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アリューゼ「おい、てめぇが俺のマスターか?」士郎「え…………」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/14(土) 00:00:37.93 ID:WxnZcIYbo
両手剣と槍が激突し、槍を持った女は舌打ちと共に間合いを取る。

大男「まったく……こんなのがマスターとはな」

俺を一瞥し、大男は両手剣を槍を持った女に向けた

大男「おい、まだやるってんなら、容赦はしねぇぞ」

槍を持った女「……サーヴァントを召還されたか。まぁいい、あたしはあたしのやりたいようにやる」

槍を持った女もその槍を構える。双方共に、引く気は無かった。






このSSはヴァルキリープロファイルとFateのSSです。
設定、口調が変な所もあると思いますが、何分不慣れな物なので勘弁してください。
基本的に不定期になると思います。

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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 00:06:47.15 ID:scHfaT5n0
アニェーゼ「おい、おめぇが私のマスターってやつですか?」士郎「え…………」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 00:07:32.45 ID:8TR71qfd0
期待
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 00:09:08.10 ID:WxnZcIYbo
校舎の中を走る、走る、走る。
先ほど見た光景が瞼に焼き付いている。
槍を持った女と銃を持った男が戦っていた。
終始、女が攻め続けてはいたものの、まるで床下を走り回る鼠のように、男も逃げながらに戦い続けていた。

士郎「はあっ……はあっ……」

槍を持った女「で、逃げるのはおしまい?」

振り切ったはずなのに、目の前には槍を持った女がいる。

槍を持った女「あたしも、あんたを殺したいってわけじゃないんだけどね……」

言葉とは裏腹に、女は槍を構える。

槍を持った女「痛くはしないから安心しな」

俺が避ける間もなく、槍は俺の心臓を貫いた。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 00:14:37.86 ID:WxnZcIYbo
士郎「……痛っ!」

目が覚めると、そこは先程までいた廊下だった。

士郎「……どうして」

間違いなく、俺は殺されていたはずだ。
胸元を触ると制服にはぽっかりと穴が空いている。
まるで貫かれたかのように、胸にも背中にも。
だが、そこには体があった。
とくん、とくん、と音をたてる心臓もあった。

士郎「ッ!?」

立ち上がろうとすると、体中に激痛が走る。
だが、いつまでもここにいるわけにもいかない。
それに、そうする事が何故か恐ろしかった。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 00:21:53.02 ID:WxnZcIYbo
ずるずると重い体を引きずるようにして、歩く。
自分の家にたどり着き、少し落ち着いた。
門をくぐり、家の中に入る前に倒れる。
嘘だ、俺は死んでなんかいない。
あれは夢だったんだ。
何度も何度も言い聞かせるが、体はあの痛みを覚えていると叫ぶ。

槍を持った女「嘘だろ……間違いなく殺した筈なのに……」

声に、震える。
嘘だ、夢だと言い聞かせ、体を起こし、声の先を見る。
門の上には、槍を持った女がいた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 00:27:01.19 ID:WxnZcIYbo
声よりも脳よりも早く、手足が動く。
鍵を開ける手間を嫌がり、庭へと走る。
女はニヤリと笑い、すぐに追いかけようとはしなかった。

士郎「くそっ、なにがどうなってるんだ!」

土蔵に駆け込み、手近にあった鉄パイプを握る。
咄嗟の強化に成功するが、それでどうにかなるとは思えるはずもなかった。

槍を持った女「鬼ごっこをしたかったんじゃ無かったのかい?」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/01/14(土) 00:34:09.51 ID:WxnZcIYbo
遊んでいるような槍の動きは、実際の所、俺の体を削いでいく。
鉄パイプは強化などどこへやら、あっさりと曲がってしまった。

槍を持った女「こんなもんか……痛くしてほしくないなら、動くんじゃない」

ガツンと蹴られ、尻餅をついた俺に、女の槍が突きつけられる。
ぐにゃぐにゃの鉄パイプは手の届かない所まで飛ばされ、避ける方法は皆無だった。

槍を持った女「一度生き返ったからって、二度はさすがにないんだろう?」
9 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/14(土) 00:37:50.13 ID:WxnZcIYbo
女の槍が、振り落とされる。
悲しい事に、俺はただ目を瞑り、震えるだけだった。

ガキン、と金属同士の触れ合う激しい音。

目を開けた俺の前には、両手剣を構えたゴツい男が立っていた。

両手剣と槍が激突し、槍を持った女は舌打ちと共に間合いを取る。

大男「まったく……こんなのがマスターとはな」

俺を一瞥し、大男は両手剣を槍を持った女に向けた

大男「おい、まだやるってんなら、容赦はしねぇぞ」

槍を持った女「……サーヴァントを召還されたか。まぁいい、あたしはあたしのやりたいようにやる」

槍を持った女もその槍を構える。双方共に、引く気は無かった。
10 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/14(土) 00:51:56.93 ID:WxnZcIYbo
二度、三度と激しく打ち合う。
女の動きは、先程までの遊んでいるような動きとは打って変わり、残像すら見えてしまう。

女「てぇやぁっ!!」

大男「ふんっ!」

四度、五度と音を聞くと、女は一歩下がり、大男を睨んだ。

女「全く……こんな所で止めたくはないんだけどねぇ……」

大男「どうした? 逃げるのか?」

女「そうだよ、悪いけど、また今度だ」
11 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/14(土) 00:58:14.44 ID:WxnZcIYbo
身を翻したかと思えば、女は気配すらも消えてしまった。
大男は土蔵の中を見回し、未だに尻餅をついたままの俺を睨む。

大男「おい、てめぇが俺のマスターか?」

俺はただ、唖然とするだけだった。

大男「チッ……新手か!」

外に目を向けた大男は、両手剣を担いで走り出す。
すぐに後を追いかけると、塀の外から「ぐぇっ!?」と別の男の間抜けな声が聞こえた。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 01:04:05.02 ID:fsCzTcgSO
VPとは
期待
13 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/14(土) 01:05:32.05 ID:WxnZcIYbo
門から出ると、そこには剣を突きつける大男と、遠坂がいた。

大男「今の魔術、俺にはよくわからねぇが、悪くはねぇな。まぁ、その先を見ることは出来ねぇが」

言いながら、ゆっくりと両手剣は上げられる。
あと数秒で、それは遠坂を半分に叩き割るだろう。
そんな事、見過ごせるわけも無かった。

士郎「やめろッ!!」

大男「……なんだ? こいつは敵マスターだぞ?」
14 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/14(土) 01:06:26.25 ID:WxnZcIYbo
とりあえずはここまでです

また夜にでも書きます
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 01:08:20.07 ID:QGyyOgoBo
サーヴァントは全キャラVPか?
だとするとランサーにもなんとなく心当たりがあるんだが
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/14(土) 01:31:29.49 ID:COn/dGHZo
乙!キャスターはやっぱりあの変態なんだろうか
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/14(土) 02:51:47.37 ID:uHoxw++AO
アリューゼってガッツっぽい人か
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/14(土) 03:10:14.60 ID:oVNycdpAO
槍は竜化のねーちゃん、弓は悪運の人かジェイクか
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/14(土) 03:42:19.76 ID:wnqRPZTdo
キャスターが圧倒的に強くなりそうだ…
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 04:38:17.00 ID:YRVFKfoRo
変態の癖に無駄にスペック高いからな
あれなんかそんなやつがZeroにもいたような
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 11:19:53.60 ID:8wijV+KAo
テメェの顔も見飽きたぜ!!

乙!
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 11:41:55.47 ID:QBksPibDO
アサシンが倭国チームのどっちになるか……八割方シスコンだろうけどw
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 21:19:21.03 ID:8TR71qfd0
バーサーカーに勝てる気がしない
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 21:27:45.71 ID:QBksPibDO
>>23
ガッツで延々と立ち上がってきそうだ
25 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 00:19:13.70 ID:1SyHAqN3o
鯖は全部VPで統一します。
書きためは基本的にしてないので、ペースは遅いですが、寝落ちするまでは書いていきます。
26 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 00:20:26.62 ID:1SyHAqN3o
バドラックはぼんやりとその様子を見ていた。
そもそも、自身がどういう状況なのかも曖昧なのだ。
俺の記憶は、ヴァルキリーについて来いと言われた所で切れている。
何故か長い眠りがあったようにも思え、気がつけばやけに豪勢な屋敷の、家具が散乱した中で寝ていた。
頭の中に「知識」が詰められた本を放り込まれたかのように、聖杯戦争の事、自身がアーチャーのクラスだという事、そして直後に部屋に入ってきた少女が、俺のマスターだという事、それらを理解した。

バドラック(あー、暇だ。この嬢ちゃんも、もうすこし、こう、ボンッキュッボンッなら良かったんだがなぁ……)

和室で机を囲む三人は、端から見て異様だ。
高校生二人はともかくとして、両手剣を持った男が、だ。
というかそもそも、一度一緒に仕事をしたやつを、躊躇無く斬るやつがいるか?
まったく……そりゃ、あんときは……俺がさっさと逃げたけどよ。

凛「じゃ、行くわよ」

士郎「行くってどこにだよ」

凛「決まってるじゃない。教会よ」

瀕死の瞬間に霊体化して、なんとか生き延びてるんですけどねぇ。
俺の意見を聞く素振りはないのが、なんともまぁ、悲しいねぇ。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/01/15(日) 00:22:37.13 ID:u4NsbvQAO
>>22
バドラックもアサシン枠ならいい線いきそう
28 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 00:27:31.96 ID:1SyHAqN3o
教会での神父、言峰綺礼の説明は何も知らない俺にはイマイチ理解が出来なかった。
だが神父の
「此度の聖杯戦争は今までとは違う。聖杯自身……いや、そこに干渉出来る何かの力が働き、本来呼ばれるべき英霊ではなく、エインフェリアと呼ばれる存在が召還される事になっている。凛、おそらくお前のアーチャーも、見たことも聞いたことも無い奴なのだろう?」
という問いに遠坂は
「なるほど……」
と呟いていた。

