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俺「多重世界で三周目か……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/14(水) 19:57:55.31 ID:UDWic1vAO
【注意書】

・面白くないです。

・前スレは24くらいで終了。

・下の方で細々→sage進行

・年齢の推測は非常に惜しい→推測よりも上

・題名通り多重クロスのメアリー・スー

・レイティング18

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1331722675(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 20:00:45.88 ID:Fb/+fjoro
ガンバってくれー
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/14(水) 20:34:31.21 ID:UDWic1vAO
【一年後】

俺(ふむ、それなりに情報は集まった)

メルダの街と呼ばれるこの街で様々な情報を買う。

パール「酒場では面白い情報を手に入れましたが……」

俺「なんだ?」

パール「何でも、高レベルの男性が二人、慌ただしく隣の村に向かったらしい」

俺(……時期的にはそろそろ目標である厳島勇吾に会ってもおかしくない時期か)

残り時間を考えて結論付ける。

どの世界においても目標と接触出来ないという事は無い。

残り期間を半分切れば強制的に会うように仕組まれている。

俺「……よし、向かう」

パール「承知しました」

ある時期を境に恭しい態度を取り始めたパールを横目で見る。

俺(別に手を出したわけでは無い……なんなんだ、一体?)

馬車に荷物を積み込むパールを眺めながら考える。

パール「どうかなさいましたか?」

俺「なに、一年前に比べると女らしくなったなと思ってな」

パール「は?」

年齢こそ十二であるものの既に肉体的な成長は十四、十五を迎えている。

パール「惚けた事を言ってないで出発しますっ!!」

顔を真っ赤にして馬の手綱を握る。

俺(……別に怒らせるつもりは無かったんだがな……)
4 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/14(水) 21:04:41.13 ID:UDWic1vAO
俺「おい、この村の長はいるか」

青年「あ? 旅人か? 生憎、今は宴の途中でよ!! 二度も我が村を救ってくれたーーへ?」

馴れ馴れしく肩に触れようとした青年の右手が吹き飛ぶ。

青年「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 腕が!! 俺の腕がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

パール「……弁えよ、その方は貴殿が気軽に触れていい相手ではない」

銀色の細剣を一振りし、付いた血を布で拭く。

パール「傷は後に塞がる。ただ右腕はその代償だ」

俺(いや、別にいいだろ……)

何故か満足げに誇らしげなパールを呆れながら見ると……。

村人達が集まり始めていた。




???「おい!!」

俺(学ラン?)

???「おれはユーゴと言う。お前の目的は?」

俺(……ふむ、奴が厳島勇吾か)

何ともーー主人公の皮を被った正義気取りの偽善者だなーー

俺「すまないな。俺の連れは潔癖症でな。何でも汚らしい下等種族が俺に触るのが許せなかったらしい」

勇吾「…………」

???「あ、あいつ、名前の所見ろよ、ユーゴ!! オレって事は間違いなく日本人じゃないか?」

勇吾「…………ショウ。わかってる」

パール「主、私が出ましょう」

細剣を抜き、一歩前に出る。

俺(この世界の日本人は何故か高レベルが多い、厳島勇吾。貴様がどのレベルかーー)

勇吾「見ろ」

ステータスを開く。レベルは八十二。

俺(ほぅ。今までで最高レベルでは無いか……素晴らしいな)

勇吾「無駄な争いはしたくない。お前らが大人しくーー」

パール「……行くぞ」

勇吾「っ!?」

パールは大地を駆ける。

俺(大人しく見物でもしておくか)

細い剣先が学ランを切り裂く。

勇吾「くっ!?」

返す刀は牽制。

[ピーーー]為の切っ先と殺さない為の太刀筋では勝敗が見えている。

???「サンダーストーム!!」

お互いが距離を開けた所に眼鏡をかけたショウと呼ばれる青年が魔術を放つ。

俺「ふむ……」

右手を翳して迸る雷の奔流を打ち消す。

俺「慌てるな、小僧」
5 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/14(水) 21:37:24.33 ID:UDWic1vAO
切っ先がはじき合う。

翔「な、なんでだよ。ユーゴはゴーデスナイトなんだぜ? なんで押されるんだよっ!!」

パール「はっ!!」

土を蹴り上げて目眩ましをする。

その戦い方に気品も美しさも無い。

型にはまった剣技ではーーお上品でお上手な剣技では無い。

獣じみて、生きる為に必死で、呼吸方など考えていない剣技だ。

細剣が右手を貫通する。すぐさま抜き、その傷口を狙い蹴りを放つ。

俺(む、不味いな)

勇吾「スラッシュっ!!」

高速の連撃が放たれる前に割って入る。

俺「っう!! なかなか痛いなこれは……」

腕と横腹を四分の一程、裂かれる。どうやら庇ったことによりクリティカル判定を貰ったようだ。

頭上の赤いバーを見ると八分の一程減っていた。

勇吾「う……そだ……ろ?」

俺「……ふん、俺はこの村の長に用があるだけだ」

パール「主!! 今すぐ怪我の回復を!!」

俺「いい。既にはじめている」











沈黙が村を包む。

パール「……私がでしゃばったから……」

俺「なんだ? まだ気にしてるのか」

パール「し、しかし!!」

俺「……お前はこの一年。俺に一万回殺されて、俺に一万回なぶられた。その強さに自信を持て……」

パール「それは……私が強くなりたいから仰ったことであり……」

俺「あやつが異常で身の丈にあっていない強さを持っているだけだ」

パール「…………主、私は強くなったか?」

敬語が外れ、媚びたような甘えたような声音を出す。

頭を撫でて肯定してやる。

俺「あぁ、少なくともアークを一人で倒せるくらいにはな」

パール「っ!!」

辛くても死んだとしても泣かなかった少女は一年ぶりに大粒の涙を零しはじめた。
6 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/14(水) 22:00:25.99 ID:UDWic1vAO
俺「…………今、なんと言った? ご老人」

村長「ですからユーゴ殿の旅にそなたも同行して頂きたい」

俺(……なる程、強制イベントか……小癪な)

俺「俺たちが彼らにしたことをお忘れになったか? それともとうとう痴呆でも始まったか?」

???「ち、ちょっと!! お父さんになんて事を言うのよ!!」

俺「誰だ、この乳臭い子供は?」

???「あ、あんですって!!」

???「そうです!! お父様!! ユーゴさん達がいればこのような方の力なんて入りません」

村長「イシュラ、レヴィア。考えてもみなさい。このお方がもし教団側についたとなるととてもじゃないが……我々では太刀打ちできない。けれどもーー彼がこちらについて頂ければ少なくとも教団に大きな脅威となる」

イシュラ「……っ!! ユーゴさんは負けてないっ!! だからこんな奴ーー」

レヴィア「待ちなさい、イシュラ。えっと……オレさん。貴方は何故、ラッフィーを斬ったのかしら?」

パール「き、斬ったのはわt……んぐっ」

俺「ふむ、特に意味は無い。お前らはお腹が空いたら食事するだろう? それと同じだ」

レヴィア「ならばーーあなたが人を斬りたいと言うのならばまず私を斬ってください」

村長「レヴィア!?」

イシュラ「姉さま!?」

俺「ほぅ……?」

イシュラ「あなたが暴力を振るいたくなったら私に振るいなさい。あなたが誰かを傷つけようとするなら私が身代わりになりましょう」

俺「ほぅ? ならば夜伽の時に呼んでもいいという事か?」

レヴィア「…………かまいません。それで誰かを救えるなら」

俺「……冗談だ、娘。貴様なぞに反応なんかせぬ」

レヴィア「な、なんですって!?」

イシュラ「ね、姉さま!! ば、馬鹿にされてるけど良かったじゃない!! 貞操は安泰だよ」

俺「貴様も同類だ」

イシュラ「あんですって!!」

村長「…………コホン。それで考えて欲しいのです。ユーゴ殿の旅に同行するか」

俺「メリットが無いな」

村長「国王への書状、隣村への書状で探し人の募集をかけましょう。神殿を守る一族の長として個人よりも人伝はあるつもりです」

俺(悪くないな。目標も見張れて一石二鳥だ)

俺「よかろう」

村長「ありがとうございます」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/14(水) 22:06:34.02 ID:zA7FOp7so
http://movie.acceed.jp/works/movie2.php?code=ACSM121
8 :ゴーデスナイトはレベル78でした ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/14(水) 22:14:15.73 ID:UDWic1vAO
勇吾「……よろしく頼む」

俺「殊勝だな。目的の為に頭を下げる。リーダーらしい判断だ。だがその必要は無い。俺の目的の為にするだけだ。気を使うな、気を許すな、油断するな」

勇吾「わかった。心掛けよう」

翔「まーまー!! これからは仲間なんだし、よろしくって事で」

パール「気安く触れようとするな」

剣先を翔の喉元に突きつける。

翔「ひ、ひぃっ!! 勇吾!!」

勇吾「……はぁ」

俺「剣先を納めろ。同行者にそんな事を気にしていても仕方ないだろう」

パール「しかしっ!!」

俺「お前は俺を神格化しすぎだ。流石に傷つくぞ」

パール「す、すみません!! そういうつもりではっ!!」

俺「ならば無闇やたらに抜くな」

勇吾「…………すまないな」

俺「気にするな。お前も馬鹿が三人いて大変そうだ」

翔「だ、誰が馬鹿だって!! ウォーザードのレベル五十八でインテリジェンス四百越えだぞ!! 馬鹿はお前だ!! バーカ、バーカ」

イシュラ「バーカ、バーカ!!」

レヴィア「…………バーカ」

パール「主に対して何て言葉使いを……き、斬るぞ!! 貴様らっ!!」

俺「…………すまないな」

勇吾「気にするな……」

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/14(水) 22:33:45.65 ID:UDWic1vAO
【ステータス】



class キングデビルマン
age ???
sex 男性

レベル ???

HP 9999
MP 9999
STR 2532
VIT 1253
DEX 1777
AGI 1502
INT 3205
WIS 2802
LUK 25

デビルイヤーは使えない
デビルカッターは無い。
デビルビームは打てません。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/14(水) 22:44:38.04 ID:u5VdyCtko
ラックが…
おぅラックが…
11 : ◆tMXUWfc6dfaK [sagasage]:2012/03/14(水) 23:39:54.04 ID:UDWic1vAO
【森林ー勇者】

森を二台の馬車で走る。

こちらがそれなりに貧相なものに対して向こうは豪華絢爛。

オレと名乗る男の荷馬車はパールと呼ばれる少女が手綱を引いている。

自分「なぁ、パール」

パール「なんだ、ユーゴ」

自分「お前のレベルって幾つなんだ?」

パール「何故、貴方に教えなければならない?」

イシュラ「感じわるー。いいじゃん、ケチくさい」

パール「……ケチだと?」

翔「ま、まぁまぁまぁまぁ。パールちゃんもイシュラちゃんも喧嘩しないで……ほら、仲間なんだし」

パール「私は主の物だ。貴方達と仲間になった覚えはない」

自分「その主が俺の同行者なんだ。仲間の戦力を知っておくのも重要だ。仮にそれが上手く出来なくて主を危険な目に合わせたのは覚えていないか?」

我ながら何とも卑怯な取引だと思う。

パール「……一理ある」

ステータスが開く。

イシュラ「あ、あたしより年下なのに……」

レヴィア「四十九…………凄い高レベル……」

勇吾「日本という国を知らないか?」

単刀直入に切り出す。

パール「主の探し人と同じ国の出身だな。それ以外には特にない」

自分「っ!?」

翔「…………待って。じゃあパールちゃんは自力で四十九にまでなったの!?」

パール「自力では無い。主との鍛錬の結果だ」

翔「ほへぇー」

パール「主は凄いお方だ。貴方達よりも」

イシュラ「ゆ、ユーゴさんだって高レベルのゴーデスナイトなんだからっ!!」

レヴィア「そうです!! それにユーゴさんの方が遥かに人格者です」

翔「あれれー? おかしいぞー? 僕がいな」

パール「主の価値をわからないなんて可哀想な女だな」

イシュラ「むきーっ!! 主、主って!! あんたは主って奴しか知らないからそんな事をーー」

翔「この早さなら聞ける。パールちゃんって非処女?」

イシュラ「っ!!」

レヴィア「っ!?」

パール「斬るぞ、貴公」

翔「うっわ、どうしよう!! ユーゴ!! 冗談だったのに!?」

自分「勘弁してくれ」

頭を抱えながら俺は森を進む。
12 : ◆tMXUWfc6dfaK [sagasage]:2012/03/14(水) 23:58:30.38 ID:UDWic1vAO
ポイズンスラッグというモンスターを狩る。

低レベルのイシュラとレヴィア達には経験値を稼ぐ為にもってこいのモンスターだ。

俺「ふぁぁぁぁぁ、パール、今、どの辺りだ?」

パール「現在、森林でイシュラとレヴィアがレベル上げの為に戦闘中です」

俺「なる程……面倒くさいな」

自分「すまないな、死なれても困る」

俺「…………まっ、高校生の頭にしちゃ上出来だ」

自分「……っ!? しまった!!」

会話に意識を取られ、イシュラとレヴィアの近くに浮かぶ巨大なボス級のモンスターに対する反応が遅れた。

俺「どいてろ」

奴が手を翳す。その手には光の剣が浮かび上がり、ボス級のモンスターである巨大ナメクジの胴体に投げ、突き刺す。

そしてナメクジは次の瞬間、赤いバーを真っ白に染める。

俺「行ってやれ、腰抜かしてるぞ、あの二人」

肩に手を置かれた瞬間、何故だか胸に蟠りが起きた。

しかし、この感情から目を背ける。

そうしないと、何か大変な事が起きるかもしれないと思ったからーー
13 : ◆tMXUWfc6dfaK [sagasage]:2012/03/15(木) 00:14:28.86 ID:dxnCt4DAO
【俺】

俺「…………」

パール「…………」

目の前に置かれた一つの椀を眺める。

俺「パール……お前が作ったんだよな?」

パール「は、はいっ。主!!  私が作りました!!」

俺「oh…………」

頭を抱えたくなった。

この旅の始め、俺はパールの料理の才能を諦めた。

王族暮らしの少女に料理をしろなんて難しい話だったのかもしれない。

料理を苦と思わない俺が担当し、パールは食べる。

その関係性を別段嫌とは思わなかったし疑問は必要ないと思っていた。

それは単純にーー

パール「だ、大丈夫です!!」

レヴィア「食べてあげた方がいいです。パールさんは貴方の為に一生懸命、作っていました」

イシュラ「まぁ、姉様が殆どだけどね」

レヴィア「イシュラっ!!」

俺「…………ふむ」

木製のレンゲでスープを口に運ぶ。

俺「…………旨い」

パール「ほ、本当っ!!」

年相応の無垢な笑顔が浮かびあがる。

俺「あぁ……素材の味がよく出ている。素朴だが味わい深い」

イシュラ「……良かったですね、パールさん」

パール「あ、あぁ!! 感謝する、イシュラ!!」

イシュラ「…………っ!! そうかなぁ? 今日は姉様の料理にしては少し味が落ちた気がする〜」

翔「えっ? そう? いつも通り、美味しいよ?」

イシュラ「メガネは毎日食べて無いからわかんないのっ!!」

勇吾「……イシュラ、言い過ぎだ」

イシュラ「っ!! 師匠まで!!」

イシュラは椀の中身をかきこみ、

イシュラ「ごちそうさまっ!!」

さっさと馬車の中に戻っていった。
14 : ◆tMXUWfc6dfaK [sagasage]:2012/03/15(木) 00:19:30.24 ID:dxnCt4DAO
見張りの焚き火に薪をくべる。

この一年の経験で奇襲は滅多に無いと知りつつも警戒するのを止めることが出来ないのは人の業か俺の業か。

俺「……何のようだ」

炎を見つめながら問い返すーー

安価+1

1イシュラ
2レヴィア
3パール
15 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 00:20:02.93 ID:dxnCt4DAO
僕はイシュラちゃん!!
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/03/15(木) 00:38:39.66 ID:dL8eWf7Wo
>>15
ちょっwwwおまwwwwwwwww
17 :間違ったレヴィアで…… ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 00:40:28.99 ID:dxnCt4DAO
レヴィア「お礼を……」

俺「?」

レヴィア「昼間、森で助けて頂いたでしょう?」

俺「さぁな……お前らは目を閉じていたのによくわかったな」

レヴィア「ユーゴさんに聞きました」

俺「ふん……自分が助けた事にしてればいいものを」

レヴィア「ありがとうございました」

俺「別にいい。こちらこそすまなかったな、パールに料理を教えてあげたのだろう?」

レヴィア「ふふふっ、余程、好かれているのですね」

俺「あれは心酔で憧れだ。好意では無い」

レヴィア「……初めの印象とは随分違いますね。あなたもパールさんも」

俺「?」

レヴィア「ラッフィーを斬ったのはあの子なんでしょう」

俺「…………」

レヴィア「確かにそれは許されることじゃありません。けれどあの子は怖いのでは?」

俺「何がだ?」

レヴィア「もう十日程になりますね。ご一緒になってから。ずっと見てきました、あなたとあの子の関係を」

俺「……」

レヴィア「あの子は貴方が他人と関わるのを酷く恐れている。まるで籠に閉じ込める小鳥のように」

俺「そうか?」

レヴィア「よくわかります」

俺「…………あいつはもう失いたくないんだろうな」

レヴィア「?」

俺「情がうつるなら連れてこなければ良かったと思う」

レヴィア「……」

俺「最初は奴隷として売るつもりだった。けれどもーーいや忘れてくれ」

葡萄酒を一気にあおる。

レヴィア「…………」

俺「…………なんだ、その目は」

レヴィア「いいえ、あなたは思っている以上に優しい方なのかもしれませんね」

俺「はっ、馬鹿が。そんな訳ないだろう」

鼻で笑う。

レヴィア「……口は悪いですけど」

俺「もう、寝ろ。阿呆」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/15(木) 01:07:09.25 ID:dxnCt4DAO
翔「皆さん、おはようございます。翔です、さて本日はお話し合いがあります」

勇吾「?」

俺「?」

パール「…………」

イシュラ「…………」

レヴィア「?」

翔「昨日ね? 僕は夜中におしっこに行ったの!!」

俺「ふむ、日中には王都につくな」

勇吾「あぁ、そうだな……出来れば装備品を充実させたい所だ」

翔「聞けよ、聞きなさい!! 聞いてくださいっ!! あのね、夜中におしっこに行ったの!!」

レヴィア「食事中です」

翔「違うの!! 違う!! 重要なのはこの後!! 二人で俺くんとレヴィアちゃんが二人で仲良く話してたのっ!! ありゃあ!! もう、あれだね!! 大人アベックの空気というか、大人の雰囲気というか」

俺「はぁ?」

翔「だからね!! 僕、提案したいの!! パーティー内で恋愛禁止っ!! そうしよう!! ねぇ!!」

俺「先に言っておくがーー」

パール「私は賛成だ」

イシュラ「あたしも賛成っ!!」

俺「まぁ、お前らが言うなら俺は構わないが……」

勇吾「俺もだ」

レヴィア「な、なんだか変な流れですがーー」

俺「おい、メガネ」

翔「俺くんまでそう呼ぶの!?」

俺「心底、どうでもいいが、それはお前らにも当てはまるよな」

翔「えっ?」

イシュラ「えっ?」

俺「当たり前だろう。たわけどもが。メガネは今後、新参パーティーとは恋愛禁止だし、そこの小娘は師匠との恋愛は禁止だぞ?」

イシュラ「えぇ〜っ!! なんであんたはそういうこと言っちゃうの!! ユーゴさん、あの、あのあのあの」

翔「やっぱ、禁止を禁止!! 駄目です!! ただし、新しいパーティーの女の子は僕にチャンスを譲ってください!!」

俺「おい、ユーゴ。このインテリジェンス詐欺野郎をどうにかしろ」

勇吾「は、はははっ」

パール「っ!! 禁止だ!!」

パールは立ち上がり、涙を浮かべている。

俺「…………」

パール「禁止だっ!! 駄目っ!! 主は誰にも渡さないっ!!」

俺「…………はぁ。いいか、よく聞けよ。俺の探し人の中には俺の『恋人』もいる」

パール「っ!?」

俺「例え喚こうが、泣こうがその事実は消えない。そして、どんなに縋ろうが俺はあいつらに対する愛は変わらない」

パール「…………っ!!」

勇吾「お、おい、待て」
19 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 01:25:57.37 ID:dxnCt4DAO
【王女】

