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俺「女になった」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆SSssRnAEXA :2012/01/06(金) 07:44:47.24 ID:041QJHWIO
酉付けてのSSは初
結構、好きな時に書いてるから投下感覚は不定期
VIPで書いてた奴の続きな
話的には>>800くらいを目安にしてる

まずは書き溜め投下↓
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 07:45:07.50 ID:041QJHWIO
ー60億分の1、それは限りなく不可能に近い値
それは楽しく愉快になれる確率
それを見つけ出す事ができれば人は皆、歓喜することだろう
だから人は見つけようとし、何度も過ちを犯す
そして1つ、たった1つ見つけだすのだ
1つだけ、ね
3 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 07:46:35.61 ID:041QJHWIO
俺は何故ここにいるのだろうか?

この謎が解ける事はないだろう

では俺は誰なのだろうか?

これも解る事はない

なにせ俺は記憶を持っていない
気がついたら女の子になっていた

知識として残っているのは
日本語
『女の子』としての人間関係
俺が俺として存在していたという事だけ

別段苦労するわけではないが胸の奥でムカムカするものがある

俺の正体は何なのか
どうすれば元に戻れるのか
この女の子はどうなったのか

今はその謎が解ける事を祈り日常を過ごす事しかできない

「美夏、ボーッとしちゃってどうしたの?」

覗き込むように女がこちらを見てくる

彼女は『私』の母親である松島 佳菜子である

年齢不明のよくわからない母親である

「……なんでもないよ」

俺は母親に向かって軽く微笑んだ

あれから一週間が経った今
『私』としての接し方に困る事はない

「そう?最近ボーッとしてることが多いけど……はっ⁉もしや!」

いきなり叫んだかと思うと顔を赤らめる

忙しい人だな

「こ、恋人とかできたの?」

「……ちがうよ」

なぜそうなった

この人の突拍子な発言には慣れれない
悪い人ではな無いのだがテンションが一々高くて付いて行く事ができない

「そう?恋人ができたら絶対に教えてね!」

「はいはい、もう時間だから学校行って来るよ?」

そう行って俺は横に置いてあった鞄を手に取り母親を見た

「まだ時間あるよ?もう行っちゃうのオカーサン淋しいなー……」

母親は淋しそうな顔をし、人差し指で『私』の胸を突ついた

「今日は日直だから早く行かないといけないの」

「ぶーっ……早く帰ってきてね?」

新婚か

そう突っ込みたくなる腕を抑えて、笑顔をつくる

「はいはい、じゃあ行って来るね」

「いってらっしゃ〜い!」

母親の声を背に俺は家を後にし学校へと向かった
4 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 07:48:00.94 ID:041QJHWIO
「よっす!元気でやっちょるかね!」

陽気な声と共に俺の右側を自転車の女の子が通る

彼女は『私』の親友である小島 友美だ

幼い頃からの友人で登下校や昼食を共にする

「友美、今日はご機嫌だね」

「あー、やっぱりわかっちゃう?長い付き合いだもんね!」

一週間の付き合いだけどな

友美の機嫌はスグに行動にでるのでわかりやすい

「実はね、今日はデートなのですよ!」

その後、友美は勝ち誇った顔でこちらを見てきた

友美はスタイルも性格も良い

彼氏が羨ましいくらいだ

しかし今の俺は飽く迄『私』として生活しなければいけない

いや、別に強制はされてないか……

でも、いつか『私』が目を覚ました時の為に俺は『私』を社会的に[ピーーー]のはやめなければいけないのだ
道徳的な意味で

「……私は、もう少しあとでいいかな。彼氏は」

残念ながら俺はホモではないので、彼氏をつくる気はない

これは俺の答えではなく『私』の答えだ

「ふーん、まぁ、美夏は彼氏とかいちゃいけないキャラだしねっ」

どんなキャラだ
本日二回目のつっこみたくなる腕を抑える

「は、ははっ……そう、だね」

まぁ、『私』は大人しい感じだしな

友美が言いたい事も多少は理解できる

「そうでしょ〜……あっ、そういえば美夏は今日日直じゃなかったけ?」

……あっそういえばそうだった

俺は和やかな会話をしている場合ではない

「……後ろ、乗ってくかい?お嬢ちゃんっ!」

友美が不敵な笑いを浮かべる
できれば遠慮したいのだが
……しかしながら、日直の仕事を間に合わせるにはこれしかないよな

全治前例の神よ……どうか死にませんように

「お、お願いしますっ!」

俺はぎこちない動きで友美の自転車の後ろに跨る

なんか開脚しててエロいな

「よーし、お嬢ちゃんしっかり捕まってろよ!」

友美が足をペダルにかける

……一応説明しておこう、友美の自転車はマウンテンバイクらしくt


ーーダッ
「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

……時速50キロまで出す事ができる

このあと警察に呼び止められ、日直には間に合わなかったのは言うまでもない
5 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 07:48:39.63 ID:041QJHWIO
キーンコーンカーンコーン

教室にチャイムのアナウンスが鳴り響く

……よしっ、今日もなんとか授業を乗り越えれた

後は昼飯食べて、体育と音楽の授業だけだ

小さくガッツポーズ

「おっ、もうチャイムが鳴ったか。じゃあ今日はここまでな。各自ノート写し終わったら解散〜」

黙れ、このオヤジ教師!

授業中、俺ばっかり当てやがって!こっちは記憶がないんだからわかるはずないだろ!

「美夏っ!」

後ろから友美の声がする

その直後、背中にやわらかいものが押し当てられる

……思わず口が緩む

いや、変態などではない。男子として健全な証拠だ
今は女子だけどな

「む?美夏どうかした?」

「な、なんでもないよ!」

ここで「友美の胸に興奮してました!」って言ったらどうなるだろうか?少し考えてみよう

……

…………

………………

うん、序盤で社会的に死んだ

「そう?なんかニタニタしてたよ?」

ぎくっ

天然キャラは直感力が半端ない

それを俺は今、身に感じている

「そんなことよりお腹空いたね!食堂行こう?」

「おぉ!そういえば昼飯だったね!早く食堂にいこっ!」

そう言って友美はニカーと笑い、俺の手を握る

「いっくぜーっ!」

「ちょ、友美!待って!」

はははっ……どうやら今日は友美が先導してくれるらしい

教室に愉快な声を残し、俺たちは教室をあとにした
6 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 07:49:09.55 ID:041QJHWIO
ガヤガヤ……

食堂はいつも通り混んでいた

席が空いてないかな〜と思ってたら、友美の彼氏が席を取っていてくれてすんなりと座る事ができた

「ふぃ〜、やっぱり翔太は役に立つな!これからも精進してくれ!」

現在、友美に背中をバンバン叩かれているのは友美の彼氏の高坂 翔太だ

「ちょ、痛いって!」

翔太は困った声を出しながらも、顔は嬉しそうに笑っていた

これがカップルというものか
けしからん
うらやましい

「ほら、松島さんも見てる事だし」

いや、俺は一向に構わんよ。むしろおもしろいから続けてくれ

「おー、そうでしたなーごめんな、友美」

「そんな、気にしなくていいよ」

気にせず続けてくれ

「そうだぞ、友美。人に迷惑はかけたらいけないぞ」

「了解であります!」

ビシッと敬礼のポーズ

ふむ、軍人萌えもありかもしれない

「ところで話は変わるけど、美夏、卵焼きをちょうだい!」

敬礼のまま、友美がこっちを見てくる

「別にいいけど……味に自信はないよ?」

箸で卵焼きを掴み、友美の弁当に入れる

「大丈夫、大丈夫。美夏が作ったのは全部美味しいから!」

どうやら『私』は料理が上手いらしい

それは記憶が無い今でも同じらしい。体の慣れってやつだな

「確かに松島さんって料理上手いよね」

だまれ!小僧!同性から褒められても嬉しくないんだよ!

「そうですか?やっぱり小さい頃からお母さんの料理手伝ってからかな……?」

これは母からの証言から元ずく妄想だ

真実は知らない

「むー、私も料理上手くなりたいよー!」

「なんで?はっ……!まさか俺の為に……!」

翔太が顔を赤らめて俯く

なにやら勝手な想像をしているみたいだ

「昼飯が豪華になるじゃん!」

「……え?」

まぁ、予想はできたけどね

「……ん?翔太、どうかした?」

「……なんでもないよっ」
7 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 07:49:38.42 ID:041QJHWIO
「美夏ーっ!次は体育だぞっ!」

友美が「やほーっ!」とか「うきゃーっ!」などの意味不明な言葉を発しながら、教室を走り回る

「友美!暴れちゃダメだよ!」

俺の呼び止めも効かず、皆の冷たい視線が友美に向けられた

体育前の友美は何故か興奮し始める

こうなれば俺もお手上げだ

こんな時はいつも委員長が止めに入ってくれる。が

「小島さん!今は着替え中なんですから暴れないでください!」

「えっ?なんで?」

「服が散らばるじゃないですか!」

「うーん、じゃあ散らばらないように走るねっ!」

委員長には友美を止める力はない

「友美!そろそろ着替えないと遅刻するよ!」

「ぬっ!もうそんな時間でしたか!即急に着替えなくては!」

友美は走るのをピタリと止め、自分の体操服を取り出し着替え始めた

「……ふぅ、ありがとね。松島さん」

そういって委員長はこちらにニコリと微笑んだ

「友美は私の親友ですから」

それに友美の着替える所が早く見たいんです!

「ふふっ、そうね」

ちなみに委員長の名前は知らない。たしか花なんたら梨なんとかさんだ。うん

「よーしっ!着替完了!美夏っ、早く行こう!」

先程まで制服だった友美の姿はなく、既に体操服に着替えていた

……くそっ、着替を見損なった!

「ほらほら早く!」

友美がどんどん近づいてくる

……うん、体操服は王道だよな

そんな事を考えていると、友美に手を掴まれる

「……へ?」

「早くいくよ!」

事態を把握する前に友美の足はグラウンドに向かってかけていた
8 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 12:26:37.59 ID:041QJHWIO
「お前らー、遅いぞー」

俺達がグラウンドに着いた頃には、既にクラスメイトと怠そうな女教師がいた

「すいません……少し遊んでて……」

軽く頭を下げる

「楽しかったよな!」

友美は謝る気は無いらしい

「んー、そんなことどうでもいいから早く並べー……んぁ?花岡 梨花はどうした?」

花岡梨花?はて、誰だろうか……

……

…………

………………

あっ、委員長だ

「花岡さんなら教室の鍵を職員室に届けに行きました」

「んー、そうかーじゃあ花岡が来るまで各自準備体操しとけー」

女教師はそれだけ言ってどこかへ行ってしまった

あいつは公務員に向いてない
俺が保証してやろう

「美夏ーっ!準備体操するぞーっ!」

友美と準備体操なんてしたら死んでしまいます

「わたしはちょっといい、かな……あはは……」

「そう?じゃあ一人で準備体操しとくね」

友美は重い足取りでグラウンドの隅に歩いて行った

すまん、友美の準備体操はレベルが高いんだよ

バク宙が準備体操だなんて意味不明だよ

「……さて、一応準備体操しておくか」

怪我したら大変だしな

そう思い、一人で腕を伸ばしたりしていると

「……あ、あのっすいません!」

後ろから緊張した声が聞こえた

振り向くと、女の子が一人ポツンと立っていた

「……ん?どうかしたの?」

「あ、あのぉ……準備体操、一緒にしませんか?」

そう言って女の子は顔を真っ赤にした

やめてくれ、発情しちまう

「私と?」

……はて、なんでだ?

