93wWp0



削板「黒子、ちょっといいかな」

黒子「?はい、なんですの?」

削板「ちょっとあっち行こうぜ!」

垣根「ん、なんだよお前達も二人きりになりたいのか?」

削板「まぁそんなとこだな!」

上条「仲睦まじくて何よりだな」

美琴「はぁ・・・ホント、削板には感謝してるわ」

削板「?なんで?」

美琴「アンタと付き合い出してから、あんまり黒子のセクハラは無くなったから」

黒子「あ、当たり前ですの!それはたしかにお姉さまのことは未だに愛しておりますが・・・」

一方「・・・削板が一番ってことなンだろ」

黒子「え、えぇ」

削板「ははは!嬉しいじゃないか!」

エツァリ「・・・ショチトル、自分達もこういう爽やかなカップルになってみませんか?」

ショチトル「今更何を言うんだ」

テクパトル「ほら、二人きりになりたいなら行った行った」

削板「あぁ!そうだったな!」



699 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:33:00.92 ID:K/r93wWp0
削板が黒子の手を握る

見た目とは違い、優しい握り方

そんなギャップが黒子の鼓動を早める

削板「じゃあ、少しお暇するな!」

土御門「にゃー、羨ましいぜぃ」

御坂妹「・・・ちっ、これだからカップルは・・・」

14510「・・・ですが他のカップルと比べるとあまりに爽やかで、妬む気にはなれませんね」

17600「あぁ、どっかの馬鹿とは違ってな」

テクパトル「・・・なんで俺をじっと見てるんだよ」

姫神「モテる男は大変ね」

吹寄「あぁ・・・そういうこと」

垣根「お前も俺と二人きりになりたいんじゃねぇか?あぁ?」

吹寄「・・・吹き飛ばすわよ」

心理「あら、暴力はダメよ」


削板「こっちこっち!」

黒子「ま、待って下さいな軍覇さん・・・」

削板があまりに速く走るため、黒子はついていくのが精一杯だった

かといって彼がどこに行くつもりなのかは分からないため、空間移動で先回りするわけにもいかない



700 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:33:36.22 ID:K/r93wWp0
削板「・・・あった!」

黒子「・・・これは」

二人の目の前には一本の桜があった

別に、他の桜よりも大きいわけではない

樹齢が長いわけではないしそこからの眺めがいいわけでもない


だが、二人にとっては大切な場所だった

黒子「・・・わたくしと軍覇さんが出会った場所ですのね」

削板「あぁ、ちゃんと残っててよかった!」

黒子「・・・ここにわたくしを連れてきたかったんですの?」

削板「最近、風紀委員の仕事が忙しくて一緒に走れてないからさ・・・ここに来るのも久しぶりだろ?」

黒子「・・・えぇ」

桜の下の地面を見つめる

削板がいつも腕立て伏せをしているからか、地面にはおかしな窪みが出来ていた

恐らく、ここ最近も欠かさずトレーニングしているのだろう

黒子「・・・昨日もここに?」

削板「あぁ、夜にちょっとな」

黒子「夜にって・・・昨晩は風紀委員の仕事を手伝って下さったではありませんか」

削板「あ、あぁ・・・あの後にちょっと」

黒子「あの後に!?仕事が終わったのは22時でしたわよね!?」

削板「う・・・ほら、夜も眠くない日とか・・・」



701 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:34:10.86 ID:K/r93wWp0
黒子「軍覇さん・・・トレーニングをなさる軍覇さんも素敵ですが、さすがに夜はしっかり休まれて下さいな・・・」

削板「でも黒子と会う前から、夜にも走ってたぞ?」

黒子「昔とは違いますの・・・風紀委員の仕事を手伝って下さる毎日、それにプラスして毎晩走るだなんて・・・」

削板「ははは!そんなことくらいで壊れるほど弱い体ではないさ!」

黒子「・・・分かっていますの」

削板「あれ、怒ってるのか?」

黒子「・・・軍覇さんは」

削板「あぁ、どうした?」

黒子「どうしてそこまで努力されるのですか?」

削板「?黒子だって努力することはあるだろ?だから俺も・・・」

黒子「違いますの」

黒子が桜に背中を預ける

そういえば、初めて会った時も削板は腕立て伏せをしていた

あまりにも多すぎる回数を刻んでいたので、一瞬聞き間違いだと思ったのを今でも覚えている

黒子「あなたは・・・出会った時から、ずっと鍛練を欠かされることがありませんでした」

削板「あぁ、欠かすつもりもないからな」

黒子「・・・わたくしは、もちろん努力しているほうと自負しています」

削板「黒子は努力家だ、俺が認めてやるよ!」

黒子「・・・ですが、どうして・・・あなたは努力だけを選ばれるのですか?」



702 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:34:57.15 ID:K/r93wWp0
削板「・・・」

不思議なことを聞くものだ

削板はそう思っていた

黒子も普段は、自分と同じように努力しているのに

自分と長い間付き合ってきたのに

削板「ちょっと言い方は悪いけど・・・今更だよな?」

黒子「えぇ・・・ですが、たまに分からなくなる時がありまして」

削板「分からなくなる?」

黒子「・・・自分が努力する理由が、分からなくなるんですの」

削板「スランプってやつか」

黒子「・・・お恥ずかしい限りですの、こんなこと・・・軍覇さんにしか相談出来ませんのよ?」

削板「そうだな・・・」

削板が腕組みをしながら考える

しばらく考えて出た答えは、あまり頭のいい答えではなかったが

それでも削板軍覇という人間にはそれが似合っていた

削板「・・・誰かが、俺の人生に板を張って道を作ったなら」

黒子「?」

削板「人生が迷路で、分厚い板でコースが決められているなら」

削板「俺はその板を削がなければならない・・・」

黒子「・・・それは」

削板「もしも俺と違う考えの人間がいて・・・そうだな、卑怯者やひねくれ者、ならず者やら不届き者」

削板「そんなヤツらが軍を成して攻めて来たなら、俺はそいつらを倒す必要がある」

削板「傷付けるだけの倒し方ではない、そいつらの人生に大きな影響を与えられるほど、優しい倒し方を」

削板「目の前に道があったとしても、それが続く先に明日が無ければ意味がない」

削板「たくさんの人々に囲まれていたとしても、自分の中にあった大切な何かが冷めていくならそれは温もりではない」



703 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:35:25.82 ID:K/r93wWp0
削板「たとえ一匹狼でも、たとえ寂しい存在だとしても・・・俺は俺が決めた生き方をする、そんな生き方しか出来ないんだ」

黒子「自分の決めた生き方しか・・・ですの?」

削板「他人に決められた人生なんて真っ平だ!人生、白紙だからこそ自由に絵を描けるんだ、真っ白の人生と自分がいれば、最高の風景を描いてみせる!」

削板が太陽を指差す

太陽に負けないほどの彼が

削板「人生なんて一度きりだ、努力しないで文句を言って、明日を見ないで過去に逃げて!」

削板「今を生きれず明日を夢見ず!後ろに進んで何になる!?」

削板「たった一度きりの人生だ、人生が失敗で終わってもその後に恥をかくことなんてないんだ!」

削板「だとすれば、生きてる間に最高の失敗をして、最高の成功を目指せばいい!」

削板「根性が必要なんだよ、努力を怠れば自分の価値が下がる、自分の価値が下がれば人生そのものがくだらない物に変わっていく、人生がくだらなければ一体どうして楽しい一日を過ごせる!?」

削板「人生なんて一日一日の積み重ねだ、なら一日一日が最高の努力で満たされ、決して怠惰を知らなければ・・・それは、最高に努力した人生だったと言える!」

黒子「軍覇さんは・・・そんな人生を送りたいんですのね」

クスクス、と黒子が笑う

彼らしい、あまりにも単純でまっすぐな答えだ

削板「・・・でもさ、一人で走り続けていた昔は、正直しんどかったよ」

黒子「?」

削板「・・・それがさ、隣で話ながら一緒に走ってくれるお前がいてくれて・・・そして、そんな毎日が今も続いていて」

削板「・・・ただ努力を重ねるだけの人生だったはずの俺は・・・いつしか、努力を楽しめる人生を過ごしている」

黒子「軍覇さん・・・」



704 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 21:36:01.47 ID:K/r93wWp0
削板「俺の人生を楽しくしてくれてるのはお前だ、黒子!」

削板がニコニコと笑う

真っ白な歯が、なんとも眩しい

削板「だからこそ!俺はずっとお前といたい!いようと誓う!」

黒子「わ、わたくしだって軍覇さんと一緒にいたいですの!」

削板「相思相愛ってやつだな!」

腰に手を当てながら削板が笑う

黒子「・・・そ、そんな恥ずかしい台詞をさらっと言わないでくださいな・・・」

削板「あー!なんだか思い出の場所に来たら楽しくなってきたな!」

おほん、と削板が咳ばらいをする

口に手を当て、メガホンの代わりにしている

削板「愛してるぞー、黒子!」

黒子「!ぐ、軍覇さん!」

削板「世界中よりの誰よりも、俺の知ってる誰よりも!お前を愛してるぞー!」

黒子「わ・・・わたくしだって、あなたに負けないくらいに愛していますのー!」

削板「ここまで俺が夢中になっているのはお前だけだー!トレーニングでもここまで夢中ではないぞー!」

黒子「わたくしも!お姉さまとは比べものにならないほど、軍覇さんを愛していますのよー!」


垣根「・・・何やってんだあいつら」

番外「こっ恥ずかしいね、見てられないよ」

美琴「・・・ふふ」

心理「?何がおかしいのよ、美琴?」

美琴「あぁ、なんでもない」

心理「?」


美琴(黒子・・・アンタのそんなに幸せそうな顔、初めて見たわ)






705 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/23(金) 22:04:03.64 ID:K/r93wWp0
今日はここまで

バイトと筋トレで忙しく、投下量が減りますがご了承ください

今日シークのグローブ、ベルト(フック式)、パワーフックを買ったけど

なんかパワーフックは微妙

みなさん、パワーフックよりは明らかにリストストラップのほうがいいですよw

筋肉動画はカイ・グリーンの胸のトレーニング

http://www.youtube.com/watch?v=1jtrnZbPqxI 

彼は今のバルク型の選手としては、トップに近いのではないでしょうか

ジェイよりもシンメトリーが取れていますし、体の柔らかさを活かしたポージングは面白いです

しかし・・・フィルがいる限り、オリンピアは難しいでしょうね

にしても、本当に童顔なカイさんである


ではおやすみなさい


706 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 22:28:09.00 ID:LNCSTkVL0
>>1乙!!ってミサカはミサカは褒めたたえてみたり!!
707 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 22:28:16.59 ID:lNI0UbRko
いちもつ

最近このスレ来たんだが過去ログ読むの追い付かねーww
708 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 22:42:56.66 ID:LNCSTkVL0
>>707
>>1にかかれていないシリアス編二ついれたら30スレ目だからな…
まあがんばれ
709 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:38:56.18 ID:GOzat0ADO
>>1乙である。
710 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:39:22.10 ID:uDN9hxwxo
乙にゃんだよ!
711 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 23:52:01.10 ID:cQIiQvem0
乙面!
712 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 00:40:52.63 ID:dXMGcH040
>>1って多分最初のスレ立てからずっと毎日投下してるよね
だんだん変質していってるキャラが不憫だとか、そこはちゃんと調べて書こうよとか、思う時もあるけれど。
やっぱり皆勤賞ってすごいことだと思う! >>1 いつも楽しませてもらってありがとう! と、30スレ目にして初めて書き込み
713 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 01:30:13.73 ID:+u/HWMny0
まだリクエスト受け付けてるかな?
受け付けてるならエツァリ、ショチトル、20000号の変態対談
司会は青ピでお願いします!!
714 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 10:16:34.21 ID:issAyUqno
>>1は今日の夕方から明日の昼くらいまで用事があるから投下なしだろうな
715 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:30:28.52 ID:sLmlvRpJ0
>>714 クリスマスの予定なんてないですよ、えぇ

バイト先の友達から誘われたのと友達から「イルミネーション見に行こう」と誘われたのと、そんだけ

「俺、クリスマスイブは寝ることにしてるんだ」って言って断りましたとも

世界中のリア充にはブラックサンタがやって来る、というか行け



垣根「・・・土御門」

土御門「なんだ」

周りに聞こえないほど小さな声で、垣根が土御門を呼ぶ

垣根「・・・聞いてるぜ、アレイスターの野郎、元に戻ったんだろ」

土御門「あぁ・・・表では、テクパトルの家に住んでいるみたいだな」

垣根「・・・表では・・・か」

土御門「ヤツは・・・最悪の魔術師と言われた人間だ、同時に複数の場所に存在することさえ出来る」

垣根「そりゃすげぇ」

土御門「しかし、なんで花見の時にそんな話をしてきた」

垣根「・・・あいつ、来てないなと思って」

土御門「あぁ、それなら知ってるぜぃ」

垣根「え、マジ?」

土御門「留守番任せられて、家を出るに出られないんだにゃー」

垣根「・・・アレイスターってそういうヤツだったのか」

土御門「まさか、どうせ何か考えているに違いない」

垣根「・・・どうかな」

垣根がため息をつく



716 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:31:03.36 ID:sLmlvRpJ0
アレイスターも来ればいいのに、と考えながら

垣根「・・・にしてもさ、姫神とか青ピのヤツは分かるけど・・・よく吹寄のヤツ、花見に来たな」

土御門「あいつ、案外お祭り騒ぎは好きなんだぜぃ」

垣根「マジか・・・だから文化祭とかで実行委員やってるのか?」

吹寄「?何よ、じっと見つめて」

垣根「いや・・・なんでもねぇ」

垣根が肩を竦める


小萌「・・・さて、そろそろお昼も終わる時間なのですよ」

小萌が時計を確認しながら呟いた

ショチトル「もうそんな時間だったか」

小萌「・・・みなさんはどうするのですか、先生はこれから仕事なのです!」

青ピ「仕事なのにわざわざ来てくれる、小萌センセは優しいなぁ!」

上条「じゃあ俺達もお開きにするか」

美琴「そうね・・・そうしましょう」

テクパトル「はぁ・・・長いようで短い花見だったな」

御坂妹「・・・もっと楽しみたかったです」



717 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:31:30.02 ID:sLmlvRpJ0
テクパトル「来週、休みの日にみんなで来ような」

14510「!い、いいんですか!?」

テクパトル「あぁ、みんなが喜んでくれるならそれがいいに決まってるだろ」

ミサカ一同「//」

番外(すっげぇなテクパトル)

垣根「・・・さて、じゃあ一本締めといきますか、上条!」

上条「え、俺?」

姫神「・・・あまり納得出来ないけど。こういうのは君の仕事かもしれない」

吹寄「そうね・・・上条、しっかり頼むわ」

心理「ほら、早く早く」

上条「あ、あぁ・・・じゃあ」

上条が手を前に掲げる

上条「よーぉっ!」

パン、という愉快な音が鳴る

あぁ、花見も終わってしまったんだな、と上条が苦笑した

垣根「じゃあ、来週もここで花見な」

一同「いい加減にしろ」




718 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:35:10.47 ID:sLmlvRpJ0
>>713


ショチトル「デジャブってヤツだな」

エツァリ「・・・そうですか?自分は初めてですが・・・」

20000「こんなビルに呼び出して何プレイだろうね」

ショチトル「お、お前がいるということは3P!?」

エツァリ「自分だけは弾薬がもちません・・・」


青ピ「そう!!その会話こそが君達の真骨頂やで!!」

ショチトル「あ、出た」

エツァリ「?たしか上条さんのクラスメイトの方ですよね」

青ピ「まぁまぁ、そこはどうでもえぇやん・・・今から君達に、話して欲しいことがあるんよ」

20000「話して欲しいこと?」

青ピ「君達を生粋の変態と見こんでの話や」

エツァリ「それは・・・光栄ですね」

ショチトル「あぁ、いろんなところが熱くなっちゃうな」

20000「ぐへへ、どんな話どんな話!?」

青ピ「そうやなぁ・・・ま、ここでは君達に最もベタな話題である、SMについて語ってもらおうかと思うんや」



719 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:41:55.17 ID:sLmlvRpJ0
エツァリ「あの・・・それは、相手がどんな言い方をしてきたかで、自分がSかM、決まってしまうと前にも・・・」

青ピ「もちろん、相手がSなら自分はどう足掻いてもMやけど・・・そこはまぁ、一旦忘れて」

20000「うーん・・・じゃ、SとMの種類について語ろうかな」

青ピ「お、えぇなぁ」

20000「Sってのはさ、世間一般から見たらただイジメっこ、みたいだろうけどそれは大きな間違いだね」

エツァリ「えぇ、相手の体を傷つけて喜ぶタイプと、精神的に追い込んで喜ぶタイプがいますからね」

ショチトル「体を傷つけるタイプは、その体を自分のものにした喜びを感じて悦に浸るSだな」

20000「痛い、きつい、といった肉体的な反応を見て喜ぶ・・・そうだね、どちらかといえば相手を独占した、自分だけが傷つけていいという征服感によって快感を感じるタイプだね、相手は傷付けられて下へと下がっていく、それが面白いんだよ」

エツァリ「もう一つの精神的なタイプは、相手を従わせている、相手の内面を掌握している・・・という、少し変わった喜び方ですね」

ショチトル「もちろん、前者とも紙一重だが・・・こちらはどちらかというと、相手が自分に従っている、相手が何をしようと、結局は自分に従うしかないと思い喜ぶんだ」

20000「あぁ、ご主人様・・・って言わせるのはそっちだね、肉体的にはそこまでダメージないけど、精神的にはかなりのダメージがある」

エツァリ「従属感を相手に持たせることで、自分がより高い位置に属することができますね」

ショチトル「相手を下げて喜ぶのが前者、特に自分が上に上がるのが後者だな」

20000「まぁ、かなりギリギリの違いだけど」

青ピ「へぇ・・・そういう考え方もあるんや」

20000「次はMだね」


720 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:46:57.40 ID:sLmlvRpJ0
エツァリ「・・・Mというのは、ある意味幸せな生き物ですよね」

20000「うん、Sは一人じゃ中々性欲を発散できないけど、Mは簡単だもん」

ショチトル「自分で自分を追い込めばいいからな」

エツァリ「Sも自分を痛めつければ・・・と思う方もいるでしょうが、Sはそこまで痛みに慣れていないので」

20000「・・・Mにも、肉体的なものと精神的なものがあるね」

ショチトル「バイブをたくさん入れる、乳首に針を通す・・・そういったのは肉体的なMだな」

エツァリ「まぁ初心者というか・・・一般的にMとされるのはこちらでしょうね」

20000「露出をして恥ずかしい姿を人に見られたい、ご主人様にしたがってもっとひどいことを言われたい、っていうのは精神的だね」

ショチトル「それは中々難しいよな・・・周りを巻き込むことが多い」

エツァリ「・・・そうですね、後者は相手がいたほうがよりやりやすいのでしょうね」

20000「でも、SとMはやっぱり紙一重だよね」

ショチトル「Sであればあるほど、Mの気持ちが分かっているからな」

エツァリ「ここを痛めつければ気持ちいい、あそこを縛り上げれば快感が得られる・・・」

20000「常に自分がやってきたんだから、そりゃ詳しいよね」

ショチトル「私はイジメられたいタイプだな」

エツァリ「自分はイジメたいですね」

20000「ミサカはオールマイティーだぜ」


721 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:49:31.04 ID:sLmlvRpJ0
青ピ「いやぁ、すごいわ君達!!」

エツァリ「そうでしょうか?」

ショチトル「かなり初歩的なものだったが・・・」

青ピ「君達、ボクとタメはれるほどの変態やで!!」

20000「へぇ、お前も変態なのか」

青ピ「あぁ!!女の子に変態って言われてもうた!!」ウキウキ

20000「おぉ、たしかに変態だ」

ショチトル「・・・いいな、このまま打ち上げでも行かないか?」

エツァリ「そうですね、居酒屋などでもっと変態談義を・・・」

青ピ「えぇな、やろうやろう!!」

20000「オーケー、やってやるよ!!」

ショチトル(ふふ・・・ふふふ!!)


ショチトル(最近・・・私の出番が多い、多いぞ!!)

エツァリ(影は相変わらず薄いですけどね)


722 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 10:57:04.88 ID:sLmlvRpJ0
ロシア編読み返してたら、どうしても熱い物語を書きたくなったのでちょっとした長編?

ブラックマンみたいなのを書きます

しっかし、ロシア編の盛り上がりは異常だったな・・・



不幸、という言葉がある

幸せではない、人生が常に暗闇、何をしても上手くいかない、どの選択肢も結局はダメ

クジを引いても絶対にハズレを引いてしまう、なぜなら何らかの手違いでクジは全てハズレだったのだから

それは人々から忌み嫌われ、疫病神として扱われる存在

誰もが不幸を嫌い、幸せを望んでいる

ならば

もしも、二つの選択肢のうち、片方が素晴らしい結果を生むものだったとしたら

そして、それでも必ず最悪のほうの選択肢を選んでしまう人間がいたら


それは、不幸と呼べるのだろうか




イギリス清教

十字教の中心であり、総本山と言っても申し分ないほどの機関

そこには様々な人種が所属している

イギリス人はもちろん、アメリカ人、ドイツ人、イタリア人、日本人

宗教に人種の壁はなく、救いを求めるのならば誰しもが救われる

それが十字教の教えだ


723 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 11:04:36.65 ID:sLmlvRpJ0
ステイル「・・・救い、か」

目の前にある一つの書類を見つめながら、ステイルが溜め息をつく

彼は十字教を信仰し、そのために働いている青年だ

しかし、その人生が救われたと感じることは少なかった

禁書目録を架せられたインデックスという少女に出会った時も。その少女と一年間、幸せな生活を過ごした時も。そして、その少女がある青年に救われたときも。

結局、幸せだと感じることなんてなかった

ただその平穏な毎日が失われることに不安を抱き、そこに焦りを感じるだけだった

ステイル(・・・救い、なんていう曖昧なものがこの世の中にあるのかな)

現に、目の前にある書類も決して救いとはかけ離れたものだった

彼の所属している必要悪の教会は、イギリス清教の脅威になる危険因子の排除、抹殺を専門としている

それらは、何も他の宗教や軍隊に所属している人間だけではない

過去にもあったように、イギリス清教内部の人間を殺すことさえあった

内部アンチだろうが、知らない間に危険因子になろうが、関係はない

ただイギリス清教の脅威になるのであれば、それは殺すべき対象となる

イギリス清教を信じた人間が同じイギリス清教の人間に殺される

ステイル(・・・何が救いなんだろうね)

もう一度溜め息をついてから、その書類をゴミ箱に放り込む

仕事が始まる

だが、その仕事にはある協力者が必要となってしまった

面倒なことに、今回の敵は複数である

それだけならば、問題はなかった

今回の対象、標的に一人だけ、気になる人物がいたのだ


ステイル(・・・日本人・・・か)



724 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 11:09:45.16 ID:sLmlvRpJ0

上条「・・・でさ、さすがにそろそろインデックスにも美味しいものを驕ってやりたくて・・・」

土御門「にゃー、そんなこと俺に言われても分からないぜぃ」

上条「い、いや・・・同じ必要悪の教会のメンバーだろ?」

土御門「でも、俺は腹ペコシスターさんには萌えないんだ」

とある日本の学校

二人の「クラスメイト」はそんな他愛もない話をしていた

片方は必要悪の教会のメンバーである土御門元春

そしてもう片方は、幻想殺しを宿している青年、上条当麻

魔術側の人間が学園都市で暮らしていることには、少し疑問があるだろう

そして、それがスパイだと知ったら

クラスメイトはもちろん、学園都市の全てが敵に回る

上層部には既に知られているようだが、そこまでなら問題はないのだ

上条「はぁ・・・もっとさ、イギリスらしいものを食べればいいと思うんだ、インデックスは」

土御門「にゃー、んなこと言ったって・・・」

ピリリリ、という高い音が二人の会話を遮る

土御門の携帯が鳴ったのだ

土御門「・・・カミやん、少し人気のないところに行こう」

上条「・・・どうして」

土御門「・・・こいつからの電話なんて、あまりこっちの人間には聞かれたくないだろう?」

土御門が携帯電話のディスプレイを見せる

そこには、「ステイル=マグヌス」の名前があった



725 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 11:29:27.68 ID:sLmlvRpJ0

上条「・・・ここなら問題ないだろ」

ビルの隙間にある路地裏

スキルアウトによく絡まれてしまう上条からすれば、あまり来たくはない場所だ

しかし、今はそんなわがままも言っていられない。もしもステイルからの連絡が、上条にとっても関係するのだとすれば

土御門「・・・どうした、携帯に連絡してくるなんてよっぽどのことに違いない」

ステイル『すまないな、少し仕事が入ったものでね』

土御門「・・・仕事?必要悪の教会の仕事はお前に任せているはずだが」

ステイル『そうもいかなくなった、イギリス清教としても、出来ればイギリス清教内だけで問題を片付けたかったんだが・・・』

上条「な、なぁ?どういう話に・・・」

ステイル『・・・上条当麻の声が聞こえたが』

土御門「あぁ、すぐ近くにいますたい・・・ちょっと待っててくれ」

スピーカーモードに切替え、土御門が話を促す

ステイル『・・・ちょうどいい、上条当麻、君にも聞いて欲しい話だ』

上条「・・・イギリス清教で何かあったのか?」

ステイル『あぁ、少しめんどうなことだ・・・危険因子の排除をしなければならないのだが・・・』

排除、という言葉に上条は眉をひそめる

それが仕事であり、イギリス清教の治安を守るためだとは分かっていても、あまりいい気はしない

ギロチンの縄を握っているのが、自分の友人なのだから。尤も、ステイルにとって上条は友人ではなくあくまで利害の一致する人間でしかないのだが

ステイル『・・・我々が今回排除するべき相手は四人』

土御門「・・・それで?あまり多い人数とも思わないが」




726 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 11:36:23.10 ID:sLmlvRpJ0
ステイル『しかし、その四人が全員天使の力を扱う術式を使っていたとしたら?』

土御門「・・・なんだと?」

ステイル『・・・もちろん、こちらにあるデータでは不完全な術式らしいがね』

上条「ま、待てよ・・・天使の力なんて、誰でも簡単に使えるものなのか?」

ステイル『だから言っただろう、不完全だと・・・完璧にそれを使いこなせるなら、今頃その四人はイギリス清教全てを掌握するほどになっているはずだ』

土御門「・・・御使堕し」

上条「?な、なんでここでそれが・・・」

土御門「分からないか、天使の力を完全に掌握するなんて、普通では難しいが・・・天使そのものを引きずり出すには、特定の術式を行うだけでいい」

ステイル『まぁ、その引きずり出す術式だって簡単に出来るものではないがね』

上条「・・・父さんみたいな素人にだって出来てしまったことだ・・・まして、知識のある人間なら・・・」

土御門「・・・だが、それでもこっちには神裂がいる」

ステイル『そうだ、不完全な天使の力など、彼女にかかれば問題はない・・・だが、今僕が言っている問題というのは力量の差ではないんだよ』

上条「・・・どういうことだ?」

ステイル『四人のうち三人はイギリス人、そしてもう一人は・・・日本人なんだ』

日本人、その単語を聞いた瞬間に上条の背中に少し冷や汗が流れる

土御門や神裂、天草式十字清教

それらを知っていれば、日本人でも十字教信仰者がいること自体は決して珍しいとは思わない

問題は、それが危険因子であり、天使の力を使おう、などと考えていること

上条「・・・それの、何が問題なんだ?」



727 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 13:55:16.58 ID:sLmlvRpJ0
ステイル『・・・もしも、イギリス清教が日本人を殺害してみたと報道されてみろ』

土御門「にゃー、日本人はただでさえそういうのに敏感だ、そんなことになればイギリスと日本は対立関係になっちまう」

上条「・・・そうか、そうだよな」

上条が顎に手を当てて考える

だが、彼に相談してきたからといってどうなるのだろうか

上条「・・・もしかして、そいつらを殺さずに済ませる解決法があるのか?」

ステイル『あぁ、君のその右手を使った方法が、ね』

上条「・・・幻想殺しか」

土御門「分かるとは思うが、天使の力を使うのなんて聖人でもないかぎり、何かしらの儀式場や霊装が必要になる」

ステイル『君の右手で触れればそれは簡単に壊れてしまう』

上条「・・・俺が右手でそれを壊して、その隙にお前達はそいつらを捕らえる、って感じか」

ステイル『出来れば君を巻き込みたくはないんだが・・・イギリス清教としては、学園都市と対立関係になってしまうのは避けたいんだ』

日本と、と言わない辺りイギリス清教が日本にそこまで興味がないことを示している。学園都市はイギリス清教にとってかなりの利益をもたらすが、日本政府はそれほど関係ないのだろう

ともあれ、人を殺さずに問題を解決できるのならそれが一番だ

上条「・・・俺がそっちに行けばいいのか?」

ステイル『あぁ、あと・・・出来れば、何人か人員を連れてきて欲しい』

上条「?科学側の人間を魔術側に関わらせるのは・・・」

土御門「カミやん、今はそういう悠長なことを言っている場合じゃないってことだぜぃ」

上条「・・・そんなに危険な状態なのか?」


728 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 14:03:23.00 ID:sLmlvRpJ0
ステイル『・・・相手の目的、実力、そして現在の行動・・・それらは全て、推測でしか分からない』

土御門「天使の力を用いて何をするのか、なんて分からないんだぜぃ」

ステイル『しかも、不完全とはいえ恐らく一時的には聖人レベルの力を使うことが出来ると思われる』

上条「・・・イギリス清教には、それに対応できる人間がそこまでいないのか?」

ステイル『そうだな・・・神裂くらいしか思いつかない、もちろん最大主教はその人員に入れるわけにはいかないからね』

上条「・・・天使レベルと相対できるような人間・・・」

上条の頭には、ある二人の超能力者が思い浮かんだ

一方通行と垣根帝督

彼らなら、もしかしたら

上条「・・・俺と神裂・・・一方通行と垣根、これで四人」

土御門「・・・一対一なんて、上手くいくかは分からない」

上条「なぁ、相手が使う天使の力の種類は分からないのか?」

ステイル『・・・恐らくは・・・四人それぞれが四方のそれぞれを司っていると考えられる』

上条「神の右席と同じ感じか・・・」

土御門「しかも、天使の力を完全に使いこなせるとしたら・・・それ以上になりますたい」

ステイル『・・・僕達魔術師も、全員が天使の力を借りてはいるが・・・完全に扱いこなすことは出来ない』

上条「・・・それを扱いこなすってことは、つまり・・・天使と同じレベルの存在になるってことか」

土御門「まぁ、そこまで難しく考えることはないぜカミやん、敵を潰せばそれでトントンだ」

ステイル『・・・頼めるかな、上条当麻』

上条「・・・あぁ」

上条が力強く返事をする


上条「・・・天使・・・か」



729 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 14:51:14.00 ID:sLmlvRpJ0

垣根「・・・で、俺達に協力してくれと仰いでるってわけか」

土御門「そういうことだ」

一方「ちっ・・・なンでまた魔術なンてわけわからねェもンと関わらなきゃならねェンだよ」

上条「・・・そう言わないでくれよ」

上条の寮室

そこで、四人は話をしていた

イギリス清教、というものをそもそも垣根と一方通行はそこまで詳しく知らない

イギリスにある宗教団体だ、と説明するほかないのだ

上条「・・・天使の力ってのは・・・簡単に言えば、LEVEL6みたいなもんだ」

土御門「にゃー、とはいってもそこまで科学的なものではないけどな」

垣根「・・・で?俺達に協力する義理はねぇだろ」

上条「お、おい・・・」

一方「勘違いするなよ、俺達はたしかにお前の友達かもしれねェ、だがイギリスの友達じゃねェンだよ」

垣根「イギリスの宗教団体が一個潰れたからなんだよ、心理定規に影響があるわけでも、俺達が明日死ぬわけでもねぇ」

上条「それは・・・」

一方「・・・上条、オリジナルはどォする」

上条「!!」

一方「あいつを魔術の事件にまた巻き込むつもりか?」

上条「それは・・・」



730 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:01:34.37 ID:sLmlvRpJ0
一方「・・・あいつには何もできねェだろォが」

土御門「・・・そうだな、御坂美琴はそこまで今回の件では戦力にならない」

上条「土御門・・・」

土御門「勘違いするな、彼女が弱いと言ってるわけじゃない・・・現に、そこらへんの魔術師なんか束になっても超電磁砲には敵わないはずだからな」

垣根「・・・てめぇと一緒にイギリスに連れて行って、無力感を味わわせるか?それともこのまま何も言わず、お前はただ一人で戦地に向かうか?」

一方「どっちにしろ、オリジナルにはいいことがねェンだ」

上条「・・・」

一方「・・・上条、よく考えてみろ・・・てめェがイギリス清教とかいうヤツらに手を貸す義理もねェ」

土御門「・・・そうだな、別に俺達が日本人の裏切り者を殺したところで・・・それが報道されるという確証もない」

垣根「・・・俺は降りるぜ、意味わかんねぇヤツらと戦って怪我なんかしたくねぇよ」

一方「俺も降りる、てめェらに手を貸す理由なンてねェ」

土御門「・・・そうか」

垣根「悪く思うなよ、別にそいつらが死んでも構わねぇって言ってるわけじゃねぇ」

上条「・・・あぁ、悪かった」

一方「・・・じゃあな」

一方通行と垣根が部屋のドアを開ける


美琴「あ・・・アンタ達、来てた・・・」

そこには、美琴が立っていた

ちょうど今帰ってきたところなのだろうか

垣根「御坂」

美琴「な、なに?」



731 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:06:34.18 ID:sLmlvRpJ0
垣根「お前は・・・上条がまたどこかに行ってしまうとしたら、どうする」

美琴「・・・どういうことよ、それ」

垣根「そのままの意味だ、どうする」

美琴「・・・止めるわよ、私は」

垣根「・・・そうだな、それでいい」

ポン、と美琴の肩を叩いてから垣根が歩き出す

垣根「行こうぜ一方通行」

一方「・・・あァ」


美琴「・・・た、ただいま・・・」

上条「・・・美琴、お帰り」

土御門「邪魔してるぜぃ」

美琴「・・・うん」

カバンを下ろしてから、美琴が上条の隣に移動する

部屋の中にある、嫌な沈黙が美琴の背中を撫でた

美琴(・・・どこかに行ってしまう・・・?)