凛「まったく……一体どこのどいつよ。勝手にルールを変えないでほしいわね」

教会からの帰路、遠坂はぶつくさと怒りながら、先へ進む。
俺のサーヴァント、セイバーは何も言わずに、何かを考えながら俺の後について来ていた。
そもそも、俺はこいつの名前すら知らないままだ。
29 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 00:34:13.36 ID:1SyHAqN3o
士郎「なぁ、セイバー。えっとその、さっきはありがとな」

何より、俺は助けて貰った礼さえ、していないままだった。

セイバー「感謝されるような事じゃねぇ。それに、どうやら俺達エインフェリアは、この聖杯戦争で最善を尽くさないといけないらしい。なら、マスターを守ることは当然だろ?」

そう語るセイバーは先程までの寡黙の姿と比べれば、幾分か接しやすい印象を与えた。
30 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 00:46:00.46 ID:1SyHAqN3o
凛「ちょっと衛宮君。私達はこれから同盟を組むのよね? なら、家から簡単な荷物を持ってくるから、先に衛宮君の家に帰っていてくれる?」

突然、遠坂が振り向きそう言い放つ。

士郎「ま、待ってくれ! 同盟についてはそうだけど、なんでわざわざ荷物なんて!」

凛「あら、セイバーに一撃で瀕死まで追いやられたアーチャーじゃ、私の護衛にはならないわ。それとも衛宮君は同盟相手にさっさとアサシンあたりに殺されてほしいの?」

士郎「そ、そう言うわけじゃなくて……」

凛「じゃ、決まりね。それじゃあ、私は今から……」

セイバー「待ちな。もう来てるぜ」

セイバーが遠坂の肩をつかみ、後ろへと引く。
俺と遠坂の壁になるように立つセイバーは、その先の、二人の少女を睨んでいるようだった。
白い少女と、金髪のどこか気品を漂わせる少女を。

セイバー「……ジェラード」
31 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 00:54:24.73 ID:1SyHAqN3o
白い少女「はじめまして、シロウ。それにリンとセイバー」

白い少女「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。聖杯戦争のマスターよ」

スカートをつまみ、お辞儀をする様は、どこかの貴族のようだ。

凛「……アインツベルンっ!?」

遠坂はイリヤスフィールを見て、明らかに同様している。
そこに普段感じる優雅さは無かった。

イリヤ「この子はジェラード。バーサーカーよ」

バーサーカーと呼ばれた金髪の少女は、アリューゼの呟いていた名前と同じジェラードと言う名前らしい。
暗がりでよく見えていなかったが、その少女の瞳には何も映っていないのか、ひどく虚ろだ。
32 :寝落ちフラグがビンビン ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 01:02:36.16 ID:1SyHAqN3o
イリヤ「ジェラード、シロウなんかぐちゃぐちゃにしちゃっていいからね! やっちゃえ、バーサーカー!!」

その言葉を聞いたバーサーカーは、一歩前へと進み、歪んだ。
少女の輪郭がぼやけ、歪む。
何か嫌な夢でも見ているような気分だった。

アリューゼ「嘘、だろ……」

セイバーは剣を構える事もせず、その様子を呆然と眺めていた。
やがて、ぼやけていた少女、バーサーカーは一つの形となる。
もはや少女、いや人間とすらよべない怪物へとなった。
33 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 01:09:01.97 ID:1SyHAqN3o
バーサーカー「■■■■■■■!!!」

怪物が、声とは呼べない叫びを上げ、動き出す。
一瞬緩慢に見えたその動きは、次の瞬間にはセイバーの目の前へと進んでいた。

セイバー「チッ!」

そもそも、剣すら構えていないセイバーは、それに対処する事など出来るはずも無い。
コンクリートに大きな凹みを作り、セイバーは動かなくなる。
そこに、ランサーと戦っていた男の覇気は無い。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 10:49:55.36 ID:R4t22tnDO
やるせないよなぁ
魂を救うためとはいえ一度殺した人ともう一度敵対とか……
35 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 18:54:49.59 ID:1SyHAqN3o
今日はちょっと無理そうなので、今のうちに少しだけ書きます。
36 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 18:55:57.43 ID:1SyHAqN3o
バーサーカー「■■■■■■■!!!!!」

バーサーカーが声を上げながら、一歩、一歩と近づいてくる。
立ちすくんでいる俺の手に、ぱしんと音を立てて触る物があった。
遠坂の手だった。

凛「士郎! バカじゃないの、さっさと逃げるわよッ!!」

必死の形相で、遠坂は俺の手を引く。
遠坂が走る一歩先、こっちを見ている遠坂には見えない場所、そこに熱が、エネルギーが集まる。

士郎「遠坂ッ! 危ない!」

引っ張られていた手を逆に引き返し、遠坂を抱き寄せて横に跳ぶ。
直後、そこは爆発した。
37 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 19:05:11.14 ID:1SyHAqN3o
魔術? バーサーカーが魔術を使うの!?
それともイリヤスフィール? でも詠唱も何も無かった。
凛の頭はただひたすらに混乱していた。
とりあえず起きあがらねば、と体に力を入れるが、自身にのしかかる何かがそれを邪魔する。
意識の無い士郎の体だった。

バドラック「嬢ちゃん、今のはジェラード王女……バーサーカーの魔術だ。ただそれよりも、さっさと逃げたほうが身のためだぜ」

霊体化しているアーチャーが私に話しかける。
ならアンタも戦ってよ、と一瞬声に出しかけたが、コイツがこうなってしまった責任の一端が、私にも無い訳じゃない。
まぁ、一太刀のもとに切り捨てられるなよとかは、思うんだけど。
38 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 19:16:10.19 ID:1SyHAqN3o
バドラック「嬢ちゃん、本気で逃げるなら、その坊主とセイバーは置いて行きな。その二人を守りながら逃げ切る事は不可能だ」

わかってる。そんな事、私にだってわかる。
魔術師なら、ここで士郎を捨てて逃げるべきだろう。
でも、出来ない。
バーサーカーに対しての恐怖で動けないわけじゃない。
ここで士郎を置いて逃げる事が、私には出来ないのだ。
39 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 19:39:19.59 ID:1SyHAqN3o
つー、と血が額を伝い、地に落ちる。
目の前にいた化け物は今は同盟を組んだ女へと向かっていた。
ぺっ、と口の中に溜まっていた物を吐き出し、集中する。
不甲斐ないマスターは、女の腕の中で気を失っている。
まったく……

バーサーカー「■■■■■■■■」

叫びと共に、女の足元に熱のエネルギーが集まり始める。
くそっ、バーンストームか!!
走り、詠唱途中のジェラード……バーサーカーを突き飛ばす。
詠唱を切られたバーサーカーは、化け物の瞳で俺を見た。
40 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 19:51:24.96 ID:1SyHAqN3o
今日はこれ以上は無理そうです。
また明日以降、続きを書いていきます。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 20:17:08.87 ID:5ExhzPlSO
フェイト知らないときつい?
42 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/15(日) 20:33:39.14 ID:1SyHAqN3o
>>41
すみません、FateとVPをある程度把握してる前提で、そのままの設定の説明は省いています。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 20:38:30.52 ID:5ExhzPlSO
>>42
そうかthx

まあぼんやりと見ていくわ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:11:23.23 ID:tWHCKF05o
完結まで頑張って

45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:33:25.09 ID:Ob8LhMpDO
バーサカーは、ブラムスかと思ってたら外れた
だって、見た目似てるやん?
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 00:37:26.98 ID:T8K48deAo
>>45
おまおれ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 10:47:03.78 ID:rfX+RK8DO
>>45
あの人日光とか屁でもないから駄目だろうw
セラフィックゲート仕様なら兎も角、本編性能で来られると凛の財布が金欠でマッハ。
48 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/16(月) 23:40:15.72 ID:ZGXvhVCyo
ぶっちゃけ最初は不死者の王さんにバーサーカーやってもらおうかと思ってた。

書いていきます。
49 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/16(月) 23:40:49.93 ID:ZGXvhVCyo
セイバーに助けられ、自分が焦っていた事に気がつく。
優雅たれ、優雅たれ。
自分に言い聞かせ、頭をフル回転させる。
バーサーカーにこの状況で勝つことは不可能。
逃走は、セイバーの意識が戻った今なら、出来なくは無い。
必要なのは、一瞬の隙を作ること。
私は宝石を手に取った。
50 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/16(月) 23:51:19.61 ID:ZGXvhVCyo
凛「セイバー! どいて!! 士郎を抱えて走って!!」

嬢ちゃんがそう言うと、アリューゼはすぐさま理解し、坊主をかつぐ。
嬢ちゃんの手から投げられたら宝石は、バーサーカーに当たるとともに、風を巻き起こす。

凛「逃げるわよッ!!」

全力で逃げる嬢ちゃんも、アリューゼがひょいと掴み、空いていた肩に抱える。
嬢ちゃんは一瞬だけ驚いたが、明らかに自分が走るよりも速い事に気づき、何も言わなかった。

バーサーカー「■■■■!!」

さぁて、ガラじゃないんだけどねぇ。
51 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/17(火) 00:00:58.07 ID:zlSZMOQao
イリヤ「……手負いのアーチャーが何のつもり?」

バドラック「いやいや、何でもないぜ。ただ……」

イリヤ「……ただ、何?」

バドラック「もう、終わってる」

加えていた煙草を、バーサーカーに向けて、投げ捨てる。

バドラック「……スフィアデサイド」

轟く爆発音、その爆風と煙に乗じて俺は、逃げた。
嬢ちゃんは見積もりが甘かった。
あの状況じゃ、バーサーカーに追いつかれていただろう。
周囲の民家の事を考えて、あまり派手にはやらなかった。
どうせ、バーサーカーは死んでねぇ。
まったく、ガラじゃないんだけどねぇ。
52 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/17(火) 00:14:05.86 ID:zlSZMOQao
士郎「……ん……うん?」

