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【ドラクエ】竜王「世界の半分をお前にやろう - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 21:43:13.85 ID:N6eBKXrx0
初めてなので至らないこともあるかと思いますが、よろしくお願いします。
ゆっくりですが更新してきます。

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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 21:43:52.91 ID:N6eBKXrx0
勇者「今お前なんと言った?」

竜王「組まないかと言ったのだ。」

勇者「和平を結びたいということか?」

竜王「それは違う。わしと二人で地上を支配しようということだ。」

勇者「何故今になってそんなことを・・・」

竜王「そなたはわしの数多くの配下モンスターを倒し、たった一人でここまでたどり着く猛者だ。わしと同等か、もしくはわし以上のチカラを持っているに違いない。そのような相手と正面からぶつかるリスクは計り知れない・」

勇者「つまり命乞いか?」

竜王「まあ、どうとってもらっても構わん。しかし人間界の支配が容易でないのは大魔王ゾーマが倒されたことを見ても明らかだ。わしは同じてつは踏まない。」

勇者「大魔王ゾーマ・・・勇者ロトの伝説か・・・」

竜王「時にそなた、ギアガの大穴というものを知っているか?」

勇者「ギアガの大穴?」
3 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 21:44:41.64 ID:N6eBKXrx0
竜王「そうだ。ギアガの大穴とはこのアレフガルドと上の世界をつなぐゲートのことだ。」

勇者「上の世界?なんの話だ?」

竜王「フハハ・・・何も知らないのだな。いいだろう、教えてやる。このアレフガルドの真上にもう一つの世界があり、お前たちと同じような人間達が暮らしているのだ。そして勇者ロトはそちら側で生まれた人間。アレフガルドにゾーマが現れた際に、上の世界はその配下であるバラモスという魔王に支配された。勇者ロトはこれを打ち破り、ギアガの大穴を通りこちらの世界に来たのだ。」

勇者「・・・なんだその話は・・・信じられん・・・そもそも天井には青空が広がっているじゃないか!この上に大地があるなんて嘘だ!」

竜王「フフフ・・・まあ最もらしい意見だ。だがそれはルビスが見せているものだ。太陽、月、風、潮の満ち引きなども全てそうだ。勇者ロトは空から降ってきたなどと言われているだろう?それはギアガの大穴からここへ降りて来たからだ。」

勇者「じゃあそのギアガの大穴ってのはどこにあるんだ!?」

竜王「今はレイアムランドの聖双生児の封印によって塞がれている。まあどのみちこちらから確認することは出来ないがな。」

勇者「・・・やはりそんな根も葉もない話は信じられんな。その話が手を組むのと何か関係しているのか?」

竜王「気づかないか?【世界の半分】とは何を指すのか。」

勇者「まさか・・・上の世界を・・・?」
4 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 21:45:20.87 ID:N6eBKXrx0
竜王「そうだ!上の世界をそなたにくれてやるっ!フハハ、待ちわびたぞロトの末裔よ。」

勇者「!?」

部屋の床に巨大な魔方陣が現れた!

竜王「苦労したぞ、古代に滅んだ魔法を復活させるのは!その名も瞬間移動魔法リリルーラ!それに少々手を加えたものだ!」

勇者「な、なんだ!?何が始まるんだ!?」

竜王「フハハ!言っただろう!同じてつは踏まないと!大魔王ゾーマは勇者を返り討ちにしようとしたから敗れたのだ。では、手の届かない所に閉じ込めてしまえばどうなるだろう?勇者と言えど所詮は人間。老いには勝てまい。魔族の寿命はわしクラスになれば千年ほど・・・さすがのそなたも百年後には老いさらばえてこの世にはいまい!!」

勇者「くっ・・・おのれえええ!!」

勇者は魔王に切りかかった!

竜王「フフフ、せいぜい魔王の居ない平和な暮らしを謳歌するがいい!さらばだ・・・勇者よ。」

フッ

勇者はどこかえ消え去った。
5 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 22:20:21.96 ID:N6eBKXrx0
C


【ダーマ】

勇者「なっ!?どこだここは!?」

ドンッ

勇者の身体に後ろから何かがあたった。

勇者「へっ?」

賢者「いたた・・・ちょっとアンタなにいきなり現れてンのよ!」

勇者「す、すまん・・・あの、ここはどこですか?」

賢者「はあ?どこって、ダーマ神殿に決まってるでしょ?」

勇者「ダーマ神殿?」(初めて聞いたぞ・・・)

賢者「・・・」(なにコイツ・・・いきなり現れて、ここはどこって。しかもコイツ、この屋内に突然現れた。ルーラは空を飛んで移動する呪文だから無理。瞬間移動の呪文なんて聞いたことないわよ・・・)

勇者「その・・・ラダトームにはどう帰ればいいですか?」

賢者「・・・ねえ、ちょっとお茶でもしない?」(ラダトーム・・・聞いたことない地名だわ。やっぱりこの人何か変。)
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 22:25:35.44 ID:1kuFNpEIO
期待
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/01/29(日) 22:27:10.34 ID:4m566RL5o
期待
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/29(日) 23:05:55.99 ID:lRkArsin0
期待
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/29(日) 23:12:18.28 ID:8nao9pII0
ドラクエ久々期待
10 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 23:39:51.59 ID:N6eBKXrx0

勇者は今までの経緯を説明した。

勇者「と、いうわけです。」

賢者「ズズ・・・ふーん、最初から最後まで嘘みたいな話ね。でもバラモスやゾーマの話、ギアガの大穴の話は本当よ。確かにギアガの大穴が塞がれてしまった今は確かめようがないわね。」

勇者「何かアレフガルドへ戻る方法はないものですかね・・・」

賢者「わかったわ。あたしが協力してあげる!」

勇者「ほ、ホントですか!?」

賢者「いいわ。もしあなたの話が本当だったらいずれこちらの世界へ侵攻してくるでしょうし。ただし条件があるわ。その堅っ苦しい喋り方はやめて。イライラしてくるわ・・・」

勇者「・・・わかった!協力してくれてありがとな!助かったよ!」

賢者「・・・」(うーん。なんでだろう、これはこれでイライラする・・・)

11 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 23:41:33.58 ID:N6eBKXrx0
賢者「じゃあこの世界とあたしのことを少し教えてあげるわ。」

勇者「ああ、助かる。」

賢者「まず、あたしの名前は賢者。年齢は19歳よ。あなたは?」

勇者「賢者さんね、俺は勇者。17だ。」

賢者「さん付けはやめて。」

勇者「わかったよ、賢者。」

賢者「やっぱり歳下なのね・・・」(さん付けやめてって言ったらいきなり呼び捨て・・・もっとあるでしょ、様とか・・)

賢者「じゃあこの世界のことを教えるわ。まず、ここはダーマ神殿。アレフガルドには職業のシステムはある?」

勇者「商人とか、農夫とか漁師のことか?」

賢者「まあ、それは普通の職業のことね。それとは別に【武力的職業】というものがあるの。」

勇者「武力的職業?」

賢者「【戦士】や【戦士】、【魔法使い】などの魔物を相手にする職業のことよ。この世界では魔王が倒された今も魔物が人間の生活を阻害している場合があるの。それを駆除する仕事ね。言わば、ハンターみたいなものよ。その仕事に就く人が集まる場所がここ、ダーマよ。」

勇者「へー、こっちの世界にはすごいシステムがあるんだな。」
12 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/29(日) 23:45:49.35 ID:N6eBKXrx0
勇者「それでいくと賢者は何に就いているんだ?」

賢者「あたしは【賢者】。回復魔法と攻撃魔法の両方が使える呪文のエキスパートよ。」

勇者「それだったら俺も両方使えるぞ!」

賢者「へえ。どんな呪文が使えるの?」

勇者「攻撃呪文はメラとバギとベギラマ、回復呪文はキアリーとベホイミが使えるぞ!」

賢者「そ、それだけ?」

勇者「え?これでも下の世界ではかなりの使い手だったぞ?」

賢者「平和ボケにも程があるわね・・・」

勇者「?」

賢者「使われない呪文っていうのはどんどん淘汰されていくものなの。そちらの世界の魔物はそんなに脅威でないのかしら。」

勇者「アレフガルドにはそんなに強力な魔物は棲んでないんだ。大魔王ゾーマが支配していた時はその魔翌力で魔物たちを進化させていたらしいけど、ゾーマが倒されるともとに戻ったって話らしい。」

賢者「へえ。平和なところなのね・・・」
13 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 00:29:32.34 ID:uKG86ZrN0
賢者「そうだ、あなたも何か職に就いてみたら?あの真ん中にいる大神官様に言えば職に就くことが出来るわよ。」

勇者「ホントか!?わかった!行ってくる!」タタタタタ

5分後

賢者「あら?ずいぶん早いじゃない。」

勇者「なんかわからないけど、就職できなかったぞ?」

賢者「え?」

勇者「なんか、精霊に加護を受けているから出来ないとかなんとか・・・」

賢者「えっ!?」(それって、勇者の器ってこと?信じられない・・・こんなイモ臭いのが・・・)

勇者「俺ってなんか人と違うのかな?」

賢者「そ、そのままでも充分強いからじゃないかしら!あはは・・・」

勇者「そうか?なんか照れるな・・・」
14 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 00:30:23.01 ID:uKG86ZrN0
勇者「しかし、協力してくれるのは有難いんだがこれからどうするんだ?」

賢者「あたしの仕事に同行して情報を集めるってのはどう?」

勇者「やっぱり地道にいくしかないよな・・・わかった。そうしよう!」

賢者「決まりね!じゃあ掲示板から仕事をとってくるわ。」

勇者「掲示板?」

賢者「ああ、言い忘れてたわね。ここダーマには世界からハンターが集まってくるから仕事の依頼もここで行われるのよ。」

勇者「なるほど・・・」

賢者「じゃあ行ってくるわね。」スタスタ

10分後

賢者「おまたせ!」

勇者「おう。どんな仕事なんだ?」

賢者「最初だから簡単な仕事にしたわ。この神殿から一番近い街での仕事よ。これ、読んで。」

勇者「街近郊にある胡椒の農園にマージマタンゴが住み着いて困っています・・・?」

賢者「そ、これからその悪さしている魔物を退治しに行くのよ。このくらいの仕事なら数時間で終わるでしょうから、すぐ向かうわよ。」

勇者「お、おう。」(マージマタンゴ・・・聞いたことない魔物だな・・・)
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/30(月) 11:15:20.57 ID:NeH5IlVIO
続き楽しみに待ってます!
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 12:42:39.67 ID:hlvmAroAO
たしかどっかの考察で1のギラ系=デイン系っていう推察があったな
根拠は攻略本の説明文らしいが
同じサイトで1の勇者がロトシリーズでは最強という説も出てた

何にせよ期待
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/30(月) 14:14:41.21 ID:1OkSi1HAO
まぁ公式で竜王>ゾーマな時点で、単独撃破するDQ1は強いわな
18 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 18:46:10.45 ID:uKG86ZrN0
見ていてくださるかた、誠に感謝します!
見返すと誤字や脱字が気になりますが、どうかご容赦ください。
記述の意味がわからないなどの質問もできる限りお答えしますのであれば言ってください。
19 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 18:47:06.25 ID:uKG86ZrN0
【バハラタ】

勇者「最寄りの街とはいえ結構遠いんだな。ルーラが使えなかったら大変だよな。」

賢者「ええ。ダーマ神殿自体が結構山岳地帯にあるから仕方ないわね。今の時代、ダーマに来る人は【戦士】や【武闘家】でもルーラくらいは使えるわよ。」

勇者「へえ・・・」

賢者「着いたわ!ここがバハラタよ。」

勇者「おお!デッカイな!」

賢者「ええ、ここは通商で栄えた街なの。黒胡椒が名産品で、今のように貿易が盛んでなかった頃は『胡椒一粒は黄金一粒』だなんて言い出す異国の王様までいたくらい貴重なものだったの。」

勇者「胡椒?なんだそれ?」

賢者「やはりアレフガルドに胡椒の木はないのね・・・スパイスの一種よ。」

勇者「スパイスって唐辛子みたいな香辛料ってことだろ?」

賢者「そうよ。」

勇者「ひゃあー!そんなもんが黄金と等価値なんてすっげえな!」(ちょっとくすねりゃ小金持ちじゃねえか・・・)

賢者「・・・ねえ、今ちょっともらって行こうとか考えたでしょ?」

勇者「なななんだお前っ!【賢者】ってのは人の心が読めるのかっ?」

賢者「そんなチカラはないわ。心なんか読まなくたって顔に書いてあるもの。」

勇者「・・・」

賢者「それに残念だけど貿易が盛んになった今、黒胡椒の価値は下落して普通の香辛料程度の価値しかないわよ。」

勇者「そうなのか・・・」(ちっ。)

賢者「それにあなたは今そんなこと言ってる場合じゃないでしょ?ほらさっさと行くわよ。」(なーんか危機感が感じられないのよね・・・騙されてるのかしら?)

勇者「へーい。」
20 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 18:51:37.46 ID:uKG86ZrN0
【胡椒農園】

賢者「ここが依頼のあった胡椒農園ね・・・」

勇者「なあ、そのへんにたくさんいるキノコの小人みたいなのはなんなんだ?」

そこかしこでおびただしい数の不気味な青紫がうごめいている。

賢者「こいつらがマージマタンゴよ。これは確かにひどいわね。こんなにマージマタンゴが農園に住み着いてちゃ胡椒の収穫も出来ないわ・・・」

勇者「こいつらを倒せばいいのか?」

賢者「ええ。これから殲滅に移るけど、そうえいばあなた、装備は大丈夫なの?・・・ってあれ?」

賢者が他所見している隙に勇者は魔物に向かって走っていった!

勇者「しゃああああ!」

マージマタンゴ「グギッ!?」

賢者「あ・・・ハァ・・・なんなのよ、もう。」

勇者「はっ!おっと!」ズバッ!グシャッ!

マージマタンゴ「グググギ・・・」

賢者(へえ、剣術はなかなかのものね。折角だからお手並み拝見させてもらうわ。)

マージマタンゴ「グギィ!」

マージマタンゴはホイミを唱えた!マージマタンゴのキズが回復した!

勇者「なんだこいつ、呪文を使えるのかっ!?」

賢者(マージマタンゴは見た目とは裏腹に意外と賢さが高く、ヒャドやホイミなどの呪文も扱える種族。この数を一人で相手するのは少し大変ね。魔王の眼前まで辿り着く実力、見せてもらおうかしら?)

勇者「1.2.3.4.5.6.7.8体か・・・面倒だな、ベギラマで・・・うっ!?」(しまった。こんなところでベギラマを放ったら胡椒の木が燃えちまうっ!)

賢者(ふふふ。呪文を使うのを躊躇したわね。意外と周りも見えてるじゃない・・・)

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/01/30(月) 18:54:58.34 ID:0IEaJjYAO
4円
22 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 18:54:59.16 ID:uKG86ZrN0
マージマタンゴ「ギギィィッ!」

マージマタンゴ達は一斉にヒャドを唱えた!
無数の鋭い氷の刃が勇者に襲いかかる!

勇者「げげっ!!」

賢者(あ・・・あれはちょっとやばいかも。)

勇者はベギラマを唱えた!
勇者を中心とした小さな火柱が天上を衝き、氷の刃を融解させた!

賢者(ベギラマの範囲を収束させて頭上へ・・・器用なことするわね。でもあれじゃ自爆じゃないのかしら・・・)

勇者「あちちっ!危なかった!」

賢者(え?ダメージが少ない!?何故?)

勇者「じゃあ今度はこっちから行くぞォ!」

マージマタンゴ「ウググ・・・」
23 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 18:58:20.75 ID:uKG86ZrN0
勇者は鮮やかに、テンポよく魔物たちを倒していった。

勇者「おし!おわりっ!」

勇者は魔物のむれをやっつけた!

賢者「すごいじゃない。一人でやっつけちゃうなんて。」

勇者「おい、俺はお前の仕事に同行するんじゃなかったのか?なんで俺しか仕事してないんだ!?」

賢者「あはは・・・ごめんなさい。ちょっとあなたの実力を見てみたくてね!」

勇者「左様ですか・・・でどうだった?」

賢者「びっくりしたわ。さすが魔王の眼前まで辿り着くだけのことはあるわね。」

勇者「へへへ・・・照れるな・・・」

賢者「ところでさっき、ヒャドを大量に食らいそうになったじゃない?呪文のコントロールは器用にしていたけれど何故あそこで自らにベギラマを?」

勇者「あーあの時か・・・あの数の氷はさすがに避けきれない、と思ったから自分にベギラマを放ったんだ。そっちの方がダメージ少ないし安全だからな!」

賢者「!!」(ダメージ量を計算に入れてあの一瞬で最もダメージが少なくて済む方法を選択したって言うの?大した戦闘センスね・・・)

勇者「それにこの防具は普通とちょっと違ってな。魔法攻撃に強く出来てるんだ。」

賢者「なるほど・・・それでダメージがあまり無かったのね。」

勇者「ああ。この装備は勇者ロトが装備していたものなんだ。」

賢者「え?・・・う、うそでしょ?」

勇者「いいや、ほんとさ。」
24 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 19:00:59.66 ID:uKG86ZrN0
勇者「俺が勇者ロトの末裔だと言うことは話したよな?」

賢者「ええ・・・」

勇者「勇者ロトが装備していた【王者の剣】・【勇者の盾】・【光の鎧】をマイラの鍛冶屋に加工してもらったものなんだ。最強の硬度を誇る金属、オリハルコンでできた装備を、魔法軽減効果のあるブルーメタルでメッキした特注品だ。すげーだろ?」

賢者「・・・」(な、なによ。意外とちゃんとした【勇者】じゃないの・・・)

勇者「口、開いてるぞ?」

賢者「あ・・・うん、ごめんなさい。」

勇者「じゃあ、報酬もらって帰るか!」

賢者「ええ・・・そうね。」(やだ。どうしよ。スッゴイの仲間にしちゃった・・・)
25 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:12:57.88 ID:uKG86ZrN0
【ダーマ】

勇者「で、これからどうするんだ?」

賢者「うーん、とりあえずチュートリアルは終わったから本題に入りましょ。」

勇者「チュートリアル?」

賢者「あ、なんでもない。こっちの話。とりあえずそのギアガの大穴を封印したっていう聖双生児のところへ行ってみるのはどう?」

勇者「おお!そりゃいいな!もしかしたら封印解いてもらえるかもしれないしな。」

賢者「にしてもレイアムランドとはまた険しい場所にあるのね・・・」

勇者「険しい?」

賢者「ええ。氷の世界よ。しっかり準備していかないと死ぬわね。」

勇者「うげっ、寒いのか?」

賢者「寒いなんてもんじゃないわよ。夜は−40℃程度まで下がるらしいと聞いたことあるわ。未開の地で、人が一切住んでないらしいの。」

勇者「ひえええ・・・行きたくねえ・・・」

賢者「四の五の言ってても仕方ないでしょ?」

勇者「へーい。」
26 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:13:33.22 ID:uKG86ZrN0
賢者「あ、待って!でも仕事もしなきゃならないからレイアムランドの近くでいい仕事があるか探してくるわ。」

勇者「そういやそうだな。あくまでも同行だからな・・・わかった、待ってる。」

10分後

賢者「いいのがあったわ。これ見て。」

勇者「なになに・・・ノアニールの街周辺でバリイドドッグが大量発生!駆除求む・・・?」

賢者「ええ。この世界地図を見て。」

勇者「ふんふん。」

賢者「この地図で言うと、この左上のスミにあるこれがノアニールよ。」

勇者「ほー。」

賢者「それでそこからずっと下の白いのがレイアムランドよ。」

勇者「え?すげえ遠いじゃねーか!」

賢者「・・・アンタなかなかの世間知らずね。いい?この世界は大きな球体の表面にあるの。」

勇者「球体・・・」

賢者「見てて。」

賢者は世界地図を筒状に丸めて見せた。

賢者「こんな風に地図の北端と南端はつながっているの。」

勇者「おお!つまりノアニールから真北に行けばすぐってわけか!」

賢者「そ。今日はもう遅いからまた明日こちらを発ちましょ。」

勇者「へーい。」
27 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:14:11.31 ID:uKG86ZrN0
【カザーブ上空】

勇者「なあ、少し気になったんだけどさ、賢者ってこんな遠いところにもルーラで来れるだろ?それは旅とかしたことあるからなのか?」

賢者「なかなかいいところに気づくわね。ダーマには世界各地出身の神官がいるの。職に就くときにその神官にルーラで世界各地を観覧させてもらえるの。つまりノアニールも一度は行ったことがあるわけ。」

勇者「へー!よく考えてんなー。」

賢者「そうすれば、行ったことのない土地の仕事も引き受けられるでしょ?」

勇者「なるほど。でもレイアムランドには行けないのか?」

賢者「最初の観覧で連れて行ってくれるのは主要な村や街、お城だけだからレイアムランドには連れてってくれないわ。それに昨日言った通り、レイアムランドは人が住めるような環境じゃないし、人間も住んでないから仕事もないってわけ。まあレイアムランドなんかに行ったことある神官がいるかも疑問だけどね。」

勇者「わざわざ説明ありがとう。」

賢者「いいえ。さっ、ノアニールに着くわよ。」

勇者「へーい。」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2012/01/30(月) 21:14:46.46 ID:iA1Hw8KLo
序盤に賢者出すのは良いよな、呪文いっぱい使えるし
29 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:15:19.61 ID:uKG86ZrN0
【ノアニール】


勇者「なあ、たまにそのへんを歩いてる耳が長くてとんがった人はなんなんだ?」

賢者「ああ。説明してなかったわね・・・あれはエルフよ。人間とは別の種族。」

勇者「エルフって、あの森の奥で暮らしてるやつか!?」

賢者「ええ。ここは世界で唯一、エルフと人間が共存して暮らしてる街なの。」

勇者「でもエルフは人間を毛嫌いしてるって聞いたぞ?」

賢者「ここのエルフたちも昔はそうだったのよ。でも一人の人間とエルフの若者、そしてあの勇者ロトの助けでこの二種族共存の道を歩み始めたの。」

勇者「ロトがここに!?」

賢者「ええ、じゃあ少し昔話をしましょうか。」
30 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:29:26.42 ID:uKG86ZrN0
昔々、ノアニールがまだ村だったころ、若い人間の男と若いエルフの女が恋に落ちました。

二人は禁じられた恋とわかっていながらも、ひっそりと愛を育みました。

しかし、永遠に一緒になれない二人はついに駆け落ちして命を断ってしまいました。

しかも、エルフの秘宝である【夢見るルビー】を持ったまま。

これが悲劇の始まりでした。

このことをノアニール近郊にあるエルフの隠れ里に住むエルフの女王様が知ってしまい、激怒した女王様はノアニールの村に住む人間に永遠に眠り続ける呪いをかけました。

月日は経ち、そこに救世主である勇者ロトの一行が訪れたのです。

ロトは【夢見るルビー】を探し出し、エルフの女王様へとそれを返したのです。

すると女王様は村にかけた呪いを解き、少し人間を見直したのです。



賢者「と、まあこんなところね。」

勇者「・・・」

賢者「これ以降お互いの種族が徐々に歩み寄って、再びあのような悲劇がおこらぬようにと共存を始めたって話よ。」

勇者「う・・・うぅ・・・」

賢者「なに泣いてんのよ・・・行くわよ。」

勇者「あう。」
31 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:31:27.01 ID:uKG86ZrN0
【エルフの長老の屋敷】

エルフの長老「よくぞおいでくださいました!ささ、こちらへ。いまお茶をお持ちしますからお待ちくだされ。」

賢者「あ、いえ!お構いなく。それでバリイドドッグの大量発生とはどういった具合なのでしょうか?」

エルフの長老「それがですね、ここのところ夜になると東からバリイドドッグの大群が街に押し寄せて困っているのです・・・」

賢者「なるほど。では夜になるまでこの街で待機させていただきます。」

エルフの長老「あのぅ・・・つかぬことをお聞きしますが、まさかお一人でいらっしゃいますか?」

賢者「いえ、外に仲間を待たせてあります。」(グジュグジュで気持ち悪いので・・・)

エルフの長老「そうでしたか!いやあ、女性一人だけで魔物の大群に立ち向かうのは少々無理があると心配になってしまいましてな・・・」

賢者「あはは・・・その点はご心配なく。」(むっ。しっつれーな!女だからってナメられるのが一番癪に触るわ!)

エルフの長老「では、お願いいたします。もし駆除ができなくても咎めたりは致しませんのでどうかお命を大事になさってくださいね・・・」

賢者「はい!」(悪気はないんだろうから何も言わないけどいちいち癪に触ること言ってくれるわね!俄然燃えて来たわ。命を大事に?ガンガン行くわよ!)

32 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:53:21.09 ID:2FZmI4Dx0
【ノアニール、夜】

賢者(あいつには仕事は明日と言っておいたから、今夜起きることはないわね。さあどこからでも来なさい。)

ウオォォォォォォン!!!

賢者「来たわね!」

賢者は街の東へ走った!

賢者「!?」(何、この数・・・20いや30はいるわ!!)

バリイドドッグ「グルルルルルルルルル・・・」

数匹のバリイドドッグが襲いかかってきた!

賢者「やるしかないわね。」

賢者はニフラムを唱えた!
聖なる光がほとばしり、飛びかかった魔物を消し去った!

賢者「さあ、極楽に逝きたい子からかかって来なさい!」
33 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:55:50.42 ID:2FZmI4Dx0
*「誰ダ・・・我ガ同胞ヲ殺スノハ・・・」

賢者「誰っ!?」

ズズズズズズズズズズ!!

不気味な声と共に地面の下から巨大な魔物の白骨が現れた!

賢者「ス、スカルゴン!?なんでここにこんな強力な魔物が!?」

スカルゴン「キサマカ?我ガ分身ヲ亡キモノニスルノハ。」

賢者(はっ。そうだわ。ゾンビ系の魔物はその身体が異種再生する・・・一連の大量発生はコイツが引き起こしていたんだわ!)

スカルゴン「キサマモ我ガ地肉トナルガイイ!」

バリイドドッグたちがスカルゴンの身体に吸いよせられ、異形を象っていく!!

賢者「うえ・・・悪趣味ね。」
34 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 21:57:07.45 ID:2FZmI4Dx0
スカルゴン「ウヴォアアアアアア!!」

賢者はニフラムを唱えた!
しかし、あまり効果が見られない!

賢者(出力不足か・・・纏っている瘴気のせいで光が届かないわ・・・)

スカルゴンはのしかかるようにして襲いかかってきた!

賢者「ちっ。」

賢者はイオラを唱えた!
スカルゴンの目の前で大爆発が巻き起こる!
スカルゴンは汚い音を立てて木っ端微塵になった!

賢者「ふう・・・・・・・まだ終わりじゃないんでしょう?騙されないわよ。」

なんと、スカルゴンの肉片と骨片が再び再生してひとつになった!!

スカルゴン「ウヴヴヴヴ・・・ナゼワカッタ?」

賢者「ゾンビ系の魔物は力尽きると、その肉片まで溶けてなくなるもの。」(しかし、こう何度も再生されちゃあこっちのMPがもたないわね・・・)
35 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 22:35:39.48 ID:2FZmI4Dx0
賢者(ゾンビ系の魔物を倒す手段は二つ。一つは聖なる光で浄化すること。もう一つはその魔物の核を見つけて壊すこと。前者は試みたけどダメだった・・・あとは後者しか残ってないけど、さっきイオラの爆発で飛び散った時はそれらしいものは無かったような・・・)

スカルゴン「無駄ダ!オマエモ俺タチノ仲間二ナルシカナインダヨヴォォォォ!!」

賢者「くっ!」(素早さは無いくせに大きすぎて回避が間に合わない!)

賢者はトヘロスを唱えた!
賢者の周りに光の境界線が現れ、スカルゴンを跳ね除けたがすぐに消えてしまった!

スカルゴン「ヴヴ・・!コザカシイ真似ヲ・・・」

賢者「移動用の魔法じゃあやっぱりダメね・・・」(このままじゃ本当にMPが尽きてしまうわ・・・)

スカルゴン「モウネタギレカ?我ガデテクルマデモナカッタヨウダナ!」

賢者(確かにコイツが出てこなくても結構危うかったわね・・・ん?)

賢者は急にどこかへ走り出した!

スカルゴン「オイ・・・ドコヘイクンダ・・・」

賢者(やはり素早さはないわね。だとしても全く追って来ないのはおかしいわ。バリイドドッグに分解して追って来てもいいくらいなのに。何か理由が有りそうね・・・)
36 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/30(月) 22:36:32.00 ID:2FZmI4Dx0
スカルゴン「ナンダ?殺サレニモドッテキタノカ?」

賢者「いいえ。始末しに来たのよ!」

賢者はイオラを唱えた!
スカルゴンの身体が再び木っ端微塵に吹き飛んだ!

スカルゴン「バカノヒトツオボエカ・・・ナンドデモ再生シテヤロウ・・・」

賢者(再生中の今なら!!)

賢者は再生しているスカルゴンの懐に飛び込んでいった!

スカルゴン「ナ、ナニヲ・・・」

賢者はスカルゴンが出現した穴に向かってメラミを唱えた!
二つの火球が穴の中へと飛んでいく!

スカルゴン「グオオオオオオオオ!!!」

なんと、スカルゴンの身体が急に溶けて無くなってしまった!!

賢者「やっぱり・・・核は地中に残したままそれを根のように地上の身体とつないでいたのね。」(危なかったわ。もう少しでやられちゃうところね・・・堅実派のあたしとしたことが無茶しすぎたかしら。)
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 23:09:12.99 ID:sh6LBtuDO
C
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/31(火) 01:01:26.24 ID:CBDfiTOwo
スカルゴンに血とか肉片とかあるの……?
39 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 02:20:18.08 ID:TnmbxrZm0
>>38
バリイドドッグを吸収したため、あることになっています。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/31(火) 08:52:15.49 ID:b6IMlitE0
スカルゴンをコアにした一種のキメラか
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2012/01/31(火) 09:17:05.51 ID:uk/qOQZAO
ロト紋のバラモスゾンビか
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/31(火) 12:56:42.06 ID:SfL965VVo
現状、勇者が王女の愛に話し掛けたらどんな回答があるんだろう?
43 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:01:44.37 ID:bUkfijgo0
>>42
王女の愛なんて無かった・・・

ということでW
44 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:04:55.64 ID:bUkfijgo0
【翌朝】

勇者「おはよう。さ、今日の仕事はいつからだ?」

賢者「仕事ならもう終わったわ。」

勇者「へ?」

賢者「昨晩のうちに終わらせておいたの。」

勇者「・・・なんでそんな非効率的なことするかなー?強い魔物が出てきたらどうするんだよ!」

賢者「今までずっと一人だったもの。慣れてるわ。」

勇者「・・・」(なにやらプライドみたいなものを持っているな・・・一昨日俺が一人で仕事を片付けちまったのがいけなかったのかな・・・)

賢者「そんなことより、報酬も受け取ったしレイアムランドへむかいましょ。」

勇者「あ、おう。」

賢者「そうと決まれば買い物に行くわよ。防寒対策は万全にしていかなければ氷づけになってしまうわ。」
45 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:06:40.13 ID:bUkfijgo0
【海上】

勇者「にしてもお前よく船なんて持ってたな。」

賢者「これは借り物よ。」

勇者「借り物?」

賢者「そ。この仕事に就く時に協会から支給されるの。勤務地が海上ってこともあるしね。」

勇者「へー!便利だな。」

賢者「こんな小舟だけどレイアムランドまでの航海なら余裕で・・・は・・・もたないかも。」

勇者「えっ。」

賢者は前方の水面を指さした。
なにやら海中に大きな影が見える!

ザバアアアアア!

勇者「げげげっ!なんだこいつっ!?」

なんと、海中から大王イカが現れた!

勇者「デカいっ!!」

賢者「まずいわね。こんな小舟じゃひとたまりもないわ。」

大王イカはその触手で攻撃を仕掛けてきた!

賢者「!!」

賢者はメラミを唱えた!
大王イカの触手を一本焼き払った!

賢者「やはり好戦的なのね・・・」

勇者「俺が行く!賢者は船が壊されないように気を付けてくれ!」

賢者「え、行くって!?」

勇者は船の上から大王イカの頭上に飛び上がった!

賢者「ちょっと!?」(なんてヤツ・・・恐怖心とかないのかしら。)

勇者「くらえっ!!」

勇者は大王イカの頭部に剣を突き立てた!

大王イカ「アオオオオオ!!!」
46 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:07:56.56 ID:bUkfijgo0
勇者「ちっ、浅いか?」

大王イカは怒り狂って、残りの9本の触手を振り回してきた!

勇者「や、やべえ!」

賢者「言わんこっちゃない。水中に引きずり込まれたら終わりよ!今足場を作るから耐えて!」

賢者は海面に向け、ヒャダルコを唱えた!
周辺の海面が分厚い氷に覆われた!

勇者「うおっ!?」

勇者は隙を見て氷に飛び移った!

勇者「すっげ、やるじゃん!」

賢者「危なっかしくてみてられないわ。これも持ってきなさい。」

賢者はピオラを唱えた!
勇者の素早さが倍になった!

勇者「なんだこれっ!?身体が軽い!!」

勇者は大王イカに飛びかかって行った!!

賢者「調子に乗っちゃってまあ・・・」

勇者は大王イカの触手を鮮やかに躱していく!

勇者「今度はこっちから行くぞ!!」

勇者は触手を躱しながら一本ずつそれを切り落としていく!

大王イカ「オオオオオ・・・!!」
47 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:09:31.72 ID:bUkfijgo0
勇者「あと半分だ。どうだ?イカ野郎。降参か?」

窮した大王イカは狙いを変え、賢者の乗っている船に触手を伸ばした!

勇者「なにっ!?しまった!!」

ガンッ!!

大王イカ「!?」

賢者「そうくると思って、船にスカラを二重がけしておいたの。硬さは鋼鉄製ってところね。」

勇者「硬化の呪文か・・・よかった。よしっ!!」

勇者はこの隙に全てに触手をバラバラに切り裂いた!

大王イカ「オオオオオオオーン!!!」

勇者「まだやるかァ?」

ズズズ・・・

大王イカは涙目で逃げて行った。

勇者「ふう。危なかったな。でも足全部切っちまってちょっと可哀想なことしたな・・・」

賢者「大丈夫よ。また生えてくるから。」

大王イカをやっつけた!
48 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:10:53.15 ID:bUkfijgo0
勇者「それにしてもお前ってホントに呪文の扱いに長けてんだな。知らない呪文ばっかだ。」

賢者「これでもダーマじゃやり手だって少しは有名なのよ?」

勇者「そっかー。しかも俺、海上で戦ったこととか、なかったからきっと一人だったらやられちゃってたな。ありがとな。」

勇者はそう言ってにこっと笑った。

賢者「えっ、ええ。目の前で死なれても寝覚めが悪いし・・・」(かっ、かわいいとこあるじゃない・・・)

勇者「死ぬ、か・・・今頃、下の世界はどうなっているんだろう。こうしてる間にも竜王は人間を殺したりしているのかな・・・」

賢者「別にあなたが背負い込むことじゃないわ。あなただってロトの末裔ではあるけど、普通の人間なんだから。あなたに魔王を倒す義務があるわけじゃないのよ?」

勇者「それはそうなんだけどよ・・・」

賢者「たまたま先祖が英雄だっただけで人生決めつけられちゃたまったもんじゃないわ。」

勇者「確かにな。」

賢者「でも、行くんでしょ?」

勇者「ああ。」

賢者「急がなきゃね。」

勇者「うん・・・」
49 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:43:16.78 ID:bUkfijgo0
【レイアムランド】

勇者「ささささささみぃぃぃぃ!!!」

賢者「寒いわね。」

勇者「なんでそんな冷静なんだよ!」

賢者「防寒具はキチンとそろえて来たからなんとか耐えられるわ。」

勇者「こんな寒いなんてきいてねーぞ!下の世界にはこんな寒いところなかったぞ・・・」

賢者「言ったわよ。しっかり準備しておかないからそうなるのよ!仕方ないわね。」

賢者はフバーハを唱えた!
光の衣が優しく勇者を包みこんだ。

勇者「おっ?なんだ?急に暖かくなったぞ!なんだ、なにしたんだ?」

賢者「フバーハよ。炎や吹雪による身体的ダメージを半減させる呪文。」

勇者「なんだよ。そんなら最初から防寒具なんていらねーじゃねえか!」

賢者「馬鹿言わないで!この呪文は結構MP消費が激しいのよ。」

勇者「でもたったの二回使うだけだろ?」

賢者「ふん。そのうちわかるわよ。」
50 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:45:00.65 ID:bUkfijgo0
勇者「さぁぁぁぁぁぁぁぁみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

賢者「ハァ、やかましいわね。」

勇者「おい、さっきの衣みたいなやつ消えちまったぞ!」

賢者「だから言ったでしょ?そのうちわかるって。」

勇者「時間が経つと消えちまうのかよあれ・・・」

賢者「ほんの数分だけよ。術者から離れた魔法力がいつまでも持続するわけないじゃない。」

勇者「じゃあもっと近くにこいよ!」

グイッ

勇者は賢者の身体を自分の身体に引き寄せた。

賢者「ち、ちょっ、離れるってそういうことじゃなくて・・・」

勇者は賢者の身体に密着した。

勇者「これでいいんだろ?」

賢者(なにすんのよ。なにすんのよ。え?これって密着すれば暖かいでしょっ?って意味?)

勇者「あれ。さっきのやつ復活しないぞ?」

賢者(ハァ・・・こいつにそんなキザなこと言えるわけないわよね・・・どうしよ、心臓の音聞こえてないよね?)

勇者「お前って結構小さいんだな・・・」

賢者(なっ、なんなのよいきなり。熱い、顔が熱いよお・・・)

勇者「胸。」

賢者「!!?」

ばっちーん!

勇者「おぼふっ」
51 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:46:37.16 ID:bUkfijgo0
勇者「なんか寒さとかもうどうでもよくなってきた・・・」

賢者「よかったじゃない。」

勇者「ビンタくらって頬が切れたのは初めてだぞ・・・」

勇者はホイミを唱えた!
頬のキズが回復した!

賢者(ホイミ初登場の理由が『女にビンタ食らったから』なんて笑えないわね・・・)

勇者「なにニヤニヤしてんだよ!」

賢者「なんでもないわよ!」

勇者「あちっ!なんだこれっ!?」

賢者「寒いって言ったり、熱いって言ったり忙しいわね、もう。今度はなによ?」

勇者「あちっ!あちちちち!」

勇者は衣服の下から虹色に光りを放つ宝玉を取り出した!

賢者「な、なにこれ・・・光ってる。」

勇者「身につけていた虹の雫が何故・・・」

賢者「虹の雫?」
52 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 19:48:54.57 ID:bUkfijgo0
勇者「虹の雫は、魔の島へ渡るために使った聖なるアイテムだ。何故こいつが今ここでこんな反応を・・・」

首からさげた虹の雫が何かに引き寄せられるように宙に浮かんだ。

賢者「これって・・・」

勇者「どこかへ案内しようとしているのか・・・?」

二人は半信半疑ながらも、虹の雫が示す方角へと歩を進めた。

勇者「なんだありゃ・・・」

虹の雫の指す方角に、大きな古びたほこらが見えてきた。

賢者「ほこらね・・・しかも、あのほこらの周りだけ氷と雪がないわ。きっと内部はなんらかのチカラで暖かい状態なんだわ。もしかしたらあそこにその聖双生児が住んでいるのかも。」

勇者「よし、行ってみよう!」

*「ゴオオオオオオ!!」

賢者「!!」

勇者「なんだこの鳴き声は!?」

賢者「上よ!!」

見上げると、鮮やかな青の美しい龍がこちらを向いて咆哮している!

勇者「なんだ、こいつは!」

賢者「スノードラゴン・・・スカイドラゴンの亜種で、レイアムランド固有のモンスターよ!恐らく・・・この場所が暖かいから、それにつられて来る小動物を狙っていたのよ!」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/31(火) 21:16:41.92 ID:XCfxNL5Io
いいのみつけた
54 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 21:22:46.76 ID:bUkfijgo0
賢者「コイツは相当強いわ・・・あたし一人じゃあ多分無理ね。」

勇者「二人でやっつけるしかねえな!」

スノードラゴン「ギャオオオオオオ!!」

スノードラゴンはその長い胴体を鞭のようにしてなぎ払ってきた!!

勇者「うぐっ!」

賢者「きゃっ!」

二人は攻撃をモロに受けて吹き飛んだ!!

勇者「いてて・・・賢者!生きてるかっ?」(一撃が重すぎだろっ・・・)

賢者「うう・・・なんとかね・・・」

勇者「お前は回復していろ!俺が引きつける!」(時間をかせがねーと。)

賢者「恩にきるわ・・・」

勇者は回避行動に重きを置いて、スノードラゴンを翻弄した!

賢者はベホイミを唱えた!
賢者のキズが回復した!

賢者「終わったわ!」

勇者(よしっ!ノーダメージだ。)

焦れたスノードラゴンは勇者に向かって大きく口を開けた!

賢者「危ない!!」

スノードラゴンは口から氷の息を吐き出した!!

勇者「!!」

勇者は氷の息を至近距離で受けてしまった!!
55 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 21:24:44.65 ID:bUkfijgo0
賢者「ゆ、勇者!!」

勇者「くっ・・・なんとか平気だ。」(でも身体が凍り付いて動けねえ・・・)

賢者(さっき移動中にかけたフバーハが残っていたから何とか生き残れたわね・・・)

スノードラゴン「グオオオオオ!!」

スノードラゴンが勇者をかみ砕こうと食らいついてきた!

賢者「させないわ!」

賢者はメラミを唱えた!
火の玉がスノードラゴンの右目に命中した!

スノードラゴン「グギャアアアアア!!」

スノードラゴンはのたうち苦しんでいる!

賢者「やったわ!」

しかし、スノードラゴンは再びこちらを向いて血走った左眼で賢者を見た。

賢者「怒らせちゃったみたいね・・・」
56 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 21:27:15.13 ID:bUkfijgo0
賢者「でもこれでこちらに敵意が向いたようね。」

勇者「くっ、早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く!!」

勇者はギラで凍り付いた身体を溶かしている。

賢者「回避しながら立ち回るしかないわね・・・」

賢者はスクルト・ピオリムを唱えた!
賢者と勇者の素早さと防御があがった!

スノードラゴンはその胴体を滅茶苦茶に振り回してきた!

賢者「ううっ!?」(この軌道は避けきれないっ。)

賢者は鞭打を数発受け、再び吹っ飛んでしまった!

勇者「賢者!!」

賢者(まずい・・・スクルトを使ってもこのダメージ・・・意識が・・・・・・・・・・・)

勇者「よし、溶けたっ!・・・賢者!!」

勇者は急いで賢者の元にかけよった!

勇者はベホイミを唱えた!

勇者「おい!大丈夫か?返事しろ。なあ。おい・・・」

賢者から返事は返って来なかった。
57 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 21:33:58.96 ID:bUkfijgo0
勇者「俺のせいだ・・・俺が弱いから・・・」

虹の雫が勇者の感情に同期するように激しく光を放ち始めた。

勇者「くそっ、くそっ、くそっ!!!」

スノードラゴン「ギュオオオオ!」

悔しがる勇者に、スノードラゴンが追い打ちを掛けてきた!!

勇者「失せろぉぉぉぉぉぉ!!!」

勇者がスノードラゴンを睨みつけると、その身体から激しい稲妻がほとばしり、スノードラゴンを黒焦げにしてしまった!!

勇者「・・・・・・・あ・・・?」

勇者は何が起きたのかわかっていない。

賢者「す・・ごい、じゃな・・い・・・」

勇者「賢者!!お前・・・」

賢者「ふふ・・・死んだかと思った?」

勇者「・・・」

勇者はうなずいた。

賢者「ちょっと・・・気を失っていただけよ。心配ないわ。」

勇者「うぅ・・よかった・・・」

我慢していた涙が勇者の瞳から溢れ出た。

賢者「だから、泣かないで・・・?」

勇者「ううう・・・う・・」

賢者「ね?」

勇者「ひっく・・・ううぅぅ・・・」

賢者「泣くなって言ってんでしょうがァ!!メソメソ、グジュグジュ汚いわね!どきなさいよ、もう!」

バシッ!

勇者「あぅ。」
58 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 21:38:34.39 ID:bUkfijgo0
勇者「こいつ、俺が倒したのか・・・?」

勇者はスノードラゴンの黒焦げになった死骸を見つめて言った。

賢者「そうよ。あたしもちょうど見ていたもの。」

勇者「なんなんだ、あの雷は・・・」

賢者「あれはね、【勇者】の証とも言われるライデインという呪文よ。」

勇者「ライデイン・・・」

賢者「聖なるいかずちを浴びせる【勇者】だけに使える呪文なの。」

勇者「勇者の証・・・」

賢者「そのライデインに開眼したということは、本物の【勇者】だってことよ。」

勇者「人、一人も守れなくて【勇者】だなんておこがましいよ・・」

賢者「これから守っていけばいいじゃない!それにあたしだってまだこうして生きてるわよ。あなたがあの魔物を倒してくれなかったら全滅だったわ、ありがとう。」

勇者「そうか・・・これから竜王に挑むんだからこんな弱気じゃダメだよな!」

賢者「ええ。さあ、ほこらへ行ってみましょう?」

勇者「おう!」
59 : ◆JRR8WApOLM :2012/01/31(火) 21:40:02.09 ID:bUkfijgo0
【レイアムランドのほこら】

賢者「暖かい!なんかここ、不思議な雰囲気がするわね・・・」

勇者「神聖な感じだな。」

ほこらの中は大きなホール状になっており、天井の中心が大きく吹き抜けになっている。

勇者「誰もいないな・・・」

賢者「きゃっ!」

勇者「どうした!?」

賢者「この真ん中の台座にある楕円形のモノ、モニュメントかと思ったんだけど・・・」

勇者「違うのか?」

勇者はそれに触れてみた。

勇者「うっ!!暖かい。タマゴ・・・なのか?」

賢者「・・・」

賢者は辺りをよく見回した。

賢者(巨大なタマゴに小さな台座が6つ・・・これって!)
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 04:37:10.02 ID:D3hORwiIO
これは期待
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/01(水) 05:16:03.56 ID:U+oJ/unUo
6個入りの鶏卵かと
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/01(水) 10:02:06.81 ID:UajIjQ0l0
♪モスラ〜ヤ
 タマゴヲカエシテクダサイ
          インドンム〜♪
63 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:34:00.62 ID:ylf/hrol0
どこからともなく声が聞こえてきた。

*《わたしたちはたまごをまもっています。》

勇者・賢者「!?」

*《世界中にちらばるオーブを金の台座にささげたとき・・・。伝説の不死鳥ラーミアは蘇りましょう。》

勇者「どこだっ?」

賢者(ラーミア!?このタマゴはやはりラーミアのタマゴなのね!)

