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魔法少女まどか☆マギカ「虚ろな人魚姫Before」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 15:50:27.53 ID:vCCilsZV0
・モバゲーキャラが出ます。かなり強めの独自解釈をしております
・オリキャラも出ます
・モバゲー主人公は出ません
・本編キャラはほとんど出てきません。多分

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1331621427(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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さくらみこ「インターネッツのピクルス百科辞典で」大空スバル「ピクシブだろ」 @ 2024/04/13(土) 20:47:58.38 ID:5L1jDbEvo
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暇人の集い @ 2024/04/12(金) 14:35:10.76 ID:lRf80QOL0
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ミカオだよ。 @ 2024/04/11(木) 20:08:45.26 ID:E3f+23FY0
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アルミン「どうやら僕達は遭難したらしい」ミカサ「そうなんだ」 @ 2024/04/10(水) 07:39:32.62 ID:Xq6cGJEyO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 15:52:12.23 ID:vCCilsZV0
ある日、あたしは突然倒れた
原因不明の病気
それによりあたしの平穏な日々は一気に崩れ去った
今までの日常からいきなりの病院生活
最初の頃は学校の友達や先生が来てくれた
でも、その内みんなあたしの事が面倒になっていったのか、一人、また一人と来なくなり
最後には誰も来なくなった

「……友達だと思ってたのにな」

でも、友達って何だろう
テレビの話をしたり服装や好きな子の話をしたり
でも、それってただ自分の話したい事をずっと話してるだけで本当の意味での友達なんてものをあたしは作ってこなかったんじゃないだろうか

「……そんなの、もうどうでもいいか」

そんな事を考えていたある日、医者が親を呼び出してこう宣告した
『余命一ヶ月』と
原因不明の病気なのに余命宣告なんてされるんだなーとまるで人事のように思った
父親と母親は泣いている
……これは本当の涙なんだろうか
実は以前あたしは父親と母親の会話を聞いていた

「あの子はお金がかかりすぎる。いっそ早く死んでしまえばいいのに」と

なら、これはこれでいいのかもしれない
誰からも愛されず、誰も友達がいないなら、もうあたしが生きている理由なんてない

QB「そんな簡単に諦めてしまえるものなのかい?」

「!?」

そこには謎の白い生物が座っていた

QB「僕の名前はキュゥべえ。その原因不明の病気。君の願い次第では、治してあげられるよ」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 15:54:08.70 ID:vCCilsZV0
母「女の子なんだから文字が綺麗な女の子じゃないと駄目。習字を習いなさい」

「……はい、お母さん。あたし頑張るよ」

ただ親に命じられるままに生きていた
それがあたしにとって正しい道だと親は信じていたと思うし、それを疑うことはなかった
あの日、あたしがハープに出会うまでは

「……これだ」

いくつもの習い事をしてきたけど、これほどしっくりくるものはなかった
あたしはひょっとするとこのハープに出会う為に今までいろんな習い事を探してきたのかもしれない。そう考えてしまうほどだった
そしてあたしはハープにのめりこみ、いつしか他の習い事をおろそかにしてしまっていた

