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主人公「だったら俺は、愚か者でいい」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/22(水) 13:59:38.24 ID:zEG7MkB+o
オリジナルです。そしてSS初投稿です
キャラに名前がついており、セリフ前にも表示してあるので苦手な人は注意してください
地の分も、次第に増えていきます。こちらもご注意を
そして、かなり長くなると思います

初心者なのでいまいち心得てないことや、遅筆であるとか、いろいろあります


暇つぶし程度にやるつもりですので、ご容赦ください





では、始めていきます

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うんち @ 2025/07/25(金) 23:18:36.55 ID:tsEvWZe2o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753453115/

天龍「イキスギィ!イクイク!ンアーッ!枕がデカすぎる!」加賀「やめなさい」 @ 2025/07/25(金) 19:40:58.85 ID:LGalAgLLo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1753440058/

(安価&コンマ)コードギアス 薄明の者 @ 2025/07/23(水) 22:31:03.79 ID:7O97aVFy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753277463/

ご褒美にはチョコレート @ 2025/07/23(水) 21:57:52.36 ID:DdkKPHpQ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753275471/

ビーノどっさりパック @ 2025/07/23(水) 20:04:42.82 ID:dVhNYsSZ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753268681/

コナン「博士からメールが来たぞ」 @ 2025/07/23(水) 00:53:42.50 ID:QmEFnDwEO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753199622/

4日も埋まらないということは @ 2025/07/22(火) 00:48:35.91 ID:b9MtQNrio
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753112915/

クリスタ「かわいいだけじゃだめですか?」 @ 2025/07/19(土) 08:45:13.17 ID:AK1WfFLxO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752882313/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:01:25.67 ID:zEG7MkB+o
今回投下するうちに、自作の用語などが入りますが
それらはまとめて次回、またはその次に解説回が入りますので、ご容赦ください




第一章 

古来より人の死には、何らかの『その先』のようなものがあると考えられてきた…

いわゆる『魂』という存在であり、人は死んだらそこで終わり、というわけではないらしい。

『魂』は普通の人間には見えないもので、肉体と一体化することで人間が成り立つ

人間が『肉体』と『魂』という二つの要素で構成されているものだ、というのだ。


さて、この普通の人には見えないしもちろん触れることもできないという魂、これを操ることのできる存在が、この世界にはいるらしい。

その特別な存在は『霊主(りょうしゅ)』と呼ばれ、彼らは人智を超えた超能力を操るのだという。

それになるのに必要な材料は3つ…

『人の死の瞬間』と!

『それを目撃したもの』と!

『死者と目撃者の、同調した強い感情』である!

これは、等しく死というものを目撃してきた『生き残り』たちが織りなす物語である…
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:01:51.67 ID:zEG7MkB+o
―――三月二十四日―――

男「…お前は…誰だよ」

女「?」

男「聞こえなかったか!?お前は!誰だと聞いたんだ!」

女「私はね〜…」ジリ

男「く、来るな!」

女「―――…だよ?」

男「…?」

女「―――。―――さんに聞いたんだ!そしたらこっちだって」

男「ち、ちょっと待て…それだったら説明と合わないぜ!」

男「俺がいつ!―――…!!」

女「それは〜…ごめん、わからないけども…」

女「でもね…」



そんな、意味不明な―――それが俺と、―――の…出会いだった。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:02:19.22 ID:zEG7MkB+o
2035年4月9日、私立『黄泉高校(こうせんこうこう)』の2-2に、彼女は転校してきた。

女の名前は根羽 由比(ねば ゆい)。

長い髪とおとなしそうな雰囲気、そしてそれによく似合ったふちが目立たないメガネ…いかにも読書とかが趣味のインドア派という印象を与える。
そんな、いろんな意味ですぐに溶け込みそうな、いまいちパッとしない彼女でも、転校生というだけでクラスのどよめきはおさまらなかった。

葦原町!どこかにある田舎町で人口は約6000人,自然豊かなこの町にあるただひとつの高等学校、それがここ、黄泉高校、通称『よみこう』である。
一クラス40人が6クラス、それが3学年あるので全校生徒数は721人!私立なのに授業料は安く、その割にかなり設備が良い。偏差値も68とかなり高く、なのに交通の便が悪いため地元民しか通わないので、実質BFである。

この町は外界から遮断された印象を与えつつも、美しい自然があり、
住民もアットホームな感じが漂うので、近年大規模な開発が計画され始めている。そんなところである。

「初めまして、根羽 由比です。趣味は読書です。…え、と…よろしく、お願いします」

たどたどしい挨拶を終えた由比は、指示された通りに席へと着席した。窓際である。朝のSHRが終わるとすぐに、彼女を中心に厚い囲いができた。

「初めまして!俺さ、○○ってんだけどさ!」ザワザワ
「あ、あたしは××っていってね、えっと、」セカセカ
「ちょっと、押さないでよ〜!!」ザワ!!!ザワア!!!!

お決まりの質問攻めに、彼女はなれたように答える。そう、なれていたのだ。

根羽「父が転勤族で…………」

もちろん、これは真っ赤なウソである。

根羽「うん、それでここに住むことになって…………」

これもウソ。

根羽「部活動はまだ決めてないけど、どこかには入るつもり…………」

ウソである。彼女はただの高校生ではない。彼女は、ある使命を持ってここにやってきたのだ…
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:02:47.29 ID:zEG7MkB+o
ようやく、彼女の周りから人だかりが消えた。始業式だけだったので校事は昼までだった。

隣の席の男子「大変だったな、質問攻め。ここは田舎だから、みんな珍しかったんだよ」

根羽「あぁ、うん。でも、こういうのはもう慣れたし…」

隣の席の男子「お父さんの仕事だっけ?ま、どれぐらいここにいるかは知らんけど、よろしく。」

隣の席の男子「俺は古城 絆(ふるき ほだし)。多分今年もクラス委員任されるから、なんかあったら遠慮なく担任に言ってくれよ。」

根羽「え?あなたじゃなくて?」

絆「ハハハ」

根羽「…うん、わかったわ。」

男の声「おーい、ほだちゃん何ナンパなんかしてんねん、はよ行こうや!お!?見いひん顔やな、転校生さん?」

根羽「!?」

絆「そのあだ名やめろって。それにナンパじゃねぇよバカ」

男「誰がチャラ男や、死語使うなや!ところで転校生さん、名前なんて言うん?」

根羽「ぷっ!あははは…!古城君、そんなの、言ってないよ…あはは…!」

男「えぇ〜…意外にもこれをスルーかい…つかよう笑うな」

根羽「あぁ〜あはは、ふぅ…ごめんなさい、私は根羽っていうの。根羽 由比。よろしくお願いします」

男「根羽さんやな、俺は時雨 護(しぐれ まもる)。俺も去年こっちに越してきてさ、なんやろ、新入りとしての気持ちはよう分かるから、勝手わからんかったら何でも頼ってや!」

根羽「時雨君ね、よろしく。」

絆「あんま頼んない方がいいと思うぜ、こいつ変態だし」

時雨「うぉーい!カミンナウト早いて!もう2,3日紳士貫きたかったのに〜!」

根羽「ぷっ!あははは…!それでも、その程度なの…あはは…!」

時雨「おぉ、めっちゃ笑うやん…っと、すまん、時間ないんやった。ほだやん、急ぐで!根羽さん、すまんけどこいつ借りるわ!」

絆「呼び名変わってるじゃねぇか!で、根羽さんすまん、また明日だ、さよなら」

根羽「さ、さようなら」

時雨という茶髪で背が高く糸目の男子が、黒髪に中肉中背という優等生な雰囲気が漂う古城という青年を引っ張って、教室を出て行った。
聞き心地の良い二人のやり取りが、廊下越しに聞こえ、そしてフェードアウトしていった。

根羽(嵐のような人たちだったな…田舎だからってなめてた…)

根羽(でもこれで、私は私の任務に集中できるっ…)

根羽(そう、私の…『日本霊主会』の一員としての任務に…)
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:03:43.26 ID:zEG7MkB+o
昼過ぎ、桜並木の美しい川のほとりを根羽は一人歩く。
シーズン中なのか、平日の昼間なのに花見を楽しむ集団がちらと見える。

根羽(? あれは…?)

根羽の視界に飛び込んできたのは、あくまでこのままいけばすれ違うであろうというだけの
普通の通行人であった。短い髪に動きやすそうな服、明るく朗らかな表情に見える幼い感じが印象的な、女の子であった。
見たところ同い年、しかしどこか浮世離れした雰囲気は、根羽の視線をとらえて離さなかった。
どこかに違和感があるわけではなかった。

根羽(…何だろ、言い表せない…魅力?)

不思議な女の子「…!」

根羽(! 恥ずかし…見つめてるのを気づかれた…)

女の子はそのほかに大したリアクションを取らなかった。根羽は少し歩調を早めて、その子とすれ違おうとした。

スンスン…

根羽(! に、臭いをかがれた…!?)

不思議な女の子「あれ?ねぇ、君って転校生さん?」

根羽「え!?あ、はぁ、まぁ(な、何この子〜!)」

不思議な女の子「やっぱり〜最近多いよね、ね、キレイでしょ?ここの桜」

根羽「う、うんそうね(いきなり!?ホントに痛い子なのかな…!?)」

不思議な女の子「うん、ここはね、いいところだから、きっと気に入るよ。じゃあね〜!」スタタター

根羽「…(…)」

根羽「…ゑ?」

根羽に理解できたことは…田舎にもというか田舎の方が、変な人が多いということだけだった。

根羽(これは…前途多難ね…聞いていた事態になったのもうなずける気がする…)
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:04:10.37 ID:zEG7MkB+o
根羽(…ここが仮拠点…うんまぁ、仕方ないかな…)

根羽がこの地域で任務を遂行するために『組織』が用意してくれた住居、それはその地域に先月できたばかりの
アパートの一室であった。

根羽(できる限り目立たずというのが前提…難しいものね…)

根羽(アパート『センターオブカントリー』…国の中心?それとも田舎の中心?…多分後者ね)

根羽(…あれ…あのアパートの前を歩いているのは…)

根羽「時雨…君と…古城君?」

時雨「!!…あ、あれ?根羽ちゃんやん、どしたん?」

絆「…よう。もしかして家ここのアパートなの?」

時雨「マジで!?うわ超新築やんええなぁ〜!」

根羽「う、うんそうなの。あれ、確か用事があったんじゃ…(たしかにスーパーよったけどそれでも40分ぐらいよ!?…あぁ、普通か)」

絆「…もう終わった。…売り切れ御免の安い昼飯を食いに行っててさ」

時雨「そ、そうそう!めっちゃ安いねんそこ!」

根羽「ふぅーん…(なんか微妙なよそよそしさ…)」

絆「…あぁ、邪魔して悪かったな。帰るぞヘタレ」

時雨「誰がやねん!…ほんじゃ、さいなら!」

根羽「…さようなら」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:04:50.57 ID:zEG7MkB+o
家に入った根羽はひとしきりの整理を終え、休憩に就く。

根羽(…普通よ、普通。転校初日によそよそしいなんて、考えてみれば当たり前でしょ!)

根羽(第一、仲良くなるために来たんじゃないじゃない。手段としてそうなることはあっても…)

根羽(…駄目だ、しっかりしよう。まずは本部からの連絡が…)

根羽はおもむろにカバンの中から薄いスマートフォンのような連絡用の機械を取り出し、何やら操作し始めた。

根羽(定時連絡…『転校初日の状況は上出来。…しいて言うなら田舎には変人が多い』、と)

根羽(…ヒマだなぁ…古城君と、時雨君…か)ピピピ!