考えること数分、委員長と友美がいないのでペアの俺と女の子が余ったのだと理解した

「……じゃ、やろっか?」

女の子の顔がパァーと明るくなるのがわかった

そんなに一人が嫌だったのだろうか?

「はい!お願いします!」
9 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 12:30:11.59 ID:041QJHWIO
なんかVIPみたいにスレ落ちが無いから気楽でいいな、ここ

読んでる人が少ないのもSS速報だからだよな
VIP慣れしてると違和感感じるわ
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 13:02:40.58 ID:GgJCsWuGo
読んでるぜ!
期待期待
11 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 13:19:42.58 ID:041QJHWIO
それから数分後に委員長がグラウンドに来た

はぁはぁって息を荒らしながらね
そりゃもうたまらんですよ

「んー、じゃあ授業始めんぞー」

ちなみにこの糞女教師は委員長が来てから数分後に来た

どこに行っていたのかを聞いたら「タバコだ」らしい

「今日はバトミントンの授業だから各自、勝手にペア組んでやっとけー、しばらくしたら帰るからなー」

またタバコか

なんでこんな奴が教師をやってるんだ……日本おわたな

「美夏ーっ!バトミントンやるぞーっ!」

楽しそうな声がこちらに近づいてくる

……友美とバトミントン、か

運が良かったら生きて帰れるかもしれない

「……ごめん、友美。私保健室に行って来るね」

「えっ⁉どこか悪いの?」

悪いのは友美の頭だよ

好い加減、手加減を覚えなさい

「ちょっとね……すぐに戻るから」

「……そう?気をつけてね?」

友美は心配そうな目でこちらをジッと見つめた

余程気になるんだな

仮病使ってごめんな

少しだけ弱い自分を攻めて、俺は足早に保健室に向かった
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/06(金) 13:42:48.19 ID:g+Tf9ZwAO
俺も読んでるぜ
よくあるTSモノかと思ったら一味違った
13 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 13:55:42.89 ID:041QJHWIO
>>10 >>12
dクス
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/06(金) 18:04:19.31 ID:7+plplfAO
*)期待
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/06(金) 19:20:18.00 ID:Ideh4EZAo
これは面白くなる予感
16 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/06(金) 21:16:27.49 ID:041QJHWIO
「すいませーん」

……
…………
………………

返事がない、ただの屍のようだ

全く、保険の先生は何をやってんだ……

……そういえば女教師って保険の先生だっけ

やれやれ、じゃぁ帰って来ないか

……眠いしベッドに横になるか バチはあたらないだろ

ベッドについているカーテンをゆっくりと開く

「……あっ」

ベッドには小さな女の子が横になっていた

「あっ、ごめん!起こしちゃった?」

このベッドは使用中でしたか

「……ううん、起きてたから大丈夫」

小さな女の子は優しく笑い体を起こした

「お姉ちゃんはどうしたの?怪我したの?」

「友美とバトミントンしたくないから逃げ出して来ました!」……っとは言えないので

「ううん、ちょっと疲れちゃってね」

俺はそう言いながら向かいのベッドに腰を降ろした

……ふぅ

「そうなんだ……私はね、貧血で倒れちゃったんだ」

女の子は「あはは」と笑った

うむ、確かに顔色が少し悪いな

「二時間目に保健室に来たんだけど……先生が来ないから帰っていいのかわからなくて……」

あの糞教師め……今日一日保健室に来てないな

「あっ、すいません!気分が悪いのに長話しちゃって……」

「大丈夫だよ。気にしないで」

体調は絶好調だし、うん

「そう、ですか?ならよかったです」

女の子は嬉しそうに笑った

なんか、こんな和どかな会話ってのもいいもんだな

通りで女子の電話は長い

「……ん?誰か来てたのか?」

そんな声が聞こえ、ドアが開く音がした

「……松島、お前なんで保健室にいるんだ?」

「いや……ちょっと体調崩してて……」

本当は授業をサボりました

「んー、そうかー、治ったら帰れよー」

女教師は全く興味を見せずに机に着いた

「……ん?」

あれ、女の子の姿がない……帰ったのだろうか?
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 23:58:54.06 ID:32mUahpIO
ラノベに近いな

とりあえず期待
18 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 07:29:56.02 ID:S/itN1HIO
>>14 >>15
dクス

>>17
ラノベに影響されちゃった子ですから
19 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 07:33:43.15 ID:S/itN1HIO
体育の授業にもどろうと、歩いている途中でチャイムが鳴りそのまま教室に戻った

しかし、教室には友美の姿はなかった

委員長が言うには「小島さんは壁打ち練習をして壁を壊した」らしい

授業を受けなくてよかった……心からそう思う

「はーい、じゃあさっきのパートで練習ね」

今は音楽のコーラスの授業中だ

曲名は『Me and you』という歌だ

なにやら中世に愛を綴った歌らしい。それ以上は知らない

「あーっ……んんっ!……あーっ!」

そして音楽室で一生懸命練習をする委員長

絵になりますな
20 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 07:34:33.01 ID:S/itN1HIO
「ほらっ松島さんも練習しますよ?あーっえーっいーっおーっうーぅー」

はいはい、練習ね

「……あーえーいーおーうー」

「違いますっ!いきますよ!あーっえーっいーっおーっうーぅー!」

何が違うんだよ……

あれか?「ーっ」がそんなに偉いのか?

「あーえーいーおーうー」

「おーのーっ!違います!あーっえーっいーっおーっうーぅー!っです!お腹から声を出すんだ!」

もういいじゃん……この繰り返し

「……むぅ〜、違いますよ〜」

先生は駄々を捏ねるようにピアノを無茶苦茶に弾いた

「せ、せんせいっ!正しく歌うのも必要ですけど、楽しく歌わないとっ!」

その様子を見てヤバイと思ったのだろう

委員長が慌てて先生を宥め始めた

「……そうですよね、私まだまだ未熟ですね〜」

委員長の言葉で冷静になった先生はシュンと静かになった

「……そうだ、今日は好きに練習してください!」
21 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 07:35:03.40 ID:S/itN1HIO
自由に歌え、か

できれば歌いたくないんだけど、それは無理だよな

「……松島、さん」

肩をちょんちょんと叩かれる

この声は聞き覚えがある。体育の時の女の子だ

「一緒に歌いませんか?」

「……別にいいですけど……委員長と一緒じゃないの?」

「花岡さんはいつも女の子の指導をしてますから……」

そう言って指差した所には一生懸命に指導をしている委員長がいた

「あははっ……本当だ」

さすがは委員長

あれじゃあ一緒に練習は無理だな

「……私、あんまり上手くないけどよろしくね?」

「……はいっ!」

「そういえばあなたは名前なに?」

『私』の記憶にはない女の子

私には接点がない女の子だったのだろう

「わたしは宮城 瑞稀っていいます……」

「みやぎみずきさんか……可愛い名前だね」

「そ、そんなことないですよ!」

宮城さんは顔を赤らめて俯いた

なんかデジャヴだな

「私は松島 美夏っていうの。よろしくね」

差し出した手を宮城さんはギュッと握って元気に「はいっ!」と言った
22 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 07:35:41.68 ID:S/itN1HIO
キーンコーンカーンコーン

「……ありゃ、チャイムが鳴っちゃったか〜皆キリがいい所でやめてね」

教師はニコニコ笑いながら音楽室を去った

「……この曲、いい曲ですよね」

「……そうなの?」

全部英語だから意味はわからない

「『私はあなたと共に生きる あなたは私と生きる 沢山の繋がりの中の一つだけど 最も大切な繋がり』」

「へぇ〜、なんか可愛らしい歌だね」

まるで詩のような歌だな

「私もこんな事が言えるように早くなりたいです……」

「彼氏、欲しいの?」

まぁ、年頃の女の子だしな

むしろ俺みたいなやつの方がおかしいか

「彼氏……っていうか、なんていうか……ま、まぁそんな感じです」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/07(土) 08:47:35.19 ID:TmDC7+Udo
TSは大好物だから頑張ってほしい
24 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 13:30:05.79 ID:S/itN1HIO
「松島さんは、その、彼氏とかい、いるんですか?」

宮城さんはカタコトな言葉で訪ねて来た

いるわけないよ
俺はホモじゃないんだぜ

「彼氏はいませんよ」

いてたまるかってんだい

「そ、そうですか……」

安堵の表情でため息を吐いた

やっぱ彼氏とかいたら先を越されたとか思うのか

「あっ、じゃあ私、今から少し用事があるんで行きますね」

「えっ?あ、うん」

俺が返事を言い切らない内に宮城さんは早足で音楽室を出て行った
25 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 13:30:35.28 ID:S/itN1HIO
「美夏ーっ!せんせいがっ!せんせいがひどいよぉっ!」

教室に帰るといきなり友美が泣きついてきた

ちなみに胸はあたっている

「バトミントンの練習してただけなのに……ぐすっ」

「あはは……ちょっとやりすぎたみたいだね」

そりゃ壁を壊したら怒られるだろうな

ちなみに胸はあたっている

「朗報、朗報!今日は終礼ないって!」

そこに知らん女が来て嬉しそうな声でそう言った

「まじか!じゃぁこのまま帰っていいんだよな!」
「終礼テストもないんだよな!うひょー!」

皆が喜ぶ中、一人だけ泣き崩れている友美

可哀想d

「よっしゃーっ!美夏っ!終礼テストないって!」

……ふぅ

「あれ、さっきまで友美、泣いてなかった?」

「ん?そうだっけ?」

天然とはなんておそろしい生き物なんだ……

記憶改竄までするとは予想外だ

「それより早く翔太のとこに行かなくちゃ!ほら、美夏もいくよ!」

「え、いや、私は行っちゃだm」


この後、俺の手を握り全速力で走り出したのは言うまでもない
26 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 13:35:31.74 ID:S/itN1HIO
>>23
頑張るってばよ
ちなみに性転換SSは初めて けんぷふぁーに影響されますた
27 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 14:00:32.77 ID:S/itN1HIO
「翔太はおるかぁ!」

「ん?あ、翔太の彼女(笑)じゃんwwww呼んで来るはwwww」

こいつは確か翔太の友達だ
詳しい事は知らん

「おー、助かるぞっ!」

恥ずかしいくらい大きな声だ

「おっとっと、友美か。ちょっと待っててくれ」

翔太が一度ここまで来た後、カバンを取りに教室に入る

「……よし、じゃあ行くか!」

「おうよ!行きますぜよ!」

……え?俺ってどうなんの?一緒に行くのか?嫌だぞ!