母「あなた。この成績は何!?……全く。世間体がいいかと思ってハープを習わせてみたけど。これなら習わせないほうがよかったかしら」

「……ごめんなさい。お母さん。ちゃんと勉強するから。習い事も一生懸命やるから」

だから、あたしからハープを取り上げないで

それからあたしは他の習い事もしっかりやるようにした
勉強だって人一倍努力した
全てはあたしのハープを守る為に
その結果が

「……お母さん。あたしのハープは?」

母「あなた一生懸命勉強も習い事も頑張ってたでしょ。でもハープはどうしてもその邪魔になると思ったの」

「……え?」

母「だから親戚の家に引き取ってもらったわ。これで余計な時間をとらずにすむわね」

母「そもそもハープなんて流行らないわよ。お母さんはあなたがもっと上にいけると思うの。隣の××さんちにだけは負けちゃ駄目よ」

「……えぇ、ありがとう。お母さん」

……
裏切られた
お母さんはあたしの事なんか何も見てはいなかった
ただ、世間体の事しか考えてなかったんだ
あたしは何故あんな奴を信じてしまったのか

「……返せ……あたしのハープを返してよう……」

QB「それが君の願いかい?」

「え?」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 15:55:45.97 ID:vCCilsZV0
わたしの名前は『ごみ箱』でした
正確に言えば名前なぞありません
戸籍だって登録されていません
ただ産み落とされて生き続ける毎日、それがわたしの人生でした

母「……」ポン

父「……」ポンポン

今日もわたしにゴミがぶつけられます
父と母はお互いに話しません。
これが一般的な家庭というものなのでしょうか?
わたしにはよくわかりません
ある日永遠に続くこの地獄の中で
わたしは耐え切れず、ついこんな事を言ってしてしまいました

「お父さん。お母さん。わたしを愛しては貰えないのでしょうか」

母「……」

父「……」

その日からわたしは『ごみ箱』ではなくなり、変わりに『サンドバック』に改名されました
父や母がいつも代わる代わる私を殴ります
でも、わたしは嬉しかったのです
やっとわたしに興味をもってくれた
愛してくれたんだと

ただ、ある日わたしは気づいてしまいました

父「あの若造、俺の言う事なんてちっとも聞きはしねぇ……糞!」

母「あの女、ちょっと美人だからって調子にのって……!!」

父も母も最初からわたしの事なんて見ていなかったのです
当然といえば当然です
サンドバックの事を考えてサンドバックを叩く人間なんていません
ただの憎しみの捌け口。最初からわたしなんて興味の欠片もありませんでした

つらい
とても耐えられない
ならもういっそ……

QB「僕なら君の事を救ってあげられるよ?」

?「!?」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 15:57:40.77 ID:vCCilsZV0
QB「おめでとう、君達の願いはエントロピーを凌駕した。さぁその力を示してごらん?」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 16:01:07.93 ID:vCCilsZV0
体が軽い
原因不明の病などといわれていたのが嘘のようだ

QB「それで君はどうするんだい?」

「どうするって……とりあえず旅にでも出ようかな」

友達もいない
家族からも見捨てられた
なら、もうあたしがわざわざここに留まる理由なんてないだろう

「本当の友達……あたしはそれを探す旅に出る!」

そんなものいるのかどうかもよくわからないけど
取り合えず当面の目的としてはそんなとこでいいだろう

「目指せ友達百人!」

QB「魔法少女にそれは難しいと思うけどね。……まぁ、頑張るといい」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 16:04:19.84 ID:vCCilsZV0
母「ハープは今すぐ買いなおしてあげる!今までよりもっといいものをよ!あぁもう他の習い事なんてやらなくていいから!!」

……あたしの願いは『お母さんにあたしのハープを認めさせる』ことではあった
でも、この人にはそんな魔法を使ってはいない
精々『あたしのハープを真面目に聞かせる』程度の微弱なレベルだ
それでこの状態
つまり、こいつは最初からあたしの演奏など耳に入れてなかったんだ

「……あたし、旅に出ようかと思うんだ。ほら、若い子には旅をさせろって言うし」

あたしはこいつの心を本格的にいじる決心をした
普通ありえない事をさも一般常識であるかのように思考をすりかえる

母「……そうね!行きなさい!お母さんはいつもあなたの為に祈ってるからね!」

お母さん、今まで育ててくれて有難う
でもごめんなさい。あたしはお母さんが大嫌いで、
もう二度と一緒にいたくないんだ
この魔法で手に入れたハープ。あたしにはハープだけがあればいい

「……さようなら、お母さん」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 16:06:18.67 ID:vCCilsZV0
もう何も感じない
何も傷つかない
『自身の心を癒す』
それがわたしの望んだ願いでした