根羽「!(返事が来た…うん、いつも通りね…お知らせは…)」

根羽(!? 組織同士の抗争発生!?その記録が…?日時は…今日の昼…場所は…葦原町っ!ここだ…!)

根羽(組織はっ…『阿久津組』っ…第二危険組織に名前があるところだ…そして相手は…!)

根羽(『A.C.T.O.Rs』っ…!そんな…!)

根羽(私のっ…今回の任務…調査の、対象が…)
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:05:24.09 ID:zEG7MkB+o
新築のアパートの一室、まだどこか誰の部屋でもないような雰囲気を醸し出す204号室で
転校生、根羽由比はうろたえていた。

根羽(いつ!?いつこんな抗争が起こったのよ!発生場所に、まさにいたのにっ…!)

根羽(『A.C.T.O.Rs』っ…今回の私の任務は、新しく結成したこのチームの調査…)

根羽(葦原町に数週間前にでき、この町で抗争を繰り返す未知のチーム。すでに私たち以外の組織からも調査に出たものはいた…)

根羽(しかしことごとく返り討ちにあい、中には解体された組織もあったという…)

根羽(戦闘を覚悟しなければならない。そう言い聞かせられて、覚悟はしてきた…けれど)

根羽(まさか戦闘に気付くことすらできないなんて…!)

根羽(一体…どんな奴らなんだろう…人数もわからない)

根羽(あやしいやつとくれば…昼間のあの女の子…?)

根羽(でもあの子なら、もっと早くに確保されてるはずよね…印象に残るし…)

根羽(…明日、古城君たちにでも聞き込みを開始しよう…)
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:05:54.65 ID:zEG7MkB+o
翌日

根羽「おはよう、ねぇ古城君。ちょっといい?」

絆「おはよ、何?」

根羽「あのさ…」

絆「うん」

根羽(まずい…普通に『A.C.T.O.Rs』のことを聞きそうになった…)

根羽(直接は避けた方がいいかな…)

根羽「…い、田舎町って、けっこう変人さんが多いってホントなのかな?」

絆「…へぁ?」

根羽「あの、ほら、えと…昨日さ、桜並木のきれいな川原を歩いてたら、なんだか不思議な女の子にあってさ、初対面なのに臭いかがれちゃって…」

絆「…!」

根羽「それで臭いかいだだけで『転校生さん?』って当てられちゃったの。すごいけど、かなり奇天烈な体験をして…」

絆「…はは、初めて聞いたなそんなの。あれじゃないか?どこにでもたいてい変人はいるが」

絆「その割合がおかしいだけだろ?10万人に100人と6000人に100人じゃ全然違うように」

根羽「!…うん、そうかも」

絆「もしくはまだこの土地になれないだけだとか?きっとそうだろ」

根羽「そう…ね、ありがとう。まだ緊張してたみたい」

絆「…」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:06:21.25 ID:zEG7MkB+o
根羽(そうだ、最近ここらで頻発している抗争についてなら何か知ってるかな…!)

根羽「あ、あともうひとつ。この町って最近外の人の出入りが激しいってホント?」

絆「…実感はないな。だけど確かによく聞く…まぁ、大方開発事業だろ…土地のな」

根羽「ふーん、じゃあ、事件とかは?」

絆「事件?事件って、たとえば?」

根羽(しまった!ストレートすぎた!)

根羽「!…うー…ん…普通に誰かが…けがしたりとか?…実はさ、私けっこうなミステリーファンで、」

絆「…」

根羽「不謹慎かもしれないけど事件って聞くだけでなだかワクワクしちゃって」

根羽(よし、これなら自然!)

絆「それぐらいなら最近多いな。特に外から来た人で」

根羽「え!?それってどんな?」

絆「…このへんの気候になれないとかで。急に風が吹いたりするからなぁ」

根羽「あぁ…そんな感じ…ありがと。」

絆「…何でもいいけどそろそろチャイムなるぜ?」

根羽「うん…」

根羽(なんだか…適当にはぐらかされてる感じがしてならなかった…)
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:06:49.50 ID:zEG7MkB+o
学校生活二日目が終了した。

根羽(進展なし…そしてちょっと急ぎすぎた感じがある。焦ってはダメ)

根羽(さて、報告、『進展なし。このあたりのきゅうりはおいしい』と)

根羽(それで、なにかお知らせは…と)

根羽(…! これは…阿久津組のひとりが…葦原町に侵入!?これは、このタイミングは…)

根羽(…『A.C.T.O.Rs』への復讐だわ…くっ…これは…)

根羽(チャンス…なのかな…幸い、この男の顔は知ってる…能力はまだだけど)

根羽(こいつがわき目を振らず『A.C.T.O.Rs』を捜索しているのをつけて、調査をする…)

根羽(そう…ね、そうしましょう。)

根羽(あまりに卑怯な手を使い始めたら、私が止めるし…)
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:07:21.85 ID:zEG7MkB+o
そして三日目…

時雨「おはようさん!」

根羽「うん、おはよう」

時雨「お、なんか早くも慣れた風やん?」

根羽「そうね、慣れることに慣れてるから」

時雨「んー、そっか。ところで昨日ほだちんから聞いたで?ミステリー好きらしいやん、機会あったら本とか貸してや!興味がな、湧いてきて」

根羽「あー、うん。そうだね」

時雨「ほな自分ら2階やったな?俺4組やから3階やねん、またな!」

根羽「うん。(情報では…)」

根羽(すでに阿久津組の彼は葦原町を探索を開始しているらしい。)

根羽(入り込んだ奴の名前は善衆(ぜんしゅう)…頭に血が上りやすく、一般人に手を出すことも辞さない下衆…私の一番嫌いなタイプ…)

根羽(能力は…まだわからないけど…)

根羽(暴走を始めたら止める!しかしあくまで作戦の根幹は『A.C.T.O.Rs』をおびき寄せること…)

根羽(やって見せる…)
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:07:50.83 ID:zEG7MkB+o
昼休み…

絆「どうした?何やら難しい顔して」

根羽「あ…顔に出てた?…いや、お昼どうしようか考えてて…」

絆「へぇ、珍しいな。女子はそういうよりどころを見つけるのがうまいって印象があったけど。どうする?俺は時雨とだが」

根羽「…ご一緒してもいい?」

絆「そのつもりで声かけたしな。よし、行こうか」

根羽「うん…ありがとう…」

屋上…

絆「…あれ、時雨のやつまだなのか…」

根羽「いつもここなの?」

絆「雨の日以外な。たいていチャイムなったらすぐぐらいで教室を出るらしいんだけどな…しかたない」

絆「二人で食おう」

根羽「…う、うん(平常心よ…どうせすぐ離れるんだし…)」

根羽(でも…私の任務は…対象の調査…仲良くなっておくに越したことはない、よね)
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 14:08:17.09 ID:zEG7MkB+o
絆「ところで、そろそろどうさ?」

根羽「え?」

絆「慣れたか、だよ。昨日も確か同じ話題になったっけ?」

根羽「そう、ね。確かによく眠れるようになったわ」

絆「…」

根羽「そこそこ話す人も増えたし、うん、うまくやっていけそう」

根羽「それより、古城君たちって他の人とは仲良くしないの?」

絆「あ〜…するよ?するけど、昼食は別、かな。」

根羽「それはどうして?」

絆「…なんとなくかな。もしくは向こう側に俺より仲のいいやつがいたり…あまり深く考えるようなものじゃないな」

その時唐突に、強風が吹いた。

根羽「え?あ!」

絆「あ…」

根羽の手から落ちたパンの袋が風に乗り、はるか遠くへと消えて行った…
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/22(水) 14:08:53.55 ID:zEG7MkB+o
根羽「あ〜…拾わなきゃダメか…もう無理か…」

絆「昨日言ったよな?この辺りは突然強風が吹くことがあって、それでケガする人も多いって」

絆「見ろよ、そこの手すりや、屋内への出入り口の注意書き」


根羽「『急な突風に注意!実は屋上立ち入り禁止にしようかとかも考えてたんだよ!でも反対意見が多くて取りやめになったんだ!』」

根羽「『頼むから、くれぐれも注意してね!※一切というのは不可能だけど、ほんのちょっとしか責任取りませんので注意』…」

根羽「いろいろおかしいよね、この注意書き!」


絆「初代校長は相当変人だったらしいぜ。今は違う人だけど」

根羽「ていうかこれいろんなところが黙ってないでしょ…何よほんのちょっとって…」

絆「しかも無駄に長文だしな。見ろよ、あそこの床にも注意書きがあるけど…」


根羽「『ここの景色ってきれいだよね。生きてたらもっときれいなものが見えるはずですよ』」


根羽「なんで励ましてるの!?暗い目的でここに来ることを想定しちゃだめでしょ!!阻止せよ!未然に!」

絆「探せば突っ込めるギミック、この学校は特に多いぜ」

根羽「興味半分、不安半分よ…」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:09:38.65 ID:zEG7MkB+o
放課後…

絆「昼休み、ついに姿を現さなかったあの関西弁バカは」

絆「ついに午後の授業にも顔を出していなかったそうですが、これについてどう思いますか?由比さん」

根羽「え…」

絆「いやね、時雨君が、昼休みを最後に」

根羽「それ本当!?」ガタン!

絆「えぇ、うん、本当だけど…」

根羽(ま、まさか…善衆が…!?)

根羽(このタイミング…そうとしか…!これは…)

根羽(時雨くんが危ない…!)

絆「あの…根羽…さん?」

根羽「私…ちょっと探してくる!」ダッ

絆「あ、おい!カバンは!?…行っちまったよ…ったく、まずは早退したとか、そんな考えに行きつくだろ…」

絆「しかしこれで…」

絆「決まったな…あいつは…」



絆「…敵かもしれない…」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:10:09.35 ID:zEG7MkB+o
根羽「ハッハッハ(くそ、まさかまだ捕捉さえしてないのに!!)」ダダダ

根羽「くそっ…また、ハァ、私は、ハァッハァ、巻き込んじゃったの、!?、ハァ」

根羽(もう決して…一般人を…何も知らない人たちを…!)

根羽(そう…決めたのに…!)

根羽(どこか!人を隠せるような…!くそ…ここはどこ!?人気がない…)

通行人「あのォーすいませェん…」

根羽「一体どこに…!」

通行人「あのォー!…道をねェ、聞きたいんですがァ…」

通行人「黄泉高校ってェ…どちらですゥ…?」

根羽「?………!?あっ…!お、お前…は…何で」

通行人「えェ?あのォー…私ィ…どこかでお会いィしましたっけェ?」

根羽「何でここに…いるんだッ…!!」

根羽「善衆ッ…!!」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:10:46.63 ID:zEG7MkB+o
根羽のその一言を聞いた男―――善衆は、そのしわの目立ってきた顔に醜悪な笑みと
邪悪な驚愕を浮かべ、話し始める―――。

善衆「!…ほォーこれはこれはァー…」

善衆「予想外ですねェ、その名前を知ってますかァ…」

善衆「まさかこんなクソ田舎でェー…」

根羽「くッ…!(まずい、カバンを教室に置きっぱなしだ…!)」

善衆「同業者の方に会えるとはァー…ところであなたァー…」ゴゴゴゴ…

善衆「『どこのもの』ですかァー…?もしあなたが『A.C.T.O.Rs』ってチームの一員ならァ…」ゴゴゴゴ…

善衆「消さなきゃならないんですがァー…!」ギラーン!!
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:11:09.19 ID:zEG7MkB+o
するどい眼光を受けた根羽は、はっとしたように走り始めた!

