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朋也「ストライクウィッチーズ?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) :2012/02/15(水) 17:04:27.89 ID:Rz5eof+yo
CLANNADの岡崎朋也がストライクウィッチーズの世界へ

処女作です

以下の注意点があります

・文章力ゼロ、語彙力無し
・しょっちゅう変わる人称
・トンデモ、ご都合展開
・多作品のネタのパク…オマージュ
・…… ーーー の乱用

便所の物書き程度の糞みたいな作品ですが、それでもいいぜという寛大なお心をお持ちの方、暇つぶし程度にこの拙い文をご覧ください

余談ですが本作はサイト『小説家になろう』にも投稿します。ご理解のほどをよろしくお願いします

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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:05:58.07 ID:Rz5eof+yo


雪が、降っていた


俺を見下ろすように空に浮かぶ雲から、ぱらりぱらりと、雪が降っていた

ほほに地面の硬い感触と、積もる雪の冷たさをぼんやりと感じる


俺は、地面の上に倒れていた


………


自分が倒れてどれ程時間が経っただろう。

1時間か、1分か、1秒かーーー

ーーーわからない

ゆっくりと、ゆっくりと、視界が暗くなってゆく

地面の冷たさも何時の間にか感じなくなり、ただ体の重みだけが残った

瞳をどうにか動かして、自分の胸を見る

そこには6歳ぐらいのちいさな少女が眠っていた

亜麻色の髪が雪で白く染まり、目を閉じて眠っていた

ーーいや、彼女は、

ーーーーー眠る様にして、死んでいた


胸の中の温もりは、無くなっていた


握っていた彼女の手も、今は力なく、

ただ冷たさが伝わるだけだ


少女は、彼女は、

……………俺の娘は、

………………眠る様にして、死んでいた

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:06:31.34 ID:Rz5eof+yo

声を出して叫ぼうにも、鉛の様に重い体は、それを許してはくれない

やがて、その重りの感覚も無くなりーーーー

体がふわりと浮くような、不思議な心地が体を覆った

このまま何処かへ飛んで行ってしまう、そんな気がした

飛んでいけるのなら、どこでもいいから連れていってくれーーーー俺はもう疲れた

もう、たくさんだ。こんな悲しみを背負うぐらいならーーいっその事消し去ってくれ

そして

意識が薄れてゆくーー

心が俺の体を離れてゆくーー

ーーーその中で、俺は気づく


ーーー繋いだちいさな手が、ぴくりと動いたことを

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:07:23.33 ID:Rz5eof+yo


今日も今日とて彼女、フランチェスカ・ルッキーニはお気に入りの木で眠っていた


よだれを垂らす彼女のあどけない顔を朝日が照らし、一日の始まりを告げる

森の中は静寂で包まれていたーーだが、突然。

木々を掻き分け、枝をへし折り、木の葉を撒き散らせて、何かが落ちてきた。

ドサリと、それは彼女が眠る木の真横に『墜落』した

「ふにゃっ!?」

彼女は目を覚まし、辺りを見回してそれを見つける。二本の黒いツインテールが、ぶんぶんと揺れている

「な…なに?これ…?」

木を駆け下りてそれに近づき、指でツンツンとつついてみる……反応無し

「…………」

「………と、とにかくシャーリーに…みんなに知らせなくちゃー!」



「〜♪〜♪〜♪」

そのシャーリーことシャーロット・E・イェーガーは陽気な鼻歌を鳴らしながら自らの愛機の改造をしていた。

オレンジ色の綺麗な髪を煤で汚しーーそれでも楽しそうに、自らの趣味に没頭していた。

彼女がスパナを動かす度、大きな胸が揺れるーーグラマラス・シャーリー。彼女の二つ名に恥じない大層立派なモノが、だ

「ーーーよっ、と。まぁこんなもんかな……うん、我ながらいい出来だ!早起きした甲斐があった!」

ぽんぽんと光沢を放つそれを叩く

と、そこに

「シャーーーーーリーーーー!」

