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白米「俺達は汚れてない」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 21:58:46.15 ID:karAz71a0
思い立ったので書いてみます。
受験生なのであまりクオリティとかに期待しないでください。

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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/14(土) 22:05:31.31 ID:18pn6ezqo
玄米「は、玄人じゃねえ新米が!!」
3 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 22:07:59.78 ID:karAz71a0
―3月11日―

暖かい室内に保管されていた俺達は、突然の大きな揺れにたたき起こされた。
何かが落下する音に、慌てている人の声。
何が何だか状況が分からぬまま、俺達は容器ごと床へ落ちていく。

「うわあああああっ!!」

無数のコメが床にぶちまけられた。

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/01/14(土) 22:14:07.61 ID:49+vdMn5o
久しぶりに麦ごはん食べたらお通じがすごいことになった。
5 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 22:14:39.15 ID:karAz71a0

気が付くと、周りは真っ暗だった。
ほこりとゴミが近くにあるということだけしか把握できないほどに暗かった。
体を強く打ったようで、意識がもうろうとしていた。

「だ……か、…だれ……るか……!」

仲間の米の声。

俺の意識はそれですぐにはっきりとした。

「助けてくれ!!!」

俺は力を込めて叫んだ。
ほどなくして、仲間の白米が俺を探し当てた。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/14(土) 22:19:11.97 ID:ZR6uZkaTo
白米/zeroからやれよ・・・
せめて稲穂あたりからだろ
7 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 22:19:55.82 ID:karAz71a0
外に引きずり出されると、目に光が槍のように射しこんだ。
反射的に目を背けてしまう。

「大丈夫か?」

「あ、ああ…何とか」

「おや、足に少しヒビが入ってるな、歩けるか」

アドレナリンの分泌が、痛覚を麻痺させていたのだろう。
今頃になって、足に激痛がはしっていた。

「ぐっ…、すまないが歩けそうにない…」

「そうか、心配するな、すぐ近くにキャンプがある」

玄米の男はそういうと、大きな背中に俺を担いだ。
8 :BQ :2012/01/14(土) 22:21:41.80 ID:Q63i2ETT0
キョン「まじか...貴様ら外道かおいまぁ安価は絶対だからな。送信..と
9 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 22:28:10.94 ID:karAz71a0

「見えてきたな…あれだ」

玄米の男は俺を元気づけるように言った。
その時、俺はふとある疑問を口にした。
短い距離ではあるが、ここまで移動していて、農家の連中を見ないのは不思議だった。

「…農家の人たちは…?」

「農家のやつらか……、どうしてるんだろうな」

その男の口ぶりから、何も事情を知らない、といったような感じだった。

「こっちもパニックだったのさ、あれほど大きな揺れにあったのは収穫されて以来だったからな」

話している内に、コメたちの話声がかすかに聞こえるところまで、キャンプは近くに迫っていた。
10 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 22:34:49.51 ID:karAz71a0

「白米君!!」

聞き覚えのある声が聞こえた。

「…女米…」

女米<まい>。
俺のガールフレンドと言ったところだ。

「心配したんだよ…!…ってケガしたの白米君?!」

「心配してくれてたのか……あいにくだけどこのざまだ」

「すぐ手当してあげるからね…!」

女米はそういうとテントの奥に消えた。

「ガールフレンドかい?」

「まあ…な……痛っ…」

「しばらく横になってな、安静にしてるといい」

「ああ…すまない」

玄米はそういうと俺を慎重に簡易ベットの上に寝かせた。
しばらくはあまり動けなさそうだ…。

11 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 22:42:47.62 ID:karAz71a0


「……はい、手当終わったよ」

「すまないな……でも、よく無事で…」

「運よくクッションの上に落ちたの、玄米さんもそうだったんだ」

「そうか……」

俺はふと右のほうに見やった。
農家の人がつけっぱなしにしたテレビが、何やら『地震』やら『災害』やらまくしたてていたが、コメの俺にはあまりよくわからなかった。

「これは…人間がやったのかな…」

女米が静かに言った。

「例えそうでも…、お前だけは守るさ…今はこのざまだけどな」

「白米君……」

女米はずっと俺から離れなかった。
例え、どんな敵が相手だろうと、この子だけは守る、その決意は害虫にも屈しない。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 22:50:04.28 ID:phHnZ52AO
出オチかと思いきや面白そうwwww
13 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 22:56:23.09 ID:karAz71a0
―四日後―

足の傷もほぼ癒えて来ていたころ。
米は人間とは違い傷に関しては癒えるのは早い。
普通の擦り傷であれば、30分もあればほぼ直る。

「だいぶ良くなったみたいだな」

玄米がニコリと笑って言う。

「お蔭様でね、あのままだったら死んでいたさ」

「だが、安心してもいられない」

玄米が突然神妙な口ぶりで言う。
とても悪い報告なのは間違いなさそうだ。

「セシウムと呼ばれるものが大量に表れてきている」

「セシウム…?」

聞きなれない単語だった、少なくとも害虫ではなさそうだ。

「この家の付近でも目撃されている、福島原発というところから発生しているようだ」

玄米が上の方にあるテレビを見上げた。

『セシウムは、米、野菜などの農産物を汚染することが分かっています…農家の方は…』

「お…汚染だって……ッ?!」

「ここもじきに電気が止まるだろう、そうしたら移動しなきゃならなくなるぞ」

「そういえば農家の奴らもまだ……」

「もう死んだと考えるのが妥当かもしれない、早く傷は治しておけよ」

玄米はそういうと陽気な顔に戻って自分のテントに戻って行った。

14 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 23:08:49.15 ID:karAz71a0
翌日。

「もうすっかり治ったみたいだね」

女米が満面の笑みで言った。

「ああ、お前の看病のおかげさ、ありがとうな」

「治ったか」

玄米がテントに入ってきた。

「ああ」

「病み上がりで悪いが、すぐに移動だ。荷物をまとめて裏口から外へでてくれ」

「とうとうセシウムが…」

「今までは家の中には入ってこれなかったようだが…、換気扇から侵入してきているらしい」

「そうか…急ごう、女米」

「うん!」

ポニーテールに結った女米の髪がふわりと揺れた。

「あとコイツを持って行け、多少は役に立つはずだ」

玄米は大きい日焼けした鍛えられた彼の体に似合うような銃をさしだした。

もみがらを高速で撃ちだす突撃銃だ。

「すまない、恩に着る」

「俺は最後にこのキャンプを出る、外に出たら俺の部下が『要塞』まで案内してくれるさ」

俺はうなずくと、女米の手を取って裏口へ駆け出した。
15 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 23:12:50.49 ID:karAz71a0
簡単に米紹介。

白米:ふつうの白米。運動神経はけっこういいほう。10代。

女米<まい>:白米と同じく普通の白米。ポニーテールに結んだ髪が綺麗な10代。

玄米:日焼けした大柄の体を持つ米。自分のイメージとしてはレイ・ラブロックさん。

セシウム:突如現れた謎の敵。コメなどの農作物を犯す。浮翌遊できるが、速度はそんなに早くない。
16 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 23:27:19.24 ID:karAz71a0
そろそろ眠いので寝ます。

