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超電磁砲は夢を見ない - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 22:28:23.16 ID:yIkt8OUi0
このssはとある魔術の禁書目録及び、とある科学の超電磁砲の二次創作です。
特定のカップリングは予定しておりません。
御坂美琴を中心に、妹達(主に打ち止めや番外個体など)一方通行について書いていけたらと思っております。
最後までお付き合い頂いたら幸いです。

※以前、禁書目録の総合スレに投下した「金平糖の空」という短編ssを序章としています。

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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

2 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/20(火) 22:33:59.59 ID:prEfe7nDO
ではまずその金平糖の空とやらを貼ってもらおうか
3 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 22:46:58.59 ID:yIkt8OUi0

序章 金平糖の空



 母は常日頃、それこそ四六時中。
 呑気で陽気で楽観的な人間だと、他人からは思われているだろう。
 アルコールを体内に流し込めば百発百 中酒に飲まれること間違いなし。
 「ダメな大人」と言えなくもない三十路をとうに過ぎた女。

  曰く博愛主義を掲げる彼女は、確かに情を注ぐ対象が多いと言えるだろう。
 花の香りのフラグレス。
 体にフィットする皮パンツ。
 水の中を掻っ切るように泳ぐ瞬間。
 ごつごつとした掌で己の身体を抱き締める男。
 本人の遺伝子を九割以上受けついだのでは? と思いたくなるほど彼女の面影そのままに生まれてきた娘――。

 忙しなく過ぎる日々の中で彼女は常に愛を謳った。

 日常を形成するパズルのピース全てを、慈悲の母性で満たそうと生きる人。
 それが美琴の中で形成された母の輪郭だ。

 自他ともに認める愛多き女がこよなく愛するものは。
 多分、自分でも父でも、 勿論、アルコールでもない。
 きっとそれは。

 金平糖が散らばった満天の星空に違いないのだと、一四になった美琴は信じて疑わない。
4 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 22:53:00.95 ID:yIkt8OUi0
◆◇◆◇◆

美琴が四歳五歳といった年頃の頃だっ たろうか。

その日は、扇風機を回す程は暑くない 夏の夜だった。 やさしい風が頬に気持ちいいだろうと 涼みを兼ねて部屋から出たベランダに は、 父が珍しく日本に戻って来た時に、た まにしか会えない娘のご機嫌の取りの手 段して 「美琴ちゃ〜ん。おみやげだよー!」 と上擦ったテナーボイスと共に美琴に送 られた笹の葉の重なる音が響いた。 カサリカサリと乾いた掠れの音に誘わ れるままに視線を動かし「ソレ」が視界 に入るや否や、美琴は眉をしかめる。

『あまのがわをママとパパとみことでみ れますように。 みちかみこと』

短冊に書かれた字は所々ガタガタでミ ミズのようにうねっていて、「さ」の部 分が「ち」になっている。 正に覚えたての生まれたての文字。 お昼は幼稚園の先生と一緒に、夜は母 と一緒に。 練習して練習して練習してようやく美 琴が取得した(と本人は思っているが、 まだ完璧ではない)というのに。 流れ星も天の川も美琴の囁かな願いを 聞き入れず七夕当日を迎えてしまった。

「お星さまが美琴ちゃんの願い事をか なえてくれるんだぞ!」という父の言葉 を信じなければ良かった、と、 少女の頭の中を例えようのない不平不 満がぐるぐると駆け巡る。 「大人の事情」という、子供ならば避 けては通れないこの世の理不尽さを口を 膨らませながら噛みしめる。

804 :金平糖の空 1[saga sage]: 2011/08/26(金) 03:40:24.67 ID:7gczq9xS0

年相応に涙ながらに父を嘘つきと罵倒 できれば内在する悪態がきれいさっぱり 掃除できる事くらい、本能的に感じ取っ ていたが、出来たら苦労はしないのだ。 美琴が嫌嫌と泣くだけで一人娘に甚大 な愛を降り注ぐ両親は悲しそうに目尻を 下げる事が簡単に予想がついた。 美琴は隣に居る母にも、何処にいるか わからない遠い地にいる父にも、特に文 句を言う気は無かった。

しかし。 娘の些細な変化に気付かないほど母も 鈍感な人ではなく。 今にして思えばぷくっと頬を膨らませ てぶーたれている美琴の横顔を彼女が見 逃すはずもないと考える事が出来る。

気がついたからこそ、彼女は娘に語り かけるように歌を歌いだしたのだろう。

「きらきらひかる、おそらのほしよ」

静寂の夜に浮かびあがる歌声に、少女 の耳はピクリと動く。

美琴は耳慣れしたこの曲の正体を知っ ていた。 季節が穏やかな春から太陽きらめく夏 へと移り変わろうとしはじめた時期か ら、 大好きな幼稚園の先生がよくオルガン を弾きながら皆に歌い聞かせるように なったお歌。 すぐに曲名を思いだす。

「きらきらぼしっ!」

それ、私、知ってるよ。 キラキラと目を輝かせて、美琴は音を 奏でる母親につげた。

「すごいね。美琴ちゃん。物知り だぁっ!」

「あのね。あのね。おほしさまのおうた だよね!」

褒められた事に上機嫌になった少女 は、さっきの態度は何処へ飛んで行った のか知る限りの知識を母親に提示する事 に躍起になっていく。 あのね、あのね、と。 つたない舌使いで大げさな身ぶり手ぶ りを添えて、自分よりもずっとずっと背 の高い母親の顔を見上げて美琴は話し続 ける。

805 :金平糖の空 3[saga sage]:
5 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 23:15:05.79 ID:yIkt8OUi0

「せんせいがおひるねのときにうたってくれるんだよ
 それでね。ちいさな、ちいさな、おほ しさま。あなたはいったいだあれ? ってね、聞くおうたなんだって!」

 目尻を弛ませて、「うん、うん」と相槌を打つ母。
 両の肩で息をするほど全力でおこなわれる幼子の演説。
 
 演説を聞き終えると、しなやかな両腕を広げた。
 美琴を抱き寄せ 「すごい! すごい!」と白い歯を惜しげもなく見せ笑う母。
  わしゃわしゃと。せっかく整えた髪が豪快に乱れる程に頭を撫でられる。
  気恥ずかしさを紛らわそうと、美琴はこっそりと母の胸元に顔を隠した。
 しかし、歓喜の波に勝てるはずもなく。
 少女は隠れてにひひひと口元を緩ませた。

