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QB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/03/12(月) 16:57:39.66 ID:aEHSwoAi0
ポケモン(ポケスペ)っぽくするつもり
オリジナル設定ばかり故

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1331539059(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 16:58:22.74 ID:aEHSwoAi0
まどか「はっ…はぁっ……うわっとっと」

まどか「ハァ…ハァ…なに、あれ?」

???「ガギャギャァッ!!」

まどか「な、何?」

まどか(なんだろう?大きなポケモン……私の手持ちじゃないと思うんだけど)

まどか(あれ?向こうにも誰かいる?誰だろう…?)

まどか(髪の長い人……女の人かな?それにあの人の後ろにいるのも、ポケモン?)

???「グギュグバァッ!!」

まどか(向こうにいるのはあの人のポケモンなのかな?じゃあ、こっちにいるのは私の?)

まどか(もしかして――)

まどか「私が、ポケモントレーナーに…?」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 16:58:58.55 ID:aEHSwoAi0
まどか「んん……」

ゆっくりと起き上がり、まどかはぼんやりとしている思考を現実のものへと戻して行く。

まどか「……はうぅ……夢落ち?」

ピッピ「ピッピピー!」

まどか「あっ、おはようピピっち!おいで!」

既に眠りから覚めていたピッピを抱きかかえて部屋を飛び出した。

まどか「おはようパパ!ダル!ママは〜?」

知久「おはようまどか。タツヤとマネネが行ってるから手伝ってきてくれるかい?」

チャーレム「チャレー」

まどか「はーい」

タッタッタ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 16:59:23.59 ID:aEHSwoAi0
タツヤ「マーマ!朝だよ〜!」バシバシ

マネネ「マーネ!マネマネ〜」ペシペシ

バリヤード「バリィ」ユサユサ

部屋に入ると、三人分の起きてよ攻撃にも全く動じず、さながらナマケロかカビゴンの様に眠っている詢子の姿が映った。

まどか「お〜きろーーッ!」ガバァ

詢子「うひゃああぁぁぁ」ジタバタ

マネネ「マネネ〜〜〜」バタバタ

ピッピ「ピピピピッピ」クスクス

詢子の真似をしながらバタバタするマネネを見て笑うピッピの声で、ようやく鹿目家の朝が始まる。

この家には父・知久と母・詢子、長女のまどかと長男のタツヤ、
それから詢子の『キャリー』ことバリヤードと知久の『ダル』ことチャーレム、タツヤのマネネ、そしてまどかの『ピピっち』ことピッピがいる。

まどか曰く、「賑やかな家族」だ。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:00:04.24 ID:aEHSwoAi0
詢子「和子は相変わらず?」シャコシャコ

まどか「うん。まだ続いてるみたい」シャコシャコ

詢子「ふ〜ん…」

ガラガラ ペッ

詢子「珍しいねぇ和子が長続きするなんてさ。キャリー、化粧箱取ってくれる?」

バリヤード「バリバリィ」

キャリーが念力で大事な道具の入った箱を詢子に渡す。

詢子「サンキュ。今が危なっかしい頃だからなぁ」

まどか「ママももう少し先生のこと信頼してあげればいいのに〜」ガラガラ ペッ

詢子「そうは言うけどさ〜」

手慣れた手つきでメイクを終え、寝惚けた顔からバッチリ仕事のできる女へと変身する。

詢子「本物じゃなきゃそろそろボロが出てくるもんさ」

まどか「へぇー……」

まどかは地味なリボンと派手なリボン、二つを手に取って悩んでいた。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:00:36.55 ID:aEHSwoAi0
まどか「うーん……ピピっちはどっちがいいと思う?」

ピッピ「ピッ」スッ 詢子「こっち」スッ

詢子が派手な方のリボンを、ピッピは地味な方を指差す。

まどか「もう、ピピっちに聞いたのに……派手すぎない?」

詢子「それくらいでいいのさ。女は外見で舐められたら終わりだよ?」

まどか「そうかなぁ?」

まどかは詢子に言われた方を恐る恐る手に取って着けてみる。

詢子「うん、似合ってるよ」

まどか「そう?」

ピッピ「ピィ!ピピィ!」

まどか(?なんでまだリボンを……あ!)

まどか「もしかして……」

まどかはピッピに余ったリボンを付けてあげた。

ピッピ「ピピ!ピッピッピー!!」

まどか「良かった。喜んでくれたみたい」ティヒヒ

どうやらまどかの予想は当たっていたらしい。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:01:04.01 ID:aEHSwoAi0
―ダイニング―

タツヤ「あ〜」モグモグ

マネネ「マネ〜」モグモグ

詢子「へぇ〜マエバシシティでポケモンが大量発生、チャンピオンがズバッと解決か……変な事件だな」ズズー

知久「ママ、コーヒーのお代わりどう?」

詢子「ん…いや、今日はいっかな。行くよキャリー」スクッ

バリヤード「バリバリー」

三人「いってらっしゃ〜い」

知久「まどかもそろそろじゃないのかい?」

チャーレム「レムレム?」

まどか「ほんとだ…行ってきます!」

ピッピ「ピピッピー!」

知久・タツヤ「行ってらっしゃ〜い」フリフリ

チャーレム「チャムチャー」フリフリ マネネ「マーネマネネ〜」フリフリ
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:02:31.64 ID:aEHSwoAi0
―通学路―

まどか「おはようさやかちゃん!仁美ちゃん!」

仁美「おはようございます、まどかさん」

さやか「おっはよーまどか」

エルレイド「レイレイ」

二人が挨拶を返し、その後ろで二人のポケモンがお辞儀を……

まどか「あれ?リオすけ君はいないの?」

さやか「あれ!?あいつまたどっか行ったのかな?」

リオル「リールリオー!」タッタッタ

さやか「こーらーリオすけ!勝手に走り回らないの!」

リオル「ルー!」ピョンピョン

さやかの元に戻ってきても、相変わらずずっと跳ねまわって落ち着きがない。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:03:46.08 ID:aEHSwoAi0
さやか「ったくこのやんちゃっ子が……仁美のレイドくらい礼儀正しく真面目になってくれればいいのにな〜」

まどか(ある意味さやかちゃんとはお似合いだと思うけどね)アハハ

さやか「そういえばまどか、リボン変えた?」

まどか「あ、うん!変かな?」

仁美「そんなことありませんわ、お似合いだと思いますよ。ピッピちゃんもね」

ピッピ「ピッピ〜!」

さやか「おっと、気付かなくてごめんねピピっち」ナデナデ

まどか「なんだか恥ずかしいな〜」

さやか「いやいや可愛い可愛いよ〜私のお嫁さんにしたいくらいだよ〜」グヘヘ

まどか「さやかちゃん笑い方がおじさん臭いよ……」

エルレイド「エルレー」チョンチョン

仁美「あら、そろそろ時間ですわ。まどかさんさやかさん、急ぎましょう」

まどか「うん!」

こうして三人と三匹で登校するのが鹿目まどかの日常であった。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:04:46.62 ID:aEHSwoAi0
ポケットモンスター

縮めて――ポケモン。

不思議な不思議な生き物でその姿や生態は様々であり、まだその多くは謎に包まれている。

ここはグンマー地方。

一部カントー地方にも属しているこの地方には世界各地のポケモンが集まっており、険しい山、砂漠、海に繋がる湖、深い深い森が存在することから、
他の地方からは「未開の地グンマー」などと言われていたりもする。
幻のポケモンが存在している秘境と呼ばれる場所もありはするが、ほとんどの街はいたって普通であり、ポケモン達との交流が盛んな地域である。

この地方では10歳からポケモントレーナーを名乗ることができ、リーグによりポケモンを一度に6匹まで所持できると定められている。
それ以上のポケモンは転送システムで管理されている。
ただし、10歳未満は2匹までと決められている。

まどか達の学校でポケモンを持っている人間は大体3分の2ほどで、そのうちポケモントレーナーを名乗る者は半分もいない。

ちなみにまどかとさやかはポケモンを連れ歩いているだけでトレーナーではないが、仁美はポケモントレーナーである。
彼女は名家のお嬢様であるが故に、トレーナーになるという家庭の方針のために日々特訓しているのだった。

とにもかくにも、ポケモントレーナーというものは14歳という年齢の彼女達にとっては珍しい存在なのだ。

舞台は鹿目まどか達のいるミタキハラシティ

ここからすべての物語が始まる――
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:05:51.42 ID:aEHSwoAi0
―教室―

早乙女「エルフーンの性別は♂と♀どちらがいいと思いますか!?はい!中沢君!」

中沢「うぇ!?えぇっと、どっちでもいいんじゃないでしょうか?」

早乙女「その通りです!見た目が可愛いからと言ってポケモンの性別にケチをつけるのはナンセンスです!どっちでも可愛いじゃないですか!」

早乙女「女子はくれぐれもポケモンの見た目で性別を気にするような男子と交際することのないように!!」

さやか「ありゃ駄目だったんだね」ヒソヒソ

まどか「あはは……」

早乙女「それから男子は!くれぐれもポケモンの見た目で性別を気にするような大人にならないように!!私と私のエルフーンとのお約束です!!!」ボキィッ

真っ二つに折れた教鞭の音を最後に、一瞬の静寂が教室を包みこむ。

早乙女「……はい。今日は皆さんに転校生を紹介します」ニコッ

さやか「ってそっちが後回しかい」ガクッ

早乙女「暁美さん、入ってきてください」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:06:41.07 ID:aEHSwoAi0
その子が入って来た途端、教室がざわめきだす。

転校生がとても綺麗で長い髪をした美少女だったからだ。

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

早乙女「……終わり?」

ほむら「ポケモントレーナーです」

おお!っという声があちこちで上がった。

美人のポケモントレーナーとあっては男子だけでなく女子も黙ってはおらず、一際大きな歓声が沸いた。

〜休み時間〜

\暁美さんってどんな学校行ってたのー?/ \何シティ出身?/ \どんなポケモン使ってるのー?/

仁美「ポケモントレーナーとは気になりますわね…どんなポケモンを使われるのでしょうか?」

さやか「試合してみたら?今なら校庭の試合場使えるんじゃない?」

まどか「さやかちゃんってば、次も授業なんだからぁ……」

ほむら「ちょっといいかしら」スタスタ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:08:29.47 ID:aEHSwoAi0
さやか「何?どうかしたの?」

ほむら「私のポケモン、今朝野生のポケモンと戦闘をして少し傷ついているの。あなた保険係よね」

まどか「え?そうだけど……」

ほむら「保健室に案内してもらえるかしら」

まどか「う、うん、いいよ」スクッ

二人は教室を出て保健室を目指した。
大抵の学校には保健室にポケモン回復装置が置いてあり、勿論この学校も例外ではない。

まどかはすれ違う人の熱い視線、主にほむらに向けてのものを同時に浴びることとなり少々気恥ずかしい思いをしていた。

まどか(うぅぅ皆こっち見てる……それにしても暁美さんって)

まどか「あ、保健室は――」

ほむら「こっちよね」スタスタ

まどか「う、うん……そうなんだけど……」

まどか(なんで私より先に歩いてるんだろう……)
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:09:51.32 ID:aEHSwoAi0
まどか「暁美、さん?」

ほむら「ほむらでいいわ」

まどか「ほむらちゃんは、どうして私が保険係だって?」

ほむら「早乙女先生に聞いたの」

まどか「あ、それで!」

それっきり無言が続いた。

まどかは必死に話題を絞り出そうと頭をひねる。

まどか「ほむらちゃん、って変わった名前だよね?いや変な意味じゃなくてさ!その、カッコいいなあなんて……
    それに、ほむらちゃんとなら私と趣味が合うような――」

ほむら「鹿目まどか」クルッ

中継ぎの廊下に差し掛かった時、突然ほむらのボールからポケモンが出てきた。

アブソル「フーン」

まどか「あ、アブソル…?この辺だと珍しいね…って、先生に見つかったら怒られちゃうよ!校内で連れ歩きするの禁止されてるんだからね!」

ほむら「ポケモンバトルしてくれないかしら」

まどか「……え?えぇっ!?」

ほむら「さあ、あなたのポケモンを出して」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:10:58.76 ID:aEHSwoAi0
まどか「無理だよぉ!だって、校内でのバトルは駄目だしもうすぐ授業始まっちゃうしそもそも私バトルあんまりやったことないし」アセアセ

ほむら「……やはりあなたはそうよね」

ほむらはすぐにアブソルをボールに戻した。

ほむら「あなたは家族や友達を、そしてポケモンを大切にしている?」

まどか「……うん、大切だよ。家族も友達のみんなも、ピピっちもキャリーもダルもマネネも。大好きで、とっても大切な存在だよ」

ほむら「なら、無理にポケモンバトルに関わることはないわ。今のままのあなたでいい」

まどか「それってどういう……」

スタスタとほむらは先に歩いて行ってしまった。

まどか「なんだったんだろう?」

ピッピ「ピピ〜?」ポンッ

まどか「わっ!ピピっち勝手に出てきちゃ駄目だよ!」

まどかは慌ててピッピをボールに戻した。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:12:27.73 ID:aEHSwoAi0
〜昼休み〜―屋上―

ほむら「志筑仁美さんよね?あなたがあのクラスで一番強いトレーナーなんですって?」

仁美「一番になった覚えはありませんが……自信はありますわ」

さやか「何さいきなり?もうすぐ昼休みも終わるよ?」モグモグ

まどか「さやかちゃんまだ食べてたの?」

ほむら「心配しなくても短時間で終わらせてみせるわよ」

仁美「!あら、随分自信がお有りなんですね」

ほむら「それで返事は?」

仁美「……分かりましたわ、お相手します」

さやか「んじゃあすぐ行かなきゃね」モグモグ

まどか「さやかちゃん待ちだよ!」

さやか「あれ?ごめん」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:13:39.42 ID:aEHSwoAi0
この学校には、校庭の一部にポケモンバトル用のフィールドが用意されている。
大抵はいつも埋まっているのだが、時間も遅いこともあってかこの日は一つ開いていた。

―校庭―

仁美「ルールはどうします?」

ほむら「そちらに任せるわ」

仁美「では時間もありませんし一対一で」

さやか「はいはーい!審判は私とまどかでやっちゃうよー!」

まどか「二人とも頑張って!」

さやか「それでは……始め!!」

転校生の ほむらが 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=edwwBzWEKSI&feature=related

仁美「お願いします…フィア!!」ボンッ リーフィア「フィー!」

ほむら「出番よ」ボンッ アブソル「フーン」

さやか「出た!仁美の相棒!」

まどか(ほむらちゃんはやっぱりアブソルだ…!)
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:15:17.86 ID:aEHSwoAi0
仁美「先手必勝!"はっぱカッター"ですわ!」

ほむら「"サイコカッター"」

二つのカッターが激突し、それぞれ弾かれる。その威力は互角。

仁美「やりますわね」

ほむら「一撃よ…あなたは一撃で仕留めるわ」

仁美「あまり舐めないで貰いたいですわ!"かげぶんしん"!」

ほむら「"おにび"よ」

リーフィアの分身が幾重にも現れ、アブソルの放った鬼火は全てすり抜けていく。

ほむら「"でんじは"」

仁美「状態異常にして一撃を狙うつもりですか?当たりませんわ!"リーフブレード"!」

ほむら「『おにび』」

アブソルを取り囲む分身から次々と繰り出される一撃を全て紙一重でかわしながら、尚もアブソルは状態異常技を放つ。

異常を警戒をしてか、リーフィアは迂闊に近づけずにいた。

仁美(このままじゃ埒が明きませんわね……なら、状態異常など気にしなければいいまでのこと!幸い今日は快晴ですもの!)
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:16:24.70 ID:aEHSwoAi0
アブソル「!」ピクッ

ほむら(来たわね…!)

仁美「フィア、"にほんばれ"です!特性『リーフガード』で状態異常は効きませんよ!」

リーフィア「リリー!」キラキラキラン アブソル「グルル……」ググッ

ほむら「それ…それを待っていたのよ」

仁美「!何を――」

ほむら「"かえんほうしゃ"!」

アブソル「ルー!!」ゴァァッ

まどか「!?狙いが――あっ!!」

火炎放射の狙いはリーフィアではなく、先程から撃ち続けていた鬼火の残り火だった。
放たれた火炎放射の炎は、鬼火の炎を取り込んでより大きな炎へと変化していく。

仁美「これは…かわしてフィア!」

ほむら「無駄よ」

グイッと、まるでリーフィアに引き寄せられるように火炎放射は向きを変え、軌道上にある残り火をさらに吸収していく。

そしてリーフィアに命中した!
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:17:36.09 ID:aEHSwoAi0
仁美「フィア!」

リーフィア「キュゥ〜」バタリ

さやか「て、転校生の勝ち!」

ほむら「言ったでしょう……一撃で仕留める、と」

さやか「何なの今の、"かえんほうしゃ"…?アブソルって炎タイプでもないのに自在に操れるの?」

ほむら「アブソルにそんな力はないわ。だから炎を自在に操るなんてできないけれど、技を組み合わせて誘導することくらいならできる
    私も火の扱いには多少慣れているもの」

アブソル「フーン」スリスリ

ほむら「お疲れ様」シュゥゥン

仁美「……もしや、"でんじは"ですか?」

ほむら「えぇそうよ」

一発目に鬼火と電磁波を一か所に向けて撃ち、それを何度か繰り返す。
ほむらがアブソルに火炎放射で狙わせたのは、初めに電磁波と合体した鬼火である。
炎は新しい炎と電気を帯びて、別の場所にある電磁波と合体した鬼火に引き寄せられていったのだ。

さやか「つ、つまり、静電気的な…?」

ほむら「そうね、そう考えると分かり易いわ。電磁波と合体した鬼火と鬼火の間にうまくリーフィアを誘いこめばよかっただけよ」

まどか「"おにび"の炎と晴れ状態で威力が格段に上がってた…だからリーフィアが一撃でやられちゃったんだ」

ほむら「……そういうこと」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:18:35.65 ID:aEHSwoAi0
さやか「ほあー、そんな難しいこと考えてたなんてあんた凄いね!あたしなんか説明聞いてもさっぱりだわ」フゥー

仁美「いつの間にか"おにび"に挟まれていたなんて気が付きませんでしたわ
   状態異常技をあんなに撃ったのもフィアの特性を知っていて天候を変えさせるための作戦ですか……してやられましたわね、正直完敗ですわ」

キーンコーンカーンコーン

さやか「おっと、予鈴が鳴ったね」

仁美「ありがとうございます。とても勉強になりましたわ」

ほむら「こちらこそいい運動になったわ」

ほむら「これならこちらでもやっていけそうね」ボソッ

まどか「?今何か言った?」キョトン

ほむら「何でもないわ」ファサ

仁美「とりあえず、この子たちは保健室に預けに行きましょうか」

ほむら「私はまだ結構よ。お先に失礼するわ」スタスタ

まどか「あっ……」

さやか「なんだよつれない奴だな〜」

まどか(そういえば廊下のあれってなんだったんだろう…?)
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:19:51.07 ID:aEHSwoAi0
〜放課後〜―ショッピングモール内・カフェ―

さやか「それにしてもアブソルなんて珍しいよね。あんまり使う人いないのに」

仁美「不吉なポケモンと言われていますから…でも、最近はそれは誤解だったという話も聞きますわ」

さやか「そうなの?」

まどか「私も聞いたことあるよ。災害を予兆してみんなに知らせに来てくれるんだけど、それを『アブソルが来たから災害が起こった』っていう風に誤解してたんだって」

さやか「へぇー、可哀相な話だねえ……でも、怖そうな見かけに反して結構寂しがり屋ぽかったよね〜、あのアブソル」

仁美「そうでしたか?」

さやか「バトル終わったら転校生にすり寄ってたでしょ?あの時の顔は褒めてほしいってのと怖かったって顔が入り混じったような感じだったなって思ってさ」

まどか「さやかちゃんそういうの見つけるのうまいよね」

仁美「よく気付きましたわね」

さやか「なんか癖っていうか、そういうの分かっちゃうんだよねあたし」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:20:50.85 ID:aEHSwoAi0
まどか「……そういえばね、今日保健室行く時にほむらちゃんがちょっとおかしなこと言ってたんだけど」

仁美「おかしなこと、ですか?」

まどかは廊下でほむらに言われたことを話した。

さやか「なんじゃそりゃ?容姿端麗成績優秀、バトル強くておまけに電波さんってキャラ立てしすぎでしょ!」

まどか「それでね、なんだか似てるなって思ったの…ほむらちゃんとアブソルが」

仁美「まどかさんに何か不吉なことが起こると言いに来たと…?」

さやか「そんなわけないじゃん!気にしすぎだって!」

まどか「そうかな……そうだといいだけどね」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:22:16.82 ID:aEHSwoAi0
仁美「それでは、私はお稽古がありますので」ペコリ

さやか「もうすぐ6個目のバッジ取りに行くんだっけ?頑張れよー!」

まどか「応援してるね!」

仁美「ありがとうございます!もうすぐ大会ですからそれまでに必ず全てのバッジをゲットいたしますわ!」

まどかとさやかはカフェを出た後、仁美と別れてこのまま帰るかどうかを話し合う。

さやか「そうだ、ちょっとポケ団のCD買いに行っていい?」

まどか「うん、いいよ。また上条君に?」

さやか「恭介はもう自分で買ってると思うよ。最近はあたしもはまってきちゃってさ」

まどか「そうなんだ?」

ポケモン交響楽団…通称ポケ団

ポケモン自身が奏でる音楽と人の奏でる音楽を融合させたポケモンオーケストラの、最古にして最高峰の楽団である。
ポケ団には高校生から正式なメンバーとなるための試験が用意されており、毎年数多くの人が受験する。

さやかの幼馴染、上条恭介もその一人であった。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:24:07.04 ID:aEHSwoAi0
さやか「恭介も来年ポケ団のメンバーになるために休学使って練習中だからね!あたしも何とか応援しなきゃって感じ」

まどか「さやかちゃんほんと一途だよね〜」ティヒヒ

さやか「ばっ、ちがっ!そんなんじゃないってば!」

まどか「照れない照れない」

さやか「ぬぬぅ、こういうときだけ強気になるんだもんな……リオすけ、出てこーい」ボンッ

まどか「ピピっちも」ポンッ

ピッピ「ピピー」 リオル「リオー」

まどか「じゃあいこっか!」

グンマー地方でも最大級のこのモールでは、各フロアにフレンドリーショップや共同レストラン、ファッションショップなどが混在している。

まどか達が向かったのは8階にあるCDショップであった。

さやか「ちょっと選んでくるね〜」タッタッタ

リオル「リーオー!」ピョンピョン

まどか「うん!……私も何か探そうかな」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:25:29.64 ID:aEHSwoAi0
まどか「へぇ〜、ブラッド・キタオさん新曲出してたんだ」

ピッピ「!ピピッ!ピッピー!」クイクイッ

まどか「ん?どうしたのピピっち?」

ピッピが指を刺した方向に、ちらりと白い尻尾が見えていた。

ゆらゆらと動いているそれは、やがて物陰の中へと消えていった。

まどか「なんなんだろう今の……ポケモンかな?」

ちょっとした好奇心から、まどかはその尻尾の正体を確かめようとした。

物陰を覗きこんでみると、立ち入り禁止の立て札が置いてある薄暗い階段が続いており、ピッピはどんどんそこを上っていく。

まどか「あぁ〜ピピっち!入っちゃ駄目だってば!」

まどかがピッピの後を追う。

ようやく追い付いたその場所はさらに薄暗い資材置き場の様な場所だった。

ふと――

柱の向こうから影が現れた。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:27:11.34 ID:aEHSwoAi0
QB「た、助けてくれ!ポケモン達に追われてるんだ!」

まどか「え?えぇ!?ぽぽぽ、ポケモンが喋ったぁ!?」

QB「違うよ!僕はポケモンじゃない、遠隔操作可能な高性能ロボットさ!それより助けてくれないか!?」

まどか「助ける?」

タツベイ「グルル!!」ザッ タツベイ「キシャー!!」ザザッ

まどか「きゃぁ!た、タツベイがいっぱい!」

QB「あれは野生のタツベイだよ!ここはタツベイ達の縄張りだったみたいなんだ」

まどか「縄張り!?」

その数、およそ30体である。

QB「訳あって僕は戦えないんだ。頼む、こいつらを追い払ってよ!」

まどか「なんだか分かんないけど、ピピっち"はたく"だよ!」

ピッピ「ピッ」ペチッ

一匹のタツベイの頭にはたく攻撃をしたものの、逆にピッピの手の平が赤く腫れ上がり、ずつきの反撃を受けて吹き飛ばされてしまった。

まどか「あぁ!ピピっち!」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:28:20.47 ID:aEHSwoAi0
まどか「ピピっち大丈夫!?」ユサユサ

QB「流石に手強い、ピッピ一体だけじゃ厳しいだろう……仕方ない、この中から一匹選ぶといいよ」スッ

そういってQBがどこかから取り出し放り投げたバッグには、モンスターボールがいくつか入っていた。

まどか「モンスターボール?何の――」

QB「まどか後ろだ!」

まどか「え――」

さやか「リオすけ、"はっけい"だよ!」

リオル「チョー!」バキッ

タツベイ「ギュー!」バタッ

まどか「あ、さやかちゃん!なんでここに?」

さやか「こっちの台詞だよ!気が付いたらいなくなってるしタツベイ達に襲われてるし!
    しかも新種のポケモンと仲良くおしゃべりとか意味分かんない!」

QB「いや、僕はポケモンじゃないんだってば…それより美樹さやか、キミもその鞄からモンスターボールを受け取るといい」

さやか「はぁ?なんであたしの名前知ってんの!?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:29:26.71 ID:aEHSwoAi0
まどか「そう言えば私の名前もさっき……」

タツベイ達はますます荒ぶり、頭突きの為に助走を付けている。

さやか「それより、まずはこいつらなんとかしないと!」

QB「早くポケモンを選ぶんだ!ピッピとリオルだけだと荷が重すぎる!」

まどか「じゃ、じゃあこの子にする!」スッ

さやか「よく分かんないけど、ポケモン貸してくれるってんなら借りるよ!」スッ

まどさや「行けぇー!」ボボンッ

アチャモ「チャモー」 ミジュマル「ミジュミジュ」

まどか「この子知ってる!確か、アチャモだよ」

さやか「こっちはミジュマルだね」

QB「命令するんだ二人とも!襲ってくるよ!」

まどか「そんなこと言ったって何が使えるか分かんないよぉ!」

QB「くっ……仕方ない、緊急事態だ。一緒に入っている図鑑も使うんだ!」

まどか「ず、図鑑?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:31:24.86 ID:aEHSwoAi0
まどかは鞄の中に手を伸ばし、赤い手帳サイズの機械を手に取った。。

まどか「これのこと?はい、さやかちゃんにも!」

QB「図鑑を開いてアチャモとミジュマルに向けるんだ。それで今使える技が分かるはずだよ!」

さやか「一気に言われても分かんない!皆耳塞いでて、リオすけ、"いやなおと"!」

リオル「リオッ!」ギィギギィー

まどか「う、うるさいよぉ……」

さやか「我慢してよ!あいつらが怯んでる今のうちに使い方をっと……」

二人が図鑑を向けると、アチャモとミジュマルの情報が表示された。

まどか「よし!えぇっと、アチャモ"ひのこ"!」

アチャモ「アッチャ!」ボボボッ

さやか「じゃあこっちは"たいあたり"!」

ミジュマル「ミジュー!」ダッ

タツベイ「ゲェー!」

さやか「よっしゃぁなんかちょっと効いてるっぽい!リオすけ"バレットパンチ"!」

まどか「ピピっち、"おうふくビンタ"だよ!」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:32:40.38 ID:aEHSwoAi0
さやか「まどか、今のうちに逃げよう!」

QB「!待った、既に囲まれている!」

さやか「なっ!?……こうなったらやるしかないね!」

まどか「う、うん!ピピっち、"なきごえ"だよ!」

二人は新しいポケモンにも的確に指示を与え、たった四匹で何とかタツベイ達を追い払っていく。

QB(へぇ……結構やるじゃないか。これは思ったより筋がいいね)

しかし所詮二人はポケモンバトルに関して素人、次第に数の多さに対処できなくなり、遂にアチャモ以外のポケモン達はダウンしてしまった。

さやか「はあ…はあ……リオすけ、ミジュマル…!」

まどか「ピピっちも疲れてる…みんな限界みたい……でも、あと十体…お願いアチャモ"きあいだめ"で頑張って!」

QB(無理だ……本来炎タイプはドラゴンタイプには効果いまひとつだからね。1対10だなんて勝てるわけが……おや?)

QBの予想に反してまどかとアチャモは必死で戦闘を繰り広げていた。
すんでのところで攻撃をかわしながら、的確に敵の急所をついていく。

とても初心者の戦いとは思えないものだった。

QB(まさかこれほどとは……ここまで戦ってこれたことが奇跡に近い。しかし、ミジュマルはダウンしているし、
  ピッピもリオルも戦闘経験はほとんどないみたいですぐにバテが来てしまったし……まずいね、こうなったら――)

???「マリーレ、"バブルこうせん"!」

マリルリ「ルリ!」ブクブク

アチャモの周りにいたタツベイ達は突然のバブル光線によって的確に撃ち抜かれ、弾き飛ばされていった。

まどか達は何が起きたのかも分からずそっと背後を振り返った。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:34:07.60 ID:aEHSwoAi0
???「危なかったわね…でももう大丈夫」

QB「おや、こんなところで会うとは奇遇だねマミ」

そこには、まどか達と同じ見滝原中学の制服を着た少女がいた。

カールされた髪を二つに結んだその人の足元には、金に輝くマリルリがいる。

マミ「お久しぶりねキュウべぇ、ここは私が何とかするわ。カメーレ、あなたもお願い」ボンッ

カメール「ギャメッ!」

さやか「だ、誰だか分かんないけどお願いします!追い払っちゃってください!」

まどか「あれ?マリルリの色って、確か水色じゃ……」

タツベイ「ギャース!」ダッ

タツベイ達が勢いよく突撃してきたが、その攻撃をマリルリとカメールががっつりと受け止める。

マミはその様子を、既に手にしているまどか達が先程手にした機械と交互に見ながら考える。

マミ「"すてみタックル"…なるほどね、特性のおかげで反動を受けずに攻撃できるみたいだけど、マリーレ"ばかぢから"!カメーレ"かいりき"よ!」

二匹は最大までパワーを上げタツベイを軽々と押し返し投げ飛ばす。

マミ「二人とも、床を泡だらけにするのよ!」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:36:16.37 ID:aEHSwoAi0
一瞬にして足元に大量の泡の絨毯が広がった。
タツベイ達は助走を付けられず滑っては転びを繰り返し、ゴツンゴツンとその硬い頭を床に撃ち続けている。

マミ「あんまりやられると床が抜けちゃうからね。泡は洗い流すに限るわ!」

そうしてマミは指を向ける。

マミ「ティロ!」

マリルリ「ル!」グッ カメール「カ!」グッ

マミ「フィナーレ!」

マミの合図で二匹の強烈なハイドロポンプが炸裂し、泡ごとタツベイ達は文字通り流されてしまった。

ここまでの時間、僅か30秒ほどである。

さやか「早っ!」

まどか「凄い……」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:37:12.20 ID:aEHSwoAi0
マミ「お疲れ様二人とも…あなた達も怪我はない?」シュパン

まどか「私達は大丈夫です」

さやか「それよりリオすけ達が……」

マミ「大変!結構ダメージを受けてるわね。ミルーレ、"ミルクのみ"をこの子たちに」

マミはミルタンクをボールから出すと、傷付いたポケモンたちにミルクを飲ませていった。

さやか「良かった〜……お疲れ様、リオすけ、それからミジュマル」

まどか「ありがとう、頑張ったねピピっち、アチャモ」

QB「助かったよマミ。それに鹿目まどかと美樹さやか!」

マミ「リオルの救難信号のような波導らしきものを感じたのよ…なんだかとっても危ないだったみたいだから慌てて駆けつけて来たの」

さやか「リオすけナイス!よくやった!……で、あんたは一体何なの?新種のポケモンじゃないの?
    っていうかなんで名前知ってたのかも聞いてないし、そもそもポケモン持ってたんなら自分で戦えー!」

QB「落ち着きなよ…まずはじめに、僕はポケモンじゃないよ。これは遠隔操作可能なロボットで、仮の姿さ。名前はキュウべぇ」

さやか「ロボットってマジ!?科学の力ってすげー!」

まどか「それで、どうして私達の名前を?」

QB「それはね、君達にお願いがあったからなんだ」

QB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:38:25.70 ID:aEHSwoAi0
まどさや「ポケモン図鑑?」

QB「そう。ポケモン図鑑とはね、遭遇したポケモンの分類や分類、体長や体重にそのポケモンの生態その他諸々のあらゆる情報を記したハイテクな図鑑のことだよ

まどか「さっき使ったこれのこと?」スッ

QB「そうさ。言い忘れていたけど、図鑑を相手に向けると相手の情報も分かる
  これがあればさっきのタツベイの特性や性質なんかも分かったのに、どうして使わなかったんだい?」

さやか「はぁ!?そんなの言われなきゃ分かんないじゃん!」

マミ「まあまあ落ち着いて。実際に見てみると分かるわよ」スッ

マミは手に持っている図鑑を二人に見せた。

マミ「タツベイは大空を飛ぶことを夢見て断崖から飛び降りてるうちに、頭が鋼鉄のように硬くなってしまったポケモンよ
   そんなポケモンの"ずつき"や"すてみタックル"は一段と強力よ。こんなところにいたのも、ここから飛び降りて飛ぶ練習をしてたのかもしれないわね」

まどか「そうだったんだ…だからピピっちの"はたく"で手が真っ赤っかになっちゃったんだね」

さやか「もうこれさえあればポケモンの全部が分かっちゃうじゃないですか!」

マミ「でも、この図鑑には全てが記されているわけではないの…ポケモンたちにはまだまだ謎が多いから、知られていない生態もたくさんあるのよ」

QB「その通り。図鑑の説明には『〜といわれている』という表記をされているポケモンも少なくない。僕らはそういう謎を解明し、ポケモン本来の生態を記していきたいのさ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:39:48.03 ID:aEHSwoAi0
マミ「そういえば自己紹介がまだだったわね。私は巴マミ。あなた達と同じミタキハラ中学の三年生」

マミ「そして、QBに選ばれたポケモン図鑑所有者よ」

QB「僕の名前はキュウべぇ!さっきも言ったけどこれはロボットで仮の姿…本体は研究所であらゆるポケモンの研究をしているよ」

さやか「QB博士…ってこと?嘘くさ〜」

QB「そう言われるのには慣れっこだよ」

まどか「私、鹿目まどかです」

さやか「あたしは美樹さやかです。で、なんでマミさんは図鑑所有者なんかやってるんですか?」

マミ「……昔ね、家族で山に遊びに行った時に私が急流に飲まれてしまったことがあるの…もう私死んじゃうんじゃないかって思ってた
   でも、その時ふと目の前にポケモンが現れたの」

まどか「……それが、この子ですか?」

マミ「ふふっ、そういうこと。あの時は必死だったから思いっきりルリリの尻尾掴んじゃったの
   ルリリっていうのは、尻尾の先が浮き袋のようになってるから、私は必死でマリーレに掴まってなんとか生き延びることができたわ」

さやか「おぉ、やるじゃんマリーレちゃん!おっとりした雰囲気してるのにやるときゃやるんだね!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:41:10.51 ID:aEHSwoAi0
QBがふと言葉を詰まらせる。

同じくマミも何かに気付いたようだ。

マミ「……そこに誰かいるのかしら?」

マミがそっと指を向けた先の柱から影が二つ。

暁美ほむらとアブソルである。

まどか「!ほむらちゃん…?」

さやか「あ、転校生もいたんだ?」

マミ「二人の知り合いなの?あなた名前は?」

ほむら「暁美ほむらよ、巴マミ」

マミ「自己紹介ありがとう……ところで、何をそんなに殺気立っているのかしら?」

ほむら「それはそちらも同じでしょ」

マミ「あなたが警戒を解かないからよ……もう一度聞くわ。何をそんなに気にしているの?」

ほむら「……そこのQBが何をしようとしているのか、気になっただけよ」

QB「話を聞いていたんだろう?僕は彼女達にポケモン図鑑所有者になってくれって頼みに来ているんだよ」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:42:07.50 ID:aEHSwoAi0
ほむら「私が聞きたいのは……その本当の目的よ」

マミ「だからそれはポケモンの生態を――」

ほむら「私はQBに聞いてるの。さあ、答えなさい」

QB「何が言いたいのか僕には分からないよ。ポケモンのあらゆる情報を記録する図鑑を完成させること、それ以外にはないよ」

ほむらはじっと考えていた。
とある経験上、ほむらはこのQBというのがどういうものか知っていたからだ。

ほむら「…………分かったわ。一応信じることにしましょう」

マミ「やっと警戒を解いてくれたみたいね」

マミは腕を下ろし、マリルリもほっと一息をつく

まどか「あ、あの、みんなもう少し仲良くしたほうがいいんじゃ……」

マミ「それもそうね。トレーナー同士、仲良くしましょう暁美さん」

ほむら「……えぇ」

ほむら(やはりQBが何を考えているのか分からない……でも、今は証拠もないし事を荒立てることはないわね。どうせ――)

スタスタと歩み寄ってきたほむらとマミは握手をする。

その様子を見て、まどかはようやく胸を撫で下ろした。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:43:51.31 ID:aEHSwoAi0
さやか「あのぅ、ポケモン図鑑のこともう少し教えて貰いたいんですけど」オズオズ

マミ「そうねえ、二人にやる気があるのなら、一緒に図鑑完成を手伝ってもらえるかもしれないし…家でいろいろと話でもしましょうか
   暁美さんもどうかしら?是非一緒にトレーナーとしてお話ししてみたいし図鑑のことも考えて貰いたいのだけれど」

ほむら「悪いけど、今日は少し忙しいから…またそのうちに話す機会があるといいわね」

マミ「あら、そうなの?せっかくだから勝負でも、って思ってたのに」

ほむら「まあ、私には勝てないと思いますけど」

マミ「!」ピクッ

ほむら「そこの二人に入っておくけど、図鑑所有者になればきっと想像もつかないような過酷な運命が待っているでしょうね……それを忘れずによく考えることね」

まどか「?う、うん…バイバイほむらちゃん、また明日ね!」

さやか「じゃあねー」

やがてほむらはアブソルと共に来た道を引き返し、この場から消えていった。

さやか「いやぁ、それにしてもどんだけ自信満々なんだって感じ……」

まどか「ほむらちゃんも強かったけど、マミさんだって……マミさん?」

マミ「……ふふっ…暁美さんには悪いけれど、明日は必ず勝たせて貰うわよ」

まどか(マミさんが凄く怖い顔してる……)

マミ「でも、まずは二人に図鑑のことを教えてあげないとね」ニコッ

まどか(あっ、戻った)

さやか「はいはーい!」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:45:30.51 ID:aEHSwoAi0
まどか「あの、ところで」

マミ「なぁに?」

まどか「タツベイ達に撃ってたのって"ハイドロポンプ"ですよね?でも、その、命令してた時って……」

マミ「あぁ、アレはね……作戦なのよ」

さやか「作戦?」

マミ「そうよ。今までの経験上、バトル中に私の出した命令とポケモン達が技を出すタイミング…これが微妙にずれることが多かったのよ
   それに、こっちの出す技がバレたら一瞬で対策してくるポケモンもいるのよ」

まどか「あぁ、確かにそういうことあるのかも……」

マミ「そこで!私達にだけ分かる合図を決めたの!」

まどか「それが……」

マミ「"ティロ・フィナーレ"よ!"ティロ"が準備、"フィナーレ"で射出…最高にシンプルでご機嫌な合図でしょ?
   相手の出方を窺ってタイミングを決められるしね」

さやか「そ、そこまで考えてたものなんだ……」

まどか「カッコいい……」ボソッ

さやか「ん?」

マミ「それじゃあ私の家に来てくれる?お茶菓子も用意するわよ」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:47:00.52 ID:aEHSwoAi0
―マミの家―

マミ「ただいまー」

マリルリ「ルリルリ〜」

まどさや「お邪魔しまーす」

ピッピ「ピピ〜」

リオル「リオー!」ダッ

さやか「こらリオすけ!勝手に走るなって!」

マミ母「きゃっ…おかえりなさいマミ、お友達?」

マミ「う、うん!少し知り合いになってね」

QB「やあどうも。お邪魔させて貰うよ」

マミ母「こんにちはQB博士。いつもマミがお世話になってるみたいですいません」

QB「そんなことはないよ。マミは図鑑所有者としてとても優秀だからね」

マミ「ちょ、ちょっとQB!そういうことは言わなくていいのよ!」カァァ

マミ母「ふふっ、頑張ってるみたいで安心したわ」

マミ「もう!…ほら、二人ともこっちよ」

まどか「あ、はい」

さやか「やっと捕まえたぞ〜こんなろー!あ、すんませんコイツいっつも跳ねまわってばっかで」ペコペコ
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:48:12.21 ID:aEHSwoAi0
まどか達は後に続いてマミの部屋に入っていった

マミ「その辺でくつろいでくれて構わないわ。今お茶淹れてくるわね」

まどか「ありがとうございます」

さやか「こいつぅ〜いっつもいっつも大人しくしろって言ってるのが分からんのか〜!」グニグニ

リオル「ヒホホ〜」ジタバタ

まどか「さやかちゃん、あんまりリオすけくんいじめちゃ駄目だよ〜」

さやか「いいや、たまにはガツンと言ってやらにゃいかんのですよ」グニグニ

QB「ところで二人とも、僕が渡したポケモンを出してくれるかい?」

まどか「…?うん、いいけど」

まどかとさやかはそれぞれボールからアチャモとミジュマルを出した。

QB「ふむ、アチャモとミジュマル……どちらも君達に少し懐き始めたみたいだね」

まどか「えっ、この子たちが?」

さやか「そうなの?うーん、ちょっと酷い戦いさせちゃったかなーって思ってたんだけど、懐いてくれてるの?」

QB「あぁ、それは勿論さ。これも君達と一緒に戦ったことがそうさせたのかもしれないね」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:49:13.78 ID:aEHSwoAi0
QB「それじゃあまず、ポケモン図鑑がいかに素晴らしいものであるかを話そう。そもそもの始まりはカントー地方の――」

マミ「お待たせ。紅茶に砂糖はいくつ入れる?」

さやか「あたし1つで」

まどか「私も」

マミ「はいはい。あなた達の分もあるから、遠慮せず食べてね」

マミが紅茶をたっぷりと注ぎ、丁寧に切り分けられたケーキの乗った皿をテーブルに配置していく。
マリルリは皿やカップの乗ったお盆を器用に耳に乗せ両手で支えていた。

まどか「マミさん、これすっごく美味しいです!」

さやか「めっちゃ美味っすよ!リオすけたちも喜んでるみたいだし」

ピッピ達やアチャモ達ものんびりと出されたケーキをおいしそうに食べていた。

もっとも、マミのポケモン達は全員出てくると部屋が狭すぎるとのことで、既に出ているマリルリも含めてお預けだそうだ。
勿論、後できちんと食べさせてあげるとのことだが。

マミ「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいわ」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:50:08.02 ID:aEHSwoAi0
QB「――というわけで、大変便利で有用な……って、君たち僕の話を聞いてるのかい?」

さやか「全然」モグモグ

QB「……即答?」

まどか「ちゃんと聞いてるよ。グンマー地方にはいろんな地方のポケモンが生息してるから、それでこの辺で図鑑所有者を探してるんだよね?」

QB「ありがとうまどか!もう君だけに頼もうかな」

さやか「ちょっと待てい!さやかちゃんだってまだ図鑑のこと気になってるんだよ!」

QB「……ならば聞こう、美樹さやか。君にとってポケモンとは何だい?」

さやか「何さ急に?」

QB「少し気になっただけさ」

さやか「んー…………リオすけと暮らし始めてまだ一年も経ってないし、ミジュマルだって今日初めて見たし、今までポケモンと一緒にいる機会なんてなかったんだけど
    でも、一緒にいると楽しいんだ」

QB「楽しい?」

さやか「そ。リオすけはいつも暴れまわって手がつけられないやんちゃ坊主だけど、だからこそ支えてやらなきゃってなるし
    あたしバトルは初めてだったんだけど、ミジュマルと戦ってる時なんだかすごく楽しいって思えた」

さやか「だから、えっと、なんて言えばいいのかな……一言で言うなら、嫁?あれ、何か微妙に違うなぁ……」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:51:07.84 ID:aEHSwoAi0
さやか「って、何真面目に語ってるんだろうねあたし!あははは……」

QB「……ふむ。鹿目まどか、君はどうだい?」

まどか「私!?」

さやか「え、ちょっと、まさかのさやかちゃんスルーですか?」

マミ「落ち着いて美樹さん、あとでちゃんと分かるから」

まどか「私は……私もさやかちゃんと同じだよ。一緒にいると楽しいし、初めてのバトルも楽しかった
    でも、やっぱり私にとってのポケモンは、家族かな?家でずっと暮らしてきたからピピっちは私の家族の一員なの」

QB「アチャモはどうだい?」

まどか「うーん、まだ分からないけど、きっと家族になれると思う!」

QB「なるほど、よく分かったよ。やはり君達にはぜひ図鑑所有者になって貰いたいね」

さやか「ほんと!?図鑑くれるの!?」

QB「君達ならきっと図鑑を完成させてくれると思えたよ。実にポケモンのことを大切に思っているじゃないか」

マミ「おめでとう二人とも。後はあなた達の意志と気持ち次第よ」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:52:22.60 ID:aEHSwoAi0
QB「どうだい?僕と契約してくれないかい?」

マミ「もう、駄目よQB。女の子を急かす男の子は嫌われるわよ」

QB「いや、男の子ってわけでもないんだけど……」

さやか「まどかはどうする?」

まどか「うーん……ママやパパに相談してから、にしようかなと思って」

さやか「そういえば、マミさんのご両親さんはどんな反応だったんです?」

マミ「私がやりたいことならやって見るといい、って言ってくれたわ。でも、私はお母さん達に勉強もしっかりやるように言われちゃってるから、
   学校に通いながら一人で図鑑に記録したりバッジを取りに行ったりしてたの」

QB「まあ、明日か明後日まではこの辺にいるから、それまでに決めてくれるとありがたいね。さて、僕はそろそろ帰らせて貰おうかな」

マミ「あら、もう帰っちゃうの?」

QB「もう図鑑のことは大体話し終えたからね」

さやか「待って待って!このミジュマルとまどかのアチャモはどうすればいいの?後図鑑も!」

QB「あぁ、その子たちは僕と契約して図鑑所有者になってくれた子に渡すことにしてるポケモン達なんだ。せっかく僕らの為に働いてくれるわけだからね
  トレーナー初心者のためのバランスのいいポケモン、所謂『御三家』と呼ばれる各地方のポケモンたちを何匹か譲って貰ってるから、そのポケモンを渡しているのさ」

まどか「そうなの?」

マミ「私のカメーレもQBに貰った子なのよ」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:53:22.27 ID:aEHSwoAi0
まどか「そっか……じゃあ、図鑑所有者にならなかったらQBに返さなきゃ駄目なんだ……」

アチャモ「チャモ!?」ガバッ

QB「申し訳ないけどそういうことになるね。アチャモも残念だけど、こればっかりは仕方ないよ」

その言葉を聞いてアチャモとミジュマルは目に見えて落ち込んでいった。

さやか「ま、まあまあ!まだ所有者にならないって決めたわけじゃないし!元気出せって!」バシバシ

まどか「ごめんねチャモっち……」ダキッ

さやか「……まどか、あんたもう名前付けちゃったの?」

まどか「え?あぁ、うん。その方が可愛いかなって……」

マミ「鹿目さん…アチャモと離れることになった時辛くなるわよ?」

まどか「あ」

QB「それじゃあ、よく考えてみてくれよ。図鑑もその時までに返すかどうか決めてくれて構わないからね」

さっさと帰り仕度を済ませたQBは、そう言い残して器用に扉を開けて家を出ていった。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:54:07.70 ID:aEHSwoAi0
さやか「そうだ!マミさんってポケモントレーナーってことはバッジも集めてるんですか?あたしらの友達にも集めてる子がいるんですけど」

マミ「えぇ、街に出かけるついでにね。旅するうちに仲間も集まってバトルもできるようになってきて、実力を試したくなったのよ」

まどか「それじゃあ、バッジを集めてリーグに挑戦するんですか?」

さやか「それって、グンマーリーグ・クロマツ大会のこと?」

マミ「勿論よ!二カ月後にアカギ山のクロマツシティで行われる大会……私も残りのバッジを手に入れて参加するつもりなの
   鹿目さん達もどう?バッジを集めてリーグに挑戦してみない?」

まどか「いや、私はそんな……」

マミ「二カ月あればグンマーを回ってバッジを集めることは不可能じゃないわよ?他の地方だと、
   『80日間でバッジ8つ』とか『25日でバッジ6つ』って記録もあるみたいだし…今は交通機関も発達しているものね」

さやか「……確かに、恭介みたいに二カ月程トレーナー休学を使えば不可能じゃないね」

グンマー地方の学校にはポケモントレーナーを目指す人に向けて、在学中に合計三カ月の『トレーナー休学』を使うことができる制度がある。
実際に使うのはポケモントレーナーである学生達の、さらに半分ほどと極僅かである。

まどか「そこまでしなくても……」

マミ「まあ、これは図鑑を集める上では必要のないことだから、気にしなくてもいいのよ?只の提案だから」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:55:22.59 ID:aEHSwoAi0
さやか「マミさんも出るってんならちょっと気になるなぁ……」

マミ「あら、暗くなってきたわね……そろそろお開きにしましょうか?他に何か聞きたいことはあるかしら?」

まどか「……マミさんは、図鑑を渡されて一人でいろんな街に行って戦って……その、辛くないんですか?」

マミ「辛くない…って言ったら嘘になるかもしれないわね。一人で旅をするのは時々寂しいこともあったわ」

話しながら、マミはそっとマリルリの頭を撫でる。

マミ「でもね、どんなにつらくて苦しい時でもポケモンたちは傍にいてくれたわ
   旅をするごとに仲間が増えていって、ジムで負けて落ち込んだ時も野生のポケモンに襲われて大怪我した時も、この子たちはずっと私を励ましてくれたの」ナデナデ

マリルリ「ルリ〜」

マミ「今はね、もう何も怖くないの」

とても優しい顔で話し終えたマミが、まどかとさやかにはとても輝いて見えた。

そのまま二人は晩御飯をご馳走になることとなった。
マミの両親は共働き、母親は小学校、父親は中学校で教師をしているらしい。

この日はたまたま母親の帰りが早かったのだが、普段はマミ一人で食事をすることが多いため、こんなに賑やかな食卓は久しぶりだとマミは語っていた。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:56:34.87 ID:aEHSwoAi0
マミ「じゃあ二人とも、暗いから送ってあげるわね」

まどか「いえそんな、悪いですよぉ」

マミ「遠慮しないで、フワーレ!」ボンッ

フワライド「ワワワー」

さやか「おぉー、フワライド!」

マミ「人が三人乗るくらい余裕よ?さ、乗って乗って!」

結局二人はマミに押し切られフワライドに乗せられてしまったのだった。

まどか「すごーい!高いねピピっち」

ピッピ「ピピ〜」フルフル

さやか「うーん……」

マミ「あんまり乗り出すと危ないわよ?」

さやか「うーん……」

まどか「……さやかちゃん、考え事?」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:57:49.96 ID:aEHSwoAi0
さやか「図鑑所有者かぁ…二カ月も学校離れて暮らすのってどうなんだろうね?」

まどか「え?別にトレーナー休学使わなくてもいいんじゃ――」

さやか「何言ってんの!せっかくポケモン図鑑貰って新しいポケモンも貰ってグンマー地方を旅しろって言われたら、そらもう狙うしかないでしょ!」

まどか「もしかしてリーグに挑戦するの!?」

さやか「いっえーす!さやかちゃん、なんだかマミさん見てたら燃えてきちゃってさ〜!」

マミ「あら、ありがとう…でも、二カ月でリーグ優勝を狙えるほど甘いものじゃないわよ?」

さやか「やだなぁマミさん、別にそこまでは考えてないですよ?二カ月後を見逃してまた一年我慢するよりは、二カ月頑張ってリーグで実力を試してみようかな、って意味ですって」

まどか「そこまでしなくてもいいと思うんだけどなぁ」

さやか「まどかはまだ考え中?あたしはなろうと思うんだ、図鑑所有者に」

まどか「もう決めちゃったの?」

さやか「うん!ミジュかのことも気に入っちゃったしさ」ダキッ

ミジュマル「ミジュー?」

まどか「あ、名前付けたんだね?」

さやか「そ。♀だから『ミジュか』にしたよ」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:58:44.49 ID:aEHSwoAi0
さやか「これからガンガン頼っていくからね!リオすけ、あんたもね!」

リオル「オー!」 ミジュマル「マルッ!」

まどか(さやかちゃんスゴイなぁ…本当に図鑑所有者になっちゃうんだ)

まどか(私はどうしよう……ポケモンと触れ合える、それはとっても嬉しいなって思うんだけど、自分一人だと決められないし)

マミ「鹿目さんも悩んでる?」

まどか「うぇ!?あ、はい、まあ一応……」

マミ「QBはああ言ってたけど、無理になる必要はないのよ?私自身としても鹿目さんや美樹さんが図鑑所有者になってくれたら嬉しいけどね」

まどか「マミさん……」

マミ「でも、最後に決めるのはあなた……あなたがポケモンとどうありたいか、それをもう一度よく考えて見るといいわ」

まどか「はい…!私、ピピっちとチャモっちともう一度一緒に考えてみます!」

マミ「ふふっ、その意気よ鹿目さん」

さやか「マミさんヤバいっす!あたしの家通り越しちゃいました!」

マミ「えぇっ!?大変、フワーレ!すぐに方向転換!」

やがてフワライドに乗った一行はそれぞれの家路へと着いたのだった。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 17:59:31.74 ID:aEHSwoAi0
―まどかの家―

まどか「ただいま〜」

知久「まどか!遅かったじゃないか!心配したんだぞ」

チャーレム「レムレム!」

まどか「ごめんパパ、ちょっと先輩の家にお呼ばれしてて……」

知久「全く、何度ポケータイに電話しても出ないし」

まどか「そっか、マナーモードにしたまんまだったね…ホントごめん!」

知久「……ま、無事に返ってきたんならそれでいいさ。ところで、ピピっちの横にいる可愛らしい子は一体どうしたんだい?」

まどか「あ、紹介するね。ちょっと事情があって今は預かってる状態のアチャモ!チャモっちっていうんだよ」

知久「へぇー、まあ少し預かるくらいなら構わないけどね」

まどか「ありがとうパパ」

まどか(ひょっとしたらずっと一緒かもしれないけど……)

知久「ご飯は食べたかい?お風呂にする?」

まどか「ご飯は先輩の家で食べてきたからお風呂にするね」

自室へ戻ろうとしたまどかは、ふと足を止めて知久に向き直った。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:00:21.47 ID:aEHSwoAi0
まどか「ねえパパ、ママって昔トレーナーだったんだっけ?」

知久「うん?そうだよ、結構強くて大会でも結構いいところまで進んでたんだけど、やっぱり仕事がしたい!ってなったから仲間達は実家に預けてきたんだってさ」

まどか「そっか、強かったんだ……」

知久「あぁ、僕は一度も勝てなかったよ」

まどか「ふーん…………え、えぇっ!?パパもトレーナーだったの!?」

知久「おっと、口が滑ったかな……」

まどか「い、今までそんなこと全然聞いたことないよ!」

知久「いやぁ、ママに一回も勝てなかったっていうと、ちょっとパパとしての威厳がね……なんて」

まどか「そうだったんだ…知らなかったぁ」

知久「僕もダル以外の仲間達は実家に預けてたんだけどな。ほら、おばあちゃんの家にいたベトベターのキョウマとマスキッパのマスシィは元々僕のポケモンだったんだ」

まどか「あぁ!だからあんなにパパを見て嬉しそうにしてたんだね」

知久「そういうこと。どうかしたのかい?急にママのこと聞くなんて」

まどか「う、うぅん、何でもないよ!ママ今日も遅かったんだよねって話!!私着替え取ってくるね」タッタッタ

ピッピ「ピッピピー」ピョン アチャモ「チャッチャモー」ピョン

知久(何か隠してるみたいだけど、聞いても答えてくれそうにはないか……あのアチャモも関係してるのかな?なんにしても、まずはママに相談するかな)
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:01:43.88 ID:aEHSwoAi0
〜就寝前〜

まどか「ふぁぁぁぁ疲れたぁ」ボフッ

ベッドに思いっきり倒れこみ、まどかは一日の出来事を思い返していた。

転校生のほむらに不思議なことを言われ、ショッピングモールでタツベイの大群に襲われ、
アチャモを貰い、マミに助けて貰い、図鑑所有者にならないかと誘われた。

まどか「いろんなことがあり過ぎて……変な気分」

いつものようにまどかの隣にピッピが潜り込み、寄り添って眠る体制に入った。

が、アチャモは初めての場所に戸惑っているのか興奮しているのか、扉付近をうろうろしては壁や地面を突っつきまわっている。

まどか「チャモっち」

アチャモ「チャモ?」

まどか「おいで〜」ティヒヒ

アチャモ「アチャ!」ダッ

まどか「あはっ、暖かいんだねチャモっちは。ぽかぽかする〜」ギュッ

まどか(ポケモンと触れ合えるのはやっぱり楽しいんだろうな……ポケモンバトルも、もっと楽しいのかな…?分かんないや)

やがて一人と二匹の寝息が聞こえ始め、長かったまどかの一日が終わった。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:02:37.60 ID:aEHSwoAi0
―ほむらの家―

ほむら「ただいま」

ほむら「みんなご飯にするわよ」ボワーン

ほむら「今日はよく頑張ってくれたわね、そるそる」ナデナデ

ほむら「仁美との対戦の時によく覚えていてくれたわね、"にほんばれ"の兆候を感じたら"かえんほうしゃ"の準備をすることを」

ほむら「あなたのツノは自然災害の他に空の変化も察知してくれるものね」

ほむら「他のみんなも、明日から忙しくなると思うけどまた一緒に頑張ってほしいの」

ほむら「……あら、ごめんなさい。起こしちゃったかしら?」

ほむら「気にしないで。うまくやるわ」

ほむら「私は明日からまた旅に出ることになるわよ」

ほむら「……そんな顔しないで。きっと元に戻れる方法があるはずだから」

ほむら「そのための実力も知識も身に付けたし、情報だって手に入れた」

ほむら「だから今回こそ……」

ほむら「この時間軸で終わりにしましょう」

ほむら「ねえ」

ほむら「――――」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:03:46.20 ID:aEHSwoAi0
〜翌日〜―まどかの家―

詢子「昨日は遅かったんだって?」シャコシャコ

まどか「うん、先輩の家にお呼ばれしてて」シャコシャコ

詢子「門限なんて固いことは言わないけどさ、電話くらいしてやりなよ?あたしも昔は親に心配ばかりかけちゃったから人のこと言えないけどさ」ガラガラ ペッ

まどか「そういえばママって昔はトレーナーだったんだよね?」ガラガラ ペッ

詢子「そうだぞ〜、これでもバリバリの現役トレーナーだったんだ」

まどか「ママは、トレーナーやってて辛いこととかなかったの?」

詢子「辛いこと?ん〜、色々あったような気もするけど…………ほとんど覚えてねーな」

まどか「え?」

詢子「いやいや、一杯大変だったんだぞ?勝負に負けたり大事にしてたポケモンと別れることになったりさ……
   でも、今になって思い出そうとしても思い出せるのは楽しいことばっかりさ」

まどか「そう、なの?」

詢子「そ。絶望の底に沈んだ時もいつも一緒にいてくれたのはポケモン達だったからね。トレーナー時代のこと思い出そうとしたら今でもそっち優先で思い出しちまうよ
   辛いこと思い出したって面白くないしさ」

まどか「ふーん……やっぱりカッコいいなぁ、ママは」

詢子「そうだろそうだろ?ほら、朝ごはんにしようか。先行ってなよ」

まどか「うん!」タッタッタ

詢子「……はてさて、預かってるっていうアチャモと何か関係あんのかね」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:04:16.95 ID:aEHSwoAi0
―通学路―

さやか「ふぁ〜…おはようお待たせ」 リオル「ファ〜」

まどか「おはようさやかちゃん」 ピッピ「ピピー!」

仁美「おはようございます。珍しいですわね、さやかさんが最後だなんて」 エルレイド「レイ?」

さやか「昨日ちょっと遅くまで親と喧嘩しててさー、もう参っちゃったよ」

仁美「まあ、大丈夫なんですの?」

さやか「平気平気!あたしの意思をハッキリ示したらバッチリ承諾してもらったからね」ニッ

まどか「じゃあ、さやかちゃんも今日から…?」

さやか「うん!仁美と同じくポケモントレーナーになっちゃいました!ついでに来週から休学なんだー」

仁美「そうだったんですか?それは嬉しいですわ!ご友人にトレーナーがいないというのも寂しいものでしたの
   でも、トレーナー休学を使われるというのもやっぱり寂しくなりますわね……」

さやか「まどかはどうするの?」

まどか「それがまだ相談できてなくって……」

仁美「あら、まどかさんもトレーナーに?なんだか嬉しいですわ」

まどか「まだ決めてないんだってば……」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:05:35.69 ID:aEHSwoAi0
マミ「あら、おはよう二人とも」 マリルリ「ルリー」

まどか「マミさん!おはようございます」

さやか「おはよーでーす!」

仁美「おはようございます。あと初めましてですね、志筑仁美と申します」ペコリ

マミ「おはよう志筑さん、三年生の巴マミよ」

まどか「昨日野生のタツベイ達に襲われてるところを助けて貰ったんだよ」

さやか「めちゃ強なんだよ!仁美といい勝負できるんじゃないかな!」

マミ「もう、おだてても混乱もしないし何も出ないわよ?」クスッ

仁美「あら、トレーナーですのね?」

マミ「そうよ…ところで、暁美さんはいないのかしら?」

まどか「ほむらちゃんはまだ見てないですね」

さやか「寝坊でもしてるんじゃないですかー?」

マミ「なら伝えておいてくれる?今日の昼休み、ポケモンバトルを申し込む、とね!」

まどか「は、はぁ……」

マミ「ふふっ、私より強いだなんて発言を撤回させてあげるわ」

さやか(何か知らんがめっちゃ燃えてんなー)

マミ「じゃあよろしくね」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:06:34.62 ID:aEHSwoAi0
〜昼休み〜―教室―

さやか「さて、約束の昼休みになってしまったわけだけど……」

マミ「ちょっとあなたいいかしら?」

中沢「はい?」

マミ「暁美ほむらさんを呼んでくれる?」

中沢「暁美ですか?暁美なら今日は休みですけど」

マミ「え」

まどか「というわけなんです……」

さやか「まさか転校した次の日にいきなり休むなんて、なんて大胆な奴だ」

マミ「……仕方ないわね、また明日出直しましょうか」

仁美「あ、でしたら私と勝負していただけませんか?」

マミ「志筑さんと?」

仁美「ここで知り合ったのも何かの縁ですわ。私はクロマツ大会に向けて色々なトレーナーと戦ってみたいと思っていますの」

マミ「あら奇遇ね、私も大会に出るつもりなの」

仁美「なら、よろしいですわね?」

マミ「えぇ、受けて立つわ!」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:07:23.83 ID:aEHSwoAi0
―校庭―

まどか「二人ともがんばって!」

さやか「使用ポケモンは三体!始め!」

お嬢様の 仁美が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=oZ_K7dgYPRY&feature=related

仁美「ドシシ!」ボンッ オドシシ「ヒューン!」

マミ「ツボーレ!」ボンッ マダツボミ「ツボボ」

まどか「マダツボミ…?」

仁美(未進化ポケモン?手加減をするつもり?いえ、そんなことをする方には見えなかった…つまり、かなり手ごわいのでは…?)

仁美「まずは様子見です。ドシシ、"すなかけ"!」

オドシシが命一杯の砂を浴びせ、辺りに砂塵が展開する。

マミ「視界が……ツボーレ砂に紛れて身を隠して!」

仁美「残念ながらマダツボミの位置は把握できていますわ。そしてドシシの"さいみんじゅつ"を警戒してか、カゴの実を持たせていることも」

マミ「!なるほど、特性『おみとおし』ってわけね……ツボーレ!」

仁美「"とっしん"!」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:08:17.21 ID:aEHSwoAi0
砂塵目掛けてオドシシが勢いよく駆け出した。
その目は確実にマダツボミを捉えていた――が、

マミ「でも、もう少し視野を広げた方が良かったみたいね」

オドシシ「ドドー!?」ズシャァァ

オドシシは何かに躓き顔から転んでしまった。

仁美「今の音は…ドシシ!」

マミ「躓いたんじゃないかしら?よく足元を確認しないからよ」

仁美「まさか、いつの間にか"くさむすび"を!?」

マミ「"つるのむち"よ!」

マダツボミ「ツボ!」ヒュン パシッ

マミ「そのまま"たたきつける"!」

吊るしあげられたオドシシは、成す術なく地面に思い切り叩きつけられた。

マミ「駄目押しに"マジカルリーフ"よ!」

仁美「ドシシ」

命中率100%の不思議な攻撃は舞い上がった砂埃を晴らしながら、よろよろと立ち上がろうとしていたオドシシに命中した。

マミ「まだやるのかしら?」

仁美「……いいえ、これ以上無理はできません」シュパン

オドシシをボールに戻し、仁美は次のボールから二匹目を繰り出す。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:09:03.05 ID:aEHSwoAi0
仁美「レイド!」ボンッ エルレイド「エーレイッ!」

マミ「今度はこっちから行くわよ!ツボーレ、もう一度"マジカルリーフ"!」

マダツボミ「!?」 エルレイド「ッ!」シュン

マミ「技が出ない!?」

マダツボミは技を放とうとしたが出すことができない。
エルレイドは一瞬にして姿を消し、そしてすぐさまマダツボミの背後を取る。

仁美「"つじぎり"ですわ」

自由自在に体をくねらせることのできるマダツボミに実質死角はないが、それが技を放とうとした直後、しかも技が出なかったとなると話は別になる。
作られた隙によって辻斬りをかわすことができず、急所に攻撃を受けてしまいそのままダウンとなった。

マミ「やるわね、エルレイドは相手の考えを敏感にキャッチできるからあんなに早い段階で"テレポート"できたのね」シュゥゥン

仁美「よく分かりましたわね…そしてドシシは最後に"かなしばり"かけてくれましたわ」

まどか「お、お互い一歩も引かないね」ゴクリ

さやか「やっぱりトレーナーって凄いね」ギュッ

マミ「フワーレ!」ボンッ フワライド「フワ〜」

マミ「そう来ないと面白くないわ……まだまだこれから!」

仁美「ですわ!」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:10:35.40 ID:aEHSwoAi0
〜放課後〜

まどか「お待たせ〜。あれ、仁美ちゃんは?」

さやか「先帰っちゃったよ。『今は一分一秒でも無駄にできませんわ!』って言っちゃってさ」

まどか「お昼にマミさんに負けちゃったのが悔しかったんだね」

さやか「仁美も惜しかったんだけどね〜。ネオラントの"ねっとう"が決まってたら分かんなかったのに」

まどか「勝負は時の運、ってやつだね」

さやか「だね。さあほら、マミさんとこ行こう!QB探さなきゃだし。リオすけ、ミジュか」ボボンッ

まどか「うん!ピピっち、チャモっち」ボボンッ

―校門―

マミ「来たわね。じゃあQBを探しにいきましょうか」

さやか「って、何処行くんですか?」

マミ「電話で呼び出すのよ」パカッ

さやか「あ、じゃあ後でマミさんのポケ―タイの番号教えて貰っていいですか?」

まどか「私も知りたいです!」

マミ「ありがとう二人とも。少し待っててね」

電話の後、三人は番号を交換し合った。

そして三人でQBのいるミタキハラ公園へと向かう。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:11:08.27 ID:aEHSwoAi0
―ミタキハラ公園―

マミ「……あら、先客がいるみたいね」

まどか「あれ、ほむらちゃん?なんで…?」

ほむら「!……あら、こんなところで会うなんて奇遇ね」

さやか「奇遇ね、じゃなーい!あんた学校さぼってQBと何やってんのさ!」

ほむら「QBに頼んでいただけよ」

QB「おめでとう暁美ほむら。今日から君も図鑑所有者だ!」

三人「!!!」

ほむら「そういうことよ」スッ

マミ「間違いなくポケモン図鑑……でも、おめでとう。所有者同士仲良くしましょう」

ほむら「……こちらこそ」

さやか「待った待った!QB、あたしも図鑑所有者になるよ!」

ほむら「!」

QB「本当かい?それは助かるよ、今はエネコの手でも借りたいくらいでね。人がいてくれると有難いんだ
  ならば正式に美樹さやか、君を図鑑所有者に任命するから少し図鑑を貸して貰って良いかい?ついでに君の手もね」

さやか「?いいよー、あたしの手も借りたいってか?」スッ

QB「違うよ全然違うよ」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:12:12.91 ID:aEHSwoAi0
QBは図鑑を受け取ると何やら操作を始めた。

QB「暗証番号を入れてっと……よし、さやか、画面に指を乗せて」

さやか「これでいいの?」ピトッ

ピピピッ

QB「これでこの図鑑の所有者は完全に美樹さやかとなった。さあ、受け取るといい!これが君の運命だ!」

さやか「ほいほーい、あんがとー!」サッ

QB「……軽いよ」

まどか「おめでとうさやかちゃん!」

ほむら「まどかは契約しないのね?」

まどか「う、うん。今日ママとパパと話し合ってから決めようと思って」

ほむら「……そう」

さやか「いやぁめでたいめでたい!ポケモンの情報は、この図鑑所有者さやかちゃんがバンバン記録しまくっちゃいますからねー!」

マミ「おめでとう美樹さん……ところで暁美さん」

ほむら「何かしら?」

マミ「今日は時間があるのよね…?」スッ

ほむら「……そうね、あなたの相手をする時間くらいなら」ファサ
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:13:17.39 ID:aEHSwoAi0
まどか「も、もしかしてまたまたポケモンバトル?」

さやか「おおー!面白くなってきたじゃん!よく見とけよリオすけ、ミジュか!これからあんた達が入門する世界なんだからね」

リオル「オー!」 ミジュマル「ミー!」

まどか「ピピっち、チャモっち、一応私達も見ておこうね」

ピッピ「ピー!」 アチャモ「チャー!」

ほむら「使用ポケモンは?」

マミ「三対三でいいかしら?」

ほむら「十分よ。それから」

ほむらはボールからアブソルを出し、QBの横に座らせた。

マミ「どういうつもり?この子はあなたの主力じゃないの?」

ほむら「疲れが溜まっているの…その子は今回は休憩よ。ボールの中は窮屈だもの」

さやか「よーし、じゃあ……始め!!」

先輩の マミが 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=UKKrW7UIsfY&feature=related

マミ「メリーレ!」ボンッ モココ「メー」

ほむら「お願い」ボンッ ギギアル「グギギ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:14:22.17 ID:aEHSwoAi0
まどか「あれ、モココなのにメリー…?」

さやか「いや、メリープの時のニックネームっしょ」

QB「図鑑所有者同士の試合は実に興味深いね。僕も見学させて貰うよ」

マミ「メリーレ、"ほうでん"!」

モココ「メー!」バリバリ

ギギアル「ギギィ」ギギギ

マミ「直撃を喰らったわね!畳みかけるわよ、"パワージェム"!」

ほむら「"ギアソーサー"」

ほむらの合図とともに、ギギアルのちびギアが素早く射出されモココを襲った。
一瞬の虚を突かれたモココは思わずパワージェムの放出を止めてしまうが、ちびギアのいなくなったギギアルも不安そうな顔をしている。

マミ「隙だらけよ、今のうちに――」

ほむら「"ギアソーサー"は二度獲物を撃つわ」

マミ「!!しまった…帰ってくるわ!受け止めてメリーレ!」

モココ「ココ〜……」

マミ「怯んでる!?そんなことが?」

ブーメランのように帰って来たちびギアが再びモココを襲い、あえなくダウンしてしまった。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:15:24.65 ID:aEHSwoAi0
マミ「口だけではないようね…持ち物にも気を付けておくべきだったわ」シュゥゥン

ほむら「二回攻撃できるからこそ、その効果も現れやすくなる」

マミ「王者の印ね……カメーレ!」ボンッ カメール「カメ!」

ほむら「カメール……いいわ、マリルリ用に残しておきたかったのだけれど、"じゅうでん"!」

ギギアルがギアを高速回転させ始め、次第に辺りが磁場に覆われていく。

マミ「"じゅうでん"一回分の量にしてはエネルギー量が多すぎる……まさかメリーレの"ほうでん"も蓄えていたの!?」

ほむら「"でんげきは"!」

マミ「カメーレ!」

ギギアル「ギギー!」バリバリー

溜まっていたエネルギーが一気に放出され、電撃はカメールに命中した。

ほむら「これで二体」

マミ「……本当にそうかしら?ティロ!」スッ カメール「ギャー!」バッ

ほむら「なっ!?」

マミ「フィナーレ!」 カメール「メーー!!」ズドドドド

充電された電撃波に負けない威力のハイドロポンプがギギアルに襲いかかる。
強烈な一撃によりギギアルは倒れた。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:16:41.28 ID:aEHSwoAi0
ほむら「"まもる"を使ったのね。流石に状況を見るのには慣れているようね」シュゥゥン

マミ「あなたもね」クスッ

ほむら「ふふっ……頼んだわ」ボンッ ウォーグル「ピエー!」

マミ「ウォーグル、ね。勇猛果敢な大空の戦士…随分と傷が多いようだし、相当の手だれみたいね」

ほむら「褒めて貰えて光栄だわ。あなたのカメールの"ハイドロポンプ"もなかなかのものだったわよ」

マミ「ありがとう。カメーレも喜んでるわ」

さやか「ほ、褒め合ってる……」

QB「マミが強いのは知っていたけど、あの暁美ほむらもかなり強い…あんな子がいてくれるなら図鑑集めも捗りそうだ」

まどか「二人とも凄いなぁ……」                         ゴソゴソ

ほむら「"つばさでうつ"」

マミ「引きつけて"れいとうビーム"!」

命中する直前、冷凍ビームにより片翼を凍らされバランスを崩したウォーグルは、そのまま地面へと不時着してしまった。
追い打ちをかけるようにカメールが再び冷凍ビームを繰り出し、両翼は完全に凍ってしまった。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:18:15.34 ID:aEHSwoAi0
マミ「今のうちに"ロケットずつき"の準備よ!」

ほむら「溜めに時間がかかる技でも確かに今なら決められてしまう……仕方ないわね、こちらも"ゴッドバード"の準備をするのよ」

マミ("ゴッドバード"!?さっきのギギアルの"でんげきは"といい、そんな技使えたかしら…?でも、あの様子だと間違いなく使ってくるみたいね)

カメールは殻に籠り力を溜め、ウォーグルの周りには光が渦巻き身体を包みこんでいく。
その熱によりじわじわと凍りが溶けていく。

マミ「溜めきる前に突撃よ!」

ほむら「もう遅いわ!」

カメール「メルルー!」ゴォッ ウォーグル「キョエー!」ゴァァッ

二匹の技と技がぶつかりあい衝撃波が発生する。
互いに引けを取らず、両者弾き飛ばされてしまった。

ほむら「防御が上がっていたから倒しきれなかったわね。やるじゃない」

マミ「あなたもね……」

マミ(それだけじゃない、ウォーグルの翼が完全に溶け切っていなかったから威力が多少抑えられていた……
   にも拘らずこれだけのパワーだなんて、完全な状態で撃たれていたらどうなっていたというの?)
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:19:29.42 ID:aEHSwoAi0
マミ「まだやれる?」 カメール「ギャメ…!」ハァハァ

ほむら「もう凍りは溶けたわね?」 ウォーグル「ウォー!」バサァ

QB「両者態勢を立て直したね」

さやか「どう出るかな……」ゴクリ                         スッ

ほむら「"フリーフォール"」

マミ「しまった!カメーレ"こうそくスピン"で逃げて!」

がっしりと甲羅を掴み大空へと舞い上がる。
カメールは必死に回転して暴れるが、ウォーグルは決してその強力なカギ爪を離そうとしない。

回転の力を利用され地面に叩きつけられたカメールは、そのまま気を失った。

マミ「……やるわね」シュパン

ほむら「さあ、今度こそ最後の一体よ」

マミ「マリーレ!」ボンッ マリルリ「マリ!」

まどか「やっぱり最後はマリーレちゃんだ…!」

マミ「"アクアジェット"!」

マリルリ「リリ!」シュダッ ウォーグル「ギエー」ガクッ

さやか「凄い、先手必勝一撃だ!」

ほむら(流石巴マミ、一筋縄ではいかないわね)シュゥゥン
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:20:57.11 ID:aEHSwoAi0
マミ「これで互角よ」

ほむら「最後よ、お願い」ボンッ ランプラー「ランララ〜」

マミ「!?どうしてわざわざ相性が不利なポケモンを…?」

ほむら「苦手な相性の方が鍛え甲斐があるってものでしょ?」

マミ「なら、遠慮はいらないわね。"アクアテール"」

ほむら「"かげぶんしん"!」

マミ「薙ぎ払って!」

現れた分身が、フレイルのように振り回した尻尾によって全て消滅していき、本体に直撃する。

マミ「私のマリーレは本来"ハイドロポンプ"のような特殊技よりも『ちからもち』による物理攻撃の方が得意なのよ。かなり効いたんじゃないかしら?」

ほむら「まだいけるわ…"はじけるほのお"」

マミ「"アクアジェット"」

高速で攻撃をかわしながら再びランプラーに強烈な一撃が入る。
もはや立っていられないくらいフラフラだった。

マミ「うまく"こらえる"ことができたみたいね」

ほむら「……そうね。でも、こういうこともできるのよ」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:22:21.89 ID:aEHSwoAi0
ランプラー「ププー」グァァン マリルリ「ルッ!?」ガクッ

マミ「"いたみわけ"!?これを狙っていたのね……でもまだやれるわ、"アクアテール"!」

マリルリ「マ、マリ!」ブンッ ランプラー「ラプン」ガシッ

マミ「受け止められた!?もしかして、火傷を負っているの…?」

痛み分けにより体力を減らされたマリルリは、さらに火傷によるダメージも受けているようだった。

ほむら「『ほのおのからだ』によって火傷を負ったみたいね。得意の物理攻撃で攻めてきたのが仇となったわね」

マミ「くっ…ティロ・フィナーレ!」

マリルリ「!マリ…――」ググッ

ほむら「"たたりめ"よ!」

ランプラー「フラ〜」ギュオン マリルリ「ルリー!」バタッ

マミ「マリーレ!」

ほむら「勝負を焦ったわね。落ち着いて対処していればまだ勝ち目はあったでしょうけど、技のタイミングがズレてしまったようね」

マミ「……悔しいけど、その通りね。火傷状態にしてからの"たたりめ"も一段と強烈だったわ」シュゥゥン

さやか「しょ、勝者、転校生!」バッ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:23:43.32 ID:aEHSwoAi0
QB「いやぁ実に素晴らしい戦いだった!お互い一歩も譲らない技と技、力と力のぶつかり合いだった。これからもその調子で精進してくれ」

さやか「あんた何様だよ」ビシッ

ほむら「一応感謝しているわよ。図鑑とポケモン、確かに頂いていくから」スタスタ

まどか「あ、ほむらちゃん」

ほむら「何?」

まどか「どうして私達にあんなこと言ったのに、ほむらちゃんは図鑑所有者になったの?」

ほむら「それは……」

ぐっと何かを飲み込むようにほむらは俯いた。

ほむら「……怖かったから」ボソッ

まどか「え?」

ほむら「そるそる」

アブソル「フーン」シュタッ

まどか「あぁ、ちょっと――」

ほむら「帰るわよ」

ほむらはアブソルに乗ってすぐさまその場を去っていった。
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:24:56.12 ID:aEHSwoAi0
さやか「早っ!もう見えなくなっちゃった」

マミ「……よく頑張ってくれたわねみんな。お疲れ様」

まどか「マミさん、凄かったですよ」

マミ「でも負けちゃったわ」クスッ

さやか「それでもですよ!二人の熱いバトルにあたし俄然やる気出てきちゃいました!これはもう、あたしもリーグ狙うしかないっすよ!」

マミ「ありがとう美樹さん…私も残りのバッジのために鍛え直さないとね!」

まどか(二人とも燃えてるなー……私もこんな風になれるのかな?)

アチャモ「チャモ」ツンツン

まどか「チャモっち……も、あんな風に戦ってみたいの?」

アチャモ「モモモ」コクコク ピッピ「ピピー!!」コクコク

まどか「ピピっちまで……うん、そっか、分かったよ」

まどかはそっとアチャモとピッピを抱き上げ、その熱い思いを体で感じた。

この時、ようやくまどかの中で一つの感情が形になった。
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:26:10.29 ID:aEHSwoAi0
さやか「でもさ〜、転校生も不思議だよねほんと」

マミ「確かに不思議な雰囲気を持った子ね」

さやか「だって、ニックネームちゃんと付けてるみたいなのに何で呼ばないんだろうね?」

まどか「……そこ?」

さやか「アブソルのこと『そるそる』って呼んでたじゃん?普通に呼べばいいのにさ」

マミ「そうよね?可愛い名前だと思うのだけれど」

QB「のああああぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあぁぁぁあ!?!?!?」

三人「!?」ビクッ

QB「ない!ないない!!ないないない!!!」ガサゴソ

マミ「きゅ、QB…?」

QB「図鑑とモンスターボールが足りないんだ!暁美ほむらに渡すまでは確かに会ったはずなのに!」

さやか「よく探したの?そんだけボールとか図鑑入ってたら見逃しとか数え間違いってことも――」

QB「そんなはずはない……確かに一つずつ無くなっているんだ」

まどか「いつの間に……あ」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:27:15.93 ID:aEHSwoAi0
まどかは思い出していた。
二人のバトルの最中にゴソゴソと物音がしていたことを。
アブソルがずっとQBの鞄の横に座っていたことを。

まどか(まさか、ほむらちゃんがアブソルに"どろぼう"を使わせた…?)

QB「仕方ない……盗難届を出しておこう。君達もどこかで見かけたら犯人を捕まえてほしい」

マミ「図鑑はこれと同じよね。消えたポケモンは誰なの?」

QB「ほむらに渡したポケモンと同じチコリータだよ。二匹いたうちの一匹を彼女に渡したのに、もう一匹も消えてしまうなんて本当に奇想天外だ」

さやか「チコリータね、了解了解!」

QB「はぁ……あぁ、そういえば図鑑は三つで一組だから、三つ揃った時に『共鳴音』がするんだ。それも頼りにしてくれるといい」

さやか「共鳴音?」

QB「そう。三つの図鑑所有者が近くに揃った時音が鳴る仕組みなんだ。無くなった図鑑はほむらとまどかが今持っている図鑑とセットになっている」

さやか「……それって、ほむらもいなきゃ意味ないしまどかが図鑑所有者になった時の話じゃないの?」

QB「……ま、まあ、そこは臨機応変に」

マミ「こればっかりは仕方ないわね。でも、図鑑所有者はそんなに多くはないはずだから、すぐに分かると思うわ」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:28:37.82 ID:aEHSwoAi0
さやか「あ、じゃああたしのも誰かのとセットなんだ?」

QB「君とマミの図鑑はセットになっているよ。もう一人は隣町にいる子だよ」

マミ「まぁ、そうだったの?」

さやか「え、誰なんですか?」

マミ「んー……心配しなくても必ず会うことになるから、その時までのお楽しみってことで」

さやか「えぇーいいじゃないですか教えてくれても!」

マミ「どうしましょうかねー……鹿目さん?」

まどか「ふぇ!?」

マミ「どうかしたの?さっきから黙りこんじゃって」

まどか「あぁいえ、なんでもないです」

まどか(ほむらちゃんのこと、どうしよう……でも、証拠もないし)

QB「とにかく、犯人を見つけたら知らせてくれ。それからまどか、僕は明日にでもこの街を出るから決めるならそれまでに頼むよ」

まどか「うん、分かった」

マミ「出てきてフワーレ」ボンッ フワライド「ドドド〜」

マミ「こんな時間まで付き合わせちゃってごめんなさいね。送っていくわ」

さやか「よろしくでーす!」 まどか「お願いします」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:29:46.75 ID:aEHSwoAi0
―まどかの家―

夜9時、弟のタツヤは既にマネネと一緒に眠りにつき、リビングにはまどかと詢子が椅子に座り知久は飲み物の準備中、
ポケモン達は各々の主人の周りに集まっている。

知久「はい。まどかはココア、ママはコーヒー」コトッ

まどか「ありがとうパパ」

詢子「それで、話ってなんだまどか?」ズズー

まどか「うん。えっと、あのね……」モジモジ

アチャモ「チャモモ」ツンツン ピッピ「ピピピー」バシバシ

まどか「わ、分かってるよぉ……あのね、私、ポケモントレーナーになりたいの」

知久「まどかが?」

詢子「……続けて」

まどか「う、うん」コクッ

まどかは図鑑のことを話した。
そしてトレーナーというものに憧れるようになったことを。

まどか「私、もっとポケモン達や人と関わってみたい。バトルもしてみたい。旅をしてみたい。いろんなことをしたい
    ピピっちやチャモっちと、この地方を巡ってみたいの」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:30:29.28 ID:aEHSwoAi0
知久「それで昨日あんなことを……どれだけ大変なことか分かっているのかい?トレーナーになること自体大変なことなのに、その上ポケモン図鑑までなんて」

詢子「いいさ、やってみな」

知久「ママ!?」

詢子「いいじゃないか、娘はいつか旅立つもんさ」

知久「そうかもしれないけど」

詢子「やっぱりあたしたちの娘なんだよ……その気持ちに嘘偽りはないんだな?」

まどか「うん。マミさんやほむらちゃんの姿に憧れて、さやかちゃんもトレーナーになるって言って、確かに簡単に決めたように見えるかもしれないけど……
    でも、これは間違いなく私の感情≪きもち≫…!私がやりたいことなの!」

知久「まどか……」

詢子「ふふっ、そういうことならあたしは応援するよ。その代わり、図鑑のことは頼まれたからには最後までやり遂げるんだぞ?」

まどか「ママ!ありがとう!」

知久「……ふぅ……分かった。まどかが自分から何かやりたいなんて言ったこと、今までほとんどなかったからね
   少し驚いたけど、僕も応援するよ!」

まどか「パパも…ありがとう!」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:30:57.31 ID:aEHSwoAi0
詢子「辛くなったらいつでも帰ってきていいからな」

まどか「うん!……って、あれ?帰ってきていいって…?」

詢子「何言ってんのさ?トレーナーになるからには短期でガッツリ鍛えた方がいいんだぞ?」

まどか「え、いや、だから……」

詢子「当然、トレーナー休学使うんだろ?」

まどか「え、えぇ!?」

知久「さやかちゃんも一緒なら安心だね」

まどか「いやぁあの、確かにさやかちゃんは休むって言ってたけど」オロオロ

詢子「トレーナーになるからにはそれくらいしなきゃ駄目さ!早速明日手続きだな」

知久「じゃあ僕が学校に行ってくるよ」

まどか「そんな勝手に……」

詢子「じゃあこの話は無しだ」

まどか「そんなぁ!」

詢子「トレーナーになるのと学校に通うこと、まどかはどっちがいいんだ?さっきの気持ちは嘘じゃなかったんだろ?」

まどか「……分かったよママ、私頑張る!」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:31:33.23 ID:aEHSwoAi0
詢子「うん、それでこそあたしたちの娘だ」

知久「ママも言ってたけど、辛くなったらいつでも帰ってきていいんだからね」

まどか「ありがとう……ホントにありがとう!」

アチャモ「チャチャー!」ピョンピョン ピッピ「ピッピピー!」ピョンピョン

まどか「こら、二人とも落ち着いて!」

知久「ハハ、このアチャモも元気がいいみたいだし旅は楽しくなりそうだね」

詢子「よし、頑張れよ」バシッ

まどか「うん…!」

この日、三人は久しぶりに遅くまで語り合った。
まどかは二人がトレーナーだった頃の話や二人の出会いの話、旅の心得やバトルのコツなど、聞けることは全て聞いた。

そしてまた、ポケモントレーナーへの気持ちが一層強くなったのだった。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:32:45.77 ID:aEHSwoAi0
―ほむらの家―

ほむら「ただいま」

ほむら「みんな、ご飯にするわよ」ボワーン

ほむら「体調は平気?……そう、ならよかったわ」

ほむら「今日は新しい仲間が増えたの。チコリータの『めがめが』よ」ボンッ

ほむら「え?あぁ、だってこの子、進化するとメガニウムになるから」

ほむら「いいじゃない、私はこのニックネーム気に入ってるわ……で、でも、人前だとちょっと……」

ほむら「……あ、言ったわね。確かにそるそるって言ってしまったわ」

ほむら「べ、別にいいじゃない……まあ、できるだけ呼ぶようにはするわよ」カァァ

ほむら「あ、それから、これとこの子を」スッ

ほむら「……えぇ。快く渡してくれたわよ……本当だってば」

ほむら「明日は……金曜日だったわね。大丈夫?無理はしないで」

ほむら「さあ、明日からに備えないとね」

ほむら「ねえ」

ほむら「――――」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:34:09.05 ID:aEHSwoAi0
〜翌日・放課後〜―ミタキハラ公園―

QB「契約成立だ。さあ、これが君の運命だ!」

まどか「ありがとうQB」

さやか「おめでとうまどか!これで一緒に旅ができるね!」

まどか「うん!」

マミ「まずは外の世界になれないといけないわね。幸い明日は土曜日だし、私も用事があるから隣町に行ってみる?」

さやか「カザミノシティかぁ、いいねえまどか!」

まどか「うん!」

さやか「流石にいきなりジム戦は無理だろうから、明日は図鑑集めたりバトルの練習しなきゃね。それで来週に二人で挑戦しよう!」

まどか「あ、それなんだけど、私も今日から休学することになったから……」ティヒヒ

さやか「え、それってまさか……トレーナー休学使うの!?それじゃあ二人で冒険できるじゃん!」ガシッ

まどか「えへへ…さやかちゃん、私と一緒に来てくれる?」

さやか「当たり前じゃん、まどか一人なんて危険だよ!あたしら夫婦でリーグ優勝目指しちゃおう!」

まどか「じゃ、じゃあ私が夫役!」

さやか「おう!あたしが美しい妻役ね!」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:36:30.96 ID:aEHSwoAi0
マミ「いいわね、お互いに切磋琢磨できるライバルがいるっていうのは素敵なことよ」フフッ

さやか「頑張ろうねまどか」

まどか「うん、ありがとうさやかちゃん!」

さやか「ふっふーん、あたしら二人で転校生を出しぬいちゃおう!」

まどか「ほむらちゃんは学校に通いながらみたいだもんね」

マミ「それじゃあまた明日ね。初日だもの、簡単な手解きならしてあげられるわよ……ただし、そこから先は自分たちで、ね」

まどさや「お願いします!」

QB「それじゃあ僕はそろそろこの街を離れるとしよう。図鑑集めを頑張ってくれよ。それから図鑑泥棒のことが何か分かったら連絡してくれ」

マミ「じゃあねQB。またいつか」

さやか「図鑑ありがとねー」

まどか「バイバイ」

こうして鹿目まどかと美樹さやか、そして暁美ほむらはポケモン図鑑所有者となった。

彼女達の長い旅が、ここから始まった。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 18:38:27.98 ID:aEHSwoAi0
書き溜めはここまで
BGMは俺の勝手なイメージってことで

使用ポケモンはまどか以外大体決めてあるけど変更の可能性はある
また次の街のことまで書けたら投下する
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 19:42:40.02 ID:PN21gTAmo
乙!

続きがめっちゃ気になる!
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/12(月) 21:48:01.29 ID:0QaMIBtIO
乙 ほむらの話し相手が気になるな
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/12(月) 21:55:05.63 ID:rFR0nZhO0
乙!
勝手に各キャラの手持ちまとめ
まどっち…ピッピNNピピっち アチャモNNチャモっち
さやかちゃん…リオルNNリオすけ ミジュマルNNミジュか
マミさん…マリルリNNマリーレ カメールNNカメーレ フワライドNNフワーレ
      マダツボミNNツボーレ モココNNメリーレ
ほむほむ…アブソルNNそるそる チコリータNNめがめが ギギアルNN不明
      ウォーグルNN不明 ランプラーNN不明
仁美…エルレイドNNレイド オドシシNNドシシ ネオラントNN不明

80日で8コとかNNのつけ方とか図鑑の扱いからして、ポケスペが元だと見る
つーかマミさんのパーティ、バランス悪いwwww電気で半分持ってかれるぞwwwwww
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/12(月) 23:13:26.30 ID:aEHSwoAi0
>>90
まとめありがとう

付け加えるとマミさんはミルタンクのミルーレちゃんを一回こっそり使ってるのと、
ワカメの相棒であるワカメことリーフィアのフィアちゃんを忘れないであげて
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/13(火) 00:25:41.19 ID:pt1gHiY90
>>91
ごめんwwwwwwwwwwww
一回通して読んだだけでやろうと思ったのが間違いだったwwwwwwwwwwww
というわけでまとめ直し

まどっち…ピッピNNピピっち アチャモNNチャモっち
さやかちゃん…リオルNNリオすけ ミジュマルNNミジュか
マミさん…マリルリNNマリーレ カメールNNカメーレ フワライドNNフワーレ
      マダツボミNNツボーレ モココNNメリーレ ミルタンクNNミルーレ
ほむほむ…アブソルNNそるそる チコリータNNめがめが ギギアルNN不明
      ウォーグルNN不明 ランプラーNN不明
仁美…エルレイドNNレイド リーフィアNNフィア オドシシNNドシシ ネオラントNN不明

ポケスペ的にはピピっち、リオすけ、マリーレ、そるそるが幼馴染ポケモンのポジションなんだろうなぁ
っていうかメガほむならともかくクーほむがそるそるとかめがめがなんて名付けてると思うと可愛いなぁ
果たして仁美の幼馴染ポケモンはレイドなのか、それともフィアなのか…?
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/13(火) 17:52:57.11 ID:Amizrm8Y0
はいはい、ブクマブクマ
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/13(火) 19:01:50.62 ID:EAkVRBKA0
以前、談義スレでまどか×ポケモンでSS書くって言ってた人だよね?これは期待せざるを得ない
ジムリーダーとかはどうなるのかが楽しみで仕方ないんだぜ…先に聞くけど、おりマギ、かずマギ、モバゲのキャラは出るの?
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/13(火) 21:53:39.51 ID:pt1gHiY90
更に色々纏めてみた
マミさんとほむほむはチート。技の数的な意味で。

まどか
・ピピっち(ピッピ) はたく おうふくビンタ なきごえ
・チャモっち(アチャモ) ひのこ きあいだめ
さやか
・リオすけ(リオル) やんちゃ はっけい いやなおと バレットパンチ
・ミジュか(ミジュマル) たいあたり
マミ
・マリーレ(マリルリ★) おっとり バブルこうせん ばかぢから ハイドロポンプ アクアジェット アクアテール
・カメーレ(カメール) かいりき ハイドロポンプ まもる れいとうビーム ロケットずつき こうそくスピン
・ミルーレ(ミルタンク) ミルクのみ
・フワーレ(フワライド) そらをとぶ
・ツボーレ(マダツボミ)@カゴ くさむすび つるのむち たたきつける マジカルリーフ
・メリーレ(モココ) ほうでん パワージェム
ほむら
・そるそる(アブソル) さみしがり サイコカッター おにび でんじは かえんほうしゃ どろぼう
・めがめが(チコリータ)
・ギギアル@おうじゃのしるし ギアソーサー じゅうでん でんげきは
・ウォーグル つばさでうつ ゴッドバード フリーフォール
・ランプラー かげぶんしん はじけるほのお いたみわけ たたりめ
仁美
・レイド(エルレイド) まじめ つじぎり テレポート
・フィア(リーフィア) はっぱカッター かげぶんしん リーフブレード にほんばれ
・ドシシ(オドシシ) 特性おみとおし すなかけ さいみんじゅつ とっしん かなしばり
・ネオラント ねっとう


名付け方の法則的に、ほむほむの残りの手持ちのNNは「あるある」「ぐるぐる」「しゃんしゃん」だと予想
仁美のネオラントは、他の手持ちのNNからしてもラントだろうね
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/13(火) 22:23:07.92 ID:pX8NF/Nvo
ウォーグルだけようわからん
前あったポケモンの消えちゃったから期待
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/13(火) 23:20:11.17 ID:I0RqYMld0
>>94
そうそう
キャラが少なすぎるからおりマギかずマギキャラは出す予定
あと脇役で別作品のキャラが出るかもしれないが知らなくても何ら問題はない

>>95
さらにありがとう
まだ言及してない性格まで…NNはお楽しみということで
ついでに仁美の幼馴染ポケはフィア、レイドは言いつけで常に出しているだけ(ボディガード的な意味で)

技はそのポケモンが覚える技全部使うくらいの勢いで使っていくのでマミさんはチートではないよ
ほむほむはガチのチートだけどね


とりあえずPSP持ってないから、まどポで杏子の親父の名前が分かったら誰か教えてほしいのだぜ
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/17(土) 08:47:57.33 ID:ZwkOx042o
>>95
しゃんしゃんだと六文字になってしまう罠

ポケスペのクリスの『ウィンぴょん』みたく
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/03/18(日) 13:13:21.48 ID:2ROu9/P+0
ドクロッグの鳴き声ってウィヒヒヒーヒヒョヒョヒョヒョヒョって聞こえませんか?聞こえませんね
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:13:59.51 ID:2ROu9/P+0
〜一日目〜―まどかの家―

知久「忘れ物はないかい?ピピっち、チャモっち、まどかのことよろしくね」

ピッピ「ピピッ!」 アチャモ「アモッ!」

まどか「大丈夫だよ、パパとママの子だもん!」

タツヤ「ねーちゃがんばれー!」

マネネ「マーネマネマネー」

まどか「タツヤ、マネネ、いい子にしてるんだよ」ナデナデ

詢子「あたしが言った旅の心得、忘れるんじゃねーぞ?」

まどか「分かってるって」

詢子「バトルは正々堂々、ポケモンを信じて戦うこと」

まどか「急がば回れ、ポケモンを気遣って旅すること」

詢子「辛かったら無理をしない」

まどか「怪しい人に気を付ける」

詢子「ただし」

まどか「売られた喧嘩は」

詢子・まどか「買うしかない!」

まどか「ティヒヒ……みんな、行ってきます!」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:15:22.61 ID:2ROu9/P+0
―マミのマンション前―

マミ「お待たせ。準備はいい?お昼ごはんの準備もできてる?」

さやか「バッチリっすよ!」

まどか「しっかり挨拶してきました!」

マミ「フフッ、オッケー。なら、まずは街を出ましょうか」

三人は市街地を抜け、隣町のカザミノシティへと続く道まで来た。

マミ「ここならもう大丈夫ね。二人とも、ボールからポケモンを出しておいて」

言われた通りに、二人はそれぞれのポケモンを取り出した。

マミ「街中だとぞろぞろ連れて歩くのはよくないわ。一匹、多くても三匹くらいだと迷惑がかからないわよ
   他のポケモン達は人が少ない街外れでボールから外に出してあげるとストレスが少なくて済むわ」

さやか「おぉー、流石マミさん物知り!」

マミ「といっても、慣れないうちは街外れだからって全員出しちゃうと逆にあちこちに目を配るのが大変になるから気を付けてね
   私は今日はカメーレとフワーレ、ミルーレを出しておくわね」ボボボン

まどか「マミさん勉強してるんですね」

マミ「一人で旅をする頃は不安だったから、何でもできるように勉強だけは欠かさずにしてきたの。勿論、学校の方もね?
   おかげでポケモンの知識はかなり身につけたつもりなんだけど、それでも知らないことの方が多いわ」

さやか「熱心ですね〜…あたしはもう、勉強なんてほとほと駄目でして」タハハ
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:16:49.82 ID:2ROu9/P+0
―ミタキハラシティ〜カザミノシティ―

マミ「じゃあさっそくだけど、鹿目さんと美樹さんどっちから行く?」

まどか「え?行くっていうのは……」

マミ「勿論、草むらによ。まずは野生のポケモンと出会うところから始めないとね」ニコッ

さやか「んん〜、仕方がない。ここは一肌脱いで……まどかがゴー!」

まどか「ふぇ!?よ、よ〜し!私行ってくるね!ピピっち、チャモっち、ついてきわひゃぁぅ!!!」ズテーン

さやか「あちゃ〜、もういきなり何やってんだか……まどか大丈のわちゃぁ!!!」ドテーン

マミ「ふ、二人とも大丈夫…?」

まどか「いたた……何れこんなところに落とし穴があるのぉ……」

さやか「くっそ〜、誰だこんなもの掘った奴は!出てこい!」

ガサゴソ

マミ「そこね!カメーレ"みずでっぽう"!」

???「ギュゥ!」

茂みに放たれた水鉄砲に被弾して小さな悲鳴が聞こえた。
やがて、ひょっこりと草むらから、一匹のポケモンが恥ずかしそうに顔を出してきた。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:17:45.09 ID:2ROu9/P+0
まどか「あのポケモンは……何だろう?」

マミ「丁度いいわね。二人ともいい?初めてのポケモンに出会ったらまずは図鑑を開くことよ
   絶対ってわけじゃないけれど、まずは相手の情報を得ることが大事なの」

まどか「えっと図鑑図鑑……えいっ!」

さやか「こっちもえい!」

すぐさま図鑑がそのポケモンを認識し、画面に情報を映し出す。

まどか「えぇっと…モグリュー、もぐらポケモン…両手の爪を重ね合わせて回転させると猛スピードで地中を進む……」

さやか「そのスピードは時速50キロ以上……つまり、こいつが掘り進んだトンネルにあたしらは引っかかったわけだね」

マミ「野生のポケモンに出会ったらまずは戦うか逃げるかを決めること。無暗やたらと戦いを挑むのは好ましくないわよ?相手の状態を見て考えるの」

まどか「この場合は……」

爪を開いては閉じてカチンカチンと音を鳴らすと、呼応するように一つ、また一つと音が増えていく。

やがてモグリューの群れがそこに集まって来た。

さやか「どうみても威嚇してる予感……」

マミ「決めたなら素早く行動すること!野生のポケモン達は待ってくれないわよ!」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:18:56.07 ID:2ROu9/P+0
モグリュー「モギュー!」バッ モグリュー「ギュルー!」ダッ

まどか「よし!チャモっち、"ひのこ"だよ!」 アチャモ「チャモモ」ボボボッ

さやか「ミジュか、"みずでっぽう"!」 ミジュマル「ミジュー!」ブシュゥゥゥ

襲いかかって来たモグリューの群れに一撃、また一撃と攻撃をヒットさせ、まどか達はなんとか追い払っていく。

まどか「これで全部かな…?」

マミ「まだよ。一匹だけまだ残っているはず」

さやか「でもここにいないですよ……ってことは」

突然地面が盛り上がり、地上にいたアチャモにモグリューの攻撃が炸裂した!

まどか「チャモっち!」

さやか「やっぱり"あなをほる"だ!ミジュか、"みずでっぽう"!」

素早く攻撃をかわし、モグリューは再び地面へと身を隠した。

さやか「こんのぉ、ちょこまかと〜」

まどか「そうだ!チャモっち、まだ大丈夫?」

アチャモ「アチャッ!」

まどか「この穴に向かって"ひのこ"だよ!」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:20:09.75 ID:2ROu9/P+0
モグリューが掘った穴に向けて火を放つ。
しばらくすると熱さに我慢できなくなったのか、尻尾を焦がしたモグリューが飛び出てきた。

そこをすかさずミジュマルが狙い撃ち、ようやく全てのモグリューを追い払うことに成功した。

まどか「はぁぁ何とか追い払えたよぉ」クテッ

さやか「これが野生のポケモンとのバトルかぁ…ま、まあタツベイ達に比べたらどうってことなかったですよ!ナハハハ」

マミ「なかなかいい感じだったわよ。あとは状況を見ていかに素早く決断して行動できるかってところね」

まどか「やったねチャモっち!」

マミ「基本は分かったかしら?ここからの戦闘はあなた達に任せるから、頑張ってね!
   傷付いたらミルーレが回復してあげるし、危なくなったらカメーレとフワーレで追い払うから安心してね」

さやか「図鑑への記録はどうするんですか?」

マミ「図鑑を向けると大体記録されているわよ。でも、身長や体重みたいな細かいデータはやっぱり捕まえないと分からないわね」

まどか「やっぱり捕まえないと駄目ですよね……一応ママからボールは貰ってきてるんですけど」ゴソゴソ

マミ「あぁ、今はまだいいのよ。モグリューのデータ、というかこの辺のポケモンのデータは私が大体収集してるから
   今はとにかく、野生のポケモンとの戦闘になれることから始めましょう。でも、捕まえたいポケモンが現れたらいつでも言ってね?教えてあげるわ」

まどさや「はいっ!」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:21:09.79 ID:2ROu9/P+0
二人は道を進みながら、襲ってくるポケモン達を順当に倒していった。
危ない時は逃げることも覚えながら、マミに回復してもらう。

そして昼食を食べながら野生のポケモンの行動なども教えて貰いつつ、今後の予定を話し合う。

マミ「そろそろ捕獲の練習をしてみる?美樹さんもボールは持っているのよね?」

さやか「バッチリっすよ!」

まどか「三つだけなんですけど…一つは特別にってママがフレンドボールをくれたんです」

さやか「おっ、それってグンマーだと通販でしか手に入らない激レアボールじゃん!いいなぁ、まどかのママさんそんなのも持たせてくれたんだ」

まどか「一個しかないから大切に使いなさいって…いざ使うとなるとちょっと怖いね……」

マミ「ふふっ、なら、初めは練習だから私が持ってる普通のモンスターボールでいいと思うわ。そのボールは捕獲に慣れて、一緒に旅がしたいと思ったポケモンに出会った時に使うべきだと思うわ」

まどか「はい!そんなポケモンに出会えるといいなぁ……」

昼食後、二人はマミにボールを借りて捕獲練習のためにポケモンを探すことになった。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:22:16.19 ID:2ROu9/P+0
さやか「いた!マミさん、コラッタですよ!」

マミ「美樹さん静かに、逃げられちゃうわよ?」

さやか「おっと、スイマセン」

マミ「捕獲のコツはまず戦闘で弱らせること、それからボールを投げるタイミングと当てどころよ。特に当てどころは重要なポイントね
   どんな生き物の体内にも『生命エネルギー』の集中しているツボがあるの。そこを正確に捕らえた時のみボールは真の力を発揮するの」

さやか「な、なるほど……よーし、行けミジュか!」

マミ「まずは弱らせること!」

さやか「"みずでっぽう"!」 ミジュマル「ジュッ」ブシュゥゥ

マミ「結構効いてるわね…コラッタのツボは額よ!」

さやか「いっけぇ!」シュッ

投げたボールは見事コラッタの額に命中し、ボールにコラッタが収まった。

さやか「やったぁ!」

マミ「まだよ!クリティカルとはいえ油断はできないわ……ボールの揺れが完全に収まってようやく捕獲完了よ」

ゆらゆらと揺れていたボールはやがてゆっくりとその動きを止めた。

さやか「……今度こそやったぁ!初めてポケモンゲットしたー!イエーイ!!」

リオル「リーオリオー!」 ミジュマル「フッ……」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:23:43.53 ID:2ROu9/P+0
マミ「おめでとう美樹さん、よくやったわ」

さやか「いやぁ、さやかちゃんにかかればこの程度余裕っスよー」ナハハ

マミ「フフッ、これからもその調子で頑張ってね。あ、コラッタはあとで逃がしておきましょうね」

さやか「え、せっかく捕まえたのにですか?」

マミ「無暗に乱獲するものじゃないわ。その土地の生態系が崩れる危険もあるから…今日は練習に付き合って貰っただけだもの、生まれた場所に帰してあげるのが一番よ」

さやか「なるほど……そういうことなら。ありがとねコラッタ、君のおかげで助かったよ」

ボールから出てきたコラッタはぐっと伸びをして草むらへと消えていった。

さやか「そういえば、まどかはどうなったのかな〜?」キョロキョロ

マミ「鹿目さんは……」

二人が近くを探してみると、そこには大量のボールに囲まれたまどかがいた。
おまけにマミに借りたボール全てにポケモンが入った状態である。

まどか「あ、マミさん、さやかちゃん。見て見て!こんなに捕まえたよー!」

さやか「……まどか、これ全部あんた一人で捕まえたの…?」

まどか「うん!マミさん、こんな感じで良かったんですかね?」

マミ「えっと……百点満点というか文句なしというか……」

その後ボールに入っていたポケモン達を逃がしてから再び出発し、三人がカザミノシティについたのは出発してから4時間ほど経過した頃だった。
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:24:52.66 ID:2ROu9/P+0
―カザミノシティ―

さやか「着ーいたー!カザミノシティだー!!」

まどか「ほぁぁやっと着いたんだね……綺麗な街だね」

マミ「お疲れ様二人とも、それからカメーレ達もよく頑張ったわね」シュパン

まどか「これからどうするんですか?」

マミ「街に着いたら、まずはポケモンセンターを目指すのが一番ね。道中の激しい戦いでみんな傷付いてしまっているから、ゆっくり休ませてあげること
   回復を待っている間にその日の泊まるところを決められると理想的ね。まあ、大抵はそのポケモンセンターに泊めてもらえるんだけどね」

さやか「よぅし、今度はポケモンセンターに向かって出発〜!」

まどか「さやかちゃん元気だねぇ…私もうへとへとだよ」

ポケモンセンターについたまどか達はポケモン達を預け、宿を取らせてもらうための手続きも済ませた。
しばらくして回復したポケモン達を受け取り、部屋に入ってようやく一息ついた。

この時、午後1時である。

マミ「私は少し用事があるから、二人はのんびり街の見学でもしてて。一時間後にまたここに集まりましょう」

そう言ってマミはマリーレを連れて一人街へと繰り出した。
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:25:51.22 ID:2ROu9/P+0
まどか「暇になっちゃったね……カザミノはあんまり来たことないんだけど、歩いてみる?」

さやか「ふっふっふ……何言ってんのまどか。あたし実は大事なことに気付いちゃったんだよね」

まどか「大事なこと?」

さやか「あたしらはまだ人とのポケモンバトルをしたことがないってことだよ!そこであたしらがまずやるべきことはこれだと思うのですよ」

まどか「もしかして……私とさやかちゃんで…?」

さやか「レッツバトル!」

まどか「えぇ!?だ、だって初めてだしこういうのはマミさんがいてくれた方が……」

さやか「いいじゃん、いつかはあたしら二人で旅することになるわけだしさ。それに、ジムを目指すんなら特訓あるのみだよ!」

まどか「そ、そう、だよね……」

結局まどかはさやかに押し切られバトルをすることになったのだった。

市街地を抜け戦える場所を探していると、二人は小さな公園の一角に設けられたバトルフィールドを見つけた。

―カザミノ公園―

さやか「おぉ、あんな小さな子供達までバトルやってるよ!あたしらも負けてらんないね!」

まどか「うん、やるからには正々堂々だよ!」ティヒヒ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:26:41.98 ID:2ROu9/P+0
幼馴染の さやかが 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=_LECpoKdXlA

さやか「リオすけゴー!」 リオル「リル!」

まどか「ピピっち頑張って!」 ピッピ「ピー!」

さやか「相性だとあたしの方が有利だね。リオすけ"はっけい"!」

まどか「"リフレクター"」

リオルの攻撃が届く寸前、見えない壁が現れてピッピは難を逃れる。

さやか「やるじゃん!でも残念、"かわらわり"だ!」

手刀一発、壁を破ってピッピに強烈な一撃が入り、ピッピはじたばたともがいている。

まどか「ピピっち頑張って!"コスモパワー"を使って!」

さやか「もう遅いよ!やれーリオすけ、止めの"スカイアッパー"!」

リオル「フニャ〜」ポワポワ

さやか「あ、あれ?どうしたの?早くしないとピピっちが凄い技使ってきちゃうから!」

まどか「さやかちゃん、リオすけをピピっちに触らせすぎだよ?ピピっち"アシストパワー"だよ!」

ふらふらと行動不能になってしまったリオルに、能力が上昇している程威力の増すアシストパワーが炸裂し、あえなくリオルはダウンしてしまった。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:28:36.37 ID:2ROu9/P+0
まどか「やったよピピっち!勝っちゃったよ!」

さやか「うーん、何やってたんだよリオすけ……って、この状態はメロメロ!?いつの間にか『メロメロボディ』が発動してたのかぁ」シュゥゥン

まどか「今のピピっちはとっても頑丈だよ。どうするのさやかちゃん?」

さやか「フフン、甘いねまどか。いくら頑丈になってても体力はもうほとんど残ってないんでしょ?」ボンッ ミジュマル「マルッ!」

さやか「"しおみず"!」

ミジュマル「ミジュー」バッシャァ ピッピ「ピヒー!?」ガクッ

まどか「あぁ!ピピっち大丈夫!?」

さやか「傷口に塩水を塗りこむ、ってね。回復されてたら危なかったけどなんとかなったみたいだね」

まどか「お疲れ様ピピっち…チャモっち!」ボンッ アチャモ「モチャッ!」

さやか「やっぱり相性だとあたしが有利だね。でも、今度はさっきみたいに油断しないよ…"きあいだめ"!」

まどか「こっちも"きあいだめ"だよ!」

さやか「やる気がビンビン伝わってくるよ……"シェルブレード"!」

まどか「"こうそくいどう"!」

猛スピードでアチャモが走りだし、ホタチの刃を回避する。
アチャモはさらにスピードを上げ、ミジュマルを翻弄していく。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:30:15.95 ID:2ROu9/P+0
さやか「落ち着いてミジュか!冷静なあんたならうまく見切って攻撃できるはずだよ!」

ミジュマルはじっと動かず機会を待つ。
その姿は、まさに決闘に臨む侍のようである。

ミジュマル「……!ミッ!!」ヒュンッ

ミジュマルがホタチを一閃!
それは見事アチャモの正面を捉えており、鋭い攻撃が決まったと誰もが思った。

さやか「なっ!?」 ミジュマル「!?」ググッ

まどか「チャモっち…!」 アチャモ「チャ〜……」ググッ

が、アチャモは攻撃をかいくぐり、ホタチに嘴をぶつけて攻撃を阻止していた。

さやか「凄い…まさかホタチの急所を突いて受け止めるなんて…!」

まどか「"ほのおのうず"!」

素早く態勢を立て直し炎の渦を決める。
ミジュマルは炎に閉じ込められたが、それも僅かな間だけ。
すぐさま大量の水が溢れだし鎮火させられてしまっただけでなく、近くにいたアチャモもダメージを受けた。

さやか「ナイス"みずのはどう"!」

まどか(凄いなぁさやかちゃん……野生のポケモン達とやるのと違って臨機応変に攻めてくる……楽しい、かも)

さやか(やるなぁまどか……野生のポケモンと違ってガンガン攻めてくる……楽しい、じゃん)
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:31:23.24 ID:2ROu9/P+0
さやか「楽しいね、まどか!」

まどか「楽しいよ、さやかちゃん!」

さやか「"シェルブレード"!」

再び一閃!
次は防がれることなく直撃し、アチャモはその身を吹き飛ばされてしまった。

さやか「今度こそ貰った!」

まどか「チャモっち!"きしかいせい"!!!」

さやか「いっ!?ミジュか"みき――」

さやかの指示が届く前に、高速移動で素早さを上げていたアチャモの起死回生の攻撃がミジュマルにクリティカルヒットし、ミジュマルはついにダウンしてしまった。

さやか「ミジュか!」タッタッタ

まどか「ハァ…ハァ……や、やった」ヘタッ

さやか「お疲れ様ミジュか、よく頑張ったね」シュゥゥン

まどか「チャモっち、頑張ったね」ナデナデ

さやか「やるじゃんまどか……負けちゃったよ」

まどか「さやかちゃんも強かったよ…最後はチャモっちが頑張ってくれたおかげだよ」シュパン

さやか「へへっ、結構自信あったんだけどな……まだまだってことだね」

まどか「もう一回一緒にポケモンセンターに行こっ!」

???「ねえねえお二人さん」

まどさや「へっ?」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:32:17.60 ID:2ROu9/P+0
まどか(この二人、私達が来る前に戦ってた子たちだ)

??1「おねーちゃんたちポケモントレーナーなの?」

さやか「まあね。といっても、なりたてのほやほやなんだけどさ」

??2「じゃあジムに挑戦したりするんだ?」

まどか「うーん、さやかちゃんはするみたいだけどあたしはどうしようか考え中で……」

さやか「あれ、まどか挑戦しないの?」

まどか「私なんかが勝てるかなって思うと自信なくって……」

さやか「何言ってんの!」バシッ

まどか「あうっ!?」

さやか「あたしに勝っといて自信がないなんて言わせないよ?二人で挑戦して、二人でバッジを勝ち取ろうじゃん!」

まどか「うん…な、なら、頑張ってみようかな!」

さやか「そうこなくちゃ!」

??2「えへへ、残念だけど初心者ならお姉ちゃん達は勝てないと思うなぁ」

さやか「な、何おう!?」

??2「この街のジムリーダーはとっても強いんだよ!」

??1「おとーさんはまけたりしないよ!」

まどさや「お、お父さん…?」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:37:48.31 ID:2ROu9/P+0
モモ「さくらモモ6さい!ジムリーダーのむすめです!」

さやか「おっ偉いねー、その年でもう自己紹介もできるんだー感心感心」ナデナデ

モモ「えへへ」テレテレ

まどか「じゃあ君はお姉ちゃんなの?」

ゆま「うぅん、わたしは千歳ゆま。モモちゃんよりはお姉さんだけど、わたしはジムリーダーの娘じゃなくってお弟子さんだよ!」

まどか「で、弟子…!?」

ゆま「そ!いつかジムリーダーになるために鍛えて貰ってるんだ!っていっても、キョーコにもまだ勝てないんだけど……」

さやか「キョーコ……って誰?」

モモ「モモのおねーちゃん!おとーさんとおんなじくらいつよいんだよ!カザミノで、えぇっと、なんだっけ、モップクラス?」

ゆま「トップクラス、ね」

モモ「そうそれ!」ビッ

さやか「ほほぅ、流石ジムリーダーの娘だけあって言うこともご立派だなぁ。そしてユーモアのセンスもあるね!」

まどか「流石にボケじゃないと思うよ……」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:38:46.71 ID:2ROu9/P+0
モモ「ゆまねーちゃん、おねーちゃんがゆってたよ?つぎのジムリーダーはあたしだー!って」

ゆま「いっつもそんなこと言ってるけど、わたしだっていつかはキョーコを見返してやるんだから!そのために二人で特訓してるんでしょ!」

???「誰が誰を見返すだって?」

ゆま「!」ギクッ

モモ「あ、おねーちゃん!」

物陰から一人の少女が現れた。
鮮やかな赤髪のポニーテールで、ちらりと見える八重歯が特徴的だ。

ゆま「きょ、キョーコいつからいたの!?」クルッ

杏子「よーしモモちゃん今日は技を出すタイミングの練習しよっか、ってところからかな」

ゆま「それ最初からじゃん!ズルイよキョーコ、いたんなら色々教えてくれればよかったのにぃ!」

杏子「いいだろ、その方が面白いと思ったからさ。それよりそっちのお二人さん、ほんとに初心者?それにしちゃまあまあやるじゃん」

さやか「いやぁお褒めに預かり光栄ですなあ」

杏子「さっき紹介があったと思うけど……」ゴソゴソ

杏子はポケットからチョコ菓子を取り出すとまずは一本自分で咥え、それから箱をまどかとさやかに向けた。

杏子「佐倉杏子、カザミノジムのジムリーダーの娘さ。これ、食うかい?」スッ

まどか「ありがとう、私鹿目まどか」

さやか「あたし美樹さやか!有難く頂くよー!」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:39:48.49 ID:2ROu9/P+0
モモ「おねーちゃん、モモも欲しい!」

ゆま「ゆまにも!ゆまにも!」

杏子「がっつくな!ほら、やるからちょっと大人しくしてろ」

モモゆま「わーい!」

まどか「佐倉さん、ってとってもモモちゃん達の世話が上手ですよね。私も歳の離れた弟がいるからよく分かりますよ!」

杏子「お互い子守は大変だな…それから杏子でいいよ、あと敬語も無しな。ところでさ、あんたらジムに挑戦するんだって?」

さやか「ありゃ、なんで分かったの?」

杏子「なんでもなにも、さっき最初っから見てたっつったろ……」

まどか「それじゃあジム見に行ってもいいかな?明日挑戦したいんだけど」

杏子「いいけど……今のままじゃあんたら勝てないと思うな」

さやか「なぬ!?そんなのやってみなきゃ分かんないじゃん!お父さんの方を持ちたいのは分かるけどさぁ」

杏子「いやいや、あたしはあんたらのこと気に入ったんだ。むしろ適切なアドバイスをしてやるつもりなんだけどなぁ、必要ないってんなら別にいいんだけどさあ」

まどか「さやかちゃん、ここは正直に教えて貰ったほうがいいんじゃないかな?」

さやか「むむ〜……じゃあ聞くけど、なんでそう思ったの?」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:40:47.15 ID:2ROu9/P+0
杏子「あんたらのポケモン飛べないだろ?」

まどさや「……え?」

杏子「だから、うちのジムは……なあ、その前にうちのジムの専門とするタイプって知ってるか?」

さやか「え、そんなのあるの?」

まどか「えぇっと、確かジムリーダーは各々の専門とするタイプのエキスパートなんだったよね?」

杏子「ま、そういうこった」

まどか「お昼にマミさんが話してたよ?さやかちゃん聞いてなかったんでしょ!」

さやか「いやはや、面目ない……」

杏子「ポケモントレーナーの常識だろ……ま、ようするにうちのジムの専門タイプは飛行タイプなんだよ」

まどか「飛行かぁ……とりポケモンがいっぱいいるのかな?」

さやか「鳥ならほら、まどかのチャモっちがいるじゃん」

杏子「だから飛べねえだろ……二人の戦いを見てたがどうも地上戦はなかなかのもんだが、上空からの攻撃にうまく対処できねえんじゃないかと思ってさ
   持ってるポケモンにも電気や氷をメインで使う奴はいないし、対策しとかないと負けるだろうね」

ゆま「キョーコ、そんなこと言って良いの?負けちゃうかもしれないよ?」

杏子「言ったろ、あたしはこいつらのこと気に入ったんだ。なんせ面白そうな後輩だもんな」

まどか「後輩?」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:42:37.03 ID:2ROu9/P+0
杏子「どれ、ジムだったな。案内してやるからついてきなよ」

さやか「さっすがジムリーダーの娘さん!話が分かる!」

杏子「……そいつはどうも」

モモ「ゆまねーちゃん、モモたちもかえる?」

杏子「お前らはもうちょっと特訓してろ」

モモゆま「えぇーなんでぇー!!」

杏子「全然なっちゃいないからだよ、もっとポケモンとの息を合わせろ。少しはマシになってから帰ってこいよな」

ゆま「分かった…モモちゃん、もうちょっとガンバろ?」

モモ「モモお腹空いた……」

杏子「さっき菓子やったろ…ゆま、モモのことよろしくな」

ゆま「任されたー!」

杏子「さ、行こうか」スタスタ

まどか「う、うん。いいのかな…?」

杏子「ゆまがいるなら大丈夫さ。なんだかんだやるときゃやる奴だからな」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:43:52.28 ID:2ROu9/P+0
さやか「ねえまどか、まだ時間大丈夫かな?」

まどか「うん……多分」

杏子「なんだ、なんか待ち合わせか?」

まどか「ちょっとポケモンセンターで先輩と…ジムに行くだけだから大丈夫だと思うよ」

杏子「そっか…んじゃ、少しでも急いだ方がいいな。ムク!」ボンッ ムクホーク「ピェー!」

まどか「わぁ大きいね!なんていうポケモンなんだろう?」

杏子「分かんねえなら図鑑で調べりゃいいじゃねえか」

さやか「あっ、そっかそっか!どれどれ……ムクホーク、もうきんポケモン。翼と脚の筋肉が強く小さなポケモンを掴んだまま楽々飛べるんだって」ピッ

まどか「ムクホークになると群れから離れて一匹で生きていく、かぁ」ピッ

杏子「こいつに乗ってけばすぐさ。ムク、三人くらいならいけるよな?」

ムクホーク「ムクォー!」

さやか「そいじゃ、ま、一つよろしくねムク君!」

まどか「お、重かったらごめんね…?」

杏子「よし、それじゃあカザミノジムまで頼むぞ!」

三人も乗せているが強靭な翼を持っているムクホークには造作もないことであり、勢い良く飛び立ちその場を後にした。

まどか(あれ?なんで私達が図鑑を持ってるって分かったんだろ……って、最初っから見てたんだっけ?
    でもどんな機械なのかは言ってないんだけど、図鑑ってもしかして有名なのかな…?)
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:45:25.79 ID:2ROu9/P+0
―カザミノ公園―

ゆま「ネコちゃん"おうふくビンタ"!」 エネコ「…ネー」ブンブン

モモ「チュンた"つばさでうつ"!」 スバメ「…スバ」ブンブン

モモ「どうだったかな?」

ゆま「うーん、さっきよりかはよくなったと思うんだけどね……やっぱりキョーコに教えて貰わないと分かんないね」

マミ「えぇっと、確かここに来てるって……あら、もしかしてゆまちゃんとモモちゃん?」

ゆま「あっ、マミおねえちゃんだ!」

モモ「ほんとだー!マミさーん!」タッタッタ

マミ「うふふ、元気にしてた?」ヨシヨシ

モモ「モモねモモね!ゆまねーちゃんととっくんしてたんだよ!がんばってるんだよ!」

マミ「そうなの?モモちゃんは偉いわね」ナデナデ

ゆま「マミおねえちゃんはなんか用事なの?」

マミ「ちょっと佐倉さん…杏子お姉さんを探してるのよ」

モモ「おねーちゃんならジムに帰っちゃったよ?