「……私ってどうすればいいの?」

「え?ついてこないの?」

え、なにその「予想外」みたいな顔は

「友美、松島さんを連れて行こうとしてたのか?」

「うん」

即答か

だめだこりゃ

「友美、松島さんをデートに同行させるなんて非常識だと思わないか?」

「え、なんで?楽しいよ?」

そりゃまぁ、二人がイチャイチャしてるところを見てたら思わず殴りたくなるくらい楽しいけど

天然って怖いねー

「ごめんね?松島さん」

「いえ、慣れてますから」

一週間しか関わってないけどね

「ほら、美夏も嫌じゃなさそうだし一緒に行こうよー」

友美はなぜか満面の笑み

全く理解できないのは俺だけじゃないはずだ

「……友美、ダメなものはダメなの。」

「えー……意味不明だよ……」

ぷくーっと頬をふくらまして、漫画のように拗ねる

まだ友美だから許せるが、これが普通の女子ならガンジーが助走をつけて殴っていることだろう

「……友美、高坂君だって私がいたら友美とイチャイチャできないよ」

「イチャイチャ?」

そこに疑問を持つか。さすがは天然生物である
28 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/07(土) 14:02:07.10 ID:S/itN1HIO
「うん、高坂君は恥ずかしがり屋さんだからね」

べつに翔太は普通だけどな。ここは盛っておいた方がいいだろう

「……成る程、翔太は照れてるのかっ!」
「いや、別に照れてるわけじゃないけど」

うるさい!黙れ小僧!俺が話を丸く治めようとしているのがわからんのか!

「よしわかった!じゃあ残念だけど美夏とはお別れだね!ごめんねっ!」

「ううん、デート楽しんできてね」

俺も殴らずにすんでよかったです

「翔太ぁ!早く行くぞっ!」

「えっ、ちょっまっ、ちょっ!引きずってるって!ちょっ、いたっ⁉」

……今日も平和だね
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 14:17:07.05 ID:kGvhWzgIO
ケンプファーは8巻ぐらいから急展開だったな
最後は後付け設定しても回収しきれなかったフラグもあったし
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 15:01:11.91 ID:odDDCvBfo
そうだな
けんぷファー全巻持ってるが、急展開すぎた
もちっとゆっくり畳んでも良かったと思う

まあそれは置いといて
>>1は地の文が多めで結構好きだ
31 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/08(日) 20:28:40.67 ID:RVQ7IdIbo
深夜に書き溜め投下しまする
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/09(月) 05:23:10.55 ID:wrdYefcQo
・・・あれもう朝だぞ
33 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/09(月) 11:17:13.48 ID:fllG1Y+IO
うわ……凄い普通に寝てた
34 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/09(月) 11:17:55.05 ID:fllG1Y+IO
「ふぁ〜……」

小さく欠伸

友美は翔太とデートだから今は一人虚しく帰宅中

大した距離ではないが、それでも何故かいつもより帰り道が長く感じた

「……あれ、こんなとこに公園なんてあったっけ?」

小さな交差点に小さな公園があるのを発見した

遊具はジャングルジムとブランコとシーソーだけ

なんか素っ気ない公園だな

……しかしなんだろう

なにか懐かしいものを感じる
ここに来たことがあるようなないような……

……ちょっと寄ってみるか
35 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/09(月) 11:24:53.81 ID:fllG1Y+IO
公園には本当に何もなかった

人も居ないし道具もない

別に神秘的な物があるわけでもない

……まぁいいや、ベンチで一休みするか

丁度目の前にベンチがあったので腰を下ろす

「ふぃ〜……『私』を演じるのも疲れるぜ……」

誰もいないのをいい事に素の自分が出る

……ここ一週間は緊張の糸が張りっぱなしだった

慣れてきてから生活をなるべく楽しんでいるが、それでも本当の自分が出せない状況というのは苦だ

「おやおや、こんな公園に何をしに来たのですかな?」

「え?……あっ」

目の前には、何時の間にか老人がいた

なんか杖とか持っちゃって古風な爺さんだ

「そんなに構えんくてもよい、ワシにはお前が誰かよく知っとるからのぅ」

「……それって俺を知ってるってことか?」

「もちろんじゃ、松島ではないお前さんを知っとるよ」

……こいつ何者だ?

いきなり喋りかけて来たかと思ったら正体云々の話をして来やがって……厨二か?

「いいのぅ、可愛い娘が困っている顔は萌えるものじゃ」

なんだタダの変態爺さんか

んなわけないか

「……とりあえずアンタが何者か聞いてもいいか?」

「ワシか?ワシは単なる爺さんじゃよ」

爺さんは「ふぉっふぉっふぉっ」と愉快そうに笑った
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/10(火) 03:52:51.30 ID:B/vLTnpao
終わりかな?おつ
37 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/11(水) 17:40:31.90 ID:Jtx/hVGIO
すいません、気まぐれで書いているんで終わりとかあんまり気にしてないです
38 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/11(水) 17:42:42.39 ID:Jtx/hVGIO
羽生らかしやがって……凄く面倒な爺さんだ

「……まぁ、いいや。あんたが誰なのかを知ったとしても俺が元に戻るわけじゃないし」

こんなに面倒な爺さんだ。すんなりと元に戻るなんて考えられない

「……ほう、確かな推察力じゃな」

「そりゃどうも」

怪しい爺さんを目の前にしてるんだから、注意して当然だと思うけどな

「……まぁ、いいわい。初日なんてこんかもんじゃろう……お主の今後に期待じゃのぅ」

怪しい爺さんはニターッと陰湿な笑顔を浮かべ、公園から出ていった

「……しかし怪しい爺さんだったな」

俺の不安が一つ増えた一時だった
39 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/11(水) 19:16:19.23 ID:f6YOqalpo
「……ただいま」

「おかえりっ!」

家の玄関の扉を開けると、母が待ち伏せしていたらしく、いきなり抱きついてきた

「うぅ……さみしかったよぉ……」

母の目には薄く涙が滲んでいた
ウサギかってーの

「わたしね、家事とか頑張ったんだよ?」

母親なんだから当たり前でしょうが

なんだかこっちが母親のような感覚を覚える

「そうだね、頑張ったね」

『私』の演技が暴露ては危険なので、愚痴はこぼさずに母の頭を優しく撫でた

佳菜子の容姿のレベルはかなり高い

身長が低い事を除けばパーフェクトと言っても過言ではない

……いや、むしろロリコンには高評価か
世界って広いね

「うぅ……しばらくこうする……」

どうやら母は抱きつくのをやめる気はないらしい

それどころか段々と抱き締める力が強くなっている気がする

「はいはい」

俺はもう一度母を優しく撫で、軽く抱き締め返した
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/12(木) 07:27:16.57 ID:fVfF71fOo
母かわええ
41 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 18:04:54.63 ID:NZGBY9Fbo
それから数分後、満足気な表情の母は「じゃあ料理を持ってくるね!」っと言ってキッチンへとかけて行った

「……ふぅ」

思わず安堵の溜息をついてしまう

しょうがないじゃないか(えなりかずきの声で)
実母でもないのに、ここまで甘えられたら誰でも疲労するだろう

しかし佳菜子は『私』を演じる上で最重要のエキストラである
できるだけ違和感を覚えさせてはいけない

「……にしてもこんな生活、いつまで続けんのかな……」

不満はない
むしろ皆と人生を歩んでいる喜びさえある

……しかし、このままではいけない
根拠?そんなものはない

ただ、自分が置かれている状況とは異常なもので、俺のせいで様々な人の人生を狂わしてしまっている

それは許される事ではない
俺の意思と無関係にそうなっていたとしても

「……あぁーっ!こんな難しい事考えてもわかんねぇよ……休もう」

思い足取りで俺は自室へと向かった
42 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 18:07:23.44 ID:NZGBY9Fbo
「……ふぅ」

自室のベットに寝転ぶと、全身の力がスーッと抜けていった

こういう極限の状態から開放された瞬間と言うのはことばに表す事のできない安堵に見舞われる

「……まぁ、今深く考えたとこでどうにもならないしな……ゆっくり謎を解いて行こう」

そう言えば近くに図書館があったな……

明日は休日だし行ってみるか……なにか手がかりがあるかもしれないしな

「……戻るまで、俺は『私』を演じなきゃな……」

「美夏ーっ!晩御飯できたよっ☆三分以内に来ないと泣いちゃうから早く来てねー!」

「ちょっと待ってて!スグに行く!」

『私』を演じるのは疲れるけど、少しだけ楽しいしな
43 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 18:13:06.52 ID:NZGBY9Fbo
ちょっと休憩も含めてキャラ説


年齢 不明
性別 男
話の主人公


松島 美夏
年齢 17歳
性別 女
俺が体を乗っ取った女の子
おとなしめ


松島 佳菜子
年齢 不明
性別 女
美夏の母親
母ロリータというやつである
精神年齢が低め
44 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 18:24:59.81 ID:NZGBY9Fbo
小島 友美
年齢 17歳
性別 女
天然おっとり
リア充


高坂 翔太
年齢 18歳
性別 男
普通の男の子
男の娘ではない男の子である


花岡 梨花
年齢 17歳
性別 女
委員長である。それ以外には特徴はない


女の子1
年齢 17歳
性別 女
おとなしい女の子
美夏に行為をよせている様子


女の子2
年齢 不明
性別 女
保健室にいた女の子
謎である。二回続けると、謎々である
なにが謎々なんだろうか
45 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 18:26:47.58 ID:NZGBY9Fbo
ジジイ
年齢 推定70
性別 男
唯一俺の事を知っているじいさん
謎である。二回続け(ry
46 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 18:37:55.65 ID:NZGBY9Fbo
「ふふっ……今日は美夏の大好きなハンバーグですよー」

母の手から美味しい香りが立ち上げる皿がテーブルに置かれる

別に俺はハンバーグが好きなわけではない
しかし母が作るハンバーグはハンバーグの域を超越していた

これは本当にハンバーグなのだろうか?そう思わせるような味付けだった

「……どう、嬉しい?」

「……うんっ」

俺は静かに、しかし強く頷いた

それは『私』としてではなく俺の気持ちだった

「……いただきますっ!」

「どうぞーっ!」

俺は今日最初の心からの笑顔でいただきますをした

「はむっ……!」

口に入れた途端、柔らかく、ジューシーな味が口一杯に広がる

それは肉を噛めば噛むほど広がってゆく……

それは、ハンバーグとは思えない美味……言葉であらわすなら、そうーーーーーー



The カオス……!


