妹「私、お姉ちゃんみたいになりたい！」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 00:37:43.23 ID:H+2FSj7z0

姉「え？」

妹「だから、お姉ちゃんみたいになりたいの！」

姉「う、うん、それはわかったから……なんでよ急に？」

妹「えっ」

姉「なんなの？」

妹「そ、それは……」

姉「それはなによ」

妹「く、クラスの子で私が好きな子がお姉ちゃんのことが好きでだからえっと！」

姉「……ちょっと落ち着きなさい」

妹「ひゃう！」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1329752263（SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中！）

1.5 ：荒巻＠管理人★(お知らせ) [Twitter]： ID:???

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ぶらじる ＠ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう ＠ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
　　http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず ＠ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
　　http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 ＠ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 ＠ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい　　安部菜々編 ＠ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
　　http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 ＠ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ？」 ＠ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
　　http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 00:38:38.85 ID:H+2FSj7z0

姉「つまり、クラスのあんたが好きな男の子が私のこと好きで、だから私みたいになりたいと？」

妹「ま、まあそういうことにしといてあげるよ」

姉「なんでそこで威張るのよ」

妹「間違えた」

姉「間違える箇所が意味わかんない」

妹「そ、それでね！だからお姉ちゃんのこと、色々教えて欲しいっていうか……！」

姉「色々って、たとえばなによ」

妹「スリーサイズとか」

姉「無理でしょ。大体私とあんたじゃ天と地ほど違うんだし私みたいになれるわけないんだから」

妹「天と地って言いすぎだと思う……」

姉「ほんとのことでしょ」

妹「うぐっ」

3 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 00:39:20.96 ID:H+2FSj7z0

姉「あんたの体型は誰に似たのかしらねー」

妹「う、うるさいなあ。どうせ私はぺったんこのちびだもん……」

姉「ま、そういうのが可愛いって人もいるけどね」

妹「！」ﾄﾞｷｯ

姉「なによ？」

妹「……なんでもない。じゃ、じゃあ！」

姉「また変なこと言いそうだから聞かない」

妹「そ、そんな……」

姉「ていうかなんでそんなこと聞きたがるのよ。私みたいになりたいってただの口実でしょ？」

妹「えっ」

姉「わかるわよ、伊達にあんたの姉やってないんだから」

妹「う、うん……」

4 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 00:40:05.12 ID:H+2FSj7z0

姉「ほんとは好きな子と上手くいくように協力してほしいんでしょ？」

妹「そ、そんなこと」

姉「いいのいいの、わかってるって」

妹「いや……」

妹「(またお姉ちゃんの勝手な思い込みが始まったよ――)」

姉「ま、あんたの珍しい顔とか色々見れそうだし？協力してあげてもいいかな」

妹「えっ、ほんと！？」

姉「まあね、ただ、今日はもう遅いから寝なさい。明日も学校でしょ、あんた」

妹「お姉ちゃんだって」

姉「私はもう卒業式まで学校行かなくていいの」

妹「う……」

5 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 00:40:42.75 ID:H+2FSj7z0

姉「ほーら」ﾄｽｯ

ｶﾞﾁｬｯ

姉「おやすみ」

ﾊﾟﾀﾝ

妹「ん……おやすみ」

妹「(私のことなんか、全然わかってないじゃん)」

妹「(でも、お姉ちゃんと話すチャンスできたしこれはこれでいい、のかな)」

妹「……お姉ちゃんのバカ」

6 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 00:41:21.01 ID:H+2FSj7z0

―――――　――
次の日

ﾄﾝﾄﾝ、ﾄﾝﾄﾝ!

妹「う、だれー……」

姉「おーきーろー！」

妹「うわあ！」

ばさっ

妹「お姉ちゃん！？」

姉「はい、おはよ」ﾆｺ

妹「！」

妹「お、おはよ」

姉「さ、早く起きて！支度しなきゃね！」

妹「えっ」

7 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 00:41:58.56 ID:H+2FSj7z0

姉「えっ、じゃないわよ。あんたが好きな子と相思相愛になるためにはまず、ちゃんと可愛い格好しなきゃね」

妹「じ、自分でできるし！」

姉「だめだめ！まずその髪型がだめ！」

妹「なんで！？」ﾊﾞｯ

姉「たまには変えなきゃね♪」

妹「で、でも」

姉「だから早く起こしたの。さっ、まずは洗面所で顔洗って！」

妹「ちょ、ちょっとお姉ちゃん……」

妹「(な、なんかやけにはりきってない……？)」

8 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/02/21(火) 00:45:28.18 ID:H+2FSj7z0

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322303571/の立て直しです
以前のものを手直ししながら今度こそ完結まで持って行くつもりなのでよければお付き合いお願い致します

9 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/02/21(火) 00:45:45.64 ID:7XZrzH0Ro

待ってた

10 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/02/21(火) 06:21:43.76 ID:WJ6x0YoFo

おお！待ってました！
完結楽しみにしてます

11 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:14:52.46 ID:4AWX316h0

―――――　――
姉の部屋

姉「じゃ、ここに座って」

妹「……なんでお姉ちゃんの部屋なの？」

姉「あんたの部屋でやると落ち着かないし」

ｸﾞｲｯ

妹「ひゃう！？」

姉「はい、前向いてじっとしてて」

妹「(お、お姉ちゃんの手が……)」

姉「……」

妹「(しかもなんでこんなに近くで鏡覗き込んでるのよー！)」

12 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:15:39.93 ID:4AWX316h0

姉「うーん、あんたに似合いそうな髪形はねー……」

姉「……熱でもあるの？」

妹「へ？」

姉「なんか顔、熱いよ」ﾋﾟﾄｯ

妹「ななななな、ないっ！」ﾊﾞｯ

姉「そ、そう？」

妹「う、うん……」

姉「じゃ、なにか好きな髪形とかある？あんたの髪長いからそれなりに色んな髪型できると思うんだけど」

妹「えっと……」

姉「ま、私に出来る範囲でだけどね」

妹「……お姉ちゃんと一緒」

13 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:16:40.15 ID:4AWX316h0

姉「え？」

妹「だ、だからお姉ちゃんと一緒がいいの！」

姉「なんでよ？」

妹「言ったでしょ、昨日！私の好きな子がお姉ちゃんのこと好きだから、私もその、お姉ちゃんと一緒の髪型にしたいなって！そう思っただけ！」

姉「そんなに怒らなくてもいいでしょ……」

妹「だ、だって……」

妹「(恥ずかしいじゃん、そんなの)」

姉「ま、恋する乙女ってことにしときますか」

妹「……バカ」

姉「なに」

妹「なんでもない」

14 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:17:20.79 ID:4AWX316h0

姉「悪態吐いたら協力しないよ」

妹「ぐぬ……」

妹「(全部お姉ちゃんが悪いんじゃん……でも協力しないってなったらまたお姉ちゃんと話せなくなっちゃいそうだし……)」

妹「(それに、もうすぐお姉ちゃん、家を出て行っちゃうのに――)」

姉「大人しくなったわね」

妹「……」ｺｸｯ

妹「学校、行かなきゃなんだから早くしてよね」

姉「はいはい」ｸｽｯ

妹「(うっ……)」

15 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:18:06.32 ID:4AWX316h0

妹「(お姉ちゃんが笑ってるだけで許せちゃう私ってかなり重症……)」

ｽｯ､
ｽｯ､

姉「痛くない？」

妹「平気」

姉「そういえば小さい頃さ、一緒に美容師さんごっことかしたの、覚えてる？」

妹「……覚えてるよ」

妹「(あの頃からだもん、お姉ちゃんを意識するようになったのは)」

姉「なんか懐かしいなあって思っちゃった」

妹「うん……」

16 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:18:48.71 ID:4AWX316h0

姉「ずっとあんたの髪触ってたい気がする」

妹「……！」

姉「まあ冗談だけどね」

妹「あ、当たり前……」

姉「学校行かなきゃなんないんだもんね」

妹「――じゃあ私が学校なかったら、お姉ちゃん、ずっとこうしてた？」

姉「ん？」

ｽｯ､
ｽｯ､

姉「どうかなあ……してたかも」

17 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:19:28.31 ID:4AWX316h0

妹「……あっそ」

姉「あ、こら、だから動かないでって」

妹「お姉ちゃんのせい！」ﾊﾞｯ

姉「はあ？って、だから動かない！髪の毛引っ掛かるでしょ！なに振り向いてんのよ」

妹「あっ」

姉「早く起こしといて正解だわ……」

妹「……すみません」

妹「(でもお姉ちゃんの顔、なんだか少しいつもと違った気がする……)」

18 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:20:02.54 ID:4AWX316h0

―――――
　―――――
数分後

姉「はい、できた！」

妹「あ……」

姉「私とおそろいって言われても何も面白みがないんだけど。ただ流してるだけだし」

妹「お姉ちゃんとおそろい……」

姉「小さい頃はよくおそろいだったけどね。嬉しい？」

妹「う、嬉しいわけはないけど！」

姉「はいはい、そうよねー」

妹「うん……」ﾌｲｯ

姉「さ、早く学校行ってきなさい、その可愛い格好で」ｸｽｯ

妹「う、うるさいっ」

19 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:20:58.93 ID:4AWX316h0

―――――　――
学校

妹「はあ……」

妹「(……お姉ちゃんとおそろい)」ｿｯ

友「おはよー、ってなににやついてるの！？」

妹「うわあ！？べ、べつににやついてなんか……！」

友「にやついてるよ！それに携帯開いたままなにしてるの？カメラ画面になってるし……」

妹「あ、うん。写真撮ろうと思って」

友「誰の？」

妹「誰でもいいけど、とりあえず男君のかな」

友「もしかしてとうとう春が……！」ｶﾞｼｯ

妹「違うし」

友「うわあ、冷めてるー」

妹「まあね」

友「あ、髪型かえたんだね」

妹「さきにそっち気付いてよ」

20 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:22:04.27 ID:4AWX316h0

友「かわいいよ」

妹「へへ、ありがと」

友「それで、なんでモテモテ男君の写真なんか撮るの？売るの？」

妹「私をなんだと思ってる」

友「今まさに盗撮しようとしている女子高生」

妹「ま、間違ってないけどさ……。あれだよその……」

友「なあにー？」

妹「お姉ちゃんに頼まれたっていうか……」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

友「あぁ、お姉さんいるんだっけ？確か元生徒会長だったよね、今三年生の」

妹「うん、そうそう！」

友「お姉さんのことになると途端に食いついてくるね……」

妹「うっ……」

21 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:22:45.28 ID:4AWX316h0

友「まあいいんだけど」

妹「まあいいよ」

友「お姉さん、すっごく美人だよねー。遠目にしか見たこと無いけど……」

妹「うん、お姉ちゃんはすっごい美人」

友「お姉さん、彼氏とかはいないの？」

妹「えっ」ｽﾞｷｯ

友「男君の写真頼んでるなら今はいないんだろうけど……すごくモテそうだよね」

妹「……い、いるわけないじゃん、あんなのに」

友「言ってること矛盾してない？」

妹「矛盾なんてしてないし……」

妹「(いたら困るし……そんなの絶対やだ)」

22 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:23:37.60 ID:4AWX316h0

友「あっ」

妹「……」

友「ねえ」ﾕｻﾕｻ

妹「わっ！と、突然揺すらないでよ！」ｸﾞﾗｸﾞﾗ

友「だって、男君来たって知らせようと思って……」

妹「あっ」

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

男「あはははっ」

ｷﾗｷﾗｯ

友「輝いてるねえ……」

妹「うざいくらい輝いてるねえ……」

友「写真撮るの今じゃない？」

妹「(お姉ちゃんに証拠写真として提出したあとすぐに削除しよう)」

ﾄﾄﾄｯ

友「って、ちょっと！？」

23 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:24:22.83 ID:4AWX316h0

妹「男君！」

男「うん？」

妹「(うわ、振り向き方もいけ好かない)」

妹「写真撮らせてくれないかな？」

P「いいよ」

妹「(即答するなんてますますいけ好かない……)」

ﾊﾟｼｬｯ

妹「ありがと、じゃ」

ﾀﾀﾀｯ

妹「ふう……」

友「ねえ、ちょっと」ｸｲｸｲｯ

妹「え？」

友「なに勘違いされるようなことしてるの、あれ……」

24 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:24:59.64 ID:4AWX316h0

男「……」ｼﾞｰｯ

妹「なんか見られてる！？」

友「さすがの男君も今の以上に積極的な子見たこと無いんじゃないかな……」

妹「あ、そうなの？」

友「あっさりだね……」

妹「(これでお姉ちゃん、満足すればいいけどな……)」

友「今のでいわゆるフラグというやつが……」

妹「……」ﾌｰﾑ

友「聞いてる？」

妹「聞いてない」

友「……聞いてよ」

25 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:25:38.46 ID:4AWX316h0

―――――　――
自宅

妹「ただいまー」

母「おかえり」

妹「……」ｷｮﾛｷｮﾛ

母「なにか探しもの？おやつならないけど」

妹「違うもん」

妹「……お姉ちゃんは？」

母「さっきどこか出掛けたわよ。もうすぐ帰って来ると思うけど」

妹「ふーん……」

妹「(なんだ、いないんだ……)」

26 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:26:19.69 ID:4AWX316h0

母「お姉ちゃん、最近受験終わって真昼間から出かけるからねぇ。一応まだ高校生なんだからそんな昼間から遊びまわらないでほしいわ……」

妹「(遊び……！？)」

『お姉さん、彼氏とかはいないの？』

妹「……」

妹「お、お母さん！」

母「なーにぃ？今お皿洗いで忙しいんだけどねぇ」

妹「お姉ちゃんってさ……その、彼氏、とかいるのかな」

母「はぁ？いきなりなにをいいだすのよー」

姉「そうそ、意味わかんないし」

ｶﾞﾁｬｯ

妹「お姉ちゃん！」

27 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:27:01.38 ID:4AWX316h0

母「お帰り、今日は早かったのね」

姉「ただいまー」

妹「彼氏のとこじゃなきゃどこ行ってるのさ！」

姉「なんでそんなに突っかかってくるのかわからないんだけど」

妹「う……」

姉「だいたいあんたに教える義務はないでしょ」

妹「それはそうだけど……！」

母「はいはい、仲良く姉妹ゲンカしてたらいいけどお母さんちょっと出かけてくるから」

姉「はーい」

ｶﾞﾁｬｯ
ﾀﾀﾀ...

