このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

勇者「パーティーにまともな奴がいない……」 ドラゴン「その2だ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:20:49.20 ID:uqdG1bw70
前スレ 勇者「パーティーにまともな奴がいない……」
    http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1323607229/

2スレ目に突入です。

このSSには過激な表現、過激な言動などが含まれます。(流血、殺人などなど)
また展開によっては18禁的な部分が出てきてしまうかもしれません。(あくまで後日談でのものであり、おまけとして書くかもしれないという意味です)

そういったものが苦手な方は読まない事を推奨します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1329049243(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:24:26.97 ID:uqdG1bw70
ここまでの話

魔王討伐のために旅に出た勇者は仲間を増やしたり、異父兄弟と出会ったりしながら旅を続けていた。
いろいろな町で多くの人と出会い、勇者はいろんな意味で成長する。
そんな時、とある理由で化学兵器を持つ魔法の町とその他の町との戦争が勃発。
そんな中、魔王に関する有力な情報を手にして、勇者達は雪の町へと向かう。



用語解説

ハンター 世界の治安を守る特殊部隊。国際警察みたいなもの。

魔法の町 大量の兵器を保持する町。その他の町の連合軍との間で戦争が勃発。

魔道騎士 魔法の町の最終兵器。だが魔力が足りずに動かない。



登場人物紹介


勇者    18歳

突然勇者である事を教えられ旅を続ける少年。
正義感や使命感と言ったものが全く無く、頼まれたからという理由で魔王討伐を目指す。
最初の頃は殺人はしない様にしていたが、旅を続けるうちに、人を殺すことも躊躇しなくなってきた。
父親と二番目の母親が屑人間のため、かなり苦労してきている。
かなり口が悪く、特に嫌いな人間は平気で傷つける。
モンスターと話せる。
独自の剣術を持ち、自分を囮に使う大胆な攻撃方法で多くの敵を倒して来た。
ドラゴンとは恋人同士、暗殺者とは悪友、女勇者とは不思議な関係。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:26:03.72 ID:uqdG1bw70
女勇者   22歳    貧乳

最初に勇者の仲間になった偽物の勇者。
貧乳を良くバカにされる。
ドSで、勇者や暗殺者にも平気でひどい事を言ったりする。
ただ根はいい人で、よくドラゴンの恋愛相談にのってあげている。
ごく稀にデレる。
あらゆる剣術を習得し、また勉強もよく出来る、いわゆるエリート。
偽物の勇者である事をやめ、勇者とドラゴンの刃になる事を決意した。


ドラゴン  18歳(人間年齢)    巨乳

二番目に仲間になった女の子。
勇者の嫁になるために人間になったドラゴン。
最近の楽しみは勇者と一緒に寝る事。
暗殺者と女勇者に恋愛相談にのってもらう事がよくある。
体が非常に丈夫で、火も吐ける。
勇者以外の男に気安く触られると怒る。


暗殺者   20歳前後    普通乳

三番目に仲間になった中性的な顔立ちの女性。
吸血鬼とゾンビと合体しており、その後遺症で人格は男。
裏社会の事情に詳しく、いろいろな事を知っている。
男の観点から勇者の相談にのってあげている。
ナイフを使った暗殺術を使う。
詳しい年齢は不明。

暗殺者(女)

暗殺者の中にいる、もう一つの人格。
卑猥な言動が目立つ女性。
乱暴な戦い方が多く、他人を食い千切ったりもする。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:27:04.43 ID:uqdG1bw70
女大臣    19歳    巨乳

眼鏡をかけたインテリ大臣。
両刀で涙もろく、盗み聞きが趣味の変人。
魔法と剣術が達人級にうまく、とてつもなく強い。
勇者達のサポート役。


弓兵     35歳

ハンターの一員。
頭がきれる凄い男。
勇者にも楽勝で勝てるほど強い。
戦争のために準備中。


イケメン   20歳    

父親違いの勇者の兄。
勇者の一人。
金持ちの父親のもとで厳しく育てられ、高い戦闘能力を持つ。
正義に異様な執着を持ち、悪を憎んでいる。
仲間が三人いるが省略(魔法使い、女戦士、遊び人の三人)。


剣士     14歳

父親違いの勇者の弟。
勇者の一人。
性格も良く、空気も読める常識人。
剣術も魔法も人並みにできる。
父親は不明。


博士     47歳

剣士と旅をする生物学者であり科学者の男。
魔法の町で科学者をしていたが、兵器を造るのが嫌になり、魔法の町を出た。
独身。
いろいろと謎多き男。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:28:24.63 ID:uqdG1bw70
殺し屋   28歳

裏社会のカリスマと呼ばれる凄い男。
その通り名と残虐非道な噂からよく勘違いされるが、本当は適当で軽い男。
仕事のためなら手段を選ばないが、仕事以外で人を殺す事は嫌う。
戦闘スピードは作中で最速を誇る。
また飛んでくる何本ものナイフを全て掴めるほどの動体視力を持っている。


金髪    17歳

チンピラグループの副リーダー。
さわやか系美少年。
チームでは尋問や情報収集が仕事。
倒すより逃げる戦闘スタイルを持つ。
そのため足はとても速い。
ちなみにかっこいい者に憧れ、そういう人なら男女を問わず惚れる。


勇者母  年齢不明  美人。

自分勝手な人。
その他は一切謎。


魔王   年齢不明

ここまで出番無し。



次から本編です
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:29:32.48 ID:uqdG1bw70
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


雪の町


女勇者「やっと着きましたね」スタスタ

ドラゴン「寒いな……」スタスタ

勇者「そりゃ雪の町だからな」スタスタ

暗殺者「思った以上に積ってるな」スタスタ

ドラゴン「暗殺者は来た事があるのか?」

暗殺者「無い」

女勇者「……とにかく女大臣の言っていた人の所に行きますよ」

勇者「女大臣の師匠か、凄ぇんだろうな……」

女勇者「私も興味はあります」スタスタ

暗殺者「何処にいるんだ?」

女勇者「町外れの道場に住んでいるみたいです」

勇者「道場ね……」

女勇者「道場なんて久しぶりです」

勇者「俺は初めてだ」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:30:41.02 ID:uqdG1bw70
女勇者「……あなたもこれを期に流派を習得したらどうですか?」

勇者「いいよ、別に」

女勇者「まあ、そう言うと思っていましたが」

勇者「なら聞くなよ」

女勇者「あなたはバカですから流派を習得する気がない事は知っている、と言う意味です」

勇者「……」

ドラゴン「いいからさっさと行くぞ、寒い」

勇者「ああ、わかった」スタスタ

女勇者「しっかり着込んでこないからです」スタスタ

ドラゴン「着込んでも寒いんだ」スタスタ

勇者「道場に行けばストーブもあるだろ」スタスタ

暗殺者「もしかしたらボロボロのどうじょうだったりして」ニヤニヤ

ドラゴン「ならその道場をストーブの代わりに燃やす」スタスタ

勇者「忘れてるかもしれないけど俺達勇者だからな!!」スタスタ

ドラゴン「勇者は燃やしたらいけないのか?」スタスタ

勇者「と言うか、人の家を燃やすな!!」スタスタ

暗殺者「もしストーブがなかったら枝を拾ってきて、それを燃やせ」スタスタ

ドラゴン「わかった」スタスタ

勇者「こんな一面銀世界の場所に木なんかあるのか?」スタスタ

暗殺者「探せば絶対ある」スタスタ

勇者「ならいいんだけど」スタスタ
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:33:12.89 ID:uqdG1bw70
女勇者「バカな事言ってないで準備してください、着きましたよ」

勇者「……案外普通の道場だな」

暗殺者「普通じゃ道場の方が珍しいだろ」

ドラゴン「ちゃんとストーブもありそうだな」

女勇者「ごめん下さい」ガラガラ

師匠「……待っていましたよ」ニッコリ


そこには腰まである銀髪で糸目の30代後半の男性が正座していた。


勇者「あんたが女大臣の師匠か?」

師匠「ええ、そうです」

師匠「私の名前は師匠、この道場の師範をしています」

女勇者「女勇者です」

暗殺者「暗殺者だ」

ドラゴン「ドラゴンだ」

師匠「で、君は勇者だね?」

勇者「ああ、女大臣から聞いたのか?」

師匠「はい、君達が来ると手紙を送ってきてくれたんです」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:34:10.84 ID:uqdG1bw70
勇者「じゃあだいたい知ってるのか」

師匠「はい」

勇者「じゃあいきなりで悪いんだけど、光る石って知ってるか?」

師匠「ええ、知ってますよ」

女勇者「知ってるんですか?」

勇者「悪いけど早く教えてくれ、急いでるんだ」

師匠「分かっています」

師匠「この町では有名なものですから、他の町にはほとんど知られていませんが」

ドラゴン「その光る石ってのは何処にあるんだ?」

師匠「あれを見て下さい」

勇者「……山?」

師匠「あの山の頂上に光る石があります」

女勇者「と言う事は山に登らなければならないと言う事ですか」

師匠「そう言う事になりますね」

暗殺者「その石は魔王とつながっているのか?」

師匠「……それは知りません」

女勇者「そうですか……」

師匠「ですが、もしかしたら長老が何か知ってるかもしれませんよ」

女勇者「長老……ですか?」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:34:48.77 ID:uqdG1bw70
師匠「はい、この町の長です」

勇者「とりあえず行ってみるか」

ドラゴン「そうだな」

師匠「……ちょっと待っていただけますか」

勇者「なんだ?」

師匠「私はあなたにお例を言っておく必要があるので」

勇者「お礼?」

師匠「はい、強者を殺してくれた事です」

勇者「?」

師匠「彼は私の弟子でしたから」

女勇者「女大臣の兄弟子だったんですよね?」

師匠「ええ、真っすぐで純粋な人間でした……」

ドラゴン「じゃあなんであんな風に?」

師匠「……私にはわかりません」

師匠「ただ彼なりに考えた結果だったんでしょう」

勇者「……」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:36:21.17 ID:uqdG1bw70
師匠「彼の剣は何処に?」

勇者「武器の町に強者と一緒に埋葬されてると思う」

師匠「……そうですか」

女勇者「武器の町のあたりは激戦区になるんですよね」

勇者「そうなのか?」

暗殺者「あそこが奪えれば大量の武器を手に入れられるんだ、魔法の町も本気で奪いにくるだろ」

勇者「俺達も急がないとな」

ドラゴン「そうだな、戦争を早く終わらせないと」

師匠「ああ、長老に会いに行くんでしたね、引き留めてすいません」

女勇者「いえ、で、何処にいるんですか?」

師匠「町中の寺にいますよ」

ドラゴン「じゃあいってみるか」スタスタ

暗殺者「そうだな」スタスタ

勇者「また来るな」スタスタ

師匠「わかりました」

女勇者「では」スタスタ

師匠「武器の町……ですか」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:37:21.73 ID:uqdG1bw70
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町中


女勇者「いい人そうでしたね」スタスタ

勇者「ああ、しかも強いだろうな」スタスタ

女勇者「はい、間違いなく」スタスタ

勇者「ああいうタイプは怒らせたら怖いだろうな」スタスタ

女勇者「そうですね」スタスタ

ドラゴン「あの人間、嘘をついていたな」スタスタ

勇者「え?」スタスタ

ドラゴン「いや、気にする事じゃない、多分言いたくなかっただけだ」スタスタ

女勇者「言いたくなかった?」スタスタ

ドラゴン「気にするな、オレ達には関係無い嘘だ」スタスタ

勇者「……あいつは信用できるのか?」スタスタ

ドラゴン「オレ達を騙す必要は無いだろ」スタスタ

女勇者「……そうですね、その通りです」スタスタ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:39:03.54 ID:uqdG1bw70
暗殺者「とにかくその光る石ってのが何なんかが分からん事にはどうしようもないだろ」スタスタ

勇者「ああ、今は信じるしかない」スタスタ

女勇者「そうですね」スタスタ

暗殺者「あそこかな?」スタスタ

ドラゴン「みたいだな」スタスタ

勇者「入るぞ」ガチャ

長老「……いらっしゃい」


そこには年老いた男が椅子に座っていた。


女勇者「あなたが長老ですか」

長老「うむ……」

長老「こんな老いぼれに何の用で?」

勇者「突然で悪いが光る石の事を知ってるか?」

長老「……光る石?」

ドラゴン「山の上にある石の事だ」

長老「ああ、あの石の事か」

暗殺者「知ってるのか?」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:42:05.65 ID:uqdG1bw70
長老「うむ、だがあれを扱えるのは勇者だけだぞ」

勇者「俺が勇者だ」

長老「……そうか、お主勇者か」

勇者「疑わないのか?」

長老「嘘か本当かなど見ればわかる」

勇者「……」

女勇者「勇者しか扱えない、と言うのはどういう意味ですか?」

長老「あの石は勇者の血に反応する特殊な石でな」

暗殺者「あれが魔王の所につながってるのか?」

長老「そうだな、あれは魔王の所へ行く入口だ」

勇者「入口?」

長老「そう、魔王のもとへ行く入口の一つだ」

ドラゴン「じゃあ入口はいくつもあるのか?」

長老「あるにはあるが、ワシは知らん」

女勇者「……なんで女大臣も魔法の町の大臣もその事を知らなかったんでしょうか」

長老「あの石と魔王との関係を知っておるのはワシだけ、他の者達はそんな事知らんよ」

勇者「あんた以外は知らないって事か?」

長老「そう言う事だな」

暗殺者「ならその事を知らない人間が多い事も理解出来るな」

長老「知られない様に代々守られてきた秘密だからな、簡単にバレてもらっては困る」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:43:28.52 ID:uqdG1bw70
ドラゴン「確かにそうだな」

長老「石が光っている時に勇者の血を石に垂らすと魔王への道が開かれる」

長老「それが代々伝わる言葉だ」

勇者「石はいつも光ってるのか?」

長老「深夜零時から一時までの一時間の間だけ光り続ける」

勇者「つまりその間に血を垂らせば魔王の所にいける訳だな?」

長老「その言葉が合っていれば、だがな」

ドラゴン「行ってみるしかないだろ」

勇者「そうだな」

長老「……しっかり準備をしておくのだぞ、あそこは危険な山だ」

女勇者「忠告ありがとうございます」

長老「あと、急いでもらえるかな」

勇者「そんな事わかってる」

長老「戦争を終わらせてくれ」

勇者「分かってるよ」ガチャ

長老「任せたぞ」

女勇者「はい」スタスタ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/12(日) 21:44:51.51 ID:uqdG1bw70
今日はここまでです。

二スレ目突入出来たのは皆さんのおかげです。ありがとうございます。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/12(日) 22:06:19.33 ID:ySq0yjk20
>>1乙!

前スレにこのスレのリンク張っておくといいよ。
そして皆で埋めればHTML依頼いらないし。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 17:45:34.85 ID:w1Au0KcIO
前スレ>>1000とはどうやら決着を付けないといけない間柄らしいな。

それはさておき、主様2スレ目おめでとうございます。
いつも楽しみに読まして頂いてます。
これからも頑張ってください
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/02/13(月) 21:16:56.54 ID:VZe+h7LAO
やっと来れた…
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/13(月) 21:40:08.89 ID:vhzxYGO10
勇者「じゃあさっさその石の所に行くか」スタスタ

ドラゴン「そうだな」スタスタ

女勇者「待って下さい」

勇者「ん?」

女勇者「こういう時こそしっかり準備をしましょう、個別に必要なものを買いだしませんか?」

暗殺者「その方が時間も短縮できるし、そうするべきだな」

勇者「じゃあここに二時間後集合でいいか?」

女勇者「はい」スタスタ

ドラゴン「じゃあまた後でだな」スタスタ

暗殺者「ああ」スタスタ

勇者「……俺もなんか買いに行くかな」スタスタ

師匠「おや、長老に話は聞けましたか?」スタスタ

勇者「おかげ様でいい話が聞けたよ」

師匠「それは良かった」

勇者「……出掛けるのか?」

師匠「ええ」

勇者「気をつけろよ」

師匠「分かっています」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:42:25.03 ID:vhzxYGO10
師匠「……魔法剣士を倒したんですよね」

勇者「ああ、そうだけど」

師匠「では特殊部隊についても知っていますか?」

勇者「多少なら知ってるけど」

師匠「では他のメンバーは知っていますか?」

勇者「え、えーと……」

師匠「その様子だと知らないようですね」

勇者「すいません」

師匠「謝る事じゃありませんよ」

師匠「特殊部隊は他に狂戦士、ネクロマンサ―、魔戦士の三人がいます」

勇者「三人だけか?」

師匠「はい、ですがどれも強敵ぞろいです、一筋縄ではいきませんよ」

勇者「忠告ありがとう」

師匠「いえ、私は魔王討伐には行けませんから」

師匠「それではそろそろ行きますね」

師匠「どうかご無事で」スタスタ

勇者「ああ」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:44:14.39 ID:vhzxYGO10
二時間後


女勇者「時間ぴったりですね」

勇者「そりゃ、二時間後って決めたんだし、きちんと帰ってくるよ」

ドラゴン「もう出発するか?」

女勇者「いえ、今日は宿屋に泊まって、明日の朝に出発するつもりです」

暗殺者「俺も賛成だ、今から昇ってもすぐに日が落ちるんだ、明日の方がいいだろ」

勇者「じゃあ今日の宿を探すか」

女勇者「もうとってあります」

暗殺者「……仕事が早いな」

女勇者「時間があったので」

ドラゴン「早く行こうぜ、寒い」

勇者「わかったわかった」

暗殺者「女勇者、場所は?」

女勇者「こっちです」スタスタ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:46:27.79 ID:vhzxYGO10
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


温泉の町   連合軍作戦本部


女大臣「ほぼ全員ですね」

王「そうじゃな」

女大臣「初対面の方々もいますので一通り説明しておきます」

女大臣「武器の町頭首、お頭様です」

お頭「よろしく」

女大臣「ハンターの長、マスター様です」

マスター「よろしく頼むわい」

女大臣「あと、まだ来ていませんが雪の町の長老様がいます」

女大臣「そしてこちらが私達の町の王様です」

王「よろしく頼む」

女大臣「そして私が大臣をしております女大臣です」

お頭「……で、実際の所戦況はどうなんだ?」

王「今の所魔法の国は何もしてきておらぬ、じゃが何時攻撃してきてもおかしく無い状態じゃ」

お頭「防衛線はどうなってるんだ?」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:48:08.30 ID:vhzxYGO10
マスター「ハンター達と兵士達が港の町で待機中じゃ、まずはあそこが戦場になるじゃろうな」

お頭「大丈夫なのか?」

女大臣「今の所は不明です」

王「非難はどうなっておるのじゃ?」

お頭「武器の町、港の町の非難は終わってる」

女大臣「なら安心です」

お頭「ただ温泉の町やドラゴンの村まで魔法の町の連中が来たらどうしようもないぞ」

王「仮定の話をしてもしかたないじゃろ、とにかく戦争が始まったらどの部隊をどう動かすか決める、それだけじゃ」

マスター「王の言う通りじゃな」

お頭「……」

マスター「……今はとにかく作戦を練る以外無かろう」

女大臣「そうですね」

王「今はとにかく待機じゃ、向こうの出かたを待つ」

マスター「今はそれしかあるまい」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:50:33.19 ID:vhzxYGO10
同時刻  港の町


弓兵「……」

スライム「静かですね……」

弓兵「戦争だからな、みんな気がたってるんだろ」

弓兵「お前こそこんな所にいていいのか?」

スライム「どういう事ですか?」

弓兵「お前は諜報部隊だ、こんな所にいる必要無いだろ」

スライム「他の方達がいる中で一匹だけ隠れている訳にはいかないですよ」

弓兵「……そうか」

スライム「他の諜報部隊もここにいるはずです」

弓兵「……死ぬなよ」

スライム「わかっています」

弓兵「他の奴らにも言ったが、危険だと思ったらすぐ逃げろ」

スライム「了解です」

スライム「弓兵さんも危ないと思ったら逃げて下さいね」

弓兵「……ああ、そのつもりだ」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:52:01.47 ID:vhzxYGO10
兵士「弓兵さん!!」ガチャ

弓兵「どうした?」

兵士「船が、魔法の町の船が来ています!!」

弓兵「何隻だ!?」

兵士「確認出来ているのは七隻です」

スライム「まだまだ増えるでしょうね」

弓兵「大砲隊を準備、出来る限り沈めろ!!」

兵士「はっ!!」

弓兵「ここを死守するぞ!!」

兵士「了解しました!!」

スライム「僕はどうしたらいいですか?」

弓兵「相手の船に侵入して燃やせるか?」

スライム「可能です」

弓兵「じゃあ頼む」

黒スライム「いい場所があったぞ」ピョン

スライム「黒スライムさん!?」

弓兵「協力者だ」

黒スライム「船に工作するんだろ、行くぞ」ピョンピョン

スライム「あ、はい」ピョンピョン
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 21:53:02.23 ID:fWl9dveSO

スライムかわいいな
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:54:44.00 ID:vhzxYGO10
弓兵「さて、俺も行くかな」ガチャ

弓兵「……」スタスタ

弓兵「あれか……」

兵士「はい、五分もすれば射程圏内に入ってきます」

弓兵「そうだな、大砲隊の準備は?」

兵士「すでに終わっています」

弓兵「上出来だ」

弓兵「弓隊を集めてくれ」

兵士「了解しました!!」スタスタ

弓兵「……」スタスタ

弓兵「始まったか……」

弓隊「弓隊、全員集合しました!!」タタタッ

弓兵「よし、全員配置に着け」

弓隊「了解!!」タタタッ

弓兵「遠慮はいらん、好きなだけ撃て!!」ギリリ


二月二十日 世界戦争 勃発
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:56:01.38 ID:vhzxYGO10
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日 雪の町


勇者「よし、出発だ」

女勇者「はい」

ドラゴン「ああ」

暗殺者「買い忘れた物は無いよな?」

女勇者「私は大丈夫です」

ドラゴン「オレもだ」

勇者「大丈夫」

勇者「……じゃあ行くか」スタスタ

ドラゴン「ああ」スタスタ

暗殺者「急ぐぞ、弓兵達が戦ってるんだ」スタスタ

女勇者「港の町に魔法の町の軍隊が攻撃を仕掛けたんですよね」スタスタ

勇者「みたいだな」スタスタ

勇者「でも魔法の国はここには来てないみたいだろ」スタスタ

ドラゴン「……勇者、長老の言葉を覚えているか?」スタスタ
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:57:19.10 ID:vhzxYGO10
勇者「え?」スタスタ

ドラゴン「入口は一つじゃないんだ」スタスタ

女勇者「別の入り口から入ってきているかもしれない、と言う事ですか」スタスタ

ドラゴン「そう言う事だ」スタスタ

暗殺者「まあ、魔王ってのはそんなに簡単に捕まるようなものじゃないと思うけどな」スタスタ

勇者「つーか俺達が倒せるのか?」スタスタ

女勇者「そんなものやってみない事にはわからないでしょう、バカなんですか?」スタスタ

勇者「分からないから怖いんだろ」スタスタ

女勇者「恐怖は迷いを生みます」スタスタ

勇者「……」スタスタ

女勇者「わかったら、精神統一でもしていて下さい」スタスタ

勇者「はいはい」スタスタ

暗殺者「……勇者の血で開くって、不思議な話だよな」スタスタ

ドラゴン「そうだな、いまいち仕組みがわからん」スタスタ

女勇者「勇者の血にのみ反応すると言うのが謎ですね」スタスタ

暗殺者「全体的に謎が多過ぎる、勇者の血統もそうだし、魔王の事もそうだ」スタスタ
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 21:59:01.12 ID:vhzxYGO10
勇者「ドラゴンは何か知らないか?」

ドラゴン「詳しくは良くわからん」

ドラゴン「ただ、魔王は一人だ」

女勇者「一人?」

ドラゴン「ああ、魔王は二人でも居なくてもダメなんだ」

暗殺者「勇者は何人いてもいいけど魔王は一人なのか?」

ドラゴン「その辺はよくわからんな」

女勇者「魔王なら知ってるんじゃないんですか?」

勇者「話がわかる奴ならいいんだけどな……」

暗殺者「高等ま種族なんだし言葉は分かるだろ」

ドラゴン「問題は性格だな」

ドスドス

勇者「ん?」


そこには二メートルを超える、毛むくじゃらの何かが歩いていた。


勇者「……何あれ」

女勇者「雪男ですね」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/13(月) 22:01:51.05 ID:vhzxYGO10
今日はここまでです。

戦争が本格的に始まり、今まで出てきたキャラの思惑がいろいろなところで交差したりしていきます。(多分)

ちなみにエロゲじゃないですが鬼哭街を買う事にしました。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/13(月) 22:59:44.84 ID:hpsWX6MIo
>>32
なぜ?
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/13(月) 23:04:01.57 ID:vhzxYGO10
やりたい6割 戦闘シーンの勉強がしたい3割 兄さまが見たい1割です。

正直ラノベでも良かったのですが、最近はいいバトル物が少ないので、前から欲しかった鬼哭街にしました。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/13(月) 23:37:21.76 ID:3gULxEEfo
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/13(月) 23:38:52.61 ID:/TJCzS0wo

ノベルゲーは確かに描写の勉強に役立つよね
何度濡れ場の復習をしたか………ふう
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 17:42:29.12 ID:JLc2pzXIO
なるほどエロゲなら更に賢者タイムでの執筆が捗ると…
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:37:10.93 ID:heOvlRvw0
暗殺者「理性の無いタイプのモンスターだから気をつけろよ」

雪男「……」ギロッ

勇者「あ、こっち見た?」

雪男「うがァァァァァ!!」ダダダッ

勇者「嘘だろ!?」

ドラゴン「下等種族が図に乗るなよ」ギリッ

女勇者「勇者、刀を抜きなさい!!」チャキッ

雪男「がァァァ!!」ダダダッ

勇者「ん?」

ドラゴン「あれ?」

暗殺者「俺達……じゃない?」

???「きゃァァァァァァ!!」

勇者「人?」

暗殺者「なんで人が?」

勇者「そんな事今はどうでもいいだろ」

女勇者「いいから助けに行きますよ」

ドラゴン「オレが行く!!」タタタッ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:39:16.38 ID:heOvlRvw0
ドラゴンは雪男目掛けて走り出した。
速く、しかし静かに。

相手はこちらに気づいていない。
ならば不意打ちを狙う他ない。

姿勢を低くし、加速する。
残り五メートル

一撃で決める。
彼女はそう決め、右手の拳をさらに強く握った。
狙うとすれば急所である頭か腹だ。
残り二メートル。

雪男がこちらに気づき、向き直る。
目が血走り、牙を剥くその姿は人間なら恐怖の対象だろう。
だが彼女にとってそんなものは恐怖ですらない。

体を大きく捻り、右手を振りかぶる。
渾身の一撃を雪男に撃ちこむ。
その威力はもはや弾丸の域に達していた。

雪男がとっさに防御しようとするが明らかに間に合わない。

メキリ、と嫌な音をたて、弾丸という名の拳がが雪男の腹の部分に突き刺さる。
雪男が怒りとも悲鳴とも聞こえる声をあげる。

だがドラゴンは全く怯む事無く、さらに左手で顔面をとらえる。
彼女は確かに骨が折れるよな嫌な音を聞いた。

相手の体が浮くのがわかる。
だが力を抜く事無く、左手を振り切る。
相手が魔物なら加減をする必要は無い。

雪男は地面を転がり、苦しそうに呻く。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:42:02.22 ID:heOvlRvw0
ドラゴンにとって戦いとは捕食行動の一環だ。
敵を狩る。
それは生理現象に等しい。

雪男が咆哮する。
不意打ちされた事に対する怒りか、痛みに対する悲鳴か。
大地を震わせるような咆哮。


「ははっ、下等種が!!」

ドラゴンは咆哮するように叫んだ。
まるで赤き竜だった頃の様に気高く、それでいて力強い声。

ドラゴンは地面を蹴って、雪男目掛けて跳ぶ。
蹴った地面がクレーターの様にへこむ。

雪男は両手を大きく振り回す。

だがドラゴンは両腕をいとも簡単に交わす。
それはまるで蛇のようにしなやかな回避。

相手の懐に入る。
彼女は知らず知らずのうちに牙を剥いていた。
狩人としての彼女の姿。

全身を使い、雪男の顎をアッパーで撃ち抜く。
異様な音と共に何かが砕ける感覚が拳に伝わる。

雪男はまるでボールの様に二メートル近く上に吹き飛び、地面に叩きつけられる。
見るまでもなく、動ける状態ではなかった。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:43:39.33 ID:heOvlRvw0
ドラゴン「ふん」

勇者「相変わらずの火力だな」

ドラゴン「竜だからな」

女勇者「大丈夫ですか?」

???「あ、うん」


そこには腰まである金髪の15歳くらいのかわいい少女が地面に座っていた。
しかしその子にはねじれた角と悪魔の様な翼が生えていた。


暗殺者「……人間じゃない?」

女勇者「みたいですね」

勇者「あんたは?」

サキュバス「私はサキュバス、あ、あなた達人間ね!!」

ドラゴン「オレは竜だ」

暗殺者「俺は三分の一人間だ」

サキュバス「え、は?」

勇者「そりゃそうなるだろうな」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:45:27.41 ID:heOvlRvw0
女勇者「私達が人間だと何か不都合でもあるんですか?」

サキュバス「え、あの……人間と仲良くしちゃいけないの!!」

勇者「なんじゃそりゃ」

サキュバス「魔王様にそうやって言われてるの!!」

暗殺者「魔王様?」

サキュバス「あ……」

サキュバス「ち、違う、魔王様じゃなくて……」

勇者「魔王様じゃなくて?」

サキュバス「あの、その……」

勇者「魔王ね……」

女勇者「何故人間と仲良くしてはいけないんですか?」

サキュバス「それは……私達が魔王様に仕える身だがら」

勇者「俺達は魔王に会いに行くんだよ」

サキュバス「え?」

勇者「俺達は魔王に用事があるって事」

サキュバス「魔王様に用事……?」

勇者「ああ」

サキュバス「も、もしかして魔王様を倒すため!?」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:47:24.88 ID:heOvlRvw0
勇者「それ以外に何があるんだ?」

サキュバス「……ふふふ」

女勇者「何がおかしいんですか」

サキュバス「魔王様を倒すなんて不可能よ」

勇者「やってみなくちゃ分からないだろ」

サキュバス「あなた達じゃ魔王様に傷一つつけられないわよ」

勇者「なんでそこまで自身があるんだ?」

サキュバス「魔王様はあなたが思ってるほど弱くないの」

暗殺者「そんな事百も承知だよ」

サキュバス「やめた方がいいわ、本当に死ぬわよ」

勇者「……勝手に言ってろ、とにかく俺達は魔王の所へ行く」

サキュバス「勝手にしたら、助けてもらった事のお礼は言っとく、ありがとう」スタスタ

勇者「……」

ドラゴン「最初から簡単に勝てるとは思ってないだろ?」

勇者「まあな」

暗殺者「それにサキュバスは俺達の強さを見てないだろ」

ドラゴン「まともな人間は二人だけだしな」

女勇者「しかも勇者も私もほとんど人間やめてますからね」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:49:15.04 ID:heOvlRvw0
勇者「平気で人斬っちゃってるからな」

女勇者「まったくです」

サキュバス「……」ウロウロ

暗殺者「何やってんだあいつ?」

ドラゴン「迷ったんじゃないか?」

勇者「まさか」

勇者「おい、どうしたんだ?」

サキュバス「……」ジワッ

勇者「なんで涙目?」

サキュバス「迷った……」

女勇者「帰り道が分からないんですか?」

サキュバス「……うん」

勇者「……」

サキュバス「……」ウルウル

勇者「……連れてく?」

女勇者「私は構いませんよ」

暗殺者「俺も構わん」

ドラゴン「勝手にしろ」

勇者「目的地一緒だし、一緒に来るか?」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:50:50.39 ID:heOvlRvw0
サキュバス「……いいの?」

勇者「別にいいけど」

サキュバス「ありがとう……」

暗殺者「じゃあさっさと行くか」スタスタ

女勇者「あと少しですしね」スタスタ

勇者「……そういえばサキュバスって悪魔なのか?」スタスタ

サキュバス「下級の悪魔よ、夢魔、淫魔とも呼ばれてる」スタスタ

勇者「淫魔ね……」スタスタ

サキュバス「勘違いしてほしくないから言うけど、全部が全部そう言う事してる訳じゃないから」スタスタ

暗殺者「自分は違うって言いたいのか?」スタスタ

サキュバス「ええ、私は魔王様に仕える身、あなた達で言うメイドみたいなものよ」スタスタ

ドラゴン「たいていの悪魔は魔王に仕えるんだろ?」スタスタ

サキュバス「仕えるのはほんの一部、ほとんどは自由気ままに生きてるわ」スタスタ

女勇者「つまりあなたはエリートと言う事ですか?」スタスタ

サキュバス「別に、魔王様に仕えたいと言えば仕えられるわ」スタスタ

勇者「ただのボランティアじゃねぇか」スタスタ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:55:13.82 ID:heOvlRvw0
サキュバス「そうとも言うけど私はこの仕事に誇りを持ってる」スタスタ

女勇者「誇りを持つと言う事は重要な事です」スタスタ

ドラゴン「ああ、誇りは重要だ」スタスタ

勇者「そうか?」スタスタ

ドラゴン「貴様にはわからんだろうな」スタスタ

勇者「どうせわかんねぇよ」スタスタ

ドラゴン「とげのある言い方だな」スタスタ

勇者「お前こそとげのある言い方だった」スタスタ

女勇者「二人とも着きましたよ」

暗殺者「まだだいぶ時間があるぞ」

勇者「待てばいいだろ」

女勇者「……」

ドラゴン「仕方ないだろ」

サキュバス「魔王様……」

勇者「もうちょっと待ってろ、魔王の所に行けるから」

サキュバス「わかってるわ」

女勇者「今は休みましょう」

勇者「ああ、そうだな」ドサッ

暗殺者「疲れたな……」

ドラゴン「やっと魔王に会えるな」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:56:14.02 ID:heOvlRvw0
勇者「本当にやっとだな」

サキュバス「……悪い事言わないから魔王様と戦うのはやめた方がいいわ」

勇者「悪いんだけどそうはいかないんだよ、こっちにもいろいろ事情があるから」

サキュバス「事情?」

暗殺者「簡単に言えば厄介な事情」

サキュバス「何それ?」

女勇者「私達は魔王と戦わないといけないんです」

サキュバス「……」

ドラゴン「もし邪魔をするなら貴様も敵だな」

サキュバス「私は何もしない、魔王様が戦えって言ったら戦うけど」

勇者「魔王はあんたにそんな事言うのか」

サキュバス「魔王様は絶対そんなこと言わないわ」

暗殺者「……そうか」

女勇者「とにかく今の所はあなたと私達は敵ではありません、あなたが何もしなければ私も何もしません」

サキュバス「分かったわ……」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:57:10.00 ID:heOvlRvw0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


港の町は地獄と化していた。
辺りは燃え、建物の多くは半壊している。
見るも無残な貿易の町。
轟音で轟音がかき消される戦場。

弓兵はそんな所に立っていた。
周りにいた仲間はすでに退避していない。
ただ一人、火薬と鉄が交差する空間に立っていた。

敵を倒すためではない。
逃げ遅れた仲間を救うために。
まだ戦い続けている兵士に退避を伝える為に。

彼にとって仲間を失う事は最大の苦痛だった。
誰一人死なせない。
彼は昔、そう誓った。
もう二度と仲間を失う苦痛を味わいたくは無い。


「逃げろ、退避だ!!」


彼は自分の出せる最大の大声で叫ぶ。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:58:24.65 ID:heOvlRvw0
だが砲撃音でその声はかき消されてしまう。
立て続けに爆発音が辺りの空間を包む。

こんな場所では無意味に等しい様な行動。
むしろ敵に居場所を教えている様な危険な行動。
それでも仲間を救うため、彼は声を上げる。

弓兵の体が敵の気配を察知する。

大声を聞いたのか、敵の兵士達が集まってきていた。
まるで餌に群がる蟻だ。

十人弱の兵士達が彼をぐるりと取り囲んでいた。
どの兵士も剣や斧を持ち、目がぎらぎらしている。

弓兵は素早く弓を引き絞り、兵士を射抜く。

全員を倒す必要は無い。
数人倒せば退路は確保できるのだ。

兵士達が一斉に彼目掛けて走り出す。
だが飛び道具すら持たない彼らなど弓兵の敵ですら無い。
あんな連中よりも弓をもった子どものほうがよっぽど危険だ。

目の前にいた三人を次々に射抜き、走り出す。
炎の中を走る。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 21:59:50.66 ID:heOvlRvw0
相手を撒くには炎の中を走るのが一番いい。
服が焦げる臭いがし、体が熱さに悲鳴を上げる。

体の限界を感じ、炎の外に飛び出す。
肺は火がついたように熱く、呼吸はいつも以上に乱れていた。
その場に腰をおろし、呼吸を調えようとする。

だが呼吸を調える前に彼は立ち上がる。
彼の目の前には今までとは違う敵が立っていた。

それはまるで漆を塗ったように漆黒で美しい西洋甲冑の騎士だった。
ほぼ全ての部分が甲冑で覆われ、肌は全く露出していない。
唯一肌が見える目の部分も奥は黒く染まり、何も見えない。
まるで中には誰もいないようだ。

何も言わないし、何もしゃべらない。
だが弓兵は相手の強さを理解した。
根拠は何もない。
ただ長年の勘が、動物的勘が危険だと言っている。


「お前が兵器って訳か……」


誰に言った訳ではない。
ただの独り言だ。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 22:01:15.73 ID:heOvlRvw0
甲冑は無言のまま弓兵目掛けて走り出していた。
足に風の魔法をまとい、物凄い速度で接近してくる。
それはまさに兵器と呼ぶにふさわしい、人間離れした速度だった。
腐っても魔法の町の兵器、と言う訳だ。

甲冑の右手が弓兵の頭目掛け振り下ろされる。
拳という名の鉄の塊は真っすぐに頭目掛け、文字通り、落ちてくる。
爆音が鳴り響いているはずなのに、ゴウッ、と言う音が嫌にはっきりと聞こえた。

弓兵は歯を食い縛り、後ろに大きく跳ぶ。

次の瞬間には甲冑の拳が弓兵の立っていた場所を粉々に砕いていた。

体勢が大きく崩れるが、気には留めない。
体勢が崩れたままで状況のまま弓を引く。

当たる確信は無い。
いや、どちらかと言えば、当たる確率の方が低いだろう。
だが矢を撃たなければ勝つ事は出来ない。

浮いたままの状態で矢を放つ。
弓を撃った反動と体勢を立て直さなかった事が重なり、さらに態勢が崩れ、防御すら不可能になる。
ある種この攻撃は賭けだった。

矢はまるで機械に放たれたかのように真っすぐ甲冑目掛け飛んでいく。
いや、その正確さは機械にすら勝っているかもしれない。

だが甲冑は矢を叩き折り、また弓兵目掛けて走り出した。
相変わらずの馬鹿げた速度で接近してくる。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 22:04:39.03 ID:heOvlRvw0
弓兵は地面に着地すると同時に体勢を立て直した。

止まっている暇は無い。

同時に三本の矢をつがえると、弓を引き絞り、同時に放つ。

だが甲冑の右手で矢は全て叩き折られた。
矢は刃物で斬られたように真っ二つになり、残骸として地面に落ちていく。

しかし弓兵は魔法を詠唱し、にやりと笑う。

そう、弓はただの運搬。
本命は矢に宿った魔法だ。
あの矢はまだ生きていた。

地面に落ちた矢の一本一本が誘爆し、巨大な爆発を起こす。
爆発はまるで生きているかのように甲冑に襲いかかる。

甲冑が逃げようと跳ぶが、もう遅い。

爆発は大きく口を開け、甲冑を飲み込む。
炎が甲冑の体を隅から隅まで蹂躙し尽くす。

弓兵はその様子を見ていた。
感情の無い目が虚ろに炎をとらえる。

炎に蹂躙された甲冑、地面に転がっていた。
まるで飴の様にドロドロに溶けている。
もはや動けるような状態では無い。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/15(水) 22:09:41.41 ID:heOvlRvw0
今日はここまでです。

実はサイドストーリー用の伏線も所々にあったり無かったりします。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/15(水) 22:25:22.48 ID:TWUIudJlo
うむ。今日もたのしんだ
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 00:03:29.76 ID:+v4YXpJIO
しえんぬ
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 13:37:33.99 ID:ZsllmvNB0
弓兵「今のはイオナズンではない、イオだ」
弓兵の魔法強すぎワロタw
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 13:47:12.66 ID:VbhIY1TIO
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:43:37.10 ID:rVz0apQK0
弓兵は弓をしまい、歩きだす。
余計な時間を使い過ぎてしまっていたし、余計な魔力も使い過ぎていた。


「弓兵さん……」


蝋燭の火の様にか細い声が聞こえる。
誰の声かは分からない、だがそれでも声が聞こえた。

辺りを見渡すが誰もいない。
あるのは瓦礫の山と兵器の残骸だけだ。


「ここです……」


声は下からだった。
体を百八十度回転させ、後ろの瓦礫の山を見る。

瓦礫に足をとられ、動けなくなった兵士が倒れていた。
とてもではないが自力で歩けるような状態では無い。
兵士の目も置いていってくれと言っているのがわかる。

だが弓兵は瓦礫をどかすと、兵士を担ぎあげる。
彼の中には見捨てるなどと言う選択肢は最初からない。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:45:52.16 ID:rVz0apQK0
瓦礫が山となり、もはや道とは呼べない道を歩く。

長時間緊張状態にいたせいで、体が嫌に疲弊しているのがわかった。
目が霞み、時折足元がふらつく。


「弓兵さん……逃げて下さい……」


弱り切った声が聞こえるが、耳にも入れず、歩き続ける。
とにかく歩き続ける。

だが少し歩いた所で弓兵は歩みを止め、その場に兵士を下ろした。
顔は険しくなり、まるで苦虫を噛み潰したような表情になっている。

二人の前には漆黒の西洋甲冑の騎士が立っていた。
さっき戦った西洋甲冑とは違う、全体的に大柄で全長二メートルはある巨大な斧を持っている。
さっきのをスピードタイプと呼ぶならこちらはパワータイプと呼べばいいのだろうか。
しかも一体では無い、炎のせいで見にくいが三体は確実にいるだろう。


「一人で逃げろ」


弓兵はそれだけ言うと、弓を構える。
人一人抱えて逃げられるような相手ではない。
なら戦うしか道は無い。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:50:54.02 ID:rVz0apQK0
「でも―――――」


何かを言おうとした兵士を睨みつけ、黙らせる。
冷酷で感情を殺した視線。


「早く行け」


抑揚の無い、感情の死んだ声。
まるで氷の様に冷たい言葉。

そんな声に怖気づいたのか、体を引きずりながら必死に逃げる。

弓兵はその背中を見ながら弓を構え直した。

大柄な甲冑は斧を構えたままゆっくりとこちらに歩いてくる。
巨大な斧を揺らしなが近づいてくる姿は死刑執行人の様だ。

漆黒の死刑執行人が斧を大きく振りかぶる。
その姿はまさに今断頭しようとしている死刑執行人そのものだった。

弓兵は素早く横に避け、その攻撃をかわすと、唯一生身に矢が当たる目の部分目掛け矢を放つ。

銀色の矢は一直線に唯一の弱点目掛け飛んでいく。

しかし甲冑はまるでハエを追い払うかのように矢を弾く。
巨体には似つかわしくない、ずばやい動きだった。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:52:54.02 ID:rVz0apQK0
弓兵の体に異様な悪寒が走る。
まるで何か湿っぽいものが体を這いずりまわっている様な感覚。

とっさに頭を下げる。
それは俗に言う第六感というものだろう。

下げた頭の真上を斧が通過していく。
空を斬る様な異様な音が弓兵の背筋をさらに冷たくする。

その瞬間、弓兵は自分のミスに気がついた。
一体の敵に集中し過ぎていたのだ。

気がつけば、弓兵は完全に囲まれていた。
退路は完全に封じられている。

甲冑達が同時に斧を振り上げる。
振り上げられた斧は気持ちが悪いほどに銀色に輝いていた。

本気で死を感じ、体が凍りつく。
そのくせ心はどう反撃しようか、この場面をどう切り抜けようかと、真っ赤に燃えたぎっている。

斧が振り下ろされる瞬間、弓兵は全力で走りだした。
冷や汗が頬を伝う。
膝が恐怖で震えている。

甲冑の斧は無理矢理に方向を変え、弓兵を追いかけてくる。
速度は圧倒的に斧の方が速い。
空を斬る音がどんどん近づいてくる。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:54:10.38 ID:rVz0apQK0
弓兵は魔法を詠唱し、加速した。
足に風の力をまとわせ、走ると言うより、地面を凄いスピードで滑って行く。
スケートをするように加速し続け斧を振り切る。

だが無茶な加速に体の内部と外部が悲鳴を上げる。

弓兵はそのまま前のめりに地面に着地すると、荒い息を上げながら地面に膝をついた。
長時間の戦闘によって蓄積された疲労がこんな所で出てしまったのだ。

まるで糸が切れた操り人形のように体が動かない。

それを知ってか知らずか斧を持った甲冑は嫌味なくらいゆっくりと近づいてくる。
その姿は兵器というより嫌に人間臭い動きだった。
人殺しを心から楽しむ狂った人間の動き。

弓兵は体を動かそう必死にもがく。
上半身はある程度動くようになっているが、依然足はまるで人形のように動かない。

弓を構え、狙いを定める。
魔力はもはや残っていない。

ならば代償を使えばいい。

自分の血液を代償に魔法を詠唱する。

嫌というほど暑いのに体が急激に冷えていく。
まるで雪が血液に混入してきたようだ。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:56:41.20 ID:rVz0apQK0
「お、おォォォォォォ!!」


苦しそうな声を上げながら矢を放つ。
矢は一瞬のうちに風をまとい、巨大な槍のようになる。

お互いの距離は三メートル。
よほどの達人ではない限り回避は不可能。

風の槍はまるで紙を貫くように甲冑を貫く。
甲冑の穴からはおびただしい量の赤い液体が流れ出る。
どんなに改造されてもベースは人間という訳か。

残りは二体。
だがもはや戦う気力も力も残ってはいない。
彼の体にはそれを回避するほどの力も残っていない。

甲冑は斧を大きく振りかぶる。
銀色の斧は邪悪に輝いている。

ここが自分の死期だと理解する。
目を閉じ、体の力を抜く。

ゴウッ、という風を斬る音が彼の耳に確かに聞こえる。
体が硬くなり、力が籠る。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:57:51.07 ID:rVz0apQK0
だがいつまで経っても体を斬られる様な感覚は無い。
それが逆に恐怖を加速させた。


「大丈夫ですか?」


それは戦場とは思えないほど冷静な女性の声だった。
頭の中を探っても誰かは思い出せない。

目を開け、周りの状況を確認する。

目の前には二人の人間が立っていた。

一人はポニーテールの背の高い女性だった。
無表情で氷の様な印象を受けた。

もう一人は金髪の男だった。
戦場に不釣り合いなほど綺麗な銀の鎧と剣はこの男を兵士では無い事を現していた。


「女戦士、その人を頼んだよ」

「分かっています」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 21:59:32.15 ID:rVz0apQK0
女戦士、と呼ばれた女性は彼の方に向き直り、近づいてくる。
相変わらずの無表情な顔に体が緊張する。


「誰だ、兵士じゃ無さそうだよな」

「イケメンです、あなたは?」

「弓兵だ」


これだけの会話で十分だった。
根掘り葉掘り聞かなくてもわかる。
どうやら敵では無いようだ。

会話が終わると、イケメンという名の男は剣を構え直し、残りの甲冑に斬りかかっていった。


「行きますよ」


そう言って女戦士は弓兵に腕を差し出した。
彼女のまた、屈強な戦士なのだろう。

情けないが、今は助けてもらわなければ歩く事も出来ない。

素直に相手の手を掴み、体を起してもらう。
そして体を支えて貰いながら歩き出す。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 22:00:47.99 ID:rVz0apQK0
「あんた等は?」

「彼は勇者です」

弓兵はその言葉に僅かに首をかしげた。
彼は勇者を知っている。
正義なんても欠片も持ち合わせていない、最低の勇者を。

それに気付いたのか女戦士は補足をする。


「彼はもう一人の勇者です。正義の勇者、とでも言いますか」


彼女の言葉に彼は何も言わなかった。
疑っている訳ではない。

彼は正義という言葉を何の恥ずかしげもなく使うこの女性とさっきの男を羨ましいと感じていた。
まるで熟れる前の果実の様な青臭さ。
だがそれを懐かしいと感じた。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 22:02:32.28 ID:rVz0apQK0
「ここまでで十分だ、後は勝手に逃げる」


弓兵はそう言うと、女戦士から離れた。

兵士では無い以上、何か目的がある。
ならそれを邪魔しては悪いと感じたからだ。


「行け」


女戦士は少しだけ戸惑ったが、すぐに来た道を帰っていく。

彼女の背中を弓兵はぼんやりと見ていた。

彼女が見えなくなると弓兵はその場に座り込み、空を見上げた。
紅蓮の炎に照らされた空を仰ぎ見ながら、体の力を抜く。
つかの間の休息のために。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 22:03:43.76 ID:rVz0apQK0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





女勇者「時間ですね」

暗殺者「ああ、そうだな」

暗殺者「ほら、ナイフ」ポイッ

勇者「ああ」


勇者はナイフで指を少しだけ斬る。


勇者「これでいいのか」ポタポタ

ドラゴン「光る石に血を垂らすんだからこれでいいだろ」

サキュバス「それでいいわ」

勇者「……」

女勇者「ここからどうするんですか?」

勇者「俺に聞くな」

サキュバス「これで扉が開く」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 22:04:46.49 ID:rVz0apQK0
ドラゴン「扉?」


石の光が強くなり、光の扉が出現した。


勇者「なんだこれ!?」

サキュバス「テレポートと同じ原理よ」

勇者「テレポートって女大臣が使ってたあれか?」

女勇者「はい、今の世の中で最も習得が困難な魔法です」

サキュバス「魔王様の魔力と力があれば簡単な事よ」スタスタ

ドラゴン「凄いな、女大臣」

女勇者「はい、本当に凄い人です」

サキュバス「魔王様じゃないんだ……」

勇者「魔王は出来て当然」

女勇者「じゃあ行きますよ」スタスタ

勇者「あ、ああ」スタスタ

暗殺者「さて、魔王とご対面だ」スタスタ

ドラゴン「楽しみだな」スタスタ
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/16(木) 22:06:20.44 ID:rVz0apQK0
今日はここまでです。

これからもちょっとだけ地の文多めになっちゃうと思います。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/16(木) 22:47:37.70 ID:R4LrLC1IO
おつんつん
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 00:04:39.59 ID:sQWZNiYDO
イケメンだ
って何ふざけてんだって一瞬思ってしまった
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 07:30:45.94 ID:+Hxga3IIO
地の文がかなりいい
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 13:37:50.04 ID:CQfL1dpIO
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:41:05.76 ID:qc+kAxI40
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


港の町 魔法の町の船 船上


兵士「ひっ……!?」

狂戦士「ははは、もっと泣けよ、そうじゃないと面白くなんないだろ?」

兵士「……」

狂戦士「何黙ってんだよ!!」


狂戦士の蹴りが兵士の脇腹に直撃する。


兵士「げほげほっ……許して……下さい」

狂戦士「は、何言っちゃってんの?」

狂戦士「お前は捕虜だ、俺のいいなりになってりゃいいんだよ!!」


狂戦士の蹴りがもう一度兵士の脇腹に直撃する。


殺し屋「腐ってるね」

狂戦士「は?」

殺し屋「あ、聞こえちゃった、お前が腐ってるって言ってるだけだから気にしなくていいから」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:44:47.08 ID:qc+kAxI40
狂戦士「何言ってんだ、テメェ?」

殺し屋「言いたい事を言っただけ、俺素直だから、嘘つけないんだ」ニッコリ

狂戦士「兵士でも無いくせに調子に乗るな」

殺し屋「調子になんて乗ってないよ、あ、もしかして気に障っちゃった、ごめんごめん」

狂戦士「テメェふざけてんのか!!」

殺し屋「やっぱりね、ちゃんと謝るよごめんなさい」

狂戦士「クソがっ!!」


狂戦士は兵士の顔面を思いっきり殴る。


兵士「うぐ……」

殺し屋「お前、いつもそれやってるの?」

狂戦士「は?」

殺し屋「そうやって捕虜いじめて楽しい?」

狂戦士「楽しいに決まってるだろ、それに捕虜ってのに人権は無いだ、好きにしていいだろ」

殺し屋「……」

狂戦士「?」

殺し屋「それやめてくれる」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:47:13.59 ID:qc+kAxI40
狂戦士「何をだ?」

殺し屋「そうやって捕虜殴ったり蹴ったりするの」

狂戦士「何言ってんだ、そんなの俺の自由だろ」

殺し屋「不愉快なんだよね、抵抗しない相手に暴力振るうのって」

狂戦士「何言ってんだ?」

殺し屋「そういう事すると心が痛まない?」

狂戦士「……ははははは、裏社会のカリスマが人を傷つけるなって言いたいのか!?」

殺し屋「そう言う事」

狂戦士「笑わせてくれるね、お前みたいな奴がそんな事言うなんてな」

殺し屋「もう一回言う、それやめてくれない?」

狂戦士「何言ってんだ、嫌に―――――」


その瞬間、捕虜の兵士の首が吹き飛ぶ。


狂戦士「な……に!?」

殺し屋「死ぬ時くらい痛み無く楽にいかしてやりたいだろ」チャキッ

狂戦士「テメェ……」

殺し屋「痛みを感じさせながら死なせるのはあまりにも酷だろ?」

狂戦士「社会の底辺が偉そうに」

殺し屋「裏社会はそうかもね、汚い仕事だし」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:49:20.06 ID:qc+kAxI40
狂戦士「……ムカつく野郎だ」

殺し屋「奇遇だね、俺も思った、以心伝心ってやつかな?」

狂戦士「全然違う」

殺し屋「あ、そう、あはははは!!」

狂戦士「……」

殺し屋「そんな怖い顔するなよ」

狂戦士「……まあいいか、捕虜はまだたくさんいる」

殺し屋「片っ端から殺していってあげるよ、安らかで穏やかな死を迎えられるようにね」ニッコリ

狂戦士「……ちっ、面白くねぇ」スタスタ

殺し屋「……やっぱり向こうについておくべきだったかな、面白くないし」

殺し屋「退屈なんだよね、なんかさ……」

殺し屋「……」

殺し屋「……出てきたらどうだい?」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:52:30.93 ID:qc+kAxI40
殺し屋「俺は誰にも言う気は無いし、お前等を殺す気は無いよ」

黒スライム「いつから気付いてた」ピョン

殺し屋「気付いたのは今、一人でいると勘が冴えるんだよ」

スライム「あなたは魔法の町の兵士ではないですね」

殺し屋「あ、知ってるんだ」

黒スライム「裏社会のカリスマ、殺し屋、で合ってるよな?」

殺し屋「よく知ってるね、いい諜報員だ」

スライム「……なぜあなたはこちら側に?」

殺し屋「理由なんて無いよ、ただ雇われたからここにいるだけ」

黒スライム「お前には自分ってものがないのか?」

殺し屋「それは違う、俺はビジネスとしてやってるだけだよ」

殺し屋「仕事は選ばない、それが俺」

スライム「……」

殺し屋「さっさと逃げた方がいいよ、狂戦士が帰ってくる」

黒スライム「なんで俺達を呼んだんだ」

殺し屋「なんとなくかな」

黒スライム・スライム「……」ピョンッ

殺し屋「……お互い手札は明かしきってない訳か」

殺し屋「さて、魔王はどっちの手札になるのかな……」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:55:23.89 ID:qc+kAxI40
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


不思議な空間


勇者「ここが?」

サキュバス「そうよ」

悪魔「ようこそいらっしゃいました」


そこには黒い翼の生えた美しい女性が立っていた。


女勇者「あなたは?」

悪魔「わたくし魔王様に仕えております、悪魔と申します」

暗殺者「……」

悪魔「あなた方の事は存じ上げております、サキュバスがお世話にやった様で」

サキュバス「悪魔……さん」

悪魔「帰り道を忘れるとは……あなたには教育が必要なようですね」

サキュバス「ええー!!」


悪魔が指を鳴らすと、サキュバスは動かなくなる。


悪魔「さて、魔王様がお待ちです、一緒に来ていただけますか?」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:57:36.77 ID:qc+kAxI40
ドラゴン「元からそのつもりだ」

勇者「いいのか、魔王を殺しに来た勇者をみすみす通して」

悪魔「魔王様の命令は絶対です、わたくし達に逆らう権利はありません」

女勇者「聞けば聞くほど不思議な方ですね、魔王とは」

悪魔「本日は客人が多いようですね」

勇者「え?」

剣士「ここが?」スタスタ

博士「そうみたいだね」

暗殺者「お前等も来たのか」

博士「ああ、君達も来てたのか」

剣士「お久しぶりです」

女勇者「久しぶりですね」

暗殺者「もう一人はどうした」

博士「彼女は別の仕事をしてもらっているよ」

勇者「来ないのか?」

博士「来ないよ」

悪魔「お客人も全員揃いましたし、魔王様の所に」スタスタ
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 21:59:39.63 ID:qc+kAxI40
勇者「ああ」スタスタ

剣士「ど、どういうことですか?」スタスタ

勇者「魔王に会うんだ、気を引き締めとけ」スタスタ

剣士「勇者さんは魔王を殺すんですか?」スタスタ

勇者「微妙だな、さすがにこんだけしといて話も聞かず戦闘とはならねぇだろ」スタスタ

女勇者「罠という可能性はありませんか?」スタスタ

暗殺者「俺達を殺すタイミングならさっきだってあったんだ、大丈夫だろ」スタスタ

勇者「まあ、用心するに越した事は無いけどな」スタスタ

悪魔「魔王様は不意打ちなどという下劣な事はしません」スタスタ

博士「ますます魔王というものに興味が湧くね」スタスタ

ドラゴン「剣士はどうする気だ?」スタスタ

剣士「僕はどうする気もありません」スタスタ

剣士「ただ魔王に会うためにに来たんです」スタスタ

勇者「……」スタスタ

悪魔「こちらのお部屋です」ガチャ
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 22:03:51.55 ID:qc+kAxI40
勇者「行くぞ」スタスタ

ドラゴン・暗殺者「ああ」スタスタ

女勇者・剣士「はい」スタスタ

魔王「……お主達が勇者御一行、でいいのだな?」


そこにはねじれた二本の角が生えた見た目20歳後半の美しい女性が椅子に座っていた。
ゴシック調のドレスを身にまとった姿は角以外ただの人間だった。


勇者「……ま、魔王?」

魔王「いかにも、私が魔王だ」

剣士「女の人?」

魔王「女だったらなんなのだ?」

剣士「いえ、別に……」

ドラゴン「姿は女だが、魔王は魔王だな」

魔王「ほう、気高き竜か」

ドラゴン「貴様だって魔族の王、魔王だろ」

魔王「まさか竜がいるとはな、予想外だ」

女勇者「竜がいると何か厄介なんですか?」

魔王「いや、そう言う訳ではない、ただうれしいのだ、同じ高等種族と会えてな」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/17(金) 22:05:07.20 ID:qc+kAxI40
今日はここまでです。

二スレ目にしてやっと魔王登場。ちなみにキャラは最初からこんな感じでした。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 22:54:22.01 ID:84dKWfPIO
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/02/18(土) 00:29:18.23 ID:RPFa3mZAO
おっぱいは?
魔王のおっぱいは?
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 16:25:19.91 ID:AWAenTwIO
このSS人間ばっか相手にしてるし魔王との共闘はありそうだな
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/18(土) 18:40:46.20 ID:hj3PZRsIO
銀髪赤眼胸元パックリドレスで再生された
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:48:14.24 ID:6sRFrxLE0
勇者「なあ、質問していいか?」

魔王「私の分かる範囲なら答えよう」

勇者「魔王ってのは勇者に殺されて死んだんじゃないのか?」

魔王「一代前の魔王は死んだ」

暗殺者「……ならあんたは娘って事か?」

魔王「まさか、魔王は世界に一人しか存在できぬ」

勇者「じゃあどうやって――――」

魔王「魔王はな、世界によって生み出されるのだ」

勇者「世界?」

魔王「そう、世界だ」

魔王「私が目覚めた時には私はもう魔王だったのだ」

勇者「い、意味がわかんねぇ……」

ドラゴン「魔王は世界に一人、もし魔王が死んだら世界が代わりのの魔王を造り出すって所か?」

魔王「そんな所だ、だから魔王は絶滅する事もなければ増える事もない」

女勇者「魔王と言うのはそこまで重要なんですか?」

魔王「魔王とは文字通り魔の王、お主等で言う所の王と同じ役割だ」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:50:44.00 ID:6sRFrxLE0
剣士「王様、ですか?」

魔王「町を繁栄させるのも治安を安定させるのも王は必要だろ」

魔王「特に魔の者の統治には絶大な力を持った者が必要になる、それが私、魔王だ」

勇者「それで魔王が必要って事か」

魔王「その通りだ」

女勇者「では魔王を殺すのは不可能なのですか?」

魔王「そうなるだろうな、それにもし魔王がいなくなれば世界は魔の者はさらに暴走するだろう」

暗殺者「じゃあお前を殺しても仕方ないのか」

魔王「そうなるな」

魔王「魔王なんてものは所詮システムだ、魔の者を統治するためのな」

勇者「そこまででは無いだろ、お前だって自分ってもんがあるだろ」

魔王「私にそんなものは無い、私は魔を統治するシステムであればいいのだ」

剣士「……そんなのであなたはいいんですか?」

魔王「人を統べるのに感情はいらんだろ、なら私は感情などいらん」

剣士「そんな……」

魔王「王に感情はいらんのだ、感情は時に判断を間違えさせる」

剣士「じゃあ、じゃああなたは何のために生きてるんですか!!」

勇者「落ちつけ」

魔王「言っただろ、私は魔の王として生きている、それ以外の何でもない」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:51:47.71 ID:6sRFrxLE0
魔王「前の魔王は感情移入しすぎたからあんな事になったのだ」

暗殺者「だからお前は感情を殺してる訳か」

勇者「なん楽しみもなくて良く生きてられるよな」

魔王「私は前の魔王とは違うのだ」

女勇者「前の魔王は自由に生きていたんですか?」

魔王「前の魔王は男だったからな、ここなら楽しみは尽きんだろ」

博士「魔王は世界に一人しかいちゃいけないんじゃないのかい?」

魔王「魔王は常に純潔でなければ意味がないのだ」

魔王「繁殖は出来るが、それは純粋な魔王では無いのだ」

勇者「じゃあ魔王の血が混じった奴らがいるって事か?」

魔王「そうだな、お主達だってそうだぞ」

勇者「え?」

剣士「は?」

魔王「この空間の扉を開けられるのは魔王の血が混じった者達だけだ」

魔王「勇者の血に反応した訳ではない、魔王の血に反応したのだ」

勇者「じゃあ俺や剣士やイケメンってのは……」

魔王「ずいぶん薄くなってはいるが、魔王の血を引いておる」

剣士「そうだったんですか……」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:53:40.67 ID:6sRFrxLE0
勇者「嘘臭ぇ……」

女勇者「勇者、あなたはスライムの言葉を理解したら他のモンスターの言葉も分かるようになったと言っていましたよね?」

勇者「ああ、それがどうした」

女勇者「おかしいと思いませんか、全く違う言語をしゃべる魔物の言葉が全てわかるなんて」

勇者「……」

魔王「魔物の言葉がわかるのは魔王の特徴の一つだ」

魔王「お主にはその素質が受け継がれたのだな」

女勇者「それに何故スライムはあんなに簡単にそんな便利な笛をくれたのですか?」

勇者「俺が……魔王の血を引いているから?」

女勇者「断定はできません、しかし可能性はあります」

剣士「じゃあ僕も勇者さんも魔王の子でもあるって事ですか?」

魔王「そう言う事になるな」

勇者「そうだとしても、なんて言うか、今更そんな事言われてもな……」

剣士「……そうですね、そこまで驚かないです」

魔王「気にはしないのだな」

勇者「魔王の血を引いてるからって何かが変わる訳じゃないだろ」

ドラゴン「まあ、そうだな」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:56:20.15 ID:6sRFrxLE0
魔王「……他に聞きたい事はあるか?」

勇者「無い」

博士「特にないかな」

魔王「……夜も遅い、悪魔」

悪魔「はい、お部屋は用意してあります」

暗殺者「いいのか、俺達を泊めて?」

魔王「私を殺せるとでも?」

勇者「だよな」

魔王「案内は任せたぞ」

悪魔「承知しました」

悪魔「皆さまこちらへ」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:57:21.83 ID:6sRFrxLE0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


温泉の町   連合軍作戦本部


お頭「武器の町に敵部隊が来たな」

女大臣「そうですね」

王「港の町はおちたのか?」

女大臣「いえ、港の町は他の部隊の増援によってとり返してあります」

マスター「じゃが、かなりの量の兵士が武器の町まで行ってしまったようじゃな」

女大臣「面目ありません」

マスター「気にする事ではないわい」

長老「武器の町の状態はどうなっておるのだ?」

女大臣「ハンター達を含めた部隊が交戦中です」

お頭「港の町の兵士を増援として送ったらどうなんだ?」

女大臣「それでは港の町がおとされてしまいます」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:58:27.36 ID:6sRFrxLE0
お頭「ならここから増援を――――」

女大臣「すでに送ってあります」

マスター「待つしかない、と言う訳か」

女大臣「そう言う事です」

金髪「こんちわっす!!」ガチャ

お頭「誰だ!!」

女大臣「私達の町の者です」

金髪「俺達も何か手伝わせてほしいんす!!」

お頭「ダメだ、お前の様な子供が出る幕じゃない!!」

金髪「絶対何かの力になれるっす、お願いします!!」

マスター「お主は何が出来るんじゃ?」

金髪「諜報っす」

金髪「勇者さんだって頑張ってるんす、俺だって何かしたいんすよ!!」

王「では魔法の町の兵力を調べてくれるか?」

お頭「何を……」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 21:59:11.60 ID:6sRFrxLE0
王「決して死んではならんぞ」