ルッキーニが飛び込んできた、額には汗が浮かんでおり、ここまで全力で走ってきたのだろう

「うおっ!?……って、ルッキーニか。どうしたんだこんな時間に?」

「あのねあのね!空からなんか降ってきた!」

「降ってきたぁ?」

「うん!」

「降ってきたって……一体何がだよ?」

彼女はまーた何か面白そうなことを見つけてきたんだろうな、と心の中で思うーーだが

「えーっとねぇ…………かっこいいにーちゃんが降ってきた!」

「…………はぁ!?」

彼女の予想とは、ずいぶんと違う答えが返ってきた

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:07:52.08 ID:Rz5eof+yo



ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは困惑していた

ありのままその困惑の原因を話すとすればーー

ルッキーニに男の人が降ってきた!と訳のわからないことを言われ、

手を引かれるままついて行ったら彼女の言う通り扶桑人の男がぶっ倒れていた

何を言っているのかわからないと思うが彼女も何が起きたのかわからなかった……

さらに奇妙なことに男は真冬に着る様な防寒具を着て、
しかも話に聞いたところでは初めて見つけた時は服に雪が付いていたという

今の季節は夏。どう考えてもおかしなな出来事だ

(けど、そんな男よりもーーー今はこっちの方が問題ね……)

彼女はチラリと『ソレ』を見る

照明に照らされたソレは、黒色に染め上げられたボディを輝かせていた

(所属不明、国籍不明、生産時期不明、おまけに解析してもスペック不明、最後のとどめに装着しても無反応……一体何なのかしら、この機体は?)

(……全く、今日は扶桑から美緒が帰ってくるのに……結構面倒臭いことになったわねー…)


6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:09:13.23 ID:Rz5eof+yo




(ここはどこだろうか…)

男は、辺りを見回す

見渡す限り上も下も横も、視界全体が光のもやで埋まっていた

上下感覚は無く、海の中をさまよっているみたいだ

見渡す限り果てはなく、どこまでも続いている気がした

ーーーーや君

ふいにどこからか、声が聞こえてきた

彼はゆっくりと、後ろを振り向く

そこには……

一人の女性が、光のもやの中に立っていたーー

「あ………」

思わず、息を漏らす

瞳から、涙があふれる

感情が混ざりあって、声が出せない

光のもやの中で、彼の最愛の女性が、立っていたーー

ーーーお久 ぶ です、と や君ーーー

彼女が紡ぐ言葉はノイズがかかったように、うまく聞き取ることができない

「ああ……久しぶりだな」

光のせいで良く見えなかったが、彼女はきっと微笑んでいるだろう

ーーーそれが今の彼には、どうしようもなく辛かった

「………俺、守れなかったよ」

「守ってみせるって決めたのに、結局俺はーー何もできなかった」

「いろんな人に迷惑かけて、仕事もやめた、あいつのためならなんでも出来た……

けれどそれでもーーそれでもダメだった!」

声を荒げる
彼女はただじっと彼を見ていた

「なあーー」

「なにか、なにか言ってくれよ……!」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:10:36.23 ID:Rz5eof+yo

ーーー…………ーーー

ーーーと や君はーーー

ーーーと や君は 後悔してま か?ーーー


ーーーわた と出会っ ことをーーー

「っ!」

もやの中に浮かぶ彼女は、娘を産んだあとすぐに息を引き取った

彼はその後五年。無機物の様に日々を過ごした

体が覚えているだけのことを淡々と繰り返すだけの毎日、そこには悲しみも喜びもない、『何もない』生活……

だが、彼を大切に思う人達のお陰で彼は立ち直ることができた

凍りついていた父親との関係も、溶かすことができた

だから、だからーーー

「後悔は……していないよ」

「お前と会わなかった俺なんて、考えられないーーーーけれど」

「それでも考えるんだよ、お前と会わなかったら、お前も、あいつも死ななかったんじゃないかって」

ーーー……………ーーー

ーーーと や君 ーーー

ーーーだいじょ ぶです ーーー

「…………えっ?」

ーーーしおちゃ は ーーー

ーーー生きてま からーーー

「……‼」

生きて……いる?

