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男「え、監禁ですか」 ?『そうよ』 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:17:31.94 ID:+zMJ4JPN0
男(そう。気づけば俺は、両手両足を縛られ、身動きのできない状態で椅子に座らせられていたんだ)

男(下手に動いたりでもすればこの椅子から転げ落ちる。それは痛そうだからなりたくない)

男(だから今こんな狭い部屋に監禁されてても抵抗なんてしてないんだが……)




?『ふふふ、貴方も状況が分かってないみたいね。それもそうだわ、いきなり連れてこられたんだもの』

男(眼前に設置されたモニターのスピーカーから囁いてくる声。多分女の子。聞いたことあるような気もするけどまあ置いといて……)

男「……あの。要件は何ですか。俺をこんなところ連れてきても、なんにもならないと思うんですけど」

?『……拉致監禁されても意外と冷静? ま、まあいいわ。そうね、今回あなたを連れてきた理由は……』

男「理由は?」


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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:18:42.67 ID:+zMJ4JPN0
?『NTRよ』

男「……は?」

?『だから、NTRよ! 寝取られ!』

男「……いや、なんでそんな胸糞悪い単語が出てくるんですか」

?『……あーもう、そんなことぐらい気付いてくださ……気づきなさい!』

男「……えー?」

?『……もういいわ。分からないのなら教えてあげる。ずばり……』

男「ずばり?」
3 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:22:14.51 ID:+zMJ4JPN0
?『貴方に好意を抱く、または貴方自身が行為を抱いている女性を、片っ端からほかの男とくっつけてやるのよ!』

男「……は?」

?『ふふ、つまりはです……つまりはね。貴方と相思相愛の関係にいる女性を含め、それらが他の男に取られている映像をさんざん見せつける! そう、貴方は恋人とかそういう仲のいい女の子全てを、他の汚い男たちに取られるのよ!』

男「…………」

?『ふふふ、そして貴方の彼女も……自分以外の男のモノを挿入されて感じているのよ。うふふ、ふふふふふ』

男「……」

男(……なんか、うん。とりあえず言いたい。うん。これだけは)




男(あの、俺、彼女なんていないんですけど)
4 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:27:12.63 ID:+zMJ4JPN0
?『とにかく。貴方はこれから目の前のモニターにてその女どもが取られる姿を見なければならない。目を瞑っててもいいです……いいわよ? ただ音声は耳に入り込むけどもね!』

男「……あ、はい。そっすね」

男(……とりあえず、様子見かな)

?『やけに素っ気ない……そうか、あまりの絶望に放心状態へと……』

男(勝手な解釈過ぎてなんかもう色々と酷い)

?『とにかく! まずは映像第一弾……いきます、じゃなくていくわよ!』

男「……えー」

?『まずエントリーナンバー1、貴方の幼馴染である幼!』

男「……幼?」
5 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:34:25.66 ID:+zMJ4JPN0
?『そう! 校内でも有数の美人でもあり、性格も良好スタイルもいい、そんなアイドル的な存在、幼! そんな幼と特に仲のいい貴方は、きっとうらや……如何わしい関係に発展しているはず!』

男「…………」

男(いや、ねーよ。幼馴染だからってお互いのことが好きとかねーよ。むしろお互いがお互いで兄妹ぐらいにしか思ってないから恋愛に発展するような仲でもねーよ)

?『絶望してる、絶望してる!? ……ふふふ、でもそこで止めるほど私は甘くないわ。だからそんなあなたの恋人、幼を寝取った相手との行為を収めたVTRをどうぞ! うふふふふ』

男「え、ちょ、行為? こういってあれか? セクロスか? おい馬鹿、そんなもの勝手に見るもんじゃ……」

男(というか、幼って恋人いたのか? そんなこと一つも聞いてなかったんだが。あいつと仲が良い男子って……あ、もしかして)
6 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:39:28.82 ID:+zMJ4JPN0
?『ふふ、VTRのときは音声が途切r』
ブオン!

男「あ、切れた……ってえ、モニターが動き出して……」

『……ね、来て。早く』

『幼ちゃん……愛してるよ』

『私も、愛して……ひゃん!』

男(うわマジで始めやがった、しかもなんか、その、真っ最中……で、画面に映ってるのは……うわー全裸の幼と……あ、予想通りだ。“あいつ”だ)

幼『っ、あっ! いや、待ってっ、ああっ!』

友『っく、締め付けが……っ』

男(やっぱり友か……最近あいつらやけに仲がいいと思ってたらこういうことか……というかこの映像の背景って明らかに学校じゃねえか!? 馬鹿、そんなところでこんなことしてるの見つかったら停学食らうぞ!? いや今そんなこと心配してる余裕なんてないんだけど!)
7 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:45:19.05 ID:+zMJ4JPN0
幼『あんっ、だ、めぇっ! もう、いっちゃ』

友『幼ちゃん、俺もっ』

男(なんだかんだいって幼は美人なんよなあ。畜生、こんなのみせられたら勃つぞ、普通に勃つぞ!?)

幼『友、くうんっ! あ、ああああぁぁぁぁ!!』

男(くっそ、くっそ、本能には逆らえないとかくっそ、とにかく押さえろ、この下半身を押さえろ!)
8 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 19:57:27.61 ID:+zMJ4JPN0
?『ふふふ……最愛の人を親友に奪われた感想はどう?』

男「……最悪ですけども」

男(幼馴染と親友のそれをまあ、自分の意志ではないとは言え見せつけられるって、なんかとてつもない罪悪感を感じるんだよ)

?『……ふふっ、やった、やりました……! っと、今のはなしね。今のは決して私の口調なんかじゃないから。絶対』

男「なに言ってるんですか……」

?『……やっぱり、相当参ってる? 彼女が、親友に取られちゃってて』

男「……いや、参ってはいますけど」

男(主に自分自身への憤りでですが。さっきも言ったけど俺と幼はそんな関係じゃないし、別に友としてることなんてどうでもいいんですけども。でもそれを覗き見ってあいつらのプライバシーに……はぁ)
9 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 20:03:21.42 ID:+zMJ4JPN0
?『……そ、そう。それなら今日のところは解放してあげるわ。さっさと家に帰って愛する幼に事情を問いただすことね! そして失意の底に埋もれなさい!』

男「はい……ってえ、このままの状態でどうやって帰れと?」

?『ふふ、見てなさい』

ガチャリ

男(うん? 後ろから扉が開くような……うわ、ドアって俺の背後にあったのか、今まで気づかなかった……)

?2「失礼します」

?3「し、失礼します」

男「…………」
10 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 20:07:03.00 ID:+zMJ4JPN0






男(なんか全身タイツにお面被った変態二人が俺の縄を解こうとしてる)

?2「……? どうかしましたか」

男(……多分、身長と体格からして男だよな)

男「……何故そんな恰好を」

?2「仕事です」

男「…………」

?2「…………」

男「……大変ですね」

?2「給料もらってますから」
11 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 20:24:31.31 ID:+zMJ4JPN0
男「……えっと」

?3「縄は解き終えました。そこの出口からお帰りください」

男(……多分、胸あたりの盛り上がりから女の人。……うわすごいきわどい格好だよこれ、多分ものすごい恥ずかしいよ)

男「……道はどうやって」

?3「出ればすぐに分かります」

男「そうなんですか? ……というかですけど」

?2「はい。なんでしょう」

男「なんでここに連れてこられたんですか俺……」

?2「黙秘でお願いします」
12 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 21:07:43.76 ID:+zMJ4JPN0
書き溜めがとっくの前に尽きてます
ゆっくり書いていきますので、見ている方がもしいればお待ちください。

あとこの話にNTR要素はありません。そもそも寝取られる女の子すら現状いませんので
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/24(金) 21:14:55.51 ID:xJr+GJlRo
待ってる
14 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 21:17:40.01 ID:+zMJ4JPN0
男「……とりあえず、さようなら。二度と会わないことを願います」

?2「…………」

?3「…………」

男(うわあ無反応だ)


〜〜〜〜

数十分後

?『……ふふふ……ふふふふ』

?2「お嬢様。とてつもなく不気味ですのでお止めください」

お嬢様「なによ、今私は喜びの真っ只中なんだから黙りなさい執事」

執事「そうは言われましても」

?3「そうです。そっちは面白いかもしれませんが貴方のお遊びに付き合わされてる方としては……」

お嬢様「何がお遊びなのよ!? 答えなさいメイド!」

メイド「ひいっ……!?」

執事「机を思いきり叩かないでください、はしたない。……というかさっきのが遊びじゃなかったらなんなんですか」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東地方) [sage]:2012/02/24(金) 21:22:16.43 ID:+PO5carQ0
しょっぱかならものすごい勘違いががが
16 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 21:24:19.60 ID:+zMJ4JPN0
お嬢様「ふふ、聞きたい? 聞きたいの執事?」

執事「うわーうぜえ」

お嬢様「……逆に私が聞かされたわね、主に対する暴言を」

執事「暴言じゃないです本心です」

お嬢様「もういい、黙りなさい。……で、話を続けるけどもね」

メイド「こ、この悪趣味な計画のですか」

お嬢様「悪趣味じゃない! これは崇高なる計画! あの男様とお近づきになるための!」

執事「……ああ、悪趣味だこれ」

メイド「……そうですよね」

お嬢様「ちょっと貴方達言葉を慎みなさいな」
17 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 21:31:14.22 ID:+zMJ4JPN0
執事「……で、なんで貴方はその男様とやらに近づきたいのにも関わらず、逆に彼を貶めようとしてるんですか」

お嬢様「ふふふ、物事の表面ばかりを捉えてはいけないわよ」

執事「うわーうぜえ」

メイド「流石の私でもイラッと来ました」

お嬢様「……くっ、続けるわよ。……貴方たちは飴と鞭、なんて言葉を知っているかしら?」

執事「それはまあ」

メイド「知ってますけども」

お嬢様「そう。それに則っただけよ」

執事「……いやいや、余計意味が分かりませんよ。あの男様とやらを絶望の淵に落とすのが鞭だとしても、飴はどこにあるんですか」
18 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 21:38:00.54 ID:+zMJ4JPN0
お嬢様「いい質問ね執事! そうそう、そういう質問が欲しかったの!」

執事「……はあ。そうですか」

お嬢様「うんっ。……それでね。愛する人を全て失ってしまった男様。もう誰も信じられず、一人孤独を過ごすなんとも不憫なお方!」

執事「……突っ込みませんよ」

メイド「あの。その話でいくとお嬢様も信頼してもらえないんじゃ……」

執事「突っ込んじゃったよ……」

お嬢様「ぐっ、それは、置いといて」

執事「あなたの置いといてはなんでしょうかね、何でも置いていける気がしますね。一番大事そうな部分抜かしておいて何が置いとくですか」
19 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 21:56:39.80 ID:+zMJ4JPN0
お嬢様「そ、それすらも置いておくわ」

執事(もう駄目だこの雇い主、いっそのこと職場変えてやろうか)

メイド(え……変えちゃうん、ですか?)

執事(……冗談。そんな簡単に辞められるくらいならとっくの昔に辞めてるね)

メイド(……そう、ですよねっ)

お嬢様「……なんか話を戻すけど」

執事「戻してばっかですね」

お嬢様「煩い!」
20 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 22:22:50.93 ID:+zMJ4JPN0
お嬢様「私はそんな傷心した男様に近づき、ほかのくだらない男たちに体を許した雌犬とは何倍も違う愛を囁くのよ」

執事「……なんか、あれです。頭が腹痛なので帰ってもよろしいですか」

メイド「……私も。太股が突き指なので……」

お嬢様「今いいところなんだから待ちなさい。命令よ」

執事「……はぁ」
メイド「……はぁ」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/02/24(金) 22:52:19.44 ID:LQX4Ad6lo
期待
22 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 22:53:45.13 ID:+zMJ4JPN0
お嬢様「そして私に気づいた男様は! こっちを! 向いて そして! 抱き締めてぇ! 『好きだ』ってぇ!」

執事「ハイテンションすぎです。落ち着いてください」

お嬢様「ふふふ……男様ったらそんなあ……私なんでもしますよぉ」

メイド「……さっきいたの男様とは、いったい何をしてここまでお嬢様をベタ惚れさせたんでしょう」

執事「自分も気になりますね……本当になんなのでしょうか」

執事(……お嬢様が彼に好意を向けるのはいい。むしろ今まで恋愛に関して奥手だったお嬢様がそんな積極的になるのは万歳だ。方向性は間違っているが)

執事(しかし、その過程が全くといっていいほど分からない。見たところ普通で、私となんら変わりない歳の少年だってことは分かるが……)

執事「……今度、その男様とやらについて調べてみましょうか。メイドさん」

メイド「え……? わ、分かりました」

メイド(……執事さんと、一緒に……!)







お嬢様「……それからぁ! 男様とぉ!」

執事「いい加減にしてください」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/24(金) 22:59:52.29 ID:4ccxfAz70
いいぞwww
おもしろいぞwww
24 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/24(金) 23:13:55.88 ID:+zMJ4JPN0
〜〜〜〜〜〜
ところ変わって男の元へ


男「……うーむ」

男(というか、今日のあの出来事はなんなんだ。いきなり監禁されたかと思ったら知り合いの性交を見せつけられて帰らされるって……)

男(なんだよこのAV試写会は。全然嬉しくもないぞおい。明日から二人にどんな顔して接すればいいか分からねーだろうが)

男「……ま。とりあえず帰るか……」

男(さっさと飯食って寝よう。多分今日の出来事なんてなかったんだ。ははは、そうだそうだー)













男「……な訳、ないけど」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/02/25(土) 11:36:38.64 ID:z3PAmjwP0
支援
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/25(土) 12:01:01.60 ID:f6254g+yo
C
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/25(土) 14:52:41.40 ID:X3EyjSyIO
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
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  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
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\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
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.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
28 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 02:35:52.10 ID:bYxKZxRJ0
次の朝


男「……ん、うわぁ、すっげえ目覚め悪い。学校いきたくねえ」

男(……でも、休むわけにはいかないんだよなあ。色々やらないといけないことがあるし……)

男「……はぁ。二人にどういう顔して会えばいいんだか」

男「とりあえず、準備して朝飯の用意でもしてよう……」


〜〜〜〜〜〜
29 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 02:44:02.54 ID:bYxKZxRJ0
チン!

男「あ。パン焼けた」

男(……うん、焦げてはない。まあトースターだからそんな心配する必要ないんだよなぁ)

男「さて、ベーコンエッグも焼けて、サラダの方も……うん。あとはパンにバター塗って……」

男「オーケイ、頂きます」

男(……なんだろう、いつもより味が感じられない。……というそこまで感じる余裕がないと言うか。うん)

男「…………」

男「……んぐ、ご馳走様」

男(さて、もういかな……)

ピンポーン

男「……? 朝から珍しい……って」

男(まずい、こんな時間に呼びに来るのはまちがいなくアイツだ)
30 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 02:51:37.35 ID:bYxKZxRJ0
男「……はい」ガチャ





幼「おはよう! 久しぶりにきたよおとk……」

男「お引き取りください」

バタン







幼「…………」




幼「ちょ、ちょっと!? なんで行きなり閉めちゃうの!? ねえ!」

男「ごめん、俺学校休むわ。うん。なぜか目の前に幼の亡霊が出てきた。あいつは三年前……畜生っ!」

幼「何あんたは私を勝手に殺してるわけ!? ちょっと! いいから開けて!」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 05:03:29.72 ID:LNcaEaTDO
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 12:54:04.17 ID:tVdnP0IIO
まぁそうなるわな
33 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 20:50:04.76 ID:bYxKZxRJ0
書き溜めなしでスタートします
34 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 21:12:56.31 ID:bYxKZxRJ0
男の家 リビングにて

幼「……で、なんか言うことは」

男「いきなり不審者みたいな扱いしてごめんなさい……とでも言えばいいんだろうけど言いたくない」

幼「なによどういうこと!?」

男「いやー」

男(……お前らの秘め事見てたからなんて言える訳ねーだろーが普通)

幼「いやーじゃないわよ! ちゃんといーいーなーさーいー!」

男「わ、分かったから頭グリグリすんのやめろっ!」
35 :暇人o [sage]:2012/02/26(日) 21:15:36.07 ID:JhyUAPAd0
お嬢様が微妙だが続けろ。
男の反応がいいな。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:16:56.74 ID:e4JvkQO30
期待
37 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 22:03:34.16 ID:bYxKZxRJ0
男「……っつつ……それじゃあ言うけどさぁ」

幼「おうよ、どんと来やがれ!」

男「お前友と付き合ってるよね?」

幼「……へ?」

男「いやだから。お前友と付き合ってるよねって」

幼「は、ははー。なんのことーかー知らないよー」

男「……え、しらばっくれちゃう?」

幼「しらばっくれるも何もそんなことはー」

男「じゃあさ。なんでお前はそれを完全に否定しないのかな?」

幼「……いや、それは」
38 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 22:12:41.29 ID:bYxKZxRJ0
男「いやもそれはもないね。違うんだろう? だったら言ってみーんしゃーい。『私と友君は付き合ってないです』ってよーお」

幼「うっ、ぐっ……!」

男「あれ? なんで言わないの? ……あ、そう言えばお前、昔から嘘は嫌いだったもんな。……ということはつまりぃ」

幼「ち、違っ! それは、あれだからっ」

男「……はぁ、もういいだろ。さっさと認めてくれたって。お前と友が付き合ってるってよー」

幼「……ぐぬぬ」

男「なんで黙ってるか知らないけどさー。いい加減にしてくれないとキレますよ? 男さんキレますよ?」

幼「……ってるわよ」

男「んん? りぴーとりぴーとー」

幼「……だから! その。……私と友君は、付き合ってるわよ……」
39 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 22:17:14.61 ID:bYxKZxRJ0
男「……はぁ」

幼「…………」

男「……なぁ、幼」

幼「っ!? な、なに?」

男「お前と友が付き合ってるのは分かったけどさ」

幼「……うん」

男「なんで黙ってたんだお前? 別に付き合い始めたんならすぐに教えるだろじょーうこーう?」

幼「……うん」

男「……理由、聞かせろよな?」

幼「……分かった」
40 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 22:25:25.70 ID:bYxKZxRJ0
幼「……その。男、私、そして友君。私達三人って、とにかく仲がいいよね」

男「まあ。俺とお前まぁ幼稚園からの幼馴染み。そんで友は中学からの親友だな」

幼「うん。……それで、高校になってから私は友君に対する気持ちつ気づいて、それで告白したの」

男「んー……」

男(……そういえば、高校入ってから色々友と幼が変によそよそしい気がしたようなしなかったような)

幼「友君も私のこと好きだって言ってくれて。それで付き合い始めたんだけと……」

男「そこまではいい。じゃあなぜ黙ってたかってことだな」

幼「その。……私達の関係が、壊れるって思ったから」

男「……は?」
41 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 22:38:09.70 ID:bYxKZxRJ0
男「いやいやいや、なんでそうなるのよ。壊れるってまさかブレイク? え、ブレイクのほう?」

幼「……うん。だって……」

男(わけがわからないよ)

幼「私達は親友だったから。親友だったからこそ、今まで仲良くしてこれた」

男「…………」

男(あれ、これってまさかシリアル……シリアス? えー、もうちょっとギャグっぽく終わらないの? え、えー)

幼「でも、私と友君がくっついたら、男は……男は、一人に……」

男「……つまり、どうしても俺が中に入ってこれないと」

幼「…………」コクリ

男(……うわっ、然り気無くリア充と否リア充に分けられた気がする。畜生)
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 22:41:03.78 ID:e4JvkQO30
非リアなめんじゃねぇ
43 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 22:50:50.92 ID:bYxKZxRJ0
男(あれかな。幼の言い分だとこのまま俺達疎遠になって……みたいなパターンかな)

男(あれ? だとすると俺、とてつもなく舐められてね? こいつは友と二人だからいいけど、俺は一人になっちゃうわけで。それを心配されて黙ってたってことは……)

男(……やばい、むかつく。とにかくむかつく。俺の解釈が間違ってるって言う可能性もあるけど、そんなことなしにしてもむかつくぞこれ)

男「…………」

幼「……ねえ」

男「……どうした」

幼「怒って……る?」

男「……どうしてさ」

幼「だって男、起こっているときはいつも頬杖ついて、目線を下に落としてるから……」

男「…………」
44 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 22:54:30.22 ID:bYxKZxRJ0
失礼、誤字です。
>>43の幼が言った「起こっている」は「怒っている」です。すいません
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 23:01:03.80 ID:e4JvkQO30
誤字なんか気にするな、
気にしてる暇があったら
早く書きやがれください。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 23:05:12.92 ID:LNcaEaTDO
だな
多少の誤字は気にしなくていいよ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 23:05:37.90 ID:LNcaEaTDO
だな
多少の誤字は気にしなくていいよ

それより続きヨロ
48 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/26(日) 23:12:48.98 ID:bYxKZxRJ0
いやはや、待っている方がいてくれて申し訳ないのですが、一旦書くのをストップします。
再開するのは三十分後ぐらいです。それまでお待ちください。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 23:14:41.36 ID:e4JvkQO30
じゃあ投下は遅くなるのか。
俺はそれまで舞ってるぜ!
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) :2012/02/26(日) 23:44:12.57 ID:W5tTvTKB0
・・・・待ってるぜ!
51 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/27(月) 00:02:57.50 ID:CciY2lgr0
遅れてすみません
それでは書き始めます
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/27(月) 00:03:56.17 ID:NQ9uYhSJo
待ってました
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2012/02/27(月) 00:13:55.38 ID:OqhbSbCv0
風邪引いた
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]:2012/02/27(月) 00:16:21.25 ID:CngTQdpzo
>>53
意味分からんレスすんなks
55 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/27(月) 00:25:22.59 ID:CciY2lgr0
男(……そんなことは分かるくせに、なんで俺のこと信用してくれないかなぁ。別にお前らが付き合ったってなんにも変わらないだろうに……)

男「まぁ、確かに怒ってる」

幼「…………」

男「……一応聞くけどさ、なんで今俺が怒ってるか分かるか?」

幼「それは、今まで付き合ってることを黙ってたから……」

男「はいチョップ」

幼「いたっ!? な、なにを」

男「……はぁ。本当に馬鹿なのかなお前。俺がただ言わなかったからっていう、それだけの理由で怒るわけねーだろーが」

幼「え……? じゃ、じゃあなにを」

男「……いちいち説明しなきゃ駄目なのか。はぁ」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 06:56:42.63 ID:PQ7fl0k0o
書き始めますに期待したら1レスだった。
最初からこのペースじゃ、終わらんな
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/27(月) 07:00:40.71 ID:PLSRQIRDO
ふーむ…個人的には男は友と幼の縁を捨てて、友より良い友2(女性)と幼より良い幼2が来て男の仲良し三組なって、友と幼は絶望に堕ちる
元に戻るのか出来なくって後悔して、この先は永遠に絶望な生活で逆に男は幸せな生活のシーン見たいですかね
58 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/27(月) 07:20:49.17 ID:CciY2lgr0
男「……あのさあ、こっちかやするとお前らが俺のために黙ってるって言ってるようにも見えるけどさ」

幼「……うん」

男「それって同情な訳でしょ? ひとりぼっちになる可哀想な俺に対しての」

幼「それ、は……」

男「否定なんかすんなよ? どう言い訳したって結局、そうなるようなもんだしさ」

幼「…………」

男「だから俺はそれにむかついてるの。なんで今まで親友やって来たやつらに俺は同情なんてされなきゃならないんだ馬ー鹿」
59 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/27(月) 07:28:00.76 ID:CciY2lgr0
男「……はぁ。お前、少しは考えなかったのかねー。あのまま黙り続けてもなんのいい終わり方もしないよ? それこそ関係ぶっ壊れておしまいとか」

幼「…………」

男「そっちが善意でやってたとしても関係無い。どうであれ俺を馬鹿にしてることには変わりないんだよ」

幼「……ごめん、なさい」

男「……謝るぐらいなら最初からするなって言葉があってな? ……あーあ、朝から気分悪い。まさか親友二人にこうも信用されてなかったとはなー」

幼「……っ、ごめん……なさい」

男(……あ、やばい。泣いちゃってる。ええー、こんなところで泣かれたら完全俺が悪いみたいになるじゃないですかー……うおーい)
60 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/27(月) 07:34:49.78 ID:CciY2lgr0
男「ま、まあ。とりあえず今日は一人で学校行きますんで。お前は先に行っててくれよ」

幼「で、でも……」

男「こんなところで話がまとまる訳でもない。第一友本人がいないのにどうするのさ」

幼「…………」

男「ま、お前には何もしてないけど、今俺思いっきり誰かを殴りたいくらい苛々してるのね」

幼「え? それってどういう……」

男「うん」



















男「友殴る!」

幼「ストップ、ちょっと待ってストップ」
61 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/27(月) 07:37:33.04 ID:CciY2lgr0
寝落ちにしてはあまりに酷すぎたので今書けるだけ。本当にすいません
それではまた
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 09:11:45.13 ID:iNxDRowDO
そんなこともあるさ
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 12:18:53.08 ID:bpPady5IO
そりゃそういう気分になるわね
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/27(月) 17:33:01.02 ID:BId8mMCCo
殴られたまま二人とも退場で良いよね
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 00:33:17.72 ID:6k6RgzsIO
仮に幼馴染が可愛くなくても、とりあえず殴っとく
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/28(火) 00:49:55.43 ID:gt7SgikGo
とりあえず男はもう二人から既に距離を置いたほうが良いよな
67 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/28(火) 21:19:14.75 ID:cEM8+/gI0
男「え? 何?」

幼「いやいやいや、殴るってやっぱり……」

男「おう。友の顔面にグーパンだぜ」

幼「……お願い、それだけはやめて。元々この話は私が言い出したものだから……どうせ殴るんなら、私を」

男「馬鹿なこと言うねえ。あっちがそれに乗った時点でもう駄目なんだよ。だからあいつを殴る」

男「お前は……仮にも女の子だからは手を出したりしないけど、友が殴られたってことにお前はショック受けるだろうし。それでいいかなって」

幼「そんな……こと!」

男「……声を荒げるなよ鬱陶しい。誰のせいでこんなことしなきゃいけないか分かる? お前」

幼「私だよ でも……!」

男「でも……で、なに? 何か理由あるの?」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 21:25:35.67 ID:xI5+W9F9o
ひねくれ具合がすさまじいな
69 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/28(火) 21:39:52.28 ID:cEM8+/gI0
男「ま、例えそれがあっても俺は聞かない。聞く気がない。聞きたくもない。……なんでか分かるよな?」

幼「…………」

男「その様子だと分かってるかな? 一応言うととにかくキレてるんだよ、俺。それこそお前……いや、お前らをぶっ殺したいぐらいに」

幼「っ……」

男「テメェらが付き合って乳繰りあうぐらいなら良かったよ。それならまだ親友でいれた」

男「でもよ、今はどうなってる? 付き合い始めたことを隠し通されて、しかもその理由が『男が独りぼっち、可哀想!』ってことだもんなー」

幼「…………」

男「はははは、くっだらねぇ。結局そんなもんなんだよ、俺達。誰かがくっつけば一人は蹴落とされる。……いや、あれだな。はい二人組つくってーを思い出す」

幼「……そんな、こと」

男「全くを持って思ってません……か? それはそれは大層な理由だけど、行動がそれと食い違うな。うん。よってそんなことお前らは思ってませんー」

幼「ぅ……あ」

男「お前、自分が正直言えば、俺が激怒したとしても最終的には許してくれる……なんてそんなこと考えてたの?」

男「だとしたら馬鹿だな。本当学校のテスト用紙じゃ計れないほどの馬鹿だ。そんな漫画みたいに事が運ぶわけがない。そんな綺麗に終われるわけがない」
70 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/28(火) 21:49:45.23 ID:cEM8+/gI0
男「本当、お前の中の俺ってどういうイメージなの? 何かと世話を焼いてくれるお兄ちゃんポジ? それともいつも進言をくれるお助けキャラクターみたいなお友達ポジ?」

幼「……それ、は…………」

男「……答えられないか。じゃあ質問攻めは可哀想だから、逆に俺が答えてあげよう」

幼「え……」

男「俺の中にあるお前らはー……うん。今はそれこそ害悪な犬畜生だけど、それまではこうだったわ」















男「親友。この世で一番信頼できる奴等。三人の間に、嘘も言い訳もないような、親友って言う関係だと思ってた」
71 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/28(火) 22:02:13.22 ID:cEM8+/gI0
男「悪戯もした。悪口も言った。喧嘩もした。……だけど、俺はお前たちにたいして嘘など言ったことはない。いつも正直に、真っ直ぐにぶつかっていった筈だったのに」

幼「あ、あ……ああああ……」

男「それなのにお前らは俺を騙してきやがった。そしてその理由が同情だ。憐れみだ。対等な存在だと思ってきたのに、お前らは俺を下に見ていやがった!」

幼「ご……めん、な……さ」

男「もういいよ、聞きたくない。お前らとはここでおしまいな。さっさと俺の頭の中から出て行ってくれ」

幼「……っく、……」

男「泣いてるんじゃねーよ、胸糞悪い。さっさとここから出ていって、大好きな友君の胸で泣いてろよ」

幼「…………」

男「大丈夫、俺はもういい。一人でいるのは慣れてるから。……あ、もしかして俺の側に誰もいなかったのも、そうやって俺を見ていた原因にもなるのかな?」

幼「っ! ち、ちが」

男「あーあーあー。聞きたくなーい。いいから出てけって幼さん? 用事がありますんで。俺みたいな野郎に構ってると不幸が移るぞー」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 22:02:24.90 ID:gd1V92pTo
拳叩き込みはまだか
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 22:10:44.30 ID:+EmAPPM60
>>72男はきっと強化系の念能力を持ってるはず
74 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/28(火) 22:28:28.51 ID:cEM8+/gI0
〜〜〜〜〜〜


男「……案外あっさりと出ていったな」

男(……いや、そっちの方が都合はいいんだけど。いいんだけど……)

男「……うーむ、一人って言うのも、なんか久しぶりだな。えーと、確か前は……」











……さ…………なら
















男「……んー、思い出せない。イコールどうでもいい。うん。さっさと学校でも行こうっと」
75 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/28(火) 23:36:46.42 ID:cEM8+/gI0
男「……てなわけで、学校の300メートル前のとこでして」

男(……いつもなら友か幼が隣にいたんだけど……いいや、忘れよう。それが自分のためだ)

男「そうは言っても、寂しいもんだな……」

男(まあ、別にいいんだけども……)










?「お一人、ですか?」

男「……え?」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/28(火) 23:41:13.47 ID:+EmAPPM60
続けたまえ
77 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/28(火) 23:58:36.21 ID:cEM8+/gI0
男「き、みは……」

お嬢様「……私のこと、ご存じありませんでしたか?」

男「え? いや、その……」

男(……いや、知ってるに決まってるでしょ!? かなり有名な企業家の娘で、成績優秀、容姿端麗、おしとやかでどんな人間にも平等に接する……。そんな完璧とも呼ばれる人が何故俺の前に……!?)

男「……いや、知ってます。お嬢様……さん?」

お嬢様「はい。覚えて頂いて嬉しく思います」

男「いや、ははは……」

男(え、ええ!? いや、なんでこんな子が俺と!? やめろよ、俺案外女の子にたいして免疫ないんだよ、幼は別だけどぉ!)

男「あ、あの。お嬢様さんはなんで俺なんかのところに……?」
78 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 00:27:15.45 ID:wvDuPTMx0
お嬢様「いえ。たまたま通り掛かったものですから」

男「……いや、それだけでろくに会話もしたことのないやつに話しかける訳ないでしょう」

お嬢様「では、あまり浮かない顔をしていたから、どうしたのかと思いまして」

男「あー……まあ、それでいいですかね」

お嬢様「ふふ、ありがとうございます」

男(……うわあ、なんかもう本当に可愛いと言うか綺麗というか……反応に困る笑顔ッスねー……)

男「……いや、特に浮かない顔と言いましても、問題はありませんので」

お嬢様「……そうですか?」

男「は、はい」

男(うん。さっさとここから抜け出して学校へ逃げ込もう。うん、そうしよう)

男「…………」

お嬢様「……あの」

男「は、はいっ?」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 00:35:30.06 ID:aytHjOhL0
怖いなー怖い怖い
80 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 00:35:44.47 ID:wvDuPTMx0
お嬢様「よければ、学校まで一緒に行きませんか?」





男「……ああ、一緒に……え? ちょっ」

男(……一緒、に? いやいやいや、なにそのご褒美? ……ってこの場合むしろ罰ゲームか?)

男(……まあ、からかわれてるだけだよな。こんな女の子に限って俺へそんなこと言うはずがないし……)

男「はは、冗談です?」

お嬢様「……冗談ではありませんよ」

男「ああーそうかそうか冗談じゃ……な……」
















男(……ぇぇぇえええええええぇぇぇぇぇ!!?)
81 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 00:39:14.36 ID:wvDuPTMx0
多分、これで投下終了です。もし書けるのならば本当に少しだけ書くかもしれません。それてほ期待はしないでください。
それではまた。見てくださった方々、ここまでありがとうございました
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 00:53:59.18 ID:+c23bsavo
俺(……ぇぇぇえええええええぇぇぇぇぇ!!?)

続きはよ
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 01:19:44.42 ID:1bo8g5Fi0

お嬢様さんさっそく仕掛けてきたな
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 01:22:01.60 ID:f/HRdveIO
しかし男の人間不信値はMAXだ‼
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/02/29(水) 01:26:17.08 ID:Tyl4Rh5L0
男ずいぶん怒ってるな
86 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 01:37:08.23 ID:wvDuPTMx0
お嬢様「……? どうかなさいましたか?」

男「あ、ははは? いや、これはどういう……」

男(……冗談じゃなかった。本物だった。つまりここから300メートルを俺はお嬢様さんと恋人気分で学校へ……うわあ、テンション上がるぞこれ。やっほう)

男「……あの。俺なんかが一緒に行っても?」

お嬢様「はい! 貴方が駄目ならば、諦めますが……」

男「大丈夫です。OKです。行きましょう」

男(……こんな美味しい誘いを断るような馬鹿はいないんでござるよ。ふふふふふ)






















お嬢様「……ふふ」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/29(水) 04:13:20.38 ID:Uz/96IXk0
噛み合ってないのにお嬢の思惑通りに事が進んでいる!

不思議!
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 04:18:27.31 ID:recJ6918o
何もしなくても十分好印象なのに違いは無いけどなwwww
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 04:57:24.25 ID:K0nHUZZIO
お嬢様と上手く行ってハッピーエンドていいっしょ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/29(水) 05:20:35.48 ID:eRzI/ou7o
胸糞悪いなあ
気付きもしなかったし随分酷い事言えるくせに何勝手に被害者ヅラしてんだか
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 06:17:48.89 ID:7ngVnW3DO
友は半殺しか撲殺で期待!
幼ざまwwwwwwww
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 09:53:53.17 ID:XHtX6Sqho
これは目が覚める展開

通常なら幼馴染と和解があり得るのだが、すっぱり切り捨てた男

そこにしびれるあこがれる!!
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/02/29(水) 11:17:14.81 ID:cvo3HjzAO
寝取られ要素が少々入ってたけど楽に読めるわwwwwww
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/29(水) 13:06:22.40 ID:t46KnASs0
>>90さんと同意見で
友と幼が謝ってきたときに許すならハッピーエンドなんだけどなー
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 16:15:21.73 ID:6OhH8qIlo
親友という部類なら男がここまで怒るのも分からんでもないけどな
つか、友と幼を突き放すような言い方をしているけど、実際は男の問題にこれ以上巻き込みたくないからの発言、行動にとれなくもないよね
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/29(水) 16:17:28.82 ID:ftsTLFNEo
分かってねな

リアルじゃないからこそざまぁでいいんだよ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/29(水) 17:05:23.87 ID:sidAOlKe0
乙です。確かに親友に隠し事されるってのは嫌だよね。でも、してない人なんているの?
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/02/29(水) 17:24:14.65 ID:hANW9M9E0
…男の反応見る限りお嬢様はまわりくどい事しなくても良かったんじゃなかろうか。
それどころか、友と幼との関係をぶち壊しにした元凶としてボコボコにされても文句言えないんじゃね?
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 17:44:52.44 ID:2+/GmvTHo
お嬢様って空回りキャラなんじゃないかね?ww
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 18:13:07.77 ID:aytHjOhL0
>>98だが男の気持ちも分かるぞ。
お前は同情されんのが好きなのかね
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 18:22:33.22 ID:K0nHUZZIO
>>98
ぶち壊しつってもいつかバレるだろうしどうせ男はボッチになるんじゃね?

それより普通にお嬢が男と付き合えば男が1人じゃなくなるから友と幼も付き合えるよな
102 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 19:04:01.67 ID:wvDuPTMx0
お嬢様(よし! これまで計画通り! 傷心している男様に近づき、接触する!)

お嬢様(それからここでいい印象を男様に植え付けることによって、次回から簡単に近づくことが出来る! 流石私、完璧すぎる計画!)

お嬢様(よ、よーし。とりあえずは、昨日見せた映像からどう発展したのか。それを聞き出さなきゃ……)

お嬢様「あの、男さm……男君」

男「は、い?」

お嬢様「やはり、何かあったのではありませんか? どうにも気が沈んでいるように見えますよ」

男「あー……いや、確かに何かがあったのは本当ですけど、それは自分自身の問題なんで……ここで話してもどうにもなりませんから」



お嬢様「……そう、ですか。なにか力になれれば良かったのですが……」

お嬢様(うーん、聞き出すのは難しそうですかね。ほとんどプライベートな訳ですし……諦めて他の行動に移りましょうか)
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2012/02/29(水) 21:09:42.63 ID:9tOeipBZo
追いついた、乙

……何か、湧いてるレス多いな
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/29(水) 21:15:03.26 ID:FVn9JrBIO
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/02/29(水) 21:38:50.74 ID:qdNZRMXB0
え、男のキレって演技じゃないの?
106 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 21:52:06.83 ID:XBPKa0u00
男「…………」

お嬢様「…………」

男(……どうしよう、会話が無さすぎる)

男「……あー、そのですけど」

お嬢様「はい。なんでしょうか」

男「えっと……」

お嬢様「……?」

男「……いや。何でもないです」

お嬢様「そう、ですか?」

男「はは、すみませんね……」

男(会話のネタすらないとか……)
107 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 22:17:31.95 ID:XBPKa0u00
お嬢様「…………」

お嬢様(ど、どうしましょう。せっかく男様から声をかけていただいたのに、それを無駄にして……!)

お嬢様「……あうぅ」

男「っ!? ど、うかしました?」

お嬢様「あ、いえいえ! 大丈夫です。本当に大丈夫ですよ」

男「そ、そうですか」

お嬢様(へ、変な声漏らしちゃったあああぁぁ!? え、そんな、男様の前で……!)
108 : ◆8IrmZWsy0E :2012/02/29(水) 23:38:04.21 ID:XBPKa0u00
男「……あ、学校見えてた」

お嬢様「え……? あ、そうみたいですね」

お嬢様(くっ……男様と二人っきりの時間が……!)

男「あんまり俺みたいなのと一緒にいても、変な噂流されるだけですよ? ここらへんで別れた方がいいんじゃ」

お嬢様「大丈夫です」

男「……無理とかはして」

お嬢様「大丈夫です」

男「……お、おう」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/02/29(水) 23:59:54.13 ID:XBPKa0u00
今日はここまでで。それでは見てくださった皆さんありがとうございました。
それでは
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 00:18:24.53 ID:mo19CFPio
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/03/01(木) 00:49:29.48 ID:hxizp0Geo
期待
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/01(木) 13:48:33.02 ID:2jG9xF6IO
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/01(木) 18:12:11.15 ID:xEbXMYfl0
俺はお前を期待している
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2012/03/01(木) 20:27:07.31 ID:brXMCOun0
×を
○に
115 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 18:18:56.29 ID:MIvs7Kxq0
男(こ……このまま、学校へ?)

男(嫌じゃない、むしろそこまではっきりと言ってもらって嬉しいですけど、その。……)

男(自分、嫉妬やら妬みやらの視線を向けられるのが確定でしてね!?)

男「…………」

お嬢様「…………」

男(うわあ心なしか距離が近くなってる!? いや、俺は近づいてないぞ、断じて近づいてない! どっちかというとこの子が……!)

男(……とか言ってる間に校門前ですよねー)



「……おい、あれ……」

「ああ。……なんで……」

男(……うわあ、周りの生徒からとにかく見られてます)
116 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 18:25:50.72 ID:MIvs7Kxq0
男「……は、ははは。なんか凄い、見られてる気がしますね」

お嬢様「…………」

男(……え、無反応? ちょ、地雷踏みました? 俺地雷踏みましたか!?)







お嬢様(……来た、これは来た。念願の男様と一緒に登校来た! ふふふ、なにこれ嬉しい、嬉しすぎる。こんな嬉しいのっていつ以来かしらっ!?)

お嬢様「…………」

男「……あ、のー?」

お嬢様(とにかく! この状況をなんとか長引かせ……れないわね。ここまで来た以上、今更時間を稼ごうにも稼げないわ。……はぁ)

お嬢様「……そろそろ、別れますね」

男「へ? あ、はい。そうみたいです」
117 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 18:56:06.20 ID:MIvs7Kxq0
お嬢様「それでは、ここで。私に付き合っていただいてありがとうございました」

男「え、いやそんな。お礼言われるようなことしてませんって」

お嬢様「ふふ、でも楽しかったですよ。あなたと話しているのは」

男「……話したとか言えるほど喋りましたっけ?」

男(途中ほとんど無言だったし)

お嬢様「でも、本当のことですから」

男「そう、ですか? ならいいですけど……」

お嬢様「…………」
118 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 19:01:24.94 ID:MIvs7Kxq0
男「それじゃあ、どうも」

お嬢様「はい。また機会がありましたら」





男(……また、か。そりゃもう一度話しかけてきてくれたら嬉しいけどなー)

男「……ま、いっか。って、それより……」

















男(……なんか、四方から殺気を感じるのは何故? あ、そうか。やっぱりあの子と……)
119 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 19:02:53.13 ID:MIvs7Kxq0
いきなり予定が入ってしまったので、多分今日はここまでで。
すみません
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/03(土) 19:08:21.56 ID:SWu6xUOj0
乙です。惚れた理由とかも描写してくれると嬉しい。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/03(土) 19:20:05.62 ID:c/N15ntyo
乙乙
のんびり書いていってね
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/03(土) 20:23:27.17 ID:0ZQUg63mo
乙乙

待ってるぜー
123 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 22:50:04.71 ID:MIvs7Kxq0
なんとか戻って来れました
今から書き始めますが、明日は早くに起きなければいけないので少な目となりそうです
それでもよければお願いします
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/03(土) 22:51:34.60 ID:fE9TI3db0
マイペースにど〜ぞ^^wwktk
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 22:52:42.61 ID:0qZCynxN0
書いてくれるんだったらおk
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/03(土) 22:53:58.19 ID:+kIMYK2IO
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
127 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 23:04:24.98 ID:MIvs7Kxq0
男「……はぁ」

男(大体妬みの視線、って言われてもなぁ。俺があの子と釣り合ってる訳じゃないだろうし、そもそもの接点がないんだから、付き合ってないなんてすぐに分かると思うんだけどなあ)

男(……いや、そいつらにとっては、俺が彼女の隣にいる、ということすらも許されないんだろうな。あのポジションへは到底辿り着けるものじゃない)

男(……あれ、そうすると俺ってなんなの? あの子の隣にいることができたってことは、それはそれは凄い……いや、考えすぎか)

男(元は彼女がただの興味本意で一緒に行こうと言い出しただけだし、別に深い意味なんてないだろう。……というかいつもならどうでもいいで切り捨ててる筈の俺が、どうしてここまで悩んでるんだか)

男(……やっぱ、昨日のあれかなあ。今朝色々ありすぎて忘れてたけど、唐突にあんなことが起こったからなー……俺のことを知っていたってことは、家族か、親戚か、知り合いか、はたまた大きくなって俺が強く関わりを持っている場所の人間とか)

男(当然、この学校も……。考え出すときりがない。また後日考えるとして、今はあいつらのことを考えよう)








男「……今日で、親友二人が消えちまう、のか」
128 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 23:21:28.84 ID:MIvs7Kxq0
男(いや、何センチメンタル起こしてるんだか、俺は。今更あの頃の俺達には戻れないだろうが。馬鹿みたいに笑って、走って、泣いて、怒って。そんなあの頃には、もう)

男(……幼に嘘でも、ちょっと苛々したからってあんな酷いこと言ったもんなぁ。冗談でしたごめんなさいとか言っても、許してくれなんかは……いや、普通に許しそうだな。『私も男に酷いことしてたから』とか言って)

男(そんなのはもう、優しいと言うか甘いと言うか、それより酷い愚かと言うか。そんな風に言われてほしくないよなぁ、うん。俺が引き起こしたくせに何言ってるんだって話だけど)

男(……結局の所、自業自得なんだよな。幼が、そして友があそこまで神経擦り減らして、付き合ってるのを隠していたのも、原因は俺にあるんだから。俺が、いつもいつも……)








……さよ……うな………




男(……むぅ、これ以上考えたら頭痛くなりそう。さっさと教室行って勉強して、そこから友への用を済ませて一日を終えよう。うん、それがいい。……それが、いいんだけど)


「何であいつがお嬢様さんといたんだよ……」

「知らねえ、あんな冴えないやつのどこがいいんだよ本当に」

「もしかしてお嬢様って暗いやつが好みなの? だったら俺にもチャンスある?」

「ねーよ。とりあえずお嬢様の隣にいたあいつを……」






男「……」

男(視線が、俺を貫いていく)
129 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/03(土) 23:35:57.46 ID:MIvs7Kxq0
〜〜〜〜〜〜


お嬢様「……ふふっ」

お嬢様(今日はメイドと学校に来なくて正解だったわ。男様と二人っきりになれたんだから、きっかけを作った執事には感謝しないと)

お嬢様(……私、男様に対して変なことをしてないわよね? いつも通り令嬢を気取っていたもの。大丈夫、大丈夫なはずなのよ……)

?「おーっす、お嬢様!」

お嬢様「え……?」



DQN「俺だってオレオレ。そんなゴミを見るよーな目でこっち見んなって」

お嬢様「…………」

DQN「まーた無視かよ。ったく」

お嬢様「……おはようございます」

お嬢様(厄介な人が来たなぁ……)
130 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 00:06:10.58 ID:QRQk6jZ70
DQN「なんだ、聞こえてるんじゃねーか。ったく」

お嬢様「…………」

DQN「まあいいや。俺とお前の仲だし、なかったことにしとく」

お嬢様「……貴方とそんな仲を築いた覚えはありませんが」

DQN「まーまーそんなキツいこと言わないでさー!」

お嬢様「…………」

お嬢様(……毎回毎回この人は本当に……)

DQN「あ、そういえばだけどよ。前の話、考えてくれた?」

お嬢様「前の話……ああ、遊びのお誘いですか。言いましたよね、私は行かないと。ちゃんとした理由もつけて断っておいた筈なのですが」

DQN「ん……? ああ、色々と予定が重なって無理、とかだったっけ? いいだろ別にそんなもの。放っといて俺と遊んだ方が色々と楽しいと思うぜ?」

お嬢様「楽しい楽しくないの問題じゃないと何度言えば分かるんですか。とにかく人の事を何一つ考えないような人と私は遊びになど行きません」

DQN「……チッ、面倒くせえなぁ」

お嬢様(……いつになったら諦めてくれるんですかね……この人……)
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 00:20:21.41 ID:b5mCnL9A0
ほう
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/04(日) 00:23:11.92 ID:p/LHB+bY0
乙……でいいのかにゃ?
133 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 00:25:57.06 ID:QRQk6jZ70
お嬢様「……それでは、急いでいるので」

DQN「は? おい、ちょっと……」




お嬢様「……なんとか、振りきれましたか?」

お嬢様(……ふぅ、ちゃんと逃げ切れたみたい。なんであの人はちゃんと彼女がいるくせにああやって私に……)

お嬢様「……?」

お嬢様(どこからか、囁いて……?)

「……やっぱ、綺麗だよなぁ」

「え? あれってどっちかと言えば可愛いじゃないの?」

「まぁ、両方ってことだろ。……いいなぁ、俺にもあの子みたいな彼女がいたらなぁ」

「はは、そんなこと思っててもどうせできないけどな」

お嬢様「…………」

「……はぁ。お金持ちっていいわよねー」

「どうしたのさいきなり」

「いや、お嬢様って子さ。ただでさえ綺麗なのに、おまけに金持ちの娘なんでしょ? もう完璧と言うかなんというさ、男たちがわんさかよってきて、いいなーと思ったり」

「まあ、そうよね。もし私があの子の立場だったら、好き勝手やれたのかなあ」

「そうかもね。……あー羨ましい」

お嬢様「…………っ」



お嬢様(……皆、みんな私のことを綺麗で金持ちのお嬢様にしか思っていない)
134 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 00:52:44.44 ID:QRQk6jZ70
お嬢様(……確かに、私はそんな人間かもしれない。いや、そうなのだろう。実際に今言われたことはほとんどが事実だ)

お嬢様(でも、そんないい家に生まれたって、整った容姿に生まれたって、そんないいことなんて無かった。それこそ、数えるくらいしか……)

お嬢様(周りは私をそういう風に見て、決して抱いた印象を捨て去ろうせず、ただただ機嫌を取ろうとするような人ばかりだった。露骨に避けられたりもした)

お嬢様(いつかはそれが変わるかも、なんて思ってたけど、そんなことはなかった。その皆が勝手に定めた私の価値は、色褪せるどころか憎たらしいほどの光を放って、周りを煩い蟲共で埋め尽くした。そう、さっき私にしつこく言い寄ってきたあの人のように!)