私「っ!!」

頭の中がぐしゃぐしゃだった。

いつかあの人まで私の前から去ると考えたらどうにかなりそうだった。

私「あるじぃ……あるじぃ……」

優しく頭を撫でてくれるあの人が好きだ。

私を庇って、怪我をしても鼻で笑って許してくれるあの人が好きだ。

夢でうなされた時に手を握って寝付くまで寄り添ってくれたあの人が好きだった。

例え、どんなに辛い修行でも心が折れそうになる鍛錬でもあの人がいたから私は耐えられた。

この気持ちに気づいた時からあの人に好かれようと努力を始めた。甲斐甲斐しく、恭しく、尽くしても主は私を女として見ないし、抱くことすら無かった。

こんな気持ちになるならーー

主「捨てて貰った方がマシーーだったか?」

私「っ!?」

主「要らん手間を掛けさせおって」

私「……来るなっ!!」

主「あぁん?」

私「私を捨てる癖に今更、どの面下げて戻ってきたのだ!!」

主「……」

私「優しさなんて要らなかった!! 情なんて要らなかった!!」

主「そうか……」

私「さっさと捨ててくれればーーいっそアークに殺されれば良かったとすら思う!!」

主「……はぁ。いいか、一度しか言わない」

私「っ……」

主「お前『も』俺のモノになれ」

私「っ!?」

主「確かに優しくしたさ。情をかけたさ。だが、それはお前が欲しいからだ」

私「や、やめろ……」

主「お前のその心に惹かれた。だからお前も俺のモノとなれ」

私「…………っ!!」

主「帰るぞ」

私「酷いお人だ……」

主「よく言われる」

私「女の敵だ……」

主「耳が痛いな」

私「…………けど、私はーー」

そんな主についていこうと唇を奪われながら誓った。
20 :寝る ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 01:34:57.12 ID:dxnCt4DAO
翔「あ、あの〜、俺くん?」

俺「あぁ?」

翔「結局、何股掛けてるの?」

俺「そんなもの俺の事が好きな女の数だけに決まってるだろうが!!」

翔「はい、きました!! リア充じゃん!! 敵だよ、敵!! あーっ!! かぁーっ、ぺっ!! リアルが充実だって!! 駄目駄目!! 断固許さないっ!! 絶対に許さない!! 絶対にだ!! 俺くんみたいな奴がいるから世の中には恋愛格差社会が生まれるんだよ? そこら辺わかってる?」

俺「あーもてすぎていきるのちょーつれーわー」

棒読みで返してやる。

翔「勇吾ぉ〜、どうにかしてよぉ!! あいつ嫌な奴だよぉ〜」

勇吾「はははっ、まぁ。翔も男を磨くんだな」

翔「まさかユーゴまで裏切ったな!! そう言えばイシュラちゃんとどうなったのさ」

勇吾「ま、待て、翔。何も無いから。手綱狂う!!」

翔「許さん、許さんぞー。いいか、お前らーっ!! 次のパーティーメンバーは僕に譲るんだぞーっ!! いいか、絶対だからなーっ!!」

王都ガライアが見え始めたーー
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 03:46:26.13 ID:2lXnp2ho0
お疲れ
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 07:05:51.96 ID:qEK5XOIIO
おっ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/15(木) 17:22:47.03 ID:h+sXX4YSO
ふむ…
24 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 17:33:42.82 ID:dxnCt4DAO
【王都ー巫女】

勇吾「さて、まずは宿を」

馬車の前に一人の商人が飛び出してきました。

商人「おっと、そこのおか……ぐげっ!!」

客引きだったのでしょうが、飛び出した場所が悪すぎました。

せめて私達の馬車の前だったら良かったのですが、前を行く馬車は俺さんが手綱をひいています。

俺「…………ぺっ」

ひいた上に唾まで吐きかけました!!

私「俺さん!!」

俺「……しまった。見られたか」

私「その所業はあんまりじゃないですか!?」

パール「しかしレヴィア。今のは飛び出した商人にも責がある」

私「だとしてもです!!」

イシュラ「うーん、けど姉様、明らかに故意に飛び出してきた訳だし……」

俺「……」

俺さんは右手を翳して気絶していた商人を回復させていました。

商人「あ、あんた!! 普通、止まるだろ!! な、なのに」

俺「丁度いい。おい厩舎の付いた良い宿を教えろ」

商人「はぁ?」

俺さんはパールさんに顎で指示をする。

馬車から身軽に降り立ったパールさんは黒い袋を一つ取り出し、商人の方に渡した。

商人「!? へ、へいっ!! 今すぐ案内します!! 予算は?」

俺「気にするな、最高級の飯と酒、後はいい部屋が欲しい」

商人「へへっ……こちらでこざいます、旦那」

翔「あれが袖の下効果……」

私「そでのした?」

翔「うん、やっぱ俺くんってスッゴく金持ってるんだろうなぁ……羨ましい」

勇吾「……まぁ、無いものねだりはするな。俺達は普通のーー」

俺「何を呆けている。行くぞ」

勇吾「いいのか?」

俺「二人だろうが六人だろうが、大差は無い」

翔「かぁーっ!! 流石、俺くん!! よっ、大統領!! 太っ腹!! 気前がいい!!」

俺「……単に別宿で後で合流するのが面倒くさいだけだ」







一晩、一部屋二千ゴールド!?

俺「構わない、それで頼む」

それを四部屋借りてさらには別途、酒場で食事を考えるとゆうに一万ゴールドを超える。

イシュラ「い、一万ゴールドってあたしのお小遣いの一生掛かっても……」

翔「お金の使い方が豪快すぎる……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/15(木) 17:57:02.43 ID:dxnCt4DAO
イシュラ「……姉様」

私「何?」

イシュラ「お部屋が三つもあるんだけど……」

私「気づいてるわ……」

質素や慎ましさとはとても縁遠い無駄は少し忠告しておくべきでしょう。

イシュラ「わわっ、ドレスも無料で貸し出してるんだってさ」

レヴィア「はしゃがないの。それに私達がドレスを着た所で……」

イシュラ「んふふ、これで師匠を悩殺できる」

レヴィア「…………」

違う世界に旅立った妹は放っておくことにしました。








イシュラ「うわ……綺麗」

付属のレストランに出る為に集まったのですが、私達はパールさんの美しさに圧倒されました。

イシュラ「やっぱ、着て来なきゃ良かった」

確かにパールさんの横に立つイシュラは対比的な意味合いでしょう。どうしても田舎臭さが抜けていません。

勇吾「あ、イシュラ達、早いな……」

翔「うっわー!! パールちゃん、すっげー!! 凄く綺麗だね!! なんか気品があるというか何というか!!」

勇吾「そうだな……自分の素材を良くわかっているようだ。凄く似合っている」

二人は手放しで誉める。

更に遅れてやって来た俺さん。

俺「ふむ……パールは相変わらず白が好きだな」

パール「はい、主」

俺「……田舎娘も見違えたな……なかなか似合ってるじゃないか」

イシュラ「え?」

俺「だが、選ぶセンスがやはり下手だな。髪とバランスを考えて明るい色を選んだらどうだ? 貴様に黒はまだ早い」

イシュラ「……ばーか!! ばーか!!」

俺「は?」

イシュラ「あ、あんたなんかに褒められても嬉しくなんて無いんだからっ!!」

私は妹とのやり取りを眺めていて俺さんを少し見直しました。

俺「……レヴィア、お前も着替えてこい。妹のお召し物を手伝ってやるのが姉の役割だろう?」

レヴィア「……しょうがないですね」

翔「えーっ!! 僕、お腹ペコペコだよぉ……」

勇吾「……」

ユーゴさんは難しい顔をしながら何かを考えています。

勇吾「すまなかった、イシュラ」

イシュラ「え? 何の事ですか、師匠!! よくわかんないですけど気にしないで下さい!!」

勇吾「……」

その時、ユーゴさんが俺さんを見る瞳に何か得体のしれない不安がよぎりました。
26 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 18:01:49.45 ID:dxnCt4DAO
【俺】

食事が終わりそれぞれが部屋に戻った後、俺は再びレストランで酒を飲み直していた。

俺「……」

一本で高級な武具が一つ買える葡萄酒を開けてアルコールに身を任せる。

俺「……何のようだ?」


テーブルに現れたのはーー


1イシュラ
2レヴィア
3パール


安価+1
27 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 18:02:26.27 ID:dxnCt4DAO
僕はレヴィアたんがいいです!!
28 :レヴィアかと思った? 残念!! イシュラちゃんでした!! ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 18:14:15.20 ID:dxnCt4DAO
俺「ふむ、田舎娘。夜遊びをするなんてどういう教育を受けてきた?」

イシュラ「う、うっさい!!」

俺「ふむ……それで? 何か食べるのか? ならば席につけ」

イシュラ「ん」

俺「ふむ……食いたりなかったのか?」

イシュラ「ち、ちちち違うわよっ!!」

俺「まぁ、あんだけ食っていればな……ならば果実を使った菓子と茶を頼もう」

イシュラ「あ…………う、うん」









俺「……ふむ、これもいいな」

イシュラ「あんたどんだけ飲むのよ?」

俺「良い酒は幾らでも飲める。悪い酒でも幾らでも飲めるがな」

イシュラ「……あ、あのさ……」

俺「ん?」

イシュラ「さっきはありがと……」

俺「何の事だ?」

イシュラ「……いいの、あんたは気にしなくてっ!!」

俺「不思議な小娘だ」

イシュラ「っ!! とりあえず、そんだけ気を使って貰ったから、お礼を言っただけ!!」

俺「よくわからんが、受け取っておく」

イシュラ「……寝る」

俺「あぁ……田舎娘。そのドレスは似合っているぞ」

イシュラ「う、うっさい!! 余計なお世話よ!!」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/15(木) 18:32:45.38 ID:dxnCt4DAO
【現在の印象まとめ】

【俺】

勇吾→今回のターゲット。まだ放っておくか……

翔→メガネ。

イシュラ→田舎娘

レヴィア→小うるさい田舎娘

パール→大切な存在



【勇吾】

俺→強くて謎が多い仲間。???

翔→頼れる相棒

イシュラ→気になる女の娘

レヴィア→気になる女の娘

パール→強いが性格にやや難がある仲間


【翔】

勇吾→僕の最高の相棒!!

俺→リア充でお金持ちだけど悪い奴じゃないかもね!!

イシュラ→僕はイシュラちゃん派!!

レヴィア→僕はレヴィアちゃん派!!

パール→僕はパールたん派!!


【イシュラ】

勇吾→強くてかっこよくて大好きな師匠!!

俺→よくわかんない奴!! けどいい所もある!!

翔→メガネ!!

レヴィア→大好きな姉様!!

パール→あんま好きじゃない……


【レヴィア】

俺→少し気になる方。何か悩みがあるのかしら? ただ浪費癖と女癖の悪さは治さなければなりません!!

勇吾→強くて凛々しい方。年相応の悩みを抱えているようです。

翔→そろそろ本気で怒りますよ?

イシュラ→私の大切な妹

パール→放っておけない女の子。


【パール】

俺→一番大切なお方。

勇吾→文武両道の猛者

翔→いつかは斬る

イシュラ→田舎娘。主に対して舐めた口を聞くからあまり好ましくない。

レヴィア→優しいがあまり主を叱らないで欲しい……けれどいいお方だと思う。
30 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 21:42:31.68 ID:dxnCt4DAO
【王都ー少女】

あたし「……遅い!!」

勇吾「まぁまぁ、イシュラ。もうすぐ出てくるらしいじゃないか」

あたし「師匠!! あいつをそんな風に甘やかしちゃいけません!! あいつは夜中まで酒を飲んだくれてただけですよ!!」

勇吾「……へぇ、そうなのか」

あたし「全く、仲間内で時間も守れないなんて!!」

パール「主は時間に疎いのだ。田舎娘、怒るでない」

あたし「あんたっ!! 何回言えばわかんの!? あたしの名前はイシュラ!! 田舎娘じゃない!! あいつにも伝えておきなさいよっ!!」

パール「ふんっ!!」

レヴィア「イシュラ。何を苛ついているのですか、落ち着きなさい」

あたしは頭に岩を落とされたくらいの衝撃が走った。

あたし「……姉様まであいつの味方なんだ……姉様なんて大嫌いっ!!」

あたしは宿を飛び出した。






お昼を回った辺りだろうかお腹が鳴り響く。

あたし「…………お腹空いた」

あちこちの屋台からいい匂いがしてくるが生憎一ゴールドも持っていない。

あたし「…………」

悪い考えが頭によぎる。

あたし(誰も見ていない、一つだけ、一つだけ)

そろりと手を伸ばし果物を一つ掴む、それをポケットにーー

あたし「っ!?」

誰かから手首を掴まれる。

あたし「あ、あの……」

恐怖で身が凍る。

俺「何をやってる、痴れ者。店主、これを二つ貰っていくぞ」

果物を二つ手にとり、逆の手であたしを引っ張り出した。




お城の近くにある広場であたしは果物を食べながら罪悪感に浸る。

俺「んで、小娘」

あたし「……ごめん、ありがと」

俺「俺は盗賊を生業としていた時期もあるからな、別に怒ってもいない……が、呆れはしてある」

あたし「…………」

俺「ユーゴ達は王の越権に向かった。遅れた罰として俺がお前を探しにきた訳だ」

あたし「まぁ……そうよね……師匠も姉様も我が儘を言ったあたしを捜しにくるわけないか……」

俺「当たり前だ。あいつらは今、大事な使命を受けている。人員を割く為には俺とパールがお前を探すしかない。ユーゴは英雄として、レヴィアは使いとしてな」

あたし「あはは……あたし、本当に役に立たないや。足を引っ張って」

俺「楽しい冒険だと思ったか?」

あたし「思ったわよ!! きっと楽しくなるって思ってた!!」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/15(木) 22:07:17.39 ID:dxnCt4DAO
俺「甘いな。そんな夢を見てるならあの慎ましやかな村で育ち、てきとうに結婚し、子供を産んで一生を終えるべきだった」

イシュラ「っ!!」

俺「連れ出したユーゴも悪い。いや、夢を見させた分、奴らの方が尚の如く悪いな」

イシュラ「師匠は悪くないっ!!」

俺「冒険が楽しい? 冒険は夢がある? ふざけるな」

睨まれて体が動かない。

俺「冒険なんて楽しい訳が無い。食い物すら無いときだってある。襲ってくる山賊を皆殺しにしなければ眠れない夜だってある。遺跡に閉じ込められて仲間と呼んでいた人間に殺された事だってある」

イシュラ「……」

俺「いいか、この冒険がまだ楽しもうと思えるのは高レベルである人間が四人もいるからだ。安全で試練も無い。命の危険性すら知らない」
イシュラ「そ、そんなことないっ!! 師匠は命を賭してファドラの神殿でーー」

俺「めでたいな。そして愚かしい」

イシュラ「っ!?」

俺「命を賭けた? 笑わせるな……命を賭けると言うのはなーー勝算すら無い相手に戦いを挑む時の言い訳であり覚悟であり遺書なんだよ」

イシュラ「……それでも」

俺「俺はお前ら村の人間の方が遥かに凄いと思ったよ。愚直でそれでも命を賭けて村を守ろうとしたな……」

イシュラ「たった一つしかない命を、見ず知らずの村の為に危険に晒したんだよ? あんな高レベルなのに……」

俺「確かに、誉めるべき善行だな。だがな……あいつの命とお前の魂は天秤で図ったとしても価値は決まらんよ」

あたしと師匠の価値が同じ?

俺「お前の父にとってはお前の方が重い。しかしユーゴに親しい人間にとってはあいつの価値の方が重いだろう」

イシュラ「同じ」

ポツリと呟く。

俺「だから冒険を楽しむのなら期待するのなら、相応に強くなれイシュラ。弱いお前じゃ楽しむ資格すら無い」

イシュラ「……うん。わかった」

俺「出てこい、パール」

背後の茂みががさりと動く。

パール「い、いつからお気づきに?」

俺「始めからだ、馬鹿者」

パール「…………精進します」

頭を下げるパール。

イシュラ「ねぇ、パール。あんた冒険は楽しい?」

パール「初めは……死にたかったな……辛くて辛くて。主を恨んでいる時期すらあった」

イシュラ「そうなの?」

パール「あぁ、けどな。ある日から楽しくなった。それからは世界が見違えたよ」

イシュラ「……決めた」
32 :>>31はイシュラ視点 [sage]:2012/03/15(木) 22:16:36.69 ID:dxnCt4DAO
あたし「一流の冒険者になる」

俺「……なら盗人は控える事だな」

あたし「わ、わかってるわよ!! パール、稽古して!!」

パール「稽古か……主のように厳しくは出来ぬぞ?」

あたし「ふ、普通、逆じゃないの?」

俺「俺くらい厳しくするなら回復のエンチャットを付けなければ身体が保つまい」

あたし「……」

パール「では、装備を買いに……」

俺「あー、待て。イシュラ」

あたし「あによ?」

俺「お前、パールの友人になってやってくれ。あぁ、見えてあいつは同年代の友人がいないからな」

あたし「……気が向いたらね」

俺「ふん、いいだろう。よし、お前の冒険者としての決意の日だからな、装備を一式、買い揃えに行くとするか」

頭の上に置かれた手を振り払おうと思ったがしばらくそのままにしておいた。

何故だかどうかは良くわかんなかったけれど……
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/15(木) 22:36:04.60 ID:dxnCt4DAO
【俺】

再び城に近い酒場に集まる。

翔「そ、それでイシュラちゃんの装備はそんなに豪華だったんだね」

買った装備リストを三人に見せる。

俺「あぁ、だからレヴィアとお前らの装備は王から貰った分で勝手に買い揃えろ」

翔「りょーかい……でもイシュラちゃんとパールちゃんは?」

俺「広場で稽古している」

翔「稽古って……そんなんで強くなるの?」

俺「あぁ、まぁな」

翔「ふーん、なら僕はエルたんにフヒヒ、フヘヘヘヘ」

俺「ユーゴ、こいつはどうしたんだ、一体?」

勇吾「あぁ、悪いな……何でも今度、同行するエルフの女性に一目惚れしたみたいで……」

俺「やめておけ、エルフなぞ高飛車で扱い難いぞ?」

翔「だが、それがいい!! むしろ、それがいい!! ツンデレエルフ!! いつになったら僕にデレるのか!! ふぅはぁ!! 今から心踊るね」

勇吾「ははっ、それにしても俺、済まなかったな、人捜しなんて任せて」

俺「なに、俺が遅れた時に起こった問題だ。気にするな」

勇吾「なら、今度から、時間は守ってくれよ……はぁ」

俺「まぁ、善処はしよう」

さて、俺は二人の様子を見に行くとするか。

俺「ユーゴ。城の近くで稽古を見てくる。貴様らは装備を買わねばなるまい? 後で再び、この酒場に集まろう」

勇吾「あぁ、わかった」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/15(木) 22:51:47.05 ID:dxnCt4DAO
イシュラ「…………ハァハァハァハァ」