根羽「う、うああ!!」ダッ

根羽(ここは逃げなきゃ!戦闘手段が…ない!!)

善衆「逃げますかァー…まぁどこのものかはわからないけどォー…あの視線はァ、少なくとも味方じゃァないでしょォしね…」

善衆「私の任務はふたァつ…」

善衆「『A.C.T.O.Rsを始末すること』ォ…それとォ…」

善衆「『敵意を向ける者がいたら消すこと』ォ…あなたはどうにもこちら側のようだァ…」

善衆「消しますよォ…出なさい…『瘴気(ミッドナイト・フォッグ)』…!!」ズオオオオオオオオオン

瞬間、善衆の周りに濃い霧が現れた―――!

根羽「やはり霊主!しかも…固有の能力持ちっ…!」

根羽(!!攻撃してくる!)

善衆「気を付けてねェー!!私のこの霧ィ…溶けますよォォォォ!!」ブッファ!!

根羽「うわあ…ああああ…!!」ダダダ

根羽(溶けるって…そ、それはまずいよ…!学校にはッ…)ダダダ

根羽(戻れない…カバン…武器を取りに戻れない…!なにか、何か…!!)ダダダ
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:12:04.08 ID:zEG7MkB+o
???「あ、ほんとに来た」

根羽「!? え、あなたは…」ズザ

根羽「おととい、川原で会った…不思議ちゃん!?は、なんでここに!?」

不思議な女の子「うん、そうだよ〜。守雫祉(すだち)って言うの。よろしくね!」



善衆「なァァァにをやってるんですかァァァ??」ズオオオオオオ



根羽「あ、来、来た…!ねぇ、守雫祉ちゃん、だったよね、早くここから逃げて!」

守雫祉「うん!こっちだよ〜」スタタタ

根羽「え?」

守雫祉「? 何やってるの?早くしてね、待たせてるから」

根羽「は!?え、あの〜状況がまったく…!」

根羽「ていうか、どこへ!?」

守雫祉「う〜んとねぇ…すぐ近くの廃工場…だったと思う」

根羽「お、思う!?」

根羽(どうしよう、この子じゃ学校から私のカバンを取って来てほしいというお願いは聞けそうもない…!)

守雫祉「はやく!かつあの霧おじさんのあきらめない速さで!」

根羽「う…ハッ…うん…」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:12:37.77 ID:zEG7MkB+o
善衆「何だァ…?あの髪の短いやつァ…?あいつの味方かァ?」

善衆「しかしどォーにも…誘っていますねェー…まァどんな状況でだって私に触れることはかなわないでしょォし…」

善衆「逃がすというのもォ…癪に障りますしねェ…!」

善衆「乗ってあげまァ…しょォォォォ…!!!」ボボボッファ


……廃工場

根羽「ハッハッハッハ…」ハァッハァ

守雫祉「大丈夫?けっこう走ったもんね〜…」

守雫祉「とりあえずこの物陰に隠れよう」

守雫祉「…う〜ん…あれ〜…?」

根羽「ところで…ハァッ…あなたは…何者、なの…?」

守雫祉「…もうすぐ分かるよ〜。安心して、敵じゃないから」

根羽「…」

根羽(逃げるしかなかった…私も、熱くなりやすい…未熟者ね…武器を、忘れるなんて…)

根羽(守雫祉ちゃんの言う…待たせてるのって、誰だろう…)

根羽(そして善衆…霧おじさんって…はは…かわいらしいネーミング…)

根羽(あの…凶悪な毒、ぎ…り…あれ…?あれって…能力、でしょ…?)

根羽「す、守雫祉ちゃん、あなたは…」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:13:05.34 ID:zEG7MkB+o
ゴォンゴォンゴォンゴォン!!


根羽「!! 何の音…!?」

守雫祉「静かに!…来たよ…」


オンオンオンオン…ゴゴォン!!


根羽「い、入口を…閉めた…ま、まずい…霧が、籠る…!!」

善衆「さァて、どこかなァ…?」ザッザッザ

善衆「早く出てきた方がいいよォ?霧状にせず直接触れた方がねェ、楽ゥに逝けるんだよォ!?」

根羽「…!!ねぇ、守雫祉ちゃん!あなた、霊主なんでしょう!?でなきゃ能力であるあの霧は見えないハズ!!」ヒソヒソ

根羽「教えて!あなたの…能力は何!?」ヒソヒソ

守雫祉「私は…」

守雫祉「霊主じゃないよ?」

根羽「!!そ、そんな…!!」

根羽(どう見ても人間…生きているのに…)
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:13:37.60 ID:zEG7MkB+o
善衆「ざァんねんでしたねェ…見つけちゃいましたァ…!!」ギラリ



根羽「!!ついに、見つかった…」

根羽(…万事休す…)

善衆「隠れて何をするおつもりだったかは知りませんがァ…これで終わりですねェ…フフ」ユラァリ

守雫祉「えっと、由比ちゃん?まだあきらめちゃだめだよ」

守雫祉「霊主は私じゃなくって」スッ・・・

善衆「ハハハハァ!!!グズグズに溶けなさいィィィ!!!」ズア

守雫祉「絆ちゃんの方。私は使霊(しりょう)だよ。」バシューー!

根羽(…え!?)

善衆「な…!?短髪の指先から光線がァッ…!?う、うおォ!!!」カンイッパツ

根羽「よ、避けられた…」

善衆「おォ…危なかった…」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:14:09.36 ID:zEG7MkB+o
ガチャリ…ギィー…

根羽「!…すぐそばの非常扉が…」

バタン…!

絆「何を…」

絆「やってんだよ守雫祉姉…」

絆「俺の言ってた廃工場ってここじゃなくてもうひとつ前のところで曲がったところだよ…」

守雫祉「え!?ご、ごめん…そうか、だからか…」

根羽「古城君!?え、あなた…!」

絆「お、根羽さん。あんたやっぱりどっかの霊主だったんだな」

根羽「や、やっぱり…て、な、何なのいったい…?まさか…」

根羽「古城君、あなたも…霊主なのね…!?」

絆「そういうこと」

根羽「…そういうことだったら、なおさら早く逃げなさい!」

根羽「これは私と彼の戦闘…組織間の戦闘で、横から入られる行為は、かなり面倒だし、そして万が一被害が出た場合―――」

絆「責任の追及が難しい―――てか?そういうことは分かってるんだよ」

根羽「分かっているなら…どうしてっ…!」

絆「…さぁ?気が付いたら動いてた程度に考えていただければ…」

根羽「―――…っふざけてる!ふざけている!!馬鹿よ、あなたは!」

絆「…どうとでも言え。」

根羽「…あきれた、馬鹿以下よ…もはや言葉が見つからないわ…」


絆「―――はは、だったら俺は…」

守雫祉「愚か者でいい―――だよね〜?」


根羽「…!」

絆「言いたかったな〜、自分でさ。まぁ、つまりはそういうこと」

根羽「…っ」

絆「それにさ、何も理由なしでここにいるわけでもないんだからな?」

根羽「え?」

絆「…じきにわかる」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:14:38.64 ID:zEG7MkB+o
絆「で…あんたか、俺らを狙ってるのって」

善衆「狙うゥ…?ということはァ…」

絆「そ。俺が『A.C.T.O.Rs』のリーダー、古城 絆(ふるき ほだし)だ。」

根羽「!?」

守雫祉「私が絆ちゃんの使霊、古城 守雫祉(ふるき すだち)だよ!」

根羽「そ、そんな…!こんなに近くで…(ターゲットが…)」

善衆「なァるほど…じゃァそうですねェ…そうです、私が君の命を狙う者…『阿久津組』幹部の善衆 巌(ぜんしゅう いわお)ですゥ…」

善衆「先日世話になったウチのモンのけじめェ…ちゃっかり払ってもらいましょォか…」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:15:08.61 ID:zEG7MkB+o
守雫祉「返り討ちだよ!」

善衆「威勢のいい事だァ…ちなみに、そこの腰抜け嬢ちゃんはァ…」

根羽「!!こ、腰抜け…ち、違うわ!私だって武器があれば…」

絆「転校生だ。どこの人間かは知らんが、まぁ後でだ。まずは…」

善衆「あァ…私らですねェ…ではァ…」

根羽「無視!」

守雫祉「よぉ!!かかってきなさい!!」ダ!

善衆「お断りしますゥ!!」スタコラ

守雫祉「に、逃げた!!」

絆「そりゃ逃げるだろ、ちょっとまってろ…さて、どうしようか」

根羽「ちょ、ちょっと待って!私は…!」

絆「そこにいろ。なるべく近くに」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:15:45.68 ID:zEG7MkB+o
善衆「ふっ…く…梯子も…きつい年頃ですねェ…よい、しょっとォおおォ!?」

守雫祉「逃がさないよ!」ガッシリ

善衆「こいつ、足を掴んで…ふ、フン!かかったなとでも言いましょォかァ!」クワァ!

守雫祉「え?あ、あぁ!手が!」ズグズグ

善衆「霧として空気上に散布せずにィ、お前のつかんだ箇所に集中して発動して水滴にしたのだァ!濃度が高い分よく溶けるだろォ…?」

守雫祉「い、痛い!う、うわぁ、落ちる!!」ズルリ

善衆「落ちなさいィ!!」

善衆(まずい…今のでエネルギーを使い果たした…『インターバル』に入ってしまったァ…!)

守雫祉「んにゃう!」ドテン

絆「俺は、待てって言ったよな!」タッタッタ

守雫祉「うう、ごめんね…手が…ズルズルに…はうぅ…」

絆(!…霧が…ただの水滴に…?…チャージ中か…!)

絆「すぐ治るだろ?我慢しろ、そしていいか?これであいつの狙いは大体分かった…」

絆「勝てるぞこの勝負…だから、今から言う作戦をよく覚えろよ…」

守雫祉「う…作戦系か…わかった、頑張るよ!」

絆「うん、まずはな…」ボソボソ
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 14:16:52.82 ID:zEG7MkB+o
ひとまず投下終了です
次の投下ではまだ用語の解説とかは入りません
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:02:39.05 ID:zEG7MkB+o
善衆「ハァ・・・ハァ・・・ふ、ふへへ…あいつらは一階ィ…かつ私が最上階の3階ィ…くくく…」

善衆「若く、そして使霊であるあの短髪はならァここへは10秒程度で来られるハズだァ…」

善衆「しかァし、私が最大出力を出せばあの子が来るころには…クフフハ…」

善衆「このインターバル…能力の使えない時間に奴らが来ないというのはァ僥倖だァ…あと…20秒…」



絆「よし、覚えたか?」

守雫祉「うん!今回は簡単だったからね!」

絆「おし。あいつがこのインターバルを終えて再発動したとき、作戦決行だ。」

守雫祉「おっけー!」

絆「…おい、返事がないぞ…?」

根羽「…これ、私結構つらい役だよね…」

絆「しかたねぇよ…」

根羽「ていうか何で私参加してるの…」

絆「それはもっとしかたねぇよ。」

絆「そして覚悟決めろ…そろそろだ。」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:03:05.63 ID:zEG7MkB+o
善衆「3...2...1...ククク…再発動だァ…!!」

絆「ゴー!」

守雫祉「うん!」



絆『再発動の瞬間に、守雫祉姉はあいつのところへ走ってくれ。全速力な』



善衆「確かに速いがなァ!!私の能力は霧だぞォ!!」ブッバーーーーー

守雫祉「ッ!視界が…!でも…これも絆ちゃんの言うとおり…!」



絆『奴の能力なら守雫祉姉がつく前に視界を遮る程度の霧をはれるだろうな。でも落ち着いて、あいつのいた場所に能力発動だ』



守雫祉「食らえ!!」バシュン!!スカ!