「みこと、このうただいすきっ!」

「ママもこのお歌大好きよ」

「ママも?」

「きっと、パパもだーい好きだよ」

「っ!」

 母も父も。 自分と同じ歌が好きだという。
 それだけで美琴の内側から高揚が湧き出てくる。自然と頬が桃色に染まった。

 無自覚にとくとくと刻まれる心の音にすら気付かずに、美琴の瞳は目の前の景色をそのまま反射させる。
  美琴の瞳はまるで鏡のように、目の前に広がる光景をありありと映し出した。

 笹の葉と睨めっこしていた視界はいつしか世界を変える。
 
 広がるのは、 満面の笑みを浮かべる母と、
 真っ白な金平糖が沢山散らばっていると思わせるような、満天の星空だ。
6 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 23:29:53.91 ID:yIkt8OUi0
 
 わあ、と感嘆の吐息をはいた後に。

「ねえねえ、ママ。おそらがこんぺいと ういっぱいで、おいしそう」

 ウキウキと、お月さまに浮かぶウサギの如く跳ねる心のままに告げる。

 そんな美琴の言葉を聞き目をパチクリとさせた母は、
 途端に腹を抱えて笑いだした。

「ぶっ、あっはっはっはっ!」

 美しい曲線を描く眉をへの字に曲げ、目尻に涙まで浮かべて爆笑した姿は今でも鮮明に覚えている。
 この件関しては中学生になった美琴も許してはいない。
 失礼だと思っている。
 別に、根に持っていはいないけど。…… 持ってないけど!

「マーマーッ!!」

「ごめんごめん。美琴ちゃんがあんまりにも可愛いこと言うからさ」

「むー」

「そっかそっか。美琴ちゃんにはお星様が金平糖に見えるんだね」

「……へん?」

「ううん。変じゃないよ。とっても、 素敵よ」

 金平糖が詰まっているビンは美琴に、とって宝箱とも宝石箱とも思えるものだった。
  淡い色の宝石は美琴の乙女心をくすぐる何かがあった。

 その「何か」は何だったのか。
 一四の美琴には見当もつかない。
 川辺の石を勇者の証だ見せびらかす男の子が居た。
 露店で買った玩具の指輪を永遠の愛の証だと信じた女の子がいた。
 
 子どものころに感じた見えない特別な幸せは、一人一人違っていて、
 美琴にとってそれは金平糖の詰まったビンだったのだろう。

 だから。
 ぎゅっと金平糖が詰まったビンが空に落ちて、
 ぱらりぱらりと中身が散らばったような天の川が流れていく星空 は、
 美琴にとって、とてもとても焦がれる空で、
 美味しそうな空で、キラキラの全てだ と、心に、瞳に、刻まれていく。
7 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 23:34:39.14 ID:yIkt8OUi0
 
 きらきらひかる よぞらのほしよ

 まばたきしては みんなをみてる

 きらきらひかる よぞらのほしよ

 

 きらきらひかる よぞらのほしよ

 みんなのうたが とどくといいな

 きらきらひかる よぞらのほしよ
8 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 23:42:14.85 ID:yIkt8OUi0

「ねえ、美琴ちゃん」

 歌を歌い終えた後、美琴を抱きあげた母は彼女の耳元で語る。
  夜八時を回り、羊の誘いに負けそうになる美琴。
 子守歌のような囁きが更に眠気を強くした。

「ママね、きらきらぼしが大好き。満天の星空が大好き」

 ぽんぽんとリズムよく叩かれる背中に絶対の安著の波が押し寄せてくる。
  ねんねんころり、と赤子の頃に注がれた母の慈悲が、呼びかえったのかもしれない。

「美琴ちゃんはいったよね。 お星様、アナタはいったいだあれ? って。
 ママね、お星様はきっと、大好きで大切で掛け替えのない人がお星様だと思うの」

 ここに居ない、あの人にも届けばいいのだけれど。
 と、ボソリと聞こえてきた記憶がある。

「ママにとってのお星様。

 それは、パパであり、

 そして、美琴ちゃん――――――――あなた、よ」
9 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 23:45:47.63 ID:yIkt8OUi0
お星さま、きらきら輝くお星様。

私が見ている星空を、遠いあの人も見ているだろうか。

お星様、きらきら輝くお星様。

私の声が、この子の声が 聞こえますか。

私には、この子には、あの人の声は聞こえますか。

お星様――あなたは一体何ものですか?

それはきっと、何処かの誰かの大切な人。
10 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/20(火) 23:59:36.33 ID:yIkt8OUi0
 
 ◆◇◆◇◆

 時は流れたが、変わる事もあれば変わらない事もある。
 父は相変わらず破天荒に世界を飛び回る、あやしさ100%のおじさんだ。
 母は相変わらずアルコールに白星を上げることが出来ない、駄目……というか残念な大人だ。

 美琴は小学校低学年の時にはすでに両親のもとから離れ、学園都市で生きることを選択していた。
 学園都市に来た理由は単純だ。
 ただ単に超能力と言うものに憧れを抱いたから。
 かつて、金平糖のつまったビンに心が奪われたように、超能力と言う新たな宝物に目を奪われてしまったのだ。

 能力開発を受け、美琴は『電撃使い』と分類される事となる。

「御坂さん。こう人さし指と人さし指を向かい合わせて、そこに意識を集中させて……」

 開発担当の研究員の言葉を思い出しながら、深夜、布団にくるまり能力を 行使した。

 パチッと小さな弾ける音。

「わっ!」

 一筋の紫電が指の間を駆け巡る。
 瞬時に脳裏に浮かぶ景色。
  暖かい眠りの中で聞いた『満天の星空が大好き』の囁きと彼女の横顔。

11 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/21(水) 00:06:12.03 ID:/RCD3GBU0
「……」

「……」

「……、お星さま、みたい」

 紫電に重ねるのは、空に散らばった無数の金平糖。

 いつか。 いつか、もっともっと。
  金平糖のような、キラキラひかる星のような光を、空いっぱいに浮かべる事が出来るようになれば。
  美琴のお星様。 ーー美琴の大切な掛け替えのない人達は喜んでくれるだろうか。