目が覚めると、見慣れた天井だった。
それと同時に背中がかなり痛い。
すごく痛い。
めちゃくちゃ痛い。
水がほしくなり、キッチンへと向かう。
扉を開けると、居間で遠坂とセイバーが座っていた。
一瞬、思考が停止する。
そうか、俺はあの爆発で……

凛「士郎、大丈夫? 一応、応急処置はしたんだけど……」

今でも痛いが、死ぬわけじゃない。
応急処置が効いたのだろう。

士郎「遠坂の殊勝な態度ってのも、珍しいな」

ピタッ、と遠坂が止まる。
徐々に頬を染め、怒った。
セイバーは、ただただ座って呆れている。
53 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/17(火) 00:34:14.76 ID:zlSZMOQao
凛「と、言うわけで、少なくともあのバーサーカーを倒すまでは、同盟を続ける。そうセイバーと決めたんだけど、士郎は異論は無いわよね?」

そもそも俺の意見を聞いてない。

凛「それと……バーサーカーについてだけど、彼女は元々は王女で、少しの魔術を使えた。それが、あの爆発……バーンストーム」

発生までに時間があるものの、おそらくあの魔術を真上で受けたら、体が千切れるか、宙に浮くことだろう。

凛「おかげで、遠近共に強いバーサーカーは、今の所、倒せるとは思えないわ」

士郎「じゃあ、どうするんだ? 倒さないわけにもいかないんだろう?」

凛「えぇ、いつかはそう。でも、今は情報収集に徹するべきでしょうね」

士郎「情報収集?」
54 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/17(火) 00:40:40.40 ID:zlSZMOQao
凛「士郎のセイバー。私のアーチャー。イリヤスフィールのバーサーカー。そして、セイバーの戦ったランサー」

凛「まだ、私達の知らない、ライダー、キャスター、アサシンがいるわ」

凛「本来、情報収集という意味ではアサシンに叶わないでしょうけど、それでも相手がどんな奴か知っておけば、優位になるわ。それに……」

士郎「それに?」

凛「他の陣営に、バーサーカーを倒して貰うように出来るかもしれない」

セイバー「……おい」

凛「セイバー、貴方がバーサーカーを倒したい、そう言うのもわかるわ。正直、私だって……本音を言えば、貴方に倒してほしい」

遠坂とセイバーが、俺がここにくる前に、どんな話をしていたのかはわからないが、バーサーカーの事なのだろう。

凛「でも、それは勝てる状況になってからよ」

55 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/17(火) 00:41:49.58 ID:zlSZMOQao
本日はここまでです。
明日以降はちょっと予定がわかりませんが、おそらく零時あたりの更新になります。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 06:55:02.30 ID:pyWDpb1DO
バドかっけぇ!
ジェイクバドメルアリューゼでPT固定してたから既に半分出てて嬉しい
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/17(火) 06:58:18.67 ID:32bbSYCAO
乙-
キャスターは何となく予想つくが
ライダーが検討つかないから楽しみだwwww
58 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/17(火) 23:49:29.35 ID:zlSZMOQao
寝落ちするまで書きます。
おそらくあっさりと寝落ちします。
59 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/17(火) 23:50:54.23 ID:zlSZMOQao
凛「とりあえず、私はここに住むわ。異論は無いわね?」

無い前提だろう、なんて言えない。

凛「じゃ、私は適当に今晩止まる部屋を探してくるわね」

嵐のように、遠坂は部屋を出て行く。
後に残った俺とセイバーに、気まずい沈黙が降りた。

士郎「な、なぁ、セイバー」

セイバー「なんだ?」

士郎「その、未だに名前とか聞いてないからさ、なんて呼べばいいのかなって思ったんだ」

神父の話では、本来の聖杯戦争では、クラスで呼び、真名を隠す事が定石らしい。
だが、この聖杯戦争は、英霊ではなくエインフェリアの聖杯戦争だ。
真名に、そこまでの意味はなく、そう変わらないらしい。

セイバー「……アリューゼだ」

士郎「アリューゼか。俺は士郎。衛宮士郎だ、よろしく」

手を差し出すと、アリューゼはその手を掴んだ。
大きくてゴツゴツとした、今までに数多くの修羅場をくぐり抜けてきた手。
俺はそこに、正義の味方の在り方を見たのかもしれない。
60 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/18(水) 00:02:43.92 ID:tSDls4eVo
歩こうとすると、足がふらつき、危うくこけるところでアリューゼが支えてくれた。

アリューゼ「今日はもう休んでおけ。トオサカが治療をしたとはいえ、本調子な筈がない」

士郎「それなら、アリューゼだってあのバーサーカーに……」

アリューゼ「俺とてめぇじゃ体の作りが違うようなもんだ」

強引に引っ張られ、寝室へと放り込まれる。

アリューゼ「いい夢でも見るんだな」
61 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/18(水) 00:09:45.89 ID:tSDls4eVo
荘厳な式典で、王から像を貰う。
それは、何の意味もないこの茶番の皮肉のようだった。
だから、その像を壊したのだ。
せいせいしてそこから立ち去る時、後ろであの女の子が何かを叫んでいた。

突然の依頼主は、世間知らずで、嵐のようで、そしてあの王女だった。
父を貶され、仕返しに来た王女。

運んでいた積み荷から、王女が運び出される。
そして、次に見たときには、異形の姿の化け物だった。

最後に見たのは、青い鎧の……
62 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/18(水) 00:19:46.71 ID:tSDls4eVo
目が覚めると、何とも言えない気だるさが身体を包んでいた。
魔力をアリューゼに持って行かれている証拠だろう。
さっき見たのは……アリューゼの過去だろうか?
時計を見ると、いつもより、少し遅かった。
本来なら、桜が来ている頃なのだが……
居間にはアリューゼが座っていた。

士郎「早いんだな。おはよう、アリューゼ」

アリューゼ「あぁ、元々睡眠は必要なわけじゃないからな」

士郎「そっか、朝飯は食べるのか?」

アリューゼ「睡眠と同じだ。別に必要なわけじゃない」

士郎「なら、作ればいいな。食べられないわけじゃないんだろ?」

アリューゼが、まだ何か言い返そうとしていたが、聞こえないフリをして厨房に立つ。
63 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/18(水) 00:25:47.49 ID:tSDls4eVo
藤ねぇ「ええええええええええええっ!?」

悲鳴と共に、状況を理解する。
藤ねぇがいつものように、やってきたのだ。
だが、彼女が見たのは、少し前に起きた遠坂と、アリューゼ。
あぁ、うん。
遠坂に任せよう。
こういうのはきっと、遠坂が得意だ。
あれだけ猫を被っていられるんだ。
言い訳の一つや二つ、朝飯前だろう。
頑張れ、遠坂。
64 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/18(水) 00:47:25.94 ID:tSDls4eVo
藤ねぇ「切嗣さんの……知り合い?」

納得行ってない藤ねぇに、アリューゼの事を教え込むのは諦めて、ごり押しでなんとか煙に巻いた。
結局、桜は来ず、なんとも居心地の悪い空気の中、四人での朝ご飯だった。

凛「ねぇ、アリューゼ。昨日から言おうと思ってたんだけど、貴方、霊体化しないの?」

藤ねえが先に学校に行き、俺達も準備を終えた頃、遠坂がアリューゼに聞いた。

アリューゼ「……別に出来ないわけじゃない。ただ、極力したくないだけだ」

凛「貴方ねぇ……士郎は半人前の魔術師なのよ。エインフェリアは普通の英霊よりも魔力を吸わないけれど、それでも大きな負担になるわ」

たしかに今日は、いつもよりはだるいが、そこまで言うほどでは無い。

凛「それに、今から私たちは学校に行くのよ。そのままの格好で護衛する気?」

士郎「……アリューゼ、俺からも頼む。昨日の今日だ。昼間からは襲っては来ないだろうけど、それでも不安で、アリューゼに護衛してもらえるなら、それに越した事は無い」

アリューゼ「……わかった」

ただその言葉だけで、アリューゼは見ることも触れることも出来なくなる。
それに、アリューゼは何故か、俺を避けているように感じた。
65 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/18(水) 01:04:22.53 ID:tSDls4eVo
遠坂と登校する事で、変な噂になってしまったが、なんとか教室にたどり着く。
慎二は欠席だった。
少し、嫌な予感がする。
虫の知らせに近い、何の根拠も無い予感。
昼休みに、屋上で待ち合わせた遠坂にそう伝えると、遠坂は黙り込んでしまう。

凛「間桐も絶えてはいるけれど、魔術の家系よ。聖杯戦争に関わっていないとは、思わない方がいいわ」

士郎「なら、なおさら、行くべきじゃないのか? バーサーカーを倒す為に、味方は多いほうがいいんだろ?」

凛「それでほいほい行ってみなさい。カモがネギ背負っていくようなモノだわ」

凛「いい、士郎。魔術師の拠点に攻め込むには、入念な下調べや対抗策を練る必要が有るわ。でなきゃ、死にに行くのと変わりないわ」

士郎「でも、あそこには桜と慎二がいるはずだ。二人して休むなんて」

凛「誰が間桐のマスターかはわからないけれど、身内を外に出しておいたら、人質にされかねないもの。本来の常套手段よ」
66 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/18(水) 01:04:56.47 ID:tSDls4eVo
今日はここまでです。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 05:53:05.64 ID:SoVlXA+DO
おつおつ
ライダーだれだろな
68 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/19(木) 00:10:15.73 ID:bov+xZiVo
書いていきます。
寝落ち率はそんな高くないと思います。
69 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/19(木) 00:24:11.28 ID:bov+xZiVo
結局、間桐の家に行くことは禁止された。
夜、いくら待っても、桜は来ない。