パール「情けないな」

イシュラ「あ、あんですって……?」

イシュラも怒りたいのだろうが疲れて声を出せない。

俺「ふん、だが基礎は大分上達したな……」

イシュラ「………そ、そう? ハァハァハァハァ」

俺「あぁ、剣技の才能があるようだ。ならばそうだな……」

俺は縦一メートル、横一メートルの氷を産み出す。

イシュラが杖がわりにしている剣を借りてーー

俺「……はぁっ!!」

一閃する。

イシュラ「うっそ……」

真横一閃に線が入る、がその氷が一切ずれることなく上下にある。

俺「この上下のズレが関節一本分になるまで精進しろ。そうすれば技を教えてやる」

イシュラ「…………わかった」

パール「……むぅ」

腰にしがみつくパール。

俺「なんだ、急に」

パール「何でもありませんっ!!」

頭を撫でると猫のように目を細める。

イシュラ「…………ちょっと!! 早く氷だしてよっ!!」

パール「じゃ、邪魔をするな、イシュラっ!!」

イシュラ「うっさい!!」

戯れる二人を俺は眺めていた。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/15(木) 23:24:25.85 ID:dxnCt4DAO
俺「なるほど、ダイスか。よろしくたのむ」

ダイス「君が俺くんだね……ユーゴくんから聞いているよ。凄く強い仲間がいるって。レベルを見せて貰えたり……」

俺「すまないな。ユーゴ達にも見せた事は無いのだ」

ダイス「あぁ……気を悪くしないでくれ。興味本位なだけだから」

イシュラ「ねぇ!! 師匠!! 実はこの装備の下に更にアウラの服って装備を着ているんです!!」

勇吾「ぶふーっ!!」

翔「な、なんだってー!! おい、俺くん!! まさかイシュラちゃんにも手を出して……」

俺「人聞きの悪い事を言うな……店員に最強装備で任せたらそうなっただけだ。それにリストだって見せただろう」

翔「値段どころで装備名見てなかったよ」

俺「お前、そろそろクラスチェンジしたらどうだ?」

皮肉を呟いて見ても翔はわからなかったようで溜め息が漏れる。

馬車を二台で道を行く。

その時、モンスターが現れた。

イシュラ「ストームバット。よぉーし、いっくぞー!!」

意気揚々と出るが空中を飛ぶ相手にどうするというのだあの小娘は。

後ろの馬車に乗っていたエルトリーゼと呼ばれるエルフとパール、レヴィアも降りる。

エル「ファイヤークラッカー!!」

空中の敵を撃ち落としていく。

俺「…………田舎娘」

イシュラ「あ、あによ!!」

俺「闇雲に振るだけでは当たらん。呼吸を聞け」

イシュラ「…………わかった」

目を閉じるイシュラ。

レヴィア「い、イシュラ何をしてっ……」

次の瞬間、目を見開き、長剣を振るう。

レヴィア「っ!!」

モンスター真横に切り裂く一閃。

翔「う、うぉぉぉぉっ!! やるじゃんイシュラちゃん!! よぉし、僕もブリザード!!」

残っているモンスターを一掃する魔術をメガネが発動する。

俺「っ!? レヴィア!! 何を呆けているっ!!」

駆け出しながら割って入る。

レヴィア「えっ」

メガネの奴が逃した一体が直接攻撃を仕掛ける。

俺(あの距離は巻き添えの可能性がある、ならばっ)

身体の機能を限界まで上げてストームバットに体当たりをする。

空気抵抗により皮膚が切り刻まれる。レヴィアに傷が付かないよう遠回りに避けて、ストームバットを腕に捕まえる。

周りがスローモーションで動いている。

レヴィアの驚く顔も、ストームバットが潰れて血を吹き出す瞬間もーー
36 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 23:51:59.03 ID:dxnCt4DAO
俺「づぅぅぅぅぅっ」

呻きが漏れる。限界を超えた動きに足の骨が折れ、全身が裂かれて血が噴き出す。

パール「あ、主!? 今すぐ回復をっ!!」

俺「……ぐっ、始めている」

翔「ヴァイヒール、ヴァイヒール!! ヴァイヒール!!」

半分程、減っていた赤いバーがみるみる内に回復する。

レヴィア「お、俺さん。ごめんなさいっ!!」

駆け寄ってきたレヴィアを手で制止する。

俺「…………かすり傷だ」

レヴィア「そんな訳無いじゃないですか……」




勇吾「今日はこの辺で野宿にしよう」

翔「よーっし、晩御飯の準備だ」

俺「……ふむ、レヴィア。始めるぞ」

レヴィア「は、はい……あのさっきは」

食材を掴みとる。

俺「だから気にするなと言ってるだろう。それとも何か? 反省すべき事でもあるのか」

レヴィア「……はい」

俺「ならば次は無いようにしろ。毎回、庇っていたら身が持たないからな」

レヴィア「……はい」

エル「ライト」

エルフは一人、本を読み始める。

勇吾「おい、エル。君は夕飯を食べないのか?」

エル「食べるに決まっているだろう? 食事をしなければならないのは人間もエルフも一緒だ」

勇吾「ならば手伝え」

エル「断る。宮廷魔術師である私が何故手伝わなければならない……そういう雑事は村娘にでもやらせておけ」

俺「ククククッ」

エル「何を笑っているんだ?」

俺「いや、悪いな。宮廷魔術師よ。貴様一体、どこで役に立つのだ? 飯くらい自分で用意してるんだろうな?」

エル「何を不思議なことを。私は重要な戦力だ」

俺「笑わせるな、小娘。四肢をもぐぞ?」

エル「ひっ……」

俺「自惚れるな。お前は今日、レヴィアの次に最悪だったぞ? 魔術で仕留めたのは何匹だ?」

エル「っ!?」

俺「気づいていないと思ったか? お前はただ派手に開幕を宣言しただけだ。おかげで敵が分散した」

エル「……」

俺「ユーゴは一匹倒した、メガネは複数。田舎娘は大金星だ 。 さて、そんな中、貴様は何をした? レヴィアを危険に落とさせ、それを戦力だと。ふざけるな……」

エル「……次は気をつけよう」

俺「お前に次は無い。消えろ、娼婦としてすらお断りだよ、お前は」

エル「貴様っ!! 言わせておけば!! この事を陛下に告げさせて貰おう。私を蔑ろにした事を必ず後悔させてやる!!」
37 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/15(木) 23:58:49.24 ID:dxnCt4DAO
エルトリーゼは馬で一人、城に戻った。

他の面々は既に就寝している。

荷馬車に積んでいた酒を口に運びながら考える。

誰かが近づく音が聞こえるーー

俺「ふむ、何のようだ、一体……」







1イシュラ
2レヴィア
3パール


安価+1
38 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 00:00:23.10 ID:Fc5O2teAO
僕はイシュラちゃんがいいです。お願いします!!
39 :>>38の安価に従いましてレヴィアで行きます ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 00:24:10.83 ID:Fc5O2teAO
レヴィア「……相談があります」

俺「?」

レヴィア「……私にも剣を教えてくれませんか」

俺「才能が無い。やめておけ」

レヴィア「っ!?」

俺「イシュラは元々の身体能力が高い。そして何より……俺自身が驚いたが天性の直感がある」

レヴィア「姉であるのに……私には無いのですか?」

俺「あぁ、無いよ」

レヴィア「…………」

俺「急にどうした?」

レヴィア「……私が弱いから俺さんが怪我をしました」

俺「はっ……違うな。俺が弱いから俺が怪我したんだ」

レヴィア「……お荷物であるのが嫌なんです。巫女を止めて神の加護が無くなった私には何の力もありません」

俺「…………」

レヴィア「出来るのは食事くらい。それでも俺さんがいれば私は必要ない」

俺「…………」

レヴィア「私は何の為に」

俺「似ているな。イシュラに」

レヴィア「え?」

俺「外に出ればきっと輝く未来が待っていたーー甘いな」

レヴィア「えぇ、理想と現実は違いました」

俺「強くなりたい……か……」

レヴィア「っ!?」

俺「おぼこい娘みたいな反応するな」

レヴィア「だ、だって急に手を握るから」

俺「…………よし」

レヴィア「これは?」

俺「その手首に付けたのは魔翌力を感知する魔法のミサンガだ」

レヴィア「みさんが?」

俺「お前が努力して魔術を使い続ければいつか切れる。そうだな……ヒールは使えるな? 使い続けろ。どんな小さな傷もどんな些細な痛みも……そしてそれが切れた時にお前はきっとお前の可能性が分かる」

レヴィア「本当に?」

俺「嘘じゃない、信じられないか?」

レヴィア「…………いえ、信じらてみます」

俺「だから今のうちは守られておけ。お前が俺を助けてくれる日まではな」

レヴィア「私が俺さんを助ける?」

俺「あぁ、だから寝ろ。明日も早いのだろう?」

レヴィア「……ありがとうございました」

俺「別にいい。酒が上手いから気紛れだ」

レヴィア「…………お休みなさい」

俺「あぁ、お休み」
40 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 00:50:41.86 ID:Fc5O2teAO
俺「…………いるのだろう?」

森の方に問いかける。

ダイス「ありゃ、バレてた……いやぁ。ご両人の邪魔をして悪かったね」

俺「ふむ…………それで? 何のようだ?」

ダイス「…………話がある」

俺「大方ーー教団に寝返れと?」

ユーゴ達の敵対組織である教団と呼ばれる。

そして酒場でユーゴと合ったというこの胡散臭い男は教団の手先だろう。

ダイス「っ!? いつから」

俺「悪いな、俺は経験則上、偶然というものを酷く疑っていてな……」

ダイス「……まさか、それだけで?」

俺「あぁ、違う。以前、マリーと呼ばれた女に聞いた事があってな」

ダイス「……あの女っ」

俺「それで……?」

ダイス「正直に言おう。君と教団の接触は固く禁じられている」

俺「……」

ダイス「強すぎる力を持った人間。その力は一人で魔神にすら匹敵する」

俺「買い被り過ぎだ。あんな化け物お断りだ」

ダイス「……あれを口に出してその余裕が君の強さを表している。君だって無駄に魔神なんかと戦いたくは無いだろ?」

俺「同感だな」

ダイス「ならば、こちらについた方がいい。近い将来、魔神は必ず復活する」

俺「……断る」

ダイス「な、何故!? 」

俺「血は捨てても優しい少女がいるからな」

ダイス「何のことだい?」

俺「貴様にはわからんよ……」

ダイス「明日まで待とうと思ったがーー!!」

周りには数十人の姿が現れる。

ダイス「行けっ!! 今ならゴーデスナイトと仇敵を葬れるぞ!! こちらは教団の中でも精鋭を集めてきた!! 怖いものなどーー」

俺「……ふん」

馬車内を襲おうとした五人の集団の動きを暗黒の剣が牽制する。

俺「悪いな、見張り番なのでな……あいつらを起こさないように静かにやらせて貰うぞ」



ダイス「あ、ありえない……」

散らばった眼球。散らばった臓器、散らばった腕、散らばった足、散らばった首

ダイス「や、やはり関わるべきでは無かった……ひっ……」

馬車が既に遠くに見えるこの場所で俺はダイスを見下ろす。

俺「……一つ聞こう。何故、俺を誘えると思った?」

ダイス「あ、あんたをよく知ってるというネクロマンサーとアルケミストがこちら側だと言ったからーー」

俺「そうか、シネ」

剣を振り下ろすーー
41 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 01:08:01.30 ID:Fc5O2teAO
俺「……何故、邪魔をする」

勇吾「お前っ!!」

剣が弾かれる。

勇吾「ここまでする。必要があるのかっ!! ここまでしなきゃなんないのかっ!!」

俺「成る程な……つまりはお前は俺がこいつらを殺した事を許せないと」

勇吾「当たり前だ!! そんだけの力があるなら何とか出来た筈だろっ!?」

俺「甘いな……それで世界を救おうだと? 笑わせるな!!」

激しく斬りつける。

勇吾「っ!?」

俺「お前は仮にも世界を救おうと言うのだろ? なのに、人は殺さないだと? ふざけるな、小童!!」

勇吾「ぐぅっ!! スラッシュ!!」

俺「甘いっ!!」

神速の連撃を全て弾く。

勇吾「っ!! 翔!!」

翔「えっ、え〜っ!! うーっ、ヴァイヒール!!」

ユーゴの赤いバーが満タンになる。

勇吾「うぉぉぉぉっ!!」

俺「ふざけるな!! お前がやってるのはただのロールプレイングのお遊びだ!!」

勇吾「だからって[ピーーー]ことは無いだろう!?」

俺「ある!! 命を奪わねば生きて報復されるだろう。徒党を組むであろう!! 争いは犠牲を持ってでしか終わらぬ!!」

勇吾「傲慢なっ!!」

十数合打ち合う。

弾き、弾かれ。何度も続く。

主人公の補正による能力の大幅な増幅。

身を持って戦慄する。

俺「ククククッ、それとも愛しのイシュラと愛しのレヴィアが最近、俺にかまけているから嫉妬してるのか?」

勇吾「っ!?」

隙が出来た!!

俺「裂けろっ!!」

剣を振ろうとした瞬間にーー

翔「サンダーストーム!!」

俺「がっ!?」

真後ろからの強力な一撃に体制が崩れる。

勇吾「ゴーデスエンブレムっ!!」

巨大な光が俺を襲うーー
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 01:17:00.89 ID:Fc5O2teAO
勇吾「ハァハァハァハァ……」

翔「ゆ、勇吾!! 幾ら何でもゴーデスエンブレムはやりすぎだろ!?」

勇吾「うるさいっ!!」

翔「っ……」

勇吾「ハァハァハァハァ……すまない……翔、俺、どうかしてたんだ……この手で仲間を……」

翔「勇吾……」











俺「効いたぞ……今の一撃っ!!」

勇吾「っ!?」

俺は赤いバーが既に残り五分の一にまで減っているのを確認しながらも斬りつける。

翔「は、話し合おうよ、俺くん!!」

俺「あぁん?」

勇吾「っ!! スラッシュ」

油断した瞬間を突かれた。

俺「がぁぁぁぁぁっ!!」

翔「勇吾!! えぇい!! ヴァイヒール、ヴァイヒール、ヴァイヒール、ヴァイヒール、ヴァイヒール、ヴァイヒール、ヴァイヒール、ヴァイヒール、ヴァイヒール!!」

俺「…………ちっ」

勇吾「…………くそっ」

お互いに満タンになったゲージを見て剣を納める。

翔「は、話し合おうよ!! ほら、みんなも起きてきちゃってるし!!」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 01:33:56.95 ID:Fc5O2teAO
勇吾「…………」

俺「…………」

翔「まぁまぁ、ほら飲み物も入れたし、ほら、笑顔、笑顔」

イシュラ「や、それは流石に無理なんじゃない? メガネ?」

翔「あははははは……はは……は……はぁ」

レヴィア「それで争っていた理由を聞きましょう……」









翔「えぇっ!? ダイスさんが教団の一員? 勇吾も知ってたの?」

勇吾「あぁ……エルが明日、本隊を連れてアジトを攻めいる」

翔「は、はぁ……えっ、じゃあ何? 俺くんとエルちゃんは喧嘩して無かったの?」

俺「そんな作戦は知らん。俺は単独で教団にスカウトされただけだ」

翔「えぇぇぇぇっ!?」

パール「……アークはその教団の一員だったわけですね」

俺「…………そうだな」

パール「主、何故、教えてくれなかったのですか!?」

俺「言えばお前は俺がこいつらと旅を止めると言ってもついていっただろ? お前を手放したくないって単なる我が儘だ」

パール「っ!?」

レヴィア「事情はわかりました……確かに俺さんの事は一理あるでしょう」

俺「真理だ」

レヴィア「いいえ、私はそう思いません。争いが争いを産む。そんな悲しい出来事は無いと信じたい」

俺「流石、元巫女だ。優しいこった」

レヴィア「そういう言い方はよしてください。ただ私はーーあなたが何故、そんなに怯えてるのかを知りたい」

俺「口を慎め。コロスゾ?」

レヴィア「……それであなたの気が休まるのならばいいでしょう。そういう約束でした」

翔「えっ!? ナニソレ、ナニソレ!!」

レヴィア「どうしますか?」

俺「…………寝る」

パール「主……」

イシュラ「……」

翔「じゃ、じゃあ!! 僕が見張りやるよ!! ほら、夜更かしはお肌の敵だしね!? ユーゴも疲れただろ? はい、けってーい。テレテッテー!!」

勇吾「……」

翔「や、やだなぁ!! ほらレベルが上がった時の音楽だよ? テレテッテー!!」
44 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:11:01.61 ID:Fc5O2teAO
【俺】

俺「……」

洞窟の中の教団の連中を全員捕らえるのを俺は眺めていた。
翔「よーっし、ミッション終了」

俺「……では全員馬車に乗せよう」


















エル「どうだった?」

正面からやってきた一団と対峙する。

勇吾「ダイスはやはり教団の一員でした。そしてラズマールという男を捕縛してアジトにいた全員を今馬車に乗せていますが」

エル「ならば、こちらの馬車で引き取ろう」

俺「……こんなに兵を連れてきていいのか? 第四王子の花嫁は教団員で謀反の可能性があるのだろ?」

エル「気づいていたのか!?」

現在、行われている城下のパレード。その四男が謀反を企てているという話しを今する。

イシュラ「えっ!? なにそれ!! 結婚式があるって昨日のお昼に聞いたけど……」

レヴィア「謀反?」

勇吾「一応、エルに謀反の可能性を伝えてある」

俺「そうか……なら城下で一度解散するとしよう。説明は面識のある勇吾、お前が適任だろう。俺は寝足りないから宿で寝る……」

勇吾「……あぁ」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 02:26:21.71 ID:Fc5O2teAO
【門前】

俺「……ふぅ、行くとするか」

幾つかの金品を宿に預けて門を出る。

パールには『一度、他国の王と接触するのも再興の為になる』と告げて勇吾達に付き沿わせた。

パールに向かって心の中で謝罪をする。

俺(逃げだろうな……これ以上、あいつらといると情が移る。それは危険を伴う)

少なくとも俺が教団にとってそれなりに脅威であるのなら単独で宣戦布告をして潰せば向こうの危険性は薄くなる。

俺(これもまた言い訳か……要は怖くなったんだな。他人が依存するそれが……)

コレクションが使えない今、俺はどうしても恋人や愛人と常日頃、一緒にいる必要性がある。

孤独は怖い。けれども近すぎるのも怖いのだ。

俺(……次はあの街にあいつらがいるかもしれない)

手綱を握りしめ、馬を出そうとする。

俺(ん、あいつは……)

現れたのはーー

1イシュラ
2レヴィア
3パール
4エルトリーゼ



この時間帯なら行ける!! 安価+10
46 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:26:53.27 ID:Fc5O2teAO
kskしますね!!
47 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:27:37.81 ID:Fc5O2teAO
更にkskしますね!!
48 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:28:05.70 ID:Fc5O2teAO
更に更にkskしますね!!
49 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:28:35.33 ID:Fc5O2teAO
僕もkskします!!
50 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:29:13.00 ID:Fc5O2teAO
おっ、kskかいな!! 手伝ったるわ!!
51 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:29:50.33 ID:Fc5O2teAO
よぉーし、俺もkskしてやる!!
52 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:30:31.03 ID:Fc5O2teAO
あと少しkskする!!
53 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:31:21.68 ID:Fc5O2teAO
落ちろ!! カトンボ!! ksk!!
54 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:32:04.02 ID:Fc5O2teAO
何としてでも絶対に安価を取る!! ksk
55 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:33:46.02 ID:Fc5O2teAO
僕はレヴィアたん推しです!!
56 :眠いと変なテンションにっ……なるっ……故にっ……寝るっ……ざわ……ざわ…… ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 02:52:05.52 ID:Fc5O2teAO
【俺】