妹「お姉ちゃん……」

28 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:27:44.43 ID:4AWX316h0

姉「で？」

ｽﾞｲｯ

妹「！？」

妹「(え、え、え、なんか近くない！？)」

姉「そういうあんたはどうだったのよ」

妹「あ……」

姉「うまく行った？なんか言われた？」

妹「えっと……」

妹「(うまくいくもなにも、最初から好きでもない奴なんてどうでもいいし……)」

姉「だめだった？その髪型、なにか言われなかったの？」

妹「いや……あっ、写真！」

姉「え？」

妹「写真撮ってきたよ、ほら！」

29 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:28:34.65 ID:4AWX316h0

姉「あ、ほんとに撮って来たんだ」

妹「お姉ちゃんが撮って来いって言うから……」

姉「あんた、その、ほんとにえーっと……」

妹「……男君？」

姉「そう、ほんとに男君のことが好きなの？」

妹「……」

妹「うん」

妹「(嘘だけど)」

姉「……ま、いいけどね。この様子じゃなんも発展してないわけだ」

妹「そういうことになるね」

姉「ったく、しかたない子……」

妹「むう」

30 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:29:14.63 ID:4AWX316h0

姉「明日、久し振りに一緒に学校行こうか」

妹「えっ！？」

姉「生徒会の仕事の引継ぎとか色々残ってるし……」

妹「そ、それって一緒に学校行くってこと？」

姉「そうだけど」

妹「……し、仕方が無いから一緒に行ってあげる」

姉「あんたってツンデレなの？」

妹「違うしっ」

姉「ふーん」

妹「笑うなー！」

31 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:30:03.12 ID:4AWX316h0

―――――　――
夜

ﾓｿﾞｯ

妹「……」

妹「……うぅ」

妹「(……眠れない)」

ﾊﾞｻｯ

妹「はあ……」

妹「(そういえば、お姉ちゃんと一緒に学校行くのって小学校以来かも。中学も高校も、お姉ちゃんを追いかけて同じ学校に行ったけど一緒に家出たことはなかったんだっけ)」

妹「(……歳も違うし、頭の出来も身体の出来も違うし、私とまったく正反対なんだもんね、お姉ちゃん)」

ｶﾀﾝ...

妹「(中学生になってからはいつもお姉ちゃん、みんなに囲まれて家でもあんまり話す事なくなっちゃって)」

妹「……写真の頃が、懐かしいなあ」

32 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:30:47.77 ID:4AWX316h0

―――――
　―――――
翌日

ﾄﾝﾄﾝ､ﾄﾝﾄﾝ!

姉「おーきーろー！」

ばさっ

妹「……起きてる」

姉「……起きてないじゃん」

妹「目は覚ましてるよ」

姉「さっさと立って制服に着替える」

妹「ん……」

ｶﾞｻｺﾞｿ

妹「(結局あんまり眠れてないから眠いなあ……)」

33 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:31:43.47 ID:4AWX316h0

姉「寝不足？昨日部屋帰って何してたのよ」

妹「な、なにもしてないしっ」

妹「(お姉ちゃんのこと考えて眠れなかったなんて言えるはずないもん)」

姉「寝不足で授業ちゃんと受けれなかったら学校行く意味ないでしょ」

妹「うん……真面目っ子」

姉「褒め言葉？」

妹「知らない」

姉「朝不機嫌な子は嫌われちゃうよ」

妹「ていうかお姉ちゃんが出て行ってくれなきゃ着替えられないんだけど……」

姉「え？」

34 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:32:19.95 ID:4AWX316h0

妹「そんなに妹のお着替えシーンがみたいの……？」

姉「……」

姉「恥ずかしがらなくてもいいのにね？」

妹「恥ずかしいから出てって！」

姉「はいはい」

妹「だから笑うなーっ」

ｶﾞﾁｬｯ
ﾊﾞﾀﾝ

妹「……もう」

妹「……」ﾊﾞｻｯ

35 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:32:57.77 ID:4AWX316h0

姉『着替え終わった？』

妹「まだ！」

姉『覗いていい？』

妹「変態！」

姉『冗談よ』

妹「全然おもしろくないし！」

姉『……』

妹「……」

妹「(黙っちゃった……？)」

妹「……お姉ちゃん？」

36 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:33:36.90 ID:4AWX316h0

姉『……』

妹「……お姉ちゃ」

ｶﾞﾁｬｯ

姉「怒ったと思った？」

妹「……」ﾎｯ

妹「思ってない！」ﾌﾟｲｯ

姉「そ」

妹「……うん」

姉「で、着替えられたの？」

妹「へ？」

姉「ボタン、かけちがえてる」

妹「あっ」

37 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:34:21.74 ID:4AWX316h0

姉「あと髪もちゃんとしなきゃね」

妹「……う、うん」

姉「あんたは今から好きな人に会いに行くようなもんなんでしょ」ﾎﾟﾝｯ

妹「……」ｺｸｯ

姉「……」

妹「お姉ちゃん？」

姉「……髪、とかそっか」

妹「今日はサービス精神旺盛だね」

姉「久し振りに学校行くからね」

妹「ふーん……」

38 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:35:07.23 ID:4AWX316h0

―――――　――
母「あら、おはよう」

妹「おはよう」

姉「おはよ」

母「珍しいわねぇ、二人一緒に起きてくるなんて。お姉ちゃん、学校行くの？」

姉「うん、行く」

母「あと髪、一緒なのね」

妹「今さら気付いたの！？」

母「ちゃんと気付いてたわよぉ、今」

妹「なにそれ！」

39 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:35:49.29 ID:4AWX316h0

姉「はいはい、お母さんに突っ込むのはやめて早く学校行くよ」

妹「えっ」

母「あら、もう行くの？お弁当どうする？」

姉「私はどこかで買うよ、行ってきます」

妹「え、ちょっと……」

ｶﾞﾁｬｯ
ﾊﾞﾀﾝ

妹「……」

姉「……」

妹「家出るの、早くない？」

40 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 07:36:31.79 ID:4AWX316h0

姉「たまにはいいでしょ、私はいつもこの時間に行ってたんだし」

妹「お姉ちゃんがいつも乗ってた時間のバス、今年の4月からなくなるんだって」

姉「私がいなくなっちゃうからバスも用済みになっちゃったってこと？」

妹「……お姉ちゃんのためにバスが走ってたわけじゃないでしょ」

ﾄ､ﾄ､ﾄ､

妹「(……お姉ちゃんと並んで歩くの、久し振り)」

姉「……そういえば、あんたと歩くのって久し振り」

妹「えっ」ﾋﾟﾀｯ

姉「なによ急に立ち止まって」

妹「……びっくりしただけ」

姉「なにに対して？」

妹「同じこと、考えてたから……」

41 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/02/21(火) 07:37:20.74 ID:4AWX316h0

朝の投下は以上
また夕方から出来てるところまで一気に投下していきます

42 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/02/21(火) 07:56:36.30 ID:edYjszDHo

おっどこかで見た気がしたと思ったら
乙

43 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:17:20.30 ID:fKgkOK1/0

姉「ふーん」

ﾄﾝｯ､

妹「むぐっ、急に押すな――」

姉「ほら、さっさと歩く」

姉「姉妹なんだから同じこと考えてたって珍しくないでしょ」

妹「……そうなの？」

姉「そう」

妹「じゃ、じゃあ！」

姉「ん？」

妹「(この好きって気持ちも同じなんじゃ――)」

44 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:18:06.65 ID:fKgkOK1/0

姉「なに？」

妹「なんでもない……」

妹「(なんて、あるわけないもんね)」

姉「へんなの」

妹「へんだもん」

姉「もっと変なこと言い出すんじゃないかと思ってたのに」

妹「私そんなに変じゃないし」

姉「言ってること矛盾してる」

妹「うぅー」

45 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:20:14.11 ID:fKgkOK1/0

―――――　――
バス停

妹「……」

姉「……さむっ」

妹「もう春なのにね」

姉「ほんと。さっさと温かくなってほしいわ」

妹「寒いの嫌いだっけ」

姉「大嫌い」

妹「……へえ」

妹「まわり、誰もいないんだけど」

姉「時間が時間だしね」

妹「家出るの早過ぎたなんて言わないでよ」

46 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:22:54.42 ID:fKgkOK1/0

姉「まさにそのとおり」

妹「ちょっと！」

姉「家にいたってなにもすることないでしょ」

妹「ま、まあ……」

妹「(……でも、これってしばらくこんな静かな場所でお姉ちゃんと二人っきりってことなんじゃ)」

姉「たまには外でのんびりするのもいいかもね、寒いけど」

妹「うん、寒いよ」

姉「別にギャグ言ったわけじゃないんだけど」

妹「だから私も普通に答えたじゃん」

姉「そうね」

妹「なんなのもう」

47 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:25:46.90 ID:fKgkOK1/0

姉「マフラー、ちゃんと巻いた？」

妹「そういえば、変になってる……」

姉「まったく……」ﾏｷﾏｷ

妹「あっ……」ﾄﾞｷｯ

姉「はい、できあがり」

妹「……なんか今日のお姉ちゃん、やけに世話好き」

姉「……久し振りに学校行くからね」

妹「世話好きおばちゃん」

姉「そんな歳じゃないですが」ｷﾞﾘｯ

妹「い、いたいいたい！マフラー引っ張らないで！」

姉「私はまだれっきとした女子高生」ｼｭﾙｯ

妹「……はあ、苦しかった」

48 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:26:45.28 ID:fKgkOK1/0

姉「……」

妹「……」

妹「(……なにはなせばいいのかわからなくなってきた)」

妹「(昨日やその前はほとんど私の偽恋話で……)」

姉「……」

妹「男君！」

姉「はい？」

妹「あ、いや……」

姉「そんなに男君の話題出したいか」

妹「というか」

妹「(それしかお姉ちゃんが乗ってくれそうな話ってないし……わかんないけど)」

49 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:27:30.67 ID:fKgkOK1/0

姉「好きだってことはわかったから」

妹「そ、そうなの？」

姉「いちいち出さなくてもいいよ」

妹「……なにそれ」

妹「(出さなきゃお姉ちゃん話してくれない気がするから……)」

姉「話題に困ったら何も話さないって手もあることを知りましょうね」

妹「うぐぐっ」

妹「……べ、別に話題に困ってるってわけじゃないし」

姉「……私は随分と困ってるけどね」

妹「えっ……」

姉「だって」

50 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:28:17.35 ID:fKgkOK1/0

妹「だって、なにさ」

ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛｯ...

姉「バス、来た」

妹「あ……」

姉「乗る人、今日は少ないのねー」ｷｮﾛｯ

妹「うん……」

ｽｰｯ､ｶｼｬﾝｯ

姉「はい、乗るよ」

妹「……わかってる」

妹「(困ってるって、なんでよ。私と一緒にいるの、やっぱりお姉ちゃんは嫌なのかな)」

51 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:28:58.50 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――

姉「……さっきからなにむっつり黙り込んでるのよ」

妹「むっつりじゃないし」

姉「どうしてそこだけ反応するの……」

妹「むっつりじゃないもん」

姉「あ、そう」

妹「お姉ちゃん」

姉「んー？」

妹「窓際代わってよ」

姉「他に言いたいことあるんじゃないの？」

妹「……べつにないもん」

52 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:29:38.35 ID:fKgkOK1/0

姉「拗ねてる？」

妹「拗ねてない」

姉「ほら拗ねてる」

妹「拗ねてないもん」

妹「……」

妹「だって、ほんとに拗ねてるわけじゃないし」

姉「じゃあなに？」

妹「(お姉ちゃんが気になること言うからだよバカ)」

姉「……」

姉「ま、いいんだけどね」

53 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:31:46.55 ID:fKgkOK1/0

妹「めんどくさいって思ったでしょ」

姉「ちょっと」

妹「うぐ」

妹「……めんどくさい妹で悪かったね」

姉「ほんとにね」

姉「でも」

妹「なに」

姉「あんたみたいな妹で良かったなって思うよ」

妹「どういう意味よ」

54 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:32:32.55 ID:fKgkOK1/0

姉「自分で考えて」

妹「わかんない」

姉「あんたは私みたいなのが姉で良かったでしょ？」

妹「……」ﾁﾗｯ

妹「……うん」

姉「あら素直」

妹「うるさい」ｶｱｯ

姉「どうして私が姉で良かったと思う？」

妹「どうしてって」

55 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:33:14.36 ID:fKgkOK1/0

妹「(もしまったく関係ない赤の他人だったら私と違うこの人と話せるわけなんてなかったし)」

妹「(こうして一緒にもいられなかった)」

妹「……」

姉「たぶん、今あんたが考えてるのと同じ意味」

妹「妹じゃなきゃ私みたいな無能とは話さなかったってこと？」

姉「……」

姉「ま、そういうことにしておきましょうか」

妹「なっ」

姉「あんたは無能でもなんでもないと思うけどね」

56 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:33:49.47 ID:fKgkOK1/0

妹「今さら慰めなんていらないよ……」

姉「あらそう？」

妹「……慰めだったんだ」

姉「ってこともないけど」

妹「……ふーん」

ﾋﾟﾀｯ
ｽｰ､ｶｼｬﾝｯ

57 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:34:21.02 ID:fKgkOK1/0

姉「はい、着いたから降りて」

妹「ん」

姉「ちょっと機嫌なおった？」

妹「私はそんな単純じゃないもんっ」ﾋﾟｮﾝｯ

姉「へえ」ｸｽｯ

妹「むう……」

58 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:36:28.77 ID:fKgkOK1/0

―――――　――
学校

姉「久々に校門くぐったわ……」

妹「この時間、人いないんだ」

姉「まだだいぶ早いからね。バスも人少なかったでしょ」

妹「お姉ちゃん、こんな早い時間から来てずっと生徒会の仕事？」

姉「まあね」

妹「……誰と？」

姉「まだ彼氏がどうとかって気にしてるわけ？」

妹「そ、そういうわけじゃないし！」

妹「ていうかどうでもいい！」

59 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 19:40:49.69 ID:fKgkOK1/0