金髪「……ありがとうございます!!」

マスター「ではさっそく行ってこい」

金髪「了解っす!!」ガチャ

お頭「いいのか?」

女大臣「彼の力量はあなたの想像以上です、それに止めても無駄でしょうからね」

王「そうじゃな」

マスター「こんな所で作戦しか練る事が出来ないとわな……」

長老「仕方のない事とはいえ、やはり心苦しいものだ」

王「わし等に出来る事はこの戦いを早く終わらせる事だけじゃ」

マスター「そうじゃな、それしか出来んな……」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 22:00:32.28 ID:6sRFrxLE0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者達の部屋


勇者「魔王を討伐なんだけど、しなくていいよな?」

女勇者「そうですね、彼女と戦った所で意味は無いですし」

ドラゴン「次の魔王が話の通じん奴だと困るしな」

暗殺者「なあ、戦争の最中なのにこんな所で寝てていいのか?」

勇者「あいつ等は魔王を捕まえに来るんだろ、ならここにいた方が都合がいい」

女勇者「ここで敵を迎え撃つんですか?」

勇者「そのつもりだ」

暗殺者「まあ、それも有りか」

ドラゴン「下手にウロチョロするよりはよっぽどいい作戦だ」

女勇者「では敵が来るまでは待機と言う事ですね」

勇者「ああ、とりあえず今は休んでてくれ」

女勇者「勇者はどうするんですか?」

勇者「剣士と博士にこの事を伝えてくる」スタスタ

ドラゴン「あ、オレも行く」

勇者「行くなら行くぞ」スタスタ
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/18(土) 22:02:46.94 ID:6sRFrxLE0
今日はここまでです。

また中途半端で申し訳ないです。

ちなみに魔王のおっぱいは普通よりちょっと大きいくらいです。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/02/18(土) 23:09:12.54 ID:RPFa3mZAO
絵師様!絵師様はいらっしゃいませんか?!
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/19(日) 01:51:29.67 ID:3Vd3NDDwo
作者以外が絵を描くのはやめろ荒れるから
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/02/19(日) 02:46:19.39 ID:kFc7k/5Uo
>>99
死んでください
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/19(日) 06:34:51.44 ID:oC1UPHiho
自発的に描くならともかく、そんな事言われたら描きたくなくなるだろ
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:46:03.99 ID:SpOvGVQQ0
勇者「珍しいな、ついてくるなんて」スタスタ

ドラゴン「たまにはいいだろ」スタスタ

勇者「入るぞ」ガチャ

剣士「ああ、勇者さん、ドラゴンさん」

勇者「あれ、博士は?」

剣士「もう寝ました」

勇者「そうか……剣士、俺達はここに残るんだがお前等はどうする?」

剣士「え、どういう事ですか?」

勇者「魔法の町の奴等がここに来るんだ、だからここで奴らを潰す」

剣士「そ、そうなんですか……」

勇者「で、お前等がどうするのかと思って来たんだけど」

剣士「もちろん僕達も残ります、少しくらい皆さんの力になりたいですから」

ドラゴン「そう言うと思ってたぞ」

剣士「え?」

ドラゴン「貴様とは少しの間だが一緒にいたからな、それくらいの事はわかる」

勇者「なら決定だ」

剣士「……勇者さん」

勇者「ん、どうした?」

剣士「ゆ、勇者さんは魔王さんの事どう思いますか?」

勇者「どうって、別にどうも思わないけど」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:47:52.07 ID:SpOvGVQQ0
剣士「自分を押し殺してまで魔王やってるなんてかわいそうじゃないですか……」

勇者「…………お前本気で思ってるのか?」

剣士「はい、だって――――」

勇者「魔王はなんでああやってると思う?」

剣士「それは……」

勇者「あいつは王として他の魔物のためにああやってんだ」

勇者「それをかわいそうって言うのは違うんじゃないのか?」

剣士「で、でも、あんなの生きてるなんて言えるんですか」

勇者「言えないな、あそこまで感情の無い奴を生きてるとは言えない」

剣士「なら―――――」

勇者「お前が今しようとしている事をなんて言うか知ってるか?」

剣士「え?」

勇者「お前は自分の価値観をあいつに押しつけてる」

勇者「それであいつを救うって言うのか?」

剣士「それは……」

勇者「そういうのを自己満足って言うんだよ」

剣士「そ、そんな……」

勇者「あいつは望んでシステムになってんだ、俺達が口出しなんて出来ないだろ」

勇者「魔王が自分と同じ考えだと思うな」

剣士「……勇者さんはあれでいいと思うんですか?」

勇者「いいとは思わねぇけどどうにかしようとも思わない、口出しする気もない」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:49:31.51 ID:SpOvGVQQ0
剣士「……」

剣士「で、でもやっぱり僕は納得できません」

勇者「なら魔王の所に行って直接言えばいいだろ」ガリガリ

剣士「……」

勇者「ただ、行ってどうにかできるとは俺は思わねぇ」

剣士「勇者さん……ありがとうございます」スタスタ

勇者「お礼言われる筋合いはねぇよ」

ドラゴン「いいのか?」

勇者「俺だって魔王の考え方は間違ってると思うし、別にいいだろ」

ドラゴン「それにしてはずいぶん噛みついてただろ」

勇者「あれぐらいで諦めるなら言わない方がいい」

ドラゴン「剣士にしては珍しくずいぶん熱く語ってたな」

勇者「一人くらいほど良い正義感を持った普通の奴がいてもいいだろ?」

ドラゴン「兄弟とは似るものだな」

勇者「ん?」

ドラゴン「貴様だってオレの所に来てくれただろ、あの時」

勇者「……覚えてないかな」

ドラゴン「貴様、ずるいぞ!!」

勇者「知るか」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 21:50:29.70 ID:BG269IAIO
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:51:33.40 ID:SpOvGVQQ0
ドラゴン「二人の……出会いだろ……」

勇者「……いつそんな恥ずかしい台詞を覚えた」

ドラゴン「女勇者の小説だ」

勇者「あのバカか、結局あのバカか」

ドラゴン「女勇者が聞いたらキレるぞ」

勇者「分かってるからここで言ってんだ」

ドラゴン「……勇者、本当に忘れたのか?」

勇者「覚えてる覚えてる、ちゃんと全部覚えてるから」

ドラゴン「……オレが言った事も覚えてるか?」

勇者「だいたいならな」

ドラゴン「……」

勇者「文句でも?」

ドラゴン「やっぱり貴様は最高だな」ダキッ

勇者「ちょっ……離れろ」

ドラゴン「あははは、嫌だ!!」

勇者「暑苦しいだろ!!」

ドラゴン「いいだろ」

博士「……楽しそうなとこ悪いんだけど、よそでやってくれないかな、眠いんだ」

勇者・ドラゴン「……す、すまん」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:52:47.92 ID:SpOvGVQQ0
魔王の部屋


剣士「入っていいですか」コンコン

魔王「勝手にしろ」

剣士「失礼します」

魔王「何の用だ」

剣士「魔王さんは感情を殺して生きる事をいいと思ってやってるんですよね?」

魔王「……くどいな、私が王である以上そうするしかなかろう」

剣士「でもやっぱり僕は納得できないんです」

魔王「お主何歳だ」

剣士「え、14です」

魔王「一世紀も生きていない若造が私に説教か……」

剣士「説教じゃないです、ただ僕が思う事を言いたいだけです」

魔王「ならさっさと言え」

剣士「僕は魔王さんに感情ある生活を送ってほしいんです」

魔王「……ほう」

剣士「普通に楽しい事したり恋したりしてもいいんじゃないですか?」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:55:11.39 ID:SpOvGVQQ0
魔王「……バカバカしいな」

剣士「バカバカしくないです」

魔王「お主は本気でそう思っておるのか?」

剣士「はい、魔王としてだけ生きるなんて勿体ないですよ」

魔王「……はは、あははははは!!」

剣士「な、何がおかしいんですか!?」

魔王「面白い事を言うんだな、お主は」

剣士「え?」

魔王「お主は私が普通に何かを楽しんだり、誰かを愛する事が出来るとでも思っておるのか?」

剣士「はい、絶対に」

魔王「……」

魔王「お主は何も分かっておらぬ……魔王は、孤独なのだ」

剣士「悪魔さんやサキュバスさんがいるじゃないですか」

魔王「彼女達は使用人だ、友人でも何でもない」

魔王「私には友も家族もおらんのだ……」

剣士「……」

魔王「わかっただ―――――」

剣士「ぼ、僕がいます」

剣士「魔王の血を引いてるんですから遠い親戚な訳です」

魔王「……阿呆が、昔の魔王と私はまったくの別物だ」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:57:27.48 ID:SpOvGVQQ0
剣士「で、でも親戚な事に代わりは無いです」

魔王「阿呆が……」

剣士「勇者さんだっている、魔王さんは一人じゃないですよ」

魔王「……お主は何故そこまでしてくれる」

剣士「何がですか?」

魔王「さっき会ったばっかりの私の事を何故そこまで考えてくれるのだ?」

剣士「独りぼっちの寂しさが分かるからです」

魔王「……」

剣士「僕も昔は独りぼっちだったんで……」

魔王「……そうか」

剣士「今は博士さんもいますし、勇者さんやイケメンさんもいますから」

魔王「……」

剣士「だから、だから魔王さんも……」

魔王「私も独りぼっちから救いたいという訳か」

剣士「はい」

魔王「……自己満足だな」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 21:59:31.63 ID:SpOvGVQQ0
剣士「勇者さんにも言われました」

魔王「阿呆だな、お主は最高に阿呆だ」

剣士「そ、そうかもしれないです」

魔王「だが、お主の様な人間は嫌いではない」

剣士「……」

魔王「お主が教えてくれるんだろ?」

剣士「え?」

魔王「楽しい事や何かを愛する事を」

剣士「ぼ、僕がですか!?」

魔王「嫌か?」

剣士「こ、恋は別として、楽しい事なら……」

魔王「頼むぞ」ニッコリ

剣士「は、はい」

魔王「……少し休ませてもらえるか?」

剣士「あ、はい、すいません」

剣士「お休みなさい」ガチャ

魔王「……お休み」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 22:00:23.71 ID:SpOvGVQQ0
魔王「……」

魔王「入ってきてもいいぞ」

勇者「バレてたか」スタスタ

ドラゴン「だから言っただろ」

魔王「ここは私を誰だと思っておる、それくらい分かるわ」

勇者「あ、そう」

勇者「あんまり反論しなかったな」

魔王「あんな子供に反論しても仕方があるまい」

魔王「それに剣士と言ったか、あの者は私を魔王とは見ていなかった」

勇者「魔王とか種族が違うとか気にしないんだよ」

ドラゴン「貴様と同じでな」

勇者「……かもな」

魔王「聞きたいのだが、お主は何故人間になったのだ?」

ドラゴン「勇者と契りを交わすためだ」

魔王「……そのために竜である事をやめたのか?」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 22:01:42.91 ID:SpOvGVQQ0
ドラゴン「オレは一回死んでいるからな、なら今更竜である必要もないと思っただけだ」

勇者「……」

魔王「そうか」

勇者「……まあ、剣士も協力してくれるんだし、二人で頑張れ」

魔王「お主等の様になれるよう頑張らねばな」

勇者「皮肉か?」

魔王「かもしれんな」


その瞬間、かなり近くから爆音が聞こえた。


魔王「な、なんだ!?」

勇者「あんたを捕まえに来た奴らだよ」

魔王「私を?」

勇者「ああ」

剣士「ゆ、勇者さん!!」ガチャ

勇者「わかってる」

女勇者「思ったより早いですね」スタスタ
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 22:02:35.89 ID:SpOvGVQQ0
暗殺者「結構な大部隊だな」

女勇者「私と暗殺者は外を守ります、勇者と剣士とドラゴンはここを守っておいて下さい」

勇者「わかった」

勇者「博士は?」

剣士「何処かに避難したと思います」

勇者「魔王、あんたはどうする?」

魔王「わたしが逃げるとでも?」

勇者「だよな」

剣士「じゃあやりましょう!!」

勇者・ドラゴン「ああ!!」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/19(日) 22:06:52.51 ID:SpOvGVQQ0
今日はここまでです。

珍しく勇者がいいこと言ってると思います。

魔王の苦悩って案外聞かないと思いますけどやっぱりそれ相応に悩んでいるもんだと俺は思います。
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/02/19(日) 22:07:59.38 ID:UUCLwv3Ko
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2012/02/19(日) 22:08:49.72 ID:TYXAmD3po
おつ
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/19(日) 22:28:19.26 ID:KvQ/hP9Lo


神さまには神さまの苦労がある、って言葉を思い出してしまった
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 00:48:13.02 ID:Bs+SNxFxo
剣士イラネ
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 08:01:35.95 ID:nEuiM7wIO
個性的なキャラばかりだが楽しい
>>1の普通にまったりした作品も読んでみたいなあ
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/20(月) 08:06:23.06 ID:GqHC67Bdo
魔王がクソ強いといいんだけどな
そんなことはないんだろうな…
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/20(月) 10:17:12.39 ID:h3BkvimIO
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/02/20(月) 12:14:59.85 ID:Fnl9zMsAO
少なくとも内包するま力は桁違いなはず
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:40:11.10 ID:e0q0+bvO0
勇者「さて、どんな奴が来るか……」

魔戦士「ここか?」ガチャ


それは鋼鉄の鎧を着た30代前半の屈強な大男だった。



勇者「……女勇者達はどうした?」

魔戦士「ああ、他の兵士共に相手をさせてる」

魔戦士「お前が勇者だな」

勇者「お前は……」

魔戦士「魔戦士だ」

剣士「ゆ、勇者さん」

ドラゴン「三人で行くか?」

勇者「いや、お前等は魔王を守っといてくれ」

魔王「私は大丈―――――」

勇者「相手が何をするかもわかんねぇんだ、ここは俺一人で行く」

勇者「お前ら下がってろ」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:41:36.21 ID:e0q0+bvO0
魔戦士「ほう、お前が相手か」


魔戦士は鋼鉄の剣を抜く。


勇者「俺が相手じゃ不満か?」

魔戦士「いや、十分過ぎるくらいだ」

勇者「過度な期待はしないほうがいいと思うけどな」

剣士「勇者さん、気をつけて」

勇者「そのつもりだ」


勇者は刀を鞘から抜く


魔戦士「さて、お手並み拝見だ」

勇者「……じゃあ行くぞ」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:45:32.47 ID:e0q0+bvO0
銀色に鈍く輝く一撃が魔戦士に襲いかかった。
到底刀とは思えないほど美しい一撃。

鋼鉄の剣と刀は正面から激突し、火花を散らす。
つばぜり合いのまま、二人は睨み合っていた。

勇者は獣の様に目をぎらつかせ、邪悪に笑った。
強敵に出会えた事に、強い人間と戦える事に対する笑み。
曇天の様にどんよりとした重い笑顔。


「さすがは勇者、と言った所か」


魔戦士はそんな事を口走りながら、勇者を弾き飛ばす。

勇者とは対照的に全く表情を崩さず、まるで仮面をかぶっているように無表情だ。

勇者は刀を構え直し、前に跳ぶ。

トンッ、という軽やかな音が部屋に響く。
だがそんな音とは対照的に、その速度は相変わらず化物染みている。

魔戦士は静かに剣を構え、勇者を迎え撃つ。
前に出るのではなく後ろに下がり、剣を僅かに前に傾ける。
『守りの剣』と呼ばれる彼独特の戦闘法だ。
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:47:50.64 ID:e0q0+bvO0
勇者は体が宙に浮いた状態にも関わらず、魔剣士目掛けて刀を振り下ろした。
勇者自身の体重も刀にのせることで、威力を上昇させるためだ。
その攻撃は振り下ろすと言うより、落ちると言った方が適切かもしれない。

魔戦士はその一撃を真正面から受け止めた。
剣はまるで悲鳴をあげるかの様にギリギリと泣き、涙の様に火花を落とす。

だが魔戦士は勇者の刀を受け止めきると、勇者の無防備な腹部目掛けて前蹴りを入れる。
予備動作の無い、一瞬の一撃。

刀を振り抜いていた勇者は防御も回避も出来ないまま後ろに吹き飛ばされる。
内臓が吐き出されるのかと言う様な激痛が走り、強烈な吐き気が襲う。
まるで子供に捨てられた人形の様に地面に叩きつけられ、地面を転がる。


「どうした、その程度か?」


無様に地面に倒れる勇者にそんな言葉が浴びせかけられる。
仮面の様な表情の無い顔が勇者を見ていた。
表情の無いその顔は声の凄みを倍以上に増幅させているように感じる。


「ははっ、まさか」


勇者は刀を杖の様に地面に突き立てながら立ち上がる。
勇者の闘志は消えるどころか業火の如く燃え上っていた。
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:50:43.43 ID:e0q0+bvO0
刀を構え直し、魔戦士目掛け跳ぶ。
姿勢を低くし、化物染みた速度で跳ぶそれは獲物を狙う狼の様だ。

地面に足も付いていない状態で、下段から上段へ刀が斬り上げる。
ゴウッ、と音をたて、刀が遮るものを全て斬り裂いていく。

だが魔剣士は一歩だけ下がり、その一撃を紙一重で回避していた。

勇者の刀が振り抜かれたのを確認し、そのまま反撃に転ずる。
それは相手の隙をひたすらに探り、そこに喰らいつくハイエナのようだった。

魔剣士の剣が真横に振られる。
予備動作もなく、文字通り一瞬の一撃。

勇者はその一撃を何とか防御する。
しかし、体勢が崩れているため、刀を持つ手に力が入りきらない。

彼はとっさに刀を傾け、力を受け流す。
正面から受け止めきれないなら受け流せばいい。

刀にかかる負担が減っていくのが分かる。
うまい具合に衝撃を受け流せていた。

魔戦士と勇者はつばぜり合いで向かい合ったまま停止する。
それは刹那の静寂。
だが二人にとっては長過ぎる静寂。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:53:33.36 ID:e0q0+bvO0
先に動いたのはやはり勇者だった。

すでに一撃もらっている勇者にとって防御に回るのは何のメリットもない。
なら多少のリスクを覚悟で攻めに転ずる方がよほどいい。

一瞬のうちに相手の背後に回り込み、刀を左に薙ぎ払う。

だが、やはりその攻撃も剣で受け止められた。
体を一瞬で百八十度回転させ、的確に勇者の刀を防御してくる。

しかし勇者にとってもそれは想定内だ。
剣を受け止められた瞬間に左足で魔戦士の脇腹を一蹴する。
つま先が相手の内臓を突き刺すのがわかる。

その攻撃はさすがに予想外だったらしく、まったく防御をしていない。

魔戦士は大きく後ろに跳んでいた。
逃げると言うよりも衝撃を殺すために跳んだようだ。

他の敵も大量にいる以上、こんな所で長期戦をしている余裕は無い。

助走をする事もなく追撃のために前に跳ぶ。
とにかく長期戦になっては困る。

剣と刀が激突し、火花が飛び散る。
乾いた金属音が部屋全体を包み込む。

二人ともに空中にいる為、お互いに体勢が崩れていた。
だが、ほとんど落ちている様な状態のままでも得物をぶつけ合う。
三度、四度と金属がぶつかり合う音が響く。

そのままの状態で地面に叩きつけられた。
背中全体に衝撃が走り、息を吸うのが苦しい。
まるで肺を何かに握られているようだ。

だがいつまでも止まってはいられない。
一瞬の隙が死に直結するのだ。

大きく後ろに跳び、刀を構え直す。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:55:25.66 ID:e0q0+bvO0
「やるな、なかなか面白い」

「お褒めの言葉ありがとう」


そんな軽口を叩きながらも勇者の神経はまるで張り詰めた弓のようだった。
一撃でも喰らえば即死。
その恐怖と緊張感で体が硬くなる。
だが同時にその緊張感が闘志を高める。

お互いの距離は二メートル。
一歩前に出れば、十分に得物が当たる距離だ。

勇者は一歩踏み出し、魔戦士の心臓目掛け刀を突く。
鈍く光る銀色の一撃。

だがその一撃が放たれた時にはすでに魔戦士の姿は無い。
冗談でも揶揄でもない、まるで煙の様にいつの間にか姿が消えていたのだ。

その瞬間、後ろで微かな物音が聞こえた。
何の音かはわからない、ただはっきりと物音が聞こえた。

とっさに横に大きく跳ぶ。
理由は無い、ただそれが最もいいと感じたからだ。

だがその時、勇者は自分のその行動がミスであった事を自覚した。

魔剣士は剣を振っていなかった。
素早く魔法を詠唱し、勇者目掛けて剣を突く。

もちろん剣自体は勇者に当たらない。
しかし剣から放たれる魔法は別だ。

剣の切っ先から風の弾が放たれる。

音もなく、風の弾は勇者目掛けて襲いかかる。

空中にいる勇者に回避は不可能だった。
腹部に今まで感じた事の無い激痛と衝撃が襲う。
勇者はそのまま、まるでボールの様に地面を転がりながら、壁に激突した。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:57:51.55 ID:e0q0+bvO0
魔戦士「さて、残りは二人か」

勇者「うぐ……」

勇者「待……て……」

魔戦士「動くことすら出来んのだろ、なら黙っていろ」

ドラゴン「貴様!!」


ドラゴンは魔戦士目掛けて跳ぶ。

しかし魔戦士の剣の柄で腹を殴られ気絶する。


ドラゴン「あ……!?」ガクッ

魔戦士「ふんっ、間合いが狭過ぎるぞ」

勇者「て、めぇ……」

魔戦士「あんな真正面からの攻撃が当たる訳ないだろ」

勇者「てめ……げほげほっ!!」

魔戦士「さて、お前はどうする?」

剣士「……」

勇者「剣士……やめとけ……」

剣士「戦います!!」

勇者「剣……士……」

剣士「行きます!!」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 21:58:50.90 ID:e0q0+bvO0
剣士は剣を抜き、魔戦士に斬りかかった。
お世辞にも速いとは言えない攻撃。
だがその顔は何かを決意した者の表情をしていた。

一撃。
一撃でも与えられればいい。

勝たなくていい。
ただ一撃でいいから相手にダメージを与えるのが狙いだった。

勝ち目がない事は分かっている。
なら少しでも相手にダメージを、少しでも勇者やドラゴンに回復する時間を与える。
それが目的だった。

上段、下段、突き、薙ぎ。
様々な攻撃で相手を翻弄する。
とにかく相手に反撃の隙を一切与えない。


「確かにお前は強い、だが俺には勝てない」


金属音の中に混じり、そんな声が聞こえた。
呟く様な小さな声のはずなのに、嫌にはっきりと。

魔戦士の剣が剣士の剣を弾き飛ばす。
まるで木で出来た玩具の剣の様にいとも簡単に剣は大きく飛んでいく。

「あっ……!?」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 22:00:22.83 ID:e0q0+bvO0
剣士は無意識のうちに飛んでいった剣を眺めていた。
剣士の剣はクルクルと宙を舞い、剣士の二メートルほど後ろの地面に突き刺さる。
それはまるで自分がここで死ぬ事を暗示する墓標の様に見えた。


「終わりだ」


抑揚の無い、冷めた声が聞こえた。
まるで機械音の様な感情の死んだ声。


「退け、そうすれば命は助けてやる」


剣士の敗北は誰から見ても明らかだった。
いや、最初から勝敗など決まっていた様なものだ。

速度、力、技術、あらゆるものが劣る剣士には勝機どころか、三十秒耐える事さえ奇跡に近かった。

だが、


「嫌です」


剣士はきっぱりと言った。
まるで何かを悟った様に凛々しい顔つき。

魔戦士はその言葉に眉をひそめる。
だがそれも一瞬の事だ。
すぐにいつもの無表情に戻る。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 22:02:14.25 ID:e0q0+bvO0
「そうか……それもありだ」


相変わらずの感情の無い声。
その声は聞く者の恐怖を煽る。


「安心しろ、一撃で殺す」


魔剣士が剣を振り上げた。
灰色にくすんだ剣は、光る事もない。
死と言う闇を表しているかのように。

その時、剣士は指を鳴らす音を聞いた。
パチン、と言う乾いた音だ。

音を聞いたその刹那、強烈な風が剣士の体を吹き飛ばした。
風と言うより見えない大きな手に吹き飛ばされたようだった。

軽い剣士の体は紙のようにいとも簡単に吹き飛ばされ、壁に頭をぶつける。


「あぐ……」


頭をぶつけた激痛に声が漏れる。
頭が焼かれるように痛い。


「悪いな、殺してもらっては困るのだ」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 22:03:15.06 ID:e0q0+bvO0
気品をまとった優美な声。
魔王の声だった。


「ま、魔王……さん」


頭を打った衝撃のせいかうまく言葉がしゃべれない。
視界もぼんやりと霞んでいる。


「お主は少し休め」


魔王はそれだけ言い、同じく風に吹き飛ばされ四メートルほど後ろに後退した魔戦士の方へ進んでいく。
初めて見る禍々しさ、痛いまでの殺気。
だが剣士はそれを恐怖する事は無かった。


「お願い……します」


剣士はそれだけ言い、唇を噛み締めた。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/20(月) 22:04:39.46 ID:e0q0+bvO0
今日はここまでです。

時間が無くて魔王戦が書けませんでした。すいません
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 22:11:56.65 ID:Q8xfXXzx0
魔王すげー強そう続きが気になる
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/20(月) 22:12:46.40 ID:Q8xfXXzx0
魔王すげー強そう続きが気になる
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/20(月) 22:29:50.51 ID:rRMR7nhqo
うひょひょひょ
明日を待つ!
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/21(火) 11:57:13.57 ID:oyjrcLkDO
剣士邪魔だな…
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 20:19:31.11 ID:QH5sxb1po
女勇者またでれないかなー
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 21:45:59.48 ID:ZNVUueDg0
魔王は無言のまま指を鳴らした。
乾いた音が部屋全体に響き渡る

それだけ。
たったそれだけのはずなのに、二メートルほどの長さの炎の槍が魔王の周りに出現する。
しかも二本や三本ではない。
少なくても三十本はある。
人間なら三本生み出せれば上出来のものを軽々と三十本生み出していた。


「さて、帰る気はあるか?」


魔王はにこりともせず質問した。
魔王なりの慈悲なのだろう。
口調は心なしか柔らかかった。

だが返事は無い。

魔王は魔戦士が何も言わないのを確認すると、もう一度指を鳴らした。

まるで意思を持ったかのように炎の槍の切っ先が全て魔戦士の方に向く。
炎の槍は紅蓮に燃えながら発射の時を今か今かと待っているように見えた。

魔戦士は剣を構え直し、魔王向かって走り出した。
まるで獣の様に姿勢を低くし、真正面から突っ込んでいく。

魔王が指を鳴らした。
パチンと言う乾いた音が響く。

それが合図になった様に、炎の槍は命を吹き込まれたかのように魔戦士向かって飛んでいった。
全ての槍が魔戦士を的確に狙い、飛んでいく。
壁を、床を、天井を。
何の躊躇もなく、魔戦士のいる場所を魔戦士もろとも火の海へと変えていく。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 21:48:24.27 ID:ZNVUueDg0
「……ほう、耐えたか」


魔王は感心しながら呟いた。
お世辞や皮肉ではない、あの炎の槍を回避しきった事を心から感心する。

焼け焦げ真っ黒になった地面の上に魔戦士は立っていた。
まるで何事も無かったかのように平然とそこに立っている。

所々鎧は溶け、顔は火傷を負っていた。
それでもあの炎の雨をかわしきっているのだから驚きだ。


「どうした、もうおしまいか?」


魔王は魔戦士に尋ねる。
まるで小馬鹿にしたような言葉だが、そこまで不快には感じない不思議な言い方だ。


「俺はまだ死んでない」


魔戦士は不敵に笑いながらそう言い放った。
邪悪で悪意の塊の様な嫌な笑顔で。

魔戦士は魔王との距離を一瞬で詰めると、魔王の心臓目掛け剣を貫いた。
それは凡人はともかく達人と呼ばれる人間ですら反応できるかどうかわからないほどの速度。
文字通り、一瞬。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 21:50:17.08 ID:ZNVUueDg0
しかし魔王を刺したはずなのに全く感触がなかった。
まるで中が空洞の人形を刺したような異和感が手に伝わってくる。

だが目の前で剣に貫かれているのはまぎれもなく魔王だ。
今まで戦ってきた魔王そのままのはずだ。

魔戦士の頭の中で様々な予測や憶測が交差する。
だが決定的と言える答えは出ない。


「どうした? 止まっているのは危険なんじゃないのか?」


魔王は魔戦士の後ろで何事も無かったかのように立っていた。
全く傷もなく、微笑しながら。

魔戦士は自分の突き刺した魔王をもう一度見かえす。
そこには高温で焼かれた金属の様にどろどろと溶けた物体があった。


「……身代わりか」


魔戦士の呟きを無視し、魔王はまた指を鳴らす。

まるで地面から生えてくるよう植物の様に、今度は数百という数の氷柱が生み出された。

魔王の右手がゆっくりと上がり、魔戦士を指さす。
それはまるで死のカウントダウンの様だった。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 21:52:17.33 ID:ZNVUueDg0
「これを避けきれるか、楽しみだな」


魔王は微笑しながら唄うようにそう言った。
心底楽しそうな、弾むような言葉遣い。

魔戦士は何も言わず、剣を構え直す。
その目には静かに燃える闘志の炎があった。


「行け」


魔王の言葉が合図となり、氷柱は一斉に魔戦士に飛んでいく。
それはまるで雨のようだった。

魔王と人。
それはたった一人で軍隊を相手にしているのと等しかった。
格があまりにも違い過ぎる。

足を、肩を、腕を、魔戦士の体を氷柱が抉っていく。
隠れる事も逃げる事も出来ない。

氷柱の雨がやむ。

そこには血まみれの魔戦士が立っていた。
体中に氷柱が刺さり、体中ボロボロの姿。
しかし一発の急所には当たっていない。
ひたすらに急所に飛んでくる氷柱だけを叩き落としていたのだ。
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 21:53:21.47 ID:ZNVUueDg0

「さすがだな」


魔王は相変わらず微笑しながらそう言った。
ここまで耐えられるとは正直思っていなかったのだ。


「時間は……稼いだよな……」


魔戦士は荒い息のまま呟くようにそう言った。
まるでお前の負けだと言う様な不思議な口振り。

魔王はその言葉に首をかしげる。
虚勢を張る様な場面では無い事は本人が一番分かっているはずなのに。
なら何故?

彼女は異様な異和感に襲われた。
赤で統一された部屋に一つだけ青いものがあるような、そんな漠然とした違和感が、彼女の中に生まれる。

ならさっさと勝負を決める以外の手は無い。
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 21:54:50.46 ID:ZNVUueDg0
彼女は指を鳴らし、風の弾丸を生み出す。
指先に風が集まり、圧縮されていく。
たった一発の弾丸。
しかし当たった者を一瞬で消滅させる魔の弾丸だ。

だがその時、彼女の体に予想もしない激痛が走った。
外からではなく、内側から湧き上がってくるような激痛が。

あまりの痛みに膝をつく。
それでも痛みは消える事無く、襲いかかってくる。


「毒の魔法よ」


落ちついた女の声が聞こえた……ような気がした。

魔王の目の前には漆黒のローブを着た金色の長髪の女性が立っていた。
気品のある知的な女性だ。
だがなんとなく、邪悪な気配を感じる。


「毒……の魔法?」


息を吸うのが苦しい、呼吸がうまく出来ない。
まるで胸を抑えつけられている様な感覚が彼女を襲う。

「そう、水の魔法の亜種よ」

「いつの……間に……」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 21:58:29.32 ID:ZNVUueDg0
息も絶え絶えに魔王は問いかけた。
言っている意味がいまいち理解できない。

魔王の問いに女性は苦笑した。

何故わからないのか、と嘲笑われているような感覚に襲われる。


「ずっとよ、あなたの周りに毒を撒いてあったの、あなたはそれをずっと吸ってたって訳」

「毒の魔法など……無いはず」


そう、毒の魔法など聞いた事など無かった。
存在すら聞いた事の無い魔法の存在をそう簡単に理解など出来るはずがない。

魔王の言葉に女性はまた苦笑した。
相手をバカにした様な、嫌味な笑い方。


「魔法は常に進化しているの、人間の手によってね、あなたは基本的な魔法しか知らないものね」

「バカ……な……」

「確かにあなたは強い、でもあなたは基本的な魔法を膨大な魔力で強くしているだけにすぎないわ」


女性は魔王の顔を覗き込むように見ながら続ける。


「いくら強い魔法が何十発と撃てても、それは結局基本の魔法。進化した魔法には勝てないわ」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 22:01:18.17 ID:ZNVUueDg0
女性は魔王をバカにするように笑った。
口元が歪んだいやらしい表情。

魔王はそれを無表情のまま睨みつけた。
苛立ちと不満を詰め込んだ視線で。


「あなたは負けたのよ。新たな魔法、進化した魔法にね」


女性は楽しそうにそう言った。

酔っている。
魔王はそう感じた。
この女性は魔法を、進化した魔法が使える自分に酔っているように見えた。


「安心して、死にはしないわ。ちょっと気を失うだけよ」


そんな声と共に首のあたりに衝撃が走る。
頭が真っ白になり、視界が暗くなっていく。

そのまま彼女は気を失った。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 22:04:29.26 ID:ZNVUueDg0
魔戦士「囮になったのは失敗だったな」

???「何言ってるの、あなたが囮になってくれてなかったら毒なんかすぐにバレてたわよ」

勇者「テメェ……」

???「あら、あなたは勇者ね、私はネクロマンサーよ」

勇者「魔王……」

ネクロマンサー「無駄よ、気絶してるもの」

魔戦士「時間をかけ過ぎだ」

ネクロマンサー「仕方無いじゃない、人間なら軽く致死量を超えた毒を吸ったはずなのに意識を保ってるんだもの」

剣士「魔王さん!!」タタタッ

魔戦士「邪魔だ」


魔戦士の蹴りで剣士は吹き飛ぶ。


剣士「あ、がはっ……」

勇者「剣……士」

女勇者「勇者!!」ガチャ

魔戦士「……兵士はどうした?」

女勇者「暗殺者が戦っています」

魔戦士「で、お前は何をしに来た」

女勇者「勇者とドラゴンを守るためです!!」

勇者「逃げろ!!」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 22:05:45.63 ID:ZNVUueDg0
女勇者「何言ってるんですか、私は戦います」

ネクロマンサー「……」

ネクロマンサー「魔戦士、あの子」

魔戦士「ああ」

女勇者「はァァァァァ!!」


女勇者は魔戦士に斬りかかる。


魔戦士「やはり遅いな」


だが、魔戦士の拳が女勇者の鳩尾に直撃する。


女勇者「あ、が……」ガクッ

勇者「女勇者!!」

魔戦士「動けない癖に騒ぐな」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 22:07:07.56 ID:ZNVUueDg0
ネクロマンサー「その子とそこに倒れてる子も連れていくわよ」

勇者「おい、魔王が目的じゃねぇのかよ!!」

ネクロマンサー「竜ってのは貴重なのよ、あとこっちの子も役に立ちそうだしね」


魔戦士はドラゴンと女勇者を担ぎあげる。


魔戦士「さっさと行くぞ」スタスタ


ネクロマンサーは魔王を抱きあげる。


ネクロマンサー「じゃあね」スタスタ

勇者「……待てよ」

ネクロマンサー「騒ぐと痛むわよ」スタスタ

勇者「待てよ!!」

剣士「勇者……さん」


勇者は地面を殴りつける。


勇者「あ……あァァァァァァ!!」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/21(火) 22:08:59.20 ID:ZNVUueDg0
今日はここまでです。

魔法でドンパチやるのは難しいですね。
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/21(火) 22:17:40.90 ID:Msa4Rd6Oo
ぬう
みな攫われるなんて…
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/21(火) 22:22:30.98 ID:OFCr08Vno
展開読めないからたのしい
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 01:18:55.72 ID:D1IX16CMo
魔戦士なかなか手強いな
宿敵になりそう
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/02/22(水) 20:53:54.21 ID:tzlP48f80
そろそろ勇者がイケメンのように必殺技を身につけるのかな
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:42:38.07 ID:Pp6IgKEo0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


暗殺者「勇者、無事か!?」ガチャ

勇者「……」

暗殺者「……魔王はわかる、けどドラゴンと女勇者はどうした!!」

勇者「連れていかれた……」ボソッ

暗殺者「え?」

勇者「連れていかれた!!」

暗殺者「……本当か?」

勇者「ああ……本当だよ」

勇者「俺がいたのに……何も出来なかった……」

勇者「俺は……俺が……いたのに……」

暗殺者「……」

剣士「僕も、何も出来なかった……僕のせいで魔王さんが……」

暗殺者「そう考え込むな」

勇者「俺は何をやってんだ……」

勇者「何のために勇者やってんだよ!!」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:44:33.81 ID:Pp6IgKEo0
暗殺者「分かったから落ちつけ」

勇者「クソ……」

剣士「……暗殺者さんは連れて行かれる所見てないんですか?」

暗殺者「雑魚の相手をしてたんだ、そしたら兵が引いていくからもしかしてと思って来てみたんだ」

勇者「すまん、全部俺が悪い……」

勇者「全部……俺のせいだ……」

暗殺者「勇者、立て」

勇者「なんで……?」

暗殺者「立て!!」

勇者「……」スタッ


暗殺者は勇者の顔面を全力で殴る。


剣士「あ、暗殺者さん!!」

勇者「気にすんな、俺が悪いんだ……」

暗殺者「剣士、お前もだ」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:45:43.33 ID:Pp6IgKEo0
暗殺者「さっさと立て!!」

剣士「……はい」スタッ


暗殺者は勇者と同様に剣士の顔面も殴る。


暗殺者「悪いのはお前等だ、わかってるよな」

勇者「ああ……」

勇者「守れなかった、何も出来なかった……」

勇者「笑えよ、無様だろ、バカみたいだろ?」

暗殺者「ああ、全部お前のせいだ、分かってんだな」

勇者「ああ、そんな事―――――――」

暗殺者「だったらいつまでも感傷に浸ってんじゃねえよ!!」

勇者「……」

剣士「で、でも、どうするんですか?」

暗殺者「助けにいけばいいだろ!!」

勇者「どうやって……」

暗殺者「今から考えればいいだろ!!」

勇者「すまん、俺が……俺のせいで……」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:46:37.26 ID:Pp6IgKEo0
暗殺者「……もう一発殴っといてやろうか?」

勇者「……ああ」スタッ


暗殺者はもう一度勇者の顔面を全力で殴る。


勇者「……」

暗殺者「目が覚めたか?」

勇者「……」

暗殺者「お前……」

博士「ずいぶん派手にやられたね」スタスタ

勇者「悪い、俺のせいだ……」

博士「別にいいよ、終わった事だ」

博士「それより早く助けにいかないと手遅れになる」

勇者「……ああ」

暗殺者「ドラゴンと女勇者が連れていかれて苦しいはわかる、だけど今そんな事で苦しんでる暇ねえぞ!!」

勇者「んな事分かってる!!」

勇者「わかってるけどさ……」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:48:24.28 ID:Pp6IgKEo0
暗殺者「けどなんだ、言ってみろ!!」

勇者「俺は……ダメなんだ……」

勇者「俺じゃ、あいつ等を助けられない……」

暗殺者「お前が助けに行かなくて、誰が行くんだ!!」

勇者「俺じゃ……ダメだ……」

暗殺者「しっかりしろ、お前らしくもない」

剣士「そ、そうですよ」

勇者「……」

暗殺者「落ち込んでる暇があるなら動け!!」

勇者「……ああ、わかってる、わかってるよ」

勇者「わかったよ」

勇者「わかったよ……」

博士「一旦雪の町まで降りて、そこから船で移動する」

博士「魔王が捕まった以上のんびりもしていられない」

暗殺者「船は?」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:48:52.40 ID:Pp6IgKEo0
博士「昔の友人がいる、頼めばすぐに船を出してくれるさ」

博士「あと、君達の町に手紙を出しておいた、魔王が捕まった事を知らせておいた方がいいだろう?」

暗殺者「ああ、悪いな」

博士「早くした方がいいよ」スタスタ

剣士「わかってます」スタスタ

暗殺者「行くぞ」スタスタ

勇者「ああ」

勇者「……」

勇者「ドラゴン、女勇者……」スタスタ
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:50:20.43 ID:Pp6IgKEo0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


温泉の町   連合軍作戦本部


女大臣「魔王が魔法の町の手に落ちました」

お頭「ほ、本当か!?」

女大臣「はい、まぎれもない真実です」

王「勇者達はどうしたのじゃ?」

女大臣「女勇者様とドラゴン様が捕まりました」

王「……そうか」

マスター「自体は一刻を争う事になったな」

女大臣「その通りです」

長老「その勇者達は今どうしておるのだ?」

女大臣「こちらに向かってきています」

お頭「そんな事より魔王はどうする!!」

マスター「落ちつけ」

王「魔王が手に入ったからと言ってすぐに動ける訳ではない」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:51:19.96 ID:Pp6IgKEo0
お頭「とは言っても……」

王「それに勇者達が来れば作戦も考えなおせる」

お頭「今更勇者に何が出来る!!」

女大臣「そういう発言は控えていただけますか」

お頭「魔王も倒せず魔法の町に後れをとるような連中に何が出来る、言ってみろ!!」

マスター「何もしてない癖にずいぶんと偉そうじゃな?」

長老「ならお主なら魔王を倒せたのかな?」

お頭「……」

マスター「嘆いたり喚いたりしていても事情は一向に変わらんぞ」

お頭「くっ……」

王「今はこの先どうしていくかを考えるべきじゃ」

長老「うむ、王の言うとおりだな」

マスター「で、その勇者は役に立つのじゃな?」

女大臣「はい、それは私が保証します」

お頭「どうだかな」

女大臣「……」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:54:05.86 ID:Pp6IgKEo0
お頭「だいたい勇者だって本物かどうか分からないんだ、お前の保証なんて……」

お頭「もし勇者だとしても何不自由なく自由に生きてきた様な人間だろ?」

マスター「弱い者とバカ者ほどよく喚く、気にするな」

女大臣「分かっています、お頭様、一つ言っておく事がございます」

お頭「なんだよ」

女大臣「今あなたは私の逆鱗に触れました、今回は許しますが次私の逆鱗に触れたらどうなるか覚えていておいて下さい」

お頭「う……」

女大臣「分かりましたか?」

お頭「あ、ああ……」

長老「で、勇者達には具体的に何をさせる気なんだ?」

女大臣「ドラゴン様と女勇者様が捕まっている以上助けに行くでしょう、そのついでに魔王も倒してきてもらいます」

王「一度負けておる訳じゃし、少々不安じゃがな」

長老「作戦に不安は付き物、仕方の無い事だ」

マスター「心配はいらん」

女大臣「何がですか?」

マスター「まだ、こちらにも手はあると言う事じゃな」

長老「どういう事かな?」

マスター「予想外な連中も平和のために戦っている、と言う意味じゃよ」ニヤリ

長老「?」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/22(水) 21:55:42.90 ID:Pp6IgKEo0
今日はここまで。

余談ですが、今日は早く帰れたので新しいSSを書こうと思い、
今回はまともじゃない主人公だったので今度はかっこよくて完璧な勇者ものにしようと思い小一時間ほど設定を考えた結果、
魔王が勇者に復讐する話になっているという不思議な出来事がありました。(設定は個人的に好きな感じなんですが)
何処でこうなったかは思い出せませんが、もしかして霊の仕業でしょうか……。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/22(水) 22:12:10.56 ID:1svN6ckGo
次回作フラグ……つまりエンディングも近いのか
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/22(水) 22:22:43.25 ID:Vo/vYmAho
:::::::::::::::男 は こ            {::::::{
:::::::::::::::坂 て の      _ ,−v   、::::::、
::::::::::::::::を し       _/rァ  ̄ヽn  ヽ::::::ヽ
::::::::::::::::よ な     -こヽ__)ヽ へフ -‐':::::::::::}
::::::::::::::::::  く   /::::::://, 7′:::::::::::::::::::::/
::::_n_  遠   、:::::::::ー' //-‐  ば の よ オ
:::`ニl lニ  い   ヽ::::://\   か ぼ う  レ
::::`フ \:::::::::ヽ __ ノ:::ー':::::::::::::ヽ  り  り や は
/'´|_|`ニ_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l  だ は く
:::::::ノ'r三7/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} か じ
::::::::`フ, 匸/l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  ら め
:::::: ̄´::: ̄´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   な  た

ってのは無しでな
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 01:02:32.58 ID:O1Lz6eVIO
次回作?
ああ、なんだ今作がエタるフラグを立てたわけか・・・
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/02/23(木) 01:48:04.31 ID:6UwuOX+Ro
どこら辺でエタるフラグが立ったのか知りたいわ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/23(木) 02:27:13.77 ID:45U+3iUto
どこら辺っていうか最近のこの板を見る限りね…
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 03:12:50.11 ID:S9XX95kDO
スレ立てからほぼ毎日のように投下してて2スレ目まできてるのにそりゃないわ
「早く帰ってこれたから新しいSSの設定考えてみました」って余談を語っただけじゃん
馬鹿な読者のせいでいなくなった作者思い出した
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 05:07:33.29 ID:O1Lz6eVIO
ごめん、確かに馬鹿な事書いた。反省する。
作者が来なくなる理由の半分は俺みたいな馬鹿にあるが、
もう半分は思慮の足りない馬鹿に全力で噛み付くやつにもあると思うよ。
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 09:40:39.80 ID:EHdg4+aIO
はーい、ストップストップ

はい、レスの流れでむかっ腹が立って書き込もうとしてるそこのアナタ!
キーを叩く前にそっと目を閉じて、前スレ>>984あたりの情景を思い起こしてみよう


ほーら、あのイチャイチャしやがって的な雰囲気で心が落ち着いてきt・・・・くるかボケェ!!
リア充爆発しろド畜生!!!


…作者様いつも楽しみにしてます、頑張ってくださいませ

176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/02/23(木) 09:55:31.96 ID:w4E6SpLDo
そんな気持ち悪い文章晒して恥ずかしくないんですか?
ゆとりの感性はわからんわ
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 10:07:46.51 ID:yUzUz7TIO
荒らすなageるな
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 13:08:27.64 ID:ejmB9waWo
長屋抜きに175は俺もちょっと引いたけどな
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 17:36:39.10 ID:NDKlGbUIO
続きが楽しみだなー!
魔王どうなるだろ
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/23(木) 21:24:40.55 ID:45U+3iUto
まぁ生存報告してくれればどうでもいいんですけどね
完全に放置が切るに切れなくて一番キツイ
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:41:22.33 ID:8smqP5dI0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


世界の武器の中心。
そう呼ばれた町があった。
そこに行けばあらゆる武器が手に入る。
そこまで言われた町があった。

そんな町ですら、戦争においては戦場になる。
いや、むしろそんな場所だからこそ、戦場になってしまうのかもしれない。
今その町は激戦区となっていた。

武器の町。
石造りの頑丈な町の中に弓兵は弓を構え立っていた。
ハンターの一人として、一人の兵士として、平和を願う人間の一人として、彼は戦場で戦っていた。

鳴り止む事のない爆音を背に、彼はこちらへ向かってくる敵兵達を次々に撃ち抜いていく。
まるで機械の様に、同じリズムで的確に敵を仕留めていく。


「ここはお前等に任せる、いいな」

敵を倒しきった後、弓兵はそこにいる他の兵士達にそう言い、他の場所へと走り出した。

自慢ではないが、枯れ葉この程度の兵士なら何人相手でも負けない自信があった。
……まあ、一度は死にかかっているがあれは兵士ではないので別という事で。
とにかく、それならばそこまで敵の攻撃が激しくない所を守るよりも、激戦区で戦った方がいいと考えたのだ。
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:42:54.54 ID:8smqP5dI0
飛び交う砲弾に注意しながら、所々崩れた武器の町を駆け抜けていく。
砲弾でボロボロになった石畳に足をとられそうになるが走り続ける。

今の戦況は正直微妙だった。
どちらが勝ってもおかしくない。
そんな曖昧な状況のため、お互いに必死なのだ。
それこそ小さな何かによって簡単に天秤が動いてしまいかねない状況だった。

一本道の途中で、歩みを止める。
疲れた訳ではない。
そこには笑ってしまいたくなるような光景が広がっていたのだ。

そこには敵の兵士の部隊がいた。
どの兵士も鉄の鎧を着込み、手には斧や剣や槍を持った屈強な者達ばかり。
普通の兵士ならば恐怖で顔が青ざめ、身が凍るような場面。

しかし弓兵はそんな敵達を見て、思わず笑ってしまいそうになった。
理由は単純。
敵に遠距離がいないからだ。

全ての兵士が近距離しかできない。
それは弓兵にとってただの的と同じだ。

しかも今の場所は一本道の路地。
このあまりにも出来過ぎた状況に、弓兵は笑ってしまった。


「逃げなくていいのか、俺は遠距離だぞ?」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:45:00.34 ID:8smqP5dI0
笑いを堪えながら、今まで幾度となく相手に言って来た台詞を口にする。
もちろん、相手がそれで逃げていくなんて事は一度もないし、これからもほとんどないだろう。
それは彼にとって戦いの合図の様なものだった。

十人近くの兵士が一斉に走り出す。
だがどの兵士も鎧を着ているため、そこまでは速くは無い。

お互いの距離は十メートルと言った所か。

呼吸を調え、弓を引き絞る。
一撃で仕留める為に、兵士たちの頭に狙いを定める。
そのまま矢を放つ。

銀色の矢が一番手前の兵士の額に突き刺さった。
まずは一人目。
残りは十二人。

弓兵は止まる事無く、流れるように矢を撃ち続ける
しかし決して矢が外れる事は無い。
残りは六人

息を大きく吸いこみ、限界まで集中力を高め、矢を放ち続ける。
矢を撃つ以外の事を頭の中から排除する。


残りは二人。
距離はかなり近いが、二人なら確実に倒せる。



弓兵は二本同時に弓を引き絞り、二人の兵士目掛け――――――。
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:47:05.36 ID:8smqP5dI0
「なっ……!?」


その瞬間、目の前にいた兵士は何の前触れもなく、地面に倒れた。
もちろん、弓兵がやったのではない。

弓兵はあたりをぐるりと見渡す。
しかし味方はおろか、敵すらもいない、弓兵以外の人間は何処にもいない。

弓兵の体に嫌な緊張感が走った。
目に見えない敵に恐怖しているのが嫌でもわかる。


「怪我は無いですか?」


弓兵は背後からの声に驚きで叫んでしまいそうになった。
だが何とかその言葉を飲み込む。

後ろに立っていたのは初老で髪が腰ぐらいまである銀髪の男だった。
簡素な服で腰には黒い剣をさしている。
顔は穏やかそうで、まるで邪気と言うものがない。
何処からどう見てもその男は兵士ではなさそうだ。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:48:31.36 ID:8smqP5dI0
「無事で良かったですね」


男は優しく、穏やかな声でそう言った。
まるでここが戦場ではない様な錯覚さえ覚えてしまいそうだ。


「誰だ?」

「私は師匠と言います」


男はにこやかに微笑みながら答えた。
あまりに邪気が無さ過ぎて、逆に恐怖を覚えそうだ。
いや、実際に恐怖を覚えていた。


「あなたはハンターの方ですね?」


こちらの感情に気付いないのか、笑顔のまま訊ねてくる。
やはり弓兵から見ると、気持ちの悪いくらい邪気が感じられない。
しかもそれは意図的に邪気を消している様だった。

真意の読めないその男を弓兵はじっと見つめていた。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:50:02.00 ID:8smqP5dI0
弓兵「お前、本当に誰―――――」

兵士「弓兵さん!!」

弓兵「……なんだ」

兵士「マスターから連絡です」

弓兵「マスターから?」

兵士「はい、すぐに戻って来いとの事です」

弓兵「ここはどうする」

兵士「分かりませんが、敵兵が大量に気絶させられてて……」

師匠「それ、私がやりました」

弓兵「……お前が?」

師匠「はい、襲いかかって来たので、やむを得ず」

兵士「と、とにかくそのおかげで何とかなりそうなんです」

弓兵「わかった」

師匠「私もご一緒してもいいですか?」

弓兵「……何のためにだ?」

師匠「久しぶりに女大臣に会いたいんです」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:51:06.95 ID:8smqP5dI0
弓兵「女大臣?」

師匠「はい、女大臣です」

弓兵「……」

弓兵「わかった、来たいなら勝手にしろ」

師匠「悪いですね」

弓兵「気にするな」

弓兵「じゃあ任せたぞ、死ぬなよ」

兵士「はっ!!」

弓兵「負けるなよ」スタスタ

師匠「……すいません」スタスタ

弓兵「……いや、別にいい」スタスタ
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:52:21.29 ID:8smqP5dI0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


魔法の町の船 船上


殺し屋「おかえり」

魔戦士「……」スタスタ

ネクロマンサー「ただいま」スタスタ

殺し屋「……なんて言うか、無愛想だなあ」

狂戦士「魔王は捕まったのか?」

魔戦士「ああ、ネクロマンサーが抱えてるだろ」

狂戦士「ほう、いい女じゃねーか、人間だったら良かったんだがな」

殺し屋「……」

狂戦士「お前の抱えてる二人はなんだ?」

ネクロマンサー「こっちは竜、こっちはただの人間よ」

狂戦士「捕虜か?」

魔戦士「まあ、そうなるな」

魔戦士「少しの間牢屋に入れておくぞ」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:53:32.33 ID:8smqP5dI0
狂戦士「ああ、勝手にしてくれ」

ネクロマンサー「言っとくけど、玩具にしないでよ、ちゃんと使わなきゃいけないんだから」

狂戦士「はいはい」

ネクロマンサー「殺し屋だったっけ、あなたにお願いしてもいい?」

殺し屋「何を?」

ネクロマンサー「人間の女の子の方を牢屋に入れて来てくれない?」

殺し屋「別にいいよ」

殺し屋「この子だけでいいんだね?」

ネクロマンサー「そうね」

狂戦士「ちょっかい出したら殺すからな」

殺し屋「お前の方がよっぽど不安だけどね、変態」

狂戦士「な……!?」

殺し屋「場所は何処でもいいよね?」

ネクロマンサー「勝手にどうぞ」

魔戦士「頼む」ドサッ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:54:45.91 ID:8smqP5dI0
殺し屋「わかったわかった」


殺し屋は女勇者を抱え上げる。


殺し屋「やっぱり……」

狂戦士「なんか言ったか!?」

殺し屋「誰もお前の事なんて言ってないよ」スタスタ

殺し屋「……」スタスタ

殺し屋「こいつがここにいるって事は勇者は負けたのかな……」スタスタ

殺し屋「ここでいいかな」ガチャ


殺し屋はそこに女勇者を寝かせる。


殺し屋「……」ガチャン

殺し屋「おーい、朝だぞ」

女勇者「……ん」

女勇者「私は……」

殺し屋「うん、元気そうで何よりだ」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:56:05.40 ID:8smqP5dI0
女勇者「あ、あなたは!?」

殺し屋「俺は殺し屋、聞いたことあるんじゃないかな?」

女勇者「暗殺者の腕を斬り裂いた……」

殺し屋「大正解、あれ本当に大丈夫だった?」

女勇者「はい、ちゃんと治りました」

殺し屋「そうか、良かった良かった」

女勇者「あなたは……」

殺し屋「気をつけた方がいい」

女勇者「え?」

殺し屋「しっかり自分を保っておく事、決して弱みを見せない事、いいね」

女勇者「あ……はい」

殺し屋「うん、それじゃまた」スタスタ

女勇者「あなたは、敵じゃないんですか?」

殺し屋「俺は面白いのが好きなだけ、あとは、えーと……忘れちゃった」スタスタ
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/23(木) 21:59:13.39 ID:8smqP5dI0
今日はここまでです。

絶対にエタる事は無いと思っておいてください。
途中でなげる事だけは絶対しない様にしてるので、そこだけは信じてください。
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/23(木) 21:59:50.75 ID:Y1+72Foco

期待してるぜ
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/23(木) 22:02:20.39 ID:YgutTby+0
以下同文そして殺し屋が俺的に好き
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 22:44:18.33 ID:kR6K5j6co
俺も殺し屋だすきです
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/23(木) 22:50:10.39 ID:PCv6du5co
信じてるからきっちり終わらせてくれ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 23:49:01.55 ID:ejmB9waWo
信じてるぜ
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/24(金) 02:05:22.61 ID:QfOpZ6Yio
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 07:18:50.80 ID:MYhAQFjIO
信じると言うか>>1がエタらない子だと知っているぜ
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/24(金) 07:38:35.59 ID:vPKbsLSko
こんだけ連載きちんと続けてる作者がエタるはずがない
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 11:05:47.66 ID:VOpwBXhDO
なんでエタるなんて話になったか知らんが作者に気使わせてんじゃねぇよ
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:43:45.12 ID:Eg7u/Hno0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夜   温泉の町   連合軍作戦本部


王「戻ったか」

勇者「すいません……」

王「謝らなくてもいい」

マスター「思ったより早かったのじゃな」

暗殺者「船長に無茶言って急いでもらったんだ」

女大臣「とにかく無事で何よりです」

勇者「……」

剣士「すいません、僕達のせいで……」

長老「終わった事を嘆いても仕方なかろう、これからどうするかが重要だぞ」

マスター「で、お主が博士じゃな?」

博士「はい」

マスター「お主が作ったという魔道騎士について教えてもらえるかな?」

博士「あれは私が作った最後の人間兵器です」

マスター「その魔道騎士はどれほどの力を持っておるのじゃ?」

博士「普通の兵士なら十秒生きれれば奇跡、と言った所です」

長老「……もう動いておるのか?」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:45:28.92 ID:Eg7u/Hno0
博士「まだですね、早くて明日の昼頃、と言ったところでしょうか」

長老「まだ時間はあるという事か」

博士「そう言う事です」

女大臣「……勇者様?」

勇者「……ん、何?」

女大臣「大丈夫ですか?」

勇者「……何でも無いよ」

お頭「で、具体的にどうするんだ!!」

マスター「少し待て、まだ全員集まっておらんだろ」

お頭「は?」

弓兵「お待たせしました」ガチャ

マスター「遅かったのう」

弓兵「申し訳ありません」

マスター「いや、気にする事では無いわい」

弓兵「あと、もう一人いるのですが……」

マスター「?」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:49:11.69 ID:Eg7u/Hno0
師匠「お久しぶりですね」ガチャ

女大臣「師匠!?」

師匠「うん、元気そうだね」

師匠「皆さま方もお揃いで」

長老「まさか来ておったのか」

師匠「ちょっと野暮用がありまして」

弓兵「で、何の用でしょうか」

マスター「明日の朝、敵の艦隊に総攻撃をかけようと思う」

弓兵「……と、言いますと?」

マスター「今言った通りじゃ、敵の戦力は港の町沿岸にある艦隊に集結しておる、じゃからそこに今動かせる兵士で総攻撃をかける」

弓兵「大丈夫なのですか?」

マスター「情報が正しければ今その船には魔王も囚われておる」

暗殺者「何処の情報だ?」

王「金髪じゃよ、知っておるだろう?」

暗殺者「……ああ」

マスター「しかも、その船を落とす事が出来れば、奴等の戦力の大部分を削ぎ落とす事が出来る」

弓兵「……勝負を急ぎ過ぎではないのですか?」

マスター「魔王が奴等の手に渡った今、そんな事を言っておる暇は無い」

長老「その通り、魔道騎士が動き出す前にそこを潰すのだ」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:50:42.02 ID:Eg7u/Hno0
王「勇者、暗殺者、お主等も行ってくれるか?」

暗殺者「……ああ」

勇者「……」

王「お主等はどうする?」

剣士「僕達も行きます、勇者ですから」

王「……わかった」

マスター「では、三時間後に出発じゃ」

弓兵「歩きで、と言う事ですか?」

マスター「いや、小さめじゃが船がある、それに乗っていってくれ」

暗殺者「川を下って海へ出るって事か」

長老「その通り」

王「質問はあるかな?」

勇者「俺は無い」

弓兵「俺も無い」

博士「私達も無いよ」

王「では各自、準備をしてくれ」
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:52:35.47 ID:Eg7u/Hno0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町外れの空き地


勇者「……」

師匠「暇そうだね」

勇者「ああ、暇だよ」

師匠「魔戦士に負けたらしいですね」

勇者「……負けたよ、完敗だった」

師匠「そうですか」

勇者「あんたはどうなると思ってたんだ?」

師匠「さあ、私にだって分かりませんよ」

勇者「……あんたに言っても仕方ないけど、俺自信が無くなってきたんだ」

師匠「……どういう事ですか?」

勇者「なんて言うんだろ、勝てる気がしないんだよな」

師匠「勝てる気がしない?」

勇者「ああ、なんて言うか……」

師匠「負けた事によって迷いが生まれているんですね」

勇者「……」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:55:23.37 ID:Eg7u/Hno0
師匠「あなたは今、敵に負け、仲間を奪われた、いわばどん底なわけですよ」

師匠「それであなたは負ける事に恐怖の感情をもってしまっている訳ですね」

勇者「……」

師匠「これを覚えていますか?」


師匠は腰の剣を勇者に見せる。


勇者「……強者の剣か」

師匠「はい、強者の剣です」

勇者「それが?」

師匠「これは私が彼にあげた剣なんですよ」

勇者「……強者が死んだから返してもらうためにここに来たのか?」

師匠「まさか、あげたものですからこの剣は完全に彼の物ですよ」

勇者「じゃあなんでだ?」

師匠「あなたは彼と戦ったんですよね?」

勇者「ああ」

師匠「彼が何故あんな風になったかは知っていますか?」

勇者「愛する人を守れなかったから、だったかな?」

師匠「はい、その通りです」

勇者「俺と、一緒って事が言いたいのか?」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:56:31.96 ID:Eg7u/Hno0
師匠「半分正解で半分間違いですね」

勇者「どういう意味だ?」

師匠「彼には救いはありませんでしたが、あなたにはあるという事です」

勇者「……?」

師匠「彼の愛する人は殺されたんです、彼の目の前で」

勇者「……」

師匠「ですが、あなたの仲間は死んだわけではないんでしょう?」

勇者「ああ」

師匠「あなたはまだ間に合うはずです」

勇者「……でも助けられねぇよ……」

師匠「あなたは十分力を持っていますよ、後は気持ちです」

勇者「……気持ち?」

師匠「迷いを捨てなさい、敗北の事は考える必要はありません」

勇者「……」

師匠「あなたの中の感情を武器にするんです、あなたの場合なら憎悪の剣ですね」

勇者「……普通なら憎悪に支配されちゃいけないんじゃないのか?」

師匠「怒り、恐怖、悲しみと言った負の感情は剣を強くも弱くもします」

勇者「だろうね」

師匠「あなたの場合は負の感情は強さになるはずです」

勇者「強さね……」

師匠「現にあなたの剣は怒りで強くなっているでしょう?」
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 21:57:44.89 ID:Eg7u/Hno0
勇者「え?」

師匠「強者の時も魔法剣士の時もあなたの心には憎悪があったはずですよね?」

勇者「ああ、確かにあったと思う」

師匠「そう言う事です」

勇者「……」

師匠「ですが決して感情に負けてはいけませんよ」

勇者「呑まれるなって事か?」

師匠「分かりやすく言えばそう言う事です」

勇者「……」

師匠「きっとあなたなら大丈夫です」

勇者「なんで言いきれる」

師匠「なんとなく……ですかね」

師匠「強いて言うなら、希望があるからですかね」

勇者「……」

師匠「助けられますか?」

勇者「ああ、助けるよ」

勇者「やってやるさ」

師匠「……」ニッコリ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 22:00:39.34 ID:Eg7u/Hno0
勇者「俺そろそろ行くわ」スタスタ

師匠「頑張って下さいね」

勇者「ああ」スタスタ

師匠「……」

女大臣「ありがとうございます」スタスタ

師匠「何の事ですか?」

女大臣「勇者様の事です」

師匠「私は真実を言っただけですよ」

女大臣「変わりませんね、あなたは」

師匠「そうかもしれませんね」

女大臣「……師匠は戦場には行かないんですか?」

師匠「ええ、私は戦士でも勇者でもありませんから」

女大臣「……」

師匠「若い方々の頑張りに期待ですね」

女大臣「そうですか」

女大臣「強者の剣を取りに来たんですか?」

師匠「ええ、彼女と共に眠らせてあげた方が彼女も喜ぶと思ったので」

女大臣「……そうですね」

師匠「では、私も行きますね」スタスタ

女大臣「はい」
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 22:02:01.40 ID:Eg7u/Hno0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


川    船


弓兵「全員乗ったか?」

勇者「ああ」

暗殺者「乗ってる」

剣士「はい」

博士「大丈夫そうだね」

弓兵「じゃあ行くぞ」

剣士「はい」

勇者「作戦とかはあるのか?」

弓兵「他の兵士達の船が囮になって注意を引きつけてる間に俺達が敵船に突入する」

暗殺者「目標は魔王の奪還でいいか?」

博士「魔道騎士の破壊も頼むよ」

弓兵「……そうだな、それも壊しておいた方がいい」
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 22:04:20.53 ID:Eg7u/Hno0
勇者「あとは女勇者とドラゴンの救出だ」

剣士「こ、これだけの人数で大丈夫なんでしょうか?」

弓兵「囮と言ってもあいつ等だって本気で相手を潰しにかかるんだ、あいつ等も乗り込んでくるはずだから人数は大丈夫だ」

弓兵「他に聞きたい事は?」

勇者「俺等はねぇよ」

剣士「僕達もです」

弓兵「……そうか、なら各自休んでてくれ」

勇者「ああ」

博士「……」

暗殺者「博士、お前何隠してる」

博士「何がかな?」

暗殺者「言いたくないならそれでもいい、けど言わないなら俺は信用しない」

博士「……この事は言えないよ」

暗殺者「なら――――」

博士「それにそれを知った所で君達に利点はないよ」

暗殺者「……」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/24(金) 22:07:40.43 ID:Eg7u/Hno0
今日はここまでです。
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/24(金) 22:09:21.00 ID:IFTM1GK80
なんか最近仲間がさらわれる勇者ss多い気がする
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/24(金) 22:09:43.17 ID:yy1HlDKe0
乙   師匠いい人だなぁ
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/24(金) 22:27:46.25 ID:4oi2hxZ5o
ここの更新を確認して安心して眠る日々だ。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/24(金) 23:03:14.44 ID:ZbgxzF+xo
続きが気になって眠れません
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/25(土) 02:44:36.04 ID:E+KkMBtQo
>>214
SSに限らず王道だろ
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 13:48:39.60 ID:X3EyjSyIO
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 21:50:47.57 ID:/pZhUA0g0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