絆『威勢のいい威嚇を忘れずに放て。絶対に外れるから。でも気にするな。もう一発放て。今度はちょっと狙ってみて、な』



守雫祉「っと、次は…!あ、影が見えたぞ、そこだぁ!」バシュン!シュバイーン!

守雫祉「命中!…ッ…!?してない!じゃああの影は!」



絆『今度も外れる。だから落ち着いて、忘れずにうろたえるフリをしろ』
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:03:35.93 ID:zEG7MkB+o
善衆「ははは!ここは土木関係の工場だったようでな!『工事中だから迂回せよ』の看板を溶かして人型にしておいたのさァ!」

善衆「木とか生物はァ…よく溶けるんでねェ!」

守雫祉「!…声が、スピーカーから?放送室か!」



絆『多分あいつは大喜びでスピーカー越しに宣言するだろうさ。でもまだだぜ、放送室に奴はいない。そしたら次は…』







ガチャ、ガチャガチャ!!

善衆「!?…この音はァ…」キョロキョロ

善衆「ははァそうかァ、そろそろこの工場内に私の霧が満ち始めたころかァ…窓を開けようとしているみたいだがァ…」

ガチャガチャ…

善衆「目も痛みだし、痛みで体が思うように動かないかァ!!窓のカギを開けるのに手こずっているなァ!!」ザッザッザ


守雫祉「し、下から声!?放送室にいないってホントだったんだ…くそ、何も見えない…!」


善衆「私の霧はァ、あくまで水分…空気よりは重いのでねェ…下にいる方がよく効くんだよォ…」ザッザッザ


守雫祉「絆ちゃん!」


善衆「私も霧によってうっすらしか見えないが!窓から差し込む光がお前の腕の影を作り、居場所を教えてくれるぞォ!!」ダダダダ

ガン!

善衆「これで開くまい…気分はどォだ?足で突っ張り棒をしているぞォ…それも見えないだろォがな…」


守雫祉「絆ちゃん!!絆ちゃん!!」


善衆「終わってみればなんとあっけない…お前の使霊の悲痛な叫びはエンディングテーマァ…せめてもの情けだァ…首を溶かして一瞬で楽にしてやろォ…」ズイ…

????「ふ、ふふふふ…」

善衆「!…何…何ィ!?、女の声だとォ!?ではお前は…」

根羽「本当に…キレイに古城君の作戦通りね…!」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:04:02.39 ID:zEG7MkB+o
絆『そしたら次は…』

絆『お前だ、根羽。お前はつらくなる前にそこの窓に近づいて、わざと音を立てながらカギを開けることに手こずってるフリをしろ。』

絆『俺の学ランを着せる。なるべく窓の光が腕にしか当たらないようにしろよ』

絆『そしてこの間に守雫祉姉は、俺が合図を出すまで俺の名前を叫び続けろ』

絆『そして根羽、なるべく声とか、あいつがお前を俺じゃないと気づく可能性のある音を出すな。あいつが勝利を確信して、演説を始めるまでな。』

根羽『…その間、私が古城君のフリをしてる間、古城君は何をしてるの?』

絆『俺はだな…』



守雫祉「ここからなら、当たる!行くよ!」

絆「おっけい!放て!」


守雫祉「パウ・マスター!!!」ズビシャーン


善衆「う、上からだとォ!!」ガバッ

善衆(さっきのあの光線!!今度はより早いぞ!!しかも今は居場所が特定されているゥ…!避けられない!!)

善衆「うおおおォ!!」ドォーン

守雫祉「命中した!」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:04:54.95 ID:zEG7MkB+o
ゴォォォ!!


善衆「…?」

善衆「何と…外傷はないィ…しかし…」

根羽「霧が…完全に晴れた…!!まさか、能力無効化!?」

絆「似ているがちょっと違うな!」ガショー

根羽「!! 工場内の鎖が垂れてるアレでターザンのように!」

善衆「い、勢いがァ…まずい!!」

絆「これでおしまいだ!うおおおおおおおおおおおお!!」スカッ「おおおおお!?」ビターン!!

根羽(は、外した!カッコ悪い!)

絆「いったっ…!右足が…」

善衆「ふ、ふふ、ふふははははは!ざァんねんだったなァ青年君!今ひとt」ゴン!

善衆「あふぇ…」ドサ…

守雫祉「…絆ちゃん…まさかほんとに外すとはおもってなかったよ…」スタスタ



絆『一度俺は上まで上る。俺たちの能力の発動可能範囲は5mだからな。全速力で上がれば、最上階でも範囲には入れることができる』

絆『そして、最上階であの鎖のロックをはがす。で、その隣の鎖である程度まで降りる』

絆『このころにはおそらく、あいつの演説タイムに入ってるだろう。守雫祉姉、合図は俺がロックをはがした鎖を二回揺らす、だ。』

絆『そん時にあいつめがけて撃て。最高速でな。居場所は覚えとけよ、この窓のあたりだ。』

絆『守雫祉姉の発射確認後、俺はこの鎖でもってあいつに一蹴りあびせるつもりだが、万が一失敗した時のために守雫祉姉は撃ったらすぐに降りてきてくれ』

守雫祉『失敗って…さすがにないよね!』

絆『言ったろ、万が一だって』
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:05:22.84 ID:zEG7MkB+o
守雫祉「私でもさすがに学んできたよ!絆ちゃんの言う『万が一』とか『もしも』には『必ず』という意味が含まれてるってね!」

絆「うるせぇ!万が一は万が一だ、確率はごく低いがって意味しかない!」

根羽「そんなに不確定要素の強い作戦家だったの!?」

絆「そりゃそうだろ!?ここまで俺の作戦通りだった戦闘もなかったぜ!作戦は予言じゃないんだ!」

善衆「それはァ、私が単純だって言いてェのかァ!」ガシ!

絆「うお!こいつ目がさめて…う、足をつかみやがって…いてて…」

善衆「ふはははァ!このままこの足を溶かしてやるゥ!どうだァ、痛すぎてリアクションもできねェかァ!」グジュッ…

絆「…」

絆「あ〜…おじさん、非常に言いにくいんだが…後ろ見てみて…」

善衆「…」ハァッハァ

善衆「…」チラ

守雫祉「私がすでに無効化しつづけているよ!」シュバババ

善衆「は、はァ…ははァ…」

絆「その…俺だって言いたくないがな、その〜…おじさんの手から出てるそれ多分…」



絆「ただの手汗だわ…」



善衆「…」

絆「…」

守雫祉「…」

根羽「…うわ…」

善衆「お…うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォ!!!」ゴツン!「オウフ…」

一同「…」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:05:58.43 ID:zEG7MkB+o
守雫祉「終わった…ね」

絆「なんだか切ないな…最後特に」

根羽「連絡はした…じきに霊主病院の関係者が来るわ…善衆のことは心配いらない…」

根羽「でも…」

絆「…なんだ?詳しい話なら明日だぜ」

根羽「そう…わかった。けれど、いくつか聞かせて。簡単なことだから…」

根羽「どうして…私も霊主だってわかったの…?」

絆「…お前が、守雫祉姉のことを話題に出したから、だな。見ての通り守雫祉姉は…」

絆「見た目は普通だが、使霊だ。一般人には見えない…だから、だ。」

根羽(…)

根羽「…そう。じゃあ、この戦闘のこと…何であそこまで、予定通りに進んだの…?」

絆「あぁ〜…どこから話せばいいやら…まず、俺が来るまえから作戦は始まってたんだよな…」

根羽「!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:06:24.41 ID:zEG7MkB+o
守雫祉「えっとね〜、ここに来るとき、つかず離れずに逃げてって言ったでしょ?」

根羽「え、そんなの…あ、あぁ似たようなことは言ってたね」

絆「それがひとつめ、『あいつに能力を枯渇させる』ため…」

絆「かかってくれるかは運だったけどな」

守雫祉「そして次が〜、『私が最初に撃ったのを、わざとゆっくりにしてわざと外す!』だっけ?」

絆「そ。この光線に殺傷能力はないが…あえて外すことで『攻撃かもしれない、当たらないようにしよう』と…」

根羽「わざと…動かす、逃げさせる…」

守雫祉「あのとき壁のすぐ後ろに絆ちゃんはいたんだよ〜だから撃てたんだけど」

根羽「え!?戦闘場所は計画と違ってたんじゃ…」

絆「そうだよ。でもあいつの霧たどったら場所わかったし」

絆「どちらにせよ、守雫祉姉は俺の使霊だ。大体の方向は分かる…」

守雫祉「私は使霊で五感も身体能力も高いから、足音で来たかどうか分かるしね〜」

絆「そして工場内に侵入。作戦は話したろ?」

根羽「…腑に落ちないのは…」

絆「…」

根羽「あいつの能力の規模や性格、行動をすべて読み切っていたということ!」

絆「あぁ、あれは勘に近い推測だよ。」

根羽「…ここが土木関係の工場で、そのギミックを最大限利用することも!?」

絆「俺は土地勘があるし、ここいらの施設ならすべて『知ってる』」

根羽「…なら、古城君の能力は…!」

絆「…そういうのは明日だ。」

絆「じきに関係者は来る…今日はもう帰ろうぜ、疲れたろ」

根羽「…」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:06:53.39 ID:zEG7MkB+o
その後…

絆「能力者が気絶したことで霧は晴れ…」

根羽「早期決着で助かったわ…ほとんど傷はない…」

絆「善衆も『霊主病院』の関係者に運ばれたし…」

根羽「私たち以外に被害は無し…でも…」

時雨「なんで誘ってくれへんかってんやあああああああああああああ!!!」

守雫祉「この子だねぇ〜問題は」

絆「しかたねぇだろ!微妙に厄介な能力だったんだから」

時雨「俺かって、俺かって根羽ちゃんと一緒に戦いたかったああああああああああああ!!一気に友情深めたかったああああああああ!!」

根羽「え?てことは時雨君も霊主なの!?」

時雨「そうに決まっとるやんかああああああ!でなけりゃなんでこないなクソつまらん奴と一緒に昼飯なんか」ゴトン「あで!」

絆「お前はやかましすぎるんだよボケ!」

根羽「ていうかよかった…時雨君が無事で…私本当に焦っちゃったよ…まさか私をだますために早退してただけだったなんて…」

時雨「おお!こんな別品さんに心配された!感じるで新しい感情!これが…」

絆「『変』、だな。ていうか後半も耳に入れろよ馬耳東風するな」

守雫祉「まさしくだねぇ〜えへへ。でもまもくんのメンタルはマジ豆腐だからしかたないかも」

根羽「あはは…!変って…変だってあはは…!おかしい…!しかも…馬耳東風と…マジ豆腐って…あははは…!!」

時雨「思ったけど根羽ちゃんって俺がいじられてるときめっちゃ笑うよな!何かと複雑やわ!」

絆「笑われてるだけまだいいぜ?そのうち…あぁ、いや何でもない、やめとくよ」

時雨「言えや!どうせやし!」

根羽「あはははは…!!」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/02/22(水) 18:07:25.42 ID:zEG7MkB+o
絆「ところで…今日残ったもろもろの謎は…」

根羽「ふぅ〜…うん、明日ね…今日はさすがに…」

時雨「俺は一向に構わんけどな。別にしんどくないし」

守雫祉「強いねぇまもくんは」

時雨「おう!なんか素直に喜んでええかようわからんけど!」

絆「普通にダメだし話それるからお前もう帰っていいよ」

時雨「辛辣ゥーーー!!」


・・・・・・・・・

・・・・

・・

家に帰った根羽は今日のことを思い出す…

今回この町に来た目的は、最近この地域にできた未知の組織…『A.C.T.O.Rs』の調査…

話によれば近寄る霊主のほとんどすべてと抗争を起こし、そのすべてを打ち負かしてきたと…なかには解散にまで追い込まれた組織もあるという…

そんな危険な組織を束ねる者が…まさかあんなに近くにいたなんて…

なぜ私が霊主だとわかったのか、なぜ私をだましたのか、古城君の能力は?時雨君の能力は?