姉「ま、わざわざ生徒会室来て告白しに来る輩はいたけどね」

妹「輩って」

姉「輩よ」

妹「……そうなんだ」

妹「(だから男君がお姉ちゃんのことをどうとか言っても動じなかったわけだ)」

妹「(あの言葉……間違って無いみたい)」

『すごくモテそうだよね』

妹「(何度か噂は聞いたことあったけど、お姉ちゃん自身からそんな話聞いたのは初めてだし)」

妹「(ちょっとショックかも……)」

60 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:25:21.35 ID:fKgkOK1/0

姉「三年生の下駄箱、すっかり空っぽになっちゃってるね」

妹「ほとんどの先輩が取りに来たみたいだから」

姉「みんな卒業式までもう来ないつもりなんだろうな」

妹「お姉ちゃんくらいだよ、この時期に学校来るなんて」

姉「言ったでしょ、私は色々用事があるの」

妹「生徒会、新しい会長さんたちに任せればいいのに」

姉「そのつもりだったんだけど、違う用事ついでにね」

妹「違う用事？」

姉「あんたの恋のキューピット」

妹「……キモッ」

姉「言うと思った」

61 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:26:04.28 ID:fKgkOK1/0

姉「あらマフラーもっときつく巻いた方が良かった？」

妹「……遠慮します」

妹「(……ほんと、やけにはりきってるよお姉ちゃん)」

姉「あんたってすごくへたれそうなんだもん」

妹「へたれは認めるよ……」

妹「(実際本当に好きな人に対してはすごくへたれなんだもんね)」

姉「だから手伝ってあげなきゃね」

妹「でも、状況わかってるの？」

姉「え？」

妹「私の(仮)好きな人、お姉ちゃんのことが好きって言ったでしょ」

姉「言ってたね」

62 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:27:14.66 ID:fKgkOK1/0

妹「お姉ちゃんがそんなことしたら逆に勘違いされそうじゃない？」

妹「(何するつもりか知らないけどお姉ちゃんのことだから男君にひょこひょこ近寄って色々聞き出したりしそうだし)」

姉「えーっと……男君？」

妹「いい加減名前くらい覚えてあげようよ」

姉「男君に近付かれるのがそんなにいや？」

妹「そういうわけじゃないけど」

妹「(むしろ逆だし)」

妹「(お姉ちゃんに近付かれるのがいやなんだし)」

姉「妬かなくっても大丈夫だって」

63 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:27:53.30 ID:fKgkOK1/0

姉「男君なんて眼中にないし」

妹「そんなはっきりと」

姉「だって、本当のことだもの」

妹「……まあいいけど」

姉「ほっとした？」

妹「……ちょっとだけ」

姉「そう」

妹「だから笑わないでよー」

妹「(……私のほっとした理由、きっとお姉ちゃんは勘違いしてるんだろうな)」

64 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:28:38.98 ID:fKgkOK1/0

姉「まあ、みんなが来るまでまだ時間あるし、とりあえずついでの用事しにいきましょうか」

妹「えっ、いいの？」

姉「なにが？」

妹「生徒会室って、普通の生徒は入っちゃだめなんでしょ」

姉「べつにあんたについてこいって言って無いんだけど」

妹「あっ」

姉「ついてきたいならついてきてもいいけどね」

妹「……」

妹「……行く」

姉「はいはい」

65 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:29:24.22 ID:fKgkOK1/0

姉「生徒会室はね、確かに一般生徒は入室禁止だけど、さっきも言ったでしょーが」

妹「え、なにを？」

姉「あんたねえ」

姉「私に告白しにくる輩がいるんだって」

妹「……そっか」

姉「完璧な封鎖空間じゃないし、上級生にもなれば勝手に出入りしてる人だっているわよ」

妹「へえ……」

姉「だからあんたもべつにいいんじゃない？先生に睨まれたっていいんなら」

姉「まあ今日は元生徒会長権限」

66 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:30:03.08 ID:fKgkOK1/0

妹「そんなことに権力使っていいの」

姉「元だからいいの」

妹「怒られても知らないよ」

姉「私は優等生だからそんなことはありえません」

妹「うわ、やな自信」

姉「なにか言った？」

妹「なんでもない」

姉「卒業までのちょっとくらい、好きにさせてくれたっていいはずでしょ」

姉「今までいっぱいいっぱいだったんだし」

67 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:30:39.92 ID:fKgkOK1/0

妹「お姉ちゃん、すごく楽しそうだったけど」

姉「高校生活は楽しかったけど、窮屈だった」

妹「……私にはわかんない」

姉「わかんなくていいし」

妹「じゃあなんでそんなこと言うのさ」

姉「あんたみたいにのほほんと過ごしてられるのが羨ましい」

妹「べ、べつにのほほんと過ごしてるわけじゃ……！」

妹「(これでもお姉ちゃんのこととか進路のこととか色々考えてて……)」

姉「そうやって過ごせるのっていいよ」

68 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:32:11.98 ID:fKgkOK1/0

姉「だから自信持つべきなんじゃないかなって思うな、私は」

妹「……」

姉「あんたは変なとこで生真面目だけど」

妹「(さっきのバスのこと、気にしてるのかな)」

妹「説教臭い」

姉「あらら」

姉「私はこの18年間、重ね重ねて優等生やってきちゃったからなあ」

妹「……知ってるよ」

姉「……そっか」

妹「(そんなお姉ちゃんだから憧れて、好きになっちゃったんだもん)」

69 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:33:26.66 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――
生徒会室

ｶﾞﾗｯ

妹「うわ、かび臭い……」

姉「ちょっとそんなこと言わないでよ」

妹「だってほんとのことじゃん」

姉「……これは古い本の匂いっていうべきよ」

妹「古い本って……」

妹「あ、すごくいっぱい本がある」

姉「図書室でもないのにね」

70 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:34:11.13 ID:fKgkOK1/0

妹「……」ｷｮﾛｯ

姉「なによ」

妹「……生徒会の人、いないんだ」

姉「あぁ」

妹「あぁ、って」

姉「私が勝手に早く来てただけだから」

妹「えっ」

姉「特別なイベントとかない限り早く来る人はいないよ」

妹「へ、へえ……」

71 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:34:53.62 ID:fKgkOK1/0

妹「(ってことはまた二人っきりで……！？意識する私が悪いんだろうけど……)」

姉「えーっと」 ｶﾞｻｺﾞｿ

妹「な、なにしてるの？」

姉「仕事探し。整理する書類、この辺りに固めておいたはずなんだけど」

妹「すごい汚い机……」

姉「これでも皆どこに何があるかわかってるから……」

妹「お姉ちゃんはどの机だったの？」

姉「そこ」

72 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:35:43.68 ID:fKgkOK1/0

妹「一つだけ大きくない？」

姉「会長だからね、一番偉い」

妹「その机はあんまり汚くないね」

姉「今の会長は綺麗好き」

妹「お姉ちゃんのときは」

姉「さすがに他の机のように汚くはなかった」

妹「汚かったんだね」

姉「……他人が見る限りは」

姉「で、でも！最後、生徒会室出るときはちゃんと片付けたわよ！」

妹「へえ」

姉「……多少手伝ってもらったけど」

73 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:36:30.90 ID:fKgkOK1/0

妹「さすが優等生さん」

姉「嫌味か」

妹「ちょっと意外」

姉「意外で悪かったわね」

妹「(……ずっと家族なのに、お姉ちゃんのこと、なんでもよく知ってるわけじゃないんだよね私)」

姉「でも私も意外だったなあ」

妹「へ？」

姉「あんたがあんなメンクイだったなんて」

妹「あ、あれは……」

妹「(無理矢理仕立て上げた好きな人で……なんて言える訳無いし)」

姉「意外だった」

74 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:37:09.21 ID:fKgkOK1/0

妹「……何回も言わなくていいよ」

妹「ていうか男君の話題出すなって言ったのお姉ちゃんのくせに」

姉「話題を出すなとは言ってないよ」

妹「うぐ」

姉「記憶力悪いなあ」

妹「そうだよ！知らなかったの！」

姉「知らなかったわー」

妹「むむ……知らないこと多すぎ！」

姉「あんたも言えたことじゃないでしょ」

妹「……それはそうだけど」

75 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:37:56.15 ID:fKgkOK1/0

姉「私も、言えたことじゃないけどね」

姉「あんたのことわかるって言いながら、知らないことも沢山あるよ」

妹「うん……」

姉「でもまあ、仕方ないんじゃないの」

妹「どうして？」

姉「私たち、こんなふうに話すのも久し振りなんだし」

妹「……そうだね」

妹「(気付いてたんだ)」

妹「(私だけがずっと気にしてるんじゃないのかなって思ってたのに)」

76 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:38:35.71 ID:fKgkOK1/0

姉「……にしても」

妹「なに？」

姉「仕事」

妹「へ？」

姉「仕事、ないわ」

妹「ないって？」

姉「全部片付けといてくれたみたい」

妹「良かったじゃん」

姉「そうねえ、肩こることもなくなったし」

妹「……やりたかったの？」

姉「そういうわけじゃないけど」

77 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:39:16.96 ID:fKgkOK1/0

姉「自分のすることが何も無いと、ちょっと寂しいじゃない？」

妹「私……」

ｶﾞﾗｯ

妹「！？」ﾋﾞｸｯ

会長「そんなに仕事したいんなら沢山あまっとりますけど？」

姉「あら、会長さん」

妹「か、か、会長さん！？」

会長「あれま、どうもです」

姉「あんた、知らないの？」

妹「知ってるけど……」

78 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:39:55.31 ID:fKgkOK1/0

妹「(選挙のときとか、なんとなくぼんやりと見てたし……)」

妹「(ていうかそんなことより、生徒会の人じゃん……！)」

会長「会長、この子はどなたで？」

姉「私はもう会長じゃないわよ」

会長「どうしても癖が抜けないんす、スミマセン先輩」

姉「どういたしまして」

妹「か、会話が成り立ってないよ」ｺｿｯ

姉「いつもこんなだから平気」

会長「で、この子は？」

姉「あぁ、うん」

79 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:40:41.63 ID:fKgkOK1/0

妹「(会長の目が威圧的にっ)」

姉「誰だと思う？」

会長「そやですねえ」

妹「あ、あの私……！」

会長「先輩の妹さん」

姉「正解」

妹「……」

妹「(今の溜めはなんだったのさ)」

会長「ほー、先輩妹さんいはったんですねぇ」

姉「まあね」

80 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:41:23.27 ID:fKgkOK1/0

妹「(……やっぱり妹がいるってこと、話してなかったのかな)」

妹「(まあその必要もないんだろうけど)」

会長「可愛らしい妹さんで」

妹「はあ……」

姉「全然可愛くもなんともないけどね」

妹「ちょっと」

会長「やっぱ先輩の可愛いの基準わかりませんわー」

姉「そう？」

会長「うちのことも可愛い言うてくれはったし？」

妹「えっ」

81 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:43:36.52 ID:fKgkOK1/0

姉「そんなことも言ったっけねえ」

会長「うち、あのときはほんまに嬉しかったんですから」ﾁﾗｯ

妹「……」

姉「それは良かった」

会長「そんで生徒会の引継ぎ式んときなんて、うちやないと生徒会長は務まらへんって言うてくれはって」

妹「……」

姉「他の子に任せちゃったらきっとだめだと思ったのよね、特に生徒会室の掃除について」

会長「選挙のときは――」

妹「あのっ……！」

82 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:44:11.67 ID:fKgkOK1/0

会長「うん？どうかしはりましたん、妹さん？」ﾆｺﾆｺ

妹「い、いえ……」

妹「(もしかして私、遊ばれてる……？)」

妹「(いやいや、今会ったばかりの人なんだし)」

妹「(……でも明らかに私の反応見て面白がってるような)」

会長「お姉さんと話したいん？」

妹「えーっと」

妹「(なんか自分がすごく子供になった気分なんだけど……)」

会長「あ、怖がらせてしもうた？」

83 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:46:19.61 ID:fKgkOK1/0

姉「まあどうでもいいんだけど」

妹「よ、よくないしっ」

姉「会長さん、早いね、来るの」

会長「あぁ、忘れてましたわ」

妹「(あれ……？話、変えてくれた？)」

会長「先輩たちが引退されてから、学校で色々あったんですよ」

姉「――色々って？」

妹「あ……」

姉「なによ」

妹「(……お姉ちゃんが急に優等生の顔になったなって)」

84 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:47:16.50 ID:fKgkOK1/0

会長「先輩がすごいいい顔しとったからやないですか？」

妹「……」

姉「はあ？」

会長「うちもほんまそう思いますわ、先輩の会長としての顔は最高です」

姉「それはどうも」

妹「(……この人って)」

姉「それで、何があったのかさっさと話してもらっても？」

会長「あぁ、そうでしたね。妹さんは知ってはるんちゃいます？」

85 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 20:59:47.09 ID:fKgkOK1/0

