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キーア「平行世界、見ちゃう?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage]:2012/02/20(月) 12:41:34.98 ID:saozkMbAO
〜身分違いの恋編〜

――俺の名前はロイド・バニングス

クロスベル市内で小さな運送業をやってる男だ。

今、クロスベル市では大きな祭りが行われている。

その名も『クロスベル創立記念祭』

クロスベルはそんなに大きな街ではないが、
世界的に有名な劇団『アルカンシェル』や保養地『ミシュラム』等の存在により外国からの観光客が絶えず集まってくる。
創立記念祭となるとその観光客の数も尋常ではなく、市内でも様々なトラブルが相次いで起こっていた…


……これからする話は、クロスベル創立記念祭の最終日に俺が体験した、忘れられない事件だ。


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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:42:43.93 ID:saozkMbAO
〜クロスベル創立記念祭 最終日〜


『ベーカリーカフェ モルジュ』


ガチャ

オスカー「いらっしゃいませー」

ロイド「どうも、バニングス運送です」

オスカー「あれ、ロイドじゃないか。どうしたんだ?」

ロイド「どうしたって…仕事で来たんだよ。小麦粉とハチミツを届けに来たんだ」

オスカー「小麦粉とハチミツ?………あぁ!そういや頼んだっけなぁ」

ロイド「やれやれ、しっかりしてくれよオスカー。…とりあえずこれにサインしてくれ」

オスカー「おうおう!ちょっと待っててくれよ」
3 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:43:15.18 ID:saozkMbAO

ロイド「売り上げの方はどうなんだ?」

オスカー「おう、お陰様で繁盛してるぜ。新作のパンも午前中には売り切れだ」

ロイド「そうか、残念だな。俺も食べてみたかったよ」

オスカー「お、だったら食うか?実は何個かとってあるんだよ」

ロイド「いいのか?」

オスカー「ああ!美味いパン食って、仕事の活力にしてくれよ」

ロイド「はは、サンキュー、オスカー。ありがたくいただくよ」

オスカー「ところで、そっちの方はどうなんだ?」
4 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:43:42.47 ID:saozkMbAO
ロイド「ああ、記念祭を見て回る暇もないくらい忙しいよ。兄貴も人員増やしてくれれば、俺も少しは楽になるんだけど」

オスカー「ははは、ご苦労さんだな。…って事は、あの子ともまだ記念祭を歩き回ってないのか?」

ロイド「…え、あ、あぁ、まぁね……」

オスカー「最終日くらい、一緒に過ごせばいいじゃねえか」

ロイド「はは…時間が取れればな」

5 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:44:20.60 ID:saozkMbAO
オスカー「ほい、サイン」

ロイド「ああ、確かに。それじゃあ、頑張ってな」

オスカー「おう、そっちもな」




ロイド「…ふう、さて次は……」

子供「ママー、次はあっちにいこー」

母親「はいはい。走って転ばないでよ」

ロイド「…皆、楽しそうだな」

プルルルル…

ロイド「! 兄貴から電話だ」ピッ

ロイド「もしもし」

『おう、ご苦労さん。仕事は順調か?』

ロイド「うん、後2、3件かな」

『じゃあ30分くらいで終るな。お客さんが来てるからさっさと戻ってこい。事故るなよ?』プツッ

ロイド「え!?ちょ、兄貴………」ツー ツー

ロイド「30分って…マインツとウルスラ病院にも行かなきゃならないのに………全く!」
6 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:44:46.58 ID:saozkMbAO
――50分後

『港湾区 バニングス運送本社』


ガチャ

ロイド「た、ただいまっ」

受付「おかえりなさーい。社長とお客さん、お待ちかねですよ?」

ロイド「ああ、すぐ行くよ」

受付「綺麗な方でしたねえ」ニヤニヤ

ロイド「え?(…お客さんってまさか……)」」
7 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:45:29.27 ID:saozkMbAO
『バニングス運送本社 社長室』


コンコン

ロイド「失礼します」

ガチャ

ガイ「おう、遅いぞ」

ロイド「マインツとウルスラ病院に行ってたんだから、これでも早い方だよ…」


この人が俺の兄貴のガイ・バニングス。
数年前、事故で両親を失ってから男手一つで俺を育ててくれた、唯一の肉親だ

少し自由人気質で仕事をサボったり押し付けたりしてくるけど、イザという時には頼りになる兄貴だ。


ガイ「ま、事故らなくて何よりだ。それより、お客さんが待ちくたびれてるぜ?なぁ?」
8 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:46:16.44 ID:saozkMbAO
エリィ「ふふ、お疲れ様。ロイド」

ロイド「エリィ…!」


彼女はエリィ・マクダエル
住宅街で一番大きいお屋敷に住んでいる。
ご両親は資産家をしており、お祖父様はなんとクロスベルの市長をしている、正真正銘のお嬢様だ。

そして信じられない事だが……


このお嬢様であるエリィと俺は恋仲になっている。

街の裏通りでチンピラに絡まれてるのを助けたのがきっかけだった

9 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:46:54.92 ID:saozkMbAO
出会ったばかりの頃は彼女も身分を明かしてなかったので、付き合った瞬間に聞かされた時は頭がパニックになった

兄貴は彼女と一緒になれと常々言ってくる。

俺も彼女と一緒になれれば幸せだと思うが、エリィのご両親とはまだ一度も会った事がない…

いつか、ご挨拶に伺おうとは思っているけど、俺のような庶民と付き合ってると知られたら、どんな顔されるか……と心配で…

エリィはそんな事を気にする子ではないと思う……が、やっぱり……

10 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:47:29.32 ID:saozkMbAO
ロイド「…、どうしたんだい、エリィ?来るなら電話してくれたら良かったのに」

エリィ「お仕事の邪魔をしたら悪いと思ったの。最終日くらいなら少し時間とれるかな…と思って」

ロイド「そんな気を使わなくてもいいのに。僕は…」

ガイ「……………僕ぅ〜?」

ロイド(はっ、しまった!エリィの前では呼び方変えてるのを兄貴は知らないんだった!)