お嬢様(……ねえ、貴方は私と初めて出会って、そして私の素性を知ったとき、眉ひとつ動かさず、その前と、私について聞いた前と同じ態度で接してくれましたよね)

お嬢様(私、凄く嬉しかったんですよ。あのときほど人を信じれて、一緒にいても楽しくて。そしてあんなにも大切だと思えて。何より貴方の存在が愛おしくて。……その日のこと、貴方は覚えてないかもしれませんけど)

お嬢様(今日の朝近づいたときも、多少は驚いていましたけど、私を決して単なる金持ちの娘、などと見てはいなかったんですよね。多少恥ずかしがるような素振りは見せていましたけど、それは私だからではなく、一人の女の子が近づいてきたから、と言うことなんですよね)

お嬢様(金持ちだろうが、周りをよりも優れた容姿を持とうが、貴方にとってそれは一人の私の附属品に過ぎないのですよね。そうやって私を、私のまま見てくれて、本当に嬉しかったんです)

お嬢様(……だから、愛しています。貴方がから見れば私は、優しくしただけで、落ちるような女にしか見えないかもしれませんが、それだけでも本当に貴方を好きになる理由になってしまったのです)

お嬢様(私がやったことは、貴方を独占したいがための、そんな姑息な手段です。そして貴方に近づいて、仲を深めて、いずれは結ばれる……本当に、私は汚い女なのでしょうね)

お嬢様(ごめんなさい。でも見逃してください、いえ、どうか気づかないでください。そうすればきっと、あなたの側に居続けることができるから……)



お嬢様(だから……だから、男様。男様、男様……)
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/04(日) 01:02:52.77 ID:stJwaAu/o
かわいい
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/04(日) 01:05:42.66 ID:T9isYojW0
DQN邪魔だなまさかNTRとかあったりすんの?
137 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 01:06:06.28 ID:QRQk6jZ70
さて、今回はここまでで。久しぶりに切りのいいところで終われた気がします
最後にお嬢様が若干ヤンデレの陰を多少はちらほらさせてますが、まあご安心ください。
そんなお嬢様が鉈振り回して女の子を惨[ピーーー]るようなグロテスクな話はしませんし、そもそもお嬢様だってそこまでする気はないでしょうし。>>1がヤンデレあまり得意ではないですし。というかそもそもヤンデレの陰なんて見せてないかもですし。
まあともかく、ここまでということなんですよね。それではさようなら


……お嬢様のイメージ、普通に黒髪でロングストレートの子か、エロゲでよく見るような金髪ツインテールの子にしようか決めないと……話書くときに色々と詰まる……
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/04(日) 02:36:55.79 ID:ftbMBxpVo
間をとって金髪ロングストレートで
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/04(日) 02:56:55.90 ID:hI2z9zHAo
幼馴染はピンクのツインテだな。淫乱だし
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/04(日) 06:18:07.55 ID:QhD4Yn2DO
DQN邪魔じゃな…友殴った後についでにブッ殴っておくか
141 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 13:39:02.03 ID:QRQk6jZ70
〜〜〜〜〜〜


男「……なんとか、教室に、辿り、着けた……」

男(……おい、この後友と話つけなきゃならないのに、こんなところで体力使うとかねーよ)

男「……はぁ、怠い」

?「よーっす、かなり怠そうだけどどうしたー?」



男「……あ?」

女「あ? って酷いな、私をゴミみたいに見やがって。女だよ女、君の悪友で名高い」

男「……悪友って言われましても、俺はそんな人と仲良くなったりしません」

女「ちょ、ひっど」

男「酷いと思う? でも酷くない。何故ならお前がそんな風に言われる原因を作ってるからDA」

女「う、ぐぅ……」
142 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 16:03:22.77 ID:QRQk6jZ70
男「……ま、そんなことは置いといて」

女「置くんかい」

男「まあな。……で、朝からなんだよお前」

女「えーと……特にないわ」

男「あっそう。じゃあな」

女「やっぱり酷いと思うんですけどー。どうしたのさアンタ。何かあった?」

男「色々と。朝からありすぎたんだよ」

女「色々……ああ、あの美人の子と一緒に登校してきた、とか?」

男「……間違ってはいない」
143 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 17:55:17.37 ID:QRQk6jZ70
女「へぇーい、もしかして彼女ーぉ?」

男「へぇーい、な訳ねーぇい」

女「…………」

男「…………」

女「……なんか空しいなあ」

男「本当にな」

女「んでさ。彼女でもないとしたら、なんでアンタはあの子と一緒に来てたのよ」

男「……どうせお前信じないから。話す必要ないよな」

女「そこをどうにか! 今日は信じますよ旦那!」
144 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 18:38:53.88 ID:QRQk6jZ70
男「……まず、学校までの道中で、偶然あの子と出会ってな」

女「ほうほう」

男「何故か知らんが一緒に登校することに……」

女「唐突すぎません?」

男「事実ですから」

女「そういうことっすか」

男「……そういうことで、今に至るような」

女「……ラッキーだったねー」

男「案外そういうわけでもない。一緒に登校したということは良しとしよう、その後の周りの男どもからの視線が痛すぎる」

女「あー、嫉妬ねー」
145 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 19:18:09.91 ID:QRQk6jZ70
男「あれは……まあ、本能があのまま居続けることを拒んでたような」

女「そんなにですか」

男「そんなに。……あれだね、太陽の前では何者も影にしかなれないんだよ。そして近づきすぎると熱に焼かれて溶けるんだよ」

女「……えー」

男「まー溶けて男さんの価値は消え失せました。なのでそんな価値なしに向けられるのは、そのゴミを見るような視線ってわけで」

女「おうふ」

男「もう男さんおうち帰りたい」

女「帰れないけどね」

男「そうなんですけどね……」
146 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 19:36:15.64 ID:QRQk6jZ70
男「まあ、結局あの子と俺は全くを持って関係がない。ほとんど初対面」

女「……ほとんど? え、どっかで話したこととかあるの?」

男「まあ、少しだけ。……俺自身、思い出したくはないようなことっていう訳で」

男(……まあ、ね。最初会ったときは、俺が“あんな”状態だったわけですし? ……あの子が覚えているわけではなさそうだったから、まあ……他人の振りで、通せたけど)

女「興味が湧いてきたのでご説明お願いしま」

男「却下」

女「……チッ」

男「あからさまな舌打ちするんじゃねーよ」
147 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 19:57:58.13 ID:QRQk6jZ70
女「……お? チャイム?」

男「そうみたいだな」

男(友と話つけるのはまたその後、ということか)

女「……ねえ」

男「ん?」

女「変わらないよね、アンタ」

男「……? たった一年ちょっとの付き合いの癖に、何を」

女「別に。アンタには短い期間かもしれないけど、それでも人間が変わるには十分すぎるぐらいだから」

男「……はあ、そうなのか」

女「そういうこと。……じゃあ、私自分のクラスに戻るわ」

男「ああ。じゃあな」

女「…………」
148 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 20:04:31.99 ID:QRQk6jZ70
男「……行ったか」

男(……なんで、あいつはあんなことを? いきなり変わってないって言われても、意味が……)

男「何か、俺変わってほしいところでも……?」

男(……分からない、か)


〜〜〜〜〜〜


女「……なんで」

女「なんで、私はあんなことを……?」

女(あんなこと、言ったってなにも……)

プルルルルルル

女「メール? 内容は……」












女(先輩、から)
149 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 20:26:47.87 ID:QRQk6jZ70
放課後


男(……朝にあれだけあった分、それからは特に問題もなかったか)

男「……さて、そろそろ……」

男(……友に、連絡しなきゃな。ってもメールで十分だろうし)

男「よし、送った。場所は……屋上だよな。よし」

男(……もうすぐ、しかも一時間も経たずして親友が消える、のか)

男「……はは、は。馬ッ鹿みてぇ。何今さらビビってるんだか」

男(もう、戻れないんだ。全ての原因は俺にあって、その責任をあいつらに押しつけて来たんだ。……限界が、来たんだよ)
150 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 21:41:50.79 ID:QRQk6jZ70
男「……さて、屋上に来たわけだが」

友「…………」

男「ってなんだ、先に来てたのかよ」

友「……ああ」

男「じゃあ話を始めたいところだけど。……幼から、何か聞いてるか?」

友「……それなりに」

男「そうか」

友「……なあ、男」

男「なんだよ」

友「今更、許してくれなんて都合のいいことは考えていない」

男「…………」

友「でも、これだけは言わせてくれ。……今まで幼ちゃんとのこと、黙っていて悪かった」

男「…………」
151 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 22:37:16.25 ID:QRQk6jZ70
男「っく、はははは」

友「……? なにがおかしい?」

男「はは、ははは。いや、なんか。お前が大真面目になってるのが凄い、おかしい」

友「……俺が何か言える立場じゃないが、もうちょっとお前真面目に……」

男「いや、一応真面目だよ。笑ったけど」

友「…………」

男「だってさ、お前、俺が起こってるとか思ってそんな風にしてるんだろ?」

友「……は?」

男「……まあ、今回お前を呼び出したのも、単なる説教臭い言葉ぶつけるためじゃないんだよ。もっと、別の目的」
152 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 22:43:57.24 ID:QRQk6jZ70
友「な、何を……」

男「……んじゃま、言うけどさ」



















今まで、本当にありがとう。そして、悪かった。








153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/04(日) 22:55:42.88 ID:b5mCnL9A0
実に興味深い
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/03/04(日) 23:05:29.03 ID:iaF/lrWp0
なんだろう凄く切ない
155 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/04(日) 23:50:42.04 ID:QRQk6jZ70
友「な……!?」

男「ま、これが言いたかったのさ。幼には怒ってる演技してたけど、実際は起こってなかったりする」

友「ま、待て、どういう……」

男「順を追って説明しようか。……まず、何で俺が幼に対して起こってたか、だな」

男「まぁ……単純にあいつへ向かって友達やめてくださいなんて言ったら、結構食い下がるだろうしな。ああやってキレておけばすんなりと話が進む。実際多少は苛々してたからな」

友「……話を進めるって、お前……」

男「ああ。……ここ辺りで、俺達の関係を終わらせるってこと。親友を、な」

友「ッ……」

男「……思えばさ、色々とお前たちに迷惑かけてたかもしれないんだよ、俺」
156 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 00:21:08.58 ID:Tai1bukn0
今回はここまでで。男が友と話をつけた時点で第一章終わり、となります。それからも続きますけどね。
中途半端なところですが、みてくださった方々ありがとうございました。
それでは、また
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/05(月) 00:27:44.86 ID:88mIEzqL0
乙です
怒っていたのが演技と聞いてひとまず安心
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 00:34:33.23 ID:RiPRlOsCo

途中で投げだすなよ。
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/03/05(月) 00:39:28.49 ID:Qu6u8VHv0
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/03/05(月) 00:49:29.21 ID:ICZ/Yh7g0
乙!
とても期待しているぞ
161 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 19:51:09.14 ID:Tai1bukn0
友「な……にを」

男「まあ……知っての通り、俺の家には誰もいないからさ。母さんと妹は……とにかく、今は父さんしかいなくて、出張やらなんやらでいつも家空けててさ」

友「…………」

男「それでいつも一人で……そんな風に一生俺は生きていくんだろうな、って俺は思ってたんだよ。ろくに感情をぶつける訳でもなく、ずっと抱え込んで」

男「……でもあいつ、幼は側にいてくれたんだよな。俺の横で馬鹿みたいに笑って、励まそうとしやがって。そんなのを内心うざったいとか思ってたはずなのに、いつの間にか受け入れている俺がいた」

友「……っ」

男「そして中学校。気付けば、俺の横にはもう一人、馬鹿が増えてやがった。……まあ、言うまでもなくお前なんだけどさ」
162 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 20:44:08.63 ID:Tai1bukn0
男「いつもいつも色がなかった。見る物すべてが灰色で、渇ききって。人間だって動く塊のようにしか捉えられなくて、毎日が本当に気持ち悪くて堪らなかった」

男「でも、お前たちがきてくれてから、少しだけ色みたいなのが心なしかつき始めていた。ほら、この夕暮れが橙ち染まるのが分かるくらいに」

友「そん、な」

男「決して楽しかったとは言わない。……でも、それが意味を持たなかったということではなくて、むしろその反対で。なんとか人間として、男と言う一人の人間として成立することができたんだ」

友「俺は、俺達は、そんなこと」

男「でも、同時に理解してた。俺の世界が色付く代償として、お前らの精神を擦り減らしてたことにもさ」

友「違う、そんなことはない。俺達はそんなことになっていない。絶対に、違う」

男「違わない。だってよ、今回の件が正にそれじゃねーか」

友「……ッ、」
163 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 20:57:06.89 ID:Tai1bukn0
男「……別に、それが悪いなんて思ってないさ。ああ思うわけがない。今まで俺のために尽力してくれた奴等に、そんなことを思うほど俺は腐っていない」

友「…………」

男「……いや、或いはもう既に腐り落ちてるのかもな。実際幼に怒った振りしたのも、ムカついてた訳だしな。それで半ば本気で罵倒を浴びせてたから。……紛れもない、自分自身への怒り故にさ」



友「……どう、して」

男「…………」

友「……どうして、そこまでお前は自分を蔑ろに、悪人にして、俺達のことを善人にしようとしてるんだ。正当化しようとしてるんだ」

男「……どこが。正当化も糞もない。ただの事実を述べたまでよ」

友「違う。思ってはいないが、仮にお前の言葉が正しくても、違う」

男「だから、どこがさ」

友「お前の言葉に、偽善者であるはずの、お前を騙し続けてきて最低であるはずの俺達がどこにも存在しない!」





男「…………」
164 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 21:28:42.64 ID:Tai1bukn0
友「俺はお前を騙したぞ、お前に嘘を吐き続けてきたぞ」

男「……そうかもな」

友「お前の知らない間にあの子と付き合いはじめて、そしてお前が一人になってしまうとか訳の分からない理由をつくって隠し続けてきたんだぞ!?」

男「ああ。確かにな」

友「っ……! なのに、なのになんでお前は……」

男「…………」

友「なんで、お前は俺たちのことを、何も言わないんだよ……」
165 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 21:37:51.69 ID:Tai1bukn0
男「……はは、は」

友「……?」

男「はは、は。ははははは」

友「……お前、一体どうして」

男「っく、いや。ちょっと。真面目に笑ってただけ」

友「…………」

男「いやー、相変わらず変わらないよな、お前」

友「……変わっただろ、随分と」

男「いやいや。内面だけはどうしても変わらない。それこそずっと」
166 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 22:25:49.77 ID:Tai1bukn0
友「……何が」

男「お前の世界の中心には、いつも自分じゃなくて誰かがいるんだなって」

友「……誰、か」

男「ああ。自分自身ではない他人、知り合い、身内、友人、恋人。いつもお前はそいつらの誰か一人を中心に自分の世界を展開させる」

友「俺は、そんな」

男「自覚がないんだろ。何、自分のことなんて誰も分かりっこないんだから。……それで、お前は何事も誰かのために動いてよ。馬鹿みたいに」

友「ちが、俺は」

男「……今までもそうだった。中学校で幼とクラスが別れ、一人だった俺に声をかけてくれたのはお前だった。他の仲がいい奴等と話してでもいればいいのに、お前は何の迷いもなく俺の方へと向かってきた」

友「…………」

男「きっと、今回も良かれとでも思ってやったんじゃないのか。俺に嘘をつき続ける罪悪感に捕らわれようとも、俺がお前らに下手な気を遣わないようにするための選択だった」

友「……俺は、俺は」

男「結果的にはそれも失敗に終わったけどさ。俺は怒ってもいないし、お前らの関係についてもどうこう言うつもりもない」

友「…………」























男「でもさ、もう無理なんだ」
167 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/05(月) 22:27:25.69 ID:Tai1bukn0
風呂行ってきます
ついでに用事があるので、それも済ませてきます
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/05(月) 22:30:02.93 ID:E3nvs9/IO
お疲れ様
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/06(火) 01:04:46.73 ID:4vLYTeCFo
見てるぞ
170 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 01:34:46.24 ID:RfaC31gA0
友「…………」

男「これ以上つぎはぎの親友をつづけられるほど、俺は強くない」

友「っ、……」

男「だからさ。今から答えを出すから、幼にも伝えておいてくれ。ついでに男が謝ってたとか言ってくれると嬉しいわ」

友「何を、だよ」

男「……『今まで、ありがとう』」












友「……なあ」

男「……どうしたよ」

友「今更、馬鹿みたいだけどさ。何でこんなことになっちまったのかな、俺達」

男「…………」

友「あのとき、素直にお前へと話してれば、少なくともこんな形で終わりにはならなかったんだと思う」

友「でもさ、仮に話したとしても、いずれはこうなっちまうんだろ? お終いなんだろ?」

男「そうだな」

友「……どうしようも、ないのか」
171 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 01:50:54.10 ID:RfaC31gA0
男「……所詮、人間なんてそんなもんさ」

友「…………」

男「出会いなんてもんはさ、結局はすれ違いみたいなものなんだよ」

男「人はすれ違い様に、お互いで横を通った人間をその目で確認する。そのとき、初めて自分のすぐ近くを通った人間をその目で認識することができる」

男「けれど、その程度だ。すれ違った人間をわざわざ覚えておけるほど、脳みそは便利にできていない。……いや、もしできていてもそれは、余分な記憶がかさばるだけかな」

友「…………」

男「俺達だってそんなもの。ただ、すれ違うときの時間が長すぎただけ。それで、別れの時間が来たって言うだけの話」

男「人が死ぬとき、また天に上るときは必ずしも一人ではならなければならないように。眠りの中で見る夢は、決して他者とは共有できず、孤独の中に身を投じているように」

男「いつか、人間は独りとなる。親友だった俺達は、それが早すぎただけ」

友「……独り、か」

男「ああ。……まあ最も、俺だけの話なんだがな」
172 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 02:03:38.46 ID:RfaC31gA0
友「…………」

男「伝えることは伝えた。……後はさよならするだけ」

男「……最後に言おうか。じゃあな、親友。結婚式ぐらいは呼べよ。思いっきり祝ってやるから」

ガチャ

友「……ま、待っ」

バタン





友「……くそっ、糞っ、クソッ! なんで俺は、俺はっ、俺は!」










〜〜〜〜〜〜
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/06(火) 02:16:46.72 ID:Lm4ctRnDO
友ざまwwwwww
174 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 02:48:00.94 ID:RfaC31gA0
男「……終わった、か」

男「これでまた独り。一人。独り……。我ながらとんでもない人生送ってるな、おい。母さんも妹も……あー、糞怠い」

男(……全てが終わったのは認めよう。……でも、こうなる切っ掛けを作った昨日の出来事はなんだ? どうしてあんなことをする必要がそいつらにあったんだ?)

男「……監禁、女の子の声、変態二人。目的は不明……」

男(なにか、何かが引っ掛かるんだ。何かが……それは……)











『……さよ……う……な……』



男「……いや、いい。今は止しておこう」

男(それよりも、今は)







男「……なんかさ、すげー死にたいよな」





1 幼・友編 BAD END
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/06(火) 02:50:56.03 ID:vzEPiiSEo
   l二ニヽ r 、_,,, -‐‐ヘ
      //  | r‐i .> |「
    _| |__,,,,| | | |. |.|
  ヽ、, ィ'''''~| | | |  |.|
    _| |  //__,| |_ヘ | |
    ヽ」. ノ ヽ-‐ヽゝLゝ
        l 7
   ヽ''''‐―┘'――ヘ
     ̄l ̄ ̄ ̄| ゝ
      |.|.     |.|
   ,,,,__V___/__,, -、
   ヽ__,,-―――――--`
    _lヽ__|`i__,,,
    ~'┐r―‐┐r― `
      | |   ヽノ
      | |
      ヽ二二二二ヽ
          |.ヽ_,,,
        | r―‐'
        | |
      「~~二 .ニ― 、
     ヽ└_リ  ~'ヽl
       ̄ o  __
         o ./ /
         o /./
          //
        O
176 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 02:57:07.87 ID:RfaC31gA0
男さんは親友を失い、また一人の生活に戻りました、と

さて、これにて『1 幼・友編』は終了です。次からは『2 女編』へと入ります
次は若干NTR要素が強めかもしれません。
自分としてはそこまで、というかほとんどないさえと思っていますが、NTRの姿を全く見せていないはずの幼と友の話でさえNTRが少し入ってると言った方がいましたので、そこらへんは注意してください
次は今回よりも胸糞悪いかもしれません
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 03:03:23.98 ID:Zx2oP3Mto
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 05:05:45.27 ID:5krhE2dKo
うん、スレ閉じるわ
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/06(火) 06:31:20.83 ID:Lm4ctRnDO
次は女かよ…NTRうぜぇ
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 06:52:36.44 ID:sufddIHko

友、幼の話はきっかけであとはお嬢様とのやりとりがメインになるのかと思ったけど、不快だったり胸糞悪い展開を重視にしている感じになりそうだね。
これ最後の結果が良くても面白いとか感動というものは無い気配のような。
あと細かい定義云々は言わないが>>12で要素ない言うて次の話は強いって・・・。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 08:11:30.95 ID:1moM7rQIO
見たくないって気は分かるけどNTRに敏感すぎなんだよね
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 09:01:00.65 ID:yrLGNlPIO
お嬢様√早くしろカス
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/06(火) 11:51:08.38 ID:ZOmJjp3AO
乙乙

>>180
まったくNTRじゃないと感じてたらNTRって言われたから
じゃあ次の話し不味いんじゃね?と思って注意してくれたんだろ?
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 12:16:20.09 ID:a4eQbLhw0
NTRダメな人はこの手のは大概向いていないと思うんだな
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 12:17:08.78 ID:tJqdMv+ro
うわぁ…
警告してくれるのは有難いがまたNTR要素が続くのはちょっと
これならスレタイに予め入れておくべき
うp主みたいに特殊な性癖の人もいないことはないんだからさ
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 12:27:47.18 ID:a4eQbLhw0
>>185
個人的な解釈だが男に恋愛感情がないのでNTRじゃないと思われ
ただ、それに近い要素で気分を悪くする恐れは高いと思うが
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/06(火) 12:31:12.70 ID:GmDeOKNjo
これのどこにNTRがあったのか分からん

まぁこの調子で頼む
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/03/06(火) 14:36:33.80 ID:NMh3a1GCo
全然NTRれてないよな?
男が幼のこと好きだったっつー描写はなかったと思うんだが。

189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 14:44:18.82 ID:SLlvtfKqo
そもそも恋愛感情があったってだけなら取り合って負けただけだろ
それがダメなら恋愛ものってだけで警戒しろよ
こんなもん友人を友人に取られただけだろ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 14:57:01.74 ID:/03QcHCho
友と幼のがNTRとは微塵も思わんがNTR好きじゃないとこの先苦痛にしかならなさそうだな
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/06(火) 15:37:54.52 ID:gQJ0AU32o
マジか…


さようなら
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 16:12:36.21 ID:OdymrqBIO
男がスーパー自己中なだけじゃね?今んとこ
親のSEX見て縁切るみたいな不自然さというか
いろいろ言い訳しも要は「なんか気分悪いし絶交な」ってだけだし
周りに責任押し付けてる分始末が悪い
今後、こいつが何人NTRれてもザマァなんで、いいぞもっとやれ
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 17:17:07.66 ID:Fvunyevwo
まあ個人の感覚だしな。
恋愛感情なしだから、という建前でもひたすら同じような描写を続けられたらNTRが嫌いな人には擬似的にNTRっぽい錯覚を覚えるだろうし、その建前を理由にすれば何やっても問題ない事になってしまうので、この先どうなるか分からん
なので、そういうのが嫌いな人は最後まで見てどんなハッピー展開だろうと絶対良いSSだと思えないだろうから、切るなら早めにした方がそれに越した事はないと思うぞ。
194 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 17:59:57.02 ID:DwkmIIyZ0
いやはや、自分の発言にて不快感を覚えてしまった方は本当に申し訳ありません。
このあとにまた用があってあまり時間がとれないのですが、すこしだけ書き進めたいと思います

ちなみに言いますと男が幼のことを好きだった、ということは微塵にもありません
といった風でNTRではないよな、と思っていたら案の定そういう意見が出てしまったので、これはやばいんじゃないのかな、と思い>>176のような書き込みをさせて頂きました
最初に自分がNTRないとか言ったのにも関わらず、このようなことになってしまい本当に申し訳ございません
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/06(火) 18:03:08.07 ID:EBBKibdH0
お嬢が他人に盗られたりレイプが無ければ耐えられる

196 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 18:09:34.66 ID:DwkmIIyZ0
男(……結局、幼と友とは絶交という訳ではないが、疎遠というような関係となった)

男(俺は、逃げたんだろう。あいつらが仲良く笑ってる姿を想像して、その中に俺が入ることができない、というのに気づいたから、こうやって別れることを選んだのだろう)

男(……まあ、これもただの言い訳、逃げに過ぎない。本当に馬鹿みたいだ。というか馬鹿だ。こんなことをして何になったと言うのか。あいつらを傷つけただけじゃないのか。いや、きっとそうなんだ)

男(このままではあいつらに迷惑ばかりをかけてしまう。多分これからもだろう。だから親友を辞めた。……聞こえだけは良い、そんな建前で俺は俺達を終わらせた)

男(そんな屑には、一人がちょうど良い。どうせこのまま誰かと関わりを持って、そしてその人を傷つけるくらいなら、いっそのこと孤独に死んでいった方がいい)

男(誰の役にもたてないのだから。誰の助けにもならないのだから)

















男「……とか、ね。そんな感傷に浸るのは良い、んだけど」
197 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 18:14:59.58 ID:DwkmIIyZ0
?『ふふふ、お目覚めのようね。気分は如何かしら?』

男「…………」

?『そう。無言で通すわけね。まあいいわ、どうせ私のすることに支障はない』

男「……なんで」ボソッ













男(何 故 俺 は ま た 監 禁 さ れ て い る ?)

?『さてと、あ、執……構成員1、モニターに電源を入れてちょうだい』

?2『何故私が構成員なのですか? ……まあ、いいですけど』

男「……はぁ」
198 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 18:40:48.45 ID:DwkmIIyZ0
男「……あのー」

?『何です……何かしら』

男「なんでまたこういう状況に? 拉致監禁?」

?『それは貴方、貴方を慕う女「共」って私言ったじゃない』

男「……まさか」

?『そのまさかよ』

男「…………」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/06(火) 18:42:56.63 ID:5xCfpBTjo
鬱展開の悪寒
200 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 18:44:54.04 ID:DwkmIIyZ0
男(……いやあの、俺に彼女はいないんですけども)

男「……で、次は誰ですか」

?『そうね、次は貴方の悪友である女って子です……違う、子ね』

男「どうして毎回噛むんですか……」

男(……よりにもよって、女? あいつって彼氏いたんだ。まぁ、ルックスは良かったからなー)

?『それでは! お待ちかねの』

男「微塵にも待ってません」

?『……VTRどうぞ』

ブツン!
201 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 18:49:52.43 ID:DwkmIIyZ0
男「……あれ? ちょ、待ってVTR!? まさかあれか、盗撮AV晒すきかあんた!?」

男(ど、ド畜生、またあれか? 股間が熱くならないようにする作業が始まるのか!?)

男「や、やめ」

女『先輩、本当にここで……?』

先輩『ああ。嫌か?』

男(……始まりました第二回AV視聴大会。勃たなければ勝利、勃てば尊厳が没収されます)

男「というかまたシチュは学校ですか……」
202 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 18:54:49.83 ID:DwkmIIyZ0
男「もういいよ、男さん見守っててあげるから。勝手にしろよ本当に……」

男(……というか、随分始まるのが遅い、ような)

女『…………』

先輩『どうしたの?』

女『……あの、先輩』

男「おっ?」

先輩『どうしたんだい。急に止まっちゃって』

男「これは、まっさっかっの?」

女『……ごめんなさい。今日は、ちょっと』

男「きた! 救済措置キタコレ!」
203 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 18:56:49.42 ID:DwkmIIyZ0
時間が来たので止まります
ありがとうございました
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/06(火) 19:01:17.04 ID:5xCfpBTjo
おつつ
205 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 22:41:03.01 ID:DwkmIIyZ0
戻りました
それでは少な目ですが書き始めます
206 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 23:02:55.48 ID:DwkmIIyZ0
先輩『…………』

男「……ん? 彼氏が動き出したか」

男(怒って帰るのか? まあ、あんな状況でお預けって言うのも酷だよな。色々と……)

女『え……? ちょっとせんぱ……んっ!?』

先輩『……』

男「お、おおう?」

男(え、フェイント? 安心させておいてからの……多分ディープキス? そこから熱い夜、いや時刻的に熱い夕方の始まり? ち、畜生! まんまと騙され……)

女『っ、ぷはあ!? せ、先輩! な、やめてくださ……』

先輩『別にいいだろ』

女『えっ……!?』

男「…………」
207 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 23:09:00.60 ID:DwkmIIyZ0
男(……なんと、言うか)

女『え、待って、そんな、嫌っ』

先輩『毎回毎回駄目って言いやがってさ、これ以上待たされてもキツいんだって』

女『お願い、まって! そんな、こんなとこで』

先輩『……あーもう鬱陶しい、動くなっての』ドンッ

女『ッあ』バタッ

男「…………」

男(……こいつは)
208 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 23:23:59.66 ID:DwkmIIyZ0
女『や、やめ、て。くだ、さ』

先輩『…………』プチッ プチッ

男「…………」

男(……ほとんどレイプだな。あーあ、可哀想に)

先輩『なんだ、結構いい体してんじゃん』

女『ひっく、っく、お願い、じます、やめて、くだざ』

先輩『今更やめるわけないでしょ? 大丈夫だって、優しくするから』

女『いやっ……いやああぁぁぁああ!!』

男「……止めろよ」
















男(やめろ、糞が。こんなもの見せるなやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ、やめろ、あいつを思い出す。やめろ、あいつらを思い出す。消えろ、失せろ、消えろ)
209 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 23:51:58.93 ID:DwkmIIyZ0
動かない動かない動かない
壊れてる壊れてる動かない
揺らしても動かない壊れた壊れた
しんだ? しんだ
誰がコロした? アイツだあいつだ彼奴だアいツアイツあイツアイつ
母さんに覆い被さって
妹に覆い被さって
動いて
破れて
血が出ていて
笑って
動かなくて
泣いてなくて
笑ってもいなくて
絞めて
泣いたあとで
気づいて
恐くて
投げて
肉の人形。
あああああ
ああああああ
あああああああ
違う、おれじゃない。僕じゃない。俺じゃない。

違う、こいつ。お前。僕。私。目撃者。殺人者。俺。


男。
お前さえいなければ。
お前さえいなければ、全て上手くいっていたんだ。
お前が誤ったから。
母さんは死んじゃって。妹も死んじゃって。
汚れて。汚れて。
どうして俺は生き残っている? あいつに殺されたくなかったのか。殺したかったのか。
生きて、償うつもりか? どうするつもりなんだ。これ以上誰かを傷つけ続けるのか?
だったらしね。すぐにしね。






さようなら















男(ッ!!!??)
210 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/06(火) 23:59:16.44 ID:DwkmIIyZ0
男「…………」

女『……っ、……っ!』

先輩『畜生、下着とれねー。動くなってのに』

女『誰か……、誰かぁ……』

先輩『だからさあ。そんなに泣くほどじゃ……』

……ザッ、ザッ

先輩『っ、!? ……なんだ? 気のせい……』

女『っ、離し、て!』ガスッ

先輩『うおわっ!?』



男(……隙を見て蹴り飛ばし、その場から逃げ出した、か)
211 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/07(水) 00:16:03.84 ID:T0eAuIsd0
ブツン……


男「…………」

?『ふふ、映像が終わったところでこんにちは。さて、気分はいか……』

男「答えろ。今の映像の内容は、お前らが仕組んだ物なのか」

?『……え? ちょ、いきなり態度がかわりまし……変わった……』

男「答えろ。あの映像のような状況となるのに、何かお前らが仕組んだりでもしたのか」

?「…………」

?(ど、どうしよう。以前より何十倍も怒ってる? 実際にベッティングまでは持ち込んでいないのに……?)

?(……いえ、落ち着きなさい私。冷静に考えなさい私。こうなることは予想できてたわ。彼だって自分の彼女が取られて、尚且つ強引にされそうになってたんだもの。こうなるのも仕方がないのよ)

男「…………」
212 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/07(水) 00:42:53.36 ID:T0eAuIsd0
?『いいえ。私は映像の彼女達がその場所にて会う、という情報を入手しただけ。そしてその場所にカメラを設置して、それで終わり』

男「……事に及んだのには、お前らの責任はなし」

?(……うん。間違ってない。それは本当。私だってれ、れいぷ未遂の映像が執事から渡されるとは思ってなかった。……少しぐらい中身を確認してから渡せばいいのに)

男「用は済んだのか? だったら今すぐ俺を解放しろ」

?『嫌だと言ったら?』

男「勝手にしろ。どちらにしろお前に俺は殺せない。ここで監禁し続けてもお前は俺を生かせざるをえない」

?『……根拠は?』

男「お前は単純に俺を苦しめたいといったな? あれは嘘だ。それだったら他にも手っ取り早い方法がある。これにも加え……まあ、それはいいとして。それに今ここで俺の質問に対し、少しだけ間をおいてから、俺に向けてその質問の根拠を聞き出そうとした」

男「間を置いたのはつまり、お前が何かの思考に時間を費やしたということ。うそして時間を費やした理由は次」

男「俺が先程そういった理由、つまりその根拠を聞き出すことに成功すれば、それを辿って俺が持つお前の情報の入手元へは辿り着けないこともない」

男「そして見つけた元を抹消すれば、俺がアンタを見つける手がかりは一つ、消え失せることになる。たかが一つだが、それでも正体がばれる可能性が一つ減るのだから、いいに越したことはないはずだろ?」

?『……そうかもしれないわね』

男「認めたか。こんな暴論信じてくれてありがとう。お蔭でここで生き延びれることが証明された。随分と適当だったから、理屈をとばされて終わりだと思ってたんだがな」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/03/07(水) 02:23:15.17 ID:eu1weQh90
寝落ちか
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/07(水) 08:48:56.47 ID:GKD2hPzro
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/07(水) 10:35:06.41 ID:B9K0i29co
あ、無理だわこれ。男の性格も好きになれそうにないし
さようなら
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 11:50:43.79 ID:YBdEfvFFo
チラシの裏にでも書いてろ屑
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 12:19:02.98 ID:NUKs5+qIO
かまってちゃんにかまうなよ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/07(水) 19:02:29.37 ID:J9W7mLdIO
続きはまだかー
219 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/07(水) 22:46:55.50 ID:T0eAuIsd0
?(うわぁ、やっぱり男様怒ってる……。どうしよう、どうにかしてなだめる……)

?(とは思ったけど、私の正体がばれていない以上、多少強気で行っても問題は……ないわね。男様がここで怒ろうが、お嬢様という人間に傷はつかないものね!)



?(……ごめんなさい、男様)


〜〜〜〜〜〜

男(……さて、今までの話の中で分かったことが幾つか)

男(まず、俺をここに拉致し、そして盗撮したであろう映像を見せてきたのは、恐らく学校の関連者であるんだろう。……というかこれは確定か)

男(奴はあの映像のような環境を作り出したのではなく、そこで集まると言う場所の情報をどこかで入手し、そしてそれを元に隠しカメラなどを設置したらしい)

男(その設置する人物は第一前提として、校内に入っても怪しまれない人物。そしてある程度その場所についての知識がないといけないわけだから、教員か生徒ということに)

男(学校の設備を整えるために呼ばれた整備員とか、そういう人でも可能ではあるけど、そうだった場合、何故俺の回りの人間、例えば女、幼などについて、もしくは俺について知っている理由が余計わからなくなる)

男(と、ここまでは勘で答えられるような部分か。問題は、何故そんなことをするに至ったかと言うことで……)
















男(……いや、分からん。いないはずの彼女を寝取ってやるとか言ってやがるけど、それをしてなんの意味があるのか全く分からん)
220 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/07(水) 23:01:48.68 ID:T0eAuIsd0
男(ん? いや、違うわ。寝取るんじゃないわ。寝取られてる映像をただ俺に見せつけてるだけだわ。彼女いないけど)

男(……あれ、そうすると拉致を計画した奴って、もしかすると……馬鹿? ここまで面倒なことしといて、まさかの馬鹿?)

男(もういいや、断定しよう。こいつ馬鹿だ。こっそり隠しカメラを設置して盗撮とかには手が回るくせに、俺の交遊関係は知らないとかどういうことですか)

男(……あ、あれ? さっきまで脳内が煮えるぐらいムカついてたのに、今となっては……あれ? あれれーえ?)

男「……はぁ」

?『ど、どどどどぅーしたのかしら? 溜め息なんかついちゃって?』

男「……いや、うん。……はぁ」

?『ちょっとー。答えてくだ……答えなさいよー』
221 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/07(水) 23:10:48.69 ID:T0eAuIsd0
男(……もう、男さん疲れました)

?『なによもー……まあいいわ、とりあえず今日は帰すからー……もー』

男(よし来た)

?『それじゃあお願い……』

ガチャ

?3「…………」

男「あ、お疲れさんです……って」

男「……今日は一人ですか?」

?3「……お答えしかねます」

男「……そうですか」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/08(木) 17:55:22.40 ID:fUW5x4JBo
223 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 19:21:48.96 ID:NyarfL6e0
男(……今日も訳が分からない。よく見たら拉致されて連れていかれる場所が、昨日とは違ってやがる)

男(……とすると、奴等は俺にくだらない映像を見せつけるために、わざわざさっきみたいな小屋を、その度に変更してたりするのか)

男「……お疲れ様です。そんな馬鹿やるぐらいだったら他のことに金を使えと」

男(もう、さっさと警察にでも連絡して……いや、そうしたところで信じてもらえるのか?)

男(普通に考えて無理だろう。二回拉致されて変な小屋に監禁されたけど、結局は無傷で帰れました、とでも言うか?)

男(……通るわけがない。というか通らないでほしい。こんなものが警察で通ったらまさしくこの世は終わってる気がする)

男「……はぁ」

男(それは置いておくとして。……今一番考えるべきことは、やっぱ)
224 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 19:47:39.01 ID:NyarfL6e0
男「……あの、糞みたいな映像」


〜〜〜〜〜〜


執事「お嬢様」

お嬢様「…………」

執事「……お嬢様、無視を決め込まないでください」

お嬢様「……何よ」

執事「今日の出来事について、考えているのですか」

お嬢様「……だとしたら何よ」

執事「今日の男様は、とてもご立腹のようでしたね」

お嬢様「…………」
225 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 19:57:39.48 ID:NyarfL6e0
執事「あの分では、お嬢様の本来の目的が為されていないように思えるのですが」

お嬢様「……煩い」

執事「煩いと言われましても。事の仕掛け人として、計画者の意図はしっかりと聞かなければ、不審だけが募るばかりです」

執事「ですので、そこだけはしっかり聞いておきませんと、私めも満足に仕事ができません」

お嬢様「煩い、関係ない。執事には関係ない」

執事(……はぁ。反抗期ですかねこれは。彼のことになると、急に強気になる……)

執事(ふむ。どうしてそこまで男様とやらに執着する必要があるんだろうか? 自分も同じ学校に通い、お嬢様のことは度々目撃しているが、それといっていいほど彼に近づくようなことはしていない)

執事(と、こんなことを考えていても埒が明かなさそうだ。とりあえず自分は、お嬢様の目付役として最低限の義務は果たしておこう)

執事「……お嬢様」

お嬢様「なによ。まだ何かあるの?」
226 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 20:29:15.71 ID:NyarfL6e0
執事「いえ。……少々、最近のお嬢様が分からなくなってきましてね」

お嬢様「…………」

執事「大体ですよ? お嬢様。わざわざこんな回りくどいことをしなくとも、普通に男様へと向かって告白でも何なりすればいいじゃないですか」

執事(というか、そもそも映像の女の子が二人とも男様の彼女、っていうようには見えないんだけども)

お嬢様「無理よ。そんなことしても男様は私の方を向いてくれない」

執事「……よく分からないですね。貴方様程の優れた容姿をもつお方から好きです付き合ってください、などと言われれば、大抵の男が喜び勇んでOKの返事を返すと思うのですが」

お嬢様「無理なのよ。それだけで男様は、こちらを振り向いてはくれない……」

執事「……ふむ」
227 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 20:57:16.13 ID:NyarfL6e0
執事(お嬢様は、ほとんど断言するようにそう言った)

執事(ということは余程の確信がある、と見ても間違いは無さそうか)

執事(……しかし、その確信とやらはどこからやって来た? お嬢様と態度からして、高校に入学する前から彼のことを知っていたように思える)

執事(では、どのタイミングで知ったのだろうか?)

執事(お嬢様は、それだけで男様はこちらを振り向いてくれない、と言った。もしその言葉が本当なら、彼は相当厳しそうというか。まぁそういう、堅い雰囲気とやらを持った人物なのだろうな)

執事(しかし、モニター越しに見た彼は、自分の想定していたイメージとはかなりかけ離れており、むしろ風船を思わせるように軽く、物事を楽観的に捉えるような人物に思えた)

執事(あの様子を見て、お嬢様があんなことを言うはずがない)

執事(とすると……お嬢様は、今のような彼となる以前の男様とやらに接触し、そこで恋に落ちた……ということか?)
228 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 21:33:11.85 ID:NyarfL6e0
執事(……彼に、何があった?)

執事(人の性格が変わるなんてこと、そう易々とあってはならないようなことだぞ? だとしたら、いったいどういう……)

執事(とにかく、お嬢様はどこかで間違っている……はず。ちゃんと出方を窺って、もしもそうならばそれを教えなければ……)

執事(……給料が減らされないよう、慎重に。機嫌とかを見ながら、本当慎重に!)

執事「お嬢様。何故そうまではっきりと?」
229 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 21:52:59.03 ID:NyarfL6e0
お嬢様「…………」

執事「答えてはくださいませんか。自分は貴方様へと仕える身。主従の関係です」

執事「お嬢様の命令ならば[ピーーー]、だとか殺せ、だとかそういうもの以外ならば従いましょう」

執事「……しかし、今回はあまりにも貴方様が分からない。お嬢様が何故男様へと執着するのか、そして何故ここまで回りくどいことをしなければならないのか、それを行わなければ本当に彼はお嬢様へと振り向かないのか、全てが分からない」

お嬢様「……何? 貴方は、私がそれを言わなければどうするつもりなのかしら。まさか、私の執事を辞めるとでも言いたいのかしら」

執事「いえいえ、そんなことはございません」

執事「……ただ、自分は知りたいのですよ。私は長年貴方の側にて仕えてきたつもりです。ですから、貴方に隠し事をされてしまうと、ちょっとだけ悲しいと言いますかね」

お嬢様「……何よそれ、馬鹿みたい」

執事「馬鹿で結構ですよ。……あと、こういうことを言うのは失礼極まりないのでしょうけども、私にとって貴女様は……年の近い兄妹にも思えましてね」

お嬢様「……へ?」
230 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 22:05:59.55 ID:NyarfL6e0
執事「まぁ、実際幼いときからここにいて、貴女の側にいて、面倒を見ているわけですし? そう思っても仕方がないと言うか、なんというか……」

お嬢様「……つまり、貴方は妹のような私が、最近変な行動ばかりとっているから、それが不思議で仕方がないと」

執事「ええ。……あ。というかこれは兄妹というよりも、父娘と言った方が」

お嬢様「もういいわ執事。なんか無償に苛々してくるから、その話は止めてちょうだい」

執事「貴女がちゃんと話すまでっ、これを言い続けるのを止めないッ」

お嬢様「う、うわあ」

執事「というか、あの頃は素直でしたよね。習い事とかもなんの文句も言わず通ってましたし」

執事「あの年にしてあれは立派なものでしたよ。あんなスケジュール、普通の子なら駄々を捏ねて嫌がりそうですし」

執事「……あ、でもいつも昼飯晩飯を通して葱だけ残すのは止めてほしかったです。臭いが強いものが苦手、とそれだけは子供なんですかねえ」

お嬢様「ちょ、やめ」
231 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 22:18:19.32 ID:NyarfL6e0
執事「強引に食べさせたら部屋に閉じ籠って数時間出てこなかったりしましたし……あれはもうね、本当にね。キツいです」

お嬢様「いい加減に……」

執事「じゃあ話してください」

お嬢様「…………」

執事「…………」

















執事「仕方がないですね。それならばもうちょっと昔話を」

お嬢様「分かった。話すから止めなさい。あんな昔話は本当に止めなさい」
232 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 22:38:07.19 ID:NyarfL6e0
執事「そうですか。ではどうぞ」

お嬢様「……はぁ。もういいわ、ちゃんと言うわよ」

お嬢様「……あれは、ちょうど四年位前の時かしら。確か……私が中学一年生で、季節は今と同じ夏、だったわ」


〜〜〜〜〜〜


お嬢様『そのころから私は、周囲の視線が、普通の女の子のそれに向けられる視線と、違うことに気づき始めたのよ』

お嬢様『そうね……例えるなら、決して手の届かない、億単位の宝石を見るような、羨望の目』

お嬢様『私は、金持ちの一人娘で。そして、自分で言うのも馬鹿らしいけど、他の女の子たちとは違い、……その、顔立ちが整いすぎていたらしくて』

お嬢様『男子達からは望みもしない憧れの的。女子達からは……嫉妬の対象に見られていた』
233 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 22:49:05.54 ID:NyarfL6e0
お嬢様『一部の人からみれば、それはこの上なく幸せなポジションだったのかもしれない』

お嬢様『確かに、横を通りすぎた男子があの子可愛い、なんて言ってくれるのも、女子達が自分に対する嫉妬をぶつけて、それをどことなく耳にするのも、悪い気分にはならない。むしろ、優越感を感じていられたかもしれない』

お嬢様『……でも、ね。違うの』

お嬢様『皆が私に寄せてくるそれは、明らかに自分とは違う何かを見る目線だった』

お嬢様『そして、それは私が、周りから孤立し、決して仲間に入れてもらえないことを、意味していた』



お嬢様「……あ、あのっ」

「……あっ、お嬢様さん!?」

「ちょ、どうしよう。声かけられたんだけど」

「分かってる。うわあ……え、えっと、何の用……ですか?」

お嬢様「その。そこを通りたいから、できたら道を開けてほしいな……って」

「そ、そう? じゃあ、今すぐ退くから!」

「う、うん! それじゃっ」

お嬢様「あっ……」

お嬢様(……なんで、あんな逃げるように……)
234 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:00:26.56 ID:NyarfL6e0


お嬢様「…………」スタ、スタ

お嬢様(……あれ。声、かな?)