妹「え、私？」

会長「1月の最後のほうに、一年生の数名が暴行事件起こしたんです」

姉「初耳」

会長「一年生には注意行ったんちゃうかな？」

妹「あったようななかったような……」

姉「ほんとに記憶力悪いわねえ」

妹「し、しかたないじゃん、ホームルームで先生の話聞いてる人なんて半分もいないしっ」

会長「まあそんで、その事後処理が結構残っとるんです」

姉「今ざっと見てた限りそんなふうには見えないけど」

会長「机の下に」

86 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:00:57.50 ID:fKgkOK1/0

妹「机の下……？」

ﾋｮｺｯ

妹「……なんでこんなとこにこんな書類タワー」

会長「机の上置いとったら見栄え悪いかなあ思って」

姉「今さら見栄え気にしてもしかたないのに」

姉「よいしょ」

会長「手伝うてくれはるんですか？」

姉「手伝うために早く来たようなもんだし」

会長「ほなまずこれやってくれはります？」

87 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:03:46.13 ID:fKgkOK1/0

姉「ちょっと来ない間に随分人使いが荒くなったわねえ」

会長「スミマセン、忙しいもんですから」

妹「……」

妹「(なんか、私の居場所がない感じ)」

妹「(お姉ちゃんも会長も、完全にお仕事モードだし……)」

姉「ちょっとあんたも」

妹「へっ」

姉「ぼーっとしてないで手伝ってよ」

妹「私も、手伝うの？」

姉「人手が多いほうがいいから」

88 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:06:01.21 ID:fKgkOK1/0

会長「ほんまは生徒会の人以外が仕事するんはもちろん、ここに入って来て貰うのもあかんねんけど」

妹「すいません……」

会長「いえいえ、先輩の妹さんなんやったら大歓迎。来たら来たで手伝てもらうけどね」

妹「はあ」

姉「会長さんのお許しも出たし、はい」

妹「重っ」

姉「落とさないように気をつけてね」

妹「渡すなら分割して渡してよ！」

姉「あんたなら大丈夫」

妹「……うっ」

89 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:06:33.67 ID:fKgkOK1/0

会長「……随分妹さんのこと信用してはるんですねえ」

姉「そう見える？」

会長「生徒会室にも普通に入れてはるし」

姉「そういうとこにはルーズだもの」

妹「(会長はかなりここに入って欲しくなさそうなんだけど)」

姉「おかげでたくさんの人が出入りするようになったじゃない？」

会長「まあ、そですねえ」

妹「……」

妹「(やっぱ居心地悪い……)」

90 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:07:16.60 ID:fKgkOK1/0

会長「ほな妹さんはここ座って、それをクラス別にわけてってくれる？」

妹「はい……」

姉「……こっちのほうがいいと思うけど」

妹「へ」

会長「先輩のお隣ですか」

姉「……すぐに間違えそうだし」

妹「溜息つかないでよ……」

会長「ならうちも先輩の隣で」

姉「いや会長さんは自分の席でやろうよ」

会長「妹さんばっかずるいんやないですかー？」

91 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:08:01.26 ID:fKgkOK1/0

姉「なにがずるいのかさっぱりだけど、会長さんもこの子みたいに手下扱いされたい？」

会長「先輩に蔑む目で見られるのも悪くないと思うんですけどねえ」

妹「え……」

姉「そこまでは言ってないんだけど」

会長「残念」

妹「(わざとこんなこと言ってる……？)」

妹「(でも、会長……)」

会長「昔は先輩の隣でお仕事できとったのになあ」

姉「今はその必要もないでしょ」

92 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:08:40.04 ID:fKgkOK1/0

会長「そやと思います？」

姉「少なくとも私は」

会長「でもうち、会長の隣好きやったんですけど」

妹「……」ﾋﾞｸｯ

妹「(いやいや、過剰に反応することじゃないよね)」

妹「(だって女の人だし……)」

妹「(……女の人)」

姉「手、止まってる」

妹「あ、うん……」

93 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:13:52.19 ID:fKgkOK1/0

姉「会長さんも無駄話してないで手を動かしましょうか？」

会長「あぁ、スミマセン、先輩の手さばきに見惚れてしもて」

妹「……」ﾋﾞｸｯ

姉「手」

妹「あう……」

会長「けど先輩、ひどいやないですか、うちの告白を無駄話やなんて」

妹「……」

妹「(手、動かそう……)」

姉「だって、聞き飽きたし」

94 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:14:33.03 ID:fKgkOK1/0

会長「聞き飽きるほど言ったつもりはあらへんのですけど」

姉「……」ﾁﾗﾘ

妹「ちゃ、ちゃんとやってるって」

姉「あ、そう」

妹「(会長、冗談なのか本気で言ってるのかわかんない……)」

妹「(お姉ちゃんは慣れてるみたいだけど)」

会長「先輩は誰になに言われてもなびかへんのですねえ」

会長「男子生徒でも女子生徒でも」

姉「どうだろ」

妹「えっ？」

95 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:15:55.17 ID:fKgkOK1/0

姉「なびかないわけじゃないわけだし」

会長「……」

会長「……そでしたね、スミマセン」

姉「今のは嫌味のつもりだったんじゃないの？」

会長「どうでしょうね」

会長「ただ先輩に対しての嫌味のつもりがうちに返って来た気分です」

姉「……」

妹「(……話がつかめない)」

妹「(けど、急にお姉ちゃんも会長も、表情が固くなった気がする)」

96 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:16:40.62 ID:fKgkOK1/0

姉「……」ﾄﾝﾄﾝ

会長「終わりました？」

姉「一応ね」ｶﾀﾝ

姉「お姉ちゃん？」

姉「そろそろ教室に行ったほうがいいんじゃないの」

会長「もうすぐチャイム鳴りますもんね」

妹「あぁ、そういえば」

会長「ほなうちもあとは昼休みと放課後にやります」

姉「手伝ってもいいけど？」

会長「……会長はほんま、優しいんか優しないんかわかりませんよ」

97 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:17:12.18 ID:fKgkOK1/0

妹「……お姉ちゃんは別に優しくなんかないです！」

会長「……」ｷｮﾄﾝ

姉「……あんた」

妹「(はっ、つい……！)」

会長「妹さん、こんなこと言ってはりますけど？」

姉「ま、否定はしないわ」

会長「いややわー、うち先輩の妹さんまで好きになっちゃいそう」

妹「は！？」

姉「はいはい、とりあえず出ましょうか」

98 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:18:53.51 ID:fKgkOK1/0

―――――　――
廊下

会長「先輩は帰らはるんですか？」

姉「まさか。こんな朝早くから来て授業も始まらないうちに帰るバカがどこにいるのよ」

会長「てっきり妹さんの付き添いかと」

妹「(……私どれだけ下に見られてるんだ)」

姉「もう一つ、用事が終わったら」

妹「あ……！」

妹「(しまった、忘れてた……)」

会長「忘れ物？」

姉「してると思う？」

99 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:20:49.95 ID:fKgkOK1/0

会長「忘れ物をする先輩もええと思います」

姉「じゃあ最後の大量の仕事も忘れてこれば良かったなあ」

会長「先輩がしっかりしてて良かったです！」

妹「(……この人、よくお姉ちゃん相手にこんな軽口叩けるなあ)」

姉「うん、私も良かったよ、会長さんみたいな後輩を持てて」

会長「おおきに」ﾍﾗｯ

妹「(……む)」

ｻﾞﾜｻﾞﾜ

会長「あ、そろそろ登校してくる人が増えてきたみたいですね、うちもはよ行かな」

会長「ほならまた」ﾍﾟｺｯ

100 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:21:27.28 ID:fKgkOK1/0

姉「ん」

妹「ど、どうも……」

ﾀﾀﾀｯ

妹「(……唐突に走ってっちゃった。いや、あれは歩いてるの……？)」

妹「(なんか飄々としててよくわかんない人だったなあ)」

妹「……」ﾎｯ

姉「それじゃ、行こっか」

妹「へ？」

妹「(会長がいなくなって安心した途端……！)」

姉「あんたの間抜け顔は見飽きたよ」

101 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:22:08.88 ID:fKgkOK1/0

妹「お姉ちゃん、教室までついてくるの？」

姉「ホームルームまでには時間ある」

妹「そりゃそうだけど……」

妹「(私ってかなり地味だしお姉ちゃんと姉妹だなんて知ってる人は少人数で……)」

妹「(なのにお姉ちゃんって結構顔知られてるから……)」

姉「行っちゃだめなわけないでしょ？」

妹「……色々騒がれそうだし」

姉「有名人だからね」

妹「自覚してるんだ」

102 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:22:52.25 ID:fKgkOK1/0

姉「生徒会長は全校生徒に知られなきゃ意味ないでしょーが」

妹「そっかそっか！」

姉「適当だね」

妹「(お姉ちゃんと話せるのは嬉しいけど教室についてこられたらどんな好奇の視線に晒されるか……)」

姉「ほら、もうホームルーム始まっちゃうよ。……君は来てるでしょ」

妹「名前ぼかすのはやめようよ、男君だよ」

姉「そうそう」

妹「お姉ちゃんのほうが記憶力悪いんじゃ……」

姉「人の名前だけはどうしても苦手なのよね……さすが姉妹って思っとけばいいじゃん？」

103 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:23:25.46 ID:fKgkOK1/0

姉「私と一緒なわけだ」

妹「……」ﾋﾟｸｯ

妹「い、一緒がいいって思ってるわけじゃないもん……」

姉「ふーん」

妹「……うー」

姉「はい、おいで」

妹「……ほんとに行くの？」

姉「行くよ」

ﾄ､ﾄ､ﾄ

妹「……」

妹「……ま、待ってよ！」ﾀﾀﾀｯ

姉「廊下は走らない」

妹「……はい」

104 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:24:09.05 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――

ｻﾞﾜﾜ...

姉「一年生の廊下通るのって久し振り」

妹「お姉ちゃん、今日は久し振り久し振りばっかだね」

姉「久し振りなものは久し振りだし」

妹「……」ﾋﾟﾀｯ

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

妹「(……げっ)」

姉「え、なに？急に立ち止まって」

姉「……」

男「……」

105 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:24:54.12 ID:fKgkOK1/0

姉「……へえ」

妹「(まさか廊下で出くわしてしまうとは……！)」

男「どうも……」

姉「……」ｼﾞｰｯ

男「……」

姉「……」ｼﾞｰｯ

妹「(お、お姉ちゃんガン見しすぎ……)」

ざわざわ

妹「(まわりがざわめきだしたし！？)」

男「あの」

妹「！」ﾋﾞｸｯ

106 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:25:34.13 ID:fKgkOK1/0

姉「はい」

男「俺になにか」

妹「お、お、お、お姉ちゃんッ！」

姉「ん、なによ突然」

妹「さすがにいけないと思う！」

姉「なにが」

妹「わかんないけど！」

姉「はあ？」

妹「帰ろう！」

姉「帰ろうってあんた」

妹「男君ごめんなさいでしたっ」

男「あ、おい」

妹「(あう……なんで私が謝らなきゃいけないのさ屈辱……っ！)」

107 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:39:35.48 ID:fKgkOK1/0

―――――　――
体育館裏

妹「はあ、はあ……」

姉「あーあ、チャイム、鳴っちゃった、よ」

妹「……し、仕方無いじゃん」

姉「こんなとこ来たの、初めて」

妹「そうなの？」

姉「あんたも初めて授業サボっちゃうの？」

妹「えっ」

姉「そんなに私と一緒がいいかー」

妹「う……い、行くもん」

108 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:40:39.11 ID:fKgkOK1/0

姉「あらそう？」

妹「ホームルームはサボっちゃったけど……」

姉「あーあ」

妹「お姉ちゃんのせいじゃん……」

姉「なんで」

妹「……なんでも」

姉「男君は眼中にないってば」

妹「(だとしても……)」

姉「ないけど、まあいっか」

妹「なにが？」

109 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:43:21.55 ID:fKgkOK1/0

姉「悪い子ではなさそう」

妹「……心配、してくれてたの？」

姉「……そりゃあね」

姉「一応、あんたのお姉ちゃんだし」

妹「……」

妹「……ふーん」

姉「体育館の裏って、全然手入れされて無いね」ｸﾙｯ

姉「じめじめしてる」

110 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:44:01.54 ID:fKgkOK1/0

妹「いじめの定番スポットだし」

姉「じめじめといじめをかけてる？」

妹「私はそんな高等ギャグを数秒間で考えられない」

姉「高等ギャグでもなんでもないと思う」

妹「……うん」

妹「(もう……お姉ちゃんが変なこと言うから)」

妹「(頭が熱くて仕方無い……)」

姉「さて、当初の目的は済んだし私は帰ろうかな」

妹「えっ」

姉「先生たちには挨拶くらいしてくるって」

111 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:44:45.10 ID:fKgkOK1/0

姉「知ってるだろうけどちゃんと第一志望受かったことも言わなきゃね」

妹「(……第一志望)」

姉「あと一ヶ月かな」

妹「三月の終わりだっけ」

姉「うん、私もいよいよ大学生だ」

妹「(あと、一ヶ月……)」

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

姉「チャイム、鳴ったよ。一時間目始まる」

妹「お姉ちゃんはさ」

姉「うん？」

112 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:45:20.88 ID:fKgkOK1/0

妹「お姉ちゃんは、もうほとんど私に会わなくなるから、手伝ってくれてるの？」

妹「(だから話してくれるの？私と、一緒にいてくれるの？)」

姉「……」

姉「最後くらい、お節介したっていいでしょ？あんたの姉として」

ﾎﾟﾝｯ

妹「あっ」

姉「行きなよ、授業。また後でね」ﾋﾗｯ

妹「……」

妹「……」ｺｸｯ

妹「(……なんなのそれ)」

妹「(意味、わかんないよ)」

113 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:46:00.26 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――
教室

ｶﾞﾗｯ

友「あっ」

妹「しーっ」

ｺｿｺｿ

教師「あぁ、一名遅刻ですね」

ｸｽｸｽ

妹「うぐ……」

妹「(笑われちゃったし……)」

114 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:46:35.40 ID:fKgkOK1/0

妹「はあ……」ｽﾄﾝ

ﾂﾝﾂﾝ

友「おはよー」ｺｿｯ

妹「あ、うん」

友「どうしたの？遅刻なんて珍しいね」

妹「(ほんとはだいぶ前から学校にいたんだけど)」

妹「(お姉ちゃんと男君の睨み合いは噂になってないのか)」ﾎｯ

妹「ちょっとね……」

友「朝から随分疲れた顔しちゃって」

妹「疲れたって」

友「疲れた顔してる」

115 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:47:08.96 ID:fKgkOK1/0

妹「落ち込んでるとか、そういう発想はないの？」

友「……」

友「あぁ、落ち込んでたの」

妹「なにさそれ」

友「ご、ごめんね。まさか落ち込んでるとは思わなくて」

妹「今本気でえって顔したよね」

友「そんなつもりじゃ！」ｱｾｱｾ

妹「うん、もういいよ……」

友「そ、それでなにかあったの？」

116 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:47:43.51 ID:fKgkOK1/0

妹「んー……わかんない」

友「はあ、わかんない」

妹「うん、わかんないの」

友「じゃあ私もわかんないよ」

妹「うん、そうだよね」

妹「落ち込んでるというか……」

友「うん」

妹「(別に今さら落ち込むことじゃなかったり落ち込んだって仕方ないことだったり)」

妹「(……それに、どうしてあんなこと聞いちゃったんだろうとか)」

117 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:48:25.18 ID:fKgkOK1/0

友「……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妹「ん……」

友「悩める少女は美しい、だよ」

妹「……なにそれ」

友「今考えた私の格言」ﾆｺｯ

友「悩んだら悩んだ分だけ成長して綺麗になれるんだっておばあちゃんも言ってた」

妹「はあ」

友「悩めるときに悩むのが一番だよ、付き合ってあげるから」

妹「……うん」

ﾄﾝﾄﾝ

118 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:48:58.36 ID:fKgkOK1/0

教師「悩める少女も美しいですがあなたたちの友情も美しいですね、お嬢さん方」

妹「……」

友「……」

教師「授業中に私語る生徒は厳しい罰則を与えても良いとおばあさんが言っていました」

友「先生のおばあさんということは、もうだいぶ前の話ですね。明治時代ですか？」

妹「ちょっ」

教師「……」

ｻﾞﾜｯ

教師「けれどわたくしは優しいですから、厳しい罰則というのは些か物足りない気がします」

妹「(日本語が繋がってません、先生)」

教師「今日はお二人に特別課題を出してさしあげましょう」

119 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:49:46.72 ID:fKgkOK1/0

―――――　――
放課後

妹「……ほんとに特別課題だった」

友「あの先生厳しいよね……」

妹「……」

妹「……よけいなことは言わないでおこうね」

友「うん？」ｷｮﾄ

妹「(当たり前だけどわかってないのね……)」

妹「で、この課題をどうしよう」

友「うん、どうしよう」

120 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:50:30.60 ID:fKgkOK1/0

妹「とりあえずちまちまやっていくしかないか」ｶｷｶｷ

友「明日までに提出なんてさすがに無理だよ……」ｻﾗｻﾗ

妹「無理だねー」ｶｷｶｷ

友「鬼畜すぎるね」ｻﾗｻﾗ

妹「鬼畜だねー」ｶｷｶｷ

友「ありえないよー」ｻﾗｻﾗ

友「一枚目終わり」

妹「えっ、早くない！？」

友「だって数学は得意だから……」

妹「絶対明日までに間に合うよ……」

友「い、一緒にやろうよ！そのために放課後残ってるんだから！」

121 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:51:09.48 ID:fKgkOK1/0

妹「テスト前でもないのにね」ｶｷｶｷ

友「ほんとだよー……」ｻﾗｻﾗ

妹「(早く帰りたいなあ……)」ｶｷｶ､

妹「(お姉ちゃん、帰ってるかな。さすがに帰ってるだろうけど)」ｶｷ､

妹「(変なこと聞いちゃったし、嫌な妹だとか思われてたり……)」ｶ､

妹「(遠まわしにお姉ちゃん行かないでって言ってるようなもんかもだし……)」

友「……ねえねえ」ﾕｻﾕｻ

妹「はい？」ﾊｯ

友「あはは、随分ボーっとしてたね……」

妹「えーっと」

友「わからない問題あるのって聞いても答えてくれないし……」ｼｭﾝ

妹「ご、ごめんごめん」

122 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:51:56.80 ID:fKgkOK1/0

友「考え事？」

妹「……まあ」

友「悩みがあるなら私はいつでも付き合うからね」

友「って、朝も言ってて怒られちゃったんだっけ」

妹「怒られたのは私たちが授業そっちのけで喋ってたからだけど」

妹「……ありがとね」

友「どういたしまして」ﾆｺﾆｺ

妹「……」

妹「あー、なんか安心する」

友「私を見て？」

妹「うん、なんかね、すごい安心する」

妹「(最近色々落ち着かないし……)」

123 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:52:37.08 ID:fKgkOK1/0

友「えぇー、照れちゃうなあ」

妹「照れちゃって照れちゃって！」

友「こ、こう？」ﾃﾚｰ

妹「な、なんか違う……！」ﾌﾟｯ

友「笑うなんてひどーい」

ｷｬｯｷｬｯ
ｶﾞﾗｯ

妹「……」ﾋﾞｸｯ

友「……」ﾋﾞｸｸｯ

男「……」

124 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:53:17.04 ID:fKgkOK1/0

妹「(先生じゃなかった……)」ﾎｯ

妹「(いやでもどうなの……)」

男「……」ﾁﾗｯ

ｽﾀｽﾀ

友「は、入ってきたよ……」ｺｿ

妹「う、うん……」

男「忘れ物」

友「あ、はい？」

男「取りに来た」

妹「あぁ……」

125 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:55:24.56 ID:fKgkOK1/0

妹「(……朝のことは気にしてないのか気にしてるのか)」

妹「(……お姉ちゃんにあんなに見られてて)」

男「……」

ｽﾀｽﾀ

妹「(そのまま出て行くのかな……)」

友「……」

妹「……」

ｼｰﾝ

男「……」ｸﾙｯ

妹「！？」

126 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:57:57.41 ID:fKgkOK1/0

男「……」ｼﾞｯ

男「じゃ」

ｶﾞﾗﾘ

妹「(……なんか最後に思い切り見られたんだけど)」

友「……」

妹「……はあ、びっくりした」

友「……う、うん」

ｷｰﾝｺｰﾝ､ｶｰﾝｺｰﾝ

友「あっ、下校時間のチャイム……」

127 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:58:46.11 ID:fKgkOK1/0

妹「結局最後まで出来なかったね……」

友「あとは家でやるしかないかあ」

妹「私、一人じゃできない……」

友「だ、大丈夫だって！そんなに難しい問題ばかりじゃないから」

妹「……」

友「わからない問題あったらメールして！一緒に解こう！」

妹「……うぅ」

妹「……頑張ります」

128 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:59:21.91 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――