マミ「そんなぁ…ジムに寄ったらここだっていうから来たのに……入れ違いになっちゃったのかしら」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:47:27.77 ID:2ROu9/P+0
マミ「仕方ないわね、もう一回ジムの方に――」

モモ「マミさん!マミさんにおしえてほしーことがあるの!」

ゆま「キョーコに技を出すタイミングがズレるって言われたんだけど、ちゃんとできてるかゆま達だけじゃ分かんないの」

モモ「だからちょっとみてて!」

マミ「えっと……」タジッ

モモゆま「おねがいします!」

マミ「……分かったわ、少しコツを教えてあげるからしっかりやるのよ?」

モモゆま「やったー!」

ゆま「じゃあゆまからね!ネコちゃん"おうふくビンタ"!」 エネコ「…ネー」ブンブン

マミ「あらぁ……」

モモ「つぎモモね!チュンた"つばさでうつ"!」 スバメ「…メー」ブンブン

マミ「これは……」

モモゆま「どうだった!?」

マミ「……えぇっと、そうねぇ、なんて言えばいいのかしら……」

マミ(ちょっと待ち合わせの時間にも間に合いそうにないわね……後で電話で遅れるって伝えないと
   せっかく佐倉さんを鹿目さん達に会わせてあげようと思ったのに)
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:49:17.45 ID:2ROu9/P+0
一方その頃、まどか一行を乗せたムクホークはカザミノジムの前へと降り立った。

杏子「お疲れムク」シュパン

まどか「ありがとう杏子ちゃん」

さやか「サンキュー!ほほぅ、ここがジムなのかー……なんていうか、えぇっと……あれだね、あれ」

カザミノジムは、外観から廃れ具合が分かるほどに老朽化していた。
鉄材は錆び、ペンキは剥げ、ところどころ木材で修復しているような箇所もある。

二人は想像とのギャップにどう言えばいいのか分からず、まごまごしていた。

杏子「ま、見ての通りのオンボロジムだ」

まどか「そそ、そんなことないと思うなぁ…ぎゃ、逆に味わい深いっていうか……」

さやか「そうそう!敢えて言うならヒンバスみたいな……」

まどか「さやかちゃんそれフォローになってないんじゃ……」

杏子「ははっ、いいんだいいんだボロっちいのは分かってるからさ」

さやか「ジムリーダーって公務員みたいなものだって聞いたことあるんだけど、ひょっとして儲からないの…?」

杏子「違う違う、ちゃんと給料は人並みかそれ以上に貰ってるらしいけど、親父がジムの修復に金を使わないだけなんだ…ちょっとついて来てくれるか?」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:50:41.72 ID:2ROu9/P+0
杏子に連れられたままジムの裏手に回ると、そこには先程と打って変って綺麗な装いの教会が建っていた。

杏子「うちの教会だ。親父は元々牧師なんだよ」

まどか「綺麗……」

杏子「あたしらの家はさっき見えたかも知んねーけど、ジムと教会の間に会ったやつな。とりあえず入ってくれ、今日の集会はもう終わってるからさ」

言われるがまま教会の中へと入ってすぐ目に入ったのは、教壇奥の壁にある巨大なステンドグラスだった。
こちらも外と同じく丁寧な装飾が施されている。

さやか「なるほど、こっちに全部つぎ込んだわけか」

杏子「それも違う、こっちは元々だよ……まあ、ちょいと聞いてくれよ。約束の時間には間に合わせるからさ。ついでに……」ゴソゴソ

教壇の影で杏子が何かを探している間に、二人も一番前の席に座る。

杏子「あった。ほらよ」ポイッ

まどか「わっとっと…これって?」

杏子「ただのリンゴ。こっちはフィラ・ウイ・マゴ・バンジ・イアの木の実セットだ、自分のポケモンが苦手な味くらいわかってるよな?
   こいつを食べさして少し気を紛らわせてもらいな」ポイッ

さやか「ありがとう、何から何まで悪いね」パシッ

杏子「そりゃあ、後輩の面倒をみるのが先輩ってもんだからな」ニカッ
126 :ごめん少し訂正 [sage]:2012/03/18(日) 13:52:29.43 ID:2ROu9/P+0
杏子に連れられたままジムの裏手に回ると、そこには先程と打って変って綺麗な装いの教会が建っていた。

杏子「うちの教会だ。親父は元々聖職者なんだよ」

まどか「綺麗……」

杏子「あたしらの家はさっき見えたかも知んねーけど、ジムと教会の間に会ったやつな。とりあえず入ってくれ、今日の集会はもう終わってるからさ」

言われるがまま教会の中へと入ってすぐ目に入ったのは、教壇奥の壁にある巨大なステンドグラスだった。
こちらも外と同じく丁寧な装飾が施されている。

さやか「なるほど、こっちに全部つぎ込んだわけか」

杏子「それも違う、こっちは元々だよ……まあ、ちょいと聞いてくれよ。約束の時間には間に合わせるからさ。ついでに……」ゴソゴソ

教壇の影で杏子が何かを探している間に、二人も一番前の席に座る。

杏子「あった。ほらよ」ポイッ

まどか「わっとっと…これって?」

杏子「ただのリンゴ。こっちはフィラ・ウイ・マゴ・バンジ・イアの木の実セットだ、自分のポケモンが苦手な味くらいわかってるよな?
   こいつを食べさして少し気を紛らわせてもらいな」ポイッ

さやか「ありがとう、何から何まで悪いね」パシッ

杏子「そりゃあ、後輩の面倒をみるのが先輩ってもんだからな」ニカッ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:54:40.06 ID:2ROu9/P+0
さやか「リオすけは苦いの苦手だからそうだなぁ、マゴをあげるよ。ミジュかはえぇっと、甘いのよりは渋いのとかがいいんだっけ?
    それじゃあ、はい、バンジをあげるね」

まどか「チャモっちにはフィラの実あげるね。ピピっちは好き嫌いなく何でも食べれるように頑張ったもんねー、はい、ウイの実」

さやか「そんなとこまで頑張り屋だったんかい……」

杏子「さてと、じゃあうちのジムの紹介でもさせて貰いますかねっと」

杏子「つっても、別に大した話じゃないんだ。さっきも言った通りうちの親父は元々聖職者でさ、平和第一って人だった
   どうして世界から悪の存在がいなくならないのか真剣に悩むこともしょっちゅうだったよ…他の地方で色々と酷い事件がある度に嘆いてたさ」

まどか「優しい人、なんだね」

杏子「で、ある日突然ジムリーダーに立候補したんだ。あたしら家族みんなびっくりしてさ、なんでなのか皆で問いただしたらこう言うんだ

『まずはこの街から平和にしていきたいと思うんだよ。そのためにはジムリーダーになるのが一番の近道なんだ』

   ってさ。それから努力してようやくジムリーダーになったんだ
   で、結局稼いだ金は全部この街の為に使ってる。偉い人らと協力して道路や公園の整備、公共施設の建設、その他諸々……
   ジムなんかほったらかしてそっちばっかりやってるよ。それから教会で平和な世界を目指すための説教とかもね…忙しい人だよ、ほんと」

さやか「カッコいいじゃん、杏子のお父さん」

まどか「うん、カザミノに着いたとき綺麗だなって思ったのは杏子ちゃんのお父さんのおかげなんだね」

杏子「そう言って貰えると親父も報われるってもんさ」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:56:29.99 ID:2ROu9/P+0
さやか「それにしても、あんたよっぽどお父さんのこと好きなんだねぇ」

杏子「は、ハァ!?何言ってんだよ、別にこんくらい普通だろ普通!!」///

さやか(照れてますなぁ)ニヒヒ

まどか(話してる間ずっと幸せそうな顔してたのにね)ティヒヒ

杏子「とにかく!ジムに挑戦するってんなら親父に言っといてやっから明日十時、ジムに来いよな!
   それまでに空飛ぶ相手への対策を考えとくんだな」

さやか「え、杏子が教えてくれるんじゃないの!?」

杏子「そんなこと一言も言ってねーよ。気に入ったからアドバイスはしてやるとは言ったけどな」

さやか「ぐぬぬ……確かにアドバイスくれるとしか言われてない……」

まどか「うーん、どうすればいいかなぁ」

pipipipi pipipipi

さやか「おや、ポケ―タイが鳴ってる?はいはーい……あ、マミさん?やばっ、もう待ち合わせの時間ですかね!?
    ……え、そうなんですか?いやぁ、こっちもちょっと遅れるかもしれないんで……はい、はいはい……あぁ、またかぁ……はい、了解しましたー!」ピッ
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:58:11.95 ID:2ROu9/P+0
まどか「マミさんなんて?」

さやか「ちょっと待ち合わせに遅れるかもしれないから少し待っててくれってさ。それとまどか、あんたポケ―タイなんでマナーモードにしてんの?」

まどか「うぇ!?あっ、ほんとだ!何かいつもの癖でつい……」

さやか「先にまどかの方に連絡したのに音沙汰ないからこっちに来たって……それで、対策どうしようって話だっけ?」

杏子「それなんだけどさ、とりあえずポケモンセンターに帰ってから考えたらどうだ?木の実だけじゃ回復しきれないだろうしさ」

まどか「そうだね、練習するんなら先に休ませないと駄目だし……そういえばまだマミさんに捕獲のことも教えて貰ってないのになぁ」

さやか「そっか、この辺で飛行タイプに有利なタイプのポケモン捕まえるってのも手だよね……でも、捕まえてすぐのポケモンと一緒に戦うなんて無理だろうしなあ」

杏子「ほら、さっさと行こうぜ」

まどか「あ、杏子ちゃんもついてきてくれるの?」

杏子「だってこっからポケモンセンターへの道分かんないだろ?」

さやか「そうかそうか…ならば案内は任せたよ杏子クン」

まど杏「偉そうにしすぎ(すんな)」ビシッ

杏子「ま、それに一緒にいた方が面白そうだからな……」ニヤッ

まどか「…?」

杏子「ムク!また頼むぞ!」ボンッ ムクホーク「ケーン!」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 13:59:36.23 ID:2ROu9/P+0
三人はポケモンセンターに着くとポケモンを預け、のんびりと会話をしながらマミを待っていた。

まどか「じゃあ、ムクとはずっと一緒だったんだね」

杏子「あぁ、親父に卵の頃から譲って貰ったんだ。今はとりあえず好きなポケモン育ててるけど、ジムリーダーになったら飛行ポケモンのエキスパートを目指すつもりさ」

さやか「それ順番逆でしょ……他にはどんなポケモン持ってるの?」

杏子「んー……もう少ししたら教えてやるよ」

さやか「はぁ、なにそ――」

ピッ ピッ

さやか「…?何の音?」ピッピッ

杏子「へぇー、これが三つの図鑑所有者が近づいた時に鳴る共鳴音、ってやつか。当然っちゃ当然だけど初めて聞いたな」ピピッピピッ

まどか「あれ、なんで杏子ちゃんが図鑑のことを?」

杏子「さーて、なんでだろうね?」ピピッピピッ

まどか「あ!もしかして杏子ちゃんが…?」

さやか「何?何なの!?あ、あれってマミさんじゃない?」ピピピッピピピッ

まどか「マミさーん!」フリフリ

杏子「おいおい、なんでゆまとモモが一緒にいるんだよ」ピピピッピピピピッ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:01:14.99 ID:2ROu9/P+0
マミ「あら、佐倉さんこんなところにいたのね?」ピピピピッピピピピッ

さやか「マミさん!さっきから共鳴音が鳴ってるんですけど、これってあと一人が近くにいるってことですよね!?」ピピピピピピピ

マミ「え?あと一人って…佐倉さんから何も聞いてないの?」ピピピピピピピ

さやか「……あ!まさか!?」ピピピピピピピ

杏子「遅えよ」ピピピピピピピ

杏子はチョコ菓子を取り出した方と反対のポケットから赤い手帳のような機械、ポケモン図鑑を取り出した。

杏子「あたしもポケモン図鑑所有者さ」ピッ

ボタンを押して共鳴音が鳴り止んだ。
さやかとマミも杏子に倣って音を止める。

マミ「佐倉さん、ずっと探してたのよ!ジムに行ったら公園だっていうから行ったらゆまちゃんとモモちゃんしかいないし、またジムに帰ったっていうし……
   こんなところで会えるなんて思わなかったからびっくりしたわ。もう鹿目さんと美樹さんとも仲良くなったのね?」

さやか「まあ色々ありまして……杏子も早く言ってくれればいいじゃん!人が悪いなあ全く!」

杏子「ははっ、悪い悪いついからかいたくなってさ」

まどか「だから私達のこと後輩だなんて言ってたんだね」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:03:13.03 ID:2ROu9/P+0
マミ「公園に行ったら二人に技を出すタイミングの指導を頼まれちゃってね…少し遅くなっちゃったわ」

ゆま「マミおねーちゃんのおかげでバッチリだよ!」

モモ「モモとチュンたのね!こ…こんぶねーしょんはかんぺきだよ!」

杏子「コンビネーションな。悪いなマミ、世話かけちまって」

マミ「いいのよ別に……フフッ」

杏子「…?まあ、見ての通りあたしとマミは知り合いなんだ。マミが図鑑所有者になって二カ月後くらいにあたしも図鑑所有者になってさ
   ジムに挑戦しに来たマミと知り合って互いに図鑑所有者だって知って…所謂先輩後輩の関係だったんだよ」

まどか「だった…?」

マミ「今は先輩後輩関係なくお互いを高め合うことのできるライバル、と言ったところかしらね」クスッ

杏子「そういうことさ。今のあんたらみたいな関係さ……ま、流石にあたしらとは先輩後輩以上にはなれないだろうけどな」ニッ

まどか「えへへ、流石にそこまでにはなれないですよ…杏子先輩!」ティヒヒ

杏子「せ、先輩…!?な、なんか改めて言われると恥ずかしいな……やっぱ普通に杏子でいいからな?」

さやか「分かりました先輩!」

杏子「わざとだろ!!」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:05:09.26 ID:2ROu9/P+0
杏子「っていうか、マミだって先輩なんだからマミ先輩って呼べよ!」

マミ「私は別にどっちでもいいというか……」

さやか「マミさんはマミさんって感じだよねぇ」

まどか「あ、ちょっと分かるかも」

杏子「チチィ……とにかく、ポケモンも回復したことだしさっさと対策でも練ってろよ」

まどか「そういえばどうしようかな……」

さやか「そうだ!マミさんはカザミノジムのバッジ持ってるんですよね!?戦い方とか教えてくれませんか!?」

マミ「それは駄目よ」

さやか「なっ、なんでですか!意地悪しないで教えて下さいよぉ!」

マミ「確かにヒントをあげるのは簡単よ?何ならどういうポケモンや技を使ってきたとか教えることもできるわ
   でもね、それだとあなた達のためにならないでしょう?自分たちで考えて戦ってこそジムに挑戦する価値があると思うの」

さやか「うっ……仰る通りにございます……」

マミ「その代わり、他に何か頼りたいことがあったら遠慮なく言ってね」

まどか「ありがとうございます、マミさん」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:08:43.43 ID:2ROu9/P+0
マミ「鹿目さん美樹さん、ごめんなさいね。ちょっと長引くかもしれないけれど、待っててくれる?」

さやか「勿論っすよ!それよりあたしらも試合見せて貰って良いですか?」

マミ「えぇ、しっかり見ててね」

まどか「杏子ちゃんが使うポケモンも気になるもんね」

まどか(それに二人の試合見てたら何かヒントが見つかるかもしれないし……)

―カザミノ公園―

杏子「バッジ七つ目ってことは使用ポケモンは五体ってとこか…それでいいな?」

マミ「それでお願いするわ。さあ、行くわよ!」

ライバルの 杏子が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=0dvjo07A91I&feature=related

マミ「マリーレ!」ボンッ マリルリ「リルッ!」

杏子「ムク!」ボンッ ムクホーク「ピェーー!」バサァ

まどか「マミさんはマリーレ、杏子ちゃんはムクだね」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:10:23.89 ID:2ROu9/P+0
ムクホーク「ムッ!」カッ マリルリ「リリィ……」ビクッ

さやか「おぉ、あれが特性の『いかく』なのか…確かにありゃ怖いわ」

マミ「ふふっ、ムクちゃんも久しぶりね。相変わらず元気一杯みたいで安心したわ」

杏子「のんびりしてていいのかよ?攻撃翌力下がったんだから得意の物理技の威力も下がるんだぞ」

マミ「戦い方は色々あるもの、物理一本だけがマリーレの攻め方じゃないわよ」

杏子「あぁ…知ってるさ!"かげぶんしん"!!」

マミ「よく狙って!"バブルこうせん"!」

杏子「"ブレイブバード"だ!」

マリルリの攻撃を全てかわし、渾身のブレイブバードが撃ち込まれる。
吹き飛ばされたマリルリはぐったりしていたが、すぐさま態勢を立て直した。

マミ「驚いたわ、いつの間にそんなに強くなっていたのかしら……でも、先輩に向かって正攻法が通じると思っているの?
   あなたのポケモンも戦い方も、知り尽くしているのよ」

杏子「こっちも知ってるんだよ。それに、ジムリーダー試験に向けてずっと特訓してたからな……いつまでも昔のあたしだと思うなよ!」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:11:55.33 ID:2ROu9/P+0
二匹の攻防はしばらく続いた。
トレーナーもポケモンも互いに技も戦い方も知り尽くしているからこそ、一進一退の全力の戦闘が繰り広げられた。

そして勝負を制したのは――

杏子「"でんこうせっか"!」 マミ「"アクアジェット"!」

ムクホーク「キィー…!!」シュバッ マリルリ「マリィ…!!」バシュッ

杏子「……」

マミ「……やるわね」

マリルリ「ルリィ〜」バタン

杏子のムクホークであった。

杏子「最後は力でこっちの勝ちだったな。だから『いかく』を受けた時点で戻しときゃよかったのにさ……本番でごり押ししようなんて考えるなよな」

マミ「そうね……でも、この勝負は…あなたとムクホークのコンビには、是が非でも勝ちたいと思ったから」シュゥゥン

杏子「……そういう感情を優先してるといつか後悔するかもよ」

マミ「なら、この子はどう!ミルーレ!」ボンッ ミルタンク「ミルミルー」

杏子「ミルタンク……何かと思えば、マミのミルーレなら知ってるっての!"ブレイブバード"だ!」

マミ「"でんじは"をかけて受け止めて!」

正面から突っ込んできたムクホークに電磁波が命中し、少し動きの鈍ったところをがっしりとミルタンクに掴まれてしまう。
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:13:41.78 ID:2ROu9/P+0
マミ「"ちきゅうなげ"よ」

弧を描く豪快な投げで吹き飛ばされ、ムクホークはそこでダウンした。

杏子「へぇー、ミルーレは今までどっちかというとパワーだけで押す方だったと思ってたけど……なるほどね、マミもばっちり修業はしてたわけだな」シュパン

マミ「勿論よ。ミルーレの器用さを活かせる戦い方を考えてみたの」

杏子「だが、器用さなら負けねえぞ!ザル!」ボンッ ゴウカザル「グァキー!」

まどか「ゴウカザルだって…あれって確か、QBが言ってた『御三家』ってポケモンだよね?」

さやか「うん、マミさんのカメーレでさえまだ最終進化はしてなかったのに、杏子の奴もうゴウカザルにまで育ててるんだ」

杏子「苦手な格闘タイプだぞ、今度こそ交代しなくていいのか?」

マミ「ご忠告ありがとう。遠慮なくそうさせて貰うわ」シュパン

マミ「カメーレ!」ボンッ カメール「ギャメッ」

さやか「御三家対決だ…!」

杏子「なんだ、もうとっくにカメックスに進化してるのかと思ってたのにまだカメールなのか」

マミ「あなたの育成が早すぎるのよ……さあ、まだまだこれからよ!」

杏子「かかってきな!」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:15:31.15 ID:2ROu9/P+0
マミと杏子の激しいバトルが行われている中、まどかは少し考え事をしていた。

さやか「あのゴウカザルあんな速くてトリッキーな動きができるんだ…これが図鑑にある両手両足を使った独特の戦い方ってやつかぁ」

まどか「……ねえさやかちゃん、私達も特訓しない…?」

さやか「え?なんで?もうちょい二人の戦い見てようよ」

まどか「そうなんだけど、私ちょっとだけ飛行ポケモンとのバトルの対策思いついたんだ」

さやか「マジ!?どんなのどんなの!?」

まどか「えっと……」ヒソヒソ

さやか「ふんふん……なるほど、確かにいけなくはないけど……その特訓あたしら二人でできるかな?」

まどか「なんとかなると思うけど……」

さやか「よし分かった、なんとか考えよう!とりあえず、コソコソっと場所変えますか」

まどか達は声をかけず、二人の邪魔にならないように静かに移動することにした。

マミ「"ミラーコート"!」 カメール「カッ!」キラン

杏子「しまった!ザル!」 ゴウカザル「ルキィ〜……」ガクッ

杏子「くそっ、うまいこと反射されちまったな」シュゥゥン

マミ「ふぅ……あら、鹿目さん達がいないわね?もう私達の戦いからヒントを見つけたのかしら?」

杏子「ムクとの戦いを見ただけじゃ不完全な気もするけど…ま、せっかくやる気になってんだから放っとけばいいさ
   今はこの戦いに集中させて貰うよ!」

マミ「こっちこそ、負けるもんですか!」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 14:19:02.02 ID:2ROu9/P+0
とりあえずここまで、ちょっと長くなりそうだから分割して次にジム戦とかを
多分マミと杏子のバトルは割愛すると思う
それにしても佐倉父…このまま名無しで登場もあるでこりゃ

関係ないけど久々のエメラルドでミクリさん倒してきました
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/18(日) 14:35:38.92 ID:1aGEL3GX0
乙 ゆまと佐倉一家が一緒に居るSSとか珍しいってレベルじゃねーぞ!色違いポケモンより貴重だよ!

杏子パパは「佐倉神父」でいいと思うよ。まどポにも名前出てないみたいだし勝手に名前付けてもいいけど
佐倉一家の名前はみんなバラ科の植物の名前から来てるんだよね、杏とか桃とか。だから候補としては梅とかを名前に使うのが妥当かな

マミさん、ほむらにも負けてるのに杏子にまでやられたら先輩としての尊厳が…
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/18(日) 15:21:56.69 ID:2ROu9/P+0
やべえ>>129ちょい訂正
>まどか「そうだね、練習するんなら先に休ませないと駄目だし……そういえばまだマミさんに捕獲のことも教えて貰ってないのになぁ」

>さやか「そっか、この辺で飛行タイプに有利なタイプのポケモン捕まえるってのも手だよね……でも、捕まえてすぐのポケモンと一緒に戦うなんて無理だろうしなあ」

まどか「そうだね、練習するんなら先に休ませないと駄目だし……」

さやか「この辺で飛行タイプに有利なタイプのポケモン捕まえるってのも手だよね……でも、捕まえてすぐのポケモンと一緒に戦うなんて無理だろうしなあ」

改編したの忘れてた
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/18(日) 22:46:28.43 ID:as4OMVvH0
乙でした
グレてない杏子はいい子だったんですね!
つかむしろいい子過ぎて「誰だこいつ」って思っちゃった俺を誰か殴ってやって下さい

今回ので判明したのを追加したよ!↓
まどか
・ピピっち(ピッピ) がんばりや はたく おうふくビンタ なきごえ リフレクター コスモパワー アシストパワー
・チャモっち(アチャモ) ひのこ きあいだめ こうそくいどう ほのおのうず きしかいせ

さやか
・リオすけ(リオル) やんちゃ はっけい いやなおと バレットパンチ スカイアッパー
・ミジュか(ミジュマル) れいせい たいあたり みずでっぽう きあいだめ シェルブレード しおみず みずのはどう みきり

マミ
・マリーレ(マリルリ★) おっとり バブルこうせん ばかぢから ハイドロポンプ アクアジェット アクアテール
・カメーレ(カメール) かいりき ハイドロポンプ まもる れいとうビーム ロケットずつき こうそくスピン みずでっぽう ミラーコート
・ミルーレ(ミルタンク) ミルクのみ でんじは ちきゅうなげ
・フワーレ(フワライド) そらをとぶ
・ツボーレ(マダツボミ)@カゴ くさむすび つるのむち たたきつける マジカルリーフ
・メリーレ(モココ) ほうでん パワージェム

ほむら
・そるそる(アブソル) さみしがり サイコカッター おにび でんじは かえんほうしゃ どろぼう
・めがめが(チコリータ)
・ギギアル@おうじゃのしるし ギアソーサー じゅうでん でんげきは
・ウォーグル つばさでうつ ゴッドバード フリーフォール
・ランプラー かげぶんしん はじけるほのお いたみわけ たたりめ

仁美
・レイド(エルレイド) まじめ つじぎり テレポート
・フィア(リーフィア) はっぱカッター かげぶんしん リーフブレード にほんばれ
・ドシシ(オドシシ) 特性おみとおし すなかけ さいみんじゅつ とっしん かなしばり
・ネオラント ねっとう

杏子
・ムク(ムクホーク) 特性いかく そらをとぶ かげぶんしん ブレイブバード でんこうせっか
・ザル(ゴウカザル) 

ゆま
・ネコちゃん(エネコ) おうふくビンタ

モモ
・チュンた(スバメ) つばさでうつ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/03/18(日) 23:00:01.61 ID:4zPathDAO
乙。
まどマギ×ポケのSS見るのは二回目だな。
前に見たやつは面白かったのに作者が蒸発して尻切れトンボだったから、>>1には期待してるぜ!
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/03/19(月) 00:37:29.03 ID:eYsGIknZ0
ほむら「モンスターボール!?」だな。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/19(月) 01:23:57.29 ID:vcMvO3Bbo
あれは面白かったのに消えちゃったからなー
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/03/20(火) 08:47:42.75 ID:egq6rD+AO
>>144

これ面白かったのにな〜。ライモンあたりで打ち切りになっちゃったんだよね。
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/21(水) 18:53:02.94 ID:wXgPU4VYo
面白い
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/03/22(木) 02:02:17.80 ID:xjJxIcCi0
い……イーブイ
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/03/22(木) 18:32:30.23 ID:9ASWdaZAO
このほむほむは時を越えたのかどうかが問題だ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 19:07:26.71 ID:xjJxIcCi0
展開予想はほどほどに
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/03/22(木) 23:17:56.04 ID:c6psPFSAO
>>150
お前のIDなんか規則正しいな
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/03/22(木) 23:55:38.50 ID:po5dbZbS0
>>144
俺も楽しみにしてたのになあ、続き読みたかった
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/22(木) 23:56:45.56 ID:po5dbZbS0
まどか達は公園を抜け出した後、街を出て近くの森の入口まで来ていた。

まどかがこの場所を選んだのは、景色の開けた草原に手ごろな高さの木が数本立っていたからだ。

―カザミの森入口―

さやか「へぇー、この森を抜けたらアスナロシティなんだって」

まどか「ふぅ、この辺なら大丈夫かな?傷薬も一杯買ってきたもんね」

さやか「それにしてもよく思いついたね、『鳥ポケモンが攻撃してくるときは必ず接近してくるからその時に攻撃する』なんてさ」

まどか「えへへ…マミさんとほむらちゃんのバトルでも、ウォーグルが突っ込んできたときに引きつけてから"れいとうビーム"してたの思い出したの
    さっきの二人の時も突っ込んできたムクにミルーレが反撃してたし」

さやか「そこに気付くとは……やはり天才かぁ?天才なのかぁ!?」

まどか「でね、来るまでに練習の仕方も考えたんだけど……」

まどかの指示により、ミジュマルが木に登りリオルがその下で構え、アチャモが少し離れた場所で臨戦態勢を整え、ピッピはまどかの足元で技の準備をしている。

まどかの特訓方法はいたってシンプルだ。

下に飛び降りたミジュマルをリオルがドッジやハンドボールの如く掴み、アチャモに向かって思い切り投げる。
アチャモはそれに合わせて反撃をするというものである。
ピッピには、ミジュマルが地面に激突しないようにテレキネシスで直前で浮かせるという役割がある。
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/22(木) 23:57:29.74 ID:po5dbZbS0
まどか「リオすけは好きな場所でミジュかを投げていいからね?しばらくしたらチャモっちとミジュかが交代しよっか」

さやか「別にミジュかがそのままチャモっちに突撃すればいいんじゃないの?」

まどか「それだとゆっくりになっちゃうし、来る場所が限られちゃうでしょ?リオすけに投げて貰えばタイミングとか速さとかも調整できるかなと思って」

さやか「なるほどね〜…まあなんにしても、まずはやってみよっか!ミジュかー、好きなように降りていいからねー!リオすけが受け止めてくれるから!」

まどか「ピピっちちょっと難しいかもしれないけど頑張ってね」

早速練習を開始する。

実際にやってみると初めはなかなかうまくいかなかったものの、リオルが慣れてくるとミジュマルが突っ込んでくる角度・速度・タイミングを調整できるようになってきた。
当初は戸惑っていたアチャモもうまく反撃できるようになってきた。

そして二匹の回復を行うと次は攻守交代で練習を再開する。

これを繰り返していく。

さやか「そろそろかなー。次は交代してミジュかが反撃側だね」

まどか「はい、傷薬だよ」シュッシュッ

さやか「なかなかいい感じになってきたね」

まどか「うん、この調子なら本当に私達勝てちゃうかもね」ティヒヒ

さやか「そういえばさ、これってミジュかとチャモっちの特訓にしかならないよね?リオすけとピピっちはどんな特訓するの?」

まどか「えっ」

さやか「えっ」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/22(木) 23:59:10.15 ID:po5dbZbS0
まどか「……」

さやか「……」

まどか「……さ」

さやか「さ?」

まどか「さやかちゃんが考えてよ……」フイッ

さやか「えぇ!?な、なんで!?」

まどか「だってこの方法は私が考えたんだもん…次はさやかちゃんが考えてくれてもいいでしょ」

さやか「そんなこと言われてもいきなりは……」

まどか「だって……」

さやか「考えてなかったんだ?」

まどか「……」コクリ

さやか「……ま、こういうの思いつくだけまどかは偉いよ」ナデナデ

まどか「ど、どうしようさやかちゃん、チャモっちとミジュかだけじゃやっぱり勝てないかな?」アセアセ

さやか「……いやいや、意外となんとかなるんじゃないかな!リオすけも見ててなんとなく要領は分かってるだろうし、ピピっちもどう?」

ピッピ「ピピッ!」

ガッツポーズをしてやる気をアピールしている。
勝つ気満々のようだ。

さやか「ほら、なんとかなるって!早く続きやろ!」

まどか「……うん、ありがとうさやかちゃん」
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/22(木) 23:59:33.38 ID:po5dbZbS0
傷薬が無くなり二人と四匹がポケモンセンターに戻ってきたのは、日が沈む少し前になってからだった。

自動ドアを潜ると、ベンチで話し込んでいるマミと杏子の姿が見えた。

マミ「あら、おかえりなさい二人とも。随分泥だらけだけど、特訓は成功したのかしら?」

さやか「へへへ、バッチリっすよ」ビッ

まどか「杏子ちゃん、明日はお父さんによろしくね」

杏子「ん、任せとけ」ムスッ

さやか「あれ、なんか昼間と違ってテンション違くない?」

杏子「別に」ムスット

まどか「……じゃ、じゃあ私達ポケモン預けてきますね」グイグイ

さやか「え、ちょっ……」ズルズル

まどか「多分マミさんの勝ちだったんだと思うよ」ヒソヒソ

さやか「なーるなる」ヒソヒソ

杏子「聞こえてんぞ」

まどさやか「ひっ!?」ダッ

杏子「ったく……これで67勝69敗か、くそっ、今日は勝てると思ったのによ…コンの"あやしいひかり"を喰らったふりするとはしてやられたよ」

マミ「残念だったわね。明日ジムに挑戦するのにこんなところで負けてはいられないのよ」

杏子「けっ、こんなところで悪かったな」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:00:04.00 ID:GwjgNUwn0
二人のポケモンが回復が終わったところで杏子は家へと帰っていった。

杏子は家で夕食をどうかと誘ったのだが、マミが

マミ「ほら、明日のお楽しみに取っておきましょう」

と言うと、

杏子「それもそうか……ま、こいつらがどこまで健闘するか次第だな」

と返され、まどか達は困惑したままその日は近くのレストランで食事をとったのだった。

その後まどかとさやかは外で特訓の最終確認をし、マミと一緒に部屋で明日のジム戦に備えてポケモン達と作戦の確認などをしていた。

まどか達の旅の一日目が終わった――

〜二日目〜

マミ「さ、今日は初めてのジム戦ね。トレーナーになって二日目でジム戦はちょっと不安なんだけど、あなたたちなら大丈夫だと思うわ」

さやか「あいあい!マミさんにキラッキラのジムバッジ見せつけてあげちゃいますか……ふぁ……ふぁくしゅっ!!!」

まどか「さ、さやかちゃん大丈夫?昨日遅くまでやってたから風邪引いちゃったのかな?」

さやか「いやぁ面目ない……と、とにかく頑張ってくださいね」ズズッ

マミ「えぇ、あなた達とバッジの見せ合いっ子ができるのを楽しみにしてるわね」

さやか「マミさんは、今日はどこまで行くんでしたっけ?」

マミ「私はここから北にあるアスナロシティを目指すわ。流石に森を抜けていくのは時間がかかるから電車で行くけれどね」

まどか「応援してますね」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:01:59.04 ID:GwjgNUwn0
マミと別れ、まどか達はカザミノジムに向かった。

マミからのアドバイスによると、ジム戦では途中ジムトレーナーが待ち構えており、簡単にジムリーダーと戦えるわけではないということ。

ジムローダーとのバトルは基本的にはジムリーダーが好きに決められるが、大抵の場合においてジムバッジの数に合わせて考えられること。

バトルの形式はジムによって様々であること。

大きなルールは公式リーグのものと同じで、道具の使用の禁止(持ち物はあり)、事前に申請した四つの技しか使えないということ。

特に重要だと語っていたのが、事前に申請した四つの技しか使えないということ。
お互いにどの技が使ってくるかは分からないが、どんな状況にも対応できるような構成にしておくべきであること。

道中何度も確認しながら、逸る気持ちを抑えつつ二人は遂にジムの扉を開いた。

―カザミノジム―

案内人「元気かい?未来のチャンピオン!ここはカザミノジムだぁ!ここのジムリーダーは通称『ウィンドマスター神父』!
    その「へぶしゅっ!!」さんは飛行タイプの使い手で…って、おめーさん世話ねぇかい?」

さやか「す、スイマセン……さ、行くよまどか!」

案内人「っとその前に!おめーさんらいくつジムバッジもっとん?」

まどか「まだ一つも持ってないんです。私達ジム戦初めてで」

案内人「それはなからすげぇ!!たんとジムのことを説明――」

さやか「いや、もう聞いてあるんで大丈夫です……それよりさっそくやりましょう」

杏子「よっす!ちゃんと来たようだな」

まどか「杏子ちゃん!ゆまちゃんにモモちゃんも、おはよう」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:02:36.83 ID:GwjgNUwn0
杏子「今日はどっちが挑戦するんだ?」

さやか「どっちって、あたしら二人だけど?」

杏子「まとめてかよ!?まあ、できなくはないだろうけど……ちゃんと作戦は考えてきてるんだろうな?」

まどか「ティヒ、勿論だよ!」

杏子「バトルの形式は?うちは入れ替え戦、勝ち抜き戦、ダブルバトル、トリプルバトルの四つから選んで貰うんだが」

さやか「へぇー、そんなにあるんだ……じゃあ初心者だし、入れ替え戦で!」

杏子「よし…こっちだ、ついてきな。ただし、ジムトレーナーとは戦って貰うがな」

さやか「上等だー!かかって来い!!」

モモ「おとーさんたちはまけないんだからね!」

スタスタ ワイワイ

案内人「……俺の出番……」

まどか達は交代でジムトレーナー達と戦っていった。

鳥使い「オニスズメ"つつく"!」

まどか「チャモっち、よく引きつけて…"ほのおのうず"!」

特訓の成果もあってか、特に苦戦することもなく順調に勝ち進み、

鳥使い「ホーホー"たいあたり"!」

さやか「ミジュか"みずのはどう"!…きゅしゅん!」

遂にジムリーダーまで辿り着いた。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:03:30.71 ID:GwjgNUwn0
佐倉父「暖かな風が吹き抜ける野原を見守るこの土地で、こうして戦えることを感謝します……カザミノのジムリーダーとして、いざ参る!」

ジムリーダーの 佐倉神父が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=UkDoB2dpgw8&feature=related

まどか「チャモっち!」ボンッ アチャモ「チャモー!」

佐倉父「ポッポ!」ボンッ ポッポ「ポッポポ!」

さやか「まどか頑張れ!」

佐倉父「動かないのならこちらから…ポッポ、"でんこうせっか"!」

まどか「チャモっち"つつく"!」

アチャモは今までの作戦通り、十分にポッポを引きつけてからすれ違いざまに完璧なつつく攻撃を決めた。

続けざまに炎の渦を決め、ポッポを瀕死寸前まで追い込んだ。

佐倉父「これは手厳しい……近付いたところを狙うのはなかなかいい作戦だよ。その様子だとかなり特訓したみたいだね
    だが、これならどうかな?"たつまき"!!」

凄まじい羽ばたきによりフィールドに巨大な竜巻が出現する。
アチャモは逃れることもできず竜巻に飲まれ、空中へと放り出されてしまった。
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:04:10.85 ID:GwjgNUwn0
まどか「あぁ!ピピっち!」

佐倉父「離れて攻撃すればどう反撃するのかな?」

まどか「っ!」

さやか「しまったぁ!突っ込んでくるだけじゃなかったのか!!」

杏子「当たり前だ。あたしのムクはそういう戦いが向いてるから接近戦をやらせてるが、当然鳥ポケモンの戦いはそれだけじゃないさ」

まどか「チャモっち、一回戻って!」シュゥゥン

佐倉父「ほう、いい判断だね。あのままだと成す術なくやられていただろうからね」

まどか「ピピっち!」ボンッ ピッピ「ピッピピー!」

さやか「お!ピ対ポだね!」

杏子「……は?」ジトッ

さやか「……オホン…まどか!まだ大丈夫だよ!」

佐倉父「"たつまき"はまだ止んでいない…ならばポッポ、"オウムがえし"だ」

オウム返しによりまどかが最後に使った技、すなわち炎の渦がポッポにより繰り出される。
フィールドに存在する竜巻と合体し、さながらアチャモが使った炎の渦より強力なものになった。

まどか「熱い…このままピピっちが竜巻に飲まれちゃったら大変なことに……」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:04:41.66 ID:GwjgNUwn0
まどか「そうだ!ピピっち、"テレキネシス"だよ!」

佐倉父「ん?ポッポは元々飛んでいるというのに、さらに浮かせて何をしようと……ハッ!」

まどか「竜巻をポッポにまで持ってっちゃえ!!」

炎の竜巻全体を操り、ポッポにじわじわと迫っていく。
ポッポも必死で押し返そうとするが、アチャモに与えられたダメージが効いてきたのか羽ばたきが弱くなり、ほどなく炎の竜巻に飲まれてしまった。

やがて収まった竜巻からは、黒焦げになったポッポがふらふらと落ちてきたのだった。

佐倉父「よくやったポッポ」シュパン

佐倉父「流石娘が認めただけあるね、エスパータイプでもないのによくぞそこまでうまく操れたものだ」

まどか「特訓の成果ですよ。ね、ピピっち?」

佐倉父「うむ、その姿勢は実に素晴らしい。ハトーボー!」ボンッ ハトーボー「クルッポー!」

さやか「ハトーボーだ……何かあんたのお父さん、鳩ばっかりだね」

杏子「いいじゃねえか……鳩は平和の使者っていうだろ」

佐倉父「ピッピと言えば『メロメロボディ』が危険だね……やはり近付くのは危険かな」

さやか「げっ、さっそく見破られてるじゃん」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:05:25.25 ID:GwjgNUwn0
まどか「ピピっち…えぇっと、"てんしのキッス"、投げキッスバージョンで!」

チュッっと投げキッスをしてみた。

が、流石に届かなかったらしい。

佐倉父「……ハトーボー、"フェザーダンス"」

大量の羽がピッピの上に舞い、ピッピは前が全く見えなくなってしまった。

まどか「ピピっち落ち着いて!そんな羽に惑わされちゃ駄目だよ!」

佐倉父「これなら避けることもできないだろうね。ハトーボー、"エアカッター"!」

まどか「ピピっちお願い!」

ハトーボー「ボフー!」シュバババッ ピッピ「ピヒー……」ギュッ パァ

佐倉父「流石に耐えきれなかったようだね。どうやら急所を切り裂いたようだよ」

まどか「ピピっち、ありがとう」シュゥゥン

さやか「そんな、自分だって視界が悪かったはずなのに……って、特性のおかげか!」ピッ

杏子「あぁ、特性『きょううん』でハトーボーの技は急所に当たりやすいんだ。"エアカッター"を使えばほぼ100%、親父のハトーボーは急所を狙える」

さやか「何それ!?卑怯だよ!」

杏子「卑怯でも何でもねえ、これがポケモンバトルだ」

さやか「くっ……まどか頑張れ!特訓の成果が出せなくてもまだ大丈夫だよ!!」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:06:06.66 ID:GwjgNUwn0
まどか「チャモっち!」ボンッ アチャモ「チャチャ!」

佐倉父「お互い残り一体、最後まで全力を出し切りなさい」

まどか「勿論そのつもりですよ。チャモっち、"こうそくいどう"」

佐倉父「その程度のスピードで翻弄できると思わないことだね。"つばめがえし"!」

高速で走り回り回避するつもりだったが、必中のツバメ返しには手も足も出ず攻撃を喰らってしまった。

体勢を立て直そうとしたアチャモにすかさずエアカッターが空を切るが、うまくかわした。
すると再びツバメ返しに襲われてしまった。

まどか「チャモっち!」

佐倉父「隙をつけば接近戦も難しいことじゃない。走っている最中なら反撃はできなかったようだしね
    飛行タイプのポケモンと特訓をしていれば、あるいは反撃できていたかもしれないが……」

まどか(隙をつけば……それはこっちも同じはずだよね……でも、隙なんかどうやって作れば……)

佐倉父「一気に終わらせようハトーボー。アチャモの急所を狙うんだ」

まどか(…!そうだ!!)

佐倉父「"エアカッター"!」

まどか「"ほのおのうず"!」

風の刃と炎の渦が激突する!
ぶつかり合った二つのエネルギーは、やがてその場で爆ぜてなくなってしまった。
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:07:29.60 ID:GwjgNUwn0
佐倉父「そこだ!」 まどか「そこだよ!」

佐倉父「"エアカッター"!」 まどか「フィニトラ!」

素早く駆けだしたアチャモに、無情にもエアカッターが炸裂した。
アチャモは吹き飛ばされてしまい、そのまま仰向けに倒れ動かなくなった。

佐倉父「惜しかったね。"エアカッター"は急所を突いたから、もう動くことはないだろう
    あそこで"ほのおのうず"を選んでいればまだ勝負はついていなかっただろうが……ところで、今何と――」

まどか「フレティア!!!」

アチャモ「アッチャァァ!!!!ダッ

佐倉父「なっ!?」

杏子「なんだと!?」

さやか「やった!」

素早く起き上がったアチャモは、先にも増して素早く加速し、起死回生の強烈な一撃をハトーボーに叩きこんだのだった。
ジムリーダーと同じく勝ったと思っていたハトーボーは反撃できず、そのままノックダウンしてしまった。

佐倉父「馬鹿な、確かに急所を狙っていたはずなのに、一体どうして……」

まどか「視界が隠れた時」

佐倉父「?」

まどか「視界が"フェザーダンス"で見えなくなっていた時、ピピっちが何をしたか知っていましたか?
    あなたが気付いていたかは分からなかったんですけど、私は気付かれていない方に、それからチャモっちが一発攻撃を耐えられることに賭けてみました……
    当たっちゃったみたいですね」ティヒヒ

佐倉父「……これはやられたよ、いつの間にか"おまじない"をかけていたのか」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:08:36.82 ID:GwjgNUwn0
さやか「え?何?チャモっちが気合いで踏ん張って反撃したんじゃないの?」

杏子「ちげぇよ、ピッピはやられる前に急所を隠す技"おまじない"を使ってたんだ。親父からはピッピが良く見えなかったみたいだから気付かなかったんだろうな
   親父が急所を狙って、もうアチャモの体力がなくなったと勘違いしたところを突いたんだ」

さやか「そんなの、お父さんに気付かれてたら……」

杏子「だから賭けだったんだろうよ」

佐倉父「……一つ聞かせてくれないか。アチャモには出した命令は技の名前ではなかったようだが、一体何だったんだい?」

まどか「"フィニトラ"が準備、"フレティア"で攻撃……技を出すタイミングがばれないように決めた、私達の合図なんです」

佐倉父「ははぁ、さてはマミさんの入れ知恵だね。彼女もいいお弟子さんを持ったものだ」

まどか「えへへ…カッコよく決まって良かったです!」ティヒヒ

さやか「ほんと、ぷふ…バッチリだったよ…ククク」バシバシ

まどか「さ、さやかちゃん酷いよぉ!昨日はマミさんと決めた時はいいって言ってくれてたのに!」

さやか「なっはははは!だって、実際に見てみたらなんかすごく変な感じするんだもん!」ククク

まどか「むぅ〜〜……」

杏子「マミの奴、変な仲間増やしやがったな……」

佐倉父「実に素晴らしい戦いだったよ。約束通りチエーロバッジを授けよう」

まどか「はい!ありがとうございます!」

チエーロバッジを 手に入れた!
まどかのバッジケースに輝きが一つ灯ったのだった。
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:09:07.02 ID:GwjgNUwn0
さやか「とにかくおめでとうまどかー!」ダキッ

まどか「うん!ホント疲れちゃったよぉ」クテッ

佐倉父「はっはっは、私も久々に手に汗握ってしまったよ」

さやか「さあさあ、次はいよいよさやかちゃんの出番ですよ!!」

佐倉父「続けてかい!?私も少々疲れてしまったしポケモン達もダウンしているし、どうだろう?一時間後くらいにして貰えないだろうか?」

さやか「んー、ジムリーダーさんがそういうなら仕方ないっすね〜」

佐倉父「その代わり、バトルが終わったらうちでお昼を食べていかないかい?」

さやか「マジッすか!?ぜひぜひ!」

まどか「いいんですか?」

杏子「いいっつーか、なんていうか、伝統だもんな」

まどさや「伝統…?」

佐倉父「まあその辺はゆっくり食事でもしながら話そうじゃないか。まどかちゃんだったかな?まずは君のポケモンをうちの回復装置で回復させてくるといい
    後でまた会おう」

杏子「こっちだよ、ついてきな」

まどか「ありがとう杏子ちゃん…って、モモちゃん…?」

モモ「……」ジー
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:10:57.34 ID:GwjgNUwn0
ゆま「あの、たぶん、師匠が負けちゃって悔しいんじゃないかな?」

まどか「そんなこと言われてもなぁ……」

モモ「お、おとーさん…まけないって……い、いったのにぃぃぅぅあああぁぁぁぁんん」

佐倉父「こらこらモモ、落ち着きなさい。私だって負けることくらいあるさ。今までだっていろんなトレーナー達にバッジを渡してきたじゃないか」

モモ「だっでぇ、だっでぇぁぇぇぇぁぁん」

ゆま「モモちゃん泣いちゃ駄目だよぉ、ジムリーダーっていうのはこういうお仕事なんだから」ナデナデ

杏子「ほら、いい加減にしなさい。まどかお姉ちゃんやさやかお姉ちゃんが困ってるでしょ?」ヨシヨシ

モモ「しらないもん!!おとーざんぎらい!!!」ダッ

佐倉父「モモ!待ちなさい!」

杏子「おいモモ!」

ゆま「あ、ゆ、ゆまが追いかけるね!」タッタッタ

佐倉父「いやはやごめんね、見苦しいところを見せてしまって」

まどか「いえ、仕方ないと思います……やっぱり、親が負けるところなんて見たくないと思いますし」

杏子「悪いな二人とも。あたしもちょっと追いかけるから父さん、まどか達のこと頼んだよ」タッタッタ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:12:02.90 ID:GwjgNUwn0
さやか「……いつも、あんな感じなんですか?」

佐倉父「今まで何度かバッジを渡してきた時も泣いたりしてたんだが、今日みたいに飛び出していったのは初めてだね」

まどか「なんだか悪いことしちゃったかな……」

佐倉父「あの年の子供にはよくあることですよ。杏子もゆまちゃんもいることだし、心配はないだろうね。さ、こっちだよ」

教会の方へと案内され、そこでまどかはポケモンを預けておいた。
佐倉神父は堂々と「次は別のポケモンを使ってみようかな」と言い残し、再びジムの方へと帰っていった。

それを受けて、二人で空腹を抑えつつ遠距離からの攻撃に対する新しい作戦を考えていた頃、事件は起こった。

ゆっくりと軋み音を立てて教会の扉が開かれた。

顔を向けると、傷だらけのゆまがエネコに支えられて地面を這うように入ってこようとしていたので、二人は慌てて駆け寄った。

ゆま「おね、ちゃん…た、いへんな、の……」フラッ

さやか「ちょ、ゆまちゃん大丈夫!?何があったの!?」

まどか「酷い傷だよ!早く手当てしないと!」

ゆま「ゆまより…キョーコと、モモ、ちゃんが…さ、攫われ、ちゃったの……」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:13:08.12 ID:GwjgNUwn0
さやか「さ、攫われたって、まさか誘拐!?誰にやられたの!?」

ゆま「分かんない……変な服着てたけど……キョーコが、モモちゃん、人質にされて…モンスター、ボール…奪われちゃって」エホッ

まどか「そんな…杏子ちゃん、あんなに強いのに……」

ゆま「ゆ、ゆまが、師匠に伝えろって言われて……」ググッ

まどか「起きちゃ駄目だよ、すぐお医者さん呼んで来ないと!」

ゆま「ゆまはいいの……それより、早く師匠に伝えないと……」

まどか「私が伝えてあげるから!何を伝えればいいの?」

ゆま「ぽ、ポケモンを……強いポケモンを差し出せ、って……」

さやか「ど、どういうこっちゃ…?」

まどか「他にはない?」

ゆま「カザミの森前で待つって…警察にも言っちゃ駄目だって……早くしないと、キョーコとモモちゃんが……」

さやか「あそこだね、分かった!まどかはお父さんに伝えてきて!あとゆまちゃんお願い!」ダッ

まどか「待って!さやかちゃんどこ行くの!?」

さやか「決まってんじゃん!カザミの森だよ!」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:14:40.90 ID:GwjgNUwn0
まどか「一人じゃ危ないよ!さやかちゃん体調悪いし、せめて誰か一緒に――」

さやか「そんな暇ない!とにかく急がなきゃ駄目だよ!」

まどか「でも!……」

さやか「……大丈夫、遠くから様子見てくるだけだから。ジムリーダーっていっても、ポケモンを取られちゃったら戦えなくなっちゃうし、せめて偵察くらいしとかないと」

まどか「……分かった。あとから必ず行くからね」

さやか「任せとけ!」タッタッタ

まどか「ゆまちゃん、すぐ運んであげるからね」ダキッ

エネコ「ネー…ネー……」スリスリ

まどか「大丈夫だよ、ゆまちゃんは眠ってるだけ見たいだから。私も早く伝えなきゃ…!」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:15:19.40 ID:GwjgNUwn0
―カザミの森―

杏子(ん……ここはどこだ……痛ッ……あたしは確か、後ろから殴られてモモを人質にされてポケモンを奪われて……)

目を覚ました杏子は、まず自分の現状を把握した。

縄で縛られ、木の根元に転がされ、時々背中に痛みが走る。

隣にはモモが同じく縛られたまま寝かされていた。

杏子(ここは…カザミの森か?モモは無事みたいだが……くそっ、あたしのポケモン達はこの辺にはいねえのか?)


杏子達から離れた場所、森の中に影が一つと声が二つ。

???「だーかーら!なんでボクがこんなことしなきゃならないわけ!?」

???『何度も言わせないで。この間のマエバシシティでの失敗を帳消しにするためでしょう』

???「だけどさあ、誘拐とか人攫いってつまんないしスマートじゃないよねえ…趣が足りないよ」

???『文句は任務を完了してからにしなさい。それより、ジムリーダーはまだ来ないの?』

???「確かにおっそいねぇ。実の娘が危ないってのに、自分のポケモンの方が大事なのかなぁ?」

???「ま、素直に渡してくれると思うけどね♪あいつ人良さそうだしぃ……んじゃ、もう切るよマリアさん」

マリア『期待してるわよ、シズル』
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:17:06.22 ID:GwjgNUwn0
シズル「あれぇ、もう起きちゃった?」

杏子(!こいつはモモを人質にした奴!!まだガキっぽい…あたしらと同い年かちょい下くらいじゃねえのか…?)

シズル「初めまして♪ボクの名前はシズル!以後適当にお見知りおきをば」

シズルと名乗った少女は傍らにドクロッグを引き連れ、姫カットの藍色の髪を大きなリボンを結びポニーテールにしている。
少し和風チックな服装をしているが、背格好からしても普通の少女にしか見えなかった。

杏子「こんなことして、一体どういうつもりだ?」

シズル「ギヒヒ…やだなぁ、そんな怖い顔しないでよぉ。君達のお父様が強い強いポケモンを持ってきてくれたなら、きっちり帰してあげるからさぁ」

杏子「なっ、強いポケモンだと…?」

シズル「そだよ♪ジムリーダーといえば強い!強いトレーナーなら強いポケモンを持ってるのは当然だよね?
    だからそれを戴いちゃおう!ってお話し」

杏子「……てめぇ、ふざけんじゃねえ!親父が大事に育てたポケモンを奪うだと?そんな馬鹿げたことさせると思ってんのか!!」

シズル「そんなこと言っても、君のポケモンももう戴いてるんだし、別にいいよね?」

杏子「こいつ……」ギリッ

シズル「流石ジムリーダーの娘さんだよ、とてもいい感じに育ってるじゃないかぁ…あ、でも、そっちの妹さんのポケモンはいらないよー?
    何か弱そうだし、逃がしてきちゃった♪」

杏子「なっ…!?」

シズル「当然だよねー、弱いポケモンなんていらないよねー」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:17:40.18 ID:GwjgNUwn0
杏子(駄目だ、縛られてちゃ手も足も出ねえ……それに、モモを人質に取った時に一緒にいたのはドクロッグだが、
   あたしを背後から殴ったのは別のポケモンのはずだ。それが分からねえと返り討ちにあっちまう)

シズル「それにしてもまだかなぁ?伝言役にもう一人の子を行かせたんだけど、ちょっと痛めすぎちゃったかなぁ?」

杏子「まさかゆままで…!」

シズル「退屈だなぁ……まぁ、こういうまったりした時間も趣があっていいよねぇ、そう思うだろぉ?」

ドクロッグ「ウィヒヒヒ」コクコク

杏子(どうする…あたしはどうしたらいい?)
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:18:43.86 ID:GwjgNUwn0
―カザミノジム―

佐倉母「しばらく安静にしていれば大丈夫らしいわ」

まどか「よかった……」ホッ

佐倉父「それで、カザミの森にいると言ったんだね?」

まどか「ゆまちゃんはそう言ってました。さやかちゃんが走って行っちゃったんですけど、どうなってるか分かんなくって」

佐倉母「あなた、どうするの?ポケモン達を渡さないと杏子とモモが…!」

佐倉父「分かっている!分かっているが……くそっ、どうすれば……」

pipipipi pipipipi

まどか「!さやかちゃんからだ!!」ピッ
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:19:22.02 ID:GwjgNUwn0
まどか「さやかちゃん大丈夫?今どこにいるの!?」

さやか『えっとね、まどかと特訓してたとこらへんかな』

まどか「それで、杏子ちゃんとモモちゃんは?」

さやか『うん、今草むらに隠れてるんだけど、女の子が一人とポケモンが一匹いるね』

まどか「女の子…?」

さやか『そう。で、その後ろが見えにくいんだけど、多分杏子がいた。モモちゃんも一緒だと思う』

まどか「ホント!?ふ、二人は無事なの?」

さやか『ごめん、こっからじゃ二人の様子が隠れちゃってよく見えない……仲間が他にいるのかも分かんない』

まどか「そんな……」

さやか『そっちはどう?お父さん来てくれそう?」

まどか「えっと、まだ――」

佐倉父「行こう」ガタッ

まどか「え!?行くんですか!?」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:20:25.29 ID:GwjgNUwn0
佐倉母「お父さん……」

佐倉父「すまない、私がモモを追いかけていればこんなことにはならなかった……私が連れ戻してこよう」

まどか「違います、私が勝っちゃったから……」

佐倉父「……まどかちゃん、間違ってもそんなことを言ってはいけない。君と私で全力の勝負をしたのに、それを否定するようなことは言っては駄目だ
    戦ってくれたポケモンに失礼だよ」

まどか「あ…ごめんなさい」

佐倉父「とにかく、悪党からこの街を守るのが私の使命だ。たとえそれが少女相手であろうと、私が行かずに誰が行くというのか!」

佐倉母「……気を付けて下さいね」

佐倉父「任せなさい」

まどか「とりあえず、さやかちゃんから聞いた状況を説明しますね」

一通りの説明が終わった後、佐倉神父は歩き出した。

まどか「……待って下さい」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:21:28.41 ID:GwjgNUwn0
まどか「私も行きます」

佐倉父「いや、君はここに残りなさい。危険かもしれないんだ」

まどか「さやかちゃんだって危険を承知で向かったのに、私だけ逃げるなんてできません!」

佐倉父「しかし一般人には――」

まどか「私はさやかちゃんと杏子ちゃんの友達で、ポケモントレーナーです」ボボン

アチャモ「アッチャー!」 ピッピ「ピピッ!」

佐倉父「駄目だ、危険すぎる」

まどか「意地でもついて行きます…ごめんさやかちゃん、切るね」

さやか『はぇ!?ちょ、まど』プツン

佐倉父「ピジョット」ボンッ ピジョット「パピィィィ!!」

まどか「!」

窓の外にピジョットを出し、そこから飛び乗って佐倉神父は森の方へと行ってしまった。

まどかは慌ててジムを飛び出し、あとに続いてカザミの森へと向かった。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:23:00.07 ID:GwjgNUwn0
―カザミの森―

さやか「さてさて、どうしたものか……なんとか来たものの、二人が人質だとさやかちゃん一人ではどうにもできそうにないしな〜」
    でもせっかく来たからには行動しなきゃ……二人とも、行くよ!」

こそこそと隠れながら近付いて行くさやか達。

さやか(よし、向こうもまだ気付いてないみたいだし、このまま杏子達を助けられるかも)

そんなことを考え名がらあと40メートルほどまで近付いた時、初めに動きを止めたのはリオルだった。

リオル「!」クイクイ

さやか「?な、なに?早く行かなきゃ何されるか分かんないのに……」ザッ

さやかが一歩踏み出した瞬間、突然地面を突き破ってそれは現れた。
うねうねと蠢くものが三本、何かを探しているようにさやか達の前で踊っており、

さやか(な、なにこれ……キモイんだけど…敵?見逃してはくれたりは……)

その柔らかな先端をさやか達に向けた。

さやか(しそうにないってことはやっぱ敵か!?逃げ――っ!?)

背後を振り返った瞬間、既に新たな三本のそれに取り囲まれていた。

さやか(やば、逃げられない……)
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:25:08.93 ID:GwjgNUwn0
シズル「おやおや?何かが毒の包囲網に引っかかっちゃったみたいだね。まだ野生のポケモンが残ってたのかな?それとも……悪〜い鼠かな♪」

杏子(な、なんだ?何が起こったんだ?毒の包囲網だと…?)

シズル「ドクロッグー、ここよろしくねー」スタスタ

杏子(……思い出した、毒の包囲網といやぁドククラゲだ!一度図鑑で見たことがある……だが姿が見当たらねえな、何処にいるんだ…?)

シズルはこの場をドクロッグに任せて、すたすたとドククラゲの触手に囲まれているものがある辺りへと歩いて行った。


さやか(まずい、こっちに来る!でも、こんなのに囲まれてちゃ逃げらんないし……)

リオル「リオ」トントン ミジュマル「ジュ」コクコク

さやか「……任せろって?」

リオル「リーオー!!」ダッ ミジュマル「ミジュジュー!」ダッ

二匹は触手の間をすり抜け、シズルの前へと飛び出した。

触手はすぐさま二匹を追いかけ、さやかの周りから消え、すぐさまミジュマルとリオルの前へ地面から回り込み、再び二匹を取り囲んだ。

シズル「なぁんだぁ、逃げてきた野生のポケモンかぁ。やめなよドククラゲ、そんな雑魚放っておきなよ」

シズルの声を聞き、触手達はシュルシュルと地面へと戻っていった。

シズル「全く…この辺りに野生のポケモンを近寄らせないように散々恐怖を強さを見せつけてやったのに、まだ無謀なポケモンがいたんだぁ」

二匹を一瞥した後、踵を返して杏子達の元へと帰ろうとした。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:27:29.29 ID:GwjgNUwn0
シズル「でも妙な組み合わせだよねぇ、ミジュマルとリオルなんてさぁ」クルッ

そう言って振り返ってみたが、既にその場から二匹は逃げ出していた。

シズル「……ま、気のせいかな♪」

さやか「助かっ――は……くしゅん」

その瞬間引っ込んでいた触手が、さやか達の周りをぐるぐると取り囲むように素早く戻ってきた。

さやか(し、しまったぁぁ……)ズズッ


シズル「……まだ一匹いたのかな?リオルとミジュマルはあそこにいるし……やっぱり念のため見とかなきゃね」

ガサガサッ

さやか「!な、なに――」

突然草むらが揺れ小さな影が飛び出していった。

スバメ「スバーー!!」ビュンッ

シズル「ドククラゲ」

シズルに攻撃が届く僅か手前、スバメは触手に阻まれ叩き落されてしまった。

シズル「なんだぁ、さっき逃がしたスバメかぁ。心配しなくても後で君のご主人は帰してあげるからさぁ、ちょっと大人しくしてなよ♪」

触手がぐったりしているスバメに巻き付き、ポイッとゴミでも投げるように草むらに放り投げた。
何事もなかったかのように触手は全て引っ込み、シズルも結局帰っていった。
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:30:03.16 ID:GwjgNUwn0
さやか(今度こそ助かった……それより、さっきのスバメは!?)

慌ててスバメの元に駆け寄り、そっと抱きあげてみる。
触手の毒に侵され体力が尽きる寸前のようだった。

さやか「酷い傷……でも、ありがとう。君のおかげで助かった」

ミジュマル「ミジュ」ガサ リオル「リオ?」ゴソ

さやか「おかえり、二人もありがとう……どうしよう、近づけないとなると他の手を考えるしか……」

スバメ「ス…バ…!」ググッ

さやか「ちょっと、大人しくしてなよ!傷が広がっちゃう!」

スバメ「バ…!」ググググッ

さやか「どうしてそこまでして……」

さやかの制止を受けてなおもスバメは飛び上がろうとする。
さやかは知らなかったが、これはモモのスバメだった。

どうにかしてモモを助けたい一心で、スバメなりに必死なのだ。

さやか「……よし、一緒に何とかしよう」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:30:58.89 ID:GwjgNUwn0
シズル「おっ、やっと来た来たぁ♪」

さやか達が頭を抱えている頃、森の入口、シズルの前にピジョットに乗った佐倉神父が舞い降りた。

佐倉父「これは驚いた……少女だとは聞いていたが、こんなに幼かったとは」

シズル「初めましてジムリーダーさん♪ボクはシズルといいます!街から飛び立った取りポケモンは見当たらなかったし、どうやら本当に一人で来てくれたみたいですね
    で、約束の物は持ってきてくれましたかぁ?」

佐倉父(なるほど、だから見晴らしのいいここを選んだ訳か)

佐倉父「その前に娘達を返してもらいたい」

シズル「駄目に決まってるじゃないですかぁ、早くモンスターボールをその辺にコロコロっとしちゃってくださいよ」

佐倉父「ならせめて、無事を確認したい。娘達はどこにいる?」

シズル「えぇ、どうしても必要かなぁ?ま、別にいいけどね。ほら、あの通り傷一つないよぉ」

ドクロッグがズルズルと二人を引きずってきた。
その作業は随分雑である。

佐倉父「…!杏子!モモ!!」

杏子「……」

シズル「感動のご対面のところ悪いけど、娘さんを助けたいなら早くポケモンを渡してねぇ?じゃないとほら、あんな風に――」

杏子達のもたれかかっていた木が突然触手に縛られたかと思うと、メキメキと音を立てへし折られ、ズズっと重い音を鳴らし倒れた。

シズル「ボキボキに折っちゃいますよぉ?」ギヒヒ

佐倉父「――っ!」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:32:34.79 ID:GwjgNUwn0
シズル「さぁほら、早くしてよぉ。ボクだってお家に帰りたいんだからさぁ」

佐倉父「……分かった」スッ

杏子「……父さんっ!」ギリギリッ

佐倉父「ボールは全部でこれだけだ」

シズル「あぁ、一匹ずつボールを開いてポケモンを見せてくれないかなぁ?いやなに、空っぽの可能性もあるしねぇ
    見せ終わったらそのまま地面に置いといてね?」

言われた通りに全てのボールを開き、中のポケモンを一匹ずつ見せていった。

その間もずっと杏子達を人質に取られ、佐倉神父にはどうすることもできず、ゆっくりとポケモンを見せ続けるしかなかった。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:34:01.99 ID:GwjgNUwn0
さやか「あーまずい…ジムリーダーさん来ちゃってるのに、どうすれば……」

リオル「!」クイクイ

さやか「リオすけ?今度は何…?」

まどか「さやかちゃん大丈夫?」ガサゴソ

さやか「まどか!」

まどか「しっ!静かにしなきゃ……」ヒソヒソ

さやか「来てくれたんだね!」ヒソヒソ

さやかは簡単に状況を説明した。

さやか「とにかくこっちから助けに行くには触手をなんとかしなきゃ駄目だと思う」

まどか「でもここから行ってもすぐばれちゃうよね……」

さやか「だからどうしようかなってずっと考えてたんだけど、まどかが来てくれたからなんとかなると思う」

まどか「どういうこと?」

さやか「まずは――」
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:35:36.81 ID:GwjgNUwn0
まどか「……いいかもしれないけど、この子が危険なんじゃ……」

さやか「こいつはやる気満々みたいだよ。どういうわけか杏子達を助けたいみたいだし」

スバメ「……」コクコク

まどか「……分かった、任せるよ。急ごうさやかちゃん!早くしないと向こうが終わっちゃう!」

さやか「うん!行ってきてスバメ!!」

スバメが勢いよく上空へ飛び出し、触手を操るポケモンを探しに向かった。

ちょうどその頃、佐倉神父が最後のボールを開いたところだった。

佐倉父「……これが最後だ」ボンッ ケンホロウ「ホロッホー」

シズル「うん、合格♪これだけ主力を持って来てくれたらあなたも取り返しに来ることもできないだろうし、もう十分かなぁ
    さあ、地面にさっさと置いて?」

佐倉父「すまない、ケンホロウ……」

シズル「ほら早く」

佐倉父(こうなったら、ケンホロウに賭けるしかな――ムッ!?)

シズル「――っ!?なんだぁ!?」クルッ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:36:46.77 ID:GwjgNUwn0
シズルが振り向いた先、森の一角で数十本もの触手と一匹の小柄なスバメが戦闘を繰り広げていたのだ。
襲いかかってくる触手をその小さな翼で打ち捌いているのだ。

シズル「そんなやつ弾き飛ばせドククラゲ!さっきみたいにさぁ!」

しかし、スバメは先程までとは確実に違っているものがあった。

それは毒状態である。

特性『こんじょう』によりスバメの一撃の威力も上がり、強力な触手にも対抗できるようになったのだ。

シズル「ドクロッグ、加勢に――って、あっれぇぇ!?」

ドクロッグは既に戦闘不能状態であった。

佐倉父「この私に背を向けるとはいい度胸だね」

シズル(しまったぁ。まだケンホロウが残ってたんだ……この距離からドクロッグの急所を狙うなんて、流石ジムリーダーってところだね)

佐倉父(運よく隙ができて助かった……あのスバメは恐らくモモのチュンた…!ありがとう)

シズル「チチィ……二本…いや、四本だけ触手は残して残りはさっさと奴と、ついでにそこら辺にいる邪魔な奴らもぶっ飛ばせ!」

杏子達を狙う触手を残し、残りは全てスバメに向かっていった。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:38:34.28 ID:GwjgNUwn0
その激闘の下、高速移動で駆け抜ける一つの影!

さやか『まずはスバメが上空で触手を探しておびき寄せるの。その隙にアチャモが"こうそくいどう"で杏子達を助けに行く!』

走るアチャモの目の前、突如触手が出現して縛り上げようとする。
もはや地面からなどと悠長な攻撃はしてこず、直接アチャモを狙っている。

ここはもう毒の包囲網の中だった。

ひたすらかわし続け杏子達の元へ向かうが、辿り着く寸前、左右方向からの触手から逃れられず掴まってしまった。

アチャモ「…アッ…ッチャー!」ヒュッ

リオル「ルォォォ!!」ボンッ

アチャモの胸元からボールが二つ零れ落ち、リオルが飛び出した!

さやか『それでも捕まるようなら、第二の作戦。アチャモに持たせたボールを投げる!』

毒の触手は、増えた邪魔者向かって伸びていく。

リオルは捕まる前に、手に持ったボールを思い切り投げた!

さやか『リオすけはボールから出てきたら、すぐにボールを杏子に向かって投げること。大丈夫、特訓でやったみたいにやれば絶対うまくいくから!』

ミジュマル「マルッ!」ボンッ

さやか『ミジュかの仕事はたった一つ……ロープを切ること!』

ボールから飛び出すと、そこは杏子達の目の前。

特訓でアチャモを狙ったように、ミジュマルは落ち着いてホタチを抜いた。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:39:22.65 ID:GwjgNUwn0
シズル「何ぃ!?」

杏子「縄が…!サンキューミジュマル!」

シズル「逃がすなドククラ――」

佐倉父「"エアカッター"!!」

居合のような鋭い速さのエアカッターで一本、さらにもう一本、ミジュマルのシェルブレードによって触手が断ち切られた。

まどか「チャモっち"ほのおのうず"!」

さやか「リオすけ"かみつく"!」

二匹に巻きついていた触手も離れ、アチャモとミジュマルにより杏子達の周りにあった残りの二本の触手もやられてしまった。

シズル「何なんだぁあいつらは!?急に湧いてきてボクの邪魔をするなぁ!こうなったら――」スッ

シュバッ

シズル「――痛ッ!?」

佐倉父「新しいポケモンは出させないよ……さっきはボールを狙ったが、次は君の手首を狙うかもしれない」

シズル「こんのぉ……ジムリーダーのくせに生意気だぞ!ドククラゲ、こっち来てそいつらを蹴散らせ!」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:40:55.29 ID:GwjgNUwn0
ドククラゲ「……」ドシッドシッ

まどさや杏「…!」ザッ

シズル「さあ、やっちゃえ!手は出させないよジムリーダー!その隙にボクがポケモンを出しちゃうからねぇ!!」

ドククラゲ「……」ズシーン

シズル「へっ?」

杏子「!お前ら無事だったんだな…!」

ドククラゲの背後に影が八つ。

奪われていた杏子のポケモン達、

まどか「良かった、無事に見つけられたんだねピピっち!」

そして一回り小さくなっているピッピと、ぐったりしているスバメだった。

杏子「どういうことだ…?」

さやか「簡単なこと。バトルしてる間にピピっちちゃんが"ちいさくなる"を使って、バレないようにあんたのボールを探してたの」

シズル「な、そんな……ドククラゲまで……」ガクガク
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:42:29.84 ID:GwjgNUwn0
杏子「ムク!ザル!コン!バル!プラ!ユキ!」

呼ばれたポケモン達は嬉しそうに杏子の元まで駆けつけた。

杏子「すまねえ、迷惑かけたな……さて」クルッ

シズル「うっ……」

杏子「てんめぇ……どう落とし前付けてくれんだ?あぁん?」

シズル「……こ、降参降参!やだなぁ、ボクだって好きでこんなことやってるわけじゃないんだよ?上からの命令で……」

佐倉父「ならばその上のことを話して貰おうか?」

シズル「いや、だからさぁ……」

杏子「さっさと吐け!」

ピッピ「ピピッ!ピピピー!」バシバシ

まどか「どうしたのピピっち?」

シズル「……ギヒ」

一同「…?」

シズル「ギヒヒギィヒヒッヒヒッヒギギヒヒヒヒィヒヒイイィィィ」ギギギッ

杏子「な、何だ――」
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:43:35.81 ID:GwjgNUwn0



ボ ン ッ


193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:44:31.55 ID:GwjgNUwn0
大きな音を立て、シズルは爆発した。

頭が破裂し身体が崩れ、到底人だったとは思えない形になり果ててしまった。

まどか「ひっ…!」

さやか「なっ……」

杏子「爆発した……って、こいつ、人間じゃねえ!機械じゃねえか!!」

まどか「えっ」

そう。

それは人の形を成した機械、ロボット、カラクリ。

誰がなんと言おうと、人ではないものだったのだ。

爆発した体からはポロポロと金属片が落ちていく。

???「あ〜あ、それ高かったんだけどなぁ」

突如黒い霧が吐きだされ、まどか達の周りを覆った。

佐倉父「くっ…ケンホロウ"かぜおこし"!」

次第に霧が晴れ、キョロキョロと辺りを見渡す。

まどか達は全員無事だったが、機械人形が無くなっていた。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:47:06.41 ID:GwjgNUwn0
???「ごめんねぇ、ボールは返してもらわなきゃしょうがないから」

杏子「!シズル!!」

上空、バルジーナに乗ったシズルが機械人形を手にしていた。

シズル「ボクが本物のシズルだよ♪それにしても、全然気が付かなかったよ、いつの間にボクのとこから盗んだんだい?」ジッ

ピッピ「ピィ……」ブルブル

シズル「念のためロボットに行かせてて良かったぁ…もう絶対やりたくないなぁこんな趣のない仕事……
    あぁ、でも、また失敗したから変なことやらされるんだろうなぁ」ポリポリ

杏子「ムク!」バッ 佐倉父「ケンホロウ!」バッ

シズル「追いかけて来ないでよ!!"ふきとばし"!ア〜ンド、"くろいきり"!」

バルジーナの吹き飛ばしにより二人は近付くことができず、再びドククラゲの吐きだした霧によって視界を眩まされた。

霧を晴らした頃には、既にシズルは遠くまで逃げていた。

杏子「あんにゃろう!」

佐倉父「待ちなさい杏子、深追いは危険だ」

杏子「……分かったよ父さん」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:49:05.09 ID:GwjgNUwn0
それからしばらくして――

モモ「ん……あ、れ…おねーちゃん…?おとーさんも……」

杏子「良かった…モモ、気が付いたんだな」

佐倉父「あぁ、本当に良かった」ホッ

まどか「大丈夫?痛いところはない?」

モモ「う、うん……」

さやか「はぁ〜、一時はどうなるかと思ったけど、結果オーライだね」

杏子「悪いな二人とも、何から何まで……」

さやか「何言ってんの、あのドククラゲを倒すのはあたしらじゃたぶん無理だったよ」

まどか「だから杏子ちゃんのポケモンを探してたの。あんなにすぐ見つかるとは思ってなかったけど」

杏子「……ホントにありがとな」

モモ「あ!チュンた!チュンただいじょーぶ!?」

さやか「あぁ!それモモちゃんのスバメだったんだね!?だから必死にモモちゃんを助けようとしてたのか」

まどか「木の実を食べさせたから、しばらくは大丈夫だと思うよ」

モモ「よかった…よかったぁ」スリスリ
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:52:19.31 ID:GwjgNUwn0
佐倉父「それにしてもさっきの子……どうやら上司がいるらしいが、あんな子供を使うなんて、いったいどんな組織なのだろうか」

杏子「さっき爆発したロボットについてたマーク、見た?」

佐倉父「マーク?」

杏子「遠くからだったけど、多分『W』みたいなマークだったと思う。父さん、何か知らない?」

佐倉父「『W』のマークの組織……いや、聞いたことがないな。後で他のジムリーダーのみんなにも聞いてみよう」

モモ「おねーちゃん!あのコワイひとは?ゆまちゃんは!?」ユサユサ

まどか「ゆまちゃんなら大丈夫だよ。すぐに治る怪我みたい」

杏子「怖い人も心配すんな。父さん達が追い払ってくれたよ」

モモ「ほんとう!?おとーさんがやっつけてくれたの!?」

さやか「そうだよモモちゃーん!なんたってモモちゃんのお父さんはジムリーダーなんだから!」

まどか「悪い人から街を守ったんだよ!」

モモ「すごーい!おとーさんはやっぱりつよいんだね!」

佐倉父「い、いやあはは……」

杏子「さ、帰ろうぜ」

佐倉父「すまない君達、変な気を使わせてしまって」ヒソヒソ

さやか「いやいや、仲直りのチャンスかなっと思って手助けしたまでっスよー」ヒソヒソ

佐倉父(……とはいえ、こんなことが何度もあっては駄目だ。もっと私がしっかりしなければ…!)
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:53:48.98 ID:GwjgNUwn0
―カザミノジム―

佐倉母「杏子!モモ!無事だったのね!」ガバッ

杏子「ちょっ、母さん、苦しいって」

モモ「おかーさん、モモへいきだよ?おとーさんがたすけてくれたんだもん!」

佐倉母「えぇ…えぇ……本当に良かったわね」クスン

佐倉父「遅くなってすまない。ゆまちゃんの容態はどうだい?」

佐倉母「だいぶ安定したわ。さっきまで塾長さんもいらしてたんだけど」

さやか「塾長さん…?」

佐倉父「あ、あぁ……ゆまちゃんはね、両親がいないんだ」

まどか「え…そうなんですか…?」

杏子「だから、今はポケモン塾っていう施設で預かってもらってるんだ」

佐倉母「最初は大人しくて静かで、今みたいに笑う子じゃなくて…少し臆病な子だったの
    それでうちの人がポケモンを遊んでみないか?って言ったことがきっかけで少しずつ明るくなって、それからずっとお父さんのことを師匠って呼んでるの」

さやか「……苦労してきたんだね」
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:56:12.37 ID:GwjgNUwn0
佐倉父「モモ、お前もここで母さんと一緒に休んできなさい。三人には少し話がある」

佐倉母「おいでモモ」

モモ「うん!」

部屋から出た四人は、そのまま教会の方へと向かった。

佐倉父「話というのは他でもない、先程の子のことだ。君達は顔を見られてしまった…つまり、今後旅の途中で狙われるかもしれない
    はっきり言って、旅は中止にするべきだと思う」

さやか「……ハァ!?ちょっ、ちょっと待って下さいよ!あたしらまだ旅立って二日も経ってないんですよ!?いきなりやめろっていうんですか!?」

佐倉父「むしろ早くて結構じゃないか。どんな危険があるか分かったものじゃない」

まどか「……旅を止めて、それでどうすればいいんですか?私達はそのまま学校に戻るんですか?」

佐倉父「そうなるかもしれないね」

まどか「それって、せっかく貰ったバッジの意味が無くなっちゃいますよね?戦ってくれたこの子たちの努力が水の泡になっちゃうんですよね?
    そんなの絶対おかしいですよ……あなたが言ってくれたんですよ?私達の戦いを否定することは、私のポケモン達に失礼になっちゃうって」

佐倉父「いや、しかしだね――」

さやか「はいはーい!さやかちゃんから提案がありまーす!」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:57:43.03 ID:GwjgNUwn0
さやか「あたしとのジム戦まだできてないですよね?あたしが勝ったら、旅に出るのに十分な実力があるってことになると思うんですよ
    ということで、勝負して勝った方の言い分を聞くってのはどうでしょう?」

佐倉父「何を言って――」

杏子「いいんじゃねーの?父さん、戦ってやってくれないかな?」

佐倉父「!杏子、お前まで……」

杏子「言ってることは間違ってないと思うけど?それに、あいつらどうも強いポケモンが欲しいみたいだったけど、こいつらまだまだヒヨッコなんだし関係ないでしょ」

さやか「それはそれでなんかムカツク言い方だよ!?…でもま、杏子の言うとおりだと思います」

まどか「私もそう思います!お願いします!!」ペコリ

さやか「お願いします」ペコリ

佐倉父「…………はぁ…分かった。ルールは先程と同じで構わないね?」

さやか「!ありがとうございます!!」パァァ

まどか「やったぁ!さやかちゃん頑張ってね!」

杏子「しっかりやれよ」ポンポン

さやか「サンキュー杏子ー!」ダキッ

杏子「わっぷ!離れろ馬鹿!!」
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 00:58:44.94 ID:GwjgNUwn0
さやかと佐倉神父の戦いが始まった。

佐倉神父はまどかとの戦いとは別に、マメパトとピジョンを繰り出してきた。

さやかはまどかの試合を見ていたことと、試合後に二人で対策を話し合っていたこともあって試合を有利に進めていった。

そして遂に、決着の時が訪れた。

佐倉父「"つばめがえし"!」

さやか「"みずのはどう"!」

ミジュマル「ジュマッ!」バッシャァァ ピジョン「ピジョ〜……」ガクッ

杏子「ピジョン戦闘不能!挑戦者の勝ち!」

佐倉父「……よくやったピジョン」シュパン

さやか「〜〜〜っしゃああああ!!!勝ったああぁぁ!!」

まどか「やったよさやかちゃん!おめでとう!!」

佐倉父「見事だったよ。これがチエーロバッジだ」スッ

さやか「ありがとうございます」
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:01:20.30 ID:GwjgNUwn0
佐倉父「元々私の一存でどうこうできる話でもなかったが、旅は続けなさい。もっとも、十分に気を付けることだよ?」

まどか「それなら大丈夫です。ママに言われてますから!『怪しい人には気を付けろ』って」ティヒヒ

佐倉父「ははは、そうだね。君達ほど逞しかったなら余計なお世話だったかもしれないね」

さやか「いやぁ、危なかったよ。プレッシャー半端なかったしさ」

まどか「お疲れ様」

キュルゥー

まどさや「はぅ!?」///

佐倉父「おっと、そういえばお昼がまだだったね。約束通り、うちで食べていってくれないかい?」

さやか「ぜひお願いします」アハハ

杏子「あー、ほんと、色々あったからあたしも腹減ったな。先行って準備手伝ってくるね」スタスタ

佐倉父「あぁ、頼んだよ」

ギィー バタン
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:02:53.72 ID:GwjgNUwn0
そう言ったものの、杏子はキッチンへは向かわず、一旦自分の部屋に戻ってきた。

そして扉を閉めるなり、座り込んでしまった。

杏子「…………くそっ!」ダンッ

杏子「あたし、なんにもできなかった……モモも、ひょっとしたら父さんやあいつらも危なかったのに、あたし、なんにもできなかった……」

杏子「何がジムリーダーになりたいだ…家族も守れずにジムリーダーになったって、街なんか守れるはずねーじゃねえか…!」

杏子「……修行、し直そうかな」シュボボボン

ムクホーク「ピェェェ……」 ゴウカザル「ウキャァ?」 キュウコン「キュー」

シュバルゴ「バルル?」 プラスル「プラ〜……」 ユキメノコ「メノォ」

杏子「お前らも…悪いな、あたしが弱かったせいでボール奪われたりなんかして」

杏子「あたし、強くなるよ。もっともっと、家族を守れるようになるまで」

杏子「だからさ、それまで一緒についてきてくれるか?」

6匹「ワーー!!」

杏子「……サンキューな」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:04:25.42 ID:GwjgNUwn0
―リビング―

佐倉母「はい、出来たわよ」コトッ

さやか「おぉー!美味そう!!」

まどか「すごーい、ご馳走だね!」

ゆま「おいしそー」パァァ

まどか「ゆまちゃんもう平気なの?」

ゆま「えっへん!ゆまはこんな傷へっちゃらだよ!」

佐倉母「ありがとう。でもごめんなさいね、あなた達が今日挑戦するって聞いてたんだけど、まさかお父さんに勝っちゃうなんて思わなくって」

まどか「わざわざスイマセン」

杏子「違う違う、そう言う訳じゃないんだよ。そもそもこれは――」

ピンポーン

佐倉母「あら、誰か来たのかしら?はーい」スタスタ

モモ「ねーもう食べていい?」

杏子「もうちょっと待ってろ」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:07:06.05 ID:GwjgNUwn0
<あらあら、巴さん!お久しぶりね?元気そうで何よりだわ

<お母様もお久しぶりです

まどか「マミさんだ!」ガタッ

さやか「ジム戦終わったんだ!」ガタッ

まどさや「マミさん、おかえりなさい!」

マミ「あら二人とも。食事に招かれたってことは、どうやら……」ゴソゴソ

まどか「はい!」

さやか「バッチリっすよ」

まどさや「バッジゲットしました!!」

マミ「私も…しっかりゲットして来たわ!」

三人は約束通り、互いのジムバッジを見せ合った。

さやか「流石マミさん!」

佐倉母「あらあら、バッジを手に入れたのなら巴さんはもうお昼は食べたのかしら?」

マミ「すいません、頂いてきちゃいました。二人ともまだ食べてなかったの?」

まどか「ちょっと、色々ありまして……」

マミ「?」

佐倉母「とりあえず立ち話もなんだから上がって頂戴」

マミ「お邪魔します」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:08:27.61 ID:GwjgNUwn0
総勢八人の賑やかな食事が始まった。

即席で作ったものとはいえ、テーブルに並べられた料理は豪華なものばかりだった。
特にエビフライは、モモとゆまが取り合いで喧嘩するほど美味だったようだ。

さやか「どえぇ!?ジムリーダーに勝ったら食事させてくれるんですか!?」

杏子「グンマー地方だけみたいだけどな。昔からどのジムでも、挑戦者が勝ったらいろんな料理とかちょっとしたお菓子とか食べさせてくれるんだよ」

まどか「だから昨日のご飯のときあんなこと言ってたんだね」

佐倉母「他のジムだともっと美味しいものを用意してるところもあるみたいなんだけど、うちはこんなものしか用意できなくてごめんなさいね」

さやか「とんでもないっスよ!めちゃ美味っス!!」

マミ「他のジムも色々な物を食べさせてくれるから、今から楽しみにしてるといいわよ
   中にはレストラン経営してるジムリーダーもいるくらいだから」クスッ

まどか「へぇー、いろんな人がいるんですね…マミさんは今日は何を食べてきたんですか?」

マミ「私はイチゴリゾットを頂いてきたわ。甘酸っぱくておいしかったわよ」

さやか「おぉ、これまた珍しいものを……」ジュルリ

マミ「そういえば、こんな食事が遅くなったのって何かあったの?」

佐倉父「……あぁ、実はね――」
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:09:17.60 ID:GwjgNUwn0
まどか達の話をマミは黙って聞いていた。

全ての話を聞いて、マミはようやく食後のコーヒーを啜った。

すっかり冷めていた。

マミ「そんなことが……何者かしらね、そのシズルという女の子と『W』がマークの組織」

佐倉父「とりあえず警察に連絡をして、他のジムリーダーにも警告をしてくるつもりだよ。何かあってからでは遅いからね」

さやか「まあまあ、無事解決したんだからいいじゃないですか。ほら、モモちゃんとゆまちゃんもおねむみたいですし」

杏子「だな。また来ても今度は油断しねえ、全力で潰す!」パシッ

マミ「私も何か分かったら連絡しますね」

まどか「そうだ、ほむらちゃんにも伝えとかなきゃ。今日もどこかに行ってるかもしれないし」メルメル

杏子「…ほむら?知り合いか?」

マミ「もう一人の図鑑所有者なのよ。結構強くてね、私もつい負けちゃったわ」

杏子「なっ、マミより強いのか!?そいつミタキハラにいるのか!?」

まどか「う、うん。いるけど、どうかしたの?」

杏子「……いや、図鑑所有者っていうからちょっと気になっただけさ」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:13:06.66 ID:GwjgNUwn0
やがて食事会は終了し、佐倉神父からはしっかりと気を付けるように釘を刺された後、まどかとさやか、マミはポケモンセンターへと戻ってきた。

その夜、マミは電車でミタキハラへ帰ることになったのだった。

まどか「もう行っちゃうんですか?」

マミ「えぇ。私の場合は学生が本分だからね、明日からまた学校に行かなくちゃならないもの」

さやか「もうお別れですか……」

マミ「そうね…少し寂しいけど、あなたたちなら立派に旅をやり遂げられると思うわ。頑張ってね
   大丈夫、佐倉さん達を助けるなんて凄いことをやったんだもの。この先何があっても立ち向かっていけるわ」

さやか「絶対大会までにバッジ全部集めてリーグでマミさんと戦いますから!覚悟しといて下さいよぉ?」

まどか「私もです!負けませんから!」

マミ「あら、後輩に遅れを取るほど落ちぶれてないわよ?」

prrrrrrrrrrr

マミ「電車が来るわね…じゃあ二人とも、しっかりね」

まどさや「はい!」

到着した電車に、マミは一人乗り込んだ。

二人は別れを惜しみつつも、いつか必ず追いついて見せるという決意を胸にマミを見送った。

まどかとさやかの二日目が終わった。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:16:50.05 ID:GwjgNUwn0
おまけの後日談

ゆま「もうバッチリ回復したよ!」

杏子「おめでとさん」

モモ「よかったねゆまおねーちゃん!」

ゆま「ねえキョーコ、さっそくだけど見てほしいものがあるの!」

杏子「何をだ?」

ゆま「ほら、あの事件の前に技のタイミングが合わないって怒られてたやつ!マミおねえちゃんに教えて貰ったから大丈夫だよ!」

モモ「そうだよ!こんどは、ぱんぺきだよ!」

杏子「そうか、完璧か。んじゃ、さっそくお手並み拝見といこうか」

ゆま「いくよネコちゃん!」

モモ「チュンた!」

ゆまモモ「ロッソ!!」スッ

エネコ「ネッ!」グッ スバメ「チュ!」グッ

杏子「え」

ゆまモモ「ファンタズマ!!」

エネコ「ネー!」ブンッ スバメ「チュバッ!」ブンッ

杏子「……」ポカーン

ゆま「やったできた!」

モモ「やったぁー!」

ゆまモモ「どうだった!?」

杏子「……マァァァァァミィィィィ〜〜〜!!!余計なこと教えてんじゃねえぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/23(金) 01:26:41.23 ID:GwjgNUwn0
ごちゃごちゃしてきた
恒例の悪党も出てきた
この先どうなるのか俺自身にも予測できない

そして高速移動の汎用性が異常

ついでにジム戦での技四つ

まどか
アチャモ(つつく、高速移動、起死回生、炎の渦)
ピッピ(おまじない、テレキネシス、てんしのキッス、おうふくビンタ)
さやか
ミジュマル(みずのはどう、シェルブレード、きあいだめ、みきり)
リオル(はっけい、かわらわり、いやなおと、カウンター)
佐倉神父
ポッポ(砂掛け、オウム返し、竜巻、電光石火)
ピジョン(ツバメ返し、鋼の翼、吹き飛ばし、竜巻)
マメパト(鳴き声、エアカッター、さわぐ、鎌イタチ)
ハトーボー(エアカッター、羽休め、ツバメ返し、フェザーダンス)

はっきりいっていらない設定
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/23(金) 01:37:40.31 ID:tunWUjd20


あの僕娘はかずみのキャラ?
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/03/23(金) 01:52:32.15 ID:JISZ0EEAO
乙ー。
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/23(金) 01:53:19.08 ID:MBs9zo6po
乙!
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/23(金) 04:06:59.48 ID:vQStiBZOo
乙乙

>>210
おりこマギカに出てきた趣の魔女シズルが元
マギカシリーズに出てきた魔女の中でもかなりの強敵
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/23(金) 09:36:48.65 ID:jHIwmMzZ0
>>213
ありがとう

つまりコレは魔女が擬人化出るのか……引きこもりエリーちゃんが出るの期待
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/23(金) 15:40:45.85 ID:CPfPTwEt0
マミさんの手持ちををふいうち&かみくだくで殲滅するシャルちゃんに期待
顔がダブランに似てる事に定評のあるかずマギ魔女界アイドルのフングリーゲちゃんは出ますか!?
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/23(金) 15:59:08.01 ID:mYn8DUpqo
いやここは伝説厨のワルプルギスちゃんをな……
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/23(金) 18:12:12.52 ID:QazjOFFs0
乙でした!
今回明らかになった分を加筆して――と思ったけど1レスに収まらなさそうだったので諦めた
このSSが終わるころには完全版を作ってやる!

そしてマミマミストの俺はマミさん再現パを作ろうとしたのですが色マリルリがいたので諦めた
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/23(金) 18:41:38.37 ID:ewRK9z7po
ポケトレ使おうぜ
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/24(土) 20:40:50.51 ID:2h5Y9xsn0
次のアスナロシティって……
パーサーk(リーミティ・エステールニ!
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/24(土) 23:57:56.77 ID:YgTh8LrAo
全部色アルセウスのクリームヒルトンちゃんをだな
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:18:35.05 ID:r5XsKxSz0
この展開は初めから考えていた。ホントダヨ、ウソナワケナイヨ
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:19:15.61 ID:r5XsKxSz0
〜三日目〜―山の中―

さやか「……疲れた……足がボーマンダになっちゃいそう」テクテク

まどか「……うん」テクテク

さやか「……ごめん、つまんなかったね」テクテク

まどか「ごめん、突っ込む元気がなくって……」テクテク

ガサガサッ

イシツブテ's「ラッシャイ!!」 ドンメル's「ブモモ!!」 グライガー's「グリャァ〜!!」

まどさや「……」

まどか「チャモっち"ほのおのうず"」

さやか「ミジュか"シェルブレード"」

襲ってきた大量の野生ポケモン達を二人はあっさりと撃退していく。

二人は長時間の山登りによって、気力体力ともに限界に近付いていた。

そもそも、どうして二人が険しい山道を通ることになったのか?

それには前日の話をしなければならない――
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:21:07.64 ID:r5XsKxSz0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜二日目・夕方〜―ポケモンセンター―

さやか「マミさんのバッジって、あと一個はどこのバッジなんですか?」

マミ「そういえば言ってなかったかしら?あと一個はミタキハラよ」

まどか「え?だって、一番近いじゃないですか」

マミ「そうなんだけど、今のミタキハラジムは今休業中なのよ。かれこれ一年くらいかしら?
   ジムリーダーも行方不明みたいだし……」

まどか「そうなんですか?」

マミ「あなたたち、ミタキハラに住んでいるのに知らなかったの?」

さやか「いやぁ、ジムなんて全然興味なかったもんで……」タハハ

マミ「それもそうね…とにかく、ミタキハラのジムバッジを手に入れるのはまだ無理ね」

まどか「じゃあ、どうするんですか?」

マミ「グンマーリーグの規定だとね、クロマツ大会の参加資格は『ジムバッジ8つ以上、ただしグンマー地方のジムバッジ7つ以上が必須』と書いてあるの
   だから、ミタキハラのジムバッジがなくても他の地方のバッジがもう一つあればなんとかなるわ」

さやか「ほぇー、そんなルールがあったんですね」

マミ「グンマーからだと、もっぱらカントー地方のニビジムかジョウト地方のフスベジムのバッジを狙う人が多いわね
   得意なタイプを狙って他のジムを目指す人もいるみたいだけど、ここからだと遠いし……他の地域にはない特別ルールだと聞いたことがあるわ」
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:22:26.36 ID:r5XsKxSz0
さやか「そっかー、ミタキハラのバッジは今は取れないのかぁ……マミさんはどこのジムバッジ狙うんですか?」

マミ「私はあんまり遠出するタイプじゃないから、カントーのニビシティに行こうかと思ってるの。カザミノからも近いしね」

さやか「あれ、そうでしたっけ?まどか、タウンマップ持ってる?」

まどか「うん。えっと、ポケ―タイに……」ポチポチ

まどか「ここがカザミノだね」

さやか「で、ここがニビシティか……山を越えなきゃならないんだね」

マミ「あなた達もどこか別地方のバッジをとることになるかもしれないわね。大会までにミタキハラジムが再開してくれるのが一番だけれど」

さやか「あたしらはどうする?」

まどか「私もあんまり遠くまで行くのは好きじゃないから、近くのニビシティでいいんじゃないかな?」

さやか「だね。なら、せっかくカザミノにいることだし、明日はニビシティ目指そっか。その後でグンマーを改めて回ろう」

マミ「なら、山を越えなきゃね」

さやか「それは勿論」

マミ「歩きで」 さやか「電車で」

三人「……えっ」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:23:49.33 ID:r5XsKxSz0
さやか「いやだって、山ですよ?これ結構距離ありますよ?」

まどか「そうですよ、電車もカザミノから出てるみたいですし」

マミ「でも、私もカザミノからニビシティまでの道に行ったことはないの」

まどか「はぁ……えと、つまりどういう……」

マミ「私がまだ見たことないポケモンがいるってことよね?それってつまり、図鑑を完成させるためには通らなきゃならない道だと思わない?」

さやか「……まあ確かに」

マミ「だから、あなた達も歩いて山を越えるべきだと思うの」

さやか「いやいやいやいや!その理屈はおかしいですよ!!あたしらか弱い女子中学生ですよ!?こんな険しい山道超えられるわけないじゃないですか!」

マミ「美樹さん、そうは言っても、二人はこのグンマーを自分たちの足で回るんでしょう?だったら、それなりの体力を付けておくべきよ」

まどか「で、でもでも、いきなり山を越えるっていうのは……」

マミ「図鑑も増えて、体力もついて、一石二鳥だと思わない?」

さやか「ま、マミさんが行けばいいじゃないですか!」

マミ「私も行くわよ?後輩達だけに行かせるわけにはいかないもの!」

さやか「それを言われると行かざるを得なくなっちゃうじゃないですか……」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:25:01.05 ID:r5XsKxSz0
マミ「いいじゃない、自分たちの足で地方を超えるのって、妙な感動があるって聞いたことあるわ
   最近は電車やリニアで簡単に行き来できてしまうものね」

まどか「私は別に、電車で地方を超えても感動できるような気がするんですけど」

マミ「でも、グンマーで見られない珍しいポケモンがいるかもしれないのよ?」

さやか「このグンマーにいないポケモンなんて、伝説のポケモンぐらいじゃないですか……」

マミ「とにかく!ポケモン図鑑所有者として足を運んでみることは大事なことなんだから、つべこべ言わずに行ってみること!」

さやか「で、でもでも……」オロオロ

マミ「何か問題があるのかしら?」

さやか「問題はあたしらの体力なんですってば!」

マミ「私もか弱い女子中学生なんだけどなぁ」

さやか「……まどか、反論をお願い」

まどか「……さやかちゃんがやってよ」

かくしてマミに丸めこまれたまどか達は、険しく長い山を越えてカントー地方を目指すことになったのだった。

道中に幾多の困難と苦労が待ちうけていることを――


ある程度知ってはいたが。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:26:10.36 ID:r5XsKxSz0
〜三日目〜―山の中改めカザミノシティ〜ニビシティ―

二人は朝にカザミノを出発し、険しい山を登り始めた。

道中は確かに二人が見たことない様なポケモンが数多く現れた。
もっともそれは、ミタキハラシティ周辺には生息していなかったというだけで、グンマー地方の場所を変えれば出現するポケモンばかりだった。

二人がそれを知るのはずっと先の話であるが……

とにかく始めて見るポケモンは、昨夜マミに言われて街を出る前に買っておいたボールで捕まえることにした。

なんだかんだ文句を言っていた二人も、実際にポケモンを捕まえ図鑑に記録していくことを楽しんでいた。
自分たちが図鑑所有者であることを改めて実感できていたからだ。

しかし、そんな気持ちもすぐに消えてしまった。

遭遇するポケモンは全て図鑑に登録されていくので、ある程度捕まえてしまうとこれ以上捕まえても意味がなくなってしまったのだ。

結局ポケモンに遭遇しては逃げるか撃退するを繰り返すことになり、山を登り始めて三時間、二人もポケモン達もぐったりしていた。

アチャモ「アッチャッチャー」スタコラ

まどか「チャモっちは元気だね……」ゼェハァ

さやか「どんな時でも明るさを忘れない…健気で陽気な、本当に良い相棒ですよ」ハッハッハ

まどか「……うん」

さやか「お願い突っ込んで」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:27:15.63 ID:r5XsKxSz0
さやか「まだニビシティに着かないのかな……」トボトボ

まどか「それを言うなら、まだカントーに着かないのかな、だよ……」トボトボ

さやか「あー隣を偶に抜けてく車でもヒッチハイクしようかなー」トボトボ

まどか「それはそれでなんか恥ずかしいよね……」トボトボ

ふと、目の前が緑から青に変わったことに気が付いた。

さやか「……ここって」

まどか「……うん、峠だね」

???「おいっ!」

まどさや「!?」ビクッ

???「君達は今!!カントーへの第一歩を踏み出した!!!」

まどか「ほ、ほんとですか…?」

???「なんだったらタウンマップで確認してごらん」

さやか「……ほ、ほんとにカントー地方になってる……」

まどさや「やったぁぁああーーーーーーー!!!!!!!!」ダキッ

???「!?」ビクッ
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:28:47.57 ID:r5XsKxSz0
さやか「苦節三時間…!遂に!遂にあたしらはやり遂げたんだよ!!」

まどか「うん…うん…!長かったよぉ……」

???「いやはやお疲れお疲れ!ニビシティはもうすぐだよ!ちなみに、今の台詞は受け売りなんだがね……
    とりあえず、あそこのポケモンセンターで一休みしてくといい」

さやか「はい!ありがとうございます!」

まどか「おじさんもニビシティへ行くんですか?あ、それともカザミノに?」

???「いやいや、おじさんはここで商売をしてんだぜ。少し前までカントーのオツキミ山で商売をしていたんだがな
    最近ここを通る人が増えてきたみたいだから、思い切って場所を変えてみたんだ」

さやか「へぇー、何を売ってるんです?」

???「コイキングさ」

まどさや「……へ?」

コイキング親父「おぉっと、ただのコイキングじゃないぜぇ……こいつを見な!」ババァン

まどさや「こ…これは!!!」

男がボールから出したのは、なんと金色に輝くコイキングだった!

情けない間抜け面も無様にピチピチと跳ねている姿も、色違いのコイキングであるというだけでとても神々しく思えてくる。

二人が目を輝かせコイキングを眺めているのに、商人はあっさりとボールに戻してしまった。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:30:19.60 ID:r5XsKxSz0
コイキング親父「どうだいお嬢ちゃん達……このコイキング、めったに見つからない超レアポケモンだぜ」

さやか「キラッキラしてたね……」ゴクリ

まどか「ピッチピチしてたね……」ゴクリ

コイキング親父「本来高額で取引されるんだが、お嬢ちゃん達なかなかいいトレーナーのようだしな」

さやか「流石おじさん話が分かる!ほらほら見て下さい、このジムバッジ!」サッ

コイキング親父「ほほぅ、そりゃひょっとしてグンマー地方のジムバッジかい?やはり俺の目に狂いはなかったようだぜ
        普通なら10万円で売るところなんだが、こいつも嬢ちゃんたちみたいな凄腕トレーナーに貰われた方が幸せってもんだろう」

さやか「いやだなぁもう、褒めてもなんも出ないっすよぉ」テレテレ

コイキング親父「まけにまけて特別価格、1万円でどうだい!?」

さやか「マジで!?買います買います!!」

まどか「ちょ、さやかちゃんいいの?大事な旅の資金なのに」

さやか「だって色違いの超レアだよ!?今を逃したらもう絶対会えない――」

???「まあ、待ちなよ君達」ザッ

ポケモンセンターの方角から、ガムを噛みながら一人の少女が歩んできた。
フード付きのジャケットに短パン姿、被った帽子からは二つに縛った明るい黄緑の髪がチラリと見えている。

コイキング親父「ん?なんだい嬢ちゃん、あんたもこいつが欲しいのかい?何ならオークション形式にするか?」ククッ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:31:47.98 ID:r5XsKxSz0
???「そのコイキング、ただのコイキングだよね」

まどさや「えっ?」

コイキング親父「な、何を馬鹿な!間違いなく色違いのコイキングだ!」

???「じゃあもう一度見せてよ」

コイキング親父「そ、それはだな……」

???「できないの?近くで見られたらバレるから?赤い部分がまだ残ってるとか?」

コイキング親父「ぐっ…そんなに言うなら見てみろってんだ!」ボンッ

???「ふむ。そこの君、水をぶっかけてあげなさいな」

さやか「あたし!?ミジュか"みずでっぽう"!」

コイキング親父「ばっ…やめろぉぉおおおぉぉおお!!」

コイキングは水を浴びるとみるみる色が落ち始め、結局真っ赤な普通のコイキングに戻ってしまった。

さやか「……おじさん、あたしらを騙したの?」クルッ

???「もう逃げちゃったよ」

コイキング売りの男性は、既に山を走って下りている最中だった。
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:33:18.84 ID:r5XsKxSz0
???「詐欺師ってのは達の悪い連中だよね。人を騙して自分たちの私腹だけ肥やすせこい奴らだよ
    このコイキングは私が野生に返しておくよ」シュパン

まどか「ありがとうございます、危うく騙されちゃうところでした」

???「気にしなくていい。まだ騙されていなかったのだから、次から気を付ければいいだけの話さ
    ところで、君達はグンマーのポケモントレーナーなんだよね?」

さやか「そうですよー。あなたはカントーの人なんスか?」

???「いや、私もグンマー出身だよ。今日は野暮用でね」

まどか「お名前聞いてもいいですか?私は鹿目まどかです」

さやか「あたし美樹さやか!」

???「ご丁寧にわざわざどうも。BUTだがしかし、あまり易々と人前で名を名乗るのは控えた方がいいぞ
    また騙されるかもしれないからね…信用できるまではやめておくことだな」

まどか「うっ…気を付けます……」

???「神那ニコだ」

さやか「え?」

ニコ「私の名前…せっかくだから私も名乗ることにしたよ」

まどか「はぁ……えっと、信用して貰えたってこと、ですかね」

ニコ「うむ」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:35:57.85 ID:r5XsKxSz0
ニコ「一緒にいるポケモン達を見れば分かるさ。君達は本当にいいトレーナーのようだね。いや、さっきの詐欺師と一緒にされては困るがね、一応
   ジムバッジを持っているというのも実に興味深い」

さやか「ま、まああたしらもトレーナーですからね。バッジくらい持ってますよ!って言っても、トレーナーになったばかりなんですけどね」

ニコ「へぇ、何日目だい?」

まどか「えっと、本格的にトレーナーになったのは三日くらい前です」

ニコ「!それは凄い、ますます興味が沸いたよ……そんな君達に是非試して貰いたいものがあるんだよ」ゴソゴソ

ニコは背負っていたカバンを開け、何かを探し始めた。
やがて取り出したのは、何やら頭に被せるらしき器具だった。

ニコ「これをどのポケモンにでもいい、つけてみてくれないか。心配しなくても騙そうなんて気つもりはないよ
   できるだけ懐いてないポケモンの方がいいんだが」スッ

さやか「あっ、どうも…懐いてないポケモンなら、さっき捕まえたポケモンの中にいた――」ボンッ

さやかがボールから取り出したのは、一匹のナックラーだった。

出てきた途端その大きな牙をさやかに向ける。

かなり気性が激しい様子だ。
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:38:20.71 ID:r5XsKxSz0
ニコ「ふむ、確かに懐いてなさそうだね」

さやか「ここに来るまでにいろいろ捕まえたんですけど、他のポケモンに比べて特に荒々しいんですよ
    あたしら見た途端、すんごい勢いで襲いかかってきまして」

ニコ「……ナックラーと言えば砂漠に住んでいるのが一般的かと思っていたが、どうもこんな山にもいるらしいね」

まどか「そうなんですよね。図鑑で調べてみたら、脱出不可能の穴を砂漠に作って獲物を待ってるらしいんですけど」

ニコ「図鑑…?ひょっとしてポケモン図鑑のことかい?」

まどか「あ、そうですよ。知ってるんですか?」

ニコ「……いや」

まどか「?」

ニコ「それより、早速被せてみてやってくれないか」

さやか「あいあいっス。さーほら、ナックラーこれを――」

ナックラー「ニャ」ガブリ

さやか「……」

ナックラー「……」グリグリ

さやか「にぃぃぃやぁぁああぁあああああぁぁあああ!!!!」
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:40:16.45 ID:r5XsKxSz0
手を噛まれた。

まどか「さやかちゃん大丈夫!?」

さやか「フゥー…フゥー……こいつぅ、なんて生意気な!」

ニコ「えいや」カポッ

後ろから、さやかが放り投げたあの装置をキャッチしたニコが、あっさりと被せた。

ナックラーは相変わらずまどか達に威嚇をしているが。

ニコ「ありゃ、すまない。私の手元に戻ってきたものだからね」ポリポリ

さやか「い、いえ、助かりました……」アハハ

まどか「なんなんですかこれ?」

ニコ「そうだね…せっかくだから、お礼も兼ねて食事でもしながら話そうか」

さやか「奢り!?行きます行きます!!」

まどか「チャモっちたちも疲れてるみたいだし、ぜひお願いします」

ニコ「……奢るとは一言も言ってないのだが」

三人は峠のポケモンセンターに寄りポケモン達の体力を回復してもらい、センター内のレストランで食事を摂ることにした。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:43:11.02 ID:r5XsKxSz0
―ポケセン内レストラン―

まどか「学習装置?」

ニコ「元はね。あれは私なりにアレンジしたものさ」

さやか「アレンジですか?」モグモグ

ニコ「あぁ。学習装置とは、持たせたポケモンが戦闘に出ていなくても経験を積ませることができる道具さ」

さやか「戦わずして強くなれるってことですか?凄いじゃないですか!」モグモグ

ニコ「必ずしもそうとは限らないがね……で、従来の学習装置はそれなんだが、私が作った物は懐きやすくする効果も付属してある」

まどか「戦っていないのにそんなことできるんですか?」

ニコ「安らぎの鈴という鈴がある。あまり世間に出回っていないんだが、この鈴の音色を聞くとポケモン達が懐くのだ
   私が作った学習装置には、この鈴の音色が発生する仕組みを組み込んである」

さやか「なるほど、つまり、戦わずして強くもなり懐いてもくれるということっすね」モグモグ

ニコ「それが理想だね。もっとも、作ったばかりだからどうなるか分からない」

まどか「それで私達に使ってみてほしいってことですね」

ニコ「そういうことさね。物を作るのは少し得意なんだ」

さやか「お安いご用ですよー」モグモグ

まどか「さやかちゃん、まだ食べてたの…?」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:46:38.77 ID:r5XsKxSz0
さやか「そういうことなら、このナックラーにはあたしらと一緒に旅をして貰うことにしよっかな」

まどか「私達の旅が始まってから増えた初めての仲間だね!」

ニコ「おや、一杯捕まえたんじゃないのかい?」

まどか「そうなんですけど、それは図鑑のために捕まえただけで…先輩が、仲間にするなら一緒に旅をしたいと思えるポケモンの方がいいって
    でも、私は正直なところ、一杯捕まえてみたらどのポケモンとも旅をしてみたくなって迷っちゃってるだけなんですけどね」ティヒヒ

さやか「あたしも迷ってたんですけど、なんかこいつの荒ぶり方を見てたらリオすけと始めて会った頃を思い出したんです
    まだまだ手のかかる奴だけど、これくらいの方が賑やかでいいかなって」エヘヘ

ニコ「いいじゃないか、ポケモンとの付き合い方は人それぞれだ。どんなものであれ楽しくもあり頼もしくもあり、きっと希望の種に満ちている
   そして絶望の種もね……種を食らわば染まりゆく…くわばらくわばら」

まどか「?それってどういう――」

ニコ「ま、そんなわけで私の作った学習装置が正常に機能してるかの報告をして貰いたいわけだから、いずれトキサダメシティに来てくれたまえ」

さやか「あ、トキサダメだったんですか」

ニコ「できるだけ早い方がいいね」

食事の後、二人は預けておいたポケモンを受け取り、ニコにお礼を言って別れた。
ニコはどうやら、ニビシティにあるニビ科学博物館への観光に訪れただけらしかった。

ニコ「中々面白かったよ。君達も是非訪れてみるといいさ」

さやか「是非!って言っても、今日はヘトヘトだから明日にしますけどね」

別れ際に一言、

ニコ「この出会いも一期一会……ポケモンの世界は一笑一笑、なんつって」

と呟いた。

二人に聞こえたのかどうかは分からない。
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:49:00.04 ID:r5XsKxSz0
捕まえたポケモンの入ったボールをQBに送るため、センター内のパソコンの電源を入れる。
マミに教えられた連絡先から、QBを呼びだした。

QB「やあ、君達か。あれからどうだい?図鑑の調子は」

さやか「まあまあ増えたよー」

まどか「データと捕まえたポケモン送るね」

QB「なら、図鑑を開いて右下の――」

言われた通りにデータを送り、ボールも送っていく。

数分後、二人の手元にはアチャモ達四匹、そして新しい仲間のナックラーのボールだけが残った。

さやか「見て見て、新しいあたしの仲間だよ!」ボンッ

ボールから出てきたナックラーは、再び暴れ始めた。

さやか「人にまだ慣れてないみたいでさ〜……ほら、こっち…痛ッ!暴れるな、このっ!……ふぅ。ほら、この子!」

ナックラー「キシャァァ!!」

QB「!……へぇ、そのポケモンはナックラーだね。グンマーのイツ砂漠でもなかなか見当たらないポケモンだよ」

さやか「おぉ!そりゃ凄い!って落ち着け!!」

QB「この調子で頑張ってくれよ。じゃ、僕は忙しいからこの辺でね」

まどか「QBばいばーい」

QB「……君、さてはこの体がロボットだって覚えてないね?……まあいいけどさ」プツン
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:50:08.01 ID:r5XsKxSz0
二人は休憩の後、山を下り始めた。

出てくるポケモンは上りの時に出会ったポケモンと同じだったため、ボールは必要な

かく、逃げるか倒すかを繰り返すだけだった。
さやかはまだ懐かれていないため、ナックラーを出さずミジュマルとリオルに戦闘を

任せていた。

たまにボールから出して様子を見てみるものの、相変わらずさやかの手に噛みついて

ばかりだった。
だが、一応学習装置としては機能しているらしい。

さやか「おっ、なんか大人しくなってる!これはもしや分かってくれた!?」ソッ

まどか「!危な――」

ナックラー「ポニャァ!!」ヒュッ

さやか「うぐぅっ!?」ドゴォ

そっと手を差し出そうとしたさやかに、ナックラーの強烈な一撃が腹部に炸裂した。

さやか「ぐはぁ……ま、まさかの"だましうち"……」ガクッ

まどか「さやかちゃーん!」

レベルアップしたことで、使えなかった技も使えるようになっているようだった。

そんなこんな道中色々あったものの、ポケモンセンターを出てから二時間。
やがて、木々の間から町並みがちらつき始め、長かった道のりに終わりを告げる。

まどか「さやかちゃん、ここ……」

さやか「うん、あたしら遂に……」

まどさや「遂にニビシティに着いたんだーー!!!」ダキッ

静かな町に、二人の声が木霊した。
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 00:52:02.33 ID:r5XsKxSz0
かずみだと思った?残念、タケシでした!
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 01:03:08.49 ID:T3zxJVXuo
乙!
ニコさんがでてくるとはw
おりこやかずみの他のキャラも出てくると思ってていい?w
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/27(火) 19:08:44.30 ID:kbFYzCQz0
>>1
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/03/27(火) 21:59:22.29 ID:6C0m4MnAO
乙です!
ゲームにも登場した街が出てきましたね!どんなキャラが登場するか楽しみです
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/27(火) 23:11:46.47 ID:eyhatQVs0

ニコさん来た!
学習装置+安らぎの鈴とか、シナリオ的にも廃人的にも美味し過ぎるだろ…
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/28(水) 17:21:16.85 ID:8EYzt6zP0
たしかにそれがあれば恩返しの威力上げにマッサージ通わなくてもいいし、
リオルとか懐き度で進化系のポケモンのレベル上げも楽になるしな。
まさに夢のアイテム
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/03/28(水) 18:24:03.28 ID:safFpQDCo
ストーリークリア前なら役に立ちそうだな
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:19:35.63 ID:T4u4Go1H0
sagaって何の意味があるのか実はよく分からない
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:20:21.20 ID:T4u4Go1H0
―ニビシティ―

ポケモンセンターに辿り着いたころには、日はすっかり傾いていた。

道中で使い切ってしまった薬などは明日買うことにして、二人は今日は思いっきり布団で眠ることにしていた。

していたのだが……

ほむら「!」

さやか「あれ?」

まどか「ほむらちゃん…?」

ポケモンセンターから出てきたほむらとアブソルにばったり再会してしまった。

さやか「なんでこんなとこにいんの?学校は?」

ほむら「……別に。学校が終わってからすぐにこっちに来ただけよ」

まどか「電車で?」

ほむら「まさか。ぐる…ウォーグルに乗ってきたのよ」ファサ

さやか「いいなぁ、あたしらも空飛べるポケモン欲しいよねぇ。そしたらこんな山越えなくても済んだのにさ」

まどか「ほむらちゃんはどうしてニビシティに?何か急ぎの用事でもあったの?」

ほむら「……用ってわけでもないわ、ジムバッジを取りに来ただけよ」

さやか「え!?あんたもリーグ目指すの!?」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:22:30.36 ID:T4u4Go1H0
ほむら「えぇ、悪いかしら?」

さやか「いや、そういうわけじゃないけど……まあ、あんだけ強かったら結構いいとこまでいくかもしれないしね」

ほむら「ちなみにもう取ったわ」パカッ

まどか「もう!?だって、学校が終わってまだ二時間も経ってないのに……」

ほむら「……飛んでくれば来るのに一時間もかからないし、ジムリーダーもすぐに倒すことができたもの」

さやか「だからって早すぎでしょ…まーた、嫌味な感じになっちゃってまぁ……」

ほむら「それよりどう?ここで一勝負やってみない?」スッ

まどさや「!」

ほむら「もう少しめが……チコリータのレベルを上げておきたいの。お互い一匹ずつなら文句もないでしょう?」

さやか「……いいよ、その勝負乗った!」

まどか「私も!」

ほむら「え?」

さやか「当然!あたしら三人、図鑑所有者初心者同士、やらないわけにはいかないよね!」

まどか「売られた喧嘩は買うしかない、ってね!あ、でもその前に、回復しないとね」

ほむら「……いいわよ、幸いポケモンセンターもここにあることだし、どちらからでも掛かってきなさい」
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:24:05.65 ID:T4u4Go1H0
ポケモン達を回復したあと、三人はポケモン達を引き連れオツキミ山方面の街外れまでやって来た。

ほむら「それで、どっちからやるのかしら」

さやか「三人いっぺんってのはどう?」

まどか「いっぺん?」

ほむら「どういう意味よ」

さやか「所謂ほら、バトルロワイヤル的な感じでさ。ちょうどタイプ的には三つ巴状態なんだし、おもしろそうじゃない?」

まどか「へぇー、なんか楽しそうかも!」

ほむら「ちょっと、そんなルールないでしょ」

さやか「おやーん?転校生さんは自分が戦ったことないルールじゃ嫌嫌〜、って言っちゃうのかな〜?
    トレーナーたるもの、いかなる状況においても戦えるようにしておくべきではなかろうか!」

ほむら「……そんな挑発に乗るのは癪だけど、分かったわ。時間もないからなんでもいいわよ」

さやか「じゃあ決まりだね!」

転校生の ほむらが 勝負をしかけてきた!
http://www.youtube.com/watch?v=edwwBzWEKSI&feature=related
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:25:26.45 ID:T4u4Go1H0
さやか「行って来いミジュか!」 ミジュマル「ミジュジュ」

まどか「チャモっち頑張って!」 アチャモ「チャッチャー!」

ほむら「……」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「めがめが」ボソッ チコリータ「チコッ!」

まどか「あれ?ほむらちゃん、今のって――」

ほむら「"はっぱカッター"」

開幕一番、放たれた葉っぱカッターがいきなり二匹を襲う。
ミジュマルは見切り、アチャモは燃やしてうまく防御に成功した。

さやか「おいこらー!いきなり何すんだー!!」

ほむら「油断している方が悪いのよ。ミジュマルに"つるのムチ"」

さやか「断ち切れ"れんぞくぎり"だー!」

伸びたつるを一太刀一太刀切り刻み、チコリータに向かって前進していく。

切りつけるたびに威力の上がる連続切りは、距離を詰めたころにはすでに威力は最大限にまで高まっていた。

さやか「ラストの"れんぞくぎり"だー!」

ほむら「"まもる"」

最後の一撃は、あっさりと防御されてしまった。

さやか「ありゃ!?なんの――」

まどか「"ほのおのうず"だよ!」

さやほむ「!?」

混戦中の二匹に炎の渦が炸裂し、二匹とも渦の中に閉じ込められてしまった。
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:26:52.71 ID:T4u4Go1H0
さやか「おのれー漁夫の利を狙うとは卑怯なり!ミジュか火を消すんだ!!」

水がミジュマルから溢れだし、なんとか火が消えた。
その渦が消えた瞬間を狙い、アチャモは飛び上がって攻撃の姿勢に入っていた。

まどか「そのまま"つつく"!」

ほむら「"まもる"!そのまま距離をとって!」

攻撃が届く寸前にアチャモを弾き返し、チコリータはさっと後ろに下がった。

ミジュマルはアチャモが攻撃できずに怯んだ所を、すかさずシェルブレードで追撃!
アチャモは吹き飛ばされ、三匹は再び均衡状態に戻った。

まどか「惜しかったのに…チャモっち、まだまだこれからだよ!」

さやか「危ない危ない…サンキュー、助かったよ転校生!」

ほむら「偶然に決まってるじゃない。勘違いしないでほしいんだけど、あなたも敵なのよ」

さやか「分かってるっての!」

まどほむ「それにしても……」

まどか(ほむらちゃんのチコリータ…めがめがちゃん?は相性で有利。でも、さやかちゃんのミジュかは前に戦った時よりもずっと強くなってるし、
    弱点を突かれちゃうから一筋縄じゃいかない……だったらミジュかを――)

ほむら(ミジュマルはどうにかできる…先に倒すべきはまどかのアチャモね。まずはアチャモを――)

まどほむ(先に倒さなきゃ…!!)