垣根の言葉の意味が、分からなかった

美琴「・・・ねぇ、当麻」

上条「・・・なんだ?」

美琴「・・・また、何かあったのね」

ピクリ、と上条の肩が跳ねた

それを見て、美琴は確信する。彼はやはり、何らかの事件に巻き込まれようとしている

そして、それを美琴には悟られまいとしているのだ



732 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:12:48.17 ID:sLmlvRpJ0
美琴「・・・土御門さん」

土御門「・・・ご明答、としか言えないぜぃ」

上条「土御門!!」

今にも胸倉を掴むかのような勢いで上条が立ち上がる。が、それを土御門は片手で制した

土御門「・・・垣根と一方通行の協力が得られないなら、次に戦力になるのは超電磁砲だ」

上条「それだけはダメだ!!絶対に!!」

美琴「戦力・・・」

土御門「イギリス清教ってのを・・・」

上条「美琴!!関わるな、これは危険な問題なんだよ!!」

美琴「危険・・・そう、やっぱり何かまた事件に巻き込まれてるのね!!」

上条「それは・・・」

土御門「・・・カミやん、諦めろ・・・この子はどうしても、お前の力になりたいみたいだぜ」

上条「・・・イギリス清教で、また事件があったらしい」

美琴「・・・うん」

土御門「とはいっても、まだそこまでハッキリとした事件は起こしていないが・・・明らかに怪しい動きをした危険因子が四人、確認されたんだ」

上条「そのうちの一人が・・・日本人らしくてさ」

美琴「日本人・・・」

土御門「イギリス清教としては、政治的な問題であまり日本人を無下には出来ない」

上条「でも、俺の力があれば・・・その人たちを殺さずに済むんだ」

美琴「・・・一番平和的な解決が出来るのね?」



733 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:16:42.89 ID:sLmlvRpJ0
上条「・・・そうだと思う」

土御門「・・・現在、俺の仲間・・・ステイルがそいつらの動向を確認している」

美琴「どんなヤツらなの?」

上条「・・・天使の力を使って、何かを起こそうとしてるみたいなんだ」

美琴「天使・・・」

美琴が想像しているものとは、おそらく違うのだろう

ラッパを吹いていて、背中には綺麗な翼が生えている

そんな可愛らしい天使ではなく、あの第三次世界大戦で見かけた不気味な存在

美琴「・・・それを止めなきゃいけないのね?」

土御門「一方通行と垣根なら、そいつらに対処できるかもと思って呼んでみたんだが・・・」

両手をパッ、と広げて土御門がおどけてみせる。無理だった、という意味のジェスチャーだ

美琴「・・・あいつらは・・・どうして?」

上条「責められるわけがないさ」

美琴「だって!!」

上条「・・・もしも、もしもあいつらがイギリスに行くってなったらどうなる」

美琴「どうなるって・・・」

上条「・・・お前は、俺が一人でイギリスに行こうとしてるって知ったとき、どうした」

美琴「一緒に・・・」

そこまで言って、美琴が感づく

垣根と一方通行、その両名も、ある巻き込みたくない人間がいるはずだ


734 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:21:53.97 ID:sLmlvRpJ0
土御門「垣根は心理定規を、一方通行は番外個体を巻き込みたがっていない」

上条「かといって・・・いつ帰ってこられるか分からないのに、一人にしておくことは出来ない」

土御門「・・・別にあいつらが悪いんじゃない、カミやんの正義感が強すぎるだけって話だ」

美琴「でも、心理定規と番外個体なら・・・」

土御門「あぁ、ついてくるに決まってる・・・そうなれば、垣根と一方通行は二人を守りながら戦わなくちゃならない」

上条「・・・リスクが相当でかい、その上見返りなんて何もないんだ」

美琴「・・・」

上条「・・・責められるわけが・・・ないんだ」

天井を見上げながら、上条が呟く

彼が再び学園都市に帰ってこられるか、それさえ分からない

そんな戦いに、友達や美琴を巻き込むのはイヤだった

美琴「私は行くわよ・・・巻き込まれたんじゃなくて、自らの意思で」

土御門「・・・だとよカミやん、しっかり守ってやることだ」

上条「・・・そうだな」

土御門「さってと・・・俺はステイルからの連絡を待つ、詳しい出発日時は今度な」

美琴「・・・また、イギリスに行くことになるの?」

土御門「そうなるな」

上条「・・・一つ約束してくれ、土御門」

土御門「なんだ」

上条「・・・俺に、嘘をつくなよ」

土御門「・・・あぁ、俺が傷つくのがイヤか?」

上条「・・・友達が一人で傷つくのなんて、堪えられるかよ」

土御門「分かった、それは絶対に約束しよう」

上条「じゃあ、またな」

土御門「あぁ」




735 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:26:13.09 ID:sLmlvRpJ0

キィ、とドアが軋む

その音が、妙に不気味に聞こえてしまう

一方「・・・ただいま」

番外「ん?お帰り、何の用だったの?」

マンションの一室

そこでは、番外個体がソファーに座りながらテレビを見ていた

6年前に学園都市の外で起きた飲酒運転ひき逃げ死亡事故の犯人が釈放されました、というありきたりなニュースだ

一方「・・・なンでもねェ、ちょっと頼まれごとをされただけだ」

番外「へぇ、上条が?」

一方「・・・あァ、でも断った」

番外「なんで?断ることないじゃん」

一方「・・・めンどくさかったンだよ」

風呂場に向かいながら、一方通行が答える

番外「シャワー?」

一方「あァ、そォだ・・・」

番外「珍しいね、いつもは帰ってきたらすぐにコーヒー飲むのに」

一方「・・・」

番外「?どうしたの?なんかアナタ、変だよ」

一方「なンでもねェ」

風呂場のドアを開けた一方通行が、ぽつりと最後に呟いた


一方「・・・水に流したいことだってあるだろォが」



736 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:30:41.80 ID:sLmlvRpJ0

垣根「ただいま」

心理「お帰りなさい・・・なんだったの、呼び出しって?しかも私は来るなってことだったけど」

垣根「くっだらねぇ話だよ」

ソファーに身を投げ出した垣根が適当に答える

ただいま、と言いたい場所が彼にも出来たのだ

わざわざそれを投げ捨てるような必要は無い

イギリスでの問題がどうだろうと興味が無かった

それに巻き込まれて今の居場所を失うことに比べれば、日本とイギリスの関係が少し悪化するほうが彼にとってマシなのだ

垣根「・・・なぁ、心理定規」

心理「なに?」

垣根「・・・もしもさ」

それでも、垣根は何か胸に引っかかるものを覚えていた

上条は、恐らく戦地へ向かうはずだ・・・そして、美琴も

垣根「・・・友達が困ってたら、お前は助けたいと思うか?」

心理「当たり前じゃないの」

垣根「それが、かなり危険な問題でも、か」

心理「えぇ、例え・・・それが、自分にとって何の見返りのないことでも」

クスクス、と心理定規が笑う



737 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:39:40.38 ID:sLmlvRpJ0
垣根「あぁ?なんだよ・・・なんで分かった」

心理「あら、当たっちゃった?」

垣根「・・・」

眉をひそめる垣根を見て、心理定規が嬉しそうに笑う

心理「話してくれるなら嬉しいけど・・・でも、話さなかったってのは私を巻き込んでしまうから?」

垣根「そこまで分かるかよ・・・ちょっと話しただけだぜ?」

心理「あら、人の心には詳しいのよ」

垣根「・・・オーケー、やっぱり黙ってるってのはよくねぇな・・・恋人に隠し事なんて二流のやることだ」

心理「・・・それで、何があったの?」

垣根「・・・実は、だな」



心理「・・・イギリスでの問題・・・ね」

垣根「・・・そりゃ断りはしたけどさ、どうも引っかかるんだよ・・・」

心理「良心の呵責?」

垣根「いや、もっと・・・面白いものが手に入りそうなんだ」

一方通行が魔術に触れたことで、新たな力を手にしたように

垣根がもしも魔術に触れれば、何か大きな力を手に入れられるかもしれない

垣根「・・・そうだ、利益なんて最初から用意されてるもんじゃねぇ・・・暗部の時にそう学んだ」

心理「・・・」

ゆっくりと垣根が体を起こす

垣根「・・・心理定規」

心理「なに?」

垣根「・・・俺について来いよ」

心理「あら、てっきりお前は来るなって言われると思ったのに」



738 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 15:42:44.69 ID:sLmlvRpJ0
垣根「どうせ待たせても辛い思いをさせるだけだ・・・それに」

ニヤリ、と笑いながら垣根が振り向く

垣根「もしも何か掴んだら、真っ先にお前に披露してやりたいからな」

心理「ふふ・・・そういう強気な表情のほうが、あなたには似合うわよ」

垣根「だろ?やっぱりそうだよなぁ」

心理「そうと決まれば、上条君に連絡しなさいよ」

垣根「いや・・・」

脳裏に浮かぶのは、もう一人の化け物の姿だ

彼と一緒に、その誘いを断った

垣根「もう一人、誘わなきゃならねぇヤツがいるんだよ」

心理「誰?魔術に詳しい人?」

垣根「いや・・・」

そして、魔術を掴めば垣根以上の力を手に入れるはずの超能力者

かつて、彼が挑んでも勝つことの出来なかった男


垣根「・・・相棒だよ、相棒」

心理「?」



739 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 17:47:31.07 ID:sLmlvRpJ0

番外「・・・どうしたんだろ?」

一方通行の様子は、明らかにおかしかった

いつもなら家に帰ってきてすぐ、ブラックコーヒーを飲むはずだ

そして、番外個体と少し喧嘩にも近い会話をして、それからテレビをつける

くだらないニュースを見て、自分なりの考えを少し言ってからテレビを消し、ふてくされたようにしてソファーに寝転がる

そういった一連の行動を、今日の彼は取っていない

番外「・・・まさか、何か・・・」

ピンポン、というチャイムの音が番外個体の独り言を遮る

こんな時間に来るのは夕刊の勧誘くらいだ

学生が多い学園都市でよくもやるものだ、といつも一方通行と二人であきれているから分かる

番外(あーあ、今はそれどころじゃないってのに)

そのチャイムを無視して、思考をめぐらせようとする

しかし何度も何度もチャイムは鳴らされる

堪忍袋の緒が切れた番外個体が、玄関に向かい、ドアを勢い良く開けた

番外「夕刊なら間に合って・・・」

垣根「・・・いたか、番外個体」

番外「あ・・・か、垣根か」

心理「ごめんなさいね、一方通行はいるかしら」

番外「・・・今シャワー浴びてるけどさ・・・なんか不機嫌なんだよね」

垣根「・・・だろうな」



740 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 17:52:02.53 ID:sLmlvRpJ0
番外「だろうなって・・・まさか、なんであの人が不機嫌か知ってるの?」

垣根「あぁ、俺だってそのことで悩んでたところだった」

番外「垣根も・・・?ねぇ、何かあったんじゃないの?暗部絡み・・・」

垣根「暗部じゃねぇ・・・いや、学園都市の問題でもない」

番外「じゃあ・・・」

垣根「上がるぞ、あいつがシャワー終わらせたら話してやるよ」

心理「・・・ちょっと」

垣根「こいつに話せば、一方通行は決めるしかなくなる・・・迷ってる状態ってのが一番いけねぇのさ」

靴を脱ぎ捨て、垣根がズカズカとリビングへ向かう

清潔感が溢れているのは、恐らく潔癖症気味の黄泉川のせいか

正確には、彼女が仕事でヘマをしたからなのだが。垣根がそんなことを知っているわけはない

垣根「・・・番外個体、お前は・・・たしかLEVEL4程度の能力者だよな?」

番外「まぁ、一応はね」

垣根「・・・戦力としては・・・あまり期待できないな」

番外「戦力?何かドンパチやらかす予定なの?」

垣根「あぁ、派手にな」

番外「そりゃ楽しみだ」

垣根「・・・そこまで楽しくはないだろうけどな」

心理「・・・えぇ、そうね」

741 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 17:56:30.32 ID:sLmlvRpJ0

ざぁぁ、というお湯の流れる音

それを聞きながら、一方通行は何もせずただ突っ立っていた

雨を思い出させるその音は、悩んでいた一方通行の胸をより一層締め付ける

水に流せるかもしれない、と思ったのは間違いだった

一方(・・・関係ねェ)

イギリス清教の問題なんて、彼には全くもって無関係だ

土御門からその話を聞かせられなければ、決して知ることはなかった

結局、一方通行にとってはその程度の問題だ

関わっても関わらなくても、人生には影響しない。関わってしまえば、何かを失うかもしれない

そんなリスクだらけの戦いに、首を突っ込むわけにはいかなかった

命が惜しいのではない

一方(・・・番外個体を巻き込むわけにはいかねェンだ)

彼女がついてきたとして、彼には何が出来るだろうか

触れたもののベクトルの向きを変える能力

それは、自分だけを守り通し、他人は決して守ることの出来ない力だ

離れてしまえば意味がない、近くにいても自分の反射したベクトルが仲間に牙を剥くことさえある

そんな戦場に、彼女を晒していいはずがなかった

一方(・・・だったら、なンで俺は悩ンでンだろォな)

上条当麻が巻き込まれているからか、御坂美琴が巻き込まれそうだからか

いや、違う



742 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 18:00:23.44 ID:sLmlvRpJ0
一方(・・・俺は、聞いちまったンだ)

イギリス清教で、問題が起きている

それを止めるためには、敵を殺さなければならない

そして、もしも自分が協力すれば・・・そうはしなくて済むかもしれない

敵を殺すなんてこと、一方通行にとっては当たり前だった

自分が何万回も繰り返してきたことだ、それを今更咎められるわけはなかった

一方(・・・それでも)

彼は知っている、誰かを守るための戦いというものを

壊すためでも殺すためでも、自分が満足するためでも相手に恐怖を植え付けるためでもない

ただ、大切な人を守るために力を振るうことを

一方(それだけじゃダメなンだよ)

上条当麻のような、ヒーローになるためには

関係ない人でも、手を差し伸べなければならない

彼はヒーローにはなれないのだろう、しかしそれでも無駄な殺生を見過ごすことが出来なかった

丸くなったものだな、と自嘲する

自嘲はするが、悩みはしない

一方(・・・ちっ、こンなの俺の柄じゃねェ)

そう思いながら風呂場を後にする

彼の横顔は、笑っていた



743 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 18:04:57.64 ID:sLmlvRpJ0

垣根「よぉ、来たか」

一方「・・・お前、いつ来たンだ」

垣根「さっきな、カップラーメンでも作ってたらちょうどいい時間だったぜ」

一方「そォかよ」

リビングに入った瞬間、垣根の姿が目に入った

横には心理定規もいる

こんなときに何の話か、なんてことは考えもしない

一方「・・・お前も行くつもりか」

垣根「お、ってことはお前もだな」

一方「・・・イギリスの問題になンて興味ねェし、そこで何人死のォが関係ねェ」

垣根「ただし、俺達はその話を聞いてしまった・・・か、美談にするには少々手荒だな」

一方「小説書こうってンじゃねェ、これは現実だ」

垣根「・・・番外個体に説明は」

一方「今から・・・俺がする」

垣根「・・・オーケー、頼むぜ相棒」

一方「・・・番外個体」

番外「あいあーい」

一方「いいか、よく聞け・・・そしててめェが選べ、俺と一緒に来るか、それとも」

番外「一緒に行くよ」

一方「・・・あァ?話を聞いてから・・・」

番外「どうせ行くって言うんだし、早めに答えは言っといてあげる」

一方「・・・そォか」

小さく笑ってから、一方通行が話を切り出す


一方「イギリス清教の問題なンだけどよ」


744 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 18:09:41.08 ID:sLmlvRpJ0

アレイ「・・・」

テクパトル「?何笑ってるんだよ、アレイスター」

アレイ「・・・笑っているかね、私は」

テクパトル「あ、あぁ」

アレイ「そうか」

ソファーに身を預け、本を読みながらアレイスターが笑う

アレイ「・・・テクパトル、君は明日も仕事かね」

テクパトル「あぁ、明日も明後日もな」

アレイ「そうか、それがいい」

テクパトル「?どういう意味だよ?」

アレイ「いや、仕事というのは楽しいものだろう」

テクパトル「あ、あぁ・・・」

アレイ「・・・結構」

愉快そうに笑うアレイスターが、ページを捲っていく

テクパトル「・・・なぁ、さっきから何を読んでるんだ?魔道書じゃないし・・・」

アレイ「あぁ、これかね」

アレイスターが表紙を見せながら答える


アレイ「オレステイア・・・ギリシア悲劇の代表作だよ」


745 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 18:13:15.72 ID:sLmlvRpJ0


「なぁ、本当に引越すのか?」

「・・・あぁ、父さんが学園都市に行けって言うからさ」

「・・・そっか、それがいいかもな」

「・・・学園都市だったらさ、俺の問題も解決するかもしれないし」

「そこはオカルトなんて信じないからな」

「・・・でもさ、もしも学園都市でもみんなから厄病神って言われたらどうしようかな」

「帰って来いよ、また俺と遊ぼうぜ」

「ははは、そりゃいいな」

「・・・クラスのみんなもさ、正直ちょっと寂しいんだと思う」

「そうか?みんな俺がいなくなってせいせいするだろ」

「・・・そういうヤツも中にはいるけどさ、でもお前はいつも笑ってたじゃないか」

「・・・そうだな」

「・・・そろそろ時間だろ、行って来いよ」

「あぁ、帰って来たらまた一緒に遊ぼうな」

「・・・きっと、きっと遊ぼうな」

「それじゃな」

「あぁ・・・」



「絶対に帰って来いよ、上条!!!!」



746 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 18:18:02.41 ID:sLmlvRpJ0


上条「・・・ん?夢か・・・」

むくり、と体を起こした上条が時計を確認する

朝の7時

学校はまだ春休みであるため、普段なら安らかな朝と形容するべきだろう。が、今はそんな晴れやかな気持ちとは対象とさえいえる

イギリス清教で起きた問題

それが、ずっと頭から離れない

美琴もイギリスに共に行くことになった

そして、垣根と一方通行も協力する気になってくれたらしい

昨晩のメールを読み返し、上条が小さく笑う

上条(・・・あいつらも、なんだかんだ人助けがしたいんだろうな)

美琴「ん・・・おはよう・・・」

上条「あぁ、おはよう美琴」

隣で体を起こしながら目を擦る美琴

華奢な体つきに見えるが、これでも学園都市で三番目に高い能力の持ち主である

上条(・・・学園都市の上から三番目までが全員、俺と神裂・・・これならいけるか?)

敵の実力が分からないため、確信は持てない

だが負けるということは想像しにくかった

上条(・・・何はともあれ、俺が今待つべきは・・・)

トントン、と玄関がノックされる

その向こうにいるのが誰なのか、なんて考えるまでもない

上条(・・・俺達がどう動くべきかを教えてくれる、土御門だよな!)



747 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 20:13:58.67 ID:sLmlvRpJ0

ステイル「・・・聞いたかい、神裂」

神裂「えぇ、もちろん」

イギリス清教の聖堂

荘厳な雰囲気とは裏腹な二人は、短い言葉を交わしていた

一人は2M以上の身長を誇る神父

もう一人はあまりにもルーズな格好をしている女性

もしも二人を知らない人間がその光景を見ていたら、「なんて無礼な観光客なのか」と思うはずだ

それほどまでに、二人は変わった格好をしている

ステイル「今回の件はインデックスには内密にするそうだよ」

神裂「・・・少し前の事件で、彼女はひどい目に遭いましたからね」

ステイル「・・・もう、あの子に手は出させないさ」

神裂「・・・上条当麻とその友人がこちらに来るのですよね」

ステイル「あぁ、今頃は空の旅だと思うよ」

神裂「・・・そうですか」

ステイル「何か引っかかるかい?」

神裂「いえ、ただ・・・」

神裂が腰にぶらさげた刀を見つめる

それは、彼女の力の象徴でもあった

神裂「・・・本当に、今回の標的は天使の力を完全に使いこなそう、などと考えているのでしょうか」

ステイル「さぁね、もしそうだとしたら相当な愚か者だけど」


748 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 20:19:49.49 ID:sLmlvRpJ0
神裂「・・・おかしいとは思いませんか、天使の力を不完全ながら操る・・・それが、一体どういうことか・・・あなたには分かるでしょう」

ステイル「・・・僕達だって、天使の力を不完全ながらに扱っている、と言いたいのかい」

神裂「魔術師は、大なり小なりそれを用いているのです・・・正直な話、それだけで危険因子と言えるのでしょうか」

ステイル「・・・となると、最大主教は何か・・・」


ローラ「別に理由で今回の標的の殺害を命じた、と」

ステイル「!!最大主教・・・」

神裂「し、失礼しました!」

ローラ「正解なりてよ、それで」

ステイル「・・・なんだって?」

ローラ「今回の敵は、決して特別な魔術師ではない・・・所詮はただの魔術師、それだけのはずだったの」

神裂「・・・はず、だった?」

ローラ「・・・3人は問題ない程度の実力者、しかし・・・もう一人が厄介でね」

ステイル「一体それは・・・」

ローラ「・・・天使を呼び出すには、ある程度の儀式場が必要ではあるけれど・・・それを簡略化し、ほんの一瞬だけ天使を堕とすことも出来る」

ステイル「・・・それが?」

ローラ「分からないのかしら」

突然現れたローラは、愉快そうに笑いながらステイルの横へと歩いて移動する

その当たり前の行動が、嫌に恐怖を覚えさせる

ローラ「・・・危険因子の一人はそれを行おうとしているのよ」

神裂「・・・」



749 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 20:30:35.83 ID:sLmlvRpJ0
ローラ「・・・まぁ、それだけなら何の問題もない、一分や二分で滅ぼされるほど、イギリス清教も柔ではないのよ」

ステイル「ならばなぜ危惧するのですか」

ローラ「それだけの理由で、イギリス清教に歯向かうと思う?」

神裂「いえ・・・何も、天使を呼び出すならそんなことをしなくても・・・」

ローラ「そう、だとすれば何か別の目的があるはず・・・天使を呼び出してから行う、何かが」

ステイル「・・・それが何なのかは分からない、と」

神裂「・・・その一人とは誰なのですか?」

ローラ「そこまで細かい情報はない、掴もうと思った矢先にヤツらは身を隠してしまった・・・」

ステイル「・・・ならば、せめて敵の特徴を」

ローラ「・・・三人はそれぞれ、大地、水、火を司っているとされている」

ステイル「・・・風は?風はどうなっているのですか」

神裂「四人いれば四方をそれぞれが司っている、など考えるのが愚かとは分かっていますが・・・」

ローラ「そんなこと気にするな、それぞれが三方の術式を使う、とだけ覚えていればいいのよ」

神裂「・・・もう一人は、どうなのですか」

ローラ「詳しい術式がつかめていないのはそいつなのよ」

ステイル「・・・ヒントだけでもないものですか」

ローラ「・・・その男が住んでいた家に押し入ったときには、蛻の殻・・・それらしきヒントはなかった」

ステイル「・・・そう、ですか・・・」

ローラ「・・・ちなみに」

話を終え、歩き出そうとしていたローラが振り向いて少しだけ付け加える


ローラ「・・・その男はね、てんびん座生まれらしいのよ」

ステイル「・・・は、はぁ?」




750 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 21:18:55.13 ID:sLmlvRpJ0


垣根「・・・それで、俺達は何をすればいいんだよ」

空を飛ぶ飛行機の中で、垣根が土御門に訊ねる

土御門「そうだな、ビーフかフィッシュかまずは・・・」

一方「ンなこと聞いてねェよ」

土御門「・・・そんなにカリカリするな、冗談だって必要だろ」

美琴「それで?何をすればいいんですか?」

幼い印象を与える私服を着た美琴がもう一度訊ねる

土御門「簡単に言えば、敵を倒せばそれでいい」

上条「・・・そう言ってもさ、俺達は敵の顔も知らないんだぜ?」

土御門「問題ないさ、カミやん達には神裂が、一方通行達には俺が、垣根達に

はステイルがついていく」

心理「ふーん・・・そう、それなら問題はないわね」

番外「でもさ、そうやってばらけたほうがいいのかな?」

土御門「・・・さぁな、敵がばらけてくれるかもしれないし固まって行動するかも

しれない」

一方「・・・どォすンだよ、俺達は敵の情報なンてしらねェぞ」

土御門「・・・そこは上手くやるしかない、大体俺達だって相手がいつどうやって

動くかも分からないからな」

上条「・・・相手が動くっていう確信は」

土御門「ないな・・・だが、動くとしたらすぐにでもやるはずだ」

一方「・・・少しでも感づかれる前に、だな」



751 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 21:25:44.36 ID:sLmlvRpJ0
垣根「・・・確信もねぇのに、俺達を誘うとは中々だなおい」

土御門「そう言ってくれるな、俺達だって早いうちに危険な芽は摘んでおきたいのさ」

美琴「・・・敵の使う能力は分かるの?」

能力、という言い方に少し土御門が笑う

土御門「大地、水、火を司る魔術師が一人ずつ、そしてもう一人・・・そいつだけは何を使うのか分からないとされている」

心理「へぇ・・・」

土御門「出来れば、その魔術師に対処するのは垣根に頼みたい」

垣根「俺・・・か」

土御門「あぁ、一方通行は能力に制限がついている・・・カミやんには、あまりにリスクが大きい」

上条「・・・垣根、いいか?」

垣根「あぁ、問題ないぜ」

心理「・・・気をつけましょう、私達には魔術の知識なんてないんだから」

垣根「分かってるよ・・・んなことぐらい」

上条「・・・そろそろ着くな」

土御門「いいか、着いたらそれぞれの班に分かれて行動することになる・・・それとカミやん」

上条「あぁ、なんだ?」

土御門「悪いんだが、カミやんは一度イギリス清教の女子寮に向かってくれ・・・神裂は少し仕事が長引くそうで、そこでしか待ち合わせが出来ないみたいだ」

上条「あぁ、分かった」

一方「・・・幸運を祈ろォぜ」

垣根「誰に祈るんだよ・・・ったく」

垣根がはぁ、と溜め息をつく


垣根「祈るはずの相手を、俺達はこれから敵に回すんだぜ」





752 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 21:29:52.14 ID:sLmlvRpJ0

上条「・・・さて、俺達も行動を始めるか」

垣根達と一方通行達はすでに行動を開始した

とは言っても、上条達がまずするべきことはイギリス清教女子寮へ向かうことだ

他の二組は捜索を始めている、遅れを取るわけにはいかない

美琴「・・・なんだか、ここに来るたびに事件に巻き込まれてる気がするわね」

上条「そうだな・・・」

上条がぐるり、と空港内を見渡す

とりあえず、待ち伏せられて狙われる、ということはなかった

敵もそこまでの情報を掴んでいないのだろう

もしかしたら、自分達が追われていることにさえ気づいていないかもしれない

上条「・・・行こうか、美琴」

美琴「うん・・・」

二人がくるり、と向きを変えたその時

視界に、ある日本人の姿が映った

イギリスで日本人を見るのは、少し珍しいかもしれない

年齢は上条と同じくらいだろう

少し変わった服装をしているが、それ以外に目立つところはない

観光客、と思われるが


なぜかその人物は、驚いたような顔をしながら上条に近づいてきた



753 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 21:37:58.39 ID:sLmlvRpJ0
「上条!お前、上条だろ!?」

上条「・・・?え、えっと・・・」

「久しぶりだな!!小学校の途中でお前が引っ越して以来だ!!」

上条(ま、まずい!!)

恐らく、この日本人の青年は上条の小学校の同級生だろう

そして、きっと久しぶりに見かけた上条に懐かしみながら声を掛けたのだ

しかし、上条はそんな昔の記憶など無くしてしまっている

イギリスに来て、最初の問題が魔術師ではなくこんな災難だとは思わなかった

上条「あ、あぁ・・・」

美琴「・・・あの」

「ん?えっと・・・なぁ上条、この子って妹・・・じゃないよな、お前って一人っ子だったしさ」

上条「い、いや・・・」

上条が一人っ子ということも知っている

間違いない、彼は明らかに昔の上条の友達なのだ

美琴「私、当麻の恋人です・・・」

少しムスッとしたように、美琴が答える

「恋人・・・?お前、恋人出来たのかよ!!」

突然、その日本人がゲラゲラと笑い出す

上条「な、なんだよ!?」

「あはは!!不幸不幸って言いながら恋人が出来てたとはなぁ・・・」

上条「・・・・ま、まぁな・・・」




754 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 21:44:58.18 ID:sLmlvRpJ0
不動「はは・・・あぁ、悪い悪い・・・俺は不動拓馬だ、よろしく」

美琴「御坂美琴です・・・」

不動「はぁ・・・上条、お前ホントよかったな・・・」

上条「な、何がだよ?」

昔の知り合いに会うのは本当に久しぶりだ

しかも、こんな所でいきなり会うなんて思ってもいなかった

そのため心の準備もへったくれもなく、戸惑ってしまっている

不動「お前は一生不幸のまんまだと思ってたけど・・・親友として安心するよ」

上条「あ、あぁ・・・サンキュー」

親友、という言葉が少しズキリとくる

そんなにまで自分を慕ってくれている友達を、彼は覚えていないのだ

不動「・・・にしてもさ、お前はなんでこんなとこにいるんだ?学園都市に住んでるはずだよな?」

上条「いや、ちょっと・・・」

不動「あ、もしかして彼女と二人で旅行か!?そうなんだろ、今日本は春休みだからなぁ」

ウンウン、と頷きながら不動が笑う

美琴「そ、そうなんですよ、だから・・・」

不動「よーし、でもイギリスなんてそんなに詳しくはないだろう、俺がガイドしてやるよ!!」

上条「は、はぁ!?」

美琴「あ、いえ・・・」

不動「大丈夫大丈夫、お前達がいいムードになってきたら自然消滅するって!!」

笑いながら、不動が二人の背中を押す



755 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 21:49:58.26 ID:sLmlvRpJ0
上条「あ、あのさ・・・お前はなんでイギリスにいるんだ?」

不動「まぁまぁ、そんなことはどうでもいいから・・・まずはどこ行きたい!?って言っても、そこまでイギリスの観光地も知らないかな」

美琴「そ、その・・・」

上条(・・・仕方ないか、ちょっと付き合ってから探したほうがここは早い・・・)

下手に焦って怪しがられると、一般人を巻き込むことになる

それも、かつての友人を

不動「さぁ、どこがいい!?」

上条「じゃあさ・・・ビッグベンがいいな!!」

不動「えー・・・あそこさ、ただビッグベンが聳え立ってるだけだぜ?んなとこよりな007のMI6、行ってみようぜ!!」

上条「いやいや!!そんな言われたら俺達の観光じゃなくなるだろ!!」

美琴(そもそも観光じゃないんだけどね・・・)

不動「そうかそうか、ならビッグベンにでも行くか!!」

上条「そ、そうしてくれ・・・」

このハチャメチャな男が本当に自分の友人だったのか、と上条は肩を落とす

しかし、土御門や青髪などと友達だった彼なのだから、不思議でもない

上条(・・・にしても)

先ほどから一つだけ疑問に感じていた


上条(・・・不動って、なんでそこまでイギリスに詳しいんだ・・・?日本に住んでるはずなのに)




756 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/24(土) 21:56:05.10 ID:sLmlvRpJ0
今日はここまで

いいじゃない、たまに真面目な話を書きたくなっても

そしてクリスマスなんて消えちまえ!!

筋肉動画はミスター・シンメトリーこそ「リー・ラブラダ」を

フレックスが現れてから「ミスター・パーフェクト」の名はフレックスに奪われましたが・・・

しかし、あのリー・ヘイニーに僅差で二位につけたこともある素晴らしい選手です

今もなお、素晴らしい肉体を維持しているラブラダさん

http://www.youtube.com/watch?v=1M7oNEFvmeI  


ポージング上手いです


ではおやすみなさい


シリアスなんて・・・書けないのよ、私は!!


757 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 22:37:44.34 ID:yAjhqcUN0
乙です!

また、垣根の翼が説明できない美しい輝きを放つのか!?
758 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 22:42:41.19 ID:pHQBu9eDO
>>1乙である。
759 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 00:08:49.02 ID:piOjGXhBo
聖人に幻想殺しに超電磁砲とかバランスめっちゃいい気がする
760 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 00:12:50.30 ID:T1bKUYTqo
乙にゃんだよ
761 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 00:13:33.00 ID:C1zfScq/0
乙です
魔術師が相手か…
垣根と一方通行なら多少の圧迫感くらい我慢してくれるよな
762 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 09:29:11.41 ID:r5qwpc4Z0


垣根「・・・それで?俺はその詳細不明の魔術師と戦えばいいんだな」

ステイル「あぁ、そうなるよ」

イギリスの街中を歩きながら、三人は今後の行動を確認していた

心理「・・・その魔術師、まさか相手を乗っ取ったりはしないわよね」

ステイル「そんなことが出来る術式は聞いたことがないよ」

垣根「・・・なんのヒントも無いのか」

ステイル「・・・天秤座」

心理「?」

ステイル「その男は天秤座らしいんだ」

垣根「天秤座・・・ねぇ、そんな情報、あんまり役には立たないな」

ステイル「しかし他には何も分からない・・・名前以外は、何も」

垣根「・・・名前はなんなんだよ」

ステイル「・・・シュミット、シュミット=サミア」

垣根「・・・なんかややこしい名前だな」

心理「・・・顔は分かってるのよね?」

ステイル「あぁ、それは安心してくれたまえ」

一枚の封筒を、ステイルが差し出す

それを受け取った垣根が中身を確認する

書類は二枚、一枚は今回の標的の分かる限り細かいプロフィール

もう一枚は、彼等が使うと思われる術式



763 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 09:29:51.24 ID:r5qwpc4Z0
垣根「・・・日本人の顔写真はないんだな」

他の三人は顔写真が載っていた

しかし、なぜか日本人だけはその欄が空白になっている

ステイル「あぁ、彼の顔写真だけは手に入らなかった」

心理「何か理由があるの?」

ステイル「さぁ・・・他の写真も、別にこの書類を作るために撮られたわけではないからね」

垣根「・・・だろうな、このシュミットってヤツのは恐らく集合写真の拡大だろうし」

シュミットという男の後ろに、シャツのボタンらしき物が見えている

後ろに、シャツを着た人間が立っていたのだろう

心理「・・・他の二人のは記念写真かもしれないわね、何か晴れやかな感じがするもの」

垣根「てことは、その日本人はあまり写真を撮られる機会がなかったってことか」

ステイル「だろうね・・・だが、僕達が今回相手にするべき第一目標はあくまでシュミットという魔術師だ」

垣根「・・・天秤座、ねぇ」

ステイル「気になるかい?」

垣根「・・・何か引っ掛かるんだよ」

ステイル「天秤座・・・審判の意味も持っている星座だ」

心理「・・・善悪を分ける審判ね」

垣根「ムカつくな・・・善悪なんて簡単に決められるもんじゃねぇのによ」

心理「・・・」

垣根「なんだよ、驚いたような顔して・・・」

心理「ふふ・・・なんでもないわよ」

垣根「はぁ?」

ステイル「とりあえず、僕達はまずある場所に向かう」

垣根「ある場所?」

ステイル「天使を堕とすには、儀式場が必要だ」

ステイルがくるりと振り返る

ステイル「なら、そんな大切な儀式場に一人の見張りもよこさないなんてことはないだろう?」




764 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 09:30:33.52 ID:r5qwpc4Z0


一方「・・・俺達が戦うのはどれなンだよ」

土御門「そうだな・・・火を司ってる魔術師が一番楽だと思うぜぃ」

土御門の差し出した書類を見つめながら一方通行が眉をひそめる

火を司っている魔術師は、10代前半の少女だった

土御門「・・・名前はイリーナ=イフリート、わざわざ名前にイフリートなんてつけるほど自分の魔術を誇りに思ってるみたいだな」

番外「イフリートってなんなのさ?」

土御門「イスラム教の、火の魔神さ」

一方「イスラム教だと?」

土御門「そのイリーナって魔術師は元々イスラム教を信仰していたらしいんだ」

トントン、と書類を叩きながら土御門が笑う

土御門「理由なんて分からないが、イギリス清教に改宗したってわけだ」

番外「でもわざわざイスラム教の名前を名乗るなんて挑発的だね」

土御門「あぁ、昔から内部アンチなんじゃないかと疑いは掛けていたが・・・本当にそうだったとはな」

あまり悔しくもなさそうに土御門が笑う

土御門「・・・だが、イフリートを扱う魔術師ってのは面白いだろ」

一方「・・・魔術ってのは一体なンなンだよ、俺が知ってる十字教やイスラム教はただの宗教だ、それを信仰してる人間が能力を使えるなンて・・・」

土御門「ようは、宗教の中で語られている神様や事象を無理矢理現実にしようってことだ」

番外「・・・アダムとイブとか?」

土御門「まぁ、そういう伝説を元にして術式を練るんだ」

一方「・・・俺には分からねェ、そンな何でもありの能力なンて有り得るのか」

土御門「何でもあり・・・か」

番外「違うの?」



765 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 09:31:08.50 ID:r5qwpc4Z0
土御門「魔力を精製するには生命力を必要とする・・・それに、超能力と違って霊装やカードなど、細かい道具を必要とするんだ」

一方「・・・」

土御門「魔術師は何でもありの素晴らしい者なんかじゃない、自分の生命力を削り、細かい下準備をした上で成り立っている」

一方「はン、能力者よりも便利じゃねェか、火も水も同じ人間が生み出せるなンてよ」

土御門「たしかに便利だな、しかしリスクも高い」

番外「まぁまぁ、今はそんな話じゃないじゃんか」

番外個体がイリーナの顔写真を指差す

番外「この魔術師さんはどこにいるか・・・見当くらいはついてるの?」

土御門「いや・・・正直、掴めていないんだ」

一方「虱潰しにイギリスを探せってのかよ、無理だな」

土御門「誰もそこまでは言ってない、さっきも言ったようにこいつはイスラム教崩れだ」

番外「ってことは・・・イギリス清教の世話にはあまりなりたがらないの?」

土御門「あぁ、居場所を作るために一応、イギリス清教に属しているだけだろうな」

一方「なら、イギリス清教の寮はねェかもな」

土御門「それどころか、イギリス清教を信仰している人間が営んでいる宿さえ嫌がりそうだぜぃ」

番外「そこまで嫌いながら・・・それでもイギリス清教にいたんだね」

土御門「あくまで推測だ、本当にこの女がイギリス清教を嫌っているかは分からない」

一方「・・・いや、こいつは絶対にイギリス清教を憎ンでやがる」

番外「なんで分かるのさ」

一方「この写真、イギリス清教の人間が撮ったンだろ」

土御門「あぁ、たしかその女が初めて参加した集会での写真だ、ご丁寧に一人で写真を撮られたみたいだな」

一方「・・・目が死ンでやがる」

土御門「目が・・・か」

一方「もしも自分のやりてェことをやれてるなら、もっとまともな目をするはずだからな」

番外「アナタも随分と曖昧な理由で語るね」

一方「・・・あァ、曖昧だな」

だが、と一方通行が続ける

一方「・・・俺達はその曖昧な物に動かされてここまで来た、だったら曖昧な物を信じるのも悪くはねェ」



766 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 09:31:54.91 ID:r5qwpc4Z0


不動「で、ここがビッグベンってわけだ!」

不動が自慢げにビッグベンを指差す

上条と美琴が空港に辿り着いてから二時間

二時間も、無駄にしてしまったと言っていいだろう

理由は目の前にいる、上条の「旧友」だ

上条が記憶を無くす前の友人らしく、イギリスを案内してやると言って無理矢理二人を引っ張っていったのだ

不動「はぁ、ここは相変わらず地味だなぁ・・・ホームズの家でも訪ねたほうがいくらかマシだ」

上条「・・・そ、そうなのか」

美琴「あ、あの・・・不動・・・さん」

不動「あぁごめんごめん、別にお前達の邪魔したいわけじゃないんだ」

人懐っこい笑みを浮かべながら不動が肩を竦める

不動「・・・たださ、やっぱり久しぶりに友達に会ったら舞い上がるもんなんだ」

上条「そ、そうだよな・・・」

不動「・・・上条、その子と付き合って長いのか?」

上条「あぁ、わりと」

不動「・・・そうか、ずっと仲良くいられるってのはいいな」

美琴「・・・不動さんは恋人、いないんですか?」

不動「そういうのとは程遠いのさ・・・俺は不遇だからな」

上条「不遇?」

不動「おいおい忘れたわけないだろ?お前は不幸、俺は不遇ってよくネタにされてたじゃねぇか」

上条「あ、あぁ!そんなこともあったかな!」

不動「なんだよ、変なヤツだな・・・」

少し顔をしかめながら不動が上条に近づく

もしかしたら、彼のおかしな反応に気づいたのかもしれない

美琴「あ、あの!」

不動「ん、なんだ?」


767 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 09:38:23.01 ID:r5qwpc4Z0
美琴「その・・・不遇、ってどんな感じにですか?」

記憶がない上条をフォローするため、美琴が訊ねる

不動「うーん・・・上条の不幸ってのはさ、全ての選択肢が全てハズレ、みたいなもんだ」

上条「・・・」

不動「クジを引く前からどうなるか分かる、なにせ全てハズレしか入ってないんだからな・・・それが、上条の不幸さ」

美琴「じゃあ・・・あなたの不遇は?」

不動「・・・全ての選択肢のうち、たった一つだけがハズレなんだ」

上条「・・・普通、だよな」

不動「・・・でもさ、それをずーっと引いてしまうんだ・・・100回やろうが1000回やろうが、俺はその一つしかないハズレだけを引いてしまう」

美琴「そんなことって・・・」

不動「・・・あるのさ、だから俺もイジメられっこだった」

美琴「俺・・・も?」

不動「なんだよ上条・・・お前、恋人にも身の上話してないのか?」

上条「あ、あぁ・・・」

不動「上条も昔から不幸だったのさ・・・そのせいで、周りからは疫病神って言われて石を投げられるわ、テレビじゃ腫れ物扱いで面白半分に取り扱われるわ・・・一時期は、ある占い師が悪魔の化身だとか言って騒いだこともあったな」

美琴「ひどい・・・」

不動「ひどいけどさ、でもよくよく考えればそれが普通の反応さ」

手を広げ、不動が笑う

生まれつき「不遇」な彼にもよく分かる。人間というのは自分よりも下の生き物を見つけると、それを傷つけることで優越感に浸ろうとしてしまうものだ

不動「・・・だからこそ、俺にとっちゃ上条は唯一の救いみたいなもんでもあったな」

美琴「?」



768 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 09:45:53.92 ID:r5qwpc4Z0
不動「っといけねぇ・・・二人はまだデート、するんだろ?」

上条「あ、あぁ」

不動「邪魔しちまって悪かったな・・・俺はここらへんでお暇するよ」

美琴「そ、そうですか」

内心、少しほっとしながら美琴が答える

不動「・・・あぁそうそう、最近はイギリスも物騒だから気をつけろよな」

上条「物騒・・・か」

そんなこと、上条もよく知っていた

特に今は、その物騒の原因となっている人間を相手にするためにここにいるのだから

不動「まぁ、不幸のお前はヘタすりゃ巻き込まれるし・・・ホント、気をつけろよ」

上条「あぁ、ありがとよ不動」

不動「じゃ、またな」

手を振ってから不動がその場を去る

上条「・・・待てよ、最近は物騒・・・って」

美琴「まるで・・・長い間イギリスに住んでいて、最近のイギリスの変化に気づいた・・・みたいな言い方ね」

上条「あぁ・・・もしかしてあいつ、イギリスに移住してきてるのか?」

美琴「さぁ・・・!!ってそんなことより女子寮行かなきゃ!!」

上条「おわ!!そうだった!ここから何分で行けるっけ!?」

美琴「下手したら時間単位よ・・・」

上条「嘘だろ!?」


上条「不幸だぁぁぁぁぁぁ!!!!」




769 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 10:18:08.60 ID:r5qwpc4Z0


垣根「ここもハズレ・・・か」

ガン、とゴミ箱を蹴り飛ばしながら垣根が眉をひそめる

ステイル「・・・おかしいな、イギリス清教の息が掛かっていない場所を選ぶはずなんだが・・・」

心理「・・・そうね、それに最近まではここにいたみたい」

心理定規が垣根の蹴り飛ばしたゴミ箱から飛び出た新聞を見つめる

日付は今からわずか2日前、それを捨てた人物がいるはずなのだ

ステイル「・・・一足遅かったかな」

垣根「一足敵が先に進んでたんだよ、クソが・・・本当に感づかれてなんかなかったんだろうな」

心理「・・・それとも、ここがその儀式場にふさわしくないと思ったのかしら」

垣根「・・・なぁ、その天使様は一体どうやって呼び出すんだよ」

ステイル「・・・天使の力を借りるだけならば、物の配置、物の色を選ぶだけでいい」

垣根「・・・」

ステイル「だがしかし、天使を呼び出すにはそれなりの儀式場が必要だ・・・たとえば、ガブリエルを呼び出すには青にして後方・・・それも、飛び切り大きな物を用意する必要がある」