*<わたしはメル。>

*<わたしはミル。>

メル・ミル《わたしたちに実体はありません。そうです。このたまごはラーミアのたまご。》

賢者(心が読めるの!?)

ミル・メル《ええ。読めますとも。わたしたちは今あなたたちと心を重ねているのですから・・・。》

勇者「?」

賢者「あなたなちがレイアムランドの聖双生児なの?」

ミル・メル《そうです。あなたたちの考えていることはわかります。ギアガの大穴の封印を解いて欲しいのでしょう?ですがそれはまかりなりません。》

勇者「な、なんでだ!?」

ミル〈このとおりわたしたちは実体がございませんし、今はそんなチカラもないのです。今は精神のみでラーミアにお仕えする存在なのです。〉

賢者「あなたたちは何者なの?」

メル〈わたしたちは不思議なチカラを授かって産まれたエルフの双子。結界能力に長けたわたしたちエルフはその寿命の長さを生かして、ルビス様にラーミアのたまごの管理を仰せつかったのです。〉

勇者「エルフだって!?」

賢者(なるほど・・・エルフの隠れ里の位置も合点がいくわ・・・)

ミル・メル《客人などいつぶりでしょう。あなたは、まだわたしたちが若かったころに訪れた青年とよく似ています。》
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/02/01(水) 19:35:45.92 ID:hRiYH7jGo
いいのみつけたし(´・ω・`)

絵師様(笑)とか沸かないのを祈る乙
65 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:36:44.95 ID:ylf/hrol0
賢者(遠い昔に、ここを訪れた青年・・・まさかロトのこと?)

ミル・メル《勘がいいですね。そのとおりです。その青年はその子孫なのでしょう?》

賢者(ええ。)

勇者「おい、心の中で会話するのやめろよ!」

賢者「あとで要約してあげるから黙って。」

勇者「は、はい・・・」

ミル・メル《残念ながらあなたたちの求めていることにわたしたちはチカラになることは出来ないようです・・・。》

賢者(そう・・・残念だわ。ラーミアはいつ孵るの?)

メル<ラーミアは孵化する時を自ら決めます。その時には6つのオーブを世界に散り散りに飛ばし、それを集めここへ持ってきた者のみを主人と認めるのです。>

賢者(なるほど。ではまだその時ではないということね。)

ミル<そういうことです。お役に立てなくて申し訳ありません・・・。>

賢者(いえ。貴重な話をありがとう。それじゃあ私たちはこれで。)

ミル・メル《ええ。また会える時を楽しみにしています。》

賢者「さ、いくわよ!」

勇者「え?」
66 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:39:14.06 ID:ylf/hrol0
【ダーマ】

二人はルーラでダーマ神殿に戻ってきた。

賢者「と、今回の仕事で得た情報はこんなところね。」

勇者「・・・」

賢者「よくよく考えてみれば当然の話よね。そんな風に簡単に封印を解いてアレフガルドに戻れるのなら、竜王とやらもわざわざこっちの世界に送ったりしないわね。」

勇者「・・・どうすんだよ。」

賢者「暗礁に乗り上げたわね。ギアガの大穴以外でアレフガルドと通じていると言われている場所は聞いたことがないわ。」

勇者「もう戻れねえのかな・・・」

賢者「ま、まだそうと決まったわけじゃないわ。色んな地域に行って情報を集めてみましょ。」(案外落ち込みやすい性格なのね・・・)
67 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:45:51.48 ID:ylf/hrol0



勇者「・・・」

賢者「ウジウジしてても仕方ないわ!しらみつぶしに行くしかないわね!」

勇者「なあ・・・賢者は、なんで俺にここまでしてくれるんだ?」

賢者「あなたの話を信じているからに決まってるじゃない。確かに竜王とやらがあなたをこちらの世界に閉じ込めて、期が熟すを待っているならばこちらの世界はあと100年ほど安泰でしょう。でもその後はきっとこちらの世界に侵攻してくるに違いないわ。そうなればバラモスの時のように人がいっぱい死ぬの。そんなの見過ごせないわ。」

勇者「そうか・・・」

賢者「そうだ。ちょっと来なさい。」

勇者「えっ?」

賢者はルーラを唱えた!

勇者「どこにいくんだよ!?」

賢者「テドンというところよ。」
68 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:48:24.96 ID:ylf/hrol0
【テドン】

賢者「ついたわ。」

勇者「へえ、結構大きな街だな・・・」

賢者「ここはね、バラモスがこの世界に現れた時、真っ先にその攻撃を受けた場所なの。」

勇者「でも、これだけ大きい街なら戦士団もいるだろうし、持ちこたえたんだろ?」

賢者「ここは昔、村程度の規模しかなかったの。」

勇者「でも街として残ってるってことはなんとかなったんだろ?」

賢者「・・・いいえ。一度滅んだわ。」

勇者「ええっ!?」

賢者「この街は逃げのびた住民と多くの移民でここまで再興することが出来たの。長い年月をかけてね。」

勇者「そうなのか・・・そんなものが一瞬で水の泡になってしまうのは耐えられないな。」

勇者はとある砂漠の街を思い浮かべた。

賢者「実はここ、あたしの故郷なの。」

勇者「え?ここで産まれたってことか!?」

賢者「そうよ。昔の話だけど、また同じ悲劇は繰り返したくないし、繰り返させないわ。」
69 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:49:54.54 ID:ylf/hrol0
賢者「ねえ、せっかくだしウチに少し寄っていかない?」

勇者「お前んちに?」

賢者「ええ。ご飯でも食べて行きなさいよ。」

勇者「いいのか?」

賢者「お母さんと妹に久しぶりに顔見せていきたいし。」

勇者「妹がいるのか。親父さんは?」

賢者「あたしと同じ仕事をしているわ。」

勇者「じゃあダーマで会ったりするのか?」

賢者「たまにね。じゃあいくわよ。あたしおなか空いちゃったわ・・・」

勇者「ははは、じゃあお言葉に甘えさせてもらうとしよう。」
70 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:52:20.10 ID:ylf/hrol0
【賢者の家】

賢者「ただいまー。」

母「あら、帰ってくるなんて珍しいじゃない。何かあったの?」

賢者「ううん、近くまで来たから寄っただけよ。お父さんは?」

母「あの人はしばらく帰ってないわね。仕事で会わないの?」

賢者「たまに見かけるくらいよ。」

母「そう。元気そうならそれでいいわ・・・」

賢者の母親はどこか寂しそうな表情をした。

母「それで、後ろのかっこいい男の子は?ウフフ。もしかして恋人?」

賢者「ち!ちがうわよ!こいつとは今一緒に仕事してるだけよ・・・」

勇者「勇者といいます。賢者さんにいつもお世話になってます。」

母「あらあら、これはご丁寧に。こちらこそ、娘がお世話に・・・さっ、あがってお食事でも召し上がっていってください。」
71 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:54:24.92 ID:ylf/hrol0
【居間】

妹「あー!お姉ちゃんだー!」

賢者はトコトコ走ってきた小さな女の子を抱き上げた。

賢者「ただいま。いい子にしてた?」

妹「うん!だってねー、いい子にしてないとね、こわーい魔物が来て食べられちゃうもん!」

賢者「そうね、偉い偉い・・」

賢者は慈しみを持って少女の頭を撫でた。

勇者(家族か・・・)

妹「ねえねえ、お姉ちゃん、あの人だれー?」

賢者「んー?あのお兄ちゃんはね、つよーい勇者様なんだよー。」

妹「ほんとー!?すごいすごい!じゃあ、お姉ちゃんは勇者様のお嫁さんになるの?」

賢者「ど、どうかな・・・」(そうくるか・・・。)

勇者(あいつ、あんな顔できるのか・・・険がとれて心から笑ってる感じがする。)

妹「ねえねえ、勇者のお兄ちゃん!」

勇者「ん?」

妹「お姉ちゃんと結婚するなら、お姉ちゃんのこと怖い魔物から守ってあげてね?」

勇者「いいとも!約束するよ。」(もうあんな気持ちになるのはごめんだ・・・)
72 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 19:56:59.55 ID:ylf/hrol0

母「ご飯出来たわよー!」

妹「わーい。」

妹は食卓へ走っていった。

賢者「ね、ねえ。まさか真に受けてないでしょうね?」

勇者「わかってるよ。」

賢者「そ。ならいいけど。」(でも、ちょっと嬉しかったかも・・・)

勇者「可愛い妹だな。暖かい家庭って感じだ。」

賢者「それはどうも。」

勇者「なんで地元を離れてあんな仕事しているんだ?」

賢者「お父さんの影響もあるんだけど、ウチは貧乏でね・・・そうでもしないと暮らしていけなかったのよ。お父さんも同じ理由でウチに居ないの。」

勇者「なるほど。でもそんな貧乏には思えないけどな・・・」

賢者「あたしとお父さんが仕送りをしているから、今は安定した生活を出来ているけど少し前までは大変だったのよ。」

勇者「そっか・・・」

賢者「そういえばあなたの家族は?」

勇者「ああ、俺の家族は」

母「二人とも、イチャイチャするのはいいけどご飯が冷めちゃうわよー!!」

勇者「いいっ!?」

賢者「なっ・・・い、今行くわよ!!」
73 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/01(水) 20:01:13.10 ID:ylf/hrol0
【食卓】

妹「見て見て、お姉ちゃん!今日は豪華だよっ!」

食卓の上にはところ狭しとおいしそうな料理が並べられている。

賢者「ホントね!」

勇者「うおっ!うまそうだ!」

母「ウフフ・・・大したものはお出し出来ませんけど、どうか召し上がってくださいな。」

勇者「いいえ、そんな!喜んでいただきます!」

勇者は賢者の家族と団欒の時を過ごした。
アレフガルドの世界を旅して魔の島へ渡った勇者にとっては、家族で食事を囲むなどということは忘れかけていたことだった。






勇者「お世話になりました、ご飯ごちそうさまです。とってもおいしかったです!」

母「お粗末さま。またいつでもいらっしゃい。」

妹「えー、勇者のお兄ちゃんもう帰っちゃうのー?」

勇者「うん、悪者をやっつけに行かなきゃならないんだ。」

妹「そっかー、そっかー。勇者様のお仕事だもんね・・・また来てくれる?」

勇者「もちろん!」

妹「やったー!お姉ちゃんが結婚しなかったらあたしがお兄ちゃんと結婚しよっかな!」

勇者「ハハハ!楽しみだな!」

賢者「・・・」(絶対こんなやつに、嫁には行かせないわ・・・)

勇者(なんか後ろから殺気が・・・)

賢者「それじゃ二人とも、病気に気をつけてね。」

勇者「それではまた。」

妹「ばいばーい!」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/01(水) 21:04:14.93 ID:J5+NuP1IO
いいの見つけた( ´∀`)
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/02(木) 17:26:57.37 ID:ciXahZeIO
大穴以外のルートか
可能性あるとすると…
76 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/02(木) 19:29:34.97 ID:cXCKD5gS0
賢者「さて、情報収集しなきゃね。」

勇者「そういえば気になっていたんだが、こっちにジパングって国、あるか?」

賢者「あるわよ。どこでそれを?」

勇者「この装備を作ってくれたマイラの鍛冶屋の先祖にあたる人がそのジパングってところから来たらしいんだ。」

賢者「へえ。下の世界にこっちの人がねぇ・・・」

勇者「なにかの冗談かと思っていたけど、こっちの世界にあったのか・・・」

賢者「行ってみる?」

勇者「ルーラで行けるのか?」

賢者「ええ。行けるわよ。」

勇者「じゃあ行こう!」
77 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/02(木) 19:30:42.01 ID:cXCKD5gS0
【ジパング】

賢者「ここがジパングよ。」

勇者「へえ。なんかほかの場所とは雰囲気が違うな・・・」

賢者「太古から独自の文化をまもり続けてきた国よ。勇者ロトの伝説にも登場しているわ。」

勇者「へえ!どんな話だ?」

賢者「ここは昔、卑弥呼っていう不思議なチカラを使う女王が治めていたんだけど、その卑弥呼が八岐大蛇に殺されてしまったの。」

勇者「八岐大蛇?」

賢者「頭がいくつもある伝説のドラゴン属よ。」

勇者「ひゃー!化けもんだな・・・」

賢者「その八岐大蛇が卑弥呼に化けて、この国を牛耳っていたんだけど、そこにロトが現れて八岐大蛇を倒したそうよ。」

勇者「さすがだな。」

賢者「その頃から今までずっと女性が治めている唯一の国なの。」

勇者「そうなのか。」

賢者「会ってみる?」
78 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/02(木) 19:32:36.02 ID:cXCKD5gS0
【卑弥呼の屋敷】

勇者「うひゃー!デッカイ屋敷だな。」

門兵「お前ら、何者だ?」

賢者「女王様に会わせて欲しいの。別に怪しいものじゃないわ。」

勇者(おいおい。それじゃ余計に怪しいだろ・・・)

門兵「怪しいな・・・許可証は持っているのか?」

賢者「許可証?」

門兵「持ってないのだな?ならば通すことは出来ん。」

勇者「おい。どういうことだよ。」

賢者「あたしだって初めてだもの、わからないわよ!」

勇者「え、お前会ったことあって言ってたんじゃないのかよ!」

賢者「ちがうわよ!会うくらい普通できるでしょ!」

門兵「さあ、わかったら帰った帰った!」

*〈お通しなさい・・・〉

勇者「なんだこの声?」

門兵「ひ、卑弥呼さま!?」

*〈その者達をわたしのところまでお連れしてちょうだい。くれぐれも粗相のないよう。〉

賢者(ジパングの巫女は不思議なチカラを使うと聞くけど、これはそれなのかしら・・・)

門兵「ですがっ・・・」

卑弥呼〈いいから早くなさい。〉

門兵「はっ。」

勇者と賢者は顔を見合わせた。
79 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/02(木) 19:33:39.31 ID:cXCKD5gS0
【卑弥呼の間】

卑弥呼「よくいらっしゃいました。」

そこには綺麗な装飾に飾られた、巫女の格好をしている女性が座していた。

勇者「あなたがこの国の女王さまですか?」

卑弥呼「いかにも。卑弥呼と申します。」

賢者「何故わたしたちを中へ上げてくださったのですか?」

卑弥呼「それはあなたたちが精霊の加護を受けているからです。許可証などより余程信頼できますわ。」

賢者「精霊の加護?」

勇者「これのことか・・・?」

勇者は懐から虹の雫を取り出した。

卑弥呼「ええ。私が感じたチカラはそれのようです。」

勇者「これはルビス様の加護を受けているアイテムだからな。」

賢者「そういえば先ほど卑弥呼様と名乗られましたけど、卑弥呼様はとうの昔に亡くなられているんじゃ?」

卑弥呼「卑弥呼とは女王に就くものが継承する名であって、本名ではないのですよ。」

賢者「なるほど、そうだったのですね。」
80 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/02(木) 19:37:59.29 ID:cXCKD5gS0
勇者たちは卑弥呼に経緯を説明した。


卑弥呼「話はわかりました。ジパングの者がアレフガルドへ行った、という話は記録にはありません・・・」

賢者「そうですか・・・」

勇者「ここもダメか・・・」

卑弥呼「ただ、有力な情報ではありませんが気になる事象があります。」

賢者「?」

卑弥呼「この国の沖で数年に一度、大きな渦が現れるのです。その場所は周りに岩場などの海流を妨げるものがあるわけでもないのに突然大渦が出現するのです・・・昔から黄泉の国へ繋がっているとか、異次元に通じているとか言われていますが真意は定かではありません。」

勇者「大渦・・・」

卑弥呼「私の見立てでは海底にどこかにつながる洞穴があるのではないかと思うのです。」

賢者「海底洞窟・・・まさか!」

卑弥呼「あくまで可能性の話ですが、その先にはアレフガルドがあるのではないか・・・と私は考えているのです。」

勇者「おお!」

卑弥呼「しかし海底は人間が生きてたどり着ける場所ではありません・・・もしこの仮説が正しかったとしても渦にのまれ、アレフガルドへたどり着けた人はかなり幸運だったと言えるでしょう。」

勇者「じゃあ試しにのまれてみるか!」

賢者「ええっ?」

卑弥呼「先ほども言いましたが、渦は数年に一度しか現れません。毎日のように海へ出ている漁師たちでも見たことのない人の方が多いのです・・・それに仮に渦にのまれたとしても生きてそこへ辿り着く可能性はわずかかと・・・」

勇者「うーん・・・」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/02(木) 19:40:43.63 ID:ciXahZeIO
ジパングルートのほうにきた!
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/03(金) 11:31:30.78 ID:4DNFw2ISO
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/02/05(日) 01:53:27.53 ID:u3av79PU0
84 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:00:50.56 ID:vSwJw6nm0
【ダーマ】

勇者たちはがっくり肩を落とし、再びダーマに帰ってきた。

賢者「貴重な情報だったけど、役にたちそうではないわね・・・」

勇者「そうだな・・・次はどうする?」

賢者「うーん。ちょっと疲れちゃったわ・・・」

勇者「レイアムランドから帰ってきて、あまり休んでいなかったからな・・・」

賢者「今日はもうすぐ日も暮れるし、ゆっくり休みましょ?」

勇者「ああ。すまん、気付いてやれなくて・・・」

賢者「いいえ、仕方ないわ。あなただって必死なんだもの・・・それじゃまた明日ここで!」

勇者「あ、おう。」

賢者は宿の方に向かって歩いていった。
85 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:01:33.94 ID:vSwJw6nm0
勇者は目的もなくダーマの周辺を歩いていた。

勇者「はぁ・・・」(自分ばっかり焦っちゃって、協力してくれている賢者のことも気にかけられないなんて・・・かっこわる・・・)

次第に辺りは暗くなり初めていた。

勇者(暮れて来たな・・・ルーラで帰ればいいや。)

すると、あてもなく歩く勇者の前に古びてはいるが、立派な塔が姿を現した。

勇者「塔・・・か?」

興味を引かれるままに勇者はその中に入って行った。

勇者「広いけど、相当古いな・・・」

*「ピギッ!?」

勇者「メタルスライム!?」

勇者は爛々と目を輝かせた!

メタルスライム「ピィィィ!!」

メタルスライムはもの凄い早さで逃げ出した!

勇者「ちっ。逃げられたか。」(やっぱり魔物の住処になってるな・・・)
86 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:03:41.81 ID:vSwJw6nm0
勇者は気の向くままに塔のてっぺんまで昇っていった。
途中で何回か魔物に遭遇したが、それほど強い魔物は棲んでいないようで、勇者には襲いかかって来なかった。

勇者「お、もうてっぺんか。結局なにも無かったな。」

勇者は塔のてっぺんに座り込み、星を眺めしばらくゆっくりしていた。

勇者(勇者の証・・・か。)

勇者は空に手をかざし、ライデインを唱えた!

しかし、なにも起こらなかった!

勇者「ははは・・・やっぱりか・・・」(なんだってあんなチカラが俺に・・・)

それから勇者は何度も同じようにして試してみたが、何かが起きる気配はなかった。




勇者(どうすればいいんだろう。あの時は無我夢中だったし、どうやったのかも覚えてないな・・・でもあの時の気持ちは忘れてない。俺が弱かったからあいつは死にかけたんだ。あの時偶然にライデインが発動していなかったら俺だって死んでいたかもしれない。俺が強くならなくちゃ、あいつも世界も守れやしないんだ・・・俺が、俺がもっと強かったら!!)

勇者が念じると突然、虹の雫が光を放ちだした!

勇者「こ、これは!?あの時と同じ・・・」

勇者は空に手をかざし念じた!
すると塔の上空に、たちまち暗雲がたちこめた!

勇者(こいっ!!)

勇者はライデインを唱えた!
暗雲から一筋のいかずちが塔に落ちてきた!!
勇者は衝撃で後ろに吹き飛ばされた!

勇者「いてて・・・出来た。出来たぞ!」

*〈それでいいのです。勇者のチカラの源は何かを守りたいという心。〉

虹の雫がさらにまばゆい光を放っている!

勇者「だ、誰だ!?」

*〈その心を忘れなければ道は開けるでしょう。わたしはいつもあなたたちと共にあります・・・〉

虹の雫は光を失った。

勇者「な、なんだよ、今の・・・」
87 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:04:53.02 ID:vSwJw6nm0
【翌朝】

*「おい、聞いたかよ?昨日の晩ガルナの塔に雷が落ちたんだってよ。」

*「おー、聞いた聞いた。でも昨日って晴れてなかったか?」

*「そうだよな、おかしなこともあるもんだな。」

賢者「・・・」



勇者「お、悪い。待たせたな。」

賢者「ねえ、あなた昨日の夜なにしてたの?」

勇者「え?昨日はちょっと散歩に・・・」

賢者「ふうん。どこまで行ったの?」

勇者「あ、いやちょっとそこまで・・・」

賢者「塔で何か見つかった?」

勇者「いや特に何もなかっ・・・」(しまった。)

賢者「ハァ、やっぱりあなたね・・・しっかり身体を休めなきゃダメじゃない。」

勇者「あ、いや・・・すまん。」

賢者「まあいいわ。今日はまたちょっと付き合ってもらうわよ。」
88 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:06:26.96 ID:vSwJw6nm0
賢者「これを見て。」

勇者「なになに・・・ガルーダに盗られた指輪を取り返して欲しい・・・?」

賢者「どうやら、ナジミの塔がガルーダの巣になっているみたいで、しばしば街の光り物を盗っていってしまうらしいの。」

勇者「ガルーダってのはなんだ?」

賢者「大型の鳥系モンスターよ。」

勇者「へえ。でも盗られちゃったもんはしょうがねえんじゃないか?」

賢者「大概の人はそう諦めるんだけど、盗られたのが結婚指輪らしいの。」

勇者「あちゃー・・・」

賢者「それでどうしてもって、依頼を出したらしいわ。」

勇者「結婚指輪じゃしょうがないな・・・依頼主は女の人?」

賢者「いいえ。男って書いてあるわ。」

勇者「なるほど・・・早く見つけてあげよう!」(嫁さんに見つかってどやされるのが怖いんだな、きっと。)

賢者「妙に協力的じゃない。」

勇者「いや、別にそうでもないさ。」
89 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:07:14.76 ID:vSwJw6nm0
【アリアハン】

賢者「知ってる?この街はね、勇者ロトが産まれた街なのよ。」

勇者「ほ、ほんとか!?」

賢者「ええ。あそこに大きな酒場があるでしょ?」

勇者「おう。」

賢者「あれが有名な【ルイーダの酒場】。ロトはあそこで仲間を募ってバラモス討伐にむかったのよ。」

勇者「ほお!ちょっと寄ってこうぜ!」

賢者「ダメ。仕事が終わってからよ。情報収集といったら夜の酒場でしょ?」

勇者「へーい。」
90 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:08:02.90 ID:vSwJw6nm0
【ナジミの塔】

賢者「にしても、あの依頼主ものすごく必死だったわね・・・」

勇者「うん。仕方ないだろ・・」(絶対嫁さん怖いんだ・・・)

賢者「でも今回の依頼はガルーダ以外はあまり相手にする必要ないから意外と早くおわるかもね。」

勇者「なんでだ?」

賢者「アリアハン地方のモンスターは基本的にあまり厄介なものがいないの。小動物みたなものよ。中には人間と共存しているモンスターもいるわ。」

勇者「へえ。平和なとこなんだな。」

賢者「アレフガルドも負けてないわよ・・・」

勇者「へへへ・・・」
91 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:10:48.92 ID:vSwJw6nm0
賢者の話したとおり、二人に襲いかかってくる魔物はおらず、塔をスムーズに進行していった。

勇者「おい。そこでプルプルしてるのはなんなんだ?」

賢者「あーあれは・・・」

*「ぼ、僕は悪いスライムじゃないよ・・・いじめないで・・・」

賢者「あれはホイミスライムね。」

勇者「スライムの一種なのか。クラゲみたいだな・・・」

二人は震えるホイミスライムの前に立ちふさがった。

ホイミスライム「ううう・・・やめて・・・いじめないで・・・」

賢者「ホイミスライムはとっても優しい種族で、傷ついた者をホイミで癒やしてくれるの。賢さが高くて人語を理解し、人語を話すことができるわ。」

勇者「へえ。いい魔物なんだな。」

賢者「攻撃翌力も高くないし、臆病な性格のものが多いわ。」

ホイミスライム「お願いっ・・・見逃してよぅ・・・」

勇者「確かに臆病そうだな・・・」

賢者「野生のものは群れで生活するか、他の強い魔物に与する形で生存している、忠誠心がある魔物よ。人間に懐いて行動を共にしている例も希にあるわ。」

ホイミスライム「・・・もう・・・煮るなり焼くなり好きにすればいいよ・・どうせ僕なんて・・・」

勇者「おい、腹くくり始めたぞ?」

賢者「そろそろ可哀想になってきたわ・・・」
92 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:47:42.28 ID:vSwJw6nm0
賢者「ねえ?ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」

賢者は優しくホイミスライムに触れた。

ホイミスライム「ひっ!」

勇者「怯えなくてもなにもしないから安心しろよ。」

ホイミスライム「ほ、ほんと?」

賢者「ええ、本当よ。この塔のことを少し聞きたいの。」

ホイミスライム「なんだー、僕もう死んじゃうのかと思ったよ!なに?」

賢者「この塔にガルーダが住み着いているのは本当?」

ホイミスライム「あ!本当だよ!少し前に番いでやってきてこの塔に住み着いたんだ。」

勇者「番いってことは2匹いるってことか?」

賢者「そういうことになるわね。」

ホイミスライム「もしかして巣へ行くの!?」

勇者「そのつもりだけど。」

ホイミスライム「じゃあ巣まで僕が案内するよ!」

賢者「助かるわ。じゃあお言葉に甘えようかしら。」

賢者はそう言ってホイミスライムの頭を撫でた。

ホイミスライム「へへへ・・・こっちだよ!」
93 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:48:29.60 ID:vSwJw6nm0
【ガルーダの巣】

勇者たちはホイミスライムの案内でガルーダの巣に到着した。

ホイミスライム「申し訳ないんだけど僕が案内出来るのはここまでだよ・・・ごめんね。」

賢者「いいえ、ありがとう。助かったわ。さあ、見つかるといけないから行って。」

賢者はそう言ってにっこり笑った。

ホイミスライム「うん!気をつけてね!じゃあね!」

ホイミスライムはフワフワと来た道を引き返していった。

勇者「ここか。気配はないけどな。」

賢者「あれね。」

賢者は木の枝や物干し竿などで出来た大きな巣を指さした。

勇者「あの中に指輪があんだな!!」

勇者は巣の中に飛び込んでいった!

賢者「ちょっと!待ちなさいよ!」

勇者「・・・」

賢者「どうしたの?」

勇者「指輪はすぐみつかったんだけどな・・・」

賢者「なに?」

勇者「ガルーダの子供がいる。」
94 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:50:25.37 ID:vSwJw6nm0
賢者「それはまずいわ!指輪を見つけたなら早く引き上げましょ!親も相当神経質になってるはずよ。親がいなくてむしろラッキーだったわね!」

勇者「それがちょっと手の届かないところにあんだ。少し待っててくれ。」

賢者「早くしなさいよ!早くしないとガルーダが・・・・・」

賢者はふと空を見上げた。

賢者「・・・今すぐ逃げて!」

ガルーダ「クエェェェェェェ!!」

番いのガルーダが空を旋回している!

勇者「いいっ!?待てもうちょっとなんだ!!」

賢者「仕方ないわね!少し時間を稼ぐわ!」

番いのガルーダがかぎ爪を立てて、二人めがけて急降下してきた!

賢者「きたわね!!」

賢者はバギマを唱えた!
賢者の手のひらから旋風が巻き起こる!

ガルーダ「クオオッ!?」

番いのガルーダは旋風に巻き込まれ、うまく降下出来ない!

賢者「よし!勇者、まだなの!?」(この距離じゃこれが限界か・・・)

勇者「もうちょっと・・・」
95 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:52:29.66 ID:vSwJw6nm0
バギマの旋風でうまく巣に近寄れないガルーダは、バシルーラを唱えてきた!

賢者(え!?しまっ)

賢者は青空の遙か彼方に飛ばされた!!

勇者「うそぉぉぉぉ!?」

旋風から開放されたガルーダの1匹が勇者に迫る!!

勇者「おしっ!!とれた!」

勇者は巣から飛び出した!!

ガルーダ「クオオオオオ!」

待ちかねたようにもう1匹が追撃をかけてきた!!

勇者(逃げるが勝ちっ!!)

勇者はルーラを唱えた!
しかしその時、物陰から何かが飛び出してきた!

勇者「!?」

勇者は間一髪、脱出に成功した!
96 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 13:55:16.29 ID:vSwJw6nm0
【アリアハン】

勇者「ひゃー危なかった!!」

*「あれ?ここどこ?」

勇者「お前はさっきのホイミスライム!?なにか飛び出してきたと思ったらお前だったのか!」

ホイミスライム「気になって戻ってきて見たらあんな状態だったから・・・」

勇者「ルーラでお前まで連れてきちまったのか。」(こいつ、俺をかばったのか?)

ホイミスライム「でも、お兄さんが無事でよかったよ。」

勇者「ありがとな。」(俺はあの攻撃を食らっても死ぬことはなかっただろうけど、こいつは・・・)

ホイミスライム「そういえばもう一人のお姉さんは?」

勇者「そうだ!賢者はどこに飛ばされたんだ!?あんな呪文初めて見たぞ・・・」

賢者「バシルーラよ。」

勇者「うわっ!!居るなら居るって言えよ!どうやって戻ってきたんだ?」

賢者「ルーラで戻ったに決まってるでしょ?それより、その子・・・」

勇者「ああ、こいつな。指輪をゲットして、ルーラで脱出する時に俺のことガルーダの攻撃からかばってくれたんだ。」

賢者「それでルーラで一緒に連れて来ちゃったの?」

勇者「そうらしい。」
97 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 18:50:34.11 ID:vSwJw6nm0
賢者「元の場所に返してあげないと可哀想ね・・・」

ホイミスライム「・・・ね!ねえ、僕もお姉さんたちについて行っちゃだめ?」

勇者「えっ!?」

賢者「だめ。」

勇者「はやっ!」

ホイミスライム「そんな即答しなくても・・・」

ホイミスライムは涙目になっている。

勇者「おいおい、泣かすなよ・・・俺の恩人だぞ。かわいいし、連れてってもいいんじゃないか?回復役もかってくれそうだし。」

賢者「あのねえ、犬や猫を飼うのとは違うのよ?そんな簡単に・・・」

ホイミスライム「だめなの・・・?」

ホイミスライムが仲間になりたそうに潤んだ瞳でこちらを見つめている。

賢者「うっ・・・危ないところには付いてきちゃだめよ?」(かわいい・・・)

ホイミスライム「やったー!!僕ね、ひとりぼっちで寂しかったんだ・・・」

勇者(だめって即答しといてすぐに根負けすんなよ・・・)

賢者「じゃあニックネームを決めないとね・・・」

勇者(しかもノリノリじゃねーか・・・)
98 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 18:51:09.39 ID:vSwJw6nm0
賢者「じゃあ・・・ミスラとかどう?」

勇者「なんかかわいくねーな。もっといいの思いついた!」

賢者「まさかホイミンとか言わないでしょうね?」

勇者「えっ!?やっぱお前心読めるだろ!!」

賢者「ほんと芸がないわね。ホイミスライムにホイミンって、犬にポチ、猫にタマってつけるようなものよ?」

勇者「ぐぬぬ・・・」

ホイミスライム「僕それがいい!」

賢者「え・・・」

勇者「ほぉら!本人も気に入ってんじゃねーか。」

賢者「ドヤ顔やめて。まあその方が読者もわかりやすいしね・・・」

勇者「読者?」

賢者「なんでもないわよ!」

ホイミン「二人ともよろしくね!」

ホイミンが仲間になった!!
99 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 18:52:08.01 ID:vSwJw6nm0
賢者「さて、報酬も貰ったことだし、情報収集しましょうか。」

勇者「依頼主喜んでたな。よかったよかった。」(ガルーダに盗まれたなんていかにも無くした言い訳くさいもんな・・・)

賢者「じゃあルイーダの酒場にいきましょう。」

勇者「ちょっと待てよ!こいつも連れてくのか!?」

ホイミン「?」

賢者「今の世の中、ホイミスライム連れてるくらいじゃ危険に思われないわよ。目立つケド。」

勇者「まあそれならいいか。」

賢者「どこかのワンダーランドではよくあることよ。」

勇者「へ?お前ってたまに変なこと言うよな・・・」

ホイミン「♪」
100 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 18:52:44.74 ID:vSwJw6nm0
【ルイーダの酒場】

賢者「うーん。結局あまり情報は集まらないわね。まあアレフガルドへの行き方知っている人なんてそう居ないわよね。」

勇者「おい。なんか面白そうな本が置いてあるぞ−。」

賢者「どれどれ、【英雄の軌跡】?勇者ロトの伝記ね・・・」

賢者はその本をパラパラとめくってみた。

賢者「へえ。さすがロトの故郷ね。結構詳細に書いてあるじゃない・・・・・・ん!!」

勇者「どうしたんだ?」

賢者「帰るわよ。」

勇者「へ?なんだよいきなり!」

賢者「次に向かうところが見つかったわ。行くわよ、ホイミン。」

ホイミンは酒場の荒くれたちに遊んでもらっている。

ホイミン「はーい。じゃあみんなまたねー!」

勇者「人なつこいなーお前は・・・」
101 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 18:56:21.20 ID:vSwJw6nm0
【エジンベア】

勇者「どこだよここ。」

賢者「エジンベアという国よ。」

勇者「なんの目的で来たんだ?」

賢者「【渇きの壺】って知ってる?」

勇者「なんだそりゃあ?」

賢者「ロトが冒険に使ったアイテムなんだけど、大量の水をその中に封印出来るという話よ。昔ここの城に安置されていたらしいの。」

勇者「その壺がどうかしたのか?」

賢者「鈍いわね!その壺を海で使ったらどうなると思う?」

勇者「海で・・・海が干上がる、か?・・・あ!!」

賢者「伝記によるとロトは浅瀬を干上がらせるのに使っているけど、一帯の海水が全て無くなったそうよ。やってみる価値あると思わない?」

勇者「それで例の海底洞窟に行けるかもしれないんだな!!」

賢者「まあそういう事ね。でもその肝心の【渇きの壺】の所在がわからないからこうしてここに来てみたの。」

勇者「なるほどな。そういえばさっきからホイミンの姿が見えないけどどこいったんだ?」

ホイミン「ここだよっ!」

賢者の鞄からホイミンがひょっこり顔を出した。

勇者「なにやってんだ?」

賢者「今から王様に謁見しようかと思ってるんだけど、さすがに魔物は連れ込めないでしょ?」

ホイミン「この中意外とあったかいよ!」

勇者「連れ込む気まんまんじゃねえか・・・」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/05(日) 19:09:40.56 ID:xslp7eYDO
なかなか面白い
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/02/05(日) 19:37:39.66 ID:PwiyAVkC0
ホイミンはどのくらいの大きさ?
104 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:44:30.65 ID:vSwJw6nm0
>>103
俺のイメージだとスライムに3,40センチの触手がはえた感じですかね
105 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:45:01.81 ID:vSwJw6nm0
【エジンベアの城】

賢者「王様に謁見したいんだけど、通してもらえるかしら?」

門兵「お前達、どこから来たんだ?」

賢者「アリアハンというところですけど・・・」

門兵「そうか。そんな田舎からわざわざご苦労だったな。通るがいい。」

賢者「ありがとう。」


【玉座の間】

エジンベア王「おお、門兵から聞いたぞ。よくぞ遠いところからここまで来たものだ。して、何用かな?」

勇者はここまでの経緯を説明した。

エジンベア王「ふーむ。わしにその話を信じろというのか?」

勇者「信じるも何も本当の話です。」

エジンベア王「ふむ・・・確かに嘘を言っている顔ではないな。協力してやりたいところじゃが、残念ながら【渇きの壺】はここにはないのじゃ。」

賢者「ではどこにあるのですか?」

エジンベア王「先代の国王がロマリアの格闘場で負け込んだ時に、借金の形に出してしまってな。それからはどうなったか知るところではないのじゃ・・・」

勇者(格闘場?)

賢者「そうですか・・・教えてくださってありがとうございます。」(とんでもない王様ね・・・)

エジンベア王「力になれないですまんのう・・・困ったことがあったらまたいつでもくるがよい。」

賢者「はい。お心遣いありがとうございます。それでは失礼します。」
106 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:45:35.52 ID:vSwJw6nm0
【ダーマ】

勇者「格闘場ってのはなんなんだ?」

賢者「モンスター同士を戦わせてそれを観戦するのよ。」

勇者「へえ!おもしろそうだな!借金ってのは?」

賢者「モンスターにお金を賭けるのよ。それで賭けたモンスターが勝ち残ると倍率に応じた配当金がもらえるの。当然、賭けたモンスターが負ければ賭けたお金は無駄になるわね。」

勇者「ああ、エジンベアの先代国王はそれにハマっちまったんだな・・・」

賢者「そういうことね。今日はもう日も暮れるし、明日ロマリアへ行きましょ。」

勇者「そうだな。」

ホイミン「僕はどうすればいいの?」

賢者「あなたはあたしの家へおいで。」

ホイミン「はあい。」

勇者(また一人か・・・)

賢者「あなたもたまにはどう?一緒にご飯でも食べない?」

勇者「いいのか?」(おお、賢者様・・・)

賢者「宿屋の食事も食べ飽きたでしょ?」

勇者「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
107 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:46:04.81 ID:vSwJw6nm0
【借家】

勇者「へえ、意外といいとこに住んでるんだな。」

賢者「協会が提供している借家だけどね。」

ホイミン「これが人間の家なんだ・・・」

ガチャ

賢者「さあ入って。」

勇者「お邪魔しまーす。」

賢者の家は必要最低限のものしかなく、キレイに片付いていて生活感があまり感じられなかった。





賢者「気になったんだけどホイミスライムって何食べるの?」

ホイミン「水・・・かな?」

勇者「安上がりだな、お前。」

ホイミン「あと草とか・・・」

賢者「・・・」

勇者「おいおい、何もそんな悲しい目で見なくてもいいだろ!魔物なんだから普通だろ!」
108 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:46:45.25 ID:vSwJw6nm0
勇者「ふー、ごちそうさま!うまかったよ。」

賢者「ありがと。」

ホイミン「人間ってあんなおいしいもの食べてるんだね・・・僕びっくりしちゃったよ。」

賢者「とどのつまり雑食だったってことね・・・」

勇者「もう野生には帰れないな!ははは!」

ホイミン「えへへ。」

ホイミンに今までのことを話したりしているうちに夜は更けていった。



賢者「さて、もう寝ようかしら。」

勇者「俺はどこで寝ればいいんだ?」

賢者「言っておくけどベッドは1つしかないから。ホイミン、おいで。一緒に寝ましょ。」

ホイミン「ごめん、僕立ってないと寝られないんだ・・・」

賢者「あらそうなの。それじゃあ仕方ないわね。」

勇者(こんなことなら宿屋に泊まっておけばよかった・・・)

賢者「それじゃ、おやすみ。」

勇者は床に寝転がった。

勇者「かてぇ・・・」
109 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:48:06.49 ID:vSwJw6nm0
どうやら賢者とホイミンは眠りについたようだった。

勇者(寝れない・・・」

勇者はふと目を開けた。

勇者(!?)

ガタッ

勇者(なんだよ。ホイミンかよ・・・直立不動で枕元に立つなよ・・・)

賢者「・・・寝られないの?」

勇者「なんだよ、起きてたのかよ。」

賢者「こっちへ来る?」

勇者「なっ!?こ!ここでいいよ・・・」

賢者「フフフ。冗談よ。おやすみ。」(照れちゃって・・・意外と純情なのね。)

勇者「おお、お、おやすみ!」



勇者(ね、眠れん。)
110 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:48:41.81 ID:vSwJw6nm0
【ロマリア】

勇者「ここが格闘場か!」

すり鉢状の会場の真ん中でモンスターが戦っていて、応援とも野次ともとれる声がちらほら聞こえる。

賢者「あんまり好きな雰囲気じゃないわね・・・受付の人に話を聞いてみましょ。」



相談窓口「支配人ですか?」

賢者「ええ。ここの一番偉い人にはどうすれば会えるのかしら?」

相談窓口「一番偉い人・・・となるとロマリア王ですかね。」

賢者「えっ!?」

相談窓口「この格闘場は国営ですので、王様がここの責任者ということになってます。」

賢者「そ、そうなの・・・」(呆れたわ。国を挙げてこんなことをしているなんて。)

勇者「王様に会いに行かなきゃならないのかー。面倒だな・・・」

相談窓口「あ、ロマリア王ならあちらにいらっしゃいますよ。」

窓口の男性が指さす方を見ると、貴族のような華やかな格好をしている男が野次を飛ばしている。

勇者「え。あれですか?」

相談窓口「ええ。いつも公務をほったらかしてここで遊んでいるんですよ。」
111 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:49:21.62 ID:vSwJw6nm0
勇者「ちょっとすみません。」

ロマリア王「なんだ?今いいとこなのに。」

賢者「つかぬ事をお聞きしますが【渇きの壺】というものがこちらにありますか?」

ロマリア王「む。何故その壺のことを知っているんだ!?」

勇者「エジンベアの王様にこちらにあるとお聞きしまして。」

ロマリア王「ほほう。そうか。何じゃ?欲しいのか?」

勇者は事情を話した。

ロマリア王「ファハハ!そんな話は信じられんな。だが譲ってやらんこともないぞ?」

勇者「本当ですか!?」

ロマリア王「ああ。ただし条件がある。」

賢者「条件?」

ロマリア王「格闘場のモンスター相手に見事勝ち抜いたら褒美としてくれてやろう!」(見たところこの連中そこそこ腕は立つようだし、いい催し物になるわ。)

勇者「わかりました。やりましょう。」

賢者「ちょっ」

ロマリア王「ほう、自身がありそうだな。すぐ準備をする故、一日だけ待ってくれんか?」(ファハハ!食いついてきた!いいぞー楽しめそうだ。あんな壺ごときどうでもいいわ・・・)

勇者「わかりました。」
ロマリア王「あー、言い忘れとったが試合はどちらか一人で出てもらうぞ?」

勇者「はい。」
112 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:50:34.92 ID:vSwJw6nm0
【格闘場、外】

賢者「ちょっと!何勝手に約束してんのよ!」

勇者「でもこうする他ないだろ?」

賢者「そうかもしれないけど・・・」

勇者「俺が出るから大丈夫。」

ホイミン「頑張ってお兄さん!」

勇者「まかせとけ!」

賢者「・・・負けないでよ?」

勇者「おう!それより、眠い・・・今日はもう宿をとってのんびりしよう。」

賢者(本当に大丈夫かしら・・・)
113 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:51:54.81 ID:vSwJw6nm0
【翌日】

たくさんの観客の中、その中心に勇者はいた。

司会「さーてみなさん!お待たせしました!突然の催しにもかかわらず、お集まりいただきましてありがとうございます!」

ロマリア王「ふむ。わくわくするわい。」

司会「本日はなんと、魔物対魔物の試合ではございません!異国の勇者が魔物たちと命を賭けた戦いをします!」

満員の会場から割れんばかりの歓声が響く。

賢者(ハァ・・・やっぱりこうなったわね。)

司会「さあ、ではさっそくいってみましょう!相手をするモンスターはこいつらだっ!!」

正面の巨大な掲示板にモンスターの名前が書かれた。

司会「さあ張った張った!」

賢者(人食い蛾×2と毒イモムシ×2か・・・楽勝ね。)
114 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:52:56.82 ID:vSwJw6nm0
司会「皆さん、配当券はお買い求めになりましたか?券売を締め切らせていただきますよ!それではお待ちかね、一回戦開始ッ!」

司会の号令とともに格闘リングの両端の檻が開いた!

勇者「お!?」

勇者の目の前に魔物が飛び出して来た!

勇者(どっちも見たこと無いモンスターだな・・・様子を見るか。)

毒イモムシAは毒の息を吐き出した!

勇者「毒か!」

勇者はひらりと身をかわした!

毒イモムシBが丸まって転がってきた!

勇者「むむ!」

勇者は毒イモムシAに攻撃を受け流した!
二匹は身体がもつれてしまって動けない!

人食い蛾はマヌーサを唱えた!

勇者「なんだこりゃ!?幻覚を見せる呪文か。面倒だな・・・」

勇者はベギラマを唱えた!
魔物の群れを激しい炎が包む!

魔物の群れをやっつけた!
115 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:54:15.90 ID:vSwJw6nm0
司会「さすがは異国の勇者。このあたりの魔物では全く歯がたちません!」

ロマリア王「ファハハ!このあたりは勝って当然。」

賢者「・・・」(勝つのは分かっていたけれど、何か変な感じ・・・)

ホイミン「お兄さんって強いんだね!」

ロマリア王「さあ次だ!」



再び勇者の目の前に魔物が放たれた!

あばれザル×3が現れた!

勇者「虫の今度は猿かよ・・・」

あばれザルたちは統率のとれた動きで勇者に襲いかかった!

勇者「うおっ!?」

勇者はひらりと身をかわした!

勇者(なんだこいつら、一匹ならどうってことは無いけど妙に連携のとれた動きで攻撃してくる・・・)

賢者(なるほど。ただの魔物じゃないってわけね・・・)

ロマリア王(さあどうする?)

あばれザルは三方向からタイミングをずらして攻撃してきた!

勇者「くっ・・・かわしきれない!」

勇者は一匹にみぞおちを殴られ吹っ飛んだ!

勇者「痛って・・・鎧を装備してなかったら肋骨バッキバキだな・・・」
116 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:55:21.90 ID:vSwJw6nm0
勇者は吹っ飛ばされた壁際に立ち、構えた。

勇者「おら、来いよ猿ども。」

あばれザル「キキィィィ!!」

あばれザルたちが再び襲ってきた!

勇者(よしっ!今度は攻撃の軌道が全部見える!)

勇者は向かってくる相手を一匹ずつ切り捨てた!