さやか「よーし!あたしはめがめがを先に倒す!!覚悟しろい!」ビッ

ほむら「なっ!?」
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:28:25.82 ID:T4u4Go1H0
まどか(ほむらちゃんが怯んだ…!?だったら、いきなり作戦変更!)

まどか「チャモっち、めがめがに"つつく"!」

ほむら「まどかまで!?」

さやか「"つばめがえし"だー!!」

アチャモとミジュマルが左右から、つまり、挟み撃ちの形で同時にチコリータに襲いかかった。
チコリータは逃れられないことを悟り、覚悟を決めた。

ほむら「くっ…!」

二匹の攻撃が炸裂する。

まどか「……」

さやか「……」ゴクリ

ほむら「……」

倒れたのは、アチャモとチコリータだった。

まどか「"カウンター"かぁ…まさかチャモっちを狙われるなんて……」

ほむら「しくじったわね、思ったよりアチャモからのダメージが蓄積されてたみたいだわ」

さやか「と、いうことは……あたしの勝ち!?」

ほむら「少し屈辱ね」

まどか「さやかちゃんとはこれで一勝一敗かぁ」

さやか「〜〜っしゃーー!!!勝ったぞミジュかー!いえーい!!!」

さやかの歓喜の声が響き渡った時、三匹のポケモンは突如光を帯び始めた。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:30:12.87 ID:T4u4Go1H0
さやか「りゃ?」

まどか「こ、これって……」

ほむら「いいタイミングだわ」

拮抗した力を持つ物同士、互いに全力で戦いあった三匹は、同じタイミングで進化を始めたのだった。

ワカシャモ「シャッシャ!」 フタチマル「フム……」 ベイリーフ「ベイ〜」

まどか「チャモっちが進化した!」

さやか「おぉ、ミジュかもより一層逞しくなったね!」

まどか「えぇっと……ワカシャモっていうんだ…カッコよくなったねチャモっち!とっても男の子らしいよ!」

さやか「フタチマルかぁ。今まで通りミジュかって呼んでいいよね?」

ほむら「……お疲れ様」シュゥゥン

さやか「あれ、何処行くの?」

ほむら「ポケモンセンターに帰るだけよ」

さやか「なんだよー、せっかく進化したんだからもうちょっと嬉しそうにすればいいのに」

ほむら「ポケモンの進化は何度も目にしてきたもの、別に驚きはしないわ」ファサァ

さやか「ホントは嬉しいくせに……」

ほむら「……」フイッ
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:32:22.90 ID:T4u4Go1H0
まどか「暗くなってきたね……そういえばほむらちゃん、家に帰らなくていいの?お家の人心配してるんじゃない?」

ほむら「言ってなかったかしら?私は今一人暮らしよ。親はカントー地方のヤマブキシティで働いてるわ」

さやか「そうだっけ?じゃあ今日はそっちに泊まりに行ったりするの?」

ほむら「いえ、まだ帰らないわ。ここでやることも残っているし……ミタキハラに帰るのは明日の朝ね」

さやか「忙しい奴だなぁ」

ほむら「そういう訳だから、私は先に行かせて貰うわよ」クルッ

まどか「あ、ねえほむらちゃん……って、もう行っちゃった…良かったら一緒に晩御飯食べようって誘おうと思ったのに」

さやか「足速いな〜……そういや、こないだの誘拐事件のことはちゃんと言ったの?」

まどか「うん、ちゃんとメールで教えたよ」

さやか「あいつも強いから狙われたりしたら危ないもんね」

まどか「……そう、だね」

二人がポケモンセンターに戻ってみると、そこにほむらはいなかった。
ジョーイさんに聞いたところ、少し前に出掛けてしまったらしい。

ほむらと一緒に食事を摂ることは諦め、仕方なくセンター内のレストランを利用することにした。
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:33:50.05 ID:T4u4Go1H0
ジョーイ「あ、待って!あなた達はニビシティは初めてなのよね?だったらとってもラッキーよ!」 ラッキー「ラキラッキー」

さやか「はぁ…ラッキーが何か…?」

ジョーイ「今日は満月なのよ!オツキミ山でピッピ達の舞が見られるわ!」

まどか「ピッピ達の舞、ですか?」

話によると、オツキミ山では満月の夜にだけ、ピッピ達が集まり舞を見せてくれることがあるそうだ。

もっとも、最近は人が増え始め、徐々にその姿を見かけることが無くなって来たようなのだが。

ジョーイ「こっそり探してみたら、踊ってるところが見られるかもしれないわよ」


―ポケセン内レストラン―

まどか「ピッピ達の舞かあ……ピピっちって、オツキミ山が故郷なんだっけ?」

ピッピ「ピィ?」

まどか「違うのかな……でも、せっかくだから見てみたいよねぇ」

さやか「せっかく珍しいもの見れるってのは嬉しいけど、あたしはパスするわ」

まどか「えぇ!?なんで?一緒に見に行こうよ!」

さやか「ごめん、今日は山登ったり下ったりフラすけの面倒見たり街を歩いたりバトルしたり……もうクタクタだよ」

まどか「フラすけって、もしかしてあのナックラー?」

さやか「ん、そうそう。乙女に噛みつく不埒な奴だからフラすけ。あと少し見た目がフラスコっぽいからフラすけ
    それから意外とフラフラしてるからフラすけ。さらにフランダースの――」

まどか「も、もう分かったよ……」
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:36:03.48 ID:T4u4Go1H0
夕食後二人は部屋へと戻り、さやかは入浴などを終えると真っ先にベッドに入ってしまった。

結局まどかは悩んだものの、旅の思い出ということで一人でオツキミ山を目指したのだった。

幸いにも、観光客などがちらほらと見受けられたため、道中は思いの外賑やかである。

まどか(でも、こんなに人が一杯いたらピッピ達出てきてくれないんじゃないかな……)

入口付近で係員らしき人間が注意を呼び掛けていた。

洞窟の中では静かにすること、必要以上の明かりを付けないこと、舞を見ている最中もとにかく静かにすること。

入る前から既に、まどかはもう、今日は見られないのではないかと不安になっていた。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:37:25.06 ID:T4u4Go1H0
―オツキミ山―

中は案内用の電球が並んでいる以外、明りは一切なかった。
人の声に混じり、遠くからはズバットやイシツブテの鳴き声が微かに聞こえてくる。

初めて訪れた人間にとっては、不気味な印象しか残らないだろう。

まどか(こ、怖い……でも、明りは点けじゃ駄目だっていうからチャモっちに頼めないし……)

ピッピ「ピッピピー!」ピョンピョン

\見てーピッピだよ/ \ここのピッピかな?/ \あの子のポケモンじゃない?/

まどか「もう、ピピっちったらはしゃいじゃって……」ティヒヒ

ほむら「まど――」ポンッ

まどか「ひぃやぁ!?!?」ビクッ

\どうしたのあの子/ \大声出すなって言ってるのに……/ \なんだってんだよー/

まどか「す、すいません……」ペコペコ

ほむら「ごめんなさい、まさかそんなに驚かれるとは思わなかったから」

まどか「だ、だって、いきなり後ろから肩叩かれたら誰だってびっくりするよ……って、ほむらちゃんどうしてここに?
    あ、ほむらちゃんもピッピ達の踊りを見に来たの?」

ほむら「そうとも言えるわね。別に踊りが目的ではないけれど」

まどか「?」
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:39:00.04 ID:T4u4Go1H0
まどか「でも、ほむらちゃんが来てくれてよかったー。私一人だったら心細かったもん」

ほむら「……?」

まどか「あの、つまりね……一緒にいてくれると嬉しいんだけど……」

ほむら「それくらい構わないけれど…ひょっとして怖いの?」

まどか「こんなに暗いとは思わなくって……」

ほむら「……ふふ」

まどか「笑わないでよぉ〜」

ほむら「ごめんなさい、つい……」

まどか「うぅー……」

ほむら「いいわ、一緒に行きましょう」

まどか「ありがとうほむらちゃん!」
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:40:38.26 ID:T4u4Go1H0
案内に従い、二人とポケモン達はピッピ達の舞が見られるという広場までやってきた。

そこは洞窟でありながら上部に大きな穴が開いており、空から月光が差し込んでいるおかげでとても明るい。
広場入口の反対側の高いところには大きな岩が突出しており、中央には小さな泉が湧いている。

周りのちょっとした高台の様な場所には既に何人かの観光客が座っており、じっと黙ってその時を待っていた。

まどか達も場所を見つけ、静かに座った。

まどか「ピピっち、嬉しいのは分かるけど静かにしてなきゃ駄目だよ?」

ピッピ「ピィ……」シュン

ほむら「始まったら一緒に踊らせてあげたら?その方が喜ぶんじゃない?」

まどか「そんなことしても大丈夫かな…?」

ほむら「平気よ。そういうことをしてる人もいるみたいだもの」

まどか「へぇー、ほむらちゃん詳しいんだね」

ほむら「っ!……が、ガイドブックに書いてあったの……」

まどか「そうなんだ!いつの間にそんな――」

ほむら「しっ!来たわよ」

まどか「……わぁ…!!!」

泉に映った月を囲み、ピッピ達の舞が始まった。

ふわふわと浮かび、くるくると回り、飛ぶようなスキップで泉を回る。

柔らかな光に包まれたピッピ達が心地よく歌い踊っている。

時に激しく、時にゆったり、規則正しく、思い思いに。

見ている人を虜にしながら不思議な踊りは続いていく。
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:41:35.90 ID:T4u4Go1H0
どれくらいの時間が経ったのか、ピッピ達はピタリと動きを止めていた。

まどか「……終わり…?」

ピッピ達はその翼に月光を集め、ふわふわと空中に浮かび上空を目指す。

一匹、また一匹と、大きな岩に触れていく。

触れた瞬間、ピッピ達は光に包まれた。

まどか「あの光って、もしかして……」

ほむら「ピッピは月の石で進化するポケモン…あれは巨大な月の石のようね」

ピッピはピクシーへと姿を変え、みんな揃って山の奥へと消えていった。

まどか「ほぁ〜……凄かったねチャモっち、ピピっち……ピピっち?」

一匹を除いて。

ピクシー「ピクッピー!」

まどか「……も、もしかして、ピピっち…?」

ピクシー「ピッ!」グッ

ほむら「さっき踊りの最中に混ざってたわよ。そのまま岩に触れてたけど、気付いてなかった?」

まどか「見惚れてたからつい……いつの間にか進化しちゃったんだね、ピピっち」

客達はうっとりとした表情でその場を次々に離れていった。

やがて、まどかとほむらを残して広場は再び静寂に包まれた。
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:42:15.28 ID:T4u4Go1H0
まどか「ほむらちゃん帰らないの?」

ほむら「ここからが私の用事なのよ」

さっと高台から広場に飛び降りると、ほむらはギギアルをボールから出し、影になっている岩壁をガツガツ掘り始めた。

ほむら「静かにね。そのまま"いわくだき"を続けて」

まどか「ほ、ほむらちゃーん!何してるのー!?」

少し遠くからまどかが呼びかける。

ほむらは黙ってアブソルを行かせた。

アブソル「……」スッ

まどか「えっと、乗っていいのかな?」

アブソル「……」コクリ

まどか「じゃあ、お邪魔しまーす」ソッ

まどかに加え、進化して重くなったワカシャモとピクシーを乗せても、アブソルは軽々と跳んでほむらの元へと運んだ。
そこでそっとまどか達を降ろし、再びほむらにすり寄っていった。

まどか「ありがと、そるそる」

ほむら「っ!?……まどか、どこでそれを…?」

まどか「どこって、こないだほむらちゃんが呼んでたよね?チコリータ…じゃなくって、ベイリーフのこともめがめがって」

ほむら「……」カァァ

まどか(ちょっと暗くてよく見えないけど、ひょっとして照れてるのかな?)
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:43:46.87 ID:T4u4Go1H0
ほむら「……へ」

まどか「へ?」

ほむら「変じゃ、ないよね…?」

まどか「ニックネームのこと?全然そんなことないよ、可愛くっていいと思う!」

ほむら「そ、そうかな……」

まどか「うん!他の子にもニックネーム付けてるんだよね?えっと、ギギアルとウォーグルと、ランプラーだっけ?」

ほむら「えっと……」

ふと音が止み、ギギアルが黙ってほむらを見つめていた。
どうやら目的のものが見つかったらしい。

ほむら「あら、もう出たのね?流石、『ニビははいいろ いしのまち』とはよく言ったものだわ。お疲れ様……」

まどか「……」ジー

ほむら「ぎ、ぎあぎあ、ありがとう」ナデナデ

その表情は変わらないが、少し嬉しそうに上下に揺れた。

まどか「喜んでるみたいだね」ティヒヒ

ほむら「そうね」

まどか「ニックネームを呼ぶのってそんなに恥ずかしいかな?みんな普通に呼んでるのに」

ほむら「そうかもしれないけど、私はポケモンと出会ってまだ半年ほどしか経ってないから……」

まどか「そっかー、この子達とはまだそれだけの付き合いなんだね……それならちょっと分かるかも。私も最初は全然慣れなかったもん」

ほむら「……えぇ、そういうことなの」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:45:23.63 ID:T4u4Go1H0
まどか「ところで、それ何?」

ほむら「闇の石よ。暗い洞窟の奥なんかで見つかるらしいちょっと珍しいものなの
    ここはあの岩の影なことに加えて、岩からのエネルギーの影響を受ける場所でもあるから、こういう物が獲れやすいの」

まどか「聞いたことあるかも…それを取りにわざわざニビシティに?」

ほむら「えぇ。グンマー地方には見当たらなかった……らしいから」

まどか「そうなんだ、あのグンマーにもないものがあるんだね」

ギギアル「ギギギ」ツンツン

ほむら「…?どうしたのぎあぎあ?」

ギギアルは掘り出した場所を見つめ直している。
どうやらまだ何かあるらしい。

ほむら(これは……思わぬ副産物といったところね。ちょっと珍しいけど私には必要ないし……売ろうかしら)

まどか「何かあったの?」

ほむら「いえ、何でもないわ……さ、もう夜も更けてきたことだしそろそろ帰りましょう」

まどか「そうだね」

二人とポケモン達は、ゆっくり並んで歩きながら山を後にした。

初めて会った時とは違い、今は二人ともすんなりと話すことができた。

しかし、ほむらが時々何か引っかかるように言葉に詰まることに、まどかは気付いていた。

まどかは意を決して口を開いた。
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:47:16.86 ID:T4u4Go1H0
まどか「ねえほむらちゃん、聞いてもいいかな?」

ほむら「何?」

まどか「どうして、私にポケモンバトルに関わっちゃ駄目だって言ったり、図鑑所有者は過酷だって言ったの?」

ほむら「他の地方ではね、図鑑所有者になった人たちは須らく皆、何かしらの大きな事件に関わっていたことがあるらしいの
    あなたにもそんな風に事件に巻き込まれて欲しくなかったからよ」

まどか「なら、どうして私なの?他のみんなでもなく、こんな私に言ってくれたの?」

ほむら「別に意味なんてないわ」ファサァ

まどか「嘘、だよね…?なんとなく分かるよ、ほむらちゃんが嘘吐いてるんじゃないかって」

ほむら「……」

まどか「図鑑とモンスターボールをQBから盗んだことと、関係あるの?」

ほむら「……どうして盗んだなんて思うの?」

まどか「……ごめん、証拠も何もないけど、あの時そるそるちゃんが一緒にいたから"どろぼう"したんじゃないかなって思って
    ほむらちゃんと会ったら、ひょっとして共鳴音が鳴るんじゃないかなって思ったんだけど、そんなこともなかったし……」

ほむら「当然よ、私は持ってないもの」

まどか「それって、他の誰かが持ってるってこと?」

ほむら「どうでしょうね。私が盗んだわけじゃないもの」

まどか「……そう、だよね。ごめんね、私ほむらちゃんのこと信じてあげられなくて……」

ほむら「気にしないでまどか。疑われるようなことをしてしまった私が悪かったのよ」

ほむら「それに、こういうことには慣れてるから」ボソッ

何かが聞こえた気がして、まどかはほむらを見つめた。

影のせいか、どこか寂しげに見える。
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:49:22.79 ID:T4u4Go1H0
まどか「……うん、分かった。ほむらちゃんが話したくなるまで待ってるね……その代り、絶対に教えてね?」ニコッ

ほむら「……ありがとう……あなたはいつでも優しいわね」

まどか「ほむらちゃん…?」

そっと抱き寄せられた。

体を震わせ、声は抑えられ、少し優しく暖かく。

その目に涙を浮かべながら。

ほむら「ごめん……ごめんねまどか……」

まどか「ど、どうかしたの?私が泥棒扱いしちゃったからかな!?」

ほむら「うぅん、なんでもない……なんでもないの……ごめんね……」

どうしてこうなったのかまどかは分からないまま、背中をさすったり頭を撫でたりしながらほむらが落ち着くのを待った。

ポケモン達もどうしていいのか分からず、そっと寄り添ったままだった。

どのくらい時間が経っただろうか……

しばらくして、ほむらは体を離した。

ほむら「ご、ごめんなさい……」ゴシゴシ

まどか「私こそごめんね…?私が変なこと言っちゃったから……」

ほむら「違うの、ただの……ただのホームシックだから……」

まどか「本当に大丈夫?」

ほむら「えぇ、もう大丈夫よ…あなたに元気を貰ったから、もう平気」

まどか「あはは、良かったぁ」クスッ

二人がポケモンセンターに帰ってきたのは、零時になる少し前だった。

まどかはほむらと別れ、さやかの待つ部屋へと帰った。
さやかは疲れが出たらしく既に眠っていたので、静かにシャワーを浴びてから、起こさないように布団に潜った。

ちょうど日付が変わったところだった。
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:52:14.26 ID:T4u4Go1H0
〜四日目〜

さやか「んぎゃぁぁ〜〜〜〜!!!!!」

まどか「ひゃっ!?な、何!?」

目を覚まして、いきなり目に飛び込んできたのは今までの目覚めと全く違う景色だった。

頭をナックラーに齧られたさやかがバタバタと転げ回り、フタチマルとリオルがどうにか宥めようとしている。

そしてもう一つ、知らないポケモン達がまどかの横にいた。

まどか「……そっか、二人共進化したんだっけ……ちょっと違和感だね」

さやか「まどかぁ!フラすけどうにかして!!」

まどか「だ、大丈夫?」

ワカシャモとピクシーと初めて朝を迎えた記念すべき日は、実に騒がしい始まりだった。

どうにかナックラーを外して落ち着かせ、レストランで朝食を食べた二人は、いよいよジムに挑戦することにした。

ほむらはどうしたのかとジョーイさんに聞いてみたものの、朝早く出て行ったらしく、挨拶することはできなかった。

さやか「にしても、まさか転校生と一緒に見に行ってたなんてね〜。しかもピピっちちゃんはピクシーに進化してるし」

まどか「私もびっくりしちゃった」

さやか「ま、これでジム戦は楽勝でしょ!進化したこの子らの力を見せつけてやろうじゃん!」

まどか「うん!頑張ろうね!!」

二人はジムの扉を開いた。
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:54:00.22 ID:T4u4Go1H0
案内人「おっす未来のチャンピオン!」

さやか「あ、やっぱり分かっちゃいますか!?いやぁ、さやかちゃんの素質に気付くとは流石ですね!」

案内人「ニビジムのジムリーダーは『強くて硬い石の男』!強靭な岩タイプには半端な攻撃は通用しないぜ!」

さやか「なんのなんの!打ち破ってみせますよ!さあ、行くよまどか!」

まどか「うん!」

案内人「ところで嬢ちゃんら、出身はどこなんだい?」

さやか「あたしら?グンマー地方のミタキハラですけど」

案内人「……へぇ」

まどか「あの、どうかしましたか?」

案内人「いやね、最近グンマーからの挑戦者ばっかりでね、ちょっと辟易とね……しかしそんなことは関係ない!!頑張ってくれー!応援してるぜ!!」グッ

さやか「辟易してるって言ったのに!?すごく嘘臭いわ!」

案内人「あ、そうそう。ここからが大事なことなんだがね」

まどさや「?」

ニビジムは週に何日か、トーナメント方式の予選を行っており、各ブロックで勝ち上がった者のみジムリーダーに挑戦できるとのことだった。

ブロックはAとBの二つ。

つまり、一日に挑戦できるのは二人までということだった。
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:56:03.08 ID:T4u4Go1H0
さやか「何それ!?そんなのあり!?」

案内人「予選の対戦ルールは一対一、ジムリーダーとは勝ち抜き戦オンリーさ。ちなみにエントリーは十時半までだぞ」

まどか「あと五分もないよ!急ごう!」

ギリギリでエントリーし終えた二人は、どちらのブロックで戦うか決まるのを待つだけだった。

さやか「違うブロック違うブロック違うブロック……」ブツブツ

まどか「別のブロック別のブロック別のブロック……」ブツブツ

そして抽選の結果……

さやか:Aブロック まどか:Bブロック

に決まった。

まどさや「やった〜〜!!」

まどか「被らなくて良かったー!!」

さやか「これで二人一気に勝てる可能性が出てきたね!!」

案内人「フフン、果たしてそんなにうまくいくかな?」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 11:58:11.71 ID:T4u4Go1H0
そして予選トーナメントが始まった。

参加しているトレーナーは一般トレーナーに加えジムトレーナーもいるため、一筋縄ではいかなかった。

それでも二人は怯むことなく勝ちを続け、

トシカズ「待ちなー!子供が何の用だ!タケシさんに挑戦なんて10000光年早いんだよ!!」

さやか「あんたの方が子供だろうが!!」

次々と突破していき、

トシカズ「しまった!……10000光年は時間じゃない……距離だ!!」

さやか「……そうなの?」

まどか「だよ」

二人揃って決勝ブロックを勝ち抜き、遂にジムリーダーへの挑戦権を得たのだった。
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:00:31.13 ID:T4u4Go1H0
タケシ「よく来たな。グンマーからの挑戦とは珍しい…俺はニビジムのタケシ!岩タイプのエキスパートさ
    ちょっとやそっとの攻撃じゃ俺のポケモン達は平気、痛くも痒くもないぜ!Aブロックの君、名は何と言う?」

さやか「ミタキハラ出身、美樹さやか!行かせて頂きます!」

タケシ「いい面構えだ……最近は挑戦者が増えてきて俺も無様なところを見せるわけにはいかないからな。使用ポケモンは三体でいいな?」

さやか「どうぞ!」

まどか「さ、さやかちゃん大丈夫なの!?だって、三匹目ってフラすけなんじゃ……」

さやか「平気平気!ミジュかもリオすけも岩タイプの弱点つけるんだもん、なんとかなるよ!」

タケシ「さあ、かかって来い!」

ジムリーダーの タケシが 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=mlRVNT6KGY0&feature=related
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:02:07.72 ID:T4u4Go1H0
タケシ「いけイワーク!!」ボンッ イワーク「ゴァァ」

さやか「一気に決めるよ!ミジュか!」ボンッ フタチマル「マルッ」

タケシ「ほう、やはり水タイプで来たか…だが、こちらが水タイプ対策をしていないとでも思っているのかな?"すなあらし"!!」

イワークから砂嵐が巻き起こり、フィールドを包んでいく。
視界は閉ざされ、半端な攻撃は届きそうになかった。

タケシ「さあ、どう出る?」

さやか「フン、そんなの、嵐を打ち破る威力の攻撃をするだけだよ!"みずのはどう"!!」

宣言通り、強烈な水の攻撃がイワークに襲いかかった!
素早いイワークも咄嗟のことに対処できず、もろにダメージを受けてしまった。

さやか「どうだ!」

タケシ「俺のイワークの"すなあらし"を打ち破るとは中々の威力だ…だが、俺のイワークは『がんじょう』だからな。そう簡単にはやられないぞ!」

体力を僅かに残し、イワークは起き上がったのだ。
その目にはまだ闘志を燃やしている。

タケシ「"じたばた"だ!」

さやか「なっ…反撃だミジュか!」

フタチマルのシェルブレードとイワークのじたばた攻撃が激しくぶつかり合う。
しばしの沈黙の後、倒れたのはイワークだった。
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:03:20.07 ID:T4u4Go1H0
タケシ「イワーク、よく頑張った」シュパン

さやか「ふぅ、危ない危ない…それにしても、最後までしぶとかったなぁ……」

タケシ「俺の相棒をいきなり倒すとはなかなかだ…だが、こいつはどうかな!」ボンッ カブト「カブッ!」

さやか「な、何あのポケモン!?」ピッ

タケシ(!あれはポケモン図鑑か?……フッ、俺としたことが懐かしい奴を思い出してしまったな)

さやか「科学の力でよみがえった化石ポケモン!?科学の力ってすげー!」

タケシ「カブト、"あやしいひかり"!」

キラリと目の前が光に包まれ、フタチマルは混乱状態に陥ってしまった。
足取りもおぼつかず、カブトの位置を全く認識できていなかった。

さやか「ミジュかどうしたの!?頑張れ"シェルブレード"だ!」

タケシ「無駄だ、その状態で無理に突っ込ませようとすると……」

フタチマルは訳も分からず自分を攻撃してしまった。

タケシ「そして止め!"メガドレイン"!!」

たっぷりとエネルギーを吸い取られ、フタチマルは戦闘不能になった。

さやか「そんな……お疲れミジュか」シュパン
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:04:32.96 ID:T4u4Go1H0
タケシ「さあ、次のポケモンはどいつだ?」

さやか「流石に一筋縄じゃいかないよね…いっけぇリオすけ!」ボンッ リオル「リオ!」

出てきてすぐさま、軽いフットワークでカブトを翻弄する。
一晩中走り続けられるリオルには、この程度朝飯前だった。

タケシ「中々のスピードだ。カブト、"アクアジェット"で追い付け!」

さやか「スピードなら負けないよ!」

追いつき追い越され、互いに一歩も譲らないスピード対決が繰り広げられた。
最初に疲れが見え始めたのは、技を仕様し続けているカブトだった。

さやか「チャンス!"いやなおと"だ!」

大音量でジム中に響き渡り、タケシとカブトが一瞬怯んだところに素早くはっけい攻撃が決まり、カブトはあえなくダウンした。

タケシ「よくやったカブト」シュゥゥン

タケシ「なかなかやるようだな。さあ行け、俺の最後のポケモン!」ボンッ ウソッキー「ウッソッソー」

さやか「なっ!?草タイプのポケモンを入れるとは卑怯なり!」

タケシ「勘違いするな。見た目は木でも、この固い身体は岩でできているのさ!"ものまね"だウソッキー!」

ウソッキーはリオルのはっけいを真似して、強力な一撃を撃ち込んできた。
リオルも負けじと応戦し、打ち合いが続く。
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:07:18.05 ID:T4u4Go1H0
さやか「負けるなリオすけ!」

隙を突いた会心の一撃がウソッキーにヒットした。
思わずのけぞったウソッキーは、そのまま動かなくなってしまった。

さやか「……や、やったの…?」

タケシ「……」

さやか「……やったぁ!勝った――」

タケシ「"ふいうち"だ!」

さやか「へ?」

じっとしていたウソッキーが突然動きだし、リオルに攻撃してきた。
咄嗟のことに対応できず、リオルは急所への攻撃を許してしまい、そのままダウンとなってしまった。

さやか「リオすけ!」シュパン

タケシ「悪いな、騙しはウソッキーの得意分野なんでね。これでお互いに残り一体……さあ、何を出す?」

さやか(ま、まずいなあ、フラすけは全然言うこと聞いてくれないのに……でも、やるしかない)

タケシ「どうした?降参するのか?」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「こうなったら一か八か…いっけーフラすけ!」ボンッ ナックラー「グルル……」

さやか「フラすけ、やってくれる?」

ナックラー「……」フイッ

ナックラーはそっぽを向いている。
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:09:13.80 ID:T4u4Go1H0
タケシ「……なんだそのナックラーは、やる気がないのか?俺も舐められたものだな……ウソッキー"がんせきふうじ"だ!」

ナックラーは全く動けずに降りかかる岩石の雨を喰らい、そのまま岩の中に閉じ込められてしまった。

さやか「フラすけ!」

呼び声に応じるように岩がウソッキーに向かって放り投げられた。
ウソッキーはどうにか受け止めるが、さらに二発三発と飛んできたため、慌てて投げ返す。

岩石の応酬合戦となった。

さやか「フラすけ大丈夫!?なにやってんの!?」

タケシ「フン、トレーナーの言うことを聞かず好き勝手暴れ回るか。こんなバトル、いつまで続けるつもりだ?
    君もトレーナーなら、もっとポケモンと息を合わせられるようにしてからバトルしてほしいものだな」

さやか(そうだ、タケシさんの言う通り……フラすけはまだ全然人に慣れてないのに、あたしの都合で勝手にバトルに出して……
    うぅん、それだけじゃない。ニコさんに貰った道具の実験に勝手に付き合わせて…こんなことばっかりやってたら、フラすけだって嫌になるに決まってるよね)

タケシ「ウソッキー、"いちゃもん"をつけるんだ。そうすれば奴も出てくるだろう」

ウソッキーにいちゃもんを付けられ、ナックラーは岩の中から飛び出してきた。

かなりいきり立っているようだった。

タケシ「止めだウソッキー!"がんせき――」

さやか「待って下さい!!!」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:11:07.13 ID:T4u4Go1H0
さやか「あたし棄権します!フラすけに、これ以上戦いはさせられません!」

まどか「さやかちゃん……」

タケシ「それもいいだろう。だが、君のナックラーはまだやる気みたいだぞ?」

さやか「!ちょっとフラすけ、もういいんだよ!」タッタッタ

さやかはフィールドまで駆けだし、ウソッキーに向かおうとするナックラーの前に立ち塞がった。

それでもナックラーは歩みを止めようとしない。

さやか「もういいんだよ、ごめんフラすけ……こんな帽子つけられて重かったよね?あたしの都合で連れ回して怖かったよね?
    よく考えたら、あんたが戦う義理なんてないもんね?」スッ

ガブリとさやかの手に噛みついた。

しかし悲鳴はあげず、そっとナックラーの頭を撫でてやる。

さやか「っ!……気が済んだ?後で野生に返してあげるからほら、ボールに戻ろ?」

ナックラー「……」スッ

タケシ「和解は済んだかい?戦うのか、棄権するのか決まったか?」

さやか「はい、棄権――」

ナックラー「クナァー!!!」ダッ

さやか「ちょ、フラすけ!?」

タケシ「それが答えか…ウソッキー"ものまね"で覚えた"はっけい"だ!」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:13:03.24 ID:T4u4Go1H0
突撃してきたナックラーに、正面からはっけいが叩きこまれた。

ナックラーは地に伏し、ピクリとも動かない。

さやか「フラすけ、なんで……――!」

タケシ「どちらにしろ勝負あったようだな……」

さやか「……すいません。さっきあたし、棄権するって言ったんですけど無しにして貰えませんか?」

タケシ「おかしなことを言う。どちらにしろ、君のナックラーはすでに戦闘不能では――」

さやか「"だましうち"だぁ!!」

勝利を確信し油断していたウソッキーに見事な騙し打ちがヒットした。
ニビに来るまでの山道でさやかにぶつけたような、一際強烈な奴だ。

ウソッキーはそのまま倒れこんでしまった。

今度こそ間違いなく戦闘不能である。

さやか「すいません、得意の騙しをこちらもやらせいただきました!」

タケシ「最後の最後に息の合った攻撃、そして守りを上回る強烈な攻撃……俺の予想以上だ…!このグレーバッジを持っていくがいい!」

さやかはグレーバッジを手に入れた!
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:14:25.06 ID:T4u4Go1H0
タケシ「しかし、喧嘩していたようだったが、最後は息ぴったりだったな。どうしてだい?」

さやか「いやぁ、それも騙しだったってことで一つ……」

タケシ「フッ、まあいいさ。そのポケモンとの絆、少し昔のことをまた思い出してしまった」

さやか「昔の?」

タケシ「いや、何でもない」

さやかはナックラーを引き連れ、フィールドから降りていった。

まどかも慌てて駆け寄る。

まどか「おめでとうさやかちゃん!びっくりしたよ、いきなり棄権するなんて言うんだもん」

さやか「あはは、面目ない……フラすけは戦いたくないのかなって思って棄権するって言ったんだけど、最後倒れた時あったでしょ?
    あの時フラすけと目が合って、絶対に負けたくないって感じの意志を感じたからね……ま、あたしらの思いが一つになったってとこかな」ニッ

まどか「じゃあもう仲直りだね」

さやか「サンキューフラすけ、助かったよ」スッ

ナックラー「……」ガブリ

さやか「……」

ナックラー「……」ギリギリ

さやか「にぃぃぃやぁぁああぁあああああぁぁあああ!!!!」

まどか「さやかちゃーん!」

仲直りできるのは、まだまだ先になりそうである。
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:17:37.98 ID:T4u4Go1H0
しばらくの休憩の後、まどかとジムリーダーとのバトルが始まった。

ただし、手持ちが二匹しかいないことを伝えると、予選と同じく一対一でも構わないとのことなので、甘えさせて貰うことにした。

まどかは岩タイプに有利な格闘タイプを見につけたワカシャモを繰り出し、タケシは相棒の一匹であるイワークを繰り出した。

ワカシャモの素早い蹴り技も、固いイワークにはなかなか効かなかった。

それでも攻撃を続け、互いに一歩も譲らないまま舞台は最終局面へ――

タケシ「イワーク、"りゅうのいぶき"!」

まどか「チャモっち、"ほのおのうず"!」

二つがぶつかり合い、激しい衝撃波が生まれる。

その隙を突いて攻撃してきたのはイワークだった。

残り少ない体力を利用し、じたばた攻撃を決めるつもりだ。

まどか「チャモっち"カウンター"だよ!」

それをうまくいなされ返しの一撃を叩きこまれたイワークは、ついにダウンしてしまった。

タケシ「うむ、炎ポケモンらしい熱い戦い、実に見事!君にもこのグレーバッジを授けよう」

まどかはグレーバッジを手に入れた!
バッジケースに、また一つ新しい輝きが灯った。
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:20:24.86 ID:T4u4Go1H0
さやか「おめでとまどか!」

まどか「ありがとうさやかちゃん!」

タケシ「グンマーにはいいトレーナーが育っているようだね。昨日もグンマーからの挑戦者の相手をしていたんだが、なかなか手強かったよ」

まどか「ほむらちゃんのことだね」

タケシ「弱点対策だけでなく、それを打ち破ってくる相手への対処も考えなきゃ駄目だなあ」ブツブツ

グゥー

さやか「あはは、いいバトルしたからお腹空いちゃった」

まどか「私も〜、お腹ペコペコだよ」

タケシ「昼食かい?ニビにはいいレストランが多いからね、色々探してみるといいさ」

さやか「へ?いや、あの、何かご馳走してくれるんじゃ……」

タケシ「……君は何を言ってるんだ?」

まどか「さやかちゃん、それグンマー地方の伝統だってば」

タケシ「?」

まどか「えっと、実はですね――」

まどかは簡単に、グンマーではジム戦後に食事が振る舞われるということを説明した。
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:22:36.22 ID:T4u4Go1H0
その後ポケモンセンターに寄った後、タケシに教えて貰った食堂で昼食にした。
ジムリーダー行きつけだけあって、とても美味しかったらしい。

午後からはニコお勧めのニビ科学博物館に向かった。

博物館は平日の昼間ということもあって客は少なく、二人はのんびりと見学をした。

途中リオルが騒ぎ過ぎて注意されるというハプニングもあったのだが、それもまた一興。

たっぷりと見学した二人はポケモンセンターに戻って、今後の進路を決めることにした。

まどか「とりあえず今日は休んで、明日からだけど……トキサダメシティを目指す?」

さやか「だね。これも返さなきゃならないし」

さやかは手に持った学習装置を見つめる。
結局効果があったのかどうかは分からないが、もう使うのはやめようと思っていた。

さやか「アスナロシティも気になるけど、ここは最後のお楽しみってことにしとこっか」

まどか「じゃあ、明日は」

まどさや「絶対に電車で!」

まどか「トキサダメシティを目指すっと……あぁ、でも、その前にミタキハラに寄ってもいいかな?」

さやか「ん?なんで?」

まどか「ちょっとした挨拶っていうか、せっかく路線の途中にあるんだし、ママ達に無事だよっていう報告とかしておきたいかなって
    それに、マミさんなら多分、ミタキハラからトキサダメまでの道中のポケモンも捕まえなさいって言うと思うし……」

さやか「あぁ、確かに言いそう……じゃ、明日はミタキハラに一時帰宅だね!」

まどか「うん!」

その日はゆっくり休み、翌日、二人とポケモン達はミタキハラシティへと向かった。

こうしてまどか達のカントー地方への遠征は無事終わりを告げたのだった。
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/30(金) 12:25:19.12 ID:T4u4Go1H0
〜四日目・朝〜―ミタキハラシティ―

早朝、静かな住宅街に羽ばたく音が響いた。

ほむら「お疲れ様ぐるぐる」シュパン

ほむらは自分の家へと帰ってきていた。

そっと鍵を開けて中に入る。

ほむら「あら、もう起きてたの?早いわね」

ほむら「そうよ、これが闇の石。色々あって苦労したわ……さあ、らんらん」ボンッ

ランプラー「フラ〜」

ランプラーに石を近づけると、ぶるぶると体を震わせ姿を変えていき、進化を始めた。

シャンデラ「シャラ〜ン」

ほむら「……うん、似合ってるわ!可愛いわよ、らんらん」

ほむら「え?……さやかにも同じことを言われたけど、これでも結構喜んでるのに」

ほむら「そうだ、図鑑図鑑」ピッ

ほむら「シャンデラの炎に包まれると魂が吸い取られ燃やされる。抜け殻の体だけが残る……」

ほむら「ふふっ、あなた結構怖いのね?でも、心配しなくても私があなたに魂を吸われることはないわ」

ほむら「だってこの体はもう――」
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/30(金) 12:32:56.13 ID:T4u4Go1H0
さあ、タケシなんて奴は放っておいてサクサク倒して次に行こうか
色々と詰め込み過ぎた感はあるけど気にしない

暁美ほむら…イッタイナニモノナンダ

そしておまけ
まどか
ワカシャモ(カウンター、にどげり、炎の渦、高速移動)
さやか
フタチマル(水の波動、シェルブレード、見切り、連続斬り)
リオル(はっけい、バレットパンチ、嫌な音、カウンター)
ナックラー(噛みつく、騙し打ち、怪力、砂地獄)
タケシ
イワーク(じたばた、岩落とし、龍の息吹、砂嵐)
ウソッキー(岩石封じ、不意打ち、まねっこ、いちゃもん)
カブト(原子の力、メガドレイン、怪しい光、アクアジェット)
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/03/30(金) 12:43:43.18 ID:QXE7e7XAO
乙かな?
ほむほむと一緒に旅がしたいよぉぉぉぉぉ!!!!!!
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/30(金) 13:19:49.98 ID:YfmpVJj0o
何か不穏なフラグがぁぁぁぁ……
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/30(金) 15:16:47.60 ID:rFp3ThIHo
これはいいまどほむ
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/03/30(金) 17:27:21.31 ID:jjr38PEg0

順調に(勝手にやってる)まどか達の手持ちの整理が進んでますぜ!
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/03/30(金) 23:18:47.09 ID:vXUNAd4AO
タケシのジム戦はポケスペ方式か
タケシの独白を見るに時間軸の設定はポケスペの延長かな
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/03/31(土) 12:48:50.46 ID:BS5zeAYAO

完全にポケスペ通りのタケシだったらフタチマルだけにやられるんだろうな
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/03/31(土) 13:40:36.23 ID:P8v74DkAO
乙です!
オツキミやまの観光客の中にDPのライバルが紛れてなかった?
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/04/01(日) 13:26:12.19 ID:luej9oAAO
そういや、マグマ団にホムラって奴がいたよな……
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 14:48:03.83 ID:VbkBVWXo0
ほむほむがウヒョ!とか言うのか…
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/01(日) 18:07:00.84 ID:niKAchZ80
うわぁ、今さらだけど1レス抜けてやがる…別に特別なくてもいいレスだけどせっかくだから

>>291
偶然じゃないかな、うん
DPライバルは割と好きなキャラだ

>>288
技はまとめるつもりないから有難い
個性も一応決めてるから書けそうならどっかに書くことにする

ってなわけで>>281と>>>>282の間に↓のを
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/01(日) 18:07:29.55 ID:niKAchZ80
タケシ「ははぁ、それでうちにも期待されてたわけか」

さやか「いえ、ここがグンマーじゃないって忘れてたあたしが悪いんで」グゥーキュルゥ

まどか「じゃ、じゃあ私達そろそろ行きますんで……」

さやか「ありがとうございました……」グゥー

タケシ「あ、あぁ……代わりと言っちゃなんだが、俺のオススメはトキワの森方面にある『はいいろ食堂』だ」

まどか「ありがとうございます、是非行ってみますね!」

ずるずるとまどかに引きずられながら、さやかもジムを後にしたのだった。

タケシ「……なんだろう、負けたのとは別のもやもやが」

もやもやは気にしないことにして、タケシは明日からの修行メニューを考えることにした。
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:36:05.56 ID:MQM3cjgY0
こんな感じでどうでしょう

まどか:がんばりやな性格、ちょっぴり強情。
さやか:やんちゃな性格、少しお調子者。
ほむら:さみしがりな性格、考え事が多い。
マミ:おっとりな性格、ちょっぴり見栄っ張り。
杏子:いじっぱりな性格、食べるのが大好き。

異論は概ね認める
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:37:30.76 ID:MQM3cjgY0
〜五日目〜―ミタキハラシティ―

二人がニビシティを出発してミタキハラシティに到着したのは、ちょうど正午を過ぎた頃だった。

初めての電車で騒ぎまくったリオルのせいで色々な人に怒られたのも、一興ということにしておく。

数日ぶりに二人はミタキハラに帰ってきた。

さやか「ん〜〜!懐かしいねぇ、この感じ」

まどか「ほんのちょっとしか離れてないのに、すごく久しぶりな感じするもんね」

さやか「仁美やマミさんはまだ学校だろうし、とりあえず、愛しの我が家にでも帰りますか!」

まどか「だね。ピピっちとチャモっちが進化したことも報告しとかなきゃだし……放課後は学校に、だよね?」

さやか「おう!成長したあたしらっぷりを見せつけてやろうじゃないか!

まどか「で、明日は朝早く集合ね。じゃないとずるずると家でだらけちゃいそうだし」

さやか「あはは、まったくもってその通り……じゃ、一旦解散ね!」

まどか「ばいばーい」

駅で解散した後、まどかは五日ぶりのミタキハラを眺めながら家路に就いた。

特に何も変わっていないはずなのに、どこか小さく、狭くなった気もしてくる。

まどか(あれだけ歩いたら駅から家までの道なんてすぐだよね〜)

<まてまてー

<マネマネ〜

まどか(よかった、タッくんもマネネも元気そうだね)

相変わらず賑やかな、五日のぶりの我が家だった。
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:38:45.55 ID:MQM3cjgY0
抜き足差し足忍び足……

まどかとピクシーでこっそりと、庭で遊ぶタツヤとマネネに近づいていく。
幸い全く気付かれていないようだ。

まどか「だーっれだ?」ガバッ

ピクシー「ピックピー?」バッ

タツヤ「あえー?だれー?」

マネネ「マネー?」

まどか「正解は〜……私でしたー!」

ピクシー「ピシシシ」クスクス

タツヤ「あー!ねーちゃおかえりー!パパーねーちゃかえってきた―!!」

マネネ「マーネマネマネー!」

知久「どうしたタツヤー?」

家の中から知久の声が聞こえてくる。

チャーレムと一緒に部屋から出た知久は、まどかを見るや否やすぐに駆け寄ってきた。

知久「まどか、帰ってたのか!電話くらいしてくれればいいのに」

まどか「えへへ、ごめんね。ちょっと驚かせたかったから」

知久「そりゃ驚いたさ……おっ、君はピピっちだよね?いつの間にかピクシーになってるじゃないか!それにあれはワカシャモ……もう進化したのかい?」

まどか「頑張ったんだよ!」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:41:20.86 ID:MQM3cjgY0
家に入り、深呼吸をしてみる。

懐かしい、何も変わっていない。

荷物を置きリビングで知久に飲み物を用意してもらい、まどかはほっと一息つく。

知久「それで、急にどうしたんだい?まさか、何か辛いことでもあった?」

まどか「全然!今のところ旅はすっごく楽しいよ!実はね――」

まどかはこの五日間のことを報告していった。

まずはカザミノシティに向かう途中でノウハウを教えてもらったこと、初めてさやかとトレーナーバトルをしたこと、初めてジムバッジを手に入れたこと、
長い山を越えてカント―地方に初めて自分の足で踏み出したこと、ニコという人に学習装置を貸してもらったこと、ほむらとオツキミ山でピッぴ達の舞を見たこと、
二つ目のバッジを手に入れたこと、博物館見学をしたこと、トキサダメシティに向かうためにミタキハラシティに戻ってきたということ。

たった五日の出来事だが、とても充実していて初めてのことばかりで、楽しくて、まどかはずっと喋り続けていた。

ただ、余計な心配を掛けたくなかったのか、杏子達を襲った少女のことや『W』の組織のことは話せなかった。

気が付けば、あっという間にさやかとの待ち合わせの時間が迫っていた。

まどか「わっ、もうこんな時間……ごめんパパ、今からさやかちゃんと待ち合わせてマミさんの家に行かなくちゃならないの」

知久「そうなのかい?今日は泊まっていくんだよね?」

まどか「うん、私の部屋まだあるよね?」

知久「あはは、そんなに簡単に片づけたりしないよ。そうだ、晩御飯は何がいい?」

まどか「クリームシチュー!」

知久「了解!たくさん作って待ってるからね」

まどか「ありがと!チャモっち、ピピっち、行こう!」

慌てて家から飛び出し、待ち合わせ場所へと走っていった。

知久「やれやれ、忙しい子だな」

タツヤ「ねーちゃどこいったのー?」

知久「ん?お友達の家に行ったんだってさ。よしタツヤ、一緒にクリームシチューの材料買いに行こうか!」

タツヤ「やったー!おかいものー!」

マネネ「マーネネー!」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:43:18.92 ID:MQM3cjgY0
―校門前―

まどか「ふぅ……待ち合わせより遅れちゃった……さやかちゃんはどこかな」キョロキョロ

既に学校は終わっており、帰宅を始めたり部活動を始めたりポケモンバトルをしている生徒達で校庭は徐々に賑わってきている。

さやか「ごめんまどか、待った?」スタスタ

まどか「ううん、私も今来たところだよ」

さやか「おっ、デートで一度は言ってみたい台詞ナンバー1をさりげなく言うとは……流石私のライバルだ!」

まどか「もう、さやかちゃんってば……私はついパパやタツヤ達と話しこんじゃって」

さやか「いいなー、あたしもこの溢れる思いを誰かに話したくて仕方ないのに、うちの親はまだ仕事中だったからね〜……仁美とマミさんを見つけて聞いてもらおう!」

まどか「ほむらちゃんもね」

さやか「そうそう、忘れるとこだった。でも転校生には一昨日会ってるしな〜……」

仁美「あら、まどかさんにさやかさん?」

まどか「あ、仁美ちゃん!久しぶり!」

さやか「やっほー!ちょっと帰ってきたよー!」
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:46:16.65 ID:MQM3cjgY0
仁美「びっくりしましたわ、旅に出られたと思ってましたのに」 エルレイド「レイレイ?」

さやか「まだ旅の途中なんだけどね。レイド君も元気だったかい?」

まどか「明日また出発するから、その前に挨拶しとこうかなって」

さやか「仁美にはあたしらの土産話を聞いてもらおうと思ってね!」

仁美「まあ、それはぜひ聞きたいですわ!せっかくだから、ほむらさんも誘いましょうか」ポチポチ

まどか「ほむらちゃんはまだ教室?」

仁美「いえ、なにやら委員の仕事を頼まれたとかで少々保健室に……ほむらさん、まどかさんの保健委員を継いでますのよ」

まどか「そうなの?あはは、なんだか悪いことしちゃったかな」

仁美「それが元々病弱だったらしくて、本人はちょうどよかったと言ってましたわ」

さやか「あいつが?あたしの記憶にはピンピン動く姿しかないんだけど……」

仁美「時々体調が優れないようですわ。この間も早退してしまいましたし」

まどか「ニビシティで会った時は元気そうだったのにね」

さやか「全くですなぁ」

仁美「ニビシティ?そんなところまで行ってましたの?」

さやか「おう!ま、その辺は後でたっぷり語っちゃってあげますからね!」

仁美「ふふっ、楽しみですね」
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:49:14.64 ID:MQM3cjgY0
マミ「楽しそうねあなた達」

さやか「マミさーん!ご無沙汰です!」

まどか「こんにちは」

マミ「久しぶりね、どうしたの二人とも?ニビの後はてっきりアスナロシティに向かったのかと思ってたのに」

さやか「まあ、色々ありまして」アハハ

仁美「今からその辺のお話をお聞かせもらえるというので楽しみにしてるんですの」

まどか「そういえば仁美ちゃん、今日は習い事ないの?」

仁美「ふふっ、お休みを頂いてるんですの。なぜなら……」スッ

さやか「6個目のジムバッジ!やるじゃん仁美、いつの間に取ったの?」

仁美「先週の土曜日にヒメナシティまで行って参りましたの。そのご褒美のようなものですわ」

まどか「流石仁美ちゃん!見て、私達もバッジ手に入れたんだよ」パカッ

仁美「まあ、もう二つも?お早いですわね」

さやか「そうでしょそうでしょ!もっと褒めるがいいさ」フフン

マミ「やるじゃない二人とも…進化もしてるみたいだし、たった数日で随分成長したみたいね。私も一緒にお話聞いてもいいかしら?」

さやか「もっちろんですよ!」

ピロリーン

仁美「あら、ほむらさんから……」ポチポチ

さやか「なんだって?」

仁美「……どうやら委員会が思ったより長引きそうですので先に帰って下さい、と」

まどか「そうなの?残念だね……」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:51:35.53 ID:MQM3cjgY0
結局ほむらには会えず、仕方なく四人とポケモン達は、いきつけの近所の喫茶店へと向かった。

仁美「そんなわけで、あれ以来ほむらさんとはお友達になりましたの」

さやか「ほうほう。昨日の敵は今日の友、ってやつだね」

マミ「私とも時々お話しをね。さ、次はあなた達の番よ」

まどか「はい。マミさんにはニビの話だけですけどね」

まどかとさやかは、まずは仁美に旅に出てからのことを話した。
二人にとっては何もかも初めてだった出来事も、仁美には馴染みであることも多かった。

それでも、ポケモンセンターに宿泊することや歩いて隣町に行くという些細なことが、お嬢様の仁美にとってはとても興味深いものだったようだ。

次のニビでの話を、マミは真剣に聞いていた。
自分が訪れるかもしれないジムのことだから、尚更だ。

ジムリーダーとは本気のバトルをすることになるであろう。
弱点の対策もかなり本腰を入れているようなので、マミはまた鍛え直そうと思っていた。

ついでに、新しくナックラーが仲間に加わったことを、マミはとても喜んでいた。

マミ「こういう出会いがあるのがポケモントレーナーの面白いところよね」

とのこと。

まどかもまた、いつか増えるであろう自分の仲間にワクワクを隠しきれなかった。

すっかり話し込んでしまい、辺りはとっぷり闇に浸かっていた。
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:54:01.00 ID:MQM3cjgY0
さやか「おっと、だいぶ暗くなってきたね。うちの親も帰ってる頃かな」

まどか「ほんとだ。私も帰らないと心配かけちゃうかも」

仁美「ではそろそろお開きにしましょうか」

マミ「そうね。それにしても、二人ともいいトレーナーに成長してるみたいで安心したわ。これからも頑張ってね!」

さやか「いつか追いついてみせますよ!」

まどか「仁美ちゃんにも負けないからね!」

仁美「こちらこそ負けませんわ!このままのペースだと本当に追いつかれそうですし、私も本腰を入れないと……」

マミ「次に会うときはもっと成長した姿を見せてくれることを期待してるわよ」

まどさや「はい!」

会計を済ませ喫茶店を出たところで、外が騒がしいことに皆気が付いた。

道行く人々はざわつき、一つの方向を目指している。

いや、その表現は間違いで、ある方向から遠ざかっていると言った方が正しいだろう。
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:56:49.26 ID:MQM3cjgY0
さやか「騒がしいね、なんかあるのかな?」

\公園でポケモンが暴れてるぞー/ \逃げろー/ \誰か何とかしてくれ/

仁美「ポケモンが?」

通行人「おい、あんたらも逃げた方がいいぞ。あいつらめちゃくちゃに暴れまわってやがる!」

まどか「ど、どんなポケモンなんですか?」

通行人「さあ……俺はこの辺で見たことねえが、黒と青のふさふさしたちっこいのと頭が二つある奴がたくさんだ
    とにかくそこら中に"たいあたり"ぶちかましたり"かみつい"たりしてやがる!じゃあな!」タッタッタ

さやか「行っちゃった……ど、どうします…?」

マミ「あなた達は逃げてもいいわよ。私は様子を見てくるから」

まどか「マミさんが行くんなら、私も行きます!」

さやか「あたしも!一人で行くなんて危険ですよ!」

マミ「二人とも……オッケー、状況にもよるけど、気を付けていくわよ!」

まどさや「はい!」

仁美「あ、待って下さい!私も行きますわ!」

マミを先頭に、まどか、さやか、仁美の順番で人々の流れに逆らって進んでいく。
人が少なくなってきた頃合いを見計らって、四人はボールからポケモン達を繰り出し戦闘に備える。
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 10:59:56.95 ID:MQM3cjgY0
―ミタキハラ公園―

近付くにつれ、辺りに地響きが鳴り空気が震え始めた。

遊具などが置かれている公園の一角、そこにポケモン達が大量に発生して暴れまわっていた。

マミ「あのポケモンは……やっぱりモノズとジヘッドね」ピッ

まどか「目が見えなくて体当たりしたり噛みついてまわりを探る……うわっ、ほんとに荒ぶってる…!」

さやか「っていうかどんな数だよ!?多すぎない!?」

仁美「ひぃ、ふぅ、みぃ……数えられませんわ」

マミ「このままじゃ公園が大変なことに……なら、大人しくさせるまでよ!」

モノズ「ギャァァス!」 ジヘッド「ジァァァ!!」

さやか「き、来たよみんな!」

まどか「チャモっち、ピピっち!」

全員が攻撃に備えようとした時、モノズ達のものとは別の地響きが聞こえてきた。

まどか(揺れてる?それに、明り…?なんだろ――)

まどか達が振り向いたのと同時に影が三つ飛び出した。
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:03:58.33 ID:MQM3cjgY0
???「キャハハ!まずはとくとご覧あれ!ドンファンによる岩と氷の華麗なるコラボレーション!!!」

影の一つはドンファン。

鋭利な岩は空中が浮かび上がりくるくると回り始めると、向かってくるモノズ達に次々と突き刺さっていく。
そうして一瞬怯んだところに、上空から輝く氷塊が大量に降り注ぐ。

???「お次はルクシオとエレブーの超絶妙技!エレキループダンス!!!」

影の二つはルクシオとエレブー。

エレブーが電気のボールを三つ作り出しそれらを電磁波で繋ぐと、バチバチと火花を散らして大きな電気の輪が出来上る。
同じ要領でその輪を一つ二つと数を増やしていくつもの輪が出来上る。

ルクシオは放り投げられた電気の輪を次々と潜りながら、着地地点にいるモノズ達を爪で切りつけ群れの中を突き進む。

まるでダンスでも踊るように。

一瞬にしてモノズ達は気絶して大人しくなってしまった。

三匹の華麗な撃退ぶりに、まどかは口を開けて見ていることしかできなかった。

背後に目を向けると、まどかはまたその華麗さに見惚れてしまうことになる

煌びやかに、そして華やかに輝きを放っている巨大な舞台。
カラフルな彩色の三角旗は舞台への道を示すように右へ左へ伸びており、その向こうには巨大なテントが僅かに見えた。
僅かというのは、たくさんの影によってその全貌がほとんど見えなかったからだ。

影とはすなわち、大量のポケモン達。
綺麗に列を成し、あるいは重なり合ってタワーを作り、彼らは主の指示を待っていた。

???「アハハ!本日ラストはみんなで大合唱といきましょう!!!ご一緒にご熱唱下さいませ!!」

ポケモン達の声が、一斉に鳴り響いた。

声の衝撃はまどか達には当たらず、まだ意識を保っているモノズ達を的確に狙い撃ち完全に気絶させてしまった。

四人はただただその迫力に圧倒されるばかりだった。
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:06:50.01 ID:MQM3cjgY0
舞台の中央に立つ人が一人。

青と白のツートンカラーのドレスを纏い、角のような三角帽を被った女性。

???「これにて舞台は閉幕!もう大人しくなったよね、アハハハ!君達怪我はないー?」

まどか「あ……ありがとう、ございまし、た……」

???「んー?どうかした?」

さやか「い、いや、なんつーか……凄いっすね、後ろ……」

???「面白かった?アハハ、なら良かった!そう言ってくれなきゃ私も面白くないもんねー」

仁美「……ほ」

マミ「本物、よね…?」

まどか「マミさん?」

マミ「お会いできて光栄です!!」

仁美「ほ、本日はお日柄もよく…あ、いえ、そうでなくて、えと……とにかく初めまして!」

さやか「ちょ、どうしたの二人とも!?」

まどか「そういえば、どこかで見たことあるような……」

マミ「何言ってるの二人とも!トレーナーなら知らない人はいないくらいの有名人じゃない!」

仁美「ポケモンサーカス『ウィッチ団』の団長にして、グンマー地方ポケモンリーグ・チャンピオンの座におられる方…!」

さやか「チャ……」

まどさや「チャンピオン!?!?」

???「お初にお目にかかります。ワタクシご紹介に預かりました通り、ポケモンサーカス『ウィッチ団』団長にしてチャンピオンを務めさせていただいております、ナハト――」

ナハト「ナハト・ワルプルギスと申します。以後お見知りおきをば」ペコリ
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:09:12.32 ID:MQM3cjgY0
ナハト「マリアー、ポケモンたちよろしくー」

マリア「了解しました」

マリアと呼ばれた女性の合図で、サーカスのポケモン達は一糸乱れぬ動きでテントの中へと帰っていく。

後に残ったのはまどか達とナハト、そして倒れたモノズとジヘッドだけだ。

ナハト「君達ポケモントレーナーだよね?ポケモンを見れば中々の使い手のようだね」

マミ「あ、ありがとうございます!お褒めに預かり光栄です!」

ナハト「アハハハ、そんなにかしこまらなくてもいいのに」

マミ「とんでもないです!さっきの攻撃凄かったです!ドンファンの"ステルスロック"と"こおりのつぶて"の迎撃、
   一発で触れた相手を気絶させるほどの電流を爪から流せるルクシオの素早い猛攻…
   そして、サーカスのポケモン達の"りんしょう"による一斉攻撃!全てが見事でした!」

ナハト「ノンノン…エレブーの"エレキボール"と"でんじは"を組み合わせた電気の輪≪エレキループ≫を忘れて貰っては困りますな〜
    あれがないと派手さが足りないんだよね」

まどか「チャンピオンってことは、すっごく強いんだよね?」ヒソヒソ

さやか「なんでそんな人がこんなところに?」ヒソヒソ

???「知りたい?」

まどさや「うわっ!?」

まどか「こ、子供…?」

シャル「初めまして!あたしはシャルロッテだよ!みんなはシャルって呼ぶんだけどね……ま、以後お見知りおきをば」

ブカブカのローブに赤いマントを羽織り、黒字にピンクのドット模様のマフラーとリボンが可愛らしい、10歳くらいの少女がいつの間にかちょこんと立っていた。
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:12:04.96 ID:MQM3cjgY0
シャル「ま、簡単な理由なんだけどね」ペラッ

さやか「これってチラシ……あっ、講演でグンマー巡回中なんだ!」

シャル「そ!今日から一週間はここミタキハラで講演やらせてもらうからよろしくね!!」

ナハト「そういうことなのでーす!是非とも我が『ウィッチ団』の素晴らしいステージを見ていってほしいのですよ!」

マミ「絶対見に行きます!あ、でももうチケットが…!?いえ、当日券があれば…?」

ナハト「アハハ!どうしてもっていうんならチケットいる?」

シャル「いいの団長?まーたマリアに怒られるよー」

ナハト「気にしない気にしない!前途有望なトレーナーに施しをするのはチャンピオンの務めでしょ!!それになにより――」

マリア「面白い、ですか?」ザッ

ナハト「キャハハ!そういうことだよマリア!はいこれチケットね」スッ

仁美「あの、お気になさらなくても私達は自分たちで買えますので……」

さやか「仁美……それは一庶民に対するあたしに対する嫌味と取っていいのかな?あたしの小遣い舐めないでよ?」

仁美「い、いえ、そういうつもりでは……」

まどか「さやかちゃん、どっちにしても私達明日からまた旅に出るんだから意味ないんじゃない?」

さやか「……一日伸ば」

まどか「駄目。だらけちゃう」

さやか「……フッ、そこで反対しなければ旅に連れていくのは許されなかったであろう」キリッ

まどか「もう……あ、そういうことなんで私達は別に……」
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:14:15.13 ID:MQM3cjgY0
ナハト「へぇー、君達は旅の途中なの?」

まどか「一応は。一旦ここに帰ってきたってだけなんですけど」

ナハト「なら気にせず受け取りなよ!これは何処の講演でも使える奴だからさ!!
    旅の途中によった街で運良く再会したら、その時は是非見に来てくれたまえ!」

さやか「そういうことなら遠慮なく頂きます!」バッ

マミ「すいません、ありがとうございます!」

仁美「それではお言葉に甘えて」

まどか「わざわざありがとうございます」

マリア「はぁ……まあ、いいですけどね。あなた達、もう遅いのだから家に帰った方がいいのではないですか?」

ナハト「いいじゃん細かいことは!マリアは相変わらず固いんだから面白くないんだよー」

シャル「そうそう。みんなお友達いーっぱい連れて来てね!」

仁美「ご一緒にいかがですか、マミさん?ほむらさんもお誘いして」

マミ「あら、いいわね」

ナハト「ほむらって?知り合いなの?」

仁美「はい、私達のお友達ですわ」

ナハト「……へぇ、それはいい。是非一緒に見に来てよ」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:18:11.27 ID:MQM3cjgY0
マミ「あ、あの……」

ナハト「ん?」

マミ「か、必ずリーグで勝ち抜いて、挑戦させて頂きます!いつか!絶対に!!」

さやか「ずるいマミさん!あたしだってそうですからね!!」

仁美「え、えぇっと、私もですわ!」

まどか「私もです」

ナハト「……アハハ、いいねそういう目、好きだよ。強い感情≪きもち≫を感じる…‥実に面白いね!!アハハハ!キャハハハ!」

シャル「さ、そろそろあのモノズとジヘッドどうにかしなきゃならないんじゃない?」

ナハト「えぇー、マエバシの時みたいに警察がどうにかしてくれるでしょー」

マリア「既に連絡はしてあります。彼らは野生に返されることでしょう」

まどか「あっ、そっか!この間マエバシシティでポケモンが大量発生した事件を解決したのも、確かチャンピオンって言ってた」

マミ「そう言えばそうね、あの時もこんな風になされたんですか?」

ナハト「キャハハ、勿論!困るよね〜、行く先々で暴れられちゃね〜」

マリア「全くです」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:19:13.95 ID:MQM3cjgY0
ナハト「じゃあねみんな!次に会うときは是非ワタクシ達のステージで……お待ちしております」

三人は並んでテントの中へと帰っていった。
まどかはその背中をずっと見つめたまま動けなかった。

マミ「カッコいい……こんなところでチャンピオンに会えるなんて思わなかったわ」

さやか「流石にオーラってもんが違いますね……ノリで言っちゃったけど、正直全然勝てるイメージが湧かないわ」

まどか「全然どんなポケモン使うのかも分からなかったけど、確かにそうだね」

そう、あくまでドンファンもルクシオもエレブーも、サーカスで芸をするポケモンにすぎない。

チャンピオンのポケモンを、彼女達はまだ知らない。

仁美「お二人と一緒に見られないのが残念ですわ」

まどか「だね。いつかまた、みんなで一緒に見られるときが来ればいいね」

マミ「すっかり遅くなっちゃったわね。三人とも、お家の人は大丈夫なの?」

仁美「あっ!私そろそろ帰らないと……すいませんまどかさん、さやかさん、また会える日を楽しみにしています」ボンッ

仁美はオドシシに座ってすぐに飛び出していった。

碌にお別れの挨拶もできなかったが、すぐにまた会えるだろうとまどかは思った。

さやか「行っちゃった……次会ったときは、バトルできるといいね」

まどか「そうだね」

マミ「あら、私ともお手合わせしてくれるのかしら?」

まどか「ま、マミさんとですか!?」

さやか「そん時はチャンピオンへの挑戦権を賭ける時までお預け、ってことにしときましょうか……」アハハ
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:20:48.58 ID:MQM3cjgY0
マミ「じゃあ私も帰るけど、図鑑のこと忘れないようにね?次はトキサダメを目指すんだったわね?」

まどか「はい。だから、先に隣町のイツサトタウンに寄らなきゃ駄目なんですよね」

さやか「そっからがまた遠いんだけどね〜」

マミ「遠くてもいいじゃない。いい?図鑑を集める基本は歩きなのよ」

まどか「分かってますってば〜」

さやか「一度山道を経験してから行って下さいよ!」

マミ「残念だけど、私は砂漠も雪道も経験してますからね?」

さやか「……スンマセンシタ」

マミ「ふふっ、とにかく頑張ってね。また会いましょう!」

マミもフワライドに乗りゆらゆらと風に揺れながら帰っていった。

さやか「……じゃ、また明日ね」

まどか「……うん、また明日ね」

二人もそこで解散し、自分たちの家路に就く。

まどかにとってマミや仁美と話すのはとても楽しかった。
気兼ねなく話せる友人や頼れる先輩、気を張る必要のない相手とのまったりとした時間。

しかしその楽しいという思い以上に、まどかの中では、早く次の街に行ってみたいという気持ちが強くなっていた。

もっともっと旅がしたい。

まどか(ナハトさんに……チャンピオンに会っちゃったからかな?それとも、私って元々こんな性格だったかなぁ)
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/05(木) 11:24:13.04 ID:MQM3cjgY0
―ウィッチ団・テント内―

ナハト「それにしてもこんなところまで移動してくるなんて思わなかったね、アハハハハ!」

マリア「全く、いちいち騒ぎになるから困ったものです……ねえシャル?」

シャル「むー……だって山の中に逃がしたらそれでいいと思うじゃん」

マリア「まあ、今回はシズルと違って街の近くではありませんでしたから、想定の範囲外と言えばそうなりますが……」

ナハト「いいじゃんいいじゃん、細かいことは気にしない!キャハハ!」

マリア「あなたは気にしなさすぎです、ナハト様。我々の目標をお忘れなく」

ナハト「分かってるって!それにしても、まさか暁美ほむらと知り合いだったなんてね!クフフ、これは面白くなりそうな予感!」

シャル「今のうちに始末しちゃうの?」

マリア「まあ、焦る必要もないでしょう。こちらも準備しなければならないこともありますし」

ジヘッド「ブギャァァ!」ザッ

マリア「あら、まだ一匹残っていたのですね。何処に隠れていたのかしら」

シャル「怖〜、あたしら襲う気満々だよ!」

マリア「ヤミラミ」ボンッ シャル「ゴンベ!」ボンッ

突進してきたジヘッドは、しかし瞬く間に二匹に倒されてしまった。
勿論ヤミラミもゴンベも本気など出していない。

シャル「全然駄目だね〜、弱いポケモンは進化しても弱いんだね」

マリア「我々の厳選されたポケモンに適うはずがありませんよ」

ナハト「アハハ!やっぱり強いポケモンがいっぱいいた方が世の中面白いよね!アハ、アハハアハハハハハアアハハハハハハハ!!!!」

シャル「ありゃ、またいつもの高笑いタイムだよ……」

マリア「まあ、まずは我々も本業に勤しみましょうか。当分のことはシズルとルートに任せておきましょう」

ナハト「アハッアハハハハ!キャハハハハッハハハハ!!」

やがてつられるようにサーカスのポケモン達も笑いだし、夜のテントはいつまでも賑やかに笑い声が鳴り響いていた。
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/05(木) 11:28:12.54 ID:MQM3cjgY0
とりあえずここまで
あんま進んでないけど勘弁

なんでナハトだのマリアだのルートだの省略してるのかというのは、「だってポケモンの世界だから」ってことで
五文字制限…
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/04/05(木) 12:30:41.46 ID:7wPaYRZi0
乙ー

まさかのチャンピオン黒幕(?)だと…
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/05(木) 14:02:37.91 ID:iT9zfHiH0
乙だぜ!
ヒメナシティ=姫名川 イツサトタウン=五里駅
マギカシリーズの地名をフル活用してるのが流石だ

ポケモン世界でもアニメだったら6文字の名前の人とか居るけどな、シューティーとか
チャンピオン黒幕と聞いてポケスペのワタルを思い浮かべた
厳選って事はポケモンの卵を大量に孵化して、低個体値だったポケモン達を山に…あぁ、そういう事か…
となるとシズルはボーマンダ、シャルはサザンドラ使いって事になるのかな
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/05(木) 17:21:15.96 ID:MQM3cjgY0
シューティーとかすっかり忘れてた…なら無理に五文字以下にしなくてもよか(ry

しかし擬人化って難しいわ
もうちょいじっくりキャラを書いていくよう努める

次はイツサトタウンであの子達を出す予定だから、厳選でもしながら舞っててくれると嬉しい
毎度更新のたびに登場人物が増えてるけど大丈夫なのかしらん
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/04/05(木) 22:09:07.17 ID:VoS0N7zAO
ワルプルギスがこんな配役で出てくるとは思わなかった。
他の魔女もこのサーカス所属かな?
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:42:43.27 ID:1NKXb7/j0
>>320
そういうこと
何人かは外出してるけどね
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:43:22.85 ID:1NKXb7/j0
―帰り道―

まどか(あ〜あ、すっかり遅くなっちゃった……ママもう帰ってるかな)

そんなことを考えながら丁度家の前まで来た時、

まどか「あっ」

詢子「ん?まどか?」

帰宅してきた詢子と再会。

詢子「なんだい、もう弱音を吐きに帰って来たのかい?」

まどか「違うよぉ!訳あってミタキハラに寄っただけだもん!」

詢子「ふーん……しかしま、グッドタイミングって奴だな!良く帰って来たぞ我が娘よ!
   そういやピピっちちゃんもチャモっちも逞しくなっちゃって…積もる話は家の中でたっぷり聞こうかな」

まどか「えへへ、任せてよ!」

まど詢「ただいまー!」

知久「おかえり…おや、二人揃って帰宅かい?珍しいね」

タツヤ「ママー!まろかー!」

詢子「そこで会っただけだよーん!今日はまどかの無事を祝ってパーっとやろう!」

まどか「もうママ、明日も仕事なんでしょ?あんまり飲んじゃ駄目だよ」

知久「ハハッ、久々に一家全員集合なんだ、ちょっとだけね…今日はお祝いだ!」

タツヤ「おいわいだー!」

マネネ「マーネマネー!」
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:45:17.99 ID:1NKXb7/j0
知久特製のクリームシチューで食卓を囲み、旅の話に花を咲かせる。
今度は昼に話したことに加えて、つい先程チャンピオンに会ったこともいい土産話だった。

ふと、詢子は意外な一言を口にした。

詢子「へぇ、あのナハトさんに会ったのか」

まどか「あの…?」

詢子「フッ…なぁに、懐かしい思い出さ」

知久「ママはね、負けちゃったんだよ」

詢子「パパ!言わなくていいってば!」

まどか「そうなの!?聞きたい聞きたい!」

タツヤ「ききたーい!」

詢子「タツヤまで……別に面白い話でもないよ、リーグの準決勝でナハトさんに負けちゃったってだけさ
   あれが最後の試合だったんだけどなー……」

グラスを傾け表情を曇らせる。
悔しさも悲しさも押し殺して、夢だったポケモントレーナーをやめて、今は普通の仕事をしている。

まどかには詢子がどんな思いで仕事をしているのか、今はよく分からなかった。

詢子「まあとにかく!あれだろ?サーカスってこれのことだろ?」スッ

まどか「チラシ?貰ってきたの?」
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:48:01.85 ID:1NKXb7/j0
詢子「同僚に貰ったのさ。今度タツヤを連れていこうかなと思ってさ」

まどか「へぇー…私も運が良かったら見れるんだけどなぁ……あれ?」

ふと、サーカスのマークが目にとまった。
外で見せられた時は暗かったことも気が付かなかったが、ウィッチ団も『W』のマークだったのだ。

まどか(ウィッチ団も『W』なんだ……ってまさかね。チャンピオンがいる、しかもサーカス団が悪いことするはずないもんね)

詢子「どうかしたか?」

まどか「!うぅん、なんでもないよ!!そういえば、何がグッドタイミングだったの?」

詢子「お、そうそう忘れてた!待ってろ、今母さんに連絡すっから」ピッピッ

まどか「おばあちゃんに?」

詢子「いいもんあげるよまどか〜、楽しみにしてなよ〜」ムフフ

まどか「?」

電話が繋がったらしく、何やら話をしている。
時折リリーやマリーといった詢子の元ポケモン達の名前が聞こえてくる。

話は終わったらしく、詢子は電話を置いてまどかに向き直った。

詢子「聞いて喜べ〜……なんと!まどかにはポケモンのタマゴをプレゼントだ!」

まどか「……た、タマゴ?」
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:50:58.74 ID:1NKXb7/j0
知久「へぇー、どの子のタマゴなんだい?」

詢子「シャリーとドリーのタマゴみたいだよ。昔から仲悪かったのになぁ、不思議なもんだ」

まどか「シャリーが女の子だったから、じゃあ生まれてくるのは……この子かな」ピッ

図鑑で確かめてみる。
まだ受け取ってもいないのに、今から楽しみになってくる。

詢子「明日ポケセンで受け取りなよ?しっかし、なんでタマゴってのは産んだ瞬間が見られないんだろうな〜……不思議だ」

まどか「ほんとだね……あぁもう、待ちきれないなぁ」ティヒヒ

知久「じゃ、僕からはこれを」スッ

まどか「え、これって……ヒールボールとゴージャスボール?」

知久「ちょっとしたものなんだけどね。まだ仲間は増えてないみたいだし、せっかくだから」

まどか「……ありがとう、パパ。なんだか私だけ施しして貰ってばっかりで悪いなぁ……」エヘヘ

詢子「いいんだよ、今は……まどかが無事に楽しく旅に出ててくれればそれで」

知久「そういうこと!」

タツヤ「ねーちゃがんばれー!」

マネネ「マーネネ!」 チャーレム「レムッ!」 バリヤード「バーリバリー!」

まどか「みんな……うん、私頑張るね!チャモっち、ピピっち、これからもよろしくね!」

ワカシャモ「モッ!」 ピクシー「ピッ!」

まどかはその日早く布団に入った。
それでも明日からの冒険に胸を躍らせ、しばらく眠れなかった。
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:52:31.62 ID:1NKXb7/j0
〜六日目〜

まどか「行ってきます!」

知久「行ってらっしゃい!」

タツヤ「ばいばーい」

詢子「じゃ、一緒にポケセンに行ってくる!」

まどか「うん!」

さやかとはポケモンセンターで落ち合うことにし、二人で一緒に歩いて行く。

まどか(二人っきりで歩くなんて、そういえば初めてかも)

他愛ないことを話していると、すぐにポケモンセンターに着いた。

そこで久しぶりに祖母と祖父と話しつつ、まどかはポケモンのタマゴを受け取った。

初めて見る、ポケモンのタマゴだ。

まどか「凄い、これがポケモンのタマゴ……暖かいね」

詢子「頼んだよまどか!タマゴは元気のいいポケモンの傍にいる方が孵りやすいっていうしね
   っと、もうそろそろ行かなきゃな……じゃあなまどか、元気でやれよ」

まどか「ありがとうママ!行ってらっしゃい!」

詢子「そりゃこっちの台詞だっての!行ってらっしゃい!」

詢子は急いで駆けだしてポケモンセンターを後にした。
それと入れ替わりに、さやかがギョッとしながら中に入ってきた。
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:56:39.66 ID:1NKXb7/j0
さやか「何今の?まどかのママさんがすんごい勢いで走ってったけど」

まどか「ちょっとね……それよりこれ見てさやかちゃん!」

さやか「何それタマゴ!?いいなぁ、誰に貰ったの!?」

まどか「えへへ、おばあちゃん家にいるママのポケモン達がいつの間にか持ってたのを送って貰ったの」

さやか「へぇ、何が産まれるの?」

まどか「んー……それは内緒!産まれるまでのお楽しみってことで」ティヒヒ

さやか「えぇー、何それズルイ……ま、楽しみにしてるよ」

まどか「じゃ、いこっか!」

さやか「おうとも!目指すはイツサトタウンとトキサダメシティ!!」

二人は再び、ミタキハラを旅立った。
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:57:44.45 ID:1NKXb7/j0
―イツサトタウン―

イツサトタウン。

街の中央に大きめの駅がある他、ジムもなく特筆すべきものもない至って普通の町であるが、グンマーのほぼ中央に位置しており訪れる人は少なくない。

さやか「やっと着いた〜!ミタキハラからだと遠すぎるんだよねえ」

まどか「結構時間かかっちゃったね。まずはポケモンセンターで回復しなきゃね」

さやか「それが終わったらさっそくトキサダメ目指す?あ、でもイツ砂漠越えなきゃならないんだよねぇ
    電車もあるけど……まあ、マミさんにも言われたし、歩かなきゃ駄目か」

まどか「準備しなきゃ大変みたいだし、出発は明日にしよっか?」

さやか「だね!そうと決まればさっさとポケセンに行って、午後は買い物にしよう!ここの名物は砂漠のサボテンクレープらしいからね〜」

まどか「さやかちゃん食べる気満々だね」アハハ

通行人1「凄かったよねぇあの子!ホントに未来見えてるのかな?」

通行人2「うんうん!まさかあんたに恋人ができるだなんてねぇ」シミジミ

通行人1「ひっどいなぁ、それどういう意味よぉ!」

ワイワイギャーギャー

さやか「……何だ今の、占いでもしてもらったのかな?」

二人は気にしないことにしてポケモンセンターを目指した。

しかし、どうにも町行く人々の会話に耳を傾けると、先程の通行人と同じような会話が聞こえてくる。

未来が見える、よく当る、エスパー少女、『みくにおりこ』という名前――

どうやら町中の噂になっているようだった。
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 08:58:59.68 ID:1NKXb7/j0
ポケモンセンターで回復を終わらせ、二人で話し合いながら砂漠を渡るための道具を探した。
幸い砂漠を渡るという人は多いらしく、レンタルショップが存在していた。

借りた道具一式はトキサダメシティの姉妹店に返せばいいとのことだ。

二人は明日借りることを伝え店を出てポケモンセンターを目指す、そんな帰り道。

???「ない……ないなぁー、どこいっちゃったんだろう……」ガサゴソ

二つ三つ遊具が置いてある程度の小さな公園、黒い服飾の少女とポケモン達が、何やら四つん這いで草の茂みや遊具の影などを必死に覗きこんでいる。

さやか「……何やってるんだろ?」

まどか「探し物、かな?」

???「……はぁ……」ゴソゴソ

さやか「大丈夫でしょ、ポチエナもいるみたいだしすぐに匂いで見つけられるんじゃない?」

まどか「でも……あれ?これって」ソッ

足元にきらりと光るものを見つけた。

チラーミィの小さな人形の付いたストラップだった。
見た目と違って少し重い。

まどか「あのー!お探し物ってこれじゃありませんかー?」

まどかの呼びかけに、ゆっくりと少女が振り返った。
随分と気だるそうに、冷めた目で見つめ、そっと歩んできた。
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:00:44.68 ID:1NKXb7/j0
???「君、ありがとう……正直諦めそうだったんだ」

まどか「いえいえ、見つかってよかったですね」

さやか「まあ、公園の外ならポチエナでも見つけらんなかったかもね……」

まどか「じゃあ、私達はこれで――」

ガシッ

まどか「……あの、何か?」

???「君のおかげで愛は死なずに済んだよ。私は呉キリカ、是非恩人に礼がしたいんだ」

さやか「愛…?恩人?」

キリカ「どうかな?恩くらい返させて欲しいんだけど……」

さやか「どうするまどか?」

まどか「でも、そんな大したことしてないし……」

キリカ「……いや、ごめん。迷惑だったね、さようなら」スタスタ

さやか「ちょちょちょ、ちょいと待って!せっかくですから、じゃあ、こういうのはどうでしょう?」

キリカ「…?」
331 :ちょい訂正 [saga]:2012/04/10(火) 09:03:06.47 ID:1NKXb7/j0
>>329
>チラーミィの小さな人形の付いたストラップだった。

→小さなチラーミィ人形のストラップだった。

日本語がおかしい
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:06:34.95 ID:1NKXb7/j0
さやか「んー、うまい!」

まどか「ホントだ。これすっごく美味しいね」

キリカの案内で、この街一番のクレープ屋を紹介してもらった。
案内だけでいいと言ったのだが、キリカは聞き入れず、二人の分もクレープ代を出してくれたのだった。

キリカ「むぅ…恩人達は本当にそれでいいのかい?」

まどか「とんでもないですよ、奢って貰っちゃってありがとうございます」

さやか「なはは、決めちゃったのは私だけどね」

キリカ「そうか、ならよかった…本当に困ってたんだよ」

さやか「しまった!ミジュかたちの分忘れてた!!」

まどか「あっ……ちょっと舞い上がっちゃってたね」

キリカ「……ひょっとしたらひょっとして、ミジュかというのは君達のポケモンかい?」

さやか「そうっすよー。あ、でもでも、流石にそこまで奢って貰おうなんて思ってませんからね!」

キリカ「ああ、あ、うん……そう、そうだよね…へぇー、君達、ポケモントレーナーなんだ」

まどか「はい!でもまだまだ駆け出しですけどね」ティヒヒ

さやか「しかしだいぶ強くなってきたつもりですよー!」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:10:13.70 ID:1NKXb7/j0
キリカ「……バトルは」ギリッ

まどか「え?」

キリカ「バトルはそんな軽々しいものじゃない!バトルは全てだ…強いだの弱いだので表わすような奴はバトルの本質を知らない!
    いい!?恩人、君達はバトルの本質を知っているの!?」

突然、キリカが豹変した。

先程までの少し暗い表情もどこへやら、目を見張り声を荒げ仕草は大きく、完全に人が変わっているようだった。

さやか「な、何?キリカ、さん?」

キリカは黙って残りのポケモン達を再びボールから繰り出した。
どのポケモンも呼応するようにいきり立っている。

まどか「何なんですか一体!?」

キリカ「バトル……バトルをしようじゃないか、うん、これ決定」

まどか「ポケモンバトル、ですか?」

キリカ「さあ、贄を差し出しなよ……恩人のポケモンを戦闘不能にするのも、無限の中の有限にすぎないよ」

さやか「なんだかよく分かんないけど、やるしかないか…?」

???「ちょっと待ちなさいキリカ」

キリカの後ろから、サーナイトとチラチーノを引き連れた白い服飾の少女が現れた。

落ち着いた雰囲気で、仁美やマミの様なお上品な空気を醸し出している。

キリカ「ッ!織莉子…?」

さやか「おりこ!?おりこって、この街で噂の占い師さん?」
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:14:16.54 ID:1NKXb7/j0
織莉子「嫌な予感がして来てみれば……ごめんなさいね、少し待ってて貰える?」

キリカ「違うんだよ織莉子!私はただ――」

織莉子「いいのよキリカ、何も言わなくても……戦いのよね?」

キリカ「うっ……あぁぁぁ、そうやってまた私を子供みたいだって思うんだね!?酷いよっ!織莉子なんか、織莉子なんか……」

織莉子「嫌い?」

キリカ「だいっ好き!」

思いっきり織莉子に飛びつきその身を抱きしめた。

その姿は普通の少女の様、まるで甘えるエネコやニャースのようである。

さやか「あの、一体何事なんでございますでしょうか?」

織莉子「貴女達ポケモントレーナーなのよね?少しキリカと私に付き合ってあげてくれないかしら
    キリカってばちょっとした二重人格というか……その、ポケモンバトルのこととなると人が変わっちゃうのよ…勝負しないとなかなか収まってくれなくって」

まどか「私達がポケモントレーナーだって分かったから、バトルをしたい…と」

織莉子「えぇ、簡単にいえばそういうことね」

キリカ「くっくく、逃げるのかい?恩人達は意外とセコイんだね」

さやか「……別に、逃げませんよ。ちょっと豹変っぷりにびっくりしてただけですから」

まどか「売られたケンカは買わせて頂きますよ」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:15:31.77 ID:1NKXb7/j0
キリカ「ふぅーん、くくっ、やる気だね。よし、刻もう」

さやか「じゃあまどか、先にあたしからやるよ」

キリカ「……ふはっ、あはははっ、くだらな変なのっ!やるならダブルバトルと洒落込もうじゃないかっ!!
    二人まとめて好きにかかってきたまえよ!」

まどさや「ダブルバトル!?」

織莉子「あら、初めてなの?せっかく二対二なんだもの、ダブルバトルをやらない理由はないと思わない?使用ポケモンは一人二体」

さやか「いいよ!ダブルだろうがトリプルだろうがかかってこいってんだ!」

織莉子「そういえば自己紹介がまだでしたわね。美国織莉子と申します」ペコリ

まどか「鹿目まどか!」

さやか「美樹さやか!二人合わせて!!……」

まどか「……え、私!?」

さやか「あはは、冗談冗談……さあ、気を取り直していこう!」

キリカ「くくくっ、いいねぇいいねぇ!そうこなくっちゃ恩返しにならないさっ!」

トレーナーの 呉キリカと 占い師の 美国織莉子が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=cWfP71MQusI&feature=related

キリカ「まにゅ〜ん、刻んでくるんだよっ!」 マニューラ「マニュッ!」

織莉子「ダイアナ、行ってらっしゃい」 サーナイト「サーナー」

さやか「なるほどね、あたしらは一体ずつ出せばいいのか…ミジュかゴー!」 フタチマル「フルッ」

まどか「よーし、チャモっち!」 ワカシャモ「シャモッ!」
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:18:02.64 ID:1NKXb7/j0
さやか(図鑑によると……エスパーのサーナイト、悪・氷のマニューラ……チャモっちならマニューラを攻められるけど、サーナイトにやられちゃうし……
    だったら、あたしがサーナイトを足止めできれば…!)

さやか「ミジュか、サーナイトに"みずの――」

キリカ「"ねこだまし"っ!!」

技を繰り出そうとする前に、素早いマニューラの攻撃がヒットする。
突然のことにフタチマルは怯んでしまい技を出せなかった。

さやか「ミジュか!?」

まどか「大丈夫さやかちゃん!」

織莉子「よそ見をしている暇はありませんよ、"サイコキネシス"」

一瞬の隙を突かれワカシャモは念動力によって浮かび上がり、凄まじい強さで地面に叩きつけられる。
反撃をしようにも、動きは止められ得意の蹴り技は届かない。

まどか「チャモっち頑張って!」

最後の悪あがきで口から炎弾が発射され、マニューラに向かう。

しかし被弾する直前、突然方向転換をして上空に向かった。

ワカシャモの最後の抵抗も虚しく、ここで戦闘不能になってしまった。

織莉子「危ない危ない…なんとかダイアナがフォローに回れてよかったわ」

まどか「そんな、一撃だなんて……チャモっちお疲れ様」シュゥゥン
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:19:49.40 ID:1NKXb7/j0
キリカ「なんだい、張り合いがないとはまさにこのことかい……もっと私を楽しませてよっ!」

まどか「ピピっち、お願い!」ボンッ ピクシー「ピクッピー」

さやか「ごめんまどか、あたしが抑えとこうと思ったんだけど……」

まどか「気にしないで…それよりも、この人たち凄く戦い慣れてるよ」

さやか「流石に自信あり、って感じだね……次はこっちに任せて!ミジュか、マニューラに"シェルブレード"だ!!」

キリカ「"こごえるかぜ"だよ」

二匹に向かって冷気の風が流れ込み、油断するとすぐに転びそうなほどに足元が凍った。

だがフタチマルは、逆に滑った勢いを利用して猛然と突っ込んでいく。

さやか「いいぞ…そのまま決めちゃえ!」

織莉子「"ねんりき"」

クイッとサーナイトが指先を動かすと、僅かな力でフタチマルは転んでしまった。

まどか「ピピっち!?」

それだけはない。
少し離れていたはずのピクシーも凍った足場で転ばされ、つるつると滑っていく。

向かう先は一つ――

フタチマル「フミュッ」ガツン ピクシー「クシュッ」ゴツン

二匹は顔面から衝突した。
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:23:19.28 ID:1NKXb7/j0
さやか「ミジュか大丈夫!?」

キリカ「"きりさけ"まにゅ〜ん」

凍った床もなんのその、鋭い足の爪で滑ることなく素早く距離を詰め、フタチマルをに襲いかかる。

負けじと立ち上がり、フタチマルはなんとかその一撃をホタチで防ぐ。

キリカ「あはっ、凄いねっ!止めたねっ!でも!次もあるよ次々つっギ次ぃ!!!」

矢継ぎ早に繰り出されるカギ爪からの猛攻に、フタチマルは必死で応戦するが既に体力は限界に近かった。

まどか「ピピっち、ミジュかを助けてあげて!」

織莉子「させないわ」

遅れて立ち上がったピクシーが援護に回ろうとすると、テレポートしてきたサーナイトが立ちはだかった。

織莉子「!考えたわね……キリカ!ダイアナ!」

まどか「"マジカルリーフ"!」

不可避の攻撃が一直線にサーナイトを狙う。

まどか(あれ!?避けない!?)

サーナイトは落ち着いて指示を待っている。

むしろ慌てたのはまどかの方だ。
なぜならば、その攻撃はサーナイトではなく後ろにいるマニューラを狙っていたのだから。

マジカルリーフは軌道を大きく変えサーナイトを回り込むようにしてマニューラへと向かう。

キリカ「ギリセフだねっ!!」

キリカの叫び声と同時に、マニューラの攻撃がフタチマルの急所を捉え戦闘不能にし、横からのマジカルリーフはマニューラを吹き飛ばした。
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:26:23.65 ID:1NKXb7/j0
まどか(遅かった……でも、それなりのダメージは……!!)

大きなダメージを負ったはずのマニューラは、なぜかピンピンしていた。
サーナイトはもはやピクシーなど気にしておらず、マニューラの方を向いている。

さやか「くっ…お疲れミジュか」シュゥゥン

さやか「ダブルバトルがこんなに難しいだなんて、ちょっと侮ってたかも」

まどか「そんな、着弾と同時に"いやしのはどう"で回復だなんて……どうして分かったの…?」

織莉子「それは……あら、キリカ気を付けて…降ってくるわよ」

さやか「降ってくる…?」

サッと二匹が身構えた瞬間、上空から細かい炎弾の雨が降り注いできた。
それらも難なくかわしていき、結局無傷のままだ。

まどか「チャモっちの"はじけるほのお"……今になって落ちてきたんだ……」

さやか「なんなのよ……なんで分かっちゃうわけ!?」

織莉子「あら、最初に貴女が聞いてきたではありませんか」ニコッ

まどか「!占い師……まさか、本当に未来が分かってるんですか?」

織莉子「クスッ、さあ、どうかしらね」

さやか「マジっすかい……こんなの、勝てるわけないじゃん……」
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:29:12.95 ID:1NKXb7/j0
キリカ「……ふぁ〜……飽きた。次で終わらせよう…そうだ織莉子、後で一緒にクレープを食べようよ」

さやか「なっ…舐めるんじゃないわよ!」

まどか「そうですよ!まだ勝負は終わってないです!!」

キリカ「ふっふふ、そう思うんならかかってきなよ!もっと足掻いて足掻いて足っ掻いてみなよっ!!」

さやか「リオすけゴー!何としてでもあいつらをギャフンと言わせてやるんだ!!」ボンッ リオル「リオッ!」

織莉子「……キリカ、心配しなくてもこの子たちなら貴女を楽しませてくれるわよ」

キリカ「ふぅーん、くくっ、あっはははは!!いいねっ!そうこなくっちゃ楽しくないよ!
    バトルはかくあるべきなんだ!!まにゅ〜ん、奴に"きりさく"だっ!!」

さやか「"バレットパンチ"!」

強靭な脚力による踏み込みで、凍りの足場などものともしない弾丸のような凄まじい速度でパンチが放たれる。

マニューラの腹部に直撃し、思わず身を蹲らせる。

キリカ「構うな!攻撃だよ!!」

織莉子「こちらは"サイコキネシス"」

二匹の攻撃が小さなリオルに向かう――

オリキリ「!?」

かと思いきや、リオルは操られることもなく、マニューラは一心にピクシーを目指している。
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:32:56.49 ID:1NKXb7/j0
織莉子「いつの間に…!」

まどか「"このゆびとまれ"……さやかちゃん今だよ!」

さやか「"はっけい"だぁー!」

リオルの掌底がマニューラの顔面にヒットし、マニューラは一撃でダウンしてしまった。

キリカ「やるねっ、面白っ!」シュパン

織莉子「ならばピクシーを先に仕留めてあげるわ、"サイコキネシス"!」

まどか「"マジカルリーフ"!」

織莉子(まずいわ、かわせない…!)

さやか「そこだリオすけ、"スカイアッパー"!!!」

マジカルリーフがヒットした瞬間を狙い、真下から強力なアッパーカットがヒットした。
的確に急所を狙い撃ち、サーナイトもこれでダウンとなった。

織莉子「……ふふっ、やるわね」シュパン

まどか「はぁ…はぁ……やったね」

さやか「おうとも!これで二対二で追い付いた…勝つよまどか!」

キリカ「やれっ、やってみてくれよッ!!あぼ〜ん!!!」ボンッ アーボック「シャボー」

織莉子「プリンセス」 チラチーノ「キュルーン」

まどさや「いっけぇぇーーー!!!」
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:36:12.60 ID:1NKXb7/j0
―織莉子の家―

キリカ「いや、本当に申し訳ない……トレーナーを見るとつい血が騒いでしまって……」

織莉子「普段はこの通り大人しいのにね」クスッ

キリカ「むぅ…あんまり笑わないでほしいな」

バトルが終わった後、キリカはすっかり大人しくなり非礼を詫びたいと言って、まどかとさやかは織莉子の家に招待された。

美国邸を初めて見た時は、思わず二人は息をのんでしまった。
白を基調とした屋敷は、二人がかつて訪れた仁美の家に勝るとも劣らない豪邸だった。

庭師とメイドに挨拶をしながら案内されたのは、様々な種類のバラが咲き乱れる庭の中にあるティータイム用のテーブルだった。

まどか「でも楽しかったですよ、ポケモンバトル」

さやか「いやぁ、あんなに清々しく負けたけど、むしろいろんな発見ができて面白かったね…ダブルは初めてだったけど奥が深いっスね」

キリカ「……まあ、楽しんでくれたのならそれでいい」

織莉子「昔はこんな子じゃなかったのにね」

キリカ「ちょっ…昔の話は置いといてよ……ほら、お茶持ってきてくれたよ!一息つこうじゃないか」

織莉子「もう……」

メイド「織莉子様とキリカ様はいつも通りでよろしいですね」

キリカ「うん、砂糖三個にジャム三杯でよろしく」

まどさや(シロップでも飲むつもりなのかな……)

メイド「あなた方は如何なさいますか?」

まどか「じゃあ私は――」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:39:51.69 ID:1NKXb7/j0
それからお茶と菓子が準備され、緊張もほぐれてきたところで、まどかはずっと気になっていたことを聞いてみた。

まどか「織莉子さんって、占い師さんなんですよね?未来が見えるとか……」

織莉子「大したものじゃないわ。エスパー少女だなんていう人もいるけれど、昔から少し先のことが見えるくらいなの
    お父様の知り合いの方に未来を見てほしいと言われて。それが当たったらしくて何やら噂が広まってしまって、あっという間にこうなっていたわ……
    確実に見えるわけでもないし、人によっては未来が変わることもあるけれど、それでもいろんな人が訪ねてきて大変なの」

さやか「もしかして、この豪邸はお一人で稼がれたとか…?」

まどか「さやかちゃん、失礼だよぉ」

織莉子「ふふっ、残念だけどこれはお父様のおかげで私は関係ないわ」

キリカ「織莉子のお父様はグンマー地方ポケモン協会の副理事なんだよ」

さやか「ほぇ〜、そりゃまた凄いですね」

織莉子「最近なかなか会えないのだけどね、お父様もお忙しい方だから……」

まどか「あの、せっかくですから私達のことも占ってもらえたりできませんか?これからの旅のこととかちょっと気になってて」

さやか「いいねぇ…安全に旅ができるかくらいなら私も占って欲しいかも」

織莉子「えぇ、お安い御用だわ。迷惑かけちゃったお詫びに二人とも占ってあげるわね」

キリカ「それは悪かったって言ってるじゃないかぁ……」ムスッ

織莉子「冗談よ」クスクス
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:43:24.38 ID:1NKXb7/j0
占いは実に簡単な物で、織莉子がそっとまどかの手を握って瞳を閉じる。

織莉子の前に浮かび上がってきた映像を織莉子が口頭で説明するというものだ。

複雑な物はサーナイトとネイティオがサポートし、バネブーの真珠を水晶玉代わりにして映像を映し出す。

まどかの場合――

織莉子「……砂漠にいるわね……あら、貴女タマゴを持っているのね?でも、何か悪いことが……そう、タマゴが盗まれちゃうみたい」

まどか「そんなぁ!だ、誰にですか!?」

織莉子「……帽子を被ったような人みたいな姿も見えるけど……背が低いから子供かしら?これ以上は詳しくは分からないわね」

まどか「そうですか……大事に持っとかないとだね」

織莉子「次は貴女ね」

さやか「お願いしまーっす!」

さやかの場合――

織莉子「……街が見えるわね……これはどこかしら、大きめの川があるわね……男の子かしら?親しげに話しているのが見えるわ」

さやか「親しげに話す男の子……ま、まさか……」

織莉子「……あら、彼は何か持ってるわね……これは……バイオリ――」

さやか「うわぁぁわぁぁーーもういいですもういいです!!これ以上は勘弁してください!!!」バッ

まどか「良かったねさやかちゃん、旅の途中で上条君に逢えるんだって」

さやか「言うなぁ!!」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:45:37.47 ID:1NKXb7/j0
その時、突然織莉子のネイティオが騒ぎ始めた。

先程まで、他のポケモン達が賑やかにお菓子を食べている中、一匹だけ少し啄ばんだ後はじっと動かなかったネイティオが、バタバタと飛びまわっている。

まるで織莉子に何か伝えたいことがあるかのように。

織莉子「ドロレス?どうしたのドロレス、落ち着きなさい!」

織莉子の言葉にも耳を貸さず、飛び跳ねていたバネブーから真珠を掻っ攫い織莉子に放り投げた。

織莉子「きゃっ……カップの真珠を無理矢理……何か見てほしい未来があるの?」

ネイティオ「トゥートゥー!!」

さやか「ネイティオ……一日中じっとしているのは未来予知で分かった恐ろしい出来事に怯えているからだという……の割には、随分騒いでますね」

まどか「過去と未来を見ていると言われてるんだね」ピッ

織莉子「分かったわ…ダイアナ、あなたも力を貸して」

サーナイト「ナー」

織莉子の肩にネイティオが降り立ち、手に持った真珠にサーナイトがそっと手を添える。

すると桃色の真珠にぼやけた黒い渦が浮かび上がり、やがてそれは形を成していく。

詳しくは分からないが、巨大ポケモンらしき影の前にまどかが立っている姿が確認できた。

そして対峙するように反対側に立っているのは、同じく巨大なポケモンらしき影と長い髪の人影。
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:50:45.85 ID:1NKXb7/j0
まどか「これ、私だよね?後ろにいるのは、ポケモン…?」

さやか「なんだこいつ、見たことないね?しかしでかいなぁ、何メートルあるんだ……」

まどか「反対側のポケモンも知らないなぁ……」

キリカ「こんな大きいポケモンなんて、伝説のポケモンぐらいじゃないのかい」

さやか「って言ったって、グンマーに伝説のポケモンがいるわけもないですけどね」

織莉子「まどかさんが来たからこの映像を見せたのかしら……でも、これが一体何を表わしているのか私にはさっぱり分からないわ」

まどか「……」

さやか「……どうかした?」

まどか「うん……なんだろう、私、前にもこんな感じの映像見たことある気がするんだ……」

さやか「マジ?それっていつどこで!?」

まどか「分からない…全然思い出せないんだけど、でも見覚えがある気がする」

織莉子「ドロレスがこんなに騒ぐことなんて滅多にないわ……まどかさん、何か思い出したら私に連絡してくれないかしら?
    私も何か別のものが見えたら連絡するわ。まだ分からないけれど、嫌な予感がするの」

まどか「は、はい……なんか大事になっちゃったなぁ」

さやか「あたしをからかった天罰ですよ」フフン
347 :またまた訂正 [saga]:2012/04/10(火) 09:52:19.84 ID:1NKXb7/j0
>さやか「あたしをからかった天罰ですよ」フフン

さやか「きっとあたしをからかった天罰ですよ」フフン
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:53:23.27 ID:1NKXb7/j0
結局ネイティオは伝えることは伝えたのか、また大人しくなってしまった。
織莉子とポケ―タイで電話番号を交換した後、ちょうどお茶菓子も切れていたので、暗くなる前にポケモンセンターに帰ることにした。

まどか「色々とありがとうございました。また何かあったら電話しますね」

さやか「キリカさーん、今日はご馳走してもらってありがとうございまーす。次のバトルでは負けませんからね!」

キリカ「あぁ、楽しみにしているよ……ところで二人とも、一ついいかな?」

まどか「なんですか?」

キリカ「君達にとって、ポケモンバトルってのはどういうものだと思う?」

まどさや「楽しいもの!」

キリカ「!……即答だね。理由も聞いていいかな?」

さやか「そりゃまあ、今日も感じたことですし……ね?」

まどか「そうだね、ジムとかでバトルを挑まれた時も、友達とバトルした時も、どんなバトルも同じ物はなくって、毎回違う発見があって……
    負けたら悔しいけど、人やポケモンとこんなにも触れ合えるのは今まで経験したことなかったから……知らないことに満ち溢れているから
    だからバトルは楽しいと思えます」

キリカ「……いいね、私も君達が気に入ったよ。次は全力の私を倒してみせてほしい」

まどさや「はいっ!!」

キリカ「……それで、それが終わったら君達のこ、ここ…恋話とか聞いてみたいなぁなんて……」ゴニョゴニョ

まどか「え?今何て――」

キリカ「別にっ!!じゃあね織莉子、私ももう帰るよ!君達もバイバイだッ!!!」ダッ

織莉子「あらあら、足が速いんだから……ではお二人も御機嫌よう…あなた達の未来が平和でありますように」ニコッ
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:56:33.66 ID:1NKXb7/j0
織莉子「行ってしまったわね……ドロレス、もう何も見えないの?」

ネイティオはあれからあまり動こうとしない。
傍目には分からないが、やはり何かに怯えているのだろうかと織莉子は少し心配になってくる。

織莉子「昔から臆病だった貴女が勇気を出して教えてくれたのよね……」

メイド「織莉子様、ご友人は帰られたのですか?」

織莉子「えぇ、ついさっき……ねえローザ」

ローザ「なんでございましょう」

織莉子「お父様と連絡は付くかしら?」

ローザ「可能ですが、急ぎのご用事ですか?」

織莉子「そういう訳でもないのだけれど、次にお父様が帰られるのは五日後だったはずよね?あまり待っていられないの」

ローザ「かしこまりました、すぐにお繋ぎしてまいります」

織莉子「ありがとうローザ」

庭師「お嬢様、もう庭を片付けても宜しいのですか?」

織莉子「あらルート、お願いしてもいいのかしら?」

ルート「今日はあまり手入れができませんでしたから…これくらいお安いものですよ」

織莉子「ありがとうルート」

ローザ「織莉子様、お繋ぎしました」

織莉子「えぇ、今行くわ」
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:58:22.07 ID:1NKXb7/j0
―織莉子の家・メイド室―

ローザ「ぶはぁぁぁ……マジかったるいんスけど」

ルート「あなたねぇ……さっきまでの方がお上品で私は好きなんだけど…普段からああいう感じにしなさいよ」

ローザ「ちょっ、勘弁して下さいよ姐さん……キャラ作るのこれでも必死なんスから」

ルート「それにしても、毎日毎日薔薇の手入れじゃあ肩が凝って仕方ないわね。私もメイドになりたかったわ」

ローザ「ホントそう思うっスよ……どう考えてもルートさんの方がお似合いっス」

ルート「全く、ナハト様が余計なことを言わなければ……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ナハト「潜入調査?アハハハ、それ面白そうだね!え、ルートがメイドでローザが庭師?そうだ!せっかくの機会だから逆にしちゃおうよ!!
    その方が面白そうだし!!キャハッ、これけって〜〜い!!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ルート「どうしてこんなことに……」ハァ

ローザ「言ってくれればあたしはいつでも交代できるんスよ?あたしはルートさんの部下っスから」

ルート「いいえ、ナハト様の言ったことに逆らうつもりはないわ。頑張りましょう」

ローザ「いつまでやりゃいいんスかねぇ、未来予知少女の監視なんて」

ルート「私達の邪魔をさせなければそれでいいのよ……それまでの辛抱ね」

ローザ「うっす、あたしも頑張るっスよ!」

メイドと庭師、二人の怪しい会話は、まだ誰も知らない。
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 09:59:41.23 ID:1NKXb7/j0
〜七日目〜

朝早く目が覚めた二人は、朝からたっぷり胃に流し込み、この後の苛酷な環境に耐えうる体力を少しでも蓄える。

昨日予約しておいたレンタルショップで砂漠越えの道具一式を借り、早速着替える。

気温はそこまで高くはないが、砂嵐が発生することもあるため目に砂が入らないようにゴーグルを装備し、髪を傷めないよう帽子も被る。
その他諸々の服装に着替え、準備は完了。

じゃんけんの結果、まずはさやかが大きめの鞄を背負い、ゆっくりと歩き出す。

さやか「これは……予想以上に重いかも……」

店主「なぁに、すぐに慣れるさ。道は大丈夫だな?」

まどか「はい!まずは南に下ってポケモンセンターを目指して、それから西に向かっていけばトキサダメシティですよね」

店主「あぁ。早い奴は一日で行けるけど、無理せず途中のポケセンで休憩するのがいいぞ。特に初めての連中には厳しいからな」

さやか「ご忠告感謝です……よしまどか、行くよ!」

まどか「よーし、目指すは砂漠のポケモンセンターだね!行くよチャモっち、ピピっち!!」

さやか「ミジュか、リオすけ、フラすけ……あたしがヤバくなったら頼んだ……」

ナックラー「ふぁ〜……」ヨタヨタ

さやか「……うん、少し不安だけど任せたよ」

二人は砂の地へと足を踏み入れたのだった。
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/10(火) 10:07:55.61 ID:1NKXb7/j0
仲間が増えるよ!やったねまどっち!

バトルにおいて織莉子さんがチートすぎてヤバいけど気にしなーい
完全に未来が読めるわけではないからね

次は少し長いイツ砂漠へ…トキサダメ遠すぎ

SS関係ないけどシングルよりダブルバトルが好きだ
もっと人口増えろ
シングルであまり見ないポケモンもエースになれるというのに
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2012/04/10(火) 13:40:09.30 ID:+GiPP/uAO
>>352

奇遇ですね。自分もダブルバトルが大好きなんですよ。まあ好きなのと勝率は関係ないのですが…。
おりことキリカはこの物語では今のところ悪い人じゃなさそうで一安心しました。『おりこ☆マギカ』の二人は悲しすぎたので。
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/15(日) 19:57:47.51 ID:bBbxJyd70
さて、実験的に一日2〜6レスくらいで毎日更新を目指してみようと思う
何日もつかな…

なんでこの子にこのポケモン?とか書いていこうかな
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/15(日) 20:00:31.42 ID:bBbxJyd70
―イツ砂漠―

グンマー地方に存在する唯一の砂漠エリア。

砂漠といっても線路が敷かれており、歩いて通ることのできる道路も整備されているため、それほど過酷な環境ではない。
海に繋がっている巨大な川が横断しているのが特徴でもある。

物珍しさや砂漠に埋もれる遺跡を目的に、たまに観光客が訪れるが、特に何も見つからないためがっかりする人も多い。

さて、まどか達はというと――

さやか「ポケモンじゃんけん……じゃんけんポン!!」サッ

まどか「私が炎でさやかちゃんが草だからまた私の勝ちだね!」

さやか「ば、馬鹿な……いい加減重いんだけど」

まどか「でもじゃんけんで負けた方が荷物持ちって言い出したのはさやかちゃんだよ?言い出したからには最後まで責任を持ってほしいなぁ」

さやか「ぐぬぬぬ…過去のあたしって、ほんとバカ……」

まどか「見てさやかちゃん、スコルピだよ!まだ捕まえてなかったよね!?」

さやか「多分ね……」ゼェゼェ

まどか「捕まえてくるねー」タッタッタ

さやか「うぅっ、待ってよー……」ヨタヨタ

それなりに楽しそうに旅をしていた。

???「……」ジッ

背後からの陰には気付かずに……
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/15(日) 20:08:45.64 ID:bBbxJyd70
―ポケモンセンター―

さやか「や…やっと着きましたわ……」グテッ

まどか「お疲れ様さやかちゃん。お昼前に着いてよかったね」

さやか「もう空腹と水不足と疲労で干からびそうアンド倒れそうだよ……」

まどか「ティヒヒ、ごめんね?明日からは荷物は私が持つからね」

さやか「おぉぉ、ま、まどか…いや、まどかさんが輝いておられる……か、神…!?」プルプル

まどか「……ど、どうしたのさやかちゃん!?私がじゃんけんで勝ってばっかりだから変な幻覚でも見えちゃってるの!?」ユサユサ

さやか「さて、まずはシャワー浴びたいね」

まどか「急に素に戻らないでよ」

〜1時間後〜

さやか「サボテンステーキうまいねぇ!さすが看板商品、こりゃハマるわ」バクバクガツガツ

まどか「もう、ちょっとびっくりしたよ」

さやか「まさかこんなところで茶番を繰り広げることになるとわね」モグモグ

まどか「しかも自分で言っちゃった……」

さやか「しかしここ広いね、まるでショッピングモールみたい」モグモグ

まどか「お土産とか砂漠越えの道具とかいろいろ売ってあるもんね」

さやか「あたしらもなんか買ってく?郵送もできるみたいだし、実家にでもさ」モグモグ

まどか「うーん、今日もうここに泊まるんだよね?ならせっかくだし見ていこっか?」

さやか「だね…しかしホントこれ美味いな……」モグモグ
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/15(日) 20:15:09.02 ID:bBbxJyd70
ここはさやかの言うようにショッピングモールでありながら、宿泊施設も兼ね備えている、いわばホテルでもある。

八階建ての建物には、一階の質素なポケモンセンターのものから、上階のゴージャスなホテルのものまで様々なランクの部屋が用意されている。
当然ながら二人は節約のために、ポケモンセンターに泊まらざるを得ない。

食事を終えた二人はショッピングへと繰り出した。

まどか「見て見てさやかちゃん、このマラカッチのぬいぐるみ可愛いいよ!」

さやか「うっ…なぜサボテンを今見せるのか……さっきがあんなに食べちゃったのに、なんかちょっと罪悪感出てくるじゃん」

まどか「もう、別にこの子たち食べたわけじゃないのに……」

さやか「そうだ、サボテンで思い出したけど張り紙見た?」

まどか「張り紙って?」

さやか「よく旅行者の荷物が盗まれる事件が起こってるんだって。しかも犯人は野生のノクタスらしいよ
    通称、砂漠の盗賊団……まあ、盗むって言ってもせいぜい食料くらいらしいんだけどね」

まどか「砂漠の盗賊……もしかして、私のタマゴを盗むのってノクタスかな?」

さやか「え、でも帽子被った子供みたいって織莉子さん言ってなかった?」

まどか「ほら、ノクタスって帽子被ってるように見えるし、身長も大体子供とおんなじくらいじゃない?」

さやか「言われてみればそうかも……」

まどか「絶対そうだよ!気を付けないと――っ!?」バッ

慌ててまどかは振り返った。
刺すような視線をその背中に感じたからだ。

人混みの中に特に怪しい影は見当たらなかった。

さやか「どうしたの?」

まどか「今誰かに見られてた気がする……ま、まさか本当に狙われてるのかな…?」
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/15(日) 20:23:13.45 ID:bBbxJyd70
さやか「ふーむ、言われてみればあたしもちょくちょく視線を感じてたんだよね。てっきりこの美貌に見とれてるのかと思ってたけど……」

まどか「う、うーん……」

さやか「いや、突っ込んで欲しいな……でも多分違うんだよね、ここトレーナーばっかりだからさ」

まどか「っていうか、みんなバトルしてるよね?」

デパート内では、あちこちで技を叫ぶトレーナーやポケモン達の鳴き声が響いている。

特に面白いものもない砂漠の観光で、飽き飽きしている客ばかりなのだ。

バックパッカー「ねえ、君たちも観光?良かったら私とバトルしない?」

いせきマニア「ではそっちのあなたは私とどうですかな?」

さやか「やっぱりこういうことか……どうする?」

まどか「買い物なら後でも出来るもんね…買いますよ、その勝負!」

さやか「よくぞ言ったまどか!」

バックパッカー「よし来た!行けメグロコ!」ボンッ

いせきマニア「行きなさいコドラ!」ボンッ

まどか「チャモっちお願い!」

さやか「フラすけゴー!!!」

ナックラー「……」

さやか「……いや、お前ならできる!あたしは信じてるぞー!!!」

結局二人もあちこちで勝負を挑まれることとなり、気が付けばあっという間に日は沈んでいた。
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/15(日) 20:24:59.40 ID:bBbxJyd70
まどか「疲れたね〜……結構勝ててびっくりしちゃった」

さやか「うーん、勝った数はまどかのが上か〜……やるなぁこやつめ」

まどか「えへへ……そういえば聞いた?このホテル今ジムリーダーが来てるんだって」

さやか「なーんかそんなこと言ってたねー…いや、まさか今から挑戦しにいくわけ?」

まどか「流石にジムリーダーさんも忙しいだろうから無理だろうけど、顔くらい見ときたかったなぁって」

さやか「ま、いつか戦う訳だから挨拶くらいできればよかったかもね」

まどか「だねぇ……あっ、そういえば」

さやか「どした〜?」

まどか「全然買い物できてないなぁって」

さやか「……しまったぁ忘れてた!今から買い物は!?」

まどか「お店は開いてるけど、郵送を頼むなら明日にしなきゃ駄目みたいだね」

さやか「くっ……しょうがない、明日にしよっか」ハァ

まどか「その代わりほら、後で食べるおやつでも買っていこうよ!」

さやか「おっ、賛成賛成!」

さやかの意見で、二人はサボテン饅頭にサボテンケーキ、サボテンチョコレートなど、サボテン尽くしのお菓子を購入したのだった。

その後食事や入浴を終わらせた二人は、慣れない砂漠道を歩いたこともあり部屋でのんびりしていたが、
やがて催眠術でもかけられたかのように、どちらからともなく泥のように眠りについた。
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/15(日) 20:30:53.12 ID:bBbxJyd70
ここまで

ピッピ→ピクシー(ピピっち)
ピンクだしアイドルっぽい存在だし、まどかにはぴったりだよねってことで
頑張り屋なところはまどかと一緒
QBの尻尾についていったりオツキミやまで一緒に踊りだしたりと好奇心が強い
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 21:34:43.36 ID:WS90QiTko
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/16(月) 21:36:30.97 ID:qu/cggfF0
追いつけ追い越せ
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/16(月) 21:42:28.07 ID:qu/cggfF0
〜深夜〜

<ドドゴオォォォォォォォォォン

さやか「キュウコンの尻尾モフモフ!?」ガバッ

まどか「ん……さやかちゃんどうしたの…?」モゾモゾ

突然の爆音で二人は目を覚ました。
軽く建物が揺れたらしくさやかの頭もくらくらしている。

さやか「……んにゃ…何かでっかい音がしたような気がしたんだけど」ポリポリ

まどか「音?」

<何事だー

<うわぁなんだこいつら!