「……ねぇ、お金持ちってさ。私たちのことどうやってみてるのかな」

「さあ。わかるわけないじゃん、そんなこと」

「でもさ、確実にウチらのこと下に見てるんじゃない? ……ほら、隣のクラスのお嬢様とか」

「……そう?」

「絶対そうだって。ほら、前そこそこ格好いい男子が、皆の前であの子に告白とかしたときあったじゃん?」

「そういえばあったね」

「その時アイツさ。周りの方をチラチラ見ながら、ごめんなさいって振ったのよ。あれって絶対私たちに見せつけるためじゃない?」

「なんか強引すぎる気がするけど……そうかなあ」

「絶対そうだって。あいつん家金持ちだし? しかも当の本人が周りより可愛いからって、調子乗ってるのよ。だからこっちとか向いてきて、内心ウチたちのこと馬鹿にしてるのー」

「お前たちにはどうせ無理だ、とか?」

「そうそう! んで……」








お嬢様「…………」

お嬢様(違う、私は周りの人の目が、こっちに向かってくるのが怖くて、視線を逸らしただけ……なのに……)
235 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:12:20.76 ID:NyarfL6e0
お嬢様『……そういう日々が続いて、私は誰とも打ち解けることなく、一人、寂しい中学生活を送っていたわ』

お嬢様『内心、みんなと仲良くしたかったけれど。まるで私を腫れ物のように扱って、誰も私の友達になんてなってくれなかった』

お嬢様『……私も、諦めていたけどね』

お嬢様『……そして、夏が来て。あの人と出会った』



お嬢様『……男様に』














お嬢様「……今日も、つまらなかった」

お嬢様(皆、私を見ると何処かに行っちゃって……誰かが話しかけてくれたと思ったら男の子からの告白か、先生からかってだけで……)

お嬢様「……誰も、私を金持ちで可愛いだけの女の子、くらいにしか……」
236 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:17:29.42 ID:NyarfL6e0
お嬢様「……こんな惨めな思いをするくらいだったら、いっそのこと普通の女の子に……」

お嬢様(……生まれたかった、な)



お嬢様「……ん? 公園のベンチで、誰か……」

お嬢様(中学生の男の子、かな? 私の学校とは違う制服で、多分隣の……)

お嬢様(……あれ、様子が……おかしい? ぐったりしてて……)

お嬢様「今は夏で……まさか、熱中症とか……」

お嬢様(……!? だとしたら、すぐ助けなきゃっ!)
237 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:23:37.98 ID:NyarfL6e0
お嬢様「……っ、あ、あのっ!」

?「…………」

お嬢様(う、薄目を開いて……反応もなくて……これはっ、まさか……)

お嬢様「症状が、酷いの……!?」

お嬢様「だ、大丈夫ですか!? うわあ、熱中症ってこんなに……!? な、早くしないと、取り返しのつかないことにっ」

?「……あの」

お嬢様「わわわっ、とりあえずお水、えっと、確か水筒が……あ、あった!」

?「……いやだから。あのー」

お嬢様「と、とにかく! 飲みかけで、しかも温いかもしれませんけどっ……!」ゴッ

?「え? ……ってごぶッ!?」
238 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:31:31.75 ID:NyarfL6e0
お嬢様「えっと、水を飲ませて、それから……」

?「っ!? ごがっ、ぶばらっ!?」

お嬢様「……あ、水筒の中身がなくなった。えと、次は日陰に移動させて」

?「っぷはっ!? ちょ、待って、何を……うおわっ!?」

お嬢様「……っ、うーんっ。お、思い……やっぱり男の子って重いんだ……」

お嬢様(……というか、何か逆に引っ張られてるような気が……え。あ、れ?)

お嬢様「あれ。どう、いう……」

?「ちょっと待って。君は誰なの? 糞、状況が理解できない。あの、なにを」

お嬢様「こと……」

?「…………」

お嬢様「…………」













お嬢様「あれ、意識がある……?」

?「ちょっと。俺がどうなっていたと思ってたのアンタ。おい」
239 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:35:58.38 ID:NyarfL6e0
〜〜〜〜〜〜


?「……つまり、早とちりで俺が熱中症で死んでるように見えた、と」

お嬢様「はい……ごめんなさい……」

?「……まぁ、どうでもいいよ。こっちとしてはあんまり被害がなかったし」

お嬢様「……うぅ」

?「……そこまで気に病むことはないから。俺にだって原因がなかった訳じゃない」

お嬢様「はい……」

?「……とりあえず名乗ろうか。俺は……うん、男って言う。君は?」

お嬢様「はい。あの……お嬢様、って言います」

男「へー」

お嬢様「…………」
240 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:39:49.61 ID:NyarfL6e0
男「…………」

お嬢様「…………」ジー

男「…………」

お嬢様(さっきからずっと上の空……)

お嬢様「……あの」

男「……ん?」

お嬢様「つかぬことをお聞きしますけど、ここで、何をしていたんでしょうか……?」

男「何もしてないよ」

お嬢様「? は、はぁ」
241 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:45:11.91 ID:NyarfL6e0
男「ただボーッと。空を見上げてただけっていう」

お嬢様「そう、ですか」

お嬢様(……変な、人だな)

男「…………」

お嬢様「…………」

男「……あのさ」

お嬢様「っ! は、はい?」

男「君は何でここに?」

お嬢様「え、私……ですか?」

男「ああ。君、隣の○○中でしょ? そこの学校の子が、わざわざこんなところまできて何をするのさ」

お嬢様「あっ……」
242 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:51:45.50 ID:NyarfL6e0
お嬢様「それは、あの……」

男「…………」

お嬢様「ひ、暇だから。寄り道してみただけです」

男「……ま、それでもいいか。納得する」

お嬢様「納得、って……」

お嬢様(この人、どういう……ただの寄り道じゃないって、思ってるのかな……)

お嬢様(……確かに、そうかもしれないのかな)

お嬢様(今日も、学校でいいことなんかなくて。むしろ、嫌なことばっかりで……それを家に変えるまでに忘れたいため、こうやっていつもは通らない道を……)

お嬢様「…………」
243 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/08(木) 23:58:00.44 ID:NyarfL6e0
男「…………」

お嬢様(……そういえば、この人。私にたいして、少しも逃げたり……してない……)

お嬢様(学校の男の子なら、顔を紅くしたりしてどこかへ行っちゃうのに……)

お嬢様「……あの」

男「……なに?」

お嬢様「いえ、その。……男、さん。私を見て何も……思ったり、しませんか?」

男「……は? 何をさ」

お嬢様「……その、えっと……」

お嬢様(この子可愛いとか……って言えるわけないでしょう!?)

お嬢様「……え、……ぅあ」

男「……?」
244 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 00:04:15.23 ID:rHVJ6pg/0
男「……ああ。そういうことか」

お嬢様「……ふえっ!? な、なにをです?」

男「……あれかな。俺が君にたいして可愛い、とか言えばいいのかな?」

お嬢様(っうえ!?)

お嬢様「ち、違います! それは、多分……違い、ます」

男「別に否定しなくても。実際可愛いんじゃないの? そこらの男が寄り付くぐらいには」

お嬢様「……え、あ……えっと」

お嬢様(ど、どうしょう!? やだ、頭がこんがらがってっ、思考がっ)

お嬢様「あ、ああああ貴方は。なんでその、私に寄り付かなかったり……」















お嬢様(いやあああああぁぁぁぁぁ!? まま、間違えたあぁぁぁ!?)
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/03/09(金) 00:11:10.57 ID:GB1Iywqg0
やばい面白いwwww
246 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 00:26:39.77 ID:rHVJ6pg/0
男「無意味だからね」

お嬢様「……ふえ?」

男「ああ。無意味。……例え俺が君に寄り付いたって、彼女にすることなんてできるのか、彼女になってくれるのか?」

お嬢様「そ、れは……」

男「躊躇う必要はないだろ、こんな出会ってまだ三十分も経たないような野郎に。……答えはNO。違わないよね?」

お嬢様「え、あ、ぁ……」

男「……君、優しすぎるんじゃないかな」

お嬢様「そ、そんな。優しいだなんて……」

男「普通の女の子なら、そうやって躊躇せずにキモい、の一言でバッサリ切り捨てるだろうよ。というか、ほとんどそれが正解だ。出会い頭に付き合ってくれだなんて言うやつにいちいち構ってやる時間が勿体ない」

男「……その筈なのに、君は躊躇った。俺にその言葉をつきつけるのに、君は躊躇ってくれたんだ。……優しいんだよ、君は」

お嬢様「え、ぁ……」///
247 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 00:35:25.55 ID:rHVJ6pg/0
男「……まあ、置いておこう。話を戻そうか」

お嬢様「は、はい」

お嬢様(……褒めて、くれた。顔とか、そういう外側じゃなくて。内側を……優しい、って……)

男「それでさ。俺が告白したとしても、断られるのが見えてる訳だ」

男「……だから、そんな結果の見えてるものに、博打に手を出すほど俺は間抜けじゃない。自分の気持ちを伝えてすっきりしよう、なるて気もないから尚更さ」

お嬢様「…………」

男「……はっきり言ってしまうと、俺は君自身に価値を見出だせない」

お嬢様「え……」

男「……ごめん。君を傷つけるような言葉だったね」

男「でも、あくまでこれは俺だけの意見だから。ちょっと頭のネジが外れちまった、変なクソガキの戯言にすぎないから、あまり気に留めないでいてほしい」

お嬢様「…………」
248 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 00:42:21.74 ID:rHVJ6pg/0
男「確かにさ、君には男共から見れば、相当魅力的た人物にも見えるんだろうね」

お嬢様「……ぅ」

男「まあ見た感じ、今まで見てきた女の子の中で一番可愛いとは思うし」

お嬢様「……う、うぅぅ」///カァァ

男「おまけに性格も良さそうだしさ。さっき話してて優しいって思えたし、なにより勘違いだったけど、俺のことを助けようとしてくれた」

お嬢様「…………」///

男「でもさ。そうだとしても、俺にはどうにも映らない。例えるならば……そう。他人の家の飼い犬を見て、可愛いなと思うぐらいの」

お嬢様「飼い……犬……」
249 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 00:50:30.08 ID:rHVJ6pg/0
男「……決して君が飼い犬みたいだと思う訳じゃないけどね」

男「つまりはそう……俺はその犬に可愛いという印象を持つだけで、それを欲しがろうと思う訳じゃない」

男「俺の中に残るのは、その飼い犬を見て、可愛いと思った事実のみ。……別に、心の底からとか、喉から手が出るほど欲しいとか。そういうのじゃない」

男「……どうせ、見てくれだけでその人がどういう価値があるのか判断される世界さ。俺みたいな考えしてるやつは早々いやしない」

男「いっそのこと、この世からブス不細工、美男美女なんて枠が
消え去ってしまえばいいのに」

お嬢様「…………」











男「……そんなものがあるから、皆歪むんだ。歪んで歪んで、誰かが巻き込まれるんだ」
250 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 01:00:28.77 ID:rHVJ6pg/0
お嬢様「…………」

お嬢様(……なんだろう)

お嬢様(彼は、この男という少年は、どこか……どこか、諦めていて……)

お嬢様(悲しそうで、苦しそうで)

お嬢様(……誰も、近づけようとはしない)

男「……ごめん。感情論はこれくらいにしておくね」

お嬢様「……あ。いえ……」

男「まぁ、簡単にするとさ。自分にとって本当に必要なもの以外を欲しがるほど、俺には余裕がない」

男「……だから、ごめんね。こんな冴えない俺が言うのも何だけど、俺にとって君は、そこまで重要じゃないんだ。だから寄り付こうとも思わない」

お嬢様「……そう、ですか」

お嬢様(……なんでだろう)

お嬢様(他の男の子に散々言われ続けて、うんざりしていたはずのことなのに。可愛いなんて、自惚れているけど、聞き飽きた言葉の筈なのに)



お嬢様(ただ、彼にはそう言って貰えないのが、何よりも悲しい……)
251 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 01:15:21.50 ID:rHVJ6pg/0
男「…………」

お嬢様「……あ、あの」

男「……ん」

お嬢様「もし……もし私が、貴方の好みの顔をしていても、それは」

男「必要ないね。理由はさっきと同じで」

お嬢様「じゃ、じゃあ。このまま成長して、えっと……スタイルとかが、良くなっても貴方は」

男「別に。良かったじゃん、俺以上のいい男を探す材料が増えたね」

お嬢様「……もし、私が……私が……」

男「……言ってみなよ。ちゃんと、質問には答えるからさ」



お嬢様「……わ、たしが。誰もが羨むような、資産家の娘だったとしても、貴方は」





















私を、ただ一人の女の子として、見てくれますか




















男「ああ。金ごときで俺の価値観が変わるとでも?」

男「どうだっていいさ、そんなもの。そいつが一人の人間の価値に、何の影響を及ぼすってんだ」
252 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 01:19:34.14 ID:rHVJ6pg/0
さて、回想の途中ですが今回はここまでで
この女編は男とか、お嬢様の昔話とかもメインになってたりします
見てくださった方々、本当にありがとうございます
それでは
253 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 01:39:56.45 ID:rHVJ6pg/0
……あ。ちょっとわすれてた事が一つ
登場人物とかの年齢とかです
もし分からない点があればどうぞ


男 17歳 高校二年生

お嬢様 16歳 高校二年生

友 16歳 高校二年生

幼 16歳 高校二年生

女 16歳 高校二年生

執事 17歳 高校二年生(執事としてお嬢様の本で働いているのを隠し、男達と同じ学校に通っている)

メイド 16歳 高校二年生(執事と同じく)

妹 12歳(本来ならば16歳) 小学六年生(本来ならば高校一年生)

母 33歳(本来ならば37歳)

父 38歳
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/09(金) 05:47:38.41 ID:b03Vn/qAO
乙乙
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/03/09(金) 09:58:06.74 ID:8vtk9spc0
乙です。
何があったか知らんが男くん人生捨て鉢だなぁ…。空元気でもいいから明るくしてないとつまらんぜ。
「自分は幸せになっちゃいけない人間なんだ」なんて何か勘違いしたくだらないマゾヒズムに浸って悲劇のヒーロー演じてるつもりなら尚更。
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 12:08:25.21 ID:CEB0SUewo
おつ
とりあえず様子見
257 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 17:28:34.31 ID:rHVJ6pg/0
時間がないため量は少なめですが、一応書き始めます
258 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 17:55:44.23 ID:rHVJ6pg/0
男「金があるからって、この世界どうにもならないことばかりじゃねーか」

お嬢様「…………」

男「そんな世界で、もしも金さえあれば何でも叶う世の中になったら、俺は守銭奴にでも何でもなってやるよ」

男「……本当にさ」

お嬢様「……そうなん、ですか?」

男「ああ」

お嬢様「本当に、私が今挙げたもの全てを持っていても、私を特別に見たり、とかは」

男「無意味だから」

お嬢様「…………」

男「だから、何も要らない。……本当、こんなやつが言うのもなんだけどさ、俺の中で君は、所詮他と何の変わりのない女の子にしか見えない、っていうか」
259 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 17:59:44.34 ID:rHVJ6pg/0
男「…………」

お嬢様「…………」

男「…………」

お嬢様「……あの」

男「ん?」

お嬢様「さっきの話は分かりました。……それで、もう一つ聞きたいことが」

男「……ん?」

お嬢様「なんで、その……男君は、ここに?」

男「……ああ、この公園で項垂れていた訳か?」
260 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 18:38:48.34 ID:rHVJ6pg/0
お嬢様「そう、ですね」

男「色々と辛かったから」

お嬢様「……辛い?」

男「うん」

お嬢様「……? あの、何が……」

男「……君さ。誰かの死体って見たことある?」

お嬢様「死体って、その、まさか、人間の……?」

男「まあ、そこは想像に任せるとしてね」
261 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 18:45:29.92 ID:rHVJ6pg/0
男「本当に死んじゃった体ってさ、とてつもなく重く感じるんだよ」

男「誰か他人に持ち上げられる者は、皆体のどこかに芯を持って、それが全体を支えてる……んだと思う」

男「でもさ。一度死んじゃうとさ。どうやらそれが引っこ抜かれたみたいで」

男「その人の、価値を根こそぎ持ってかれたみたいになっちゃって」

お嬢様「……っ」

お嬢様(今、人って……まさか……そんな)

男「あ、人って言っちゃったか。……まあ、いいかな」

男「瞳からは一筋、糸みたいに細い涙の跡が残っててさ」

男「薄く開かれていたそれには、もはや光なんて映っていなくて」
262 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 18:52:28.71 ID:rHVJ6pg/0
男「……ちょうど、二人。よく知ってる……というか、知らなきゃおかしいような人だった」

男「んで、吐き気を覚えて。それでも二人を汚すことになるんじゃないかな、と思ったから、必死でそれを飲み下して」

男「……なぜか、服が引き千切られてるのにも、気づいて」

男「それで、見たら。見たら、片方だけ血を流してた」

男「……なんだろうな。なんというか……口に出したくないけど」

男「そこで、気づいたんだと思う。ああ、この二人は、俺の吐瀉物なんか引っかけられるよりも前に、もう汚されていたんだなって」

お嬢様「え……あ……」



男「ねえ」























































男「ネクロフィリア、って知ってるか?」
263 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 18:53:01.96 ID:rHVJ6pg/0
時間が来たので中断します
それでは、ありがとうございました
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 20:30:22.07 ID:DAsSccPIO


壮絶な過去
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 21:33:04.08 ID:bWNMpbmMo
そうきたか…
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/09(金) 21:38:02.58 ID:bK4jYSOso
わーお……
これは重い……

267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 22:07:19.40 ID:G6uYNuOIO
空白がすごくドキドキする
268 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/09(金) 22:49:13.41 ID:rHVJ6pg/0
戻ってきました
それでは、少なくなるかもしれませんが書き始めます
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/09(金) 22:49:55.03 ID:VY0HNzwy0
応援する
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/09(金) 23:26:21.95 ID:rHVJ6pg/0
お嬢様「…………」

男「…………」

お嬢様「……ねくろ……ふぃりあ?」

男「……ま、知らないなら別にいいよ」

お嬢様「どうしてです?」

男「こんな吐き気がするような言葉、知らない方がいいね。それこそ一生と言えるくらいに」

お嬢様「…………」

男「…………」



男(……そうだよ。こんなこと、知り合って間もないこの子に言ったって、なんの解決にもならないだろうが)

男(……溜め込んでおけ。決して他人にぶつけるなよ、畜生が)
271 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 00:53:45.26 ID:MRmNtFzH0
男「……何か、いつの間にやら気分も晴れたのかな。俺はここらへんで失礼するよ」

お嬢様「えっ……」

男「ああ、さっきはごめん。辛気臭い話しちゃって」

男「……ま、あれはただの冗談とでも思ってくれたら嬉しい」

お嬢様「あ……その、えっと……」

男「んじゃ、俺はここらで……」スッ

お嬢様(ど、どどどどどうしよう!? このままじゃ、彼が行っちゃう……)
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/03/10(土) 11:59:29.56 ID:YAQQXrWAO
乙〜



さっきネクロフィリアって意味知らなかったから調べたwwww

まさかとんでもない意味だったとはwwwwww
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/10(土) 12:03:06.48 ID:eBk4uZxso
大した意味じゃないならこんな話し方しないだろ・・・
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/10(土) 12:04:40.33 ID:csHGEpS8o
お嬢様ってこの話聞いてたのにレイプ未遂の動画見せてその上で寝取られたら怒るよねって勘違いしてんの?
アスペ設定?
275 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 13:45:44.47 ID:MRmNtFzH0
お嬢様(……いや、今何を?)

お嬢様(別に彼がどこかへ行ったって、私には関係無いはず……なのに)

お嬢様(……うん、なんでもない。あんな辛そうにしてて、今更引き留めても……)

男「それじゃ。さっきの反応、面白かったよ」

お嬢様「……へ、反応?」

男「そ。……ははは、俺がいきなり真面目になったからって、その話本気で信じちゃってさー。凄い真剣な顔してて」

お嬢様「え、あの、……つまり?」

男「まだ分からない? さっきの話は冗談なの」

お嬢様「……嘘でしょう?」

男「嘘じゃないね。うん」

男「第一、そんなことを赤の他人である君に言う訳ないだろうが。というかそんなことが実際あったら、こんな場所なんて来ないでおとなしく家で泣いてますー」
276 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 14:00:26.69 ID:MRmNtFzH0
お嬢様「……で、でも。実際に話してるとき、本当辛そうにしてて……」

男「ん? ……ああ、あれね。君を騙すための演技だよ。うん、我ながら決まってたと思う」

お嬢様「…………」

男「ま、実際演技抜きにしても辛かった気もする。ほら、罪悪感とか色々感じましてね? それを使ってあの表情を作ってみた」

お嬢様「…………」

男「……やっぱ怒ってますかね」

お嬢様「……一つ、聞きますよ?」

男「お、おう」

お嬢様「なんでさっき、ネタばらしとかしたんですか」

男「いや、あのままだと収拾つかなくなりそうだったから。えーと、そうだな。こっちが思ってた以上に重く受け止めてたみたいだから……」

お嬢様「…………」

男「…………」
277 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 15:48:02.82 ID:MRmNtFzH0
お嬢様「……本当だったんじゃないんですか?」

男「何が?」

お嬢様「さっき、貴方が話していたことです」

男「まさか」

お嬢様「…………」

男「ごめん、あれは本当に嘘だから。実際あんなこと起きたら、今こうやってケラケラ笑いながら話してるわけがない」

お嬢様「……そう、ですか」

男「うん。そういうこと」







男(……まぁ、こんなところでいいか)

男(これだけ言っておけば、この子だって渋々にでも分かってくれるだろう)

男(あんなもの、他人に喋ったところでどうにかなるものでもない。俺一人が苦しんで、それで終わりなだけ)

男(……この子には、知ってほしくないよな。知れば知るほど、苦しいだけなんだから)
278 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 15:59:20.90 ID:MRmNtFzH0
男(……つっても、本当見ず知らずの野郎にいきなり嘘なんてつかれて、気分はいいもんじゃねーよなー)

男(……ま、いいや。多分この先会わないだろうし)

男「さっきから何回も言ってるみたいだけど、それじゃ」

お嬢様「……はい」

男「うん。それじゃ……っ……」

お嬢様「……どうかしましたか?」

男「あー……こりゃ日に当たりすぎたか……死ぬほど怠い」

お嬢様「大丈夫……ではないですよね」

男「ま、家に帰るぐらいならなんとか行けるだろうし、あんまり気にしないで」

お嬢様「……あの」

男「うん?」

お嬢様「さよう、なら。またどこかでお会いしましたら」

男「……うーす」
279 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 18:31:31.00 ID:MRmNtFzH0


お嬢様『……と、そんな風にして私は男様と出会ったのよね』

お嬢様『その日から中学校を卒業するまでの間、彼と会うことはなかったのだけれども』

お嬢様『……多分、そのときはまだ自分が男様に対して好意を抱いている、なんて思っていなかったんでしょうね』

お嬢様『それから高校に入学して、彼を見かけて。同じ学校に通っているのに気づいて』

お嬢様『この辺りは省略するわ。本当に何もなかったから』
280 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 18:36:26.20 ID:MRmNtFzH0
すみません。腹を壊したみたいで書くことに気が回らず、一旦休憩します
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/10(土) 18:40:14.80 ID:uPwZG+km0
おだいじにー
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/10(土) 19:18:53.35 ID:E8vhaaUzo
まってるぜ
ごゆっくり
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/10(土) 21:36:12.54 ID:W57fwzcD0
乙。
男の喋り方がどうも好きになれない
284 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 22:57:34.48 ID:MRmNtFzH0
腹痛も収まってきたので、少しだけ書きます
お嬢が男へ本格的に絡み始めるのは次辺りですかねぇ……拉致とかそう言うのではない形で、ですけども
285 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 23:05:35.83 ID:MRmNtFzH0
執事「……自分としては、その好きになった理由をもうちょっと詳しく聞きたいのですけれど」

お嬢様「……い、嫌よ」

執事「何故です?」

お嬢様「いや、だから。雰囲気で分かるじゃない、そんなの……。というか恥ずかしいし……」

執事「過去話orその理由を話す、ではどちら?」

お嬢様「ちょっ」

執事「どちらがいいです? 回答なしなら自動的に過去話にーい」

お嬢様「分かったから! ちゃんと話すから! その、……好きになった、理由を」

執事「ありがとうございます。……まあそんなもの言われなくても分かってるようなものですけどね」

お嬢様「……じゃあ何で言わせるのよ貴方」

執事「再確認ということで」

お嬢様「……ということで、って」
286 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 23:18:51.05 ID:MRmNtFzH0
執事「まあまあ。で、どうなんです?」

お嬢様「……その、ね」

お嬢様「男様を好きになった理由は、えっと」

お嬢様「……私のことを、普通の人間として、女の子として見てくれた、から」

執事「……ふむ。それが理由、と言うには少々おかしい気がしますね」

お嬢様「何がおかしいのよ」

執事「簡単です。代役が聞きますからね、そんなもの」

お嬢様「……代役?」

執事「はい。なにも貴方を特別視しない人間なんて、その頃の貴女様の周りにはいなかったかもしれませんが、全世界を探してみれば、そんなもの腐るほどいますよ」

執事「ですから、おかしい。それだけの理由で男様へ恋愛感情を抱いた、というのは些か説明し難いものです」

お嬢様「…………」

執事「言いたいことは分かりますよね?」

執事「お嬢様。貴女様は、それ以外の理由があり、だから男様を好きになったんじゃないんですか」
287 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 23:31:19.57 ID:MRmNtFzH0
お嬢様「……何よ、それ」

執事「確かに、彼が貴女のことをそう腫れ物を触るような、特別な扱いなどはしていないんでしょう」

執事「それも確かに、貴女が男様に思いを寄せるための理由の一つ、ともなるのでしょう」

執事「ですが、それだけで貴女が彼に抱く好意の、根本的な理由になっているとは到底思えない」

執事「それは、あまりにも弱すぎる。貴女の中で描かれている彼を追い求めるための原動力としては、あまりにも小さすぎる。色恋沙汰には程遠いはずの私からでも分かるほどに」

お嬢様「…………」

執事「というわけですから、その本当の理由とやらを、どうか教えてくださいませんか。お嬢様」
288 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/10(土) 23:58:46.90 ID:MRmNtFzH0
執事「……私も、貴女を馬鹿にするために聞いているんじゃないんです」

執事「そうですね……多分、怖いのでしょう。いつも自分がお仕えしてきた貴女が、どこかへ消え去ってしまうのがとても怖い」

お嬢様「……怖い、って」

執事「……身内が一人、消えてしまうほどに。言ったでしょう? 貴女は私にとって、一人の妹のようだと」

執事「大切な家族が、人が消えてしまうほど怖くて悲しいものはないんです。……だから聞かせてください。貴女がどこへと向かおうとしているのか。それを知るための、根本を為す理由を、教えてください」



お嬢様「…………」

執事「…………」

お嬢様「……分かったわよ。言うわよ」
289 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/11(日) 00:06:39.98 ID:lEYkCTz20
お嬢様「……実を言うと、それはさっき何もないって言った、高校に入ってすぐ、だったわ」

執事「そうなんですか?」

お嬢様「ええ。……絶対にこれだ、と言える自信はないけど、挙げるとするならば、多分……」





〜〜〜〜〜〜
290 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/11(日) 00:41:38.70 ID:lEYkCTz20
お嬢様『入学当初。自惚れてるとは思うのだけれど、私のことが校内で話題になったのは覚えてる?』

お嬢様『……そう。まぁ、貴方にとってそんなことは当たり前みたいなものだしね。というか貴方も話題になった側か。流石美男子は違うわね』

お嬢様『で、そんなことは置いといて』

お嬢様『あろうことか、それがどんどん広がって行って、……変な考えを持った人が出てきたみたいで』

お嬢様『……そんなときに起こった出来事で、私は、うん……』

お嬢様『ある日、私は夕方をとっくに過ぎて、暗闇に落ちた校舎の中にちょっとした用事があって残ってたのよ』
291 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/11(日) 01:13:27.07 ID:lEYkCTz20
今回はここまで。そろそろ男視点で話を進めたいこの頃
それでは、ありがとうございました
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/11(日) 02:25:15.58 ID:+B2Kemi4o
ここできるとは…鬼畜!
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/11(日) 02:59:31.69 ID:n38ubgpDO
乙〜
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/11(日) 14:53:29.34 ID:i8xX8xVso
295 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/13(火) 22:58:38.00 ID:rWEMwn/Y0
書き始めます
手がかじかんで動かないでこざる
296 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/13(火) 23:09:45.65 ID:rWEMwn/Y0
お嬢様『それで帰り道。電灯を便りに歩みを進める私の前に……まぁ、あれよあれ』

お嬢様『待って、私自身色々と記憶が曖昧だから。何せそのときにスタンガン押し付けられたぐらい……』

お嬢様『ちょっと執事? いや、なんでいきなり刃物を手にとって……え? そいつを殺してくる……ってえっ』

お嬢様『だ、大丈夫だから執事。とっくにその人刑務所行きになってるから。多分。だからそのナイフをというかなんでそんなもの常備してるのよ貴方?』

お嬢様『そう、私を守るためなのね。いい迷惑すぎるからさっさとそんなもの棄ててきなさい。なんでそこまで過保護なのかしら全く……ついさっきまで私のこと茶化してたくせに』

お嬢様『……話を続けるわよ過保護……というかシスコンって言った方がいいかしら? まあいいわ』

お嬢様『で、話の続きなんだけども』
297 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/13(火) 23:42:56.63 ID:rWEMwn/Y0
遡ってその日へ


お嬢様「……はぁ」

お嬢様(何かがあってこの時間まで残されたんだけど、えっと……あれ? お、覚えてない……)

お嬢様(……まぁ、そこまで私に関係のある内容じゃなかったとは思うし……というか、それよりも他の事に気が回って……)

お嬢様「あ、そっか。彼だ」

お嬢様(あのときの彼。男君。……高校、同じになったのね……うん。初めて会った中一の時みたいじゃなくなったけど、格好よくなって……た?)

お嬢様(あれ? 今格好いいって……そんなことを、私が思った? 今まで異性にたいしてそんなこと思ったことは……なかったのに……)

お嬢様「…………」

お嬢様(よく、分からないな。男君のことはひとまず置いておこう……)



お嬢様「……?」

お嬢様(後ろから足音が。まぁ、気にすることはないか……)
298 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/13(火) 23:58:05.65 ID:rWEMwn/Y0
お嬢様「…………」

ザッ ザッ

お嬢様(……いや、気にしすぎだろう。ただ進む道が同じなだけだ。そんな、ことは……)

お嬢様「…………」ピタッ

ザッ ……

お嬢様(止まった。私が動きを止めてすぐに……)

お嬢様(まさか、いや……そんな、ストーカー……?)

お嬢様(……いや、確証がないのにそういうのは駄目よね。まだそこまで危険じゃないから、様子を見て……)

お嬢様「…………」ザッ

……ザッ ザッ
299 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 00:23:47.59 ID:YmQAzrcD0
お嬢様「……っ」

ザッ ザッ

お嬢様(どんどん音が大きくなっていってる……? さっきから全く方向を変えないし、やっぱり……)

お嬢様(そんな、いや、来ないで、来ないで)

お嬢様「……走ろう」

お嬢様(うん。それが一番だ。早くここから逃げて、後ろの人を振りきれば……)

お嬢様(よし、すぐに走りだして)









バチチッ

お嬢様「ッ!?」

お嬢様(な、に? 今の、体が、動かな……)

バタッ
300 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 01:07:21.38 ID:YmQAzrcD0
お嬢様「……ん……?」

お嬢様(あれ……? 私は……何を……)



「……で? 今まで何回こんなことやったんだーよっとぉ」

ガスッ

「っぐぶっ、ちが、俺は、今回が、ばじめてで」



お嬢様(あれは……しらない中年の人と……っ、男君? なんで、こんなとこに……しかも、中年の人の腹を蹴り飛ばして……)



男「ははは、馬鹿言ってるんじゃねえよ。わざわざスタンガンなんてもの用意して、さらには最中撮るためのカメラまで用意しておいて何が初めてだ? ああ?」

男「こっちから見るに、相当手慣れてたりするんじゃねぇの? ……答えろ!」

ゴスッ

中年「ガァっ、ぐっ!」

男「ただの性欲処理ごときでここまで準備するやつがいるかよ。そういう屑以下の大抵はヤッたらすぐそこから逃げだすだけだぜ? そこまで考える必要はない」

男「そーするとあれかなぁ? 気絶したあの子をどこかに連れていって、そしてひん剥いて棒でも突っ込んで。それを映像かなんかにしてどこかに流すか、それともこの子への強迫材料か何かにでも使うのか」

男「……勘で言っただけだけどよ、んなもの持ってきてるからにはそれなりのことするつもりだったんだろ?」

中年「っぐ、っぷ」

男「……ダウンなんてするなよ? お前がゲロを吐こうが血を吐こうが、事が終わらない限り何回でも蹴り飛ばしてやるからな」

男「精々意識ぐらいは保っておけ。もし気絶でもしやがったら、テメェの金玉踏み潰して正常に機能できなくしてやるからよ」
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/14(水) 01:12:35.77 ID:YmQAzrcD0
時間がないって急いだ結果がこれだよ!
変態親父を狩る男さんが現れたところで今回はここまでとします
ぐだぐたになりかけてる気もしますけども見逃してください。それではまた
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/14(水) 01:17:43.59 ID:Um8HPZWqo
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 09:23:17.18 ID:9qhfDccIO
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/03/14(水) 14:42:08.38 ID:edOTaTeXo
男にも悲惨な事件があって、お嬢様もレイプ未遂にあってるのに
それをほじくり返すようなことをするのはちょっとやりすぎというか、おかしいな
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/03/14(水) 17:48:32.94 ID:4UBdBUn70
>>304
こまけぇこたぁ
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/14(水) 18:04:10.36 ID:GCseDrDlo
>>304
気にすんな
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/14(水) 19:15:07.35 ID:q5NYrtOHo
>>304
きっと何かふかぁい事情があるんだよ
308 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 20:32:28.96 ID:YmQAzrcD0
そろそろ書き始めます

>>303
まぁ、後々説明することになると思うんで今は目を瞑ってください
309 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 20:45:18.31 ID:YmQAzrcD0
しまった>>304でした



男「…………」

中年「……ぐ……ぅ…………」

男「……チッ、くたばりやがった。こっちがダウンするなって言ってすぐにこれかよ」

男「動かない奴を痛めつけるのはちょっとな……糞が。胸糞悪いじゃねーか、本当に」

男「……今は寝てるあの子のことどうにかしておくか」



お嬢様(……こっちに、来る?)

お嬢様(ま、待って。状況だけは整理させて)

お嬢様(私は何でこんな道路になんて寝かせられているの? 確か、覚えている限りでは……後ろから誰か知らない人がつけてきて、それから逃げようと思った途端……)

お嬢様(そこからは覚えてなくて。……あ。うろ覚えだけど、電流が流れるような音が……さっきの男君の話からするとスタンガン、なのかな)

お嬢様(……そうだ。それを押し付けられて私は気絶して。……気絶、して……)











お嬢様(……え? そのあと私は何をされたの?)
310 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 22:27:32.34 ID:YmQAzrcD0
お嬢様(いきなり気絶させられて……さっきの話を聞く限り、それから……)

お嬢様(……違う。仮にそうだとしても私の方に異常はないし、服も脱がされた形跡がない。だから違う、違う……のに……)

お嬢様(……っ)





男「……なぁ、起きてる……か?」

お嬢様(男、君? どうしよう、ここで返事をした方が……いいの?)

お嬢様「…………」

男「……応答なし。ま、このまま寝ててもらったほうがこっちとしてもやりやすいか」
311 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 23:15:48.87 ID:YmQAzrcD0
お嬢様「…………」

お嬢様(ど、どうし、よう。返事は返さなかったけど、ってえ、やりやすいって何を……ってまさか)

お嬢様(……それはない。絶対に有り得ない。前に会ったときにあんなことを話していた彼が、そんなことをするはずがない)

お嬢様(だからついさっきまで、あの地面に倒れている中年の人に、異常なほどの憎悪を見せていた……んだと思う)

お嬢様(やっぱり、男君が私を……助けてくれたんだ)



男「……ごめん。変なとこ触ったらごめん」

お嬢様(……え?)

スッ

男「……わ、軽っ」

お嬢様(ちょ、え? なにこれ、体が浮いて……も、持ち上げられてます?)
312 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 23:38:55.69 ID:YmQAzrcD0
男「……背負うか」

お嬢様「…………」

お嬢様(今からでも起きてることを伝えれば……って無理。今更そんなこと言うなんて恥ずかしすぎるっ)

お嬢様(じゃ、じゃあこのままどこかに連れられる……ってどこに連れていかれるが見当つかない)

お嬢様(そこに着くまでずっとこ、このままで。背負われたまま、ですか)

男「よいしょ……っと」

お嬢様(ああ背負われた。もう無理です。もう起きてることを伝えれそうな状況じゃないです)



男「……なんか、なぁ」

お嬢様(……なんか? なんかって何です?)

男「……当たってる、のかなこれ」














お嬢様(……へ?)
313 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/14(水) 23:54:01.62 ID:YmQAzrcD0
男「…………」スタスタ

お嬢様「…………」

お嬢様(……い、いやいやいや。当たってるって、まさか……え? む、胸とか?)

お嬢様(そ、そりゃあ最近大きくなってきたのかなーとは思ってたけども。下着があのサイズが合わないなーとは思ってたけども!)

お嬢様(そんな当てるほど……だったっけ?)

お嬢様(よくよく考えてみれば、年の割に大きいような……気も……わわわわわ)

男「……ま、いいか」

お嬢様「…………」



お嬢様(……なんか、本当どうでもよさそうに言われた……)
314 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/15(木) 00:18:25.56 ID:dqvITXU50
お嬢様(……そう言えば)

男「…………」

お嬢様(あの時も私に対して興味はなさそうだったな)

お嬢様(金持ちの一人娘、高嶺の花……色んな呼ばれ方見られ方をされてきたけど、あの日出会った彼は、というか彼だけは私のことを『女の子A』として見てくれた)

お嬢様(私は彼の何を為すわけでもない。だから女の子A。ただそこにいるだけの存在)

お嬢様(きっと、それは今でも変わらないのだろう。だからさっき男君は私のむ、胸が当たっていてもどうでもいいと言って切り捨てたのかな。他の男の子だったら多少は興奮なり何なりしそうなのに)

男「…………」スタスタ

お嬢様「…………」



お嬢様(……なんでだろう。そうやっ普通の女の子と見てくれるのがなによりも嬉しいはずなのに、なんでこんなに……寂しいのかな)

お嬢様(前もそうだった。彼にだけは特別視されない、ということが本当に嬉しかったけど、逆に決して特別には見られていない、という事実がなにより胸を締め付けているような気がして)

お嬢様(……なんで? 今まで散々そういう風に思われてきてうんざりしていたくせに、今度は要らないはずのそれを求めているの?)

お嬢様(分からない、分からないよ。なんで私は貴方に矛盾したそれを求めるの? もしそれが手に入ったとしても、ただ離れていくだけで悲しいだけなのに……)

お嬢様(分かん、ないよ)
315 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/15(木) 00:47:21.33 ID:dqvITXU50
男「……大変だよなぁ、この子も」

お嬢様(……え?)

男「入学早々回りと比べるとずば抜けて美人だから周囲の注目を集めて、おまけにいいとこのお嬢様だから余計話題になって……」

男「挙げ句の果てには変なおっさんにやられかけてさ。本当に笑えねぇ」

お嬢様「…………」

男「まー最後のま防げたからいいけどー……相当ショックだろうな、この子」

お嬢様(……そんな。ショックを受ける前に助けてくれたのは貴方じゃないですか)

男「……どうして人間、ここまで人と人との差が開くんだか」

男「誰だよ平等なんて言葉考えたやつ。そんなものどこにも存在しねーぞ糞ったれ」

男「もしそんなものがあるんなら、母さん達は今頃生きてる筈だろうがよ」

お嬢様(……男君の、お母さん?)

お嬢様(……前の話と照らし合わせると、男君のお母さんと妹さんはもう……)

男「……死体になっても、汚され続けてさぁ」
316 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/15(木) 01:10:43.42 ID:dqvITXU50
お嬢様「…………」

お嬢様(……ネクロフィリア。確か意味は死体に性的興奮を覚える異常性癖の一つ、だったと思う)

お嬢様(最初に耳にしたときは意味が分からなかったけど、知った今なら……あのときの彼のことが、少しは分かると思う)

お嬢様(もし彼の言ったその言葉が本当ならば二人は死後、服を引きちぎられ、そのまま……)

お嬢様(……っ。そしてその悲惨な姿を男君が見つけて、見てみると血液を流していて)

お嬢様(私が思うに、それは片方だけが流していたらしいから、殺されたときに傷ついたわけではなさそう。だって、そうじゃなければ片方だけ血を流していた、というのはおかしいだろう。殺害の方法が異なってきてしまう)

お嬢様(……今から犯してやろう、という人間をわざわざ傷つける必要はない。だから殺害方法としては絞殺を選ぶと思う。そうした方がより綺麗なまま手取り早く殺せる……はず)

お嬢様(じゃあ、一体そのときに流れていた血は、なんだったのだろうか。どのようにして血液が流れるに至ったのか)




お嬢様(……それは多分、破瓜の際の、もの。妹さんが犯されて、処女を破られたときの……もの……)
317 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/15(木) 01:25:52.85 ID:dqvITXU50
お嬢様(話の順番からして、引きちぎられた衣服を確認して、それから血液の方に目が行って。だから、あまり目立つような場所ではないことは確か)

お嬢様(そしてそれを確認した男君が、初めて状況を理解して……)

お嬢様(その後なにがあったかは分からないけど、時間が流れ公園で私と出会うことになったのかな……)





男「……母さんもかなりの美人だったし、それを引き継いだおかげか妹も。だからこそその二人は襲われて殺されて……」

男「……もしも不細工だったらそんなことはなかったんだろうけど」

お嬢様(……私も、もし今持ってる肩書きとか色々なもの全てが消えたら、それこそ普通に……)

お嬢様(……もしかして彼は、その二人と私を重ねて……?)

お嬢様(……流石に考えすぎだよね)
318 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/15(木) 01:29:11.14 ID:dqvITXU50
今回はここまでで
ここまで見てくださった皆さん、ありがとうございました。続きはまた別の時間にて書こうと思います
それではまた


……そろそろお嬢様があんな映像をみせた理由を書かないと
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/15(木) 01:36:27.97 ID:38ECPVRRo
乙!
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/03/15(木) 01:44:02.52 ID:JhqKF79Vo
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 07:06:16.05 ID:ZFcTVjQIO
乙乙
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/16(金) 13:55:02.43 ID:qhz0T/9Uo
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/16(金) 14:24:07.02 ID:2FIJaEJ+o
乙乙乙
324 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/16(金) 23:16:44.49 ID:uXnhNKOT0
書き始めます
325 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/16(金) 23:35:55.83 ID:uXnhNKOT0
お嬢様(……落ち着くな。男君の背中)

お嬢様(私よりも大きくて、筋肉がついているから引き締まっている感じがして。本当に安心する)

お嬢様(出来るならば、この時間が永遠に続いてほしい……と思う。心からそう思って、苦手だった男の人に体を預けている自分がいる。そのことに多少違和感を覚えているのだけど、それすら押し流すほどに何か心地好くて、暖かい……)

男「ごめんね」

お嬢様「…………」

お嬢様(え? さっきの私を背負ってることに言ってるの? そんなことはどうでもいいし、第一さっきも謝って……)

男「結局俺は何もできなかった。守れない、救えない。何も、何にも……」

お嬢様(……そっか。彼の言葉は私に向けられてないんだ)

お嬢様(私を二人のどちらかに見立てて、謝って)

お嬢様(癒えることのない傷を癒そうとして、自らの罪を再確認しちゃって)

男「……ま、返事なんか来ないよな」

お嬢様(……結果的に傷口を広げているんだ)
326 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/16(金) 23:48:59.54 ID:uXnhNKOT0
男「……そろそろか」

お嬢様「…………」

お嬢様(そろそろ? ああ、そっか。私はどこかに連れられてるんだった)

お嬢様(……この時間も、終わっちゃうんだな)

男「…………」

お嬢様「…………」チラ

お嬢様(気づかれないように目を薄く開けてっと。あれは……学校?)

お嬢様(多分保健室に行くのかな。そこなら私を寝かせられるだろうから)

お嬢様(……あれ? 今の時間って保健室というか学校って開いてるの?)

お嬢様(ま、まあ。彼も悩む素振りを見せてないわけですし? 多分大丈夫……なはず)





男「あ、やべ。門開いてない」

お嬢様「…………」

お嬢様(……うん。予想はできてましたから、はい)
327 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/17(土) 01:15:01.44 ID:o/bT9QrT0
男「……どうするかな。この子が起きてこんな状態でいるのを見られるとなー」

男「説明できないと言うか……完全変質者扱いされるのがオチだ」

お嬢様(普通に起きて帰ろうと思ったけど、色々と誤解が生まれそうだな……どうしようか)

お嬢様(こう身動きがとれない以上どうしようにも……うーん)















?「あれ、お嬢様……と誰かさん、ですか?」

男「っ!?」ビクゥ

お嬢様(……えっ? 誰が来たの?)
328 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/17(土) 03:14:20.64 ID:o/bT9QrT0
メイド「えっと、お嬢様が背負われていて……あれ? 誰なんでしょうか?」

男「」

お嬢様(……ああ、メイドか。ちょうどいいところ……なのかな)

お嬢様(まぁ、これでなんとかなる……とは思うんだけど)



男「」

お嬢様(男君が物凄い固まってる……)
329 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/17(土) 03:25:45.88 ID:o/bT9QrT0
お嬢様(……あ。そっか。男君、私を背負っているところを見られて、さっき言っていた変質者扱いされてるとかなんたらと思ってるのかな)

お嬢様(どうしよう。助け船を出そうにも出せない状況だし、男君から行動を起こしてもらって……)

男「……よし」

お嬢様(早速ね)

男「……ごめん、えーと……お嬢様さんだっけ」

お嬢様(あれ? 私を背中から……わわ、地面に下ろした)

男「えーと、まあね。あちら側に顔を見られてないんでね」

お嬢様「…………」










男「とりあえず逃げます」ダッ

お嬢様「……えっ」

メイド「あれ、行っちゃいました……ってお嬢様起きてたんですか」

お嬢様「え? あ、うん。まあ一応」
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 08:59:57.10 ID:sORbw27IO
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 09:17:31.88 ID:FNxErwjDO
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/17(土) 12:30:32.32 ID:bX4x/Zn0o
333 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/17(土) 22:45:17.47 ID:o/bT9QrT0
書き始めます
前回5レスしか書けなかったってどういうことなの……
334 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/17(土) 22:53:27.68 ID:o/bT9QrT0
メイド「……あれ? お嬢様、あの人に背負われて何してたんですか? というかされてたんですか?」

お嬢様「あー……特にないわよ」

メイド「ないわけないじゃないですか……人見知りのお嬢様が赤の他人に背負われていたなんて、私は執事さんにどう説明すればいいんですか」

お嬢様「適当に言っておきなさい」

メイド「それができないから困ってるんですよ……」

お嬢様「そうなの?」

メイド「ええ。多少の嘘なら平気で見破ってきますよあの人。洞察力とか妙にありそうですし」

お嬢様「そ、そう」
335 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/17(土) 23:06:43.92 ID:o/bT9QrT0
お嬢様「だったら……そうね。私が転んで地面に頭をぶつけて気絶していたところをあの人が見つけて、ここまで連れてきてくれたとでも言っておきなさい」

お嬢様「あながち間違ってはいないわよ」

メイド「……本当ですか?」

お嬢様「ええ。あ、外傷は全くないわよ? 脳が揺れただけみたいだから」

メイド「脳ってそんな都合よく揺れるものですかね……」

お嬢様「偶然そうなった、ということで」

メイド「承知しました。……で、その恩人でありそうなあの男の人は、何で私たちから逃げたのでしょうか」

お嬢様「……うーん。勘違いされるのが怖かったからとかじゃない? ほら、見知らぬ少女を拾いどこかへと運び込む……結構犯罪チックよこれ」

メイド「確かにそうですね」

メイド「……あれ? それだとしても、お嬢様は起きていらしたんでしょう? それなら説明を頼んでもらえば誤解なんて起こらないような」

お嬢様「おぶってもらっているときは私意識がないってことにしてたのよ。なんか途中で起きてもややこしくなりそうだったし」

メイド「逆に事が面倒な方向へと向かっている気がするのですけども……」

お嬢様「置いておきなさい。もう帰るわよ」

メイド「え? あっ、待ってくださいお嬢様!」
336 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/17(土) 23:46:17.83 ID:o/bT9QrT0
お嬢様(……結局私は、男君のことをどう思っているのかな)

お嬢様(執事とは違う。執事は確かに側にいてくれると安心はするけど、それはただ身内が側にいてくれるのと同じなだけ)

お嬢様(現に執事は私と本当に幼い頃から近くにいて、言わば幼馴染みみたいな関係なのだから。お互いがお互い特に何かを感じているわけでもない)

お嬢様(……じゃあ、私が男君に感じているそれは一体なんなのかな)

お嬢様(一緒にいてくれると暖かくて、優しくて、落ち着いて。永遠に続いてほしいとさえ思ったあの時間)

お嬢様(昔お母様に抱き締められたときも今回と同じようなものを感じていた……のだろうけど、ちょっとだけ違っている気がする)

お嬢様(……なんだろうな。お母様のときはただ嬉しかったのは覚えてる)

お嬢様(でも、男君の時ともまた違っている。お母様のときはもらったそれだけで十分に心が満たされていた)

お嬢様(でも、男君のそれは。まだ、足りないような気がして、それが欲しくて、そこまで願っているのに手に入らなくて……)

お嬢様(そのことに胸が張り裂けそうになって、苦しくなって、それで、それで……)

お嬢様(あ、れ?)