朝   海


弓兵「さて、こっからが本番だ」

暗殺者「そうだな」

弓兵「そろそろ見えて来ただろ」


そこには巨大な戦艦、三隻を、何十隻の船が攻撃していた。


勇者「もう始まってるのか」

剣士「これなら簡単に……」

弓兵「まあ、あの程度じゃよほど頑張らないと穴なんて開けれないだろうけどな」

剣士「え!?」

勇者「いや、見りゃ分かるだろ」

剣士「そ、そう言えばどうやって乗り込むんですか?」

弓兵「俺が穴を開けるからそこからは入れ」

剣士「え……」

勇者「わかった」

暗殺者「……そろそろだな」

弓兵「じゃあ行くぞ」


弓兵は弓を放ち、魔法を詠唱する。

矢は木で出来た部分に刺さり、爆発する。
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 21:52:34.37 ID:/pZhUA0g0
剣士「す、凄い……」

暗殺者「乗り込むチャンスは一回だな」

弓兵「合図は分かってるよな?」

勇者「当たり前」

弓兵「一、二の、三!!」


弓兵の合図で戦艦に跳び移る。


勇者「剣士と俺と弓兵で敵を引きつけながら魔王を探す」

暗殺者「じゃあ俺と博士は魔道騎士を探しに行ってくる」タタタッ

博士「任せたよ」タタタッ

弓兵「じゃあ俺達も行くぞ」タタタッ

勇者「ああ」タタタッ

剣士「さ、作戦とかってあるんですか?」

弓兵「多分穴が開いた事はもうバレてる、なら敵を引きつけとくべきだな」

勇者「とにかく広い場所には出ない様にしとかないとな」ガチャ

兵士達「……」

勇者「ははっ、甲板かよ……」

兵士達「だ、誰だ!!」

弓兵「広い所に出ない様にするって言ったのは誰だったかな?」

勇者「仕方ねぇだろ、それにこっちの方が俺には向いてる」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 21:54:34.94 ID:/pZhUA0g0
勇者は刀を抜くと、大きく横に薙ぎ払った。
まず手始めに一番手前にいた兵士達を肉片へと変える。
その一撃で辺りは血に染まり、辺りの兵士達が一斉に武器を構えだす。

だが遅い。
遅過ぎる。
まず今武器を構え始めているようでは間に合うはずがない。

一歩踏み出し、次の獲物を射程圏内に捉える。
勇者の刀が新たな獲物を喰い殺す。
兵士達が血の噴水と化し、辺りを赤い水で染め上げる。

返り血に怯む兵士達を一瞥し、駆け出す。
止まっていては雑魚との戦いが永遠と続くだけだ。
今の最優先はドラゴンと女勇者の救出。
それ以外は勇者にとっておまけでしかない。

勇者は止まる事無く走り続ける。
邪魔な兵士は一瞬で叩き斬り、絶命させる。

後ろから兵士が追ってくるのがわかった。
見えたのではなく、気配でなんとなく分かる。

勇者は体をくるりと百八十度回転させ、振り向きざまに、刀を振り下ろした。
だがあえて斬る位置は急所を外す。
もちろん慈悲や優しさからの行動ではない。
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 21:57:09.58 ID:/pZhUA0g0


「牢屋は何処だ」


血に塗れ、地面を芋虫のようにのたうち回る男に質問する。
顔こそ僅かに笑っているが声は無機質でまるで感情と言うものが籠っていない。


「答えろ」


わざと感情を殺し、男にもう一度質問する。

迷いを捨て、二人を助ける事だけを考える。
勇者は今それを実行しているのだ。


「下だ……この下にある、一番下の階の右奥だ……」


屈強な兵士から発せられたとは思えないようなか細く、消え入りそうな声。
だが勇者はその言葉を一字一句聞き逃す事無く、しっかりと聞きとっていた。

男の心臓に刀を突き刺し、止めを刺すと、また走り出した。
敵を斬り倒しながら下の階層へ行く方法を探す。

また後ろに人間の気配を感じる。
体を半回転させ、そのまま相手に斬りかかる。
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 21:59:53.39 ID:/pZhUA0g0
しかし勇者の一撃は相手の剣で受け止められた。


「ちゃんと相手を確認してから斬りかかったほうがいいよ」


そこには金髪の見知った顔の男が立っていた。
名はイケメン。
彼の兄にあたる人間だ。


「なんでお前がここにいるんだ」


勇者は苛立ちを抑える事無く、言い放つ。
右手に持った刀のせいもあり、嫌に恐怖感を煽る。

だがイケメンはそんな事を一切気にせず、勇者を見ている。

周りにいる敵兵達は下手に斬られたくないためか、一定の距離を置き、二人を観察している。
誰一人として、二人に襲いかかろうとする者はいない。


「正義のために戦っている、ではダメかな?」


イケメンは勇者から目をそらす事無く、そう答えた。
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 22:01:21.67 ID:/pZhUA0g0
あまりに予想通りの答えに勇者は苦笑してしまう。
これほど正義と言う言葉が似合う人間はそうそういないだろう。

勇者は一つの疑問をイケメンにぶつける。


「仲間はどうした」

「別の場所で戦ってるはずだよ」


イケメンはその言葉を言い終わると、剣を構え直し、周りにいる兵士達をぐるりと見まわした。

それが合図になったかのように、二人が同時に敵兵に斬りかかった。

勇者は一瞬で敵兵の目の前に移動し、何の躊躇もなく、敵を斬る。
確実に急所を斬り裂き、相手を絶命させていく。
その姿は無慈悲に命を奪う死神を連想させた。

刀をもった死神は無慈悲に兵士達の命を奪い取っていく。

敵兵達の中には恐怖のあまり逃げ出していく者もいた。
目の前の敵に背を向け必死に逃げていく姿は滑稽だ。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 22:03:02.49 ID:/pZhUA0g0
逃げていく者を深追いする気は無かった。
とにかく邪魔をしてくる敵を手当たり次第に斬る。
どの兵士も綺麗に真っ二つに斬られ、血の噴水になっていく。


「あそこの扉だ」


そんな乱戦の中でもイケメンの声は嫌にはっきりと聞こえた。

イケメンは少し離れた所で扉を指差していた。
そこに行け、と言う意味だろう。
どうやら勇者だけに言った訳では無く、剣士にも言っているようだ。

勇者はその扉の方に向き直り、扉目掛け走り出した。

イケメンに従うのは癪だったが、ここは彼に従う。
このままここで戦い続けていても消耗戦になるのは目に見えていた。

勇者は目の前の兵士を叩き斬ると、扉の中に入り、扉を閉めた。
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 22:04:08.33 ID:/pZhUA0g0
剣士「皆さん無事ですね」

勇者「弓兵はどうした」

剣士「弓兵さんは、別の所を探しに行くって言ってました」

イケメン「まさか君達まで来てるなんてね」

勇者「それはこっちの台詞だ」

剣士「ふ、二人とも落ち着いて下さいよ」

勇者「安心しろ、ちゃんと落ち着いてる」

イケメン「僕達は十分冷静だよ」

剣士「で、でもここもすぐ敵が……」

イケメン「そんな事は分かっているさ」

勇者「じゃあ俺は行くぞ」

イケメン「勝手にしてくれ」

剣士「ちょっと待ってくれませんか!?」

勇者「何だよ」

剣士「ここは全員一緒に行動しませんか?」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 22:06:17.80 ID:/pZhUA0g0
イケメン「僕は別に構わないよ」

勇者「……別にいいぞ」

イケメン「なら決定だね」

イケメン「そう言えば君達の目的はなんだい?」

勇者「仲間の救出」

剣士「ある人を助ける為です」

イケメン「そうか」

剣士「作戦とかはどうしますか?」

イケメン「コソコソする必要は無いだろ、僕達は正義なんだから」

勇者「正面からって言うのは俺も賛成だな」

剣士「で、でも敵の数が……」

勇者「乱戦になればそんな事気にならねぇよ」

兵士「いたぞ!!」

イケメン「無駄話は終わりみたいだね」

勇者「そうみたいだな」
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/25(土) 22:07:12.93 ID:/pZhUA0g0
今日はここまでです。

もっと大量に書く気だったんですがちょっと無理でした。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/02/25(土) 22:08:28.87 ID:J0vf+1kao
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/25(土) 22:09:12.61 ID:EMYX7DGS0
乙  無理しないでください。次楽しみにしてます。
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/25(土) 22:09:39.58 ID:VvJeWfWqo
いい。定時に更新があるだけで期待が出来るからな。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/26(日) 00:22:42.04 ID:mpYYD4iFo

毎日更新があるのは素晴らしい事ですね
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:16:01.38 ID:Oj7pJI+m0
一本道の廊下での戦闘は広い場所よりよっぽど簡単だ。
なぜなら敵は前と後ろからしか来ないからだ。
そして今、後ろにはイケメンと剣士が戦っていた。
つまり、今この状態なら、目の前の敵だけに集中すればいい、と言う簡単なものだった。

勇者の刀が一撃で数人の兵士を絶命させた。
目の前の兵士と戦うだけなら、負ける事は無い。
敵を斬り倒しながらひたすら前に進んでいく。

後ろではイケメンと剣士が戦っている音が聞こえた。
背後は二人に任せておけば安全だろう。

絶対的な安心。
だがなんとなく、なんとなくなのだが、不安な気持ちが心の中にあった。
まるで霧の様にもやもやした、何とも言えない不安。

もちろんそれが何なのかを考えている暇は無い。
今はとにかく進む、それ以外の事は頭の中から排除し、戦いの事を考える。

しかし何故か、頭のどこかではあの不安が何だったのかを考えている自分がいた。
この二人を信用していない訳ではない。
いや、むしろなんだかんだ言ってもイケメンの強さは嫌と言うほど知っている。
それなのに、何故不安が生まれるのだろう。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:17:19.84 ID:Oj7pJI+m0
「勇者さん、あと少しです!!」


頭から冷水をかけられたかのように勇者は我に返る。

気がつけば目の前には鉄製の扉があった。
気持ちの悪いほど綺麗な装飾が施され、嫌に光沢がある異様な扉。
普通の人間なら開けるのを躊躇うだろう。
こんなあからさまに怪しい部屋に入る様な人間はバカだ。

だが勇者は何の躊躇もなく、扉を開け、中に入っていく。
後からイケメンと剣士も入ってくるのがわかった。


「なんだこりゃ……」


勇者はおもわず声を漏らしてしまっていた。
目の前にある物体から目を離せない。

横のイケメンと剣士も驚きの表情をしているだろう。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:19:11.58 ID:Oj7pJI+m0
そこには真っ白な甲冑の騎士が立っていた。
腰には大きな真っ白の剣をさし、無言のままこちらを睨んでいる。
大きさは二メートルあるかないかだろう。
だが何故か今まで感じた事の無い様な威圧感がそれにはあった。

刹那の静寂。

次の瞬間には、騎士はゆっくりとした動作で剣を抜くと、勇者達目掛けて走り出していた。
金属が擦れ合う音をたてながら走ってくる姿は兵器以外の何ものでもない。

イケメンが二人の前に立ち、剣を構えた。
イケメンの剣と騎士の剣が激突する。
剣同士が擦れ合い、嫌な金属音をたてる。

勇者はイケメンと騎士の剣がぶつかる瞬間にすでに走り出していた。
一瞬で騎士の背後に回り込み、斬りつける。
それは人間なら確実に殺せる攻撃のはずだった。

しかし甲冑はイケメンの剣をまるで玩具の様に簡単に弾くと、くるりと振り返り、勇者目掛けて剣を突く。

横に跳んでいる暇はない。
勇者はとっさに体を捻り、剣を回避しようとした。
無茶な動きのせいで体の関節が悲鳴を上げているのがわかる。
全身に鋭い痛みが走る。

だがあの一撃を防御すれば間違いなく吹き飛ばされる。
そうなってしまえば確実に長期戦になってしまうはずだ。
なら……。

勇者は悲鳴を上げる体をさらに無理矢理捻じった。
さっき以上の痛みが全身を貫き、呻き声が漏れる。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:21:24.19 ID:Oj7pJI+m0
騎士の剣が勇者の横数センチを通過していった。
勇者はそのまま騎士の懐に入る。

ここまでくれば攻撃を回避するのはほぼ不可能だ。

勇者は刀の刃を地面と水平にすると、大きく横に振った。
シュンッ、と風を斬る心地の良い音をたて、刀が騎士目掛けて襲いかかる。
甲冑ですら勇者の刀にとっては紙同然。
刀が勢いよく振り抜かれた。


「な……!?」


だが勇者の刀は何も斬ってはいなかった。
勇者の目の前には何もいない。
忽然と騎士の姿が消えていた。

騎士は勇者から二メートルほど離れた場所に立っていた。
勇者が刀を振る一瞬で大きく後ろに跳び、刀を回避していたのだ。
助走もなく、後ろ向きのままで、二メートルほど後ろに跳んでいた。

騎士は勇者が刀を振り抜いたのを確認すると、今度は勇者目掛けて跳んできた。
助走なしのはずなのに異様に速い。

勇者の体が恐怖に強張る。
圧倒的な死が迫ってきているのを全身が感じていた。

騎士の剣が勇者目掛けて振り下ろされえる。
ゴウッ、と音が鳴り、剣が勇者の体を脳天から斬り裂こうとする。
騎士の体重も乗ったその一撃は文字通り一撃必殺だろう。

勇者は恐怖を振り払い、素早く横に転がると、その攻撃を回避した。
そしてそのまま騎士の顔の部分目掛け、刀を突く。
あくまで囮としての一撃。

騎士は後ろに跳び、その攻撃を回避する。

しかし後ろに跳んだ騎士を見て、勇者は口元を歪めてにやりと笑った。
そう、この戦いは勇者一人では無い。
今回の戦いには仲間がいるのだ。
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:22:14.27 ID:Oj7pJI+m0













騎士の着地点にイケメンは待機していた。
獲物を狡猾に狙うハイエナの様に相手を待ち、狙いを定めている。

イケメンの剣が唸りを上げながら振り抜かれた。
衝撃波が床を剥がし、壁に横一文字の穴を開ける。

騎士の左腕が宙を舞っていた。
イケメンの剣が騎士の腕を斬り裂いたのだ。

普通なら激痛で動けるような状態ではないだろう。
だが騎士はまるで動じることなく、剣を構えていた。
切り裂いた腕の部分からは血が一滴も流れていない。


「え……?」


その一瞬の驚きがイケメンの思考を一瞬だけ止まった……止まってしまった。
一瞬。
一秒にも満たないその時間はあまりにも致命的過ぎた。

騎士はまるでバットの様に剣を大きく振り抜いていた。
風を斬る音が嫌というほど部屋に響き渡る。

回避は間に合わない。
そう直感的に感じたイケメンはとっさに剣を盾にした。
しかし剣を防ぐ事が出来ても衝撃を殺す事は出来ない。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:23:13.95 ID:Oj7pJI+m0
気がついた時にはイケメンの体はまるでボールの様に地面を転がっていた。
壁に激突し、彼の体は停止する。

まるで大勢の人間に袋叩きにされたかのように全身が痛い。
体を動かそうとするが、頭を打ったせいか思うように動けない。
自分の体では無い様な錯覚すらしてしまいそうだ。


「さっさと起きろ!!」


まだ機能していない脳が声を聞きとった。
頭が混乱し、誰の声なのかは分からない。
だが仲間だという事だけは分かる。

痛みに耐えながら顔をあげる。
そこには刀を持った少年と真っ白の騎士が火花を散らしながら殺し合っているのが見えた。

助けなければ。
そう直感的に感じる。
正義の味方として、勇者として、彼を助けなければ。
そう心が叫んでいる。

だがどうやっても彼の体は動いてくれなかった。
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:24:27.87 ID:Oj7pJI+m0












勇者は後ろに跳び、刀を構え直した。
このまま真正面から戦っても勝ち目が無いのは目に見えている。
なら、相手の隙をつき、一撃で仕留める以外方法は無い。

勇者は一瞬で騎士との距離を詰めると、喉元目掛け、剣を突いた。
もちろん、それで殺せるなどと言う楽観的な考えは持ってはいない。
あくまでこの攻撃は囮だ。
むしろ勇者自身が囮だった。

騎士は斜め前に一歩だけ動き、その攻撃を回避した。
そしてまるで死刑執行人の様に剣を振り上げる。

だが勇者は動じることなく、刀を構え直し、まる悪戯を思いついた子供の様に不敵に笑う。
恐怖はいつの間にか彼の心の中から消え失せていた。


「行け、剣士!!」


勇者はまるで勝利を確信したかのように高らかとそう叫んだ。
顔は僅かに笑っている。

剣士は騎士の真後ろにいた。
まるで狼の様に獲物を倒せるチャンスをひたすらに待っていたのだ。
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:25:35.09 ID:Oj7pJI+m0
剣士は奇声を上げながら、騎士の心臓目掛け剣を突き刺した。
剣が鎧を貫き、柔らかいものに突き刺さるような音が聞こえる。

だが、それでも騎士は何事も無かったかのように剣を振り下ろしていた。
ゴウッ、と言う風を斬る様な音と共に剣が勇者に襲いかかる。

勇者はとっさに後ろに跳んでいた。
剣が振り下ろされるのが分かったからとかそういう理由では無く、気付いたら体が勝手に動いていたのだ。

しかしその瞬間、勇者の腹部に強烈な痛みが走った。
肺の中の酸素が一気に吐き出され、息が苦しくなる。
あまりの衝撃に意識がとびかける。

勇者の目の前には騎士の左腕があった。
騎士がそれをまるでボールの様に蹴り、勇者の腹にぶつけたのだ、と理解した時には体が吹き飛んでいた。

受け身をする事も体勢を立て直す事も出来ず、地面に落ちる。
背中に激痛が走り、息を吸う事すら苦しくなる。


「まだだ、まだ終わってねぇ」


だが勇者はそんな状態でも立ち上がった。
仲間を、自分の周りにいる人を失わないために。
もう負けないために。
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:27:36.88 ID:Oj7pJI+m0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


暗殺者「兵士はほとんどいないな」スタスタ

博士「彼等が頑張ってくれているんだろうね」スタスタ

暗殺者「魔道騎士はどうしても壊さなくちゃダメか?」スタスタ

博士「あんなものは世の中にあっちゃいけないよ」スタスタ

暗殺者「どうして破壊にこだわる、魔王さえ奪還できればもう大丈夫だろ」

博士「そうだね……破壊はどちらかと言えば私の願望だよ」

暗殺者「そんなに壊したかったならなんであの時壊さなかった」

博士「あの時?」

暗殺者「魔法の町にいた時だよ、あの時お前は魔道騎士を壊すチャンスがあったのに壊さなかったよな」

博士「それは……私が弱かったからかな」

暗殺者「……」

博士「魔法の町を出た後の私の人生は償いのためだけにあった様なものだよ」

暗殺者「魔王の事を知りたいってのも嘘か」

博士「所詮は建て前さ」

暗殺者「剣士と一緒にいるのも、勇者の母親に協力したのもか?」

博士「……ああ、僕は剣士から大切な人を奪ったんだ」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:28:33.64 ID:Oj7pJI+m0
暗殺者「大切な人?」

博士「父親だよ、一生償ったって許してもらえないだろうね」

暗殺者「勇者の母親にも償いのために協力してたのか」

博士「彼女の愛していた男を奪ってしまった訳だからね」

暗殺者「……」

博士「これで全てだよ」

暗殺者「それはお前にとっても大事な人だったんじゃないのか?」

博士「……」

暗殺者「どうなんだ?」

博士「私の兄だよ」

博士「皮肉なものだろ、兄を失ってやっと自分の研究の愚かさに気付いたんだ」

暗殺者「それで町を出たのか」

博士「その通りだよ」

博士「……笑ってくれ」

暗殺者「……」


その時、爆弾が爆発したかのような轟音が鳴り響いた。
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:29:15.14 ID:Oj7pJI+m0
暗殺者「何だ今の?」

博士「かなり近かったね」

暗殺者「もしかして魔道騎士が動いてるんじゃないのか?」

博士「まさか……いや、ありえなくもない……」

暗殺者「え?」

博士「魔道騎士が魔法を使わないように設定しておけば動かせない事も無い」

暗殺者「……強さは?」

博士「魔法を使わなくたって化物さ」

暗殺者「もしかして勇者達が……」

博士「まさか……」

暗殺者「……」タタタッ

博士「待ってくれ!!」タタタッ
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/26(日) 22:31:27.48 ID:Oj7pJI+m0
今日はここまでです。

地の文は書くのがものすごくしんどいんですが、書いてて楽しいです。
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/26(日) 22:33:12.99 ID:g7F8ATlk0
乙でゲス  毎日楽しーですよ
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/26(日) 22:37:24.86 ID:nzZ8R8goo
明日もたのむよん
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/27(月) 00:11:20.13 ID:w3Pi75Ejo
乙。続きが気になるね〜
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 11:35:47.03 ID:6VjmvY1IO
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 19:56:09.40 ID:hg7S57JIO
そろそろか…
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 21:44:48.72 ID:h8qVZVDz0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


剣士は剣を構え直し、目の前の騎士を睨みつけた。
勇者とイケメンがやられた以上、この騎士を止められるのは剣士以外いない。

相手との距離を気にしながら、ゆっくりと右に移動する。

勝てるかは分からない。
いや、自分よりもよっぽど強い勇者とイケメンがやられたのだ、勝ち目がある様には到底見えない。

だが彼も一人の勇者として剣をとった身。
なら、ここで逃げる訳にはいかない。
ここで死ぬわけにはいかない。

剣士は一歩前に出ると、剣を縦に大きく振り下ろした。
しかしその攻撃は勇者達と比べるとあまりに遅く、あまりに威力不足だった。

そんな攻撃が騎士に当たるはずもなく、剣士の剣は大きく空振りする。

やっぱりか。
そんな声が聞こえた気がした。
勝てるはず無い。
そんな曇天の様な陰鬱な思いがどんどん膨れ上がっていくのが分かる。

だがそんな嫌な気持ちを無理矢理押し殺し、剣士は走り出した。
勝つ事を考えるのではない。
あくまで時間稼ぎとして、勇者とイケメンが戦えるようになるまでの時間、囮となる。
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 21:46:56.40 ID:h8qVZVDz0
剣を振り上げ、騎士に斬りかかった。
不安、恐怖、あらゆる感情に蓋をし、相手に襲いかかる。
怖い。
そんな言葉が口から漏れだしそうになるのを必死でこらえる。

剣士の剣が騎士目掛け振り下ろされた。
ヒュンッ、と空を切る音が聞こえる。

だが騎士はいとも簡単に剣士の剣を防御すると、強者目掛け、前蹴りを放った。
ゴウッ、と言う剣士の剣の音とは比べ物にならない様な音を上げながら、剣士の腹目掛けて、真っすぐに襲いかかる。

防御する暇も回避する暇もなく、剣士の体はまるで風に飛ばされた枯れ葉の様に地面を転がっていた。
あまりの出来事に頭がついていっていないのか、体には無気味なほど痛みというものが無い。


「う、あぐ……」


しかし数秒後には今まで感じた事の無い様な激痛が全身を包んでいた。
呼吸すら忘れてしまいそうなほどの強烈な痛みに、脳が痺れる。
思考がうまく働かず、気を抜けば今何をしているかすら忘れてしまいそうなほどだ。


「あ、あが……」


言葉にならない呻き声を上げながら体を必死に動かし、逃げる。
まるでゾンビの様に、地面をずるずると這いつくばりながら移動していく。
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 21:49:02.68 ID:h8qVZVDz0
だがそんな努力のむなしく、いつの間にか騎士は剣士の目の前に立っていた。

騎士は真っすぐに剣士を見ていた。
騎士の剣がまるで満月のように白く輝いて見える。

まるで堤防が決壊したかのように恐怖が一気に心の中に流れ込んでくる。

騎士は剣士の心臓に狙いを定め、剣を構え直した。

その姿は見方によっては人々を天国へ招く天使にも見えそうだ。
だが剣士にはそれは白い悪魔にしか見えない。

剣士奥歯を噛み締め、剣を目で追った。
恐怖が全身の筋肉を硬直させる。

騎士の剣が真っすぐにこちらに向かってくる。
グサッ、という音が辺りに響き、赤い液体がゆっくりと体を伝い地面に落ちていく。


「え……?」


剣士はあまりの出来ごとに声を漏らしてしまっていた。
声には驚きと戸惑いが混じっている。


「がはっ……」

騎士と剣士の間には博士がいた。
胸には深々と白い剣が突き刺さり、剣の先からは真っ赤な血が流れ出ている。

博士はその場で吐血した。
絞り上げる様な苦しそうな声を声を上げながら、荒い呼吸を繰り返している。

だがその顔は何故か笑っていた。
まるで子供を見守る母親のような、優しく包み込むような笑顔で。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 21:51:03.55 ID:h8qVZVDz0




















「久しぶりだね、兄さん」


博士の声はかすれ今にも消えてしまいそうだった。
だが、今まで聞いたどんな声よりも優しい声だ。

博士は血に塗れた右手で騎士の頬を優しく触る。
まるで硝子細工を触るように優しく騎士の方を撫でる。


「兄さん、剣士は殺させないよ」


博士は自分の言葉に奥歯を噛み締めた。
贖罪と後悔の気持ちが胸の中を支配する。
兄をこんな姿にしてしまったのは他の誰でも無い自分なのだから。

もう一度吐血する。
内臓が傷ついているのだろう。

だがそれでもいい。
あれだけの事をしたのだから、これぐらい当然の事だ。


「もう十四年も前か……私はずっと後悔していたよ」


その言葉は自分自身をも傷つけた。
十四年間、忘れた事の無かった後悔の気持ちが胸を締め付ける。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 21:52:39.13 ID:h8qVZVDz0
「安心してくれ、ここで終わらせる」


博士はそう言い、まるで子供を見守る母親の様ににこやかに笑うと、呪文を詠唱し始めた。

博士の体に魔力はほとんどない。
だが代償を使えば魔法を使う事は出来る。
自分の体全てを代償にし、魔法を発動させれば、いくら魔道騎士と言えども耐えきれはしないだろう。

体の中の血液が沸騰したかのように焼ける様な激痛が全身に走る。
まるで毒ようにゆっくりと、しかし確実にそれが体を蝕んでいくにが分かった。


「剣士、すまなかったね」


激痛に耐えながらひと言だけ告げる。
結局、本当の事を伝える事は出来なかった。
最後まで言えなかった。

剣士は泣いているように見えた。
いや、きっと見間違いだろう、こんな人間のために泣いてくれるはずはいない。

四肢が引き裂かれる様な激痛が全身を襲う。
だがそれさえも彼にとっては何処か物足りなかった。

この程度の痛みで許されるはずがない。
許されてはならない。
地獄の業火で全身を焼かれるぐらいでなければ、許されてはならない。
そんな気持ちがあった。


「お前はそれで良かったのか?」
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 22:02:36.19 ID:h8qVZVDz0
まるで真っ暗な場所に一筋の光が差し込むかのように、声が脳に響く。
声からして暗殺者だろう。

もはや体を動かす気力も残ってはいない。
まるで鉛の様に体が重くなり。
まるでマネキンの様に体は動かなかった。


「本当の事を伝えてくれないか……」


悩んだあげく彼の口から出た言葉はそれだけだった。

博士は自嘲気味に笑う。
最後の最後まで自分は卑怯だった。
結局自分で言うのが怖いから他人に頼んだ。
そんなのは剣士から逃げたのと同じ事だ。
いや、きっと最初から逃げてきていたのだろう。
もしそうでなければきっと言えていたはず。
結局適当な理由をつけて逃げ続けていたのだ。

結局、私は一度も真正面から向き合えなかった……
そう心の中で呟く。

意識が朦朧とし、何も考えられなくなる。
博士の体の中のあらゆるものが代償として失われきろうとしていた。
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 22:05:00.12 ID:h8qVZVDz0
博士には言っておかなければならない事が一つだけあった。
本当は一番最初に言っておくべき事。
兄に謝っておかなければならかった。

まるで縫い付けられているかのように動かない口を無理矢理動かし、言葉を紡ぐ。
だが口は動くものの声が発せられない。

博士は必死に口を動かし、もう一度言葉を発する。


「兄さん……ごめん」


それはかすれて、今にも消え入りそうなか細い声だった。
だが博士は苦笑し、目を閉じた。

もう限界だ。

死ぬ間際にしか謝れない自分の愚かさ、他人に全てを任せた自分の身勝手さを痛感し自嘲気味に笑う。

博士はぼんやりとした意識の中で、兄と剣士に問いかけた。
答えはいらない。
答えなど欲しくはない。
もし答えを聞かされたら、彼の心の中を支えてきたものが音をたてて崩れだしそうだった。

だが最後に、最後だからこそ問いかけておきたい。

兄さん……剣士……私を―――――。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 22:07:35.68 ID:h8qVZVDz0















風が集束し、騎士をズタズタに引き裂いていく。
それはもはや風と言うより、研ぎ澄まされた刃の群れの様だ。

騎士はあっという間に原形を失い、もはや元の形さえ分からない塊になり果てていた。
しかし、それでも血は一滴も流れる事は無く、ただ白い鎧の破片と黒い何かがあるだけだった。

勇者は一人、まるで足に釘を打たれたかのように立ちつくしていた。

博士を止めるチャンスはあった。
だが何故かそうしなかった。
出来なかった。

目に見えない何か、強いて言うなら博士の決意の様なものが彼を動けなくしていた。

勇者は剣士の横に移動し、騎士を眺めた。
いや、もはやこれは騎士ではなく、ただの塊だ。

剣士の横に居ても、何もかける言葉は無い。
下手な言葉をかければ剣士は泣き崩れてしまいそうなほど彼の心が繊細な様な気がした。


「勇者さん、博士は何のために兵器を作っていたんでしょうか」


剣士は目をウサギの様に赤くし、勇者の方を見ていた。
きっと泣いていたのだろう、だが今は涙はこぼれる事はなかった。


「わかるかよ、俺は博士じゃねぇんだ」


勇者はそう答えるしかなかった。

博士には博士の信念や理想を持って兵器を作っていた。
ならそれは勇者が勝手に解釈し、勝手に話すべきではない。
そう思ったのだ。

勇者は刀を鞘にしまい、塊に背を向けた。
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 22:09:15.04 ID:h8qVZVDz0
勇者「これが魔道騎士か?」

暗殺者「みたいだな」

イケメン「さっきの人は死んだのか?」

暗殺者「ああ、体を代償にしたんだ、生きてるはずないだろ」

剣士「……」

勇者「少し休んどけ」

イケメン「……」

イケメン「そうだね、その方がいい」

勇者「イケメン、ここは任せていいか?」

イケメン「大丈夫だ、彼は僕が責任を持って守り抜く」

勇者「期待してるぞ」

イケメン「もう行くのかい?」

勇者「ああ、まだやらなくちゃいけない事が山ほどあるんだ」スタスタ

剣士「……大丈夫です」

剣士「僕は大丈夫です」

勇者・イケメン「……」

剣士「本当に……大丈夫ですから」
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 22:10:26.24 ID:h8qVZVDz0
勇者「そうか、なら安心だ」スタスタ

暗殺者「俺はもう一つの船の方を調べてくる」スタスタ

勇者「ああ、頼んだ」

勇者「剣士、多分あいつは魔道騎士がいた場所にいるはずだ」

剣士「そうですね、分かりました」スタスタ

イケメン「僕はここに残るよ、ここへの入り口はそこの扉だけだからね」

勇者「一人で敵を全部止めるのか?」

イケメン「仲間を守るのも正義の味方の仕事だろう?」

勇者「そうだな、確かにそうだ」スタスタ

イケメン「じゃあ、みんな無事戻ってきてくれよ」

剣士「はい」

勇者「お前もな」スタスタ
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/27(月) 22:11:52.19 ID:h8qVZVDz0
今日はここまでです。
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/27(月) 22:15:12.69 ID:wkFmr1Oz0
乙  博士なぜこんな死に方をしたんだ。俺涙脆いのに。
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/02/27(月) 22:22:27.89 ID:b1KzCUC9o

自爆は男の浪漫さ
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 01:27:23.27 ID:8twwkf0Lo
こいつら良い兄弟だな
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 03:27:26.50 ID:XGXz/XUIo
博士・・・
ハガレンのマルコーさん思い出した
あの人は死ななかったけど
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/02/28(火) 10:48:24.36 ID:dQO7/o3Vo
イケメンが本当にイケメンに見えてきた
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:45:30.08 ID:4NIlTqUl0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


大広間


勇者「……」スタスタ

殺し屋「お久しぶり」ピョンッ

勇者「……なんでお前がここにいる」

殺し屋「そんな事言われても……まあ強いて言うなら楽しそうだったからかな」

勇者「……何だそれ」

殺し屋「そんな怖い顔しないでよ、俺はお前と戦う気なんてないから」

勇者「じゃあ何の用だ、俺は今忙しいんだ」

殺し屋「仲間の女を探してるんだろ」

勇者「……ああ、どこにいるんだ?」

殺し屋「遅過ぎだよ、お前」

勇者「どういう意味だ」

殺し屋「真っすぐで純粋な人間ほど脆いものは無い、あの女もそうだったんだよ」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:46:58.72 ID:4NIlTqUl0
勇者「……テメェ」


勇者は刀を抜き、殺し屋の方を睨む


殺し屋「だから待ってよ、俺は死んだなんて一言も言ってないだろ」

勇者「じゃあどういう意味だ」

殺し屋「心を奪われたんだ」

勇者「は?」

殺し屋「今のあいつはお前の事を敵としか見ていないはずだ」

勇者「どういう意味だよ!!」

殺し屋「言葉通りさ、今のお前はあいつにとって敵以外の何ものでもないんだ」

勇者「……」

殺し屋「お前しか救えないよ」

勇者「……」

殺し屋「あいつを救ってあげなよ、愛と正義の物語はハッピーエンドじゃなきゃ終われないだろ」

勇者「正義ね……」

殺し屋「そう、愛と正義の物語、もちろん主人公はお前だよ」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:50:06.47 ID:4NIlTqUl0
勇者「バカバカしいな」

殺し屋「愛と正義っていい言葉だと思うんだけどな」

勇者「俺にも似合わない言葉だって事だよ」

殺し屋「似合わなくたって別にいいだろ」

勇者「……」

女勇者「……」スタスタ

勇者「女勇者!!」

女勇者「……」

殺し屋「まだ完全に洗脳出来た訳じゃない、お前の頑張り次第では助けられるよ」

勇者「そんな事言っていいのか?」

殺し屋「洗脳とかって俺嫌いなんだよね、虫唾が走るって言うのかな、とにかくああいうのムカつくんだよ」

勇者「俺も同感だ」

殺し屋「じゃあ俺は見物させてもらおうかな」

殺し屋「楽しい物語にしてくれよ」ピョン

勇者「……」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:51:52.56 ID:4NIlTqUl0
勇者は刀を抜き、一歩後ろに下がった。
相手の目を見ながら、攻撃してくるのを待つ。

女勇者は剣を抜くと、勇者目掛けて跳んだ。
隙の無い完璧な動きで勇者との距離を詰める。
そしてそのまま剣を大きく縦に振った。

勇者はまるで子供と戯れているかのようにいとも簡単に攻撃を素早く回避すると、女勇者の背後に回り込んだ。
しかしそのまま反撃する事はなく、後ろに跳んだ。


「どうした、ずいぶん遅いじゃねぇか」


わざと小馬鹿にしたように挑発する。

だが女勇者は表情を変える事無く、剣を構え、こちらを睨んでいる。
まるで獲物を狙うその表情は明らかに勇者を敵と認識しているようだ。

勇者は無言で女勇者を見ながら刀を構え直す。
勇者は苦虫を噛み潰した様な表情をしていた。

それが合図になった様に女勇者は猪の様に真正面からつっこんでくる。

女勇者の剣が横に大きく薙ぎ払われる。
ゴウッ、というまるで強風の様な音をたてながら、勇者を真っ二つにしようとする。
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:52:52.03 ID:4NIlTqUl0
勇者は刀でその攻撃を受け止めた。
金属がぶつかり合う音と共に火の粉が躍る。

だが女勇者は止まる事無く、さらに追撃を始める。

変幻自在の様々な攻撃で勇者を翻弄する。
それは同じ人間が行っているとは思えないほど多彩で様々な攻撃。

しかし勇者はその攻撃の先読みし、回避する。
まるで紙の様にひらひらと体を動かしながら攻撃を回避していく。

勇者は大きく後ろに跳ぶと、刀を構え直し、女勇者を見た。

攻めるチャンスが無かった訳ではない。
むしろいつもの勇者なら無理矢理にでも攻め込んでいるはずだ。
だが勇者は決して女勇者目掛けて刀を振らない。
振れない。

勇者の目の前にいるのはどんな姿であっても仲間だ。
仲間に刀を振ることなど出来るはずない。


「俺が力不足だったんだ……悪い……」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:54:53.71 ID:4NIlTqUl0
勇者は女勇者に謝っていた。
女勇者がこの言葉に何を感じるかは分からない。
聞いているかすら定かではない。
だが勇者はどうしても謝っておきたかった。
未熟で愚かだった事を。
誰も救えなかった事を。

女勇者はいつの間にか跳んでいた。

女勇者の剣が勇者の心臓目掛け突かれる。
美しい軌道を描いて、剣が進んでくる。

勇者はそれを回避し、背後に回り込む。
だがそこでいつもの様に斬りかかる事なく、また後ろに跳ぶ。

女勇者の表情はいつもの通りまるで仮面をかぶったかのように無表情だった
しかしやはりいつもの女勇者とは何かが違う、
そう感ぜざるをえない。

勇者は刀を構え直し、女勇者を見据える。
女勇者の顔はどこか儚く、幸の薄い少女の様だった。
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:55:43.92 ID:4NIlTqUl0
勇者は姿勢を低くし大きく跳んだ。
まるで弾丸の様に、地面すれすれを勇者のもてる最速で進んでいく。

『お前しか救えないよ』
殺し屋の言葉が頭で再生される。

仲間を誰一人守る事の出来ない様な人間が仲間を救う事など出来るのだろうか。
女勇者を救うのは本当に自分でいいのだろうか。
そんな疑問が頭の中をぐるぐると渦巻く。

女勇者の剣が勇者目掛けて振り下ろされる。
風を斬る音が勇者の耳にも届く。

勇者は体を大きく捻り、紙一重で回避し、相手の懐に入り込む。
そして意を決し、刀の柄で女勇者の脇腹を突く

だが女勇者剣僅かに後ろに跳び、その攻撃を交わすと、剣を横に薙ぎ払った。
唸るような音を上げながら、剣は一直線に勇者に襲いかかる。

間に合わない。
そう直感的に感じとった勇者はとっさに刀を盾にする。
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 21:59:05.31 ID:4NIlTqUl0
しかし、女勇者の剣は勇者の刀の手前で停止した。
まるで脅えているようにカチャカチャと音をたて、切っ先が震えている。
いや、女勇者が震えているのだ。


「勇……者……」


女勇者の唇が震えながらそう言葉を紡ぐ。
それは蝋燭の炎の様にか細く、今にも消えてしまいそうな声。

だが勇者にはその声がはっきり一字一句聞こえていた。

勇者は後ろに大きく跳び、大きく息を吸った。


「殺し屋、ヒノキの棒あるか」


勇者は何処にいるか分からない観戦者に向け、そう言い放った。
声は部屋全体に響く。

何処からかヒノキの棒が一本勇者の目の前に落ちてくる。

クルクルと回転しながら落ちてくるヒノキの棒を勇者は左手で掴んだ。
右手に持った刀は鞘にしまう。
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 22:01:50.35 ID:4NIlTqUl0

「懐かしいだろ、あの時と一緒だ」


勇者は愛おしそうにヒノキの棒と女勇者を交互に見た。
旅の始まりの頃を思い出し、目を細める。

女勇者の言葉は頭の奥に今もしっかりと残っている。
迷いは霧が晴れるようにいつの間にか消えていた。

女勇者を救う、それだけを考える。

勇者には洗脳がどういうものかは知らない。
だが女勇者は女勇者だ。
なら元に戻せばいい。
助けだせばいい。

『愛と正義の物語はハッピーエンドじゃなきゃ終われないだろ』
殺し屋の言葉がま勇者のた頭の中に思い浮かんだ。

その通りだ。
ハッピーエンドで終わらせるのだ。
全員が生きて帰るハッピーエンドを。
最高のハッピーエンドを。
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/28(火) 22:02:46.01 ID:4NIlTqUl0
今日はここまでです。

明日、明後日は忙しいため投下量が減るかもしれないです。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/28(火) 22:05:14.30 ID:S0pGH6u60
乙  やっぱり殺し屋すきだわー。
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/28(火) 22:12:24.36 ID:T18dqbNQo
うむうむ
よきかな
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 22:30:52.39 ID:Saw0R1nDo
殺し屋△
作者△
280 :743 [sage]:2012/02/29(水) 09:33:16.87 ID:8QMj/YsIO
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 21:43:18.10 ID:9SLqNOzn0
女勇者は剣を構え、目の前の男目掛けて走り出した。
理由は分からないが武器をヒノキの棒に変えたのだ、このチャンスを逃す訳にはいかない。
敵である以上容赦をしている暇は無い。

女勇者は音よりも早く剣を振り下ろした。
剣が振り終えた頃に遅れて空を斬る様な音が聞こえる。

だが目の前の男はそれをまたしてもいとも簡単に交わし、雷の様な速さで背後に回りこんでいた。
そしてヒノキの棒を大きく横に薙ぎ払う。

女勇者はとっさに後ろに跳び、それを回避した。
目の前をヒノキの棒が音をたてて通過していくのが見える。

男は女勇者の予想以上に速かった。
しかしその戦い方は何処か危なっかしく、とても優秀な戦士と言えるものではない。

なんというのだろう、胸の中がもやもやする様な気がした。
まるで雲の様にもやもやし、しっかりとした形の無いものが胸に引っかかっているのだ。

女勇者はこの戦い方をする人間を知っている様な気がしていた。
危なっかしく口の悪い人。
彼女を変えてくれた、とても大切な人。

だがまるでその記憶だけ霧がかかった様にぼんやりとしか思い出せない。

男はさらに一歩踏み出し、女勇者を追撃する。
まるで閃光の様に一瞬の攻撃。
音すらない一撃。
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 21:50:16.46 ID:9SLqNOzn0
女勇者はそれを回避していた。
意図的にではない。
その攻撃を回避できたのは単なる偶然だった。


「あ、あなたは何者なんですか……」


女勇者はたまらず聞いてしまった。
敵と話すなど愚か者のする事、そう教わったはずなのにどうしても我慢できなかった。
まるで不満をぶつける様に口調が若干荒くなる。

男はまるで子供の様に無邪気に微笑み、彼女の顔を見た。


「勇者だよ、勇者」


少し子供っぽさの残る少しだけ高めの声だった。

何故かその声は女勇者の心を安心させた。
理由は分からない。
ただなんとなくその声が彼女の心を落ち着かせ、安心させるのだ。

だがそんな気持ち振り払い、女勇者は前に跳んだ。
勇者と名乗った男目掛けて剣を振るう。
怒涛のごとき攻撃を何度も繰り返す。

しかしどの攻撃も勇者はまるで分かっているかのように回避していた。
まるで紙を相手にしているかのようにひらひらと攻撃を避けていく。
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 21:54:41.64 ID:9SLqNOzn0
勇者は僅かな隙の内に一歩前に進むと、ヒノキの棒で女勇者の心臓を突いてきた。

女勇者は後ろに跳び、その攻撃を回避する。
ほとんど態勢を崩すことなく、綺麗な軌道を描きながら跳んでいく。

女勇者は勇者から一メートルほど離れた場所に着地すると、勇者の方を見る。

おかしい。
そう感ぜざるをえなかった。
ついさっきまでとは動きが全く違う。
そう、まるで何かを決意した様な……。


「良かったな、貧乳じゃなかったら直撃してたぞ」


勇者はさも愉快なように笑いながらそう言い放つ。
まるで悪戯を思いついた子供の様な表情。

女勇者はその言葉に反論しようとするが、何故か言葉が出て来なかった。
明らかに侮辱されているはずなのに、そんなに嫌ではない。
むしろどこか懐かしい気がするのだ。

どうして、おかしい。
頭の中がどんどん混乱していくのがわかった。
まるで頭の中を掻き混ぜられているかのようにどんどん頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 21:58:20.16 ID:9SLqNOzn0
考えれば考えるほど頭が痛くなっていった。


「大丈夫か?」


勇者は優しそうな口調でそう言った。

やはり心が安心する。
心が落ち着く。

記憶にかかった霧が晴れていく。
彼が何者なのか、自分の何なのかが分かりそうになる。


『目の前の男は敵だ。殺せ』


突然頭の中で声がした。
まるで命令する様な口調で何度も同じ事を繰り返し、頭の中で言い続けている。

そう、無用な事を考えている暇は無い。
女勇者は自分自身を叱りつけ、剣を構えなおした。

目の前の男は敵、それ以外の何でもない。
そう何度も心の中で繰り返す。

女勇者は前に大きく跳び、勇者目掛けて剣を突く。
それは文字通り一瞬の出来事。
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 22:00:04.52 ID:9SLqNOzn0
しかしその剣は何もない空間を突いただけだった。
勇者は忽然と姿を消していたのだ。

女勇者の背中に悪寒がはしった。
とっさに後ろを振り向く。

そこにはヒノキの棒を振りかぶり、苦しそうな顔をした勇者がいた。
何がそんなに苦しいのかはわからない。ただ唇を噛み、何かに耐えていた。


「すまん……」


そんな声が聞こえたかと思うと、女勇者の腹部に焼かれる様な痛みが襲った。
倒れたり、膝をつくほどではないが、痛みで僅かに動きが鈍ってしまう。

その時、女勇者の頭の中に津波の様に大量の記憶が流れ込んできた。
いや、流れ込んできたのではない、元々あった記憶が一気に思い出されているのだ。


「勇者……」


気が付いた時にはもう呟いていた。
女勇者にとって最も大切な人の名。
口が悪く、やる事がメチャクチャで、それでも決して仲間を見捨てない人の名。

憎らしくも愛おしい記憶が彼女の心を優しく包み込む。
それは表現するなら母胎の中にいる様な感覚だった。
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 22:03:10.83 ID:9SLqNOzn0
『敵を殺せ!!』


頭の中で何かがそう叫んでいるが気にはしない。
惑わされない。

女勇者は剣を落とし、その場に崩れ落ちた。

勇者への感謝。
自分への後悔。
自分自身の侮蔑。

まるで堤防が決壊したかのように大量の感情が頭の中にとめどなく流れ込んでくる。


「勇者……」


女勇者はもう一度、その名を口にした。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 22:06:27.41 ID:9SLqNOzn0
女勇者「……勇者」

勇者「……もしかして、思い出したのか?」

女勇者「はい……思い出しましたよ、勇者」

勇者「……ははっ、そりゃ良かった」

女勇者「あなたのおかげです、あなたのおかげで私は――――――」

勇者「元はと言えば俺がお前を守れなかったからなんだ、お礼なんていいよ」

女勇者「……」

勇者「とにかく無事でよかった」

女勇者「ううっ……」


女勇者は堪え切れなくなった様に泣きだす。


勇者「ど、どうした!?」

女勇者「私は、私は……」

勇者「どうしたんだよ、どっか痛いのか?」

女勇者「私は……ドラゴンもあなたも守れなかった……」

女勇者「あなたとドラゴンを守ると言ったのに……」

女勇者「あなた達の刃になると決めたのに……」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 22:13:55.43 ID:9SLqNOzn0
勇者「……」

女勇者「私は結局簡単に負け、あなたを殺そうとしてしまった……」

女勇者「私はあなたに――――――」


勇者は言い終わる前に女勇者を強く抱きしめる。


勇者「言わなくていいよ」

女勇者「う、うう……」

勇者「言わなくていい」

女勇者「う……」

勇者「お前は悪くねぇよ」

女勇者「うっ、うう……すいません……」

勇者「謝らなくてもいいから」

女勇者「……」

女勇者「……一つだけお願いしてもいいですか?」

勇者「なんだ?」

女勇者「もう少しだけ抱きしめて……泣かせてくれませんか?」

勇者「……」

勇者「いいよ」ニッコリ

女勇者「ありがとう……ございます……」
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 22:16:53.74 ID:9SLqNOzn0
勇者「いいよ、別に」


女勇者は勇者に抱きしめられながら声をあげて泣いた。


勇者「……」

勇者「ごめん、本当にごめん」

女勇者「……」

女勇者「ありがとうございました……」

勇者「ああ」

女勇者「ちゃんとドラゴンが泣く場所は残してありますから」

勇者「……あ、そう」

女勇者「勇者、早く行きなさい」

勇者「お前はどうするんだ?」

女勇者「私は少し休みます、私は大丈夫ですから早く行きなさい」

勇者「あ、ああ」スタスタ

女勇者「……」

女勇者「二十歳過ぎて泣くなんてバカみたいですね……」

女勇者「やっぱり大人になると涙腺が緩むんですかね……」
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/02/29(水) 22:17:57.63 ID:9SLqNOzn0
今日はここまでです。

感情を表に出す女勇者を書くのは久々でした。
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/29(水) 22:23:07.59 ID:aX6jAL3G0
乙  女勇者やはりデレた
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/29(水) 23:32:54.71 ID:cV52Jxemo
うしょひょ
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 08:09:40.92 ID:gFOcqyFIO
女勇者も早く女にしてやってよ勇者くん
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 13:48:03.93 ID:2jG9xF6IO
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 21:52:39.13 ID:GDVj+k260
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


剣士「はぁはぁ……」タタタッ

剣士「ど、何処なんですか……」タタタッ

狂戦士「……ガキが一匹入りこんでるって聞いて来たが、本当にガキじゃねーかよ」

剣士「あ!!」

狂戦士「……まあいいや、どうせ魔戦士やネクロマンサーもいるし、残りはあいつ等に任せるか」

剣士「……」

狂戦士「暇だったから遊んでやるよ、ガキ」

剣士「ま、魔王さんは何処ですか!?」

狂戦士「魔王?」

剣士「はい、知ってるんですよね」

狂戦士「知るかよ、自分で探せ」

剣士「……何処ですか」

狂戦士「は?」

剣士「何処にいるんですか!?」
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 21:53:53.94 ID:GDVj+k260
狂戦士「だから俺が知ってる訳ないだろ!!」


狂戦士は剣士を蹴り飛ばす。


剣士「あぐ……」

狂戦士「これだからガキは嫌いなんだよ」

剣士「魔王さんは……何処にいるんですか……」

狂戦士「だから何度言ったらわかるんだ、俺は知らないんだよ!!」

狂戦士「牢屋も自分で見つけられねえのかよ」

剣士「……牢屋にいるんですね」

狂戦士「チッ、このクソガキが」

剣士「……」

狂戦士「それに今からお前は俺の玩具だ、勝手に移動出来るなんて思うなよ」

剣士「……」タタタッ

狂戦士「だから勝手に逃げるなって言ってんだよ!!」


狂戦士は剣士の背中に蹴りをいれ、吹き飛ばす。


剣士「あう……」
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 21:54:59.24 ID:GDVj+k260
狂戦士「雑魚なんて何やっても無駄なんだよ、バカみたいに従ってればいいんだ、分かったか?」

剣士「あなたに……従う気なんてありません」

狂戦士「……テメェ、もう一度言って―――――」

殺し屋「よっ、と」ピョンッ

狂戦士「……何のようだ」

殺し屋「業務連絡だよ、あの洗脳にかかってた子の洗脳が解けた」

狂戦士「誰がやった」

殺し屋「勇者だよ」

狂戦士「で、その勇者は殺したのか?」

殺し屋「え、殺す訳ないじゃん」

狂戦士「……何言ってんだ!?」

殺し屋「なんで俺が勇者を殺さなくちゃならない訳?」

狂戦士「じゃあ聞くが、お前は何してたんだ」

殺し屋「見てただけだよ、あれこそ最高のハッピーエンドだったよ」

殺し屋「あの二人は本当に綺麗な心の持ち主だよ、明鏡止水ってやつ?」

狂戦士「なんで見てたんなら勇者を殺さなかった!!」
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 21:57:25.45 ID:GDVj+k260
殺し屋「あのさ、俺は兵士と戦う事は了承したけど、勇者と戦う事を了承した覚えは無いよ」

狂戦士「あんな雑魚も倒せないのか?」

殺し屋「……お前バカだろ」

狂戦士「は?」

殺し屋「勇者が雑魚って、バカだろ」

狂戦士「魔戦士に手も足も出なかったんだ、強さなんて知れてるだろ」

殺し屋「やっぱりお前はバカだよ」

狂戦士「だから何がだ!!」

殺し屋「あの二人の力の差なんてほんの僅かだよ」

殺し屋「感情や運、その他もろもろで勝敗なんて簡単にひっくり返る」

狂戦士「でも勇者は魔戦士に手も足も―――――」

殺し屋「じゃあなんで魔戦士は勇者を殺さなかったんだと思う?」

狂戦士「……」

殺し屋「戦いに負けなんてものは存在しないよ、あるのは勝利と死だけだ」

殺し屋「つまりまだ戦いは続いてるって訳、お分かり?」

狂戦士「ただの自論だろ!!」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 21:59:46.19 ID:GDVj+k260
殺し屋「そうだね、そう言っちゃえばそうだよ」

狂戦士「……テメェ」

殺し屋「そう怒るなよ、お前もさっき言ったけどただの自論じゃん」

狂戦士「クビだ!!」

殺し屋「は?」

狂戦士「さっさとどっか行け、目障りだ!!」

殺し屋「じゃあお前はもう俺の雇い主じゃないって事かな?」

狂戦士「当たり前だ、さっさと消えろ!!」

殺し屋「そう言う事なら俺もうれしいよ」

狂戦士「何言ってんだ?」

殺し屋「俺はどんな事があっても雇い主は殺さない、けど今のお前は俺の雇い主じゃない」

狂戦士「俺を殺そうってのか?」

殺し屋「そうなるね」

狂戦士「はっ、調子に乗ってんじゃねえぞ!!」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 22:00:25.12 ID:GDVj+k260
狂戦士は両手に鉄製のグローブをはめると、殺し屋に殴りかかった。
素手でも人を殺せる狂戦士の攻撃が鉄製のグローブをつければ、掠めただけですら致命傷になる。

唸りを上げながら殺し屋の顔面目掛け襲いかかる。
それは拳と言うより砲弾に近い。

しかしその攻撃は殺し屋の顔に当たる事無く、右に逸れていた。
殺し屋は鉈をクルクルと回しながら涼しげな顔でそこに立っている。


「な……」


狂戦士は僅かに顔を引き攣らせながらも、両手を使い、連打を繰り出す。
一撃当たるだけでも致命傷の攻撃が雨の様に殺し屋に襲いかかる。


「あのさ、もっと楽しませてくれないとつまんないんだよね」


その声が狂戦士に届いた頃にはすでにそこに殺し屋の姿は無かった。
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 22:08:03.67 ID:GDVj+k260
狂戦士は素早く辺りを見渡した。
しかし何処を探しても殺し屋の姿は何処にもない。


「左右を確認した後には上を確認。常識だよ」


殺し屋は上から落ちてきていた。

鉈を大きく振り被り、狂戦士に狙うを定めている。
その顔は残酷な笑顔で歪み切っている。

狂戦士がとっさに逃げようとするが、タッチの差で間に合わない。

肉が斬れる心地のいい音と共に狂戦士の右腕が宙を舞っていた。
深紅の液体を撒き散らせながら宙を舞うそれはある種、幻想的なものの様に錯覚させる。


「あ……がァァァァァァ!!」


狂戦士が気がついた時には叫び声を上げながら地面に膝をついていた。
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 22:08:56.04 ID:GDVj+k260
殺し屋「あはは、弱い弱い、そんなんでよく勇者を雑魚呼ばわり出来るよね」

狂戦士「ぐ……殺す、殺す、殺す!!」

殺し屋「さっさとかかってきなよ、俺は逃げも隠れもしないよ、正々堂々ってやつだね」

狂戦士「後で殺す!!」タッタッタッ

殺し屋「あっ……逃げちゃった……」

剣士「あ、ありがとうございます……」

殺し屋「別にいいって、それよりさっさと助けに行ってあげたら」

剣士「あ、はい」

剣士「勇者さんの知り合いなんですか?」

殺し屋「うーん、知り合いって言えば知り合いかな」

剣士「そうですか」

殺し屋「俺さ、死ぬ気で頑張ってる人が好きなんだ」

剣士「え、はい」

殺し屋「善悪とか、世間体とかそういうの抜きにして何かをしようとするのって凄くかっこいいだろ?」

剣士「え、まあ……」

殺し屋「だから俺お前みたいな奴嫌いじゃないんだよね、たった一つの事以外何も見えてないって感じでさ、なんて表現していいかわかんないけど」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 22:09:44.65 ID:GDVj+k260
剣士「あ、ありがとうございます」

殺し屋「魔王を助けたらさっさと逃げた方がいいよ」

剣士「え?」

殺し屋「この船はもうじき沈む、他の船もだけどね」

剣士「……」

殺し屋「じゃあ俺は行くよ」スタスタ

剣士「……」タタタッ

剣士「魔王さん!!」

魔王「剣士?」

剣士「鍵は……」キョロキョロ

魔王「無い、しかもこの空間じゃ魔法も使えん……」

剣士「おりゃァァァァ!!」


剣士は剣で鍵を斬ろうと、何度も剣で叩く。


剣士「あァァァァ!!」


剣士の何度目かの一撃で鍵が壊れる。


剣士「はぁはぁ……」

魔王「……一人で来たのか?」

剣士「いえ、結局僕は何も出来ませんでした……」

魔王「……」

魔王「さっさと逃げるぞ」

剣士「……」

魔王「勇者達なら大丈夫だ、行くぞ」スタスタ

剣士「……はい」スタスタ
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/01(木) 22:11:05.12 ID:GDVj+k260
今日はここまでです。

やっと魔王奪還。あとはドラゴンだけですね。

今日は時間の都合で最終チェックが出来なかったので誤字が多いかもしれません。すいません
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 22:15:34.43 ID:yMZPx30IO
お疲れ様です
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/01(木) 22:49:32.62 ID:FkL+L/1Ho
乙。ゆっくり休んでくれ。
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 23:13:18.76 ID:cu0D4S/IO
ドラゴンを助けてやってくれ…
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 07:07:38.21 ID:qarxcURIO
殺し屋いいキャラ
ピョンッって祇園の後に蛙座りで登場する殺し屋を想像したらなんかカワイイww
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/03/02(金) 08:50:30.17 ID:ZBSCvvH1o
ホント良いキャラだな殺し屋乙
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 09:39:20.01 ID:dZULsd0IO
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:46:43.60 ID:i2yr/wQy0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


別の船     大広間


大臣「魔道騎士がやられた!?」

ネクロマンサー「はい、あの女の洗脳も解かれた様です」

大臣「あのクズ共めが……」

ネクロマンサー「どうしましょうか」

大臣「まだ魔戦士も狂戦士もお前もいるだろう、なんとかしろ!!」

ネクロマンサー「はい」

弓兵「もう遅いぞ」スタスタ

大臣「だ、誰だ!?」

弓兵「ハンターだよ」

弓兵「まさかあんたまでいるとはな、大臣」

大臣「貴様……」

弓兵「どうせこの船には攻め込んではこられないとでも思ってたんだろ?」

大臣「……ネクロマンサー、殺せ!!」

弓兵「やめとけ、この船はもうじき沈む」

大臣「……ふん、何をバカな事を」  

弓兵「優秀な工作員達が頑張ってくれてるんだ」

暗殺者「この船も終わったぞ」ピョンッ
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:48:50.82 ID:i2yr/wQy0
金髪「残りは数分っす」スタスタ

スライム「僕達の方も終わりました」ピョンッ

黒スライム「ったく、無駄に広い船だ」

弓兵「そうか、いろいろ悪かったな」

大臣「ど、どういう事だ!?」

弓兵「だから言ってるだろ、この船は壊れるって」

大臣「だからどういう意味だ!!」

弓兵「全部の船はだいたい五分後くらいに爆破されるって事だ」

大臣「おい、どういう事だ!!」

ネクロマンサー「どうして兵士達が気付いてないの……」

弓兵「そりゃ勇者三人が暴れ回ってたからな、工作なんて気付く訳ないか」

大臣「クソが……」

弓兵「お前等はもう終わりだ」

大臣「まだだ、まだ魔戦士も狂戦士もネクロマンサーもいる!!」

弓兵「無駄だ、この艦隊が沈めばお前等は終わりだ」

弓兵「それに勇者達が魔戦士どもを片づけてるだろ」

大臣「く……」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/02(金) 21:50:08.94 ID:zAwfbdr9o
来たな
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:51:13.92 ID:i2yr/wQy0
弓兵「暗殺者、スライム、勇者達を迎えに行ってきてくれ」

スライム「はい」ピョンッ

暗殺者「分かった」タタタッ

弓兵「お前等もさっさと逃げないと死ぬぞ」スタスタ

大臣「待て!!」

弓兵「なんならここで殺してやってもいいんだぞ」

大臣「……」

ネクロマンサー「ここは一旦引きましょう」

大臣「……」

ネクロマンサー「……」スタスタ

大臣「クソッ!!」スタスタ
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:52:49.38 ID:i2yr/wQy0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者のいる船    とある一室


狂戦士「おい!!」

魔戦士「なんだ、騒がしい」

狂戦士「回復してくれ!!」

魔戦士「……その腕をか?」

狂戦士「ああ、当たり前だ!!」

魔戦士「どうしたんだ」

狂戦士「殺し屋にやられた、あいつ殺してやる……」

魔戦士「……」

狂戦士「何だよ!!」

魔戦士「目障りだ、消えろ」

狂戦士「ふざけんな!!」

魔戦士「負けた奴が騒ぐな」

狂戦士「テメ――――――」


その言葉が言い終わる前に魔戦士の剣が狂戦士を斬り捨てる。


殺し屋「あらら、殺しちゃったのか……」
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:54:21.31 ID:i2yr/wQy0
魔戦士「騒ぐ敗北者ほど邪魔なものはない」

殺し屋「あはは、そうかもね」

魔戦士「で、お前は何のために来たんだ?」

殺し屋「そいつを殺そうと思ってたんだけど、お前が殺しちゃったからね、もういいや」

魔戦士「……」

殺し屋「そろそろあいつが来るころかな」

魔戦士「勇者か?」

殺し屋「ああ、ドラゴンはどうしたんだ?」

魔戦士「そこの檻の中だ」

殺し屋「……ずいぶん乱暴な事をしたみたいだね」

魔戦士「暴れたからな、仕方ないだろ」

勇者「……」タタタッ

殺し屋「さて、じゃあ見せてもらおうかな」

勇者「ドラゴンは何処にいる」

魔戦士「そこの檻の中だ」


その檻の中にはボロボロになったドラゴンが入れられていた。
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:54:59.31 ID:i2yr/wQy0
勇者「……」

魔戦士「安心しろ、死んではない」

勇者「殺す……」

魔戦士「なんだ」

勇者「お前は俺が殺す!!」

魔戦士「いいだろう、今度こそ殺してやる」

勇者「今度死ぬのはお前だ」

殺し屋「……さて、楽しみだ」

勇者「お前もいたのか」

殺し屋「ああ、楽しませてくれよ、これが最終幕なんだから」
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:56:36.47 ID:i2yr/wQy0
感情は人の強さを変える。
それは強くも、弱くもだ。


怒り。
憎しみ。
殺意。
勇者の刀にはそんなドス黒い感情がまるでスライムの様にへばりついていた。

勇者は怒りにまかせ、刀を振り下ろす。
刀が狼の目の様に貪欲にぎらつき、命を狩ろうと襲いかかる。

しかしその一撃は金属音と共に魔戦士の剣で止められる。

だが勇者はそれでも力任せに刀を振り、魔戦士を弾き飛ばす。

呼吸は荒く、鬼の様な形相で魔戦士を睨んでいた。
そこにあるのは怒り。
それ以外の感情は一切死に絶え、その欠片すら見当たらない。


勇者は体をバネを利用し、跳躍した。
そのゆったりした最初の動作とは裏腹に、その加速量はそれこそ弾丸の様だ。

魔戦士は跳んでくる勇者を待ち構えるかのように、攻撃の準備をしていた。
そのまま切っ先を勇者に向けると電光石火の早業で何度も剣を突く。
まるで剣が数十本あるかの様な錯覚すら与えかねないほどの攻撃。
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 21:58:37.42 ID:i2yr/wQy0
しかし聞こえてくるのは肉を貫いた音では無く、あたりが赤く染まる事も無かった。
何十回と聞こえてくるのは金属がぶつかり合う音、飛び散るのは火花だけ。
勇者は魔戦士の攻撃を的確に見切り、亜音速の様な攻撃を全て刀一本で防ぎきっていたのだ。


「遅いんだよ!!」


そんな声を上げながら勇者は刀を薙ぐ。
空を斬る音すら聞こえない早業。
それは速度を求めた勇者だからこその技。
正真正銘亜音速の一撃だった。

だが、その一撃ですら、魔戦士の剣に弾かれる。

しかし、勇者は退く事も、防御をする事もなかった。
ただひたすらに怒りという名の力を刃に乗せ、追撃を始める。
目に見えないほどの攻撃を幾度となく繰り返す

今そこにいるのはもはや勇者でなかった。
怒りを力に変えるのが勇者なら、今の勇者は怒りに身を任せ戦う狂人でしかないのだ。

魔戦士は一瞬の隙に後ろへ跳び、勇者との距離を置いた。
その顔は勇者とは対照的にまるで氷の様に冷たくい表情だった。
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 22:00:00.24 ID:i2yr/wQy0
「ずいぶんと雑な剣だな」