あちこちからもみがら銃の銃声が聞こえた。
セシウムにははたして効果があるのだろうか…。

とにかくコイツを使う機会はないと祈りたいところだ。

「お前があのキャンプの白米と女米だな!こっちへこい!」

軍服に身を包んだ米が俺達を呼ぶ。

「ジャバニカ米だ、お前らを『要塞』まで誘導する!」

「分かった!急ごう!」

外への裏口の扉はしまっていたが、コメが通れるほどの穴がガラスに開いていた。

「穴をあけるのに手間取ったぜ、何せ超高性能もみがら爆弾じゃないと傷一つつかねえんだからよ」

ジャバニカ米は吐き捨てるように言った。
そうとう手間取ったに違いない。
ガラスと言ったらもみがら銃ですら小さな傷しかつけられない強度であるからだ。
ガラスに穴をあける際は、通常もみがら爆弾を使うのだが、強化ガラスには通用しない。
裏口に用いられている強化ガラスは、超高性能もみがら爆弾でようやく太刀打ちできるものらしい。
超高性能もみがら爆弾は近年の技術発展で生み出されたもみがら爆弾である。

「外はセシウムだらけだ、気をつけろ」

「俺が合図したら全速力で走れ、生き残るためにな」

ジャバニカ米がもみがら銃に弾をこめながら言った。

意を決して、俺達米は戦場である外へと飛び出していった。



17 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/14(土) 23:57:20.07 ID:karAz71a0

「…!」

女米が息をのんだ。
目の前一面に広がる田畑。
この時期は寒いせいか何も見かけないのだが…。


米の惨死した姿がところどころに見受けられた。
それだけではない…。
セシウムが空を埋め尽くしていたのだ。
迫る天井とそれの犠牲になった仲間と鉢合わせしたかのようなとてつもない絶望があった。

「くっ…もうここまで来ていたか!」

ジャバニカ米が空をにらみつけて言う。

「いいか、あの土の穴に要塞へ続く道がある、そこまで全力で走るんだ」

「だが…アンタは…」

ジャバニカ米は不敵に笑って見せた。

「俺は玄米さんと行くさ…俺が出来るだけあのクソッたれどもを引き付けておく、そのうちにとっとと行ってくれ」

「俺の仲間もやられちまったようだしな、奴らにありったけ浴びせないと満足できそうにない」

「…女米、大丈夫か?」

「う……うん………っ…平気……」

女米は、目の前の惨状に怯えていたが、必死に声を出して見せた。
その声はとてもか細く、すぐにもかき消されてしまいそうな声。
守れるのは俺だけだ。

「よォォォし!行けェエェェエェ!!」

18 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/15(日) 00:03:05.66 ID:X4t4iyDC0
本当にそろそろ眠たい…。

スタートダッシュから間もなく、耳を刺す銃声が轟く。
それにひかれたセシウムたちは一斉にジャバニカ米に狙いを定めた。

「きやがれってんだァァァァ!」

連続で吐き出されるもみがらを詰めた薬莢。
空を駆る銃弾と、迫るセシウム達。

「うおおぉぉおぉっ!!」

その刹那、銃声が途切れる―。

「弾切れかよ、使えねえぜ…!」

ジャバニカ米は銃を捨てると、一目散に家の中へ退散していった。

19 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/15(日) 00:13:45.34 ID:X4t4iyDC0
―『要塞』―

「なっ…いつの間にこんなものを建設してたんだ!」

眼下に広がるは地下へ向かって掘られている、巨大な避難シェルターのようなものだった。

「すごい……!ここなら大丈夫かも…!」

「悪いが、そこからどいてくれないか」

門番の米が言った、どうやら扉を閉めるようだ。

「ま、待ってくれ、まだ玄米とジャバニカ米が…!」

「あの兵士たちの事か?それなら心配いらない、兵士の米には『要塞』の裏口から入るよう伝えてある」

俺は安堵した。
米の結束力は、炊き立ての米のように粘り強い、古いことわざにもいくつかあるぐらいだ。
仲間を見捨てるようなことは決してしない。少なくとも俺は。

「それでは扉を封鎖する、離れるんだ」

「玄米さん…ジャバニカ米さん…どうか無事で…」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 02:36:59.70 ID:gkT9v8ySO
一発ネタかと思いきや面白いじやないかwwww
これは期待wwww
21 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/15(日) 12:08:20.19 ID:X4t4iyDC0
―農家の家―

玄米はキャンプに一人、荷物をまとめ『要塞』へ撤退する準備を進めていた。
これから長い間、あの『要塞』に籠城することになる。
今持てるだけの物資を運ぶつもりで黙々とバックに物資を詰め込んでいた。

「……ん?」

玄米は妙な気配を感じ、身構えた。
歴戦の兵士である玄米だから感じ取れた気配である。

「あれは……!くそっ!!」

空中を浮翌遊していたセシウムだった。
22 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/15(日) 12:18:58.34 ID:X4t4iyDC0
バッグをひったくるように背負うと、もみがら突撃銃のトリガーを躊躇なく引いた。
激しいマズルフラッシュの閃光が、まるでカメラのストロボみたいに一コマ一コマを映し出す。

「玄米!早くこっちへ!」

ジャバニカ米だ。
『要塞』への秘密通路の近くに立ち、こちらに向かって手招きしているのが見える。

「ジャバニカ米!あいにくだが手一杯だ!ある程度コイツらを足止めしておかないと…!」

「心配いらない!上に狙撃兵が陣取ってる!早く来い!」

玄米はフルオート射撃を止め、『要塞』へつながる通路へと駆け出した。
玄米が射撃を止めると、上のほうからいくつものもみがらライフルの銃声が響き渡った。


23 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/15(日) 12:28:46.80 ID:X4t4iyDC0
改めてあらすじ。

3月11日に起きた大地震を米視点から描いたやつです。
舞台は福島にある農家で、農家の方はすでに避難済み。

原発から漏れ出したセシウムが、コメを侵食(ここらへんでエロ描写?(笑))していきます。

主人公の白米がいる『要塞』は米たちによって作られた、アリの巣のようなものです。

ゴールはいまだ見えませんがちまちまと更新していきたいと思います。
24 : ◆bR/Hsa44HA [sage]:2012/01/15(日) 12:54:13.46 ID:X4t4iyDC0
「ふう、助かった」

玄米はため息をつくと、ズボンのポケットから煙草を取り出して、紫煙を吐いた。

「煙草、やめてなかったのかよ」

ジャバニカ米が嫌悪感を隠すことない口調で言った。
もともと米でいう煙草というのは、もみがらをいくつか巻いて、煙草サイズに切ったものをいう。
百害あって一利なし。そんな代物だった。

「なんだろうな、これ吸ってると落ち着くのさ」

「米がそんなもの吸ったら不良米として捨てられるんだぜ?それでもいいのかよ」

「ふっ…俺はとうに出荷時期のすぎた米さ」

「まだ40だろ?まだチャンスはあるさ」

玄米は紫煙を吐いてニコリと笑った。

「……どうだかな」

玄米は煙草を捨てると、『要塞』への道を進んでいった。
25 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/15(日) 22:55:16.15 ID:X4t4iyDC0

「ここが君たちの部屋だ、狭いが、勘弁願いたい」

『要塞』の部屋まで案内された俺達であったが、いまだに戻らない玄米やジャバニカ米達が心配でしかたなかった。
いくら歴戦の玄米と言えど、全く知らぬ未知なる相手と戦い続けるのはそう容易いことではない。