そして、『A.C.T.O.Rs』の目的…本質は…?

根羽は考え、そして寝た…。

傍らの連絡機械のディスプレイには『進展なし。ここでは急な突風とかでケガする人が多いらしい』と、
送信記録にそう表示されていた…。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 18:08:38.16 ID:zEG7MkB+o
第一話投下終了です

次の第二話が解説回になります
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/22(水) 18:51:58.43 ID:Wo+2E1fB0
乙。

率直に感想を言うと、まだあまりワクワクするような展開にはなってないなぁ。
批評できる様な立場じゃないけど、なんだか読んでて台詞回しだったりがおかしい気がした。

例えば、>>11だったら

根羽(なんだか…適当にはぐらかされてる感じがしてならなかった…)

じゃなくて、

根羽「(……何か、ひっかかるなぁ)」

訥々とした喋り方、妙に逸らしてくる視線。
絆の口調や話の内容は、何か話題を逸らそうとしているように見えた。


キーンコーン(ry


絆「うわっ!鳴っちまった早く戻ろうぜ!」


根羽「う、うん」


転校二日目から授業の遅刻なんてことは避けたい。
根羽は絆に対する不信感を抱きながら、とりあえず今は気にせず戻ることにした。



みたいにすれば三人称の地の文活用できてるんじゃないですかね?
まぁあくまで読む専門の初心者の意見だけど……。

とりあえずこれからに期待。頑張ってください。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/22(水) 19:19:41.75 ID:zEG7MkB+o
参考になります

書いてて違和感はあれど、どこがおかしいのかもピンとこないようなものだったので
そういう意見はありがたいです

受け止めつつ、ゆっくりやっていきます。ありがとうございました
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/23(木) 07:41:19.84 ID:K+ZzYQlIO
初めてでこのレベルとか裏山すぎるんだけど
才能って重要だよね
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/02/23(木) 09:00:43.40 ID:p1ZRZvjMo
では第二話投下していきます
解説回です



〜あらすじ〜

どこかにある田舎町、葦原町に二週間前に結成された謎のチーム、『A.C.T.O.Rs』!

近寄るほかのチームとは、そのほとんどと戦闘を起こし、しかも負けなしという!

日本トップクラスの規模を誇る霊主組織『日本霊主会』に所属する根羽 由比は、
この『A.C.T.O.Rs』というチームの調査という任務を抱え、
この地の高校、『黄泉高校』に転入して、潜入調査を始めた!!

初日に知り合った二人の男子生徒『古城 絆(ふるき ほだし)』と『時雨 護(しぐれ まもる)』、そして高校に通ってるようには見えない不思議な少女…

彼らの正体こそが、根羽の任務の対象『A.C.T.O.Rs』の構成員だった!

転校三日目、根羽は『A.C.T.O.Rs』に因縁を持つ危険組織『阿久津組』の幹部、『善衆』に襲われることになった!

武器を忘れた彼女の危機を救ってくれたのは古城と不思議な少女、名を『古城 守雫祉(ふるき すだち)』の二人であった!

何とか善衆との戦いに勝利した根羽たちは、多くの謎を残しつつ、別れた。昨日のことである。

そして今日!4/12の木曜日、…校事を終えた彼らは、根羽の仮住居に集まった…!
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:01:12.83 ID:p1ZRZvjMo
根羽「さて!」チラ

絆「…昨日の戦闘を終え!」チラ

守雫祉「…分からないことがいろいろ残ったまま!」チラ

時雨「えと…眠れん夜を苦しんだ俺らですけど!」キョド

絆「いや、俺はぐっすり寝たぞ」

守雫祉「私も〜」

根羽「あははは…!ね、眠れなかったって…あ、あなただけ…!あはは…!」

時雨「何がそないおかしいねん!!言うとくけど俺昨日早退までしてるしな!?」

絆「分かったから。話をそらすな」

時雨「おまっ…!」

根羽「うーん…と…何から話せばいいのか…」

絆「…聞きたいことでいいぜ。ほぼなんでも答えよう」

守雫祉「主に絆ちゃんがね〜」

時雨「ていうか俺昨日のことなんも知らんから、始めるんやったら最初からやで」

根羽「…そうね…とりあえず」

根羽「自己紹介から…とか?」

絆「…いいんじゃないか?誰からにす…うん…いいや、俺から行くわ」

守雫祉「頑張れ〜その次は私だよ」

根羽(さて…どこまで聞けるかな…)
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:01:39.55 ID:p1ZRZvjMo
絆「どうせだし最初から行くことにしようか」

絆「えっと、俺は古城 絆。16歳の高校二年生だ。成績は校内トップクラスで」

守雫祉「言っちゃうよね〜」

絆「ははは、んで、昨日も言った通りクラス委員をやってる。」

時雨「仕事はあんまりせんかったけどな」

絆「好きな食べ物は和食ならほぼなんでも、誕生日は7/7だ…というのが表の顔で」

根羽(ここから…!)

絆「…霊主チーム『A.C.T.O.Rs』を二週間前に結成し、そのリーダーを務めている。」

絆「使霊(しりょう)はこいつ、古城 守雫祉だ。生前は俺の双子の姉だったらしい」

守雫祉「ちょっと!自分の紹介は自分でやるってば〜!」

根羽(…らしい?)

絆「能力は…と、これは後で、だな。簡単でだが、以上だ。」

根羽(あっさりね…)
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:02:13.58 ID:p1ZRZvjMo
守雫祉「じゃあ次は私だね〜!」

根羽「…」

守雫祉「えっと、私は古城 守雫祉です!さっき言われた通り、私は絆ちゃんの使霊で、双子のおねえちゃんです!」

根羽(意思を持ってる…それにしても…生きているようにしか見えない…!)

守雫祉「誕生日は7/7で」

絆「それは言ったろ」

守雫祉「16歳です!」

絆「…いい。自由にやれ」

守雫祉「えっと…使霊なので、食べ物とかは必要ないんだけど」

守雫祉「食べることは可能です!好きな食べ物はイタリア料理全般です!」

守雫祉「えっとメイさんによれば、私はかなり珍しいそうです!」

根羽「メイさん?…誰?その人も『A.C.T.O.Rs』の…?」

絆「違う。違うが…そういうのは後でだ。守雫祉姉ももうちょっと吟味してくれ」

守雫祉「う〜ん、わかった…。えと、じゃあこんなものかな?…うん、だね、終わり!次はまもくんの番だよ!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:02:44.95 ID:p1ZRZvjMo
時雨「おし来た!えーっと、俺の名前は時雨 護!んで…よみこうの2-4に所属してます!」

時雨「ほんで、えーっと…誕生日は9/25で、んー…去年は文化委員やったけど今年は委員会〜に〜は〜…入ってへんわ…」

絆「クラス違うから係とかはしらねえな」

時雨「ふふん、聞いて驚くなかれ、なんと俺文化祭係やねんで!」

絆「知らないっつったろ!」

時雨「あっそうそう、こう見えて身長186cmあんねん!高いやろ?」

根羽「それは…うん、すごいね」

時雨「んで…うん、ここまでが表の顔で」

時雨「俺も、『A.C.T.O.Rs』の一員やゆうわけで。副リーダーをな…やらしてもろてます」

絆「二人しかいないからだけどな」

時雨「固有能力ありの霊主やけど、能力はまたのちほどいうわけで、ちょい早いが終了や」

時雨「あ、そや!好物はじゃこやで!よろしく〜ってことで、ほんとに終了!」

根羽「…わかった。次は私ね」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:03:15.24 ID:p1ZRZvjMo
根羽「名前は根羽 由比。表の顔は、今はパスしとくね」

時雨「走るね〜」

根羽「んふっ!…ふっ…え〜…固有能力持ちの霊主で、所属組織は…」

根羽(…うん、言ったところでさして…)

根羽「『日本霊主会』というところです。」

時雨「えっ!?」

絆「知ってるのか?」

時雨「知っとるも何も、日本最大級の大組織やん!表では有名な企業も出しとって…」

時雨「とりあえず、半ば日本の霊主界を牛耳ってるって、そんな巨大なところやて考えてええで…」

絆「…」

根羽「…続けるね。私はそこの…うん…そこの六つある組織内チームの、三番隊隊長よ…」

時雨「いぃ〜!?…おいおい…よっぽどやでそれ…」

根羽「以上…ここからは…一問一答タイムね…」

絆「まぁ…そんなもんか。」

時雨「うぅーん…これは…そうかな…」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:03:43.65 ID:p1ZRZvjMo
絆「じゃあ自己紹介っていうお前の要求は受け入れて、完遂した。次はこっちの番でいいか?」

根羽「…ええ。」

絆「…」チラ

守雫祉「さすがに…ここは絆ちゃんに任せるよ」

絆「…」チラ

時雨「…おr」

絆「まぁそこまで難しい質問してもしょうがないだろうから…」

時雨「え!?言わせろや!」

根羽「ぶふっ!!」

絆「シンプルに」

絆「お前はなんでここに来たんだ?」

根羽「…ぷふっ…!」

絆「今、空気は変えたはずだぜ!?」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:05:32.71 ID:p1ZRZvjMo
時雨「…あ〜…言えないなら言えn」

根羽「おほん!…私は…任務を受けたから…だから、ここに来た」

根羽「任務内容も…言おうか?」

絆「…そりゃあな。」

根羽「わかった。私の任務は…『A.C.T.O.Rs』、つまりあなたたちを、調査すること、よ」

守雫祉「え〜!?」

時雨「調査って!?いや、こんな小規模なチームやのに!?」

絆「落ち着け。調査っていうのは…あれか?その、どれぐらいの?」

根羽「私は…とりあえず情報を送るだけ。『十分だ。帰ってこい』…その返事が来るまで」

時雨「それはさ、ほかのチームにもやるん?あの…『図書館』とは別の活動として」

根羽「…そうね。とにかく新しくできたチームに関しては、『うち』は独自の調査を行ってるわ」

根羽「でも…あなたたちに関しては、ほかよりも入り組んだ調査を命令されるかも…」

根羽「いくら小規模とはいえ、侵入したほかの霊主のほとんどと戦闘して」

絆「…」

根羽「負けなし。中には解散まで追いやったチームもある。」

時雨「…」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:06:09.23 ID:p1ZRZvjMo
根羽「結成から二週間だっけ?『私たち』の派遣が遅れたのは、あなたがたというチームができたと知ったものがみんな病院送りになって情報が遅れたからなの」