「黙れ!!」


勇者は大声で叫びながら跳んだ。
刀を痛いぐらいに強く握り、空中で刀を構え直す。

金属がぶつかり合う音が聞こえ、両手に激痛がはしる。

だが勇者は止まることなくさらに追撃をし続ける。

体の中の血が沸騰しているかのように熱い。
憎悪が炎の様に身を焦がしていくのがわかる。
だがもうとめどなく溢れ出る憎悪を止める事は勇者には不可能だった。
魔法剣士に対する怒りだけが勇者の原動力となりつつあった。


「弱いな」


そんな声が聞こえた瞬間、勇者の左足は糸が切れてしまったかのように急に力が抜けていた。
必死に右足に力を入れるが、態勢は立て直せず、そのまま地面に崩れ落ちた。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/02(金) 22:01:59.04 ID:i2yr/wQy0
今日はここまでです。

もうそろそろ完結ですが、スピンオフや後日談などでこのスレは1000まで行こうと思います。

何か書いてほしいキャラがいたら書いといて下さい。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/02(金) 23:19:44.02 ID:FvqTIHBjo
>>1
ひたすら幸せでラブラブでイチャイチャでホカホカでダラダラでマッタリな日々が読みたい
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/02(金) 23:26:24.79 ID:f7Chx+Kio

上に同じ
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/03(土) 00:23:40.30 ID:vyQ0Mha3o
おつん
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 00:33:41.65 ID:E0NX7XAKo
魔戦士の外見ってどんなイメージなんだろ
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/03(土) 12:33:13.54 ID:BBM/tHKJo

スピンアウトと言うことなら、迷子サキュバスの日常が気になるぅ
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 21:45:39.22 ID:elV8DCpY0
左足の太ももは縦に綺麗に斬れ、とめどなく鮮血が溢れだしていた。
いつ斬られたのかはわからない。
ただ斬られたという事実だけがそこに残っているだけだった。


「終わりだ」


魔戦士は無表情のまま切っ先を勇者に向け、そう言い放つ。
僅かでも動けば斬る、そう言っているのがありありとわかる。

魔戦士の剣が大きく振り上げられる。
そして魔戦士の剣が振られ―――――。

その時、耳をつんざく様な爆音が部屋に響き渡った。

大きく船が傾きだし、部屋にあったものが転がっていく。

勇者はその一瞬のうちに素早く横に転がり、魔戦士との距離を置く。
痛みは強いが動けない訳ではない。

憤り。
ただそれだけの感情しか彼の心の中には無かった。
ドラゴンをあんな風にした魔戦士に対しての。
こんなバカげたことをする魔法の町へ対しての。
そして誰も守れず、目の前にいるドラゴンすら守れない自分に対しての。

勇者の目には怒りの炎のみが灯り、紅蓮に燃え上がっていた。
その目は彼にそっくりだった。
そう、その目は強者と同じ目だったのだ。
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 21:49:20.35 ID:elV8DCpY0
勇者は素早く態勢を立て直し、もう一度魔戦士目掛けて跳んだ。

策がある訳ではない。
何かの罠がある訳ではない。
ただただ怒りという名の大きな波に身を任せ、相手に襲いかかる。
その姿は狂人そのものだった。

そんな攻撃で勝てるはずもなく、魔戦士の蹴りで勇者は玩具の様に地面を転がる。
彼の体は止まることなく転がり続け、檻にぶつかりやっと停止した。

袋叩きにされたような痛みが全身を襲い、意識を朦朧とさせる。


「もう無駄だ」


魔戦士の声はやはり必要以上に冷淡で抑揚の無い声だった。

魔戦士ゆっくりとこちらに向かって歩いてくるのが見える。


「まだだ、まだ終わってねぇ!!」


勇者は大声で叫んでいた。
力を振り絞って立ち上がり、地面に落ちている刀を拾い上げる。
左足は麻痺しているのか感覚がほとんどない。

だがそれでも。
たとえ刺し違えてでも魔戦士だけは殺す。
その一つだけが勇者を動かしていた。
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 21:53:54.47 ID:elV8DCpY0
彼の心を支えているのはやはり怒りだけだった。
今にも折れてしまいそうなオンボロの支柱だけが勇者の心を支えている。

勇者はドラゴンを見た。
ドラゴンはほとんど動いていないが、僅かに聞こえる呼吸の音で生きている事がわかる。

止まっている暇は無い。
そう思い、立ち上がろうとする。

勇者がドラゴンから目を離そうとした時、ドラゴンの口が動いている事に気がついた。
ほとんど声も出ておらず、弱々しくほんの僅かに口が動いている。


「どうした!?」


勇者はとっさに問いかけた。

聞こえているかも分からないが大声で訊ねる。
緊張で声が僅かに上ずってしまった。

ドラゴンの口がもう一度動く。
やはり声は出ず、口だけが僅かに動くだけだった。

だが勇者にはなんと言っているかが分かった。
推測や憶測ではない。
ずっと一緒にいたからこそ、愛する者だからこそ分かるのだ。

逃げろ。
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 21:55:15.46 ID:elV8DCpY0
ドラゴンは一言だけそう言っていた。
彼女は自分を助けてもらう事より勇者が生きる事を願ったのだ。

ドラゴンはそれだけ言うと母親の様に微笑んだ。
この世で最も綺麗で純粋な笑顔。
この世で最も愛する人の笑顔。

勇者は大きく息を吸い、そして吐き出した。
頭の中を綺麗にし、刀を構え直す。

さっきまで沸騰したように熱くなっていた心は今は氷の様に冷たく、水の様に透き通っていた。

簡単な事だ。
勇者がここに来た理由は魔戦士を殺す事ではない。
戦争を終わらせに来た訳でもない。
たった一人。
たった一人の恋人を救いに来ただけだ。

単純で簡単な事をやっと思い出す事が出来た。
やっと理解出来た。

怒りという名の支柱はいつの間にか消え、代わりに新たな支柱が心を支えていた。
名前もわからない、なんと表現していいのか分からない感情。
温かく、包み込むような感情。

勇者は刀を強く握りしめると魔戦士の方を見た。
魔戦士を殺すためではなく、恋人を助ける為に。
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 21:56:52.49 ID:elV8DCpY0
スライム「勇者さん!!」ピョンッ

殺し屋「ん、何しに来たの?」

スライム「この船が沈みます、早く逃げないと危ないです」

殺し屋「まだ終わって無いから邪魔しちゃダメだよ」

スライム「ですけど」

殺し屋「もうそろそろ終わるよ」

スライム「どういう事ですか?」

殺し屋「勇者の顔を見てみなよ」

スライム「……それがどうしたんですか?」

殺し屋「あの顔は何かを悟った顔だよ」

殺し屋「勇者が一撃を入れて魔戦士を殺すのが先か、魔戦士が勇者に止めを刺すのが先か、楽しみだ」

スライム「……」

殺し屋「ハッピーエンドに出来るのかな?」ニコニコ
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 21:58:08.59 ID:elV8DCpY0
魔戦士は僅かに眉をひそめ、勇者をもう一度見た。

さっきまでの怒りに燃えた憎悪の表情というならそれは氷の様な冷えた表情というのだろうか。
とにかく今までとは明らかに違っていた。

魔戦士は無表情のままゆったりとした動作で剣を構えた。

お互いの距離は二メートル。
どちらも一歩踏み出し、得物を振れば、相手に当てられる。

魔戦士はに呼吸を調え、剣を握り直した。

ここもそう長くはない。
そして勇者はすでに手負いだ。
なら勝負を長引かせる必要は無い。

彼は大きく一歩を踏み出すと、剣を大きく振り下ろした。
ゴウッ、という風をも断ち切る様な音をたてながら、剣は勇者目掛けて襲いかかる。

しかし剣は勇者を薔薇の花の様に赤く染める事無く、空振りする。
今さっきまで勇者のいた場所には何も無かった。

短かく、息を吐く音が聞こえた。
ほんの一瞬の、それこそ他の音にかき消されてしまいそうな蚊の泣く様なか細い音。

魔戦士はとっさに膝を曲げ、頭を下げる。
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 21:59:15.27 ID:elV8DCpY0
魔戦士の頭が今まであった所を銀色の閃光が通過していた。
確認する必要もない。
それはまぎれもなく勇者の刀だ。

勇者はそのまま流れる様に自然な動作で今度は剣を斬り上げる。
それはさっきの一撃から一秒すら経っていない、文字通り刹那の一撃だ。

音すら超える速度で死が襲いかかってくる。

魔戦士はとっさに後ろに跳び、その攻撃を回避していた。
目の前を銀色の閃光が通過し、そのあとに風を斬る様な音が響く。

だが勇者の攻撃は終わってはいなかった。

勇者は体を僅かに曲げ、跳躍した。
トンッ、という地面を蹴る乾いた音がしたかと思うと、勇者はすでに魔戦士との距離をゼロにしていた。

勇者は無言のまま、刀を振る。

銀色の閃光が右と左からまるで挟み込むかのように襲いかかってきた。


「な……!?」


魔戦士は気がついた時には声を上げていた。
右から来る一撃と左から来る一撃。
それはどちらも勇者の攻撃だった。
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 22:00:31.93 ID:elV8DCpY0
見切っている。
見切ってはいるが、防御が間に合わない。

まるで花が咲く様に鮮血が美しく飛び散る。

勇者の刀は魔戦士の左の二の腕を深く斬っていた。
だが完全に斬れてはいない。

魔戦士は右からの一撃を剣で弾き、左からの一撃を左手で受け止めていた。

勇者の腹を蹴り、無理矢理に距離をとると、左手を庇いながらも、剣を構え直した。
呼吸は荒く、肩で息をしている。
背中は恐怖と緊張感で汗をかいていた。


「な、何が……!?」


魔戦士はとっさにそう口にした。

確かに勇者は魔戦士が今まで会った中ではトップクラスに強い。
だが魔戦士に及ぶほどの力は持っていなかったはずだ。
なら何故自分の左腕を犠牲にしなければならないほどおされているのだろうか。
何故殺す事が出来ないのか。
魔戦士の頭で様々な憶測が飛び交う。
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 22:01:33.52 ID:elV8DCpY0
「感情は時として実力を覆す、いや感情だからこそ実力を覆すんだよ」


まるで魔戦士の読んだかのように観戦者は言い放った。

観戦者は心底楽しそうに笑いながら魔戦士と勇者を見ていた。
その表情は邪悪の限りを尽くした罪人にも疑う事を知らない無邪気な子供の様に見えた。


「余所見してんじゃねぇよ」


勇者の声は抜き身の刃の様に鋭い声だった。

何故か体が強張り、緊張感がはしる。

勇者は全身のバネを使い、魔戦士目掛けて跳躍する。
音もない。
だが、速度はもはや人間の域を超えていた。
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 22:03:32.49 ID:elV8DCpY0
しかし魔戦士は勝利を確信し、剣を振りかぶっていた。

空中にいる以上方向転換は不可能。
ならば全ての魔力を注ぎ、魔法を発動すれば、十分に勝機がある。

魔戦士は魔法を詠唱する。
風が剣に集束し、巨大な槍と化す。

狙いを定める必要は無い。
逃げられはしないのだから。

魔戦士はそれを勇者目掛けて放った。

轟音が響く。
槍は目の前にあるものを手当たり次第に蹂躙し、破壊し尽くしていく。
壁、床、天井。
あらゆるものが剥がれ、吹き飛び、壊れる。

だが魔戦士は知らなかった。
勇者が一度、魔法を叩き斬った事を。
そして勇者は力を真正面で受け止めず、受け流す事が出来る事を。


「がァァァァァ!!」
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 22:05:37.65 ID:elV8DCpY0
そんな獣の様な咆哮が部屋に響き、魔戦士の胸ぐらが何者かに掴まれる。

そこにいたのは勇者だった。
体中傷だらけで、血が大量に溢れ出ている。
もはや立っている事すらままならない様な状態。

だが勇者はそんな状態でも魔戦士の胸ぐらをつかみ、彼を睨みつける。

魔戦士はとっさに剣を小さく振り、勇者の左手を斬り裂こうとした。

「終わりだ」


抑揚の無い声が響く。

勇者の刀が己の左手もろとも魔戦士の心臓を貫く。
勇者と血と魔戦士の血が混ざり合い、木の床を赤く彩った。

魔戦士は僅かに痙攣し、動かなくなる。


「俺の……勝ちだ……」


勇者は魔戦士から剣を引きぬくと、そのまま地面に膝をつき、吐血した。
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 22:06:11.17 ID:elV8DCpY0
勇者「がっ、げほげほ!!」

スライム「勇者さん!!」

勇者「大丈夫だ、大丈夫……」

殺し屋「うん、最高だったよ」パチパチ

勇者「そりゃ……どうも……」

殺し屋「何言ってんの、まだ終わってないよ」

勇者「……」

殺し屋「お姫様を助け出してこそのハッピーエンドだよ」

勇者「はは……そうだな」

殺し屋「速く行ってあげなよ、鍵はあるから」ポイッ

勇者「……悪いな」パシッ

殺し屋「いいって、いいって、情けは人の為ならずって奴だよ」

勇者「ははっ……」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/03(土) 22:06:49.57 ID:elV8DCpY0
今日はここまでです。

多分明日か明後日で終わりですね。
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 22:10:34.28 ID:X2Jbq+bIO

おもしろすぎる
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/03(土) 22:16:41.64 ID:rb9rDW8A0
乙  超かっこいいな
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/03(土) 22:26:33.65 ID:vyQ0Mha3o
かこええええええええ
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 23:23:17.16 ID:fBLJQYGDO
>>339


終わるのはこの章だよな
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:40:40.83 ID:DgrNB5iV0
勇者「……」フラフラ

勇者「……」ガチャ

ドラゴン「勇者……」

勇者「無事で良か――――――」


ドラゴンが勇者に抱きつく。


ドラゴン「バカ者め、逃げろと言っただろ」

勇者「お前を助けてから逃げるつもりだった」

ドラゴン「バカ者が……」

勇者「ははは……ありがとな」

ドラゴン「お礼を言うのはこっちだ、バカめ、貴様は本当にバカだ」

勇者「かもね……」

暗殺者「早くしないと崩れるよ」

勇者「あ、ああ」

スライム「勇者さん、回復しますから動かないで下さいね」ポワワン

勇者「ああ、悪いな」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:42:08.00 ID:DgrNB5iV0
スライム「いえ、これぐらい当たり前ですよ」

勇者「じゃあ行くかな」


勇者はドラゴンをおんぶする。


ドラゴン「オレは大丈夫だ、歩ける」

勇者「いいからいいから」タタタッ

殺し屋「じゃあ俺はそろそろ行くね」

スライム「一緒に行かないんですか?」

殺し屋「俺は裏社会の人間だよ」

勇者「ありがとな」

殺し屋「あはは、じゃあね」ピョンッ

スライム「急ぎますよ」ピョンピョン

勇者「分かってるって」タタタッ
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:44:15.89 ID:DgrNB5iV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


港の町


イケメン「後は勇者だけか」

暗殺者「あいつなら大丈夫だ」

剣士「そうですよ」

弓兵「そうだな」

金髪「で、でも、あいつ等の船が沈んでからもう一時間も経つんすよ!!」

黒スライム「騒ぐな」

金髪「……」

女勇者「大丈夫ですよ」

金髪「でも……」

剣士「もしかして……」

弓兵「安心しろ」

女勇者「勇者はゴキブリ並みの生命力ですから」

勇者「誰と比較してんだ」スタスタ

女勇者・暗殺者・イケメン・黒スライム・金髪・剣士・弓兵「!?」

暗殺者「ゆ、勇者……だよな?」

勇者「他に誰に見える?」
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:45:49.05 ID:DgrNB5iV0
女勇者「あなたと言う人は……」

ドラゴン「勇者、もうおろしていいぞ」

勇者「ボロボロだったんだからダメだ」

スライム「皆さん無事で良かったです」

弓兵「ああ、本当に良かった」

金髪「勇者さん、俺信じてたっす!!」

黒スライム「さっきまであんなに心配してただろ」

イケメン「やっぱり正義は勝つものだね」

剣士「そうですね」

勇者「あれ、そういえば魔王は?」

剣士「あ、人間達と一緒にいてもお互いに利益は無いからって帰っていきましたよ」

弓兵「魔王は倒したんじゃないのか?」

勇者「最初はそのつもりだったんだけど、いろいろ事情が変わったんだよ」
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:47:33.03 ID:DgrNB5iV0
弓兵「そうか、まあいいいさ」

女大臣「お疲れさまでした」スタスタ

勇者「あ、来てたのか」

女大臣「協力できなくて本当にすいませんでした」

勇者「いいっていいって」

弓兵「終わりでいいんだよな?」

女大臣「はい」

女大臣「では帰りましょうか、城で王様がお待ちです」

勇者「そうだな」スタスタ

暗殺者「そうするか」

ドラゴン「いいからおろせ」ジタバタ

勇者「暴れるなよ」

弓兵「じゃあな、俺は他のハンターの所に行ってくる」スタスタ

スライム「僕も行きます、ありがとうございました」ピョンピョン

イケメン「僕もそろそろ行くね、仲間が待ってるんだ」スタスタ

勇者「ああ、またな」スタスタ
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:48:45.75 ID:DgrNB5iV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





王「おお、戻ったのじゃな」

勇者「魔王の件だけど」

王「そのことは女大臣から聞いておる」

勇者「あ、そう」

女勇者「戦争は終結、でいいんですか?」

王「うむ、戦争はわし等の勝利で終わりじゃ」

暗殺者「魔法の町はどうなったんだ?」

女大臣「その辺りはハンター達に任せてありますので」

暗殺者「そうか」

王「皆無事で良かったのう」

勇者「金髪達はどうしたんだ?」

王「やる事が残っておると言っておったぞ」

勇者「ふーん」

女大臣「女勇者様達はこれからどうなさるんですか?」

女勇者「私はもう少しここに残ってから決めます」
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:49:48.72 ID:DgrNB5iV0
暗殺者「俺も少しここに残ってから決めるかな」

女大臣「そうですか」

勇者「まあ、好きなだけ家に居てくれていいよ」

女勇者「はい、そうするつもりです」

王「夜には町をあげての宴じゃ、お主等も参加するのじゃぞ」

暗殺者「どうする?」

女勇者「楽しそうだし、いいじゃないですか」

ドラゴン「勇者はどうするんだ?」

勇者「まあ、気が向いたら参加するよ」スタスタ

女大臣「そうして下さい」

王「楽しみにしておるのじゃぞ」

勇者「ああ、期待はしとくよ」スタスタ
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:51:30.13 ID:DgrNB5iV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夜   町外れの墓地


勇者「……」スタスタ

剣士「勇者さん……」

勇者「博士の墓ってどれだ?」

剣士「そこの一番右の墓です」

勇者「これか」


勇者はその墓の前に立ち、手を合わせる。


勇者「もう花が供えてあるけど、お前か?」

剣士「いえ、多分イケメンさんだと思います」

勇者「……」

剣士「骨も無かったんで、僅かに残った遺品だけが入ってるんです」

勇者「そうか……」

剣士「気にしないで下さい、博士はきっと望んでああなったんです」

勇者「ああ、そうだな」

剣士「……」

勇者「……」

剣士「じゃ、じゃあ僕戻りますね」タタタッ

勇者「ああ、楽しんでこいよ」
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:52:19.13 ID:DgrNB5iV0
勇者「……」

ドラゴン「参加しないのか」モグモグ

勇者「ああ、人混みは苦手なんだ」

ドラゴン「そうか……」

勇者「悪かったな」

ドラゴン「何がだ?」

勇者「あの……あれだ、連れていかれる時、何も出来なくて」

ドラゴン「……」

ドラゴン「あはははははは!!」

勇者「なんだよ」

ドラゴン「何かと思ったらその事か」

勇者「なんだよ」

ドラゴン「貴様は助けに来てくれただろ」

勇者「まあ、そうだな」

ドラゴン「それだけで十分だ」

勇者「……」
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:56:18.98 ID:DgrNB5iV0
ドラゴン「傷はもう大丈夫なのか?」

勇者「大丈夫じゃなかったら今頃家で寝てるよ」

ドラゴン「そうだな、無用な心配だったな」

勇者「……」

ドラゴン「……」

ドラゴン「勇者」

勇者「ん?」

ドラゴン「キスしてくれ」

勇者「……あのさ、そう言うのって普通言っちゃダメなんじゃないかな」

ドラゴン「なんでだ?」

勇者「普通はムードとかその他いろいろ必要だと思うんだよ」

勇者「今のは明らかにダメだろ、ムードも何もねぇよ」

ドラゴン「そうか?」

勇者「そうだ、よく覚えておくように」

ドラゴン「じゃあ、キスはしてくれないのか……」

勇者「だからなんでそう言う事を口に出しちゃうのかな……」

ドラゴン「よくわからんな……」
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:58:13.56 ID:DgrNB5iV0
勇者「……わかったわかった」


勇者はドラゴンと唇を重ねる。


勇者「……」

ドラゴン「……」

勇者「これでいいだろ」

ドラゴン「ああ」

勇者「いろいろ言いたい事はあるけどまあいいか」

ドラゴン「座っていいか?」

勇者「戻らなくていいのか?」

ドラゴン「貴様と一緒にいたい」

勇者「……急にかわいい事言うな、お前は」

ドラゴン「いいか?」

勇者「いいよ、座れよ」
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 21:59:33.86 ID:DgrNB5iV0
ドラゴンは勇者の横に座る。


ドラゴン「喰うか?」モグモグ

勇者「……初めて会った時は俺があげたんだったよな」

ドラゴン「ああ、覚えてたのか」

勇者「懐かしいな」

ドラゴン「そうか、オレにはつい最近の事みたいだぞ」

勇者「つーか肉しか持ってねぇのかよ」

ドラゴン「いらんのか?」モグモグ

勇者「肉だけはちょっとな」

ドラゴン「……」モグモグ

勇者「……」

勇者「……ちょっと分けてくれ」

ドラゴン「いいぞ」スッ



かくして、一人の勇者の旅が終わりを告げたのだった。
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/04(日) 22:01:06.00 ID:DgrNB5iV0
本編はこれで終わりです。
明日からはスピンオフやら後日談をやっていこうと思います。

で、一番やってほしいものひとつ選んでください。


1、勇者とドラゴンの結婚式  (ドラゴンと勇者の結婚式の話)

2、強者のスピンオフ  (鬱要素高め 強者がまだ人間だった頃のお話)

3、女勇者のとある一日    (女勇者のとある一日)

4、殺し屋のスピンオフ   (勇者達と会う前の殺し屋の物語)

5、弓兵スピンオフ   (弓兵と女大臣の物語)



票の多かった二つを書きます。
その二つが終わり次第、また投票で次の二つを決めていく、と言う方式にしたいと思います。

その他書いてほしいキャラやストーリーがあったら書いといて下さい
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/04(日) 22:04:55.21 ID:rvGw4Sjjo


圧倒的1押し
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 22:06:46.06 ID:DXtfxCo3o

一番やってほしいと言えば当然1かな
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/04(日) 22:07:17.04 ID:q189jrxco
乙!面白かった
1と3がみたいね
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/04(日) 22:14:10.26 ID:ZRJvMHAXo
乙乙!!
1と3キボンヌ
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/04(日) 22:22:24.27 ID:n1w6Tid/0
乙 1と3と4だね
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 22:30:48.38 ID:+1Uxmcv0o
1もいいが4が気になるな…
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/04(日) 22:32:14.42 ID:Mv2uoC8No
4に一票
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/04(日) 22:43:14.77 ID:L02OgtHto
3だな
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 22:45:00.19 ID:yHC99PMZo
1と2で
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/04(日) 23:03:44.01 ID:VoN68eDwo
1よろ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 23:08:26.46 ID:MCvmhnXIO
おつおつ!是非1をおねがいします
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 23:14:03.16 ID:me3RhUdlo
圧倒的3と4
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/04(日) 23:36:27.64 ID:ftbMBxpVo
全部見たいです
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/04(日) 23:47:01.78 ID:sJ407UU3o

全部見たいけど強いて言うなら1
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 23:57:08.35 ID:0b5YVbi1o

これは1だな
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 00:06:41.42 ID:9vcK3M8No
とりま1ですな
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/03/05(月) 00:09:01.46 ID:Ln91SHYjo
1,3一択だけど
ハッピーエンド後に欝はキツイから
欝消化ごに1/3希望でつ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/05(月) 00:22:22.46 ID:tuWmFOLXo
1
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 00:31:12.87 ID:PiY2rh46o
4と3
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/03/05(月) 02:00:45.74 ID:r+uvIdCAO

圧倒的に1と3で
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 02:05:06.29 ID:8KP8T+jGo
俺は2と4が気になる
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 02:30:02.20 ID:znnQ3QUAo
3と5が
ところで一時間もなにしてたの?
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/05(月) 03:21:27.24 ID:79kEor9o0
追いついた。 おかげで数日楽しかったです。
2
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/05(月) 07:10:04.74 ID:/FtR+9Z4o
1と3がいいな
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/05(月) 07:40:32.47 ID:+fiP6LITo
乙んっす
1と3がいいな
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 10:53:45.53 ID:Lr5p3t5IO

4
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/05(月) 11:03:30.26 ID:IXHob3p+o
1と3が読みたいけど順番的には最後のほうがいいのかなあ
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 12:52:05.75 ID:dcLXxNlio
1やな
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 20:32:11.79 ID:kax+CQFyo
4と3、それから博士のスピンオフ
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:37:09.26 ID:xNXIhi030



勇者「は?」

女大臣「ですから、結婚はどうする気ですか?」

勇者「……いやいや、まだ早ぇよ」

暗殺者「ちょうどいい頃合いだろ」

勇者「いや、まだ早いだろ」

女大臣「勇者様、こういうのは早い方が絶対にいいんですよ」

勇者「いや、だってまだ戦争が終わってまだ一か月も経ってねぇぞ」

暗殺者「勇者、ドラゴンに逃げられてもいいのか?」

勇者「逃げられねぇよ!!」

女大臣「で、三日後に結婚式をしようと思うのですが」

勇者「……また急だな」

女大臣「善は急げですよ、勇者様」

勇者「いやいや……」

暗殺者「さっさと決めろよ、面倒臭い」

勇者「つーか、ドラゴンがいないのに勝手に決めていいのか?」

女大臣「その辺は大丈夫です」

勇者「何が大丈夫?」

女大臣「すでにドラゴン様の了承は得ていますから」
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:39:22.45 ID:xNXIhi030
勇者「……なんで俺無しで勝手に計画が進んでんだよ……」

暗殺者「お前に言ったって、文句しか言わんだろ」

勇者「そんな訳ねぇだろ!!」

女大臣「じゃあ三日後に決定でいいですね」

勇者「いやいや、招待客とかはどうするんだよ、そんな急じゃ集まれねぇだろ」

女大臣「大丈夫です、すでに招待状は送ってあります」

勇者「だからなんで勝手に計画が進んでんだよ!!」

暗殺者「そう文句を言うな」

勇者「……もう決定なんだろ」

女大臣「簡単に言えばそう言う事になりますね」

暗殺者「ドラゴンと女勇者と俺でだいたい決めといたんだ」

勇者「……で、俺は何を決めればいいんだ?」

女大臣「細かい事は私達が済ませてありますので、後は衣装とかですかね」

勇者「……そういえば場所は何処の予定なんだ?」

女大臣「この城の一室を使う予定です」

勇者「あ、結構大規模なんだ」

女大臣「呼ぶ人数も多めですし、勇者様の家では無理でしょう」

勇者「無理だね」
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:42:15.06 ID:xNXIhi030
勇者「で、衣裳って俺の?」

女大臣「ドラゴン様のもですよ」

勇者「俺が勝手に決めていいのか?」

暗殺者「後から来る」

勇者「あ、そう」

女勇者「失礼します」ガチャ

ドラゴン「ああ、来てたのか」スタスタ

勇者「来てたのか、じゃねぇよ!!」

ドラゴン「何がだ?」

勇者「いや、ちょっとぐらい俺にも説明してくれよ」

ドラゴン「ああ、すまんな」

勇者「……すまん、じゃねぇよ」

女勇者「今はそんな話は後です」

勇者「いや、後にしちゃダメだろ……」

女大臣「衣装ですが、何か着たいものとかはありますか?」

ドラゴン「ウエディングドレス!!」
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:43:57.74 ID:xNXIhi030
女勇者「いいですね」

女大臣「ウエディングドレスですか、探してきますね」スタスタ

ドラゴン「頼む」

女勇者「楽しみですね」

ドラゴン「ああ」

勇者「なんであんなに盛り上がってるの?」

暗殺者「ウエディングドレスってのは女の憧れだからな、結婚式だって女の為にある様なもんだ」

勇者「……」

勇者「なあ、俺の衣装は?」

女勇者「勇者のはそこにおいてあります」

勇者「俺のはもう決まってんのかよ!!」

暗殺者「男なんてそんなもんだ」

勇者「……」

女大臣「ドラゴン様、来てもらえますか?」

ドラゴン「あ、ああ」スタスタ

女勇者「試着でしょうね」スタスタ

ドラゴン「しちゃく?」スタスタ

女勇者「一度着てみる事です」スタスタ

ドラゴン「ああ、そう言う事か」スタスタ
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:46:17.18 ID:xNXIhi030
勇者「……」

暗殺者「お前も着替えたらどうだ?」

勇者「……そうする」


勇者は近くにあったタキシードに着替える。


暗殺者「……なんだろう、若干異和感がある」

勇者「どこが、そして何が」

暗殺者「何なんだろう、腰に刀をさしてないからかな」

勇者「結婚式だからそんなもん持ってちゃダメだろ」

暗殺者「……変だけどまあ、仕方ないか」

勇者「だな」

暗殺者「やっぱ刀さしとけ」スッ

勇者「……ああ」

女勇者「勇者、来てください」

勇者「え?」

暗殺者「ドラゴンの試着が終わったんだろ」

勇者「ああ、そう言う事か」スタスタ
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:47:55.20 ID:xNXIhi030
ドラゴン「ど、どうだ?」


そこには純白なウエディングドレスを着て天使の様に微笑むドラゴンが立っていた。


勇者「え、あ……いいんじゃねぇかな」

ドラゴン「そ、そうか?」

女勇者「良かったですね」ニッコリ

暗殺者「女勇者、女大臣、ちょっと来てくれ」

女勇者「はい」スタスタ

女大臣「わかりました」スタスタ

勇者「……(二人っきり……)」

ドラゴン「……」

ドラゴン「き、綺麗か?」

勇者「凄く……綺麗だと、思う」

ドラゴン「そうか」

勇者「ま、まあ普段からかわいいし……予想どおりかな」

ドラゴン「それは喜んでいいのか?」

勇者「まあ、俺の予想をはるかに超えた綺麗さだったけど」
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:48:58.72 ID:xNXIhi030
ドラゴン「……」

勇者「……」

ドラゴン「かわいい奴だな、貴様は」ダキッ

勇者「ちょっ、抱きつくな!!」

ドラゴン「いいだろ、たまには」

勇者「お前昨日もそんな事言って人の布団に入って来ただろ」

ドラゴン「嫌か?」

勇者「別に嫌では無いけどさ」

ドラゴン「ならいいだろ」ダキッ

勇者「ああ、分かった分かった」

女勇者「イチャイチャしてないで他の事もさっさと決めて下さい」

勇者「俺がいつイチャイチャした」

女勇者「現在進行形でしてるでしょ」

女大臣「まあ、他に決める事は無いんですけどね」

勇者「……じゃあ何すればいいんだ?」

女大臣「とりあえず、体調管理をしておいて下さい」
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:50:21.41 ID:xNXIhi030
勇者「ああっ!!」

女勇者「なんですか、やかましい」

勇者「ドラゴンの両親に挨拶してない!!」

女勇者「……そう言えばそうですね」

勇者「だろ、挨拶に行っとかないと不味いだろ」

ドラゴン「なら竜王様に会うか?」

勇者「竜王……様?」

ドラゴン「ああ、竜の王様だ」

勇者「何それ、凄ぇ気になる」

勇者「……で、何処に住んでるんだ?」

ドラゴン「竜王様に住処は無いぞ、世界中を飛び回ってるんだ」

女勇者「じゃあ会えないんじゃないですか……」

ドラゴン「ドラゴンの山に行けば大丈夫だ」

勇者「ドラゴンの山?」

女勇者「ドラゴンの村の近くにある山の事です」

勇者「ああ、あそこの事ね」

勇者「これから行ってこれば余裕で間に合うよな」

ドラゴン「そうだな」

女勇者「では準備を……」

勇者「あ、いいよ、俺とドラゴンだけで行ってくるよ、二人の問題だし」

女勇者「……そうですね、そうして下さい」
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:51:20.62 ID:xNXIhi030
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夜 竜の山


勇者「思ったより早く着けたな」

ドラゴン「こっちだ」

勇者「どんどん山奥に入っていってるけど大丈夫なのか?」

ドラゴン「大丈夫じゃなかったら、こんな所には来ない」

勇者「まあ、そうだよな」

ドラゴン「ここだ」


そこには10メートル近くある巨大な門があった。


勇者「……なんだこりゃ」

ドラゴン「オレ達はそっちの小さい門から入るぞ」ガチャ

勇者「メチャクチャ怖いんですけど……」スタスタ

ドラゴン「大丈夫だ、オレがいる」スタスタ

勇者「うん、ありがとう」
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:51:50.60 ID:xNXIhi030
ドラゴン「まずはブラックドラゴンに会わないとな」スタスタ

勇者「何そのブラックドラゴンって」スタスタ

ドラゴン「この辺りで最年長のドラゴンだ」スタスタ

勇者「そんな偉い人に会うのか……」スタスタ

ドラゴン「緊張するな、そこまで怖い人じゃない」スタスタ

勇者「怖い、普通に怖い……」スタスタ

ドラゴン「ここだ」ガチャ

勇者「失礼します」スタスタ


そこには漆黒の鱗を纏った10メートル近いドラゴンがいた。


ブラックドラゴン「……ドラゴンか、今更ここに何をしに来た」

ドラゴン「竜王様に会おうと思ってな、呼んでもらえるか」

ブラックドラゴン「何の用事だ」

ドラゴン「結婚報告だ」

ブラックドラゴン「結婚?」

勇者「は、初めまして、ドラゴンの婚約者の勇者です」

ブラックドラゴン「まさか本当に人間と結婚するのか?」
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/05(月) 21:52:29.54 ID:xNXIhi030
今日はここまでです。

勇者とドラゴンの結婚の後は女勇者の一日をやります。
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/05(月) 21:53:20.18 ID:JFX0vPHzo
にやにや
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/05(月) 22:21:35.93 ID:X1s8g/bBo
始まってる
ニヤニヤ
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/06(火) 00:26:47.19 ID:KREqUOnvo
勇者はもっとデレてもいいと思うの
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/06(火) 00:44:30.71 ID:ynRqffkFo
>>399
もっとデレろよ!と思わせる位がちょうど良いんじゃないか
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 07:17:28.04 ID:A2YaLj4IO
女勇者は割り切ってるようで切ないだろなあ
誰かもらってやってくれ…る適当な人物いないしな
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/06(火) 07:35:13.11 ID:pkcEFbxto
弓兵でも剣士でもイケメンでも・・・いや、愛人の線が残って

自重する。
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/06(火) 08:31:26.02 ID:2i6NtW3w0
乙  勇者無しで決まってるとかwwwwwwww
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 11:09:21.13 ID:wo4y0wuDO
女勇者は勇者と種違いの姉弟なんだし姉として勇者のそばにいるって決意したように感じる
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/06(火) 17:59:00.98 ID:pFkjmIERo
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:44:41.32 ID:a4gumi2M0
ドラゴン「ああ、そうだ」

ブラックドラゴン「……」

勇者(ここで喰われたりしないよな……)

ブラックドラゴン「……いいだろう、竜王を呼ぶ」


そう言うとブラックドラゴンはその場で咆哮した。


勇者「……今のでいいの?」

ブラックドラゴン「ああ、竜の咆哮は千里を駆けるという言葉を知らんのか?」

勇者「知らないです」

ブラックドラゴン「竜王様は速い、すぐに来るだろう」

ブラックドラゴン「……勇者と言ったか、お前は何者だ?」

勇者「え、何者も何も、ただの人間ですけど」

ブラックドラゴン「改造はしてないのか?」

勇者「はい、純粋な人間です」

ブラックドラゴン「……」
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:46:56.43 ID:a4gumi2M0
勇者(……え、なんか不味い事言った?)

ブラックドラゴン「ドラゴン、勇者の何処が良かったんだ?」

ドラゴン「全部だ」

ブラックドラゴン「……そうか」

勇者「あの、純粋な人間だと不味いんですか?」

ブラックドラゴン「いや、ただドラゴンが人間になってまで恋した相手がどんな人間なのかを知りたかっただけだ」

勇者「……」

ブラックドラゴン「いい人間で安心した、ドラゴンを頼むぞ」

勇者「あ、はい」

ドラゴン「良かったな」

勇者「あ、ああ」

勇者(つーかまだ、竜王に会ってねぇのにこんなに緊張して大丈夫なのか……?)

ブラックドラゴン「そろそろ竜王様が来るぞ」

勇者「あ、はい」

竜王「……」バッサバッサ

勇者(でかい……)
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:49:42.11 ID:a4gumi2M0
勇者「あれ、かな?」


そこに降りてきたのは真っ白の鱗を身にまとった全長15メートルほどの美しい竜だった。


竜王「……お主がワシを呼んだのか?」

ブラックドラゴン「はい、ドラゴンが話したい事があるそうです」

竜王「そうか」

竜王「……で、話したい事とは何かな?」

ドラゴン「結婚する事になったから報告しようと思ってな」

竜王「……ほう、お主の様なお転婆娘が結婚か」

勇者「え、知ってるのか?」

竜王「うむ、子供の頃から有名だったからな」

竜王「規律すら守れんお転婆者だった」

勇者「……」

ドラゴン「む、昔の事だぞ!!」

勇者「いや、今もそんなに変わってない」

竜王「人間になりたいなどと言って来た時は、気が狂ったのかと思ったぞ」

ドラゴン「きちんと事情を説明しただろ」

竜王「馬鹿者、あんな滅茶苦茶な説明があるか」

勇者「どういう事?」

竜王「この小娘はワシの所に来て『勇者と結婚するために人間になりたい』とだけ言ったのだ」

勇者「……」
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:51:22.37 ID:a4gumi2M0
ドラゴン「最初っからオレの気持は一つだ、勇者」

勇者「ドラゴン……俺、お前の事だいすきだわ」

ドラゴン「オレもだ」

竜王「……悪いがそのくらいにしてもらえるかな」

勇者「あ、すいません」

ドラゴン「こうして結婚する訳だ、人間になった意味はあっただろ?」

竜王「そうだな、そちらの方もいい人そうだ」

ドラゴン「わかるのか」

竜王「眼を見ればわかる、苦労してきたのだな」

勇者「あ、はい」

竜王「ドラゴンを幸せにしてやってくれ」

勇者「はい」

勇者「……あの、一つ質問があるんだけど」

竜王「何かな?」

勇者「もし、俺とドラゴンの間に子供が生まれたら、どうなるんだ?」

竜王「……そうだな、人間とドラゴンの中間個体が生まれるだろうな」

勇者「中間個体?」

竜王「竜と人間の特徴が合わさったもの、と言えばいいかな」

勇者「それって、いいのか?」

竜王「前例が無い訳ではないが、少ないからな……」

ドラゴン「まあ、生まれてからのお楽しみだな」

勇者「……お前さ」

竜王「……変わらんな、お主は」

ドラゴン「そうか、あははははは!!」
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:53:37.09 ID:a4gumi2M0
竜王「大変かもしれんが、頑張るのだぞ」

勇者「はい」

ドラゴン「ああ、オレ達なら大丈夫」

竜王「……勇者と言ったかな?」

勇者「ああ、そうだけど」

竜王「少しこちらに来てくれるか?」

勇者「え、別にいいけど」スタスタ

竜王「もう少しこっちだ」

勇者「え、はい」スタスタ

竜王「お主もよく知っておると思うが、ドラゴンはああいう奴だ、頼むぞ」ヒソヒソ

勇者「あ、はい」

竜王「ドラゴンは世間知らずで馬鹿で無鉄砲で無計画なお転婆娘だが……」

勇者「はい、十分に分かってます」

竜王「……そうか、まあお主なら大丈夫そうだ」

勇者「どうも……」

竜王「それと、これはワシからの結婚祝いだ」スッ
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:55:26.53 ID:a4gumi2M0
勇者「……これですか?」

竜王「うむ、竜の体の一部で作られたペアリングだ」

勇者「よくこんなの作れたな……」

竜王「ワシの古くからの友人に頼んだのだ」

勇者「……ドラゴンと俺が結婚すると思って作っといてくれたのか?」

竜王「まあ、可能性があればの話だったがな」

勇者「そこまでドラゴンの事を?」

竜王「あいつには幸せになってもらいたいからな」

勇者「ありがとうございます」

竜王「仲良く暮らせよ」

勇者「はい」

ドラゴン「何の話だ?」

勇者「お前の話」

ドラゴン「変な事話してないだろうな」

竜王「安心しろ、そんな事言っておらん」

ドラゴン「……勇者、そろそろ帰るぞ」

勇者「あ、ああ」

竜王「ワシが送っていこう、背に乗れ」

勇者「いいの?」

竜王「かまわん」
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/06(火) 21:55:59.84 ID:wuaUNEVHo
すげぇいいお父さん
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:56:25.63 ID:a4gumi2M0
ドラゴン「久々だな、空を飛ぶのは」

勇者「……」


ドラゴンと勇者は竜王の背中に乗る。


竜王「では行くかな」バッサバッサ

ドラゴン「おお、高い高い」

勇者「……後悔してないのか?」

ドラゴン「何がだ?」

勇者「……その、人間になった事」

ドラゴン「……オレはお前と一緒ならそれでいい」

勇者「……そうか」


勇者はドラゴンに後ろから抱きつく。


ドラゴン「ん、どうした?」

勇者「いや、風が冷たいから……」

ドラゴン「仕方ないな」

勇者「うん、ありがとう」
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:58:57.33 ID:a4gumi2M0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町   夜


勇者「普通に帰ってこれたな」

ドラゴン「帰ってこれなかったら困るだろ」

勇者「まあ、そうだよな」

ドラゴン「もう帰るか?」

勇者「……それはどういう意味?」

ドラゴン「いや……その、な」

勇者「まあ、この旅が終わったらって約束だったもんな」

ドラゴン「そうだな……」

勇者「ドラゴンがそうしたいならいいよ」

ドラゴン「勇者はどうだ?」

勇者「お前なら、いいかな」

ドラゴン「……」///

勇者「で、どうする、行くの?」

ドラゴン「い、行くか」///
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 21:59:33.30 ID:a4gumi2M0
勇者「確か、あっちに宿屋があったよな」

ドラゴン「頼むぞ、勇者」

勇者「いや、俺だってわかんねぇぞ」

ドラゴン「オレだって分からんぞ」

勇者「……」

ドラゴン「どうする?」

勇者「どうしよう……」

ドラゴン「じゃあ誰かに――――」

勇者「お願いだからそれはやめて」

ドラゴン「……そうか」

勇者「まあ、流れとかでなんとでもなるだろ」スタスタ

ドラゴン「じゃあ、そうと決まれば、早く行こうぜ」ダキッ

勇者「……はいはい」スタスタ

ドラゴン「優しく頼むぞ」///

勇者「最初っからそのつもり」
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 22:01:04.97 ID:a4gumi2M0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


朝  勇者の家


勇者「……」ガチャ

ドラゴン「……寝てるか?」

勇者「た、多分、大丈夫だと思うけど」スタスタ

女勇者「あ、帰ってたんですか」

勇者「……お、女勇者」

ドラゴン「ただいま」

女勇者「早いですね」

勇者「ま、まあな」

女勇者「夜通し歩いて来たんですか?」

勇者「あ、ああ、早く帰ってこないと悪いだろ」

女勇者「……そうですか」

勇者「もう決める事とか無いのか?」

女勇者「無いですね」

勇者「そうか、ドラゴン、今日どうする?」

ドラゴン「女勇者と買い物に行く」

女勇者「言っておきますが、私は毎日買い物に行ってる訳ではないですよ」
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 22:02:10.86 ID:a4gumi2M0
勇者「俺はどうしようかな、散歩でも行ってこようかな」

女勇者「……寝なくて大丈夫なんですか?」

勇者「え?」

女勇者「ですから、夜通し歩いて来たんでしょう?」

勇者「あ、ああ、えーと……」

ドラゴン「オレも勇者も若いから大丈夫だ、あははははは!!」

女勇者「ですが……あまり無茶すると結婚式で体を壊しますよ」

勇者「あ、えーと……」

妹「あ、おかえり!!」タタタッ

勇者「あ、ただいま」

勇者(ナイス、妹!!)

妹「どうだった」ダキッ

勇者「別にどうって事もないけど……」

妹「あれ、お兄ちゃんお風呂入ったの?」

勇者「え?」

妹「シャンプーの匂いがするよ」

勇者「ん?」

女勇者「え?」
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/06(火) 22:04:05.18 ID:a4gumi2M0
今日はここまでです。
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/06(火) 22:04:14.16 ID:5N2/QN5to
爆発しろ!
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/06(火) 22:04:59.20 ID:4Pb4GZuio

どうしてキングクリムゾンしたし…
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 22:31:04.37 ID:wA1zG1WIO
オレの街でもドラゴン捕まんないかな…
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/06(火) 23:39:33.26 ID:+sI3CIkyo


ドラゴンって最初から雌の個体だったのな
気づかんかった
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 07:09:26.22 ID:CbP+20mIO
妹だけに
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/07(水) 10:31:01.63 ID:ESuy3H1Lo
残る懸念は勇者のクズ親だけだな
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/07(水) 13:25:17.74 ID:iTnl5Gfao
勇者のデレキター
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/07(水) 13:40:06.34 ID:2do5H9cto
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:46:52.07 ID:KEjM58320
ドラゴン「……」

勇者「……」

女勇者「夜通し歩いて来たんじゃないんですか?」

ドラゴン「それはだな……」

勇者「……本当は、明け方に竜王様に乗せてきてもらったんだ」

女勇者「ならなんで最初っからそう言わないんですか」

ドラゴン「女勇者も竜王様に乗ってみたかったんなら、言っちゃ悪いだろ」

女勇者「なんで私が竜王に乗りたいなんて言う勇者みたいな痛い子になってるんですか」

勇者「おい、誰が痛い子だ」

金髪「勇者さん、今日暇っすか?」ガチャ

勇者「……あ、ああ、暇だ」

勇者(よし、これで逃げられる)

金髪「他の奴等が勇者さんのお祝いをしたいって言ってるんすよ」

勇者「なんだそりゃ……まあいいや、ちょっと行ってくるな」

女勇者「はい、わかりました」
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:48:30.65 ID:KEjM58320
金髪「実は昨日の夜に見た時に言おうと思ったんすけど、ちょっと雰囲気違ったからやめといたんすよ」

女勇者「見間違いじゃないですか?」

金髪「何でですか?」

女勇者「勇者とドラゴンは今日の朝帰って来たんですよ」

金髪「え、でも――――」

勇者「行くぞ、金髪!!」グイグイ

金髪「ちょっ、痛いっす、引っ張らないで下さいよ!!」

女勇者「どういう事ですか?」

ドラゴン「あ、あいつバカだから」

女勇者「まあ、そうでしょうね」

ドラゴン「……」

女勇者「ドラゴン?」

ドラゴン「な、なんだ?」

女勇者「勇者に口止めされましたね?」

ドラゴン「な、何の事だ、オレは何も知らんぞ?」

女勇者「……まあいいです、だいたい見当はついてますから」

ドラゴン「ほ、本当か!?」

女勇者「……」

ドラゴン「あ……」
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:49:58.15 ID:KEjM58320
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夕方


勇者「ただいま」スタスタ

暗殺者「ああ、おかえり」

勇者「……妹と女勇者とドラゴンは?」

暗殺者「買い物に行ったぞ、今日はお赤飯なんだって張り切ってた」

勇者「結婚祝い……にして早過ぎないか?」

暗殺者「さあな、でもおめでたい事があったんじゃないか?」

勇者「なんだろう」

暗殺者「俺に聞くな」

父親「ただいま」ガチャ

勇者「今日も出掛けるのか?」

父親「ああ、そう言えばお前の結婚式は明後日だったよな」

勇者「そうだけど」

父親「酒が出るなら行こうと思うんだが、どうなんだ?」

勇者「俺は知らん」

暗殺者「残念ながら出ない」

父親「……そうか、なら行かないな」

勇者「勝手にしろ」
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:51:21.16 ID:KEjM58320
父親「なら出掛けてくる」スタスタ

勇者「別に一々言わなくていいよ、分かってるから」

暗殺者「いいのか、肉親だろ?」

勇者「いつもの事だし、別に来なくても問題ないだろ」

暗殺者「確かにあの方があの人らしいか……」

勇者「だろ」

暗殺者「……それにしても遅いな」

勇者「そろそろ帰ってくるだろ」

暗殺者「やっぱり結婚祝いなのか?」

勇者「さあ、俺に聞かれても……」

暗殺者「心当たりとか無いのか?」

勇者「無いな、一切無い」

暗殺者「そうか」

妹「ただいま」スタスタ

勇者「あ、おかえり」

女勇者「今日はお赤飯ですからね」
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:53:26.85 ID:KEjM58320
勇者「……なあ、なんでお赤飯なんだ?」

女勇者「あなたが一番よくわかっているでしょう?」

勇者「俺?」

ドラゴン「……」

勇者「……」

勇者「……」ガクッ

暗殺者「どうした?」

勇者「何でも無い、何でも無い……」

女勇者「あれですよ、ドラゴンと勇者があれでああなった訳です」

暗殺者「……ああ、そう言う事ね」

勇者「なんでこう簡単に情報が漏れていくのかな……」

ドラゴン「すまんな、バレちゃったんだ」

勇者「もういいよ、朝の時点でもうバレる寸前だったし」

女勇者「そうですね」

勇者「誰のせいだと思ってんだよ!!」

女勇者「主に金髪ですね」

勇者「そうだな、だいたいあいつが悪い」
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:55:22.27 ID:KEjM58320
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の部屋


勇者「ああ、疲れた……」

ドラゴン「そうだな」

勇者「主に昨日の事だけどな」

ドラゴン「あはは、別に隠す事でもないだろ」

勇者「そう言うと思ってた」

ドラゴン「怒ってるか?」

勇者「別に、怒るほどの事でもないだろ」

ドラゴン「……明後日か」

勇者「そうだな」

勇者「長い様で、短い様で……」

ドラゴン「何の事がだ?」

勇者「お前と会ってからの事だよ」

勇者「最初は檻越しだっただろ、で、今はこうして結婚までいった」

ドラゴン「どんな気持ちだ?」

勇者「どんな気持ちって……」
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:57:43.30 ID:KEjM58320
勇者「素直にうれしいけど、お前はどうだ?」

ドラゴン「オレもだ」

勇者「そうか」

ドラゴン「知ってるか、竜の恋と人の恋は違うんだ」

勇者「そうなのか」

ドラゴン「オレもうまくは説明できんが竜は人間ほど他人を愛したりしないんだ」

勇者「でも竜王はお前の事……」

ドラゴン「あれは恋というよりも、父親的な心配だろう?」

勇者「確かに」

ドラゴン「オレもそうだった」

ドラゴン「所詮は他人だ、そんなものを愛する時が来るなんて思ってなかった」

勇者「……あの時の何がお前をそこまで動かしたんだ?」

ドラゴン「生き方、だろうな」

勇者「生き方?」

ドラゴン「ああ、お前の生き方は美しかった、それこそ竜であるオレが惚れるくらいに」

勇者「……」

ドラゴン「それから、お前と一緒にいるうちにもっと好きになった」

勇者「そうか……」
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 21:58:50.82 ID:KEjM58320
ドラゴン「貴様はどうだ?」

勇者「俺は……会った時は竜として好きだった」

勇者「ただ、ずっと一緒にいるうちに、っていうか武器の町でお前が好きなんだって気付いたかな」

ドラゴン「そうか」

勇者「……なんでこんな話してるんだ?」

ドラゴン「たまにはこういう話もいいだろ」

勇者「そうか、そうだな」

勇者「……じゃあ寝るか」

ドラゴン「そうだな」

勇者「よいしょ、っと」ゴロン

ドラゴン「そこはオレの布団だぞ」

勇者「いつもはお前が俺の布団に来てたから、今日は俺がお前の布団に行く」

ドラゴン「……何も変わらなくないか?」

勇者「……そうなんだけどさ」

ドラゴン「まあ、いいか」ゴロン

ドラゴン「……やっぱり――――」

勇者「いや、俺の気持ち的には全然違うから」
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 22:00:11.63 ID:KEjM58320
ドラゴン「どういう風にだ?」

勇者「なんていんだろ、積極的になった感じ?」

ドラゴン「……よくわからんな」

勇者「わかんなくていいよ」

ドラゴン「いいのか?」

勇者「俺もなんて言えばいいかわかんないし」

ドラゴン「とりあえず言ってみろ」

勇者「……絶対笑うなよ」

ドラゴン「笑わんよ」

勇者「いつもは襲われてたけど、今日は襲いにきた、みたいな?」

ドラゴン「……あはははははは!!」

勇者「テメェ!!」

ドラゴン「勇者、くすぐるな、あははははは!!」ジタバタ
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/07(水) 22:01:07.01 ID:KEjM58320
今日はここまでです。

なんだかんだ言ってもメイン四人は仲良しですね。
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/07(水) 22:02:10.00 ID:tC50wEJNo

砂糖吐きながら壁を殴るのは辛い
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/07(水) 22:07:19.49 ID:Zi0AN14R0
乙  仲いいなぁ
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/07(水) 22:10:30.65 ID:Xn3gv/oto


壁殴り代行3時間お願いします!
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 22:31:39.72 ID:hO1mE3NIO


あれ?俺が今殴ってる壁がゆがんで見えるぞ?なんでだ?
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 23:13:33.31 ID:jEkb46IIO
くそがあ
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 00:24:07.92 ID:lsrcGDmMo
くそぉ!
勇者と殺し屋のイチャイチャとか
勇者と女勇者のいちゃイチャも見たい!
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/08(木) 06:10:24.90 ID:EV8jXr4DO
>>442
同意
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 07:13:25.96 ID:sDsaveXIO
一回くらい女勇者と勇者のスクロスあってもええやん
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/08(木) 07:34:46.77 ID:lplAU0eUo
>>440
ついに代行屋としての資質に目覚めたか…
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 09:36:40.88 ID:A5uVtS5IO
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) :2012/03/08(木) 17:51:01.32 ID:IwSw3uep0
女勇者ルートと殺し屋ルートと暗殺者ルートも書いて、そのあとにハーレムルートも見たい
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 21:50:08.66 ID:Q7PmXZZc0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日    


勇者「おはよう」スタスタ

女勇者「おはようございます」

女勇者「ドラゴンはどうしたんですか?」

勇者「まだ寝てる」

女勇者「そうですか」

暗殺者「おはよう」スタスタ

妹「みんなおはよう!!」タタタッ

勇者「おはよう」

女勇者「おはようございます」

暗殺者「いよいよ明日だな」

勇者「ああ、明日だ」

女勇者「あ、そう言えばあなた宛てに手紙が届いてますよ」
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 21:52:09.14 ID:Q7PmXZZc0
勇者「誰から?」

女勇者「剣士からです」スッ

勇者「なんだろう……」


『勇者さんへ
 結婚おめでとうございます。
 話したい事があるので、町の宿屋に来ていただけないでしょうか。
 結婚式前日というのは十分分かっています。
 時間もそこまでかからないので、来てください。
 もしよろしければ、女勇者さんも来てください。  
          剣士』


女勇者「何の手紙ですか?」

勇者「今日、宿屋に来てほしいって、お前も来れたら来てほしいって書いてあるけど、行くか?」

女勇者「私もですか……なんの事でしょうかね?」

勇者「多分重要な事なんだろ」

女勇者「でしょうね、こんな時期に来てほしいという事ですから」

勇者「で、行くのか?」

女勇者「ええ、私も行きます」

勇者「ああ、わかった」

ドラゴン「おはよう」スタスタ

勇者「あ、おはよう」
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 21:54:16.90 ID:Q7PmXZZc0
勇者「じゃあ、朝飯食い終わったら行くか」

女勇者「そうですね」

ドラゴン「ん、何処に行くんだ?」

勇者「剣士が話があるんだってさ」

ドラゴン「何の話だ?」

勇者「さあ、特に何も書いてないからな……」

ドラゴン「……オレも行っていいか?」

勇者「いや、ダメだろ、呼ばれたのは俺と女勇者なんだし」

ドラゴン「……そうか」

勇者「ああ、今日は我慢しろ」

ドラゴン「そうする……」

勇者「そんなに長い話じゃないらしいからすぐに帰ってくる」

ドラゴン「わかった」

女勇者「とりあえず、朝食を食べて下さい、冷めますから」

勇者「ああ」

ドラゴン「わかった」
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 21:55:18.81 ID:Q7PmXZZc0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


宿屋前


勇者「何の話なんだろう……」スタスタ

女勇者「もうそろそろ会えるんですから、直接聞いて下さい」スタスタ

勇者「そんな事分かってるよ」ガチャ

剣士「あ、お久しぶりです」スタスタ

勇者「久しぶり」

女勇者「久しぶりですね」

剣士「突然で悪いんですが、部屋に来てもらえませんか?」

勇者「ここで話すんじゃないのか?」

剣士「はい、部屋で待ってる人もいるので」

女勇者「なら、早く行きましょうか」

勇者「そうだな」

剣士「こっちです」スタスタ

女勇者「誰なんでしょうか……」スタスタ

勇者「さあ、でもだいたい見当はついてるだろ……」スタスタ

女勇者「はい、だいたいなら」スタスタ
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 21:58:19.25 ID:Q7PmXZZc0
剣士「ここです」ガチャ

勇者母「久しぶりね」

勇者「……久しぶり」

女勇者「お久しぶりです」

勇者「やっぱり俺達を呼んだのはあんただったのか」

剣士「やっぱり?」

勇者「俺と女勇者を呼んだ時点でだいたい見当はついてた」

勇者母「そうね……」

勇者「で、何の話?」

勇者母「まずは結婚おめでとう」

勇者「ありがとう」

勇者母「それで私にも招待状が来たんだけど、私も行ってもいいの?」

勇者「どういう事だ?」

勇者母「ほら、私はあなた達に嫌われてるでしょ、なら行かない方がいいのかなって……」

勇者「そんな事を聞くためにわざわざ呼んだのか?」

勇者母「ええ」

勇者「……」

勇者母「……」
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 22:03:00.34 ID:Q7PmXZZc0
勇者「あのさ、まずあんたは来たいの、来たくないの?」

勇者母「私は行きたいわ、でも――――」

勇者「なら、来ればいいじゃん」

勇者母「いいの?」

勇者「俺もドラゴンもそんな事気にしないから」

勇者母「……ありがとう」

勇者「だいたい母親が結婚式に来るのは普通だろ」

女勇者「そうですね、普通は来るものです、許可なんて要りません」

勇者母「ありがとう……」

勇者「別に俺も女勇者もあんたの事嫌いじゃないからさ」

女勇者「そうですね、その自虐的な性格はそこまで好きではありませんが、別に嫌いではないです」

勇者母「でも私はあなた達を放っといて――――」

勇者「だからそう言う自虐的なのをやめろって言ってるの」
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 22:04:35.71 ID:Q7PmXZZc0
勇者母「じゃあ、明日行くわね、ドラゴンさんにもよろしく言っておいて」

勇者「ああ、そうするよ」

勇者母「あと、これなんだけど、ドラゴンさんに渡してくれる?」スッ

勇者「……ネックレスをか?」

勇者母「私が使ってたものだけど、よかったら……」

勇者「喜ぶと思う、ありがとな」

勇者母「そう、うれしいわ」

勇者母「あと女勇者にも」スッ

女勇者「私は結婚してませんよ」

勇者母「いいのよ、こんなネックレスでよかったら」

勇者母「女の子なんだからアクセサリーの一つは持っておいた方がいいと思うの」

女勇者「ありがとうございます」

勇者「じゃあそろそろ帰るわ、剣士もちゃんと来いよ」スタスタ

剣士「あ、はい」

女勇者「では、また明日」スタスタ

勇者母「ええ、また明日」

勇者「母さん、明日絶対来いよ」

女勇者「はい、母さんが来てくれないと勇者の親族が妹だけになっちゃいますから」

勇者母「……ええ、そうするわ、絶対行くわね」
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/08(木) 22:06:43.68 ID:Q7PmXZZc0
今日はここまでです。

もう少し勇者と女勇者の話が続きます。
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/08(木) 22:10:47.70 ID:fbZlXdp0o
乙れ
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/08(木) 22:39:14.35 ID:2WPE3cqOo
もつーん
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/03/09(金) 09:42:08.87 ID:4vKH+S8ho

あのクズ父に比べれば罪の意識はある分母のがまだましか
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/09(金) 16:13:38.34 ID:IIEv7T59o
おつー
絵とか描いてみたいんだが、作者さん良いでしょうか?
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/09(金) 16:57:37.87 ID:zW9wcelwo
やめろ
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 17:26:29.08 ID:myIGhGUTo
たのむからやめてくれ
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/09(金) 17:30:48.98 ID:IIEv7T59o
すごい嫌われようだ…すいませんでした
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/09(金) 17:51:24.41 ID:2ayEOjuto
Pixivあたりに上げといてたら見に行くよ
タグはスレタイな

しかしアレだ、作者に聞いてんのに外野が騒ぐってどうよ
無断でいきなり上げるならともかく質問してんのに
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/09(金) 18:15:13.80 ID:pL/uMmnYo
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 18:54:46.20 ID:CXkUjv6IO
煽るなよ
絵師様には拒否感が強いってのがSS読みによくあることなのは反応から察しろ

絵師様うんぬんは荒れるからやめてくれ

ちなみに私は絵師様には賛成でも反対でもない
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 21:14:25.43 ID:VMEoN3/zo
文章から想像するイメージってのもそれぞれだから壊されたくないんだろね
作者が描くものなら例外だが

気にすんな
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 21:43:41.02 ID:0uaZx17f0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


飯屋


勇者「飯屋で食事するのなんて初めてだな……」

女勇者「それはあなただけです」

勇者「そ、そうか……」

女勇者「なんで飯屋でそこまで緊張してるんですか」

勇者「だって酒場と全然感じが違うじゃん」

女勇者「……やっぱりあなたはいろいろな事を経験しておく必要があるようですね」

勇者「そうか、世間の黒い部分はだいたい経験したと思ってたんだけど」

女勇者「戦争終結に尽力した英雄とは思えない台詞ですね」

勇者「結果的に戦争を止めれただけであって、俺の目標は最初っからお前とドラゴンの救出だから」

女勇者「あなたは本当にバカですね」

勇者「何がだよ」

店の人「昼食セットです」コトッ

勇者「あ……どうも……」

女勇者「あ、ありがとうございます」

女勇者「まず、あんな少人数で敵の本拠地に突入すること自体バカ極まりないです」モグモグ

勇者「別に他の部隊も戦ってた訳だから、別に少数って訳でもないだろ」モグモグ

女勇者「何言ってるんですか、あの船に乗り込んだのはあなた達だけですよ」モグモグ

勇者「まあ、そうだけどさ」モグモグ
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 21:45:01.32 ID:0uaZx17f0
女勇者「それにヒノキの棒で戦うなんてバカそのものです」モグモグ

勇者「ヒノキの棒なめてると痛い目みるぞ」モグモグ

女勇者「勝手に言ってて下さい」モグモグ

勇者「それにお前との戦いだけだぞ、ヒノキの棒使ったの」モグモグ

女勇者「……もしあの時私が正気に戻って無かったら死んでたかもしれませんよ」モグモグ

勇者「そうだな、死んでたかもしれない」モグモグ

女勇者「死んでたかもしれないって……」

勇者「でも生きてるんだからいいだろ」

女勇者「そうですが……私はあなたの事が心配だから――――」

勇者「それにお前の事は信用してたし」

女勇者「……あなたは私が元に戻るという確信があったんですか?」

勇者「そりゃまあ、仲間だし」

女勇者「甘いですね、本当に甘いです」

勇者「何がだよ」

女勇者「あなたは仲間や知り合いや困った人にとことん甘いですね」

勇者「そうか?」

女勇者「そうです」
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 21:47:01.26 ID:0uaZx17f0
女勇者「甘過ぎるといつか身を滅ぼしますよ」

勇者「……でもそんな事言われても俺は変える気は無いよ」

女勇者「そう言うと思ってました」

女勇者「それにあなたの生き方は嫌いではありませんよ」

勇者「お前だって甘いもんな」

女勇者「そうですね」

女勇者「まあ、ヒノキの棒で戦いを挑むのはやはりどうかと思いますがね」

勇者「泣いたくせに」

女勇者「だ、誰がですか!?」

勇者「いや、泣いただろお前」

女勇者「な、泣いてなどいません、あれはちょっと……」///

勇者「ちょっと?」ニヤニヤ

女勇者「黙りなさい!!」///

勇者「女勇者、声大きい」

女勇者「だいたいあれは仕方なかったと言いますか、なんと言いますか……」

勇者「わかったわかった」

女勇者「言っておきますがあれは悔し涙ですからね」

勇者「知ってるし、それ以外の涙だったら俺は対処出来ねぇよ」
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 21:51:25.23 ID:0uaZx17f0
女勇者「……誰にも言わないで下さいね」

勇者「言わねぇよ」

女勇者「……ありがとうございます」

勇者「別にいいよ、あんときは俺だって下手したら泣いてたし」

女勇者「ドラゴンを助けた時も泣かなかったんですか?」

勇者「ああ、お前の時もドラゴンの時も、先に泣かれちゃったからさ」

女勇者「ドラゴンも泣いたんですか?」

勇者「いや、でも俺が泣いてたら一緒に泣いちゃってたと思う」

女勇者「じゃあ結局一回も泣かなかったんですか」

勇者「泣かなかった」

勇者「それに男の涙ってかっこ悪いだろ」

女勇者「古い考え方ですね」

勇者「誰が何と言おうと男の涙はかっこ悪い」

女勇者「……あの時、泣かせてくれてありがとうございます」

勇者「……」

女勇者「……」///

女勇者「い、行きましょうか、ドラゴンが待ってるんでしょう?」スタスタ

勇者「ああ、そうだな」スタスタ
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 21:52:44.86 ID:0uaZx17f0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の家