ですがわたしは心の余裕を手に入れたおかげで
新たな視点を得る事ができました

……何故、こんな屑の下で生きている必要があるのでしょう?
屑のような父親、母親、こんな連中の為に無為に人生を過ごす必要がどこにあるというのでしょう

そう思いついてからのわたしは早いものでした
元々戸籍も何もないのです
抱えているものなんてなにもありません

わたしは家を出て行きました

QB「結局家を出ることにしたんだね」

「キュゥべえ。……あなたにもう一つ頼みたいことがあるんですけど、いいでしょうか」

QB「願い事は一人一つだけどね。僕で叶えられる範囲であれば」

「……わたしの名前を一緒に考えてもらってもよろしいでしょうか?」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 16:07:57.05 ID:vCCilsZV0
かくして魔法少女『こまち』『ひより』『クレア』は誕生した
3人はそれぞれの道を歩み
そして見滝原のすぐ近くの街で邂逅することとなる
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2012/03/13(火) 16:16:38.07 ID:vCCilsZV0
こまちシナリオが>>2>>5>>6
ひよりシナリオが>>3>>5>>7
クレアシナリオが>>4>>5>>8
モバゲー図鑑の説明だけ読む限り、まぁ多分こんなストーリーだったんだろうという解釈をしてみた
こいつら誰だよって人はグーグル先生で『虚ろな人魚姫』で検索すると、モバゲーwikiがひっかかり、そこに一枚絵があるのでちょっぴり幸せな気持ちになれるかもしれない
とはいえこの話は『Before』。つまり虚ろな人魚姫が始まる前に多分こんな話があったんだろうなーというのを何となく書いてみようというお話なので、ぶっちゃけモバゲーの知識は全く必要なしである
独自解釈強いしね
PSP設定は取り入れられるところがあれば取り入れる
取り入れる事が不可能なら諦めるという方針でいきます
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 18:17:13.98 ID:vCCilsZVo
こまちはボロボロだった
病気の再発……ではない
ただ単に他の魔法少女にボコボコにやられたのである

こまち「風見野のあいつー……」

風見野にいた赤い髪の魔法少女
あいつの言葉がまた頭に残ってる

「見てわかんないの?ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシードを持ってるわけないじゃん。四五人食って魔女になるのを待てよ」

そりゃそうだ
そんな事は知ってる
……でも寝てる最中にいきなり襲われたんだからしょうがないじゃないか!
まぁその辺の事情を一切説明せず

こまち「ハン!あたしに指図するっていうの?面白いじゃん!かかってこいやぁ!!」

などとノリノリで喧嘩を売った辺りもう言い訳の仕様がない
むしろ生かして帰してくれただけでも、あの魔法少女は相当いい奴だったんじゃないだろうか

こまち「ってのは分かるけど……やっぱムカつく!」

いつか絶対復讐してやる!
そう心に誓いつつ
こまちは風見野からそそくさと逃げたのだった
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 18:18:45.44 ID:vCCilsZVo
こまち「この街には魔法少女がいないといいんだけどなぁ……」

そう思いつつ歩いていると

こまち「……いた」

ハープを奏でている少女
茶髪で見るからにおっとりとした雰囲気
だが、その奏でる音楽には幻惑の魔法が仕込まれていた
それにより客が次々と集まり、お金をどんどん落としていく
……あまり人の事を言えたものではないことはわかってるけど
あーいう行為は好きになれない

幻惑の魔法はこまちには通用しない
願いが原因不明の病気の治療だった彼女は、あらゆる状態異常に対して
それをかき消せる能力を手に入れていた

こまち「……くっだんない演奏」

ひより「!?」

吐き捨てるようにこまちは言うと、人ごみへと消えていった
……この街にも魔法少女がいるのか。また別の場所探さないとな……
……ん?
気がつくと自分の裾を掴む少女が一人