「……」

「がんばって、みようかな」

 自他ともに認める愛多き女がこよなく愛するものは、
 多分、自分でも 父でも、勿論、アルコールでもない。
 きっとそれは、金平糖が散らばった満天の星空に違いないのだと、一 四になった美琴は今でも信じて疑わない。

 ポツリと呟いた決意こそが、美琴の超電磁砲へとスタートだったーー、と。

 
 彼女は今にして振り返る。

12 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sagasage]:2011/12/21(水) 00:16:01.33 ID:/RCD3GBU0
以上、序章・金平糖の空でした。

途中改行と修正がおかしくなってしまい申し訳ありません。
本日のこれにて終了致します。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次の投下は一週間後の夜を予定しております。

一章・鉄橋にて空を仰ぐにつづく。
13 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 00:44:38.96 ID:PXke1dVx0
おう!
これ、読んで記憶にあるよ!
好きな作品のうちの一つだった
期待してる
14 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 00:46:37.71 ID:r+QLhg/80
これは…
すごくいい!
>>1
15 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 00:49:35.77 ID:OHZa9h3Po
ああこれか思い出した
とりあえず期待
16 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 01:04:44.97 ID:0G+qsKZ/0

総合で読んで凄く気に入ってた作品だ
まさか続きがあるとは…楽しみにしてます
17 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 14:07:12.42 ID:BkbYK5QDO


続き待ってる
18 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 01:07:05.98 ID:fYLLXOlZo
まだ?
19 :!ninja ◆MMK87RLv1GqO :2011/12/26(月) 03:00:54.71 ID:fYLLXOlZ0
test
20 : ◆MMK87RLv1GqO :2011/12/26(月) 03:04:01.34 ID:fYLLXOlZ0
誤爆
21 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga]:2011/12/26(月) 15:39:47.80 ID:gS5Qzl6I0
 
 一章 鉄橋にて空を仰ぐ



 学園都市に住まう全ての学生が恋焦がれ待ち焦がれた日が訪れた。
 終礼のチャイムが校内に鳴り響くと同時に、脱兎の勢いで教室から抜け出した学生は一人や二人ではなかった。
 もはや季節の風物詩ともなった少年少女達の行動を横目に、
 教師たちは『今年こそ、何も起こらなければいいのに……』と内心でため息をついたことだろう。
 
 数多の教育機関が軒を連ねるこの摩天楼には、
 ただいま、身の軽さに背中に羽をはやした(ような気分に浸っている)生徒が大量発生していた。
 
 第五学区では怒涛の期末試験の嵐を乗り越えた金髪頭の不良大学生が。
 第十三学区では赤いランドセルを背負い、短めの髪をカチューシャまとめた小学生が。
 第七学区の柵川中学では、枝毛一つない黒い長髪を撓らせ、
 右手に作りし握りこぶしを高々と天へ掲げた、セーラー服の女子中学生が宣言した。


「「「私は(俺は)、自由の身となったのだぁあああああッ!!!」」」


 つい先日までの通常試験並びに身体検査(システムスキャン)で心身ともに疲弊していた彼らの姿は何処にも見当たらない。
 その眼にうつすのは、明日からはじまる魅惑の楽園(パラダイス)な日々だけである。
 
 少年少女達は今日をもって解放された。
 
 こめかみが痛くなる算数や数学も、
 『ここは日本なんじゃー、ボケー!!』と放り投げたくなる英語や第二外国語も、
 ジレンマにかられる開発術も、
 今の彼ら彼女らを悩ます要因とはなりえない。
 
 普段の学生生活の中で悩みの種となる全てから、『自由』になった彼ら彼女に、今や立ちふさがる障害などありえなかった。

 第五学区の金髪頭の不良大学生が。
 第十三学区のカチューシャ小学生が。
 第七学区の柵川中学の女子中学学生が、輝くばかりの笑顔で再び吼えた。


「「「「ビバッ! 夏休みッッッ!!!!!」」」

 
 堅苦しい校長のスピーチは聞いた。
 容赦なく笑顔で現実を突きつけてくる担任教師から愛の鞭、もとい、成績表授与式にも涙を呑んで耐えた。
 耳にタコが出来るほどに聞き飽きた『長期休暇中の諸注意』を右から左へと受け流せば、
 遠距離恋愛の恋人よりも恋しかった終礼のチャイムが鳴り響けばこちらのもの。
 歓声を挙げて廊下から教室へと流れ出ていく生徒達の後姿の神々しさといったら。

 七月十九日。
 本日は晴天なり。
 四月二日よりはじまった一学期の最終日。
 全ての学生のスイートハニー&マイダーリンこと、みんな大好き『夏休みさま』が明日、七月二十日から盛大に開始される。
22 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/26(月) 16:00:23.88 ID:gS5Qzl6I0

 ◆◇◆◇◆

 学年が上がろうと、学校が変わろうと、少女達が集う秘密基地は変わらない。
 白井黒子が通う常盤台中学と、佐天涙子と初春飾利が通う柵川中学のほぼ中間地点にその店は在った。
 第七学区の某有名ファストフードチェーンのお店の一角が、美琴達のお決まりのたまり場である。

 一年近く通いつめると、注文するメニューも定番化してしまうものだ。
 それぞれが好みの飲料を頼み、他には特大サイズのポテトを一つ注文して、
 均等にそれを山分けするのが暗黙のお約束事項だった。

 店側からしてみれば小さめのサイズを人数分購入する方が良いに決まっているのだろうが、
 どれだけ小さかろうと、一つのもの一人で完食してしまうのは、大変心苦しい行為なのだ。
 総合的に摂取する量が同程度でも、「皆で分け合って食べた」という事実(言い訳)が乙女心には必要で。
 『ダイエットは気になるけど、まあ、皆食べてるし』なんて現実逃避が可能になる。

 赤信号、みんなで渡れば怖くない。

「うう〜…、受験なんてモン、滅んでしまえばいいんだ」

 投げやり気味にテーブルの上に突っ伏した佐天は、配分されたポテトをもしゃもしゃと頬張りつつ、恨み節を溢す。
 彼女の片手には担任から授与されたばかりの成績表がぐしゃと潰された状態で握られていた。
 