さやか「外でなんかあったのかな?」

まどか「なんだろう…行ってみよう」ガバッ

さやか「う、うん」

まどかが扉を開けた瞬間、それを待っていたかのように何者かが侵入してまどかを押し倒してきた。

さらに雪崩のように次々と入りこんで来てゴソゴソと何かを始めた。

僅かにワカシャモ達の短い鳴き声が聞こえたが、それ以外は物音だけだ。

さやか「な、なんなんだあんたら!?」

さやかは咄嗟に部屋明るくすると、文明の利器がその強盗の正体を明らかにした。

ノクタス「フォッフォー」 ノクタス「ノックターン」

さやか「ノクタス!?ってことは、まさかあんたらが噂の砂漠の盗賊団!?」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/16(月) 21:49:42.56 ID:qu/cggfF0
まどか「お、重いよ〜……なんでノクタスがここにいるの…?」

ノクタス「クックク」スッ ノクタス「ノーノー」ゴソッ

さやか「あー!それ明日の為に取っといたサボテン饅頭!!ま、まさか同族の仇を討ちに来たとでもいうのかぁ!?」

まどか「さやかちゃん!それより私のタマゴが!!」

さやか「タマゴ?」

押し入ってきたノクタス達の手にはそれぞれお菓子、モンスターボール、ポケモン図鑑、ポケモンのタマゴがあった。

さやか「ってタマゴどころじゃないよ!いつの間にかミジュか達のボールまで!返せこのっ!!」ガバッ

素早くかわしたノクタス達はそそくさと部屋を離れ、散り散りに逃げていった。

まどか「そ、そんな……タマゴもチャモっち達も奪われちゃった……」

さやか「おまけにお菓子まで…!あ、後図鑑……と、とにかく、追いかけないと…!」

まどか「でも、チャモっち達がいないんじゃ追いかけたって取り返せないよぉ」グスッ

さやか「だからってここにいたってしょうがないよ!まずは追いかけてから考えよう!なんならあいつらゲットしちゃえ!」

まどか「……うん、そうだね…行こうさやかちゃん!」

さやか「そうこなくちゃ!さすが私の嫁ふみゃう!?」ズテーン

まどか「さ、さやかちゃん大丈――あっ!フラすけ!!」

さやか「なぬ!?フラすけ、あんたなんでこんなとこにいんの!?」
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/16(月) 21:55:01.09 ID:qu/cggfF0
さやかが躓いたのは、睡眠を妨害されて露骨に嫌悪感を示しているナックラーだった。

まどか「そういえば、いっつも寝る時は一人でベッドの下で眠ってたっけ?」

さやか「ぐっ……そうだった、初日に一人で勝手に眠ったこいつをあたしの隣に連れてきたらものっそい噛みつかれたんだった……
    まあ、おかげでノクタスに見つからずに済んだみたいだけど」

まどか「でも、これでなんとかなりそうだね!」

さやか「おう!フラすけ、せっかく気持ちよく寝てたのにごめんね?でもね、こんな騒ぎを起こしたのはノクタスなんだよ
    一緒に行って、あいつらにきっついお灸を据えてやろうじゃん!」

黙って頷き走り出したナックラーに続き、二人も部屋を出た。

廊下には同じように被害を受けたらしき人達がしどろもどろしている。

しかし騒がしいのはそれだけが原因ではないようだ。

まどか「見て!騒いでるのはノクタスだけじゃないみたいだよ!」

何処から現れたのか、やたらめったら噛みつくフカマルや、とにかく転がり回るタマザラシ、五月蠅く飛びまわるヤミカラスなど、辺りは騒然としていた。

さやか「一体何が起こってんのよ……でもとりあえず、あたしらはミジュか達をとり返すのが先決だよね」

???「ゼブライカ、"スパーク"だ!」ピシッ

痛そうな鞭の音と共に、さやかに後ろから襲いかかろうとしていたスリープに、横からゼブライカの攻撃が炸裂した。

階段の手前、ベレー帽から覗く白髪のショートヘアと眼鏡の似合う少女が凛として立っていた。
手には乗馬鞭らしきものが握られている。

???「お前ら、危ないから自分の部屋に帰ってな」
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/16(月) 21:59:56.41 ID:qu/cggfF0
さやか「なっ…誰ですかあなた!あたしらあのノクタスに用があるんですよ!!じっとなんかしてられませんからっ!」

???「黙れ、怪我したいのか」キッ

まどか「でも……私達のポケモンが……」

???「それくらい私が取り返してやるからいいから大人しくしてろ。私は浅海サキ…こう見えてもジムリーダーをやらせて貰っている
    こいつらの始末ならすぐに終わる」

さやか「っ!?あんたが噂のジムリーダー…?」

サキ「どんな噂か知らんが既に上階のポケモン達は私のシママとゼブライカが制圧に向かっている
   こっちが終わったらすぐに君らのポケモン達も取り返しに向かうからそれまで待ってろ」

まどか「そんなの……待ってられませんっ!」ダッ

さやか「同じく!」ダッ

サキ「お、おい!……チッ、話の通じない……ゼブライカ、このフロアのポケモン達を大人しくさせたら私達もあの二人の元へ行こう
   しかし、ここのノクタス達は食料くらいしか盗まないと聞いていたが……なんにしても、まずはこいつらを沈めなきゃならんが、流石にここは数が多いな……」

しなる鞭の音に合わせてゼブライカが駆けだした。
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/16(月) 22:01:23.44 ID:qu/cggfF0
まだ大丈夫のはず…

チャモっち(アチャモ→ワカシャモ)
主役五人には各世代の御三家を振り分けてある
アチャモなのは余りもゲフンゲフン…女神まどかが羽生やしてた→じゃあ鳥っぽい奴にしようって感じで
陽気な性格はある意味まどかと反対
個性描写はまだ特にないけど暴れることが好きな模様
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/18(水) 20:58:41.34 ID:LPoiXXHf0
そういえば性格とか個性書く必要ないね
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/18(水) 21:06:46.33 ID:LPoiXXHf0
騒がしい建物から抜け出すと、どうやら上階でも騒ぎになっているらしく偶にガラスが割れて降り注いできた。

人やポケモンの悲鳴が重なり合い、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。

さやか「こりゃ思ったより大事だ…あの人に任せてマジで大丈夫なのかな!?」

まどか「きっと大丈夫だよ、なんたってジムリーダーなんだし……それよりノクタスは何処行ったんだろ?」キョロキョロ

さやか「足跡は……暗くてようわからんし」ジーッ

ナックラー「クニャァ!」

さやか「ややっ、サボテンっぽい影発見!!行って来いフラすけ、"かみつく"だっ!」

颯爽と飛びかかったナックラーを、振り返ったその影が刺々しい腕をふるって叩き落とした。

驚いた影がくねくねと体を動かすと、シャカシャカと軽快な音が辺りに響く。

さやか「チチィ、"ニードルアーム"で反撃とはやりますなぁ」

まどか「待ってさやかちゃん……あのポケモン、ノクタスじゃないみたい」

さやか「え?だって、どう見てもサボテンじゃん!」

まどか「そうだけど、ほらよく見て、花が咲いてるもん」

暗闇に慣れてきた二人は、改めてそのサボテンの影を凝視する。

それはノクタスではなく、どうして攻撃されたのか分からずおどおどしているマラカッチだった。
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/18(水) 21:12:04.70 ID:LPoiXXHf0
さやか「紛らわしいなぁもう……そんなことよりノクタスは何処行った」キョロキョロ

まどか「ごめんね、驚かせちゃったね」

さやか「ややっ、今度こそノクタス発見!!」

ノクタスの集団が近くの岩場に向かって走っていくのを見つけた。
その中に、まどか達のタマゴや図鑑を持っているノクタスも微かに確認できた。

さやか「追うぞまどか、フラすけ!!!」ダッ

まどか「ま、待ってよぉ……あれ、なんだか急に空が暗く――っ!危ないっ!」バッ

咄嗟にまどかが飛び出し、マラカッチを抱きかかえて倒れこむ。
その僅かな差で鋭い爪が空を切った。

遥か上空からマラカッチを狙って急降下してきたのは、目一杯翼を広げたバルジーナだった。

さやか「な、何事だまどか!今の何!?」

まどか「痛た……さやかちゃーん、何でもないよー!こっちは大丈夫だから、それよりノクタス達をよろしくー!」ブンブン

さやか「!分かったー!!こっちは任せとけー!」タッタッタ

まどか「すぐ追いつくからねー!」

さやか「当たり前だっつうのー!」

一瞬迷ったが、まどかの言葉を信じてすぐに振り返りさやかは走り出した。

親友が大丈夫と言ったのだ、大丈夫に決まっている。

そう信じて……
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/18(水) 21:21:43.23 ID:LPoiXXHf0
サキさん(笑)って言われてるけどジムリーダーだから大丈夫だよね

リオすけ(リオル)
青いから……ってのがまず
剣の舞とか神速とかさやかの戦闘スタイルにぴったりだと思ったので
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/18(水) 22:48:42.40 ID:xu4QL4tY0
再現パーティ作りたいので性格と特性くらいまでは書いてくれると嬉しいなって


マミさん好きだから絶対再現パ作ろうとしてたのに、マリルリの色違い……ちくしょう……
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/18(水) 23:23:06.13 ID:zjEbJ/g+o
>>372
つポケトレ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/19(木) 16:27:14.01 ID:q9hCoije0
そういうことなら……

リオすけ(リオル)
青いから……ってのがまず
剣の舞とか神速とかさやかの戦闘スタイルにぴったりだと思ったので
性格はやんちゃ、さやかと似た者同士
博物館や電車で騒いだり、マミさんの家で勝手にうろちょろする辺りイタズラが好きなのかもしれない
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/19(木) 16:36:42.87 ID:q9hCoije0
マラカッチ「マカッマカッ!」ブンブン

まどか「あっ、ごめんね、重かった――ひゃぅ!?」ブワッ

一陣の風が吹いたと思うと、まどかは自分の体がさっきよりも軽くなったことに気が付いた。

心なしか吹くが引っ張られているような気もする。

まどか「きゃっ…わ、私、空飛んでる!?な、なんで……」

バルジーナ「……」ニヤリ

まどか「……あ、ああははははは……」

まどか(どうしよう、これ……)

いつの間にやらバルジーナに連れ去られ、まどかは暗闇に浮かんでいた。

まどか(うわぁ……真っ暗だ…こ、怖すぎる……)

がっちりと服に爪が引っ掛かり、到底抜け出せそうにない。

もっとも、抜け出したところですでに無事では済まない高さまで上昇してしまっているのだが。

まどか(服を脱げば……流石にそれは恥ずかしいし……)   シャカッ

まどか(一体何処に連れていかれるんだろう)        シャカシャカッ

まどか(っていうか、何の音――っ!!)

マラカッチ「マ〜〜……」シャカシャカシャカシャカ

音の正体は、バルジーナのすぐ後ろにまで迫っている飛べないはずのマラカッチだった!

腕をぐるぐると回転させる毎に、マラカスのような乾いた軽快な音が静かな空に響き渡る。

マラカッチ「カッチャー!!」

その腕をバルジーナに向けた瞬間、無数の種が射出された。
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/19(木) 16:44:49.81 ID:q9hCoije0
一瞬の出来事だった。

いないはずのマラカッチが現れ、しかも突然攻撃されたとあっては、流石のバルジーナも獲物を離さざるを得なかった。

まどか「へっ?」

そうしてまどかは、

まどか(あぁ、これ、死んじゃったかも)

闇の底へと沈んでいった。
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/19(木) 16:58:26.06 ID:q9hCoije0
まどか(もうちょっと旅、続けたかったんだけどな……ごめんねみんな……私、こんなところで――)

――諦めないで

まどか(……?今、声が――)ガシッ

まどか「きゃぁっ!」ボフッ

死を覚悟したまどかは、予想に反してふわふわの地面との衝突に思わず叫び声を挙げた。

まどかが落ちた辺り一面、砂漠に気候外れの雪でも降ったかのような、分厚い真っ白な綿に覆われていた。

マラカッチ「マッカララ〜!!」

まどか「これ、あなたがやってくれたの?」

マラカッチ「カッチャ!!」

まどか「ありがとう、助かったよ……これ"コットンガード"の綿かな?下が砂地だったのも運が良かったのかな」

まどか(でもそれだけじゃない……あの時一瞬、誰かに受け止められたような気がしたんだけど……)

マラカッチ「カッチッチ〜」クスクス

まどか「えへへ、でも、とりあえず君には二回も助けて貰っちゃったね……あれ?ちょっと足見せて」

マラカッチ「!」ビクッ

まどか「やっぱり、ちょっと怪我してる……あんなに高く"とびはねる"使ったら自分だって傷付いちゃうのに、それでも私を助けてくれたの?」

マラカッチ「カチッ!」
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/19(木) 17:06:12.48 ID:q9hCoije0
まどか「……本当にいい子だね。傷薬持ってきてないけど、ノクタス達を捕まえようと思って持ってきたボールの中に……」ゴソゴソ

ポケットから取り出したのは、知久に貰った、まどかと同じ綺麗な桃色のヒールボールだった。

まどか「これに一回入ってくれる?そうしたらちゃんとこの傷も治るからね」

マラカッチはこくりと頷いて自らボールに入っていった。

まどかがボールから出すと、先程までの傷跡は全く残っていなかった。

まどか「これでオッケーだね…バイバイマラカッチ、色々とありがとね。私も早くさやかちゃんに合流しないと……」

マラカッチ「…?」キョトン

まどか「…?どうかしたの?」

クイクイっとまどかの裾を引っ張っている。
どうして自分が置いて行かれるのか分かっていない様子だ。

まどか「もしかして……私についてきてくれるの?」

シャカシャカと軽快な音を鳴らして、やはりこくりと頷いた。

まどか「〜〜〜ッ!!!ありがとうマラカッチ!!旅が始まってから初めて増えた私の仲間だよいったぁぁ〜〜!?」

抱きついてしまい体の棘に思わず仰け反ってしまったが、涙交じりの笑顔を浮かべている。

まどか「……じゃあさっそくだけど、ノクタス達から色々取り返すの手伝ってくれないかな?」

マラカッチ「カチッチ〜」コクリ

まどか「えへへ、ありがと――っ!」バッ

ふと、背後に視線を感じてまどかは振り返った。

月が雲に隠れているため、その顔は見えない。

???「……」

まどか「だ、誰…?」
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/19(木) 17:13:35.82 ID:q9hCoije0
お、お前は…!

ミジュか(ミジュマル→フタチマル)
主役五人には各世代の御三家を振り分けてある
青くて刀を使うポケモンなんてこれまたぴったりすぎると思ったので
冷静な性格でさやかとは真逆
実は意外と体が丈夫
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/19(木) 21:44:50.22 ID:q9hCoije0
うわああああまたまた抜けてるレスを発見してしまった
しかも相当前のやつとか……
今更すぎて言うべきか迷ったけどせっかくだから>>160の前に↓を



佐倉父「やあ、娘達から話は聞いているよ。なんでも、ポケモントレーナーになったばかりだというのに、とても筋がいいみたいだとね」

まどか「そんなことないですよぉ」テレテレ

佐倉父「私もジムリーダーとして戦うからには、全力を持ってお相手しようと思う。使用ポケモンは二体、入れ替え戦で構わないね?」

さやか「問題ないですよ」

佐倉父「さて、初めに私の相手をしてくれるのはどちらのお嬢さんかな?」

まどか「私から戦わせて貰います」

佐倉父「了解した。私に勝つことができれば、このチエーロバッジを授けよう
    そうそう、自己紹介がまだだったね。私の名前は佐倉「へくち!」だよ……君、具合でも悪いのかい?」

さやか「あ、お気になさらず」ズズッ

佐倉父「それはいけないね。ポケモンバトルはポケモンだけでなくトレーナーの体調も優れていなければならないのだが……
    しかし、相手になるからには油断せず戦うとしよう」

モモ「おとーさんがんばれー!」

ゆま「師匠!やっちゃってくださーい!」

杏子「こら!お前ら静かにしてろ!」

まどか「愛されてますね」ティヒヒ

佐倉父「ハハッ、少々恥ずかしいね……さて」コホン
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/20(金) 22:27:13.83 ID:nNWJQB/00
しまった結局特性言ってなかったwwww

ピピっち『メロメロボディ』
チャモっち『もうか』
リオすけ『せいしんりょく』
ミジュか『げきりゅう』

だよ

他のポケ達もおいおい
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/20(金) 22:33:06.11 ID:nNWJQB/00
一方その頃さやか達は――

さやか(こいつぁ一体どういうことだ……)

岩陰からこっそり覗き込むさやかの目の前には、ノクタス達の群れとその中に帽子を被った少女が一人退屈そうに岩の上に座っている光景が広がっていた。

独り言も微かに聞きとれる。

ノクタスの他にも、ドククラゲとドクロッグが少女の両隣りに居座っている。

さやかはこの組み合わせに、苦い思い出と共に見覚えがあった。

さやか(杏子達を襲ったあいつだ…!)

シズル「ほほぉ、流石砂漠の盗賊団と呼ばれるだけあるねぇ……ボクの期待以上だよ君達っ!……あり、でも肝心要のジムリーダーのポケモンがいないじゃないか
    せっかくドクロッグの"ばくれつパンチ"で壁に穴を開けてあげたのに、これじゃあ何のために君らをお遣いに向けたのやら」フゥ

さやか(お遣い?ってことはこの事件の黒幕はあいつか!狙いは杏子の時と同じくジムリーダーのポケモンを奪うことか……)

シズル「おっ、それはポケモンのタマゴじゃないか!ラッキー儲けー♪どんな素晴らしいポケモンが産まれてくるかワクワクするねぇ
    あ〜でも、一般人の持ってるタマゴにゃなんも期待できないかなぁ」

さやか(まずいぞまずいぞ〜……ノクタス達だけならなんとかなったかもしれないけど、あいつのポケモンまでいるんじゃフラすけだけじゃ勝てっこないっての)

シズル「何してんの?早くジムリーダーのポケモン奪ってきなよ……じゃなきゃ後が怖いよぉ♪」ギヒヒ

おずおずとノクタス達は走り出した。

横を抜けていくノクタス達の表情は、暗くても分かるほど曇っていた。

さやか(あいつら……ひょっとして脅されてやったのかな……)
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/20(金) 22:42:50.80 ID:nNWJQB/00
ノクタス達がいなくなり、シズルはため息とともに心底退屈そうに愚痴を零す。

シズル「ふぁ〜……しっかしバルジーナ遅いなぁ…どこうろついてんだろう……すぐに帰ってくるっていうから好きにさせてたのにさぁ」

そんなことは気にも留めず、さやかは隠れて頭の中で考える。

ずばり、これからどうするべきか。

さやか(近付いたらまたドククラゲの毒の包囲網に狙われるちゃうし……あぁもう!打つ手ないじゃん!!
    ……っていうかバルジーナがいないって、ひょっとしてさっきまどかを襲ってたのって――)

ふと、岩の影が大きなっていることに気が付いた。

シズル「だーれだ♪」ニコッ

さやか「……あ、ああはははははは……」

シズル「気付いてないとでも思った?ギヒヒ、そこは既にドククラゲの包囲網の中なんだよねぇ」

さやか「えっ……い、いやぁ奇遇ですねぇ!わたくし偶然ここを通りかかったんですけど何かあったんですかね!」

シズル「好きくないなぁ、そういうの……」

さやか「何のことでしょうかね……」

シズル「君の顔見覚えあるんだよねぇ、そう、あれは確か数日前のこと……そういえば盗んできたボールの中にリオルとフタチマルがいたっけ
    あれはひょっとして君のだったのかな?」

さやか「――っ!」

シズル「あははっ、わっかりやすいなぁ!そんでもって、さっきから私に牙むき出しで威嚇してるのはどういう了見なのかな?」

ナックラー「グルルル……」

さやか「いや、あの、こいつってばまだあんまり人に慣れてなくってですね!山で出会って以来ずっとなんですよ!!
    って、なんであたし年下に敬語なんだろうね!?あはははは、あはっ……」

シズル「山?……あはっ、そういうこと!だから怒ってるんだね!傑作!!!」

砂漠全体に響く様な大声で突然笑い出した。

さっきまでの退屈モードは何処へやら、目の前のナックラーをこれでもかと指差しながらひたすら腹を抱えて笑っている。
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/20(金) 22:55:00.81 ID:nNWJQB/00
さやか「あぐっ……」ギリッ

シズル「うーん、このまま締め上げちゃってもいいんだけどどうしよっかなぁ」

サキ「おっと、そこまでにしてもらおうか」スッ

二人の前にゼブライカに乗ったサキが颯爽と現れた。

ホテルのポケモン達は全て撃退され、道中で会ったノクタス達も既に全員体が痺れて動けない状態にされており、ホテル側の事件はサキの活躍によってほぼ収束した。

あとは黒幕を捕まえるだけであり、その役目も買って出たのが、何を隠そうヒメナシティのジムリーダー浅海サキだった。

シズル「おやぁ、ジムリーダーさん自らご登場だね。やっぱ野生のポケモンに任せたのは失敗だったかなぁ」ニッ

サキ「その子を離せ…それと、盗んだ物も返して貰おうか」

シズル「盗んだ物は好きにしなよ、っていうかボクのじゃないしね…ノクタスが勝手に盗んできたやつだもん」

サキ「……卑怯者め」

シズル「ああ、ごめんごめんこの子ね、返してあげるよ。ボクも人質なんて趣味じゃないんだぁ」

シズルの合図で触手からさやかが乱雑に放り投げられた。

すかさずサキがキャッチするも、続け様に投げられたナックラーがぶつけられ、結局バランスを崩し揃って落馬した。

役目を終えた触手は引っ込み、ノソノソとドククラゲとドクロッグがシズルの横に立ち臨戦態勢を整える。

シズル「これで本気出せる?負けた時の言い訳はできないけど、別にいいんだよね?」

サキ「……お前、私を馬鹿にしているな」

シズル「負けたらポケモン頂いてくよぉ♪覚悟してねぇ」

さやか「あ…ありがとうございます…サキさんでしたっけ?あいつ、マジで強いですから気を付けて下さい……」

サキ「フン、君も私を舐めているのか?ジムリーダーとして負けるわけにはいかんからな……だがその前に聞きたいことがある」

シズル「なんだぁい?」

サキ「あの騒ぎはお前が引き起こしたのか?」

シズル「そうだよぉ」ニコッ
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/20(金) 23:02:24.93 ID:nNWJQB/00
サキ「……随分あっさり認めるんだな」

シズル「ギヒヒ、隠したってしょうがないもんね」

サキ「あんなに大量のポケモン、しかも全部野生のようだが……一体どうやって準備したのか知らないが、
   グンマーの平和を妨げる行為は、ジムリーダーとプレイアデスの名の下に許すわけにはいかんな」

さやか「プレイアデス…?」

シズル「プレイアデス星団……グンマー地方の平和を守る愛と正義の自警団♪たった7人の少女で構成されるなんともまあ寂しいチームだよ」

サキ「ふん、それがどうした?そのうち三人はジムリーダーだぞ、そこら辺の警察なんかとは一緒にしないで貰いたい」

シズル「とか言ってボクが起こした事件についてはノータッチじゃん、意味分かんないよねぇ」ギヒヒ

サキ「チッ、無駄口を」

さやか「あんた一体なんなの!なんでこんなことすんのさ!」

シズル「決まってんじゃん、ジムリーダーのそいつを誘き出すため…あ、あとついでになんか面白そうなもの盗んできてくれるかなぁ、ってね
    あぁそうだ、タマゴはできれば置いていってほしいなぁ……ひょっとしたらいい感じのポケモンが生まれるかもしれないし」

サキ「つまらんことを……招待状でも送ってくれれば出向いてやったものを」

シズル「や〜だよぉ、お仲間と一緒に来られたらボク勝ち目ないじゃ〜ん!」

サキ「ハッ、お前など私一人で十分だ」

シズル「粋がってると足元掬われるんだよぉ?」

サキ「その言葉、そっくりそのまま返してやる」

シズル「ギヒヒヒ……さぁて、お喋りはこの辺にしとかないとあんまり時間ないしね……」

サキ「上等だ、かかって来い!」
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/20(金) 23:08:26.45 ID:nNWJQB/00
シズル「ドクロッグ、ドククラゲ行ってらっしゃーい」

サキ「ゼブライカ!ライボルト!」ボンッ

サキとシズルのダブルバトルが始まった。

素早いゼブライカのスパークも、唸るライボルトの雷の牙も、がっつりドクロッグが受け止める。

その隙を突いて80もの触手が二匹に襲いかかる。

サキ「"ほうでん"だ!」

サキの命令でライボルトの鬣から一気に電気が放出され、全ての触手とドクロッグが吹き飛ばされていく。

サキ「どうだ、常に鬣から放電しているライボルトの攻撃は……おまけに普通なら味方もダメージを負うところだが、
   『でんきエンジン』のゼブライカにはむしろご馳走さ」

シズル「わおっ、やるやるぅ!ドクロッグ"ばくれつパンチ"だ!」

ドクロッグ「グググ……」

シズル「あり…?」

サキ「ふふっ、どうやらライボルトに触れた時に『せいでんき』にやられたようだな…好機!二人とも"かみなり"だ!!」

ライボルトの頭上に発生した雷雲から重低音が響き渡り、二つの雷がドクロッグとドククラゲを撃った!

麻痺も合わさり、二匹ともダウン寸前である。

さやか「す…凄い……」ゴクリ

サキ「どうした、もう終わりか?」

シズル「ヒュー♪やるぅ〜、流石ジムリーダーさん!このまんまじゃ負けちゃうよ」ニヤリ
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/20(金) 23:15:13.78 ID:nNWJQB/00
やったか!?

フラすけ(ナックラー)『かいりきばさみ』♂
割と理由はないけど、飛行要因として活躍してほしかったのが一つ
それと『W』の組織と因縁のあるポケモンをまどかかさやかの手持ちに入れたかったから
フライゴンの色違いが青なのは関係あるようでない
性格は生意気、いつもさやかに噛みついてばかりだったり人に対して威嚇したりと血の気が多い
タケシ戦といい性格といい、どことなくピカを思い出す気がしないでもない
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/21(土) 20:01:57.43 ID:2KUAa5rs0
分かりやすい(?)グンマー地方タウンマップ
名前が出てないとこは?にしてる


    ?=====?川====┐
 湖  川     ‖     ‖
    ‖     ‖     ‖ 湖
┌===?=====マ=====ア===?
‖   ‖     ‖     ‖
‖   ‖     ‖     森
‖   ‖     ‖     ‖
?===ヒ=川===イ==ミ==カ=┐
‖         ‖       ‖
‖ 湖       砂       山
‖         ‖ 山山山山山 ‖
└=ト川====砂=ポ 山 セキエイ 山 └ニ
          ↑
          今ここ

セキエイ高原はもうちょっと下だったっけ?
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/21(土) 20:09:04.12 ID:2KUAa5rs0
おう、めっちゃずれた…

    ?=====?川====┐
┌湖  川・・・・・‖・・・・・‖
|   ‖・・・・・‖・・・・・‖ 湖
├===?=====マ=====?===?
‖・・・‖・・・・・‖・・・・・‖
‖・・・‖・・・・・‖・・・・・森
‖・・・‖・・・・・‖・・・・・‖
?===ヒ=川===イ==ミ==カ=┐
‖・・・・・・・・・‖・・・・・・・‖
‖・湖・・・・・・・砂・・・・・・・山
‖・|・・・・・・・‖・山山山山山・‖
└=ト川====砂=ポ・山 セキエイ 山・└ニ

これでドヤ
390 :orz [saga]:2012/04/21(土) 20:14:04.58 ID:2KUAa5rs0
ドスッ

サキ「なっ…に…?」

さやか「えっ…サキさん!?」

シズル「あれあれ、どうかしたのかなぁ?」

サキ「汚いぞ……後ろから襲ってくるなど……」ドサッ

さやか「あれはベロリンガ…!いつの間に……」

サキの後方、ベロリンガが不気味に舌を伸ばし笑っていた。

足元には、暗くて確認しづらいが、確かに大きな穴が開いている。

さやか「いつのまに"あなをほる"で後ろから……くっ、卑怯だぞ!3対2なんて!」

シズル「何と言われようと関係ないねぇ、ボクは悪役を演じてるんだもの。こないだはジムリーダーに邪魔されて出せなかった最後の一匹さ!
    ベロリンガ、"ころがる"だっ!!」

さやか「ッ!サキさん避けて!!」

シズル「無駄だよ!ベロリンガに舐められるとピリピリ痺れてくるでしょ?ドクロッグ達の気持ちでも味わってなよ!!」

ベロリンガの転がる攻撃が無抵抗のサキに襲いかかり、車に撥ねられたように突き飛ばされた。

サキ「ぎゃああ!」

さやか「サキさん!!」

シズル「あはははは!気分良いなぁもう!!ベロリンガ、ドクロッグ達に"きつけ"してやってよ、麻痺が治ったらあいつら叩くよ」

司令塔であるサキはそのまま気絶してしまい、ゼブライカもライボルトもおろおろしている。

シズルが高レベルのこの二匹を相手にできるのは、サキがダウンしている今しかないのだ。

ならば、それを決して許すわけにはいかない。

さやか「こうなったら駄目元でやるしかない……フラすけ!まずは!……フラすけ…?」

シズル「あはは!自分のポケモンに逃げられてんじゃぁ世話ないねぇ!!やっぱり砂漠で暮らしたかったんだね〜、穴掘って逃げてやんの!」

さやか「嘘でしょ……フラすけ…?フラすけー!」
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/21(土) 20:19:58.16 ID:2KUAa5rs0
シズル「さてさてと、チャチャっとあいつら叩きのめしてて奪わせて貰おうかな……だからさぁ、そこどいてくんない?」

さやか「くっ……こ、こうなったら……ゼブライカにライボルト!あんたらのご主人が起きるまではここ任せたよ。あたしは……っ!」

すかさずさやかは走り出した。

目指すはシズルが座っていた場所、ボールや図鑑が置いてある岩だ。

さやか(ミジュか達がいれば、なんとかなるとわぁっ!?)ベシャッ

絶賛稼働中の左足が緊急停止を余儀なくされ、顔面から倒れこんだ。

シズル「なになに?自分のポケモンでも取りに行くつもりだったの?別に君のポケモンが何匹いても関係ないとは思うけどねぇ
    でも、邪魔されるのは嫌いだからボクも邪魔させてもらうよ」

さやか「うぅっ……――っ!」

シズル「今度こそドクロッグ、ドククラゲ、ベロリンガ、奴らを叩きのめしてこいっ!」

ベロリンガが転がってライボルトに突っ込んでいき、毒々コンビはゼブライカにターゲットを絞って襲いかかる。

しかし流石はジムリーダーのポケモン、主人を守るためにうろたえることなく応戦する。

加速しているゼブライカは降り注ぐ触手をかわしつつ距離を詰め、ライボルトは電撃を打ち続け、サキにベロリンガの攻撃が及ぶのを防ぐ。

ゼブライカ「ブルルル!」グッ ドクロッグ「ウヒヒヒ」ガッ

ドククラゲの前にドクロッグが加勢し、ゼブライカもまた応戦する。

その間ドククラゲはひたすらドクロッグに水を浴びせ続けている。

シズル「ドクロッグは『かんそうはだ』だからねぇ、もたもたしてたらさっき受けたダメージもどんどん回復してくよ〜ん♪」

さやか「"シェルブレード"!"バレットパンチ"!」

シズル「へ?」

弾丸の様な拳と、鋭いホタチが回復役のドククラゲの懐を抉った。

隙を突いた完璧な奇襲だった。
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/21(土) 20:29:29.11 ID:2KUAa5rs0
シズル「な、はぁ!?誰だ!どこから狙ってるんだ!?」

さやか「リオすけ"スカイアッパー"!チャモっち"にどげり"!!」

ドククラゲの触手の根元からボールが一つ転げ落ち、中からワカシャモが現れた!

すかさずリオルとワカシャモの重いアッパーと蹴りが左右の赤い玉を撃つ。

鈍い音が響き、テレキネシスが解け頭から地面に落ちたドククラゲは完全にノックダウンしてしまった。

シズル「……そうか、まぁた君か、ピクシー」

小さくなったピクシーが、ドククラゲの笠の中からひょっこりと顔を出した。

さやか「まだまだ!卑怯だと何だと言われても、あんただけはここで成敗してくれるよっ!2対5ならチャンスはあるはず――」

バルジーナ「キョエェー!」

その時、さやかの頭上から盛大な叫び声と羽ばたきが響き渡った。

さやかにとっては最悪の、シズルにとってはまさにベストのタイミングで、まどかとマラカッチを襲っていたバルジーナが帰ってきたのだ。

シズル「おっ、ようやく帰ってきたね!」

さやか「そ、そんな……まだこいつが残ってたのか…!」

ライボルト「ボァッ!」 ベロリンガ「ベベーン」

そしてさらに悪いことに、ベロリンガと交戦していたライボルトが遂に戦闘不能になった。

背後にサキを守りながらでは、実力を発揮することもできなかったのだ。

普通に戦ったなら決して負けることはなかったであろう。

シズル「よーしよーし!ライボルトもこれで終わり、あとはふらふらのゼブライカを何とかすればボクの勝ち♪
    おっと、下手に動いたらボクのベロリンガがジムリーダーさんを"ふみつけ"ちゃうよぉ〜?」

さやか「ど、どこまでも卑怯な奴……」

シズル「だからさぁ、何度も言ってるけど人質とかって本当は嫌いなんだよね、趣がなくってさ」ギヒヒ

まどか「だったら、すぐに開放して貰うよ」ザッ

待ちに待った声がようやくさやかの耳に届いた。

バルジーナから遅れること僅か、マラカッチと共にまどかが遂に駆けつけたのだ!

さやか「まどか!来てくれたんだね!」
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/21(土) 20:39:02.69 ID:2KUAa5rs0
タウンマップはなかったことにしてくれないか、もしくは心の目で見てくれないか

マリーレ(ルリリ→マリル→マリルリ)『ちからもち』♀☆
マミるマミるりという不吉な言葉が真っ先に思いついてしまったので
あと色違いは黄色だしバブル光線とかハイドロポンプとかマミさんっぽいなあと思って
性格はおっとり、マミさんと二人で優雅にティータイムしてるのかもね
だけど二人揃ってちょっぴり見栄っ張りだったり
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 20:46:33.18 ID:nvA+sWSGo
乙!
地名自信ないけどマップ勝手にいじっちゃった



      ?=====?川====┐
 湖   川        ‖       ‖
      ‖        ‖       ‖ 湖
┌===?====マエバシ====アスナロ===?
‖     ‖       ‖        ‖
‖     ‖       ‖        森
‖     ‖       ‖        ‖
?===ヒメナ=川==イツサト=ミタキハラ=カザミノ=┐
‖             ‖              ‖
‖ 湖           砂             山
‖             ‖     山山山山山 ‖
└トキサダメ川==砂=ポケセン    山 セキエイ 山 └ニビ
           ↑
           今ここ
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/21(土) 20:55:01.02 ID:2KUAa5rs0
>>394
ありがとう!地名も完璧です!
これで少しはイメージしてもらいやすくなったかな?
ちなみにシティが2つ、タウンが2つ残ってる
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/22(日) 03:53:51.11 ID:6tLBh8zf0
>>388>>389を見て頭を捻ってたところ、>>394に救われた

ともあれ乙!
さやかちゃんは機転が効くかっこかわいい!
そして相変わらずピピっち役に立ちすぎwwww
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/22(日) 20:19:24.97 ID:/BeyAsND0
マラカッチの詳細はマミさん関係が終わってからにしようかな
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/22(日) 20:26:16.70 ID:/BeyAsND0
まどか「お待たせさやかちゃん、リオすけのおかげでここが分かったよ」

さやか「リオすけの……そっか、ピンチの時に仲間に伝える波導だねっ!またまたナイスだリオすけ!」

シズル「ふ〜ん、そうかそうか、そういえば君もいたんだったね…嫌になるくらい久しぶりだなぁ」

さやか「でもまどか……来てもらったとこ悪いけど、今は手が出せないよ。サキさんがあんな状態じゃ……」

まどか「大丈夫だよ、私に任せて……いくよカチっち!」

マラカッチ「カチチ!」

さやか「あ、その子あん時のマラカッチ?いつの間にかゲットしたんだね」

まどか「私とカチっちだけで十分だよ、さやかちゃんはみんなをボールに戻して」

さやか「…………へっ?」

ポカーンという表現は今のさやかのためにあるような言葉であろう。

文字通りの顔をしていた。

シズル「ぷっ、何それ、面白いジョークだね」

さやか「何言ってんのまどか!あたしら全員でかかっても勝てるかどうか分かんないんだよ!?」

まどか「お願いさやかちゃん、信じて」

さやか「でも……」

まどか「……」

さやか「……分かった、あんたに任せるよ」シュゥゥン

シズル「なんだいなんだい、君達揃って頭悪いんじゃないのかい?」

まどか「ありがとう、じゃあ、ちょっと目を瞑っててね」

さやか「なんでそんなこと……いいよ、ちょっとだけ任せる」スッ

シズル「言っとくけど妙な真似したら――」

バーーン

バチチチバチバチカッ

シズル「眩しっ……今度は何…?」

突然、まどかの背後から花火の様な物が打ち上がった。

夜空に火花を散らし、最後の瞬間に煌めいた後、すぐに静寂と漆黒の世界に逆戻りした。

シズル「……うん?」

そして、シズルの目の前からさやかとまどかは姿を消していた。
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/22(日) 20:32:27.49 ID:/BeyAsND0
シズル「……なんだかよく分からないけど、逃げた…?さっきの威勢の良さは逃げるためのカモフラージュか……
    まあいいや、さっさとあいつらをボールに収めようか。バルジーナ、ドクロッグ、やっちゃえ」

ほとんど動かないゼブライカに向かって、爆裂パンチとボーンラッシュが炸裂した。

やがてゆっくりと倒れ込み、サキのポケモンはこれで二匹とも戦闘不能になった。

シズル「うん、完璧だよ。まだホテルにも何匹かいるみたいだけど、連れてきた主力はこの二匹だけみたいだし、向こうは放っておこうかな
    ギヒヒ、なんにしてもようやくミッションコンプリートだね♪」

シズルはポケットからボールを取り出し、ゼブライカをボールに収める。

続けてライボルトにボールを投げたところで、

パシッ

シズル「……あり?」

届く直前で見えない何かに弾かれた。

シズル「おっかしいなぁ、もう一球――」

???「その必要はないよ」

シズル「んぁ?」

???「残念だけど、あんたの負けだよ」

シズル「どっかで聞いたことある声だけど、ボクのどこが負けだって言うのかな?」

???「全部だよ」パチン

シズル「……――ッ!?!?こ、これは一体どういうことだぁぁああぁぁぁ!!!!!」

指の音とともに、シズルは真実の光景を見ることになる。

倒れているライボルトは何処にもおらず、シズルがボールを投げていたのは何の変哲もないサボテンだった。

いつの間にか気絶していたはずのサキの姿もなく、それどころか、さやかとフタチマル達の姿すらない。

辺りにはシズルとドクロッグ、バルジーナ、気絶しているドククラゲだけだった。
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/22(日) 20:39:32.83 ID:/BeyAsND0
>いつの間にか気絶していたはずのサキの姿もなく、それどころか、さやかとフタチマル達の姿すらない。

ミステイク

いつの間にか気絶していたはずのサキの姿もなくなっている。
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/22(日) 20:41:53.92 ID:/BeyAsND0
シズル「そんな……で、でも、ゼブライカは確かに――!」

ボールを覗くと、そこにいるのはゼブライカではない。

戦闘不能になったシズルのベロリンガだった。

???「状況が飲み込めたかよ?」

帽子の少女が話しかける。

その背後ではまどかがサキに肩を貸し、さやかがゼブライカにモモンの実を食べさせている。

シズル「なっ…!お前は……」

さやか「残念でした、あたしらの勝ちだよ」

まどか「おかえりチャモっち、ピピっち」

サキ「すまない……助けて貰ったようだな」

シズル「カザミノの……」

帽子を脱ぐと、暗闇でも分かるほど煌めく赤。

ポニーテールと黒いリボンがよく似合っている少女がそこにいた。

シズル「カザミノの、ジムリーダーの娘…!!」

杏子「佐倉杏子だ、覚えときなガキ」

ニヤリと八重歯をちらつかせて不敵に笑う。

杏子の隣にいるのは、不気味に目を光らせるキュウコンと火花のボンボンを作り出しているプラスルである。

杏子「あたしも運がいいな……あんただけは許すつもりはなかったんでね、こんなに早く再開できて嬉しいよ」
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/22(日) 20:52:06.81 ID:/BeyAsND0
久々の登場!

カメーレ(ゼニガメ→カメール)『げきりゅう』♀
カメックスのキャノンがティロ・フィナーレに似合ってると思ったので
性格はマミが油断してるときでも常に慎重、とはいえ今後マミが油断することはあるのだろうか
これでもかけっこが好きで、杏子のザルと会う度にかけっこ勝負をしたいと思ってるとかなんとか
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 20:55:59.14 ID:ffyrixam0
一日二匹ペースにしよう
ずれてませんように…

ミルーレ(ミルタンク)『きもったま』♀
 _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  ⊂彡
性格は肝っ玉母ちゃんっぽく勇敢、食べるのが大好きなのはミルクのため
力押しもできるし器用にも攻められる、そしてみんなの回復役、まさにカーチャン
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 20:58:47.38 ID:ffyrixam0
杏子「ザル"フレアドライブ"!ユキ"ふぶき"!」

杏子の叫び声で、ゴウカザルとユキメノコが飛び出し、一瞬でドクロッグは干からびバルジーナは氷漬けになった。

間髪入れずにシュバルゴが槍をシズルに突きつける。

杏子「これで完全に形勢逆転、あんたはおしまいってわけだ」

シズル「うぅっ……」

ポケモン達は全て戦闘不能、逃げようにもシュバルゴに釘付けにされ、トレーナーが四人もいるこの状況に遂に諦めたのか、シズルは大人しく座り込んだ。

サキ「ありがとう、まさか佐倉神父の娘が来てくれるとわね……クラボの実、感謝する」

杏子「気にすんな、あたし木の実なら結構持ってるからさ」

サキ「すまない……名前を言ってなかったな。知ってるかもしれないが、私は浅海サキだ」

杏子「佐倉杏子だ。覚えとけよ、いつかあんたと同じジムリーダーになる人間だからな」

サキ「ははっ…待っているよ。さて、奴を縛り上げてくるとするかな」スタスタ

まどか「さやかちゃん大丈夫だった?怪我してない?」

さやか「平気平気……ちょっと顔擦り剥いたけど、なんてことないって!それより、なんで杏子がこんなとこにいるわけ?」

杏子「そうだな、ちょっくら話してやるか」

杏子「まずは、なんであたしがここにいるのか――」
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 21:02:16.26 ID:ffyrixam0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マミやお前らと別れた後、あたしはずっと考えてた。

ジムリーダーになりたい。

それがあたしの目標だった。

いつだって親父はカッコよかったし、街の為に一生懸命で、優しくて……

たまに家庭を顧みない駄目親父だなんて言われたりもしたけど、そういう奴らは軒並みあたしがバトルでぶっ飛ばしてきた。

親父みたいなジムリーダーになれると思ってた、なりたかった。

でもさ、あの日分かっちまったんだよね……自分が憧れてるものがどういうものか。

中途半端な力じゃあ何一つ守れやしない。

街も。

ポケモンも。

家族すらも。

だからやり直すことにしたんだ、初めから。

ようするに修行のやり直しってやつ。

そういうもんだろ?少年漫画とかだってさ、強い敵が現れたら修行して新しい技でぶっ飛ばす……そんな感じだよ。

でも、心の中では踏ん切りがつかなかった。

心配だったんだ、家が。

モモもゆまもまた酷い目に遭うかもしれない。

お袋にも心配かけるかもしれない。

親父だってまた狙われるかもしれない。

だから迷ってた。

本当はすぐに家を飛び出して鍛え直す旅に出たかったのにな……
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 21:06:59.30 ID:ffyrixam0
で、結局それから二日後を迎えたわけだが、なんかおかしいんだよね。

モモが珍しく早起きだし、お袋はせっせと弁当作ってるし、親父は庭で急にトレーニングしだすし、ゆままでうちに来る始末さ。

杏子「おはよう……なんだよみんなして、今日は朝から慌ただしいじゃん」

佐倉母「あら、起きたのね杏子!はいこれ、お弁当!」

杏子「……ん〜?あたし今日はずっと家にいるつもりだけど?」

モモ「お、おねーちゃんおはよ!」

杏子「おぉモモ、今日は随分早起きしてたんだな。よく眠れたか?」

モモ「あのね!モモね!おねーちゃんのぶんまでがんばるからねっ!」

杏子「はぁ?」

ピンポーン

ゆま「キョーコ!よかった〜、まだいたんだね」ホッ

杏子「ゆま!?なんだよこんな朝早くから……ははーん、怪我が治ったから早速特訓でもして貰おうってか」

ゆま「なに言ってるの!キョーコが旅に出ちゃうっていうから、ゆまお見送りに来たんだよっ!」

杏子「え……えぇっ!?誰がそんなこと言ったんだよ!あたしは一言も言ってねーぞ!」

ゆま「だって師匠が…!」

杏子「父さんが!?」

佐倉母「そうよ杏子、お父さんが杏子が旅に出たがってるから準備してあげなさいって」

杏子「ど、どういうことだおい……」
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 21:10:26.48 ID:ffyrixam0
佐倉父「おや、起きたのか杏子」

杏子「父さん!いつあたしが旅に出たいなんて言ったんだよ!」

佐倉父「ははっ……なんだ、違ったのかな?この間の事件から随分考え込んでいるようだったのに」

杏子「そりゃ、鍛え直さなきゃとは思ったけど……けど!あたしはここが――」

佐倉父「ここが心配か?」

杏子「だって、またあいつが攻めてきたらどうすんだよ……そりゃあたしは、前回は足手まといだったかもしれないけど、次は大丈夫だ!もう負けねえ!」

佐倉父「……本当にそう思うのかい?」

杏子「……当たり前でしょ」

佐倉父「私はそうは思わない」

杏子「っ!」

佐倉父「杏子は確かに強い、それは私が保証する……だが、今のそれは、とても脆いものだ」

杏子「あたしが、脆い…?」

佐倉父「お前は育てるのが早いね……昔からポケモンに話を聞かせることは人一倍上手だったから、お前のポケモンはすぐに成長していくしすぐに進化していく」

杏子「それがなんだっていうのさ…悪いことじゃないでしょ!」

佐倉父「分からないかい?成長が早いということは、それだけ少ない努力しかできていないのにレベルが高くなるということだ
    他のトレーナー達とはその経験量で差ができているのだよ。レベルが高いことは確かに強いが、同じレベル同士になるとその経験の差が出てくる」

杏子「なっ……」

佐倉父「中身が空洞のまま積まれたタワーなど崩すのは容易だ……だが今からでも遅くはない。杏子、修業し直してきなさい」

杏子「……」
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 21:15:30.94 ID:ffyrixam0
もうびっくりだよ。

旅に出たがってることばれちゃってんの。

いろんな感情が渦巻いて正直泣きたくなったよ……

でも、頭ん中ぐちゃぐちゃでどうしようもなかったあたしの背中を押してくれたんだ。

杏子「……な、何言ってんの……父さん一人で、この街の平和守れるのかよ……」

佐倉父「ははっ、そのために年甲斐もなくこうやって特訓を再開したんだよ。流石になかなか体が付いてこないけれどね
    杏子が帰ってくるまでの辛抱さ」

ゆま「ゆまも頑張って街の役に立つよ!キョーコがいない間にゆまがジムリーダーになっといてあげるからねっ!」

杏子「ばーか、お前には絶対無理だよ……なんつったって、あたしがなるんだからな」

佐倉母「杏子、何かいる物はない?」

杏子「い、いいよぉそんなの……」

佐倉母「そうだわ!庭の木の実プランター持って行きなさい!どこでも木の実が育てられるわよ」

杏子「でも、あれって母さんが使ってる奴じゃ」

佐倉母「そんなこと気にしないの。私は庭があるけれど、杏子はそうはいかないでしょ?」

杏子「……っていうか、あたしまだ返事してないんだけどな」

モモ「おねーちゃん!」

杏子「ん……なんだ、モモ?」

モモ「いってらっしゃい!」

杏子「っ……何だよ、みんなして……そんなにあたしを追い出したいのかよ……」

モモ「えぇっ?ちがうよ、おとーさんは――」

ゆま「モモちゃん!キョーコは分かってるよ」

杏子「しょ…しょうがねえから、出て行ってやるよ……その代わり、次に会うときは父さんより強くなった時だからね!覚悟しててよ親父!」

佐倉父「楽しみにしているよ杏子……いってらっしゃい」

杏子「……ありがとね…………いってきます」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 21:18:47.12 ID:ffyrixam0
杏子「――で、それからできるだけ環境の厳しいとこで修業しようと思って、このイツ砂漠に来たわけ」

さやか「なるほど、それでまどかを見つけた、と」

まどか「私がカチっちとさやかちゃんを探そうとした時に杏子ちゃんから話しかけてきたの。びっくりしちゃったよ」

杏子「こっちだって驚いたさ、人が寝てんのになんか騒がしいなと思ったら見慣れた顔だったもんでな
   事情を聞いたらボールやら図鑑やらが盗まれたっていうし、ちょうどリオルのSOSにも気付いたし、協力してやろうと思ったわけ。そしたら憎たらしい奴がいてさらにびっくりだよ」

さやか「あたしもこんなところであいつに会うなんて思わなかったよ」

まどか「シズルちゃんって名前だったよね。なんでこんなところに……」

サキ「杏子、こいつの拘束が終わったぞ。ポケモン達もボールに入れてやったさ」

杏子「あぁ、今行く」スタスタ

さやか「そういえばまどか、なんでマラカッチゲットしたの?」

まどか「う〜ん、なんかビビっと来ちゃったからかな?」ティヒヒ

さやか「なんじゃそりゃ、フィーリングみたいなもんなのか……で、名前はカチっちだっけ?」

まどか「うん!マラカッチだから最初はマラっちにしようかと思ったんだけど、杏子ちゃんがそれはやめた方がいいって……なんでだろう?」

さやか「……うん、やめて正解だよ何て名前付けようとしてんのあんた」カァァ

まどか「?」

さやか「っていうか、杏子もよく知ってたな……あたしもだけど」
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/23(月) 21:22:24.27 ID:ffyrixam0
ここまで

ツボーレ(マダツボミ)『ようりょくそ』♀
まどか「マミさんがマダツボミさんになって復活した」
というスレを読もう
性格は穏やかな方、だけど喧嘩をするのが好きな一面も
進化してないのはマミさんがマダツボミを気に入ってるからという説
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/23(月) 22:24:36.14 ID:CIwifRVno
まどかさん俺のマラっちもびびっと来たからなんとかしてください
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 22:34:51.64 ID:I8hvg7zDO
>>411
ほむら「汚物は消毒よー!」
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/24(火) 21:26:42.20 ID:UKc1YtCAO
ほむほむの手持ちが俺の好きなポケモン多いから出番が待ち遠しい
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:15:30.61 ID:bupBm9tZ0
ほむほむの出番はもう少し先!しばしお待ちを

フワーレ(フワライド)『かるわざ』♀
フワライドの手?の部分がキャンデロロさんの手?っぽいかなと思った、あとリボンっぽく
色違いも黄色だしね
性格は陽気なのに人を乗せてる時は考え事が多い
マミさんの飛行要因
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:17:12.78 ID:bupBm9tZ0
座り込み俯いたままこちらを見ようとしないシズルを取り囲み、サキがさっそく尋問に取り掛かろうとする。

杏子「その前に一つ確認……」

サキ「確認?」

杏子「ていっ」ビシッ

シズル「あだぁっ!!何すんのよ!」

でこピン一発、シズルのおでこにクリティカルヒット。

杏子「オッケー、どうやら本物みたいだな」

いつぞやの様に機械の偽物ということはないらしい。

正真正銘、生身のシズルだ。

サキ「…?まあいい、まずは名前を聞いておこう」

シズル「……」プイッ

杏子「シズルっつったっけ?」

サキ「ほほぅ、シズルというのか。正直年下相手にこんなイジメみたいなことはしたくないんだが、キミらが平和を脅かす輩だというのなら話は別だ」

杏子「一つづつ聞いてやる…あんたらの組織、何て名前だ?」

シズル「……」

杏子「『Wがイニシャルの謎の組織』、じゃあ呼びにくいんだよ」

シズル「っ!」ビクッ

杏子「あれ?なんだ、ご丁寧に組織のマークが入ったロボット作ってて気付かれないとでも思ってたか?」

サキ「『W』のマーク……そういえば、一度佐倉神父から連絡が来たな。そうか、お前らのことだったのか」
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:20:23.64 ID:bupBm9tZ0
シズル「……」

杏子「だんまりか」

サキ「まあ、組織名などはこの際どうでもいい。質問を変えよう……お前らのボスは誰だ?」

シズル「……ねぇ、今何時か教えてくれない?」

サキ「質問に答えろ!」

シズル「教えてくれたら丁寧に教えてあげるかもしれないからさぁ」

サキ「構わん、教えてやる必要などない」

まどか「で、でも、時間ぐらいなら」オズオズ

さやか「そうですよ、別に減るもんじゃないでしょーに」

サキ「……フン、まあいい。おおよそ午前2時40分だ」

シズル「へぇ〜、どうもありがとう。どうりで眠いわけだね」ファァ

サキ「お前…大概にするんだな」ギロッ

シズル「……そうだねぇ、黙秘を決め込んでどっかに連れてかれるのもやだし、少し話してあげようかな」

サキ「ようやくその気になったか…なら、まずはボスの名前を――」

シズル「待ってよ待ってよ、そういうのはメインディッシュ、あとのお楽しみにとっておいた方が盛り上がると思わない?」

サキ「ッ……お前、いい加減にしろ!」バッ

シズル「好きに話させてくれないんなら言わないよ」

サキ「どうせくだらない話をするつもりだろう」

杏子「落ち着きなよ、時間はまだあるんだ」

シズル「そうそう……そういえば、杏子っていったっけ?あれ一体どうやったの?どうしてボクはありもしない映像を見せられてたのかな?」
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:23:13.05 ID:bupBm9tZ0
杏子「……どうせ言わなきゃ何も話さねえつもりだろ?」

シズル「うん♪いいじゃん、減るもんでもないのに」

杏子「花火が上がっただろ?あれはあたしのプラが体をショートさせて作った火花のでっかい奴さ。その光に紛れて、コンが"あやしいひかり"を放った
   それであんたらが混乱してる間にまどか達を隠しておいて、コンが"さいみんじゅつ"を上塗りしてやったのさ」

シズル「なぁるほどね、状況が飲み込めたよ」

杏子「そう、あんたが見てたのは幻……混乱した上に"さいみんじゅつ"で見せられてた夢さ。あんたがゼブライカだと思って攻撃してたのは自分のベロリンガだったって話
   まどかを行かせたのはプラが特大花火を作るまでの言ってしまえば時間稼ぎだ」

シズル「へぇ、よく分かったよ…あ〜あ、油断したなぁ……」

サキ「さて、すっきりしたところでキリキリ吐いて貰おうか」

シズル「はぁ……しょうがないなぁ、なんでジムリーダーからポケモンを奪おうとしたかについて話してあげようか」

ポツリポツリと、シズルはゆっくり語り始めた。

シズル「この世には、強いポケモンと弱いポケモンが存在している。これはどうしようもない覆りそうにもない紛う事なき事実だよねぇ
    さて、じゃあどうしてこんな差が生まれてしまうんだと思う?」

まどか「なんでって……一杯特訓したポケモンが強くなれるんじゃないかな?」

さやか「それに、進化したポケモンの方が強いのは当たり前というかなんというか……」

シズル「ふむ、それは確かにその通り……じゃあこういうのはどう?同じポケモン、同じ努力をして同じレベルにまで成長した二匹
    一体どっちが強いと思う?」

まどか「どっちって……」

サキ「いい加減にしろ!言いたいことははっきり言え!」

シズル「せっかちだなぁ……どっちが強いか、そんなのは簡単だ。才能のある方が勝つに決まってる」

杏子「才能だと…?」
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:28:13.05 ID:bupBm9tZ0
シズル「そう、才能。ポケモンごとの個体の差……同じ種族のポケモンだろうと、力にも速さにも丈夫さにも絶対に違いは出るものだよね
    それがすなわち才能の差。強いトレーナーほどそういう優秀なポケモンを持ってるんじゃないかと思ってね、だから戴こうとしたの」

サキ「ところがどうだ、まんまとこうして捕まったわけだな」

シズル「真っ先に気絶してたくせに」ボソッ

サキ「う、うるさい!早く続きを話せ!」

シズル「あっそうですかぁ……まあ、ジムリーダーを襲ったのはそれだけの話だよ」

さやか「じゃあ、あのたくさんのポケモンはどういうこと?どっから連れて来たわけ?」

サキ「むっ、確かにそうだな。一体どうやった?」

シズル「……ふ〜ん、そこ、聞いちゃうんじゃうんだ?」

杏子「いいから話せ、怪我したくないだろ…?あたしもあんまり手荒なことはしたくないんだ」

シュバルゴがスピアを喉元に近付ける。

ゴクリと唾を飲み込み、シズルは杏子の眼を見つめた。

杏子の目は据わっている。

何も話さなければ本当にダブルニードルの命令が放たれるだろう。

シズル「……分かったよ、別に大した話でもないんだけどね。せっかくだから話してあげるとするよ
    先に結論を話しておくと、あのポケモン達は野生のポケモンなりたてなんだよ」

まどか「……どういうこと?」

シズル「簡単な話……ボクが逃がしたんだ」ニヤリ
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:30:00.49 ID:bupBm9tZ0
さやか「あんたが、逃がした…?」

サキ「あんなに大量のポケモンをか…?」

シズル「そんなの、ボールに入れてれば訳ないじゃん。えーっと、フカマルにヤミカラスにタマザラシ……あとなんだっけ」

サキ「スリープにメラルバだ。全部で200近くいたポケモン……一体どこで捕まえた?」

シズル「捕まえる?そんな面倒なことボク達はしないよ」

まどか「じゃあ、一体どうやって――」

シズル「産ませるんだよ、タマゴを」

まどか「…!」ゾクッ

シズル「ポケモンの♂と♀が一緒にいるとタマゴを産むよね?巷じゃあ、何処かから持ってくるのか、みたいなこと言われてるし、実際ボクも見たことはないんだけど
    まあ、便宜上産んでると言わせて貰おうかな。とにかく特別な環境下におくとポケモン達はたくさんのタマゴを産むんだ」

四人とも口をつぐみ、押し黙ってしまった。

こんな小さな子供が語っていることが、彼女たちには理解の及ばないことだと感じ始めたのだ。

シズル「ここまで言えばもう分かるかな?さっき話した才能の話……ボク達はそうやって産まれたたくさんのポケモンの中から選び抜かれた、
    最高のポケモンだけを育てて自分たちのポケモンにするんだよ。他のポケモン達は用済み、いらなくなったから野生に返してあげてるだけなんだよ」

まどか「嘘……そんなの、ポケモン達が可哀相だよ……」

シズル「可哀相?弱いポケモンとして産まれてきたことがもう既に可哀相なんだから、野生に返してあげるのはせめてもの優しさだと思うけどね」

さやか「そんなの屁理屈だ!自分たちの都合だけで産ませることが最低の行為じゃないの!」

シズル「最低?いいじゃないかぁ、君だっていいポケモンを捕まえられたんだしね」ギヒヒ

さやか「!……まさか、あんたが逃がしたっていうフラすけもその中の一匹だっていうの…?」

シズル「ギヒヒヒヒ、一番じゃなかったけど親が良かったからそのナックラーもまあまあ強くなってくれるんじゃない?育て方さえ間違わなかったらさ」

パシーーン
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:33:47.65 ID:bupBm9tZ0
杏子「……」

サキ「……」

さやか「……まどか」

まどか「謝って……フラすけに謝って!」

シズル「……」

まどか「フラすけだけじゃ駄目、他のポケモン達にも謝って……じゃないと私、あなたのこと絶対に許せない」

シズル「ふーん、謝って済む問題ならいくらでも謝るけどね」

まどか「シズルちゃん……シズルちゃんはこれでいいと思ってるの?」

シズル「いいよ。だってボクは強いポケモンが好きだからね。さっきも言ったけど、野生に帰って好きに生きてるんならそれでいいじゃない」

まどかが振り上げた手をすかさずさやかが制止させる。

まどか「離してさやかちゃん……私、今怒ってるの……」

さやか「まどか、気持ちは分かるけど落ち着きなって……今こいつを殴ったってしょうがないよ」

まどか「さやかちゃんは平気なの!?だって、酷いよ……こんなの、あんまりだよ……」

サキ「そうだな、もうお前らの目的は分かった…なら質問を戻させてもらう、お前らのボスは誰だ?何者だ?」

シズル「……」

サキ「答えろ!」

その時初めに異変に気が付いたのはキュウコン、そのすぐ後にプラスルだった。

ぴくぴくと耳を動かし、遠くを見つめている。

シズル「……もうすぐ三時かな?きっとそうだよね?微かに聞こえたみたいだもん」

サキ「聞こえた…?なんのことだ?」
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:36:53.16 ID:bupBm9tZ0
やがて何かを察したのか、それぞれ唸り声をあげ火花を散らし、訪れる危機に備えている。

杏子「どうしたコン、プラ?何か来るのか?」

さやか「……何?」

さやかも耳を澄ませ、その異変を感じ取ろうとする。

大気が微かに揺れる。

まどか「どうしたの?」

さやか「何か聞こえる…地響きみたいな……」

サキ「お前、何か知ってるのか?」

シズル「くくっ、砂嵐じゃないの?砂漠なんだしさ♪」

杏子「いや、どうやら違うみたいだ……見ろ」

杏子が指を差した先、薄暗い月光に照らされて微かに渦巻く砂煙。

ただし砂嵐でないことはすぐに分かる。

なぜなら、砂煙のふもとで大量の光る球体がこちらに向かっているからだ。

さやか「ひっ…何あれ、人魂とか…?」

杏子「にしては小さすぎるが、この際何でもいい…お前ら、何があってもいいように備えるんだ」ボン

さやか「わ、分かった!ミジュか!リオすけ!!フラすけ!」ボボボン

まどか「……チャモっち、ピピっち、カチっち」ボボン

サキ「すまない、私のポケモン達はもう限界だ」

杏子「気にすんな、なんとかする。そん代わり、そいつは逃がすなよ」」

音が近づくにつれ空気もざわつき始める。

その正体が何なのか、次第に明らかになってきた。
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:40:03.18 ID:bupBm9tZ0
ニャース's「フニャー」 チョロネコ's「ニャーン」 ペルシアン「シャー」

まどか「猫の軍団!?」

さやか「あんなにいっぱいのニャースにチョロネコ!?」

サキ「見ろ!誰かいるぞ!」

大量のニャースとチョロネコの中に、一匹だけペルシアンがいる。

その上に小さな人が立っているのが確認できた。

シズル「ステェーーシィィィーー!!!助けてくれーー!!!」

サキ「なっ!やはりお前の仲間か!」

杏子「来るぞっ!ムク!ザル!"インファイト"だ!!」

二匹が前線に飛び出し近接戦を繰り広げようとした。

――が、

ステーシー「みんな〜、"ねこだまし"やっちゃってくださ〜い」

ニャース「ニャッ」パシッ ムクホーク「ッ!?」ビクッ

チョロネコ「ニャッ」パシッ ゴウカザル「ッ!?」ビクッ

あっさりと止められてしまった。

杏子「なっ!?こいつ…!まだだ、バル以外突撃!」

まどか「みんなもお願い!」

さやか「行って来い!」
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:43:20.90 ID:bupBm9tZ0
100を超える猫軍団にシュバルゴ以外の全ポケモンが向かっていくが、そのほとんどが猫だましで怯んでしまいその場で尻もちを突いてしまった。

猫だましは一回では収まらず、次から次へと後続のニャースとチョロネコ達に猫だましをされ続けその場に釘づけにされてしまっているのだ。

二匹を除いて――

杏子「へっ、ゴーストタイプのユキに"ねこだまし"は効かねえ!"ふぶき"で一気に凍らせるんだ!」

ステーシー「だったらニャース〜、"かぎわける"を使うんですよ〜」

最前線のニャースがユキメノコを隅から隅まで嗅ぎまくる。

そうして後から続いてきたニャース達がまんまと猫だましを決めていく。

さやか「へっ、『せいしんりょく』のリオすけに"ねこだまし"は効かん!自慢のフットワークを見せてやれ!」

ステーシー「あれは無理だね……ペルシアン〜、"つばめがえし"だよ〜」

たった一匹で奮闘を始めていたリオルだったが、善戦虚しく素早い燕返しの直撃を喰らってしまい、ドククラゲ戦のダメージも手伝ってかそのままダウンとなった。

猫軍団の進行は留まることを知らず、そして遂に、まどか達の元へ踏み込んできた。

ステーシー「頑張れチョロネコ〜、"どろぼう"で奪い返すんだよ〜」

サキ「くそぅ、そうはさせ――」

チョロネコ「ニャッ」バシッ サキ「ひっ!」ビクッ

ポケモン達がされたように、まどか達も猫だまし地獄の洗礼を受けることになり、結局全員尻もちを突いたまま一歩も動けなかった。

ステーシー「撤収〜」

まさに嵐の様に過ぎ去った猫軍団は、まんまとシズルを奪い、そのまま夜の砂漠に消えていった。
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:45:43.14 ID:bupBm9tZ0
まどか「……逃げられちゃった」

サキ「なんて子供だ、あのシズルとか言う子供よりさらに幼かったじゃないか」

杏子「ったく、選ばれたポケモンしか使わないみたいなこと言っときながら、てめぇの部下はちゃっかり大量のポケモン持ってんじゃねーか」

さやか「午前三時……ひょっとして、時間を気にしてたのって助けが来る時間だったのかな」

杏子「なるほど、三時にここで待ち合わせしてたら様子がおかしいから突撃してきたってわけか」

サキ「全員無事だったのは何よりだが、まんまとやられてしまったわけか……」

さやか「そうだ!お菓子と図鑑!」

まどか「タマゴ……」

一目散に駆けだして行ったさやかに対して、まどかの足取りは重い。

頭の中でずっとシズルの言葉がリピートしている。

『他のポケモン達は用済み、いらなくなったから野生に返してあげてるだけなんだよ』

まどか(いらないポケモン……それじゃあ、あの子達は一体何のために……)

杏子「ほら」ポカッ

まどか「あ、杏子ちゃん」

杏子「そんな顔すんなって。まどかの気持ちも分かるけど、産まれてきたもんはしょうがねぇ…大丈夫さ、ポケモンってのは見ての通り逞しいもんさ」

まどか「……そう、だね……ありがとう杏子ちゃん」テクテク

杏子「……まだ吹っ切れねーか…そりゃそうか」

サキ「暗い顔していたなあの子……普通に生活をしているトレーナーにとっては、確かにショッキングな話だからな」

杏子「強いポケモンが産まれるまでタマゴを作り続ける……馬鹿みたいな話だがどうやら現実らしいな」
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/24(火) 23:50:42.77 ID:bupBm9tZ0
イツ砂漠編もそろそろ佳境

メリーレ(メリープ→モココ)『せいでんき』♀
黄色い!なぜか電磁砲を使うイメージがあったのでティロ・フィナーレにぴったりだと思った
後から調べたら今は覚えられないんだよね…金銀時代の思い出のせいか
性格はきまぐれ、思い出したようにマミさんの部屋に綿毛を散らしてイタズラをするのが好きらしい
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 13:53:45.53 ID:OZaAF76x0
乙なんだぜ
なんかこう罪悪感が酷いんだけど・・・
懺悔すれば俺もまどまどに殴っていただけるのかなぁ
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/25(水) 15:53:49.30 ID:fQSpneM80
ウィッチ団・・お前ら人間じゃねぇ!!!
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/25(水) 16:37:47.03 ID:/MJX9Lk9o
>>426
まどまどの代わりに俺が殴ってやるよ
この廃人めが!
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:30:41.46 ID:8aLOimp60
俺もまどっちに怒られます
マラカッチはやっぱりもうちょい後で…性格のこととかさやかちゃんが言ってくれるはず

ムク(ムックル→ムクバード→ムクホーク)『いかく』♀
実は入れるつもりなかったんだけど、親父が飛行使いなのを思い出したので
威嚇してくるところとかブレバとかインファとか戦闘スタイルは似てないこともないしいいかな、と
性格は意地っ張り、杏子にもそういうとこあるよね
杏子の言うことをきっちり聞く辺りとても几帳面、杏子とはちっちゃい頃からの付き合い
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:35:30.23 ID:8aLOimp60
さやか「おぉぉ我がお菓子よ無事であったかぁぁ!!よくぞ私の腕に戻ってきた!くるしゅうないぞよー!」

ジーッ

さやか「……お、オホン……お、図鑑は無事だったか!それにまどかのタマゴも!」

まどか「さやかちゃん」

さやか「ほらまどか、あんたのタマゴも無事だよ」

まどか「うん……」

さやか「こんだけやっといて二回も任務失敗してるし、あいつもこれでちょっとは大人しくなるかな」

まどか「うん……」

さやか「……ほら、サボテン饅頭一緒に食べよ」

まどか「うん……」

包装を破り蓋を開けると、12個入りのサボテン饅頭がきちっと並べられている。
うっすら緑色なのは生地にサボテンが練り込んであるかららしい。

マラカッチの視線も気にせず、さやかはその場に腰を下ろし、ナイロンを剥がして饅頭にぱくついた。

さやか「うん、おいしいおいしい!まどかも食べなよ」

まどか「さやかちゃんは、平気なの?」

さやか「全然、フラすけがあんな奴らの為に産まれてきたなんて考えたら食事ものどを通らない自信があるね」モチモチ

まどか「……その割には平気そうだよね」

さやか「まどかがあいつ殴ってくれたからね」ゴクン

まどか「私が?」
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:37:41.50 ID:8aLOimp60
一つ食べ終わり、二つ目に手を伸ばす。

さやか「あの時あたしもぶん殴ってやろうかと思ったの。でも子供相手だしとか思って、ちょっと迷った
    そしたら神速でまどかが手を出したんだもん、びっくりしちゃって怒りが一瞬どっか行っちゃった」モチモチ

まどか「許せないよ、命を弄ぶ最低の行為だよ……」

さやか「あたしもそう思うよ。今はぶん殴っとけばよかったって思うくらい……」ゴクン

三つ目に手を出す。

まどか「あんなの、辛すぎるよ……あんまりだよ……」

さやか「今のあたしらには、なんにもできない」モチモチ

まどか「悔しいよ、さやかちゃん……」グスッ

さやか「だから絶対強くなって、あいつらをボッコボコにしてやるんだ」ゴクリ

四つ目の袋を開ける。

さやか「そうでしょ?才能がないから負けるんだとか、絶対に言わせない。フラすけが他のナックラーより劣ってたとしても、そんなの戦ってみなきゃ分かんないしね」モチモチ

まどか「それが、さやかちゃんの答え…?」

さやか「そ!あたしの意志!」ゴクン

五つ目を手に取り、まどかに向ける。

さやか「一緒に強くなろうまどか!あたしはあんたに心動かされたよ…強くなって、その感情≪きもち≫をぶつけてやろ!
    まどかがあんなに怒るなんて天変地異レベルの大異変だもんね」

まどか「もう、そんなことないよぉ」クスッ

さやか「にゃはは、そうそう!まどかには笑顔がよく似合うよ!」

まどか「えへへ……ありがとうさやかちゃん……それに、さやかちゃんもやっぱり冷静じゃなかったんだなって分かって、ちょっと安心だよ」

さやか「え?そ、そうかな?これでも結構頑張って振る舞ってたんだけどなぁ……」

まどか「簡単に隠せるものじゃないんだよ」ティヒヒ

さやかの手から、サボテン饅頭を受け取った。
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:41:37.43 ID:8aLOimp60
さやか「さて、残りはミジュかにリオすけにフラすけ、ピピっちチャモっち……カチっちも食べる?」

マラカッチ「……」ツーン

まどか「いらないみたいだね」

さやか「まあ、そらそうか……じゃ、まどかと一個ずつ――」

まどか「駄目だよ、さやかちゃんは四つも食べたんだからもういいでしょ!私が二つ貰うよ」

さやか「ちょっ、そりゃ殺生だよ!?」

まどか「夜中にこんなに食べたら太っちゃうよ?」

さやか「うっ…そ、それはまどかだって…!」

まどか「さやかちゃんよりは少ないもーん」ペリッ モチモチ

さやか「あぁ〜、サボテン饅頭……いいもん、美味しかったから後でまた買うもんねーだ」ベー

杏子「話は終わったか?」

さやか「杏子、サキさん」

サキ「盗まれたものはこれで全部か。どれ、後で持ち主に返さなくちゃな」

まどか「それにしても酷いよね、ノクタス達」

さやか「それだけど、多分あいつらシズルに脅されてたんだよ。じゃなきゃおかしいよ!」

サキ「確かにな……彼らは砂漠の盗賊団などと言われはいたが、実際に盗んでいくのは食料ばかりで重大事件になることもなかった
   ホテル側の人間は多少大目に見ていたようだったしな」

杏子「そりゃあれだ、客の食料が消えたら自分たちの懐が潤うからだろ」

サキ「ははっ、違いないな……まあなんにしても、ここまで騒ぎを大きくする奴らじゃなかったということさ」
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:44:05.20 ID:8aLOimp60
サキが盗まれた食料や小物類、モンスターボール等をまとめ、まどかとさやかと三人で手分けしてホテルまで持って帰ることにした。

まどかはタマゴを大事そうに抱え、二度となくさないと心に誓う。

さやか「しっかしいつ生まれるんだろうねー、そのタマゴ」

杏子「知らないのか?図鑑でタマゴの状態が分かるんだぞ?ほら、そこのボタン使ってさ……」

まどか「え、そうなの?」ピッ

図鑑をタマゴに向け杏子に言われた通りにボタンを押すと、画面上にタマゴの状態が表示された。

 「タマゴの状態」
<ときどき 動いてるみたい。 うまれるまで もう ちょっとかな?>

まどか「もうちょっと……」

さやか「ほぇー、そんなことも分かるんだ、すごいなコレ」

サキ「すまんが、その赤い機械は一体何なんだ?」

まどか「これはポケモン図鑑っていうんです。ポケモンのいろんな情報を収集できるんですよ」

サキ「ほぅ、そんな頼もしいものが」

杏子「どれどれ、どんくらい捕まえたかちょっくら見せてみなよ」ヒョイッ

さやか「こら、勝手に人の図鑑見るな!」

杏子「……どういうことだおい……お前らこの短期間でもうこんなに捕まえたのか!?」

まどか「こんなにって、まだ100匹もいってないよね?」

杏子「いやいや、あたしなんて30も捕まえてねーよ。お前らすげーな」

さやか「あんたどんだけさぼってんのよ!何のために図鑑所有者になったわけ!?」

杏子「めんどくせーんだよ」

まどか「そんなの駄目だよ、QBやマミさんに怒られちゃう」

杏子「QBとかもう何か月も顔みてねーな……」

さやか「やれやれ、あたしらが必死で旅をして図鑑を増やしているというのに」フゥ
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:46:44.18 ID:8aLOimp60
サキ「なんだかよく分からんが、随分面白そうなことをしているんだな。旅をしているのはその図鑑の為ということか」

まどか「はい!でも、今はそれだけが目標じゃないですよ」

サキ「というと?」

さやか「グンマーリーグ挑戦!すなわち!」

まどか「強くなりたいんです……あの子達に負けないくらい、強く」

サキ「なるほど……強くなりたい、か」

杏子「いいじゃねーか、とりあえず目標を掲げるのはいいことさ」

まどか「私、この旅に出た時は強くなりたいなんてあんまり考えてませんでした。勿論憧れてはいたんですけど、所詮憧れだと思ってたんです
    リーグに挑戦するとか、チャンピオンを倒すとか……そういうの、私なんかができるはずがないって、心のどこかで諦めてたんだと思います」

まどか「でも、今は違います。絶対に強くなるって決めたんです。これ以上被害が出ないように、あの子達が産まれてきた意味を無くさないように……」

まどか「これが私の感情≪きもち≫です」

さやか「……うん、それでこそまどかだ」

杏子「いいんじゃねーの?戦う理由、見つけたんだろ?なら仕方ないじゃん、後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ」

サキ「うむ……杏子、君はジムリーダーになりたいんだったな?ジムリーダーがバッジをあげる時の条件は知っているか?」

杏子「あん?馬鹿にすんなよ。ジムリーダーがバッジを渡してもいい実力だと認めたら自由にあげていいんだよな」

サキ「そういうことだな……さやか、まどか、これを」

サキが二人の手に乗せたのは、小さな金属でできたもの。

トレーナーに手渡される特別な証。

さやか「これって……ジムバッジじゃないですか!」

サキ「そう、ヒメナジムのジァッロバッジだ」
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:49:13.67 ID:8aLOimp60
サキ「私が気絶している間も戦っていてくれたんだろう?君達なら実力も申し分ないはずだ。なんにせよ、これだけの事件解決に協力してくれたからな、そのお礼だ」

さやか「いいんですか!?」

サキ「私が認めたんだ、受け取ってくれ」

さやか「あ、ありがとうございます!」

杏子「おいおい、バトルしてこそ本当の実力が測れるってもんだろうに……まあ、サキがそういうんならいいけどさ」

さやか「やったねまどか!これでまた一歩……まどか?」

穴が開きそうなほど右手を見つめ、考え込む。

やがて結論が出たのか、左腕で抱えるタマゴに微笑みかける。

まどか「……ごめんなさいサキさん、私これ受け取れません」

さやか「ちょっ、何言ってんの!せっかくサキさんが――」

サキ「いいんださやか、いらないというのなら無理に受け取ってもらう必要はない」

まどか「本当にごめんなさい」

サキ「理由を、聞かせてもらえるか?」

まどか「チャモっちやピピっちは頑張ってくれてたのかもしれないけど、私は今回何にもしてないです。杏子ちゃんが準備する間の時間を稼いだだけ……
    だから私の実力なんて全然見てもらえてないと思うんです。正々堂々バトルをして、私を認めてくれたら、その時、もう一度渡してもらえませんか?」

サキ「……分かった、ヒメナシティでいつでも待っている」
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:51:15.19 ID:8aLOimp60
さやか「うーん、まどかが遠慮するってんならあたしも貰うのやめとこうかな……」

まどか「さやかちゃんはいいんだよ?私の分まで頑張ってくれたんだもん」

さやか「ふむ、まどかがそこまで言うならば受け取らぬは失礼だね…有難く頂戴いたします」

サキ「あぁ、そうしてくれるといい」

杏子「おっ、なんだこいつらこんなところで」

杏子が見つけたのは、砂漠の盗賊団ことノクタス達の群れだった。

サキが麻痺状態にして放置したまま、ずっと動けなかったのだ。
何匹かは自然に回復したようだが、まどか達を警戒しているのか体も空気もピリピリしているようだ。

サキ「しまった、こいつらのことを忘れていたか……杏子、悪いがクラボは余ってないか?こいつらに食べさせてやりたいんだが」

さやか「ま、こいつらに罪は……半分くらいはあったかもしれないけど、まあ無いと言っても過言ではないしね、うんうん」

サキ「どっちだ」

杏子「あたしは構わないよ。ちょっと待ってろ」ゴソゴソ

鞄と木の実プランターからクラボの実を取り出すとまとめて地面に置く。

杏子「近付いてこねーし、ここに置いときゃ勝手に取って食うだろ」

まどか「もう悪いことしちゃ駄目だよ?」

ノクタス「……」
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/25(水) 22:57:13.51 ID:8aLOimp60
ところで、今日からポケモンのジャパンカップのエントリーが始まったね
最近更新しすぎで書き溜めに追い付かれそう+エントリーしてきたってことでちょっとヤバいかもしれない
頑張る

ザル(ヒコザル→モウカザル→ゴウカザル)『もうか』♂
御三家で杏子に似合うやつと言えばこいつ、色々とばっちり
性格は穏やか、血気盛んな杏子とは逆の性格
でもマミさんのカメーレには負けたくない負けず嫌いのよう
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/26(木) 10:10:40.93 ID:dW/ztIKho
さやかちゃんが敵の手に落ちて謎の騎士として登場はまだですか
439 :訂正 [sage]:2012/04/26(木) 10:11:48.59 ID:IZOTRP+50
>>430
>まどか「……その割には平気そうだよね」

まどか「……その割には怒ってないみたいだよね」

おかしい、推敲してるはずなのにミスが多すぎる…
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:17:16.25 ID:IZOTRP+50
砂漠編終了間近

コン(ロコン→キュウコン)『もらいび』♂
キョウコンという駄洒落から…割とそういうのばっかり
怪しい光とか催眠術の幻っぽい技も似合ってないこともないと思って
性格は大人しい方で、猫軍団の足音に気付くほど物音に敏感
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:20:51.84 ID:IZOTRP+50
一同は再び歩み始め、ホテルへと戻ってきた。

ホテルに近づくにつれ、逃げだしてきたらしきフカマルやヤミカラス達の姿がちらほらと見受けられた。
ほとんどが岩陰に隠れ様子を窺っている。

まどか「……」

サキ「まどか、今の君にできることはない……あいつらは野生で生きていくしかないんだ」

まどか「せめて、もう少し生きやすいところだったら……」

杏子「言ったろ、あいつらは逞しいから自分らで何とかするさ。住みやすい場所に移動するなり砂漠で生きてけるように適応するなりね」

まどか「……」

エントランスではまだかまだかと主人の帰りを待っていたサキのシママとゼブライカ達が出迎えてくれた。
サキの命令通り野生のポケモン達を撃退した精鋭たちだ。

サキ「よくやってくれたみたいだな」

さやか「さっすがジムリーダーのポケモン!指揮官がいなくてもばっちりですね」

サキ「そういう訓練をしてきたからな」

やがてホテルの支配人や従業員、観光客も現れ、サキの周りに押し寄せる。

支配人「これはこれは浅海さん!ノクタス達から盗まれたものを取り返してくれたのですかな?」

サキ「あぁ、ここに」

支配人「おぉ!流石ジムリーダー!!ありがとうございます!」

サキ「だが、私一人ではない。この子達の協力もあってこそだった」

支配人「いえいえ、それも浅海さんの素晴らしい指揮があったからこそなのではないですかな?」

サキ「いや、そんなことは――」

支配人「またまた謙遜しなくてもいいですとも!ハッハッハッハ」

さやか「あれ、あたしらの頑張りは…?」ヒソヒソ

杏子「それだけジムリーダーってのは凄いし信用されてんだよ」ヒソヒソ
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:24:56.65 ID:IZOTRP+50
観光客の分の荷物が全て返され、文字通り、これでようやく肩の荷が下りた。

客「それにしてもノクタス達って酷いよね」

客「あぁ、今度見つけたら懲らしめてやる!」

まどか「っ!そんな言い方――」

サキ「まあ待て……みなさん、一つ言っておきたいことがある!今回の事件、ノクタスと野生のポケモン達が勝手に襲ってきただけに思われるが、実は違う!
   この事件には黒幕がいた!ポケモン達は奴らに脅されて利用されていただけなんだ!」

支配人「なんですと?」

サキ「残念ながら黒幕の人間には逃げられてしまったが、もうこの砂漠に来ることはないだろう
   だからあまりポケモン達を攻めないでやってほしい。彼らだって、生きようと必死だっただけなんだ……頼む」

客「まあ、ジムリーダーがそう言うなら……」

客「そうだな」

支配人「して、その黒幕とはいったい…?」

サキ「心配しなくても、我らジムリーダーとプレイアデスが必ず捕まえてみせる!」

支配人「……お、おう!流石ジムリーダー!素晴らしい!」

さやか「答えになってないよね?」ヒソヒソ

杏子「まあいいじゃねーか、ここでサキの信用を落とすこたぁないだろ?」ヒソヒソ

サキの言葉でほとんどの人たちはその黒幕とやらに怒りを向けることになり、「ノクタスと野生のポケモン達は被害者」という結論になったようだ。

まどか「あの、ありがとうございます」

サキ「こういうのはジムリーダーの特権さ」
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:28:08.29 ID:IZOTRP+50
その後客や従業員も自分たちの部屋へ戻り、再びまどか達だけが残った。

空はうっすらと青に変化しつつある。

杏子「じゃ、あたしは帰るとするかな」

まどか「帰るって、どこに?」

杏子「どこって、野宿してんだからテントだろうよ」

さやか「あんたねぇ……年頃の女の子が外で一人ってのはどうなのよ」

杏子「心配しなくてもムク達が追い払ってくれるから問題ないさ」ボンッ

そう言ってムクホークをボールから出し、背中に飛び乗った。

杏子「じゃあな、久々に会えて面白かったぜ!」

サキ「本当に助かったぞ杏子!次に会うときは君がジムリーダーになった時かもな!」

さやか「修行頑張れよー!」

まどか「また会おうね!」

杏子「おう!いつかあたしとタメ張れるくらいには強くなれよな!!行くぞムク」

ムクホークはぐんぐん上昇し、砂漠へと消えていった。

サキ「さて、私達も寝よう。もう朝になってしまったがな」

さやか「ですね〜……もうクタクタっすよー」

その後まどか達は部屋へと戻り軽くシャワーを浴びた後、やがて催眠術でもかけられたように、再び泥のように眠りに付いた。

こうして長かったイツ砂漠事件は幕を下ろした。
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:29:14.05 ID:IZOTRP+50
〜イツ砂漠〜

岩陰に隠れ、大量の猫ポケモン達に囲まれている少女が二人。

ステーシー「お姉ちゃん大丈夫ですか〜?」

シズル「まあね……全く、酷い目に遭ったよ……時間どおりに来てくれるとは、流石ボクの妹だね」

ステーシー「それほどでもないですよ〜」テレテレ

シズル「あ〜あ、マリアさんになんて報告すればいいんだ……」

ステーシー「素直にありのままを伝えるしかないですよ〜」

シズル「くっそう、それもこれもぜーんぶあいつらのせいだ!今度会ったら絶対に許さない!!」

ステーシー「……にゃ?」

シズル「どうしたステー――」

一陣の風が凄まじい勢いで過ぎていった。

思わず顔を隠し、風が止むのを待って顔を上げると、

シズル「……にゃ、にゃんじゃこりゃーー!?!?」

猫ポケモン達は傷だらけでダウンしていた。

シズル「これは"かまいたち"の傷跡…?」

ステーシー「お姉ちゃんあれ!」

砂の地にゆらゆらと揺れる大きな炎と小さな炎が合わせて五つ。
変則的に揺れ動き、まるで死に誘うように近付いてくる。

シズル「なんかやばい…逃げるよステーシー!」

しかしその作戦は叶わず、いきなり体を鞭の様な物で二人まとめて縛り上げられ、完全に身動きが取れなくなってしまった。

さらに、顔をがっちりと固定され、強制的に炎を見るようにさせられる。
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:30:57.80 ID:IZOTRP+50
シズル「な、何なんだ一体……」

そっと目を閉じようとするも、やはりそれも叶わない。

???「駄目よ、あの炎を見つめなさい」

シズル「だ、誰だお前…!」

闇夜に染まる黒髪をたなびかせ、暁美ほむらが背後に立つ。

ほむら「ほら、しっかり見なさい」

無理矢理瞼を開けさせられ、碌に瞬きもできないままずっと揺れる炎を見つめる。

やがて二人とも口数少なくなり、とろんとした表情でうな垂れてしまった。

ほむら「効いたようね…揺れるシャンデラの炎が相手を催眠状態にするというのは本当だったみたいね」

髪を掻き上げ落ち着いた素振りで辺りを見回す。

ほむら「よくもまあこんなに集めたものね……いえ、産ませたんだったかしら?どっちにしても、二匹分の"かまいたち"で十分仕留められたみたいだけど」

空からアブソルを乗せたウォーグルが降り立ち、シャンデラがゆっくり近付いてくる。
二人を縛るベイリーフは蔓を緩めることなく、進化したばかりのギギギアルはほむらの後ろでくるくると歯車を回す。

ほむら(まどか達の姿が見えたから少し見守っていたらこんなことになるなんてね……結局まどかが落ちるのを助けてしまったし
    本当に危なくなっていたらコイツとのバトルにも手を出そうと思ってたけど、杏子が来てくれて良かったわ)

そう、イツ砂漠の冒頭。
まどかとさやかを背後から見つめていたのも、空から落下するまどかを一瞬抱きかかえスピードを緩めたのも、このほむらである。

ほむら「さて、あなた達には聞きたいことがあるの。答えてもらえるかしら?」

こくりと頷く。
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:33:20.58 ID:IZOTRP+50
ほむら「あなた達の組織の名前は?」

シズステ「ウィッチ…だん……」

ほむら「ウィッチ団…どこかで聞いたこと――っ!そんな、ただのサーカス団じゃない……どうしてウィッチ団が……
    いいわ、もう一つ聞きましょう。あなた達のボスは誰?」

シズステ「……ナハト…ワルプルギス……」

ほむら「ワルプルギスですって!?まさか、チャンピオンが組織のリーダー…?どうしてこんなことを……いいわ、質問を続けるわよ――」

その後も質問を繰り返し、ほむらはウィッチ団の目的、現状、構成メンバー、アジト、今後の活動、果ては幹部の使用ポケモンまであらゆることを聞いた。

朝日が昇りきる頃には、聞きたいことは粗方聞き終えていた。

ほむら「――なるほど、よく分かったわ。まだチャンピオンに真の目的があるらしいけれど、それは幹部にも知らされていないみたいね
    さてと、どうやって催眠を解けばいいのかしら…?」

とりあえず指をパチンと鳴らしてみる。

変わらない。

ほむら「……それもそうよね。いいわ、今からこのニャースがあなた達を起こすわ。起きたらあなた達はさっきの出来事を全て忘れてしまうの。いいわね?」

こくりと頷く。

突っ伏していたニャースを抱え元気の欠片を使う。

少し回復したニャースに二人を起こすよう伝え、ほむらはベイリーフの拘束を解かせて他のポケモン達もボールに戻す。

ほむら「さて、帰るわよ。あるある、進化して使えるようになったばかりでまた行き先が変わっちゃうかもしれないけど、お願いね」

ギギギアルは歯車を高速回転させ、体中にエネルギーを充填していく。

体から光を放ち、エネルギータンクの役割を持つ中央の赤いコアが点滅しだすと準備完了だ。

ほむら「"テレポート"!」

一瞬で光に包まれ、ほむらはイツ砂漠から姿を消した。

やがてニャースが二人を起こす。

目を覚ましたシズル達は、当然どうして猫軍団が傷ついているのか分からないが、状況を報告しないことにはアジトへ帰ることもできないので、二人は恐る恐るマリアへと報告の電話を入れたのだった。
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/26(木) 10:37:54.94 ID:IZOTRP+50
さやかちゃん寝返り展開?ハタシテアルノカナ?

バル(シュバルゴ)『シェルアーマー』♂
槍のイメージでスピアーと迷ったけど、オフィーリアの騎士っぽいイメージでシュバルゴに
性格は腕白、長時間シズルに槍を向けてられるほどには粘り強い
ちなみにカブルモから進化させたわけじゃなく、野生のシュバルゴを捕まえた
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/26(木) 22:49:20.16 ID:xfW8yirSo
スネーク並みスニーク力だなほむほむ
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/27(金) 14:23:58.35 ID:GyDC12gIO
ほむほむマジほむほむ
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/27(金) 22:54:21.85 ID:aO9zsUiAO
ほむほむギギギアルのニックネーム変えたのか?
ぎあぎあでも別に問題無い気はするが・・・・・・
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/27(金) 23:37:36.83 ID:lWE67ozd0
シズルが出てくると長くなる法則

ユキ(ユキワラシ→ユキメノコ)『ゆきがくれ』♀
実はあまり深い理由はなくってパーティの彩り要因でありゴースト要因
個人的に道連れしてくるイメージがあるので
性格は無邪気でおっちょこちょい
BWの図鑑を読むとにレイトウコを思い浮かべるけど関係やいかに
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/27(金) 23:39:02.48 ID:lWE67ozd0
>>450
普通にミスってた、ごめん

>>446
ほむら「さて、帰るわよ。あるある、進化して使えるようになったばかりでまた行き先が変わっちゃうかもしれないけど、お願いね」

ほむら「さて、帰るわよ。ぎあぎあ、進化して使えるようになったばかりでまた行き先が変わっちゃうかもしれないけど、お願いね」


453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/27(金) 23:41:34.24 ID:lWE67ozd0
〜八日目〜―ポケモンセンター―

まどかが目を覚ましたのはすでに「こんにちは」と挨拶をしてもおかしくない時間だった。

その後未だ惰眠を貪るさやかを無理矢理起こし、着替えなどの支度を済ませ荷物もまとめる。

この日のうちに砂漠を越えておかなければならないのだ。

随分と遅い朝食を食べていると、さやかが一言。

さやか「……お土産屋さんに寄っていい?」

この一言で、結局あちこち店を回り、昼食もここで食べることになり、ようやく出発できることになったのは、気温も高くなってきた午後一時過ぎだった。

サキ「やあ、もう出発かい?」

まどか「サキさん!昨日はありがとうございました」

サキ「それはこっちの台詞さ。次は何処に行くんだい?」

さやか「トキサダメシティですよ。ジム戦と、あと神那ニコっていう人に返さなきゃいけないものがあって」

サキ「なんだ、ニコを知っているのか?」

まどか「ニコをって、サキさんも知ってるんですか?」

サキ「ニコもプレイアデスの一員なんだ」

まどか「そうなんですか?」

サキ「あぁ、うちの小道具担当と言ったところか。大方、何か発明した物の試験を頼まれたんじゃないのか?」

さやか「流石サキさん、大当たりです!学習装置と癒しの鈴を組み合わせたものだとか何とか……残念ながら途中で使わなくなっちゃったんですけど」

サキ「そうなのか?まあ、ニコの腕は本物だから間違いなく完璧だったんだろうが……ニコの研究所は分かるか?」

まどか「そういえば聞いてないですね…教えて貰えますか?」

サキがさらさらっとメモ帳に住所を記し、まどかに手渡す。

これでニコを探す手掛かりができた。
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/27(金) 23:45:13.31 ID:lWE67ozd0
サキ「ニコに会ったらよろしく言っといてくれ」

さやか「了解です!何から何までありがとうございます!」

まどか「次に会うときはヒメナジムで」

サキ「あぁ、待っているぞ」

サキに別れを告げ、二人は再び砂の大地へと足を踏み出した。

サキ「しかしジムに挑戦するというのならニコには簡単に会えるはずなんだがな……二人も知ってるはずだと思ったんだが」


―イツ砂漠―

前半よりは些か楽な道を進み次の街を目指す。

道中のポケモンはほぼ変わらないようなので、二人はひたすら歩くことだけに集中する。

荷物持ちは前日言った通りまどかが担当している。

さやか「さあさあしっかりしっかり!ゴールはすぐそこだよ!」

まどか「はぁ…はぁ……なんでそんなこと分かるの……」

さやか「ほら見てヒメナ川!あそこ越えたらトキサダメシティだよ!!」

まどか「うわぁ…大きいね」

目の前に広がるのがヒメナ川。

トキサダメ北部に位置する『つばなの湖』にも繋がっており、下流はカントー地方の海へと続いている。
稀に海のポケモンが迷い込んでくることもある珍しい川で、一部はトージョウの滝と合流しているらしい。

さやか「さあ、あの橋を越えようではないか!」
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/27(金) 23:48:12.13 ID:lWE67ozd0
橋は自動車専用道路と歩行者専用通路に分けられ、歩行者専用にはグンマーには珍しい海のポケモンを求めて、多くの釣り人が糸を垂らしている。

橋を渡りきろうとする頃には、すっかり日が傾き、ヒメナ川は鮮やかな紅に染まっている。

まどか「みんな釣りやってるね。釣れるのかな?」

さやか「さぁね〜、あたしら釣竿持ってないしね」

<あーもう!ヤカンと長靴しか釣れないよー!

まどか「ヤカンと長靴……」

さやか「今時そんなベタな……それより街がようやく見えてきたね」

まどか「だね」             ポチャン

ピクシー「!ピピッピピッ!!」グイグイ

まどか「どうしたのピピっち?何か跳ねたの?」

さやか「ん〜?なんかいたっけ――」

バシャリと音を上げ、突然川からコイキングが飛び出してきた。

それはそれは黄金に輝く見事なコイキングが、夕日をバックに神々しさすら感じる勢いで跳びはねたのだ。

そのまま重力に逆らわず、金のコイキングは水面へと潜っていった。

さやか「ねえ、今のコイキングって」

まどか「うん……金色、だったよね…?」

さやか「……いやいやいやまっさか〜、夕陽のせいでそう見えただけじゃ――」

???「それ本当!?」

さやか「うぉいびっくりした!」

ペラップ「スラマッパギー」

???「金のコイキングがいたって、それ本当!?」

ペラップ「ユッコハ、バカダナア」

ゆっこ「ペラっこは黙ってて!」
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/27(金) 23:50:45.79 ID:lWE67ozd0
突然二人の元に駆け寄ってきたのは、先程ヤカンと長靴を釣り上げた少女だった。

ペラップに「ゆっこ」と呼ばれた彼女は、釣竿を抱えている以外、至って普通の少女に見える。

ゆっこ「今金のコイキングって言葉が聞こえたんですけど、ほんとにいたんですか!?」

さやか「いや、見たって言っても夕日のせいでそう見えただけかもしれないですし」

ゆっこ「もう何言ってるんですか、ここにはいるんですよ金のコイキングが!!麻衣ちゃんが言ってたんですから」

まどか「は、はぁ」

ゆっこ「よーし釣るぞー!情報ご提供感謝いたします!」ヒュッ

そのまま鼻歌交じりに糸を垂らし、じっと獲物を待つ体制に入った。

まどか「……もしかして、ほんとに金色のコイキングだったのかな?」

さやか「仮にそうだとしても、あんまりいい思い出がないからなあ」

かつてカザミノとニビの山で騙されかけたことを思い出す。

結果的にあれがニコとの出会いになったわけだが、騙されそうになったという事実は変わらない。

まどか「じゃあ、私たちもう行きますんで……」

ゆっこ「はいはーい」

ペラップ「コノカラダニモ、ダイブナレテキタゾ」

ゆっこ「何処で覚えたのそんな言葉!?」

いつまでもお喋りを続けるゆっことペラップを背に、二人は改めて橋を渡りきりトキサダメシティに足を踏み入れた。

―――――――
――――


ペラップ「イチジカンゴー」

ゆっこ「うっさいなー、結局ヤカンと長靴しか釣れないなんて思わないじゃん……全く、こんなことならみんなと一緒に来ればよかったよ
    そしたらまだ笑えたのにさー」

ペラップ「ユルシテソーナンス」

ゆっこ「さーて、帰るとしますか」トホホ

                              \パシャン/
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/27(金) 23:59:22.38 ID:lWE67ozd0
イツ砂漠編終了
トキサダメシティの元ネタとかみんな分かってくれてるんだろうか…
それとぎあぎあの件は完全にボケてた
許してソーナンス

プラ(プラスル)『プラス』♂
赤い電気タイプ、マイナスがいるとパワーアップでなんとなく良さそうだなと
性格は図太くて、我が物顔で物を散らかすのがたまに傷
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 00:11:31.28 ID:SO9PCEKDO
そういや日常も群馬だったな
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/28(土) 01:04:21.37 ID:jMtHw2Gl0
日常wwwwww
つかゆっこさんwwwwwwww
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 02:55:29.39 ID:SO9PCEKDO
トキサダメって日常の時定市からか
この調子だと同じ群馬舞台のはがないとかも出てきそうだな
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/28(土) 05:52:54.07 ID:twAAh7ZIO
はがないか小鳩がエフィブラ持ってそう
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/28(土) 20:52:12.22 ID:r+lFx1bN0
鋭意書き溜め中につき本日休憩 記録13日
毎日更新きつすぎワロタ

日常はそこそこ知られてる様で安心
はがないってアニメしか知らないから登場させるべきか悩んでるんだよね
出すならどの辺&どのポケモンかなあ


そるそる(アブソル)『プレッシャー』♀
図鑑説明の通り災いを知らせに来るのに忌み嫌われる辺りほむほむっぽいなと
ほむらは自業自得な面もあるけど…
性格は寂しがり、まどかに思いを寄せるほむらと似てると言えば似てる…かな
こっそり盗みを遂行したりちゃっかり天候を読んだりできる抜け目ないやつ
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/28(土) 21:12:24.83 ID:XYFWopmko

楽しみにしています
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/04/28(土) 21:37:37.16 ID:vcmhwHHAO
>>462
厨二臭いポケモンが似合うと思ふ
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/28(土) 22:52:40.59 ID:r+lFx1bN0
厨二臭いポケモンか
マンダリザードンボスゴがパッと思い浮かんだ
小鳩はゴスっぽいゴチムとかどうだろう?他は全然思いつかんし考えてみるか
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/29(日) 01:17:23.32 ID:AcC//jkIO
>>460
はがないは岐阜
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/29(日) 03:30:37.13 ID:94onTFlDO
>>466
wikiの群馬県の群馬県を舞台にした作品に普通にあったぞ
作者は岐阜ってのは知ってるが
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/29(日) 16:44:21.71 ID:/1UsGWlIO
>>466 >>467
舞台は基本岐阜で、駅前だけ高崎らしいぞ
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/04/30(月) 02:13:48.35 ID:tqdZrW4P0
野田と申します。の野田さんは群馬出身だったことをこのスレで思い出したわ。
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:20:07.43 ID:yFg0wPwY0
地名とか調べたくて群馬のwiki見てたらはがないがあったからてっきり群馬舞台なのかと思ってたら>>468ってことなのね

めがめが(チコリータ→ベイリーフ)『しんりょく』♀
御三家だと炎タイプもいいかなと思ったけど、草がいなかったので
あと、めがほむだったしメガニウムならめがめがってNNにできるしいいかなと
性格は能天気で考え込むほむらとは真逆だけど、バトルの際に負けん気が強いところは似ているかもしれない
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:23:15.31 ID:yFg0wPwY0
―トキサダメシティ―

トキサダメシティ。

全体的にどこか懐かしい香りのする街で、人もポケモンも穏やかに暮らしているのが特徴的だろう。

静かな時間が流れる、何気ない日常の見られる街である。

辺りはすっかり暗くなろうとしていた。

さやか「着ーいたー!トキサダメシティ!」

まどか「はぁ〜〜……もう駄目…足がボーマンダだよ……」

さやか「あんがとまどか!おかげで随分快適な旅路でしたよ」

まどか「うぅ…昨日さやかちゃんばっかりに任せた罰が当たったのかな……」

さやか「まあまあ、今日は明日のジム戦に備えてバッチリ休もうよ!」

まどか「うん、そうする……」

さやか「あっ、その前に砂漠越えの道具一式返しに行かなきゃ」

まどか「ふぇぇそんなの明日でいいんじゃないのぉ〜」

さやか「駄目だよ、明日にしたら延滞料金取られるんだよ?」

まどか「そうだったね……はぁ……」

帽子やゴーグルなどの道具一式全てをレンタルショップに返したところで、まどかはようやく解放感を得ることができたのだった。

その足でポケモンセンターに向かい、夕食や入浴を済ませたところで、やはり布団に直行してすぐに眠りに就いた。
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:25:10.69 ID:yFg0wPwY0
〜九日目〜

早めにポケモンセンターを出発した二人は、ジムを目指す前に一先ずニコを探すことにした。

サキに教えてもらった住所を頼りに街を散策する。

しかし、どうにも同じような家が立ち並んでおり、完全に迷ってしまった。

さやか「うーん…まどか、今どの辺か分かる?」

まどか「んー、ポケ―タイだとこの辺らしいんだけど……でも神那って苗字はないんだよね」

マラカッチ「マッカララー」シャカッシャカッ

さやか「カチっちはこんな時でも能天気にマラカス鳴らしちゃって……迷ってるって分かってるのかな?」

まどか「うーん、一体どこに――」

ふと視線を上げると、

『神那&東雲研究所』

何の変哲もなさそうな平屋建ての一軒家に、どう見ても場違いな看板がご丁寧にでかでかと掲げてあった。

まどか「……ま」

まどさや「丸出しだー!」

さやか「ここか!?ここでいいのか!?」

まどか「えっと…一応チャイム押してみるね」ピンポーン

<はーい

???「なのおかえりー!あれ?なのじゃなかった」

まどか「子供…?」

さやか「ニコさんの妹かな?それとも間違えたかな?」
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:32:34.56 ID:yFg0wPwY0
出迎えてくれたのは、ブロンドヘアーの幼女だった。
どういうわけか白衣に身を包み、真っ赤なネクタイをしている。

ニコ「どうしたんだいはかせ……おや、君達は確か……」

さやか「サキさん!ということはやっぱりここはニコさんの家だったんですね」

ニコ「生き別れになったビスケット1号と2号じゃないか」

さやか「なんですかそれ違いますよ!?学習装置の試験を頼まれた美樹さやかと鹿目まどかです!!」

ニコ「あぁ!」ポン

まどか「思い出してくれましたか?」

ニコ「知ってたよ」

さやか「ズコー!」

はかせ「ねーニコー、この人たち誰ー?」

ニコ「私のお客さんだよはかせ。さあ君達、遠慮せず入ってくれたまえ」

まどか「お邪魔します…ニコさんの妹さんですか?」

はかせ「違います。はかせははかせなのです」

さやか「…?」

ニコ「妹ではないよ。言うなれば仕事仲間といったところさね」

まどか「仕事?どんなお仕事なんですか?」」

はかせ「プププ、はかせの仕事って言ったら研究しかないんだけど」

さやか「研究?っていうと、この学習装置とかですか?」

ニコ「うむ。まあゆっくり話そう」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:36:15.06 ID:yFg0wPwY0
ニコとはかせと呼ばれる少女に案内され、和室に腰を下ろす。

部屋には炬燵机に冷蔵庫、その上にはなぜかサングラスの様に目を塗りつぶされたダルマッカの人形がある。

そして赤いスカーフを巻いたブラッキーが昼寝をしていた。

まどか「わぁブラッキー可愛い」ナデナデリ

はかせ「ブラッキーのさかもと。喋るよ」

さやか「喋るの?へぇ、そりゃ寝てるのが残念だね〜」

話半分にしか聞いていないようだ。

まどか「はかせちゃんはお名前なんて言うの?」

はかせ「だからはかせははかせなんだけど」

さやか「いや、だから本名をだね……」

ニコ「はいはいストッピング。それで、どうだった?私の開発した学習装置は?」

さやか「いやぁ、それなんですけど……実は一日しかつけてないんですよねぇ」ポリポリ

ニコ「というと?」

さやかはニビジムであったことを話した。

ナックラーのために、人の都合で実験に付き合わせたくなかったことを、正直に。
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:38:37.89 ID:yFg0wPwY0
さやか「だから、あんまり効果については分からなかったんです。ごめんなさい」

ニコ「……うーん、そういうことなら仕方ないね。試験は中止で残念無念また来週」

さやか「これ、お返ししますね。あたしは道具に頼らずにポケモンに懐いてもらいたいんで」

ニコ「ありがとう。気が向いたら他の誰かに持たせてみよう」

まどか「そういえば、ここに来るときイツ砂漠でサキさんに会ったんですよ。ニコさんによろしく言っといてくれって」

ニコ「あぁ、サキな。そういえば久しく会ってない気がするが……相変わらずな感じなんだろうな」

はかせ「ねーねーつまんないー遊ぼうよー」

ニコ「ふむ、そうだね、四人でできる遊びとなると……」

まどか「あの、せっかくなんですけど私たちこれからジムに行こうと思ってるんです」

ニコ「そうかそうか…しかしそれには及ばないよ。今日はジムリーダーがまだジムにいないのだからね」

さやか「ありゃ、そうなんですか?」

ニコ「あぁ、だってここにいるしね」

まどか「へぇー」

まどさや「……」

ニコ「ね」ニコッ

まどさや「えぇぇーー!?!?」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:43:30.22 ID:yFg0wPwY0
まどか「に、ニコさんがこの街のジムリーダーなんですか!?」

はかせ「ニコがジムリーダーなのは有名なんだけど」

まどか「そんなこと一言も言わなかったじゃないですか!」

ニコ「聞かれなかったからね」

さやか「そんなどっかの詐欺師みたいなこと言わないでくださいよ!っていうかサキさんもなんで教えてくれなかったのさ!!」

ニコ「というわけだ。君達がどうしてもと言うんなら、今からジムに行くことにするが……」

はかせ「いいよ、はかせがお留守番します」

ニコ「そうか、なら任せよう」

まどか「大丈夫なんですか?この子一人で」

ニコ「なに心配いらないさ」

はかせ(プププ、一人になったらお菓子食べ放題だぞー)

ニコ「――とか考えているだろうから」ヒソヒソ

さやか「な、なるほど」
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:44:24.02 ID:yFg0wPwY0
>>473
さやか「サキさん!

おかしいね、ニコさんだね
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:47:32.47 ID:yFg0wPwY0
ニコ「……そうそう、そういえば君達はポケモン図鑑というものを持っていたんじゃ無かったかな?」

まどか「よく覚えてますね」

はかせ「ポケモン図鑑!?ねえねえフカマルは!フカマルは見たことある!?」

まどか「フカマル?うん、あるよ。図鑑にもほら」ピッ

さやか「あれ、まどかいつの間に?」

まどか「あの時のフカマル達、せめてデータだけでもと思って……」

さやか「……なるほどね」

はかせ「ねえねえもっと見せて!フカマルの絵描いてもいい!?」

ニコ「……うん、それはいい。はかせに図鑑を貸してあげたらどうかな?その方が描きやすいだろうしね
   はかせは一人寂しく留守番をしなければならない…なんて可哀相なんだろう……せめて大好きなフカマルと一緒にいられたらねえ」チラッ

まどか「なら、図鑑持ってていいよ。一杯お絵かきしてね」

はかせ「ほぁーやったぁー!!!」

ニコ「それじゃあさっそくジムに行くとしようか」

さやか「よっしゃあ!負けませんよー!!」

ニコに続いて二人は研究所の扉を開けた。

と、コイルを連れたこの研究所のもう一人の住人と出くわした。

ニコ「おや、なのちゃん今お帰りかい」

なの「神那さん、いつもはかせの相手ありがとうございます。そちらの方達は?」

ニコ「ジムに挑戦したいと言うんでね、今から行くところ」

なの「初めまして、東雲なのといいます」

まどか「お邪魔してます」
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:49:49.33 ID:yFg0wPwY0
はかせ「あ、なのおかえりー」

なの「はかせただいま、サメハダーチョコ買ってきましたよ」

はかせ「やった!」

ニコ「よろしくね。今日はジムには誰がいたんだったっけ?」

なの「今日は長野原さんと水上さんですよ。頑張ってくださいね、お二人とも強いですから」

さやか「ご忠告どうもです!」

まどか「頑張ってきま――」

なのが背中を向けた時、まどかは見てしまった。

本来人間ならば、そこに付いていることなどあり得ないもの。

彼女の連れているコイルの物とはまた別の形、古典的な形。

まどか「なのさん背中にね――」

ニコ「はいストーップ」ガバッ

さやか「なのさん背中にねじが付いてる!?」

ニコ「アイトァー……」

なの「わぁっ!?こ、これは違うんです!その、なんていうか、ロボ的なものではなくてですね!?」

はかせ「違うよ、なのははかせが作りました」

なの「なんで言っちゃうんですか!?と、とにかくなんでもないですから!行くよみかんさん!!」

コイルがなのに続いて入るや否や凄まじい勢いで扉を閉められ、それっきりだった。

残ったのは強烈なインパクトだけである。
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:55:21.68 ID:yFg0wPwY0
まどさや「……」ポカーン

ニコ「さ、レッツジム戦だ」

さやか「なんなんですか今の!なんで背中にねじが――」

ニコ「はいはい、後で答えてあげるから。ジムはこっちだぞ」

ニコに後押しされ二人はやむなく研究所をあとにする。

しばらく歩いたところでさやかは改めてニコに問う。

さやか「で、なんなんですかあれ?新しいファッションですか?」

ニコ「そう思ってくれるとありがたいね」

まどか「なんか、はかせちゃんが作ったとか言ってましたけど」

ニコ「そう、なのちゃんはロボットだよ」

さやか「……マジですか?」

ニコ「大マジだよ。君達ウィッチ団のサーカスを知ってるかい?」

まどか「ウィッチ団ですか?チケットは持ってるんですけど、ショーはまだ見たことないんです」

ニコ「あのショーには数体、彼女が作ったロボットが使われてたことがあるんだよ。どうやら団員が怪我してしまったらしくてね
   急遽団員の代わりに動くロボットを頼まれたんだ。その動きは本物とほぼ遜色なかったらしいし」

さやか「サーカスっていったらきっと目茶苦茶な動きするんですよね…なるほど、確かにロボットならできそうだ」

ニコ「要するになのちゃんがロボットでもなんら不思議ダネということはないわけだよ
   ただ、なのちゃんは自分がロボットなの気にしてるみたいだからあまり言わないであげてほしいね」

まどか「そういうことなら……」

まどか(自律できるロボット……シズルちゃんの偽物みたいな感じなのかな)
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 20:58:20.76 ID:yFg0wPwY0
一応ニコの話に納得した二人はこの街のジム、トキサダメジムへと案内された。

なぜか高校の横にあるものの、外観はやはりというべきか、この街に合わせた様にいたって普通のジムだ。

―トキサダメジム―

ニコ「じゃ、私は先に行って待ってるぞ。ジムトレーナーを倒したら一対一で正々堂々」

まどさや「はい!!」

案内人「元気かい?未来のチャンピオン!ここはトキサダメジム、通称『静かに燃える弾丸少女』、神那ニコさんのジムだ!
    神那さんのエキスパートタイプ……それはずばり、炎タイプ!」

まどか「炎タイプ…カチっちはちょっと不利し作戦考えないと……」

さやか「あたしはミジュかでガンガン攻めあるのみ!」

案内人「気張っていこう!」

張り切って赴いたものの、ジム内にいたジムトレーナーはたった二人、ミニスカートだけだった。

みお「命を……燃やせーー!!!!」

まどか「負けないでチャモっち!"にどげり"!!」

麻衣「桃から出てきた二等兵」

さやか「ドユコト!?とにかくミジュか!"シェルブレード"!!」

接戦を繰り広げどうにか勝利した二人は、

みお「あれれれれれれれれれ???」

まどか「やったぁ!」

麻衣「燃えてるの一言に尽きるね」

さやか「ど、どうも……」

シンプルなジムに迷うこともなく、すぐにニコの元に辿り着いた。
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:01:51.04 ID:yFg0wPwY0
ニコ「モーニン。感動の再会も済んだことだし諸君、本題に入ろうか…使用ポケモンは三体のシングルス」

まどか「分かりました」

ニコ「あなたと私、ポケモンバトルでみんな仲良く。眠りの際に教えてあげよう……我が名は神那ニコ」

ジムリーダーの 神那ニコが 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=IjDQ4po2nDQ

ニコ「ダルマッカ」ボンッ ダルマッカ「パッパカパー!」

まどか「チャモっち!」ボンッ ワカシャモ「シャッ!」

ニコ「炎に炎をぶつけてくる……いいね、"かげぶんしん"」

まどか「落ち着いてチャモっち、よく見て!」

取り囲むように展開された分身に、ワカシャモはどの状態からでも反撃できるように精神を研ぎ澄ます。

すぐに背後から突進してきたダルマッカに、ワカシャモの強烈なカウンターの二度蹴りが撃ち込まれた。

ダルマッカはふらついたもののすぐに体制を立て直す。

ニコ「おー怖、ぎりぎりでんがな」

まどか「もう一回"にどげり"だよ!」

すかさずワカシャモの蹴りが再び炸裂し、ダルマなのに起き上がることはなく、戦闘不能になった。

ニコ「ありゃりゃ……選手交代」シュパン
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:05:39.08 ID:yFg0wPwY0
ニコ「デルビル」ボンッ デルビル「バウ!」

まどか「"にどげり"!」

ニコ「"はじけるほのお"」

デルビルの口から炎弾が噴出される。

巧みな足技で蹴り飛ばそうとするも、足にヒットした瞬間に一気に弾けて火の粉が飛んだ。

まどか「わっ、こっちにまで!」

さやか「こっちにまで!!どんだけ弾けるんだよあの炎!」

ニコ「いいね、採れたてホヤホヤの炎の味だ。"はじけるほのお"」

まどか「こっちも"はじけるほのお"!」

リング中央で二つの炎弾が衝突し、またしても火の粉が弾ける。

ワカシャモが軽く火の粉を払ったのに対し、なんとデルビルはその火の粉を飲み込んでしまった。

ニコ「二回目だよ。そろそろかな…"はじけるほのお"」

まどか「こっちも負けないで!」

三度目の炎弾が射出される。

しかし今度は衝突しても弾けず、ワカシャモの炎弾を貫いてヒットした。

まどか「なんで!?さっきはおんなじ威力だったのに……図鑑で――あれ?」

デルビルの特徴を調べようとした矢先、ポケットに違和感を覚えた。

そういえば、あるはずのものがない。
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/04/30(月) 21:11:04.68 ID:wePCrSzA0
なにこれおもしれぇ
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:12:13.33 ID:yFg0wPwY0

まどか「そっか!はかせちゃんに図鑑貸したままだったんだ!」

さやか「あっ!それでニコさんやたらまどかに図鑑を貸すように迫ってたわけですね!!なんて策士だ!」

ニコ「敵を欺くにはまず味方……いや、挑戦者だったんだから最初から敵だったっけ」

まどか「そんな、どうすれば……」

ニコ「どうすれば?それはおかしいね、本来図鑑などないのが普通のトレーナーなんだけどね
   図鑑に頼りっぱなしで知識を身につけて来なかったのかい」

まどか「っ……」

まどか(そうだよ、こんなのじゃ駄目だよ……あの子達に勝てるわけない……デルビルは自分で火の粉を飲み込んでた
    確か炎を浴びたら強くなるのは……あっ!)

まどか「『もらいび』ですね」

ニコ「ご明答、でももう遅い。どんどん浴びせようデルビル、"はじけるほのお"」

まどか「こ、交代だよチャモっち!」シュゥゥン

まどか「ピピっちお願い!」ボンッ ピクシー「ピッピー!」

ニコ「見物だね、敢えて交代するなんて」

まどか(近付くと"はじけるほのお"狙われちゃう。でもチャモっちじゃ炎しか遠距離の攻撃がないから交代するしかない…!)

まどか「"うたう"だよ!」

出てきてすぐに、美しい音色が響く。

デルビルは今にも吐きだそうとしていた炎を、その口から出すこともなく眠りについてしまった。

まどか「"めざましビンタ"!」

眠りについたばかりのデルビルをピクシーが叩き起こす。

寝起きに強烈なビンタを喰らったことで、デルビルはノックダウンした。

ニコ「うーん、けっこう痛い…ねッ」シュゥゥン

さやか「いいぞーまどかー!このまま押し切っちゃえー!」
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:14:26.08 ID:yFg0wPwY0
ニコ「マグカルゴ」ボンッ マグカルゴ「ジャゴー」

まどか「マグカルゴ……大丈夫、負けないよ。ピピっちもう一回"うたう"!」

ニコ「うーん、毎回眠らされる…ね」

まどか「"めざましビンタ"!」

全く同じ流れでマグカルゴにピクシーのビンタが炸裂する。

背中の殻がボロボロと崩れ出るほどの大ダメージを与えた!

――が、今回は少し様子がおかしい。

ピクシー「ピー!?」フゥーフゥー

まどか「ピピっちどうしたの!?火傷したの?」

ニコ「無暗に触れると火傷するよ。おかげで目が覚めたみたいだけどね、まだ"あくび"が出ちゃうよ」

さやか「そうか!ほむらのランプラーと同じ、『ほのおのからだ』だ!でも今ので結構体力削ったはず…!」

まどか「負けないでピピっち!もう一回"うた――」

ピクシー「ピィ……」zzZ

まどか「なっ、どうしたのピピっち!?なんで寝ちゃうの!?」

ニコ「策士策で溺死する……さっきの"あくび"が寝首をかくよ。今のうちに"じこさいせい"だ」

破れていたからもみるみる回復していき、完全復活を遂げた。

ニコ「ちなみにいい攻撃を貰ったから殻が崩れたと思ったのかもしれないけど、元々マグカルゴの殻は何かに触れるだけで割とすぐ崩れちゃうんだよね
   さ、"いわなだれ"をプレゼントしてあげて」

無数の岩が眠りにつくピクシーに降り注ぎ、ピクシーはそのまま戦闘不能になってしまった。
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:16:19.77 ID:yFg0wPwY0
まどか「ピピっちお疲れ様」シュパン

ニコ「あと一体だからって油断しない方がいい。バトルとはそういうものだぞ」

まどか(ニコさんの言う通り…諦めずに最後まで、持てる力を出し切る…!)

まどか「カチっち頑張って!」ボンッ マラカッチ「カララ〜」

ニコ「む?草タイプなんて、自棄になったか」

まどか「いいえ、私の全力を尽くします!カチっち"タネマシンガン"!!」

マラカスのような音に合わせ、腕から無数の種が射出される。

それらは全弾マグカルゴにヒットした。

しかし、炎の体により高温のボディを持つマグカルゴにはほとんど効いておらず、接した瞬間種はことごとく燃えていく。

ニコ「草技はマグカルゴが『ほのおのからだ』であるかぎり燃え続けるよ」

まどか「ま、まだだよカチっち!タネを撃ち続けて!!」

両の腕から先程以上の数の種が射出されるも、やはりそれらはいとも簡単に燃えていってしまう。

ニコ「"はじけるほのお"」

タネの攻撃を打ち破り、大きな炎弾がマラカッチを貫き、そのまま戦闘不能となった。

まどか「カチっち……ありがとう」シュゥゥン

さやか「いくら相性があったとはいえ、一気に二体も倒すなんて……流石ジムリーダーの最後の一体ってとこだね」

ニコ「これで一対一の正々堂々に戻ってきたね」

まどか「チャモっち!」ボンッ ワカシャモ「ワシャッ」
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:19:04.74 ID:yFg0wPwY0
ニコ「さて、どうやって切り抜けるのかい?」

まどか「"にどげり"だよ!」

ニコ「……やれやれ、一つ覚えだね。"いわなだれ"だ」

蹴りを放ったと同時に、ワカシャモに岩雪崩が襲いかかり岩に埋まってしまった。

ニコ「ちょうどいい、すぐに"じこさいせい"」

まどか「"こうそくいどう"!!」

ニコ「おぉ、神速だね」

素早く岩から脱出したワカシャモはすかさずマグカルゴに蹴りを撃ち込む。

しかしどんなに強烈なダメージを与えても、僅かに体力が残っていたならすぐに再生を繰り返してしまい、完全に倒しきることはできない。

まどか(だめ、もっと大きなダメージを与えないと……だったら、やっぱりあれしかないよね)

ニコ「さて、次の"いわなだれ"は先程は違う特別製だ。果たして耐えられるかな」

崩れ落ちる岩にマグカルゴが噴出した炎が纏われる。

弾ける炎などとは段違いの炎弾岩が雪崩となってワカシャモに降り注ぐ。

ニコ「この炎弾岩で試合終了だよ」

まどか「チャモっち一発だけだよ!フィニトラ!」

ニコ「む?」

雪崩を軽々とかわして距離を縮める。

負けじとマグカルゴも炎弾岩の弾数を増やし、ワカシャモは徐々に追い詰められていく。

ワカシャモ「シャモッ!?」ドガッ

ニコ「一発入った――」

まどか「フレティア!」

ワカシャモ「――ッシャーッ!!」

先程までのスピードを悠々と超えて、一瞬でマグカルゴに到達する。

しかしマグカルゴもそのための対策はしてある。

起死回生の一撃と、零距離からの炎弾岩、二つが互いにヒットして両者吹き飛ばされてしまった。
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:21:07.60 ID:yFg0wPwY0
ニコ「驚いたよ、あんなに素早く移動できるなんて……あの一瞬で攻撃するために力を蓄えていたわけだね
   しかし、備えていた私の勝ちのようだね」

まどか「チャモっち!まだ立てる!?」

ニコ「無理のムリムリだよ。君は体力を減らされる一方だったけど、私はずっと回復してきてたからね
   ワカシャモは戦闘不能でマグカルゴはまだ――」

ワカシャモ「……シャ…モ…!」ググッ マグカルゴ「……」キュゥ〜

ニコ「……マジ?」

さやか「おぉー!やったまどか!!勝ってるよ!」

まどか「チャモっちが回復できずにマグカルゴは回復し続けてた……それは違いますよニコさん
    チャモっちはずっと回復してましたよ」

ニコ「そんな……む、これは、"やどりぎのタネ"?……へぇ、そういうことかい」

さやか「何何?まどかどうやって勝てたの?」

まどか「カチっちは最初"タネマシンガン"撃ったよね?一回目は確かに"タネマシンガン"だったけど、二回目は私『タネを撃ち続けて』って言ったの」

ニコ「てっきり"タネマシンガン"ばかりかと思ってたけど、どうやらその中に"やどりぎのタネ"と"なやみのタネ"を織り交ぜていたようだね
   "なやみのタネ"で特性が『ふみん』に変わってしまったマグカルゴは『ほのおのからだ』じゃなくなった……
   だから"やどりぎのタネ"を燃やすことができなかったわけか」

さやか「あぁ!それでチャモっちは最後攻撃受けても回復して立ち上がれたんだね!」

まどか「"なやみのタネ"も燃えたらどうしようとか、ニコさんがいつ"やどりぎのタネ"の存在に気付くか不安だったんですけど、うまくいったみたいです」

ニコ「参った参った……よしまどか、このロッソバッジをあげよう」

まどかは ロッソバッジを手に入れた!
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:23:50.36 ID:yFg0wPwY0
さやか「おめでとまどか!図鑑なくてもなんとかなるじゃん!」

まどか「ティヒヒ、でもニコさんの言うとおりこれが普通なんだよね…私ももっと勉強しなきゃ!」

ニコ「さて、次はさやかだったね。早速準備をしよう」

さやか「え、連戦ですか?回復とかは大丈夫なんですか?」

ニコ「心配しなくても他のポケモンを使うよ。作戦がバレたまま戦うのは怖いからね
   なんなら図鑑を使ってくれてもいいよ」ニコリ

さやか「うっ…なんかヤな予感……」

そうしてさやかの試合が始まった。

さやかの予感は的中し、水タイプのはずのフタチマルだけでは勝つのが困難なほどにニコは攻めてきた。

図鑑など全く意味などないほどの、強行突破を図ってきたのだ。

一旦引いてリオルとナックラーで体勢を立て直し、二匹の犠牲の末どうにかフタチマルでとどめを刺すことができ、なんとか勝利を収めた。

さやか「っしゃー!ナイスミジュか!!」

ニコ「うーむ、"にほんばれ"で水技を弱体化させたまではよかったはずなんだけど……一匹ならなんとかなったかもしれないが、三位一体はもっと強いってことだね
   さやか、君にもロッソバッジだ」

さやか「ありがとうございます!」

まどか「おめでとうさやかちゃん!これで一足先に四つ目だね」

さやか「おう!まどかには悪いけどさやかちゃんは素直な人間なのだよ」

さやかはロッソバッジを 手に入れた!