「食料は1日に1回配給しにくる、足りない場合は言ってくれ。できる限り善処しよう」

「ああ、ありがとう」

俺は軽く頭を下げると、部屋に目をやった。
狭いとは言っていたが、それほど狭いとは感じない程で、二人で使うには申し分なかった。

「はあ……ようやく一息つけるね……」

女米が心底疲れたようにため息をついた。
確かに今まで経験したことのないことが立て続けに起こってることを考えれば仕方のないことだ。

「ああ…、疲れたな…、しばらく寝てろよ」

「うん、お言葉に甘えて……、言っとくけど、寝てるときに変なことしないでよね」

「しないよ」

女米はそういうと、備え付けの簡易ベットに横たわると、すぐ寝てしまった。
26 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/17(火) 20:57:38.25 ID:unUJL8Xb0

「見えたぞ、『要塞』の隠し扉だ」

「とうとうついたようだな…、おっさんにはこたえるねぇ」

「そんな性質じゃないだろ、アンタは」

玄米とジャバニカ米は、無事『要塞』へとたどり着いたことに安堵する。
あの先の大地震で道が崩れていたら…とも考えたが、特にそういう痕跡は見当たらなかった。

「よし、暗証番号を入れてくれ」

ジャバニカ米が壁に備え付けられた入力装置で数字を打ち込むと、電子音と共に扉がスライドして開いた。

「相変わらず、技術発展には驚かされるね。見ないうちに扉がスライドして開閉するなんて」

「俺もそう思うね、何か政府が裏に手をまわしてんのかもな」

ジャバニカ米と玄米は笑いながら、隠し扉の奥へ消えていった。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 22:53:00.31 ID:0IRAwnpSO
予想外に面白い
支援
28 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/18(水) 20:46:22.89 ID:UDyz45So0

大地が大きく振動する。

「っ―!」

余震だった、人間で言うと地下20階分に相当する『要塞』は地震のエネルギーをダイレクトに受ける。
人間の建造物のように、頑丈だったら屁でもないのだが、土でできている『要塞』にとっては、壁が崩れるなどの危険を含んでいる。
最低崩落してもおかしくない。

「また、揺れたね」

女米が揺れにつられ、目を覚ましたようだ。
まだ寝足りないのか、目じりをこすり、あくびをして伸びてみせていた。

「まだ眠いか」

「えっ、ううん。そんなことは……ふわぁ…っ」

説得力が皆無だった。
まだそれほど眠くなかった白米は、女米にもう少し寝てるように促すと、扉を開けて外に出た。

「ふう……」

大きなため息を一つつくと、壁に寄りかかって上を見上げる。
この『要塞』は簡単に言うと『V』の形をしている。
下に行くほど狭くなっていて、現在は掘り進められていないらしい。
白米たちの位置するところは、ちょうど上のほうで、物資を配っている配給所も、避難口も近い。
避難場所としてはとても申し分ない、素晴らしいところだった。

……寝るか。
それほど眠くはないのだが、眠っておくに越したことは無い。
白米は部屋に戻り、もう一つの簡易ベッドに身を横たえ、眠りについた。
29 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/18(水) 20:52:13.91 ID:UDyz45So0

「……」

目が覚める。
と、同時に女米の顔がかなり近くにあった。

「おはよ」

女米が短く言う。
何故白米の上に乗ってるのかは別として、とりあえず挨拶を返しておく白米。

「なんで俺の上にのっかってるんだ」

「えっ…聞きたいの?」

女米が若干頬を赤くする。

「ぜひとも聞きたいな、なんでなんだ」

「白米君……、ムラムラしちゃってるでしょ」

「……は?」

言っていることが分からなかった。
少しの間呆けていると、女米の手が下腹部を撫でて言う。

「だから、溜めてるでしょ?こんなにおっきいんだもん」

「え…あ、ああ…、これはだな」

「遠慮しなくてもいいのに、私は貴方の彼女なんだからさ」

恥の感情が募るばかりであった。
30 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/18(水) 21:02:25.55 ID:UDyz45So0

「でも、今からするのか…?」

「心配しなくても、今は夜だしね…ほらっ」

女米の細い手が股間に触れる。
そのまま撫でるように上下にしごく。

「お、おい……」

こうなればもう止まることは無い…。
白米は諦めると、快楽に身を委ねた。

「本当大きいよね、白米君の」

「あまり大きくても困るんだけどな……くっ」

だんだん握る力が強くなってゆく。
もう絶頂の感覚はもうすぐそこまでにこみあげてきていた。

「出ちゃうの…?まき散らすと面倒だから……はむっ」

女米はおもむろに白米のを口に含んだ。
女米の舌が、白米のモノに絡みつくようになめ回す。

「んぐっ……んむ…っは…」

「ぐっ……」

白濁の液が、容赦なく女米の顔を汚す。

「ふああっ…!」

「わ、悪い……顔に…」

「ううん、気にしないで…ついでに一緒にお風呂入る?」

「……そうしよう」

白米と女米はそのまま部屋についている風呂へ消えた。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage saga]:2012/01/18(水) 22:13:50.02 ID:jimEM5OAO
冷静になるんだ!

白濁液って、研ぎ汁のことだよな、な?
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 23:13:42.78 ID:KOYpmVQSO
>>31
むしろそれ以外のなんだと思ったんだ
33 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/20(金) 23:54:30.55 ID:X2ZN7gRq0

「むっ…」

『要塞』の要である、コントロールルームの中央の椅子。
それにゆったりと腰かける老人が顔を上げた。

「クラスM5の余震です、損害は現在見受けられません」

オペレーターがディスプレイ画面を確認して言った。
このコントロールルームでは、要塞内のありとあらゆる情報がディスプレイに表示される。
それでいて、監視役のオペレーターはわずか6名。
近年の技術発展の賜物だ。

「そうか、引き続き影響調査を」

この『要塞』、どれだけ持つか…。
老人は遠いまなざしで、考えていた。
34 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/20(金) 23:57:59.46 ID:X2ZN7gRq0

<<警告、何者かがL−8通路の扉を開放>>

AIの無機質な声が告げた。

「カメラ映像をまわしてくれ」

「了解」

ほどなくして、ディスプレイ画面に監視カメラの映像が映し出される。
二人の男が二名、談笑しているのがうかがえる。

「確か、玄米とジャバニカ米だったな」

「そのようです」

「よし、つないでくれ」

老人は一言そういうと、備え付けてあった受話器を取った。

35 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/21(土) 00:07:48.71 ID:aheywumA0

ジャバニカ米と昔の話で花を咲かせていると、近くの電話が鳴った。

「あれは緊急用の外線だな、繋がるところと言ったらコントロールルームぐらいしか…」

「そうか、出てみる」

そういうと玄米は受話器を電話を取る。

『やあ、久しいな』

年相応の枯れた声が、受話器から聞こえた。

「あなたは、インディカ米殿では…」

『玄米、今からコントロールルームへの直通通路の扉を開ける、急いできてくれ』

『もちろん、ジャバニカ米も一緒にだ』

要点だけ告げて、インディカ米と呼ばれた老人は電話を切った。

間もなく、外線の隣にある壁が、石どうしがこすれる音とともに、横にスライドした。
自然に溶け込んだ、見事の一言に尽きる隠し方だ。

「どうやら、お呼びらしい」

玄米はそれだけ言うと、リュックを背負いなおす。

「俺達に休む暇はないかァ…しょうがねえ」

ジャバニカ米は頭を掻いた。

「まるで…、"あの時"のようだな」

「…ああ、笑えねェ」

36 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/21(土) 22:24:37.83 ID:aheywumA0