俺「……一体、何の用だ」

俺は後ろに座り込んだ少女に訪ねる。

イシュラ「…………わかんない」

俺「あ?」

イシュラ「あたしは今、冒険がすっごく楽しくないっ!!」

俺「お……おう!!」

イシュラ「だ、だから!! あたしが冒険楽しくなるまで修行に付き合いなさいよ!! あんたがいないと修行出来ないじゃない!! 氷とか!!」

俺「……それもそうか。しかし愛しの師匠はいいのか?」

イシュラ「今はまだいいの……冒険が楽しめるようになってから……師匠にもう一回会うの」

俺「姉に取られるかもしれないだろ?」

イシュラ「そん時はそん時」

俺「……はぁ」

イシュラ「あ、あによ!? あんたが言ったんでしょ!! それに置き手紙で一応、告白してるし、いいの!!」

俺「わかった、わかった……はぁ……」

イシュラ「あー!? あんた今、ため息ついた? 信じらんない!? こんな美少女が旅について行ってあげるって言ってんのに」

俺「……」

イシュラ「ちょっと、聞いてんの。んきー!!」

俺「聞いてるさ」

手綱を握り馬が走りだす。

腰にしがみつく少女の体温が凄く温かく感じたーー
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 02:58:13.61 ID:fwgI0xQP0
お疲れ。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 07:41:47.12 ID:qYDYxhGIO

一人安価も乙
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 13:40:15.76 ID:Fc5O2teAO
【俺】

俺「……出てこい」

周りを見渡せば数人の少年少女。

イシュラ「山賊?」

ユーゴ達と別れて二週間。山を三つ程超えた先にある平原で奴らは現れた。

馬を止めてイシュラと二人降り立つ。

腰の剣に手をかけて構える。

俺「無論、敵対する意思なのだろうな? その構えは」

ワンドや剣を抜いている事からそう推測する。

???「……敵対する意識は無いわ。ただ、あなたがやってきた悪行の数だけの警戒はさせてもらう」

俺「成る程、ならばーー二秒待とう、武器を捨てろ」

???「っ!? それは出来ない……」

俺「良かろう、ならばし……っ!?」

イシュラ「もう、あんたはすぐそうやって!! あたしが話を聞くから、黙ってなさい!!」

俺「お、おいっ……はぁ」

じゃじゃ馬娘の取り扱いは難しい。幾星霜、幾霜月を過ごしたとしても女心はわからない。

俺「…………いいだろう。話を聞こう」



イシュラ「へぇ〜、騎士団」

ナツキと名乗った少女は自信満々に頷いた。

ナツキ「旭日騎士団と言うの。あなたの噂は聞いてる……教団員じゃないけども、それなりに悪行を働いてるみたいね」

俺「心辺りが多すぎてな……生憎、覚えていない」

ナツキ「っ!! あなたねぇ!! 滅ぼした国も焼いた村もあるでしょ!?」

俺「ある。だから?」

ナツキ「…………やっぱりあたしはあなたを仲間にするのには賛成できない」

そこにジローと呼ばれていた少年が割って入る。

ジロー「だ、駄目だってナツキ!! ヴァイオンが教団側に着いたんだからどうしても戦力が必要なんだろ?」

ナツキ「だけどっ……っ、あたしはこれ以上、説得は出来ない」

イシュラ「ねぇ……」

俺「…………メリットは?」

ジロー「え?」

俺「当たり前だ、俺が手伝うメリットが無い」

イシュラ「あ、あんたねぇ!! 困ってる人をーー」

俺「少し強くなったからって勘違いしていないか田舎娘」

イシュラ「っ!?」

俺「レベルが二十三になったからいっぱし気取りか?」

イシュラ「…………」

ジロー「あ、あの……俺はネクロマンサーの四十九なんだけど……俺に出来ることならなんだって」

俺「…………はっ、ならばーー命を差し出せるか?」

ジロー「えっ?」

俺「何でもというのはそういう事だろ?」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 14:34:54.56 ID:Fc5O2teAO
ジロー「……行くぞ」

サモンモンスターを召喚するジロー。

俺「……ふむ」

剣すら抜かずに固めた両拳で相手をする。

レッサーデーモンと呼ばれた二体のモンスターの胴を魔翌力を付与させた拳で打ち抜く。

そして羽根を千切り、蹴りでもう一体の首を落とし、羽根が千切れてもがき苦しむモンスターの頭を潰す。

俺「……笑わせるな。お前はこの程度で命を賭けているのか?」

ジロー「っ!?」

俺「弱いな、覚悟が、気概が、誓いが、何よりーー魂が」

ジロー「……」

俺「大丈夫だ、お前なんぞ相手にすら値しない」

ジロー「っ!! うわぁぁぁぁぁぁぁ」

俺「……ふむ」

大振りの拳を避ける。 そして、そのまま何の変哲もない只の蹴りで横っ腹を吹き飛ばす。

ジロー「うぐっ」

腹を押さえてうずくまっている。

俺「終わりか?」

ジロー「ま、まだまだぁぁぁぁっ!!」

待機時間が終わったのか再びサモンモンスターを呼び出す。

俺「先程よりかは学んだみたいだな」

しっかりとしたコンビネーションで攻撃を仕掛けてくる。

俺「っ!?」

背後からの鋭い一閃を避ける。

俺「お前は?」

???「クククッ、俺もややジローに中てられたようだ。相手をして貰うぞ」

忍び装束の二刀流のメリクリウスと表示された餓鬼が割って入る。

メル「……シッ!!」

俺「速さだけだな……刀が泣いてるぞ? お前の魂の軽さに」

メル「黙れっ!!」

???「どいてろっ!!」

魔法が背後を襲う。

俺「ぐうっ!?」

魔法の構成を読み込む。ランダムで攻撃翌力を決める魔法だ。

打ってきた方向を見る。このタイプはラック値が極端に低い俺には相性が悪い。

???「ザッパー、やるじゃん!! うっし、あたしも〜!!」

飛んでくる魔法をかき消す。

ザッパー「うぇぇぇ!? マジかよ!!」

初めに魔法を撃ってきた男が驚愕に瞳を見開き、次に魔法を放った少女は涙目になっていた。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 14:51:10.63 ID:Fc5O2teAO
ジロー「俺を忘れてる!!」

三対の拳が必殺のタイミングで襲ってくる。

俺「小癪なっ!!」

メル「悪いがこっちもだ!!」

二刀流が斬りつけてくる。

俺「っ!!」

その五連撃を全ていなす。

ジロー「……くそっ、後悔するなよ」

俺「っ、しまっ」

ナツキと呼ばれた少女が剣を抜いてーー

ナツキ「ホーリーストリームっ!!」

俺「ぐ、ぐぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

ユーゴの一撃以上の攻撃に絶叫が上がる。

最近、こんな役割ばっかじゃねぇか!!



俺「…………はぁはぁはぁはぁ」

ナツキ「っ!? 瀕死の重傷!?」

俺「っ!!」

ナツキ「あなたは……」

俺「……ふぅ」

全身に集中をする。

ジロー「ぜ、全快した!?」

イシュラ「てやっ!!」

俺「…………っ」

イシュラ「殺そうとしたでしょ、あんた!!」

俺「…………ちっ」

イシュラ「戯れってあたしに言ったじゃん!!」

俺「あぁ、悪かった」

剣を納める。

ジロー「……ははっ」

俺「…………旭日騎士団とやら」

ジロー「……無理だ。降参する。俺一人の命で勘弁してくれ」

ナツキ「っ!? ジロー!!」

俺「お前らに従うつもりは無いがーー力を貸してやる」

ジロー「…………え?」

俺「確かに命を賭けた覚悟見せて貰った」

ジロー「……」

俺「力を貸すくらいにはお前らには価値がある」

ジロー「有り難ぇ……」

土下座の態勢を取るジローを背に馬に戻る。

俺「おい、イシュラ。馬を奴らの馬車の近くまで運べ」
62 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 14:59:38.97 ID:Fc5O2teAO
歓迎会と名目上、近くの村の宿の一部屋で小さな宴が開かれた。

男共は酔いつぶれて床に雑魚寝している。

その中にはモコという少女も混じって寝ていた。

ナツキとイシュラは部屋に戻っている。

俺「いい月だ……外で飲むか……」

宿屋の前に置かれたテラスまで出る。

この村の地酒を口に運ぶ。


俺「ん……?」

宿の扉が開き出てきたのはーー




1イシュラ
2ナツキ



安価+1
63 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 15:00:17.13 ID:Fc5O2teAO
今回もイシュラちゃんでお願いします!!
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 15:24:11.34 ID:qYDYxhGIO
否、イシュラで
65 :じゃあ、安価通りで…… ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 17:26:46.79 ID:Fc5O2teAO
俺「……」

もう一人分の氷のグラスを作り出し、地酒を注ぐ。

ナツキ「……」

手渡すと一気にあおる。

俺「一気に飲んでいるが……悪酔いしても知らんぞ」

ナツキ「……美味しい」

果実の甘さが強い地酒を気に入ったようだ。

ナツキ「……あなたに聞きたいことがあるの」

俺「……」

ナツキ「あたしは対悪魔やアンデット、魔族に特化した職業で装備もそれに特化してる」

俺「ほぅ」

ナツキ「だからそれなりの戦士職に攻撃しても殺さない……いや殺せないの」

俺「…………」

ナツキ「けど、あたしはあなたに攻撃をし終わって驚いた。あなたは何者?」

俺「……………………答える義務は無いな」

ナツキ「あなたは味方?」

俺「…………」

ナツキ「敵に回ると言うのならーーあたしがあなたを討つ」

俺「自惚れるな」

ナツキ「…………だから、これ以上悪事を働かないで」

俺「?」

ナツキ「私は、、、人を殺したくない……」

俺「……」

ナツキ「例えそれが悪人だったとしてもーー」

俺「……恥曝しが」

ナツキ「っ!?」

俺「殺したくない? 殺さない? それで我が道を貫くだと? ふざけるな」

ナツキ「…………」

俺「何かを守るというのは何かを奪うということだ。お前らが相手にしている教団だって目的があり思想がある。殺さない? ならばいいだろう……惨めに野垂れ[ピーーー]」

ナツキ「そんな言い方っ!?」

俺「お前らがお遊び感覚で正義を振るってーー逃した人間が他に人を殺さないとでも?」

ナツキ「!?」

俺「お前らが逃した人間の中には再び悪事を働いた奴らはいるだろうさ。お前らは悪人を見逃したんじゃない。自分の弱い心を見逃したんだよ」

ナツキ「……」

俺「お前らは中途半端に救い、栄光に味をしめ、感謝に浸り、見逃したことで優越感に浸る」

ナツキ「違うっ!!」

俺「お前らの方が俺なんかよりよっぽど悪党だよ、小娘」

ナツキ「……」

俺「寝ろ、お前の話を聞いていると酒が不味くなる」

ナツキ「あたしが……悪党……?」

宿に戻る後ろ姿を見つめ俺は再び自分のグラスに酒を注いだ。
66 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 17:45:58.88 ID:Fc5O2teAO
【森林ー聖騎士】

俺と名乗る一行と合流してから三週間が立った。

ジロー「あ、あ!! ま、参った!!」

イシュラ「や、やった!! ジローから一本、取ったわ!!」

この二人は何かしら因縁があるようで会話が弾んでいるようだ。

メル「クククク、イシュラ。ジローは我ら四天王の中でも最弱、行けっ!! ザッパー!!」

ザッパー「なんでメル公が仕切ってんだよ……やれやれ」

ザッパーは立ち上がり構える。

イシュラ「うーっし、今日こそザッパーを破るわよ!!」

ザッパー「万年、早ぇよ」

あたし達、旭日騎士団は来るべき時に向けてレベル上げをしていた。

モコ「…………ふぁぁぁぁ、暇〜」

とは言っても団長である理沙さんから来る筈である手紙をこの村で待っている為に暇つぶし的な割合が強いが。

理沙さんは現在、もう一組の戦力になるであろうゴーデスナイトの一行を追っている。

最近、この世界に来たようだがそれなりに活躍していると聞いた。

魔神の復活阻止に一役買っているらしい。

あたし達の追う教団の最終目的は世界崩壊、魔神の復活。それを阻止する為に世界平和の為にあたし達は行動している。

ザッパー「あぁ!! くそっ!! イシュラのラック値が高くて余り効果がねぇ……やべっ」

ザッパーが放った魔翌力の奔流が……

俺「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

本を読みながら酒を飲んでいた俺に直撃した。

しかもザッパーの職業はラッキーストライカー。運によって攻撃翌力が高くなったりランダムで付与効果が高くなったりする。

余程、運が悪いのかザッパーの攻撃は事あるごとに俺の奴にクリティカルヒットする。

イシュラ「あ、あわわわわ、あたし、知ーらない」

ザッパー「ふ、ふざけんなっ!! お前が避けるからーー」

俺「面白い二匹だな……どれ、俺自らが特訓してやろう」

「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」」

こんな感じの日常が最近は続いている。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 19:32:11.59 ID:Fc5O2teAO
【宿屋ー村娘】

師匠達と別れて三カ月。それなりに強くなったあたしはジローのサモンモンスターを倒せるレベルにまで達した。

まぁ、低級サモンモンスターだけども。

俺「……イシュラ」

そんでも、認めたく無いけどこいつのおかげだ。

イシュラ「あによ?」

相変わらず不遜だし、嫌みったらしいし、冷血だけども……特訓に付き合ってくれたり、怪我を直してくれたりと意外にいい奴だ。

俺「ふむ、あれだな。そろそろ転職の時期だな」

イシュラ「……まぁ、レベル三十になったし」

とは言ってもレベル三十からはまるで進まない。何か壁にあたったような気がしてならない。

俺「レベル三十の村娘など恰好がつくまい」

イシュラ「……はいはい。それで?」

俺「遺跡に潜ってこい」

イシュラ「はい?」

俺「何でも転職を司る遺跡らしくてな……何かわかるかもしれんぞ」

イシュラ「…………あんたは来ないの?」

俺「生憎、暇では無いな。最近、文献を読むので忙しい」

イシュラ「っ!! あーっ、そうですかっ!! どうせ、あたしは本以下ですよ!! いーっだ!! ジロー達についてきて貰うからいいわよ、別に!! バーカっ!!」

何故か無性に腹が立った。






ジロー「えっ? 遺跡に?」

イシュラ「そう、付いて来て!!」

ジロー「あぁ、いいよ」

イシュラ「ありがとー、ジロー!!」

ジロー「っ!! な、仲間なんだから当然だろ?」

イシュラ「ふふーん、これであたしも上級職への第一歩かぁ」

ジロー「あ、あのさ……イシュラ」

イシュラ「ん?」

ジロー「あの…………あの時はすまなかった」

イシュラ「えぇっ!? まだ気にしていたの!?」

ジロー「あ、当たり前だろ!! 俺は……」

イシュラ「はいはい、済んだ事だし、掘り返さない。でも、姉様に今度会った時にちゃんと言いなさい。あたしに言われてもって感じ」

ジロー「怒ってないのか?」

イシュラ「まぁ、ジローはいい人だからね。お世話にもなってるし。だから帳消しっと事で……」

ジロー「……ありがとう」

その時、ジローから間抜けな音がする。

よく分かんないけどレベルが上がったみたいね。
68 :>>67 イシュラ視点です ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 19:54:29.85 ID:Fc5O2teAO
【宿屋ー聖騎士】

あたしは宿屋のロビーでお茶を飲む。

ザッパー「おっ、イシュラ。明日、遺跡潜るんだって? 俺も連れてけよ」

イシュラ「えぇ〜……ザッパーはいざという時に役に立たないじゃん」

ザッパー「うぐっ!! お前、最近、俺が気にしてる事を……」

モコ「面白そう〜、わたしも付いてく〜」

イシュラ「うーん、四人ね……前衛はあたしとして……サモンモンスターが二体……回復用のスペルスクロールを準備して……なんかワクワクしてきた!!」

イシュラがリーダーシップを取っているという事実にあたしは腹が立って仕方無かった。

あたし「ねぇ、みんな!! わかってる!? 理沙さんから連絡が無いのよっ!!」

ザッパー「けどよぉ……待機命令ったって、全然連絡来ねぇじゃん」

モコ「案外、忘れられたりして」

ザッパー「わはははははっ、胸に栄養が言ってるからな、理沙さんは」

その言葉に血が登る。

あたし「っ!?」

抜こうとした剣の柄を俺の奴に握られていた。

あたし「邪魔しないでよ」

俺「大した正義だな。正義の為とは言え仲間に刃を向けるか」

あたし「!?」

俺「やはり、貴様は卑怯者だよ」

私にだけ聞こえるよう耳打ちをされて涙が出る。

イシュラ「あ、あんたナツキに何か言ったの!? 女の子を泣かすなんてサイテーよ!!」

俺「……ふん」

この時、あたしはみんなの中心にいつの間にかいたイシュラにーー庇われたという事が何よりも嫌だった。

そして、そんな自分の気持ちに気づいてしまったーー
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 20:38:30.29 ID:Fc5O2teAO
【俺】

残り時間がそろそろ近づいてきた。

けれども焦りは無い。

夜空達の行方は既に掴み、厳島勇吾は勇者や英雄の器では無いことを知った。

それに魔術をフルに使えるなら神々を欺き『延長』すら容易い。

俺(前回と比べるとなんて生易しい展開なんだ)

それ故に思い出すのは『あの記憶』

俺(……コレクションはまだ使えないな)

自己の因果を探してみても絶対的自信の欠片すら見当たらない。

大抵の者より強い。だけれどーー

俺「…………この世界が終わったら帰すか」

その時、宿屋のロビーに一人の人影がーー



1イシュラ
2ナツキ

安価+2
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 20:38:59.42 ID:Fc5O2teAO
安価、間違ったksk
71 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 20:39:37.37 ID:Fc5O2teAO
ナツキしゃんブヒィィィィィ!!
72 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 21:19:40.03 ID:Fc5O2teAO
イシュラ「……ねぇ」

俺「準備は終わったのか?」

イシュラ「……戻ってきたらいないとかやめてよね」

俺「……」

イシュラ「あん時、みたいにさ勝手に出て行こうとしないでよ……」

俺「……不思議な事を言う」

イシュラ「あんたはあたしの仲間……あんたともっと冒険がしたい。ここ最近、毎日が楽しい。ジロー達と修行したり……近くの森や少し離れた洞窟を探索したり」

俺「そうか……見ろ。祝福しているぞ」

金色の光がイシュラを包む。

イシュラ「!?」

俺「成る程な……祈りと信仰の世界らしい祝福の仕方だ」

イシュラ「ハイフェンサー?」

俺「……一次職をぶっ飛ばして二次職か……胸を張れ、イシュラ」

イシュラ「今……イシュラって」

俺「田舎娘は卒業だ。今からお前はいっぱしの戦士だ」

イシュラ「……」

俺「ふん、剣の手入れもしないお前がいっぱしか……」

何百回、何千回、何万回、その剣を振ったかわからない。

既に刃は打ち直さなければならない程、ボロボロになり、柄は何ヶ月も前に潰れた血豆の血がいくつも残っていた。

腰に付けていた剣を渡す。

俺「餞別だ」

イシュラ「いらないっ!!」

俺「……」

イシュラ「貰ったらあんたいなくなるじゃん!! だからいらないっ!!」

俺「……」

イシュラ「もっと冒険しようよ!! ジローもザッパーもモコもナツキとも!! そんで!! いつか師匠達と再会してもっともっとーー」

俺「今朝……手紙が来た」

イシュラ「なんのよ!?」

俺「大分、前に立ち寄った村に俺の探し人がいる」

イシュラ「っ!? 駄目っ!! だってパールとだって置いてきた!! 恋人を捨てるようなあんたがっ!!」

俺「……そうかもな」

イシュラ「あたしが代わりになるから!! あたしは何でもする!! あんたが言うんだったらーー師匠の事だって諦める!! だからもっと冒険、一緒にしようよ……」

俺はイシュラの前髪をあげ、額に口付けをする。

俺「楽しかったぞ」

イシュラ「っ!? 行ったら絶対に許さないから!! うああああああん、うああああああん」

泣き叫ぶイシュラに背を向けて俺は歩き出したーー
73 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 21:24:13.83 ID:Fc5O2teAO
馬に跨がる。