さやかのバッジケースに四つ目の輝きが灯った。
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:25:44.23 ID:yFg0wPwY0
ニコ「さてと、この辺でお開きにしようか。みお、麻衣、後片付け……って、もういない」

まどか「お昼ごはん買ってくるって言ってさっき出掛けましたよ?」

ニコ「……ま、そういう日もあるよね」

さやか「じゃあニコさん!早速ですが、一体何が振る舞われるんですかね!」

まどか「もう、さやかちゃん焦っちゃ駄目だよ」

ニコ「…?」

さやか「…?」

ニコ「……あぁ、あれか。グンマーの伝統、ジムリーダーが挑戦者に振る舞うという曰く付きの」

さやか「そうそれです!正直お腹ぺこぺこです!」

ニコ「……いや、期待して貰って言いにくいんだけど、私料理は苦手なんだよね」

さやか「えっ」

ニコ「だから昼食は自分達で用意してくれないとこっちも、ね…?」

さやか「カザミノで話を聞いてワクワクしてたのに…ニビで肩透かしを食らって……楽しみにしてたここでもまさかの裏切りですか……」

まどか「さ、さやかちゃん一緒にどこか食べに行こう!ニコさんに美味しいお店教えて貰ってさ!ね?」

ニコ「そうそう、大工バーガーにフカマルカステラ、中之条大福、あとはてんぷらアイス……」

さやか「てんぷらアイス!?なんですかそのインビな響きは!?」

まどか「落ち着いてさやかちゃん、言ってる意味が分からないよ!」
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:27:51.73 ID:yFg0wPwY0
ニコ「まあ、そのまんまだよ、アイスのてんぷら。外は熱々中はひんやり、あちゃ冷たいが同時に来るからおいしい、ってね」

さやか「それにしようまどか!それが買えるお店教えて下さい!」

ニコ「いいよ。じゃあ一緒に行こうか」

ジムを後にした三人は、ニコ行きつけのてんぷらアイスを買いに向かった。

小さな屋台には行列ができており、買うのに結構な時間待たされることになった。

ようやく口にしたその味は格別である。

さやか「ん〜〜〜!!!美味い!!熱いと冷たいのハーモニーっつーんですかぁ!?例えるならウッちゃんに対するナンちゃんッ!サイモンに対するガーファングルッ!!
    とにかく美味いっす!」

まどか「とろけるね!ありがとうございます、奢ってもらっちゃって」

ニコ「あはは、まあジムリーダーの宿命だしね。うん……」

ニコ(……財布がからっけつ)

まどか「そうだ、はかせちゃんに図鑑貸したままだったから取りにいかなきゃ」

ニコ「私も面白そうだからついていこう。しかし、どんな風になってるか楽しみだ」

さやか「?」
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:30:51.11 ID:yFg0wPwY0
―神那&東雲研究所―

なの「はーい…あ、ニコさん!それと挑戦者のお二人も。どうでしたか?」

さやか「バッチリ勝たせて頂きました!」

なの「わぁ〜!おめでとうございます!今お昼ご飯作ってるんで、良かったら一緒に食べていきませんか?」

さやか「本当ですか!?是非お願いします!」

なの「いえいえ、いつも作ってますから」

まどか「……いつも?」

ニコ「……テヘペロ」

さやか「なのさんの料理が挑戦者への振る舞いってことですか……」

部屋に戻るとはかせは絵本を読んでいる最中、ブラッキーはまだ昼寝をしていた。

はかせ「ニコおかえりー」

ニコ「やあはかせ、図鑑はどうだった?」

はかせ「かわいくなったよー!」

まどか「可愛くって?」

はかせ「はい、ちょっと持ってて」テテテ

まどかに図鑑を手渡し、はかせはどこからかスイッチを持ってくる。
箱の上にボタン一つがついただけのシンプルなものだ。

はかせ「なんと変身します」

まどか「え、変身って――」

はかせ「じゃあいくよー!発射ーピコー!」ポチッ
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:32:06.76 ID:yFg0wPwY0
ガショーンガショーン ブォーン

図鑑から腕が生え足が生え、その形を変えていき、さながらヒードランのようなフォルムに変形した。

カションカションと足音を立てて歩行している。

まどか「えぇぇええぇぇぇぇ!?!?!?」

さやか「なんてこった!いきなりなんてこった!!」

はかせ「ね、かわいいでしょ?」

まどか「なんで勝手に改造しちゃうの!?これすっごく大事なものなんだよ!?」

はかせ「大丈夫です。はかせなら機能そのままにしておくなんて簡単なんだけど」

まどか「そのままって……あ、ほんとだちゃんと動く」ピッ

さやか「いや、でもなんていうかこの見た目……ちょっとキモクない?」

はかせ「かわいいよ!」

ニコ「ところではかせ、見た目以外の改造は如何ほどに?」

はかせ「さすがニコ良いこと言った。なんと新しい機能を付けました。なんとポケ―タイと連動して図鑑の場所が分かるのです」

さやか「ドユコト?」

ニコ「まどか、ちょっポケ―タイ見せてもらえる?」

まどか「はい」

ニコが受け取ると、はかせに聞きながらてきぱきと図鑑とポケ―タイを操作していく。

全て終わったのかまどかに二つとも返して、ニコは説明を始める。
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:35:19.08 ID:yFg0wPwY0
ニコ「簡単に言ってしまえばGPSのようなものを図鑑につけて、ポケ―タイに自作アプリを入れて拾えるようにしたわけだね」

まどか「アプリってこれですか……地図の上で点滅してるここが今図鑑があるとこですね」

さやか「何これスゴイ!これがあったらこないだみたいに取られた時でもすぐに分かるね!はかせちゃんやるぅ!!」

はかせ「えへへ、はかせは凄いのです」

さやか「あたしのにも付けれる?」

はかせ「当然です」

さやか「じゃあお願いしてもいいかな?ただし変形するのは無しで」

まどか「あ、私のもできれば元に戻してほしいかなあって……」

はかせ「えぇーつまんない……」

ニコ「まあまあはかせは十分凄いんだから。元に戻すのも簡単でしょ?」

はかせ「他にもロケットパンチできるのに」

まどか「絶対元に戻してください」

なの「お昼ごはんできましたよ。今日はオムライスですよはかせ」

さやか「おっ、待ってました!」

はかせ「やった!」

ニコ「さあてランチタイムだね」

まどか「絶対元に戻してよ?絶対だよ?」
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:35:59.57 ID:yFg0wPwY0
東雲家で昼食を済ませた二人は、はかせに図鑑改良をお願いしたところ完成は夕方とのことなので街をぶらつきに出掛けた。

出発は明日にすることにして街を散策した後、再び研究所に戻ってきた。

はかせ「はい。完璧なんだけど」

ニコ「使い方は知っての通りだよ」

まどか「ありがとうはかせちゃん」

さやか「これで無くしても安心だね!」

ニコ「他にもプラスアルファしてあるから適当に探してみてね」ニコッ

まどか「えっ」

はかせ「プププ、それは後のお楽しみなんだけど」

さやか「えっ」

ニコ「さぁて私も自分家に帰るとしようかな」

まどか「なんですか?何かあるんですか!?っていうかニコさんの家ここじゃなかったんですか!?」

さやか「ちょっ、勝手に変形したりしないよね!?」

ニコ「お邪魔しましたー」

はかせ「ばいばーーい!!!」

まどさや「聞いてます!?」

結局二人はあの機能の他にどういうものが付与されたのか分からないまま、ポケモンセンターに帰ることになった。

部屋で色々とボタンを押してみることにしたが、

まどか「同時押しとか」ピピッ

さやか「押す順番とか」ピッピッ

やはり分からなかったのでモヤモヤを残したまま、二人は眠りについた。

ニコ「さーていつ気付くかな〜……」
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/04/30(月) 21:40:55.57 ID:yFg0wPwY0
トキサダメ編終わり
実にスピーディだ

らんらん(ランプラー→シャンデラ)『ほのおのからだ』♀
紫だし弾ける炎とかほむらっぽいなあと
性格は控えめ、特に描写はないけどおっちょこちょいだったりする
シャンデラの図鑑説明のおかげで催眠術っぽいことができる凄い奴
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/30(月) 21:57:44.41 ID:wrayQUpCo

(´・ω・`)らんらん♪
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/04/30(月) 22:16:13.05 ID:R4HlJXg10
はかせが相変わらず邪気のないヤな奴だったり、
ニコさんが作中台詞使いすぎワロタだったり、
つかほむほむのらんらんひかえめとかガチすぎィ! だったり
色々乙でしたwwww
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/01(火) 00:08:22.04 ID:1uBE5ews0
そういえばジム戦が久々すぎてジム戦用の技書いてなかったな…まあなくてもいいんだけど一応

ピクシー(歌う、目覚ましビンタ、おうふくビンタ、光の壁)
ワカシャモ(高速移動、起死回生、二度蹴り、弾ける炎)
マラカッチ(飛び跳ねる、タネマシンガン、悩みの種、やどりぎのタネ)

フタチマル(シェルブレード、水の波動、燕返し、きあいだめ)
リオル(はっけい、スカイアッパー、嫌な音、噛みつく)
ナックラー(砂地獄、騙し打ち、かいりき、穴を掘る)

ダルマッカ(炎のパンチ、影分身、ころがる、突進)
デルビル(雷の牙、弾ける炎、イカサマ、遠吠え)
マグカルゴ(自己再生、弾ける炎、岩雪崩、欠伸)

弾ける炎のバーゲンセールだな
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/01(火) 03:33:26.55 ID:GRpC0nHIO
>>499
はかせ可愛かっただろいい加減にしろ
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/07(月) 21:21:01.22 ID:VUPNLxML0
大会終わっちゃたけど、個体値なんて関係ないとある程度は証明できた気がしないでもない

ぐるぐる(ウォーグル)『ゆうかん』♂
ほむらって銃にデザートイーグル使ってたなあ→イーグル→ウォーグル
理由って大体こんなんばっかり
性格は勇猛果敢、つまり勇敢
とても几帳面で細かい作業は割と得意
なぜかゴッドバードにかまいたちを使いこなす凄い奴
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/07(月) 21:22:28.13 ID:VUPNLxML0
〜十日目〜

この日も早めに起きた二人は、次の街を目指すことにした。

まどか「次はえっと…北西のタカサキシティだね」

さやか「うん。しっかし結局図鑑の何が変わったのか分かんなかったし、この胸の内に渦巻く気持ち悪さはどうしようか……」

まどか「確かに……でもはかせちゃん凄いよね、初めて見た図鑑でも簡単に改造できるなんて」

さやか「流石ロボットを作ってるだけあるね……一体何者なんだか」

まどか「まあ、いつか分かるかな?」

トキサダメシティを出発して道中を進んでいく。

当然出てくるポケモンの中にいる図鑑未登録のポケモン達は捕まえていく。

その道中――

男「助けてー!」

女「誰か―!」

胞子をまき散らす大量のパラス達に追われるラブラブカップルを見つけた。

まどか「た、大変!助けなきゃ!カチっち"ミサイルばり"!!」

さやか「ミジュか"みずのはどう"!!」

二匹の活躍によりパラス達はすっかり大人しくなって、一か所に寄り集まった。

それでも警戒は解こうとせず、隙あらば胞子をばら撒こうとしている。

まどか「なんでパラスが……もしかして」

さやか「あいつらが逃がしたパラスかも……」

あいつら――すなわち、シズルの属する『Wの組織』を思い浮かべる。

マリ「ありがとうございます!私マリです」

シンゴ「俺シンゴ!君達強いね、マジありがとう!」
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/07(月) 21:25:47.67 ID:VUPNLxML0
さやか「危ない所でしたね……しかしこのパラス達なんで襲いかかってきたんでしょうね?」

まどか「あれ……なんだろう、このパラス達何かを守ってるみたいな……」

シンゴ「そうそう、これは俺達が悪かったんで」

マリ「あそこに木の実畑があるでしょ?あの木の実獲ろうとしたら襲われちゃって」

マリが指差した木の実畑は、パラス達が背を向けた先にあった。

彼らが守っていたのはこの畑だったのだ。

まどか「あ、よく見たら柵が作られてるんですね」

シンゴ「気付かずに獲ろうとした俺らのせいなんだよ」

マリ「もう、シンちゃんがちゃんと見ないからぁ」イチャイチャ

シンゴ「マリッぺだって気付かなかったじゃんかぁ」イチャコラ

さやか「……あの、もういいっすかね」

まどか「柵があるってことは誰かの畑なのかな?」

???「こらお前ら、うちの木の実畑で何やってんだ」

トロピウスに乗って四人の前に空から現れたのは、一人の青年だった。

いかにもというシェフの様なエプロンを身につけ、清潔感ある身だしなみをしている。
『さわやか』、という言葉がよく似合う。

さやか「あなたがこの木の実畑作ってるんですか?」

???「いかにも、そこは俺の畑だ。いろんな輩が木の実を盗っていくからパラス達に守らせてたんだが……
    俺のパラス達を倒すとはなかなかやるみたいだな」
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/07(月) 21:28:25.11 ID:VUPNLxML0
シンゴ「あの、すいません。俺らのせいで」

???「なんも盗らなかったんならそれでいいさ。この木の実使った料理が食べたいんなら是非うちに来てくれ」スッ

まどか「名刺?」

マリ「あっ!実は私たちこれからそのお店に行こうと思ってたんだです!っていうかあなたがこのお店のシェフの立花宗一郎さんですか!?」

宗一郎「そうだよ。俺の店に来てくれるってんなら仕込みが終わったらにしてくれな」

まどか「お店やってるんですか?」

宗一郎「ああ、この先のタカサキシティにある『レパ・マチュカ』ってカフェだから君達も来てくれ。それにお前達、ポケモントレーナーだな?」

さやか「そうですけど、よく分かりましたね」

宗一郎「これでもタカサキシティのジムリーダーだからなあ。当然分かる」

まどか「ジムリーダーなんですか!?でもさっきシェフって……」

宗一郎「両立くらいできるさ。ジムバッジ集めてるんなら、当然寄ってくるんだろ?」

さやか「ということはあれですよね!勝利した後の料理には期待してもいいんですよね!?」

宗一郎「勝てたらな……勝者限定の特別メニューだ」

さやか「うぉー!!俄然燃えてきたー!!!」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/07(月) 21:34:18.35 ID:VUPNLxML0
シンゴ「あの、俺らは普通に食べてもいいんですよね?」

宗一郎「いや駄目」

マリ「なんでですか!?」

宗一郎「人の物盗ろうとした罰だ。収穫を手伝ってくれたら少し安くしてやるから手伝って貰おうか」

マリシンゴ「……はぁい」

宗一郎「あ、お前らが普通に食べる分には問題ないからな?ただ、今日は色々忙しいから、挑戦するなら明日の朝、開店前にしてくれないか?」

まどか「はい!今日のお昼か晩御飯に是非寄らせて貰いますね」

さやか「あたしら先に行ってますね」

宗一郎「あぁ、店で待ってる」

マリ「シンちゃんこれ何の木の実?」

シンゴ「これはえっと……」

宗一郎「それはナナの実と言ってな――」

収穫作業を始めた三人とトロピウスを背に、二人は歩き出した。

タカサキまでの話題は必然、ジムリーダーという立花宗一郎の話になる。

さやか「あの人が次のジムリーダーか……ちょっとカッコよかったね」

まどか「上条君とどっちが?」

さやか「そりゃあやっぱり恭介が――って何言わすのよもうっ!!」

まどか「ティヒヒ、素直じゃないなあ」
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/07(月) 21:38:06.12 ID:VUPNLxML0
さやか「と、とにかく!あの人の使うポケモンは草タイプだろうね!間違いないよ!!」

まどか「トロピウスにパラスだもんね…さやかちゃんはちょっと不利かな?」

さやか「うーむ、何か対策を考えねば……」

まどか「でも楽しみだよね」

さやか「おう!今日のお昼はあの人のお店…なんてったっけ?」

まどか「『レパ・マチュカ』って言ってたね。他の街からも食べに来る人がいるってことは、結構有名みたいだね」

さやか「そうそれ!そこで食べよう!」

まどか「なんかお腹空いてきたかも……早く行かなきゃね」

さやか「あっ、上見て上」

まどか「立花さんだ!」

上空を手を振っている宗一郎が乗ったトロピウスが過ぎっていった。

二人も手を振り返し、先を急ぐ。

足取りは軽く、ポケモンゲットも道中のトレーナーとのポケモンバトルも楽々終わらせ、タカサキシティを目指した。
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/07(月) 21:47:01.69 ID:VUPNLxML0
立花さんって誰やねん?って人はかずみを読もう

ぎあぎあ(ギアル→ギギアル→ギギギアル)『プラス』
ほむスピナー?のイメージから
性格は照れ屋、名前呼んで欲しいけど積極的になれなかったりちびギアがいないとおろおろしたり
自分が歯車でうるさいからか、物音には敏感
なぜか電撃波やテレポートが使える凄い奴
NNの件は許してソーナンス

次は明日か明後日にでも
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/07(月) 22:10:10.81 ID:Rx/kQ6uTo
おつ
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/07(月) 23:37:23.72 ID:Hz4WbhtLo
おっつー
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/05/08(火) 00:11:27.15 ID:5DTioH9Y0
縺励∴
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/05/08(火) 23:42:38.73 ID:KDDdkSYAO
乙あるある
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:06:38.04 ID:ZVVhvLhM0
ようやくマラカッチの紹介を

カチっち(マラカッチ)『ようりょくそ』♀
まどっち→まどかっち→マラカッチ
例によって駄洒落
性格は能天気、でもサボテン食うかい?とか言われるとツーンとする辺りちょっと怒りっぽい
晴れパでキョウコン(キュウコン)と組ませると楽しいぞ
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:09:25.67 ID:ZVVhvLhM0
―タカサキシティ―

ミタキハラ、マエバシと並ぶ、グンマー地方三大シティに数えられる巨大都市の一つである。

グンマーの端に位置しているものの、その賑わいは他の街に引けを取らない。

様々なレジャー施設、遊園地、有名レストランなどが存在しており、遠い街からも多くの人が訪れるほどである。

さやか「ってなわけで着きましたよ!タカサキシティ!」

まどか「やっぱり賑やかだねえ。時間的にもちょうどいいし、ポケモンセンター言った後でお店探してみよっか?」

さやか「もうお腹ペコペコペコリンですわ…結構有名っぽいし検索したら出てくるかな!」

ポケモン達を回復させた後、ポケ―タイで検索したところすぐにヒットした。

場所もポケモンセンターからそれほど遠くはないようで、住所を頼りに歩いたところこれまたすぐに見つかった。

見つかったのだが……

さやか「うわー何これ……」

まどか「すっごい行列……」

レパ・マチュカの前にはイワークのような長蛇の列が続いていた。

さやか「そりゃそうか、有名ってことはこの時間なら当然こうなるよね」トホホ

まどか「でも並ぶよね?」

さやか「当たり前だのクラッカー!」
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:12:29.40 ID:ZVVhvLhM0
並ぶこと三十分、まだ初夏といえど照りつける日差しの元、オーバーヒート状態になりつつもようやく店に入ることができた。

ここはどうやらポケモン用のフードも置いてあるらしく、店内はまだまだ多くの人とポケモン達でごった返している。

さやか「長かった……今なら極渋のシーヤの実でも食べられそう……」グゥー

ウェイター「いらっしゃいませ。二名様ですね、どうぞこちらへ」

なんとか椅子に座れた二人はメニューからポケモン達の分も適当にチョイスし、その時を待つ。

少しずつ人も捌けてきて静かになってきた頃、宗一郎が料理を運んできた。

宗一郎「お待たせ、ビーフストロガノフ二つ。来てくれたのか」

さやか「どうもっス!」

まどか「わぁ美味しそう!」

さやか「いただきます!」

宗一郎「さっきも言ったがバトルは明日な。六時くらいに来てくれると助かる」

さやか「早っ!!いえ行かせて頂きますんで!ってかこれ美味いですね!?」

宗一郎「落ち着いて食べろ」

まどか「わっ、ホントに美味しいですね」

宗一郎「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいね…そういや名前は?」

まどか「鹿目まどかと美樹さやかちゃんです」

さやか「ふぇーす」モグモグ

宗一郎「了解、覚えとくよ……あと口に物入れて喋んな」

???「やっほーまた来てやったよ宗一郎!」

宗一郎「よう、アイリにユウリじゃねーか!じゃ、お前らまた後でな」

まどさや「はーい」
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:15:36.17 ID:ZVVhvLhM0
ユウリ「久々だね!」

アイリ「どうも」

入店してきたのは二人の少女だった。

前を歩く元気なツインテールの少女と少し控えめそうなショートカットの少女、どちらも鮮やかな金色の髪をしている。

宗一郎とは親しいのか、かなりフランクに接している様に見える。

ユウリ「空いてるようじゃん、座らせてもらうよ」

宗一郎「注文は?」

アイリ「いつもので」

宗一郎「はいよ」

宗一郎がキッチンに戻っていくのを余所に、まどか達は料理をゆっくりと味わっていく。

まどかが食べ終わったちょうどその頃、アイリとユウリに料理が運ばれてきた。

宗一郎「ほらよいつものだ」

ユウリ「わお!相変わらずうまそう!!」

アイリ「ん……うん、美味しいね。ユウリも次の料理コンテストでこれくらいの作らないとね」

ユウリ「分かってる!打倒秋山さんだもんね!」

宗一郎「頑張れよ……そうだ、お前らにもついでに紹介しとこうか。どうせいつか会うことになるしな」

ユウリ「何が?」

宗一郎「おいお前ら」

まどか「はい?」

さやか「なんでふか〜?」モグモグ

宗一郎「挨拶しとけよ、将来バトルすることになるだろうからな」

まどか「?それってどういう……」

宗一郎「こいつらもジムリーダーだ」
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:20:00.31 ID:ZVVhvLhM0
まどか「そうなんですか!?」ガタッ

まどかがユウリ達の元に駆け寄り、後を追いかけるようにさやかも口の中を空にしてから立ち上がる。

ユウリ「なになに?あんたらひょっとしてポケモントレーナー?」

アイリ「ジムに挑戦してるんだね」

さやか「そうですよ」

まどか「えっと、どちらの方がジムリーダーなんですか?」

ユウリ「なるほどね……このユウリ様のことが気になるご様子で」

アイリ「ちょっと私のこと忘れないでよ!私達は二人で一人なんだから!」

まどか「二人で…?」

ユウリ「ようするに!ダブルバトル専門のジムリーダー!それがこのあたし飛鳥ユウリ!!」

アイリ「同じく杏里アイリ、私達二人でトネシティのジムリーダーやってるの」

さやか「二人で一人ってそういうことですか」

宗一郎「今のうちに分かって良かったな。どいつもダブル慣れせずにこいつらんとこ行くから負けまくってな、最近はあんまり人来ないんだとよ」

ユウリ「ひっでー!アタシらは普通にジムリーダーとしてやるべきことをやってるだけなのに」

アイリ「まあまあ、その暇な分料理の時間に費やせるんだからいいじゃん」

ユウリ「フッ、おかげでかなり上達したよ」
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:23:12.18 ID:ZVVhvLhM0
アイリ「そういえば二人の名前聞いてなかったね」

まどか「鹿目まどかと」

さやか「美樹さやか!」

ユウリ「いいよ!トネシティで待ってっからね!!いつでもカモン!」

宗一郎「すまんな、食べてる最中に呼んじまって」

まどか「いえ、こちらこそごめんなさい。これから食べる時に」

アイリ「いいのいいの、冷めても美味しいのが立花さん料理のいい所だから」

ユウリ「いやいやアタシのは良くない!じゃ、改めていっただきます!!」

まどか「私達はそろそろ出る?」

さやか「ちょっ待って!あたしのまだ最後の一口残ってるから!!」

その後さやかの食事が終わったところで二人は店を出た。

予定は特に決めていなかったが、さやかの案によってジム戦に向けて特訓をすることにした。

この街にはバトル用の施設も多く、トレーナー達が集まってはバトルに明け暮れる広場や建物もある。

二人があえて選んだのは、草タイプ対策ということで、特に関係はないが緑豊かな自然公園だ。

―タカサキ自然公園―

まどか「ここなら思いっきり練習できるね」

さやか「おう!なんせあの料理めちゃんこおいしかったからね!こりゃもう特別メニューに期待しないわけにはいかないでしょ!
    ってなわけで何が何でも勝ちたいんだけど、うちのメンバーじゃ草タイプは結構厳しいんだよね……」

まどか「だから特訓しようってことだね」

さやか「イエスざっつらい!幸いにもミジュかは"つばめがえし"が使えるから、技の精度とか威力とかもっと上げればなんとかなるかもしれない!」
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:26:49.16 ID:ZVVhvLhM0
まどか「じゃあ私のカチっちと練習しよっか。草タイプと練習した方が効率いいもんね」ボンッ

さやか「作戦としてはリオすけはいつも通りで、フラすけはどうしようかな……とりあえず、一矢報いる!」

ナックラー「……」ジトッ

さやか「……わ、分かってるって、ちゃんと考えとくから!」

まどか「チャモっちはリオすけと組み手お願いね」

さやか「とにかく特訓開始!」

こうしてまずはフタチマルの燕返しの精度を高めていく。

より鋭くより速く、攻撃される前に攻撃するつもりでホタチを降る。

そうしていつしか、フタチマルは目にも止まらぬ素早い一撃を繰り出すことができるようになった。

さやか「ふぅ〜、かなり良くなったんじゃないかな?」

まどか「疲れたね……ちょっと休憩しよっか?」

さやか「だぁねぇ。ちょっとジュース買ってくるね」

まどか「私も行くよ。えっと、お財布は……」ゴソゴソ

ゴロッ

まどか「わぁっとっと!」バッ

岩の上に置いておいた鞄から、危うくタマゴが転がり落ちそうになり、すかさずキャッチする。

まどかのとっさの行動により、地面すれすれでどうにか止まった――

まどか「セ〜〜フ!!」

かに見えた。

さやか「あ…アウトだよ!!ヒビ入ってるってばっ!!!」

まどか「えぇっ!?」

タマゴの上部には、確かに今までなかった割れ目がくっきりと付いていた。
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:29:49.81 ID:ZVVhvLhM0
さやか「……」

まどか「……」

さやか「……あの、まどか…?」

まどか「あっ」

さやか「な、何?」

まどか「今動いたよ」

さやか「えっ!?」

突然タマゴがまどかの手から飛び上がった。

くるくる回りながら落ちてきたかと思うと、手が、足がタマゴから生え、それは地面に綺麗に着地する。

そして、頭部の殻が少しずつ割れてそのポケモンの正体が遂に明らかになった。

トゲピー「チョッゲプリィィ」

まどか「やったぁー!タマゴが孵ったよ!!」

さやか「トゲピーだ!」

まどか「トゲっち私がまどかだよ、分かる?」

トゲピー「トゲ?」キョトン

まどか「ティヒヒ、まだ分かんないかな?おいでトゲっち」

さやか「もう名前決めてたのか……全く割れたと思ったら産まれたっていうんだもん、びっくりしたよ」

まどか「えへへ、ずっと内緒にしてたけどこの子がママから貰ったタマゴのポケモンなの」
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:31:28.68 ID:ZVVhvLhM0
まどか「というわけで!新しい仲間のトゲっちだよ!」

\ワーワー/ \オーオー/

さやか「はいはい静かに!新しい仲間の歓迎は大いに結構……BUTだがしかし!我々にはすべきことがあるのではないであろうか!?」

まどか「よしよ〜し今ジュース買ってきてあげるからね〜」ナデナデ

さやか「……まどかさん」

まどか「なに?」

さやか「なにじゃない!!ジュース飲んだらすぐに特訓開始だかんね!」

まどか「えぇ〜、もうちょっとゆっくり――」

さやか「そんな暇はない!あたしがダッシュで買ってきてあげるから首を洗って待っていなさい!!」ダッ

まどか「あっ…もう行っちゃった……そうだよね、浮かれてらんないよね!」

トゲピー「…?」キョトン

まどか「でもやっぱり可愛いよね〜」スリスリ

ワカシャモ達「……」ジー

まどか「……さ、さやかちゃんが帰ってくるまでだから!ちゃんとやるもん!」

さやか「お待たせええーーー!」ズザー

まどか「早いよ!!」

さやか「ぜぇー…ぜぇー……は、はい、ミックスジュースね……」

まどか「あ、ありがとう……」

さやか「さあ特訓再開じゃー!」

まどか「もう!?」

全員ジュースを一気飲みして特訓再開。

マラカッチとフタチマルがまどか達の指示で撃ち合い、ワカシャモとリオルは組み手、ピクシーはなぜかナックラーに追われている。

そんな様子をトゲピーはしげしげと見つめながら、けらけらと笑っていた。
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:33:54.07 ID:ZVVhvLhM0
そして時は過ぎて夕方、ここでもう一つの嬉しい変化が訪れた。

さやか「ふぅー、だいぶ暗くなってきたしそろそろこの辺で帰ろっか」

まどか「だね……あれ、チャモっち…?」

さやか「ミジュか…?」

ワカシャモ「…!!」ブルブル メキメキ フタチマル「……」ブルブル メキメキ

まどさや「し、進化だ!!」

バシャーモ「バシャッ!」 ダイケンキ「ダーイ!」

まどか「チャモっちがバシャーモに!」

さやか「ミジュかがダイケンキに!」

まどさや「やったぁーー!!」

さやか「勝てる…勝てるよミジュか!!これで草タイプもドンとこいだ!」

まどか「今日はいいことばっかりだね!美味しい料理は食べられたしトゲっちは産まれるしチャモっちは進化するし」

さやか「これで明日勝てれば文句なし!」

まどか「そうだ図鑑登録しとかなきゃ」ピッ

さやか「どれどれ……へぇ、それってもうホタチじゃなくってアシガタナっていうんだ…ちょっと振ってみて」

ダイケンキ「ッ!」ブンッ

さやか「おぉ速い!これなら"つばめがえし"も問題なさそうだね!剣風まで吹かせるなんて凄いよ!!」

まどか「チャモっちも逞しくなったね!カッコいいよ!」

バシャーモ「シャモ!」
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:37:37.15 ID:ZVVhvLhM0
さやか「……ねえねえ、もうちょっと特訓してっていいかな?」

まどか「え、だってもう夜だよ?」

さやか「うーん……でもさ、進化したばっかりで体も大きくなったわけだし、一応慣れとかないと大変かなって」

まどか「そう言われるとそうかも……」

さやか「先に帰ってていいからさ。あたしはミジュかが慣れるまでやってくよ」

まどか「さやかちゃんがやるんなら私も付き合うよ!一緒に頑張ろう!」

さやか「まどか……ありがとう!それでこそあたしの夫になる女!!」

こうして二人はさらに一時間ほど特訓を再開。

バシャーモは新しい蹴り技を習得し、ダイケンキは燕返しの修練を積み、居合の速度を上昇させた。

この居合こそ、後のジム戦での切り札となることに、さやかをはじめまだ誰も気付いていなかった。

公園に来た時よりもさらに賑やかになったまどか達は、明日の勝利を夢見てポケモンセンターへと帰っていった。

見るもの全てが新鮮なトゲピーは終始はしゃぎまわっていたが、しかしまどかは一緒になって笑った。

新しい命が産まれることは、こんなにも嬉しいものなのだと。

きっとこれが、正しいあり方なのだと……

そして日が暮れて、また昇っていく。
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/09(水) 20:42:41.50 ID:ZVVhvLhM0
アイリとユウリって誰?って人はかずみをry
進化したしタマゴも生まれたしいいこと尽くめ

トゲっち(トゲピー)『てんのめぐみ』♀
アチャモと同じく女神まどかの「翼」っぽいイメージから
性格は次の更新で言うけどいろいろと無邪気、目に映る全てに興味津々で好奇心が強い
これからの活躍に期待

一応五人分終わったし次は仁美とかかな
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 21:45:52.37 ID:TEoAA5lr0
ジム戦はっじまーるよー

5人以外は性格とか決めてたり決めてなかったりだから適当に

フィア(イーブイ→リーフィア)『リーフガード』♀
仁美の相棒
一部ではワカメと言われてるらしいからその繋がりで
性格はせっかちで血の気が多い

レイド(ラルトス→キルリア→エルレイド)『ふくつのこころ』♂
仁美の用心棒
緑だしなんか用心棒っぽいイメージがあったので
性格は真面目で力が自慢
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 21:48:45.14 ID:TEoAA5lr0
〜十一日目〜―タカサキジム―

さやか「こんな朝早くにジム戦だなんて、よっぽど忙しいんだね」

まどか「眠い……けど頑張ろうね!」

宗一郎「お、来たか」

まどか「おはようございます」

宗一郎「他のジムと同じくジム内のトレーナーを倒してから来いよ。ルールとかは案内人に聞いてくれ
    じゃ、先に行って待ってるから」

さやか「ふっふっふ、今のうちに特別メニューとやらの支度をしておいた方がいいですよ」

宗一郎「……そうだな、期待してるよ」スタスタ

案内人「元気かい?未来のチャンピオン!ここはタカサキジムだぁ!立花さんはカフェレストラン『レパ・マチュカ』のシェフにして我らがジムリーダー!!
    皆からは『緑のクールシェフ』と呼ばれる草タイプの使い手だぁ!気張っていこう!」

さやか「やっぱり草タイプか……いくよまどか!みんな!」

まどか「トゲっちもちょっと頑張ってみる?」

トゲピー「ピッ!」

まどか「もう、無邪気に喜んじゃって……可愛いなぁもう!」

中で待ち受けていたのは、前日店で働いていたウェイターやウェイトレス達だった。

ウェイター「ロゼリア"マジカルリーフ"!」

さやか「ミジュか"つばめがえし"!!」

ジムトレーナー戦を順調に勝ち進み、

ウェイトレス「モンジャラ"からみつく"!」

まどか「トゲっち"ゆびをふる"だよ!」

宗一郎の元へ辿り着いた。
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 21:53:43.73 ID:TEoAA5lr0
宗一郎「いらっしゃい。昨日はうちの料理を堪能してくれたようでなによりだ」

さやか「どういたしまして…あたしからでいい?」

まどか「うん、昨日から楽しみにしてたもんね」

さやか「あたしからやります!使用ポケモン三体のシングルスでお願いします」

宗一郎「あぁ。シェフとしてもジムリーダーとしても俺はまだまだ一流とはいえないかもしれないが、全力で相手になろう!
    立花宗一郎、いざ参る」

ジムリーダーの 立花宗一郎が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=mlRVNT6KGY0&feature=related

さやか「リオすけゴー!」ボンッ リオル「ルー!」

宗一郎「チェリンボ!」ボンッ チェリンボ「チェリー」

まどか「サクランボみたいなポケモンだ……そういえば朝ごはんまだだからお腹空いたなぁ」

さやか「ちっちゃいからって油断しませんよ!"はっけい"!」

宗一郎「"くすぐれ"!」

攻撃を受けたチェリンボだが、すかさず葉っぱをリオルの腕や足に擦らせ笑わせる。

負けじと次はバレットパンチを撃とうとした瞬間、

宗一郎「そこで"くさむすび"」

弾丸のようなスピードで突っ込んだリオルは、その速さが仇となり顔面から地面に激突した。

しかしすかさず体勢を立て直し、再び発頸を叩きこむ。

宗一郎「やはり体重が軽すぎるか…ならば"しぜんのめぐみ"!」

持っていたカゴの実を使ってリオルに水技が撃ち込まれる。

それでも立ち止まることなく三発目の発頸によってチェリンボをダウンに持ち込んだ。
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 21:59:09.20 ID:TEoAA5lr0
さやか「ふぅ、危ない危ない」

宗一郎「なかなかパワーとスピードがあるようだな」シュパン

宗一郎「パラセクト」ボンッ パラセクト「パラララ!」

さやか「こりゃきつそう……リオすけ一旦引いて!」シュゥゥン

宗一郎「ほう、いい判断だ。"くすぐる"で弱体化したままだったならそのままパラセクトが押し切っていただろうからな」

さやか「フラすけ!」ボンッ ナックラー「グラァ」

宗一郎「ナックラーか…何か作戦があるようだな」

さやか「フラすけ、昨日言ってた作戦のことだけどね……」

ナックラー「……」

さやか「やっぱりとにかく一矢報いること!"あなをほる"だ!」

呆れ顔になりつつも、ナックラーは地面へと潜っていった。

宗一郎「どういうつもりだ……パラセクト、地上に"キノコのほうし"をばら撒くんだ」

さやか「うわまずい!フラすけ出てきちゃ駄目!」

当然地中にいるナックラーには聞こえず、勢いよくパラセクトに向かって飛び出していった。

吹き飛ばされたもののパラセクトに大きなダメージはなく、ナックラーは漂う胞子を思い切り吸い込んでそのまま眠りについてしまった。

さやか「フラすけ起きて!!」

宗一郎「"ギガドレイン"」

眠ったままのナックラーから体力を全部吸い取り、傷も完全回復したところでナックラーは戦闘不能になった。

さやか「くっ…お疲れフラすけ……」シュゥゥン
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:01:27.73 ID:TEoAA5lr0
さやか「もう一回リオすけ!」ボンッ リオル「リ、リオ!」

さやか「"バレットパンチ"!」

バレットパンチを放ち、すかさず距離を取る。

しかしさやかはリオルの様子がおかしいことにすぐに気が付いた。

さやか「どうしたのリオすけ!?フロフロじゃん!」

宗一郎「パラセクトの『ほうし』で毒を浴びたようだな。今だ"ギガドレイン"!」

毒のダメージと今までのダメージが重なり、残り少なかった体力を根こそぎ吸い取られ、リオルはそこでダウンした。

そして、さやかはいよいよ最後のポケモンを繰り出すことになってしまった。

さやか「ミジュかゴー!頑張って!!」ボンッ ダイケンキ「グォー!」

宗一郎「最後は水タイプか。だが油断はしない、"キノコのほうし"」

さやか「させるなミジュか"つばめがえし"!!」

宗一郎「飛行技か…だが惜しかったな、俺のパラセクトは弱点対策にバコウの実を持たせている」

一瞬で距離を詰めパラセクトにアシガタナからの剣撃が炸裂する。

ぐらついてそのまま倒れてしまい、立ち上がることなくダウンしてしまった。

宗一郎「何?おかしい、確かに木の実を持たせたはずなのに……」

さやか「ホントに持ってたんですか?それとも、食べられちゃったんじゃないですかね」

宗一郎「……ナックラーか」

さやか「しっかり一矢報いてくれてたみたいですよ」

まどか「さっき接触した時だね、こっそり"むしくい"してたんだ!」

さやか「イッエース!ただ穴掘ってただけじゃないんですようちのフラすけは!」

宗一郎「さて、これでお互い一対一か」シュパン
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:04:25.85 ID:TEoAA5lr0
宗一郎「トロピウス」ボンッ トロピウス「トロロ〜」

さやか「やっぱりトロピウスですか……でも、こっちには必殺の"つばめがえし"があるからね」

宗一郎「果たしてそう簡単に上手くいくかな」

さやか「ミジュか"つばめがえし"!」

宗一郎「"グラスミキサー"」

疾走するダイケンキに緑の竜巻が襲いかかり、フィールド端まで飛ばされてしまった。

トロピウスは上空に飛び上がりその様子を窺っている。

宗一郎「お前のダイケンキの"つばめがえし"、確かに一線級の威力のようだが飛んでいる相手にどうやって攻撃してくるかな」

さやか「なっ…大丈夫、カザミノの時とは違うんだ!ミジュかもう一回"つばめがえし"!!」

再びトロピウスに突撃していく。

今度はグラスミキサーを喰らわないようにかわしつつ距離を詰め、真下から飛び上がって剣先を向ける。

宗一郎「"しぜんのめぐみ"」

燕返しがヒットしたのと同時、トロピウスからセシナの実を使った電気タイプの技が繰り出された。

地面に激突したダイケンキはなんとか立ち上がるが、もはやギリギリの状態である。
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:07:21.10 ID:TEoAA5lr0
さやか「ミジュか!」

さやか(どうしよう…どうすればいいの……考えが甘かった、弱点を付けるだけじゃあ意味がないんだ
    せめて遠くても当てられる攻撃があれ、ば……あっ、ぶっつけ本番だけどあれならもしかしていけるかも……)

宗一郎「さあ、止めを刺そうか」

さやか「ミジュか、アシガタナを一回仕舞って!昨日公園でカタナ振った時のこと思い出して!!」

ダイケンキ「ッ!……」

静かにアシガタナを収め、その時を待つ。

宗一郎「どういうつもりだ……構うなトロピウス"グラスミキサー"!」

さやか「今だ!」

神速の抜刀!

アシガタナの剣風は刃となり、グラスミキサーの竜巻を切り裂いてトロピウスに直撃した。

宗一郎「馬鹿な!"エアスラッシュ"だと…!?もう一度"グラスミキサー"!」

さやか「ミジュか!」

再び二つの風が激突!

打ち破ったのはダイケンキのエアスラッシュだった。

二度の直撃を受けたトロピウスは、力なく地面に墜落しそこで戦闘不能となった。
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:11:05.23 ID:TEoAA5lr0
宗一郎「うーむ、最後の最後にやられてしまったか」シュパン

さやか「〜〜〜ッシャー!!!特別メニューゲーーーッット!!!!」

まどか「そっち!?でもおめでとう!」

さやか「ナイスミジュか!正直"エアスラッシュ"使えるかどうか不安だったんだけど良かった良かった」

宗一郎「おめでとう、まさかあんな奥の手があったとはな……おーい、下準備しといてくれ」

ウェイター「了解でーす」

まどか「勿論二人分ですよね?」

宗一郎「ほう……自信ありって感じだな」

まどか「はい!」

さやか「あのあの、あたしまだ貰ってないんですけど…?」

宗一郎「おっと、そうだったな……これがタカサキジムのヴェルデバッジだ」

さやか「ありがとうございます!」

さやかはヴェルデバッジを 手に入れた!

宗一郎「じゃ、ポケモンを用意してくるから少し待ってろ」

10分後、まどかと宗一郎のバトルが始まった。

試合はバシャーモの一方的な試合になるかと思われたが、トロピウスの飛行技に苦戦してなかなか攻めきれなかった。

互いに何度かチェンジをし、最終局面で再び一騎打ちになった。

宗一郎「"エアスラッシュ"!」

まどか「"ブレイズキック"!」

雌雄を決したのは、攻撃を掻い潜って炎の蹴りを撃ち込んだバシャーモだった。
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:15:41.66 ID:TEoAA5lr0
まどか「やったぁー!朝ごはんだーー!」

さやか「って、まどかもやっぱりそうなんじゃん!」

宗一郎「流石に自信ありと言うだけあるな……ほら、お前にもヴェルデバッジだ」

まどか「ありがとうございます!」

まどかは ヴェルデバッジを手に入れた!

これでまどかは四つ、さやかは五つのバッジを手に入れたことになる。

さやか「やーっと朝ごはんですね……もうお腹空き過ぎて死にそうですよ」

宗一郎「任せろ、朝ごはんもちゃんと用意してある」

まどさや「待ってます!」

〜七時〜

レパ・マチュカが開店する。

客も多くないためウェイター達は帰宅し、店は宗一郎一人で回す。

まどか達の他に入ってきたのは一人の女性のみで、ゆったりとした音楽が作る空間は爽やかな朝にはちょうどいい。

宗一郎「お待たせ、勝者限定特別朝食メニューだ」

まどか「うわぁぁ〜〜!!!」

さやか「うまそう〜〜〜!!!」

宗一郎「残さず食えよ」

並べられたのは木の実のジャムを使ったサンドイッチやスープ、エッグとキノコの炒め物やモーモーミルクなどなど、普段では食べられないものばかりだ。

当然ポケモン達の分も用意してある。

さやか「それではさっそく」

まどさや「いただきまーす!!」
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:18:21.34 ID:TEoAA5lr0
二人とも夢中になって口に運んだ。

どれをとっても舌が幸せ、今まで食べたどの朝食よりも格別だった。

あっという間に、皿には何も載っていなかったのではないかと思うほど真っ白になっていた。

まどさや「ごちそうさまでした!」

宗一郎「お、ちゃんと残さず食べたようだな」

さやか「もう最高でしたよ!期待以上です!」

宗一郎「そりゃ良かった。だが、まだ最後のデザートが残ってるぞ」

まどか「デザートがあるんですか?」

宗一郎「これだ!」ドンッ

まどか「ば、バケツ!?」

さやか「パフェ!?」

宗一郎「少し朝食は控えめにしてたからな……これが本当の勝者限定メニュー、『バケツパフェ』だ」

文字通り、バケツにパフェがどっぷりと盛られていた。

アイスやプリン、チーゴやモモンの実などの木の実をふんだんに使い、生クリームやチョコたっぷりのまさにデラックスなパフェだ。

特に目を引くのは、頂点に君臨するフルーツだ。

流石の二人も開いた口が塞がらない。
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:21:55.03 ID:TEoAA5lr0
宗一郎「その一番上のフルーツはな、俺のトロピウスについてたものなんだ。なかなか実らない珍しい奴なんだから味わって食えよ」

まどか「これ、一人分ですか…?」

宗一郎「一応一人前なんだが、もう一つ持ってこようか?」

まどか「えっと、私はこれだけあれば十分かと……」

さやか「流石に朝からこんな量を一人で食べたら太っちゃうって……」

宗一郎「そうか?お前らくらいの女の子でも結構一人で食べるやつはいるんだけどな」

さやか「ま、まあ、いただきまーす!」

まどか「いただきまーす!はむっ……」

感想は――

まどか「甘〜い…!何これとろけそうだよぉ」

さやか「はぅぅ……とろっとろですなぁ……」

宗一郎「ま、のんびりしていけな」

甘いものは別腹とはよく言ったもので、結局二人ともこれまたすぐに完食してしまった。

しかし流石にこれ以上は限界の様で、食後のココアとコーヒーを飲みほして休憩した後、まどか達は店を出ることにした。
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:26:27.94 ID:TEoAA5lr0
宗一郎「じゃあな、またタカサキに寄った時はいつでも来てくれ。余裕があったらあのバケツパフェも出してやる」

さやか「いいんですか!?じゃあまた来ますね!今度は友達連れてきますよ」

まどか「あんなに美味しいんだったら通常メニューにすればいいんじゃないですか?」

宗一郎「何言ってんだ、採算が合わん…今日はこの後どうするんだ?」

さやか「んー、とりあえず予定もないし急ぐ旅でもないし、観光でもしてく?」

まどか「あ、じゃあ私タカサキランド行ってみたいな。せっかくだから遊んでいこうよ!」

さやか「おっいいね!今日は旅の休養日ってことでパーっと遊ぶか!」

宗一郎「あそこは人気だが、今日は平日ならそんなに人も多くないか。楽しんでこいよ」

まどか「ありがとうございました」

宗一郎「またのご来店をお待ちしています」

ポケモンセンターで回復させ、街の端にある遊園地のタカサキランドに向かった。

宗一郎の言うとおり平日だけあって混んでおらず、数あるアトラクションにもほとんど並ぶことなく乗ることができた。

実は二人とも小学校の遠足で来たことはあったのだが、いつ来ても飽きさせない工夫は目を見張るものだ。

今回はポケモン達がいることもあってか、二人とも昔来た時よりずっと楽しんでいた。
最後は派手なパレードによってフィニッシュ。

この日は幕を降ろした。

息抜きも済んだところで、遊び疲れたまどか達はポケモンセンターに帰るなりすぐに眠りについたのだった。
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/10(木) 22:27:55.81 ID:TEoAA5lr0
タカサキ編終了
なんだかサクサク進んで怖い

ドシシ(オドシシ)『おみとおし』♀
垂れ目繋がりなだけ
一応さやかの恋心をお見通し…とか?
性格は冷静でただではやられないくらい粘り強い

ラント(ネオラント)『よびみず』♀
同じく垂れ目繋がり
NNは出てないけど他と同じく下三文字を取って
性格は無邪気でおっちょこちょい
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 01:07:29.87 ID:k5fFmpmio
まだかな
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/15(火) 23:54:19.17 ID:gsIl0yDg0
ほむらがポケモンの世界に行く奴書いた人??
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:28:38.92 ID:Uys00d+Q0
>>539
ほむら「モンスターボール!?」の人とは別人

言い訳としては土日月とVIPでまどかSS書いてたからなのです
そっちばっかり書いてたから全然書き溜め進んでないんだけど少しだけ
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:33:01.54 ID:Uys00d+Q0
―???―

シズル「だ、だからゴメンって言ってるじゃないかぁ……」ヒック

マリア「一度ならず二度までも……幹部ともあろうあなたが、自分に与えられた仕事もまともにこなせないのですか」

シズル「だって……仲間がまだいるなんて思わなかったんだもん」グスッ

マリア「しかも我々の崇高な目的を口外するなど……呆れて物も言えません。まさか他にも洩らしたりしていませんよね…?」

シズル「ないってばぁ……こんなところで嘘吐いてもしょうがないじゃんかぁ」

シャル「まあまあマリアさん、その辺にしといてあげなよ。シズルちゃん泣いてるよ」

普段は強気な態度のシズルはどこへやら、ヤミラミの影に縛られ説教をされ続けたためか、すっかり弱気になって涙ぐんでいた。

隣でステーシーが弁解しようとしているも、マリアの高圧的な態度に積極的になれずおろおろするばかりである。

マリア「はぁ……まあ、もういいです。済んだことですから」

ようやく影から解放され地べたに放り出されると、ガタガタと息を震わせている。

マリア「目的だけならジムリーダーにはまだ何も伝わっていないでしょう。しかし、そろそろ警戒を強めるべきかもしれませんね」

実際はほむらに洗いざらい尋問されてしまっているのだが、当然シズルにその時の記憶はない。
もしもあったのなら、これとは比べ物にならないほどのさらにひどい説教が待っていたことであろう。

ステーシーが姉の心配をしている中、扉をリズムよくノックする音が響いた。

ウィッチ団の中でマリアに対して軽く接することができるのは、ナハトと幹部、そして技術部門担当の彼女だけだ。

マリア「なんですかキルスティン」

エリー「その名前で呼ぶなと!アタイのことはそう、エリーとお呼び……それよりタマゴよタマゴ、全部産まれたわ」

黒髪を赤いリボンでツインテールに結った少女が、右手を胸に当て左手を仰々しく天に仰がせている。

口調も仕草も何かと大げさなのは彼女の趣味であるため、特に気にする必要はない。
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:36:56.01 ID:Uys00d+Q0
シャル「えっと、これで何匹目?」

エリー「150匹目。全く『ハコ』の中が窮屈になって仕方ないわ……」

マリア「では行きましょうか。シズル、ステーシー、反省したら後でナハト様にも謝っておくように」シュゥゥン

シズステ「はぁ〜い……」

二人を部屋に残し、残り三人は『ハコ』と呼ばれた部屋に向かう。

『ハコ』という部屋は全部で24あり、彼女たちは『22』と書かれた部屋の扉を開ける。

ハブネーク「シャー」 ハブネーク「プルルル」

エリー「うぅむ、見る人が見ればエロスと狂気に蝕まれた空間ね……これは吐くわ」

シャル「そう?キモかわいいよ」

エリー「やっぱキモいんじゃん」

部屋にはハブネーク達が30匹ほど集められ、所狭しと蠢いている。
確かに人によっては嫌悪感をもたらすかもしれない。


ここは『ハコ』。

タマゴから産まれたポケモンたちが入れられる飼育部屋、悪く言えば隔離部屋である。

一部屋におよそ30匹しか入らないため、部屋が埋まるごとに彼女たちは必要のないポケモンたちを逃がしに出かけているのだ。
たまに下っ端の団員に配ることもあるが、それも新入団員が入ったときなどで極希。

何度も産まされたたくさんのポケモンの中から最も優秀な、選ばれたポケモン一匹のみが、彼女たちの手持ちに加わることを許される。

ステーシーのように一度に大量のポケモンを持っている例外もあるが、ボールに入れられないことや人目に付きやすいこともあって、あまりやる者はいない。
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:40:51.97 ID:Uys00d+Q0
マリア「今回は優秀なポケモンは生まれたのですか?」

エリー「ふふふのふ、アタイにかかれば当然……あの一匹なんかいいんじゃないかしら」ピッ

そう言って彼女が手元の機械をハブネークに向ける。

それはまるでポケモン図鑑のようだが、色は黒く、映し出されるデータも彼女たち独自の基準で数値化されたポケモンの能力だ。

マリア「……なるほど、この能力ならば素晴らしいのではないですか」

シャル「どれどれ……おぉ!文句ないじゃん!このハブネークはあたしが使ってもいい!?」

エリー「どうぞお好きに……流石はアタイと言ったところね」ビッ

マリア「残りは駄目そうですね……では、今手が空いている下っ端にでも逃がしに行かせましょうか」

エリー「さあてお次は何を産ませようかしら……」

シズル「おーいマリアー!」ガチャン

マリア「なんですか?反省し終わったのですか」

シズル「違うよぉ!来ちゃったの!!」ゼェハァ

息を整えながら、少しずつ言葉を紡ごうとする。

ナハト「ハァ〜〜イ!元気してるー?」

が、そんなものは待とうともせずナハトは平気で彼女の前に出てくるのだった。

マリア「なっ、ナハト様!まだサーカスの公演は終わっていないはずではないですか!」

ナハト「いいのいいの、細かいこと気にしてたら人生楽しくないよー!キャハハッ!」

エリー「ナハト様お久しぶりね……して何用で?」

ナハト「ついにアレがグンマーに来るらしいよ……」

一同「!!!」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:44:29.60 ID:Uys00d+Q0
マリア「もうですか……随分と早い到着ですね」

エリー「これは想定の範囲外ね……」ゴクリ

ナハト「場所は予定通りマエバシシティの博物館みたいだけどね……来るのは一週間後」

シャル「じゃあ問題ないじゃん!その日はアスナロにテントがあるからすぐに行けるしね」

マリア「しかし大会までは結局手は出せませんし、しばらくやることは変わりませんね」

ナハト「あぁ、それなんだけどね……」

アハハと笑って一言。

ナハト「奪おう」

マリア「……はい?」

ナハト「なぁんかさあ、退屈じゃん?今までだってずっと我慢してきたのに、その上目の前に目的の物が置いてあるのに指咥えて待ってるなんてありえないよね!
    ついでにこの際だから私達のこともグンマー中にデデーンと公表しちゃおう!!」

マリア「なっ何を言ってるんですか!大会中に騒ぎを起こすからこそ面白いと言ったのはあなたですよ!!」

ナハト「そうだっけ?忘れちゃった〜キャハハッ!!」

マリア「はぁ〜……とにかく、そんな大それたことをすればジムリーダーやポケモン協会、四天王も黙ってはいませんよ」

ナハト「なんなのよー、私達が負けると思ってるの?」

シャル「それはないない!」

シズル「あり得ないね!」

マリア「……」ジトッ

シズル「……多分」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:47:18.86 ID:Uys00d+Q0
ナハト「面白いと思うんだけどなー宣戦布告……」

マリア「宣戦布告も駄目です」

エリー「ただまあ、アタイは奪うことには賛成ね。今のうちに手に入れられるものは手に入れといた方が後々苦労しなくて済むわけよ」キリッ

マリア「あのね、そんな簡単に――」

エリー「簡単じゃないわーッ!一体誰がパソコンに向かってえんやこら解析すると思っとんじゃーい!!大会から作戦決行までどんだけ時間ないと思ってんのよ!!!!」

シャル「あたしもエリーに賛成!奪うくらいならいいんじゃないかな?どうせもうジムリーダーはシズルのおかげで対策を始めてるだろうからね
    絶対何か仕掛けてくるはずだよ」

シズル「わ、悪かったってばぁ……」

ナハト「ほらほら皆もこう言ってることだしさ!奪おうよ」

マリア「……分かりました。ナハト様がそう言うのなら」

ナハト「アハハッアッハハハアアハハハハハ!!!そうこなくっちゃね!キャッハハハハハハ!!!」

マリア「さて、そうなると危惧しておかなければならないことがあると思うのですが」

シャル「なになに?」

マリア「暁美ほむら、ですよ」

シズル「…!?」ゾクッ

マリア「…?どうかしましたか?」

シズル「う、うんにゃ、何でもないよ」アセアセ

ナハト「来るだろうね、間違いなく……ま、放っておけばいいんじゃない?」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:53:21.83 ID:Uys00d+Q0
マリア「よろしいのですか?」

ナハト「クフフ、無駄に決まってるじゃん!私達と取り合おうなんてさ」

シャル「それにしても未だに団長の話信じられないんだよねえ……あんなやつがあたしたちの妨げになるの?」

ナハト「なるなる!そりゃもうすんごい勢いでなるよ!!」

マリア「そこまで分かっていてなお放置しているのは……」

ナハト「当然!!その方が面白くなるに決まってるからね!アハハハハ!!」

マリア「はぁ……そういえばルートからはまだ何の連絡もないですが、美国織莉子も一応危険人物なのでは?」

ナハト「駄目駄目、彼女じゃ役不足だよ……私と同じ舞台に立てるのは、暁美ほむらだけ……
    美国織莉子が何か感じてもそこまでの脅威にはならないよ」

エリー(ならなんでルートに監視させてるんだか……)

ナハト「フハハ、なんにしても一週間後にマエバシに行ってくること!!これ決定ね!」

マリア「分かりました、そのように通達を」

ナハト「そうそう、それからジムリーダーのポケモン奪うのはもうなしでいいよ。元々あんまり期待してなかったしね」

シズル「酷いよナハト様ぁ!ボクだって頑張ったんだよ!?」

シャル「来週かあ、楽しみ〜!」

ナハト「面白くなってきたー!アハッ!!絶対に奪ってきてね――」

ナハト「『白玉』、『金剛玉』をさ!キャハハ!!」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 00:58:56.40 ID:Uys00d+Q0
はい

キャリー(バリヤード)『フィルター』♀
詢子のポケモン
バリキャリ→バリヤードのキャリー

ダル(チャーレム)『ヨガパワー』♂
知久のポケモン
なんとなく人型で家事手伝いできそうな奴に

マネネ(マネネ)『ぼうおん』♂
タツヤの友達
ダルとキャリーの子
NN無しなのはタツヤが「マネネ」という言葉を気に入ってるからとかなんとか
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/05/16(水) 01:15:29.34 ID:V2ajTnYa0
乙乙
そういえば知久さんのポケモンはシュタゲ統一だよな
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 20:31:40.65 ID:Uys00d+Q0
>>548
「ダル」は元々ヨガ繋がりでダルシムのダルだったんだけど、そういやシュタゲにダルっていたなと思って他のメンバーのNNをそっち関係にしたって感じ


またまたタカサキジムの技書いてなかったので追加
もうここまできたら全ジムの妄想書いちゃる

バシャーモ(ブレイズキック、二度蹴り、高速移動、炎の渦)
ピクシー(歌う、おうふくビンタ、光の壁、目覚ましビンタ)
マラカッチ(ニードルアーム、ミサイルばり、飛び跳ねる、コットンガード)
トゲピー(指をふる、甘える、てんしのキッス、エコーボイス)

ダイケンキ(シェルブレード、燕返し、エアスラッシュ、気合いだめ)
リオル(バレットパンチ、はっけい、スカイアッパー、嫌な音)
ナックラー(穴を掘る、虫食い、噛みつく、砂地獄)

トロピウス(エアスラッシュ、自然の恵み、グラスミキサー、光合成)
パラセクト(キノコの胞子、虫の抵抗、自然の恵み、ギガドレイン)
チェリンボ(くすぐる、自然の恵み、草結び、甘い香り)


ところで書き溜めほっぽり出してポケスペっぽくvs○○を作ってみたから勝手に貼っていく
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/16(水) 20:32:32.54 ID:Uys00d+Q0
>>1〜vsアブソル
>>22〜vsタツベイ
>>57〜vsオドシシ
>>64〜vsランプラー
>>100〜vsミジュマル
>>124〜vsムクホーク
>>153〜vsピッピ
>>158〜vsハトーボー
>>172〜vsドククラゲ
>>195〜vsピジョン
>>222〜vsコイキング
>>236〜vsナックラー
>>248〜vsチコリータ
>>258〜vsピクシー
>>267〜vsウソッキー
>>297〜vsモノズ&ジヘッド
>>322〜vsタマゴ
>>328〜vsサーナイト&マニューラ
>>342〜vsネイティオ
>>355〜vsコドラ
>>363〜vsノクタス
>>369〜vsマラカッチ
>>382〜vsベロリンガ
>>398〜vsキュウコン
>>415〜vsニャース&チョロネコ
>>430〜vsサボテン饅頭
>>441〜vsシャンデラ
>>453〜vsペラップ
>>471〜vsブラッキー
>>482〜vsマグカルゴ
>>503〜vsパラス
>>514〜vsトゲピー
>>526〜vsトロピウス

次は今週末くらいに投下できたらいいな…
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/05/17(木) 07:37:22.02 ID:3wnlXICAO
タイトルポケスペだな
というか技はそんなに厳密に考えなくても良いんじゃないか?
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/17(木) 13:45:37.26 ID:6cbfd/6O0
ピカチュウ「昔はよかった・・・」を読んでしまった
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/17(木) 17:05:22.98 ID:xMkke0tYo
BW2のトレイラーが何か凄い事になってんな
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/20(日) 21:37:45.22 ID:la9Z1rRP0
先に言っておくけどBW2発売されたらしばらく書けないだろうと思う
それまでに進めるだけ進めなきゃ…

>>551
あんまり言うべきことじゃないんだろうけど、書く過程として出てくる産物なんだ
技決めてから本文書くから使わない技もあるっていうね
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/20(日) 21:41:43.08 ID:la9Z1rRP0
〜十二日目〜

存分にタカサキシティを満喫した二人は街を出発して、次の街を目指す。

タカサキシティから北、もしくは南西へ向かうとそれぞれ湖があるが、今回はスルーして西へと向かう。

そこにあるのはヒメナシティ。

浅見サキがジムリーダーを務めるヒメナジムがある街だ。

今回は特に変わったこともなく、拍子抜けするほどあっさりと街に着いた。


―ヒメナシティ―

近くを流れるヒメナ川のせせらぎが心地いい、タカサキシティとは違って静かな街だ。

ヒメナの西にあるイツサトタウンに雰囲気は近いと言える。

まどか達の様な少女が心惹かれるものと言えば、せいぜいテディベアの博物館といったところだろう。

さやか「ようやくヒメナシティ到着!」

まどか「サキさんとやっとバトルができるんだ……頑張らないと!」

さやか「あたしはゆっくり見学させてもらうよん。ファイトまどか!サキさんにまどかの実力を見せつけてやろう!」

まどか「トゲっちもいるから何とかなるよ…ね?」

さやか「大丈夫だいじょぶ!自信もって!」

予想より早く着いたため、昼食はサクッと済ませてすぐにヒメナジムを目指す。
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/20(日) 21:51:39.04 ID:la9Z1rRP0
―ヒメナジム―

大きな博物館の横に、そのジムは存在していた。

博物館は名を「アンジェリカベアーズ」というらしく、様々なヒメグマやクマシュンなどをモチーフにしたテディベアが展示されているらしい。

まどか「後で行ってみない?」

さやか「そういうのは勝ってからいいなさいな…せっかくのさやかちゃんのアドバイスを無駄にしないようにね」

まどか「うん、ありがとねさやかちゃ――」

男性「ちくしょーまた負けたー!」ダッ

さやか「うわっと、危ないなぁ……今の挑戦者かな?」

サキ「そうだよ。軽くいなしてやったがね」

ジムの中から懐かしい声が聞こえてくる。
いつかのようなベレー帽にジョッキーのような出で立ちの少女に、まどか達は見覚えがあった。

まどか「サキさん!お久しぶりです」

サキ「まだ一週間も経ってないじゃないか…ま、ついに来たかと言っておこう」

さやか「サキさん酷いですよ!なんでニコさんがジムリーダーだって教えてくれなかったんですか!?」

サキ「え?なんだ、知らなかったのか?知り合いって言ってたからてっきり知ってるものだと」

さやか「普通道で出会った人に、『あなたはジムリーダーですか〜?』なんて聞きませんよ……」

サキ「いや悪い悪い……それで、ここまで来たってことはニコには勝ったんだな」

まどさや「バッチリです!」

まどか「それにタカサキジムのヴェルデバッジも手に入れてきましたよ」

サキ「ほう、立花も破ったのか……これは期待できそうだな」

まどか「今日はよろしくお願いしますね」
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/20(日) 21:55:52.83 ID:la9Z1rRP0
さやか「まどかファイト!コテンパンにやっちゃえー!」

???「無理無理、サキに敵うわけないじゃん」

声がしたのはジムの中、サキの体に隠れていた小さな体がひょっこりと現れた。

まどかより僅かに高い身長、まどかより僅かに色彩を濃くしたような桃色の長い巻き髪ヘアーの少女は、
大事そうにヒメグマのテディベアを抱えながらサキを擁護する。

サキ「みらい、まどかは強いぞ?戦ったことはないが保証はできる」

みらい「ふーん……そうは見えないけど」ジロジロ

まどか「えっと…はじめまして、鹿目まどかです」

さやか「美樹さやかでーす」

みらい「……若葉みらい……どうせ勝負したって無駄だよ」

さやか「ムッ、なんだよその言い方は!やってみなきゃ分かんないじゃん!」

みらい「いいや分かるね!ボクのサキが負けるはずない!」

さやか「だったらあたしのまどかが負けるわけない!」

さやみら「ぬぬぅ〜〜……」ガルルルル

サキ「みらい、こないだ危なかったって話をしたじゃないか……」

まどか「私もサキさん相手だとどこまで頑張れるか……」

さやか「絶対勝つんだよまどか!あたし何かこの子ムカつく!」

みらい「サキ負けんな!ボクはこいつにギャフンと言わせたいんだ!」

まどサキ(いや、目的がおかしい……)
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/20(日) 22:01:32.10 ID:la9Z1rRP0
さやか「そもそも誰なのアンタ!ジムトレーナーのくせにやたらサキさんに馴れ馴れしいんじゃないの!?」

みらい「ボクをジムトレーナーなんかと一緒にすんな!ボクはサキと同じくプレイアデス星団の団員なんだぞ!」

さやか「ぬぅっ……だからってまどかを舐めないでよね!こっちはサキさんの使うポケモンとかも分かってんだから!」

みらい「分かってるだけでなんとかなるもんじゃないだろ!」

さやか「なんだと年下のくせにぃ!」

みらい「ボクはサキと同い年だ!」

さやか「えっ……待ってよ、あたしら14なんだけどサキさん歳いくつ?」

みらい「14って…ボクより年下じゃないか!そっちこそ生意気だ!」

\ワーワー ギャーギャー/

まどか「……そういえばプレイアデスってなんなんですか?」

サキ「言ってなかったか?グンマーを守る簡単な自警団だよ。まだ少数精鋭だがな」

さやか「とにかくまどかは負けないからね!!」

みらい「サキの方が強いに決まってる!」

まどか「えっと……そろそろジム戦やりますか?」

サキ「そうだな、騒がしくて適わん。じゃあ、私は先に奥に行ってるから待ってるぞ」

みらい「精々頑張ってね〜」ベー

さやか「キィー!なんなのあいつ!!」

まどか「さやかちゃん落ち着いてって……私頑張るから」

さやか「頼むよまどか……あいつにまどかの力を思い知らせてやろう……」ゴゴゴゴゴ

まどか(変なプレッシャーかかっちゃうなぁ……)
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/20(日) 22:06:18.26 ID:la9Z1rRP0
案内人「やたら騒がしかったな……元気かい?未来のチャンピオン!ここはヒメナジム!電気タイプのエキスパートとしてジムリーダーを務めるのは……
    プレイアデス星団のリーダーでもある浅海サキさんでんがな!その痺れるような指令っぷりから『稲妻指揮官』と呼ばれてるぞ!」

まどか「えっ!?サキさんってプレイアデスのリーダーだったんだ」

さやか「今知った……サキさんってなんか大事なとこいっつも抜けてるような気がする……」

案内人「バッジはいくつもっとん?」

まどか「私は4個です」

案内人「なからすげえ!じゃあ使用ポケモンは恐らく4体になるな……気張っていこう!」

さやか「トゲっちは戦えそう?」

まどか「うん!張り切ってるみたい」

さやか「よし、あたしは横の観客席で見てるからしっかりね!」

まどかは一人でジムトレーナー戦を開始した。

考えてみると、一人でジムに挑戦するのはこれが初めてのことである。

電気屋の親父「ビリリダマ、"ころがる"!」

まどか「チャモっち"スカイアッパー"だよ!」

しかしあまり緊張感はなく、客席からのさやかの熱い視線に答えるため必死でバトルを繰り返し、

エレキグループ「エモンガ"エレキボール"」

まどか「トゲっち"エコーボイス"!」

遂にサキと、ついでにみらいが待ちうけるジムの最深部へと辿り着いた。
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/20(日) 22:25:28.82 ID:la9Z1rRP0
はい

まにゅ〜ん(マニューラ)『プレッシャー』♀
キリカの相棒
キリカを擬ポケ化ようなポケモンだしね
性格は織莉子いないと死んじゃう的なキリカと同じく寂しがり

あぼ〜ん(アーボック)『いかく』♀
キリカのポケモン
顔の模様が変わるってのは違う自分を望んだキリカのようかなと
性格は腕白らしいよ

えな〜ん(ポチエナ)『はやあし』♀
キリカのポケモン
キリカってなんか犬っぽいなって思って…え?ハイエナ?
性格は真面目、必死にキリカの落とし物を探してました

もう一匹いるけど未登場
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 21:49:44.11 ID:APiHUj3D0
はい

ダイアナ(ラルトス→キルリア→サーナイト)『シンクロ』♀
織莉子の相棒
見た目とか未来予知とかまんま織莉子っぽいしね
性格はお父様がいるので割と穏やかな織莉子と同じ

プリンセス(チラーミィ→チラチーノ)『テクニシャン』♀
織莉子のポケモン
見た目とかタネマシンガンやロックブラストで水晶玉っぽく
性格は割と真面目
進化前のチラーミィはキリカの持ってるストラップのモデル
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 21:54:02.01 ID:APiHUj3D0
みらい「ようやく来たか……遅いんじゃないの」

さやか「そこ!ジムリーダーでもないんだからこっち来なよ!」

みらい「ふん、言われなくてもサキの邪魔はしないよ」スタスタ

さやか「それにしても、この辺電気ポケモンがいっぱいいるんだね。全部サキさんのポケモン?シママとかパチリスとか、エレキブルまでいるし」

みらい「当然!サキは色々育てて挑戦者に合わせてるもん」

さやか「へぇー、流石サキさんだね」

みらい「でもまだ野生のまんまなやつとかいるらしいけどね。あのマイナンとかまだサキに懐いてないらしくってさ」

さやか「ふーん」


サキ「……では改めて」

サキ「ようこそヒメナジムへ…私がジムリーダーの浅海サキだ。イツ砂漠では世話になったな」

まどか「こちらこそ助けて貰ってありがとうございました」
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 21:57:03.59 ID:APiHUj3D0
サキ「あの時私は君にバッジをあげると言った……だが君は拒んだ。その訳、もう一度聞かせてくれるか」

まどか「……私は、ただ見ていることしかできませんでした。だからきっと、
    私の実力っていうのはちゃんとサキさんに伝わっていなかったと思うんです……
    改めて今、私と正々堂々バトルをしてから、私を…認めてくれませんか?」

サキ「……いいだろう。バトルにおいて指揮系統は非常に大事だが……鹿目まどか、君はどんな指揮を見せてくれるのかな!」

ジムリーダーの 浅海サキが 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=nimknmrG-Cw&feature=related

まどか「カチっち!」ボンッ マラカッチ「マッカララ〜」

サキ「エレブー」ボンッ エレブー「エルルル」

まどか「先手必勝だよ!カチっち"タネマシンガン"!」

サキ「"スピードスター"で撃ち落とせ」

撃ち出されたタネは、悉くフィールドの中ほどで撃墜された。

すかさずエレブーはぐるぐるとマラカッチの周りを走り始めた。
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:01:19.41 ID:APiHUj3D0
サキ「草タイプに電気タイプは相性が悪いな…"ボルトチェンジ"だ」

サキの命令が聞こえても、すぐには攻撃にうつらない。

マラカッチの隙を窺い、チャンスを待っているのだ。

まどか「カチっち後ろに気を付けて!簡単に交代させちゃ駄目だよ!!」

さやか「おっ!まどかのやつ、いつの間にか勉強してるなぁ…図鑑見なくてもどんな技か分かったのか」

みらい「そんなの常識じゃん、トレーナーなら知ってて当たり前でしょ」

さやか「ムカッ…いちいち突っかかったくんなっての……」

エレブー「ッ!」バリィィ マラカッチ「…ッ!」ブンッ

まどか「ナイスだよ"ニードルアーム"!」

サキ「よく見切って攻撃したな…流石と言っておこう」シュパン

まどかの警告を気にしてか、エレブーはマラカッチの右を突いてきた。

電撃を纏って突撃してきたエレブーに、すかさず反応してマラカッチは棘の腕を叩きつけたのだ。

エレブーはその勢いのままサキのもとへと戻り、サキはポケモンを交代する。

サキ「ライボルト!」ボンッ ライボルト「グワーォ」

さやか「あの時のライボルトだ!まどか気を付けてー!!そいつ――」

みらい「アドバイス禁止だ!」

さやか「ぐっ……こればっかりは確かに……」
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:06:10.24 ID:APiHUj3D0
まどか「あの時のライボルト…カチっち"ニードルアーム"!」

サキ「不用意に近づくのは感心しないな…"ほうでん"!!」

放射状の電撃が放たれ、辺りに強力な磁場が展開される。

マラカッチは攻撃を受けて麻痺状態になってしまい、まさに格好の的である。

サキ「"かえんほうしゃ"」

正面から直撃の火炎放射を受けて、マラカッチはそこで戦闘不能になった。

まどか「カチっち、お疲れ様」シュゥゥン

まどか「電気技が効きにくい相手には炎技が使えるんだ……ピピっちお願い!」ボンッ ピクシー「ピッピピー」

サキ「あの時のピクシーか……ライボルト!」ピシィッ

乗馬鞭の合図で、ライボルトの頭上に雷雲が出現し始めた。

もくもくと雲は増殖を続け、すぐにフィールド全体を覆う巨大なものに変化した。

サキ("ほうでん"を使って磁場を作り上げ"かみなり"のための雷雲を素早く作った……さあ、どうするまどか?)

まどか(あれが図鑑で見たライボルトの頭の上にできるっていう雷雲……)

サキ「来ないのならこっちから行くぞ!ライボルト、強力な"かみなり"をお見舞いしてやれ!」

まどか「"ちいさくなる"!」

ピクシーが小さくなると同時に、雷が襲った。

地面を焦がし音と光の衝撃が広がる。

まどか「……ピピっち…?」

サキ「やったか?」
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:10:58.17 ID:APiHUj3D0
ピクシー「……フゥー」

まどか「やった!うまくかわしてくれたんだね!」

サキ「ならば"かえんほうしゃ"で狙うんだ!」

まどか「"ひかりのかべ"だよ!」

観客席からは、なにもない場所に突然壁が現れたように見えるだろう。
攻撃は防いだものの、それは遠くからでもピクシーの居場所が分かるということになる。

サキ「残念だったな。いくら小さくなろうと、目の前に壁を貼ってしまえば自分の位置を教えているようなものだぞ!"かみなり"だ!」

まどか「今だよピピっち"テレキネシス"!」

攻撃と同時にライボルトの体が素早く浮き上がり、ピクシーの真上にやってくる。

それはすなわち、雷の軌道上に入ったことになる。

ライボルトは攻撃するはずの自らの雷によって、自身がダメージを受けてしまった。

サキ「しまった!」

まどか「ピピっち"コメットパンチ"!」

小さな影が飛び上がり、元の姿に戻る。

その手に彗星の様な輝く力を込め、ピクシーは思い切り殴りぬけた。

上から叩きつけられるように殴られ、ライボルトは地面に伏しそこでダウンしてしまった。

サキ「よくやったライボルト……私のライボルトの特性が『ひらいしん』でないことを聞いていたのか」シュパン

まどか「ここに来る前にさやかちゃんに聞いておいたんです」

サキ「成程、迂闊だったな……」
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:14:29.84 ID:APiHUj3D0
サキ「ライチュウ!」ボンッ ライチュウ「ラララライ!」

まどか「ピピっち、もう一回"ちいさくなる"!」

サキ「ライチュウ!」ピシピシィッ

再び鞭の音が鳴り響くと、突然ライチュウから光が発せられ、まどかもピクシーもさやか達も思わず目を瞑る。

ゆっくりと目を開くと、フィールドには小さくなったピクシー以外の影はなかった。

まどか「そんな…消えた!?」

さやか「まどか気を付けて!ライチュウがいたとこになんかあるよ!!」

みらい「おいっ!」

まどか「あれは……穴……"あなをほって"地面に潜ったんだ…!ピピっち逃げて!!」

サキ「残念、ピクシーはそこから動けない」

ピクシー「ピィ……」ギュギュギュン

まどか「っ!?なんでずっと"ちいさくなる"を……ピピっち!」

サキ「"フラッシュ"と同時に"アンコール"もさせてもらったのさ。これでピクシーはその場でずっと小さくなり続ける
   いくら小さくなろうと、動けなければ狙うのはわけない!」

真下から槍のように鋭いライチュウの尻尾が、ピンポイントでピクシーに突き刺さる。

見えていない地面の下からでも、ハリーセンの穴に通すような正確さである。

サキ「高く打ち上げてしまえば狙いやすい…"かみなり"だ」

地面からライチュウが飛び出し、ライボルトの作りだした雷雲から雷を呼び寄せた。

それはピクシーにクリティカルヒットし、ピクシーは地面に落ちると同時に気を失い、元の大きさに戻ってしまった。

まどか「ピピっち……ありがとう」シュパン
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:20:46.93 ID:APiHUj3D0
まどか「トゲっち!」ボンッ トゲピー「トッゲー」

サキ「ほう、新しいポケモンだな。それが君のタマゴから帰ったポケモンか」

まどか「その節はありがとうございました」

サキ「どうも…だが勝負は別だ。ライチュウ"かみなり"!」

まどか「トゲっち"オウムがえし"!」

空中で二つの電撃が交錯し炸裂する。
威力は互角、完璧なコピーだった。

サキ「ムッ…ならば!」ピシィッ ライチュウ「ラーイ!」カッ

まどか「"――"!」 トゲピー「チョゲッ!」ポワァ

再び閃光がほとばしりライチュウの姿は消えた。

しかしオウムがえしはアンコールできなかったのか、トゲピーはどうにか動けるようだ。

サキ「構わんそのまま尻尾で狙い撃て!」

まどか「ピピっち受け止めるんだよ!」

さやか「なっ…まどか正気!?トゲっちのパワーであのライチュウ止められるの!?」

まどか「ティヒヒ、まあ見てて」

サキ「馬鹿な…あの小さな体で受けきれるはずがないというのに何だあの自信は……まあいい、やってしまえライチュウ!」

真下を警戒していたトゲピーの予想を裏切り、後方の地面から飛び出してきた。

そのまま尻尾を鞭のようにトゲピーに振りかざした!
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:27:15.38 ID:APiHUj3D0
トゲピー「ッ!」ガシッ

サキ「まさかっ!本当に受け止めただと!?」

まどか「トゲっち"オウムがえし"!」

トゲピーは直前にライチュウの繰り出した技、つまり穴を掘る攻撃を繰り出すためせっせと地面を掘り始めた。

一方ライチュウはというと――

ライチュウ「……」zzZ

サキ「眠っている…!?一体いつの間に……」

まどか「さっきライチュウがフラッシュした時ですよ。"あなをほる"前に"あくび"しておいたんです
    出てくる頃には眠くなってるだろうから、トゲっちでもどうにかできるかなと思ったんですよ」

サキ「鞭の音で聴き逃したか……近くにいたトゲピーにだけ聞こえていたということか」

眠っているライチュウの腹部めがけたトゲピーの頭突きが地面から炸裂!

ライチュウは戦闘不能となった。

サキ「戻れライチュウ」シュゥゥン

まどか「これでお互い二対二ですよ」

サキ「振り出しか…エレブー!」ボンッ エレブー「エルェー!」

サキ「"かみなりパンチ"!」

まどか「"エコーボイス"!」
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:31:16.44 ID:APiHUj3D0
エレブー「ブルルルルー!」ブオン トゲピー「ピェー!」ドサー

さやか「嘘!トゲっちの攻撃に構わず突っ込んでくるなんて…!」

サキ「そんな貧弱な攻撃では私のエレブーは倒せんぞ。もう一発"かみなりパンチ"!」

まどか(どうしよう、"オウムがえし"で勝負する…?でも、雷雲を使った"かみなり"と違ってパワーで勝てるとは思えないし……
    "あくび"で動きを止める…?でも、"ボルトチェンジ"で交代されたら意味がないし……でもこっちには攻撃方法が……)

まどか「あぁもう!トゲっち"ゆびをふる"!」 トゲピー「チッチッ」チッチッ

サキ「!考えるのを放棄して運頼みか……そのまま攻撃だ!」

トゲピー「トゲッ!」カッ

まどか「……"にらみつける"……」

エレブー「ブー!」バキィッ トゲピー「ピィ!」ズザー

まどか「トゲっち!」

サキ「次の一撃で終わりにしよう…どうしたまどか、こんなものなのか?」

まどか(こうなったらチャモっちで戦うしか……でもサキさん相手にチャモっちだけでどうにかできるのかな……
    トゲっちはまだ…ほんのちょっとだけど、頑張ろうとしてる……)

まどか(だったらお願いトゲっち、チャモっちに繋いで!!)

まどか「"ゆびをふる"だよトゲっち!」

サキ「また博打技か!エレブー"かみなりパンチ"!」

トゲピー「チッチッ」チッチッ
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:34:55.86 ID:APiHUj3D0
トゲピー「ピッ!」ビュォォォォ

エレブーが殴りかかる寸前、トゲピーから猛烈な吹雪が襲いかかった。

拳はトゲピーの目の前で制止し、完全に氷漬けとなったエレブーがそこに出来上っていた。

さやか「やったー!あそこで"ふぶき"を引き当てるまどかとトゲっちの強運!おまけに凍り状態にするなんて、『てんのめぐみ』のおかげだね!」

みらい「あ、あんなの運が良かっただけじゃないか!」

さやか「へへーん、昔の偉い人はこう言ったんだよ……『運も実力のうち』ってね」

サキ「なんて奴だ……あの場面であの大技……」シュパン

まどか「……はっ……はぁ…はぁ……ありがとうトゲっち……私の祈りが通じたんだね」

サキ「こいつが私の切り札だが、覚悟はいいな……撃ち破ってみろ!」ボンッ ゼブライカ「ヒヒーン!」

まどか「ゼブライカ…!サキさんの最後の一匹……トゲっちもう一回"ゆびをふる"!この流れでもう一回お願い!!」

トゲピー「チッチッ」チッチッ

サキ「ゼブライカ!念のため避ける準備をしておくんだ」

トゲピー「チョゲッ!」カッ

ピョンピョン ピョンピョン

まどか「……」

サキ「……」

さやか「……」

みらい「……プッ、アハハハハ!!は、"はねる"だってさ!!!」アハハハ

さやか「あちゃー、滅茶苦茶ツいてると思ったらこれだよ……」
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:40:27.73 ID:APiHUj3D0
サキ「……"スパーク"」

必死に跳ねまわるトゲピーにゼブライカの攻撃が炸裂し、トゲピーは遂にそこで戦闘不能となった。

まどか「お疲れ様トゲっち……ありがとう」シュゥゥン

さやか「これでいよいよ切り札同士の勝負ってわけだね……」ゴクリ

みらい「……まあ確かに、ここまでやるとは正直思ってなかった……でもサキは負けない!」

まどか「チャモっち!」ボンッ バシャーモ「バッシャー!」

サキ「ほう、あの時のワカシャモか!無事進化できたみたいだな…ならこちらは全力でいくぞ!"スパーク"!!」

まどか「"ブレイズキック"!」

二匹の攻撃が交錯し、フィールドに火花が飛び散る。

お互い一歩も引かず全力をぶつけ合う。

先に押され始めたのは、片足のみで体を支えていたバシャーモだった。

サキ「丁度いい、ゼブライカ"かみなり"!」

まどか「ッ!チャモっち離れて!」

咄嗟に距離を取ったところに、ライボルトの雷雲から強烈な雷が襲いかかる。

バシャーモが飛びのいたのを見て、あろうことかゼブライカはその落雷に自ら飛び込んでいった。

しかしライボルトとは違って平気そうな顔をしている。

サキ「さやかから聞いているんだろうから言わせてもらうが、私のゼブライカは『でんきエンジン』だ
   素早さを上げさせてもらったぞ」

さやか「ずるい!自分の攻撃で自分がいい思いするなんて!」

みらい「攻撃になればそれはそれだし、外れても機転を利かせて自分の有利な状況を作り出す!
    これもサキの作戦勝ちってやつでしょ」
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:43:56.82 ID:APiHUj3D0
まどか「速さだったら負けないよ!チャモっち"こうそくいどう"!」

サキ「"スパーク"!」

まどか「"はじけるほのお"!」

バシャーモの攻撃は地面にぶつかり散弾した炎も全てギリギリでかわされ、ゼブライカがスパークで突っ込んでくる。

スピードは僅かにゼブライカの方が速く、バシャーモは逃げきれない!

ゼブライカ「ゼブルルル!」ダッ バシャーモ「ッ!」ゴッ

サキ「ここでもう一度"かみなり"!」

まどか「チャモっち"はじけるほのお"!」

上空に向けて放った炎と雷がぶつかり相殺された。

弾けた炎は辺りに飛び散り、その場で僅かに燃え残っている。

サキ「上手く防いだようだな……ゼブライカ!」ピシィッ

鞭の合図でゼブライカの体が輝き始めた
どうやら充電を開始したらしく、僅かに電気が漏れている。

まどか(多分あれは"じゅうでん"……電気パワーを貯められちゃったらもうチャモっちが耐えられないかもしれない……
    でも、ゼブライカは速くなってるから避けられるかどうか……)

まどか(……あれ?そういえば、あそこの"はじけるほのお"で飛び散った火の粉、まだ燃えてる……
    ――あっ!そうだ!!あそことあそこで…………後はチャモっちが……)
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:48:44.38 ID:APiHUj3D0
充電が完了したのか、ゼブライカから閃光が走り、バチバチと電気を纏っている。

サキ「"じゅうでん"が完了したようだな……さあまどか、残念だがこれで終わらせる!」

まどか「チャモっち!雷雲に向かって飛びあがって!!」

サキ「何!?どういうつもりだ!?」

バシャーモは怯みつつも、雷雲の電気を帯びて着地する。

まどか「そのまま少しゆっくり目の"はじけるほのお"!!狙いは……右側の燃え残ってる火の粉!」

何のことか分からない顔をしているものの、バシャーモは命令通りスピードの遅い炎を吐き出した。

さやか「あれは……まさかまどかのやつ…!」

サキ「どこを狙っている…おまけにそんな遅い攻撃が当たると思っているのか!"スパーク"!!」

まどか「"こうそくいどう"で回り込んで!」

すかさずバシャーモは加速して背後を取り翻弄し、ゼブライカもスピードで負けじと必死に追う。

まどか「チャモっちそこでストップ!」 バシャーモ「ッ!?」ズザー

バシャーモが停止したのはサキの目の前、ゼブライカの姿と一直線に並んだところだ。

サキ「逃げられないとみたか!突っ込めゼブライカ!今なら"ブレイズキック"に撃ち負けたりしない!」

みらい「サキ危ない!!」

サキ「ん?」

さやか「いっけぇー!」

まどか「もう遅いですよ」

次の瞬間、ゼブライカの背後にバシャーモの放った弾ける炎が炸裂した!
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:54:26.74 ID:APiHUj3D0
サキ「なっ…何ぃ!?」

まどか「今だよチャモっち"スカイアッパー"!」

よろめくゼブライカに渾身の一撃がヒット!

空高く打ち上げられたゼブライカは力なく落下し、そこで遂に戦闘不能になった。

サキ「馬鹿な…狙いとは全く違う方向からどうして……」

まどか「……ふぅ……勝てたぁ」クテッ

サキ「……よくやったゼブライカ」シュパン

まどか「えへへ、ありがとうチャモっち。雷雲に突っ込ませたりしてごめんね?チャモっちならできるって信じてたよ」

サキ「一体どうやったんだ?教えてくれないか」

まどか「まず、チャモっちが雲に触れて電気を帯びます。それから"はじけるほのお"を出したら、炎にも帯電するんじゃないかと思いました
    それから次に狙ったのは火の粉。少しでも技の威力を上げるために火の粉の炎を取りこんだんです」

サキ「それで、どうして軌道がズレたんだ?」

まどか「電気ですよ」

サキ「電気?」

まどか「チャモっちの炎は帯電してて、その電気と一緒に炎が他の電気に吸い寄せられたってことです。えっと、うまく説明できないんですけど……
    静電気的な感じ…?になるのかな?」

サキ「……成程。それで電気を溜めこんでいたゼブライカの背後に回ったわけか」

まどか「ついでにサキさんにバレて避けられないように、サキさんの前にチャモっちを行かせました」

サキ「こいつは上手くやられた……流石だよまどか、やはり私の眼は間違ってなかった」
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 22:57:33.38 ID:APiHUj3D0
さやか「おめでとまどか!」タッタッタ

まどか「さやかちゃん!私もやっと五個目のバッジゲットだよ!」

みらい「むぅ…さやかの説明が適当すぎてわけ分かんない……」

さやか「あの時のこと覚えてたんだね」

まどか「うん!突然思い出せちゃった、ほむらちゃんがやってたこと」

そう――

炎を帯電させ誘導させるという攻撃は、ほむらが仁美と試合をした時に見せた技術だった。

燃え残った火の粉からアブソルの鬼火をまどかは思い出し、実践に至ったわけである。

サキ「まどか、これを」スッ

まどか「ジァッロバッジ……」

サキ「今度こそ、受け取ってくれるな?」

まどか「……はい」

まどかは ジァッロバッジを手に入れた!

これでさやかと同じく、五つ目のバッジを手に入れた。
旅に出て二週間と経たず、既に半分を超えた。

二人のやる気も俄然燃えあがるというものである。
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 23:01:02.09 ID:APiHUj3D0
みらい「サキ〜……ボク悔しいよ……」

サキ「そうだな、今回は私の完敗だ。また鍛錬に励まなければな」

さやか「フッフッフ、やはりあたしのまどかの方が強かったということだね!」

みらい「キィー!サキの情けでバッジ貰っただけのくせにぃ!」

さやか「なんだとぉ!?あたしだってやればできるんだからね!」

みらい「じゃあこっちに来い!サキは疲れてるだろうからボクが鉄槌を下してあげる!」

さやか「おう!売られたケンカは買うっきゃないってね!」

まどか「あっ、それ私の台詞……」

みらい「勝負だ!ボクが何が何でもギャフンと言わせる!!」

さやか「上等だかかってこい!」

まどか「ちょっとさやかちゃん……もう行っちゃった……」

サキ「全くもう少し上品になれんもんか……みらいー!私の代わりに叩きのめして構わんぞ!!」

さやか「ちょっとサキさん!?」

みらい「サキ…!ボク頑張るねッ!!!」

まどか「……上品はどこに…?」

サキ「さてまどか、少し話さないか?」

まどか「話、ですか?」

さやかがナックラーを、みらいはヒメグマを繰り出し激しいバトルが始まった。

観客席に座ってからさやかとみらいの試合を眺めつつ応援をしていると、サキが口を開いた。
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/21(月) 23:05:55.02 ID:APiHUj3D0
はい

ドロレス(ネイティ→ネイティオ)『はやおき』♀
織莉子のポケモン
図鑑だと未来を見通してびくびくしてる的な説明だったので
性格は怖い未来に怯えるほど臆病

カップ(バネブー)『あついしぼう』♀
織莉子のポケモン
水晶玉の代わりに真珠玉で
性格は意外にも生意気なんだとか

二人の出番はいつになるかな…
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2012/05/21(月) 23:19:35.92 ID:9aEqcnF+o
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/05/21(月) 23:49:16.70 ID:bdI4wUHZ0
しえん
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/21(月) 23:56:21.12 ID:h4H6FoxDO
乙乙


>>580
支援ではなく、「乙」と書きたまえ…ここではそれこそが、読者に出来る作者への感謝気持ちだ…
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/22(火) 00:48:57.37 ID:5snyrxr+0
危ないまた忘れるところだった
さやかちゃんはお休み

バシャーモ(ブレイズキック、スカイアッパー、高速移動、弾ける炎)
ピクシー(コメットパンチ、光の壁、小さくなる、テレキネシス)
マラカッチ(ニードルアーム、タネマシンガン、コットンガード、わたほうし)
トゲピー(エコーボイス、指をふる、オウムがえし、欠伸)

ゼブライカ(スパーク、先取り、雷、充電)
ライボルト(放電、火炎放射、氷の牙、雷)
エレブー(かみなりパンチ、ボルトチェンジ、スピードスター、けたぐり)
ライチュウ(10万ボルト、アンコール、フラッシュ、穴を掘る)

どんな言葉でも嬉しいよ!
BW2までに頑張らねば
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/22(火) 00:57:30.03 ID:4Abr9xano
おつ
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/05/22(火) 01:47:27.52 ID:sWAAG1Qm0


ライチュウ「ラララライ!」
どっかで聞いたことあるな…
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/22(火) 09:57:26.42 ID:wmPN9USDO
藤崎マーケット今何やってんだろうな
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 22:13:04.13 ID:l0B9NfBJ0
ライチュウ10万じゃねえや、雷じゃん
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 22:15:49.19 ID:l0B9NfBJ0
サキ「例の事件から他のジムリーダーに連絡してね。緊急会議を開くことが決定されたんだ」

まどか「会議ですか?」

サキ「例の『Wの組織』の件さ。すでに二人襲われた上にどちらもポケモンを奪われる寸前だった
   確かに私の力不足だったこともあるだろうが、それにしてもこれは大問題だ。いつ他の人が狙われるとも限らん」

まどか「佐倉神父も確か警告するってこと言ってましたけど」

サキ「話を聞いた時は、正直あまり真剣ではなかった……だが実際奴と戦ってみてこれは危険だと思った
   他に何人いるのか分からないが、実力はジムリーダーと同等といえる」

まどか「シズルちゃんみたいな子が他にも……」

サキ「たまたま一人で襲ってきてくれたからよかったものの、二人以上だとかなりヤバいだろうな
   そもそも私達相手に一人でやってくること自体、自信がある証拠だ」

まどか「そうですよね……ジムリーダーと戦えるくらい強いんですよね」

サキ「一応プレイアデスのメンバーも会議には参加してもらおうと思ってる。そもそもジムリーダーのうち三人はプレイアデスだしな」

まどか「そうなんですか?サキさんとニコさんと、あとは……アイリさんかユウリさんのどっちかですか?」

サキ「なんだ、その二人は知ってるのか」

まどか「この間タカサキでたまたま立花さんのお店に来てたんです。立花さんが挨拶しといたほうがいいって」

サキ「成程ね…だが残念ながらその二人じゃないよ。最後の一人はアスナロシティのジムリーダー」

サキ「かずみだ」
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 22:22:46.51 ID:l0B9NfBJ0
まどか「かずみ、さん?」

サキ「あぁ。いつか行くことになるだろうが、かずみは強いぞ?グンマーのジムリーダーの中でも群を抜いて強い」

まどか「そんなにですか?」

サキ「勿論だ。それでいて明るくて正義感も強くて、本当にいい子だよ」

まどか「へぇ……」

サキ「……ま、まあそんなわけだから!まどかに頼みたいことがあるんだ」

まどか「?サキさん顔が少し赤――」

サキ「私のことはどうでもいい!!とにかくまどか、その会議に一緒に出てくれないか!?」

まどか「…ふぇ!?私がですか?」

サキ「もちろんさやかも一緒にだ。君達は私と佐倉神父、どちらの事件にも関わっているし協力してくれた
   敵のことにも詳しいだろうし、その後できれば事件解決にも少し協力して貰いたい」

まどか「でも私たち一般人だし……」

サキ「事件解決は、まあ他のジムリーダーが許可しないこともあるだろうし、無理にとは言わない
   会議で奴らの話をしてくれるだけでもいいんだ」

『Wの組織』の事件解決……

このまま放っておけば彼女たちによってますます強制的にタマゴを作らされ、野生に追いやられるポケモンの被害は増えていくだろう。

ポケモンたちを粗末に扱う『Wの組織』を、まどかは絶対に許すことができなかった。

まどか「……分かりました。私達にできることなら、なんでも」

サキ「ありがとう。会議は一週間後にマエバシで行われるから、是非頼む」
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 22:34:10.52 ID:l0B9NfBJ0
まどか「でも、今の私じゃ役に立てないと思うんです……」

サキ「…?」

まどか「ジムリーダーより強い人たちがシズルちゃんの仲間にいるんなら、ジムバッジ全部持ってない私なんかじゃまだまだです」

サキ「それは気にしすぎというものだ。ジムリーダーより強い人なんて、はっきり言ってしまえば沢山いる
   バッジ全部手に入れた人は当然、四天王にチャンピオンもいる」

まどか「そうかもしれませんけど――」

サキ「君は強くないからといってあいつらを見過ごせるのか?」

まどか「!!」

聞かれるまでもない。

サキ「君は強くなって何を求める?」

まどか「私は……ポケモン達を不幸にするようなあの子達に……あんなやり方絶対間違ってるって、才能だけが強さじゃないって、証明したいんだと思います」

サキ「強さの証明、か……これは人からの受け売りというか、ある人が言ってた言葉なんだが――」

サキ「『確かに何になりたいかは大事だ。だが、それ以上に大事なのは強くなり、得た力で何をするのかではないのか?』ってね」

まどか「何をするのか…?」

サキ「強いだけじゃあ意味がないということかな。その強さで何がしたいのか……まどかははっきりしてるようだな」

まどか「そう、ですね……」

サキ(しかし、才能と言えばまどかもそう…バトルのセンスは相当のものだな……努力もしてきたんだろうが、やはり才能というやつか
   『才能だけが強さじゃない』ことの証明……なんともまあ、多少皮肉っぽい話ではあるがな)

サキ「まあとにかく、情報不足だから今すぐに戦う訳でもない…じっくり強くなっていけばいい」

まどか「……はい」

サキ「旅はまだまだこれからじゃないか。明日からも旅を続けるのか?」

まどか「はい。明日は北のクサツタウンに行こうかなって、私は思ってるんですけど」

サキ「そうか……そうだ、つばなの湖には行ったのか?」

まどか「湖?はまだですけど……」

サキ「そいつはもったいないな。中々いい眺めだし、観光客もそうだがトレーナーが集まるから修行場としてもそこそこの人気なんだ」

まどか「へぇ……修行になるんなら、行ってみようかな」
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 22:39:27.76 ID:l0B9NfBJ0
まどかが明日の予定を思案していた頃――

みらい「"きあいパンチ"!」

ツンベアー「グァー!」ゴッ ダイケンキ「ギャフン」ゴハッ

さやか「あぁ!ミジュか!!」

みらい「よっしゃー!サキの仇!!」

さやか「うぅっごめんまどか……せっかくまどかが勝ってくれたのに……こんなやつにぃ!!」ガクッ

二人のバトルは、みらいの勝利という形で決着が付いたようだった。

サキ「どうやら向こうも終わったらしいな」

まどか「さやかちゃん、お疲れ様」

さやか「すまぬまどか……あたしはあいつにギャフンと言わすことができなかったよ……ギャフン」

まどか「わざわざ言わなくても……」

みらい「サーキー!ボク勝ったよ!!これで勝負はおあいこだね」

サキ「目的が変わってないか」

さやか「はぁ……こんなんじゃ駄目だ!もぉぉっと強くならなくちゃ!!」

まどか「だね!」

とりあえず二人で明日のことを話し合う。

さやかも特に反対理由はなく、むしろ修行できるのならと乗り気である。
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 22:46:47.88 ID:l0B9NfBJ0
さやか「そうだ!サキさん、あれまだですよね?」

サキ「あれ?」

さやか「決まってるじゃないですか〜、あれといったらジム戦の後のあれですよ〜」ウヘヘ

サキ「……あぁ、料理な」ポン

さやか「そうですそれ!さっそくいただいちゃっていいですか!?」

サキ「うちにはない」

さやか「ギャフン!」ズコー

まどか「さやかちゃん大丈夫?」

サキ「いや、先週送ってもらったやつが残ってたか?」

みらい「たぶん博物館の冷蔵庫にあったと思うけど」

さやか「あるんじゃないですか!ビックリしましたよほんとに!!」

みらい「でもさやかはバトルしてないし食べられないじゃん」

さやか「ギャフン!」ズコー

まどか「さやかちゃん大丈夫!?」

サキ「いいじゃないか、さやかもバッジを持ってることだし」

さやか「もう!上げたり落としたりひどい!」

まどか「まあまあ…私もちょっとお腹すいたし、期待してもいいですか?」

ニヤリと笑ってサキは答える。

サキ「当然だ」
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 22:54:41.78 ID:l0B9NfBJ0
―アンジェリカベアーズ―

ジムの隣にある博物館は石で造られている立派な建物だった。

さやか「どういう意味なの?アンジェリカって…ベアーズは分かるけど」

みらい「アンジェリカは『明日葉』…つけてくれたのはかずみだよ」

さやか「かずみ?」

中の受付で出迎えてくれたのはサキの妹という少女だった。

美幸「どうも、妹の浅海美幸です」

みらいと交代で博物館の案内などをやっているらしく、今日は美幸の番というわけだ。

サキ「こないだ届いたあれ、まだ残ってたよね?」

美幸「うん!冷蔵庫にあるはずだよ」

サキ「なら良かった。というわけで、ついて来てくれるか」

まどか「じゃあ早速――」

美幸「ちょっと待って!」ガシッ

まどか「なに?」

美幸「中学生は一人200円です」ニコッ

さやか「お金取るの!?」

商売上手だなーと文句を言いつつも、しぶしぶ払って中に入る。

扉を潜ると、百を超えるテディベアがガラスのショーケースに入れられ、ずらりと並んでいた。
中にはヒメグマやクマシュン系統以外のポケモンのぬいぐるみもある。
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 23:03:21.17 ID:l0B9NfBJ0
サキ「ここだ」

関係者以外立ち入り禁止と書かれ、ギアルの様な歯車が取りつけられたドアを開けると、目の前に巨大な冷蔵庫が姿を現した。
ひんやりとした冷気が溢れだしているのが分かる。

さやか「一体何なんですか?作り置きしてあるやつとか?」

みらい「かずみに作ってもらったお菓子と料理、その詰め合わせ」

まどか「かずみって、アスナロのジムリーダーの?」

サキ「あぁ。私は料理が作れないから定期的に作ってもらったものを送ってもらってるんだ
   はっきり言って、そこらの店よりよっぽどうまいぞ」

さやか「早く早く!」ワクワク

ゆっくりと扉が開かれ、中にある袋が取り出された。
ムウマージの顔らしきものがプリントされてあり、まどかの体の半分が隠れてしまうほどの大きなものだ。

サキ「かずみ特性、『カズミックス』だ!」

みらい「みらい様からの粋な差し入れ、とくと受け取れい」

さやか「手柄横取りすんな」

まどか「何が入ってるんだろう……」ゴソゴソ

まどか「わぁお菓子がこんなに!」

さやか「おぉ、それじゃあさっそく」

まどさや「いただきまーす!」

まどか「……」モグモグ

さやか「……」モシャモシャ
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 23:08:39.79 ID:l0B9NfBJ0
まどか「おいしい!本当にお店のよりおいしいかも!」

さやか「ん〜疲れた脳内に染み渡りますなあ」

サキ「こんなところで食べるのもなんだし、外に行かないか?」

みらい「さんせー」

博物館入り口付近のベンチに腰を下ろす。
客は一人でいる女性客とカップルのみで、美幸も受付を離れて一緒に座りにきた。

カズミックス入りの袋はまどか達の分とサキ達の分の二つだ。

さやか「しかし、かずみさんってのはとんでもないですね。料理も上手でバトルも強いって完璧じゃん」

サキ「そうでもないだろうさ。きっとかずみにしか分からない苦労もある」

みらい「だからそういう時は私達が助けてあげる番なわけ」

まどか「なんか、いいですね。仲間同士で助け合えるのって」

サキ「なんなら君らも入るか、プレイアデスに」

みらい「えぇー!さやかなんかが入れるわけ!?」

さやか「なんかとは失礼だな君は!」

サキ「そうなると七人をオーバーしてしまうから名前を変えなくなってしまうが……」

まどか「……あの、私は入るつもりはありませんよ」

サキ「フッ…まあ、そう言うとは思ってたよ」

まどか「今は旅を続けるだけですから」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 23:15:22.05 ID:l0B9NfBJ0
さやか「……ところでさあ、なんか視線を感じない?」

まどか「さやかちゃんも気になってた?」

サキ「……そこにいるのは分かっている!出てこい!」ピシィッ

サキの鞭に驚いたのか、柱の陰からこちらを覗きこんでいた者の正体が光に晒された。

マイナン「……」プルプル

みらい「……あれってジムにいたマイナンじゃない?」

サキ「確かに私のマイナンのようだが、なんでこんなところに?」

さやか「おっ、こっちに来た」

必死で小走りでさやかの足に隠れたかと思うと、ほっぺから火花を散らしてサキを威嚇している。

さやか「ちょっと、なになに?このマイナンサキさんのポケモンじゃないんですか?」

みらい「言ったでしょ、そのマイナンは捕まえたばっかりでまだ先に懐いてないんだよ」

サキ「うーむ、私には近付こうともしなかったんだが……」

手を差し出そうとすると、慌ててさやかの頭に登っていく。

どうしてもサキとは触れ合いたくないらしい。

まどか「さやかちゃん懐かれちゃってるね」ティヒヒ

さやか「なんであたしに……」
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 23:25:40.17 ID:l0B9NfBJ0
みらい「そういえば、さやかとバトルしてる時もずっとこっち見てなかった?」

さやか「そうだっけ?」

みらい「だよ。ずっと火花のボンボン作って応援してたじゃん」

まどか「さやかちゃんのことが気に入ったんじゃない?」

さやか「えぇ!?あたし負けちゃったんだけど、そんな勝負に惹かれるものなの!?」

サキ「勝敗だけがバトルの魅力じゃないさ。私には懐かないで君には懐く、何か理由があったんだろう」

さやか「そうなの?」

マイナン「……」コクコク

さやか「うーん……サキさん、このマイナン、私の旅に連れて行ってもいいですか?」

マイナン「!」

サキ「私は構わんぞ。その方がマイナンも喜ぶだろう」

まどか「良かったねマイナン、さやかちゃん!」

さやか「えへへ…よーし!今日からあんたはあたしのポケモンだよ!」

マイナン「キュー!」バチバチ

みらい「喜んでる…そんなにサキのとこが嫌なのかな……」

さやか「名前決めなきゃなあ……メスみたいだしマイか、かな!よろしく!!」

まどか「よろしくねマイか!」

マイナン「マーイ!」
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 23:28:48.54 ID:l0B9NfBJ0
サキ「さて、私はそろそろ戻るよ。後はよろしくなみらい、美幸」

美幸「うん!」

みらい「案内ならボクに任せてよ!」

サキ「二人とも元気でな。一週間後にまた会おう」

まどか「サキさんもお元気で」

さやか「お菓子ありがとうでーす!」

たっぷりのお菓子を食べた後、挨拶を済ませたサキはジムに戻り、二人は博物館を見て回った。

案内してくれたみらいによると、展示されているテディベアたちは未来と美幸が作ったものが大半らしい。

まどか「私もちょっとだけど裁縫できるんだよ?これでも手芸部だったもん」

というわけで、まどかとみらいが存分にテディベアの魅力に着いて語り合っている間、
さやかは退屈な時間を仲間になったばかりのマイナンと他のポケモン達と一緒に過ごしていたのだった。

結局博物館を出たのは閉館時刻になってからだ。

まどか「バイバイみらいちゃん、またいっぱいお話ししようね」

さやか「次会ったときは必ずあたしが勝ーつ!首を洗って待っているがいい!」

みらい「へへーん、さやかなんかに負けるわけないじゃん」

まどか「またねー」

さやか「サキさんによろしく!」

みらい「おう!」

こうしてこの日は終わりを告げた。

明日目指すのはクサツタウンではなく、つばなの湖だ。
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/24(木) 23:30:26.95 ID:l0B9NfBJ0
後日談終了

さやかの四匹目!
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/24(木) 23:32:02.57 ID:7EXpXlzwo

ポケモンはピカチュウぐらいしか知らないけど読んでる
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/25(金) 00:16:24.92 ID:diVvunaso
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/05/26(土) 23:29:29.16 ID:p/OUPrJ30
>>552
あれは名作
ポケスペっぽい感じがした
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/29(火) 23:36:03.63 ID:2ErnkZUN0
〜十四日目・深夜〜―つばなの湖・ポケモンセンター―

さやか「んぁっ、そこっ…そこぉ…あぁっ…ぃいっ!」

まどか「……」

さやか「もっと!もっと強く……あっ、んんっ…はぁぁぁんっ!」

杏子「……」

さやか「はぁ…あっあっ…んんんんっっ!んふぅ、ぁぁっ…ぁんっ」

まどか「……」///

さやか「だめぇ…だめらめぇ!気持ちよすぎるぅ…!あっ…んんぁぁぁっ!」ビクビクッ

杏子「……」///

さやか「はぁ…はぁ……んぁ……」ビクンビクン

まどか「……どうして……どうしてこんなことになっちゃったのかな」

杏子「さーな……」

なぜ杏子がまどか達と一緒にいるのか。

なぜさやかは喘ぎ声にも似た声をあげているのか。

それにはまどか達が旅立って十三日目、すなわち、昨日の昼間のことを話さなければならない――
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/05/29(火) 23:38:09.68 ID:2ErnkZUN0
1レスだけ…
1年ぶりくらいにポケスペ新刊が発売されてwktkが止まらない
ストックはあるんだろうから早く次を出してほしい
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/29(火) 23:51:59.14 ID:pfQ8+mQno
>>603
ポケスペおもしろい?
続きはよ
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:25:59.48 ID:tdOMCGyh0
>>604
個人的には凄く面白いと思う

ところで速報にもう一個、間違えてというか訳合ってスレを立ててしまったんだけどここで宣伝してもいいものかどうか
いいから続き書けってんならやめとこう
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:27:21.77 ID:tdOMCGyh0
>>604
個人的には凄く面白い

ところで速報にもう一個、訳あってスレを立ててしまったんだけどここで宣伝してもいいものかどうか
そういうのうざいしいいから続き書けってんならやめとく
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:29:21.33 ID:tdOMCGyh0
〜十三日目〜―つばなの湖―

グンマー地方三大湖の一つ、それがつばなの湖だ。

小高い丘に位置し、湖の底にはかつてこの地を訪れたことのある珍しいポケモンを祭った祠があるという。

山の間から昇る太陽と湖面に映る輝きは実に美しく、多くの人が訪れる観光名所だ。
ヒメナ川と繋がっており、川を上って海からポケモンが迷い込むこともあるため釣りの名所でもある。

こんな風に人が集まってくるため、自然とポケモンバトルに発展することが多く、近年はトレーナーの修行の場として有名になってきた。

さて、そんな場所にやってきた二人もキレイハナよりダンゴロ……もとい、花より団子ということで、景色はそこそこに早速バトルを開始していた。

まどか「チャモっち"ほのおのうず"!」 バシャーモ「シャー!」ゴァァ

さやか「マイか"チャージビーム"!」 マイナン「マイー!」バリィィン

釣り人「うへぇー、あの嬢ちゃんたちつええなあ」

パラソルお姉さん「これは相当な腕利きね」

さやか「いやぁ、なんかすごいことになってるねあたしら」

まどか「ちょっと恥ずかしいね」アハハ

ピクニックガール「二人ならあっちのお姉ちゃんにも勝てるんじゃない?」

まどか「あっちのお姉ちゃん?」

キャンプボーイ「なんか一対一でバトルしてんだよ。まだ誰も勝ててねーんだ……負けたら食いもの置いてけって言われるんだぜ!」

さやか「ほほう、食べ物を賭けてバトルとな……誰だか知らないけど、お昼前にはもってこいの相手じゃん!」

まどか「もうそんな時間なんだ……私もちょっと頑張ってみようかな」

さやか「早速案内してくれたまえ!」
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:33:22.99 ID:tdOMCGyh0
キャンプボーイとピクニックガールに連れていかれた先ではまた一人、山男がバトルに負け、少女の為に昼食用のお弁当を差し出していた。
せっかく嫁さんが作ってくれたのにと嘆いていたが、そんなことは少女にとってはどうでもよかった。

とにかく強い相手を求めていたのだ。

さやか「あれが噂のお姉ちゃんか……よろしい、次のバトルはあたしがあげるよ!」

取り巻きを押しのけ少女の前に名乗り出たさやかは、

さやか「いざ尋常に勝、負……」

杏子「よーしかかってき、な……」

さや杏「…………」

ボールを持って固まった。

さや杏「でええええええぇぇえぇえぇぇぇぇぇ!?」

まどか「さやかちゃーん、早いよぉ……って杏子ちゃん!?なんでここにいるの?」

再開は唐突に、湖の畔でだった。

さやか「あんたかよ食べ物かけてバトルやってる腹ペコ少女は!」

杏子「そんな名乗りした覚えはねーよ!いや、食いもん貰ってんのは事実だけどさ」

ピクニックガール「お姉ちゃん達知り合いなの?」

まどか「うん、そうだよ……こんなところで会うなんて思わなかったけど……」
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:36:03.30 ID:tdOMCGyh0
さやか「ほんとだよ、あんた砂漠で修業してたんじゃないの?」

杏子「いやぁ、水と食糧がなくなったから砂漠のポケセンに泊まってからホテルに来るやつら待ち伏せて片っ端から勝負挑んでたんだけど、
   追い出されちまってさ……せっかくだから気分を変えてこっちに来たってわけ」

まどか「じゃあえっと、負けたら食べ物って言うのは…?」

杏子「……金がないんだ」

八重歯をちらりと見せて杏子は笑った。
モモンの実のように、ほんのり頬が赤い。

さやか「はぁ…呆れた、お金なしでどうやって旅するつもりだったのよ」

杏子「いいじゃねーかよこうして生きてるんだから!それより」ボンッ

ゴウカザル「グアキィー!」

杏子「あたしとバトル、やってくれるんだろ?」ニカッ

さやか「ふっふっふ、よかろう!あたしに勝てたならさっき売店で買った、このつばな限定『ナスキャラメル』をくれてやろうではないか!」

杏子「一対一、先にダウンした方が負けだ」

さやか「分かりやすくていいじゃん。あんた相手なら遠慮はいらないよねっ!!」ボンッ ダイケンキ「ダーイ!」

杏子「フタチマルが進化したか……おもしれえ、相性なんか関係ねえ!いくぞザル!」

腹ペコ少女の 佐倉杏子が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=0dvjo07A91I&feature=related
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:38:22.44 ID:tdOMCGyh0
――――――――
――――


さやか「そんな……」ガクッ

杏子「どうやらあたしの勝ちみたいだな」

さやか「ミジュかごめん…あそこで突っ込ませなかったら……」

杏子「そうそう、よく分かってんじゃん。相性がいいからってがむしゃらに突っ込んで勝てると思ったか?
   相性がよかろうが悪かろうが、相手を見てどうするか判断する。それがトレーナーだ」

さやか「も…もう一回だ!このまま負けっぱなしでなるもんか!!」

杏子「あたしはいいけど、残念ながら順番待ちのお客様がいるみたいなんでね」

さやか「へ?」

まどか「ズルイよさやかちゃん!次は私の番なんだからね!」

パラソルお姉さん「次私よ!」

釣り人「いや俺だ!」

杏子「おーおー、今日はこんなに御飯が食えるとはな……今日のあたしはついてんな」

まどか「それは私とバトルしてから言ってよね」

杏子「フンッ…威勢がいいのは結構だけど、たまには先輩らしいとこ見せてやんないと――」シュパン

杏子「ね!」ボンッ キュウコン「コーン!」

まどか「チェンジするんだね……チャモっち!」ボンッ バシャーモ「シャモッ!」

杏子「まさかとは思ってたけど、やっぱりあんたも進化してたか……さあ、始めようか!!」

先輩の 佐倉杏子が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=0dvjo07A91I&feature=related
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:44:36.20 ID:tdOMCGyh0
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――――


まどか「そんな……」ガクッ

杏子「あぶねー…コンの幻覚に惑わされずにきっちり攻撃してこれるかよ普通……」

まどか「ごめんチャモっち…あそこで私が分身を見破ってれば……」

杏子(そんなのまず無理だろ……)

杏子「ま、なんにしてもあんたらにもきっちり払ってもらおうかな」

さやか「うっ……えぇい!持ってけ泥棒こんちくしょー!!」ポイッ

杏子「投げんな!あと泥棒扱いすんじゃねーよ、合意の上だろうが!!」

まどか「私からは……はい」スッ

杏子「…?なんだよ、手だけ出してないでなんか乗せろよ」

まどか「今からお昼ごはんにするつもりなんだけど、一緒に食べない?奢るよ?」

杏子「……そいつはいいな」ガシッ

差し出された手を取り、杏子の食べ物を賭けたバトルは一旦休憩と相成った。
後ろに並んでいた人たちは残念そうだったが、そういえば自分達も昼食をとっていないことを思い出し、渋々散っていった。

まどか「ここは湖の水を使った流しそうめんとかできるらしいよ」

杏子「ほーん、あたしはまどかが奢ってくれるんなら何でもいいさ」

さやか「じゃあそれにしよっ!あたしもそうめん食べたいし」

三人が立ちよったところは、箸が使いかけであったり茹でてない麺が流されたり人が流し台を滑ってきたりと言ったハプニングもなく、
至って普通の流しそうめんが楽しめるところだった。

そんな食事の後、杏子が戦利品のお菓子を食べながら呟いた。
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:47:57.31 ID:tdOMCGyh0
杏子「そういやマミのやつがさ、そろそろ本格的に考えるらしいな」

まどか「マミさんが?」

杏子「なんだ、聞いてないのか?」

さやか「もったいぶらずに教えてよ」

杏子「だから、休学制度だっけ?あれ使ってしばらく学校休んで本格的に修行というか、旅に出ようかなってさ」

さやか「マジで!?じゃああたしらと一緒に旅ができるかもってことじゃん!」

まどか「でもマミさんのパパやママは反対してるって言ってなかったっけ?勉強に勤しみなさい、って言われてるとか」

杏子「今日か明日辺りでその説得をするんだとよ。マミも受験生だしさ、そろそろ進路について悩む時期だろ……
   忙しくなる前に、やりたいことやってスッキリしたいんじゃねーの」

まどか「クロマツ大会……だね」

杏子「マミがどんな人生を歩みたいのか知らないけど、やっぱ高校とか行っといた方がいいもんなのかねえ」

さやか「うーん……あたしらも考えなきゃならないよね、いつかは」

まどか「サキさんが言ってた、強くなった後のこと……でも本当はそれで終わりじゃなくって、その強さを維持するか手放すか
    そんなことも考えていかなきゃならないんだよね……」

杏子「……しんみりすんなよ!その時になったら考えりゃいいじゃねーか。今は目の前のやることをやる、それでいいだろ」

さやか「だね。考えたって始まらないよ…未来なんて誰にも分かんないんだし」

まどか「誰にもってことはないんじゃない?ほら、イツサトタウンの織莉子さんとか」

さやか「あの人は特別でしょ〜……それにしても、なんで杏子にだけ相談してあたしらには何も言ってくれなかったんだろ……ちょっとショック」

杏子「そりゃ簡単だ」

キャンプボーイから巻き上げた…もとい、貰ったRockyにぱくついて答える。

杏子「後輩にウジウジ悩んでる格好悪いところ見せたくなかったんだろ」

まどさや「……あぁ〜」

少し納得した二人だった。
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:54:13.74 ID:tdOMCGyh0
杏子「さてと、腹ごしらえも済んだし、あたしはそろそろバトルに戻るよ」

さやか「あたしらもせっかく来たんだし特訓してく?」

まどか「いろんな人とバトルしてみたけど、杏子ちゃん以外にはまだ負けてないんだよね」

杏子「……じゃあさ、あたしがちょっと鍛えてやろうか」

まどか「えっ!?いいの?」

さやか「へぇー、そんなこと言っていいわけ?あたしらはいつかあんただって超える存在……簡単に手を貸していいのかな〜?」

杏子「はっ!一度でも勝ってから言ってみろよ……マミばっかりに先輩面させてらんないしね
   それに、一つ、あたしとあんたらにゃ決定的な違いがあるからしばらく負けるつもりはないさ」

まどか「違い…?」

杏子「知りたいか?」ニッ

さやか「くっ……べ、別にあんたの助けなんか必要ないんだからね!」プイッ

まどか「私は……教えてもらおうかな」

さやか「ちょっとまどか!負けた相手にアドバイス貰うなんて……」

まどか「そんなこと言ってちゃ駄目だよ。強くなれるんなら、私は努力は惜しまないつもりだよ」

杏子「流石、さやかより筋がいいまどかは話が分かる。分からず屋のさやかは放っておいて特別に鍛えてやるよ」

さやか「……分かった、あたしにも教えてよ」フンッ

杏子「当然、そのつもりだ」ニッ

まどか(うわぁ……なんだろう)

さやか(滅茶苦茶いい笑顔じゃん……)

まどさや(なんか不安になるくらい)
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:57:04.76 ID:tdOMCGyh0
杏子が連れてきたのは湖から少し歩いた砂漠近くの山。
所謂岩石砂漠というもので、岩肌が露出しており、岩タイプのポケモンが多く存在している場所だ。

杏子「おっ、ちゃんと着替えてきたな」

まどか「一応着替えたけど……」

さやか「なんで体操服なわけ?」

杏子「そりゃあ二人もポケモン達と一緒に山を登ってもらうからな」

さやまど「……へ?」

杏子「いいか、お前らに足りないのはトレーナー自身の体力だ。ちょっとここまで歩いてこれたからって体力が付いたと思ったか?
   あたしから見たらまだまだだね」

まどか「杏子ちゃんは自信あるの?」

杏子「昔っから親父にバトルは教えてもらってたし、ムクと一緒に遊んでたからな。そこらの一般トレーナーよりはあるつもりさ」

さやか「で、それとバトルと何の関係があるの?」

杏子「トレーナーのモチベーションは当然バトルに影響してくる。疲れてんのにうまく命令できるやつはそうはいねえ
   いつどんな状況で戦うことになるか分かんねえからな、走りながらとかポケモンに乗ったままバトルすることだってあるだろうし」

さやか「そんなことあるの?」

杏子「例えばだよ……なんにしても、突っ立ったまんま命令してるうちは半人前さ」

まどか「それで、どんなことするの?」

杏子「この山を登りながらバトルしてこい、二人でな」

さやか「登りながら!?そんなんできるかぁ!」

杏子「だからやるんだろ。先にゴールするか、相手のポケモン全員倒したら余ってる食いもん全部プレゼントだ」

まどか「よ、よーし!頑張ろうね!」

さやか「お…おう!ここまできたらやってやろうじゃんか!杏子に奪われたキャラメルを取り返す!!」

杏子「だから人聞きが悪いこと言うな」
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 00:59:34.01 ID:tdOMCGyh0
それから二人は走り始めた。
険しい山道は予想以上に厳しく、行く手を遮る。

登るだけでも精一杯の中、さらに二人はポケモンを繰り出し状況を見て命令を下さなければならない。

まどか「はぁはぁ…カチっち、えっと……」

さやか「"はっけい"だぁ!」

リオル「リー!」バキィッ マラカッチ「カッチャ!」グハッ

杏子「遅いぞまどか!敵は待ってくんねーぞ!」

岩に手をかけよじ登る二人を余所に、杏子はムクホークの上から手をメガホン代わりに声をかけている。

さやか「きっつい…山登りが得意なリオすけで正解だったかも……ふぅ……」

杏子「だからってリオルに頼りっぱなしになるな!そいつがやられたら終わりか?違うだろ!」

まどか「"とびはねる"!」

さやか「はぁ…し、しまったあんなに高いとこまで…!」

杏子「気を付けろさやか!来るぞ!」

さやか「か、"カウンター"!」

まどか「"ソーラービーム"!」

マラカッチ「カー…ッチャー!」キィーン リオル「リオー!」チュドーン

さやか「あぁリオすけ!」ゼェハァ

杏子「あーあー、ちゃんと見ないからだ」

さやか「うるさい……高みの見物してるあんたに言われたくない……ハァ…ハァ……」

杏子「文句は登り切ってから聞いてやる!早く次のポケモンを出せ!」
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:03:13.28 ID:tdOMCGyh0
こんな調子で登山を続け、二人とも喉はガラガラ足はガクガク腕はプルプル体はヘトヘトだった。
残るポケモンはまどかがトゲピー、さやかはマイナンのみとなった。

頂上まであと僅かとなった今、先に相手のポケモンを倒すかゴールを目指すかの決断が、勝負の別れ目となるだろう。

杏子「ほらほら、どっちが先にゴールすんだ〜?」

さやか(まどかのトゲっちはこういう険しい場所に慣れてないはず……"ゆびをふる"は怖いけど、ここはバトルでケリをつける!)