 先刻まで教室の中で『ビバッ! 夏休み!』と浮かれていた佐天の姿をこの場で知るのは、クラスメイトの初春のみだ。
 
 学生生活からは開放されても受験生活からは逃れない。
 悲しいかな、中学三年生。
 夏休みへの高揚は成績表という名の現実を見た瞬間に飛び散った。
 
 受験までラストスパートと言えるこの時期で躓くのは手痛いだろうに……、と、
 迎えの椅子に腰かける白井と初春が同情の視線を佐天に向ける。
 唯一、一足先に受験地獄から抜け出した美琴だけが、呑気な口調で佐天の話に耳を傾けている。
23 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/26(月) 16:12:42.71 ID:gS5Qzl6I0

「そんなにヤバかったの?」

「御坂さんが勉強を教えてくれているおかげで、なんとか第二志望は合格圏までいけそうなんです。
 ただ、どうしても第一志望の判定があがらないんです……」

「そういえば、佐天さんの第一志望ってどこだっけ?」

「…………、わ、笑いません?」

「失礼ね。私は友達の進路を鼻で笑うような人間じゃないっての」

「……き、」

「き?」

「き、霧が丘、です」

「へえ。霧ケ丘、かあ」

 美琴はズズ、と注文したジュースをストローで飲みながら相槌を打った。

 霧ケ丘女学院。
 第七学区に在る女子高等学校である。
 希有な能力の発掘・育成を得意とし、能力育成部門においては常盤台中学と並ぶとまで言われる学園都市屈指の名門校。
 
 常盤台中学のように受講者全員が、能力(レベル)基準による試験ではなく、
 一部の高位能力者を除き、霧ケ丘女学院は一般の学校と同様に筆記試験にて大部分の生徒を募っている。
 つまり、無能力者の佐天にも門戸は開かれているのである。
 唯一にして最大の懸念事項は、めちゃくちゃ偏差値が高い、ということ。
24 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [saga sage]:2011/12/26(月) 16:24:26.95 ID:gS5Qzl6I0
以上、一章 鉄橋にて空を仰ぐのほんの途中まで。

明後日の夜を投下予定としておりましたが、所用により本日に前倒し致しました。
そのため一章の中で書きあがった部分のみの投下となりました事ご了承ください。
短い量の投下となりましたが今回はこれにて。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回投下予定は来週の水曜日の夜です。

一章・鉄橋にて空を仰ぐにの続きにつづく。
25 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 16:38:18.72 ID:4Paayr5t0
超期待です!素晴らしい!

一方通行さんはどうしてるのかなぁー
26 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 16:38:56.09 ID:4Paayr5t0
ごめんageちゃったよ……
27 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 16:52:52.48 ID:6afn/Cfz0

原作より少し未来なのか
28 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage ]:2011/12/26(月) 17:23:22.90 ID:2QSu4L8Q0
あ、来てた!


すっごく期待してる
29 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 23:58:12.91 ID:ORI+D8KIO
美琴は無難に長点上機かなー
さすがに「例の高校」ではないとは思うが…
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/08(日) 19:12:35.74 ID:6fsK8Erw0

「あ、そうだ。確か、白井さんって霧ケ丘にお知り合いがいませんでしたっけ?」

御坂と佐天の会話を聞き、初春はふと思い出した事を、いつの間にか視線を己の右手に集中させていた白井に尋ねた。

「ええ、まぁ、」

 指先についた少量の塩を取ろうと親指と人さし指を擦り併せ悪戦苦闘している白井は、
 中々落ちない指先のヌメリに眉を潜めつつ、

「霧ケ丘を卒業された方なら存じていますけれど」

「え、マジですか?」

「マジですの」

 予想だにしない白井の交友関係に佐天は驚き目を見開いた。
 がばりと、テーブルに沈めていた身体を起こすと、マジマジと白井の顔を見返す。
 「これで良かったら」と何時の間にか初春から手渡されたウェットティッシュで手元を拭うツインテール少女に、
 佐天はテーブル越しにズズイと迫り、

「白井さん!!」

「……な、なんですの?」


「その人、紹介してくださいッッ!!」

 と、意気消沈していた瞳を輝かせた。

 嬉々と悲哀の表情をくるくると回転させる佐天。
 他三名が直ぐに内面を読み取ってしまう程にわかりやすく、彼女の顔にこう書かれていた。

『試験を簡単に突破するコツを教えてもらえれば!! この勉強地獄ともおさらば!!! お帰り私の夏休みぃっ』

31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/01/08(日) 19:25:35.19 ID:6fsK8Erw0

「えーと、佐天さん?」

「はい! なんでしょう御坂さん!」

「すごぉーーーく喜んでいるみたいだから、その、ちょっと言いづらいんだけど……」

 「乗らなきゃダメだろこのビックウェーブに」とでも言い放ちそうな暴走中学生に「待った」の声が。
 声の持ち主は、眼前二〇センチまで迫られて引き気味の白井ではなく、
 仲よし四人組唯一の上級生にして、
 ここ最近は受験を控えた三人娘の相談役兼家庭教師役を務めている美琴。
 どうにも歯切れの悪い口だったのは、彼女なりに立ち上がった少女を想ってのことか。

「黒子が知っている霧ケ丘の卒業生って、私の知り合いでもあるんだけど。
 結標さんって言う人でね。……多分、能力で選抜された人、だと思う」

「あっ」

 美琴の言葉に初春が小さな反応を返した。
 好物のメロンソーダを飲もうとしていた手が止まる。

 耳に聞こえてきた『結標』の名は、初春にも心当たりがあった。
 
 記憶をたどれば、直ぐに当時の光景が眼に蘇ってくる。
 二年前の夏休み。
 風紀委員(ジャッジメント)として関わり、圧倒的な機動力・攻撃力をもって現場を駆けた相棒が、
 自分のサポート不足によって大けがを負ってしまった、今でも思い出すのが忌まわしい、あの八月の事件の関係者として挙がった名は――、

「結標淡希」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/01/08(日) 19:30:11.63 ID:6fsK8Erw0
―内容訂正―

 記憶をたどれば、直ぐに当時の光景が眼に蘇ってくる。
 二年前の夏休み明け。
 風紀委員(ジャッジメント)として関わり、圧倒的な機動力・攻撃力をもって現場を駆けた相棒が、
 自分のサポート不足によって大けがを負ってしまった、今でも思い出すのが忌まわしい、あの九月の事件の関係者として挙がった名は――、

「結標淡希」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/01/08(日) 20:14:14.68 ID:6fsK8Erw0