魔物の群れをやっつけた!

賢者「あのあたりのレベルの魔物にあいつがやられるわけがないわ。こんな簡単に儲けさせてくれるなんてね・・・」

ホイミン「え?お姉さんそのお金どうしたの・・・?」

賢者「どうせあいつが勝つのわかっていたから、あいつの配当券に所持金全賭けしたわ。」

ホイミン「昨日は下らないとかいってたくせに・・・」

賢者「勝率が20%や30%のものに大金賭けるのは下らないと言ったのよ。勝つとわかっているなら、儲けない手はないわ。」

ホイミン「なんかお姉さんかっこいい・・・」

ロマリア王「ふむ。壁際で待ち構え、攻撃される角度を360度から180度へ減らしたか・・・なかなかセンスがあるようだ。次が最後か・・・さて勝てるかな?」

勇者は一時、場外に退去させられた。
117 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:57:40.85 ID:vSwJw6nm0
司会「さて、ここまで二戦鮮やかな勝利を飾ってきた勇者様ですが、次で最後の試合となります!先ほどの二戦は実力差が有りすぎて少々早く終わってしまい、『アッサリ過ぎてつまんない。』そんな風に思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心を!トリを勤めるモンスターは今までのモンスターとは格が違う!お見せしましょう!コイツだぁ!!」

すると、格闘リングの床が機械仕掛けによりまっぷたつに割れ、地下から巨大な魔物が眠ったまま姿を現した!!

勇者「こ、こいつはっ!?」

賢者「ドラゴン!?」

客席から歓声と悲鳴の入り混じった声が響く。

ロマリア王「ファハハハハ!!苦労したぞ。コイツを捕獲するのは!」

賢者「すべてのドラゴン系モンスターの粗たる種と言われているモンスター・・・こんな希少種がなぜここに?コイツと一人で戦うなんて無茶よ!!」

ホイミン「こ、怖いよぅ・・・」

ロマリア王「さあ!異国の勇者よ!選択してもらおう。しっぽを巻いて逃げるか、さもなくば死も厭わない修羅の道を選ぶか!!」

勇者「やらせてもらおう。」

ロマリア王「待っていたぞ、お前のような誠の勇者をな!!」(やっと見られるぞ!!この魔獣が勇猛な人間と一騎討ちをするところが!血湧き、肉踊るとはこのことだ。)

賢者「いくらなんでも無茶よ!!壷のことは諦めましょ?他の方法を探せばいいわ!」

賢者はそう言って、勇者の腕を掴んだ。

勇者「大丈夫だ、任せてくれ。」

勇者は賢者の目を真っ直ぐ見つめそう言い放つと、手を振りほどきリングに向かった。
118 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 20:59:58.81 ID:vSwJw6nm0
勇者がリングに入場すると、格闘場に割れんばかりの歓声が上がった!

勇者(大丈夫だ・・・コイツとは一度、戦ったことがある・・・)

大きな歓声に当てられ、ドラゴンが目を覚ました!!

ドラゴン「グォ・・・・グオオオオオオオオオオオオオオ!」

ドラゴンの咆哮が会場にこだまする!!

ロマリア王「そいつは外に出るのが久しぶりでストレスがたまっているから気をつけるんだぞ。ファハハハハ!」

賢者「あのバカ・・・」(危なくなったら乱入も仕方ないわね。このバカな王様がそんなところまで考えているとは思えないわ。)

ドラゴンは勇者をその目で確認すると、いきなり激しい炎を吐き出してきた!!

勇者「ちっ!」

勇者はひらりとみをかわした!
しかし、真後ろからドラゴンの尻尾が襲う!

賢者「あぶないっ!」

勇者「!」

勇者はしゃがんでこれを回避した!

ドラゴン「グルルルル・・・」

勇者(よし、戦える!)
119 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 21:01:49.68 ID:vSwJw6nm0
勇者はドラゴンと互角の死闘を繰り広げている!

ロマリア王「ぬぅー、あの男なかなかやるな・・・」

賢者(変ね・・・アイツ、攻撃パターンがわかっているかのような動きをしているわ・・・)

勇者(やっぱり、この巨躯でこの素早さはキツイ・・・)

ドラゴンは尻尾で足払いをかけた!

勇者(しまった・・・!)

勇者はすっころんだ!

賢者「勇者!!」

賢者はしびれを切らして席から立ち上がった!

ドラゴンは今が好機と、すっころんだ勇者を噛み砕きにきた!!

ドラゴン「ガァァァァゥゥ!!」

なんと勇者はドラゴンに食べられてしまった!!

賢者「そ、そんなっ・・・!!」
120 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 21:03:23.09 ID:vSwJw6nm0
賢者がリングに飛び込もうとしたその時、ドラゴンの口からまばゆい光がほとばしった!

ドラゴン「グキャァァァァァァァ!!」

ドラゴンは勇者をその口から吐き出した!

勇者「痛ってぇ・・・」

賢者「勇者っ!!」

勇者はベホイミを唱えた!
勇者のキズが回復した!

勇者「へへへ・・・火を吹く喉もライデインの電撃には耐えられないみたいだな・・・」

ドラゴン「キ・・キュォォォォォォォ!!!」

ドラゴンは電撃でズタズタにされた喉で悲鳴を上げ、苦しんでいる!

勇者(好機!!)

勇者はジャンプしてドラゴンの背中に剣を突き立てた!!

ドラゴン「ギォォォォ!!」
121 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/05(日) 21:05:30.60 ID:vSwJw6nm0
勇者「ちっ、浅いか?・・・ぬ、抜けない・・・」

ドラゴンは尻尾で勇者を打ち払った!!

勇者「ぐっ!」

賢者「!」

勇者は突き立てた剣をそのままに、叩き飛ばされれしまった!

勇者「まだだァ!!」

勇者はライデインを唱えた!
勇者の掌からドラゴンの背中に刺さった剣に向け、いかずちがほとばしる!!

ドラゴン「グオオオオ・・・オ・・・」

剣を媒介に直接体内に流れた電撃はドラゴンを死に至らしめた!!

勇者「はぁ・・・はぁ・・・」

勇者は死闘の末ドラゴンを倒した!!

ロマリア王「な・・なんだと・・・」

場内は今日一番の大歓声に包まれた!!!
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/05(日) 22:10:50.04 ID:z09DydtIO
乙?



乙(`・ω・´)
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/05(日) 22:20:39.55 ID:P9o/kzESO
少年漫画みたいで凄く面白い
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 03:27:16.81 ID:s6a0uUF6o
なんつーかモンスターズ+思い出した
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/06(月) 19:01:21.31 ID:LfZvaKLso
126 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/07(火) 23:37:51.52 ID:KAiIbrCH0
勇者「ふぅ・・・」

賢者「無茶して・・・怪我は?」

勇者「大丈夫。回復呪文のおかげでキズも火傷もほとんど消えたよ。」

ホイミン「お兄さんすごい!!強いんだね!」

勇者「はは!どーだ!」

賢者「それにしても良く一人で倒したわね。さっきの呪文って・・・」

勇者「あの呪文はMP消費が酷い・・・そう何発も撃てるもんじゃないな。あの魔物とは一度戦ったことがあるんだ。そうでなかったら危なかった・・・」

賢者「ドラゴンと!?」

勇者「ああ。竜王の配下の魔物で、ラダトームの姫様をさらって洞窟に閉じ込めていたんだ。」

賢者「倒したの!?」

勇者「いいや。姫は救出することが出来たんだけど、倒すことまでは出来なかった。」

賢者「あなたもこちらに来てから成長しているってことね。」

勇者「そうらしいな。」

ロマリア王「ちょっといいか?」

勇者「はいっ?」

ロマリア王「取り込み中すまんが、こっちへくるがいい。」
127 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/07(火) 23:39:07.82 ID:KAiIbrCH0
【玉座の間】

ロマリア王「約束どおり褒美を取らそう・・・その前に少し聞いてもいいか?」

勇者「はい?」

ロマリア王「お前は一体何ものなのだ?」

勇者「昨日申し上げましたが?」

ロマリア王「うぬ・・・するとやはり昨日の話は本当だったのか・・・」

勇者「はい。アレフガルドに帰るにはその【渇きの壺】が必要なんです!」

ロマリア王「いいだろう、こいつはくれてやる。」

ロマリア王は勇者に壺を手渡した。

勇者「ありがとうございます!」

ロマリア王「よいよい・・・お前はその命をかけたのだからな。一つ提案があるのだが聞いてくれるか?」

勇者「はい?」

ロマリア王「全てが終わったらでよい、この国の王にならないか?」

勇者「ええっ!?」

ロマリア王「実はさきの戦いぶりに惚れ込んでしまってな・・・答えは今でなくともいい。その気があるならば再びここへ来て欲しい。この国にはそなたのようなカリスマ性のあるリーダーが必要なのだ・・・」

勇者「は、はあ・・・」
128 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/07(火) 23:40:27.25 ID:KAiIbrCH0
勇者「ただいま。」

賢者「壺はもらえた?」

勇者「ああ。」

勇者は【渇きの壺】を袋から出して見せた。

賢者「そ。これだけしたのに渋ったりしたら実力行使するところだったわ。」

勇者「おいおい、怖いこと言うなよ・・・」

賢者「ま、これでアレフガルドへ戻れる可能性が少しは上がったわね。」

ホイミン「あのさ、この間から気になってたんだけどアレフガルドってなんなの?」

賢者「この世界の下にあるもう一つの世界のことよ。勇者はそこの出身なの。」

ホイミン「すごーい!そんなところがあったなんて!行ってみたい!」

勇者「行けるといいんだがな・・・」

賢者「そういえば気になっていたんだけど、勇者って竜王を討伐に出る前は何をしていたの?」

勇者「城の兵士だよ。」

賢者「兵士?ロトの血族ってのも平和な世では案外普通の扱いなのね・・・」

勇者「ま、まあな。」(・・・)
129 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/07(火) 23:41:07.19 ID:KAiIbrCH0
【ジパング】

卑弥呼「なるほど。その壺で一時的に海水を封じ込め、洞穴に入ると言うのですね。」

賢者「はい。」

卑弥呼「確かにその壺からは不思議なチカラを感じます・・・」

賢者「そこで少しお願いを聞いて頂きたいのですが・・・」

卑弥呼「なんでしょう?我々で協力できることならなんでも申してください。」

賢者「わたしたちはこの辺りの海域のことに詳しくありません。よろしかったらこの辺りの海域に詳しい漁師の方に協力を仰ぎたいのですが・・・」

卑弥呼「いいでしょう。私の方から漁師の方に伝えておきます。今日はもう漁に出ていると思いますので、明日出発でよろしいですか?」

賢者「はい!」

卑弥呼「ではこちらで宿を手配しておきます。今日はしっかり準備を整えておいて下さい。」

賢者「お心遣いありがとうございます!」
130 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/07(火) 23:41:59.69 ID:KAiIbrCH0
【宿屋】

勇者「そうか。協力してもらえるか。」

賢者「ええ。話のわかる人でよかったわ。」

ホイミン「わくわく。」

勇者「・・・今までありがとうな。お前らの助けがなかったら俺はきっとこんな可能性すら見つけることが出来なかったと思う。お別れするのはちょっと残念だけどお前らのことは忘れないよ。」

賢者「なによその、ここでお別れみたいな言い方。」

勇者「え?いや・・・だって向こうにお前らを連れてく訳にもいかないし・・・」

賢者「ハァ・・・ここまで乗りかかっておいてついて行かないとでも思う?」

勇者「え・・・」

ホイミン「もちろん僕もいくよ!」

賢者「あなただけに任せておくなんて心配すぎるだけよ!」

勇者「・・・ありがとう。」
131 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/07(火) 23:42:51.14 ID:KAiIbrCH0
【宿屋】

勇者「そうか。協力してもらえるか。」

賢者「ええ。話のわかる人でよかったわ。」

ホイミン「わくわく。」

勇者「・・・今までありがとうな。お前らの助けがなかったら俺はきっとこんな可能性すら見つけることが出来なかったと思う。お別れするのはちょっと残念だけどお前らのことは忘れないよ。」

賢者「なによその、ここでお別れみたいな言い方。」

勇者「え?いや・・・だって向こうにお前らを連れてく訳にもいかないし・・・」

賢者「ハァ・・・ここまで乗りかかっておいてついて行かないとでも思う?」

勇者「え・・・」

ホイミン「もちろん僕もいくよ!」

賢者「あなただけに任せておくなんて心配すぎるだけよ!」

勇者「・・・ありがとう。」
132 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/07(火) 23:44:34.88 ID:KAiIbrCH0
【船着場】

漁師「おー!待ってたぞ!兄ちゃんたちが卑弥呼様が言ってた旅人だな?」

勇者「はい、今日はよろしくお願いします。」

漁師「おーう!任しといてくんな!バッチリ案内してやっからよ!」

勇者「あれ、でも俺たちの船に同舟すると洞穴の中についていかなきゃならないな・・・」

漁師「おらぁ自分の船で行くからよ、そのあとをお前さんたちの船で付いてきてくんな!」

勇者「おお!その手があったか!」

賢者(ホント機転が利かない脳ミソね・・・)

漁師「ところでよー。お前さんたち、なんだってしびれくらげなんて連れてんだ?」

ホイミン「ぼ、僕はホイミスライムだよ!!」

漁師「なんだそりゃ?毒あんのか?」

ホイミン「そんなのないよっ!!」

賢者「ぷ・・・っ。あははははは!」

ホイミン「ちょっと、なに笑ってるんだよぉ!」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/02/07(火) 23:46:32.41 ID:88bbixUPo
ダイの最後らへん思い出した
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 01:02:18.52 ID:dx4npVvSO
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/09(木) 20:32:04.48 ID:Tu1v2oxIO
かなりいいね
期待期待
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/11(土) 22:04:24.18 ID:7WDlI7rIO
(´・ω・`)大丈夫だよね?
137 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/13(月) 17:46:42.92 ID:w11hAR7O0
更新遅くなってすみません!
最近仕事が忙しくて・・・
138 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/13(月) 17:47:27.40 ID:w11hAR7O0
【ジパング沖】

漁師「おーい!兄ちゃんたち!この辺だぞ!」

勇者「ありがとうございまーす!」

漁師「じゃあおりゃ先に帰ってるよ!きを付けるんだぞー!!」

漁師はそう言うと引き返して行った。

賢者「さて、どうなるかしらね。」

勇者「緊張するな・・・」

賢者は恐る恐る壺を海に浮かべた。

勇者「うおっ!?」

【渇きの壺】が不思議な光を放ち、みるみるうちに周囲の海水を吸い込んだ!

賢者の船は海底に静かに着地した。

賢者「・・・まさかこんなにうまくいくとは思わなかったわ・・・」

ホイミン「わあ。すごい。夢みたい!」

勇者「周りは海水の壁・・・まるでこの空間に海水があるかのように流れ込んでこない・・・不思議だ。」

賢者「なんとなくこういうものだとは思っていたわ。ロトが浅瀬を干上がらせた時もただ海水を吸い込むだけでは他方から海水が流れ込んでしまうはずだもの。」

勇者たちの目の前に洞穴がぽっかりと大きな口を開けている。

賢者「さ、水が戻らないうちに行きましょ。」

勇者・ホイミン「おーう!!」
139 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/13(月) 17:49:11.58 ID:w11hAR7O0
【海底洞窟】

二人と一匹は洞穴を奥に進んで行った。

勇者「ひゃー!結構広々してんだな!そう言えば壷はどうしたんだ?」

賢者「海底に置いてきたわよ?」

勇者「え?あのままかよ!?」

賢者「だって持っていく訳にもいかないでしょ?こんなところであの大質量の海水が壷から溢れ出したら大変なことになるわ。」

勇者「そ、それもそうか・・・」

賢者「それにあれでいいのよ。あのままなら渦も起こらないし、巻き込まれて亡くなる人もいなくなるわ。」

勇者「お!なるほど!」

ホイミン「あ!ねえ、あれ!」

ホイミンが触手で指す方を見るとなにやら魚人の様な魔物が屯っている。

勇者「魔物?」

半魚人たちはヒソヒソ喋りながら勇者たちを見ている。

賢者「マーマンね・・・もしかしたら襲ってくるかも・・・」
140 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/13(月) 17:49:57.85 ID:w11hAR7O0
マーマン「おい。止まれ。」

勇者たちは歩みを止めた。

ホイミン「プルプル・・・」

マーマン「お前たち何ものだ?何故こんな海底に人間が入って来れる?」

勇者は簡潔に今までの経緯を説明した。

マーマン「なるほど、アレフガルドに再び魔王が・・・それで、か・・・我々はお前たちがここを脅かしに来たので無ければ危害は加えん。好きにしろ。」

ホイミン(ほっ・・・)

賢者「この洞穴がアレフガルドにつながっているという話は本当なの?」

マーマン「本当だ。我々はアレフガルドへの抜け道も知っている。」

勇者「本当か!?教えてくれ!」

マーマン「いいだろう。しかし一つ条件がある。」

賢者「条件?」
141 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/13(月) 17:50:36.62 ID:w11hAR7O0
マーマン「さきほどお前たちが言っていた魔王の影響なのかもしれないが、困っていることがあってな・・・」

勇者「魔王の影響?」

マーマン「我々には一族の長がいるのだが、心優しく、滅多に暴力などを振るうお方ではなかった。でも今は狂ってしまったように我々の同胞を喰らい、この海域を荒らすようになったのだ・・・」

賢者「確かに魔王のいた時代はその邪悪なチカラに当てられ、凶暴化するモンスターが多かった様だし、有り得ない話じゃないわね。」

勇者「で、どうすればいいんだ?」

マーマン「お前たちは見たところ相当腕が立つようなのでな、その魔物を殺して欲しいのだ。」

勇者・賢者「[ピーーー]!?」

マーマン「ああ、殺してくれ。頼む。条件はそれだ。」

勇者「まっ、待てよ!お前たちのリーダーなんだろ!?」

マーマン「・・・・・・我々とて長を殺したくはない。しかしこのままではこの辺り一帯に住む同胞たちが喰い尽くされてしまう。かと言って我々があの方の目の前に立ちふさがってその牙を向けることが出来るかと言うと、出来そうにない。そこでお前たちに頼んでいるのだ。」

賢者「命の選択・・・ってことね。」

マーマン「そうだ。これ以上同胞が死んでいくのは我々も見たくない。もし凶暴化したのが長でなかったとしたら長は同じ判断を下しただろう。」

勇者「正気に戻させるってのは?」

マーマン「それも考えたのだが、あまりいい方法は思いつかなかった。何より自分の仲間をいくつも手にかけてしまった長は正気に戻ったとしても自らの命を絶つ決断をするだろう。」

勇者「・・・わかった。いいんだな?」

マーマン「恩にきる。」
142 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/13(月) 17:53:43.91 ID:w11hAR7O0
一行はマーマンたちに促されるまま後について行った。

マーマン「ここだ。」

水辺のある広い空間にが広がっている。

マーマン「あの水辺にいるのが長だ。」

体長がマーマンの五倍はあろうかという三ツ又の槍を持った魚人型のモンスターがそこにいた。

キングマーマン「・・・」

勇者「デカい・・・」

キングマーマンは鋭い目つきでこちらを睨んでいる。

賢者「あの目・・・確かにちょっと普通じゃないわね・・・」(キングマーマンは確かに好戦的な種族ではあるけれど、誇り高く勇敢な戦士のはず。仲間を手にかけるようなことはない・・・)

キングマーマン「ギギ・・・ギィィ!!」

キングマーマンが突然襲いかかってきた!

勇者「きやがった!本当にいいんだな!?」

マーマン「何度も言わせるな!」

キングマーマンは手に持った三ツ又の槍で勇者を突き刺してきた!

勇者「く・・・わかったよっ・・・!!」ギィン!

勇者は剣を立てて槍を受け止め、弾き返した!

勇者「賢者今だ!」

賢者は体勢が崩れたキングマーマンに向かってメラミの火球をはなった!

キングマーマン「ギギィィィィィィ!」

マーマン「うっ・・・」

キングマーマンは水辺に飛び込んだ!

賢者「!」(いいこと思いついちゃった。)

賢者は水辺に向けてヒャダルコの冷気を数発放った!

水辺は一瞬で凍りつき、キングマーマンは凍りずけになってしまった!

マーマン「!?」

勇者「おお・・・」

賢者「これでおそらく仮死状態に出来たはず。あなたたちもヒャドくらい使える種族でしょう?溶けないように管理しておいて。あとは魔王が居なくなれば解決よ。」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 19:44:38.27 ID:UN0x0RLIO
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/13(月) 20:07:27.84 ID:8YcRy1Kbo
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 20:23:59.22 ID:U5yh8GHSO
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/13(月) 20:28:49.11 ID:hWov8+Roo
見てる
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 17:54:19.66 ID:nq+ZLTgIO
ふっかつ
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/15(水) 21:55:47.49 ID:ZBBGkC6jo
ふっかつのじゅもんを いれてください
149 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:20:20.80 ID:TU2QsL5o0
マーマン「確かにこれでこれ以上の被害は食い止められるが、お前たち本当に魔王を倒すつもりなのか?」

勇者「ああ。必ずな。」

マーマン「そうか。ならば信じて待とう。人間と言うのは魔物と敵対する存在なのだと思っていたがそれは我々の勘違いだったのかもしれないな・・・」

ホイミン「人間にも魔物にも悪いやつはいるんだよ。でもそれといっしょでいい人もいっぱいいるんだ。」

マーマン「ふ、いつかはお前たちのように手を取り合う時がくるのかもな・・・礼をいう。助かったぞ。さあ、抜け道に案内しよう。」

一行はマーマンに連れられるまま奥へと進んでいった。

マーマン「この奥に大きな穴がある。そこから飛び降りれば下はアレフガルドだ。」

勇者「ありがとう!こちらこそ助かったよ。」

マーマン「なに、容易いことだ。お前たちとはまた会いたいものだ・・・なにか我々に協力できることがあったらなんでも言ってくれ。」

賢者「そうさせてもらうわ。」

マーマン「じゃあわたしはこれで。信じて待っているぞ。」

勇者「任せとけ!」

ホイミン「またねー!」

マーマンは来た道を引き返していった。
150 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:21:27.95 ID:TU2QsL5o0
賢者「ねえ。この穴真っ暗だけど・・・」

勇者「おかしいな。夜なハズはないんだけどな・・・」

ホイミン「どうやって降りるの?」

勇者「・・・・・・ええい!ままよ!」

賢者「えっ?ちょっ」

ホイミン「うそっ」

勇者はホイミンと賢者の手を掴み飛び降りた!

賢者「きゃあああああああああ!」

ホイミン「もうだめだおしまいだ・・・僕死んじゃうんだ・・・」

賢者「ちょっと!どうすんのよ!ものすごいスピードで落ちてるわよ!!」

勇者「なんとかなるさ!」

賢者「えっ?まさかなんの考えもないの?」

勇者「・・・」

賢者「・・・」

勇者「・・・」

賢者「いやああああああああああああ!」

勇者「あはは!なんてね!」

勇者はルーラを唱えた!
151 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:22:25.08 ID:TU2QsL5o0
【ラダトーム付近上空】

勇者「びっくりした?」

賢者「つ・・次やったら本気で怒るからっ・・・グス・・・」

勇者「泣くなって・・・」

ホイミン「・・・」

賢者「ちょっと!ホイミン白目むいてるわよ!!」

勇者「やりすぎたかな・・・」

賢者はザメハを唱えた!
ホイミンが目を覚ました!

ホイミン「はっ!?ここどこ?天国?」

勇者「まだ空中だよ。」

ホイミン「えっ?」

ホイミンは地面を見下ろした。

ホイミン「うっ・・・・・」

ホイミンは気絶してしまった!

賢者「ちょっと!また白目むいちゃったじゃない!目覚めなかったらどうすんのよ!」

勇者「あはは・・・すまん。」
152 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:24:14.21 ID:TU2QsL5o0
勇者「しかしおかしいな・・・今は昼のはずなのに薄暗い。」

賢者「地下に太陽なんてあるわけないじゃない。」

勇者「アレフガルドでは太陽や月なんかを精霊が作り出しているらしいんだ。」

賢者「へえ。太陽ってあれのこと?」

勇者は賢者の指す方向を見ると、朧気に輝く小さな光を空に発見した。

勇者「あれが太陽!?そんなばかな。これじゃ大魔王ゾーマの時と同じ・・・まさか・・・・なっ!?・・・・・・なんだこれ、そんな馬鹿な・・・」

勇者は下を見下ろしながら驚いている。

賢者「どうしたの?」

勇者「竜王の居城がある魔の島がどこにも見当たらない!!」

*「ギュォォォォォォォォォォォ!!」

勇者「なんだ・・っ、この耳をつんざくような鳴き声は!?」

すると突然、ルーラで飛行中の勇者たちの目の前に黄金のウロコを持つ巨大な竜が現れ、追従を始めた!!

賢者「なっ・・なによ、こいつ・・・」

勇者「わ、わからない・・・」

黄金の竜は突然口をパカッと開き、大きく息を吸い込んだ!

賢者「敵なの!?」

賢者はフバーハを唱えた!
二人の体を光の衣が包み込んだ!

*「ギュオオオオオ!!」

黄金の竜は灼熱の炎を吐き出した!!
153 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:26:12.08 ID:TU2QsL5o0
勇者「うあああ!!」(熱い!!なんだ、こいつのブレスは!?)

賢者(フバーハでも抑えきれない!!)

勇者たちは撃墜され、地面に落ちていった!!

勇者(まずい・・・なにも出来ない!)

賢者(ううっ・・・死ぬよりマシか・・・)

賢者は地面に激突する瞬間にイオラを唱えた!
勇者たちの身体の近くで爆発が起こり、反作用の力で衝突の衝撃を抑えた!

勇者「くっ・・・なんてことしやがんだ・・っ!」

賢者「仕方ないでしょ・・・死ぬよりいいわ・・・」

勇者「それより、なんなんだあの竜は・・・桁違いに強いぞ・・・」

賢者「このダメージじゃ、勝算は薄そうね・・・」

*〈今のあなたたちではあの竜には勝てません。お逃げなさい。さあこちらです。〉

勇者「こ、この声はあの時の!?」

賢者「勇者!あれ!」

賢者の指す方向に入口がほのかに光る洞窟を見つけた!

勇者「勇者の洞窟・・か。聖域に逃げ込めばあの竜も入っては来られないはず・・!行こう!!」

勇者たちは洞窟に向かって走り出した!
154 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:27:08.21 ID:TU2QsL5o0
勇者「もう少し・・・!」

*「ギャオッッ!!!」

勇者「追い打ちかっ!」

賢者「来るわよ!」

黄金の竜は全身を震わせ、冷たく輝く息を吐いた!!

勇者「ううっ!?こいつ吹雪まで・・・」(身体が凍りついて動かない!!)

賢者(あ・・ダメ・・・このままじゃ・・)

足下が凍りついて動けない勇者たちを黄金の竜が翼で打ち砕こうと迫る!

*〈そうはさせません・・・〉

勇者「!?」

二人の足下からまばゆい光が放たれ、勇者と賢者は光の中にその姿を消した。
155 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:28:34.91 ID:TU2QsL5o0
【勇者の洞窟】

二人と一匹は巨大な紋章が刻まれた石碑のある空洞へと飛ばされた。

勇者「傷ついた身体が回復している・・・た、助かったのか?」

賢者「ここは・・・?」

勇者「ロトの紋章の石碑・・・さっきの洞窟の中だ。」

突然石碑が青白い光を帯び始めた。

*〈勇者よ・・・私が誰だかわかりますか?〉

賢者「あ、さっきの声・・・」

勇者「俺たちを助けてくれたのはあなたなのか?こんな事が出来るなんてまさか・・・」

*〈私の名前はルビス。聞いたことくらいあるでしょう?〉

賢者「!!」

勇者「ルビスだって!?精霊ルビスなのか?」

ルビス〈ええ。そうです。ガルナの塔であなたに話しかけたのも私です。これまでアレフガルドの調和は私が保って来ましたが竜王が現れた今、私のチカラも弱まってきています・・・〉

賢者「それでここは闇に閉ざされようとしているのね・・・」

勇者「だからあんなに薄暗かったのか。」

ルビス〈はい。今やこのアレフガルドには人間は一人として住んでいません・・・〉

勇者「なんだってっ!?」
156 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:32:17.36 ID:TU2QsL5o0
ルビス〈驚かせてごめんなさい。みな死んでしまったわけではなく、多くの人は私のチカラで精霊界に避難してもらっているのです。〉

勇者「よかった・・・ラダトーム王と王妃とローラ姫は!?」

ルビス〈ローラという女性は避難されています。しかし王と王妃は・・・〉

勇者「・・死んだ・・のか?」

ルビス〈・・・私のチカラが及ばず、魔物達の毒牙に・・・ごめんなさい。〉

勇者「・・・・・・いや、あなたが謝ることじゃない。」(くっ・・・俺が不甲斐ないばかりに・・・)

勇者は俯いて悔しそうに奥歯を噛みしめた。

賢者(勇者・・・)

勇者「守りきれなかったのか・・・っ」

ルビス〈今この世界には竜王は居ません・・・あなたがたも空から見たでしょうが、今は魔の島が封印されているのです。〉

勇者「封印?」

ルビス〈はい。竜王は勇者であるあなたを恐れ、あなたを上の世界に飛ばした後、魔の島に封印を施したのです。【四魔将】を地上に残して。〉

賢者「四魔将?」

ルビス〈魔界の秘宝である【進化の秘宝】を使って竜王により作り出された強力な魔物のことです。先ほど攻撃を受けた黄金の竜もそのうちの一体です。〉

勇者「四魔将・・・あんなのがあと三体も・・・」
157 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:34:59.32 ID:TU2QsL5o0
ルビス〈四魔将の四体がそれぞれラダトーム、ドムドーラ、メルキド、リムルダールに配置され大魔方陣を守っています。〉

賢者「大魔方陣?」

ルビス〈先ほどの四箇所を世界地図で確認してみてください。〉

勇者はアレフガルドの世界地図を広げた。

勇者「これがどうかしたのか?」

ルビス〈ラダトーム・ドムドーラ・メルキド・リムルダールの四箇所を直線で結ぶ四角形のちょうど内側に魔の島が位置していることがわかりますね?〉

賢者「これは・・増幅魔方陣・・・!!」

ルビス〈その通りです。この四箇所にはそれぞれ魔方陣は描かれていて四魔将の魔翌力で竜王の城は封印されているのです。〉

勇者「つまりどういうことだ?」

賢者「四魔将を全て倒さなければ、竜王の眼前に立つことすら出来ないと言うことよ。」

勇者「なるほど・・・」

ルビス〈私は守るチカラには長けていますが、打ち破るチカラはあまり強くありません。あなたたち人間に頼るしかないのです・・・しかし今のあなたたちでは竜王どころか四魔将すら倒すことはままならないでしょう。そこで、私のチカラが無くなってしまう前にあなたたちの秘められたチカラを開放して差し上げましょう。〉

ルビスがそう言うと、石碑から暖かい光があふれ出した!
158 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 00:36:16.61 ID:TU2QsL5o0
ルビス〈これで私には人間を精霊界に匿うくらいのチカラしかなくなってしまいました・・・あとはあなたたち次第です。〉

石碑は光を失った!

勇者「お、おいっ!」

賢者「何か変わったかしら・・・?」

勇者「いいや特に変化は・・・」

ホイミン「う・・ん。ここ、どこ?」

賢者「ホイミン、目覚めたのね。」

勇者「よかった、ホイミンも無事か。」

ホイミン「ここは洞窟の中?どうなってるの?」

勇者はホイミンに今あったことを話した。

ホイミン「そんなことがあったんだ・・・こんなに強いお兄さんとお姉さんが全然かなわないやつがいるなんて・・・」

賢者「これからどうするの?」

勇者「今日はもうここで休もう。ここは聖域だからモンスターも近寄れないはず。少し頭の中を整理したほうがいい。」

賢者「それもそうね。ここから外に出たらゆっくり休める場所もないかもしれないものね。」

勇者たちは勇者の洞窟で夜を明かした。
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/16(木) 02:05:16.07 ID:a2bgBFMCo
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 07:44:11.93 ID:0bByesQIO
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 09:15:24.68 ID:5gztHICSO

saga入れた方がいいよ
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 11:01:45.79 ID:GqTOxPHSO
163 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 20:05:49.52 ID:/3QjDLHh0
>>161
すみません、どうしたらできるかわからないんですが・・・
164 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 20:06:43.27 ID:/3QjDLHh0
【リムルダール】

グレイトドラゴン「悪魔の目玉はいるか?」

悪魔の目玉「ここに。」

グレイトドラゴン「竜王様と連絡が取りたい。つなげ。」

悪魔の目玉「はい。」

悪魔の目玉に竜王の姿が映し出された。

グレイトドラゴン〈竜王様、御報告します。〉

竜王〈む。グレイトドラゴンか。どうした?〉

グレイトドラゴン〈勇者ロトの末裔らしき者がアレフガルドへ帰って来ました。〉

竜王〈なんだと!?一体どのような方法で帰ってきたというのだ・・・まあいい。もともとわしとヤツの間には圧倒的なチカラの差があったが、念のために回避しておいただけだからな。今ヤツはどこにいる?〉

グレイトドラゴン〈ラダトーム付近で発見し、抹殺を試みたのですが、ルビスの妨害にあい今は勇者の洞窟に潜伏しているかと。〉

竜王〈左様か。四魔将に触れを出せ!勇者ロトの末裔を抹殺せよとな。〉

グレイトドラゴン〈了解いたしました。〉

通信が途切れた。

グレイトドラゴン「サラマンダー達よ。今の話は聞いたな。他の三体のところに今の旨を伝達せよ!」
165 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 20:08:14.18 ID:/3QjDLHh0


勇者「よし、たっぷり休んだしそろそろ行くか。」

賢者「これからどうするの?」

勇者「ラダトームへ行く。」

賢者「さっそく一体倒そうって言うのね・・・」

勇者「迷っていても仕方がないしな。出来ることをやろう!」

賢者「そうね。」

勇者たちは洞窟を後にし、ラダトームへ向かった。




【ラダトーム城下】

勇者「なんだこれは・・・」

城下街へ入ると、地面に無数の穴が開いて荒廃した街の光景が飛び込んできた。

勇者「なんでこんな酷いことが出来る・・・」ギリリッ

賢者「酷い・・・この穴はなんなのかしら。」

ホイミン「なんかここ怖いよ。」

ホイミンは賢者のローブの中に身をうずめた。
166 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 20:09:54.42 ID:/3QjDLHh0
【ラダトーム城】

勇者「おかしいな・・・確かに魔物に襲撃されたような痕跡はあるけど、住処になっている感じはしないな。」

賢者「魔物の姿自体見当たらないわね・・・」

二人は疑問を感じながら城の中を探索した。

勇者「玉座の間ももぬけの殻・・・こんなところにも穴がある。」

賢者「あとは屋上だけね。」

二人は玉座の間の扉を開き、テラスから屋上へ向かった。

勇者「なっ・・・なんだコイツは!?」

屋上には魔方陣が描かれ、その中心に大量の人骨と無数のツルを持った巨大な球根のような見た目の魔物が眠っている!

賢者「あの無数の穴はコイツのツルが這った跡だったんだわ!生き物の気配がするとあの無数にあいた穴からツルを出して、穴の中に引きずり込んでここで捕食していたのよ。」

ローズバトラー「わたしの眠りを妨げるのは誰だ・・・」

ローズバトラーが目を覚ました!

勇者「ちっ。目を覚ましたか。」

ローズバトラー「人間?そうかわかったぞ。貴様らが竜王様がお触れに出したロトの末裔だな?飛んで火に入る夏の虫とはこのことだな!貴様らはもう食人植物の腹の中にいる!」

賢者「あなたは何者?四魔将とやらなの?」

ローズバトラー「いかにも。わたしは四魔将が一角、ローズバトラー。貴様たちを骸にする者の名だッ!!
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 20:12:12.65 ID:W9cSzHcDO
メール欄にsagaって入れればいいんだよ
sageじゃないぞ
168 : ◆JRR8WApOLM :2012/02/16(木) 20:12:40.01 ID:/3QjDLHh0
ローズバトラーは足下の開いた無数の穴からツルを数本だして攻撃してきた!

勇者「よけろっ!引きずり込まれるぞ!」(なんだ?身体が軽い。チカラがみなぎる。)

賢者「わかってるわ!」

賢者はメラゾーマを唱えた!

巨大な火球がツルの頭上の落ちて火柱が上がった!!

賢者「・・・極大呪文が唱えられる・・・?」(一応全部呪文契約はしておいたけど、ルビス様にチカラをいただいたおかげかしら。魔翌力が溢れるっ・・・!)

勇者「おおー!すげえ!」

ローズバトラー「ほう、少しは出来るようだな。ではこれはどうかな?」

ローズバトラーはラリホーマを唱えた!

賢者「しまっ・・・」

賢者は眠りに誘われてしまった!

勇者「催眠の呪文か!」

ローズバトラー「一匹はもらった!!」

無数のツルを賢者の身体に向けて突き刺してきた!!

勇者「やらせるか!」

勇者は高速回転しながら軌道に入り、ツルをはじき飛ばした!!

ローズバトラー「ぐぬぬ・・・」
169 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:13:59.35 ID:/3QjDLHh0
>>167
ご親切にどうもありがとうございます!!
170 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:17:05.17 ID:/3QjDLHh0
ローズバトラー「こざかしい・・・!」

ローズバトラーは猛毒の息を吐き出した!

勇者「!」

勇者は賢者を抱きかかえ、身をかわした!

勇者(くっ・・・ちょっと吸っちまった・・・)

ローズバトラー「どうした?早く解毒しないと死んでしまうぞ?」

勇者(クソッ、フラフラする。)

その時、勇者の身体を光の波動が包んだ!

勇者「これは・・・?」

ホイミン「僕だよっ!」

ホイミンが賢者のローブからひょっこり顔を出した。

勇者「ホイミン・・・お前にこんなチカラが・・・」

ローズバトラー「なんだと・・!?」

勇者「よしっ!今度はこっちの番だな!」(今ならライデインを超えられる呪文を唱えられる気がする・・・)

勇者は空に両手をかざし、ギガデインを唱えた!!
巨大な暗雲が立ちこめると、空から凄まじい、いかずちの雨が降り注いだ!!!

ローズバトラー「ギャァァァァァァァ!!」
171 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:19:55.50 ID:/3QjDLHh0
ローズバトラーはギガデインの落雷をその身に受け、黒焦げになってしまった!!

勇者「やったか!?」

ローズバトラー「・・・ギガデインを唱えるとはどうやら誠の勇者のようだな・・・だがわたしを怒らせたことを後悔するがいい!!」

賢者「ん・・・」

賢者は目を覚ました。

勇者「賢者!目覚めたか!」

賢者「な!?勇者・・・逃げて。ローズバトラーの魔力が今にも爆発しそうよ!!!」

勇者「なんだって!?」

ローズバトラー「もう遅い!!」

ローズバトラーはマダンテを唱えた!!
ローズバトラーの魔力が爆発を起こす!!!

勇者「くっ・・・」

賢者「終わったわ・・・」

魔力の爆発は広範囲に及び、ラダトーム一帯の大地を吹き飛ばし、その爆発はスリバチ状の巨大なクレーターを形成した!!!
172 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:22:29.89 ID:/3QjDLHh0
ローズバトラーは魔力を使い果たし、石になってしまった。















勇者「・・・ぷはっ!!!あぶなかった!!」

賢者「生きてる・・・これはどういうこと?」

勇者「わからないけど咄嗟に呪文を唱えたんだ。そしたら身体が鉄みたいになって・・・」

賢者「アストロンの呪文・・・さすが【勇者】ね。」

勇者「お、おう。よくわからないけど倒したみたいだな。ラダトームをこんなにしやがって・・・」

賢者「でも人間さえいればまた元にもどるわ。」

勇者「そうだなっ!とりあえず勇者の洞窟へ戻ろう。」

賢者「ええ。」
173 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:25:41.84 ID:/3QjDLHh0
【リムルダール】

グレイトドラゴン「むっ!!ハエ取り草め、敗れたなッ!?おまけに魔方陣ごと吹き飛ばしおって・・・感じるぞ。ヤツはまだ生きている。仕方ない、またこちらから出向いて滅ぼしてくれるっ!」






【勇者の洞窟】

勇者「しかし、ローズバトラーとかいうやつ、あまり強いと感じなかったな。四魔将の中でも優劣があるのか?」

賢者「確かにグレイトドラゴンにはチカラを開放してもらったあたしたちでも勝てるイメージが湧かないわ・・・まあ今日の敵も勇者の呪文が使えなかったら巻き添えを喰っていたけどね。」

勇者「たしかにな・・・今日は疲れたから動くのは明日にしよう。明日はここを南に行ってドムドーラ跡を目指す。」

賢者「わかったわ。」
174 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:28:39.29 ID:/3QjDLHh0



勇者「さあ出発だ。準備はいいか?」

賢者「ええ。」

ホイミン「うん。」

勇者たちは洞窟を出て、ルーラを唱えた!

しかし、飛行を始めた瞬間何者かに地面へたたき落とされた!!

勇者「ぐあっ!!」

賢者「きゃあっ!!」

グレイトドラゴン「ギュググググ・・・待っていたぞ。やはりここに潜伏していたか。」

勇者「お、お前は!」

賢者「魔方陣のある場所で待っていてくれるとは限らないってわけね・・・」

グレイトドラゴン「あんなハエ取り草を倒したくらいで調子に乗ってもらっては困る・・・ヤツは四魔将の中でも最弱・・・」

賢者「じゃああなたは何番目なのかしら?」

グレイトドラゴン「決まっているだろう。私は竜王様に次ぐ存在。貴様らなどに倒されるわたしではない。」

勇者「じゃあ四魔将の中では一番強いってわけか!じゃあお前を倒せば竜王までは楽にたどり着けるってわけだ。」

グレイトドラゴン「そういうことになるな。だが貴様らが竜王様のもとにたどり着くことはない!!」
175 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:31:01.01 ID:/3QjDLHh0
グレイトドラゴンはいきりたって襲いかかってきた!

勇者「よっ!」

勇者はこれを後方に跳んで回避した!

勇者「賢者!補助頼む!」

賢者「もうやってるわ!」

賢者はスクルト・ピオリムを唱えた!
二人の防御力と素早さが上がった!

グレイトドラゴン「小細工をしても無駄だッ!」

グレイトドラゴンは全身を震わせ、冷たく輝く息を吐いた!!

勇者「またこれかっ!」

賢者はベギラゴンを唱えた!
賢者の両掌から燃えさかる火炎があふれ出し炎の壁を作った!

グレイトドラゴン「この前よりは楽しめそうだな!!」

グレイトドラゴンは回転しながら尻尾を打ち付けてきた!!
勇者たちは攻撃を受け、吹き飛んでしまった!

グレイトドラゴン「息攻撃だけがわたしのチカラと思うなよ?」

しかし二人は優しい光に包まれ立ち上がった!!

賢者「これは・・・ベホマラー?」

ホイミン「えへへ。僕だよっ!!なんかこっちに来てから不思議と上級呪文が使えるようになっちゃったんだ。」

またしてもホイミンが賢者のローブの中からひょっこり顔を出した。

賢者「ホイミン!」(勇者の洞窟でルビス様に加護を受けたとき、この子も一緒にあの光を浴びたからなのね!)

勇者「ははは!助けられっぱなしだな。」

グレイトドラゴン「ベホマラーか。待っていたぞお前達のような骨のある相手をなっ!!」
176 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:33:52.91 ID:/3QjDLHh0
グレイトドラゴン「ギュオオオオオオオオオオオン!!!」ビリビリ

グレイトドラゴンは身も凍るような雄叫びを上げた!

勇者「う、うるさい・・・」

グレイトドラゴンがかぎ爪で切り裂いてきた!

勇者「くっ!」ギィン!

勇者はかぎ爪を剣で受け止めた!

グレイトドラゴン「そらっ!!」

グレイトドラゴンはもう一方の腕で攻撃してきた!

勇者は左手に持った盾でガードした!

グレイトドラゴンは大口を開け、至近距離で灼熱の息を吐いてきた!!

勇者「やべっ!!」

勇者はグレイトドラゴンの身体の正面に自分の身体を押しつけ、息攻撃の攻撃範囲からのがれた!
勇者の頭上を超高温の火炎が通過する!

勇者「あっちぃぃいい!!」

勇者はグレイトドラゴンの腹を思いっきり蹴りつけ、反動を利用して後ろに跳んだ!

グレイトドラゴン「ギュググ・・・効かんな・・・」

勇者「か、硬い・・・」
177 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/16(木) 20:37:28.11 ID:/3QjDLHh0
賢者「あの金の鱗のせいでダメージが少ないのね・・・」

賢者はルカニを唱えた!
しかしグレイトドラゴンには効かなかった!

グレイトドラゴン「無駄だ。この黄金の鱗は最強の鎧。貴様らがわたしにダメージを与えることは出来ん!」

賢者「そんなのやってみなきゃわからないじゃない!」

賢者はマヒャドを唱えた!
巨大な氷塊群がグレイトドラゴンに降り注ぐ!

グレイトドラゴン「ギュググ!肩こりに調度いいわ!!」

賢者「本格的に化け物ね・・・」

勇者「賢者!」

勇者は剣をかざして賢者に合図した。

賢者「やってみて!」

賢者はバイキルトを唱えた!
勇者の攻撃力が倍になった!

勇者「うおおおおお!!!」

勇者は気合いを入れてグレイトドラゴンに斬りかかった!

ガギィン!!

勇者「やった!少しだけど歯が通ったぞ!!」

勇者の剣は金の鱗を叩き割り、グレイトドラゴンにダメージを与えた!!

グレイトドラゴン「ギュグアア・・・今のはちょっと痛かったぞ!!」バサッ!

グレイトドラゴンは硬質化している翼で勇者を弾き飛ばした!!