自分でも何を言っているのかがわからない……しかし高校二年(『私』としての知識として)が持ち合わせている辞書では、この美味を表す言葉はそれしかなかった
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 18:38:42.48 ID:TuaDx9uIO
来てたか
48 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 18:44:20.97 ID:NZGBY9Fbo
わかんないけど一応一区切り
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/01/12(木) 21:13:12.35 ID:Z7sSQcQxo

(-ω-;)ウーン
最初よりなんか勢いなくなったね。
突っ走らず進行するって事は
長編なのかな??
50 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/12(木) 21:15:17.26 ID:NZGBY9Fbo
>>49
>>1を見ろ
大体>>800くらいで終わらせるつもり
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/01/12(木) 23:58:08.49 ID:Z7sSQcQxo
>>50
把握。つづけてくれ。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/13(金) 07:09:45.52 ID:cur6ObTmo
母親家事スキルたけえ
53 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/13(金) 17:48:39.53 ID:LWnVFHQIO
「……おいしい?」

覗き込むように母が尋ねる……しかし俺はそんな戯言など聞こえていない

不思議と笑みが溢れた

「……ふふっ…ふぷっ!」

「……え?どーかしたの?」

「……カオスだよ」

カオスーーーーーー

それは絶妙な焼き加減による歯応え……絶妙な味付けによる香り……

全てが偶然にして必然的にマッチングした時に奏でるハーモニー

「……カオス?」

「……はっ⁉」

おっとっと……なにしてんだ俺。完全に自分の世界に入り込んでいた

「カオスってなに?」

母は不思議そうにこちらを見つめて来る

……ふむ、母をつまみにハンバーグをおかずか……いけるな

「ねぇ〜、カオスってな〜に?」

「カオスっていうのは美味ってことだよ」

強ち間違いではない
多分

「そっか、よかった〜」

母は安堵の息を漏らし、自分の席に座る

「じゃぁ、私も食べよっと」

褒められたのがよっぽど嬉しかったのだろう
満面の笑顔で母は「いただきます」をする

そして、ハンバーグを箸で挟み……口に入れ……

「んー……ちょっと味付け濃かったかな?」

すこしだけ難しい顔を出しする

……俺はいつもと同じく美味しいけどな

「……まぁ、美夏に褒められたからいった!」

再度笑顔を顔に浮かべ、母は次々にハンバーグを食べていった
54 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/13(金) 17:49:05.95 ID:LWnVFHQIO
「……あぁ〜、わからないってこんなの……」

現在、俺は自室で学校の宿題とにらめっこ中である

残念な事に、俺には『私』の知識は持っていない
もちろん俺としての知識もない

今持ち合わせている知識は『私』として過ごした一週間だけ

「えっと……?これがこうなって……?」

宿題、放置してやろうか?
一瞬だけ考えた後、大きく首を横に降る

そんな事したら今までの努力が無駄じゃないか

「……そういや俺って何歳だったんだろう?」

自分の覚えている単語が邪気に満ちているので、そこまで幼くはないと思うが……

でも思考回路が思春期だから大人とは考えにくいな……

やっぱり高校生なのか?

……

…………

………………

あっ、勉強しなきゃ
55 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/13(金) 21:42:36.27 ID:xY9au5S9o
そういえば>>50越えてました
16分の1が終了しましたね

これからもユッタリ更新してくんでよろしく
56 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/13(金) 21:58:19.09 ID:xY9au5S9o
……ふぅ、今日はこのへんでやめとくか

残りは……まぁ、どうにかなるだろ
友美に見せてもらうとか、友美に見せてもらうとか、友美に見せてもらうとか。

チラリと横目で見る

八時過ぎか
結構時間経ってるな

……いつもの事だが、『私』の一日というものに違和感のようなものを覚える

なんて言うか、一日ずっと忙しいっていうか、休まる時間があんまりないっていうか……

俺自身が真面目キャラじゃないんで慣れないな

それでも何故俺が演じるのをやめないのか……それの理由は二つある

1『私』が意識を取り戻した時の事を考えて

2『私』としt

トントン

「美夏ぁー一緒にお風呂入ろぉ?」

2『私』として生活すると超エロエロな場面と遭遇するから

あくまで2はおまけだ、うん。
あのラムネとカードが入ったお菓子のカードの方だ。

「うんっ、わかったー、すぐいくー」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/14(土) 07:36:13.31 ID:XPtQxWPjo
うらやましい・・・うらやましい・・・
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 10:31:44.61 ID:KY3wuM3/0
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/01/14(土) 14:13:32.56 ID:d9h6l4Pqo
自分の身体には興奮しない
する奴は異常者
60 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/14(土) 18:57:05.32 ID:FUqzhxcIO
「ふんふ〜ん♪」

母が愉快な鼻歌を歌いながら、せっせと服を脱いでいく

「……」

ごくり。
ロリータってこういうのを言うんだな

胸や身長は発展途上国でありながら、体から醸し出す特殊な純粋な可愛らしさと言うものがある

「……ん?どうしたの?美夏」

母の声で我に返る

危ない、危ない……もうすぐで鼻から赤く温かいものが出てくるところだった

「大丈夫だよ、着替えるからちょっと待ってて……」

そう言ってスカートに手を伸ばす

何故かはわからないが、いつも自分の服を脱ぐのには抵抗がある

道徳的ななにかが崩れるような……まぁ、着替えるけどね

スカートを下ろしきり、パンツを脱ぐ

……ふむ、おんにゃのこのパンツだ
別段興奮しないが
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/15(日) 22:33:51.75 ID:/tH7X/mmo
まぁなんやかんやで上も脱いだ
別に興奮はしない

なんでだろうな、他人の身体なのに

まぁそんなことはどうでもいいわけで。肝心なのは母の入浴シーンだ

「じゃあ先に私が浴槽に入るから、美夏は
身体洗っててねー」

ふむ、「身体を綺麗にしてから私の裸体を見ろ!」って事か
なるほど

俺は「わかった」と短く返して身体を洗い始めた

……初日は苦労したぜ。『私』の裸体を見る事に抵抗を持ったし、洗うなんて無理だっ!って思った

でも、まぁ、『私』を演じてるんだからいいよな?って思って『私』の裸体を見た


……はい?

『私』の身体は全然エロティックではなかった
女性らしい身体じゃないわけではなく、妹には興奮を感じないような感じと似ていた

妹いないけど

「ふんふふ〜ん♪」

母は愉快な鼻歌で入浴中

なんだかその光景を見てるとこちらが和んでくるな

……よし、こんなもんでいいか

水面器でお湯をすくい身体にかける

「……ふぅ〜、いい湯だった」

俺は満足な笑みで母に「身体、洗い終わったよ〜」っと言って、浴槽に浸る
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/19(木) 11:05:02.23 ID:H9wKWm/9o
もう4日か・・・
63 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/19(木) 17:33:11.81 ID:acxvGqeIO
>>62
そうだねー
>>1は放置するつもりなのかな?(笑)
64 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/19(木) 17:34:09.33 ID:acxvGqeIO
浴槽からザブーンと勢いよく湯が溢れ出す

「およよよっ……美夏ちゃんは大っきいから水位が高くなるねー」

母が楽しそうにきゃっきゃと笑う

えっ、笑うとこありましたっけ?

「あたしゃ、体が小さいからねー……でも美夏は私のお腹の中にいたんだよー?」

そう言って母はお腹をポンと叩いた

「不思議だよねー」

そりゃ、産まれてから成長したからね
知らないけど

「そうだねー」
65 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/19(木) 17:34:38.91 ID:acxvGqeIO
「よし、じゃあ私も体あらおーっと」

そう言って母が浴槽からでる

わずかに水位が下がった

ほんとにわずかだ

「でも体がちっちゃいと、洗うの楽なんだよー」

「おかーさん、いつも早いもんね」

一週間しかみてないけど

「それに胃が小さいから食費が浮くんだっ!」

なぜか小さくガッツポーズ

「まぁ、よく子供とまちがわれるけどねー」

俺は母をマジマジと見つめる

佳菜子の容姿は到底大人とは思えない
小さな体に、鉄壁な胸……それに小さい子がよく出しているほんやかとした空気

全てをとって子供だ。幼女だ
性的な意味で
66 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/19(木) 17:35:06.63 ID:acxvGqeIO
「……やっぱり、おかーさんって子供だよね」

気づいたら口が素直に動いていた
悪気は無い

「うわー、なんか今ぐさってきたぁ……美夏ちゃん酷いよ……」

今までの楽しそうな表情が消え、悲しそうな表情へと変わる

……なんか、凄い罪悪感

「ご、ごめんね⁉別に深い意味はないんだよ⁉おかーさん純粋で可愛いから……」

なんだか告白紛いのセリフだな……
67 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/19(木) 17:35:42.83 ID:acxvGqeIO
初めてが人妻とか……

……あれ、初めてだっけ?記憶がないからわからないや

「ふーっ……別にいいよっ、私、子供だし」

うん、特に拗ねて頬を膨らましてるところとかね

もうたまらんとですよ

「もー……機嫌直してよー」

さすがの俺も幼女(仮)が不機嫌になると気分が悪い

そこらはできた人間なのさ

「……じ、じゃあさ、チューしよ?」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/01/21(土) 07:59:18.12 ID:ppjQZtNho
wktk!!(๑ꆨڡꉺ๑)
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/23(月) 21:49:22.98 ID:4G8Iz0Xto
「……へ?」

俺は怪し気に笑った母を直視し続けた

こいつ本気でこんな事言っているのか?

「……なんてね、えへ☆」

母はいつもの無邪気な笑顔に戻る

しかし俺はその笑顔に和む事はなかった

いや、寧ろ敵対心の様なものさえ感じた

先ほどの怪し気な笑顔は何か意味がある
なければあんな束縛感はない筈だ

「いつもなら顔を赤らめるのに今日は赤らめないんだねー」

当たり前だ
今の俺は母を少なくともエキストラとは考えていない

恐らく何かを知っているはず
根拠はない

「……なぁ、ロリババア」

「……お母さんにロリババアはダメだよ?」

「演技はやめろ、面倒だ」

なぜか母が鍵なのがわかった
それは『私』としての知識でも経験でもない

それは俺の経験であり知識だった

「……はぁ、もう演劇は終わりかぁー。まっ、暇つぶしにはなったかなー」

母が不意に身体を洗う手を止める

「じゃあ、お別れだね。運が良かったらまた今度、ね?」

そう言った母は少し悲しそうな表情だった

「待てよ!お前は何者なんだよ!」

精一杯出した声

しかしその声は小さく掠れた声だった

……俺、どうなるんだ?死ぬのか?