根羽「『田舎に現れた強い未知のチーム』…私たちは正直恐怖感じた」

根羽「だから、念を押しておく」

守雫祉「…」

根羽「私は…すぐには帰らないし…帰れない」

根羽「…場合によっては…」

絆「…一緒に行動するかもってか?」

根羽「…!?…うん、というか、確実にそうかも」

絆「なるほどねぇ…」

時雨「なんやなんか、大変なことになってきた気が…」

守雫祉「そんなに心配することなんだ…」

絆「いや、特にないだろ。」

根羽「あなたたちの活動は邪魔しないつもりだけど…私は対象調査の任務中以外に」

根羽「ひとりの人間でもある…」

絆「安心しろ、一般人に影響を与えるとかはほぼないし、なかった。時雨を除いて」

根羽「え?」

時雨「うっ…あんま言わんでや…」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:06:48.81 ID:p1ZRZvjMo


根羽「(…)うん、まぁいいや…質問には答えたつもりだけど…これでいいかな?いいなら次は私から…」

絆「おう、何でも来い」

根羽「じゃあ、そうね…」

根羽「これはさっきの話も含むことだけど、行動を共にする可能性がある身としては確認しとかなきゃいけないし…聞くよ」

根羽「能力については…どこまで知ってるの?」

絆「…」

守雫祉「…」

時雨「…っておい!黙んなや!前にちょろっと説明したやんか!」

根羽「あら?時雨君の方が霊主歴が長いの?」

時雨「せや。ていうかおい、お前ら!まさか忘れたんかい!?あの小一時間の説明を!」

守雫祉「忘れたっていうかね〜…どちらかというと…」

絆「最初から理解できてなかったな。さすがの俺でも、擬音が九割の説明を理解できるほどじゃないし」

根羽「ぶっ!あはは…!擬音だらけって…根っからの…関西人だ…あははは…!」

時雨「えぇ〜…お前ら、えぇ〜…ていうか関西では擬音説明が主流やと思うなよ!」

根羽「ふぅ…つまり、能力に関してはほとんど知らないってことでいいの?」

絆「かろうじて知ってるのが…ちょっと書き出そうか…っしょっと、こんなとこだな」カリカリ
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:07:29.49 ID:p1ZRZvjMo


・能力者は『人の死の瞬間』と『それを目撃したもの』、そして『死者と目撃者の、同調した強い感情』の3つが揃うことで誕生する。

・能力が発現した目撃者のことを『霊主(りょうしゅ)』、それに伴い使役される死者の魂を『使霊』と呼ぶ。

・能力は人によって違うが、およそ半分の割合で『量産能力型』と『固有能力型』に分かれる。

・霊主は、操る使霊の状態によって分類分けされる。

・一般人には使霊は見えないし触れない。でも無生物はオッケー

・能力には、超厳格な範囲設定と制限時間がある。



根羽「ふむふむ…基本は知ってるのね…」

絆「ほぼ経験からだな。あとメイさんからも知ることはあった」

守雫祉「メイさんはすごいよ〜まもくんなんかとはね、比べ物にならなかったよ」

時雨「…何も言うまい…」

根羽「気になるわね、そのメイさんって人…でもそうね、今はこっちを…」

根羽「始めに言っておくと、この霊主と使霊の関係はかなり昔から、存在が確認されているけれど」

根羽「それでもすべてを解明できたわけじゃない。今なお、いえ、科学技術が発達した今だからこそ、この関係については新たな発見がされつづけている」

根羽「私が言うのも、一般的な基本だけだからね。」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:08:15.26 ID:p1ZRZvjMo


根羽「さて、まずはこの四つ目の、使霊の状態による分類は知っておいた方がいいわね。ちょっと書くよ」カリカリ

根羽「これは、使霊の性質ね。使霊にも意識や記憶が残ってる場合があるの。それによる分類がこの通りよ」


1、 生前の記憶を持たず、意思も持たない『アンダータイプ』

2、 生前の記憶はないが、意思のようなものはある『ビボーンタイプ』

3、 生前の記憶を保持し、意思のようなものがある『セルフタイプ』


絆「名前までついてるんだな、ややこしい」

時雨「確かこれは俺言ったで。」

守雫祉「確か…『なんかこう、ズーンとしてんのがアンダーってやつで、ウヒャヒャ!がビボーン、そんでシャキっとかスッ…としてんのがセルフって言うねん!』って感じだったね〜」

根羽「それは分からないわ。同情する」

絆「しかしよく覚えてるな」

時雨「…なんやねん…皆して…」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:09:23.28 ID:p1ZRZvjMo


根羽「そして、これが見た目による分類」カリカリ

根羽「こっちはもし戦闘になった場合、作戦に直結するから覚えておくべきだよ」


1、 姿が具現化されず、霊主の精神にのみ存在する『ミストタイプ』

2、 姿が具現化され、人のような見た目をする『ヒューマンタイプ』

3、 姿は具現化されるが、人以外の姿をしている『マタータイプ』


絆「これは完全に初耳だな。見た感じ『あぁ、あれか』とはなるけど」

時雨「俺的に言った記憶はあるんやけどな」

根羽「それよっぽどだよ…と、説明するよ」

根羽「この3つはもとは2つだったって…分かる?」

守雫祉「…?どれか新種ってこと?」

絆「いや、多分もとからあったグループからの派生形が、一つのカテゴリーを成す程度にまで数が増えたんだろう」

根羽「…その通りだね。もとは、1と2の二種類だけだったのが…」

絆「このマタータイプ…かな…が、『具現化の有無』の区別から新たに誕生し…」

根羽「そう…急速に数をふやした。顕著なのは産業革命あたりだね。(ていうか理解早すぎ)」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:12:09.15 ID:p1ZRZvjMo


時雨「霊主能力って、そんなに昔からあんねや!?」

根羽「一説じゃ紀元前からあったそうだよ。ていうかそれが最有力」

根羽「もともと生物っていうのは死に対して、思うところはあるものなの」

根羽「それが人間の場合、とっても強かったから覚醒したわけで」

根羽「そうね…『死に対しての感情』が強まった頃だから、だいたいアニミズムが広まったあたりね」

時雨「森羅万象にはすべて霊魂や精霊が宿っとるっていうあれか。」

絆「ふぅん…肉体と精神を分けて考え始めた…か…」

時雨「よぉそんな…隠し通せたでしかし…」

根羽「そのへん結構黒い歴史があったそうよ。今は省くけど」

根羽「戦闘に直結するっていうのは、この具現化するかどうかにあるの」

根羽「簡単にしか言わないけど、具現化するとその具現化した使霊も攻撃対象にすることができて」

根羽「逆だと攻撃対象は、良くも悪くも霊主一人になるってこと。」

根羽「くわしくやると長くなるから省くけど、このふたつの間ではどうやら、能力に必要なエネルギーの変換方法にも違いがあるらしいの」

根羽「どちらも精神力がもとのエネルギー源なんだけど」

根羽「そして、今言った攻撃対象なんだけど、具現化しない方、つまりミストタイプは」

根羽「いわば霊主と使霊が一体化している状態にあって、能力の行使も霊主単体で行ってるように見えるの」

根羽「昨日の善衆と同じタイプね…これは、本体叩けば終わりだし、実に霊主の八割がこのタイプだって聞くよ」

絆「…」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:12:54.86 ID:p1ZRZvjMo


根羽「そして次が具現化するタイプ。便宜上見た目が人型かそれ以外かで分類分けしてはいるけど」

根羽「こっちは霊主も使霊も攻撃対象になるって言ったよね?」

根羽「霊主は、言ってみれば普通の人間だから普通なんだけども、」

根羽「使霊っていうのは得てして常人よりも、感覚とか身体能力がかなり優れているの」

守雫祉「私のことだね〜えへへ!」

時雨「そういやほっじゃんに聞いたけど」

絆「おい!それ絶対言いにくいだろ!」

時雨「守雫祉ちゃんとの初対面の時にさ、根羽ちゃん嗅がれたんやろ?臭い」

根羽「…そ、そうだったね、ぶふっ…!その時に…ふふふ…き、気づくべきだっ、ププ…!」

時雨「え、どこでわろたん?まさかほっじゃんで!?」

絆「受けすぎだろ!このアホが勘違いするだろ!」

根羽「ぷふふ…あーっうん!うん、よし、うん、落ち着く、そう、落ちつい」

時雨「いやほんま…ほまれであります…」

根羽「ぷふううう!!」

絆「いい加減にしろぉ!」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:14:42.75 ID:p1ZRZvjMo


守雫祉「楽しそうで何よりだね〜えへへ」

絆「何にでも限度ってもんがあるだろう」

根羽「うん、そろそろわかってきた。時雨君はどうも私の笑いのツボと、存在単位で合致してるんだね」

時雨「ええこっちゃん…何でおれが殴られな…」ボロ・・・

根羽「よし、続けるよ。えと、言った通り多くの使霊は頑丈なのね。だから盾にすることもできるんだけど」

根羽「やっぱり無敵ではない。もちろんね。傷は負うし、疲れもする。でも死にはしない」

根羽「それは、使霊の傷はすぐに治るからなの」

絆「それは知ってるな。現に昨日も落ち着いて対処できたし」

守雫祉「え〜?『がまんしろ』の一言が対処はないと思うよ絆ちゃ〜ん」

根羽「…確かにね、アレはちょっと思った。けれどその治癒も決して無限じゃないのよ?」

根羽「便利なエネルギー、精神力!これがここでも消費されちゃうのよね。しかも燃費はかなり悪い」

時雨「ほんませやで!ほだっさんはいつも無理するフシあるから気ィつけやマジで!」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:15:18.67 ID:p1ZRZvjMo


根羽「ぷっ…!…!!…う、ふん…うん、おほん、えっと!」

根羽「少し経験あるみたいね、精神力の枯渇現象…あれなくなると最終的に死ぬから気を付けてね」

絆「!? おい、一番大事なとこ飛ばし気味じゃなかったか!?」

根羽「うん、んー…うん、OK!えっと、ごめんね。精神力は、そう、無くなったら死んじゃうよ」

根羽「大体、使霊の状態が『コレ生きてるなら絶対死んでるよね、もう無理だよね』レベルからの回復3回ぐらいが目安かな」

時雨「はは、おもろい状態説明やん」

根羽「もちろん、限界に達したらすぐ死ぬ!とかじゃなくて、やっぱり自分で『そろそろかな』とか分かるらしいよ」

根羽「そして、消費するのは精神力だから、終盤はなんかもうかなり鬱になる」

根羽「もっとも、どんなケースでも個人差は付きまとうものだけどね」

根羽「あとこの話題で重要なのは、治癒のタイミングや程度などのコントロールは不可能ってところかな」

時雨「うん、もうあんな状態なんのいややろ?見てるこっちも正直ウッってなったし」

根羽「…経験あるんだね古城君…」

時雨「お、今の言い方ちょっと…」

絆「おい、そこから先はタブーだぜ。」

守雫祉「えへへ、まもくんドン引きだね〜!」

根羽「…?(何のこと?)」

根羽「えっと、話戻すよ!」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:15:57.02 ID:p1ZRZvjMo