俺「…………」

ゆっくりと手綱を握り締めて馬を歩ませる。

村の門まで来ると待っていたのはーー




1イシュラ
2レヴィア
3パール
4ナツキ
5エルトリーゼ

安価+1
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/16(金) 21:24:48.91 ID:IvK0eS+do
3
75 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 21:25:12.07 ID:Fc5O2teAO
僕はそろそろエルちゃんの活躍があってもいいと思います!!
76 :安価が取られた……だと…… ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 21:30:36.34 ID:Fc5O2teAO
パール「主」

俺「っ!?」

驚きで声が詰まった。

こちらを見て、その両瞳からはポロポロと雫を落としていた。

パール「あるじっ!!」

抱きつかれ体制を崩す。

俺「ど、どうして……っ!?」

パールの背中に真っ赤な血だまりがあるのを見て回復呪文をかける。

パール「…………」

酷く怯えた様子を見て一度、宿屋に引き返すことにした。
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 21:38:09.07 ID:Fc5O2teAO
【俺】

イシュラ「あんだけ……かっこつけたのに」

俺「うぐっ……」

イシュラ「カッコ悪い……」

俺「ぐぬっ」

イシュラ「女たらし」

俺「むぐっ」

イシュラ「はーっ、だっさい!! 餞別とか言って剣まで渡したのに〜」

ここぞとばかりに攻め立ててくるイシュラ。

俺「何故、そんな満面の笑みなのだ……滑稽か?」

イシュラ「ふふ〜ん、いいのいいの。あんたは気にしないで。い、言っておくけどあんたが戻ってきて嬉しいとかじゃないから勘違いはしないでよねっ!!」

それだけ言うと部屋から出て行った。

俺「…………」

余程、疲れていたのだろう。スヤスヤと深い眠りについている。

その小さな手を握り締め続けた。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 21:48:55.38 ID:Fc5O2teAO
パール「んぅ」

俺「目が覚めたか?」

パール「えっ? 主……?」

俺「久しいな」

パール「っ!!」

抱きつかれる。

パール「主の鬼畜野郎様っ!!」

俺「……」

パール「私がどれだけ悲しかったと思うっ!!」

俺「すまない」

パール「すまないじゃない!!」

胸を叩かれる。

パール「寂しかった!! 捨てられたかと思った」

俺「ふん、捨てたさ」

パール「嘘つきっ!! 私は知っている!! 主の事だから囮になろうとか引きつけようとか考えていたのであろうっ!!」

俺「考えすぎだ……」

パール「なら!! 目を反らさず言ってくれ!!」

俺「……」

パール「主の馬鹿っ!! おおたわけ!! 鬼畜野郎様!!」

俺「…………はぁ」

軽い体を抱きしめて頭を撫でる。

パール「そんなんじゃ足りませぬ!! もっとしてください!!」

ようやく敬語に戻って機嫌が治って来たらしい。

パール「…………主の馬鹿」

唇を尖らせて呟くその姿は年相応の女の子だった
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 22:08:25.72 ID:Fc5O2teAO
イシュラ「はいは〜い、そこまでそこまで」

パール「……邪魔をするな」

イシュラ「はぁ!? 邪魔なんかしてませんけど〜?」

パール「……今から主と私は愛を語らうのだ。忙しい、あっちいけ」

イシュラ「あんた……あんだけ傷だらけだったのに翌日にはサキュバスみたいに盛って」

パール「さ、盛ってなどいない!!」

イシュラ「はーん、どうだか……」

パール「き、貴様こそ聞き耳立てて、汚らわしい。頃合いでも計っていたか?」

イシュラ「そ、そそそそんなわけないでしょ!!」

俺「落ち着け……それでパール、何があった?」

パール「…………魔神が復活しました」

俺「っ!?」

パール「場所はーーアライエン王国とユグドラシル王国」

イシュラ「え……なんで二カ所?」

パール「魔神ニンガヤッシュ、魔神グモン……復活致しました」

俺は頭を抱えたくなった。
80 :田舎娘→女剣士 ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 22:18:27.88 ID:Fc5O2teAO
【宿屋ー女剣士】

あたし「何があったのよ!! 師匠だっていたんでしょ? メガネだって……」

パール「ショウは死んだ」

あたし「っ!?」

パール「そしてユーゴは…………教団に寝返った」

あたしはパールの頬を叩いた。

あたし「嘘つき!! 師匠が寝返るなんて!!」

パール「嘘では無い。ショウを殺したのも、レヴィアとエルを連れ去ったのもユーゴだ」

あたし「!?」

パール「私だって信じたくないさっ!! 主に捨てられて優しくしてくれたレヴィアを連れ去ったのがレヴィアの思い人だなんて!!」

あたし「全てはあの女が来てからっ!!」

俺「あの女?」

パール「……リサポンと名乗る女がーー」

その時、扉の外にいたジロー達が一斉に入ってきた。

あたしはそれ以上、聞きたくなくて……部屋に戻って横になった。
81 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 22:40:46.67 ID:Fc5O2teAO
【俺】

夜が来て全員が早々に寝付いた。悪夢を見なくていいように、優しい夢であるように……と。

「「あははははははっ」」

俺「…………何の用だ」

女神「酷いよ〜」

堕女神「酷いわ〜」

「「せっかく次の世界の扉が開いたというのに」」

女神「勝手に勇者が堕ちちゃった」

堕女神「駄目駄目だったよね、今回は!!」

「「うふふふふふふ」」

女神「どうする」

堕女神「もう行く?」

「「あははははははっあははははははっあははははははっ」」

俺「まだ行かない」

女神「…………そう」

堕女神「つまんないわ……」

俺「猶予期間は?」

女神「……マナが豊富だから五年持つ」

堕女神「でもきっとその前に世界は滅んじゃう」

女神「だから、もう行こう? あんな奴ら放っておいて」

堕女神「そうそうそれが一番……何せ、あなた……魔術師の因果も失ってるでしょう?」

俺「……それだけじゃない。錬金術も職人も大半を失った。俺はただ少し強いだけの人間になってしまったよ」

女神「…………あなたが」

堕女神「私達のモノになるなら」

「「もう悪いことは起きないよ」」

俺「はっ……信じられるかよ」

女神「…………あははははははっ、嘘に決まってるよ」

堕女神「信じたくなった? あははははははっあははははははっあははははははっ」

俺「消えろ」

女神「あなただって気づいているでしょう?」

堕女神「この世界で命を失ったら死ぬことをーー」

俺「あぁ、この世界の因果は依存する赤いバーと青いバー」

「「だ、だったら!!」」

俺「うるせぇよ」

女神「あたしたちを[ピーーー]のでしょう?」

堕女神「こんな世界で野垂れ死ぬーー」

俺「あるさ……好きな人間の為になら世界を救うのも世界を滅ぼすのも悪くない」

「「っ!!」」

俺「消えろ、説得は無駄だ」

二匹の気配が遠ざかる。
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 22:44:58.79 ID:Fc5O2teAO
【RPGW(・∀・)RLDの因果】

この世界の赤いバーは生命力を表し、青いバーは精神力を表す。故に蘇生呪文は使えない。

ただし無限の時間を持つ人間に関しては無限の時間の消滅の代償として他人の蘇生の許可が下りる。
83 :>>1が安価を取ったら安価通りにならずにテキトーになります ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 22:47:27.26 ID:Fc5O2teAO
夜が明け始める。

全ての運命を始める朝がやってくる。

一番、最初に現れたのはーー




1イシュラ
2パール
3ナツキ

安価+1
84 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 22:48:29.27 ID:Fc5O2teAO
初心に返り……僕はイシュラちゃん!!
85 :もうそろそろフラグ溜まってるしエロかもね ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/16(金) 23:10:18.06 ID:Fc5O2teAO
俺「早いな」

ナツキ「……もう無理よ」

俺「そうか」

ナツキ「だって!! 魔神は復活してゴーデスナイトが向こうについてあたしたちのリーダーも向こうについた」

俺「そうだな」

ナツキ「もう何も出来ないじゃない!!」

俺「……お前は最後の最期まで卑怯なままだな」

ナツキ「っ!!」

俺「正義が……力が振るえなくなったら諦めるのか」

ナツキ「どうしろって言うのよ!!」

俺「ふん、知るか」

ナツキ「……助けてよぉ……私は間違った事をしてないのに……」

俺「……小娘」

ナツキ「……」

俺「別に俺は善人じゃない。人を平気で[ピーーー]し、人を平気で騙す」

ナツキ「……」

俺「それでも俺は命を賭してやらねばならない事があるのならば命を賭す」

ナツキ「……」

俺「それは俺が俺である為だ。だから今から魔神を[ピーーー]」

ナツキ「っ!?」

俺「ただ自分の為に力を振るう乱暴者だ。けれどーーそれでも守りたい者を守る事をお前は悪だと糾弾するか?」

ナツキ「…………」

俺「俺は教団の命ごいを許さない、敵の懺悔を踏み潰す」

ナツキ「っ!?」

俺「それはあいつらが生きる為に生きやすい世界を作る為だ。呼べよ、偽善的な正義感。俺を悪党だと。俺は甘んじて受けよう、汚名を、罵倒を、嘲りを」

ナツキ「あ、あたしは……」

俺「ナツキ……パールとイシュラを頼んだ」

外套を羽織り宿屋を後にした。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/16(金) 23:36:07.53 ID:Fc5O2teAO
【宿屋ー聖騎士】

イシュラ「それでナツキはあいつを一人で行かせた訳っ!?」

あたし「……」

パール「っ!? 今すぐ追いかけなければ!! ニンガヤッシュの方は対王都攻めの為に今は教団のサモンモンスターや教団員も大量に準備をしている」

イシュラ「パール、準備して」

パール「わかっている!!」

あたし「あなた達に何が出来るのよっ!!」

テーブルを叩きつけ怒鳴る。

あたし「……もう無理じゃない。普通に考えて」

ジロー「……俺は行くよ」

あたし「ジロー!?」

ジロー「多分、ここで立たなきゃ俺は一生、逃げ続ける。悔しいけどさ……あいつはカッケーよ。命を張ってさ……多分、平和の為とか綺麗な理由じゃないだろうけど。命を賭けて戦うあいつは俺達の中でも一番、カッケー」

あたし「……っ」

ザッパー「だな、ここで戦わなきゃ男が廃れるってんだ」

モコ「だね〜。それにあたし微妙に俺くん気になってるし〜」

ザッパー「!?」

イシュラ「!!?」

パール「!!!!!!」

モコ「う〜っし、愛の為に一肌脱いで見ますか」

あたしはからだが震える。正義を震えなくなったあの日を思い出す。

『呼べよ、偽善的な正義感。俺を悪党だと。俺は甘んじて受けよう、汚名を、罵倒を、嘲りを』

あいつの言葉が何度も頭で繰り返される。

ナツキ「…………あはっ」

笑いが出た。自分の情けなさにみっともなさに。

結局、あたしはあいつの言うとおりごっこ遊びだった。

ナツキ「…………」

震える魂を、恐れる心を取り払う。

ナツキ「……行くわ。あたしも」

ジロー「ナツキ!!」

ナツキ「あいつに言わせっぱなしは釈然としないから!! 準備するわよ、ザッパーはスペルスクロールを買い集めて、モコはありったけの薬草や傷薬を!! イシュラは馬車の手配をして、金は惜しまないでなるべく早い奴!! パールさんは道を早馬であたしと一緒に俺の奴に追いつきましょう!! ジローは爆薬を買い込んで、ありったけね!!」

ザッパー「あいよ」

モコ「りょ〜か〜い」

イシュラ「はいはい」

パール「うむ」

ジロー「うっし」

あたしは奮い立つ。怖くても無理だとしても偽善的だったとしても正義を貫く為に!!
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/17(土) 00:03:55.71 ID:M+NmJyVAO
【俺】

俺「っ!? どけっ!!」

敵の中枢に突撃する。

魔翌力を惜しみなく使う。

背後にはサモンモンスターの死骸と教団員の四肢や首。

俺「滅べっ!!」

右手を翳し嵐を生み出す。

背後から弓が飛んできたのを振り向かず避ける。

俺「蒼き海よ、汝が代行者と認めるならば、我に汝の声聞かせんっ!!」

巨大な波を召還する!!

俺「…………はぁはぁはぁはぁ」

???「へぇ、やるもんだ」

俺「っ!! 幾星霜の時を駆ける星空の旅人よ、天理の元に終焉をもたらせ!!」

???「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……なんてね」

俺「その力っ!!」

???「あたしの顔を忘れたかい?」

俺「マリーだったか? 弱い上に色気も大した事無かったんでな、逆にしっかり覚えているさ」

マリー「ふふっ!! シネッ!!」

避けるが、どこからか手裏剣が飛んできた。

俺(察知できないだと?)

ダイス「あの屈辱、忘れるものか」

俺(……そういやぁ、勇吾と争ってる間に逃がしたな……やはり始末しておくべきだった)

ダイス「あの日の屈辱、今ここに果たすっ!!」

俺「魔神が復活して強くなったと思ったか?」

マリー「実際に強くなったさ!! このエンチャット!! この強さ!!」

マリーはステータスを開く。通常の二倍はある

俺「ほぅ」

マリー「諦めな!! あんたじゃーーえっ?」

ダイスの体を光の檻が閉じ込める。

ダイス「な、なんだこれは!!」

俺「無駄な信仰、無駄な自信……三千世界早ぇよ」

光の檻が収縮してダイスを肉塊へと変える。

マリー「っ!!」

身を翻して逃げようとするマリーを背後から光の翼で串刺しにする。

この惨状を見た教団員は逃げ回り始める。

そして階段から下りた奴らに向かって全てを燃やす紅蓮の業火を投げつけ、窓から飛び降りようとする人間を絶対零度の風が抱擁し凍らせる。下に落ちれば粉々になるだろう。

そして神殿の中心部にある巨大な魔神を見つめるーー
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/17(土) 00:05:23.78 ID:uG//nK040
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 00:27:02.88 ID:suEw358Eo
90 :そういやニンガヤッシュって描写ないな……只今、全力俺小説中 ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 00:52:43.15 ID:M+NmJyVAO
俺「ぐはぁぁぁっ!!」

その巨大な「ナニカ」は腕を振るう衝撃で空気を切り裂いた。

俺「っぅ!! やらせてもらう!! リク・ラク・ラ・ラックライラック、契約に従い我に従え氷の女王 来れ とこしえのやみ! えいえんのひょうが!! 全ての命ある者に等しき死を 其は安らぎ也っ!!」

移動しながら詠唱する。

俺「おわるせかいっ!!」

魔神を巨大な氷が包み込む……が!!

俺「効いてないっ!! ならばっ!! 咆えよ古の炎 不浄の生命を灰燼へと誘え!! エンシェントノヴァっ!!」

魔神が雄叫びを上げる。

俺「っ!? 火が怖いか、魔神よ!! ならばもっと味わえっ、ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

見えないナニカに掴まれる。

俺(がっ……右腕がやられた……治癒をっ!!)

しかし、再び足を潰された。

俺(魔術戦はマズい……どうしても避けきれない……ならばっ!!)

拳に炎を付与させる。

俺(剣が無いのは辛いが、燃やし尽くさせてもらうっ!!)

飛ぶように移動をする。

俺(まずは一つ)

打ち抜く。

俺(次に二つ!!)

壁に炎の残り火を残す。

俺(三つ目!!)

残り火同士が線を繋ぐ。

俺(これで四つ!!)

歪な三角すいが出来上がる。

俺「燃え尽きろっ!!」

炎が魔神に移る。

魔神の赤いバーが紫に変わり凄い勢いで減少していく。

俺「…………っ!?」

魔神が悪あがきで暴れる。

俺「滅せ!!」

炎柱を投げつける。
が、魔神の一撃を食らう。

俺(こんな時にクリティカルヒットかよっ!?)

運の悪さを嘆く。

残り魔翌力を注いでこの部屋を爆発させる。

俺「原始にて万物の生きたる燐光 汝が力 我に示せ 轟け ビッグバンッッッ!!」

俺(勝った!!)

皮膚を切り裂かれながらも高速で移動する。


その時、魔神のナニカが足を掴む。

俺(しま、脱出が出来ないっ!?)

遺跡は眩い光で埋め尽くされた。
91 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 01:02:03.30 ID:M+NmJyVAO
【???】

女神「あ…………」

堕女神「しんじゃった…………?」

女神「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 駄目だよ!! 姉様っ!! ○○○○死んじゃったよ!! だ、駄目!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

堕女神「……い、いや、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? 駄目よ!! 駄目っ!! 因果が!! 因果律がっ!!」

女神「…………あ」

堕女神「あ、あの因果は……」

女神「だ、駄目だよ、あれはっ!! あれを使ったらーー」

堕女神「…………一度だけ……一度だけだから!!」

女神「姉様っ!!」

堕女神「っ!? ほら、死んでないわ。ただ……全てを本当に失っただけ」

女神「っ!?」

堕女神「後はよろしくね、妹」

女神「姉様っ!?」
92 :寝る ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 01:17:31.30 ID:M+NmJyVAO
【○○○○】

「…………ここはどこだ? ひぃっ!?」

僕は周りの光景を見て恐怖に身が竦む。

血だらけの世界。血だらけの光景。血だらけの僕。

僕「…………」

『マネカザレルキャクジン。ヨウコソ、ヨワクナッタネ』

僕「ひっ」

『キャクジン、ヨワクナッタカラ、オワルヨ。コノセカイ』

八歳くらいの男の子がそう告げる。

僕「終わる?」

『オワルヨ、セカイ。サヨウナラ、キャクジン』

僕「っ!?」

そいつは目の前から消え去った。








???「誰かいるのかっ!!」

僕「ひっ」

???「あぁん? 兄ちゃんがこれをやったのか?」

僕はぶんぶんと首を横に振る。

???「ならステータスを見せてくれよ」

ステータス?