あの時確かに彼女の腕は力なく垂れ下がった、自分にーー『大好き』と言って……

いや、きっとーー『奇跡』が起きたんだ……


「本当に……本当に生きてるのか?」

彼女は、ゆっくりと頷いた


「そう、か。あいつは、生きてるのか……よかった」


ーーーだから 苦し ないでくだ さいーー

娘が生きている。今もどこかで、生きている

彼女の言葉で、消えかけていた心の灯火が、再び燃え上がる

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:11:17.96 ID:Rz5eof+yo
「ああ………わかったよ」

そう言うと、彼女は微笑んだ。

記憶と同じ、柔らかい蒲公英の様な笑顔だ

つう、と頬を涙がつたい、彼女がそっと寄り添って可愛らしい指でそれを拭う

「……俺、強くなりたい」

「お前やあいつをーーー大切な人を、守りたい。だから、強くなりたい」

もう二度と、大切な人を失わぬ様に。

「なあ、俺はこれからどうすればいい?
どうしたらーー強くなれる?」

「教えてーーーくれないか?」

ーーー……………ーーー

ーーーわた には わかり せんーーー

ーーーけれ ーーー

ーーーと や君にはこれ らいろ なことが待っ いま ーーー

ーーーだか どうかーーー

ーーー……………ーーー

ーーーがんばってくださいーーー

ーーーわたしはいつも、あなたを見ていますからーーー


光が、溢れる。
彼女の体を、飲み込む。

そして彼を包む様に光の濁流が迫ってきてーーー意識は途絶えた

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:12:00.92 ID:Rz5eof+yo





STRIKE-LANNAD-





10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:12:27.89 ID:Rz5eof+yo






.
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:13:15.35 ID:Rz5eof+yo
次に彼が見たものは薄暗い天井だった

浮翌遊感が消え、しっかりと体が重力を感じている

(ここは、何処だ?)

背中に柔らかい感触を感じる、自分はどうやらベットの上で寝ているらしい。

清潔に手入れされているだろう白いシーツが彼の体にかけられていた

少なくとも先ほどまで居た光の空間ではないーーーここは現実だ。彼はそう思った

ベッドに左手をつき、体を起こし、周りを見てみる

年代物の箪笥と自分が寝ているベッド……それ以外はなにもない、なんの変哲もない部屋だーーー

窓からは月明かりが差し込んでいて、綺麗な満月が顔を覗いている


(とにかく、まずはこの部屋から出よう)

ベッドから立ち上がりーーー気づく

箪笥の上に、黒いロングコートが無造作に置かれていた

両手でそれを取り上げ、広げてみて……少し考えた後、それを着た

………サイズはピッタリだった

(ピッタリだな……まぁ一応着ておくか)

彼は部屋を出ようと後ろを振り返り

「ああ、起きたのか」

「ーーッ!?」


12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:14:03.24 ID:Rz5eof+yo
……いつの間にか、女が立っていた

扉は音も無く開かれ、なんの気配を感じさせることもなく女が立っていた

彼女は黒髪をポニーテールで結び、凛とした顔つきでこちらを見ている。

そして一際目を引くのは、右手に握られている……一振りの、日本刀

その姿はまるで日本の武士のようで、
右目に掛けられた眼帯がさらに際立たせた。

「……あんたは一体誰だ?」

「私のことなど今はどうでもいい」

「ーーーアレは一体なんだ?」

(……アレ?アレって一体)

「……なんのことだ?」

「とぼけるな、貴様と一緒に降ってきたモノのことだ」

「……降ってきた?俺が?……それは本当のことなのか?」

「………ああ、空からいきなりーーだそうだ。…お前が着ているコートも、な。

それより今質問しているのはこちらの方だ、早く答えろーーアレは何だ」

女が鋭い眼光で彼を睨む。
場の空気が張り詰めるーーー有無を言わせぬ意思が、彼女の瞳に宿っていた

「……だから一体なんのことを言っているんだ?」

「………まさか貴様本当に知らないのか?アレを?」

「さっきから知らないって言ってるだろう!
アレと言われても俺には何のことだかさっぱりなんだよ!」

彼がそう言うと、彼女はぐいと顔を近づけ、彼の瞳をじっと見つめた

「うぐ…」

男は、たじろぐ

今気づいたがこの女ーーかなりの美人だ

「……………嘘をついている様には、見えんな。
まあいい、今から見せてやるーーこっちだ、ついて来い」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:14:50.48 ID:Rz5eof+yo
「あ、ああ、わかったーーーーだがその前に、少しいいか?」

ここがどこだかわからない以上、少しでも多くの情報が欲しかっし、
そして今は何よりも気にかかることがあった

それはーーー

「なんだ?……貴様は見たところ扶桑人の様だしーー同郷のよしみだ、答えられる範囲なら答えてやる」

「ありがとう、なら、聞かせてもらう……(…扶桑?)」


「どうして今あんたは………『ズボンを履いていない』んだッ!」

彼女の上着の下にはあるべきものの姿ーーースカートやズボンーーーが無く、紺色の布地が覗いていた……どう見てもスクール水着である。
いささか、いや、かなり刺激的な格好だ

「………?
お前は何を言ってる?ちゃんと履いているではないか」


「……まさかその水着みたいなのがズボンって言うんじゃないだろうな?」

「だからお前は何を当たり前なことを聞いているんだ?
おかしな奴だな……もういい、行くぞ」

(な、なんなんだ一体?)