ひより「……待って」

こまち「……なんだよ」

ひより「……あたしと勝負して。負けたらさっきの発言。取り消してもらう」

こまち「へぇ、意外と好戦的なんだ」

幻惑能力以外相手の手の内は読めない
……でも、それだけにワクワクする

こまち「いいね。かかってきなよ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 18:24:03.80 ID:vCCilsZVo
店の人「6万8000円になりまーす」

ひより「……ありがとうございます」

こまち「ハープって高いんだねー」

ひより「……これでも安いほうだよ。高くなるとこれの数十倍でもきかない」

こまち「へー。……じゃなくて」

こまち「何であたしがあんたの楽器購入につき合わされてるんだよ!!」

あの流れ
てっきり戦闘になるかと思ったのに
何故かこの魔法少女はあたしの手を掴むとそのまま楽器店に連れていったのだった

ひより「……確認して。これはあたしの魔力で作り出したハープじゃない。故に、今から奏でるのは完全にあたし自身の音。魔法も何も関係ない」

こまち「何が言いたいのさ!」

ひより「……これはあなたのさっきの発言を取り消させる為の戦い。だからあたしは魔法少女である前にハープ奏者として戦う。あたしが弾いて、あなたの心に全く響かなかったらあたしの負け。でももし感動したり、良かったと思ったならあなたは負けを認めて」

こまち「……はい?」

何を言っているんだこの魔法少女は

こまち「いや……でも、音楽とかあたし全然わかんないよ」

ひより「……音楽は理解するものじゃない。感じるものだよ」

こまち「えー……」

面倒なことになってしまった
……まぁ、よく聞きもせず勝負にのってしまったのはあたしなわけだし
こうなれば最後まで付き合おう

こまち「じゃぁ聞かせてよ。あんたの演奏」

ひより「……いくよ」

こまち「……!」

音の波がこまちを圧倒した
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 18:25:48.65 ID:vCCilsZVo
ひより「……どう?」

こまち「……ま、まだ判断できない!!もう一曲!もう一曲だけ!!」

ひより「……もう四十曲目……」

そろそろ陽も暮れてきた

ひより「……それに……もうこの子が悲鳴をあげてしまってる」

ひよりの超絶技巧
それに付き合わされたハープは、もう既にボロボロだった
むしろここまでよく頑張ってくれたというところだろう

ひより「……次はまた別の機会に……ね?」

こまち「……あたしの負けだ」

ひより「……え?」

こまち「すごいよ!全然音楽なんて聴いたことないあたしでもわかる!とにかくすっごいよかった!!」

ひより「……あ、ありがとう」

ここまでストレートに感想を言われたのははじめてかもしれない
魔法で真面目に聞かせるように誘導したわけでもないのに
いい加減に聞くことだって断ることだって出来たはずなのに
この子はこの勝負を真剣に受けてくれた

ひより「……あたしの名前は『ひより』」

こまち「あ、まだ名乗ってなかったね。あたしの名前は『こまち』……でも、ここまで完全敗北しちゃったらもうこの街にはいられないね」

ここまで気持ちいい負け方は初めてだ
何の悔いも……またこの演奏が聴けないってのが心残りではある

ひより「……や、別にあたしは縄張りとか気にしないよ?」

こまち「え?いいの?」

ひより「……というよりあたしもこの街には来たばっか。ハープで路銀を稼いでたけど……この街の魔法少女に適当に挨拶して、ある程度稼いだらまた別の街に移動しようかと思ってたぐらい」

こまち「そうだったんだ……じゃぁさ。暫くひよりと一緒に行動してもいいかな」

ひより「……別にいいよ。何かに縛られて生きてるわけでもないし」

こまち「やったぁ!!じゃぁまた演奏聞かせてよ!!魔法少女の武器の方の奴でもいいからさ!」

ひより「……こまち……それは流石に無用心すぎ……」

何か隙をついて攻撃したらあっさり負けてしまいそうな子だなぁ
ひよりのこまちに抱いた印象はそんな感じであった
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 18:29:33.81 ID:vCCilsZVo
こまち「……とまぁいろいろあって、現在家なし文無しなわけですよ。風見野もあの赤い魔法少女に追っ払われちゃうし……」