僕(うわっ)

目の前にナニカの情報が現れた。

???「奴隷? それにレベルが三? ははっ、なのにそんな立派な防具をつけてるのか、脱げよ」

僕「っ!?」

???「俺は奴隷商人だ。良かったな、兄ちゃん、働き口が見つかって……」
93 :>>88、絶対に許さない ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 01:53:36.05 ID:M+NmJyVAO
安価+3

次話スタート地点

1 教団直属の奴隷場

2 旭日騎士団の隠しアジトの近くのスラム街

3 隠れ里に作られた商館に向かう奴隷商人の馬車の中(星と月のネックレスを付けた女店主)
94 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 01:56:12.20 ID:M+NmJyVAO
安価はとる!! 絶対にだ!!
95 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 01:56:49.01 ID:M+NmJyVAO
何故なら、それが俺のジャスティス!!
96 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 01:57:58.23 ID:M+NmJyVAO
という訳で次回からレヴィアとエルのターン!!
97 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 13:09:19.05 ID:M+NmJyVAO
【隠れ里】

商人「おい、積み荷は積んだか!!」

俺があの廃墟で記憶を失って一年。奴隷として売り出されたが中々売れない俺は商人の下働きとして積み荷の整理をしていた。

商人「隠れ里か……全く、奴隷は売れねえ、商品は売れねえ。世知辛い世の中になったもんだぜ」

僕と自分を呼んでいたのだが、いつの間にか俺と名乗るようになった。

俺「に、荷物を積み終わりました」

商人「……うっし、じゃあ行くぞ」

俺「はい……」








女店主「……へぇ、各町の地酒ねぇ」

商人「へへっ、そうなんでぇ」

商人の旦那は頬を緩ませている。

商人「他にも店員にするには持ってこいの奴隷も連れていますぜ、へへっ」

まぁ、頬が緩むのも無理は無いと思う。蝶の髪飾りをつけたその女店主は相当な美人だから。

その上、かなりの豪商となれば商人の旦那が夢中になるのも無理はない。

俺(商人の旦那は自分の事をイケメンだと思ってるからな……)

女店主「で、奴隷って幾ら? お抱えの冒険者が少ないから欲しいのよ」

商人「へぇ、今、連れているこいつは二万ゴールドの安い奴隷ですが、王都に預けている奴隷商館には屈強な男が二人もいます。どちらもレベル三十の喧嘩屋です。こちらの方はそうですね……一人、三十万ゴールドでお売りしましょう」

女店主「ふーん、ま……ちょっと、あんた!!」

俺「ぉ、俺ですか?」

女店主「そうよ、フードくらい店で脱ぎなさい。あんた、買ったげるから顔くらい見せなさいよ」

商人「ほ、本当ですかい!? いやぁ、良かった。こいつは売れ残りのブサイクで女性客に売るのは気がひけたんですよ、へへっ」

女店主「そっ、夜空〜、新しい奴隷買ったから〜」

夜空と呼ばれた女性が店の奥から出てくる。

夜空「また、買ったのか……貴様が奴隷を買ってもすぐに逃がすだろうが。この偽善者肉め」

女店主「ふふん、なんとでも言いなさい。お金は無駄に使わなきゃ回らないのよ」

夜空「……それでこんな店が立つのだから何も言うまい……二万ゴールドか、待ってろ」

黒髪の女性は奥に消える。

商人「へへへっ、今日はついてんな……」

夜空「二万ゴールド、確かに渡した」

商人「へい、これが奴隷契約書です」

夜空「なになに……っ!?」

女店主「はい、あんたに用なし」

商人「えぇっ!? あっしといい夜を一晩ーー」

夜空「……消えろ」
98 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 13:17:55.39 ID:M+NmJyVAO
女店主「ち、ちょっと、どうしたの夜空!?」

夜空「……商人、消えろ。私は爆発魔法が使える」

商人「ひっ!?」

夜空「……目障りだ」

商人の旦那は素早いみのこなしでゴールドを懐に直して、走り去っていった。

夜空「…………フードを脱げ」

俺「は、はい」

深く被っていたフードを脱ぐ。

女店主「っ!?」

夜空「っ!!」

女店主「俺?」

俺「へ、へぇ。ご主人達は俺の事をご存知で?」

夜空「…………は?」

女店主「ち、ちょっとあたしよ!! 星奈よ!! 忘れたの!?」

夜空「…………」

俺「あ、あの……実は記憶が無いんです……一年前から」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/17(土) 13:32:42.29 ID:M+NmJyVAO
【隠れ里の商館…月】

私「記憶が無い?」

俺「はい」

あいつはそう言って再び私達の目の前に姿を表した。












星奈「どう思う」

私「ステータスを見させて貰ったが奴隷のレベル十三だ」

星奈「他人の空似?」

私「否定は出来ない。性格も違うしな。ただ名前と顔が……」

星奈「良く似てるってレベルじゃないわよ、あれは」

私「わかっておる……」

星奈「あれ、あたしのだから」

私「っ!?」

星奈「……そんな顔しないでよ。あいつに会えなくて二年半、そこに同じ顔が現れたら……妥協してもしょうがないじゃん」

私「見損なったぞ、肉!!」

星奈「うっさい、うっさい!! あれはあたしの奴隷、契約書だって!!」

私はその契約書を燃やし尽くす。

星奈「あーっ!? これ燃やしちゃったら魔法で縛れないじゃない!? どうすんのよ!!」

夜空「うるさい、肉だな」

私は果実のジュースに口をつける。

星奈「夜空のバーカ!!」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 14:25:46.18 ID:cQWYhMISO
いい展開だ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/17(土) 16:47:31.48 ID:M+NmJyVAO
【隠れ里の商館…星】

あいつが働き始めて二週間。中々の勤労で朝早くに飯を作り上げ、商品の手入れをしたりと中々忙しそうだ。

あたし「ねぇ、あんた」

布の服と布のズボンに汚れないよう前掛け、三角巾を付けているあいつに話かける。

俺「はい、なんですか。豪商人様」

あたし「その豪商人ってやめなさいよ。おっさん臭いじゃない。あたしの名前は星奈」

俺「はぁ……それでは星奈様……?」

いいっ!! なんか良くわかんないけどあいつに様付けで呼ばれてるみたいで少し興奮した。

俺「あの?」

星奈「……ふぅん、筋肉は中々付いてるわね」

俺「ち、ちょっと!?」

星奈「ふむふむふむ」

俺「さ、触りすぎじゃないですか?」

星奈「はぁ!? あんたはあたしの奴隷。つまり!!」

俺「つまり?」

星奈「あたしに文句をいう権限は無いっ!!」

俺「」

あいつとは顔は瓜二つだけど雰囲気が違うし……あいつと違って何だか気が弱そうな感じだ。

俺「ち、ちょっと!! 本当に堪忍してください!! こんな青年の体をまさぐっても楽しくないでしょ?」

星奈(女上司が男部下にセクハラだなんてエロゲーの中のお話だと思ってたけど……これは……なかなかっ)

夜空「おい、淫猥肉。メタボが来たぞ」

星奈「ちっ……いい所だったのに……まぁ、いいわ。後であたしの部屋に来なさい」

俺「…………はい」

星奈「返事が小さいわよ?」

俺「はい、かしこまりました星奈様」

星奈「んふふっ!!」

その言葉を聞いてあたしは機嫌よく探索に出掛けた冒険者達を迎えに行った。
102 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/17(土) 17:50:01.00 ID:M+NmJyVAO
【隠れ里の商館…月】

日増しに肉が色づいてきた。

これは一度、話をしておくべきか……。

三週間経った今、少し考えてみる。

(とても……俺の奴とは思えない。性格が全く違う)

けれども、ふとした瞬間、あいつに見えてしまうのだから私の方も重症だろう。

メタボ「何であなたがここにいるのデス!?」

外が騒がしい、あの声はメタボか?







俺「な、何の事ですか?」

メタボ「っ!? シラを切るつもりですか!? パールたんだけではいざ知らず、今度は我々を救ってくれた星奈様達を連れて行こうって言うのデスか!?」

メタボとはこの町に住む高レベルのアルケミスト。名前の割にはやせ細った男性だ。

俺「えぇー? 一体、何の話だか……」

メタボ「惚けても無駄デス!! その顔とその名前は忘れまセンヨ!! 絶対にーーうぎゃっ」

興奮しきっているメタボに軽い爆発呪文を投げつける。

メタボ「な、なにをするのデス」

夜空「それはこちらの台詞だ。誰と人違いしてるかは知らないがーー」

メタボ「人違いじゃありマセン!! こいつは悪魔のように強いのです!! 猫を被っていますがーー」

眉間を押さえる。まぁ、あいつはこの国に来たばかりの時にこの村を襲撃してあろうことか姫を連れ去ったらしい。

夜空「ステータスを見せてやれ」

俺「はぁ……」

メタボ「!?」

夜空「納得出来ないか?」

メタボ「い、いえ、ワタシの早とちりデシタ……すみません、俺君」

俺「いやいや、いいですよ。誤解が解けたようで何よりです」

人のいい笑いはとてもじゃないがあいつとは似ても、似せれない部分だろう。

夜空(やはり他人の空似だろう。オレというのもこの世界では何らかの意味合いを持つのかもしれないしな)

メタボ「………………」

その時、メタボが俺を睨んでいた。

夜空(……疑いは晴れたんだよな?)

メタボの瞳の奥に歪な光があったのは多分、私の気のせいなのだろう。
103 :ヒメキスって携帯ゲームで半日も無駄に過ごした…… ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 00:40:55.60 ID:SpA8ZXHAO
【俺】

一通りの仕事が終わった。

さて、この後は星奈様に呼ばれているが、夜空さんにも先程のお礼を言わなければならないだろう。

そう言えば村の入り口が騒がしいがそっちの様子は見に行かなくていいだろうか?

さて、どうしようかーー


1星奈様を怒らせるとめんどく……ではなく恐れ多いので先に行く。

2助けて貰った訳だし、夜空さんにお礼を言いに行こう。

3森の入り口に行こう。なんだか嫌な予感がする。





誰もいないけど安価+1
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 00:46:37.18 ID:EKOGfzSG0
3
105 :>>104 りょーかい ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 01:11:25.60 ID:SpA8ZXHAO
【村の入り口ー俺】

俺「?」

まず、村の入り口にたどり着いた瞬間に思ったのは疑問符。

次に……

俺「っ!?」

火弓で燃やし尽くされる入り口。

???「こんな所に隠れ里があったなんて……っ!?」

軍隊を見て俺は硬直してしまう。

???「ぜ、全軍、止まりなさい!!」

綺麗な女性の号令で今にも踏み出してきそうな

???「……こんな所にいたなんて想像しませんでした」

俺「?」

???「殿は引き受けます!! 撤退なさい!!」

???「お、おい、レヴィア、どういうことだよ!?」

ガタイのいい男に問われて女性は俺を指差す。

レヴィア「あの人の名前が見えないのですか?」

???「っ!? 引けっ!! 撤退しろっ!! 殿はーー魔物に」

レヴィア「いえ、ここは私が請け負いましょう」

???「はぁ!? 馬鹿か!! 死ぬ気かよっ!! あいつの話じゃーー」

レヴィア「えぇ、魔神の一柱を一人で倒したのは彼でしょうね。ラムダさん、サモンモンスターは更なるテイマー職が相手なら奪われることがあります。ラムダさんの匂いを覚えてたら居場所を掴まれるようなものです」

ラムダ「け、けどよぉ!?」

レヴィア「雑兵では時間すら稼げず潰走されます。私が多少なり時間を稼ぎます。十分、持てばいいのですが……」

ラムダ「わかった……てめぇら!! 引くぞ!!」

去っていく軍隊。

レヴィア「…………その余裕は慈悲ですか?」

俺(あ、よかった、俺じゃないんだろうな)

レヴィア「その余裕っ!! その態度っ!! 変わりませんね、あなたはっ!!」

俺は事の成り行きを見ている。よく見たら周りには誰もいない。

俺(……誰に話しかけてるんだろう?)

レヴィア「……っ!! はぁっ!!」

ワンドを持って突撃してくる。

俺(えっ?)

目で追うのが精一杯で横に振られたワンドからは魔翌力が迸っている。

俺(マズくない? マズいよな……いや、マズいって……あ、よけらんねー)

体が震えて動かない。

俺(っ!? あ、死んだ……)

そう思った瞬間、足に力が入らず尻餅をつく。

そのタイミングが奇跡的にワンドの直撃をかすりに変える。

けれどもーー

魔術か何かの空気の塊を横っ腹にモロに食らってしまい……キリモミしながら森の方へ飛ばされている途中で俺は意識を失った。
106 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 01:37:08.49 ID:SpA8ZXHAO
【林の中ー堕巫女】

私は考える。

瀕死の彼にトドメを刺すか否かを。

俺「っ……はっ……」

目を醒まして回りを見渡す彼。

俺「ここは……」

私「村の近くの森林です」

俺「っ!?」

脅えた瞳で彼は私を見つめる。

私「ステータスを開きなさい」

俺「は、はい……」

開かれたステータスを見て私は考える。

私(人違い?)

ワンドを握りしめる。

それならば殺してしまっても何の問題も無い。

私「……最期に何か言い残しなさい」

俺「えっ……?」

私「あなたを今から殺します」

俺「っ!?」

彼は逃げようとする。その足をーー

私「……ウィンドアロー」

射抜く。

俺「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

一歩、また一歩、近づく。

私「……祈りなさい。破壊と虐殺の神に」

涙を流しながら彼はーー

俺「死にたくないっ……死にたくないっ!!」

もがき逃げようとする。

私「っ!?」

私は今まで何人もの命乞いを踏みにじり、トドメを刺した。

私「…………」

ワンドを振りかぶりーー

私「…………死にたくないのですか」

降ろせなかった。

子供の命乞いを笑いながらなぶった。

老人の命乞いを嘲りながら潰した。

それなのにーー

私(どうせ……明日にはもう一度、攻め落とすのです)

ラムダという仲間に合流すれば人違いであったことを話して再び、隠れ里を攻める。

私(それにヴァイオンも明日には合流するでしょう)

僅かばかりの延命。 その運命を私は弄びたくなったーー
107 :ブラクラ注意!! ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 02:00:21.68 ID:SpA8ZXHAO
ローブを脱いで切り株に腰を掛ける。

私「……ヴァイヒール」

指先で彼の傷を癒やして蔑んだ目で見下ろしながらーー

私「奉仕なさい」

俺「っ!?」

私「逃げようとしても殺します、あなたは私を悦ばせなさい……」

彼はおずおずと近づいてくる。

足を突き出して、

私「舐めなさい」

俺「…………はい」

舌が足の指先に這う。

ぴちゃぴちゃと指先を舐めて、足の指先の付け根、指先を丁寧に舐める。

私(んっ……あの俺さんを屈伏させている……)

人違いであるとわかりながらもその背徳感が私を興奮させる。

私「舐めなさい、丁寧に」

股に彼の頭を近づけさせる。

割れ目に舌を這わせてくる。

私「んぅっ……」

声が漏れる。

私「…………ハァハァ、続けなさい」

大陰唇を舌を這わせながら口をすぼめて淫核を吸う。

私「っ!? んはぁっ!!」

俺「す、すいません!?」

私「続けな……んうっ……さいっ!!」

膣の中に舌を入れて必死に奉仕をする。

私「んうっ……いいわ……そのままつづけな……んっ……ぁん、さい……」

愛液が溢れているのが自分でも分かる。
私「……んっ、胸もっ……」

彼の空いている腕を手にとり胸に持ってくる。

ピンピンに立った乳首を彼はこねながら、一生懸命、舌を這わせる。

私「っ……いくっ……んんっ!!」

私は彼の顔に潮を噴きかける。

私「ハァハァハァハァ……脱ぎなさい」

舌なめずりをしながら服を脱ぐように指示をする。

私「ふふっ……死ぬか生きるかの瀬戸際なのに、みっともない」

今までに見たこと無い程、立派な逸物を見て私は彼の尊厳をなぶる。

私「挿れなさい……」

彼の切っ先をあてがいーー
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/18(日) 02:05:55.05 ID:SpA8ZXHAO
【俺】

俺(ハァハァハァハァ)

必死に逃げる。

あの後、二度も絞り取られてぐったりした隙を見て、服も何もかも捨てて逃げる。

みっともなくても、恥曝しでも、そうだったとしてもーー生きたいと思った。

俺「死にたくないっ!!」

走る。

走るーー

その最中に間抜けな音が頭上に響く。

俺(レベルが上がるような事なんざしてないっ!!)

泣きながら、涙を零しながら走る。

プライドや尊厳など無くなったとしてもーー生きたい。

死にたくない。生きたい、死にたくない、死にたくない死にたくない死にたくない。

闇雲に走り続けたーー
109 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 02:31:01.57 ID:SpA8ZXHAO
星奈「ど、どうしたの!!」

俺「あ、あっ…………あのっ」

星奈「っ!! 夜空!! 服を持ってきて!! あんたは部屋に入ってなさいっ」

俺「うぁっ……」

ボロボロとみっともなく泣き出す。









星奈「落ち着いた?」

温かくて甘い飲み物を口に運びながら俺はコクコクと頷く。

夜空「……辛かったら話さなくてもいいぞ」

素っ気なく呟かれても優しさ溢れるその言葉にまた涙が出る。

星奈「もうっ!! 男が泣くなっ!!」

夜空「泣きたいだけ泣けばいい」

星奈「あら、夜空……俺の奴に干渉しないんじゃなかったの?」

夜空「……ふんっ、別にそういうのでは無い……だがーー辛かったなら何があったのか言ってみろ」











星奈「……逆レイプされた訳ね……」

夜空「……いや、そんな事よりもマズいぞ!! 急いで村の奴らを叩き起こせっ!!」

星奈「あ、そ、そうねっ!!」

夜空「恐らく奴らもあいつと間違ったのであろう……教団の奴らに見つかるとは厄介なっ!!」

俺「教団ってあの……」

夜空「魔神信仰をしている集団だ……現在の世界の七割が既に奴らの手に落ちている」

俺「あ、あの!! だ、だったら!! 俺もーー」

夜空「貴様は馬車に荷物を積んでくれ。金も商品も食料も無ければ明日が無いからな」

俺「は、はいっ!!」
110 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 02:55:15.80 ID:SpA8ZXHAO
俺「……よし」

メタボ「……」

俺「あ、メタボさん」

メタボ「やはり君は星奈様と夜空さんを連れていく」

俺「?」

メタボさんはナイフで斬りつけてきた。

俺「っ!?」

寸で避ける。いや、避けたというよりかは当てられなかったと言った方が正しいか。

メタボ「星奈様か夜空さん……どちらかをボクにくだサイ」

俺「はぁ? 意味が!!」

メタボ「い、いいじゃないデスカ!! 君はイケメンなのだからっ!!」

俺「いやいや、本当に意味が……」

メタボ「パールたんだって連れていった!! 君は!! ボクから全てを奪うというのデスカっ!?」

俺「うぉぉぉぉぉっ!?」

ナイフを必死に避ける。

メタボ「…………ボクはアルケミスト……錬金術師ですが君より強いデス……そしてボクは二人を手に入れる為に惚れ薬も作っています。そしてーー今日出来ました」

俺「な、なんて偶然……」

メタボ「偶然じゃありまセン。ボクは」

服の下に一つの紋章があった。

俺「っ!!」

メタボ「ボクは教団員です。そして……この隠れ里を教えたのもボクです」

俺「メタボさんっ!!」

奥歯を噛む。

メタボ「彼女達、どちらかを君に譲りまショウ」

俺「っ!!」

メタボ「だから何も見ずにどちらかを連れてって出ていってくだサイ」

俺「…………」

俺はメタボさんの話をーー




安価+3






1全力でぶっ飛ばす
2全力でぶっ飛ばす
3全力でぶっ飛ばす
111 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 02:55:46.61 ID:SpA8ZXHAO
1と2と3
112 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 02:56:15.78 ID:SpA8ZXHAO
1と2と3
113 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 02:57:27.28 ID:SpA8ZXHAO
安価なら>>111>>112
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 03:01:26.41 ID:EKOGfzSG0
1と2と3でやっちまえー
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/18(日) 03:17:33.43 ID:SpA8ZXHAO
俺「……メタボさん」