「およ? もしかして、初春もそのムスジメさんを知ってるの?」

「……いえ、直接お会いした事はありませんよ。書庫(バンク)で見たことがあるだけです」
 
 霧ケ丘女学院にかつて在籍し卒業生となった結標淡希は、「空間移動(テレポート)」系能力者の最高峰に鎮座する高位能力者である。
 大能力者(レベル4)に分類されるが同ランクである白井との実力差は歴然としたもの。
 超能力者(レベル5)に近い大能力者、と評すればいいだろうか。

「書庫によれば、彼女は大能力の空間移動能力者ですね」
 
 初春は率直にそれだけを佐天に伝えた。
 空間能力という学園都市内に百もない希有な能力と、超能力者に次ぐ高強度(レベル)。
 誰がどう考えても、結標が筆記による試験で名門校のドアを叩いたとは思えなかった。

「……うぐぅ」
 
 目の前に現れた希望の灯は非情にも瞬殺された。
 ドサリ、と。再び佐天の上半身がテーブルの上へと舞い戻る。

「うふ、うふふふふふふふ」

 授業中に腕を組んで居眠りに興じる学生のような体制で、佐天は力ない笑い声を漏らした。
 ああもう、畜生、お手上げだよと言いたげな声色と、困ったように寄せられる眉間の皺。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/01/08(日) 20:29:03.88 ID:6fsK8Erw0

「はっはー、現実はヘビィだぜ」 

 ため息交じりの佐天の独り言。
 同時にぐしゃっと握ってしまった成績表の残骸が視界に入る。
 
 第一希望の合格圏には手が届かない成績結果が記された紙。
 バクバクと柄にもなく緊張の面持ちでソレを受け取った際、
 中学一年生の頃からの担任教諭の大吾からは『霧が丘はまだ遠いが、佐天はがんばってるな』と褒められたことを思い返す。

 事実、
 受験本番の半年も前に、佐天は第二希望の学校の合格確定圏まで手が届きそうな所まで学力を上げていた。
 霧ケ丘には及ばなくとも、第二希望とて名門と呼ばれるに相応しい高校だ。

 学園都市は良くも悪くも完璧な実力主義が根付いている土地。
 年齢も性別も人種も国籍も人格すらも、何もかもが関係ない、正常でそれでいて異常な街。
 幼児から学生の全員に不公平はなく総じて平等に的確に「個人」が評価されていく。

 個人の実力。
 その者だからこそ持ち得た力。
 それこそが、「自分だけの現実(パーソナルリアリティ)」に代表される学園都市における価値基準。

「嫌に、なっちゃうねぇ」

 『頑張っている』からこその苦い味なのだろう。
 ポテトの味でいっぱいだった口内は、いつしか鉄くさい愚痴の味が広がる。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/01/08(日) 20:57:17.64 ID:6fsK8Erw0
 
 類は友を呼ぶそうだが、はて、自分はそれに当てはなるのだろうか、と佐天はつくづく思う。
 
 学園都市の五指に入る常盤台中学に通う空間移動能者の白井黒子。
 知力体力超能力は平凡。けれども、特化した情報処理能力で風紀委員試験の壁を打ち破った初春飾利。
 そして、学園都市が世界に誇る、七人の超能力者の序列第三位にして、「発電系能力者(エレクトロマスター)」の頂点にいる御坂美琴。

 向かえと右隣に当たり前のように居る面子の濃さに、脳内が麻痺してしまいそうになる。
 
 佐天は「無い、無い」とばかり言っていた。
 
 美琴や白井のような強力な超能力も、初春のような一転突破な能力も「無い」。
 可愛いねと時たま褒められる容姿も一般論での物言いで、芸能人並に飛びぬけては「無い」。
 運動神経も芸術的センスも料理の腕も「人並」で括れてしまう程度でしか「ない」。

 佐天涙子は何処にでもいそうな普通の女の子だ。
 形容詞の付けがいが無い人間だと、自分自身で思ってしまうほどに「普通」。
 麻薬(幻想御手)でもいいから―――、と。現実逃避をしたのはいつだったか。 

 少女は「無い」からこそ「有る」ものに焦がれる。焦れる。
 だからこそ、満足いかない現状に打ちひしがれ、軽い気持ちで横道に逸れ、また打ちひしがれて、

 「嫌になるくらい、悔しいーーーーーー!!!」

 また、立ち上がる。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/01/08(日) 21:27:04.67 ID:6fsK8Erw0

「へっ!」

「「「佐天さん……?」」」

 唾を吐き捨てるような肉たれ口を放つ佐天に。
 軽く凹んでいた佐天を心配そうな面持ちで見ていた友人たちを置いてけぼりをくらう。
 さっきまで少ししんみりしてしまっていた空気は何処へ行った。
 行方不明になるには早すぎではないか。

「どーせどーせ、私は馬鹿ですよー!
 どーせどーせ、人の三倍勉強してもこの程度ですよー!
 いーもんいーもん、三倍で足りないなら五倍十倍泣きながら勉強してやるんだからーっ!!」

 さよならバイバイ元気でいてね、夏休み。また来年、ねっとりたっぷり逢瀬といこうぜ。 
 うがああああああ、とうめきながら、心の中で愛しいマイダーリンに別れを言って。
 気分はさながら天の川に居る織姫だ。
 一年後の再会に想いと願いを馳せて織姫(佐天)は地道に機織り(受験勉強)に精をだそうではないか。

「御坂さん!」

「ふぁいぇっ!?」

 名前を呼ばれた美琴は、突然の対応しきれずに中途半端な声を出た。
 恋愛面以外でこんな素っ頓狂な声と面をする彼女は、貴重だったり、なかったり。

「これからも、ご指導ご鞭撻お願いしますね!」

 『開き直った女は強い』
 そんな言葉を残したのは誰だったろう。
 今頃第五学区で真っ白になったジョーみたいに灰になった金髪大学生だった気もする。 

 今の今まで確固たる自分自身の実力を形成している友達らに、
 丸裸になるまで努力する姿を見せるのは気恥ずかしくて言えなかったり、
 結果が出てから驚かせたかった見栄もあった。

 『受験だから勉強を教えてほしい』とだけ言い、
 ひたかくしにしていた『霧ケ丘への受験』であったが……、

(ばれてしまった以上は仕方ない)
 