勇者「うああっ!」

賢者「勇者!!」

勇者「大丈夫だ・・・」

そう言って勇者はすぐに起き上がった。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 22:22:37.37 ID:6KyImlBIO
(`・ω・´)!
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 22:26:32.36 ID:GqTOxPHSO
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/17(金) 01:50:21.44 ID:tZ9IOqBho
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 07:25:37.95 ID:+Hxga3IIO
おつる
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/17(金) 09:14:46.64 ID:CCIZy3VX0
BGMはFF4の中ボスなんだぜ・・・
183 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/17(金) 22:30:27.22 ID:iO+wZUwx0
賢者「あの金の鱗、相当厄介ね・・・」

勇者「オリハルコンでできた王者の剣でもあれくらいの手傷しか負わせられないなんて・・・鱗の下も相当硬い。このままチマチマやってたんじゃあ先にこっちがやられちまう!」

グレイトドラゴン「さすがは勇者。わたしに手傷を負わせるとはな。だがこんなものじゃあわたしは倒せンぞ!!」

賢者「いよいよ手詰まりね・・・」

勇者「なにかいい方法はないのか・・・」

賢者(金の鱗・・・はっ!そうだわ。その手があったわ!)

賢者「勇者!ライデインよ!あいつの鱗が導体である金で出来ているなら、電気をよく通すはずよ!!」

勇者「そうか!その手があったか!!おまえは寝てたから知らないだろうが、ちょっとパワーアップしたんだぜ。見てろよ!」

勇者はギガデインを唱えた!!
勇者の身体から凄まじい、いかずちがグレイトドラゴンに向けてほとばしる!!

グレイトドラゴン「ギュグアアアアアアアア!!!!」

金の鱗を介してグレイトドラゴンの身体を超高圧の電流が襲う!!

グレイトドラゴン「熱い・・・熱いィィィィ・・・」

金の鱗が通電により発生した電熱で高温になりグレイトドラゴンの身体を蒸し焼きにする!!

賢者「やったわ!効いてる!今のは・・ギガデイン・・?」
184 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/17(金) 22:31:40.76 ID:iO+wZUwx0
グレイトドラゴン「ギュアアアア!!」

グレイトドラゴンは地面に向けて凍える吹雪を吐き出した!!
自らの身体の周囲の温度が下がり、金の鱗が冷却されていく!

グレイトドラゴン「ハァ・・・ハァ・・・ギガデインか・・・まさかこの金の鱗の鎧にもこんな弱点があったとはな・・・」

賢者「なんてタフなヤツなの・・・」

勇者「まずいな・・・打ててあと二発だ。それ以上はMPが足りない・・・」

グレイトドラゴン「わたしはお前達を少し見くびっていたようだな。わたしの身体がギガデインに何発耐えたれるかはわからないがここからは手抜き無しでいかせてもらう!!」

グレイトドラゴンは翼を突き出し、地面を蹴った!!
勇者に向かって巨体がとてつもないスピードで跳んでいく!!

勇者(はやいっ!!)

勇者は遠くまで吹き飛ばされた!!

賢者(勇者!!・・・大丈夫・・・あの程度では死なないはず!あたしの攻撃はコイツには通らない・・・出来ることをするだけ!!)

賢者はラナリオンを唱えた!
みるみるうちに雨雲が呼び寄せられ、大雨が降り出した!

グレイトドラゴン「なるほど、雨を降らせて火炎の威力を弱めようって魂胆か。ただのドラゴン属相手ならば有効な手段だがな・・・」

グレイトドラゴンは冷たく輝く息を吐き出した!!

賢者はベギラゴンを唱えた!
火炎の壁が冷気を防ぐ!
しかし雨で火炎が大きくならない!!

グレイトドラゴン「貴様の呪文の威力も下がることと、わたしが冷気を扱えることをわすれるなよっ!!」
185 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/17(金) 22:35:11.73 ID:iO+wZUwx0
賢者の身体が足下から凍りつきはじめた!

賢者「うっ・・・」(ここまでは計算どおり・・・勇者、早く戻ってきて!)

その時、勇者がルーラで飛行してもどってきた!!

勇者「うおあああああ!!」

勇者はギガデインのいかずちを帯び、グレイトドラゴンに体当たりした!!

グレイトドラゴン「キュオオオオオオオオオ!!!」

鱗の間をすり抜け、地肌に浸透した雨水が電流の通り道を作る!!

賢者「さっきより効いているわ!!」

グレイトドラゴン「う・・ぐ・・・さ、さあ・・あと何発撃てるのかな・・?」

グレイトドラゴンは黒焦げになりながらも立ち上がってくる。

勇者「不死身かこいつ・・・」(まずい・・・あと一発。多分コイツは耐えるだろう。コイツを確実に倒せる方法はないのか・・・)

賢者はベギラマを唱えた!
凍り付いた足下の氷が溶けた。

賢者「まずいわ・・・MPを使いすぎね・・・もう呪文は唱えられない。」
186 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/17(金) 22:38:45.01 ID:iO+wZUwx0
グレイトドラゴン「まずはチョロチョロとうざったい貴様からやってやる!!」

グレイトドラゴンは賢者に襲いかかった!!

賢者(身体に力がはいらない・・・っ)

勇者「あぶないっ!!!」(くそっ!いちかばちかやってみるしかないかっ!)

勇者は襲いかかって来るグレイトドラゴンにタイミングを合せ、その身体を真っ二つに切り裂いた!!

グレイトドラゴン「な・・・に・・・」

賢者「なっ!?なにをしたの!?」

勇者「ギガデインのエネルギーを剣に集中して斬りつけたんだ。まさかこんなに切れ味がよくなるなんて・・・」

グレイトドラゴン「くっ・・・見事・・だ・・っ」

グレイトドラゴンの亡骸は砂になってしまった。

賢者「魔法剣・・・あんたそんなもの使えたの?」

勇者「さっきいかずちを帯びて体当たりした時に気付いたんだ。剣のみに集中したらどうなるんだろうってな。こんなにうまくいくとは思わなかったよ。」

賢者「あなたの思いつきもたまには役にたつのね・・・」

勇者「助かったんだから憎まれ口を叩くなっての。」

賢者「ふふふ。あっ・・・腰抜けちゃった・・・」

勇者「ははは!ほらよ。」

勇者は手を差し出した。

賢者「あ、ありがと。」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/17(金) 23:43:41.39 ID:hCU9Qn6Oo
ギガデイン+斬撃 だとギガスラッシュ?
それともギガブレイク?
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/02/18(土) 00:10:26.73 ID:hlTAf830o
ラナリオンて何
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 00:26:13.13 ID:JewaY6jSO
>>188
Google先生に聞いてみろ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/18(土) 00:27:23.00 ID:lhfwK+0Ao
>>188
ダイの大冒険に登場するオリジナル呪文で、雷雨を喚ぶ天候操作呪文
天候補正で低レベルでもライデインが使えるようになる
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 00:55:42.93 ID:sOkJ2boIO
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 02:47:15.10 ID:ZEO/FJa0o
>>187
ラナリオンでてるからギガブレイクじゃね?
バランさんかっけーす!
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/18(土) 03:30:24.08 ID:hlTAf830o
ありがとう二人とも
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 15:27:31.89 ID:Te/4f8WLo
ギガクロスブレイクッ!!
195 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 18:41:57.11 ID:Sc0HpuNm0



【勇者の洞窟】

賢者「結局またここで休養をとるハメになったわね。」

勇者「そうだな・・・アイツは強かった。さすが四魔将最強ってだけはある。」

賢者「逆に考えればアイツより強いのは竜王しかいないってことにもなるわ。」

勇者「まあ、竜王があれより強いってなら勝てるかわかんねえけどな・・・」

賢者「あたしたちも強くなっているんだからきっとなんとかなるわよ。ねっ?ホイミン。」

ホイミン「うん!回復は任せて!」ヒョコ

勇者「やれることをやるしかないよな・・・」

賢者「ええ。」

勇者「今日はもう休もう。」
196 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 18:44:01.35 ID:Sc0HpuNm0




勇者「よし、出発だ。ルーラで空を飛んで行くのは楽だけど、目立つ。だから歩いて行こうと思うんだけど、どう思う?」

賢者「あたしもそれがいいと思うわ。」

勇者「じゃあ決定だな。ドムドーラ跡にはここから南に1日半ほど歩けば着くはずだ。」

勇者たちは南に向かって歩き始めた。




賢者「いたっ!」

賢者は何もないところで何かにつまづいてしまった!

勇者「どうした?」

賢者「こ、こいつは!」

勇者はふと賢者の足下を見た。

勇者「マドハンドか・・・放っておけよ。そんなに害があるモンスターじゃないし。」

賢者「そうね。」

賢者は足下のマドハンドを無視して歩きだした。

勇者「足下くらいよく見てあるけよn・・・」

勇者は振り返りながら絶句した。
なんと賢者の後を大量のマドハンド追いかけて来ていた!!

勇者「おい!賢者、後ろ!」

賢者「!!!」

二人は戦闘に移る体勢をとった。

勇者「ざっと10匹そこそこか・・・中級呪文で一層d」

マドハンド達がその身を寄せ合い、みるみるうちに合体していく!

賢者「マドハンドに合体能力ですって!?」

マドハンドたちは巨人のような形にその姿を変えた!
だいまじんがあらわれた!
197 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 18:55:37.87 ID:Sc0HpuNm0
賢者「なによ!アレフガルドは平和なところじゃなかったの!?」

勇者「そうでもなかったみたいだ・・・」

だいまじんはその太い腕で殴りつけてきた!!

勇者「おっと!」

勇者はひらりと身をかわした!

賢者「こいつ、攻撃力と防御力は高そうだけど素早さがないわね。」

勇者「俺に任せてくれ!」

勇者はだいまじんの真上に飛び上がると、そのまま剣を振り下ろした!

だいまじん「ウオオォォォ・・・」

勇者がだいまじんの身体を一刀両断すると合体が解け、数匹のマドハンドに戻った!

勇者「賢者今だ!」

賢者「わかったわ!」

賢者はイオラを唱えた!
巻き起こった爆発はマドハンドたちを吹っ飛ばした!!

まもののむれをやっつけた!

勇者「さすが王者の剣。今の俺なら石相手でも斬れる。グレイトドラゴンがいかに硬かったかがわかる・・・」

賢者「何故マドハンドがあんな能力を?竜王の魔力が影響しているのかしら。」

勇者「かもな。」
198 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 18:58:29.73 ID:Sc0HpuNm0
【竜王の城】

竜王「グレイトドラゴンが敗れただと・・・?それまでに勇者は強力だというのか・・・正直残りの四魔将では歯が立たぬかもしれぬな。ここらで手を打っておくか。」

竜王は目を閉じて念じ始めた。

竜王〈お前達・・・わしだ。聞こえているか?これからお前らのもとに旅の扉を開く。それを通って魔界にくるがいい。特別に素晴らしいチカラを授けてやろう・・・〉



【ドムドーラ砂漠】

勇者「さ、寒いぞ!!砂漠が寒いってのはどういうことだ!?」

賢者「太陽が出てないからじゃない?砂漠の夜は寒いのよ。」

勇者「上の世界に砂漠なんてあんのか?」

賢者「あるわよ。イシスって砂漠に覆われた国で、昔はそれはそれは綺麗な女王様が治めていたのよ。」

勇者「女王様・・・」ゴクリ

賢者「むっ。何にやけてんのよ!」バシッ

勇者「いてっ!そ、想像するくらいいいだろぉ!」

賢者「ふん。」

勇者「もしかして妬いてんのか?」

賢者「口の中に火の球突っ込まれたい?」

勇者「調子にのりましたごめんなさい・・・」
199 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 19:01:08.86 ID:Sc0HpuNm0
【竜王の城】

竜王「よくぞ来たな、お前達。」

ずしおうまる「お久しぶりでございます。竜王様。」

ゴ−ルデンゴ−レム「・・・」

竜王「よいよい。楽にせよ。さっそく本題に入るが、ローズバトラーとグレイトドラゴンが勇者に敗れたことは知っていよう?」

ずしおうまる「はい。」

ゴ−ルデンゴ−レム「・・・」

竜王「四魔将の二つが落とされるほどに勇者のチカラは侮れんということだ。お前達のチカラは信じているが、いささか心配になってしまってな。そこでお前達に更なるチカラを与えようと思ってな。」

ずしおうまる「ありがたき幸せでございます。」

ゴ−ルデンゴ−レム「・・・ありがとうございます・・・」

竜王「では始めるぞ。」

竜王はそれぞれに手をかざし念じた。
そしてその手を合掌するように合わせた!

ずしおうまる「なっ!?身体がひきよせらる!!竜王様、なにを・・・」

ゴ−ルデンゴ−レム「・・・!?」

ずしおうまるとゴ−ルデンゴ−レムの身体がぶつかると、中心で螺旋を描くように混ざり合い、新たな魔物が産まれた!!

竜王「フハハ。やはり素材がいいと、出来がいい・・・魔人の誕生だ!!フハハハハハハ!竜王が命ずる!勇者達を抹殺して参れ!」

*「御意に。」
200 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 19:03:57.71 ID:Sc0HpuNm0
【ドムドーラ砂漠】

勇者「この分ならもうすぐドムドーラにつくけど、今日はかなり歩いたしここらで野宿するか?」

賢者「ええ。疲れを残してはいけないものね。」

勇者「じゃあここでテントでも張って寝るか。」

賢者「・・・でもまだあと一仕事残ってるみたいね。」

勇者「え?」

賢者「あれを見て。」

賢者が空を指すと数匹の鳥形の魔物がこちらに向かってくるのが見える。

勇者「キメラか・・・人間のにおいを嗅ぎつけたか。」

キメラたちは予想どおり勇者たちに襲いかかってきた!

賢者「まかせて。」

賢者はバギクロスを唱えた!
十字型の真空の刃がキメラたちを切り刻む!

賢者「数匹かわされたわ!」

勇者「まかせろ!」

勇者は嘴を立てて急降下してくるキメラをかわし、まわしげりを叩き込んだ!

キメラ「ピ・・ピギュ・・・」

空中で機を伺っていたキメラ達は逃げて行った!

まもののむれをやっつけた!
201 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 19:06:11.68 ID:Sc0HpuNm0
勇者「ふぅ・・・」

賢者「おなか減ったわね・・・もう食料も底をついてきてるわ・・・」

勇者「食料ならそこにあるだろ?」

賢者「え?どこによ?」

勇者は倒したキメラの死骸を指さした。

賢者「まさかこれを食べるっていうの?」

勇者「ああ。鶏肉みたいでうまいぞ?」

賢者「あなた食べたことあるの!?」

勇者「あるよ。旅してた時に食料が尽きちゃってな。」

賢者「やっぱり、焼くの・・・?」

勇者「そう。」

ホイミン「・・・」ブルブル

賢者「ちょっと!ホイミンが怯えてるじゃない!!」

勇者「ふふふ・・・ホイミンもそろそろ食べ頃かなぁ・・・?」

ホイミン「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

勇者「ハハハ!冗談だよ冗談!」

賢者「冗談に聞こえないわよ・・・」

ホイミン「・・・」

賢者「あ、また白目むいてる・・・」
202 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 19:07:20.58 ID:Sc0HpuNm0



勇者「いただきまーす!」

勇者はキメラの肉にかぶりついている。

賢者「うわぁ・・・」

勇者「お前らも食ってみろって!見た目は良くないけどうまいぞ?俺はこの腹の皮のとこが好きだな。」

賢者「う・・・」

賢者は恐る恐る一口かじりとって食べてみた。

賢者「ん!!!・・・・・おいしい!」

勇者「だろっ!?意外と臭みもないしな。」

ホイミン「・・・」

勇者「ホイミンもどうだ?」

ホイミン「僕は水でいいよ・・・」

勇者「なんだ?まだ怒ってるのか?」

ホイミン「お兄さんのばかっ!」

勇者「まあそう言うなって!また明日からも回復役頼むぞ?」

ホイミン「ふんっ!もう脅かしたりしないでよね!」

勇者「はいはい。わかったよ。」

賢者(フフフ・・・)
203 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 19:08:36.38 ID:Sc0HpuNm0
他愛のない談笑をし、夜も更けて二人と一匹は眠りについた。





勇者「ん・・・」(眠れない・・・星でも見るか。)

勇者はテントから外に出て星を眺めることにした。

勇者(父さん、母さん。カタキは必ず・・・)

賢者「眠れないの?」

賢者がテントから這い出してきた。

勇者「起きてたのかよ。」

賢者「ねえ?ちょっと気になったことがあるんだけどいい?」

勇者「なんだ?」

賢者「あなたって両親はどこにいるの?」

勇者「なんでだ?」

賢者「ルビス様に会った時、王様や王妃様のこと以外聞かなかったじゃない?だからもしかしてもう亡くなっているのかと思って。」

勇者「・・・ああ。亡くなったよ。」

賢者「やっぱり・・・」

勇者「竜王の手にかけられてな・・・」
204 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/20(月) 19:10:08.68 ID:Sc0HpuNm0
賢者「・・・・・・念のため聞くけど、王様と王妃様が両親とか言わないわよね?」

勇者「・・・」

賢者「その沈黙は肯定に等しいわよ。」

勇者「・・・ああ。そうだ。俺、実は王族なんだ。」

賢者「ルビス様に会った時から何となく勘づいてはいたけれど、驚いたわ・・・ロトの血筋は王族と交わっていたのね。」

勇者「竜王がアレフガルドに現れて真っ先に襲ってきたのはラダトームだ。そして俺の目の前で妹のローラを連れ去っていった。今思えばこれが罠だったんだ・・・」

賢者「罠?」

勇者「ロトの血を受け継いでいるのは父さんの方なんだけど、父さんはもう歳だし戦うことに関しては素人だ。竜王は俺に素養があることを見抜き、そして妹をさらった。城の兵士をしていたと前に言ったけどそれは本当で、そこそこ腕はたつ方だった。妹を自力で助け出し、俺は竜王を討つ決心をした。そして竜王はロトの末裔である俺をまんまと自らの居城に足を運ばせることに成功したんだ。」

賢者「王子で兵士だったのね。そして、上の世界に飛ばされたの・・・」

勇者「そうだ。俺が上の世界へ飛ばされた後、両親を殺したのも子を作らせないためだと思う。俺は上の世界で老いる。そうしてロトの芽は紡がれるはずだったんだ。」

賢者「でもあなたはここにいる。」

勇者「そうだ。竜王の誤算はギアガの大穴以外のルートでアレフガルドへ来られることを知らなかったこと。必ず後悔させてやる。」

賢者「そうね。それはあたしたちにしか出来ないことだものね。」

勇者「ああ。着いてきてくれたお前やホイミンには本当に感謝してる。」

賢者「別にあたしだってボランティアでやってるわけじゃないわ。大切なものを守るためよ。」(ちょっと増えたけど。)

勇者「そうか。話を聞いてくれてありがとう。今日はもう寝よう。」

賢者「ええ。」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 22:49:21.92 ID:nunknTCIO
(`・ω・´)乙
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/02/20(月) 22:52:47.05 ID:HNNR6pCyo
賢者はいつデレるんだ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 23:58:04.26 ID:7biG6CkSO
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 16:57:16.52 ID:7KQdKSdIO
ずしおうまるとゴールデンゴーレムで何できるっけ
209 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/02/21(火) 18:03:41.91 ID:yfuc/u7D0
>>206

可愛げがないとこが気に入ってるのであからさまなのは多分ないかとww
すみませんw
210 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:15:37.66 ID:yfuc/u7D0
勇者「よし、そろそろドムドーラへ出発するか。」

賢者「ねえ?ちょっと気になったことがあるんだけど。」

勇者「ん?」

賢者「あたしたちは四魔将のうちの2体を倒したじゃない?」

勇者「ああ。それがどうかしたのか?」

賢者「ルビス様はラダトーム、ドムドーラ、メルキド、リムルダールにそれぞれ四魔将が配置されて、魔方陣を守っていると言っていたわね?ローズバトラーはラダトームに配置された魔物だってことはわかるわ。じゃあグレイトドラゴンは?」

勇者「あ、そういえばどこにあいつの守っていた魔方陣があるかわからないな。」

賢者「もしかしたらドムドーラかもしれないわね。」

勇者「まあ行って確かめるか。魔方陣に魔力が残っていればそこはグレイトドラゴンの管轄じゃなかったってことになるし。」

賢者「そうね。」

勇者たちはドムドーラへの道のりを歩き出した。
211 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:27:49.14 ID:yfuc/u7D0
【ドムドーラ跡】

賢者「ここがドムドーラ・・・」

そこには荒廃して廃墟と化した街が広がっていた。

勇者「ここだけは前来た時と変わらないな・・・」

ホイミン「この街はなんで滅んじゃったの?」

賢者「ゾーマに滅ぼされたってことなの?」

勇者「いいや。この街は竜王に滅ぼされたんだ。竜王軍の襲撃に遭った第二の地域がここだ。」

賢者「でも何故?ラダトームにはロトの血筋があってそれを根絶やしにする目的があったとして、ここは何故襲撃されたの?」

勇者「ここには光の鎧が安置されていたんだ。」

賢者「光の鎧って・・・それのこと?」

勇者「ああ。この鎧がロトの血脈に渡ることを恐れてこの街を滅ぼし、鎧を配下の魔物に監視させていたんだ。」

賢者「なるほど。でもなんでそんな回りくどいことしたのかしら。竜王自身の手元に置いておくのが一番じゃない。」

勇者「この鎧は精霊の加護を受けてる。だから魔物達には容易に触れることは出来なかったんだ。」

賢者「それでこのやむなくこの場所に置いたまま魔物に見張らせたってわけね。でも盾と剣はどこにあったの?」

勇者「盾はラダトームに安置されていた。剣は竜王の城だ。」

賢者「何故竜王の城にロトの剣が?」

勇者「父さんから聞いた話だが、ロトがゾーマを打ち破ったあとに先祖がロトの剣のような強力な武器を人間が悪用しないためにわざと辺境の地であるゾーマの城に安置したんだ。」

賢者「ゾーマの城?」

勇者「ああ、言ってなかったな。過去にゾーマが居城としていた城に竜王が住み着いたんだ。」

賢者「へえ。やっぱり落ち着くのかしらね・・・あと、気になってたんだけどその兜はなんなの?見たことないデザインだけど。」

勇者「これか?これもラダトームに安置されてたものなんだけど出所は俺もしらない。裏地にPKPMZって刺繍があるんだがなんのことだかさっぱり・・・」

賢者「意味不明ね・・・」

勇者「まあ、守備力はそこそこあるからいいんだけどさ!」

賢者「ふーん。」
212 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:30:15.06 ID:yfuc/u7D0



勇者たちは街の中を探索した。

ホイミン「お兄さん!あれ!」

勇者はホイミンの触手が指すほうを見た。

勇者「魔方陣!!」

地面に描かれた魔方陣はぼんやりと怪しい光を放っている。

賢者「しかも魔力を失っていないわ・・・」

勇者「この近くに守護者がいるっていうのか!?」

賢者「でもさっきから街の中を徘徊していたけど全くそんな気配はなかったわよ?」

勇者「気味が悪いな・・・」

*〈勇者たちよ・・・〉

勇者「だれだっ!?」

*〈わたしはそこにはいない・・・その魔方陣越しにお前達にはなしかけているのだ。ここより南西、メルキドの地で待っているぞ。〉

賢者「メルキド・・・ドムドーラの守護者がメルキドにいると言うことは、2体同時に相手をしなければならないということ!?」

勇者「おい、待てよ!」

*〈お前達のような強者とやり合える機会を下さった竜王様に感謝しなくてはならぬ・・・わたしをがっかりさせるなよ。〉

魔方陣から聞こえていた声は聞こえなくなった。
213 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:31:07.80 ID:yfuc/u7D0
勇者「・・・」

賢者「やられたわ。グレイトドラゴンが四魔将最強だから残りはそれ以下と思っていたけれど、二体同時に戦闘するハメになるなんて・・・」

勇者「さすがにキツイな・・・でもやるしか・・・」

賢者「覚悟するしかないわね。」

ホイミン「二人ならきっと大丈夫だよ!」

ホイミンが不安を隠せない顔で言った。

勇者「そうだな!やるしかないんだもんな!じゃあ早速メルキドに出発しよう。」

賢者「ええ。」

勇者「メルキドはここからだと少し遠い。あまり目立って行動すると移動中に発見されて二体同時に相手することになると思ってたけど、もう関係ないよな?」

賢者「どうせ待ち構えているんだから関係ないわね。ルーラでいきましょ。」

勇者「よし、覚悟はいいか?」

賢者「大丈夫よ。」

勇者はルーラを唱えた!
214 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:32:36.77 ID:yfuc/u7D0
【メルキド】

賢者「すんなりと来れちゃったわね。」

勇者「ああ。」

賢者「この街、所々に高い壁のようなものがあるけどあれはなんなの?」

勇者「ここは城塞都市と言われててな。でっかい防壁に覆われていたんだ。でも魔王軍の攻撃で相当ダメージを受けたと見える・・・」(今じゃ門番もナシか・・・)

賢者「今じゃどこの街にも人間は居ないし、滅んでしまったみたいなものね・・・」

*「待っていたぞ・・・」

勇者たちが街を歩いていると目の家屋が真っ二つになった!!

勇者「!?」(こいつ・・・強い。)

両刃の変わった武器を持った、褐色の肌の魔人が姿を現した!!

賢者「さっそくお出ましね・・・」

*「わたしの名はデュラン。まずここに足を運んでくれた事に感謝しよう。」

勇者「四魔将の一人か・・・もう一体はどこにいる!!

デュラン「四魔将はわたしが最後の一人だ。」

賢者「それじゃあ三体じゃない。」

デュラン「教えてやろう。わたしは四魔将の二体を竜王様と進化の秘宝の魔力でかけあわせ産まれたのだ。もっとも、産まれる前の記憶は持ち合わせていないがな。」
215 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:34:25.48 ID:yfuc/u7D0
勇者「かけあわせる・・・だって?融合したってことか?」

デュラン「そのようなものだ。そんなことはどうでもいい。わたしはお前達と戦いたくてうずうずしているのだ!さあ!早く剣をとれっ!!!」

勇者は身構えた!

デュラン「ククク!血湧き、肉躍る!!ゆくぞっ!!!」

デュランは武器を振るい真空波を巻き起こした!

賢者「まかせてっ!!」

賢者はバギクロスを唱えた!!
二つの真空の刃が衝突を起こし相殺する!

デュラン「ククク・・・いいぞ。もっと楽しませてくれっ!!」

デュランは手に持った武器を回転させ、賢者に投げつけてきた!!

賢者「!」

勇者「させるかっ!」

勇者は賢者の前に立ちはだかり盾で攻撃を受け止めた!

デュラン「甘い!!」

デュランは投げつけた武器に追従するように迫ってきていた!

勇者「!?」

デュランは一瞬にして勇者の真横に移動し、強烈な蹴りを放った!

勇者「がはっっ!!?」

賢者「きゃっ!?」

勇者は蹴りを受け、賢者もろともガレキの中に吹っ飛ばされた!

デュラン「おいおい、がっかりさせてくれるなよ。」

デュランは弧を描いて戻ってきた武器をキャッチした。

もうもうと立ちこめる砂埃の中から巨大な火の玉がデュランに向けて飛んできた!

デュラン「むっ。」

デュランは手に持った武器で火の玉を真っ二つに切り裂いた!

デュラン「クックク!そう来なくてはな!!」
216 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:35:58.34 ID:yfuc/u7D0
砂煙の中から二人が姿を現した。

賢者「極大呪文でもノーダメージなんて・・・」(あたしの魔力が足りないからなの?)

勇者「こいつ、強い!!」

デュラン「愉しい。愉しいぞ。もっと愉しませてくれ!!」

勇者「こんどはこっちからいくぞ!」

勇者はデュランに飛びかかり、素早く何度も攻撃した!

デュラン「クク・・・心地よい。」

デュランは余裕の表情で持った武器を使い剣戟をさばいている!

勇者「くっ・・・」

勇者は一旦うしろに下がった。

勇者(こいつ隙がまったくない・・・)

デュラン「ククク・・・可愛い奴らだ。殺してしまうのがもったいないッ!!」

デュランが念じると黒い球体が現れ、二人の間を駆け巡った!!

勇者「ぐああっ!!?」

賢者「きゃ・・・っ!?」

黒い球体は二人に直撃した!

勇者(お、重い・・・なんだこれは。魔法攻撃じゃあないみたいだな・・・)

ホイミン「二人とも大丈夫!?待ってて!」

ホイミンはベホマラーを唱えた!
二人のダメージが回復した!

勇者「サンキューホイミン!」

賢者「助かるわ・・・」
217 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:37:56.38 ID:yfuc/u7D0
賢者(今のも魔法じゃないようだし、補助呪文や攻撃呪文も使って来ない。強靱な肉体のみを使って戦うタイプのようね・・・でもケタが違いすぎるわ。あたしたちが全くダメージを与えられないなんて・・・)

デュラン「どうした?もうネタ切れか?」

勇者「まだだァ!!」

勇者はギガデインを唱えた!
天上から王者の剣に向けて激しい、いかずちが降って来た!
王者の剣は黄色い閃光を放っている。

デュラン「むっ。」

勇者「そりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

賢者「補助は任せて!」

賢者はピオラを唱えた!
勇者の素早さが倍になった!

勇者は気合いを入れて素早くデュランに斬りかかった!

デュラン(早い!)

デュランは間一髪のところでひらりと身をかわした!

勇者はそれにあわせて立て続けざまに斬りつけていった!!

しかしことごとくかわされてしまう!

デュラン(この技は受けられない。恐らく切れ味が極端に上昇している・・・)

勇者(こいつ・・・どういう技なのか見抜いてやがる!!)
218 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:38:55.69 ID:yfuc/u7D0
デュランに攻撃をかわされているうちに王者の剣は光を失ってしまった!

勇者「ちっ。」(やっぱりそう長くは持続しないか・・・)

デュラン「強力な技だ・・・ギガデインのエネルギーを剣に帯びさせるとは。だが触れなければ良いだけのこと!」

勇者「くっ・・・」(グレイトドラゴンをも真っ二つにした技だ・・・当たりさえすれば勝てるはずなのに・・・)

賢者(グレイトドラゴンを倒したあの技も、当たらなければ意味がない・・・)

デュラン「今度はこちらからいかせてもらうぞ。」

デュランが腕を上げると巨大なガレキたちが宙に浮かびはじめた!

勇者「げっ!」

賢者「そんなことも出来るのね・・・」

デュラン「よけきれるかなっ!?」

デュランが腕を振り下ろすと無数の巨大なガレキたちが二人にむかって飛んできた!!

賢者「こんなのよけきれるわけないでしょ!!」

賢者はイオナズンを唱えた!!
想像を絶する大爆発がガレキを木っ端みじんに吹き飛ばした!!

勇者「おお!さっすが!」
219 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:40:14.22 ID:yfuc/u7D0
ホッとしたのもつかの間、爆煙の中からデュランが飛び出してきた!

勇者「危ない!!」

勇者は賢者を庇って目の前に立ちはだかった!

デュラン「そぉらっ!!!」

デュランは力強く斬りつけてきた!

勇者「うぐうううっ!!?」

デュランの攻撃は勇者の盾を真っ二つにし、光の鎧を突き破って勇者の脇腹をかすめていった!!

賢者「勇者!!あなた、あたしを庇って・・・」

勇者の脇腹から血が噴き出している!

勇者「くっ・・・大丈夫だ。気にするな。」

ホイミン「待ってて!今治してあげるから!」

ホイミンはベホマを唱えた!
勇者の傷が回復した!

勇者「ありがとうホイミン。」(傷はふさがったけど、血を出しすぎだな・・・オリハルコンでできた防具が壊されるなんて・・・)

デュラン「ククク!残念だったな。コイツもオリハルコン製だ。」

勇者「そういうわけか・・・」(マズイ・・・早く勝負
をつけなければ。あの攻撃さえ当たれば・・・)

220 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:42:57.44 ID:yfuc/u7D0
デュラン「さあ、回復するまで待ってやったのだ。まだまだ愉しませてくれよ?」

勇者「わかってらい!!」(とにかくやってみるしかない!)

勇者は半分に切り裂かれてしまった盾を捨て、王者の剣を両手に構えた。

デュラン「ほう。防御を捨てるかっ!!ますます見所のあるやつだ。」

勇者はギガデインを唱えた!
王者の剣が黄色い閃光を帯び始めた!!

デュラン「そうだ!それしかわたしにダメージを与える術はない!当たればの話だがな!!」

勇者「うぁぁぁぁぁぁぁ!!」

勇者はデュランに斬りかかり、何度も切りまくった!

デュラン「確かに両手に持ち替えてスピードと威力は上がっているが、かわせないものではない!」

勇者(くっ、こんな近い射程にいるのに紙一重でかわされる。もうすこし、もうすこしなのに・・・そうだ。いいこと考えたぞ。ダメでもともと、やってみるか!!)

デュラン「クックク!早くしないとまたMPの無駄遣いだぞ!!」

賢者(何をしようとしているのかわからないけど少しでも隙を・・・)

賢者はメラゾーマを唱えた!
巨大な火の球がデュランを襲う!

デュラン「今更こんなものが効くかっ!」

デュランは素手で火の球を打ち払った!!

デュラン「むうっ!?陰からもう一発だと!?」

デュランは二発目の火の球を真っ二つに切り裂いた!

賢者「今よ!!」

デュラン「ど、どこだっ!?」

勇者は切り裂かれた火の球の片割れの中から飛び出してきた!!

勇者「おりゃああああ!!!」

勇者は全力で剣を振り下ろした!!

デュラン「しまっ」

賢者(やった!?)

デュラン「なんてなァ!!」

デュランは紙一重のところを後方に跳んでかわした!!

勇者「まだだ!」

勇者の振り下ろした剣から三日月型の斬撃が飛び出した!!

デュラン「!!?」(避けきれんっ!!)

勇者(とった!!)

デュラン「はあっ!!」

勇者が勝利を確信したのもつかの間、デュランの身体からものすごい勢いで黒い霧が噴き出し、魔法効果を全て消し去った!!
221 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/21(火) 18:45:11.93 ID:yfuc/u7D0
勇者「な・・・」

賢者「そんな・・・」

デュラン「今のは少し肝を冷やしたぞ。そんな奥の手があったとはな。」

勇者(くっ・・・最後の賭けだったけど、一度見られてしまった以上もう同じ手は通用しない・・・)

デュラン「さて、そろそろお遊びも終わりだな。この霧の中では呪文のチカラはかき消される。もうギガデインは唱えられない・・・」

デュランはゆっくりと勇者に向かって近づいてくる。

賢者はメラゾーマを唱えた!
しかし黒い霧が魔法力を吸収した!

賢者(やはり呪文はダメ・・・)

デュラン「呪文は唱えられないと言っただろう?お前達は全くの無力というわけだ。邪魔するならばおとなしくしていてもらおう。」

デュランが賢者に手をかざすと掌から凄まじい突風が巻き起こった!!

賢者「きゃっ!」

賢者は吹き飛ばされて壁に激突した!

勇者「くっ・・・うわああああああ!!!」

勇者は半狂乱でデュランに斬りかかった!

デュラン「見苦しいぞっ!!」パキィン!!

デュランは王者の剣を持った武器でへし折った!!

勇者「・・・!?」カランカラン

勇者は絶望のあまり放心状態になっている!
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/21(火) 19:27:35.13 ID:oQSPVQo8o
きた!と思ったらヤベェことになってる
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 20:05:01.40 ID:Q28KtjoIO
(;`・ω´・)ナンダト!?
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 20:44:13.73 ID:uLtLklhSO

ゾーマでさえ折るのに苦労した剣を・・・、年季かな?
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/21(火) 21:37:56.25 ID:pmIQQGEJo
予想をぶちまけたい気分だがよそう
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 22:08:56.84 ID:Msa4Rd6Oo
それでいい
227 :224 [sage]:2012/02/21(火) 23:31:32.49 ID:uLtLklhSO
>>1
>>225
申し訳ない
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 01:26:06.34 ID:y4vGPOGi0
てかオルテガの兜てwww
229 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:20:55.05 ID:W4/5r6u/0
勇者(やられる・・・)

デュラン「その強さを称え、一息に消してやろう。何か言い残すことはあるか?」

勇者「・・・早くやれよ・・・」

デュラン「ククク・・・ますますわたし好みの男だ。消すのが惜しくなってくる・・・しかし、竜王様の命令ならば仕方が無い。今楽にしてやるぞ・・・」

*〈おいおい!諦めちまうのかっ?〉

どこからともなく声が聞こえる。

勇者「だれだ!?」(この声はルビス様でもない・・・)

デュラン「何者だ・・・正体を現せ。」

*〈このままじゃお前達はひっくり返っても竜王には適わない。今回だけは特別に助けてやるよ。〉

勇者たちは不思議な光に包まれた!!

デュラン「何者か知らぬが、そうはさせるかっ!!」

デュランは勇者の首をはねるべく、武器を振り抜いた!

しかし、攻撃は空を切った!

勇者たちはデュランの目の前から姿を消した!

デュラン「ちっ。まさか、しくじるとは。なんだったのだ今の声は・・・」
230 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:23:55.90 ID:W4/5r6u/0
【レイアムランドのほこら】

メル・ミル〈・・・また会いましたね。〉

勇者「ここは・・・何故、上の世界に!?さっきの声はお前達なのか?」

メル・ミル〈いいえ。それはちがいます。〉

賢者「ん・・・」

賢者が目を覚ました。

賢者「えっ!?ここは・・・どうしてこんなところにいるの!?デュランは!?」

ミル・メル〈時は満ちました・・・〉

勇者「な、なにがだ?わけがわからない!どうなっているんだ!?」

ほこらの中央に置かれたラーミアのタマゴが胎動を始めた!!

ミル・メル〈不死鳥ラーミアよ、今こそ蘇れ!!〉

なんと巨大なタマゴの殻を自ら破り、七色の翼を持った美しい鳥が姿を現した!!

勇者「うお・・・すげえ・・・」

勇者は不可思議を忘れ、美しさに見とれている。

賢者「これが不死鳥ラーミア・・・何故・・・6つのオーブを集めた時、復活するんじゃなかったの!?」

ミル・メル〈本来ならばそうです。しかし今回は特別・・・前の主人による計らいです・・・〉

賢者(前の主人?それって・・・)

ラーミア「クルルェェェェェ!!」

ラーミアは産声を上げ、美しく大きな七色の翼を広げた!

ミル・メル〈さあ、ラーミアの背に!〉
231 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:27:36.71 ID:W4/5r6u/0
勇者と賢者は言われるがままにラーミアの背に飛び乗った!!

するとラーミアは勇者達を乗せ、吹き抜けになったほこらの天井から大空へ飛び出していった!!

勇者「うおおお!すげえ!飛んでる、飛んでるぞ!」

賢者「一体どこへ向かっているの・・・」

勇者「さあ・・・わからないことだらけだ。さっきまで死に直面していたかと思ったらいきなり・・・」

賢者「でも何者かに助けられ、どこかへ導かれているのは確かね・・・」

ホイミン「あれ・・・ここどこ?」

賢者「あなたはずっとローブに隠れていたからわからないかもしれないけど、あたしたち今空を飛んでるの。」

ホイミン「うわぁ!?でっかい鳥・・・何が起きてるの?」

勇者「それは俺たちにもわからない・・・多分もうすぐわかるさ。」

賢者「ん!高度が下がって来た。どこかへ着くわ。」

賢者は下をのぞき込んだ。

賢者「岩山?ノアニールの南東・・・なんでこんな場所に?」

ラーミアはゆっくりと岩山の頂上に降りていった。

勇者「なんだここ・・・なにもないぞ・・・」

ラーミアの脚が地に着いた瞬間、脚がズブズブと地面にめり込んでいく!

勇者「なっなんだこれ!?」

賢者「結界・・・なの?しかも目立たないように視覚的に迷彩されているわ・・・」

ラーミアの身体ごと勇者たちは結界を通過した。

勇者「城・・・?」

すると岩山に囲まれた大きな城が姿を現した!

賢者「上の世界にこんな場所があったなんて・・・」
232 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:31:08.81 ID:W4/5r6u/0
【竜の女王の城】

勇者「なんだここは・・・」

賢者「なにか不思議な雰囲気の場所ね・・・」

ラーミアは入口で待機している。

勇者「中に入れってことか?」

勇者たちは中に入っていった。

勇者「なんだここ?」

賢者「人の気配がないわ・・・」

窓から美しい光が差し込んでいる

*〈その光の中に入るんだ。〉

勇者「さっきの声・・・」

勇者たちは光の中に入った。

勇者「!」

賢者「!?」

勇者たちはどこかへと姿を消した。
233 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:34:34.18 ID:W4/5r6u/0

【天界】

勇者たちは不思議なチカラでどこかの塔のような場所へ移動した。

*「よく来たな・・・」

なんと二人の前に巨大な竜がフワフワと浮かんでいる!

賢者「モンスター!?」

勇者「で、でかい・・・」

*「モンスターとは失礼なことを言う奴らだ・・・わたしは神竜。全ての世界を統べる者。」

賢者「神竜ですって!?」

勇者「何か知ってるのか?」

賢者「ロトの伝記の最後に登場した竜の神様よ。あの部分は作り話だと解釈していたのに・・・」

*「さっきは危なかったな!」

二人の背後から声が聞こえた。

勇者(この声は!さっきの!)

二人が振り返るとそこには男が立っていた。

勇者「だれ?」

*「まだ、わからないか?」

賢者「・・・ロト・・・?」

ロト「おっ!勘のいい姉ちゃんだな!」

勇者「ロ、ロトだってェェェ!?」
234 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:36:56.52 ID:W4/5r6u/0
ロト「えーと、まずなにから話したらいいかな・・・」

ロトは困ったように頭をかきあげた。

賢者「伝記通りだとここは天界ってことになるけど?」

ロト「おお。そうだ。ここは天界。死んだやつが来るとこだ!」

勇者「え・・・?じゃあ俺たち死んだのか。助かってないじゃん・・・」

ロト「えっとーそうじゃなくて、死後の世界って言うのかな?」

勇者「やっぱり死んでる・・・」

ロト「じゃなくて・・・なんて言えばいいんだ?」

神竜「ええい!お前は黙っておれ!話がややこしくなる!わたしが説明しよう。」

神竜は理路整然とした調子で二人に説明を始めた。

神竜「まずお前達は死んではいない。本来この世界に人間が来られるのは死後のみ。簡単に言えばここはお前達が想像する天国のようなところだ。で、どうしてお前達が生きたままここへ連れてこられたかと言うと、そこにいる説明が下手な男の計らいにわたしが手を貸したからだ。」

ロト「もっとマシな紹介ないのかよ・・・」

神竜「お前達の世界が今魔の手に墜ちようとしている事はここから見ているのでよくわかっている。しかしお前達のチカラだけでは竜王を倒すことは不可能だ。」

賢者「そう・・・あなたのチカラをもってしても竜王は倒せないの?」

神竜「戦ったならば、わたしが勝つだろう。」
235 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:38:15.89 ID:W4/5r6u/0
賢者「じゃあどうして竜王と戦ってもらえないのかしら?」

神竜「わたしがここで見ているのはお前達の世界だけではない。世にはお前達が知らない世界が平衡していくつも存在するのだ。」

賢者「平衡世界・・・」

神竜「わたしのような強大なチカラがひとつの世界に移動するとなると、たちまち世界の均衡は崩れ、他の世界に災いとなってふりかかる。」

勇者「俺たちの世界とは別の世界があんのか!すげえ・・・」

神竜「それに、わたしはお前達の世界が滅ぼうと関係がない。悠久の時を生きるわたしにとってはひとつの世界の誕生や終焉などごく小さな事。この天界に攻め入ってくるというならば話は別だが・・・」

賢者「では何故こんなことを?」

神竜「それはそこの説明が下手な男に聞いてくれ。」

ロト「竜王は強い。俺たちは大魔王ゾーマを打ち破ったけれど、俺の見立てでは竜王はゾーマよりも間違いなく強いと思う。そこで、お前達には天界で修行してもらうためにここに呼んだんだ!」

勇者「修行!?」

ロト「そうだ。」

賢者「でもそんなことしている間にアレフガルドは・・・」

ロト「そこは心配いらない。天界での1年は下界での1日ほどだ。」

賢者「どこかで聞いたような話ね・・・」
236 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/02/22(水) 18:41:48.46 ID:W4/5r6u/0
勇者「今の話が本当なら有り難いことだけど、神竜はどうして手を貸していてくれるんだ?」

神竜「それは」

ロト「俺が神竜との賭けに勝ったからだ!」

神竜「むむ・・・」

賢者「賭け?」

ロト「俺がまだ生きていた頃の話だ。ここで初めて神竜に会ったときに【わたしに勝てばなんでも1つ願いを叶えてやろう】って言われてな。」

勇者「勝ったんですか!?」

ロト「まあな。」

神竜「ちょっと待て。それではわたしが負けたような言い方ではないか・・・わたしが本気で戦えば天界は滅茶苦茶になってしまうから手加減してやったというのに・・・」

ロト「約束は約束だ。」

神竜「ふん。」

賢者「それでどんな約束をしたの?」

ロト「ゾーマは死に際にこう言っていた。【わしには見えるのだ。再び何者かが闇から現れよう・・・】とな。神竜との賭けに勝った俺は『次に俺たちの世界が闇に閉ざされようとしたとき、世界を救う手助けをして欲しい』という願いを神竜に言ったんだ。」

勇者「大魔王ゾーマは竜王が現れることを予期していたのか・・・」

ロト「ああ。本当は死んでしまった父さんを蘇らせるつもりだったんだけど、父さんならこうすると思ってな。」

賢者(ロトの父親・・・伝記によれば、大魔王の眼前まで辿り着くけど、辛くも無念の死をとげた人物・・・)

ロト「おしゃべりはこの辺にして、早速修行に移るか。お前は俺と来い。」

勇者「は、はい。」

賢者「あたしはどうすれば・・・」

ロト「姉ちゃんにもうってつけの修行を用意してある。しばらくそこで待っててくれ!」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/22(水) 19:01:56.80 ID:L1LFt5zjo
何だスカイドラゴンか
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 21:33:07.74 ID:NFmDIA2bo
おつう
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/22(水) 22:52:52.21 ID:cTJVwvjAo
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/02/24(金) 08:55:57.48 ID:Bl+wqmI40
そんなわけで天空にある公園のトイレにやって来たのだ
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/24(金) 09:52:38.61 ID:I5Qi+u1Mo
なんの修行するつもりだw
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 19:59:04.47 ID:ZOfbpPaIO
ω・`)
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 20:31:18.10 ID:mn7cJ55IO
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/28(火) 20:35:52.27 ID:t3yiUPTAo

  バン    はよ
バン(∩`・д・) バン  はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   
 ̄ ̄\/___/

    ドゴォォォォン!!
        ; '     ;
     \,,(' ⌒`;;)
   !!,' (;; (´・:;⌒)/
  ∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
Σ(* ・ω・)((´:,(’ ,; ;'),`
 ⊂ヽ ⊂ ) / ̄ ̄ ̄/
   ̄ ̄ ̄\/___/ ̄ ̄ ̄

          /\
     . ∵ ./  ./|
     _, ,_゚ ∴\//
   (ノ゚Д゚)ノ   |/
  /  /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ     ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
 _/_ミつ/ ̄/_
      /_/
245 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/01(木) 21:19:06.67 ID:3gHcAAaE0
更新滞ってしまってすみません・・・
投下します
246 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/01(木) 21:19:33.99 ID:3gHcAAaE0
更新滞ってしまってすみません・・・
投下します
247 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:23:52.24 ID:3gHcAAaE0
【闘技場】

勇者は不思議な雲に囲まれた空間に案内された。

勇者「ここは・・・?」

ロト「ここは闘技場だ。思いっきり暴れても大丈夫なように神竜に作ってもらった。」

勇者「は、はあ・・・」

ロト「そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名前はアレル。子孫なら名前くらい聞いたことあるだろ?ロトってのはアリアハンに伝わる称号のことだ。よろしくな。」

勇者「あ、はい。勇者って言います。よろしくお願いします。」

アレル「もっと楽に話していいぞ。名前も呼び捨てにしてくれていい。お前は俺の孫みたいなもんだからな。」

勇者「わ、わかった。」

アレル「それにしてもさっきの魔物はなんだァ?いくら長い年月が経っているとはいえ、俺の装備していた伝説の装備をいとも容易くバラバラにしやがって・・・」(しかし、この兜だけが無傷で俺の目の前に現れるとは、なんの因果かな・・・)

勇者「あ・・・」

勇者は改めて自らの姿を見た。

今にも真っ二つになりそうな鎧と柄だけの剣、盾に至ってはもはや使い物にならない。

アレル「お前は本当の武具の使い方ってもんがなってないな・・・よし。いい修行を思いついたぞ。」

勇者(今、思いついたって言ったぞ・・・用意してあったんじゃないのかよ・・・)

アレルは瞳を閉じて念じた。
すると目の前に巨大な岩が現れた!!