『要塞』の外では兵士が三人程度で警備にあたっていた。
セシウムたちは、こちらを見つけない限り襲ってはこないが、いつ見つかるか解らない。
気の抜けない警備だった。

「ふう…っ」

『要塞』の東出入り口の警備を任された女の警備米が、大きく背伸びをした。
『要塞』は完璧と言っていいほど自然に溶け込んでいるため、見つかる確率は低い。
それにセシウムたちは見たところ地下には潜り込めないようだし、つい気が緩んでしまったのだ。

「おい、背伸びしてるんじゃねえよ…」

隣の警備米がため息をついて言った。

「大丈夫よ、見つからない限り襲ってはこないみたいだし?問題ないじゃない」

「そうとはいうけどな…」

「とにかく、大丈夫ッたら大丈夫なのよ」

そう言って顔を隣の警備米に向けた時。
女の警備米に衝撃が走る。

仲間の警備米の顔が、無くなっていた。
どういうことだか理解すらできなかった。ただ、ありのままに状況を説明するなら。
先ほども言った通り、顔が切れ味の悪い刃物で切ったように、荒い切り口で顔が切り落とされていて。
鮮血をまき散らしていた。
37 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/21(土) 22:34:53.46 ID:aheywumA0
「えっ……」

突然の出来事に、声が詰まった。
ついさっきまで、話していたのに、今はどうだろう?
血だけをまき散らすスプリンクラーのように、あたりを赤く染め上げる。

そして、全身を縛り付けるような感覚。
何者かが、自分に敵意あるまなざしを向けている。
とても恐ろしく、まるで動物のように。
相手の恐ろしさを瞬時に理解した女の警備米は、恐怖に身を震わせた。

―助け…助けを呼ばなければ…!―

ようやく開いた口。
震えながらも、女の警備米はありったけの声を絞り出そうとした。
だが、敵は非常に素早かった。
一瞬で何かにふさがれる口。
セシウムではない。それは一瞬で理解できた。

「ほう…なかなかにいい娘…いや、米か」

とてもセシウムとは思えない姿。
米の天敵である、とてつもなく巨大な害虫だった。
38 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/22(日) 22:07:18.26 ID:eE9dah700

「よく来たな、ようこそ『要塞』へ」

インディカ米はひげをさすりながら言った。
その顔には特徴的な縦に傷跡が入っており、歴戦の米であることを彷彿とさせた。

「御用とはなんなんですか?」

玄米もまた、歴戦の米であるが、新米であるころに鍛えてもらった訓練教官が、この目の前にいる米なのだ。

「そう固くならなくていい、用と言ってもそれほどのものでもない」

「率直に言おう、君らにはこの『要塞』を運営してもらいたい」

「は…っ?!」

ジャバニカ米が息をのんだ。
何がそれほどの物でもないだ、とんでもない事だ。
この米の生存をの要である『要塞』を運営しろというのだ。
とても責任の重い、一般の米には担うことが出来そうにない重荷だ。

「それは、本気でおっしゃられているのですか?」

「ああ…持病が悪化してな…もう長くない、らしい」

「酷くなる前にここから手を引いて、のんびり過ごしたい。…老米のささやかな願いだよ」

「…」

玄米は目をつむった。
そして、数瞬間を置いた後…。

彼はわずかにこくりと頷いた。
その行為で、全てが玄米というちっぽけな米にのしかかるのだ。

「…ありがとう、いつまでもヒヨっこだと思ってたのも、もう終わりだな」

「……いえ、お体を大事にしてください」

「お前に気を使われるとは……ワシも落ちぶれたもんだ」

そういうと、インディカ米は、微笑んで俯いた。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 22:47:00.89 ID:9ZTy+jQ+o
発想がすごい
しかも面白い

欲を言えばこれを去年のうちに読みたかった
40 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/23(月) 21:53:55.30 ID:ARGEDOb10

「くそっ!撃て!撃ちまくれ!!」

外では女警備米を救うべく、仲間警備米がもみがら銃で応射していた。
だが、しょせんもみがら。
非常に固い装甲を持つこの害虫には全く通用していなかった。

「ふん、コメ風情が」

害虫が羽を大きく広げる。
独特な光沢をもつその羽が、ゆっくりと羽ばたく。

「一人残らず…喰う…!」

それがスタートダッシュも同然の言葉だった。
まず最初に拘束されている女警備米の腕を喰らう。
獰猛な肉食獣を彷彿とさせるはしたない動きで、腕を食いちぎった。

「い…ッぐぅ…あああああっ!」

悲鳴とも似つかぬ悲痛な声に、仲間の警備米達は恐れおののき、身を震わせた。

「かなわねえ!あの害虫が相手じゃあ、手も足もでな…」

仲間の警備米の声はそこで遮られた。
41 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/23(月) 21:58:32.02 ID:ARGEDOb10

「駄目ですわ、お兄様ァ……、こいつらにはもっと恐怖を味あわせてやるんです」

もう一匹の害虫が、コメの背後に立っていた。

「待てよ、コイツらは食ってやるのが一番なんだ」

「それもいいですけど…、それじゃあつまらないですわ」

そういうと、妹の害虫は警備米を摘み上げる。

「持って……帰りましょう」

「ふっ…やっぱりお前のわがままにゃあ勝てねえわ」

「そうかしら…?うふふっ…どういたぶって差し上げようかしらァ…んくゥ、体が色々な意味で燃えちゃいそ」

「お前のサドさにも限度ってもんがないよなァ…まあいいわ、持って帰ろうか」
42 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/23(月) 22:09:24.55 ID:ARGEDOb10
勉強めんどいです。


「くっ……クソがぁあぁッ!!」

警備米の一人が高性能もみがら爆弾を害虫の顔に投げつけ、起爆させた。
激しい轟音と共に、害虫の顔は一瞬で煙に隠れ見えなくなった。

「や、やったか…?」

「……ふ…ふふははっ…あははははははは!!」

突然狂ったように笑い出す妹害虫。
兄は悟ったようにため息をついて、一言言ってやった。

「お前ら、本当かわいそうだな」

「いいえェ、かわいそうなんてものでは済まされませんわよ…」

「いたぶりつくして…殺してほしいと懇願しても……」

「絶対に…許しませんわァ」

「ひ…ひぃっ!!」

警備米達は息をのんだ。
死ぬ…なんてものではない。
本当の絶望が待ち受けている。
それを思わせるような恨みを越えた凶悪な感情が妹害虫の顔に浮かび上がっていた。

「ところで、この女喰っちまっていいか?もう腕喰っちまったし」

「そうですわねェ…、私は見せしめとしておいてくのが一番かと…」

「ま、どっちでもいいんだけどなぁ」

兄害虫は女警備米をポイと捨てると、羽根をはばたかせ、妹害虫と消えていった。
最後に残ったのは、みじめにも腕を引きちぎられた女警備米だけだった。
空に浮かび上がっているセシウムたちは、害虫どもに見向きもせず、女警備米にも見向きもしなかった。
ただ、虚空に浮いていた。