 試験を簡単に突破する当ては無いと知り、
 形振りかまう間柄でもないか、と今更ながらに思考転換をした佐天は、

「神様仏様御坂美琴様! 私を霧ケ丘に連れてって!」

 今まで以上に、スーパー家庭教師御坂美琴(十六にして大学卒業レベル)に勉学のアドバイスを要求するのだった。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/01/08(日) 21:45:29.41 ID:6fsK8Erw0
以上、一章 鉄橋にて空を仰ぐの途中まで。

数日投下が遅れ申し訳ありませんでした。

序章は美琴は十四ですが、一章では美琴が十六・黒子初春佐天が十四〜十五です。
佐天さんが霧が丘女学院を目指す将来も面白いのではと思います。
好奇心が人一倍強く珍しいものが好きそうな佐天さんと霧が丘が案外あうのではないかな、と。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回投下は明日の午後を予定しております。

一章・鉄橋にて空を仰ぐにの続きにつづく。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 22:50:46.34 ID:Hq45i3Z50
乙!
金平糖が好きだった俺はめちゃくそ期待してるぜ!
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 17:52:23.01 ID:anVk4HO90

 ◆◇◆◇◆

 スキー場でも、甲子園でもなく、霧が丘女学院なのね。
 
 そう、内心で感想を溢したのはご愛嬌。
 友人の頼みを無下にする選択肢は花から存在せず、美琴は佐天の頼みを一言二言で快諾した。
 
『よし、任された!』

 大船に乗ったつもりで安心しなさいとばかりに胸をはる。
 「それじゃあ早速」と美琴は益々教えがいの増した教え子に、
 次に会うときまでに受験用に持っている問題集全てを最低3周分解いてきてね、と厳命した。
 
 やるからには徹底的に。
 本気ならば絶対的な結果を手に入れられるまでに。
 求めるもの為なら泥をも被る努力を惜しまない彼女だからこその、第三位の今がある。 

 理想は5周だけど。
 そう、付け足した美琴の笑顔を見て、一瞬、佐天の体が氷のように固まったのは気のせいだろう。
 仮定の話だが、御坂美琴が教員や塾講師になったならば、受け持った生徒は皆がスパルタ式で鍛えられるに違いない。

「バス、来ないわね」

「こんな暑い中、日よけもないバス停に居るなんていっそ拷問にも思えますわの」

「まったくもって同意」

 佐天のめまぐるしく変化していく百面相に圧倒されつづけた放課後のガールズトークは30分前に終わっていた。
 四人で分配したポテトがすべて消費されれば解散の流れとなるのはいつものこと。
 柵川中学の寮へと戻る二人とは大通りの十字路で別れ、
 元・常盤台コンビは各々が暮らす学生寮まで行く路線バスを待っている。 

 
「佐天さんも頑張っていらっしゃるし、私も負けていられませんわね」

 美琴の隣で白井が口を開く。
 一つ下の後輩は、ゆるやかな向かい風にさらわれそうになる髪束を鬱陶しそうに手で押さえるも、
 コンクリートに照り返る夏の日の暑さから開放される刹那の時に目を細めた。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 18:16:14.59 ID:anVk4HO90

「黒子」

「なんでしょう、お姉さま」

「アンタさ、本気でウチの高校を目指すの?」

「ええ。本気ですの」

 ミーンミーン、ミーンミーン。
 ミーンミーン、ミーンミーン。
 蝉の歌声が鼓膜を震わせ、上がりに上がった体感温度を更に助長させた。
 聴覚から与えられる情報に過ぎない蝉の歌声に、「ウルサイ」とコメカミが痛くなり「暑苦しい」と汗が出る。
 一つの感覚を刺激することで二つ以上の感覚を会得する事を、共感覚性と言うが、
 これもまた共感覚性の一種か、とソフトクリームのように溶ける脳の片隅で考える。

 美琴が流れる汗をワイシャツの肩口で拭う姿に、白井は「お姉さま、品がありませんわ」と小言をいい、
 お嬢さま(常盤台のエース)じゃないんだから別に良いでしょう、と美琴は返した。

 数秒、間が空いた後に。

「あえて聞かなかったけどさ」

「なら、今も聞かなければよろしいでしょうに」

「んー、そうなんだけどね」

「何か不安でも?」

「不安、というか……」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 18:30:12.50 ID:anVk4HO90

 学園都市内に蔓延る学生たちの歓喜に呼応するかのような温度だ。
 夏場はノータイ・ノーリボンで首もとの開放感があった常盤台の制服が恋しい今日この頃。
 胸元に視線を落とせば、きっちり結ばされているタイが目に映る。

「長点上機。目指してみる価値はありますもの」

 美琴よりは猛暑から逃げ道ができている首元が涼しげな白井は、さらりと言った。

「夏になると最悪よ、この制服」

「制服で進学先を決めるタイプではありませんので」

 美琴が身にまとう制服は、在籍する女学生に夏の地獄を容赦なくお見舞いする、長点上機学園のもの。
 
「何で、長点上機?」

「『夢』の為、としか」

 段々と単語が略されていく会話の原因は、暑さのせい。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 18:40:54.99 ID:anVk4HO90










 「――――、夢、か」

 「ええ。夢、ですの」








43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 18:54:10.98 ID:anVk4HO90

 中等教育機関が集中している第七学区には、思春期の蜃気楼に飲まれる少年少女が多く居る。
 彼ら彼女らは幼いながらに過去を懺悔し、成長しながら今を苦悩し、大人になる明日を恐れていた。 

 
 正しさとは。
 自分とは。
 乗り越えるべきものは。
 切り捨てるべきものは。
 生きるとは。
 死ぬとは。
 日常の幸せとは。
 非日常の不幸せとは。
 
 ―――手に入れたいと、枯渇するものは。

 
 いったい、なんなのだろう。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 19:21:42.69 ID:anVk4HO90

「佐天さんも?」

「「欲しい」と、努力してらっしゃいますわ」

「初春さんってどこ希望?」

「断崖大学の付属ですの」

「電子情報系に強いトコ、だったかしら」

「特技に更に磨きをかけたい、とか」

「……それも、一つの「形」よね」

「勿論。立派な夢の形ですの」

「そうね」

 『はじまりの橋』。
 そんな愛称をつけられるほどに学生たちに親しまれるアーチ型の大きな鉄橋がある。
 
 『大覇星祭の最終日に行われるナイトパレードをこの橋で好きな人と見ると、想いを遂げられる』とか、
 『夏の夜、橋で流れ星を見つけることができれば、その願いはかなう』とか。
 土地と土地を分断する巨大な川の上に道を通し、交通の要として設立された橋は、
 季節を一巡二巡三巡と、時の流れとともに、定番の都市伝説スポットと成った。