メタボ「何でショウ」

俺「俺を誰かと勘違いしているようです」

メタボ「そうかもしれませンネ」

俺「俺はそんな二人を選べるような立場じゃないし、そんな偉くもない」

メタボ「……」

俺「あんたからパールって人を奪った人は大層な悪人なのかもしれない」

メタボ「……」

俺「けれどっ!! それがあんたのゲスっぷりを肯定していい訳じゃねぇっ!! 思い人がとられたから、次は何をしてでも掴まえる? ふざっけんなっ!!」

拳を固めて思いっきり振りかぶる。

メタボ「っ!!」

交わされても何度でも殴りかかる。

避けられても、当たらなくても。

俺は殴りかかる。

俺「あんたがあの人達を選ぶんじゃねぇ!! あの人達が誰かを選ぶんだ!! だからっーー」

メタボ「うっ」

目が合う。怯えた瞳が俺を見る。

俺「上から目線で喋んじゃねぇよっ!! 糞野郎っ!!」

拳が頬を打つ。

軽く吹き飛ぶが全然、効いていない。

メタボ「……君は……っ!!」

夜空「悪いな、メタボ。背後から狙っている」

いつの間にか馬車の近くに立っていた夜空さんが腕を翳していた。

星奈「悪いけど、あんたの告白は断るわ」

腰に剣を添えた星奈様が商館の裏口から出てくる。

メタボ「…………殺しなサイ」

夜空「そんな事はしないさ。好意を持ってくれた人間を無碍にするなんてな」

星奈「そうそう。ただあたし達には好きな奴がいるから、ごめんね、諦めて」

メタボ「…………薄々、わかってマシタ」

夜空「……」

メタボ「ボクじゃ駄目な事を……」

星奈「あんたさ〜、顔であたし達を選ぶのもいいけどさ……もっと周りを見なさいよ」

メタボ「……」

夜空「貴様にはいるだろう。仲間が……」

メタボ「……しかし、この里はもう……」

夜空「確かに無理だろうな。だが別の場所でも生きてゆけるさ……」

メタボ「……明日、総攻撃が入りマス」

夜空「…………」

メタボ「ボクがギリギリまで引き止めまショウ。教団員だから殺されることはありまセン」

星奈「お礼は言わないわ」

メタボ「えぇ、ただの自己満足デスから言われても困りマス」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 03:19:10.39 ID:EKOGfzSG0
か、かっこいい…
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/18(日) 03:32:51.59 ID:SpA8ZXHAO
【商館前ー錬金術師】

ボク「結局……ボクは最低なままでした」

この世界に来て何か変わるかと思ったが、そんな事は無かった。

自分の思い通りにする為に仲間を売って、仲間を裏切って。

恩を仇で返す。現実でもこの「エターナル」でも一緒だった。

けれどもーー

ボク「あの人達の為にーー好きな人の為に戦えるボクは間違っちゃいない」

俺君に殴られた頬が熱を帯びる。

その熱さは迫りくる数の暴力からボクを奮い立たせてくれた。

例え夜空さんや星奈様、パールたんが選んでくれなかったとしてもーー

ボクは好きな人の為にこの道を選ぶーー

















【魔物遣い】

おれ「んだよ、くそっ。裏切りやがって、メタボの奴」

今朝の早朝、レヴィアからの報告で再度、隠れ里を攻めた。

その結果ーー

兵士の七割が地雷と毒でやられた。

おれ「アルケミスト相手に何の罠回避もしなかったらそりゃあこんだけ被害も出るわな」

結局、援軍のドラゴンに村ごと焼き尽くして貰ったが出てきたのはメタボ一人の亡骸だけ。

おれ「無論、後はあのいい女二人だけだ……こっちにはヴァイオンもいる逃す手は無ぇな」

再び隊列を組み直させる。

欲しいものは手に入れる。それが俺の魂の力なのだからーー
118 :寝る ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 03:55:22.24 ID:SpA8ZXHAO
【俺】

俺「こ、ここまで逃げれば……」

三日は歩き続けた。

周りを見渡しても相応に疲れた表情をしている。

夜空「そうだな……ここで半日、休憩しよう」

星奈「さんせー。湖があるから、女の子達は水浴びしましょ」

兎耳の少女やドワーフ、エルフの少女が星奈様の後に続いていく。

あの隠れ里は元々、住んでいた人達は一人、また一人と去っていったそうだ。

だから住民と言えば星奈様や夜空さんが買った元奴隷の子だらけで。

その数も今更、数えてみれば二十にも満たない。

俺(意外と少なかったんだな……商館から出なかったから知らないと言えば当たり前だけど……)

四分の三が少女というのを考えてみるとーー

俺(まぁ、奴隷商が連れて持ち歩くなんて大抵は可愛い女の子ばかりだよな)

そう考えてみると何故、あの商人は俺なんかを連れているのか考えてみると尻の穴がきゅっと締まる。

俺(大丈夫だ。気のせいだ……寝てる間に変なことされてないよな?)

激しい不安が押し寄せてくる。

俺(…………うん、気のせいだ……ん?)

一人の女の子が僕を見ていた。

俺(ヒューマンの六歳くらいの女の子か……どうかしたのかな?)

???「まっぱ」

俺を指差しそんなことを言った。

俺「っ!?」

周りの子供達がぞろぞろと集まる。

???「まっぱではしってた」

夜空「ウィンディ、あまり言ってやるな……例え、事実だったとしても」

俺「あの……夜空さん、せめてその人の悪い笑みはやめてください」

夜空「ぷっ……クククっ、すまぬな。幼女にまっぱって指指された貴様が滑稽でな」

あの夜、優しかったのは夢だったのだろう。うん、夢だった。

少しふてくされながら俺は荷馬車の中にある銅剣で素振りをすることにした。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 04:02:19.03 ID:EKOGfzSG0
お疲れ
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 10:31:17.86 ID:1P96LjJSO
これは良いものだ
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/03/18(日) 13:06:36.51 ID:WcbcvtbZo
おもしろい
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/03/18(日) 13:07:30.63 ID:WcbcvtbZo
おもしろい
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 17:34:04.23 ID:KvYBe/LQo
同意
124 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 22:42:36.55 ID:SpA8ZXHAO
【俺】

一通り汗を流して、交代がてら湖に水浴びをしにいく。

俺「はぁ……」

汗が流されて爽快感に包まれる。

冷たいという訳では無いが長くいる程のものでも無い。

さて、どうしようかーー





1ポージングを取ってみる。

2あの金髪は……星奈様だ。隠れているつもりなのだろうか。

安価+1
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 22:49:42.07 ID:EKOGfzSG0
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/18(日) 23:17:27.87 ID:KvYBe/LQo
2…でない…だと…
127 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 23:19:41.82 ID:SpA8ZXHAO
俺「……むんっ!!」

両手を挙げて、ポージングをとる。

俺(誰も見ていないけど裸でポージングって何か凄く背徳感あるな)

俺「……むん、むん、むんっ!!」

夜空「何をやってるんだ貴様は……」

俺「っ!?」

振り返ると夜空さんが布で体を隠しながら湖に入ってくる。

夜空「……少しはカッコいいかと思えばこれだ」

やれやれと半笑い気味で言われる。

俺「あ、あぁぁぁぁっ!!」

湖の中に勢いよく潜る。

恥ずかしすぎる、いや……何、やってんだ……俺。

無論、息も続かずすぐさま水面から顔を出す。

軽く鬱になりかけていると。

夜空「ふふっ……」

面白そうに笑う夜空さん。

夜空「まったく、馬鹿だな、貴様は」

その笑みを見たとき、胸が跳ねる。

俺「っ!?」

今更ながらお互いが裸だという状況に気づく。

夜空「何を今更、顔を赤めているのだ」

俺「……あ、いや、あの」

夜空「今更であろう? この三日間、ほぼ休みなしで交代しながらここまで来たのだ。裸の一回や二回、見ただろうが」

確かに馬車に乗っている時に服を着替えたりする時間をなるべく短くするために男目、女目を気にせず、馬車の中で着替えたりもした。

俺「け、けど……綺麗な身体をまじまじと見てた訳じゃないですし……」

夜空「っ!? き、急に褒めるな!! 馬鹿者」

俺「す、すいません……」

身体の一部に血が集まっていくのがわかる。

夜空「…………まったく。手でしてやるだけだからな」

俺「っ!?」

彼女は身体をすりよせてーー
128 :……ふぅ。今、賢者タイムなんでそういうのはちょっと…… ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/18(日) 23:41:19.52 ID:SpA8ZXHAO
星奈「あ、あんたらね!?」

夜空「……ちっ」

星奈「あ、あんたがあたしより先に手を出すなんてどういう了見よ」

夜空「…………別にそういうのでは無い。手でやってあげただけだ」

星奈「なっ!?」

俺「ち、ちょっと!?」

恥ずかしげもなく照れもなく夜空さんは言った。

俺「…………はぁ」

多分、本当にそういうアレじゃ無かったんだろうな。

頭が冷静になり、まるで賢さがあがったかのような錯覚で今の状況を把握する。

俺「…………ふぅ」

星奈「ふぅじゃないわよっ!!」

俺「…………怒りを静め、心を無にーー」

星奈「うっさい!! あんたはあたしの奴隷なの!! 他の奴らにそういう事しちゃ行けないの!!」

夜空「…………まぁ、契約書も既に無いのだかな」

星奈「っ!!」

俺「えっ!?」

星奈「…………何でそんなこと言うのよ、夜空っ!!」

夜空「…………別にいいだろう。俺はよく働いてくれただろ。少なくとも二万ゴールド以上はな」

星奈「っ!! 駄目なのっ!!」

俺「あ、あの……」

星奈「あんたはさ!! あの時、あいつに選んで貰ったから余裕でしょうねっ!!」

夜空「っ!! 今、その話をするのかっ!! だったらーー」

星奈「あたしは捨てて別れられる所だったのよ!! だからあんたみたいに気丈になんて振る舞えないし、待てないっ!!」

俺「あ、あのっ!!」

星奈「っ……」

夜空「……」

俺「俺、まだどこにも行きませんから!! だ、だから捨てないで下さい、星奈様」

布で目を拭いてあげる。

俺「俺が探しますよ、お二人の思い人を」

胸が張り裂けそうになる。

だって、それはーー

俺が誰かの代替品であると認めるから。優しくしてくれた理由も楽しげに話してくれた理由もメタボさんから助けて貰った理由さえもーー

きっと、俺だからじゃない。俺を通した誰かを彼女達が見ているから。

星奈「…………」

夜空「…………」

二人の視線を見返す。苦しみなのか、後ろめたさなのか。

そんな視線を俺は笑みを作って受け流した。
129 :Rー18なんて無かった ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 00:33:58.27 ID:p94Q1U3AO
【野営…星】

半数が子供達であるあたし達のパーティーは交代制で野営の見張りをつくことにした。

ハーフエルフの同い年の女性に声を掛ける。

エルフ「星奈様、お休みください」

あたし「そういう訳にはいかないでしょ? あんたらだって碌に寝てないんだから」

エルフ「しかし……」

あたし「はいはい、行った、行った」

ぐいぐいと背中を押して荷馬車近くに作ったテントに押し込める。

星奈「………………はぁ」

夜空「溜め息なんぞついて、どうした? まさか、久々に冒険したからもう疲れたのか? 運動をしないから胸に無駄な肉が……」

星奈「違うわよ……」

夜空「ふん……」

木のカップに果実酒を注ぐ。

この世界に来てから新しくついた習慣だった。

夜空「…………」

星奈「…………あいつさー」

夜空「…………」

星奈「あたし達の事をさ、一切聞かなかったじゃん」

夜空「…………そうだな」

星奈「けど、多分、知ってたんじゃないかな? あたし達があいつを通して俺を見てたって」

夜空「初対面であれだけ騒げば馬鹿でも気づく」

星奈「だよねー。はぁ……」

夜空「……あいつはいい奴だ」

星奈「そんなのわかってるわよ。仕事は進んでするし、気がきくし、優しいし、照れ屋だし」

夜空「そしていざって時はちゃんと言いたいことをいって、勝てない相手に立ち向かってかっこいいか?」

星奈「まぁ…………ね。傷ついただろうな……」

夜空「…………さぁな」

星奈「もし……さ。あたしがさ、本気になったら軽蔑する?」

夜空「…………顔と名前が一緒なだけで性格も反対、弱くて、危なっかしくて、面影すらないたったひと月しか一緒にいなかった男に二年半の思いを捨ててしまう事にか?」

星奈「うん……」

夜空「……出来るものか」

星奈「…………」

夜空「よく我慢したと思う。もう、いいだろう?」

夜空の言葉を聞いて涙が落ちる。

理由はわからない。わからないのに……

星奈「うぇ、うぇぇぇぇぇん」

泣いてしまう。

夜空「…………もしも、だ。仮に……「俺」の奴が現れたとしてもーー貴様の手はとらない。私にはそんな気がする」

この夜、あたしはーーようやく。

二年半前のあの日、捨てられたという現実を受け止められた。
130 :なぜ、呪文を詠唱するのか……それは俺小説だから ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 01:05:56.66 ID:p94Q1U3AO
【俺】

俺「…………あの星奈様?」

星奈「ん?」

俺「大変、申し上げ難いのですが……手綱をひきにくいです」

星奈「んふふ〜、我慢してよね、男なんだから」

俺「はぁ……わかりました」

馬車を走らせながら俺は今朝から不気味な星奈様の様子を考える。







俺「…………ん?」

星奈「おはよっ」

俺「…………は?」

星奈「ほらっ、起きなさい。そろそろ出発するわよ!!」

俺「は、はぁ……しかし、星奈様? 何故、男用に用意した野営に寝転がっているのですか?」

星奈「…………あんたの寝顔、見たかったから」

俺(ま、まったく意味がわからない)

星奈「起きなさい、行くわよ」

立ち上がり、俺の腕をとる。






そして今ーー

俺(もしや、俺が逃げるかもしれないかと疑われてるのか?)

ちらりと横をみる。目が合った。

星奈「えへへ」

俺(……逃げる気は無いんだけどな)

しかし、下手に話題に出して機嫌を損ねてしまうと後が怖い。

俺(よし、働きぶりで信用を勝ち取ろう!!)

顔を引き締めて手綱を握る。

次の町まであと半日程だーー
131 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 01:41:50.74 ID:p94Q1U3AO
小さな町につく。

星奈「どうやらここは中立的な村のようね。教団の支部があるっちゃあるけど大した大きさじゃなかったわ」

夜空「だろうな。辺鄙と言っては悪いが周りは平原、山を超えれば荒野。そして周りには小さな村が幾つか。町として成り立っているだけで凄いものだな」

星奈「そっ。だから、子供達はここに預けるわ」

夜空「……?」

星奈「あたし達は今から三人で旅をすんの」

俺「さん……にん?」

星奈「あたしとあんたと夜空。目的は夜空の思い人を探すの」

夜空「っ!?」

俺「……」

星奈「あーっ!! もうそんな情けない顔をしないっ!!」

俺「あ、ご、ごめんなさい」

星奈「敬語も要らない。様付けも要らない!!」

俺「?」

星奈「あたしはね!! 今はあんたの事が好きなのっ!!」

俺「は?」

聞き間違いだろうか……。

星奈「あたしはあんたが好きっ!! だからあんたはあたしのモノなの。契約書もいらない」

俺「え、えっと……」

星奈「だ、だけど……あんたがあたしを嫌いだって言うならあんたは自由っ!!」

胸を張って強がっているがその瞳は潤んでいた。

星奈「あ、あんたにはっ……辛い思いもさせちゃったし、嫌な思いもさせちゃった。だから……っ」

夜空「…………」

星奈「あたしが嫌いならはっきり言いなさい!! あたしが疎ましいならはっきり言ってよ!! あたしを捨てるくらいならーー優しくなんてしないでっ!!」

俺「……俺は」

星奈「……気を使わないで。あたしが惨めになるだけだから。結局、あんたを好きって言いながらも過去と清算つけれてない訳だしっ……」

俺「俺はまだよくわかりません。でも星奈様が好きだって言ってくれて凄く嬉しいです」

星奈「っ……」

俺「こんな俺でよかったら星奈様、お供にしてください」

星奈「…………敬語をやめて、もっと恋仲らしく振る舞って」

俺「え……?」

星奈「じゃなきゃ……不安になる。よそよそしいから」

俺「は、はい……」

星奈「はい、じゃなくてうん」

俺「え、えっ? うん、わかった」

星奈「よ、よろしいっ!! あ、ああああ、あんたはあたしの恋人なんだからねっ!!」

そう告げて、唇を奪われたーー
132 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 01:59:28.54 ID:p94Q1U3AO
【宿屋…月】

胸が苦しい。

星奈の笑顔が俺の奴の照れた顔を見ると胸が張り裂けそうになる。

夜空「っ!! あいつは違うのにっ」

涙が出そうになるのを堪える。

一度、流してしまったら止めることができない気がしたから。

今頃、あの二人は同じ部屋で甘い時間を過ごしているだろう。

首もとのネックレスを触る。

夜空「…………」

唯一の支えを私は後生大事に握り締める。

辛い、辛い。辛い、辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い。

隣であの二人が。

私は胸に手をやる。

夜空「んぅっ……」

あいつの事を考えて自分の体を慰める。

夜空「……んっ……んっ……んんっ」

甘い声が漏れる。一日だって忘れたことの無い、温もりを。

あいつに抱かれて女である事の喜びを知りーーあいつの為に生きている。

夜空「っ…んんっ、んん、いくっ……」

しかしーー

果てた時にはあいつとそっくりな顔で情けない事を言う俺の奴の姿が脳裏によぎった。
133 :続きは起きたら書く。寝る ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 02:28:29.32 ID:p94Q1U3AO
【俺】

早朝、目が覚める。睡眠時間は短かったが深い眠りについた為か身体の調子がいい。

部屋を出て、街を散歩していると、不意に昨日の夜の事を思い出し頬が熱くなる。

ぶんぶんと首をふり桃色の記憶を振り払う。

俺「いけない、にやけている姿を見られたら変人だと思われてしまう」

散歩をしながら街を見る。

さて、何をしようかーー








1 あそこの公園にいるのは夜空さんだ……

2 美味しそうなパンが売っている。星奈に買っていこうかな。

3 ここは孤児院だ。朝、早いけれど覗いていこうかな。



安価+2
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 02:34:53.03 ID:RiGQi4WW0
お疲れ

1
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/03/19(月) 07:13:33.33 ID:Jloymbtco
2
136 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 15:07:51.53 ID:p94Q1U3AO
【俺】

俺「ふむ……」

中にハムや野菜を挟んだブレッドを一つ手に取る。

俺「一つください」

パン屋「あいよ」

俺(ん?)