凛「……ねぇ、気持ちはわかるけれど、気にしすぎよ」

士郎「そうだけど……二人して休みって、何かがおかしいだろ?」

凛「聖杯戦争中よ。何が起きててもおかしくなんてない」

凛「……今日気づいたけれど、柳洞寺で魔術の反応があったわ。多分、あそこに魔術師がいる」

話を変えたかったのか、それともこっちを話したかったのか。
流れを大きく変えて、遠坂が言う。

士郎「柳洞寺? なんでまた、そんな所に」

凛「強い霊脈があるの。あそこなら、サーヴァントも有利に戦えるでしょうね」

アリューゼ「……なら、今からでも行けばいいのか?」

霊体化を解き、アリューゼが現れる。
70 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/19(木) 00:33:33.02 ID:bov+xZiVo
凛「相手が誰かすらわかってないのよ。いくらなんでも無謀だわ」

アリューゼ「ハッ、そうやっていつまでも穴に閉じこもって、いつかバーサーカーに見つかるのを待つのか?」

凛「それは……」

アリューゼ「それに、俺のマスターはてめぇじゃねぇ。意見を聞きはするが、それをどうこうするのは、俺のマスターだ」

そう言って、アリューゼは俺を見る。

士郎「俺は……俺は柳洞寺に行ってみようと思う。アリューゼの言ってる事もそうだし、桜達がどうなってるかの情報も有るかもしれない」

凛「……あーもう、わかったわよ。ただし、私とアーチャーも行くし、あくまでも今回は偵察として行く。良いわね」

士郎「あぁ、もちろんだ。ありがとう、遠坂」
71 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/19(木) 00:38:54.25 ID:bov+xZiVo
ピチャリピチャリと水滴の落ちる刀は、俺の鎧と同じ、赤色に染まっていた。
そこに横たわる魔術師を、かつて魔術師だった死体を眺めても、何も思わない。
コイツは、これに見合う事を、詩帆にしていた。
だから、斬った。
だから、殺した。
なのに、何故俺の手は震える?
すぐに此処から立ち去らなければいけない。
すぐに、詩帆にマスターを見つけなければいけない。
俺は魔術師だったものを放置し、そこから出た。
72 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/19(木) 00:51:32.40 ID:bov+xZiVo
詩帆「蘇芳、どうしましたか? 元気が無さそうですが……」

月を眺めていた俺に、詩帆が、我がマスターが話しかける。
俺はどうして、詩帆と共に召還されたのだろうか?
詩帆の手には、俺との繋がりを示す、令呪がある。
詩帆がキャスターとして現界した時から変わらない、令呪が。

詩帆「……大丈夫ですか?」

もう一度、俺を心配して詩帆が尋ねる。

蘇芳「あぁ、大丈夫だ」

詩帆「そうですか……っ!?」

突然、詩帆の挙動がおかしくなる。

蘇芳「どうした?」

詩帆「侵入者が……階段を登ってきています」

蘇芳「……葛木殿を呼んで来てくれ。時間稼ぎは、俺がする」

なんのために戦うのか、その答えは出せていない。
だが、俺の正義は、詩帆を守れと叫んでいる。
73 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/19(木) 01:06:00.31 ID:bov+xZiVo
山門を背にして、赤い鎧武者が立っていた。

鎧武者「……エインフェリアが一人……いや、二人か。いいだろう、相手になってやる」

凛「アーチャーがいることも、お見通しってわけね」

鎧武者は刀を構える。
それに合わせて、アリューゼも両手剣を構えた。
駆け上がり、横凪ぎに斬りつけるアリューゼ。
だが、それはあっさりと避けられてしまう。

アリューゼ「なっ!?」

鎧武者「……力任せか。あまいっ!」

高さで押されるアリューゼは、しだいに体勢を崩される。

凛「……どうせバレてるならッ! アーチャー、援護をッ!」

葉に包まれた中から、乾いた音が鳴り続ける。
アーチャーの、銃から玉が放たれた。

鎧武者「……まぁいい。そろそろ頃合だ」

鎧武者は、山門の向こうへと退く。
俺たちは、その後を追った。
74 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/19(木) 01:07:35.11 ID:bov+xZiVo
本日はここまでです。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 06:05:23.79 ID:rieLFf0DO
まさかの戦国ラバーズ!
赤とは どんな色なのですか?
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/19(木) 09:47:00.80 ID:VzvXnstAo
アサシンはシスコンだと思ったわ
77 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 00:29:02.10 ID:1t11wszNo
今日も元気に書きます。
78 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 00:36:48.80 ID:1t11wszNo
境内には三人の人がいた。
鎧武者、少女、そして……

葛木「衛宮に遠坂か……」

凛「葛木先生っ!?」

士郎「遠坂、葛木先生は魔術師だったのか?」

凛「……ううん、それは無い。少なくとも、今も今までも、先生から魔術の痕跡は見つからない」

葛木「……そろそろいいな? 始めるぞ」

そう言い、葛木先生はなんらかの格闘技の構えらしきものをする。

アリューゼ「……人間がエインフェリアの相手をするっていうのか? 死ぬぜ?」

蘇芳「俺もいる事を、忘れないでもらいたい」

葛木「そろそろいいのか? 行くぞ!」
79 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 00:37:38.23 ID:1t11wszNo
>>78
蘇芳×
鎧武者○

間違えましたすみません
80 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 00:50:00.71 ID:1t11wszNo
少女「マイトレインフォースッ!」

鎧武者と葛木先生の後ろにいた少女が、何かの呪文を唱える。
途端に、二人の動きが変わった。

アリューゼ「なっ!? くそっ、お前本当にただの人間かっ?」

二対一の上、相手は魔術で強化されているのだ。
アリューゼは押される一方である。
断続的に林の中から援護射撃が放たれるが、なんとかアリューゼを守るので精一杯といった様子だ。

凛「……セイバーのクラスには、魔術は効かないはず……ならっ!」

遠坂が駆け出し、宝石を投げつける。

少女「ガードレオンフォースッ!」

そこに封じられていた魔術が解き放たれ、大きな爆発となった。

凛「嘘……」

だが、鎧武者どころか、葛木先生ですら、倒れてはいなかった。
81 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 01:00:09.29 ID:1t11wszNo
自分の無能っぷりに、イライラする。
アリューゼやアーチャーはもちろんの事、遠坂だって戦っているのに、自分には何も出来ないのか?
戦おうにも、強化するための元となる物が手元に無い。

士郎「……なら、投影すれば……っ!」

士郎「ーーーー投影、開始」

作り上げるのは、アリューゼの剣。
身の丈ほどもある、大きな両手剣だ。

葛木「……遠坂、殺す気でないのなら、あまり意味がないぞ」

アリューゼへの手を止め、葛木先生は遠坂を見据える。
そして、襲いかかった。

士郎「うおおおおおおおおっ!!」

無我夢中で、遠坂と葛木先生の間に割って入り、遠坂を守る。
剣に強い衝撃が響く、葛木先生の殴打だった。
ビリビリとした衝撃が、手を痺れさせる。

葛木「……衛宮、隙が大きすぎるぞ」

目の前に先生が見えた直後、腹に拳がめり込む。
力任せに剣を振り、距離をとった。
82 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 01:10:17.14 ID:1t11wszNo
目の前の赤い鎧武者は、決して力強いわけでは無い。
だが、こちらが押されるのは、強化魔術のせいだけでは無いだろう。
単純な技術だけなら、おそらく負けている。
細かく、速い技の数々を、冷静に受け流していく。

アリューゼ「チッ! まどろっこしい!」

力任せに剣を振っても、当たるはずもなく避けられる。

鎧武者「……強いな。セイバー、もしよければ、名前を聞いてもいいか?」

アリューゼ「ハッ、この状況で言われても、ただの嫌味にしか聞こえねぇぞ」

鎧武者「ははは、たしかにそれもそうだな。ならば、俺から名乗ろう」

蘇芳「俺は蘇芳。此度はアサシンのクラスで、キャスターの詩帆と共に現界した」

蘇芳は後ろの少女を指して言う。
人間には思えなかったが、本当にエインフェリアとはな……なる程、キャスターか。

蘇芳「正直な所、詩帆の魔術が無ければ、今頃俺は、死んでいたかもしれない。さぁ、セイバーよ。名乗ってはくれないか」

アリューゼ「……セイバーのクラスのアリューゼだ」
83 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 01:15:05.20 ID:1t11wszNo
少女に照準を合わせて、引き金を絞る。
だが、その指は引かれない。
バドラックは悩んでいた。
そして、視界の隅で、自身のマスターがピンチに陥っている事を確認し、引き金を引く。
すぐさま移動して、また少女に照準を合わせる。
さっきから、ひたすらにそれの繰り返しだ。
嫌気が差さないと言えば、嘘になる。
84 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/20(金) 01:15:33.36 ID:1t11wszNo
今日はここまでです。寝ます。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/20(金) 05:10:43.94 ID:zxzUlxcAO
乙-
エインフェリアでもレナス回収前のなんだな
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2012/01/20(金) 08:03:56.68 ID:cIhAV+3X0
ジェラード「これは神罰じゃ!」

fate全くしらんけど、ジェラードとエイミでご飯3杯づついけるので少し見てみる。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 12:07:11.28 ID:GpXy3aADO
ドラグーンタイラント装備したエイミ姐さんが本編最強だよな乙
88 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/21(土) 00:07:31.40 ID:616Jj1PPo
パキン、と簡素な音と共に、剣が折れた。
折れるはずのない剣が折れたのだ。
それは、俺の投影が不完全で有ることを意味しており、結局のところ俺はボロボロだった。
何度意識が飛びかけたか。
何度その膝を折りかけたか。
何度、この剣を折ったのか。