勇者「ただいま」ガチャ

ドラゴン「おかえり」

勇者「これ、母さんがお前にだって」スッ

ドラゴン「ありがとう」

勇者「明日結婚式に来るからお礼言っとけ」

ドラゴン「ああ、わかった」

ドラゴン「勇者、似合うか?」

勇者「似合ってる似合ってる」

女勇者「……ドラゴン、少し来てもらえますか?」

ドラゴン「別にいいぞ」

女勇者「勇者は来ないで下さいね」

勇者「言われなくても行かねぇよ」

女勇者「こっちです」ガチャ

ドラゴン「ああ」スタスタ
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 21:57:08.57 ID:0uaZx17f0
女勇者「出来ましたよ」スッ


それは銀色でのブレスレットだった。


ドラゴン「おお、凄いな」

女勇者「昨日届きました」

暗殺者「仕事が早いな」スタスタ

女勇者「武器職人が作ったんですから当たり前です」

暗殺者「俺がそんなガラクタ作る訳無いだろ、ってあんなに文句言ってたのに結局作ってくれたんだもんな」

女勇者「素直じゃないんですよ」

暗殺者「まったくだ」

女勇者「ドラゴン、あなたが持っておいて下さいね」

ドラゴン「ああ、明日渡せばいいんだよな」

女勇者「はい、その通りです」

暗殺者「やっぱり綺麗だな」

ドラゴン「綺麗じゃなきゃ困るだろ」

暗殺者「……まあ、そりゃそうか」

ドラゴン「喜ぶといいな」

暗殺者「お前からのプレゼントなら喜ぶだろ」

ドラゴン「オレからじゃなくて、オレ達からだ」

女勇者「……ふふっ、そうですね」

暗殺者「ああ、喜んでくれるだろ」
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 22:00:06.27 ID:0uaZx17f0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日   教会


暗殺者「……結局刀は持ったままかよ」

勇者「うるせぇ、お前がその方がいいって言ったんだろ」

暗殺者「うん、まあ、いいんじゃない?」

女勇者「どうするか分かってますか?」

勇者「知ってるよ」

女勇者「なら安心です」

勇者「で、ドラゴンは何処だ?」

女勇者「今いる訳ないじゃないですか……」

勇者「わ、わかってる!!」

女勇者「絶対分かってなかったでしょ」

女勇者「では私は仕事があるので」スタスタ

勇者「もう始まるぞ」

女勇者「そんな事わかってます、バカなんですか?」

勇者「……」

暗殺者「そろそろ始まるぞ、勇者」ニヤニヤ

勇者「わかってるよ!!」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 22:02:30.70 ID:0uaZx17f0
勇者「……ここで待ってればいいんだよな」

暗殺者「間違っても、刀振り回したりすんなよ」

勇者「俺は何処の野蛮人だ」

イケメン「君ならやりかねないだろ」

勇者「……なんでお前いるの、呼んでないんだけど」

イケメン「弟の結婚式に来るのは普通の事だろ?」

勇者「黙れ、そして帰れ」

イケメン「嫌だね」

勇者「……」

勇者「それより神父は何処だ?」

女大臣「私です」

勇者「お前かよ!!」

女大臣「結婚費用を浮かせるためです」

勇者「あ、そうなんだ……」

ガチャ

女勇者「……」スタスタ

ドラゴン「……」スタスタ

勇者「なんであいつがエスコートしてるの?」ヒソヒソ
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 22:04:31.92 ID:0uaZx17f0
暗殺者「あいつが一番向いてるだろ」ヒソヒソ

勇者「まあ、そうか……」ヒソヒソ

暗殺者「いいからドラゴン迎えに行け」ヒソヒソ

勇者「あ、ああ」スタスタ


勇者はドラゴンをエスコートしていく。


金髪「勇者さん……やっぱりかっこいいっす!!」

黒スライム「それしか言う事が無いのか……」

スライム「綺麗ですね」

弓兵「幸せな奴を見るのはやっぱりいいもんだな」

師匠「そうですね、若い人は輝いてるくらいが丁度いいです」

剣士「勇者さん……」

勇者母「二人とも凄くいいわね……」

王「うむ、いい顔つきじゃ」

女大臣「勇者様、あなたはこれからドラゴンを守っていくと誓いますか?」

勇者「誓います」

女大臣「ドラゴン様、あなたはこれから勇者様を支えていくと誓いますか?」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 22:07:36.13 ID:0uaZx17f0
ドラゴン「ああ、誓う」

女大臣「そうですか」ニッコリ

女大臣「では勇者様、指輪を出して下さい」

勇者「ドラゴン、これ」

ドラゴン「竜の指輪……どうしたんだ、これ!?」

勇者「竜王様からもらったペアリングだ」

勇者「お前のはこっち」スッ

ドラゴン「ありがとう……」

勇者「お礼は竜王様に言ってくれ」

ドラゴン「分かってる、ただ貴様にも言っておきたかっただけだ」


勇者とドラゴンは互いの指に指輪をはめる。


女大臣「では、誓いのキスを」

ドラゴン「いつもの感じでいい」

勇者「言われなくても分かってるよ」


勇者はドラゴンと唇を重ねる。


暗殺者「いいじゃん」ニヤニヤ

イケメン「いいものだね」

女勇者「ドラゴン、綺麗ですよ」

弓兵「いいぞ、二人とも」

金髪「かっこいいっす!!」

勇者「うるせぇ!!」
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/09(金) 22:17:47.56 ID:0uaZx17f0
今日はここまでです。

>>459 俺としては別に書いてもらって全然構わないんですが、やっぱりそれぞれイメージを持っているので、もし描くなら>>463さんの言うようにピクシブか何かに上げてもらい、タグにスレタイを入れといてください。荒れる原因にならない様にスレにURLは絶対に張らないでください。

もし見たい人がいるのなら自分で検索して見るようにしてください。(自己責任でお願いします)

あとキャラクターの身体的特徴や年齢はある程度書いてあるので、そこは守ってください。



ドラゴン ・巨乳 ・赤髪 ・むちむち

女勇者  ・貧乳 ・ペチャパイ ・Aカップ

暗殺者  ・中性的 ・ナイフ 

殺し屋  ・茶髪  ・鉈

などです。 
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/09(金) 22:19:03.27 ID:M9MJmam3o
2828
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/09(金) 23:03:49.92 ID:MuBQgL9Ko
>>477
女勇者の特徴...
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 23:08:49.85 ID:RRP2zXVbo
今更気付いたが、勇者とイケメンの確執はどうなったのだろう
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 23:18:50.33 ID:u3caGd4io
>>480
単なる考え方の違いだし気にして無いんじゃないか?
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/10(土) 01:00:04.28 ID:vEHFcPK+o
戦争中に善悪が簡単に逆転するのを目の当たりにして、イケメンが考え方を軟化させたとか
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/10(土) 03:46:18.29 ID:sggI0TrMo
>>477
女勇者に関してはナイチチであればあとは不問に付すと言う事かww
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/10(土) 04:08:53.64 ID:rJEqOrsCo
女勇者ww
可哀想だから貧乳以外にも特徴をあげてww
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/10(土) 09:40:03.47 ID:/TFGbNt5o
貧乳強調されるとヨシヒコ思い出すな
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/10(土) 10:38:26.63 ID:WNVxzMXso

女勇者がかわいそう…
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 21:52:43.52 ID:k08+jXe+0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





勇者「……で、結局宴会かよ」

女勇者「未成年もいるのでみんな酒やビールは飲んでいませんよ」

勇者「当然だろ」

女勇者「はい」

ドラゴン「……勇者、これ」スッ

勇者「ん?」

ドラゴン「オレと女勇者と暗殺者からだ」

勇者「……いいの?」

ドラゴン「だからお前へのプレゼントだ」

勇者「……ありがとう」

ドラゴン「気にいったか?」

勇者「ありがとう……本当にありがとう」

暗殺者「喜んでもらえてよかったな」

ドラゴン「ああ」


勇者はブレスレットを腕につける。


勇者「似合うか?」

ドラゴン「似合ってるぞ」
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 21:54:36.74 ID:k08+jXe+0
女勇者「……少し行ってきますね」

勇者「え、何処に?」

女勇者「チョコレートケーキがあるみたいなので」スタスタ

勇者「お菓子かよ!!」

女勇者「当たり前です」スタスタ

暗殺者「俺もちょっと見に行ってみるかな」スタスタ

勇者「勝手に食いに行ってこい」

暗殺者「最初っからそのつもりだ」スタスタ

弓兵「結婚おめでとう」スタスタ

勇者「弓兵、ありがとう」

弓兵「それにしても、若いうちに結婚ってのもいいもんだな」

勇者「弓兵はまだ結婚してなかったんだっけ?」

弓兵「まあな、ハンターの仕事の方を優先し過ぎてたからな、仕方ない」

勇者「そのうちいい人が見つかるだろ」

弓兵「気長に探すさ」

勇者「そうしろ」

弓兵「そうさせてもらうよ、お前より綺麗な嫁さんもらってやるさ」

勇者「よほどの美人じゃないとドラゴンには勝てないと思うぞ」

弓兵「あははははは、偉そうに」

勇者「早く結婚しろよ、おっさん」

弓兵「あはは、ガキが偉そうな事言うなよ」スタスタ
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 21:57:05.16 ID:k08+jXe+0
勇者母「二人とも、とっても素敵よ」

勇者「ありがとう」

ドラゴン「ネックレス、ありがとな」

勇者母「いいのよ、とっても似合ってるわ」

ドラゴン「貴様も凄く綺麗だぞ」

勇者母「ありがとう」

勇者「あのさ……」

勇者母「?」

勇者「来てくれてありがとな、母さん」

勇者母「……いいのよ、息子の結婚式に来ない親なんていないわ」

勇者「……そうかもな」

剣士「勇者さん、おめでとうございます」

勇者「ああ、ありがとう」
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 21:58:32.81 ID:k08+jXe+0
剣士「……ところで、なんで腰に刀さしてるんですか?」

勇者「あ、それは……なんとなくだ」

剣士「その方が勇者さんらしいです」

勇者「ありがとな」

剣士「いえいえ」

イケメン「改めておめでとう」スタスタ

勇者「ああ、ありがとう」

イケメン「僕も世界を旅したりいろいろな経験をしていろんな正義を見てきた」

イケメン「僕の考え方だけが正義じゃないと言う事もわかったよ」

勇者「そりゃ良かった」

イケメン「だが、僕は僕の正義を貫くよ」

勇者「勝手にしろ、ただもしそれで俺の知り合いや仲間を斬る気ならお前を殺す」

イケメン「そうなったら僕も本気で君を殺す」

勇者・イケメン「……」

イケメン「じゃあまた今度会おう」スタスタ

勇者「……」

剣士「ほ、本気ですか!?」

勇者「本気だよ、俺もあいつも」
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 21:59:28.06 ID:k08+jXe+0
勇者母「行くわよ、剣士」スタスタ

剣士「あ、はい、じゃあまた今度」スタスタ

勇者「また今度」

女大臣「おめでとうございます」

王「おめでとう」

勇者「ありがとう」

王「勇者、この城で兵士として働く気はないか?」

勇者「……突然何?」

女大臣「勇者様の強さを見込んでの頼み事です」

勇者「……別にいいよ」

王「では、よろしく頼むぞ」スタスタ

勇者「はいはい」

女大臣「また後日詳しい話をしますので」スタスタ

勇者「了解」

ドラゴン「……」

勇者「暇そうだな」

ドラゴン「オレとしてはこういう堅苦しいのは苦手かな」

勇者「まあ、あとちょっとだ、我慢してくれ」

ドラゴン「ああ」
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 22:00:47.57 ID:k08+jXe+0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 
夜    勇者の家


勇者「終わった……」

ドラゴン「もうダメだ……動けん……」

勇者「結婚式って大変なんだな」

ドラゴン「疲れた……」

勇者「うん、分かってる」

殺し屋「お二人さん、元気?」ピョンッ

ドラゴン「な、なんだ!?」

勇者「何の用だ」

殺し屋「そう怖い顔しないでよ、結婚するって聞いたから来たんだよ」

殺し屋「二人ともおめでとう」

勇者・ドラゴン「あ、ありがとう」

殺し屋「うんうん、お似合いに二人だ」

勇者「本当にそれだけか?」
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 22:01:55.85 ID:k08+jXe+0
殺し屋「それだけだよ、二人とも幸せにね」

殺し屋「また遊びに来るね」

勇者「……なんだったんだ、あいつ」

ドラゴン「本当にあれだけの為に来たんだな」

勇者「意味わかんねぇな」

ドラゴン「最初っからあんな感じだっただろ」

女勇者「勇者、ドラゴン、お客さんです」

勇者「俺達にか?」

女勇者「はい」

魔王「久しぶりだな」スタスタ

勇者「ま、魔王!?」

ドラゴン「おお、久しぶりだな」

勇者「いや、なんでここに!?」

魔王「結婚すると剣士から聞いてな」

魔王「おめでとう」

勇者・ドラゴン「ありがとう」

魔王「では、そろそろ行くかな」
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 22:03:46.39 ID:k08+jXe+0
勇者「もう行くのか?」

魔王「もう少し話がしたいが、兵士共に見つかると厄介だからな、また今度来てくれ、話したい事もあるし」スタスタ

勇者「ああ、また今度行くよ」

女勇者「……どうでしたか?」

勇者「結婚式か?」

女勇者「はい」

勇者「普通に良かったよ、楽しかったし、久々にいろんな奴に会えたし」

ドラゴン「ちょっと疲れたが楽しかったな」

女勇者「楽しんでもらえてよかったです」

勇者「女勇者は楽しめたか?」

女勇者「はい、チョコレートケーキも食べられましたし」

勇者「そこかよ……」

女勇者「はい」

ドラゴン「……これでオレと貴様は正真正銘の夫婦だな」

勇者「そうだな」

女勇者「……」
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 22:04:46.27 ID:k08+jXe+0
勇者「女勇者……」

女勇者「なんですか?」

勇者「あのさ……出て行こうなんて考えなくていいからな」

女勇者「……え?」

勇者「だから俺達が結婚するからって別に出ていかなくていいからな」

女勇者「……元からそのつもりです」

女勇者「嫁に行くまではここに居座りますからね」

勇者「……なら死ぬまでここにいる訳か」

女勇者「ふふっ、それでもいいですか?」

勇者「勝手にしろ」

勇者「暗殺者にもそう言っとけ」

女勇者「暗殺者だって嫁に行くまではここに居座りますから安心しなさい」

勇者「なら安心だ」

女勇者「出来の悪い弟が心配ですから」

勇者「誰がだ」

女勇者「あなた以外いないでしょう」

ドラゴン「オレも女勇者も暗殺者もみんな家族だからな」

女勇者「そうですね」

勇者「俺は?」

ドラゴン「お前は夫だ」
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 22:05:20.67 ID:k08+jXe+0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の部屋


ドラゴン「夫婦になってから初めての夜だな」

勇者「言っても何も変わんねぇけどな」

ドラゴン「気持ちの問題だ、気持ちの」

勇者「気持ちの問題って言われても……」

ドラゴン「なんかこう、無いのか?」

勇者「と言うと?」

ドラゴン「なんかこう……夫婦がする様な事は」

勇者「俺が知ってる訳ねぇだろ」

ドラゴン「わかった、ならキスしてくれ」

勇者「なんでそうなる!!」

ドラゴン「別にいいだろ、減るもんじゃないし」

勇者「結婚式の時したじゃん」

ドラゴン「あれはあれだろ」
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 22:06:15.82 ID:k08+jXe+0
勇者「……どうしてもか?」

ドラゴン「どうしてもだ」

勇者「……今?」

ドラゴン「今すぐだ」

勇者「……」


勇者はドラゴンの頬にキスをする。


勇者「はい、キスしたよ」ゴロン

ドラゴン「待て!!」

勇者「何?」

ドラゴン「口じゃないのか!?」

勇者「一日に二回も口にキスは出来ません、恥ずかしくて」

ドラゴン「……恥ずかしがり屋め!!」


ドラゴンは勇者の布団に潜り込む。


勇者とドラゴンの結婚 END
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/10(土) 22:07:20.78 ID:k08+jXe+0
勇者とドラゴンの結婚は今日で終わりです。

明日は諸事情で書けないので、明後日からは女勇者のとある一日です。
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/10(土) 22:07:57.50 ID:hGly9C9So
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/10(土) 22:08:18.62 ID:bStnfDmDO
乙!!!!!
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/10(土) 22:12:47.93 ID:SIZBqNJIo
オツリーヌ三世
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/10(土) 22:18:56.42 ID:CSzXO9/Do
ニヤニヤ
乙乙
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/03/10(土) 23:24:07.08 ID:gvlM9bBT0
乙!末永く爆発しろチクショウ!!
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 00:01:45.17 ID:pNOkFW3Bo
282828
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/11(日) 15:38:40.68 ID:i8xX8xVso
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 21:49:20.58 ID:oWmOuIKs0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


とある日の朝  女勇者の部屋


女勇者「……」ボー

女勇者「朝……ですか……」スタスタ

女勇者「……」ガチャ

女勇者「朝食を作らないといけませんね」ガサゴソ


女勇者は卵入れから卵を取り出し、目玉焼きを作り始める。


女勇者「……」

暗殺者「おはよう」スタスタ

女勇者「おはようございます、朝食は要りますか?」

暗殺者「うーん、軽めのものってあるか?」

女勇者「待って下さいね……」ガサゴソ

女勇者「リンゴでいいですか?」スッ

暗殺者「ああ、悪いな」

女勇者「仕事ですか?」
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 21:49:44.03 ID:Z1ifDAPIo


妹は…
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 21:51:05.88 ID:oWmOuIKs0
暗殺者「ああ、夜には帰ってくると思う」

女勇者「夕飯はいりますか?」

暗殺者「いい、何時に帰ってこれるかちょっと分からん」

女勇者「分かりました」

暗殺者「なら行ってくる」ガチャ

女勇者「行ってらっしゃい」

女勇者(次は誰が起きてくるんでしょうか)


女勇者は作った目玉焼きを皿の上に乗せる。


妹「おはようお姉ちゃん!!」タタタッ

女勇者「おはようございます」

妹「今日は目玉焼き?」

女勇者「はい、目玉焼きです」

妹「今日は私何番?」

女勇者「二番目です、残念でしたね」

妹「え、じゃあ一番は?」
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 21:51:07.31 ID:Z1ifDAPIo
申し訳ない
タイミングが

続けてください
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 21:53:53.34 ID:oWmOuIKs0
女勇者「暗殺者です、もう仕事に出て行きましたよ」

妹「いつ?」

女勇者「今さっきです」

妹「く、悔しい!!」

女勇者「また明日頑張ればいいじゃないですか」

妹「う、うん……」

勇者「おはよう」

女勇者「おはようございます」

勇者「今日は目玉焼きか……いつも悪いな」

女勇者「私が好きでやってますから別にいいですよ」

勇者「じゃあ、いただきます」モグモグ

女勇者「今日はずいぶんと早いですね」

勇者「兵士の仕事があるからな」モグモグ

女勇者「そうですか、頑張ってください」

勇者「ああ、まあほどほどに頑張ってくる」

勇者「じゃあ、行ってくるわ」ガチャ

妹「行ってらっしゃい」

勇者「夕方くらいに帰ってくると思うから」スタスタ

女勇者「分かりました」
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 21:55:59.13 ID:oWmOuIKs0
女勇者「……さて、今日はどうしましょうか」

妹「何して遊ぶの?」

女勇者「いえ、別に遊ぶ訳ではありませんよ」

ドラゴン「おはよう……」ガチャ

女勇者「おはようございます」

ドラゴン「ん、俺が最後か」

女勇者「はい、そうです」

ドラゴン「やはり朝は苦手だな」

女勇者「仕方ないですよ」

ドラゴン「女勇者は今日出掛けるのか?」

女勇者「はい、ちょっと買い出しに」

女勇者「二人も行きますか?」

妹・ドラゴン「行く!!」

女勇者「なら三人で行きましょうか」

妹「うん」

ドラゴン「そうするか」
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 21:56:59.18 ID:oWmOuIKs0
ドラゴン「……なあ女勇者、飯あるか?」

女勇者「ありますよ」

ドラゴン「いつも悪いな」モグモグ

女勇者「……まずあなたは自分でもっと料理が作るようになった方がいいですね」

ドラゴン「そうか?」モグモグ

女勇者「子供が出来て母親が料理を作れなかったら困るでしょ」

ドラゴン「勇者じゃダメなのか?」モグモグ

女勇者「勇者はもう料理を作れます、問題はあなたが肉を焼くしか出来ない事です」

ドラゴン「やっぱりそれだけじゃダメか?」モグモグ

女勇者「せめて包丁くらいは使えるようにしてください」

妹「私も料理したい!!」

女勇者「……そうですね、あなたもそろそろ料理の作り方を覚えた方がいいかもしれませんね」

女勇者「では今日の夕食は三人で作りますよ」

ドラゴン「えー」

女勇者「えー、じゃないです」
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 22:00:50.74 ID:oWmOuIKs0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町中


妹「何買うの?」

女勇者「今の所は決まって無いです」

ドラゴン「それにしても人が多いな」

女勇者「町中なんてこんなもんですよ」

ドラゴン「人が多いのは苦手なんだがな……」

女勇者「これくらいは慣れてもらわないと困ります」

ドラゴン「頑張ってみる」

おばさん「おや、あんた勇者と結婚した人じゃないかい!!」

ドラゴン「誰だ?」

おばさん「勇者の知り合いだよ」

おばさん「それにしても近くで見ても綺麗な人だね、勇者には勿体ないくらい」

ドラゴン「勇者以上の男なんて、いないだろ」

おばさん「あはは、若い夫婦はそうでなくちゃね」

女勇者「なんで勇者が結婚した事を知ってるんですか?」

おばさん「私達の情報量をなめて持っちゃ困るよ」

おばさん「で、あんたも勇者の友達かい?」

女勇者「いえ、勇者の姉です」

おばさん「……ああ、勇者のお母さんの子供ってことね」
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 22:02:04.30 ID:oWmOuIKs0
女勇者「ええ、まあそんな感じです」

おばさん「買い出しかい?」

女勇者「はい、買い出しです」

おばさん「まだ若いのに偉いのね」

女勇者「いつもの事ですから」

おばさん「私の息子にも見習わせたいわ」

女勇者「私はそんな大層な人間ではありませんよ」

おばさん「何言ってるの、あんたは立派だよ」

女勇者「え、いえ……」

妹「お姉ちゃんどうしたの?」

ドラゴン「褒められ慣れてないから、どう反応していいか困ってるんだ」

女勇者「ドラゴン、うるさいですよ」

ドラゴン「すまんな」

おばさん「……あ、もうこんな時間だね、あんた達も早くしないと売り切れちゃうよ」

女勇者「そうですね」

女勇者「ドラゴン、妹、行きますよ」スタスタ

ドラゴン「ああ」スタスタ

妹「うん」スタスタ
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 22:04:27.61 ID:oWmOuIKs0
女勇者「今日の目標は値切りですからね」スタスタ

ドラゴン「……値切り?」

女勇者「はい、私もほとんどやった事が無いんですが、物を買うお金をまけてもらうんです」

ドラゴン「どうやって?」

女勇者「話術です」

ドラゴン「剣は使わないのか?」

女勇者「使う訳ないじゃないですか!!」

妹「ねえ、なんで値切りなんてするの?」

女勇者「……勇者に値切りを覚えた方がいいと言われたからです」

ドラゴン「そんな理由か」

女勇者「私も値切りを覚えようと思ってましたし、丁度いいので今日値切りの練習をします」

妹「頑張ってね」

女勇者「はい、頑張ります」

ドラゴン「出来るのか?」

女勇者「……やってみないとわからないですね」

妹「お兄ちゃんなら値切るの得意だよ」

女勇者「勇者はいい意味でも悪い意味でも話術が達者ですからね」

妹「でも、お兄ちゃんがお姉ちゃんは口が悪いって褒めてたよ」

女勇者「それは褒めていませんし、あなたにだけは言われたくない!!」

ドラゴン「落ち付け、勇者はここにはいないぞ」

女勇者「と、とにかく、値切って勇者を驚かせますよ」

ドラゴン・妹「おー!!」
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/12(月) 22:06:14.79 ID:oWmOuIKs0
今日はここまでです。

かなりグダグダなほのぼのになっちゃいましたが、いつもは見られない女勇者を書いていけるよう頑張ります。
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/12(月) 22:09:57.08 ID:qjwKRo2L0
乙  平和だな〜
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/12(月) 22:33:19.30 ID:BZVClDh7o
ほのぼなー
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/12(月) 22:52:47.74 ID:4UG7eIFyo
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 23:46:29.79 ID:Mqf02sWEo
ええんでない?
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/13(火) 07:57:39.66 ID:NsloKt7IO


女勇者、いつのまにやらめちゃ姉っぽくなってるじゃまいか
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:43:40.87 ID:H0QGYdTx0
女勇者「では早速行きますよ」スタスタ

ドラゴン・妹「おー!!」スタスタ

女勇者「掛け声はもういいですから」スタスタ

ドラゴン「……で、まずは何を買うんだ?」スタスタ

女勇者「まずは野菜です」スタスタ

女勇者「こんにちは」

おじさん「いらっしゃい」

女勇者「これとこれとこれとこれ、もらえますか」

おじさん「はいよ」

おじさん「200ゴールドね」

女勇者「あの、その……まま、まけてもらえませんか?」

おじさん「……ん?」

女勇者「少しだけまけてもらえませんか?」

おじさん「……」

女勇者「……」

ドラゴン「女勇者、多分それじゃダメだと思うぞ」

妹「うん、私もそう思う」

女勇者「……」

おじさん「……まけてもらいたい時はな、もう少しさりげなく言った方がいいと思うぞ」
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:47:48.81 ID:H0QGYdTx0
女勇者「さ、さりげなく、ですか……」

おじさん「例えば今日は結構遠くからここまで買い物に来たんですよ、とか」

ドラゴン「でも遠くからなんて来てないぞ」

おじさん「別にそれだけじゃない、他の事言えばいいだけだ」

ドラゴン「……お祝いとかか?」

女勇者「多分……」

おじさん「そう言うの、そう言うのをさりげなく会話に混ぜるとまけてくれるかもしれない」

女勇者「そ、そうですか、ありがとうございます」

おじさん「とりあえず170ゴールドでいいよ、頑張れ」

女勇者「ありがとうございます」チャリン

おじさん「女の武器も使えばうまくいくと思うぞ」

おじさん「特に女の武器は良く効くからな」

女勇者「はい、ありがとうございます」スタスタ

女勇者「行きますよ」スタスタ

ドラゴン「……まけてもらえてな」スタスタ

女勇者「あれをまけてもらったと言っていいのでしょうか……」スタスタ

妹「ちょっと違うと思う」スタスタ

女勇者「……次こそしっかりまけてもらいます」スタスタ

ドラゴン「次は肉か?」スタスタ
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:49:36.36 ID:H0QGYdTx0
女勇者「はい、次は肉ですね」

ドラゴン「所で女の武器って何だ、剣か?」

女勇者「女の武器は胸とか涙とかかわいさとか、ですかね……」

妹「じゃあお姉ちゃんの武器は涙とかわいさだね」

女勇者「……(悪気はない、悪気は無いんです……)」スタスタ

ドラゴン「つまり色仕掛けって事か」スタスタ

女勇者「女の武器は分からないのに色仕掛けは分かるんですね」スタスタ

ドラゴン「ああ」スタスタ

男「いらっしゃい」

女勇者「これもらえますか?」

男「はいよ、160ゴールドね」

ドラゴン「女勇者、色仕掛けだ」ヒソヒソ

女勇者「い、今ですか!?」ヒソヒソ

ドラゴン「他にいつやるんだ?」ヒソヒソ

女勇者「ならドラゴンの方がいいじゃないですか」ヒソヒソ

ドラゴン「オレじゃあ無理だ、よくわからん」ヒソヒソ

女勇者「私ですか……」ヒソヒソ

妹「頑張って!!」
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:50:49.12 ID:H0QGYdTx0
女勇者「……」


女勇者は前かがみになり、胸を強調する姿勢をする。


女勇者「ま、まけてほしいな〜、て、てへっ☆」

男「……」

女勇者「……」

女勇者「だからやりたくなかったんですよ!!」

ドラゴン「そうか、普通に良かったと思うぞ」

妹「お姉ちゃんかわいい!!」

女勇者「うう……」

男「そ、そんなにまけてほしいなら140ゴールドでいいよ」

女勇者「あ、ありがとうございます」チャリン

女勇者「……」スタスタ

ドラゴン「やったな女勇者!!」スタスタ

女勇者「何もやってません……」スタスタ

妹「お姉ちゃんかわいかったよ」スタスタ
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/13(火) 21:52:06.49 ID:5AgJEAqgo
ニヤニヤ
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:52:30.33 ID:H0QGYdTx0
女勇者「喜んでいいんでしょうか……」スタスタ

ドラゴン「褒められてるんだし、喜べばいいだろ」スタスタ

女勇者「……まったく喜べないです」スタスタ

妹「これからどうするの?」スタスタ

女勇者「一回家に帰ります」スタスタ

妹「何するの?」スタスタ

女勇者「荷物を置きに行くだけです」スタスタ

妹「そうなんだ、てへっ☆」

女勇者「お願いだからそれをもう二度とやらないで下さい」

妹「なんで、かわいいのに……」

女勇者「……私もう二十歳超えてるんですよ」

ドラゴン「知ってるぞ」

女勇者「なのに、てへっ、って……」

ドラゴン「でもかわいかったのは事実だぞ」

女勇者「もうやめて下さい……」
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:54:00.67 ID:H0QGYdTx0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の家


女勇者「疲れましたね……」

ドラゴン「そうか?」

女勇者「精神的に……」

妹「楽しかったね」

ドラゴン「そうだな」

女勇者「良かったですね」

妹「……ねえ、なんでお姉ちゃんはいっつも鎧なの?」

女勇者「別に理由はありませんが、何でですか?」

妹「他の子がお姉ちゃん見てみたいって言ってたから」

女勇者「他の子?」

妹「私の友達、お姉ちゃん達の事話したら会いたいって言ってたの」

女勇者「私にですか?」

妹「あとドラゴンのお姉ちゃんと暗殺者のお姉ちゃんとお兄ちゃん」

女勇者「……つまりみんなと言う事ですか」
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:54:54.86 ID:H0QGYdTx0
妹「だから綺麗な格好して会ってほしいかなって……」

女勇者「綺麗な格好、難しいですね……」

ドラゴン「スカートとかはいてみたらどうだ?」

女勇者「スカートですか……」

妹「似合うんじゃないかな」

ドラゴン「一回はいてみたらどうだ?」

女勇者「上はどうするんですか?」

ドラゴン「布の服でいいだろ」

女勇者「……一回はいてみます」ガチャ

ドラゴン「女勇者は綺麗だから何でも似合うと思うんだけどな」

妹「うん、自慢のお姉ちゃん」

女勇者「ど、どうですか?」ガチャ


そこには布の服に膝くらいまでのスカートをはいた女勇者が立っていた。


ドラゴン「うん、似合ってるぞ」

妹「うん、凄くかわいい」

女勇者「そ、そうですか?」
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/13(火) 21:55:05.50 ID:zlG55Ttwo
くくくくく
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:55:58.89 ID:H0QGYdTx0
妹「うん」

ドラゴン「それならてへっ、って言っても変じゃないぞ」

女勇者「もう言いませんから」

コンコン

ドラゴン「こんな時間に客?」

妹「もしかしたら少女ちゃん達かも」

女勇者「……友達ですか」

妹「うん」ガチャ

少女「妹ちゃん、今日遊べる?」

妹「いい?」

女勇者「別にいいですよ」

少年「こんちわー」スタスタ

少女「こんにちは」スタスタ

女勇者「ゆっくりしていってください」

妹「これが前言ってたお姉ちゃんとドラゴンのお姉ちゃん」

ドラゴン「ドラゴンだ、よろしく」

女勇者「女勇者です、よろしくお願いします」
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 21:56:56.77 ID:H0QGYdTx0
少女「本当に綺麗なお姉さんだ……」

妹「ね、言った通りでしょ」

少年「まあ、普通かな」

少女「少年、失礼でしょ!!」

少年「思った事を言っただけだろ」

女勇者「ドラゴン、言っておきますがくれぐれも感情に身を任せて行動しない様に」

ドラゴン「分かってるよ、オレだってそれほどガキじゃない」

女勇者「では、私はちょっと」スタスタ

少年「……」

ドラゴン「どうしたんだ?」

女勇者「お客が来ているのに何も出さないのは悪いでしょう」

少年「隙あり!!」


少年は女勇者のスカートをめくる。


女勇者「きゃっ!!」

少女「少年!!」

少年「ははは!!」タタタッ

女勇者「この――――!!」

ドラゴン「女勇者、落ち付け」

女勇者「わ、わかってます」
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/13(火) 22:00:05.73 ID:H0QGYdTx0
今日はここまでです。

女勇者は普通に乙女です(21歳ですが)。
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/13(火) 22:01:07.88 ID:5AgJEAqgo
ちょっと少年狩ってくる
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/13(火) 22:03:41.45 ID:zlG55Ttwo
この文化にもスカートめくりはあるのか、やはり。
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/13(火) 22:12:03.74 ID:2pdX8SXt0
乙  少年狩りだー
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/13(火) 22:44:05.06 ID:6GtSotMao
乙。

ーーその後少年の姿を見たものは……
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/13(火) 23:13:57.02 ID:C/ZGb8oDO
>>534
手伝うぜ
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/13(火) 23:19:01.81 ID:flBwVJODO
乙!
スカートめくるならパイタッt……うん何でもない
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/13(火) 23:21:51.00 ID:I1Yje4m9o
触るπがなry
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/14(水) 06:08:15.63 ID:6wj4fHElo
ニヤニヤが止まらないニヤニヤが
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ・・・
あー俺気持ち悪いな!
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 08:00:02.79 ID:SI8LsaAIO
乙女か…くくく
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 21:54:55.05 ID:HulXmm4z0
少女「ごめんなさい」

女勇者「いいんですよ、子供のする事ですから」

ドラゴン「落ち付け、落ち付け」

女勇者「もう落ち着いてますから」

ドラゴン「本当に大丈夫か?」

女勇者「私だってあんな事で怒るほど子供じゃありません」

少年「ピンク色だったな」

女勇者「叩き斬りますよ!!」

ドラゴン「だから落ち付け」

女勇者「……も、もう大丈夫です」

妹「私達がちゃんと怒っておくから」

女勇者「……お願いします」

少女「ご、ごめんなさい」

女勇者「あなたが謝る事じゃありませんから」

女勇者「これ、お菓子です」スッ

少女「ありがとうございます」

妹「ありがとう」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 21:58:30.46 ID:HulXmm4z0
ドラゴン「うまそうだな」

女勇者「あなたの場合何でもうまそうじゃないですか」

ドラゴン「まあ、そう言われればそうだな」

少年「……姉妹なのに全然似てないな」

女勇者「私とドラゴンの事ですか?」

少年「あと妹も」

ドラゴン「オレは女勇者達と血は繋がってないからな」

少女「そうなんですか?」

ドラゴン「オレが勇者と結婚したから姉妹なだけで、血は繋がってない」

少年「ふーん」

少女「……でもお姉ちゃんがいるっていいよね、二人とも綺麗だし」

女勇者「そこまでではないですよ」

少年「……暇だなー」

少女「少年!!」

女勇者「ベットと棚のさえ触らなければ自由に見て回っていいですよ」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:00:35.79 ID:HulXmm4z0
少年「じゃあ見にいってくる」スタスタ

少女「たく……」

妹「別にいいよ、少年って話してるの苦手だし」

女勇者「男ではよくある事です」

妹「そうなの?」

女勇者「そうです」

ドラゴン「勇者もか?」

女勇者「ええ、人を罵倒している時とドラゴンと会話している時は別ですが」

ドラゴン「人をバカにしてる時の勇者は楽しそうだからな……」

女勇者「少女には姉妹はいないんですか?」

少女「私一人っ子ですから」

少女「別に姉妹がほしい訳じゃないけど、たまにお姉ちゃんとかがいても良かったかなって思うんです」

女勇者「そうですか」

ドラゴン「姉妹か……」

女勇者「ドラゴンにも姉妹はいなかったんですよね?」

ドラゴン「まあな、基本的に生まれてからは一人で生きて来た」

少女「大変だったんですね」

ドラゴン「それほどじゃない、あははははは!!」

女勇者「まったく笑う意味がわかりません……」

少年「……なあ、そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」スタスタ

少女「あ、もうこんな時間だ」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:02:25.65 ID:HulXmm4z0
女勇者「もう夕方ですか、やっぱり春とはいえ日が落ちるのが早いですね」

少女「ありがとうございました」

女勇者「いえいえ」

妹「また今度ね」

少女「うん、また今度」

少年「隙あり!!」


少年はまた女勇者のスカートをめくる。


女勇者「あなたは……!!」

少年「じゃあな!!」タタタッ

少女「ま、待ちなさい!!」タタタッ

ドラゴン「……本当にピンクなんだな」

女勇者「悪かったですね……」

ドラゴン「別に悪いなんて言ってないだろ」

勇者「ただいま、何今の子?」ガチャ

ドラゴン「女勇者のスカートをめくったんだ、ちなみに色はピンクだ」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:04:24.37 ID:HulXmm4z0
勇者「……やっぱり乙女――――」


勇者がその言葉を言い終わる前に女勇者の拳が勇者の顔面をとらえる。


勇者「確かに俺が悪かったかもしれないけど、それはねぇよ……」

女勇者「うるさいです」

勇者「……つーか、珍しい格好だな、スカートなんて」

女勇者「ただの気分ですよ」

勇者「あ、そう」

ドラゴン「勇者も綺麗だと思うよな?」

勇者「ああ、外見は凄く綺麗だ」

女勇者「勇者、左腕にお別れを言いなさい」

勇者「冗談で腕一本もっていこうとするんじゃねぇ!!」

女勇者「私だって冗談です」

勇者「目が笑ってねぇんだよ」

勇者「……ああ、あと、これお土産」スッ

女勇者「なんですか、これ?」

勇者「肉の切れ端、店で売れないし、食べ切れないから持ってってくれって、肉屋のおっさんが言ってた」

女勇者「そ、そうですか」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:05:48.05 ID:HulXmm4z0
ドラゴン「じゃあ今日は肉ばっかりか!?」

女勇者「そんな訳ないでしょう、ちゃんと野菜もありますよ」

勇者「……あと、全然関係ないけど、変わった客が来たらしいぞ」

ドラゴン「変わった客?」

勇者「なんでも、まけてほしいな〜、てへっ☆、とか言ってきたんだってさ」

女勇者「……」

勇者「ん、どうした?」

妹「それお姉ちゃん」

勇者「……え、本当?」

女勇者「はい……」

勇者「……」

女勇者「……」

妹「かわいかったよ」

勇者「……もう一回言って――――」

女勇者「怒りますよ」

勇者「ですよね……」

ドラゴン「オレが代わりに言ってやってやろうか?」
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/14(水) 22:06:50.06 ID:jtWsrY0ao
くくくくくく
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:07:56.15 ID:HulXmm4z0
女勇者「これ以上その話をするなら二人とも斬り捨てますよ」

勇者・ドラゴン「了解」

女勇者「はあ……夕飯にしますよ」

勇者「夕飯は?」

女勇者「サラダと肉、いつも通りです」

勇者「そうか」

ドラゴン「飯だ、飯!!」

女勇者「あなたも作るんですよ」

ドラゴン「……本当か?」

女勇者「本当です」

ドラゴン「どうして――――」

女勇者「どうしてもです」

勇者「まあ、料理くらい作れるようにした方がいいからな」

女勇者「決定ですね」

女勇者「……では作りますよ」ガチャ

ドラゴン「はいはい」スタスタ

妹「はーい」
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:09:46.47 ID:HulXmm4z0
女勇者「では、ドラゴンはまず大根を切ってもらえますか?」

ドラゴン「ああ」


ドラゴンは包丁を勢いよく振り下ろす。


女勇者「な、何やってるんですか!!」

ドラゴン「大根切ってるだけだ」

女勇者「野菜はこうやって切るんです」トントン

ドラゴン「おお、凄いな!!」

妹「私は?」

女勇者「……妹は野菜を洗って下さい」

妹「はーい」

ドラゴン「あ……」

女勇者「どうしました?」

ドラゴン「包丁が指に当たっただけだ?」

女勇者「だ、大丈夫ですか!?」

ドラゴン「ああ、ただ包丁が欠けたんだが……」

女勇者「……頑丈なんですね」

ドラゴン「まあ、ドラゴンだからな」
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:11:35.99 ID:HulXmm4z0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


一時間後


女勇者「……何とか出来あがりましたね」

ドラゴン「ああ」

女勇者「やっぱり毎日作った方がいいようですね」

ドラゴン「そうか?」

女勇者「普通の人間なら指が三本は無くなってますから」

妹「じゃあ、明日も作ろうよ」

女勇者「……そうしましょうか」

ドラゴン「ええー」

女勇者「えー、じゃありません」

勇者「……ずいぶん馴染んだな」

女勇者「そうですね」

勇者「うん、良かった良かった」

女勇者「……あなたのおかげです」ボソッ

勇者「ん?」

女勇者「なんでもないです、夕食にしますよ」

勇者「あ、ああ、そうだな」
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/14(水) 22:14:02.30 ID:HulXmm4z0
女勇者の日常はこれで終わりです。
明日からは別のスピンオフをやっていきます。
一番やってほしいものひとつ選んでください。


1、博士のスピンオフ (博士と博士兄の話 鬱要素あり)

2、強者のスピンオフ  (鬱要素高め 強者がまだ人間だった頃のお話)

3、 殺し屋のスピンオフ   (殺し屋の昔話と、一人の女性との物語)

4、弓兵スピンオフ   (弓兵と女大臣の物語)


票の多かった二つを書きます。

その他書いてほしいキャラやストーリーがあったら書いといて下さい。
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/14(水) 22:16:44.94 ID:mNocZDVg0
乙です
8の妹が見たい
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/14(水) 22:17:41.77 ID:jtWsrY0ao
おつん
3,4だな
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/14(水) 22:20:15.62 ID:pxywGzX3o
ここは2を押したい所
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 22:25:44.63 ID:euzr1BxVo
一つか…難しいが3かな
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/14(水) 22:27:35.88 ID:XPEByPzH0
2・3だな
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 22:40:30.46 ID:9zKpSr/No
2だな
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/03/14(水) 23:04:04.40 ID:+lB+kPfCo
4で
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/14(水) 23:07:26.65 ID:BLDqoFl1o
2かな
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/14(水) 23:07:59.41 ID:wOEmT+bVo
3推し
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/14(水) 23:13:54.99 ID:UP9dbkX+o
3で
あとドラゴンが勇者にできちゃったと伝える話が見たい
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 23:13:57.77 ID:YDswTHoSO
4ですしおすし
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 23:35:20.40 ID:u5VdyCtko
2の後に1で!
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 23:36:04.90 ID:V75BjwPIO
やはり殺し屋2だ
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 23:58:59.91 ID:3AvpkiDu0
3かな
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 00:26:10.08 ID:9UhlIol7o
2、4で
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 01:17:18.02 ID:949+XjXDO
3で

候補にも挙がらない暗殺者カワイソスwwww
暗殺者(男)に乙女な服を無理矢理着せてみるのもアリかも
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 07:08:34.88 ID:qEK5XOIIO
2ktkr
(OIIO)
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/03/15(木) 13:54:11.83 ID:8pWYky9+o
4だな
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/15(木) 15:43:42.04 ID:II0EcKJZo
3で
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 17:19:49.50 ID:322+9sozo
4で
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/15(木) 17:36:07.21 ID:SpbfIWZyo
最初にドラゴンが村で捕獲されてから人間になるあたりの話をドラゴン視点で読みたい
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 18:03:03.97 ID:wVxaVeKxo
圧倒的3
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 21:37:52.22 ID:uHVCRDG/o
三が飛び抜けてるな
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:41:49.29 ID:vC0nqY+p0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


とある町


悪人「探せ、探すんだ!!」

男達「は、はい!!」タタタッ

悪人「見つけたら問答無用で殺せ!!」

男達「はい!!」

殺し屋「ん、誰を追うつもりなのかな?」

悪人「お、お前は……!?」

殺し屋「自分がなんで命を狙われてるかなんて分かってるよね」

悪人「う、うるさい、黙れ!!」

殺し屋「身から出た錆って奴だよ、おじさん」

悪人「だま――――」


殺し屋は目の前の悪党の首を刎ねる。


殺し屋「……ま、最後くらい痛みを感じずに死ねて良かったね」

男達「う、動くな!!」

殺し屋「あのさ、言っとくけど俺は目標以外を殺す気はないよ、それでも襲ってくるなら殺すけど」

男達「……」

殺し屋「よしよし、それでいい」
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:44:32.16 ID:vC0nqY+p0
殺し屋「じゃあ俺帰るから、死体は自分達で処理してね」ピョンッ


殺し屋は屋根に飛び出すと、そのまま屋根の上を走っていく。


殺し屋「……なんか、味気ない仕事って退屈だな」タタタッ

殺し屋「仕事に文句は言わないけど、なんかこう派手な事が一つは無いと退屈なんだよね」ピョンッ

殺し屋「あの戦争が懐かしいな」タタタッ

殺し屋「……あ」ピョンッ


殺し屋右足が屋根の隙間に引っ掛かる。


殺し屋「しまっ――――!!」


その瞬間、木が折れる様な嫌な音が聞こえ、天井が音を立てて崩れる。
もちろん、殺し屋も一緒に落ちる。

殺し屋「いたた……やっちゃった……」

殺し屋「……こんなにボロいし空き家かな?」

殺し屋「良かった良かった、もし人がいたら――――」

町娘「……」モグモグ

殺し屋「あ、あはは……ごめんな――――」
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:46:42.74 ID:vC0nqY+p0
町娘「何が人の住めないボロ家よ!!」


町娘のパンチが殺し屋の顔面に当たる。


殺し屋「……ごめんなさい、本当にすいませんでした」

町娘「ごめんなさいって言われても屋根は直らないの、分かってるの?」

殺し屋「嫌ってほど分かってるよ、俺だって子供じゃないんだから」

町娘「じゃあどうするの?」

殺し屋「俺が修理するよ」

町娘「……出来るの?」

殺し屋「多分」

町娘「さらに壊したら本気で怒るからね」

殺し屋「了解」

殺し屋「あ、俺殺し屋、よろしくね」

町娘「私は町娘、よろしく」


彼女は胸くらいまである黒髪を後ろでまとめた髪形で、はっきりとした顔立ちをしていた。
年は殺し屋と同じか少し上くらいだろう。
スタイルは良くも悪くも普通だった。

殺し屋「眠いなら寝た方がいいよ」
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:48:26.12 ID:vC0nqY+p0
町娘「え?」

殺し屋「さっきから眠そうだからさ、俺が直しとくから寝たら?」

町娘「……わ、わかったわ」

殺し屋「道具は借りるからね」

町娘「勝手に使っていいわよ」

殺し屋「……とりあえず穴を塞いじゃった方がいいかな」

町娘(本当に直せるのかしら、不安だわ……)

殺し屋「まあ、こんな感じで大丈夫かな?」

町娘(……暗くて見えないけど、どうなってるんだろう……)

殺し屋「うんうん、いい感じいい感じ」

殺し屋「あとは穴を塞ぐだけだね」

町娘(一応、相手は男なんだし、警戒しとかなくちゃ……)

町娘(寝ちゃ駄目、寝ちゃ――――)
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:50:14.21 ID:vC0nqY+p0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日


町娘「……あれ?」

町娘「……朝か」

殺し屋「おはよう」

町娘「うわぁ!?」

殺し屋「……朝の挨拶だけでそんなに驚かなくてもいいのに」

町娘「誰でも驚くわよ、朝起きて男が顔覗き込んできたら!!」

殺し屋「あ、ごめんごめん、あと朝ごはん作っといたからね」

町娘「え?」

殺し屋「じゃあ――――」

町娘「待って」

殺し屋「ん?」

町娘「……天井全部変えたの?」

殺し屋「うん、魔法使えばすぐだったし、一か所だけ塞ぐと変かなって」

町娘「ありがとう」

殺し屋「壊したのは俺なんだし、自業自得って奴だよ」
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:51:25.91 ID:vC0nqY+p0
町娘「それに朝ごはんも作ってもらっちゃって……」

殺し屋「お詫びだよ、屋根壊しちゃったお詫び」

町娘「ありがとう……」

殺し屋「いいよいいよ、じゃあ――――」ガチャ

殺し屋「あ……」


殺し屋はそのまま地面に倒れる。


町娘「だ、大丈夫!?」

殺し屋「……あれ、足が?」

町娘「ちょっと、切れてるじゃない!!」

殺し屋「落ちた時に怪我したのかな、それとも他の時?」 

殺し屋「全然気付かなかった」

町娘「結構ひどいわね」

殺し屋「大丈夫、足だけなら……」

町娘「駄目よ、傷口からばい菌が入ってるといけないし」

殺し屋「大丈夫大丈夫」

町娘「とりあえず、そこら辺に寝てて、薬買ってくるから」

殺し屋「だから大丈夫――――」

町娘「ここで寝てて!!」

殺し屋「……仕事はいいの?」
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:52:53.45 ID:vC0nqY+p0
町娘「今日は休みだから大丈夫」ガチャ

町娘「動いちゃ駄目だからね!!」スタスタ

殺し屋「……はは、こんな事にも気付かないなんて、年なのかな……」

殺し屋「しかも結構深く斬れてるみたいだ」

殺し屋「あははは……はあ……」

殺し屋「仕事中でこんなミスしてたら普通死んでるよ」

殺し屋「やっぱり年かな……」

殺し屋「……」

町娘「ただいま」ガチャ

殺し屋「おかえり」

町娘「薬買って来たから」

町娘「ちょっと痛むかもしれないけど我慢してね」

殺し屋「別にいいよ」

町娘「怪我してるの気付かなくてごめんなさい」

殺し屋「そんな事気にしなくていいよ」

町娘「なのに私、屋根直せなんて……」

殺し屋「俺だって自分家の屋根壊されたらそう言うよ、お前は間違ってないよ」

町娘「包帯まくわね」

殺し屋「こんなことさせて悪いね」
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:55:16.95 ID:vC0nqY+p0
町娘「これで大丈夫だと思う」

殺し屋「ありがとう」

町娘・殺し屋「……」

町娘「あなた何者なの?」

殺し屋「え?」

町娘「この町の人じゃ無さそうだし、普通の人なら屋根から落ちて来ないでしょ?」

殺し屋「……俺は裏社会の人間だから」

町娘「裏社会って、殺しとかやってる?」

殺し屋「詳しいね、俺も殺しをやったりしてる人間の一人だよ」

町娘「……」

殺し屋「……普通の人ならそう言う反応だよね」

町娘「ううん、私は普通の人じゃないよ」

殺し屋「え?」

町娘「私のお父さんも裏社会の人だったから」
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:56:40.40 ID:vC0nqY+p0
殺し屋「……」

町娘「もちろん、私にもお母さんにも言わなかったけど」

殺し屋「じゃあどうやって?」

町娘「私はたまたま知っただけ、お母さんは死ぬまで知らなかった」

殺し屋「お父さんはどうしたの?」

町娘「仕事中にミスして死んじゃったって……」

殺し屋「そう……」

町娘「……もし良かったら、教えてくれない?」

殺し屋「え?」

町娘「私、お父さんからそういう話聞いた事無いから」

殺し屋「……面白い話じゃないよ」

町娘「別にいいよ」

殺し屋「じゃあ二年前の話でいい?」

町娘「どんな話?」

殺し屋「名前も知らない男と殺し合った話」

町娘「……教えて」
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/15(木) 21:57:26.59 ID:vC0nqY+p0
今日はここまでです。

殺し屋スピンオフの後は強者スピンオフをやります。
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/15(木) 22:32:15.75 ID:zCBcKbj20
>>586
おつおつお
出来れば妹も見てみたいな、チラッ
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 22:46:03.09 ID:n0piwkDIO
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 23:36:11.60 ID:wVxaVeKxo
やっぱり殺し屋はいいな
なんか烏みたいだし
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 21:41:13.11 ID:Da1EQFRR0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


二年前 とある屋敷 夜


殺し屋「……で、仕事って何?」

男「とある男を殺してほしい」

殺し屋「とある男?」

男「白髪で黒い服を着た男だ、この町にいる」

殺し屋「曖昧な情報だな……」

男「安心しろ、とっくに人間をやめた様な男だ、見ればすぐわかる」

殺し屋「さすがに理由も知らせずに人を殺させるのはどうかと思うよ」

男「……私の命を狙っているのだ」

殺し屋「またなんで?」

男「知るか、私の方が聞きたいくらいだ!!」

殺し屋「……そう騒ぐと血管が千切れるよ」

男「う、うるさい!!」

殺し屋「……じゃあ俺はその白髪の男を殺せばいいんだね?」
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 21:43:37.31 ID:Da1EQFRR0
男「そう言う事だ、殺してその死体を持ってきてくれ」

殺し屋「仕事はそいつを殺す事だけでいいの?」

男「……どういう意味だ?」

殺し屋「お前を守る事も頼んでくるのかなって思ってさ」

男「自分の身くらい自分で守る」

殺し屋「……それでこの屋敷にはこんなに雇われ兵がいる訳か」チラッ

男「私はそこまで裏社会の人間を信用していなくてね」

殺し屋「いやいや、妥当な判断だと思うよ、裏社会の人間を信用するのはどうかと思うし」

男「もしこちらであいつを殺してしまっても報酬は払おう」

殺し屋「殺せるの?」

男「この人数に勝てると思うか?」

殺し屋「勝てるといいね」

男「……とにかくお前はこの男を殺してさえくれればいい」

殺し屋「はいはい」

男「以上だ」

殺し屋「了解」スタスタ
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 21:45:22.36 ID:Da1EQFRR0
殺し屋「……殺せって言われても、情報が少な過ぎるかな」ガチャ

殺し屋「まあ、探してみるには探してみるんだけどね」スタスタ

殺し屋「……」スタスタ

殺し屋「白髪の男ね……」スタスタ

殺し屋「人間やめてるって言ってたし、少しは期待できるかな?」スタスタ

殺し屋「最近は面白味の無い奴ばっかりだったし」スタスタ

ザワザワ

殺し屋「……ねえ、何かあったの?」

おじさん「あ、殺しですよ、殺し」

殺し屋「殺し?」

おじさん「ええ、何でも町の不良がズタズタに切り裂かれてるみたいなんですよ」

殺し屋「凶器は?」

おじさん「……たぶん剣か何かじゃないですかね?」

殺し屋「それって不良同士の喧嘩なんじゃないの?」

おじさん「不良とは言え全員武器を持ってるんですよ、そんな連中を一人で殺したんです」

おじさん「よほど腕っ節の強い人間が殺したんですよ、きっと」

殺し屋「……」スタスタ

おじさん「あ、見ない方がいいと思いますよ」

殺し屋「大丈夫、慣れてるから」スタスタ
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 21:48:13.55 ID:Da1EQFRR0
殺し屋「……」


そこには文字通りズタズタに斬られた死体がいくつか転がっていた。


殺し屋「確かに普通の人間が見たら吐くね」

殺し屋「……」

殺し屋「まずは足とか手を斬って無力化した後、止めをさしたって感じかな」

殺し屋「確かにこの人数と戦うには一番いい戦い方だ」

殺し屋「……これは相当みたいだね」

兵士「退いて退いて!!」スタスタ

殺し屋「……」

兵士「邪魔だ!!」

殺し屋「あ、ごめんね」スタスタ

殺し屋「……」スタスタ

殺し屋「いいね、わくわくしてきた、最高にわくわくしてきた!!」スタスタ

殺し屋「同族の匂いだ、あれは正真正銘の化物だね」

殺し屋「……まずは探さなくちゃ」ピョンッ

殺し屋「あれだけ派手に斬ったんだ、そうそう町中は歩けないはずだ」タタタッ

殺し屋「楽しみだよ、最高に楽しみだよ!!」タタタッ
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 21:50:45.58 ID:Da1EQFRR0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





殺し屋「……あれ、もう朝か、早いね」スタスタ

殺し屋「あれだけ斬ったんだからそう遠くには逃げられないと思ったんだけど……」

殺し屋「……もしかして着替えを持ってたとか?」

殺し屋「うーん、もしそうだとしたら困ったな……」

殺し屋「暗礁に乗り上げるってやつかもしれないね……」

白髪の男「……」スタスタ

殺し屋「白髪……血の匂い……」

白髪の男「……」スタスタ

殺し屋「血の匂いがとれてないよ、お前」

白髪の男「……だろうな」

殺し屋「お前が殺したのか?」

白髪の男「先に手を出してきたのは向こうだ」

殺し屋「……なるほど」

白髪の男「……昨日から我の事を調べ回っておったのは貴公か?」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 21:56:58.27 ID:Da1EQFRR0
殺し屋「そうだよ、知ってたんだ」

白髪の男「当たり前だ、昨日の殺しを見ておったのか?」

殺し屋「いや、死体は見たけど、現場は見てない」

白初の男「あれを見たのではないのか」

殺し屋「あの人数を殺したんだ、よほどの手慣れじゃないと無理だよ」

白髪の男「それで我だと?」

殺し屋「長い間そういう仕事してると分かるんだよね、同族がやったんだってね」

白髪の男「さすがだな」

殺し屋「褒めてくれてありがとね」

白髪の男「……ふん、あの男に頼まれたか」

殺し屋「よく分かってるね、ビックリだ」

白髪の男「いつもの事なのでな」

殺し屋「オレを殺す?」

白髪の男「町中で殺し合いをする気は無い、目立ち過ぎるからな」

殺し屋「……俺もそう思うよ」

白髪の男「貴公こそ、俺を殺さなくてよいのか、仕事なのだろう?」

殺し屋「俺は目標以外の人間を殺したくないんだ、だからこんな所で戦いたくないかな」

白髪の男「……そうか」

殺し屋「まあ、夜は気をつけたほうがいいかもね」

白髪の男「ふん、分かっておる」スタスタ

殺し屋「……なんであんな男を殺そうとしてる訳?」

白髪の男「ただの復讐だ」

白髪の男「また近いうちに会うだろう」スタスタ

殺し屋「そうかもね……」

殺し屋「……予想以上だね」

殺し屋「これは楽しくなりそうだ」
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 21:59:46.16 ID:Da1EQFRR0
殺し屋「……まあ、飯でも食いに行こうかな」スタスタ

殺し屋「……」ガチャ

店員「いらっしゃいませ」

殺し屋「ねえ、食べるものってある?」

店員「うどんでいいですか?」

殺し屋「何でもいいよ」

店員「ではそこの席に座って待っていてください」

殺し屋「はいはい」ストッ

殺し屋「……腹が減っては戦は出来ぬ、ってね」

殺し屋「……」

店員「お待たせしました」

殺し屋「ありがと」モグモグ

殺し屋「……確かに人間じゃないヤバい匂いがしてた」モグモグ

殺し屋「今回は最高に楽しめそうだね」モグモグ

殺し屋「……」モグモグ

殺し屋「……」モグモグ

おじさん「大変だ!!」ガチャ

殺し屋「……ん、どうしたの?」

おじさん「屋敷に侵入者だってさ、しかも表にあれだけいた兵士が皆殺しだって!!」
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 22:02:28.45 ID:Da1EQFRR0
殺し屋「……それ本当?」

おじさん「信じられないなら見に行けばいい、ただどうなっても知らないよ」

殺し屋「え、どういう意味?」

おじさん「なんでもそいつは殺人鬼らしくって、手当たり次第に人を斬るらしいんだ」

おじさん「だからこうやって建物の中に逃げて来たんだ」

殺し屋「ふーん……ちょっと行ってこようかな」

おじさん「や、やめた方が――――」

殺し屋「ありがとね、でも大丈夫」スタスタ

殺し屋「俺の仕事はそいつを殺す事だから」

おじさん「え?」

殺し屋「お代ここに置いとくね……」ガチャ

殺し屋「ま、あいつだろうね」タタタッ

殺し屋「……うわっ、全滅じゃん」ガチャ

殺し屋「……また派手にやってるな」スタスタ

殺し屋「無差別か……」タタタッ
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 22:04:28.73 ID:Da1EQFRR0
殺し屋「……」ガチャ

白髪の男「来たか……」


そこには白髪の男とすでに肉塊へと変わった男の姿があった。


殺し屋「ずいぶん行動を急いだね」

白髪の男「我としてはちょうどいいタイミングだったのでな」

殺し屋「屋敷の人間は全部殺したの?」

白髪の男「ああ、誰一人として逃がしてはおらん」

殺し屋「……無抵抗な人間も?」

白髪の男「当然だ」

殺し屋「……」

白髪の男「……」

殺し屋「いい目だ、俺無抵抗な人間を殺す奴は大っ嫌いだけど、お前みたいな目は大好きだよ」

殺し屋「一つの目的の為なら他の物は全て捨てる、そういうバカは大好きだ」

白髪の男「……」

白髪の男「……我を殺すか?」

殺し屋「殺すって言うか、戦いたい」

白髪の男「……そうか」

殺し屋「お前みたいな人間と殺り合ってみたい」

白髪の男「……我もだ、貴公の様なものと殺し合うのは面白そうだ」
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/16(金) 22:06:19.44 ID:Da1EQFRR0
今日はここまでです。

明日は久々のバトルです。
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 22:27:00.78 ID:OGJ5FpwDo
乙です
やっぱ殺し屋良いキャラだよ
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/16(金) 22:33:15.07 ID:h9leuaOP0
乙  殺し屋最高
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/17(土) 11:45:46.01 ID:bX4x/Zn0o
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:39:01.11 ID:1EwlqW6A0
一瞬。
殺し屋の鉈は音より早い一撃だった。

遅れて風を斬る音が耳に届く。

だが常人ならかわすどころか見ることすら不可能に近い一撃を白髪の男は正確に見切り、流れるようにスムーズな動作でかわしていた。

男はまるで何事も無かったかのように腰の剣の柄を握りながら、殺し屋を虚ろな、しかし凶暴な目で見ていた。


「いい速さだ、面白い、面白いぞ!!」


弾むように楽しそうな声は、白髪の男の発したものだった。
口が邪悪に歪む。

その顔に今までの暗さや陰気さは無い。
ただただ命のやり取りと言う行為を喜んでいる。
その行為を恍惚に喜んでいるのだ。

白髪の男は剣を抜き、切っ先を殺し屋に向け剣を構えた。
あらゆる光を拒むかのような漆黒の剣が彼の首筋に狙いを定める。

白髪の男が大きく跳ぶ。
音も無く、予備動作も無く、それでいて馬鹿みたいに速い。

だがそんな攻撃を殺し屋はぼんやりと眺めていた。
回避なら一秒あれば十分。
むしろ下手に動きまわれば体勢が崩れ、戦いに不利になるだけだ。
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:42:28.25 ID:1EwlqW6A0
白髪の男の剣が殺し屋の首を刎ねようとした瞬間、殺し屋は後ろに軽く下がった。
まるで人をかわす様な、緊張感が無い回避。
しかしその回避は驚くほど正確に剣を避けていた。


「お前も面白いよ、最高だ」


殺し屋はまるで自分の周りに生えた背の高い草を一気に刈るかのように鉈を薙いだ。
ヒュンッ、と言う鉈独特の空を切る音が聞こえる。

しかしそこに肉を切り裂く音や金属がぶつかり合う様な音は一切無い。
彼の目の前にいは誰もいなくなっていたのだ。

殺し屋はとっさに前に跳んだ。
理由は無い。
白髪の男は完全に見失っている。
しかし長年の勘が、裏社会の人間としての経験がそうしろと叫んでいた。

殺し屋が跳んだのと、殺し屋の立っていた場所を剣が通過したのはほとんどタッチの差だった。


「いいね、いつ後ろに回ったのかすら分からなかったよ」


殺し屋は地面に綺麗に着地し、にこやかに笑う。
残忍で非道な笑みはまっすぐ前に居る白髪の男に向けられていた。

久々に心が躍り、血が沸き立つ。
全身がこの戦いを楽しんでいるのだ。
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:44:42.59 ID:1EwlqW6A0
武器を握り直し、白髪の男目掛けて走り出す。
小細工や姑息な手は使わない。
正面から殺し合う。

殺し屋は鉈を白髪の男の頭目掛けて振り下ろした。
凶悪な音を立てながら、鉈が襲いかかる。

弾ける様な金属音が血まみれの屋敷に響き渡る。
剣と鉈が擦れ合い、火花が躍る。

お互いに残忍な笑顔のまま睨み合う。
鼻が触れ合いそうになるほど顔が近かった。


「いい腕だよ、惚れ惚れしそうだ」

「奇遇だな、我もそう思っておった所だ」


短い会話が終わると共に、二人とも弾けるように後ろに跳んだ。
ゼロだった距離が一気に五メートルほど離れる。

殺し屋は目の前の男を見ながら苦笑した。
あの男の背負っているものが何なのかは知らない、知る気も無い。
ただ同族だからなのか、あの男が戦う理由はなんとなく分かってしまう。
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:47:45.85 ID:1EwlqW6A0
あの男にとって戦いは救いなのだ。
初めて出会った時、あの男の目には生きる気力と言うものが毛ほども無かった。
あの時の男は自責の念に囚われた奴隷と言う以外表現方法が無かった。
だが今は違う。
今のあの男の中にあるのは恍惚な喜びだけ。
それ以外の感情は全て死んでいた。