何も解決せずに
何も知らずに
何も出来ずに

意識はすぐに遠のき闇へと包まれた
70 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/23(月) 21:49:48.63 ID:4G8Iz0Xto
「……つ…ま!……ま……じま!」

どこからか俺を呼ぶ声がする

俺は死んだのか?だとするとこれは天の声ってやつか

まぁ、原因不明の気絶だ
死んでいてもびっくりはしないさ

「……まつじまっ!」

ゆっくりと瞼を開く

最初の数秒は光が滲んだように見えるが、だんだんと慣れてくる

「……翔太?」
71 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/23(月) 22:04:23.75 ID:4G8Iz0Xto
「おぉ!目が覚めたか!心配したんだぞ!」

目の前にいたのは翔太だった

「……あ」

そういえば俺って女じゃなかったけ?

つまりこれは……強姦?

「すぅ〜……きゃぁあああああ!!!!!!」

「えっ、ちょっ、大丈夫か?いきなり叫んで……病院行くか?」

「あなたこそ病院に行ったらどうですかっ⁉」

「……信也、まじで大丈夫か?」

「……信也?」

なにそれ?美味しいの?

「……自分の名前も忘れたのか?」

……あっ

「おぉっ⁉そうか!俺は松嶋信也だ!」

「……え?」

そうだ!俺は松嶋信也だ!

忘れていた……いや、なくしていたジグソーパズルがどんどん元に戻って行く

「お前は翔太だ!友美の彼氏の!」

「友美って呼び捨てにするなんて、仲良くなったな?」

「……あっ」

そこで俺は自分の手を、足を、体を、声を感じた

男らしいわけではないが、それは高2男子のものだった

そう、俺は戻ったのだ
72 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/23(月) 22:24:18.28 ID:4G8Iz0Xto
「……なるほど、なるほどな……あの世界は。この世界と似ていたんだ……だから俺はすぐに対応できたんだ」

取り戻した記憶を大雑把な情報に分解すると、この世界と先程までの世界は殆どが同じだった

違うのは俺が俺であるか、それとも『私』なのか
それだけだった

「……どうした?厨二病にでもなったか?」

「……いや、なんでもない」
73 : ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/23(月) 22:25:14.22 ID:4G8Iz0Xto
今日はここまで
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/24(火) 00:22:27.67 ID:Nm5hxCKeo
おつおつ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 20:57:46.45 ID:2XEDR1CIO
わくてか
76 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/25(水) 00:17:15.58 ID:eJgMWVzIO
コテてす
77 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/26(木) 19:52:30.80 ID:3UcGl2JKo
「……いきなり倒れるんだからビックリしたよ」

翔太は安堵の息を吐いて肩を撫で下ろす

「多分、貧血だ……すまん、肩をかしてくれ」

「ん?あ、あぁ」

「よっこいしょっ、と……よし、じゃあ教室に戻るか」

俺の最後の記憶は昼食を食べたとこで終わっていた

長い間気を失っていたワケではなさそうなので、今は食堂の帰りだろう

「おう、一人で歩けるか?」

「あぁ、大丈夫だ」

俺はいつもより覚束ない足取りで教室に向かった
78 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/01/26(木) 19:53:03.07 ID:3UcGl2JKo
「え〜、云々が云々であるからして〜」

数学のジジイが説明をしている間、俺はいろんな事を考えていた

あのあと松嶋美夏はどうなったのか
むしろあの世界はどうなっていたのか、実在するのか
この世界とあの世界の関係とはなんなのか
なぜ俺が松嶋美夏になったのか
公園のジジイと母は一体何者だったのか

あまりに規模が大き過ぎて夢でも見ていたように感じる

翔太に話を聞いてもらおうか?
一瞬、そんな考えが浮かんだが首を横に振った

翔太は松嶋美夏でいう友美ポジションだ
話を真剣に考えてくれるだろうし、心配だってしてくれる

しかし、こんな不確かな事情で友人を巻き込むのは気が引ける

はっきり言って、松嶋美夏は存在しない可能性がある

全ては俺の夢だった。そう言ってしまえば全ては納得のいく形になる
79 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/01(水) 18:11:20.13 ID:WL6Hk6GIO
……しかし、それでいいのだろうか?

実際、俺は今の俺が知る筈もない知識を経験した

友美の誕生日、保健室の女の子、委員長の側にいた女の子の名前……

まだ確認はしていないが、確かな情報の可能性は高い
夢とは思えないほどリアリティがあるからな

「……よーし、じゃぁ松嶋、答えはなんだ?」

「……へ?」

いきなりな教師の声に、呆気のない一言

「大門(2)だ。わかるか?」

机の上に雑におかれた教科書を見る

運良く問題のページを開けている

「……sin72°」

「……正解、これは云々の式を使い〜……」

教師は俺の口答を聞くと、再び黒板に向き直った

……あれ、俺は何を考えていたんだっけ?

……

…………

………………

あ、あぁ、リアリティがどうのこうのだったか

要するに俺は結末が知りたいのだ
好奇心?正義感?性格?

そんなのは関係ない

既に俺は『私』なんだから当然の事だ
80 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/01(水) 18:20:22.73 ID:WL6Hk6GIO
俺は僅かながら『私』としての人生を過ごした

それは夢だろうと現実だろうと関係のないことだ

しかし、結末を知るためにはあの世界とこの世界との関係、秘密を知らなくてはいけない

その方法は……俺には二つの作戦があった
81 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/01(水) 18:21:08.43 ID:WL6Hk6GIO
長い間、放置してすみませんでした

気ままなんで許してください
82 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/01(水) 18:30:23.33 ID:WL6Hk6GIO
「……あった」

俺が学校からの帰宅の途中、立ち寄ったのはあの公園だった

あのジジイは何かを知っている
それを吐いてもらうためだ

「……よっこいしょ、っと」

公園のベンチに深く腰を降ろす

あの後、色々確認してみた

友美の誕生日、委員長の側にいた女の子の名前……この二つは確認がとれたが、保健室の女の子の事は何もわからなかった

そして、この公園……

保健室の事以外は一致しているので、ジジイが来るのは間違いないだろう
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/02(木) 06:33:54.66 ID:afuU5mROo
>>81
書いてくれるだけでありがたいです おつ
84 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/02(木) 08:00:19.74 ID:DO7HMQ8IO
「おやおや、結構早いのぅ」

「……そうでもねぇよ」

何故か足音一つも聞こえずに、目の前にジジイが一瞬にして現れた

「……今日はワシの事と、二つの世界について聞きにきたんじゃろ?」

「わかってるなら話が早い、吐け」

ジジイの目をまっすぐに睨む
しかしジジイはキョトンとした顔で笑みを浮かべた

「……この世界についてのぅ……ワシもたいして知らんが……まぁいいじゃろう。松嶋、観覧車は知ってるじゃろぅ?」
85 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/02(木) 17:57:13.97 ID:DO7HMQ8IO
「観覧車って……あの遊園地のやつか?」

「それ以外に何がある?」

「……」

殺してやろうか?

「お前は観覧車にのっているんじゃよ」

「……は?」

あぁ、認知症ってやつか。
怖いねー

「物の例えじゃよ、そんな軽蔑した目で見ないでおくれ。興奮するじゃないか」

「お前さんは観覧車に乗っておる。7日という観覧車にのぅ」

そう言って爺さんはニヤリと笑った

「目覚めると女の子になっていて、一週間後に男に戻りその日の終わりに記憶を失い、再び女の子になる」

「所謂無限ループってやつじゃ」

「……それを信じろと?」

正直馬鹿げた話だった

無限ループ?それって7日間を永遠に過ごしてるってことだろう?ありえない

それにジジイが俺の事をよく知っているのも謎だ

「信じるかどうかは別じゃよ」

ジジイがサラッと言ってのける

そんな簡単に物事が判断できるかってーの

「……じゃあ、あんたは何者なんだ?なんで俺の事を知っている?」

俺が言い終わらない内にジジイの表情が明るくなった
86 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/03(金) 18:21:35.05 ID:4WkK7iKIO
「わしは……いや、俺も松嶋だからだよ」

「……は?」

こんなジジイが俺の親族?ありえない

だとすれば同性か?それだと質問の答えになっていない

……つまり

「松嶋信也……それが俺の名前だ」

そこには先程までのジジイはいなかった

「俺は60年後のお前だ。だからお前の事を知っている。な?筋が通るだろ?」

「通ってねぇよ……大体、なんで未来の俺がここにいるんだよ?おかしいじゃねぇか」

「……残念ながら、なんで俺がこの時代にいるのかは俺にもわからん。」

なんだそれ

それじゃあ証拠がないじゃないか

「証拠なんてないよ、だから言ったろ?信じるかは自由だって」

「人の心を読んでんじゃねぇよ」

「読んでなんかない、思い出してるだけだ。60年前の記憶を。永遠の7日間を。」

そう言ってジジイは笑った

その笑みは憎たらしく、嫌味な笑みだった

「後、数分でお前は消える。そして『私』としての7日間がまた始まる……微々たる違いがあれど、同じ事が、な」

「そして俺も消える……俺の人生は一続きじゃない。永遠に7日間をくり返すんだ」

ジジイが話している言葉に途中からノイズが混ざる

そして意識が掠れていくのがわかった

……俺は消えるのか?

そんな筈ない

そんな事はありえない

あってたまるか


薄れ行く視界の中で、母親の笑みが見えたような気がした
87 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/03(金) 18:22:41.80 ID:4WkK7iKIO
一括り
88 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/03(金) 18:30:42.93 ID:4WkK7iKIO
第一話

俺「女になった」完



第二話

俺「無人島についた」

スタト
89 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/03(金) 18:38:31.46 ID:4WkK7iKIO
「……ここは……どこだ?」

見渡す限り亜熱帯雨林が続いている

まさしくジャングル。THEジャングルだ

「……はっ⁉翔太はどこだ!確か一緒に帰ってたはずだ!それで!……それで…………それで……」

記憶はそこで止まっていた

たしか、公園にいて……

……あれ、なんでジャングルにいるんだ?

夢か?