垣根「青で巨大・・・となると?」

ステイル「海だよ・・・水の象徴でもあるからね」

心理「あら、わざわざそこまでしないと呼び出せないの?」

ステイル「これは極論さ・・・一瞬だけ呼び出すなら、何人もの魔術師が同時に祈ればいい・・・」

垣根「ガブリエルさんガブリエルさん、姿を現してくださいましってか・・・笑えねぇよ」

ステイル「・・・だが、それらしき現象も起こされているんだ」

垣根「・・・青、ねぇ・・・ガブリエルじゃないほかの天使ってのもいるのか?」

ステイル「君は少し聖書でも読んだことがあるのかい?やけに飲み込みが早いな」


770 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 10:32:58.41 ID:r5qwpc4Z0
垣根「別に、上条から少し話を聞いてただけだ」

儀式場、としてステイルが見当をつけたのは何も大仰な大聖堂などではなかった

普通の、民営であるマンションの一室

そういった、あまり意味のないと思われる場所を選ぶのがセオリーらしい。たしかに、隠密的に行動するのならばもってこいの場所でもある

そのマンションのテーブルの上には、一枚の地図があった

部屋に入ってすぐ、もしかしたらと思ってそれを覗いたが何の意味もなかった

イギリス全土の描かれている地図であり、相手がどこにいるのかを示すようなものではなかった

恐らくマンションに備え付けられていたものだろう

心理「それで?いつまでこの部屋にいるつもりかしら、不法侵入で拘束なんてイヤよ」

垣根「・・・これで3箇所目もスカだ・・・本当に目立たない場所なんだろうな?もしかしたら堂々とやってのけるかもしれねぇぞ」

ステイル「・・・」

垣根「おい」

ステイル「・・・今まで行ったほかの2箇所も、人がいた痕跡はあった」

心理「そうね・・・タバコが捨てられていたり、まだ腐っていない食べ物が冷蔵庫に入っていたり」

垣根「それがどうしたんだよ」

ステイル「・・・恐らく、彼ら自信も突発的な行動に出ているんだ・・・計画的に行われていれば、事前に儀式場にふさわしい場所を選んでいるはずだ・・・この部屋は東を向いてしまっている、しかしそこでは合わなかったという事は・・・ラファエルではないな」

垣根「ラファエルって風の神様だろ?敵は元々、風の魔術ってのを使わないって言ってただろうが」

ステイル「・・・それだけでは何のヒントにもならないか・・・」

心理「はぁ・・・どうしてそう、魔術の事件を魔術の方法ばかりで考えるのかしら」

垣根「あぁ?」

心理「私達が今まで行った二箇所はここ、そして今はここ」

地図の中の、それぞれの地方をピックアップしたページ

そこに、心理定規が赤いペンで丸をつけていく。どうやら近くにあったテーブルから拝借したようだ



771 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 10:40:04.78 ID:r5qwpc4Z0
心理「きっかり2kmずつ、西に向かって移動しているわね」

ステイル「・・・2kmずつ・・・か」

垣根「西に向かうのは意味があるのか?」

ステイル「西はガブリエルの方角だ・・・そして、もちろんイギリスは周りを海に囲まれている・・・」

垣根「・・・十中八九、そのガブリエルってのを呼び出すつもりか」

ステイル「ガブリエルはイギリス清教が把握しているだけで、二度も地上に呼び出されている」

垣根「・・・より確実なものを、ってことか」

心理「・・・ここから西に2km、その辺りに都合の良さそうな場所はある?」

ステイル「・・・一つ、ある」

地図の上を指差し、ステイルが笑う

そこはマンションではない

しかし、とてもだだっ広くなおかつ他の人間のあまりいなさそうな場所だ


ステイル「巨大な廃工場さ・・・ここなら問題ないだろう」

垣根「ちっ・・・工場とは、あまりにも科学的だな」

心理「皮肉でもあるんじゃない?こんな場所で魔術の骨頂の天使を呼び出すなんて」

ステイル「行こう、少しでも時間が惜しい」

垣根「オーケー」

マンションのドアを勢いよく開け放った垣根が、空を見上げる

垣根(・・・夕方か、急がなきゃならねぇな)



772 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 11:05:46.49 ID:r5qwpc4Z0

一方「・・・それで、このイリーナって野郎はどこにいるンだよ」

土御門「・・・まぁ待て、こっちも色々考えてはいるんだ」

地図の上にペンを走らせ、不機嫌そうに土御門が答える

土御門「・・・イギリス清教をあまり好いてはいない、つまり宗教関係は避けるはずだ」

番外「ねぇ、イギリス内にイスラム教の建物とかないの?」

土御門「無いことはない・・・だが、今更イリーナが行ったところで何になる?イスラム教を捨てた魔術師、そうしか思われないさ」

一方「・・・それで、てめェは何をしてンだ」

土御門「・・・この近くでイギリス清教の息が掛かっていないとなると、ここになる」

土御門が指差したのはある廃工場だった

番外「近くには海があるね・・・」

土御門「・・・しかし、イリーナは火の魔術を行使するはずだ、そうなるとここに行ってもどうすることも出来ない」

一方「・・・海があンなら、水の魔術師がそこにいるンだろ、そいつから先にやっちまったほォが」

土御門「いや、相手もそこまで馬鹿じゃない・・・一人ずつ見張りを交代して、その間に他のメンバーは必要な霊装を集めるはずだ」

番外「霊装?」

土御門「イギリスはご存知の通り、周りを海に囲まれてる・・・水に関する土産品だって様々だ」

一方「ンなもンで魔術なンて起こせるのかよ」

土御門「俺の知ってる中年親父は、長年掛けて買い続けた土産品で、偶然天使を呼び降ろした」

一方「・・・可能ってことか」

土御門「となると厄介だ・・・イギリスは西ももちろん、ほとんど全てが海に面している」

番外「その海を媒体にして天使を呼ぶの?」

土御門「正確には儀式場の一部にして・・・だがな」




773 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 11:50:52.84 ID:r5qwpc4Z0
一方「行くか」

土御門「あぁ、それしか方法がない」

土御門が近くにあるバスの時刻表を見つめる

しかし、その廃工場に向かうバスなどあるわけがない

近くの繁華街まで向かうバスも、あと15分ほどしなければ来ないようだ

番外「歩いて行ってもいいんじゃない?」

一方「そォだな・・・」


土御門「じゃあ行くか・・・」

一方「あァ」

目的地を確認した三人が少しめんどくさそうにして立ち上がる


だが

その時突然、土御門の体が吹き飛んだ



土御門「がはっ・・・!!」

一方「!?」

チョーカーのスイッテイを入れ、一方通行がすぐさま土御門の後ろに回る。その体を受け止めるが、ヌルリとした感触に頭が冷えた

一方「・・・どこからだ」

何が起きた、など聞く必要もない。恐らくは、敵がどこからか自分達を監視していたのだ

番外「・・・さぁ」

土御門「・・・上だ・・・」

一方「上だと?」


774 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 11:58:41.16 ID:r5qwpc4Z0
なんか鯖が重い


土御門「・・・くっそ、何が・・・」


イリーナ「はいはーい、さっきから私達のことを嗅ぎまわってるっていうのはあなた達でオーケー?」

一方「・・・」

上からの攻撃、土御門はそう言っていた

しかしその声が聞こえたのは、目の前の交差点の向こう側からだ

突然の怪奇現象に逃げ惑う一般市民と対照的に、その声の主は落ち着いた様子で優雅に歩いてきていた

アラジンと魔法のランプの本を読んだことがあるなら分かるだろう、ターバンを巻き、少し露出度の高いドレスのようなものを着た少女

番外「・・・アンタがイリーナって魔術師?」

イリーナ「はいはい、そういうことそういうこと」

土御門「く・・・イフリート・・・!?まさか、イフリートを煙にして・・・」

イリーナ「煙にしてっていうのは間違いなの、元々イフリートの本体は煙・・・」

パチン、とイリーナが指を鳴らす

彼女の目の前に、何か黒い煙のようなものが集まった。やがてそれは、一人の巨人の姿に変貌する

イリーナ「イフリートは煙が本体・・・どこにでも撒き散らすことが出来るし、どんな細い空間でも存在させられるの」

土御門「ほざけ・・・イフリートは知能が低いジンだ、監視なんてそんな大仰なことが・・・」

イリーナ「そう、イフリートに監視しろなんて言っても無理かもしれないわね・・・」

一方「・・・監視なンてする必要がねェ」

土御門「・・・なに?」

一方「いくら馬鹿だろうが、おかしな動きをするってことくらいは分かるはずだ、そのイフリートって野郎も」

イリーナ「正確には野郎なんていう可愛い存在じゃないわよ、でもそういうこと」



775 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 12:06:40.02 ID:r5qwpc4Z0
番外「・・・」

イリーナ「別に、監視させている相手がどういう行動をして、何人いて、どういう目的を持っているかなんてイフリートに考えさせることはしなくていいのよ、大体魔術で作り上げた偶像にそんなことが出来ると思う?無理無理、そんなの無理」

土御門「・・・煙の一部を相手の体に纏わりつかせ・・・お前自身がその動きを魔術的に読み取っていたのか・・・」

イリーナ「一種の監視魔術みたいなものね、最も他の監視魔術なんかと比べたら性能は劣るわ・・・相手が変な動きをしたってのはなんとなく分かるけど、どういうことをしてそんな動きになってるかなんて分からないもん」

番外「だから、アンタは近くでそれを感知していた・・・」

イリーナ「変な動きをするヤツがいたら、すぐに駆けつけて対処する・・・まぁ、元々直接戦闘が得意な私にはそっちのほうがいいってもんよ」

土御門「ふん・・・一人でやってくる度量は褒めてやるよ」

イリーナ「そりゃどうも」

再び、土御門の体が地面に叩きつけられる

土御門「ぐっ・・・」

一方「そォか・・・!!」

地面を踏み鳴らし、風のベクトルを操る。一方通行を中心とした破壊の渦は、土御門の体についている煙を一時的に払った

一方「てめェはそうやって、煙を相手の体に付着させ・・・そこに直接何らかの刺激を咥えて攻撃してたって訳だ」

イリーナ「ありゃ、バレちゃった」

番外「!!」

番外個体が自分の体を見つめる

何か、黒いすすのような物が右腕に纏わりついている

一方「ちっ」

その煙も、一方通行が風を用いて払ってしまう

イリーナ「ありゃりゃ・・・ひっどーい、イフリートが痛いって泣いてるわよ」

一方「聞こえねェな」

何はともあれ状況は逆転した、恐らくすぐさまイリーナは煙を二人の体に付着させるはずだ

その前に、目の前の敵の意識を奪う。一方通行の能力ならば、簡単にそれを成すことができるはずだ

一方「!」

バン、と地面を蹴り、イリーナの元へと突っ込んでいく

そして



その体が、大きく横へと吹き飛ばされた



776 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 12:11:56.18 ID:r5qwpc4Z0


神裂「・・・ずいぶんと遅かったですね」

上条「悪い・・・」

イギリス清教女子寮

その中で、上条と美琴、神裂は落ち合っていた

時刻は既に夕方になっている、他の二組はとっくに捜索を進めているはずだ

神裂「・・・連絡がありました、ステイル達はすでに儀式場と思われる場所に見当をつけ、そこに向かっているそうです」

美琴「・・・私達は?」

神裂「・・・我々が一番に行うべきは、天使の力を行使させないこと・・・その儀式場を破壊すれば、少なくとも数日の猶予は得られるはずです」

上条「・・・そこ、今から行けるか?」

神裂「行くしかありません、あなたにも着いてきてもらいます」

美琴「私も・・・」

神裂「あなたはここで待っていて欲しいのですが・・・しかし、そう言っても上条当麻が心配でならないでしょう?」

美琴「!!ありがとう!!」

神裂「とりあえず、敵の顔と資料を・・・」

上条「んなの後だ、一刻も早く行かなきゃならないんだろ!?」

神裂「・・・えぇ、そうですね」

上条「行くぞ、二人とも!!」

美琴「う、うん!!」

神裂「・・・えぇ」

何もかもがあまりにもスムーズだ

神裂はそう思っていた、まるであのブラックマンの事件と同じように


神裂(・・・まさか)


神裂(・・・まさか、我々は・・・敵の思い通りに動いてるのでは・・・)




777 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 12:35:42.52 ID:r5qwpc4Z0


垣根「・・・ビンゴ、みてぇだな」

ステイル「あぁ」

シン、と静まり返った廃工場

その中心には、明らかに他の機械とは不釣合いな物が置かれていた

天秤

巨大なそれは、普通のイメージの天秤とは異なっている

グラグラと今にも揺れだしそうなそれには、小さな文字の羅列が記されている

心理「・・・あれは何なのかしら」

ステイル「・・・魔術師の中には、酔狂なことに自分の用いる魔術と関係するものを常に身の回りに置きたがる物もいるんだ」

垣根「お前が髪を赤く染めているのと同じ、か」

ステイル「・・・そうすることで、より魔術の純度を上げることができる」

垣根「ってことは、ここには例のてんびん座の野郎がいるってことか」

心理「・・・でも、姿は見えないわよ」

ステイル「・・・君達、戦闘の準備は出来ているかい」

垣根「あぁ、お前達魔術師と違ってこの身一つで戦えるからな」

ステイル「・・・それは好都合だ」

ステイルがルーンのカードを辺りにばら撒く

心理「何をするの?」

ステイル「・・・簡単なことだ」

突然現れた摂氏1000度を優に超える、魔術的な炎がその天秤を打ち砕いた




778 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 12:55:49.67 ID:r5qwpc4Z0
パリン、と音がしてその破片が地面に転がっていく

ステイル(・・・さぁ、こちらの存在は示したぞ)


シュミット「おやおや・・・全く、誰だ」


垣根「・・・出てきやがったな」

心理「・・・行きましょう」

カンカン、と音を立てて三人がシュミットに近づく

だらりと腕を下げたその魔術師は、威圧感などというものを全く纏っていない

下手をすれば、そこらへんのチンピラにも勝てなさそうな風貌をしている

ステイル「・・・僕の名前を言う必要はあるかな」

シュミット「んー・・・?必要悪の教会の神父さんじゃないか、なんのようだ」

ステイル「そこまで分かっているなら、僕が何をしに来たかも分かるはずだよ」

シュミット「・・・天使の力を発言させようとしている我々に罰を加えるかね、愚かなことだよ」

地面に転がった天秤の欠片を見つめながら、シュミットがクツクツと笑う

ステイル「何がおかしい」

シュミット「善悪を決めるなんてこと、君達に出来るのか?」

垣根「うるせーな、ゴチャゴチャ言うな」

シュミット「そっちの二人は日本人だな、イギリス清教の問題に日本人を関わらせるとは、最大主教は何を考えているのか」

ステイル「それは問題ではないよ」

ステイルがルーンのカードを一枚取り出す

シュミット「・・・炎の魔術師、しかもルーン魔術の天才と来た・・・こりゃ、中々面白いな」




779 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 13:11:12.48 ID:r5qwpc4Z0
ニヤニヤと笑いながら、シュミットが顎を撫でる

シュミット「それで、私の術式は分かったのか?」

ステイル「いや・・・君以外の三人の術式は判明している」

シュミット「一人はイフリートなんていう異教の魔神を使うのだよ・・・全く困ったものだ」

垣根「お前だって結局はそのイギリス清教を裏切るような真似をしたんだろ」

ふん、と垣根が鼻で笑う

シュミット「・・・そうだな、イギリス清教ははなはだしくも私が悪だと決め付けたのだ」

ステイル「・・・?」

シュミットがポケットから何かを取り出す

掌に収まるほどの小さなそれは、天秤の形をしたキーホルダーだった

ステイル(・・・天秤・・・!!)

シュミット「善悪など、簡単に人間が測っていいものではないのにな」

ステイル「魔女狩りの王!!」

ゴォ、という音を立てて魔女狩りの王がシュミットを飲み込もうとする

しかし


シュミット「知っているか、十字教において、悪が全に勝ることはないのだよ」

その炎が彼を焼き尽くすことはなかった


780 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 13:19:16.30 ID:r5qwpc4Z0
垣根「・・・あぁ?おいステイル、てめぇの魔術効いてねぇぞ」

シュミット「・・・君は何もしないのかい、日本人」

垣根「垣根だよ、垣根帝督」

シュミット「そうか、では垣根帝督よ、君は何もしないのかい」

垣根「・・・」

垣根が睨みつけるのは、シュミットの手の中にある天秤のキーホルダー

先ほど言っていた、「悪が善に勝ることはない」というのは、どういうことなのか

ステイル「・・・天秤には様々な意味がある、金の価値を測るもの、均衡を保つもの・・・そして」

シュミット「善悪を測るもの・・・ギリシア神話にはアストライアーという神様がいてね、そいつは天秤を用いて善悪を測っていたそうだが・・・」

心理「・・・あなたは、その天秤を用いている・・・」

シュミット「私が悪だと認定したものが、一体どうして私に攻撃できる?」

ステイル「ちっ!!」

魔女狩りの王が何度もシュミットに牙を剥く

だがしかし、やはりその炎を見に浴びても彼は顔色一つ変えない

それどころか、馬鹿にしたような笑みさえも浮べている

シュミット「勘違いしている人間がいるが・・・ギリシア神話と十字教は中々深い関わりがあってね、ギリシア神話のディオソニスがキリストのモデルになったとする説もあるくらいだ」

垣根「・・・」

垣根が眉をひそめる

先ほど少しばら撒いた未元物質も、なぜか彼にダメージを与えることがない




781 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 13:24:33.95 ID:r5qwpc4Z0
シュミット「愚かだな、善悪の知識を持たない人間というのは」

垣根「・・・てめぇ、自分が善だと思い込んでやがるな」

シュミット「実際に私は善だよ、人々を救うために天使の力を使おうというのだから」

垣根「あぁ?」

シュミット「天使の力・・・それは、突き詰めれば神にさえたどり着くことが出来るのだ」

ステイル「何を言っている・・・」

魔女狩りの王が通用しないと気づき、ステイルが歯を食いしばる

シュミット「・・・神は人々を復活させ、空からマナを与え、新たな生命さえも作られた・・・私がその力を手に入れたらどうなる?」

垣根「・・・お前は人々を救えるってことか」

シュミット「その通り」

満足そうに頷いて尚、シュミットが言葉を続ける

シュミット「それを神への冒涜だと笑う人間もいるだろう・・・あぁしかし!!神がなし得てくださったことに感謝の念を抱き、その御力をもってして再び人を救おうとする!!まるで主のように素晴らしい行動だとは思わないか!?」

ステイル「君はこの時代に・・・第二のキリストにでもなろうと言うのか!?」

シュミット「あぁ・・・それも、もっと素晴らしいまでに世界を救ってみせるよ」

垣根「・・・面白いな、そりゃ素敵な夢だ」

シュミット「おぉ、君もそう思うかい?」

垣根「世界を救う、人を助ける、それのどこが悪なんだよ、なぁステイル」

ステイル「耳を貸すな!!その男は天使の力を自らの物にしたいだけだ!!」

垣根「そりゃ、お前達はそういう考えをするしかないよな」



782 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 13:39:42.77 ID:r5qwpc4Z0
ゆっくりとシュミットに近づきながら、垣根が柔和な笑みを浮べる

垣根「・・・宗教なんてそういうもんだ、昔から自分達と少し違う考えの人間がいたらそいつをすぐに排除しようとする」

シュミット「ほう、日本人というのは宗教に傾倒しないというのは本当のようだ・・・素晴らしい、中立の立場だよ」

ステイル「垣根帝督!!その男は罪人だ!!」

垣根「誰が決めた悪だ?お前らの信じてる神様が直接啓示したのか?違うだろ」

心理「・・・垣根」

垣根「お前らの都合に悪い敵を全て、神の御意志という名の言い訳を用いて殺害する・・・実に合理的かつ倫理的な殺し方だがな」

とうとう、シュミットの目の前にまで歩いた垣根はくるりと向きを変える

ステイルの揺れる瞳を見つめながら、優雅に垣根が手を広げる

垣根「それは俺達が昔やっていたのと同じだ、ただ自分が殺したい相手に無理矢理な理由をつけて牙を剥く・・・」

ステイル「違う!!そいつは・・・」

垣根「悪か?いや違う、こいつのほうがよっぽど善さ」

シュミット「ふふ・・・ははは!!残念だったなルーンの魔術師、日本人はそこまで宗教にはこだわらないようだ!!私のように誰かを救う人間こそが善なのだよ!!」

ステイル「貴様・・・!!」

垣根「・・・勘違いするなよステイル」

未だに笑顔を浮べている垣根

その背中から、6枚の翼が現れる


心理「はぁ・・・あなたは本当に、ずるがしこいのね・・・垣根」

シュミト「・・・な・・・」


783 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 13:48:59.34 ID:r5qwpc4Z0
ビュン、という音が聞こえたときには、既にシュミットの体は壁に叩きつけられていた

酸素が口から一気に吐き出される、滑稽だとは分かりながらも肺は必死に酸素を求めていた

シュミット「な、なぜ・・・」

垣根「心を許すな、お前のその魔術は本当に不安定なんだな」

壁に叩きつけられたシュミットの体を、もう一度翼が殴りつける

鈍器で殴られたような衝撃と、刃物で切られたような鋭利な痛みが同時にシュミットを襲う

垣根「てめぇが悪だと決めたものは全て自分に攻撃できない・・・裏を返せば、自分の信頼できる人間、悪だと認められない人間には全く効かない術式だ」

シュミット「貴様・・・まさか、私を油断させるためにわざと・・・!!」

垣根「あぁ、そうじゃねぇ・・・正直なところ、俺は本当にお前を善だと思うぜ?そりゃ世界中を救えるのならそれが一番さ」

ガリガリ、という音がシュミットの胸から聞こえる

翼の先端が、彼の胸元を締め付けている

シュミット「こ、これは一体何の術式・・・」

垣根「へぇ・・・なんだ、俺のこれが魔術だと思ってるのかよ・・・」

シュミット「ごぱぁっ・・・」

垣根「・・・それと、一度悪ではないと認識したものを無効化するには、再び悪だと認識しなきゃならねぇ」

翼の大きさが見る見るうちに増していく

シュミットの頭の中が、少しずつ恐怖で埋め尽くされていく

垣根「だったら、そう認識させる前にてめぇの精神自体を恐怖で破壊すればいいんだよな」

シュミット「・・・ふ、ふふ」

垣根「・・・何がおかしい」

シュミット「・・・君は・・・やはり、悪だよ」

垣根「!!」




784 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 14:52:17.45 ID:r5qwpc4Z0
シュミットが垣根の翼を素手で掴む

それを振り払おうとしても、なぜか翼はシュミットに傷一つつけることはない

垣根「ちっ・・・」

シュミット「悪と認識すればどうということはないんだよ・・・」

胸元を押さえながら、シュミットが立ち上がる

ステイル「・・・八方塞がりだな」

垣根「同じ手は二度も使えない・・・悪が善に盾突くことは出来ないんだってさ」

心理「・・・ダメね、私の能力も通用しないみたい」

垣根「そうかよ」

たいして悔しそうにもせず、垣根が素っ気なく返事をする

シュミット「・・・随分と余裕をかましているな・・・」

垣根「別に、それにお前一人を相手に必死になるのもめんどくさいからな」

シュミット「・・・」

シュミットが指を垣根に向ける

シュミット「私はね、あまり攻撃に向く魔術師ではない」

垣根「その魔術は防御に最大の要を置いている・・・」

シュミット「だから、恐らく君を殺すなんてことは出来ないのさ」



785 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 14:52:54.17 ID:r5qwpc4Z0
指の先に、水の泡のようなものが生まれていく

シュミット「・・・ご覧の通り、私から天秤の術式を無くしてしまえばこの程度の魔術しか使えない」

垣根「だからなんだよ」

シュミット「・・・だからこそ、私はこの術式を愛していた」

言葉の端々に憎しみを篭めながら、シュミットが垣根を睨みつける

垣根「その術式を逆手にとった俺が許せないってか?」

シュミット「・・・そういうことだよ」

垣根「くっだらねぇ」

ステイル「垣根帝督・・・僕達には今成す術がない、一度・・・」

垣根「いや、そんな必要はないみたいだ」

心理「・・・どういう・・・」

突然、シュミットの体が何者かに蹴り飛ばされた

短く切られたジーンズ

そして腰にぶら下げた長い刀

ステイル「神裂・・・!」

神裂「・・・遅れました、申し訳ありません」

上条「・・・あっぶねぇ・・・間に合ったか・・・!?」

美琴「はぁ・・・走ってここまで来るなんて・・・思わなかった・・・」

垣根「・・・よう、来たか」

上条「お前達が先に来てたんだな・・・どうもこっちは他の魔術師の手がかりも無くて・・・」

垣根「応援には感謝するぜ上条、そしてこれはてめぇがやるべき相手だ」

上条「え・・・?」



786 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 14:53:27.59 ID:r5qwpc4Z0

シュミット「ぐ・・・貴様・・・また必要悪の教会か・・・」

神裂「ステイル、この男は・・・」

ステイル「シュミット=サミアだ、自分が悪だと認識した全ての相手の攻撃を一切受け付けない」

神裂「・・・」

神裂がシュミットに向けてもう一度蹴りを放つ

しかし、それはもう通用することはなかった

美琴「そ、それじゃ・・・」

垣根「だから言っただろ、上条の出番だってな」

上条「・・・」

上条が右手に目を落とす

その拳で、まずは一人目の敵を倒さなければならない

シュミット「くっ・・・」

上条「・・・やってやるよ」

シュミット「来るな・・・!天使の力さえ手に入れば、世の中を幸せにすることが出来る!」

上条「無理だな・・・」

シュミット「もう誰かの苦しむ顔など見なくて済む!」

上条「だからなんだ・・・」

シュミット「それが君達には分からないのか!」

シュミットが駆け出す、上条の胸元に体重の全てをぶつけるために

上条「・・・それじゃ結局、誰も救えない・・・天使の力を間近で見た俺には分かる、あれはそんな素敵な力じゃないんだ」

小さく笑ってから、上条がシュミットの体をかわす

元々肉弾戦など得意ではないのだろう、シュミットはその上条の動きにさえ対応することは出来なかった

上条「・・・誰かを救うなら、お前の手だけで救ってみろよ」

ガン、と衝撃がシュミットの頭に走る

全ての悪を受け付けないはずの彼の頭が

上条「・・・お前が、自分が世界を笑顔に出来たんだって誇れるような方法じゃなきゃ、ダメなんだ」

揺れる意識の中でシュミットが聞いたのはそんな言葉だった





787 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 14:54:02.93 ID:r5qwpc4Z0

一方「な・・・」

反射の壁が、今の一撃を反射しなかった

いや、壁の内側からダメージは来たのだ

体表面ギリギリから

イリーナ「あなたにも一応、イフリートの煙はついてるのよ?」

ニヤニヤと笑うイリーナが自慢げに話す

その言葉に、一方通行は舌打ちしてしまう

彼がチョーカーのスイッチを入れる前から、イリーナな監視をしていた

ならば、最初からイフリートの煙が自分の体にも付着していると考えるべきだった

一方「・・・めンどくせェ・・・」

煙を振り払い、一方通行がゆっくりと立ち上がる

これで、イリーナの攻撃が彼に届くことはないはずだ

イリーナ「にしても君の能力?すごいね、それがもしかして学園都市の超能力ってヤツ?」

一方「黙ってろ・・・」

地面を軽く踏み鳴らすだけで、石畳がめくれ上がる

一般市民は既に避難している、今なら好き勝手暴れられるのだ

イリーナ「・・・どういう仕組みなんだろ・・・」

番外「おいおい、ミサカの存在も忘れないでよね!」

バチン、と発せられた電撃を、イリーナな間一髪避ける

イリーナ「あっぶな・・・そっちの子も能力ってヤツなのね、ふーん・・・」



788 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 14:55:06.95 ID:r5qwpc4Z0
一方「・・・」

イリーナ「・・・でも困ったな、一体どうやれば・・・」

イリーナが呆れたように肩を竦める

しかし、突然彼女の顔が曇った

イリーナ「ありゃ・・・シュミットのヤツ、動きが止まったな・・・」

一方「あァ・・・?」

イリーナ「もしかしてもしかしてさ、あなた達他に仲間がいたりした?」

土御門「ふん・・・今更気づくとは遅いな・・・」

イリーナ「あっちゃー・・・」

ペタン、とおでこに手を当ててからイリーナがため息をつく

イリーナ「・・・仕方ない、ちょっと応援しに行かないと」

番外「何言ってるのか分からないけどさ・・・ここから逃げられると思ってるの?」

イリーナ「うん、さっきあなた達が言ってたでしょ」

自分の胸元を指差しながら、イリーナが笑う

イリーナ「イフリートの煙の一部に、自分の意志を混ぜている・・・つまり、イフリートと私はいわば同化しちゃってるのよ」

土御門「・・・あくまで術式を行使している時は、だろう・・・」

イリーナ「そうそう、つまり逆に言えば・・・」

一方「!」

目の前にいたイリーナの体が突然霧散する

土御門「まさか・・・!」

イリーナ「私が煙になるのも可能だったりしちゃうのよ」

一方「クソ・・・」

一方通行が慌てて攻撃を加えようとするが、もはや姿は見えない

ただ、ケラケラという軽い笑い声だけは聞こえてきた

イリーナ「御免ね、続きはまた今度・・・あと、もし私を追いたいなら西にある廃工場に来なさいな」

最後に小さな声で、イリーナが呟いた

イリーナ「・・・飛び切りの絶望を味わわせてあげるからさ」



789 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 15:00:19.35 ID:r5qwpc4Z0


打ち止め「ただいまー、ってミサカはミサカは挨拶をしてみたり!」

芳川「あぁ、お帰りなさい」

打ち止め「?ニュースを見てるの?ってミサカはミサカは・・・」

芳川「えぇ、外で6年前に起きた事件のニュースよ」

打ち止め「事件・・・?」

芳川「可愛そうな事件よ、飲酒運転のトラックが、普通乗用車をはねたっていう事件」

打ち止め「ひ、ひどい・・・」

芳川「家族四人で旅行に行ってた帰りの悲劇・・・しかも、そのトラックはぶつかったにも関わらず闘争」

打ち止め「・・・」

芳川「・・・後部座席に乗っていた母親と娘、運転していた父親は死亡・・・運転席側からトラックが突っ込んだのね」

打ち止め「で、でも四人だったんだよね?ってミサカはミサカは訊ねてみたり」

芳川「えぇ、もう一人乗っていた少年は重傷ながらもどうにか命を取り留めたっていう事件・・・そのトラック運転手が、仮釈放されたんですって」

打ち止め「・・・6年だけで?ってミサカはミサカは確認してみたり」

芳川「えぇ、あまりにもむごいニュースよね・・・それより、早く風呂に入っちゃいなさい」

打ち止め「うん・・・あ、あのさ」

芳川「なに?」

打ち止め「一方通行と番外個体は・・・どこなのかな?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

芳川「さぁ・・・きっと」


芳川「二人で楽しいデートでもしてるんじゃないのかしら」



790 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 15:01:44.22 ID:r5qwpc4Z0
今日はここまで

ブラックマンの事件ではイギリスの妹達を使えなかったから、今回は使いたい・・・気もする

イフリートってかっこいい名前だけど、実際お馬鹿さんなんですよね

地味に萌えるポイントでもある

では



791 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 16:31:06.96 ID:YL01zhvFo
イフリートって聞くとガンダムしか思い浮かばない(´・ω・`)
792 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 16:35:58.87 ID:ZcRCNF9Wo
乙乙
でも誤字がいつも以上に多くね?
793 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 20:50:57.33 ID:C1zfScq/0

>>791
俺もだよ
794 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 22:30:59.95 ID:aOof5Xwg0
乙です

>>791 俺もですね
795 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/25(日) 22:56:43.16 ID:r5qwpc4Z0
>>792 理由は簡単、携帯で書き溜めをしたからです

イフリートってたしかにガンダムだ

今日は投下はなしです


筋肉動画はこちら

サージ・ヌブレ「65歳」の映像

http://www.youtube.com/watch?v=wdija3z8PFA  

すごい人でしたね


ではおやすみなさい


796 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:11:07.48 ID:C1zfScq/0
もう一度乙
797 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:30:25.19 ID:ZLAaAGfAO

>>1


俺はイフリートって聞くとFFだわ
798 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:31:53.20 ID:qLmR1sRgo
乙!
799 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:03:48.33 ID:Qzyv6WSx0
>>797
それもあるな
800 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 11:27:31.48 ID:fFNnc3e50

垣根「・・・で、こいつはどうする」

地面に転がっているシュミットの頭を、垣根が強く踏み付ける

少しうめいただけでそれ程抵抗しないということは、もはやその力さえもないということだ

上条「・・・ステイル、こいつの霊装ってのは?」

ステイル「恐らくはこの天秤だ」

シュミットのポケットから取り出した天秤のキーボードをステイルが掲げる

美琴「・・・これを壊せば、この魔術師は無力化出来るの?」

ステイル「あぁ、少なくとも新しい天秤を模した物を手に入れるまではね」

心理「ならさっさと壊して頂戴、上条君」

上条「あぁ」

右手を伸ばし、それに触れようとする

しかし、その行動はある人物の出現によって遮られた


イリーナ「ありゃりゃ、ホントにやられちゃったんだ」

上条「!?誰だ!?」

ステイル「・・・あれは・・・」

垣根「・・・イリーナってヤツじゃねぇか、資料で見たぞ」



801 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 11:28:28.53 ID:fFNnc3e50
イリーナ「気安く呼ばないで、って言いたかったけど・・・お兄さんは結構可愛いから許してあげる」

クスクスと笑うイリーナは、どこからとも無く現れたのだ

ステイル「・・・」

神裂「一体どうやって・・・」

イリーナ「うーん、あなた達は魔術師ね?なら分かるはずじゃないかしら」

ステイル「君、もしかしてイフリートと同化しているのか」

イリーナ「正解・・・まぁ、イフリートの力を自分の体にも宿してるってとこかしら」

イリーナが指を鳴らすと、彼女の前に煙の魔神が現れた

イリーナ「こうやって、別々の存在でもあるんだけど」

垣根「・・・今のてめぇには、イフリートの力は宿ってねぇんだろ」

イリーナ「ご心配なく、そこまで不便じゃないの」

そう言ったイリーナの姿がぐにゃり、と歪んだ

上条「な、なんだ・・・!?」

神裂「気をつけてください、イフリートとは煙の魔神・・・その力を宿しているということは、彼女もまた煙になることが出来るはずです!」

七天七刀を握り、神裂がイリーナを睨みつける

イリーナ「そんなに怖い顔をしないでよ」

姿が歪むのと呼応するかのように、声までもが歪んでいく

上条「ステイル!!」

ステイル「君に言われるまでもない・・・魔女狩りの王!」

魔女狩りの王が、イリーナの体を焼き尽くすために腕を振るう

しかしほんの一瞬早く、イリーナの体は完全に煙になってしまった




802 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 11:29:06.14 ID:fFNnc3e50
垣根「・・・なるほどな、ここに突然現れたのもそれを使ったんだ」

美琴「・・・どこにいるのよ・・・」

美琴が辺りをぐるりと見渡す

しかしイリーナの姿を目に捉えることは出来ない

闇の暗さに紛れた彼女は、言葉通り「煙にまかれた」存在なのだ

神裂「・・・どこから攻撃して来るか分かりません、構えて下さい!」

美琴「・・・」

上条「・・・どこからだ」

上条の背中を冷や汗が伝う

心理「・・・さて、攻撃なんてしてくるのかしら」

そんな中、心理定規だけは平常心を保っていた

ステイル「・・・どういうことだい」

心理「・・・イフリートっていうのは、力持ちなのかしら」

神裂「・・・えぇ、それはあまりにも・・・」

心理「なら、傷ついた仲間を一人連れて帰るくらい簡単なんでしょうね」

ステイル「!」

上条「まさか!」

シュミットが先程まで横たわっていた場所に、一同の視線が集まる

だがそこには、彼の姿はなかった



803 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 11:29:43.07 ID:fFNnc3e50
上条「しまった・・・!」

垣根「ちっ・・・どこからか攻撃が来るもんだとばかり思ってたな」

垣根がその場にしゃがみ込む

地面に転がっているのは、ステイルが砕いた巨大な天秤のかけらだ

垣根「なぁ、ここに付着してる能力の痕跡から逆探知は出来ないのかよ」

ステイル「そんな科学的な言い方をしないでくれ・・・それに、探索魔術は僕や神裂が専門ではない」

上条「でもお前・・・」

ステイル「・・・そこに残されたわずかな魔力の痕跡から、相手の居場所を探れるのは・・・」


土御門「俺くらいってわけだ、カミやん」

上条「!土御門・・・どうしたんだよ、そんなにボロボロになって!」

工場の入口から、一方通行と番外個体が歩いて来る

その二人に肩を貸されながら、土御門は引きずられるようにして上条の元に近づいて来ていた

土御門「・・・すまない、イリーナって魔術師に一杯くわされた」

神裂「・・・仕方ありません、実体が無くなってしまう相手というのは、あまりに相性が悪いですから」

垣根「・・・こっちは一人、打っ倒したとこだったんだが」

一方「・・・肝心のぶっ倒れたヤツはどこだ」

心理「あなた達が逃がしてしまったイリーナって女に連れて行かれたわ・・・仲間意識が強いのかしら」

垣根「もしくは口封じ・・・ま、どちらにしろ俺達が手がかりを失ったことには変わりない」



804 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 11:30:42.65 ID:fFNnc3e50
上条「・・・だから、ステイルに探索魔術を使えないかと頼んでみたんだが・・・」

ステイル「相手が常に、こちらに向かって魔力を放出しているわけではない・・・」

神裂「・・・それどころか、この天秤に残されている魔力さえ、ほとんど無くなりかけています」

土御門「・・・俺みたいな手慣れにしか探索は出来ない、か」

一方「・・・おい」

土御門「あぁ分かってる・・・能力開発を受けた人間が魔術を使えばどうなるか、お前は身を持って知っている」

それでも、と土御門は言葉を続けた

土御門「・・・俺はやらなければならない、イギリス清教を好き放題使われて堪るかよ」

神裂「・・・いいのですか」

土御門「あぁ」

上条「待てよ土御門!」

土御門「よせよカミやん、ここは友情ごっこが許される場所じゃない」

地面に何かの陣を描きながら、土御門が笑う

上条「ごっこなんかじゃねぇ!お前は俺の・・・」

土御門「友達だ・・・なら、友達のことくらいたまには信じてくれよ」

上条「!」

土御門「それに、このままじゃもっとやばいことになる・・・そんなのをほって置けるカミやんじゃない」

土御門が目を閉じる

その腕やこめかみ、腹部や背中、足に内臓、全ての血管が一瞬にして悲鳴を上げた

内側から弾けるような痛みと言うべきか、しかしそれは外から鋭い刃物で刺された時の痛みにも似ていた

体が急に重くなり、少しでも気を抜けば一瞬にして意識を持って行かれそうになる

その痛みと戦いながら、土御門は平然を装っていた

土御門「・・・探索結果が出たですたい」

上条「・・・どこなんだよ」

友人が傷付くのを見ていることしか出来ない、その事実が上条の胸を締め付けた

土御門「・・・中々面白いとこに逃げたもんだ・・・」

ステイル「なんだい?もしかして、煙の好きな高い場所とかかい」

土御門「その逆だ・・・」

床を指差し、土御門が笑う

土御門「地下通路だ、ヤツらは地下に逃げたんだよ」



805 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 11:44:46.89 ID:fFNnc3e50