「…くゥ…ひぐっ…うぅぐっ……ころ…ころひて…やる……」

女警備米から出たのは、恨みと悲しみが入り混じった、混沌の言葉だった。
43 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/24(火) 20:05:51.91 ID:DJX19E0K0
勉強の合間を縫って、このSSのwikiを書いています。
そのうちキャラのイメージ画像なんかもあげられるといいかなと思っています。
ですが、学生レベルなんで絶対期待しないでください。マジで。


「もう、激しすぎるよ昨日は」

翌朝。
女米が大きく伸びながら言った。
それに対して白米は苦笑いを返すほかなかった。

「さ、朝だし配給もらいにいこ?今日は何かな」

「お前意外とここの生活になじんでるな…まだ1日しかたってないぞ」

「私の特技ってそれぐらいだしね、さぁ早く取りに行こう!」

女米は待ちきれないといった様子で白米の腕に絡みつく。
白米は横で笑う女米の顔を見て、複雑な気分になった。


44 : ◆bR/Hsa44HA :2012/01/24(火) 20:13:33.92 ID:DJX19E0K0

『要塞』のコントロールルームは何とも言えない雰囲気で満たされていた。
昨夜起こった猟奇的な事件が原因だ。

「まさかこの時期に害虫が活動を…?」

「考えられんな……」

ジャバニカ米と玄米が、ディスプレイと睨めっこをしていた。
今は3月。
今まで寒かったことを考えると…、害虫が活動する確率は0に等しいものだった。

「例のセシウムが関係してるのだろうか」

「セシウムがか?……考えられないが……」

彼らの言葉はそこでまた止まり、またどんよりとした空気がコントロールルームに流れ始める。
セシウムの襲来に、害虫のお出ましとあれば、ここから出ることはほぼ不可能に近くなる。
いつまでも籠城しているわけにもいかない、『要塞』の食料には限りがあるからだ。

「状況は最悪だな…」

「ああ、全くだ…」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/25(水) 00:35:37.02 ID:cjIEWg4DO
Cする
46 : ◆bR/Hsa44HA [sage]:2012/02/06(月) 18:15:42.06 ID:3/npr1uY0
今まで受験でいませんでした。申し訳ないです。
ついでにこのパソコンもこれを機にかえるので3月中ごろまで来れません。
HTML化は免れませんね…。


「や、やめてくれ、もう、悪かった…」

恐怖と絶望に塗られた、希望が一切見られることのない謝罪の声が薄暗い部屋に響いた。
薄暗い地下の湿気の多いこの部屋は、虫たちが育つのに非常に適した場所で、本来ならば冬眠中の虫がいるはずである。
しかしそこにはぼろ雑巾のように捨てられた、虫の残骸が残るばかりである。
そして部屋の中央には分娩室を思わせるようなベッドがぽつんと置いてあり、そこにとらえられた警備米が寝かされていた。

「だめよォ…まだ足りないわ」

「あんたの顔に爆弾を投げたことは謝る…だから…」

「常識がなってないわねェ、普通顔に爆弾投げつけられて、許す人なんているのかしら」

「ひっ…」

そういうと、妹害虫は手に生えているヤスリ状の爪をコメの足において、一気に手前に引いた。
ゴリゴリと嫌な音が湿った部屋に響く。
これを聞けば誰もが嫌悪感を持たずにはいられない。

「いぎゃあぁああああぁ」

「あァ……いい声っ……」

彼女の宴はまだまだ始まったばかりだ。


47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/06(月) 18:36:24.06 ID:PbFcTNuco
>>46
>HTML化は免れませんね…。

そんな事はない
二ヶ月以上放置する訳じゃないなら残しておくべき
48 : ◆bR/Hsa44HA :2012/02/09(木) 17:29:08.29 ID:cjkI2ptB0
>>47
了解です。
隙を見て親のパソコンから書きます。

「そのぐらいにして、さっさと食べちまったらどうだよ」

妹のサドさにあきれてものも言えぬ顔で、兄が言う。

「あら、声が漏れてましたの?申し訳ありませんわね」
「分かってるんだったらとっとと終わらせてくれ、ゲームできない」
「あの『エロゲー』とかいう物品でしたわね。欲求不満だったら私に言えばいつでも…」
「うっさい、余計なこと言いやがって…、ま、好きなだけやってやがれ」

兄害虫は、少し顔をほころばせて、部屋を後にした。
これからはいろいろと困らなそうだ。そう思うと、さらに顔がだらしなくなったのが自分でもわかるぐらいニヤついた。

「は…さすが、俺の血をひく妹だよ……」


49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/10(金) 07:26:56.48 ID:GqowZezs0
立て逃げかと思ったら内容濃くてびっくり
がんばってくれ
50 : ◆bR/Hsa44HA :2012/02/11(土) 22:50:29.05 ID:orGW2c1H0
親のパソコンからです。
…というより、俺が今まで使っていたパソコンを親にあげたので、実質今までとあまり変わりません。
エロが……ゲフンゲフン。とか消すの忙しかったです。

場所は変わり『要塞』のコントロールルーム。
玄米、そして片腕を無くした女警備米が、中央の椅子に腰かけていた。
「害虫が喋った?それは本当なのか」
玄米が目を丸くして言う。

「……はい、私も、信じられません……う……」

女警備米が心底辛そうに言った。

「……くぅ…っ!」

目の前で親しい仲間たちを連れ去られ、腕を食いちぎられた光景が脳裏によぎる。
そのあと突如として吐き気に襲われ、咄嗟に口を押える。

「くそ、おい!誰か医療室へ連れて行くんだ!」

「い…いえ、お構いなく……大丈夫ですから」

女警備米は玄米に笑って見せた。
滝のように汗が顔を滴ってゆく。
酷い眩暈が襲ってくる。しかしここで倒れてはだめだ…。
アイツらのしたことを思い出せ…!

「……」

周りのオペレーターは心配そうな顔で、二人を無言で見つめていた。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/11(土) 22:55:14.15 ID:66g4x9Hm0
がんばれよ。ちゃんと読んでるからな。
52 : ◆bR/Hsa44HA :2012/02/13(月) 20:55:44.71 ID:WXMtoxOp0
親PCからです。
そろそろ本格的に更新ができなくなる可能性が出てまいりました。
その前にできるだけ更新しておこうと思います。
絵のほうも所詮学生という残念クオリティですが、更新できるといいかなと思ってます。



女警備米が退室した後、入れ違いでジャバニカ米が入室してきた。
玄米は彼女からわかったただ一つの事実をジャバニカ米に言うと、ジャバニカ米が目を丸くした。


「害虫が喋ったとなると……新種の害虫でも現れたのか…?」

ジャバニカ米が、低いトーンの声で言う。
その様子から、半信半疑であるという様子も若干うかがえる。
本来害虫は知恵を持たず、喋ることもない存在であると、コメの研究機関の調べで分かっている。
ただ単に、コメの捕食を繰り返すことで、成長を続けるのだ。

「ただ、時期というものもある、この時期になぜあらわれ、なぜしゃべるのか…」

「害虫だけが敵ではないということか?」

「俺はそう見てる、害虫に見せかけた新種の天敵か、あるいは害虫が進化したか、どちらかだと思う」

「ふーむ……」

ジャバニカ米は顎に手を当てて考える。…実際は考えるなんてことはしなかったが。
考えるばかりでも仕方がない、自分でもそう割り切るしか他にこの事柄から逃れることは現段階ではできそうにない。