公園のベンチで昼寝でもしたのだろうか

情けないぞ
90 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/03(金) 18:58:25.92 ID:wJyLSA9lo
「……おっ、松嶋。目が覚めたか」

「おぉ!翔太っ!生きてたのか!」

「勝手に人を[ピーーー]な」

そう言って翔太は困ったような笑みを浮かべた

「翔太!これどうなってんだ!俺、ジャングルなんて行った覚えがないぞ!それに!それにっ!」

「まぁまぁ、落ち着けって」
91 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/03(金) 19:54:39.24 ID:wJyLSA9lo
>>90行ったから今日はここまで
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 21:27:42.04 ID:1YAVfDOIO
93 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/06(月) 18:54:55.16 ID:3w1AiqhFo
「……すまん、つい……」

「まっ、気持ちはわかるさ。起きたらジャングルなんてびっくりするよな」

そう言った翔太は焦りを全く見せない

「残念ながら俺も何一つわからないんだ。学校の帰りから記憶が抜き取られたみたいに無くて……」

「そうなのか……」

もう一度辺りを見渡す

右にジャングル、左にジャングル、前にジャングル、後ろにジャングル……

それも映画に出てきそうなジャングルである

そして時々聞こえる野獣の呻き声

アオーン

「うおっ……怖いな……ライオンか?いや、狼かな?」

翔太がキョトンとした顔で非日常的な事を呟く

「……お前は何でそんなに冷静なんだ?怖くないのか?」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 19:45:03.21 ID:+0RMsB7IO
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
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.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
95 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/06(月) 20:14:08.29 ID:3w1AiqhFo
まだだ

寝る前に本気出す
96 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/08(水) 17:14:15.30 ID:N6+KW4oIO
「まぁ、怖いのは怖いけど嘆いたって無駄だしな」

そう言って翔太はニカッと笑う

いつもなら、ゴキブリが出てきただけで悲鳴あげてるのに立派なもんだ

つい、笑みが自然と顔からこぼれ落ちた

「ん?なにかおかしい事言ったか?」

「いや、なにも」

言えるわけないじゃないか
大人になったな、立派だよ……なんて


「……?まぁ、いいや。じゃあとりあえず人を探そうぜ」

そう言った翔太の足はすでに動いていた

……この意味不明なジャングル、納得できないし、信用できないが、俺は何故か不安を感じなくなっていた
97 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/08(水) 17:14:43.29 ID:N6+KW4oIO
ガサゴソ

「ん?動物か?」

翔太が歩くのをピタリとやめる

前方の草むらから物音が聞こえたからだ

「……武器はないけど、負けはしないよな?」

「黙秘権を使おう」

「なっ、まじか……セコイぞ」

ガサゴソ ガサゴソ

「……黙ったままでいい、構えろ。小動物なら食うぞ?」

黙秘権を使用した直後なので、俺は心の中で「まじか……」と呟いた

ガサゴソ ガサゴソ ガサゴソ

……
…………
……………………

「……あれ、ここどこ?」

「……!人間か!」

「わぁっ⁉な、な、なな、なんですか?いきなり大声を出して……」

草むらから出てきたのは女の子だった

「……あれ?私、ジャングルにいつ来たんだっけ……?」

女の子はあたりを見渡して不思議そうな顔をした

「友美、起きて、友美ー」

「友美?まさかとは思うけど……違うよな?」

翔太の目線が女の子から俺に移る

残念ながら俺は黙秘権使用中だからしゃべれないんだ

……ただ、女の子の制服が俺達の学校と一緒だから間違いない。
98 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/08(水) 17:15:13.79 ID:N6+KW4oIO
「んにぁ……?……おー、美夏じゃないかぁ〜」

少し声が小さかったので聞き取りにくかったが、判断はすぐにできた

「と、友美っ⁉」

俺が翔太に言葉をかける前に翔太は草むらにかけて行った

一瞬だけ見えた翔太の顔が青かったのが気になり、俺も早足で翔太の後を追いかける
99 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/08(水) 17:26:33.94 ID:N6+KW4oIO
「……?どちらさまですかな?」

「……寝ぼけてるのか?」

ようやく翔太に追いつく

そこにはチョコンと人形のように座った小島がいた

「……美夏、この人だれ?」

「……私にもわからないよ」

この二人の日常的な会話により、みるみる翔太の顔が青ざめるのが見てとれた

「……嘘、だよな?……なぁ?」

そう言って翔太は俺の方に視線を向ける

「……すまん、俺にも何がなんだかよくわからない」

俺の口から出た言葉は、親友を傷つける、過酷な言葉だった

弁護する気はない。俺は親友を上手く慰める技術を持っていない

殴られてもしかたのないようなことだ
100 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/08(水) 17:27:18.39 ID:N6+KW4oIO
ようやく>>100です

気長に書くんでよろしく
101 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/08(水) 17:36:21.22 ID:uiebzeuIO
しかし、翔太は俺に何もしなかった

翔太は自分の中で自分を攻めているのだろう、外に私情を出してはいけないと思ったのだろう

「……あの、ここどこなんですか?」

小柄な女の子が俺に聞いてくる

「……すまん、俺たちもよくわかってないんだ」

「じゃぁ、あなた達は誰なんですか?私たちの事を知っているみたいでしたけど……」

小柄な女の子は不安そうに翔太をみる

「……ちょっと待ってて、……翔太、ちょっとこっち来い」

翔太を引っ張ると体がガタンと崩れ、その場に倒れこんだ

「……翔太、大丈夫か?」

「……大丈夫なわけないだろ?」

そう言って翔太が怪しげに笑う
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 23:34:38.06 ID:7WSny4mIO
また明日
103 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/08(水) 23:35:11.32 ID:7WSny4mIO
みす

また明日
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/09(木) 01:59:17.57 ID:QDna2NsQo
105 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/09(木) 17:36:08.95 ID:q0fZFtiIO
「大切な人を失って、迷い込んだのはジャングル……はっきり言って狂ってる」

「……」

確かにそうだ、狂ってやがる

でも……

でも、さ

「……お前は会えなくなったわけじゃない、それだけで充分幸せじゃないのか?世の中には会いたくても会えない奴だっているんだぜ?」

私情が入った言葉だった

会いたくても会えない奴がいる、俺の父さんに姉さん

……それに、裕美と大河も、な

「……お前は本当にそう思うのか?大切な人が自分の事を忘れてるんだぞ?」

「確かに、忘れられる事は辛いよな……でも思い出なんていくらでも創れるじゃねぇか。お互い生きてりゃやり直す事は出来るんだ」

「ふっ……松嶋になにがわかる……」

嘲笑うように翔太がこちらを見る

確かにお前は辛い目に会っているのだろう

でも、俺は翔太に苛立ちを感じていた

最初から投げ出す生き方に……

「……翔太、知ってるか?中学まで俺は幼馴染が居たんだ」

「いきなり何の話だ」

「まぁいいから聞けって」

俺は強く翔太を睨んだ

「幼稚園からずっと一緒だった二人がいてな……そいつらとは親友だった」

ゆっくり空を見る

俺たちが居るジャングルは果てしなく不気味なのに、空は筆で書いたような青色だ
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/10(金) 07:42:58.35 ID:3/msLgYIO
「でも、二年前その二人を乗せた車が事故にあった。正面衝突ってやつだ」

……そう、そして二人は死んだ

「……俺の父さんと姉が乗った車とぶつかってな。もちろん父さんも姉も死んだ。俺は大切人を同時に四人失った」

「でも、俺は嘆かなかった。大切な人を失ったのを認めたくなくて、諦めたくなくて……もちろん、俺だって諦めるしかないのはわかっている。死者は蘇らないしな」

「……だからお前は諦めるな、小島さんは生きてる。それだけで充分じゃないか?」

翔太を見る

幾分か冷静さをとりもどしたようだ

「……そうだな、友美はいるんだもんな。それに友美が記憶を失ってない可能性もある。この話は学校まで持ち帰りだな」

こちらを見る翔太の表情は、いつもの柔らかいものに戻っていた
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/10(金) 14:06:02.93 ID:qsS1CUfIO
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 16:01:42.92 ID:rWnLuohIO
「あ、あの……話、終わりましたか?」

小柄な女の子が恐る恐る訪ねてくる

「ん?あ、あぁ。すまんな、いきなり変な話しちゃって……」

「それは構わないんですけど……」

女の子が周りを見渡す

「私達、今どういう状況なんでしょうか?」

的確な質問だ

自分の状況を知るのは大切な事だ

「さっきも言ったが、俺達もいきなりジャングルに来たみたいなんだ。それで探索をしてて……」

「……そうですか」

女の子は悲しそうな表情で俯いた

「……美夏、なんで私ジャングルにいるの?」

そこに寝ぼけている小島が口を開く

「ごめん、私にもよくわからないんだ……」

「……ほえ?」

俯むく女の子を小島は不思議そうに見る

どうやら小島の天然は健在のようだ

「……とりあえず、自己紹介でもするか?」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 16:10:15.98 ID:rWnLuohIO
「……私は、松嶋美夏です……南ヶ丘高校の二年です」

「私は小島友美ー、美夏と同じクラスだよー」

……ふむ、やはり俺たちと高校、学年が同じか

しかし、松嶋は見た事のない娘だ。

苗字が一緒なら覚えてると思うんだがな……

まぁ、そんな事もあるか

「俺は松嶋信也、南ヶ丘高校の二学年だ」

「あっ、やっぱり同じ高校だったんですか……」

どうやら向こうも気づいていたらしい

まぁ、制服着てるから当然と言えば当然か

「……高坂翔太、松嶋と同じクラスだ」

……
…………
………………

暫し沈黙が続く

「……にしても、奇妙だな。同じ高校で、学年も一緒なのに知らないなんて」

最初に口を開いたのは翔太だった
110 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 16:12:55.73 ID:rWnLuohIO
111 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 22:22:31.21 ID:pJlNA0mKo
どうやら自分が小島と付き合っている事は隠しておくらしい

「……確かに、知ってても可笑しくないんですけどね」

松嶋さんが合わせるように、手を顎に当て、考える

ちなみに小島はアリを捕まえているので、まぁほっといて大丈夫だろう

「……自己紹介はこんくらいにして、探索するか?もしかしたら人と会うかもしれないし」

「……いや、それはない」

……翔太よ、なぜそこで反論するんだ

なんだ?この漫画的な場面を楽しませてくれってか?

この不設楽な奴め!

「……すみませんが、私もそれはやめといた方がいいかと」

おっと、ここでまさかの松嶋さん登場です

なんですか?翔太と組んでるんですか!?

「下手に動くと、大型の獣と遭遇するかも知れない。ここは助けが来るまで待とう」

「助けがこなかったら?」

「それは……」

……よし、論破成功!ひゃっほう!

「……私さ、ロビンソンの奴で見たんだけど島かどうかが大事じゃないの?」

おや、小島って小説読めたんだな

「……確かにそうだ。でも生憎高地がないから、見渡せるかどうか……」

翔太が難しそうな顔をする
112 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 22:26:30.16 ID:pJlNA0mKo
「じゃあ、とりあえず海を一周しますか?」

「……うん、時間はかかるだろうけど確かだな。それにするか」

なんだ、結局探索じゃん

俺は心の中でそう呟いた
113 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 22:44:55.64 ID:pJlNA0mKo
「……」

「……」

沈黙が続く

それもそのはず、あれから7時間も歩きっぱなしだからな

あの時を9時だとしたら今は3時だな……そろそろ寝床とかも探さなくちゃいけないんじゃねぇか?

「……広い、ですね」

「そうですね……全然変化がないから、よくわからないけど、6時間くらいたったのかな」

「七時間だ」

「……?なんでわかる?」

「一秒ずつ数えてた」

「……はぁ」

なんだ、その『お前って本物のバカだな』みたいな顔は!興奮するじゃないか!