イリーナ「・・・重い・・・この馬鹿、図体だけは一人前じゃん・・・」

シュミットを背中に背負いながら、イリーナは顔をしかめていた

イフリートと同化して、シュミットを上手く取り返すことには成功した

しかし、それは決して救うためではない

敵の情報を彼から聞き出し、もしも彼が自分達を裏切るような行為をしでかしていたら、即座に切り殺すためだ

イリーナ(とは言うものの・・・やーっぱり一時的にでも手を組んだ人間を殺すなんてしないわよね)

内心、イリーナもそう感じていた。仲間、というわけではないが利害が一致する同士ではあるのだ

少なくとも、敵を切り殺すのと同じように味方を殺すとは思えない

イリーナ「・・・くっそ、イフリートと同化するとこっちも負担がでかいのに・・・」

彼を回収するまでは煙の姿になっていたが、地下通路に入った瞬間、彼女は普通の人間に戻っていた

そもそも「人間」が「魔神」の姿になろうというのがおかしな話だ・・・普通ならば一瞬でも堪えることはできない

イリーナ(・・・それに、あの魔女狩りの王を使うルーンの魔術師は相性が悪いもんなぁ・・・)


「よぉ、回収には成功か」

イリーナ「ん・・・リガルディーじゃん、どしたのさ」

リガルディー「・・・別に、シュミットが失敗したと聞いたのでな」

イリーナ「この通りだよ・・・」

イリーナがリガルディーと呼ばれる男にシュミットの無様な姿を見せ付ける

リガルディー・・・かつてアレイスター・クロウリーの無給秘書を勤め、「生命の樹」なる本を著した男の名

それを冠するということは、彼が酔狂な黄金系の魔術師であることを表してもいた

リガルディー「ご苦労だな、そいつは防衛には向く男だが攻撃にはてんで向かない」

イリーナ「せめて善と認めた人間の攻撃を強くする、とかいうラッキーで素晴らしい魔術が使えればねー」

リガルディー「ふん・・・その男が我々を善と認めるかの保証もない」



806 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 12:20:03.82 ID:fFNnc3e50
イリーナ「よっと・・・でさ、この哀れな子羊ちゃんはどうするの?」

リガルディー「・・・まぁ問題はないさ、それに俺が水の魔術を扱うという「嘘」もヤツらにはバレていない」

イリーナ「でもさでもさ、イギリス清教も馬鹿じゃないんでしょ?」

リガルディー「なに、最大主教には恐らく気づかれているさ」

イリーナ「いいの?そんな状況じゃ、遅かれ早かれ打開策が・・・」

リガルディー「打開策などあるわけがない、そもそも最大主教が表立って前線に立つと思うか?」

楽しそうな笑みを浮べながら、リガルディーが笑う

リガルディー「まぁ生命の樹自体の守護天使にガブリエルもいるものだ・・・水の魔術師というのも、存外間違いではないがな」

イリーナ「よく言うよ・・・ラファエルだって生命の樹には属してるじゃん、たしか」

リガルディー「だからこそ、だよ」

タロットカードのようなものを取り出したリガルディーが笑う

リガルディー「・・・俺の魔術は、これといった属性がない・・・いや、そもそもタロットを用いる魔術師は全員そんなものだ」

イリーナ「・・・羨ましいよ、そういうのってさ・・・私なんて火の魔神を操るだけだよ」

リガルディー「いいじゃないか、それでもまだそこの木偶の坊よりは役に立つ」

イリーナ「・・・じゃ、この木偶の坊ちゃんには目を覚ましてもらわないと・・・」

リガルディー「その必要は無い」

イリーナ「?」

リガルディー「そいつを降ろせ、そして離れることを勧めよう」

イリーナ「う、うん・・・」

地下通路の地面に、シュミットの体を横たえる

わずかな意識の中で、シュミットはひんやりとした床の温度を感じる・・・いや、その冷たい空気の正体は、物理的なものではなく


リガルディー「生かしておいたところで、どうせ背負うには重過ぎる図体だ」


彼の持ったタロットカードの一枚が、淡い光を放ったのを見た恐怖から生まれたものだった


807 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 12:48:37.10 ID:fFNnc3e50
リガルディー「・・・さて、敗北の理由を短く纏められるのだとすれば、お前は何だと言う」

シュミット「わ・・・たしは・・・」

力の入らない拳を握りながら、シュミットが口を開く

シュミット「ま、まだ・・・やれるはずだ・・・」

リガルディー「無理だよ・・・そもそも貴様のようなただの魔術師が善悪を測ろうなどとしたのが間違いだ」

タロットカードの一枚、「5」の数字

岩にうずくまる豹の姿の書かれたそのカードが、不気味な赤の光を放ち始める

リガルディー「残念だよ・・・お前がもしも、善悪の知識の実を食べていたのだとしたら、俺も少しは興味を持てたのだが」

シュミット「な・・・」

一匹の豹、赤い豹

シュミットが生きてきた中で、見たこともない不気味な姿をした豹

それが、ゆっくりと彼の元に歩み寄ってくる。身を捩じらせても、力の入らない体ではどうすることも出来ない

シュミット「やめ・・・」

リガルディー「生命の樹と知識の実さえあれば、俺は神にもなれたのだがな」

シュミット「お前は天使の力を・・・何に使うつもりだ」

リガルディー「静かにしろ、そしてもう話すこともあるまい」

牙を剥いた豹は、シュミットの頭にそれを突き刺した

ゴリゴリ、という音と脳味噌が削られる感覚、それらを覚えてもシュミットは叫ぶことさえならなかった

リガルディー「残念だ、断末魔くらいは聞いてやろうかと思ったんだが」

ブルブルと体を震わせるイリーナを無視して、リガルディーが怪しげな笑みを浮べる


リガルディー「まぁ、最後が無様なのよりはマシだろう?裁判官様よ」



808 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 12:55:37.99 ID:fFNnc3e50

リガルディー「・・・ところで、あの日本人はどうした」

イリーナ「い、今は・・・別行動中だよ・・・」

豹がシュミットの亡骸を齧っているのを見て、イリーナは軽い吐き気を覚える

リガルディー「・・・そこに排水溝がある、吐くならばそこにしろ」

イリーナ「・・・いいの・・・?日本人なんて信用して」

リガルディー「さぁ、しかし実力はそれほどでもないが、何せあの日本人は考えていることが俺と似ている」

イリーナ「・・・だからって信用するの?」

リガルディー「・・・信用ではない、利用だよ」

シュミットの頭を食い終えた豹が、まるで主人に懐く犬にでもなったかのように、リガルディーに近づいてくる

その頭を優しく撫でながら、リガルディーは続けた

リガルディー「そうだ、必要悪の教会と・・・日本の学園都市の人間が来ているらしいな」

イリーナ「そうそう・・・不意打ちできたから上手く出来たけどさ、あんなの正面からやりあったらぜーったいに勝てないよ・・・」

ムカムカと胸焼けを起こす胸をさすりながら、イリーナが答える

リガルディー「・・・まぁ派手にやればやるほど、イギリス清教の目はこちらに引き付けられる」

イリーナ「・・・イスラムもね」

リガルディー「お前が絶対的な力を手にしたところで、所詮裏切った過去を持つことには変わりない」

イリーナ「いいのよ、それでも・・・」

立ち上がったイリーナが、少しふらつきながら歩き出す

リガルディー「・・・排水溝はそちらではないぞ」

イリーナ「違うわよ・・・どうせ、また私には戦えって言うんでしょ?」

リガルディー「木偶の坊より頭がキレて助かるよ」

イリーナ「全く・・・」


イリーナ「排水溝のほうが・・・まだ綺麗に思える世界よね・・・」



809 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:03:04.07 ID:fFNnc3e50

垣根「・・・地下通路だと?」

土御門「・・・地上を進むとしたら、あらゆる障害物がある・・・」

血の流れ出す腕や腹に包帯を巻きながら、土御門が垣根の問いに答える

土御門「しかし地下には障害物なんてほとんどない・・・くっそ、ここは元々密輸でも行っていたのか・・・」

ステイル「・・・恐らく、ここから港まで一本道になっているのだろうね」

地下通路の階段を確認したステイルが、顔をしかめる

心理「・・・ねぇ、海って一番儀式場に向くんでしょう?」

神裂「えぇ・・・少なくとも、ガブリエルを呼び出すのならば」

美琴「・・・このままじゃ、相手はすぐに・・・」

一方「・・・仕方ねェ」

杖をつきながら、一方通行はその地下通路へ通じる階段を覗き込む

一方「俺が後を追う」

上条「お、おい・・・お前一人じゃさすがに危険だろ」

番外「そうそう、30分のタイムリミットなんて映画でもない限り、ただのお荷物機能だよ」

一方「・・・垣根」

垣根「しゃあねぇな・・・オーケー、俺もこっからは地下探索だ」

上条「・・・じゃあ、俺も」

垣根「アホか、お前は地上から敵を探索しろ・・・残りがまだいるはずなんだからよ」

美琴「・・・そうね」

番外「じゃあミサカも・・・」

一方「お前はここに残れ」

番外「ど、どうしてさ!?」



810 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:14:22.10 ID:fFNnc3e50
一方「・・・俺一人ならどォにでもなる、だがお前を守りながら戦うのは難しいンだよ」

番外「だったら自分は・・・」

垣根「それに、こっちは二人で十分なんだよ・・・第一位と第二位だぜ?申し分ない」

心理「そうね・・・負けるわけないじゃないの」

美琴「・・・でも」

一方「・・・地下通路にあいつらが何か仕掛けてるかもしれねェ・・・そンなところに、無駄に何人も入っていくわけにはいかねェだろォが」

垣根「俺達ならある程度の不意打ちには耐えられる・・・上にはお前達がいれば問題ない」

神裂「・・・お願いしてもよろしいですか」

一方「あァ」

カタン、と一歩階段に脚を踏み入れる

一体どれほど下に下りれば地面を踏むことが出来るのか

まるで奈落の底に注ぐ九かのようなその階段は、本能的に恐怖を植えつけてくる

番外「・・・気をつけてね」

一方「心配すンな・・・オリジナル」

美琴「・・・なによ」

一方「しばらく、番外個体を頼む」

美琴「・・・分かった」

垣根「・・・上条、心理定規を頼んだ」

上条「あぁ、お前も気をつけて」

心理「・・・無理しないでね」

垣根「おうよ」


811 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:19:31.09 ID:fFNnc3e50

土御門「さーて・・・俺達は・・・!!」

包帯を巻き終え、地面に書かれた陣を消そうとした土御門の表情が驚愕に変わる

ステイル「・・・どうした、土御門」

土御門「・・・魔術師の反応が消えた」

心理「・・・・それ、どういうこと?」

土御門「・・・あの天秤の魔術師の魔力が感じられなくなった・・・いや、無くなったと言ったほうが正しいかな」

上条「無くなった・・・?どうして」

美琴「・・・魔力って、生命力を精製して作るのよね?それが無くなったってことは・・・」

上条「まさか・・・死んだのか、あの魔術師・・・!?」

土御門「・・・急に消えたんだ、普通の死に方ならジワリジワリと消えていくものが」

番外「・・・殺された、ってこと?」

土御門「恐らくは」

神裂「一体誰に・・・」

土御門「さぁな、イリーナってヤツか、それとも他の仲間か・・・はたまた、全く関係ない一般人の物好きか」

ステイル「どれにしろ、地下通路は危険が潜んでいるはずだ」

番外「ね、ねぇ・・・あの人は大丈夫なの!?」

上条「・・・行こう、みんな」

番外「ちょっと待てよ上条!」

上条「・・・俺達が今、何を出来るか考えなくちゃいけないんだ」

番外「!」



812 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:24:02.36 ID:fFNnc3e50
上条「ここであいつらの心配をして何になる?後を追うか?そんなことをしても意味が無い・・・」

ステイル「・・・今の僕達に出来ることはただ一つ、この局面を少しでも有利にするために・・・敵の戦力を削ることだ」

美琴「・・・地上から、解決するのね」

ステイル「そうだ」

土御門「・・・カミやん、お前は御坂と二人で捜索をしてくれるか」

上条「あぁ、分かった」

神裂「・・・私は一人でも問題ありません」

心理「それなら、残りの四人は一緒に行動しましょうか」

番外「・・・うん」

ステイル「・・・連絡は携帯ででも取れるはずだ」

上条「・・・俺達は、この辺りを探索してみる」

神裂「私は港へと向かいます、ステイル達はその中間を固めていてください」

ステイル「分かった」

一同が顔を見合わせる

不安、焦り、期待、憎しみ

それら全てを抱えた表情は、どこか悲しげにも見えた

上条「・・・みんな、無事で」

ステイル「あぁ」

神裂「それでは行きましょう・・・」


神裂「・・・我々の明日を守るために」



813 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:28:52.83 ID:fFNnc3e50

上条「・・・もう夜になってたんだな」

街灯で照らされた道を、上条と美琴は歩いていた

美琴「・・・これから捜索を始めるの?」

上条「・・・どうするか、一旦どこかで休憩するほうがいいかもしれない」

美琴「・・・うん」

上条「でも・・・どこで」

宿に泊まるほうがいいのかもしれない

しかし、それでは自分達がそこに滞在したという記録が残ってしまう

もしも、相手がその記録を見てしまったら。関係のない一般人まで巻き込むことになる

かといって、イギリス清教の女子寮なんていう分かりやすい場所に隠れるわけにもいかない

上条「くそ・・・どうしたら・・・」


不動「あれ、上条じゃないか」

上条「ん・・・あ、あぁ不動か」

不動「こんな夜に・・・まさか、恋人さんとデートでも?」

美琴「ち、違いますよ」

上条「ちょっと人探しをさ・・・」

不動「人探し?友達か何かか?」

上条「ま、まぁそんなところだけどさ・・・」


実際は真逆だ、これから命を懸けて戦わなければならないのかもしれないのだから



814 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:33:10.83 ID:fFNnc3e50
上条「お前はどうしたんだ?」

不動「あぁ、ちょっとした買出しさ」

手に抱えた買い物袋を見せ、不動が肩を竦める

不動「・・・最近は少し物価も高くなってるからな、節約しないといけなくて大変だ」

上条「そ、そうか・・・あのさ」

不動「ん、なんだよ」

上条「もしかして・・・お前って、イギリスに住んでるのか?」

不動「あれ、言ってなかったっけ・・・」

美琴「やっぱり・・・妙にイギリスに詳しかったから、そうだと思ってたんですけど」

不動「あぁ、少し前にこっちに来たな」

上条「・・・ってことはさ、家もあるのか?」

不動「家なんて大層なもんじゃないさ、ただのマンションだよ」

上条「・・・す、少し頼み事してもいいか?」

不動「あぁ、どうした」

上条「・・・お前のマンションにさ、一日だけ泊めてもらえないか?」

不動「・・・はぁ?」

上条「あれだよ・・・そのさ、ホテル予約してたんだけどなんでも予約を失敗してたみたいで!!」

手を振りながら、上条がその場任せの嘘をつく

不動「へぇ・・・不幸なお前らしいな」

上条「う、うるせぇ・・・」



815 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:36:58.83 ID:fFNnc3e50
不動「オーケー、一日くらいなら問題ないだろ」

上条「本当か!?」

不動「あぁ、でもベッドでは寝かせないからな」

上条「・・・?あ、あぁ」

不動「・・・あっれ、このジョークは今ひとつだったか」

美琴「?」

不動「じゃあ着いてきてくれよ」

上条「サンキュー・・・恩に着るよ」

昔の友人を利用するようで、少し後ろめたい気もする

しかし今はそんな悠長なことを考えている場合ではない

不動「・・・にしても、お前とこうやって会うなんて思わなかったな・・・本当はさ、もう一生会うこともないと思ってたんだぜ」

上条「なんでだよ?」

不動「不幸なお前のことだ、どっかで殺されたりとかしてそうでさ」

上条「・・・」

それも、半分は当たっていた。不動拓馬が知っている上条当麻は、もういないのだから

上条「・・・んなわけねぇだろ」

不動「あはは、そうだよな・・・その通りだよ、まったく」


816 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:43:03.73 ID:fFNnc3e50


上条「・・・へぇ、いいマンションじゃねぇか」

不動「そうか?そこまでいい感じでもないさ」

不動のマンションに辿りついた三人は、床に置かれたコタツの中に足を突っ込んだ

とは言っても、季節はすでに春。それが暖かさを持っているわけはない

不動「本当は夏のテーブルも用意するべきだったのかもな・・・でもさ、やっぱりコタツは日本の心だよ」

美琴「そうですね・・・」

不動「・・・なぁ、上条と御坂さんは付き合ってどれくらいなんだよ」

上条「え、あぁ・・・どれくらいだっけ」

不動「馴れ初め!!馴れ初め聞かせてくれよ、馴れ初め!!」

上条「そ、それは・・・」

美琴「わ、私が不良に絡まれてたら・・・当麻が助けてくれたんですよ」

不動「へぇ・・・なんか上条らしいな」

上条「そ、そうか?」

不動「覚えてないのかよ、昔俺がイジメられっこにイジメられてた時さ・・・いっつもお前が途中で割って入って助けてくれてたじゃねぇか」

上条「そ、そうだった!!そんなこともあったな・・・」

自分の昔の話をされても、それが実感を伴わない。この感覚は久しぶりだった

不動「・・・でもさ、お前はいっつもそうやって前向きだったよな・・・石ぶつけられても、そうやって真っ直ぐ前を向いてた」

上条「・・・」



817 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:47:43.22 ID:fFNnc3e50
不動「・・・不幸を言い訳にはしなかった、おかげで周りからは言い訳もしない残念な子って思われてたけどさ」

美琴「そんなにひどかったんですか?」

不動「あぁ・・・俺も昔から不遇だったけどさ、初めて上条を見たときはビビったな・・・こいつ、車に轢かれて死に掛けたこともあったんだ」

なぜか、その話をするときだけ不動の顔が曇った

不動「・・・本当に、よく生きてたよな」

上条「・・・いや、最近も何度か死に掛けたんだけどさ」

不動「ははは!!面白いよな、それでも死なずにこうやって生き残ってるんだから・・・」

上条「・・・お、お前はあの後どうだったんだ?」

不動「あの後?」

上条「俺が引っ越した後だよ・・・」

不動「・・・ぼちぼち、かな・・・相変わらずこの不遇体質は直らなかったし」

美琴「・・・そう、ですか」

不動「・・・お前を空港で見つけたときさ、羨ましいとも思ったんだぜ?不幸ってハンデを背負ってるのに、恋人が出来て、笑顔でいれて・・・いいよな、そういうのってさ」

上条「・・・ハンデなんかじゃないって、ちょっと不便だけど」

不動「はは、それも昔からよく言ってたな」

上条「・・・そっか」

不動「・・・俺はさ、昔からお前に憧れてたんだ」

上条「俺に?」

不動「・・・俺も、お前みたいに前向きに生きられたら・・・どんな困難にでも立ち向かえたら、もうちょっと楽しい人生を送れるのにってさ」


818 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:51:16.73 ID:fFNnc3e50
上条「・・・」

不動「・・・風呂入ってこいよ、俺は最後でいいから」

上条「あぁ・・・美琴に手出すなよ・・・」

不動「分かってるって、そんなことしたらまた不遇になりそうだ」

ケラケラと笑いながら、不動が手を振る

上条「じゃ、行ってくる」

美琴「うん」



不動「はぁ・・・なぁ、御坂さん」

美琴「は、はい」

不動「あいつのこと、好きかい」

美琴「?大好きですけど・・・」

不動「そうか・・・よかった、上条は本当に幸せになれてるんだな」

美琴「・・・きっと、そうだと思いますよ」

不動「不幸ってのは、幸せじゃないと書くけどさ・・・不幸な人生の中にも、少しくらいの幸せはあるはずなんだよ」

美琴「・・・不動さんは、どうなんですか?」

不動「・・・どうかな、これから先に幸せがあったら御の字だけどさ」

ぽん、と上半身を床に投げ出したまま、不動が笑う

不動「・・・なにせ、今までの人生が不遇すぎて・・・期待なんて出来ないんだ」

美琴「・・・そうですか」



819 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 13:56:56.72 ID:fFNnc3e50
少し気まずい雰囲気になってしまい、美琴がそれを紛らわせるために部屋の中を見回す

殺風景、というほどではないがあまり家具がない

男の部屋、というシンプルな感じでもあるが、同時に「あまり毎日の生活に楽しさを見出していない」とう感じでもある

だが、そんな部屋の中にはあまりにも不釣合いなものが一つだけあった

家族写真・・・不動の家族だろうか、両親と妹、そして幼い頃の不動が映っている

美琴「あの・・・そこの写真って、家族写真ですよね」

不動「んー?あぁ、これね」

ぐい、と起き上がった不動がそれを美琴に差し出す

不動「いい写真だろ、俺の7歳のときの誕生日のだ・・・牧場に遊びに行ったときに撮ったんだぜ」

美琴「へぇ・・・」

その写真の中の不動の笑顔は、とても幸せそうだった

不遇なんて思わせないほど、嬉しそうで楽しそうな笑顔

美琴「・・・この女の子は妹さんですか?」

不動「あぁ、可愛いだろ・・・」

美琴「・・・お母さんも美人だし、お父さんも俳優さんみたい・・・」

不動「あっはは・・・だからさ、一家の中で俺は少し劣等感も持ってたんだけどな」

美琴「・・・そうですか」

不動「でも、この頃はとにかく不遇なんてものは気にならなかったんだ・・・」

美琴「どうして・・・ですか?」


820 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 14:02:49.40 ID:fFNnc3e50
不動「上条がいたからさ、俺と同じくらい不憫なヤツで・・・でも、前向きでさ」

美琴「・・・当麻が、ですか」

不動「放課後にはいつも二人で帰ってたな・・・あ、君の前で言うのは少しあれだけど、上条は女の子には人気があったな」

美琴「今もそうですよ・・・」

不動「不幸なんだけどさ、正義感はあったから・・・困ってる子を助けて、自分は傷ついてしまう・・・まるでヒーローみたいなヤツだった」

美琴「うっわ・・・今と全然変わらない」

不動「・・・そんな女の子の中にはさ、上条に告白するヤツもいたけど・・・上条は全部断ってた」

美琴「・・・」

不動「どっかで、君と結ばれる運命を感じてたのかな・・・なんてさ」

美琴「そうじゃないと思いますよ・・・当麻は、そういう決まった道なんて大嫌いですから」

不動「・・・あぁ、そうだな」

美琴「・・・あ、あの」

不動「ん、なんだい?」

美琴「不動さんは・・・あんまり、今の話をしたがらないんですね・・・」

不動「・・・」

美琴「当麻とは真逆だから、ちょっと・・・」

不動「・・・そうだな、俺はあんまり今の話をしたくはないんだ」

美琴「・・・」

不動「さーて、上条があがったら小学校の頃のアルバムでも見てみるか!!」

美琴「そんなのもあるんですか!?」

不動「あぁ、上条、今と全然顔が変わってないからな・・・面白いぞ、きっと!」

美琴「た、楽しみ・・・」


そんな話をしていると、上条が風呂からあがってきた

小学校の頃のアルバムを見て、不動は嬉しそうに思い出を語り、上条はそれに話を合わせ、美琴はそんな二人を見て苦笑する

楽しいはずの「今」を彩っていたのは、なぜか「遠い昔」の話だけだった



821 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 14:05:52.75 ID:fFNnc3e50


「ねぇ、父さん」

「なんだ、拓馬?」

「俺さ、もう少し花火・・・見てたいんだよ!!」

「うーん・・・でも、優佳はもう帰りたいって言ってるぞ?飽きちゃったみたいだ」

「えー、俺はもう少し見てたい!!」

「うーん・・・母さんはどう思う?」

「そうですね・・・だったら、もう少しだけ」

「やったぁ!!」

「えー・・・お兄ちゃんの意地悪!!」

「いいじゃんか・・・あの花火、学園都市製なんだってさ!!」

「ははは、拓馬は本当に学園都市が好きなんだな・・・」

「ふふ・・・そのうち、自分も学園都市に行きたいなんて言い出したりして」

「でも、ちょっと行ってみたいかも・・・」

「どうしてだ、拓馬?」

「だってさ父さん・・・」



「学園都市には、上条がいるんだ!」




822 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 14:07:59.43 ID:fFNnc3e50

今日はここまで

年末から正月はバイトが忙しくて何よりです



仕事なんてなぁ!!したくないんだよぉぉぉ!!!



823 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 14:16:37.97 ID:Qzyv6WSx0
824 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/26(月) 22:31:22.06 ID:fFNnc3e50
投下は無しですが筋肉動画を一応

http://www.youtube.com/watch?v=SRDhj2urgqg

フレックス・ウィラー

無冠の帝王の一人にして最強の遺伝子の持ち主

二頭にシンソールを入れているのでは?と疑われるほどの腕、そして何よりもセパレーションのすごすぎる背中・・・

ライオンのような背中とも言われます

すっげぇ・・・



ではおやすみなさい


825 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 00:08:53.06 ID:qZD9oaNDo
826 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 12:43:22.44 ID:OcVBbNx40
垣根「・・・地下通路って言うからもっと狭いのをイメージしてたんだけどよ」

一方「ンな映画みてェな地下通路があるかよ」

地下通路を歩く二人はそんな会話をしていた

ところどころに埃が溜まっていることを除けば、それ程不潔感もない

どうやら、未だにここを通る人間がいるようだ

それが何かを密輸している人間なのか、それとも魔術師の一味なのかは分からないが

垣根「・・・ちっ、かなり分岐してやがるな」

一方「あァ・・・一本道ってわけじゃねェみたいだな」

垣根「辿り着くのはどこを進もうが港なんだろうが・・・」

一方「・・・どォせ麻薬か何かの密輸に使われてたンだろ、追われてもここまで分岐してる地下通路なら簡単には追いつかれねェ」

垣根「・・・だが、今はその構造が仇になっちまうな」

一方「・・・どこに敵が潜ンでるか分からねェ」

垣根「・・・チョーカーのスイッチは」

一方「杖ついてるだろォが、無駄使いは出来ねェな」

垣根「・・・そんなんじゃ、奇襲の一発で死ぬかもしれねぇぞ」

一方「・・・その時はお前が盾になれ」

垣根「ふざけんな、誰が・・・!」



827 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 12:43:56.17 ID:OcVBbNx40
目を凝らしていた二人の視界に、何かが写った

人間・・・正確には、人間だったはずの「物」だ

頭を何かの猛獣に食いちぎられたかのような人間の屍

もしも死体というものを見慣れていない人間が見つけていたら、すぐさま嘔吐していただろう

だが、二人は至って冷静だった

死体に見慣れているのもある、それにその死体がそこにあるかもしれないという予想もしていたからだ

垣根「・・・シュミットってヤツだな」

一方「あァ、天秤のキーホルダーが転がってやがる」

垣根「・・・口封じにやられたか」

一方「さァな・・・だが魔術ってヤツでこんなグロテスクな傷口になンのかよ」

鉄の臭いに少し顔をしかめながら、一方通行が垣根に尋ねる

垣根「俺が知るわけねぇだろ・・・」

一方「・・・携帯は」

垣根「通じねぇ・・・圏外みたいだな」

一方「・・・こいつの死亡を伝えたほォがいいンだけどな」

垣根「後でいいだろ・・・それより、先に進むぞ」

一方「・・・待て」


828 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 12:44:31.59 ID:OcVBbNx40
進もうとした垣根を、一方通行が制する

垣根「なんだよ、一体・・・」

一方「・・・二手に別れたほうがいい」

垣根「あぁ?」

一方「・・・もしも魔術師が逃げている最中なら、どこの道を進ンでるか分からねェンだ」

垣根「お前、一人で大丈夫なのかよ」

一方「あァ・・・」

垣根「・・・分かった、無理はするなよ」

一方「俺は右に行く、お前は前に進め」

垣根「・・・次に会うのは、港になるか」

一方「さァな、もしかしたら地獄かもしれねェ」

垣根「そうならねぇように祈っとくよ」

じゃあな、と垣根が手を振り歩き出す

一方(・・・チョーカーの電池も残りが少ない・・・イリーナってヤツとの戦闘で少し使っちまったな)

かといって、それを完全にオフにすることは出来ない

もしもそうしてしまえば、彼は歩くどころか言葉を話すことさえままならなくなるのだから

一方「・・・学園都市最強が笑わせるな」

自嘲の笑みを浮かべた一方通行が歩き始める

足音と杖が地面に当たる音だけが不気味に響いていた




829 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 12:45:01.69 ID:OcVBbNx40



ステイル「・・・あまり手がかりは得られなかったな」

心理「そうね・・・やっぱりこの辺りには逃れていないみたい」

土御門「・・・当たり前と言えば当たり前だな・・・」

番外「・・・大体、ここに手がかりを残す理由もないし、滞在する意味もないからね」

ステイル「・・・土御門、君はどう思う」

土御門「何をだ」

ステイル「・・・敵がどう動くか、ということさ」

土御門「・・・さぁな、真っ直ぐ港に向かうか、それとも何かしら準備を行うか」

ステイル「・・・あの廃工場は恐らく彼等のアジトに近かったのだろう」

心理「・・・そうね、あそこからなら港に直接向かえるし・・・」

番外「何より人に見られる可能性が少ないか・・・でもさ、見張りに防衛に向いてる魔術師を置かせたのは分かるけど・・・だったらなんでそもそも、あのイリーナって魔術師が魔術を使わなかったのかな」

心理「・・・あの煙になる魔術?」

番外「そうそう、煙ならあそこにも置いていけるでしょ?」

ステイル「そうする理由なんてないさ、シュミットが防衛に向いているなら彼に任せたほうがより確実だからね」

土御門「その分の魔力を攻撃に回したほうがいい」

番外「・・・あともう一つ気になるんだけどさ・・・」

土御門「あぁ、なんだ」

番外「シュミットってかなり弱かったよね・・・なのに、まるでイギリス清教の情報ではトップシークレットみたいに扱われてた」

土御門「・・・そういえばそうだな、あんな魔術なんてわざわざ隠す必要がない・・・第一、相手に知られたところでなんら影響のない魔術だ」

ステイル「・・・ということは、彼等は情報を操作することが出来る・・・と?」

番外「そう、まるで一番の黒幕はシュミットだと思わせるように・・・」



830 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 12:47:30.98 ID:OcVBbNx40
心理「・・・なら、残りの三人の情報はどうなのかしら」

ステイル「イリーナが炎の魔術師というのは本当だったが・・・残りの二人はまだ分からないな」

土御門「・・・こうなってくると、顔写真も間違っているかもしれないな」

番外「あーあ・・・そうなったら振り出しだよ」

土御門「いや、そうでもない・・・相手は情報を操作しなければならなかった・・・つまり、イギリス清教と面と向かってぶつかれば勝つ見込みはないと言っているようなものだ」

ステイル「・・・動員数を増やすかい?」

土御門「今のメンツで十分だ・・・天使を堕ろされなければな」

ステイル「・・・そうだな、たしかにそうだよ」

土御門「・・・問題は、相手がどのような魔術を使うかということだ、イリーナの魔術もそもそもイギリス清教のものではなかった」

ステイル「北欧神話か、それとも別のものか・・・全く見当がつかないよ」

土御門「・・・俺達がもしもめんどうな敵と遭遇したら・・・勝ち目はないな」

ステイル「・・・その時はその時だ、今はただ相手を捜索することに集中しよう」

番外「さて、こんな無駄話をしてる時間があるなら少しでも捜索を続けちゃおうぜ!」

心理「・・・そうね」

心理定規がため息をつく

すでに夜も遅い、疲れが溜まってきていた

ふと空を見上げると、小さな星たちが綺麗に瞬いている


心理(・・・垣根、あなたは今・・・何をしてるのかしらね)


831 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 12:53:44.99 ID:OcVBbNx40

神裂(・・・敵の目的が分からない以上、ヘタに動くことは出来ませんね)

捜索を続けながらも、神裂は別のことを考えていた

天使を堕とす、というのは恐らく彼らの「手段」でしかない

その先には、一人一人が別々の「目的」を持っているはずだ

絶対的な力を手に入れたい、人を救いたい、知的好奇心を満たしたい・・・そのような理由が、彼らを動かしているはずだ

だからこそ、「手段」の同じ魔術師を集めて行動を起こしているのだ

神裂(・・・最大主教もよく気づいたものですね、そんな些細な蜂起に)

それでもそこに驚きはない

あの人間は、どこでどのようなことを誰が話しているか、全てお見通しのようだ

もしかしたら今神裂がここにいることさえ把握しているかもしれない

恐ろしい、とも神裂は思っていた。かつてインデックスに禁書目録を科したあの最大主教を

神裂(・・・いえ、今はそんなことはどうでもいいのです)

地下通路に渡った二人の「科学側」は恐らく、敵の捜索を進めているはずだ

関係のない一般人を巻き込んでしまったことに罪悪感を覚えながらも、神裂は進む

神裂「・・・早く見つけなければなりません」

天使の力を手に入れるには、天使を飛び出すだけでいい

儀式場についての詳しい知識があるものなら、数日で行えることなのだ

神裂(・・・一体どの天使を呼び出すつもりかは分かりませんが・・・もしも天使が堕とされてしまったら)

それは、世界の終わりを意味してしまう


神裂(・・・救いというのは、本当にあるのでしょうか)


832 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 12:59:24.95 ID:OcVBbNx40

垣根「・・・ちっ、だんだん暗くなってきやがった」

地下通路の中は肌寒く、奥に進むに連れて寒さも増してきた

季節は春だが、地下というのは不気味な寒さを帯びている

まるで本当に黄泉の国にでも連れて行かれるかのような感覚を垣根は感じていた

垣根(・・・こっちの道であってたか・・・?)

多数の分岐点があることは判明した

それに、いくつかの道は途中で行き止まりになっていたのだ

正確には行き止まり、ではなかったのだが水の中へと続いている、事実上の終着点だった

恐らくは元々作られていた下水の通路を無理矢理改造したのだろう

ところどころには排水溝が見られるし、それに異臭も漂ってきた

垣根(・・・服に臭いが染み付かないといいな)

そんなことを考えてから、体の回りに未元物質をばら撒く

垣根(・・・暗くて見えづらいが・・・恐らくここは相当な広さのはずだ)

足音の響き方がおかしい、まるで大きなコロッセウムの中にでもいるかのようだ

ドーム型にでもなっているのだろう、あちこちから足音が響き返ってくる

垣根(・・・これじゃ、追跡者が後ろからやって来てても気づけないな)

密輸用の荷物を整理するための広場なのかも、と考えながら垣根は歩く

先ほどのシュミットの死体以外、特におかしな点はなかった

だからこそ違和感もあるのだが



833 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 15:29:04.33 ID:OcVBbNx40
垣根(・・・一方通行のほうが当たりだったか・・・?)

ふと上を見上げ、垣根が考える

そこには光などなく、ただ暗闇だけが広がっていた。見慣れていたはずのその光景も、今となっては恐怖さえ覚えさせる

垣根「・・・」

シン、とした空間の中には彼の存在以外何もない

何も


垣根「・・・あぁ?」

何もなかったはずの地面が、いきなり膨れ上がる

突然現れた炎の柱

それによって地面が高熱を発し、その結果として石畳が溶けたのだ

溶解したその石畳は、高温の液体となって垣根に降り注ぐ

垣根(・・・魔術か)

鼻で笑いながら、未元物質を用いてそれを防ぐ

ほんの一瞬、違和感を覚えたものの、その火柱はすぐに消え去った

その中心であった床には、一枚のタロットカードが置かれている

書かれた数字は「1」、王の横顔が描かれている

垣根(タロットカード・・・?こんなもんでも魔術を発動できるのかよ)

ステイルのルーンのカードと同じく、一枚ではそれほどの威力を持たせることも、長い間持続させることも出来ない

しかし不意打ちには向いているとも言える、そのカードに気づかずに真上に立ってしまえば命はない


834 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 15:37:54.99 ID:OcVBbNx40
垣根(・・・にしても、さっきの感覚はなんだよ)

未元物質のぶつかった素粒子は、「この世の物理法則」から外れた動きをするはずだ

その感覚に垣根は慣れている。何度もそれを繰り返し、どのベクトルがどのようにおかしな動きをするかは知っていた

しかし、先ほどの炎の柱は違う、通常の炎と違い、「垣根の知らないプロセス」によって弾かれたのだ

垣根(・・・一方通行が言ってたな、あいつが魔術を反射したときも正反対の向きではなく、後方に弾かれたって・・・)

垣根は魔術などというものを知らない

一方通行はすでにそれの法則を読み取っているようだが、それは彼の能力が「事象の解析」に向いているからだ

垣根の能力は、それには向いていないと言えるはず

垣根(・・・下手をすれば、魔術の攻撃を弾けない可能性も出てきたな)

未元物質の翼は、様々な用途がある、その中には、防御として使う方法も

直接相手の攻撃を弾き飛ばすこともあれば、相手の操ったベクトルをおかしな動きにして捻じ曲げ、結果的に自分に当たらせないことも出来る

だがそれはあくまで、「相手が全て化学側の人間」だったから出来た芸当だ

相手の攻撃が何のベクトルなのかを垣根が瞬時に逆算し、それを未元物質で捻じ曲げることが出来ただけ

つまり、そもそもどういう法則なのか分からない「魔術」に関してはそれを利用できるとは限らないのだ

「科学ではあり得ない」魔術と「この世のものではない」未元物質

未知と未知がぶつかり、偶然「この世の法則としてありえる動き」になったとしたら

木原数多が「反射の壁にぶつかる直前、ベクトルを反転」させた攻撃に一方通行が「反射」を適用し、攻撃が通ってしまったのと同じ事になる

垣根(・・・魔術を解析する・・・か?)

しかしどうやって

垣根の新しい力は、あくまで「一方通行の黒い翼」によって生み出されたものであって「非科学の法則を解析」した結果のものではない

垣根の能力でそれを解析することは出来るのか


835 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 15:44:04.33 ID:OcVBbNx40
垣根(・・・)

目を閉じて、演算を開始する

しかし方法も分からず、まして魔力などというものを感知することも出来ない彼にはどうすることも出来なかった

魔術などというものに科学的な法則があるとも限らない

垣根(無駄足だな・・・クソ)

一方通行には出来たことが自分には出来ない、なぜかそれがイライラを募らせる

垣根(・・・いや、関係ない・・・魔術なんて解析しなくても、俺の力で捻じ伏せればそれでいい)

今回彼がイギリスに来た目的は魔術の解析ではなく、あくまで友人を助けることだった

ならばわざわざ時間を掛ける必要はない

垣根「・・・」

足元にタロットカードが落ちていないか、その他のおかしなものはないか・・・それらに気を配りながら垣根は進む

ピリピリとした彼の感情が、まるで空気にも伝わっているかのようだ

だんだんと、本当に少しずつだが気温が下がっていく

垣根(・・・時間は)

腕時計は既に夜中の1時を差していた

どうりで寒いはずだ、それに体も疲れを訴えている

だからといって立ち止まり、無防備に眠るわけにもいかないが

垣根(・・・進むか)

孤独を抱えながらも、垣根は地下通路を進む



836 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 15:51:31.63 ID:OcVBbNx40


一方(・・・垣根のほうが当たりだったか?)

一方通行も同じことを考えていた

彼の進んだ道は、少し狭い横道だった

隠れながら逃げるにはもってこいだが、今のところ敵の姿は確認できない

杖をつきながら歩いているため、それほど早く動けないのも理由の一つだが

一方(・・・電池は大丈夫か・・・?)