まどか(さやかちゃんのマイかとまともにバトルしたら勝てるかどうか分からない……だったら、無理せず駆け抜ける…!)

さやか「マイか"でんこうせっか"!」

まどか「来た…!トゲっち"オウムがえし"で逃げるよ!」

岩場をものともせず飛び込んできたマイナンに構わず、まどかとトゲピーはゴールに向かってラストスパートをかけた。
トゲピーは電光石火を真似して素早く岩山を登っていく。

そんな逃げる二人に、後ろからマイナンのスピードスターが襲いかかる。
しかし多少のダメージは無視し、ひたすらに上を目指した。

さやか「だったら…"でんじは"だ!」

マイナン「ママー!」バリバリィ

まどか「あうっ!」 トゲピー「ピー!」

杏子「トゲピーと、ついでにまどかも痺れちまったか……こりゃ勝負あったかな」

さやか「はぁはぁ……悪いねまどか、お先にゴールさせてもら――」

ズズーン
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:08:00.20 ID:tdOMCGyh0
まどか「な、何の音…?」

杏子「あらら……来ちまったようだな、この山の主が」

さやか「主ぃ?」

ズズーン

ボスゴドラ「ゴアアァァァァ!!!」

さやか「ボスゴドラ!?しかもなんか怒ってるっぽい!」

まどか「図鑑だと…山一つを自分の縄張りにしてて荒らした相手は……容赦なく叩きのめす!?」

ボスゴドラ「ギャーオオォオオオオオ!!」

杏子「まどかとトゲピーは麻痺で戦えそうにないとなると、さやかだけか」

さやか「マイかだけじゃ無理だよ!杏子ヘルプ!!」

杏子「いいからやってみろ。ポケモンはトレーナーを信じてるんだぞ、最後は自分の力を信じるしかねーんだ!」

さやか「――ッ!あーもう!マイか"チャージビーム"!」

ボスゴドラ「ゴァァァ!」ゴシャァァ

まどか「きゃぁっ!」

さやか「足場を揺らした!?まさか――」

ガラガラガラ

杏子「山の岩を使った"いわなだれ"だ」

マイナン「ッ!」ササッ

さやか「どこ行くのマイか!?」ダッ

ドッジャーーン
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:11:59.11 ID:tdOMCGyh0
まどか「さやかちゃん!杏子ちゃん、さやかちゃんが!」

杏子「よく見ろ、無事だ」

まどか「え…?」

襲いかかった岩に潰されることなく、さやかとマイナンは岩陰に隠れていた。
とっさにマイナンが逃げ込んだ場所に、さやかもギリギリ入ることができたのだ。

杏子「しょうがねえなぁ……よく考えろよさやか!相手の図体がでかくたって一撃で沈めることだってできるんだぞ!」

さやか「考えろったって簡単に言ってくれるな!」

杏子「ちょっとくらい悪いこと考えたってバチはあたらねーんだぞ」

さやか「いやその理屈はおかし……あぁっ!」

まどか「……あっ!」

何かに気付いたらしく、さやかはこっそりマイナンに命令する。

ボスゴドラはさやか達がまだ平気な顔をしていることに、さらに怒り心頭の様子だ。

杏子「ほらよ、ちょっとだけ手を貸してやる」ボンッ プラスル「プルル!」

さやか「なるほどね、特性『プラス』と『マイナス』か。悪くないじゃん」

杏子「一緒に攻撃してやろうか?」ニッ

さやか「いいや、もう充分のはずだよ」

ボスゴドラ「ッ……ゴォォォドドォォォォオオオォ!!!」ドドドドッ

さやか「マイか、準備できた?」 マイナン「……」コクリ

さやか「いっけぇー!"10まんボルト"ぉぉ!!!」

ズババババババババーン

ボスゴドラ「……キュゥ〜〜」ドスーン

さやか「イエーイ!ナイスマイか!」パーン
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:14:26.78 ID:tdOMCGyh0
杏子「"わるだくみ"で特攻を上げて、特性『プラス』『マイナス』を持ったポケモンがいればでさらに威力をアップ…大抵のやつは一撃だな」

さやか「"チャージビーム"のおかげでさらに威力アップしてたもんね。こんだけでかいやつでも余裕だよ!」

杏子「さてと、これで邪魔者はいなくなったし後はゴールを……おっ」

さやか「あれ?」

ふと目をやると、先程までそこにいたはずのまどかとトゲピーの姿が見えなかった。

まどか「やっほー!私の勝ちだよー!」

それもそのはず。
すでに二人とも頂上に到達していたのだから。

さやか「えぇー!?なんでぇ!?いつの間に!」

杏子「ん?トゲピーの麻痺が治ってやがるな」

まどか「えへへ、私はまだちょっと痺れてるけど、トゲっちはもう平気だよ。代わりにボスゴドラが痺れてるんじゃないかな?」

さやか「ボスゴドラが?」

ボスゴドラ「……」ビリッ

さやか「そういえばこっちに突っ込んでくる前、一瞬動きが止まってたような……」

杏子「そういやトゲピーって"サイコシフト"使えんのか」

まどか「うん!自分の状態異常を相手に移す技…マイかが攻撃する前にボスゴドラに麻痺を移しといたんだ」

さやか「その隙にゴールしたっていうの!?けしからーん卑怯だぞまどかー!」

まどか「ティヒヒ、悪いこと思いついちゃったから」

杏子「ってなわけで、勝者はまどかだな」

さやか「うぅっ…なんか最近の私いいとこ全然ない気がする……」トホホ
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:17:34.06 ID:tdOMCGyh0
その後すぐにさやかが到着し、いったん休憩に入った。
慣れないことをやった為、二人ともくたくたである。

杏子「さてと、食いもんは後で渡すとして……どうだ?これで少しはあたしとやりあえるくらいには成長したんじゃないの?」

さやか「あぁぁぁ……そうかもね……」

まどか「これ降りるのも大変だよね……ふぅ……」

杏子「帰りもやるか?」

まどさや「やらない!」

杏子「即答かよ…ま、帰りくらいムクに乗せてってやるよ。今日はポケセンでゆっくりしてくか」

さやか「乗せてくれんの?サンキュー……明日はさ、絶対クサツタウンまで行こうよ」

まどか「温泉かぁ……いいね」

杏子「ふーん、温泉ねぇ……あたしもそろそろ場所変えてみるか」

さやか「なに?温泉街で修業でもするの?」

杏子「しねえよ!クサツより北のユウマタウンか近くのみなかみの湖に行ってみようかなってね」

まどか「じゃあ一緒に温泉入る!?皆で入ると楽しいよ!」

杏子「あ、あたしはいいよ別に……」

さやか「なにさぁ、ひょっとして恥ずかしいのぉ?」ニヤニヤ

杏子「う…うっせー!さっさと帰るぞ!」 ムクホーク「クェー!」バササッ

杏子「乗らねーんなら置いてくぞー」

まどか「わぁ待ってよ杏子ちゃん!」

さやか「それだけは勘弁して!」

一同はムクホークに乗って下山し、湖にあるポケモンセンターを目指した。
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:22:36.12 ID:tdOMCGyh0
夕食などを済ませ、まどか、さやか、杏子の順で入浴。
杏子が風呂からあがると、なにやらさやかがマイナンに図鑑を向けてじっと考え込んでいた。

杏子「何熱心に見てんだ?」

まどか「えっとね、さやかちゃんがマイナンの図鑑説明を見てたんだけど……」

さやか「見て、プラスルとマイナンの発する電気は血液の流れをよくしてコリをほぐす効果があるんだって!」

杏子「へー、そいつは初耳だ」

さやか「で、だよ?杏子のプラとあたしのマイかでマッサージしてもらおうよ!」

杏子「マッサージ?んなことできんのかよ、あたしのプラって結構ズボラだからなぁ…細かい作業とか向いてないぞ」

さやか「そこはあたしのマイかにお任せ!慎重で丁寧な作業を心掛けてくれるよ!」

杏子「ふーん」

まどか「明日に疲れが残らないんなら、やってみてもいいんじゃないかなぁって」

杏子「ま、いいんじゃねーの」ボンッ プラスル「スル?」

さやか「よーしマイか、早速お願いね」ボンッ マイナン「イナ!」

まどか「誰からやってみる?」

杏子「あたしはパス。別にそこまで疲れてねーし様子見してからやらせてもらうよ」

さやか「んじゃあまずはあたしからねー、二人ともよろしく」ゴロン

この判断が後に面倒事の引き金になるとは、誰も思っていなかった……
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:24:29.95 ID:tdOMCGyh0
ベッドにさやかが俯きで寝転び、プラスルとマイナンが背中に乗る。

二匹が手を繋いで軽い電気を作り出し、開いている方の手でそっとさやかの背を撫でていく。

さやか「痛たた!もうちょっと弱めの電気でお願い!」

プラマイ「……」バチッ スゥ

さやか「おっ…なんかいい感じかも……」

まどか「……どう?さやかちゃん」

さやか「電気は弱め、撫でる力は強めが丁度いいかも……あっ、そこいいよマイか……ちょっと強めでお願い〜」

初めは優しく撫でたり押さえたりし、さやかのツボを探していく。

やがてコツを掴んだのか電気の強弱、押さえる力を調整。

さやか「ひぁっ!」ビクッ

時には尻尾を使って撫でたりもする。

まどか「さ、さやかちゃん大丈夫…?」

さやか「ん…うん、ちょっとびっくりしただけ……」

まどか(なんか……色っぽい声だったなあ……)

そうして徐々に背中、腰、脚へと移っていくごとに、微妙にさやかに変化が訪れる。
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:26:20.10 ID:tdOMCGyh0
さやか「…はぁ……んっ……」

杏子「……大丈夫か?」

さやか「あっ…へい、き……結構、気持ちいいもんだね……んっ」

まどか「へ、へぇー…気持ちいいんだ……」

さやか「んぁっ!」ビクン

まど杏「!?」

さやか「んんっ…はぁ…ぁん……」

まどか(なんだろう…凄くドキドキしてきた……)

杏子(落ち着け、これはただのマッサージ……全然おかしいことなんかない……)

さやか「はっ…はぁっ……こ……今度は、仰向けに…なってみようかな……」ゴロン

まどか「仰向けって……」

さやか「お願いね二人とも」ドキドキ

プラマイ「……」バチッ スススッ

さやか「んぁっ!そこ…強すぎぃ……」

まどか(はわわわ……もうなんだか見てられないよぉ)

杏子「お、おい…もうそろそろいいんじゃないか…?」

さやか「ぁっ…もうちょっと、だけ……もうちょっとだから……」

何がもうちょっとなのか。

さやか「ひゃっ!あっ…あああっ!いいよマイか…気持ちぃ……んぅっ!」

結局まどか達は止めることができず、日を跨ぐまでさやかの甘美な声が部屋中に響き続けたのだった。
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:27:21.45 ID:tdOMCGyh0
〜深夜〜

さやか「ハァ…ハァ…はぁぁ……」クテン

まどか「お…終わった…?」

さやか「あぁなんかごめん……あたし一人でマッサージされちゃって……」

杏子「マッサージ……そうだよな!ありゃマッサージだったもんな!うん、仕方ない!」コクコク

さやか「なんかこう……燃え尽きた感があるよね」

まどか「へぇそうなんだ」

さやか「…?どうかした?」

まどか「うぅん、なんでもない……なんでもないんだよ、ほんとに」

さやか「?それより、次は誰がやるの?」

杏子「あ、あたしはパス」

まどか「私も、やっぱり今日はいいかなぁって……」

さやか「そう?結構気持ち良かったんだけどなぁ」

果たしてどういう意味の気持ちいいだったのか。

まどか「ほら!もう寝よっ!おやすみ!!」ガバッ

杏子「だ、だな!あたしも寝るからおやすみ!」ガバッ

さやか「ん〜?何焦ってんのかよく分かんないけど、おやすみ〜」

色々と情熱的な夜は、こうして静かに幕を下ろした。
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/01(金) 01:32:21.36 ID:tdOMCGyh0
ここまで
なぜか杏子の出番が意外と多いな

あと地図更新してみたり


      ユウマ=====トネ川====┐
 湖   川        ‖       ‖
      ‖        ‖       ‖ 湖
┌===クサツ====マエバシ====アスナロ===?
‖     ‖       ‖        ‖
‖     ‖       ‖        森
‖     ‖       ‖        ‖
タカサキ===ヒメナ=川==イツサト=ミタキハラ=カザミノ=┐
‖             ‖              ‖
‖ 湖           砂             山
‖             ‖     山山山山山 ‖
└トキサダメ川==砂=ポケセン    山 セキエイ 山 └ニビ


ずれてたら誰か治して下さい
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/01(金) 09:05:55.94 ID:aKq8xNeSo
おつ
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/01(金) 18:34:35.26 ID:DTER6c200
乙乙


ふぅ…
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/01(金) 22:04:37.46 ID:Y9X4XZCP0
そのままのそうめんって安中さんネタかwwwwww
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:01:59.91 ID:iZLCWO8G0
特に反応ないししばらく晒さずにいこうか
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:02:57.26 ID:iZLCWO8G0
〜十四日目〜

さやか「んん〜〜!実にいい朝だね〜」ググッ

まどか「おはようさやかちゃん…早いね……」

さやか「いやぁ〜昨日マイかとぷらにしてもらったマッサージが聞いたのかな?体中軽くってさ〜」

まどか「よ、良かったね……私は体中ガタガタだよ」

さやか「まどかもやってもらえばよかったのに。気持ち良かったよ?」

まどか「えと、それはやっぱり恥ずかしいかなって……」カァァ

さやか「んん???」

さやか「まあいいや、あたしちょっと朝の散歩してくるね」

まどか「あっ、私も行きたい。朝の湖の景色も綺麗なんだって!」

さやか「杏子…はぐっすりか……いいや、あたしらだけで行っちゃお」

まどか「おはようみんな、お散歩に行くよ」ボボンッ

ポケモンセンターの扉を開くと清々しい空気が二人を包む。
静かな湖畔にはコダックやヤドンが朝の日光浴を始め、水面では浮かぶコアルヒーやスワンナがいまだ眠りに就いている。
山の中からポッポ達の囀りがたまに響くと、バタフリーの群れが遠くまで花の蜜を探しに羽ばたきだす。

さやか達の他にも散歩を楽しもうという者や、絶景の写真を収めようとする者など、早起きは意外と多い。

二人はポケモンたちと一緒に湖の周りを歩き始めた。
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:05:24.63 ID:iZLCWO8G0
まどか「いろんなポケモンがいるんだね」

さやか「昨日は全然気付かなかったなぁ……ま、ボールは持ってきてないし、この空気をぶち壊すのもあれだからゲットは諦めますか」

まどか「そうだね」

パラソルお姉さん「あら、あなた達昨日の……」

まどか「おはようございます。えっと、バトルしてくれた人、ですよね?」

パラソルお姉さん「そうよ。びっくりしたわ、思っていたより何倍も強かったんだもの」

さやか「いやぁそんなに褒めてもらえるなんてねぇ〜」アハハ

パラソルお姉さん「でも、私はあなた達の何倍も強い人たちのもとで働いてるから、あの人たちに比べたらまだまだね」

さやか「へぇー…そりゃいつかバトルしてみたいもんですね」

パラソルお姉さん「ふふっ、本当にそんなことになりそうで怖いわ……」

まどか「?」

パラソルお姉さん「じゃあ、私はそろそろ行くわね」

さやか「また会えた時はバトルしてくださいねー!」

パラソルお姉さん「さようなら、鹿目まどかさん、美樹さやかさん」スタスタ

まどか「えっ…?」

さやか「さーてと、散歩の続きといこっか」

まどか「……ねえ、私達自己紹介したっけ?」

さやか「ん〜?そういえば……昨日バトルした時かなぁ?」

まどか「そうだっけ……」

さやか「いろんな人とバトルやってたしあんま覚えてないね…まあ、細かいことはいいじゃん!」

まどか「うん……そうだね」
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:07:50.98 ID:iZLCWO8G0
さやか「結構歩いたね〜」

まどか「そろそろ杏子ちゃんも起きたかな?」

さやか「一人ぼっちになって泣いてるかもね」プププ

まどか「もう…そろそろ戻ろっか」

さやか「うし!」

そうやって踵を返そうとしたところで、

さやか「およ?」

湖に浮かぶ何かをさやかは見つけた。

さやか「ねえまどか、あれなんだろ?」

まどか「あれ?あれは……白くてちょっと長くて……尻尾がある」

さやか「尻尾?ってことはポケモンかな」

まどか「……何だか様子が変だよ、ぐったりしてる!」

さやか「マジか!ミジュか、ちょっと"なみのり"で近づいてみよう」

ダイケンキ「グォー」バッシャーン

さやか「まどかはここで待ってて、すぐ戻るから。元気ならあたしらが近付いたらなんか反応するはずだし」

さやかはダイケンキの背中に座り、ゆっくりと進んでいく。

しかしそのポケモンは一向に反応を見せず、とうとう正体が分かるまで近づいても動こうとしなかった。

さやか「これは……ジュゴンだ!怪我してるのかな…ミジュかもうちょっと寄せて、背中に乗せて岸まで連れて行こう」

そう言ってジュゴンの体を抱きかかえ、ダイケンキに乗せようとしたのだが、さやかは先に図鑑で確認しておくべきだったのである。

さやか「んぐっ…こいつ重っ…!……ぬぅおりゃぁぁ〜〜!!!」ググッ

ツルッ

さやか「あっ」

バッシャーン

ジュゴンの体重は120キロほどあるということを。
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:10:07.60 ID:iZLCWO8G0
まどか「さやかちゃん大丈夫!?」

さやか「全然ダメ…ほんとここ最近のあたしいいとこないよ……ヘックシュ!」

まどか「チャモっち軽く暖めてあげて!」

さやか「待ったまどか!あたし一回ポケセン帰るし、こいつも連れて行こうと思う」

まどか「この子ジュゴンだよね?どこか怪我してるの?」

さやか「ここ来るまでにちょっと見てみたんだけど、かなり弱ってるみたい……だからポケセンに預けようと思って
    結構重かったからミジュかに水ん中で運んでもらうよ……」

まどか「分かった、じゃあ早くしないとだね」

さやか「そうなんだけど……体が重いよぉ……ハクチュッ」

来た道を戻りポケモンセンターの前まで行くと、杏子が外に出ていた。
こちらに気付き駆け寄ってくると、その異常さに突っ込まずにはいられなかった。

杏子「な、なんださやか?ふざけて湖にでも落ちたのか?」

さやか「訳は後で話すよ……それより、ボール持ってない?この子一回ポケモンセンターに預けたいんだけど」

杏子「この子って…ジュゴンじゃねえか!なんでこんなとこにいるんだ?こいつ元々海のポケモンだろ」

まどか「さっき話してたんだけど、つばなの湖って海に通じてるヒメナ川とも繋がってるっていう話があるでしょ?
    だから海から迷い込んだんじゃないかなって」

さやか「もしくは……誰かが逃がしたのか……」

杏子「……とにかく、ボールだな。待ってろ」

まどか「私が見てるから、さやかちゃん着替えてきたら?」

さやか「クシュン……悪いね、そうするよ」
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:13:25.58 ID:iZLCWO8G0
その後杏子の持ってきたボールに入れられ、ジュゴンは預けられた。

待っている間にさやかはシャワーを浴びて着替えると、三人で朝食を済ませた。

そうしてジュゴンが回復したとの連絡が入った。

ジョーイ「これで元気いっぱいよ!きっと慣れない淡水で疲れちゃったのね」

さやか「ありがとうございます」

三人は湖でジュゴンをボールから出した。
まさに水を得た魚のように、力強く泳ぎだした。

まどか「元気になってよかったね」

さやか「ほんとほんと、一時はどうなる事かと思ったよ」

杏子「しかし、どっち道ここじゃあ生きられねーみたいだな……」

さやか「おーい!ジュゴンー!海まで自分で帰れるか―い?」

ジュゴン「ゴーン!」バッシャー

さやか「ははっ、大丈夫みたいだね」

ジュゴン「パウゥゥゥ」パァァァァ

まどか「わぁ……」

杏子「おいおいここは北国じゃねーんだぞ……ま、綺麗だけどさ」

さやか「"オーロラビーム"でオーロラのカーテンだ…!元気でねージュゴーン!」

朝日と湖とオーロラという不思議な光景を目に焼き付け、一同はクサツタウンを目指すために、つばなの湖を出発した。
途中ヒメナシティにも立ち寄ったが、サキもみらいも忙しそうだったため、サキの妹の美幸に挨拶だけして街を離れた。

森を抜け、ほんのり硫黄の香りが立ち込めてくると、そこはグンマー地方屈指の温泉街クサツタウンだ。
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:16:19.56 ID:iZLCWO8G0
―クサツタウン―

辺りを自然に囲まれ、あちらこちらに温泉宿や土産屋が立ち並ぶのがこのクサツタウン。

ホウエンのフエン温泉、カントーナナシマのともしび温泉と並ぶ、名湯と評されるのがこのクサツ温泉だ。
これまた観光客で賑わっており、グンマーだけでなく他の地方からも多くの人が訪れてくる。

午後三時、三人は一旦ポケモンセンターに向かってからすぐさま街へと繰り出した。
この街にはジムがないためまどか達はしばらくのんびりと過ごすつもりだ。

それと、まどかは一つ気になっていることがあった。

さやか「誰にメール?」

まどか「マミさんに。明日最後のジムに挑戦するんだったよね?」

杏子「あぁ、一昨日くらいに電話があってな」

さやか「あんたポケ―タイ持ってたんだ」

杏子「うっせー」

まどか「だから応援のメール……頑張ってください…っと」

さやか「あたしも励ましのメールでも送りますかな」ポチポチ

まどか「マミさんびっくりするかなぁ」

さやか「ふふーん、きっと感動で涙流しちゃうよ」

杏子「そんな程度で泣くかよ」

さやか「分かってないなー杏子は、あの私達の前だとカッコいいマミさんが実は知らないところで涙してるかもしれない!
    そのギャップが萌えるんじゃないの」

杏子「はぁ?」

まどか「萌えはわけ分かんないけど、言いたいことは分かるよさやかちゃん!」

さやか「流石まどか話が分かる!」

杏子「ついてけねー……ま、こいつらも元気になったしあたしはそろそろ行くよ」

まどか「行くって…駄目だよ!一緒に温泉入ろうよ!」
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:18:54.68 ID:iZLCWO8G0
杏子「だからあたしはいいって……」

まどか「また食べ物バトルするの?」

杏子「そりゃまあ……金もそんなにないし」

まどか「温泉だよ?入らなきゃ絶対損だよ!!」

杏子「いやだから――」

さやか「もうぐちぐちうっさいっ!まどか右手!」ガシッ

杏子「は?」

まどか「合点!」ガシッ

杏子「おい何すんだ離せ!」

さやか「まずはおやつに屋台でも巡りますかな〜」

まどか「私あれ食べたい!マグカルゴが温めた卵!」

杏子「温泉卵じゃねえのかよ!」

さやか「じゃあまずはそこに向かってレッツゴー!」

杏子「引きずんな!あと話聞けお前らーー!!!」ズルズル

まどか「さっきのマミさんの話と似てるけど」ニコッ

杏子「?」

さやか「普段は強気に振る舞ってる奴が温泉で恥ずかしそうにしてる姿って……萌えなんじゃない?」ニコリ

杏子「――!?」ゾクッ

杏子「おい馬鹿離せ!マジでやめろ!!」ジタバタ

まどか「あと昨日鍛えてもらったからそのお礼だよね」ニコニコ

杏子「そっちが本音じゃねーかっ!」

さやか「遠慮しない遠慮しない!ちょっとくらいなら奢るからさー」ニコニコ

杏子「やーーめーーろーーーー!!!」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 00:19:54.26 ID:iZLCWO8G0
明日も少し書けたらいいな
しかし温泉シーンは……
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/07(木) 00:34:31.70 ID:0Ht8sEeao
わっふるわっふる
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 23:50:25.10 ID:iZLCWO8G0
無理矢理引きずられていた杏子も、色々と見て歩きながらおいしいものを食べているうちに、いつの間にか大人しくなった。

クサツ名物、「ゴーリキーと共同湯もみ体験」が終わったところで、ちょうどまどかのポケ―タイが鳴りだした。

まどか「マミさんからだ!スピーカーにするね」

ピッ

まどか「もしもし?」

マミ『鹿目さん?お久しぶりね』

まどか「はい!何日ぶりですかね」

さやか「マミさーん!あたしも杏子もいるよー!」

杏子「よーマミ、二日ぶりだな」

マミ『やっぱり佐倉さんが一緒だったのね……せっかく二人を驚かせようと思って黙ってたのに、言っちゃうなんてひどいわ』

杏子「口止めされなかったからな」

マミ『今どの街にいるの?』

まどか「今みんなでクサツタウンです。この後みんなで温泉に行こうと思ってるんです」

マミ『あら、いいわね』

さやか「頑張ってマミさん!明日ズバッと勝って一緒に旅しましょうね!」

マミ『っ……そのことなんだけど……』

まどか「えっ…?ひょっとして、許してもらえなかったんですか…?」
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/07(木) 23:56:40.27 ID:iZLCWO8G0
マミ『明日もその街で待っててくれる?必ず行くからねっ!』

まどか「はっ、はい!楽しみにしてます!!」

さやか「って自信満々かい!」

まどか「マミさんが来てくれたら心強いです……待ってますから」

杏子「おいマミ!せっかく来るんならバトルするぞ!今度こそ負けねーからな!!」

マミ『えぇ勿論!覚悟しておきなさい』

まどか「じゃあ、また明日」

ピッ

さやか「これで旅も賑やかになるねぇ!四人とかすんごい大所帯じゃん」

杏子「おいあたしを数に入れんなよ!あたしは別に旅をするつもりはねーからな」

さやか「いいじゃん、その方が修行になるんと思うんだけどなぁ」

杏子「あたしにはあたしのやり方があんだよ」

まどか「じゃあそろそろ今日の宿でも――」

<逃げろー!

<また出やがったぞあいつら!! \誰かウサギさん呼んでこーい!/

まどか「ウサギさん!?」

さやか「何が出たんだろ?」
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:02:54.73 ID:QNnB4t2A0
男「やれやれまたか……」

杏子「おいおっさん、一体何事だ?」

男「あんたら観光客?ここんとこ山でポケモン達の数が増えて町まで降りてきちゃ暴れてんのよ
  ヤミラミとかバルチャイとかね」

女「だから私達ウサギさんにいっつも頼んでるのよ」

まどか「ウサギさん…!ど、どんな子なんですか!?可愛いんですか!?」

女「可愛いし、ウサギさんとぉっても強いのよ〜!なんとかって団体にいるらしいわ」

杏子「なんとかって……」

さやか「せっかくだから見に行ってみようよ!」

まどか「うん!ウサギさんが頑張って戦ってるとこ見てみたい!」

タッタッタ

女「そうそう思いだした!確かプレイアデスとか言う……って、もういなくなってるじゃない」

騒ぎのあった場所に三人が着くと、酷い数のポケモン達が人々に襲いかかり土産屋の食糧を漁ったり民家に侵入したりしていた。

さやか「うわっ、こりゃひどい!」

杏子「なんだこの数……野生のポケモン達にしても結構な数だぞ」

まどか「ウサギさんまだかな……早くしないと大変なことになっちゃう!」

さやか「しゃーない、あたしらでやろう!」

どこで手間取っているのか、ウサギさんとやらはなかなか現れなかったため、まどか達はポケモンをボールから出した。
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:09:04.02 ID:QNnB4t2A0
杏子「あたしはヤミラミとバルチャイをやる。さやかはソルロックとバルキー」

まどか「私はバチュルとメラルバだね…いくよチャモっち!」

三人が戦闘態勢に入った時、可愛らしい声が背後からかけられた。

???「待って下さい、旅の方」

まどか「もしかして……ウサギちゃん!?」クルッ

さやか「落ち着け、ちゃんづけになってる」

???「…?確かに私は宇佐木里美という名前だけど、どうして知ってるの?」

白いドレスの様なワンピースを纏った少女がボールを構えて立っている。

さやか「後で説明しますから先にこいつらどうにかしましょう!!」

里美「そうね!ミミこ!ニャルこ!リーた!」ボボボンッ

ミミロップ「ミミ〜」 ニャルマー「ニャーン」 リーシャン「シャンリー」

さやか「おぉ可愛らしいポケモン達!」

杏子「だが、どいつも鍛えられた目をしてやがるな……相当手強いぞ」

まどか「……」

里美「ミミこはあっち、リーたはこっちのこ、ニャルこは私と一緒にこの子ね!」

杏子「リーシャンか…ザルも頼むぞ!」

さやか「ミミロップよろしくね!行くよミジュか!!」

里美「頑張りましょうね!えっと、お名前は?」

まどか「……あっ、鹿目まどかです」

里美「まどかちゃんね…大丈夫?なんだか肩に力が入ってるみたいだけど」

まどか「はい……あの、ウサギさんなんですよね?」

里美「?そうだけど……」

まどか(『ウサギさん』……イメージと違う……)
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:19:10.21 ID:QNnB4t2A0
里美「ニャルこ"みだれひっかき"!」

まどか「えと、チャモっち"ほのおのうず"!」

一匹ずつニャルマーが引っ掻き、周りの敵を炎の渦が取り囲んで一掃していく。

バチュル「バチュチュチュ…」 メラルバ「メバ〜」

里美「それいい技ね、他に炎タイプの技はある?」

まどか「一応ありますけど……どうするんですか?」

里美「よーし、ニャルこ"ねこのて"!」

ニャルマー「コニャーン」ササッ

ボァァァァ

まどか「すごい!ウサギさんのニャルマー"ほのおのうず"使えるんですか!?」

里美「違うわ、あれはまどかちゃんのバシャーモの技よ」

まどか「そっか、"ねこのて"って味方のポケモンの技が使える技でしたね!」

里美「うふふ、そういうことよ」

二人とも効率よく技を当てていくが、何せ今回は数が多い。
埒が明かないと思った里美は、いつもの作戦で行くことに決めた。

里美「まどかちゃん、私が合図したら攻撃お願いね!」

まどか「へ?」

里美「ニャルこ、いつものいくよ!」

里美の指示で、ニャルマーは素早く走りだし、バチュルやメラルバ達を一匹ずつ睨んでいく。
睨まれたポケモン達は、どこか恍惚とした表情で黙ってしまった。
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:25:53.44 ID:QNnB4t2A0
まどか「何をしてるんですか?」

里美「暗示をかけてるの…ニャルマーは鋭い目つきで相手を睨むと軽い催眠状態にできるの
   それで、簡単な命令を与えることができるのよ」

まどか「"さいみんじゅつ"ですか?」

里美「そう。さあ、そろそろよ……」

ニャルマーが全員に暗示をかけ終わり、ごろにゃーんと甘い声で鳴くと、ポケモン達は一斉にこちらを振り向き列を成した。

里美「来るよまどかちゃん!炎技の準備を!」

まどか「いくよチャモっち!」

里美「今よニャルこ!」

ニャルマー「ニャンパラリ〜!」

バチュル「!!」ザッ メラルバ「!!」ザザッ

まどか「チャモっち"ほのおのうず"!」

里美の合図でニャルマーが命令を出し、ポケモン達が二列になってこちらに飛び込んできた。
そこに向かって正面からバシャーモが炎の渦を浴びせ、根こそぎ戦闘不能にしていく。

たまらずバチュルもメラルバも逃げ出していき、いなくなったころにはさやかと杏子の方も終わったようだった。

さやか「こっちは終わったよー!」

杏子「やるじゃねーかリーシャン」

里美「やったね!あなた達強いのね」

まどか「ウサギさんも凄いですね…いつも一人でこんな数のポケモンを相手してるんですか?」

里美「うーん……今まではこんなにたくさんのポケモンが街に下りてくることなんてなかったんだけどね……
   何かの原因で生態系が変わっちゃったみたいなの」

まどか「生態系が……」
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:28:54.55 ID:QNnB4t2A0
町長「流石宇佐木さん!いつもありがとうございます」

里美「いえ、どういたしまして」

女「ホント頼りになるわねえ」

里美「また何かあったら呼んで下さいね」

\ワイワイ/ \ガヤガヤ/

さやか「すごい人気だね、ウサギさん」

杏子「厄介事は全部あいつが請け負ってんのか……どっかの自警団みたいだな」

まどか「ウサギちゃんほんわかしてるけどほんとに強かったね」

さやか「確かに…命令なしでもあのミミロップちゃんと対処してたもんね」

町民たちのお礼が終わると、里美は一息ついてこちらに寄って来た。
ポケモン達はほとんど疲れを見せておらず、余裕の表情だ。

里美「あなた達もありがとう!今日は楽に倒せたわ」

さやか「なんのなんの!あたしらにかかれば余裕っスよ!!ジムバッジだって持ってんですから」

里美「そうなの!?なら、トキサダメとかアスナロはもういった?」

まどか「アスナロはまだですね。グンマーはカザミノ、トキサダメ、ヒメナ、タカサキのバッジを持ってます」

里美「ならサキちゃんとニコちゃんと戦ったのよね!二人とも強いからねぇ〜」

まどか「二人のこと知ってるんですか?」

さやか「ていうか、その二人のチョイスってことは……」

里美「私達はプレイアデス星団っていう自警団をやってるの!」
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:31:20.99 ID:QNnB4t2A0
「泊まる場所が決まっていないなら今日のお礼をしてあげる」ということで、里美と両親が営んでいるという旅館に案内してもらうことにした。

道中で自己紹介を済ませると、最近のクサツタウンの話をしてくれた。

里美「最近本当に多いの、山からポケモン達が降りてきて食べ物を盗っていったりする事件
   バチュルなんて民家のコンセントから電気を吸い取っていくのよ」

まどか「ホントだ、図鑑にそういう術を知ってるって書いてある……」

さやか「最近ってことは、昔はそうでもなかったんですか?」

里美「そうね、ここ数ヶ月くらい特に……そういえば、ヤミラミってこの辺には昔はいなかった気がするけど」

杏子「……どこかから誰かが持ってきた、ってことか」

まどか「!!」

さやか「まさか……」

里美「何の話?」

杏子「サキとかニコから聞いてねーか?」

まどか達が『Wの組織』の話を始めると、里美はやはり聞いたことがあったらしく、真剣に聞いてくれた。

里美「……酷いことするのね、その子たち」

まどか「あの子達が逃がしたポケモンっていう可能性はあると思います」

里美「そうね……今度集まりましょうってサキちゃんから連絡もあったし、一度話し合った方がいいわね」

さやか「あ!それあたしらも参加するんで――」

里美「あっ、着いたわ!ここが私の家で旅館の『マグカルゴ荘』よ」

さやか「って聞いてないし……マイペースな人だなぁ」
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:33:34.29 ID:QNnB4t2A0
―民宿・マグカルゴ荘―

『マグカルゴ荘』という旅館は、外観から廃れ具合が分かるほどに老朽化していた。

一昔前に作られたらしき木造様式の館。
その節々を繋ぎ止めているはずの鉄材は最早その役目を全うできるのか疑問なほど錆びつき、
全体を彩りよく飾っていたはずのペンキは所々剥げ、修復しているような箇所も見受けられる。

杏子には少し懐かしく感じられる、少し寂れた旅館だった。

里美「見ての通りあんまり綺麗じゃないんだけど……」

まどか「そそ、そんなことないと思うなぁ…ぎゃ、逆に味わい深いっていうか……」

さやか「そうそう!敢えて言うならヒンバスみたいな……」

まどか「さやかちゃんそれフォローになってないんじゃ……」

杏子「お前らそのやり取り聞いたことあんぞ」

里美「ゆっくりしていってね」

扉を開けると、中は外ほど古くは見えなかった。
それでも良く見ると、やはり細かいところに時代が感じられた。

玄関で出迎えてくれたのは、堂々と正面で昼寝をしている丸々と太ったブニャットだった。

里美「サレちゃーん!ただいまー!!」ダキッ

ブニャット「……」

里美「お母さーん、お客様連れてきたよー」

女将「あらあら、ようこそいらっしゃいました」

里美「私のポケモン撃退を手伝ってくれたの。そのお礼」

女将「それはわざわざごめんなさいね、どうぞゆっくりしていってください」

さやか「よろしくお願いしまーす!」
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/08(金) 00:35:01.77 ID:QNnB4t2A0
手続きを済ませ里美についていく。
案内されたのは三人で泊まるには少し広すぎる部屋だったが、料金は二人分で構わないということで交渉してもらった。
引かれた一人分は、当然杏子の分だ。

里美「まだ時間あるし、夕食までゆっくりしていってね!」

まどか「いいところだねー」

里美「ありがとっ!昔はもうちょっと賑わってたんだけど、近くに『ウルガモス亭』ができてからお客様はあんまり来てくれなくって……」

さやか「『ウルガモス亭』って、来る途中にあったでっかいとこ?」

里美「そうなの……綺麗だし大きいから人気みたいで」

まどか「でも、こういう雰囲気の方が落ちつける……よね」

杏子「まあ、静かではあるな」

里美「そう言ってもらえると嬉しいな……」

さやか「そういえば、なんでここ『マグカルゴ荘』って名前なの?看板ポケモンはあのブニャットみたいだったのに」

里美「それはね、昔この辺にいたマグカルゴをひいおばあちゃんが気に入ってたみたいで、
   好きなポケモンの名前を付けたらしいの」

さやか「へぇ―……案外普通」

里美「うっ……ニコちゃんにもおんなじこと言われたよ……」

まどか「……あっ、ここって温泉あるんだよね!どんな感じなの?」

里美「うん!ここの温泉はいいわよ!なんといっても肩こりとかいろんな体の不調に効くし、ポケモンだって元気になるんだから
   そうだ!今日は他にお客さんすくないから混浴もできるよ!」

まどか「ここ混浴ぅ!?」カァァ

杏子「どういうことだおい!聞いてねーぞ!!」

さやか「うら若き乙女の柔肌が野獣の様な大衆の目に…!?」

里美「あっ、ごめん。ポケモンとの混浴ができるって意味よ?」

まどさや杏「ズコー」ガクッ

里美「とにかく!うちの温泉をたっぷり堪能していってね」
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/08(金) 00:37:01.13 ID:QNnB4t2A0
温泉回勘弁してくれませんかね
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:26:45.39 ID:3Nq9U36io
>>649
無理すんな
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 02:46:53.53 ID:0tst4xfzo
>>649
無理して書く必要はないと思うよ。書きたいものを書きたいように書いてください。楽しみにしてる!
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/08(金) 10:23:53.43 ID:QNnB4t2A0
いやごめん
今まで書いたことないし未知への挑戦って感じで書きたい気持ちはあるんだ
ただポケモン関係無くなりそうってのと本編にも関係無くなりそうな気がしてね
おまけ的な感じでどっかに書くかもしれないしまだ不明
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 13:47:04.66 ID:OgrclN+IO
>>1が好きにすればいいと思うよ
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/06/08(金) 20:50:42.40 ID:JyXk4Npd0
無理はだめだよ
どちらにしろ楽しみにしてる

アニメに出るホミカが、きたえりだってね
やったね、さやかちゃん!
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:44:52.34 ID:PAFcMZyP0
いろいろあって間が開いちゃったな
23日までにもう一回…いけるか?
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:45:43.96 ID:PAFcMZyP0
―女湯・炎の湯―

マグカルゴ荘はその名のタイプが示すような、室内風呂の『炎の湯』と露天風呂の『岩の湯』に分かれており、扉を開けると行き来できるようになっている。
また、シーズン中以外は人が少ないため、ポケモンと混浴もできるとあって知っている人には人気がある。

ちなみに、男湯と女湯はそれぞれ隣り合っている。

三人は夕食までに時間があるため、先に入浴を済ませておくことにした。

まどか「うわー広いね!」

さやか「ほらほらみんな出てこーいっ!」ボボンッ

まどか「チャモっちは残念だね……体は拭いてあげるからね。ピピっちはリボン外さないと」

さやか「あんたらも風呂に入る前にまず体を綺麗にすること!それがエチケットってもんだよ」

まどか「それじゃあいくよー……あれ、杏子ちゃんは?」

さやか「んん?あんた入んないのー?」

杏子「今行くよ……」

ガラッ

杏子「……」キョロキョロ

さやか「まずはミジュかからね〜」ゴシゴシ

まどか「チャモっち気持ちいい?」ワシャワシャ

杏子「……あたしも体くらい流してやるか」ボボボンッ

さやか「うぅ〜、早く温まりたい!」

杏子「冷静に…普通に……」
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:46:33.94 ID:PAFcMZyP0
まどか「はい!トゲっちで終わり」

トゲピー「トゲェ〜」プルプルプル

さやか「全く手こずらせてくれちゃって……」

ナックラー「……」プイッ

杏子「ほら次、バル」

シュバルゴ「フォーン」

さやか「さーて、今度はうちらの番だね」

まどか「今日は特にいっぱい歩いたから汗びっしょりだよ」

しばし、リフレッシュタイム。

まどか「……」ジー

さやか「フンフフーン」ワシャワシャ

まどか「……ま…まだこれから……のはず……」ペタペタ

バシャー

さやか「ぶはぁーさっぱりしたー!あれ、まだ頭洗ってないの?」

まどか「う、うん!私体から洗う派だからっ!」アハハ

さやか「そうだっけ?」
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:47:45.14 ID:PAFcMZyP0
さやか「杏子ー、あたしら先に入らせてもらうよー」

杏子「おー、あたしもすぐ行くよ」ゴシゴシ

さやか「なんだかんだ言って普通っぽいね」ヒソヒソ

まどか「もうちょっと恥ずかしそうにしてるのかと思ったけど……」ヒソヒソ

さやか「さては強がってるな……ぐへへへ、その神秘のベールを"きりばらい"の如く剥ぎ取ってくれるわっ!」

まどか「さやかちゃんもの凄くおじさんっぽいよ」

しかしそんな悪戯心も一旦忘れ、二人とポケモン達は一足先に湯船にゆっくりとダイビングを開始した。

まどさや「はぁぁぁぁぁ〜〜〜〜いいお湯ぅぅぅぅ……」

まどか「私クサツタウンに来たの初めてだったからすっごく楽しみだったんだぁ」

さやか「こりゃいいわぁ、旅の疲れが全部吹っ飛んじゃうね」

杏子「どれ、あたしも……」

チャプッ

杏子「おぉ、こりゃ確かに最高だな」

まどか「来てよかったねぇ」

しばし、満喫。
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:48:54.88 ID:PAFcMZyP0
―男湯・岩の湯―

ポケモンコレクター「いい湯だな弟者よ」

理科系の男「全くだな兄者」

ポケモンコレクター「ところで、俺たちの使命を忘れたわけではあるまい?」

理科系の男「まあな……こんなおいしい話があるとは」

ポケモンコレクター「全くだ。女湯の様子を俺たちのレントラーに変な機械とコンタクトをつけて覗かせるだけ
          それだけで金が貰えるときたもんだ」

ポケモンコレクター(俺たちは見ることができんのが残念だが)

理科系の男「あの女、いったいどういう目的なんだろうな?」

ポケモンコレクター「さあな……きっと百合畑とかその辺の住人なんだろう」

理科系の男「だがなんでこんな人の少ない宿を選んだんだろうな?今日ここに泊まってるのはJCだけみたいだぞ」

ポケモンコレクター「きっと子供畑とかその辺の住人なんだろう」

理科系の男「そればっかりだな」

ポケモンコレクター「なんにしても、俺たちはここでのんびり湯につかってるだけでいいわけだ」

理科系の男「そうだな。炎の湯より壁が薄い岩の湯に入ってきたときがチャンスだぞレントラー」

レントラー「グルルルル」コクリ

ポケモンコレクター「これでまだまだ自宅警備員を続けられるな」

理科系の男「流石だよな俺ら」

レントラー「ガーオ」
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:50:49.93 ID:PAFcMZyP0
―女湯・炎の湯―

まどか「そういえば、杏子ちゃんって実は髪綺麗だよね」

杏子「そうか?」

さやか「そういえばいつもと違う…あんた、修行とか言って砂漠いる間風呂入ってなかったんじゃないでしょうねえ!」

杏子「馬鹿にすんな!これでも二日に一回はポケセンに言ってたっつーの!」

さやか「かぁーっ…ちょっと聞きましたまどかさん!年頃の女の子としてあり得ない発言ですよ」

まどか「うーん、流石にちょっとね……」

杏子「いいだろ別にっ!こうしてしっかり洗ってきたんだしさ」

さやか「もったいないなあ、こんなにさらさらヘアーの持ち主のくせに」サワサワ

杏子「ちょっ、やめろよ」

さやか「いいじゃん減るもんじゃなしに」

杏子「そういう問題じゃねえ!」

さやか「肌も白くて羨ましい…何で日焼けしてないの!」

杏子「何でって、おか…お袋が肌の手入れは欠かすなって、なんかクリームみたいなの持たせてくれて……」

まどか「杏子ちゃんのお母さんいい人だね!」

さやか「全くだよ、うちの親を見習わせたいくらいだわ」

杏子「そ…そりゃどうも……」
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:52:01.06 ID:PAFcMZyP0
さやか「それにしてもけしからんですなぁ」ツツー

杏子「わひゃっ!」

さやか「おっ?ひょっとして背中弱いのかなぁ」ニヤニヤ

杏子「てめぇ〜……いつぞやのお返しって訳かい」

さやか「スキンシップだよ、スキンシップ」

杏子「ったく、温泉ではしゃぐなんてガキかよ……」

まどか「まあまあ、今日は私たちの他に女性のお客さんはいないらしいし」

さやか「むふふ〜……うりゃっ!」フニッ

杏子「はぅっ!」

さやか「おやおやぁ、杏子先輩以外とお胸が――」

杏子「ユキ"こおりのつぶて"!!」

ユキメノコ「フゥー」ヒュッ さやか「ヘブゥッ!」ゴハッ

杏子「何しやがんだてめぇ!!」

さやか「ちょっ、タンマタンマ!今のなしでしょうが!!」

杏子「先に手ぇ出してきたのはそっちだろうが!」

さやか「隙あり」スッ

杏子「おっと」パシッ

さやか「……あら?」

杏子「さーてと……さやかの弱点はどこだろうなあ」

さやか「あは、あははは……逃げる!」バシャバシャ

杏子「待ちやがれこのっ!!」バシャモ

まどか「わぷっ…二人とも泳いじゃ駄目だよ」

まどか(杏子ちゃんに比べたら勝て……てないかなぁやっぱり)ペタペタ
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:53:41.49 ID:PAFcMZyP0
―男湯・岩の湯―
                     こっちだよ〜>

                          待てこらー!>

ポケモンコレクター「来たようだな」

理科系の男「そのようだな兄者」

ポケモンコレクター「ゆけいレントラー!そのあられもない美しく芸術的で可憐な少女の体を凝視しちゃうがいいわッ!」

理科系の男「キモイぞ兄者」

レントラー「ガルル……」パァァ

レントラーの鋭い眼光が二つの湯を隔てている壁を照らす。
レントラーは透視能力を持っており、その目で陰に隠れた獲物も探すことができるのだ。
その見ている景色をコンタクトを通じ、頭に乗せた機械で脳波をキャッチし、送受信している。

要するにまどか達の裸は見られているということだ。

目的など、男二人は知る由もない。


―女湯・岩の湯―

杏子「さやかこらぁ!」

さやか「ストップ杏子ちゃん!!」バッ

杏子「ッ!な、なんだよ」

さやか「走ると危ない」

杏子「今それを言うか……それよか露天風呂もあるなんて、なかなかいいじゃねーか」

さやか「どれ……」チャポン

さやか「ん〜〜、いいお湯ですなぁ」
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:57:22.97 ID:PAFcMZyP0
杏子「おいおいさやか……自分から逃げるのをやめるとはいい度胸だな」ポン

さやか「それは何かな?このあたしにいやらしいことをしたいってことなのかなぁ」ニヤニヤ

杏子「ばっ!?馬鹿言うな!!」チャプン

さやか「ごめんって杏子〜。そんなに怒んなくてもいいじゃん」

杏子「フン……」

まどか「わぁ、露天風呂も広いね!」

さやか「くるしゅうないぞまどか〜、こっちへカモーン」

まどか「ウィヒヒ、お邪魔しまーす」

三人揃って景色を眺めながらまた一息。

さやか「いやぁ、それにしても随分長い旅になったよね〜」

まどか「まだ二週間くらいなのにね」

さやか「いろいろあったよね…図鑑にポケモン貰って、初めてバトルやって初めてジム戦やって、なんか悪い奴らと戦って……
    いろんなポケモンや人に出会って、ちょっとは成長できたかなーって思うよね」

まどか「楽しかったね」

杏子「何言ってんだ、まだまだこれからだろ」

まどか「そうだね……ミタキハラからはあんまり出たこと無かったから、グンマー地方が……
    世界がこんなにも広いなんて知らなかったよ」

見るものも聞くものもやることも、何もかも初めてでそれは新鮮なこと。
驚きもしたし興奮もしたし、怒ったこともあった。


世界は広くて、中学生のまどかにはきっと面白いことだらけに違いない。
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/19(火) 23:59:36.11 ID:PAFcMZyP0
杏子「うんうん、知らないことばっかりだな……お前のここの柔さとかな!!」ムニィ

さやか「ひゃんっ」///

杏子「……何だ今の」

まどか「……」

さやか「いや、その……突然だから驚いただけっていうか――」

杏子「おりゃ」フニムニィ

さやか「んぁっ」

杏子「……」

さやか「……あはは」

杏子「おらー!」

さやか「やめっ、ちょっと待ったぁー!」

まどか「あぁ、また追いかけっこ始めちゃった……」
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:00:50.69 ID:+xjYPJ1+0
―男湯・岩の湯―

                              今度はこっちの番だー!>

                 ごめんもう無理だってぇ!>


理科系の男「しかし一体いつまでこうしてればいいんだろうな兄者」

ポケモンコレクター「……」

理科系の男「いい加減茹で上がりそうだからもう出たいんだが」

ポケモンコレクター「……」

理科系の男「俺は先に上がるけど、兄者はまだ入っているのか?」ザバァ

ポケモンコレクター「……」

理科系の男「兄者?」

ポケモンコレクター「ちょっと下半身のイワークがのっぴきならない状態になったから先に上がっててくれ」

理科系の男「最低だな兄者……後キャタピーの間違いじゃないのか?」

ポケモンコレクター「しかしほんと、いつまでレントラーに覗かせればいいんだ」

理科系の男「向こうさんも可哀想にな、まだ子供だって言うのに」

ポケモンコレクター「まさか自分たちの裸がどこかの変態女に見られているとは思うまい」

レントラー「グルルル……」

理科系の男「…?どうしたレントラー、『いかく』なんかして」

ピクシー「ピィ!」バッ

ポケモンコレクター「どっから入ってきたんだこのピクシー」

                                あれ?ピピっち−!どこ行ったのー?>

ポケモンコレクター「……弟者よ。まさかとは思うがこのピクシー」

理科系の男「珍しく聡明だな兄者。多分女湯にいる子のピクシーだろうな」

ピクシー「ピピッ!」ギリッ

理科系の男「……そして何やら怒ってるみたいだぞ」
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:02:57.89 ID:+xjYPJ1+0
ピクシーは身振り手振りでその怒りを表している。

理科系の男「なるほど、つまりそういうことか」

ポケモンコレクター「分かったのか弟者!?」

理科系の男「簡単だ。俺たちが盗撮してることにご立腹らしい」

ピクシー「ッ!」バッ

理科系の男「うわっ!避けろレントラー!」

迷うことなく頭上にある機械を目指して、その小さな拳を突き出してきた。
レントラーはすぐに後退して距離を取り、顔を真っ赤にしているピクシーと対峙する。

ポケモンコレクター「それにしても何で怒ってんだろうな。俺たちの会話が聞こえたのか?」

理科系の男「そりゃそうだろ。ピクシーは一キロ先で落ちた針の音を聞き分けるらしい
      あれだけ向こうで騒いでたってそれくらい聞こえるんだろう」

ポケモンコレクター「把握した」

ピクシー「ピピィ!」ババッ

レントラー「ギャルゥ!」サッ

ポケモンコレクター「えぇい鬱陶しい!レントラー"ほうでん"だ!!」

理科系の男「はぁ!?馬鹿か兄者!」

何も考えずに命令した兄のせいで、水浸しの男達はもろにその電撃を喰らってビリビリと痺れて気絶してしまった。

しっかりと光の壁を張りつつ飛びかかったピクシーは被害を最小限に抑えながら、レントラーの脳天に瓦割りをぶち込んだ。

当然機械ごと叩き割っている。
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:03:46.09 ID:+xjYPJ1+0
―女湯・岩の湯―

さやか「何か今、隣ですごい音聞こえなかった?」

杏子「ひょっとして、人がいたのか…?」

ピクシー「ピッピピー」ピルルルル

まどか「ピピっち!何で男湯の方から!?」

さやか「まさかピピっちがなんかやっちゃったんじゃないの?」

まどか「そ、そうなの?」

ピクシー「ピィ……」フルフル

まどか「そう?」

ピクシーが今度は他のポケモン達に説明を始めた。
もちろんまどか達は何を話しているのかさっぱり分かっていない。

さやか「一体何を見てきたんだピピっちは……」

杏子「さあな……さてと、あたしはそろそろ出るかな。だいぶ長湯しちまったし」

さやか「あたしも上がろっかな…まどかはどうする?」

まどか「私はピピっちが出るまでもうちょっと待ってるね」

さやか「じゃあお先ねー。帰るよあんたらー」

杏子「ユキ…水風呂が凍っちゃってるじゃねーか……」

二人はさっぱりしたポケモン達の体を拭くため、一旦更衣室に戻っていった。

まどかは一人、自分の四匹の仲間に囲まれながら空を眺めていた。

まどか「綺麗だね……私ね、みんなと一緒になれてよかったよ
    ママが言ってたみたいに辛いこともいっぱいあったけど、その分楽しいこともあったもん」

まどか「だから、これからもよろしくね!」
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:05:03.78 ID:+xjYPJ1+0
―男湯・岩の湯―

ポケモンコレクター「ん……いったい何が起きたんだ」

理科系の男「おい馬鹿兄者」

ポケモンコレクター「失礼だな弟者」

理科系の男「……まあいいや。それで、どうやらもう彼女たちは出てしまったみたいだな」

ポケモンコレクター「そのようだな……何、必要な映像はもう届いてるだろう」

理科系の男「俺たちも出るか馬鹿兄者」

ポケモンコレクター「なんでそれがデフォルトになってんだ」

湯船から上がり機械を回収し、振り込まれる金を使って何を買おうかと算段しながら服を着る二人。

そうして意気揚々と更衣室を出たところで、

さやか「ちょっとみんな落ち着いてってば!」

杏子「どうしたんだよ一体!」

ポケモン達「……」ジリッ

男達「へ?」

必死に二人に止められるポケモン達に遭遇した。

さやか「何!?この人達がどうかしたの!?」

理科系の男「……なあ兄者。どうやらこのポケモン達……」

ポケモン達「……」ピキピキ

ポケモンコレクター「あぁ。さっきのピクシーからいろいろ聞いたんだろう……」

ポケモン達「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

男達「めっちゃ怒ってるッ!!」
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:06:39.73 ID:+xjYPJ1+0
さやか「あの、すいません、なんかすんごいいきり立ってて……」

杏子「どうしたんだよお前ら!いつもは勝手に動くことなんてないのに」

ポケモンコレクター「……」

理科系の男「どうする兄者?埒が開かなそうなんだが」

ポケモンコレクター「……」

理科系の男「兄者?」

ポケモンコレクター「まあ待て弟者……こいつらが怒る理由はよく分かる。俺も紳士として生まれたからにはその罰を受けるべきだとも思う」

理科系の男「紳士…キャタピーに"かたくなる"使わせる男が紳士と申したか」

ポケモンコレクター「つまり!ここは場を丸く収めるためにもこいつらの好きなようにやらせるべきではなかろうかッ!
          勿論この少女達には罪悪感を持たせぬよう、どこかに行ってもらっておこう」

理科系の男「そうか、そこまでの覚悟があるとはな……頑張れよ兄者」

ポケモンコレクター「お前もだ弟者」ガシッ

理科系の男「おい」

さやか「……あの、話まとまったんでしょうか?」

ポケモンコレクター「あぁ、ロンのモチだよ君たち……すぐ終わるからしばし風呂上がりのモーモーミルクでも飲んできたまえ」チャリーン

理科系の男「羽振りがいいな兄者…そりゃあある意味この子らのおかげで金貰えるからだろうが……」

杏子「はぁ……まあ、奢って貰えるってんならありがたく貰ってくけど」

お金を受け取ると、二人は訝しげながらも一旦売店へと向かっていった。

姿が見えなくなったところで、ポケモン達の怒りはすでに限界寸前まで来ていた。
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:08:11.12 ID:+xjYPJ1+0
理科系の男「なあ兄者、本当に俺もやられなきゃ駄目か?」

ポケモンコレクター「当然だッ!俺達は同罪なのだからッ!!」

理科系の男「認めざるを得ないが、なんだろうな……納得いかない」

ポケモンコレクター「さあ来るがいい!俺達はどんな罪も受けようではないか!!」

ポケモン達「……」ドドドドドドド

ポケモンコレクター「OK、フルボッコゲットだぜ」

理科系の男「流石だよな俺ら」

ポケモン達「ゴァァァァァ!!!!!」

男達「ぎぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

さやかと杏子の全ポケモンから集中攻撃を受け、旅館中に叫び声と攻撃音が轟いた。

慌てて更衣室からまどかが、売店からさやかと杏子が、空き部屋の掃除をしていた里美が二階からやって来た。

まどか「な、何かあったの!?」

里美「なになにどうかしたの!?すっごい大きな音がしたけど――ってお客様!?」

ポケモンコレクター「あがが……」ヒクヒク

理科系の男「おうふ……」ピクピク

里美「一体何が…何があったですか!?」

さやか「ちょっとあんたら何かやったの!?」

杏子「おい!人に手を出すとはどういうことだ!!」

ポケモンコレクター「いや、お気になさらず……うちのレントラーが暴走しただけ故」

レントラー「ギャウ!?」

理科系の男「すまんレントラー……今は耐えてくれ……」
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:10:16.88 ID:+xjYPJ1+0
さやか「え?それにしては電気攻撃以外も受けてるような……」

ポケモンコレクター「そ、そりゃあまあ色々使えるやつだからな!」

杏子「と、とりあえずお前らボールに戻ってろ」シュパパン

里美「あの、大丈夫ですか?」

理科系の男「ほんと大丈夫なんで……じゃあ俺達はこの辺で……」

まどか「平気ですか?」

ポケモンコレクター「いえいえ、これもバイト料のため……」ボソッ

まどか「え?」

理科系の男「ささささあ!帰るか兄者!」

ポケモンコレクター「おう……」

フラフラになりながら、どうにかレントラーに支えられつつエントランスに向かっていく。

さやかと杏子は絶対何かあったと思い問いただしていたが、男達は頑なに否定しているため結局真相は聞き出せなかった。

ポケモンコレクター「じゃあ、この辺で」

理科系の男「色々とありがとう」

里美「お気をつけて……」

ブニャット「ブニャ〜」
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:11:06.70 ID:+xjYPJ1+0
騒ぎのせいで旅行気分が少し冷めつつ、三人は自分達の部屋に戻ってきた。

そして戻ってくるなり、さやかと杏子はポケモンを出して座らせた。

さやか「ほんっっっっっとに何にもやってないんだね!?」

ダイケンキ達「……」

杏子「まあ、そこまで言うんなら信じてみるよ……あの二人も何も言わなかったしな」

ゴウカザル達「……」

まどか「えっと、二人とももうその辺で許してあげたら?何があったか誰も見てないんだし」

さやか「ふぅー……そりゃあ、あたしも信じたいけどさ。みんながあんなに怒るなんて絶対何かあったと思うんだよね」

まどか「チャモっち達もあれから落ち着かないんだよね……でもとにかく!せっかくの温泉に来たんだよ?
    楽しまなきゃ損だよ!!みんなも何があったのかは分かんないけど、もう忘れよ?ね?」

さやか「まどかは甘いなぁ……ま、そうだね。あんまりカッカしてもしょうがないか」

杏子「チッ……お前らも言葉が話せたらなあ」

まどか「あはは、それはちょっと……」

里美「失礼しまーす」

襖が開き、里美と仲居が夕食の料理を運んできた。

豪華とはいえないが、それでもしっかりと作られ丁寧に盛りつけられた料理の数々はどれも素晴らしいものである。

勿論ポケモン達の分もある。

杏子「おぉー!!うまそーだな!」

さやか「こらっ!お手つき禁止」ペシッ

里美「はい、これで全部よ」

まどか「それじゃあ――」

三人「いただきまーす!!」

しばし料理を堪能し、食事が終わる頃にはいつしかイガイガした気分もどこへやら、まったりとした時間を過ごした。

温泉地での一日目はこうして幕を下ろした。
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:12:45.42 ID:+xjYPJ1+0
―???―

『ピピィッ!』

ブツン ザザー

エリー「チチィ、もうちょっと見てみたかったんだけど……ま、こんだけデータが取れれば上出来かな」

どこかの研究室。
ポリゴン、ポリゴン2、ポリゴンZが忙しなく動き回り、様々な機械とコンピュータや薬瓶などに囲まれた薄暗い部屋で、
エリーは画面がプッツリ切れたことを嘆いた。

ちょうどそのタイミングで、ノックの音と共に傘を差した女性が入ってきた。

つばなの湖で、まどか達と会ったあのパラソルお姉さんである。

パラソルお姉さん「ただいま戻りました」

エリー「はいはいおかえりんこ〜」

パラソルお姉さん「……言いませんよ」

エリー「真面目すぎるわパトさん。あんた長生きしないわね」フゥ

パトリシア「結構です」

パトさんと呼ばれた彼女は本名をパトリシアという。
傘を閉じ、レインコートを脱いで眼鏡をかけると、黒い制服のような服の上に白衣を羽織って自分の席に探す。

あるにはあったが、彼女がいない間にいくつもの資料が積まれており、せっせと退けなければならず心底うんざりした。

エリーはひたすらパソコンに向い合い、先ほどまでの映像を編集していた。
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 00:15:32.10 ID:+xjYPJ1+0
エリー「いやぁ悪いわね。あんたにいろいろ任せちゃって」

パトリシア「全くです。私日差しは苦手なんですから……それに、私は元々研究員なんですよ!」

エリー「あのシズちゃんの頼みごとなんだからそんくらい聞いてやんなさいよ」

パトリシア「疲れました。まさかタカサキからずっと追いかけることになるなんて……おかげで鹿目まどかと美樹さやかの特性はおおよそ掴めましたけど、
      残念ながら佐倉杏子は資料不足ですので、あまりお勧めはできませんが」

エリー「まあ、いんじゃない?それよかたかだか三日四日尾行してただけで疲れるわけ?」

パトリシア「若い子らと、しかもアウトドアな彼女達にずっとくっついていかなければならなかったこの気持ちが分かりますか!?
      朝早くからジムに行ってご飯食べたり、興味もない博物館に行ったり、なんとなくバトル挑んだらボコボコにされたり、温泉に浸かったり……
      ほんと、酷いものでしたよ」

エリー「んー、待て待て……半分くらい辛くなくね?最後温泉入っただけじゃん!」

パトリシア「と、とにかく!もうこんな雑務させられるのはごめんですから!」

エリー「はいはい。シズルもこれで満足できるんじゃないの」

パトリシア「私達はデータを集めるだけ…実際に作るのはトキサダメの……何とかという博士ですよね?」

エリー「はかせね、はかせ……うん、こりゃ佐倉杏子とやらは無理かのう……
    それにしても、真っ裸か……可哀想だからデータの流出がないようにはしてあげるか」

まどかとさやか、二人のデータだけまとめる作業を開始する。

やがて編集が終わりポケータイでシズルを呼び出すと、すぐに現れた。
走ったからなのか興奮しているからなのか、肩で息をしている。

シズル「ギヒヒ…これであいつらに……あいつらに復讐できるってわけだね!マリアに怒られた恨み!!しっかり晴らさせてもらおうじゃん!
    ギヒッ、ギヒヒヒーヒャッヒヒヒヒヒ!!!!」

パトリシア「邪魔された恨みじゃないんですね…向こうにしてみれば意味不明な恨まれ方でしょうね」

エリー「ほいよ。ま、宝石奪還計画までのいい暇つぶしになったかな」

パトリシア「いや、頑張ったのは私ですから」

エリー「細かいこと気にしてるから乳が育たんのよ」

パトリシア(人のこと言えないでしょうが……)イラッ
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/20(水) 00:16:18.67 ID:+xjYPJ1+0
ここまで
マミさん早く来てくれー
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/20(水) 01:07:30.54 ID:hn15uML7o
流石だよな>>1
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/06/20(水) 12:05:37.66 ID:98Hy5aDAO
この兄弟自宅警備員なのにレントラー持ってるとか流石だな
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/20(水) 12:39:59.13 ID:aPaABuDZo
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 22:52:38.57 ID:+xjYPJ1+0
ちょっとだけよ
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 22:55:43.49 ID:+xjYPJ1+0
前日談 〜七日目の夜明け前〜

突然、湖に一人の少女とギギギアルが現れた。

空が白んできた明け方のことである。

ほむら「……ここは?」

イツ砂漠でシズルとステーシーから情報を聞き出した後のこと。

辺りを見渡せば、ここがほむらの望んでいた目的地でないことはすぐに分かった。
彼女の帰りたかった場所はほむらの家なのだから。

ほむら「湖……確か、みなかみの湖だったかしら?」

ギギギアル「ギギ……」シュン

ほむら「気にしなくていいのよぎあぎあ。まだ慣れてないんだもの」

そうしてもう一度テレポートを使わせようとして、ふと気が付く。
自分の体が、砂漠にいたせいで砂まみれだったことに。

ほむら「ここから東に行ったところにクサツタウンがあったはずよね……髪の毛もゴワゴワしてるし」

結論は既に出ていた。

ほむら「ぐるぐる、クサツタウンに行きましょう。ぎあぎあは帰りのテレポート用にエネルギーを充電しておくこと」ボンッ シュパン

ウォーグル「ピョエー!」バサァ ギギギアル「グギギ……」

目的地を変更し、一行はクサツタウンへと向かう。
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 22:57:52.55 ID:+xjYPJ1+0
―クサツタウン―

のんびり飛行したせいか、到着するころには完全に朝だった。

ウォーグルはほむらを乗せ、まっすぐ一つの旅館を目指す。

ほむら「ありがとうぐるぐる。ここならみんなも温泉に入れるはずよ…幸い今はシーズンから少し外れてるから」

―マグカルゴ荘―

里美「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

ほむら「一人で。あと、ポケモンと一緒に温泉に入れるって聞いたんですけど」

里美「はい!少々お待ち下さいませ」

ブニャット「ウニャ〜……」ゴロゴロ

ほむら「相変わらずでっぷりしてるわね、サレ」ナデナデ

里美「あら?ひょっとして以前にもいらしたことが?」

ほむら「いえ、こちらのブニャットが可愛いという評判を聞いていたもので」

里美「そうなんですか!?ありがとうございます!いつの間にかサレちゃんも有名ポケモンなんだね〜」ナデナデ

ブニャット「……」

女将「お待たせいたしました。どうぞごゆっくり」

ほむら「ありがとうございます」

女将「うちの温泉は体の不調にオススメですよ。ポケモン達も元気になります」

ほむら「えぇ、そうらしいですね」
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 23:02:34.35 ID:+xjYPJ1+0
―女湯・岩の湯―

ほむら「さてと、体も洗ったし……」チャプン

ほむら「ふぅー……やっぱりいいわね、温泉って」

ほむら「みんなも入っていいそうよ。らんらんは無理だろうけど……」

ギギギアル「ギギィ」バシャン

ほむら(ぎあぎあは錆びたりしないかな…?)

ほむら「ここの効能は健康関連だけみたいね……あの里美って子を見てたらそれだけとは思えないけれど……」

ほむら「……」ペタペタ

ポケモン達「……」ジー

ほむら「そ、それにしても!こんなにいいところなのに人が少ないのって勿体ないわね
    まあ、人がたくさん来てあなたたちと入れなくなるのも寂しいけど」

ほむら「……」

ほむら「ここに来れるのも、ひょっとしたら最後かもしれないのよね……」

ほむら「もう、みんなしてそんなに悲しい顔をしないで。せっかくなんだから楽しみましょう」

ほむら「あなたもそんな顔をしないで。あなたのせいだなんて思ってないわ」

ほむら「結局あいつが――」

ほむら「ワルプルギスがいつだって私の前に立ちはだかることになるのね」

ほむら「でも、正体が分かればどうにかなるはず……だから今度こそ」

ほむら「今度こそ決着を付けてみせる…!」
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/20(水) 23:07:29.13 ID:+xjYPJ1+0
〜十五日目〜

この日は一日中三人とも落ち着かなかった。

質素ながらも丁寧に作られた朝食を食べ、身支度を済ませて街へと繰り出す。
その間もそわそわして心ここにあらず、気を抜けばフワンテの様に飛んでいきそうな雰囲気だ。

朝からマミにメールを送っておいたのだが、一切の返信がなかったからだ。

まどか「まだかな……」

さやか「ちゃんと送れてるんだけどなぁ……どんだけサプライズ好きなんだあの人は!」

杏子「ほっとけよ。それより昨日食えなかったクサツせんべいが食いてえんだけど」

さやか「あんたって奴は……ま、マミさんなら大丈夫でしょ」

まどか「もうそろそろジム戦やってるかな…頑張ってマミさん…!」

しかしやはり連絡はなく、気がつけば時刻は空が蒼から紅へと変わる頃となっていた。

さやか「……いくら何でも遅すぎない?」

まどか「だよね……」

杏子「あの野郎、まさか本当に――」

ピッ

まどか「…?何の音?」

ピッ ピピッ

さやか「来たーーっ!!!流石マミさん!」ピピッピピピッ

まどか「あっ!図鑑が!?」

杏子「ったく、勿体ぶりやがって」ピピピッピピピピッ

約二週間ぶりに、ポケモン図鑑が共鳴音を発した。
それの意味するところはつまり、三人の図鑑所有者が近くにいることを表している。

「お疲れ様フワーレ」

頭上から懐かしい声が聞こえたと思えば、すぐに図鑑の音が止み、まどか達の目の前に黄金に輝く髪の持ち主が降り立った。

マミ「三人ともお久しぶりね!」

巴マミが、八つのバッジを揃えまどか達に合流したのだった。
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/20(水) 23:16:56.28 ID:+xjYPJ1+0
土曜までにもうちょっと書けるか

それと昨日置き忘れてたんだけど、書くのやめてこんなん作ってました

まどか
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3112627.png
さやか
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3112635.png
マミ
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3112640.png
ほむら
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3112625.png
杏子
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3112839.png

いつ完成するのかな…
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/06/20(水) 23:30:42.44 ID:elG49aRW0
>>1

無茶しないで頑張ってくれ
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/20(水) 23:45:38.42 ID:hn15uML7o
超重力の中、乙

ポケモンやってみようかな
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/21(木) 02:49:19.74 ID:oPHAcUcXo
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/24(日) 01:31:28.39 ID:8mk50I1l0
―マグカルゴ荘―

里美「おかえりなさい!あら、お友達?」

まどか「えへへ、私たちの先輩なんです」

マミ「初めまして、巴マミです。今日の宿を取りたいんですけど」

里美「かしこまりました。お一人様ですか?」

マミ「いえ、この子達と同じ部屋でお願いしたいんです」

里美「ふふっ、分かりました。すぐにご用意いたしますね」

さやか「もうマミさんホント久しぶりですね!ジムのこととか教えて下さいよー!」

マミ「勿論、あとでゆっくりね」

杏子「おいおい土産話もいいけどさぁ……あたしらが出会ったらまずやること、忘れたとは言わせねーよ?」

マミ「それも荷物置いてからよ。私の70勝目はいただいていくわね」クスッ

杏子「上等だ…天狗になって油断してると、その首貰ってくぜ」

まどか「そういえば、この間は途中で見るのやめちゃったんだよね」

さやか「今度こそじっくり見せてもらおうじゃん」

里美「はい!ごゆっくりどうぞ」

マミ「じゃあ、荷物を置いたら公園で」クルッ

杏子「先に行って待ってるからな……」スタスタ

まどか「どっちが勝つかな」ドキドキ

さやか「バッジ全部手に入れて絶好調のマミさんか、いろいろ修行して鍛えてる杏子か……
    まさにハブネークとザングース…アイアントとクイタランってところだね」
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/24(日) 01:34:18.86 ID:8mk50I1l0
〜二時間後〜―女湯・炎の湯―

杏子「いやぁー昨日より気分よく温泉につかれるって素晴らしいなあ!」

マミ「うぅぅ〜〜……」

意気揚々と出かけたマミの姿はすでになく、その代わり昨日さやかにいじられて少々バッドだった杏子は鼻歌交じりにご機嫌だった。
公園で試合をした結果は言うまでもなく。
四人で試合後の汗を流しに、温泉に入ることにしたのだった。

さやか「まさかあんたに軍配が上がるとはねぇ」

マミ「自分が恥ずかしいわ……これでクロマツ大会に出られると思って舞い上がって、みんなにいいところ見せようとして……
   もうっ!こんなことだから寝首をかかれるんだわ!」

まどか「いや、それはちょっと違うような……」

杏子「ある意味当ってんだろ。まんまとコンに眠らされてそのまま"かえんほうしゃ"でドッカーンだもんな」

マミ「やめてよ!ちゃんと反省してるんだからね!」

まどか「マミさんも凄かったじゃないですか!ほら、進化もしてましたし!」

さやか「まあまあ、終わったことはもういいじゃないですかぁ。せっかく来たんだからのんびりしなきゃ
    それに、マミさんの話も聞きたいですって!あたしらもたくさん話したいことありますし」

マミ「はぁ〜……そうね、いつまでも格好悪いところ見せられないものね!」

杏子「はいはい、そういうのは飯の時間にしようや。後でたっぷり聞いてやるからさ」

マミ「ふふっ、あなた達がどれだけ成長したのかも聞かせてもらおうかな」

さやか「そりゃあもう成長しまくりですよ!マミさんも〜……こことか成長してるんじゃないですかぁ!?」フニィッ

マミ「ひゃんっ!」

さやか「おぉ〜……触ったことはないけど、やはり…!」

マミ「待ちなさい美樹さん!!こんなことしてただで済むと思ってないでしょうねえ!」バシャン

さやか「あははは!やっぱりマミさんが一番でしたよー!」バシャバシャ

まどか(……私もいつかは……)ペタペタ
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/24(日) 01:35:33.68 ID:8mk50I1l0
―マグカルゴ荘・一室―

風呂から上がると、すでに里美によって夕食の準備が施されていた。
昨日とはまた違う、趣向を凝らした料理の数々は、来るものを飽きさせない工夫がある。

杏子「おぉー!こんなにあんのか!」

マミ「おいしそうねぇ」

まどか「さやかちゃん大丈夫?」

さやか「シクシク……もうお嫁に行けない……」シクシク

里美「ごゆっくりどうぞ」

杏子「んじゃあさっそく――」

マミ「こら、お手つき禁止」ペシッ

まどか「えぇっと、こういうのはいっつもさやかちゃんがやってくれるんだけど……」

さやか「もうっ!マミさん容赦なさ過ぎです!」

マミ「悪いのは美樹さんでしょ!」

まどか「と、というわけで!さやかちゃんの代わりに私が乾杯の挨拶を」

杏子「何でもいいから早くしてくれ」

まどか「マミさん、ジムバッジ制覇おめでとうございます。これからマミさんが一緒に旅をしてくれるって聞いて、すっごく楽しみです!」

杏子「あたしんときは何も言われなかったなー」ボソッ

さやか「黙ってなさい」ゴスッ

まどか「だから、えぇー……マミさんの祝福と、これからの旅の無事を祈願して……」

四人「かんぱーーい!!!」
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/06/24(日) 01:37:38.98 ID:8mk50I1l0
それからマミのニビシティでのジム戦の話に始まり、まどかとさやかのジム戦、杏子との再会や『Wの組織』と戦ったことなど――

そして、ほむらの話にもなった。

マミ「そういえば、暁美さんって結構おとなしい子なのね」

さやか「そうっすかぁ?まあ、自分から話しかけにいくようなタイプでもないと思うけど」

マミ「こないだ学校で声をかけたのにスルーされちゃったわ…もうびっくりしちゃった」

まどか「あのほむらちゃんが…?もしかして学校でうまくいってないんじゃ……」

マミ「志築さんだったかしら?彼女と一緒にいる所はよく見るから、何とかやっていけてるとは思うけどね
   それにしても雰囲気が全――」

杏子「おい!その暁美ってのは何者なんだよ?」

まどか「昔言ってたもう一人の図鑑所有者だよ。暁美ほむらちゃんっていうの」

杏子「ほむら……ほむらねぇ、そういや覚えてる…確かマミより強いんだっけ?」

マミ「今なら後れを取るつもりは……ないわ!」

さやか「その間はなに?」ボソッ

まどか「杏子ちゃんとのバトル、まだ引きずってるんじゃ……」ヒソヒソ

マミ「コホン…とにかく!負けるつもりはないわ!でも、さっき言ったみたいに学校であんまり話す機会もなくってね
   バトルも最初の一回きりなのよね」

杏子「避けられてんのか」

マミ「違うわよ!……たぶん」

さやか「まあまあ、あいつにもいつか会うかもしんないよ。リーグ目指してるみたいだし」

マミ「楽しみね……その時こそリベンジよ……」フフフ

まどか「また会えるかなぁ」

それからも四人は遅くまで話をして、気がつけば誰からともなく眠りについていた。

明日からは六つ目のジムバッジを手に入れるため、いよいよグンマー地方三大都市の一つ、マエバシシティを目指す。
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/24(日) 01:43:01.67 ID:8mk50I1l0
ここまで
訳あって今からようやくBW2ができる…
しばらくゲームしてるので次の更新はお待ちを

なんか無理しないでと言ってくれるの人がいてすごい嬉しいんだけど、全然無理なんかしてないよ
書くときはなんだかんだノリノリで書いてるからね

もしお暇な人は俺がしばらくほったらかしにしてるこっちのスレでも読んでてくださいな

まどか「魔法少女の短編集」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1338381521/
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/24(日) 01:45:43.52 ID:8mk50I1l0
それとタイトル風を追加

>>541〜vsハブネーク
>>555〜vs若葉みらい
>>562〜vsゼブライカ
>>587〜vsマイナン
>>602〜vsボスゴドラ
>>622〜vsプラスル&マイナン
>>630〜vsジュゴン
>>635〜vsバチュル&メラルバ
>>656〜vsレントラー
>>680〜vs温泉回
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 07:41:36.45 ID:tbQMLnADo
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/24(日) 08:21:59.01 ID:S/6p7QuAo


>>692
アンタだったのか…… \マジかよ/
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/06/24(日) 08:39:37.42 ID:5Qqy/GnM0
乙ー
いつも楽しみにしてる
・・・俺のブラック2まだ届かないから楽しんでね
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 02:18:55.86 ID:AcTa/qtB0
ゲームでアイリスまでもがアルティメット化したな
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/26(火) 12:42:50.24 ID:ZiGEUaNmo
何これ面白、期待して待ってます
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 19:03:39.54 ID:g18QPQsIO
まだだろうか
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/07/08(日) 20:09:57.61 ID:ugPhrePAO
ポケモンやってるんだろう。半年ぐらい気長に待つわ
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/08(日) 23:43:08.63 ID:BhlsFpDAO
果たして覚醒したアイリスを見て作者さんは何を思うかね。
この物語でも序盤にニビジムのタケシが登場したからアイリスも出演したりしないかな?
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/12(木) 15:05:37.49 ID:Urr1EmRR0
Nを探しているBW主人公がでてもいいかもしれない
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/07/19(木) 16:40:59.55 ID:QjDNHQSO0
W団は、殺処分してれば、行為が発覚しづらかっただろう
安楽死なら良心的にも問題薄い
そうしなかったってことは、こりゃ別の狙いあるか
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/24(火) 23:10:46.92 ID:H0So8h6d0
>>1です
生きてます
というかゲームしてます
ダブルトリプル楽しいです
水浸しパとか怠け蟻軸積みパとか作りたいパーティはまだまだあります
でも私生活が若干忙しい
正直まだやり足りませんがぼちぼち書いてます

八月上旬には一回投下したいという心持です
ちなみにはがないのキャラでも出そうかという話をしてたが、すまん、ありゃ嘘だった
キャラが微妙に掴めないのでやめます

そして今更ながら美国父をジムリにしなかったことを後悔してます
今更なのでこのままやりますけど

BW2から組み込めそうなネタがいくつか出てきたのでありがたくどっかしらに入れていくつもりです
もう発売から一カ月だしネタばれしてもいいだろうということで言うけど、チャンピオンアイリスにはビビった
衣装も心なしかまど神っぽいし
これもどっかしらには入れたいネタだけどまだ未定

とにもかくにも生存報告です
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 23:37:22.50 ID:WXc2BpPXo
報告乙
待ってるぜ
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 17:54:53.66 ID:rVvV8z6Z0
今さらだけど、時系列的にはポケスペHGSS編が終わった辺りを想定してる
といっても俺は単行本組だから何か矛盾があっても多少は勘弁を
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 17:56:57.68 ID:rVvV8z6Z0
〜十六日目〜

まどか「それじゃあ、明後日にまた会いましょう!」

里美「うん!気を付けてね」

マグカルゴ荘のエントランスにて、まどか達四人は里美を含む従業員たちに見送られていた。

明後日、マエバシシティでサキが招集をかけた会議が行われるため、まどかは里美に一緒に行かないかと声をかけていた。
しかし、旅館が忙しいから当日に行くと断られた次第だ。

里美「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

数日世話になった旅館を離れ、まどか達は東にあるマエバシシティを目指して歩いていた。

そして、十字路にて杏子は立ち止まった。

杏子「じゃ、昨日言った通りあたしはここでお別れだ」

まどか「ほんとに行っちゃうんだね」

杏子「当たり前だっつの」

昨夜、就寝前にぽつりと杏子が語ったのは、一人でマエバシシティではなくユウマタウンに行くというものだった。
三人は当惑したが、杏子は修業をもう少しじっくり一人でやりたいということだった。

どうにか引き止めようとしたのだが、

杏子「それにほらさ!あたし金持ってないからいつまでも三人に頼ることになっちまうし、負担になりたくないっつうか……」

そう言われて誰も何も言えなくなってしまった。
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 17:59:27.09 ID:CQGuiBQ2o
キタ━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━ !!!!!
待ってました!
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 17:59:27.48 ID:rVvV8z6Z0
マミ「何かあったらいつでも連絡してね」

杏子「ハッ、そっちこそ助けてほしくなったらいつでも泣きついてきて構わないからな」

さやか「何よその言い草は!言っとくけど、湖でのリベンジは必ずさせてもらうんだからね!」

杏子「おうおう、精々頑張るこったね。正直、さやかには絶対負けるとは思えないけどね」

さやか「ムッカー!ほんとムカつく…!」

まどか「よしっ、私も絶対追いついて見せるからねっ!」

杏子「マミも、まだ勝ち越してるからって余裕ぶっこいてんなよ?必ず抜いてやるから」

マミ「えぇ……今度こそ負けないわよ」

まどか「気を付けてね」

杏子「あぁ……じゃあな、元気でやれよ」ボンッ

ムクホークに飛び乗ると、すぐさま上昇を始め北に向かって飛んでいった。
その姿が見えなくなるまでに、そう時間は掛からなかった。

マミ「……行ってしまったわね」

まどか「ちょっと寂しいけど、色々考えた結果なのかな」

さやか「よし!早く行くよ二人とも!次の街でもバッジゲットするんだからね」

まどか「あ、待ってよさやかちゃん」

マミ「こらこら二人とも、早すぎるわよ。いつもそんなに急いでたの?」

二人の旅は三人の旅となり、クサツタウンを後にした。
その足取りはいつもより軽快だが、どこかホエルオーが巨体で飛び跳ねるような、少し無理をした感じに見えた。
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:01:10.46 ID:rVvV8z6Z0
―マエバシシティ―

グンマー地方三大シティの中でも最大と言われるのが、このマエバシシティである。
様々な施設やいくつものビル群が立ち並び、特に商業地が活発でショッピングセンターやフレンドリーショップの品揃えは最大級だ。

また、マエバシ博物館では最先端のポケモン研究が行われているらしい。

マミ「何度来ても凄いところね」

さやか「うんうん、どこもかしこも賑わってるねー!ちなみに、オススメのスイーツは『ブースター印の焼き饅頭』だって」

まどか「なんだかお饅頭多いよね……砂漠でもお饅頭食べたような」

さやか「そりゃぁあれだよ。グンマー地方のお土地柄ってやつじゃないかな」

三人はポケモンセンターに寄ってから、まずは街をうろつくことにした。

マミ「それにしても、二人とも本当に見違えたわね。初めて野生のポケモンと戦ったのがずっと昔みたい」

まどか「えへへ、マミさんの指導のおかげですよ」

さやか「そうそう、マミさんに言われた通り初めて見るポケモンは捕まえまくってますからね!」

マミ「頼もしいわね。でも、なかなかあなた達のお眼鏡にかなうポケモンは見つからないのかしら?」

さやか「いやぁ、ここまで来るとどのポケモンも魅力的っていうか、迷っちゃいますよね」

まどか「あと二匹かぁ……私はどんなポケモンにしようかな」

マミ「ふふっ、しっかり考えないと駄目よ?」
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:02:16.08 ID:rVvV8z6Z0
マミ「でも、あなた達ももうすぐ一人前だし、もう私が教えることはなさそうね」

まどか「そんなことないですよ!バトルのこととかもっと勉強したいですし」

さやか「そうなんだよねえ、あたしもまどかとかマミさんみたいにもっと考えながらバトルやった方がいいのかなって思ってるんですよ
    次のジムでは頭回転させながら闘ってみるつもりですよ!」

マミ「頭を回転って……無理に自分のスタイルを崩す必要はないと思うけど」

さやか「意識の違いっすよぉ!やっぱりガンガン突っ込んでいくだけじゃあ、勝てないですもん」

まどか「うーん、私もさやかちゃんは今のままで十分だと思うけどなぁ」

さやか「むぅ……これでも結構気にしてるんだよ?杏子にまどかよりセンスないとか言われてさ」

まどか「そう、なの…?」

さやか「そうなのだよ。だからさぁ、あたしもちょっと強くなるためにいろいろやれることはやろうと思ってね
    名付けて『考えるバトル』!!」

マミ「今回はあんまり考えない方がいいと思うんだけど……なら、せめてジムに行く前に練習してからにしたらどう?
   いきなり本番って言うのは不安だと思うし」

まどか「私も一緒にやるからね!」

さやか「そう?いやぁ、なんか悪いね」

マミ「気にしなくていいのよ。後輩が困ってるのを見過ごすわけにはいかないもの!」
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:08:31.36 ID:rVvV8z6Z0
いきなりミス発覚
>>707の明後日は三日後だね
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:10:00.93 ID:rVvV8z6Z0
―ポケモンセンター―

QB「やあ、久しぶりだねマミ。二人の旅に同行することにしたのかい?」

マミ「えぇ。その方がいい修行になると思ったの」

まどか「クサツからマエバシまでに捕まえたポケモンと図鑑のデータ送るね」

QB「おや、君達は今マエバシシティにいるのかい?」

さやか「そだよー。いやぁ、人が多くて参っちゃうね」

QB「そうか、それなら君達とは会うことになるかもしれないね」

まどか「どういうこと?」

QB「実は明後日マエバシにある博物館に招待されてね。珍しい物がシンオウ地方から送られてくるらしいんだ
  届くのは明日、公開されるのは明後日なんだけど、せっかくだから見に来たらどうだい?」

マミ「いいわね!面白そうだわ」

QB「グンマー地方のチャンピオンも来るらしいしね」

まどか「ナハトさんが来るんだ!せっかくだからもう一回会えないかなぁ」

さやか「んじゃま、明後日の予定は決定だね!となると、ジムに行くのは早い方がいいね」

マミ「なら今から行きましょうか?案内ならしてあげるわよ」

まどか「はい!頑張ろうねみんな!」

QB「会えることを楽しみにしてるよ。そういえば、あれから消えたポケモン図鑑のことは何か分かったかい?」

まどか「あっ……そっちは全然、だよ」

QB「まあ、仕方ないか。ほむらもいないことだし共鳴音がなることもないしね……それじゃ、データも送られてきたことだしそろそろ通信を切るよ」

まどか「うん、バイバイQB」

通信を切り、三人はポケモンセンターを後にした。
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:12:32.59 ID:rVvV8z6Z0
ポケモンセンターを出た三人は、マミの案内でマエバシジムに向かっていた。
高層ビルが立ち並ぶようになると、人の数はますます増えていく。

気を付けなければ簡単に誰かに追突されてしまうだろう。

まどか「きゃっ」

リオル「ギャッ」

男「痛ッ」

ニョロボン「ゲッ」

ということをマミが注意したにもかかわらず、交差点にてまどかとさやかから離れていたリオルが男達にぶつかったのだった。

まどか「ごめんなさい、ちょっと急いでて――!?」

男「おっとごめんごめん、全然前を見てなかったものだか――」

まどか「いやああぁぁあぁぁぁあああああああーーーーーーーーー!!!!」

次の瞬間、街中にまどかのハイパーボイスが響き渡った。

というのも、男はまどかの身の丈ほどありそうな長いコック帽を被り、ラブカスの模様が入ったエプロンを腰に巻き、何より上半身裸だったからだ。
何事かと振り返ったさやかも「げっ!?」と声を挙げ、すぐさま戦闘体制をとった。

ビジネスマン「なんだなんだ?」

OL「また秋山さんじゃない?」

ビジネスマン「あぁ、秋山さんかぁ」

OL「なら仕方ないわね」

が、行きかう人々は何事もなかったかのように自分たちの仕事へと戻っていく。
か弱い少女が叫び声を挙げたというのに、街の人間は至って淡白だ。

腰を抜かしたまどかも、戦闘態勢をやめないさやかも、訝しげな表情をしていた。
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:14:55.82 ID:rVvV8z6Z0
男「ありゃ、ひょっとしてマエバシは初めてなのかい?そりゃあ悪いことしちゃったかな」

さやか「い、いいからまどかから離れろっ!この変態!!」

マミ「美樹さん落ち着いて。その人は――」

さやか「リオすけ、この変態に向かって"バレットパンチ"!」

突然の命令に一瞬戸惑ったものの、素早く飛び上がると弾丸の様な速さでその拳を男に向けて放った。

ニョロボン「ン!」スパン リオル「ッ!?」

さやか「なっ!?」

が、それはすんでのところでニョロボンに受け止められてしまった。
その動きを見てさやかはすぐに男達がタダ者でないことを悟った。

男「ほほう、なかなかいいパンチだね」

さやか「なんの、まだまだ!」

マミ「やめなさい美樹さん!この人は悪い人じゃないわよ」

さやか「何言ってんですかマミさん!どこをどう見ても変態じゃないですか!!」

男「何を言うお嬢ちゃん!これは私が料理に挑む際のユニフォームだ!」

さやか「料理!?そんな格好で!?」

男「そうとも!これぞ男の料理を振る舞う最高のユニフォーム……『超直感の激流コック』、スライス秋山さんとは私のことさ!!」

ニョロボンと一緒にカンフーの様なポーズを恰好よく決め、男はスライス秋山と名乗った。

まどか「……えっと」

さやか「……誰?」

秋山「なぬっ!?お嬢ちゃん達見たところポケモントレーナーだというのに私を知らないというのかね!?
   これでも一時期テレビに出たりしてたんだが……」

まどか「……あ、あぁ!思い出した!確かに見たことある!!」

マミ「この人はスライス秋山さん」

後ろからマミが言葉を紡ぐ。
そして、次に二人が聞くことになるのは、あまり聞きたくなかった言葉。

マミ「この街のジムリーダーよ」
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:15:54.96 ID:rVvV8z6Z0
まどさや「……」

しばらく四人の空間はトリックルーム状態だった。

秋山「ふっふっふ…どうやら驚いて声も出ないようねっ!!むむっ、そういえば君は一回戦ったことがあったかな?」

マミ「えぇ、お久しぶりです」

秋山「やはり!私の直感通りだ!」

マミ(それって覚えてもらってなかったってことなのかしら……)

秋山「どれ、せっかくだから私の店で昼食でもどうだ?」

マミ「それもいいんですけど、それよりこの子達がジムに挑戦したいって」

秋山「なんと!挑戦者だったのか!!それは楽しみだなっ!!」

さやか「ありえないでしょーー!!!」

まどか「この人がジムリーダー!?」

マミ「ど、どうしたの二人とも…?」

さやか「えっ、だって、どう見ても変た……えっ?」

秋山「甘い!見た目で相手を判断するのでは立派なトレーナーにはなれんぞ!そう!!直感で相手を判断するのだっ!!!」

まどか「いや、それもどうなんでしょうか……」

秋山「とにかく、挑戦者だというのなら早速店に帰って準備しないと……どんな相手であろうと私は全力で戦うのみさっ!
   ちょうど今の時間は客が引いていて暇があるからな。来るなら早くしてくれたまえ!それではお嬢ちゃん達、また会おうっ!」

そう言うと、秋山とニョロボンは人混みの中へと消えていった。
まどかとさやかは、今だ現実を受け入れられていない様子。
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:20:52.91 ID:rVvV8z6Z0
まどか「あの人がジムリーダー……よりによってマエバシシティで……」

さやか「受け入れたくない……いやでも、トレーナーの中だとああいう吹っ切れてる人も多いって聞くし……」

マミ「あなた達結構失礼ね……確かに見た目はちょっと変わってるかもしれないけど、実力は本物よ」

まどか「そうですよね……気を引き締めないと!」

さやか「ニョロボンを連れてたってことは、えっと……図鑑図鑑」ピッ

まどか「格闘タイプかな?」

マミ「残念、秋山さんは水タイプのエキスパートよ」

さやか「そっちかぁ…見た目のインパクトからどうしてもちょっと、ね」

まどか「とにかく、勝って秋山さんのお店でご飯食べようね!」

さやか「よしっ!なんとなくだけどあの人には負けたくないし、気合い入れていくよ!」

まどか「おぉー!」

リオル「オー!」シュッシュ

さやか「おっ、リオすけもやる気満々だね!」

マミ「ちょっと二人とも練習するんじゃなかったの!?」

さやか「早い方がいいって言ってたんですから今すぐ行くべきですよ!明日まで待ってられませんし」

まどか「私も同感です。色々教えてもらいたかったんですけど、やっぱり今日は早めに戦っておきたいなって……」

マミ「……分かったわ、その代わり油断しないようにね」

三人は先程よりも駆け足気味に店を目指し、時刻は多くの人は昼食を終えた時間であろう午後二時前には目的地に到着した。

店からは料理を堪能した客達が、皆恍惚とした表情で出てくるところだった。

それらを尻目に三人は自動ドアをくぐった。
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:23:09.78 ID:rVvV8z6Z0
―マエバシジム―

案内人「いらっしゃいませ!レストラン『OTOKO's Kitchen』にようこそ!三名様ですか?」

まどか「いえ、私達ジムに挑戦しに来たんです」

案内人「なるほど、挑戦者か!元気かい?未来のチャンピオン!ここはマエバシジムだぁ!
    レストラン『OTOKO's Kitchen』のコックにしてジムリーダー、スライス秋山さんは水タイプのエキスパート!!
    秋山さんの超直感バトルに翻弄されないようにな」

さやか「超直感バトル…?なんじゃそりゃ」

秋山「おっ、よく来たなお譲ちゃん達!ちょうど今最後の客にメニューを出し終えたところなのさ」

まどか「良かったぁ、いいタイミングだったね」

秋山が最後の客として示した先にいたのは、

アイリ「あっ」

ユウリ「おっ」

どこかで見たことある二人だった。

さやか「あぁー!アイリとユウリじゃん!なんでこんなとこにいるわけ!?」

マミ「確かトネシティのジムリーダー……二人とも知り合いなの?」

まどか「この間タカサキジムで会ったんです」

さやか「よく会いますなあ、しかもレストランで……そんなにジム開けてて大丈夫なの?」

ユウリ「それは言っちゃ駄目!いいんだよ、しばらく開けるって言っといたから」

アイリ「張り紙してるだけなんだけどね……」
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:25:33.64 ID:rVvV8z6Z0
ユウリ「それより聞いたよ。アンタらジムリーダー会議に出席するんだって?随分偉くなってんだな」

まどか「いや、別にそこまでの物でも……」テレテレ

ユウリ「フゥーン……まっ、せっかくだからその資格があるか見学させてもらおうか」

まどか「えっ?」

ユウリ「いいよね秋山さん?この子らの試合、アタシ達にも見学させてよ」

秋山「ふむ、それはビッグアイディア!君達の食事の後に早速バトルといこうか!!そうだ、せっかくだからお集まりの皆さんもよろしければどうぞ」

さやか「ちょっ、何勝手に――」

ミニスカート「秋山さまのバトルが見れるの!?」

大人のお姉さん「私絶対見るわっ!すいませーん、追加でラムとオボンのミックスジュースお願いしまーす」

ウェートレス「私、友達に連絡してきますね」

ウェーター「俺も!」

さやか「えぇー……」

秋山の一言により人が人を呼ぶ結果となり、アイリとユウリの食事が終わる頃にはジム内は満員だった。
しかもそのうちのほとんどの人間は秋山のファンであり、まどか達にとっては完全にアウェーな試合である。

マミ「これは二人にはプレッシャーかもね……二人ともリラックスしていくのよ」

さやか「秋山さんってこんなに人気あったんだ……」

ユウリ「アンタ知らないの?昔『カビゴンを満足させるのは誰だ!? グンマー地方アマチュア料理人選手権』って番組があったのよ
    そこでぶっちぎりのトップで優勝したのが秋山さま」

さやか「さま?」

ユウリ「そこから人気が出て、何度か大会に出るうちにいつの間にか自分の番組まで持つようになったほどなんだから
    最近はもっぱらこのレストランとジムリーダーの方に専念してるみたいだけど」

さやか「さまって言った?」

ユウリ「……」

アイリ「ちなみに、秋山さんはユウリの料理のお師匠でありライバルでもあるんだよ」

ユウリ「アイリッ!それは言わなくていいの!」

まどか「あぁ、そういえばタカサキでもそんなこと言ってたっけ?」

アイリ「ア、アタシのことはいいんだよ!それより、どっちからやるわけ?」

さやか「じゃあまずは、あたしからリオすけのリベンジさせてもらおっかな!試したいこともあるし」

まどか「もしかしてさっき言ってたやつ?練習できなかったんだし、いつも通りの方がいいんじゃ……」

マミ「そうよ美樹さん。特に今回はやめておいた方が――」

さやか「平気だって!女は度胸!何でもやってみるもんだよ!!」
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:26:54.36 ID:rVvV8z6Z0
フィールドには長方形のプール、その中央に島があり、それを囲むように陸地がある他のジムとは異なる特別なものだった。
さやかと秋山がそれぞれの立ち位置につくと、歓声は一際大きくなる。

秋山「むむむっ……」

さやか「…?何やってるんですか?」

秋山「キタッ!今日の使用ポケモンは三体!!この直感に間違いなし!」

さやか「なっ!?そんな適当な……でも、負けませんから」

秋山「スライス秋山の超直感料理教室!!もとい!超直感バトル!!どんな激流だろうと泳ぎきる水タイプのポケモンの様に!
   どんな相手だろうと戦いきって見せる!!直感で戦おう、レッツポケモンバトル!!」

ジムリーダーの スライス秋山が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=IjDQ4po2nDQ

秋山「まずはラブカス!!」ボンッ ラブカス「チュチュー」

さやか「水タイプなら電気タイプ…!マイかゴー!」ボンッ マイナン「マーナ!」

秋山「ほほっ、電気タイプとはな。BUTだがしかしっ!どんな荒波も突き進むのみ!!」

さやか「ここは素直に……マイか"10まんボルト"!」

鋭い閃光が襲いかかる。
その攻撃は水中にいるラブカスに見事ヒットした――

と思われた。

秋山「ナイス"アクアリング"!ナイス直感!」

さやか「なっ……攻撃が届いてない!?ラブカスの周りに張られた水のリングが電撃を完全に遮断してる…!」

さやか(でも、いつそんな命令出してたの…?聞き逃しちゃったのかな……)

さやか「えぇいまだまだ!次はえっと……"でんこうせっか"で翻弄するんだよ!」

秋山「――ムッ!"みずのはどう"だ!」

マイナンが島に跳び移りラブカスを射程圏内に捉えたところで、一手早かった水の波動が炸裂した。

さやか「マイか!」

秋山「やはり当たりっ!今日は冴えている!」
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:28:13.19 ID:rVvV8z6Z0
まどか「そんな!さやかちゃんのマイかの方が速かったのに、それより早く攻撃できるなんて……」

ユウリ「いやーーーーーん!!秋山さーーーん!!!!」

まどか「!?」ビクッ

アイリ「早速出たね、秋山さんの超直感」

マミ「早く自分のペースを掴まないと、まずいわね」

まどか「超直感…?」

マミ「見てれば分かるわ……秋山さんのバトルスタイルが」


マイナン「〜〜〜ッ!」フラフラ

さやか「しかも混乱しちゃった……だったら、戻ってマイか!」シュパン

秋山「むふふ、ナイス判断!あのままでは負けると直感したんだな!」

さやか「さっきから何言ってんのよ、考えてやったに決まってるでしょ……ミジュかゴー!」ボンッ ダイケンキ「ゴァー!」

ラブカス「ッ!」ビクッ

秋山「ほほっ、なかなかよく育てられているダイケンキだな…思わず威圧されてしまったようだよ」

さやか「そいつはどうも…ミジュか"シェルブレード"!」

秋山「"メロメロ"!」

さやか「ゲッ!」

ラブカス「チュチュ〜」 ダイケンキ「――ッ!」

秋山「"みずのはどう"の連続攻撃だぁ!攻撃回数は直感でっ!!」

数発の水の波動が発射され、水流に飲まれたダイケンキはプールへと押し流されてしまった。
続け様にラブカスが飛び込むと、さらに水柱が吹き上がるほどの攻撃を続けた。
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:29:05.85 ID:rVvV8z6Z0
秋山「ふっふっふ、どうやら仕留め……いや、まだか!」

さやか「なんのこれしき……ミジュか!顔洗ったんなら目を覚ましなさい!!」

再び一つ水柱が立ち上がる!

その中から現れたのは、アシガタナを振るうダイケンキだった。

一刀によってラブカスは激しく地面へと叩きつけられ、そこで戦闘不能となってしまった。

秋山「やるじゃないか!やはりそううまくはいかないようだな」シュパン

さやか(なんなのあの人……余裕があるっていうか、こっちのやること全部分かってるみたいな感じだけど……)

秋山「エンペルト!」ボンッ エンペルト「クェー!」

さやか「えぇい、気にしてられるか!こっちは…"シェルブレード"!」

秋山「"つるぎのまい"だっ!」

ダイケンキがアシガタナを手に突撃、迎え撃つエンペルトは両翼を刀の様に舞わし、二匹は中央の島で激しくぶつかり合った。
一刀流対二刀流の撃ちあいは益々ヒートアップするが、有効打は互いに与えられない。

秋山「――ムッ!」

さやか「こうなったら…一旦引いてミジュか!」

秋山「そこで"メタルクロー"!!」

さやか「――ッ!」

さやかの合図で後退した一瞬の隙を逃さず、エンペルトの追撃が決まった。
大きな飛沫を上げプールに落ちたものの、ダイケンキはまだまだ戦えそうだ。
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:30:29.58 ID:rVvV8z6Z0
秋山「やはり当たりっ!これぞエンペルトの包丁捌きっ!!」

さやか「くっ、さすが流氷をも真っ二つにする翼だね……負けるなミジュか!"リベンジ"だぁ!」

素早く水上から飛び上がり、エンペルトに一撃を与える。
ぶつかった衝撃でダイケンキは陸地に戻り、エンペルトがプールに落下した。

秋山「はっはっは!いい攻撃だっ!今のは効いたぞぉ」

さやか「もう一回行くよ!"シェ――」

秋山「引くんだぁ!」

さやか「――ルブレード!」

プールを真っ二つに割るような凄まじい一撃だったが、一瞬早く飛び退いたエンペルトはどうにか難を逃れた。
またしても一歩先を行く秋山とポケモン達の動きに、さやか達は翻弄されっぱなしだった。

さやか「なんなのよ一体……距離とってミジュか」

秋山「危ない危ない、今日は冴えてるようだ……君のダイケンキ、なかなかいい包丁捌きをしてるな」

さやか「包丁扱いすんなぁ!」

さやか(あぁもう、なんか調子狂うなぁ……それはともかく、"つるぎのまい"と"メタルクロー"のせいで接近戦は辛いし、なんとかこの距離から攻撃できれば…!)

秋山「ここは……エンペルト、"なみのり"!」

さやか「来た!ミジュか、下に潜り込んで"エアスラッシュ"!」

引き起こした荒波に乗ってエンペルトが襲ってくる。
その波を切り裂く斬撃がアシガタナから飛び、波に隠れていたエンペルトにヒットした。

最初の一撃で怯んでしまい、続け様に放たれたエアスラッシュの連続攻撃を全て喰らってしまい、エンペルトはそのままダウンした。

秋山「くっ……直感を外してしまったか」シュパン
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:32:25.61 ID:rVvV8z6Z0
秋山「ニョロボン!」ボンッ ニョロボン「ケロ!」

さやか「最後はやっぱりニョロボンか……格闘タイプなら"エアスラッシュ"が効果は抜群……この勝負貰ったぁ!ミジュか"エアスラッシュ"ッ!」

秋山「ふむ、甘く見ないで貰いたい!"ばくれつパンチ"!!」

さやか(真っ向勝負する気!?いやいや、負けるもんか!)

しかし、ニョロボンの拳は空気の斬撃ではなくプールに向けて放たれた。
それは水の壁を作るほどの爆発を起こし、エアスラッシュが水壁を切り裂いた時にはすでにニョロボンの姿は消えていた。

さやか「なっ…!どこ行ったの!?」

さやか(攻撃が当たったとは思えないし、水中に逃げたとしか思えない!だったら次は何をしてくる…?
    ミジュかの"エアスラッシュ"を見てるんだから、接近戦を無暗に仕掛けてくるとは思えないし、遠距離攻撃かな……
    いや、でもでも、相手もそれを考えてるかもしれないんだから、ここはあえてこっちから接近戦を仕掛けていけば――)

秋山「攻めろニョロボン!!攻め方は……直感でっ!」

さやか「直感…!?」

プールから飛び上がったニョロボンは素早く距離を詰め、アシガタナを振る暇を与えぬ往復ビンタの連続攻撃を繰り出す。
とどめの爆裂パンチがダイケンキをとらえ、ダイケンキはついに戦闘不能となった。

さやか「ミジュか!……お疲れ」シュパン

秋山「はっはっは!それでこそ超直感のバトル!」

さやか「何なのよさっきから直感直感って……マイか!」ボンッ マイナン「マーナ!」
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:33:32.42 ID:rVvV8z6Z0
さやか(とにかく接近戦をされたらマイかじゃ勝てないし、ここはやっぱり…!)

さやか「"10まんボルト"!」

電撃を受けたものの、攻撃に構わずニョロボンは手をかざしつつ後退し、爆裂パンチをプールに叩きつけ再び水の壁を作り出す。
マイナンが相手を一瞬見失い攻撃を躊躇ったところを狙い、壁の向こうから強烈なハイドロポンプが噴出された。

正面から攻撃を受けたマイナンは、遂にダウンしてしまった。

さやか「そんなっ!向こうだって見えてなかったはずなのに……お疲れマイか」シュパン

秋山「マイナンさんもうスケスケー!今のは直感で攻撃したのかな…?それとも……どちらにしろナイスだニョロボンっ!」

島に上陸したニョロボンとシンクロして、秋山はいつか見せたカンフーの様なポーズを決めた。


ユウリ「キューート秋ヤマーーーン!!!」

まどか「!?」ビクッ

ユウリ「流石秋山さまの『完成の舞い』……カンペキだ!料理が完成するかバトルで勝利した時にしか見せないのに、これはもう勝つ気満々ってことか!」

マミ「どう鹿目さん?秋山さんのバトルスタイル、もう分かってるわよね?」

まどか「えっと……直感、ですか…?」

マミ「そう、秋山さん曰く『超直感』らしいけど……大雑把に言えば『勘』ね
   ポケモン自身に任せたり、相手がこう動いてくると半ば決め付けて次の行動をするの」

アイリ「読みを外せば辛いけど、あれで結構当たるからねぇ」

まどか「さやかちゃん攻め辛そう……いつもより命令を出すのが少し遅れてる気がする」

マミ「ひょっとしてマエバシに着いた時に言ってた、『考えるバトル』っていうのを実行してるのかしらね
   やっぱりこのジム戦だと、美樹さんの言う『考えるバトル』っていうのは裏目に出ちゃってるわね……
   せめて練習出来てれば違ったのかもしれないけれど」

まどか「……」
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:35:12.08 ID:rVvV8z6Z0
さやか(くっ……まさかマイかがやられちゃうなんて……なんでこっちの場所が分かったんだろう……
    あぁもう、考えろ考えろ!みんなみたいに考えなきゃいけないのに…!)

さやか「リオすけゴー!」ボンッ リオル「リオッ!」

秋山「さぁて、どう攻めるべきか……えぇい!ここはニョロボンの直感でっ!」

さやか「リオすけ…"バレットンチ"!」

中央の島で素早い攻防が始まる。
お互い一歩も引かなかったが、ニョロボンの爆裂パンチが足場を破壊するとリオルは吹き飛ばされてしまった。

プールを挟んで、二匹は陸地から向かい合う。

さやか「リオすけ!」

さやか(まずい……向こうは"ハイドロポンプ"が使えるからこっちから突っ込んでも駄目だし、でも島がなくなっちゃったから接近戦もつらい……
    くっそぅ、考えろ考えろ考えろ考えろ……)

まどか「さやかちゃん!!」

さやか「……まどか?」

まどか「余計なことは考えちゃだめだよ!さやかちゃんはさやかちゃんのままが一番なんだから!!」

さやか「あたしのまま……」

まどか「元のさやかちゃんに戻ってよ!」

さやか「……」

秋山「ふっふっふ……そうとも!ポケモンバトルで考えることも確かに必要な要素…だが私の思う最も必要なこととは直感!!
   相手の動きを読むとか計算するとかまどろっこしいことは抜きにして、とにかく好きに戦えばいいのだっ!!」

さやか「好きに、戦う……」

秋山「しかしもう遅かったようだな!"こころのめ"!」

さやか「……そっか、そうだよね。あたしはあたしなんだし、無理にみんなと同じように戦う必要なんてないんだよね」

大きく深呼吸をして相手を見据える。
さやかの眼にもう迷いはない。

さやか「リオすけ!次の攻撃、あんたの好きなようにやってみて!!イタズラ好きのあんたなら、なんかいい考えがあるんじゃない?」

リオル「リオ!」コクッ

秋山「ここは…私の直感が"ハイドロポンプ"だと告げている!"ハイドロポンプ"だぁっ!!」
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:37:45.09 ID:rVvV8z6Z0
ニョロボンから放たれたハイドロポンプは、リオルの正面ではなく上空を狙っていた。
しかし心の眼を使ったことにより必ずヒットするようになっていたハイドロポンプは、その軌道を変え上からリオルに襲いかかってきた。

さらにニョロボン自信も駆け出し、二つの方向から確実に仕留めに出た。

リオルは……
あえて前に向かって走り出した!

そして自慢の身軽さでするりとニョロボンをすり抜けて背後に回り、背中を蹴って反対岸まで跳躍した。

リオルを狙ってきたハイドロポンプは、蹴られたせいで前のめりになったニョロボンに直撃したのだ!

秋山「しまった!ホーミングが仇となったか……だがまだ負けていない!」

さやか「決めろリオすけっ!!」

リオル「ハッ!」ゴァッ ニョロボン「グフッ」

放たれた真空波によってニョロボンは壁に叩きつけられ、遂にそこで戦闘不能となった。

秋山「かはっ!何という威力の"しんくうは"……やられた、最後に直感を外してしまったか」シュパン

さやか「おっしゃーーー!!!!よくやったよリオすけー!」

まどか「やったぁーー!おめでとうさやかちゃん!」

マミ「おめでとう美樹さん!よく頑張ったわね」

さやか「へへっ、まどかの声で目が覚めましたよ…やっぱりあたしには『考えるバトル』ってのは向いてないなぁって」

まどか「うん、いつものさやかちゃんの方が私もいいと思うな」

マミ「それにしても、最後のアレって"わるだくみ"で威力を上げてたのよね?ちゃんとリオすけくんが使ってくれるってわかってたの?」

さやか「そりゃまあ、これでも一番付き合いが長いっすからね。それに、このやんちゃ坊主は昔っから悪戯とか考えるの好きだったから」

まどか「さやかちゃんが考えなくても、リオすけはちゃんと考えてたんだね」

秋山「うむ、ポケモンへの愛はトレーナー絶対のルール!さて、さやかくんとかいったかな?これぞマエバシジムを制した証、ブルバッジだ」

さやか「ありがとうございます!」

さやかは ブルバッジを手に入れた!

秋山「さて、次の相手はまどかくんだね。少し休憩してからやろうではないか」

まどか「はい!」
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:38:57.45 ID:rVvV8z6Z0
休憩の後、まどかと秋山の試合が始まった。

序盤から秋山の攻めが続いたが、まどかはうまくいなしながら反撃をし、最終的に残ったまどかのマラカッチとギャラドスのバトルでは――

秋山「そこであえて"りゅうのまい"!!」

まどか「こっちは"はなびらのまい"だよ!」

強烈なマラカッチの攻撃にギャラドスはダウンし、まどかは見事勝利を収めたのだった。

秋山「くっ……またまた直感を外してしまったか……まどかくんにもブルバッジを与えよう」

まどか「ありがとうございます!」

まどかは ブルバッジを手に入れた!