勇者「うわっ!」ドスン!

アレル「第一の修行は、この岩を素手で割ってもらう。」

勇者「ええっ・・・!?」
248 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:25:10.21 ID:3gHcAAaE0
賢者は不思議なチカラで神竜の目の前から姿を消した。

【蜃気楼の塔】

賢者「な、なにここ・・・」

*「やあ、いらっしゃい。」

賢者と同じ青みがかった髪をした男性が立っていた。

賢者「誰?」(魔法力で変色した青い髪・・・この人も【賢者】?)

*「キミがアレルの言っていた子だね?」

賢者「アレル?」

*「あー・・・勇者ロトと言えばわかるかな。」

賢者(ロトの名前ってアレルって言うんだ・・・初めて知った。)

*「初めまして。わたしの名前はカダル。アレルと共に大魔王ゾーマを倒した仲間の一人だ。」

賢者「!!」(この人が大賢者カダル・・・)

賢者「あたしの名前は賢者よ。」

カダル「賢者か、言い名前だ。キミはこれからわたしと一緒に修行することになるけど、何か疑問に思うことはある?」

賢者「この塔はなんなの?」(さっきから何かおかしい・・・ここにいるだけで気怠さを感じる・・・)

カダル「ほほーう。いいところに気がつくね。ここは蜃気楼の塔。【賢者】だけが住めるという特別な空間だ。」

賢者「【賢者】だけが住める?」

カダル「この空間はその場にいるだけで少しずつ魔法力を消費していく。魔法力のない者は生命そのものを消費してしまう。つまり、魔法力がここでは体力と同じ。高い魔法力のないものはここには住めない。それが【賢者】しか住むことが出来ないという所以。」

賢者(それでさっきから気怠さを感じたのね・・・)

カダル「第一の修行だ。キミにはしばらくここに住んでもらう。」

賢者「それが修行になるの?」

カダル「そうだ。食べるものや、着るもの、お風呂なんかは心配しなくていい。全部備わっているからな。普通に暮らしてくれればいい。」

賢者「は、はぁ・・・」
249 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:27:52.22 ID:3gHcAAaE0
【闘技場】

勇者「これを素手で割るなんて出来る訳ないだろ・・・」

アレル「そうだ。普通の人間にはできっこない。」

勇者「確かにこんなのを素手で叩き割るなんて普通じゃない・・・」

アレル「どうしてお前の装備していた武器、防具があんなになってしまったかわかるか?」

勇者「・・・そういえばなんでだ?」

アレル「オリハルコンは最強の硬度を誇る金属だ。武器に用いれば最強の矛となり、防具に用いれば最強の盾となる。あの魔人が使っていた武器もオリハルコンで出来ていたんだろ?じゃあ何が勝敗を分けたのか・・・それは闘気だ。」

勇者「闘気・・・?」

アレル「お前は闘気の扱いがまったくなっちゃいない。ここまでお前は装備の強靱さと呪文に頼って戦ってきた、違うか?」

勇者は今までの戦いを振り返ってみた。

勇者「確かにそうかもしれない・・・」

アレル「闘気を通した武器防具は鋭く、硬くなるんだ。武闘家が何故、拳ひとつで魔物と戦えると思う?」

勇者「あ・・・考えたこともなかったな・・・」

アレル「武闘家は自らの拳を武器として闘気をつかって戦っているんだ。と、まあ俺の下手くそな説明はここらにして。特別講師に交代しよう。フォン!来てくれ。」

アレルの向こう側から武闘着を着たポニーテールの小さな女の子が歩いてきた。

勇者「こ、この子は?」(かわいい。)

アレル「お前に闘気の使い方を教えてくれる特別講師だ。」

フォン「キミがアレルの子孫かぁ。少しの間だけどよろしくね。」

勇者「はっ、はい。」

アレル「見た目に騙されるなよ〜。怒ると大魔王でも手がつけられないからな〜!」

フォン「アレル、余計なこと言うならどこかにいってもらえる?」ゴゴゴ

アレル「おー怖っ!カミナリが落ちる前に退散するか・・・」

アレルはすごすごとどこかへ歩いて行った。
250 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:28:55.77 ID:3gHcAAaE0
【蜃気楼の塔】

カダル「じゃあ早速始めようか。あ、そうだその子は預かるよ。」

賢者「その子?」

カダル「ローブの中に隠れているホイミスライムのことだよ。」

賢者「あ、忘れてたわ・・・」

ホイミン「え?僕お姉さんと一緒がいい!」ヒョコッ

カダル「そうかい?でもこのままここにいると魔法力を吸われ尽くして干物になっちゃうぞ?」

賢者(そんなとこにいきなり放り込まないでよ・・・)

ホイミン「お姉さん!僕この人に着いてくよ!またあとでね!」

カダル「よし、いい子だ。」

賢者(薄情者・・・)

カダル「それじゃわたしはこれで。」

カダルとホイミンは姿を消した。
251 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:29:23.76 ID:3gHcAAaE0
【闘技場】

フォン「じゃあ早速はじめるよ。」

勇者「は、はい。」(かわいいけど、こんな子にこの岩が割れるのか?)

フォン「んんー?なにその疑いの眼差しは。」

勇者「いや、その・・・」

フォン「どうせこんなちびっ子にこの岩が割れるわけがない!とか思ってるんでしょ?」

勇者「そんなわけじゃ・・・」(そう、そのとおり!!!)

フォン「じゃあお手本、見せてあげる。」

フォンは岩に近づくと岩に向かって手刀を振り下ろした!

フォン「はっ!」ドゴォン!

なんとフォンは岩を真っ二つに叩きわってしまった!

勇者「・・・」

フォン「さ、キミもやってみてっ?」ニコッ

勇者(絶対、独り身だこの人・・・)
252 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:30:12.58 ID:3gHcAAaE0
【蜃気楼の塔】

賢者(突然ここで暮らせなんて言われてもなぁ・・・一体これがなんの修行になるんだか・・・)

賢者(扉は・・・)ガチャガチャ

賢者(鍵がかけられてる。)

賢者(これじゃ軟禁じゃない・・・)

賢者(勇者はどんな修行してるんだろ・・・いつもうっとおしいけど急に離れるとちょっと寂しいかも・・・)

【カダルの家】

カダル「さあて。お前は何を食べるんだ?」

ホイミン「僕はなんでも食べるよ。」

カダル「そうか?じゃあ適当に何か作ってやるよ。」

ホイミン「ありがと。」(なんだろう。なんかこの人と居るとお姉さんと一緒の時みたいに安心する。)

カダル(さあ、何日もつかな?あの子の魔法力だともって3日ってところか・・・)
253 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:30:46.47 ID:3gHcAAaE0
【闘技場】

勇者「はあはあ・・・」

フォン「キミ、センスないね・・・もっと力を抜かなきゃ。」(潜在的なものは結構良さそうなんだけどなあ。アレルの血筋ってのは危機が及ばないとチカラを発揮出来ないものなのかなぁ。)

勇者「だって力抜いたら割れないじゃないですか・・・」(手が痛い・・・)

フォン「いい?精神を集中して、右手に血液を集めるようなイメージで、叩く!!」ドゴォン!

勇者「おおー。」

フォン「さあやってみて。」

勇者「精神を集中・・・血液を右手に・・・はっ!!」ベシッ

勇者「いだああああああ!!!」

フォン「はあ・・・先が思いやられるなぁ・・・」
254 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:32:14.40 ID:3gHcAAaE0
【蜃気楼の塔】

賢者(あれから少ししか経ってないのにこの披露感・・・魔法力が吸い取られるってのは本当の話みたいね・・・)

賢者(あと何日このままなのかしら。)


【カダルの家】

カダル「どれどれー?」

カダルが水晶玉に手をかざすと賢者の姿が映し出された。

カダル「ふむ。いい感じで魔法力を放出しているようだね・・・」

ホイミン「あ、お姉さん!」もぐもぐ

カダル「こりゃこりゃ、ご飯を食べながら行儀悪いやっちゃなぁ。」

ホイミン「ふああい。」もぐもぐ

カダル(魔法力を回復するには自然治癒を待つしかない。しかし、蜃気楼の塔の内部では常に魔法力が吸い取られる状態になる。MPの自然治癒は全魔法力の量に左右される。つまり魔法力の自然治癒量と吸い取られる魔法力が等量かあるいは治癒量が上でなければ魔法力はどんどん失われていき、蜃気楼の塔で生活することは出来ない。さて、どこまで耐えるかな・・・)
255 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:39:39.82 ID:3gHcAAaE0
【闘技場】

勇者「あの・・・そろそろ骨折しそうなんですけど・・・」

フォン「うーん・・・」(このままじゃホントにラチがあかないわね。よっし、習うより慣れてもらうかっ!)

フォンは巨大な岩石を抱えて勇者に向かって放り投げた!!

勇者「!??」

勇者はとっさに身を丸めて防御した!

岩石は勇者に命中すると粉々に砕け散った!

勇者「いって・・・いきなりなにすんですか!!!」

フォン「やればできるじゃない。岩を見てごらん。」

勇者「え?」

勇者は粉々になった岩に目をやった。

フォン「さっきキミは攻撃して岩を割ろうとしてダメだったけど、飛んでくる岩に対して防御力を上げることは出来た。これは無意識に闘気をコントロールしている証拠だよ。今までの戦闘でも要所ではこんなふうに無意識的に闘気を使ってきたってこと。」

勇者「ほお・・・」

フォン「でもまだまだ荒い。これを意識的にコントロール出来なきゃ意味がない。それがこの修行の目的なの。わかる?」

勇者「はい。」

フォン「今日はこの辺にしておこっか。また明日ね。逃げたら容赦しないからねっ?」

勇者「は、はいっ!」
256 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:40:26.90 ID:3gHcAAaE0
【蜃気楼の塔】

カダル「んんーそろそろ3日経つか・・・どれどれ、様子をのぞいてみるか。」

カダルは水晶玉をのぞき込んだ。

賢者「・・・」

賢者はぐったりとうなだれている。

カダル「おっといけない。そろそろ助けてやらないと。」

カダルは水晶玉に手をかざし、念じた。

カダル〈おーい、きこえるかい?〉

賢者「・・・?」

カダル〈どうやらキミもそろそろ限界のようだね。今、蜃気楼の塔の魔法吸収を一旦解除してあげるよ。〉

カダルはなにやら呪文を唱えはじめた。

賢者(気怠さが消えてく・・・)

カダル〈よし。じゃあ今日は1日そこで休んでくれ。明日また話をしよう。〉

賢者「なんなの・・・よ・・・」

賢者は疲れ切った様子でベッドにバタリと倒れ込みそのまま眠りについた。

カダル(まあまあだな。)
257 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:40:52.60 ID:3gHcAAaE0
【闘技場】

勇者「はあ・・・はあ・・・やった!割れたぞー!!!」

フォン「これは・・・割れたと言うより、剥がれたって感じね・・・」

勇者が手刀を打ち付けた部分の岩がボロボロと剥がれている。

勇者「ダメ?」

フォン「ダメ。」

勇者「くっそー・・・」

フォン「まあ、3日前よりは上達してるよ。こんな可愛い子と一緒に修行出来るなんて、ストレスもぶっ飛ぶでしょ?」

勇者「そ、そりゃあ・・・もちろんですよ!」(可愛いは可愛いけど、YES以外の返答をすると首もぶっ飛びそうだな・・・)

フォン「今の間はなに?」ニコニコ

勇者「い、いや。なにも。」(笑顔が怖い・・・)
258 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/01(木) 21:41:42.51 ID:3gHcAAaE0
【蜃気楼の塔】

カダル「やあ。よく頑張ったな。」

賢者「お久しぶり・・・そろそろなにか教えてくれてもいいんじゃないの?」

カダル「そうだな。じゃあまずどうしてこんな修行を課したかを教えよう。ズバリ、魔法力強化のためだ。」

賢者「魔法力強化?」

カダル「そうだ。魔法力が増加するメカニズムを知っているか?」

賢者「魔法を使っていると増えるものじゃないの?」

カダル「まあ、平たく言えばそうだ。だが厳密に言うと魔法力を消費し、その魔法力が自然回復するときに増加する。これは人間の肉体で言うと筋肉と同じメカニズムだ。」

賢者「筋肉・・・負荷をかけて、損傷した筋繊維が治癒するときに筋肉の量が増加するって聞いたことがあるわ・・・」

カダル「そう。まさにそれだ。」

賢者「つまりこの修行は消費と回復を常に繰り返しながら生活し、魔法力を増大させることが目的ってことなのね。」

カダル「ものわかりが良くて助かる。キミの魔法攻撃の威力を決めるのは総魔法力。つまりこの修行で持久力と攻撃力が鍛えられる。」

賢者「なるほど・・・でもたった三日間でそんなに魔法力が増大したようには思えないけど。」

カダル「フフフ・・・その通りだ・・・」

賢者(わ。嫌な予感・・・)

カダル「今日からまた継続して同じ特訓だ!三日鍛えて、一日休む!これを延々やってもらうぞ!!」

賢者「鬼畜・・・」

カダル「心配するな、魔法力が上がってくれば楽になる。」

賢者(その前に別の意味でラクになっちゃいそう・・・)
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 21:44:40.57 ID:kfSqd/XIO
ロト紋ベースか

マジ俺得
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/01(木) 21:57:15.66 ID:4bjYt4vOo
ロト紋とか俺得
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 23:00:12.92 ID:/MKAztbSO
まだ見たことないな
藤原カムイのドラクエ7なら見たことあるんだが……


面白そうだし探してみるか
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/02(金) 01:32:07.45 ID:Siz3IAAbo
263 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/02(金) 19:23:38.11 ID:RNav88yw0


一ヶ月後――



【闘技場】

勇者「ふぅぅ・・・はっ!!」ドゴォン!

勇者が手刀を振り抜くと巨大な岩が真っ二つに割れた!

フォン「よしっ!合格っ!」

勇者「よっしゃあああああ!!!」

フォン「コツを掴んでからは早かったね!これであたしがキミに教えることはもうないかな。次のステップに進んでいいと思う。」

勇者「次はなにやるんですか?」

フォン「さあ?それは次の講師に聞いて。あたしはここで交代だから。」

勇者「交代するんだ・・・」

フォン「あれ?もしかして寂しいの?」

勇者「あ、いやそういうわけでは・・・」

フォン「あたしはちょっと寂しいかな・・・なんてね!キミとの一ヶ月楽しかったよ!残りの修行も頑張ってね。」

勇者「は、はいっ!」

フォン「それじゃああたしはこれで!」

勇者「ありがとうございました!」

フォンはにっこり笑うと、どこかへ消えて行った。
264 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/02(金) 19:25:05.26 ID:RNav88yw0
【蜃気楼の塔】

賢者(そろそろ一ヶ月かぁ・・・この塔での暮らしにも慣れてきちゃった。アイツ今頃どうしてるかしら・・・)

カダル〈賢者、聞こえるか?〉

賢者「聞こえてるわ。」

カダル〈そろそろ次のステップに進みたいんだが、いいか?〉

賢者「いつでもいいわ。」

カダル〈よし、じゃあ今日は久しぶりに外にでも行くか。今そちらへ行く。待っていてくれ。〉



カダル「よく今日まで頑張ったな。見たところ疲弊している様子もないしMPの自然回復量と魔法力そのものが増加したということだな。」

賢者「そうみたいね。」

ホイミン「お姉さんっ♪」

賢者「ホイミン!久しぶり――!!」

賢者はホイミンの頭を撫でた。

カダル「魔法力も上がったことだし、今日はそれが呪文にどういう影響を及ぼしているか確認しておこう。塔内で呪文は使ってみたかい?」

賢者「一度、低級の魔法を使ってみたけどあの塔の内部は魔法力が吸収されるせいか、うまく出来なかったわ・・・」

カダル「そうか。では今日は神竜様が作ってくれた闘技場に連れて行ってやろう。もう一人の彼もそこで鍛錬を積んでいる。そこで呪文を使ってみるといい。」

賢者「勇者が?」(やだ・・・なんか久しぶりすぎて緊張するかも・・・)

カダル「やけに嬉しそうじゃないか。」

賢者「別にそんなんじゃないわよ!」

ホイミン(素直じゃないなあ、お姉さんは。)
265 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/02(金) 19:26:38.53 ID:RNav88yw0
【闘技場】

勇者「行っちゃった・・・」

*「お前がアレルの子孫か?」

勇者の背後から突然ガタイのいい男が現れた。

勇者「うわっ!!」

*「そんなに驚かなくてもいいだろう・・・俺はフルカス。戦士だ。お前は?」

勇者「あ、勇者って言います。」

フルカス「そうか。よろしくな。ところで昨日までの修行で何か怖い目にあったりしなかったか?」

勇者「昨日までの修行?フォンさんとの修行のことですか?」

フルカス「そうだ。」

勇者「いいえ・・・特に。」

フルカス「そうか。それはよかった。アイツの怒った時の恐さは大魔王を凌駕するからな・・・」

勇者「そんなに恐いんですか?」(そういえばアレルもそんなこと言っていたっけ・・・)

フルカス「ああ。アイツはブチギレて大魔王ゾーマの角を叩き折った女だぜ?」

勇者「ひゃぁぁぁ・・・」
266 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/02(金) 19:27:15.15 ID:RNav88yw0
フルカス「さて、無駄話が過ぎたな。今日からお前には剣を使った修行をしてもらう。」

勇者「おお!やっと・・・」

フルカス「と言ってもお前は今装備品が無いんだったな。ほれ。」

フルカスは勇者にひのきの棒を差し出した。

勇者「え?これは?」

フルカス「見ればわかるだろ?剣だよ剣。」

勇者「ええええ!どう見たってひのきの棒・・・」

フルカス「お前にはこれを使って修行をしてもらう。」

勇者「・・・」

フルカス「今日からは拳でなく、剣に闘気を籠める修行だ。手練れの剣士はたとえひのきの棒であろうが、岩をも切り裂く事が出来る。」

勇者「これで、岩を?」

フルカス「いいか?割るんじゃあないぞ?斬るんだ。拳で岩を割れるお前ならそれを使って岩を割る事も出来るだろう。だがそれでは意味がない。剣とは叩くものでは無く斬るものだ。」

勇者「これで岩を斬るんですか!?」

フルカス「そうだ。それと岩と言っても今回はただの岩じゃない。」

フルカスは目を閉じて念じると、空から巨大な水晶の結晶が降ってきた!

勇者「え、これって・・・」

フルカス「見ての通り水晶だ。昨日まで叩き割っていた岩より相当硬い。」

勇者「こ、こんなこと本当に出来るんですか?」

フルカス「出来るさ。フォンはこのくらい素手で叩き割るぞ?」

勇者(すごすぎる・・・)
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 20:11:11.54 ID:zAwfbdr9o
ktkr!
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 21:17:32.12 ID:VV79wywIO
(`・ω・´)b
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 08:26:12.71 ID:nfZe/XaIO
270 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/03(土) 11:32:09.69 ID:94P1fX9w0
インフルにかかって暇なので投下しますw
271 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:33:53.83 ID:94P1fX9w0
フルカス「さて、じゃあお手本を見せてやらないとな・・・おや?ありゃカダルの野郎か?」

フルカスは空を見上げた。

カダルと賢者がルーラで姿を現した。

カダル「やあ、フルカス。案配はどうだい?」

フルカス「これからだ。」

勇者「賢者!久しぶりだな!」

賢者「え、ええ。」(元気そうでよかった。)

勇者「修行の具合はどうだ?」

賢者「あ、その、まあまあよ・・・」(久しぶりでうまく喋れない・・・)

勇者「なんだその気持ち悪いしゃべり方。」

賢者「う、うるさいわね!アンタはどうなのよ!」

勇者「今日から修行の第二段階に入ったところだ。」

カダル「ほぅ。ちょうどこちらも同じような状況でね。あ、紹介がまだだったね。俺はカダル。【賢者】だ。よろしく。」

勇者「あ、どうも。」

ホイミン「お兄さん!」ヒョコ

勇者「おお!ホイミン!久しぶりだなあ!」

勇者はホイミンの頭をくしゃくしゃと撫でた。

ホイミン「お姉さんね、強くなったんだよ!お兄さんはどう?元気でやってるかお姉さんすごく気にしてたよ?」

賢者「ちょっとホイミンっ余計なこと・・・」

勇者「そうかー、賢者。元気だし修行も順調だから心配すんなよな!」

賢者「み、見ればわかるわよバカっ!!」(か、顔が熱い・・・)
272 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:37:45.90 ID:94P1fX9w0
カダル「フォンのつけた稽古の成果も見てみたいが、今日は別の用事で来たんだ。」

フルカス「別の用事?」

カダル「ああ。今日までの一ヶ月間この子には蜃気楼の塔で生活してもらってたんだ。魔法力が増えたのことを確認するために来たんだ。」

フルカス「蜃気楼の塔・・・よくあんな空間で一ヶ月も・・・」

カダル「フルカスは力馬鹿で魔法力の欠片もないからね・・・」

フルカス「へ。」

カダル「さあ、賢者なんでもいいから呪文を使ってごらん。よく使う呪文が好ましいな。その方が一ヶ月前との比較になる。」

賢者「わ、わかったわ。」

賢者はメラゾーマを唱えた!
少し前よりも二回り大きな火球が頭上に現れた!

勇者「で、でかいっ!」

カダル「うんうん。」

賢者は火球を地面に叩きつけた!

ふわふわした雲に大きな穴が開いてしまった!

賢者「すごい・・・」

カダル「いい感じだね。これで魔法力が上がったのはわかったね?」

賢者「う、うん。」

カダル「じゃあ、次のステップに移ろうか。」

カダルはリリルーラを唱えた!

二人と一匹は勇者の前から姿を消した。

勇者「すげえ・・・賢者も成長してる。俺も負けてられないな・・・」
273 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:39:11.85 ID:94P1fX9w0
フルカス「さっきの子がお前の仲間か?」

勇者「はい。」

フルカス「あんなキレイな姉ちゃんと二人旅なんて羨ましい限りだな・・・」

勇者「見た目はいいんですけど、性格に難が・・・」

フルカス「ははっ!・・・気ィ強そうだもんな。」

勇者「そりゃあもう・・・」

フルカス「でも好きなんだろ?」

勇者「・・・守りたい存在ではあります。そういうのは成すべきことを成すまで考えないようにしてます。」

フルカス「ほう・・・若いってのにしっかりしたヤツだ。じゃあ成すべきことを成さなきゃな!」

勇者「はい!」
274 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:41:04.58 ID:94P1fX9w0
【蜃気楼の塔】

カダル「キミにはわたしが天界に来てから研究、開発した技を身につけてもらう。」

賢者「技?」

カダル「そう。名付けて【合体魔法】!!」

賢者「合体魔法?」

カダル「キミは二つの呪文を同時に使ったことがあるかい?」

賢者「あるけど、補助系呪文以外はコントロールが難しくてやったことないわ。」

カダル「そうか。まあ説明するより見てもらった方が早いな。屋上へ行こう。」


【蜃気楼の塔、屋上】

カダル「ここなら魔法力を吸い取られないから魔法を使うことが出来るんだ。見ててくれ。」

カダルは両手を広げると、バギ×ギラを唱えた!
左手にバギ、右手にギラのエネルギーを湛えた。

賢者(二つの呪文を同時に!!)

カダル「よく見ててよ。」

カダルは両手を合わせ、合体した魔法を前方にはじき出した!
カダルの両手から小さな炎の竜巻が巻き起こった!

賢者「す、すごい・・・」(こんな呪文見たことが無い・・・)

カダル「まあ見てのとおりバギとギラを合体させたんだ。バギラってとこかな?」

賢者「これをあたしが?」

カダル「ああ。覚えてもらう。」
275 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:42:14.14 ID:94P1fX9w0
【闘技場】

フルカス「さて、お手本だったな。」

フルカスはひのきの棒を持って、水晶に斬りかかった!
水晶は真っ二つになった!

勇者「うお!!」

勇者は水晶の切り口に触れてみた。

勇者「滑らかだ・・・斬れてる・・・」

フルカス「さあ、やってもらおう!フォンにも聞いただろうが、コツは力を抜くことだ。」

勇者「やってみます。」

勇者は精神を集中した。

勇者「はっ!!」

勇者は静かに水晶に向かってひのきの棒を振り下ろした!

バキィ!!

折れた棒の破片が勇者の頬をかすめ、飛んでいった!

勇者「ひぃぃ・・・」ツツゥ

フルカス「闘気の籠め方が均等でないとそうなる。」

勇者「くっそ・・・難しい・・・
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 11:44:41.62 ID:uOyxFNmho
ガンガン書こうぜ
277 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:52:00.94 ID:94P1fX9w0
【蜃気楼の塔、屋上】

カダル「とりあえず、呪文を二ついっぺんに唱えるところまでやってごらん。」

賢者「出来るかわからないけどやってみるわ。」

賢者はバギ×ギラを唱えた!

カダル「おっ!いいぞ!やや不安定だが呪文エネルギーが消滅することなく両手に収まっている!キミはなかなかセンスがあるようだ。ここからが難しい。そのまま両手を合わせてみるんだ。」

賢者「わかったわ。」

賢者は言われるがままに両手を合わせた!
そると二つの呪文は賢者の目の前ではじけて消滅してしまった!!

賢者「!!」

カダル「さすがにいきなりは出来ないか。」

賢者「いたっ・・・」

賢者の左腕に小さな傷がいくつも出来ている。

カダル「言い忘れていたが合体呪文は失敗すると術者に影響が降りかかる。今のはギラの呪文エネルギーが小さかったんだな。だからバギの旋風に腕を傷つけられてしまった。今は低級呪文だからこの程度で済んでいるが、上位の呪文ほど失敗したときのリスクは高い。」

カダルはベホイミを唱えた!

賢者「!」

賢者の傷が回復した。

カダル「まずは低級呪文で慣れてからだな。」

賢者「緻密な呪文のコントロールが要求されるのね・・・」

カダル「特訓あるのみだね。これをマスターすれば間違いなくキミが地上最強の魔道士だ。」
278 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:52:43.79 ID:94P1fX9w0
【闘技場】

勇者「てやぁぁ!!」バキッ!

フルカス「・・・好転しないな。」

勇者「フルカスさん、この調子じゃあひのきが絶滅しちゃいますよ・・・」

フルカス「やれやれ、仕方が無い。少しヒントをやろう。切断系の武器に闘気を籠める時はその表面を薄く、鋭く覆うイメージでやるとうまくいく。」

勇者「はいっ!」バキッ!

フルカス「元気だけはいいんだがなぁ・・・」

勇者「難しい・・・」
279 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:53:28.55 ID:94P1fX9w0
【蜃気楼の塔、屋上】

カダル「要領は教えたからあとは自分で特訓してくれ。生活は引き続き塔の内部でして、特訓と並行して魔法力を鍛えること。いい?」

賢者「え、ええ。」

カダル「合体呪文について言えば、キミはわたしよりもかなりセンスがいい。すぐできるようになるさ。」

賢者「いろいろ試してみるわ。」

カダル「失敗しすぎて死なないように!それともうひとつ。氷結系の呪文と炎熱系の呪文は決して合体させないように。」

賢者「どうして?」

カダル「それはまた次のステップで教えるよ。死にたかったらやってもいいけど。」

賢者「わ、わかったわ。」

カダル「あ、それと外出してもいいから。たまには気分転換に天界を散歩してみたら?」

カダルは姿を消した。

賢者「散歩かぁ・・・」
280 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:54:47.97 ID:94P1fX9w0
一週間後――


【闘技場】

フルカス「やっと水晶にヒビが入ってきたな。攻撃力が上がっている証拠だ。」

勇者「でもまだ斬れるまでにはほど遠いですね・・・」

フルカス「なぁに、お前なら出来るさ。不器用な俺でも出来るんだから。」

勇者「頑張ります!」

賢者「やってるわね。」

勇者「賢者!?お前どうしてここに?」

賢者「気分転換よ。」(魔法力が無くなったら自然回復を待つしか無いし・・・)

勇者「そんなのんきなこと言ってていいのかぁ?」

賢者「人の心配より自分の心配しなさいよね。」

勇者「へいへい。」

フルカス(フフ・・・微笑ましいな・・・)

勇者「・・・」

勇者は集中している。

賢者「・・・」じぃぃ

勇者「・・・・・・」

賢者「・・・・・・」じぃぃ

勇者「・・・何みてんだよっ。」

賢者「別に?」(こいつも頑張ってんのねー・・・あたしも早く習得しなきゃ。)

勇者「気が散るからどっかいけよっ。」(フルカスさんがあんなこと言うから妙に意識してしまう・・・)

賢者「ふん・・・邪魔してごめんなさいね!」(さっ、あたしもがんばろ。)

フルカス(若いっていいなあ。)
281 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/03(土) 11:56:05.76 ID:94P1fX9w0
【蜃気楼の塔、屋上】

賢者「ふぅぅ・・・」

賢者は集中しながら両手を広げた。

賢者はバギ×ギラを唱えた!

賢者「よしっ・・・はっ!!」

賢者は両手を合わせた!

賢者「いたっ・・・」(まだバギのエネルギーの分量が少し多い・・・でも合体させることは出来てる。)

賢者は両の掌を前方に向けて開いた!
すると中心から小さな炎の渦が巻き起こった!!

賢者「いたた・・・一応形にはなってきたわ。」

賢者はホイミを唱えた!
腕の傷が回復した!


【カダルの家】

カダルは水晶玉をのぞき込んだ

カダル「ふむ。やはりセンスがいい。小さいがもう合体魔法を使えている。さすが【勇者】のお供というだけはある。わたしを超える【賢者】になるかもな。」

ホイミン「ばすが、もねぇさん!」もぐもぐ

カダル「お前はホント食ってばっかだな・・・」

ホイミン「・・・えへへ。」ごっくん
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/03(土) 14:06:32.78 ID:rGqGEhe/o
>>170の(今ならライデインを〜)のセリフに懐かしすぎて涎でた
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 14:30:47.41 ID:6ZRzYt12o
メラ系とヒャド系で、メドローアですねわかります。確かに失敗したら、腕が消滅してしまうがな。
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/03(土) 14:47:33.09 ID:kIoH7T9ko
>>270
俺の知り合い、この間インフルエンザで亡くなったんだ
頼むから無理すんなよ
285 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/03(土) 21:55:27.84 ID:JI627yrj0
>>284
そうなんですか、お気の毒に・・・
薬で熱は下がってますけど侮れませんね
お気遣い感謝します!
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 22:38:18.39 ID:y7JVrwino
メドローアフラグか
287 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/04(日) 12:53:14.59 ID:GK/LcvUO0
三ヶ月後――

【闘技場】

勇者は見事、水晶を切断することに成功し、フルカス、フォンとともに稽古に励んでいた。

勇者「はっ!」ガキィン!

フルカス「甘いっ!」

フルカスは勇者の太刀を受け止め、押し返した!

フルカス「食らえっ!」

勇者はひらりと身をかわし、フルカスの武器を弾き飛ばした!

フルカス「なにっ!?」

フォン「はいっ!!」

フォンは勇者に足払いをかけた!

勇者は上に飛び、これを回避した!

フォン「勝機!」

フォンは空中に逃れた勇者の懐に飛び込み、蹴りを放った!

勇者「くっ!」ガシッ

しかし、勇者は蹴りを受け止め、そのままフォンを地面に叩きつけた!

フォン「きゃあ!」

勇者「よしっ!」

フルカス「見事だ。俺たち二人をここまで負かせるとは。剣術も体術も洗練されている。」

フォン「負けた〜っ!」

勇者「お二人とも、ありがとうございます。」

フルカス「さすがアレルの血族、戦闘センスは折り紙つきだな。」

フォン「なんかそれってずるい〜!少し前までもっとダメダメで可愛かったのに・・・」

勇者「あはは・・・」

アレル「おー、やってるやってる。」

勇者「アレル!」
288 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 12:57:30.17 ID:ArE7/aI20
【蜃気楼の塔、屋上】

賢者「ふぅぅぅ・・・」

賢者はイオナズン×バギクロスを唱えた!
弾き出された魔法力が大爆発と嵐流を起こす!!

カダル「完全に自分のものにしたな。」

賢者「カダル様!」

カダル「わたしが編み出すのに数年かけた技術をわずかな期間で体得するとは。天才としか言いようがない。」

賢者「そうね。」

カダル「はっはは!世辞も言わないところがキミらしい。では、最終段階に入るけどいいか?」

賢者「ええ。」

カダル「よし。キミに最後にひとつ最強の呪文を教えておこうと思う。」

賢者「最強の呪文・・・」

カダル「その名もメドローア!物質を消滅させる呪文だ。」

賢者「消滅呪文!?聞いたことないわね・・・」

カダル「こればかりはどんな魔法防御力を持った者でも食らえばチリも残らない。」

賢者「なにかリスクがありそうね・・・」

カダル「ご名答。失敗すれば自分が消滅することになる。」

賢者「!!?」
289 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 12:58:45.47 ID:ArE7/aI20
【闘技場】

アレル「フルカス、フォン。どんな感じだ?」

フルカス「もう俺たちが教えられることは無いみたいだ。」

フォン「負けた〜っ!!」

アレル「ハハハハ!さすが俺の子孫!お前らなんかがかなうわけがなかろう!!」

フォン「くやし〜っ!」

フルカス「ま、後はお前に任せるよ。」

アレル「わかった。二人ともありがとな。」

フルカス「約束だったからな。」

フォン「あ〜ムシャクシャするっ!フルカス、後で組み手しよっ♪」

フルカス「え、遠慮しとくよ・・・」(俺はサンドバッグじゃないんだぞ・・・)

二人はどこかへ消えていった。

カダル「お、そっちもついに最終段階か。」

アレル「カダル!どうだそっちは?」

カダル「順調も順調!わたしを超える勢いで成長してる。いや?もう超えたかな?」

勇者(すげえ!ゾーマを倒したパーティの【賢者】を超えるなんて・・・)

アレル「そうか!!ハハハ!そりゃあいい。」

カダル「そっちの【勇者】クンはどうだ?」

アレル「こっちもぼちぼちだ。フォンとフルカスは負けたらしい。」

賢者(フォンとフルカス・・・大魔王ゾーマを討ち倒したパーティの武闘家と戦士・・・あいつもなかなか強くなったってわけね。)

カダル「あの二人を負かすかっ!頼もしいな。」
290 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:00:13.86 ID:ArE7/aI20
アレル「さて、ちょうど姉ちゃんも来たことだしお前らに渡すものがある。神竜からの選別だ。ほれっ。」

アレルは賢者に深緑のローブを差し出した。

賢者「これは・・・竜皮?」

アレル「ドラゴンローブだ。息攻撃や呪文にかなり耐性があるすぐれものだ。」

賢者「ありがとう!」

アレル「勇者、お前にはこれだ。」

アレルは勇者に不思議な光を放つ剣、盾、鎧、兜を差し出した。

勇者「これは・・・?」

アレル「お前があの装備をボロボロにしちまったから、神竜に作ってもらった。龍神装備だ。基本的に前の装備と性能は変わらん。オリハルコン製だ。」

勇者「うわあ!!ありがたい・・・」

アレル「よし、ボーナスはこんなとこだ。最後の修行いくぞ。」
291 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:01:13.49 ID:ArE7/aI20
アレル「修行を始める前に、どのくらい強くなったか観てやるよ。」

勇者「へっ!?」

アレル「俺に勝てなきゃ竜王には勝てないぞ。」

勇者「アレルに勝つ・・・?」(ロトを超えるってことか!?)

アレル「そうだ!ゾーマよりも竜王は強い。」

勇者「わ、わかった。」

アレル「殺す気で来い。でなきゃ俺を倒すことなんて出来ないからな。心配はいらない。死人は死なないから!」

勇者「はいっ!!」

勇者は武器と防具を装備した。

アレル「いくぞ!!」

勇者「来いっ!!」
292 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:01:52.71 ID:ArE7/aI20
カダル「あちゃー・・・おっぱじまっちゃったよ・・・」

賢者(これは興味あるわ・・・!)

カダル「せっかくだし見学するか。」

賢者「ええ。」


アレルはギガデインを唱えた!
凄まじいいかずちがアレルの身体からほとばしる!

勇者「!」

勇者はギガデインを唱えた!
いかずちが交錯する!!

アレル「くぅっ!!」

勇者「うぐっ!!」

アレル「やるねぇ!」

勇者「そっちこそ!」


カダル「嵐のような奴らだな・・・」

賢者(凄い・・・これが【勇者】同士の戦い・・・)
293 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:02:42.55 ID:ArE7/aI20
アレル(ちっ。俺と同じでギガデインには耐性が高いか。それなら!)

アレルは高速で剣を振るい、無数の斬擊を飛ばしてきた!

勇者「!?」

勇者は剣でこれを捌ききった!!

勇者「はあ・・・はあ・・・」

アレル「防戦一方か?」

勇者「くそぉ!!」

勇者はギガデインを唱えた!
剣に電撃を帯びさせ斬りかかった!

アレル「フフ・・」ガキィン!

勇者「なにっ!?」

アレル「お前だけが出来ることと思うなよ!」

勇者(くっ、斬れ味を相殺されたっ!!)

アレル「今度はこっちから行くぞ。」

アレルは剣に闘気を溜め、青白い閃光とともに巨大な斬撃をはなった!!

勇者(う・・・受けきれない!!)

勇者「うわあっっ!!!」

勇者は斬撃の威力を殺しきれず吹き飛んだ!!

勇者「くっ・・・」(なんだ今のは・・・)

アレル「今のは少し手加減した。死なれても困るしな。どうやらまだまだみたいだな・・・」
294 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:04:41.75 ID:ArE7/aI20
勇者「今のは・・・?」

アレル「名前は後から知ったが、他の世界ではギガスラッシュと呼ばれる技らしい。」

勇者(ギガスラッシュ・・・今ので手加減したってのかよ。とんでもない破壊力だ・・・)

アレル「闘気に共鳴した聖なるチカラが斬撃に宿る、勇者だけに許された最強の剣技。」

勇者「どうすれば習得できるんだ?」

アレル「さあな・・・」(何かきっかけが必要なのかもな・・・)

アレルは目を閉じた。


数百年前――

【ゾーマ城】

アレル「もう随分と奥まで進んできたな・・・」

カダル「この先に邪悪な気配を感じる・・・ゾーマは近いぞ。」

フォン「アレル!見て!」

アレルがフォンの指す方を見ると、多頭の巨竜が一人の男をなぶっている!

アレル「・・・父さん・・・?」

アレルたちは男のところまで駆け寄った!

キングヒドラ「なんだ貴様らは・・・」

アレル「父さん!!」

オルテガ「あ、アレルなのか・・・?夢じゃあるまいな?」

アレル「父さん!!生きていたのかっ!!夢じゃ無いよ!今助けるから!」

オルテガ「無駄だ・・・わたしはもう・・・目も見えなくなってしまった・・・最後にお前の顔が見たかったよ・・・」
295 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:06:08.16 ID:ArE7/aI20
キングヒドラ「ほぅ・・・貴様、この男のせがれか。では親子そろって地獄に送ってやろう!!」

キングヒドラはその巨大な脚で弱り切ったオルテガの身体を踏みつぶした。

アレル「あっ・・・父さ・・・」

フルカス「なんてことを・・・」

フォンはショックのあまり目を覆っている。

カダル「くっ、来るぞアレル!!」

アレル「よくも・・・よくもやったな・・・」

アレルの血が沸々と熱くなった!

アレルは怒りのままにキングヒドラの懐に飛び込んでいった!!

キングヒドラ「馬鹿な親子だ!!突っ込んで来ることしかできぬのかっ!!」

カダル「アレル!まて!!冷静になるんだ!!」

キングヒドラは尻尾でアレルを撃ち払った!
しかしアレルは目にも止まらぬ早さで打ち付けられた尻尾を細切れにしてしまった!!

キングヒドラ「グォォォォォォ!!おのれぇぇ!!」

キングヒドラは全ての首から灼熱の炎を勇者に向け、照射した!!

アレル「うるせぇぇぇ!!!!」

アレルは何重にも重なった炎の渦を切り裂き、キングヒドラに巨大な一太刀を浴びせた!!

キングヒドラ「なんだ今の青白い光は!?グッ!?ググググ・・・グオオオオ!!」

キングヒドラの巨体が真っ二つに分断されてしまった!!

カダル「アレル、お前・・・」

アレル「行こう。もうコイツらのことは許しては置けない・・・」
296 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:06:37.86 ID:ArE7/aI20
アレルは目を見開いた。

アレル「勇者・・お前、両親は?」

勇者「・・・死んでしまったよ。俺が上の世界に飛ばされている間に竜王に殺されたんだ。でも実感がないんだ。アレフガルドに帰って来てから人間には一人も会わなかったし・・・」

アレル「そうか。今日はこのあたりにしておこう。明日またここに来てくれ!」

そう言うとアレルはどこかへ去っていった。




カダル「あの技は・・・」

賢者「今のは?」

カダル「勇者だけに許された聖なるの剣技、ギガスラッシュ。」(嫌なこと思い出させるなぁ・・・)

カダルは顔を曇らせた。

賢者「へえ・・・」(悲しい顔・・・なにか過去にあったのかしら。)

カダル「さ、彼らの戦いも終わったことだし。こっちも修行に移るか!」ニコッ

賢者「あ、うん。」
297 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:07:14.33 ID:ArE7/aI20
勇者「・・・どうやったら・・・」ブツブツ

勇者はしょんぼりとしてどこかへ行こうとした。

賢者「勇者!」

勇者「あー、修行の邪魔しちゃったみたいで悪かったなー・・・」

賢者「なにしょげてんのよ。」

勇者「だって、あれだけ修行したのに全然かなわなかったんだぞ・・」

賢者「でも前よりずっと強くなったじゃない!その・・・きっと出来るわよ!」(あーもう、あたしってこういうの苦手すぎ・・・)

勇者「ははは!お前励ますのとか苦手だろ!」

賢者「う、うるさいわね!別に励まそうとか思ってないわよ!ただ・・・なんていうか・・・あたしも頑張るから一緒に頑張ろ?」(あー!うぅ!何言っちゃってんのあたし。)

勇者「へーへー!頑張りますよ!」(ヘンだな・・・可愛いぞ・・・)

賢者「人がせっかく励ましてやってるのになによ、その態度は!もう知らない!」(ホント可愛げ無いんだから。まあそれはあたしも同じか・・・)

勇者「・・・ありがとな。」

賢者「!」

勇者はスタスタどこかに歩いて行った。

賢者(あーあ。なんであんなやつのコトあたしが気にしなきゃなんないのかな・・・)
298 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:07:41.68 ID:ArE7/aI20
カダル「乙女だねぇー。」

賢者「なによっ。」

カダル「愛する人との未来を守るため、魔王討伐の二人旅ですか・・・」

賢者「や、別にそういうんじゃ・・・」(魔王を倒した後か・・・やっぱりアイツはアレフガルドに戻るのかな・・・)

ホイミン「二人と一匹だよっ!」

カダル「お前は黙ってろって!」

ホイミン「へーん!僕だって役に立ってるもん!」

賢者「ホントに人懐こいのねアンタ・・・」

ホイミン「誰でもいいわけじゃないよ?でもやっぱりお姉さんのローブの中が一番落ち着くかなぁ。」

賢者「ウフフ・・・」

カダル「ス、スケベだなお前・・・」

ホイミン「おじちゃんと一緒にしないで♪」

カダル「失礼なやつだな!まっ、無駄話はここらにして修行を始めよう。」
299 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 13:08:50.60 ID:ArE7/aI20
カダル「じゃあまずキミに教える呪文を見せてやろう。」

カダルの緩んだ目付きが鋭くなった。

賢者(いつも緩んだ表情だけど、こんな顔出来るんだ・・・)

カダルはヒャド×メラを唱えた!

賢者「これって・・・」

カダル「そう。キミには禁止しておいたが、炎熱系呪文と氷結系呪文を掛け合わせることで消滅呪文は生まれる!」

カダルは顔の前でその両手を合わせると、合わせた両手を上下に開き、呪文エネルギーは弓矢の様な形を形成した!!

カダル「この呪文はプラスの魔力とマイナスの魔力をスパークさせることによって消滅のチカラを生む!!」

賢者「すごい・・・こんな形の呪文見たことが無い。」

カダル「試しに勇者クンが斬ったあの水晶の残骸に向けて打ってみよう。」

カダルは狙いをつけると水晶に向けて呪文の矢をはなった!!
矢は直線的軌道で水晶に直撃し、水晶を消し去ってしまった!!