今は奇襲よりもそちらのほうが心配だった

魔術的な力を感じれば、彼の胸は締め付けられるような感覚を覚えるはずだ

それにより、魔術を感知した瞬間にチョーカーのスイッチを入れればいい

だが電池がなくなってしまったら、彼はただの「無能力者」になってしまう

あの翼が出てくるという確証はない

一方(・・・気味が悪いな)

そういう不安を一つ一つピックアップすればするほど、焦りは積もっていく

自らの首を絞めるような行為は愚かだが、しかし最悪の場合を考える必要性もある

一方(・・・どォする・・・?)

充電器は持っているが、この地下通路にプラグなどはない

番外個体がいるわけでもないため、充電をしてもらうことも出来ない

一方(・・・)

感覚では、通常モードで残り3時間、能力使用モードにしてしまえば恐らく2分ももたないだろう

一方(・・・クソ、替えのバッテリーなンてねェンだ・・・)

もしも今敵に襲われてしまったら

そして、もし2分の間に決着がつかなければ


一方(・・・!!!)


その時、一方通行の表情が驚愕のそれに変わった


837 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 16:53:09.70 ID:OcVBbNx40
12345「・・・おや、一方通行ではないですか、とミサカは突然の遭遇に内心驚きつつも平静を装いながら語りかけてみます」

地下通路の先

そこから、彼のよく知っている顔が現れたのだ

妹達

かつて一方通行が10031人を葬った、「超電磁砲」、御坂美琴の軍用クローン

その一人が、なぜか地下通路の中を悠々と闊歩していたのだ

一方「・・・お前、何号だ」

12345「ミサカは12345号ですよ、覚えやすい数字ですよね、とミサカは噴出す真似をしながら・・・」

一方「なンでこンなところにいる」

12345「それはこちらの台詞です、とミサカは一方通行の顔を指差しながら問い返します」

一方「・・・俺は今、人探ししてンだよ」

12345「おやおや、こんな汚い地下通路を通ってですか?とミサカは確認を取ります」

一方「・・・俺だって好きで通ってるンじゃねェ、ただ表沙汰には出来ねェ敵だからな・・・」

12345「敵・・・?もしかして何かしらの問題に巻き込まれたのですか、とミサカは映画並の超展開に胸を躍らせながら・・・」

一方「俺は答えた、てめェも答えろ」

12345「簡単ですよ、ここはミサカ達の暮らしている施設への近道ですから、とミサカは答えます」

一方「近道?」

12345「えぇ、さすがに表の通りを堂々と通るのは、少しばかりリスクが高いもので、よくミサカ達は使わせてもらっています、とミサカは答えます」

一方「待て・・・お前、もしかして港からここに来たのか」

12345「港?なんでミサカがそんなところに行かなければならないのですか、とミサカは・・・」

一方「・・・何・・・?ってことは、この地下通路は途中に出口があるってことか!?」

12345「は、はい・・・とミサカは突然顔を近づけてきた一方通行に少々ドギマギしながらも頷いてみます」


838 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 17:25:43.40 ID:OcVBbNx40
一方(・・・クソッタレ!!)

ということは、魔術師は港に直接向かうというわけではないのかもしれない

12345号がやってきた入り口から・・・いや、もしかしたら他にもいくつか存在しているかもしれない入り口から、外へと出たのだろうか

それとも、それもダミーで本当に港に向かっているのか

一方(・・・ただでさえ選択肢は多いンだ・・・この上いくつも出口なンかあって堪るかよ・・・)

冷や汗が伝っていく、このままでは自分が敵を発見する前にあの「天使」という存在が発現するかもしれない

エイワス、その化け物を見たことのある一方通行には分かる

あれは、決してこの世の中に存在していいものではない

12345「あ、あの・・・」

一方「・・・おい、頼みがある」

12345「は、はい、なんですか?とミサカはまだ状況を飲み込めずに・・・」

一方「俺のチョーカーを充電してくれ、今すぐに」

12345「あ、あの・・・」

一方「お前は電気をこいつに浴びせればいいンだ、細かい調整は俺がする」

12345「は、はぁ・・・」

首を捻りながら、一方通行のチョーカーに微弱な電磁波を当てる12345号

しかし、その時間さえも今の彼にはじれったかった

一方(・・・垣根はこの事実を知らねェ・・・もちろン、地上のヤツらもだ!!)

この状況を一刻も早く打開しなければならない

かといって、他の仲間達に伝えに行くだけの猶予は果たしてあるのか

地上のどこにいるか詳しく分からない、仲間達に

一方「・・・なァ、イギリスにはあと何人妹達がいる」

12345「ミサカを除けば3人ですが・・・」

一方「そいつらをここに呼べ」

12345「は、はい」

一方(・・・クローン共を巻き込むのは気が引けるが・・・)


一方(・・・時間がねェンだ・・・)



839 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 17:37:44.31 ID:OcVBbNx40


不動「・・・上条、起きろって」

上条「ん・・・あ、あれ・・・おはよう・・・?」

美琴「・・・もう朝よ、当麻」

上条「そっか・・・!!!朝!?」

ばっと起き上がった上条が時計を確認する

既に朝の8時を過ぎていた

上条(しまった・・・目的を忘れてた・・・!!)

魔術師との戦い、という非日常の中ではかつての友人という日常がとても甘い誘惑へとなってしまう

その日常に身をゆだねてしまった上条は、実に多くの時間を無駄にしていた

不動「人探しだったっけ?御坂さんがずっと起こしてたのに起きなかったんだぜ、お前」

上条「わ、悪い!!すぐ行くからさ!!」

不動「・・・はぁ、飯くらい食ったほうがいいんじゃないか?」

上条「い、いや・・・すぐ探さなきゃならない人なんだ」

不動「へぇ・・・まぁいいや、俺もそろそろ出かけないといけないんだ」

上条「そっか・・・ありがとう、世話になったよ」

不動「どういたしまして・・・見つかるといいな、その探し人」

上条「あぁ、それじゃ!!」

会話の間にぱぱっと着替えを済ませた上条が、すぐさま部屋から飛び出す

美琴もその後に続いた


840 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 17:42:29.94 ID:OcVBbNx40

不動「・・・慌しいな、上条も」

残された不動は一人、溜め息をついていた

友人だった上条との再会

それがまさか、イギリスで実現するとは思わなかった

不動「・・・日本じゃなくて、少し残念だったかな」

独り言を口にしながら、不動が笑う

テーブルの上に置かれた家族写真の笑みとは遠過ぎるほど、悲しい笑みを浮べながら

不動「・・・でもまぁ、悪くはなかったか」

彼がポケットに部屋の鍵を入れる

不遇という絵の具で塗りつぶされた彼の人生も、最後の最後に面白い幸せが舞い降りたものだ

本当によかった、と不動は感じていた

不動「・・・」

もしも

もしも、全ての選択肢の中の一つだけが間違いで、それを必ず選んでしまうなら

この再会も、最悪の選択肢だったのかと不動は考える

不動「・・・いいじゃねぇか、それならそれで」

ガチャリ、とドアは重たい音を鳴らして閉じられた

もうこの部屋に来ることもないだろう

不動「・・・じゃあな、上条」

最後の最後にぽつりと呟いてから、彼はその場を去った



841 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 17:47:29.72 ID:OcVBbNx40

ステイル「・・・」

土御門「結局、一日掛けて情報は何もなし、か」

心理「・・・正直、落胆するわ」

番外「そうだね・・・」

イギリスのある民営の宿

そこの食堂で四人は眉をひそめていた

ちなみに、食事はお世辞にも美味しいものとは言えなかったため、日本人である三人はコーヒーだけの朝食を取っていた

土御門「・・・カミやんからのメールだ」

ステイル「なんだって?」

土御門「友人宅で一泊していたら寝過ごした、とさ」

ステイル「ちっ・・・」

番外「でもさ、一日掛けて何も掴めずに終わったミサカ達より、一晩休んで体力を回復させた上条達のほうがよかったかもね」

心理「えぇ、こっちは一晩中街中を歩いたせいで足が棒になってるから」

土御門「その足を、今日もまだしばらくは使うことになるぞ」

心理「・・・どこに向かうの」

土御門「・・・今日は神裂と合流する、港へ向かおう」

ステイル「いいのかい、この辺りの捜索もまだ完全には済んでいないけど」

土御門「・・・やはり港が一番何かありそうなんだ、俺はそう考えている」

心理「・・・同感ね、少なくともここでダラダラ捜索を続けるよりはマシよ」



842 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 17:55:14.38 ID:OcVBbNx40
土御門「すでに神裂とは連絡を取った、向こうも情報は得られなかったみたいだ」

心理「そう・・・それは残念ね」

番外「ま、今日から本格的にするってことでいいじゃん」

ステイル「それを負け惜しみと言うんだよ」

番外「ネガティブになるよりはマシだよ」

土御門「さて、俺達も急ぐと・・・」

ふと、土御門が宿の外を見つめる

イギリスの朝、人々が行き交う道路

その向こうに、見覚えのある女がいた

土御門「!!伏せろみんな!!」

心理「!?」

その女の姿がユラリと揺れる

不気味なほどの笑みを浮べたその女の姿が消えた直後、凄まじい爆風が宿のガラスを叩き割った

突然の爆発に、客は混乱している。中には金切り声を上げる者もいた


イリーナ「ハーイ、イギリスの朝はいかがかしら日本人?」

その惨状とは似つかわしくない、楽しげな声

客達はどこから聞こえてくるかも分からないその声に、恐怖を覚えた

割れた窓から一斉に客が外の路地へと向かう

残されたのは、四人と「襲撃者」だけ

壊れたテーブルの影に隠れた土御門が、歯を食いしばる


843 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 18:00:43.99 ID:OcVBbNx40
イリーナ「ホントはめんどくさいんだけどさぁ・・・アンタ達に計画を邪魔されるわけにはいかないの」

実態を表したイリーナが、ゆっくりと土御門の隠れているテーブルへと近づく

土御門(・・・こちらの位置を知っている・・・いや!!)

タン、と地面を蹴って土御門が移動する

先ほどまで彼の隠れていたテーブルが、勢い良く叩き割られた

土御門(・・・イフリートを既に煙にしていやがった・・・!!)

イリーナ「ありゃりゃ、みーつけた」

土御門「!!」

横から聞こえたのは、イリーナの声だった

いつの間に彼の横に移動したのか、しかしそんなことはどうでもよかった

ステイル「魔女狩りの王!!」

土御門を庇うために、ステイルが炎の魔人を生み出す

宿の天井まで届くほどの大きさの巨人、それはイリーナの体を飲み込もうと襲い掛かる

イリーナ「ちっ!」

体を煙にすることで、イリーナはそれをかわす

土御門の目の前を、魔女狩りの王の拳が掠めた

土御門「た、助かったぜぃ・・・」

ステイル「・・・油断するな、あの女・・・」

イリーナ「・・・アンタがルーンの魔術師よね、知ってるわよ・・・」

少し離れたテーブルの上に、イリーナの姿が現れる


844 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 18:10:12.63 ID:OcVBbNx40
ステイル「・・・君と同じ、火の魔人を使う魔術師さ」

イリーナ「同じ?馬鹿にしないでよ、ただの魔女狩り皇帝が火の魔神と同じですって?」

ステイル「十字教にいながら十字教に歯向かう異端を審問するにはピッタリだろう?」

イリーナ「ふざけるな!!」

煙の魔神が、勢い良く息を吐く

それは地獄の業火となってステイルを飲み込もうとする

ステイル「僕と魔術決戦ということか、面白い!!」

対するステイルは、魔女狩りの王の腕を振るわせる

イギリス清教の火の最高峰と、イスラム教の火の最高峰

互いの衝突は、凄まじい衝撃と業火を放った


心理(・・・番外個体、大丈夫?)

番外(な、なんとか・・・)

その戦いを、宿のカウンターの影から二人は見つめていた

魔術というのはあれほどにまで恐ろしいのか、と怯えながら

発火能力者というものが学園都市にもいる、しかしそれと目の前の業火とはまるで比べ物にならない

番外(・・・信じられないね・・・こりゃ)

心理(・・・ねぇ、ステイルは勝てるの・・・?)

番外(ミサカに聞かないでよ・・・)



845 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 18:19:12.80 ID:OcVBbNx40


ステイル「くっ・・・」

イリーナ「・・・中々やるじゃない、さっすがルーンの魔術師さんね・・・」

戦いは既に20分を経ていた

ステイルの右腕には少しの火傷の痕がある

対するイリーナは無傷

攻撃が当たる瞬間に煙に姿を変えられてしまっては、そう簡単にダメージを与えることも出来ない

イリーナ「・・・でも、そろそろ決着をつけないと・・・うちの荒っぽい男もかんかんかもしんないし」

ステイル「・・・ふん、君は四人の中で使いっぱしりだったということか」

イリーナ「・・・言ってくれるじゃない」

ビュン、という凄まじい音と共にステイルの体が道路へと弾き飛ばされる

外はすでに、野次馬達さえいなくなっていた

ステイル(う・・・)

イリーナ「甘い・・・甘いのよ、ルーンの魔術師」

割れた窓ガラスを気にせず、イリーナが窓をくぐってくる

従えているイフリートは少しずつ大きさを増していく

イリーナ「イフリートはあなたの魔女狩りの王と違って、体が燃えているわけではないの・・・だから、腕を振るっただけで敵を焼き殺すことは出来ない」

コツコツと響く足音がやけにうるさい

イリーナ「その代わりね・・・イフリートってのは、腕力が相当強いの・・・ねぇ、あなたは今イフリートに殴り飛ばされたのよ?」

ステイル「ごほっ・・・」

口の中に、わずかだが鉄の味が広がる



846 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 18:24:49.97 ID:OcVBbNx40
イリーナ「痛いでしょ?怖いでしょ、それが普通よ」

悦に浸ったような表情のまま、イリーナが鼻で笑う

イリーナ「・・・それと、建物の外に出ちゃったからあなたはもっと不利よ」

ステイル「何を言って・・・」

イリーナを睨み付けたステイルがはっとする

彼女の後ろにいるイフリートが、どんどんと巨大になっていくのだ

ステイル「・・・なんだ・・・これは・・・」

イリーナ「イフリートの最大の特徴は、実態が煙であること・・・そして、大きさが自由に変更できること」

周りの建物と同じほどの高さにまで大きさを増したイフリートが、息を吸うような動作を見せる

ステイル「!!魔女狩りの・・・」

イリーナ「クルアーンを読んだこともないあなたは知らないわよね」

そして、その巨大な口から息が吐かれた

それは凄まじい業火だった、まるで火山の噴火のようなそれが、ステイルを目掛けて吹き荒れる

イリーナ「イフリートの吐息はね・・・あなたのその魔女狩りの王なんかより、もっともっと強いんだから」

ステイル(しま・・・)


番外「ステイル!!」

ステイル「!」

バチン、とステイルの体を何かの衝撃が襲った

彼の体が吹き飛ばされる



847 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 19:58:30.47 ID:OcVBbNx40
ステイル(で、電撃・・・?)

近くの建物の壁にぶつかって、彼の体は静止した

少し背中が痛むが、今はそんなことを言ってはいられない

何しろ、さきほど彼がいた場所は石畳が溶け、赤い地獄絵図になっていたからだ

ステイル「・・・」

ヒヤリ、と背中が気持ちの悪い感触を覚える

もしも、番外個体が電撃で自分を飛ばしてくれなかったら

あのドロドロと溶けたアスファルトの中に、彼の骨だけが浮かんでいただろう

いや、下手をすれば骨さえも残らない

イリーナ「あっちゃー・・・ちょっとずれたか、残念残念」

そんなことに気も留めないかのようなイリーナは、すぐさまステイルのほうに目をやる

ステイル「・・・悪魔か・・・もしも民間人がいたらどうするつもりだ!?」

イリーナ「知らないよそんなの、それにいなかったじゃん」

ステイル「し・・・知らないだと・・・?」

イリーナ「あれ、もしかして自分が今不利になってるのは周りに気を遣ってるから、とか言い訳しちゃうのかな?」

ステイル「・・・少なくとも、それは多少なりとも影響しているさ」

イリーナ「うっわー、興醒め・・・」

呆れた様に肩を竦めながら、イリーナがイフリートを見上げる

それは、何かの物語にでも出てくるような大きさの化け物だった


848 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 20:03:31.75 ID:OcVBbNx40
イリーナ「・・・君はさ」

ステイル「・・・なんだ」

イリーナ「その力を、どうして手に入れようと思ったの」

突然の問いに、少しだけ戦意が削がれてしまう

油断をしてはいけない、頭はそう命じているのに体は動かない

ステイル「・・・それが君に関係あるのかい」

イリーナ「一応聞いておこうと思ってさ」

ステイル「・・・なんてことはない、ある女の子を助けるためさ」

瓦礫に背を預けながら、ステイルが笑う

そんな理由で手に入れたのは、拠点防衛に向いている「魔女狩りの王」だった

しかし、それでも結局彼はその女の子を救えなかった

イリーナ「ふーん・・・素敵な理由」

ステイル「・・・」

ほんの一瞬、本当に見間違えかと思うほどの一瞬だけ、イリーナの表情が悲しくなった

イリーナ「・・・私はね、この力を・・・仲間のために手に入れたんだ」

ステイル「仲間のため・・・だと」

イリーナ「あぁ、勘違いしないで・・・イスラム教にいた頃の話」

懐かしむような表情で、イリーナが語る

イリーナ「十字教、それもイギリスだけではなくローマ、ロシア・・・それと日本の天草式だっけ?それってさ、一つの国の軍隊を軽く滅ぼせるくらいの力があるでしょ?」

ステイル「それが・・・どうしたんだ」


849 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 20:09:40.17 ID:OcVBbNx40
イリーナ「・・・恐ろしいよね、同じ神様を信じてるのに、それぞれがいがみ合って力を誇示しあってさ」

ステイル「それが何だろ言うんだ」

イリーナ「・・・イスラムってさ、あんまりそういうことに詳しくなかったんだ、だから魔術師なんてほっとんどいないわけ」

イフリートの足に手を当て、イリーナが笑う

イリーナ「・・・もしもそんなイスラムが、イギリス清教みたいなのに襲われたらどうなると思う?」

ステイル「そんなことするわけが・・・」

イリーナ「ない、なんて言い切れないじゃん・・・現に第三次世界大戦では、魔術と科学が手を組んでしまった」

ステイル「・・・そうだ」

イリーナ「・・・私は、仲間を守る力を手に入れたくて・・・イフリートの魔術を覚えたの、知ってる?イフリートってとっても獰猛で馬鹿で好戦的だけど・・・仲間や家族が殺されたら、その仇を取るために自分の命さえも投げ出すんだ」

ステイル「!」

イリーナ「・・・結果として、私はイスラムの教えに背いたって追われちゃったんだけど・・・でも、後悔なんてしてないよ」

ステイル「君は・・・」

イリーナ「・・・天使の力を手に入れれば、イスラムの教えを広められる・・・?それとも、このイフリートよりも強い力を手に入れられる?そんなのどうだっていいんだ」

イフリートの拳が、ゆっくりと握られる

それは恐らく、ステイルの体を叩き潰すためだ

イリーナ「・・・私が強くなって、イスラムの仲間をずっと守ってあげたい」

ステイル「魔女狩りの王!!」

イリーナ「・・・例え、裏切り者の化け物って言われてもさ」

魔女狩りの王がゆっくりと立ち上がる

しかし、まるで大きさが違う


850 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 20:14:33.80 ID:OcVBbNx40
イリーナ「私は力を手に入れたいの、守るために」

それが、少女の戦う理由

今はもう隣に行くことはできなくても、それでも大切な仲間を守るために

どこかステイルにも似ている理由だった

だからこそ、彼は知っている。その願いは、そんな形で叶えてはいけないと

イリーナ「・・・だから、ここでお別れ」

ステイル「・・・」

イリーナ「ゴメンね、ちょっと君には親近感も覚えてるけど・・・でも、やらなくちゃいけないから」

高く振り上げられた拳は、魔女狩りの王諸共、ステイルを叩き潰そうとする

ステイルがゆっくりと目を閉じた

番外個体の電撃も、壁が背にあっては吹き飛ばせない

土御門はもうボロボロの体だ

ステイルだって、もう


心理「へぇ、中々可愛い戦士さんじゃないの」

ステイル「!」

その時動いたのは、恐らく一番戦力にはならないと思っていた少女だった

クスクスと笑いながら、宿の中から歩いてくる心理定規

無防備なんてものではない、どこかの商店街でも歩くかのような軽さで、彼女はイリーナに近づいていく

イリーナ「・・・なに?あなたって、学園都市の能力者ってやつ?」

心理「あらあら、ずいぶん情報が肺じゃない」

イリーナ「・・・昨日ちょっと戦ったのよ」


851 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 20:19:24.44 ID:OcVBbNx40
>>850 心理「ずいぶん情報が早いじゃない」だ、誤字った



心理「・・・ふーん、一方通行かしら?まぁどうでもいいわよね」

イリーナ「なによ、もしかして私と戦うつもり?そんな丸腰でさ」

最後の一撃を邪魔されたため、イリーナはかなり不機嫌になっている

ステイルが体を動かし、どうにか瓦礫の中から立ち上がる

しかし、魔女狩りの王を駆使して戦うほどの体力は彼に残っていない

立っているのがやっと、というのはこういうことだろうか

心理「戦う必要なんてないわよ」

イリーナ「っ!!」

その挑発的な言葉に、イフリートの体が180度反転する

狙いはステイルから心理定規へ

ステイル「ダメだ、避けろ・・・」

イリーナ「・・・一足先に、地獄の彼方へレッツゴーってことね」

ブン、と振り下ろされる巨大な拳

ステイルが思わず目を閉じる

次の瞬間には凄まじい衝撃が起こり、彼女の姿はグチャグチャの肉塊に変わっている・・・


はずだった


心理「・・・ふふふ、ホント・・・仲間思いの優しい子」

そんな声を聞くまでは、そう思っていた



852 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 20:23:44.77 ID:OcVBbNx40
ステイル「!」

勢いよく目を開ける

心理定規の姿は、何一つ変わっていない

その真上では、イフリートの拳が止まっていた

心理定規が何かの衝撃を与えたのか

いや、それも違う。彼女は動く気配など見せてはいなかった

イリーナ「あ・・・」

心理「・・・どう?あなたは敵を殺すには容赦しないし、民間人にだって手を出せるほどの人間だけど」

ゆっくりと心理定規がイリーナに近づく

それなのに、イリーナは彼女を攻撃しようとしない

心理「・・・その大切なお仲間さんのことなんか、攻撃できないわよね?」

イリーナ「な・・・な、なんで・・・」


ステイル(・・・なん・・・だ?)

目の前の現象を、ステイルは理解できなかった

戦力にならないと思っていた少女が、ステイルを粉砕しかけたあの「イフリート」を抑えている

それも、傷一つなく、完膚なきまでに

心理「・・・あなたが戦った能力者が誰なのか分からないけど・・・イギリスに来た能力者で心を操るのは私だけなのよ」

イリーナ「ここ・・・ろ・・・?」


853 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 20:29:36.20 ID:OcVBbNx40
心理「私の能力は心理定規・・・相手の心の距離を自在に操れるの」

イリーナ「ど、どういうことよ・・・」

心理「今、あなたと私の心の距離単位は10・・・あなたと、その大切な仲間との距離と全く同じ」

イリーナ「ち、違う・・・アンタは私と・・・」

心理「他人よ、全くの赤の他人・・・だったら今すぐ殺してみなさい」

柔和な笑みを心理定規が浮べる

いや、その笑みはどこか恐ろしさを含んでいた

あのステイルやイリーナさえもがゾっとするほど、不気味なものだった

まるでモナリザのように、美しく不気味な笑み

心理「出来る?それほど大切な仲間を・・・この巨大な拳で叩き潰すことが」

イリーナ「い、いや・・・」

一歩、確実に一歩、イリーナが後ろに下がった

ステイルが決して出来なかった、有利への転換

それを、学園都市の「能力者」は成し得た

心理「・・・はぁ、あんまりこの能力を使いたくはなかったのよ?あなたって優しそうだから、壊れちゃいそうだし」

イリーナ「来ないで・・・」

心理「・・・本当なら、ここで私があなたを片付けるべきなのよ、仲間に殺される惨めな気持ちを味わわせるために」

肩を竦め、心理定規が続ける

心理「でもそれはかわいそうだから」

心理定規の後ろ、壊れた宿の窓

その向こう側から、番外個体の姿が見えた


心理「ちょっとだけ、気絶してもらえるかしら」

バチン、という衝撃を覚えたイリーナの体が、床に叩きつけられた

あぁ、倒れたのだと気づいたときには既に体に力が入らない


彼女の意識と共に、巨大なイフリートの姿も消えていった


854 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 20:34:04.70 ID:OcVBbNx40

ステイル「・・・すまない、助かったよ」

心理「いいわよ、それにちょっと私もヒヤヒヤしてたところ」

ステイル「・・・?」

心理(・・・逆上されなくてよかったわ、本当に仲間思いだったのね)

地面に倒れた魔術師を見つめながら、心理定規が溜め息をつく

これではどちらが悪人かも分からない

土御門「・・・ハラハラしたな、ステイル」

ステイル「・・・君は隠れていただけだろう」

土御門「おいおい、俺だっていざとなったら助けに行く・・・」

番外「はいはい、そういう嘘はいいよ」

心理「あなたもありがとう、銃なんて持ってきてないから私じゃどうしても攻撃手段がなかったのよ」

番外「ううん、隙を作ってくれたのは心理定規だしさ」

心理「・・・それで、この子はどうするのかしら」

ステイル「・・・意識が戻ったら、情報を聞き出そう」

心理「・・・素直に話すかしら」

ステイル「さぁ、それでもやらなければならない」

イリーナの前にステイルがしゃがみこむ

こういう光景は何度も見てきたが、流石に慣れるものでもない

ステイル「・・・さて、とりあえずこのまま地面に寝かせておくわけにもいかないし、どこかへ・・・」




リガルディー「連れて行くのは勘弁してくれよ」

ステイル「!!」

後ろから聞こえた声に、ステイルが振り向く


855 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 21:15:02.97 ID:OcVBbNx40
土御門「誰だ!?」

リガルディー「派手にやらかしたみたいだが・・・トドメを刺せなきゃ意味もないってことだな」

突然現れた男は馬鹿にしたような笑みを浮べながらイリーナの元に近づく

心理「・・・」

心理定規が目の前の男との距離単位を縮める

リガルディー「ん?お前が話に聞いた学園都市の能力者ってヤツか・・・」

心理「えぇ、それに私だけじゃないけど・・・」

リガルディー「おかしいな、お前のことがまるで両親のように思えるのだが・・・これが能力ってヤツか、わりと魔術と似通っているな」

心理「あら、そうかしら」

リガルディー「・・・だがやめておけ、俺は両親になど興味は無いし、お前が敵ならばすぐ叩き殺すぞ」

心理「!」

番外「やれるもんならやってみなよ」

リガルディー「・・・まぁ落ち着けよ、別に今はお前達と殺しあおうなんて思っちゃいない」

ステイル「ふん・・・どうせまたこの魔術師の回収だろう」

リガルディー「そうそう、仲間を相手の手の中にいさせるのは不安なタチでね」

ステイル「・・・取り返せるものなら取り返してみてくれ」

魔女狩りの王がリガルディーに牙を剥く

手負いのステイルではあるが、無防備なままのリガルディーにならば多少なりとも効果はあるはずだ

リガルディー「・・・魔女狩りの王・・・そうか、お前がステイル=マグヌスってヤツだな」

ステイル「・・・知っているなら話が早い」


856 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 21:23:33.98 ID:OcVBbNx40
リガルディー「そうだな、早いものさ」

すっと、一枚のタロットカードをリガルディーがポケットから取り出す

ステイル「タロット・・・」

リガルディー「俺の名前はリガルディーだ、覚えておくといい」

土御門「!!生命の樹・・・」

リガルディー「そうだな、正確にはその中の10のセフィラとダアトを操る魔術なんだが・・・」

タロットの数字は「9」、色は紫、描かれているのは裸の男性

土御門「ステイル、そこから離れろ!!」

ステイル「!」

土御門の言葉に従い、ステイルがイリーナの元から離れる

心理定規と番外個体もそれに続いた

リガルディー「・・・なんだ、もうこいつに用はないのか?」

土御門「・・・ステイル、魔女狩りの王はどれくらいもちそうだ」

ステイル「・・・ルーンをまともにばら撒いていない、それに体力も相当消費しているよ」

土御門「番外個体、お前の電撃は」

番外「通じるだろうけどさ、でも相手がどんなものを使ってくるか分からないし」

土御門「・・・心理定規も通用しない・・・くそ、こちらの不利だ・・・」

リガルディー「言っただろう、別にお前達を殺すために来たわけではない、それにそんな必要もない」

イリーナ「う・・・」

リガルディー「お、ちょうどいいタイミングで目が覚めたな」

イリーナ「!リガルディー・・・!!」






857 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 21:30:10.94 ID:OcVBbNx40
リガルディー「目覚めの調子はどうだ、見たところ少し傷があるようだが」

イリーナ「わ、私を殺しに来たの・・・?」

リガルディー「安心しろ、お前は木偶の坊と違って使えるからな」

リガルディーが別のカードを取り出す

数字は「8」、色は橙

土御門「ラファエル・・・癒しを司る天使!」

リガルディー「そちらの金髪の男は中々詳しいな、タロットにも興味があるのか?」

土御門「・・・生命の樹を知らない人間が・・・十字教にいるものか」

リガルディー「へぇ、日本人で十字教か・・・」

笑いながら、リガルディーが魔術を発動させる

白い翼の天使が、一瞬にして姿を現す

ステイル「まさか・・・天使の力・・・!?」

リガルディー「そんな大仰なものではない、お前達だって天使の力を借りて魔術を行使しているだろう?俺のは少しそれを改良しているだけさ、こいつだって本物のラファエルではない」

土御門「・・・無理矢理天使を作り上げているのか」

リガルディー「それとも違うな、魔力を無理矢理天使の力に似たものに変えているだけだ、大体そんな大層なことが出来るなら今回のような計画など立てるわけもない」

土御門「・・・くそっ・・・」

土御門が拳を握り締める

目の前の男に、なぜか勝てる気がしないのだ

リガルディー「どうした、先ほどまでの戦意は喪失してしまったか?」

ステイル「・・・そんなわけがないだろう!!」


858 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 21:36:35.80 ID:OcVBbNx40
魔女狩りの王が右腕を振りかざす

イリーナのイフリートに比べれば矮小だが、それでも人一人を殺すには十分すぎるほどのものだ

リガルディー「・・・若いな、青さはいいがあまりにも幼い」

先ほどの「9」のカードをリガルディーがそっと掲げる

それは、あの「ガブリエル」の力を宿しているカードだ

大量の水がそこから溢れ出す

ステイル「!!」

魔女狩りの王は、その炎自体が本体ではない

ルーンのカードを破壊されない限りは決して消えるはずがないのだ

だが、今は違う。天使の力にも似たその魔術により、魔女狩りの王は一瞬にして消し去られてしまった

ステイル「な・・・」

リガルディー「ルーンは拠点防衛でこそ本領を発揮する、こういう急な戦になど向くわけがないだろう」

諭すような口調のリガルディーが、イリーナに肩を貸す

リガルディー「あぁ、それとこれはまだ警告段階だ・・・もしももう一度攻撃をするなら、俺は本気でお前を潰すことになる」

ステイル「・・・」

わなわなと拳が震える

それでも、ステイルは攻撃をすることが出来ない

もしもここで攻撃をすれば、他の三人まで巻き込まれてしまう

リガルディー「懸命な判断だ、それには敬意を表するよ」

ゆっくりと背を向けたリガルディーが歩き出す

まるで、後ろにいる敵を気にもしていないかのように



859 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 21:41:59.42 ID:OcVBbNx40

ステイル「・・・やられた」

どさり、と地面に膝をついたステイルが呟く

振り出しに戻ってしまった

それも、圧倒的なまでの力の差を見せ付けられて

土御門「・・・別にお前が弱かったんじゃない、相性が悪かった・・・」

番外「・・・どうするのさ、こっちは手負いが増えちゃったよ」

土御門「・・・すまない、俺達が率いなければならない立場なのにな」

心理「構わないわよ、それに・・・私だって何も出来なかったんだから」

悔しそうな表情を浮べながらも、心理定規が優しい言葉をかける

番外「・・・さーて、ミサカ達はどうするのかな?これじゃあどうしようもないね」

土御門「・・・ステイル、お前は一旦最大主教に連絡をしに行ってくれ」

ステイル「しかし・・・」

土御門「逃げろと言っているんじゃない・・・出来れば、最大主教の護衛に回ってくれ」

ステイル「・・・」

土御門「・・・あいつらの目的が分からない以上、イギリス清教を無防備には出来ない、頼む」

ステイル「・・・分かった」

土御門「さて、俺達は進むとしようぜ・・・」

心理「・・・えぇ」

番外「・・・ったく、本当にイヤになるよ」

傷だらけの土御門に肩を貸しながら、番外個体が言葉を吐く


番外「・・・イヤになるよ、本当に」


860 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 21:48:30.41 ID:OcVBbNx40

イリーナ「・・・」

リガルディー「そう怯えるなよ、本当に殺すつもりはないさ」

街中を歩きながら、リガルディーは言っていた

傷のあったイリーナの体も、すっかり元通りになっていた

恐らく、二人は少し仲のいいカップルにでも見えているのだろう。街ですれ違う人々は大して気にも留めていない

イリーナ「・・・わ、私は何をすればいいのかしら」

リガルディー「・・・ふん、本当に俺が怖いみたいだな」

イリーナ「・・・当たり前よ、目の前でシュミットを殺したのは誰よ・・・」

リガルディー「なんだ、人が死ぬのを見るのは初めてか?」

イリーナ「・・・仲間が死ぬのを見るのが、よ」

リガルディー「・・・そうだな、別にお前には何をしてもらう必要もない」

イリーナ「!!ほ、本当に殺され・・・」

リガルディー「・・・ただ、ガブリエルを堕とすのに必要な小道具を集めてくれ、残りもそろそろ揃うはずだ」

イリーナ「そ、そんなことでいいの?」

リガルディー「あぁ、ほとんどは日本人が上手くやってくれた」

ニヤニヤと笑うリガルディーが、満足そうに頷く

リガルディー「・・・天使の力、か・・・第三次世界大戦で一度拝んだことはあるが、あれを俺達の手で呼び出せる日が来るとはな」

イリーナ「・・・ねぇ、あなたは・・・天使を呼んで、そしてどうするつもり?それを自分の下僕にするの・・・?」

リガルディー「・・・いや、少し違うな」

小さく、秘密事を教えるようにリガルディーがイリーナの耳元で囁いた


リガルディー「・・・天使になるんだよ、俺が」



861 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 21:54:27.41 ID:OcVBbNx40

不動「・・・」

自分は何をしているのだろうか、とたまに人間は我に返ることがある

人生という名の長い長い迷路の中では、時として出口が見えなくなることがある

その人生の中で光を見失ったが最後、人間は出口を無くしてしまう事もあるのだ

もしも誰かが光を灯してくれたら、もしも誰かが手を引いて出口まで連れて行ってくれたら

救いを求める人間は常にそう感じている

不動拓馬もそうだった

上条当麻と空港で再会したとき、彼はそれを期待してしまった

何も変わらない上条に、手を引いて欲しかったのだ

だが、どうして自分の悩みなんかを彼に打ち明けられるだろうか

打ち明けてしまえば、きっと上条じゃ自分のために傷ついてしまう

それは、不動にとっての「最悪の結果」ではないだろうか

不動「・・・あいつには、関係ないんだ」

彼の思い出の中にある上条には、もう重荷など持たせたくはない

何度も彼に救われたのだから、もう彼に救いを求めてはいけない

不動「・・・なぁ上条、もしもお前が今の俺を見たらどう思うのかな」

小さく笑ってから、不動が携帯を取り出す

そこには、ある人間からの着信があった


862 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/27(火) 22:04:27.21 ID:OcVBbNx40
今日はここまで

筋肉動画はこちら

http://www.youtube.com/watch?v=3C6Iiy4xB88  


かつてのオリンピア選手、ケビン・レブローニ

何度か貼っていますが、彼は今「レブローニ・レポート」なるチャンネルでつべに動画をよく上げています

しかし、この腕は・・・ナチュラルでこれって、おっそろしいですよね

三頭が相変わらずでかい、つまり太い腕になります

やっぱり、活躍する選手は素質もあるんでしょうね

ロニーのようにいつまでもステなどを使うのも悪いとは言いませんが、ショーンやケビンみたいにきっぱりとやめたほうがやっぱり後々の肉体も美しいままですね

ではおやすみなさい

ケビンさんかっこいいよ


ていうかサトリナ可愛いよ


863 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 22:12:25.74 ID:bHRSPNP10
超乙です!!
864 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 23:18:14.08 ID:fZHR45ffo
乙ですの
865 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 01:06:00.59 ID:YkW6JG4DO
>>1乙である。
866 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:15:49.83 ID:C9plx/m30



垣根「・・・ちっ、まるで出口に近づいてる気がしねぇ」

真っ暗な道など、いくら進んでも出口など分からない

もしかしたら同じ場所をグルグルと回っているかもしれないのだ

足音の響き方からすると、若干違う場所のようだが

垣根「・・・んな曖昧な理由じゃ意味がねぇからな・・・」

今が何時なのかを確認して、ため息をついてしまう

朝の8時

いつの間にか朝を迎えていたのだ

地上は今頃、明るい陽射しに照らされているだろう

地下にそれが届くことはないが

垣根「・・・」

一枚のタロットカード以外、これといったトラップはない

あの一枚で仕留められると思われていたのか、それとも相手が罠を配置するのを面倒がったか

どちらにしろ、垣根にとっては好都合だった

細心の注意を払いながらも、一歩、また一歩と歩を進める

垣根「・・・あぁ?」

再び分岐点に辿り着いた

これで何度目だろうか

垣根「・・・」

目を凝らしてみるものの、どちらもかなり奥行きがあるらしい

未元物質を使って壁を壊すことも出来るが、さすがにそこまで派手には動けない

敵がこの地下通路にまだいるかもしれないのだから、現在地を教えるような真似など出来るわけがなかった

垣根「・・・右から行くか」

気まぐれで道を決めるが、はたしてこれでよかったのか

そんなこと、垣根には分からなかった




867 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:16:29.53 ID:C9plx/m30



上条「・・・ちくしょう、一体いつになったら敵の手がかりが掴めるんだ・・・」

美琴「・・・もう他のみんなが見つけてるんじゃない?」

上条「いや・・・連絡が来てないから・・・」

携帯をポケットから取り出した瞬間、着信音が響いた

上条「!土御門からだ!」

通話を始め、上条が情報の交換を行う

上条「・・・あぁ、あぁ・・・分かった、あぁ」

上条「・・・港、か・・・俺達はもう少し別の場所を探してみる」

上条「あぁ、何もなかったらそっちに向かう」

それだけの言葉を交わして、携帯をポケットにしまう

美琴「ね、ねぇ・・・どうだったの?」

上条「土御門達はイリーナって魔術師と遭遇して、どうにか勝利・・・」

美琴「!じゃあ情報が聞き出せたの!?」

上条「いや・・・そのあと、もう一人の魔術師が現れて・・・イリーナを回収されたらしい」

美琴「・・・そっか」

上条「・・・相当強い魔術師だったみたいだ、ステイルも心理さんも・・・通用しないくらい」

美琴「みんなは無事なのかな・・・?」

上条「あぁ・・・ただ、ステイルは最大主教の護衛に回るんだってさ」



868 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:17:07.68 ID:C9plx/m30
上条が眉をひそめる