 何故、はじまりなのかは定かではない。
 『「恋がはじまるから」、らしいですよ』と、噂好きの友人談だが真相は闇のそこ。

 そんな、第七学区の住民ならば誰でも知っている鉄橋付近にあるバス停で、美琴は久方ぶりに空を仰いだ。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 19:35:09.25 ID:anVk4HO90

 そよぐ風に流されていく綿あめ雲。
 真夏を痛感させられる白の太陽。
 遠くにあって、小粒ほどにしか見えない、大型液晶付きの飛行船。

 遠く遠くどこまでも。
 心凪ぐ平和な空が染まっている。

 嗚呼。
 けれど。
 
 真昼の空に星はない。
 とてもとても焦がれる空も。 美味しそうな空も。キラキラの全てが、ない。  

「お姉さまは、私が長点上機に進学するのに、反対なのですか?」

「え? なんでさ」

「なんでって。『本気?』なんてお聞きになるから、てっきり」

「……言葉のあや?」

「自分で発言なのですから、疑問系で返さないでくださいまし」

 まあ、折角の機会ですし、白井が続けた。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 19:47:58.45 ID:anVk4HO90

「黒子は決して、盲目が故に長点上機にいくのではありません」

 美琴が眺める空を、白井も眺める。

「お姉さまが居るから私も――、と。
 焦がれる一つの背中を追うために選んだのではありません」

 重なる言葉は、強い意志の表れ。

「能力がなくとも、特出した一芸さえあれば入学が許される学校と聞き及んでいます。
 言い換えれば、「実力」がなければ早々に蹴落とされる、強者のみが居る学校、
 ともいえる長点上機学園(ソコ)でならば、
 
 こうなりたい。
 こうでありたいと願う『白井黒子』に、

 成れる気が、するのです」

 いつの間にか耳を占領したのは、少女の澄んだ決意の紡ぎ。

 
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 20:03:03.11 ID:anVk4HO90

「そっか」

 美琴は、顔を固定したまま、それでいて、いつもの口調で切り返した。

「黒子は強いね」

 きっと白井はありのままの空を素直に映しているだろう。
 現実の空を眺める白井を羨ましくも思い、虚空ばかりを追う自分に苦笑ばかり浮かぶ。

「まだまだですわ。たどり着きたいと切望する、スタートラインにすら立てていません」

「スタートライン?」

「お姉さまにも、これだけは、秘密ですの」

「あらー、残念」

「と、思っているのならば、もう少し残念そうな顔をして欲しいものですわね」

「ごめーん」

 軽口の言い合いには慣れた間柄。
 トントンと会話のキャッチボールのテンポが良いと、爽快感さえ生まれて。
 これもまた共感覚性と言えなくもないだろう、と新たな認識も生まれて。

「真夏の空、だねえ」

「真夏の空、ですわね」

 そうして、決して『今』も悪くはないのだ、と気づかされる一方、

(悪くない。悪くないのに――――、)

 金平糖が散らばった痕跡すらも見つけられない青のキャンバスに、
 『昔』に引きずられる真昼の空ばかりに視界が奪われていく矛盾に、

 
 こっそりと、胃液が沸きそうになった。

 





 
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 20:15:47.96 ID:anVk4HO90

(アイツと喧嘩したのも、)

 二年前の今日。ツンツン頭の学ラン男子高校生と言い争い雷を落としたのも、この鉄橋。

(守ると決意したのも、)

 二年前の夏休み最終日。繰り返される悲劇に終止符を自らううつと決めたのも、この鉄橋。

(こんな馬鹿でも救われると知ったのも、)

 さらに同日。己を血を持って贖罪しなければならなかった罪人が救われたのも、この鉄橋。

(―――そして、)



 十四の御坂美琴が、金平糖の空を見失ったのも、この鉄橋。



 (はじまりの橋とは、よく言ったものね)

 『はじまりの橋』。第七学区にある大きなアーチ型の鉄橋。
 皮肉にも、十四の御坂美琴にとって、『はじまり』の全てはこの鉄橋だった。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 20:26:07.56 ID:anVk4HO90


「黒子」

「なんでしょう、お姉さま」

「私にもね、小さいころそれはそれは可愛い『夢』を見たの」

「可愛い夢?」

「笑わないで聞いてくれる?」

「私もお姉さまと一緒ですの。友人の夢を鼻で笑う人間ではありませんの」

「金平糖」

「こんぺいとう……?」



「金平糖の空。

 金平糖ががたくさん散らばった、

 キラキラで満点の星空がね、


 私の夢『だった』の」



 第七学区の鉄橋にて空を仰いだあの日から、



 超電磁砲は夢を見ない。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 20:36:58.84 ID:anVk4HO90
以上、一章 鉄橋にて空を仰ぐ。

断崖大学に付属高校かはわかりません。
電子情報のデータベースが隣接する大学なのだから、情報系に強い学校の……、はず。
御坂さんは長点上機です。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回投下は一週間後を予定しております。
一章は超電磁砲四人組でしたが、二章では妹達と番外固体さんを書けたらと思います。

二章・さよならだけが人生かにつづく。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 20:59:37.65 ID:Z4zgouUh0
乙!
一週間か
期待して待つ!
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 01:11:42.21 ID:0JXgWieIO
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 18:04:46.42 ID:TqMw7dLdo
めっちゃ好きな雰囲気
それぞれどういう未来を進んでるのか気になるな
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 19:17:56.45 ID:fX1+CHos0

2章 さよならだけが人生か



 ミサカネットワーク。
 『妹達(シスターズ)』を個から群へと押し上げる電子ネットワークを指す其処では、
 超能力者量産計画と絶対能力進化計画によって生み出された、
 ミサカ〇〇〇一号からミサカ二〇〇〇一号までの総勢2万飛んで一人のミサカ――御坂美琴のクローン体の「識別名」――よって形成されており、
 すべての「ミサカ」の記憶・体験・思考・知識がそれぞれのミサカに「共有」されている。
 それは、コンソールとして二万人の下位固体(ミサカ)をまとめ上げるために製造された上位固体・最終信号とて例外ではない。