賢者(これが消滅呪文・・・闘技場にも穴が開いてる・・・)

カダル「とまあこんな感じだ。何故、低級呪文を使って見せたかと言うと上級呪文になるほど合体させた時のコントロールが難しく、魔法力の消費も激しい。」

賢者「この呪文・・・強力無比なのはわかったけどマホカンタで反射されたらどうするの?」

カダル「本当に目の付け所がいい。そう、いかに最強の威力を持っていても、呪文にはかわりない。マホカンタで反射されてしまった場合は同じ呪文で相殺するか、こちらもマホカンタを使ってどこかへ反射するしかない。」

賢者「なるほどね・・・」

カダル「合体呪文はわたしが開発したような口ぶりで説明しているが、実は違うんだ・・・」

賢者「じゃあ誰が開発したの?」

カダル「神竜が言っていたように、ここ天界は全ての世界の魂の終着点。我々の住んでいる世界以外にも高名な賢者は居てな・・・メドローアはその人に教えてもらったんだよ。」

賢者「へえ・・・」

カダル「本人は自称【大魔導士】とか言っていたが、その名にたがわぬ実力者でな。その人にインスパイヤされてメドローア以外の合体呪文を考案したんだ。」

賢者「そうして竜王が現れた時のために備えていたってわけね。」

カダル「まあそういうわけだ。この呪文ばかりは呪文センスが良くないと習得する前に死ぬことになるから教えるかどうか迷ったが、キミなら死ぬことはないだろうから教えることにしたんだ。」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 13:54:06.26 ID:uIhDs6Beo
流石マトリフ師匠!
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/04(日) 16:35:50.34 ID:soNsWINso
いいの見つけた
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 17:30:07.06 ID:irdDwLWIO
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 18:21:01.63 ID:O0t4MFsIO
全部合体のマダンテはなしかな?
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/04(日) 19:16:18.15 ID:7Vr78b24o
ゲーム解釈でのマダンテをローズバトラーが使っちゃってるからなぁ
305 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/04(日) 20:21:35.73 ID:sI562EQt0
>>303
ネタバレになってしまうか微妙ですが、極大五芒星マダンテは無しの方向で書いてます。
マダンテには派手さはありますが、現実的威力は呪文の性質上メドローアの方が上という判断です。
306 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/04(日) 20:23:40.47 ID:sI562EQt0

【神竜の塔】

勇者「こんなところに呼び出してなにするんだ?」

神竜「あやつから話は聞いておる。」

勇者「なんの話だ?」

神竜「まあ説明するより、体験してもらったほうが早い・・・」

勇者「!?」

神竜の瞳が怪しく光ると、勇者は光に包まれ姿を消した。

神竜「・・・お前も酷なことをするな。」

アレルが神竜の背後から姿を現した。

アレル「強くなるためだ。」

神竜「廃人になってしまっても知らぬぞ・・・」
307 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 20:26:27.42 ID:sI562EQt0

【ラダトーム】

勇者「こ、ここは・・?」

王「・・・勇者のやつめ、竜王を倒しに行くと言って城を飛び出して行ったっきりどこに行ったかもわからん・・・」

王妃「きっとあの子なら成し遂げられるはずです・・・私たちの子ですもの。」

勇者「父さん、母さん・・・?」(ゆ、夢かこれは?)

ローラ「お兄ちゃん、どこに行っちゃったんだろ・・・」

勇者「ローラ・・・俺はここだ!ここにいるぞ!」

しかし、その声は三人には届いていないようだった。

ガッシャーン!!

物凄い音を立てて何かが窓を突き破り入ってきた!

勇者「!!」

竜王「ご機嫌麗しゅう。ラダトーム王。」

王「竜王!?貴様今更何をしに来た!!」

竜王「ロトの血を最も色濃く継承したお前たちの息子には遠いところで朽ちてもらうことにした。今日は貴様たちを殺しに来たのだ。また子を産まれてはかなわんからな。」

勇者「竜王が何故ここに!?させるかよ!!」
308 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 20:29:51.78 ID:sI562EQt0
王「くっ・・・おい!ローラを!」

王妃「はいっ!」

王妃はローラの手を引き逃げようとした!

竜王「逃がさぬぞ?」

竜王はメラゾーマを唱えた!
巨大な火の玉が二人に襲いかかった!

勇者「あぶないっ!!」

勇者は二人の前に立ちはだかった!

勇者「!?」

しかし火の玉は勇者身体を通り抜けてしまった!

王妃「きゃああああ!!!」

勇者「母さぁぁぁぁぁぁん!!!」

王妃の身体は消し炭のように黒く焦げ上がり、原型を留めていなかった。

ローラ「お、お母さん・・・ひっ・・・」

竜王「ほう・・・娘をかばったか。しかし同じこと。」

王「よくも・・・よくもぉぉぉぉぉ!!!」

王は怒りのままに竜王に殴りかかった!

竜王は掌をかざし、不思議なチカラで王を吹き飛ばした!!

王「ぐっ!!」

王は壁に激突してしまった!!

竜王「そんなに先に殺して欲しいか・・・」

勇者「やめろ・・・やめろぉぉぉぉぉ!!!」

勇者は竜王に切りかかった!
しかし勇者の攻撃は竜王の身体を通り抜けてしまう!

勇者「当たれ・・当たれ・・当たれよぉぉぉぉぉ!!」

勇者は何度も何度も斬りつけたが攻撃が通り抜けてしまって全く当たらない!

竜王「では望み通り先に殺してやろう・・・」

竜王は王に掌をかざし、ベタンを唱えた!
超重圧が王の身体に加わり、みるみるうちに王の身体が潰れていく。

王「ぐ・・・おお・・・」

勇者「やめろ・・・やめてくれ・・・」

王の身体はグシャグシャに崩れ、もはやただの肉塊と化してしまった。

竜王「さて、仕上げだ。」
309 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 20:32:13.11 ID:sI562EQt0
竜王は標的を変え、立ちすくむローラの方を向いた。

竜王「そう怖がらずともすぐ両親と同じところに連れていってやるから心配するな。」

勇者「よせ・・・」

竜王はその手に黒いいかずちを湛えはじめた!

竜王「はっ!」

竜王の掌から黒いいかずちがほとばしる!!

勇者「よせ―――――ッ!!!」

その時、ローラの前に立ちはだかった勇者の身体から鋭い赤光が放たれ、勇者は黒いいかずちごと竜王の身体を両断した!!

竜王「な・・・に・・・」

竜王の身体はチリとなって消え去った!

ローラは不思議なチカラで姿を消した。

勇者「はあ・・・はあ・・・ローラ!?どこだ?」

すると勇者の足元から怪しい光が溢れ出した!

勇者「!?」

勇者はどこかへ姿を消した。
310 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/04(日) 20:33:54.85 ID:sI562EQt0
【神竜の塔】

勇者「はっ・・・」

アレル「戻ったか。」

勇者「今のは・・・」

アレル「神竜が作り出した仮想空間だ。」

勇者「夢だったのか?」

アレル「それは違う。今のは事実を忠実に再現したものだ。つまりお前の両親はああして死んだんだ。」

勇者「・・・」

アレル「実感が湧いたろ?」

勇者「なんでこんな酷いことするんだ・・・」

アレル「悲しみを受け入れられずに強くなれると思うなよ?」

勇者「・・・今日はもう何もしたくない。一人にしてくれ。」

アレル「ああ。好きにするといい。」

勇者は疲弊した様子で去って行った。

神竜「やはりお前は酷いやつだの・・・」

アレル「世界を救うためならどんな残酷なことも厭わないさ。現にあいつはこれをきっかけに新しいチカラに目覚めた・・・それにいつかは受け入れなければならない現実だ。」

311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/05(月) 01:33:41.73 ID:7enmYG1Bo
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 06:43:22.48 ID:bC8mfCfIO
(`・ω・´)乙
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 10:59:56.35 ID:eEVoFoCOo
乙!
しかしメドローアを開発したのは賢者じゃなくて大魔導師だぞ!
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 12:51:21.75 ID:IcST14CIO
>>313
>>299
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/06(火) 17:27:08.61 ID:gVGvhSqAO
いいのみつけた(`・ω・)b
316 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:44:52.19 ID:S/+s1Qnv0
【闘技場】

カダル「さて、手本は見せた。やってみよう。」

賢者「い、いきなり?」

カダル「この呪文に大切なのは呪文コントロールと度胸。コントロールさえ間違わなければ失敗することはないが、やはりどうしても失敗した時の恐怖が付いてまわる。」

賢者「わかったわ。度胸なら自身があるわ。」

カダル「キミなら出来るさ。」

ホイミン「お姉さん、頑張って!」

賢者は集中し、大きく深呼吸した。

賢者(よしっ。)

賢者はメラ×ヒャドを唱えた!
賢者の両手に呪文エネルギーが湛えられた!

カダル「うん、コントロールは申し分無い。あとは勇気だけだ!」

賢者「はっ!!」

賢者は思い切って両手を合わせた!
すると二つの呪文が混ざり合い、球体の中心から上下に弓のようなものが広がった!
317 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:45:56.31 ID:S/+s1Qnv0
カダル「よしっ!!成功だ!!」

賢者「これ、どうすればいいの?」

カダル「左手に持ち構えて、右手で弓の中心の魔法力を後ろに向かって引き抜いてごらん。」

賢者は恐る恐る右手で魔法力を引き抜いてみた。

賢者「!」

するとメドローアの姿が先ほど見た弓矢の様な形状に変化した!

カダル「そうビクビクする必要はない。融合が成功した時点で呪文としては安定しているからね。さ、そのままいつも呪文をはなつ時の容量でそいつを飛ばしてごらん。」

賢者「う、うん。」

賢者は空に向け、メドローアをはなった!

賢者「で、出来た・・・」

カダル「素晴らしいよ。やはり天才と言わざるをえない・・・わたしが教えられることは実はもう無いんだ。」

賢者「え?じゃあ・・・」

カダル「ああ、これでおしまいだ。」

ホイミン「じゃあもうお姉さんのとこに戻ってもいいの!?」

カダル「塔の修行はこれからもしばらくやってもらうよ。魔法力は多いに越したことはないからね。」

賢者「そうね。この呪文、材料となる呪文の魔法力消費はちっぽけなものだけど制御に魔法力を使いすぎるわ・・・」

カダル「そーゆうこと。だからお前はまだしばらくウチで大人しくしててもらうよ。」

ホイミン「えー。」

カダル「帰ったらお前の好物の麻婆豆腐作ってやるからさぁ。」

ホイミン「やったー!」
318 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:47:46.45 ID:S/+s1Qnv0
【雲の渓谷】

勇者は魂を抜かれたかのように気が向くまま天界をうろついていた。

勇者「・・・・・・」

勇者は谷側を向いて地面に座り込んだ。

勇者(父さん、母さん・・・)

勇者は足下に転がっていた小石を拾って谷に放り投げた。

勇者「はぁ。」

賢者「こんなところでなにしてるの?」

勇者「賢者・・・」

賢者「また落ち込んでるの?」

勇者「や、まあ・・・」

賢者「今度はどうしたの?」

勇者「・・・」

賢者「黙ってたらわからないでしょ?」

勇者「父さんと母さんが死んだところを見た。」

賢者「」

勇者「ルビス様に話しを聞いてから、両親が死んでしまったことは確かにわかってた。わかってたけど実感が沸かなくて・・・でも見たんだ。見せられたんだ。父さんと母さんが竜王に殺されるところを!!」

勇者は途中からボロボロ涙を流しながらはなしている。

賢者「勇者・・・」

勇者「ズズッ・・わかってはいたんだ!でも、あんなもの見せられたら、ひぐっ、俺・・・」

賢者「もう話さなくていいよ。ごめんね。」

賢者は勇者の首に手を回し、後ろから優しく抱きしめた。

勇者「うっ、ううう・・・うぅ・・・!!」

勇者の瞳から我慢していた雫がポタポタととめどなく溢れてくる。

勇者「と・・さん・・・かあさ・・ん・・・守れなかっ・・・」ギリリ

賢者「うっ、うう・・」ツゥー

勇者「・・な・・で、お前まで・・・」

賢者「あ、アンタが・・・ズズッ・・泣くからよ・・・ばかっ・・・」

勇者「ごめん・・・ごめん。しばらくこのままでいさせてくれ。」

賢者「いいよ・・・」ギュゥゥ
319 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:48:29.20 ID:S/+s1Qnv0
しばらくすると二人は並んで地面に座り込んでいた。

勇者「ぷふぁ―――っ!!なんか泣いたらすっきりしたな。」ごしごし

賢者「泣いていてもどうにもならないものね。」

勇者「ああ。これから何も失わないように強くなればいい。」

賢者「たまにはいいこと言うじゃない。」

勇者「へへっ。そういえば、お前は竜王を倒したらどうすんだ?」

賢者「取らぬ狸の?」

勇者「皮算用だけどよぉ、どうすんだ?」

賢者「今のところ決めてないわ。あなたは?」(・・・)

勇者「俺も決めてねーな!ラダトームも今じゃデッカイ穴ぼこになっちまったし・・・」(・・・)

勇・賢「あのっ・・・」

勇者「先に言えよ。」

賢者「そっちこそ。」

勇者「・・・」

賢者「・・・」

勇者「やっぱりやめておこう・・・」

賢者「?」

勇者「こんなこと言うのは平和になってからだ!よっし、鍛錬鍛錬!」

勇者は立ち上がった。

勇者「ありがとう!お前のおかげで元気出た!」

勇者はルーラを唱え、どこかへ飛んで行った!

賢者「ふーん・・・まあいっか・・・」
320 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:49:49.22 ID:S/+s1Qnv0
【闘技場】

勇者「アレル!頼む、もう一回勝負してくれ!」

アレル「ん?昨日とは打って変わって積極的じゃないか。」

勇者「勝つまで毎日でもやる!!」

アレル「ははは!わかった、かかってこいっ!」

勇者「いくぞ!」

勇者はアレルに斬りかかった!
目にも止まらない速度で攻撃をたたみかける!

アレル「なかなか!」(剣に迷いが無い。昨日とはえらい違いだ・・・)

勇者「はあっ!!」

アレル「くっ!」ガギィン!

アレルは勇者の剣の勢いに押され、後方にたじろいだ!

アレル「こりゃあ手加減してたらやられちまうか?」

勇者「本気で来てくれなきゃ鍛錬にならないだろっ!?」

勇者は追い打ちをかけるようにアレルに斬りかかった!

アレル「おっと!」ガギィン!

アレルは盾で攻撃をガードした!

勇者「ぐあああ!!!」

龍神の剣がアレルの盾に触れた瞬間、勇者の身体に鋭い痛みが走った!

勇者「ぐ・・・」(ギガデインの電撃を盾に!!)

勇者は急いで盾との接触を解いた!

アレル「こういう使い方もあるんだよっ。」
321 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:50:48.58 ID:S/+s1Qnv0
アレル「攻守交代だな。」

アレルは空中に飛び上がって、五月雨のように斬撃を撃ち降ろしてきた!

勇者「!」

勇者は素早くこれを回避、あるいは剣で打ち消していく!

アレル「じゃあ試練を乗り越えた成果を見せてもらおうか。」

アレルの身体から青白い光が溢れ出した。

勇者(来るっ!!)

アレルはギガスラッシュをはなった!
巨大な光の刃が勇者に迫る!!

勇者「そりゃぁぁぁ!!!」

勇者の身体を鋭い赤光が包み、剣を振るうと巨大な斬撃が飛び出した!!

アレル「おおっ!」(赤い!?)

二つの巨大な刃が両者の間で激突し、はじけ飛んだ!!

勇者「ちっ・・・!」

アレル「お前の成長はわかった。ここまでにしよう。」(一気に互角程度まで成長したか!こりゃもしかしたら負けちゃうか?)

勇者「でも、まだアレルを倒してない・・・」

アレル「どうやらお前はその精神状態や感情に呼応してチカラの強さが変わるタイプのようだな。昨日とはまるで別人だ。恐らく潜在的なものは俺を超えてるだろう。あとはそれをお前がどうやって引き出すかだな。」

勇者「でもまだ、少し押されてるような気がする・・・」

アレル「それは多分、戦闘経験の差だろ。これから毎日俺を倒すまで決闘するんだろ?そんなもんすぐ埋まる。心配すんな!」

勇者「う、うん・・・」

アレル「それと今の技、何発くらい使えそうだ?」

勇者「うーん・・・ちょっとわからない・・・」

アレル「そこらへんも自分の実力を知っておくために確認しておいた方がいいぞ。」

勇者「わかった。」
322 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:52:17.71 ID:S/+s1Qnv0
二ヶ月後――

【神竜の塔】

アレル「よく頑張ったな、お前達!今日で修行は終わりだ。なにかやり残したことはあるか?」

勇者「いや・・・?」

賢者「逆に教え忘れたことは?」

カダル「ないな・・・」

ホイミン「おじちゃん・・・また来るからね・・・」

カダル「いや、来るな・・・冷蔵庫の中身が空になる・・・」

ホイミン「むぐぅ!べー!」

勇者「じゃあ行くか。」

フォン「あーあ。行っちゃうのかぁ・・・キミはあたしに勝ったんだから魔王ごときに負けたら承知しないからねっ!」

勇者「はは・・・頑張ります。」

フルカス「二人とも帰ってくるなよ?」

勇・賢「はいっ!!」

神竜「では下の世界に送ってやろう。下の世界についたらすぐレ・・・ラーミアの背に乗ってアレフガルドを目指すがよい。」

勇者たちの足下から不思議な光が溢れだし、二人と一匹を下界へと運んだ。

フォン「行っちゃったね・・・だいじょぶかな?」

アレル「あいつらならやってくれるさ。」
323 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:52:47.72 ID:S/+s1Qnv0
【ロマリア上空】

賢者「ねえ?言われるがままラーミアの背に乗ってるけど、これってもしかしてギアガの大穴に向かってる?」

勇者「え?ギアガの大穴は封印されてるんじゃ・・・」

賢者「まあいいわ。もしダメならまたあの海底洞窟を抜ければいいことだし。」

ホイミン「風がきもちー!」

勇者「むこうに渡ったらまずデュランの野郎にお礼参りしなきゃな。」

賢者「ええ。半年前は完封されたけど今度はきっと勝てるはず・・・」

勇者「そうだな!」
324 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:53:52.67 ID:S/+s1Qnv0
【ネクロゴンド地方上空】

勇者「やっぱりここに来たな。」

賢者「あれがエルフの双生児が張った結界・・・」

ギアガの大穴をドーム状の光の壁が覆っている。

勇者「ラーミア・・・どうするつもりなんだ・・・」

ラーミア「クエェェェェッ!!」

ラーミアはその美しい翼をいっぱいに広げると、その翼から七色の光をはなった!

賢者「!」

すると結界は跡形もなく消滅してしまった!

勇者「すげえ・・・こういうことだったのか!」

そしてラーミアは勇者たちをその背に乗せ、もの凄いスピードでギアガの大穴に飛び込んで行った!!

勇者「うっひゃぁあああ!!」

賢者「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

ホイミン「死なないよね?死なないよね?」
325 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:55:03.52 ID:S/+s1Qnv0
【ラダトーム地方上空】

勇者「ふうっ!帰ってきたな!」

賢者「もっと安全運転できないのかしら・・・」

ホイミン「死ななかったぁ・・・」

ラーミア「クエエッ・・・クエエッ・・・」

なにやらラーミアが苦しそうにしている。

賢者「ど、どうしたの!?この子、急に元気が・・・」

勇者「そうか、今アレフガルドはルビス様の加護をほとんど受けてない。だから風もない。それでこいつは息苦しい感じになってるんじゃねえか!?」

賢者「なるほど、アンタにしちゃまともな推理ね。」

勇者「このままじゃ可哀想だ。一旦降りよう。おーい!ラーミア、ここで降ろしてくれ!」

ラーミアはしずかにその場に降り立った。

勇者「苦しいよな・・・悪かったな。俺たちはここでいい。だから上の世界に帰ってくれていいぞ?」

ラーミアはまんまるな瞳で勇者たちを見つめ、すこし首をかしげた。

賢者「大丈夫。ここからは自分たちで行くわ。」

ラーミアは目を閉じ、巨大な嘴を勇者達にやさしく擦りつけると、ゆっくりと飛翔を始めた。

勇者「わかってくれたみたいだな。」

賢者「そうみたいね。」

ラーミアは「またね」とでも言うように短くひと鳴きすると、ゆっくりと上の世界に戻っていった。
326 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:56:15.69 ID:S/+s1Qnv0
勇者「よし。早速いくか?」

賢者「準備は出来てるわ。」

勇者「よっしゃ!天界で過ごしたのは約半年くらいだから、こっちの世界ではまだ半日くらいしか経ってないはず。度肝抜いてやろうぜ!!」

賢者「そうね!」

ホイミン「いっけいっけー!」ヒョコッ

勇者「じゃあ行くか!」

勇者はルーラを唱えた!
327 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 21:57:44.93 ID:S/+s1Qnv0
【メルキド】

勇者「ついた!まだこっちの世界ではさっき交戦したばかりだからこのあたりにいるはず。」

賢者「そうね・・・」

デュラン「どういうわけだ?どんな手段を使ったか知らぬが、先ほどうまく逃げおおせたはず。何故また死地に舞い戻る?」

どこからか声が聞こえる。

勇者「デュラン!!」

デュラン「潔く殺されに来たという解釈でいいのか?」

デュランが二人の前に姿を現した!

勇者「へ、さっきと同じさ。倒しに来たんだよ!」

デュラン「フハハ!装備を新しいものに替えて再戦か?片腹痛いわ!!またすぐボロボロにしてやろう。」

勇者は剣を構えた。

賢者「待って、こいつはあたしにやらせて。」

勇者「賢者・・・」

賢者「この間は足手まといでしかなかったけどもう違う。試したいの。だから後方支援に回ってもらえる?」

勇者「・・・無理するなよ?」

賢者「わかってるわ。」
328 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 22:02:11.50 ID:S/+s1Qnv0
デュラン「ほう?学習能力がないと見える。貴様の呪文攻撃は一度でもわたしにダメージを与えたか?」

賢者「与えてないわね。」

デュラン「だから学習能力がないと言うのだ!!」

デュランが賢者に向かって斬りかかって来た!

賢者(来たわね。)

賢者は左手の掌をデュランにかざし、ベタンを唱えた!
超重量がデュランの身体にのしかかる!!

デュラン「なにっ!?」(う、動けん・・・なんだこの魔力の大きさは・・・)

賢者「やはり、すごい防御力ね・・・普通の魔物ならこれでペッタンコになってるはずなのに・・・」

賢者はベタンの重圧を維持しつつ、メラゾーマを唱えた!
巨大な火の球がデュランを襲う!!

デュラン「その程度の呪文がわたしに効くかっ!」(こいつっ、同時に二つの呪文を!?)

賢者「どうでしょうね。」

火の球はベタンの重圧で動けないデュランに直撃した!!

デュラン(ぐうぅ!?なんだこのダメージは!?おかしい、先ほどとは比べものにならないほどの魔力・・・この女に何があったと言うのだ?)
329 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 22:03:19.56 ID:S/+s1Qnv0
賢者「きつそうね。どんどんいくわよ?」

賢者はバギクロスを唱えた!
研ぎ澄まされた真空の刃がデュランを襲う!!

デュラン「うぐっ!!」

デュランは真空の刃に身体をズタズタに引き裂かれてしまった!

デュラン「このわたしに血を・・・」ドスッ・・・ドスッ・・・

ベタンの効力で重量が何倍にもなったデュランの血液が地面を叩いた。

勇者「す、すげえ・・・圧倒的だ・・・これじゃ援護すら出来ない・・・」

賢者「このままだとあたしの魔法力が尽きる前にあなたが先に倒れそうね。」

デュラン「調子にのるなぁぁぁぁぁ!!!」

デュランが咆哮すると、その身体から黒い霧が溢れだし、デュランはベタンの重圧から解放された!!

デュラン「これで貴様らは木偶の棒だ!!結局結果は変わらぬ!!」
330 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 22:04:50.79 ID:S/+s1Qnv0
賢者は勇者の方をチラッ見た。

勇者「やっと後方支援の出番ってわけですか!」

勇者が両手をかざし、念じると指先から凍てつく波動がほとばしり、黒い霧を消し去った!!

デュラン「なっ・・・」

賢者「覚悟なさい。」

賢者はメラ×ヒャドを唱えた!
二つの呪文は融合し、弓矢のような形を形成した!!

デュラン「なんだその呪文は・・・」

賢者「受けて見ればよーくわかるわよっ!!」

賢者はメドローアをはなった!!

デュラン(なんて呪文スピードだ、かわせるかっ!?)

デュランはギリギリでメドローアをかわしたが武器の半分がメドローアの矢に接触し、消滅してしまった!!

賢者「おしい・・・」

デュラン(なんだ今の呪文は!?オリハルコンで出来たわたしの武器が半分跡形もなく消し飛んでいる・・・あれは食らってはいけない!!)

勇者(賢者にチラッ聞いてはいたが、これがメドローア・・・強力無比だな。オリハルコンの武器をああも容易く消滅させるなんて・・・)

デュラン(まずい・・・まずいぞ。まずいのは威力ではない!どういうカラクリかわからぬが、呪文のキレが先ほどとは全く別物だ。このわたしの素早さで避けきれぬとは・・・そう何発も避けられるとは限らぬ・・・)
331 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 22:06:34.46 ID:S/+s1Qnv0
賢者「次は当てるわよ。」

デュラン(ぬぐぐ・・・これが恐怖というものか・・・)

賢者は再びメドローアを形成しようとした。

デュラン(あの呪文、二つの呪文を融合させているように見える。それならば狙うは今!)

デュランは賢者が呪文を合体させる直前を狙って攻撃してきた!!

勇者(まずいっ!)

賢者「!!」

勇者(・・・?)

賢者は急いで両手を合致させた!
その瞬間、賢者の目の前で呪文エネルギーがはじけ飛び、まばゆい光に賢者は巻き込まれ、消滅してしまった!!

デュラン「消滅した?・・・フハハ!なるほど。そういうリスクがある呪文だったのだな?強力無比な反面、呪文の生成に失敗すればその効力は術者に襲いかかるというわけか。」

勇者「う、うそだろ・・・?おい・・・どこかに隠れてるんだろ?なあ・・・なあ!!!」

デュラン「どうやらその反応は図星のようだな。クハハハ!」
332 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/06(火) 22:10:57.73 ID:S/+s1Qnv0
勇者「そんな・・・そんな・・・」

デュラン「さて、多少手こずったがお前も同じところに送ってやろう。」

勇者は戦意を喪失している!

デュラン「クハハハハ!惜しかったな!」

デュランが勇者に向かって武器を振り下ろそうとしたその時、不意にデュランの身体に巨大な魔法の矢が直撃した!!

デュラン「なっ!?」

デュランは跡形もなく消滅した!!

勇者「だ、誰だっ!?もしかして天国の賢者が俺を・・・」



*「ちょっと。やめてよ、白々しい。」

勇者「ハハハ!悪い悪い。出てこいよ。」

すると突然、賢者が姿を現した!!

賢者「まあでもあなたにしては中々の演技だったわ。」

勇者「だろ?ところで、どんなカラクリなんだ?」

賢者「デュランに一度メドローアの性質と手順を見せておけば、呪文の融合の瞬間を狙って来ることは明らか。だからわざと失敗したように見せてレムオルで身体を透明にしたの。あいつが理解力のある敵で助かったわ。」

勇者「レムオル?」

賢者「平たく言えば透明人間になれる呪文よ。」

勇者「へー!じゃあ合体するときの呪文はどうしたんだ?」

賢者「あれはギラとバギ。」

勇者「なかなかの策士だなお前。俺もホイミンがお前のローブの後ろから這い出して、触手で「生」って字を作って合図を送ってくれなかったら騙されるところだったぞ。」

ホイミン「へへーん!またまた役に立っちゃった〜!!」ヒョコッ

賢者「えらいえらい。」

賢者はホイミンの頭を撫でた。

賢者「確実に当てたかったらこのくらいの策は無いとね。」

勇者「さすが自分で【賢者】って言うだけあるな。」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 22:26:00.55 ID:Rklvtr0IO
(`・ω・´)乙
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/07(水) 08:40:10.54 ID:5tnzlmuAO

ラーミアかわええ(*´Д`*)
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/07(水) 09:10:16.35 ID:yWFOET8H0
レ・・・何だって?
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/07(水) 11:04:49.82 ID:2do5H9cto
337 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/08(木) 21:04:18.60 ID:lsfkduY80

勇者「にしても、俺たちやっぱり強くなったよな。」

賢者「そうね。ぎゃふんと言わせる前に勝ってしまったのが残念。」

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

勇者「な、なんだ!?」

強烈な地響きがアレフガルド全土に伝わった!!

賢者「まさかっっ!来て!」

勇者「うおっ!?」

賢者は勇者の腕を掴むと、トベルーラを唱えた!
勇者たちの身体は遥か上空へと飛翔した!

賢者「やっぱり!」

勇者「あれは・・・魔の島!?」

海が裂け、地響きとともに竜王が居城構える、魔の島が地底から姿を現した!!

勇者「封印が解かれたのかっ!!」

賢者「増幅魔方陣のチカラを全て消し去ったから・・・」

勇者「いよいよだな。」

賢者「ええ。」
338 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/08(木) 21:06:07.84 ID:lsfkduY80
【竜王の城】

勇者「ここまですんなり来れたな・・・なにか都合がよすぎる気もするな。」

賢者「たしかに島自体に侵入するのになんの苦労もないっていうのは少しヌルいわね。てっきり結界かなにかで守られてるのかと思ったわ。」

勇者「あの時もそうだった。今と同じで虹の雫を使い、虹の架け橋を渡って案外簡単に城内に侵入出来た。今回も罠かもしれないな。」

賢者「でもむこうから来てくれない以上、罠とわかっててもこっちから懐に飛び込んで行くしかないわね。」

勇者「そうだな。」

二人と一匹は竜王の居城に足を踏み入れた。


その瞬間、四方から火の玉が一斉に二人に襲い掛かった!!

賢者「!」

勇者「ぬうお!?」

賢者はマヒャド×バギクロスを唱えた!
賢者の両腕から氷刃と旋風が巻き起こり、火の玉を吹き飛ばした!!

勇者「ヒュ〜!さすが賢者さま。にしてもなんだこいつら。多勢に無勢だな。」

賢者「サタンパピー・・・さすが総本山だけあって強力な魔物をそろえているわね。」

勇者たちが来るのを待ちかねたように十数匹のサタンパピーたちが二人を取り囲んでいる!

サタンパピー「勇者たちだっ!コロセ!コロセ!」

勇者「うおっ!喋るのかこいつ!」

賢者「サタンパピーは高い知能を持ち、上級呪文もつかいこなす悪魔族。でも最初の集中砲火以上の攻撃は恐らく出来ないはず。」

勇者「なんだ、じゃあ心配いらないな。」

サタンパピー「キキキ!!チリにしてやる!!」

勇者はサタンパピーたちが呪文攻撃をしようとした瞬間、目にもとまらぬ速さで移動し、次々とサタンパピーたちを真っ二つにしていった!!

サタンパピーたちの亡骸は砂となって消え去った。

賢者「この城を根城とした魔物、こっちの世界には生息しない魔界のモンスターで強化されていそうね・・・」

勇者「まあ今程度の魔物なら心配いらないな。」

賢者「だといいんだけれど・・・」
339 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/08(木) 21:07:03.00 ID:lsfkduY80
一行は勇者の道案内に従って竜王の城を進んで行った。

賢者「さすがに一度竜王のもとへたどり着いただけあって道は覚えてるのね。」

勇者「ああ。ちょっと朧な部分もあるけどだいたいは覚えてる。」

賢者「ここが大魔王ゾーマの居城だったのね・・・結構広いのね。」

*「グォォォォォォォ!!」

勇者たちの目の前に紫皮の巨竜が四頭現れた!

賢者「ダースドラゴン!?」

勇者「ダースドラゴン!?なんだよそれ!それも四頭も・・・前来た時はこんなやついなかったぞ!?」

賢者「ドラゴンの亜種よ。こんな魔物、本でしか見たことないわ!恐らくこいつも魔界から連れてきたんでしょうね・・・」

勇者「一人二頭だな。」

賢者「望むところよ。」
340 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/08(木) 21:07:55.66 ID:lsfkduY80
二頭のダースドラゴンは賢者に対して灼熱の息を吐きつけてきた!!

賢者「あんたたちみたいな息攻撃馬鹿にはこれで充分!」

賢者はフバーハ×フバーハを唱えた!
二重の光の衣が息攻撃の威力を増幅し、跳ね返した!

ダースドラゴン「ギャォォォォォ!!」

ダースドラゴンは苦しんでいる!

賢者「いくら炎に強い皮膚を持っていると言っても自分の息攻撃を倍返しされてはたえられないようね!」

勇者「おおー!俺も負けてられんな!」

二頭のうちの一頭が勇者に鋭い歯で噛み付いてきた!!
勇者はその両あごを両腕で上下に開いたまま受け止めた!

勇者「力比べするかァ!?」

するとダースドラゴンは勇者に口をあんぐりと開かされたまま、喉の奥から灼熱の炎を吐き出そうとした!

勇者「やべっ!?閉じてろっ!」

勇者は上下に押さえ付けて開かせていたあごから手を引いた!
その瞬間あごが閉じ、炎を吐いたダースドラゴンは口内を焼かれてしまった!

ダースドラゴン「グォ・・オオ・・・」

勇者「はっは!バーカッ!自滅してやんのー!」

その時、強烈な勢いで勇者のわき腹にもう一頭の尻尾が打ち付けられた!

勇者「ぐわあっ!!?」

勇者は攻撃を受け、吹き飛んだ!

勇者「いてて・・・二頭いるんだっけな・・・」
341 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/08(木) 21:10:16.19 ID:lsfkduY80
勇者「今度はこっちからいくぞ!」

勇者は素早く一頭の懐に飛び込むとその首を切り落とした!
しかしその隙にもう一頭に腕を噛みつかれてしまった!

勇者「ぐっ!?」

ダースドラゴン「ガウゥ!?」

勇者「旨いか?」

勇者の身体から凄まじい電撃がほとばしった!
ダースドラゴンは黒こげになってしまった!

勇者「ふうっ!どうよっ!」

勇者がチラッと賢者の方を見ると、二頭のダースドラゴンが巨大な氷の刃に串刺しになっている光景が飛び込んできた!

勇者「あれ・・・」

賢者「あたしの勝ち。」

勇者「ちっ。」
342 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/08(木) 21:12:54.29 ID:lsfkduY80
勇者たちは何回か魔物に遭遇したが、それを討ち倒し城の中を進行していった。

賢者「この部屋、玉座があるわよ・・・?」

勇者「玉座の裏を見てみろ。」

賢者「!」

玉座の裏側の床の絨毯が剥がされ、そこに隠し階段の入り口が晒されている。

勇者「以前、俺が来たときにすでにその隠し階段は晒されてた。今思えばこれがすでに不自然だったよな・・・」

賢者「・・・明らかに歓迎されているとしか思えないわね。」

勇者「ちょっとここらで一休みしていくか?」

賢者「そうね・・・魔物との遭遇率が高くてちょっと疲れちゃったわ。」

勇者「それにしても見たことがない魔物ばっかりだな。」

賢者「サタンパピー・ダースドラゴン・アークマージ・マントゴーア・ソードイド・スターキメラ。ここで戦った魔物たちはみんなこの世界には存在しない、魔界の魔物・・・ゾーマがアレフガルドを支配していた時はこんな魔物で溢れていたそうよ。」

勇者「へぇ・・・竜王を野放しにしておいたらアレフガルドはこんな魔物たちで溢れかえってしまうのか。」

賢者「恐らくね。」

ホイミン「でもお兄さんとお姉さんが頑張って竜王を倒すから安心だねっ!」ヒョコッ

賢者「フフ・・・そうね。」ナデナデ
343 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/08(木) 22:53:06.25 ID:lsfkduY80

【竜王の城・最深部】

竜王「まさかわしが作り出した魔人が敗れるとはな・・・確かにこの城の中での戦いを見る限り、別人のように成長している。我が配下の魔物たちも魔界の精鋭。普通ならばこんなにも簡単に討ち倒せるものではない・・・一体やつらに何があったというのだ?」

竜王「まあいい。わしが相手をする前に前座試合でどの程度のものか確かめてやろう。」


【天界】

カダル「なあ、アレル。まさかこんなことになるなんて思いもよらなかったよな・・・」

アレル「ああ。まさかあの時、産まれた卵がこんな未来に通じてるなんてな・・・」

神竜「未来はどんな者にも見通すことは出来ん。このわたしでもな。竜の女王が命と引き換えに産み落とした、本来ならば光の者であるはずの竜人の子がまさかこのようなカタチでお前たちの世界に牙を剥こうとはな。」

アレル「神竜、竜の女王様が産んだ卵を持ち去ってどこかへ消えたその邪教徒ってのはいったいどこから来たんだ?」

神竜「わたしは全ての世界を見わたすことが出来る。魔界を除いてな。つまりわたしが発見出来ないということはそいつは魔界から来て魔界に帰ったことになる。」

カダル「なるほど。つまりその邪教徒はわたしたちの死後、竜の卵を魔界へ持ちかえり、なんらかの方法で聖なるチカラを失わせた。と考えるのが自然か。」

神竜「恐らく、産まれる以前に魔界で祝福を受けたのだろうな。竜人の持つ潜在的なチカラは強大だ。それが魔の祝福により生まれ変わり、魔界の瘴気で邪悪なチカラへと変化した。もはや善の心は一片も残ってはいまい。」

アレル「そして魔界でチカラをつけ、こちらの世界に侵攻してきたわけか。だとしたら理由はなんだろうな・・・」

カダル「単に懐かしさを感じて無意識のうちにこちらの世界に足が向いたのかもな。竜王もまた悲しい宿命を負わされただけとも言える・・・」

アレル「でも今はもう邪悪なチカラを撒き散らす悪だ。それは必ずあいつらが討ち破る。」

神竜「小僧たちにこのことを伝えておかなくてよかったのか?」

アレル「迷ったがやめた。あいつらにとっては竜王は憎むべき存在であり倒すべき敵だ。勇者のやつに関して言えば両親のカタキでもある。そんな竜王も実は被害者なのだとあの二人に教えても、変な葛藤を抱えて充分に実力を発揮できないだろうからな。」

カダル「へぇ。意外に考えてるんだな。」

アレル「へ。」
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/09(金) 02:04:22.91 ID:P2/I1nrt0
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/09(金) 18:10:52.29 ID:pL/uMmnYo
346 : ◆b4J7ZNfkVs :2012/03/09(金) 20:52:54.08 ID:Nz/DrVcIO
(`・ω・´)乙
347 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/11(日) 07:09:52.43 ID:CXHl2D6G0
読んで下さっている方、有難うございます。
主の文章力と表現力が足りないために、物語の背景が理解出来ていない方がいるかもしれないので一応書いておきます。



大魔王ゾーマが魔界の魔物を率いてアレフガルドへ侵攻。

精霊ルビスがバラモスによって幽閉される。

ルビスがチカラを封印されたことによりアレフガルドが闇に閉ざされる。

アレフガルドを手中に収める見通しが立ったゾーマは上の世界へと侵攻する。

ルビスを捕らえた功績を讃え、バラモスを魔王へと昇格。上の世界の制圧の大役を任せる。

バラモスがギアガの大穴を通り、ネクロゴンドに居城を築き、上の世界の制圧を開始する。

勇者ロトがルイーダの酒場でパーティを募り、バラモス討伐に出た父親の後を後を追ってアリアハンから旅に出る。

勇者ロトの一行がバラモスの刺客たちを倒しながら世界に散らばった六つのオーブを集め、ラーミアのチカラを借りてネクロゴンドのバラモス城へたどり着く。

勇者ロトらによってバラモスが討たれる。

竜の女王の出産に立ち会う。しかし女王はロトに光の玉を授け、自らの子を産み息絶える。

勇者ロトらがギアガの大穴を通ってアレフガルドへ。

ルビスを助け出し、ゾーマ城へと至る。

父親の死に直面しながらもゾーマを討ち滅ぼす。

世界に平和が戻る。

勇者ロトはラダトームの王女と結ばれ、その血筋をアレフガルドに残すことになる。

勇者ロトが天界へと導かれ、神竜と出会う。力比べをし、神竜に認められ願いを叶えてもらう約束をする。

数十年後、ロトたちが寿命を迎える。

ロトの沒後、竜の女王が死んでしまったことによって著しく孵化が遅れていた竜の卵が何者かの手によって盗み出される。

ギアガの大穴が封印される。

竜の卵を盗み出したハーゴンの手によって竜の卵は魔界で魔の祝福を受け、魔族として生まれ変わる。

ハーゴンが魔界の奥深くに卵を安置し、自身は魔界のどこかへ身を隠す。

竜王が魔族として生まれる。

およそ200年後、竜王がかつて魔界を席巻したエスタークの文献を独自に研究し、進化の秘法を手に入れる。

竜王がアレフガルドへ侵攻を開始。




過去の事象はこんな感じです。
読みにくいし、長くなってすみませんw
聞きたいことあったら言ってください。
ネタバレにならない範囲ならお答えします。
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 10:23:22.14 ID:vOCdMUaIO
ドラクエで昔っから疑問なのは「アレフガルド以外のの世界がいつから存在しているのか?」なんだよなぁ

ロトの時点でローレンシア等に行けない理由はメタな話はともかく
世界がまだ存在してないのか、しているけど行けないだけか、何かの結界で
そもそもルビスが作ったのはどこまで?上下世界全部?アレフガルドだけ?
アイテム物語、モンスター物語、知られざる伝説、全部読んだけど未だ統一見解に至れない
349 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 01:21:30.90 ID:oQb4uX5X0
>>348


確か、DQ2の世界では「アレフガルド地方」という扱いを受けているので「アレフガルド」が指す大地はDQ1&DQ3に登場するもののみだと考えられます。
ではその他の世界がもともと存在していたかどうかという話になりますが、ここからは予想の領域になってしまうでしょう。

@【DQ3の時代に既にアレフガルド以外の大地が存在している場合】
DQ3では船に乗ってアレフガルド周辺の海を航海することが出来ます。
しかし上の世界のように南端から北端に抜けたり、東端から西端に抜けたりすることは出来なかったと記憶しています。
海の最果ては行き止まりで、海水が滝のように下へ滴っているようにも見えなくはない。
これは予想でしかありませんが、このアレフガルドの様な閉塞的な大地が地下世界にはいくつも存在していた可能性があります。
上の世界の広さにアレフガルドだけではなんとなく見合っていませんしね。
つまりDQ2の世界はそのいくつかの大地が一つの球面になった世界なのではないかと言うことです。
ちなみにDQ2の世界は球面上になっていて北端と南端、東端と西端はつながっています。




A【DQ3の時代に既にアレフガルド以外の大地が存在していたが、DQ3ではアレフガルドが舞台だったため移動できないようになっていた場合】
@と違うのは、初めからひとつの球面世界だったがゲームでは行動を制限されていたため(都合上)他の大陸は無い扱いになっていたというところです。




B【DQ1-DQ2までの間にアレフガルド以外の大地が出来た場合】
この可能性は極めて低いと思います。
何故ならDQ1で竜王撃破後に勇者とローラが他の大地へおもむき、三人の子を設けているからです。
おくまでも他の大地が無人の未開の地として存在していたケースを除いた場合の話ですが。






DQ2には「大地が一つになってから」とか「新しく作られた大地」などという話をするキャラはいなかったところをみるとやはりAの可能性が一番高いのではないかと推察出来ます。
とまあ、ゲームは後付け要素もかなりあると思うので信頼できませんが結局のところ想像にお任せするといわざるをえないですねw

ちなみに自分はAだと思ってます。
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/14(水) 07:36:51.18 ID:TTwmN4TGo
DQ3の時代のアレフガルドでは文明の発達度的に近海しか船を出せなかったとかね
基本AだろうけどDQ3の後に、解放されたルビスがその他の大陸を創造したとかも考えられる
まぁ色々想像して楽しむのもいいね
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/14(水) 09:54:12.85 ID:MZV2eDjq0
平坦トーラスの謎
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/14(水) 09:56:46.41 ID:UBaUZ/1jo
>>351
それは言うなww
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 11:38:01.58 ID:SI8LsaAIO
>>351
ちょっwww
354 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:47:04.80 ID:oQb4uX5X0
>>351
世界地図の東西をくっつけて筒を作った状態で南北をくっつけるとドーナツ状になるって話ですねw
確かにあの世界地図と抜けの位置から考えるとそうなりますねw
355 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:50:23.17 ID:oQb4uX5X0
【竜王の城】

勇者「よし。一休み出来たし先に進むか。」

賢者「ええ。」

勇者「ここから先は洞窟になってる。足下に気をつけろよ。」

賢者「わかったわ。」

一行は隠し階段を下り、竜王の城の最深部を目指した。





賢者「随分歩いたけど、最深部まではまだなの?」

勇者「いや、もうすぐだ。」

竜王〈よく来たな。ロトの子孫よ。〉

賢者「こ、この声は?」

勇者「・・・竜王だ。」(この声を聞くだけで血が沸騰しそうだ・・・)

竜王〈四魔将を倒し、ここまで来たことは褒めてやろう。わしが直接葬ってもいいが、少し前座に付き合ってもらうぞ。〉

突然、目の前の空間に裂け目が生じ、そこから魔物が這い出してきた!
356 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:51:02.10 ID:oQb4uX5X0
【天界】

神竜「ぬっ!?」ピクン

アレル「どうしたんだ?」

神竜「馬鹿な・・・っ。」

カダル「あいつらになにかあったのか!?」

神竜「お前らにもこの映像を見せてやろう・・・」

神竜が念じるとアレルたちの目に映像が飛び込んできた!!