「……今日はこの辺りで寝床をさがすか。陽がくれてからじゃ遅いしな」

そう言って翔太は茂みを見た

「洞窟とかがあればいいんだが……」

「……まぁ、気長に探しましょう」
114 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 22:53:44.15 ID:pJlNA0mKo
「……陽が、暮れた、な」

泣き出しそうな声で翔太は呟く様に言った

「……まぁ、仕方がないですよね。今日はそこらで寝ますか」

おぉー、野宿かー

なんか興奮してきた☆

「……とりあえず火を付けるか」

そう言って翔太はポケットからライターを取り出す

……って、え?ライター?なんで?

「たまたまライター持っててよかった……」

「……何で持ってるんだ?」

「ん?いや……あれ?なんでだっけ?」

「ふざけてんのか?」

「いや、マジでわからない。記憶がないんだよ……」

追求したいところだが、俺も記憶があまりないので、まぁいいだろう

「……じゃあ、火を付けるから木材集めてきてくれ」
115 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 23:00:45.52 ID:pJlNA0mKo
あったかいな……

火って結構いいもんだ

あったかいし、気持ちが安らぐ

そういえば火を見つめる男の考える顔は理知的になるんだっけ

「……眠い」

おっと、つい本音が

「……確かに今日は沢山歩いたしな」

翔太は優しい笑顔で俺を見た

ちなみに小島は一日中歩く時、翔太におぶられていた

で、今も爆睡中

「……じゃあ寝ますか?」

「そうだな、明日に備えて寝ようか」

「さんせー、じゃあなー、おやすみー」

すごく猛スピードで寝る準備を始める

多分、皆すごく疲れてたんだろうな

かくいう俺もかなり疲れた

早く寝よう

明日に備えて……

……明日はどうなるんだろうな

……あ、あと……

……まぁ、いっか
116 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 23:03:35.35 ID:pJlNA0mKo
「……ここは……どこだ?」

見渡す限り亜熱帯雨林が続いている



第二話

俺「無人島についた」完


第三話

俺「ジジイになった」

スタト
117 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 23:53:10.25 ID:pJlNA0mKo
「……って、ワシは最初からジジイじゃよ」

なぜか高校の時の記憶が鮮やかに蘇ったわい

……あの頃は……あれ、なにがあったかのぅ……?

最近物忘れが激しくて困るのぅ……

「……バーさんや、お茶をいれてくれんかのぅ?」
118 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/11(土) 23:53:47.16 ID:pJlNA0mKo
今日はここまで
おやすみ
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 10:29:50.05 ID:ueGoPFRIO
「え?なんです、おじいさん」

「すまんのぅ、ワシ、耳が遠くて聞こえんわ」

「え?プリンなら冷蔵庫にありますよ?」

「庭掃除とな?今からやるのかえ?」

「おじいさん、そんなエッチィな事は言わないでください///」

なにか、食い違っている様な気がするぞ……

まぁばあさんとゆっくり話すのもいいじゃろう

「……月が、綺麗じゃのぅ」

「……そうですねぇ」

このまま残り少ない人生、ワシはばあさんと一緒に過ごせるなんて幸せ者じゃ

……なぁ?美夏ばあさん
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 10:33:33.30 ID:ueGoPFRIO
第三話

俺「ジジイになった」完


第四話

俺「女になった」

すたと
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 10:35:23.94 ID:ueGoPFRIO
三話が短かったのは繋ぎだからです

四話で話の全貌がわかり、五話が最終話になります
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/12(日) 20:32:18.88 ID:K15fErjIO


なんかよくわからんが待ってる
123 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/12(日) 21:30:57.63 ID:bpcsRoWyo
>>122
語学力って大事だよね

ほんと、まとめの作品とか見たらヒシヒシと感じます
124 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/12(日) 21:40:16.88 ID:bpcsRoWyo
……ここは、どこだ?

ピンク色の壁にヒラヒラのカーテン

動物柄の布団に真っ白な目覚まし時計

あー、あれか?女の部屋で一夜を……って、それはないか

「……パルコサミン酢」

なんか呟いた

えっ、これが目覚ましですか?

かなり小さくないですか?

てか、まじでここどこなんですか?

「……とりあえず、部屋を出よう。そーっと、な」

気づかれたらヤバイしな

いや、別に悪い事をした覚えは無いが

「……美夏ー、朝ごはんだよー」

部屋の外から聞こえる声……もしかして人がいる!?

いやいや、焦るな俺

自分の顔を見てみろ、なんて無様な……

……え?

部屋に置かれた鏡に映った俺の姿は……





「女になった……」
125 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/12(日) 21:45:07.55 ID:bpcsRoWyo
いやいや、おかしいから、ありえないから!

女になった?なーにを仰いますか!

そんなの物理的に無理だし!おかしいし!ありえないし!

そもそも俺は……!

……ん?

……
…………
………………

俺って、なんだ?

いや、頭が狂ったわけじゃない

中二病になったわけでもない

え?いや、俺の名前ってなんだ?

……
…………
………………

「……パルコサミン酢」

「お前はもういいから!」
126 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/12(日) 21:49:15.13 ID:bpcsRoWyo
「そういや、さっき美夏って呼んでたな……」

俺の名前って美夏なのか?

んー、なんかしっくりこない

「つか、俺って男だし。女じゃないし」

「……美夏ー、ごーはーん、冷めちゃうよー」

今はそれどころじゃないんだ、母さん

……ん?母さん?母さんなのか?

……違うような違わないような

「……まぁ、考えるのは後でいっか」
127 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/12(日) 21:58:18.97 ID:bpcsRoWyo
とりあえず今は情報収集だ

そこから記憶が治るかもしれないし、うん

「今行くー」
128 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/13(月) 21:30:11.68 ID:eFDckjOIO
なんかもう無理っす
ネタ切れというかなんというか

多分、長くは続かないと思います
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 21:45:19.10 ID:eFDckjOIO
「さぁ、お食べ!」

部屋を開けた先には豪勢な朝食が机に並べられていた

ハムエッグに味噌汁に魚に白米……これを全部食べろってのか?

「……どうしたの?食べないの?」

しかも、近くにエプロン姿の幼女がいる

これは夢か?

いやー、良い夢だなー、はっはっは

「……お腹の調子が悪いの?」

下から上目遣いで見るでない!俺の息子が……って、今はないんだっけ

「……お母さん?」

「どうしたの?」

ふむ、返事をしたし、やはりこの幼女が母親か

ふざけた母親だな
130 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/13(月) 21:50:30.10 ID:eFDckjOIO
「……いや、なんでもない。いただくよ」

イスを引き、座る

それだけの動作が何故か大層に感じた

理由?そんなの知るか。むしろこっちが聞きたいわ

「……ほんとに大丈夫?美夏、口調とかも変わってるし……」

不安そうな顔をする幼女……ふむ、なんかポエムが書けそうだ

……真面目に考えるか

恐らく母親の言動からすると、今日は普通の一日であり、俺がここにいるのは当たり前の様だ……

……なら、俺は女を演じた方がいいんじゃないか?

のちのち物事が解明して行くかもしれないし。うん
131 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/13(月) 21:51:44.43 ID:eFDckjOIO
なんかね、最初>>800とか言ってたけど、VIPより字数制限が甘いから予想以上にレスは少なくなりそう
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 21:56:40.43 ID:+nyl9BgIO
>>131
そんなことどうでもいいから更新はよ
133 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/13(月) 22:14:35.33 ID:WuFBWGXgo
「……大丈夫だよー」

気持ちわr……完璧だな!さすが俺!

手を合わせ、いただきますと言った後、くまさん柄の箸を手に取り食事をする

ふむふむ、普通に美味いな

「どう?おいしい?」

「……うん、美味しいよ」

そしてここで笑顔!
絶妙なタイミングが命取りになる

「そう、それはよかったー」

母(?)は鼻歌交じりでキッチンへと向かう

それを確認して、俺は箸を置いた
134 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/14(火) 07:28:18.09 ID:sdnXrxFIO
今日は更新無理っぽい
ちょっと高瀬愛花の様子見てくる
135 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/15(水) 18:16:08.45 ID:rKj1JTOIO
……さて、これからどうするか

このまま演じ続けても、俺が元に戻る可能性なんてないだろう

なにかアクシデントを起こさなくては……

「……ん〜、」

かと言って、おれは物事の解決の仕方なんてものは知らない

……しょうがない、明日にでも図書館に行くか

……しかし、今更な事だが、俺って誰なんだろうな?

男と思うけど……

……
…………
………………

わっかんねぇ……考えるのはまた後にしよう
136 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/15(水) 18:16:40.26 ID:rKj1JTOIO
時間と空間は存在しない
時空だけが存在している

時空は流れてなどいない
連単性を繰り返してるだけ

もし時空に始まりと終わりがあるとすれば、その境界は限りになく0に等しい

時空は永遠に繰り返される
137 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/15(水) 18:23:43.07 ID:rKj1JTOIO
「……おーっ、よっす!美夏ぁ〜」

俺が玄関扉を開けると、女の子が一人立っていた

……彼女は、確か……友美だったか

思い出なんて一つもないのに、なぜか名前だけは覚えていた

「……おはよう」

「ん?どうしたの?そんな暗い顔して」

「……なんでもない」

大ありなんですけどね

「そう?まぁいいや、早く学校行こ?」

そう言って友美は俺の手を握った

……なんか嫌な予感がする

「ほら、走るよ!」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 13:43:42.22 ID:VbhIY1TIO
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 07:39:11.54 ID:4yoJXWHIO
「 ゼェ……ハァ……ゼェ……ハァ……」

結局、何が何かよくわからないまま学校まで走らされた

時間にして10分、距離にして2キロぐらい

もちろん、殆ど全速力だ

「ふぃー、学校に間に合いそうだねー」

なのに友美(?)は息を全く切らさずに、清々しい顔で俺の前を歩いている

なんだ?夢なのか?