殺し屋は一気に白髪の男との距離を詰め、鉈を振るった。

だからと言って行動を変える気は毛頭ない。
彼が今する事は一つ。
目の前の男を全力で殺す事だけ。
その他の事はただのおまけ。
いや、それ以下だ

だが鉈は空を切っていた。

気がつけば白髪の男は後ろに回り込み、まるで死刑執行人のように剣を大きく振りかぶっている。
漆黒の剣が振り抜かれる。

赤い血とドス黒い液体が辺りに飛び散る。


「誰が、もう終わりだって言ったの?」


殺し屋は左手で剣を受け止めていた。
肉はざっくりと斬られているが、骨は剣を確かに受け止めている。
さらに彼は右手に持った鉈で白髪の男の左肩を切り裂いていた。
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:49:05.17 ID:1EwlqW6A0
悪いな、貴公を侮っていたようだ」


白髪の男は笑った。
自嘲とも嘲笑ともとれる笑みが顔に浮かんでいる。

殺し屋は後ろに軽く跳び、距離を置く。


「本当に人間じゃないんだ」

「まあな」


右手に持った鉈を強く握り、殺し屋は走り出す。
お互いに負傷しているのだ。
それにダラダラと消耗戦をするのは好みでは無い。

白髪の男が剣を大きく横に振る。
僅かに衝撃波が生まれ、彼の前にある邪魔なものが吹き飛ぶ。

だがしかし、そこに殺し屋の姿は無い。

殺し屋は上にいた。
白髪の男の一撃を読み、大きく跳んでいたのだ。
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:50:30.88 ID:1EwlqW6A0
体を捻り、体を白髪の男の方に向ける。
落下の力と全体重をのせ、渾身の一撃を放つ。

殺し屋の鉈が振られる。
肉を切り落す音が聞こえ、何か重たいものが地面に落ちる音が響く。


「あーあ、折れちゃったよ」


殺し屋は刃の部分の無くなった鉈を見ながらため息をついた。
目の前にはが肘から下の左腕が無くなった男が立っている。
もちろん傷口からダラダラと垂れているのはドス黒い液体だ。
まるで蛇口の壊れた水道のように止めどなくドス黒い物体は流れ続けている。

殺し屋は白髪の男を見た。
表情の死んだ顔でただただこちらを見ている。
それはまるで魂の抜けた抜け殻のようにも見えた。


「ここまでか……」


白髪の男はほんの少し、寂しそうにそう言うと、剣をしまった。
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:51:09.43 ID:1EwlqW6A0
白髪の男「退かせてもらうぞ」スタスタ

殺し屋「待ってよ」

白髪の男「まだやるのか?」

殺し屋「まさか、商売道具が無くちゃどうしようも無いからね」

白髪の男「じゃあ何の様だ」

殺し屋「お前の復讐はまだ終わってないんだろ、どうするんだ?」

白髪の男「殺し続けるさ、復讐が終わるまでな」スタスタ

殺し屋「……」

白髪の男「理解などされなくてもよい」

殺し屋「理解は出来ないよ、ただお前は嫌いじゃない」

白髪の男「……」スタスタ

殺し屋「また会えるといいね」

白髪の男「そうだな」

白髪の男「……次は殺すぞ」

殺し屋「それはこっちの台詞」

白髪の男「……」スタスタ

殺し屋「……さて、じゃあ兵士でも呼びに行こうかな」
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/17(土) 21:52:44.04 ID:1EwlqW6A0
今日はここまでです。

地の文って凄く個性が出るなー、と他の方のssを読んでるとものすごく感じます。(俺が浮いてるのだけなのかもしれないですが)
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/17(土) 21:54:14.19 ID:G+R8l7EJo
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 22:08:07.57 ID:4aowPVLmo
乙乙
殺し屋かわいい
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/17(土) 22:11:08.20 ID:SErrHqUSo
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/18(日) 12:09:25.87 ID:ZeP6/Atbo
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/18(日) 22:10:00.85 ID:4BXH1KE70
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町娘「……」

殺し屋「こんな話かな」

町娘「え、でその白髪の人はどうなったの?」

殺し屋「さあ、死んだのかもしれないし、生きてるかもしれないし」

町娘「……なんでそんなアバウトなの?」

殺し屋「だってアバウトな関係だもん、会ったら殺し合うってだけの関係だし」

町娘「なんて物騒な……」

殺し屋「まあ、裏社会の仕事ってのはこんな感じかな」

町娘「ねえ、ほとんどあんたの趣味で戦ってない?」

殺し屋「そうだよ」

町娘「いや、そうだよじゃなくて……」

殺し屋「仕事で頑張る事もあるけど、基本頑張るのは趣味だから」

町娘「そういう人ばっかりなの、裏社会って」

殺し屋「うーん、俺が異質なんだと思う」

町娘「私もそう思う」

殺し屋「やっぱり、あはははは!!」
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/18(日) 22:11:38.18 ID:4BXH1KE70
町娘「……」

殺し屋「で、お前は望んでた事が聞けた?」

町娘「半分は聞けたかな」

殺し屋「うん、それくらいがちょうどいいと思うよ」

町娘「え?」

殺し屋「それ以上は知るべきじゃないって事」

町娘「ど、どういう事?」

殺し屋「一般人が裏社会の事を知り過ぎるのはよくないって事だよ」

町娘「私は――――」

殺し屋「今お前は普通の世界で普通に暮らしてるだろ」

町娘「……でも――――」

殺し屋「お前の父親は裏社会の人間だったかもしれないけどお前は違う、そうだよね?」

町娘「……う、ん」

殺し屋「なら、お前は一般人として生きていきなよ」

町娘「……」

殺し屋「裏社会はお前の思ってる以上に汚くて腐った所だ、そんなのをお前が知った所で意味は無いだろ?」
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/18(日) 22:14:25.67 ID:4BXH1KE70
町娘「確かにそうだけど……」

殺し屋「じゃあお前は全部知ってどうする気なの?」

町娘「……」

殺し屋「どうする事も出来ないでしょ?」

町娘「うん……」

殺し屋「それにお前はこっち側に来る必要も無いと思うよ、かわいいし」

町娘「な……!?」///

殺し屋「……ん、なんか変な事言った?」

町娘「今、か、かわいいって……」///

殺し屋「え、何か変だった?」

町娘「……」

殺し屋「?」

町娘「もういいわよ!!」

殺し屋「怒ってる?」

町娘「怒ってない!!」

殺し屋「……まあいいや」
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/18(日) 22:15:23.68 ID:4BXH1KE70
殺し屋「……傷の手当てしてくれてありがとう、俺もう行くわ」

町娘「え、まだ動かない方が……」

殺し屋「大丈夫大丈夫、すぐ治るから」スタスタ

町娘「わ、分かったわよ……」

殺し屋「くれぐれもこっちの社会に来ないようにね」

町娘「え、うん」

殺し屋「よし、俺の事は忘れてくれていいよ」

町娘「言われなくてもすぐに忘れちゃうわよ」

殺し屋「うんうん、それがいい」スタスタ

町娘「じゃあね」

殺し屋「お互い病気や怪我をしない様にしようね、病は気から、って奴だよ」スタスタ

町娘「……そうね」

殺し屋「それじゃあお元気で」ガチャ

町娘「あんたもね」
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/18(日) 22:17:14.62 ID:4BXH1KE70
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数日後  とある酒場


殺し屋「……」

仲介人「相変わらずだな」


それは黒装束を身に纏った男だった。


殺し屋「何?」

仲介人「前回の仕事も成功させてくれたんだってな」

殺し屋「失敗してたら俺はここにはいないよ」

仲介人「確かにそうだな」

殺し屋「……ねえ、かわいいって誉め言葉だよね?」

仲介人「え、ああ、そうだな」

殺し屋「……」

仲介人「え、何かあったのか?」

殺し屋「かわいいって言ったら怒られたんだよね……」

仲介人「誰に?」

殺し屋「女の子」

仲介人「……それは……」
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/18(日) 22:17:57.09 ID:4BXH1KE70
殺し屋「なんで褒め言葉なのに機嫌が悪くなったんだろう……」

仲介人「殺し屋、お前かっこいいって言われたらどうする?」

殺し屋「ありがとうって言う」

仲介人「……」

殺し屋「え、何?」

仲介人「お前その子の事どう思ってるんだ?」

殺し屋「だからかわいいと思ってる」

仲介人「いや、そういう意味じゃなくて!!」

殺し屋「?」

仲介人「と、とにかく女に気安くかわいいとか綺麗とか言うな、わかったな」

殺し屋「……わ、わかった」

仲介人「そいつが好きだったら別だが……」

殺し屋「好きか嫌いかだったら好きだよ」

仲介人「そういう意味じゃない!!」

殺し屋「……訳わかんないよ」
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/18(日) 22:19:44.34 ID:4BXH1KE70
今日はここまでです。

そろそろ殺し屋編も終わりです。
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/18(日) 23:59:18.16 ID:b5JfhRozo

モブキャラなんだろうけど迷子のサキュバスの話が見たい
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 00:03:14.07 ID:Z6BHqfnuo
殺し屋が魅力的過ぎてヤバイ
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 07:03:04.49 ID:wK+X121IO
殺し屋サイドストーリーなら幾らでもほしす!
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 21:52:39.14 ID:XyOAM5U50
仲介人「……話を戻すぞ」

殺し屋「あ、そうだね」

仲介人「今回は楽だぞ」

殺し屋「へえ」

仲介人「今回は調査だ」

殺し屋「……じゃあ殺しはしないの?」

仲介人「ああ、調べるだけで結構だ」

殺し屋「……依頼人は?」

仲介人「その町のお偉いさんだ」

殺し屋「……またなんでそんな人が?」

仲介人「俺に聞くな」

殺し屋「お前は何処まで聞いたの?」

仲介人「だいたい半分って所かな」

殺し屋「じゃあさ、半分でいいから聞かせてくれる?」

仲介人「調査対象はそのお偉いさんの息子だ」

殺し屋「……なんて言うか、またややこしそうな話だね」
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 21:54:57.42 ID:XyOAM5U50
仲介人「ややこしそうじゃくて実際にややこしいんだ」

殺し屋「……あ、そう」

仲介人「なんでもそのお偉いさんの息子は相当な不良で、いろいろ悪い事をしてるらしい」

殺し屋「あのさ、もしかしてそれを調査しろって事?」

仲介人「その通り」

殺し屋「俺がその息子を調べてどうなるの」

仲介人「どうにもならんよ、ただありのままをそのお偉いさんに伝えればいい」

殺し屋「気が進まないな……」

仲介人「確かにこれはお前に回す様な依頼じゃないからな」

殺し屋「そういう意味じゃないよ」

仲介人「……」

殺し屋「そのお偉いさんは息子の事件を揉み消す気なんだろ」

仲介人「……多分そうだろうな」

殺し屋「俺、そういう奴等大っ嫌いなんだよね」

仲介人「俺だって嫌いだ、ただ――――」

殺し屋「こういう依頼もこなしてこそ、だろ?」

仲介人「……ああ、そういう事だ」
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 21:56:50.42 ID:XyOAM5U50
殺し屋「はあ……」

殺し屋「まあ、話を聞きに行くだけ行ってみるよ」

仲介人「悪いがそうしてくれるか」

殺し屋「……気がのらないな」

仲介人「別に断ってくれても構わんぞ」

殺し屋「別にいいよ」

仲介人「……」

殺し屋「で、場所は?」

仲介人「前と同じだ」

殺し屋「……そう」

仲介人「言っとくがお偉いさんはかなりの権力者だ、下手に怒らせるなよ」

殺し屋「はいはい」

仲介人「……じゃあ任せたぞ」

殺し屋「任せといてよ」スタスタ
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 21:59:12.99 ID:XyOAM5U50
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


屋敷   昼


お偉いさん「こんな場所まで来てもらってすまない」

殺し屋「そういうのはいいよ、それより本題は?」

お偉いさん「……せっかちだな」

殺し屋「悪いけど、そこまで暇じゃないんだ、貧乏暇なし、ってね」

お偉いさん「本題は私の息子の事だ」

殺し屋「仲介人からだいたいの事は聞いてる、その息子を調べればいいんだろ?」

お偉いさん「その通りだ」

殺し屋「……で、聞きたいんだけどお前はそれを調べてどうするつもりなの」

お偉いさん「このまま行けばあいつは確実に大きな事件を起こす、だからそれを防ぐためにだ」

殺し屋「……行動を監視する訳ね」

お偉いさん「そういう事だ」

殺し屋「もし、俺が調べてる時に何かしでかしたらどうするの?」

お偉いさん「対処の方法はある」

殺し屋「……揉み消す訳ね」

お偉いさん「まあ、そういう手も一つとしてあるな」
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 22:01:31.63 ID:XyOAM5U50
殺し屋「……」

お偉いさん「なんだ?」

殺し屋「……いや、何でもないよ」

殺し屋「まあ、見に行くだけ行ってみるよ」

お偉いさん「言っておくが、手は出さないでくれよ」

殺し屋「……は?」

お偉いさん「一応あんなのでも跡取りなんでね、怪我させてもらっては困る」

殺し屋「大した親バカだね、お前も」

お偉いさん「そう見えるか?」

殺し屋「ああ、自分と自分の息子の為に俺を雇った時点でお前はエゴの塊だよ」

お偉いさん「なかなか言ってくれるね」

殺し屋「生憎、裏社会で生きて来たから礼儀には無頓着なんだよね」

お偉いさん「……」

殺し屋「気はのらないけど引き受けるよ」

お偉いさん「そうしてもらえると助かる」

殺し屋「あ、俺仕事とプライベートは分けるタイプだから安心してね」
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 22:04:10.84 ID:XyOAM5U50
お偉いさん「あ、ああ」

殺し屋「じゃあ行ってくる」ピョンッ

殺し屋「……」タタタッ

殺し屋「……さて、どんな奴なのかな」タタタッ

殺し屋「どうせまともな奴じゃないと思うけど」ピョンッ

息子「……」スタスタ


それは目の覚める様な金髪の少年だった。


殺し屋「あれか、気持ちいいくらい金髪が似合ってないね、正直ダサい」スタスタ

町娘「……」スタスタ

息子「……」ドンッ

息子「おい、テメェ何処見て歩いてんだよ!!」

町娘「す、すいません」

殺し屋「……う、うわぁ」

殺し屋「いろんな意味で最悪だよ……」

息子「何見てんだ!!」

殺し屋「あ、ゴメン」

町娘「あ……」

殺し屋「……」

息子「お前こいつの知り合いか?」
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 22:06:00.28 ID:XyOAM5U50
殺し屋「えーと、知り合いとも言うし、知り合いじゃないとも言える」

息子「は、テメェ何言ってんだ!!」

殺し屋「いや、ありのままをそのままお伝えしただけなんですが……」

息子「意味わかんねえんだよ!!」

殺し屋「ああ、バカは死んでも治らないって奴?」

息子「て、テメェ……」

町娘「そいつはヤバいから!!」

殺し屋「ふーん」

息子「お前、俺が誰だか知ってんのか?」

殺し屋「……チンピラだろ?」

息子「まあ、そう見えるよな」

殺し屋「この町の権力者の息子だろ、知ってるよ」

息子「……知ってんのか」

殺し屋「まあね」

町娘「父親の力が無かったら何にも出来ない癖に……」ボソッ

息子「ああ!?」

殺し屋「お互い冷静になった方がいいと思うよ、特にお前」
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 22:06:54.32 ID:XyOAM5U50
息子「うるせえ!!」

殺し屋「……」

町娘「あんたみたいな人間がいるから駄目なのよ」タタタッ

殺し屋「あ、ちょっと」

息子「クソ野郎が……」

殺し屋「どっちがクソ野郎だか」

息子「ああ!?」

殺し屋「お前凄くかっこ悪いよ」

息子「うるせえ!!」スタスタ

殺し屋「おい、待てよ」

息子「……」スタスタ

殺し屋「子供だな、二人とも」

殺し屋「はあ……面倒臭い……」スタスタ
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 22:09:44.18 ID:XyOAM5U50
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夜 空き家の屋根裏


殺し屋「本当に家に帰らないんだ……金持ちは違うね」

チンピラ「おう」ガチャ

息子「来たか」

殺し屋「これであいつを入れて四人、何するんだろう」

殺し屋「昼もチンピラ共集めてなんかさせてたし、その延長線上かな?」

息子「じゃあ、そろそろ行くか」

チンピラ「あれか?」

息子「ああ、あれだよ」

殺し屋「あれ?」

殺し屋「バカな事を考えてるんだろうな」

殺し屋「勇者達の考えるバカな事は本気で面白そうなんだけど、こいつらじゃね……」

息子「行くぞ」スタスタ

チンピラ達「ああ」スタスタ

殺し屋「お、出掛けるのかな?」スタスタ
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 22:10:25.21 ID:XyOAM5U50
チンピラ達「今日はどんな奴なんだ?」スタスタ

息子「結構いいと思うぞ、ただムカつくけどな」スタスタ

殺し屋「……」スタスタ

殺し屋「あれ、こっちって……」

チンピラ「この家だ」スタスタ

息子「さっさと行くぞ」スタスタ

チンピラ達「ああ」スタスタ

息子「……」コンコン

町娘「はい」ガチャ

息子「こんばんは」

町娘「……」

息子「入るぞ」スタスタ

町娘「え、ちょっと――――」

チンピラ達「ほら、お前もさっさと入れ」

町娘「え、助け――――」

ガチャン

殺し屋「なるほど……」

殺し屋「久々に頭に血が昇って来たね……」

殺し屋「あいつ等みたいな下種野郎は一回痛い目見とかないとクズのまんまだからね」スタスタ
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/19(月) 22:12:32.96 ID:XyOAM5U50
今日はここまでです。

>>622 需要があるのであれば、どんなモブキャラにも多少なりともストーリーがあるので書けますよ。
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/19(月) 22:26:13.10 ID:gmwphV2mo
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/19(月) 22:41:05.05 ID:fHcgWony0
乙  殺し屋超かっこいい
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/19(月) 23:00:30.59 ID:ZTx9Ik8P0
>>635
妹!妹お願い
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/19(月) 23:02:48.81 ID:hf2CJLH9o
女大臣で
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage]:2012/03/19(月) 23:33:14.76 ID:QXpl/0GAO
ドラゴンを捕獲した村の村長という誰も望まないサブストーリーを期待
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 23:52:19.68 ID:F+AIitWpo
ドラゴン捕獲前後の話は読みたいな
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 00:29:47.65 ID:7aOaYaego
まだ見ぬ殺し屋話をひとつ
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 01:20:31.68 ID:vD9CeQBjo
ドラゴンが人間になる話も
女大臣の過去は強者の話にちょっと出てくるのかな?
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 03:15:30.37 ID:grROW4w3o
女勇者の過去とか知りたいです!
殺し屋結婚してくれ
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/20(火) 09:23:05.14 ID:eaYgEwIlo
>>574
これだな
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:11:49.01 ID:xhLl2y+C0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


家の中


町娘「こんな事していいと思ってるの!?」

息子「うるせえ、お前が俺の事馬鹿にしたから悪いんだろ」

町娘「意味わかんない……」

息子「チッ、ムカつく奴だな」

町娘「あんたに言われたくないわよ」

息子「……いつまでそんな事言ってられるかな」

町娘「……」

町娘「いい加減にしなさいよ!!」

息子「うるせえ、お前みたいな貧乏人は頭だけ下げてればいいんだよ」

町娘「……さすが屑ね」

息子「うるせえよ!!」


息子の町娘の脇腹を蹴る。


町娘「うぐ……」
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:14:17.08 ID:xhLl2y+C0
息子「だいたい自分の状況が分かってねえのはどっちだよ」

町娘「う……るさい」

息子「テメェ!!」


息子は何度も町娘の腹を蹴る。


息子「……おい、こいつの服脱がせ」

チンピラ達「わかってるよ」


町娘の服が破れる。


町娘「ちょっと、離しなさいよ!!」

息子「さっさとしろ」

チンピラ達「分かってる分かって――――」


その瞬間、町娘に襲いかかっていたチンピラが全員吹き飛ぶ。


息子「は?」

殺し屋「歯を食い縛れ」

息子「え?」
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:16:09.98 ID:xhLl2y+C0
殺し屋「歯を食い縛れ!!」


殺し屋は息子の顔面に右ストレートを撃ちこむ。


息子「う……テメェ!!」

殺し屋「ちょっと黙ってろ」

息子「ああ!?」

殺し屋「黙ってろって言ってんの!!」

息子「う……」

殺し屋「今最高に機嫌が悪いから」

息子「う、うるせえ!!」

殺し屋「怒鳴るのやめてくれるかな、イライラするから」

息子「お前何なんだよ!!」

殺し屋「こいつの知り合いだよ、言わなかったっけ?」

息子「……ふ、ふざけんなよ!!」

殺し屋「は?」

息子「テメェだって貧乏人の仲間じゃねえか!!」

殺し屋「ああ、そうだよ」
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:18:21.62 ID:xhLl2y+C0
息子「なんでそんな屑が偉そうな事言ってんだよ!!」

殺し屋「別に偉そうなことなんて言ってないよ」

殺し屋「それに屑はお前だろ」

息子「うるせえ!!」

殺し屋「本気で殺すよ」

息子「……はは、あははははは!!」

殺し屋「何かおかしな事言ったか?」

息子「お前が俺達をか?」

殺し屋「うん、そのつもりだけど」

息子「こっちは四人、テメェは一人だぞ」

町娘「わ、私だって」

殺し屋「変な意地張らなくていいから」

息子「不意打ちくらいで調子に乗ってんじゃねえぞ!!」

殺し屋「……」

息子「やっちまえ!!」

チンピラ達「ああ!!」


その瞬間三人のチンピラが一斉にその場に倒れる。


殺し屋「……聞こえなかったんだけど、なんて言ったのかな?」ニッコリ

息子「……」
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:20:39.42 ID:xhLl2y+C0
殺し屋「ねえ、なんて言ったの?」


殺し屋は息子の胸ぐらを掴む。


殺し屋「俺さっき言ったよね、死にたいかって?」

息子「う、あ……」

殺し屋「お前に言いたい事は二つだ」

息子「な、何だよ」

殺し屋「まず二度と俺の目の前に現れない事、あと、この子に一生近づかない事、わかった?」


殺し屋は息子の腹を殴る。


息子「う……わ、わかった」

殺し屋「もしこれが守れなかったら殺すからね」ニッコリ

息子「う、はい」

殺し屋「……だったらさっさと失せろ、見てるだけで腹が立つ」

息子「ひっ……」
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:22:25.83 ID:xhLl2y+C0
殺し屋「ゴミはゴミ溜めに帰れ」

息子「う……」タタタッ

殺し屋「……お前等も一緒だ、ぶっ殺すぞ」

チンピラ達「は――――」

殺し屋「返事はいいからさっさと消えろって言ってんだ、殺すよ?」

チンピラ達「……」タタタッ

殺し屋「……無事で良かったね」

町娘「え、ええ、ありがとう」

町娘「……なんで?」

殺し屋「え?」

町娘「なんでいるの?」

殺し屋「仕事だよ、仕事」

町娘「……」

殺し屋「まあ、まともな仕事じゃないけどね」

町娘「あいつにあんな事したら――――」
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:23:37.77 ID:xhLl2y+C0
殺し屋「大丈夫だよ」

殺し屋「……」

町娘「……」

殺し屋「……長居するべきじゃないね」スタスタ

町娘「待って!!」

殺し屋「……」

町娘「あのさ、また、来てくれない?」

殺し屋「?」

町娘「今度来たらご飯、お礼としてご馳走するから」

殺し屋「……いいの?」

町娘「いいよ」

殺し屋「……ありがとう、じゃあそのうち行くよ」

殺し屋「じゃあね」ガチャ

町娘「じゃあね」
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:25:02.08 ID:xhLl2y+C0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数日後   酒場


殺し屋「……」ゴクゴク

仲介人「久しぶりだな」スタスタ

殺し屋「久しぶり」

仲介人「……お偉いさんとの仕事、失敗したんだって?」

殺し屋「まあ、失敗って言えば失敗かな」

仲介人「何したんだ?」

殺し屋「……息子の方は更生したけど殴っちゃったからね、報酬は無しで手を打ってもらったよ」

仲介人「痛み分けって所か」

殺し屋「そうだね」

仲介人「お前が依頼失敗するのなんて二回目じゃないか?」

殺し屋「うーん、そうだね」

殺し屋「あの時よりはマシだけどね」

仲介人「……で、今回の理由はなんだ?」

殺し屋「頭に血がのぼっただけだよ」
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:26:08.32 ID:xhLl2y+C0
仲介人「……ま、そういう事にしとくか」

殺し屋「そうしてくれると嬉しいよ」

仲介人「……急ぎの仕事あるけど、どうする?」

殺し屋「何時から?」

仲介人「明日からだ」

殺し屋「……」

仲介人「なんだ、お前が何も聞かずに仕事を断るなんて珍しいな」

殺し屋「明日はちょっと用事がね」

仲介人「そうか」

仲介人「……何の用だ?」

殺し屋「うーん、ちょっと前に助けた人がご飯作ってくれるって言ってくれたんだよ」

仲介人「……」

殺し屋「?」

仲介人「それって――――、まあいいか」

殺し屋「なんだよ、そういうの気になるんだけど」

仲介人「言わない、どうせ意味ないから」

殺し屋「なんだよそれ」
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/20(火) 22:26:53.95 ID:xhLl2y+C0
殺し屋編はここまでです。

明日からは強者編です。
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/20(火) 22:28:31.54 ID:/EfHtSXWo
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/20(火) 22:34:33.98 ID:fSpvIdoJ0
乙  殺し屋やべー
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/20(火) 22:35:38.51 ID:0pW3HLUQo
ほほう
こゆのもいいな
大層おつりん
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/20(火) 22:43:03.66 ID:Qp07WgBu0
殺し屋やっぱ良い奴だなあ。
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 22:46:31.70 ID:grROW4w3o
殺し屋みたいなトモダチが欲しい
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 07:25:53.38 ID:FsSJNlmIO
殺し屋△
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 10:25:44.01 ID:MDX3cuqIO
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/03/21(水) 21:44:12.25 ID:cRm2VEgV0


これは強者がまだ人間だった頃、五年前の話である。


朝 雪の町 道場 


強者「……退屈だな」

女性「強者さん、あんまりそう言う事口に出さない方がいいと思いますよ」


その女性は肩くらいまでの短い黒髪で、和服の似合いそうな顔立ちだった。


強者「退屈は退屈だ、貴公にだって退屈な時はあるだろ」

女性「そうですけど、やっぱりそう言う発言は周りの人に影響を与えます、特に今日は新しい子が入って来るんですから」

強者「……あの子供か?」

女性「はい、ちゃんと名前覚えてますか?」

強者「……」

女性「あの子の名前は女大臣ですよ、覚えといてくださいね」

女性「なんでも剣を極めるためにこの道場に入ったんだとか」

強者「ならこんなボロ道場よりもいい道場があったと思うのだが?」

女性「……そう言う事言うのはよくありませんよ」

強者「真実だ、我と貴公の二人だけのボロ道場よりマシな道場は山ほどある」

師匠「二人ではなく、三人ですよ」

女性「お、おはようございます」
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 21:45:55.39 ID:cRm2VEgV0
強者「他に門下生が?」

師匠「いえ、師範である私がいるじゃないですか」

強者「……道場で剣を学んでいるのは二人だな」

女性「強者さん、言い方を考えて下さい」

強者「事実は事実ではないか」

女性「もっと言い方を考えないといけませんよ、言い方一つで大きく変わるものですから」

師匠「いいんですよ、強者の事は分かっていますから」

女性「そ、そうですけど……」

女大臣「お、おはようございます!!」スタスタ

師匠「早かったですね、おはようございます」

女大臣「今日からお世話になります、女大臣です!!」

師匠「知っていますよ」

女性「私は女性、今日からよろしくお願いしますね」

強者「強者だ、よろしく頼む」

女性「強者さん、もっと言い方を考えて下さい」

強者「む……きょ、今日からよろしく頼むぞ、女大臣」

女性「それじゃほとんど変わってないじゃないですか」
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 21:47:33.03 ID:cRm2VEgV0
強者「うるさい、これが我の限界だ」

女性「恥ずかしがってたら友達になれませんよ」

強者「……」

女大臣「よ、よろしくお願いします!!」

強者「よ、よろしく頼む……」


女大臣は強者と握手する。


女性「このままどんどん門下生が増えていくといいですね」

強者「無理だろうな」

女性「なんでそう言う事言うんですか」

強者「事実をありのまま述べただけだ、気にするな」

女性「気にしますよ」

師匠「うんうん、今日も皆さん元気そうですね」

女大臣「え、こんな風でいいんですか!?」

師匠「日常の風景ですよ、うんうん、今日も平和ですね」

強者「貴公は相変わらずだな」

師匠「あなたも相変わらずですね、普通の道場だったらとっくに追いだされてますよ」
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 21:49:24.31 ID:cRm2VEgV0
強者「追い出されたからこの道場におるのだ」

女性「なら性格直せばいいと思うんですけど」

強者「直せるなら苦労はしておらん」

女性「そんな事言って……努力して下さいよ」

強者「努力した結果がこれだ」

師匠「まあまあ二人とも、練習を始めますよ」

強者「……そうだな」

女性「途中でサボったりしないで下さいね」

強者「わかっておる」

師匠「あ、新しく入ってきてのならあれをやっておかないといけませんね」

女性「あれですか」

強者「もの好きだな、貴公も」

女大臣「あれって何ですか?」

師匠「あなたは何のために剣を学ぶのですか?」

女大臣「な、何のためにですか?」

師匠「女性、あなたは何のために学ぶんですか?」

女性「私は秩序を守るためです」
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 21:51:53.95 ID:cRm2VEgV0
師匠「強者、あなたは何のために学ぶんですか?」

強者「何か大切なものを守るためだ」

師匠「女大臣、あなたは何のために剣を学ぼうと思ったんですか?」

女大臣「わ、私は……」

師匠「どんな理由でも構いませんよ、自分の為、誰かを傷つけるため、極端な話なら世界を征服するためでも構いません」

女大臣「……」

師匠「ただ、どんな理由にせよそれはあなたの剣の原点になります」

師匠「それを口に出して、原点を明確にしておくためにこれをやるんです」

女大臣「……わ、私は強くなるためです!!」

女大臣「誰にも負けない、誰にも馬鹿にされないためです!!」

師匠「……」ニッコリ

師匠「そうですか、いい原点です」

女性「師匠の原点はなんですか?」

師匠「私ですか……」

師匠「私の原点は誰かに教える為です」

強者「最初から師範を目指しておったのか?」
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 21:55:48.23 ID:cRm2VEgV0
師匠「いえ、私の村には道場がありませんでしたから他の村の子達にどうしても勝てなかった」

師匠「ですから、私は剣術を覚え、他の子達に教える事が目標だったんです」

強者「いつ聞いても変わった目標だな」

師匠「よく言われます」

女性「でも素敵な原点です」

師匠「ありがとうございます」

師匠「……では始めましょうか」

女大臣「よろしくお願いします!!」

強者「そう緊張するな、神経を尖らせ続けるのは体に悪いぞ」

師匠「そうですね、下手に緊張する必要はありませんよ」

女大臣「はい……」

師匠「では始めますよ」

女性・女大臣「はい」

強者「うむ」

師匠「まずは剣を構えて下さい」

女大臣・女性「はい」

強者「うむ」


三人は同時に剣を構える。
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 21:56:25.73 ID:cRm2VEgV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夕方


師匠「今日はここまでにしましょうか」

女性「はい」

強者「わかった」

女大臣「あ、明日もよろしくお願いします!!」スタスタ

女性「よろしくお願いします」

師匠「では、また明日」スタスタ

強者「また明日」

女性「強者さんはこのまま帰りますか?」

強者「もう少しここに残る」

女性「……なら私も残ります」

強者「別に我に付き合ってもいい事は無いぞ」

女性「そんな事わかってますよ」

強者「なら何故――――」

女性「理由が無いと駄目ですか?」

強者「……日が完全に落ちる前には帰るのだぞ」
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 21:58:36.02 ID:cRm2VEgV0
女性「分かってますよ」

強者「……」


強者は剣を構え素振りを始める。


女性「まだやるんですか?」

強者「人並みの修行では人並みの強さしか得られん」

女性「……強者さんは何を守りたいんですか?」

強者「今の所はわからん、そのうち見つけるさ」

女性「そうですか」

強者「貴公はもう守るものは決まっておるのだろう?」

女性「はい」

強者「……貴公ならいいハンターになれると思うぞ」

女性「……そうですかね」

強者「我はそう思う」

女性「強者さんがそう思ってるだけじゃないですか」

強者「そうとも言えるな」

女性「……ふふっ」

強者「何がおかしいんだ?」

女性「それじゃ何の根拠も無いじゃないですか」
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 22:00:54.23 ID:cRm2VEgV0
強者「そうだ、あくまで我の想像だ」

女性「やっぱり」

女性「……でも大丈夫です」

強者「?」

女性「私、絶対ハンターになります、なって見せます」

強者「……そうだな、楽しみにしておるぞ」

女性「はい」

女性「……じゃあ一試合お相手していただけますか?」


女性はヒノキの棒を構え、強者の前に立つ


強者「言っておくが、手を抜く気は無いぞ」

女性「構いません、いつもの事じゃないですか」

強者「ふん、そうだな」


強者も剣を置き、ヒノキの棒を構える。


強者「では、参る!!」

女性「はい!!」
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/21(水) 22:02:25.51 ID:cRm2VEgV0
今日はここまでです。

ちなみにこの時の女大臣は14歳です。
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 22:23:50.12 ID:Cr1hLrgIO
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/21(水) 22:35:14.68 ID:tZLNUCdxo
乙‼
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/03/22(木) 02:47:16.54 ID:4uoeSXKDo
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 05:41:22.56 ID:zUfzH6uFo
乙 続きが楽しみ
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 21:51:49.49 ID:LcfKlRGO0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夜  町中


女性「すいません、今日も送ってもらっちゃって」

強者「気にするな、我が好きでやっている事だ」

女性「……じゃあまた明日、お休みなさい」スタスタ

強者「また明日」スタスタ

強者「……」

強者「……出てきたらどうだ?」

女大臣「す、すいません!!」

強者「別に謝る必要などない」

女大臣「ぐ、偶然なんです!!」

強者「別にどうでもいい」

女大臣「すいません……」

強者「別に見られて困るものでもない」

女大臣「そ、そうですか」

強者「あとここは道場ではないのだ、別に敬語でなくてもいい」

女大臣「いえ、敬語の方が慣れてるんで、敬語でいいです」
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 21:54:08.03 ID:LcfKlRGO0
強者「……そうか」

女大臣「あの、強者さんと女性さんは付き合ってるんですか?」

強者「違う」

女大臣「そうなんですか」

女大臣「……」

強者「腑に落ちない様だな」

女大臣「だって、あんなに仲いいじゃないですか」

強者「……仲が良いと好きは違うぞ」

女大臣「?」

強者「貴公には少し難しいかもしれんな」

女大臣「ちょっと、よくわかんないです」

強者「いつか分かるようになる」

女大臣「そ、そうですか」

強者「そうだ」

強者「それに女性はハンターになるのだ、我よりよっぽどいい男が現れるはずだ」

女大臣「……」

強者「なんだ?」

女大臣「い、いえ、おやすみなさい」

強者「一人で大丈夫か?」

女大臣「あ、はい、家近くなんで大丈夫です」

強者「……そうか」

女大臣「また明日お願いします」

強者「うむ」
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 21:55:26.57 ID:LcfKlRGO0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数日後 朝


女大臣「おはようございます!!」

女性「おはようございます」

師匠「おはようございます」

女大臣「あ、あれ、強者さんは……」

師匠「縁側にいるんじゃないですかね」

女大臣「じゃあ挨拶に……」

師匠「多分精神統一してる頃だから、行かない方がいいと思いますよ」

女大臣「そ、そうですか」

女性「……じゃあ一緒に行きましょうか」

女大臣「え、いいんですか?」

女性「強者さんああ見えて優しいですから」スタスタ

女大臣「大丈夫ですか?」スタスタ

女性「大丈夫ですよ、きっと」スタスタ
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 21:56:53.61 ID:LcfKlRGO0
強者「……」

女性「強者さん」

強者「……」

女性「そ、そんな顔しないで下さいよ」

強者「貴公は我が何をやっているか分からんのか?」

女性「精神統一ですよね」

強者「そうだ」

女性「別にいいじゃないですかもう一時間もやってるんですし」

強者「……」

女性「練習始まりますよ」

女大臣「……」

強者「女性、女大臣が困っておるぞ」

女性「あ、ごめんなさい」

女大臣「だ、大丈夫です」
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 21:58:25.00 ID:LcfKlRGO0
強者「まったく、我はいいが新人まで困らせるのはどうかと思うぞ」

女性「す、すいません」

強者「我は別に気にしておらぬ」

女大臣「本当に優しいんですね」

強者「……」

女性「強者さん?」

強者「別に優しくはない」

女性「強がっちゃダメですよ」

強者「強がってなどいない」

女性「素直じゃないんですから」

強者「やかましい」スタスタ

強者「始めるのだろ」

女大臣「あ、はい」スタスタ

強者「女性、貴公も行くぞ」

女性「あ、はい、待ってください」スタスタ
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 21:59:44.98 ID:LcfKlRGO0
師匠「……女大臣も慣れてきたみたいですね」

女大臣「はい」

女性「良かったですね、強者さん」

強者「なんで我に言うんだ」

師匠「あなたが一番うまくやっていけるか心配だったからですよ」

強者「だがちゃんとうまくやっていっているだろうが」

女性「だから良かったんじゃないですか」

師匠「そうですね」

強者「だいたいなんでうまくいかないと決めつけておるのだ」

女性「だってこの中で一番恥ずかしがりやで会話が苦手じゃないですか」

師匠「それにお世辞も言えないですから」

強者「貴公等は我をそんな目で見ておったのか」

女性「でも真実じゃないですか」

強者「……」

女性「っていつもの強者さんは言いますよ」

強者「……嫌味な言い方だな」
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 22:01:17.24 ID:LcfKlRGO0
女性「いつも言われてる仕返しです」

強者「我はそんなとげのある言い方はしてないと思うが?」

女性「気付いてないだけでしてるんですよ」

女大臣「あの二人って仲いいんですね」

師匠「そりゃ、かれこれ一年近くこの道場にいますからね」

女大臣「そうなんですか?」

師匠「ええ、私が教えられる事は全てあの二人に教えるつもりですから」

女大臣「そうなんですか……」

師匠「もちろん、あなたもいいのなら私が教えられる事を全て教えますよ」

女大臣「……あ、ありがとうございます」

師匠「二人とも、始めますよ」

女性「はい」スタスタ

強者「うむ」スタスタ
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 22:02:07.32 ID:LcfKlRGO0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夕方


師匠「お疲れさまでした」スタスタ

女性・女大臣・強者「お疲れさまでした」

女性「疲れましたね」

女大臣「そうですね」

女性「女大臣、汗でべたべたですよ」

女大臣「女性さんだってそうじゃないですか」

女性「いえ、私はちゃんと着替えを持ってきてますから」ガサゴソ

女性「ほら」

女大臣「……私も明日から持ってきた方がいいですかね?」

女性「そうですね、明日から一緒に着替えましょうか」


そう言うと女性はその場で服を脱ぎ出す。


女大臣「え、こ、ここで着替えるんですか!?」

女性「ええ、いつもここで着替えてるんで」
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 22:03:32.23 ID:LcfKlRGO0
女大臣「でも強者さんが……」

女性「いいんですよ」

強者「誰がいいと言った、いつも外で着替えろと言っておるだろ」

女性「だって寒いじゃないですか」

強者「じゃあ何処か他の温かい場所で着替えてくればよいだろ」

女性「別にいいじゃないですか、強者さんだって夏はここで着替えてるんですし」

女大臣「ほ、本当ですか!?」

強者「下着までは替えん!!」

女性「私だって下着までは替えませんよ」

強者「だがな――――」

女性「お互い様ですよ」

強者「……」

女大臣「じゃあ、私もここで着替えていいですか?」

強者「な……!?」

女性「いいですよ」

女大臣「ありがとうございます」

女性「嫌なら強者さんが出て行ってくださいね」

強者「……」
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/22(木) 22:06:23.06 ID:LcfKlRGO0
今日はここまでです。

気がつけばSS速報でSSを書き始めて一年になりました。
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/22(木) 23:21:59.53 ID:U/bvJN+Ko
つえー
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/23(金) 07:59:30.14 ID:QEQ8kjjWo
アニバーサリーかあ
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/23(金) 13:46:22.94 ID:G+X9an3Xo
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:43:43.25 ID:MY4yNUcW0
女性「二人とも今日家でご飯食べて行きませんか?」

女大臣「え、いいんですか?」

女性「はい、親睦会も含めて三人で」

強者「……大丈夫か?」

女性「大丈夫ですよ、私一人暮らしですし」

強者「いや、女の部屋に男が行くというのはどうなのだ?」

女性「強者さん……考えが古いですよ」

強者「だ、だが……」

女性「私がいいって言ってるんです、いいんですよ」

強者「そ、そうか……」

女性「女大臣も遠慮しなくていいですよ」

女大臣「あ、はい」

強者「材料はあるのか?」

女性「あ、じゃあ私と女大臣と買ってきますね」

強者「……頼んでいいのか?」

女性「別に大丈夫ですよ」

女性「じゃあ一時間くらいしたら家の前に来てくださいね」

強者「わかった」
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:45:12.63 ID:MY4yNUcW0
女性「強者さんは何か食べたいもののリクエストはありますか?」

強者「ない」

女性「じゃあ私達が勝手に決めますね」

強者「頼む」

女性「女大臣は何か食べたいものありますか?」

女大臣「お鍋がいいです」

女性「……鍋ですか、いいですね」

女性「じゃあ買いに行きましょうか」スタスタ

女大臣「はい」スタスタ

強者「……」

強者「一時間か……」

強者「……」

強者「精神統一でもするかな」
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:46:33.57 ID:MY4yNUcW0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町中  約一時間後


女性「ふう……やっと買い終わりましたね」

女大臣「そうですね」

女性「早くしないと強者さんも来ちゃいますし、早く行きましょうか」スタスタ

女大臣「はい」スタスタ

女大臣「……女性さんは強者さんの事どう思ってるんですか?」

女性「え、どういう意味ですか?」

女大臣「え、その、いつも仲いいですし、いつも一緒にいるじゃないですか」

女性「……そんなの考えた事なかったですね……」

女大臣「そ、そうですか……」

女性「まあ、強者さんはちょっと変わってると思いますけど好きですよ」

女大臣「……」

女性「どうかしましたか?」

女大臣「いえ、別に……」

女性「もしかして女大臣も強者さんの事が好きなんですか?」
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:48:35.07 ID:MY4yNUcW0
女大臣「ち、違います」

女性「ずいぶん動揺してますね」

女大臣「ち、違いますから」

女性「……」

女大臣「強者さんに言わないんですか?」

女性「好きだって事ですか?」

女大臣「はい」

女性「言いましたよ」

女大臣「え?」

女性「女大臣が来る前に二回くらい言った事がありました」

女大臣「……なんて言ってたんですか?」

女性「貴公がハンターになってもまだそう思っておったなら考える、って言われました」

女大臣「……だからあんな事言ってたんですか……」ボソッ

女性「強者さんはバカなんですよ」

女大臣「……」

女性「古臭くてバカで頑固者、それが強者さんですから」

女大臣「そうですね」
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:50:42.70 ID:MY4yNUcW0
女性「それが強者さんの良さでもあるんですけどね」

女大臣「女性さんはハンターになったらもう一回告白するんですか?」

女性「しますよ」

女大臣「……頑張ってくださいね」

女性「はい」

女性「……行きましょうか、強者さんが待ってますし」スタスタ

女大臣「あ、はい」スタスタ

女性「……私が言った事、強者さんに言わないで下さいね」スタスタ

女大臣「何処をですか?」スタスタ

女性「全部です、言ったのがバレたら強者さん怒りますから」スタスタ

女大臣「は、はい」スタスタ

強者「……遅かったな」

女性「すいません、野菜がなかなか買えなくて」

女大臣「……」

女性「じゃあ中に入って下さい」ガチャ

強者「失礼する」スタスタ

女大臣「おじゃまします」スタスタ
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:51:15.68 ID:MY4yNUcW0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


それから数カ月、三人は師匠の元で共に剣を学んでいった。


女大臣「おはようございます」

師匠「おはようございます」

強者「……おはよう」

女大臣「女性さんはまだ来ていませんか?」

強者「ああ、女性が遅れるなんて珍しいな」

女大臣「聞いてないんですか?」

強者「聞いておらん」

強者「師匠は何か聞いておるか?」

師匠「いえ、何も」

女大臣「……心配ですね」

強者「杞憂だ、そこら辺のチンピラなんかよりずっと強いのだぞ」

女大臣「そうですが……」

強者「安心しろ、あまりにも遅いなら我が探しに――――」
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:51:56.23 ID:MY4yNUcW0
女性「遅れてすいません」タタタッ

強者「……何かあったのか?」

女性「いえ、何もないですよ」

強者「……そうか」

女大臣「じゃあなんで遅れたんですか?」

女性「寝坊ですよ、寝坊」

強者「……」

師匠「無事ならそれでいいんですよ」

女性「遅れてすいませんでした」

強者「その事はもうよい」

女大臣「そうですよ、誰だって寝坊する事はありますから」

師匠「では始めましょうか」

女性「はい」

女大臣「体調とか大丈夫ですか?」

女性「大丈夫ですよ」

強者「……」
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:54:07.62 ID:MY4yNUcW0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夕方


師匠「お疲れさまでした」

女性「お疲れさまでした、ではまた明日」スタスタ

強者「また明日……」

女大臣「もう帰るんですか?」

女性「今日はちょっと用事があるから」スタスタ

強者「……」

女大臣「強者さん、やっぱり何かおかしいですよ」

強者「……分かっておる」

強者「少し見に行ってくる」

女大臣「心配ですからね、そうして下さい」

強者「……一緒に行くか?」

女大臣「いえ、きっと強者さんの方が話しやすいと思うので」

強者「女同士の方が……」

女大臣「いいから早く行ってあげて下さい」

強者「わ、わかった」スタスタ
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:57:16.06 ID:MY4yNUcW0
強者「……何処に行ったのだ?」スタスタ

強者(なんて声を掛ければよいのだろうか……)スタスタ

強者(だから女大臣にも来てほしかったのだが)スタスタ

女性「……」スタスタ

強者「じょ、女性!!」

女性「え、あ、強者さん?」

強者「……あのだな……」

女性「な、何ですか?」

強者「今日何があったのだ?」

女性「……」

強者「……」

強者「い、言いたくないのなら言わなくてもよい、それに女大臣の方が――――」

女性「ちょっと男の人に声を掛けられただけです」

強者「……そ、そうか」

女性「ただ、ちょっと怖そうな人だったので、今日は早く帰った方がいいと思いまして」

強者「そ、そうだな、その方がよい」

女性「心配かけてすいません」

強者「いや、別に謝る様な事ではない」
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/23(金) 21:59:55.96 ID:MY4yNUcW0
中途半端になっちゃいますが今日はここまでです。
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/23(金) 22:02:57.10 ID:h3hR7T/go
乙っぱい
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/23(金) 23:48:59.78 ID:ojIaHTH6o
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 21:55:48.70 ID:i+nzK/c/0
女性「いえ、心配させちゃったみたいなんで謝っておいた方がいいと思って……」

強者「別によい、我だって人を心配させる事はある」

女性「強者さんが?」

強者「そうだ」

女性「ふふっ……」

強者「何かおかしいか?」

女性「いえ、強者さんが人を心配させる所を想像したら可笑しくって」

強者「何処がだ?」

女性「だって、強者さんっていつも冷静で人を心配させる様な事無さそうじゃないですか」

強者「我だって人を困らせたり心配させたりする事はあるぞ」

女性「それが想像できないんですよ」

強者「……」

女性「……ありがとうございます、少し楽になりました」

強者「……そう思い詰めない方がよいぞ」

女性「そうですね」
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 21:56:29.64 ID:i+nzK/c/0
強者「貴公には女大臣や師匠がおるのだ、安心しておけ」

女性「……強者さんは?」

強者「貴公がよいと言うのなら、貴公を守ろう」

女性「……じゃあ頼んでもいいですか?」

強者「……我にか?」

女性「はい」

強者「別に我でなくても、師匠や女大臣が――――」

女性「強者さんがいいんです」

強者「……わかった、貴公を守ろう」

女性「お願いします」

強者「……送っていこう」スタスタ

女性「お願いします」スタスタ

強者「……」スタスタ

女性「……強者さん」スタスタ

強者「なんだ?」スタスタ

女性「その、ありがとうございますね」スタスタ
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 21:57:24.55 ID:i+nzK/c/0
強者「礼には及ばぬ、我が好きでやっている事だ」スタスタ

女性「……ありがとうございます」スタスタ

強者「何かあったら相談してくれ、別に我でなくてもいい」スタスタ

女性「皆さんに相談します」スタスタ

強者「そうだな……それがいい」スタスタ

女性「……」スタスタ

強者「……」スタスタ

女性「ここまでで大丈夫です」

強者「……家の前まで送ってゆくぞ?」

女性「いえ、大丈夫です」

女性「それに強者さん達に甘えてばっかりじゃダメですし」

強者「……」

強者「わかった」

女性「じゃあ、また明日」

強者「明日は遅れるなよ」

女性「分かってます」
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 21:58:13.96 ID:i+nzK/c/0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


道場


師匠「そう言う事でしたか」

強者「とにかく用心に越した事はない、女大臣もな」

女大臣「はい」

師匠「強者、あなたも無茶をしてはいけませんよ」

強者「分かっておる」

師匠「特に女性の事になると周りが見えなくなりがちですから」

強者「別に女性に限った事ではない」

師匠「だといいんですけど」

強者「……」

女大臣「それにしても、その男達って何者なんでしょうか……」

強者「おおかたどこぞのチンピラだろう」

師匠「チンピラだと言っても数が多ければどうしようもありません、分かっていますよね?」

強者「分かっておる」
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 21:59:19.16 ID:i+nzK/c/0
師匠「大丈夫そうですね」

強者「守ってくれと頼まれたのだ、守る以外なかろう」

師匠「……良かったですね」

強者「?」

師匠「守るものが見つかったじゃないですか」

強者「……そうだな」

師匠「あなたの原点は守る剣でしたよね?」

強者「うむ」

師匠「……これを持って行きなさい」スッ

強者「これは?」

師匠「剣です」

強者「……何故我に?」

師匠「もし戦闘になった時、今のボロボロの剣では心許ないでしょう」

強者「……すまぬ」

師匠「構いませんよ」

女大臣「明日の朝も迎えに行くんですか?」

強者「そのつもりだ」

女大臣「女性さんも強者さんと一緒なら安心でしょうね」
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 22:00:11.53 ID:i+nzK/c/0
強者「別に我でなくても安心できるだろう」

女大臣「強者さんだから安心できるんですよ」

師匠「私達が一緒の時とはまた違う安心感と言うやつですよ」

強者「……」

師匠「とにかく、あなたも女大臣も無茶はしない様にして下さいね」

師匠「あなた達が居なくなっては困ります」

強者「それは門下生が減ると言う意味か?」

師匠「……そうですね、私は教える事が好きですから、門下生が減ると退屈になってしまうんですよ」

強者「ふん、自分勝手な理由だな」

師匠「まだまだあなた達に教えなければいけない事はたくさんありますから」

師匠「……では、私はそろそろ行きますね」スタスタ

女大臣「あ、はい」

強者「……」

女大臣「私でよかったら相談して下さいね」

強者「年下に励まされるか……」

女大臣「いえ、そう言う意味ではなくて――――」

強者「何かあったら相談しよう」

女大臣「……はい、そうして下さい」
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 22:01:08.11 ID:i+nzK/c/0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日


女大臣「……」

師匠「おはようございます」スタスタ

女大臣「あ、おはようございます」

師匠「おや、強者と女性はまだですか?」

女大臣「強者さんが迎えに行ってるんじゃないですか?」

師匠「……多分そうでしょうね」

強者「おはよう」スタスタ

師匠「噂をすれば、ですね」

強者「……女性はどうした?」

師匠「来てませんよ」

強者「……」

女大臣「一緒じゃないんですか?」

強者「……家に行っても居なかったのだ」
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 22:02:51.97 ID:i+nzK/c/0
女大臣「……でも来てませんよ」

師匠「……」

強者「……」

師匠「強者、女大臣、女性を探しに行きますよ」

女大臣「は、はい!!」

強者「女大臣は南側を、師匠は西側を探してくれるか!?」

師匠「分かりました」

女大臣「わ、分かりました」

強者「我は北側と東側を探す!!」タタタッ

女大臣「きょ、強者さん!!」

師匠「とにかく一時間経ったら見つからなくても一旦ここに集まりましょう」タタタッ

女大臣「分かりました」

師匠「あなたも十分に気を付けてください」

女大臣「は、はい」タタタッ
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/24(土) 22:04:00.73 ID:i+nzK/c/0
今日はここまでです。
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/24(土) 22:04:30.10 ID:cgwzIpfoo

続きが気になる
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/24(土) 22:47:22.00 ID:uMEWPOVfo
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/24(土) 23:12:39.55 ID:50naGZCIO
ウッ
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/25(日) 10:53:37.49 ID:uqUfNweZo

NTRはないですよね?
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 13:57:27.93 ID:KijFCuWIO
先の展開を作者に聞くマナーの悪さに辟易
まじ予想厨勘弁

嫌いなシチュエーションあるなら、その気配したら読むのやめな
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/25(日) 15:28:30.32 ID:dRed6eDHo
もともと鬱展開だって何度も言ってるだろ
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 17:33:56.32 ID:FRWI5ddmo
チベットのウザさ揺るぎないなwwww
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 21:57:19.73 ID:gk0++FjV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町中


強者「一体何処へ行ったのだ」タタタッ

強者「女性!!」

強者「……」

強者「何処だ」スタスタ

強者「……」

強者(女性が自分からチンピラ共に連いて行くはずはない)

強者(……とすればやはり強引に連れて行かれた)

強者(聞くとすればチンピラか……?)

強者(だが聞くとしても誰に聞けばよいのだ……)

強者「……とにかく探してみるしかないか……」

強者「まず女性の家に行ってみるか」タタタッ

強者「無事ならばよいのだが……」タタタッ

強者「……」タタタッ

強者「入るぞ……」ガチャ
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 21:59:51.81 ID:gk0++FjV0
強者「いないか……」

強者「……一体何処におるのだ」ガチャ

おばちゃん「あれ、あんたここに住んでる女の子の知り合いかい?」

強者「……そうだが?」

強者「女性……ここに住んでいる女が何処へ行ったか知らぬか?」

おばちゃん「今朝出掛けて行ったよ、少し話したしね」

強者「何処へ行くと言っておった?」

おばちゃん「何処も何も、道場に決まってるだろう」

強者「……」

おばちゃん「もしかして来てないのかい?」

強者「……だから探しておるのだ」

おばちゃん「きっとあいつ等に……」

強者「あいつ等?」

おばちゃん「この頃この辺りをうろついてる不良共だよ」

強者「そいつ等が何処にいるかわからぬか?」

おばちゃん「確か、ここの近くの古い神社にいるとかって……」

強者「……助かった」タタタッ

おばちゃん「あ、ちょっと!!」

強者「なんだ?」
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 22:00:54.35 ID:gk0++FjV0
おばちゃん「気をつけた方が――――」

強者「大丈夫だ」

強者「……」タタタッ

強者「無事でいてくれ……」タタタッ

強者「……」タタタッ

強者「ここか」スタスタ

チンピラ達「なんだお前?」


それは数十人ほどのチンピラ達だった。


強者「人を探しておるのだ」

チンピラ「人?」

強者「とある女を探しておる」

チンピラ「……もしかして道場に通ってる女の事か?」

強者「知っておるのだな?」

チンピラ「お前もしかしてあの女の彼氏か?」

強者「だったら何なのだ?」

チンピラ達「ははははは、こりゃ面白くなってきた」
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 22:01:35.75 ID:gk0++FjV0
強者「何だが」

チンピラ「お前の彼女もう傷物だぜ」

強者「どういう意味だ?」

チンピラ「そのままの意味だよ」

強者「……彼女は何処にいる」

チンピラ「この奥だよ、って言ってもお前は行かせねえけどな」

強者「別に構わん、元々戦う気だ」

チンピラ「ははっ、そうこなくっちゃな」

強者「安心しろ、全員冥土に送ってくれる」

チンピラ「あ?」
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 22:05:51.44 ID:gk0++FjV0
チンピラ達は皆、手に武器を持ち、襲いかかってきていた。

ざっと見て十人。
誰がどう見ても勝ち目は無い。

だが強者は顔色一つ変える事無く、一番近くにいた金髪のチンピラの左腕を斬る。
血が四散し、チンピラの顔が苦痛に歪む。

あまりの速さに周りのチンピラ達の動きが遅くなる。


「誰一人、生きて帰れると思うなよ」


強者の声は氷の様に冷たく、抜き身の剣の様に鋭かった。
かつてないほど、声に抑揚は無く、感情と言うものは一切こもっていない。

強者は何の迷いも無く、左腕を庇うチンピラの首を刎ねた。
切っ先がまるで氷の上を滑っていくように滑らかに進み、首を断つ。

強者の顔は表情と言うものが無かった。
まるで作りものの様な無表情だが、痛いほどの殺気と怒りが彼を包んでいる。

それを感じ取っているのか、チンピラ達は異様なまでに慎重に彼との距離をとっていた

一人のチンピラが強者に背後から襲いかかる。

だがその攻撃を簡単にかわし、カウンター気味に剣の柄で相手を殴る。

その一撃でチンピラの顔は赤に染まっていた。
僅かに呻き声を上げながら、後ろに後ずさる。

しかし強者はそれさえ許さない。
僅かにあいた間合いを詰めると、その男の胴体を真っ二つに斬り裂く。
まるで噴水の様に血が飛び散り強者や他のチンピラ達を赤く染める。
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 22:07:04.98 ID:gk0++FjV0
「ひっ……」


誰かが悲鳴をあげる。
さっきまで楽しそうに騒いでいた連中は一瞬にして黙り、その場で固まっている。

強者は剣に付いた血を振り払うと、侮蔑と憎悪のこもった目でチンピラ達を見た。
そのくせ表情はさっきと変わらぬ冷めた無表情のままだ。

強者は一歩前に出ると、固まっていたチンピラ達を血で染めていく。
躊躇は無かった。
彼にとって目の前にいるものは敵。
それ以外の何ものでもない。
むしろ敵に躊躇する事の方が不可能だ。

戦意を喪失し、動くことすらできない者達が次々と血で染まる。
ある者は逃げようとしていた。
ある者は膝をつき、脅えていた。

だが彼はそんな者達も躊躇なく殺していく。
ただひたすらに視界に入る者を手当たり次第に血祭りにあげていく。

もはや怒り以外の感情は湧いてこない。
ただただ憎悪と言う名の炎が音を立てて大きくなっていく。


「ゆ、許してく――――」
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 22:07:45.44 ID:gk0++FjV0
彼等が発する声ねど聞く気は無い。
ただの戯言に耳を貸す気など元から無いのだ。

最後の一人を斬り裂く。
一撃で仕留めたのは強者なりの慈悲でもあった。

強者は剣を鞘にゆっくりとしまうと、神社の奥へと進みだした。

空は黒く淀み、今にも雨粒を降らしそうな雰囲気だ。

彼はゆっくりと神社の奥へと進む。
足取りが重くなているのが自分でも分かった。

何か取り返しのつかない何かが起こってしまいそうな気がした。
重大な何かが自分が行くことで起きてしまいそうな気が……。

強者は頭を振り、そんな陰鬱な気持ちを無理矢理に消し去る。
そう、彼女を守ると約束したのは自分だ。

進むたびに重くなっていく足を無理矢理に動かし、前へ進む。


「誰だお前?」
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 22:08:36.85 ID:gk0++FjV0
突然の声に体がびくりと震えた。
自然と右手は剣の柄へとのびる。

強者は声のする方へ振り返った。
右手は柄を握り、何時でも剣を抜ける状態にしておく。

そこにいたのは30代後半の男だった。
腰には剣をさし、いかにも戦闘慣れした様な姿はこの場所では異質な雰囲気を醸し出している。

だが誰であろうとそれは敵。
強者は剣を握る手に力を加え直した。
体が恐怖と怒りで強張る。


「強者……さん……」


その声に強者は柄を離してしまった。
安堵ともう一つの恐怖が彼の体を舐めまわす。

悪い憶測を頭の外に叩きだし、動き出した。
目の前の男を突き飛ばし、声のする方へ走る。
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/25(日) 22:09:12.21 ID:gk0++FjV0
今日はここまでです。

明日か明後日に終了予定です。
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 22:27:08.91 ID:FRWI5ddmo
乙!
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/26(月) 07:32:20.95 ID:Wa0k8BpBo
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 21:56:07.73 ID:cG2BGreK0
女性は神社の裏の日の当らない湿った地面の上にいた。
服がはだけ、素肌が露出した姿。
体には所々に白濁色の液体が付着していた。
目は虚ろで、ぼんやりとしか強者を見ていない。
そして彼女の目には明らかに涙の跡があった。

肌を露出し茫然とした表情。
それは艶めかしいと言うより、痛々しかった。

強者と女性の目が合う。
彼女の目の色はあまりにも暗く、体が吸い込まれてしまいそうに錯覚した。
まるで見えない大きな手で体を掴まれた様に体が動かなくなる。


「すいません……」


彼女がゆっくりとそう呟く。

消え入りそうな声のはずなのに、嫌と言うほど頭の中で反響する。
その言葉はまるで猛毒の様に彼の心を侵食くしていく。
心の中をジワリジワリと焦がしていく。


「バカ者め……」


彼は自分自身の言葉に奥歯を噛んだ。
バカ者は自分の方だ。
守るなどと言いながら、結局彼女を守ることすらできなかった。
何も出来なかった。
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 21:56:56.62 ID:cG2BGreK0
自己嫌悪が彼の心を支配する。

あれだけ偉そうなことを言っておいて、あれだけ自信満々に宣言しておいて、結局守れない。
全て己の慢心のせい。
自分のせいで女性がこんな目にあってしまった。

自分で自分を殺したくなる。
生温い死ではなく、地獄の業火で焼かれる様な、苦しい死を。


「私のせいなんです」


その言葉で我へかえる。
彼女の言葉は優しく、しかし彼の心を傷つけた。
彼女の真っすぐな言葉が彼の心を抉る。


「貴公を、守れなかった」


それ以外の言葉は無い。
浮かんでこない。
浮かんできたとしても口には出来ない。

強者は剣を鞘から引き抜き、周りにいる男達を睨みつけた。
歯を剥きだしにし、血走った目で。
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 21:58:13.58 ID:cG2BGreK0
???「血相変えてどうしたのかと思ったら、お前がこいつの知り合いか」


それはさっき出会った30代の男だった。


強者「だったら何だ」

悪人「言い忘れてたな、俺は悪党、こいつ等にリーダーだ」

強者「何故こんな事をした」

悪人「気分だよ、気分」

強者「……それだけか」

悪人「ああ、それだけだ」

強者「それだけのために女性を!!」

悪人「騒ぐな小僧、あと喧嘩を売る相手はしっかり見極めといた方がいいぞ」

強者「黙れ」

悪人「ん?」

強者「黙れ!!」

悪人「……小僧――――」

強者「黙れ!!」
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:02:12.21 ID:cG2BGreK0
強者は声を発するよりも前に悪人に斬りかかっていた。

周りにいる男、そして悪党と言う名のこの男だけは刺し違えてでも殺す。
それが彼が出来るたった一つの贖罪だ。

間違ったやり方だと言う事は自分自身が一番よく知っていた。
理由はどうあれ、人を殺してはいけない。
それは強者だって十分理解している
だが今の彼にはどうしても耐えられないのだ。


怒りに燃えた剣を大きく振りかぶり、悪人目掛け振り下ろす。
風を切り裂く様な音が響き、剣が悪人に襲いかかる。

しかし悪人はその攻撃を簡単にかわすと、まるで悪魔の様に微笑む。

それはまるで、お前は俺に勝てない。
そう言われているような感覚だった。

強者は何度も追撃を繰り返す。

だが刹那の攻撃もやはり悪人にあたらなかった。
剣にあたりそうなのにひらひらと剣がかわされる。
それはまるで風に舞い散るこの葉を相手にしている様な感覚だった。


「若いな、小僧」
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:04:23.68 ID:cG2BGreK0
そんな声と共に強者の腹に激痛がはしった。
痛みと同時に体が浮き、そのまま後ろに弾き飛ばされる。


「あがっ……!?」


受け身をとる暇も無く、地面に叩きつけられる。
まるで背中を鉄の棒で思いっきり殴られた様な衝撃がはしり、呼吸が出来なくなる。

剣は数メートルさきの地面に落ちる。

悪人は強者の前に立ち彼を見る。

「小僧、謝ったら許してやるよ」


悪人は邪悪で汚い笑みでそう言った。
心の底から女性と強者を弄ぶのを楽しんでいるのがわかる。

強者は奥歯を噛み、僅かに呻く。
悪人への怒りだけではない。
こんな男にすら勝てない自分に対しての怒りにだ。


「さっさとしろよ」


悪人の右手が強者の髪を掴む。
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:06:04.28 ID:cG2BGreK0
強者の目に再度怒りの炎が灯る。

一瞬。
一瞬だけ相手の気を逸らせれば剣を拾える。


「断る!!」


強者は差し出された手に喰らいつく。

喰らいついた指を力いっぱい噛む。
悪人の右手の指を噛みちぎった。
口の中に血の味が広がり、血が顔を赤く染める。

もはや戦い方も何もない。
ただただ悪人殺す。
それ以外の事は一切頭の中から排除する。

悪人の顔が苦痛に歪み、唸り声を上げる。

強者はその一瞬の隙に剣を――――。

だが動くよりも先に悪人の右足が脇腹が彼の脇腹に突き刺さった。
痛みよりも先に体が吹き飛び、大きな木に激突する。
想像を超える激痛が全身を襲っているはずなのに、声が全く出せなかった。