お嬢様(何か、私はこの気持ちを表すことのできる言葉を知っているはずなんだ。欲しくて、愛しくて、触れていたくて、近寄りたくて)

お嬢様(それでも叶わなくて、焦がれて、苦しくて、本当に……)










お嬢様(あ、そっか)

















お嬢様(私は、男君のことが好きなんだ)
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/03/17(土) 23:52:53.85 ID:gbPIJcsJo
リアルタイム乙
338 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/18(日) 00:07:43.07 ID:xEZT1//z0
〜〜〜〜〜〜


お嬢様「というわけで私は男様へ恋心を抱いていることに気づいたと。そして覚悟を決めたり色々とするために呼び方を君から様へと変更したと」

執事「ちょっと待ってください」

お嬢様「なによ執事」

執事「お嬢様。貴女は彼、男様は汚い言葉ではありますが、レイプやらなにやらに相当敏感であり、それ行おうとした者には容赦はしないと、そういった人間のようにも聞こえたのですが」

お嬢様「まぁ、そうなるわね」

執事「では何故あのような映像を彼に見せたのですか? あんなものを見せてしまえば、彼は相当なショックを受けると共に、なんらかの行動を開始すると思うのですが」

執事「それこそ、映像の中の先輩という人物にたいして、なんらかのアクションを起こすかもしれません。それはお嬢様も分かっていたことでしょう」

執事「それでは、何故あのようなことを? 貴女が心酔している男様をわざわざ傷つけるような真似を、どうして」



お嬢様「……そうね。そういえばちゃんと説明してなかったわ。ごめんなさい」

執事「お嬢様、確かに伝えられてなかったのは事実ですが、なにも謝ることではありません。私は主であるお嬢様の命令にしたがったまでですので」

お嬢様「……ええ、分かったわ」

お嬢様「今回私がこんなことをするに至ったのも、それなりの理由はあった訳なのよ」
339 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/18(日) 00:18:41.14 ID:xEZT1//z0
ちょっと休憩します
TKGが無性に食いたくなるときってありますよね!
……というわけですので
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 01:35:42.27 ID:usJ9//Uoo
何合食ってんだ
341 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/18(日) 02:14:30.11 ID:xEZT1//z0
>>340
HAHAHA食ったら炬燵で寝てたとか本当にすいません
再開します
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/03/18(日) 02:15:50.97 ID:qBu69sYio
はよはよ
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/18(日) 02:20:09.87 ID:UZAMPmjvo
はい。
344 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/18(日) 02:31:12.20 ID:xEZT1//z0
お嬢様「ねえ執事。私が貴方に内緒で脅されて……どうしようかしら。まあ売春でもしてたとするわね」

執事「いきなり胸糞悪いこと言いますね」

お嬢様「まぁまぁ。……で、それを知ったら貴方はどうするかしら?」

執事「まぁ、とりあえずそいつを殺してやりましょうかね。男だったら麻酔なしの去勢、女だったらそいつにも体売らせて顔面に焼けたフライパンを押し付けて台無しに」

お嬢様「そ、そう。物凄いバイオレンスなことをさらっと言ったわね貴方」

執事「それくらい貴女のことが大切ということなのですよ」

お嬢様「ありがとうドシスコン野郎。……で、それはそうととしておいて執事。ならば私が先程言ったそれをやれと脅されて、実際に体を売る前にそれを知ったら貴方はどうする?」

執事「まずは全力でお嬢様を止めて、それから脅した奴等を……まぁ、多少痛めつけて二度とこういうことをするなと警告をして終わりでしょう」

お嬢様「そうなるわよね。……で、最初のされた後でその事を知ったときか、される前でその事を知ったときか」

お嬢様「どちらの方が貴方の怒りは大きいかしらね?」

執事「……ああ、そういうことですか」

お嬢様「そういうことよ」
345 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/18(日) 02:44:58.25 ID:xEZT1//z0
執事「先程流した映像は、画面の中の女という男様の友人が強引に迫られていた」

執事「しかしそれは彼女がその場から逃げ出したことにより『未遂』となる」

執事「しかし男様にとっては友人をレイプしようとしたこの世の屑がいる、ということだけが残り、それを排除するために動き出し始める」

お嬢様「そう。もしこの映像を隠しておき、仮に事態が最悪の展開、つまり女さんがヤラれちゃってさらにその情報が男様へと伝わったら……分かるかしら?」

執事「はい。……それこそ男様は、過去の出来事の記憶などにより犯人を殺すつもりで何か行動を開始する」

執事「そして男様が犯人を殺してしまった後、彼には殺人者のレッテルが貼りつけられてしまい、お嬢様はそれをなんとしてでも回避したいと」

お嬢様「そう言うことになるわ」
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/03/18(日) 15:47:13.87 ID:+eUpDZHy0
まってるぜ
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 23:36:34.26 ID:oCOM0q9ao
行動の理由を説明していると思ったらレイプではなく未遂の動画を見せた理由を説明してたでござる
なにをry
348 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/18(日) 23:41:23.59 ID:xEZT1//z0
>>347
あ、あるぇー? なんかおかしくなってますかね?
とりあえず書き始めます
349 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 00:05:03.21 ID:9xBVUfzG0
執事「……あれ、でも待ってくださいお嬢様」

お嬢様「? どうしたの執事」

執事「確かに男様があの映像を見せられて、何らかの行動を開始するのは分かりました」

執事「ですが、殺人に至らなければならないほどなのでしょうか? 自分が言ったことなのですが、どうにも……」

お嬢様「……まあ、そうよね」

お嬢様「私だって男様がそこまでのことをするなんて考えていないわ」

執事「? じゃあ何故先程あのようなことを?」



お嬢様「……執事。ちょっと聞いてくれるかしら」

執事「はい。なんでしょうか」
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/03/19(月) 00:07:16.02 ID:SFmnvFSAo
わざわざ男に動画を見せてトラウマほじくって怒らせてから止めに行かせるよりも
そもそも盗撮できるなら最初から助けて事情を説明してやれば円満じゃないだろうか
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/19(月) 00:15:36.98 ID:hf2CJLH9o
無粋ってか面倒な読者増えたなぁ
352 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 00:17:58.28 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「さっきの話で、男様が二人の家族を殺されてそのあと……とまぁなったのは分かるわよね」

執事「はい。分かっています」

お嬢様「……ねぇ、執事。これは私が誰にも内緒で調べていたことなんだけどね」

執事「内緒で、ですか」

お嬢様「ええ。……もし、その男様が変わり果てた二人を発見して……という一連のことについて続きがあると言ったら、貴方はどう考える?」

執事「続きですか? ……あまり見当がつきませんね」

執事「その例の男様のことについてには続きがある、というのは確かなんですか?」

お嬢様「そうよ。調べた限り、その話には続きがあったのよ」

お嬢様「……あまり、知りたくはないような内容だったけどね」
353 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 00:30:05.09 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「それは男様が二人の遺体を見つけた後のことだったわ」

お嬢様「それで男様は……いえ、あまり説明するようなことではないわね。ここに時間をかけていても仕方がない」

お嬢様「一番肝心なところは、ここじゃないのよ」

執事「して、その肝心なところとは」

お嬢様「……どうやら、その男様のお母様と妹さんを殺した犯人は、自分の性欲を満たすため以外にも目的があったらしいのよ」

お嬢様「それで、その目的とは金目のもの。……まぁ、二つの目的を合わせ持ってたと言うことね」

お嬢様「それで犯人は家の中を漁ってどこかに通帳やら何やらがないかを探していた」

お嬢様「……どうやら男様はその最中に家へと戻り、二人を発見したらしいのよ。男様は一階、犯人は二階にいたから、そんな状況が出来上がった」

お嬢様「そして家の中を荒し終えた犯人が家を出るために一階へと降りて……」

執事「男様と鉢合わせになった、ということですか」

お嬢様「そうね。正確には犯人が男様ののことに気づき、確認のため近寄っていった訳なんだけど」
354 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 00:44:28.78 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「男様を見つけた犯人は、自分の目撃者である男様を殺しにかかった」

お嬢様「幸い犯人は肥満体型及び極度の運動不足、対する男様は当時運動部に所属しており、一年生であるながらレギュラーに抜擢されるほどの運動能力を持っていて、犯人の攻撃はことごとくかわされていった」

お嬢様「まぁ、これは推測ね。データによると数分の格闘を……って書いてあったけど、大人と子供相手で取っ組み合い、しかも片方が凶器を持っていた状況らしいから、そんな長く続けるには避けていたぐらいにしかね」

お嬢様「……やがて男様は部屋の一角に追い詰められ、絶体絶命の状況へと追い込まれてしまった」

お嬢様「ちょうどそこはキッチンだったかしら。先程の二人に加えてもう一人加わった『死体』の位置からかんがみるに、そこしか考えられない」



お嬢様「もう、分かったかしら?」

お嬢様「……男様は、必死の思いで近くにあった包丁を手に取って」
355 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 00:53:33.87 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「それを犯人へと向けて」






















お嬢様「刺し殺した」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/03/19(月) 00:57:44.36 ID:+F/ZYog3o
oh...
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/03/19(月) 01:00:30.03 ID:UqIGARc50
リアルタイム乙乙
358 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 01:14:57.40 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「その後男様の行為は正当防衛と見なされ、無罪放免とされた」

お嬢様「そして男様がまだ中学生だったことから公表も控えられて、関係者や学校の一部の人間にだけそれを伝えることになった」

お嬢様「でも、ここで終わるほど簡単なことではなかった」

お嬢様「その後、魂が抜けてしまったように感情というものが消え去った男様は、周りから距離を置くようになり、部活も退部し、当時の友人のほとんどと関わりを断ち切ってしまった」

お嬢様「親戚は皆男様のことを犯人を殺した殺人犯、挙げ句には御母様と妹さんが殺された原因を作った者として見始め、男様が距離を置く前に離れていったわ」

お嬢様「……そして、最後には一番彼の側にいなければならないはずの、御父様までもが男様から離れていく。世間ではそれをネグレクトと言うのかしら?」

お嬢様「きっと、それは男様にとっては願ってもない最良の環境だったのだろうけど、実際には悪影響を与える以外の何でもなかったんでしょうね」

お嬢様「自らその状況を作り上げ……いえ、作らされた男様は、孤独の中へと身を投じ、次第に見て分かるほどに荒んで行った」
359 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 01:32:55.77 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「そんな彼を見て、積極的に近づき始める人物がいたのよ」

お嬢様「名前は幼さんと友さん。……私が、男様から引き離した親友そのもの」

お嬢様「最初は男様もそれを拒んでいたけれど、どう罵られようが拒絶されようが近づいてくる二人に、男様は心を開き始めた」

お嬢様「……男様も、元通りとまではいかないけど、少しずつ回復してるように見えたらしいわ」

お嬢様「でも、実際には違っていた。男様は誰からも受け取ることのできなくなってしまったものを、歪んだ友情として、愛情として二人に求め始めるようになり始めたのよ」

お嬢様「そして数年後、それが間違っていたことに気づいたらしいのだけど、それまでの幼さんと友さんとの関係は何も変化を見せなくって」

お嬢様「……本人が言っていたわ。『俺はあいつらに頼っているだけで、それで苦しませているだけに過ぎない』って。……男様が一人で自分に言い聞かせるよう言っていたそれを盗み聞きした内容だけど、確かにそう言っていたわ」

お嬢様「……実際、私が見た幼さんと友さんは男様にどこか気を使って、それで何か……怯えているようにも見えたのよ」

お嬢様「多分、男様はそれに気づいていたんだと思う。いつもいつも神経を擦り減らしてまで自分に接してくる二人の姿に、相当悩んでいたんだと思う
360 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 01:54:52.31 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「……男様は、自分を取り囲む人々のが苦しむのが耐えられなかった」

お嬢様「だから私が見せたあの行為の映像を使い、幼さんと友さんとの決別を……」

お嬢様「……っ、それでだけど、多分男様は周りの大切な人間が傷つけられることに相当敏感なんだと思うの」

お嬢様「だから……男様の周りの人々の世界を壊すような人間は、徹底的に排除する。幼さんと友さんの場合は、自分と言う人間が誰よりも二人を苦しめていたのだから、その世界から自ら排除した」

お嬢様「多分、今回の女さんが強引にされかけてるのを見て、前にも言ったと思うけど男様は何らかの行動を起こすと思うわ。自分の友人である女さんが傷つけられようとしていたのだから」

お嬢様「それでも未遂だから、その人を殺すような真似はしないと思うけども。……もし、それが未遂なんかではなく、本当にされた後だとしたら、男様はどうなるかしら?」

お嬢様「……推測だけど、過去の出来事もあって、今度はそれ以上の行動を始めると思うのよ。それこそ、殺すことも視野に入れて」

お嬢様「……私には、それが何よりも恐ろしかった」
361 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 02:11:14.62 ID:9xBVUfzG0
お嬢様「だから、私はあんな未遂の映像を見せて、男様がそこまで至る前に行動を開始させようと思った」

お嬢様「怖かったから。私達がそれを解決して男様の手を煩わせなければいい話なのに、それなのに私は今すぐにでもできるとりあえずの策に手を伸ばして……」

お嬢様「もし私側でそれを解決しても。そのことが男様に知られて、それでああよかったで男様が納得してくれるとは思えないのよ。あの人は可能性が完全に無くなるまで行動を続ける。意味がなくても、分かっていても続けてしまう!」

お嬢様「……男様は、優しすぎるから。自分が罪を犯しているとしても、それが誰かのためになるなら、平気で、続けるような、人、だから……」ポロポロ

お嬢様「結局私は、卑怯なのよ。男様を監禁して色々と行動を起こすって言うのも、素直に告白して男様から断られるのが、怖いから。そして今男様にあの映像を見せたのも、男様ならなんとかしてくれるとか、根拠のない自信を持って、自分から男様に関わるのが怖いからって、逃げ続けて!」

お嬢様「……そんな女が男様に近づくなんて許されないことだと、自分で分かっているくせに、それでも、それで、もぉ……」

執事「…………」
362 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 02:27:00.47 ID:9xBVUfzG0
執事(……何を言っているんだろうな、この人は)

執事(告白すればどんな男からもOKが出てしまうほどに整った容姿をしているくせに。誰もが羨むような財産を持ち合わせているくせに)

執事(そんな完璧な自分に、自信が持てないとこの人は言うんだ。俺には不思議でたまらない)

執事(頭脳も校内でトップレベルと言われるぐらいの筈だ。性格も校内ほとんどの人間に対し平等に、しかも丁寧に接するほどの人格者だと言われているぐらいの筈だ)

執事(些細なことにも努力を欠かさず、例えば男様のためと言って不慣れなであった料理に手を出し、死に物狂いで練習を積み重ね、最終的には誰もが舌鼓を打ってしまうほどに上達しまうほどだった筈だ)

執事(やらなくていいはずである屋敷の掃除を手伝うようなお人好しのはずだ。道に迷った子供を案内して、ご自身の最愛の母親と会える貴重な時間を潰したほどだった筈だ。そんな、完成されたような人だった筈だ……)

執事(なのに)
363 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 02:38:57.07 ID:9xBVUfzG0
執事「……お嬢様」

お嬢様「……っく、なに、よ」

執事「大丈夫です。貴女は間違ってなどいませんよ」

お嬢様「…………」

執事「貴女は男様の行動するための切っ掛けを与えただけに過ぎません。最初の監禁は男様に二人と別れるための切っ掛けを与え、今回は男様に行動する理由を与えただけなんです」

執事「お嬢様は、なにも男様を苦しめたりなどしていません。逆に手助けをしていたのではありませんか? 結果的には男様の思っていたことを実現させていることとなっていますよ」

お嬢様「で、も」

執事「……大丈夫です、大丈夫ですから」











執事「全ては、この執事めにお任せください。貴女の行動は全て正しいものだったと、そう言えるような結果を持ち帰ってきますので」ガチャ

お嬢様「え……?」

バタン
364 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 02:46:23.05 ID:9xBVUfzG0
執事「……ああ、思えば簡単なことだ、馬鹿らしい」

執事(あんなお嬢様だからこそ、俺は今まで仕えてきたんじゃないか。あんなお嬢様だから、俺は最初から現在まで変わらぬ忠誠を誓い続けてきたんじゃないか)

執事(ははは、本当に馬鹿だなぁ。俺も、あの人も。大切なことを忘れて、変なところにばっか気がいってしまう)

執事(……でも、それでいいのかもしれないな。そうだからこそ、俺は今までやってこれたんだから。うん、きっとそうだ)











執事「……さて、ちょっと仕事してきますかね」

執事(そんな馬鹿の幻想だけは、壊したくないから。守り通したいから。ちょっとだけ頑張ってみようかな)
365 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 02:54:49.61 ID:9xBVUfzG0
今回はここまでです。最後の執事の言葉が上条さんドストライク。そんなつもりはなかったので後悔しかしてないっす。はい。

……もうちょっと言葉選べばよかったですね。まだ他にもあったはずなのに。
やっぱ深夜のノリで書いたのがいけなかったです。

まぁ、色々と失敗も残るわけですが、これでお嬢様及び執事側の話に区切りをつけて、次から男の話に移りたいと思います。ようやく本題ですね、すみません。

あ、あとこの女編が終わったら次は思いっきり明るい感じの話にしようとは思っています。陰鬱な雰囲気が嫌だと言う方は、それまで待っていてくだされば幸いです。
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 02:58:20.35 ID:x6CTQF3mo
おつ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/19(月) 03:05:33.65 ID:BrjQZZqyo
あんましレスのことは気にしないで書きたいように書けばいいと思うよ
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 15:07:24.26 ID:4hHJdG2Xo
おつかれさまー
369 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 18:09:18.86 ID:9xBVUfzG0
そろそろ書き始めます
所は変わって男の視点から、ということで
370 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 18:26:56.95 ID:9xBVUfzG0
男「……さて」

男(状況を整理しようか。まず俺は例のごとく監禁され、そして女がレイプされかけていた映像を見せられた)

男(まぁ、何故そんなものを俺に、というわけだけど、……適当に俺を苦しめたかったからってことにしておこうか。今考えるべきなのはそんなことではない)

男(……女と、先輩の関係について)

男(映像から見るに、女と先輩は恋人のような関係だったらしい。だから双方同意の上で行為に及ぶ筈だった)

男(しかし、そこで女がすることを拒絶する)

男(……そこでうん分かったと終わっておけばよかったものを、あろうことか先輩は女を強引に押し倒して、嫌がるあいつの服を脱がし始めやがった)

男(結局隙をみて女が逃げ出したからよかった訳だが……)

男「チッ、胸糞悪い。俺の目の届く範囲であんなことしやがって」

男(とりあえず、明日学校へと行って様子見してからだな。今行動できることなんて無いに等しい)
371 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 18:41:57.29 ID:9xBVUfzG0
男「ただいま」ガチャ

男「……まぁ、いつものことだけど誰もいないわな」

男「…………」

男(……あの時も)

男(ここからただいまって言って、いつもは……そう。返事が帰ってくるはずで……)



『あ、お帰り! お兄ちゃん』
『あら男。お帰りなさい』



男「……っ、違うよ。もういないんだ。あんた等は、もう、ここにいちゃ……」



『早速だけどお兄ちゃん、宿題手伝ってよー』
『そのくらい自分でやりなさい』
『えー。だって分かんないんだもん』
『分からないも何も辞書引いて意味を調べるだけでしょうが』



男「う、……っ。なんだ? おい、本当に、待って」
372 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 18:55:09.25 ID:9xBVUfzG0
『だって、だって量が……』
『土日と2日休みがあったのにやっていない貴方が悪いわ』
『う、うええ』
『……あら、手伝うの? 何もそんな甘やかさなくとも』
『えっ、本当に!? さっすがお兄ちゃん、多分男前ぇ!』
『多分ってなんなのよ』

男「……やめ、て。頼む、や、めて。くれ」



『じゃあお兄ちゃんは……うん、これだけお願い』
『半分……以上も押し付けたわね』
『そ、そうかなー?』
『ええ。……男、本当に手伝うの? 貴方部活終わりで疲れてるんじゃないの?』



男「くそっ、止まれよ。消えろよ。消え、ろよ……」



『……そう、偉いわね。特別に今月のお小遣い増やしてあげる』
『えっ! ちょっとお母さん、そんなのずるいよお兄ちゃんだけ!』
『ずるくはないわ。だったらその宿題全部一人で片付けてみなさいな』
『う、ぐぅ……』



男「……畜生、畜生、畜生畜生畜生、ちく、しょう……」
373 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 19:17:21.07 ID:9xBVUfzG0
『え? お兄ちゃんもう終わったの?』
『……結構速いわね、小学生用の国語辞典だからって。妹の五倍はあるわ』
『ちょっ、いくらなんでもそれは……』
『残りの量がそれを物語っているもの。ほら、さっさと手を動かしなさい』



男「……ぁ……あぁ」



『むぐうぅ……え? お兄ちゃんそれは私の分……だよ?』
『……あらあら、本当に妹には甘いんだから。これでますますブラコンが加速するわね』
『……ぶら、こん?』
『知らないのならいいわ』


『……あの、お兄ちゃん』









『ありが、とうね』
















男「っぁあ!!?」
374 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 22:12:14.64 ID:9xBVUfzG0
男「……っはぁ、はあ」

男(糞っ、本当になんなんだよ、もう……)

男(思い出しても決して帰らない。悔やんでも取り返しがつく訳じゃない。……なのに)

男「……本当、馬鹿みたいだ。兄ちゃん、お前を殺したのに、もう戻れない筈なのに……あの頃に帰りたいなんて、思ってるんだぜ」

男(あの時、俺が大人しく家で留守番でもしてれば、あんなことにはならなかった)

男(あの時俺が残ってさえいれば。刺し違えてでもいいから抵抗していれば、今頃二人は……生きて……!)















男「……あーあ、くだらねえ」

男(もう病気の一種なんじゃねぇのかな。今更思い出しても……ってくだりを何回も繰り返して、自分を責めて、結局後には何も残らない)

男(……本当に、くだらない)
375 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 22:20:18.81 ID:9xBVUfzG0
男「なんか、疲れたな」

男(本当に、何をするのにも怠いや。……もう、すぐに寝てやろうかな)

男「飯は……腹減ってもいないのに作る必要はないよな」

男「さっさと準備して、早すぎるけど寝ちまおう。うん、それがいい……」




〜〜〜〜〜〜


次の日
376 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 22:31:11.01 ID:9xBVUfzG0
男「…………」

男(……怠い、寝過ぎた。寝過ぎて逆に体が重い。十二時間ぶっ続けで寝るなんて馬鹿なことしなければ良かった)



男「……はぁ」
お嬢様「……はぁ」



男「…………」

お嬢様「…………」

男「……奇遇ですね」

お嬢様「そ、そうみたいです」
377 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 22:39:18.10 ID:9xBVUfzG0
男(て、T字路にて美少女とばったり遭遇しました。フラグだったら嬉しいけどそんなに現実甘くないので普通に対応します)

男(普通って言っても、何すればいいか分からないけど)

男「…………」

お嬢様「…………」

お嬢様「……あの」

男「は、はい? 何ですか」

お嬢様「あ、えっと……どうか、なさいましたか?」

男「どうか、ですか」

お嬢様「はい。……その、疲れているように見えたので」
378 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 23:33:58.68 ID:9xBVUfzG0
男(そんなに表に出してるのか? 俺。……あ、晩飯抜いてるからその分が……)

男(……飯は腹減ってなくとも食った方がいいんだな)



お嬢様「え、っと。そのです、あー……」

男「? どうしたんです?」

お嬢様「その……今日も、あの」

男「……今日も、って」

男(……あれ、まさか一緒に学校行こうってやつかな?)

男「いいですよ。行きましょうか

お嬢様「……はい」
379 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/19(月) 23:51:15.22 ID:9xBVUfzG0
今回はここまでです
見てくださった方々、ありがとうございました
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 23:53:23.43 ID:O+v9wIgSO
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 23:57:16.26 ID:8HK70nm5o
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/20(火) 00:14:13.40 ID:y1uAsTh80
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/20(火) 00:17:11.81 ID:pE2412Lc0
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県) [sage]:2012/03/20(火) 18:57:49.66 ID:hhNeH2ES0
乙 追いついた
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/03/21(水) 22:33:37.27 ID:qGH7Y1Uc0
追いついてしまったうわああああああ乙
386 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/21(水) 22:59:31.07 ID:YhMGC93c0
書き始めます
387 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/21(水) 23:22:27.74 ID:YhMGC93c0
男(あれ? なんか玉砕覚悟で言ってみたら普通に通っちゃったっていう……)

男(まぁ、いっか。こんな子と一緒に登校できるとかなかなかにおいしいだろうし。うん)

男「…………」

お嬢様「…………」

男(っても、会話がないのは流石になぁ……物凄くやり辛い)

お嬢様「……えっと、男さん」

男「え、はい?」

男(とか言ってたら向こうから話しかけてくれたって言う。よし、これでこの気まずい空気から抜け出せ……)

男(……待てよ? なんでお嬢様さんは俺の名前を……? そんな、高校が一緒になってから昨日まで、ろくに会話もしてないはずなんだが)

男(まさか、四年前を……いや、考えすぎだろう。どうせどこかから俺の名前が出回っていて、それを偶然お嬢様さんが聞いていた、ってことにしておこうか)

男(今は、そんなことに頭を悩ませていたくない。女の件についてどうにかしなきゃならないし、余計な考えが入ると色々面倒な気がする)
388 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/21(水) 23:50:37.06 ID:YhMGC93c0
お嬢様「あの……えと、昨日……何かありましたか?」

男「……昨日?」

お嬢様「あ……き、昨日じゃなくてその……いや、やっぱり昨日……ぁぅ」

男「ここに来るまでに何かあったのか、とかです?」

お嬢様「そ、そう! そうです。えー……そのままですけど、ここに来るまでに何かあったのですか?」

男「んー……」

男(そこまで俺は目に見えるほどやばい状態なのか……? なんか妙に探りを入れられてるような、そんな気分なんだけども)

男(……ま、気にすることでもないよな。俺が疑心暗鬼になりすぎてるんだろう)

男「いえ、特に。……ただちょっと睡眠をとりすぎて体とかが思うように動かないんです。鈍ってるような感じです」

お嬢様「本当に、ですよね」

男「はい。お嬢様さんに嘘ついたところで何にもならないですよ」

お嬢様「……そうですか」

男「はい」
389 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/21(水) 23:58:46.19 ID:YhMGC93c0
男「…………」

男(表情からなんと言うか……硬さがとれた、って言うのかな。いつも通りの綺麗な顔してる。透明なガラスみたいのように曇っていない)

男(どうして俺がああ言ってこんな顔になったんだか……あれか。あんまり俺がお嬢様さんに不安を与えるような顔してたのか)

お嬢様「…………」

男(なんかもう、考えるのも怠いな。うん、学校に着くまで頭空っぽにしてよう……)







お嬢様「……ふふ」

男(あ、笑った。可愛い)
390 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 00:10:09.53 ID:Rdq/nYoy0
〜〜〜〜〜〜

お嬢様(よかった、よかったよぅ。男様があまり昨日のことで傷ついてはなかった、ように見える)

お嬢様(それを十分くらい前に確認して、他愛もないような世間話とか雑談をちょっとしたけど、男様はほとんどいつも通りだった。よかった、男様が傷ついてなくて……)

お嬢様(……あれ、私は何を言ってるんだろう。男様を連れ去ってあんな映像を見せてたくせに、傷ついてなくてよかった、なんて……)

お嬢様(思ってることとやってることが食い違ってますよね。……本当に馬鹿みたい)

お嬢様(それに男様が傷ついていないなんて確証どこにもないじゃない。もしかしたら、というか絶対に心の奥底では……)

お嬢様(……ごめんなさい、男様。いつか、この償いは絶対に致します。だからそれまで……)



男「ん。もうすぐ学校着きますよ」

お嬢様「ふぇ? あ、はいっ」
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/22(木) 00:25:38.27 ID:LZk2iNHe0
ええ話やんけ
392 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 00:30:34.25 ID:Rdq/nYoy0
〜〜〜〜〜〜


男(……視線が痛い。突き刺さってくる)

男(よーく考えれば2日も連続で一緒に登校してるんじゃねえか。そりゃ周囲の男たちも勘違いして嫉妬の塊を投げつけてきやがる訳だ)

男(畜生。こっちはお嬢様さん直々のお願いを聞いているだけなんだよ。お前らだって俺の立場だったら喜んで了承するだろうが)

男(……なんて、今更遅いよな。後悔とか、そういうのは。現に校門を突っ切って他の生徒たちの前に晒され中ですし)

男(そうだ、この美味しい状況を楽しむくらいでいけばいいんだ。そうすれば自然と気が楽に……)

男「……ならない」

お嬢様「? どうかしました?」

男「あ、いや。何でもないです」

お嬢様「……?」



男(なーんか、調子狂う……って、ん? なんか、明らかに周りから浮いてる人がこっちに……)
393 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 00:44:21.48 ID:Rdq/nYoy0
男「…………」

男(スプレー等で染めたのであろう鮮やかだか不健康そうな色の茶髪。その上によく分からない……ワックスかなんかで髪の毛を立たせている)

男(顔立ちは……あれだな、彫りが深くテレビでアイドルとして出てきそうな感じで、格好いいイケメンとかの部類なのだろう。あ、身長も180越えてるんかな、そこだけは唯一羨ましい)

男(制服のシャツを出し、だらしなくボタンを開けてその下に来ている派手なデザインのTシャツが見たくもないのだが見えてしまう)

男(極めつけに腰辺りまで下げたようなズボンがなんとも……何がかっこよくてやるんだろうか分からないな本当に。勉強のための場である学校で何故そこまで格好つけたがるんだか)

男(……で、これらの容姿すべてに該当する、俺が心の底から嫌いなタイプの人間。そいつは……)



DQN「おい、何やってんだよ」

男「……出た、出たよ面倒なやつが」

お嬢様「…………」
394 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 00:53:16.73 ID:Rdq/nYoy0
男(チッ、なんでこいつが俺のところ来るんだよ……しかもあからさまに期限悪そうじゃねーか)

男(なに、喧嘩のお誘い? ……いや、今時そこまで好戦的な屑はいないだろう。最近のやつらは大抵金だ女だ遊びだに目がいってるだろうし……)

男(ん? 『女』? 待て、今俺が一緒にいるのはーと……)



お嬢様「……朝からなんなんですか、貴方は」

男(oh、お嬢様さんか。お嬢様さんが目当てなのかこの糞野郎)

男(あれ? だとしても今こいつ、俺にも睨み付けてなかったっけ? あれれー?)

男(……嫌な予感、しかしないんですけども)
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 02:42:42.32 ID:Hc++WvNDO
396 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 12:51:21.68 ID:Rdq/nYoy0
DQN「なんなんだじゃねえよ。なんでお前がこんなやつと一緒にいるんだ」

お嬢様「別に私の勝手じゃないですか。貴方にとやかく言われる筋合いはありません」

男(あらら、お嬢様さんが珍しく敵対心を剥き出しにしてらっしゃる。……相当嫌なんだろう、こいつといるのが)

DQN「おい、お前」

男「……あ?」

男(話し掛けられた。適当に流してよう)

DQN「……誰に断ってこいつといるんだよ」

男「……さあね。そんなもの要らないと思ってたんだが」

男(ん? 彼女から誘ってきたって言えば一発か? いや、そう言ったとこでこいつは納得しそうにないな)

男(それどころかお嬢様さんにまでとばっちりが来そうだ。それは勘弁願いたい)

男(……どうすればこの場を丸く納められるんだか)
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/22(木) 13:01:52.66 ID:bpQ4zYBW0
きていたか
398 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 13:12:35.59 ID:Rdq/nYoy0
DQN「チッ、……おい、お嬢様」

お嬢様「何を……きゃっ!?」グイッ

男「……は? おい、いきなりその子の腕掴んで何してんだよ」

DQN「見りゃ分かるだろ? 連れていくんだよ。お前みたいな野郎にこいつは勿体ない」

お嬢様「ちょっ、何を言って」

DQN「黙ってろ、すぐに終わる」

男(……なーんか面倒なことなったなぁ。こいつお嬢様さんのこと完全に物扱いしてるし)

男(しかも強引に腕を掴んで何処かへ連れていこうとしてやがる。……虫酸が走る、どうしてやろうかこいつ)

男「お嬢様さんを離せよ。嫌がってるのが分からないのか、この節穴が」

DQN「煩いんだよ黙ってろ。いいか? 今後一切こいつに近づくな。もし近寄ってきたらぶっ殺す」

男「…………」

男(殺す、か)





男(……殺す、ねぇ)
399 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 13:25:58.68 ID:Rdq/nYoy0
お嬢様「い、いい加減にしてください! なんで貴方がそんなこと勝手に決めるんですか!」

DQN「別にいいだろ? お前のためなんだから」

お嬢様「どこがですか!? そんなのいい迷惑以外の何でも……」

DQN「……いいから黙ってろって言ってるだろ!」

お嬢様「っ」



男(さっきから自分に都合のいいことだけ喚きやがって、うどの大木ごときが。何がお前のためだ? ふざけるのもいい加減にしてくれや)

男(ろくに殺したこともないくせに何が殺すだ。どうせやり方も知らないんだろ? 出来ないこと堂々と言われてびびる程俺は小さくねーんだよ、この小便臭い餓鬼め)

男(どうする。いっそのこと退学覚悟でこの屑を半殺しにしてやろうか。いや待て、このままだとお嬢様さんまで巻き込みかねないか。それは……嫌だな)
400 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/22(木) 14:15:51.87 ID:Rdq/nYoy0
DQN「いいから行くぞ」ギュッ

お嬢様「だからやめてって……い、たっ」

男(……四の五の言ってる暇なんてないか)



男「おい」

DQN「……あ? まだあんのかよ。お前が何を言おうと俺はさっき言った通りだ、とっとと失せ」

男「その手、離せよ」

DQN「なんでお前に言われなきゃならねーんだ? うぜえんだよ」

男「その子が痛がってる。とにかく離せ」

DQN「チッ、鬱陶しい。……いい加減にしろよ? そうじゃないとお前……」

男「三回目だ。その手を離せ。……害虫如きに凄まれても何も感じねーんだよ」

DQN「て、めえ……!」

401 : ◆8IrmZWsy0E :2012/03/22(木) 14:42:48.10 ID:Rdq/nYoy0
DQN「っらあァッ!」ブンッ

男「おう、いきなり殴りかかってくるなよ。後が怖いぞ」

DQN「さっっっきからベラベラベラベラ喋りやがって、黙ってろよこの根暗!」ブンッ

男「おっと。それにしても根暗って……目立たない奴のことをお前は全員根暗とでもいうのか。違うね、その根暗って呼ばれる奴らが普通なだけで、一部の煩いから目立ってるお前等がおかしいんだ」

男「譬えるなら……あれだ、虫ってよく光に集まるよねー」

DQN「いい加減に……!」



男「いい加減に、何?」ガスッ

DQN「う、ぐっ!?」

男(正当防衛、正当防衛。鳩尾に一発いれたから多分もう動けない……はず)

男「こっちの台詞だ。……あ、あと俺からも言うぞ?」
402 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 15:05:25.31 ID:Rdq/nYoy0
男「……っと」グイッ

お嬢様「ふぇ? え、あ、何を……?」

男「(急に抱き寄せたりして本当すいません。それと後で絶対に何とかするんで、今だけ話合わせてください)」

お嬢様「(よ、よく分かりませんけど、はい……)」///



男「おい糞野郎。こいつは、お嬢様さんは……うん、えーと……」

男(……うわあ今から言うのは嘘だから。その場しのぎの嘘だから。こいつが二度と近づいてこないようにするための嘘だから。だから言ってくれ、頼むから俺)



























男「俺の女、だから」

DQN「…………」

お嬢様「……はいっ?」///
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/22(木) 15:11:33.13 ID:bpQ4zYBW0
かっこいい
404 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/22(木) 15:31:04.67 ID:Rdq/nYoy0
今回はここまでです
それでは、ありがとうございました
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/22(木) 15:40:59.85 ID:bpQ4zYBW0
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 20:05:28.12 ID:L9w85L6Ro
まさかの俺の女宣言
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 21:00:47.37 ID:kq8rNHDIO
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 21:38:27.27 ID:DvcGD+7IO
かっけえww
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/03/23(金) 17:51:02.15 ID:/3C0k8xmo

書き溜めして一気に投下したほうがいいんじゃないの?
そもそも書き溜めって概念がないバカなんじゃないかと思うけど
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) :2012/03/23(金) 19:07:05.89 ID:lgYUugu7o
>>409
(´・ω・`)
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/23(金) 19:13:26.09 ID:Az7rpl9so
春だからな
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/23(金) 21:00:58.52 ID:cZsYvMI50

413 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/23(金) 22:35:50.37 ID:SH6P6AYN0
>>409 書いてる端末が端末なので書き溜めは無理です

書き始めます
414 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/23(金) 23:02:00.97 ID:SH6P6AYN0
男(……最悪だ)

男(周囲の男共から嫉妬やら殺意やら向けられるのはいい。俺の目の前で地面に這いつくばってる屑に目をつけられるのもいい)

男(ただこの子を。……お嬢様さんを巻き込むようなことはしたくなかった)

男(確かに俺が今取った行動は、この害虫からお嬢様さんを守るためには十分過ぎるほどなんだろう)

男(しかしなぁ、それによってお嬢様さんに対するイメージというのががらりと変わっちまう。校内一二を争う程の美少女とか様々な彼女に対する呼び名に、男の彼女とでも加われば、それはお嬢様さんの完璧なプロフィールを汚す以外の何者でもない)

男(……でも、こうなってしまった以上、今は中途半端なところで終わらないよう、ちゃんとやりきるしかないかな……)

男「そういうわけだ。だから一生この子に近づくなよ。……一生、な?」

お嬢様「え……あ……ぅう」///

DQN「て、めぇっ」

男「それじゃあね表面だけ凄いやつ。煙草吸いまくってボロボロ体で俺に敵うはずないから、精々禁煙でもしろよ。まだマシにはなるかもな」

男「(行こうお嬢様さん。……謝りたいことあるから、どこか人目につかない場所で)」

お嬢様「(は、はいっ)」///
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/23(金) 23:04:54.75 ID:uswN0Wrvo
キマシタワー
416 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/23(金) 23:15:51.63 ID:SH6P6AYN0
屋上


男「……ここなら、人はいないか」

お嬢様「…………」ボー

男「それじゃあ話を……ってお嬢様さん? おーい?」

お嬢様「…………」ボー

男「……おーい!!」

お嬢様「ふえぁっ!? あ。男、様……?」

男「男様てあんた。……男でいいですよ、呼び捨てで」

お嬢様「は、はい。では男さん」

男「呼び捨てでって完全に無視されてるけどいいや。……それで、話があるっていうことなんですが」

お嬢様「はい。……あの。私が、貴方の……か、彼女にっ」///

男「……うん。その事なんですけど……本当にすいませんでした」
417 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/23(金) 23:36:36.59 ID:SH6P6AYN0
お嬢様「え……いや、謝らなくてもいいんですよ? 私は助けてもらっただけですし」

男「それでもです。……勝手にあなたのことを俺の女だ、なんて言ってしまって、助けるどころか逆に迷惑をかけてしまいました」

お嬢様「迷惑だなんて……」

男「よくよく考えてみれば、あの場をどうにかする方法なんて他にもあったんですよ。例えば……」

お嬢様「例えば?」

男「……まぁ、置いておきまして。それでも何か方法はあったんです」

男「なのにも関わらず、こんなにも回りくどい方法を選んでしまって……本当に申し訳がつきません」スッ

お嬢様「い、いやいやいや、頭なんて下げないでください! 方法以前に元々私が原因でしたし」
418 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 00:26:53.83 ID:Xh1FrDcj0
男「それでもですよ。……もう少し、いいですかね」

お嬢様「は、はい。どうぞ」

男「ありがとうございます。……今現在、周囲の人間から俺達は恋人の関係にある、と勘違いされてますよね」

お嬢様「そう……ですね」///

男(? 顔が赤く……)

男「まぁ、それは俺が勝手に言い出した嘘って訳で。今から話す……というか貴女に頼みたいことはその事なんですが」

お嬢様「…………」

男「馬鹿みたいに簡単なんですけどね。俺とお嬢様さんが別れた、っていう噂をできる限り広めてほしいんですよ」

男「そうすれば俺達が別れたと言うのが広まり、また元通りになっていくとは思うんです」

男「……本当なら俺一人でやれって話なんですがすみません、協力してください」

お嬢様「あ……」
419 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 00:36:38.06 ID:Xh1FrDcj0
お嬢様(ど、どうしよう。男様が私に頭を下げて……)

お嬢様(普段なら今すぐにでも協力するだろうけど、その内容が……男様と別れた、っていうのを広めると言うこと……)

お嬢様(……あれ? これってチャンス?)

お嬢様(今の私は男様の『彼女』。偽りであろうと何だろうとこの立場に居座り続ければ、その時は……)

お嬢様(い け る)



お嬢様「あの、男様……じゃなくて男さん」

男「はい」

お嬢様「その、できたらでいいんですけれども」















お嬢様「こ、このままっ、私の彼氏でいて……くれませんか?」///
420 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 00:51:26.19 ID:Xh1FrDcj0
男「……へ?」

お嬢様「ですから、その……私の彼氏でいてください、って」///

男「そ、それは分かってるんです。ですけど、なんの理由でそんなことを……?」

お嬢様「えっと」

お嬢様(愛してるからです。この世で一番貴方のためなら命を落とすことも躊躇わないほどに好きで、愛しているからです)

お嬢様(って、素直に言えたら楽なんでしょうけど、そんなことは言えないから……)

お嬢様「その……私の周りには、いつも男の人とかが集まってきたりするんです」

お嬢様「それでその人たちは私に話し掛けてきたり、えと……しつこく誘ってきたりして、ちょうど先程の人みたいに怖かったりしていて……」

お嬢様「それが毎日毎日続いて、いつの間にか距離を置くようになって……」

お嬢様「とにかくうんざりと言いますか、そんな風で……」

男「そう、ですか……」

お嬢様「だから。だから……男さんに彼氏となってもらって、それで周りの男の人に諦めてほしいという、そんな感じです」





男「……一つ、いいですか?」

お嬢様「は、はいっ。なんでしょうか」
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/24(土) 01:11:41.02 ID:8dCmIqnDO

422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/03/24(土) 03:58:57.02 ID:aFUi9hObo
>>413
ヒントつ未送信メール、メモ帳、word
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/24(土) 04:07:36.83 ID:edtI3f8IO
おつ

別に春厨に合わせんでも今まで通りでいいよ
こまめに投稿あった方が続ける気があるって分かるからね
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/03/24(土) 15:22:15.52 ID:hQwTkssy0
春だからお花が咲いてきましたね!

書き溜めなんかしなくても続けてくれればそれでいいのよ
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/24(土) 18:27:16.05 ID:wrtkHvyVo
田舎おでんって初めて見た

どこ?
426 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 19:56:39.91 ID:Xh1FrDcj0
書き始めます
田舎おでん……なんか旨そうなのか不味そうなのかよく分からないですね
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/24(土) 20:10:24.19 ID:75grh5Nk0
にゅぽぽ
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/24(土) 20:12:20.62 ID:RCUfRClIO
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
429 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 20:33:04.00 ID:Xh1FrDcj0
男「その、本当に俺なんかで大丈夫ですか?」

お嬢様「……え? どういうことです?」

男「俺なんかと彼氏彼女の関係になっても、お嬢様さんの経歴に泥を塗るだけと言いますかね」

男「とにかく俺なんかよりもいい男なんてそこらにいると思いますよ。ですんで今ここで俺と別れたって噂を流して、そっちを選べば……」

お嬢様「嫌です」

男「へ?」

お嬢様「だから、嫌です。私は貴方以外の男の人と付き合うつもりはありません。形だけですけど」

男「……何故ですか? こういうの言うのもなんですけど、俺に固執する理由とかありますかね? 昨日今日知り合ったような仲じゃないですか、俺達」

男「そんな奴と形だけでも付き合うって……高校生活の大半を捨てる気なのかと」

お嬢様「別にいいんです。高校生活なんてとっくに捨ててる……というか捧げてるつもりですので」

お嬢様(貴方に!)

男「は、はあ」
430 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 20:42:14.62 ID:Xh1FrDcj0
お嬢様「それにです。他にもいい男がいるって言いましたけど、本当にそうなんでしょうか?」

男「そうじゃないんですか?」

お嬢様「私から見ればそうじゃないんですよ。そのいい男とか言っても……大半は私の外見とか財力とかに寄ってくるような人ばかりじゃないですか」

お嬢様「結局……言いにくいんですけど、本当の私を好きになってくれる人なんていないじゃないですか。こんな面倒なのことを好きになってくれる人なんていないと思うんですよ」

男「いやいやいや……お嬢様さんのどこが面倒なんですか。貴方が面倒な女だったらこの世界の人間全員畜生になるくらいですって」

お嬢様「……確かに私は周りの人からはいいように思われるよう振る舞ってきたつもりですよ?」

お嬢様「ですけどそれが本当の私って言う訳じゃないですよ。実際には我が儘ばかり言って人を困らせるような人間なんです。ほら、現にこうやって貴方を困らせてる」

男「……そう、ですかね」

お嬢様「そうなんです!」
431 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 20:58:00.65 ID:Xh1FrDcj0
お嬢様「そんな我が儘な私を見たことのある人間はこの学校では数えるほどしかいません。貴方を含めて精々三人位でしょう」

お嬢様「そして、当然のことながらその中に私に寄ってくる人なんていません。全員が全員本当の私を知らないんです」

お嬢様「皆、私が作り続けているイメージなどに誘われているだけなんです。私の表面、表面だけにです」

男「…………」

お嬢様「もしそんな人が私と付き合って、本当の私のことを知ったらどうなるんでしょうか? 簡単です。面倒だとか、こんな人だとは思わなかったとか理由をつけて去っていくんですよ」

お嬢様「私は、それが怖いんです。そんな人に心を寄せても、結局離れてしまうだけならば。……最初から、近寄らなければいい」

お嬢様「そう思っていても人は自然と集まってきてしまう。この私の……他人とは違っている容姿と、望んでもいなかった富豪の娘という地位が集めてきてしまう」

お嬢様「もう……嫌なんです。そんな風に特別扱いされて、周りから疎ましく思われないよう必死で演じ続けた私が、人を寄せ付けてしまって。いつもいつも、いつもいつもいつもいつも押し潰されそうになる」

お嬢様「助けて、ほしいんです」

男「……お嬢様さん」
432 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 21:10:27.78 ID:Xh1FrDcj0
お嬢様「……我が儘で傲慢なのは分かっています。本当は私自身で何とかしなきゃいけないことだと、分かってるんです」

お嬢様「でも、私は弱いんです。その重圧に耐えきれるほど、私は強くなんかないんです。ですから、助けてほしいんです」

お嬢様「だから、貴方に。本当の我が儘で自分勝手な私を知っても、変わらず私を見続けてくれる貴方に、貴方にだけ助けてほしい」

お嬢様「どうか……お願いします。私の彼氏に、なってください」

男「…………」





男「……俺は、貴方が思っているほどの人間じゃないかもしれませんよ」

男「お嬢様さんのことを特別視しないなんて、ただ単に興味がないだけかもしれない」

男「いつか……貴女の彼氏だという立場を利用するかもしれませんよ」

お嬢様「いいんです、全ては私の持ち出したことですから。男さんに多少酷いことされても文句は言いません」

男「お、おぅ」

お嬢様「それに、貴方がそんなことをするような人間じゃないって知っていますから。……本当に」

男「…………」
433 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 21:24:32.49 ID:Xh1FrDcj0
男(……妙だな)

男(お嬢様さんが苦しんでいて、それに耐えきれなくなって出した結果俺と形だけの交際を始める、というのはまぁ分かったとするよ)

男(しかしどうにも納得がいかない。彼女の言葉にはどうしてか、苦しみから逃れたいと言う思い以外のものが含まれている気がしてならない)

男(俺の勝手な思い込みかもしれないが……どこか、今回のことを喜んでいるような、そんな気が)

男(まず、気になる点として彼女の中で俺は少なからず特別な存在として見られていると言うことだ。それは決して敵対とかそういう意味を持っているわけではなく、寧ろプラスの、好感を持たれるであろう立場にいる)

男(もし先程の彼女の言葉が本物ならば……本物なのだとしたら、俺は、その。お嬢様さんの恋愛対象として見られていると?)

男(いや、いやいやいや。確かにさっきの言葉を逆にして考えるとそう言えなくはないけど、流石に調子のりすぎじゃ……)

男(あれ、でも待てよ。お嬢様さんの言葉に含まれている別の思いとやらが、そういう感情とかてあるならば……?)

男(し、調べるだけ。調べて、みようかな)
434 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 21:44:47.17 ID:Xh1FrDcj0
男「あの、お嬢様さん」

お嬢様「……はい。なんでしょうか」

男「俺のことどう思ってます?」

お嬢様「え……?」

男「言い方が回りくどかったですね。……俺のこと、好きですか?」

お嬢様「ぇあぁ……!? そ、れは。そのぅ」///

男(……反応からして、どうだろうか。彼女は俺のことが……うん、どうなんだろう)

男(しかし……もしそうだとするなら、お嬢様さんはどこで俺のことを? さっき彼女にも言った通り、俺達は会って二日と経たない……)

男(……まさか、そんな)

男(理由として思い当たるのは二つ。一つは彼女を助けたときではあるが、そのときま恐らく意識がないから覚えていないはずだろう)

男(だと、すれば。残るのは……あの、公園の、日の……!)
435 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 21:49:04.04 ID:Xh1FrDcj0
ちょっと休憩します
微妙にすれ違ってるんですかね、この二人
ともあれ、展開を速くしすぎたのかな……とりあえず頑張ります
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/24(土) 21:55:18.53 ID:75grh5Nk0

待ってるよ

ずっと・・・
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/24(土) 23:01:43.22 ID:uMEWPOVfo
438 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 23:36:47.15 ID:Xh1FrDcj0
再開します
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/03/24(土) 23:37:00.91 ID:hQwTkssy0
>>436
何か怖い
440 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/24(土) 23:46:09.25 ID:Xh1FrDcj0
男(……だとしたら、どうすればいい?)