ｶﾞﾁｬｯ

妹「た、ただいま……」

妹「……あれ？」

妹「(誰の返事もない……)」

ﾄ､ﾄ､ﾄ

妹「……お母さん、は仕事で遅くなるか」ﾍﾟﾗｯ

妹「(こんなドアの真ん中のとこにメモ貼っとかなくても……)」

ｶﾁｬﾘ

129 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 21:59:52.23 ID:fKgkOK1/0

妹「……暗い」

ﾊﾟﾁｯ

妹「……」

妹「(……お姉ちゃん、いないのかな)」

ｶﾁｬｶﾁｬ

妹「(とりあえずお弁当箱を水に浸けて)」

妹「……」

妹「(……ご飯は二人分)」

ｶﾀﾝ､

130 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:00:21.87 ID:fKgkOK1/0

妹「水、冷たい……」

『あと一ヶ月かな』
『私もいよいよ大学生だ』

妹「(お姉ちゃんが遠くへ行っちゃうと、こんなのが当たり前になっちゃうのかな)」

妹「(話さなくったって、家に帰ると必ずお姉ちゃんの姿があって)」

妹「(おかえりって言ってくれる声がすごく嬉しかった)」

妹「(今はそれよりもっともっと近くにいて)」

ｸﾞｯ...

妹「(なのに……)」

131 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:00:55.21 ID:fKgkOK1/0

妹「(これならまだ、お姉ちゃんとの距離が開いたままだった方が――)」ｼﾞﾜｯ

ｶﾞﾁｬｯ

姉「あれ？……おかえり」

妹「お、お姉ちゃん……！」

姉「……なに？」

妹「い、いたんだ」ｸﾙｯ

妹「(……変なとこ、見られちゃったかも)」ｺﾞｼｺﾞｼ

姉「……寝てた」

妹「そうなんだ……」

姉「遅かったね」

妹「うん」

132 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:01:27.33 ID:fKgkOK1/0

姉「遅刻したから居残りでもさせられてたんでしょ」

妹「……たぶん、そんな感じ」

姉「泣くようなことでもされたの？」

妹「！」

妹「さ、されてない」

姉「じゃあなんで泣いてたのよ」

妹「泣いてないもん」

姉「うそ」ｸﾞｲｯ

妹「な、なに？」ﾄﾞｷｯ

姉「目、赤い」

133 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:02:18.55 ID:fKgkOK1/0

妹「……」

妹「……だ、誰も、いなかったから」

姉「え？」

妹「こ、怖かっただけ！」

姉「……」

姉「この歳で一人が怖いなんて男君に聞かれたら笑われるだろうね」

妹「……いいよ、べつに」

姉「好きなんじゃないの」

妹「……うん」

134 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:02:52.19 ID:fKgkOK1/0

姉「じゃあなに言ってんのよ」

妹「だって、笑われたって嫌われたっていいもん」

姉「……」

妹「お姉ちゃんのことが」

姉「……なに？」

妹「(……お姉ちゃんのことが、好きなんだもん)」

妹「(言えるわけなんか、ないけど)」

姉「へたれ」

妹「知ってるってば」ﾌﾟｲｯ

姉「……」

姉「お腹減った、ご飯食べよ」

135 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:03:23.64 ID:fKgkOK1/0

妹「まだ食べてなかったの？」

姉「待ってて欲しくなかった？」

妹「……待っててほしかったけど」

姉「じゃあいちいちそんなこと聞かない」ﾎﾟｽｯ

妹「た、たたかないでよー」

妹「(……悔しいけど、子ども扱いされてるのにお姉ちゃんの手、ほっとする)」

姉「……」ﾎﾟｽﾎﾟｽｯ

妹「お姉ちゃん？」

136 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:04:29.36 ID:fKgkOK1/0

姉「こうして一緒に立ってるとさ」

妹「うん」

姉「だいぶ背伸びたんだなって、あんた」

妹「……伸びたよ」

妹「(まだまだお姉ちゃんには届かないけど)」

姉「ちっさいけどね」

妹「う」

姉「さてと、ご飯の用意しましょうか。温めるだけだけどね」

137 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:05:44.53 ID:fKgkOK1/0

―――――　――

妹「ごちそうさま」

姉「お粗末さま」

妹「お母さん、まだかな」

姉「まだなんじゃないの」ﾊﾟｸｯ

ﾊﾑﾊﾑ

姉「たぶん帰りは夜中でしょ」

妹「なんで？」

姉「ごちそうさま」ﾊﾟﾁﾝｯ

ｶﾁｬｶﾁｬ

姉「仕事って言って出て行くときはいつもそうじゃん」

138 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:06:22.82 ID:fKgkOK1/0

妹「……そうだっけ」

姉「お母さん、まだそこそこ若いんだし」

姉「私たちを一人で育ててくれたんだから、ちょっとくらい許してあげてもいいんじゃないかな」

妹「……」

姉「薄々勘付いてたね」

妹「……」ｺｸｯ

妹「誰か会ってる人はいるんだなって、思ってたから」

姉「……」

妹「再婚、とか」

姉「あるかもしれないし、ないかもしれない」

妹「そっか……」

139 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:07:01.96 ID:fKgkOK1/0

姉「でもたぶん、無理だと思う」

妹「どうして……」

姉「無理だから」

妹「……」

姉「でも、私は再婚してほしいかな」

妹「お父さん？」

姉「今さら欲しいなんてそんなこと、思わないけどね」

姉「この家に二人は広すぎるでしょ」

妹「……それは」

140 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:07:34.70 ID:fKgkOK1/0

姉「好きでもない人と結婚したってお母さんは幸せになんないだろうけど」

ｶﾀﾝ

姉「お皿貸して」

妹「洗うの？」

姉「たまには」

妹「(いつもさっさと部屋に帰ってくのに)」

妹「……はい」ｶﾁｬｯ

姉「ん」

妹「私、制服着替えてくる」

姉「うん」

ｶﾁｬｶﾁｬ

妹「……」

ﾊﾟﾀﾝ

141 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:08:04.32 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――
部屋

妹「はあ……」

妹「なんか逃げちゃったみたい……」

ｽﾄﾝｯ

妹「あぁもう……！」

妹「(わかんないよ……)」

妹「(お姉ちゃんのことも、私の気持ちや、自分がどうしたいのかも……)」

ｶﾀｯ

142 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:08:32.39 ID:fKgkOK1/0

妹「……」ﾋﾞｸｯ

妹「……あ、写真」ﾎｯ

妹「……」

妹「(お母さんと、お姉ちゃんと、真ん中に私がいて)」

妹「(……昔はなにも意識しないでお姉ちゃんにくっつけてたのにな)」

妹「(お姉ちゃんはお母さんに再婚してほしいって言ってたけど、私は)」

妹「(このまま、変わりたくないよ)」

妹「……やだな」

ｳﾄ､

妹「(背は伸びても、私はまだまだ大人になれない……)」

143 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:09:09.88 ID:fKgkOK1/0

―――――　――

妹「……んっ」

妹「……」ﾊﾟﾁｯ

妹「頭痛っ……」

姉「そりゃあね」

妹「あれ、お姉ちゃん……？」ｶﾞﾊﾞｯ

姉「鞄、置き忘れてたから持って来てあげたらドアにもたれかかって寝てたよ、びっくりした」

妹「でもここ」

姉「とりあえずベッドまで運ぼうと思って力尽きた」

妹「あぁ、そう……」

妹「(どうりで頭痛いわけだ)」

144 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:09:45.78 ID:fKgkOK1/0

姉「床の寝心地は最悪よね」

姉「でもまあ、すぐに目覚まして良かったかな」

妹「起こせばよかったのに」

姉「なんとなく、起こしにくかったから」

妹「……そうなんだ」

姉「鞄、はい」

妹「あ、うん」

ｽﾙｯ

妹「わっ！？」

ﾄﾞｻﾄﾞｻｯ

姉「ちょ、なにやってんのよ！」

145 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:10:25.98 ID:fKgkOK1/0

妹「手が鞄をすり抜けた」

姉「ありえないから」

妹「鞄の中、ぐしゃぐしゃだ……」

姉「ちゃんと閉めとけば中身でなかったのに」

妹「うぅ……」

ｶﾞｻｶﾞｻ

姉「とりあえず出たもの拾わなきゃ」

妹「うん……」

姉「教科書も参考書も真新しいなあ」

妹「まだ一年経ってないもん」

姉「そういう問題じゃないでしょ。勉強してないね」

妹「……してないけど」

146 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:10:59.89 ID:fKgkOK1/0

姉「……これで終わり？」

妹「ん、ごめんね、たぶんぜんぶ……」

姉「あ、あとプリントの束」ﾊﾞｻｯ

妹「……あっ」

姉「……すごい数だね」

妹「それ、明日まで……」

姉「え？」

妹「明日までにやらなきゃのやつ……」

姉「……」ﾍﾟﾗｯ

147 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:11:30.17 ID:fKgkOK1/0

姉「……無理でしょ」

妹「……わかってるけど」

姉「……解けるの？」

妹「……解けないけど」

姉「……」

妹「……」

姉「手伝おうか」

妹「いいの！？」

姉「……うん」

姉「見てみぬ振りはできないし」

姉「あんたのお姉ちゃんだからね」

148 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:12:01.09 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――
数時間後

姉「やっと半分」

妹「うん……」

姉「次はこっちかな」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

妹「(なんかこうしてると、ちゃんと姉妹みたいだな……)」

妹「(……これも、もう最後だから)」

妹「……」ﾎﾞｰｯ

姉「こら、寝てる？」ｺﾂﾝ

妹「いたっ」

149 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:12:32.77 ID:fKgkOK1/0

姉「……さっきからずっとぼーっとしてるね」

妹「……うん」

姉「眠い？」

妹「そうじゃないけど……」

妹「身体、だるい」

姉「……」ｿｯ

妹「！」ﾄﾞｷﾘｯ

姉「熱、あるかも」

妹「えっ」

150 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:13:03.28 ID:fKgkOK1/0

姉「もう寝たほうがいいんじゃない？」

妹「でも……」

姉「だーめ、寝なさい」

妹「……」ｺｸｯ

姉「お風呂、シャワーだけ浴びておいで」

妹「……」ｺｸｯ

姉「一人で入れる？」

妹「は、入れるっ」

151 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:13:45.83 ID:fKgkOK1/0

―――――　――

ﾊﾟｻﾊﾟｻ

妹「……」

ｶﾗｯ

姉「お母さん、まだ帰ってこないみたい」

妹「……そうなんだ」

姉「薬」

妹「ん……」

姉「髪、ちゃんと乾かした？」

妹「うん……」

妹「……」ｺｸｺｸ

152 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:14:19.62 ID:fKgkOK1/0

姉「薬もちゃんと飲めたね」

妹「なんかすごく子ども扱いされてる気分……」

姉「そう？」

妹「(……小さい頃はよく、こうやってお姉ちゃんやお母さんが世話してくれたんだっけ)」

姉「お母さんには言っとくから」

妹「うん」

姉「あんたは寝てくる」

妹「……うん」

ｶﾞﾁｬｯ
ﾌﾗﾌﾗ

妹「……」

153 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:14:51.48 ID:fKgkOK1/0

妹「(廊下、暗い……)」

ﾋﾟﾀｯ

妹「(やだ、さっきのこと思い出してまた怖くなって――)」

妹「(お姉ちゃん……)」

ｶﾁｬｯ

姉「……まだそんなとこにいるの」

妹「……！」

妹「廊下、暗くて……」

姉「電気くらいつけれるでしょ」

ﾊﾟﾁｯ

妹「……」ﾎｯ

154 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:15:26.51 ID:fKgkOK1/0

姉「もしかしてまた熱上がったんじゃない？」

妹「わかんない……」

姉「いつまでも寒いのにぐだぐだしてるから」

妹「お母さん、まだ？」

姉「まだだってば」

妹「……」ｼｭﾝ

姉「……一人は怖い？」

妹「……怖い」

姉「……部屋までついてってあげるから」

姉「だからもう、さっさと寝る」

妹「……」ｺｸｯ

155 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:15:57.31 ID:fKgkOK1/0

姉「はい、行くよ」

妹「……」

妹「お姉ちゃんの手、冷たい」

姉「あんたの手は熱いね」

妹「……うん」

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ､

姉「階段、気をつけて」

妹「わかってるよ……」ﾎﾞｰｯ

姉「……」

妹「お姉ちゃん」

姉「……うん？」

156 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:16:31.24 ID:fKgkOK1/0

妹「私、ずっとお姉ちゃんと話したかったよ」

姉「……」

妹「お姉ちゃんが大きくなって、だんだん話さなくなって」

妹「避けられてるのかなって思ったらすごく悲しかった」

ﾄﾝﾄﾝﾄ､

ｶﾞﾁｬｯ

妹「(なんだか、自分がなに言ってるのかわからなくなってきた)」

妹「お姉ちゃんは最後だからかもしれないけど……」

妹「(私は――)」

妹「(……お姉ちゃんにどこにも行ってほしくない)」

157 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:17:09.55 ID:fKgkOK1/0

妹「……私と、こうして一緒に居てくれて嬉しいよ」

妹「お姉ちゃんもこれで、安心して家を出られるよね」

姉「……」

姉「……えぇ」

ﾄｽｯ

姉「寝転んで、ちゃんと布団かぶる」

妹「ん……」ｶﾞｻｯ

姉「……」

妹「……」

158 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:17:46.04 ID:fKgkOK1/0

姉「おやす――」

妹「(……お姉ちゃんの手、離したくない)」

ｸﾞｲｯ

姉「ちょっ？」

妹「……まだだめ」

姉「……まだだめって」

妹「寝るまで、ここにいてよ……」

姉「……寂しいの？」

妹「……」ｺｸｯ

妹「(お姉ちゃんにどこにも行ってほしくない)」

159 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:18:14.93 ID:fKgkOK1/0

姉「……熱があると不安になるって言うもんね」

妹「……」ｺｸｯ

姉「……お母さん帰ってくるまでいたげる」

妹「うん……」

妹「絶対、どこにも行かない？」

姉「行かない」

妹「ほんとに？」

姉「……ほんと」

160 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:21:21.80 ID:fKgkOK1/0

妹「……そっか」

姉「だから、寝ていいよ」

妹「……うん」

妹「おやすみ」

姉「――おやすみ」









ぜったい、どこにもいかない？
行かないよ。ずっと傍にいてあげる。
　








「――ごめんね」

161 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:22:09.53 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――
翌日