これで二人とも残すジムバッジは二つ。
いよいよジム制覇の兆しが見えてきたところだ。

ユウリ「あーん秋山さまが負けた!」

アイリ「最後は凄かったねぇ…サキが推薦した気持ちもなんとなく分かる気がするよ」

ユウリ「くっ……アンタら!今度トネジムに来たときは覚悟してな!絶対にぶっ潰してやっからね!!」

まどか「お、お手柔らかに……」

マミ(トネのジムリーダーってこんな人だったのね……)

秋山「それではっ!私自慢の男の超直感料理を振る舞わせてもらうとしようか」

さやか「いよっ!待ってました!」

秋山「お集まりの皆さんもどうぞ楽しんでいってください!」

まどか「そういえば、結局超直感料理ってなんなんだろう?」

アイリ「それはね……調味料の分量、材料を切る大きさ、焼き時間や茹で時間の長さ……
    同じものを作ってるのに、全ての要素がその日その日で微妙に変わる大雑把な料理…!
    しかもいつ食べても全部美味しいから、癖になって毎回違う感覚を求めて訪れる人は後を絶たない…!」

ユウリ「秋山さんの料理は最高だからな……いつか追いつきたいけど、アタシもまだまだだね!」

まどか「へ、へぇ……」

若干不安だったまどかだが、実際に口にするとその美味しさに思わず身を震わせた。
まどか達三人に加え、アイリ達の二人、さらに集まった観客も加えた十数人が店に押し寄せ厨房は大変な賑わいだった。

それから解散した後、各々の宿に戻り十六日目が終わった。
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:42:23.34 ID:rVvV8z6Z0
―シンオウ地方―

???「では、そろそろ出発しますね」

ポケモン協会会長「うむ。グンマー地方の最新技術を用いて『金剛玉』『白玉』『白金玉』の研究してもらう計画……運搬中の護衛はしっかり任せたよ」

???「えぇ、任せてください。もっとも、そんなに危険なことはないと思いますけど」

ポケモン協会会長「まあ、貴重品だから念の為だよ。君がいれば問題はないだろうからね」

???「ふふっ、期待に添えられるように頑張ります。私も研究に参加したいんですけどね」

ポケモン協会会長「それは困る。シンオウ神話について調べたい気持ちも分かるが、君にはシンオウにいてもらわなければ困るからね」

???「分かってます。でも、私個人としてもグンマー地方に赴くのは楽しみなんですけどね」

ポケモン協会会長「というと?」

???「グンマー地方のチャンピオンは女性だっていうでしょ?同じ立場として是非会ってみたかったんですよ」

ポケモン協会会長「そういえばそうだったね。何しろ今回のこともグンマー地方のチャンピオン、ナハトさん直々の申し出だったからね」

???「いいわね、協力し合ってお互いの地方がもっと盛り上がっていけばいいんですけど」

ポケモン協会会長「とにかくグンマーのマエバシシティに運ぶまでは任せたよ」

ポケモン協会会長「シロナくん」

シロナ「お任せ下さい会長」
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:44:11.54 ID:rVvV8z6Z0
ここまで
何かと優遇されてるシロナさんにはここでも登場して貰うことに
超直感はちょっと自信なかったけど、あんな感じでよかったんだろうか…
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/08/08(水) 18:48:40.86 ID:rVvV8z6Z0
ダイケンキ(シェルブレード、リベンジ、エアスラッシュ、水の波動)
リオル(バレットパンチ、悪だくみ、真空波、はっけい)
マイナン(10まんボルト、でんこうせっか、電磁波、雷)

ニョロボン(爆裂パンチ、おうふくビンタ、ハイドロポンプ、心の目)
エンペルト(メタルクロー、波乗り、れいとうビーム、剣の舞)
ラブカス(アクアリング、誘惑、メロメロ、水の波動)

忘れずに今回の分
まどか戦は省略
次の投下は早くても八月末、下手したら九月、最悪九月下旬…
ゲームしながら頑張ります
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 22:12:34.43 ID:wn7rUE5bo
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 22:56:24.38 ID:TjFF1byDO
>>727
こころのめでホーミングはおかしいだろwwwwwwロックオンならわかるがwwwwww

734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/09(木) 08:57:20.78 ID:LN4F9ChDO
一気読みしてきた乙

ところでプレアデスはなんで"星"団なんだろ?
かずマギのなら確か"聖"団だったと思うが…
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/09(木) 09:11:31.10 ID:LN4F9ChDO
あとほむらが話し掛けてる相手は最初メガほむかと思ったけど違うな
温泉の時に思ったけどほむらの能力繋がりのポケモンとか?
もしそれなら思い浮かぶポケモンはいる森の…
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/02(日) 23:56:55.47 ID:rumvKkB+0
〜十七日目〜

起床してから、三人は昨日あまり出来なかった街の観光に乗り出した。

名物の『ブースター印の焼き饅頭』を歩きながら食べていると、何やら人だかりがあるのを見つけた。
丁度大きな建物の前である。

マミ「ここって、マエバシ博物館よね。珍しいものが届くのは今日だって言ってたからそれかしら?」

さやか「面白そう!行ってみようよ」

リオル「オー!」

まどか「あ、待ってよさやかちゃーん!」

人混みをかき分け最前列に出た先には、二人の女性が握手を交わしていたところだった

一人は黒い服装に身を包んだ長い金髪を靡かせる、キリっと凛とした表情が印象的な女性。

一人は青いドレスを浮かせて派手な帽子を被った、ふわりとにこやかな表情が印象的な女性。

その一人に、三人は見覚えがあった。

まどか「あっ!ナハトさん!!」

さやか「ほんとだっ!おーいナハトさーん!」

マミ「こら、はしたないわよ……あら?隣にいる人どこかで……」

ナハト「おろ〜?どっかで見たことあるようなメンツ……」

握手していた女性をほったらかしてナハトが駆けより、ギャラリーの声も気にせずまどかに話しかけた。
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/02(日) 23:57:52.15 ID:rumvKkB+0
ナハト「あぁ!確かミタキハラで会ったっけ!?あれ、イツサトだったかなぁ」

まどか「そうですミタキハラです!覚えててくれたんですね」

マミ「お久しぶりです」

さやか「感激っすよ〜!あたしらのことなんて忘れられてると思ってましたもん」

ナハト「なっははー!君達はちょっと面白かったから少しね!私は面白くないことはすぐ忘れちゃうからさ〜」

???「なら、私のことは覚えていてくれるの?」

ナハト「おっと、ソーリーソーリー!忘れるわけないよー、あんだけ熱いバトルは久方ぶりだったからね!」

まどか「えっと、こちらの方は?」

???「どうも初めましてグンマーのトレーナーさん。私は――」

マミ「あああぁぁーーー!!!」

さやか「な、なんすかマミさん?」

マミ「し、シンオウ地方のシロナさんですよね!?」

シロナ「そうよ。私がシロナ。まさか知っててくれてるとはね」

ナハト「ほんと面白かったよー、シロナっちとのバトルは!やっぱり強い人との血沸き肉躍るバトルってサイコー!!」

マミ「なんですってぇ!?」

さやか「いいなー、チャンピオンとバトル出来るなんて羨ましい…!」

マミ「何言ってるの!シロナさんはシンオウ地方のチャンピオンなのよ!!」

まどさや「なっ、なんだってーー!?」

マミ「そんな夢の対戦カードがここで行われていたなんて……見逃したなんて一生の不覚だわっ!」
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/02(日) 23:59:31.12 ID:rumvKkB+0
シロナ「バトルといっても、一対一の簡単なものだけどね」

ナハト「いやあはは、どうせならフルバトルがよかったけど仕方ないねー……これから面白くなりそうだったのに」

シロナ「すまない、私も今は少し忙しくてね」

まどか「ナハトさんのバトル……見逃しちゃったぁ」

さやか「くぁ〜!なんてもったいないことを!焼き饅頭食ってる場合じゃなかった!!」

シロナ「あぁ、あれ気になってたんだ!私も帰る前に買ってこようかな……」

マミ「あの、ところでシロナさんが来られたのはどういう御用件なんですか?」

シロナ「ちょっと珍しいものを届けに来たの。私はその護衛みたいなものかな」

まどか「そういえば昨日QBが言ってたっけ?明日公開するんですよね?」

ナハト「――ッ!?なに君たちキュゥべえ知ってるの!?」

さやか「え?そりゃまあ、一応図鑑貰ってますし」

シロナ「図鑑…?それってポケモン図鑑のこと?」

まどか「はい。ポケモンのいろんな情報を集めてくれって頼まれたんです」

シロナ「へぇ、ここにも図鑑所有者はいたんだ……どうりでポケモン達もいい顔してるわけだ」

マミ「ここにも、っていうと、やっぱりシンオウ地方にもいるんですか?」

シロナ「まあね。君達名前は?」

まどか「ミタキハラ出身の鹿目まどかです」

シロナ「!へぇ、面白い名前ね」

まどか「面白い…?そんなこと言われたの初めてです……」

シロナ「あぁごめんごめん、こっちの話。それで、あなたは?」

さやか「同じくミタキハラの美樹さやか!」

マミ「巴マミです」

シロナ「まどかにさやかにマミか……君達も大変な事に巻き込まれてるのね」

まどか「まあ、確かにいろいろ大変なこともありましたけど……でも、それ以上に外の世界に触れることができたし、
    ポケモン達とも仲良くなれたから結構良いこともありましたよ」

シロナ「そっか。それならいいんだ」

シロナ(まあ、これから巻き込まれるのかもしれないけど……)
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:01:01.24 ID:hrLY2mR20
さやか「んで、持ってきた物ってなんなんですか?」

シロナ「そうね、別に隠す必要はないんだけど、明日までは秘密にしておきたい気もするし……」

さやか「そこをなんとか!せっかくの機会ですから!」

シロナ「どう思うナハトさん?」

ナハト「……えへへへ、そっかぁそうなんだ!アハ、アハハハハハ!!こいつは面白い!君達のことはこれでもう絶対忘れないよ!
    くくくく……アッハハハーハハハハアハ!!!!」

まどか「あのー、ナハトさん…?」

マリア「失礼。ちょっと癖が出てしまったようなのでこちらのことは気にしないでください
    しばらくすれば元に戻ると思いますので」

シロナ「へぇー、変わった癖をお持ちなのね」

マミ「マリアさんもいらしたんですね」

マリア「一応ウィッチ団の秘書を兼ねておりますので」

さやか「おぉ―カッコいいっすね!」

マリア「それほどでもありません」

シロナ「……よし。ここで会ったのも何かの縁かもしれない。少し宝玉について話をしてあげよう」

まどか「宝玉…?」
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:02:22.18 ID:hrLY2mR20
シロナ「そう。君達は少し前、ジョウト地方とシンオウ地方の狭間……シント遺跡という場所で、あるポケモンが暴れた事件を知ってる?」

まどか「あるポケモン?」

マミ「聞いたことあります。確か、世界を作ったとシンオウ地方で神話になってるポケモン……」

さやか「世界を!?そんな大層なポケモンが!?」

マミ「あくまで神話のはずだけど、ポケモンには今でも謎が多いから……名前は確か――」

シロナ「アルセウス」

まどか「アルセウス…?」

シロナ「そのシント遺跡で暴れたアルセウスが去った後、私も調査のためにシント遺跡を訪れたの
    そこで見つけたのが三つの宝玉……『金剛玉』『白玉』『白金玉』」

ナハト「素敵だよねぇ!最初は二つって聞いてたんだけど、なんと三つ目があったなんてさあ!」

さやか「あ、戻ってきた」

ナハト「キャハハハハ!!もう最高!!アハッアハハハハ!!!」

マリア「失礼、まだのようです」

シロナ「……それでね、何が珍しいかって言うと……生きてるみたいなの」

まどか「っ!?」

シロナ「たまにだけど鼓動が聞こえるし、脈を打つ……原因を調べてみたけど全く分からない
    ひょっとしたら宝玉ではないのかもしれない」

マミ「それでここに来たわけですか」

シロナ「考古学者として是非一緒に研究したいところなんだけど……あいにく今は少し立て込んでるの」

館長「我々にどーんとお任せですな!」

シロナ「あら館長、いらしたんですか?」

館長「ひどいですぞ」
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:04:05.50 ID:hrLY2mR20
館長「大丈夫ですぞ。最新技術を駆使したグンマーの解析力にかかればすぐですな!」

シロナ「楽しみにしています」

さやか「一体どんな秘密があるんだろうね!?」

まどか「気になるね」

マミ「私も是非知りたいわね。シンオウの神話によると、何もない場所に突然現れたのがこの間事件を起こしたアルセウス
   そこから生み出されたポケモンがディアルガとパルキア……」

シロナ「へぇ……驚いたわ。よくそんなこと知ってたわね」

マミ「昔から神話とか好きでよく調べてたんです。本で読んだことばっかりなんですけどね」

さやか「グンマーにはそういう伝説とかいうのほっとんどないもんね」

シロナ「加えるなら、文書はまだ見つかっていないんだけど、アルセウスが生み出したと思われてるポケモンがもう一匹いるの」

マミ「そうなんですか!?」

シロナ「ギラティナ……暴れ者だからこの世とは別の世界、『破れた世界』に追い出されたポケモン」

まどか「そんなポケモンがいるんですか?」

シロナ「いるわよ、確かにね……例え神と呼ばれるポケモンでも」

まどか「神様……いつか私も会ってみたいなぁ」

シロナ「ふふっ、あなたたちなら本当に会うことになるかもね……」
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:05:26.82 ID:hrLY2mR20
さやか「マジッすか!?うおおー!なんか根拠はないけど会えそうな気がしてきたー!!」

まどか「……うん、私も!会ってみたい」

マミ「いいわね夢があって……私もせっかくだから図鑑にも記録してみたいし、
   伝説のポケモンがいったいどんなものなのかこの目で確認できたら素敵よね」

さやか「会うったら会いますよ!絶対会ってやるって今決意しましたから!」

マミ「そう簡単に会えるものじゃないでしょう?どうやったら会えるか調べないと」

ワイワイ キャッキャキャッキャ

シロナ(ふむ……『会いたい』という感情の強いまどか)

シロナ(『会ってやる』という意志を持つさやか)

シロナ(『会う』ための知識を求めるマミ)

シロナ(あの子達を思い出すわね……)

ナハト「いやぁ〜笑った笑った……これから楽しくなりそうだよねー!」

シロナ「楽しいかどうかはともかく、大変なことにはなりそうね」

ナハト「いやいやそれがなるんだよねぇ……」ニヤリ
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:06:25.56 ID:hrLY2mR20
秋山「これはこれはチャンピオン両名にお揃いで!」

まどか「っ!?あ、秋山さんが!」

さやか「スーツを着こなしてる!?」

マミ「あなたたちって時々失礼よね……」

ナハト「ハロー秋山っち!今晩食べに行くからよろしく〜」

秋山「お任せあれ!どうも初めまして、マエバシのジムリーダーのスライス秋山とは私のことです!」

シロナ「どうも。シロナです」

秋山「これからお偉い方に挨拶回りがあるとか?チャンピオンとなると大変なご様子で」

シロナ「これもチャンピオンの仕事の一つですよ」

ナハト「めんどくさいよー……どうせポケモン協会長とか理事とか市長とかそのへんでしょう?」

マリア「副理事が抜けてます」

ナハト「あぁもう誰でもいいよぉ……四天王が来ないんじゃつまんないし」

マリア「みなさんお忙しいそうなので」

ナハト「いいもんいいもん!今日くらいならつまんないことも頑張るからさ〜」

マリア「は…?まあ、やってくれるならいいのですが」

館長「というわけでそろそろ行きますかな」

シロナ「そうね。じゃあね三人とも。縁があったらまたどこかで会いましょう」

マミ「シロナさんもお元気で」

さやか「さいなら!」

まどか「さようなら」

シロナ「えぇ」

そう言うと館長を先頭にシロナとナハトは博物館の中へと入っていった。
秋山はあの挨拶のためだけに来たようで、三人に軽く別れを述べると自分の店へと走り出した。

やがて人混みも徐々に散り散りになり、残ったのはまどか達だけとなった。
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:11:35.28 ID:hrLY2mR20
まどか「シロナさんいい人だったね」

さやか「シンオウチャンピオンとのバトルかぁ……くぅ!ホントに惜しいことしたなあ!」

マミ「またいつか機会があるといいわね」

まどか「そういえばさっきマリアさんが言ってた副理事って、織莉子さんのお父さんのことだよね?」

さやか「あぁ!そういやそうだね。元気してるのかな」

マミ「イツサトタウンの美国さんね。彼女の占いは当たるって有名だけど……あなた達はどう?」

まどか「私は当たりましたよ!言われた通りタマゴ盗られちゃって大変でしたけど」

さやか「あたしは……まだかなぁ」

まどか「大きな川がある街で上条君と会えるんだっけ?」

さやか「いやだから!まだ決まったわけじゃないでしょ!」

マミ「あら、その話詳しく聞きたいわね」ジリッ

さやか「もう!そんな大層な話じゃないですって!」

と、さやかの身辺事情で盛り上がっていたところで――

ゴトッ

まどか「…?」

さやか「ん?どうかした?」

まどか「なんか変な石蹴っちゃって……」

さやか「石ころ?んなもん放っときゃいいじゃん」

まどか「うん……それもそうだね」

足元に転がっていた、山の様な形をした大きな亀裂の入っている石を、まどかはそっと博物館脇に置いた。
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:12:47.25 ID:hrLY2mR20
さやか(さてと、うまい具合に話題が反れたし何か別の話題を……)

pipipipi pipipipi

マミ「今度はポケータイが鳴ってるわよ?」

まどか「私だ……あっ、織莉子さんだ!」

さやか「なんつーベストタイミング!」

ピッ

まどか「もしもし?お久しぶりです」

織莉子『まどかさん?今ひょっとしてマエバシシティにいるのかしら?』

まどか「うわっ、そうです!よく分かりましたね」

織莉子『そう、やはりいるのね……お父様も心配だけど、それよりも……』

まどか「…?何か悪いことでもあるんですか?」

織莉子『……あまりはっきり見えたわけではないのだけど』

少し言い辛そうに、織莉子は言葉を紡ぐ。

織莉子『チャンピオンに気を付けて』

まどか「チャンピオン?ナハトさんのことですか?」

織莉子『えぇ……明日、マエバシで大事件が起こるわよ』

まどか「どういうことですか?それとナハトさんと一体何の関係があるんですか!?」

織莉子『それは――』

ブツッ

まどか「あれ?切れちゃった……」
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:15:09.09 ID:hrLY2mR20
さやか「織莉子さんなんだって?」

まどか「明日このマエバシシティで大事件が起こるって……それからチャンピオンに気を付けなさいって
    途中で切れちゃったんだけど」

マミ「ナハトさんに?事件が起こってもナハトさんがいるなら問題ないような気もするけれど」

さやか「分かった!あんたチャンピオンに怒られるようなことするんだね!事件の犯人逃がしちゃうとか」

まどか「えぇ!?そんなことしないよ!」

マミ「鹿目さんのせいで逃げられる……なくもないかもね」

まどか「マミさんまで……そんなドジ踏んだりしないもん!」

さやか「いやいや分かりませんぞ〜」

まどか「むぅー……」

マミ(それより大事件が起こるらしいけど、いったいどんな事件かしら……なんにしても、気を引き締めておかないとね)

まどかはもう一度話の続きを聞こうと電話をかけ直したが、どういうわけか全く繋がらなくなっていた。
家の電話もポケ―タイも両方である。

疑問に思いつつも、それ以上はどうしようもないので諦め、三人はせっかくだからと博物館内を見て回ることにした。

たっぷりと展示品を堪能してから外に出て、まどかはふと気が付いた。

まどか「あれ?ここに置いてた石が消えてる?」

軽く見まわしてみたが、そこにあったはずの変わった石はどこにもなかったのだ。

さやか「帰るよまどかー!」

まどか「あ、うん。今行くー」

そうしていくつかの不思議を体験しつつ、日は暮れていった。

そして、いよいよ三つの宝玉が公開される十八日目が訪れる。
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:18:15.68 ID:hrLY2mR20
―シンオウ地方―

シロナ「あら?どこにやったかしら?」

シロナは自らの鞄をごそごそと探し回る。
しかしお目当ての物は入っていないようだった。

シロナ「参ったわね……変な悪さをしなければいいんだけど」

ポケモン協会会長「どうかしたかね?」

シロナ「いえ、ちょっと忘れ物です。いつの間にか私の鞄に入ってたものなんですけど、いつの間にか消えてまして」

ポケモン協会会長「な、何かねそのホラーは……」

シロナ「あれはとあるポケモンが封じ込められている石なんですよ。大昔に悪さをしたポケモンがね」

ポケモン協会会長「そんなものを無くしても大丈夫なのかね?」

シロナ「……多分」

ポケモン協会会長「シロナくん……」

シロナ「じゃ、私はそろそろイッシュ地方に飛びますんで!」

ポケモン協会会長「あ、あぁ……気を付けて行ってきたまえ」

シロナ(鹿目まどかって言ったっけ……彼女と同じ名前を持つ『かなめいし』が無くなった
    まさかとは思うけど、彼女についていってたり……するわけないか)
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:19:56.57 ID:hrLY2mR20
〜電話が切れたしばらく後〜―織莉子の家―

キリカ「織莉子〜!いないの〜?」

いつもならチャイムを鳴らさずとも出迎えてくれるはずの笑顔が、今日に限って全く現れなかった。

例え織莉子がいなくとも、メイドもいないのは考えられないことだった。

キリカ「庭師もいない……しかもあんな中途半端な仕事を残したまま」

庭のバラ園の手入れも途中で止まっている。
どう考えても異常事態だった。

キリカ「こういうことすると織莉子は怒るんだけど……緊急事態だ。まにゅ〜ん、"きりさく"」

さっくりと鉄格子を破ると、キリカ達は中へと歩みを進める。
申し訳程度にノックをしてから、キリカは扉をマニューラに切り裂かせた。

その扉の向こうには――

キリカ「ッ!織莉子!!」

血だらけの織莉子とポケモン達が横たわっていた。

駆け寄り、そっと抱きかかえると、僅かに呼吸をしている。

キリカ「酷い傷だ……いったい何があったんだ!」

???「ったく、タイミングの悪い奴っスね」

???「どうせ仕返しに来られることを考えたらここで潰せるのはラッキーじゃない?」

キリカ「!?庭師にメイド……どういうことか説明してもらおうか」

庭師のルートの周りにはロズレイドとアゲハントが。
メイドのローザの周りにはヒメグマとエアームドが。

それぞれ戦闘態勢を取った状態でキリカを迎えていた。
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:21:52.94 ID:hrLY2mR20
ルート「美国織莉子は我々に不利益な情報を遂に未来予知で知ってしまった……しかもあろうことか鹿目まどかに伝えようとした
    だから潰した」

キリカ「我々に不利益…?何の話だ」

ローザ「もうバラしちゃっていいんじゃないっスか?どうせ明日になったらバレることっスし」

ルート「そうね。では改めて自己紹介といきましょうか」

庭師の服を脱ぎ去り、バラの髪飾りで若草の様な色の髪を留める。
メイド服を破り去り、銀の長い髪を菱形の髪飾りで一つに結わう。

二人が中に来ていたのは大きく『W』の文字が入った団員服。

知ってる人は知っている、サーカス団の服。

ルート「ウィッチ団幹部の一人、ゲルトルート……未来予知をする美国織莉子の監視として庭師のふりをしていたの
    以後お見知りおきをば」

ローザ「同じくウィッチ団!姐さんの一の子分、ローザシャーン!メイドなんて暑苦しい格好で監視してたってことっスよ!
    以後お見知りおきをば!!」

キリカ「……へぇ、それが本当の姿ってわけだ……正直まだ分かってないことばっかだけど、一個だけ確実なことがあるよね……」

織莉子をそっと寝かせ、キリカはボールからアーボック、ポチエナ、クチートと、他のポケモン達を出す。

キリカ「君らは敵だってさぁ!!!だったらぶっ飛ばせばいいんでしょ!ぶっちゅりぎゅっちょりねっ!!」

ルート「やれやれ、二重人格……バトルモードですか」

ローザ「あたしらに勝てるわきゃないっスよ!なんなら奥の手を見せつけてやるっス!!」

キリカ「くくくっ、織莉子の仇はきっちり取らせてもらうよ。生半可な攻撃じゃ済まない!刻んだげるよっ!!」

一対二のバトルが幕を開けた。
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/03(月) 00:23:17.59 ID:TQFlywqco
まってた
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/09/03(月) 00:32:38.43 ID:hrLY2mR20
なんとここまで
久々登場の織莉子さんが酷いことになってるけどごめんね
ローザのことがちょい伝わったか不安

今回投下したシント遺跡関連の話は10月末発売のポケスペ42巻で明らかになるはず
何か矛盾があるかもしれないけど寛容な心で受け入れてほしい

リアルが忙しくなりそうで今月中に来れるかちょい不安…次はちょっと長くなりそうだし
不安だらけだけど頑張ります
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/03(月) 01:03:50.35 ID:H6Y3Hfhj0
きてたー
楽しみにしてます
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/03(月) 01:09:29.74 ID:TQFlywqco
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/03(月) 02:23:10.59 ID:gbc+0vmDO
楽しみにしてるッス!

シロナさん図鑑所有者って事でダイヤモンド、パール、プラチナを思い出したのか
ポケスペ10月か…あと1ヶ月待てばいいのか
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/03(月) 12:02:43.97 ID:77tXPMXso
おんみょん
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 01:59:16.01 ID:z8smxIZHo
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/02(火) 23:23:59.59 ID:Z326asRd0
〜十八日目〜―マエバシ博物館前―

QB「やあ、久しぶりだね」

まどか「QB久しぶり〜!」ダキッ

さやか「元気だったかこいつ〜!」ワシャワシャ

QB「いやだから、君たち僕のこの姿がロボットだって完全に忘れて――」

さやか「おりゃー!!」グルグル

QB「視界が歪むから回さないでってば!」

マミ「はいはいそこまでよ」

さやか「こんななりしてて振り回すなって方が無理ってもんですよ。今だにQBが博士って信じらんないもん」

QB「これでもポケモンのあらゆる情報を記録して研究してるんだけどなぁ」

まどか「それにしても人が多いね」

博物館の前にはすでに多くの人だかりができていた。
マミ曰く、グンマーは昔から他地方と交流することが少なかかったため、他地方から来たものが珍しいのだろうとのことだ。

QBはそういった人々の様子を木の上から眺めていたところをまどかに見つかったのだった。

QB「じゃ、僕は少し用事があるから」ヒョイッ

まどか「もう行っちゃうの?」

QB「まあね。またあとで会おう」

そう言い残して、QBはどこへともなく消えていった。
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/02(火) 23:25:01.02 ID:Z326asRd0
みらい「あーっ!出たなこいつ!」

さやか「その声は……若葉みらいかぁ!!」

サキ「二人とももう来てたのか」

まどか「サキさんにみらいちゃん!久しぶり!」

マミ「ヒメナのジムリーダーと、お友達だったかしら?」

さやか「何しに来たのよ!」

みらい「ジムリーダーの緊急会議に決まってるでしょうが!あんただってそのつもりなんでしょ?」

さやか「あんたジムリーダーじゃないじゃん!」

みらい「プレイアデスだからいいんだよ!」

マミ「……二人って仲悪いの?」

まどか「あはは……なんか相性悪いみたいですね」

サキ「二人の先輩かな?確かしばらく前に戦ったことがあったな」

マミ「えぇ、巴マミです」

サキ「覚えてるとも、結構印象に残ってるからな。それにしても、一日前とはいえ何人かはもう集まってるな
   あそこで市長に挨拶してるのは佐倉神父か」

まどか「あっ、ほんとだ!杏子ちゃんのお父さんもう来てたんだ」

マミ「ひょっとして佐倉さんが来なかったのってお父さんに会いたくなかったからなんじゃ……」
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/02(火) 23:26:46.44 ID:Z326asRd0
サキ「ジムリーダーで来てるのは佐倉神父、秋山、アイリとユウリの二人、そして私か。プレイアデスも私達だけのようだな」

まどか「お店が忙しいのかな?」

サキ「立花も里美も自分の店が忙しいだろうから今日は来ないだろうな。ニコは……あいつは遅れてくる奴だ、間違いない」

まどか「あぁ……」

サキ「かずみ達は……来てもおかしくはないんだがな」

マミ「でもその会議って言うのは明日なんでしょう?ならいいんじゃないの?」

サキ「いや、まあ……そうだが……久しぶりに会うわけだからな」

みらい「それよりさあ、ミタキハラのジムリーダーは一体いつになったら決まるんだろうね」

さやか「え?休業してるだけなんでしょ?」

みらい「何言ってんの、今まで誰も姿を見たことないって噂だよ」

まどか「そうなの!?」

サキ「私がジムに就任したのは一年程前だが……その時にはすでにいなかったな」

まどか「誰も知らないのかな、その人のこと……」

サキ「いや、佐倉神父なら知ってるはずだ。私達よりずっと長くジムリーダーをしているからな
   名前も聞いたことはある」

さやか「そうなの!?」

サキ「確か――」

サキ「ジュゥべえ、と……そんな名前だったか」
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/02(火) 23:27:46.97 ID:Z326asRd0
まどか「なんだか変な名前だね?」

さやか「確かに!なんかQBみたいだね」

みらい「誰よそれ」

と、5人が談話している中、館長の「皆さま静粛に頼みますな」という声に伴って辺りは静まり返った。
まどか達も人混みに近づいてその様子を見ることにした。
館長がカーテンのかかった入口の前に立ち、左右に並んだ椅子にはナハトや秋山、グンマーポケモン協会会長や理事などお偉い方が座っている。

なお、まどかとみらいは必死に背伸びをしてギリギリ見える程度だった。

館長「本日はお忙しい中皆さまに来ていただいてありがたいですな!感謝以外あり得ない
   皆さま知っての通りシンオウ地方から非常に珍しい物が届いているんですな!そもそもなぜそんなことになっているかといいますと――」

館長の長々とした挨拶が始まり、集まった人々も次第にざわめき始めてくる。
さやかが3度目の欠伸を終わらせたところで、ようやく締めの挨拶に入った。

館長「それではここでグンマーチャンピオンのナハト・ワルプルギスさんにお言葉を頂きたいんですな」

ナハト「いいから早く!早く見せびらかせよう!」

館長「りょ、了解しましたぞ……それでは早速ご覧いただきますぞ!シント遺跡で見つかった『金剛玉』『白玉』『白金玉』ですぞ!」

館長が勢いよくカーテンをめくった。
白い布が地面に落ち、人々の前に三つの宝玉が晒され――

館長「……んん?」

なかった。

宝玉が置かれていたはずの台座のみが、ただぽつんとあるだけだった。

館長「こ、これは一体どういうことですかな!不手際以外あり得ない!!」

館長始め集まった人々も何が起こったのか分からず、どよめきは大きくなる一方である。
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/02(火) 23:29:53.42 ID:Z326asRd0
宝玉の霊圧が…消えた…?

すまない、ここまでなんだ
続きは近いうちに投下します

二日後→ベスト
一週間後→許して
一カ月後→スライディング土下座安定
二カ月後→死んでると思って
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/02(火) 23:30:39.37 ID:n+W4KJPDo
来てたー
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/03(水) 00:02:43.47 ID:MSHObsUUo
待ってたぞ乙
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/10/03(水) 08:57:30.60 ID:5LrBKllAO
前回から1ヶ月だからスライディングだな
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/03(水) 22:20:11.76 ID:qo2FNn1so
「まだか?」と言おうと思ってたら投下されてた乙
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:23:18.19 ID:sDTfLJbv0
???「はいはーい!お集まりの皆さんごちゅうもーく!!」

パンパンと手を鳴らす音と幼い声が響き渡り、皆声のした方、美術館の平屋根を見上げた。

???「お探しの品はこれですかぁー?」

屋根の上にいたのは、いつか見たブカブカのローブに赤いマントを羽織った、黒字にピンクのドット模様のマフラーとリボンを身に付けた、10歳くらいの少女。

かつてミタキハラシティで出会った少女だ。

さやか「シャルちゃん…?」

その少女が右手に掲げた先には、僅かに蒼く煌めく珠。

シャル「どうも!ウィッチ団の幹部シャルロッテと申します!お気軽にシャルとでも呼んで下さいねぇ!以後お見知りおきをば」

館長「な、何事ですかな!どうしてそれを持っているんですかな!」

???「なっ、なぜでしょうか、ね……」

シャルロッテの隣に現れたのは、花の様なつばの広がった丸っこい緑の帽子を被った12歳ほどの少女。
鮮やかな水色のおかっぱヘアからは、少々の寝癖が跳ねて見える。

なお、彼女自身は全力で声を挙げたつもりだったが、その声は群衆のどよめきにかき消されて誰の耳にも届いてなかった。

その少女もまた右手を高く掲げ、その先にはほんのりピンクの混じったパールホワイトに美しく輝く珠。

ポンペ「おっ、同じくウィッチ団……で、シャルちゃんの部下のフングリッヒ・ポンペ……以後お見知りおきをば」

マミ「あの子達、ウィッチ団よね?どうしてここに…?」

???「ギヒヒッ!そんでもって最後の1個がこれでしょ!」

その笑い声に、まどかとさやか、サキの体がピクリと反応した。

姫カットの藍色の髪を大きなリボンを結びポニーテールにした、少し和風チックな服装をしている少女。
彼女の手には、黄金のように光り輝く珠。

かつてまどかが絶対に許さないと決めた相手。

シズル「そしてボクがウィッチ団幹部のシズルちゃんだよ♪初めましての方々は以後お見知りおきをば!
    そしてこの街にいるのは知ってるんだぞ鹿目まどかぁー!美樹さやかぁー!」

まどか「シズルちゃん…!」
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:24:08.06 ID:sDTfLJbv0
マミ「あの子、ウィッチ団って言ったわよ……どういうこと?あの子って、鹿目さん達が言ってた悪い組織の子なんじゃ……」

サキ「……そういうことか」

気付いてしまった。

まどか達の敵が、誰なのか。

まどか「『Wの組織』って、ウィッチ団だったんだね……」

いつか、詢子にチラシを見せられた時によぎった疑惑。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まどか(ウィッチ団も『W』なんだ……ってまさかね。チャンピオンがいる、しかもサーカス団が悪いことするはずないもんね)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あの時気が付いていればどうなっていたか。
まどかは後悔せずにはいられなかった。

そしてもう一つ気付く、知りたくなかったこと。

みらい「ちょっと待ってよサキ!それじゃあナハトさんって……」

さやか「チャンピオンが、一番の大ボスってわけだ……」

まどか「なんで……ナハトさんが……」

まどかの頭の中はごちゃごちゃだった。

憧れのチャンピオンが、ジムリーダーのポケモンを奪わせ、ポケモン達のことをなんとも思ってない非道な行為を影でやらせていたことなど、信じたくなかった。
しかし、シズルが堂々とウィッチ団と名乗った以上、それは間違いないことだ。

公園でポケモン達を沈めたチャンピオンは強かった。

圧倒された。

いつか本当に戦いたいと思っていた。

しかしそのチャンピオンは、今にも大笑いしそうになっているのを、顔を歪めて必死に我慢していた。
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:25:02.76 ID:sDTfLJbv0
館長「ウィッチ団!?ナハトさん、これは一体どういことなんですかな!」

ナハト「んふっ、くくくく……」

ナハト「あーっはっはっはっは!あはっあははははははははははははああははははははきゃはあああぁぁっはっはっはあああ!!!
    くくくけけけけかはぁあああああああ!!あああはあはあははははははははっはっはっはっはっはっああははははっ!!!
    うっふふふふふふひゃはああひゃひゃひゃはあぁぁあーっははははははうけけけけけにゃーっはっはははははっはっ!!!」

街全体に届いたような不気味な笑い声が辺りを包んだ。

ナハトがひと息入れた時、博物館の周りはすっかり静かになっていた。

ナハト「レディーースエーーーンドジェントルメーーーン!!!本日は我が『ウィッチ団』の特別講演にお越しいただきまことにありがとうございます!
    ご紹介した我らの可愛い同志達が、シンオウ地方からの贈り物、三つの宝玉を頂きました……
    この宝玉、実はとんでもない秘密が隠されているのでございます!しかしながら大変申し訳ございませんが、皆さまにお教えすることは出来ないのでございます
    さて、堅苦しい挨拶はこの辺で終わらせて頂き、最高のショーをお楽しみいただきましょう!!」

パチンと指を鳴らすと、以前シズルを助けた白髪でボブカットの眼鏡をかけた幼い少女(名をステーシーという)がまず顔を出した。

続いて、身長の高さに反して痩せ細り、頬はこけ目の下にクマを作り青白い顔の、見るからに病弱さを醸し出している、
爆発したようなボサボサヘアが特徴の女性(名をズライカという)が大きな袋を息を切らしながら引きずってきた。

それと同時に、上空に巨大な飛行船が現れた。
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:25:29.87 ID:sDTfLJbv0
ズライカ「ぜぇ…はぁ……なんで私がこんなこと……」

ステーシー「さよならみんな……元気でね」

シズル「ばぁか!さっさと逃がせよそんな奴ら!」バシッ

ステーシー「あぅ……ばいばい!」

ズライカ「せぇい!」

袋から100個ほどのボールが一気に落とされると、ニャースとチョロネコが群衆の中に放たれる。

そして、追い打ちをかけるように飛行船からも大量のボールが投下され、様々なポケモン達が一斉に解き放たれた。

放たれたポケモン達は野生に戻ったように暴れ出して人々を襲い始め、博物館前は一気に阿鼻叫喚に包まれた。

秋山「ナハト!コレは一体どういうことだ!!」

ナハト「きゃははははっ!!ジムリーダーのみなさーん!早くこの場を収めないと大変なことになってしまいますよ!
    さあさあポケモンを沈めるジムリーダーの華麗なテクニックを御覧あそばせ!」

佐倉父「何を馬鹿なことを!いや、それより……上にいる少女は以前私達を襲いポケモンを強奪しようとした少女だ
    そして彼女は自らをウィッチ団の幹部と名乗った……まさか命令を出していたのがあなただったのか!」

ナハト「そうですとも!ほらほら、私などに構っておられず一般人を助けてあげてはいかがです?実はこっそりレベル上げてるので結構強いんですよ、このポケモン達」
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:26:29.95 ID:sDTfLJbv0
秋山「くっ……私の直感が告げている……今先に倒すべきはナハトの方だとね!!ニョロボン!」ボンッ

佐倉父「ケンホロウ!」ボンッ

二匹のポケモンがナハトに飛びかかろうとした寸前、

サザンドラ「ゴァァァァァ!!」 ヤミラミ「クケケ」

突如現れたサザンドラとヤミラミによって弾き飛ばされてしまった。

ナハト「あははっ!悪いねマリア、助かったよ」

マリア「……」

佐倉父「そこをどいて貰おうマリアさん」

秋山「うおおおおおおおもう一度突っ込めニョロボン!!」

マリア「……"りゅうのいぶき"、"パワージェム"」

サザンドラの攻撃がニョロボンと秋山に、ヤミラミの攻撃がケンホロウと佐倉神父に直撃し、あろうことか衝撃で人混みの外へと飛ばされてしまった。

震える館長達を尻目に、ナハトとマリアはサザンドラに乗って博物館の屋根に上った。
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:27:25.32 ID:sDTfLJbv0
―飛行船内―

パトリシア「全ポケモンの放流が終わりました。ステーシーが逃がしたポケモンも合わせて、およそ700のポケモンがマエバシシティで野生に帰りました」

エリー「うっし、これでアタイらの仕事は終わりね」

無線機を手に取り、その向こうにいる相手に一報入れる。

エリー「ハァーイげるるん、全部投下したわよー」

ルート『そう、了解したわ。後その呼び方はやめ――』

エリー「ナハト様にもよろしくねー」

ガチャッ

パトリシア「さてと、あとは合図があったらナハト様達を引き上げるだけですね」

エリー「いいなぁ、アタイも下に降りて惨状を確認してきたいわ」ウズウズ

パトリシア「モニターで我慢して下さい」

エリー「甘いわね!臨場感を味わうのがいいんでしょ!研究員なら生のデータを欲しなさい!」

パトリシア(面倒くさい……)
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:28:24.46 ID:sDTfLJbv0
―マエバシ博物館―

屋根の上には二人、新しい人影が増えていた。
美国邸にてメイドと庭師として織莉子を監視していたゲルトルートとローザシャーンである。

ここにいるということはすなわち、キリカが敗北に終わったことを意味している。

シャルロッテ、シズル、ゲルトルート、エルザマリア。

これでウィッチ団4幹部が全て揃ったことになる。

そしてその補佐をしているのが、フングリッヒ・ポンペ、ステーシー、ローザシャーン、ズライカである。

ルート「エリーから連絡がありました。全ポケモンの放流が完了したそうです」

ナハト「オッケー!キャハハ!後は逃げるだけだね」

シャル「バッチリお宝も頂いたよー!」

シズル「ギヒヒ!あいつら来るかな?来るといいなぁ!」

ポンペ「はっ、恥ずかしかったぁ……」

ナハト「それにしてもサンキューマリア!ジムリーダーの二人も飛んでったし、これでポケモン達の処理に回ってくれると嬉しいんだけどなぁ」

マリア「……はぁ」

ナハト「どったの?ため息なんか吐いてさぁ」

マリア「どうもこうもありません……聞いてませんよ!ポケモンをこんなに放つなんて!」

シャル「あれ?聞いてなかったの?」

ナハト「アハハ、マリア以外には伝えてたんだけどね。その方が慌てるマリアが見れて絶対に面白いと思ったんだよね!
    でもさぁ、結構冷静でつまんなかったな〜」

マリア「……はぁ……もういいです、過ぎたことですから。それで?これで宣戦布告とやらは終わりですか?」

ナハト「ノンノン!まだまだこれからだよ!マイクプリーズ」
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:28:59.76 ID:sDTfLJbv0
ナハト「さあさあ皆さんお楽しみいただいておりますでしょうか?ジムリーダーの皆さんも頑張っておりますねぇ」

実に楽しそうに、サーカスのショーをするように、ナハトは群衆に語りかける。

ナハト「近頃流行りのポケモンの大量発生……あれは実は我々の仕業だったのでございます!
    お楽しみいただけたでしょうか!?ただの野生のポケモンではございません。何とも力強いポケモン達なのでございます!
    皆さんは逃げ切れることができるのでしょうか!?」

ステーシー「あぁ、みんな倒されちゃう……」

シズル「いい加減にしなよ。どうせあんな弱いポケモン達を持ってたっていいことなんかないっての」

ズライカ「全くだ……あんなの疲れるだけだし……」

マリア「それはあなたの体力がなさすぎるだけです、ズライカ」

ポンぺ「けっ、結構人の波が広がっていってるね……」

シャル「避難してってるねぇ!でもま、その代わりポケモンもどんどん街の方に向かって言ってるけどね」

シズル「おぉ!あいつら見ぃつけた♪来るかなぁ、逃げるかなぁ……ギヒッ」

ナハト「おぉっとここでトネジムのアイリちゃんとユウリちゃんが見事なコンビネーションを決めてポケモンを倒し、皆さんを導いております!
    あぁっとしかぁーし!カザミノジムの佐倉神父は戸惑っているようです!こちらより皆さんの安全を気にされた方がいいですよぉ」

ルート「おや……」

ローザ「どうしたんスか姐さん?」

ルート「ナハト様、東側が騒がしいようです。様子を見に行きましょうか?」

ナハト「さあ果たして!このまま野生のポケモン達に街一つ壊滅されてしまうのでしょうか!?立ち向かえる強いトレーナーはいないのかぁ!?」

マリア「聞こえてないようですね……お願いしてもいいですか?」

ルート「了解です。行くわよローザ」

ローザ「合点っス!」

シャル「ポンぺ、あなたも行ってきていいよ。どうせ騒がしいの苦手なんでしょ?」

ポンぺ「うっ、うん!じゃあ遠慮なく……」

そうしてゲルトルート、ローザシャーン、ポンぺの三人が東側の偵察に向かった。

ナハト「ここまでたどり着いた猛者にはなんとぉ!ウィッチ団幹部が直々に相手して差し上げますよー!」

シャル「何それ!?今勝手に決めないでよ団長!私は早く帰ってお菓子食べたいんだけど!?」
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:30:00.81 ID:sDTfLJbv0
一方まどか達は騒ぎに巻き込まれて、目の前の襲いかかってくるポケモン達を倒している最中だった。

まどか「チャモっち"かえんほうしゃ"!」

さやか「ミジュか"シェルブレード"!」

マミ「気を付けて!数が多いうえに、この子達結構レベル高いわよ!」

みらい「任せて!シグマは"れいとうビーム"!ネモは"リーフブレード"!」

カモネギがネギの様な植物の茎を上に放り上げる。
そしてツンベアーの冷凍ビームが、茎を凍らせ、さらにその先に氷の刃を形成していく。

出来上ったのは、茎の部分が柄になっている、振り回すのが一際大変そうな巨大な剣である。

それをカモネギが手に取り、難なく振り回して向かってくるポケモン達を一掃した。

さやか「スゴっ!何その合体技!?ってかカモネギは持ってて冷たくないわけ!?」

みらい「平気平気、ネモは凍らないようにナナシの実を持ってるからね!さあもっと振り回せー!」

カモネギ「キャモー!」ブオン

サキ「……仕方ない。まどか、さやか、それとマミ!君達に頼もうと思う」
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:30:40.15 ID:sDTfLJbv0
まどか「な、何をですか?」

サキ「このパニックを沈めるのは私達ジムリーダーとプレイアデス任せてもらう。ポケモンを倒し、街の人間を安全な場所に誘導する
   だから君達には、あいつらを叩いてきてほしい」

さやか「ウィッチ団を、あたしらが!?」

マミ「そんな!私達が行くより浅海さん達が行った方が……」

みらい「何言ってんの!こういう時こそボク達プレイアデスの出番なんだよ!」

サキ「逃げてる人達も私達がジムリーダーだと知れば誘導に乗ってくれる。あいつらが逃げる前にぶっ飛ばしてきてくれ!」

まどか「……本当にいいんだね?」

サキ「あぁ、頼む。あいつらを止めてきてくれ」

静かに三人は頷く。

マミはフワライドの腕に座り、さやかはダイケンキに跨り、まどかはバシャーモの背中に乗った。

まどか「行ってチャモっち!」

三人と三匹が博物館の屋根を目指した。
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:31:30.69 ID:sDTfLJbv0
サキ「さてと……シママ、お前達は他のジムリーダー達にこの騒ぎを収めることに尽くせと伝えてくるんだ
   このメールを持たせる。頼んだぞ!」

シママ's「ヒヒーン!」パカラパカラ

サキ「マルマイン!」ボンッ

マルマイン「マルルルル」

サキ「新入りだが頑張ってもらおう。みらいと一緒にこいつらを蹴散らしてこい!」

みらい「サキ!ここはボクに任せて街のみんなを!」

サキ「あぁ!いくぞゼブライカ!」


〜〜〜〜〜

佐倉父「皆さん、どうか落ち着いて!こちらに避難して下さい!!」

佐倉父「ムッ?これは、サキちゃんからの伝言……」

〜〜〜〜〜

秋山「ヌムゥ、やむを得ん!ここはあの三人に任せてみようではないか!私の直感もそう告げていたところなのだぁ!」

〜〜〜〜〜

アイリ「だってさユウリ。どうする?」

ユウリ「正直あの子らに何か出来るとは思えないけど、アタシらはアタシらに出来ることをやるだけだよ!」

〜〜〜〜〜
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:32:12.61 ID:sDTfLJbv0
人とポケモンの波をかき分け、バシャーモとダイケンキが博物館の入口に辿り着いた。
すでにマミとフワライドは到着していた。

まどか「跳んでチャモっち!」

???「ま、待ちなさい!」

さやか「なっ、誰なんですかあなた!早く非難して下さい!それにあたし達急いでるんですよ!!」

久臣「私は美国久臣。上は危険だ、やめた方がいい」

まどか「美国ってことは、織莉子さんのお父さん……」

久臣「娘を知ってるのかね!?」

まどか「はい……そういえば、織莉子さんはマエバシで大事件が起こるって言ってました
    多分、このことを予知していたんだと思います」

久臣「なんと……なら、どうして連絡をしてくれなかったのだ……いつも気になることがあればすぐに連絡をしてくれるのに……」

さやか「確か、昨日は電話がブッツリ切れて、それから全然繋がらなくって……」

マミ「ちょっと美樹さん!」

久臣「まさか、娘の身に何か起こったのか…!?しかし、一体何が……」

さやか「あっ……ご、ごめんなさい……」

そこでふと思い出す、先日織莉子から掛かってきた電話の内容。

『チャンピオンに気を付けて』

織莉子はこの事件が起こることを知っていた。

そしてあの忠告をしてきたということは、即ちまどかの身に危険なことが起ころうとしているのだろう。

久臣「とにかく危険だ!ここはジムリーダー達に任せて君達は逃げなさい!」

まどか「ごめんなさい……美国さんだけで逃げて下さい」

しかし、立ち止まることはもう出来ない。

まどか「それでも、私達は行かなきゃ駄目なんです」
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:33:00.13 ID:sDTfLJbv0
シャル「うんうん、その勇気に免じて相手してあげるよ」

身軽に体を捻らせながら、シャルが飛び降りてきた。
着地は見事に決まり、してやったりといった顔でまどか達の前に現れた。

シズル「ハロー鹿目まどか!美樹さやか!会いたかったよー♪」

続いてバルジーナに乗ったシズルが着地。
ニヤニヤと獲物を前にした猛獣の如くまどか達を睨む。

マリア「ナハト様の思い付きに付き合わされるのもいつものことですが、少々面倒ですね」

そしてサザンドラに乗ったマリアも降り立つ。
黒縁の眼鏡をかけ、その奥の黒い瞳は静かにまどか達を見据える。

マリア「先程ナハト様が言われていた通り、ここに辿り着いたということなので私達がバトルしてあげましょう
    どうぞお好きなように挑んできて下さい」

シズル「待った待ぁった!まどかとさやかはボクにやらせてよね!色々恨みがあるんだからさぁ♪」

マリア「それでは私が来た意味がありません。どちらかは譲ってもらいます」

シズル「なんだよどケチ……じゃあまどか!あんたを最初に片付けてあげる!」

シャル「それじゃあ私はあっちの黄色いお姉ちゃんにしよっかなぁ。なんかおっきくてムカつくし」

マリア「では私は美樹さやかということで」

マミ「……随分と勝手なんですね、あなた達」

まどか「どいて下さい。ナハトさんに話があるんです」

マリア「何を話すことがあるというのですか。あなた達とは一度や二度お会いした程度ですよ」

さやか「それがなんだってのよ!こちとらそこのシズルって奴に酷い目に遭わされてんだからね!言いたいことは山ほどあるっての!!」

シズル「なんだいなんだい、粋がっちゃってさぁ。いいじゃん、さっさと始めようよ……それであたしらぶっ飛ばして会いに行けばいいじゃん♪」

シャル「まっ、それは無理なんだけどね!」

さやか「くっ……ナメるんじゃないわよ!」ボボンッ

マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」ボボボンッ

まどか「みんなお願い!」ボボンッ
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:34:59.25 ID:sDTfLJbv0
不服ながら、幹部の三人を倒さなければ先に進めないと分かったまどか達は、各々の相手と向き合う。

―マミside―

シャル「いやぁ、それにしてもお姉ちゃんが相手でよかったよ!お姉ちゃん一番強いみたいだし」

マミ「それはどうもありがとう……シャルちゃんよね?邪魔をするっていうなら子供でも容赦しないわよ」

シャル「あれれ?ひょっとしてお姉ちゃん私に勝てると思ってるの?クスッ、それならそれで楽しませてもらおうかな」ボボンッ

シャルはケラケラと笑いながらボールからゴンベ、ミルホッグ、ハブネークを繰り出す。

マミは既にポケモン達を全て出し終えている。

シャル「わーぉ!色違いのマリルリじゃん!」

マミ「進化したあなた達の強さ、ここで見せてあげましょうカメーレ!メリーレ!ツボーレ!」

マミの手持ちで未進化だったカメールとモココ、マダツボミも、ジムを巡り終えて遂に最終形態のカメックス、デンリュウ、ウツボットに進化したのだ。

シャル「いいなぁ、色違いのマリルリ欲しいなぁ!強くなくても観賞用になるしね!」

マミ「っ……人のポケモンをそんなことに使わせるもんですか!ミルーレ"ころがる"!フワーレ"シャドーボール"!」

シャル「こっちもいっくよぉー!ゴンベ"ころがる"!ハブネーク"ヘドロばくだん"!」

ミルタンクとゴンベ、二体の攻撃がぶつかり合う。
フワライドとハブネークも互いに攻撃をヒットさせていく。

実力はほぼ互角、しかし仕掛けるのが早かったのはシャルだった。

シャル「"ベノムショック"!」

ハブネーク「シャァ!」ドムッ フワライド「ワッ!」

マミ「なっ…戻ってフワーレ!」シュパン

マミ("ヘドロばくだん"で毒状態にしたのを確認してすぐの"ベノムショック"……それに効果がいまひとつでも倒しきれる攻撃力……本当に侮れないわね)
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:35:50.58 ID:sDTfLJbv0
マミ「マリーレお願い!」

シャル「いいよミルホッグ、ボコボコにしてきちゃえ!」

アクアテールとアイアンテールが交差する。
素早いミルホッグのけたぐりや噛みつき攻撃に翻弄され、なかなか持ち前のパワーを生かした攻撃を当てることが出来ない。

そのうち、激しくぶつかり合っていたミルタンクが弾き飛ばされ、マミのもとに戻ってきた。

ゴンベは再び転がり始め、マミ達に狙いを定める。

このまま攻撃を仕掛けるだけではきっと勝てないだろうとマミは判断する。

マミ「だったらメリーレ、ツボーレ、この間考えた作戦でいくわよ!」

シャル「何が来たって無駄無駄!"たたきつけろ"ミルホッグ!!」

マミ「レガーレ!」

シャル「!?」

マミ「ヴァスタアリア!」

ウツボットの蔓がミルホッグとゴンベを素早く捉えて拘束し、地面に叩きつける。

マミ「ダンサデル……」

シャル「なっ、なんなのよそれ!」

マミ「マジックブレッド!!」

敵の中心地に飛び込み、デンリュウのパワージェムと放電を合わせた全方位攻撃が炸裂した。
ゴンベとミルホッグは大ダメージを受け、さらにハブネークは麻痺してしまったらしい。

マミ「ティロ!」

シャルはマミの出す命令の意味が分からず、一瞬指示を出すのが遅れた。

マミ達の間で分かる合図を取り決め、技の狙い≪エイム≫と発射≪ファイア≫を行い相手に行動を読ませない。
それこそがマミの考えた作戦であり、8つのジムを勝ち抜いてきた強さの秘訣だった。

マミ「フィナーレ!!」

カメックスとマリルリのハイドロポンプが見事に三体に命中し、ハブネーク以外を瀕死に追い込んだ。
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:36:34.02 ID:sDTfLJbv0
シャル「なっ……」

マミ「どうかしら、これであなたのポケモンはほとんど戦闘不能よ」

シャル「ひゃー、こりゃ凄いね!お姉ちゃん結構やるじゃん!」

マミ「さあ、そこをどいて貰えるかしら?」

シャル「なんでそんなに強いの?正直、ちょっとびっくりしちゃった」

マミ「いいからそこを――」

シャル「でも」

今までの笑顔とは違う、狂気に取りつかれた笑みをニヤリと返す。

シャル「まだ終わってないんだよねぇ」

倒れていたはずのミルホッグが直立し口を開けると、そこから斑点模様の眩しい長い蛇の様なものがうにょりと飛び出し、瞬く間にカメックスの前に迫った。

シャル「"かみくだけ"、ハンテール」

完全に攻撃を決め油断しきっていたマミもカメックスも、虚を突かれたその突然の攻撃に対処することができなかった。

なすがまま、カメックスは頭部に攻撃を受け、追撃のアクアテールが腹部に撃ち込まれ、甲羅から倒れていった。

さらに続けてハブネークがマリルリに迫り、毒毒の牙で毒を浴びせられると噛みつきによる連撃でマリルリもダウンしてしまった。

マミ「カメーレ!マリーレ!」

シャル「ゴンベ"のしかかり"!ミルホッグ"たたきつける"!」

マミ「なっ!?」

いつの間にか傷が完全回復しているゴンベ達も攻撃に加わり、戸惑っていたウツボットとデンリュウ、そしてミルタンクを三体まとめて戦闘不能に追いやってしまった。

完全に形勢は逆転してしまった。
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:37:54.69 ID:sDTfLJbv0
マミ「そんな、どうして……」

シャル「んふふ〜、なんででしょう……"だくりゅう"!」

マミ「ッ!!」

ハンテールの濁流によって、ポケモン達諸共マミも押し流されてしまった。
泥に埋まり体も動かせない状態だ。

マミ(なんでミルホッグの口の中からハンテールが……それに傷が回復したってことは、どこかで回復アイテムを使ったはず……)

シャル「うーん、せっかくだから貰っちゃおうかなぁ、あのマリルリ……でも弱かったしいらないかなぁ」

マミ(そういえばミルホッグは確か……)

マミ「なるほど……ミルホッグのほほ袋にボールを入れてたのね。それだけじゃなく、多分回復アイテムも……完全に隙を突かれわ」

シャル「ん?そうだよぉ!勝負に勝つには隙を突くこと……相手が隙を見せないんなら、油断させてこっちが作ってやればいいだけの話だよね」

マミ「くっ……体が、泥のせいで……」

シャル「そっか、泥の中から掘り出さなきゃ駄目なんだ……んじゃあ面倒だしいらないや!それより今日は何食べよっかなあ」

マミ「まっ、待ちなさい!まだ勝負は……」

シャル「うるっさい……もっかい"だくりゅう"!!」

逃げられなかったマミは泥水にまみれ、息継ぎすることもできず遂には気を失ってしまった。

シャル「私は強いポケモンが欲しいの!お姉ちゃんの弱いポケモンなんか色違いでもいらないんだよね!!」

その言葉はもうマミには届いていなかった。
そのことに気付いたのか、懐から飴を取り出して口に放り込み、シャルは帰って食べるお菓子のことを考え始めた。
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:38:36.97 ID:sDTfLJbv0
―さやかside―

さやか「行くよみんな!」

手持ちのポケモンを全て繰り出し、全員に突撃させるさやか。

しかしマリアは冷静にポケモン達の様子を眺め、呆れに近いため息を吐く。

マリア「たった四体、しかもどのポケモンもさほどレベルは高くないといったところでしょうか……サザンドラだけで十分ですね」

さやか「"シェルブレード"!"はっけい"!!」

ダイケンキとリオルがサザンドラに飛びかかるが、両腕の頭が牙をもって防ぐ。

腕が塞がったサザンドラの正面からマイナンとナックラーが攻撃を仕掛けるものの、中央の頭部からの竜の波動が放射され、揃って吹き飛ばされてしまった。

噛みついていた両腕を振り回し、ダイケンキとリオルも吹き飛ばされた。

さやか「みんなっ!大丈夫!?」

マリア「ぬるい……つまらないですね。他の二人はそこそこの戦いをしているというのに」

さやか「っ……それがなんだってのよ!マイか"てだすけ"!!ミジュか"エアスラッシュ"!」

マリア「"りゅうのはどう"」

手助けを受けてのパワーアップしたエアスラッシュが激しい波動と激突し、中ほどまで切り裂いたところで、相殺されてしまった。

さやか「まだまだ!"みずのはどう"に"ほうでん"!!」

水と電気を組み合わせて威力を挙げる作戦だった。
しかしまたしても両腕からの火炎放射によって打ち落とされてしまう。
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:40:22.60 ID:sDTfLJbv0
さやか「今だリオすけぶん投げろぉ!」

飛び上がったリオルが、今まで何度もそうしてきたように、右手に乗せたナックラーをサザンドラの頭部目掛けて一投。
ナックラーの強力な顎での噛みつき攻撃が見事にヒットした。

が、

マリア「その程度では倒されませんね」

容易く振り落とされてしまった。

さやか「いいんだよそれで……"れいとうビーム"!」

ダイケンキから目を離したサザンドラが瞬く間に氷漬けにされてしまった。

そしてすぐさまダイケンキが駆け寄り、マリアの喉元にアシガタナを押しつける。

これには流石のマリアも少し驚いたようだ。

マリア「なるほど、四体もいれば一匹くらいは動きを止めることが出来るようですね」

さやか「これで大人しくどいて貰いますよ!す、少しでも動いたらあなたの喉が傷だらけなんだから!」

マリア「ですが、やはりまだまだですね……」ボボンッ

さやか「あっ!」

一瞬にしてマリアは距離を取った。
ボールからポケモンを繰り出すことによって、突きつけられたアシガタナを弾き飛ばし引かせたのだ。

出てきたのはヤミラミ、ソルロック、ドダイトスだ。

マリア「脅しをかけるのなら敵に密着するのはやめたほうがいいですよ。逃げて下さいと言ってるようなものですから
    せっかく残りのポケモンを見せてあげたのですから、少しは楽しませていただけるんでしょうね?」

さやか「……そりゃ確かに、あたしはそんなに強くないよ……馬鹿だし、マミさんには全然及ばないし、まどかみたいにセンスなんてない
    多分幹部の中で一番強いあなたにも、勝つのは難しいと思う……」

マリア「ほう……自分のこと、それに私のことも分かっているみたいですね。ではこの戦いも無意味だと――」

さやか「それでも!」

声を荒げて、否定する。

さやか「あたしは自分のポケモンが馬鹿にされたのにそのまま黙っていられないの!!」
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:41:44.66 ID:sDTfLJbv0
イツ砂漠で、いつだったかシズルが言った言葉。

『弱いポケモンとして生まれてきたことがもう既に可哀相』

そんなはずない、と。

才能なんかなくたってきっと生まれてきた意味があるんだ、と。

さやか「弱いとか、強いとか、そんなのどっちでもいいよ……あたしはこの子達と一緒に戦えたらそれだけで十分なんだよ
    だからあたしの嫁を馬鹿にする奴は許さない。何度負けたって、必ずあんたらをぶっ飛ばすって決めたの」

マリア「……いいでしょう、そこまで言うのなら二度と挑む気になれないよう全力で叩き潰してあげます。いつまでそうしているんですかサザンドラ」

パキパキと音を立て、サザンドラの周りの氷が崩壊していき、六枚の羽根を羽ばたかせて復活する。

跳ねまわるヤミラミも、空中でくるくる回るソルロックも、背中の大木を揺らすドダイトスも、久々の本気を見せられると意気込んでいる。

さやか「負けるかぁ!!」

マイナンがスパークで立ち向うも、影討ちが下から何発も襲いかかりヤミラミに触れることなくダウン。

ナックラーは穴を掘って地面の真下からソルロックに噛みつこうとしたが、浮遊しているソルロックは静かにそれを見届け炎の渦にナックラーを閉じ込めた。
渦が収まる頃には、ナックラーは意識を失っていた。

リオルも上から拳を叩きこもうとしたが、ドダイトスの成長を使った木に阻まれ、そのまま攻撃力の上がったウッドハンマーを打ちこまれて戦闘不能になった。

さやか「ミジュか!」

アシガタナを腕の頭に抑えられたダイケンキは、至近距離からの竜の波動を急所に受け、さやかと共に吹き飛ばされてしまった。

地面に突っ伏した二人は、立ち上がれぬほどボロボロだった。

マリア「あっけない……これで終わりですね。ナハト様の計画に支障は許されません」

さやか「がはっ……まっ、まだ……まだっ……」

マリア「先程言いましたね。何度負けたって私をぶっ飛ばすと……人によっては勇気と呼ぶかもしれませんが、あなたの場合はただの無謀で愚かなだけです
    この実力差を見たら、流石に分かるでしょう。あなたの行為はただあなたの言う嫁とやらを傷付けているだけです」

さやか(そっか……あたしが意志を貫こうとした分、それだけみんなを傷付けてるだけなんだね……ごめん……あたしって、ホント馬鹿……)

さやかの意識はそこで途絶えた。
その様子を確認したマリアは、ナハトの計画が無事に終わることを祈ることにしたのだった。

もっとも、そんなものなくとも問題ないだろうとも思っていたが。
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:42:34.28 ID:sDTfLJbv0
―まどかside―

シズル「ギヒヒヒ♪やっぱりさぁ、砂漠で一番邪魔されたって思ったのはまどかなんだよねぇ!あんたの時間稼ぎとか結構頭キタんだよぉ?」

まどか「……どいてシズルちゃん。私はあなたと無駄な戦いはしたくない」

シズル「無駄?何が無駄なのかな?ボクを倒さないとナハト様に会えないんだよ?だったら無駄なわけないよねぇ?」ギヒヒ

まどか「ピピっち、カチっち、トゲっち……お願いがあるの」

三匹に耳打ちをし、話を付ける。
静かに頷くと、三匹は戦闘態勢を取った。

唯一バシャーモだけは、まだ戦う様子を見せない。

シズルはドククラゲが毒の包囲網を作り、バルジーナが上空を警戒、ドクロッグとベロリンガが正面からの攻撃に備えている。

まどか「"つぼをつく"だよ!」

シズル「ッ!」

マラカッチはひたすらに、滅茶苦茶にピクシーとトゲピーのツボを押さえていく。

時々二匹がピクリと反応するのは、能力がアップしている証拠である。

シズル「面倒なことを……ドククラゲ"どくづき"!」

地面に伸びた触手がマラカッチに襲いかかり、後方へ吹き飛ばした。

しかし、それをバシャーモがガッツリと受け止め、再びツボを突く作業に戻る。

シズル「まだまだ!もっと"どくづき"!ドクロッグ、お前も行ってこーい!!」

何本もの触手に加え、ドクロッグも走って三匹を狙う。

その攻撃を避けるでもなく、ただ黙って受けた。
マラカッチは尚もツボを突き続ける。

何かアクションを仕掛けてくると思っていたシズルは、その隙を狙ってひたすら毒突きを浴びせまくった。

既に三匹の体には毒がまわり、このまま何も出来ずに倒れ込んでしまうかもしれないところまで来ていた。
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:43:43.09 ID:sDTfLJbv0
シズル「馬っ鹿じゃないの!そのままくたばれぇ!!」

まどか「今だよ二人とも!"アシストパワー"!!」

能力をアップさせたピクシーとトゲピーは、全力のアシストパワーを目の前のドクロッグとドククラゲにぶつけた。

至近距離であったことや、触手が地面に刺さっていたことから逃げられなかった二匹は、一撃にして戦闘不能になってしまった。

シズル「なっ!?こいつ、これを狙ってたのか!」

まどか「もう一回"アシストパワー"!」

ピクシーの攻撃がベロリンガに襲いかかり、またしても一撃でダウンした。

レベル差において普通に戦っては勝てないと判断したまどかは、シズルのポケモンを高威力の技で一撃で倒すしかないと考え、三体に託したのだった。

残ったバルジーナは呆気なくやられた三匹を見ながら戸惑うしかない。

シズル「ハッ!ちょっとびっくりしたけど、バルジーナにはエスパー技は効かないんだよ!そいつらが毒でくたばるまでここで――」

まどか「行くよチャモっち!"こうそくいどう"!!」

遂にバシャーモが走り出した。
手首から炎を噴出し、その勢いを加速させる。

そして飛び上がったバシャーモはバルジーナを踏み台にし、そのまま博物館の平屋根へと跳び移ったのだ。

シズル「しまった!追えバルジーナ!ナハト様のとこまで行かれちゃっただろ!」

ピクシー「ピピィッ!」 マラカッチ「カッチャー!」 トゲピー「チョゲッ!」

シズル「――ッ!?」

地面に墜落してしまったバルジーナは、パワーアップした三匹の攻撃に耐えられるはずもなく、連続攻撃の前に成す術なく崩れ去った。

かくして、まどかはシズルを下し正当にナハトの前へと辿り着いたのだ。

シズル「うっ……嘘でしょ……」
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:44:47.64 ID:sDTfLJbv0
やがて、全ての戦闘が終わったらしくマリアとシャルがシズルのもとに合流した。

シャル「あらら、負けちゃったの?」

マリア「それでもウィッチ団幹部ですか……」

シズル「それは前も聞いたよ!くっそぉーまどかめぇ……」

マリア「まあ、上に登ったところで私達の部下もいますし、ナハト様と話すことはないでしょう」

シャル「そこんとこは安心だよね!」

シズル「フン!もういいよ……それよりさやかは!?美樹さやかはどうなったの!?」

マリア「あそこで気を失っています。それが何か?」

シズル「いやぁ、ちょっとした仕返しだよ仕返し…趣のあるようなことをね……ギヒヒ♪」
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/05(金) 02:45:59.14 ID:sDTfLJbv0
シズルが下卑た笑いをしている頃、まどかは博物館の上でいよいよナハトと対面したいた。
周りにいるステーシーとズライカは眼中にないらしい。

まどか「お久しぶりですナハトさん……」

ナハト「アハハハ!おめでとう鹿目まどか!!ここまで辿り着いたのは君が初めてだよ!」

まどか「今すぐこの騒ぎを収めて逃がしたポケモン達を保護して下さい……」

ナハト「いやいや、それは無理な話だよ。だって、逃がしたポケモン達はみーんな強くないんだもの」

まどか「ふざけないでください!!」

ナハト「……怒ってる?なんで?」

まどか「こんなの、ポケモンのことを考えない最低な行為です……自分達の都合だけでタマゴを産ませて、それで強い子だけ選んで他の子は用済みなんでしょ……
    なんでそんな酷いことができるんですか……?ポケモンだって生きてるんですよ!?」

ナハト「……ねえ鹿目まどか、私はね……弱いポケモンとトレーナーに価値はないと思ってる」

まどか「そんなの変だよ!こんなの絶対おかしいよ!!」

ナハト「んー……あんまり話しこむようなことはしたくないし……せっかくだから、バトルで話を聞いてあげようかな」スッ

その手にボールを構えた。

今だ見たことのないナハトのポケモンに、まどかは少しばかりの恐怖を覚える。

しかし、引くことは出来ない。

まどか「そのバトル、私が――」

――その必要はないわ

まどか「!?」

ナハト「アハッ!」ニヤリ

どこから現れたのか。

まどかの言葉を遮ってゆっくりとナハトの後ろに降り立ったのは、一人の少女。

長い髪をなびかせ、少し冷めたような眼はナハトをじっと睨みつけ、そっとまどかを見つめる。

モンスターボールを構えた彼女は、静かに唇を動かす。

ほむら「お前を倒すのは、私」

まどか「ほむら、ちゃん……?」
790 :<(  )>三 [saga]:2012/10/05(金) 02:55:25.60 ID:sDTfLJbv0
ちょっと中途半端感はあるけどここまで
三日後になっちゃったからベストではなかったがベターな感じで許して

シャルとシズルのキャラが若干似通っている気がしてならない
ステーシーとポンペも似ry
マリアとルートもry

分かりにくいとかでウィッチ団のキャラ説明的なものが必要ならまとめますが、いらないならまとめません


次の投下は多分スライディング土下座安定な期間開くと思う

それでは
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/05(金) 07:59:26.35 ID:QI2NrINDO
そんなの絶対おかしいよ!
結構楽しみにしてたのに…ちなみに二ヵ月空いたら落ちるから気をつけてね
もしそうなったら許さない!絶対にだ!焼き土下座でもしてもらう
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/05(金) 07:59:28.03 ID:0c1wMld/o
おつ!
アツイねぇ
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga sage]:2012/10/05(金) 09:19:53.61 ID:sDTfLJbv0
あかん、ちょっと描写不足というか説明不足なところがあった

>>787
遂にバシャーモが走り始めた。

遂にバシャーモがまどかを背負って走り始めた。

二人揃って屋根に跳び移ったということで…
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/10/05(金) 14:47:16.43 ID:OO632zWAO
ピカチュウ!!みだれひっかきをかわして>>1に乙だ!!

さて、さやかも途中で魔女化するがナハトの手中に収まってまどかとバトルするのかなぁ?

当たっててもナイショダヨ!!
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/05(金) 15:00:44.14 ID:FA7/VVtY0
結局マミさん(のポケモン)はマミる運命なのか?
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/10/05(金) 15:06:25.83 ID:Tm0cuslRo
オクタヴィア来るか

おtu
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/05(金) 21:13:13.81 ID:3X8OY9dEo
また生殺しか
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/05(金) 23:09:37.22 ID:kfUYEy/2o
乙 
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/10/09(火) 22:14:19.33 ID:Rrq0GcvAO
ようやくほむほむのおでましか…
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/12(金) 19:44:36.34 ID:F+VwYj7D0
ポケモンを道具みたいに扱うなんて…!お前ら人間じゃねえ!!!!
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/12(金) 19:52:55.13 ID:F+VwYj7D0
許さんぞ!人間のクズめ!
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/10/12(金) 21:58:23.76 ID:dguQc12AO
はたしてこの中に何人ウイッチ団の所業をした奴がいるのやら。厳選がいるってことはまさか乱数の真似事する魔女はおらんよな?

モノズで5ボックス埋めて全部野生に帰しましたサーセンwwww
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/12(金) 23:34:48.91 ID:F+VwYj7D0
ミタキハラ公園の事件は貴様の仕業か!

ハチクさんこっちです!
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/13(土) 02:49:01.61 ID:fKHyeV+Qo
でも殺処分せず逃がすだけまだ良心的だよね
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/13(土) 08:20:39.91 ID:adlCMTPR0
ポケモン大量生産する時点で良心的もクソもないだろ
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/15(月) 15:32:47.55 ID:+NR+FNdlo
逃したら2年後見事に初期町付近が強敵だらけになりました
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/18(木) 12:45:39.79 ID:3VQdaw810
生態系メチャクチャになっとるやないか
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:28:36.61 ID:Cg0cJiAi0
ナハト「来たんだね、暁美ほむら」

ほむら「久しぶりねワルプルギス」

ナハト「キャハハ!その名前で私を呼ぶのはどこに行っても君だけだよ」

ほむら「あらそう……他の呼び方には慣れてないの」

ナハト「ふーん?ま、どっちでもいいんだけどさ」

まどか「なんでほむらちゃんがここにいるの!?それに、倒すって……」

ほむら「……まどか、あなたは手を出さなくていい。私はこいつを倒さなければならないの」

ナハト「ンフフフ!少しは強くなってきたのかな?」

ズライカ「……あのぅ、私らはどうすれば……」

ナハト「あぁ、好きにしてていいよ」

ステーシー「適当すぎます〜……」

ナハト「すまないね鹿目まどか、せっかくなんだけど私は暁美ほむらの相手をするよ」

まどか「……チャモっち、行くよ」

ズライカ「いやいやいや、そうはいかない」ズィッ

ステーシー「ナハト様があぁ言ったのでここを通すわけにはいかないです!」

そう言うとズライカはボールからヤミラミとゴーストを、ステーシーはペルシアン、一匹ずつ残しておいたニャースとチョロネコを繰り出す。

一方まどかはピクシー達を下に置いてきたため、バシャーモ一匹しか手持ちにいない。

ズライカ「"シャドーボール"」

ステーシー「"きりさく"です〜」

しかしそんなことは何のハンデにもならない。

まどか「"はじけるほのお"!」

一撃でシャドーボールをかき消し、飛び散った炎に驚いた残りのポケモン達の間を低空飛行で突撃!

まどか「"ブレイブバード"!!」

一瞬にして、まどかとバシャーモは二人のポケモン達を倒してしまった。
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:29:33.81 ID:Cg0cJiAi0
ズライカ「……あら」

ステーシー「お、終わりですか〜?」

まどか「どいてください。ナハトさんを止めなきゃだめなんです」

呆然とする二人を余所に、バシャーモと共に歩を進める。

ほむらと向き合っていたナハトは首を傾け振り返ると、少し意外そうに笑った。

ナハト「ワォ!もう終わっちゃったの?流石ここまで来ただけあるね」

まどか「じゃあ、私と勝負を――」

ナハト「いやぁそのことなんだけどさ!君よりもっと面白そうな相手がここにいるからさ!!」

まどか「それって、ほむらちゃんのことですか?」

ナハト「そうなんだよ!悪いね鹿目まどか、君との勝負はお預けだ」

それだけ言うとまどかに背を向け、一切見るそぶりを見せなかった。

まどか「……私のことなんか見てもないんですね……だったら――!!」

まどかの合図でバシャーモが素早くナハトの背後から襲いかかった。

ナハト「……うるさいなぁ」

しかしナハトは後ろを見ることもせず、ボールからポケモンを繰り出しバシャーモとがっぷり四つに組ませた。

まどかが初めて見るポケモンだった。

ナハト「投げ飛ばせ、トルネロス」

トルネロスと呼ばれたポケモンは全身に風を纏い始め、その身を回転させながらまるで竜巻のようになると、バシャーモをまどかに向けて放り投げた。
ブレイブバードで自身もダメージを追っていたバシャーモを投げることは容易い。

まどかは当然受け止めることも出来ず、二人揃って弾き飛ばされ地面に倒れ伏した。
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:30:56.12 ID:Cg0cJiAi0
ほむら「まどか!」

まどか「あぐっ……」

ナハト「私の楽しみを邪魔するのなら容赦しないよ……"エアスラッシュ"」

トルネロスの振るった手刀から空気の斬撃が飛び、屋根に亀裂を入れる。

ナハト「その線からこっちに来たら、次はないよ?アハハ」

まどか「はぁ…はぁ……」

ほむら「まどか、ここは私に任せて。あなた達にこれ以上無理をさせるわけにはいかない」

ナハト「そういうこと……せっかくのバトルなんだ、楽しくいこう!ルールは公式通りでどうかな?」

ほむら「シングルバトル、交代自由、持ち物以外のアイテム使用禁止、技制限四つ……好きにするといいわ」

ナハト「よし……ついでに一つ嗜好を凝らしてみようじゃないか。ここで暴れるのは流石に私も気が引けるしね」

懐からリモコンを何やら操作すると、上空に待機していた飛行船の底部が開き、黒塗りの床が歯車の回る音と共にゆっくりと降下してきた。
見上げる位置にあるそれは、博物館の屋根よりは狭いが、一般的なバトルフィールドと同じ大きさをしている。

ナハト「この上でやろう。多少のバトルなら問題ないし、誰にも邪魔はさせない」

訝しげなまどかを余所に、ナハトは嬉々としてほむらを促す。

それに答えるようにほむらはウォーグルをボールから出し、背中に飛び乗った。

ナハトもトルネロスに抱えられ、二人は空中の闘技場を目指した。

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「大丈夫、まどかはそこにいて」
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:32:25.07 ID:Cg0cJiAi0
―ほむらside―

降り立ったフィールドには二人きり、ただ強い風が吹き抜ける。

ナハト「さぁ、始めようよ暁美ほむら!」

ほむら「ぐるぐる、お願い」

ナハト「いいよトルネロス、行って来い!風の化身よッ!!全てを薙ぎ倒す旋風となれッ!!」

ウォーグルとトルネロスが対峙し、風はますます強くなる。

ほむら「"ブレイククロー"!」

ナハト「"アームハンマー"」

トルネロスの腕を鍛え上げられた翼で受け止める。
鋭い爪を持ったウォーグルの肢は、トルネロスの体に大きな傷を付けた。

ナハト「なるほど?"あくのはどう"!」

ほむら「"エアスラッシュ"」

至近距離から放たれた互いの攻撃は、斬撃が黒い衝撃波を打ち破りトルネロスを襲った。

そして距離を取ったウォーグルの体が光に包まれていく。

ナハト「ありゃ!?まさか撃ち負けるなんてね……だけどこれに耐えられるかな!?"ぼうふう"!!」

尻尾からエネルギーが噴き出し、周囲の風を集める。
それは大嵐となり、力を溜めているウォーグルに襲いかかった!

ほむらは吹き飛ばされそうになるが、どうにか堪えて風が収まるのを待った。

やがて乱れた髪を掻き揚げ、光に包まれたその姿を確認して静かに口を開く。

ほむら「"ゴッドバード"」

黄金に輝くウォーグルがトルネロスに襲いかかる!

その身を守る暇もなく、弾き飛ばされたトルネロスは、闘技場から落ちる前にナハトのボールに戻された。

ナハト「キャハハハ!まさかいきなりそんな大技で来るなんてね!イッシュ地方だと伝説って言われてるポケモンなのにねぇ」

ミタキハラ公園でマミとほむらがバトルをしていた時。
ウォーグルが放ったゴッドバードは不完全な状態であったが今回は違う。

正真正銘、全力のゴッドバードだ。
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:33:15.46 ID:Cg0cJiAi0
ほむら「ウォーグルの特性は『ちからずく』よ。さっきまでの技は全て威力が上がっているわ」

ナハト「だよね〜?じゃなきゃあそこまでやられるわけないもんね!あーあー、もっと見せたい技が一杯あったんだけどなぁ」

ほむら「さあ、次のポケモンを出しなさい」

ナハト「ンフフ……もう出してたりして」ニヤリ

その瞬間視界が歪み、辺りに星が煌めく夜空が広がった。

勿論時間は昼間のままである。

ウォーグル「キョェ〜……」バタッ

ほむら「ぐるぐる!?戻って!」シュパン

ナハト「中々綺麗な星たちじゃない……さぁ!全てを歪ませる天体となれッ!!」

ほむら「……図鑑を貰っていて本当に良かったと思うわ」

ナハト「おやおや、君も手に入れてたんだね。ポケモン図鑑……何か書いてあったのかな」

ほむら「強力なサイコパワーの影響で周囲の空間が捻じれ何百光年も遠くの星空が映る……そんなことができるのは……らんらん!」ボンッ

シャンデラ「フォァ〜」

ほむら「"れんごく"!」

くるりとシャンデラが回ると、フィールド一面を強力な炎で焼き払った。

近くにいるだけで火傷しそうな灼熱は、輝きを放つ星空を消し去り、この空間を支配していたポケモンの正体をあらわにした。

ゴチルゼル「シャーン……」

ほむら「ゴチルゼル以外にはいないわ」

ナハト「ご明察!歪んだ空間に隠れていたのに、そんなことはお構いなしに周囲に攻撃か……しかも火傷まで追わせてくるとはね」
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:33:58.42 ID:Cg0cJiAi0
ほむら「"たたりめ"!」

ナハト「そしてすかさず"たたりめ"を放つ状況判断……なかなかいい攻撃だけど、私は一手先をいかせてもらうよ」

ほむら「ッ!待ってらんらん!!」

ほむらが叫んだ時には既に遅かった。

シャンデラの攻撃は確かにゴチルゼルにヒットした。

しかし、威力の上昇していた祟り目攻撃を耐えたゴチルゼルの前には鏡の様な壁が出現しており、受けた攻撃のエネルギーを倍にして放出した。
自らの攻撃を喰らったシャンデラは一撃でダウンしてしまった。

ほむら「まさか"れんごく"と"たたりめ"の二撃を耐えられるなんて……」シュパン

ナハト「ハハッ!残念だったね。私のゴチルゼルはその程度じゃ倒れないように育ててるんだよ」

ほむら「でも、ただではやられてないわよ」

ゴチルゼル「チルル……」バタッ

ナハト「あり?火傷が効いてきたかぁ……やるね!」シュパン

ナハト「これで五分五分の勝負だ。さあ、次のポケモンを出そうじゃん!」

ほむら「えぇ、言われなくても……」

ほむら(とはいえ、私が使えるポケモンはあと三体しかいない……あの子はきっと戦えないから
    それでも私は、負けるわけにはいかない!)

ナハト「ギギギアル!全てを戯曲に変える舞台装置となれッ!!」ボンッ ギギギアル「チュィーン」

ほむら「ぎあぎあ!」ボンッ ギギギアル「チュィーン」
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:35:00.37 ID:Cg0cJiAi0
ナハト「おや、そのギギギアル……ひょっとして私のギギギアルと兄弟じゃないのかい?」

ほむら「……」

ナハト「キャハハ!面白い、因縁の対決ってわけだね!"ギアチェンジ"!」

ほむら「こっちも"ギアチェンジ"よ!」

両者揃って高速でギアを回転させ、ボルテージを上げていく。

先に攻撃を仕掛けたのはほむらの方だった。

ほむら「"ギアソーサー"!」

ちびギアが超速度で噴出され、一発目はギギギアルの棘のリングにヒビを入れ、帰ってきた二発目で完全に破壊した。

ナハト「いい威力だ……だったら私は面白い技を見せてあげるよ!」

同じくナハトのギギギアルからもちびギアが発射されたが、それはギアソーサーの攻撃ではない。
ほむらのギギギアルの上に位置すると、本体は真下に素早く移動して挟み撃ちの形を取った。
そしてギアを回転させながらギギギアルを上下からがっちり挟むと、自身が傷つくのも気にせずそのまま勢いよく地面に叩きつけた!

ナハト「"じごくぐるま"だよ……はぐるまポケモンだけにね」

ほむら「相変わらずデタラメね……」

ナハト「君も人のことは言えないんじゃないの?ウォーグルの"ゴッドバード"とかさ」

ほむら「っ……ところで、まさかあれでギアギアを倒せたと思ってないでしょうね」

ナハト「まさか」

ほむら「"でんじほう"!」 ナハト「"ラスターカノン"!」

赤いコアに溜められたエネルギーが解放され、二つの攻撃がぶつかり合う。
それらは爆発を起こし煙を巻き上げ、視界を隠す。

しかし怯むことなく二匹のギギギアル達は互いに体をぶつけ合い、一歩も譲らぬ攻防が展開される。
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:36:07.44 ID:Cg0cJiAi0
そして徐々に回転率が落ちだし、体力を消耗していたのはほむらのギギギアルだった。
初手で強力な攻撃を与えたにも拘らず押されているのは、両者にレベル差があるからに他ならない。

ナハト「レベル差だけで押されてるなんて思わないで貰いたいね……私と君のギギギアルだとステータスが違うんだよ」

ほむら「ステータスですって…!?」

ナハト「そうとも!ポケモンごとのステータスの差……私は勝手に『個体値』と名付けてるけれどね
    君のギアルと私のギアルの差は、その個体値が私の方が優秀だからだよ!」

ほむら「そう……だからこの子も逃がしたのね」

ナハト「そうとも!君のギギギアルは私のギギギアルと兄弟だ。他にもたくさんのギアルがいたけれど、
    大したことなかったからみんなどこかに逃がしちゃったね」

ほむら「知ってるわよ。その中の一人だもの」

ナハト「あの時はまだ準備が足りてなかったからね。君に見つかったのは少々の誤算だったよ」

ほむら「こっちに来てしばらく足取りの掴めなかったあなたがサーカス団を隠れ蓑にして何をしていたのかと思えば、相変わらず酷いことをしていたのね」

ナハト「キャハハ!こっちに来て準備をするのはなかなか大変だったよ。ま、人手が集まって有難い限りだったさ
    おかげで今までより効率よく厳選を重ねたポケモンが手に入った!」

ほむら「あなたが宝玉を盗んだ目的は分かっているわ……それにしても、強いポケモンを生む為の組織を作ってたなんて、最低ね」

ナハト「なんと言われようと結構!私は自分の目的の為ならチャンピオンの座なんて惜しくはない!!」

ほむら「その目的って、強いポケモンを生むことだけじゃないはずよね……あなたの真の目的とやら、吐いて貰うわよ」

ナハト「いいともさ!ただし、私に勝てたらね…!」

ほむら「そう……なら、まずは私が一手先を行かせて貰うわ」

ナハト「んむ?」

空中で激しい衝突によって体に欠損部位が酷くなっているギギギアルが、フラフラと落ちてきた。

棘のリングが無くなっている、つまりナハトのギギギアルである。
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:37:09.73 ID:Cg0cJiAi0
ほむら「私がちびギアを飛ばしていたのは"ギアソーサー"をさせるためじゃないわ。その体を崩すために"いわくだき"をさせるためよ」

ナハト「アハハハハ!これはしまった!!ちょっと話し込み過ぎたようだね!」シュパン

ほむら「どう?ステータスなんて関係ない……普通のポケモンだって勝つことはできるのよ!!」

ナハト「それを証明するには私に負けを認めさせてからだよ!バンギラス!!」ボンッ

バンギラスが出てきた瞬間、辺り一面に砂嵐が巻き起こった。
バンギラスの特性『すなおこし』のためである。

ナハト「全てを崩壊させる嵐となれッ!!」

ほむら「バンギラス……強力なポケモンだけど、"ギアチェンジ"を使ったぎあぎあに勝てると思っているの!"ギアソーサー"!」

ナハト「"うちおとせ"」

手に取った岩を放り投げると、それは見事ちびギアに命中し地面に撃墜した。

ナハト「近付けなければどうということはないのさ!」

再度放たれた岩がギギギアルの赤いコアを撃ち抜き、遂に戦闘不能に陥った。

ナハト「キャハッ!あっという間に元通り!」

ほむら「くっ……お疲れ様ぎあぎあ」シュパン

ほむらが次のポケモンを出そうとボールに手をかけたところで、飛行船からかなりのスピードで階段が降りて博物館前に接地した。
そこから二人の女性が出てきたのがほむらの目に映った。

ナハト「おやぁ?誰か出てきたみたいだね。んまっ、関係ないけどね」

ほむら(まずいわ、下にはまどかが……なんとしても早くけりをつけなきゃ!)

ほむら「そるそる!」ボンッ

ナハト「ハハッ、久々に見たね。わざわいポケモンとはなかなか面白い……挑まれようじゃないか」

ほむら「"かえんほうしゃ"!」

ナハト「"うちおとす"!」

ほむら「だったら…"メガホーン"!!」

ナハト「愚直だね…"りゅうのまい"」

甘んじて攻撃を受けるが、バンギラスは体中に力を溜め始める。
そして攻撃態勢が整ったところで、一気に反撃に出る。

ナハト「"げきりん"だ!!」

二匹の攻撃が衝突し、フィールドは砂嵐も合わさってさらに激化していく。
無茶苦茶に暴れまわるバンギラスの攻撃をかわしつつ受けつつ、隙を見てツノを振るっていく。
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:38:54.28 ID:Cg0cJiAi0
やがて暴れ疲れたバンギラスは混乱状態に陥ってしまった。

ほむら「今よ!"つのドリル"!!」

体を高速回転させ、バンギラスの腹部にある菱形の模様目がけて突っ込んでいった。

ナハト「だからさぁ、愚直なんだって」

ほむら「!?」

混乱していたように見えたバンギラスはとっくに立ち直っており、岩を放り投げてアブソルを撃ち落とした。

ナハト「持ち物は自由と言ったはずだよ……混乱することが分かってるのにキーの実も持たせないで攻撃するわけないじゃん
    それにさぁ、一撃必殺の技は強力だけど、自分よりレベルの高い相手には効かないんだよ?」

ほむら「なっ…!」

ナハト「その様子だと知らなかったようだね。まだまだ甘いなぁ……本当の一撃必殺って言うのはこうするんだよ!!
    バンギラス、"じわれ"!!」

地響きとともに闘技場に亀裂が入り、衝撃がアブソルを襲った。
攻撃をまともに受けたアブソルは気を失い、裂け目に飲み込まれそのまま空中の放り出されてしまった。

ほむら「そるそる!」シュパァン

ナハト「おっと危ない危ない、髪一発ってところだね」

裂け目は闘技場の右側四分の一を使えなくしたばかりか、ほむら側を支える柱にひびを入れていた。
早く決着を付けなければ、いつ崩壊してもおかしくない。

ほむら(何が多少のバトルなら問題ない、よ……こっちは二つの意味であとが無くなったわ)
        . . .
ナハト「さあ、最後のポケモンを出しなよ!」

ほむら「ッ!?どうしてそれを……いえ、そうね。あなたは知っていて当然よね……なら、この子に頑張ってもらうしかないわね」

ほむらの出すポケモンは、数週間前に出会ったばかりだがここ数日の修行によって他のメンツに負けないくらい力を付けてきた最後の一匹。
既に最終形態に進化した、御三家の一匹。

ほむら「めがめが!」ボンッ メガニウム「メガァー」

ナハト「アハッ!いつの間にそんなの手に入れてたんだい!?君が使うのは初めて見るよ!」

ほむら「進化したあなたの力、見せつけてやりましょう……」
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:39:52.38 ID:Cg0cJiAi0
ナハト「構うことはないよバンギラス…もう一度"じわれ"をお見舞いしてやれ」

再び大地を裂く衝撃がメガニウムを襲い、闘技場に裂け目を作った。
そのまま空中に放り出されてしまうかと思いきや、とっさに伸ばした蔓のおかげでどうにか難を逃れた。

ムッとしたバンギラスが岩を放り投げても、やはり蔓によって撃墜されてしまう。

ナハト「ハハッ、やるじゃないか。だったら"げきりん"!」

ほむら「そうでしょうね…遠くからの攻撃が効かないのなら、接近戦に切り替える。"りゅうのまい"でパワーもスピードも上げているわけだから……
    だから私は、そこを利用させて貰う!!」

走り込んでくるバンギラスの巨体が、突然傾き顔面から地面に激突した。
起きあがった隙をついて、メガニウムの渾身の体当たりが急所に決まり、バンギラスは遂に戦闘不能となった。

ナハト「へぇ、体重の重いバンギラスに対して"くさむすび"はなかなか効いたよ……それにしても、最後のはただの"たいあたり"じゃないね?」

ほむら「えぇ、"すてみタックル"よ」

ナハト「キャハッ!いいねいいね、そうこなくっちゃ」シュパン

ナハト「ヘルガー!全てを燃やし尽くす獄炎の死神となれッ!!」ボンッ

ボールから出てきたのは荒々しく遠吠えをするヘルガー。
口から洩れる炎は毒素を含んでいるらしく、僅かに緑や黄色に燃えあがっている。

ほむら「草タイプに炎タイプ……上等よ、かかってきなさい」

ナハト「もちろんそのつもりだとも…何としても君の6匹目を引きずり出してあげる」

火炎放射の猛攻を光の壁で防ぎきる。
強烈な捨て身タックルの一撃を与えると、アイアンテールで反撃される。

不利な相性ながらも、ほむらはどうにか突破口を見つけて倒してやろうと、一進一退の攻防が続く。

その頃、階段が降りた場所で何が起こっていたのかというと――
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:41:03.74 ID:Cg0cJiAi0
―まどかside―

まどか「なっ、何!?」

空に浮かぶ闘技場を見守っていたまどかは、突如として飛行船から伸びてきた階段に吃驚した。
階段は大きな音を立てて、未だ湧き立つ博物館周辺に着地した。

慌ててそちらを覗きこむまどか。

そして待ち惚け状態だったズライカとステーシー。

まどか「階段…?」

ズライカ「こりゃ……帰るかいステーシー」

ステーシー「その方がいいみたいですね〜」

言うが早いか、二人はさっと屋根から飛び降りて行った。

しかしまどかの耳にそんな言葉は入ってこない。

博物館前に大切な親友と先輩が、大切なポケモン達が気絶しているのが目に入ったからだ。

まどか「さやかちゃん!マミさん!みんな!!」

鞄に残っていたいい傷薬で少し体力を回復したバシャーモに頼み、まどかは再び入り口前へと降り立った。
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:42:53.69 ID:Cg0cJiAi0
まどか「みんな大丈夫!?」

まずは近くにいたピクシー達に声をかける。
ぐったりしてはいるが、息はあるようだった。

残り少ない傷薬でどうにか回復を試みる。

シャル「おっとそうはさせないよ!」

が、シャルロッテのミルホッグが素早く鞄を強奪。

まどかの前にシャルロッテとエルザマリアが立ちはだかっていた。

まどか「返して……って言っても、返してくれないよね」

シャル「それで返すやつはお馬鹿さんだよね」

まどか「さやかちゃんとマミさんは無事なの…?」

マリア「死んではいませんよ。気絶しているようですが」

一先ずは安心といいたいところだが、それは敵である二人の言葉を信じるならばである。
実際、まどかは顔をしかめたままだった。

ズライカ「この子結構強いよマリアさん……非常にだるい……」

マリア「分かっています。シズルを突破したぐらいですから」

相手は幹部三人にその補佐二人。
まどかは警戒を解くことなく、じっとして何か行動を起こそうと考えていた。

しかし山を転がるゴローンの様に、状況はどんどん悪化していく。
階段から二人の女性が降りてきたのだ。

一人は白衣を身に纏ったツインテールの女性、一人は黒いセーラー服の様な服の上から白衣を纏った眼鏡の女性。
二人とも、人一人分が入っていそうな大きな麻袋を持っていた。
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:45:08.78 ID:Cg0cJiAi0
エリー「うんうん!やっぱ現場に出るのも悪くないわね!」

パトリシア「騒がしいわ……」

その中の一人にまどかは見覚えがあった。

まどか「……!あなた、つばなの湖で会った…!」

パトリシア「どうも。あの時はパラソルを持ってたけど、その正体はウィッチ団の研究員パトリシアよ。以後お見知りおきをば」

エリー「あっ、ついでにアタイはエリーね」

まどか「そうなの……あなたの言ってた何倍も強い人たちって、この人たちのことだったんですね」

パトリシア「やっぱり戦うことになっちゃったわね」

シャル「何?そんな話してたの?」

シズル「待ってたよ二人とも〜!!例のやつ持ってきてくれた!?」

エリー「イッエース!バッチリこの袋の中に!」

まどか「何…?なんなの?」

シズル「ギヒヒ♪ちょうどいいや、鹿目まどか!!あんたにも気絶して貰っちゃおう!」

まどか「ッ!」

シャル「んもう、シズルちゃんのポケモンはもう使えないじゃん」

マリア「私達にやれと、そういうことですか」

まどか「……」
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:46:07.05 ID:Cg0cJiAi0
パトリシア「失礼ながら!!」サッ

エリー「え、何?何テンション上がっちゃってんの?」

パトリシア「以前挑んだ時のリターンマッチをしたいと思う次第です」

まどか「……」

シズル「こーら!急いでんだから出しゃばんな!!」

マリア「いいじゃないですか。どうせ彼女の戦えるポケモンはバシャーモのみ、それも手負いです」

シャル「負けると思う〜?」

シズル「チッ……誰でもいいからさっさとやっちゃってよ。エリー、こっち来て」

エリー「オーライオーライ、任しとき」

パトリシア「どうもありがとうございます!」

許可を貰ってすぐにボールからデンチュラとアリアドスを繰り出した。
相性自体は悪いものの、二匹掛かりとなれば流石のバシャーモといえど一たまりもないだろう。

パトリシア「さてと、つばなの湖ではボコボコに負けましたが今日はそうはいかないわよ!」

まどか「……チャモっち、大丈夫?」

バシャーモ「……」コクコク

まどか「お願い、パトリシアさんのポケモンを倒したらマミさんとさやかちゃんを助けに行って欲しいの
    マリアさん達とは戦わなくていい……多分、今のままじゃ勝てないから」

ひそひそと耳打ちをし、バシャーモを立ち上がらせる。
腕と足から炎を吹き出し、そこに戦闘意欲があると思わせる。

流石に幹部達を全員相手に出来ると思う程、まどかも無謀ではない。

ほむらの様子も気になるが、あのマミですらやられている様子を見ては引かざるを得ない。
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:47:40.46 ID:Cg0cJiAi0
パトリシア「デンチュラ"エレキネット"!アリアドス"ミサイルばり"!」

まどか「"ほのおのうず"!"ブレイズキック"!」

電気の糸は全て焼き切られ、飛んでくる針は全て蹴り落とされた。

すかさずバシャーモが距離を詰め拳を叩きこもうとするが、

アリアドス「ドスッ!」ガッ バシャーモ「ッ!」

アリアドスの不意打ちに一瞬動きを止めてしまい、その隙を突いてエレキネットが再び襲った。

バシャーモは電気を帯びた蜘蛛の糸に絡め捕られ、思うように動くことが出来ない。

パトリシア「これで素早さダウン!とどめだ!!」

まどか「チャモっち動いてっ!」

バシャーモ「ッシャーー!!」ボッ

まどかの声に呼応するように突如バシャーモの体が炎を帯び始め、纏わりつく糸を焼き切ると襲ってきたアリアドスとデンチュラに渾身の一撃を叩きこんだ!
当然効果抜群の技を耐えられるはずもなく、二体は戦闘不能になってしまった。

パトリシア「そ、そんなぁ…!」

まどか「今の技って……"フレアドライブ"だね!凄いよチャモっち!!」

どうにか勝つことはできたものの、バシャーモは既に満身創痍で、肩で息をしている上に足も僅かに震えている。

シャル「あはは、やっぱ駄目じゃーん!」

パトリシア「面目ないです……」

シャル「それにしても結構強いじゃん。あんなに強いってことは、きっと相当優秀なんだろうね」ピッ

シャルロッテは懐から黒いポケモン図鑑の様なものをバシャーモに向けた。
そこには彼女達の基準で数値化されたポケモンの能力が映し出されるのだが、映し出された数値はシャルロッテの予想とは全く違っていた。

シャル「ありゃ?なんだ、攻撃が優秀な以外殆どダメじゃん……なんであんな強いんだろね?」

マリア「才能だけが全てではないということですよ。もっとも、才能のある方が強いことは明らかですが」
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:49:45.05 ID:Cg0cJiAi0
まどか(何あれ……図鑑?でも、ちょっと違うような……)

まどか「って今はそれどころじゃない…チャモっち"こうそくいどう"!!」

まどかの声に反応してバシャーモはすぐに駆けだそうとしたが、近くにいたマミに向かって一歩踏み出そうとしたところで膝をついてしまった。

バシャーモ「ッ!」ガクッ

まどか「チャモっち!?」

マリア「"フレアドライブ"は自分の身を削って攻撃する技……もう体力は限界でしょう」

まどか「お願い動いて!」

マリア「"あくのはどう"」

サザンドラが動けないバシャーモにゆっくりと近付き、両腕の頭から今にも攻撃が放たれようとしていた。

まどか「チャモっち逃げてっ!」

マリア「もう遅いですよ」

今まさに放たれようとしていた。

まどか「チャモっち!」

マリア「無駄です」

していた。

まどか「……?」

マリア「……」

攻撃しようとしていたサザンドラもどうして技が出ないのか不思議で仕方ないという顔をしている。

ズライカ「マリアさん何やってんの?」

マリア「技が出ない……いえ、出せない…?」

バシャーモ「シャッ!」ゴォッ サザンドラ「ガァッ!」

すかさず蹴りを喰らわせ、バシャーモは反動でまどかの元に戻ってきた。
どうにか距離を取れたものの、状況は全く好転していない。
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:53:16.61 ID:Cg0cJiAi0
ゴトッ

まどか「…?」

ゴトッ

その時、まどかの前に亀裂の入った一つの石ころが転がってきた。
不思議なことにそこは斜面でも何でもないのだが、まるで石自体が意思を持っているかのように転がってきたのだ。

その石が動きを止めると、突然辺りに人の声ともポケモンの声ともつかぬ不気味な声が響き始めた。

まどか「なっ、何なの!?」

シャル「うわぁ怖っ!」

マリア「これは、子供の泣き声?」

シズル「何事!?っていうか男の呻き声がうるさいよ!」

ズライカ「女の叫び声に聞こえる私らはどうやら正常じゃないらしい……」

ステーシー「です〜……」

エリー「これはもしや……」

一人や二人ではなく、何人もの嘆きが聞こえてくるようだった。

近くにいるまどかだけが、この石から声がしていることに気付いた。

まどか「あなたが、助けてくれたの…?」

???「オンミョ〜ン」

亀裂からガスの様な物が出てきたかと思うと、ぐるぐる回転する斑点模様とぐるぐるした目が現れ、やはり不気味な声を響かせた。

まどか「この子……」ピッ

図鑑を開くと、ミカルゲという名前と説明が書いてあった。

まどか「108個の魂が集まって生まれたポケモン。かなめいしのひび割れに繋がれている……『かなめいし』って、これのこと?」

ミカルゲ「ンミョー」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:56:15.05 ID:Cg0cJiAi0
まどか「そういえば、昨日私がここでどけた石だよね?ポケモンだったなんて……」

ミカルゲ「ン〜〜」パァァ バシャーモ「ッ!」

まどか「チャモっちの傷が……えっとこれは……"いたみわけ"だね!」

体力を分け合い傷付いたバシャーモもどうにか戦える程度には回復した。
そして目の前で再び戦闘態勢を整えたウィッチ団に向かい合った。

まどか「……一緒に、戦ってくれるの?」

ミカルゲ「ミョー」コクコク

まどか「……ありがとう。あなたは今日からミカっちだよ!」

シズル「なんなんだよあいつ!あんなのいなかったじゃん!!」

エリー「なるほど、さっき技が使えなかったのはミカルゲの"ふういん"のせいってわけね!」

マリア「ならば、あのミカルゲを先に潰してしまえばいいだけの話ですよ」

シャル「手伝おうか?」

マリア「いいですね、もう終わらせてしまいましょう。そっちはまだなのですか?」

シズル「ギヒッ、バッチリ完了したよ♪」

まどか「ミカっち、私達の目的は一旦ここから離れることだよ……あそこにいるさやかちゃんとマミさんを連れてね
    だから、チャモっちが二人を連れてくるまで時間を稼いでくれないかな?」

と、お互いに戦闘態勢に入りいざ始めようとしたところで、唐突に戦いは終わりを告げることになる。

ポンペ「しゃっ、シャルちゃ〜ん……」

シャル「ポンペ!?どうしたのその傷!?」

ダブランに背負われながらやってきたポンペは体中ボロボロだった。

何か騒ぎを聞き付けたゲルトルート達と一緒に東側に向かったのだが、帰って来たのはポンペだけだ。
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:57:42.36 ID:Cg0cJiAi0
ポンペ「ごっ、ごめん……だって、ルートさんもローザさんもやられちゃってぇ……」

シャル「あの二人が!?」

マリア「どういうことですか?詳しく話を――」

???「リーミティ・エステールニ!」

謎の掛け声とともに、突如高エネルギーの光線がサザンドラと近くにいたポケモン達をを襲った。
直撃を受けたサザンドラはそのまま戦闘不能となり、ハンテールやドダイトス他、マリアとシャルロッテのポケモンは大ダメージを受けていた。

???「ちゃお!ウィッチ団のみんな!」

まどか「だっ誰…!?」

少し癖のあるショートの黒髪と黒いマントをなびかせ、大きな魔女のようなトンガリ帽子を被った少女。
鈴のようなイヤリングを静かに鳴らし、ポンペの後ろに佇んでいた。
傍には今しがた光線を放ったらしきムウマージがふわりと浮いている。

マリア「これはこれは……あなたがもう少し早く来ていたならこの被害は抑えられていたでしょうね
    アスナロシティジムリーダー…和沙ミチル」

かずみ「もしかして挑発してるの?確かにそこは反省しなきゃだよね、うんうん」

まどか「あ、あなたがかずみさんなの?」

かずみ「あり?どこかで会ったことあったっけ?私のあだ名を知ってるってことは……あっ、ニコやサキ達に聞いたんだね?」

まどか「そうです、サキさんに……」

かずみ「そっか、サキ達に会ったんだ。それで、ずっと戦ってくれてたんだね」

ボールからジュペッタ、ゴルーグを繰り出しマリア達に目を向ける。
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 14:59:24.96 ID:Cg0cJiAi0
かずみ「この騒ぎを止めてくれる?そうすれば、酷いことはしないから」

シズル「ぶわっかじゃないの!野生に帰ったポケモンを鎮められるわけないじゃん!」

かずみ「……そう。なら、あなた達を倒すしかないんだね」

マリア「グンマー地方最強のジムリーダーといえど、私たち全員を相手に戦えますか?」

かずみ「話には聞いてるよ。幹部のみんなは私達ジムリーダーと同じくらい強いってね……
    だけど逃げるわけにはいかないからね。ジムリーダーとして、プレイアデス星団の一員として」

シャル「二人でも何人でもかかってきなよ!最強だか何だか知らないけど、厳選された私達のポケモンに勝てると思ってる?」

かずみ「だから、四天王のみんなにも連絡させてもらったよ」ニコッ

ウィッチ団「――!!」

かずみ「もうすぐ来てくれるんじゃないかな?事情はそこのポンペちゃんに聞いたし、ナハトさんを止めるんならこれくらいやらないとね」

マリア「四天王……マギカ・カルテットですか」

エリー「アイトァー……ちょっと辛いんじゃないかしら」

パトリシア「ここは一旦引いた方が無難かと……」

ズライカ「私ら戦えないからね。そこんとこよろしく」

シズル「チィッ……まだまどかが残ってるけど仕方ないか…どうするのマリアさん?」

マリア「和沙ミチルが本当に四天王を呼んだという証拠はない以上、ここで無理に戦闘してもいいですが……
    目的は既に達成しているわけですから準備も必要になりますし、引いて損はないでしょう」

かずみ「準備…?何の準備なの?」

マリア「それは秘密です」
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 15:01:13.80 ID:Cg0cJiAi0
まどか「そ、そういえばそうだよ!宝玉を盗んで何するつもりなの!?」

シズル「だ・か・ら〜……秘密♪」

シャルロッテの合図によってハブネークから辺りに黒い霧が充満し始めた。
ジュペッタの怪しい風によって霧を払った時には、既にウィッチ団のメンバーは階段を上っている途中だった。
いつの間にかポンペも逃げている。
降下してきたときのように、かなりのスピードで階段は飛行船の中に収納されていた。

シズル「ばぁ〜い鹿目まどか!これからの展開を楽しみにしてるといいよ!」

まどか「ま、待って!」

攻撃をしようにも、もうバシャーモやミカルゲの攻撃では届かない位置にいた。
かずみのムウマージやゴルーグなら攻撃は出来たかもしれないが、黙って見届けているだけだった。

まどか「なんで黙って行かせるんですか!?早く捕まえなきゃ――」

かずみ「落ち着きなって。心配しなくてもこっちにはウィッチ団の足取りに手掛かりがある……それよりこの事態の収拾が先だよ
    ナハトさんはどこ?あの飛行船の中?」

まどか「いえ、あの飛行船から降りてる四角い場所で……ほむらちゃんと戦ってるはずです」

かずみ「そうなんだ……その子強いの?君の友達?」

まどか「そうです。多分強いと思うけど……」

かずみ「んー……分かった、一緒に行こう!この辺は他のみんなが頑張ってくれてるから!」

まどか「はい!あ、でもさやかちゃんやマミさんを置いていったら野生のポケモンに襲われちゃうかもしれないし……」

ニコ「そこはダイジョブダイジョブ。私にお任せあれ」スッ

まどか「ニコさん!?いつの間に来てたんですか!?」

かずみ「ちゃおニコ!随分早かったね」

ニコ「こんな面白…もとい、大変な時にうかうかしてられないからね」

まどか(今面白いって言おうとした……)
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 15:02:13.61 ID:Cg0cJiAi0
かずみ「行こう!えっと……そういえば名前聞いてなかったね」

まどか「私鹿目まどか。見滝原中学の二年生です」

かずみ「なんだ、同い年じゃん!みんなみたいに気軽にかずみでいいよ?もしくはミチル!
    私もまどかって呼ぶからさ」

まどか「あっ、ありがとう…ミチルちゃん」

まどかはバシャーモ達をボールに戻し、少し悩んでからミカルゲを残しておいたゴージャスボールに入れた。

かずみ「ゴルーグの肩にしっかり掴まっててね。"そらをとぶ"だよ!」

まどか「へ?ひゃぁっ!?」

ゴルーグが軽くまどかを持ち上げ肩に乗せると、下半身と腕を収納し飛行形態に入ったゴルーグ。
両腕と腰から謎のエネルギーが噴射され、まさにロケットの様に上空へと飛び立ったのだ。

まどか「ひぃぃ!」

かずみ「すぐに着くよ!そら行け!」

僅か数秒で闘技場に辿り着いた。

まどか「なっ――!」

かずみ「これは……」

二人の眼に映ったのは、もはや初めからこの形だったのかと思われるほどにボコボコに変形した闘技場。
そこで相対するポケモンは、満身創痍のメガニウムとヘルガー。

ナハトの傍らには、どうにか空を飛べる程度の力しか残っていないサザンドラとマリア。

ほむらがギュッと拳を握りしめ、勝敗が付くのを待っていた。

そして、ゆっくりとヘルガーが倒れ込んだ。
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 15:03:18.39 ID:Cg0cJiAi0
ナハト「お見事だよ暁美ほむら。特性『しんりょく』が発動してからの"リーフストーム"は中々強烈だった」シュパン

ほむら「御託はいいわ……さっさと最後のポケモンを――」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「まどか!?どうしてここに……そこにいるのは、和沙ミチルね」

かずみ「ん?面識あったっけ…?」

ナハト「キャッハハハハ!久しぶりだねー、ミチル!元気そうで何よりだよ」

かずみ「ちゃお、ナハトさん……なんて、のんびり挨拶してる場合じゃないですけどね」

マリア「引くなら今のうちですよナハト様。本当に四天王に集まられては計画が破綻しかねません」

ナハト「あらら、結構楽しかったんだけどなぁ……どうする暁美ほむら?まだやるかい?」

ほむら「当然でしょう……そちらに余裕がないというのなら、なおさら逃がすわけにはいかないわ!」

ナハト「なるほど、いい覚悟だ……ならばその姿に敬意を表して、まだ誰にも見せたことがない最後のポケモンを使ってあげるとしよう」

まどか「誰にも…?」

ナハト「そうとも!暁美ほむら、私がこのポケモンを手に入れる為に一体どれだけ彷徨い、泉の底の様な人生を送り、暗い洞窟の様な場所を戻ってきたか……
    君ならこの苦労が分かるだろう?分かってくれるともね?」

ほむら「……そんな苦労、分かりたくもないわ」

ナハト「よく言う。君は私と同類のくせに……」

ほむら「御託はいいと言ったはずよ!さっさと最後のポケモンを出しなさい……そして今度こそ、引導を渡してあげるわ」

ナハト「それは無理な相談だよ……なぜなら、こいつは絶対に倒せない」

ニヤリ、とナハトは不気味にほほ笑んだ。

その顔は秘書として一緒にいる時間の多いマリアすら、ジムリーダーとして世話になったことのあるかずみですら、
因縁のあるほむらですら見たことのない極上の笑み。

本当に楽しくて楽しくて仕方がない、究極の笑顔。

ナハト「さあ、現れるがいい……影の世界、この世の理とは異なる裏の世界の主…『破れた世界』の王……」

GとSの文字が彫られた金色のボールを構え、その名を呼ぶ。


ナハト「全てを絶望の種に変える最悪となれ……ギラティナ…!!」

ギラティナ「ギゴガゴーゴーッ!!!」
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 15:04:35.10 ID:Cg0cJiAi0
ゆらゆらと形の定まらない黒い翼。
蛇腹は赤と黒の縞模様。
太い六本の足は闘技場どころか空間まで震わせているようだ。

伝説のドラゴンポケモンがその姿を現した。

黒い瞳が睨むのは、目の前のちっぽけな人間達。

ほむら「なっ……なによ、このポケモン……」

ナハト「マリア、君は離れてるといい……それとも、ここで見学していくかい…?」

マリア「い、いえ……すぐに、離れさせていただきます……」

あのマリアですら動揺を隠せず、サザンドラに乗って距離をとる。

ゴルーグに掴まるまどか達はただ言葉もなく、その圧倒的な存在感を放つポケモンから目が離せない。

ギラティナ「ゴガァァァァァァァ!!!!!」

咆哮と共に衝撃波がメガニウムを襲った。

闘技場に大穴を開けた攻撃を喰らい、今までの傷も合わさりもはや戦える状態ではなくなってしまった。

ほむら「めがめが!」シュパン

ほむら「なんて威力の"りゅうのはどう"なの……」

ナハト「違う、違うよ暁美ほむら……今のは"りゅうのはどう"じゃない……"りゅうのいぶき"だ」

ほむら「ッ!?」

ナハト「本当ならギラティナだけで君を叩きのめすことが出来たのかもしれないけど、それじゃあつまらないしね
    君とのバトルはなかなか楽しかったよ……でも、もうおしまいにしよう」
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 15:05:44.07 ID:Cg0cJiAi0
黒翼が大きく歪み爪の様な形状になると、闘技場を支える柱を一気に破壊した。

ナハトはすかさずギラティナに乗り共に飛んだが、既に全員瀕死状態のほむらはどうすることもできず、ただ落ちるしかなかった。

まどか「ほむらちゃん!」

かずみ「任せて!」

ゴルーグが真っ逆さまに落ちるほむらを追いかける。

その姿を捉えた時、

まどかず「――!?」

ほむらの背中に巨大な白い翼が現れた。

しかし振り返ってまどか達と目が合った途端それは消えてしまい、一瞬だけ浮いていたほむらの体は再び落下を始め、すぐに博物館の屋根に着地した。

まどか(なんなの、今の……幻…?)

ナハト「暁美ほむら!!」

ギラティナの上からナハトの声が響き渡る。
睨み返すほむらだが、その目が見えているかは怪しい。

ナハト「よく生きてたね!それも君の最後の一匹の力かい!?」

ほむら「……」

ナハト「まあいいや……今日のところは帰らせてもらうとするよ!やらなければならないことが出来たからね
    またいつか戦える日を楽しみにしているよ、暁美ほむら!!」

甲高い笑い声がマエバシシティに広がり、不気味なギラティナの影とともに飛行船の中に消えた。

やがてウィッチ団の飛行船は何処へともなく去っていった。

マエバシシティに溢れていた野生のポケモン達を全て追い払ったのは、それから数分後のことである。

まどかがふと屋根の方を見ると、そこにもうほむらの姿はなかった。

ほんの一時間の間に起こった事件は、マエバシシティだけでなくグンマー地方全体に大きな傷跡を残していった。
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/10/28(日) 15:11:36.55 ID:Cg0cJiAi0
宝玉関係が出てくるかなと思ってポケスペ42巻読んだんだけど明らかにされなかった…
そしてラストのページ見て一人盛り上がってた

まあ、それはともかくゴーストタイプのポケモン多すぎィ!
なんでですかね
ワルプルギスのポケモンは最後まで悩んだけど、これで良かったと個人的に思ってます

色々言いたいことはありますが、また今度
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/10/28(日) 18:10:55.34 ID:XdGyOQHAO
乙!!