「そんなに俺を殺したいなら、お前を徹底的に殺しとかなくちゃな」


悪人は歯を剥き出しにしわらった。
相変わらずの下卑た笑い方だ。
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:07:44.86 ID:cG2BGreK0
悪人は剣を抜くと、勢いよく剣を突き刺す。
ちが地面を赤く彩り、荒い呼吸音だけが嫌と言うほど聞こえた。

強者は声すら出せなかった。
その一瞬の出来事を見ていたはずなのに、まるでおとぎ話の様に現実味が無い。


「何故だ、何故だ!!」


強者は叫んだ。
悪人への怒りを、己への憤りを込めて。


「何故……何故女性なのだ……」


剣は女性を貫いていた。
彼女は荒い呼吸のまま、さっきと同じ場所に倒れている。
傷口からはおびただしい量の血が絶えることなく流れ続け、地面を染め上げていた。


「覚えとけ、お前のせいでこいつは死ぬんだ」


悪人は高らかに笑いながら去っていった。
それにつられるように周りの男達も去っていく。

追いかけたいはずなのに、体は一切動いてくれない。
ただただ痛みだけが体を襲うだけだ。


「……あァァァ!!」


強者はその場で咆哮した。
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:08:53.61 ID:cG2BGreK0
女性「強者……さん」

強者「すまない……我のせいだ、我の――――」

女性「すいませんでした」

女性「私、強者さんに守ってもらうって頼んだのに」

強者「守れなかったのは我だ……」

女性「強者さんは悪くありません」

女性「私、強者さんに迷惑かけたくなくて一人で道場に行こうとしたんです」

女性「強者さんが来るのは知ってました、でも甘えてちゃダメだと思って……」

強者「……」

女性「だから……全部私のせいなんです」

女性「強者さんのせいなんかじゃないんです……」

強者「……」

女性「だから……強者さん……」

強者「……な、なんだ」

女性「自分を……責めないで下さい……」
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:10:04.24 ID:cG2BGreK0
強者「女性……」

女性「……」

強者「女性!!」

強者「……」

師匠「強者!!」

強者「……師匠」

師匠「遅いので探しに来たんです」

強者「我は……」

師匠「……」

強者「はは、ははははは!!」

師匠「……」

強者「殺す、必ずあやつ等は我が、我が殺す!!」

師匠「強者……」

強者「すまぬ」


そう言うと強者は立ち上がる。


強者「ははっ、今更になって動くか……」

師匠「怒りに身を任せればどうなるか分かっていますか?」
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:11:02.26 ID:cG2BGreK0
強者「十分に分かっておる、だがもう遅い」

師匠「……」

強者「貴公には世話になった」

師匠「あなたがそれを望むのなら、私には止める資格はありません」

強者「剣は返す」

師匠「いえ、それは私があげた剣です、いらないのであれば捨てて下さい」

強者「……」

師匠「……」

強者「……」タタタッ

師匠「……」

女大臣「師匠……」

師匠「見ない方がいいですよ」

女大臣「……強者さんは?」

師匠「彼はもう居ませんよ」

女大臣「……」

師匠「人を呼んできて下さい」

女大臣「は、はい」タタタッ

師匠「すいませんでした……」
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:11:54.25 ID:cG2BGreK0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


今   墓場


女大臣「……来ていたんですか」スタスタ

師匠「ええ、命日ですからね」

女大臣「早いものですね、もう五年ですか?」

師匠「そうですね」

師匠「悪人は捕まりましたか?」

女大臣「いえ、ハンター達が探していますがまだ……」

師匠「……」

女大臣「私達が責任をもって捕まえます」

師匠「任せましたよ」

女大臣「はい」

女大臣「……その剣は?」

師匠「武器の町のある墓地で拾ったものです」

女大臣「……」

師匠「この剣を見ると、今でもあなた達三人を思い出しますよ」
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:14:00.14 ID:cG2BGreK0
女大臣「そうですか……」

女大臣「後悔していますか?」

師匠「ええ、私のせいであなたを必要以上に大人にしてしまった事は後悔していますよ」

師匠「あなたはあの後、本当に一気に大人になりましたから」

女大臣「……」

師匠「もちろん女性と強者の事も後悔しています」

師匠「あの時こうしていたら、あの時ああしていたらなんて考えだしたらきりが無いほどに」

女大臣「……私もです」

師匠「……勇者君を気にかけているのは、そのためですか?」

女大臣「多分……それもあります、勇者様を見ていると強者さんを思い出しますから」

師匠「……では行きますかね」


師匠は墓の前に剣を置く。


師匠「帰りに道場に寄っていって下さい、お茶くらいだします」スタスタ

女大臣「そうさせていただきます」
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/26(月) 22:15:25.14 ID:cG2BGreK0
強者スピンオフはこれで終わりです。
明日からは別のスピンオフをやっていきます。
一番やってほしいものひとつ選んでください。
多分ラストになると思います。


1、博士のスピンオフ (博士と博士兄の話 鬱要素あり)

2、ドラゴンの出産  (勇者とドラゴンの子供の話 かなりの量のキャラが出ます)

3、ドラゴンの話   (ドラゴンが竜の時の話)《ドラゴン視点で進みます》

4、弓兵スピンオフ   (弓兵と女大臣の物語)

5、サキュバスと妹のスピンオフ(サキュバスと妹の話 ほのぼの系です)

票の多かったものから順に書けるだけ書きます。
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/03/26(月) 22:17:19.73 ID:e0v3mnqxo
おつー

とりま3!
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 22:17:53.85 ID:9NCEKIPSO
これは2を選ばざるを得ない…
そして乙した
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 22:19:09.56 ID:2lYFGRrIO
最後なの?じゃ2しかない!
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 22:23:30.76 ID:3xsvesono
ラストかー
2で
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/26(月) 22:31:16.49 ID:X4zwVNbAo
ラストだったら2を選ばざるをえない
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 22:37:14.51 ID:fPp8NCvZo
3だろ
乙乙
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/26(月) 22:38:28.92 ID:CQWtJxYD0
全部見たいがラストなら2だな
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/26(月) 22:45:52.36 ID:U72iFJfHo
モブキャラにも焦点を!!
5!
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/26(月) 22:51:30.95 ID:YxnKJYW0o
ラストはやっぱり2にきまってる
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/03/26(月) 23:19:23.60 ID:gwKgRDC9o
やべぇ辛い・・・
なんかいいキャラばかりだよな、改めて
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/26(月) 23:23:47.38 ID:Xyt3bNF7o
2と3だな
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/26(月) 23:37:46.38 ID:4JSveIrbo
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 23:44:13.19 ID:mahY/6pDO
5でオナシャス
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/26(月) 23:48:44.32 ID:D5qybB5ro

んー 2か3だな
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 00:28:37.42 ID:jxCsReyDO


強者で鬱入ったので、ほのぼのな5で
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/27(火) 00:30:39.93 ID:Ha43V4Vbo
2/3でめっちゃ迷う(;・∀・)

両方頑張ってww
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/27(火) 00:55:57.36 ID:gCCrMCUGo
3
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/03/27(火) 01:03:07.45 ID:KbETug62o
最後なら2でハッピーエンドといこうぜ
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 01:06:20.59 ID:ijpp+6C2o


ひとつだけなのか!?
なら2だな
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 06:20:26.70 ID:v92xgRtfo
>>760
よく読め
多かったのから順に出来るだけ書いてくって言ってるだろ

4
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/27(火) 07:54:52.49 ID:Ig7O5rnZo
3かな
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/27(火) 08:06:22.98 ID:8llutbZxo
3と2
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/27(火) 08:36:26.57 ID:Ox+um7Ujo
キャラが多いと分からなくなりそうなので
3
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/27(火) 09:52:30.39 ID:Mhr4/j/Lo
5!
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 10:15:56.17 ID:J7wR2Mduo
きもちわるい
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/27(火) 21:06:31.00 ID:7bOPNR6Bo
3かなあ
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/27(火) 21:31:01.82 ID:DLg6t5PHo

2or3
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:46:23.40 ID:nv1zmUcn0
勇者の家  夜


ドラゴン「う……」

勇者「はい、ゆっくり息吸って」

ドラゴン「……」スー

勇者「吐いて」

ドラゴン「……」ハー

勇者「はい、もう一回吸って」

ドラゴン「……」スー

勇者「もう一回吐いて」

ドラゴン「……」ハー

ドラゴン「……」

勇者「楽になった?」

ドラゴン「……ああ、すまんな」

勇者「なんか最近多いよな、食い過ぎか?」

ドラゴン「……そうかもな、最近妙に腹が減るし」

ドラゴン「後妙に体がだるいんだ」

勇者「それだけじゃな……他になんかある?」
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:48:05.64 ID:nv1zmUcn0
ドラゴン「うーん、胸が張ってるような感じがする」

勇者「……それは俺には分からんな……」

ドラゴン「じゃあ女勇者に聞けばいいか?」

勇者「あいつにもわかんねぇ――――」


その瞬間、女勇者の跳び蹴りが勇者に直撃する。


女勇者「勇者、全身の骨を折りますよ」

勇者「跳び蹴りは反則だろ……」

女勇者「黙りなさい」

ドラゴン「じゃあ女勇者は分かるのか?」

女勇者「それは」

勇者「わかんねぇのかよ」

女勇者「私だって気持ち悪くなる事はありますが、胸が張ると言うのはあまり」

勇者「張る胸も無いだろ」

女勇者「両腕にさようならを言いなさい」

勇者「すいません、ごめんなさい」
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:50:21.57 ID:nv1zmUcn0
女勇者「胸が張るんですか……」

勇者「俺は食い過ぎだと思うんだけどな……」

ドラゴン「でも胃は痛くないぞ」

勇者「じゃあ食い過ぎじゃないのか?」

女勇者「他には?」

ドラゴン「乳首が布に触れて痛い」

勇者「……俺はそれを聞いてどうすればいいんだ」

女勇者「私に聞かないで下さいよ」

勇者「うーん……」

女勇者「何なんですかね……」

暗殺者「いや、病院行けよ」

勇者・女勇者「……」

暗殺者「素人が考えてたってわかんないんだから病院行った方がいいだろ」

勇者「そ、そうだな」

女勇者「そうですね、明日行きましょうか」

勇者「ああ、頼むな」

暗殺者(病院に行く習慣が無かったんだな、あの二人)
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:52:44.14 ID:nv1zmUcn0
ドラゴン「オレは病院行っていいのか?」

暗殺者「あ……」

勇者「確かに……」

女勇者「……ここは女大臣に頼んだらどうですか?」

暗殺者「事情も知ってるし、いい人を紹介してくれるかもな」

勇者「……明日頼んでみる」

暗殺者「ああ、頼む」

勇者「ドラゴンはもう大丈夫か?」

ドラゴン「だいぶ楽になってきた」

勇者「無理するなよ」

ドラゴン「ああ」

女勇者「早く寝た方がいいですよ」

勇者「そうだな、ドラゴン、歩けるか?」

ドラゴン「大丈夫だ」スタスタ

暗殺者「仲良し、と言うより勇者が献身的なのか?」

女勇者「いい事じゃないですか」

暗殺者「まあ、そうだな」
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:53:52.31 ID:nv1zmUcn0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日 城 お昼休み


女大臣「で、用と言うのはなんですか?」

勇者「ドラゴンの調子が悪いんだ」

女大臣「と、言いますと?」

勇者「最近よく気持ち悪くなるんだって、あと胸が張るとか」

女大臣「……」

勇者「普通の病院はいろいろ面倒臭そうだしさ」

女大臣「まあ、そうですね」

勇者「そこでなんかいい医者知らないかと思って」

女大臣「そうですね……とりあえず今日の夕方に勇者様の家に行きますので、そこで診断しましょうか」

勇者「……え?」

女大臣「ですから私がドラゴンを診察します」

勇者「……出来るの?」

女大臣「はい、大臣ですからそれくらい出来て当然です」

勇者「わかるの?」
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:54:56.89 ID:nv1zmUcn0
女大臣「はい、医学の試験にもちゃんと合格してますよ」

勇者「……凄いな」

女大臣「それほどではありません」

勇者「あ、もう何の病気かわかるか?」

女大臣「だいたい予想はついてますね」

勇者「……お、重い病気か?」

女大臣「まだ完全に分かった訳ではありませんから言わないでおきます」

勇者「……もし重い病気だったら……」

女大臣「もし何かあっても私が全力で協力しますから」

勇者「……女大臣、お前いい奴だな」

女大臣「ありがとうございます」

勇者「なあ、それって治る病気なのか?」

女大臣「……勇者様は何か勘違いしていませんか?」

勇者「?」

女大臣「とにかく夕方まで待ってて下さい」

勇者「あ、ああ」

女大臣「お昼休み終わりますよ」
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:56:50.58 ID:nv1zmUcn0
勇者「じゃあ仕事終わったらまたここに来るから」スタスタ

女大臣「そうして下さい」

勇者「……」スタスタ

王「勇者か、何かあったのか?」

女大臣「ドラゴンの調子が悪いと相談されまして」

王「そうか、でお主は何じゃと思うのじゃ?」

女大臣「話を聞いただけで断定はできませんが、妊娠でしょうね」

王「おお、それはめでたいな」

女大臣「勇者様は病気だと思っているようですが」

王「教えなかったのか?」

女大臣「ええ、もし違ったら悪いですし、勇者様の反応も面白そうですし」

王「……まあ、そうかもしれんな」

女大臣「ですので、今日は夕方に帰らせてもらってもよろしいですか?」

王「構わぬぞ、ドラゴンを診断してやれ」

女大臣「ありがとうございます」
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:57:41.64 ID:nv1zmUcn0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夕方


勇者「女大臣、いるか?」

女大臣「はい」

女大臣「では、行きましょうか」スタスタ

勇者「ああ、そうするか」スタスタ

女大臣「他に症状は無いんですか?」スタスタ

勇者「あと乳首が布に擦れて痛いとかって……」スタスタ

女大臣「……」スタスタ

勇者「え、関係無いの?」スタスタ

女大臣「いえ、関係あるかもしれませんし、ないかもしれません」スタスタ

勇者「……なんだよそれ」スタスタ

女大臣「今の所は分かりません」スタスタ

勇者「……」スタスタ

女大臣「とにかく、診断してみない事にはどうしようもありませんし」スタスタ

勇者「……そうだな」スタスタ

勇者「ただいま」ガチャ

女大臣「失礼します」
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:58:22.21 ID:nv1zmUcn0
女勇者「お久しぶりですね」

女大臣「ええ、久しぶりですね」

暗殺者「ドラゴンの事か?」

女大臣「はい、ドラゴンを診断しようと思いまして」

暗殺者「……そんな事も出来るのか」

女大臣「はい」

女勇者「あなたならもう驚きませんよ」

暗殺者「ああ、なんか女大臣なら納得しちまうもんな」

ドラゴン「女大臣か……」

ドラゴン「う……」

勇者「はい、ゆっくり吸って」サスサス

女大臣「……いつもあんな感じなんですか?」

女勇者「はい、だいたい勇者がああやって擦ってあげてます」

女勇者「夜もずっと起きて様子を見てますし」

女大臣「献身的ですね」

女勇者「ドラゴンのお嫁さんですからね」

勇者「やかましい!!」
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/27(火) 21:59:31.61 ID:nv1zmUcn0
今日はここまでです。

ドラゴンの出産の後はドラゴンのつかまっていた時の話をやり、もしスレがあればサキュバスと妹をやります。

779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 22:14:52.48 ID:7wFa/lBDO

色々楽しみだ♪
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/27(火) 22:23:00.29 ID:Llaqn9jco

スレがなくなればその3をつくれば(ry
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/03/27(火) 22:24:14.86 ID:mrsCWXEPo
ラストとかいわず全部やってくださいおねがいします
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 07:42:06.21 ID:0s+Cn6rIO
スレが終わったら、いい加減に次の作品に行こうしてほしい
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 07:42:38.45 ID:0s+Cn6rIO
行こうwwww
移行、でした
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 08:32:15.79 ID:eSYHN5DIO
次回作も期待してますwww
位にしておいた方がいいと思います
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 21:51:18.86 ID:Fnml5x3F0
ドラゴン「うう……」

勇者「はい、深呼吸深呼吸、ゆっくりね、ゆっくり」

妹「大丈夫?」

ドラゴン「大丈夫だ……うう……」

勇者「深呼吸ね、深呼吸」

暗殺者「で、病名の予想はついてるのか?」

女大臣「ええ、だいたいは」

ドラゴン「……もう大丈夫だ」

勇者「無理するなよ」

ドラゴン「ああ……」

女大臣「……では始めましょうか」

勇者「ああ」

女大臣「あっちの部屋をお借りしてもよろしいですか?」

勇者「俺とドラゴンの部屋だから別にいいけど」

女大臣「ではドラゴン様、来ていただけますか」ガチャ

ドラゴン「あ、ああ」スタスタ

勇者「俺は?」

女大臣「そこで待っていて下さい」ガチャン
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 21:53:49.23 ID:Fnml5x3F0
勇者「わかった」

女勇者「……何するんですか?」

勇者「俺だって知らねぇよ」

暗殺者「まあ、変な事はしないし大丈夫だろ」

勇者「重病だったらどうしよう……」

女勇者「あれだけ元気で重病はないと思いますよ」

勇者「でもさ……」

暗殺者「ドラゴンの事になるとずいぶん心配性だな」

勇者「だって心配だし……」

女勇者「心配する事はいい事ですが、甘やかすのはどうかと思いますよ?」

勇者「別に甘やかしてはないだろ」

女勇者「いい加減卵焼き以外の料理も覚えてもらいたいのですが」

勇者「それって俺関係ない気がするんだけど……」

女勇者「勇者が料理を作れるからと言って甘えているだけですよ」

勇者「……俺にどうしろと?」

女勇者「とにかく料理を覚える様に言ってください」

勇者「……今は言わねぇぞ」
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 21:56:09.68 ID:Fnml5x3F0
女勇者「分かってます」

暗殺者「分かってやれ、女勇者は早くドラゴンに一人立ちしてほしいんだ」

女勇者「暗殺者」

暗殺者「すまんすまん」

女勇者「一人で料理出来ないといろいろ不便じゃないですか」

勇者「……まあ、そうだな」

女勇者「だから早く覚えてもらわないと困るんです」

勇者「わかった、とりあえずこれが終わってからでいいか?」

女勇者「構いませんよ」

女大臣「終わりました」ガチャ

勇者「ど、どうだった?」

女大臣「予想どおりでした」

女勇者「……で、何の病気ですか?」

勇者「治るのか、完治するのか?」

女大臣「勇者様、女勇者様、多分あなた方は勘違いしていませんか?」

勇者、女勇者「……え?」

女大臣「ドラゴン様は妊娠しています」
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 21:58:09.78 ID:Fnml5x3F0
勇者・女勇者「……え?」

暗殺者「だからドラゴンは勇者の子供を妊娠したって事だろ?」

女大臣「そう言う事です」

勇者「本当に?」

女大臣「ええ、診断してみてはっきりわかりました」

妹「じゃあ私に妹か弟が出来るの!?」

女勇者「ちょっと違いますが……まあそんな感じです」

勇者「て言うか暗殺者はいつごろ気付いてたんだ?」

暗殺者「勇者を部屋に入れなかったから、そういう感じかなとは思ってた」

女大臣「はい、そういう検査は男性が居ない方がいいと教わっていますので」

勇者「……」

ドラゴン「勇者、聞いたか?」スタスタ

勇者「いや、聞いたけど……マジか」

ドラゴン「いつの時のだろうな?」

勇者「そういう事言わない!!」

女大臣「ともかく二人ともおめでとうございます」

勇者「あ、ありがとう」

ドラゴン「ありがとな」
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 21:59:03.59 ID:Fnml5x3F0
女大臣「いえ、お礼を言われるほどではありませんよ」

勇者「……何か気をつけた方がいい事ってあるのか?」

女大臣「そうですね、ドラゴン様は好き嫌いせずに何でも食べる事、ただ煙草と酒は駄目ですよ」

ドラゴン「わかった」

女大臣「勇者様はドラゴン様のケアをしてあげて下さい」

勇者「け、ケア?」

女大臣「ドラゴン様を気遣ってあげればいいです」

勇者「わ、わかった」

女大臣「ではお大事に、後日また診断に来ますので」ガチャ

勇者「あ、ああ、わかった」

女勇者「……勇者、ドラゴン、おめでとうございます」

暗殺者「おめでとう」

勇者「ありがとう」

ドラゴン「ありがとな」

女勇者「これからはお腹の赤ちゃんの事もありますから好き嫌いせず何でも食べて下さいね」

ドラゴン「……」

女勇者「返事は?」
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 21:59:58.16 ID:Fnml5x3F0
ドラゴン「はい」

女勇者「よろしい」

勇者「……なあ、心のケアって具合的に何すれば――――」

暗殺者「いつもと一緒でいい」

勇者「……そ、そうか?」

暗殺者「下手に気を使い過ぎると逆にストレスになるかもしれないから、気をつけるよ」

勇者「わかった」

女勇者「夕食にしますよ」

暗殺者「とにかく普通にな」スタスタ

勇者「わかったって」スタスタ

ドラゴン「……なんかオレのだけ野菜が多い気がするんだが……」

女勇者「気のせいです、何なら私の野菜と交換しましょうか?」

ドラゴン「いい……」モグモグ

勇者「……」

ドラゴン「何が面白い」

勇者「え?」

ドラゴン「顔がニヤついてるぞ」
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/28(水) 22:03:53.72 ID:vaFSexCUo
こっちも2828
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 22:04:29.77 ID:Fnml5x3F0
勇者「そうか?」

ドラゴン「ああ」

女勇者「勇者、あなたも野菜は食べて下さいね」

勇者「俺に好き嫌いはない」

女勇者「ならボーっとしてないで早く食べて下さい」

勇者「はいはい」モグモグ

暗殺者「勇者、悪いんだけどキノコを……」ヒソヒソ

女勇者「暗殺者?」

暗殺者「……はい」

女勇者「自分で食べましょうね?」

暗殺者「……でも――――」

女勇者「好き嫌いをしてはダメですよ」

勇者「好き嫌いすると大きくなれないぞ、女勇者みたいに」

暗殺者「……なら食べるか」

女勇者「二人とも、最後の晩餐を楽しんでくださいね」ニッコリ

勇者・暗殺者「すいませんでした」
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 22:05:16.99 ID:Fnml5x3F0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の部屋


ドラゴン「驚いたな」

勇者「驚いた」

ドラゴン「まさか妊娠とは……予想もしてなかったぞ」

勇者「俺だってしてねぇよ、ずっと病気だと思ってたし」

ドラゴン「心配性だな、貴様は」

勇者「そりゃ病気なら心配するだろ」

ドラゴン「……ありがとな」

勇者「どういたしまして」

ドラゴン「……」モゾモゾ

勇者「……で、なんでお前は人の布団に入ってきてる訳?」

ドラゴン「ダメか?」

勇者「いや、ダメじゃないけど、この狭い布団に二人ってストレスにならないのか?」

ドラゴン「オレが大丈夫なんだ、大丈夫だろ」

勇者「いや、お前が大丈夫でもな……」
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 22:06:10.23 ID:Fnml5x3F0
ドラゴン「下手に生活を変えるよりこの方が落ち着くんだ」

勇者「……わかったわかった」

ドラゴン「……おやすみ」

勇者「ああ、おやすみ」

ドラゴン「……」

勇者(時間見つけて竜王様に聞きに行った方がいいよな……)

勇者(ドラゴンは……連れて行かない方がいいのかな?)

勇者(まあ、言っといた方がいいと思うけど、連れては行かない方がいいよな)

ドラゴン「……」スヤスヤ

勇者「寝るの早ぇな」

勇者「俺はいろいろ心配で寝れねぇのに……」
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/28(水) 22:08:06.94 ID:Fnml5x3F0
今日はここまでです。

本編はもう終わっているので次のスレは立てません。

書きたい話もありますのでこのスレが終わったら別の話を書いていこうと思います。
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 02:15:56.96 ID:6H2+nidDO
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 09:19:11.88 ID:bV5NjTcIO
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:00:56.76 ID:PWqRgAyX0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日      朝


勇者「俺近いうちに竜王様に会いに行こうと思うんだけど」

ドラゴン「なんでだ?」

勇者「いや、普通妊娠したら相手の父親には伝えるもんだろ」

女勇者「それが一般人としての礼儀と言うものでしょうね」

勇者「だろ、だから俺もいつになるかはわかんねぇけど行ってこようと思うんだ」

ドラゴン「ならオレも――――」

勇者「お前は待ってろ」

ドラゴン「なんで……」

勇者「お前妊婦なんだから」

ドラゴン「でもな……」

暗殺者「妊婦は体が第一だ」

勇者「ああ、さすがにお前をあんな山奥まで連れて行ったら俺が竜王様に怒られる」

ドラゴン「そうか?」

勇者「そう、すぐ帰ってくるから」

ドラゴン「……わかった」
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:03:07.26 ID:PWqRgAyX0
暗殺者「お前もいろいろ大変だな」

勇者「俺は妊娠してない訳だし、ドラゴンの方がもっと大変だろ」

暗殺者「……お前いい夫だな」

勇者「そうか?」

暗殺者「俺の中ではトップクラスにいい夫だ」

勇者「お前の基準がわからんから喜んでいいのかわかんねぇよ」

女勇者「喜べばいいじゃないですか、珍しく褒められてる訳ですし」

勇者「珍しくは余計だ」

暗殺者「まあ、これからもその感じで頑張れよ」

勇者「言われなくてもそのつもり」

女勇者「いい心がけだと思いますよ」

暗殺者「夫の協力あってこそだからな」

妹「おはよう」

女勇者「おはようございます」

妹「お姉ちゃん、お腹触らせてくれない?」

ドラゴン「いいぞ」
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:05:15.90 ID:PWqRgAyX0
妹「動く?」

ドラゴン「どうなんだ?」

女勇者「さすがにまだ動かないと思いますよ」

暗殺者「もう少し経ってからだろうな」

女勇者「でしょうね」

ドラゴン「……だってさ」

妹「そうなんだ……」

ドラゴン「動くようになったらまた触ればいいだろ」

妹「いいの?」

ドラゴン「別にいいぞ」

女勇者「妹か弟が出来るのが楽しみなんですね」

勇者「正確には違うけどな」

女勇者「細かい事はいいんですよ、姑ですか、あなたは」

勇者「違ぇよ」

勇者「……じゃあ俺行ってくる」スタスタ

暗殺者「ちゃんと頼んで来いよ」

勇者「はいはい」スタスタ
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:07:54.25 ID:PWqRgAyX0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


昼休み 城の庭


勇者「……」

弓兵「久しぶりだな、勇者」

勇者「……弓兵か……どうしたんだ?」

弓兵「ちょっと用事が女大臣に会ってきたついでだ」

勇者「ふーん……」

弓兵「ずいぶん疲れてるみたいだな」

勇者「寝てないから眠たいだけだ」

弓兵「がはは、若いってのはいいな」

勇者「そんなんじゃねぇよ」

弓兵「?」

勇者「ドラゴンが心配で寝られなかっただけ」

弓兵「病気なのか?」

勇者「妊娠したんだ」

弓兵「……ほ、本当か?」
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:09:07.90 ID:PWqRgAyX0
勇者「本当だよ」

弓兵「……それはめでたいな、おめでとう」

勇者「ありがとう」

弓兵「で、つわりやらいろいろが心配で一睡もできなかった訳か」

勇者「まあ、そんな感じだ」

弓兵「夫婦仲は大丈夫か?」

勇者「ん?」

弓兵「そういう時って喧嘩しやすいんだよ」

勇者「そうか?」

弓兵「そうだ」

勇者「……」

弓兵「特に神経質な時期はお互いしんどいらしい」

勇者「つまり俺がドラゴンを支えてやればいいんだろ?」

弓兵「まあ、そういう事になるかな」

勇者「なら最初っからその気だよ」

弓兵「……いい夫だな、いや本当に」
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:11:03.12 ID:PWqRgAyX0
勇者「うるせぇよ」

弓兵「いいね、幸せいっぱいだな」

勇者「……そうだな」

勇者「あんたもさっさと結婚したらどうだ?」

弓兵「俺はまだいいよ」

勇者「あんたならモテるだろ」

弓兵「結婚したら今みたいに仕事を続けていけないだろ、だから今の所結婚する気はない」

勇者「……仕事ね」

弓兵「これから父親になるんだ、頑張れよ」

勇者「ああ、頑張る」

弓兵「じゃあな、喧嘩すんなよ」スタスタ

勇者「……なんだったんだ?」

女大臣「あの人なりに励ましてくれたんですよ」

勇者「……何時から聞いてたんだ?」

女大臣「最初からです」

勇者「予想通りの答えだな」
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:11:43.64 ID:PWqRgAyX0
女大臣「そうですか?」

勇者「そうだ」

女大臣「……王様に聞きましたが今からでも行ってきて構わないそうです」

勇者「いいのか?」

女大臣「ええ、今は暇な時期ですし、大丈夫です」

勇者「明日の朝から休んでいいか?」

女大臣「構いませんが、どうしてですか?」

勇者「いや、ドラゴンにすぐ帰ってくるって言ってあるし、やっぱり心配だからさ」

女大臣「……わかりました、では明日行ってきてください」

勇者「悪いな」

女大臣「いえ、初めての出産で不安なのは十分分かっていますから」

勇者「……」

女大臣「残りはゆっくり休んでください、寝てないんじゃないですか?」

勇者「なんで知ってるん……聞いてたんだったな」

女大臣「いえ、勇者様の性格を考えれば十分に想像できましたよ」
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/29(木) 22:13:16.59 ID:PWqRgAyX0
今日はここまでです。

明日は忙しいので量が減るかもしれません、すいません
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/29(木) 22:15:34.08 ID:bDuVp+J6o

ゆっくり書いていってね
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/30(金) 03:50:56.45 ID:JxxufWv4o
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:17:13.57 ID:BiWmi/cU0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日    昼   ドラゴンの山


勇者「ここに来るのってどれくらいぶりだっけ……」

勇者「やっぱ怖ぇな」

勇者「……」

勇者「さっさと行った方が楽だな」ガチャ

勇者「こんにちは」

ブラックドラゴン「……久しぶりだな」

勇者「はい、久しぶりです」

ブラックドラゴン「ん、今日はドラゴンは一緒じゃないのか?」

勇者「はい、今日はちょっと報告がありまして」

ブラックドラゴン「まさか……お前とドラゴンの間に何があったのだ!?」

勇者「え?」

ブラックドラゴン「不倫か、浮気か、暴力か?」

勇者「え、は?」

ブラックドラゴン「あの馬鹿者め……竜王様にあれだけ言われていたのに……」
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:19:17.01 ID:BiWmi/cU0
勇者「あの、何か勘違いしてませんか?」

ブラックドラゴン「何がだ!?」

勇者「いえ、別に夫婦仲が悪くなった訳じゃないんで……」

ブラックドラゴン「……なら何があったんだ?」

勇者「その……ドラゴンが妊娠しまして」

ブラックドラゴン「お前の子供をか?」

勇者「は、はい」

ブラックドラゴン「本当か?」

勇者「はい、検査もしてもらいましたし」

ブラックドラゴン「……」

勇者「……」

勇者(なんだ、この沈黙……)

ブラックドラゴン「それはめでたい、よかったな」

勇者「あ、はい、ありがとうございます」

ブラックドラゴン「竜王様にも報告せねばな」

勇者「はい」


そう言うとブラックドラゴンは咆哮した。
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:20:22.83 ID:BiWmi/cU0
ブラックドラゴン「それにしても、ドラゴンに子供か……」

勇者「はい」

ブラックドラゴン「ドラゴンの様子はどうだ?」

勇者「今の所は元気だ」

ブラックドラゴン「人間の出産がこれからが大変なんだろう?」

勇者「はい」

ブラックドラゴン「ドラゴンを気遣ってやってくれ」

勇者「分かりました」

竜王「……」バッサバッサ

勇者(相変わらず大きいな)

竜王「おお、お主か」

勇者「久しぶりだな」

竜王「ん、あのお転婆娘はどうした?」

勇者「自宅で待機中だ」

竜王「何かあったのか?」

勇者「妊娠したんだ」

竜王「……ほう、あのお転婆が母親か」

勇者「ああ」
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:21:12.16 ID:BiWmi/cU0
竜王「あやつが母親か……ワシも年を取るはずだ」

勇者「で、今日はその報告と聞きたい事があって来たんだ」

竜王「子供の事かな?」

勇者「ああ、具体的にどんな子供が生まれてくるのか教えてほしいんだ」

竜王「ワシもよくは分からんが前例がない訳ではないからな」

勇者「分かる範囲でいいから教えてくれ」

竜王「簡単に言えば性質はドラゴンに近い」

勇者「火を吐いたり、体が異常に頑丈だったりって事?」

竜王「その通りだ」

勇者「他には?」

竜王「他には……特にないな」

勇者「……そうか」

竜王「?」

勇者「いや、一応種族が違う訳だし、どんな子供が生まれてくるか怖かったんだ」

竜王「その気持ちはわかる」

勇者「ありがとな」

竜王「構わぬ」
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:24:58.65 ID:BiWmi/cU0
竜王「まあ、性格のほうはどうなるかわからんがな」

勇者「……大丈夫だろ」

ブラックドラゴン「ドラゴンの子供だ、どんなやんちゃな子供が生まれる事やら」

竜王「確かに、そうだな」

勇者「俺の子供でもあるんだけど」

ブラックドラゴン「聞けばお前も十分やんちゃみたいだからな」

勇者「そうか?」

ブラックドラゴン「噂に聞いてる」

勇者「あ、そう」

竜王「……ワシ等に出来る事は少ないが、元気な子供が生まれる事を祈っておるぞ」

勇者「ありがとう」

竜王「町まで乗せていこう」

勇者「いいのか?」

竜王「お主はもうワシ等の仲間だ、気にする必要はない」

勇者「悪いな」


勇者はそういうとドラゴンに乗る


ブラックドラゴン「ドラゴンによろしく行っておいてくれ」

勇者「わかってる」

竜王「では、行くぞ」バッサバッサ
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:26:33.06 ID:BiWmi/cU0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


夕方  町


勇者「本当にありがとう」

竜王「構わぬ、もし子供が生まれたらまた報告に来てくれるかな?」

勇者「最初っからそのつもり」

竜王「……そうか」

勇者「あ、聞いておきたかったんだけど、ドラゴンの好きなものって何か分かるか?」

竜王「……好きなもの?」

勇者「ああ、あいつがまだドラゴンだった頃に好きだったものだ」

竜王「鹿の肉と羊の肉……だったかのう?」

勇者「……また変わったものだな」

竜王「それがどうかしたのか?」

勇者「いや、大変だから好きなもの食わせてあげようと思って」

竜王「その二つが好物だと思うぞ」

勇者「いろいろありがとな」

竜王「ワシに出来ることなどこのくらいだからな」バッサバッサ

竜王「ではまた」バッサバッサ

勇者「ああ、また今度」スタスタ
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:28:37.75 ID:BiWmi/cU0
勇者「……」スタスタ

暗殺者「お、帰ってきたのか」

勇者「暗殺者か、仕事終わりか?」

暗殺者「ん、まあそんな感じだな」

金髪「勇者さん、お久しぶりっす」

勇者「あれ、お前等一緒だったのか?」

暗殺者「ああ、金髪の手伝いをな」

勇者「?」

金髪「ちょっと諜報の仕事があって」

勇者「あ、そうなんだ」

金髪「それより、ドラゴンさんが妊娠したんですよね」

勇者「暗殺者が言ったのか?」

暗殺者「すまんな、つい口がすべって」

勇者「いや、別にいいんだけどさ……」

金髪「おめでとうっす」

勇者「ありがと」

金髪「勇者さんの子供って事はよほどかっこいいんですよね」ニコニコ

暗殺者「……まだ男って決まった訳じゃないぞ」
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:30:30.07 ID:BiWmi/cU0
金髪「あ、そうっすね」

勇者「……なんかお前が言うと気持ち悪いんだよな」

金髪「何がっすか?」

勇者「だってお前男のこと好きじゃん」

金髪「な、俺が好きなのはかっこいい人であって男ではないっす!!」

勇者「どうでもいいよ」

金髪「ひどいっす……」

暗殺者「まあ……当然の反応だろうな」

勇者「それより聞きたいんだけど、鹿とか羊の肉ってどっかに売ってないか?」

金髪「また変わったものを探してますね」

勇者「ちょっと事情があってほしいんだけど」

暗殺者「珍しいものだしそうそう売りに出ないと思うし売ってたとして高いだろ」

勇者「だよな……」

金髪「自分で狩りに行った方が早いんじゃないっすか?」

勇者「……そう思うか?」

暗殺者「そうだな」

金髪「そうっすね」

勇者「即答かよ……」
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/30(金) 22:33:09.08 ID:BiWmi/cU0
今日はここまでです。
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/30(金) 22:35:59.06 ID:PiohHWLmo
乙!
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/30(金) 22:46:14.80 ID:JrETAn7Co
乙!
と書いてスレ消費するのが惜しい…
2000くらいまでいけばいいのにな
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/31(土) 14:52:19.46 ID:r+DlNgaNo


それほど文明発達してない世界なら鹿肉は一般的だよ
羊は文明圏によるけど基本そんなに珍しくないはず
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 21:54:48.18 ID:kQbRNdox0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


約一ヶ月後   勇者の家


女大臣「妊娠三カ月ですね」

勇者「どうだ?」

女大臣「順調ですよ」

勇者「……そうか」

女大臣「この時期が一番つらい時期です、皆様で支えてあげて下さい」

女勇者「分かってます」

暗殺者「ただやり過ぎるのも良くないぞ」

勇者「いつも通りに、さりげなくって事だろ」

暗殺者「そういう事だ」

女大臣「多少イライラする事があるかもしれませんが大目に見てあげて下さい」

女勇者「十分承知してます、最近よくイライラしているみたいですから」

暗殺者「機嫌悪いもんな……」

暗殺者「特に勇者だぞ」

女勇者「ですね」

勇者「分かってるよ」
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 21:57:17.23 ID:kQbRNdox0
女大臣「何かあったら相談して下さい」

勇者「そうする」

女勇者「毎回毎回ありがとうございます」

女大臣「いえ、お礼を言われる様な事はしていませんよ、私に出来る事なんてそれくらいなんですから」

女大臣「あと、頑張ってという言葉はあまり使わない方がいいですよ」

勇者「もう頑張ってるからって事だろ?」

女大臣「はい、そういう事です」

勇者「分かってる」

ドラゴン「女大臣……」スタスタ

女大臣「どうかしましたか?」

ドラゴン「あとどれくらいこれが続くんだ?」

女大臣「約一カ月ですね」

ドラゴン「……」

勇者「今の調子はどうだ?」

ドラゴン「気持ち悪い……」

暗殺者「気分の悪い時は何時でも言ってくれ」

女勇者「そうですね、何時でも言って下さい」

ドラゴン「……ああ、分かった」
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 22:00:12.47 ID:kQbRNdox0
女大臣「ではまた来ますね」ガチャ

勇者「ああ」

ドラゴン「う……」

勇者「はい、ゆっくり息吸って」

ドラゴン「分かってる!!」

勇者「……あ、そうか、すまん」

ドラゴン「……オレの方こそすまない」

勇者「いいからいいから」

女勇者「ドラゴン、イライラしているのは分かってますが他人にあたるのは控えてもらえますか?」

ドラゴン「……すまない」

女勇者「別に私に謝らなくてもいいんですよ」

ドラゴン「勇者、すまん」

勇者「いいって」

ドラゴン「……」

勇者「もう大丈夫か?」

ドラゴン「ああ、もう大丈夫だ」

勇者「……なら良かった」
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 22:04:35.90 ID:kQbRNdox0
ドラゴン「少し休んでくる……」ガチャ

女勇者「勇者、早く行きなさい」

勇者「わかってるよ」ガチャ

ドラゴン「……何の用だ?」

勇者「心配だっただけだよ」

ドラゴン「すまなかったな」

勇者「お前がつらいのは分かってるよ」

ドラゴン「分かってる?」

勇者「ああ」

ドラゴン「貴様は分かってない……」

勇者「え?」

ドラゴン「勇者はオレがどれだけ大変か分かってない!!」

勇者「そ、そりゃ俺の事じゃないしそこまで詳しくはわかんねぇよ」

ドラゴン「ならなんで分かるなんて言うんだ!!」

勇者「それは……」

ドラゴン「分かった様な事言うな」

勇者「いや、俺だってお前の事が少しでも楽になるようにと思って言ったんだけど」
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 22:05:16.29 ID:kQbRNdox0
ドラゴン「言葉で楽になれるか」

勇者「なんでそう捻くれた捉え方をするのかな」

ドラゴン「真実だろ、言葉で楽になれるなら苦労してない」

ドラゴン「……」

勇者「……」

勇者「……ああ、もう!!」ガチャン!

女勇者「ゆ、勇者!?」

勇者「出掛けてくる!!」スタスタ

女勇者「あ、ちょっと――――」

暗殺者「俺が行ってくる」

女勇者「わ、わかりました」

暗殺者「ドラゴンの方を頼む」スタスタ

女勇者「はい」
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 22:06:16.19 ID:kQbRNdox0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町外れ


勇者「……」

殺し屋「あれ、何してるの?」ピョンッ

勇者「何の用だ?」

殺し屋「勘違いしないでよ、別に何か用があった訳じゃなくて、見つけたから話しかけただけ」

勇者「あ、そう……」

殺し屋「元気無いね、どうしたの?」

勇者「いろいろあったんだよ、安易な事言った俺が悪いんだけどさ」

殺し屋「喧嘩したんだ」

勇者「そうだよ」

殺し屋「さっさと仲直りしたら?」

勇者「最初っからそのつもりだよ」

暗殺者「……ここに居たのか……」スタスタ

殺し屋「あ、久しぶり」

暗殺者「……お前」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 22:06:58.24 ID:kQbRNdox0
殺し屋「そう怖い顔しないでよ、今は敵でもない訳だし」

暗殺者「……わかった」

勇者「謝ってもこのままじゃまた喧嘩しそうなんだよな……」

殺し屋「何が?」

勇者「妊娠中だからな……」

殺し屋「あ、妊娠したんだ、おめでとう」

勇者「ありがとう」

暗殺者「じゃあ謝らないつもりなのか?」

勇者「謝るけどさ」

暗殺者「けどなんだ?」

勇者「ドラゴンに言われたんだよ、言葉では楽になれないって」

殺し屋「じゃあ言葉以外の何かをしてあげるの?」

勇者「多分……」

暗殺者「何するんだよ」

勇者「まだ決めてない」

暗殺者「なんかないのか?」

勇者「なんかって言われても……」
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 22:09:48.75 ID:kQbRNdox0
殺し屋「何かあの子が喜びそうなものはないの?」

勇者「……鹿と羊……かな?」

暗殺者「だからあの時聞いてたのか……」

殺し屋「この町じゃ売ってないけど他の町なら鹿も羊も売ってるよ」

暗殺者「そうか、じゃあ買いに――――」

勇者「待ってくれ」

暗殺者「ん?」

勇者「自分で狩る」

暗殺者「え?」

勇者「だってドラゴンも頑張ってるんだしどっかの店で買って帰るのはあれだろ」

殺し屋「うん、愛ってやつだね」

暗殺者「まあ、愛だな」

殺し屋「手伝おうか?」

勇者「……」

暗殺者「この辺は羊も鹿も居ないんだし、三人で探した方が楽だろ」

勇者「……わかった」
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/03/31(土) 22:10:48.72 ID:kQbRNdox0
今日はここまでです。
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/31(土) 22:34:01.86 ID:IlEa2NTgo
ふむ
よい
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/31(土) 23:05:22.13 ID:JMowTFnNo
>>819
実際ドラクエやらFFやらモンスターが存在するファンタジー世界の生態系ってどうなんのかな?
鹿や羊に限らず牛や豚とかもモンスターの餌になってそう
安全に飼育できる環境ないと難しそうだから高級そうなイメージある
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/01(日) 10:06:31.65 ID:WnPVeC8Vo
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:05:24.94 ID:+1arkLhf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の家


女勇者「入りますよ」ガチャ

ドラゴン「……女勇者」

女勇者「勇者に何を言ったんですか?」

ドラゴン「……勇者がオレに辛さを分かると言ったんだ」

女勇者「それで?」

ドラゴン「お前に分かるかって言って怒った」

女勇者「……」

ドラゴン「……」

女勇者「まあ、勇者にも落ち度はあると思います」

ドラゴン「……」

女勇者「ですがあなたにも落ち度はありますよ」

ドラゴン「……わかってる」

女勇者「妊娠が十分大変なのは分かります、私も女ですから」

ドラゴン「ああ……」
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:07:07.32 ID:+1arkLhf0
女勇者「ですが勇者に八つ当たりしてはいけませんよ」

ドラゴン「そうだな……」

女勇者「それにあなたと同じくらい勇者も疲れてましたし」

ドラゴン「そ、そうなのか?」

女勇者「ええ、最近は寝てなさそうでしたし」

ドラゴン「え?」

女勇者「あなたが心配で最近はずっと起きてますよ」

ドラゴン「……」

女勇者「それにあなたの具合が悪くなったらいつもそばにいてあげていますし」

ドラゴン「そうだな」

女勇者「それで仕事にも行ってるんです、かなり疲れていると思いますよ」

ドラゴン「……」

女勇者「別にあなたを責めている訳ではありません、ただ勇者も勇者なりに頑張っている、と言う事です」

ドラゴン「わかった」

女勇者「暗殺者が勇者を探しに行ってます、帰ってきたらちゃんと謝りましょうね」

ドラゴン「ああ、そうする」
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:09:07.39 ID:+1arkLhf0
ドラゴン「……でも勇者は全然顔とかに出さないよな」

女勇者「……多分生活環境の違いでしょうね」

ドラゴン「生活環境?」

女勇者「ええ、多分私が思っている以上に大変だったと思いますから、そうそう弱音は吐かないと思います」

ドラゴン「……」

女勇者「もちろん言わないだけで疲れてると思いますからちゃんと気遣ってあげないといけませんよ」

ドラゴン「わかった」

女勇者「……昼食にしましょうか」

ドラゴン「勇者達は何時帰ってくるんだ?」

女勇者「分かりませんが、何時帰ってきてもいいようにしておくつもりです」

ドラゴン「……お、オレも手伝う」

女勇者「作れますか?」

ドラゴン「教えてくれ」

女勇者「……いいですよ」
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:10:28.17 ID:+1arkLhf0
ドラゴン「……でも勇者は全然顔とかに出さないよな」

女勇者「……多分生活環境の違いでしょうね」

ドラゴン「生活環境?」

女勇者「ええ、多分私が思っている以上に大変だったと思いますから、そうそう弱音は吐かないと思います」

ドラゴン「……」

女勇者「もちろん言わないだけで疲れてると思いますからちゃんと気遣ってあげないといけませんよ」

ドラゴン「わかった」

女勇者「昼食にしましょうか」

ドラゴン「勇者達は何時帰ってくるんだ?」

女勇者「分かりませんが、何時帰ってきてもいいようにしておくつもりです」

ドラゴン「……お、オレも手伝う」

女勇者「作れますか?」

ドラゴン「教えてくれ」

女勇者「……いいですよ」
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:12:59.53 ID:+1arkLhf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





殺し屋「うーん、やっぱりいないね」

暗殺者「ここまでいないんだな」

勇者「どうなってんだよ……」

暗殺者「もしかしてこの森にはいないんじゃないか?」

勇者「そんな訳ねぇだろ」

殺し屋「珍しいってだけでちゃんといるはずだよ」

暗殺者「そういうもんかな……」

殺し屋「それにしても……鹿と羊っておいしいのかな」

勇者「食った事無いからわかんねぇよ」

殺し屋「だろうな」

暗殺者「そう簡単に捕まるもんか?」

殺し屋「俺に聞かないでよ」

勇者「とにかくどっちか片方でもいいから捕まえたいな」
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:15:57.90 ID:+1arkLhf0
暗殺者「どっちとも出会えてないけどな」

殺し屋「まだ一時間しか探してないよ」

暗殺者「どちらかと言えばもう一時間じゃないのか?」

勇者「嫌なら帰ってもいいぞ」

暗殺者「別に嫌とは言ってないだろ」

鹿「……」ガサガサ

勇者・殺し屋・暗殺者「あ……」

鹿「……」タタタッ

暗殺者「し、鹿だ!!」

勇者「わかってるから」タタタッ

殺し屋「やっぱり足速いね」タタタッ

暗殺者「どうやって仕留めるんだ?」タタタッ

勇者「斬る!!」


勇者はそう言うと鹿に向かって斬りかかる。


暗殺者「乱暴だな……」

殺し屋「お前がナイフ投げればいいんじゃないの?」
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:16:49.05 ID:+1arkLhf0
暗殺者「いや、勇者がやるって言ってるんだし、やらせる」

勇者「……」スタスタ

暗殺者「終わったか?」

勇者「ああ」ズルズル

殺し屋「立派な鹿だね、羊はどうする?」

勇者「もちろん仕留めるさ」ハァハァ

暗殺者「ドラゴン喜ぶといいな」

勇者「そうだな」

殺し屋「羊は俺達で仕留めようか?」

勇者「いや、俺も行く」

暗殺者「大丈夫か?」

勇者「大丈夫」スタスタ

殺し屋「タフだね」

暗殺者「本当にな」

殺し屋「勇者はあの子の事になると本当に周りが見えなくなるよね」

暗殺者「それが勇者の良さだろ」

殺し屋「あはは、だよね」
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:17:44.39 ID:+1arkLhf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の家  夕方


ドラゴン「……」

女勇者「遅いですね」

ドラゴン「勇者……あの事怒ってるんだろうな……」

女勇者「……」

女勇者「そう思い詰めない方がいいですよ」

ドラゴン「ああ、わかってる……」

女勇者(まったく、何処にいったんですか……)

勇者「ただいま」ガチャ

女勇者「何処に行って……」

暗殺者「悪かったな」

女勇者「いえ……なんですかそれ?」

勇者「えーと、鹿と羊」

女勇者「鹿と羊!?」

勇者「鹿と羊」
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/01(日) 22:18:25.67 ID:+1arkLhf0
今日はここまでです。

あんまり進めなくてすいません
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/01(日) 23:27:12.81 ID:ZWob9YzHo
そりゃ女勇者には意味不明だわなww
乙!
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 01:56:22.29 ID:nryKqy9DO
馬と鹿だったら大変だったな
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 07:40:51.08 ID:hxiUlyVIO
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/02(月) 21:39:23.77 ID:kns8nC5AO

追い付いたと思ったら終わりか…
満スレまで頑張ってくれ、次も期待してるよ
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/02(月) 22:07:30.01 ID:8Uj+296i0
女勇者「……」

勇者「……」

暗殺者「女勇者はさばけるか?」

女勇者「いえ、多分さばく事は可能ですが……」

勇者「と言うかさばくでいいのか、これ?」

ドラゴン「ゆ、勇者……その……」

勇者「お前羊と鹿どっちが好き?」

ドラゴン「え、鹿がいい……」

勇者「じゃあ鹿切ってくれるか?」

女勇者「わかりました……」

勇者「好きなんだろ?」

ドラゴン「え、ん?」

勇者「鹿と羊」

ドラゴン「あ、ああ」

勇者「よかったよかった」

ドラゴン「オレ、勇者に教えたか?」

勇者「竜王様に教えてもらったんだ」
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/02(月) 22:09:06.23 ID:8Uj+296i0
ドラゴン「そうか……」

勇者「俺に出来る事って言ったらこのくらいだし」

ドラゴン「……」

女勇者「どうやって切るんですか……」

暗殺者「まずは皮を剥ぐんだろ」

女勇者「……やるしかない訳ですね」

暗殺者「そう言う事」

ドラゴン「勇者、悪かったな」

勇者「謝るのは俺の方だよ、てきとうな事言った俺が悪いんだし」

ドラゴン「……」

勇者「ごめん」

ドラゴン「オレも悪かったんだ、頭をあげてくれ」

勇者「……」

ドラゴン「すまなかったな」

勇者「……」

勇者「……飯にするか」

ドラゴン「……そうだな」
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/02(月) 22:11:03.12 ID:8Uj+296i0
女勇者「問題は味です」

ドラゴン「早く食べようぜ」

女勇者「そうですね、いただきます」

ドラゴン・勇者・暗殺者「いただきます」

女勇者「……」モグモグ

女勇者「まあ、おいしいですね」

勇者「なんでちょっと不満げなんだよ」モグモグ

暗殺者「考え過ぎだよ、考え過ぎ」

勇者「うん、うまい」

暗殺者「普通にうまいな」

ドラゴン「懐かしいな……」

暗殺者「昔はよく食べてたのか?」

ドラゴン「ああ、近くに鹿の群れがよく来てたからな」

勇者「空から襲ったのか?」

ドラゴン「ああ、開けた場所だったから簡単に仕留められたからな」

勇者「かっこいいな」

ドラゴン「当たり前だ」

暗殺者「……仲直りできたみたいだな」

女勇者「まったくです」
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/02(月) 22:11:46.64 ID:8Uj+296i0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数ヵ月後  勇者の家


女大臣「順調ですね、もうそろそろ出産ですよ」

勇者「そうか」

ドラゴン「それにしてもよく動くよな」

女大臣「ええ、子供ですから」

勇者「触ったけど凄ぇ動いてたぞ」

女大臣「それが普通なんです」

勇者「あ、そうなんだ」

女大臣「普通よりお腹が大きいのが少し気になりますが、まあそれは後々でいいでしょう」

勇者「大丈夫なのか?」

女大臣「ええ、大した問題ではないでしょうね」

女勇者「出産はいつ頃になりますかね?」

女大臣「それは私にもわかりません」

暗殺者「準備して待てって事だろ」

女大臣「そう言う事ですね」
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/02(月) 22:14:02.15 ID:8Uj+296i0
妹「触っていい?」

ドラゴン「いいぞ」

妹「……動いてるね!!」

ドラゴン「ああ」

女大臣「もし陣痛が始まったならすぐに病院に連れて行ってくださいね」

女勇者「何処の病院ですか?」

女大臣「そうですね……」カキカキ

女大臣「ここの病院に行ってください」スッ

女勇者「わかりました」

勇者「……出産がいつになるかわかんないんじゃ仕事も休めないな……」

暗殺者「ちゃんと連絡してやるから」

勇者「……ちゃんとしろよ」

暗殺者「ちゃんとしてやるからそんな悲しそうな目すんな」

女大臣「ではまた今度」ガチャ

勇者「ああ、いつもありがとな」
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/02(月) 22:14:33.40 ID:8Uj+296i0
勇者「もう少しで出産か……」

女勇者「早いものですね」

妹「もう少しで妹か弟が出来るの?」

勇者「ああ、あと少しだから待ってろ」

コンコン

勇者「ん?」

女勇者「女大臣でしょうか」ガチャ

勇者母「久しぶりね」

勇者「……」

ドラゴン「オレが手紙を送ったんだ」

勇者母「妊娠したって聞いて、来たんだけど……もし嫌なら――――」

勇者「扉開けっぱなしだと困るから、入って来てくれ」

勇者母「え、ええ」スタスタ
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/02(月) 22:20:40.62 ID:8Uj+296i0
今日はここまでです。

ちなみに勇者母は剣士と博士が住んでいた海辺の町の家を拠点に生活しています。
また妹は勇者母の子供ではありません。
なので勇者五姉弟(女勇者、イケメン、勇者、剣士、妹)は誰も完全に血の繋がった姉弟がいません。
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/04/02(月) 22:29:59.45 ID:xj0P5aeZo
そういや屑父と妹母って何してるのん?
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/03(火) 07:33:21.80 ID:dWdMhEQco
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:42:32.78 ID:gWli54ps0
妹「誰?」

勇者「俺の母さんだ」

妹「え?」

暗殺者「分かり難いかもしれないが勇者とお前のお母さんは同じ人じゃないんだ」

勇者母「あの人は別の奥さんを?」

勇者「ああ、ダメ人間だけどな」

妹「じゃあ私のお母さんでもあるんだね」

暗殺者「……ま、まあそう言うことにもなるな」

妹「よろしくね、お母さん」

勇者母「よろしくね、ええと……」

勇者「妹だ」

勇者母「妹ちゃん、よろしくね」

妹「うん」

女勇者「本当に子供が好きなんですね」

勇者母「……」

女勇者「別に皮肉とかそういう意味じゃありませんよ」
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:44:44.04 ID:gWli54ps0
勇者「俺も女勇者もあんたの事を許す事はないけど、母親だとは思ってるから」

女勇者「勇者の言う通りです」

勇者母「いいの?」

女勇者「嫌だと言って母親が変わる訳ではありませんからね」

勇者母「……ありがとう」

勇者母「妊娠何ヶ月なの?」

ドラゴン「そう言うのは分からんが、もうすぐ生まれるらしい」

勇者母「もうお母さんなのね……」

ドラゴン「ああ」

勇者母「私みたいになっちゃ駄目よ」

ドラゴン「わかってる」

勇者母「……なら大丈夫そうね」

勇者「ずいぶん自虐的だな」

勇者母「ええ、それだけの事をしてきたんだから……」

勇者「……」

暗殺者「……そういえば剣士はどうしたんだ?」

勇者母「魔王さんの所に行ってるわ」

女勇者「そうですか」
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:47:15.08 ID:gWli54ps0
勇者母「きっと親離れの時期なのね」

勇者「かもな」

勇者母「でも、後で来るとは言ってたから」

暗殺者「間に合うといいな」

女勇者「そうですね」

勇者母「ドラゴンが出産するまではここにいようと思うんだけど、いいかしら?」

勇者「あんたが居たいだけ居ればいいじゃん」

勇者母「……じゃあお言葉に甘えさせていただくわね」

勇者「勝手にしろ」

ドラゴン「じゃあ飯にしようぜ」

勇者「そうだな」

女勇者「何か食べたいものはありますか?」

勇者母「私が作るわ、それくらいしかできないけど……」

女勇者「……では、お願いしますね」

勇者母「ええ」
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:48:47.57 ID:gWli54ps0
勇者「なんて言うか……相変わらずだな」

女勇者「ええ、安易に自分を否定して同情してもらおうとしている様な感じはいつも通りですね」

勇者「まったくだ」

暗殺者「……厳しいな」

勇者「一応家族なんだから変な気を使われたくないだけだ」

女勇者「そうですね」

妹「お兄ちゃんもお姉ちゃんもお母さんの事好きなの?」

勇者「ああ、なんだかんだ言っても嫌いじゃない」

女勇者「ええ、嫌いではないですね」

勇者母「こんなものしか作れないけど」

ドラゴン「うまそうだな」

勇者「普通に上手いじゃん」

勇者母「……これくらいしか―――――」

女勇者「素直にありがとうと言ったらどうですか?」

勇者母「……ありがとう」

女勇者「じゃあ食べましょうか」

勇者「ああ」
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:51:53.61 ID:gWli54ps0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数日後 城 昼休み


勇者「……」

剣士「……勇者さん」スタスタ

勇者「剣士か、遅かったな」

剣士「母さんが来てると聞いたんで来たんですが、何かあったんですか」

勇者「ドラゴンが妊娠したんだよ」

剣士「え、そうなんですか!?」

勇者「聞いてなかったのか?」

剣士「魔王さんの所でいろいろ勉強してたので……」

勇者「そう言えばそんな事言ってたな」

勇者「……じゃあ最近母さんとは暮らしてないのか?」

剣士「はい、母さんもそこまで頻繁に家に帰ってくる人間じゃありませんから」

勇者「そう言えばそうだったな」
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:52:46.90 ID:gWli54ps0
勇者「魔王達は元気か?」

剣士「はい、今日も来たいって言ってたんですけど、さすがに町に行くのはあれだったんで」

勇者「いろいろ言っても魔王だからな」

剣士「はい、魔王なんで」

勇者「それにしても魔王が出掛けたいなんて言うの珍しいよな」

剣士「なんでもドラゴンさんに会いたいそうで」

勇者「何のために?」

剣士「さあ、やっぱりなんだかんだ言っても高等種として仲良くしたいんじゃないんですかね」

勇者「お前は結局魔王とどうなったんだ?」

剣士「どうなったって……普通に生活してるだけですよ」

勇者「……なんだそれ」

剣士「僕は魔王さんに魔法を教えてもらって、僕が魔王さんにいろいろな遊びや面白いものを紹介してます」

勇者「ふーん」

剣士「今のお気に入りはポーカーですね」

勇者「だんだん息抜きが出来るようになっていくといいな」

剣士「はい」
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:56:45.60 ID:gWli54ps0
暗殺者「勇者!!」タタタッ

剣士「あ、お久しぶりです」

暗殺者「久しぶり」

勇者「どうかしたか?」

暗殺者「陣痛が始まったぞ」

勇者「え、マジで?」

暗殺者「ああ、さっさと来い」タタタッ

勇者「あ、ああ」タタタッ

勇者「剣士、お前も来い」

剣士「え、え?」

勇者「母さんもいるから、さっさとしろ」

剣士「で、でも――――」

勇者「早く」

剣士「は、はい」タタタッ
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:58:27.09 ID:gWli54ps0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


病院   


勇者「ドラゴンは?」

女勇者「中です」

勇者「入っちゃ……ダメだよな」

勇者母「ええ、衛生的にダメでしょうね」

イケメン「まあ、彼女なら大丈夫だろうけどね」

勇者「なんでお前が居るんだよ、呼んでねぇぞ」

イケメン「用事で来ていたら母さんに会ったものでね」

勇者母「一応兄弟なんだから呼んだ方がいいと思って」

勇者「……」

妹「きっと大丈夫だよ」

勇者「それは分かってるから」

女勇者「女大臣を信じましょう」

勇者「女大臣?」

女勇者「ええ」

勇者「え、女大臣は今何処にいるの?」

女勇者「中でドラゴンの出産の手伝いをしてますよ」

勇者「……万能だな」

女勇者「ええ……」
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/03(火) 21:59:05.50 ID:gWli54ps0
今日はここまでです。

明日で多分ラストです
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/03(火) 22:01:33.51 ID:P27Vepxt0
乙!!!
もうすぐこのスレも終わりか・・・
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/04(水) 09:05:40.41 ID:RjDyWKioo
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 20:46:05.68 ID:DDh5p3SDO
もうすぐ完結、か……
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 21:57:56.50 ID:rtW3WxEI0
女勇者「……とにかく今はここで待つ以外何もする事はありませんよ」

勇者「そうだな」

ドラゴン「痛い痛い痛い!!」

勇者・女勇者「……」

勇者「いや、大丈夫なのか、あれ!?」

女勇者「大丈夫です、多分」

勇者「超わめいてたけど」

女勇者「私に聞かないで下さいよ」

勇者「おい」

勇者母「初産はあんなものよ」

勇者「いや、そうかもしれないけどさ……」

イケメン「彼女なら大丈夫さ」

勇者「うるせぇよ、黙ってろ」

イケメン「八つ当たりかい、かっこ悪いね」

勇者「だいたいお前は呼んでねぇぞ」

イケメン「そう怒らないでくれ」

勇者「今怒らなくていつ怒るんだ、教えてくれよ」
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:00:13.99 ID:rtW3WxEI0
イケメン「今はそう言う時間じゃないと思うけど」

剣士「大丈夫ですかね、あの二人……」

暗殺者「あの二人はああいうのが普通なんだ、気にすんな」

女勇者「ええ、あの二人が仲良くしている方が気持ち悪いです」

ドラゴン「だから痛い!!」

女勇者「ドラゴンは一体何にキレてるんですか……」

暗殺者「ああやって大声出してないとしんどいんだろ」

勇者母「大声を出すと痛みが和らぐのよ」

イケメン「彼女も頑張ってるんだ、君も頑張ったらどうだ?」

勇者「やかましい!!」

勇者母「そのくらいにしておいたら、もうそろそろ生まれるわよ」

勇者「あ、ああ」

イケメン「静かにね」

勇者「お前が言うな」

暗殺者「二人とも黙ってろ」
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:02:37.69 ID:rtW3WxEI0
勇者「……」

女勇者「そろそろですかね」

勇者母「もう少しじゃないかしら」

勇者「……まだか?」

女勇者「もう少しです」

ドラゴン「え、はぁ!?」

勇者「え、なんだ?」

女勇者「落ち付きなさい」

勇者「いや、今のおかしいだろ」

剣士「勇者さん、落ち付いて」

勇者「いやこれは落ち付けないだろ!!」

女大臣「終わりましたよ」ガチャ

勇者「え、どうなったんだ!?」

女大臣「無事生まれましたよ、二人とも」

勇者「そうか……ん?」

女勇者「え?」

女大臣「どうかしましたか?」
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:04:13.42 ID:rtW3WxEI0
勇者「いや、二人?」

女大臣「ええ、双子ですよ」

勇者・女勇者「え、え?」

イケメン「男の子二人かい?」

女大臣「いえ、男の子と女の子です」

勇者母「中に入ってもいいかしら?」

女大臣「ええ、構いませんよ」

勇者母「……」スタスタ

勇者「俺も」スタスタ

暗殺者・女勇者「……」スタスタ

剣士「僕もいいですか?」

勇者「別にいいぞ」

剣士「ありがとうございます」

イケメン「剣士、一緒に行こうか」スタスタ

勇者「テメェはダメだ!!」
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:06:10.05 ID:rtW3WxEI0
暗殺者「うるさいぞ」

勇者「はいはい」スタスタ


そこにはベットで寝ているドラゴンと二人の赤ん坊がいた。


勇者母「うん、元気そうね」

ドラゴン「ああ、ちゃんと元気だ」

女勇者「双子は大変ですよ」

ドラゴン「分かってる」

女大臣「もう大丈夫ですよ」

ドラゴン「ありがとな」

女大臣「いえいえ」

女勇者「では私達は少しはずしますね」スタスタ

剣士「そうですね」スタスタ

勇者母「二人でゆっくりね」スタスタ

暗殺者「俺達も行くか」

イケメン「そうだな」スタスタ

女大臣「そうですね」スタスタ
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:08:13.83 ID:rtW3WxEI0
勇者「……元気な子供で良かったな」

ドラゴン「ああ、そうだな」

勇者「……」

ドラゴン「……」

勇者「その……なんだ、お疲れ」

勇者「……」

ドラゴン「……」

ドラゴン「……ぷぷっ」

勇者「笑い堪えてんじゃねぇよ!!」

ドラゴン「いや、お疲れって、他になんかないのか?」

勇者「思いつかなかったんだよ」

ドラゴン「まあいい、ありがとな」

勇者「いろいろ迷惑かけて悪かったな」

ドラゴン「じゃあそのお詫びにキスしてくれ」

勇者「……いや、意味が分からない」

ドラゴン「子供が出来てから一度もしてなかったしいいだろ」
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:09:18.01 ID:rtW3WxEI0
勇者「……マジで言ってる?」

ドラゴン「オレ達以外いないんだし、別にいいだろ」

勇者「……」

ドラゴン「早くしないと来ちまうぞ」

勇者「なんでそんなに活き活きした笑顔してんだよ」

ドラゴン「早く早く」

勇者「……わかったよ」


勇者はドラゴンと唇を重ねる。


ドラゴン「……」

勇者「これでいいか?」

ドラゴン「ああ、満足だ」

勇者「それにしても、あいつ等何して――――」

女勇者・剣士「……」

勇者母「ごめんね、みんながもういいだろうって言うから入ったんだけど」

勇者「何時から?」
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:11:03.01 ID:rtW3WxEI0
勇者母「ええと……」

女大臣「ドラゴン様がキスをねだる所からです」

勇者「おい!!」

イケメン「別に恥ずかしがる事じゃないだろ、夫婦なんだし」

ドラゴン「そうだな」

勇者「そうだな、じゃねぇよ!!」

暗殺者「バカップルだな」

女勇者「ですね」

勇者「やかましい!!」

剣士「で、でも別に悪い意味じゃ――――」

勇者「こいつ等の言い方に悪意を感じるんだよ!!」

ドラゴン「勇者」

勇者「なんだ、キスならもうしねぇぞ」

ドラゴン「違う、この二人共々、よろしく頼むな」

勇者「……こちらこそよろしく頼む」
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/04(水) 22:14:18.10 ID:rtW3WxEI0
今日はここまでです。

妊娠から出産の話は正直全然わかんなからなかったので、所々おかしな所があったかもしれません。すいません。

明日からはドラゴン視点のドラゴンの村〜ドラゴンが人間になるまでです。
再構成なのでササッと終わらせられると思います。
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/04/04(水) 22:18:55.07 ID:VhNVM0RRo
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 22:37:22.43 ID:ifPikvKIO
いやん
乙だわ
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/05(木) 05:23:20.72 ID:U1wTDOIDo
乙。
双子だったからお腹が少し大きめだったのか
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 07:55:45.52 ID:51GdJhBIO
>>819
同意。だが大抵のファンタジーは時代考証が無茶苦茶だから、そんなもんだと受け止めようぜ

>>830
ファンタジー自体がもともと生態系なんて無考慮だから好きに妄想すりゃいい
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/05(木) 15:17:53.39 ID:bmEcfEOxo
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:43:02.55 ID:KgRpGWRN0
灰色の壁。
鉄の檻。
埃っぽい部屋。
そこが今のオレの居る場所だった。

体がギリギリ入る様な檻の中で人間どもの見せ物になる。
それが今のオレだった。

最初の頃は屈辱的だったが今となっては慣れてきた。
慣れてきてしまっていた。

多分受け入れ始めたんだろう。
この理不尽な状態を。

埃っぽい建物の中には四、五人の人間がいた。
どれも変わり映えのしない格好をし、好奇と恐怖の眼差しをオレに向けている。

つくづく愚かな種族だ。
だから嫌いなんだ。

オレはゆっくりと人間達を見まわし、僅かに火を吐いた。
口からほんの少し火を吐いただけで、それだけで人間達は悲鳴を上げ、逃げるように外に出ていく。

ははっ、愚かだ。
愚かで臆病で卑怯な生き物。
愚かだ、愚か過ぎる。
……まあ、その愚かな人間共の罠にはまりこんな場所に入れられたのはオレな訳だが……。


「ははは、苦し紛れに火を吐くか、さすがは劣等種属」


背の低い、中年の男。
明らかにオレの一撃すら耐えられそうもないこんな屑にオレは捕まった。
寝込みを襲われ一瞬で捕まったのだ。
そうでなければこの程度の生き物に捕まる訳が無い。
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:45:20.90 ID:KgRpGWRN0
「何にもしてないのに石を投げつけられるなんて可哀想にな」


相変わらず、言葉が分かっている事も知らずにぺらぺらとしゃべる。
黄ばんだ歯を見せながら汚くに笑う。

やはり人間は下品で愚かだ。
恥知らずで他の種族を見下す、最低の種族。
どうせオレを見て恐怖するか石を投げつけ罵倒するかの二択だろう。
まあ、それが人間と言う生き物なのだから仕方の無い事だがな。

……こんな生き物に捕まったのかと思うと自分で自分を殺したくなってくる。
ああ、こんな生き物に捕まるオレは本当にバカだ。

周りを見渡せば、いつの間にか人間は誰もいなくなっていた。
さっき火を吐いたのがよほど効いたのか、ほぼ尽きる事無く入ってきていた人間も今はいない。

どうせ、一時の事。
一時間もすれば人間達はまた死体に群がるハゲワシの様に何処からともなく集まってくるだろう。

考えるだけで嫌になってくるので考えるのはこのくらいにしておく。
それに遅かれ早かれ死ぬのだから何をしても無駄だ。
ならば死を待つ時くらい竜らしく死ぬべきだろう。
下手に暴れて死を拒むのではなく、潔く死を受け入れる竜らしい死を。

人が居なくなり静かになったせいか眠気が襲って来た。
考えてみればここに来てからまだ一度も眠っていない。

この窮屈な檻の中ではたして心地よく眠れるかは不明だが、寝ないよりはマシだろう。
体を丸め、目を閉じる。
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:46:51.04 ID:KgRpGWRN0
こんな時でも体は正直であっという間に睡魔が襲いかかってきた。
よほど疲れていたのだろう。

睡魔の波はゆっくりと体を眠りへと誘い始める。

だが眠りに落ちそうになった時だった。


「大きいですね」

「そりゃドラゴンだしな」


唐突に声が聞こえた。

それは今までの人間とは明らかに違った反応だった。
声色を聞いた限りでは男女二人組の様だ。

そのまま眠ってしまうのもよかったが、目を開け、その二人組を見る。

女の方は鱗の鎧を着ていた。
髪は長く、黒髪で顔は美人と呼ばれるタイプだろう。
いかにも戦士といった風貌だ。

そしてもう一人の男はと言うと女の方とは少し様子が違っていた。
布の服に腰にさした木の棒はあまりにも戦士とはかけ離れている。
例えるなら戦士に憧れる子供の格好といった所だろう。

しかしそれ以上に変わっているのはその男の目だった。
その目は明らかにオレを見ている。
それなのに、そのはずなのにその目は輝いている。
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:47:56.14 ID:KgRpGWRN0
意味が分からない。
何がそんなに貴様の心を刺激しているんだ。

この男は恐怖するべき存在に純粋に憧れている。
そう感じた。

変わった人間だ。
人間にしておくのが惜しいくらいに。


「人間か、お前達も興味本位でオレを見に来たのか」


皮肉交じりに唸り声を上げる。
もちろんただの独り言、あの男に伝える気はない。


「確かに興味本位だけどそれだけで来たわけじゃねぇぞ」


……一瞬その言葉が誰に向けられたものか分からなかった。
だがその男を見た時、男はオレを見ていた。


「ふん、オレを殺しに来たのか?」

「別にお前を殺すために来たわけじゃねぇから」
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:49:29.07 ID:KgRpGWRN0
会話が見事に成立する。

オレの言葉が分かるのか?
人間なのに。
いや、それ以前にこの男は人間として何かずれてないか?