(兎にも角にも、原因の調査だな……04部隊が妥当かもしれん)

「それじゃあ、戻るぞ、また何かあったら連絡する」

「ああ、頼む」

そういうとジャバニカ米は金属のメタリック色一色に塗られたひどく殺風景な部屋を出ると……――
一つ大きく、ため息を吐いた。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 21:11:50.90 ID:0XN++c/Vo
いや…絵って、米だよな?
54 : ◆bR/Hsa44HA :2012/02/13(月) 22:04:42.76 ID:WXMtoxOp0
>>53
一応ジャンルとしては擬人化に入ってますので…。
本当下手くそなんですよ、これ完全に中学生以下だろって絵なんで。


「うぅ…っ、寒い」

ここ『要塞』は完璧にどの区画も温度管理がなされている。
米が育つのにちょうどいい湿度、温度が計算しつくされ、『要塞』のありとあらゆる送風口から風が送られてくるのだ。

しかし、この展望スペースを除いて。

「なんていうか、自然の風ーって感じするよね」

女米がはにかみながら、寒そうな気配など微塵にも感じさせない口調で言う。
それに比べて白米は両手で震える肩を押え、さすっている。

「こんな寒いところ……早く出よう」

「白米君は先に帰ってていいよ!無理にいなくてもいいから」

…彼女は昔からいつもこうだ。
どこか他人からズレているというか、普通の人と少し感覚がずれている。
別に変人というわけでもないのだが……そう思うと白米はクスリと一人で笑った。

「なんで一人で笑ってるの?私なんかおかしいかな…」

女米は不機嫌そうに口をとがらせて問いかけてきた。
馬鹿正直にも話すわけにもいかない白米は…―

「―…思い出し笑いさ…」

そうキザに決め込むと、ズボンのポケットに手を入れて、すぐ近くの電灯を見上げた。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 22:34:59.34 ID:0XN++c/Vo
マジかよ…
なんか米粒に手足が生えた可愛いの想像してた…
その可愛いナリで壮絶な戦いを繰り広げてると思ってたのに…
56 : ◆bR/Hsa44HA :2012/02/15(水) 21:17:18.38 ID:600GsSdM0

「あああ〜〜っ!もう!」

妹害虫は突如として大声を上げた。
何の前触れもなくだったので、兄は椅子から転げ落ちるという事故に見舞われる。

「また『エロゲー』なんてものを……!しかも妹モノですの!?」

丁度いいところだった兄は、顔が少し赤くなるのを感じた。
くそ、鍵でもかけておけばよかった…。そう思うのも後の祭りだ。

「何度も言ってるじゃないですの、私に頼めばいつでも…っ!」

「あのなぁ…」

「どこがいいんですの?!実在しない恋人に思いをはせることが!」

「何を言っているんだ、俺の心にちゃんとコイツはいるんだ」

そういうと、兄はヘッドホンをつけなおして、鑑賞の続きをしようとする。
全く相手にされていないと感じた妹は、ヘッドホンをひったくり、今まで妹の不埒な姿が映っていたディスプレイを破壊した。
57 : ◆bR/Hsa44HA :2012/02/21(火) 17:43:45.50 ID:mfu5Yv+T0
勉強がはかどらないので来ました。
誰か勉強がはかどるコツみたいなのがあれば教えてくだしあああ〜。


「…っくしゅん…」

展望スペースから帰ってきてから女米はこの調子。
白米は今うつされたらたまらないので、部屋の中でマスクを着用する羽目になっていた。

「ご…ごめん、ティッシュ…とってくれない?」

女米が鼻声で弱弱しく言う。
白米は呆れ顔でそばにあったティッシュを取ると、女米に無造作に渡す。
そして白米は今日何度ついたかわからないため息を、また吐いた。

「…怒ってる?」

「いや、怒ってない」

「でも…、何だか今日の白米君は…」

「呆れてるだけ。別に怒ってない」

短い言葉のやりとりが終わると、部屋は静まり返った。
白米は、結婚して十数年経った自分たちを見ているようで、何だか嫌になった。



58 : ◆bR/Hsa44HA :2012/02/21(火) 18:03:45.20 ID:mfu5Yv+T0

―『要塞』上空。

空を漂うばかりのセシウムに、異変が起きていた。
あるものは体が大きくなり。そしてあるものは小さくなる。
吸収し、吸収されているのだ。
そして大きくなったセシウムは意識を持っていたかのように目を覚ます。
やがて米粒大に収縮されたセシウムは、漂うのをやめ、地面に降り立った…。


「…」

米粒の形をしたセシウムは、無言のまま、傍らの米の死体を見つめた。
背中の切り傷が、痛々しい。切り口が脊髄にまで達していた。

そして、今まで沈黙を守っていた米セシウムが動き出した。
ゆっくりと手を伸ばし、死んだコメを包み込む。
その幻想的な風景は、まるで水色の蝶々が、満身創痍の戦士を癒すかのよう。
周囲には薄く光る水色の球がいくつか浮いており、その光は儚くも、恐ろしい。

包み込まれた死体は、ゆっくりと浮かび上がる。
体の隅々まで光が行きわたり、背中の致命傷であろう傷も修復されてゆく。

「スー…ハー…」

医者はこの光景を見て目を疑うだろう。
今までピクリとも動かなかった米が、息を吹き返したのだから。
だんだんと顔色がよくなり、息も整ってくる。
そして最後に、目を開く。


全てが終わったころには、コメ型のセシウムはいなくなっていた。
ただ、消えただけではない。

「…」

乗り移っていただけである。


災害の産物である汚染米が、こうして生まれた。

59 : ◆bR/Hsa44HA :2012/03/02(金) 21:20:10.12 ID:pWJUrV1DO
携帯からです


「ふぅ…っ」

『要塞』の出入口近く。
警備米は軽く伸びをして、上を見上げた。
相変わらずのどんよりとした空模様に、気分もつられてしまいそうだ。
しかし、今はそんなことより警備に集中しなければ。そう思い、腕に握られたもみがら銃をしっかりと握りしめる。
60 : ◆bR/Hsa44HA :2012/03/02(金) 21:42:18.63 ID:pWJUrV1DO
「…助けて…」

「…!」

弱々しく震えたまだ若い女の米が警備米に助けを求めているのが見えた。
仲間に担架の用意しろと通信機を概して連絡すると、すぐさま警備米は駆け寄る。

「大丈夫ですか?すぐに助けがくるから、しっかり気を持って…」

警備米は突然戦慄を感じた。
第六感が、警鐘を鳴らしているのがはっきりとわかる。
もう遅い。
逃げるにも、発砲するにも遅い…。

その瞬間、激痛も感じる間もなく、視界が暗転した。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 13:11:23.69 ID:0qZCynxN0
ふむ
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 23:13:32.60 ID:0qZCynxN0
みんな『つながろう日本!』やら『がんばろう東北!』
とか支援のフレーズがあるけど
実質つながってなんかないよな…
瓦礫拒否、風評被害とか
TVではあれだけ同情の言葉並べといて
自分達に被害が及ぶってなったら
とたんに血相変えやがるからマジ苛つくんだが
数値的にも問題ないって言ってるのにさ・・・
とか思ってマジレスしてる今日この頃
63 : ◆bR/Hsa44HA :2012/03/19(月) 17:11:34.93 ID:ppMViP4Q0
遅れて申し訳ありませんでした。
注文してたパソコンが届いたので、自分のペースですが、進めていきます。