ひより「……赤い魔法少女って……ひょっとして佐倉杏子さん?」

こまち「知ってるの!?」

ひより「……知ってるというか……有名だよ。『紅蓮の槍』『赤い亡霊』佐倉杏子。敵対する魔法少女は容赦なく切り捨てる。悪魔のような魔法少女だって」

こまち「……悪魔、ねぇ」

ムカつく奴ではあったけど
悪魔のようかといわれると何か違うような

ひより「……『見滝原の生ける伝説』と組んでたけど、魔法少女としての方向性の違いで解散したなんて噂も聞いたことあるよ」

こまち「『見滝原の生ける伝説』って……巴マミ!?」

いくらあたしが無知でもこの界隈の魔法少女でその名を知らぬものはいない
『正義の味方』『魔弾の舞踏(ダンサデル・マジックブレッド)』巴マミ
最強クラスの魔法少女だ
味方には優しいが、敵に回して生きて帰った人間はいないと聞く

ひより「……何でもその生ける伝説に戦って勝った事あるらしいよ。……生きててよかったね。こまち」

こまち「うー……確かに微塵も本気だしてなかったもんなぁあいつ」

ただそれだけに
やはり悪魔というイメージからは程遠い
強いていうならやさぐれた野良猫というか……

ひより「……とにかく。あたし達レベルの魔法少女には風見野も見滝原も危険すぎるよ」

こまち「それは同感」

『赤い亡霊』も『魔弾の舞踏』もとても関わり合いになりたくない
そうなると魔女の出現率がやや落ちても、そこそこ住み心地のよいこの街を定住先として選ぶべきだ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/13(火) 18:31:57.95 ID:vCCilsZVo
ひより「……あたしの調べたところによると、この街には後二人の魔法少女がいる。一人はあたし達と同じように外から来た魔法少女。廃墟となった教会を根城にしてるみたい。もう一人は……家族がいるね。この子がこの街を管轄してる魔法少女みたい。ただ……結構面倒な子みたいだよ」

こまち「面倒って?」

ひより「……巴マミタイプ」

こまち「……あー」

正義の味方タイプ
曲がった事が許せず、使い魔を放置すると怒られ、私がルールとでも言わんばかりの暴虐っぷりを繰り返す
……本物の巴マミがそこまで迫っているのかはしらないけれど
正義の味方タイプは魔法少女界に置いて、非情に厄介な存在だ

こまち「いっそ力でねじ伏せて従わせちゃう?」

ひより「……それは最終手段。まずは両方に挨拶してまわろう?喧嘩になったらその時は臨機応変ってことで」

こまち「……なんかひよりってさ。凄い頼りになるね」

ひより「……むしろこまちがどうやって今まで生き残って来たのかの方があたしにはびっくりだよ……」

行く街行く街で喧嘩を売って生きてきたんだろうか……
それはそれである意味こまちらしいのかもしれないけれど
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga sage]:2012/03/13(火) 18:38:20.96 ID:vCCilsZVo
続き

こまちとひよりの回
杏子やマミの付近に住んでる魔法少女っていろいろ大変なんだろうなぁ……という話でした
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/19(月) 06:47:28.02 ID:juPEihqAO
応援
あと人魚姫動画サイトで観てくる
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/25(日) 16:27:10.14 ID:cr1pgoXAo
こまち「ま、取り合えず今日はもう遅いし明日考えよー」