男(あんな状態の俺を好きになったって言われたら、俺はどうすればいい……!?)

お嬢様「あの……」

男「……あ、遠慮なく言ってくださいね。俺が勘違いしてるだけかもしれませんし」

お嬢様「…………」

男(とにかく今は様子見でいい。違うかもしれないんだ。そもそもこの子が俺のことを好きだなんて確証どこにもないんだから)

男(……できたら、間違いであってほしいんだけどな)


















お嬢様(ど、どどどどどどうしよう! え、なんで男様いきなりそんな質問をっ!?)
441 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 00:02:27.66 ID:vQDSgLre0
お嬢様(……本当にどうしよう。ここで私が男様のことを好きって言えば、もしかして……)

お嬢様(男様と、本当の恋人同士になれるかもしれない。しれない、けど)

お嬢様(もしも、断られたら?)

お嬢様(男様は私のことをなんの色目も使わずに見てくれる。それは本当に嬉しいことだけど、同時に私のことをその程度にしか見ていない、ということ)

お嬢様(断られる可能性は、十分すぎるほどに存在する。そして断られてしまった暁には……)

お嬢様(もう、どうしようも、ない)



お嬢様「……わ、たしは」

お嬢様(どうすればいいの? 怖い、怖いよ。思いを伝えるのなら今が最高のチャンスだって分かっているのに、怖くて、とても告白だなんて!)

お嬢様(もし失敗でもしたら、断られたら男様とはもう、……二度と、近寄れないかもしれない。今朝みたいに、一緒に登校も……)

お嬢様(いや、嫌、いや。遠くに行かないで。お願い男様、私から、離れないでっ。どうかお願い、しますから)

お嬢様「私、は……っ」ポロポロ

男「……!」
442 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 00:13:48.69 ID:vQDSgLre0
お嬢様「あ、れ……? おかしいですね」

お嬢様「ごめんなさい、男さん。ちょっと、だけ待っててください。何故か目から涙が……あはは、ゴミでも入ったのでしょうか」ポロポロ

男「……お嬢様さん」

お嬢様「少しだけお待ちください。すぐに、元に戻しますから。それまで、待っていて……っ」

お嬢様(なんで? なんでなの? どうしてこんなにまで、泣けて……? 男様を監禁したときからもう覚悟はついていた筈じゃない。男様に断られて、そこで諦めることも覚悟していた、はずなのに)

お嬢様(どうして……どうして、こんなにも涙が出てくるんですか? そんな、まだ結果も出ていない、告白すらしていないのに)

お嬢様「ま、待って……待って、てくだっ、さい。本当にもう少しだけ……ですから」

お嬢様「もう、ちょっと、……ひっく、もうちょっと、ですからぁ……」

男「…………」

お嬢様「っく、ひっ。ごめんなさい、ごめん、なさい。ごめん……なさい……」

男「……お嬢様」
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/25(日) 00:27:09.48 ID:1KoB1CMJ0
き・・・・来てくれた
444 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 00:27:26.48 ID:vQDSgLre0
ギュッ

お嬢様「え……?」

男「…………」

お嬢様「男、さん? なんで、いきなり」

男「……ごめん、嫌だったかな? いきなり抱き締めたりなんかして」

お嬢様「あ、ぅ。そんな、あの……」

男「ちょっと、気持ち悪いかもしれないけど。……君が泣き終わるまでは、ずっとこうしてるから」

お嬢様「…………」

男「なぁ、お嬢様。もう疲れたんじゃないかな? いつも周りに気を使って生きてきて、完璧な自分を演じ続けてきて」

男「それを君は、多分物心ついたときからずっと続けてきたんじゃないのかな」

お嬢様「……ぅ」
445 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 00:40:24.08 ID:vQDSgLre0
男「だとしたら……もういいと思うんだ、俺は」

お嬢様「なんで、ですか」

男「ほら、今の君がその証拠だろう」

男「どうして君は泣かなければならないんだろうか? ……簡単だ。自分が気持ちが口に出せなくて、そんな自分に苛ついて……うんざりしてるんだろう。俺も昔はそうだったから」

お嬢様「……ぅ……あ」

男「図星かな? だったら話は早いよな。……思いっきり、泣いて吐き出せばいい」

男「吐いて、出して、それで空っぽになってスッキリしたら俺にさっきの答えを聞かせてくれ。……いや、わざわざ言わなくてもいいか。辛いんだったら自分の中に閉じ込めておいて、ゆっくりと押し殺していけばいい。それが、一番君にとって負担が少ないのならね」

お嬢様「男、さまぁ……」
446 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 00:49:13.17 ID:vQDSgLre0
男「また俺のこと様付けで読んでるよ。……ま、それがいいなら俺も文句は言わないけど」

お嬢様「お、とこ様。聞いても、いいですか」

男「何かな」

お嬢様「……今の私は、どんな風に見えますか」

男「どんな風?」

お嬢様「そうです……今貴方が抱き締めている女の子は、どんな風に……見えていますか」

お嬢様「ただの綺麗な女の子ですか。それとも泣きじゃくって煩い女ですか。それともただの、……普通の、女の子ですか」

男「……そうだな」















男「俺のことを好いていてくれる、普通だけど可愛い女の子、とか」

お嬢様「……っ!!」
447 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 01:02:49.35 ID:vQDSgLre0
男「あ、普通って言うのは俺から見てってことね。他から見れば君は……っとっ!?」

お嬢様「男、様ぁ! あ、あぁぁぁぁあああぁぁぁ……」ギュウゥ

男「……よしよし、今までよく頑張ってきたね。偉いよ」

お嬢様「うわぁ、ああああぁぁぁぁ……ぁぁ、男様ぁぁ」

男「うん、いいよそのままで。辛かったんだろう? 悲しかったんだろう? だったらその悲しみを受け止めてくれるような奴が一人はいなきゃいけない」

男「……だから、俺が受け止める。今ぐらいは、受け止めるからさ」

お嬢様「ひっく、ひっ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ」

男「謝るなよ。好きでやってるんだから。……誰かの役に立てるんなら、これ以上望むことはない。生きてるって実感できる」

男(……そうでもしないと、やってられないときもあるから。生きてる心地が、ないんだ)


〜〜〜〜〜〜
448 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 01:22:58.67 ID:vQDSgLre0
男「…………」ナデナデ

お嬢様「……っ……っぅ」

男「大分落ち着いたね。……大丈夫?」

お嬢様「……なん、とか。その、ありがとうございます」

男「ああ。どういたしまして」

男「それと……さっきの、質問だけど」

お嬢様「……はい」

男「あんまり言いたくなければ言わなくてもいい。とりあえず形だけでも君の彼氏になる、ってのは了解した。明日からそれでいこう」

お嬢様「本当にですか?」

男「ああ。……後は」

お嬢様「分かっています。……今から、言いますから」

男「……うん」

お嬢様「それでは。……言います」
449 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 01:28:10.94 ID:vQDSgLre0
お嬢様「男様、私は」














「貴方のことが、好きです」














450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 01:35:51.86 ID:O9aHN/UDO
えんだあああああああああ
451 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 01:35:56.06 ID:vQDSgLre0
鈍感形主人公って大量生産される割にはそのほとんどが異常な人種だと思うんです
女の子からの見てわかるアプローチはガン無視ですけど、ほんのちょっとした異変には気づくとかもうね、何も言えませんよ。中にはムカつかないのもいると思うんですけどね。本当少数だと思います

……という>>1の戯言からこんな展開に。本来ならもう少し先で男がお嬢様の気持ちに気づく、という予定でしたが、まぁここで気づいても別におかしくはないよね、むしろそっちの方いいよね的な思い付きでこういうことになりました

さて、今回はここまでです
見てくださった方々、ありがとうございました。それでは
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 01:40:26.84 ID:mwR/4l6IO
>>451
乙乙
後日談はよ!
453 :以下、名無しが深夜にお送りします [sage]:2012/03/25(日) 01:45:09.34 ID:qpwZ6IKN0
おつおつ
454 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 01:48:12.35 ID:vQDSgLre0
しまった、あとほんの少しだけ書きます

>>452 あくまでも女編でござる、そっちを放って終わらないでござる
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/25(日) 01:56:39.31 ID:K1aQKmVKo
>>450
このレスってどんなスレでもあるよなwwwwww
しかもナイスタイミングで
456 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:00:27.32 ID:vQDSgLre0
男「…………」

お嬢様「多分、初めて会ったときから。……覚えてはいないかもしれませんけど」

男「覚えて……」

男(やっぱりだ。この子はあの日の事を覚えている。そして、その時の出来事が原因で……)

お嬢様「あの、男様」

男「ああ、分かってる。俺からも返事を返さないとな」

男「俺は……」

男(どうする。このまま彼女と付き合うことにしても、本当にいいのか。俺自身この子と本物の恋人同士になるのは別にいいと思い始めている。でもそれで本当にいいのか。本当に……)



男「……お嬢様。ちょっとだけお願いがある」

お嬢様「なん、ですか?」

男「随分と面倒なことだけど……できたら、もう少し考えさせてくれないかな」

お嬢様「えっ……」

男「決して振るつもりなんかじゃあない。……でも、それに対する心構というか、それが出来ていないんだ」

男「そんな状態で君と付き合い初めても、現実味がないとかそういう理由で君の事を傷つけるかもしれない」

お嬢様「そんなの、私は別に……!」

男「ごめん。君はよくても、俺の方が先に音をあげてしまうはずだから。……だから、お願いだ。もう少し、俺を待っててくれないかな」
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 02:04:38.04 ID:r6ndt4Bio
>>450
あと5秒遅かったらかなり残念だったなw
458 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:05:20.91 ID:vQDSgLre0
お嬢様「…………」

男「君をこうまで言わせたんだ。それを無駄にするようなことは俺だってしたくはない」

男「だからこそ、待っていてくれ。いつか、ちゃんと君の横に胸を張って立っていられるよう、努力するから」

お嬢様「……分かり、ました」

男「……うん。ありがとう」ナデナデ

お嬢様「ーーっ! あ、あのっ、男様っ」///

男「男様って……まあいいか。なにさなお嬢様」
459 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:12:45.78 ID:vQDSgLre0
お嬢様「い、一応。男様の返事はないけれど……付き合ってるってことなんですよね!」

男「ま、そうだね」

お嬢様「じゃ、じゃあ。よりそれっぽく見せるためにも、恋人らしく振る舞わなければなりませんよね!」

男「そうだろうな」

お嬢様「だったら、そのためにもこれから毎日、男様の分のお弁当作ってきてもいいですか?」

男「んー……え、作ってくれるの?」

お嬢様「はい!」

男「お、おお。そりゃいいんならお願いするけど」

お嬢様「ありがとうございます! それでなんですけど、まだいいですか?」

男「ああ。いいよ」
460 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:29:31.20 ID:vQDSgLre0
お嬢様「それじゃあ、連絡できるように携帯の番号とメールアドレスを交換しても」

男「ん。それじゃあ携帯だして」

お嬢様「はい!」





男「……これでよし」

お嬢様「…………」ニコニコ

男(……本当、嬉しそうだよな)

お嬢様「もう一つ。これから私が男様の家に迎えにいって、一緒に登校してもいいですか?」

男「いいけど……相当負担かかるんじゃないのれそれって」

お嬢様「いえ、大丈夫です! そこまで負担なんてかかりません!」

男「……そっか」
461 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:41:18.04 ID:vQDSgLre0
男「それじゃ、授業もあるし。……ここいらで、戻ろうか」

お嬢様「はい。い……あ、男様」

男「ん? なにさお嬢様……」

チュッ

男「……は? ちょ、何を」

お嬢様「……さ、先払いです。責任は取ってくれる、のでしたよね?」///

男「あ、ああ。そうだけど……」



お嬢様「……本当に、私は男様のこと、好きですよ。愛してるっていってもいいくらいです」

男「……ああ」

お嬢様「私は男様のを待ちます。……ですから、男様も」

男「分かってる。気持ちの整理がついたら真っ先に君の方へと向かうから。そして当然だけど、他の女になんて手を出しはしない」

お嬢様「……はい」///

男「だから、安心してとは言えないかもしれないけど、待ってて。いつか、きっと俺は君に思いを伝えて、そして……」

お嬢様「はい。その時が、私たちが本物になれるとき、ですよね」

男「……そうだな」



お嬢様「……ねぇ、男様」

男「どうした、お嬢様」

お嬢様「あの、もう一度だけ、その。き、すを」

男「……いいよ。今度は俺からでいいか?」

お嬢様「は、はい」///

お嬢様「ん……」
462 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:47:13.88 ID:vQDSgLre0
〜〜〜〜〜〜


お嬢様「そろそろ、行きますね」

男「うん。一人で大丈夫か?」

お嬢様「はい。あまり男様のてを煩わせたくないので、大丈夫です」

男「そういう問題か……? まあいいや。それじゃあ、また帰りに」

お嬢様「……はい」











男「……なんか、成り行きと言うか、なんと言うか」

男(でもま、これも俺が望んだ結果だしな。選んだ以上、ちゃんと進んでいくしかない)

男(……ああそうだとも。今さら引き返しても、何も残らないんだから)
463 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:53:00.45 ID:vQDSgLre0
男「……ん?」

男(視力は部活とかやってて無駄にいいもんだから、下の奴等が見えて……あれは……)



男「女、か?」

男(ああ。あれは間違いなく女だ。……誰かと一緒に歩いてる。結構楽しそうにしていて、あれは……)

男「っ!? おい、嘘だろ……?」

男(あいつの、隣にいるのは)

















男「あの映像の、先輩じゃねえか」
464 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/25(日) 02:54:47.05 ID:vQDSgLre0
今回は本当にここまでです
それでは、ありがとうございました
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 03:00:46.07 ID:QF4dRpzDO
乙です
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/25(日) 08:36:54.94 ID:M9gDncw10
おつ
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 11:26:01.39 ID:aFrj1A9s0
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/25(日) 12:40:02.80 ID:aYgbAmc5o
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/03/25(日) 15:44:09.32 ID:bGd6/7sF0
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 22:31:27.21 ID:O9aHN/UDO
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 09:21:20.11 ID:e2tIutlIO
>>10
>野間口ェwwwwww
472 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/27(火) 22:48:08.19 ID:DSEA+D7D0
書き始めます
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/27(火) 23:01:36.72 ID:UHYQZ/6uo
474 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/27(火) 23:11:41.40 ID:DSEA+D7D0
男(どういうこと、なんだ?)

男(昨日、確かに俺はあの映像……思い出したくもないが、女が襲われかけているところを見させられた)

男(CGでも合成でもない。あれは確かに起きたことであり、決して揺るがない真実でもあるんだろう)

男(……だったら、何故。何故女はその襲ってきた張本人の横を歩いているんだ?)

男(まともな神経をしていたら近づこうなんて思わないだろうし、ましてや被害届を出して先輩とやらは今頃停学か退学か食らうか、もしくは他のことによりここには来るはずがないだろう)

男(しかし、現にこうして奴は学校に、しかも平然として来ているじゃあないか)

男「……本当、なんなんだよおい」
475 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/27(火) 23:44:15.90 ID:DSEA+D7D0
男(ん? 待てよ。そう言えばあの映像は一体いつ撮影されたものなんだ? あの俺を監禁したであろうやつの言葉からして、一年とか半年とかそんな前に撮ったものではない……はず)

男(それでも多少期間が空いているとして……二、三週間程度だろうか)

男(その間に先輩の方が謝ったり何かして、二人の中は元通り……)





男「……ある訳ないだろ、馬鹿じゃねぇのか」

男(そうだ、そうに決まってる。自分のことを犯そうとしてきたやつのことなんて、俺があいつの立場だったら死んでも許さないさ。それどころか復讐だって考える)

男(だとしたら、何があったって言うんだ? そんな二人の仲を元に戻した理由がどこにあるんだ?)

男(いっぺん、女に聞いてみるか……)
476 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 00:06:05.03 ID:4xE7fnwV0
男「…………」スタスタ

ヒソヒソ……

ナァ、アイツガホントウニ……

アア、ゼッタイソウダ……

男「……?」

男(やけに、周囲の目が俺の方へ……? いったいどうして、って)

……オジョウサマサントツキアッテルノ、アイツナノカ

チクショウ、アンナヤツノドコガ……

オ、オレノアコガレノヒトガ、イツニ!

ウワァ、ウラヤマシイナァ

ナニイッテンダヨ、オマエカノジョイルクセニ

ア、アレハチガウンダ……イチニチメールガサンジュッケン……



男「…………」

男(ああ、そういうことね)

男「はぁ。今日も色々と疲れ……」

ドンッ

?「わわわわっ!」

男「ん? あ、悪い。大丈夫か?」
477 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 00:22:43.94 ID:4xE7fnwV0
「あ、ぅああ。その……えっと」

男「……? まぁ、大丈夫そうだからいいけど」

男「ほら、手。起き上がれないだろ、掴めよ」

「え。あ、あの……うわわわっ」

男「っと」グイッ



男「これでよしと。……うん、別にどこも変じゃ無さそうだな」

「ぁ……その、えっと、俺は……」

男「あ、礼とか要らないからな。俺が余所見しててぶつかっただけだし」

男「それじゃ。ちょっとだけ急いでるから」

「え? あ……」



「いっ、ちゃった……。あれが噂のお嬢様さんの彼氏である男……」

「やっぱ、あの人が選んだだけあるなぁ。何か知らないけど、格好いいや……」

「……教室、戻ろう」
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/28(水) 00:23:50.43 ID:al7Zhgda0
男歪んじゃってるなあ
479 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 00:34:45.05 ID:4xE7fnwV0
〜〜〜〜〜〜


男(てなわけで教室に辿り着いたと)

男(さて、こっちの目的でもある女は……)

女「……でさぁ、……だから」

モブ「え、本当? ……へー……」



男(楽しそうに女友達と会話してます。……あの空気の中に割って入ろうと思うほどの度胸なんて持ち合わせてはいない)

男(しばらく様子見か)



男「…………」スタスタ

男「……ん? 机の中に何が……」

『別れろ別れろ別れろ別れろ別れろ別れ……』

男「…………」ビリビリビリグシャ

男(……お母さん。俺の明日はどうなるのでしょうか。天国からでもいいのでお教えください。本当に)
480 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 00:42:55.23 ID:4xE7fnwV0
男(い、いいもんね。周りの男どもから妬みを買ったって別にいいもんね。お前らのことなんか無視してお嬢様とイチャついてやるもんね)

男(……とまあ、冗談はこれぐらいにして)



女「ん……? あ、ごめん。席はずすね」

モブ「うん。またねー」



男「……こっちに気づいたか」

男(ここからが勝負と言うか、なんと言うか。……上手く話を聞き出せればいいんだけどな)
481 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 00:56:11.81 ID:4xE7fnwV0
すみません、本当に短いですけど今回はここまでです
どうにも時間がとれそうになくて……ごめんなさい、できれば明日、駄目なら明後日にでも書きます。
それでは、ありがとうございました


……そろそろ男のなんと言いますか、異常性と言いますかを書くことになるんでしょうか。と言うかそれが異常なのかも自分自身分かっていないという……ヤヴァイ、>>1無知すぎ笑えない
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/03/28(水) 01:01:18.74 ID:A/YaX4050
つ支援
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/28(水) 01:17:38.93 ID:A6499yrr0
なんつーか諦観してるというか、全て他人事というか…。
冷静過ぎて浮いてるというか。とにかく乙。
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国・四国) [sage saga]:2012/03/28(水) 01:38:33.38 ID:yBAB1RyAO
現時点で十分異常さは伝わってくるけどね。

家族殺されたのに人を殺した自分を肯定してるっぽいし。
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/28(水) 01:43:30.21 ID:zk8lL5oyo
おつ
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 08:51:26.36 ID:XzNlYNTFo
紫煙
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/03/28(水) 09:24:12.19 ID:al7Zhgda0
先輩の行動が「純粋なレイプ」と微妙に違うのがわからないんだろうな
記憶が強烈過ぎて
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/03/28(水) 15:21:41.25 ID:A/YaX4050
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/03/28(水) 15:21:41.41 ID:A/YaX4050
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/03/28(水) 16:24:59.96 ID:AYpkhJIZ0
保守いらんあげんな
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 16:37:32.59 ID:XzNlYNTFo
愛知やめろ
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 19:38:25.66 ID:FziRbLPDO

今年も春厨が湧く季節ですな
493 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 22:31:25.95 ID:4xE7fnwV0
書き始めます
494 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 22:47:55.37 ID:4xE7fnwV0
女「よっすリア充!」

男「よっす」

女「……なんかやけに素気ないなー。あれかな? 頭が彼女のことでいっぱいなのかなー?」

男「知ってたのか」

女「知ってるもなにも、今一番の話題になってるって。あのお嬢様が彼氏を作りました、しかもそれが冴えない生徒Aみたいな立場のやつに……ってね」

男「ああそう。……俺の言われ方って酷くない? 生徒Aってほとんどモブかよ」

女「それだけ嫉妬を買ってるんでしょ。なんせ相手があのお嬢様さんだからね」

男「…………」



男(そこまで、話題になるような子だったのか。一応頭では理解できても現実には、なぁ)

男(……ひょっとかして、そうやって特別視されるのが嫌だったのか。だから、あんなにまで普通を求めて……)

男(俺のことを、好きだと。正直あの子が可哀想だな、俺はあの子の事を普通の女の子として見てるんじゃなく、普通の女の子程度の価値しか感じられないからそうやって見ていただけだ)

男(……それが分かっていて、何故俺はお嬢様の告白を受け入れた? このままあの子の傍に居続けても傷つけるだけだと、どこかで分かっていたはずなのに)
495 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 22:59:55.78 ID:4xE7fnwV0
男「……笑えないな、本当」

女「はい? 男ー、どうしたのさー。何が笑えないんだよーぅ」

男「え? あ、いや。これからのことを考えると流石に怖いなって」

女「あー……確かに。今朝もその事で絡まれたらしいしね。C組のDQNだっけ?」

女「あいつ、彼女を数人遊びで掛け持ってるらしいよ。他にも体の関係だけなら五人以上。そんで更にお嬢様さんのことも狙ってたらしい」

男「で、その狙ってた矢先に俺が現れたと」

女「そ。で勝手にキレて男に喧嘩を売ったわけだけど、返り討ちにされて吠え面かいてるっていう」

男「へぇ」

男(今朝とった行動は間違ってなかったのかな。そんなやつがあの子に近づくのは俺としても許せない)

男(……許せない? 俺が? 何に?)

男(どうしてそこまで俺が考えている? 他人の事なんか全く知らない顔で生きてきた俺が、どうして今回に限って許せないと?)

男(駄目だ分からん、後回しにしよう)
496 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 23:19:40.52 ID:4xE7fnwV0
男「というかさ、なんでお前はそこまでDQNとかいうやつに詳しいんだよ」

女「え? それは……知ってるから知ってるんだよ」

男「理由にならないだろそれ」

女「ま、まぁまぁ。そんなことは置いといてだね。……私からも聞きたいことがあるのだよ」

男「は? 聞きたいこと?」

女「そう! アンタ等二人の関係がいつ始まったかを是非!」

男「今朝だけど」

女「そう! 今朝!」



女「……え、マジ? そんな最近に始まったの?」

男「ああ。本当に今朝だ」
497 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/28(水) 23:49:13.02 ID:4xE7fnwV0
女「なんだよー……お嬢様さんと付き合っているのをひた隠しにし続けて、それでやむを得なくなりばらしてしまったって言う展開を望んでたのによーぅ」

男「それは残念だったな」

女「なんか興醒めだなー……」

男「興醒め、ねえ。まぁあまり知りすぎるのもよくないから、それで正解なんだろ」

女「……まあそうかもね」

男「ああ」



女「……ねえ」

男「ん?」

女「例えばの話なんだけどさ。仮に付き合ってる男女がいたとするね」

男「おう」

女「それで恋人同士な訳だから、それなりのこと……するわけじゃない」

男「キスとかハグとかセック」

女「ストップ。それ以上は言わなくていい、分かったから!」

男「んー……了解。言っちゃ駄目なのな、そのセッ」

女「いい加減にしろよこの野郎」
498 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/29(木) 00:04:50.97 ID:ZMuBAZAe0
男「で、結局何が言いたいんだお前」

女「そのさ。……なんていうのかな、男は本当に好きな相手と……えっと、あの」

男「もうちょっと落ち着いて話せよ。別に聞いといてやるから」

女「……うん」

女「あのさ、男はもし相手……この場合お嬢様さんがいたとして、その人のことが本当に好きなら、そう軽々と体を求めたりって、する?」

男「しないよ馬鹿らしい」

男「本当に好きなんなら、俺は相手の方から申し出るのを待つけどね。その方がまぁ、相手のことを尊重してやれるというか」

男「自分の欲に相手を付き合わせたいとは思わない。だから相手が言ってくれるのを待つ。……俺ならそうするけどな」

女「…………」



男「……で、んなこと俺に聞いてどうするのさお前は」

女「え? あ、いやあ、あははは。参考までに聞かせてもらっただけだよ、HAHAHA」
499 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/29(木) 01:26:44.71 ID:ZMuBAZAe0
男「…………」ジトー

女「な、なにさその目は」

男「いや? 別に。ただ見ただけだ」

女「嘘だ! 絶対変な目で見てる! なんか馬鹿にされてる気がするんだけど!」

男「ギクッ」

女「あからさまな効果音たてやがったこいつ! 畜生、絶対に疑ってるよこの人!」

男「今更気づいたか」

女「……ああ、もういい。私帰る。ふて寝するぅ」

男「ん。じゃあな」







男(……さてと)
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/29(木) 07:44:19.57 ID:ZpeOxfUio
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/03/29(木) 07:59:02.15 ID:B/76QwTt0
つ支援
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 11:59:52.08 ID:GsgPPR3p0
寝落ちか?
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2012/03/29(木) 12:07:07.29 ID:BUUlkpWX0
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 18:31:36.65 ID:l1LExIkIO
女はウ○コを泣きながら食ってんだろ?
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 23:02:20.55 ID:qLY3Hecpo
支援
506 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/29(木) 23:13:09.05 ID:ZMuBAZAe0
書き始めます
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 23:14:48.65 ID:7dWyGrxio
よしきた
508 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/29(木) 23:39:30.96 ID:ZMuBAZAe0
男(……おかしいよな。何か、おかしいんだ)

男(今朝見たときからそうだ。レイプしようとしてたやつとされかけていた奴が仲良く歩いているはずがない)

男(そんで最後にはあの質問だぜ? はは、あんなことされてあの程度、しかも友人に気軽に話せるくらいのことでしかないってのか)



男(……そっか、認識が違うのか。あいつと俺では程度が違いすぎるんだ)

男(まぁそれもそうだろうな。俺は過去にあんなのに出会ってるわけだ。そりゃ多少のことでも過敏に反応するんだろう)

男(おまけに無罪で終わったけど殺人者な訳だ。そんなやつと普通の女子生徒やってる女の感覚が一緒のわけがない)

男(……そうだろう? ああ、そうであってくれ。あの二人が納得できる形ならば、俺がでしゃばるようなことでないのならそれで)
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/29(木) 23:43:17.75 ID:AroenAg6o
きたか
510 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/30(金) 00:14:05.59 ID:THofC3Ar0
男(ああ駄目だ。何を考えてたんだよ俺は)

男(俺の価値観が周囲の奴等と同じ? 馬鹿らしい、異常者の思考回路が誰と同じだって言うんだ)

男(……分かってるさ。いつでも畜生は自分自身だ。そんな奴が自分の考えを普通だって? 周りの人間と同じだって?)

男(笑えねえ。つまりはあの日の事を忘れようとしてるってことじゃねぇのか。だからこそ俺は自分を疑わなかった)

男(本当駄目だよ、本当に……)







男「……なんかもう、全て怠いな」

男(怠すぎて俺がなんのために生きてるのか、分からなくなってきた)


〜〜〜〜〜〜
511 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/30(金) 00:43:22.16 ID:THofC3Ar0
 ……さ……、……こ……ま……。



男「ん……?」

お嬢様「あ、お目覚めですか」

男「……お嬢様? なんでここに……」

男(というか俺は今まで何を……急に色々と面倒になって、適当に授業を聞き流してるうちに時間が流れて、確か最後の授業で急に眠気が襲ってきて……)

お嬢様「もう下校の時間ですよ。早くここから出ましょう」

男「……そうだな」
512 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/30(金) 01:06:49.22 ID:THofC3Ar0
お嬢様「外で待ってても一向に来そうになかったので、私の方から向かったんです」

男「そっか、悪いな」

お嬢様「いえ。私がしたいと思ったことですし、これくらいは当然ですよ」

男「……ああ。ありがとう」





男「…………」スタスタ

お嬢様「…………」スタスタ

お嬢様「あの、男様」

男「ん、どうした?」
513 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/30(金) 01:44:05.97 ID:THofC3Ar0
お嬢様「……どこか、体の調子でも悪いのですか?」

男「? いや、それはないけど」

お嬢様「で、でもっ。明らかに表情が沈んでます。やつれてると言いますか、なんといいますか……」

男「…………」

男(そう、なのか?)

お嬢様「もし、かして。今朝のことで男様に迷惑を……」アセアセ

男「いや、それは違うよ」

お嬢様「でもっ……」

男「……大丈夫。お嬢様のせいじゃないから。大丈夫」ナデ

お嬢様「あうぅ」
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/30(金) 04:03:42.96 ID:JxxufWv4o
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage saga]:2012/03/30(金) 04:49:49.78 ID:uFwiXl260
毎日更新したいのかそういう義務感みたいなのがあるのかは知らんけど
毎度毎度変なところで切れるなら、パート毎に書き溜めてから投下したらどうよ?
正直読んでてまだかまだかともやもやしちゃう。今の更新ペースなら週一くらいで十分いけると思うけども。
まあ>>1の書きたいように書いてくれていいから、参考程度に。
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 05:58:04.48 ID:ZemPL6jso
おそらくだけど毎日更新の方が続け易いからじゃないかな
お疲れ様
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/30(金) 06:25:46.29 ID:TYPdrGBzo
俺はちょこちょこ投下される方が好きだけどなー
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 06:46:18.70 ID:+Z3lIdCDO
お嬢様を抱きしめたい
おっきしちゃうと思うがww
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 12:16:02.32 ID:/rOuIlwDO
なら俺を抱きしめて萎えるがいい
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage ]:2012/03/30(金) 14:33:39.10 ID:0BAFiYiMo
>>519
なら遠慮なく♂
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/30(金) 20:15:05.50 ID:LW+ZgX+AO
アッー!

追い付いちゃった('・ω・`)
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 23:14:54.40 ID:4is0Y+9Co
追いついてしまったでござる
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/30(金) 23:40:40.59 ID:3kvs53JX0
追いついちゃたお)^o^(

524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 23:41:03.87 ID:OJHcOwcwo
お前ら追いつきすぎだろ
525 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 00:30:51.02 ID:2SzDb28E0
男(本当、可愛いというか)

男「…………」ナデナデ

お嬢様「……あ、あの。うぅ……」



男「……はは」

お嬢様「な、何がおかしいんですか」

男「いや? なんかさ……うん、言ってもいいのか分からないけど」

お嬢様「言ってください。もやもやします、そういうの」

男「えー、いいの?」

お嬢様「いいんです!」

男「んじゃまあ、今すぐ抱き付きたい位可愛いなと。愛らしいって言うの?」

お嬢様「え……あ……それは……」

お嬢様「……ぅ、……うう。聞かなきゃ良かった……いや、でも嬉しいし……あぅうう」///



男「……不意打ち」スッ

お嬢様「ひゃあっ!?」
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 00:41:37.30 ID:rNG+psGXo
俺「爆発しろ」
527 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 00:45:59.88 ID:2SzDb28E0
男「おおう、脇腹が弱いと」

お嬢様「いっ、いきなり何するんですってゃあんっ!」

男「首もとも弱し」

お嬢様「ふ、ふえぇっ。男様、もうご勘弁をぉ」

男「え? あ、ああ。うん……と」

男(やべぇ、なんだろこれ。やけに楽しいんだけどもこの子いじるの。顔赤らめてこっちをジト目で睨み付ける視線とかなんかそそられる)

男(そして何より反応も……わーい、これ以上は駄目だと頭では考えてても、体が勝手にー)

男「わきっ」

お嬢様「にゃああ!?」///

男「うわぁお」
528 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 00:57:44.46 ID:2SzDb28E0
男「くすぐりに弱いのな、本当」

お嬢様「……ぁ、はぁ……はあ。男様、いきなりなんなんですかもう……」

男「えー……っと、お戯れ」

お嬢様「お戯れって……」

男「うん。面白かったよ」



お嬢様「……ばか」

男「ん? 馬鹿? 馬鹿って? いやーそんな悪口言っちゃいけないなーHAHAHA」

お嬢様「え? いや待ってください、何を……」

男「決まってるじゃない、くすぐり続行ですよー」

お嬢様「……え!?」

男「それでは悶え苦しめー」

お嬢様「ま、ままま待って、本当に待ってください! そんな急に触られてもってひゃ!?」

男「二ヶ所同時攻撃ー」


〜〜〜〜〜〜
529 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 01:30:12.09 ID:2SzDb28E0
お嬢様「…………」

男「……あのー、お嬢様さーん」

お嬢様「…………」プイッ

男「あらら……」

男(結構怒ってるな、やり過ぎた)

お嬢様「……ばーか、男様のばーか」

男「悪い、ついついやり過ぎた」

お嬢様「…………」

男「ごめん、本当にごめん」
530 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 01:54:05.73 ID:2SzDb28E0
お嬢様「……さっき」

男「さっき? さっきがどうしたんだ?」

お嬢様「私のこと、『お嬢様さん』って。そうやって呼びましたよね」

男「あ、ああ。まあそうだけど」

お嬢様「あれ、やめてください」

男「……え? どういう」

お嬢様「だから。……私のこと、さんとかそうやってつけて呼ばないでください」

男「……まあ、分かったけど。なんでだ?」

お嬢様「…………」

男「おーい、お嬢様ー?」
531 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 02:02:51.37 ID:2SzDb28E0
お嬢様「……何故か、寂しくなるんです」

お嬢様「『さん』ってつけられると、どうにも距離感を感じてしまうんです。せっかく今の関係になれたのに、そうやってつけられると間が開かれてしまったような気がして」

男「…………」

お嬢様「私のこと、呼び捨てで呼んでくれる人なんてとても少ないんです。それこそ片手で数えられるくらい……」

お嬢様「だから、その呼び捨てで呼んでくれる男様には……」

男「……そっか。ごめんな」

お嬢様「分かればいいんですっ。それでどうするのですか? いった通りにしないと許しませんよ」

男「ああ、分かってるよ『お嬢様』」

お嬢様「……はい、許してあげます」
532 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 02:32:38.43 ID:2SzDb28E0
男「おう、ありがと」





お嬢様「…………」

男「…………」

男(会話が、なくなったと言うか、うーん)

お嬢様「……ねえ、男様」

男「どうした?」

お嬢様「手、繋ぎましょう」

男「手か。いいよ」

男「ほら」サッ

お嬢様「……んっ」ギュ

男「……なんかさ」

お嬢様「なんですか?」

男「正直俺達、バカップルに見られてそうだよな」

お嬢様「……? そうなんでしょうか?」
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 07:02:15.09 ID:MQhMU0yDO
面白いから続けやがれ下さい
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/03/31(土) 08:05:55.94 ID:GlV/DUlH0
ずっと見てますの
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/03/31(土) 14:55:31.40 ID:LrT+0gBAO
なんかクロスチャンネル(だったかな?)の主人公思い出した、あっちはもっと壊れてたけどさ
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/03/31(土) 15:56:14.79 ID:N7GqejoQo
せめて中断する時は何か宣言してくれ
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/31(土) 18:26:51.85 ID:t+Y+oLvmo
お嬢ぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお
538 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 20:49:53.49 ID:2SzDb28E0
ハハッ、三回連続で寝落ちって
すみません、書き始めます
539 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 20:55:35.93 ID:2SzDb28E0
男「うん。相当」

お嬢様「ですけどいいんじゃないでしょうか?」

男「何故に?」

お嬢様「それだけ仲良く見えるってことじゃないですか」

男「…………」

男「……そうだな。まぁ気づいたけど周囲に誰かいるわけでもなし、このままでもいいかな」

お嬢様「はいっ。……あ、でもくすぐるのはやめてくださいよ?」

男「はいはい、多分分かったから」

お嬢様「多分ってなんですか……」

男「こういうことー」サワッ

お嬢様「みにゃっ!?」
540 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 21:14:28.40 ID:2SzDb28E0





男「なあ、お嬢様」

お嬢様「……? どうしました?」

男「えっと……あ、例え話だからな? 決して本気にはするなよ」

男「……それでさ。我ながら愚かと言うかくだらないというか、とにかくそんな質問なんだけどさ。もし俺が……っと……」

お嬢様「男様。ゆっくりでいいですよ」

男「悪い。……えっとさ、俺がもし、今ここでお前を……まあ、抱きたいとか言ったらどうするよ。性的な意味を持つ方の」

お嬢様「……ふえ?」

お嬢様「ちょ、男様! 何を言って……!」///

男「ごめん、こんなこと聞くの変態ぐらいしかいないと思うけど、どうしても聞いておきたいんだよね」

男「まあ……こっちも色々と事情はあるんだけど、まあ今はただの興味本意ってことにしておいて。誤解を生むだろうけど、一先ずはそれでいいから。参考までにちょっと」

お嬢様「…………」
541 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 21:29:18.81 ID:2SzDb28E0
お嬢様「……正直に、言いますよ?」

男「オーケイ何でも言ってくれ。そっちの方が良い。あ、あと返答次第で俺がなにかするとかそう言うのはないからな? あくまでこれは質問だから」

お嬢様「…………」

お嬢様「別に私は大丈夫です。分かりましたって言うと思います」

男「……そう、なんだ」

お嬢様「勘違いはしないでくださいね? 私は貴方様のものになれるのだったら許すって言っているだけで、他の男に言われても絶対にするつもりはないですよ。手すら握らせてやるものですか」

お嬢様「……そのくらい、男様のことを好き、愛してるってことです。この身を捧げる日が少しばかり早くなっただけですもの」

男「…………」

男(付き合い始めて、まだ一日と経たない俺にこうも……)



お嬢様「……でも、内心そのようなことはもうちょっと付き合いを経てからと方がいいです」

お嬢様「もう少し私のことを知ってもらってからじゃないと……なんだか、体目当てのように聞こえるじゃないですか」

お嬢様「だから私自身の気持ちとして……嫌だと、答えるべきなのでしょうね」

男「……そっか。そうだよな」
542 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 22:07:48.24 ID:2SzDb28E0
男(あのときのあいつも、今目の前にいるこの子と同じ考えだったのかもしれない)

男(本心では望んでいない。でもそうしなければ目の前の彼は離れてしまう。だから……)

男(本当に馬鹿らしい、くだらない、愚かだとは思うけど、人間誰かの支えなしでは生きていけないんだ。だから多少の犠牲を払ってでも関係を繋ぎ止めておきたい)

男(例えるのなら、オンラインゲーム中毒者にも似たようなものがあるのかな。プレイヤーはその画面の中の仮想空間の中にて構築された世界に異常なまでに執着し、離れようとはしない)

男(思うに、現実で恵まれなかったから、その手に入れた偽りの世界に没頭し、現実の自分をを殺してまでその世界にのめり込んでしまうんだろう)

男(それと同じだ。本来なら切り捨てていいはずの男にすがってしまうのはそういうこと。悪いと何処かで分かっていても、それを断ち切れずずるずると引きずってしまうのが人間だ)

男(……女も、そんな人間の一人だったのか)
543 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 22:13:37.45 ID:2SzDb28E0
男(断言はできない。ただ、そんな可能性が存在していると言うことだけ)

男(でももし……その可能性にあいつが当てはまってしまっているのなら、俺は絶対に食い止めてやらなきゃならない)

男(それが友人としての役目。そして……)





男(……あの二人を殺した、罰ってか?)

男(は、ははは。なあんだ。結局俺もくだらない人間っていうやつの一人なんだよな)

男(皆俺にこう言うんだ。『お前は悪くない』『仕方がない』ってね。本当そうなんだと思うよ、本当に。うん、頭では理解できてるんだ)

男(……頭、ではな)
544 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 22:29:48.14 ID:2SzDb28E0
男(忘れようと思っただけで吐きそうになる。それを堪えても今度は頭がかし割れそうになる)

男(……どうしようもないんだ。俺に罪が無くとも、生きる権利が与えられようとも。この記憶を忘れて明日を生きていけるほど、俺は強くない)

男(心臓を抉られたような感覚に襲われる。頸動脈を切り裂かれたような感覚に陥る。脳ミソ握り潰されたような感覚に沈む)

男(多分、そんな感覚。実際に体験したことはないけど、おそらくは)



男(……いや、もうやめにしようか。忘れようとは思わない。ただ考えるのをやめて、今の現実に目を向けるだけ)

男(それでいい。そうすれば生きていける。そう、そうなんだ……)


545 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 22:32:27.63 ID:2SzDb28E0











お嬢様「ところで男様、場所はどこにします?」

男「…………」

男「……は? 場所?」
546 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 22:49:22.54 ID:2SzDb28E0
お嬢様「私個人としては室内で事を済ませたいのですが……」

男「」

男(……えー?)

男(ちょっと待って、室内で……事? 事ってなに? どういう意味が込められてるのそれ?)

男「いや、えー……」

お嬢様「……! ま、まさか外ですか? は、初めてなのにいきなりハードです……」

男「ちょまっ、え、なんなのこれ、話が全く掴めないんだけど」

お嬢様「……あ、男様。その前に薬局行ってきても宜しいでしょうか? その、流石にこの歳でっていうのは……」

男「…………」

男「……分かった。大体話は分かった。お前がとんでもない勘違いをしてるのも分かった。んでその原因が俺にあるのも分かった」
547 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 23:03:18.19 ID:2SzDb28E0
お嬢様「え? どういうことでしょうか?」

男「一つ。さっきの話に特別な意味はありません。本当ただのお話です」

お嬢様「…………」

男「二つ。そもそも俺は付き合って一日も経たぬうちにしたいだなんて思うほど飢えてはいません」

お嬢様「……そう、なんですか?」

男「三つ」



男「……ごめんな。怖がらせた」

お嬢様「え……?」
548 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 23:41:27.51 ID:2SzDb28E0
男「多分お前の目には、俺がまあ……ヤリたいとか思ってる人間に見えてたんだろ?」

お嬢様「っ、それは……」

男「……んで、お前の嫌いな人間っていうのは、お前のことをうわべだけで判断するようなやつ、って訳だ」

男「それと今のを照らし合わせると……あら不思議、お前が信頼し告白した男は結局のところ、うわべだけでお前のことを判断するような野郎だったと」

お嬢様「……っ」

男「……あれだよ。家族でも恋人でもなんでもいい。とにかくそういう大切な人が自分を裏切ったり、目の前から消えていったりするのは怖いよな。辛いよな」

男「たとえ勘違いだったとしても、そう思わせたのは俺だ。……だからごめん。本当にごめん。お前にあんなことを言わせたんだ」

お嬢様「お、男様。あんまりお気になさらないでください。ただの私の勘違いでもあるのですから」

男「……うん。あとこれだけははっきりさせておこうか」
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/03/31(土) 23:53:40.19 ID:SFXdGKsm0
日本に執事とかメイドを雇っているお嬢様とかいるのかな…

そもそも、お嬢様自体いるのかな…
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/03/31(土) 23:58:07.51 ID:JMowTFnNo
普通にいるよ
551 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/03/31(土) 23:58:24.45 ID:2SzDb28E0
男「俺はさ、もうそうなることが確定しているようなもんだけども、まだお前に返事は返してないわけだ」

お嬢様「そう、でしたね」

男「だからこうしよう。俺はちゃんと自分のことをなんとかして、そして返事を返すまで、お前とは……あれだ、肉体関係を結ぶつもりはあーりません」

男「もしするんならその後で。勿論それもお前の気持ちとか優先するから安心してくれ」

お嬢様「は、はい」

男「んで、更にその後……は……」

男「……どうしよう。こればかりはお前の意思がどうとか聞かないと出せそうにないんだ」

お嬢様「それって……どういうものですか?」

男「いやー、考えてる自分自身こっ恥ずかしいんだけどさ」

男「……そのな。そこまでした訳なんだし、えーと……あんまり軽い男として見られたくないし。責任とるって言っている訳なんだし」

男「あ、俺自身嫌々言ってる訳じゃないからな? ……あくまで、そうなればいいなと考えているってだけなんだけどさ。断ってくれてもいい」

お嬢様「……え、まさか、あのっ」

男「うん」











男「結婚、してくれませんか?」

お嬢様「はい! 是非!」







お嬢様「……え? 本当にですか?」

男「お、おう。本当のつもり」
552 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 00:13:00.60 ID:XGAt3MXh0
お嬢様「あ、あわわわわわわわ」

男「本来こういうことはちゃんと付き合って、大学とか行って就職して、金とかしっかり貯めてからそこで初めて考えるべきことだっていうのは俺にも分かってる」

男「……でもさ、悪く言うようだけどお前は俺に依存しているようにも思えるんだよ。ほら、現に俺以外の異性は恋愛対象どころか人間ですらないとかいう視線を投げかけてるような気がするんだよ」

お嬢様「そ、そこまで酷くは……」

男「まあ、ないかもな。でも実際恋愛対象には入っていないだろう?」

お嬢様「……そう、ですね」

男「ああ。……一つ聞くぞ。もしお前は俺と別れたとして、その後誰かを好きになれたりするか?」

お嬢様「ないと思います」

男「……おう、断言しやがった。まあ、そんだけ言えるほどにお前は自覚しているわけだ」
553 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 00:33:54.64 ID:XGAt3MXh0
男「多分、俺が今ここでこんな話を出さなくとも、付き合い始めた俺たちはそれなりにうまくいって、そのうち結婚とかを考え出すんだろう」

男「……そこでだ。もしその話が出たとして、どちらかがそれを拒絶……いいや、この際だから限定しちまおう。俺が結婚をしないって言い出したらお前はどうする?」

お嬢様「そ、れは」

男「お前は優しすぎるから。多分どんなに自分勝手な理由だろうと、俺の意見を尊重して身を引いてくれるんだろう」

男「そして先程お嬢様が言った通りだ。ちょっと自信過剰過ぎるけど、別れた後でも俺のことを忘れられずに新しい恋愛をすることができない……」

男「それが、俺たちがこのまはうまくいって、結婚を考えたときに起こりうる可能性の一つだ。もしかしたら俺とお前の立場が逆になるかもしれない」

お嬢様「…………」

男「思うんだよ。人間はいつかは必ず他人と道を違えるものだって。どんなに一緒にいても、最期には死ぬということによって必ず引き剥がされる」

男「……そして、その終わり方にも色々存在しててさ。悲しかったり嬉しかったり、はたまた恋しかったりしてさ」

お嬢様「男、様……」

男「……お前には、その悲しい別れというものを味わってほしくない。どうせ別れるのなら、まだ浅い今か、深く結び付いた先に待つ『死』という別れをどちらかが見つめ、そして会えてよかったと言葉を交わすその時か」

男「そこまで考えないと、俺は自分自身がお前の隣にいることが許せなくなるんだ。中途半端なままで相手を傷つけるなんて、それこそ自分で自分を殺したくなる」
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 00:48:04.86 ID:+n4CC+RVo
深いな
555 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 00:50:14.89 ID:XGAt3MXh0
男「……選んでくれ、どれか好きな選択肢を」

男「お前と添い遂げるのもいい。おそらくそれはお前にとっても俺にとっても最高のハッピーエンドなんだろう。俺もお前と一緒にいたいって思うんだ」

男「それとも逆にここで終わらせてもいい。お前が悲しむのは、多分今の俺の中で一番堪えるようなことだから」



お嬢様「…………」

お嬢様「男様、目を閉じてください」

男「……ああ」





お嬢様「んっ……」チュッ

男「…………」



お嬢様「これが、私の答えです」

お嬢様「私の世界にはもう、貴方が必要不可欠なんです。断言しましょう」

お嬢様「貴方がいなければ、今頃私はどうなっていたかも分かりません。性根が腐り果てていたかもしれません」

お嬢様「貴方は、男様は私に意味をくれたんです。ここに私が存在する意味を今も、昔も、そして……」

お嬢様「……男様」
556 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 00:59:13.26 ID:XGAt3MXh0
お嬢様「これからも……私に意味を与えてくださいませんか」

お嬢様「明日も、明後日も、来週も、来月も。来年も、そして春夏秋冬四六時中、いつもいつも……」

お嬢様「傍に居てくださるだけでいいんです。それだけでいいですからずっと、ずっと……」

男「…………」グイッ

お嬢様「きゃ……」

ギュッ

男「……分かった、傍にいる。ずっと傍にいてやる。だから……もう一度」

お嬢様「…………」コクリ




















男「結婚、してくれませんか」






〜〜〜〜〜〜
557 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 01:09:35.58 ID:XGAt3MXh0
はい、今回は随分キリのいいところまでいけたんじゃないのかと思います。
あくまで女編だからねこれ!