エリィ「?」

ロイド「……兄k…社長」

ガイ「ん?」

ロイド「こちらのお客様は私にお話があるみたいなので、少々席を外していただけませんか?」

ガイ「……ぷっ」
11 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:48:14.29 ID:saozkMbAO
ガイ(おいおい、なんだよ。俺の前で『僕』って言うのが恥ずかしいのか?)ヒソヒソ

ロイド(うるさいな。早く出てってくれよ!)ヒソヒソ

エリィ「…?」

ガイ(別に恥ずかしがる事ぁないだろ。ガキの頃は『兄ちゃん、兄ちゃん』『僕ね、僕ね』って言ってんだからよ)

ロイド(その話はしないでくれって言っただろ!もう!!)

エリィ「ロイド?どうかしたの?」

ロイド「え!いや、なんでもないよ!」

ロイド「ほらほら社長!これからアルタイル市まで行って荷物を運ばなきゃいけないのを忘れたんですか?」

ガイ「な、なに?」
12 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:49:02.96 ID:saozkMbAO
ロイド「こんな所でサボってちゃ駄目ですよ!ほら早く!!」グイグイ

ガイ「ち、ちょっと…」

ロイド「はい、いってらっしゃい」ゲシッ
ガイ「ぐわっ!」


バタン

カチャリ(鍵)

エリィ「……」

ロイド「よし、これで大丈夫」

「ロイド!後で覚えとけよ!!」ドンドン

エリィ「だ、大丈夫なの?」

ロイド「ああ、いいんだよ。あの人最近サボる事多くなってきたから」

エリィ「…あ、ははは…」
13 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:50:04.25 ID:saozkMbAO
ロイド「…それで、用事っていうのは?」

エリィ「ええ。…これを見てもらいたいんだけど」スッ

ロイド「…?」


エリィはバッグから黒い手紙のような物を取り出した

ロイド「……なんだい、これは?」

エリィ「黒の競売会<シュバルツ・オークション>って知ってるかしら?」

ロイド「黒の競売会??? 初めて聞くな…」

エリィ「一年に一度、ミシュラムで極秘に開かれているオークションの事なの。世界各地から珍しい品が集まってくるみたいなの」

ロイド「へぇ…」

エリィ「会場にはその珍しい品を求めて、各界の有名人が多く集まるらしいわ」
14 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:51:16.11 ID:saozkMbAO
ロイド「そんなのが毎年開かれてたのか…。でも、そんなに凄いオークションなら新聞に取り上げられたり…………………………」

エリィ「…ふふ、気づいた?」

ロイド「…ぇ……『黒の』競売会って…そういう意味?」

エリィ「ええ。勿論、出品される物全てが『そういう物』ではないでしょうけど」

ロイド「じゃあ…この黒い手紙はそのオークションの招待状?」

エリィ「そういう事」ニッコリ

ロイド「…。」

15 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:52:09.43 ID:saozkMbAO
エリィ「本当はお父様とお母様が行く予定だったんだけど、別の用事が入ってしまって行けなくなったの」

エリィ「でも、年に一度しか行われない催しを見に行かないなんて、勿体無いとは思わない?」

ロイド「え゛… いや…ど、どうだろう?」

エリィ「私も噂でしか聞いた事がなかったから、これはチャンス!…と思って、お父様の引き出しからコッソリ持って来ちゃったの」

ロイド「…バレたら大変じゃ……」

エリィ「身分を隠して行けば多分大丈夫よ。…それで、どうせ行くならあなたと一緒に行きたいと思って」

ロイド「う、うーん…」

エリィ「……駄目かしら?」

ロイド(正直いって、あまり気は向かないけど……エリィもこんなに行きたがってるし………)
16 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga ]:2012/02/20(月) 12:53:08.24 ID:saozkMbAO
ロイド(俺が断ったとしても一人で行くかもしれない……エリィ一人をそんな所に行かせるわけにはいかないし…)

ロイド(……、仕方ないか…)

ロイド「わかった、じゃあ僕も一緒に行かせてもらうよ」

エリィ「! ありがとう、ロイド」

ロイド「…はは、貴重な社会勉強だと思う事にするよ」

エリィ「オークションの開始は夜からだけど、その前に準備する事があるから、夕方くらいに船着き場で待ち合わせ出来るかしら?」

ロイド「うん、仕事も後少しで終わるし、夕方で大丈夫だよ」

エリィ「良かった。それじゃあ、また後でね」

ロイド「うん、また後で」


…………


――こうして、俺はエリィと一緒に黒の競売会に行く事になった…
17 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/20(月) 21:01:38.49 ID:saozkMbAO
――夕刻