彼は、あまり最大主教にいいイメージを持っていない

どの世界でも、No.1というのは少なからず黒い部分を持っている

いや、人間自体がそんなものでもあるが

美琴「・・・それじゃ、戦力は・・・」

上条「・・・神裂、垣根、一方通行・・・俺達だな」

美琴「・・・そうね」

上条「・・・しかし、神裂からもらったこの書類の手がかりなんて意味がなさそうだからな・・・」

上条がポケットから封筒を取り出す

中身は詳しく見ていないが、恐らく既に知っている情報ばかりだろう

美琴「・・・一応見ておけば?確認にもなるし」

上条「・・・あぁ」

封筒を開け、中の小さな書類を取り出す

シュミット、イリーナ、そしてリガルディー

敵の名前だけは分かっているようだ

しかしそれだけでは何の手がかりにもならない

上条「・・・やっぱり、なんにも・・・」

最後の一人の情報に目をやる

その一人だけは顔写真が無かった

恐らく、写真自体がないのだろう

だが

上条は我が目を疑った



869 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:18:02.74 ID:C9plx/m30
写真ではなく、名前が載っていた

最後の一人は日本人、それは分かっていた

問題は、そこにある名前

上条「・・・不動・・・拓馬・・・」

美琴「・・・なに?」

上条「・・・魔術師の・・・最後の一人の名前・・・」

美琴「!」

美琴が書類を覗き込む

顔写真が無いため、確証は持てない

だがその名前は、上条のかつての友人のものではなかったか

美琴「どういうことよ・・・どうして不動さんの名前がここにあるの!?」

上条「・・・あいつ・・・」

冷や汗が背中を流れる

あの人懐っこい笑みを浮かべていた不動が

上条のことを、「ヒーロー」と言って憧れていた不動が

上条「・・・あいつが・・・魔術師だって・・・?」

パサリ、と書類が地面に落ちる

不動のある言葉が蘇る

「最近物騒だから気をつけろ」

もしかしたらあれは、上条に対する警告だったのかもしれない

だとしたら

上条「・・・不動・・・」

彼はやはり

天使の力を利用しようとしている魔術師なのだ



870 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:18:58.01 ID:C9plx/m30


一方「・・・集まったか」

10398「・・・何のようですか、とミサカはふて腐れながら尋ねます」

11116「ちょうど朝になりましたね、昨日の夜に呼び出されてからずいぶん葛藤がありました、とミサカは・・・」

一方「召集を掛けたのは昨日の夜中だったな、なンで今朝になるまで一人も来なかったンだよ」

若干いらつきを覚えながら、一方通行が尋ねる

19999「いやぁ、寝てたのさ、とミサカは・・・」

一方「・・・こっちは時間がねェンだよ」

12345「そんなことを言われましても、とミサカは肩を竦めます」

一方「・・・人探しだ、手伝え」

19999「うっわ・・・上から目線とかムカつくのさ、とミサカは眉をひそめてみせます」

一方「・・・お前ら、魔術師ってのを知ってるか」

10398「そりゃ知ってますよ、ここはイギリスですから・・・とミサカは答えます」

一方「・・・アホか、イギリスにいるだけで魔術師なンかの情報は手に入らねェだろォが」

10398号の言葉が本当なら、今頃イギリス全土は混乱の渦だ

12345「実を言いますと・・・あるミサカ達が、魔術師と一緒に住んでいまして」

一方「・・・テクパトルか」

11116「まぁ・・・それで、ネットワークを通じて話は一通り聞いてます、とミサカは答えます」

一方「なら話は早い・・・今、ある魔術師達が天使の力を引き出そうとしてやがンだ」

12345「天使の力ですか・・・?とミサカはよく分からない単語に首を捻ります」

一方「・・・LEVEL6って言えば少しは理解出来ンだろ」

19999「・・・ミサカ達が生まれた理由だから理解しないほうがおかしいのさ、とミサカはおどけてみせます」



871 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:19:26.24 ID:C9plx/m30
一方「・・・俺は第三次世界大戦で一度、天使って野郎を見たことがある・・・それ以外にも一度」

10398「・・・勝てるような相手なのですか?とミサカは尋ねます」

一方「あンなもンを呼び出されたらおしまいだ、だからその魔術師達を見つけ出して潰す必要がある」

11116「そのためにミサカ達を?とミサカは状況を把握します」

一方「・・・俺と一緒に行動してくれ、お前らだけで行動させるつもりはねェ」

12345「おや、男らしいですね、とミサカは」

一方「・・・充電器代わりにはなンだろ」

12345「訂正します、男らしいなんてありえませんでした、とミサカは一方通行を睨みつけます」

一方「それに・・・お前らだけじゃ魔術師になンて対抗出来るわけがねェ」

11116「・・・悔しいですが、それは事実ですね・・・とミサカは首を縦に振ります」

一方「・・・協力してくれるか」

19999「仕方ないのさ、とミサカは妥協してみます」

一方「・・・まずはこの地下通路の出口を知ってる限り教えてくれ」

時間はない

全ての可能性を潰していく時間などあるわけがなかった

相手がどう動くかを考え、その可能性だけに賭ける

それしか、今の彼には出来なかった




872 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:22:59.09 ID:C9plx/m30



土御門「・・・神裂のほうも、大した情報は得られていないということは・・・相手はあの地下通路から港の間のどこかにいるはずだ」

徒歩で移動しながら、土御門が眉をひそめる

心理「・・・もしかしたら、地下通路はいくつか出口があったのかもしれないわね」

番外「あっちゃー・・・それじゃ選択肢が増えていくだけだよ」

土御門「・・・地下のほうはあの二人に任せろ、今は神裂と合流することを考える」

心理「・・・そうね」

土御門「・・・恐らく、港にはあのリガルディーって野郎が向かうはずだ」

番外「・・・どうしてそう思うの?」

土御門「天使を呼び出すには、魔力が高いほうが有利だ・・・それに、あいつみたいなタイプは自分で目的を達成させようとする」

心理「他人を利用せず・・・いや、他人の力を借りずに、ね」

番外「・・・ここから港まで、徒歩ならどれくらい?」

土御門「ざっと見て4時間だ・・・バスを利用すれば少しは短縮出来る」

心理「・・・相当掛かるわね」

番外「・・・それまでみ、また魔術師の襲撃を受けちゃってね」

土御門「・・・それでも構わないさ、手がかりが得られるなら」

心理「殺されたら元も子もないわよ」

番外「・・・あのイリーナって魔術師は心理定規がどうにかできるけど・・・」

土御門「リガルディーってのは厄介だ、恐らく俺達では手も足も出ない」

かつての自分ならもしかしたら、と言い掛けるが所詮今の土御門は「ただの人」なのだ


873 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:30:07.89 ID:C9plx/m30
土御門「・・・神裂なら恐らくどうにかできるはずだ」

心理「・・・そう、なら大丈夫そうね」

土御門(・・・まぁ、それもねーちんが不意打ちをされなければ・・・だが)

番外「・・・さーて、バスはどこかなどこかな」

時刻表を眺めた番外個体が顔をしかめる

イギリスの時刻表はなにやらややこしいのだ

番外「ねぇねぇ、あと何分で来るの?」

土御門「・・・7分だ、港の近くにあるビルまで行くのに・・・2時間ちょっとだな」

心理「その間、ずっとバスに揺られるの?」

土御門「・・・あぁ」

番外「・・・ねぇ、さっきからずーっとミサカは思ってたんだけどさ」

土御門「どうした?」

番外「あのイリーナって魔術師は、ミサカ達の現在位置を知っていた・・・だから宿までやって来れたんだよね」

土御門「・・・!!俺達の居場所は向こうに筒抜けなのか!?」

番外「・・・だったら、バスみたいな密閉空間に入るのは一番危ないんじゃ・・・」

心理「・・・他人を巻き込む、逃げ場がない・・・そうね、最低の条件かしら」

土御門「・・・誰が探索魔術を行っているんだ・・・」

土御門が目を閉じる

しかし、自分達に魔術を掛けられているようではない

そう、街中のあらゆるところから魔力を感じるのだ



874 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:41:01.29 ID:C9plx/m30
土御門「・・・タロットカード、か」

心理「?どうしたの?」

土御門「・・・数字は1、その名はメタトロン・・・」

番外「メタトロン・・・?何それ」

土御門「世界に匹敵する大きさを持った火の柱と言われ・・・無数の目を持っているとされている」

心理「目・・・?それで私達を観察しているっていうの?」

土御門「確証はない・・・だが、あちこちから魔力を感じるんだ・・・」

番外「イフリートじゃないの?」

土御門「いや、この魔力の流れは恐らく十字教のものだ、イスラムのものとは思えない」

心理「・・・ねぇ、その火の柱で突然焼かれるなんてことは?」

土御門「ないとは言い切れないが・・・もしもメタトロンを完璧に操れるなら、それは天使を操るのに匹敵する・・・恐らく力の一部一部を使うことしか出来ない、それも劣化版の力をだ」

番外「どうでもいいよ・・・結局、ミサカ達はバスで移動することは出来ないでしょ」

土御門「・・・あぁ、そうなったな」

舌打ちをしてから、土御門が地図を握り締める

土御門「徒歩になるが・・・構わないな?」

心理「新品の靴じゃなくてよかったわよ」

番外「はーあ・・・いつになったら敵とドンパチやれるんだよ・・・」

土御門「・・・そんなに時間は掛からないさ」

歩き出した土御門が、苦い顔で続ける


土御門「・・・むしろ問題は、相手と対等に渡り合えないってことだ」



875 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:49:50.46 ID:C9plx/m30


ダンダンダン、と音を立てながら上条は階段を上がっていた

確かめたいことがあった。信じたくないことがあった

上条(不動・・・!!)

昨日見せられたアルバムの中で、彼と上条は肩を組んで笑っていた

無邪気なその笑みは、なぜか記憶を失っていたはずの上条の中にも残っていたような気がする

上条(どうしてだよ!!)

上条刀夜がかつて、偶発的に魔術を発動したときと同じほどの絶望感

そして、明確な憤り

それが彼の足を、マンションへと進めていた

後ろから美琴が追いかけてくるが、今はそれに気を留めてもいられない

階段を上がりきり、不動の部屋の前に辿り着く

勢いよくドアを叩くが、返事はない

鍵も掛けられている・・・そういえば、彼も今日は「用事」があると言っていた

それは、一体何の「用事」なのか

上条「・・・不動・・・」

ふとドアの下に目をやる

そこには、一枚の手紙のようなものが置かれていた

美琴「ど、どうしたの・・・」

息を荒げながら、追いかけてきた美琴が訊ねる


876 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 10:57:16.83 ID:C9plx/m30
上条「・・・」

そっとそれを手に取り、開いて読み始める

少し汚い文字だが、心の篭っているということは一目で分かった


「親愛なる上条へ
    なんていう堅苦しい始め方は似合わないかもしれないけど、とりあえずは呆れないで読んで欲しい
    まさか、お前とこんなところで最後に再会できるとは思わなかった
    不遇だと思っていた俺の人生も、最後には少しだけサプライズがあったってもんだ
    多分これをお前が読んでいるなら、俺はこの部屋にはいないはずだ
    それを申し訳ないと謝りたいところだが、後悔はしていない
    
    ガキの頃からイジメられていた俺とお前が、自然と友情を持つようになったのは運命だったのだろう
    でもまぁ、そんなものをお前は鼻で笑いそうだけど
    だとしても、俺はその運命に感謝している
    俺の人生を彩っていたのは、家族とお前だけだった
    お前と会えたことを、本当に嬉しく思っている
    多分、もうお前と会うことはないだろう
    だから最後に言わせてくれ、俺はお前に感謝している
                              ありがとう   不動拓馬」


上条「・・・ざけんな・・・」

クシャリ、と手の中で手紙が悲鳴を上げる

何か熱いものが目頭に感じられた

上条「ふざけんな!!」

感謝している、最後に、後悔はしていない

そんな言葉を、かつての友人から聞かせられたくはなかった

例え記憶には残っていなかったとしても

上条「・・・行こう」

美琴「・・・なに?」



877 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 11:01:41.61 ID:C9plx/m30
上条「・・・不動のところに行かなくちゃならない」

美琴「ちょ、ちょっと待って!!」

上条「・・・」

美琴が上条の手を握り締める

美琴「どこにいるか分からない・・・それに、もしかしたら不動さんは・・・」

上条「・・・関係ないんだ」

美琴「・・・どうして・・・?」

上条「あいつの理由も・・・あいつが魔術師だって事実も、どうだっていいんだ!!」

上条が心の中の何かを言葉にする

上条「あいつが魔術師だろうが、何か理由があってこんなことをしたのだろうが、関係ないんだ!!」

あの写真の中にいたのは、不動拓馬だ

無邪気に笑っていたのは、彼なのだ

上条「・・・俺は・・・あいつの友達だったんだ」

美琴「当麻・・・」

上条「友達を助けるのは当たり前なんだ」

右手を握り締めながら、上条が歩き出す

もしも、もしも不動拓馬が何か悲しい幻想を抱いているなら

そして、それを「不遇」のせいだと言って諦めているのだとしたら


上条「・・・あいつの幻想を、殺さなくちゃならねぇ」



878 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 11:10:06.15 ID:C9plx/m30


一方「・・・ちっ、陽射しってのはこンなに眩しいもンだったのかよ・・・」

地下通路を実に半日以上彷徨っていたのだ、地上の明るさは目に染みる

12345「・・・何か詩人的なことを言っていますが、少しよろしいですか?とミサカは確認を取ります」

一方「なンだ」

12345「・・・その魔術師は、どこへ向かっていると思われますか」

一方「港だ、この先にある港に向かってるはずなンだよ」

12345「・・・では、恐らく地上に逃げていますね、とミサカは・・・」

一方「だからその可能性に賭けたンだろォが」

12345「・・・それで、これから直接港へ向かいますか?」

11116「ミサカとしては、そこまで急ぐ必要は・・・」

一方「あるンだよ・・・急がなきゃならねェ」

10398「しかし、その杖をついた体ではキツイのでしょう?」

19999「そうそう、それじゃ走れないのさ・・・」

一方「・・・構わねェ、今から出来る限り早く港につきたい」

12345「・・・仕方ないね、民間人に顔は見られるし、疲れもするけど・・・」

12345号が地図を確認する。現在地点から港までは1時間もあれば着けるはずだ


12345「乗りかかった船だ、やってやろう」



879 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 11:26:48.02 ID:C9plx/m30

垣根「・・・こっちが港までの正解ルートでした・・・ってことか」

ようやく地上に辿り着いた垣根

陽の光に目が慣れるまでは分からなかったが、少し向こうには港が見えている

港と言っても、完璧に整理されているのではなく浜辺も残っているような、半分海岸のような港だ

垣根「・・・ここから歩けば10分ってところだな」

満足そうに笑いながら、垣根が一歩を踏み出そうとする

その時、地面に違和感を覚えた

何本かの触手のようなものが、彼の足元で蠢いている

垣根「!」

未元物質を発動させ、空に舞い上がる

一瞬後で、その触手は彼がいた場所を飲み込んだ

垣根(なんだ・・・ありゃ?)

地面から現れたのは、漆黒の山羊だった

だがしかし、何か明らかな違和感を覚えさせる

まるで、心の奥底に直接恐怖を植え込まれたような違和感が


不動「・・・驚いたな、本当に学園都市の能力者が来ていたのか」

垣根「・・・あぁ?誰だてめぇ」


880 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 11:36:23.01 ID:C9plx/m30
不動「不動だ、不動拓馬・・・魔術師だ、お前も知っているのだろう?」

垣根「・・・なんで俺のことを知っているのか気になるな」

不動「イリーナからの連絡だ、茶髪で長身、ホストのような見た目の日本人は能力者だと」

垣根「・・・へぇ、そりゃまた便利な情報網だな」

不動「しかし驚いた、お前は天使にでもなるつもりか?」

垣根「そりゃお前だろ、天使の力を呼び出そうとしているくせに」

不動「こっちの手段はすでに露見している・・・か」

楽しそうな笑みを浮べながら、不動が歩き始める

地面から現れるのは、一匹の黒い山羊

体に触手が生えており、冷笑を浮べている

垣根「・・・なんだよ、そいつは・・・俺の知ってるギリシャ神話やイギリスの話には、そんな化け物はいなかったぜ」

不動「俺は日本人だ、別に十字教にこだわる理由はないんだよ」

垣根「・・・答えてやろう、シュブ=ニグラスだな」

不動「へぇ、科学側にも関わらずオカルトの知識もあるのか」

垣根「・・・クトゥルフ神話の豊穣神だ、そして1000もの子山羊を孕んでもいる」

不動「そうだな・・・そんなところだよ」

ウネウネと蠢く触手が、垣根の体を襲おうとする

翼でそれを防ぐが、やはり何か手ごたえを崩されたような感触を覚える

垣根(・・・ちっ、気味が悪いな)


881 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 11:45:07.36 ID:C9plx/m30
不動「そしてその山羊というのは、十字教では悪魔を象徴することもある」

垣根「だからなんだよ」

不動「・・・分からないか、神話というのは所詮ただの作り話に過ぎない、そして魔術はその作り話を現実にしてしまうんだ」

能力に似ている、と垣根は直感で感じ取る

学園都市の能力は「自分だけの現実」を現実に引き起こす

一方の魔術は、「神話や伝承」という非現実を現実に引き起こすのだ

根本的な部分は、非常によく似ている

神話や伝承というのも、元はといえば作り出した人間だけが抱いていた現実なのだから

不動「・・・ならば話は簡単だ、様々な神話を混同させ、新たな神話を作り出せば・・・自分だけの魔術が出来上がる」

垣根「!」

触手の中から、何か黒い影が飛び出す・・・いや、それは小さな山羊だ

垣根「・・・なるほどな」

不動「その山羊はただの山羊のはずだが・・・十字教的な意味を無理やり持たせれば、一匹一匹が悪魔並の凶悪さに変わる」

未元物質の翼が、次々と黒い影を切り落とす

しかしシュブ=ニグラスの体からは、絶えることなく山羊が生まれてきている

垣根「・・・面倒な魔術だな」

不動「ふふ・・・イリーナのように圧倒的な破壊力はないし、リガルディーのような応用性もないが」

笑いながら、不動が答える

不動「・・・弾数だけなら、俺の魔術の右に出るものなどほとんどいないのさ」


882 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 11:51:44.19 ID:C9plx/m30
垣根「・・・一つ聞きたい」

不動「天使の力をどう使うか・・・か?」

垣根「そうだ、俺はてめぇの目的を聞いてみたいんだ・・・どうして日本人がここまでオカルトに没頭したのか」

不動「・・・没頭などしていない、俺はただ神に等しい力を手に入れてみたかったのさ」

垣根「なに?」

聞き覚えのある言葉だ

科学側でも、それを手に入れるために様々な実験が行われている

不動「・・・お前は、神とはなんだと思う?圧倒的な存在か、それとも崇拝するべき賢者か?」

垣根「・・・俺はあいにく無神論者なんだよ」

不動「ははは・・・俺だってそうさ、神なんてこの世界には実体を持っていない」

垣根「あぁ?」

不動「神とは存在ではない・・・概念なんだよ」

魔術を行使しながらも、不動は何食わぬ顔で続ける

不動「空気や空間、時間と同じく概念だ・・・それに実体などはないし、それを探そうとしても意味がない」

垣根「何を言ってやがる」

不動「神懸かっている、神様のような人・・・人間はよくそういう表現を使うが、それは神というものが概念だからだよ」

未元物質と山羊達の応酬

それは、どちらもが涼しげな顔で行っていることだった

883 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 11:59:44.90 ID:C9plx/m30
垣根「・・・概念か」

不動「・・・神とはな、圧倒的で繊細で、善人的で掴み所がなく、なおかつ誰にも届かないはずのもののことを言う」

山羊達が一斉に垣根に飛び掛る

それを空中で優雅にかわし、未元物質の翼で不動を貫こうとする

一瞬、シュブ=ニグラスの体がぶれた

次の瞬間には、それは不動を庇うようにして翼に貫かれる

やはり、おかしな手応えしか返ってこない

不動「・・・神とは存在ではない、そして神とは空のどこかで俺達を見ているわけでもない」

シュブ=ニグラスを再生させながら、不動が不敵に笑う

その笑みは、とても昔の彼からは考えられないほど不気味だった

不動「・・・俺達は、ともすれば神の力を手に入れられるのさ」

垣根「それを手にしてどうするつもりだ」

不動「お前には語る必要もない、ここで消えてくれればいいんだからな」

垣根「ナメてやがるな、下からしか見上げることの出来ないクズのくせによ」

不動「空からの眺めはさぞかし綺麗だろうが、下から見れば必死に羽ばたくお前は滑稽だ」

垣根「ちっ」

翼を勢い良く振るう。信じられないほどの烈風が不動の体を飲み込もうとする

しかし、彼の顔に焦りはない

不動「・・・よかったよ、こんなところ・・・あいつに見られたら悲しくなってしまう」

垣根「あぁ?」


884 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 12:09:51.26 ID:C9plx/m30
不動「・・・そろそろかな」

港のほうをチラリと見つめた不動が嬉しそうに笑う

垣根「・・・!!てめぇら、まさか!!」

不動「イリーナが最後のピースを手に入れたのさ・・・いや、なんのことはないただの土産品で十分だった」

垣根「クソが!!」

太陽光を殺人光線に変え、垣根が不動を叩き潰そうとする

しかし、彼の前には人間ではない化け物が覆いかぶさっているのだ

不動「・・・知識のある人間なら、たった数日で天使を呼び出すことが出来る・・・ならば、なぜ今までの人間はそうしなかったか」

山羊の咆哮と、不動の声が重なる

不動「・・・天使の力が強大すぎるからさ、呼び出してしまったが最後、制御も出来ずに自分諸共世界を滅ぼしてしまう・・・なら」


不動「その天使を押さえ込むほどの力があれば、人間は天使を超えた・・・神という概念に辿り着くのさ」

垣根「・・・てめぇ・・・」

不動「・・・今頃港ではリガルディーが術式を始めている、今更行っても遅いぞ」

垣根「・・・ふざけんなぁぁぁぁ!!!」

不動「はは・・・もう遅いんだ、賽は投げられ、俺達は盤上で狂うしかない」

垣根「こんなことをしてどうなると思ってやがる・・・」

不動「・・・ん?」

もう一度、チラリと不動が港を確認する

何か、強力な魔力をもう一つ感じたのだ


885 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 12:15:19.75 ID:C9plx/m30
不動(・・・誰だ?)

リガルディーと同じ・・・いや、下手をすればそれ以上の魔力の持ち主だ

そんなレベルの魔術師は、そうそういるはずがない

不動「・・・なるほど、お前の仲間は既に港へ向かっていたか」

垣根「はっ・・・悔しいかよ三下が」

不動「別に、どうせ俺が今から港へ行けばいい話だ」

垣根「させるか・・・」

不動「シュブ=ニグラスってのは、何千もの命を生んできた」

ボコボコ、とシュブ=ニグラスの体が膨れ上がる

垣根「な・・・」

不動「ティンダロスの猟犬も、こいつの体から生まれたのさ」

何百・・・いや、何千もの犬達が、突如として雪崩のように飛び出す

それは垣根を襲うためではなく、不動を港へ運ぶために

垣根「逃がすかよ!!!」

不動「やめておけ、威力はお前のほうが上だが・・・今回は少し分が悪いぞ」

犬達の流れに運ばれた不動の姿は、既に遠くに消えていた

垣根(・・・既に港には魔術師が向かってやがる!!)

翼をはためかせた垣根が、港へと進路を変更する

垣根(それまではもってくれ・・・)


垣根(神裂さんよぉ・・・!!!)



886 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 13:08:39.98 ID:C9plx/m30


リガルディー「・・・イリーナのヤツ、上手くやったみたいだな」

儀式場は整った

何も港だけを整えれば言い訳ではなく、全ての方角に正しいシンボルを配置しなければならない

魔術のいけないところはそういう手が掛かることだな、とリガルディーは笑う

ともあれ、儀式場は完成したのだ、何も文句を言うこともない

リガルディー「・・・さて、始めるか」

術式を開始する。なにも、天使を堕ろすための術式ではなくてもいい

ただ、水の象徴「ガブリエル」の力を借りた魔術を発動し、それを上手く変換すればいいのだ

リガルディー「・・・水の象徴にして青、その名はガブリエル・・・」

タロットカードを取り出し、地面に陣を描く・・・

しかし、途中でその動きを止めてしまった

何かが、信じられないほどの速度で近づいて来ている

リガルディー「・・・この移動速度は・・・?」

人間のものとは思えない、しかし転移魔術ではそもそも「移動」ではない

純粋に、走って近づいて来ているはずなのだ

リガルディー「・・・」

タロットの「1」を取り出す

彼が扱う魔術の中で、最も強力な威力を誇る「メタトロン」

それで、今来ている「高速移動の招待」を迎え撃つ


887 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 13:19:04.71 ID:C9plx/m30
リガルディー(さぁ・・・どこから・・・)

港に冷たい風が吹く

潮の匂いが少し漂い、どこか懐かしさを覚えさせる。しかし今はそんな情緒に浸っている場合ではない

リガルディー(・・・来た!)

ビュン、と何かがぶれている

ミサイルだと言われても信じてしまうほどの圧倒的な速度

しかし、なぜかそこから魔力も感じる

リガルディー「ちっ!」

メタトロンは炎の柱、その圧倒的な破壊力は生命の木の中でも随一だ

その襲撃者を、彼は破壊力によって押さえつけようとする

だが


神裂「七閃!!!」

一迅の風によって、その炎は掻き消されてしまう

リガルディー「!!」

次のカードの数字は「5」

赤い豹がその襲撃者を食い殺そうと飛び掛る

それもまた、風によって吹き飛ばされる

リガルディー(・・・風の術式か?)


888 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 13:32:06.33 ID:C9plx/m30
タロットの次の数字は「8」

司るのはラファエル、風の天使

本来ならば癒しを意味するはずのそれだが、風を使った攻撃にも応用することが出来る

風には風を、その理論はあながち間違いではなかったはずだ

しかし

神裂「!」

襲撃者が投げた護符からは、風ではなく「水」が溢れ出た

リガルディー(なに!?)

風の術式を上手く使い、水を空へと巻き上げる

そのせいで、一瞬判断が遅れた

神裂「・・・動きに少し、無駄がありますね」

リガルディー「貴様・・・」

いつの間にか、懐に襲撃者が飛び込んできていた

神裂「はっ!!」

胸に重い衝撃を受け、リガルディーが吹き飛ぶ

リガルディー(・・・この力、こいつまさか!!)

タロットの「6」と「10」を重ねる

ミカエルとサンダルフォン、サンダルフォンの役割はミカエルの恐怖を掻き消し、その力を最大まで引き出すこと

ミカエルの属性は「炎」

リガルディー「聖人だったか!!」




889 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 13:39:52.63 ID:C9plx/m30
神裂「!!」

カードから噴出した炎の渦を、神裂が高速移動で避ける

その間にも、彼女は刀を振りかざす

神裂「七閃!!」

七つの斬撃がリガルディーの体を襲う

リガルディー「ぐっ・・・」

ラファエルの力で無理矢理体を癒しながら、リガルディーは全く別のことを考えていた

リガルディー(・・・どうすれば、天使の力を引き出せる・・・)

襲撃者は聖人と思われる、ならばむしろ好都合だ

自分のタロットの中にある「ガブリエル」と目の前の襲撃者が奮う「天使の力」

それをぶつければ、通常の術式よりも早く天使堕とすことが出来る

リガルディー(・・・何はともあれ)

儀式場は整っている

ならば、あとは

リガルディー(・・・ガブリエルよ)

取り出したのは「9」のカード

すなわち、彼が今呼び出そうとしている天使のカードだ

リガルディー(・・・お前を、呼び出してやろう)

バン、と大量の水がカードから溢れ出す

神裂「!!」

神裂が、リガルディーの目的に気づく


890 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 13:51:21.23 ID:C9plx/m30
神裂(・・・まさか!!)

何か不気味な予感がする

その大量の水を弾き飛ばしてから、彼女は刀を一度鞘に納めた

天使を堕とす術式を止める方法は二つ

儀式場の破壊、もしくは・・・

神裂(術者の息の根を止める・・・!!)

リガルディー「・・・あぁ、始まるぞ・・・お前のその天使の力も、儀式の一部になったんだ」

ニヤニヤと笑うリガルディーが、満足げに空を見上げる

リガルディー「・・・始まった」

神裂「唯閃・・・」

リガルディー「もう遅いよ、聖人」

リガルディーが斬撃の軌道となる場所から移動する

空が、少しずつ暗くなり始める

不気味な魔法陣が、それに浮かぶ

あれは、神裂の見たことがあるものだ

神裂「しまっ・・・」

リガルディー「ふん・・・イリーナや日本人には悪いが、俺の一人舞台のようだな」

ベキベキ、と空の隙間から何かが現れる

それは


リガルディー「久しぶりに見るだろう?ガブリエルだ」



891 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 13:55:22.38 ID:C9plx/m30


一方「・・・急げ、何かが来る」

12345「な、何か・・・とは?」

一方「・・・」

一方通行は、妹達を従えて走っていた

首筋のチョーカーのスイッチは、能力使用モードになっている

胸にキリキリとした痛みを感じた

それは、魔術的なものを彼が感知したときの症状だ

一方(いや・・・エツァリが近寄ってきたときなンかとは比べ物にならねェ・・・)

信じられないほどの重圧、そして焦り

胸の奥から何か熱いものがこみ上げそうになる

それを必死に抑えながら、彼らは港へ足を踏み入れた


そして、目撃してしまった

一方「!!」

空に何かが浮かんでいる

真っ暗な背景とは似つかわしくない、信じられないほどの輝きを持った天使が

11116「な、なんですかあれは・・・!!」

一方「やられた・・・!!」

ダン、と地面を蹴り魔術師と思われる人間に向かって飛び掛る

リガルディー「ほう、他にも仲間がいたか・・・」

ニヤリと笑った魔術師が、天使を見上げる


リガルディー「だが・・・やめておいたほうがよかったな」


892 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 14:06:58.59 ID:C9plx/m30

番外「!!な、なんか浮かんでるよ!!」

土御門「・・・あれは・・・ガブリエル!!」

心理「ちょっと、遅かったんじゃないの!?」

4時間かかると思われていたが、番外個体が磁力を利用したことで早く移動することが出来た

だが、それでも間に合わなかったのだ

番外「ちくしょう・・・イギリスの町並みってのはなんで鉄の建物が少ないんだよ!?」

心理「今はそれが問題じゃないわ・・・あの天使を止めないと!」

土御門「ちくしょう・・・」

冷や汗が背中を伝う

儀式場を一気に破壊しなければ、他の面倒な魔術が発動するかもしれない

しかし、彼らが使った儀式場は「イギリス全土」なのだ

恐らく、東西南北の全ての方角に何かしらを配置しているのだ

でなければ、これほど短時間で天使を堕とすことは出来ない

土御門(・・・港だけが儀式場だと考えていた俺達が間違っていた・・・)

三人はただ走る、天使の元へ、そして彼らの仲間の下へ


港に辿り着いた瞬間、一方通行がリガルディーに向かって飛び掛るのが見えた

土御門「待て、一方・・・」


リガルディー「だが・・・やめておいたほうがよかったな」

小さなリガルディーの声が、やけに大きく響いた


893 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 14:11:15.33 ID:C9plx/m30

垣根「クソ・・・!!」

空に浮かんでいるあの「天使」

垣根の翼が、何か不気味な悲鳴を上げる

かつて一方通行の「黒翼」を見たときと同じ・・・いや、それ以上の何かが

垣根「いいぜ・・・天使だろうがなんだろうがやってやる・・・」

バキン、と音がする

彼の翼の色が変わった、言葉に出来ないほどの美しい翼に

透明のようだが、その向こうに何か不思議な奥行きを覚えさせる、まさに「この世のものではない」翼が

頭の上にはそれと同じ色の「輪」が生まれていた

彼の通った後には、凄まじい烈風が巻き起こる


垣根「!!」

港の端

そこを、三人の人物が走っていた

垣根(心理定規・・・!!)

その中に、彼が守りたかった少女が・・・


「・・・q愚劣rw・・・」


垣根「!!」

どこからともなく、声が聞こえた

それは、全方位から広がるようにして聞こえるノイズのような



894 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 14:19:58.23 ID:C9plx/m30
ガブリエル

宙に浮いているその天使の名前だった

垣根(あいつが・・・しゃべったのか・・・!?)

自分の背中から生まれている翼が、あまりにも小さく見える

垣根「だからなんだよ・・・!!」

翼をはためかせ、彼はガブリエルの元へと向かう


「・・・」

その天使の目が、垣根を捉えた

垣根(な・・・)

突如、彼の体が地面に叩きつけられる

垣根「がはっ・・・」

何が起きたのか理解できない

目を上げると、一方通行が驚いたような顔をして止まっていた

彼の前には魔術師がいる・・・そして、遠くからは心理定規と土御門、妹達が・・・


リガルディー「・・・今のガブリエルの目的は、術者の排除・・・空に帰るためにな、つまり俺を殺すことだが」

ガブリエルが翼を振りかざす

もはやそれは、世界の枠に収まる大きさではなかった


リガルディー「残念なことに、そこの聖人の力も少々、儀式に関わってしまったんだ」



895 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 14:24:11.87 ID:C9plx/m30
凄まじい風によって、一瞬だけ垣根の意識が途切れる

海の水が巻き上がり、彼らのいた場所を飲み込む

それだけではない、魔術によって生み出された水が体のあちこちを抉るようにしていく

呼吸が出来ない、前が見えない

垣根(こ・・・れが・・・)

薄れる意識の中で、垣根はリガルディーの姿を捉えた

彼は魔術を使って逃れていたようだ

リガルディー「・・・残念だったな、天使もどき」

そんな言葉を吐きながら、彼はその場を去って行く


一方「・・・あ・・・ァ?」

一撃が止んだ

今までの全ての惨劇が、たったの翼の一振りで起きたものだった

しかし、そんなことはどうでもいい

海岸の端に、番外個体が、妹達が転がっている

一方「・・・」

ドロッ、と脳味噌が溶ける様な感覚がする

番外個体の腕がおかしな方向に曲がっている

11116号の胸から血が出ている

妹達が、傷ついている

一方「お・・・」

バキン、と背中から黒い翼が生まれた

チョーカーのスイッチは、もはや関係なく


一方「おォォォォォォォァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」


彼の暴走が始まった



896 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 14:27:46.54 ID:C9plx/m30


不動「・・・先を越された、か」

その惨劇を、少し離れたところから不動は眺めていた

先を越された、というのは天使を呼び出すことに関してだ

まだ、彼の目的自体は終わっていない

不動(・・・今から向かえば、間に合うかもしれない)

あの天使を、自分の体に取り込む

いや、自分が取り込まれたとしても構わなかった

ただ、もう一度・・・



上条「・・・見つけたぞ」

不動「・・・」

そんな彼の背後から、聞き覚えのある声がした

振り返ると、怒りに震えている上条が拳を握り締めて立っていた

不動「よぉ・・・どうした、何か用だったか・・・」

上条「どうして、魔術を使った」

不動「!!」

上条「どうして天使の力なんて手に入れようとした」

不動「待て上条、お前まさか・・・」

上条「どうして・・・」

彼の後ろにいる美琴は、困惑したような表情を浮べていた

だが、上条は続ける

上条「・・・どうして」



上条「・・・こんな悲しいことを、お前は起こしてしまったんだ・・・」




897 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/28(水) 14:29:37.79 ID:C9plx/m30
今日はここまで

ちょっと展開が速すぎるけど、元々番外編としてちょいとやりたかっただけなので

明日にはもうこの単発も終わりますね

もういくつ寝るとお正月、なんて言ってたらあと4日ですよ

では


898 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 15:29:56.56 ID:2FhnefWCo

一方通行ンがんばってー
899 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 15:38:52.56 ID:9juvAuRs0
乙ー
900 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 19:51:47.17 ID:c0xaO7pJ0
乙!
901 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 21:07:27.28 ID:T7CJrvaT0
乙!