士郎「ーーーー投影、開始」

もう、何本目かは覚えていない。
だが、一つ覚えにひたすらにやり続けた。
全身の魔術回路が悲鳴を上げている。
でも……

凛「士郎っ!? 貴方、もうそれ以上は……っ!」

両手剣を構える。
葛木先生は、さっきから傷の一つでもついたのだろうか?
渾身の一撃は、片手でいともたやすく受け止められた。
89 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/21(土) 00:16:57.04 ID:616Jj1PPo
乾いた連続音が響いた時、目の前の蘇芳が跳んだ。

蘇芳「詩帆ッ! 避けろッ!」

そのまま、詩帆へと飛びつき、銃弾を避ける。

アリューゼ「……バドラック、もう不意打ちは聞かねえぞ、出てきた方が、まだマシだ」

さっきから、木の中を飛び回り、不意打ちを繰り返す仲間は、正直あまり役に立っていない。
ことごとく避けられているのだ。

バドラック「チッ……あっちも苦戦しているってのにねぇ」

バドラックが指差した先には、マスター達が戦っていた。
あきらかに、ボロボロだ。特に俺のマスターが。
だが、助けに行く余裕は無い。

アリューゼ「……くそっ!」

焦る気持ちはつのるばかりで、結局一歩も進まない。
周りには、四体のエインフェリア。
こんな所で使う気は、なかったんだが……

アリューゼ「いい加減……てめぇの顔も、見飽きたぜ」
90 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/21(土) 00:24:07.11 ID:616Jj1PPo
バドラック「んなっ!?」

驚きと共に、ただただ口を開く。
隣にいた仲間は燃えていた。文字通り。
その巨大な剣も、鎧も、体も。
いや、燃えているのでは無い。燃やしているのだ。
アリューゼは炎を操っている。
そしてその火の玉が、走った。

蘇芳「くっ……ッ!」

蘇芳はあきらかに焦り、構えが乱れる。

アリューゼ「ファイナリティブラストッ!!!」

爆発が、連続して起きる。
言うまでもなく、アリューゼが起こしているのだ。
91 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/21(土) 00:29:44.75 ID:616Jj1PPo
葛木「……衛宮、もうやめておけ」

俺は、もう立ち上がる事さえ出来ていなかった。
ぞうきんのように、地面に這いつくばっている。
こんな事に、俺は負けるのか?
この戦いを止めるんじゃ、無かったのか?
手に力を込め、葛木を睨む。

??「ダークセイヴァー」

葛木は、黒色の魔剣に貫かれていた。
92 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/21(土) 00:30:51.92 ID:616Jj1PPo
短いですが、今日はここまでです。
明日は頑張る(予定)から許してねっ!
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 06:18:17.94 ID:A/rUY3cDO
む、ふられストーカーの汚いハリーポッター乱入か?
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/21(土) 18:56:17.15 ID:+XtZgJqAO
乙-
ついに汚いハリーポッターこと変態ロリコンストーカーフィギュアフェチの登場か
95 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 00:17:29.13 ID:+wnTpu4no
宣言通り頑張る。
96 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 00:20:56.68 ID:+wnTpu4no
??「殺しはしていない。利用価値があるからな」

緑色の羽根が、はらはらと落ちてくる。
見上げれば、緑の羽を持つ魔物が羽ばたいていた。
その上には、眼鏡をかけた男乗っている。
そして、その魔物の足は、何かを掴んでいる。

凛「桜っ!」

それは、気を失っている後輩だった。

レザード「あぁ、これはこれは、自己紹介がまだでしたね。私はレザード。いえ、ライダーと言った方が伝わるでしょうか?」

ゆっくりと降りてきたコイツは、そう言ってお辞儀をする。
その姿は、どう見ても俺達を馬鹿にしていた。

レザード「……さて、まずは一体」

魔物が桜を投げる。
軽々と受け止めたレザードは、その額を掴んだ。
レザードの手が光る。
97 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 00:34:06.03 ID:+wnTpu4no
私は、状況の理解を拒絶した。
もう一人のエインフェリアがやってきた事。
私のマスターが、瀕死の状態だという事。
そして……蘇芳様との繋がりが、薄れようとしていく事。

詩帆「……蘇芳様?」

問いかければ、何かしらの反応が有ったのに。
少し無口で、言葉で返すことはあまりなかったけど、でもいつも話しかけると、心がこっちを向いてくれた。
人を殺すことに、恐怖してしまうようになったのに、それでも私を思って、最初のマスターを殺してくれた。
私を、必ず守ると言ってくれた。
私と共に召還された、運命で結ばれた、私の守護者。

そこにいるはずの所に駆け寄ると、まだ残る熱を感じる。
さっきの爆発は、どれほどの物だったのだろうか?
見えない地面の穴につまずきながら、蘇芳様のもとへとたどり着く。

詩帆「蘇芳様っ! ……蘇芳様っ!!」

仮面を外して上げると、微かな息づかいが聞こえた。

蘇芳「……詩帆……ダメ、だ」

詩帆「……蘇芳様、お願い、死なないで」

蘇芳「……ダメだ。逃げろっ! 俺から離れろっ!」

瞬間、私は、黒く塗りつぶされた。
98 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 00:41:05.96 ID:+wnTpu4no
最早虫の息の相手に、トドメをさすつもりは無かった。
近くで見て初めて気がついたが、キャスター……詩帆は盲目らしく、蘇芳へとたどり着くのに、苦労していた。
最期の言葉くらい、伝える時間をやろう。
それに、今はそれよりも、新手の方が先だ。
眼鏡の胡散臭い奴は、レザードと名乗った。

蘇芳「……ダメだ。逃げろっ! 俺から離れろっ!」

蘇芳が叫ぶ。そんな力、残っていないはずなのに。

バドラック「おいっ! 下がれッ!!」

何もわからない俺を、バドラックが強引に引いた。
さっきまで俺の居たところに、黒い何かが蠢く。
見れば、蘇芳と詩帆が、それに呑み込まれていた。
99 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 01:08:09.03 ID:+wnTpu4no
レザード「二体逃げたか、まぁいい。丁度そこのマスター二人だ」

桜から手を離し、その体を魔物へと預けたレザードが、俺と遠坂を眺める。

レザード「つくづく私は運が良い。特殊な杯に召還されるとは、実に良いことだ」

レザード「そして……それと縁の深い存在が、未だ生存している事も」

凛「あんた、桜に何したのっ!?」

レザード「したも何も、私はただ解放してあげただけだ。エインフェリアを食ったのは、彼女の意思だ」

凛「なっ!? それって……」

二人の会話に、俺はついて行けない。
ただ唯一わかるのは、コイツから、急いで桜を助けなければならない、ということだ。

士郎「ーーーー投影、開始」

剣を握り、駆ける。

レザード「血気盛んな所悪いが、お前が来るにはまだ早い」

だがそれは、レザードの足元に浮かぶ魔法陣に阻まれた。

レザード「見るがいい。知るがいい。そして嘆くがいい。己の無力さに悲しみ、神にすがりつけばいい」

世界が侵食されていく。

レザード「そしてその感情の一つ一つが、彼女への案内となるだろう!」

柳洞寺だったそこは、いつしか別の場所になっていた。

レザード「レナス・ヴァルキュリア……いや、創造神レナスッ!」

凛「……うそ……固有結界っ!?」

さながら、塔の屋上といった所か。
雲の中にいるように、あたりは視界が悪い。

レザード「ようこそ、我が宝具『レザード・ヴァレスの塔』へ。だが、まだ時は満ちていない」

波がゆらめくように、レザードがぼやける。
次の瞬間、レザードも桜も魔物も葛木先生も、消えた。

レザード「せめて、勝てるようにひたすら頑張る事だ。ただ、生半可な気持ちで来るな。ここがそういう場所だと、魔術師ならわかるだろう?」

そして、その塔は消えた。

レザード「安心しろ、私は逃げも隠れもしない」

その、いけ好かない声と共に。
100 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 01:25:05.97 ID:+wnTpu4no
塔の最深部で、マスターを横たえる。
今しばらくは、眠っているままだろう。

レザード「……さて、意識はあるのだろう? 老人、いや、もはや人とは呼べないか」

黙りを決め込んでいるのか、マスターの中の存在は、反応しない。

レザード「あまり私をなめない方が良い。なんなら……」

すっ、と桜の体に手を入れる。
人の体をすり抜け、その手は目的の物を掴んだ。
引きずり出された蟲は、明らかに怯えている。

蟲「何故だ、お主の計画に、私は貢献したような物だぞ。その娘を聖杯へと作り替え、お主を召還させた。何故今さらこの私を引きずり出す」

レザード「えぇ、勿論その点については感謝しています。だが……」

レザード「ヴァルキリーを呼ぶ杯に、不純物はいらない」

蟲「ま、待てっ!」

レザード「喚くな、老害ッ!」

しゅぼっ、手の上で蟲が燃える。
あっけないものだ。
引きずり出したついでだ、今のうちに他の不純物も出しておこう。
私は、桜へと手を伸ばした。
101 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 01:38:00.84 ID:+wnTpu4no
凛「あぁ、もう……何から考えれば良いか、わからない」

帰路の途中、遠坂凛が嘆く。

凛「バーサーカーの事を考えなきゃいけないのに、それよりもライダーが今は問題だし、キャスターとアサシンは、何があったのよ、あれ」

矢継ぎ早にまくしたてる彼女を見て、やれやれとバドラックが肩をすくめた。

凛「挙げ句の果てに、士郎は気絶するし……」

結局、不満の先は俺の肩の上に担がれた、マスターへとたどり着く。

凛「そもそも、投影なんてあんな使い方する物じゃないのに……ましてやセイバーの剣なんて……」

さっきまで、コイツが俺の剣を作り、それで戦っていた事は、知っている。
こんな体で使いこなせるほど、簡単では無いのに、素人にしてはマシな方だろう。
どっかのバカは、結局使いこなす姿を見なかったというのに……
だから、少しは筋があるのだろう。