妹「(……なんの、夢だっけ)」

妹「(お姉ちゃんと、それから私がいて)」

妹「……」ｶﾞﾊﾞｯ

ｷｮﾛｷｮﾛ

妹「誰もいない……」ﾒｷｯ

ﾌﾗﾘ

妹「(立ったらまだフラフラする……)」

162 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:22:49.62 ID:fKgkOK1/0

ｶﾞﾁｬｯ

母「あら、起きた？」

妹「お母さん」

母「熱はどう？」ﾋﾟﾀﾘ

妹「うん……」

母「まだちょっとあるねえ、学校どうする？」

妹「……お姉ちゃんは」

母「もう出掛けたわよー」

妹「……そうなんだ」

163 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:23:24.47 ID:fKgkOK1/0

妹「(確かにお姉ちゃんに何か言った覚えはあるけど、よく覚えてない……)」

妹「(ただ、お姉ちゃんが泣きそうな顔、してたのだけは頭に残ってて)」

母「で、休む？休まないの？」

妹「……お母さんは行ってほしいでしょ」

母「どうして？」

妹「だって、会いたい人がいるんじゃ――」

妹「(……って私)」

母「……」

母「そうねえ」

妹「……ごめん」

164 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:23:54.54 ID:fKgkOK1/0

母「なんで謝るのよお」

母「ま、簡単に会えるような人じゃないもの」

妹「そ、そうなんだ……」

母「学校、休むって連絡しとこうか」

妹「いい、行くもん」

母「そお？」

妹「うん、行く」

母「じゃ、早く容易しなきゃね。時間ないわよ」

ﾄ､ﾄ､ﾄ

妹「(私、動揺したって仕方ないのに)」

妹「(やっぱり、お母さん誰かと会ってるんだ)」

妹「(……でも、簡単に会えないって、一体誰なんだろう)」

165 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:24:30.28 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――
学校

ｷｰﾝｺｰﾝ､

妹「(あ、危なかった……)」ｶﾞﾗｯ

ｶｰﾝｺｰﾝ

...ﾌﾗﾌﾗ

妹「はあ……」ｽﾄﾝ

妹「(あれ……？)」

友「……」

妹「(沈んでる……？)」

妹「お、おはよう……」

166 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:25:02.78 ID:fKgkOK1/0

友「……」

友「あ、うん」ﾊｯ

妹「……どうかした？」

友「あ、うん」

妹「……」

友「えっ、ごめん、なに？」

妹「……なにかあったの？」

友「……あはは」

友「昨日のナイーブが移っちゃったのかなあ」

妹「ご、ごめん」

友「冗談だよー」

妹「私も話くらい、聞くけど……」

友「ありがとー、けど大丈夫」

167 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:25:32.72 ID:fKgkOK1/0

妹「そうかな……」

友「重い気持ちは三日まで、だよたぶん」

妹「なにそれ」

友「今浮かんだ格言かな……」

妹「格言なのそれ……」

友「どんな気持ちだって、いつかは忘れられるんだっておばあちゃんも言ってた」

妹「……いつかは、忘れられるのかなあ」

妹「(お姉ちゃんの、こととか)」

妹「(今までずっと、忘れたことなんてないのに)」

友「いつかは、忘れなきゃいけないんだよ」

168 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:26:03.52 ID:fKgkOK1/0

妹「……」

友「……」

友「ところでね」

妹「うん」

友「どうして忘れたいことは忘れられなくて」

妹「うん」

友「忘れちゃいけないことは忘れちゃうんだろうね」

妹「……」

妹「あっ」

169 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:26:40.70 ID:fKgkOK1/0

―――――　――

妹「失礼しましたー」ﾌﾗｯ

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ

妹「(また熱、上がってきちゃったかも)」

友「な、長かったね……」

妹「昼休み丸つぶれ」

友「しかも同じ課題をまた出されるなんて……」

妹「今度は来週までだから大丈夫だよ、きっと……」

友「うん……」

妹「けど、忘れてたの私だけだと思ってた」

友「あはは……昨日からずっとボーっとしてて……」

妹「……」

友「どうしたの？」

170 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:27:13.06 ID:fKgkOK1/0

妹「いや、それはいつもと変わらないかなって」

友「そんな！？」

妹「(ボーっとしてるというより思考がボーっとしてるというか)」

妹「(……それは今の私も同じか)」

友「そうなのかなあ……」

妹「(自覚ないんだ……)」

ｷｰﾝｺｰﾝ...

友「あっ、チャイム鳴っちゃったよ！」

友「早く教室戻って――」

妹「……う、ん」

ふらっ

171 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:27:48.42 ID:fKgkOK1/0

妹「(だめだ、身体に力が入らない……)」

ﾄﾞｯ

友「だ、大丈夫！？」

妹「……ごめん」

妹「(良かった、廊下で倒れずには済んだ……)」

友「どうしよう、ほ、保健室、行ったほうが！」ｱｾｱｾ

ﾀﾀﾀｯ

妹「(……誰かの足音？)」

友「……！」

妹「(……あぁ、でも)」

妹「(頭が、重い――)」

◆

172 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:28:33.39 ID:fKgkOK1/0

「あいつのことが気になるんだ」

173 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:29:08.31 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――
保健室

ｶﾞｻｯ

妹「……」ﾎﾞｰｯ

校医「あ、起きた？」

妹「……え」

校医「熱はまだありそうだけど顔色はだいぶよくなったね」

妹「はあ」

校医「最近寝不足だったんじゃない？」

妹「まあ」

174 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:29:43.99 ID:fKgkOK1/0

校医「ちゃんと睡眠はとりましょうね、とりあえず今日は早退しなさい」

校医「と言っても今さっき授業の終わりのチャイム鳴ったけど」

妹「(そういえば私、急にふらついて)」

妹「(なんとなく保健室まで運ばれて寝かされたことまでは覚えてる……)」

校医「一人で帰れそうになかったら保護者の人に――」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ

校医「の、必要もないかな」

友「すみません、失礼しますー」

妹「……あ」

校医「はい、どうぞ。お友達はもう起きてるよ」

友「あ、ほんとですか！」

ｼｬｯ

友「良かった……」

175 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:30:16.74 ID:fKgkOK1/0

校医「じゃ、早めに帰りなさいね、先生は職員室にいるから」ﾄﾄﾄ...

妹「あ、はい」

友「ありがとうございましたー」

ｸﾙｯ

友「心配したよ、もー」

妹「……うん」

友「というよりびっくりしちゃった」

友「……自分のことばっかで、ずっとしんどそうだったの、気付かなかった。ごめんね」

妹「い、いいよ！」

妹「(元はと言えば私が変な意地張って熱あるのわかってたのに学校来たから……)」

妹「そういえば私」

友「うん？」

176 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:30:47.83 ID:fKgkOK1/0

妹「自分がどうやってここまで来たかよく覚えてないんだけど」

友「あ、うん……」

妹「私、重くなかったですか……」

友「……私がここまで連れてきたわけじゃないし」

妹「そうなの？」

友「うん」ｺｸｯ

友「……男君だし」

妹「あ、そうなんだ……」

妹「(ここで男君の名前が出るとは思わなかった)」

友「帰りの用意、持って来たから一緒に帰ろー」

妹「わざわざありがとね」

友「……どういたしまして」

177 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:31:18.87 ID:fKgkOK1/0

―――――　――

帰り道

友「ここから一人で大丈夫？」

妹「そんなに心配しなくても平気だって」

友「そう……？」

妹「だいぶ楽になったし」

妹「それにあとはバスに乗って帰るだけだもん」

友「……じゃあ」

妹「また明日ね」

友「うん、ちゃんと寝て早く治してねー」

ﾀﾀﾀｯ...

178 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:31:55.12 ID:fKgkOK1/0

妹「……」

妹「寒い……」

ﾁｮｺﾝ

妹「(……微妙な時間だから誰もいないんだ)」ｷｮﾛ

妹「(バス、早く来ないかな……)」

ﾄ､ﾄ､ﾄ...

妹「！」ﾊﾟｯ

妹「……あ」

会長「こんなとこで会うなんて珍しいなあ」

妹「会長……」

会長「もしかしてうち、警戒されてるんかな？」

妹「そ、そんなことないです！」

179 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:32:34.06 ID:fKgkOK1/0

妹「(……警戒してるつもりはないけど)」

会長「なんでうちがいるんかって知りたい？」

妹「あ、いえ……」

会長「あはは、この時期は一番暇なんよ」

妹「卒業式、とかは」

会長「あれは生徒会主催やないし。送辞とか考えて一日、二日前に会場準備すればいいん」

妹「へえ……」

会長「隣、ええ？」

妹「……どうぞ」

会長「ありがとう」

妹「……」

180 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:33:11.01 ID:fKgkOK1/0

会長「この時間、バスの本数少ないねんなあ」

妹「みたいです」

会長「そうなんや」

妹「(会長、いい人なのに)」

妹「(なんかまた熱上がってきそう)」

会長「……」

妹「……」

会長「先輩のことやねんけど」

妹「わ、話題に困ったって無理に話すことは無いです！」

会長「……」

妹「って、お姉ちゃんが……」

会長「あはは、うちも昔言われたなあ」

妹「えっ……」

181 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:33:40.93 ID:fKgkOK1/0

会長「けど、妹さん」

会長「それが通用するのは親しい間柄だけと違うかなあ」

妹「……」

妹「そ、そうですね」

会長「……ごめん、この言い方やとちょっとアレやね」

妹「いえ……」

妹「(……会長、人懐っこそうなのに)」

妹「(初めて生徒会室で会ったときもそうだったけど、周りと線引いてる感じがする……)」

会長「ま、けどうち、こればっかは治らへんわ」

会長「特に会長の前やと」

妹「……」

182 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:34:18.70 ID:fKgkOK1/0

会長「妹さんは、先輩のこと好き？」

妹「……」

妹「は！？」

会長「まあ姉妹なんだし好きなんは好きやろうけど」

妹「……」ｺｸｯ

妹「(……姉妹だから)」

会長「先輩みたいなお姉さんがいて羨ましいわ」

妹「……そうですか」

会長「うん、羨ましい」

会長「妹さんが、すごい羨ましいん」

妹「会長は」

会長「うん？」

183 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:34:58.95 ID:fKgkOK1/0

妹「会長は、お姉ちゃんのこと好き、なんですか」

妹「(……私、なに聞いちゃってるんだろう)」

会長「……それはどういう意味で聞いてるん？」

妹「えっ、と」

会長「……」

会長「なんて、ちょっと意地悪い質問やな」

妹「……」

会長「好きかな、先輩のこと」

妹「……」ﾋﾞｸｯ

会長「どういう意味で捉えるかは妹さん次第やけど」

184 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:35:26.96 ID:fKgkOK1/0

会長「でもうちは、先輩と離れたくないしうちのことを忘れんといてほしい」

ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛｯ...

妹「バス……」

会長「これはそのままの意味」ﾍﾗｯ

会長「あの人はうちに居場所をくれた人やから」

ｽｰｯ､

会長「ほな、また」

妹「会長、乗らないんですか」

会長「うち、方向ちゃうし」

ｶｼｬﾝｯ

妹「あ……」

185 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:35:56.55 ID:fKgkOK1/0

会長「先輩によろしくな」ﾋﾗﾋﾗ

妹「……」

妹「……」ﾍﾟｺｯ

妹「……はあ」

ｺﾄﾝ､

妹「……」ｸﾞｯ...

妹「(初めて話したときと、少し印象が違ったな……)」

妹「(……聞かなきゃ、よかった)」

186 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:36:31.41 ID:fKgkOK1/0

―――――
　―――――

ｶﾞﾁｬｯ

妹「……ただいま」

母「おかえりー」ｶﾁｬｶﾁｬ

妹「ん……」

母「熱は？大丈夫だった？」

妹「……まあ」

母「今日は早めにご飯するからちゃんと寝なさいよー」

妹「うん」

母「……」ｶﾁｬｶﾁｬ

妹「……」

母「なあに？いつまでも後ろに立っちゃって」

187 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:37:14.27 ID:fKgkOK1/0

母「お皿洗い手伝ってくれるの？」

妹「……お姉ちゃんは」

母「まだだけど」

母「口を開けばいつもお姉ちゃんお姉ちゃんねえ」

妹「……そ、そうかな」

母「仲がいいのはいいことだけど」

妹「お母さん、私たちがほんとに仲いいように見える？」

母「はい？」ｷｭｯ

妹「……だって、お姉ちゃん」

母「……危なっかしいほどねえ」

妹「え？」

母「危なっかしいほどあんたたち、仲良かったから。最近またよく一緒に居るみたいだし」

ｶﾁｬﾝ

母「あら」

188 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:37:48.21 ID:fKgkOK1/0

姉「ただいま」ｶﾞﾁｬ

妹「……！」ﾋﾞｸｯ

姉「……」ﾁﾗｯ

姉「……ただいま」

妹「……おかえり」

母「今日は遅かったねえ」

姉「んー、そうかなあ」

母「ご飯出来たら呼ぶから、着替えてきなさいよ」

妹「……うん」

ﾄﾄﾄ､

189 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:38:18.62 ID:fKgkOK1/0

妹「(なんかすごく気まずい)」ｶﾞﾁｬｯ

姉「私も、着替えようかな」

母「洗濯物増えるじゃないー」

姉「だって、煙草臭いし」

妹「たばこ……？」ﾋﾟﾀｯ

母「やだ、お姉ちゃん煙草吸ってるの？」

姉「吸ってないって」

母「びっくりしたじゃないもうー」

妹「じゃ、じゃあなんで」

姉「煙草くらいでおおげさじゃない？」

妹「でもお姉ちゃん」

姉「相手の人が吸ってんだもん」

190 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:38:49.83 ID:fKgkOK1/0

妹「相手って！」

母「……」

姉「着替えてくる」

ｶﾞﾁｬｯ
ﾄﾄﾄ...