自分のことを扶桑人と言ったり、アレがどうとか訳のわからないことを聞いたり挙げ句の果てにはパンツをズボンだと言っている………羞恥心はないのか?

いやまさかーーーパンツじゃないから恥ずかしくない……のか?

他にもいろいろ聞きたいことがあったが、とりあえずまずはこの武士女に着いていくとしよう……それにこの女にはどことなく親近感が湧く。

そして今無性に何か仮面を被りたい……何故だかわからんが

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:15:59.05 ID:Rz5eof+yo








男が案内された先にあったのは、薄暗い格納庫のような場所だった

中央には滑走路の様な道があり
、海へと続いている。ここに航空機か何かが降りてくるのだろうか

「待っていろ、今電灯をつける」

カチリとスイッチを付ける音がした後、天井に取り付けられていた電灯が灯り、辺りを照らす

そして男はーーーソレを見た



ソレは照明に照らされ、夜空の様な漆黒の表面が美しい宝石の様に輝いていた

先端が丸みを帯びて尖り、円柱状のそれは一見するとミサイルのようで、側面には小さな航空機の翼の様なものが生えていた。

片方の翼の中央には白円が描かれており、黒一色の中に浮かぶそれはまるで夜空に浮かぶ満月のようだ

さらに底面部にはぽっかりと穴が空いており、あの穴に足でも入れるのだろうかと彼は疑問に思った


「これは………一体?」

「やはり知らないか……」

「ああ、こんなモノ見たことがない……見た感じは飛行機か何かに見えるが」

「その通りだ、ソイツは空を飛ぶ為に使う」

「………このミサイルみたいな奴でマジに飛べるのか?」

「…本当にお前は一体何処からやってきたんだ?」

「何処?何処って……日本からだが」

「ニホン?………お前はずいぶんと昔の名前を知っているな」

「昔の名前?」

「いや、日本と言うのは扶桑の旧名だろう?」

「だから一体何をーーー」

そう言いかけた所で、彼は口を噤んだ
先ほどからの彼女の態度や見たこともない機械、それらはまるで自分がーーー

「どうした?急に黙り込んで」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:16:39.70 ID:Rz5eof+yo

「おかしなことを聞いて悪いんだが……今日は……その…何年の何月何日だ?」

彼の問いに彼女はいぶかしそうにしながらも答えた

彼女から告げられた日付

それにより彼は自分の憶測が正しかったことを理解する

何故ならその日付は……

彼が記憶していた日付、その日付の60年以上前を差していたのだから……

そう、彼はタイムスリップをした……のではなくーーー




『異世界』に来てしまったのだ











「…………成る程、もしお前の話が本当ならーーーーーーお前は今から約60年後の異世界から来た、と言うのか」

「にわかには信じられんが………そうだとすればお前の先程からの言動にも説明がつく」

「ならお前はーーーネウロイについても知らぬのだろうな」

「…………ああ、いいぞ。教えてやる」

「ネウロイとはーーー」

「ーーー人類の、敵だ」

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:17:17.89 ID:Rz5eof+yo









「それで、あんた達はそのネウロイと長年戦ってきた…と」

「その通りだ………特に1930年代後半から奴等の侵攻が激化している」

「とすると…5年前からか」

(5年も、下手をすればもっと前から戦争をしているのか…)

「………もう既に、ヨーロッパ大陸の大半は奴らの手に落ちてしまった」

「ヨーロッパ大陸が!?」

「…なんだ、お前の世界にもヨーロッパ大陸があるのか?」

「あ、ああ。一応な

………それで、ここは一体どこなんだ?」

「…………ドーバー海峡だ」

(ドーバー海峡っていうと……えっと……ヨーロッパと目と鼻の先か。
それはつまり……)

「最前線、って事か」

彼女は無言で頷いた

「………ここは、欧州対ネウロイ最終防衛ライン」

「そして、それを守るのが我々第501統合戦闘航空団

通称ーーーー

ーーー『ストライクウィッチーズ』だ」

(ストライク……ウィッチーズ……

………ん?……『ウィッチ』?)