……という訳で、次回からについての警告と言いますかなんといいますか、とにかくそういったものをさせていただきたいと思います。


まず第一に、この女編これから鬱の要素が思いっきり顔を見せてくるだろうと思います。先の友・幼編よりも更にです。
自分自身どうしてこうなったと思わざるを得ない位ですね。当初の予定と違うんですもん。まあ、敢えてどういうものかは書きませんが。
と言うわけでそういったものが苦手な方はご注意お願いします。

さて、そんなところにして今回はここまでということにします。
それでは見てくださった方々、ありがとうございました。
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 01:16:44.20 ID:+n4CC+RVo
・・・という嘘なんだろ?今日エイプリルフールだし。

乙超。
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 01:24:30.16 ID:ez5Z65FTo
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/01(日) 01:25:07.95 ID:6xyctRpDO
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 01:39:48.20 ID:N3fh/jPIO
女編であって男×女のの女√ってわけじゃないんだよね?
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/01(日) 01:46:27.67 ID:VRFhmvfJ0
こりゃあ女自殺あるで。
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage ]:2012/04/01(日) 01:50:46.29 ID:ECzrzEiFo
えんだああああああああああああああ
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 03:13:28.99 ID:cE04g7RUo
どうしてこうなったって、自分でそうしてるだけじゃんと普通にツッコんでみる
おつ
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/01(日) 09:16:15.79 ID:hR+O/jDzo

男とお嬢様は幸せになるんだよね?
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 09:41:06.22 ID:YCpitRbDO
見たいような見たくないような…
ま、見るけどな(ドヤァ
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/01(日) 13:13:37.91 ID:s33x6j1IO
女がDQNと付き合ってるって本当ですか?幻滅しました。お嬢様ファンになります。
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/01(日) 13:33:08.81 ID:wSrs6Asoo

お嬢様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
569 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 22:47:09.39 ID:XGAt3MXh0
多分、少しだけ書きます
570 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 23:11:29.37 ID:XGAt3MXh0




男「よーっす、元気にしてるかー。こっちは相変わらずだぞー」

男「まぁ、んなこと分からないけどな。顔も見えやしないし、正直まだ見たくもないし。怖いから」

男「……でもさ、ちょっとぐらい出てきてくれてもいいんだぞ? その方が、まあ嬉しいからさ。泣いて喜んでやる」

男「そう言えば俺、今日一日で彼女……といってもまだだけどほとんどできてるようなものだし、とある約束までしちゃったぜ。それが何かは後々のお楽しみとして、いいよな?」

男「……あ、一応言っておくとそのこ凄い美人と言うか可愛い子でさ。本当俺なんかにゃ勿体ないくらいなんだよ。確か校内トップレベル……とか言われてた気がする。うろ覚えなのはあんまり興味なかったんからなんだよ、俺」

男「んで、あんたら二人に負けず劣らずの美少女でね。お蔭で学校では嫉妬とかの視線をぶつけられてばかりだった」





男「……なあ、聞こえてるか。俺はまともに生きてるよ。普通に飯食って、寝て、学校行って、遊んで……いや、遊んでってのは最近ないかな。俺が我が儘言って親友を二人なくしたことだし」

男「うん。それでも後悔は……あんまりしていない。あのままあいつら幼と友を苦しませるくらいなら、きれいさっぱり縁を切った方がって」
571 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 23:22:50.84 ID:XGAt3MXh0
男「暗いのは置いておいてさ。その彼女……お嬢様っていう子のおかげで真っ当な人生は送れそうなんだ。もう、死にたいなんて考えたりしない……って……」



男「……なあ母さん、妹。あの時俺が遊びに行かず家に残ってたら、二人は今も生きているのかな」

男「分からないんだ。どうにかなったかもしれないって可能性が残ってる以上、それについて考えすぎちまう」

男「考えて、考えて考えて考えて……残るのは後悔だ。こいつだけはどうしようもない。夜な夜な俺の頭を埋め尽くして、髄まで喰らおうとしてくるような、そんな感覚に襲われる」

男「だから……どうしようもなかった、で諦めてもいいのかな。あの日は」

男「…………」
572 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 23:33:36.21 ID:XGAt3MXh0
男「ははは、どうしても暗い話になるな。悪い、今日はもう帰ることにするわ。色々とやらなきゃいけないことがあるから」

男「……父さんのことも心配しないでくれ。あの人は悪くないんだ。絶対に悪くない。ああなっちまったのは俺の責任でもある」

男「俺は今まで父さんのことを憎いだなんて思ったことなんてないから。大丈夫、これからもずっと。それこそ最後まで、最期までね」

男「本当に、帰るぜ。それじゃあまた。今度はもう少し明るい報告ができるよう頑張ってみるから」


男「……じゃあね、母さん、妹」







〜〜〜〜〜〜
573 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/01(日) 23:41:51.41 ID:XGAt3MXh0
〜〜〜〜〜〜


メイド「……以上で、全てとなります」

執事「…………」

執事「……お嬢様に伝えましょう。こればかりは私の判断で動けるようなものではありません」

メイド「そう、ですね……」

執事「メイドさん。気に病む必要はありませんよ。あくまでも私たちは調べただけ。事に直接干渉したわけではありません」

メイド「はい、分かっています。分かっては、いるのです」

メイド「ですが……これは、私たちが触れてはならないものだったんじゃないかと思うのです。あまりにも、この記録は……」

執事「……メイドさん」
574 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/02(月) 00:52:42.34 ID:NFajxHSK0
メイド「……あんまりへこたれていても仕方ありませんよね。気を取り直して館内の掃除にでも励んできます」

執事「……分かりました」



執事「さて……」

執事(メイドさんから伝えられた情報……それは先程彼女が言っていた通り、俺達が触れるべきものではなかったのだろう)

執事(しかし、同時に思ったことがある。……これだけはお嬢様に伝えなければならない、と)

執事(だが、これを伝えたとしてお嬢様はどう動くのだろうか。男様に自分の行ったことを知られたくない今、迂闊に情報を頼りに行動は起こせないのだろう。同じこの件に関して調べを続けている男様に感づかれてしまうかもしれない)

執事(となると、動かされるのは必然的に俺たち……)

執事「……待て。そもそもお嬢様が何か行動を起こすと決まったわけではないじゃないか」

執事(そうだ。この事をお嬢様が知っても、なにもしないという可能性の方が圧倒的に比率は高いはずだ)
575 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/02(月) 01:18:37.61 ID:NFajxHSK0
執事(これは、確実に男様の心を抉りとる)

執事(そんなことが分かっていてもなお、お嬢様は彼にこれを伝えるのだろうか? 男様を傷つけるこれを?)

執事(……ないだろうな。彼が苦しむことはお嬢様にとっても相当な苦痛となるはずだ。それほどまでに想い、慕っているのだから)

執事「……ふむ」

執事(とりあえずお嬢様が帰ってこられるまで通常通り業務を果たそう。ここで何もせず呆然と立ち尽くしても得られるものなんて何もない。こうしているうちに屋敷のどこかで埃は溜まっていく)

執事(気を取り直そう。ああ、平常なままでいよう)



〜〜〜〜〜〜
576 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/02(月) 01:31:47.28 ID:NFajxHSK0
すいません、短くなってしまいましたが今回はここまでです
そ!ではみなさん、ありがとうございました
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 01:40:41.48 ID:k1+0ulYEo
夜にこれはキツい
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 01:41:08.99 ID:k1+0ulYEo
言い忘れた>>1乙超
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 07:11:19.85 ID:U/AiWc3Ko
寝起きにもキツいけど
>>1乙超
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県) [sage]:2012/04/02(月) 16:52:45.34 ID:I0uYbuIL0
>>1 乙
581 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/02(月) 20:53:09.42 ID:NFajxHSK0
書き始めます
582 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/02(月) 21:05:32.27 ID:NFajxHSK0
執事「お帰りなさいませ、お嬢様」

お嬢様「ええ、執事。今日もご苦労様」

執事「……? 今日は随分と機嫌がよさそうですね。なにかいいことでも?」

お嬢様「そうかしら。……実は今日ね」

執事「はい?」


〜〜〜〜


執事「……左様に御座いますか」

執事(よし、これであの変な格好をさせられずに済む)

お嬢様「そうなのよ! ……うん。これで男様と……」

執事(うわあ、すっげえ惚気てやがる。まあ一日で付き合うどころかプロポーズというか結婚の約束だもんなぁ……いくらなんでも急すぎると思う)

執事(まあ、別にいいか……)
583 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/02(月) 21:20:57.02 ID:NFajxHSK0
執事「……お嬢様」

お嬢様「ん? なにかしら執事」

執事「少しばかり話さなければならないことがありまして……長くなりますので場所を変えたいと思うのですが」

お嬢様「話さなければならない……とりあえず分かったわ。ひとまず客間でもいいかしら」

執事「はい。ありがとうございます」

お嬢様「ん。……で、その内容は一体なんなのかしら?」

執事「はい。女、というお嬢様と同じ学年の女子生徒のことについてでございます」

お嬢様「……! 分かったわ、ありがとう。すぐにでも聞くわ、その話」
584 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/03(火) 04:36:37.94 ID:sWflgJvX0
客間

お嬢様「場所はここでいいかしら」

執事「大丈夫です」

お嬢様「うん。……長話なのでしょう? 貴方も座りなさいな。長時間立ちっぱなしというのも辛いでしょう」

執事「お心遣い感謝いたします。それでは遠慮なく」



お嬢様「さて、先程のことについてだけど」

執事「分かっております。では順を追って話すことにしましょうか」
585 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/03(火) 05:26:11.85 ID:sWflgJvX0
執事「昨日お嬢様から話を聞いた後、私はとある情報を求めて行動を開始しました」

お嬢様「それが女さんについて、ということよね」

執事「その通りにございます。調査を始めた当初は、かなりの時間を有してやっと答えに辿り着けるものだと思っていました」

お嬢様「いました? 過去形ということはつまり」

執事「……あっさりと分かってしまったのですよ。メイドさんにも協力を頼んでいたとはいえ、こうも容易くそれが手に入るとは思ってもいませんでした」

お嬢様「…………」

執事「続けます。……次に女さんの過去、経歴についてですね」
586 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/03(火) 05:44:15.20 ID:sWflgJvX0
執事「女。一般的な家庭に生まれ、母、父と三人の家族であり、所謂一人っ子でした」

執事「性格は明るく人当たりもいい。特に誰かから嫌われることもなく、広い交友関係を持っていたそうです。男性の中では男様と特に仲が良かったとも」

執事「一時期付き合っているのではないかという噂も流れていましたが、それも時間が経つにつれて薄れていったようです」

お嬢様「…………」ムスッ

執事「小学校、中学校共に問題を起こすわけでもなく、友人と笑顔で談笑する姿が見られていたそうです。部活にも所属し、充実した毎日を送っていたとか」

執事「そして一番伝えなければならないであろう現在、高校に入学してからです」

執事「……お嬢様。これから話すことは、何の紛いもない事実と言うことを心に留めておいてください」

お嬢様「そんなにも内容が現実離れしているとでも?」
587 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/03(火) 06:04:56.26 ID:sWflgJvX0
執事「……一ヶ月前のことです」

執事「女さんは酷い熱を出し自宅で寝込んでいたそうです。その時に五日ほど学校を休んでいると記録されていました」

お嬢様「……その時になにかあったと言うのかしら」

執事「その通りにございます。それを人目見たとき、思わず目を疑ってしまうようなことが」

執事「……偶然にも、お嬢様に近い人物に同じようなことを体験した人物がいますね」

お嬢様「私に近い……」

執事「それは置いておきましょう。話を続けます」

執事「その高熱を出した際、ちょうど家にいた母親に風邪薬を買ってきてほしいとのことを伝え、それを了承したそうです」

執事「ついでに買い物も済ませることにし、その時休日で家にいた父親もついていくこととなりました」

執事「……その後のことです」
588 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/03(火) 06:36:00.05 ID:sWflgJvX0
執事「死んだのです」

お嬢様「……え?」

執事「……唐突過ぎましたね。申し訳ございません」

執事「死んでしまったのですよ。女さんのご両親は」

お嬢様「っ……どうして? どうして死ななければならなかったのよ」

執事「調べた限りでは事故死でした。大型トラックの運転ミスによってご両親の乗った小型車は押し潰されてしまい、即死だったようです」

執事「ちょうど買い物を終えて自宅へと帰っていたときのことです。事故の現場には無惨にも撒き散らされた野菜、スポーツドリンク、風薬等々、その上には細切れとなった……」

お嬢様「…………」

執事「……二人の、血肉が」

お嬢様「っ!」
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 06:51:41.33 ID:bpm//xSDO
ふむふむ
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/03(火) 12:19:06.30 ID:Xnd6ByTmo
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 13:50:38.37 ID:M2cyNcado
おつ
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/03(火) 14:24:17.53 ID:IqBCCTo0o
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) :2012/04/03(火) 22:19:04.09 ID:6QEEd8j50
続きが気になる
594 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/03(火) 23:57:47.62 ID:sWflgJvX0
書き始めます
595 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 00:10:11.63 ID:NoU9PkmY0
お嬢様「その後はどうなったのよ」

執事「はい。女さんはその事に酷く錯乱なされたようです」

執事「私が殺した、私があんなことを言わなければ二人は死ななかった……確かに両親が事故に遭ったのは彼女が風邪薬を頼んだからではありますが、だからと言って罪が女さんにあるなんてことは微塵にもありません」

執事「多分その事を自分自身でも分かっていたのでしょう。ですがそれでも彼女は自分を攻め続けた」

執事「一種のマゾヒズムでしょう。自分自身を責め、傷付けることによってありもしない罪を認識し、その償いにて今日を生きる糧とする」

執事「悲しいものですね。残された人々はそうやって悲しみを乗り越えなくてはならないのでしょうか」

お嬢様「…………」

お嬢様(確かに、同じね。本当にあの人と……)

お嬢様(男様と、同じ)
596 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 00:28:24.83 ID:NoU9PkmY0
お嬢様(記録上の四年前。男様は家族を殺され、鉢合わせとなったその犯人を殺して生き残った)

お嬢様(男様は母親と妹さんが殺されてしまったのを二人を置いて遊びに行った自分のせいだと、そう思い込んだ)

お嬢様(女さんもそう。事故の原因は自分にあるとして責め続ける)

お嬢様(……どうして。どうしてなんの罪もない人が苦しみ、死ななければならないのかしら)

お嬢様(きっと答えは出ない。運が悪かったと簡単に切り捨てるしかどうしようもない)

お嬢様(……傍に、いなきゃ。そんな今まで辛い思いをしてきた男様を支えなきゃ……)

お嬢様「その後はどうなったのかしら執事」

執事「…………」

お嬢様「執事、どうしたのよ」

執事「……失礼いたしました。いえ、あまりにも事が不可解だったもので」

お嬢様「不可解? どこが不可解だと言うの?」

執事「……女さんが事故で両親を亡くしたその後のことです」
597 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 01:51:15.71 ID:NoU9PkmY0
執事「……早すぎるのです」

お嬢様「早……すぎる?」

執事「ええ、早すぎます。いくらなんでもたった一ヶ月程度でその心の傷が癒えるとは到底思えないのですよ」

お嬢様「…………」

お嬢様(確かにそう。ご両親を亡くし、それを自らのせいだと後悔を重ねていた人物がそんな一ヶ月程度……いや、もしかしたらそれ以下の短い期間で立ち直ることなどできるなんて、私には考えられない)

お嬢様(……男様を見る限りはそう。彼は今も苦しみ続け、過去の記憶に囚われている)

お嬢様(では、何故女さんはこうも早く? 何があってこうまでも……傷を塞ぐような何かが……荒んだ心を元へ戻すような支えが……)



お嬢様(……支え、が?)









お嬢様「っ! ……執事」

執事「はい、なんでしょうか」
598 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 02:20:54.39 ID:NoU9PkmY0
お嬢様「ただの推測にすぎないわよ? 間違っているかもしれない。くだらないことかもしれないけど、それでも聞いてくれるかしら」

執事「仰せのままに」

お嬢様「……うん、ありがとう」

お嬢様「あ。ここまで言ってしまってなんだけどその前に確認したいことがあるの」

執事「確認ですか。一体なんでしょう」

お嬢様「執事、貴方はその女さんが異常なまでの早さで立ち直った一ヶ月について、なにか調べてはいるかしら?」

執事「はい。ですがそこまでの情報は得られませんでしたが……」

お嬢様「それでもいいわ。……ねえ、その期間中、女さんは誰か男性と一緒にいた、という情報はないかしら」

執事「男性……、ありました。ほんの僅かばかりでしたが、目撃したとメイドさんの情報から」

お嬢様「……そう。で、その男性とは……まぁ、先輩という方よね?」

執事「ご推察通りにございます。情報の限りでは、女さんがその先輩に似たといいますか、先輩らしき人物と二人っきりで話していたと」

お嬢様(……やっぱり)
599 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 02:50:29.06 ID:NoU9PkmY0
お嬢様「おそらくその先輩と言う人は、傷ついた女さんに付け入って、交際までにこじつけたのでしょう」

執事「……交際をですか。機会があったとはいえ、そこまでうまく事が回せるものでしょうか? 人の心はそうも簡単には……」

お嬢様「できる、回せるのよ。私自身何度もそういう人を見てきたわ」

お嬢様「……所詮人間なんて見た目さえよければ何かと上手くいくものなの。それだけでもプラスに見られて、更に状況をうまく判断する脳、あと舌が回れば大体手に入るわ、特に異性の相手とかは」

お嬢様「逆にそんなことを考えていなくとも、向こうから寄って来るんですもの……本当、単純といえばいいのか愚かだと言えばいいのか」

執事「…………」

お嬢様「……話が逸れたわね。馬鹿らしい話をしてごめんなさい」

執事「どうきお気になさらずに。元々話を振った私目に問題があるのですから」
600 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 03:43:38.36 ID:NoU9PkmY0
お嬢様「……続きね」

お嬢様「多分、事故のことについて話したのでしょうね。どういった内容なのかは分からないけども」

お嬢様「一人孤独となった女さんにはさぞ染みたことでしょうね。そして彼女はその言葉を信じて……」

執事「先輩との交際を始めた、という訳でしょうか」

お嬢様「きっとそうなるわ。そして女さんは唯一の支えとなった先輩に……こういうのもなんだけど依存しはじめる。だからこそ昨日男様に見せたあと映像のようなことをされても、いまだに先輩のことを慕い続けている」

お嬢様「……女さんは心のよりどころとしていても、先輩にとってはただの遊びでしかない。多分昨日の映像の段階で彼女は薄々勘づいていると思う」

執事「それでもまだ、ですか。病的なまでですね。私には到底考えられません」

お嬢様「……そう、ね」
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 05:54:56.45 ID:5ntpmD4DO
乙!
C
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/04(水) 08:42:33.10 ID:RjDyWKioo
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/04(水) 13:39:51.82 ID:dq0E8pe70
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 23:00:38.51 ID:DDh5p3SDO
605 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 23:20:50.14 ID:NoU9PkmY0
執事「……いえ、病的というのは少しばかり言い過ぎかもしれませんね。仕方ないことなのてじょう。女さんは精神的にも限界がきており、誰かを頼らざるを得なかった」

お嬢様「…………」


お嬢様(私も、そうだった)

お嬢様(周囲の人々は私のことを特別視し、まるで腫れ物を扱うように接してきて、誰も必要以上に近寄ろうとはしなかった)

お嬢様(たとえ寄ってきたとしても、理由は呆れるようなものばかりだった。だから私自身周りとの接触を絶つことに決め、一人で生きていくことを選んだ)

お嬢様(……はずだったあの日の公園。私は彼を見かけ、どういう理由か自分から近づいていってしまった)

お嬢様(蒸し暑い夏の日で、太陽に照らされ続けるベンチに腰掛け、周囲の気温とはまた逆に酷く冷めた目。あのときの彼の表情を見て私は熱中症の類いにでもかかっているのではないか、と思いすぐさま行動を開始した)

お嬢様(放って置けばよかったかもしれない。あの時の私はそんな人助けをするような人間ではなかった。目の前で誰かが苦しんでいても、見捨ててどこかへ逃げていってしまうように。そんな状態だったのに、私は彼を助けようと考えた)

お嬢様(結果彼はなんともなかった訳で、それが分かった私はすぐに帰ろうと……思わなかった。何故かその場に留まって、あろうことか彼の隣に座ってしまったんだ)
606 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/04(水) 23:39:50.51 ID:NoU9PkmY0
お嬢様(私は何を期待していたのだろう。あのとき彼が見せた表情に、私は何を感じとったのだろう)

お嬢様(彼が私に何かを与えてくれるなんておこがましい、何の根拠もない自信を持って私は男様と会話をしたいと、そう願った)

お嬢様(……案の定、彼は私の期待に応えてくれた。周囲の人間とは違い、彼は私を普通の女の子として見てくれた。……いや違う、そう思わざるを得なかったんだ。全てに対する価値観が消え失せた男様に、私のことを普通だ特別だなんて判断ができるわけがなかったんだ)

お嬢様(そうだとしても私は嬉しかった。喜んでしまった。そうやって私のことを理由がどうであれ普通として見てくれる人がいることが、何よりも嬉しかった)

お嬢様(そして次第に男様には私の中でとてつもなく大きなものとなり、今となっては手放すことのできないほどとなってしまった)

お嬢様(……つまりは『依存』。彼の存在によって自分を形成、確立し、今日を生き永らえる。煙草または薬物にも似た、そんな症状)

お嬢様(それが駄目だと分かっていても、どうしようもなく続けてしまう。……ねえ女さん。貴女もそうなのでしょう。誰かに頼って今日を生きて、そして戻れない奥底へと沈んでいく)





お嬢様(ようやく分かった。彼女は男様でもあり、そして何よりも私でもあるんだ……)





〜〜〜〜〜〜
607 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 00:30:04.50 ID:KbozQLF+0


男「………………」

男「……あー……眠れない」ゴソゴソ

男(しまった……コーヒー牛乳なんて買うんじゃなかったよ、糞)

男(時間は二時二十……うわーもうこんな時間が、いっそのこと起きてテレビでも見るか? なにかしらアニメぐらいは……)

男「怠いな……畜生」

男(……そう言えば明日って何曜日だったっけ? 確か木曜日だったよな)

男(木曜日、金曜日の二日間で女について……)

男(……本当にどうする。ここで動くべきなのか? ただ傍観者気取って放っておくべきか?)

男「……分からない。本当どうすればいいんだよ」

男(なにが正しいのか分からない。何をどうすれば正解に辿り着くんだ、どいつを選べば綺麗に終われるんだ)

男(……最初から、手を出さなければいい話なのか)

男「寝よう。とにかく明日頑張ることにして、もう……」
608 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 01:10:15.89 ID:KbozQLF+0
男「…………ん……?」

男「朝、か……」

男(短い睡眠時間の割にはやけに体が軽いな。なんでだろ)

男(とりあえずまあ準備でもして……学校行こうかな)


〜〜〜〜


男「……あ、そうだ新聞」

男(すっかり忘れてた。いやまあ、あまり読んでる訳じゃないけど、一応来た物はちゃんと取っておかないと)



ガチャ

男「…………え?」
609 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 01:19:03.39 ID:KbozQLF+0
お嬢様「…………」

男「…………」

お嬢様「………………」ウトウト

男「…………」

男(な、なにしてんのこの子おおおおぉぉぉぉ……)



男「……おい」

お嬢様「んぇ……? ぁう、男さま……」

男「んな朝からなにやってんだお前。立ちながら寝るって相当じゃねーか」

お嬢様「……ふぁ……ぁあ。すいませ。その、男様を迎えに行くにしてもいついけばいいのか分からなかったので、つい……」

男「ヒント、メールアドレス」

お嬢様「? ……あっ、そう言えば昨日交換してました……聞けばよかったですね」

男「……はぁ」

お嬢様「ごっ、ごめんなさい。次から気を付けます……」
610 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 01:36:24.48 ID:KbozQLF+0
男「……というかお前、なんか顔が赤く……」

お嬢様「顔ですか? 別に普通だと思うんですけど……」

男「いや、どう見てもおかしいだろって……」

お嬢様「そう、ですか……? っ……」

男「……お嬢様? おい、一体どうしたんだお前。どこか悪いのか?」

お嬢様「い、いえ。そんなご心配なさらずとも私は…………へい……き……」フラッ

男「っ、お嬢様!」ダッ

男(おいおいおいおい、ますます訳が分からないじゃねーか。朝早くからこの子が家の前で立ってたと思えば、今度はいきなりぶっ倒れそうになったって……)

男「ここじゃなんだ、取り敢えず家の中入るから少しだけ掴まってろ」

お嬢様「……、ぁい……」
611 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 01:56:20.40 ID:KbozQLF+0
男「ここ座ってくれ。ただのソファーだし横になってくれてもいい」

お嬢様「…………」ボー

男「おーい? お嬢様ー?」

男(重症だなこれ、相当熱でも出てるのかな)

男「体温計体温計……水も持ってくか」



男「はいこれ。とりあえずこれ飲んで、その後体温を計ってくれ。多分熱が出てるんだと思うから」

お嬢様「はい……」





お嬢様「……計れました」

男「ん。ちょっと貸して……ってえー……うっそー…………」

男(38.8……相当だな、さっさと病院とか連れていった方がいいレベルか)

男(いや待て、そうだとしてもどうやって……? 一旦この子を家へ帰らせるとしても、徒歩で連れ回すことになるし……)





男(……え? もしかしてここから動けない? マジで?)
612 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 01:58:05.93 ID:KbozQLF+0
今回はここまでです
ありがとうございました
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/05(木) 04:20:02.24 ID:0P+nSU9bo
乙した。
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 08:26:57.63 ID:P70ang0Oo
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/05(木) 10:43:37.70 ID:fKeruzYt0
続きが気になって禿げる。
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/05(木) 11:11:26.18 ID:bmEcfEOxo
617 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 18:49:11.97 ID:KbozQLF+0
ブラキさんが中々デレてくれないので書き始めます
今作乱数偏りすぎじゃないですかね……
618 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 19:25:49.78 ID:KbozQLF+0
男(いやいや、どうすればいいのこれ? この子どうにかすることも出来ないし、現状かで可能なことと言えばここで休ませるぐらいしかなぁ)

男(色々とやるべきこともある訳で……できる限りのことをやって、遅刻覚悟で学校に……)

男「…………」チラッ

お嬢様「……ぅ、……ふぅ」

男(……こんな状態で、ここに置いていくってねぇ? できるわきゃねーだろ馬ー鹿)

男(思えばあのときもそうやって……はは、馬鹿らしい。同じことを繰り返すつもりですかこのゴミ屑が)

男(万が一のこともある。さっさと行動起こすとしよう)



男「聞きたいこともあるんだけど、とりあえず場所移そうか。ここじゃ辛いだろう、どこか布団とかある部屋に行くよ」

お嬢様「…………」コクリ
619 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 19:39:32.53 ID:KbozQLF+0
男(……布団、か)

男(一番手っ取り早いのが俺の部屋……だけど正直言って入れたくないです、だって散らかってるんですもの)

男(……やっべえ、白くてどろどろしたあれを拭いたティッシュを入れてある袋が置きっぱなしじゃないですか。畜生、今日中に捨てようと思ってたのが仇になった、畜生!)

男(じゃ、じゃあどうするか……ってん?)

男(そうだ、何もこの家は俺だけのものじゃないんだった)

男「歩けるか?」

お嬢様「…………」

お嬢様「……ごめん、なさぃ」

男「……そっか。気にしなくていいよ。んでそれだったら背負っていきたいんだけど、それはどうかな」

お嬢様「……駄目。ちからが、はいらな……ぅう」

男「お……おう。そうっすか」
620 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 19:55:46.16 ID:KbozQLF+0
男(……うん、まぁあれでいこうか)

男「辛いかもしれないけど、ちょっと足浮かしてみて」

お嬢様「はい……」スッ

男「ありがとう。そんじゃ……」








お嬢様「……え?」

男「わーい、お姫様抱っこー」

お嬢様「ちょ、え? 待って、これは……!?」///

男「やむを得ないんだ、許してくれ。ほんの二、三分ですむから」

お嬢様「そんなっ、……申し訳ないです! なんなら私一人で歩けますっ……ダッシュで行けますぅ……!」///

男「いや歩けないって言ったばかりじゃないっすか」
621 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 20:22:50.91 ID:KbozQLF+0
男「ごめん、我慢してくれ。このまま置いておくと病状が悪化しかねないし、何よりそうなって一番辛いのはお前自身だろう」

お嬢様「……でも…………」

男「でもとか言わない。ほら、さっさと首に手を回してくれ。そうしないと落っこちるぞ」

お嬢様「……分かり、ました」シュル

男「よし、いい子だ。それじゃ階段上がるぞ」

お嬢様「…………」コクリ


〜〜〜〜


男「……よいしょ」トスッ

男「うん、掃除しておいてよかった。ちょっと色々持ってくるから、ここで待ってて」

お嬢様「……あの、ここは……」

男「ここ? ……ああ、この部屋が誰かってことね」

男「……うん、妹のだよ」

お嬢様「あ……」
622 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 20:49:05.65 ID:KbozQLF+0
男「訳あってここにはいないんだけどね。俺が一人でこの家管理してるから」

男「そんでこの部屋は使ってなかったんだけど、一応掃除機かけたりはしてたから、まぁそれなりに綺麗だとは 思うよ」

お嬢様「……そう、でしたか」

男「うん。ほら、横になってて。ちょっと暑いかもしれないけど風通りはそれなりに良いだろうし、汗でもかかないと治らないから、そういうのは」

お嬢様「はい……」

男「布団……いや、ごめんもう少し待ってて。持ってきたいものがあるから」

お嬢様「…………」

男(……夏だし風邪と会い合わさって汗とか吹き出てるな……うん、すぐに持ってこよう)


〜〜〜〜
623 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 21:30:53.17 ID:KbozQLF+0



コンコン

男「入るよー?」

お嬢様「……はい」

男「んー」ガチャ



男「うっす、ちゃんと寝てるね。えーと……これ、スポーツドリンクと水と風邪薬。それと引っ張り出してきたんだけど……」

お嬢様「……?」

男「はいこれ。着替えね。汗かいてると思うから、後でこれに着替えてよ」

お嬢様「男様、これは一体誰のを……?」

男「え? ああ、これは母さんのだよ。妹のでいいかなーとは思ったけどあいつ身長小さすぎるし……」

男「んで、少し大きいかもしれないけど母さんのを持ってきたんだよ。……なんだっけ、あの人170近くあったような……」

お嬢様「……ありがとう、ございます……」
624 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 22:01:50.10 ID:KbozQLF+0
コテ垢残したまま他のスレでレスをすると言う暴挙に出てしまったのでちょっとROMってきます
申し訳ございません、今回はここまでということで
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 22:03:16.10 ID:3OlZflTzo
おつ!
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/05(木) 22:03:54.78 ID:IviYeFHoo
あらら
乙です
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 22:14:13.06 ID:EWQBSmZB0
>>624
乙。
アンタは間違ってないよ。 気にすんなし。
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/04/05(木) 22:21:09.31 ID:3zGF3/Te0


あっちのスレは荒れてますからね…
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/05(木) 22:23:58.59 ID:d6Ou33mG0

次から気を付ければいいさ
630 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 23:29:42.03 ID:KbozQLF+0
ブラキさんが宝玉を落とさないのは中途半端なところで止めたからだ、きっとそうなんだ
だからこいつはスレ再開せざるを得ない、キリのいいところまで再開せざるを得ない!

……という訳ですので、もう少しだけ続けることにします。すいません、何か書いてでもいないと気が紛れないもので
631 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 23:29:49.06 ID:KbozQLF+0
ブラキさんが宝玉を落とさないのは中途半端なところで止めたからだ、きっとそうなんだ
だからこいつはスレ再開せざるを得ない、キリのいいところまで再開せざるを得ない!

……という訳ですので、もう少しだけ続けることにします。すいません、何か書いてでもいないと気が紛れないもので
632 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 23:35:09.25 ID:KbozQLF+0
男「とりあえず渡しておくから着替えておいて。勿論俺は出てくから」

お嬢様「……わかりました」

男「それじゃあね」ガチャ

バタン!

お嬢様「…………」

お嬢様「……サイズ、合うのかなあ」

お嬢様「…………」

お嬢様「とにかく着替えよう、男様を待たせるわけにはいかない」


〜〜〜〜


お嬢様「……男様、着替え終わりました」

男「おーけー。それじゃあ入るよ?」

お嬢様「はい……けほ、っけほ」
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/05(木) 23:37:01.55 ID:EWQBSmZB0
>>630
ブラキさんの宝玉は昇格の2体同時クエが良いお
面倒なら尻尾マラソンだ!

634 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 23:42:44.61 ID:KbozQLF+0
>>633 違うんだよお、G級昇格のクエはディオスアックス改でやるって決めたんだよお
ちくしょう、最初のデータでは腐るほど出たのによお……
635 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 23:48:36.84 ID:KbozQLF+0
男「お邪魔しまーす」ガチャ

男「どう、どこか変な所……は……」

お嬢様「……どうか、しましたか?」

男「いや、えー……あの」







男(……待って、ちょっと待って。サイズが大きいとか言ってもあそこまで肩とか鎖骨とか見えるものなんですかっ!?)

お嬢様「……あっ」ズル

男「」

男(はぁい紐見えましたああああぁぁぁぁぁァァァァ! 雰囲気と合わさって童貞にはキツかったああああああぁぁぁぁァァァァ!!)

男「」

お嬢様「お、おとこさま? あの、どうしたんですか……」
636 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/05(木) 23:57:33.89 ID:KbozQLF+0
男「お、おおおお大きすぎると思うからサイズ違うの持ってこようか! なんなら買って来て……いやそれはただの変態に見られるから無理だわ」

男「とにかく! その、あんまりそんな格好で……」

お嬢様「…………め……か」

男「……へ?」

お嬢様「あの。……このままじゃ、駄目でしょうか」

男(ええええええぇぇぇぇええええ……)

男「り、理由を伺おうか」

お嬢様「気持ち悪いかもしれませんけど……何故か落ち着くんです。これを着てると、何故か……」パタパタ

男「っ、とりあえずその服をパタパタするのやめなさい、悶え死ぬ」

お嬢様「……?」
637 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/06(金) 00:13:50.70 ID:DNz8a0Ix0
男(い、いっそのこと『そのままだと色気とかがヤバい、襲いたくなる』とか言ってやるか……? い、いや。それだと多分……)


〜〜〜〜

おとこのもーそー

お嬢様『……別に、私はいいんですよ?』

 とか言ってさらに気まずくなるパターンか

お嬢様『酷い、昨日約束したばかりなのにっ……』

 って、そこで俺と彼女が破局してバッドエンドか

お嬢様『……男様、私は……っ!!? ごほっ、ごほ、げほ、っけほ』

男『お、お嬢様!? おい、しっかりしろよ! おい!』

お嬢様『っ、男様……私はほう長くありません……』

男『そんな……唐突な展開に読者もビックリだよぉ!』

お嬢様『最後、最期に……言いたいことが……』

お嬢様『私は、貴方を……男様を…………』フッ

バタリ

男『お嬢様あああぁぁぁぁぁァァァァァァァ!! 誰か、誰かザオリクを! アレイズを! げんきのかたまりをおおおおぉぉぉ!!』


〜〜〜〜


男「……いや、最後のは流石に無いわ……」

お嬢様「男、様?」ケホッ ケホ
638 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/06(金) 00:29:02.86 ID:DNz8a0Ix0
男(そうだ! 直線上にお嬢様を見るからにいけないんだ! 真横から見れば色々と隠れるんだ!)

男「…………」ドスッ

お嬢様「っ! お、男様……いきなりはちょっと……」

男「ご、ごめん。驚かせ……たわ……ッ」

男(こ、こいつぁ失敗だ! 汗の雫が首筋を伝って服の内側へと流れ込んで来る様とか見せられたら堪んないわ!)

男「…………」

お嬢様「男様?」

お嬢様「……お隣、失礼します」スッ
639 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/06(金) 00:37:39.20 ID:DNz8a0Ix0
男「え? ああ……」

ピトッ

お嬢様「ぅ、ふあ……ごめんなさい、こうでもしておかないと辛くて……」

男「」

男(え、ちょ。もたれ、かかられて、肩に、頭が乗って、え、体が、密着)

男(体重がかけられて、柔らかい、感触、うわ、やばい。どうしよ、これ)

お嬢様「……暑苦しいですよね」

男「いや、別にそんなことは……」

男(ミスった。このままうまく諭してベッドに寝かせればよかった。うわー)

お嬢様「ありがとう、ございます……」

男「お、おう……別に気にするなよ……」
640 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/06(金) 00:44:33.41 ID:DNz8a0Ix0
男「…………」

お嬢様「…………」

男「………………」

お嬢様「ん……ぅ…………ぁ……」

男「………………」

男(ね、熱でうなされてるというか、我慢してある様のようなのが……あ、喘ぎ声に聞こえない訳でもなくてですね?)

男(うん……理性は保つけど……うん…………)



男(……も、もしすることになったら。こういう声とか……出しちゃうんですかね……?)
641 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/06(金) 00:56:43.70 ID:DNz8a0Ix0
男「…………」チラリ

お嬢様「ぁ……ぅ…………」

男「…………」

男(なんか目がとろーんとしてて。頬は上気してて。体が火照って……うわー、変な妄想しか浮かんでこないよ)

男(糞っ、是が否でも昨晩の内ぐらいに性欲処理すべきだった。無駄にそういう考えが湧いてきて……ああああ)

お嬢様「……んぁっ?」スルッ

男「っ、危ない。肩から 頭がすり落ちるところだったぞお前」

お嬢様「……ごめんなさい、気をつけます」

男「うん。気をつけ……て……」

男(……こいつは、こいつは……その……言った方がいいのどうなのか)

男(……胸の谷間とかが見えちゃってるんです、はい……)
642 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/06(金) 01:08:43.57 ID:DNz8a0Ix0
男(左手を俺の左足に置き、右手を腰辺りに添えて、前屈みの姿勢……)

男(だから見える。見ていたら駄目な筈なのに見える。視線がどうしてもそこに寄る。決して離れはしない、それを捉えたまま……)

男(……おい理性さんどこ消えやがった。もう少しで爆発だったじゃねーか馬鹿)



お嬢様「……っはぁ、……ぁ…………ごめんなさい、ごめんなさい……」

男「っ、無理すんな。とにかく横になってろよ、そっちの方が多分楽だ」

男「体支えるぞ。寝かすからな」

お嬢様「……は、ぃ」



男「……っと」スッ

お嬢様「っ…………う」
643 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/06(金) 01:25:21.95 ID:DNz8a0Ix0
今回はここまでです
ありがとうございました
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/04/06(金) 01:26:26.06 ID:/F0yy1OGo
生殺しかよおおおおおおおおおおおおお
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/04/06(金) 02:35:19.75 ID:fmySgV4J0
あああああ???生殺しやめて?いや?
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/06(金) 05:15:51.37 ID:AmEHquN8o
ダッシュで行けますぅ……が可愛過ぎた
お疲れさま
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/06(金) 13:34:20.32 ID:i2OhWScVo
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/06(金) 13:43:41.50 ID:/hPigGfK0

生殺しw
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/06(金) 16:46:19.16 ID:V+IAZvTxo
おっつ
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/07(土) 10:45:54.65 ID:48Iem67qo
おっつっつ
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/04/07(土) 17:59:27.69 ID:fo6jFRh10
2週間ぶりに見たらすごい進んでてんでもっていちゃいちゃしてて2度びっくりしたわ
おつ
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/04/07(土) 18:10:41.98 ID:g9fMxpkJ0
おっつっつっつ
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県西部) [sage]:2012/04/07(土) 23:49:10.45 ID:dN3zfhsG0
とりあえずsageろうか?
654 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/08(日) 22:19:50.39 ID:RjE6mEOy0
書き始めます
655 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/08(日) 22:34:05.79 ID:RjE6mEOy0
男「………………」

男(どうすっかなー……さっさと布団被せて出ていこうかなー)

男(いや、でも今季節夏ですし。まだそこまで暑くないからいいけど時間が経てば蒸し暑いだろうし)

男(脱水症状とか、最悪死にそうだよなこの子。こんな状態で……)

(……というか、どうしてここまで来れたかが謎だよな。もう熱でグロッキーじゃないですか。立ってるのも辛いとか言ってたのにここまで歩いて来たんですか)

男「……歩いて、ねえ」

お嬢様「……ぅ…………く……ふぅ……」

男(そこまでしてまで……一緒に学校行くことが大事だとでも……?)

男(嬉しいような、嬉しくないような……いや、たぶん嬉しいんだろうけど本当……俺なんかにそこまでする意味があるのかって……)

男「…………」ナデ

お嬢様「…………」
656 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/08(日) 22:55:44.76 ID:RjE6mEOy0
男(確か、この子は俺を好きになった理由として、周りとは違って普通の女の子として見てくれたからと言った)

男(あの日の出来事。おそらくあの日からこの子は俺に対しその時点では好意ではなかったかもしれないが、少なからず普通でない感情は抱いていたのだろう)

男(そして時が流れて昨日の出来事。俺は彼女の告白を断ることも出来たのだろう。……しかし、俺はそれを受け入れた)

男(ただ一つ、『好きだ』とこちらからは伝えず、それを俺から言ったときに本当の彼氏彼女を始めようと。それまでは仮の関係でいようと)

男(そうやって答えを曖昧なものとして逃げようとした。……けど、結果的にはそれも無理だった)



男(結婚してください、だってよ。ただの高二の餓鬼が、んなことほざくんじゃねーよ、とか言われそうだけども、そういう約束をしたっていうね)

男(……恋愛と結婚って言うのは違うらしいじゃないですか。この子は俺のことが好きで、多分俺も伝えてないけど好きで。だからと言って結婚してから上手くいくってわけじゃないわけで)

男(やっていけるのか? この子と。添い遂げて幸せだったってこの子に思わせる事が出来るのか、出来る限り傷つけないよう生きていけるのか)

男「……どうも、自信がないや」
657 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/08(日) 23:14:21.91 ID:RjE6mEOy0
男「…………」

男(なんか考えてたら興奮とか消え失せたな。うん、よかったよかった)

男(さて、後はこの子からいま聞かなきゃならないことを……)

男「お嬢様、起きてる?」

お嬢様「…………はい」

男「ん、いい子。お前ん家の電話番号って聞いてもいいか?」

お嬢様「……? 大丈夫ですけど…………」

男「おお、それじゃあ教えてくれよ。誰でもいいから迎えに来てもらって……」

お嬢様「いません」

男「……へ?」

お嬢様「ごめん、なさい。いないんです、私の家には今誰も……」

男「いないって、どういう……あれだ、お前の父さんとか母さんとか」

お嬢様「共働きで……」

男「……兄弟」

お嬢様「一人っ子です」

男「あー……め、メイドさんとか。働いてる人……はいないかな」

お嬢様「今は学校に行っていて……後執事も同じく…………」

男「そうか学校……ってえ? お前って執事雇ってるの? 冗談で言ったんですよ自分……」



お嬢様「……ごめんなさい」

男「いやいや、謝ることではないから。大丈夫だよ」
658 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/08(日) 23:27:18.99 ID:RjE6mEOy0
男(……そういえば資産家の一人娘でしたーHAHAHA、だから学校であんなに有名だったんじゃないですか)

男「え、そんなお手伝いさん雇う程って相当大きいんじゃないのお前の家」

お嬢様「……そうかもしれません」

男「お、おう……」

男(ま、まあ置いといて。今の話からするとこの子をここから連れていける人は……皆無。俺が行けよっていっても車も何もないし、背負って行けそうもない。それ以前にこんな状態の子を長時間外に晒すのもいただけない)

男(じゃあ必然的に……ここで休ませることになると)

男「……ふむ」

お嬢様「どうし……ましたか……?」

男「んー……一つ聞きたいんだけど、ここにいて居心地悪くない?」

お嬢様「? 大丈夫です……むしろ男様の近くにいるって感じがして……」

男「あー……そっか」

男「ならだけど。しばらくの間ここにいることになるけどもいい? どうにも家へ帰す方法がないからさ」

お嬢様「……ごめんなさい、そうさせていただきます」

男「うん、だったらいいかな」
659 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/08(日) 23:38:04.21 ID:RjE6mEOy0
男「それじゃあ俺学校に連絡いれてくるから。ちょっと失礼するね」

お嬢様「え……? な、なんでですか」

男「? いや、休むからでしょ」

お嬢様「っ、どうして……」

男「そうしなきゃ看病出来ないし。放っておいたら死んじゃいそうだもんお前」

お嬢様「そんなっ、……そこまでご迷惑をおかけするわけにはいきません。私は一人で大丈夫ですから……」

男「……へえ。んじゃま、そこから起き上がって立ち上がって見せてくれよー」

お嬢様「……分かりました」グッ





お嬢様「……おき、上がり……ました……はぁ、……はぁ」

男「はいストップ。上体起こすだけで体力切れするような人に立ち上がれるわけなっしーんぐ」

お嬢様「うぅ……そんな、私はまだ……」
660 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/09(月) 00:41:57.06 ID:c8r82MA00
男「じゃあいいからさっさと寝てなさい。病状悪化でもしたらどうするの」

お嬢様「なんのっ……これしきっ!」



お嬢様「……ふ、ふふ。どうです男様。私は……ちゃんとたてて……るんで…………しゅ……?」フラッ

男「っ、危なっ」ガバッ

男(……あれ、俺までバランスが崩れて……? いやこれはまさか、ラブコメとかでよくある展開ですか? らっきーすけべとかいうやつですか?)

男(……うわーどうしよう。絶対そうだわこれ。このままだとお嬢様の……えーと…………胸? が押し付けられるかそれとも俺自身が触っちゃうか……どちらにしろなんかなあ……)

男(え、というかどうすんのこれ。うわヤバいヤバいこのままだと死ぬヤバいこの後の展開どうすればいいか考えてないヤバい本当ヤバい!)





男(あ、無理だわ。どうしようもないわ。もういいです、自分柔らかい感触とともに地の底へと落ちていきますー)









ドサッ
661 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/09(月) 01:10:03.26 ID:c8r82MA00
男「…………」

お嬢様「…………」

男「………………」

お嬢様「………………」



男(……どうしよう)





男(えっと、思ってた通りの展開ですと。押し付けられてますということです、はい……)



お嬢様「……っ…………あ」ムニュ

男「…………」
662 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/09(月) 01:11:11.35 ID:c8r82MA00
今回はここまでです
ありがとうございました
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 01:16:59.60 ID:4uIP3btU0
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 08:50:18.89 ID:IvC1FTwco
おっつ
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/09(月) 12:14:51.23 ID:Tbi6UGdAO
生殺しぃぃぃぃぃww
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/09(月) 16:52:00.27 ID:Lzg/ibDeo
667 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/09(月) 23:21:10.61 ID:c8r82MA00
〜〜〜〜〜〜


男「よいしょ……ベッドへ…………」

トスッ

男「……ふぅ。これでよしと」

男(お嬢様は……寝てるな。大丈夫だ)

お嬢様「…………」スゥ…スゥ

男(布団は薄手のものにして……どうしよう。エアコン点けるにしてもこの状態だと湯冷めみたいな感じで風邪ひくよな……)

男「とりあえず窓開けて、何か異常がないか見てればいいや……」

男「…………」

お嬢様「……くぅ…………ぅ」

男「……本当、綺麗な寝顔なことで」
668 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/09(月) 23:36:30.69 ID:c8r82MA00
男「…………」ナデナデ

男(髪の毛サラッサラしてやがる……おまけにさっきいい匂いしてたし……汗かいていてもそれってどういうことなの)

お嬢様「んっ…………ぁ」

男「……起きてないよな? 寝惚けてるだけだよな? そんな甘ったるい声出してるのはよ」

お嬢様「………………」

男「…………」

男「……なら、いいんだけどさ」

男(学校には連絡を入れた。適当な理由つけて欠席にしてもらって、今日一日はこの子の付きっきりってことに)

男(いや、正確に言えば学校が終わるまでか。そうすればそこに通っているメイドさんやらから迎えに来てもらえる)

男(……色々と我慢することになりそうだなー)
669 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/09(月) 23:48:44.48 ID:c8r82MA00
〜〜〜〜〜〜


学校



執事「…………」

執事「……あの、メイドさん」

メイド「は、はいっ。なんでしょうか」

執事「あのですね。風邪を理由にお嬢様が男様を足止めし、その間に女さんとその近辺についての調査を進めると言うのはたしかに話しました」

メイド「そうですね」

執事「んでもって、貴女にも手伝ってとは言いました。言いましたが……」







執事「まさかカップル設定で、しかも思いっきりベタベタしてくるのは想定外でしてね……」

メイド「…………///」
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/04/10(火) 00:10:06.87 ID:+mTxUfBB0
執事「どうしてカップル設定なんです?」

メイド「その先輩さんという方と女さんという方は付き合っているということになります。ですので、そのお二人の気分を味わ」

執事「えませんよ?」

メイド「……じょ、冗談です。もっとちゃんとした理由もありますから」

執事「はあ。そうですか」

メイド「そうなんです。で、その理由ですけども、例の二人が本日どこかへ遊びに……というかデートするのはもう分かっていることですよね」

執事「今朝小耳に挟みましたから。で、それがどういう関係を持っているんですか」

メイド「あれです。……えーと、私達はそのデートを尾行するわけじゃないですか。なのでもし二人がカップル専用の」

執事「ないですよ? 多分そんな都合のいい店はありませんよ」

メイド「ぐぬぬ」
671 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/10(火) 00:11:37.65 ID:+mTxUfBB0
色々外れていました
>>670は自分です
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 00:26:26.07 ID:aNPzdVpDO
ふむふむ
今日は執事とメイドて生殺しかなww
673 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/10(火) 00:48:16.17 ID:+mTxUfBB0
執事「まああれです、感謝はしていますよ。そういう設定にしてもらって」

メイド「……? どういうことです?」

執事「いや……その。あんまり言いたくないんですけど……」

メイド「?」

執事「ほら、自分の周りって女の子とか寄ってくるじゃないですか……」

メイド「ああ……」





メイド(……説明しよう。この執事という少年、校内でも有数のイケメンでもあるのだッ!)