ロイド「…よし。仕事も片付いたし、そろそろ行くか」

ガイ「ん?何処行くんだ?」

ロイド「エリィとちょっと、ミシュラムまで」

ガイ「おお、そうかそうか。デートのお誘いで来てたのか……ったく、羨ましい奴め」

ロイド「なに言ってるんだよ。兄貴だって今日、セシル姉と出掛けるんだろ?」

ガイ「何っ!お前、何故それを…」

ロイド「…。会社のスケジュール表にでかでかと書かれてれば誰だって気づくよ」

ガイ「おおっ!しまった、俺とした事がつい……!」

ロイド「子供じゃないんだから、自分の手帳にでも書いといてくれよ」

ガイ「わはは、悪い悪い」
18 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/20(月) 21:02:12.43 ID:saozkMbAO
ロイド「じゃあ、出掛けてくるよ」

ガイ「おいおい、ちょっと待て」

ロイド「?」

ガイ「お前、あのお嬢様とミシュラムでデートするってのに、そんな私服姿で行くのか?」

ロイド「え?…おかしいかな」

ガイ「やれやれ…、お前は何もわかってないな……ほれ」スッ

ロイドは沢山のミラが入った財布を渡された

ロイド「え……?こ、これって兄貴の財布じゃん」


ガイ「貸してやるよ。今からじゃ間に合わないんだろ?ミシュラム着いたら速攻でスーツにでも着替えてこい」

ロイド「兄貴…」
19 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/20(月) 21:04:05.10 ID:saozkMbAO
ロイド(そ、そうか。いつものデートと同じと考えてたけど、今回は『普通』のデートじゃないもんな……)

ロイド「兄貴、ありがとう」

ガイ「おう」

ロイド「…でも、兄貴は財布無くて大丈夫なの?」

ガイ「ああ。セシルにおごってもらう…のは冗談で、俺様にはカードがあるからな」スッ

ガイ「ほれ、早く行かないと待ち合わせに遅れるんじゃないのか?」

ロイド「そ、そうだ。じゃあ兄貴、いってくるよ!」

ガイ「おう」

ガチャ

ガイ「おい、ロイド」

ロイド「?」

ガイ「一発、キメてこいよ!」グッ

ロイド「な、なにをだよ!?」

20 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/20(月) 21:04:50.97 ID:saozkMbAO
『港湾区 船着き場』


タッタッタ…

ロイド(あ、エリィがもう来てる!)

ロイド「ゴメン、遅れて!」

エリィ「お疲れ様。私も今来た所だったから」

ロイド「そうか、それは良かった。…あのエリィ、ミシュラムに着いたらまずブティックに寄っていいかな?ウチにいいスーツがなくって…」

エリィ「ええ、勿論。私もドレスを選ぼうと思っていたから」

エリィ「…ふふ、ロイドのスーツ姿って初めて見るわね」

ロイド「そういえば、そうだな。ちょっと緊張するな(……エリィのドレス姿…か…)」

エリィ「うふふ、ちょっと楽しみね」

ロイド「はは、着こなせればいいけど(こっちも楽しみだぞ)」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/21(火) 00:30:10.49 ID:jOtiscLOo
まさかの零の軌跡SSとは。支援。
22 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:49:27.00 ID:Apb0pr6AO
ロイドとエリィは船に乗り、ミシュラムに到着した

二人は早速、アーケードにあるブティックへと向かった



『ミシュラムアーケード ブティック<コルセリカ>」』


ウィーン

店員「いらっしゃいませ」

ロイド「……」

エリィ「ロイド、先にあなたのスーツを選ぶ?」

ロイド「………」

エリィ「ロイド?どうかしたの?」

ロイド「はっ!…い、いやいや、なんでもないよ」

ロイド(どれも似たようなスーツにしか見えないのに、なんだこの値段は…)
23 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:50:18.00 ID:Apb0pr6AO
ロイド「ス、スーツは僕一人で選べるから。エリィはドレスを見てきてよ」

エリィ「…大丈夫?なんか顔色が悪いように見えるけど……」

ロイド「大丈夫大丈夫!船酔いが遅れてやってきて…はは」

ロイド「女の子の方が準備に時間がかかるだろうし、僕の事は気にしないでいいから、じっくり選んで来てよ」

エリィ「そう?…じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうわね」

ロイド「うん、ごゆっくり」

ロイド「………………」


ロイド「さて、大変だ…兄貴にお金を借りたとはいえ、なるべく安いスーツを探さなきゃ……」
24 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:50:56.82 ID:Apb0pr6AO

「フフ、大変だねぇ」

ロイド「へ…」

ワジ「困ってるんだったら、僕が手伝ってあげようか」

ロイド「…誰だ、君は?」

ワジ「僕はワジ・ヘミスフィア。渇いたマダム達の心を癒す、優男さ」

ロイド「優男って……。…ホストって奴か?」

ワジ「ああ。まあ、本職ではないんだけれど…」

ワジ「…ボランティアみたいな感じかな」ニッコリ

ロイド「…。悪いけど、怪しい人間と関わりは持ちたくないんだ。向こうに行ってくれないか」

ワジ「やれやれ、心外だなぁ。僕がそんな人間に見えるのかい?」

ロイド(見えるんだが……)

ワジ「フフ………君達も、例のパーティーに参加するんだろう?」

ロイド「!」
25 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:51:43.60 ID:Apb0pr6AO
ロイド「な、なんでそれを…」