「ウィッチって……まさか、『女しかいない』のか?」

「……そう言えば言ってなかったな」

「我々ウィッチが空を翔ぶための、その、駆動機械『ストライカーユニット』だがーーー『女にしか』使えんのだ」

「なん………だと………?」

(いや、ボケてる場合じゃなくて)

「だとしたら戦っている奴のほとんどは女なのか!?」

「ーーーいや、男達もしっかりと戦っているよ、だが……たとえ戦艦の砲撃でも『魔翌力を持たぬ攻撃』では奴らを落とすことは……難しい」

(戦艦の砲撃でも落ちない……一体どんな化け物なんだ?
……いや、『それよりも』)

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:17:51.97 ID:Rz5eof+yo
(彼女は確かに 『魔翌力』 と言った……)

(ウィッチだの言うから予想はしていたが、やはりーーー)

「ーーーこの世界には、魔法があるのか?」

「まさか……お前がいた世界では魔法が存在しないのか?」

男は頷く

「……その魔法って奴も女にしか使えないのか?」

「…肯定だ」

「そうか…………あ、そういえば」

「……如何した?」

「まだ、アンタの名前聞いてなかったな」

先程から見ず知らずの自分に色々と情報をくれたのだが肝心の名前を聞いていなかった
いつまでも眼帯女という認識というのもアレなので聞いてみることにしたのだ

「そうか、自己紹介がまだだったな
私の名前は『坂本美緒』

……ご覧の通り、軍人だ」

「それは俺のセリフだ」

「……いきなり何を言っているんだお前は?」

「えっ?……あ、ああ、すまない。こちらの話だ」

(……何で『俺のセリフ』なんて言っちまったんだ?
……今日の俺はどうかしてる

いや、もうじゅうぶん『どうかしてる』状況にいるか……)


「で、お前の名は?
………普通こういうのは聞いた方から言うべきだぞ?」

「……そんなもんなのか?」

「そんなもんだ」

「そうか………なら、俺の名前はーーー」


ウウウウウウゥゥゥゥゥーーーー

偶然か否か、彼の言葉にかぶさる様にしてソレは鳴り響いた

「!!」

耳を劈く様な音に彼女はいち早く反応し、顔を引き締める

「なんだ!?サイレン!?」

(火事か何かが起きたのかーーーいや、そんな訳がない!)

「っーーー敵襲だ!!」

「アンタが言ってたネウロイって奴か!?」

「そうだ!………ミーナか?今私はハンガーにいる!ああ、例の男と一緒だ!
………了解した、私が先行してサーニャの増援に向かう!」

彼女は耳元に手を当て、独り言を言い始めたーーーいや、耳元のインカムで何やら通信を行っている

(この時代にあんな小型の無線機まであるのか……いや、今はこんなことを考えている場合じゃない)

「ーーーお前は基地に戻っていろ!ここにいても邪魔なだけだ!」

「な……ッ!?」

(邪……魔……?)

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:18:23.92 ID:Rz5eof+yo
「……俺に出来ることは何もないのか!?」

「……ならお前には何ができる?」

「…………ッ!」

彼女の言葉が、彼の心に突き刺さる

『自分には何が出来るのか』

それは彼が一番知りたいことだった……
妻を失った『弱い』自分が一番知りたいことだった……

「………………もういい、戻っていろ。ここは私たちに任せてくれ」

顔を伏せてうなだれた男を彼女は一瞥して、ストライカーの登場台へと駆けていった



「…………………」


(……俺は、何ができる?
娘をーーー妻をーーー大切なものを守れなかった俺に何ができる?

いったいーーー何がーーー )


『大切な人達を守れなかった自分は一体何ができるのか』その問で埋め尽くされた彼の心は、深く、闇へと沈んでゆくーーーだが


ーーー頑張ってくださいーーー


ーーー愛する妻の言葉が一筋の光となって、彼の心を照らす

(………ああそうだ。俺は約束したんだ、あいつにーーー)

心にーー『魂』にーー火が灯る……

やがてその火は燃え盛る業火となって……

彼にーーー『勇気』を与えるッ!