アレル「な・・・!?何故やつが?」

カダル「はっ・・はは。こんなことってあるのか?」

神竜「うーむ。恐らく進化の秘法のチカラだろう。恐ろしいことをするやつだ・・・」
357 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:52:52.85 ID:oQb4uX5X0
【竜王の城】

*「ぬぅぅ・・・どういうことだ?わしは何故生きている・・・」

賢者「な、なによこいつ・・・」

勇者「こいつ、何者だ!?」

竜王〈大魔王ゾーマよ。わしの声が聞こえるか・・・〉

賢者「!?」

勇者「ゾーマだって!?」

ゾーマ「貴様がわしを蘇らせたのか?」

竜王〈そうだ。大量の魔物の血肉と進化の秘法のチカラをつかってお前の魂を冥界から呼び寄せたのだ。〉

ゾーマ「いらぬことを・・・わしは勇者アレルたちに敗れ朽ちたはず。今更この世界に未練などない!!敗れながらも生き存えるなど生き恥以外のなにものでもないわ!」

竜王〈おお、それは残念だ。今そこに勇者ロトの末裔がいるというのにか?〉

ゾーマ「なんだと・・・?なるほど。確かにあの男と同じ目をしている。わしにこやつと戦えというのか?」

竜王〈そうだ。遺恨を張らす機会をくれてやろう・・・〉

勇者「くっ・・・」

ゾーマ「フハハハハ!残念だが断る。」

勇・賢「!??」

ゾーマ「わしの誇りがそれは許さぬ。わしはまた眠りにつかせてもらおう・・・」

竜王〈そうか、戦う意思がないならば操るほかあるまい!〉

ゾーマ「ぬうっ!?くっ!やめろ!!」

ゾーマはマヒャドを唱えた!
大量の巨大な氷の刃が勇者たちに降り注ぐ!

賢者(なんて魔力なの!?呪文の規模が違うわ!)

賢者はベギラゴン×メラゾーマを唱えた!
賢者の両手から放たれた炎がいくつもの火柱となり飛んでくる氷塊を溶解させた!
358 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:54:39.38 ID:oQb4uX5X0
ゾーマ「すまぬ・・・勇者アレルの子孫よ。どうやらわしはお前達と戦わねばならぬらしい・・・恥を忍んでお前達に頼む。わしを再び永久の眠りへつかせてくれ。」

勇者「くっ。竜王め、死霊を弄ぶとはどこまで卑劣なんだ・・・」

賢者「まさか大魔王ゾーマと戦うハメになるなんて・・・」

勇者「大魔王ゾーマ。俺たちが必ずお前をまた永遠の眠りにつかせてやるっ!!」

ゾーマ「恩にきるぞ・・・しかし滑稽なものだ。新たなる魔の者が現れるなどと予言しておきながらその者に使役されるとは・・・情けない話だ。」

ゾーマはメラゾーマを唱えた!
炎のチカラがゾーマの右手に集中していくと、剣を象った!

賢者「なにそれ・・・こんな呪文の形みたことないわ・・・」

ゾーマ「気をつけろ・・・」

ゾーマは炎の刃を勇者に投げつけてきた!

勇者(う!?早いっ!)

呪文の刃は鎧を貫通して勇者の脇腹に突き刺さった!

勇者「ぐわああああ!!」

勇者の身体が炎に包まれた!

賢者「勇者っ!?」

勇者は地面に転がって身体に残った炎を消した。

勇者「くっ・・・ごほっ・・・」(脇腹をかすめただけだったからよかったけど、呪文の威力が高すぎる!!この鎧を貫通するなんて・・・)

勇者の装備している鎧に小さな穴が開いている。

賢者「勇者!大丈夫!?」

勇者「心配ない。かすり傷だ。」

ホイミン「お兄さん、今回復してあげる!」

ホイミンはベホマを唱えた!

勇者のキズが回復した!

ゾーマ「このくらいのことで騒がれては困る・・・仮にもお前達はこれからわしを操っているものを倒すつもりなのだろう?」

勇者「くっ・・・」(どうしたらいい?物理的に防御してもダメだ。呪文の威力が凝縮してるからか、貫通力が高すぎる。)
359 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:55:27.19 ID:oQb4uX5X0
ゾーマはイオナズン・バギクロス・ベギラゴンを唱えた!
呪文で召還されたエネルギーが収束し、三つの剣を作り出した!!

ゾーマ「次は三つだ、死んでくれるなよっ!!」

ゾーマは三つの呪文の刃を飛ばしてきた!!

賢者(極大呪文を三つ同時展開なんて・・・)

勇者「賢者!とにかく避けろっ!!」

賢者(回避に回るしかないわね。)

勇者と賢者は呪文の刃を回避した!

ゾーマ「うしろだっ!!!」

勇者「!?」

回避したはずの呪文の刃が弧を描いてこちらへ戻ってきた!

勇者「嘘だろ!?」

賢者(自動追尾!?)

勇者と賢者は回避に精一杯でなにもすることが出来ない!

ゾーマ「どうした?そんなものか、お前達のチカラは!!
360 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:56:34.84 ID:oQb4uX5X0
【天界】

アレル「大魔王ゾーマ・・・まさか再びこの目で見ることになろうとは・・・」

カダル「特有の呪文形態・・・あの呪文には手を焼かされた。というか、攻略したわけでもないけどな。結局アレルのチカラくらいしか通用しなかったからゴリ押しするしかなかった・・・」

アレル「あの呪文の剣は貫通力が高く、何よりその素早さと追尾性能が厄介だ。」

カダル「でもあの二人ならなんとかしてくれるだろう。なんってたってわたしたちを超えて見せたんだからな!」

アレル「ああ。ゾーマに勝てなければ竜王には決して勝てない。あいつらならやってくれる。」



【竜王の城】

勇者「くっ!なんとかなんないのか!?このままじゃいずれ・・・」

賢者「今考えてるわ!」(同じ性質の呪文で相殺・・・は無理か。魔力が収束して密度が高すぎる。これじゃ普通にぶつけても貫通されて相殺されたことにはならない・・・)

呪文の剣はこうしている間にも勇者たちを狙って舞い続けている!

賢者(マホカンタで跳ね返しても追尾されるんじゃまた向かってくるわね・・・・・・いや・・・マホカンタか。やってみる価値はありそうね・・・)

賢者はマホカンタ×バイキルトを唱えた!
勇者の剣が不思議なチカラを帯びた!
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) :2012/03/14(水) 23:57:37.28 ID:oQb4uX5X0
賢者(よしっ。マホカンタの反射膜は剣に定着したわ。あとは・・・)

賢者「勇者!ちょっとどれでもいいから斬ってみて!」

勇者「え!?でもまたカウンター食らうんじゃ・・・」

賢者「いいから!」(どうなるかしら。跳ね返すか、切断するか・・・)

勇者「よくわかんないけどやってみる!」

勇者は追跡してきた呪文の刃のうち一振りを迎え撃った!
呪文の刃は真っ二つになり、安定を失った呪文の刃ははじけ飛んだ!

賢者(よしっ。後者だわ。前者なら一時的な防御しか出来ないけどこれなら打破していける!)

勇者「おおっ!?なんか壊せたぞ?」

賢者「その調子で残りの二振りもお願い。」

勇者「ガッテンだ!」

勇者は残りの二振りを切り裂いた!

ゾーマ「ほう・・・やるではないか・・・」
362 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/14(水) 23:59:13.13 ID:oQb4uX5X0
ゾーマ「だがそれだけで押し切れるほど甘くはないぞ。」

ゾーマは【ベギラゴン・マヒャド・イオナズン・バギクロス・メラゾーマ】×2を唱えた!
五色の刃が扇状にゾーマの頭上に現れた!

賢者(十呪文同時展開!?)

ゾーマ「わしが一度に唱え、制御出来る最大の呪文数は十。故にこれは我が呪文の中で最強の攻撃・・・」

勇者「10本なんて一人に集中されたら絶対避けきれない!!」

ゾーマ「やはりお前達ではわしを倒すことは叶わんか・・・」

ゾーマは全呪文を賢者に向けてはなった!!

勇者「しまった!」(間に合えっ!!)

ゾーマ(チッ。ひとりづつ片付けようというのか。抜け目が無い・・・)

賢者「!」(どうしよ。マホカンタで跳ね返す?ダメ。一方向からの攻撃しか防げない・・・打つ手がない・・・!!)

呪文の刃が賢者に命中する瞬間、勇者は賢者に覆い被さった!

賢者(勇者!?)

勇者はその身に全ての呪文を受けてしまった!!
363 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/15(木) 00:02:25.00 ID:kSMMYX6J0
ゾーマ「なっ・・・なに・・・?」

しかし勇者と賢者はダメージを受けなかった!
二人の身体を不思議な霧が包んでいる。

ゾーマ「・・・その霧、マホステか!?」

勇者「もう大切なものを失うのはたくさんだ。」

ゾーマ(これだ・・・あの男と同じ目。わしが生涯で唯一恐怖を覚えたもの・・・)ゾクッ

勇者「いくぞ。」

勇者は剣を大きく振りかぶると、鋭い赤光とともにギガスラッシュをはなった!

ゾーマ(こ、この技は!!)

勇者のはなった巨大な斬撃はゾーマを真っ二つにした!!

ゾーマ「ぐぅう・・・見事だ。」

勇者「大魔王ゾーマよ、安らかに眠れ・・・」

ゾーマは勇者に残る面影からその姿をアレルと重ねた。

ゾーマ「ククッ・・・また貴様に敗れるとは・・・手を煩わせて・・・済まなかっ・・た・・・」

ゾーマの身体は青白い炎に包まれ灰になった。
364 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/15(木) 00:05:11.18 ID:kSMMYX6J0
勇者「ケガないか?」

賢者「うん。ありがとう・・・」

勇者「よかった。」

賢者「またあたし足手まといになってない?」

勇者「お前のことを足手まといだなんて思ったことは一度もないぞ。ここまで来れたのはお前のお陰だよ。」

賢者「ほんと?」

勇者「ほんと。あの時お前に出会ってなかったらきっと俺は為す術もなく上の世界で年老いていたんだろうな。でも、お前をこんなことに巻き込んでしまったって責任も感じてる。」

賢者「フフフ・・・ホントよね。まあ最後はあたしの判断でついてきたんだけど・・・・・・責任、とってくれるの?」カァァ

勇者「な、なんだよ責任とるって?」(な、なんだこいつ?顔が赤いな・・・照れてんのか?)

賢者「だから・・・え・・と・・・全部が終わっても、あなたについていってもいいの?」

勇者「!!」(そんなこと今聞くなよっ・・・)

ホイミン(あーあー。さっきまであんな険しい顔して戦ってたのにもう女の子になっちゃてるよ・・・)

勇者「・・・・・・い、一緒に来いよ。」ボソッ

賢者「いいの?」

勇者「俺も・・・その・・・言おうと思ってた。」ボソッ

賢者「嬉しい・・・」パァァ

ホイミン(絶対この二人、僕の存在忘れてるよ・・・)

勇者「でもまずは竜王を倒さなきゃ。今はこんな浮かれたはなししている場合じゃ無い。」(くそぉ・・・やっぱり我慢出来なかった。)

賢者「ごめんなさい。そうよね、まずすべきことをしなきゃ。」

賢者の表情が厳しくなった。

ホイミン「もうしゃべっても大丈夫?」

勇者「あっ。」

賢者「聞いてたの!?」

ホイミン「この至近距離で聞いてない方がおかしいでしょ!?」

勇者「あぁ・・・」

賢者「恥ずかしい・・・」カァァ

ホイミン「さあ、次で最後の戦いだよっ!気を引き締めていこぉー!」

勇者「お前に言われなくてもわかっとるわ!」
365 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/15(木) 00:07:10.37 ID:kSMMYX6J0
更新のペースが非常に遅くなってしまって申し訳ないです・・・
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/15(木) 00:11:25.27 ID:Ghn/vgAho
賢者がデレた!!
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 00:53:42.28 ID:IqL1P3iSO
ゾーマの潔さに濡れた
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 02:42:33.23 ID:WVrLsHTIO
このゾーマの潔さは逆に女々しいと思ってしまうのは異端だろうか?
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 07:29:18.84 ID:qEK5XOIIO
ゾーマがデレた!
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 08:03:37.30 ID:ws3oD/iIO
>>369
おいw
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/15(木) 09:26:01.55 ID:GsUW4LGco

ゾーマ再戦は誇り高き魔王バラモスゾンビ戦のイメージだよな?
ロト紋どんだけ好きなんだよwwwwww
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/15(木) 16:19:48.00 ID:Kf4x0qJMo

投げ出さなければ遅いと書きにする必要はないかと
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 20:51:17.60 ID:sO/mKc3IO

最後まで書いてくれるなら、投稿スピードなんて気にならんよ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 21:36:33.60 ID:uHVCRDG/o
ここには続けてくれりゃ待てる人は大勢いる
生存報告はお忘れ無く
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/16(金) 07:14:45.43 ID:HgEIVFZVo
>>374
んだな。生存報告無いと2ヶ月で落ち、だったっけか。

376 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/16(金) 17:50:46.07 ID:mRaYlUF00
>>371

ロト紋大好きですねーw
最近、電子書籍でリリースされたので思わず購入しました
スマートフォンでどこでもロト紋が読めるなんて最高です
377 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/16(金) 17:53:35.60 ID:mRaYlUF00
>>372
>>373
>>374

暖かいお言葉有難うございます!
物語も佳境に入ってきてますし、もう少しだけお付き合い願いたいと思います
378 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/16(金) 17:58:22.80 ID:mRaYlUF00
【竜王の城、最深部】

竜王(やつら、大魔王ゾーマをも討ち滅ぼすか・・・まあいい。仕方がないがこのわし自ら相手をしてやろう。次元の違いというものを思い知らせてくれる・・・)



勇者「やっと会えたな・・・」

竜王「来たか。」

竜王は玉座から重い腰を上げた。

賢者(こいつが竜王・・・年老いた魔道士のような風貌ね。はっきりいってゾーマの方がつよそうだわ・・・)

竜王「久しぶりだな。上の世界はどうだったかな?」

勇者「くっ・・・お陰で頼もしい仲間と出会えたよ!今はもうお前に負ける気はしない。」

竜王「フハハ!なかなか面白い冗談だ。」

勇者「冗談かどうかその身で確かめてみろっ!!」

勇者は素早く竜王に斬りかかった!

竜王(クク・・・確かにこのままの姿では少々失礼かもな。)

なんと竜王が、か細い魔道士の姿から翼の生えた逞しい竜人の姿へと変貌を遂げた!!

勇者「なっ!?」ガギィン!

竜王は図太いその二の腕で勇者の剣を受け止めた!

賢者(なんなのあの姿は・・・素手で勇者の太刀を受け止めたですって!?)
379 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:01:58.79 ID:mRaYlUF00
竜王「驚いたか?」

勇者「な、何をしたんだ!?」

竜王「これが竜人の本来の姿。わたしは年老いてしまったが進化の秘法を手に入れたことによってこのチカラを再び手に入れたのだ。」

賢者(さっきまでの姿とまるで違う・・・若返ったってこと?これが進化の秘法のチカラ・・・そもそも進化の秘法とは一体なんなの?)

竜王「気になるか?小娘。」

賢者「!」

竜王「冥土の土産に教えてやろう、進化の秘法とはなんなのかを。その昔魔界を治めた地獄の帝王エスタークが編み出した究極の秘術だ。」

賢者「じゃあその地獄の帝王が黒幕ってわけ?」

竜王「いや、それは違う。エスタークは随分昔に自ら深い眠りについた。それが何故なのかはわからんがその秘法を魔界の文献から復活させ、我が物としたのだ。」

勇者「ガタガタうるせえ!能書きは」

賢者「待って!・・・じゃあその進化の秘法というのはどういう仕組みなの?」

竜王「つくづく知りたがりな小娘だな。いいだろう、教えてやる。魔界や魔物の体内には【マ素】という魔力の源となる物質がある。このマ素を抽出、利用して多様な進化を遂げることができる、それが進化の秘法の正体。」

賢者「つまり同族を糧にしたということね?反吐が出るわ。」

竜王「フハハ!なんとでも言うが言い。このチカラの前には全ての者がひれ伏すしかない!」
380 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:04:12.73 ID:mRaYlUF00
竜王「さて、さすがにおしゃべりが過ぎたようだな。今度はこちらからいくぞッ!!」

竜王は目にも止まらぬスピードで勇者を蹴っ飛ばした!!

勇者「っぐはぁッ!!?」

竜王「まだまだ!!」

竜王は素早く吹き飛んだ勇者の反対側に回り込み、両腕で地面にたたき落とした!

賢者「勇者っ!!」

竜王「ククク・・・この肉体があれば貴様らの様に武器など持つ必要もない。貧弱な種族にはわからぬことか。クハハハハ!!」

賢者「くっ。」

賢者はメラゾーマ×メラゾーマを唱えた!
煌々と輝く巨大な火の球が賢者の頭上に形成された!

竜王「ほう。」

賢者は竜王に火の球を投げつけた!

竜王「今度は魔力比べか?」

竜王はメラゾーマを唱えた!
竜王の指先から小さな火の球が飛び出した!

賢者のはなった火の球と竜王のはなった火の球が衝突すると、賢者の火の球が飲み込まれてしまった!

賢者「なっ、なんで!?」

竜王のはなった火の球が賢者に衝突した!

竜王「フハハ!他愛のない・・・」

しかし爆煙の中から不思議な霧に包まれ、二人が姿を現した!

賢者「勇者・・・ありがと。」

竜王「マホステだな?さすがは【勇者】と言ったところか。」
381 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:06:01.47 ID:mRaYlUF00
竜王「この圧倒的体能力・・・そして溢れる魔力・・・お前達に勝算はあると思うか?」

勇者「さあ?どうかな?」(当然ではあるけど今までの敵の誰よりも強い。俺が闘気をこめて斬りつけてもキズ一つないし、賢者の呪文もあっさり押し返されてしまった・・・)

竜王「実感させてやるっ!!」

竜王が念じると、掌に黒い炎が灯った。

賢者「黒い炎?」

竜王「食らうがいい。」

竜王は地獄の炎を召喚した!
ドス黒い炎が勇者に吹き付ける!

勇者(なんだこれは!?)

勇者は盾でガードした!

勇者「熱いっ!!」

なんと勇者盾が黒い炎で燃えさかっている!
勇者はとっさに盾を投げ捨てた!

竜王「フハハ!ただの火炎ではない・・・地獄の炎は対象を焼き尽くすまで消えることはない!!炎というよりは呪いに近いかもしれぬな。」

勇者(ちっ。じゃああの盾はもう使えないってのか・・・こんな攻撃反則だろっ!)

賢者(地獄の炎・・・なんて圧倒的なの・・・)

竜王「クフフフ・・・いいぞ、その絶望的な表情!本来ならば地獄から黒炎を召喚するなど命と引き替えにでなければ出来ないような芸当。だがわたしには進化の秘法より得た、無限の生命がある!こんなことは造作もないことだ・・・おとなしく上の世界で暮らしていれば良かったものを・・・人並みの人生を送れたというのに、愚かなやつよ。運命に逆らおうとするからこうなるのだ!」

勇者「最初にここで会ったときから思っていたが、おしゃべりなやつだっ!!」

勇者はギガデインを唱えた!
その身にいかずちを宿し、剣を振るった!
いかずちと闘気を纏った斬撃をくり出した!

竜王「む!?」

斬撃は竜王の右腕を切断した!!

竜王「ぐあ・・・っ!!!」

勇者「へっ!余裕こいてるからそうなる。」
382 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:10:24.09 ID:mRaYlUF00
竜王「おのれ・・・わたしの右腕を・・・」

賢者「どうやら、いくら強靱な肉体を持っていても聖なるチカラには弱いみたいね。」

竜王「それは認めざるをえないな。しかし、貴様らに勝算がないことはなにも変わらぬ。」

竜王はベホマを唱えた!
竜王の右腕が完全な形で元に戻った!

勇者「な・・・」

賢者(そうだったわ・・・呪文の威力や効力はその全魔力に比例する。竜王ほどの魔力の持ち主が回復呪文を使えば当然こうなるわよね・・・)

竜王「どうした?そんな驚いた顔をして。魔王は回復呪文を使えないとでも思ったか?」

勇者「くっ・・・そ。」(魔力が尽きるまで攻撃するか?いや、ダメだ・・・その前にこっちが殺される・・・)
383 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:30:10.07 ID:mRaYlUF00
勇者「それなら回復呪文を唱える隙もなくバラバラにしてしまえばいいんだろっ!?」

勇者はギガデインの電撃を剣に帯び、竜王に斬りかかった!

竜王「足掻くなっ!!」

竜王は再び地獄の黒炎を召喚した!

賢者(危ないっ!)

賢者はフバーハ×シャナクを唱えた!

聖なる衣が勇者を包み込み、燃えさかる黒炎からその身を守った!

勇者「!」

竜王(ほう・・・補助呪文解呪の呪文を組み合わせて黒炎の性質を中和したのか。)

勇者「そりゃああああああ!!!」

竜王「だが、残念!」

竜王は勇者の攻撃をひらりとかわし、横っ腹に強烈な蹴りを叩き込んだ!!

勇者「ぐ・・え・・っ!!」

勇者は勢いよく吹き飛ばされた!!

勇者「かはっ・・・」パラパラ

勇者は痛みに耐えながらも立ち上がった。

賢者「この調子じゃまずいわね・・・きっと竜王は魔力がほとんど無尽蔵に近いわ。それであんなもの連発されたらこっちの魔法力がもたないわよ・・・」

竜王「いやいや、お前達は善戦していると思うぞ。人間とは思えないほどの強さだ。だが相手が悪かったな!フハハハハハ!」

勇者「くっ・・・」

竜王「ではこんなのはどうだ?」バチチチ

竜王は地獄のいかずちを呼び寄せた!!
竜王の掌の上で黒いいかずちが激しい渦を巻いている。

竜王「はっ!!」

竜王の掌から黒いいかずちがほとばしる!

勇者はギガデインを唱えた!
勇者の身体から聖なるいかずちがほとばしった!

賢者(勇者・・・あんなにギガデインを連発したら魔法力がもう・・・)

勇者「負けるか!!」

相反する性質のエネルギーが両者の間で衝突し激しい火花を散らす!

竜王「クク・・・そんなものか?」

勇者(く・・・圧される!)

竜王「そぉらっ!!」

勇者「!!」

竜王は出力を上げ、聖なるいかずちを押し切った!

勇者「ぐわああぁぁ!!!」

勇者の身体は黒いいかずちに包まれた!

賢者「勇者ッ!!」

勇者はススにまみれぐったりと横たわった。
384 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:31:10.81 ID:mRaYlUF00
賢者が勇者のもとへ駆け寄った!

賢者「勇者、しっかりして!」ユサユサ

勇者「う・・・」

賢者(まだ息はあるわ・・・回復を・・・)

ホイミンはベホマを唱えた!
勇者の身体のキズが回復した!

竜王「ほう、さすが勇者。闇のチカラには抵抗力があるようだな。」

勇者「うっ!く・・・」

勇者は起き上がろうとしたが身体がしびれて起き上がることが出来ない!

賢者「勇者!?どうしたの?」

竜王「フハハ!当然だ。いくら勇者と言えどあれほどの高密度の闇のチカラを浴びたのだ。闇のチカラが猛毒のように全身を蝕んでいるはずだ!」

ホイミン「!」

ホイミンは光の波動をはなった!
苦しそうに悶えていた勇者の表情が安らかなものに変わった!

竜王「む。この波動、貴様ただの賢者ではないのか!?」

賢者「・・・大賢者と言って欲しいところね。」(ありがとホイミン。)

ホイミン(僕って案外役に立ってるよね。ペットなんて言わせないんだからっ!)
385 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:32:20.46 ID:mRaYlUF00
竜王「だが頼りの勇者様もしばらくは動けそうにないな。」

賢者「あたしだけで充分よ。今から最強の呪文をあなたに見せてあげるわ。きっとあなたは避けることしか出来ないでしょうね・・・」

竜王「ほう?では命中すればわたしを倒すことが出来るという自信があるのだな?そのちっぽけな魔力で!!」

賢者「もちろんよ。」(この呪文は一度見られたら避けられるか、何らかの対策をされる可能性が高い・・・お願い。挑発に乗って。)

竜王「フ・・・安い挑発だな。だがどんなもくろみもこの肉体と魔力の前では無力!正々堂々真っ正面から受けてやろう。そしてその結果に絶望するがいい!!」

賢者(よし。挑発に乗ってきた!)

竜王「では大賢者様の実力を見せてもらおうか!」

賢者はヒャダルコ×メラミを唱えた!

賢者(この呪文はこのクラスの呪文を融合させるのが限界・・・上級呪文だとコントロールが難しすぎる・・・)

賢者が両手を合わせると大きな魔法の弓矢が形成された!

竜王「なんだその呪文は・・・見たことが無い・・・だがメラミとヒャダルコからなる呪文の威力などたかが知れている。」

賢者(お願い。食らって!)

賢者は宙に浮く竜王めがけてメドローアをはなった!
竜王の身体をすっぽりと覆うほどの大きさの魔法の矢が竜王めがけて飛んでいく!!

竜王「!?」

賢者(やった・・・直撃だわ!!)
386 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:34:18.74 ID:mRaYlUF00
一瞬、メドローアの閃光にくらんだ目が慣れてくると意外な光景が飛び込んできた!

竜王「ぐ・・・がァああ・・・」

竜王の半身が跡形もなく吹き飛び、その断面から核のようなものが顔をのぞかせている。。

賢者「なぜ・・・!?完全に直撃だったはず・・・」

竜王「ぐぅう・・・予想外だ。直撃の瞬間に何故か悪寒がして、回避に移っていなければやられていた・・・あと数センチずれていれば貴様の勝利だった・・・」

竜王はベホマを唱えた!
竜王の身体がみるみるうちに再生していく!!

賢者(はずした・・・あの核のようなものがチカラの源なの・・・?)

竜王「侮ったわ。傲りとは時に命取りなものだ・・・だがもうあの技はわたしには効かぬ。触れなければ良いというならばいくらでも対処法はある!」

賢者「さっきの核のようなものはなんなの?」(もうメドローアは使えない・・・)

竜王「いいだろう、どうせお前達はもうわたしの身体をキズつけることすらかなわぬ。教えてやる。先ほどわたしの身体から見えていたものは核ではなく言わば安定器!進化の秘法の暴走するチカラを制御、供給している宝玉。」

賢者「それを破壊するとどうなってしまうの?」

竜王「さあ、どうなるだろうな?まあお前らがそれを気にする必要はない。何故ならここからわたしは一切手を抜かず、完膚無きまでにお前達を叩きのめすからだ!!」

勇者「・・・本当にお喋りな野郎だ・・・」

勇者がゆっくりと立ち上がった!

賢者「勇者!もういいの?」

勇者「ああ。お陰様でな。」
387 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:35:13.57 ID:mRaYlUF00
竜王「そちらが奥の手を晒したのだ、こちらも本気を見せなければな!!」

竜王は両掌を前方に突きだし、魔力を収束し始めた!!

賢者(高密度の魔力が一箇所に集中し始めている・・・)

勇者「まずいっ!!」(大気が揺れている!)

竜王「吹き飛ぶがいい!!」

竜王の掌から凄まじい閃光がはなたれると、大爆発が巻き起こった!!
竜王の起こした大爆発は魔の島を跡形もなく消し去り、マダンテによりラダトーム付近に形成されたクレーターを凌ぐ大きさのクレーターを形成した。
削り取られた大地に大量の海水が流れ込んでくる。

竜王「ククク・・・アストロンだろう?お見通しだぞっ!!!」バサッバサッ

竜王は飛翔し、マヒャドを唱えた!
一帯の海水が深海に至るまで全て凍りついた!

竜王「フハハ!これでアストロンが解けても死あるのみ。勝った!!!」バサッバサッ
388 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:38:48.38 ID:mRaYlUF00
【メルキド】

勇者「はあっ・・・はあっ・・・」

賢者「な、何が起こったの?ここは?」

勇者「メルキドだ・・・」

賢者「なにが起きたの!?」

勇者「竜王が魔法力を爆発させてあたりが閃光に包まれた瞬間にお前を抱えて、メドローアが作った穴から爆炎に紛れてルーラで脱出した・・・くっ・・・!」

勇者はバタリと倒れこんだ。

賢者「勇者!?」

勇者の背中は鎧がボロボロに焼け、酷いやけどのあとが出来ていた。

ホイミン「お兄さん大丈夫!?」

賢者「逃げるときに爆発を背に受けてしまったのね・・・あたしを守るために・・・」

賢者はベホマを唱えた!
勇者のやけどが少し回復した!

賢者「やっぱりすぐに全快というわけにはいかないわね・・・」

勇者「う・・・く・・・でも大分楽になった・・・」フラフラ

賢者「一旦治癒を待ちましょ・・・ごめんね、あたしまた・・・」

勇者「大丈夫だ。お前が死ぬより全然いい・・・」

賢者は勇者に肩を貸し、廃屋の中に運び込んだ。

ホイミン「竜王・・・強すぎるよ・・・」
389 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:39:29.95 ID:mRaYlUF00

賢者「やけどの具合はどう?」

勇者「ベホマが自然治癒力を促進してくれているお陰でかなりのスピードで治ってきてるよ。」

賢者「今日はもうここで休むことにする?」

勇者「いや、キズの具合が良くなったら竜王のところへ戻ろう。こっちも疲弊しているけど竜王も相当魔力を使ってると思うんだ。」

賢者「・・・・・・わかったわ。そうやって言い出したら止めても聞かないものね・・・」

勇者「へ・・・まあ魔の島も跡形もないし、竜王がどこにいるかなんてわからないけどな・・・」

賢者「いいから今は休んで。」


【魔の島上空】

竜王「うぬぅ・・・だがさすがにあっけなさすぎるな・・・」

竜王は魔力を巡らせた。
すると竜王の頭のなかに静養している勇者たちの映像が飛び込んできた!

竜王「やはり生きている!!この風景はメルキドか?背中に魔力によるやけどを負っている・・・さてはルーラで逃げたな?やはり人間とはゴキブリのようにしぶといやつらだ。完全に息絶えるまで切り刻んで根絶やしにしてくれる!!」
390 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:40:36.49 ID:mRaYlUF00
【メルキド】

勇者「それにしてもなんなんだあの技は・・・」

賢者「あれは多分技と言えるような代物じゃないわ。膨大な魔力を爆発させているだけ・・・でもイオ系の呪文とはまた違いそうね。イオ系の呪文は魔力で爆発を作り出してるけど、さっきのは闇のチカラそのものが発散しているような感じだった・・・」

勇者「キズの治りが悪いのもそれに関係してんのか?」

賢者「おそらくはね・・・イオ系の爆発のように完全な外傷でなく魔力が作用したものだからかも。」

竜王「なかなか勘がいいじゃないか。小娘。」

勇者「竜王!?」

賢者「どうしてここが・・・」

竜王「危なく勝った気になって見過ごすところだったぞ。」

賢者「追って来ないからうまく逃げられたと思っていたのに・・・」

竜王「ククク・・・魔王からは逃げられない!」
391 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:46:04.42 ID:mRaYlUF00
竜王「さて、わたしもそろそろ少し疲れてきた。簡単にやらせてもらうよ。」

竜王は再び両手に魔力を溜め始めた!

勇者「またあの技か!?」

竜王「いいや違う。またどこかに逃げられてはかなわんからな。」

竜王の魔力が光輝く槍を象っていく!

竜王「貴様らのようなムシケラがこのわたしに武器を使わせたのだ。賞賛に値するぞ。さらば!!」

勇者「くっ・・・」

竜王はもの凄い早さで槍を勇者に投げつけてきた!!

勇者「ううっ!」(キズが・・・っ!!)

背中のキズが痛んで一瞬勇者の回避が遅れた。

ドスッ

竜王「おやおや。別の獲物がかかったか。しかも貫通して後ろの勇者殿に命中しないよう魔法力と自分の身体を使って槍を止めるとはな・・・」

勇者「・・・賢者?」

賢者「ごふっ・・・あはは・・・ゴホッ・・・」

なんと勇者をかばった賢者の腹に槍が刺さり、血がドクドクと流れ出している。
賢者は勇者の目に前に伏した。

勇者「う、嘘だろ?また策かなにかなんだろ?あ、合図くらいしろよな?びっくりするじゃねえか・・・」

賢者「今回は・・・ごほっ・・・違うみたい・・・」

勇者「え、演技なんだろ?」

賢者「ごほっごほっ・・・」

賢者の口から大量の血が噴き出し、賢者の顔は血まみれになってしまった。

勇者「・・・嘘だ。そんな・・・」

賢者「・・・お願いがあるの。」

勇者「回復が先だ!!ホイミン!!」

ホイミン「う、うん!!」

ホイミンはベホマを唱えた!
しかし、賢者のキズは回復しなかった。

勇者「そんな・・・」

賢者「あ・・し・・・多分も・・す・・死んじゃ・・・だから・・・キ・・・して・・・」

勇者「な・・・なんだ!?よくきき取れない!」

賢者「・・・キス・・・して・・・お願い。」

勇者「うっ・・・くっ・・・」

勇者の瞳からボタボタと大粒の涙があふれ出した。
勇者は賢者に優しくくちづけた。

賢者「ごほっ・・・嬉しい・・・」

勇者「賢者、死ぬな!!死ぬなよ!!竜王を倒したら一緒に来るって言っただろ!!?」

賢者「ごめんね・・・約束守れそうにないよ・・・」

ホイミン「お姉さん・・・」

賢者「勇者・・・お願い、勝って。」

賢者は力なく目を閉じた。

勇者「う・・・う・・・ウワアアアアアアアアアアアアアア!!!」

勇者は血にまみれた顔で悲鳴を上げた。
392 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:48:35.18 ID:mRaYlUF00
竜王「プクッ・・・クハハハハハハハハ!!どんな茶番を見せてくれるかと思って静観していれば、お前達は本当に愉快なやつらだ。これから同じところへ行くというのにゴミムシ一匹に別れを惜しむとは・・・さすがのわたしも笑いを堪えらきれなかったわ!!」

勇者「おい。取り消せよ。」

竜王「?」

勇者「賢者はゴミムシなんかじゃねぇぇ!!!!」

勇者は怒りのままにギガスラッシュをはなった!
凄まじい赤光とともに二つの斬撃が交差して飛び出した!!

竜王「な・・・に?」

交差した斬撃は竜王の身体をとらえ、X字にその身体を切り裂いた!!

竜王(なんだこの威力は!?まずい・・・宝玉にヒビがっ!!)

勇者「ウオアアアアアアアア!!」

勇者は竜王の懐に飛び込んだ!

竜王(くっ!!)

竜王がカッと目を見開くと、勇者の剣が吹き飛ばされてしまった!

勇者「!」

竜王(再生を急がなければ!!)

勇者「砕けろォォォォォ!!!」

勇者は渾身の力を込めて宝玉に頭突きを食らわした!
宝玉は粉々に砕け散った!!

竜王「馬鹿な・・・っ・・・ぐぅおおおおおお!!」(魔力の制御が効かぬ!!?)

竜王の身体からドス黒い魔力が噴き出し、勇者は吹き飛ばされてしまった!!

勇者「ぐあっ!」

するとみるみるうちに竜王の姿が膨らんでいき、巨大な黒竜へと変身した!!

勇者「な・・・っ!?」
393 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:56:07.72 ID:mRaYlUF00
竜王「グオオオオオオ!!!グルルルルル・・・」

勇者「こいつ、自我を失いやがった・・・」

竜王は灼熱の炎を吐き出した!!

勇者「ホイミン!俺の身体につかまってろ!」

ホイミン「うん・・・」

ホイミンは勇者の胴に触手をガッチリと絡ませてつかまった!

勇者は竜王の吐き出した炎を回避するとルーラを唱えた!

勇者「場所を移す!こっちだ!」(ここには賢者の亡骸があるからな・・・)

勇者とホイミンはルーラで空を飛び、移動を始めた。
竜王もその漆黒の翼を広げ、勇者たちに追従してくる!


394 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:57:06.31 ID:mRaYlUF00
【天界】

カダル「くそっ・・・まさかこんなにも早く逢うことになるとはな・・・」

賢者「カダル様、お久しぶり・・・でもないですね・・・」

アレル「ねえちゃん・・・悪かったな。こんなことに巻き込んで・・・」

賢者「いいんです。勇者が竜王を倒せばあたしの死にも意味があったんですから。」

アレル「まさか竜王のチカラがああまで強大だとは・・・頼む。勇者、勝ってくれ!!」


【ラダトーム跡】

勇者(ここでいいか・・・)

勇者たちはラダトーム城のあったクレーターの中心に降り立った。

竜王「ギャオオオオ!!」

竜王が勇者たちを追って、クレーターへ降り立った。

勇者「最終決戦だ。お前は絶対許さない。」
395 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:58:01.20 ID:mRaYlUF00
竜王「キシャァァァァァ!!」

竜王は口から地獄のいかずちを吐き出した!

勇者はギガデインを唱えた!
勇者の身体から聖なるいかずちがほとばしる!

勇者「今度は負けない。」

勇者のはなったいかずちは竜王のはなったいかずちを押し切った!

竜王「グオオアアアアア!!」

ギガデインのいかずちを受け、竜王は苦しんでいる!

竜王はいきりたって襲いかかってきた!

勇者「はっ!」

勇者は竜王の牙をかわした!

勇者「どうした?さっきまでのほうが強かったぞ。」

竜王「カルルル・・・」

勇者「うりゃああああ!!」

勇者は竜王に飛びかかり、目にも止まらぬ早さでその首を切り落とした!
竜王の首は地面でジタバタと暴れていたが次第に静かになり、青い炎に包まれて消滅した。

その時、竜王の首元が怪しくうごめいた!

勇者「!?」(なんだ!?首を切り落としたってのに胴体はまだ死んでないのか!?)

竜王「「グオオオオオオオオ!!!」」

なんと竜王の首元から二つの首が生え、雄叫びをあげた!!!

勇者「なんだこいつ・・・」(進化の秘法・・・そういうことか。制御できなくなった魔力が暴走しているんだ・・・)

勇者「魔力がなくなって再生出来なくなるまで倒し続ければいいんだろ?やってやるよ!!」
396 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 18:59:44.80 ID:mRaYlUF00
勇者は鮮やかな手際で竜王の攻撃をかわしつつ、竜王の身体を切り刻んでいった!!
しかし、斬るたびにその部位が進化した形で再生し、攻撃すればするほど竜王の身体はおぞましい異形を象っていった。

勇者「ハアッ・・・ハアッ・・・まだ魔力切れないのかよ・・・」

この頃には竜王の身体からおびただしい数の手足や頭や尻尾が触手のように生え、その大きさも5倍ほどにふくれ上がり原型はなくなっていた。

勇者「このままじゃ・・・」

その時、不意に竜王の尻尾が勇者の横っ腹に叩きつけられた!!

勇者「うぐっ!?」(しまった!)

一瞬勇者の動きが止まると、堰を切ったように攻撃をたたみかけてきた!

勇者「うぎゃあああああああ!!!」

竜王の首が勇者に噛みつき、その左手を噛みちぎった!!
勇者の左腕から大量の血が吹き出ている!!

ホイミン「お兄さん!!」

勇者「だ、大丈夫だ・・・」

竜王「グチャ・・・グチャ・・・」

竜王の首が勇者の左手を口の中でかみ砕いている。

勇者「くっ・・・」

ホイミン「そんな・・・」

今度は腕を噛みちぎられた激痛でさらに動きの鈍った勇者の右足に噛みついて来た!

勇者「うわああああああああ!!!!」

竜王は勇者の右足を食いちぎった!!

ホイミン「ううっ・・・お兄さん・・・」(もうやめて!!酷い、酷すぎるよこんなの・・・)
397 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 19:02:14.56 ID:mRaYlUF00
勇者は片足を失い、立てなくなり、地面に転がった。

勇者「う・・・勝つんだ・・・勝たなきゃ・・・」(気が遠くなる・・・)

もはや闘争心と食欲の塊のような竜王が勇者にとどめをさすべく食らいついてきた!

勇者「くっ・・・逃げろ。ホイミン。」

その時、勇者の身体が光り輝き竜王の追撃が止まった!

勇者「な・・・んだ?」

勇者の胴に巻き付いていたホイミンがダラリと力なく地面に崩れ落ちた。

勇者「・・・ホイミン?」

ホイミン〈僕だけ逃げるなんて出来るわけないでしょ?お兄さんとお姉さんにはいろんなところに連れてってもらったし、凄く感謝してるんだ。〉

勇者「ホイミン?何言ってんだ?」

ホイミン〈ちょっとカダルのおじちゃんに逢いたくなっちゃったから遊びにいってくるね!〉

ホイミンの声がやむと、勇者は不思議な光に包まれ手足が元通りになり体力が全回復した!!

勇者「・・・なんだこれ・・・おい、ホイミン!ホイミン!!」ユサユサ

しかし返事がない。ただの屍のようだ。

勇者「ホイミンお前・・・」ポタポタ

勇者の腫らした目からさらに涙がポタポタととめどなく流れてきた。

勇者「俺は・・・俺は・・・何も守れてなかった・・・守られてたのは俺だったんだ・・・ちくしょおおおおおおおおお!!!」
398 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 19:03:26.67 ID:mRaYlUF00
【天界】

賢者「あの子・・・」ツゥゥ

賢者が突然涙を流し始めた。

カダル「どうしたんだ!?」

賢者「あたし、行かなきゃ・・・」

すると賢者の姿がスッと消えてしまった!

アレル「な!?なにが起きたんだ!?」

すると不思議な光の中からホイミンが姿を現した!!

ホイミン「えへへ。来ちゃった。」

カダル「ホイミン!?お前どうしてこ・・・はっ!!まさかお前メガザルの呪文を・・・」

ホイミン「ねえ、おじちゃん。これでお兄さんたちが世界を救ったら、僕も勇者になれるかなぁ?」ぽろぽろ

カダル「うっ・・うう・・・ああ。なれる、なれるとも!お前はもう立派な勇者だよ・・・」ポタポタ

カダルは涙を流しながらホイミンを強く抱きしめた。
399 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 19:06:22.18 ID:mRaYlUF00
【ラダトーム跡】

勇者「くそっくそっくそっ!!」ポタポタ

突然の光に驚いていた竜王がふたたび攻撃にうつった!!
その刹那、竜王の身体が半分消し飛んだ!!

賢者「泣いてる場合じゃないでしょ?しっかりしなさいよ!」

勇者「へ・・・?なんで・・・?ほ、本物か?」

賢者「偽物にこんなマネが出来る?」

勇者「ホイミンか!?あいつがお前を蘇らせてくれたのか!?」

賢者「あの子の命、無駄にしたら絶対許さないから!」

勇者「うう・・うっ・・・ホイミン・・・絶対に無駄になんかさせない・・・!!」



二人と竜王の死闘は二日二晩つづいた。
竜王の保持していた魔力も徐々にではあるが確実に削られていき、勇者たちは竜王を魔力枯渇寸前まで追い詰めることに成功した。
これは賢者が蘇り、力を貸したことによるところが大きく、賢者のはなつメドローアは竜王の肉体を確実に消滅させ、再生に相当な魔力を消費させることが出来た。



勇者「そりゃああああ!!!」ザンッ

竜王「ギュグググゥゥ・・・」

勇者「しめた!再生が追いつかなくなってきたぞ!」

賢者「自我と知性を失ってしまったお陰で魔法を使ってこないのが大きかったわね・・・」

勇者「まさか最後はこんなスタミナ勝負になるなんて思いもよらなかった・・・」

賢者「そろそろね。」

勇者「ああ。」

竜王「ギュギィィ・・・」

賢者はヒャダルコ×メラミを唱えた!
賢者は巨大な魔法の矢をはなった!!

メドローアは竜王の身体に巨大な風穴を開けた!!

竜王「ギュグオオオオオ!!!」

勇者「うらぁぁ!!!」

勇者は素早く剣を二度振るい、鋭い赤光とともにギガスラッシュをはなった!
巨大な斬撃が交錯し、竜王の身体を分断した!!

すると分断された竜王の身体が集合し、小さな一つの肉塊となった。

賢者「これは・・・?」

勇者「う、動いてる・・・脈打ってるぞ・・・」

賢者「恐らく再生することが出来なくなったから生命維持に残りの全てのチカラを使ってるのよ・・・」

勇者「これが進化の秘法を使った者の末路か・・・」

勇者は肉塊に剣を突き立てた!
すると肉塊は悶え苦しむように青白い炎に包まれて消え去った。
400 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 19:08:26.70 ID:mRaYlUF00
勇者「終わった・・・終わったんだ。」

賢者「うん・・・」ぎゅっ

勇者「・・・」

賢者「・・・ホイミンのお墓作ってあげなきゃ。」

勇者「そうだな・・・【勇者】ホイミンここに眠るってな。」

賢者「あの子がいなかったら世界を救えなかったものね。」

勇者「ああ・・・あいつは文字通り世界を救ったんだ。」

賢者「これからどうする?」

勇者「俺は王位につく。それで、もう一度ラダトームの民と一緒に平和な国を作っていく。」

賢者「そういえば王子だったわね・・・」

勇者「お前にはそれを傍らで見ていて欲しい。」

賢者「・・・うん。見てる。」

勇者「賢者、好きだ。妃になってくれ。結婚しよう。」

賢者「・・・はい・・・」ぎゅぅぅ
401 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 19:10:37.68 ID:mRaYlUF00
ルビス〈勇者よ、聞こえますか?〉

勇者「この声は・・・ルビス様?」

ルビス〈竜王が倒されたことで封印されていた私のチカラももどって来ました。よく竜王を討ってくれました。これでアレフガルドに平和が戻ります・・・〉

賢者「避難していた人たちはどうなるの?」

ルビス〈開放しました。もうすぐそちらの世界に現れるでしょう。〉

勇者「ローラも・・・」

ルビス〈皆さんには本当に感謝しています。人間の底力を見た気がします。これは私からの選別です・・・どうか争いのない平和な世界を築いてください・・・〉

ルビスの声が途切れると大地が震えはじめ、激しい戦いで傷ついたアレフガルドが元の姿を取り戻していく!!

勇者「すげえ・・・」

賢者「勇者、見てあれ!!」

勇者は賢者の指す方を見た。

勇者「跡形も無くなったラダトーム城が復活してる!?ルビス様サービスいいなあ!」

賢者「あたし、あそこに住むの?」

勇者「もちろんだ!」

勇者は賢者を抱きかかえた!