ワジ「フッ…それはね…………」

ロイド「…」ゴクリ



ワジ「……勘」

ロイド「」ガクッ

ワジ「アハハ、君みたいな人は普通、こういう店に入ったりしないだろう?」

ロイド「あ、あぁ…まあ、入らないけど……」

ワジ「そんな君があのマクダエル家のお嬢さんと一緒に服選びをしてたから、もしかして…と思っただけさ」

ロイド「! 彼女の事を知っているのか?」

ワジ「そんなに怖い顔をしないでくれ。実際に顔を見たのは今日が始めてさ」

ロイド「じゃあなんで…」

ワジ「クロスベルタイムズだよ。記念祭の記事で市長と一緒の写真が載せられていたのさ」

ロイド「な、なるほど…」
26 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:52:25.12 ID:Apb0pr6AO
ワジ「でもまさか、そのお嬢さんが参加するとは思わなかったよ。真面目で固い女性ってイメージだったからね」

ロイド「…今回はご両親の代理で来てるんだ。誰かに広めたりはしないでくれよ」

ワジ「フフ、こう見えても口は固い方だよ。」

ワジ「それより、早くスーツを選んだ方がいいんじゃないかな」

ロイド「わ、わかってるよ」

ロイド(……けど…どれにしたら…)


ワジ「……ふむ。これなんかいいんじゃないかな」

ロイド「え?」

ワジ「君のガールフレンドにも恥をかかさず、君の懐具合にも優しいと思うけど」

ロイド「失礼な……って、本当だ。安い…」

ワジ「試着してみたらどうだい?」

ロイド「あ、ああ」
27 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:54:26.86 ID:Apb0pr6AO
………


ロイド「ど、どうかな」

ワジ「…ふーん、中々似合ってると思うよ」

ロイド「そ、そうか…良かった」

ワジ「でも、何かが足りないな…」キョロキョロ

ワジ「…!」

スッ

ワジ「これをかけてみなよ」

ロイド「メガネ?別に目は悪くないんだが…」

ワジ「伊達メガネだよ。これ一つでも大分印象は変わるよ」

ロイド「ふーん…」
チャッ
ロイド「…どうだ?」

ワジ「…」

ワジ「アハハ!いいね、庶民から辺境の貴族くらいの見栄にはなったよ」

ロイド「そ、そりゃどうも……」
28 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:54:52.94 ID:Apb0pr6AO
ワジ「さて、じゃあ僕はそろそろ行くよ。マダムがお待ちかねだからね」

ロイド「ああ。すまない、助かったよ」

ワジ「どういたしまして。それじゃあ、会場で会えたらまた…」

ロイド「あ……待ってくれ」

ワジ「?」

ロイド「俺の名前はロイド・バニングスだ。よろしくな、ワジ君」

ワジ「フフ、ワジでいいよ」

ロイド「じゃあ、俺もロイドって呼んでくれ」

ワジ「了解。それじゃあまた後で、ロイド」

スタスタスタ…


ロイド(よし、スーツはこれで決まりだ。エリィの所へ行こう)
29 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:55:49.35 ID:Apb0pr6AO
エリィ「…どうかしら?」

店員「大変お似合いですよ。試着された中でも個人的には一番かと」

エリィ「ふふっ、じゃあこれに決めようかしら」


ロイド(エリィは……あ、いた!)

ロイド「エリィ」

エリィ「?……ぁ、ロイド?」

ロイド「……え、なんか変かな?」

エリィ「ううん、メガネをかけてたから一瞬、あなただってわからなかったの。…ふふ、とても似合ってるわよ」

ロイド「そ、そう?ありがとう(…ワジのお陰だな……)」

エリィ「ねえロイド、このドレス…どうかしら?」

ロイド「え。…あぁ、とても似合ってるよ。お世辞なんかじゃなくて本当に(…目のやり場にも困るくらいに……)」

エリィ「ありがとう。じゃあ、これに決めるわね」

店員「ありがとうございます」
30 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:56:24.77 ID:Apb0pr6AO
店員「ありがとうございました。またのご来店を心よりお待ち申し上げております」

ウィーン


エリィ「さてと、オークション開始まではまだ時間がありそうね」

ロイド「そういえばエリィ」

エリィ「?」

ロイド「オークションってミシュラムの何処で開かれるんだろう?まさかテーマパーク…なわけないよね」

エリィ「あら、ごめんなさい。そういえば言ってなかったわね」

エリィ「じゃあ、ちょっと見に行きましょう。こっちよ」

ロイド「え、そっちは別荘地の方じゃ…」

エリィ「ふふ、いいからついてきて。きっと驚くと思うわ」
31 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:57:40.27 ID:Apb0pr6AO
ミシュラムの高級別荘地を抜けていくと、先には大きく長い橋が掛かっていた

そして、橋の先にはまるで要塞のような巨大な建物があった…


ロイド「で…でかっ!」

エリィ「でしょう?競売会はあの建物の中で行われるのよ」

ロイド「……一体、いくらのミラがかかってるんだろう…」

エリィ「想像もつかない額でしょうね。ハルトマン議長がどれ程の人物かを象徴する建物と言ってもいいわね」

ロイド「ハルトマン議長…?……なるほど、なんか納得したよ。あの人も色々黒い噂があるからね…」

エリィ「さ、場所もわかった事だし。時間まで何処かでゆっくりしましょう」

ロイド「そうだね。アーケードにあったカフェにでも行こうか…」

スタスタスタ…



ザッ
ランディ「おお…あれがハルトマンの屋敷かよ。なんつーか、でかすぎんだろ…」

ティオ「…あそこにいるのはガルシア・ロッシですね。会場で鉢合わせにならなければいいですが」

ランディ「ま、ティオすけの感知力に期待するしかねえな」

ティオ「…ランディさん、何度も言いますが、会場でその呼び方は控えてください」
32 : ◆iSl5a5Vtu. [Sage Saga]:2012/02/21(火) 06:58:12.43 ID:Apb0pr6AO
――そして夜