頭の中で様々な疑問がぐるぐると渦巻く。
だが疑問はただただ膨らんでいくだけで何一つ解決していかない。


「では何の用だ?」


疑問は余るほどあるが、とりあえず聞きたい事を聞いておく。
まずはこの男の真意を知りたい。


「理由が無いと来ちゃダメか?」

「生意気な人間だな」


その言葉は何時の間にか発せられていた。
人間如きにそんな事を言われたのだ、言い返さない他ない。

……なぜ言い返そうと思ったのだろう……。
普段ならただの戯言と流すはずなのに、今回は言い返した。
これも聞きようによっては戯言と流せる一言だったはずなのに。

まるで自分の思いがわからない。
心が独り歩きしている様な感じだ。
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:52:32.29 ID:KgRpGWRN0
そんな雲の様な心のもやもやと格闘しているオレをよそに、その男は隣の女と何かの話をしていた。

その女もまた、普通の人間とは少し違った雰囲気をかもしだしている。

まあ、気のせいかもしれないが、なんとなくこの二人は人間から逸脱しているような気がする。


「また今度来るな」


それだけの言葉を言い残し、男は去っていった。
いや、他の人間達に怪しまれないよう一時的に非難したようにも見える。

不思議な奴。
それがあの男の印象だ。
それ以外の表現方法は思いつかない。

もう一度あの男に会いたい。
素直にそう感じていた。

特に変な気持はない。
ただ不思議な人間に興味をもっただけの事だ。

気がつけば目の前にはあの中年の男が立っていた。
相変わらずの下品な笑い方をしているがもはや気にもならない。

今のオレの興味は完全にあの男にあった。


「頭の悪い人間がお前に話しかけていたような。ま、お前には分からないだろうがな」
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:54:01.49 ID:KgRpGWRN0
男はオレに侮蔑の眼差しを向けながらそう言った。
その目にはさっきの男に対する侮蔑も含まれているのだろう。

この男はさっきの男と正反対の人間だ。
己が一番でそれ以外のものを全て否定する。
オレが知っている人間の姿。

男はまるで何かに陶酔したかのように話し続ける。


「お前の様な下等種族に話しかけるなんてかわいそうな奴だ。まあ、お前の方が可哀想かもしれないがな」


そう言い男は汚い歯を見せ笑った。
唾が辺りに飛び散るが、そんな事は一切気にしていない。

さっきの男と違い、この男には反論はおろか、脅かす気さえ湧いてこない。
それほどの価値も無い様に見える。
多分それはこの男が人間らしい人間だからだろう。

男の戯言を聞きながらオレは体を丸め、眠る体勢に入る。

あの男は遅かれ早かれオレに会いにやってくる。
なら今のこの無駄な時間の内に眠っておくのが得策だろう。

自分があの男を心待ちにしているのがはっきり分かるのがなんとなく悔しいが、その気持ちに嘘は無い。

オレは目を閉じ、ゆっくりと押し寄せる眠りの波にさらわれていった。
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:55:26.91 ID:KgRpGWRN0














「おい、起きてるか?」


……頭が痛い
多分狭い場所で寝たせいだな。

男の声が聞こえた。
目を開けなくても昼の時の男だと分かる。

目を開けるとそこには予想通りの光景が広がっていた。
男の顔は月明かりで照らされ、青白かった。
その光のせいかその男はまるで人間ではない何かの様にも見える。


「ふん、また来たのか、人間」


何故かまた悪態をついてしまう。
どうしてそんな事を口走ってしまうのかは自分でも分からないからもどかしい。

だが男はそんな悪態も気にせず、檻の前に座るとオレに話しかけてくる。

やっぱり変な奴だ。
人間らしくない人間、と言った方がいいのか?


「また来るって言っただろ。それにお前もどうせ暇なんだろ」

「オレに話しかけてきたのは貴様が初めてだ」

「他の奴らはお前の言葉なんかわかんないからな」

「そうだな、オレは貴様等の言葉がわかるのにな……」


少し皮肉めいた口調になる。

もちろんこの男には全くと言っていいほど関係が無い。
だがやはりこの男が人間である以上見下した皮肉っぽい言い方になってしまう。
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:56:31.96 ID:KgRpGWRN0
「皮肉か?」


男の返答は予想通りだった。
だが何故かその顔はあまり嫌そうではなく、むしろ同情的な雰囲気さえ感じられる。

仲間でさえそんな表情でオレを見るものはほとんどいない。
なにのなんで人間のお前がなんでそんな目でオレが見るんだ。
お願いだからそんな悲しそうな顔しないでくれ。

オレは男から目を僅かに背け、かもな、とだけ答えた。
それ以外に適切な言葉が出て来なかったと言う方が正しいかもしれないが……。


「そうだ、肉持ってきたけど食うか?」


さっきとは打って変わり、男の表情が楽しそうな表情になる。
会話の流れを変えたかったのかもしれない。

オレとしてもそのほうがありがたい。

「いいのか?」

「お前にあげるために持ってきたんだ」


男はそう言い、干し肉をオレの目の前に置く。

確かに空腹感もあったため、肉をもらう。
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 21:58:53.69 ID:KgRpGWRN0
干し肉は硬く、オレにとってはそこまでおいしいとは感じられなかったが、空腹を満たすのには十分だった。
それにこの男から貰った、と言うだけで十分にうれし――――。

……何を考えているんだ、オレは。


「聞きたいんだけどお前は何をして捕まったの?」

「オレは気高き竜だ、人間など相手にはしない、人間共が勝手に騒いでいるだけだ」

「お前はいいのか?」


予想外の返答に言葉が詰まる。

心配されている。
オレが?
たかだか人間に?


「そんな訳のわからない理由で殺されていいのか?」

「殺されたく無いに決まってる。だが、オレがどれだけ足掻いてもここから逃げるのは不可能だ。逃げるのが不可能だとわかっているのに足掻くのは無様だろ?」


それが嘘も偽りも無い、正直な気持ちだった。
殺されたいか殺されたくないかで言われれば殺されたくないに決まっている。
だが竜として生まれた以上、気高き一族に生まれた以上無様な最期を迎える訳にはいかない。
潔く、気高き竜として死ななければいけない。
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:00:33.20 ID:KgRpGWRN0
「生きるために足掻くのを無様だとは俺は思わねぇ」

「それは貴様が人間だからだ。オレは気高きドラゴン、無様に生きるよりも美しく散る事に美学を感じる生き物だ」

「気高きドラゴンね……」


男は釈然としないのか首をかしげていた。

そうこれがオレとこの男との違い。
人間と竜との違いだ。

この男も所詮人間と言う事か。


「貴様も物好きだな、オレの話し相手をするなんて」

「変人だからな」

「面白いな、貴様は」

「俺もお前と話してると楽しいよ」

「ふん、お世辞か」

「お世辞とかじゃなく本心だよ」
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:02:17.64 ID:KgRpGWRN0
……悪態をつこうとするのに言葉が浮かんでこない。

なんと言っていいのか分からないが、とにかく熱い。
体がとにかく熱くなる。
頭も沸騰したように熱く、何も考えられなくなっていく。


「どうした?」

「……何でも無い」

「そ、そうか」


会話が止まり、気まずい時間が流れる。


「……貴様の横にいた女は何者だ?」


な、何を聞いてるんだ。
オレはバカか。
そんな事どうでもいいだろ。


「あいつはただの旅の仲間、それ以上でもそれ以下でもない」

「二人旅か?」

「ああ、仲間募集中だ」
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:04:19.31 ID:KgRpGWRN0
なんでオレは今ホッとしたんだ。
あの女がこの男の恋人では無かったからか?
……オレは一体何がしたい。

このままの話の流れを変えるために話題を変える。
もしこのままいけば確実にオレは変な事を口走ってしまう自身がある。

「改めて聞こう、貴様の目的は何なんだ?」

「目的なんてねぇよ。ただ俺ドラゴンが好きなんだ、かっこいいし。特にお前は好きだな、かっこいいし話が合うし」


話題を変えた意味なく、結局オレの体はさらに熱くなった。

はは、なんで喜んでんだ。
人間に褒められただけだろ。
しかも人間から外れた異端児の様な奴の褒め言葉で……。

なんと表現していいのか分からないが、とにかく胸の辺りがざわつく。
しかも止めようと思えば思うほどざわつきは大きくなる一方だ。

落ち付け。
まずは落ち付け。
話はそれからだ。

目の前の男から視線を逸らし、何とか心を落ち着かせようとする。

「お前は俺の事どう思う?」

「そうだな……今の所は変わった奴だな」

「今の所は?」
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:05:32.24 ID:KgRpGWRN0
「印象なんてものは一秒ごとに変わるものだろう」

「まあ、そうだな」


そう言うと男は何故か納得したようにうなずいた。

やはりこの男は人間よりも竜の方が向いている様な気がした。
きっとこの男が竜だったのなら最高にかっこいいのだろう。

もちろん人間臭い所は所々にあるが。

地位や名誉に拘らず、己の考えた道を突き進む。
そして相手と真正面からぶつかる。
その考え方は竜と言うよりオレが好む考え方なのだが、この男はオレのその考え方の模範の様な生き方をしていた、と言うのは少し言い過ぎか……。


「やはり貴様は変人だ」

「自覚してるよ」

「それにあんたも十分変だ」

「ふふ、死ぬ前に貴様のような人間に会えてよかった」


それは心からの本心だった。
死ぬ前に人間とはいえここまで美しい生き方をする者と出会えたのは幸運だ。
冥土の土産としては最高級のものに分類できるだろう。
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:06:57.28 ID:KgRpGWRN0
「俺もだ、お前に会えて良かった」

「ふふ、かわいい奴だな、貴様は」

「そんな事言ってくれるなんてうれしいね」


男はそう言うとにこりと笑った。

かなりの勇気を必要とした一言をこの男は簡単に受け入れてくれた。
いや、受け流したのかもしれないな。

そういう顔はやめてくれ。
言ったこっちが恥ずかしくなってきそうだ。

オレはゆっくりと息を吸い、少し前から考えていた事を口にする。
多分、最後になるであろう願いを。


「ここで会ったついでだ、オレの願いをきいてくれるか?」

「ここから出してほしいのか?」

「バカ言うな、俺は気高き竜だ、そんな見苦しい事を願ったりしない」


男はオレの言葉に納得したようにうなずくと、そうか、と呟いた。
この男は竜を理解しているのだろう。
竜の生き方を。
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:09:08.99 ID:KgRpGWRN0
「俺の介錯を頼みたい」


オレの言葉を聞いても男は驚いた顔一つしなかった。
いや、むしろそう言うと思った、と言う感じだ。


「俺にか?」

「死ぬのなら名も無き村人に殺されるよりも貴様に殺されたい」

「嫌だね」


その言葉はオレの中にゆっくりと入ってきた。
別にその事をどうこう言う気はない。
元々ほとんど初対面の人間に頼む様な事ではないのだ。

妥当な答えだろうな。


「そうか、残ね―――――」

「俺はお前をここから逃がす気でいるからな」


一瞬、頭の中が真っ白になった。
言っている意味が理解できない。
これ以上分かりやすい言い方は無いはずなのに思考が追いつかない。


「お前が無実だとわかった以上、お前を見殺しには出来ないから俺がここから出してやるよ」

「貴様正気か?」
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:10:13.90 ID:KgRpGWRN0
「ああ正気だ」


男は不敵に笑うと、オレの頭を軽く撫でた。
人間の、男の手は温かく、そして優しかった。

この男が竜なら。
オレが人間なら。
出会う場所が違えば。
そんな無意味な事を考えてしまう。

そんな事叶う訳ないだろ。
だいたいオレは死ぬんだぞ。
バカバカしい。
本当にバカバカしい。


「じゃあまた明日来るわ」


男はそれだけ言い残し、歩き出す。
あっという間に彼の姿は暗闇へと溶けて行った。

建物の中が静寂に包まれる。


「阿呆が……」


誰にともなくそう呟く。
その言葉がはたして自分に放ったものなのか、男に放ったものなのかは結局分からなかった。
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:12:19.80 ID:KgRpGWRN0





















結論から言えば、オレは無事あのせまく埃っぽい檻から脱出し、広く清々しい空を飛んでいた。
空を飛ぶ事が。
自由に動ける事がここまで嬉しい事だとは気付かなかった。
皮肉な事にオレはあの出来事でそんな些細な幸せを感じられるようになり、今まで以上に幸せな気分に浸っていた。

もちろん外に出られたのはあの男、勇者のおかげだ。
勇者がいなければ、オレは今頃檻の中にいるか、見せしめとして殺されていただろう。

右に大きく旋回し、動物の群れを空から探す。
それは昔のオレにとってはある種、最高に楽しい時間だった。

だが今は何故かそんな気分にはなれない。

今まで感じた事の無い様な……。
例えるのならまるで胸に穴があき、冷たい風が直接心の中に入ってきている様な感じがした。

くそっ、なんか物足りない。
何がに足りないんだよ。

無理矢理に加速し、自分の出せる限界の速度で空を滑空する。
亜音速で空を駆け抜けていく。

しかし、どんなに爽快感を感じる事は出来ても、心の穴はどうしても埋まらない。
今の状態ではその穴が埋まりそうな気配すらない。

どうなってんだ。
オレは何がほしいんだ。
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:14:06.94 ID:KgRpGWRN0
自分に問いかけるが当然答えは無い。
問いかけはあっという間に心の闇へと落ちていく。


『特にお前は好きだな、かっこいいし話が合うし』


突然声が聞こえた。

もちろん幻聴だ。
今のオレに話しかけられるものはいない。

考える必要も思い出す必要も無い。
それは昨日の夜の勇者との会話だ。

はは、オレはあいつを求めてるって言うのか。
オレが人間を?
バカバカしい。

その時、オレの顔にとある感触がよみがえった。
昨日のはずなのにひどく懐かしく、ひどく愛おしい感触。
温かく、優しい感触。

オレが……人間を?
もしオレが人間なら、あいつが竜だったなら違っただろう。
ただオレは竜であいつは人間。
それが真実だ。
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:14:47.79 ID:KgRpGWRN0
だがそれを覆す事の出来る答えはオレの中にすでにあった。
竜に伝わる秘術の一つ。
罪を犯した竜への極刑の一つ。
竜が人間になる術。

翼と力と寿命。
はたしてその全てを捨ててまで叶えたい願いなのだろうか。

答えはすでに決まっていた。

オレは多分―――― いや絶対に恋をしていた。
勇者に、勇者の生き方に恋をしていた。

バカだな。
人間に恋するなんて……。
本当にバカだ。

でも。
それでもオレはあいつの傍に居たい。
あいつの生き様を見届けたい。

それは全てを失ってでも叶えたい願い。
いや、全てを失っても十分おつりがくるくらいの願いだ。

オレはまた旋回し、進む方向を変え、竜の山へと、飛び始めた。
最後の空を堪能するため嫌にゆっくりと。
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:16:14.92 ID:KgRpGWRN0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


竜の山


ドラゴン「竜王はいるか?」ドスドス

ブラックドラゴン「ど、ドラゴン!?」

ドラゴン「なんだ、まるで死人を見る様な眼つきだな」

ブラックドラゴン「当たり前だ、お前は竜の村の連中に捕まって……」

ドラゴン「残念ながら、助かったんだ」

ブラックドラゴン「そうか、竜王様もさぞお喜びになるだろう」

ドラゴン「そうだな……」

ブラックドラゴン「竜王様を呼んだ方がいいな」


ブラックドラゴンは咆哮した。


ドラゴン「……」

ブラックドラゴン「どうした?」

ドラゴン「竜王が来てから話す」

ブラックドラゴン「……」
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:17:40.26 ID:KgRpGWRN0
竜王「……」バッサバッサ

竜王「何の用かな?」

ブラックドラゴン「ドラゴンが生きていました」

ドラゴン「久しいな」

竜王「お主……」

ドラゴン「元気そうだな、竜王」

竜王「生きておったのか」

ドラゴン「ああ、人間に助けられてな」

ブラックドラゴン「人間に?」

ドラゴン「ああ、竜の様な人間にな」

竜王「とにかく、無事で良かったな」

ドラゴン「竜王、貴様に頼みたい事がある」

竜王「なんだ?」

ドラゴン「オレを人間にしてほしい」

ブラックドラゴン「な……!?」

竜王「……」

ドラゴン「秘術を使えば可能だろう?」
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:18:32.12 ID:KgRpGWRN0
ブラックドラゴン「何を馬鹿な事を……」

竜王「理由は、なんだ?」

ドラゴン「とある男の生き様を近くから見たいと思ったんだ」

竜王「……ほう」

ブラックドラゴン「あれは罪を犯した竜に与える極刑の一つだぞ!!」

ドラゴン「なら、罪を犯してこようか?」

ブラックドラゴン「馬鹿な事を言うな!!」

竜王「お主がそれを望むのなら何も言うまい」

ブラックドラゴン「し、しかし……」

竜王「こやつを放っておけば本気で罪を犯す、なら人間にした方が楽だ」

ブラックドラゴン「……」

ドラゴン「話が分かるな」

竜王「……お主の事は代々語り継がれるだろうな、愚かな竜王の一族のものとして」

ドラゴン「かもしれんな」

ブラックドラゴン「かもしれんでは済まないぞ!!」

ドラゴン「オレが直系なら問題だな、だがオレは傍系だ」

竜王「それでも竜王の一族と言う事に変わりないが?」

ドラゴン「なんと言われようともう決めた事だ」
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:19:13.49 ID:KgRpGWRN0
竜王「迷いは……無いな?」

ドラゴン「ああ」

ブラックドラゴン「本気ですか?」

竜王「眼を見ろ、こやつは本気だ」

ブラックドラゴン「……」

竜王「想像を絶する痛みがお主の体を襲う、それに耐えられるか?」

ドラゴン「耐える」

竜王「何もかもを捨てるのだな?」

ドラゴン「ああ、捨てるさ」

竜王「……最後に、お主はその人間の生き様に惚れたのか?」

ドラゴン「ああ、竜以上に竜らしい生き様にな」

竜王「……そうか」

竜王「ブラックドラゴン、準備を」

ブラックドラゴン「はい」バッサバッサ

竜王「お主はこれから罪を犯した竜となる、もはや竜王の家系どころか、竜としてすら扱われる事はないだろう」

ドラゴン「覚悟の上だ」

竜王「……そうか」
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:21:32.15 ID:KgRpGWRN0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ドラゴンの村


ドラゴン「人間になったはいいが、どうするかな……」

ドラゴン「何も分からんぞ」スタスタ

ドラゴン「はあ……困ったな……」スタスタ

勇者「お前が、あそこの女の子ぐらいナイスバディだったら間違いが起こるけど、今のお前なら絶対に起こらねぇよ」

女勇者「勇者、下半身にお別れを言いなさい」ニッコリ

勇者「目が本気なんだけど……」

ドラゴン「見つけたぞ」

ドラゴン「……」ニッコリ

ドラゴン「……」スタスタ

女勇者「勇者、こっちに来ましたよ」ヒソヒソ

勇者「え、もしかして聞こえてた?」ヒソヒソ

女勇者「謝った方がいいのではないですか?」ヒソヒソ

勇者「何を謝るんだよ、ナイスバディーは褒め言葉だろ」ヒソヒソ

女勇者「とにかく何とかしてください!!」ヒソヒソ

勇者「俺に言うなよ、お前が何とかしろよ!!」ヒソヒソ

ドラゴン「久しいな」

勇者「え、はい?」

ドラゴン「会いたかったぞ、勇者」


ドラゴンはそう言うと勇者と唇を重ねた。
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/05(木) 22:23:04.84 ID:KgRpGWRN0
ドラゴン編終了です。

チェックが甘く、ミスがあるかもしれません、すいません。

906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/04/05(木) 22:27:43.09 ID:4nsLHA4Oo
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) :2012/04/05(木) 22:41:04.25 ID:MnTpTx7Co
いいなこれは。
最近いろいろあって涙腺の緩い俺にはちょっとキツかったぜ…
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 22:41:11.29 ID:WdnZXA6IO
ドラゴン編リクエストした甲斐があった!

女勇者と勇者の一晩の過ちが無いのが残念だが、ドラゴン視点を見たら仕方ないと諦めよう
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/06(金) 00:14:56.53 ID:QEbi6uPDo
ああ、これで寝れる
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/06(金) 09:15:13.89 ID:P1Fo2NAAO

後はエピローグで終わり?
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/06(金) 12:08:28.76 ID:i2OhWScVo
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 21:58:11.44 ID:Vx1W+x0F0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

魔王の城


魔王「サキュバスは居るか?」

サキュバス「はい、何でしょうか」

魔王「少し頼みごとがあるんだが、よいか?」

サキュバス「は、はい、喜んで」

魔王「人間達の町に行って本を買ってきてほしいのだ」

サキュバス「ほ、本?」

魔王「書物の事だ、人間達は本と呼んでおるが」

サキュバス「な、なんでそれを?」

魔王「私も人間について少しは知っておこうと思ってな」

サキュバス「わ、わかりました」

魔王「これで買ってきてください」スッ

サキュバス「こ、こんなに高いんですか!?」

魔王「余ったお金はお主の好きなように使ってくれればいい」

サキュバス「い、いいんですか!?」

魔王「構わぬ」
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 21:59:37.36 ID:Vx1W+x0F0
サキュバス「あ、ありがとうございます」

悪魔「言っておきますが人間達に正体がバレてはいけませんよ」

サキュバス「わ、わかってます」

悪魔「本当に分かってますか?」

サキュバス「私は魔王様に仕えるものですよ」

悪魔「……そうですね」

サキュバス「そうです」

悪魔「万が一バレたらお仕置きですからね」

サキュバス「あう……」

悪魔「分かりましたね」

サキュバス「わ、わかりました」

悪魔「人間との接触は出来る限り控えるようにするように」

サキュバス「はい」

悪魔「本当に分かってますか?」

サキュバス「わ、分かってますよ!!」

魔王「では、頼むぞ」

サキュバス「は、はい」スタスタ
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 22:00:40.35 ID:Vx1W+x0F0
悪魔「迷子にならない様にして下さいね」

サキュバス「わ、わかってます!!」

悪魔「町までは送りますが、帰りは自分で帰ってきてくださいね」

サキュバス「は、はい」

悪魔「町の地図です」スッ

サキュバス「あ、ありがとうございます」

悪魔「とにかく地図をしっかり見るんですよ、そうすれば迷子にはなりません」

サキュバス「わ、わかりました……」

悪魔「じゃあ行きますよ」

サキュバス「は、はい」


悪魔は魔法を詠唱し始める。
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 22:02:53.25 ID:Vx1W+x0F0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





サキュバス「うう……ここ何処……?」ウロウロ

サキュバス「もう全然わかんない……」ウロウロ

サキュバス「……あ、ち、地図を見れば」バサッ

サキュバス「……」

サキュバス「……」

サキュバス「こ、ここ何処?」ウロウロ

妹「どうしたの?」

サキュバス「……あ、あう……に、人間がなんの用!?」

妹「え、私はそうだけど……あなたは違うの?」

サキュバス「……っは、しまった」

妹「あの……」

サキュバス「わ、私も人間よ、あんたと同じ」

妹「だ、だよね」ニッコリ

サキュバス(あ、危ない危ない、お仕置きされる所だった……)
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 22:04:45.89 ID:Vx1W+x0F0
妹「で、なんでここをうろうろしてるの?」

サキュバス「そ、その……迷っちゃって……」

妹「迷子なの?」

サキュバス「……そうとも言うし、そうじゃ無いとも……」

妹「迷子?」

サキュバス「……」

妹「……」

サキュバス「そうよ、迷子よ!!」

妹「……何処行くの?」

サキュバス「え?」

妹「私が道教えてあげよっか?」

サキュバス「い、いい――――」

悪魔『人間との接触は出来る限り控えるようにしてくださいね』

サキュバス(危ない危ない……)

サキュバス「だ、大丈夫」

妹「場所分かる?」

サキュバス「だ、大丈夫だから、ありがとね」スタスタ

サキュバス「……」ウロウロ
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 22:06:59.17 ID:Vx1W+x0F0
サキュバス「ち、地図を見れば……」バサッ

サキュバス「……」

サキュバス「うう……今何処なの……」

妹「今はここだよ」

サキュバス「……本当に?」

妹「今居るのがここ、行きたい場所は?」

サキュバス「……書物が売ってる場所」

妹「書物……本屋のこと?」

サキュバス「……うん」

妹「本屋はここだよ」

サキュバス「あ、ありがとう」

妹「一人で行ける?」

サキュバス「……ついて来てくれるの?」

妹「いいよ」
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 22:07:45.33 ID:Vx1W+x0F0
サキュバス「……ありがとう」

妹「いいよいいよ、一緒に行った方が楽しいし」

サキュバス「あなたもお使い?」

妹「うん、お姉ちゃん達は忙しいから私が代わりに買い物してあげてるの」


一方 お姉ちゃん達


男の子「……」チュウチュウ

ドラゴン「本当に飲むんだな」

女勇者「当たり前でしょう」

ドラゴン「……ただ少しくすぐったいな」

女勇者「我慢してください」

暗殺者「洗濯ってこんな感じでいいのか?」

女勇者「はい、そんな感じです」

女の子「うう……」

女勇者「泣かないで下さいね……お願いだから泣かないで下さいね」

女の子「おぎゃー!!」

暗殺者「泣いてるぞ」

女勇者「……分かってます」
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/06(金) 22:09:25.29 ID:Vx1W+x0F0
今日はここまでです

この話はエピローグ的なものも多少含めようと思うのでいろいろなキャラのその後が出てくると思います。
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/06(金) 22:10:37.11 ID:QEbi6uPDo
ほのぼの乙
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/06(金) 22:10:37.56 ID:bkExAYg1o
乙!
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/06(金) 22:14:01.40 ID:uJ4iuF0IO
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/04/06(金) 23:07:24.83 ID:bGLdiZNHo
乙乙

あやしてる女勇者かわえぇぇぇ
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/07(土) 02:22:47.38 ID:kRNG9mbuo
女勇者はなんとなく小さい子供に怖がられそうなイメージなんだがなぜだろう
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/07(土) 05:56:32.46 ID:V9Lix09AO

とうとう終わりか…
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/07(土) 08:20:31.98 ID:/W//5prgo
そりゃ貧ぬ・・・あれ?チャイムが
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/07(土) 11:33:40.62 ID:+s2d18f+o
サキュバスきた!
いちおつ!!
これでかつる
ー♪
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/07(土) 17:02:39.07 ID:qKrtlf7DO
さいこーだな
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 21:52:41.00 ID:p+gZLNtR0
女勇者は女の子を抱きあげる。


ドラゴン「悪いな」

女勇者「いえ、大変なのは分かってますから」

男の子「あー」

ドラゴン「ん、どうした?」

男の子「だー」

ドラゴン「?」

女勇者「甘えてるんですよ、母親だと思って」

ドラゴン「ああ、そう言う事か」

暗殺者「勇者そっくりだな」

女勇者「まったくです」

ドラゴン「そうか?」

女勇者「最初っから甘えっぱなしだったじゃないですか、勇者は」

暗殺者「ああ、甘えっぱなしだな」

女の子「おぎゃー!!」

女勇者「お願いですから泣き止んで下さい」ナデナデ
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 21:55:00.57 ID:p+gZLNtR0
女の子「うう……」

女勇者「よしよし、いい子です、いい子ですね」

ドラゴン「あやすのうまいんだな」

女勇者「子供のあやし方は覚えましたから」

暗殺者「そうやってやるといいのか」

女勇者「……このくらい出来ないと結婚できませんよ」

暗殺者「余計なお世話だ」

女勇者「結婚しない気ですか?」

暗殺者「お前こそ結婚しないのか?」

女勇者「気が向いたらしますよ」

暗殺者「……気が向いたら、ね」

女勇者「急ぐ事も無いでしょう」

暗殺者「ま、そうかもな」

男の子「すー、すー」スヤスヤ

ドラゴン「寝たか」

女勇者「みたいですね」

ドラゴン「いろいろ悪いな」
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 21:56:57.67 ID:p+gZLNtR0
女勇者「いえ、別にいいんですよ」

女の子「うー」

女勇者「なんですか?」

女の子「あー」

女勇者「甘えて……るんですかね?」

ドラゴン「そうだろ」

暗殺者「だろうな」

女勇者「でも残念ですが母乳は出ませんよ」

暗殺者「貧乳だからな」

女勇者「関係ありません」

暗殺者「あ、そう」

暗殺者「……怒らないのか?」

女勇者「怖がらせてしまいますから……」

暗殺者「……」プルプル

女勇者「それ以上笑いをこらえるなら怒りますからね」

暗殺者「すいません」
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 21:59:15.28 ID:p+gZLNtR0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


町中 


妹「ここが本屋だよ」

サキュバス「なんか……書物っぽくない……」

妹「どういう本がほしいの?」

サキュバス「あ、人間の生態がわかる本とかかな」

妹「え?」

サキュバス「あ……えーと」

妹「人間の生態って事は……医療とかって事?」

サキュバス「いや、そういうのじゃなくて、その……」

妹「?」

サキュバス「なんて言うか……」

妹「どんな本がほしいの?」

サキュバス「と、とりあえず人間について分かる本がほしい」

妹「うーん、じゃあとりあえずこれでいいんじゃないかな?」スッ

サキュバス「へー、こんな本あったんだ」
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 22:03:20.26 ID:p+gZLNtR0
妹「それでいい?」

サキュバス「えーと……多分大丈夫だと思う」

妹「良かったね」

サキュバス「ありがとう」

妹「じゃあ私お買い物があるから」

妹「じゃあ、またね」

サキュバス「あ、待って」

妹「?」

サキュバス「何かお礼させて」

妹「お礼?」

サキュバス「魔王様から言われてるの、助けられたら何か恩返しをしなさいって」

妹「魔王様?」

サキュバス「あ、その、私のお母さんみたいな人よ」

妹「へー」

サキュバス「何か手伝わせてくれない」
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 22:04:13.86 ID:p+gZLNtR0
妹「別にいいよ、私そんなに大変な事してあげてないし……」

サキュバス「お願い」

妹「……じゃあ私のお使いを手伝ってくれる?」

サキュバス「いいわよ」

妹「本当にいいの?」

サキュバス「いいよ」

サキュバス「……」

妹「どうしたの?」

サキュバス「何か忘れてるような……まあ、きっと気のせいよね」

妹「大事な事じゃないの?」

サキュバス「うーん、でも忘れちゃってるし大事な事ではないと思う」

サキュバス「で、まず何処行くの?」

妹「まずは野菜」

サキュバス「場所は?」

妹「あっち」

サキュバス「じゃあ出発!!」タタタッ
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 22:06:29.65 ID:p+gZLNtR0
妹「うん」タタタッ

ドンッ

サキュバス「あ、ごめん……なさい」

殺し屋「いいよいいよ、こっちこそごめんね」

町娘「大丈夫、立てる?」

サキュバス「だ、大丈夫」

殺し屋「ごめんね」

町娘「怪我はしてない?」

サキュバス「だ、大丈夫ですから」

殺し屋「ごめんね」スタスタ

町娘「何なら殴ってもいいわよ」ボソッ

サキュバス「い、いいですいいです!!」

町娘「そう、ごめんね」タタタッ

妹「大丈夫?」

サキュバス「だ、大丈夫よ、早く行こ」タタタッ

妹「うん」タタタッ

妹「……あの男の人、何処かで会った様な……」
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/07(土) 22:11:27.78 ID:p+gZLNtR0
今日はここまでです。

次のssですが、このスピンオフが終わってから2、3日。遅くても一週間以内にはスレを立てようと思ってます。

もしスレを立てた時にこっちが残っていたらURLを載せておこうと思うのですが、どうでしょうか?
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/07(土) 22:14:04.77 ID:k6aFNsKDP
そんな事言ってると埋め立て始まるぞ
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/07(土) 22:17:03.11 ID:1OpLiPpIO
読みたいから逆にこっちからお願いする所存ー
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/07(土) 22:25:14.54 ID:ZEXzs90O0
自分はここに載せてほしいかな〜
まあとりあえず乙
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/07(土) 22:44:26.57 ID:PsGzyDVa0
次スレとかならまだしも、全くの新作のurlなんて張らない方がいい気がするな
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/04/07(土) 23:33:53.11 ID:MwPW7cjmo
殺し屋、さりげなくデートとかしちゃったり?
まぁ、殺し屋なら許す
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/08(日) 09:20:28.30 ID:P3M2GbVio
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/08(日) 21:52:08.04 ID:ZQYjWWre0
一方  殺し屋達


町娘「……ふーん」

殺し屋「ん、何?」

町娘「……やっぱり子供と話すのうまいわね」

殺し屋「そう?」

町娘「ええ、子供相手に仕事してる私よりずっとうまい」

殺し屋「まあ、お前の性格だと子供と本気で喧嘩しそうだしね」

町娘「な、なんでわかるの!?」

殺し屋「だいたい予想がつくよ」

町娘「……悪かったわね」

殺し屋「俺は別にいいと思うけどね、子供と同じ目線に立てて」

町娘「……ありがと」ボソッ

殺し屋「じゃあ行こうか」

町娘「う、うん」
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/08(日) 21:53:30.36 ID:ZQYjWWre0
殺し屋「確かこっちだったよね」スタスタ

町娘「あ、ありがとね」

殺し屋「え、何が?」

町娘「その……誘ってくれて」

殺し屋「この前のお礼だよ、おいしいご飯のお礼」

町娘「……」

殺し屋「ん、どうかしたの?」

町娘「教えてくれない?」

殺し屋「……」

町娘「私、やっぱりお父さんの事知りたいから」

殺し屋「……後悔しても知らないよ」

町娘「いいよ、私、お父さんの事もあなたの事も知りたいから」

殺し屋「……いいよ、でも飯食べた後でいい?」

町娘「いいわよ」
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/08(日) 21:55:59.37 ID:ZQYjWWre0
町娘「……」スタスタ

殺し屋「……」スタスタ

町娘「……いや、何か無いの?」

殺し屋「え?」

町娘「今の結構勇気を出して言ったんだけど」

殺し屋「私、やっぱりお父さんの事知りたいから、って所?」

町娘「その後」

殺し屋「私、お父さんの事もあなたの事も知りたいから、の所?」

町娘「そこ、そこの一部」

殺し屋「俺の事知りたいって事?」

町娘「うん……悪いんだけどもう一回言うのやめてくれない」///

殺し屋「そうだね……友達として知ろうって事はすごく大切だしね」

町娘「……」

殺し屋「ん?」


町娘の右ストレートが殺し屋の顔面にあたる。


殺し屋「顔を本気で殴るのはダメだと思うよ、女の子として……」

町娘「うるさい、行くわよ!!」

殺し屋「……訳わかんないよ」
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/08(日) 21:57:57.68 ID:ZQYjWWre0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


食材屋


妹「えーと、ニンジンとジャガイモと……あとキャベツ下さい」

食材屋「はいよ」スッ

妹「ありがとう」

食材屋「一人で買い物かい、偉いね」

妹「お姉ちゃん達が赤ちゃんのお世話で忙しいからね」

食材屋「いい子だね、40ゴールドでいいよ」

妹「本当に!?」

食材屋「ああ」

妹「ありがとう」

サキュバス「私が持つわ」

妹「え、いいの?」

サキュバス「それじゃあ付いてきただけになっちゃうじゃない」

妹「……じゃあお願い」

サキュバス「任せて」
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/08(日) 21:59:14.72 ID:ZQYjWWre0
妹「後は肉と魚ね」

サキュバス「肉屋と魚屋は?」

妹「あっち」スタスタ

サキュバス「まだ小さいのにお使いして偉いね」スタスタ

妹「私と同じくらいの年じゃないの?」スタスタ

サキュバス「人間と悪魔じゃ寿命が全然違うわよ」スタスタ

妹「悪魔?」

サキュバス「あ、何でもない、関係ないから」

妹「?」

サキュバス「本当に気にしなくていいから」

妹「わかった……じゃあ、行こっか」

サキュバス「そうね」

サキュバス「赤ちゃんって、お姉さん子供が生まれたの?」

妹「うん、男の子と女の子だよ」

サキュバス「かわいい?」

妹「凄くかわいい!!」
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [saga]:2012/04/08(日) 22:02:09.23 ID:ZQYjWWre0
少ないですが今日はここまでです。

急用であまり書けませんでした。すいません

明日からは普段通り投下できるよう頑張ります。
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/08(日) 23:07:52.68 ID:XYJoJDY4o
おつんこ
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 23:53:54.73 ID:zdm8fYbDO
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 00:17:45.64 ID:1d4FHfSso
新作への誘導なくて、どうやってわかるんだ?
この作者、酉つけてないから愛知しか手がかり無いぞ

と言うわけでURL貼り賛成
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/09(月) 12:12:19.93 ID:Tbi6UGdAO
>>1のやりたいようにやればOK(`・ω・)b
ラストなんだから、無駄に埋めるの止めようや
953 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 21:51:20.01 ID:GWVgewZj0
妹「で、お姉ちゃん達は赤ちゃんのお世話で忙しいからお手伝いしてるの」

サキュバス「いい子なのね」

妹「別にそういうのじゃないよ、私みんなに迷惑かけてるし、たまには何かしてあげなくちゃ」

サキュバス(本当にいい子ね)

サキュバス「じゃあ行こっか」スタスタ

妹「あ、うん」スタスタ

妹「……あなたは誰に頼まれてお手伝いしてるの?」スタスタ

サキュバス「魔王様よ」スタスタ

妹「お母さんみたいな人?」スタスタ

サキュバス「うん、優しくって強くって、凄く素敵な人」スタスタ

妹「お姉ちゃんと一緒だね」スタスタ

サキュバス「あなたのお姉ちゃんも強いんだ」スタスタ

妹「うん、狼なら一撃で倒せるって言ってた」スタスタ

サキュバス「……」スタスタ

妹「凄いでしょ」スタスタ

サキュバス「う、うん……」スタスタ
954 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 21:52:29.96 ID:GWVgewZj0
サキュバス(人間って思ったより弱くないのね……)スタスタ

妹「こんにちは」

魚屋「お、今日はお友達と一緒かい?」

妹「うん」

魚屋「かわいい子だね、名前は?」

サキュバス「さ、サキュバスです」

魚屋「サキュバス……また変わった名前だね」

サキュバス「よ、よく言われます」

サキュバス(人間じゃないからね……)

魚屋「そうだ、昨日女大臣が来てたよ」

妹「え、本当?」

魚屋「ああ、君の紹介で来たって言ってたね、宣伝してくれてありがとう」

妹「別に宣伝なんてしてないよ」

魚屋「いやいや、いつもうちの店で買い物してくれるし、うれしいよ」

妹「えへへ」

魚屋「で、今日は何がほしいんだい?」
955 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 21:53:48.26 ID:GWVgewZj0
妹「お勧めの魚!!」

魚屋「はいよ、今日はこれとこれだな」

妹「ありがとう」

魚屋「90ゴールドでいいよ」

妹「はい」チャリン

魚屋「じゃあね」

妹「はい」スタスタ

サキュバス「私が持つわ」

妹「別にいいよ、野菜も持ってもらってるし」

サキュバス「いいからいいから」パシッ

妹「……あ」

サキュバス「次は肉屋でしょ、早く行こ」スタスタ

妹「あ、うん……」スタスタ

妹「……サキュバスっていうんだね」スタスタ

サキュバス「あ、うん、変な名前でしょ」スタスタ

妹「ううん、いい名前だと思うよ」スタスタ

サキュバス「そ、そうかな?」スタスタ
956 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 21:55:45.50 ID:GWVgewZj0
妹「うん、いい名前だよ」スタスタ

サキュバス「……ほ、本当に?」スタスタ

妹「うん、凄く」スタスタ

サキュバス「ありがとう」スタスタ

妹「別にお礼言われる様な事言ってないよ」ニコニコ

妹「こんにちは」

肉屋「ああ、こんにちは」

妹「豚肉下さい」

肉屋「はいよ、100ゴールドな」

妹「はい」チャリン

肉屋「ありがとね」

妹「うん」スタスタ

妹「もう持てないから私が持つね」

サキュバス「……ごめんね、しっかり恩返し出来なくて」

妹「いいよ、二つ持ってもらってるだけで十分」
957 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 21:56:42.41 ID:GWVgewZj0
サキュバス「ねえ、さっき言ってた女大臣ってあなたのお姉ちゃんの事?」

妹「違うよ、女大臣は私の友達」

サキュバス「そうなんだ」

サキュバス(聞いたことある様なない様な……)

妹「魔法もできるし剣も上手なんだよ」

サキュバス「へー、凄いのね」

妹「うん、お姉ちゃんも女大臣は凄い人だって言ってた」

サキュバス「ふーん」

妹「サキュバスちゃんにはどんなお友達がいるの?」スタスタ

サキュバス「ち、ちゃん!?」スタスタ

妹「うん、サキュバスちゃんでしょ」スタスタ

サキュバス「……まあ、うん、そうね」スタスタ

妹「どんな子が居るの?」スタスタ

サキュバス「うーん、友達って言っていいのかわかんないけど厳しく人が居る」スタスタ

妹「厳しいの?」スタスタ

サキュバス「うん、厳しくて年寄り臭いし、頭は硬いけど凄くいい人」スタスタ
958 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 21:58:02.33 ID:GWVgewZj0
妹「その人の事好きなんだ」

サキュバス「好きって言うより、尊敬してる」

サキュバス「……あ、家ってどっち」スタスタ

妹「こっち、お茶でも飲んでいってよ」スタスタ

サキュバス「え、でもそれじゃあまた――――」スタスタ

妹「お友達が家に遊びに来たらお茶を出してあげるのが普通でしょ」スタスタ

サキュバス「お、お友達?」スタスタ

妹「うん」スタスタ

サキュバス「えーと……誰が?」スタスタ

妹「サキュバスちゃんに決まってるじゃない」スタスタ

サキュバス「……え、あ……」スタスタ

妹「?」スタスタ

サキュバス「わ、私よね?」スタスタ

妹「うん」スタスタ

サキュバス「い、いいの?」スタスタ

妹「うん、いいよ」スタスタ

サキュバス「あ、ありがとう」スタスタ

妹「いいよ、だって友達だもん」スタスタ

妹「行こ」

サキュバス「あ、うん」スタスタ
959 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 21:59:53.30 ID:GWVgewZj0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


とある村


悪人「あぐっ」ドサッ

弓兵「動くな」

悪人「て、テメェ……」

弓兵「わざわざ言わなくても分かってるよな?」

悪人「……」

弓兵「余罪なんかはゆっくり調べてやるから安心しろ」

悪人「……くそが」

女大臣「連れて行って下さい」

兵士「はっ!!」


二人の兵士が悪人を連れていく。


弓兵「いろいろ助かった、感謝する」

女大臣「やめて下さい、お礼を言うのは私の方です」

弓兵「これで区切りが付けられそうか?」

女大臣「……いえ、これからですよ」
960 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/09(月) 22:01:54.75 ID:GWVgewZj0
今日はここまでです。

本当に今更ですがこれから酉つけようと思います。
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 09:44:41.38 ID:yMiuClaIO
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/04/10(火) 15:00:47.35 ID:8IeQ23rmo
悪人ってあの悪人なのか・・・
963 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/10(火) 22:03:18.92 ID:tOf0cC7S0
女大臣「まだ捕まえただけです、ここからが大変です」

弓兵「余罪の証明……か」

女大臣「はい」

弓兵「材料は?」

女大臣「出来る限り集めるつもりです」

弓兵「……そうか」

女大臣「もちろんあなた方への協力は怠りませんので安心して下さい」

弓兵「まあ、今の所は特に協力してもらう様な事は無いけどな」

女大臣「……そうですか」

弓兵「さて、じゃあ俺は行くかな」

女大臣「いろいろありがとうございました」

弓兵「あ、師匠に会いに行っとかなくていいのか?」

女大臣「はい、全部片付いてから全部報告するつもりです」

弓兵「そうか……」

女大臣「もちろんあの二人にも」

弓兵「……ほら、あの事件の資料だ」スッ

女大臣「え、あ、ありがとうございます」パラパラ
964 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/10(火) 22:06:25.51 ID:tOf0cC7S0
女大臣「どうしたんですか?」

弓兵「あいつの余罪追及用に借りといたんだ」

女大臣「ならあなたが使った方が……」

弓兵「俺よりよっぽどうまく調べられるだろ?」

女大臣「……」

弓兵「ならお前が調べろ」

女大臣「ありがとうございます」

弓兵「仕事を押し付けたんだ、お礼なんて言うな」

女大臣「……そうですね」

弓兵「……なんでもいいから証拠を見つけろよ」

女大臣「そのつもりです」

弓兵「じゃあそれは任せたぞ」スタスタ

女大臣「はい」
965 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/10(火) 22:09:43.85 ID:tOf0cC7S0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の家


妹「ただいま」ガチャ

サキュバス「こんにちは」スタスタ

女勇者「ああ、お友達ですか」

ドラゴン「狭い所だがゆっくりしていけ」

サキュバス「……あ、あれ?」

暗殺者「懐かしいな」

ドラゴン「おお、サキュバスか」

サキュバス「え、え?」

妹「あれ、知ってるの?」

暗殺者「ああ、旅の途中で一回会ってる」

サキュバス「もしかしてお姉ちゃんって……」

妹「うん、ドラゴンお姉ちゃんと女勇者お姉ちゃんだよ」

サキュバス「……そりゃ狼も一撃で倒せる訳ね……」

女勇者「あなたこそ何故町に?」
966 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/10(火) 22:10:37.87 ID:tOf0cC7S0
ドラゴン「で、なんで妹と一緒なんだ?」

妹「お買い物の途中で仲良くなったの」

暗殺者「……迷子になって妹に助けてもらったのか」

サキュバス「な、なんでそれを……」

暗殺者「お前の昔の事を思い出せば十分想像できるよ」

サキュバス「……」

女勇者「で、二人とも買い物は出来たんですか?」

サキュバス・妹「うん」

女勇者「なら良かったです」

妹「はい、お茶」

サキュバス「あ、ありがとう」

勇者「そう言えば帰り道は大丈夫なのか?」

サキュバス「……」

暗殺者「行きも来てるんだし大丈夫……だよな?」

サキュバス「わ、わかんない……」

勇者・暗殺者「やっぱりか……」

サキュバス「で、でもだいたい道は覚えてるから……」
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/10(火) 22:11:44.87 ID:gTDHX0qXo

かわえぇ^^
968 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/10(火) 22:11:55.79 ID:tOf0cC7S0
魔王「迎えに来たぞ」スタスタ

サキュバス「ま、魔王様!?」

魔王「予想はしておったがやっぱり迷子になっておったか……」

サキュバス「す、すいません」

魔王「いや、別に謝る事ではない」

サキュバス「……」

勇者「来てもいいのか?」

魔王「短時間なら大丈夫だ」

勇者「そうか」

ドラゴン「元気そうだな」

魔王「……子供も生まれておったのか」

勇者「まあな」

魔王「おめでとう」

勇者・ドラゴン「ありがとう」

魔王「サキュバス、そろそろ帰るぞ」

サキュバス「は、はい!!」

魔王「サキュバスがいろいろ世話になったな」

女勇者「それは妹に言って下さい」
969 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/10(火) 22:15:28.10 ID:tOf0cC7S0
魔王「いろいろ迷惑をかけたな」

妹「友達だもん、別にいいよ」

魔王「……よかったな」

サキュバス「はい」

魔王「では、またな」ガチャ

勇者「また時間があったら遊びに来てくれ」

魔王「ああ、そうさせてもらう」

妹「また遊びに来てね」

サキュバス「うん」スタスタ

魔王「……悪魔には私が言っておこう」スタスタ

サキュバス「え?」

魔王「今回は大目に見るが、次回からは気をつけるようにな、あと道はしっかり覚えるんだぞ」

サキュバス「は、はい」

魔王「では行くぞ」

サキュバス「はい」


魔王は魔法を詠唱し始める。
970 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/10(火) 22:16:11.12 ID:tOf0cC7S0
今日はここまでです。

あとちょっとだけ続きます。
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/04/10(火) 22:28:47.49 ID:8IeQ23rmo
乙乙
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/10(火) 22:44:49.52 ID:KZU94xmJo
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/10(火) 23:26:16.54 ID:4+0EI/+4o
乙りゃんせ
974 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 21:55:54.71 ID:SeU6hQ5p0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


魔王の城


魔王「ただいま」スタスタ

サキュバス「ただいま帰りました」スタスタ

悪魔「まったく、また迷子になるとは……お仕置きが必要なようですね」

サキュバス「え、え!?」

魔王「まあまあ、サキュバスも初めての町で疲れたんだろ、大目に見てやってくれ」

悪魔「……仕方ありませんね、今回だけ特別ですよ」

サキュバス「あ、ありがとうございます」

魔王「ただ道はしっかり覚える様にするんだぞ」

サキュバス「は、はい」

悪魔「私がしっかり教えておきます」

サキュバス「……はい」

魔王「あんまり厳し過ぎないようにな」

悪魔「わかっています」

サキュバス「……」ホッ

悪魔「サキュバス」
975 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 21:58:43.24 ID:SeU6hQ5p0
サキュバス「え、あ、はい!!」

悪魔「本は買ってこれたんですか?」

サキュバス「あ、はい、これです」スッ

悪魔「……なかなか良さそうな本ですね」パラパラ

サキュバス「ありがとうございます」

魔王「今日は疲れただろ、ゆっくり休め」

サキュバス「は、はい」ガチャ

悪魔「……」

魔王「ふふっ」

悪魔「あの子にしてはよくやりましたね」

魔王「ああ、よくやったよ」

悪魔「迷子になったのは駄目でしたが……」

魔王「まだ小さいんだ、そのくらい大目に見てやってもいいだろ」

悪魔「……そうですね」

魔王「ああして大きくなっていけばいいだろ」

悪魔「はい」
976 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 21:59:37.84 ID:SeU6hQ5p0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


女勇者達の部屋


妹「……」スヤスヤ

女勇者「寝ましたね」

暗殺者「そうだな」

女勇者「お使いで疲れたんでしょうね」

暗殺者「だろうな」

女勇者「あなたも疲れてるんなら寝たらどうですか?」

暗殺者「今日は休みだったんだ、疲れてない」

女勇者「慣れない子供の面倒で疲れてるんじゃないですか?」

暗殺者「まあ、多少は疲れてるかもな」

暗殺者「それを言うなら、お前はどうなんだ?」

女勇者「私は慣れていない訳ではありませんよ」

暗殺者「そうか」

女勇者「……」
977 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:02:07.76 ID:SeU6hQ5p0
暗殺者「……昼の話の続きだけどさ、お前本気で今は結婚しないのか?」

女勇者「ええ、さっきも言いましたが今の所はする気はないです、ドラゴンの子供といる方が楽しいですし」

暗殺者「子供といる方が、ね……」

女勇者「ええ」

暗殺者「……ならドラゴンと勇者の子供と結婚したらどうだ?」

女勇者「……確かにいい考えですね」

暗殺者「おい」

女勇者「冗談ですよ」

暗殺者「だよな」

女勇者「ま、本当の所は何とも言えませんが、今の所はただの冗談です」

暗殺者「……いろいろ含んだな言い回しだな」

女勇者「正直私にもどうなるかは分かりませんから、断定は出来ませんよ」

暗殺者「まあ、そう言えばそうかもな」

女勇者「それはそれで面白いと思いますけどね、勇者が」

暗殺者「おいおい……」
978 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:04:17.14 ID:SeU6hQ5p0
女勇者「あなたこそ結婚する気はないんですか?」

暗殺者「うーん、まあ俺はいろいろ面倒臭いからな」

暗殺者「結婚は難しいだろ」

女勇者「……すいません」

暗殺者「別にいいよ、気にしてないし」

暗殺者「なんだかんだ言ってもここでの生活は楽しいしな」

女勇者「ええ」

暗殺者「まあ、お互いゆっくり考えとくか」

女勇者「そうですね」

暗殺者「……」

暗殺者「本気で考えてるのか?」

女勇者「……どうでしょうね」
979 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:04:58.59 ID:SeU6hQ5p0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


勇者の部屋


男の子・女の子「……」スースー

ドラゴン「やっと寝たか」

勇者「泣き疲れたんだろ」

ドラゴン「だろうな」

勇者「……いろいろ手伝えなくて悪いな」

ドラゴン「その気持ちだけで十分だ」

勇者「……いろいろ大変じゃないか?」

ドラゴン「そこまで大変な訳じゃない」

勇者「そうか?」

ドラゴン「そうだ」

ドラゴン「それに女勇者達もいるからそこまで大変じゃない」

勇者「……」
980 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:05:48.54 ID:SeU6hQ5p0
ドラゴン「そう心配するな」

勇者「……ああ」

ドラゴン「よしよし、いい子だ」

勇者「……俺は子供じゃねぇぞ」

ドラゴン「そうだな、あははは!!」

勇者「……」

ドラゴン「なんだ、怒ったのか?」

勇者「そんな事で怒ってたら生きていけねぇよ」

ドラゴン「そう言われればそうかもな、あははは!!」

勇者「何がそこまで面白いんだよ……」

ドラゴン「全部だよ、全部」

勇者「……まあ、楽しいのならいいか」

ドラゴン「ああ、楽しい方がいいだろ」

勇者「そうだな」

勇者「……」

ドラゴン「……」

ドラゴン「じゃあ寝るかな」スタスタ
981 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:07:49.68 ID:SeU6hQ5p0
勇者「え?」

ドラゴン「え?」

勇者「いや、いつもと違うなと思って……」

ドラゴン「何がだ?」

勇者「いつもだったらキスしろとか言うじゃん」

ドラゴン「言ってほしいのか?」

勇者「いや、そういう訳じゃないけど……」

ドラゴン「……じゃあオレは寝るぞ」

勇者「ちょっと待て!!」

ドラゴン「なんだ」

勇者「キスしてくれ……」ボソッ

ドラゴン「ん?」
982 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:10:37.02 ID:SeU6hQ5p0
勇者「キスしてくれ!!」

ドラゴン「……仕方ないな」


ドラゴンは勇者と唇を――――。


男の子「おぎゃー!!」

勇者「……俺があやすよ」


勇者は男の子を抱きあげる。


ドラゴン「頼む」

勇者「どうしたんだ?」ナデナデ

ドラゴン「あやし終わったらキスしてやるよ」

勇者「楽しみにしとくよ」

ドラゴン「ああ、楽しみにしとけ」
983 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:13:50.37 ID:SeU6hQ5p0
これでラストになります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

最初は何かと不安だらけで、かなり心配されてしまっていましたが何とか完結出来ました。

ありがとうございました。
984 : ◆iIfvn1jtvs [saga]:2012/04/11(水) 22:15:42.86 ID:SeU6hQ5p0
※次スレ予告

次は恋と正義と弾丸と竜の青春物語(仮)です。

なお、竜の設定はこれとは完全に別物になります。

スレタイ 男「お前は?」ドラゴン「ドラゴンよ」

完全に別物なのでURLは張りません。いろいろ迷惑をかけて申し訳ありません。

ではまた機会があれば。
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 22:23:16.66 ID:dMor/v+oo

心から乙
楽しかった
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/11(水) 22:24:27.82 ID:DfZS9fnXo
乙!
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/11(水) 22:29:39.45 ID:nBYoQkljo
長かったですね、乙です
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/11(水) 22:30:13.41 ID:F9fT//XPo
きれいにおわた
乙であるんすよ
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/11(水) 22:38:50.86 ID:w29IPaZ60
楽しませてもらいました
乙!
次作も楽しみにしてます
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/11(水) 22:39:48.04 ID:Sr8Mc6CBo

次も見るよ
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/11(水) 22:52:14.13 ID:+WN9VD5Zo

おもしろかった‼
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 22:57:22.09 ID:UeUeqflIO
祝完結!
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 23:05:52.39 ID:DsOSp2mL0

次も楽しみにしてます
994 :!ninja [sage]:2012/04/11(水) 23:42:18.86 ID:ArqFVnoYo
乙!
面白かったよ
次作も期待してるよ
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) [sage]:2012/04/12(木) 00:17:45.26 ID:8MmbvciMo

次も楽しみ
ドラゴン好きだということはよくわかった
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/12(木) 01:01:38.59 ID:RBtRMMgAO
乙 面白かったよ
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/12(木) 01:35:01.97 ID:qzetFwGFo
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/12(木) 06:21:59.06 ID:9vsuMmoAO
ホント面白かった
乙でした(`・ω・)b
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 06:51:23.14 ID:NTG6hS5jo
全力で乙
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 07:02:28.40 ID:5nuo1VUko
1000
1001 :1001 :Over 1000 Thread
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | もうたらい回しは勘弁だぜ
 |_____ _____________
         ∨
    ⊂⊃
   .∧_∧          ,  ⌒ヽ
  .( ´Д`)_        (       ヽ⌒ヽ
  ( ̄ヽ   ヽ_ヽ   /⌒.\ ⌒ヽ    ⌒ヽ
  |. T |      ̄ ̄´ /\ \  /⌒)   ⌒ヽ
⌒ ヽ_ノ、    ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  /⌒ヽ   ⌒ヽ
 ⌒ヽ  ⌒⌒ヽ⌒, ⌒ヽ,  ⌒⌒,ヽ ノ⌒ヽ⌒    )
(   ⌒ヽ  ⌒    ,  ⌒ヽ   ⌒ヽ  ,    )              SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
 ヽ   (              ,          )                 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
   (   丶   (        )     ノ  丿

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
探してる動画がある @ 2012/04/12(木) 06:39:16.77 ID:YqDPho/z0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1334180356/

ここはどこ??あたしは誰?? @ 2012/04/12(木) 03:21:46.97 ID:8C5MIvoLo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1334168506/

朝飯の定義を教えろ @ 2012/04/12(木) 02:09:42.34 ID:JlwpSSGQo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1334164182/

短編SS4つ @ 2012/04/12(木) 01:44:59.90 ID:6TavHl9I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334162699/

おいおまいらカップラーメン作るぞ @ 2012/04/12(木) 01:14:37.09 ID:yqV+QgBAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1334160877/

女友「今の彼氏とは別れた方が良い」 @ 2012/04/12(木) 00:57:42.47 ID:kkrhhtbl0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334159862/

響「クリスちゃんと仲良くなりたい」 未来「えっ」 @ 2012/04/12(木) 00:51:22.78 ID:rwXRwVqpo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334159482/

ペンデックス「魔力生成のためにご協力をお願いします」上条「」 @ 2012/04/12(木) 00:26:09.02 ID:G5bnKV1co
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1334157968/



VIPサービスの新スレ報告ボットはじめました http://twitter.com/ex14bot/
管理人もやってます http://twitter.com/aramaki_vip2ch/
Powered By VIPService http://vip2ch.com/

540.62 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)