 だが、ミサカでありながら、ミサカの群としての枠から外れている固体は存在する。
 その唯一の例外は、第三次製造計画にて誕生した、番外固体(ミサカワースト)。彼女に他ならない。

 故に。
 番外固体は妹達の中で最も自由を謳歌している固体とも言えた。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 19:22:06.48 ID:fX1+CHos0
 
 たまたま目に映った高校生の恋愛ドラマを惰性で見つづけている最近の習慣も、
 ラッシュ時に乗車した際のモノレールの混雑振りにウンザリした朝も、
 よいこの代表、我らが打ち止め(ラストオーダー)ちゃんの寝息を邪魔しないように
 芳川桔梗や黄泉川愛穂、そして第一位と静かにひっそりと乾杯を交わした夏の夜のビールの味も。


 身に着けた習慣、
 あらわした感情、
 味わった味覚。
 全て。

 番外固体が自身で、

 見、

 聞き、

 感じ、

 考え、

 体験し、

 学んだことである。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 19:49:03.40 ID:fX1+CHos0
 
 誰にも共有されず、記憶・体験・思考・知識は。彼女だけのものとして脳に体に取り込まれ蓄積される。
 
 趣向も妄想も思うが侭。
 何者にも恥じることなく遠慮することなく、己のためだけに、考え生きることができる。

 第一位回収の名の下、研究者らによって、『ミサカネットワークに蔓延る負の感情を拾いやすい』性質を付与された経緯があるが、
 他のミサカが持ち得ない『自由』を手に入れた代償と思えば『まあ、仕方ないか』と普段ならば笑ってやり過ごせる程度のことだった。

 そう、普段であれば。

 「………………朝、か」

 重たい眼に朝日がうつる。
 外から聞こえてくるラジオ体操の伴奏がわずかに漏れてくる。
 夏休みを向かえ、近くの公園にて児童達が元気に朝の体操に励んでいるのだが、寝起きで思考が定まらない番外固体には関係のないことだった。 
 シンと静まり返った室内でその音声は、実際よりも、やけに響いて聞こえた。



 新しい朝が来た

 希望の朝だ 



「――――ぎゃっは」

 思わず、声が出た。
 
 朝日を見てそう思うのか。
 絶望の果てへと沈みいく夕日に酷似した、痛々しい程に白い太陽を見て、そう思うのか。

「馬っ鹿みたい」

 可笑しい。
 可笑しすぎる。
 率直な感想が喉を通して空気中へと放たれた。

「くくっ…、ははっ」

 漏れる笑い声とともにべっとりとした不快な感覚で覆われている目元を両手でぬぐえば、両の手には、いつの間にか枯れ果てた雫の残骸がまとわりつく。
 自制しなければ今にでも高層マンションの自室の窓から身を投げ出したくなる。
 激痛を伴う衝動が全身を駆け巡り、最悪で最高の朝がやってきたことを自覚する。

 何が、希望の朝なのだろう。

「く、ははっ! あはは!」

 狂ったように笑う女だな、と言った白い頭の少年の言葉は実に的を得ていた。
 番外固体は、嬉しいときも楽しいときも寂しいときも怒り狂ったときも、狂ったように笑う女で、


「ふふ、ふはは。ミサカにとったら、『最悪な朝』だっての!」 


 目が覚めたときに死んでしまいたくなる、切なさで全身が押しつぶされる『夢』を見た朝でさえも、笑うことをやめない女だった。

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 20:19:11.78 ID:fX1+CHos0




    「 さようなら お姉さま 」





                 「 お姉さまにとって ミサカは否定したい存在だったのですね 」



58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 20:32:22.09 ID:fX1+CHos0

 ミサカネットワークを形成するのは二万飛んで一人の妹達。
 ツンツン頭のお人よしヒーローに助けられ、現存を許された一〇〇三二号から二〇〇〇一号のみならず、
 絶対能力進化計画によって惨殺された〇〇〇一号から一〇〇三一号の、
 「過去のものなった」想いも言葉も何もかもが、「今もそのままの状態」でミサカネットワークに点在している。
 
 決して消えない憎悪・哀愁・殺意・後悔といった、未発達ながらに残された「負の感情」の残骸を集約し、
 その力を以ってして学園都市第一位と対立した、番外固体。

 死んでいった固体の無念、生きている個体の激情。
 両者の「負の感情」を番外固体は余すことなく拾い『同調』する。
 自分でない「ミサカ」が持っていたモノを、まるで己(ミサカ)が体験したモノのように、『同調』する。

 番外固体は、
 情報として共有するのではなく、
 感情として同調する傾向がよりいっそう強い固体であった。

 だからこそ。
 強くも儚く切なくも愛おしい感情を抱いて死んでいった個体の『負の感情』を享受してしまう朝が、番外固体はとてつもなく苦手なのだ。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga ]:2012/01/14(土) 20:40:15.95 ID:fX1+CHos0
以上、一章 さよならだけが人生か

夏休み1日目の朝です。

自分には、番外固体さんは妹達の中で最も自由気ままで、最も縛られている個体のように思えます。
まだ未成年なのに一方通行や番外固体が飲酒したような箇所がありましたが、お話だから、ということで。
短い投下でしたが、今回は以上です。
次回投下は明日明後日の予定です。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

二章・さよならだけが人生かの続きにつづく。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 21:09:39.78 ID:373I73Z50
乙!
一応、何度も出てるから
番外個体、ね
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/14(土) 21:16:27.81 ID:2aJ1DoyDO
>>54
> だが、ミサカでありながら、ミサカの群としての枠から外れている固体は存在する。
> その唯一の例外は、第三次製造計画にて誕生した、番外固体(ミサカワースト)。彼女に他ならない。


天井亜雄製造のミサカ00000号(フルチューニング)も忘れないで><
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/01/15(日) 09:39:40.28 ID:rXFTLRR7o


>>61
フルチューニングはネットワークから遮断&現存してるかも不明だし
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/25(土) 00:02:46.18 ID:iI1RAoBIo
>>525
それは違くね?眠いから食べるんであって、飲めば増えるわけでもない
食べることで増えればいいんだけど、そういうわけにも行かない
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 22:28:27.38 ID:MNNbT7Fw0
まだかね
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 01:06:19.38 ID:FzoPf5oDO
まだかな
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