ヒュルルルル… ドォォォン…ドォォォン…


エリィ「綺麗な花火…」

ロイド「うん。テーマパークは今頃ナイトパレードか…」

ゾロゾロ…

ロイド「別荘地の方に向かう人達も増えてきたね」

エリィ「私達もそろそろ行きましょうか」

ロイド「うん、行こうか …ん?」


ランディ「わかったから蹴るなっての」

ティオ「全く…ナンパしに来たわけじゃないんですよ」


ロイド(…? あの人達も参加するのか……?変わった組み合わせだな…)
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/21(火) 10:11:27.03 ID:XOy6lJnw0
零未プレイで碧の軌跡SS書こうとしてた俺にはタイムリー
支援
34 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/21(火) 18:52:50.42 ID:Apb0pr6AO
『ミシュラム ハルトマン議長邸前 大橋』


ザワザワ…


ロイド「はぁー…」

エリィ「結構な人数が招待されてたのね」

ロイド「一応、極秘の催しなんだよね…。なんか随分堂々と開かれてるような……」

エリィ「ふふ、なんだかワクワクしてきたわね」

ロイド「…」

エリィ「ほら、行きましょう。ロイド」グイッ

ロイド「! あ、あぁ」


ロイド(ん…?エリィがつけてるリングって……俺が初めてプレゼントした時の物だ…)

エリィ「? どうしたの?」

ロイド「ぁ、いや、そのリング…つけてきてくれたんだ」

エリィ「あら、今更気づいたの?待ち合わせの時からつけていたんだけど…?」ジロリ

ロイド「う。…す、すいません」

エリィ「ふふっ、このリングをプレゼントされて今日でちょうど一年だからつけてきちゃったの」

ロイド(渡した日を覚えててくれてたんだ…嬉しいな……)
35 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/21(火) 19:01:57.67 ID:Apb0pr6AO
ザワザワ…

ロイド「ん…、ここから並ぶみたいだね」

エリィ「多分、招待カードのチェックをするからでしょうね」

ロイド「……なんだか緊張してきたな…こんなの初めてだから」

エリィ「あまり挙動不審な事をしてたらあの黒服の人達に怪しまれるわよ。堂々とね」

ロイド「あ、ああ……」


???「いやぁ、あのオッサンが門にいなくてラッキーだったな」

???「まだ安心は出来ません。いきなり出てくる可能性も0ではありませんから」

ロイド「…?(あれ、前に並んでるのはさっきの……)」

エリィ「ロイド…?」


???「ん?」チラッ


ランディ「おおっ!」

ロイド「!?」

エリィ「っ!?」

ティオ「?」
36 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/21(火) 19:13:26.73 ID:Apb0pr6AO
ランディ「お嬢さん、お名前は?」

エリィ「え…?わ、私……?」

ロイド(な、なんだ???)

ティオ「……ハァ」

ランディ「いやぁー、君のような綺麗な女性と出逢えるとは……このパーティーに参加した甲斐があったってもんだぜ」

エリィ「あ…あの……」

ロイド「ちょ、ちょっと!彼女が困ってるじゃないか」

ランディ「ン? ………ほう、あんたはもしかして彼女の?」

ロイド「あ、ああ…彼氏だよ」
37 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/21(火) 19:23:52.09 ID:Apb0pr6AO
ランディ「ホントに?」

ロイド「ほ、本当だよ。嘘言ってどうするんだよ」

ランディ「チェッ…そりゃ残念だ。こんな綺麗な子とは中々出会え……」

ティオ「…えぃっ」
ベシッ
ランディ「あだっ!」

ロイド「!」

エリィ(け、蹴った…)

ティオ「…すみません。ウチのボディーガードがご迷惑をおかけしました」ペコリ

ロイド「ボディーガード?」

ランディ「だあぁ!スーツが汚れるから蹴るなって言っただろティオす」

ティオ「むんっ」

バシッ
ランディ「おうっ!」

ロイド(な、なんだこの二人…)

ティオ「…ランディ、さん」ジロリ

ランディ「う……す、すみませんでした。ティオ『お嬢様』」

エリィ(お嬢様…?)
38 : ◆iSl5a5Vtu. [saga sage]:2012/02/21(火) 19:35:01.57 ID:Apb0pr6AO
ティオ「…すみません、『これ』は無類の女性好きでして。許してやって下さい」ペコリ

ランディ(こ、これ…!?)