凛「まずは、士郎の治療。あとは投影をもう少し訓練すれば、もしかしたら……」

衛宮邸へとたどり着き、ほっと息をつく。
扉をあけた瞬間、二人の人がいた。

イリヤ「遅いわよ、リン。考え事をするにしても、もっと速く歩いてほしいわ」

ジェラードと、そのマスターだ。
102 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 02:07:22.42 ID:+wnTpu4no
言峰「ふむ……令呪を持って命じる。ランサー、あの塔へと入り、中の調査をしろ。最深部へとたどり着けるのなら、死んでも構わない」

エイミ「はぁっ!?」

面と向かってそう言ってくる相手に、げんなりする。

ギル「口答えなどするな、雑種。我の為に死ねと言っているのだ」

あぁもう、イライラする。

エイミ「……あのねぇ、前回の生き残りだか何だかしらないけどさ。おんまり舐めないでほしいねぇ」

槍を構え、金ピカへと向ける。

ギル「……我に向かって、槍を構えるとな? つくづく死にたいようだな、雑種ッ!」

言峰「……落ち着け、ギルガメッシュ。ランサー、令呪を使ったのだ、さっさと逝け」

この二人に付き合う事、数日。
最初の令呪である「全てのサーヴァントと戦い、生還せよ」は抵抗しなかった。
だが、今回は、もういい。
あたしは竜そのものだ。こんな魔術、抵抗すれば、はねのけられる。
まともに会話の成り立たない奴らと、いつも一緒にいるのはうんざりだ。

言峰「……契約を切り捨てたか。それでどうする? ランサー。新しいマスターでも探すか?」

エイミ「それもいいねぇ。でも、その前に……気に入らない金ピカを、殺してしまってからだッ!」

渾身の突きは、金ピカの後ろから放たれた剣で弾かれる。

ギル「ふん! いずれこうなるとわかっていたのだ。ならばさっさと死ね、雑種ッ!」

次々と発射される武具に、手が出せない。
いや、ある意味予想通りだ。
元々、コイツ等にはそうしてやろうと思っていたんだから……

エイミ「体が熱い……力が目覚める……っ!」

その夜、教会は消失した。
103 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/22(日) 02:07:55.67 ID:+wnTpu4no
今日はここまでとなります。
やっと半分くらい、かな。
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 02:35:02.08 ID:hmfoMnEq0
まさかのライダー!
不死者召還のロストミスティックの格好良さは異常
呼ばれたのはラグナロクで消滅した魂ってことでいいのかね?
新造世界では全員新たにマテリアライズされてるし
105 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:02:49.13 ID:DwFOfOEZo
昨日は気がついたら寝ていた。
書きため分を投下して書きます。
106 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:03:46.56 ID:DwFOfOEZo
凛「成る程……全部見てたってわけ」

イリヤ「あら、見られてないと思ってたの? サーヴァント同士が四体も揃って戦っているのよ。使い魔を送るくらい、当然だわ」

イリヤは、柳洞寺での出来事を把握していて、あれを危険と見なし、こうして同盟を組むために来たのだ。
そりゃ、見られているだろうと思ったが、どうにも私は、釈然としない。

イリヤ「もっとも、送り込んだ使い魔の内、九割はアーチャーに殺されたけれど」

凛「アーチャーがっ!?」

イリヤ「あら? 自分のサーヴァントが、わざわざそんな事をしてくれていたのに、マスターは知らなかったの?」

当のアーチャーは、霊体化した状態で知らんぷりだ。
まったく……そういう所で、気の効く奴だとは思っていたけど……せめて報告はしてほしい。

イリヤ「で、凛は同盟に賛成してくれてるけど、セイバーはどうなの?」

アリューゼ「……俺個人の意思は賛成だ。だが、決めるのはマスターだ。俺じゃねぇ」

アリューゼ「もっとも、シロウが断るとは思えないがな」

寝室に寝かせた士郎は、酷い有り様だった。
大きな傷こそ無いものの、全身くまなくボロボロで、それこそ使い古した雑巾のようだ。

凛「……イリヤ、貴女も見ていたのなら、わかるでしょう? 士郎の魔術は、おかしいわ」

イリヤ「……そうね。詳しく調べれば、もしかしたら、凄いことになるかもしれない」

何にせよ、あのライダーは準備しろと言ったのだ。
理由はわからないが、出来る限りの備えをさせてもらえるなら、するだけだ。
107 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:04:34.64 ID:DwFOfOEZo
藤ねぇ「なんか増えてるうううううううううううううううっ!?」

絶叫で目覚めるのは、いくら何でも体によくない。
飛び起きると、体が包帯やら何やらでそこら中が包まれていた。
だが、何となく予想がつくので、驚いてる場合じゃない。
居間に転がり込むと、やはり予想通りの人物と、予想外の人物がいた。

藤ねぇ「し、士郎っ! これどういう……って、士郎は士郎で傷だらけって、え、えぇ、何が起きてるの?」

凛「だから、彼女達は切嗣さんの知り合いで、衛宮君は昨日、柳洞寺の階段をてっぺんから一番下まで転がり落ちたと、説明してるじゃないですか」

イリヤ「あら、私はキリツグの知り合いじゃなくて、実の娘よ。間違えないで欲しいわ」

藤ねぇ「う、嘘っ! 切嗣さんがそんな……士郎があれでイリヤちゃんがあれで、アリューゼさんがうん? え? お?」

ひゅー、と藤ねぇは座り、倒れる。

イリヤ「ちょっと強引だけど、理解してもらったわ。数分もしない内に起きて、全部納得しているわ」

いや、ちょっと待て。

士郎「なんでイリヤとバーサーカーが、ここにいるんだ?」

それも堂々と、少女の姿のバーサーカーも一緒に、座っている。

士郎「なんでさ……」

遠坂、イリヤ、ジェラード、アリューゼが座る居間は、もはや日本とは思えなかった。
108 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:05:10.60 ID:DwFOfOEZo
エイミ「ハァッ……ハァッ……」

雑種だ何だと言って、しつこい奴だった。

エイミ「しつこい男は、嫌われるってのに……。アイツ、変な蒐集癖でも有るんじゃないの?」

悪態をつきながら、あの金ピカを思い出す。
教会を焼き払ったとき、その煙の中から一振りの剣が、あたしめがけて飛んできた。
竜殺しの伝説をもつ剣だ。
幸い、左足を掠めただけだが、いくらか呪いのようなものが残ってしまった。

エイミ「まったく……どうしたもんかね」

どこかに、お人好しはいないだろうか?
魔力が無くても、エインフェリアのあたし達は、別の場所から何かの力で、自分の維持は出来る。
問題は、契約の繋がりが無いことだ。
それがないと、いつか消えてしまう。
すぐじゃないけど、近い内に。
あーあ、傷ついたサーヴァントを拾ってくれる、心優しきお人好しはいないもんかねぇ。
願わくば、あの金ピカを一緒に倒してくれそうな奴がいい。
109 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:10:56.11 ID:DwFOfOEZo
藤ねぇ「じゃ、行ってくるねー!」

何一つ不思議な顔をせずに、藤ねぇは出て行く。
本来なら、俺が休むことについてとか、遠坂が休むことについてとか、問いただしてくるのに。
嫌な気持ちだが、藤ねぇを巻き込むよりはよっぽどマシだ。
それに……俺もやりたいことがある。

士郎「なぁ、セイバー。ちょっといいか?」

居間にいたのは、セイバーだけだ。
遠坂もイリヤも、何か準備をするために、それぞれの住居へと物を取りに行ってしまった。
もちろん、それぞれのエインフェリアも一緒に。

アリューゼ「……なんだ?」

士郎「剣を教えてほしいんだ」

アリューゼ「はぁ?」
110 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:37:07.21 ID:DwFOfOEZo
ここは道場と言ったところか。
この時代の知識があるとは言え、普通の家に有るようには思えないのだが、まぁいい。

士郎「これ、使ってくれ」

投げ渡されたのは、竹刀だった。
長さも、重さも、決して慣れていないが、仕方がない。
別に剣術の指導をするわけでは無いのだから。

士郎「じゃあ、宜しく頼む」

隙だらけに竹刀を構える様は、滑稽だ。
その隙を、一つずつ潰してやろう。
まずは軽く一撃、一メートルくらい吹っ飛ばしてやった。
111 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:47:42.38 ID:DwFOfOEZo
凛「うわぁ……こりゃまたこっぴどくやられたわね……」

竹刀なのに、凄く痛い。
アリューゼに手加減は無いのだろうか?
大荷物を持った遠坂は、俺を見て唖然とするばかりだ。

凛「ねぇ……最近思うんだけど、士郎って、M?」

士郎「普通だ」

凛「ふーん……ま、いいわ。それより士郎。イリヤが戻って来たら、魔術の方の訓練を始めるからね」

士郎「あぁ、なら遠坂。先に買い物に行っても良いか?」

凛「買い物?」

士郎「ほら、イリヤにジェラードも増えただろ。だから、どう考えても夕食の材料が必要だからさ」

凛「あぁなら私が行っても良かったのに……」

士郎「ここは衛宮の家だぞ。おもてなしをするなら、俺の役目だ。じゃあ、行ってくる」
112 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/24(火) 00:48:09.54 ID:DwFOfOEZo
本日はここまでです。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/24(火) 00:52:48.46 ID:/jaDeLKDO
乙の先を逝く者達よ!
ロウファにもハルバード同士で稽古つけてたしアリューゼさん超万能
他の大剣勢が弱ソロソロシンドケー
114 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/25(水) 23:21:40.35 ID:DmDTW2cco
地震が来るとか来ないとかあるけど、書いてきまーす。
115 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/25(水) 23:33:24.89 ID:DmDTW2cco
適当に今日の夕食含めて、全員一日分はある量の食材を買ったら、ある意味予想通り袋が山のようになった。

士郎「アリューゼに来て貰えば良かったな」

あっさりと腕が千切れそうなので、公園で休憩する。
さて……どうしたものか……まぁ、行くしかないのだが。

??「おー、たまには神を信じてみるもんかねぇ。いや、むしろダメか?」

公園の入り口から聞こえた声は、聞き覚えのある声だ。
恐怖、鳥肌が体を覆い尽くす中、咄嗟に身構えた。

士郎「ら、ランサー……」

令呪を使って、アリューゼを呼ぶか?
でもここは昼間で近くを人が通るわけでエインフェリア同士の闘いをするわけには……っ!