ひより「……そうだね。そういえばこまちっていつも寝泊りどうしてたの?」

こまち「どうって……この世界のありとあらゆる場所があたしの寝場所だよ」

ひより「……今日はあたしの家に泊まらない?家といってもホテルだけど」

こまち「ホテル!?ひよりはリッチなんだね!」

ひより「……リッチって……とにかく案内するよ」

こまちとひよりがホテルに向けて歩く
だがその後ろに……

ひより「……ホテルは後でいい?」

こまち「構わないよ。先に後ろの奴をなんとかしないとだしね」

付けられている
恐らく人気の少ない場所に移動するのを待っているのだろう
ならばあえてこちらから誘き出そう
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/25(日) 16:27:40.69 ID:cr1pgoXAo
こまち「まだ仕掛けてこないね?」

街外れの郊外
廃ビルが溢れ帰る場所で、
人間の気配はその魔法少女一人しか確認できない

ひより「……まずい。こまち、防御結界はれる?」

こまち「え?……」

そうこまちが言ったのが速いか否か
空から雷撃がこまち達に向かって降り注いだ

ひより「……ぐ!」

何のことはない
仕掛けてこなかったのではなく、不意打ちに使う魔力を溜めていたのだ
悠長に待っていてその大技を何の心構えもなく直撃する羽目になってしまった


こまち「ひより、大丈夫!?」

ひより「……なんとか。それよりも」

?「わたしの『サンダーボルト』を受けて生きているとは……咄嗟に防御結界をはったとはいえ、たいしたものです」

?「わたしの名前は魔法少女『クレア』。もっともあなた達がこの名を覚えていられるのは極わずかでしょうけれど」

シスターの格好をしロッドをもった金髪の魔法少女が、そこには立っていた
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/25(日) 16:28:52.91 ID:cr1pgoXAo
こまち、ひよりは魔法少女姿に変身した
こまちは薙刀を、ひよりはハープをクレアに向ける

こまち「グリーフシードを確保するには邪魔ものってわけかよ!」

クレア「えぇ、その通りです。この街に4人の魔法少女はいくらなんでも多すぎると思いませんか?」

ひより「……せめて、話し合いを」

クレア「話し合いですか。……ここから誰が立ち去るか考えるよりも、実力で削ってしまった方が速くありませんか?」

ひより「……こまち、ごめん。挨拶にまわるのは愚策だったかも」

挨拶に行きいきなり不意打ちを受けるパターン、今回後ろから襲われ不意打ちをうけるパターン。どちらにしろあまりいい状況ではないが……

こまち「まぁ、でもある意味分かりやすいよね。要は強い方が残って、弱い方が立ち去れってことでしょ?」

クレア「分かりやすい思考を御持ちのようです。では……はじめましょうか」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/25(日) 16:29:44.18 ID:cr1pgoXAo
こまち「いざ!」

こまちが薙刀で一気に詰めにいく
だがそれをクレアの雷撃が妨害した

こまち「く……何なんだよこれ!」

クレア「サンダーボルトを防がれたのは意外でしたが、別に私の雷撃はそれだけではない」

雷が障壁のようになり、こまちは近づくことができない

こまち「く……!ひ、ひより!何とかフォローできない?」

ひより「……こまち、どいて」

こまち「え?」

取り合えずこまちは横に避けた
そしてひよりからその攻撃が放たれる

ひより「『戦慄の音色』」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/25(日) 16:33:42.49 ID:cr1pgoXAo
その攻撃をクレアが防げたのは、この雷での障壁がそこまで万能なものだとクレアが考えていなかったというのもある
例えば銃弾といった遠距離攻撃を防ぐことは出来ない
あくまでもこまちのは近接特化型に対する牽制程度にしかならないと
だが、ひよりの繰り出した攻撃はクレアにとって全く未知
いや、正確には一人で生きるようになって漫画で見たことはあるけど、実際に目の当たりにしたのは今回が初めて……

クレア「音波攻撃!?」

音を標的に収束させ、さらに破壊力を上乗せさせる
不可視である事を考えれば銃弾よりも厄介だ
ロッドで弾けたのはほとんど運にすぎず、そう何度も防げるような代物ではない