妹「(……お姉ちゃんが逃げた？)」

母「……しかたない子ねえ」

母「ほら、あんたも着替えてきなさいよ」

妹「……でも」

母「はーやーく」

妹「うん……」

191 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:39:25.23 ID:fKgkOK1/0

部屋

妹「(お姉ちゃん、なに隠してるんだろ……)」

妹「(……やっぱり、お姉ちゃんも誰かと会ってるのかな)」ｽﾞｷｯ

妹「頭痛い……」

妹「(こんなこと考えたって今の状態じゃ悪いことしか浮かばないか)」

妹「……」

ｼｰﾝ

妹「(向こうの部屋から、なんの音もしない……)」

妹「(来てくれないのかな……熱引いたのとか、聞きに来てくれてもいいのに)」

妹「(……さすがにそこまで私に構ってくれるわけないか)」

192 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:39:52.64 ID:fKgkOK1/0

妹「……」

ﾎﾞｽｯ

妹「(もうこのまま、ご飯まで寝ちゃおうかな)」

妹「(着替えるのもめんどくさいや)」

妹「(今はもう、お姉ちゃんのことなんかなにも考えたくない)」

妹「……」

ｶﾞﾊﾞｯ

妹「……無理だよ」

193 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:40:30.10 ID:fKgkOK1/0

姉の部屋

ｺﾝｺﾝ

妹「……」

...ｺﾞｿｯ

妹「……お姉ちゃん」

ｺﾝｺﾝ

姉『着替え中』

妹「……そう」

姉『……なに？』

妹「なにが」ｺﾂﾝ

姉『なにか、用あるんじゃないの』

194 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:41:00.16 ID:fKgkOK1/0

妹「……」

妹「……べつにそういうわけじゃないけど」

姉『さっきのこと？』

妹「えっ」ﾄﾞｷｯ

妹「ち、違うし、どうでもいいし……」

妹「(なに、誤魔化してるんだろう私……)」

姉『……』

妹「……そ、そういえば昨日のこととか、なにも言ってなかったなって」

姉『お礼でもしてくれるの？』

妹「……するわけないじゃん」

姉『あ、そう』

195 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:41:39.60 ID:fKgkOK1/0

妹「た、ただ……」

妹「昨日、変なこと言っちゃってごめん」

妹「私、自分でもなに言ってるのか、わからなくて」

姉『……そ』

妹「怒ったり、してる？」

妹「(怒ったり、めんどくさいって思ってたり)」

姉『怒るもなにも私、もう忘れちゃったよ』

妹「えっ」

姉『あんたの熱のうわごと、いちいち覚えてるわけないでしょ』

妹「……そっ、か」

姉『えぇ』

196 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:42:23.73 ID:fKgkOK1/0

妹「……寂しかったとか、そんなわけないし」

姉『はいはい、そうね』

妹「……うん」

妹「(お姉ちゃん、笑ってくれてる？)」

ｶﾞﾁｬｯ

妹「わっ！？」

姉「えっ」

ﾄﾝｯ

姉「……なんでドアにもたれかかるのよ、いつもあんたは」

妹「……急に開けないでよ」

姉「あんたが悪いんでしょ」

妹「うぐ……」

197 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:42:58.97 ID:fKgkOK1/0

姉「まだ熱あるんじゃない？」

妹「……たぶん」

姉「たぶんって、あんたねえ」

妹「だって、計ってないし」

姉「着替えてないし」

妹「……うん」

姉「しんどいったって着替えるくらいはしなさいよ」

妹「……うん」

姉「……」

姉「……」ｷｭｯ

妹「な、なに……？」ﾄﾞｷﾝｯ

198 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:43:35.26 ID:fKgkOK1/0

姉「ちょっとだけ」ﾎﾞｿｯ

妹「(お、お姉ちゃんに抱きつかれてる……！？)」

妹「(お姉ちゃんの体温と私の体温でよけいにくらくらしそう――)」

姉「……」

妹「お姉ちゃん……」

姉「……ん」

姉「終わり」

ﾎﾟﾝｯ

妹「押さないで……よ」

姉「……」ｸﾙｯ

妹「(あ、お姉ちゃんがどんな顔してたのか……見えなかった)」

199 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:44:04.70 ID:fKgkOK1/0

姉「とりあえずさっさと着替えてご飯まで寝ときなよ」ｶﾞﾁｬｯ

ﾊﾞﾀﾝ

妹「……」

妹「……やば、熱上がってきた」

妹「(急にお姉ちゃんが……)」

妹「(後ろから、とか)」

妹「(……ずるい)」ｶｱｯ

妹「はあ……」

妹「(やっぱり私って単純なのかなあ)」

200 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/21(火) 22:44:52.21 ID:fKgkOK1/0

◆

「えぇ、はい……」
『――――』
「はい、わかりました」

ｷﾞﾘｯ

「また、明日」

ﾋﾟｯ...
ﾊﾟﾀｯ

「――っ」

201 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/02/21(火) 22:45:33.14 ID:fKgkOK1/0

今日の投下は以上です
明日からはまたのんびり続けていきます

202 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/02/21(火) 23:14:29.85 ID:InCkI6AIO

？？？
乙

203 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]：2012/02/21(火) 23:17:13.66 ID:7aJmHvSro

乙
いいね

204 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2012/02/21(火) 23:37:49.51 ID:M7F0MQlt0

おつー

205 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/02/22(水) 00:37:07.75 ID:jhjDJ9Tvo

乙
前回の読んでた時のモヤモヤ感が戻ってきたw
皆色々隠してるよな…

206 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/02/22(水) 22:18:45.58 ID:MUYooPtf0

次々にかかってくる電話、届くメール。
嫌になる。重い。辛い。
力をなくした指先から閉じた携帯がこぼれ落ちた。

207 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:19:46.22 ID:MUYooPtf0

―――――
　―――――

翌日

妹「(はあ、今日も寒い……)」

ﾄﾄﾄ...

友「ありゃ」

妹「うん？」ｸﾙｯ

友「あぁ……」

妹「なに、人の顔見るなり」

友「ううん……まさか学校来るとは思わなくて。おはよう」

妹「おはよう。来ない方がよかった？」

友「はい」

妹「ちょっと」

208 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:20:25.70 ID:MUYooPtf0

友「嘘だってばー。熱、もうないの？」

妹「うん、治っちゃった」

友「そっか、心配したよもー」

妹「どの口が言う」

友「この口かなあ」

ﾄﾃﾄﾃ...

妹「(……昨日早めに寝たからかな)」

友「なににやついてるの……？」

妹「えっ」

友「にやついてるよ、すごく」

209 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:21:03.89 ID:MUYooPtf0

妹「ぜ、ぜんぜんだよ……」

妹「(そんなつもりはなかったんだけど)」

友「朝から気持ち悪いよお」

妹「朝からひどい」

『熱はちゃんと下がった？』

『……下がったけど』

『そう、良かったね』

『う、うん……』

『学校、行ってらっしゃい』

妹「(たったこれだけの会話だし……お姉ちゃんが昨日どこに行ってたかもちゃんとわかってないのに)」

210 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:22:29.47 ID:MUYooPtf0

妹「(最近ますますお姉ちゃんのこと好きになっちゃってる気がする)」

友「でもちょっと疲れがとれたみたいで良かった」

妹「疲れてたわけじゃなくって落ち込んでたんだってば」

妹「……一応」

友「い、一応って言わなくても普段落ち込むような柄じゃないってわかってるよ！」

妹「それフォローでもなんでもないよね」

友「え？」

妹「ううん、なんでもない。ありがとう」

友「ふふっ、どういたしまして」

妹「(ずっと一緒にいたはずなのに、やっぱりたまにわからない……)」

211 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:23:19.30 ID:MUYooPtf0

友「そ、そんなに見られちゃ恥ずかしいよ？」

妹「あーうん」

友「どうかした？」

妹「どうかしたっていうかなんというか」

友「言ってくれなきゃわか――」

妹「(いつもにこにこ笑ってて明るいけどたまに今みたいな顔したりして)」

友「あ」ﾋﾟﾀｯ

妹「(昨日だって……)」

妹「えっ、なに？」ｷｮﾄﾝ

友「……」

男「……」

妹「うっ」

212 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:24:00.82 ID:MUYooPtf0

妹「(なんで男君が……！？しかも私たちを待ってるみたいだし……)」

友「どうも」ﾍﾟｺﾘ

妹「(普通に声掛けてるし……！)」

妹「あ、えっと……おはよう」

男「……」ﾋﾟｸｯ

男「……おはよう」

友「ほら、行こう？」

妹「う、うん……」

男「……」ｺｸｯ

妹「(結局一緒に行っちゃうの……！？)」

213 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:24:38.52 ID:MUYooPtf0

妹「(なんかすごい気まずいんだけど……急に黙り込んじゃうし)」ﾁﾗｯ

友「……」

妹「(また、昨日と同じ沈んだ顔してる)」

友「……あ」

妹「え？」

友「ごめんね、私」

男「日直」

妹「へ？」

男「だったよな」

214 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:25:11.28 ID:MUYooPtf0

友「あぁ、そう日直、だから。早く行かなきゃ怒られちゃうし、先行くね」

妹「ちょ、ちょっと！？」

ﾀﾀﾀｯ...

妹「逃げた……」

男「逃げた？」

妹「あ、いや、なんでもない、です」

男「……」

妹「……」

妹「(なんで私と男君が一緒に登校しなきゃいけないの……)」

215 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:25:44.80 ID:MUYooPtf0

男「……」

妹「……」

ﾄﾃﾄﾃ

男「……」

妹「……」

ﾄﾃﾄﾃ

男「歩くの、早くないか」

妹「そうかな」

男「悪くはないと思うけど」

妹「はあ……？」

216 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:26:18.51 ID:MUYooPtf0

男「俺は嫌いじゃないよ」

妹「(あ、追いつかれた……)」

妹「あぁ、そうなんだ」

妹「(いっそ走りたい)」

男「あのさ」

妹「はいなにか」ｽﾞﾝｽﾞﾝ

男「お前の姉さんのことなんだけど」

妹「なっ……！？」ﾋﾞｸｯ

217 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/02/22(水) 22:26:49.54 ID:MUYooPtf0

男「お前の姉さんって」

妹「(なんで男君がお姉ちゃんの話題なんか出すわけ？しかも私の隣に並んで)」

妹「(お姉ちゃんは眼中にないって言ってたけど……ああでもこの人がもしお姉ちゃんのこと)」

妹「ごめん私そういうのよくわからないから」

男「は？」

妹「わからないから！」

男「あ、あぁ……」

218 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/02/22(水) 22:27:40.66 ID:MUYooPtf0

今日の投下は以上
おやすみなさい

219 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/02/22(水) 22:46:28.19 ID:FK3QpAz/o

乙

220 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/02/24(金) 00:22:42.89 ID:RQSYM3o7o

乙
前回のと話が変わってきたね。期待期待

221 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/02/27(月) 14:55:36.64 ID:4ebjopOIO

追いついた

しえ

222 ： ◆qvIZyIvV7w [sage]：2012/02/27(月) 18:56:09.99 ID:SDN74GeQ0

現在書き溜め中です
遅くなって申し訳ない、週末くらいにはとりあえず投下する

223 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]：2012/02/28(火) 18:56:28.49 ID:e6Bdf2Kr0

姉妹百合と聞いて＜●＞＜●＞
最近少なくて寂しい思いをしていました

224 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/03(土) 22:43:04.05 ID:Tbll7Ook0

―――――　――
妹「はあ……朝からどんと疲れた」ｸﾞｯﾀﾘ

妹「(あれからなに話かけられても無視で通しちゃったし……)」

妹「……」ｷｮﾛｯ

妹「あっ」

友「！」

友「お、おはよう」

妹「おはようじゃないよね……」

225 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/03(土) 22:43:40.34 ID:Tbll7Ook0

友「お疲れ様？」

妹「……ほんとに疲れた」

友「日直なの忘れてたから……」

妹「男君が覚えてたなんてすごいね」

友「えっと、うん……」

妹「(朝一緒に学校行ったとかお姉ちゃんに言ったらそれはそれでなにか言ってくれるかなあ……)」

妹「(でも……)」

友「別になにかあるってわけじゃないよ！」

妹「え？」

226 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/03(土) 22:44:12.21 ID:Tbll7Ook0

友「え？」

妹「あぁ、男君と」

友「う、うん」

妹「男君と仲良かったんだ」

友「いや、だからそうじゃないよ！？」

妹「違うの？」

友「だからなにかあるってわけじゃないって……」

妹「へえ」

妹「(そういえば男君とあんなふうに話したっけ、この子)」

友「な、なにー？」

227 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/03(土) 22:44:43.20 ID:Tbll7Ook0

妹「ううん、なんでもないよ」

友「そう……？」

妹「ただ、突然不思議だなって思っただけ」

友「だ、だから仲が良いわけじゃ」

妹「今だれも仲が良いなんて言ってないけど？」

友「あっ」

友「と、とりあえず……ほんと、なんでもないの」

妹「ムキになるところが怪しいけど……」

友「ま、まあ」

妹「そういうことにしとくよ」

友「……うん、そうして」ﾎｯ

妹「(なにかあったのかな)」

228 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/03(土) 22:45:29.54 ID:Tbll7Ook0

―――――










「付き合って欲しい」










　―――――

229 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/03(土) 22:49:20.33 ID:Tbll7Ook0

短いですがとりあえず以上
また投下できそうならひっそり投下するかも

230 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/03/03(土) 23:07:41.43 ID:mtMNREhXo

乙

231 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/03/04(日) 01:38:19.72 ID:OysCsSboo

乙
最後のは誰の、何時の、台詞なんだろうか

232 ： ◆qvIZyIvV7w [sage]：2012/03/13(火) 18:47:39.45 ID:ukBBHK/A0

今少し忙しく中々書ける状態ではないのですが少しずつ書き溜めてはいます
とりあえずの生存報告でした

233 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/03/14(水) 03:10:53.66 ID:G/1TY47IO

ゆっくりでいいよー
続きが読めればそれでいい

234 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/20(火) 19:41:09.99 ID:yDOn0T0K0

ちょっとだけ更新

235 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/20(火) 19:41:55.29 ID:yDOn0T0K0

放課後

妹「失礼しました」

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

妹「……よいしょ」ｶﾊﾞﾝﾋｮｲｯ

ﾎﾟﾂﾝ

妹「……」ｷｮﾛｷｮﾛ

妹「いない……？」

236 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/20(火) 19:42:35.29 ID:yDOn0T0K0

妹「(昨日のことで先生に呼ばれたから職員室の外で待っといてって言ったのに)」

妹「とりあえずもう少し待ってみようかな……)」

ﾀﾀﾀｯ...

妹「あっ……」ﾊﾞｯ

妹「って、違うか」

妹「……なにしてるのかなあ」ｶﾞｻｺﾞｿ

妹「ん？」

妹「……手紙」ｶｻｯ

『ごめん、用事が出来たから先に帰るねby友』

妹「(走り書きっぽいのに相変わらず可愛い字……)」

妹「じゃなくって……」

妹「先に帰るって……まったくもう」ﾊｱ

237 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/20(火) 19:44:16.51 ID:yDOn0T0K0

妹「(とりあえず、帰ろう)」

ﾄﾃﾄﾃ...
ｻﾞﾜｻﾞﾜ

妹「(どの部活も頑張って……)」


ﾄﾞﾝｯ


妹「！？」

妹「(び、びっくりした……今の、なんの音だろう。そこの教室から聞こえた……？)」ｺｿｯ

「……てるの！」
「お前しかいないんだよ！」

妹「(えっ……なんであの子が男君に壁に追い詰められて――)」

妹「(ていうか)」

238 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/20(火) 19:45:00.16 ID:yDOn0T0K0

男「好きなんだ！」

友「……っ」

妹「(……ちょ、ちょちょちょっと待ってこれって)」

妹「(もしかして用事出来たってこれのこと……？男君に呼び出されて……？)」

ｶﾞﾀｯ

友「！？」

男「あっ……」

239 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/20(火) 19:45:34.48 ID:yDOn0T0K0

妹「(やば、気付かれる！)」ﾀﾞｯ

妹「(思わず、逃げ出しちゃったけど……)」

ﾀﾀﾀﾀﾀｯ...