腹部と頭部、二箇所を一瞬で貫く。
まるで、おもちゃをもてあそぶ様な感覚で、汚染米はただただ警備米を切り刻み、貫き、切り捨てる。

「お、おい!何をして……」

汚染米が楽しそうに人を切り刻んでいると、惨殺された警備米が生前呼んだ警備米が数人、担架を持って駆けつけていた。
汚染米は楽しんでいるところを邪魔されたのが不快だったのか、眉を少し歪める。

「あいつ、普通の米じゃねえ!撃っちまえ」

「そう簡単に……」

「なりふり構ってられん、これ以上面倒ごとはごめんなんだよ」
64 : ◆bR/Hsa44HA :2012/03/20(火) 11:19:29.88 ID:BDXNYFgB0
瞬く間にもみがら弾が銃口から吐き出される。

「…」

汚染米はただ黙ってみていた。
『それだけ』で十分だった。
目の前に迫りくる弾丸は、汚染米を避けるかのように通り過ぎていく。

「あいつ…俺たちが当てねえことを判ってたのかよ!?」

「そんなの漫画でしかありえねェよ、アホか!」

「うるせェ!とにかく足に狙いをつけろ、今度は本気で当て……」

茶番はそこで終わった。
惨殺という、とても生臭いオチで。
65 : ◆bR/Hsa44HA :2012/03/26(月) 20:09:56.81 ID:sYuOUNb50
『昨夜未明、外を警備していた米数人が惨殺体で発見され……』

マスコメに対して行っていた報道規制とやらも、そう長くは持たなかった。
テレビでは軍関係者が漏らしただろうとされる情報を口早に訴えている。

「とうとう、マスコメに広まってしまったか」

「まあいいさ、どちらにしろ隠すつもりなんてなかったんだ」

玄米は静かに紫煙を吐いた。

「…相変わらず、だな」

「ふっ…」


『―…となっており、現状はとても芳しくない状況となっております、専門家の…』


専門家らしき人が、不服そうに軍への不満をまくし立てている。
やれこの事実を隠蔽していた責任だの、軍は腑抜けばかりだなど。
軍人の玄米とジャバニカ米からすれば、あまり面白くない内容の番組だった。

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/03/26(月) 22:27:26.34 ID:V5HnjMT50
しょうもないのに真剣でワロタw
67 : ◆bR/Hsa44HA :2012/03/30(金) 11:48:34.66 ID:Rlvy1NAl0
『要塞』の奥深く…。

ここには、非常時の際に、足しにはなるだろうと連れてこられた犯罪米たちが収容されている刑務所がある。
たいていの米はここに近づかない、近づくと不幸になりそうな、そんな雰囲気が漂っていた。

ここの犯罪米の唯一の娯楽はテレビを見ることだった。
だから犯罪米たちは警備米たちが惨殺されたのも、世間と同じぐらいに知っていて、世間と同様に不安、不満などを感じていた。

「アイツら、俺らをここに閉じ込めておいて、うまい汁をすってやがるんだ」

「ここで俺らがコキつかわれてる間に、あっけなくやられっちまうかもしれないだ」

刑務所内は、その話で持ちきりだった。

「…お前ら、ちょっといいか」

「…アンタ、見ない顔だな」

「最近入ってきたばかりなんだ…まあ、ひとつよろしくナ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/03(火) 03:12:39.48 ID:0/yR/L9Uo
某なめこチックな米で再生中
69 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/05(木) 18:21:20.72 ID:VyxRDI+m0
「お前、…名前は?」

「無洗米、そう呼んでくれ」

無洗米と名乗る男は軽く会釈すると、それで、と続けた。

「お前らも見てわかるとおり、今の政府の状態は芳しくねえ、そこでだ」

「…」

「俺たちで、政府を乗っ取ろうじゃねえか」

「…は?」

「お前、正気だか?」

「ああ、いたって正気だと思うがね」

「なんで政府を乗っ取るなんてことをするんだ?」

当然の疑問だろうとばかりに言った犯罪米に、無洗米は落胆のため息をついた。

「俺たちで、ココのやつらを守ってやんのサ」

「ここの刑務所は、あってないようなものだ。刑期を過ぎても釈放されるかわからない」

「だったら、自分たちから罪を償おうとするのは、自然だと思うがねェ」

罪を償う。
その考えさえ頭から抜けていた犯罪米達は、ハッと顔をあげた。

「なるほどな…わからない気もしないだ」

「どうせ死ぬなら、最後にいいことして死にたい」

「だろう、そこでお前らにはやってほしいことがある」

「できるだけ多くの米たちを説得し、ここに集めてきてもらいたい」

「無理にとは言わない、できるだけ多く。それでいい」

犯罪米達は顔を見合わせると、コクリとうなずいて、足早に去っていった。

「…」

何かとてつもないことが、始まろうとしていた。
70 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/05(木) 19:00:34.02 ID:VyxRDI+m0
―害虫ハウス

相変わらずジメジメとした虫にはちょうどいい湿度の地下室。


「どうして……どうしてなんでしょう」

「こんなに…好きなのに」

「何で振り向いてくれないんでしょう…」


「妹害虫……」

「ハッ…お兄様」

「お前…ッ、そんなに俺を…」

「ァ…ッ、いけません…」

「…」

――――


「おい、起きろ」

「あっ、やんッ……あれ……夢」

「メシ取りに行くぞ」

「あら、たしかそこの部屋に貯めておいたのですが」

「もうねェよ」

「あら、さすがお兄様……抱いて…」

「うっさいなあ…、早く行くぞ」

「はい」
71 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/05(木) 19:09:01.54 ID:VyxRDI+m0
害虫たちは羽根を広げ、雨天の空を飛んでゆく。
雨音がシトシトと心地よい。

「今日もあそこに行くぞ」

「えっ……アソコ…っ」

「…」

―――『要塞』前

「来たぞ…、予定どおりだ」

「一矢報いてやるぜ…」ギュッ

『要塞』の前に立っているのは、軍服姿の兵士米だ。
立て続けの襲撃に、警備米では対応できないと判断した政府が、兵士米を派遣したのだ。
軍の装備をフル活用して、害虫たちの動向をつかんだ軍は、奇襲を仕掛けることが可能となった。
それに、警備米では扱うことのできない、"新兵器"の使用も可能となる。
兵士米の一人の手に握られているのが、正にそれだった。

「あと数十メートル…もう少し引き寄せろ」

「了解」

雨脚が少し強くなっていた。
72 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/05(木) 20:20:51.62 ID:VyxRDI+m0
「このあたりだ、降りるぞ」

「そうですわね」

まさか、これで土を踏むのが最後などと、思うまい。
兵士米はそれを確信した。

「押せ、起爆しろ」

「了解、起爆開始」

大地を揺るがす落雷のような轟音が轟く。
土が巻き上げられ、雨のように降ってくる。

「効果を確認した、害虫一匹の死亡を確認、撤収だ」

「了解、撤収作業に入る」

程なくして、兵士米たちは帰還した。
放射能で変異した害虫をいとも簡単に葬り去ったというのに、歓喜すらしない。
プロ中のプロの兵士米達だった。
73 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/05(木) 20:28:05.67 ID:VyxRDI+m0
―――