メイド(おまけに成績優秀、仕事が仕事なので家事も万能、性格も相手を一部例外はあるが基本的に尊重するということですごい女子生徒から人気を集めているのだッ!)

メイド(……そのせいであまり近づけなくなっているのだッ)



メイド「……一部の男子が聞いたら発狂して怒りますよそれ」

執事「そうかもしれませんけど。……実際いいものではありませんよ?」
674 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/10(火) 00:59:32.93 ID:+mTxUfBB0
メイド「とかいっても」

執事「いやいやいや、基本的に可愛い子なんて寄ってきませんし。行動力のある……えーと、あまりお顔のよろしくない人しか来ませんし」

執事「あれです、メイドさんクラスの美少女なんてとっくに彼氏作っていますから」

メイド「びしょっ……!?」

執事「基本的その彼氏の方にしかいかないんですよ。俺が幾らイケメンとか言われましてもアウトオブ眼中です」

執事「例えるならメタルスライムはとっくに逃げ出して、その取り巻きであるお呼びでないスライムたちが、キングになって襲いかかってくるような……ってどうしたんですかメイドさん。顔が赤いですよ、お嬢様の風邪をうつされましたか」

メイド「ひえ? いや、その……あぅふ///」
675 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/10(火) 01:12:40.53 ID:+mTxUfBB0
執事「め、メイドさーん? おーい」



メイド(天然ジゴロまで兼ね備えて……それなのに可愛い人が全く寄ってこないって……)

メイド(……い、いえ。そんな訳はない。執事さんはお嬢様とかいうルックス天元突破した人がいるから目が肥えてしまって……いるはず…………)

メイド(だ、だったら。私の事び、びびびびしょーじょって言ったのは……)

メイド(ま、まさかブス専!? そうか、感性が違って……!)

メイド(いや、それはない……私自身自分の顔の事ぐらい分かっている、うん。ということで……あー……えーと)

メイド(……執事さんから、美少女って。つまり可愛いって……)

メイド「……ふふ」

執事「メイドさーん? ちょっ、メイドさーん!?」
676 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/10(火) 01:23:35.63 ID:+mTxUfBB0
今回はここまでです、ありがとうございました
男が誘惑に負けてお嬢様の体触っちゃったとか知りません
そして我に返り壁に頭ガンッてやってたとか知りません
それをお嬢様が泣きながら止めに入って男が色んな迷いを振りきったとか知りません
そしてお嬢様が泣き疲れてあの場面に入ったとか知りません

……それを書こうと思ったけど面倒になった糞>>1がいるとか知りません。それでは
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/10(火) 01:25:56.94 ID:nkurvnFu0
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 01:28:33.41 ID:gA20nRVNo
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/10(火) 13:00:15.00 ID:rc1yR2Rmo
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/10(火) 14:28:46.20 ID:P664/u2Ko
書こうという気がある>>1しか俺は知らないなぁ

おっつ
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 20:41:16.66 ID:aNPzdVpDO

今晩もパンツ脱いで待機しとく
パンツ脱いでても風邪ひかない季節になりますたな
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 21:06:33.40 ID:7dtdyAHDO
まだお股が冷えるんだが
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2012/04/11(水) 00:22:30.70 ID:D71UxPy40
おつ
684 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 00:43:19.82 ID:LWwQwRcR0
執事「……ま、まああれです。こういう設定が続けば自然と女の子たちも離れていくと思うんですよ。ちょうどお嬢様もそうやって話を持ち掛けてましたし」

メイド「…………」ボー

執事「……駄目だこれ」

執事「ともかくこれからしばらくの間お願いしますよ。一度こういう関係になってしまった以上、当分はそれも払拭できないでしょうから」

執事「…………」

メイド「…………」ボーッ

執事「……本当どうしようかこの人」



〜〜〜〜〜〜
685 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 00:52:19.14 ID:LWwQwRcR0
数時間後、男の自宅



男「入ってもいいかー?」コンコン

男「…………」

男「応答なし。入るからな」ガチャ



男「……やっぱ暑いな、窓開けててもこれか」

お嬢様「…………男様」

男「ん? 起きてたのか。どうだ体の調子は」

お嬢様「少しくらくらします。でも、先程よりは良くなってきたと……」

男「ふむ……あ。あとこの部屋って暑くないか? 熱が籠ってる気がするんだ、なんならエアコンでも点けたほうがいいと思うんだけど」

お嬢様「お言葉に甘えます。……冷房、設定温度は高めでいいのでお願いします」

男「ああ」ピッ

ウィーン……

男「あと十分ぐらいしたら風が出てくるから。それまでは我慢してて」
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 02:06:14.19 ID:MMTWDzyIO
このメイドは首にするべきだろ…
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/11(水) 04:35:02.10 ID:XsLVTg7wo
謎の十分
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 05:53:04.34 ID:I9/9iWfDO
エアコンの中のちっちゃいオッサンが働き始める時間が十分だろjk
689 : ◆8IrmZWsy0E [sage]:2012/04/11(水) 06:15:14.99 ID:LWwQwRcR0
うわあすいません、寝てました……
今日の夜辺りにまた書き始めます。

>>687
ぶ、ぶっ壊れてるんすよ、そのエアコン
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/11(水) 07:12:19.24 ID:TPeTWRQio
691 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 22:16:12.81 ID:LWwQwRcR0
書き始めます
692 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 22:31:35.99 ID:LWwQwRcR0
お嬢様「……? じゅっぷん……」

男「え? ……ああ、そのエアコン壊れてるから正常に動き出すまでにそのくらいかかるんだよ」

お嬢様「そうですか……」

男「まあでも一度点いたら後は他のやつと一緒だから気にしないで」

男「……っとそうだ。ねえ、もうそろそろ昼なんだけども飯ってどうする?」

お嬢様「昼食、ですか……」

男「普通にお粥とかでもいい? あんまり変なもの食ったらお腹壊したりするかもだけど」

男「というか実際そういうものしか作れないっていう。他にあるにはあるけどさ……あ、お嬢様が持ってきた自分の弁当でもいいけど」

お嬢様「流石に弁当一つ食べるもどの食欲はないかもです……」

男「じゃあさっきの通りお粥で?」

お嬢様「……はい」
693 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 22:41:26.66 ID:LWwQwRcR0
男「了解。それじゃあ支度してくるからちょっと待ってて」ガチャ

バタン

お嬢様「…………」

お嬢様「……お粥、かあ」

お嬢様(男様が私に……単なる足止めのつもりだったけど、これはおいしい展開よね)

お嬢様(あんまり男様が何か作ってる様が想像できないけど、嬉しい……)

お嬢様「……おとなしく待っていよっと」

お嬢様「………………」
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 22:55:05.72 ID:BbtrrpvIO

695 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 23:03:18.17 ID:LWwQwRcR0
男「…………」コンコン

男「入ってもいいかー?」

お嬢様「けほっ、こほ……はい、大丈夫です」

男「んじゃ……」ガチャ

男「お粥、一応できたぞ」

お嬢様「そうですか……ありがとうございます」

男「わざわざ上体起こしてまで礼を言うようなことじゃないから……ほら、まだ咳き込んでるんだし休んで休んで」

お嬢様「……はい」



男「それじゃあ……えーと…………どうしよう。一人で食べれる……としてもやめた方がいいか。うん、俺が食べさせるけどいいか?」

お嬢様「ふえっ!? いや、そんな……流石にそれは……///」

男「熱で気が抜けたりして器を落としたりとかしそうだからいいよ、俺がやる。……それに」

お嬢様「それに?」

男「病人の女の子にご飯食べさせるのってなんかいいなと思ってるし」

お嬢様「そ、そうですか……」
696 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 23:25:05.69 ID:LWwQwRcR0


男「……ふーっ、ふー…………」

男「じゃあ、口開けて」

お嬢様「……あー……」

お嬢様「ん……」

お嬢様「…………」モグモグ



男「不味くはないと思うんだけど……どう? いやまあ、たかがお粥で不味いって言うのもおかしいと思うけどさ……」

お嬢様「んく、ん……大丈夫です。美味しいですよ」ニコリ

男「そっか、それならよかった。んじゃあ次いける?」

お嬢様「はい、大丈夫です」
697 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/11(水) 23:44:56.35 ID:LWwQwRcR0
男「はい、どうぞ」

お嬢様「ん……」パク

お嬢様「…………」モグモグ

お嬢様「……んく」ゴクリ



男(……なんというかね? 一連の動作に気品って言うか……そういうものが滲み出てるような)

男(それなのにだぜ? なんか今にでも抱き締めてこの腕の中に納めたい……っていう感覚というか……なんだろうか。気品とかとはまた逆の、別の保護欲みたいなものを湧かせてくる)



お嬢様「……男様? どうしました?」

男「え? あ、ああ。ちょっと待ってて……」

男(言ってしまうと物凄くやり辛い。なんか二つの思考が互いに食い違ってやがる。矛盾してやがる。……どうしたものかなぁ)
698 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/12(木) 00:05:42.09 ID:bKBRJvs50
お嬢様「……男様、男様」

男「…………」

お嬢様「男様、男様ってば」ユサユサ

男「っ……あ、悪い。考え事してた」

お嬢様「? 一体何についてですか?」

男「……秘密」

お嬢様「そんな、気になりますよ。……教えてください、多少女の子とかの話題だとしても怒りませんから」

男「どうして女の子の話題って思ったんだお前? ……いやまぁ、間違ってはないんだけどさ」

お嬢様「あ、やっぱり」

男「……しまった、なんで俺は自分から答えをばらしに行ったんだ…………」

お嬢様「ほら! 女の勘ってたまに当たるんですよ。さあ、正解の景品としてその内容を……」
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 08:23:12.12 ID:/WhxSvAoo
寝落ちかな?
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/12(木) 09:30:36.00 ID:sGeHDpggo
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 20:21:06.95 ID:ggFrutmDO
おつ
毎日楽しみにしてまふ
702 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/12(木) 23:31:59.87 ID:bKBRJvs50
多分少しだけですが書き始めます
703 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/12(木) 23:47:50.88 ID:bKBRJvs50
男「いやまあ、お前のことなんですけども」

お嬢様「余計気になります。早く教えてくださいー」

男「…………」

男「いや、やっぱ言わない」

お嬢様「何でですか。このまま言ってもらわないと気になりすぎて落ち着きませんよ」

男「悪いね、我慢してくれ」

お嬢様「むぅ……」

男「そんな膨れっ面しないで。多分だけどいつか話すから」

お嬢様「……仕方ありません、我慢してあげます」

男「ありがと。いい子だよ」ナデナデ

お嬢様「こ、子供扱いみたいですよその、撫でるのは……」

男「嫌ではないだろ? 実際可愛いいと思うし、別にいいだろって」

お嬢様「…………うぅ///」
704 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/13(金) 00:05:32.45 ID:JmrULaOa0
男「…………」ナデナデ

男(あれだ、さっき思ったことそのまま話したら絶対に気まずくなるだろうから、言わなくて正解だった)

男(……正解だった、か。正解、ねえ)


男(このまま答えを引き延ばしたりするのか、俺は。この子は俺のことを信じてくれている。だから待ってくれている。そしてそれを利用して答えを先延ばしと)

男(覚悟は決めている。いつかは答えを出すって。必ず出すって)

男(……でも、そのいつかっていつになるんだろう。明日か、明後日か、来週か、来月か、来年か、それとももっと先のことのなるのか……)

男(いっそのこと、もう伝えてしまった方が楽なんじゃないか。まだ仮の状態で付き合って三日と経たないぐらいで、かなり異常な事なんだとは思う。だけど裏を反せばそれだけこの子に惹かれているってことじゃないのか)

男(気持ちに嘘はない。……うん、覚悟を決めて、もう……言ってしまおうか)
705 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/13(金) 00:12:27.86 ID:JmrULaOa0
男「あのさ、お嬢様」ナデ…

お嬢様「……はい、なんでしょう」

男「そのさ、えーと。うまく言葉に洗わせないんだけども」

お嬢様「…………」

男「俺さ」











男(……あ、…………れ?)












男「……い、や。なんでもない。忘れてくれ……」

お嬢様「……? また気になるようなこと言ってー、男様のいじわる」

男「……ごめん。それもまた『いつか』……な…………」
706 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/13(金) 00:30:36.31 ID:JmrULaOa0
男(………………)

男(……は、はは。はははははは)

男(よーうやく分かったよ。いつかって言って引き延ばしていた理由も分かった)



男(言ってしまうと、俺はこの子のことが好きだ。一目惚れに近いなにかで
好きになったんだと思う。だからこそこんな短期間でこうまで仲が進展した)

男(だけど、そこで俺たちは行き詰まったんだ。原因は彼女ではなく、この俺自身の言葉によって)

男(『いつか』……どうして俺はそんな言葉を発しなければならなかったと思う? 好きって思っているのなら、どうしてこんな時間稼ぎの方法をとったんだと思う?)





男(……ああ、今分かったさ。俺は怖いんだ。この子に近づくことによって、お嬢様に、その周囲の人間に、そして俺自身に何かが起こってしまうかもしれないのが何よりも怖い)

男(……怖いと言う、そんな自分だけに向かい襲い掛かってくるような感情一つで、俺はこの子を、お嬢様を待たせている)
707 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/13(金) 00:54:51.68 ID:JmrULaOa0
男(今を見続けなきゃいけないはずなのに。あんな過去に囚われ続けてはいけないはずなのに……どうしても思い出す)

男(母さんは死んだ。妹も死んだ。親戚からは疫病神扱いされた。……嫌だ、もう嫌だ。俺は戻りたくない、あんな自分に、もう二度と……!)

男(もしお嬢様と関わって、彼女があの二人と同じ目にあってしまったとしたら。……そんな限りなくゼロに近い可能性が怖くて怖くて堪らない。あるはずがないと簡単にあしらうことすら……)









男「……お嬢様」ギュッ

お嬢様「んっ、男様? あの、一体どうして……」

男「…………」ギュウウウ

お嬢様「お、男……さま…………」
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 02:50:22.32 ID:oS1ttXHno
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/04/13(金) 04:04:11.73 ID:mDeuCvRk0
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/13(金) 05:05:29.17 ID:vdn/4N3DO
乙どす
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/04/13(金) 17:57:15.94 ID:mDeuCvRk0
はよ
712 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/13(金) 23:46:42.47 ID:JmrULaOa0
男(こうやって抱き締めることはできる)

男(それはきっとこの子が許してくれるから、なんて分かっているからなんだろう。だからこう気兼ねなしにすることができる)





男(好きだ、愛してる、一生傍にいてくれ……そんな抱き締めることよりも簡単な行動がこうまで難しいのは何故か?)

男(それが今、ようやく分かったんだ。分かってしまったよ。本当に気づきたくもなかった)

男「…………」…ナデ

お嬢様「や、やっ……恥ずかしいです、ぅ…………///」

男(こんな子に。俺の腕の中で収まっていて、特に抵抗をするわけでもなく、おとなしくして顔を赤らめているこに……どうして俺は、自分の思いが拒まれるなんて可能性を見出だしてしまったんだ?)

男(………………)

男(……なあ。今日だけあんた等を恨んでもいいか、母さんたち)
713 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/14(土) 00:06:02.44 ID:6Jq8zrgt0
お嬢様「お、とこ様……今日はどうなされたんです、本当に……少しだけおかしい、ですよ…………」

男「…………」

お嬢様「男様ぁ……うう、無視はやめてください……」



男「……なあ」

お嬢様「っ! はい。なんでしょうか」

男「もう少しこのままでも……って駄目かな」

お嬢様「このまま……男様、それってつまり、このまま抱き締めたまま……?」

お嬢様「だっ、駄目ですよ! だって私、汗かいて服が濡れてますし、風邪もひいてますし……男様に感染ったら私、どうすれば」

男「いいよ別に。風邪なんて最近ひいたことなんてないし、そうなったとしてもお前が看病してくれたら、ね」

お嬢様「あう……」

男「だから駄目かな? 添い寝みたいな形にはなるだろうけど、今日だけは恥を偲んで……頼む」

男「そうでもなきゃ俺……俺…………なにかよく分からなくなっちまう。色々と……」

お嬢様「…………」
714 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/14(土) 00:27:39.85 ID:6Jq8zrgt0
お嬢様「…………」

お嬢様「あの、一つだけお願いしたいことがあるのですけど」

男「……? なにかあるのか?」

お嬢様「はい。えっと、えーと、えと……一応本気ですからね? 馬鹿にしないでくださいね? もしお願いを聞いてくださるのならこのままでもいいってことにしますから」

男「おう」

お嬢様「……あの、パジャマの替えってありますか?」

男「探せばあると思うけど。……あ、着替えたいとか?」

お嬢様「そうなります、汗で色々と湿りすぎているのて。……それがお願いなのと、あとは……」

男「まだあったりするのか」

お嬢様「………………」
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 01:33:06.41 ID:6aMJq1cDO
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/04/14(土) 08:39:06.23 ID:MRMB5C510
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/14(土) 19:38:07.61 ID:EEa97EBW0
おつおつ
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/14(土) 20:36:28.01 ID:rWQDeNm1o
おっつんつん
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/04/14(土) 21:44:37.84 ID:vqqMZE9qo
あとはなんなの!?
気になる
720 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/14(土) 23:19:21.35 ID:6Jq8zrgt0
書きはじめっまっすー
721 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/14(土) 23:31:19.95 ID:6Jq8zrgt0
お嬢様「え、えーとですね。その……」モジモジ

男「……? そんなに言い辛いことなの?」

お嬢様「……確かに言い辛いです…………けども……。あああああどうしよう、やっぱり我慢しようかな、うう」

男「我慢ってお前」

お嬢様「…………」

男「なんでも言ってくれよ。病人が他人に気を使ってどうすんだ」

お嬢様「……そう、ですかね」

男「そうだよ。もうちょっと頼ってきなさい、彼氏なんだから」

お嬢様「………………」

お嬢様「えっと、汗をかいてしまったので色々と気持ちが悪くて。……なので体を拭きたいって思いまして……」

男「ん、分かった。とりあえず持ってこればいいんだよね? そんなのでなに遠慮してるのさ」

お嬢様「……え、えっとぅ」
722 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/14(土) 23:37:43.28 ID:6Jq8zrgt0
お嬢様「あの。とても言っていいのかどうか分からないのですけど……」

男「……?」

お嬢様「しゅこし……少しだけ手伝ってほしいなーって」

男「…………」

男「……ヘルプです?」

お嬢様「は、はい……///」


男「………………」


























男(っっっっッッッッ!!?)
723 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/14(土) 23:57:58.38 ID:6Jq8zrgt0
男(戦慄した。

 今目の前にて引き起こされたそれは、俺を震え上がらせるには十分すぎるほどだった。

 お嬢様の言葉を簡単にすると、『体拭きたいけれど一人じゃキツいので手伝ってくださいテヘペロ』とかそう言うのである。……あれ? テヘペロってどうやって使うんだっけ? もういいや知らない、アー、ココロヤサシイダレカガ、オシエテクレルンダローナー



 ……で、話を戻すとしよう。先程のお嬢様からのお願いというのは、まあそういうことなのである。ではそれがこの俺にどのような影響を与えるのだろうか?

 簡単である。死ぬのだ。主に社会的と言うか精神的に死ぬのだ。過去に色々とヘビーなことがあった俺だけども、そういった性に関してのことにはかなり敏感なのである。ほら、自分KENZENな男子高校生ですから? エロ本とかならまだしも、目の前で綺麗な女の子の素肌見せられたら興奮しない訳にもいかないじゃないですか?

 そして興奮した結果、体のとある一部分が反応してしまうと。もしそれがお嬢様にバレたらもう一生後悔するしかないじゃないですかと。死ぬんじゃないかと)



お嬢様「……男様ー?」
724 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/15(日) 00:19:24.81 ID:AgzMy4ro0
男(……あ、もしかして俺が勘違いしているだけとかじゃね? 体拭くって言っても、……えっと…………

 やべえ、思い浮かばない。そっちの意味しか思い浮かばない。……そ、そうだ。俺はKENZENだからそういう思考回路しか浮かばない訳だから仕方ない……訳がない……。

 本当にどうする? このままOK出しちゃえばいいの? というかお嬢様の体調では確かに一人では……無駄に時間をかけて逆に体冷やしたとか……。



 よ、よし。一回イメトレみたいなことをしておこう。そうすれば本番に支障はないはずだ! は、ず、だっ!

 うん、早速……















 ……ぅぅぅぅううううううわぁぁぁああああああああ!!? ちょまっ、なに俺はやらかしてるの!? 脳内だからっていきなりあんなことするのは駄目だよ!? 畜生、イメージどころかただの妄想じゃねーか! 変態じゃねーか!!)



お嬢様「お、男様ぁ……返事を……ぅぅ」
725 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/15(日) 01:04:23.79 ID:AgzMy4ro0
男「……お嬢様」

お嬢様「ひゃいっ!?」

男「俺、色々と持ってくるから。待ってて」

お嬢様「は、はい……」

男「…………」ガチャ

バタン





お嬢様「…………」

お嬢様(行っちゃった。もう少し抱き締められたままでも……うん、よかったなぁ)

お嬢様(あとは恥ずかしいけど、男様に背中辺りを拭くのを手伝ってもらって、そして……あれ?)

お嬢様(えっと、体を拭いてもらうって言うのはつまり、私が男様に肌を晒すという訳で、それが恥ずかしくて私はさっき赤面していて……いや、この際私のことなんかどうでもよくて、問題は……)

お嬢様(あ、れ? 男様の立場からしてみればどうなの? えっと、いきなり拭くのを手伝ってくれなんて言われて……男様からしてみれば付き合って間もない私の体を見るわけで……え?)



お嬢様「なんか、とんでもないことを男様に頼んじゃった……?」
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 06:13:42.88 ID:HoVPY3TDO
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 11:45:01.02 ID:xMzHArFDO

楽しみにしてるよー☆
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 17:54:24.42 ID:xGyWu30Io

気になって夜も眠れんからはよ
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/15(日) 19:15:50.16 ID:nA1da1TAO


あんま急かすな
730 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/15(日) 21:07:51.80 ID:AgzMy4ro0
書き始めます
このスレはKENZENなんですよKENZEN、多分ですが
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 21:22:36.71 ID:xGyWu30Io
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
732 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/15(日) 21:52:12.42 ID:AgzMy4ro0
お嬢様(……いや、でも。昨日男様は私に手を出さないって言ってたもの。言ってた……けど…………)

お嬢様(そういえばお母様が『男は適度に処理して差し上げなさい』って……というかお母様なんで小学生にこんなこと言ってるの)

お嬢様(色々と悩ましい箇所があるのだけれど、お母様が嘘をつくような人ではないのは確かだから……やっぱり……うーん)

お嬢様(あ。いっそのこと既成事実を作って……いやいやいや、そんな必要ない。だって昨日男様からいつか結婚してくださいって言ってた訳だし! うん。うん……えへへ……)





お嬢様(いやいやいやいや、そんな暢気なこと言っている場合じゃない。本当にどうするの、今更だけどもやっぱり自分で拭きますとか、それが一番だろうけど……えと、……)

お嬢様(こっ、個人的にしてもらいたいって願望が……)

お嬢様「……いや…………それは……うーん………………」

お嬢様「…………」
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/04/15(日) 22:00:53.58 ID:fqx9GbM/0
男裏山
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/04/15(日) 22:01:25.29 ID:fqx9GbM/0
男裏山
735 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/15(日) 22:13:16.81 ID:AgzMy4ro0
お嬢様「………………」

コンコン

お嬢様「ひゃん……!?」

男「……入るぞー」

お嬢様「ど、どうぞー」

ガチャ

男「…………」

お嬢様「…………」

お嬢様(き、きまずいよぅ……)

男「……あー、とっとと始めるけどもいいかな?」

お嬢様「は、い。お願いします」
736 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/15(日) 23:07:50.55 ID:AgzMy4ro0
お嬢様「…………」プチッ プチッ

男「………………」ゴクリ

男(今お嬢様がパジャマのボタンを外してる……)

男(目を逸らそうか? そうだそうしよう、それなら別にムラムラとかしませんし? 下半身大変なことにはなりませんし?)

男(……いや、でも待てよ?)



お嬢様『あれ、男様がとんでもなく首をねじ曲げてる……』

お嬢様『そうですよね、中途半端に肌を見せつけられても迷惑なだけですものね、そうですもの』

お嬢様『……あ、もしかして私の体が見るに堪えないほど変、だとか』

お嬢様『ぅ、うぅ。ごめんなさい、ごめんなさい男様……ひっく』





男「…………っ!」ゾクッ

男(うわやべえ、そんなこと考えてる俺気持ち悪すぎ、もう死にたい)
737 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/15(日) 23:45:54.51 ID:AgzMy4ro0
男(……そうだ、終わらせるんだ)

男(迅速かつ丁寧に背中を拭いて、完璧にだ)

男(手先の器用さにはそれなりに自信がある。……ふふふふ、臆することはない、かかってくるがよいぞS!!)

男(ふはははははっっっっ!! なんかこのテンションでいけばなんでも出来る気がしてきた! 本当に気がし……)



パサッ

お嬢様「あっ……」

男「…………」



男(……いきなり綺麗な背中見せてくるのは反則でしょーぇえー)
738 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/16(月) 00:06:41.39 ID:UKEPzWCx0
男(なにこれ。物凄く白い、けど健康的な感じの肌をしてらっしゃる)

男(言うなれば絹のような……そんな、とてつもなく綺麗です、はい。もうこのまま目を向け続けていいのか分からなくなってきました)

男(……で、その見るだけで罪悪感に襲われるそれに触れることになるんですよ、自分…………)

男(確かに嬉しいけどね? こんな子の素肌に触れられるなんて嬉しすぎるけどね? それでもさ、素直に喜んだらただの女好きと言うか……いや、変態と言うか……)

男(と、とにかく始めよう! 一度始めれば迷いなんて!)

男「それじゃお嬢様、背中をっとぅどぅっへぇ……!?」

お嬢様「……?」



男(ぶ、ブラだ。ブラのお紐様がお姿を現してらっしゃる……ッ!)
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 00:33:39.12 ID:RuY5Yp/DO
読んでるよー
740 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/16(月) 00:36:43.83 ID:UKEPzWCx0
男(そう言えばなんで俺はえっとその、下着の存在に気づかなかった!? 普通考えてるはずじゃねーか! …… あ、いえ。考えてるとか言うよりも考えれば分かるってことです。四六時中そんなこと考えるほどじゃありません、僕)

男(くっそう、どうしよう。不意打ちすぎた、いきなりお嬢様のイメージにそぐわない黒色を見せつけられるとは思わなんだ、そのギャップが色々とキツい)

男(いっそのこと下着なしの方が……あ駄目だわ。それ逆に興奮するわ、ヤバいで)

男(……あれ? 待てよ?)

男(俺はお嬢様の背中を拭く訳で、そのためには……)







お嬢様「……えいっ」プチッ

男(そうだ、ブ ラ が 邪 魔 で し た ね)
741 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/16(月) 00:40:01.05 ID:UKEPzWCx0
今回はここまでです
生殺し? いやいや、そもそもここは健全なスレですからね
それでは、ありがとうございました
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/04/16(月) 00:44:18.13 ID:kCfQ00+eo
なんか大事になってるな
俺らの黒江さんどうなったんだよ
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/04/16(月) 00:44:54.80 ID:kCfQ00+eo
誤爆
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/16(月) 01:33:37.91 ID:F9j1rhXno


>>742
まさか別スレで微妙にネタバレされるとは
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/04/16(月) 01:40:00.88 ID:vSe/QkF0o
乙んぽ
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 04:09:13.40 ID:h20gNRXAO
乙……なんだけど、ちょっと引き伸ばしすぎじゃないか?

6〜7割内心描写で全然進んでないし、説明が多くて少しクドい
女編でこれから重大な鬱があると注意されて半月、女は出て来ないし鬱どころかイチャイチャしかない気が……

いや、イチャイチャは好きなんだけど
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 04:24:09.26 ID:3OhrrUj0o
やりたいようにやらせてやれよ
お金とってるわけでもないんだし
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 07:29:33.29 ID:RuY5Yp/DO
>>746
お前好みのSSじゃないからって文句言ってなよテメー
ROMってろカス
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 14:39:25.20 ID:pz7Bx/0po
言うてる事は間違っちゃいないのにね
それにもしもしさんは短気ですね
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/16(月) 23:21:17.23 ID:uiHalNr4o
おっつ
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/18(水) 13:09:36.70 ID:vEdZfPdTo
気になったけど、男は一応NTRのVTRを見せられていたというのに
お嬢様がその被害に…ってことは考えないのだろうか
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 08:09:49.74 ID:M/2feSOio
ヒント・男にとっては単なる身近な人のセクロス動画
753 : ◆8IrmZWsy0E [sage saga]:2012/04/19(木) 22:23:56.06 ID:FEY8flZ00
すみません、アクセスできないとか事情があったとかで大分日にちが空いてしまいました
今日も更新は無理そうなので、明日か明後日辺りに書き始めたいと思います。すいません
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/19(木) 22:28:39.57 ID:gIpecjUgo
あいあい把握
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/20(金) 08:15:08.90 ID:aGlKWHOso
はーく
756 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/20(金) 23:17:12.35 ID:SDRfHed70
書き始めます
あとこのままだと話が進みそうにありませんので、色々と早めていきたいと思います
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/20(金) 23:21:39.34 ID:RIkSTnx6o
期待待機
758 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/20(金) 23:24:59.03 ID:SDRfHed70
〜〜〜〜〜〜


メイド「………………」

執事「め、メイドさーん。どうしたんですー?」

メイド「……………………」

執事(やばい、やばいよこれ。全く反応しない……いったい何があったんだよ……)

執事「メイドさん、メイドさんってば!」

メイド「静かにしてください。声が聞こえませんから」

執事「…………」

執事「へ? 声?」

メイド「………………」

執事「ちょ、声ってどういう……」
759 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/20(金) 23:30:42.64 ID:SDRfHed70
冥土「……大体把握できました。只今手に入れた情報によりますと、女さんは本日の夕方から先輩という方と遊びにいく予定らしいです」

執事「ど、どこで手に入れたんですそんな情報」

冥土「手に入れたといいますか、聞いていたといいますか」

執事「聞いていた……ああ、さっき言っていた声とかいうのですか? ……いや、そうだとしても声って……どこからも聞こえてきませんよ」

冥土「……? ああ、執事さんには説明していませんでしたね、少々お待ちください……」



冥土「はい、これを見てください」スッ

執事「……これは…………」
760 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/20(金) 23:37:24.87 ID:SDRfHed70
執事「盗聴機……?」

冥土「はい。その通りですよ」

執事(……形状からしてスピーカー型の小型のもので……おそらく無線か何かで繋がっているのだろう)

執事(で、そこから情報が聞こえ……て…………?)



執事「待ってください」

冥土「? なんでしょうか?」

執事「いえ、これが盗聴機というのは分かりましたけど、これをいつ仕掛けたかと言うのが分からないんですが……」

冥土「……ああ、どうやって仕掛けたかですか? そんなの簡単です、すれ違い様にちょちょいと」

執事「そのちょちょいとが分かりませんよ。なんです? どういう方法使ったんですか」

冥土「……あの、言わなきゃ駄目ですか?」

執事「言ってください」
761 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/20(金) 23:42:09.01 ID:SDRfHed70
冥土「基本的にスリの要領です、こっそり忍び寄って、ポケットの隙間に滑り込ませて……」

執事「スリ? スリって言いましたかメイドさん」

冥土「い、いえ。言葉の綾ですよ。実際スリなんてやったことありません!」

執事「……じゃあなんなんですか」

冥土「え、えーとですね。スリといいますか、それに似たようなものでして……」









冥土「……闇討ち?」

執事「stop」
762 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/20(金) 23:56:18.60 ID:SDRfHed70
執事「まず第一に、スリと闇討ちって類いは同じでも凶悪度とか色々桁違いですからね? マッチの炎とイフリートぐらいに違いますからね?」

冥土「そうですか? こそこそ隠れてやるという点で一緒だと思うのですけど……どちらも陽の目を浴びることのない行為ですし」

執事「……もういいや。で、具体的に誰を討ってたんです、誰を」

冥土「誰をですか。うーん……あ、お嬢様に寄ってくる虻蚊に蝿に、害虫に……」

執事「もうちょっと分かり易く」

冥土「ストーカーさんとかです。お嬢様の背後に潜む彼らの更に背後からこう、ドスッと手刀を。大抵一発でダウンしてくれました」

執事「……うわあ」

冥土「ど、ドン引きしないでください。お嬢様の安全のために頑張って来ただけなんですから」

執事「………………」

執事(あれだ。メイドさんに刃向かうようなことはあまりしないでおこう。なんかあの世に、メイドさんだけに冥土へと飛ばされそうな気がする……いや本当に洒落じゃなくて)
763 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/21(土) 00:08:15.26 ID:u/VnFtTi0
メイド「そ、そんなことより! 早く夕方のための準備をしましょうよ! モタモタしてると間に合いませんよ!」

執事「え? あ、ああ。はい」

執事(メイドさんの雰囲気が……軽くなった……?)

執事「というか準備って何をするんですか? 別に尾行するだけでも……」

メイド「ふふふ。私達、設定上は付き合ってるんですよ。だから周りからもそう見えるよう、練習とかをしておきましょうよ」

執事「いえ、ただの設定なんですからそこまでしなくとも……」

冥土「し て お き ま し ょ う よ ?」

執事「は、はい……」


〜〜〜〜〜〜
764 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/21(土) 00:14:23.50 ID:u/VnFtTi0


男「…………っ、はぁ、はあ……無理だきっつい、あのままは流石に……」

男「良かった、あの状況でハプニングとか起きなくて本当に良かった。約束破らなくて済んだ……」


プルルルル、プルルルル

男「……ん? 携帯? メールだよな…………」

カチャ

男「………………」

男「……? なんだ、どうしたんだ」













男「女のやつ、メール寄越してきやがった」
765 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/21(土) 00:17:11.96 ID:u/VnFtTi0
今回はここまでです
それでは、ありがとうございました
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県西部) [sage]:2012/04/21(土) 01:00:34.49 ID:5BsBEluM0

767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/21(土) 05:12:35.97 ID:IF1qo9hAO
冥土さんww
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/21(土) 10:10:27.19 ID:fIv/asvlo
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 15:46:06.73 ID:06ZlcxQgo
いつも切り方が絶妙
焦らし的に
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/21(土) 21:15:56.17 ID:PkTJSz1Fo
おっつう
771 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/22(日) 22:20:41.67 ID:oVDpCj9V0
男「…………」

『よっす。今日はどうしたの?』

男「欠席の理由か……うーん」

男「…………」ポチポチ…

『腹壊した。今朝の牛乳が腐ってやがった』

男「……これでよし、送信」ポチ



プルルルル、プルルル

男「やけに早いな。今度は……?」

『御愁傷さま』

男「…………」

男「勝手に殺しやがって……」ポチポチ
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/23(月) 00:54:34.99 ID:qCeGc2Ddo
773 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/23(月) 23:43:39.53 ID:VJiNBjEL0
「で、用件はそれだけかよ」

男「…………」

プルルルル、プルルルル

「まだある。男、明日の午後って暇?」

男「午後……?」

「暇」

男「…………」

プルルルル、プルルルル

「できたら空けといて。多分すぐに終わるから」

男「…………」

男(すぐに終わる……ことなのに、わざわざ学校外で話さなければならないことか……)





「OK、多分空けておく」
774 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/23(月) 23:51:43.05 ID:VJiNBjEL0
〜〜〜〜〜〜
放課後


執事「…………」

メイド「んー……結構人がいますねえ。平日なのに親子連れがいっぱいです」

執事「…………」

メイド「執事さん。女さんと先輩って言う方の間ち合わせ場所はこの公園とのことですけど、なかなか見えませんね」

執事「…………」

メイド「……ちょっと執事さん、聞いてるんですか? もうちょっと反応してもらいたいのですけど……」

執事「……一つ、聞きますよ」

メイド「はい。なんでしょうか」

執事「…………」スー…







執事「貴女、羞恥心とかあります?」

メイド「……はい?」
775 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/24(火) 00:02:18.28 ID:BUbwhE/k0
メイド「羞恥心ってどういう……」

執事「……言いますよ? この際言っちゃいますよ?」

執事「まずですよ。貴女どれだけくっついて来るんです? 本物のカップルですらこんな風にはしませんよ。最早バカップルですよ」

メイド「そのくらい演じきれていると言うことで」

執事「そもそも演じきる必要がないこと分かってます? ……で、あともう一つ。体を押し付けすぎですよ。当たってます」

メイド「し、執事さんのえっち」

執事「おいふざけんな。……幾ら何でもやり過ぎですよ。此方としてはまあ嬉しいですけれど、付き合ってもない男にそんなことしちゃ駄目ですよ」

メイド「今は付き合ってますよ。というかいいじゃないですか。私自身好きでやっていることですし、執事さんも嬉しいのならいいじゃないですか! ほら、サイズだけならお嬢様には勝っているんですよー」ムニュ

執事「……はぁ」

メイド「え。ちょ、溜め息物ですか……?」
776 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/24(火) 00:26:37.74 ID:BUbwhE/k0
執事「……ほら、女さんが来ましたよ」

メイド「そうみたいですね。……待ち合わせの三十分前に。健気です」

執事「……? 先輩さんも来ましたよ。お二人とも随分と早い」

メイド「……ここだけ見ればいい彼氏彼女してますよ、本当に」

執事「……あの映像のことですか」

メイド「はい。……あれだけがどうも引っ掛かって。こうやって遠目で見れば普通に付き合っている男女なのに、あれを見てしまってからは……」

執事「あんまり長く気にするようなことじゃありません。彼も気持ちを入れ替えたみたいです。ほら、あんなにも二人とも楽しそうで」

メイド「…………」



執事(……楽しそうで、ね。俺だって引っ掛かるよ。あの笑顔の裏に何かある気がして止まない)

執事(とりあえず今は置いておくか。……お嬢様に頼まれた通り、俺は俺の仕事をするだけでいいさ)
777 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/24(火) 00:55:01.53 ID:BUbwhE/k0
メイド「ところで執事さん」

執事「はい?」

メイド「えっと……さっき胸の大きさがどうたらで、最終的には溜め息をつかれていた訳ですけども」

執事「まあそうですね」

メイド「その事でですけど……一つ、聞いてもよろしいでしょうか。私、少し考えてみたんです」

執事「……いいですけど」

メイド「……それでは執事さん」















メイド「ズバリ、貴方は貧乳好き……」

執事「執事さんチョーップ」

メイド「にゃ!?」


〜〜〜〜〜〜
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/24(火) 08:21:54.96 ID:eWh8VWAIO
乙〜
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/24(火) 12:36:13.12 ID:RzED/7fIO
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 00:47:11.76 ID:jeXAPvdDO
イイヨイイヨー
781 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/25(水) 23:43:22.88 ID:Hh1QO6050
書き始めます
また少な目だと思いますのでごめんなさい
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 23:50:33.38 ID:3QU0fUqDO
ガタッ
783 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/25(水) 23:57:28.80 ID:Hh1QO6050
メイド「……喫茶店に入りましたね。何するのでしょう」

執事「どうせ少し話していくだけだと思いますけど?」

メイド「そうですかね。まあ、一応入ってみましょう」

執事「了解しました」


〜〜〜〜


執事「……あ。移動しますよ」

メイド「えっ! そんな、今パフェきたばっかりですよ!?」

執事「知りませんよ。さっさと食っちゃってください。場合によっては置いていきますから」

メイド「ひ、ひぃ。この大きさを今すぐに……っ」

執事「ちなみに自分バナナとかあまり好きじゃないので、食べるのを手伝うとかありませんから」

メイド「ああ……天の川が…………」

執事「三途の川ですよ。ほら、さっささと手を動かす」

メイド「ふ、ふええ」ガツガツ



メイド「……うぷっ」

執事「はい止まらない。さっさと食べる。あと二十秒で置いてきます」

メイド「……っ! っ!! っっっ!!」プルプル
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 00:15:25.50 ID:2HLiZo4do
小動物的かわいさ
785 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/26(木) 00:15:28.88 ID:pCrY9EzW0
〜〜〜〜

メイド「こ、今度はどこに……っく」

執事「服」

メイド「大雑把ですけど大体把握しました」

執事「を売ってる所辺り」

メイド「……ぅおーい」


〜〜〜〜


メイド「次は……」

執事「さっきの公園じゃない公園」

メイド「あ、ここ知ってますよ。景色が綺麗で何かの雑誌とかに掲載されたとか。ちなみに一番綺麗に映る場所とか私知ってますよ」ドヤァ

執事「まあ、それがどうしたって訳じゃ」

メイド「ないですよちくしょう」


〜〜〜〜


メイド「お次が最後でしょうか」

執事「パスタ専門店ですか」

メイド「パスタ……パスタですか……最近仕事続きでロクなもの食べてないんですよね……」

執事「……まあ、今度は時間とれそうですし、別に何を頼んでもいいですよ」

メイド「ほ、本当ですか!? 執事さん大好きっ!!」ダキッ

執事「ありがとうございます。で、そのパスタ専門店はかなり人気とのことですが」

メイド「……はい?」

執事「俺達、予約とかしてないんですよね」

メイド「…………」

執事「入れたら食べられます、というわけでして」


〜〜〜〜
786 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/26(木) 00:26:34.58 ID:pCrY9EzW0
執事「……結局、普通のデートでしたね。お互い笑顔が絶えなかった」

メイド「そうでしたね……」

執事「俺達も帰りましょうか。なんか無駄骨折っただけですし、疲れました」

メイド「そうですね」

執事「……ま、お嬢様には特に問題なしとでも。それじゃあ行きましょう」

メイド「はい」



執事(……あれ? そう言えば)

執事(お嬢様、自分一人で自宅へと戻ると言っていたような……迎えは行かなくてもいいのか?)

執事(……ま、後で聞けばいいことか)


〜〜〜〜〜〜
787 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/26(木) 00:54:49.96 ID:pCrY9EzW0
コンコン

男「……入るよ」

お嬢様「はい。どうぞ」

ガチャリ

男「具合はどう? 最初よりはましになった?」

お嬢様「はい。……多少クラクラするときもありますが、良くはなってきています」

男「ん、それならいいや。……横座るよ」

お嬢様「分かりました」



男「……っと」ドスッ

お嬢様「…………」
788 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/26(木) 01:31:11.08 ID:pCrY9EzW0
すみません、本当に短いですが今回はここまでです
それでは、また次回に
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 01:38:35.86 ID:vKrJeMfmo
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 07:42:33.39 ID:9n531TIdo
乙乙
期待しとるよ
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 11:55:40.03 ID:32FBOxGIO
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 22:06:13.62 ID:6n7+oQ7do
超乙

793 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/27(金) 23:39:45.01 ID:nZJOrH400
書き始めます
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/27(金) 23:47:18.33 ID:G8lVeGcIO
書いて、どうぞ
795 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/28(土) 00:14:25.05 ID:1vtK5bxE0
男「ん。ちょっとデコ出して」

お嬢様「? はい、分かりました」


男「…………」スッ

お嬢様「ふえ」


男「……確かに熱は下がってる……かもしれないけど微妙に残ってるな。明日ぐらいは安静にしておけよ」

お嬢様「はい、すいません……」

男「あんまり謝るなよ。お前だってわざとじゃないんだからさ」

男「…………わざと、か」

お嬢様「男、様?」

男「…………」
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/04/28(土) 00:31:30.36 ID:a0W/ZiDR0
お嬢様「男、summer?」

すみませんでした
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 01:00:13.99 ID:1Nm9oQBTo
姉SUMMERってのがあったなぁ
798 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/28(土) 01:12:31.93 ID:1vtK5bxE0
男「……あのさ」

お嬢様「はい」

男「なんか隠してることとかってない?」

お嬢様「……一体どういうことですか」

男「言葉通り。お前は何かを俺に隠してる……ような気がする」

お嬢様「……ふふ、根拠はどこにあるんです? それを言っていただかないと」

男「まあ、そうなるよね。まず第一にだけど、色々と行動が理解できないんだよね」

お嬢様「…………」

男「お前が熱を出しました。それでも無理して俺の家までやって来ました。それを見かねて俺が自宅で休ませました……一見おかしくはないかもしれないけど、相当に変だからなこれ」

お嬢様「どこが、でしょう」
799 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/28(土) 02:09:17.06 ID:1vtK5bxE0
男「お前、確か校内でかなり頭のいい部類には入ってるよな?」

お嬢様「……そうなのでしょうか」

男「自覚なしかよ……。まあ置いておくとして。お前、俺に迷惑のかかることはしたくないんだよな?」

お嬢様「はい。……今回の件は、本当に」

男「ストップ。ちょうどそこがおかしいんだよ」

男「なんでお前はそんな熱を持ってる状況で俺の家へわざわざやって来た?色々頭の回るお前なら、それで俺に迷惑がかかることぐらい分かるはずだよな? というか馬鹿でも分かるぐらいだよ」

お嬢様「…………」

男「確かにお前は俺と一緒に学校行きたかったのかもしれないな。……でも、それで他人に迷惑がかかるようであれば、絶対に相手を尊重して実行しない。自分を蔑ろにして他人を優先する。ましてや俺なんかが相手なら特にな」

お嬢様「……私はそんな綺麗な人間じゃ」

男「そういう人間なんだよ。俺が自信を持って言えるほどに」
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/04/28(土) 08:08:10.68 ID:B4TWKkkAO
いつも以上に中途半端だな、寝落ち?
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 15:11:55.44 ID:sb29LVXCo
乙?
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/28(土) 18:26:48.44 ID:wFGRi5Ceo
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/29(日) 19:14:22.67 ID:2er+fEqvo
804 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/30(月) 22:46:53.88 ID:pgzrK1ev0
うえっへえ、最近寝落ち多すぎ死にたいです
書き始めます
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/30(月) 22:53:00.45 ID:NZJkArW8o
こいこい
806 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/30(月) 22:56:45.12 ID:pgzrK1ev0
男「……もう一つ。何か色々と行動に違和感を覚えるんだ」

お嬢様「違和感?」

男「ああ。例に出すと……そうだな。俺の親戚から感じたものと同じかな」

お嬢様「…………」

男「ま、俺にも色々あって親戚から疎まれてた時期があったんだよ。……いや、それは今も進行中か」

男「俺はとある事件に巻き込まれて、それはそれは表にしてはいけないことをしでかしてね。まあ、それをやらざるを得ない状況にいたんだけど、それでも俺の手で行われたことに変わりはない」

男「……その事件に母さんと妹が巻き込まれ、そして死んじゃってね。その葬式の時、俺は親戚たちのとある目を感じたんだ」

お嬢様「目を……ですか」

男「……ああ」
807 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/30(月) 23:08:48.92 ID:pgzrK1ev0
男「汚物を見るような目。人ではない何かを見るような目。その視線を感じたとき、俺はとんでもないことをやってしまったと実感したと同時に気づいたんだよ」

男「……奴等に俺の味方はいない。どうあったって俺には近寄らず、遠ざかっていく。陰でこそこそと黒い言葉を吐き出し続け、一時期は俺をどこか養子へやりたいって親父に持ちかけたんだとさ」

お嬢様「……!」

男「……まあ、結局そんなこともなく、こうして今日まで生き残ってる訳だけど。……どこか似てるんだよ」

お嬢様「どこが、です? その親戚達と私のどこが」

男「……似てるといっても種類がってだけなんだけどもね。君に奴等ほどの悪意は感じられないしさ。……でも、一つだけ似ている部分がある」

男「何故か、俺に怯えてるんだよ。まるで学校の花瓶を割った子供のように、俺にはそれを気づかれたくない、気づかれてはならないって目をしてる。散々そういう視線に浴びせられた俺だからさ。断言できるよ」

お嬢様「…………」

男「だから、ね?」
808 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/30(月) 23:24:21.97 ID:pgzrK1ev0
男「……何か隠しているようなら、俺にさっさと話してくれないか」

お嬢様「……っ」ゾク

お嬢様(なに、これ……怖い、なん、で。男様が、怖い)

お嬢様(今すぐにでも、首を締め上げられて殺しにかかってきそうな程に……そんな風に、怖くて。堪らない)

男「正直苦しいね。最も信頼できると思ってた人にそんな目で見られるのは。どうしてもあの日のことを思い出す」

お嬢様「……ぁ…………う」

男「……頼むから止めてくれよ。もうこれ以上あんなものを思い出したくはない。人が死んで、死んだ様なんか見たくない……見たくないんだよ、思い出したくないんだよ」

お嬢様「男様……」

男「なあ、頼むよ。これ以上そんな風に俺を見てくるのは止めてくれ。思い出したくない。どんなに忘れてはならないことでも、自分が背負うべき業だとしてもよぉ……、っ」



男「お、まえと……お前といるときぐらい忘れさせてくれよ!」

お嬢様「っ」ビクッ
809 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/04/30(月) 23:43:42.88 ID:pgzrK1ev0
男「…………」

お嬢様「…………」

男「……悪い。お前に当たってもどうにもならないよな」

お嬢様「お、とこ様」

男「…………」スッ

お嬢様「どこへ……行くのですか?」

男「……ちょっと頭冷やしてくる」

お嬢様「あ……」

男「多分、すぐ戻ってくるから。あんまり気にすることはないからな? ……ないからさ」

お嬢様「……っ、まっ」

男「…………」スタスタ

お嬢様(待って。嫌だ、私こそ謝らなきゃ……)

お嬢様(で、でも。謝ったところで私はどうすれば? 肝心な部分だけ話さず、謝るだけで終わり? それで勘弁してくれって言うの?)
810 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/01(火) 00:06:11.56 ID:sJINnvDa0
お嬢様(嫌だ)

お嬢様(これ以上、そうやって逃げたくない。男様にすがりたくない)

お嬢様(多分私が謝っても男様は『お前のせいじゃない』なんて言って流すのだろう。誤魔化すのだろう。確かにそうすれば私は……。でも)

お嬢様(ここで話さなかったら、私は一生それを続けていくことになる。そうやって、男様を苦しめていく)

お嬢様(だから言わなきゃ。男様に全部伝えなきゃ。全部、全、部……?)