根羽「具現化するかしないかにかかわらず、普通はね」

根羽「使霊は、霊主の精神のなかにいるものなの。具現化するならそれは…」

時雨「ドンパチやるときだけやな。とするとほだは…」

根羽「うん…常時具現化状態にあるね…かなり珍しいよ」

根羽「しかも、たとえ人型で具現化する…このヒューマンタイプと言えども」

絆「その姿は普通の人間とはかけ離れてるのが普通、だな」

守雫祉「あ、それ言われたね〜。なんかオンリーワンって感じがしてうれしかったよ〜」

根羽「そう。たいていちょっと奇抜というか」

時雨「極論『頭・胴体・四肢』があればヒューマンてゆわれるもんな」

根羽「そう。守雫祉さんなんか本部にいったらすごい人気出るかも。ほんとに特徴あるから」

守雫祉「お〜人気者だって!絆ちゃん」

絆「…行かないと思うぜ。それより話、続けて」

守雫祉「む〜、冷たいなぁ」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga ]:2012/02/23(木) 09:17:15.68 ID:p1ZRZvjMo


根羽「次は…そうね、範囲制限と時間制限なんだけど」

根羽「時間制限は、これは個人の練習で増やせるそうよ。とはいっても効率が上がる程度のものだけど」

根羽「でも一般的に、強力な能力ほど時間は短い傾向にあって、そして限界を超えるなんてことは起こりえない」

根羽「昨日も戦闘中にあったけど、ああいうインターバルはすべての能力に等しくあるものなの」

時雨「それもまた個人差やけどな。」

根羽「次は範囲制限…これもまぁ個人差はあるんだけど…えっとね」

根羽「正直これは新発見なんだけど、守雫祉さんを見ると、どうもこの範囲っていうのは」

根羽「使霊の『活動範囲』と『能力の範囲』の二つに分かれるようね」

絆「え?…それって、具現化タイプの話か?」

時雨「それはあんまし知らんかったなぁ」

根羽「能力の範囲のほうは、まぁ分かると思うけど能力が届きうる距離のことね」

根羽「本来具現化系は、能力発動時にしか使霊を現さないって言ったよね?」

根羽「それは、その具現化にもエネルギーが使われてるからなの」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga ]:2012/02/23(木) 09:18:11.61 ID:p1ZRZvjMo


絆「…」

根羽「微量だけどね。そして、使霊には具現化可能な範囲があって」

根羽「その具現化範囲がそのまま能力行使範囲であって、その範囲を超えることもまたできない…とされてきたわ」

根羽「それがあなたたちの場合、具現化…言い方変えるね、使霊が動き回れる範囲と、能力発動に必要な範囲が…」

絆「…分かれてるな。どういうことだ?」

根羽「…わからない。新発見よ。」

時雨「えぇなぁ〜特別やんか。特別やんか古城姉弟。その調子やで!」

絆「まったく意味がわかんねぇ」

根羽「…ふふ…ふっん…!ぷはっ…」

守雫祉「よく笑うね〜由比ちゃん」

根羽「ごほん、とにかく!」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga ]:2012/02/23(木) 09:19:00.28 ID:p1ZRZvjMo


根羽「大まかな能力についての説明は以上よ!」

絆「ていうかこれそういうやつだっけ」

守雫祉「最初は由比ちゃんからの『どこまで能力のことを知ってるか』って質問だったね〜」

時雨「なんやかんやで一番しゃべったんは根羽ちゃんやな」

絆「はは、おつかれ」

根羽「笑いごとじゃないわよ…ところで、順番的にはあなた方の質問タイムだけど…」

絆「そうだな、なんかあるか?」

時雨「そやな…能力とか知りたいな。共闘する可能性あるんやろ?」

絆「なるほど。珍しくまともだな。」

根羽「それなら…私だけ紹介するというのは、無理…かも」

絆「…俺たちが紹介したところで、それの報告は…」

根羽「…する…義務…というかそれが私の目的だし…」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga ]:2012/02/23(木) 09:19:40.72 ID:p1ZRZvjMo


絆「…」チラ

時雨「…ええんちゃう?概要程度ならあんま問題あれへんやろ」

絆「…まぁそうだな。敵対する予定も理由も、今はないし」

時雨「そういうわけやな。おっしゃほんなら能力紹介で!根羽ちゃんからでええか?」

根羽「…うん」

絆「あんましょぼい能力はいやだぞ〜」

時雨「いやいや、仮にも日本最大級組織の一隊長さんやで?」

守雫祉「そうだよ〜昨日のは多分たまたまだよ〜」

根羽「ちょっと!?なんかバカにしてない!?」

絆「してねぇから早くやれよ〜あ、トップバッターはいやか?」

根羽「! ふん、昨日のは本当にたまたまだったんだからね!」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/02/23(木) 09:21:23.59 ID:p1ZRZvjMo
第二話投下終了です
まだ書き溜めはありますが、小分けにしてゆっくり投下していくつもりです
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:30:12.21 ID:Zr+v2In+o
第三話投下始めます




根羽「…今日ってさ…うん、今日って雨だよね」

守雫祉「そうだね〜、もう桜も散っちゃうかな〜」

根羽「それは残念ね…えっと…」ガサゴソ

おもむろにカバンをあさりだした根羽は、小さな手帳を取り出した。

時雨「それ…生徒手帳やん、何するん?」

根羽「そう。えっと…あった、ここ見て」

開いたページは校歌の歌詞、指さしたフレーズは…

絆「『灰の空をまばゆい青へ すすめすすめよわが黄泉高(よみこう)』…」

時雨「なんてことはない…ただの校歌のワンフレーズやな」

根羽「使うのは今の前半部分だけ。じゃあ…外見てて」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:30:44.30 ID:Zr+v2In+o
根羽「行くよ…『ワンダーランド』…!」カッ

絆「!」

根羽「記述を理解!『雨雲を押しのけた空は若い青と陽光をもって心を洗う』…!!」


ゴゴ…ゴ…ゴォォ…

ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!


絆「…何の音だ?」

時雨「え!?う、うわ!!…空が…!!」


ゴゴゴゴ・・・


絆「…!!」


オオ…


根羽「天候は…」

守雫祉「雲がなくなった〜…すごい…!」

絆「…」ポカーン

根羽「…晴れに…」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:31:14.50 ID:Zr+v2In+o

根羽「ちょっと気合い入りすぎちゃったかな…でも…」

根羽「ふう…これが私の能力『ワンダーランド』よ…」

根羽「『文字に触れ、書かれていることを理解し、それを現実にする能力』…」

根羽「ただし、即興で書いたもの以外…ね」

絆「…!」

時雨「ち、ちーとやで…」

守雫祉「チートって、あれ?ずるいぐらいに強いっていうの?」

絆「そう…まさにそうだな…ずるい…」

根羽「…わかった?私が昨日、逃げるしかなかった理由…」

絆「カバンを忘れてたっけな…そういうことか…」

時雨「何らかの記述が―――もっというと書物が、発動には必要やねんな…」

根羽「そういうこと。でも、そこまでチートってわけでもないわよ?」

守雫祉「え〜?そうかな〜…小説のキャラクターで強いのを呼び出したりできるんでしょ〜?」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:32:03.35 ID:Zr+v2In+o
根羽「それは、今まさに言おうとしてたことね」

根羽「結論から言うとムリよ。この能力には記述に触れることともう一つ」

根羽「記述を理解するという条件があるの。言ったでしょ?」

絆「理解…か。想像じゃダメなんだな?」

根羽「うん。理解っていうのは姿や規模はもちろん、」

時雨「…」

根羽「それの発動によって何が起きるか、何ができるかを」

根羽「かなり詳細まで頭に描かなきゃいけない…」

根羽「そんなのは正直無理よ。規模が大きくなればなるほどそれは困難になっていく」

根羽「見た目がまったく同じで重さが50tと75tの…そうね、ダイヤの立方体。どっちがどっちか分かる?」

守雫祉「う〜ん…どっちも持ち上げられないし…」

絆「何をしてもびくともしなさそうだな…壊すこともできないかな?」

時雨「まぁ、ここではそういう機転の利きを聞いとるワケちゃうやろし」

根羽「そう。大規模、それも私たちの限界を大きく超えたものは、私たちには区別がつかない…」

根羽「ゴジラが自動車を持ち上げられない、なんてこともあるかも。私個人にとって自動車と自販機の重さは、等しく持ち上げ不可の領域だからね」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:32:35.30 ID:Zr+v2In+o

時雨「ん〜…でもなんか屁理屈にも聞こえるで…」

根羽「これはさっきの能力の説明の時に言っておくべきだったわね」


根羽「『能力の行使においてもっとも重要なのは理解である』―――ってね…」


根羽「簡単に聞こえるかもだけど、その実これはすごく難しいわよ」

根羽「能力によっては、今までの経験すべて改ざんせざるをえないこともざらにあるから」

絆「そういえばさっき…限界を超えるのは無理だって言ったが、発動時間は訓練次第で伸びる、と」

絆「それは効率がよくなる程度だが、といったよな…」

根羽「…驚いた。本当に頭がいいのね」

守雫祉「絆ちゃんはすごいんだよ〜」

根羽「うん、その通り。バッチリ正解。」

根羽「能力を理解することで、そのエネルギー効率があがり、時間も伸びる…」

根羽「正確には分かってないけど、一応これは実証済の事実だから」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:33:04.16 ID:Zr+v2In+o

時雨「なんかえらい勉強になるなぁ〜」

守雫祉「すごいよね〜根羽ちゃん、物知りだし説明がわかりやすい!」

絆「確かにな。かなりためになったし、能力も程よく強力」

絆「ヘッドハンティングって可能だよな?」

根羽「…やめてよ…今のところメリットが何一つないでしょ?」

絆「おいおい、根羽さんは打算的な方だったんですかー?」

時雨「ういうい〜、好き嫌い別れるでぇ〜」

守雫祉「なんだかまもくんやらしいね〜」

根羽「やめてよぉ!ほら、あなたたちもはやく能力紹介しなさい!」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:35:48.87 ID:Zr+v2In+o


絆「…」

絆「…」チラ

時雨「…!」プイ

絆「…」ジー…

時雨「…はぁ、しゃあn」

絆「よし、始めるぞ守雫祉姉」

時雨「自分ほんっ……まに!ほんっ…まに!!」

根羽「あはははは!あはははははは!」ジタバタ

守雫祉「楽しそうだね〜まもくん」

時雨「いやどう見たらそうなんねん!前向きか!」

根羽「あはははは!」

時雨「根羽ちゃんも笑いすぎや!ほんまに…ええ加減にせなモノに当たってまうで、じきに」

絆「はは、悪かったよ。それじゃ、ほんとに始めるか」

時雨「…た〜!今そうやって謝ってなかったらな〜鉛筆全部両側削ったったのに〜」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:36:24.62 ID:Zr+v2In+o


絆「能力名は『パウ・マスター』。命名はメイさんだ」

絆「二人とも知ってるように、俺らの能力はほぼ無効化系だ」

絆「この『ほぼ』というのがな、ちょっと重要で」

絆「無効化できるのは『行使中の能力』だけであって『能力による結果』は消せないんだ」

根羽「…」

絆「たとえばそうだな…水を氷にする能力…があるとする」

絆「この時俺らにできるのは『氷を水に戻す』ではなく」

絆「『氷になるのを食い止める』だな。」

絆「『氷になったという結果』には作用せず、『氷にしているという…経過というか』、とにかくリアルタイムで能力使ってまーすってのにしか効果がない」

絆「そしてどうやって発動するのかというと…守雫祉姉!適当に時雨を撃て」

守雫祉「は〜い!ごめんねまも君、えい!」バシュ!