ランサー「そりゃそうだけどさ、戦うつもりはないよ。身構えられてもねぇ」

士郎「……どういう事だ?」

いつでも戦う準備は出来ている。
やろうと思えば、すぐに両手剣を投影だって出来る。

ランサー「マスターから逃げたんだよ。あたしは放っておけば、いずれ消えるサーヴァントさ」

士郎「なっ!?」

ランサー「あたしはエイミ。マスターを探す野良のランサー。あんた達の状況は知っている。どうだい? 匿ってみないかい?」
116 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/25(水) 23:50:18.28 ID:DmDTW2cco
凛「……で、あっさりと連れてきたわけだ」

ビンタはやっぱり痛い。
あといくら殴りやすいからって、鳩尾を殴られるのも、痛い。
誰とは言わないが、目の前で俺とエイミを睨んでいる女性二人に言いたいが、いわない方が身のためだろう。

イリヤ「それでランサー、貴女の元々のマスターは誰だったの?」

エイミ「最初は……バゼットとかいう、まぁそれなりに気の合う奴だったんだけど、殺された」

凛「殺されたっ!? 誰に?」

エイミ「言峰綺礼。教会にいる神父だ」

凛「んなっ!? そんな……」

遠坂は明らかに狼狽している。
そうか、たしか自分の後見人とかって言ってたな。

エイミ「あぁそれと、もう一人サーヴァントがいた」

イリヤ「サーヴァントが? もう全てのサーヴァントは出揃ってるはずでしょ?」

エイミ「何でも十年前の生き残りとかで、やけにキンキラキンな……たしかギルガメッシュとかって言ってた」

凛「ギルガメッシュ……宝具は何か確認してないの?」

エイミ「宝具ねぇ……光る円盤が現れて、そこからやれ竜殺しの剣だの竜殺しの槍だの、そりゃあもう多種多様な武器やら何やらを飛ばしてきたくらいかな」

凛「……はぁ? 何よそれ、こっちは対ライダーだけで手一杯なのに……」
117 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/26(木) 00:12:09.25 ID:qhn7mMFho
イリヤ「それで、リンはどうするつもり? ランサーは協力してくれそうだけど、このままじゃ遠くない内に消えちゃうわよ」

凛「……協力してもらいたいのはやまやまだけど、マスターになれる人材がねぇ……私、イリヤ、士郎はもうダメだし……」

イリヤ「なら、私がやるわ」

凛「どうするつもり?」

イリヤ「簡単よ。私のバーサーカーは元々は魔術の教養もある王女よ。なら、出来ない事もないわ」

凛「サーヴァントにサーヴァントと契約させるって事? そんな事が出来ると思うの?」

イリヤ「あら、出来ない理由がどこにあるの? そもそも今回の聖杯戦争自体がイレギュラー。何が起こっても不思議じゃ無いわ」

凛「……あぁもう。なんで今回に限ってイレギュラーなのよ……」
118 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/26(木) 00:26:45.94 ID:qhn7mMFho
結局、俺は追い出された。
いや、土蔵でやるって言うから、そのまま居間に居るんだが、どうやら俺が行くと邪魔らしい。
魔術の特訓は、どこへ行った。

士郎「アリューゼ、お茶飲むか?」

アリューゼ「あぁ……」

バドラック「おう! 俺にもよろしくな!」

いきなり霊体化を解いて、そう言われるとびっくりする。
お茶菓子もお茶も、純和風だが、まぁいいだろう。
日本なんだから日本らしくしても文句はいらない。
ただでさえ、家の中はもう異国みたいになりつつあるのだから。

バドラック「おーい……アリューゼさんよぉ……無視は酷くねぇかぁ?」

居間では、バドラックがアリューゼに一方的の話しかけていた。
アリューゼは、上の空といった所か。

バドラック「おう、ありがとよ……本音を言えば、酒があればなお良かったんだけどねぇ」

アリューゼの意識は浮いたままだ。
お茶を前に置いても、ほとんど反応がない。

士郎「大丈夫か?」

アリューゼ「あぁ……大丈夫だ」

全く……どうしたんだ。
119 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/26(木) 00:29:31.02 ID:qhn7mMFho
本日はここまでとなります
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/26(木) 13:05:21.08 ID:bVegR6oKo

楽しみにして待ってます
121 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/27(金) 00:16:44.23 ID:7ldrADqRo
ゆっくり書いていきます
122 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/27(金) 00:33:13.71 ID:7ldrADqRo
士郎「どうしたんだ? 心此処にあらずって感じだぞ」

アリューゼ「いや、ヴァルキリーはどういうつもりなんだと考えていた」

バドラック「ヴァルキリー? そんなの俺らにわかるかよ。相手は神様だぜ」

アリューゼ「なら、バドラック。お前は何を聖杯に願う?」 

バドラック「酒、女、金。この三つが揃えば、何もいらねぇ」

アリューゼ「ふん、そんな所だろうな」

バドラック「あぁ? どういう事だ?」

アリューゼ「……俺に願いはない。だが、何故か戦わなければならない、そういう気持ちがある」

士郎「意味もなく、戦いたいと思うのか?」

アリューゼ「そうだ……いや、正確には違う。昔の俺は、他者を倒す事で自分を認識する奴だった。今、そうじゃないとは言い切れない」

バドラック「おうおう、あの御高名の裏にそんな秘密があったとはねぇ」

アリューゼ「……実際、戦いを求めてもいる。それが聖杯のせいかはしらねぇ」

アリューゼはいったんそこで区切り、お茶を飲んだ。
まだ熱いのに、ゴクゴクと。

アリューゼ「最初は、ヴァルキリーは俺達に願いを叶えさせようとしたのかと思っていた。そいつみたいに、願いがある奴を」

バドラックを一瞥し、また視線を宙へ戻す。

アリューゼ「だが、ならなぜ俺がここにいる? なぜあのライダーなんだ?」

バドラック「ヴァルキリーにすら、上手くできないことがあったんじゃねぇの? そんな事、考えてどうするんだ?」

アリューゼ「わからん、ただ気にくわない。この聖杯戦争も、この状況も」
123 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/27(金) 00:51:09.60 ID:7ldrADqRo
アリューゼ「ジェラードは、どうしてバーサーカーなんだ。これがヴァルキリーに作られた出来事なら、何故ジェラードがあぁなったッ!」

怒気を込めて、机が叩かれ、危うくお茶がこぼれるかとおもった。

バドラック「そりゃ……ジェラード王女に関しちゃ、俺だって思う所はあるけどよ。そこにヴァルキリーの意志を感じるか?」

アリューゼ「どういう事だ?」

バドラック「だから、聖杯戦争に俺達を関わらせたのがヴァルキリーだとしても、その細部までヴァルキリーが決めた事じゃねぇだろ」

士郎「細部まで決めてない?」

バドラック「俺の選定の時、ヴァルキリーは怒ったりしたんだぜ。俺ぁあの時思ったんだ、ヴァルキリーもなかなか人間味のある奴だなぁ、ってね。もちろん言ったら死ぬ状況だったから、言わなかったけどよ」

アリューゼ「ヴァルキリーが、人間味?」

そもそもヴァルキリーの人柄……いや神柄か。それを知らない俺には、イマイチついていけない。

バドラック「だから、これはヴァルキリーの意志じゃねぇ。気楽にやってもいいだろ?」

アリューゼ「それで、怪我を重く見せて、戦えないふりか?」

バドラック「……嫌だねぇ。雪でも降るんじゃねぇか? 寒いのはこりごりだぜ」

とりあえず、バドラックが元気な事がわかった。
遠坂に伝えれば、喜ぶだろう。

アリューゼ「まぁいい。気楽にやれと言うのならやるだけだ。なら、いずれお前とも戦うことになるだろう」

バドラック「おうおう怖いねぇ。その時は手加減してくれよ。元相棒」
124 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/27(金) 01:11:35.83 ID:7ldrADqRo
士郎「アリューゼ、もう一回、剣を見てくれないか?」

夕食を作り始めるにしてもまだ時間がある。
それに土蔵から誰も帰ってきていないから、作るに作れない。

アリューゼ「いいが……体はいいのか?」

士郎「大丈夫だ、昔から怪我の治りは良かったから」

アリューゼ「そうか……わかった。いいだろう」

バドラック「お、なら俺も行くぜ。暇を持て余していたんだ」

三人で道場に入り、アリューゼに竹刀を渡す。
アリューゼは、さっきよりも肩の荷が下りているようだった。

アリューゼ「好きなように来い」

士郎「……うおおおっ!!」

横凪ぎな斬ると、軽々と避けられ、脳天に竹刀が叩き込まれる。
くらくらする頭で一歩下がり、追撃を堪える。
竹刀で弾くことに三回。その合間には、何度か反撃のチャンスがあった。
だが、アリューゼの猛攻に、俺は反撃できなかった。

アリューゼ「おい、勝つ気はあるのか?」

士郎「え?」

アリューゼ「お前はいつまで守るだけなんだ。この前の、葛木とかいうやつの時もそうだ。防戦一方で、相手に傷一つつかない」

あの時は、葛木先生の怪我は、剣を殴り続けた事が原因なくらいだろう。
もちろん、俺はボロボロだったが。

アリューゼ「お前が戦うのは、常に自分より実力が上の相手だろ。だからって、勝てずに時間が過ぎるのを待つのか? 助けが来るまで逃げ回るのか?」

士郎「そう言う訳じゃ……」

アリューゼ「なら、もっとがっついて来い。相手を殺す気で来い。でなければ、お前はいつまで経っても勝てねえよ」

もう一度剣を構え、大きく振りかぶる。
今度は、下がるつもりはない。
125 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/27(金) 01:12:12.13 ID:7ldrADqRo
すまぬ、寝る
126 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/27(金) 23:40:55.55 ID:7ldrADqRo
一朝一夕に技術を持てるほど、甘くはない。
それを理解しているから、俺はシロウに覚悟を教える。
元々ガタイは酷く無いんだ。どこぞの一番の期待株よりは期待出来るだろう。
鮫の牙のように容赦無く、猛禽の爪のように鋭く、獅子のように豪快に。