お嬢様(全部伝えたら、どうなるの? 監禁して、あんな映像を見せて。そもそも映像が手に入る環境にいたのに、何も手を出さないで。関わろうとしないで。傍観者となることに徹して)

お嬢様(結果男様に苦しめて、悩ませて、怒らせて……そんな風に私はやってきた。誰よりも心を寄せているはずの男様に、そうやって)

お嬢様(……それを含めた、全部。それを伝えて、私は、男様から……?)


ユルシテ、モラウノデスカ
ユルシテ、モラエルノデスカ



お嬢様(え……?)
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/01(火) 12:16:03.69 ID:c2CiEQMIO
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/01(火) 12:35:00.55 ID:n7YRHFfAO
またこんな切り方ぁぁぁぁぁぁ( ゚Д゚)<オツ
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/05/01(火) 17:29:53.72 ID:2/wBWWhD0
乙です。
下手に隠し事したり、嘘を吐く方が心象悪くすると思うけどね。
許してもらえるもらえないは別として、洗いざらいぶちまけちゃった方がお互いにスッキリすると思うんだよなぁ。
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/01(火) 20:30:13.14 ID:YT+fcWjEo
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/05/02(水) 18:23:54.00 ID:z9pqlmUYo

安易に死にたいなんて言っちゃだめだよ
816 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 20:52:45.28 ID:hL2rLe2f0
だらだら書いていきます
物凄い地の文章書きたいけど、そんなもの入れる場所がこの話にないという
817 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 21:08:42.07 ID:hL2rLe2f0
お嬢様(な、にを今更。男様に許されないなんて関係無い。現に私は彼を苦しめていて、それから解放することができるのならば何も……)

 ウソツキ

 本当ハ怖イダケ
 許サレズ、離レテイクノガコワイダケ

お嬢様(違う、違うの。私は、そんなんじゃ)

 怖イカラ迷ッテイル
 怖イカラ彼ヲ苦シメテイル

お嬢様(私は。そんな、嘘……)

 結局 自分ニ 甘くテ
 結局 誰かを 貶メて
 結局 楽しいのハ
 自分自身だって、そんな卑怯者

お嬢様(………………)

 誰かにすがらなきゃ生きていけない

 誰かを犠牲にしなければ今日を、明日を生きれない

 他者を貪り尽くして、そして干からびるまで吸い付くして。その様を見て感傷に浸って。そんな生き方しかできない自分を悲劇のヒロインみたく扱って

 ……自覚しているくせにそれを止めない、止めたくない。そんな人間だものね、だって


お嬢様(……それが私、だから……)
818 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 21:16:36.02 ID:hL2rLe2f0
男「……安静に、してろよ」ガチャ…

お嬢様「あ……」





バタン




お嬢様「…………」

お嬢様「……私は。私は一体…………」

お嬢様「何をすれば……」


〜〜〜〜〜〜
819 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 21:21:13.22 ID:hL2rLe2f0
男「…………」

スゥ……

ハァ……

男「…………」









男(……きゃああああぁぁぁぁぁぁ!? なに今のっ!? うっわ恥ずかし、もう嫌! うわあああああああ)

男(なーにが業は背負うですか? 待って、うわぁ、なしてそんな言葉が出てきただ!? うわ、もうちょっとマシな言葉探せば良かった! 本当穴があったら入りたいぃぃぃぃ……)
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/04(金) 21:49:17.07 ID:imu9q8HIO
支援
821 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 22:43:43.13 ID:hL2rLe2f0
男「……本当、なんなんだろうなぁ」

男(厨二病発症してるし、それでお嬢様に当たるし、昔のことは忘れろって言ってるのにこの様……)

男(本当救われない馬鹿だよ。自分一人で何とかすればいいのに、誰かへぶつけることはねーよ……)

男「最悪だよなあ、あーあ」

男「…………」

男「……はぁ」

男(一先ず気持ちを落ち着かせて、そこから行動しよう。よし、そうしよう)

男(このまま陰欝な雰囲気のままあいつに顔を会わせられない。もう一回静かに……)



男「……よし」

男(とりあえずさっきのことは忘れて、いつも通りやってこうか……)


〜〜〜〜〜〜
822 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 23:00:08.03 ID:hL2rLe2f0
翌日


男「……ん?」

男(朝、か。そういえば昨日はあの後何も起こらないまま時間が流れて……結局お嬢様の迎えも来なかったんだっけ)

男(結局俺はお嬢様を泊めることになって。まあ、病人に手出しするほど俺は腐ってなかったから良かったってことで)

男(……いや待て。病人じゃなかったら俺は手を出してたのか? えーと、それは。……)

男「まあいいか」

男(とりあえず学校いかなきゃならないし、さっさと起きて支度を……)

モゾ

男「…………」

男「…………う……ん?」

男(あの、今。何かが布団の中で動いた……?)

男(ちょっと待ってくれよ。おい、まさかこれって……)

男「そ、……そ」
823 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 23:16:18.72 ID:hL2rLe2f0
お嬢様「……ん、ぅ」

男(添い寝ですか……)

男「……起きろお嬢様。朝だぞー」

お嬢様「……? 朝、です?」

男「ああ。まあ、お前が怠いのならもうちょっと寝てもらっていて構わないけど」

お嬢様「…………」ゴシゴシ

男(……ああそうだ。思い出してきた。なんかこいつが寝るまで側で待ってたら急にうなされ始めて、手を握ったらベッドに引きずり込まれたんだっけ……?)

男(そしたら急に良くなったってのはいいけど、あのまま動けなくなったしなぁ……。俺もそこで寝るしかなかったと)

男(まぁ……とりあえず考えるのをやめて、朝になったから、第一にこいつをなんとかすることを考えようかな)

男「……こらお嬢様。あんまり目を強く擦るなよ。悪くなるぞ」

お嬢様「…………」
824 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/04(金) 23:38:42.85 ID:hL2rLe2f0
男「あとそろそろ抱きつくのは止めてくれ。エアコン点けながらでも暑い。脱水症状で死にそう」

お嬢様「……ぃゃ」ギュッ

男「嫌じゃなくてさ……ああもう、本当にこの子は。寝惚けちゃって」

お嬢様「…………」ギュウウ

男「っ、そんな力強く引っ付かなくても……あっつい。ああ、エアコンの温度下げようかなぁ……でも金がなぁ……」

お嬢様「…………」

男「……え? あの、お嬢様? そのー、もしかしてまた寝ちゃったりだとかは……」

お嬢様「………………」スゥ…スゥ…

男「……ああそう、寝ちゃったの。畜生、今日くらいは学校行かせてくだせーよーう」
825 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/05(土) 00:05:58.63 ID:R03u/n080
男「まあ、なんとか叩き起こしてきましたよ」

お嬢様「も、申し訳ございません……つい寝ぼけていて……」

男「あんまり気にするなよ。なんか昨日の時点で相当うなされてたし、体力的にも精神的にも参ってたんだろ」

男「それで今朝はあんなに……」

お嬢様「言わないでくださいっ。その恥ずかしいんですよ……」

男「へいへい。……あ、パン焼けた。お嬢様も何か食べる?」

お嬢様「い、いいのですか?」

男「別に。というか朝は何か無理矢理にでも口に入れておかないと体が動かないし、病み上がりの女の子の前で自分一人何か頬張ってるのも……」

男「と、そういう訳。安っぽいものしか出せないけどさ」

お嬢様「め、滅相もございません。是非頂きたいです、男様お手製の朝食」

男「そう? ならいいけど」
826 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/05(土) 00:18:28.15 ID:R03u/n080
お嬢様「…………」

男「はい、これで全部……ってどうしたのさ。食わないの?」

お嬢様「い、いえ。えっと……一つ聞きたいことが」

男「ん?」

お嬢様「…………えーと」

お嬢様「これ全部、男様の手作りですか?」

男「まあね。今日はお嬢様もいるから無駄に張り切っちゃって」

お嬢様「は、張り切っただけでこのレベル……ですか……」

お嬢様(普通にトースターでパンを焼いていたから他の物も普通なやつが出てくるかと思っていたら、かなーり手の込んだ料理の数々が出てきました)

お嬢様(綺麗に盛り付けられたサラダ、なんかもう見るからにふわっふわしてそうなオムレツ、先程から食欲をそそりにそそるような匂いを出し続けるスープ……)

お嬢様(……ひょっとかして男様、私よりも料理がお上手……なのかも…………)
827 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/05(土) 00:38:19.05 ID:R03u/n080
男「結構急いで作ったから手の抜けてるところがあるかもね。ごめん」

お嬢様「……はい」

お嬢様(手の抜けているところ、ですって? そんな馬鹿なことないです。確かに並べられた料理はどこの家庭でも見られるようなものかもしれませんが、実際はちょっと違っているのに私は気づいてるのですよ)

お嬢様(まずサラダ。刻まれた野菜の一つ一つがちょうど食べやすい大きさで、ドレッシングは自家製であるのが分かります。台所にそんなものは一切ありませんでしたもの。ということは事前に作っておいたか、ついさっき即興で作ったか……)

お嬢様(続いてスープ。馬鈴薯、人参と一見二つの具で構成されているようにも見えますが、おそらく玉葱が中に溶け混んでいるのでしょう。香りからしてそうです、絶対そうです)

お嬢様(そしてオムレツ……は言うまでもありません。もうバターの香りが本当……)

お嬢様(そういえば私、昨日はお粥ぐらいしか口にしてなかったような。だからこんなにお腹が……)

男「とりあえずどうぞ。何か不味いものとか食えないものとかあったら言ってね。なんとかするから」

お嬢様「はい。分かりました」
828 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/05(土) 00:48:07.93 ID:R03u/n080
お嬢様「……ご馳走さまでした」

男「お粗末様でした……だっけか? こういうときに言うのは」

お嬢様「…………」

お嬢様「あの、男様」

男「ん?」

お嬢様「えっと、男様は……どのようにして料理を覚えたのですか?」

男「あー……覚えたって言ってもねえ」

お嬢様「……あの、それはどういう?」

男「いや。俺の場合料理してるって言うか……うーん、説明難しいんだけど……」

お嬢様「……?」

男「……真似してるだけなんだよ。料理作ってる様を思い出して、その通りにやってるだけ」

お嬢様「真似、です?」

男「ああ。今はもういない人のだけどさ」

お嬢様「っ、それって……」
829 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/05(土) 01:00:15.90 ID:R03u/n080
男「……母さん、だね」

お嬢様「…………」

男「結構自慢の母さんだったよ。美人だし、家事もできるし、優しいし、頭も良かったし。何事も母さんを見習ったり、真似していれば上手くいってたな」

男「だからかなぁ。料理のときも『母さんならこうやる』、って自然に考えて手が動くんだよ。だからまぁ、そんなこんなで……」

男「はは、とんだマザコン野郎だな。気持ち悪くてたまらないよ」

お嬢様「…………」

男「……さて、思った以上に辛気臭くなったから、とっとと学校行っちゃおうか。……いや、まだ体調が優れないようなら休んでもらっても構わないけど」

お嬢様「いえ、大丈夫です。病み上がりですけども、人並みには歩けそうですし」

男「……ん、それならいっか。じゃあ準備して。出来次第家を出るから」

お嬢様「分かりました」
830 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/05(土) 01:01:34.10 ID:R03u/n080
今回はここまでです
ありがとうございました
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/05(土) 01:05:53.53 ID:UgfwWkNHo
乙乙
なかなか良い雰囲気
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/05(土) 02:45:42.73 ID:KL47kH1IO
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/05(土) 12:50:10.30 ID:O1EA1XMco
834 : ◆8IrmZWsy0E [saga sage]:2012/05/08(火) 23:37:21.94 ID:EOdlus4f0
色々忙しくて、次書けるときまでにかなり間が空くかもしれません
本当にごめんなさい。その都度生存報告等はしていきますので、もし読者の方々がいましたら、できればその書ける日までお待ちください
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/08(火) 23:38:21.78 ID:9wr5POGao
あら、ならば待つよ
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/09(水) 00:11:06.38 ID:YelXdjvuo
把握
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/09(水) 01:42:26.31 ID:8HWP4PxDO
生存報告があればおk
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/09(水) 07:32:31.68 ID:tSL5Cw/AO
把握
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/05/09(水) 08:00:51.12 ID:74ay14J+o
いいとこで焦らしやがる
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/14(月) 07:24:01.08 ID:9j0Swxc9o
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/15(火) 22:03:30.53 ID:FyJx4nQAO
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/15(火) 22:19:09.28 ID:H/mXplI1o
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
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  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
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\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
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.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/19(土) 16:57:40.18 ID:BSbuG4/ho
待ちくたびれた
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/20(日) 13:33:33.09 ID:7FrVKBY6o
まだ慌てるような時間じゃない
845 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/20(日) 20:58:51.51 ID:/qhjcMtc0
書き始めます
間は空きましたけど正直生存報告とか要りませんでしたね、ごめんなさい
体調不良等ありまして相当な遅筆になると思いますが、それでもよければお付き合いください
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/20(日) 21:02:37.54 ID:+wnjnngho
キマシ
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/20(日) 21:09:55.88 ID:V21C0N1Bo
tower
848 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/20(日) 21:24:10.59 ID:/qhjcMtc0
男「…………」

男(今日の授業後の夜。昨日のメール通りであれば女がその時間帯に話したいことがある、と)

男(何故必ずと言っていいほどに顔を会わせる学校でその用事とやらを済まさないんだ? 聞かれたくない内容だろうが別に学校でも人の来ないスポットはある)

男(だからそこを利用すればいい……はずなのに、あのメールの内容だ。……あーあ、全く見当つかないっていうのはこういうことか? 無駄に歯痒くて堪らない)

男(今日学校で直接問い詰めて……いや、どうせ口を割ることはないだろう。学校の連中に話を聞かれるのを警戒して場所と時間帯をずらしたぐらいだからなー)

男「…………」

お嬢様「…………」


お嬢様「……あの、男様?」

男「っ、な、なにか?」

お嬢様「……いえ、その……なんというか」
849 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/20(日) 21:46:10.50 ID:/qhjcMtc0
男「んー?」

お嬢様「いつになく、考え込んでいる気がして」

男「……そう見える?」

お嬢様「はい。といいますか、データ上その行動を見せるときははいつもそうでしたので」

男「そう、データ……でーた…………」









男「……は? データ?」

お嬢様「……あっ」
850 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/20(日) 22:03:45.55 ID:/qhjcMtc0
男「お、おじょー? あのう、データというのはつまり」

お嬢様「ちっ、違います! 断じて、その。えぅ……データと言うのはですね!」

男「つまりは俺の観察のデ」

お嬢様「ータではないんですよ? 本当に違うんですよ!?」

男「じゃ……じゃあ何を」

お嬢様「セーブデータです! そのゲームのキャラクターに考え事をすると視線を地に落として黙り込み、こめかみを人差し指で二、三回触れてその手をポケットに突っ込むようなキャラクターが! いっるっんっでっすっ!」

男「いや、たったそれだけの簡単な仕草にそこまで細かい設定があるキャラクターなんて見たことないですし」

お嬢様「い、いえ。中には実在する……かも、しれません……し」

男「……というかそれ、第一俺が行った動作を読み上げただけだし」

お嬢様「…………」

男「と……言うわけで。つまり、そのデータってのは、やっぱ」

男「……………………」

お嬢様「……………………」
851 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/20(日) 22:16:29.97 ID:/qhjcMtc0
男「俺の観察データ?」

お嬢様「っ!?」ビクゥ

男(あ、図星だ)

お嬢様「ぁ、あぁ。の。ぇ、あ」アセアセ



男(なんかつごい焦ってるな。顔面蒼白だし)

男(それにしても俺の観察データかー。一歩間違えたらストーカーだったけど、付き合っている以上何も感じないや。普通は気持ち悪いかもしれないけどなんかもうどうでもいいや)

男「まぁ、あれだ。とりあえず落ち着いて……」

お嬢様「…………」

お嬢様「……ご」

男「……ご?」

お嬢様「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ごめんなさいぃ……」

男「お、おうふ……!?」
852 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/20(日) 22:43:39.56 ID:/qhjcMtc0
お嬢様「悪用するつもりとか、そういったものは一切ないんです。本当にないんですっ」

お嬢様「ただ知りたかっただけで……その、そういった細かいところをきちんと覚えてたり、記録してたりすれば男様にどう接すればいいか分かるような気がして……っ」

お嬢様「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいっ。こんな変な真似をするような女でごめんなさいっ」ポロポロ

男「ちょっ!? そんな謝らなくていいから! そこまで俺気にしてないから!」

お嬢様「うええ、ぇ……やだ、みすてないっ、でぇ」

男「話が飛躍しすぎてない!? そう簡単に女の子見捨てるような男じゃないよ俺!」

お嬢様「ふ、ぅう。うえぇぇ、ひっく」

男「あーよしよし。うん、俺は怒ってないぞー。怒る要素がないぞー」

男「だから泣き止もう、な? こんなところで泣いてたらそのうち誰か来ちゃうぜ? やばいんだぜっ!?」
853 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/20(日) 23:24:07.49 ID:/qhjcMtc0
お嬢様「…………」グスッ

男「本当に大丈夫だって。ほら、さっきのデータとか言うのもさ。俺のことが……つまり……だから、あれなんでしょ?」

お嬢様「…………」コクリ

男「だったら俺はそれに文句なんて言わない。むしろ嬉しいと思うよ? こ、こんな美少女に思われてるんだわーやったー、って」

男(……多分)

お嬢様「……ほんとうです?」

男「本当本当。嘘つく必要性がない」

男「別にお前に対してどうこう思ったりしてないからさ。信じてくれよ。勿論そうしてもらえるようなことは俺もししていくからさ。な?」

お嬢様「…………」

お嬢様「……わかり、ました」

男「よしいい子。うん、よーしよし」ナデナデ

お嬢様「…………」
854 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/21(月) 00:00:50.60 ID:0oFmnq8o0
男「…………」

お嬢様「…………」

男(やばい、急に会話がなくなった。いや、元から少ないような気もしますけどね?)

男(それが完全に消え失せましたよ、ええ。見事に消え去りました)



男「…………」

お嬢様「……あの」

男「っ!? ど、どうした?」

お嬢様「さっきのお話、なんですけども」

男「さっきの?」

お嬢様「…………」

男「……?」

お嬢様「や、やっぱりなんでもないです……」

男「それならまあ、いいんだけど」
855 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/21(月) 00:16:24.62 ID:0oFmnq8o0
男「そろそろ学校だね」

お嬢様「はい」

男「うーむ。やっぱり騒がれるというか、注目の的とかになったりするのかなー」

お嬢様「……ごめんなさい」

男「へ? いや、謝らなくていいよ。そっちが悪いって言うか騒ぐやつの方が悪いんだし。……というか騒ぎの原因を作り出す俺が悪いのかね?」

お嬢様「絶対に違います。……絶対に、違います」

男「……ん。ありがとう」

お嬢様「…………」

男「…………」

男(うわあ、また会話が消えた)
856 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/21(月) 00:23:34.66 ID:0oFmnq8o0
男「それじゃま、ここらへんで」

お嬢様「はい。ありがとうございました」

男「気にしないでよ。仮にも彼氏ですよ俺は」

お嬢様「……はい」

男「んー。分かったならいいや」

お嬢様「…………」



お嬢様「……あのっ」

男「……? どうした、まだなにかある?」

お嬢様「あ……えと…………」







お嬢様「……っと、…………てます……」





男「え……ちょ、もう一度……」

お嬢様「っ! そ、それじゃあまたっ!」

男「えっ、お、おい。今のは一体……」
857 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/21(月) 00:31:22.40 ID:0oFmnq8o0
男(……行っちゃったよ)

男(まあいいか。さっきの言葉が何かは分からなかったけど、後でまた聞けばいいことだし……)

男(さっさと切り替えて今日のことに集中するか。なんか色々とありそうな気がする)

男(……本当に、ねえ)













男「……なんか、嫌な予感がするのはなんでなんだろうな」
858 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/21(月) 00:32:56.39 ID:0oFmnq8o0
今回はここまでです
それでは、ありがとうございました
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/21(月) 00:35:11.89 ID:adrghIK4o
乙乙
待遅くなっても待つよ
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/21(月) 00:44:52.21 ID:I8/KdynAo
乙!
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/21(月) 00:48:13.17 ID:gYDywL07o
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/22(火) 18:32:24.03 ID:3gOykelEo
いま、読んでるSSのなかで
このSSを一番楽しみにしてる
863 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/22(火) 23:24:32.13 ID:c62XsJkE0
書き始めます
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/22(火) 23:31:54.04 ID:h8v+XQLVo
よしきた
865 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/22(火) 23:47:00.94 ID:c62XsJkE0
〜〜〜〜〜〜


教室




男「……………………」

男(眠い。ひたすら眠い。もうなんか瞼が重石をぶら下げているかのように重い)

男(畜生。こんなにも眠たくなるとは思わなかった。特に疲れているわけでもないのになんでこんな……)

男(おまけに腹も減ってきたし……次は昼休みだけどそれまで耐えられる自信が……)

男(いっそのこと寝ちゃおうかな。一日ぐらい先生の話聞いてなくともなんとかなるし。うん、そうだ。そういうことだ。そういう……うん…………)

男「………………」



866 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/23(水) 00:02:07.64 ID:mmbaIsY10
男「……………っ、ん?」

男(……あ。なんかもう終わってら。てことはもう昼休みー)

男(さっさと飯食ってもう一眠り……ん? あれ、今日って弁当はどうしたんだっけ?)

男「…………」ポリポリ

男「……あ」

男(そうだ、今朝は家にあるもの使って適当に俺が作っといたんだ)

男(本当は今日もお嬢様が弁当作ってきてくれるはずだったんだけど、熱出してそのあとの疲労のせいか、結構ギリギリまで寝てたからそんな余裕はなかったんだよな、あの子)

男(登校中に物凄い謝ってきてたけど……ん? 待てよ、なんでわざわざ自分の分の飯ごとき作ろうと思ったんだ? 今まで購買で済ませてきたのに、今日に限って弁当を……?)

男「……あ、そうだ。別に俺のために作ったんじゃないわ」

男(お嬢様のこと考えて一応二人分作ったんだった)
867 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/23(水) 00:57:39.55 ID:mmbaIsY10
男(……いや、作ったとは言えないか。冷蔵庫の中の作りすぎた惣菜詰め込んだだけの手抜きだし。そこまで時間は経ってないからいいと思うんだけど)

男(とりあえずお嬢様の所行ってみるか。要らないって言われたらそれまでだけど、万が一ってこともあるし)

男(いざとなれば俺一人でも……いけるな。大丈夫だ)

男「……あー、動くのだりぃ」



〜〜〜〜〜〜
868 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/23(水) 01:37:50.08 ID:mmbaIsY10
うむむ、どうにも筆が進みません。頭がクラクラしてます
本当に少なくて申し訳ありませんが、また時間を改めて書きたいと思います
多分今日の夜辺りからは再開できるとは思うのですが
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/23(水) 01:39:21.11 ID:n/A8ENX9o
乙!
お大事に
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 04:02:00.07 ID:ojk7BKtho
オイツ・イータ(1789?)
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/23(水) 07:59:34.93 ID:cyiOsa0Qo
872 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/23(水) 23:47:49.62 ID:mmbaIsY10
書き始めます
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/23(水) 23:53:37.30 ID:bylZ7G9uo
おっしゃ
874 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/23(水) 23:59:21.07 ID:mmbaIsY10
男(……ここがお嬢様のクラス、だよな?)

男「…………」

男(普段あんまり自分から他のクラスに移動したりしないからなぁ。入り辛いったらありゃしない)

男(おまけに……)

男「……」チラッ



「ねー、あの人だよね? 確か……」
「うん。お嬢様さんと……」



男(やっぱりこのクラスの奴等には知れ渡ってるか。予想してたとはいえ、なんか恥ずかしいと言うか……)

男(いや、もういい。さっさと用事済ませよう。ここで時間を浪費してても仕方がない)
875 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 00:14:10.92 ID:aCQ2F2S20
男「あの、すみません」

「……え? 私?」

男「ええ、ちょっと頼みたいことがあって。その、お嬢様っていますかね? 少し用があるんだけども」

「ああ、はい……呼べばいいんだよね? ちょっと待ってて」

男「うん、ありがとう」





「うーん。なんかいないみたいだよ?」

男「……? どこか呼び出しでも食らって?」

「多分だけどそうみたい。屋上にいるってさ」

男「屋上、ね」

男(屋上、屋上……なんだろう、予想できるパターンが少ししかないって言うか。ここまで来たら多分あれしかないよな?)

男「……分かった、ありがとう。それじゃあ」

「んー」
876 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 00:54:21.19 ID:aCQ2F2S20
屋上



男「……着きましたっと」

男(さて、お嬢様は……いた。誰か男と向かい合って話してる)

男(内容はもう分かってるとして……あの男は誰だ? 後ろ姿でよく分からん)

男(まあ、様子が覗けるだけいいとするか。結果なんてどうせ分かってる。どうせ……)

男(…………)

男(……もし、俺がいなかったとしたら。あいつはどうするんだろうな……)

男「…………」
877 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 01:39:13.57 ID:aCQ2F2S20
男(ん? そろそろ話も終わりそうだな。どこかに隠れて、例の男が行ったら入るとするか)

男(……いや、一旦階段を降りてタイミングよくそいつとすれ違ってみるのもいいか。顔とかも拝めるだろうし)

男(もしそいつがかなりの美男子だったりしたら面白いな。俺より遥か上のルックスを持つ奴が好きな女を、俺が……って…………)



男(……気持ち悪い。んなことして何になるんだよ糞ったれ。何を俺は優越感に浸ろうとしてるんだよ俺は)

男(第一俺があいつの隣にいるのだっておかしいくらいなんだ。俺みたいな野郎が本来あいつの横に並ぶことなんてあっちゃいけない)

男(なのに、それを知りながらも受け入れてしまった俺がいるってのか。胸糞悪い、今すぐにでも自分自身を絞め殺したい)

男「……はは、それができたら苦労しないっての」
878 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 02:05:00.85 ID:aCQ2F2S20


男「……さて」

男(俺もそろそろ行くかな。大体話も終わってる頃だろうし)

男「…………」

ガチャッ

?「…………」スタスタ

男「…………」

男(……うん、予感が的中したのか相当なイケメンでしたよ。というかあいつ、校内で一、二を争うくらいのルックスって言われてたやつじゃないか?)

男(肩書きというか、そういうので見ればお嬢様と同等のやつ、ね)

男(あんまり深く考えない方がいいか。どうせ自虐に走るだけなんだし)
879 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 02:17:15.02 ID:aCQ2F2S20
男「……」ガチャ

お嬢様「……誰です……って、え? あ、おとっ、男様?」

男「うぃーっす。三河屋でぃーっす」

お嬢様「みか、わ……いや、そんなことはともかく。何故男様がここに……?」

男「お前のクラスのやつから居場所聞いて、それで来たって訳だよ」

お嬢様「ああ、そういう……って、それだったらさっきの話の内容を」

男「まあね。付き合ってもいない男女が人気のない屋上に来てする事ってまあ大体絞れるし」

お嬢様「そう、ですか……」

男「……んで、返事はどう返してやったの? YES? NO?」

お嬢様「なっ、決まっているじゃないですか」
880 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 02:31:16.83 ID:aCQ2F2S20
お嬢様「丁重にお断りさせてもらいましたよ」

男「へえ。理由はやっぱ、俺と付き合っているからと?」

お嬢様「……まあそうなります。彼、私と男様の関係について全く知らなかったみたいで」

男「あー、そう……」

男「……この際もうちょっと付き合ってることを大々的に広めた方がよかったかな」

お嬢様「え? どういうことです?」

男「いや。そうした方がお嬢様に告白してくるようなやつは減るんじゃないかなと」

お嬢様「別に、先程みたくお断りすればいいだけの話なのですけれど……」

男「そうだとしても、あんまり低姿勢だと前のDQNみたく調子に乗って強引に迫ってくるかもな」

お嬢様「っ、それは嫌です……」

男「……まあでも、俺がいつも傍にいてやれば問題ないっていうね」

お嬢様「そ、それはそれで恥ずかしい……いえ、嬉しいのですけど…………」
881 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 02:37:49.88 ID:aCQ2F2S20
男「……なぁ、お嬢様」

お嬢様「はい。なんでしょうか」

男「もし俺がこの世界に存在しないとしてだ。そしたら、お前はさっきの告白をどう返した?」

お嬢様「え……」

男「もしもの話な。別に返答次第で死んでやる、なんて気はさらさらない。そんなくだらない理由で死んでやれるほど俺の命は安くはないんだろうし」

お嬢様「…………」

男「本当になんでもいいぞ? 付き合うって答えを出してくれたっていい。だってその世界に俺は存在しない訳ですし? 別世界のお前にまで愛を求めるほどでないのでござる」

お嬢様「……私、は」

男「おう、どうなんだ?」
882 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/24(木) 02:41:10.42 ID:aCQ2F2S20
今回はここまでです
それでは、ありがとうございました
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/24(木) 03:28:39.49 ID:Y7ANMS4IO
乙!
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/24(木) 08:31:14.07 ID:X9EdEQDCo
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/24(木) 21:33:49.14 ID:ld/qIeyzo
これ読んでると死にたくなるわ
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/24(木) 21:39:32.22 ID:J5VSQkSao
俺って生きてていいのかな…………
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/24(木) 21:58:04.74 ID:rc3RvCAAO
死んだらこれ読めなくなるから生きろ( ゚Д゚)
888 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/26(土) 00:35:21.58 ID:8d2oIraJ0
書き始めます
めちゃくちゃ短いと思いますのでどうかご了承を
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 00:38:20.61 ID:j8dmP16Wo
はい
890 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/26(土) 00:52:55.86 ID:8d2oIraJ0
お嬢様「ふふ、どうせ断っていたと思いますよ?」

男「へえ。理由はなんだよ、あいつの方が基本的に俺よりスペックは上だぜ?」

男「しかも性格も良好だってさ。言わば俺の上位互換みたいなものだろう」

お嬢様「それでも駄目です。その世界の私はきっと、男の人が恐ろしくて堪らないのじゃないでしょうか」

男「恐ろしい?」

お嬢様「そうですよ。男性恐怖症で学校にも来ていないと思いますよ」

お嬢様「それはだって男様がいなければ、あの時私はどうなっていたことやら」

男「…………」

男「……あの時?」
891 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/26(土) 01:06:41.68 ID:8d2oIraJ0
お嬢様「…………」

男「…………」

お嬢様「……あの時?」

男「……あの時」












お嬢様「……あっ」

男「理解した?」

お嬢様「え、あの。あの時……いや、あの時っていうのは……あははは」

男「いや、何さ? あの時って何さ?」

お嬢様「えっとぉ。それは……ぅうむ」
892 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/26(土) 01:28:32.13 ID:8d2oIraJ0
男「あ、あれだ。俺が学校のど真ん中でお前の彼氏宣言して変な不良被れから守ったやつ」

お嬢様「そっ、そう。それです! それなんです!」

男「……ふむ、本当に?」

お嬢様「本当です。そのとき男様に助けられなかったら私はーって……」

男「嘘だね」

お嬢様「……はい?」

男「いや、だから嘘だねって。自分から言っといておかしいけど、明らかにお前挙動不審だし。気づかない方がおかしい」

お嬢様「あ、あははは。なんのことでしょう……」

男「というかあれだよね。たった数日前の出来事を忘れる、しかもあれだけのことをってのは普通ないからね?」

男「もしくはあれだ、そのことじゃなくてまた他のことを考えていたとか。そうすれば大体合うけどさ、どうなの?」

お嬢様「……いや、その」
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/26(土) 02:14:33.33 ID:7SvS+81yo
乙?
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 02:50:01.85 ID:zJLlYqpEo
寝落ちしたかな?
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 13:20:53.98 ID:ejNmbfmDO


896 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/26(土) 23:46:22.67 ID:8d2oIraJ0
男「どうなの?」

お嬢様「えっと。それは」

男「どうなの?」

お嬢様「ちょっと待っててください、すぐに答えを……いや、もうちょっとじかんを置きた」

男「ど う な の ?」





お嬢様「…………」

男「…………」

お嬢様「わ、分かりましたよ。話しますよもぉ……」
897 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/27(日) 00:03:03.46 ID:T1qzqBFj0


お嬢様「……あのときと言うのは。その、一年の時の話ですよ」

男「一年の時?」

お嬢様「そうです」

男「え、ちょ、そんな前から? 待って、その時から俺はお嬢様になんらかの接触を?」

男「いやいやいや、流石にそれはないでしょう。だって俺、去年お前と話した覚えがないし」

お嬢様「それはそうです。だってその時、私は男様と一言も口を聞いていませんでしたから」

男「……? ますます分からない。一言も会話を交わしていないのにもかかわらず俺はお前を助けたと」

男「あれか? 無意識のうちにというか、然り気無く行った行動が結果的にって待て、そんなはずが……」



お嬢様「あ、あの」

男「……ん? 何かある?」

お嬢様「えーとですね。こ、この際ですから言ってしまいますと、その時から私は男様に想いを……っっ///」

男「…………」

男「……は?」
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/05/27(日) 10:18:16.18 ID:zBUWQE8+o
追い付いてしまった
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/28(月) 01:04:08.83 ID:F0ia5qS3o
900 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/28(月) 23:01:07.01 ID:ho50bPQf0
お嬢様「簡単に言ってしまいますと、助けられたんです」

男「お前が? まさか俺に?」

お嬢様「はい。おそらくは」

男「おそらくってお前、そんな曖昧なのか?」

お嬢様「すみません。その時私は気絶させられていたので」

男「……まあいいや」

男「んで、その俺が何からお前を助けたって言うのさ。シチュエーションが全く頭に浮かんでこないだけど」

お嬢様「そうですね……誰からと聞かれますと、私を犯そうとしてきた方としか」

男「れ、れいぱーっすか。れいぱーから俺がお前を守ったっすか……?」

お嬢様「はいっ」
901 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/28(月) 23:15:48.44 ID:ho50bPQf0
お嬢様「いきなり背後から襲いかかられて気絶させられ、何処かへ運ばれる途中に男様がやって来て」

男「それで俺がその変態野郎に……」

男「……鉄拳制裁?」

お嬢様「鉄拳制裁です」





男「…………」

男「…………あー。なんかあったかな、そういうの」

お嬢様「思い出せましたか?」

男「なんとか。って……待てよ」

お嬢様「どうしました?」

男「あれ、お前があの時の事の顛末について知ってるって言うことはまさか」

お嬢様「……はい。あの時私は途中で意識を取り戻していました」

男「やっぱりか。何かおかしいと思ってたんだよ」

男「あれ? ……だとすると、何であの時わざわざ気絶した振りをしていたのか、ってことになるんだけど」

お嬢様「……それはですね」
902 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/28(月) 23:40:05.21 ID:ho50bPQf0
お嬢様「…………」

男「…………」

お嬢様「……それはですね」

男「うん」

お嬢様「…………」

男「…………」



お嬢様「……それはですね」

男「何回続けるんだお前」

お嬢様「いや、だって恥ずかしい……」

男「気絶してなきゃ恥ずかしいってちょっと」

お嬢様「だ、だって! 起きようかと思ったらいきなり背負われてるんですもん! 今更起きてもどうすればいいか分からないんですもん!」

男「ほうほう。で、そのまま俺の独り言を聞いていましたと」

お嬢様「そうなります」

男「うわー恥ずかしい。恥ずかしすぎて悶え死にそうだわ本当……」
903 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/29(火) 00:25:11.10 ID:nma3jN1S0
お嬢様「………………」



お嬢様「……死んだら嫌ですよ」

男「え?」

お嬢様「だから。死んだら嫌ですよって」

男「いや、死なないけど……なんで俺が死にたがってるみたいな雰囲気に?」

お嬢様「いえ、雰囲気とかそう言うのではなくて。ただなんとなく言ってみただけです」

男「……?」

お嬢様「あまり深くはお考えにならないでください。本当に、本当にただの気まぐれですから」

男「……ああ」

お嬢様「ありがとうございますっ。それで男様、今回はなんの目的でここに?」

男「ん、そうだった。実は今朝お前の分の昼食どうするかって考えて……」



〜〜〜〜〜〜
904 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/29(火) 00:45:09.58 ID:nma3jN1S0
学校終了後


男「…………」

男(さて、どうすっかねー……学校も終わったし、後は今晩女と会って話つけるだけ……)

男(一応お嬢様にも伝えておくか? 夜中にこっそり彼女じゃない女と会ってましたー、なんてもう浮気そのものだしな。ばれた時のためにも一応連絡を……)

男(いや、でもなあ。下手に伝えるとあの子首突っ込んできそうだしな。となると俺一人で誰にも知られないようやってくと……)

男「……帰ろっと」

男(そう言えばお嬢様、今日は女友達にめちゃくちゃ頭を下げられて頼まれた事があって一緒には帰れないって言ってたな。だから今日は一人で……)

♪♪……♪

男「……メール」カチャ

『例の話だけど、今日の8時に○○公園でOK?』

男「…………」


『了解』

男「送信っと」

男「…………」

男「帰るか……」
905 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/05/29(火) 01:03:35.75 ID:nma3jN1S0
このスレ中に鬱風味?な展開を終わらせられるか不明です
というわけで今回はここまでで
書く量もバラバラですみません。何しろ時間が取り辛いものでして……
それでは、ありがとうございました
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/29(火) 01:07:48.48 ID:OyNwoLZfo
おつ
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/29(火) 01:08:03.06 ID:hG9vUpYfo
乙!
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 06:45:49.34 ID:3ktZafMro
おつつ
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 08:21:35.71 ID:BV11SlnNo

終わらなかったら次のスレいけばいいよ、気にするな
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 11:45:35.48 ID:ZkqxQ4kUo
おっつー
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 18:00:58.98 ID:YgzhwQMeo
乙乙だー
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 22:04:23.90 ID:UOcUJcpDO
913 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/07(木) 20:54:16.03 ID:wXPJzCE30
書き始めます
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 20:57:49.11 ID:uzVe67yYo
期待
915 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/07(木) 21:17:02.21 ID:wXPJzCE30
男宅


男「……」

男「……ん、そろそろか」

男(きょーうはーあ、女さんとーお。おーはーなーしー)

男「……何考えてるんだ俺」

男(とにかく行ってみるか、公園。まだ三十分早いけどまあ……いいか、うん)



男「行ってきます」ガチャ

男「…………」

男「……あ、誰も居ないのかそういえば」

バタン!
916 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/07(木) 21:52:00.71 ID:wXPJzCE30
公園


男「……着いたっと」

男「まだ待ち合わせの二十分前……流石にあいつは」

女「あ、来たの?」

男「……いましたと」

女「え? なんかすごいがっかりされてる? 私何かした?」

男「いや、してない。強いて言うならば気を利かせて早くやって来たのに、それよりも早くやって来たお前が憎い」

女「てへっ」

男「うっわむかつく……はぁ」

女「あら、テンションが斜め下の方向へ猛スピード……ごめんごめん、冗談だから許し……」

女「うわあ、何故かしら負のオーラが滲み出てる。そんなんじゃ女の子とか寄ってこなくなっちゃうよ」

男「生憎そんな心配は必要ないんでね。多分俺にベタ惚れしてるであろう校内一二を争う程可愛い彼女が出来ましたから。やった!」

女「…………」

女「……ふふ、そっか。そうだったよね」
917 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/07(木) 22:09:28.48 ID:wXPJzCE30
男(……? 今、女の様子が……)

女「そっかあ。そう言えばお嬢様さんと付き合い始めたんだよね。あの有名なお嬢様さんと」

男「なー。奇跡的になー」

女「奇跡的……?」

男「うん、奇跡的。だってそこら辺のモブキャラCでもやってそうな俺が、超大作のメインヒロインやってそうなお嬢様とってどう考えても釣り合わないし、そもそも有り得ないだろ」

女「またまたぁ。そんな謙虚な姿勢があの子を落としたりしてね。というかそうじゃないの?」

男「モブが謙虚になったって影が薄いの一言で終わるだけだろう、普通」

女「んー、じゃあまさかの主人公だったとか!」

男「……俺が?」

女「そう! 男が!」

男「……有り得ないよ」

男「……どうしようもないくらい有り得ないさ、こんなやつが主役って」
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 07:08:53.13 ID:rrpuKrmeo
おつー
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 07:31:31.64 ID:/vsHI/ij0
男希少価値高いからな……
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/08(金) 07:40:59.19 ID:af3zpajdo
921 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/10(日) 20:51:39.68 ID:s0TORUWi0
3日連続風邪で高熱辛すぎワロタ
……いや、実際笑えませんけどもね?
短めですが書き始めます
922 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/10(日) 20:57:59.84 ID:s0TORUWi0
女「……男?」

男「…………」

女「あの、ごめん。そんなにテンション下がっちゃうとは思ってなくて……」

男「……いや、別に謝らなくてもいいけどな。こっちが勝手に沈んでるだけだしさ」

女「そ……そう?」

男「ああ」

女「…………」

男「…………」



男「んで、今回の用件はなんなのさ」

女「ひゃいっ!?」
923 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/10(日) 21:16:50.82 ID:s0TORUWi0
男「うおっ、なんだよいきなり」

女「いや、ちょっと驚いちゃって」

男「こっちの方が驚いたって……」

女「あはは、ごめんごめん」

女「……それでなんだけどさ。用件についてだけど……一つ前置きがあるの」

男「前置き?」

女「そ。前置きって言うよりかは事前注意って感じかもしれないけど……まぁ、とりあえずね」

男「……? で、その前置きとやらはなんなのさ」

女「…………」

女「これから私が言うことはね、全て過去形ってことなんだけど……意味分かる?」

男「大体だけど。もう昔のことだから今は関係無い、だから気にすんなってことか?」

女「うん! そういうことそういうこと。物分かり良いって話が早くていいよ」

男「はぁ。そうなの」
924 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/10(日) 21:57:09.50 ID:s0TORUWi0
女「でもその分私が言うのが早くなっちゃったけど……」

男「なんだそれ」

女「それぐらい私の中では大切 ……ってことよ。じゃなきゃこんな所に呼び出すなんて手間のかかることなんてしない。メールか電話で十分」

男「へえ。じゃ、俺もしっかりした態度で聞かなきゃまずそうだな」

女「…………」

女「……うん。そうしてもらえると助かるな」

男「おうよ」

女「それじゃあ……えと。もうちょっと……深呼吸だけ」

女「……」スー

女「……」ハー

女「…………」

女「……それじゃあ、言うね」

男「ああ」
925 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/10(日) 21:59:05.62 ID:s0TORUWi0
「私は」






















「あなたのことが、好き『でした』」




926 : ◆8IrmZWsy0E [saga]:2012/06/10(日) 22:01:26.56 ID:s0TORUWi0
やばいです。頭がふらふらしてきまし
一旦寝てきます、再開できるかはちょっと分かりません
それでは
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 22:03:04.61 ID:LVJLSfDeo
乙、睡眠は大事よ
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [sage]:2012/06/10(日) 22:03:52.45 ID:Egv0Cx66o
俺も続きが気になって頭フラフラする

お大事に
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 22:57:20.90 ID:X1IPu+6DO
お大事に
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 13:06:32.30 ID:5UMeAocIO
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/06/11(月) 17:19:35.88 ID:axoKt44Fo

治ってから再開でも良いとおもう
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/19(火) 06:45:57.82 ID:UvZKcIeDO
もん
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/06/19(火) 07:15:58.70 ID:6ktKDms30
お大事に?
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/23(土) 18:52:34.59 ID:NZrgzqx6o
スレが落ちそうで怖い
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/23(土) 21:37:04.81 ID:D+yvt1Jvo
落ちねーよ
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/06/24(日) 11:11:08.51 ID:1Ubemn1zo
3か月は落ちないんだっけか。
でも一か月以上来ないともう書かないのかな?って思ってしまう
937 : ◆8IrmZWsy0E [sage saga]:2012/06/25(月) 00:19:25.88 ID:OQKyiG610
一応生存報告みたいなのです
色々と忙しいので再開はもうしばらく日が空くかもしれません。ごめんなさい
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 00:22:32.79 ID:u696k8Lbo
把握
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/03(火) 06:45:46.95 ID:RAj+ApdDO
かぽーん
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 08:45:16.88 ID:15XcATrIO
はい
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2012/07/13(金) 22:51:23.79 ID:SGGTmHsB0
マダー?
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/26(木) 23:54:00.59 ID:l8Arh1MXo
来ないな...
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage]:2012/07/27(金) 04:31:26.03 ID:0zR+UW95o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341587494/

続編きてんぞ
944 : ◆8IrmZWsy0E [sage]:2012/07/27(金) 12:00:43.13 ID:Qg9KNb5S0
>>943
ちゃいますちゃいます名前が似てるだけです
自分が適当にこの話の題名つけたらその話の題名と被ってて、なんか自分のがパクりみたいになっちゃって顔面蒼白になったってだけです

という訳で生存報告二回目です
話の展開が出来てても文章の書き方を忘れたのでリハビリしてます。ごめんなさい
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 13:07:11.15 ID:R5qEzdUIO
>>944
構想はできてるのか
まってる
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/27(金) 20:52:10.85 ID:9f3JF3Y5o
でもそろそろ埋まるし新たにたててもいいかも
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 23:55:08.81 ID:96p+5X+DO
まだかな
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/08/27(月) 22:44:21.23 ID:SM5HzZpY0
次スレ建てたのかな
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/09(日) 23:06:51.66 ID:JzSp2RXDO
ようです
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/09(日) 23:42:12.69 ID:MN1X5aBKo
どこに立てたんだ?
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/11(火) 22:52:55.10 ID:xu2EEFJIO
生存報告ないなぁ...
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/09/11(火) 23:39:44.27 ID:/go8DD7go
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
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953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/09/28(金) 00:41:24.24 ID:z3oDLxm5o
まだー?
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/08(月) 01:44:39.80 ID:KBLLKZJQ0
はよ
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/10/15(月) 19:01:11.71 ID:jdG7uNhBo
ふむ
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