ロイド「あ、いや…そんな…頭を上げて下さい」

エリィ「私も気にしていませんから」

ティオ「そうですか……良かったです。…私はティオ・プラトーといいます」

ランディ「俺はランディ・オルラ…」

ティオ「………こほん」

ランディ「…っと、俺はランディ・オーランだ。ティオす…ティオお嬢様のボディーガードをやってる」

エリィ「クロスベルの方ですか?」

ティオ「いえ、私達はレマン自治州から来ました。前々からこの催しには興味がありまして」

エリィ「あら、奇遇ですね。私も同じ理由で参加したんですよ」
39 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/21(火) 19:46:31.49 ID:Apb0pr6AO
ランディ「ティオお嬢様の父上はとても心配性でな。たまたま親交のあった俺に声がかかってきたわけだ」

ロイド「へえ…確かに、強そうだな」

エリィ「ええ、頼りがいがありそうな方ね」

ランディ「わはは、困った事があったら電話してくれよ。俺の番号は……」

ティオ「……」ジロリ

ランディ「…う……冗談、冗談っスよ。お嬢様」

ティオ「…やれやれです」

エリィ「ふふっ」

ロイド「はは…(中々いいコンビだな……)」
40 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/23(木) 08:01:09.03 ID:XKYl53FAO

黒服「―お次の方、どうぞ」

ティオ「! ランディさん、私達の番です。行きましょう」

ランディ「アイ・サー。それじゃあ、また後でな」

ロイド「ああ」

ティオ「それでは、失礼します」

スタスタ…

ロイド「面白い二人だったな……」

エリィ「ええ。……でも、あの二人…何処かで見たような………」

ロイド「? そうなのかい?」





スタスタスタ…

ランディ(いやぁ、ビビったぜ。まさかマクダエル市長の娘さんが来てたとはな)

ティオ(だから無闇に人に声をかけないように言ったじゃないですか…)

ランディ(まぁ、こんな格好だし、気づいてなかったようだ)

ティオ(勘づかれると面倒ですから、あのお二人には顔を合わせないでおきましょう)

ランディ(…だな)

黒服「ようこそ、黒の競売会へ」

ランディ(よし、気合い入れて行くぜ。ティオすけ)

ティオ(了解です)
41 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/24(金) 19:15:15.64 ID:W1LU9ADAO
黒服「お次の方、どうぞ」

エリィ「行きましょう、ロイド」

ロイド「ああ」



スタスタスタ…


黒服「ようこそ、黒の競売会へ。招待カードを見せていただけますか?」

ロイド「…ああ、これでいいかな」スッ

黒服「…確かに」

黒服「念のため、お名前を伺ってもよろしいですか?」

ロイド「ロイド・バニングスだ。身分を明かす必要はないだろう?」

黒服「ええ、それはもちろん。……そちらの方は?」

エリィ「ふふ、お疲れ様。私の方は事情があって、身分を明かせないのだけど…こういう催しでもあるし、別に構わないのよね?」

黒服「え、ええ、まあ…。ですが一応、そちらのロイド様とのご関係を伺っても?」

ロイド(さすがに、疑い深いな。まあ、当たり前…)

ガシッ ムニュッ

ロイド「ッ!?」

エリィ「あら、恋人には見えない?」
42 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/24(金) 19:21:15.38 ID:W1LU9ADAO
ロイド(う、腕に胸が……)

エリィ「ふふ……と言っても、まだお父様とお母様には内緒にしている関係なんだけど。ね、ロイド?」

ロイド「え!!あ、あぁ!」

ロイド「ご、ゴメン、僕が君の身分に釣り合わないばっかりに…」

ロイド「でも、きっと事業を成功させてご両親にお嬢さんをくださいって頼めるように頑張るから…!」

エリィ「ふふっ、期待してるわね」

黒服「…。コホン…失礼しました」

黒服「それではロイドお疲れ様。どうか存分に、今宵の競売会をお楽しみになってください」

ロイド「ああ、ありがとう」

エリィ「ご苦労様」

43 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/25(土) 18:46:07.04 ID:V+0l2HgAO
『ハルトマン邸内』


ガヤガヤ…

ロイド「わぁ……広いな…」

エリィ「一流ホテル顔負けね」

ロイド「…」キョロキョロ

ロイド(ワジは近くにいないみたいだな…)

エリィ「どうかした?」

ロイド「いや、別に…」

ロイド「競売はすぐには始まらないのかな?」

エリィ「ええ、オークションの前に軽く立食パーティーが開かれるみたいよ」

ロイド「へぇ…」


「………あら?そこにいるのはもしかして…?」

ロイド「…ん?」

エリィ「? …ぁ……」
44 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/25(土) 18:54:57.10 ID:V+0l2HgAO
マリアベル「エリィ!貴方も来ていたの…」

エリィ「ベル…」

ロイド「え、誰?」

エリィ(ほら、前に話したでしょ。私の親友の…)

ロイド(ああ、彼女が……)

マリアベル「ふふ、お久しぶりですわね。まさかこんな所で再会出来るとは思いませんでした」

エリィ「本当に久しぶりね、ベル。相変わらず、お仕事の方は忙しいの?」

マリアベル「ええ、お父様が次から次へと仕事を持ってくるので、息つく暇もないですわ」

エリィ「ふふ、おじさまもお元気そうね」

マリアベル「今日は久しぶりの休暇でしたのけれど、このパーティーに代理で参加してくれと頼まれてしまいまして……全く、可愛い娘を何だと思っているのでしょう!」

エリィ「あ、あはは……ご苦労様」
45 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/02/25(土) 19:12:05.98 ID:V+0l2HgAO
マリアベル「あら……?そういえば、エリィはどうして此処へ…?」