ひより「……すごい。防がれると思ってなかったよ」

こまち「いやいやいや!ひよりすごいよ!!」

今になってこの魔法少女とまともにやりあわなかった事をこまちは安堵した

クレア「手を……誤ったかもしれませんね」

ひよりだけならば一気に近接に詰め、ハープを使わせないという選択は出来た
こまちだけなら雷撃により近距離によらせないという選択も出来た
だが、この二人を同時に相手にするという事は、そのどちらの選択も選ぶことができない

こまち「へへ、今更謝っても許してやらないよ……!」

ひより「……こまち、油断しないで」

クレア「フフフ」

だがその逆境でクレアは笑ってみせる
この世界がわたしの為に優しかったことなんてない
だからこそ、わたしはその全てを跳ね除けてきたのではないか

クレア「いいでしょう。わたしの本気を見せてあげます」

ひより「……!?こまち!気をつけて!」

こまち「ぐ、具体的にどう気をつければいいのさ!取り合えず備えはするけど!」

?「ちょぉぉぉっとまったぁあああああ!!」

こまひよクレ「?」

突然の声に、三人は硬直した

?「戦いはこのフィーネが預かったぁ!というか人の土地で何やってるのあんた達!!」

?「フィーネ!魔法少女同士の争いに介入するのは危険とあれほど……」

?「で、でもエリーゼお姉ちゃん!あいつら私がスルーしてやってた事をいいことに散々暴れまわって……!」

こまひよクレ「……」

突然二人の女性が戦いに介入した
この時はまだ魔法少女になっていないエリーゼ
赤いショートの上品な雰囲気をかもし出す女性
もう一人はその妹、魔法少女フィーネ
青いロングに、日本刀。ここにいる人間には知る由もないが、
この時間帯にはまだ魔法少女になっていない、見滝原の剣使いにそっくりの容姿だった
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga]:2012/03/25(日) 16:35:38.91 ID:cr1pgoXAo
クレア「興ざめです。わたしはこれで失礼させていただきます」

こまち「逃げるのかよ!」

ひより「……こまち。追撃はやめたほうがいい。あの人はまだ本気を出していなかった」

こまち「……っち!」

フィーネ「何私を差し置いて……」

エリーゼ「あなた達の名前をお伺いしてもよろしいかしら?」

こまひよ「!?」

妹と思われるフィーネは確かに魔法少女だ
ただ、このエリーゼという人は魔法少女でもなんでもないはず……
でも、それならこの威圧感はなんだ?

こまち「こ、こまちです」

ひより「……ひより」

エリーゼ「私の名前はエリーゼといいます。この子は妹のフィーネ。よろしくお願いしますわ」

フィーネ「……え?ここで自己紹介なの?むぅ……まぁ、私の土地で暴れてたことについてはしっかり弁明してもらうからね」

こまち「うーん……ひより、ここはどうしよう」

ひより「……あのクレアという魔法少女も3人揃っている状態で襲撃はしてこないはず。であれば、今はこの人達に従うほうがいいと思う」

こまち「そっかぁ……何か面倒なことになってきたなぁ」

ひより「……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [saga sage]:2012/03/25(日) 16:38:12.65 ID:cr1pgoXAo
ここまで
ミッドバレイ・ザ・ひより

ノーレスで突っ切ることになると思ってたから応援してもらえたことにちょっとびっくりした
動画版は……もう少しシナリオを丁寧に作りこめばまた違ったと思うんだけどなぁ……
ラスト折角盛り上げたんだから、もう少しその……ごにょごにょ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/03/25(日) 16:44:05.30 ID:qcUmmuSJ0
モバゲーは例の4人しか知らないんだけど…
フィーネちゃんって子は公式の設定通り? そもそも妹の名前ってあったのか
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/25(日) 16:50:16.93 ID:cr1pgoXAo
>>26
ごめん、それが『オリキャラ』。完全に説明忘れてた
妹の名前が公式設定上ないからやむなしの処置ということで
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/25(日) 20:02:52.20 ID:Ww5AwUNP0
乙〜
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