(ーーー『強くなる』って‼!!)

19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:19:16.72 ID:Rz5eof+yo
男はゆっくりと歩き……黒いストライカーが待機している登場台へと登り始めた……

「……おいお前……何故そこに登っている?早く戻れと言ったはず…っ………まさか」

彼の横で、ストライカーを装着し、いざ出撃せんとしていた彼女がその異変に気づく

(まさかお前は……乗るつもりなのか?)


「…コイツは」

「……コイツは女にしか使えない」

「だがッ!」

「そんな事実などーーー関係ない!」


(……ストライカーユニットに!)


男はがっしりと力強く腕を組む!

その瞳にはーー大きな、『意志』が光り輝いていた!

そう!

まるで………『黄金』の様に!!!


「なぜならば!」



「今日の俺はッ‼」



「阿修羅すら凌駕する存在だからだッ‼‼‼‼」



何処からか吹いてきた突風が彼のコートを煽り、勢いよく羽ばたかせた!


荒れ狂う黒衣を身に纏い!

武人の如く腕を組む!

その姿はまさにーーー阿修羅!‼

20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:19:54.97 ID:Rz5eof+yo
(……阿修羅すら凌駕?
…………まったくこの男は俯いていると思ったら急に訳のわからんことを言うーーーだが)

「……面白いッ!ならばそれに乗って見せろ!そして証明してみせろォ!」

彼の大きな『意志』に、彼女は感嘆した

「男だから使えないーーーそんな道理など!お前の無理でこじ開けてみせろッ!」

同時にこいつなら『何か』を変えてくれるーーーそう、確信した

その『期待』に答える様に彼はーーー叫ぶ!

「ーーー当たり前だ!俺は飛んで見せる!この……空をォッ!!!」


そして!

彼は跳躍してーー勢いよくストライカーにその両足を突ッ込んだ!!



ーーーだが


「「………………」」

(何も……起きない?)

(まさか、ここまできてーーー駄目なのか?……俺は本当に、何も出来ないのか?)


額に汗を浮かべる彼の様子を、彼女は凝視していたーーーいや、正確には

(……いやまだだ!まだ終わってない!
どうにかしてこいつを動かすんだ!
あきらめたらそこでーー終わりだ!)

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:20:38.45 ID:Rz5eof+yo
彼女はーーー彼の背後に浮かぶ、人影を見ていた……

「おい…お前………その、背中に立っているのはいったい……何だ?」

「ーーーえ?」

(……背、中?)


彼は振り向きーー『そいつ』を、瞳に映したーーその瞬間に、そいつは煙の様にかき消えて……

直後……彼の肉体が青白く輝き出す

「な、なんだこれは……ッぐ」

光を放つ自分の体を確認する……暇も無く

「うッ…ぐああぁああぁあ゛ああ゛ぁあッ‼‼‼‼」

……雷撃の如き激痛が体全身を駆け巡る

ーー目視出来るほどに輝く光の光線が、点滅をしながらまるで血流の様にーー

やがて、その流れは頭頂部に集まり、収束して……

「……ッがあ゛ッ‼」

ずるり、とソレは彼の側頭部から突然にーーー『生え』た


ソレを一言で形容するならばーーー

『耳』

ーーーだった


天を突くように反り立つ、『銀色』の耳……

その姿はまるでーーーウサギのよう……

そして何より特徴的なのは、耳の中央に『縫い目』の様に刻まれた『ピンク色の模様』……



「ッハァっ……ハァっ……」

呼吸を整える

何時の間にか激痛の波は去っていた

「………驚いたな
まさか『本当に』起動するとは……
それに『使い魔』とも契約している……」

「………使、い魔?ひょっとして…この耳のことか?」

彼の頭に生える50センチほどの大きさの耳ーーー不思議と重さは感じないーーー

「その通りだ、使い魔は我々が魔法を使う際に力を貸してくれる
………普通は犬とか猫とか狐なんだが、見たことのないタイプだ。ウサギ……なのか?それは?……まぁ今はどうでもいい

それでお前はーーー戦えるのか?