エリィ「私も、お父様達の代理で来たのよ(嘘だけど…)」

マリアベル「そうでしたの。……ところで」

エリィ「…?」

マリアベル「隣にいらっしゃる方は…?」

ロイド「…ぁ…ど、どうも。初めまして」

エリィ「ふふ、前にお手紙に書いた人よ」

マリアベル「………………」

エリィ「今、私がお付き合いしてる方。ロイド・バニングスさんよ」

ロイド「ロイド・バニングスです。よろし……………


バリィィンッッ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) :2012/02/29(水) 23:36:39.70 ID:Jh0QTEw30
どうしてそこでやめるんだそこで
47 : ◆iSl5a5Vtu. [sage]:2012/03/01(木) 09:17:06.95 ID:f1bAUuOAO
>>46
悪い
諦めた訳じゃないんで
まったりやってく
48 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/05(月) 12:39:49.35 ID:AaJDLv3AO
ロイド「!?(な、なんだ今の音!?)」

マリアベル「ふ…ふふ、そうでしたの。貴方が私のエリィを…」フルフル

ロイド「え、ええ…(な、なんか殺気を感じるぞ)」

エリィ「…? 大丈夫?ベル?」

マリアベル「! えええ、ちょっと驚いただけですわ」

マリアベル「……」キッ

ロイド(な、なんか睨まれてる…)

マリアベル「ふう。まあ、エリィが選んだ方なのですから、悪い人ではないのでしょう。身だしなみもキチンとしているようですし」ジロジロ

ロイド「あ…はは…どうも……」
49 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/05(月) 12:49:17.23 ID:AaJDLv3AO
マリアベル「ロイドさん、と呼んで宜しいかしら?」

ロイド「え、ええ」

マリアベル「ではロイドさん。自己紹介が遅れました…私はマリアベル・クロイス。エリィの『一番』!の親友です。『一番』!の…」

ロイド「は、はい。『一番』の…」

マリアベル「今回はお仕事半分でこちらに来ているので、時間は取れませんが…」

マリアベル「今度『ゆっくり』と、貴方のお話を聞かせてもらいますわ。…勿論、エリィも同伴で」ニッコリ

ロイド「は、はい……」

エリィ「ふふ、お手柔らかに頼むわね」
50 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/05(月) 12:55:59.41 ID:AaJDLv3AO
マリアベル「…さて、それでは私はハルトマン議長に…………あら?」

ロイド「…?」

エリィ「どうしたの?」

マリアベル「……。いえ、あちらで知人が困っているようですので、ここで失礼します」

エリィ「知人?……あら、あの人達…」

ランディ「…」
ティオ「…」
ガルシア「…」

ロイド「あ…。さっきのお嬢様とボディーガードの……」

マリアベル「あら、あなた方も知っているのですか」

エリィ「…ええ、さっき知り合ったばかりなのだけど」

マリアベル「……ボディーガードにお嬢様………ふふっ、見えなくもないですわね」

ロイド「?」

エリィ「?」
51 : ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/05(月) 13:03:55.81 ID:AaJDLv3AO
マリアベル「では、失礼。また後でお会いしましょう」

エリィ「ええ、お疲れ様」

ロイド「お、お疲れ様です」

マリアベル「そうそう、最後に………ロイドさん」ズイッ

ロイド「えっ。な、なんでしょう?」

マリアベル「耳を貸して下さる?」

ロイド「……?」スッ

マリアベル「…もし、私のエリィを哀しませるような真似をしたら………」ヒソヒソ

ロイド「…はい」

マリアベル「………………殺しますわよ?」

ロイド「……ッ!…は、はい。気をつけます…」

エリィ「?」

マリアベル「ふふ…では、失礼しますわね」


スタスタスタ…

ロイド「…」

エリィ「何か言われたの?」

ロイド「い、いやぁ……仲良くねって……ははは」

エリィ「そう、…ふふっ、ベルは心配性だから」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/12(月) 07:39:51.75 ID:awjEQksG0
待ってるから続きをよ
53 :1 ◆iSl5a5Vtu. :2012/03/19(月) 12:18:44.43 ID:GcO2hgdAO
エリィ「それじゃあ、私達もオークションが始まるまでパーティー会場の方に行きましょうか」

ロイド「そうだね、緊張して喉が渇いてきたし」

エリィ「ふふっ、じゃあ行きましょう」

スタスタスタ…

ロイド「…」

ロイド(あそこにいたの…確かルパーチェのガルシア・ロッシだよな……)

ロイド(エリィがチンピラに絡まれてて助けに入った時、彼がたまたま現れたから大事にはならなかったけど…まさか、こんな所でまた見るなんて……)

ロイド(ハルトマン議長にルパーチェ………この競売会がどれだけヤバいものか…よくわかった気がする……)
54 :1 ◆iSl5a5Vtu. :2012/03/19(月) 12:32:33.39 ID:GcO2hgdAO
『ハルトマン邸内 小会場』


ガヤガヤ…

エリィ「ここみたいね」

ロイド「う、うわ…」

辺りを見回すと、高級な服や装飾品を身につけたいかにもセレブな人達で賑わっていた…


エリィ「?」

ロイド「あ、いや。なんか、自分が場違いな感じがしてね…ははは」

エリィ「もう、そんな事気にしないでいいのに…。今のあなたは充分、この場に溶け込んでいるように見えてるわよ」

ロイド「う、うん。ありがとう、エリィ」

紳士風な男「おや、そこにいるのはもしかして…マクダエル家のお嬢さんでは?」

エリィ「? …あら!ご無沙汰してます」

紳士「まさか君がここに現れるとは。驚いたよ」

エリィ「ふふ、今日はお父様達の代理で来ていまして」

ロイド(…誰?)