あと4日か…体重増えたなorz
年明けたら走り込みでもしておこうかね
902 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 22:39:25.34 ID:RTMWJ0Ii0
乙!
楽しみにしてるぜー
903 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 23:39:11.64 ID:41WQMObuo
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
904 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 03:02:44.88 ID:misbIqLSO
一方と垣根と上条だけでどうやって天使を止めるのか見物だね
905 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 16:56:53.25 ID:4OUB18mi0
これの次は垣根と心理タソのラブラブコメディが見たいです
906 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 19:03:22.78 ID:Cw2eyu7M0
乙なんだよ!
続き楽しみにしてるよ!
907 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:18:42.00 ID:JGB1yw270


一方「あァァァァァァ!」

一方通行の背中から生えた黒い翼は、ガブリエルの胸を目掛けて一直線に伸びる

しかし、バキンという砕かれるような音を鳴らしたその翼は、根本からちぎれるようにして引き裂かれた

一方「おォォォォォ!」

神裂は震えていた

彼女は、周りにいる他の仲間達を庇うために自らを盾にしていた

心理定規や土御門、番外個体に妹達

自らを盾にしても、彼等は傷ついていた

天使と対等に渡り合える人間などいない

聖人である神裂でさえも、一瞬しか渡り合うことは出来ないのだから

神裂(なら・・・)

目の前のこの超能力者は何なのか

背中から生えている黒い翼を怒りに任せて振るっている、白い化け物は

決して優位に立っているわけではない

しかし、この化け物は少なくとも、あのガブリエルに「力」を使わせている

ガブリエルに危険とも感じられない他の能力者とは違う

この化け物は、ガブリエルにとって脅威に値するのだ



908 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:19:22.45 ID:JGB1yw270
神裂「まさか・・・」

一方「・・・」

一方通行の目が、ガブリエルの胸をじっと見つめる

そこを貫けば、死ぬ

それが常識だ、今の暴走している彼にはそんな簡単なことしか理解出来ない

ただ暴れるために、彼は力を振るっていた

一方「・・・」

神裂「まさか・・・あなたは・・・!」

一方「・・・」

口を開いた一方通行の口から言葉が発せられる

それは、ガブリエルが先程話したものと酷似していた


一方「・・・ihbf殺wq!!」


番外「・・・う・・・」

右腕の感覚がない

そこを見つめて、ついため息をついてしまう

あらぬ方向にそれは曲がっていた

だが、ちぎれていないだけマシなのだろうか



909 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:19:51.75 ID:JGB1yw270
番外「いって・・・何が起きてるのさ・・・」

顔だけをゆっくりと上げた番外個体の表情が凍りつく

一方通行が、泣いていた

黒い翼を振るい、ガブリエルと戦い、しかし彼は何かを必死に叫んでいた

もはや人の言葉かどうなのかも分からない

そんな彼は、ただ力任せに戦っている

ダメだ、と番外個体は焦りを感じる

今の彼では、とても前に進むことは出来ない

今のままでは、傷つけるためだけに戦っていることになる

かつての「一方通行」と同じように

番外「待って・・・」

一方「あァァァァァァ!」

まるで赤ん坊の泣き声のように聞こえるそれは、とても悲しげだった

「・・・」

ガブリエルが、一方通行目掛けて翼を振るう

感情など感じられない、ただ目の前の障害を破壊することだけを行っている

一方「がっ・・・」

翼で体を覆うが、その抵抗も虚しく、一方通行の体は吹き飛ばされる

番外「一方通行・・・!」



910 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:20:41.54 ID:JGB1yw270
一方「・・・あ・・・」

番外個体の目の前に無様に転がった一方通行は、まだ戦おうとしている

誰にも頼れず、ただ自分一人だけで

番外「・・・ダメだよ・・・」

傷を負った体を無理矢理動かし、番外個体が一方通行に近づく

一方「・・・」

彼の目は、焦点が合っていなかった

守ると決めたはずの「妹達」を傷付けられた一方通行には、もはや理性などなかった

番外(だからなんだよ・・・)

目の前にいる彼が理性を忘れているなら

自分が止めてあげなければならない

例え

一方「おォォォァァァ!」

あの暴走に巻き込まれてしまうとしても

番外「・・・大丈夫だよ」

そっと、一方通行の肩に手を当てる

一方「!」

驚いたような表情で、一方通行が振り返る



911 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:21:27.94 ID:JGB1yw270
番外「もう大丈夫・・・ミサカも・・・みんなも、死んでなんかいないから・・・だから・・・」

右腕が痛む

だが、それを振り払い一方通行の体を抱きしめる

強く、なんて言える力ではなかった

それでも、一方通行に理性を取り戻させるには十分だった

一方「番外・・・個体?」

番外「・・・あは、やっと元に戻ったね・・・」

口の中に広がる鉄の味

番外「・・・ねぇ、お願い」

嫌がられるかな、と思いながらも彼女は一方通行の唇に、自分の唇を重ねた

番外「ミサカ達を守って・・・」

一方「・・・」

番外「お願いだよ・・・」

自然と力が抜けてしまう

意識なんてほとんど残っていない

もう、言葉も口には出来ない

一方「・・・あァ」

ただ、その返事が聞けただけでよかった



912 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:21:56.08 ID:JGB1yw270
一方「・・・守ってやるよ、クソッタレ」

ゴォ、と背中の翼が音を立てる

悪魔のような「黒翼」は、まるで天使のような「白翼」に変わっていた

一方「・・・」

あの宙に浮かぶガブリエルを倒せるかなど分からない

ただ、彼は戦わなければならない

一方「・・・そォだよな」

守るためだけに、彼は力を振るう

一方「ナメてンじゃねェぞ・・・!」

翼を一度だけはためかせる

それだけで、ガブリエルの正面へと移動した

水の翼が、一方通行の体を貫こうとする

一方「!」

反射の壁にぶつかったそれは、やはり完全には正反対に動かない

「魔術」は既に解析しているはずだ

なら、天使の力は魔術以上の「何か」なのだろうか



913 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:22:35.62 ID:JGB1yw270
一方「だったら・・・なンだってンだよ」

バキリ、と背中の翼が膨らんでいく

一方「・・・俺はやらなきゃならねェ」

守るために

一方「・・・」

天使と天使がぶつかる

だが、勝敗なんて簡単にはひっくり返らない

一方「ちっ・・・!」

一方通行の翼は「短刀」のようなものだ

鋭さはあるが、ガブリエルの「刀」のような翼には、圧倒的に劣っている

一方「ナメンな・・・!」

全てのベクトルをガブリエルにぶつける

翼から舞った羽根の一枚一枚が、膨大なベクトルを帯びている

それでも

一方「な・・・!」

「・・・」

まだ、ガブリエルには届かない

何度も繰り返しても意味がない

翼の大きさが、密度がそもそも違う



914 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:23:30.93 ID:JGB1yw270
ガブリエルは常に「天使の力」を発動し、作り出すことが出来る

だが一方通行の場合、偶然生まれた一定量の力を「操っている」だけなのだ

使い果たすこともある、それに今以上の大きさを作る方法など分からない

「ihbf殺・・・」

一方「てめ・・・」

ズガン、と頭から足に掛けて衝撃が走った

それが、上から振り下ろされた翼による一撃と気づく前に、一方通行の体は地面に叩き付けられる

一方「ごはっ・・・」

口の中から赤い液体が零れる

頭がズキズキと痛んだ

だが、止まれない

もしもここで止まってしまえば、彼の守りたかったものは全て、失われてしまう

一方「・・・守るンだよ・・・」

ユラリ、と体を揺らしながら一方通行は戦う

守るために、戦う

いや、抗うのほうが正しいだろう

戦況はあまりにも一方的すぎた




915 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:24:09.01 ID:JGB1yw270


垣根「・・・う・・・」

意識を取り戻した垣根が、はっとして辺りを見回す

地面には、仲間が転がっていた

もちろん、心理定規も

垣根「!」

一瞬、喉が干上がるかのような衝撃を覚える

だが彼女が小さなうめき声を上げたのを聞いて、ほっとため息をつく

垣根「・・・そうだ、あいつは・・・」

一方通行の姿を探す

地面に転がってはいない

垣根「!」

突然聞こえた大きな衝突音に、空を見上げる

そこでは一方通行がガブリエルと戦っていた

圧されている、あの一方通行が

垣根「・・・なんだよ・・・何やってんだよ、一方通行!」

彼の圧倒的な力をもってしても、ガブリエルには傷一つ付けられない

それどころか、どんどん傷付くのは一方通行だった



916 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:24:49.91 ID:JGB1yw270
垣根「嘘・・・だろ・・・」

ガブリエルの一撃によって、一方通行は地面に叩き付けられる

ユラリと立ち上がった一方通行の翼は、段々と輝きを失っていく

力の源が無くなりかけているのだ

垣根「・・・一方通行・・・」

自分は何をしているのか、と自己嫌悪に陥る

もう一人の「化け物」はガブリエルと戦っているのに

誰も守れるはずがなかった、あの「化け物」は

垣根「なのに・・・俺は・・・」

一方通行のように、事象の解析が出来る能力ではない

彼は、ただ・・・

心理「・・・垣・・・根?」

垣根「!」

離れた場所にいた心理定規が彼の名前を呼ぶ

垣根「心理定規!」

まだ痛むが、垣根の体はそれほど大きな傷を負ってはいない



917 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:25:21.09 ID:JGB1yw270
心理定規の元に駆け寄り、彼女の体を抱き上げる

心理「・・・よかった、無事だったのね」

垣根「何言ってやがる・・・お前はボロボロじゃねぇか!」

心理「いいのよ・・・仕方ないわ、私は・・・」

頬から血を流しながら、心理定規が笑う

心理「・・・逃げて、垣根」

垣根「・・・なん・・・」

心理「・・・怯えているじゃない・・・震えているじゃない」

垣根「!」

そっと、心理定規が彼の頬を撫でる

心理「・・・あなたは、怯えている姿なんて似合わないわ・・・強気でいるあなたが素敵なのよ」

無理矢理笑いながら、心理定規が言う

心理「・・・あなたは、もっと強いはずじゃない」

垣根「・・・」

心理「怖いなら逃げて・・・もし、もしもあなたが勇気を持っているなら・・・私達を守って」

垣根「・・・分かった」

心理定規を優しく寝かせてから、垣根が翼を広げる



918 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:26:09.68 ID:JGB1yw270
垣根「・・・ヒントはあったのか」

全く分からない

一方通行が新たな力を手に入れたのは、魔術を解析したからだ

垣根「・・・」

試しに未元物質をガブリエルにぶつける

しかし、ガブリエルは翼の一振りでそれを防いだ

垣根「・・・?」

違和感がある

魔術に未元物質をぶつけたときもそれは感じた

何かがおかしいのだ、魔術にはある決まった法則があるはずだ

「科学の物理」からは外れているが、「魔術」という決まった法則がある

垣根(・・・だが・・・未元物質をぶつけた時に、それは捩曲げられなかった・・・?)

弾き飛ばすことは出来たが、おかしなベクトルに変換することは・・・

垣根「!いや・・・違う!」

垣根が知らないだけなのだ

高速で走っている車のハンドルを操作するには、まず車の種類、速度、ハンドルの曲げ方を知らなければならない

その車の持ち主にとっては当たり前の情報でも、全く初めてその車を見る人間には乗りこなせない

それと同じだ、そもそも魔術の正しいベクトルを知らないのだから、それが捩曲げられなかったのかなんて分からない

もしかしたら、あれはたしかに捩曲げられていたのかもしれない



919 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:27:09.53 ID:JGB1yw270
垣根「・・・だが、どうやって解析する・・・」

一方通行の能力は「ベクトル変換」がメインではなく「事象の解析、逆算」が本質だ

垣根「・・・待て、アクセラレイター・・・?」

一方通行を英語で言っても「アクセラレイター」ではない

それはつまり、能力の名前こそが本質であるというのだ

では、彼の能力は

垣根「・・・ダークマター・・・!」

本来の意味は「暗黒物質」

銀河の回転速度というのを計算した科学者が思いついた理論だ

銀河の質量は分かっているが、回転速度から考える限り、もっと銀河の質量は重いはずだった

何かしらの「見えない質量」が銀河には存在している

それが「見えない」のは光を反射しないからだ

「見えない」が、「理論上は存在している」・・・それが「ダークマター」

垣根「・・・そうだ、魔術の法則を科学的に説明出来ないなんて誰が決めたんだ」

未元物質を、もう一度ガブリエルにぶつける

かつて垣根は、未元物質による攻撃で一方通行の反射の壁の隙を「逆算」したことがある

それと同じだ

反射の壁の隙は「理論上存在」していた

だから、彼は簡単にその答えを見つけられた



920 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:28:13.33 ID:JGB1yw270
ならば

垣根(魔術の法則ではなく・・・あの事象に、科学的な法則があると考えろ)

実際にはないかもしれない

だがそれは問題ではない

「理論上存在する法則」を作り上げてしまえばいい

「2×4」の計算は、何も「掛け算」という法則でしか解けないわけではない

「2+2+2+2」の「足し算」でも解けてしまうのだ

一つの法則だけに・・・常識に囚われるな、自分だけの法則を生み出し、それを現実へと引き起こせ

垣根(・・・組み上げた計算式が合っているかは関係ない)

垣根(それで正しい解答が得られればいい・・・)

「未元物質」の本質はもしかしたらそこなのかもしれない

「現実にはありえない」が「無理矢理、理論上法則を存在」させることにより、結果を導き出す

「この世に存在しない」物質を「理論上の法則」を作り上げ、操ることは不可要素なのだとしたら

垣根「・・・そうだ」

ビキビキ、と翼が大きさを増した

頭の上の輪が、ハッキリとした形を持つ

垣根「俺が第二候補だったのは、俺にも魔術が解析出来るはずだったからだ」

実際、彼と一方通行の能力にはそれほど絶対的な差はなかった



921 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:29:27.36 ID:JGB1yw270
一方通行のほうがより早く「能力の本質」に気づく可能性があっただけなら

垣根「・・・逆算、終わるぞ」

小さく垣根が笑う

彼の翼が、光を放った

透明でも無ければ、クリスタルでもない

彼の翼は、この世の物ではない


もはや色も、形も言葉では表せない

垣根「・・・これが魔術の法則か」

実際、魔術師にそれを教えても意味が分からないだろう

垣根が無理矢理考えた数式には、垣根が作り出した独自の「記号」さえも出てくる

そんなこと、どうでもよかった

科学者が「光を反射しないから見えないだけ」といった理由を後付けしたように

間違いだと言われようが、それを正すだけの理由を作ればいい

垣根「・・・」

やっと一方通行と同じ位置に立てた、と垣根は感じた

彼等はもはや、「科学」でも「魔術」でも無くなった

そもそも、垣根や一方通行の翼は「魔術」ではない

もしも「魔術」ならば使った瞬間に拒否反応が起きるはずなのだから

だが、決して「科学」だけの力でもない

もはやそれは、物理法則だけで説明が出来る力ではなかったからだ


922 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:31:10.73 ID:JGB1yw270
垣根「・・・科学と魔術、二つの力のどちらでもない・・・か」

そう、これが「天使の力」というものなのかもしれなかった

垣根にはその正体など分からない

それでも

翼をはためかせ、一方通行の隣に向かう

垣根「一方通行!」

一方「・・・!お前・・・」

垣根「逆算終わった、俺にも少しはいいとこ持たせろよ」

翼を振るい、ガブリエルにそれをぶつける

やはり、まだ「無傷」だ

それでも、戦況は好転した

「操る」一方通行と「生み出す」垣根帝督

これなら、弾薬が尽きることはない

演算を行うまでもない、なぜか体の中から自然と力が生まれてくる

垣根「・・・行こうぜ、一方通行」

一方「・・・あァ、これからは俺達が押し通す番だ」

科学を知り尽くし、魔術を解析した二人の「化け物」が不敵に笑う

科学と魔術が、その瞬間に交差したのだ




923 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:31:36.34 ID:JGB1yw270


上条「・・・どうして」

不動「・・・上条、お前は科学側の人間だったはずだ」

上条「どうして、オカルトなんかに手を出した!」

不動「・・・科学側の人間なのに・・・」

上条の顔には怒りが、不動の顔には悲しみがあった

不動「・・・そうか、そうだな・・・不幸だから何かのきっかけで魔術を・・・」

上条「答えろ・・・どうして魔術に手を出しちまったんだよ!?」

不動「・・・どうして、と聞かれたら答えは簡単だ・・・天使と一つになるためさ」

上条「天使と・・・?」

不動「お前は天使についてどれほどの知識を持っているかは知らない・・・だが、あの力が異常なことくらいは理解出来るだろ」

空に浮かぶガブリエルを見つめ、不動が呟く

不動「もしもあれに自我が植え付けられたら・・・あの力を自分の意志で扱えるなら、それはつまり絶対的な力だとは思わないか」

上条「そんなことのために魔術に・・・」

不動「そんなこと、か・・・なぁ上条、お前は忘れてるかもしれないが、俺の人生は不遇ばかりだった」

上条「!」

今、彼は何と言った?

不動「・・・それでも、些細な不遇がほとんどだったさ・・・たわいもないような、些細な不遇ばかり」

不動「・・・でもな、ある日そんな不遇によって俺の人生は変わった」



924 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:32:14.26 ID:JGB1yw270
遠くを見つめた不動の瞳には、力が宿っていない

不動「・・・俺はその日、家族と旅行に出掛けていた」

不動「綺麗な花火を見たな・・・俺がもう少し、それを見ていたいと駄々をこねた」

不動「・・・妹は帰りたいとふて腐れていたが、両親は笑いながらもう少しいようと言ってくれた」

不動「・・・帰りの車、俺はまだ花火が見たくて、海岸側の席、助手席の後ろをせがんだ」

不動「運転してたのは父親、運転席の後ろには母親が、幼い妹を膝に乗せながら乗っていた」

美琴「な、何が・・・」

不動「・・・飲酒運転のトラックが突っ込んで来たのは、父さんが車を運転し始めてすぐだった」

美琴「!」

上条「・・・お前」

不動「・・・叫び声なんて聞こえなかった、父さんは即死だった、首なんておかしな方向を向いてたさ・・・」

その時の光景を思い出したのか、不動が顔をしかめる

不動「・・・母親は少し息があったが、顔に無数のガラスが突き刺さっていた・・・」

不動「・・・妹もそうだ、結局・・・三人ともすぐに事切れた」

上条「・・・」

不動「・・・トラックの運転手は逃亡、すぐに捕まったが昨日、日本で釈放されたらしい・・・たった6年の懲役を経て」

美琴「じゃあ、あなたは・・・その運転手に復讐をしたくて天使の力を?」

不動「・・・違う」



925 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:32:44.40 ID:JGB1yw270
首を振り、不動が笑う

不動「・・・天使の力を完全に制御し、俺が神になれたら・・・もう一度、三人に命を与えられる」

美琴「!」

不動「神とはそういう概念さ、信じられない出来事を起こしてしまう存在のことを表すための」

上条「待てよ・・・だからって人間がそんなこと・・・」

不動「だから天使と同化するのさ、それなら」

上条「無理だ!」

上条が声を荒げる

彼は今まで、何度か天使というものに近づいた

その「ただ神に従うためだけの人形」は、命を産むことなどなかった

不動「・・・かつて、世界では生け贄という文化があった」

上条「は・・・」

不動「・・・命をもって命を産む・・・1の命からは1の命しか産まれない、それは人間が行うからだ」

不動「・・・だが、天使の力なら・・・俺一人の命で、あの三人の命を作り出すことくらいなら出来るだろ」

上条「・・・!お前、死ぬつもりで・・・」

不動「分からないか?元はといえば、俺の不遇で三人は死んだんだ・・・俺が責任を取らなきゃいけない」

上条「違う!お前はそう望んでなんかいなかっただろ!」

不動「結果が問題なのさ・・・所詮、そんな言葉は慰めなんだよ」

上条「あぁ慰めだよ!友達を慰めようとして何が悪い、俺は・・・」

不動「友情ごっこはやめよう、上条」

上条「!」



926 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 19:33:50.44 ID:JGB1yw270
不動「・・・もういいんだ、そんな演技なんてしなくて」

上条「演技なんて・・・」

彼は、さっきなんと言った?

不動「お前は何も覚えちゃいない、俺がお前と友達だったことも、二人で遊んだ帰り道も、お前に告白してきた女の子も・・・俺をイジメっ子から助けてくれたことも」

上条「それは・・・」

不動「お前は」

はぁ、とため息をついてから不動が上条の目を見つめる

なんでそんなに悲しい表情なのだろうか

不動「もう、何も覚えちゃいない」


上条「・・・どうして知ってるんだ」

不動「・・・お前は俺を苗字では呼ばなかった、いつも下の名前で呼んでたよ」

上条「・・・」

不動「俺が思い出を語っているとき、なぜかお前は必死にそれをごまかそうとしていた・・・昔のことだから忘れたか、何かの原因で記憶を失ったか、はたまたお前は上条じゃないか・・・理由は分からないが」

上条「・・・記憶、喪失なんだ」

不動「だろうな、御坂さんとの出会いも、なぜかあやふやに語ってた」

上条「・・・悪い」

不動「謝るなよ、おかげで俺は最後に楽しい一日が過ごせた」

上条「最後なんかじゃねぇよ・・・」

不動「いや、最後だよ」

上条「最後になんかしない!」

不動「・・・止まってくれ上条、お前には何も出来ない」

上条「何も出来ないだって!?ふざけんな、お前を死に物狂いで止めてやることは出来る!友達を・・・」

不動「友達じゃないさ、もう・・・昨日が初対面だったんだろ、実質的には」

上条「・・・関係ない」

右手を握りしめ、上条が叫ぶ

上条「お前は俺を・・・尊敬してたと言った、俺を部屋に泊めてくれた、一緒にアルバムを見て笑い合った!それだけで十分じゃねぇか!!」




927 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 20:19:33.98 ID:JGB1yw270
不動「・・・ダメなんだよ上条」

ゾワリ、と地面が動く

現れたのは黒い山羊だった

いや、本当にそれが山羊なのかさえわからないほど、人間的でもある

上条「魔術、か」

不動「・・・俺はこれをやめることは出来ないのさ」

上条「・・・なぁ、不動・・・昔の俺と出会ったことは、お前の人生の中で不遇だったのかよ」

不動「・・・分からない、ただそれが不遇だったとしても・・・俺はお前に感謝しているよ」

寂しそうな目をしながら、不動が答える

上条「・・・俺は、不幸だったなんて思わない」

不動「・・・お前は不幸だったんだ、忘れているだけさ」

上条「ふざけんな!!不幸なんかじゃなかった、俺の不幸は誰かを守るきっかけになってたんだ!!」

不動「!」

上条「あぁそうだよ・・・記憶なんて無くした、ある女の子を守るために・・・」

右手を前にかざし、上条が叫ぶ

上条「美琴を守るために傷ついたし、他の友達を守るために海に落ちたこともあった!!第三次世界大戦では天使と戦ったんだ!!信じられなくても構わない、それに不幸だって笑われてもいいさ!!」

上条「でも・・・でもな!!俺は、それでも誰かを守れたんだ!!」

不動「それはお前が優しいからさ」

上条「・・・そうじゃない」

不動「なに?」



928 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 20:48:33.92 ID:JGB1yw270
上条「誰かを守るのは、選ばれた人間だけが出来ることじゃないんだ・・・」

不動「・・・」

上条「・・・俺は、不幸を言い訳にはしたくない」

不動「・・・俺だってそうさ、でも俺の家族は・・・」

上条「お前のせいで死んだんじゃない・・・」

不動「綺麗事はいいんだ、結局は俺が選んだ結果のせいなんだよ!!」

上条「あぁそうかもしれない!!でもな、お前がそこまで好きだった家族は、お前の今の姿を見て喜ぶか!?」

不動「お前に何が分かる!!」

上条「分からねぇよ・・・でもな!!」

右手で山羊の大群を打ち消しながら、上条が前に進む

不動「・・・な、なんだその・・・」

上条「友達がこうやって目の前で壊れていくのを見て、それでも黙っていられるような人間じゃないんだ!!」

不動「黙れ!!お前はもう・・・」

上条「忘れてるさ・・・あぁ、そうだよ、忘れてる!!でもな!!」

バキン、と何かを打ち消す音がする

不動「!シュブ=ニグラスを打ち消し・・・」

上条「だったらもう一度、やり直せばいいだけの話だろ!」

不動「!!」

気づけば、上条は不動の目の前にいる

上条「どうして、たった一度の失敗でお前はそうなっちまったんだ!!お前が死んで、他の家族が生き返って・・・それでも、結局お前は家族に会うことは出来ない!!」

不動「お前だって俺の立場ならそうするだろうが!!」


929 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 21:03:20.63 ID:JGB1yw270
上条「そうかもしれない・・・でもな、俺には止めてくれる仲間がいるんだ!!」

不動「俺にはいないんだよ!!何が出来る、これ以外に何が出来る!!」

上条「綺麗事を貫けよ・・・お前のせいじゃない、お前のせいじゃないんだ!!」

右手を握り締めた上条が、不動の顔を見つめる

不動「教えてくれ・・・」

今にも泣きそうな表情で、不動が訊ねる

不動「俺は・・・どうすればよかった?」

家族を失い、友に忘れられた彼は

上条「・・・俺が、お前の幻想を殺してやる」

上条が小さく笑う。もしかしたら、自分よりも不動の行動のほうが人間らしいのかもしれない

だとしたら、上条は人間らしくなくていい

自分の正しいと思う行動を行わなければ、彼は彼でなくなってしまう

上条「・・・だから、もう一度やり直してみろよ・・・こんな方法じゃなくて、もっと自分の笑顔になれる方法で」

不動「・・・上条」

ガン、と不動の頭が揺れた

たった一振りの右手が、彼の何か悲しいものを砕いたのだ


不動「・・・また・・・お前に助けられたんだな」

嬉しそうに笑いながら、不動はそのまま意識を失った


930 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 21:21:44.64 ID:JGB1yw270

美琴「・・・よかったのかな、不動さん」

地面に横たわっている不動を見つめながら、美琴が心配そうに呟く

上条「・・・俺は、もしかしたら間違ってたのかもしれないさ」

不動の顔を見つめた上条が、小さく笑った

上条「でもさ、目の前で・・・友達が自分の命を捨てようとしてて、それを止めないのも間違いだろ、きっと」

美琴「・・・うん、そうね・・・」

上条「!!そうだ、それより天使は・・・」

港の上空には、ガブリエルが浮かんでいる

そして、その傍には二人の・・・

上条「!!一方通行と垣根・・・?」

美琴「な、なんなのよあの二人・・・!?」

上条「分からない・・・」

ジワリ、と額を汗が流れる

あそこにいるのは、本当に二人が知っている「友達」なのか

背中から翼を生やし、天使と戦っている彼らは

上条「・・・一方通行!!垣根!!」

聞こえないと分かりながらも、上条が声を上げる


上条「無理・・・するなよな・・・」


931 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 21:25:39.80 ID:JGB1yw270


テクパトル「・・・アレイスター、また本を読んでるのか」

アレイ「・・・」

テクパトル「?アレイスター、どうした」

アレイ「いや、なんでもない」

テクパトル「そうか?なんか嬉しそうだけど」

アレイ「なに、少し面白いことになっているからな」

テクパトル「その本・・・そんなに面白そうじゃないけどな」

アレイ「・・・いや、それではないよ」

テクパトル「?」

アレイ「・・・そうだ、少しばかり頼みごとをしていいか?」

テクパトル「あぁ、なんだ?」

アレイ「美味しい酒でも買って来てくれると助かるんだ」

テクパトル「・・・いいけど、どうして?」

アレイ「・・・自分にとって嬉しいことがあれば、酒を飲むのも当たり前だろう?」

テクパトル「あ、あぁ・・・」

アレイ(・・・ベクトル制御装置と生成装置・・・いや、もはやそれ以上か)

満足げに笑うアレイスターを、テクパトルは怪しげな目で見ていた


アレイ(・・・さて、私も少しだけ向かおうか・・・天使の元へ)


932 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/29(木) 21:29:22.91 ID:JGB1yw270
今日はここまで

まさかの終わらなかった、明日までかもしれない

これが終わったら上琴、未元定規の話をば

筋肉動画はこちら


リー・プリーストの2002年

すっげぇ肩と腕・・・


http://www.youtube.com/watch?v=y9HqyMEqkGg 

イケメンですよね、彼

ではおやすみなさい


933 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 22:04:46.58 ID:cAisFEtNo
乙乙
934 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/29(木) 23:08:47.61 ID:dMK63cLT0
お疲れイスター
935 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:10:31.70 ID:dMK63cLT0

下げ忘れたスマン
936 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:52:37.48 ID:5+XlWRauo
乙なんだよ!
937 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 00:02:33.63 ID:0UiE+Mfg0
938 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 11:00:33.08 ID:gtqWL0MT0


垣根「・・・何発喰らわせた」

一方「・・・知るか、数えてねェよ」

港の遥か上空

もはや、地上から見えないのではないかという高さに、二人は佇んでいた

冷や汗が額を濡らす

ガブリエルに何度も翼を打ち付けた

それは決して、届かなかったわけではない

あの「ガブリエル」がそれを避けたこともあった

受け止めようとすれば、ダメージが通るからだろうか

垣根(んなことはどうだっていい・・・)

結局のところ、二人はガブリエルにダメージを与えられていない

垣根(・・・魔術を解析すれば活路は見えるはずだった)

垣根(いや・・・実際、俺の翼は一方通行の翼と同じ力を手に入れた)

だとしたら、なぜ目の前の天使には通用しないのか

垣根「・・・一方通行、俺の翼もお前が操れ」

一方「あァ・・・てめェ、まさか休みたいなンて言うンじゃねェだろォな」

垣根「・・・二人がバラバラに攻撃するより、一発でかいのをかましたほうがいくらかマシだ」



939 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 11:01:08.61 ID:gtqWL0MT0
一方「ちっ・・・出来るかよ」

文句を言いながらも、一方通行が垣根の翼に自分の翼を当てる

一方(・・・!?なンだ・・・)

一方通行の翼に、何かおかしな変化が現れる

一瞬だったが、明らかに質量が増したのだ

一方(・・・垣根の翼を吸収したのか?)

垣根の背中にはまだ翼がある

吸収したわけではない

一方(・・・有機と無機・・・この世の全てを操る「一方通行」とこの世にない力を生み出す「未元物質」・・・)

一方(・・・!未元物質で生み出された素粒子がこの世に存在するようになれば、俺は未元物質を操れる・・・)

かつて垣根の能力を解析したように

一方(なら、俺は垣根の翼も解析出来るはずだ)

そう、垣根の力はかつての物より先の段階まで進んだ

ならば、再演算をしなければ操りきれないのだ

先程感じた違和感は、「知らない法則」に触れた時のものだった

一方(だが待て・・・ってことは、俺とこいつの翼の法則は同じではない・・・?)

まるで、二人とも「天使」のような力なのに



940 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 11:01:52.54 ID:gtqWL0MT0
一方(・・・今はそンなこと、どォでもいい)

垣根の翼をもう一度、解析する

一方(・・・こいつの翼がこの世に存在した瞬間・・・俺は、こいつの翼を操れるようになった)

一方(・・・解析、終了)

垣根「・・・」

一方「垣根、てめェの翼も借りるぞ」

垣根「貸しにしといてやるよ」

一方「出来る限り力を放出し続けろ」

垣根「いつまでだ」

一方「目の前のクソ野郎が空に帰るまでだ」

垣根「長くなりそうだ」

垣根が翼を生み出す

もはや未元物質とも言えるのか分からない力は、一方通行の翼の基となる

一方「・・・俺はベクトルを生み出すことは出来ねェ、だからてめェみたいなベクトル生成装置が必要だった」

垣根「あぁ?なんのことだよ」

一方「俺達の役目だ、アレイスターの野郎はそれぞれ役目を決めていた」



941 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 11:02:25.85 ID:gtqWL0MT0
垣根「・・・お前は制御装置、だったな」

一方「分かってンじゃねェか」

垣根「・・・いけるか」

一方「さァな」

一方通行が翼を振りかざす

先程までとは明らかに大きさが違う

一振りだけであらゆる敵を粉砕出来る一撃

一方「!」

その一撃で、初めてガブリエルの体が揺れた

ダメージを与えた、というほどではないがあの「天使」に外部からの影響を与えた

垣根「当たった・・・!一方通行!」

一方「あァ・・・」

一方通行が目を閉じ、演算を開始する

チョーカーの電池がそろそろ切れてしまう

一方(それまでに決まるか・・・?)

不可能に近かった

目の前の敵を短時間で・・・いや、そもそも倒すこと自体が不可能なのかもしれない



942 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 11:03:09.20 ID:gtqWL0MT0
一方(だが、やらなきゃならねェンだ)

ガブリエルが翼を振りかざした

一方通行と垣根は一旦それを避けるために、回避行動に移った

しかし

垣根「!?」

その水の翼が、一気に質量を増す

一方「なン・・・」

「・・・」

まるで津波のような一撃が二人を押し流す

地面が一気に近づいてくる

垣根「ナメんなよ・・・!」

未元物質を展開し、その水の翼を押し返そうとする

そこで気づいた、ガブリエルが自分に向かって何かを放とうとしていることに

垣根「何を・・・」

一方「!垣根、避けろ!」

直後、凄まじい水の一撃が垣根の胸を撃った

垣根「ぐぁぁぁ!」

強い衝撃と共に、地面に叩き付けられる



943 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 11:03:47.54 ID:gtqWL0MT0
何が起きたのかさえ理解出来ない

垣根(魔術・・・?いや・・・これはそんな陳腐なもんじゃねぇ・・・)

グラグラと揺れる視界が何かを捉える

一方通行も、ガブリエルによって地面に落とされていた

一方「がっ・・・」

口から血を吐きながら、一方通行がゆっくり立ち上がる

垣根「はは・・・やべぇな、やっぱり天使なんてのに人間が勝てるわけはねぇ・・・」

一方「・・・端から分かってたことじゃねェかよ・・・」

垣根「・・・でもな」


「誰も守れやしねぇ」


垣根「俺達は守らなきゃならねぇ、命に替えても・・・守らなきゃならないんだよ!」

一方「!垣根、伏せ・・・」

ガツン、とこめかみに何かが当たる

垣根「あ・・・?」

氷の塊、それはガブリエルが生み出したものだった

鈍器で殴られたような感覚に、垣根の意識が一瞬飛んだ



944 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 11:05:29.16 ID:gtqWL0MT0
垣根「ぎっ・・・」

バキバキと、背中の翼が悲鳴を上げる

垣根(クソが・・・!)

無理矢理意識を繋ぐが、もはやまともに立っているだけで精一杯だった

一方「無理してンじゃ・・・」

垣根「守らなきゃ・・・ならないんだよ」

一方「!」

垣根「・・・守ら・・・」

頭の中が赤くなる

血のせいだろうか、違った

ドロリと脳みそが溶け、世界の全てが反転する

垣根「・・・守・・・zw」

一方「・・・垣根、お前・・・」

垣根「・・・守zw・・・lq・・・!」

突如、垣根の翼が色を失う

まるで空気に溶けてしまったかのように

一方(違う・・・こいつの能力は存在しねェものを操ることだ!)

一方通行がガブリエルを見つめる

一方(・・・目に見えなくなったンじゃねェ、この世界じゃ表し切れなくなったンだ)

ならば、一方通行の翼とはやはり対極的だ

一方「いいじゃねェか・・・さすが俺の相棒だ」

ゴォ、と凄まじい音を立てた一方通行の翼が巨大になっていく

何らかの影響を受けているのだ

一方「行くぞ・・・垣根」

垣根「おぉぉぉぉ!」

二人の「天使」が、ただ守るためにガブリエルに向かっていく

それはまるで、太陽に挑んだイカロスのようで


945 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 12:17:48.02 ID:gtqWL0MT0


リガルディー「・・・ははは!!こりゃすげぇな!!」

その光景を、リガルディーは離れたところから見ていた

リガルディー「なんだありゃ、まさか人間が天使に似た力を手に入れられるとはな・・・」

背中に翼を生やし、優雅に空を飛ぶなどもはや人間のなせる業ではない

リガルディー「・・・なるほど、人間は別に天使を取り込まなくてもあれほどの力を手に入れられるのか」

ゾクゾク、と好奇心が湧いてくる

あれほどの存在に、「たった一人」の人間がなることが出来たのだから

リガルディー「はは、ちくしょう・・・どういう原理だよ、魔術だけじゃ説明なんてつきやしない」

頭の中にある全ての魔術の法則では、とても説明できない

まるでそれは、この世の法則のどれとも似つかわしくない、全く別の法則のようだ

リガルディー「・・・だがな、遅かったんだよ・・・」

彼の体には不可思議な文様が描かれている

生命の樹は、天使の力を使った術式だ。ならば、人間が借りている天使の力ではなく、「ガブリエル」本体から打ち出されている天使の力を媒体にすれば

リガルディー(俺の術式の威力は何倍にも跳ね上がる・・・それこそ)



アレイ「あのガブリエルをも取り込めるほどに、か・・・くだらないな」

リガルディー「!!誰だ!?」



946 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 12:23:01.79 ID:gtqWL0MT0
突然聞こえた声の主は、本当に突然、リガルディーの後ろに現れた

イリーナの術式とは違う、魔術などとは関係のない方法で

アレイ「シュレディンガーの理論のようなものだよ、私は世界中のどこにでも存在している・・・それを誰かが認識したり、私がそこにあると望めば、瞬時にそこに存在できる」

リガルディー「な、なんだお前は?」

目の前の存在は、おかしな格好をしていた

どこかの病院の患者が着ていそうな服でもあるし、まるでどこかの王朝の主が着ていそうな服でもある

そして、それ以上におかしいのは、その人間の見た目だ

何かの資料で読んだはずだ

アレイ「リガルディーか、中々懐かしい名前を語るな」

リガルディー「懐かしい・・・だと?何の話だ」

アレイ「だが、本当のリガルディーは君よりも賢明だったよ」

リガルディー「本当の・・・!?貴様まさ・・・」

グシャリ、とリガルディーの右腕から音がした

そこから飛び出した鮮血が、自分の右腕が切り落とされたことを示していた

リガルディー「あぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

アレイ「・・・君は天使になろうとしていたのだろうが・・・それは、愚かなことだよ」

傷口を見て悲鳴を上げるリガルディーを嘲笑うかのように、その存在は言葉を続ける

アレイ「・・・そもそも、時代もシステムも違いすぎる」


947 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 12:27:22.15 ID:gtqWL0MT0
リガルディー「何を言って・・・」

アレイ「君は紀元前の世界で、携帯電話が使えると思うかね」

コツコツと足音を立て、それがリガルディーに近づいてくる

一体、何を

アレイ「不可能だ、時代も違う、システムが成り立っていない・・・携帯電話は今の時代では当たり前に使えるが、古代ではただの不思議なものにしか見えない」

アレイ「それと同じだ、あの天使という存在はそもそもこの世界のフォーマットなどで説明は出来ないよ」

リガルディー「・・・あのガブリエルさえ・・・まだ未完成だと!?」

アレイ「未完成とは違う、この時代に合わせるためにずいぶんと削られているのだ」

銀の杖が、その人間の右腕に現れる

リガルディー「なん・・・」

アレイ「ともあれ感謝しよう、一方通行と垣根帝督の新たな可能性は拓けた」

リガルディー「おぉぉぉぉぉ!!」

リガルディーがタロットカードを全てばら撒く

ガブリエルの力を持ってすれば、それら全てを

アレイ「・・・愚かしいことだ」

銀の杖を一振りしたその存在が、全てのタロットカードを切り裂いた

リガルディー「・・・!!」


948 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 12:33:39.51 ID:gtqWL0MT0
アレイ「タロットカードにはいくつかの種類があるが・・・君のそれは、所詮昔から受け継がれた伝統を引き継いだに過ぎない」

リガルディー「な、なんだ・・・なんだ!?その手に握られたカードは!?」

人間の掌の中には、小さなカードが一枚握られていた

アレイ「・・・トート・タロットだ」

リガルディー「トート・・・!!」

本来のリガルディーという人間は、彼のことではない

アレイスター・クロウリーの弟子になるべく、無給秘書になった人間だ

リガルディー「ま、まさか」

そしてそのトート・タロットの創始者は

その

リガルディー「貴様、まさか・・・!!」

ズバン、とリガルディーの体が真っ二つに切り裂かれた
 
アレイスターの握ったカードは「XX」 

そこに描かれたのは、ホルスだった

アレイ「言ったはずだ、愚かしいと」

もはやもの言わぬ残骸になったリガルディーを見つめ、アレイスターが笑う

少しずつ、その体は半透明になっていく


アレイ「君は、あの馬鹿な弟子にさえ遠く及ばないのだよ」


949 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 12:51:39.46 ID:gtqWL0MT0


垣根「!!」

ガブリエルの体が少しずつ薄まっていく

一方「なンだ・・・?」

垣根「・・・どういうことだ」

二人には理解できないが、「術者が破壊」されたため、魔術そのものが解除されているのだ

神裂はあくまで巻き込まれた形のため、術者には数えられないのかもしれない

だがそんなことはどうでもよかった

ガブリエルは痛みにでも堪えているかのように、無差別的に力を放出し始めた

垣根「!!」

駄々をこねる子供、しかしそれはあまりにも力がありすぎる

一方「このままじゃ下にいるヤツらがあぶねェ・・・」

垣根「・・・なら、やることは決まってるな」

小さく二人が頷く

力の元である「ガブリエル」を抑えてしまえばいい

消えかけているその天使を抑えることは出来るだろうか

垣根「いや、出来るか出来ないかじゃねぇか」

一方「やるしかねェンだ」

二人の翼はもう、ボロボロだった

これほどまでに体が疲れを訴えているのは初めてだ


950 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 12:59:05.83 ID:gtqWL0MT0
垣根「・・・・なぁ、一方通行」

一方「なンだよ」

垣根「・・・俺が打ち止めを襲おうとしたとき、お前はこんな気持ちで俺と戦ってたのか」

一方「・・・さァな、忘れちまった」

笑いながら、一方通行が羽ばたく

それは、どこかの物語に現れる天使の如き姿

一方「でもな、垣根」

怪物の目は、真っ直ぐと地上の仲間を見つめていた

一方「・・・これが、何かを守るための戦いらしい」

ガブリエルが、最後の一撃を放つ

あまりにも大きすぎるそれは、一つの国を滅ぼすほどの威力を誇る

垣根「・・・そうか」

笑ってから、垣根が前を見つめる

あの時垣根が一方通行に負けたのは、単純な理由だったのだ

垣根(・・・俺は壊すために戦い、こいつは守るために戦ったのか)

だとすれば


垣根(・・・そうだよな、守るためならこんなにも俺は強くなれる)

一人の少女を守るためだけに

垣根(俺は)



真っ白な光が空を埋め尽くす






951 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 13:03:08.03 ID:gtqWL0MT0