時雨「…」シュバーン!
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:37:06.05 ID:Zr+v2In+o


絆「このように守雫祉姉の指から発射された光線を当てることで発動する」

絆「見ての通り、殺傷能力はゼロだがな…」

根羽「ぷっ…あはは…!時雨君…無抵抗…あはは…!」

絆「範囲はだいたい20mだな。発動には俺と守雫祉姉の距離が5m以内ってのが条件」

絆「弾数は両手指の10本分。一発あたり5秒あたり照射可能で」

絆「インターバルは一発三分」

根羽「え、三分!?長くない!?」

時雨「そう思うやろ?でもこいつら意外に戦えよるんやで」

絆「一発一発が独立して時間をカウントするんだよ。でも全部使ったときは例外」

絆「他の指のチャージ時間が二分増える」

根羽「じゃあ、一発のチャージ時間は5分になるってわけ!?」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:37:37.89 ID:Zr+v2In+o


絆「…以上!」

根羽「いやスルーですか…」

時雨「なんか不安感じてる?」

根羽「…ほんのちょっとね…あ、そういえば」

根羽「古城君、昨日の善衆との戦いでも能力は使ったよね!?」

根羽「あのとき、善衆の能力を無効化したとき、工場内の霧が急に晴れたでしょ?」

根羽「今の説明と矛盾が出るよ!『結果』は消せないんじゃないの?」

根羽「あの時の結果…『発生した霧を消し去ること』は、不可能なんじゃないの!?」

絆「…あれはな、その―――善衆が悪いんだ…」

根羽「!?」

絆「さっきの『理解』の話…あれに則るなら善衆は多分、能力をほとんど使いこなしてない…」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:38:59.05 ID:Zr+v2In+o


根羽「…何の話?」

絆「あいつも、そしてお前も、あの能力のことを誤解してるだけってことさ…」

絆「昨日の戦闘の、あいつの1回目のインターバル…」

絆「あの作戦タイム中、何で俺らは無事だったか?」

絆「空気の入れ替えなんてほとんどなかっただろ?一階の窓は全部しまってたし、入口もあいつは閉めた」

絆「そこであの時、俺は『能力を使ってないのに、結露のようにして残った元・霧』を見たんだ。」

絆「おかしくないか?『毒霧の発生』って能力なら、能力が切れてもその水滴は毒のはずだろ?」

絆「結露として凝縮なんてしたら、想像を絶する早さですべて溶けてしまう…それこそ、鉄の柱でも」

絆「そこあたりで気づいたんだ」

絆「あれは…『濃い毒霧を発生させる』んじゃなくて、『発生させた本来見えない程度の霧に、色の濃い毒を付与する』って」

絆「そう言うのが正しい能力なんだよ。二つの行程に分けることができるんだ…」

時雨「それは…全然ちゃうモンになんな。大方、『パウ』当たった瞬間に霧晴れたんとちゃう?」

根羽「…うん、大方っていうか言ったし…ぷふっ…言ったし…!」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:40:19.01 ID:Zr+v2In+o


絆「その…俺の見た結露状のそれは、ただの水だった」

絆「『パウ』が当たった瞬間、奴の『行使中の能力』が無効化されたってことは…」

絆「さっき言った通りだと、『霧の発生』がまずストップ。これで新たに『毒を付与する媒体』を生み出すことができなくなり、」

絆「そして『毒の付与』をストップ、これで霧、もしくは水滴が無害なものになる」

絆「ついでに言うならあの『濃厚さ』だな。あれもストップしたので…」

時雨「正確には霧が晴れたんとちゃうくて、見えへん程度の透明度の高い霧になったんやな?」

根羽「…そういうことなの…ぷぷぷっ…意外に理解できてるあたり…ふふ…」

時雨「ほほ〜、八方ふさがり言うわけか!」

絆「そんなもんかな、昨日の戦闘の補足説明は…てところで」

絆「…そうだな、ついでにパウ当てる場所についても言っておこうか?」

根羽「うん、お願い」

時雨「切り替え大事やな、うん」

絆「よし、んー…そうだな、基本的に当てる場所は、能力の痕跡がある場所ならどこでもいい」

絆「昨日の場合なら、能力の発信源を撃ったことで、能力すべてをストップさせたし」

絆「仮に俺が根羽、お前の能力を撃つなら、本体か触れている記述か…」

絆「まぁ、実現しているものにもよるが、その実現しているものでもいい」

絆「さすがに生み出したものまでは消せないけど、能力の影響外にやることはできる」

絆「例としては、『モノを浮かせる』能力があって、それに当てたら、『その浮いてたモノは落ちる』ってとこだな」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:41:09.13 ID:Zr+v2In+o


絆「ちょっと長くなったな、でも…大丈夫だろ…」

絆「…もういいか?いいなら次はこの[ズギャーン!]の番だけど」

時雨「今なんて言うた!?」

根羽「そうね…お願い」

時雨「よっしゃ!ほな俺は〜っと…んん!?」ガサ

時雨「ジャスタモーメン!っと…あれ〜…」

時雨「あ…しもた…忘れとるわ…」

絆「…」

根羽「え!?それって…」

時雨「あぁ〜ほんまスマン!いや、俺も根羽ちゃんみたいに道具使うタイプの能力やねんけど」

時雨「カバンに入れたつもりが入っとらんかったみたいや…!」

絆「お前それはありえない事態だぞ?来る前は根羽が味方かどうかわかんなかったんだからよ」ゲシ

守雫祉「!…そうだよ〜、まもくんのおっちょこちょいは結構多いんだからね〜」

時雨「あぁ〜ほんま、めっちゃゴメン…」

絆「めっちゃて…ベリーマッチみたいに言うなよ…」

根羽「ぶふっ!!」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:41:37.86 ID:Zr+v2In+o


絆「まぁ…今回は仕方ないな、まったくこの[キングクリムゾン!]は」

根羽「え?口頭でもある程度は説明できたり…」

守雫祉「由比ちゃん忘れたの〜?まもくんの説明は9割擬音なんだよ〜…」

根羽「あ…そうか…」

時雨「ほんまにごめんな…またの機会に、やわ…」

根羽「…」

絆「…なんかしらけちゃったぜ…どうする?」

根羽「…しかたないね、解散にしよう」

守雫祉「ふぅ〜疲れた!頭を使うことは疲れる!」

時雨「ていうか守雫祉ちゃん運動では疲れへんやん!」

絆「立ち直り早いな!」

根羽「あ、そうだその前に―――」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:42:35.46 ID:Zr+v2In+o


数十分後―――

時雨「おじゃましましたで!」

守雫祉「おじゃましましたで〜!」

時雨「おっ今のイントネーションバッチリやで〜!」

守雫祉「やで〜!」

アハハハ…

根羽「ねぇ古城君、最後にちょっといいかな」

絆「…何?」サキニイットイテ

根羽「…すべての霊主がいずれかの組織・チームに所属していて、これは義務でもある」

根羽「…普通、初心者はとりあえず大組織に所属して、実力をつけてから」

根羽「独立、移籍をするもの…」

根羽「…古城君という存在を知ったのがこれが初めてってことと、知識の浅さから考えても」

絆「…」

根羽「あなたは最初から孤立した道を歩もうとしたことが分かる…」

根羽「教えて…あなたほどの頭脳なら、それがどんなに苦しい道か…!」

絆「当然承知の、そして覚悟の上だ」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:45:03.07 ID:Zr+v2In+o


根羽「! だったら…!」

絆「…俺が守雫祉姉と出会ったのは2週間前…それまで俺は」

絆「双子の姉がいたことさえ知らなかった」

根羽「…!」

絆「…ここから先は秘密に…いや、無理か」

根羽「! それは…」

根羽「…」

絆「…まぁいいや、言わなくてもやってける」

絆「簡単に言おうか。俺が過酷な道と知ってまで独立していようとしたには当然…」

絆「理由がある…俺には目的があるからな」

根羽「…それは…教えてくれる…?」

絆「…」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:45:29.27 ID:Zr+v2In+o


―――数分後

時雨「遅かったな!何話とったん?」

絆「他愛もない…あいさつみたいなもんだよ」

守雫祉「へぇ〜?」

時雨「へぇ〜?」

絆「何だよ?そのニヤケやめろよ守雫祉姉と…ほら、そこのお前」

時雨「呼ぶことさえ拒否!?…ていうか…」

時雨「あぁ〜ええなぁ、もしかしてこれが青春いうやつですか?」

時雨「絆さん、滅びてください!!」

絆「そうだとしたらフラグたつの早すぎだろ!いい加減にしろ」

守雫祉「私は御姉ちゃんだからウソはつけないんだよ〜?」

絆「ついてねぇよ、俺はただチームリーダーとしてだな」

時雨「はぁ〜ええなぁ〜」

絆「毟るぞこの野郎!」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:45:56.61 ID:Zr+v2In+o


その夜、根羽の仮住居では…

根羽(思い出してしまう…考えてしまう…あの…あの『目標』は…!)

根羽「…古城君…あなたは…」

根羽「いえ、私は何も言わないし…言えない…」

根羽「でもそれは…その未来は…」

根羽「つらく…そして悲しいものに…」

根羽「…」

根羽「私がしょんぼりしてても何も変わらない…!」

根羽「私は私の任務を…」

根羽「観測者としての使命を…全うするだけ…!」


決意を新たに、4日目の夜が終わった…
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:46:53.30 ID:Zr+v2In+o

―――絆たちが分かれてすぐ、葦原町のどこか…

???「はい…確かに確認しました…」

???『では…その子たちが例の…』

???「はい。『A.C.T.O.Rs』の…少なくともメンバーのうちかと…」

???『ふむ…阿久津組の幹部が倒された、ということは…』

???「ええ。決して油断してはなりません。強敵と思って挑みます…私が」

???『ふむ…そういえばあの茶髪で長身の彼は…』

???「彼は…分かりません…今は『A.C.T.O.Rs』に所属しているそうですが…」

???『へぇ…相変わらず何考えてるかよくわからない子だね…』

???『まぁいい。引き続き任務に当たってくれ。いいかね?』

???「はい…うまくいけば翌日にも接触は可能です」

???『うん…上場だね―――頼むよ?最近のお前は、どこか―――…』

???「も、申し訳…それでは、報告お楽しみに」

???『ございませんまで言え…それとお楽しみにって何だ。待ってはいるがおたの…』ガチャッツーッツー

???「さて…油断はするなよ私…頑張ってね…私…」

???「おやすみなさい…私…」

夜は更けていった…
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/02/25(土) 18:47:44.61 ID:Zr+v2In+o
第三話投下終了です
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 18:06:29.90 ID:IwUlMQiSo
NURUPO
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/29(水) 15:40:37.68 ID:zI3yfKIAo
いくらなんでも力不足だと思ったので、このSSはいったんおしまいにします
もしかしたら、もう一度この作品を、違った形でも練り直して発表するかもしれません
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