あれですか、友美(?)は人造人間(笑)的なオチですか
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 07:46:28.17 ID:4yoJXWHIO
「まったく、美夏は毎度ながら足が遅いねー。まだ10分しか走ってないよ?」

そう言って友美(?)はケラケラと笑った

異常なのはそっちなんだけどな

「 ゼェ……ハァ……と、ともみ、」
141 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/17(金) 07:47:08.89 ID:4yoJXWHIO
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/17(金) 08:41:05.35 ID:tZ9IOqBho
143 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/17(金) 17:18:39.23 ID:4yoJXWHIO
>>142
まだだぜ
144 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 07:18:18.95 ID:Ldfv72CIO
さーせん、色々都合があって放置してた

多分今日から再開する
145 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 19:22:58.57 ID:Vp2oJ71IO
「ん〜、どったの?疲れたの?」

「それも、ある、けど……ゼェ……」

「あるけど?」

「……今日、学校行くんだよね?」

「あたりまえじゃんっ」

……まぁ、そりゃそうなんだけどさ

学校っていう言葉は知ってる

いかなきゃいけないのもわかってる

……でも

胸の奥で学校に行く事自体に実感が湧かず、緊張している自分がいた

「学校、かぁ……」

なにか憧れのような、今まで望んでいたような、そんな存在

学校に行ける嬉しさ……なんでこんなに感じるんだろうか

学校なんて勉学に励むだけの場所

本来、楽しむものではない

……なのに、なのになんで

「……?学校、行きたくないの?」

「……ううん、学校に行きたいよ。」

……でも、どこかで怯えている自分がいる

一歩を踏み出せない自分が

「……じゃぁ、走ろう?」

不安がる俺に友美が笑顔を向ける

友美は俺の手を取り、前を向いた

「ほら、走るよ!」

友美は楽しそうに、俺の手を取り走り出した
146 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 19:32:26.83 ID:Vp2oJ71IO
学校に着いたが、楽しい要素なんて一つもなかった

すぐに授業が始まり、教師に問題を解かされ、掃除をして……

時間は一方通行に進んで行く

超特急並の速さで

学校なんて一瞬で終わってしまった

体感時間にして数分

これで一日の半分が終わったというのだからビックリだ

俺の一日はもっと長かった気がする……生憎、記憶を持ち合わせてないので明確にはわからないが

帰り道では友美が鳩を追いかけて湖にハマり、ずぶ濡れになった

泣きそうな友美を宥めながら、どんよりとした雰囲気で帰る事になった

帰宅すると母がハンバーグを机に並べていた

その味はカオスで、今思い出しても涎が出てくる

そして風呂で鼻歌を歌いながらゆっくりと過ごした

自分の部屋に戻った頃には、慌ただしいが、とても楽しい今日に満足していた

今まで感じた事の無い充実感がそこにはあった
147 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 19:36:31.74 ID:Vp2oJ71IO
前の人生がどんなものかは覚えていないのでわからないが、俺は『私』の人生が気に入っていた

ずっとこのままでいたい、心からそう思った

寝たらまた、俺に戻るのかな?

そうかんがえると寂しくなってくる

まだ、帰りたくない。この充実している人生をもっと楽しみたい

友達がいて、可愛らしい母がいて、学校にいけて……

皆が俺を歓迎してくれて……
148 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 19:40:41.29 ID:Vp2oJ71IO
……しかし、俺がこの娘の体を乗っ取ったら、この娘はどうなるんだ?

消えるのか?

それは嫌だ

人を悲しませたくはない

俺が楽しんで、他の人が悲しむなんて胸糞悪い事はできるだけしたくない

……だから、俺は今を生きよう

後悔しないように生きて、いつか『私』が帰ってくる時まで楽しもう

そのくらいの権利は俺にだって或る筈だ

……おやすみ、また明日も楽しい一日になりますように
149 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 19:46:08.79 ID:Vp2oJ71IO
……なんで、お前は泣いてるんだ?

……お前は、誰なんだ?

……俺は、なんで動けないんだ?

……俺は、なんで喋れないんだ?

……俺は、どうして病院にいるん、だ?

……
…………
………………
150 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 19:50:18.17 ID:Vp2oJ71IO
「……伸也は、どうなったんですか?」

「上手くいきましたよ、大丈夫です」

「……伸也は、どうなるんですか?」

「数分で起きますよ。実験が成功なら、ね」
151 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 19:53:52.37 ID:Vp2oJ71IO
第四話

俺「女になった」完


第五話

俺「俺になった」

すたと
152 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 21:00:57.29 ID:Vp2oJ71IO
……目が覚めると、そこには純白の天井が広がっていた

そして、部屋中に響く「シュコーッ……シュゴーッ」っという音

……ここは、病院、だよな?

俺は病院で長い時を過ごした

三歳で、父と母を亡くし、六歳で親友を亡くし、十歳で初恋の人を亡くし、そして自分は重病にかかったのだから、かれこれ6年間も病院に居る事になる

……なのに、なぜだろう?

高校生活や、ジャングル生活や、老後の生活……

鮮やかに蘇る俺とは別の人生……

……俺は、どうなってしまったんだ?
153 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/21(火) 21:01:34.78 ID:Vp2oJ71IO
>>150を何時の間にか突破

今日はここまで
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 17:28:36.75 ID:WvesdFdIO
「……おや、目が覚めましたか?」

逞しい髭を生やした爺さんが俺の視界に入る

……見覚えがある、公園に居た爺さんだ

「とりあえず、落ち着いて話を聞いてくれるかな?」

「はい」っと言おうとするが、ここでアクシデント

なぜか喉から声が出ないのだ

いつものように、さりげなく話す事ができない

「……喋れないのか。じゃあ、許可してくれるなら目を瞑ってくれ」

それならできる

俺は開いていた瞼をゆっくりと閉じた

「……じゃぁ、話そう。何が起こったのか、何が起きて居るのかをね」
155 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 17:29:34.60 ID:WvesdFdIO
「今から約一時間程前に、君には『脳内で仮想空間を創り出す実験』に協力してもらった」

「……君が今、覚えている様々な人生は実験により、君が体験した仮想空間での一時だ」

「仮想空間は7日間の区切りでまた別の物に……そうやって、自分が望んでいる世界にだんだん近づける」

「君は仮想空間での人生が楽しく感じただろう?それは君が創り出した理想の世界だからなんだよ」

「一応、二時間程前に同じ内容を君に一通り説明をしたんだけど……覚えてないよね」

「無理もない、君は4回の7日間とそれに関する記憶を作り出し、覚えていたんだ」

爺さんは長いセリフを言い終えると、息を大きく吸い、こちらに笑顔を見せた
156 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 17:30:04.25 ID:WvesdFdIO
「君が実験を手伝うって言った時は驚いたし、申し訳なく思ったよ。なにせ仮想空間に長い時間いると記憶を失ったりする可能性があったからね」

「……でも、それ以上に嬉しかった。入院直後のオドオドした君が、誰かの為に頑張ろうと思ってくれるまで成長したんだからね」

「子供が居たらこんな感じなんだろうな、って思ったよ」

「……」

楽しそうに爺さんが話しかけてくる

「……だから今はやすみなさい。頭の中が混乱してるだろうし、ゆっくり休んでゆっくり思い出しなさい」

俺は、なんて言えばいいんだろうか

声が出ない。体が動かない。

「はい」その一言さえ言えない

だから俺は頷くかわりにそっと瞼を閉じた

……俺は、どうやら大丈夫なようだ
157 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 18:03:23.07 ID:WvesdFdIO
俺は三歳まで楽しい人生を過ごしてきた

別に不満がなかったわけでも、欲求が叶えられたわけでもなかった

でも家族が居て、友達がいて……それだけで俺は十分だった

……しかし、三歳の夏

母と父が事故死

そこからは死の確変だ

友達が死に、母形の叔父と叔母に引き取られる

しかし、小学校の入学式で親しい友達は全員死に、小4で芽生えた初恋の相手もしんだ

それからは叔母に怪物と呼ばれ、家に入れてもらえなくなり、介護施設の人に引き取られた

……それから俺の頭に腫瘍が見つかり、入院と退院を繰り返す毎日

学校には一応行っているが、誰もが俺を避け、孤独していた


しかし、あの世界には夢があった

母が居て、美味しいハンバーグを作ってくれて

親友が生きてて、一緒に楽しく過ごして

学校の皆が歓迎してくれて……


俺が亡くした物がそこにはあった

母、友達、温かさ、家、料理、風呂……

……そして、「松嶋美夏」
158 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 18:04:54.78 ID:WvesdFdIO
松嶋は俺の性だが、それは介護されたときに付けられるものだ

松嶋美夏は、俺と同い年で生まれた時から体が弱く、病院にいた

……俺に唯一、話しかけてくれた中学の女子だ

学校ではあった事はないが、いくらか病院で会った


おとなしい性格で、優しくて、真面目で……

俺は美夏の事が……

それ、なのに……

……
……………
…………………
159 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 18:19:04.14 ID:CoIFzPtOo
もうすぐ終わる!

長々書こうと思ったら駄作になっちゃった☆

多分、後10レスくらいで終わる
160 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 18:39:41.76 ID:CoIFzPtOo
「……」

目の前に広がる純白の天井

デジャブの様な感覚……

「……あーっ」

腕を動かし、声を出す

……さっきは動かなかったが、今は動く

……手が、動く


「……動く」

ある一種の感動

6年間動かなかった手が動く

声が出る

「……成功、みたいですね」
161 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:02:26.07 ID:CoIFzPtOo
「……どうやら、実験は成功のようだね」

「仮想空間で、喋り、動き、感覚を養う練習だったか」

そう言えば、俺が寝付く前に担当医に言われた

「……そう、君の手術後のリハビリの荒治療」

俺の腫瘍の摘出は成功した

しかし六年間寝たきりだった俺は、動く事を忘れていた

それを思い出させるため……と言うのは口実で、新しい医療技術のモルモットになったのだ
162 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:12:51.42 ID:CoIFzPtOo
しかし、そのおかげで費用がかからなかった

もちろん費用がかからないからモルモットになったんだがな

「……それで、どうだった?」

「何がだ?」

「とぼけるな、仮想空間のことだよ」

まぁ、わかってたけどな

「……確かに、仮想空間には母も翔太も友美もハンバーグも温かいものも美夏もあった。……でも、仮想空間だ。そこにリアルはないよ。そこには幸せはあるけど楽しみはない。医療用としては充分だけど、過度の使用は廃人を作り出すだけだ」
163 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:18:46.45 ID:CoIFzPtOo
「……ほう、なかなか言うな」

爺さんはニタリと笑った

「……まぁ、さっきまでの俺とは違うんだよ。」

「……ほう、何が違うというんだ?」
164 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:20:59.49 ID:CoIFzPtOo
俺は色んな人生を楽しんだ

愉快な人生

サバイバルな人生

ゆったりした人生

温かい人生


そんな人生を経験できただけでも俺は充分だ
165 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:21:43.62 ID:CoIFzPtOo
この人生に大切な物がなくとも生きていける
166 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:22:11.58 ID:CoIFzPtOo
なんたって……俺は
167 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:23:11.80 ID:CoIFzPtOo
「女に、なったんだからな」

それで充分だ






俺「女になった」

168 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:27:01.62 ID:CoIFzPtOo
長々と駄作を書いてすいませんでしたー
ここまで読んで下さった物好きな方々
ご愛読ありがとうございました


次作のurlを貼ってから落としますね
169 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 19:34:47.34 ID:CoIFzPtOo
あ、もしかしたら派生SSを書くかもです
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/22(水) 19:51:06.55 ID:6BZfxRQKo
乙です(・ω・)ノシ
171 :白蓮の騎士 ◆SSssRnAEXA [sage]:2012/02/22(水) 22:02:11.24 ID:CoIFzPtOo
男「安価で彼女つくるって誓うよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329915666/
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/22(水) 23:14:35.79 ID:cTJVwvjAo
よくわからんが乙

そして安価系は嫌い…
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/24(金) 07:14:00.84 ID:K/b24knTo
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