妹「……はあ、はあ」

ﾋﾟﾀｯ

妹「……」

妹「(心臓、ばくばくしてる……)」

240 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/20(火) 19:46:52.27 ID:yDOn0T0K0

今は以上
次投下できそうなら投下しにきます、無理そうだったら明日

241 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/03/21(水) 00:32:17.16 ID:2SPD3QLno

乙
またいい所で切るな〜ｗｗ

242 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/21(水) 23:43:48.94 ID:Gg6LAY8R0

―――――
　―――――

妹「ただいま……」

ｶﾞﾁｬｯ

姉「あ、おかえり」

妹「！」

姉「なに？」

妹「きゅ、急に出てこないでよ」

姉「急に出てこないでって……たまたま通りかかったんだからしかたないでしょ」

妹「どこか行くの？」

姉「……今日は行かないけど」

243 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/21(水) 23:46:20.75 ID:Gg6LAY8R0

妹「そう、なんだ」

妹「(今私すごい変な顔してる気がする……)」

妹「(あんなドラマみたいな場面見た後だし……しかもそれが私の友達とあと)」ｶｱｯ

姉「どうかしたわけ？」

妹「えっ」

姉「玄関に突っ立ったまま」

妹「別に、どうもしないけど」ｱｾｱｾ

姉「ふーん」

妹「(私ってわかりやすいのかな……)」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀｯ

姉「……」

ｶﾞﾁｬｯ､ﾊﾟﾀﾝ...

244 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/21(水) 23:47:16.30 ID:Gg6LAY8R0

―――――　――
部屋

妹「はあ……」

ﾎﾟﾌｯ

妹「あ、制服……」

妹「(このまま寝転んだら皺になるかな)」

妹「まあいっか……)」

ｺﾞﾛｯ

妹「……」

245 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/21(水) 23:48:15.18 ID:Gg6LAY8R0

妹「(男君ねえ……)」

妹「あの子だってそんな素振、見せてなかったのに」

妹「ていうか」

『別になにかあるってわけじゃないよ！』

妹「(……とか言ってたのにな)」

『好きなんだ！』
『……っ』

妹「(あの時見たことない顔してたなあ……)」

246 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/21(水) 23:49:27.32 ID:Gg6LAY8R0

妹「(付き合ったりするのかな。でもお姉ちゃんは私が男君のこと好きって――)」

妹「……」

妹「(……やっぱり、おかしいんだよね)」

妹「(ちゃんとわかってるから男君を好きな人にでっち上げて。でも本当の好きな人は女の人だし……)」

妹「……しかもお姉ちゃんって」

妹「(……言えるわけないし、言っちゃいけないんだよね)」

ｺﾞﾛｯ...

妹「(いっそほんとに男君のこと好きになれたらまだもうちょっと楽かもしれないのになあ)」

247 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/21(水) 23:50:51.76 ID:Gg6LAY8R0

なんかのんびりすぎる更新ですみません
今日は以上

248 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/03/22(木) 00:05:36.72 ID:UahenRlxo

乙
また続き楽しみにしてます！

249 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) ：2012/03/22(木) 01:26:25.87 ID:6iNpr3jq0

嗜淵

250 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/03/22(木) 04:25:14.14 ID:GV8WKhUO0

男が何かしたら発狂してやる支援

251 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/23(金) 00:05:46.84 ID:qdAs1ucL0

―――――
　―――――

姉「なにあんた、まだそんな格好してるの？」

妹「え？あ、制服のまま……」

姉「なにやってたのよ、部屋で」

妹「……考え事」ﾑｽｯ

姉「ご機嫌斜め？」

妹「うん」

姉「肯定するほど？」ｸｽｯ

妹「……」

252 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 00:07:27.44 ID:qdAs1ucL0

妹「……お母さんは？」

姉「今日も出かけるんだって」

妹「最近多いね」

姉「そろそろ一人いなくなるからじゃないの」

妹「……ん」

姉「ごはん食べる？」

妹「食べる」

姉「じゃあちょっとは手伝ってよね」

妹「お姉ちゃんが作るの？」

姉「今日は一日家にいたし」ﾁﾗｯ

妹「……そ」ﾌｲｯ

253 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 00:08:59.19 ID:qdAs1ucL0

姉「もうちょっとで一人暮らしするんならそれくらいやっといてだって」

妹「当たり前だよ」

姉「あとちょっとこっちにいる間だけでもゆっくりさせてくれたっていいのにって思わないのかしらね」

妹「知らないよ、そんなの」

姉「ん」

妹「……んって」

姉「手伝ってって言ったでしょ？」

妹「言ったけど……なに作るの？」

姉「適当」

254 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 00:10:41.83 ID:qdAs1ucL0

妹「適当！？」

姉「あるもの煮て焼いとけばなんとか食べれるようになるでしょ」

妹「ちょ、ちょっと……」

姉「なによ」

妹「家にある食べ物全部出してきてない？」

姉「全部じゃないけど、まあ」

妹「……」

姉「……」

妹「お姉ちゃん、もしかして料理もできないの？」

姉「……べつに、そんなことはないけど」

255 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 00:11:47.64 ID:qdAs1ucL0

妹「片付け」

姉「あ、あれは」

妹「……もしかしてお姉ちゃんって、一人じゃ最低限の生活もできないんじゃない？」

姉「……できない、じゃなくってやらないだけよ」

妹「じゃあやろうと思ったらできるの？」

姉「……」

妹「……」

姉「ずっと、頼ってばっかだったよね。お母さんとか、たぶんあんたにも」

妹「(そういえば、お姉ちゃんが家のこと手伝ってるの見たことない)」

妹「(一日中家にいることのほうが、少なくて)」

妹「(私にばかりめんどくさいことまわってきたんだっけ)」

256 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 00:12:49.37 ID:qdAs1ucL0

姉「今さら、言ったってどうにもならないんだけど」

妹「ほんとだよ」ｸﾞｲｯ

姉「あ」

妹「一人暮らししたらすぐ餓死でもしちゃうんじゃないの」

姉「そんな言葉よく知ってるわね」

妹「私がじゃがいもの皮剥くから、お姉ちゃんはお湯わかして。沸かし方は――」

姉「それくらいわかる」

妹「へへっ」

姉「なによもう」

257 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 00:14:16.35 ID:qdAs1ucL0

妹「……ねえ、お姉ちゃん」

姉「うん？」ｻﾞｰｯ

妹「お姉ちゃんが向こう行って音あげないようにさ」

妹「(私も、着いてってあげようか)」

妹「(……なんて)」

姉「……」

ｺﾎﾟｺﾎﾟ

姉「で、お湯わかしてどうするの」

妹「今わかるって言って――ていうか水いれすぎ！」

姉「あ」

258 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/23(金) 00:15:28.03 ID:qdAs1ucL0

今日は以上
おやすみなさい

259 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]：2012/03/23(金) 00:22:20.77 ID:6N6AsGUyo

あれれ？まさかの姉ダメっ娘？
とりあえず乙。続き楽しみ

260 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/03/23(金) 00:24:51.23 ID:0DwWrW+Fo

乙
元生徒会長にも弱点があったか

261 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/23(金) 23:40:02.82 ID:3AgumfB80

>>267ミス
＞姉「で、お湯わかしてどうするの」
→姉「で、お湯わかすのってどうするの」

262 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:42:10.71 ID:3AgumfB80

数十分後

妹「できた……」

姉「できた？」

妹「お姉ちゃんが邪魔しなかったらもうちょっと早くできたよ」

姉「邪魔なんてしたつもりないんだけど」

妹「まあ……」

姉「カレー作ってたのね」

妹「わからなかったの？」

姉「……」

妹「……」

263 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:42:55.10 ID:3AgumfB80

姉「で、早く食べちゃおう」

妹「……ほんとにわからなかったんじゃ」

姉「うるさい」

ｺﾂﾝ

妹「いたっ」

姉「まったく」

妹「……へへっ」

姉「……なにがおかしいんだか」ﾌｳ

妹「(お姉ちゃんの意外なとこ、また見つけちゃった)」

妹「(……だんだんお姉ちゃんが近付いてくるみたいな、変な感覚)」

264 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:43:48.06 ID:3AgumfB80

姉「はい、これ持ってって」

妹「よそうのだけは上手いんだね」

姉「どういう意味よ」

妹「お母さんの分は」

姉「ご飯ちょっと置いとけばいいんじゃない？」

妹「そっか」

姉「じゃ」ｺﾞｿｺﾞｿ

ｽﾄﾝ

姉「いただきます」

妹「ん……いただきます」

265 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:44:24.13 ID:3AgumfB80

姉「……」ﾊﾟｸｯ

妹「……」ｼﾞｯ

姉「……なに、そんなにじっと見て」ｺﾞｸﾝｯ

妹「……そんな、つもりはないけど」

姉「おいしいよ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

妹「！」

姉「ちょっと水っぽいけど」

妹「文句言わないでよー」

266 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:45:00.68 ID:3AgumfB80

姉「でも、私は嫌いじゃないかな」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

妹「あ、そう……」ﾊﾟｱｯ

姉「……ふふっ」

妹「……う」

妹「(やっぱり私、お姉ちゃんのこと)」

姉「ごちそうさま」

妹「お姉ちゃん食べるのはやい」

姉「あんたが遅いだけでしょ」

妹「そんなことない、と思うけど」

267 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:45:54.02 ID:3AgumfB80

姉「……」

妹「……」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

姉「……」

妹「……戻らないの？」

姉「……」

妹「お姉ちゃん？」

姉「うん？」

姉「ああ、お皿」

妹「お皿？」

姉「洗うくらいはやっとく」

268 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:46:34.14 ID:3AgumfB80

妹「……たまには、なんじゃないの？」

姉「私の分までやってくれるんならさっさと戻るけど？」

妹「……洗ってくれるなら」

姉「だったら早く食べなさい」

妹「ん」ﾊﾟｸﾊﾟｸ､ｺﾞｸﾝｯ

妹「(辛い……)」

姉「水、いる？」ｶﾀﾝ

妹「あ、うん……」

姉「で、お皿貸して」

妹「はい……」

ｶﾁｬｶﾁｬ...

269 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:47:26.44 ID:3AgumfB80

妹「……」ｺﾞｸｺﾞｸｯ

妹「(前、お姉ちゃんと二人だけだったときは逃げちゃったけど……)」

姉「……」ｶﾁｬｶﾁｬ

妹「(う……今さら、なに話せばいいかわからなくなってきた)」

妹「(お姉ちゃんと二人きり、やっぱり慣れないな……)」

ｻﾞｰｯ

姉「……」ｶﾁｬｶﾁｬ

妹「あ、あの」

姉「え、なに？」ｶﾁｬｶﾁｬ

妹「やっぱ私も、手伝う」

270 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:48:12.91 ID:3AgumfB80

姉「あんたこそ戻んないの？」

妹「べつに……今日は見たいテレビもあるし」

姉「そう。じゃあテレビ見ればいいじゃない」ｶﾁｬ､ﾁｬ

妹「そ、それはそうなんだけど……水の音うるさいし、さっさと終わらせてほしいっていうか」

姉「相変わらずはっきりしない」

妹「うぐっ」

姉「いいよ、手伝わなくたって。もう終わるし」

妹「(終わらせたら終わらせたで、お姉ちゃんは部屋に――)」

姉「……」ｷｭｯｷｭｯ

妹「……」

271 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:49:04.18 ID:3AgumfB80

姉「そんなに手伝いたかったの」

妹「そんなわけないじゃんばか」

姉「……あんたよりバカになった覚えはないんだけどな」

妹「うう」

姉「で、テレビ、見ないの？」

妹「え」

姉「見ないんだったら」

妹「見る！見る見る見る！」

姉「あ、そう」

272 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:49:58.08 ID:3AgumfB80

妹「見る、けど……！」ﾓｼﾞｯ...

姉「……」

姉「見ないんだったら私がとっちゃうよ」

妹「えっ、ちょっと」

ﾋｮｲｯ

妹「チャンネル！」

姉「のろのろしてるあんたが悪いんでしょ」

ﾋﾟｯ

273 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:50:34.59 ID:3AgumfB80

姉「この時間にやってる番組よくわかんないかなあ」

ﾋﾟｯﾋﾟｯ

妹「み、見るやつないならチャンネル貸してよ」

姉「やだ」

妹「なんで」

姉「あんただって見る番組ないんじゃないの？」

妹「うぐぐっ」

ﾋﾟｯﾋﾟｯﾋﾟｯ

妹「あ、こ、これ！」

274 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:51:05.59 ID:3AgumfB80

姉「これ？」

妹「これ、見たい！」

姉「ふーん」ｽﾄﾝ

妹「(う、今流行ってるドラマ……)」

姉「どうしたの？」

妹「え、なに？」

姉「座らないのって」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

妹「(お姉ちゃんの隣……！？)」

275 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:51:44.70 ID:3AgumfB80

姉「突っ立ったまま見るつもり？」

妹「そ、そんなわけないじゃん」ﾄﾄ､

ｽﾄﾝ...

姉「……意外」

妹「な、なにが」

姉「あんたの好み？砂糖みたいに甘いね……」

妹「別にこのドラマが好きってわけじゃ」

姉「見たいって言ったのはあんたでしょー」

妹「って言いながらお姉ちゃんも結構真剣に見てるよね」

姉「うるさい」

276 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:52:26.14 ID:3AgumfB80

妹「(こうやって隣に座ってテレビ見るの、何年ぶりだろう……)」

妹「(こんなふうに姉妹っぽいことしたの、全然なかったし)」

姉「これは甘すぎるわ……」

妹「そこがいいんだよ」

妹「(たぶん)」

姉「だって、普通こんな台詞、言う？」

妹「……使うんじゃない？」

姉「言われたいと思う？」

妹「……えっと」

277 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:52:58.90 ID:3AgumfB80

姉「君に出会うために生まれてきたんだ」

妹「！？」ﾄﾞｷｯ

姉「願わくば、この腕で君を抱きたい」

妹「お、お姉ちゃん……」

姉「……なんてね」ﾌｲｯ

妹「……」

姉「……さすがに恥ずかしいわ」

妹「(お、お姉ちゃんが赤くなってる……？)」

278 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:53:41.33 ID:3AgumfB80

姉「なによ……」

妹「なんでもない……」ｶｱｯ

姉「やっぱり見てられない、チャンネルかえる」

ﾋﾟｯ

妹「う、うん……」

279 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]：2012/03/23(金) 23:54:19.08 ID:3AgumfB80

姉「まあでも、悪くないかな」

妹「え？」

姉「……こうしてるのも」

妹「……」ﾄﾞｷﾝｯ

妹「……うん」

妹「(やっぱり私、お姉ちゃんのこと好きなんだ)」

妹「(伝えられなくても忘れられるわけないし、諦めきれるわけない……)」

280 ： ◆qvIZyIvV7w [saga]：2012/03/23(金) 23:54:55.35 ID:3AgumfB80

今日は以上です
おやすみなさい

281 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/03/24(土) 00:30:00.83 ID:xQWfwNWgo

乙
演技で言われたとしても、ﾄﾞｷｯとしちゃうっていいな
最後の二行、応援したくなるね

282 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/04/19(木) 02:34:33.56 ID:f8oY4B9IO

更新されてないねぇ
忙しいのかな？

283 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/05/18(金) 21:00:27.54 ID:OjcgF9m2o

生存報告一つで大分楽になるんだけどね……