イリーナ「・・・嘘・・・」

その光景は、離れた場所からも見ることは出来た

二人の天使が、一人の天使と戦い、勝利を収めたのだ

完全な勝利ではないが、「守る」ことを成功させた勝利

イリーナ「ど、どうして・・・」

ガブリエルが消えたということは、術者が殺されたのだ

あのリガルディーが

彼女が知る限り、最も強く恐ろしかった魔術師が

イリーナ「・・・あ、あはは・・・」

こんな力を持った人間達に、自分は歯向かおうとしていたのだ


ステイル「・・・全く、最大主教のお守りなんて必要なかったかな」

後ろから近づいてくる敵の声にも、もはや警戒しない

ステイル「・・・ともあれ、無事に済んだことだ」

イリーナ「・・・どうして・・・?」

ステイル「簡単なことだ、君たちは彼らより弱かった」

イリーナ「・・・そっか」

ガクリ、と膝から崩れ落ちる

ステイル「・・・君たちの処分が決まった、極刑は免れない・・・はずだったんだが」

イリーナ「・・・はず・・・だった?」


952 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 13:07:13.33 ID:gtqWL0MT0
ステイル「・・・最大主教も天使の力を目の当たりに出来て満足だったみたいだ、ある程度の寛大な措置になるらしい」

イリーナ「じゃあ・・・」

ステイル「・・・ともあれ、しばらくは謹慎だよ」

イリーナ「・・・」

ステイル「・・・一つ、言ってもいいかい」

イリーナ「・・・何よ」

ステイル「・・・守るためには、絶対的な力など必要ないよ」

イリーナ「?」

ステイル「・・・僕の知ってるムカつく男もそうだ」

はぁ、と溜め息をついてからステイルが髪を掻き上げる

あの少年の話をするのは忌々しい

ステイル「・・・大切な何かを抱きしめるだけの力があればそれでいいらしい」

イリーナ「・・・そうなのかな」

ステイル「さぁ、行こうか・・・ここで逃亡すれば、罪は重くなるよ」

イリーナ「分かってる・・・そんなことしないわよ」

ガチャリ、と魔術による拘束具がつけられる

小さく笑ったイリーナは、もう一度空を見上げる

イリーナ(・・・でも、まるで本当に)


イリーナ(・・・絵本みたいだったな)



953 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 13:10:50.73 ID:gtqWL0MT0


不動「・・・あぁ、帰ったのか」

上条「・・・あぁ」

空にはもう、ガブリエルの姿はなかった

ただ、青空だけが広がっている

不動「・・・上条、ありがとう」

上条「別に特別なことなんてしてないさ」

美琴「・・・不動さん、これからどうするんですか?」

不動「・・・そうだな、もう家族を蘇らせたいなんて思わないさ」

上条「そっか」

不動「・・・こんな悪いことばかりしてたら、天国じゃなくて地獄に行きそうだな」

ケラケラと笑う不動は、まるで子供のようだった

不動「・・・上条は、不思議な力を持ってるな・・・能力か?」

上条「別に、美琴を守るための力だよ」

不動「そりゃいいや」

上条「だろ?」

クスクスと笑いながら、不動が立ち上がる

不動「お迎えだな・・・ま、あんまり急いで近づいてきてない辺、俺達の罪は軽いのかな」

上条「・・・なぁ、不動」

不動「・・・一旦お別れだよ、上条」


954 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 13:14:58.09 ID:gtqWL0MT0
上条「・・・悪かった」

不動「・・・忘れてることを隠しててか?いいさ、別に」

上条「・・・」

不動「あぁそうだ、御坂さん」

美琴「は、はい」

不動「こいつ、ガキの頃から女誑しだったから」

上条「こ、この期に及んでチクるのか!?っていうか記憶にないから!!」

不動「しかも、告白されるたんびに優しい断り方をして・・・」

上条「あぁ知らない知らない!!」

美琴「そ、それ本当・・・?」

不動「ははは!!内緒だよ、嘘か真かは」

はぁ、と息を吐いてから空を見上げる

不動「・・・いつか、学園都市に行ってみようと思う」

上条「あぁ、ぜひとも」

不動「・・・ありがとう、お前と友達でいてよかったよ」

上条「これからも、だろ?」

驚いたような顔の不動の右手を、上条が握る

上条「・・・再会の約束だ、またいつか」

不動「・・・今度は、記憶なんて無くすなよ」

上条「分かってるよ」

不動「・・・そうか」

ゆっくりと背を向けた不動が、最後に大きな声で上条に告げる


不動「またな、上条!!」

上条「あぁ!!」




955 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 15:01:20.82 ID:gtqWL0MT0


垣根「・・・」

地面に横たわった垣根は、じっと空を眺めていた

真っ青な青空は、先ほどまでの不気味な青ではなかった

一方「・・・終わったな」

横に寝転がっている一方通行が呟く

垣根「・・・チョーカー、どうなんだよ」

一方「知らねェ、なンでかは分からねェが電池が減ってねェンだよ」

垣根「あぁそう」

科学的なものの演算ではなかったからか

それとも、何かが彼の演算を補助していたからか

結局、まだ分からないことだらけだ

垣根「・・・心理定規は」

一方「ンなことより番外個体だ」

ほとんど力の入らない体を、どうにかして動かす


心理「・・・無茶するわね・・・あなたも」

番外「いってぇ・・・あぁ、右腕折れてる・・・」

そんなささやきを聞いて、二人が安堵の笑みを浮べる


956 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 15:05:38.83 ID:gtqWL0MT0
垣根「無事だったか」

心理「当たり前でしょ・・・あなた、守ってくれたじゃない」

垣根「あぁ・・・そうだな」

番外「ねぇねぇ、二人のあの力はなんなのさ」

一方「知るかよ・・・あァクソ・・・頭いてェ・・・」

11116「情けないですね、とミサカは溜め息をつきます・・・」

一方「!!無事だったか」

12345「全く、巻き込まれた上に傷を負うなど・・・」

19999「でも、最小限の被害で済んだのさ・・・」

10398「・・・これは、貸しにしておきますよ・・・」

一方「・・・よかった」

土御門「・・・そうでもないぜ、一方通行」

一方「あァ?てめェはくたばってなかったのかよ」

土御門「・・・科学側の人間が天使の力に似たものを持っているなんて、今頃うちのお偉方は頭を抱えてるぜぃ」

垣根「んなのはてめぇらでどうにかしろよ」

土御門「おぉ、厳しいな」

垣根「・・・俺達はもう帰るからな」

体を起こした垣根が、もう一度空を見上げる



957 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 15:10:08.81 ID:gtqWL0MT0
番外「・・・・そうだね、さっさと帰りたいよ・・・」

垣根「・・・上条達と連絡取ろうぜ、あとは土御門に任せるよ」

土御門「責任はねーちんにパース」

神裂「そ、それはあなたの責任でもあります!!」

土御門「あーあ、カミやんも上手くやってくれたみたいだし・・・一件落着ってとこか」

一方「・・・そォだな」

心理「・・・でも、どうしてあの天使はいきなり消えかけたのかしら」

垣根「知るか、帰ろう帰ろう・・・」

ふらつく足取りで、学園都市組が上条達の下へ向かう



上条「・・・おっす、上手くやったみたいだな」

垣根「おう、そっちもな」

土御門「しかし、まさかカミやんがあのリガルディーってヤツを・・・」

上条「?誰だよ、俺は不動を・・・」

番外「あれ、例の日本人?」

美琴「・・・?」

垣根「・・・いいだろどうでも、もう帰りたい・・・」

心理「ふふ・・・そうね」


958 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 15:14:10.90 ID:gtqWL0MT0


ローラ「・・・全く、学園都市側の人間が天使の力を手に入れかけてるとはね」

紅茶を飲みながら、ローラは笑っていた

ローラ「・・・それに、あやつも現れたりてよ」

アレイスター・クロウリー

イギリス清教の中でもトップクラスだった人間

ローラ「・・・今回は借りにしておかないといけないかしら」

クスクスと笑いながら、ローラが紅茶を口に含む

ローラ「・・・美味しいわね」

いつものものよりも、とても美味しい

ローラ「・・・さて、こっちは事務処理で追われるわね・・・どうしましょう」

面倒な仕事は部下に任せればいい

ローラ(・・・アレイスター、か)


ローラ(・・・しかし、あやつは・・・今どこにいるのかしらね、学園都市の窓のないビルにはいなかったけど)


959 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 15:26:11.30 ID:gtqWL0MT0


テクパトル「ただいま・・・酒、買って来たぞ」

アレイ「・・・あぁ、ただいま」

テクパトル「?いや、そこは普通お帰り・・・」

アレイ「なに、私も出かけていたのだよ」

テクパトル「そうなのか?」

アレイ「・・・さて、飲むとするか」

テクパトル「・・・なぁ、どこに行ってたんだ?」

アレイ「面白い場所さ、とても興味深いところにね」

テクパトル「・・・そうか」

酒をグラスに注ぎながら、テクパトルが笑う

アレイ「・・・さて、では乾杯といくか」

テクパトル「・・・あぁ」


アレイ・テクパトル「乾杯!」


960 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 16:25:34.21 ID:gtqWL0MT0


番外「・・・いってぇ、あぁいってぇ!!」

飛行機の中で、番外個体はギプスの巻かれた腕を押さえていた

一方「うるせェな・・・」

美琴「・・・でも、心理定規が仮に巻いた包帯だから・・・」

心理「そうね、早く病院で本格的に治療しないと」

上条「・・・はぁ、みんなお疲れ様」

垣根「・・・そうだな、疲れたよ」

窓から見える雲を見つめ、垣根が笑う

垣根「・・・本当に、いろいろあった」

一方「あァ」

上条「・・・帰ってゆっくりしたいよ」

美琴「うん・・・」

心理「・・・ところで、上条君」

上条「ん、なんだ?」



心理「その座席、シートベルト壊れてるけど大丈夫?」

上条「」

一方「そろそろ着陸だなァ」

番外「ドンマイ、上条」

上条「嘘だろぉぉぉぉ!!!!」

ガクン、と機体が揺れた・・・


上条「不幸だぁぁぁぁ!!!!!!!!」



961 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 16:31:42.21 ID:gtqWL0MT0


ということで真面目なのはここまで

またいつもに戻りますね

次スレはこちら
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1325230092
962 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 17:05:19.99 ID:0UiE+Mfg0
乙なんだよ!!
963 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 18:34:30.31 ID:gtqWL0MT0


垣根「・・・なんで俺がこんな格好しなくちゃならねぇんだぁぁぁ!!」

垣根は頭を抱えていた

季節は春、4月の末

この前のイギリスのあとは何一つ変わらない平凡な日常を送っていた




ある日美琴から、「ちょっと手伝って欲しいことがある」と頼みごとをされたのだ

学校が始まってるんですけど、と言ったところ「いや、休日のバイトみたいなのを手伝って欲しくて」と

それだけだと思っていた

どうせ、コンビニで「暖めますか」なんて言ったり、飲食店で「いらっしゃいませ」なんて言うんだと思っていた

なのに


垣根「・・・ゲコ太の着ぐるみなんてやってられるか・・・」

彼は今、ゲコ太になっていた

顔だけ垣根、体は蛙

その名は

垣根「ていとくん!!」キリッ


垣根「じゃねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」



上琴と未元定規、ゲコ太になってビラ配りの巻き


964 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 18:40:15.49 ID:gtqWL0MT0
美琴「・・・さっきから何一人で叫んでるのよ」

垣根「おっかしいだろ!?なんでみんなゲコ太なんだよ!?」

美琴「失礼ね!!私と心理定規はゲコ子よ!!」

垣根「知らないからそんなマイナーなキャラクター知らないから!!」

美琴「マ・・・人気絶頂のゲコ太に何言ってるのよ!?」

垣根「なんなんだよ、大体俺はバイトを手伝って欲しいって・・・」

上条「いや・・・一応さ、この格好でビラ配りなんだよ」

垣根「おっかしいだろ!?ブタとかならいいよ、ゴレンジャイだったらファルコンの格好していきなり転んだ挙句、片足外れちゃってもいいくらい俺は着ぐるみ大好きだよ!?でもなんでカエルなんだよ!!」

美琴「だからカエルじゃなくてゲコ太!!」

垣根「なんでだよ!?」

上条「ゴールデンウィーク近いだろ?で、ちょうどゲコ太の新グッズが発売されるからそのビラを・・・」

垣根「なに!?ゲコ太の格好がしたかっただけ!?」

美琴「い、今ならバイトした人全員が限定ゲコ太ストラップ1個ずつもらえて・・・それがちょうど4種類なのよ」

垣根「あぁこれだよマニアだよオタクだよ!!集めたいものはどうやってでもとことん集める人だよ!!CDとかに握手券ついてたら何個でも買っちゃう人だよ痛い人だよ!!」

心理「静かにしなさい、そろそろ覚悟を決めないと」

垣根「心理定規・・・お前は何着ても可愛いけどカエルの口から顔が出てるあなたはどうにもシュールだよ!!」


965 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 20:02:12.32 ID:gtqWL0MT0
上条「落ち着け垣根・・・」

垣根「はぁ・・・こんなお目目クリクリなだけのカエルのどこがいいんだよ・・・」

美琴「何よその言い方!?ゲコ太はね、ケロヨンの隣に住んでるおじさんで乗り物に弱いからすぐゲコゲコしちゃうのよ!!」

垣根「あぁそう!!ゲロが得意なんですね分かるよ!!」

美琴「いーえ分かってないわ!!大体、アンタ・・・」

心理「はいはい、静かになさいな」

パンパン、と心理定規が手を叩く

心理「・・・美琴、人の感性はそれぞれよ?あなたが可愛いって思うものを、そうではないと思う人もいるの」

美琴「で、でも・・・」

心理「あなた、ニシキヘビを可愛いって思う?」

美琴「それは・・・」

心理「世の中には好き嫌い、向き不向きってのがあるの・・・それは覚えておきなさい」

美琴「・・・はい」

心理「垣根、あなたもあなたよ?美琴が可愛いって思ってるものを本人の前で馬鹿にするなんて思いやりが足りないわ」

垣根「だ、だけどさぁ・・・」

心理「それに、今更騒いでも仕方ないのよ?だったら出来る限り恥を捨てましょう」

垣根「・・・仕方ねぇ・・・」

心理「最後に上条君」

上条「俺も!?」

心理「ほっぺたにご飯粒ついてるわよ」

上条「」


966 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 20:06:31.39 ID:gtqWL0MT0
心理「さて・・・そろそろ時間だし、行きましょう」

四人がいるのは着替えのために用意された更衣室だ

女二人が着替えるときは、「男の誓い」なるものを結ばされて目隠しをされた挙句に隅っこで体育座りさせられ、壁に向かって今年の目標を呟かされた

美琴「・・・私・・・似合ってるかな?」

心理「えぇ、とっても素敵よ」

美琴「ほ、本当!?」

心理「あとで記念に写真でも撮ってみる?」

美琴「うん!!」ニコニコ

上条(・・・心理さんって、なんかお母さん的な立ち位置になってきてるな)

垣根「・・・よーし決めた、俺はゲコ太だ、俺はゲコ太だ・・・」

上条「・・・垣根、自分を見失うなよ」

垣根「ゲコッ?」

上条「早速見失ってんじゃねぇかちくしょう!!」

垣根「うっせーな、ボケだよボケ」

上条「はぁ・・・クラスメイトに見つかったりしないよな」

垣根「立った!!フラグが立った!!」

上条「・・・そうだな、こういう台詞は避けよう・・・」

心理「じゃ、行くわよ」


967 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 20:14:01.05 ID:gtqWL0MT0

バン、と勢い良く更衣室のドアを開ける

目の前には、移動用の通路がある

ちなみのちなみに、ここはあるショッピングモールの職員用通路だ

つまり、四人はショッピングモールでビラを配ることになる

上条「・・・ノルマがあって、達成できればボーナスも出るんだっけ」

垣根「ゲームみたいだな、人生なんてゲームだけどさ」

心理「・・・でも、一人500枚ってすごいわよね?」

美琴「・・・午前と午後で、250枚ずつか・・・」

上条「・・・自給780円ってどうなんだろ」

垣根「学園都市では安いほうだろ・・・ちくしょう、羞恥プレイならもう少し高くしろっての」

心理「いいじゃない、ミニスカ履かされて腰振らされるよりはマシよ」

垣根「・・・そういう生々しい話はどうかと思う」

美琴「・・・ゲコ太ストラップ・・・」ウズウズ

垣根(こいつの頭の中、カエルのことしかねぇのかよ・・・一年中雨か?)

心理(・・・でも、このゲコ太っていうキャラクター、ヒゲが生えてるのね・・・ゲコ子とピョン子は違うのかしら?っていうかケロヨンが主人公なの?)

上条(・・・俺、絶対誰かに見つかる・・・)

それぞれが全く違うことを考えながら、通路を進んだ


968 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 20:42:27.93 ID:gtqWL0MT0

上条「・・・すげぇ、やっぱり休日は人が多いな・・・」

垣根「・・・子供も多いし、わりといけそうだな」

美琴「そうね・・・」

心理「・・・なんか、やっぱり少し珍しい目で見られるわね」

通路から出た四人は、ショッピングモールの大通りの前に出た

学生が行き交う大通りを、少しもたつきながら歩く

着ぐるみでのビラ配り自体はわりと見る光景だが、何しろ中にいるのがあの「超電磁砲」や「垣根帝督」なのだ

それは、珍しい目で見られても不思議ではないだろう

上条「・・・なんか、注目されると恥ずかしいよな」

垣根「そうか?別にそうでもないけどさ」

心理「・・・でも、美琴と垣根が理由よね」

美琴「そうかな?」

垣根「・・・でも目立つってのはいいことだ、おかげで子供が集まってくるぜ」

垣根が指差した方向から、子供達が走ってくる

「ゲコ太とゲコ子だー!!」

垣根「おう、ゲコ太だぞー」

「お兄ちゃん、ゲコ太なの?」

垣根「あぁ、ゲコ太だぞ」

上条「お、おい垣根・・・」コソッ

垣根「なんだよ」


969 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 21:01:37.77 ID:gtqWL0MT0
上条「も、もっとこう・・・子供の夢を壊さないようにだな・・・」

垣根「知るか・・・おいみんな、今度ゲコ太のグッズが新発売になるから買ってくれよな」

「ケロヨンはー?」

垣根「ケロヨンはお休み中だ、あとゲコ太をあんまり乗り物には乗せるなよ?」

「うん!」

垣根「よし、ゲコ太との約束だ」

ポン、と子供達の頭を撫でてから垣根がビラを渡す

垣根「じゃ、またな!!」

「バイバーイ!!」

美琴「・・・なんか・・・さ」

垣根「あぁ?なんだよ」

美琴「アンタって、子供には優しいわよね」

上条「・・・めちゃくちゃ自然な感じにしながらも優しいよな」

心理「・・・子供の相手とか慣れてるの?」

垣根「別に、ただああいう風にそっけなくてもいいから優しくしようってのが大切なんだよ」

美琴「・・・わ、私も負けないわよ!!」

上条「俺だって!」


970 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 21:12:06.93 ID:MStNgCAWo
垣根はいいパパになりそうだな
というわけで早く結婚しろよ!
971 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 21:36:46.38 ID:gtqWL0MT0
心理「・・・ねぇ、そこのお嬢ちゃん」

「?私?」

心理「えぇ、あなたはゲコ太とか、興味ないかしら?」

「そんなにないけど・・・」

心理「ふふ・・・でも、ビラくらいもらってちょうだい」

「う、うん!」

心理「ありがとう、いい買い物が出来るといいわね」

「ありがと!!」

心理定規は、あまり大勢では来ていない子供を狙った

理由は簡単、そういう子供と自分が少し似ているからだ


美琴「ほらほら!!ゲコ太の新しいグッズはストラップよ!!」

「おー!!」

美琴は、なぜか子供の知り合いが多い

しかも、ゲコ太通なだけあってかなり詳しい情報も持っている


上条「よ、よし!!俺も・・・そこのお兄さん!!」


ゴーグル「・・・?はい、俺っすか・・・って」

上条「あ」

フレンダ「あれ」

垣根「おぉ?」



972 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/30(金) 21:39:55.13 ID:gtqWL0MT0

今日はここまで

明日、明後日から三が日くらいまでは投下が減りますので


筋肉動画はこちら

「the real deal」 「本物の男」 クリス・カーミア

http://www.youtube.com/watch?v=Gq_VtzO97LU 

ラットスプレッドの広がり、太い腕と足、プロポーションのよい選手ですね

前にも紹介しましたが、アブドミナルアンドサイのときの腹筋の波みたいな動きがすげぇ

ではおやすみなさい

973 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 21:42:22.72 ID:YsviTBVp0
乙です!

おやすみなさい
974 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 21:43:21.06 ID:0UiE+Mfg0
乙です!!
975 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 23:02:41.56 ID:pWv+2+8/o
乙にゃんだよ!
976 :!ninja :2011/12/31(土) 03:16:19.22 ID:9a3I3MnNo
アレイスターもリガルディーもリアルに存在してたと今知った
法の書も生命の樹もリアルにあるのか
977 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 03:18:39.63 ID:9a3I3MnNo
sage忘れたスマン
978 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 04:00:03.40 ID:MsLfToHw0
乙!
ひと波乱のあとの日常回はほっとするな
ちなみにビラ配りはやったことあるけど500枚くらいならチョロい。人の流れにもよるけど
979 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 10:45:40.72 ID:CbLf01oIO
>>978
子ども向けは難しいんやで?
子どもはなかなかもらってくれないもん
980 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 17:59:38.80 ID:cWJNJ/IG0
>>976 エイワスも元々は実在のアレイスターが見た思念体「アイワス」がモデルですし、意外とオカルトは面白いです


ゴーグル「な、何やってんすかみなさん・・・」

フレンダ「えっと・・・ゲコ太とゲコ子な訳よ」

美琴「!わかる!?」

フレンダ「わ、わかるけど・・・なんで着ぐるみ?」

心理「・・・ビラ配りのバイトなのよ」

ゴーグル「・・・」

心理「何よ、あんまりジロジロ見ないで」

ゴーグル「あぁいや!なんか似合ってますね・・・」

心理「そう?」

上条「・・・まぁ、心理さんはわりとなんでも似合うタイプだからな」

美琴「・・・ねぇ、私は?」

ゴーグル「似合ってますよ、二人とも」

美琴「うーん・・・でもなんか動き辛いのよ、これ」

垣根「そうそう、なんか重いし・・・」

ゴーグル「・・・ぶっ」

垣根「あ?」

ゴーグル「あはははは!垣根さんはないっすよ、ゲコ太でしたっけ?さすがに似合ってませんよ!」



981 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:00:14.98 ID:cWJNJ/IG0
フレンダ「ゴ、ゴーグル・・・」

ゴーグル「はぁ・・・はは!しかも顔だけやけにイケメンだから可愛らしいボディーとのギャップが・・・」

垣根「・・・お前、今笑ったか?」

ゴーグル「は・・・ってなんかめちゃくちゃ怒ってませんか!?」

垣根「ナメてやがるな・・・よほど愉快な死体になりてぇと見える」

上条「待った待った!ゲコ太の格好でそんな台詞はいただけません!」

フレンダ「ほ、ほら!ビラ配り頑張らなきゃダメなんだよね!?」

垣根「どけ、俺はそこの地味馬鹿ゴーグルを叩きのめさなきゃ気が済まねぇ」

ゴーグル「・・・そ、そんな格好で言われても・・・」

垣根「この野郎!」

美琴「やめなさいって・・・あ、ゲコ太の新しいグッズが発売になりましたー!」

心理「もしも興味があったら買って下さいね」

女二人はそんな喧嘩の最中でもしっかりとビラを配っていく

フレンダ「・・・じゃ、行こう」

ゴーグル「そ、そうっすね!」

上条「・・・そういえば、二人はなんでここに?」

ゴーグル「買い物っす・・・」

フレンダ「デートな訳よ!」



982 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:00:40.60 ID:cWJNJ/IG0
ゴーグル「いや、ただの買い物じゃないっすか」

フレンダ「・・・垣根、やっぱりこいつぶん殴ってもいい訳よ」

垣根「よしきた」

ゴーグル「いやいややめて下さい!」

首を振りながら、ゴーグル男がフレンダの手を取る

ゴーグル「じゃあみなさん、頑張ってくださいね!」

フレンダ「ゲコ太のグッズ、私も買うからねー!」


垣根「・・・早速知り合いに見つかるなんてな」

心理「まぁ、あの二人ならまだマシよ」

上条「だよな・・・あんまり言い触らしそうにはないし」

美琴「・・・でも、幸先いいわよね」

垣根「皮肉たっぷりな言い方だなおい」

上条「・・・そうだな、このペースだとすぐに・・・」

垣根「あ、そこのお嬢さん」

「?私?」

垣根「君はゲコ太とゲコ子とケロヨンとピョン子、どれが好きかな」

「ゲコ太!」



983 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:01:13.75 ID:cWJNJ/IG0
垣根「じゃあ、こっちにおいで」

「?」

近寄ってきた女の子を、垣根が優しく抱きしめる

「!」

垣根「携帯持ってるか?」

「う、うん」

女の子が自分の携帯を差し出す

垣根「御坂、写真撮ってくれよ」

美琴「う、うん・・・いいけどどうして?」

垣根「なぁ、パパとママ、好きか?」

「うん!でもね、最近はあんまり会えないんだ・・・」

垣根「・・・学園都市にいたら中々な・・・」

女の子の頭を優しく撫でながら、垣根が笑う

垣根「だから、ゲコ太との写真をパパとママに送ってあげな」

「うん!」

美琴「・・・撮るわよ」



984 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:01:48.99 ID:cWJNJ/IG0
垣根の言葉に苦笑しながら、美琴が写真を撮る

女の子の笑顔が、とても可愛らしい

垣根「じゃあ、ゲコ太グッズもお金があったら買ってくれな」

「約束する!」

垣根「あぁ、約束だ」

「じゃあね、ありがとうゲコ太!」

垣根「おうよ」

手を振った後で、垣根が笑いながら心理定規に話し掛ける

垣根「・・・こういう偽善的な行動も、たまにはいいんじゃねぇかな」

心理「・・・そうね」

垣根「あぁ?なんだよ、なんか不機嫌だな」

心理「別に・・・あ」

目の前を通った男の子に、心理定規が声を掛ける

心理「ねぇ、坊や」

「?なに?」

心理「あなたはゲコ太とか好きじゃないかしら」

「えー、世の中はもうゲコ太じゃなくて仮面ライダーだよ!」

心理「あら、そうなの」

「うん!」



985 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:02:14.60 ID:cWJNJ/IG0
心理「だったらお姉さんが抱きしめてあげなくてもいいのね」

「!?」

垣根「!?」

美琴「ちょ、ちょっと、心理定規・・・」

上条「待った!男の子をその毒牙にかけたら・・・」

心理「あら・・・ねぇ坊や、どう?」

「お、俺、お姉ちゃんみたいな美人は好きだぜ!」

心理「ふふ・・・あなた、将来女の子に人気が出るわよ」

男の子を抱きしめた心理定規がニコニコ笑う

垣根「あぎゃぁぁぁ!」

心理「・・・ね、あそこにいるお兄ちゃんもそこそこ人気なのよ」

「ふーん・・・お姉ちゃんとお兄ちゃんって付き合ってるの?」

心理「あら、ゲコ太とゲコ子はそんな関係じゃないわよ」

「そうなの?」

垣根「違いますぅ!俺達は付き合ってますぅ!」

心理「それじゃ坊や、またね」

「う、うん!」



986 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:02:47.86 ID:cWJNJ/IG0
顔を真っ赤にしながら、男の子は走り去っていく

心理「どう?ヤキモチも中々妬けるでしょ」

垣根「・・・俺はただあの女の子に笑顔になって欲しかっただけだ・・・」

げんなりした表情で、垣根が他の通行人に声を掛けた

垣根「すいません・・・」

吹寄「はい・・・って」

垣根「あれ?」

その通行人は、吹寄と姫神だった

姫神「上条君に垣根・・・心理定規と御坂さんも」

吹寄「な、なんでそんな格好してるの?」

垣根「いや、ゲコ太グッズのビラ配りでさ」

上条「バイトしたら、限定のストラップがもらえるんだ」

姫神「・・・御坂さんのため。そういうこと?」

上条「そうそう」

吹寄「はぁ・・・なんというか、宿題もしないでこういうことをしてるなんて・・・」

上条「それは言わないでくれ・・・」

美琴「わ、私のために当麻は手伝ってくれてるのよ!」

吹寄「・・・まぁ、それは褒めてあげるわ」

姫神「好きな人に一途なのは。素直に偉いと思う」

心理「・・・そうだ、あなた達もビラ、もらってちょうだい」



987 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:04:01.37 ID:cWJNJ/IG0
吹寄「あぁ、いいわよ」

心理「はい、これ」

垣根「姫神は俺から受け取るよな!?」

姫神「上条君。ちょうだい」

上条「あ、あぁ」

垣根「」

上条が姫神にビラを渡す

美琴「・・・二人は買い物ですか?」

吹寄「えぇ、せっかくの休みだから」

垣根「・・・姫神に嫌われてるのか俺・・・」

姫神「そういうわけだから。あまり長居は出来ない」

上条「あぁ、じゃあまたな」

吹寄「宿題、ちゃんとやりなさいよ」

そんな警告をしてから、二人が立ち去った


垣根「・・・嫌われてるんじゃない嫌われてるんじゃない・・・」ブツブツ

心理「鬱陶しいからやめなさいよ・・・」

垣根「・・・にしても、なんでこんなに知り合いがいるんだろうな?」

上条「そりゃ、このショッピングモールでかいからさ・・・」

垣根「・・・そういうもんか?」


988 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:07:29.53 ID:cWJNJ/IG0


美琴「あ、すいません・・・」

麦野「はい、なんで・・・って超電磁砲じゃないの」

美琴「あれ?麦野さん・・・」

垣根「んだよ、お前もいたのか」

麦野「・・・な、なんだよその格好・・・」プルプル

垣根「ゲコーッ!!」

麦野「あははは!!だっせぇだっせぇ!!なんだよそのカエルはぁ!?」

美琴「カエルじゃないわよゲコ太よ!!」

麦野「あぁ、最近小学生を中心にして人気のあれ・・・」クスクス

垣根「御坂がその限定ストラップがほしいらしくてさ」

麦野「で?なんでそれでバイトに・・・」

心理「バイトをしないともらえないってわけ、しかも4パターンあるストラップだから私達も協力してるのよ」

麦野「へー、また物好きだな」

美琴「そういう麦野さんはどうしてここに?」

垣根「もしかしてフレンダ達のストーカーか?」

麦野「あぁ?あいつらもここに来てたのか・・・違うわよ、化粧品を買いに」

上条「化粧品かぁ・・・」


989 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:10:51.83 ID:cWJNJ/IG0
麦野「アンタはそういうの興味ないの?」

美琴「うーん・・・ないってわけじゃないんだけど」

垣根「御坂はババァなてめぇと違って顔の作りがいいからな」キリッ

麦野「お前、ちょっと表に出ろよ」

垣根「それは着ぐるみから出ろって話か?あぁ?」

上条「お、おい・・・子供達が見てるからやめろって」

麦野「ちっ・・・」

垣根「はい、ゲコ太のグッズあるから買ってくれよなー」

美琴(・・・にしても、垣根は本当に子供に人気ね・・・)

麦野(あぁくそ・・・垣根ムカつく)

垣根「そうだ、お前もビラいるか?」

麦野「いらないわよ、興味ないし」

垣根「でもよ、こういう若者に人気な物のデータも集めないと、時代に置いてかれるぜ?」

麦野「・・・」

垣根「時代ってのは駆け足だ、追いつくのは難しいくせに止まってくれることはない、そこには結局一時の流行しかなく・・・」

麦野「あぁもういいわよ・・・もらえばいいんでしょ」

垣根「そういうこと、はい」

垣根がビラを麦野に差し出す


990 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:14:33.17 ID:cWJNJ/IG0
麦野「いや、アンタからは受け取らないから」

垣根「は?」

麦野「超電磁砲、ちょうだい」

美琴「う、うん」

美琴が麦野にビラを渡した

垣根「待てよ!!なんで!?普通お前との組み合わせは俺だろ!?巷で人気の未元崩しだぜ!?」

麦野「そんな人気知らないし気味悪いから」

垣根「うっはぁ!!世の中の未元崩し派に喧嘩を売った発言、心理定規さんはどう思いますか!?」

心理「坊や、ゲコ太は好きかしら?」

「うん!!大好き!!」

心理「ふふ・・・いい子ね、子供はそうでなくちゃ」

垣根「うわぁノータッチだ!!一方その頃上条さんはこーんな意見を持っていた!!」

上条「・・・配り始めて1時間で70枚・・・となると、あと6時間くらいか・・・」

垣根「なんでシカトするんだよ!?シカトですか!?なら俺はみんながシカトする様をしかと見届けることにします!!」

美琴「・・・麦野さん、またね」

麦野「また」

垣根「帰った!!帰ったよ、もうイヤだよ!!!」

心理「落ち着きなさい」


991 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 18:18:37.07 ID:cWJNJ/IG0
垣根「・・・ちくしょう、なんで俺がこんなことしなくちゃならねぇんだ・・・」

上条(また始まった・・・さっきも言ってたな)

垣根「俺ってさ、第二位だよ?すげぇ能力者なんだぜ、こんなことしなくても暮らしていけるんだぜ?」

美琴「はいはい・・・もういいから」

垣根「なのにさ・・・?あれ、あれってテクパトルだよな」

上条「ん?本当だ、あとミサカ達・・・か?」

垣根が指差した先には、テクパトルと妹達(特殊メイク済み)がいた

美琴「おーい、みんなー!!」


御坂妹「?・・・!!!ゲコ子がミサカに手を振っています、とミサカは・・・」

10033「こらこら10032号、その語尾は禁止・・・って本当ではないですか!!なんでですか、まさかミサカ達の魅力にカエル達も気づいてしまったのでしょうか!?」

13577「あのつぶらな瞳が可愛らしい・・・」

テクパトル「落ち着けよ・・・あれ、義姉さんじゃねぇか」

17600「あと、お義兄様、垣根、心理定規だな」

20000「うっへー、いい歳してなんて格好してんだろ、羨ましい」

テクパトル「・・・ビラ配りだな、きっと」

19090「・・・行きますか?」

テクパトル「呼ばれてるし・・・仕方ないか」


992 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 20:08:55.85 ID:cWJNJ/IG0

垣根「あ、来た」

テクパトル「よぉ・・・ビラ配りか」

美琴「うん、ゲコ太ストラップの限定品がもらえるのよ!」

御坂妹「!そんな情報、知りませんでした・・・」

上条「いや・・・知ってるほうがすごいけどさ」

心理「あなた達はお買い物?」

19090「はい、ちょうど服も春物に替えないといけないので」

垣根「へぇ・・・お前達でも気にするんだな」

14510「ミサカ達をなんだと思っているんですか」

10039「こう見えてもオシャレさんですよ」

垣根「オシャレさんって言い方は今日日古いぞ」

テクパトル「・・・じゃあ、ビラ貰うか・・・」

テクパトルが美琴からビラを受け取る

テクパトル「・・・しかし、義姉さんは中々似合ってるな、可愛らしくていいよ」

美琴「そ、そうかな?」

テクパトル「あぁ、似合ってる」

ミサカ一同「・・・」

テクパトル(なんだこの冷めた視線は・・・)

垣根(おーねがいー!さーむいめーでーみーつーめーないでー!!)


993 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 20:12:36.01 ID:cWJNJ/IG0
御坂妹「テっくんは相変わらずの平常運転ですね」

17600「ミサカ誑しのクソッタレだな」

20000「そうやってミサカ達のクリトリスに手を忍ばせても意味ないんだぞ!!」

テクパトル「さて、20000号はここに置いていくか」

20000「そ、そんな・・・全裸で放置なんて//」

テクパトル「なぁ・・・MNWがおかしいのか、こいつは」

17600「いや、頭がおかしいんだ」

心理「・・・あなた達、仲良しよね」

テクパトル「そりゃ、家族だからな」

垣根「ほらほら、家族の時間は大切にしな・・・じゃあまたな」

テクパトル「あぁ、頑張れよ」

上条「・・・あぁ」

テクパトルと愉快なミサカ達は去っていった


美琴「・・・すごいわね、知り合いがたくさん通るわ」

上条「・・・言い知れない不安に駆られるのは俺だけか?」

垣根「・・・いや、お前だけじゃないって」

心理「・・・私も、ちょっぴり不安よ」


994 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 20:23:54.91 ID:cWJNJ/IG0
こっちのスレはここまで

新年がそろそろ幕明けますね

来年こそは、いい年であることを願います

ここに来るまで、色々なことがあった

そもそもの始まりが、「アルバイト」からのスタートだった

とあるラジオの禁書目録Uを聞いて一日を過ごしたり、バイトで稼いだお金をサプリメントに使いすぎたり、SSを書き始めるなんてこともした

途中からは正気なんてなくなった、自動車学校に通い原付を買い、学校行事ではサトリナそっくりの女子と話せたし体育祭ではテンションが上がりすぎて死に掛けたりもした

ハロウィンは仮装なんてせず、クリスマスはリア充を呪っていた

そして。、長かった、と思う

ここまで来る間の出来事は、決して楽しい事ばかりではなかった

何度も他人に縋り、何度も他人に泣きついて、そんなことを繰り返してきた


だけど

>>1はまだ走れる

いつかこんな平和な日常は終わってしまう

トレーニング中にぽっくりなんてこともあるだろうし、大学や仕事が忙しくなることもあるだろう

仕事のために惰性で生きる人間にだってなるかもしれない


でも、と拳を握ってキーボードを打ちながら、>>1は笑う


何もこんな悲劇的な結末じゃなくてもいいはずだ

そいつを少しでも彩るために足掻いてもいいはずだ

十二月三十一日

2011年は終わりを告げた


>>1はその日、二度目の賢者タイムを迎える



ということで、よいお年を





995 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 20:44:03.02 ID:VRSnVcGRo
乙なんだよ!
996 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 20:59:37.44 ID:iOr04FtDO
>>1乙である。

>>1のお陰で勉強がろくにできなk……ゲフンゲフン
>>1の書くSSは日々の楽しみでした。

>>1とこのスレの住人に幸あれ。
よいお年を。
997 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 21:05:57.54 ID:SMuodttfo

          , -‐─── 、 _
        /: : : : : : : : : : : : : : ヽ、
        l, ' ` ‐----‐''ヽ: : : : : : ',
        l:!        ノ: : : : : : :',
        i!,,__   ,,,,__  ヽ: : : : : : : ',
.       /', ィッヾ /ィッ、,,゙   ): : : : : : |
      /: :|  /      .::::}>ミ: : : : :}
      {: : ',  (__,,)   .::::::,'-''´: : : : }
      {: : :.', 、_,_    /: ,, : : : : :,'
      (_/ ヽ.‐-     ///: : : : :{
     -‐‐', / | ゙‐-‐ ' "´  lヽ、ヽ: : :ヽ
      `i ̄', |       | /  r‐ ̄
       ',  | }        /〈 、 ./
        l  | l     //ヽ`'

   セント・リー・ガッセン[Cent'lee Gassen]
        (1954- 米)
998 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 21:25:16.36 ID:Oq8PClQD0
乙乙
999 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 21:39:55.97 ID:96d7ga4Do
>>999なら心理さんと結婚
1000 : ◆G2uuPnv9Q. [sage saga]:2011/12/31(土) 21:52:03.27 ID:cWJNJ/IG0
>>1000なら俺はサトリナと結婚
1001 :1001 :Over 1000 Thread
   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|
   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ                             
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