士郎「はあっ……はあっ……」

アリューゼ「どうした? こんな所で止まるのか?」

士郎「……まだ、まだやれる」

バチン、バチン、と竹刀のぶつかる音だけが響く。
本当、こいつは将来、もっと強くなれる。
俺の戦い方は、決してシロウにはまってはいない。
きっと、こいつはこいつの戦い方を見つけることが出来るだろう。
そうだな……案外二刀流なんか、似合うかもしれない。
だが、それは俺が口を出す事では無いし、出す気も無い。

士郎「……………………」

冬だというのに、シロウは暑そうに汗をポタポタと落とす。
そして、パッタリと倒れた。

士郎「……アリューゼ、限界だ」

アリューゼ「だろうな。元々その傷だ。無理はするな」

バドラック「おう、お疲れ。飲むか?」

ずっと静かに見守っていたバドラックが、勝手に持ってきていたのか、やかんを差し出す。

バドラック「いやぁ、なかなか見応えがあったぜ。下手な傭兵よりも坊主の方が使えるんじゃねぇの?」

バドラックは、がはははと口を開けて笑う。
まぁ、否定はしない。
127 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/27(金) 23:50:05.24 ID:7ldrADqRo
凛「まだやってたの……まぁいいわ。時間を無駄にしていないだけ、ずっとマシね」

道場に現れた遠坂は、竹刀を構える俺たちを見て、呆れた。

凛「結論から言えば、成功よ。これでランサーが消えることは無い」

士郎「じゃあ、今晩にもまた柳洞寺に行くんだな」

凛「……気持ちはわかるけれど、まだだめよ」

士郎「でも、それじゃあ桜が!」

凛「桜はライダーのマスター、悪いようにはされないはずよ」

士郎「だからって、このままじゃ……」

凛「そうね、このままいるつもりは、私もイリヤも毛頭無い。士郎、明日からは午後は魔術のために使って貰うわよ」

ご飯は私が作っておくから、けりが付いたら居間に来てね、と遠坂は言い残して言った。
そうだ、桜を助けるためにも、焦るわけにはいかない。
128 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/28(土) 00:10:57.72 ID:wCXRuhSzo
たとえ二個でも、日刊でやる……!
無駄な頑張りですが、今日はここまでです。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/01/28(土) 02:20:22.75 ID:mgEJNp9Io
おつ
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/28(土) 12:43:19.76 ID:peuBCECDO
乙スティアルスター
でこっぱち王女のじゃろう大魔法が出てくると信じて……!
131 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/29(日) 01:11:01.90 ID:d6RB+JRio
レザード「ようこそ、英雄王ギルガメッシュよ。貴方なら此処へとたどり着けるだろうと思っていましたよ」

まぁ、それなりに消耗しているようだが。
このまま「食べ」させるか、それともーーーー

ギル「黙れ、雑種。我を此処まで来させたのだ、もてなしくらいはあるのだろうな」

レザード「おぉ、これは失礼しました。では、最高のディナーとしましょう。後ろのお客様も、一緒にどつですか?」

つくづく、笑えてくる。
この馬鹿な金ピカにも、その後ろのマスターにも。
塔の中の魔物の半数が死んだが、それだけだ。

レザード「では、始めましょう」

言葉と共に、三体の影が飛び出す。

ギルガメッシュ「綺礼、後ろの奴は任せる。あれはお前でも倒せるだろう」

言峰「……あやつられているのか、なる程」

詩帆「……シャドウサーヴァント」

蘇芳「……行くぞ」

二体のエインフェリアで、ギルガメッシュを。

葛木「……………………」

男で、マスターを狙う。

レザード「……英雄王、もちろんだが私も参加させていただきましょう。プリズミックミサイル」

黒い影に襲われていた金ピカに、七色の光弾が命中する。
無論、それで終わるとは思ってない。

蘇芳「……氷葬方陣」

詩帆「……クールダンセル」

地面から突き出される氷柱と、氷の聖霊が絶え間なく攻撃を重ねていく。

レザード「 闇の深淵にて重苦に藻掻き蠢く雷よ 」

だが、氷柱は砕け、聖霊は消失する。
さすがだ。サーヴァントとは、これほど強いものなのか。

レザード「彼の者に驟雨の如く打ち付けよ 」

ギル「雑種如きが、我に刃向かうか! それがどういう意味か、亡き後にゆっくりと考えるがいい!!」

ならば、次は跪いてもらおう。

レザード「クラビティブレス」

塔の最深部の大広間に、超重力の場が現れる。
それだけでも、十分に強いが、せっかくだ。

詩帆「……その諷意なる封印の中で安息を得るだろう」

エインフェリアの全力で、お相手しよう。

詩帆「……永遠に儚く」

超重力の場の上に、光の輪が浮かび上がる。

詩帆「……セレスティアルスター」

そこから、神々の光が放たれた。

132 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/29(日) 01:31:45.37 ID:d6RB+JRio
殴打の応酬に、終わりなど無いように思えた。
厄介な事だ、これではギルガメッシュを待つことになってしまう。

葛木「……………………」

言峰「……………………」

無言の殴り合い。だが、相手の瞳に光は無い。
既に死んでいるのか、それとも生かされているのか。
黒鍵を抜き、投擲する。
当然のように避けた先に、頭部を狙い掌底を放つ。
葛木はそれをまともにくらうが、大してダメージは無いようだ。

言峰「……共に最早、人では無いか」

だが、葛木からぽたりと一滴の血が落ちる。
拳に残っていた傷が、開いたのだ。
先の衛宮士郎との戦いの傷である。
そこに、目をつけた。
そこからの行動を、倒す事ではなく、その傷を開く事に集中する。
爪で引っかき、黒鍵で掠める。
見る見るうちに、拳は真っ赤に染まった。
常人なら、痛みどころでは済まないだろう。
皮が剥がれているというのに、殴るというだ。
痛みが無いのか、それともーーーー

葛木「…………■■■■!!」

さっきの例えを思い出す。
共に人では無い、どうやら言い得ていたようだ。
そして、痛みが無いのでは無く、及ばずながら、脱皮の手伝いでもしてしまったようだ。

??「■■■■■■■■!!」

先程までの寡黙な男はどこへ行ったのか。
目の前の化け物は、似ても似つかなかった。
133 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/29(日) 01:49:09.00 ID:d6RB+JRio
ギル「……後悔するがいい。慟哭するがいい。泣き叫べ、許しを請う相手を無くしたことに、ただひたすらに、戦慄しろ!」

はたして、金ピカは色褪せてはいなかった。

ギル「王をこけにするということは、万死に値するぞッ! 雑種ッ!」

そこには、一振りの剣があった。
いや、剣とは違う。それは剣の概念が生まれるよりも、前の産物だ。
乖離剣、それがソレを現す言葉として最適だろう。
三つの円柱が、互いにゆっくりと回転し、力を生む。
そこにどれほどの力が在るのか、わからない私ではない。

レザード「…………そうですね。英雄王よ、今宵のディナーはそろそろ終わりといたしましょう。如何でしたか? 楽しんで頂けたでしょうか?」

ギル「黙れと言っている。とくと去ねッ!」

レザード「そうですか、それは良かった。…………では、デザートの方へ参りましょう」

ギル「…… 天地乖離すーーーー」

力が、エネルギーがその剣へと収束する。
世界を分断する力が集う。
だが、それよりも…………

レザード「そうですね、『英雄王の超重力揚げ、神の光添え』といったところでしょうか」

収束した力は、放たれる事無く、闇へと墜ちた。
134 : ◆dxCCH/48FFW7 [saga]:2012/01/29(日) 01:53:42.66 ID:d6RB+JRio
黒詩帆とか見てみたい。いや、凄く見たい。
蘇芳は鎧を黒くすれば良さそうだから、そんなに見たくもない。
今日はここまでとなります。
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 04:10:30.34 ID:LMtfyTkU0
乖離剣使いたいのは分かるが、ギルは自分が認めた相手以外には乖離剣使わないから、こういう場面じゃ絶対使わないと思うな
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 05:17:51.31 ID:Dn7nO01DO
だからガッツとオートアイテムは覚えておけとあれほど……!
137 : ◆dxCCH/48FFW7 [sage saga]:2012/01/30(月) 10:59:02.82 ID:UkLOhyvwo
EXTRAを買ってしまったので、ちょっと不定期になります
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/04(土) 14:54:09.57 ID:W2HsYA6qo
さよか
139 : ◆dxCCH/48FFW7 [sage]:2012/02/09(木) 02:07:41.51 ID:Q4JgXNEHo
セイバールート、無事にクリアしました
キャスタールートをクリアするまで、しばしお待ちください
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/29(水) 12:27:31.99 ID:92CZ64vpo
キャス狐ルートはクリアできたかね?
141 : ◆dxCCH/48FFW7 [sage]:2012/02/29(水) 23:35:34.99 ID:+o0OmFZgo
なかなかどうして、雑魚相手に負けるのを繰り返して、まだもう少しかかりそうです
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/03/11(日) 19:04:04.87 ID:SIi/mB0Bo
おう待ってるから早くクリアしちまえ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/06(金) 11:54:55.93 ID:oDg/Ba/Ho
クリアはまだか?
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/01(火) 14:27:32.22 ID:2UnFQfmDo
もう来ないのかな…
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