エリィ(お父様の知り合いの方よ。ちょっとご挨拶だけしてくるわね)

ロイド(ああ、わかったよ。僕はそこら辺にいるから)

エリィ(ええ、すぐ戻るから)
55 :1 ◆iSl5a5Vtu. :2012/03/19(月) 12:39:30.78 ID:GcO2hgdAO
ガヤガヤ… ガヤガヤ…


ロイド「…」

ロイド(エリィは気にするなって言ってくれてるけど、やっぱり落ち着かないなぁ…)

ロイド(…)キョロキョロ

ロイド(ワジもお嬢様方もいないな…先にオークション会場に入ってるのかな?)


老婆の声「おやおや、アンタはもしかして…」

ロイド「…え?」

老婆「だいぶ前にあたしの店の前で揉め事を起こしてくれた坊やじゃないか」

ロイド「ぁ……、あなたは確かアンティークショップの…」

イメルダ「イメルダさ。久しぶりだね、坊や…ヒッヒッヒ」

ロイド「お、お久しぶりです。参加されていたんですね」

イメルダ「やだね、意外そうな顔をして。あたしを誰だと思ってんだい?イメルダだよ?」

ロイド「…あはは、そうでしたね(よくわからない…)」
56 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/20(火) 07:55:54.05 ID:OyqQfTCAO

イメルダ「ところでアンタ、一人で来たのかい?」

ロイド「いえ、違いますよ。彼女と一緒に……ほら、あそこで話している子です」

イメルダ「んん…?」

エリィ「…」
紳士「…」

イメルダ「ありゃ、あの子はマクダエル市長の孫娘じゃないか」

ロイド「あっ、あまり大きい声出さないでくださいよ」

イメルダ「ヒッヒッヒ、こりゃ驚いたね。まさかアンタとあのお嬢さんが一緒になるとは」

57 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/20(火) 09:34:52.20 ID:OyqQfTCAO
ロイド「…はは、よく言われますよ」

イメルダ「それで、もう婚約とかはしてるのかい?」

ロイド「えっ。いや、まだそんな…」

ロイド「……実は、まだご両親にも会っていなくて……俺と交際してる事も知らないんです」

イメルダ「なんだいそりゃ、呆れたねえ」

ロイド「ええ…本当は直ぐにでも行きたいんですけど……やっぱり、俺と彼女のでは身分が違いすぎて…」

イメルダ「ヒッヒッヒ、青いねえ。アンタのあの娘への想いは身分の差なんかで冷めちまうモンなのかい?」

ロイド「…!いえ、そんな事は……」

イメルダ「一番大事なのは、どんな苦難があろうとも、あの娘と一緒にやっていくという気持ちだろう?」

ロイド「イメルダさん………」

イメルダ「ヒッヒッ…まあ、もし許しを貰えて結婚するってんなら、ウチにおいで。いい指輪を売ってやるよ」

ロイド「…ありがとうございます」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/20(火) 16:56:46.65 ID:05SgPREAO
ルバーチェじゃなかったか?
59 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage]:2012/03/20(火) 17:34:21.85 ID:OyqQfTCAO
>>58
マジで?
ずっとルパーチェって読んでた
60 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/21(水) 19:28:30.85 ID:AUboi3FAO

エリィ「…それでは人を待たせていますので、ここで失礼しますね」

紳士「ああ、すまないね。呼び止めてしまって」

エリィ「いいえ、いいんですよ。それでは」ペコリ



ザワザワ…

エリィ(少し時間取られちゃったわね…)

エリィ「ええっと…ロイドは……」

???「ニャー」

エリィ「……え?」

猫「ニャー」

エリィ「え……ね、猫?なんで猫がここに…?」

猫「ニャーニャー」

エリィ「…え?なに?」

猫はエリィの指をじっと見つめている

エリィ「…?」

猫「…」ジーッ

どうやらロイドからプレゼントされたリングを見ているようだが…
61 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/21(水) 19:36:42.45 ID:AUboi3FAO

エリィ「…?……ぁ、もしかしてこれ?」

猫「ニャーニャーニャー」

エリィ「ごめんね。これはあげられないの」

猫「…ニャー」

エリィ「ちょっと見るだけならいいけどね。…はいっ」スッ

猫「…!」

パクッ

エリィ「ぁっ」

猫はエリィの手からリングをくわえ、奪い去って行った

猫「ニャー」タッタッタ…

エリィ「え…ちょ、ちょっと待って!」

タッタッタ…
62 :1 ◆iSl5a5Vtu. [sage saga]:2012/03/21(水) 19:55:54.34 ID:AUboi3FAO

ロイド「………」

ロイド(エリィ、遅いなぁ…近くにはいないみたいだけど……)キョロキョロ

マリアベル「あら、ロイドさん」

ロイド「…げ、あ、いや、マリアベルさん…!」

マリアベル「……今、『げ…』と仰いませんでした?」

ロイド「いやいや!聞き間違いですよ」

マリアベル「…ふふ、まあいいでしょう」

マリアベル「ところで、エリィがいないようですが、何処に?」

ロイド「いや、ちょっと顔見知りの人とそこで話してたんですけどね。ちょっと目を離してたら近くにはいなくて…」

マリアベル「あら、そうでしたの。オークションはもう少しで始まってしまいますわよ?」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 13:10:13.60 ID:XFHTQ/jSO
もう来ないのか……
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/18(金) 13:51:29.35 ID:IV7x35yU0

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓             
┃中々だ。            ┃
┃感服したぜ。                 ┃
┃                         ┃
┃                         ┃
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