我々の敵ーーーネウロイと……」

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:21:11.71 ID:Rz5eof+yo

『戦う』ーーーコレに乗る以上、避けられぬ運命ーーーだが、覚悟は出来ている


「……愚問だ

俺は戦ってみせる……強くなるために

ーーーいや!『大切な人』を守るた
めに!」

「…………はっはっはっ!……いい答えだ!

ーーーならばその武器を取れ!そして私に証明してみせろ!!」


彼が立つ射出ユニットに設置されたボックスが排気音を出しながら開放される

そこにはーーー黒いストライカーと『一緒』に落ちてきた武器が収納されていた


(これが……俺の『武器』……?)


ボックスには、『4つ』入っている……


ーーー2振りの『刀』とーーー

ーーー2丁の『拳銃』ーーー



その刀は、例えるならば『灰色』……
鍔は無く、ただ『刀身』と『柄』のみの『刀』……
ただひとつ特徴的なのは……
黒色の柄に取り付けられた一対の『結合部』……

それ以外は何の飾り気もない、ただそれだけの、『刀』……

だが……

全てを斬り裂くような『鋭利さ』を滲み出している……



その拳銃はまさに、『対照的』……

2丁の『銃身』を染める『色』……
ひとつは、『純白』……
ひとつは、『漆黒』……

たとえるなら……

『光と闇』

銃身の側面には『ピアノの鍵盤』のような模様が描かれていて……

黒と白に刻まれたその模様は、ひどく目立っていた……

口径は45口径の大型ハンドキャノン……

彼の世界で言う『コルトガバメント』をベースにしている様だが……

その面影などまるで無く……

全てを破壊するような『威圧』を放っていた……


23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:22:02.64 ID:Rz5eof+yo

彼はその異様な『兵器』を手にとる

……不思議と、その手によく馴染んだ

(まるで『自分自身』を触っているみたいだ……我ながら変なことを考えているな)

(まあ、ひとつ言えることはーーー)

(こいつはとんでもなく『ヤバい』代物だってことかーーーだが)

(ーーーそれがいい)


「……よし、『武器』を『取った』な?

ならば自分を信じてーーー『翔べ』!」

「ーーーああ!」

瞳を閉じて、両足に意識を集中する

(集中しろ……集中……そう、考えるんだ……空を飛ぶイメージを………大丈夫だ……俺には……あいつがついてる!)

脳裏に、あの空間で見た笑顔が浮かび上がりーーー


勢いよく、その瞳を見開いた!


彼の意思に答える様に魔法陣が浮かび、エンジンが起動する
白色のプロペラが機首から展開し、風を切った

(これでーーーいける!)


「ッ!……ゥ……オオオオオオォォォッッッ‼‼‼‼」

ハンガーに響き渡ったその『咆哮』は月夜と相まって、まるで狼の遠吠えの様であった

そして男はーーー地を駆ける

カタパルトによる射出と機体自身の加速力によって、恐ろしいスピードで滑走を走る

(なんとか走れた……あとは……『翔ぶ』だけ!)

眼前には海。このまま突っ込めばおそらく沈む……わけにはいかない

「……飛べよおおおおおおおおっ!!!!!」

そして男はーーー天を駆ける




羽ばたく様に空へと舞った男を、坂本は何処か満足した顔で見つめている

(見事に飛んだな……まったく大した奴だ……さて、私もーー飛ぶか!)

「坂本美緒、出る!」

無数の星々がまたたく夜空に……二つの流星が流れた
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/02/15(水) 17:22:44.89 ID:Rz5eof+yo
投下終了
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) :2012/02/15(水) 19:42:52.50 ID:Rz5eof+yo
sage 進行にするか否か
26 : ◆NmLOXAgKcY [sage]:2012/02/15(水) 19:47:00.32 ID:Rz5eof+yo
これでいいのか
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/15(水) 23:41:41.26 ID:EnfWv5rDo
00のハム入った?
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/18(土) 02:08:28.15 ID:dkeCxXjro
saga も併用してくれ
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/16(金) 00:31:56.43 ID:LmHAJ4YIO
http://megaview.jp/topic.php?v=104204&vs=0&t=32442866&ts=0
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/16(金) 04:56:24.10 ID:D7sX/xZo0
ストライクウィッチーズの世界だとヨーロッパ大陸ってあるのか?
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 09:26:50.08 ID:P7DiuVXDO
蔵とストパンとは…とりあえずどうなるのか期待してみるか
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