ほむらとナハトのバトルにすごくワクワクしたよ。ウォーグル前に使ってたんだが追い風がすぐに切れるから微妙だったんだよな〜

個人的に勝負を分けるのは個体値じゃなくて戦略だと思う。

ニコ大をさまよっていたら昔ポケモンの沖縄大会で性格個体値厳選無しで5つのステータスに100振りとか大ざっぱに作ったポケモンで決勝を勝ち抜いたトレーナーがいたとか。

結局大事なのは自分の好きなポケモンを使い切りたいという心なのかもしれんなぁ。長文スマソm(_ _)m
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/10/28(日) 20:00:44.14 ID:fAkuUvmAO
乙!
次の更新が楽しみだ
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/28(日) 20:18:19.46 ID:UTQni/39o
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/10/28(日) 20:44:06.19 ID:Cg0cJiAi0
補足というか言い訳

かずみってほんとは「カズミ」なんだけどこのSSでは「かずみ」にしてます
ただのミスですが押し切らせてます
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/29(月) 07:31:22.24 ID:Mi9sNTIzo
災厄と書きたかったのかそれとも最悪でいいのか気になった
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/10/29(月) 09:21:28.13 ID:tTAQSkBx0
>>839
最悪 で大丈夫だ、問題ない

と、書いてる時は思ってたんだけどなんか災厄の方がいい気がしてきた
ぶっちゃけどっちでも構わry
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/29(月) 11:42:49.02 ID:fphE4ttRo
ギラティナ前でセーブして何回もリセットしてるナハトさん
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/30(火) 21:48:11.94 ID:ZB7oYk9po
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/01(木) 17:38:42.28 ID:OBVolabr0
ぶっちゃけ厳選しなくても特化性格と極振りでステータス300は軽いよね
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/01(木) 20:47:05.94 ID:4ojBR6FDO
白い翼…って事はまさか同じドラゴンタイプでしかも伝説で黒い翼のと同じ上映したあのポケモンか?
ほむらの能力と被らせて時渡ポケモンかと思ったがアテがハズレた…
ナハトさんならオールタイプになれるあのポケモンが似合ってる気するな
何はともあれ乙
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/01(木) 22:17:20.36 ID:K8VB/eQUo
龍の波動に見える龍の息吹とかナハトさんマジ大魔王バーン
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/11/03(土) 16:43:14.89 ID:PhcVhxrAO
まあこうなるとほむらが盗んだ図鑑とチコリータの持ち主が気になるな
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/11/04(日) 23:41:02.00 ID:6mhJvtpl0
>>846 メガほむかと思ってたり…。それなら色々と納得いく事項がいくつかあるし…。矛盾?もあるけど。まあ、その当たりの伏線が回収されるときが楽しみ。
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/05(月) 16:54:55.09 ID:dPiYTX0DO
本来はゆま辺りのだったりして
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/11/07(水) 20:24:51.86 ID:gOaNRJhAO
GSボールってポケモン捕まえられるんだな
アニメで使った記憶ないから記念品のお飾りボールかと思ってた
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/08(木) 12:22:47.45 ID:UQZSrIdDO
GSボールは確かポケモンクリスタルで携帯と繋げると色々アイテムが貰えるマシンで手に入れてトキワの森だっけかの守り神の祠?に行くとセレビィが出てきて捕まえられるようになる特殊ボールだったはず
ただ当時は今のようにパケホとかないからパケ死はしただろうな
オレは当時携帯なんて高価なの持たせてもらえてなかったから本で知った程度の知識だからうろ覚え
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/08(木) 12:27:26.61 ID:CWJePfzv0
それの機器は持ってたが通信は電話発信だった
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:49:44.11 ID:ck0qbuaY0
11月全然投下できなかったすまぬ
他の書き溜めてたので許して、という言い訳
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:50:37.17 ID:ck0qbuaY0
〜夜〜―マエバシシティ・ポケモンセンター―

傷だらけのポケモン達を回復する為、てんやわんやのポケモンセンター。
その一室を借り、ジムリーダー、プレイアデスは全員集合し、ポケモン協会の会長達が集っていた。

その部屋にノックをして、まどかとマミが入ってくる。

まどか「失礼します……」

かずみ「おはようまどか!それにマミさん!」

かずみが元気に声をかけてくれたが、他の面子の反応はあまりよろしくない。
部屋には重苦しい空気が充満していた。

まどか(里美ちゃんも立花さんももう来てる……それから――)

その二人に加え、新しい二人が加わっていた。

ハーフパンツに黒いジャケットを羽織り、ショートの髪と同じくらい明るいオレンジのインナーを着こなす少女と、
白いシャツに、長い髪と同じくらい淡い青紫のロングスカートを揺らす、眼鏡をかけた少女。

かずみと共にこの街にやってきた、プレイアデス最後の二人。

まどか(牧カオルさんと御崎海香さんか……)

話によると、かずみ達三人でゲルトルートらウィッチ団の相手をして勝ったらしいとのこと。
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:52:40.44 ID:ck0qbuaY0
かずみ「さてと!それじゃあ早速会議を始めますか」

ポケモン協会会長「その前に聞きたいのだが……」

かずみ「なんです?」

会長はナハトが被っている帽子の様に二手に分かれた、もじゃもじゃした髪を揺らしながら、座っている面々を順番に見ていく。

ポケモン協会会長「まず、ジムリーダーが七人しかいないようだが、まだジュゥべえ君とは連絡が付かんのかね」

かずみ「そう言われましても、ずっと音信不通だし」

佐倉父「私が以前に彼とお会いしたのは、ジムを休む直前です。それから今に至るまで誰にも会ってないようです」

ポケモン協会会長「この非常事態に一体どこで何をやっているのか……四天王の四人はどうした?」

まどか「そういえば、確か連絡したって……」

かずみ「あぁ、あれなら嘘だよ」

まどか「へ?」

かずみ「残念ながら電話つながらなくってさー!でも、ハッタリにはなったしね」

ポケモン協会会長「いや、その時はそうかも知れんが、今は呼んでいるんじゃないのかね?」

かずみ「だから、繋がらないんですって!みんなして新作作ってるんじゃないかなあ」

ポケモン協会会長「彼らには四天王を任せられているという自覚がないのか!」
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:53:49.19 ID:ck0qbuaY0
ポケモン協会会長「まあいい……それで、次の質問だが」

かずみ「まだ何か?」

ポケモン協会会長「プレイアデス星団は君の作ったチームだし大目に見ているが、なぜジムリーダーの会議に一般人がいるのかね」

まどマミ「っ!」

かずみ「彼女達はナハトさんを追い詰める時に協力してくれました。まどかは幹部の一人を倒したって言うし、戦力としても十分ですよ」

ユウリ「アタシは賛成できないけどね」

かずみ「なんでよユウリ!」

ユウリ「これはお遊びじゃないんだよ。確かに強いのかもしんないけど、アタシはまだこの目で見たわけじゃないしね
    それに、聞いた話によるとあいつらと戦ってたのは四人いたっていうじゃん。一人はまだ意識不明、もう一人は行方不明って……ホントに大丈夫なわけ?」

そう、さやかは病院に運ばれてから未だに意識を回復していない。
まどかが見つけた時には外傷はほとんど見当たらなかったものの、呼吸が感じられなかったのだ。

どうにか目を覚ましたマミとは違い、さやかは今も眠り続けている。

そしてほむらは、目を離した隙にいつの間にかいなくなっていた。
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:55:36.02 ID:ck0qbuaY0
サキ「だがウィッチ団の戦力は本物だ。こちらとしても、戦えるトレーナーがいるのは心強い」

立花「だったら彼女達じゃなくても他にもいる。確かに強いかもしれないが、まだ子供なんだぞ」

みらい「ボク達と変わんないよ!」

かずみ「静かに!!」ダンッ

机を叩いて強制的に静寂を取り戻す。

かずみはニコリとまどか達に笑い掛け、再び真剣な顔で会長に向き直る。

かずみ「少なくとも、彼女達にはウィッチ団の使ったポケモンや戦い方の情報を提供してもらう必要があります
    そういうのが今後役に立つ可能性は大いにあると思いますよ
    それにどこかいっちゃった……ほむらだっけ?その子とコンタクトをとれるのも彼女達だけですし」

ポケモン協会会長「ふむ、確かに……よし、二人の参加を許可しよう」

まどか「えっと、ありがとうございます」

マミ「……ありがとうございます」

まどか(マミさん、まだ元気ないみたい……)
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:57:54.19 ID:ck0qbuaY0
まどか「あれ?そういえば、織莉子さんのお父さんはどこにいったの?」

かずみ「あぁ、美国さんはちょっとね」

海香「私達が捕まえたウィッチ団幹部の顔を見て色々慌ててた様子でね――」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久臣「なっ!君達はうちのメイドと庭師じゃないのかね!?」

ローザ「だったらなんだっつーんスか」

ルート「お久しぶりですねご主人様。見ての通り、私達はウィッチ団の幹部だったのです」

ローザ「退職金でも払ってくれるんスか?」

久臣「一体何の為に……」

ルート「美国織莉子」

久臣「ッ!」

ルート「彼女の力が厄介だったので見張っていました。そして今日の出来事を見てしまったようなので、少々痛めつけてから出てきました」

ローザ「ついでに突っかかってきたキリカって奴もっスね」

久臣「おっ、お前…!」

ルート「別に殺してはいませんよ。ただ、しばらく動けないでしょうけどね」

久臣「そんな馬鹿な……」

ポケモン協会会長「美国君、ここは構わない……早く娘のところに」

久臣「すいません……」

かずみ「私のゴルーグ使っていいよ。みんなのポケモン達は疲れてるし」スッ

久臣「ありがとう和沙君……織莉子、無事でいてくれ…!」ダッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カオル「――ってな感じで飛び出していったんだ」
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:59:04.20 ID:ck0qbuaY0
まどか「そうだったんだ……あの人達もウィッチ団だったなんて……」

カオル「その超本人達が――」

まどか達が入ってきた反対側の扉を開けると、そこに縄で縛られたゲルトルートとローザシャーンが立っていた。

カオル「ここにいるわけだ」

海香「知ってることはきっちり吐いて貰うわよ」

ルート「そうね……命に係わらない程度ならお話しも出来ましょうね」

ローザ「言っとくけど、姐さんに手出ししたらタダじゃおかないっスから」

かずみ「さてと……今度こそ始めるよ」

話し合いは淡々と進められた。

まずは被害状況、そしてウィッチ団の今までの所業と戦力の確認。
実際に戦ったまどか達の話と、ゲルトルート達の裏を取ったのでこの辺りは間違いない。

まどか「そういえば、ロボットを作ってるみたいなんです」

かずみ「ロボット?」

佐倉神父「私も見たがかなり精巧なものだ。一見には人間と変わらないし、細かい動きも普通にこなす」

ポケモン協会会長「そこまで高性能なのかね?一体誰がそんなものを作ったというんだ……」

ニコ「……」

かずみ「じゃあそれも念頭に入れるとして、話を続けよ」

そしてウィッチ団の目的へと話は変わる。

ポケモン達を大量に産み出していたのは、能力の高いポケモンを目指していたからである。
そしてようやくルート達から語られたのは、その先の目的。
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 21:59:50.81 ID:ck0qbuaY0
ルート「ナハト様は……強者だけの世界を作りたいのですよ」

まどか「強者…だけ…?」

ルート「今は誰もがポケモンと暮らし、遊び、そして戦わせていますね。私達からすれば、実にぬるい環境です
    そしてジムバッジを手にナハト様に挑戦してくる者たちは、そういう環境で育ってきた人間ばかり……
    ナハト様は求めているのですよ。血が滾り心震え全身燃え尽きるような勝負を……強者を」

かずみ「だから、強いポケモンを生んだの…?」

ローザ「簡単な話っスよ。トレーナーが強いポケモンを持てば、それだけ強さの底上げになるわけっスから」

ルート「現状は私達がもつポケモン以外の弱いポケモンは逃がしましたが、その中にはそれなりに強いポケモンもいたんですよ」

マミ「そんなの、生態系がめちゃくちゃになるわ!今日街から出ていったポケモンが新しい住処を見つけても、そこに元々いたポケモンはどうなるの!?」

ルート「この自然界において、最終的に生き残るのはどちらなのかは明白ですよね?」

ニコ「弱肉強食……強気が助かり、弱きが挫けることになるわけだ」

ローザ「数年後には一般人も強いポケモンを手に入れられるはずっスよ。そしたら世界はポケモンバトル一色!
    強い力を手にしたらそれを使いたくなるのは当然っスから、ナハト様の満足できる世界の完成っスよ!」

まどか「っ!そんなの、勝手すぎる……酷過ぎるよ……!」

たまらず嗚咽を漏らしそうになるのを堪えた。

ポケモンバトルは確かに楽しいが、それはポケモンと一緒にできることの一部でしかない。
朝一緒に起きて、ご飯を食べて、遊んだり散歩したりお風呂に入ったりして、そして一緒に寝る。

それだけでもきっと十分な幸せであるというのに、ささやかな日常すら払おうというのだ。

誰もが戦いを求める世界こそナハトの望み。

戦うことだけが全てではないはずなのに。
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:00:34.58 ID:ck0qbuaY0
ルート「恨むのなら、ナハト様を満足させられなかった自分達を恨んで下さい」

かずみ「……そうだね。確かに、チャンピオンになってからのナハトさんは敵なしだったよ。私たちじゃ全然勝てないくらいに……」

秋山「だからと言って、やって良いことと悪いことがある!」

サキ「ナハトさんにはきっちり落とし前を付けてもらう」

佐倉父「平和を乱すなどチャンピオンとしてあるまじき行為……許すわけにはいかない」

カオル「さあ!そろそろあんたらのアジトがどこにあるのかさっさと吐いてもらおうか!」

ルート「その質問には答えられません」

カオル「なんだと!?」

海香「退いてカオル。嘘かどうか確かめてみるから」

海香はボールからモルフォンを出すと、ウィッチ団の二人に青紫色の粉を振り撒いた。
一同も思わず口元を覆う。

海香「大丈夫よ、この粉は人体に有害なものじゃないから」

みらい「分かっててもちょっと怖いって」

アイリ「何なのその粉?」

海香「私のモルフォンは翅で作った毒のりんぷんにはいろいろな効果があるの。これは相手の嘘を見分ける粉
   嘘を付けばほんのり輝くようにできてるわ」

ニコ「嘘発見器だね……怖い怖い」

まどか「そんなことできるんだ……」
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:02:39.76 ID:ck0qbuaY0
ルート「……別に、嘘ではありませんよ。私達のアジトは今も移動を続けているはずですから」

かずみ「そっか!飛行船!」

ローザ「うちらのテントも今頃とっくに余所に行っちゃってるはずっスからね」

海香「……嘘ではないみたいね」

サキ「くそっ、分からずじまいか……」

かずみ「仕方ないよ。でも、あれだけ大きな飛行船なら目立つはずだもん。どこかで必ず見つけられるよ」

ポケモン協会会長「うむ……では次だが、ナハト君が持っていたという伝説のポケモンについて分かっている者はいるかね」

かずみ「名前は知ってるよ」

まどか「ギラティナ……シンオウ地方の神話に出てくる伝説のポケモンですね」

マミ「暴れ者ゆえ。この世の裏側でる『破れた世界』に追いやられた叛骨ポケモン……それがギラティナです」

ポケモン協会会長「なかなか詳しいようだね。ゲルトルート君だったかな?君はギラティナについて何か知っているかね」

ルート「まさか、私達も今日初めて目にしたんですから。ナハト様があんなポケモンを持っていたなんて驚きです」

海香「……やはり嘘ではないようです」

ポケモン協会会長「うーむ……彼女と戦うに当たって、戦力差もあるし、ギラティナのことがあまりに謎すぎる……よし、ここは――」

かずみ「じゃあ分担しよう!ウィッチ団を探す班と、ギラティナのことを探す班!それとジュゥべえさんも探した方がいいかな?」

ポケモン協会会長「ちょ、それ私の台詞……」
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:04:04.78 ID:ck0qbuaY0
かずみ「あとは絶対大きくなる各町での被害を抑えること……これはジムリーダーのみんなに各自やってもらわないとね」

ユウリ「そうなる、か……いいよ、アタシはアジト探す」

アイリ「ちょっとユウリ、勝手に決めて……私も一緒に行くよ」

秋山「ならば俺も行こう!探し物なら俺の直感にお任せあれッ!!」

サキ「手伝おう。人出は多い方がいい」

みらい「ボクも一緒に行くよ!」

立花「文献を読むくらいなら俺にもできそうだ。俺はギラティナについて調べてみるよ」

海香「そっち方面は得意分野よ」

カオル「手を貸すぜ!」

里美「私も頑張ってみる!」

佐倉父「ジュゥべえ君を探すなら私が行こう。彼と馴染みがあるのは他にいないようだしね」

ニコ「私も……」

かずみ「それなら私も。全部終わったらみんなで乗り込む!これでいいですよね?」

ポケモン協会会長「あぁ、うん……よろしく頼むよ」

まどか(流石ミチルちゃん、あっさりと方針を決めちゃった……私にも、何かできることがあればいいんだけど……)

かずみ「おっと、忘れるところだった!まどか達にはほむらを探してもらわないとね!!」

まどか「え…?」
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:06:00.06 ID:ck0qbuaY0
かずみ「お願い!私たちでウィッチ団の相手をするには彼女の力も必要なの!だから何とか探してもらえないかな?」

まどか「えっと、そういうことなら、わたしもやってみるよ!」

ユウリ「……」

まどか「マミさんも手伝ってくれますか?」

マミ「……」

まどか「マミさん…?」

マミ「え?えぇ、私にできることだったら……」

カオル「あんたらはあとで警察行きな」

ルート「……」

かずみ「よーし!それじゃあ今回はこの辺で――」

                    離せって言ってるだろ!あたしは関係者だ!!>

かずみ「あり?なんか騒がしいね」

まどか「この声……」

マミ「まさか……」

杏子「邪魔するよ!」バターン

まどか「杏子ちゃん!?」

佐倉父「杏子!一体どうしたんだ!?」

制止しようとしていたジョーイさん達を振り払い、会議室の扉をぶち壊して、ズカズカと佐倉杏子が踏み込んできた。
ぐるりと一同を見渡し(一瞬だけ佐倉神父のところで止まった)、深く息を吐いた。
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:07:26.24 ID:ck0qbuaY0
杏子「くそっ……さやかはどうなった?」

まどか「えと、あの……ウィッチ団と戦って、まだ意識が戻らなくって……」

杏子「そうか……」

佐倉父「いきなりどうしたんだ杏子!なぜお前がここにいる!?」

杏子「当人達は知らないのか…とっくにニュースになってるよ。『チャンピオン暴走』だの『宝玉盗まれる』だの、
   『ジムリーダー敗れる』だのと……好き勝手言われてるよ」

ユウリ「敗北…?アタシらがいつ負けたってのよ!」ガタッ

アイリ「落ち着いてユウリ!仕方ないよ、まだちゃんとした情報が行き届いてないんだから!」

ユウリ「フンッ……それを言うためだけに来たわけじゃないよね、杏子…?」

杏子「ようユウリ、元気そうじゃん」

かずみ「二人ともストップ!今は喧嘩してる場合じゃないんだから!」

まどか「喧嘩…?」

マミ「二人は昔からあんまり仲良くなかったみたいで、よく和沙さんに止められてたのよ」ヒソヒソ
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:09:26.37 ID:ck0qbuaY0
杏子「別に、ちょいと知り合いが巻き込まれてるってんで様子見に来たんだよ。案の定一人やられちまったみたいだし……」

ユウリ「そ。ここからはアタシらに任せてもらうから……手出し無用だよ」

杏子「どうぞお好きに。あたしはあたしは勝手にやらせてもらうからさ……まどか、マミ、こっち来い」グイッ

まどか「う、うん、いいけど……」

かずみ「やれやれだね。杏子!まどか達の手伝いお願いねー!」

杏子「るっせー」

佐倉父「杏子」

まどか達の手を引く杏子の足が止まる。

杏子「……」

佐倉父「私より強くなれたかい」

杏子「……いいやまだだ。まだ全然足りねぇ」

佐倉父「……行きなさい。だが無理はするんじゃないよ」

背中から父の声が後を押してくれた。
次に会うときは父より強くなってからと、そう決めていたのに、こうして顔を合わせてしまった。

本来なら気まずくて仕方ない場面だが、そんな悠長なことを言ってる場合ではない。
今は傷ついた友達のために何かしたいと思い、文字通りムクホークに乗ってここまで飛んできた。

杏子は父との再会を恐れず、成すべきことを見つけるためにここに来たのだ。

佐倉父(大丈夫、おまえはちゃんと強くなっているよ)

かずみ「さてと、私達もやるべきことをやらないとね!でもその前に……」

ポケモン協会会長「まだ何か決めることがあったかね?」

かずみ「お腹空いたからみんなでご飯にしない?」
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:11:47.11 ID:ck0qbuaY0
―マエバシ病院の一室―

暗い病室で、一人の少女が目を覚ました。

身体に目立った傷はなく、当然何かの病気というわけでもない。

ただ起動する機会を窺っていただけだ。

???「んーー!ふぅ……これがあたしの体かぁ、変なの」

ぐっと伸びをしてから自分の体をしげしげと見つめる。
鏡を見つけて前に立つと、さらにぺたぺたと全身を触りまくり、その感覚を確かめる。

???「これが美樹さやかの体か……ふーん、へぇー……」

???「さーて、モンスターボールはっと……成程、ここにないならポケモンセンターかな」

とりあえずポケモンは後で取りに行くことにして、彼女は連絡をしなければならないこと思い出した。

???「えっと、ここを押せば……ハローハロー、聞こえますかー?」

袖をまくり、腕を強く押すと、なんとモンスターボールのようにパカッと開いたのだ。
おまけに小さなディスプレイと、小型のマイクが仕込まれている。

人間ではあり得ないその仕様に、しかし少しも驚くことなく、腕に向かって話しかける。
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:13:33.87 ID:ck0qbuaY0
―???―

暗い部屋で、一人の少女が目を覚ました。

身体は傷だらけで、至る所に応急手当てが施されている。

ただし随分ずさんで適当で、絆創膏で傷口が隠れていない箇所もある。

さやか「痛つつ……ここは……どこ?」

天井には電球が一つ、壁には小さな正方形の窓が一つ。
窓の外は暗く、そこから窺い知れるのは、今が夜であろうということだけだ。

さやか「えっと、とりあえずみんなは……あれ?」

当たり前というべきか、さやかの荷物は全て無くなっていた。

勿論モンスターボールも何もかもである。

さやか「どこいっちゃったんだろ……まさか、酷い目にあわされてたり――」

???『だいじょぶだいじょぶ、今頃ポケモンセンターで回復してもらってるんじゃないかな?ギヒヒ』

さやか「――ッ!?」

聞き慣れた、しかし聞きたくもない声が響いた。
どうやらこの部屋にはスピーカーがあったらしい。

次の瞬間ドアが開かれ、光が部屋を照らした。

思わず目を伏せるさやかだが、そこにいた小柄な影が先程の声の正体であろうことはなんとなく予想が付いていた。

そしてそれの意味するところは、つまり、さやかは敵に捕えられてしまったことを意味している。

さやか「シズルちゃん……」

シズル「ギヒヒヒ♪正解だよ、美樹さやか!」
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:15:07.45 ID:ck0qbuaY0
後ろにドクロッグを従え、ゆっくりと近づいてくる。

さやか「あたしをさらってどうしようっての?人質にでもするつもり?」

シズル「なんかさぁ、ボクってば人質とってばっかじゃない?そう言うのは好きじゃないって言ってるのにさ……
    ちなみに、半分はずれだよ。本当の目的は別にあるんだよ〜」

その時、シズルのポケットがブルブルと震えた。

シズル「おっ、ちょうど連絡が来たみたいだよ」ピッ

彼女が取り出した丸い機械から映像が壁に映し出される。

そこに映っている少女の顔を見て、さやかは猫だましをくらった気分になった。

それがにやにやと笑う、自分自身だったからだ。

シズル「見えてる〜?」

さやか?『えぇもうバッチリっすよ!ついでに、バカっぽい顔した彼女もね』

さやか「嘘……あたしが喋ってる!?え、だってあたしは……」

シズル「ギヒヒ、これが極秘に作らせた美樹さやかの偽物なのさ!」

さやか「偽物……?」

さやか?『やっほーオリジナル!調子はどうかな?』

シズル「ホントは自律式にしたかったんだけど流石に大々的にお金使えなかったからね〜
    見た目だけそっくりにして、近くで動かしてるやつがいるってわけ」

さやか?『ちょっとそれ言っちゃだめじゃないですか!酷いネタばれっすよ』

シズル「まあまあ、どうせこっちの美樹さやかにはどうすることもできないんだからさ」

さやか「あんた、一体誰よ!っていうかバカっぽくなんてないっつーの!!」

さやか?『あはは!美樹さやかの代役を務めさせていただきますは、ウィッチ団平団員の――』


タヴィア『タヴィアことオクタヴィアと申します。以後お見知りおきをば』
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:21:04.72 ID:ck0qbuaY0
以上ここまで
いつの間にやら投下レスが600を超えてたなんて怖い
しかしついにやってしまった…オクタヴィアはこれで良かったのか

人数多くてわやになってるけど次はいつもの面子に戻るので
かずみ達はもっとうまくやる方法があるはずなんだろうけど今の俺には思いつきませんでした


全然関係ないけどクリスマスにクリスマスカップっていうペラップ以外のポケモンが解禁される大会があるそうで楽しみですね
これで予定が埋まりますね

ではまた今度
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/03(月) 23:07:49.60 ID:pcSpABQSo
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 08:06:38.22 ID:m7nKIuNDO
872 :名無し [iwjsii]:2012/12/07(金) 17:45:05.92 ID:QXSifi560
来ないな




873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/07(金) 18:31:44.92 ID:hp9fPNdAO
>>872
大体こんなペースだよ。毎日更新するスレもいいが展開を考えながら待つスレも悪くない、クオリティ高いしな。



と言うわけで期待して待ってます。
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/08(土) 20:20:07.79 ID:lnL+Xi2DO
私まーつーわー
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/08(土) 20:40:35.06 ID:cSOUnG3AO
いつまでもまーつーわー
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 19:02:23.70 ID:NbFd+W+V0
待ってるよぉ
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 00:13:15.73 ID:5W/OiL2Q0
>>1ですよ
クリスマスカップはWi-fiにイライラしたので多く語りません
伝説解禁戦でもメタモンは強かった

それより前回の投下で重要なことを議論させてないことに気付いてしまいました
あんまり深く考えてなかった証拠ですね、申し訳ない
多分今週末くらいには今年最後の投下しようという所存です
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 11:42:28.11 ID:MvOe/SCuo

待ってます
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:03:48.00 ID:tws1Fc5E0
前回の続きから
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:05:04.52 ID:tws1Fc5E0
さやか「あたしに化けて一体どうするつもり!?」

タヴィア『どうするもこうするもそんなの決まってんじゃん。あんたの代わりにあいつらに近づいてあたしらにヤバそうな情報を報告するの
     ウィッチ団の不利益は根っこから潰させてもらうよ』

さやか「くっ…卑怯者!」

シズル「おやおやぁ〜?忘れてないかな美樹さやか。向こうにも人質…いや、ポケ質がいるんだよ」

さやか「――ッ!まさか、ミジュか達を!?」

シズル「そうともさ!変なことしたらあんたの大事なポケモン達がどうなるか分かってんだよね!?」

さやか「あんたらぁ……!」

飛びかかろうとしたさやかに、ドクロッグの拳が撃ち込まれる。
傷口から毒が侵入し、さやかは体中が焼けるような痛みに襲われた。

さやか「あっ、ぁぐっ……」ブルブル

シズル「ギヒヒ!大丈夫大丈夫、死なない程度の毒だからさ〜!そうそう、タヴィアのためにニックネームとかよく使う技とかも教えてほしいな〜♪
    そしたら毒消しあげてもいいよぉ〜?ま、別に毒なんか喰らわせなくても大事なポケモン達のこと考えたら話さざるを得ないよね?」ギヒヒ

さやか「っ……み、んな……ごめん……」

結局さやかはシズルの言う通り、ダイケンキやリオル達を危険な目に合わせないために全てを話してしまった。

毒の痛みや悔しさで何度も涙を流しながら、それでもさやかにはなにも出来なかった。
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:06:51.06 ID:tws1Fc5E0
タヴィア『ふんふん、大体オッケーですねー。弱いポケモンにニックネームとか笑っちゃいそうですけど、これでバレずに済みそうです』

シズル「頑張ってよタヴィア。うまく任務遂行できたら出世間違い無しだからね」

タヴィア『どうもっす!まあ、あたしはナハト様の作る新しい世界が見れるならそれでいいんですけどね』

シズル「ギヒヒ、期待してるよ♪んじゃ、うまくポケモン達脅しといてね〜」

タヴィア『了解っす!したらばまた後ほど』

通信が途絶え、部屋は少し静かになった。

シズル「ほいこれ、毒消しだよ。あんたにはここでじっとしててもらわなきゃなんないからね
    協力感謝するよ、美樹さやか」

そう言い残してシズルとドクロッグも消えた。

さやかは仰向けになって一口毒消しを飲み、そして深呼吸をした。

きっとマエバシでは大変なことが起こってしまうだろうが、さやかにはそれをどうすることも出来ない。

そのまま床と頬に冷たさを感じ続け、いつの間にか眠っていた。

その日、さやかは夢を見た。

それは子供の頃のもので、しばらく聞いていなかった幼馴染のバイオリンの演奏だった。

周りにはリオルや彼のパートナーであるコロボーシもいる。

懐かしい音色と光景に、先程より暖かいものを感じていた。

―――――――
――――


眠る前に比べてほんの少しだけ穏やかな顔になっていた。
さやかの寝言は誰に聞かれることもなく、さらりと闇の中に消えていった。

ただ一言、「恭介……」と――
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:08:48.83 ID:tws1Fc5E0
―マエバシシティ・ポケモンセンター―

ポケモンセンターの一室にて、まどか達三人が座って話を始めようとしていた。
時刻は10時を周った程度。

まどか「びっくりしたよー、急に入ってくるんだもん」

杏子「あんな固っ苦しいところで落ち着いて話なんか出来るかっての」

マミ「確かに居心地はちょっと悪かったけどね……」

杏子「それで、一体何をしろって言われてたんだ?」

まどか「えっとね、ほむらちゃんを探すようにって」

マミ「あっ」

まどか「マミさん?」

マミ「そういえば、結局ウィッチ団が宝玉を盗んだ目的ってなんだったのかしら?」

まどかもはっとした。
結局会議で聞いたのは、ウィッチ団の「最終目標」であって、それに宝玉がどういう使われ方をするかは謎だった。

勿論今から戻って再び会議を再開してもいいのだが、杏子が二人を連れて出ていった手前戻りにくいことこの上なかった。

結局それは明日ルート達に改めて聞きに行くことにして、当面はほむらの行方を捜す。

杏子には会議で話したことも大方伝えた。

杏子「なるほどねー。それで、そのほむらってやつのポケ―タイでも何でも連絡先は分かんねえのか?」

まどか「……そういえばまだ……」

杏子「はぁ?おいおい大丈夫かよそんなんで」
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:10:28.49 ID:tws1Fc5E0
まどか「そうだ!今日は学校があったはずだから、仁美ちゃんに聞けばほむらちゃんのこと何か知ってると思う!」

ポケ―タイを取り出し、アドレス帳から友人の名を探す。
オツキミ山で一緒に話した時に連絡先を聞いておけばよかったと、まどかは少し後悔した。

まどか「こんな時間だけど、出てくれるかな」

呼び鈴を鳴らし、待つこと1秒。

仁美『もしもしまどかさん!?今どこですの!?』

あまりの早さと大声に面食らってしまった。

まどか「仁美ちゃん?どうかしたの?」

仁美『どうしたもこうしたもありませんわ!つい先程習い事から帰ってきて初めてマエバシシティでの事件を聞いたところなんですの!
   それで丁度お電話しようとしていたところでしたんです!もう一度聞きます、今どこなんですの!?』

まどか「えっと、そのマエバシシティに……」

仁美『そんな…!お怪我は大丈夫ですか!?さやかさんは!?』

まどか「落ち着いて仁美ちゃん!ちゃんと順番に話すから!!」

まどかはマエバシに着いてから起こった出来事を出来るだけ噛み砕いて説明した。

ウィッチ団と戦い、街は壊滅状態でさやかは意識不明になり、ほむらに助けられたことを。
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:11:21.03 ID:tws1Fc5E0
まどか「それでね仁美ちゃん、ほむらちゃん今日学校にいなかった?」

仁美『……残念ですが、今日は朝だけ来てすぐに慌てた様子で早退してしまったんです。ですからその後は何をしていたのかは分かりませんわ」

まどか「朝に学校を出たんなら、ウォーグルで空を飛んで来れば十分間に合うよね」

仁美『ウォーグル?ほむらさんそんなポケモンも持ってらしたんですのね』

まどか「うん。学校だと見せないのかな?」

仁美『まだ見せてもらったことはありませんわね。それにしても、まさかあのほむらさんがまどかさんを助けたなんて信じられませんわ……
   学校では大人しいんですけど、でも、ほむらさんの実力は相当ですからそれも納得ですわね』

まどか「それでね、ほむらちゃんのポケ―タイの番号とアドレス教えてもらっていいかな?」

仁美『えぇ、こんなことでお力になれるなら安いものですわ!わたくしも出来れば一緒に行きたいくらいですもの
   でも、ジムリーダーの皆さんと一緒に戦うのは流石に気が引けますし……』

まどか「そんなことないよ……今は少しでもたくさんの人の力が必要になる時だと思うから」

仁美『……ではあとでメールを送りますね。さやかさんが目を覚ましたらまた教えてください
   ほむらさんに会ったらわたくしも話を聞いてみますわ』

まどか「うん、ありがとう仁美ちゃん。なんだかちょっと元気でてきちゃった!」

仁美『ウフッ、お役に立てて光栄ですわ。それではまどかさん、おやすみなさい』

まどか「おやすみ、仁美ちゃん」ピッ
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:14:14.26 ID:tws1Fc5E0
杏子「駄目そうか?」

まどか「とりあえずほむらちゃんと電話かメールできると思うから、何か聞いてみよう」

マミ「素直に応じてくれるかしら?」

杏子「確かにどうだろうな……」

まどか「悪い子じゃないんだよ?でも、ほむらちゃんあんまり自分のこと話してくれないから……」

マミ「彼女、ナハトさんと戦いたかったのかしら?それでわざわざ学校を抜けて飛び出してきたとか」

そう言われてから、まどかは二人の会話を思い出していた。

まどか(ほむらちゃんはともかく、ナハトさんがほむらちゃんの名前を知ってたってことは、二人は初対面じゃない…?)

そしてさらに記憶を辿ると、ミタキハラの公園でほむらの名前を出した時のナハトはどうだったか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

シャル「そうそう。みんなお友達いーっぱい連れて来てね!」

仁美「ご一緒にいかがですか、マミさん?ほむらさんもお誘いして」

マミ「あら、いいわね」

ナハト「ほむらって?知り合いなの?」

仁美「はい、私達のお友達ですわ」

ナハト「……へぇ、それはいい。是非一緒に見に来てよ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「知り合い」という言葉が引っかかった。

シャルロッテが「お友達」という表現を使ったのに、どうして「知り合いなの?」と聞く必要があったのだろう?
会話の流れから考えると、わざわざ聞く必要もなく分かりそうなものだ。

ほむらは、まどか達とナハト共通の知人だった。
だから自分の知っている名前が出たことに思わず聞き返したのではないか。

まどか(二人ともどういう関係なんだろう……過去に何かあったのかな…?)
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:16:48.77 ID:tws1Fc5E0
まどかが考えていると、ポケ―タイにメールが届いた。

そこには仁美の励ましの言葉と共に、ほむらのポケ―タイの番号とメールアドレスがしっかり添付されている。

杏子「来たか」

まどか「じゃあ、電話してみるね……」

恐る恐る、発信ボタンを押す。

???『ひゃっ、ひゃぃっ!』

まどか「!?」

聞こえてきたのは想像していたより数段階高く上ずった声だった。

まどか「もしもし?ほむらちゃん、だよね…?」

しばしの沈黙。
裏でゴソゴソと聞こえるが、それが何をしている音なのかは判別がつかない。

何事かと覗き込む二人に、まどかは無言で首を振り応答なしと伝える。

ほむら『もしもし?まどか?』

まどか「あ、うん、私まどかだよ!ほむらちゃん、だよね…?」

ほむら『えぇそうよ』

いつものトーン、いつもの口調のほむらが返って来たので少し安心する。

ほむら『あなたに番号を教えた記憶はないのだけれど』

まどか「あのね、仁美ちゃんに頼んで教えてもらったの。まずかったかな……」

ほむら『……いえ、大丈夫よ。それで、そこまでして電話してきたからには、私に何か用でもあったんじゃないの?』

まどか「うん、ほむらちゃんにお願いがあるんだけど――」

まどかはジムリーダー達と話しあったことを伝え、その上でナハトに対抗するためにほむらへの協力を要請する。
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:19:42.34 ID:tws1Fc5E0
ほむら『……そう、話は大体分かったわ』

まどか「どうかな?一緒に戦ってくれないかな?」

再びの沈黙。

マミ達もまどかをじっと見つめる。

ほむら『そういう話ならお断りよ。あいつは私一人で倒す』

まどか「そんな……どうしても駄目なの?」

ほむら『そうね……これは単なる私の我儘で、どうしようもないエゴなのだけれど、それでもどうにか、私の手で倒したい
    今度こそ必ず、私の手で…!』

電話からでもはっきりと分かる、彼女の悔しそうな想い。
その感情≪きもち≫をまどかは理解した。

だからこれ以上なにも求めることができなかった。

それならばと、まどかは他のことを聞き出そうとする。

まどか「そこまでしてナハトさんと戦いたいのは、どうしてなの?ナハトさんと一体どういう関係なの…?」

ほむら『……秘密。あなたに言う理由はないわ』

まどか「…………それじゃあ、ほむらちゃんは宝玉のこと何か知らない?ナハトさんが『白玉』とか『金剛玉』とか、
    『白金玉』を使って何をするつもりなのかとか……」

ほむら『それは……多分、伝説のドラゴンポケモン達――』

ほむら『空間ポケモンパルキア、時間ポケモンディアルガ、叛骨ポケモンギラティナの復活でしょうね』
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:22:05.29 ID:tws1Fc5E0
まどか「伝説のドラゴンポケモンの、復活…?それでナハトさん達はなにをするつもりなの!?」

ほむら『それは……それを知ってどうするつもり?』

まどか「えっ?どうって……」

ほむら『ジムリーダー達と話し合ったのなら何か言われたでしょう?所詮あなた達は一般人……
    危険なことに首を突っ込んでは駄目よ』

まどか「それなら、ほむらちゃんだってジムリーダーじゃないでしょ!」

ほむら『まどかとは積み重ねてきた時間が違うの……今のまどかではワルプルギスには勝てないわ』

まどか「そんなの、ほむらちゃんだって――」

ほむら『確かにワルプルギスがギラティナを手にしているとは思わなかったわ……でも、対策が無いわけじゃないわ
    伝説のポケモンでも、結局ポケモンなんだもの』

まどか「でも、でも……」

ほむら『いい?とにかくあなたは絶対にワルプルギスやウィッチ団と戦っては駄目よ!そうやってあなたは……』

まどか「え?」

ほむら『……いえ、なんでもないわ。いいから絶対に危ないことだけはしないで!』

まどか「あ、ちょっ――」

そう言って電話は切られた。

慌てて掛け直したが、今度は電源を切られたらしく一切繋がることはなかった。
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:23:20.68 ID:tws1Fc5E0
杏子「まあ、なんとなくこうなる気はしてたさ。ナハトと戦うためだけにこの街に来て、戦いが終わったら消える……
   そんな奴に協力を要請したって無駄だってことさ」

まどか「きっと何か事情があるんだよ……まだ分かんないけど……」

マミ「伝説のドラゴンポケモンの復活っていうと、それこそ少し前にシント遺跡であったっていう事件と近いわね」

まどか「――っ!そうだ、シロナさんは確かあの宝玉が生きてるって言ってた…!」

杏子「はぁ!?宝玉ってーと、金属かなんかだろ?なんでそいつが生きてることになるんだよ!?」

まどか「それを調べる為にここに持ってきたんだ、って……」

マミ「ナハトさんは、そのことを知って何かに使うために……例えば、強者で溢れる世界を作るのに利用するために、
   伝説のドラゴン達を復活させようとしているんじゃないかしら」

まどか「そんなことできるのかな」

マミ「それは流石に分からないわ。でも、あの宝玉から伝説のドラゴン達を復活できると分かったから奪ったのかもしれないわね」

杏子「ほむらとかいうやつの言葉を信じるなら、な。だが、今回の事件はどう考えても一日や二日で計画して実行できることじゃねーはずだ
   あんだけのポケモンを用意したんだからな……ずっと前から準備してたんだろうよ。そのシント遺跡とやらで事件があったのはいつだ?」

マミ「一カ月くらい前ね……でも、飛行船にポケモン達を乗せてくるだけならすぐにでも実行できるんじゃ……
   あぁ、なるほどね。その飛行船が厄介なんだ」

杏子「ただのサーカス団にあれだけ大層な飛行船が必要とも思えねえ。あたしはテレビで見ただけだが、実際はもっとでかかったんだろうよ」
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:25:00.08 ID:tws1Fc5E0
マミ「サーカス団の移動自体は普通にやってきたわけだし、ポケモンの……ポケモンを増やすだけなら飛行船より効率のいい施設はいっぱいあるわね」

杏子「宝玉から伝説のドラゴンとやらを復活できると分かったんで飛行船作って奪いに来た、ってところか」

マミ「一カ月……いえ、シロナさんが宝玉を見つけたのは事件の後だからもっと短いわ。そんな短時間であれだけの物を…?」

杏子「別にシロナってのが第一発見者とも限らねーだろ。それでも時間が足りねーことは確かだが……」

まどか「全然時間が足りないよね……」

マミ「まあ、そのことについて考えても仕方ないわね。それより、これからどうするか考えましょう」

杏子「ほむらに協力を頼むってのがさっそく終わっちまったわけだからなあ。あたしらに出来ることといや……」

マミ「……」

まどか「ナハトさんを止めよう」

マミ杏「……」

まどか「何をするつもりなのかは分かんないけど、伝説のポケモンが復活したら、ナハトさんもっと強くなっちゃうんだよ
    そうしたらもう、誰の声も届かなくなっちゃう…!だから、それだけは絶対に駄目だよ!そんなの嫌だよ!!」

マミ「……そうね。それなら、ナハトさんがどうやって復活させるのか調べましょう。もしかしたら何かウィッチ団の行動に繋がるヒントがあるかもしれないわ」

杏子「よし、やることは決まったな」

まどか「うん!明日からみんなで――」

立ち上がって、すぐにまどかは気がついた。

さやかが未だ病院にいて目を覚ましていないことを。

そのことをマミと杏子も察し、一瞬だけ燃えあがった空気も一気に冷え切ってしまった。
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:26:32.01 ID:tws1Fc5E0
マミ「今日はもう休みましょう。明日からどうすればいいか考えればいいわ」

杏子「そうだな。特にお前らは大変だったんだし、ゆっくり休んでろよ」

まどか「……うん」

そうして三人は部屋へと向かい、軽くシャワーを浴びてからベッドに潜り込んだ。

瞼を閉じると、一日の出来事が鮮明に思い出されていったが、やがて睡魔に勝てずまどかは深い眠りに着いた。

その日、まどかは夢を見た。

それはいつか見た夢なのだが、まどかははっきりと覚えていない。

ただ、水晶を通して見たことは記憶していた。
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:27:02.29 ID:tws1Fc5E0
まどか「はっ…はぁっ……うわっとっと」

まどか「ハァ…ハァ…なに、あれ?」

長い空間を走りぬけたまどかの目の前に広がったのは、巨大な何かの背中だった。

???「ガギャギャァッ!!」

まどか「な、何?」

まどかに背を向けているそのポケモンは、桃色のラインが入った太い尻尾を揺らし、逞しい二足で空間を震わせ、両肩には丸い宝石のようなものが埋め込まれている。
翼を広げ、長い首を高く上げ空へと咆哮すると、そのポケモンの顔が少し見えた。

まどか(なんだろう?大きなポケモン……私の手持ちじゃないと思うんだけど)

前を覗きたくてと回り込もうとすると、そこが広いコロシアムのような空間だったことを知る。

そして反対側にも存在する巨大なポケモンと、その前に立つ人の影が映った。

まどか(髪の長い人……女の人かな?それにあの人の後ろにいるのも、ポケモン?)

???「グギュグバァッ!!」

女性の後ろにいるそのポケモンは、背中に広がる鋼で出来た扇のような背びれのようなものを広げ、長い首を高く上げ空へと咆哮している。
青いラインが入った尻尾を振り、鋭い爪をもつ四つの足で地を震わせ、胸のあたりにダイヤモンドのようなものが埋め込まれていた。

まどか(向こうにいるのはあの人のポケモンなのかな?じゃあ、こっちにいるのは私の?)

その時まどかは、なぜかは分からないがはっきりと、ポケモン達の名前を知った。

まどか(これがパルキア……あっちにいるのが、ディアルガ……)

同時に、あの女性が誰なのかも――

まどか「なんで、ほむらちゃんと私が――」

―――――――
――――
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:28:55.40 ID:tws1Fc5E0
〜十九日目〜―マエバシシティ・ポケモンセンター―

ベッドから体を起こすと、マミと杏子はすでになかった。
書き置きが残っており、外で軽く体を動かして来るとのことだった。

まどか「……変な夢……」

まどか(寝る前にポケモン達やほむらちゃんのこと考えてたからあんな夢を見たのかな……
    あれがパルキアとディアルガ、なのかな…?織莉子さんのところで見たポケモンに似てたなぁ)

まどか「っていうか、そのもの…?」

考えても答えは出てくるはずもない。

お腹は縮まってキュゥーという信号音を発していたのだが、せっかくだから三人で食べたいと思ったまどかは、身支度を整えてから外へ行こうと部屋を出た。
昨日の騒動もあり朝から人で溢れる廊下を、パタパタと客用のスリッパを鳴らしながら抜けロビーに出る。

その人混みの中、今までずっと一緒に旅をしてきた幼馴染の後姿が目に映り、思わず彼女の名前を叫んだ。

まどか「さやかちゃん!」

名前を呼ばれた彼女は振り返り、手を振って駆け寄るまどかに手を上げて応えて見せた。

まどか「目が覚めたんだねっ!体はもう平気なの!?」

さやか「……」

まどか「さやかちゃん…?大丈夫?」

さやか「あぁ、うんうん!平気平気超平気だよ!ちょっとぼーっとしててさ」

まどか「そうなの?」
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:30:18.37 ID:tws1Fc5E0
まどか「リオすけ達はもう引きとったの?」

さやか「リオすけ、ね……ちゃんとここにいるよ」スッ

そう言って差し出されたボールを覗きこむと、全員そこにいた。

じっとまどかを見つめるポケモン達の目に、まどかはほんの少しの違和感を覚えた。

それは霰が吹きつけるようなちょっとしたダメージにしかならない程度のものだったからか、ボールの外からではポケモン達のいつもと違う様子に気が付けなかった。

この時には、すでにさやかの姿を借りたオクタヴィアがポケモン達に脅しをかけた後だった。

さやか「みんな復活してくれてよかったよー!昨日は大変だったからね〜」

まどか「……そう、だね」

さやか「……どうかした?」

まどか「なんだかさやかちゃん、いつもと雰囲気が違う気がして……」

さやか「えぇ!?そうかな?いつも通りだって」

まどか「……あはは、ちょっと疲れてるのかもね」

さやか「そうそう!それで、なんでここに?」

まどか「えっと、マミさんと杏子ちゃんを捜しに行こうと思ってたんだ」

さやか「マミさんと杏子か……あたしは見てないなぁ」
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:31:23.17 ID:tws1Fc5E0
その時、さやかの鞄の中からピッピッという電子音が響き始めた

三つの図鑑が揃った時に鳴る共鳴音が、尋ね人が近くにいることを示していた。

慌ててさやかが図鑑を取り出すと、音はロビー中に広がる。

まどか「よかった、二人ともすぐそこにいるみたいだね」

さやか「う、うん、そうだね……」ゴソゴソ

まどか「…?止めないの?」

さやか「うぇ!?いや、ほら、念のため二人の目印になるようにしといた方がいいかなと思ってさ!」

マミと杏子がポケモンセンターに入ってきたところで、二人に気付いたらしく図鑑を取り出して音を止めた。

それを見てさやかも、恐る恐るゆっくりとボタンを押し音を止めた。

マミ「美樹さん!来てたのね」

杏子「起きてもう平気なのか?」

さやか「見ての通り、問題ないよ!」

まどか「おかえり!二人とも何してたんですか?」

マミ「ちょっと軽く運動にね……」

杏子「ん、まあそんなとこさ」
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:33:30.28 ID:tws1Fc5E0
まどか「それにしても、こんなに早くみんな揃うなんて思わなかったね」

マミ「結局佐倉さんも帰って来たものね」

杏子「あたしだってこんな事件がなきゃ会うつもりなかったんだけどな……しょうがねえから協力してやるよ」

まどか「えっと、とりあえず今から――」グゥー

杏子「ちょうどいいや、あたしも腹が減ってたし飯にしようぜ」

まどか「うぅっ、タイミング良すぎだよ……」カァァ

マミ「ふふっ、それじゃあ行きましょう」

まどか「はい!……さやかちゃん、やっぱりどこか悪いの?」

さやか「ん?なんで?」

まどか「なんだか口数が少ないなぁって」

さやか「そう?あはは、やっぱり疲れてるのかなあ」

まどか「ほら、行こっ!」

さやか「うん!」
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:34:51.76 ID:tws1Fc5E0
朝食はポケモンセンター内のレストランで簡単に済ませた。

まどさや「ごちそうさまー」

まどか「……さやかちゃん、今日は……」

さやか「ん?何?」

まどか「……うぅん、なんでもない」

マミ「ごちそうさま……さてと、これからどうしましょうか」

杏子「そうだな…正直伝説のポケモンに関することなんてどこで調べりゃいいんだ」

さやか「伝説のポケモン…?一体どういうこと?」

まどか「えっと、それは……」

マミ「…?美樹さんにはまだ話してなかったわね。昨日あの後何があったか――」

マミは昨日まどかから聞いたこと、ジムリーダー達と話したこと、三人で話し合ったことをすべてさやかに伝えた。

杏子もちょくちょく口を挟んでいたが、なぜかまどかは積極的に喋ろうとはしなかった。

さやか「なるほど……分かりました。あたしらにできることやりましょう!調べものするならパソコンとかの方がいいのかな?」

マミ「それよりトネシティに行きましょう。あそこには大きな図書館とか美術館があったはずだから
   何か役に立つ文献とか残ってるかも」

まどか「トネシティっていうと、アイリさんとユウリさんがいる街ですね」
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:36:36.03 ID:tws1Fc5E0
次に目指す場所も決まり、席を立とうとしたところで背後に一人の少女が現れた。

ニコ「モーニン、諸君」

まどか「ニコさん!おはようございます」

ニコ「みんな揃って朝ご飯かい。いいね、いつだって誰かと食べる食事は格別だ」

杏子「よう、久しぶりだなニコ。昨日は碌に挨拶もしてなかったな」

ニコ「そうは言うがね、碌に挨拶する気もなかったくせに」

杏子「フッ、まあいいじゃねーか」

ニコ「そう、まあいいんだ……私は朝ご飯を食べに来ただけだからね、普通に」

まどか「あぁっと……一緒に食べます?」

ニコ「いや、君達はもう食べ終わってるじゃないか。それに、もうすぐかずみ達も来るしね……
   ところでまどかにさやか、図鑑に付けてあげた機能は役に立ってるかい?」

まどか「機能…?ポケ―タイとの連動ですか?」

ニコ「いや、プラスアルファの方」

沈黙が続くこと五秒。

まどか「あっ!すっかり忘れてた!!」

さやか「……そんなことがあったようななかったような……」

ニコ「Oh……信じられないね君達」
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:37:56.29 ID:tws1Fc5E0
マミ「図鑑に機能を付けるって、そんなことできるの?」

ニコ「ちょっと貸してみそ」

言われるがまま図鑑をニコに差し出す。

えっと確かこれをこうしてなどと言いながら図鑑のキーをトランセルに合わせ、セレクトボタンを押してからバックボタンを二回押して戻る。
それから一度閉じて再び開き、図鑑をアチャモに合わせると身長や体重などの情報が示された。

ただしよく見ると、そこには今までなかった情報が加えられていた。

まどか「何これ…?攻撃とか素早さとかって書いてある横にグラフ?みたいなのが……」

ニコ「ちなみにバシャーモだとこうなる」ピッ

まどか「あっ、長くなった!」

ニコ「これはポケモンごとに変わる強さの指数だね」

さやか「指数?」

ニコ「体力、攻撃、防御、特攻、特防、素早さ……ポケモンの強さを表す六つの要素はポケモンごとに変わってくる
   カイリキーは攻撃力が高い、ゴローニャは防御力が高い、フーディンは特殊能力が高い、ゲンガーは素早さが高いとかね
   そういうのを完全に数値化はまだ出来てないみたいなんだけど、おおよその目安にはなるよね」

さやか「ほんとだ。ナックラーの方がリオルより攻撃力は高いけど、素早さはリオルの方が高いや」

ニコ「そういうのを分かりやすく可視化したんだ。図鑑を集めてる君たちならそういう情報も収集してるだろうと思ったしね」
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:39:35.96 ID:tws1Fc5E0
まどか「こんな機能付けてたんなら早く教えて下さいよ!トランセルに合わせてボタンを押して戻るなんて普通気付きませんってば!!」

さやか「確かに、よく出来てる……」

杏子「いいかもしれねーなこれ。もっとポケモンの情報が集まれば何かの役に立つかも……今んとこバトルにしか役に立ちそうにないけどな」

マミ「でも、他にも何かあるかもしれないし、収集するデータとしては悪くないわね」

まどか「……もう流石にないですよね」

ニコ「ホントは付けたかったんだけどね」

まどか「やめてください!」

さやか「ふぅーん、こんなこともできるんだ……」

図鑑をしげしげと眺めるさやかを、ニコは何かに気付いたように見つめる。

ニコ「さやか、君なんか……」

さやか「――ッ!」

さやか(なに?そういえば神那ニコはトキサダメのジムリーダー……まさか、あたしの正体がバレ――)

ニコ「太った?」
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:40:56.03 ID:tws1Fc5E0
さやか「……は?」

まどか「そう、かな?」

杏子「最初からこんな感じじゃなかったか?」

マミ「そうよ!全然変わってないから気にすることないわよ美樹さん!」

ニコ「……イッツグンマージョーク」

さやか「冗談になってないから!変なこと言うの止めてよね!!」

ニコ「ソーリソーリー、悪かったって……ま、引き止めて悪かったね。これから予定が?」

まどか「私達、トネシティに行くつもりなんです」

ニコ「トネ?そこに暁美ほむらとやらがいるってことかな?」

まどか「いえ、違うんですけど――」

かずみ「おはようニコ〜…ふぁれ?なんでまどかとニコがいるのぉ?」

まどか「おはようございます」

眠そうなかずみの背中を押しつつ、プレイアデス星団のメンバーが全員揃っていた。
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:42:26.86 ID:tws1Fc5E0
カオル「ほら起きろかずみ!みんな見てるから!」

みらい「さやか!なんだよ起きてたんなら言えよこいつぅー!!」

さやか「えっと、あんたは確か……」

みらい「なっ…!頭でも打ってマジでおかしくなったのか!?若葉みらいだー!!」

さやか「そうそうそんな名前だった!」

みらい「ムッカー!」

海香「仲がいいのねみらい。昨日あれだけ心配そうにしてたらそれは――」

みらい「そんなんじゃないよっ!違うっての!」

サキ「……おはよう。聞こえたんだが、トネシティに行くのか?」

まどか「はい」

何度目かとなる昨日マミ達と三人で話し合っていたことを、今度はプレイアデスのメンバーに伝えた。
その頃にはかずみもばっちり目覚めていた。

かずみ「そっか〜、そういえばなんで宝玉盗んだか全然考えてなかったね!ほむらのことは残念だけど……しょうがないよね
    みんなには復活の方法とか是非調べてもらって……でも、ギラティナ関係と被っちゃうかな?」

海香「どうかしらね?私達が知りたいのは攻撃の方法とか特性とか、そういう方面でしょ」

里美「確かにギラティナの伝説とか調べても、実際に戦うときには役に立たないかもしれないもんね……」

かずみ「なら大丈夫、かな…?とにかく、何か分かったら教えてね!みんなで調べればすぐだよっ!」

まどか「はい!」
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:43:29.49 ID:tws1Fc5E0
その後プレイアデスと別れ、まどか達は荷物をまとめポケモンセンターを離れた。

少し歩いたところで、さやかがふと立ち止まった。

さやか「そういえばさ、ゲル…ウィッチ団の幹部ってどこにいるのかな?」

杏子「あぁ?なんでそんなこと聞くんだよ」

さやか「いやぁなんていうか、織莉子さんとキリカさんとこでメイドしてた人達でしょ?一発文句言ってやりたいっていうかさ」

まどか「……じゃあ、私達も一緒に行くよ」

さやか「いいっていいって!みんないろいろ言ったんでしょ?あたし一人で十分だからさ」

マミ「そうでもないわ。昨日の会議で一緒になっただけだし……それに、宝玉のこととか聞いてみたいし、私達だって一言言いたいわよ」

さやか「……んじゃ、みんなで行きますか」

杏子「あたしはいいよ。ウィッチ団の幹部でぶっ飛ばしたいのはシズルだけだし……」

杏子は一人時間を潰すことになり、三人はゲルトルート達が捕まっているらしい警察に向かった。
面会させてもらえないかと思ったが、事情を離すと意外にもすんなり通してくれた。

警察としては騒動の後始末をしなければならないらしく、他のことに忙しいようだ。

牢屋の中で、二人は大人しくしていた。
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:44:55.02 ID:tws1Fc5E0
まどか「……お久しぶりです」

ルート「どうも」

ローザ「なんすかてめぇら、まだなんかあるんすか」

マミ「ナハトさんが宝玉を使って伝説のドラゴンポケモン達を復活させようとしてるというのは本当なの?」

ルート「えぇそうですよ」

あっさりと答えた。

ルート「別に隠す意味ももうほとんどありませんからね。ただし、どうやってということに関してなら知りません
    後で話すと言われていたので、今のウィッチ団のメンバーなら話を聞いて知っているでしょうけど」

マミ「……そう」

さやかが一歩、牢のギリギリまで近付き仁王立ちになって声を上げる。

さやか「ゲルトルートさんと、ローザシャーンさんだっけ?あたしらは絶対に許さないからね!覚悟しててよ!!」

ルート「……どうぞお好きに」

さやか「フンッ!さ、行こう二人とも」

まどか「……うん」

マミ、まどかと続いて、さやかも歩き出す。

ルート「財布、落ちてますよ」

さやか「へぁ?」

が、すぐにさやかだけ引き返すことになった。

さやか「アチャー、危ない危ない……」スッ

落ちた財布を拾い二人に向き直ると、ルート達の方は一切見ないで駆け寄った。

面会はたったこれだけで終わった。
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:46:19.41 ID:tws1Fc5E0
杏子「おっ、どうだった」

待ち合わせ場所に着き、今度こそ四人はトネシティに向けて旅立つことにする。

マミ「どうやら、伝説のポケモン達を復活させるつもりなのは間違いないみたいよ」

さやか「急ごう!トネシティでなんか情報を集めなきゃ!」

まどか「……そうだね、今はそっちに集中しなきゃね…!」

トネシティはマエバシシティから北に向かったところにある。

普段なら歩いて向かうところだが、今回は急いでいるのでマミと杏子のフワライドとムクホークに乗って向かうことになった。

フワライドにまどかとマミ、ムクホークには杏子とさやかが乗っている。

まどか「……マミさん、今日のさやかちゃんちょっと変じゃありませんでした?」

マミ「美樹さんが?私はあんまり思わなかったけど……でも、ちょっと無理して元気に振る舞ってる感じはしたわね」

まどか「……」

心の中では疑惑と不信が渦巻いているが、それと同時に、本当にただの空元気なのかもしれないという想いもあった。

まどかはさやかを別人のように感じていた。

誰に言ったところで証拠もないし、本人も否定するに決まっている。

それでも霰のダメージが体力ゲージを削るように、違和感は少しずつまどかの心に蓄積していった。

様々な不安を抱えたまま、一向はすぐにトネシティへと辿り着いた。
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:48:01.05 ID:tws1Fc5E0
―トネシティ―

東側に大きな川が流れるトネシティは、グンマー地方の北端に位置しており、のどかな風景と歴史を感じさせるレトロな雰囲気を持つ街である。

また、巨大なコンサートホールを持つこの街では、毎年ポケモン交響楽団の試験が行われている。
試験の日程はかなり近いが、受験する者以外でそれを知っている人は少ない。

余裕がないまどか達は、街の入り口などは無視してまずはポケモンセンターに降り立った。

まどか「ここがトネシティ……」

マミ「向こうの丘の上に図書館があるわ。すぐ出発する?」

杏子「だな。できることはさっさとやっちまおう」

さやか「あのー、その前にトイレいいかな?」

杏子「ったくお前なぁ……さっさとしろよ」

さやか「いやぁ失敬失敬」

さやかはポケモンセンターの中へと消えていき、三人は外で待つことになった。

その間に、さやかことオクタヴィアは知り得た情報や目的など、全てをシズルに報告していた。
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:48:59.30 ID:tws1Fc5E0
タヴィア「――そんな感じで今からトネで調べ物って感じですね」

シズル『了解りょうかーい。まだあたしらのアジトはバレてないみたいね』

タヴィア「そっちは別行動になっちゃったみたいですからまだ何とも……まあ、ちょくちょく連絡を取るように言ってみますんで」

シズル『報告ごくろうさーん。あ、それ向こうのハコに入れといて』

タヴィア「…?何事?」

シズル『あぁ、良さそうな野生ポケモン捕まえてきただけだから。ジュゴンとかデスマスとかまだ厳選してないやつをね』

タヴィア「熱心だなぁ…ギラティナがいたら十分そうなのに」

シズル『バッカ、ウィッチ団から強いポケモンを手にしていくのが大事なんだから時間は全然足りないよ』

タヴィア「まあ頑張ってくださいね〜。したらばまた今度」

報告を終えオクタヴィアは外に向かった。

結果的に随分時間がかかってしまったが、適当に言い訳をしておけばいいだけだと軽く考えていた。

後にこれが原因で、彼女は圧倒的ピンチを迎える。

オクタヴィア扮するさやかがポケモンセンターから出てくると、まどか達が誰かと立ち話をしていた。

白みがかったシルバーの髪の毛が一目で分かるほど背が高く、タキシードスーツのようなきっちりした服装をしている。
傍にははしゃいでいるコロトックの姿もある。

オクタヴィアはその人物が知り合いでないことを祈った。

しかし、その願いは色々な意味でぶち壊された。
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:54:09.40 ID:tws1Fc5E0
???「やあさやか!久しぶりだね」

さやか「――ッ!」ドキーーン

まどか「さやかちゃん、おかえり……さっき偶然そこで会っちゃったの」

マミ「びっくりしたわよ美樹さん。こんな素敵な幼馴染がいたのね」

さやか「おさ、幼馴染…!?」

杏子「何驚いてんだよ。ま、こんなとこまで来て知り合いに会うってなったら驚きもするか」

さやか「あば、あの、その……」カァァァ

???「さやか?どうかしたの?」

まどか「……さやかちゃん平気?」

マミ「えっと、緊張してるのかしら?上条君と会うのっていつ以来なの?」

恭介「そうですね、もう一カ月くらいになるのかな……さやかが旅に出たって聞いた時はこっちもびっくりしましたよ」

さやか「かかか上条君っていうんだ、へぇー、ふぅーん……」

恭介「……さやか、やっぱり変だよ?いっつも恭介って呼んでたのに、いきなり上条君って」

さやか「――ッ!!そうそうそれそれ!名前で呼んでたよねっ!!よびす、呼びしゅてで……きょ、きょきょ、きょうす……」プシュー

恭介「……何かあったの?」

まどか「話すとちょっと長くなると思うけど……」

まどかがマエバシであったことを話している間、さやかはクリムガンのように顔を真っ赤にして微動だにしていなかった。
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 12:59:09.75 ID:tws1Fc5E0
というわけで今年の分は投下終わり

今年中に終わると思ってたのになあ…
今は酷い目にあってるさやかちゃんですが、心配しなくても逆襲の時が待ってますよ
宝玉関連はほんと申し訳ない…なんで議題に上がらないかね

ちょっと駆け足でトネまで来たけど初回から存在だけはしていた上条君がようやく出せて良かった

すこーしずつ伏線とか回収できればいいんだけどなあ
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 13:11:03.66 ID:tws1Fc5E0
>>707〜vsニョロボン
>>736〜vsシロナ
>>757〜vs衝突!マエバシシティT
>>779〜vs衝突!マエバシシティU
>>808〜vs衝突!マエバシシティV
>>819〜vs衝突!マエバシシティW
>>853〜vs幹部二人
>>866〜vs偽さやか
>>882〜vs電話
>>893〜vs新機能
>>906〜vsコロトック

恒例のやつ
vsポケモン少なすぎワロタwwwwwwワロタ…

みなさまよいお年を
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 13:33:56.01 ID:Y3t5+b7DO
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 17:25:57.75 ID:sLwLcQSAO
乙!!

次回更新は来年ですかな?何はともあれよいお年を。

そういえば来年のポケモン映画一体何を配信するのだろうか……ゲノセクト配っちゃったし来年とうとう第6世代まさかの突入!?それか第3世代リメイクかな?
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 16:19:28.47 ID:ItwS4I7g0
まさかオクタちゃん…
恭介に…ホレた…?
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 22:05:41.30 ID:06wS1p6AO
オッス!!おら>>912!!

……じゃなくて大変だッ!!10月にポケモン第6世代スタートだってよ、ポケモンXYだってさ。

というわけで作者さんは誰選ぶ?自分はハリマロン(草)なんだけど意見をくだせぇ

できればまどか達の意見もどうぞ
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/08(火) 22:28:25.12 ID:+ovb4XlZ0
>>1ですよ
新作遂にきちゃうかー
これは何としても新作までに終わらせないと大変なことになりそうだ

>>914
画像や映像見た感じ炎御三家人気出そうだよね
自分は悩んだら草にするんだけどあの水御三家がどう進化するかかなり興味ある
まどか達の意見は…ほ、保留で


投下はもうちょっと待って下さいな
今さやかちゃんロボット出したことを軽く後悔しつつ何とか書いてます故
あと短編集の方も書いてたりするので…

ただでさえクロスなのにオリジナル要素出したり、最初はポケスペ風と謳いつついつの間にかポケスペとクロスしちゃってるあたり、
俺の行き当たりばったり感は伝わってると思いますが最後まで今年も何卒よろしくどうぞ

あ、ポケスペ43巻1月25日発売だそうですぞ(ステマ)
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 22:37:05.67 ID:1QG7+VXbo
俺も炎がいいなー
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 22:52:09.25 ID:82JSe1+DO
やっとポケスペ最新刊でるか
新しいPOKEMONもDSなん?
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 22:56:08.43 ID:8zqmNp5Fo
>>917
3DSで発売
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 03:28:37.16 ID:lKt6to9DO
>>918
DS系持ってないしどちらにしろ無理か
どんどんポケモンがわからなくなる
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 03:33:45.56 ID:MmonXVgk0
ポケモンに面白みを感じなくなってきた
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 17:30:55.51 ID:LwONoCMAO
>>914ッス、見たところ炎多いですね。先代の炎キツネ、キュウコン大先輩とどう差別化が入るか気になりますね。

ちなみに最終進化予想だと

フォッコ→炎エスパー
ケロマロ→水格闘
ハリマロン→草悪
がいい意見としてありますが草悪だと虫4倍が痛い、蜻蛉返りで半分消えかねないんで草岩を最終進化に欲しい所です。

そしてデリバードとカモネギに進化形態とブースターにフレドラは与えられるのだろうか……
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 21:38:27.28 ID:5cmIqkmI0
フォッコ可愛い…
でも3DS持ってないんだよ私…グスン
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 19:07:17.88 ID:+ve0Ly1Ao
http://i.imgur.com/PBkVo5I.jpg
フォッコかわいいよフォッコ
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:10:47.66 ID:1xdUVC4f0
もう少し正確に言うならば、モニターを通して見ていたはずのオクタヴィアが目を逸らしていたからさやかの体は動かなかった。
ただ、オクタヴィアの顔の熱を検知していたためさやかの顔は真っ赤になっていたのだ。

一体彼女に何が起こったのかといえば、それは至極単純な理由である。

すなわち、一目惚れ。

恭介「なんだか大変そうなことになってるんだね……さやかは平気だったのかい?」

さやか「……」ポー

恭介「……やっぱり今日まで体調が悪かったってのは本当みたいだね」

杏子「お前、本当に大丈夫か?」

マミ「なんならポケモンセンターで休んでてもいいのよ?」

さやか「へ?いやもう全然大丈夫っ!平気すぎて怖いくらい!」

恭介「ほんとに?」

さやか「――ッ!えっと、その……いや、駄目!やっぱりあたしも手伝うよ!」

さやか(一人の方がいいけど、監視しとくのがあたしの役目だし)

杏子「あっそ。じゃあ悪いが、あたしらは用があるから行かせてもらうぞ」

恭介「うん、久しぶりに会ったのに忙しいんなら仕方ないね。僕もちょっと忙しいし……いつまでこの街に?」

マミ「今のところ欲しい情報が手に入るまで、かしらね」
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:12:39.33 ID:1xdUVC4f0
まどか「上条君はいつまで?ここに来たのが一カ月くらい前だっけ?」

恭介「そうだよ。実は、明日がポケ団の試験なんだ」

まどか「明日!?」

さやか「ポケ団の!?」

恭介「…?だから今日はスーツを着てのリハーサルをしてるんだ。この後もまだやらなくちゃならないし
   街を出るのは、そうだな……早かったら明後日には帰れるんだけど」

まどか「結構早いんだね」

さやか「明後日……明後日かぁ……」

恭介「じゃあ、僕もそろそろ行くね。またねさやか、後で連絡するよ。コロかがリオすけにも会いたがってたから遊んであげてよ」

コロトック「コーロ――ッ!」ビクッ

さやか「あ、うん、バイバイ……」

恭介「じゃあね、行くよコロか……コロか?」

コロトック「コロロ……」

急ぎ足にコロトックは走り出し、追いかけるようにして恭介は手を振りながらポケモンセンターに入っていった。

マミ「凄いのね、上条君って…ポケ団の試験を受けるなんて」

杏子「あたしはあんま知らないんだけど、倍率やべえんじゃなかったか?」

まどか「すっごく高いんだよ!だからここ最近は休学制度使ってずっと練習してたんだけど、まさか明日が試験だったなんて……」

さやか「上条、恭介君……」ブツブツ

マミ「さてと、私達も行きましょう。お昼までにそれなりに調べなきゃ」
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:14:04.31 ID:1xdUVC4f0
マミと杏子が先を行き、まどかとさやかが後に続く。

さやかはぼーっと空を眺めながら、まどかはそんなさやかをじっと見つめながら歩いていき、やがて四人は図書館に辿り着いた

―トネ図書館―

図書館は広さだけでもかなりのものがあり、当然収められている本の量も半端なものではない。
一同はグンマーの伝説や伝承が載っていそうな本を探し出し、各々文献を漁り始めた。

さやかは適当にそれっぽい本を開いてはいるものの目を通すつもりはなく、オクタヴィア本人は全く別のことを考える。

オクタヴィアは偽さやかから離れ過ぎることは出来ないため、トネシティの近くの森にテントを張ってその中で監視していた。

タヴィア(まさかあんなにカッコいい人が美樹さやかの幼馴染とか……面白くない!っつーか羨ましい!!
     くっそうなんだいなんだい!弱いくせにあんな素敵な人が身近にいるなんてぇ!!)

ダンッとモニターを置いた机を殴りながらも、頭の中には恭介の顔がもやもやと浮かんでいる。

タヴィア(上条君、生で見てみたいなあ!でも、ここを離れるわけにはいかないし……それにしても、上条君はポケ団を目指してる、のか
     じゃあきっと、あたしらの目指す世界には賛同してくれないよね……あれ、それってひょっとしなくてもまずい…?)

フラれる可能性100%であろうことに気が付いて焦った。
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:15:25.79 ID:1xdUVC4f0
とりあえずオクタヴィアは手持ちのポケモンであるトドグラーを出し、ボールを投げて遊ばせる。

タヴィア「よっ」パシッ

トドグラー「アゥ!?」

と見せかけて、そのボールを取り上げる。
そしてそれをすぐに返してやり、また取り上げる。

こうして地味な嫌がらせを繰り返すのがタヴィアの密かなストレス解消法だった。

タヴィア(こうしてあいつらを監視してたって、そう簡単に伝説のポケモン達のことが分かるわけじゃないし
     だったらいっそ寝たふりをしてこっそり上条君を探しに……
     って何考えてんだあたしは!今は大事な任務の途中なのにそんな浮ついたことできるわけないじゃん!!)

タヴィア(それより何より、上条君が幼馴染ってことはなんか変に思われるのはまずい!さっきは適当に誤魔化せたけど、次はどうなるか……
     いや待てよ…幼馴染ってだけなら鹿目まどかにも怪しまれてる可能性があるのかも。でも、今のところあたしを敵だとは思ってないみたいだし
     なんとかバレないように演技しないと…!あたしの演技力を買ってもらったからこそ平団員の中から選ばれたわけだし……)

トドグラー「ッ!グッグッ!!」パシパシ

じっと考え事をしていたタヴィアは、遊ぶのをやめて足を叩いていることにしばらく気がつかなかった。

まどか「さやかちゃん?さやかちゃん!」ユサユサ

さやか「うぇぁ!?なに!?」ガタッ

まどか「しーっ!ここ図書館だよ!」ヒソヒソ

さやか「あぁ、ごめんごめん。ちょっと考え事してて」
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:16:45.03 ID:1xdUVC4f0
まどか「……何か見つかった?」

さやか「いや、全然駄目だよ。やっぱりシンオウの伝説がグンマーの図書館に乗ってるってことはないんじゃないかなー」

まどか「うん……そう思ってさっきマミさんと係の人に聞いてみたんだけどシンオウ関係はほとんど置いてないって……
    それに、置いてあった奴も随分前に借りられてて返ってきてないんだって」

さやか「へぇー、誰なんだろうねその借りてった奴って」

まどか「それが……ナハトさんみたいなの」

さやか「そりゃまたやられちゃったね」

さやか(さすがナハト様、といったところだね)

まどか「……でも、まだ諦めないよ。ひょっとしたらグンマー地方の伝説にも何か書いてあるかもしれないし」

さやか「そうだね!よし、あたしあっちの方探して来る!」

まどか「うっ、うん……ところで、それなんていう本?」

さやか「これ?『グンマー地方伝承記U』ってやつだけど」

まどか「ありがと…間違って同じの読んじゃったら時間がもったいないもんね」

さやか「あぁ、確かにね……んじゃあ行ってくる」

ボロが出ないようにさやかはまどかから距離を取り、マミや杏子にも出来るだけ関わらないように過ごした。

まどかも本を開き何か探そうとするが、全く集中できていなかった。
それもこれも、朝からさやかの様子が気になっているからだ。

まどか(さやかちゃんやっぱり変だよ…上条君と会った時もいつもと違ったし、今朝だって……)
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:18:05.09 ID:1xdUVC4f0
結局調査は捗らないまま昼食の時間を迎えた。
四人で適当に弁当を買ってきて、近くの公園で食事を始めた。
図書館ではポケモン達を出すのはマナー違反とされているので、ここでようやくボールから出してあげることができる。

杏子「おまえらなんか分かったか?」モグモグ

さやか「いやぁ、それがさっぱりだよ」モグモグ

マミ「伝承系は分厚いものね…見逃さないようにしてたら一冊調べるのでも一苦労だわ」ハムハム

まどか「私なんかまだ3冊目の途中で……」ハムハム

四人「ごちそうさま〜」

まどか「……さやかちゃん、ひょっとして何か悩みとかある?」

さやか「あたし?なんで?」

マミ「鹿目さん朝からそればっかりね…どうなの美樹さん?」

さやか「いやいや、もう大丈夫ですって!バッチリ元気だよ!ほら、ご飯もちゃんと食べられるし!!」

杏子「だな。そんだけ食えるんなら心配いらねーって」

さやか「そうだよまどか、今は目の前のことに集中してるからさ!」

まどか「さやかちゃん……」
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:19:05.39 ID:1xdUVC4f0
さやか「みんなのためにも、あたしらが頑張らなくっちゃね!」

そう言って食事休憩をさせていたポケモン達の頭を撫でる。
さやかのポケモン達は、俯き顔を伏せているが。

さやか(フン、そこは一緒になって頷く場面でしょうに……ま、訓練されてない弱いポケモン達に求めるのは酷か。それにしてもリオルのやつ、
    ちゃんと言いつけ守ってるようで何よりだよ。あいつの波紋はこっちにバレずにSOSを求められちゃうし…よっぽど脅しが効いてるようだね)

まどか「……」

杏子「さ、一段落ついたことだし、もうちょい調べるか」

マミ「そうね。のんびりはしていられないわ」

さやか「さー張り切っていこう!」

まどか「うん……その前にちょっとお手洗いに……」

まどかはあとで合流することにし、三人は図書館に戻って行く。

その様子をまどかはじっと見つめていた。

まどか「……どうしよう」

とりあえずまどかはポケモンセンターに向かって駆けだした。
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:19:51.06 ID:1xdUVC4f0
一時間ほどしてまどかも図書館に赴き、各々本を探していたのだが、結局閉館になるまで見つけることは出来なかった。

四人(正確には三人)の足取りは重く、ずるずるとポケモンセンターに向かっていく。

マミ「ま、まあ、初日からそう簡単に見つけられるとは限らないわよね!」 マリルリ「リルリル」コクコク

杏子「そうは言うけどよ…まどかは来るの遅いしさやかはボーっとする時間が多いし」ジトッ ムクホーク「……」ジー

さやか「あはは、ごめんごめんってば!本って読んでたらきつくってさ〜」

杏子「アホか!グンマーがやべえって時くらい気合い入れろ!」

さやか「うっさいなあ、あたしだって頑張ってんの!」

マミ「鹿目さんもなにかあったの?」

まどか「えっと、ちょっとみんなが窮屈そうだったから休憩させてたんです」 トゲピー「ピー!」

杏子「そんなの昼の休憩で充分だろ。ったく、お前ら甘く考えすぎだ!さっさと何かしら行動起こさねえとやべえんだぞ
   行動ってのはこんなとこで本読むってことじゃねえんだ!」

まどか「……そうだね、ごめん」

マミ「まあまあ、何冊か借りて来れたんだしいいじゃない」

さやか「そうそう、そんなに怒んなくても――」prrrr

さやか「ん?メール?」

件名:ごめん!

まだ忙しい?
今日はやっぱり練習に集中したいから、明日試験が終わってから会うことにしよう
コロかも今はすごく気合い溜めてるから

じゃあまたね
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:21:02.12 ID:1xdUVC4f0

さやか(上条君に会えないのか……いや、ボロが出なくて助かったとも言えるし、ひとまず明日まではバレないかな)

まどか「誰から?もしかして上条君?」

さやか「ん、そうだよ。練習に集中したいから会うのはやめようって」

マミ「でも、今考えたら余計なこと言っちゃったかもしれないわね」

さやか「余計なこと?」

マミ「ほら、美樹さんが大変なことに巻き込まれちゃったから、心配して実力が出せなくなったりしないかと思って」

まどか「ッ!」

さやか「いやあ大丈夫ですよ、きょっ恭介なら!ね、まどか!」

まどか「う、うん……大丈夫、だと思う……」

杏子「だからさあ、呑気すぎるっての。例えポケ団に受かったってウィッチ団がその存在を許すと思うか?
   バトル以外の娯楽は一切認めないって考えなんだろ、あいつら……心配するにしても優先度考えろっての」

さやか「ッ!」

マミ「それはそうかもしれないけど……」

さやか「……」

まどか「……とりあえずポケモンセンターに帰ろう?」
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:21:54.15 ID:1xdUVC4f0
―ポケモンセンター―

その日の夜は四人全員ほぼ同時に食事を終え、各々入浴を済ませつつ図書館から借りて来た本を読み耽っていた。

やがて誰ともなくウトウトとし始め、一番息巻いていた杏子が眠りに就くと、マミもしばらくして寝息を立て始めた。

まどかは二人が寝たのを確認すると、さやかに一言休憩してくると言い部屋を出た。

部屋には実質さやか一人となった。

さやか「ちゃんと寝てるようだね……出てこーいあんたら」ボボボンッ

ダイケンキ達「……」

さやか「さてと、今のうちに言えることは言わせてもらうよ。上条君のこと知ってるのは誰?リオルは昔から知ってるみたいだけど、他にいる?」

リオルとナックラー以外が首を振る。

さやか「うん?ナックラー、あんたも知ってんの?」

ナックラー「……」

さやか「チッ、なんとか言いなさいよね。まあどうせ知らないんでしょうけど……上条君のコロトックに余計なこと悟らせるんじゃないよー
    あんたらの大事な大事なご主人様がどうなってもいいんなら無理にとは言わないけど」

四匹とも押し黙ったのを見て再びボールに戻した。

まどかが帰ってくるまで待つことも考えたが、余計に体力を使うだけだと思いすぐに布団に入り、オクタヴィアも睡眠をとることにした。

タヴィア(こんな生活何日も続けられないなあ……シズルちゃんは一週間は潜り込めって言ってたけど、こりゃ予想より早くバレちゃうだろうな
     ま、バレたところでこいつらは人質の美樹さやかがいる以上、手出しできないだろうけどね)
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:23:39.15 ID:1xdUVC4f0
ポケモンセンターの裏。
まどかはピクシーをボールから出し、反応があるのをじっと待っていた。
やがてピクシーは不安そうに顔を上げ静かに頷く。

まどか「そっか、やっぱり……みんな!」ボボボンッ

ボールから全員を出し、まどかは朝からずっと思っていたことを話す。
そしてその考えが先程確信に変わったのだ。

まどか「でも、どうすればいいのかな……私のせいでさやかちゃんに何かあったら……」

バシャーモ「シャッシャッ!」シュッシュッ

まどか「戦うの?でも、どこにいるか分からないんだよ?」

バシャーモ「ッ!」ガーン

トゲピー「ピーピー!」ヨシヨシ

まどか「……ありがとうトゲっち、慰めてくれるの?」

マラカッチ「カッチ〜!」カラカラカラー

まどか「わっ!カチっち静かに!気持ちは嬉しいけどみんな起きちゃうよ」

マラカッチ「ッ!」ガーン

ミカルゲ「ミョーン」ォォオオオオ

まどか「……ミカっちは呻き声禁止。怖いから」

ミカルゲ「ッ!」ガーン

まどか「それにしてもなんでミカっちはそんなにいっぱい声が…………――あっ!そうだ声だよ!」

まどかは何かに気付いたように叫ぶと、しばらくずっとそのまま動かなかった。

ポケモン達は何が起こったのか分からず、顔を見合わせている。

やがて図鑑をじっと見つめた後、ポケ―タイを取り出しどこかにメールを始め、何かを打ち終わると深く息を吐いた。

まどか「あとは……みんな、ちょっと私の作戦聞いてくれる?」

まどかの考えた作戦とやらを伝える。

しばらくして、まどかは自分の部屋に戻った。

部屋は暗く、三人とも寝ている状態だった。

布団に入りぐっすり眠っているさやかを見つつ、まどかは心を決める。

まどか(絶対に助けるからね、さやかちゃん…!)
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:26:20.41 ID:1xdUVC4f0
〜二十日目〜―トネシティ―

まどかが目を覚ますと、昨日と同じくマミと杏子の姿がなかった。
さやかはベッドでまだ眠っていたが、起こさないように身支度を整え部屋を出た。

ポケモンセンターを出て裏に回り、昨日送ったメールの返信を確認すると、ばっちり返ってきていた。

内容を確認して第一段階をクリアしたことに安堵し、ポケモン達をボールから繰り出す。
何をするかは昨日言ってあるので、ポケモン達もすぐに行動を開始した。

みんなの無事を願いつつ、まどかは一旦部屋に戻ると、すでにさやかは眼を覚ましていた。

さやか「おはよーまどか……ごめん、昨日先に寝ちゃったよ」

まどか「おはようさやかちゃん。気にしなくていいよ、私もあの後すぐ寝ちゃったし」

さやか「今日こそは頑張ろうね!」

まどか「……うん」

ガチャッ

マミ「あら、起きたのね二人とも。おはよう」

杏子「おはようさん」

まどさや「おはよう」

二人をよく見ると、どうやら汗をかいているらしく、昨日と同じく運動をしてきたのかと思い、まどかは特に聞くことはしなかった。
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:26:59.44 ID:1xdUVC4f0
―ポケセン内レストラン―

マミ「あら鹿目さん、ポケモン達は?」

まどか「えっと、ちょっと調子悪くなっちゃみたいでジョーイさんに預けてるんです」

杏子「風邪か?気を付けろよな」

さやか「そうそう、今が大事な時なんだしさ」

まどか「……うん、注意してなきゃね」

四人は同時に食事を終え、しばらくしてから図書館に出発した。

しばらくというのは、まどかがジョーイさんのところに寄るるというのと、さやかがトイレに寄るというのを待っていたためである。

ちなみに、さやかはその隙にシズルに報告を済ませた。

タヴィア「まあ、今のところ進展はないみたいですよー」

シズル『あっそ。なんかヤバそうな情報は絶対渡さないでね〜、いざとなったら爆発させて逃げてくればいいからさ』ギヒヒ

タヴィア「アハハ、了解……したらば、また後ほど」
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:27:39.09 ID:1xdUVC4f0
―トネ図書館―

結論から言うならば、運が悪かったと言えよう。

文献を真剣に読んでいる三人を尻目に、さやかが適当に取ったそれっぽい本。

そして適当に開いたページ。

ずばり当たりだった。

さやか(――ッ!!!この絵はもしかしてギラティナ…?書いてあることは……!)

書いてあったのはグンマーに伝わる伝承の一つであり、ギラティナという名前は出てこないものの、絵や内容から察するに間違いなさそうである。

さやか(別に弱点とかが書いてあるわけじゃないけど、これを読まれたら確実にヒントを与えることになるし……
    出来れば燃やしたり破いたりしたいけどここでそれをするのは危険かな……)

さやか「あーあ、この本も駄目かぁ」

こう言っておけばこの本を手に取られる心配もないだろう。
そう思って、出来るだけ三人に聞こえるようにわざと大きめに呟いた。

まどか「ねえ、それなんていう本?」

さやか「……『グンマー地方伝承記Z』だよ」

まどか「ありがとっ!」

さやか(さてと、こうなったら他に何かあるとも限らないし念のためチェックしときますかねー……)

オクタヴィアの思いが通じたのか、まどか達が直接のヒントとなるようなものを見つけることは出来ず、
やがて閉館の時間となり、気が付けばそれらしい本は全て読んでしまっていた。
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:28:52.68 ID:1xdUVC4f0
杏子「マジかよ……こんだけ探したのに見つからねえのか」

まどか「やっぱりシンオウ地方のポケモンのことじゃこっちには全然書いてないね」

マミ「何か繋がりがあるかと思ったけど……でも、一つ面白いものは見つけたわ」

まどか「?」

マミ「『湖のはじまり』という話よ」

さやか「――ッ!?」

マミが見つけた話はこうである。


『その昔 三つの 湖は 枯れ果てていた

 やがて 人と ポケモンが グンマーに 現れた

 しかし 誰も 何も しようと しなかった

 すると 湖から 水が どんどん溢れだし

 三つの湖の 空洞から 三匹のポケモンが 現れた

 三匹のポケモンは 人と ポケモンに 「心」を与えた

 人と ポケモンは 三匹のポケモンに 感謝し

 いつまでも 湖を 守っていくと 誓い

 やがて 生きていく 知性を 身に付けた

 三匹のポケモンは 深く深く 湖に潜り 空洞に 消えた

 グンマーは 豊かになった』
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:30:26.66 ID:1xdUVC4f0
まどか「それが三つの湖の伝説?三つっていうと、『つばなの湖』と『みなかみの湖』とあと……」

マミ「アスナロシティの西にある『こほねの湖』ね」

杏子「それが何の関係があるんだよ」

マミ「確かにこれだけだとただの昔話みたいだけど……私、シンオウ地方に似たような話があるの覚えてたの」

まどか「えっ!?」

マミ「昔読んだものだから詳しくは覚えてないけど、シンオウの神話にあったのは確か、湖から現れたりするんじゃなくて、
   湖に潜って何かする…みたいな話だったわ。でも、そこにも三つの湖と三匹のポケモンが出てきてたのよ!」

さやか「だ、だからって決め付けるのは早いんじゃ……」

マミ「そうとは限らないわよ。シンオウ地方とグンマー地方の似たような伝説……ギラティナに関係してる可能性が無いわけじゃないわ
   もしかしたら、三つっていうのが何かカギになってて、例えば宝玉の数にも関係してる…なんてこともあるかもしれないし」

杏子「おいおい、そういうことに気付いたんならもっと早く言ってくれよ!また探し出さなきゃならねえじゃないか!」

マミ「だって、見つけたのは最後に読んだ本なんだから仕方ないじゃない!」

まどか「でもこれで、次に探す物が見つかりましたね!」

マミ「えぇ!みんなはどれくらい本を読めたの?」

杏子「12だ」

まどか「私は11冊です」

さやか「あはは、あたしは9冊くらいかな……」

マミ「私も12冊だから、全部で40冊くらいね。手分けして調べましょう!」

まどか「はいっ!」

さやか(やばいなぁ、こいつがまさかシンオウの神話知ってたなんて……とはいえ、あたしの読んだ本さえ渡さなきゃまだ隠せるかもね
    湖のポケモン関連を調べられるのはもう止められないだろうし……早くシズルちゃんに報告しなきゃ!)

一同は図書館から本を借りていき、ポケモンセンターに持って帰ることにした。
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/27(日) 20:46:16.57 ID:1xdUVC4f0
今回はここまで
名探偵まどかの解決編も書いてはいるんだけど、ポケスペ43巻を読んでから軽く絶望してます
なぜなら時系列に矛盾が出てきてしまったからです

当初この話はDpt→HGSS→まどか→イッシュとするはずでした
ところがどうやらポケスペ内では
HGSS→Dpt→イッシュとなってるらしいのです

無駄にクロスさせてしまったせいなんだけど、シロナさん関係の話が矛盾だらけでもうどうしようかなと

幸か不幸かもうすぐ1スレ終わるし、書き直したおところもちらほらあるし、完全に新しいスレとしてはじめからを選択するというのもありかなあと
それとも2レス目に突入してこのままどうにか辻褄を合せて続けるべきかなあと


新しく始める場合はちょっと時間かかると思うけど終わり付近まで書き溜めてから立て直して数日ずつ投下しようかと考えてます
続ける場合は今日までの続きをちょっと投下してスレ立ててまた待ってもらうことになります
どっちにしても待ってもらうことになるのは心苦しいんだけど、他に選択肢が思い浮かばないもので

割と真剣に悩んでて、どうしたものか何か意見が欲しいです
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 20:06:25.65 ID:mCTjYw7AO
当初の予定のまんまでいいと思います!!
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 21:28:16.87 ID:4nWx2qY0o
細けぇこたぁいいんだよ
多少矛盾があっても完結してくれれば文句はない
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 16:25:13.19 ID:Tcuxk8XAO
確かにあの時系列を使っての伝説のポケモンの数合わせは予想外だった
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 17:13:07.88 ID:phr4WLKDO
あるSSでは全部書き終えてからリメイクとして新しいの増やしたり矛盾したところを直して再びやったりしてるから今の全部やってからリメイク版として矛盾した部分など直したのを新しくやるのも一つの手かと
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:05:39.41 ID:8vonz8Zy0
意見ありがとう

とりあえずこのまま続けることにします
完結したらリメイクするかもしれない…むしろいつになるか分からないけどやる予定
その際はかなり変わってるだろうけど

というわけで続き投下
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:07:09.10 ID:8vonz8Zy0
マミ「これで何か見つかるといいわね」 フワライド「フワワー」

杏子「だな。湖関連に絞ればいいんだからだいぶ楽になるし」 シュバルゴ「ゴーン」

まどか「どのへんに何があったかは大体覚えてるしね」

さやか「ま、まあね……」

恭介「あっ、さやか!」

さやか「どぇっ!?きょっきょきょ、恭介!なんでここに!?」ドキッ

恭介「なんでって、試験が終わったからさやかに会いに来たんだよ」

まどか「上条君……」

さやか「あた、あたしに会いに……そっそれで、試験どうだった?」

恭介「うん……バイオリンはまあなんとかできたんだけど、コロかが昨日張り切りすぎちゃったのか最初調子が出なくて……」

さやか「あ、そっか……」

恭介「でも、最後の方はバッチリ合わせて終わらせられたよ」

さやか「そうなんだ、よかった……」

まどか「ほっ……」
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:09:12.11 ID:8vonz8Zy0
恭介「……ところでさやか、リオすけはどうしたんだい?」

さやか「ッ!?」

恭介「いつも一緒に連れてたのに……他のポケモン達もいるんだろ?」

マミ「そういえばそうね」

さやか「あはは…まあ、ちょっと歩くのしんどそうにしてたからさ!」

恭介「ほらコロかが二人に会いたがってたんだ」

コロトック「コロ……」

さやか「久しぶりだねーコロか!ほらリオすけ、出てこーい」ボンッ

リオル「リオ……」

恭介「久しぶりだねリオすけ!元気にしてたかい?」

リオル「オー」コクコク

コロトック「コーロロ?」

恭介「久しぶりだよね、こうして四人で会うのって」

さやか「まあね〜、あたしはしばらく旅に出ちゃってたし」

恭介「さやかと一緒に旅をしてきたポケモン達も見せてくれる?」

さやか「うん、いいよ」ボボボンッ

ダイケンキ達もボールから出され、昨日はボール越しだったが、今回初めて至近距離で恭介と対面する。
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:11:21.87 ID:8vonz8Zy0
恭介「へぇー、これがさやかのポケモン達か。何て名前なんだい?」

さやか「えっと、ミジュかにフラすけにマイかだよ!」

恭介「そうなんだ。じゃあ、ダイケンキとマイナンはメスでナックラーはオスなんだね」

さやか「ま、まあね!ほら、分かりやすいじゃん?」

恭介「本当にあの約束守ってたんだね」

さやか「やく…そく…?」

恭介「……覚えててくれてたんだよね?」

さやか「あ、うん、えっと……」

さやか(約束!?約束って何よ!知らないってのそんなの!!まずいな、何か言い訳を……)

恭介「リオすけ、ちょっと大人しくなったね。前はあちこち走りまわったりしてたのに」

さやか「えっと、それは……」

マミ「……あの。私達お邪魔みたいだし先に帰ってるわね」

杏子「先行ってっからなー」

さやか「えっ、ちょっと待っ――」

まどか「待って二人とも!」
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:13:30.86 ID:8vonz8Zy0
さやか「まどか…?」

まどか「上条君、昨日私が言ったこと、実際にさやかちゃんに会ってみてどう思った?」

恭介「うん……やっぱり変だね」

さやか「なっ…!」

恭介「昨日会った時もちょっと変だなって思ったけど、調子が悪かったんだと思ってた
   でも改めて話してみると、やっぱり違う気がするよ……見た目はさやかなのにさやかじゃないみたいだ」

さやか「……」

恭介「実は昨日、コロかがさやかに会ってから少し怯えてたんだよ……コロかの奏でる音を聞けば、どんな気持ちなのかすぐ分かるしね」

まどか「私、昨日お昼を食べた後上条君に会いに行ったの」

恭介「最初はびっくりしたよ。さやかがどこか変じゃなかったかっていうもんだから…昨日の時点では確証はなかったけど、
   コロかの怯え方から何かあるのかと思って今日確かめに来た。そしたら鹿目さんの言う通り確かにさやかは変だった……
   君は、一体誰なんだい……?」

さやか「……やだなあ、どうみてもさやかちゃんだよ」

まどか「さやかちゃんじゃ、ないんだよね」

さやか「……」

マミ「なに、どういうことなの?」

まどか「例えばシズルちゃんが使ってたみたいなロボット……とか」

杏子「あいつの…!?まさかてめえ!」
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:16:08.62 ID:8vonz8Zy0
まどか「リオすけだけじゃなくてフラすけもずっと大人しいよね」

さやか「……それが?」

まどか「よくさやかちゃんに噛みついてたのに、昨日から全然だよ」

さやか「……うーん、探偵ごっこはせめてシズルちゃんに報告してからにしてほしかったかなあ」

そう言うと大きく後退しまどか達から距離をとる。
すかさず駆け寄ろうとした杏子達に、右腕をかざして見せた。

さやか「止まれ!美樹さやかがどうなってもいいの!!」

そこにはボタンやスピーカーやディスプレイなど、人の腕に付いているはずのないものがあった。

さやか「このボタンを押せばシズルちゃんに連絡が付くようになってるの。それがどういう意味か分かるよね」

杏子「なんなんだよ…てめえ一体何なんだ!さやかに何をしやがった!?」

さやか「ご明答だよ鹿目まどか……この体は美樹さやかに似せて作られたただのロボット…こうやって声を当ててるあたしはそこにはいないの」

まどか「もしかして……さやかちゃんを誘拐してるの?」

さやか「そうだよ、それもその通り。アンタらには悪いけど大事な人質になってもらってるの
    だからリオル達も手を出せなかったってわけ…分かったらポケモンをボールに戻して!!」

マミ「ロボットって……何てことを……」

さやか「早くしてよ、あたしがこのボタン押すだけなんだからさ……まあ、仮にこの体で押せなくてもこっちで押せば済む話だし」
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:19:12.73 ID:8vonz8Zy0

杏子「くそっ!」

まどか「みんな耳塞いで!」

さやか「何?」

まどか「ミカっち!!」

ミカルゲ「オンミョ〜ン」ズズズズ

さやか「なっ――!?」

ミカルゲが現れたのは偽さやかのすぐ後ろ。

石に成り済ましていたミカルゲのかなめいしから、集まった108の魂の声が静かな町に響き渡る。

その声は身の毛がよだつほどおぞましく、石ごと飛び上がって偽さやかの耳元に声を聞かせ続け、テントで潜んでいたオクタヴィアとトドグラーをも苦しませる。

さやか「いやあああああああああああああ!!!やっやめろぉぉおおおおお!!!!」

杏子「――ッ!今だバルっ!あいつの右腕をぶった切れ!!」

怯んだ隙を突いてシュバルゴが高速飛行で接近し、二本の槍を使って肘から先を斬り飛ばした。
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:23:09.71 ID:8vonz8Zy0
さやか「くそ…!こうなったらこっちで押してやる!ついでにそいつは自爆させてやるんだから!!」

マミ「駄目!スイッチを押させたら!」

さやか「いいや限界だッ!押すねッ!!」

オクタヴィアは偽さやかを爆発させるためのスイッチを押そうとした。
しかし、突然オクタヴィアの腕、さらには体まで重くなりスイッチ直前で地面に伏してしまった。

タヴィア「な、なによこれ…!?体が重く……!」

ピクシー「ピィ!」

タヴィア「ピクシー!まさか、これは――」

??1「"じゅうりょく"だよ、ウィッチ団」

??2「残念だけど、幹部達に連絡はさせないよ」

タヴィア「――!?なんであんたらがここに…!確か、あたしらのアジトを探しに行ってたんじゃ……」

??1「自分達の街に帰ってきて何が悪い」

??2「もう、素直にまどかちゃんに呼ばれたからって言えばいいのに」

??1「フン」

タヴィア「トネシティジムリーダー…アイリとユウリ!」

ユウリ「情報が掴めるかもって言うからさ…ま、ビンゴだったわけだけど」

アイリ「はいはい、あとでお礼言っとこうね」
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:26:49.91 ID:8vonz8Zy0
場面は再びトネシティの一角に。
偽さやかはその挙動の一切を停止させていた。

杏子「どうした!?スイッチはどうなった!?」

まどか「大丈夫、うまくいったみたい。ピピっちが"じゅうりょく"を使ってくれたから」

マミ「なっ!?鹿目さん、相手の場所が分かってるの!?」

まどか「それは――」

???「ぬうぉぉーー!やはり私の直感は間違っていなかった!!跳びつけニョロボンッ!」

ニョロボン「ッ!」ガシッ

その時、突然走って来たニョロボンが偽さやかに跳び付いた。

???「これで自爆は出来まい!」

杏子「秋山!?なんであんたがこんなとこにいるんだよ!!」

秋山「呼ばれて飛び出てトーウッ!キッチンの守護神、スライス秋山参上!!」シャキーン

杏子「やってる場合か!」

まどか「ごめんなさい秋山さん、なんとかなったみたいです」

秋山「なぬっ!?せっかく爆発の危険性があるから特性『しめりけ』を持つニョロボンを待機させてほしいと言われたというのに
   まさかこの私が直感から導き出したタイミングを誤るとは……」

マミ「……鹿目さん、一段落ついたら説明してくれるのよね」

まどか「はい。あとはピピっち達が帰ってくるのを待つだけです」

その後すぐに縛られたオクタヴィアがアイリとユウリに連れられてやってきた。
傍にはまどかのピクシー達もいる。
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:29:12.33 ID:8vonz8Zy0
杏子「まさかユウリがいるとはな……ケッ」

タヴィア(あぁもう、どうしてこんなことに……鹿目まどかのやつ、用意周到すぎる!昨日上条君に会ってたってことは、
     その時にはすでに私に気付いてたってことか……)

タヴィア「ねえ、いつあたしが美樹さやかじゃないって気付いたの」

まどか「私が最初に疑問に思ったのは昨日の朝ご飯の時だよ」

マミ「ご飯の…?」

まどか「さやかちゃんって、本当はあんまり食べるの早くないんですよ」

タヴィア「っ!?」

まどか「学校でお弁当食べる時も、ポケモンセンターでご飯食べる時も、立花さんのお店でご飯食べる時も、さやかちゃんはいつも最後だったよね」

杏子「そう、なのか…?」

まどか「でも、そうじゃないときもあったよ。イツ砂漠でシズルちゃんに逃げられた後、二人でお饅頭食べたの……
    その時のさやかちゃん、ちょっと話してるだけの間にすっごく早く食べてたんだよ
    そういう時は何かに悩んでたりイライラしたりしてる証拠だから、私と同じ気持ちだったんだって分かってちょっと嬉しかった」

恭介「それなら僕も知ってるよ……小さい頃はよく給食食べるのが遅いって言われてたよね」

まどか「だから昨日の朝もお昼も食べるの早かったから、きっと何かあるんだろうなって思ってた……
    でも、『もう大丈夫、元気だ』って……そう言ったよね」

タヴィア「……それだけ?」

まどか「疑い出すと止まらないよ。普段からポケモンを出してたさやかちゃんが昨日は図書館から帰る時も出してなかったし
    それに昨日、マミさん達が寝て私が出て行った後にリオすけ達に何か言ってたよね。あれ、ピピっちが聞いてたの」

タヴィア「……」

まどか「上条君と会った時に動揺してたのも、本当は上条君のこと知らなかったからなんでしょ?」

恭介「なるほど、昨日変だったのはこういうことなのか」
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:33:14.82 ID:8vonz8Zy0
マミ「じゃあ、昨日から準備を?」

まどか「準備は今日の朝からですよ。昨日はまず上条君にさやかちゃんが変じゃなかったかって聞きに行ったくらいで
    そういえば上条君ごめん!私、試験のことなんか全然考えてなくて、それなのに心配させるようなこと言っちゃって……」

上条「いいんだよ鹿目さん。どっちにしてもコロかは緊張してたみたいだし、もう終わったことだから」

まどか「ありがとう……それで、サキさんに連絡してアイリさん達三人になんとか来てもらえないか頼んでもらったんです」

秋山「私はロボットが爆発するかもしれないと聞いてな!手を貸してもらえないかと言われたのさ」

アイリ「昨日夜中にサキちゃんから連絡があって、何か情報が手に入るかもしれないから手伝ってくれないかって言われたの
    で、私達はこの街に帰ってきてまどかちゃんのポケモン達と合流してから合図があるのを待ってたのよ」

杏子「合図?」

まどか「ピピっちの…ピクシーの耳って遠くの音を聞き分けられるほど凄く良いんだよ。でも広いトネシティから探しだすのは大変だから、聞き取りやすい音を考えたの」

マミ「なるほど、ミカっちのあの声ね」

まどか「特徴的だからすぐ判別できると思ったんで、耳元で叫ばせました。ひょっとしたらこの人の大声にも反応してくれるかもしれなかったし」

タヴィア「だからって、なんであんな短時間で来れたわけ!」

ユウリ「それはだな」

ユウリは自分の後ろにいる、彼女の手持ちポケモンであるフーディンを見た。

ユウリ「"テレポート"でピクシーが指定した場所に飛んできたってわけ」

タヴィア「あぁそう……はぁ……どうしてこんなことに……」

恭介「それでさやかは無事なんだろうね!?」

タヴィア「……今んとこね……牢屋かどっかに閉じ込められてるよ」

恭介「そっか、無事なんだ……よかった」ホッ

タヴィア「……」チッ
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:34:48.98 ID:8vonz8Zy0
ユウリ「そんなことは後でいいんだよ」

まど恭「よくない!!」

ユウリ「いいからあんたらのアジトがどこにあるのか教えてよ。その後助けに行きゃいいじゃん」

まどか「あなた、名前は?」

タヴィア「……タヴィア……オクタヴィアだけど」

まどか「タヴィアちゃんはポケモン図鑑持ってる?」

タヴィア「当たり前じゃん。荷物は全部持ってなきゃバレちゃうし」

まどか「そっか……図鑑をさやかちゃんが持ってたらすぐに場所も分かったんだけど」

ユウリ「いいから言えっての!」

タヴィア「えぇーっと……」

タヴィア(どうしようかなこの状況……もうどうしようもないか)

恭介「……くそっ、何か僕に出来ることはないのかよ……」

タヴィア「……上条君は、音楽が好きなの?」

恭介「えっ?」

ユウリ「いいから質問に答えろ!」

タヴィア「黙ってて!どうなのかな……?」
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:37:18.71 ID:8vonz8Zy0
恭介「好きだよ、当たり前じゃないか」

タヴィア「それはポケモンバトルより楽しいと思う?」

恭介「人によったら違うと言う人もいると思うけど、僕はバトルよりずっと楽しいと思ってる」

タヴィア「そっか……ねえ、聞かせてくれないかな?あなたの音楽」

ユウリ「お前何を言って――」

タヴィア「それであたしを改心させてみてよ!音楽如きであたしの気を変えさせられるものならさ」

恭介「……」

アイリ「改心ってことは、私達にアジトの場所を教えてくれるの?」

タヴィア「フンッ、できるもんならやってみろっての。あたし、音楽で感動とかしたことないんだよね」

まどか「上条君……」

恭介「……分かった、聞かせてあげるよ。ただし、僕の音楽じゃない」

タヴィア「…?」

恭介「"僕ら"の音楽だ」 コロトック「コロロー!」スッ

コロトックがナイフのような腕を胸の前でクロスさせメロディを奏でると、それを聞いた恭介がバイオリンの演奏を始める。
コロトックの感情を恭介が汲み取り、やがて二人の気持ちがシンクロした時、人だけでもポケモンだけでも表現することの出来ない最高の音楽となる。

この時のコロトックの感情は「悲哀」だった。

いつしかその場にいる誰もが二人の演奏に耳を傾けていた。
初めにまどかが涙を流すとポケモン達も釣られて泣きだし、マミや杏子も瞳を潤ませアイリ達も顔を伏していた。
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:40:11.03 ID:8vonz8Zy0
演奏が終わり恭介が一息ついて周りを見た。
コロトックのメロディを聞いた時からこうなるかもと予感、あるいは期待していた。

肝心のオクタヴィアに目を移すが、下を向いているのでその表情は伺えない。

トドグラー「オッオッオッ」パチパチパチ

トドグラーがアンコールを望むように拍手をすると、ポケモン達もまどか達も自然と手を叩いていた。

恭介「ありがとう……どうだったタヴィアさん」

タヴィア「……」

恭介「感想を聞かせてくれるといいんだけど」

タヴィア「あはっ」

第一声は笑い声だった。

タヴィア「あははははは!今のが上条君の音楽!?あっはははははは!凄い凄い、傑作だよ傑作!!」

まどか「タヴィアちゃん……」

タヴィア「ホント凄いよ上条君!あはははあははははは!」

しかし誰も何も言わなかった。

タヴィア「ホント最高だったよ……もっと早く会いたかったよ……うぅっ…うぅあぁぁ」

彼女は泣きながら笑っていたから。
その内大声で泣き始め、日が暮れるまで泣き止むことはなかった。
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:42:38.88 ID:8vonz8Zy0
―ポケモンセンター―

タヴィア「あたし、上条君に惚れ直しちゃった」

恭介「へっ」

まどか「えっ?」

一同「えぇぇぇーーーーーー!?!?!?」

あまりにもあっさり言われたものだから、一同目を丸くする他なかった。
言われた当人は口をパクパクさせている。
言った本人は顔を赤くしている程度で、初対面の時のように取り乱してはいなかった。

恭介「いや、あの、いきなりそういうこと言われても、なんというか……」

タヴィア「いいよ別に……まだあたしは上条君のファンでいいから」

恭介「……それは嬉しいんだけど、さやかを早く助けに行きたいんだ!場所を教えてくれるんだよね?」

タヴィア「……あーあ、そこまで思われる美樹さやかが羨ましいや」

まどか「タヴィアちゃん、かなり吹っ切れちゃったみたいですね」ヒソヒソ

マミ「色々と無理してたのかしら…?」ヒソヒソ

タヴィア「アカギ山は調べたの?」

ユウリ「そこは最初に探した。チャンピオンがいた場所なんだからな……だがナハトさんはいなかった」

タヴィア「あそこが元々の根城だったんだけど、今は飛行船で移動して別の場所に隠れてるよ」

まどか「それは…?」

タヴィア「カザミの森。あそこで周りにバレないように細工して潜んでる……嘘じゃないよ」

まどか「カザミの森……そこにさやかちゃんが…!」
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:44:25.31 ID:8vonz8Zy0
杏子「そんなとこに居やがったか……どうすんだ?すぐに突っ込むのか?」

アイリ「その前にみんなに連絡を取ってからじゃないと。準備もしなきゃ駄目だし」

ユウリ「だね。とりあえずサキ達に連絡してくる」

秋山「ジュゥべえ君は見つからないか……ジムリーダーとして彼にも来てほしいんだがな」

まどか「私も……私にも手伝わせて下さい!さやかちゃんを、助けに行かないと!」

ユウリ「はぁ?そんなのだ――」

アイリ「危険だよ……それでもいいの?」

まどか「いいよ……さやかちゃんのためなら、私…!」

秋山「その意気やよし!皆でウィッチ団のアジトに乗り込もうではないか!!」

ユウリ「ま、まあ!秋山さまがそういうなら……」

タヴィア(浮かれちゃって……ナハトさんが簡単にやられるとは思えないけど……これで、よかったんだよね)

恭介「タヴィアさん」

タヴィア「へぁっ!?」

恭介「ありがとう、教えてくれて」

タヴィア「……うん、上条君に喜んでもらえて嬉しいよ。あたし、バトルの才能なかったみたいでさ。ずっと平団員だったし、
     全然強くなれなくて……だからバトルは諦めて、あたしも音楽始めてみたいんだ!
     ポケ団には入れなくても、いつか誰かを感動させられるような、上条君みたいな音楽が出来たらなって……」

恭介「……甘くないよ。音楽だって、バトル以上に才能が大事だって言われてる……でも、僕は才能が全てじゃないと思ってる
   何より必要なのは、ポケモンと心を通わせられるようになることだと思う。タヴィアさんなら、きっと出来るようになるよ」

タヴィア「あはは、ありがとう上条君……上条君に認められるような音楽を奏でたいな」
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:46:58.78 ID:8vonz8Zy0
タヴィア「で、上条君は美樹さやかのこと好きなの?」

恭介「えぇっ!?」

まどか「っ!?」

タヴィア「いいじゃん、教えてよ!」

ユウリ「お前なぁ……自分の立場分かってるのか!そもそもあんたは元ウィッチ団で、一応の犯罪者なんだからね!」

タヴィア「ケチ、寝返ったんだからチャラにしてよね」

ユウリ「こいつ……」

タヴィア「で、どうなの?」

恭介「えっと、さやかは僕の幼馴染で……そういう風に見たことないっていうか……」

タヴィア「ふーん、じゃあチャンスはあるんだ」

コロトック「コロ……」

まどか「……コロか、"みねうち"」

恭介「痛ッ!か、鹿目さん…!?なんで!?」

まどか「とりあえず準備が整うまではギラティナのこと調べた方がいいですよね?」

マミ「え、えぇ、そうね…なんとか押さえる方法が見つかればいいんだけど」

杏子「そっか、まだそれがあったか」

恭介「あれ?無視?」

タヴィア「上条君!いつか、あたしの音楽を聞いて……」

タヴィア「それで、その時はちゃんとあたしを見てよね!」
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:48:25.02 ID:8vonz8Zy0
タヴィア達が盛り上がっている間に、アイリは少し離れたところでユウリに代わってサキに連絡を終え、
ギラティナのことを調べていた海香達にも連絡を終えるところだった。

海香『そう、見つかったのね。こっちもある程度話は聞けたわ』

アイリ「今どこにいるの?」

海香『シンオウのポケモンのことならシンオウ地方に行った方が早いと思ってね。今シンオウのポケモン協会の人達に話を聞いてたところ』

アイリ「そんなところにいるんだ!それで、何か分かった?」

海香『とりあえず、普通のポケモン達で対抗するのはとても厳しいみたいね。特別な技も使うみたいだし
   私たち全員で相手を出来ればいいけど、幹部達もいるから厳しいわね』

アイリ「そっか……これからどうする?」

海香『もう少し話を聞いてから帰るわ。意外と早く情報が手に入ったから』

アイリ「じゃあ帰ってきたら連絡してね」

電話を切り、次はジュゥべえを探していたニコ達に連絡を入れる。

ニコ『ちゃおアイリ。まさにグッドタイミングってやつだよ、今そっちに連絡しようと思ってた』

アイリ「なにかあったの?」

ニコ『まあね。さて、悪いニュースと超悪いニュースのどっちから聞きたい?』

アイリ「何よその選択肢……じゃあ、悪いニュースから」
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:50:33.80 ID:8vonz8Zy0
ニコ『マエバシで捕まえてたあの幹部達逃げちゃったらしいよ』

アイリ「なんですって!?」

ニコ『どうやったのかは知らないけど、中からポケモンがこじ開けたみたいだってさ』

アイリ「そんな……」

ニコ『さっきかずみに連絡があった。誰かがあいつらにポケモンを渡したんだろうね、いつの間にか』

アイリ「……それで、超悪いニュースっていうのは?」

ニコ『ジュゥべえが見つかったよ』

アイリ「そうなの?それって良いニュースなんじゃ?」

ニコ『いや……ジュゥべえはもう壊れてる』

アイリ「壊れてる…?まさか、死んで――」

ニコ『違うよ、言葉通り壊れてる……』


ニコ『ジュゥべえは、ロボットだった』
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 14:54:09.53 ID:8vonz8Zy0
投下終了

次スレは次回投下できそうな分書き溜められたら立てまする
場合によってはもう一回こっちに投下するかもしれないけど
誘導とかしたいのでそれまでは残しといてくれると嬉しい

次はようやくさやかちゃんのターン
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 17:12:05.38 ID:n56ATZsAO
おつ!
楽しみにしてるよ
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 17:12:55.45 ID:Bnw5oj0AO
乙!!

マミ「この私の髪型がコロネみてぇだって〜!!ティロロロロロロロォ!!」ってことかなスイッチの下りは。“今だッ”はないけどナァ〜

タヴィアの落としが良かったな。次も待ってます
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 20:07:43.77 ID:78N0tbmLo
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/04(月) 06:18:29.37 ID:lDR2+xVbo
上条が餃子ばりにオクタヴィアにしがみついて爆発すれば良かったのに畜生
おつ
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 13:57:51.33 ID:8j/kkh440
そろそろ立てないとヤバいかと(汗)
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 23:38:22.73 ID:Ir+G3cCDO
ジュゥべえの本体は一体誰なんだ(棒)
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/08(金) 22:13:58.42 ID:oJEHP8880
スレを立てるんだっ
続きが読めなくなるっ
例題 QB「僕と契約して」さやか「ポケモン図鑑所有者になってよ!」パート2
みたいなっ!
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/08(金) 23:07:36.91 ID:rTuRyC5r0
1ですだよ
そんなに急いだ方がいいかな?
あと30レス残ってるし割と余裕あると思ってたんだけど…

とりあえずスレタイどうしよう
BW2みたいに2って付けるだけでもいいかなと思ったけど、味気ないかな
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 04:36:01.38 ID:bdGU+2/DO
QB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」まどか「その2!」とかでいいんでない?
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 21:04:15.37 ID:6kIjcGWA0
>>973
あ、それいいかもっ
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/16(土) 18:04:12.37 ID:g3dtsvR90
QB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361005343/

立ててきました
結局2付けただけにしちゃった

とりあえずこのスレは適当に埋めましょう
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/16(土) 18:07:28.33 ID:g3dtsvR90
サブタイ的なやつまとめ

>>1〜vsアブソル >>22〜vsタツベイ
>>57〜vsオドシシ >>64〜vsランプラー
>>100〜vsミジュマル >>124〜vsムクホーク
>>153〜vsピッピ >>158〜vsハトーボー
>>172〜vsドククラゲ >>195〜vsピジョン
>>222〜vsコイキング >>236〜vsナックラー
>>248〜vsチコリータ >>258〜vsピクシー
>>267〜vsウソッキー >>297〜vsモノズ&ジヘッド
>>322〜vsタマゴ >>328〜vsサーナイト&マニューラ
>>342〜vsネイティオ >>355〜vsコドラ
>>363〜vsノクタス >>369〜vsマラカッチ
>>382〜vsベロリンガ >>398〜vsキュウコン
>>415〜vsニャース&チョロネコ >>430〜vsサボテン饅頭
>>441〜vsシャンデラ >>453〜vsペラップ
>>471〜vsブラッキー >>482〜vsマグカルゴ
>>503〜vsパラス >>514〜vsトゲピー
>>526〜vsトロピウス >>541〜vsハブネーク
>>555〜vs若葉みらい >>562〜vsゼブライカ
>>587〜vsマイナン >>602〜vsボスゴドラ
>>622〜vsプラスル&マイナン >>630〜vsジュゴン
>>635〜vsバチュル&メラルバ >>656〜vsレントラー
>>680〜vs温泉回 >>707〜vsニョロボン
>>736〜vsシロナ >>757〜vs衝突!マエバシシティT
>>779〜vs衝突!マエバシシティU >>808〜vs衝突!マエバシシティV
>>819〜vs衝突!マエバシシティW >>853〜vs幹部二人
>>866〜vs偽さやか >>882〜vs電話
>>893〜vs新機能 >>906〜vsコロトック
>>935〜vsトドグラー
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/16(土) 18:14:59.56 ID:g3dtsvR90
ミカっち(ミカルゲ)『プレッシャー』♀
かなめ石の名前繋がり
魂の叫びを聞かせて敵を混乱させる凄いやつ、ただし味方も注意が必要
勝手にシロナさんから逃げ出したり気まぐれな性格の持ち主、その上夜中に騒いだりする少しお調子者な様子
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/16(土) 18:16:40.87 ID:g3dtsvR90
マイか(マイナン)『マイナス』♀
プラスルの対ということで杏子と似た者同士
少しマイナス思考気味のさやかに合わせた感じ
慎重な性格ゆえ粘り強くサキさんを見極めていたところにさやかが現れた
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/16(土) 18:19:44.21 ID:g3dtsvR90
もう現時点で書いてない奴いないよね?
残り20レス適当に雑談でもしていって下さい

KCカップに向けて、カイリューとパルシェン対策にNNピピっちの天然ピクシーを育てたのでこいつを活躍させたいな
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/16(土) 18:58:57.50 ID:i3BzRMoDo
調子に乗って積んだとこに現れる天然は楽しそうだなー
でも天然ってこだわり系には通じなかったよな確か。こだわりカイリューとか怖い
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 10:23:15.06 ID:lQKlhJQK0
深夜1時から徹夜で読んでてやっと追いついたぜバカヤローめが!!
8ヶ月前くらいにダブラン似なプンペちゃんは出ますかー的な書き込みをしたらホントにダブランと一緒に出てきて吹いたぞ

ところで、なんで「あいり」じゃなくて「アイリ」なんだ?
アイリスっぽくてちょっとややこしいぜ
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 12:01:11.63 ID:GVB7SeMn0
>>980
そうそう鉢巻はきつい
あと流星群は実質向こうさんリスクなしだからヤバい

>>981
読んでくれてありがとう
その書き込みを見て出したんだぜ!

「アイリ」なのはユウリに合わせた感じであんまり意味はない
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 12:56:14.95 ID:vs0Tp4DDO
作者オススメのメンバー紹介してくれたら嬉しいなーDS持ってないから知っても意味ないけどorz
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 14:21:00.28 ID:GVB7SeMn0
>>983
あまり語れる身分でもないけど
とりあえずカントーカップのオススメというか、自分が使う予定のパーティを書かせてもらうと
ストライク
フーディン
カイリキー
レアコイル
ピクシー
ブーバー

ブーバーの枠が未だに決まらない
ゴルダックとかヤドランと悩んでる

KCは出世したカイリューパルシェンキュウコンゴローニャラッキーとか古参強豪のゲンガースターミーサンダーフーディンカビゴン辺りが多いんじゃないかな
他はフシギバナカイリキーサンダースヤドランとか
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 18:22:41.81 ID:lQKlhJQK0
したっぱ、もとい平団員でも名前がちゃんと付いてるなんて豪華だよな…
ウィッチ団メンバーの軽い紹介とか判明してる手持ちとか書いてくれるとありがたいぜ
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 21:59:30.51 ID:yfwPEBdc0
ナハト・ワルプルギス:ギギギアル ヘルガー ゴチルゼル バンギラス トルネロス ギラティナ
通称ナハト、ウィッチ団のボス
面白さこそ正義、強さこそ真理
ヘラヘラしてるのに強いってカッコいいと思います
なぜギラティナやトルネロスがいるのか?
GSボールをなぜ持っていたのか?
ほむらとの因縁は?
それはまだ……混沌の中

エルザマリア:ヤミラミ ソルロック サザンドラ ドダイトス
通称マリア、ウィッチ団の頭脳的役割を担う幹部その1
表向きはナハトの秘書
黒髪眼鏡の出来る人なイメージ
使うポケモンは結界や使い魔なんかからそれっぽいものを

ズライカ:ヤミラミ ゴースト
マリアの補佐役、病弱そうなイメージ
ヤミラミはマリアの余り

ゲルトルート:ロズレイド アゲハント
通称ルート、ウィッチ団の隠密的役割を担う幹部その2
織莉子邸で庭師をしていた
少しお嬢っぽい雰囲気のイメージ
薔薇と蝶なポケモンたちに加え、あと二体所持

ローザシャーン:クマシュン エアームド
通称ローザ、ルートの補佐役
織莉子邸でメイドをしていたが、ヤンキーっぽい口調のイメージ
外見はなぜかバージニアなのは…?
ポケモンはローザシャーンの前身とバージニアの鎧から

シャルロッテ:ゴンベ ハブネーク ハンテール ミルホッグ
通称シャル、ウィッチ団の迎撃的役割を担う幹部その3
よくある擬人化シャルのイメージ
キャラがシズルと似てるのは一重に俺のせい
食いしん坊とネズミ、そして凶悪な蛇たち

フングリッヒ・ポンペ:ダブラン
通称ポンペ、シャルの補佐役
気の弱い少女のイメージ
ポケモンは似てるらしいから、あと一体所持

シズル:バルジーナ ドクロッグ ベロリンガ ドククラゲ
ウィッチ団の遊撃的役割を担う幹部その4
外見は織莉子1巻のアレで、少し悪ガキのイメージ
キャラがシャルと似てるのは俺のせい
魔女本体からそれっぽいポケモンを

ステーシー:ニャース チョロネコ ペルシアン
シズルの補佐役
外見は織莉子1巻のアレだけど、なぜかシズルの妹に
猫の魔女なので猫まみれ

エリー(キルスティン):ポリゴン ポリゴン2 ポリゴンZ
本名は知られたくないらしい、ウィッチ団の博士的役割を担うお方
黒髪ツインテの少しオタっぽいイメージ
ロボは作れないが作れる人と繋がりがあるとかないとか
博士っぽく電脳戦士を

パトリシア:アリアドス デンチュラ
エリーの助手
見た目はBWの研究員なイメージだが服装はセーラーっぽい感じ
ポケモンは蜘蛛っぽい手足と結界から

オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ:トドグラー
通称タヴィア、ウィッチ団の平団員
結構演技派らしい
外見は描写してないけどさやかっぽいところがどこかにあるはず
人魚っぽいのが他に残って無かったのでトドグラーを
一応砂漠で出てきたタマザラシの兄弟


かなり適当だがこんな感じでよろしいのだろうか
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 23:14:05.65 ID:H2Pvipy7o
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 23:47:13.60 ID:rFlUZinr0
一応言っとくと、ヤミラミは"くらやみ"ポケモンだからというのもある>ズライカ
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 18:31:43.04 ID:dwkdX4UDO
ワルプルさんがトップだからやっぱクリームヒルト・ヒェンさんとか出番ないのか
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 19:49:36.48 ID:EsLJWnY10
>>989
暗黒面に堕ちれば可能性も…
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 23:39:31.94 ID:snhgSNH60
こうして見ると居ない魔女多いなぁ
イザベルちゃんやアルベルティーネちゃんの出番は来るのだろうか
ウーアマンちゃんはガーディやらヨーテリーみたいな犬ポケばっかり使うのかなぁ
そういえばステーシーちゃんはニャースやチョロネコ使ってるけどニャルマーは居なかったね

そういえば原作のあいりは銀髪だけど、ここのあいりは金髪なんだよな
あと、あいりが言うはずのセリフもユウリが言っちゃったりするし
これって意図的にやってるんかね?
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/21(木) 17:49:02.24 ID:lm2AhZsx0
>>1000なら○○!とかないかな
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/21(木) 19:09:53.51 ID:nP5NSTsL0
>>991
今のうちに言っとくともう魔女は出てこないよー
元々幹部クラスと博士だけに名前あげるつもりだったのに、いつの間にか補佐役が付いちゃって倍に増えちゃったんだよね

あ、それとアイリはずっと金髪だと思ってたんだ…完全に俺のミスです
いつかリメイクするときにはもうちょっとキャラを把握して仕上げたいですはい

>>1000ならメンタルとタイムのルームで強くなったゆまとモモがワルさんを倒す
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/22(金) 19:43:23.03 ID:tt9TFknW0
>>1000ならさや杏がラティ兄弟と遭遇
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/22(金) 21:59:35.22 ID:z3Gy8g9F0
>>1000ならワルさんがガチパ使用でまどか達をフルボッコにするバッドエンド
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 14:36:32.34 ID:oR4ovqQC0
>>996ならさやか救出
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 09:39:01.29 ID:y09L67VP0
>>1000ならなぜか杏子の(キュウコン)コンが色キュウコンに一目ぼれ
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 13:18:38.38 ID:9xewF3YA0
>>1000ならまどかの手持ちにキバゴが加わる
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 18:05:57.62 ID:+/kb9hOA0
>100なら覚醒さやさやが色エッタ
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 18:07:04.51 ID:+/kb9hOA0
>>1000ならさや杏がラティ兄弟GET
1001 :1001 :Over 1000 Thread
☆.。 .:* ゜☆.  。.:*::::::::::::::::゜☆.。. :*☆:::::::::::::::::: 。.:*゜☆.。.:*
:::::::::::::=:。.: *  ・゜☆  =:☆.。 .:*・゜☆.  。
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。.: *・゜☆.。. :* ☆.。:::::::::::::::.:*゜☆  :。.:・゜☆.。
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:::::::::::::::::::.:*・゜☆  :. :*・゜☆.::::::::::::::::::::::::::゜☆.
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安価でなんかする @ 2013/02/28(木) 14:51:13.85 ID:a/CY3D2p0
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P「うちの方が可愛い」モバP「いやこっちのほうが」 @ 2013/02/28(木) 14:45:42.79 ID:WyKgkyCx0
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40歳だが17歳と付き合ってる @ 2013/02/28(木) 14:08:19.43 ID:v9lApzIDO
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マックの店員がやばいくらい可愛い @ 2013/02/28(木) 13:45:01.12 ID:un6tLhuyo
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照「千里山に転校します」菫「は?」 @ 2013/02/28(木) 13:22:16.40 ID:Ub9Vh3PAO
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Viagra cheap @ 2013/02/28(木) 12:13:36.64 ID:HP7lbv4W0
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