賢者「きゃっ。」

勇者「さあ・・・行こう。」
402 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 19:13:04.82 ID:mRaYlUF00


10年後―――

とある家庭



子供「ねえ、お母さん!ご本読んでよー。」

母「明日読んであげるから今日はもう遅いから寝なさい。」

子供「えー!やだやだ!いつものやつ読んでくれないと寝られないよ〜っ!」

母「もう、しょうがないわね・・・読んであげたらちゃんと寝る?」

子供「うんっ!」

母「じゃあ、お布団にいきましょ?」

子供「はーい。」




子供「はっやくっ!はっやくっ!」

母「はいはい。」


昔々、遠い遠い国に一匹のホイミスライムが居ました。
名前をホイミンと言いました。

ホイミンは人間を怖がっていました。
何故なら、人間のことを乱暴で自分勝手な生き物だと思っていたからです。

あるときホイミンは二人の人間に出会いました。
ホイミンはその人間たちと仲良くなって、一緒に旅をすることになったのです。
ホイミンは人間にもいい人も悪い人もいるんだな、と少し見直しました。
ホイミンはその二人の人間に色々なところに連れていってもらってとても喜んでいました。

旅の途中、魔王が現れて「世界を征服してやる!」と言って3人のところにいろんな悪者をさしむけてきました。

臆病者だったホイミンは、最初は逃げたり隠れたりしてばかりだったけれど、いつからか勇敢に戦うようになりました。

ホイミンはたくさんの悪者たちをやっつけて、2人を何度も何度も助けてあげました。
3人は硬い絆で結ばれて、ついに魔王のところまでたどりつきました。

でも、魔王はとっても強くて、3人でも歯が立ちませんでした。
魔王が傷ついた3人にとどめを刺そうとしたその時、突然ホイミンの身体が金色に輝きだしました。

なんとホイミンはその勇気を神様に認められて勇者になることができたのです。
勇者ホイミンは魔王を見事にやっつけて世界に平和がおとずれました。

そのあとも3人は仲良く旅を続けました。


母「めでたし、めでたし。」

子供「すーっ・・・すーっ・・・」

母「まあ、この子ったらいつも良いところで寝ちゃうんだから。」

母親は寝相の悪い男の子に布団をかけなおした。

母「おなか出して寝ちゃダメよ?」ちゅっ

おでこに優しくキスをすると母親は寝室を出て行った。

子供「う・・・僕も・・・勇者に・・・ん・・・なるんだ・・・」






おしまい
403 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/16(金) 19:16:53.16 ID:mRaYlUF00
見ていてくれた皆さん、有難うございました。
拙い文章で本当に申し訳ありませんでしたがこれでおしまいです。
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 19:17:04.12 ID:l+En92AIO
     ...| ̄ ̄ | < 乙です とても面白かったです
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
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.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/03/16(金) 19:38:17.73 ID:ODx8ejdto
乙です。毎回楽しみにしてました!ありがとう
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 19:42:36.75 ID:FmfEsQxSO

よかったよ


ちょっとでロト紋探してくる
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 20:14:06.51 ID:rtoXMm9jo
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/16(金) 22:47:05.74 ID:LL6NpIvgo
非常に乙
賢者の「きゃっ。」はDQ1だっけか
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/03/16(金) 22:57:15.52 ID:CLAmFH6ko
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/16(金) 23:04:17.62 ID:rwqwAMwko
あ、終わっちゃうのか…………乙です
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 23:24:32.30 ID:acOHEww0o
おつ
で、勇者と賢者のイチャラブまだー?
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/03/16(金) 23:30:02.84 ID:iN7wNsjs0
乙。
今DQ6を娘と一緒にやってたから、余計感情移入できた。
ありがとう。
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 09:30:17.60 ID:suEw358Eo
うん、面白かった!
だらだら続かない適度さがさらにいい
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/18(日) 18:21:09.08 ID:bxvlA7nOo
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 18:40:13.13 ID:gJje/dxqo
乙 面白かった!
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 20:52:12.83 ID:sZrPI2eto
終わったなら依頼出してこいよ
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/20(火) 00:32:58.18 ID:g803htEMo
賢者の家族はどうするんだろう
418 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/20(火) 19:53:42.66 ID:0RBjLQJo0
>>408
あ、そこは特に意識してなかったですw

>>412>>417
書いて見ます

>>416
ごめんなさい、ルールも常識もわからないもので・・・
依頼というのはなんですか?
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/20(火) 20:32:22.54 ID:3gY5/ytdo
1000行かないで終わる時はhtml化を依頼する、とか言うやつのことじゃないかな。続けるなら不要な話っしょ。
420 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/20(火) 20:33:15.05 ID:0RBjLQJo0
おまけ1


【ラダトーム城】

賢者「ちょちょちょちょっと!!なによこれ!?」

勇者「なにって寝室だろ?」

賢者「そうじゃなくてベッドのことよ!」

勇者「あー、これか。お前布団派だったのか?」

賢者「じゃなくて!どうしてひとつしかないのかって聞いてるの!」

勇者「あーそういうことね。だって王と妃の寝室だぞ?そりゃ・・・」

賢者「だれが好き好んでアンタと一緒に寝なきゃいけないのよ。」

勇者「そうか?じゃあ俺は寝るぞ?」

勇者は大きなベッドで寝始めた。

賢者「ちょ・・・っとぉ・・・!」もじもじ

勇者「すーっ、すーっ・・・」(さーてどうするかな?)

賢者「じゃああたしはそのへんで寝るからいいわよ!」

勇者「すーっ、すーっ・・・」(さすがにそれは困る。)

賢者「・・・ねえ。聞いてるのぉ?」もじもじ

勇者「すーっ、すーっ・・・」(聞いてますよー!)

賢者「・・・」モゾモゾ(うぅーっ・・・もう入っちゃえ・・・)

賢者は勇者が目覚めないようにベッドの中に入った。

勇者「すーっ、すーっ・・・」(来た・・・っ!!)

賢者(このくらい・・・いいよね?)

賢者は背を向けて寝ている勇者の背中にぴったり寄り添った。

勇者「あっ。」ビクッ(背中にあったかくて柔らかい感触が・・・)

賢者「・・・」

勇者「すーっ、すーっ・・・」ドクンドクン

賢者「・・・」

勇者「すーっ、すーっ・・・」ドクンドクンドクンドクン

賢者「・・・あなた起きてるでしょ。」

勇者「・・・・・・うん。」

賢者「うん、じゃないわよ起きてるなら起きてるって」

勇者は何も言わずに賢者の方を向き、その腰に手を回して抱き寄せた。

賢者「ちょっ・・・」

勇者「・・・賢者。ここまでついてきてくれてありがとう。これからも一緒に行こう。」

賢者「あぅう・・・こちらこそ・・・お願いします・・・」

そして二人は二度目のキスをし、心と身体を重ね合わせた。
少し前までは長かった夜も、今はほんの短い時間に感じられた。




421 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/20(火) 20:40:36.71 ID:0RBjLQJo0
>>419
なるほど・・・ご親切にありがとうございます

続編書くなら依頼も必要ないわけですね・・・

そもそもHTML化ってのはどういった意味(意図)なんでしょう?
質問ばかりですみません・・・
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 21:10:50.64 ID:CcV3jVbSO


ここはVIPと違って落ちにくいのが特徴なんだが、それではいつまでも板にスレが残って板やVIPServiceを圧迫しかねない

そういうことから依頼をする……はず


依頼は依頼スレが板にあるはず
423 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/20(火) 21:26:45.54 ID:0RBjLQJo0
おまけ2

【テドン】

勇者「つまりィ・・・そのォ・・・娘さんを僕に下さい!!!」

母「いいわよ!」

勇者「や、や、やったあああ!!!」

賢者「ちょっと・・・お母さん軽すぎ・・・」

母「そう?あなたが初めてここに彼を連れてきた時にお母さんは、あんたにはもうこの人しかいないって思ってたわよ?」

賢者「うそ?」

妹「ねーねー!お兄ちゃん、お姉ちゃんと結婚するの?」

母「そうよ。」

妹「うわあ!やったーやったー!これでお兄ちゃんも家族だね!!」

勇者「そう・・なるかな。」

勇者と賢者は照れくさそうに笑った。

賢者「でもお父さんにはなんて言おうかしら・・・」

母「あの人はいいのよ、家にも滅多に帰って来ないんだから・・・」

ガチャッ

父「帰ったぞ。」

賢・勇「!!」

母「あら。珍しいこともあるものだわ。」

妹「わ!!おとーさんだー!!」タタタタタタタ

父「おぉ、妹!元気にしてたかぁ?」なでなで

妹「うんっ!」ギュウゥ

賢者「お、おかえり・・・」

父「お前も帰っていたのか。」

母「家族が勢ぞろいなんて珍しいわね!」

父「それで、その男は誰だ?」

勇者「!」

賢者(来た・・・)

勇者「あ、あの、その・・・・・・賢者さんと結婚することを許して下さい!!!」

賢者(いいっ!?いきなりそれ言うぅ!?)

父「・・・」

父は黙って頭を下げている勇者に近づくと、その胸ぐらを掴みまっすぐに勇者の目を見据えた!!

勇者(ひぃい・・・こえええええ!!!)

賢者(あちゃあ・・・そう言えば、いつか娘をやるのは自分より強い男にだけだとか言ってたわね・・・厄介なことになったわ。)

父「・・・」

勇者「・・・」(この目・・・怒気がない。何かを見極めようとしているのか?)

勇者と賢者の父はしばらくお互いの目を見つめ合った。

父「・・・・・・メシでも食ってけ。」

賢者(えっ!?)

勇者「は・・・はいっ!!」

母「それじゃあご飯の支度しなきゃね♪」
424 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/20(火) 21:27:14.74 ID:0RBjLQJo0
母「ふふ〜ん♪ふ〜ん♪」

賢者「ねえお母さん、さっきのなんであんなすんなり・・・」

母「予想どおりよ♪あの人だって文句のつけどころがないわよ。きっと目を見て賢者のことを守っていけるとわかったんでしょ。」

賢者「そんなのわかるもんなの?」

母「さあ?でもお母さんはお父さんと一緒になるとき、この人ならって思ったわよ?あなただってそうでしょ?」

賢者「う、うん・・・」

母「それと別の世界に住むって言っても会えなくなる訳じゃないでしょ?今までと同じよ。ただひとつ変わったのは可愛い家族が一人増えただけ。喜ばしいことよ。」

賢者「そっか・・・それならいいんだけど・・・」

母「それに彼の家、お金持ちだしね!」

賢者「お母さん・・・」

母「冗談よ!」

賢者「もう・・・」
425 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/20(火) 21:35:27.72 ID:0RBjLQJo0
>>422
ご親切にありがとうございます!
そうですか、それはマナーとして行なっておかなければなりませんね!

続編・・・といいますかDQ2の世界を書いてみようか迷ってるんですがその場合でもHTML化して新しくスレ立てたほうがいいのですか?
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 21:40:41.73 ID:vSpN3oECo
この話がまったく関係ないようなら立て直したほうがいいと思う
この話の前後ならそのままでいい
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/03/20(火) 21:42:09.61 ID:lFe6taDAO
いえ、続編ならここでこのまま続けた方がいいんではないでしょうか?
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/20(火) 21:42:18.23 ID:FFbjoZLDo


まぁ設定を一新するなら、このスレは依頼出して、新しいスレを建てた方がいいんでない
世界観引き継ぐなら同じでもいいと思う
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 21:42:28.83 ID:3z2XRxq2o
乙 投下に間が空くなら、新スレ立てた方が良いかもね。すぐに書けるならこのまま続けてもいいんじゃないかな。
マナー的な理由もあるし、あまり、長い間放置しておくと、依頼しろ依頼しろと強要するのが湧く可能性もあるので注意。
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/20(火) 22:20:54.98 ID:AWl+H+W1o
乙!
最後の勇者と賢者の下りがちょっとあっさりだったから
モゲてしまえ的な2人の後日談が見れてよかった。
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 07:23:02.67 ID:FsSJNlmIO
>>425
まだスレも半分以上余ってるんだし続編ならここで続ければいいと思うよ
432 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/23(金) 01:29:51.46 ID:v1X3rW5c0
みなさんご説明ありがとうございます!
一応このスレで続編書く事に決めました。

まとまってきたら投下するので、まだお付き合いして下さる方はよろしくおねがいします。
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/23(金) 01:31:54.87 ID:8sH2SIb1o
乙 まったり待ってるぜ。
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/23(金) 06:59:42.10 ID:tuBuZamIO
待ってまーす
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 10:32:28.99 ID:qs6+b+JSO
よし待つ
436 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/31(土) 01:47:39.19 ID:Icv6gILc0
待っていてくれた方、ありがとうございます。
大筋は出来てきたので投下します。
437 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 01:48:59.56 ID:Icv6gILc0
アレフガルド―――
偉大なる勇者ロトの伝説息づく、母なる大地。
この地を魔の手から救い出した二人の救世主が残した三人の子は世界各地へ散り、ローレシア・サマルトリア・ムーンブルクの三国を建国した。

そして150年の月日が流れた。
平和を謳歌していたこの世界にも大きな変化が起きようとしていた。

三度目の闇そして、伝説の終わりが始まる・・・











【ムーンブルク城】

王「な、なんだ貴様ッ!?どこから現れた!?」

*「クフフ、ムーンブルク・・・実に豊かな土地だ。」

王「質問に答えろッ!!」

*「だが、それも今日まで・・・殺伐とした荒野と毒沼に変えてやろう・・・」

王「くっ・・・一体・・・」

*「そして忌まわしいロトの血も・・・全て死霊に変えてくれるッ!!」

王「うっ!?」
438 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 01:50:00.57 ID:Icv6gILc0
【ローレシア】

王「ふむ。今日も良い天気じゃのう・・・ポカポカして眠くなるわい。」

妃「まあ、アナタったら玉座に座りながらウトウトとだらしない・・・今寝てしまっては夜眠れなくなってしまうわよ?」

王「何を言う。夜こそ元気でなくてはのう!ファハハハハ!!」

妃「もう、アナタったら・・・」ポッ

王「フヒヒ・・・別に今から」

兵士「お取り込み中失礼します!ご報告がございます!」

王「な!?なんじゃ?今いいところだったのに。」

兵士「同盟加盟国のひとつ、ムーンブルクが何者かの手によって落とされました!!」

王「なんじゃと!?」

妃「ムーンブルクがですか!?」

兵士「同盟の文書を届けに行った神官から『城は無残に崩落し、中には死霊が巣くっていた』との報告を受けました!!」

王「なんということだ・・・争いなきこの時代にそのようなことをするのは魔族以外に考えられん・・・はっ!!そうだ、そなた!宝物庫からロトの印をここへ持って参れ!!」

兵士「はっ!!」

妃「まさかかつてのアレフガルドのように魔王が・・・?」

王「おそらくな・・・」
439 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 01:50:40.88 ID:Icv6gILc0
兵士「持って参りました!」

ロトの印に埋め込まれた宝玉が不思議な光を放っている。

王「やはり・・・」

妃「ロトの印に埋め込まれた虹の雫がまばゆい光を・・・」

王「ロトの誓いが果たされる時が来たのじゃ。おい、王子はどこだ!?」

兵士「王子なら恐らくまた近郊の森で遊んでおいでかと・・・」

王「あやつめ、またそのようなところで・・・連れ戻して参れ!」

兵士「はっ!」

妃「アナタ・・・」

妃は心配そうな顔つきで王に寄り添った。

王「これはロトの血が宿命づけたこと、仕方がないことじゃ・・・」
440 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 01:51:13.93 ID:Icv6gILc0
【ローレシア城近郊】

兵士「おーい!王子〜!王様がお呼びですよ〜!」

しかし森は静まりかえり、声は空しく響くだけだった。

兵士「おかしいな、城に居ない時は大体ここなんだけどなあ・・・」

*「キーッ!!」

その時兵士の首筋に何かぶつかった!

兵士「ひっ!?」

兵士は急いで後ろを振り向いたが何も居ない。

兵士「なななんだよ・・・薄気味悪いとこだな・・・」

兵士はブツブツ言いながら前を向いた。

*「キィィーッ!!」

兵士「ひゃあああ!!」

兵士は目の前に現れた魔物に腰を抜かしてしまった!

*「キキキキキキキ!」

魔物は腹を抱えて笑っている!

*「ははははは!!大成功!!」

兵士「あっ!王子の仕業ですかっ!?王子、どこですか!!アレン王子!」

アレン「ここだよ。」

アレンが茂みから姿を現した。

兵士「もう!脅かさないで下さいよ!!なんですかあの魔物は!!」

アレン「友達だよ。ほら、おいで。」

魔物はバサバサと羽ばたいてアレンの肩に止まった。

アレン「こいつはドラキーのドラきち。いつもここでこいつと遊んでるんだ。城は息が詰まるからな・・・」

兵士「いつも城に居ないのはそういうことだったんですね・・・」(魔物があんなに懐いて・・・不思議な人だ。)
441 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 01:51:55.47 ID:Icv6gILc0
アレン「で、どうして俺を探しに来たんだ?」

兵士「あっ!そうでした!!大変なんです。ムーンブルク城が何者かによって落とされてしまったんです!!」

アレン「なんだって!?」

兵士「それで王様が王子を連れ戻してこい、と。」

アレン「ただごとじゃなさそうだな・・・わかったすぐ行く。ドラきち、今日はここまでだ。またな。」

ドラきち「キキッ!」

アレンはドラキーの頭をポンポンと叩くと、ドラキーは森の中へ飛んで行った!

アレン「行こう。」

二人は森を抜け、ローレシア城へと向かった。
442 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 01:52:47.52 ID:Icv6gILc0
【ローレシア城】

王「アレン、どこに行っていたんだ!!」

アレン「城の近くの森だよ。別にどこで遊んでたっていいだろ?」

王「むぅぅ・・・まあいい、それよりお前に話がある。」

アレン「ムーンブルク城が落とされたんだって?」

王「兵士から聞いたか。」

アレン「王女は無事なのか?」

王「おお、お前は小さな頃に一度会ったことがあるんだったな。ムーンブルク王も妃様も王女様も生死は不明だ・・・」

アレン「そんな・・・」

王「そこでだ。ローレシアの王として命ずる!!ロトの子孫を集めるのじゃ!」

アレン「なっ!?なんでだ?」

王「これを見よ。」

ローレシア王はロトの印を差し出した。

アレン「光ってる・・・」

王「ロトの子孫は竜王を討ち倒したのちに三人の子を設け、その子らは世界に散り散りに旅立った。その時、『この世界に再び魔の者現れし時、三本の矢でこれを討ち破らん』という誓いを立てているのは知っているな?」

アレン「ロトの誓いってやつだな?」

王「そうじゃ。その三人が建国した三国が現在にわたって同盟を結んでいるローレシア・サマルトリア・ムーンブルク。今こそ誓いが果たされる時が来たのじゃ!」

アレン「それじゃ、俺が今から魔王討伐の旅に出るってのか?」

王「平たく言えばそうじゃな・・・」

妃「わたしの可愛いアレン。わたしたちもあなたにそんな重荷を負わせたくはありません。しかしこれは運命づけられたことなのです。わかってちょうだい・・・」

アレン「母さん・・・でもムーンブルクの王女は無事なのか?じゃなきゃ誓いなんて果たしようが・・・」

王「確かに王女の生死はわかっていない・・・しかしこのロトの印の輝きを見ると、わしにはどうしても死んでしまったようには思えんのじゃ。」

アレン「・・・・・・わかったよ。」

王「すまぬな。」

妃「アレン、くれぐれも身体には気をつけてちょうだいね・・・」

アレン「うん。」

王「装備は整えておいた。まずはサマルトリアに赴き、王子と会うのじゃ。」
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 02:07:46.31 ID:XJANixSSO
きたか
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/31(土) 06:33:52.16 ID:C+iaLJIfo
さて、ローレシアの王子は呪文が使えないのだがどうなるか・・・
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/03/31(土) 09:10:23.53 ID:Nzr6PLBh0
ドラきちとホイマーでなんとか・・・
あまり予想先行するのもよくないか
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/31(土) 14:39:37.74 ID:r+DlNgaNo
447 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 21:30:37.60 ID:Mk5G9dw+0
【ローレシア近郊】

アレン「って言われてもなぁ。今まで平和に暮らしてたってのにいきなり・・・まあおもしろそうだからいいけど。」

ドラきち「キキーッ!」バサバサ

アレン「おおっ、ドラきち!さっきはいきなり悪かったな。」

ドラきち「キキキッ?」

アレン「ああ、この格好か?なんかよくわからないけど、旅に出ることになってな!ハハ!」

ドラきち「キーッ!キキッキキッ!!」スリスリ

アレン「それならずっと一緒に居られるって?ついてくる気か?」

ドラきち「キッ!」

アレン「まあいいか!お前と一緒なら寂しくないしな。」

ドラきち「キッキーッ♪」

アレン「ん!?」

アレンの目の前の景色がゆがみ、空間に裂け目が現れた!

アレン「な、なんだ?」
448 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 21:32:35.48 ID:Mk5G9dw+0
なんと空間の裂け目から魔物が現れた!!

アレン「な・・・」

*「ほう・・・魔物と心を通わすか。面白い小僧だ。」

コウモリとブタとサルを合体させたような悪魔が喋りかけてきた。

アレン「な、何者だお前は!!」

ドラきち「キキキ〜ッ!!」

バズズ「ブキュキュキュキュ!冥土の土産に教えておいてやろう。我が名はバズズ。大魔教祖ハーゴン様の右腕!」

アレン「大魔教祖ハーゴン?そいつがムーンブルクを滅ぼしたのかッ!?」

バズズ「いかにも。ハーゴン様の呪いにより人間達はみな死ぬ事も出来ぬ死霊に変えられてしまったという話・・・」

アレン「なんだって・・・何故そんなことをするんだ!!」

バズズ「ブキュキュ!今お前の目の前にわたしが現れたのと同じ理由、忌々しい勇者ロトの血族を絶つため・・・それ以外なかろう?」

アレン「くっ、俺を殺しに来たのか!!」

バズズ「ああ。お前はこの手で八つ裂きにしてやろうかと思っていたが、やめた。」

アレン「!?」

バズズ「もっと滑稽で愉快な殺し方を思いついたからな・・・」
449 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 21:39:31.71 ID:Mk5G9dw+0
バズズはその掌からなにやら黒い球をドラキーに向かって投げつけた!!

ドラきち「キキッ!?」

アレン「な、なにをした?ドラきち!大丈夫か?」

バズズ「ブキュキュキュキュ!貴様も悪魔の端くれならばその残虐さを見せてみィ!!」

ドラきち「ギギッ!?」

アレン「どうした!?どこか痛いのかドラきち!!」

ドラきち「ギィィィィィ!!!」バサバサ

ドラきちの身体が瞬く間に膨れあがり、凶暴な悪魔へと変身した!!

アレン「ドラきち・・・?」

バズズ「ブキュ!そいつはもうお前の知っている仲良しのドラキーではない!ハーゴン様の魔力により凶暴な悪魔に生まれ変わったのだ!!」

ドラきち「ギギギ・・・ギッ!!」

ドラきちは鋭く伸びた爪でアレンを切り裂いてきた!

アレン「ぐっ!!?ドラきち・・・俺がわからないのか?」

バズズ「ブキュキュキュキュキュ!やはり愉快だ!滑稽だ!その絶望と驚嘆が入り交じった表情。素晴らしい。さあ、その腕の中で息絶えるがいい!!」

ドラきち「ギォォォォォォォ!!」

ドラきちはアレンを鷲づかみにして締め上げた!

アレン「ぐわああああ!!」ミシミシ

バズズ「なかなか良い声で鳴く・・・」

アレン(どうして・・・どうしてこんな酷いことが出来る!!!)

ドラきち「ギギッ!?」

アレンの感情の高まりに呼応するように、突然ロトの印がまばゆい光を放ち始めた!

バズズ「ブキィ!?聖なる光・・・ロトの血の胎動かッ!!」

ドラきちは耐えきれずアレンの身体をはなしてしまった。

アレン「ドラきち・・・もうお前はさっきまでのドラきちじゃないのか?」ポロポロ

ドラきち「ギギ・・・ギィィィィ!!」

ドラきちはアレンに襲いかかろうとしているが、ロトの印の放つ光が邪魔して近づくことが出来ない!!

アレン「もうお前がなにを言っているかもわからない・・・そうなんだな?もうドラきちじゃないんだな?」ポタポタ

アレンは剣を抜き、一思いにドラきちの身体を真っ二つに切り裂いた!!

ドラきち「ギ・・ギ・・ギィィィィ!!」

ドラきちは苦しみながら灰になって消えてしまった。

アレン「くっ・・・うっ・・・」ポタポタ

バズズ「なにィ・・・」

アレンは涙を振り切り、バズズを睨みつけた!!

アレン「・・・お前の番だ・・・」

バズズ「ぐ・・・」

アレン「よくも・・・よくもぉぉぉぉ!!!」

アレンは怒りのままにバズズに斬りかかった!!

バズズ「チィッ!!」

しかしバズズは再び空間に亀裂を作り、どこかへ消え去ってしまった!

アレル「くぅ!?どこだ!!どこに行った!!・・・・・・ドラきち・・・どこ行ったんだよ・・・」ポタポタ
450 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/03/31(土) 21:42:28.44 ID:Mk5G9dw+0
アレンは悲しみにくれ、しばらくその場に座り込んでいたがなにか決意したかのように顔を上げた。

アレン「バズズ・・・ハーゴン・・・絶対許さない。こんな酷いこと出来る奴らを野放しにしておけない。」

アレンは立ち上がった。

アレン「これは・・・」

アレンはなにかの尻尾ののようなものを見つけた。

アレン「ドラきちの・・・?」

尻尾を拾い上げるとアレンはそれを大切そうにカバンにしまった。
アレンは悪魔の尻尾を手に入れた。

アレン「まずはサマルトリア・・・だったな。」

アレンは顔を上げ、一歩一歩サマルトリアへの道を踏みしめ始めた。

アレン(ドラきち・・・お前の仇は絶対に討つ。)
451 : ◆JRR8WApOLM [sage]:2012/03/31(土) 21:46:22.10 ID:Mk5G9dw+0
誤字すみません・・・
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 23:22:49.85 ID:paU2BBh1o
おつん
個人的にバズズはモンスターズ+のイメージが強いな
本家がどんなんだったか忘れたわ
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/31(土) 23:36:45.02 ID:r+DlNgaNo
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/01(日) 00:05:58.22 ID:uMi5QvKAO
>>452
外見はコウモリの羽根&耳がついた猿だよ
鼻が豚の鼻なだけで
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/01(日) 02:03:38.01 ID:WL1yPPqHo

シルバーデビルの色違いだっけ?
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 08:13:56.82 ID:9fdMWgoIO
おつっ
やっと来たな
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/04/02(月) 23:18:31.99 ID:qz7LPzQAo
久しぶりにDQ2やるかな
458 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:44:14.37 ID:T7Jaoqi+0
【サマルトリア城】

アレン「相変わらずここは平和そうだな。確かサマルトリアの王子ってのもなんだかゆるゆるだったような気がしたなァ・・・」

アレン「!?」

ドンッ!!

*「あいてっ!」ズザァ

突然、他所見をしていた男がぶつかってきた。

アレン「あ、ごめんなさい!立てますか?」

アレンは男に手を差し伸べた。

*「いてて・・・ごめんごめん、僕が上の空で歩いてたのがいけないんだ。」

男はアレンの手を掴んで立ち上がった。

*「へへ・・・ありがと。」

アレンは軽く会釈をしてその場を離れた。

*「〜♪」

アレン(お国柄ってやつかァ・・・)

アレンは城の中へと向かった。

459 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:45:28.11 ID:T7Jaoqi+0
サマルトリア王「おお、アレンではないか。久しぶりだな。大きくなったものだ・・・」

アレン「お久しぶりです。」

サマルトリア王「ここに参ったのは他ならぬムーンブルク落城のことについてであろう?」

アレン「はい。」

サマルトリア王「こちらも洗礼の儀が終わり次第、王子をローレシアに向かわせようと思っていたところだ。」

アレン「洗礼の儀・・・?」

サマルトリア王「おお、そなたは知らなんだか。サマルトリア王家にはその王位を子に譲る時に聖なる泉で身を清める習わしがあるのだ。」

アレン「では、王位を?」

サマルトリア王「いや、そういうわけではない。」

アレン「ではなぜ洗礼の儀を?」

サマルトリア王「・・・なんとなくだ。」

アレン「えっ。」ズルッ

サマルトリア王「これからロトの誓いを果たすために旅立つのだ、その方が縁起がいいだろう?」

アレン「は、はあ・・・」(まったく・・・国王からしてこれだ・・・)

サマルトリア王「はて?おかしいな。王子は先ほどここを出たばかり。そなたとすれ違っているはずなのだがなあ・・・」

アレン「・・・もしかして・・・緑色の正装に、茶髪でゴーグルですか?」

サマルトリア王「おお、なんだやはりすれ違っていたのか。」

アレン(さっきのアイツかよぉぉ・・・)

サマルトリア王「ふーむ。すれ違いになってしまったか。面倒ならばここで王子が帰ってくるのを待っていてもよいぞ?お茶でもしながらな。」

アレン「いいえ、今から追いかければ間に合うと思うので追いかけてきます!ジッとしてるのは性に合わないので!」

サマルトリア王「そうか、残念だな・・・そうだ、そなたも一緒に身を清めてもらうといい。泉の洞窟は城からずっと東に行ったところにある。」

アレン「そうします。ではこれで失礼します!!」

サマルトリア王「道中魔物に気をつけるんだぞ〜!」

アレンは駆け出して行った!

サマルトリア王「ほほ・・・元気なやつだ。ふわあ・・・さて、もう一眠りするか・・・」
460 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:46:10.64 ID:T7Jaoqi+0
*「あ!待って!もしかしてアレンさん!?」

城内を駆けずり回っていると、可愛らしい女の子に呼び止められた。

*「やっぱりアレンさんだ!」

アレン「キミは・・・?」(どこかで見たような・・・)

*「忘れたんですか?わたしは覚えてるのに?」

アレン「う・・・ご、ごめんなさい・・・」

*「王女のリアですよ。」

アレン「あ!妹の!」(昔見たときはあんなにちっちゃかったのに・・・)

リア「うふふっ。思い出してくれました?お兄ちゃんを探しに行くんですよね?」

アレン「あ、そうだった!急がなきゃ。」

リア「引きとめてごめんなさい。でも気をつけて。アレンさんも知ってると思うけどうちのお兄ちゃん、頭のネジが何本も抜けてるような性格だから思いもよらないような行動するかも・・・」

アレン「だろうな・・・わかった!忠告してくれてありがとう!」

アレンは城門に向かって走って行った。

リア「アレンさん・・・」
461 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:47:26.67 ID:T7Jaoqi+0


アレン「くそぉ!さっきぶつかった時にわかっていればなァ・・・」

アレンはひたすら東に向かって走っていた。

アレン「うあっと!!」ガスッ

アレンは何かに蹴躓いた!

アレン「なんだ?」

スライム「ピィィィ・・・」ピキピキ

アレン「あ、やべ。そんな怒んなって、悪かったよ!」

スライム「ピギィ!!」

アレン「誠意が足りないって?」

スライム「ピイイイイイ!!」

スライムは仲間を呼んだ!
数匹のスライム達が駆けつけた!

アレン「いいっ!?」

スライム達が一斉に襲いかかってきた!

アレン「いてっ!あたた・・・痛い痛い・・・」ボスッ!ガスッ!ガブッ!

スライム「ピギッ?」

アレン「反省したかって?反省したよ・・・もうしないから見逃してくれよ。」

スライム「ピピィ!」

スライム達はぴょんぴょん跳びはねながらどこかへ去っていった。

アレン「いてて・・・なんだか今日はツイてないな・・・」
462 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:48:12.64 ID:T7Jaoqi+0
【勇者の泉の洞窟】

アレン「この洞窟・・・さっきから奥に向かって進んでるけど、明かりもついているし魔物も住んでないみたいだ。」

洞窟の最奥に泉とそのほとりに立つ神官の姿が見える。

アレン(あれ?泉ってあれだよな?王子の姿がないな・・・)

アレンは泉のほとりへと歩いて行った。

アレン「あのすみません、サマルトリアの王子がここへ来ませんでしたか?」

神官「王子様ならば先ほど洗礼を終えられ、この洞窟を出て行きましたよ?」

アレン「うげっ!?また入れ違いか・・・」

神官「王子様を探しておいでだったのですか・・・それはさて置き、どなたか存じませんが折角ここまで来たのです。その泉で身を清めて行かれてはどうですか?」

アレン「・・・そうですね。喉も渇いちゃってますし・・・」

アレンは泉の透き通った水を手でひとすくいして飲んでみた。

アレン「!」(なんだこの水は!?疲れが吹っ飛ぶ!)

神官「どうです?楽になったでしょう?」

アレン「はい!これはどういう・・・?」

神官「この泉の水は精霊ルビス様のご加護を受けているのです。」

アレン「なるほど・・・」

神官「さ、王子様を探しているのでしょう?」

アレン「そうだった!ありがとうございました!」

神官「いいえ、わたしは何も。あなたにルビス様のご加護があらんことを・・・」
463 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:48:54.83 ID:T7Jaoqi+0
【サマルトリア城】

アレン「ふぅ、帰ってきた。結局こうなったな・・・もう日も暮れちまったよ。どうせこうなるなら待っていればよかった。」

アレンは城の中へと入っていった。


サマルトリア王「ZZZ・・・ZZZ・・・・・うわっ!?アレン、そなたいつからそこに!?」

アレン「今です。」(本当は五分ほど前からいたけどな・・・)

サマルトリア王「そうか・・・して、王子は見つかったかな?」

アレン「え?もうこちらに帰って来ているんじゃ・・・?」

サマルトリア王「いいや?ここには戻ってきておらんぞ?」

アレン「・・・」(どうなってるんだ?)
464 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:50:07.31 ID:T7Jaoqi+0
アレンがトボトボと城の中を歩いていると再びリアが声をかけてきた。

リア「その顔だとお兄ちゃんがどこにいるかわからなくって困ってそうですね。」

アレン「ああ、リアちゃん・・・」

リア「昔みたいにリアでいいです。」

アレン「まいっちゃったよ・・・」ポリポリ

リア「洗礼が終わって、日が暮れても帰って来てないと言うことは、多分どこかで寄り道でもしてるんでしょうね。」

アレン「寄り道かァ。」

リア「ろくでもないお兄ちゃんでごめんなさい。でもお兄ちゃんにも悪気はないんです・・・」

アレン「わかってるよ。ちょっと寄り道出来そうなところを探してみるよ!」

リア「本当にごめんなさい。アレンさんみたいな人がお兄ちゃんだったら最高なのになぁ。」(お兄ちゃんったら、帰ってきたらとっちめてやらなくちゃ!)

アレン「それはそれで大変だと思うよ・・・じゃあ俺行くね!ありがと!」

リア「あ、はぁい・・・?」

アレンは再び外に飛び出して行った。
465 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:50:38.09 ID:T7Jaoqi+0
【サマルトリア付近】

アレン「い、いない!!どこにもいない・・・」(しかももう完全に夜になってしまった・・・まさか途中で魔物に襲われてないだろうな・・・)

アレン「明日にしよう・・今日は疲れた・・・」

アレンは城には帰らず、ローレシア城下のリリザの街で宿を取ることにした。



【リリザ】

アレン「おぉ〜。やっぱり街は人がいっぱいいて賑やかでいいや。ずっと城の中じゃ息が詰まっちまう・・・さて、遊びに行く前に宿だけでも取っておかなきゃなー。」

アレンは宿屋へと向かった。



アレン「満室〜!?」

店主「はい・・・すみません。先ほど来られたお客様で満室になってしまいまして・・・」

アレン「そうですか・・・」(しょうがないけど城に帰るか・・・・・待てよ?)

店主「申し訳ございません。是非ともまたごひいきに。」

アレン「すみません、ちょっとお尋ねしたいんですけど、宿泊客に緑色の服を着た茶髪の人っていませんよね?」

店主「あれ?もしかしてお知り合いですか?その方が先ほど来られて、今日の最後のお客さんだったんです。」

アレン(やっぱり!!城にも戻らず、野宿以外で寝られる場所はここしかないからな。)

アレン「そうなんです!知り合いなんですよ!挨拶がてら少しお邪魔してもよろしいですか?」

店主「それならどうぞどうぞ!二階に上がって一番奥の部屋に宿泊されてます。」

アレン「ありがとうございます!」
466 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:51:24.25 ID:T7Jaoqi+0
アレン「・・・」コンコンコン

しかし返事がない。

アレン「いないのか?」ガチャ(開いてる・・・)

アレンはドアを開け、部屋に入ってみた。
するとベッドで王子がすやすやと眠っている。

アレン「父親似だなこりゃ・・・」

アレンは王子が目覚めるまで部屋で待つことにした。




*「う・・・ん・・・?・・・だ、誰だっ!?ってあれ?さっきぶつかった人・・・?」

アレン「やっと起きたみたいだな。サマル王子。」

サマル「・・・えーと、どういうこと?」

アレン「俺の顔を良く見ろ。小さな頃に何度か会ってるはずだぞ。」(そういう俺もぶつかった時はわからなかったけどな・・・)

サマル「・・・うーん・・・あっ!」

アレン「思い出したか?」

サマル「お腹減った!!」

アレン「うお!?」ズルッ

アレン「まあいいや。一緒にメシでも食いに行こう。」

二人は夕食を食べるために街へ繰り出した。
467 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:52:04.06 ID:T7Jaoqi+0
サマル「なぁ〜んだ!アレンかァ!久しぶりだな〜!」もぐもぐ

アレン「小さい時から変なやつだとは思ってたけど、変わってないな。」

サマル「そうかな?」もぐもぐ

アレン「ムーンブルクの件聞いたか?」

サマル「聞いた・・・」

緩みきったサマルの表情が険しくなった。

アレン「覚悟はできてるのか?」

サマル「うん。僕はこれからアレンと一緒に旅に出るんだろ?」

アレン「そういうことになるな。」

サマル「ムーンブルクにも王女様がいたはず。無事でいるかな?」

アレン「どうだろうな・・・実際に行って見なきゃわからないな。」

サマル「そうだね・・・アレン、また迷惑かけるかもしれないけどよろしくね。」

アレン「こちらこそよろしく!」

サマル「さて、お腹もいっぱいになったし今日はもう寝よう!」

サマルが再び緩んだ表情に戻った。

アレン「お前さっきまで充分寝てたじゃねーか!」

サマル「ナハハハハ!それもそうかァ!」

アレン「ハハハハハ!」
468 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:52:58.61 ID:T7Jaoqi+0
【サマルトリア城】

サマルトリア王「城にも帰らず、遊び歩いていたとは何事だ!どれだけ心配したと思ってるんだ!」

サマル「ごめんなさい・・・たまには城の外で遊んでみたくて・・・」

アレン(親子揃って鼻ちょうちん作って寝てたくせによく言うよ・・・)

リア「お兄ちゃん!アレンさんに迷惑かけちゃダメじゃない!!」

サマル「あ〜〜!わかってるよ!」

リア「わかってない!!」

アレン「まあまあ・・・」

サマルトリア王「まあそれより優先すべきは例のムーブルクの件だ。さっそくお前達には旅立ってもらわねばならん。」

アレン「王様。忘れていましたが、ひとつ報告しておかねばならないことがあります。」

サマルトリア王「なんだ?」

アレン「実は先日ここに来る途中、魔王の手先と思われる魔物と遭遇しました。」

サマルトリア王「なにっ!?やはり再び魔王が現れていたか!」

アレン「その魔物が言うには親玉は大魔教祖ハーゴンというらしいです。」

サマルトリア王「ハーゴン・・・」

アレン「その手先の魔物も強力な魔力を持っていて、追い返すことしか出来ませんでした・・・またいつどこを襲撃してくるかわかりません。僕たちが旅をしている間も気をつけてください。」

サマルトリア王「わかった。重要な情報をありがとう。これよりは国内の警戒に人を裂こう。」

アレン「では僕たちはこれで。行こう、サマル。」

サマル「あ、うん。」

リア「二人とも無事で帰って来てね・・・」

サマル「行ってきます。」

サマルトリア王「しっかりな。」

サマル「はい。」
469 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:53:55.86 ID:T7Jaoqi+0
【ローレシア城】

王「なるほど・・・そんなことがあったか。」

妃「あなたが無事でなによりです・・・」

アレン「だからこれからは魔物に対してより一層、警戒した方がいい。」

サマル「サマルトリアも同じように警戒態勢をとっているので同盟国同士、協力してみてはどうでしょう?」

王「そなたらの言うとおりじゃな・・・早速サマルトリアに遣いを出そう。おい!」

兵士「はっ。」

王「このあと緊急の会議をひらく!兵士長や大臣たちを招集しておけ。」

兵士「はっ。」

アレン「ムーンブルク城の次に俺を狙ってきたということは狙いはロトの血族。襲ってきた魔物もそう言っていたしな・・・俺たちが旅に出るというのは国にとってはかえって安全かもしれないな。」

妃「そんなことはないわ!狙われているのがわかっていて、すすんで旅をさせる親などいるものですか。自分を邪魔者のように扱うのはよしなさい!」

アレン「母さん・・・・・・ごめん。」

妃「それでもあなたたちはこの世界の希望。誓いを果たさないわけにはいきません。だから必ず生きてこの母のもとに戻って来なさい。」

王「そうじゃ。わしはお前達なら出来ると信じているぞ。」

アレン・サマル「はいっ!!」

二人はローレシア城をあとにした。
470 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:54:46.22 ID:T7Jaoqi+0
サマル「アレンの母上ってホントあったかい人だな〜。」

アレン「そうか?」

サマル「ジーンと来ちゃったよ僕。」

アレン「言うほどか?」

サマル「僕んちの母さんは僕が大きくなる前に死んじゃったから、ああいうのすごく憧れるんだ。それにさっきアレンの母上、『あなたたち』って言ってくれたでしょ?だからなんだか嬉しくてね。」

アレン「そうだったのか・・・世界が平和になったらいつでも遊びにこいよ。家出してきたときも泊めてやるぞ。」

サマル「ナハハ!それは助かる!」

アレン「だろうな!さて、じゃあ行きますかッ!」

サマル「お〜!」

サマルが締まりのない声を上げると、二人はムーンブルクへの道のりを歩み始めた。
471 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:55:33.95 ID:T7Jaoqi+0
【賢者の門】

サマル「ここが賢者の門か。」

アレン「ムーンブルク大陸に行くにはここを通るしかないからな。」

門の両脇には男と女の石像が建てられている。

サマル「キレイな女の人・・・この人が150年前にアレフガルドを竜王の手から救ったっていう大賢者様かな?」

アレン「じゃあこっちの男は勇者ロトを超えたっていう大勇者様の像か?」

サマル「こんな人がお嫁さんだったら最高なのになァ・・・」ポワワワ

アレン「この人、確かにキレイだけど気ィ強そうだよな・・・」

サマル「そこがイイんじゃない・・・」ポワーン

アレン「あ、そう・・・それにしてもこの二人、ちょっとつりあってないよな。」

ぺちょっ

アレン「ん?」

サマル「アレン、肩・・・」

アレン「げえっ!鳥のフン!?」ゴシゴシ

サマル「バチあたりなこと言うからだよ・・・」
472 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:56:36.20 ID:T7Jaoqi+0
二人は門の奥にある階段を下っていった。
すると地下通路の入口に門兵が立っていた。

門兵「これはこれはアレン王子。どうしてこんなところへ?」

アレン「これからムーンブルクへ行くんだ。」

門兵「左様ですか。なにか用でも?」

アレン「そうか、ここで暮らしているから城からの連絡が滞ってるんだな・・・まあそのうちわかることだけど、ムーンブルクが魔物に滅ぼされてしまったんだ。」

門兵「なんですって!?」

アレン「だからこれからムーンブルクの様子を見にいくんだ。」

門兵「なりません!こんな状況の時にみだりに王子を国外に出すことなど出来るはずないでしょう!」

アレン「あ〜・・・そうなるよな・・・サマル、あれ出せよ。」

サマル「ん?ああ、それか。」

アレンとサマルは懐からロトの印を取り出した。

門兵「それは!!ではそちらの方は・・・」

アレン「サマルトリアの王子だ。」

サマルは軽く会釈をした。

門兵「どっひゃー!!ということはこれからロトの誓いってやつが果たされるんですね!?」

アレン「まあそんなとこだな。」

門兵「わかりました。どうか道中お気をつけていってらっしゃい。」

門兵はふさいでいた通路を開放した。
473 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:57:21.27 ID:T7Jaoqi+0
アレン「なんだかジメジメして気持ち悪いとこだな・・・」

サマル「地下通路ですしね・・・」

アレン「おい、なんだあれ?」

通路を巨大な物体がふさいでいる。

サマル「なんでしょうね・・・」

物体の背後から二本の触手のような目が覗かせた。

アレン「こ、こいつおばけナメクジだ!!こんなデカイのは見たこと無いぞ?」

サマル「気持ち悪・・・」

おばけナメクジ「ウジュルルルルルル・・・」

アレン「おい、こいつ俺たちを食う気満々だぞ!」

サマル「やるしかないみたいだね・・・」

アレン「俺が前衛をいく!援護を頼む!」

サマル「うんっ。」
474 : ◆JRR8WApOLM [saga]:2012/04/03(火) 21:59:40.25 ID:T7Jaoqi+0
おばけナメクジはアレンに巨体でのしかかってきた!

アレン「!」

アレンはひらりと身をかわした!

アレン「そんなもん当たるかよっ!そりゃあ!!」

アレンはおばけナメクジに太刀を浴びせた!

おばけナメクジ「ウジュゥゥゥゥ!!」

おばけナメクジは苦しみながらも反撃してきた!

アレン「やべっ!?」

サマルはギラを唱えた!
閃光とともに掌からあふれ出る炎がおばけナメクジを焼き尽くす!

おばけナメクジ「ウジュ・・・・・・」

水分を失ってしまったおばけナメクジは小さくなってしまった!

アレン「ありがと。お前、呪文が使えるのか!?」

サマル「少しだけどね。」

おばけナメクジはそそくさと逃げ出した。

アレン「さすがナメクジ・・・逃げるのも遅いな〜!」

サマル「ホントだね・・・」

アレン「さ、行こう。」

475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/04(水) 00:07:41.74 ID:m+6PhKDAo
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 23:48:39.28 ID:H1T8xUtSO
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 19:56:39.37 ID:5ijY6SgSO
まだかね
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/05/16(水) 17:20:47.90 ID:r9pHvdMJo
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバン゙ン
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    \/___/ ̄

  バン    はよ
バン(∩`・д・) バン  はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   
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    ドゴォォォォン!!
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     \,,(' ⌒`;;)
   !!,' (;; (´・:;⌒)/
  ∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
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479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/01(金) 22:26:52.72 ID:7wMwNcE3o
そろそろ2ヶ月だぞ
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/01(金) 22:38:28.58 ID:utOoIAjIO
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
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481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/01(金) 23:32:35.78 ID:+D17ud+DO
もうこないの?
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