「い、一体…何が起きたんですの…お兄様、一体何が…」

走る痛みを堪えながら身を起こす妹害虫。
兄害虫が妹害虫を突き飛ばしていなければ、爆発に巻き込まれていただろう。
だが、兄害虫の姿は無かった。

「え…、お兄……様……?どこに…ひっ」

兄害虫の吹き飛ばされた頭部だった。
それ以外の"兄害虫"と呼べるものはすべて爆弾が吹き飛ばしたのだろうか。
もう兄と呼べるものは、それしかなくなっていた。

「い、い、嫌ァアァァァァァァァアアァッ!お兄様アアァアァアアアアアアアアアァ!」

74 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/05(木) 20:46:56.45 ID:VyxRDI+m0

報告遅れましたが、無事第一志望の学校に受かりました。
結構前の話ですけど。



「米軍(まいぐん)特殊部隊ライスフォースが帰還したようです」

「そうか、ココに通してくれ」

しばらくして、ライスフォースの面々がコントロールルームに集う。
先程害虫を排除した、ライスフォースという部隊は、米軍の中でもトップクラスの実力を誇る。
人数は少数精鋭ということもあり、7人で構成されている。
それぞれが様々な分野に長けており、何事もオールマイティにこなすことができる、柔軟性の高い部隊だ。

ライスフォースの隊長が敬礼をした。
それに対し、玄米、ジャバニカ米も敬礼で返す。

「報告です、奇襲攻撃は成功。目標一匹を排除しました」

「ご苦労様だったな、さすがインディカ米殿が薦めてくるだけのことは…」

「いえ、仕事です」

「ともかくありがとう、ゆっくり休んでくれ」

「ありがとうございます」

再度敬礼をすると、ライスフォースのメンバーも一斉に敬礼し、退室する。
静かになったコントロールルームで、ジャバニカ米がそういえば、と言う。

「確か、玄米はライスフォースに所属してたんだっけな」

「前の話だよ、あの部隊はあまり合わないから抜けたんだ」

「給料いいのになァ、わざわざ一般兵の道選ぶなんて」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/07(土) 02:28:28.81 ID:Sls7QWsXo
おー、合格おめでとう!
76 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/11(水) 21:48:19.55 ID:MO2o70IM0
>>75
あざっす!これからが大変でしょうけどね…



『要塞』出入り口付近では、警備米に変わって、一般的な兵士米が警備任務についている。
警備米とはまるで気の入り方が違っていた。
ガッシリと構えながらも、どこか余裕のある、そんなスタンスを取っている。

「…おい、あいつは報告にあったあの米じゃないか?」

「あの虐殺米か、応援を呼ぶか?」

「そうしてくれ、狙撃手も頼む」

まだ、あの汚染米はこちらに気づいていないのか、田んぼをふらふらとうろついている。
兵士米達はできるだけ息を潜めて、応援を待つ。
敵を発見したからといって、無造作に発砲して混乱を招くことはしない。
できるだけの対策をし、初めて先手をうつのだ。

『こちらスナイパーチーム"米ク(まいく)"配置についた』

はるか後方で、狙撃手が配置についたようだ。

「目標は視認できるか」

『このスコープの中にばっちりおさまってるぜ』

「わかった、指示を待ってくれ…」

スナイパーチーム"米ク"だけにいえることではないが、彼らの装備は戦地に赴く兵士米とは違い軽量だ。
そして、所持しているライフルは"MGR-142"普段は害虫を仕留めるのに用いる、大口径のライフルである。
MGRとはもみがら<MomiGaRa>の文字を取ったもので、もみがら弾が使用されていることを意味する。
兵士米たちが一般的に持つ突撃銃は"MGR-47S"と呼ばれている。
警備米には、その低威力版とされる"MGR-47M"が支給されており、47シリーズは人間の世界で例えればカラシニコフのような人気を誇っていた。

「撃て」

兵士米が短くそう命じた。
後方からの銃声。一気に速度を上げ、空気を切る音が頭上を通り過ぎる。
そして命中する。標的の頭を的確に捉え、吹き飛ばす。大口径の威力をただ物語っている。
ピクリとも動かない汚染米は、もう死んでいる。
彼ら、米軍の兵士米たちは、初めて汚染米を殺した。
77 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/25(水) 21:52:12.30 ID:OonptW6B0
すみません。 勉強がとても忙しく、執筆があまりできる状況ではなくなってきました・・・
GW中に書ければ書きます
78 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/28(土) 18:06:26.86 ID:7XA1biX80
烈火の如く照りつける太陽。鋭く吹いてくる向かい風が、とても涼しい。
周りにはコメから見たらとてつもなくでかいダンボール箱が二つほど並べられており、車が揺らされるたび飛んだり跳ねたりしていた。
車はますますスピードを上げてゆく。目指すところはただ一つ。
コメはふと外に目をやり、目的地についたことを確認する。
『福島第一原子力発電所』 白塗りのオードソックスな壁にはそう書かれていた・・・。




「・・・はっ!」

夜中の三時過ぎ。白米は簡易ベットから跳ね起きた。
最近この夢をよく見る、予知夢というやつなのだろうか。
白米は少し考えると、小さくかぶりをふった。
顔でも洗ってもう一度寝よう・・・。
体を無理やりに起こすと、白米は洗面台に向かった。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/28(土) 21:14:22.04 ID:OwRXOV7Wo
オードソックスワロタ
80 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/28(土) 21:41:30.94 ID:7XA1biX80
恥ずかしすぎ萎えた


白米はむくりと起き上がった。
時刻は早朝5時。結局あまり眠れない夜だった。

「・・・んにゃ」

隣には布団をはねのけ自由気ままに寝ている女米の姿。
白米は薄いタオルケットをかけてやり、気分転換にと外へ出てみた。

こう洞窟のような場所に暮らしていると、朝も夜も分からなくなってくる。
頼りになるのは、自分の体内時計とあの親からもらった古い時計だけだ。

「早いな」

聞き覚えのある低い壮年の男の声。

「玄米じゃないか、こんなところにいて大丈夫なのか?」

「息抜きにと、思ってな」

それからしばらく無言の状態が続いた。
ただぼんやりと、薄暗い洞窟のようなこの『要塞』の弱々しい照明を眺める。

「・・・」

玄米は、じゃあな、といって身を翻した。
その時だった。
大地を揺るがす轟音が響いたかと思えば、上下に大きく大地が揺れる。
余震だ。

「結構でかいぞ・・・大丈夫か」

揺れはしばらく止まることはなく、あちこちから土埃が降ってきている。
白米は手すりから少し下がり、部屋のドアを開けた。
だんだんと地震が遠くへすぎるように弱まってゆき、そして完全に止まる。
白米と玄米は、安堵のため息をはいた。
81 : ◆bR/Hsa44HA :2012/04/29(日) 13:41:38.75 ID:bwGdqBYx0
その瞬間だった。
遥か上の天井から下に一直線に土砂が轟音を立てて落ちていった。
今まで天井を支えていた柱が今回の地震で損傷を受けたらしく、天井が崩落したのだ。

「ま、マズい・・・ッ!丸見えだ!」

「白米!お前の"ガールフレンド"を連れてどこか安全なところへ逃げろ!」

「げ、げんま・・・!」

声をかける暇もなく、玄米はどこかへ走り去っていった。
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/29(日) 22:13:25.80 ID:wZ++pj2IO
なにこれ面白い
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