ポケットを触ってみると穴が空いていた。

俺(いや、ゴールドを落とすなんてそんな)

冷や汗がたらりと流れる。

俺(……謝ろう)

俺「あ、あのお金を落としたみたいで……」

パン屋「あぁん? どうすんだよ!! あんた手で掴んだじゃねぇか」

俺「あ、あの……」

すると横から細い手が伸びてくる。

パン屋「なんだ、嬢ちゃん」

???「そいつの知り合い。だから、代金を立て替えてあげる」

パン屋「ん? なら、ほらよ、兄ちゃん」

俺(ど、どこの誰かわかんないけど助かった)

俺「ありがとうございます」

???「……いいわよ、別にっ」

赤い髪の女の子は照れたようにそっぽを向く。

???「偶々、知り合いとよく似た顔だったから……え?」

俺「どうかしましたか?」

???「あんた、ステータス開いて」

俺「?」

???「……ごめん、人違いみたい」

俺「あ、あのっ……俺の連れも俺とよく似た人を探しているらしいです」

???「っ!? 本当に? その人達に会いたい。だから場を作ってくれない!?」

俺「は、はぁ……わかりました。宿屋にいますので……」
137 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 16:52:29.20 ID:p94Q1U3AO
星奈「ふぅん、なるほどね」

俺「……」

星奈「また情けない顔をする!」

俺「いや、あの……どれだけ凄い奴なんだろうって思って」

星奈「気にしないの!!」

抱きつかれながら慰められる。

星奈「あんたにはあんたのいい所があるから」

俺「うん……」








???「っ!! 主!!」

宿屋のエントランスにたくさんの人影が現れる。

俺「?」

???「パール、言ったでしょ? あれはよく似た奴。あんたの主じゃない」

パール「……っ、すまないイシュラ。取り乱した」

イシュラ「しょうがないよ。名前も顔も一緒なんだから」

???「それにしてもよく似てるよね〜」

???「確かにな……」

俺の顔を眺められる。

???「お、おい、ザッパーもモコも失礼だろ」

ザッパー「ジローは俺の奴の事が大好きだからな」

ジロー「はぁ!?」

モコ「いっつも、いっつも、俺に憧れてるって言ってるし〜」

ジロー「ち、違ぇし!! そんなの言ったらナツキやパールやイシュラの方が!!」

モコ「女の子を比較対照にしちゃ、駄目でしょ……」

騒がしい面々を見つめる。

俺「……」

夜空「……」

星奈「……」

ナツキ「あんたら、静かになさいっ!!」

一人の女の子が周りに怒鳴りつける。

俺(怖っ……)

ナツキ「あたし達はーー」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/19(月) 17:24:53.96 ID:p94Q1U3AO
夜空「なるほど、旭日騎士団か……名前は聞いた事がある」

俺は豆から淹れられる黒い飲み物を口にする。

ナツキ「あいつは一時期、あたし達と協力関係にあった」

夜空「…………そうか。礼を言う」

ナツキ「お礼?」

夜空「あぁ、『私』の俺がお世話になった」

その瞬間、空気が冷える。

俺(えっ、怖っ……なにこれ、怖い)

パール「主は人捜しをしていました……女性を四人と」

夜空「私と星奈とあと二人は行方がわからないが、誰かは知っている」

パール「…………」

夜空「…………」

イシュラ「…………」

ナツキ「…………」

星奈「はいはい、あんたら睨み合わない。あたし達は答えられる範囲は答える」

ジロー「お、俺達もだ!!」







ジロー「あ、あいつは別世界を旅していただって?」

夜空「そうだ」

ジロー「に、日本から来た訳じゃないのか?」

夜空「前の世界が偶々、私達の世界で、日本という場所であったがギャスパルクの復活なんてゲームは聞いたことが無い」

イシュラ「あ、あたし達からしたら二人の言ってる事が理解出来ないわよっ!!」

パール「…………いや、私は納得できる。主は自分が殺した人間のみ、生き返らせることが出来た……信仰や神の力に依存する私達の魔術と根本的に違う」

イシュラ「な、なにそれ!! 初耳よ!!」

パール「別に言う必要は無かった……主は滅多に使うつもりも無いって仰っていた。あの日は多分、今まで生きてきた中で最悪だったと言っていたな……」

イシュラ「じゃ、じゃあ、あいつはみんなを生き返らせるの!?」

パール「無理だろうな。二日限りの制約でしかも大量の力を使うと言っていた」

イシュラ「……」

パール「……」

ジロー「そ、そうか……あいつがあれだけ強いのも納得がいく」

夜空「……」

ジロー「あいつは魔神の一柱、ニンヤガッシュを倒したんだと思う。だからギャスパルクは未だに復活出来ない」

夜空「…………待て、ニンヤガッシュだと?」

ジロー「あぁ」

夜空「確かシュラハーの司る火の神の里に封印されたのだよな?」

星奈「だから、どうしたのよ……」

夜空「馬鹿かっ!! そもそも俺の奴を買った時にどこで拾ったか聞いてないのか!?」

星奈「っ!?」

夜空「破壊、蹂躙された遺跡の中に一人でいたのだぞ!?」
139 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 17:47:05.99 ID:p94Q1U3AO
俺(はぁ〜、この珈琲と呼ばれる飲み物は落ち着くなぁ)

何だか大事な話をしているみたいだから意識半分で考える。

俺(うーん、この先、どうなるんだろうなぁ……出来れば早めに夜空さんの思い人を見つけて……ゆっくり過ごしたいな)

俺「…………ん?」

みんなが俺を見ていることに気づく。

俺「あ、すいません……考えごとをしていて」

夜空「貴様に聞きたいことがある」

俺「ひゃ、ひゃい!!」

夜空「まずはステータスを開け」

有無を言わせない迫力に頷く。

夜空「これがこいつの能力だ」

パール「……主では無いが……」

夜空「そもそも、こいつは一年前に記憶を失っている」

ナツキ「っ!?」

夜空「記憶を失ったらレベルが下がるのか?」

パール「有り得ない。この世界は魂の強さ、魂の経験、魂に全てが刻まれる。過去に記憶を失っても偉業を築いた英雄は何人かいるが……レベルが下がるなど有り得ない」

夜空「だろうな……私自身も文献で読んだ事がある……しかし」

ナツキ「そもそもこの世界ではイレギュラーなあたし達にはそれを調べる手段は無い。そもそもあたし達がギャスパルクの復活で高レベルの理由はイデアの強さと言われてる」

ジロー「……一概に否定は出来ない」

俺「?」

星奈「ま、待ちなさいよ!! こいつをあいつと一緒になんかしないでっ!!」

夜空「…………」

俺「あ、あのよくわかんないですけど……皆さんが想像している人物じゃありませんよ」

夜空「っ!!」

星奈「そうよっ!! だからーー」

夜空「うるさいっ!!」

星奈「!?」

夜空「可能性は否定できないのだ……」

星奈「違うっ。こいつはあたしのなの!! あんた達の妄想を押しつけないで!!」

星奈は涙を流して、俺にしがみついて、何か恐れるように身体を震わせていた。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/19(月) 18:32:43.28 ID:p94Q1U3AO
【俺】

夜が更ける。宿屋のベッドで泣き疲れて眠る星奈の頭を撫でる。

俺(そんなに不安がる必要なんてないのに)

御伽噺のような存在と俺が同一人物である筈が無い。

この街に向かう集団の中でさえ駄目な俺だ。

剣の腕だって年下のドワーフに負ける。

魔法はウィンディにすら及ばない。

俺(思い込みだよな……完全に)

頭を冷やそうと風を浴びに宿屋を出る。


さてーー

1 夜空さんに決意を話に行こう。

2 星奈さんの為に花でも摘んでこようかな。

3 あれはパールさんにナツキさんだ。何だかにらみ合っている。

4 イシュラさんが素振りをしている。そうだ、剣を習って見ようかな……

5 何だか胸騒ぎがする。あそこにあるのは教団の支部だ……


範囲安価+6
141 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 18:33:15.73 ID:p94Q1U3AO
1と2からはエロの匂いがする!!
142 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 18:33:52.00 ID:p94Q1U3AO
3は何だか修羅場な雰囲気だ……
143 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 18:34:32.60 ID:p94Q1U3AO
4を選べば技を覚えられそうだ……
144 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 18:35:32.76 ID:p94Q1U3AO
5からはエルフと巫女がいるんだろうな……
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/19(月) 18:36:33.83 ID:p94Q1U3AO
安価なら6であの日の記憶を辿ってみる。
146 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 18:51:58.60 ID:p94Q1U3AO
そして安価など無かった……
147 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 19:52:40.19 ID:p94Q1U3AO
【俺】

教団の支部が見える。

俺(そりゃあ、昔の教会みたいなもんだからさ、あるのは当たり前なんだけど)

眺めていると複数人の人影が入っていく。

俺(…………なんだか嫌な予感がする)

頭では無く、身体に鳥肌が立っていた。

俺(何で人影が? ギャスパルクに対しての祈りの時間なのかな……)

ギャスパルク信仰はここ一年、莫大に増えた。

信仰とは力であり、ギャスパルクは今や世界最大の神となっている。

そして恩恵は莫大な力を手に入れる。

その代わり、善の心を失うという側面もある。

俺(…………何だかいやだな)

夜空さんの思い人を探しだしたとしても俺達に平穏で平和な世界は待っていない。

俺(………………覗いてみるか)

裏手に周り、窓から中の様子を見る。

俺(っ!?)

中では男女が入り乱れ、混じり、嬌声が上がっている。

俺(に、逃げよう)

動こうとして、足を動かす。

パキリと間抜けな音が響く。

俺(木の枝ぇ……)

中の様子を確かめてみるが気づいていない。

俺(さ、さっさと帰ろう)

後退る。

一歩、二歩。そして三歩。

少し安堵して息を吐く。

俺「ほっ……」

安心していると、肩を叩かれた。

俺「っ!?」

恐る恐る、振り返る。

レヴィア「お久しぶりですね」

聖女のような笑みを浮かべていたーー
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/19(月) 21:28:43.59 ID:p94Q1U3AO
俺「っ!?」

距離を取る。

レヴィア「学習しましょう。あなたじゃ……逃げられません」

俺「……」

じりじりと後退る。

レヴィア「別にあなたに危害を加えるつもりはありません」

俺「…………」

レヴィア「信用してくれませんね……」

俺「で、できるわけないだろっ」

レヴィア「あなたはーー何を信仰していますか。私自身はヴォイドを通して教団を信仰しています」

俺「だから、何だよっ」

レヴィア「力の無い事を罪だと思いませんか?」

奴隷として扱われた日を思い出す。

レヴィア「力を差し上げますよ。そしてその力であなたを奴隷にした人に復讐してあげなさい」

俺「生憎、恨んでない」

レヴィア「…………」

俺「恨んでない、復讐したいなんて思わない。それにーー力が無いことが悪いとは思わない」

レヴィア「そうですか……ならばあなたの無力さを噛みしめなさい」

俺「……この街に何のようなんだよ」

勿論、答えなんて期待していない。

レヴィア「明日になればーーわかります。その時、あなたは選択する。私に媚びるか否か」

俺「……」

レヴィア「それでは俺さん。いい夜を……」

???「なるほど、そいつがレヴィアのお気に入りか」

レヴィア「っ!? エルさん……」

エル「なるほどな……凄く似ている」

ドレスのような甲冑を着たエルフの女性が近づいてくる。

エル「…………んっ」

俺「!?」

いきなり唇を奪われた。

レヴィア「エルさん!!」

エル「ふふふっ、何を焦っている? 別にいいだろ、こんな奴隷くらい」

レヴィア「っ!?」

エル「女々しいな」

レヴィア「……」

エル「まぁ、いい……偶には貸して貰うぞ」

レヴィア「…………戻りますよ、エルさん」

エル「そうだな……明日、街を攻めるんだ、早めに寝なければな」

レヴィア「逃げたいならお逃げなさい」

俺「…………っ」

走って逃げ出す。早く伝えなければーー。
149 :今更だが俺って使い難い、普通に男にしとけばよかった ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 22:08:22.25 ID:p94Q1U3AO
夜空「何だって!?」

星奈「……どうすんの、夜空。幾ら、何でも街全体に伝えるなんて無理よ」

慌ただしくなる。

夜空「…………迎え撃とう」

星奈「本気!?」

夜空「……あぁ」

俺「ま、待ってください……逃げ出さないんですかっ!?」

夜空「…………私は逃げ出さない」

俺「っ!? 俺さんを見つけるんじゃないんですか!!」

夜空「…………ふん、いいさ。別に」

俺は怒鳴る。

俺「いい訳ないだろっ!! あんたには目標があんのに!! 命を粗末にするんじゃねぇ!!」

胸ぐらを掴まれーー

夜空「ならばーー見殺しにしろと言うのか!! はっ、大したもんだな」

俺「そんな善人面でーー」

夜空「あぁ、偽善者だ。何が悪い? 私達はそうやって奴隷を引き取った。目の前の不幸を見たくなくてな!!」

俺「…………その為に自分の命を懸けるなんで馬鹿げている!!」

夜空「あぁ、馬鹿だろうな!! けどな、あいつならきっと、苦笑しながら私のわがままを聞いてくれるっ!!」

俺「っ!! 俺はあいつじゃねぇ!! あんたの言う俺じゃねぇ!!」

夜空「知ってるさ!!」

俺「知ってない!! みんな、どいつもこいつも!! 俺を、俺として見てくれるのは『誰も』いないっ!!」

星奈「っ!!」

俺「たくさんだっ!! 俺は俺の幻想に縋る奴らの為に命をかけれないっ!!」

夜空「勝手にしろ。好きに生きろ……そもそもそう言っている」

俺「……わかった」
150 :寝る ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/19(月) 23:13:08.50 ID:p94Q1U3AO
【俺】

俺「星奈はどうするんだよ……」

星奈「あたしは……」

俺「っ……」

星奈「あたしは……夜空と戦う……」

俺「わかった」

星奈「あ、あんたを守ってあげるから」

俺「……いい」

星奈「っ!!」

俺「……」

星奈「あたしを……捨てないでよぉ……」

俺「俺が星奈を捨てた訳じゃ無い。星奈や夜空さん。それだけじゃない。みんなが俺を捨てたんだ」

星奈「……お願い、どこにも行かないでよ……」

俺「なら、俺と逃げよう」

星奈「っ!?」

その一言は躊躇いを、躊躇を生み出す。

星奈「で、できないわよっ!! 親友を捨てるなんて!!」

俺「だよな…………ごめん」

星奈「…………っ」

俺「さよなら」

扉を開けて別れを告げる。

すすり泣く声を聞きたくなくて足早に去った。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/03/20(火) 00:56:16.01 ID:8DY9MDTlo
152 :眠い ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 04:05:58.76 ID:4zkzuASAO
【街の入り口…月】

夜空「準備はいいか?」

星奈「もっちろん」

剣を携えて星奈の奴は陽気に答える。

しかし、泣き腫らした目を見ると罪悪感で押し潰されそうになる。

ナツキ「敵の数は四千……街の入り口は全て抑えてる。この街は三方向にそれぞれ入り口があるけど本隊は広いこの場所を攻めてくる筈よ」

夜空「すまないな……」

ナツキ「何、言ってるの。あたしは旭日騎士団なんだから当たり前」

夜空「……行くぞ、肉」

星奈「オッケー!!」

転職後、商人になった星奈はスペルスクロールを開きながらーー

星奈「ファイアークラッカー!!」

呪文を唱える。商人は他の職業に比べてアイテムを効率よく使える上に消費アイテムを一定の確率で消費しないというアビリティもある。

星奈「ラッキー、いきなりスペルスクロールが二度使える。もう、いっちょ、ファイアークラッカー!!」

五十人程度の部隊を狙い撃ちする。

夜空「…………ブリザードっ!!」

こうして戦いの幕は開いたーー。
153 :>>152は夜空視点 ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 04:14:30.17 ID:4zkzuASAO
【北門…屍使い】

おれ「っ!! ザッパー、モコ、数は!?」

モコ「五百ってとこだねー」

おれ「……やっぱこっちは遊撃隊。早くナツキの方に援軍に行かなきゃ」

ザッパー「しかし、教団員だぜ? 五百といっても骨が折れる!!」

ギャスパルクを信仰することによって大幅に能力があがる。

おれ「突撃する!! リッチ!!」

サモンモンスターで呼び出したのは俺の中で最強の手駒。

エンチャットを掛けて大軍に向かう。

ザッパー「しゃあねぇ、俺もちゃっちゃと終わらせに行きますか」

モコ「りょ〜かい〜」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/20(火) 04:32:29.14 ID:4zkzuASAO
【西門…女王】

私「…………やはり、こちらは手薄だ」

イシュラ「うん、街の警護隊とあたし達がいれば大丈夫だと思う」

全軍エンチャットにより志気も上がり、教団員を撃退していく。

私(しかし……あまりにも手応えが無い)

十何人かの部隊が小出しで牽制してくるのみ。

私(…………この場所は離れる事も出来ない)

仮に私がイシュラがこの場所を離れたら一人で戦う羽目になる。

私(少なくとも手を放せない……嫌な予感がする)

四千から五千という人数は教団の部隊としては特段に大掛かりな攻めとは言えない。

嘗て、王都を攻め落とした時の数は二十万。

その莫大な数の力で為す術なく王の都は滅びた。

イシュラ「はぁっ!! 」

また一つの部隊を壊滅させて次の部隊を待つ。

私(…………まるで罠に掛かったような気分だ)

本隊の方はステータスを見る限り最強の三人が守っている。それを抜けていくのはなかなかの至難な技だろう。

一騎当千以上の彼女達が守る正門は心配が無い。

ましてやジロー達が守っている方も凄腕が三人。

教団としても我々がこの街にいたのは予想外なのだろう。

落とすには些か数が心許ない。

その時、嫌な予感は絶望の確信に変わる。

私「っ!?」

私に目に飛び込んできたのは大空を飛ぶ一匹の巨大なドラゴン。

地上で迎撃する私達をーー

北門で戦っているジロー達を、

正門を守護しているナツキを無視して。






街の中心に降り立った。
155 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 05:24:33.97 ID:4zkzuASAO
【俺】

街から少し離れた平原で振り返る。

俺(…………いいんだ、これで)

肩の荷が降りた筈なのに………

後悔ばかりが降り募る。

俺(いいじゃねぇかっ!! 怖いんだよっ!! 逃げることの何が悪いっ!! 死にたくねぇんだよっ!!)

これで良かったのか、と。

お前はそれでいいのか、と。

問いかけてくる何かを振り払う。

俺(カッコ悪くていい、情けなくてもいい。ただ、死にたくねぇっ)

魂が震える。

その時、地面に黒い影が現れる。

上を見ると巨黒のドラゴンが街へ向かっている。

俺「っ!!」

体が震える。逃げ出したことに歓喜する。











それなのに魂が俺を責め立てる。

俺「…………」

何を考えてるんだ、俺はーー

否定したい。忘れたい。

なのにーー


『あたしはあんたが好きっ!!』

俺はーー






1 街へ戻る
2 街へ戻る
3 街へ戻る

安価は+1
156 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 05:51:30.82 ID:4zkzuASAO
【瓦礫の街…エルフ】

私はその光景を見て儚いと思った。

夜空「っ!!」

無力な人間が、

星奈「ヴァイヒール!!」

無駄な努力を、

ナツキ「っぁ!!」

無駄に生き急ぎ、消えてゆく。

エル「…………呆気ない」

倒れる何十人もの人間を眺める。

その中で息をしているのは僅か数人。

ナツキ「っ!! ホーリすとっ……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ドラゴンの尻尾に吹き飛ばされる聖騎士。

パール「…………っ!!」

ドラゴンは小さな抵抗を嘲笑う。

足を踏み鳴らせば地震、息を吐けば炎。

災厄の名を欲しいがままに欲しているその姿はーー

イシュラ「たぁっ!!」

嘗て仲間だった少女を見下ろす。

イシュラ「っ!! どうしてよっ!! 姉様っ!!」

レヴィア「……」

イシュラ「どうして姉様がそんな事をーー」

レヴィア「力が……無かったから……」

イシュラ「っ!!」

レヴィア「イシュラにはわからないでしょう。私がユーゴさんに無理矢理、純潔を奪われた苦しみを」

イシュラ「そ、そんなのっ!!」

レヴィア「わからないでしょうね……あなたはいつも明るくて悩みなんてなさそうで脳天気に笑って、いつもいつもいつもいつも!!」

イシュラ「……」

レヴィア「私は私を酷い目に合わせた神なんていらないっ!! 私は私に力を与えてくれる神を信仰するっ!! そして……私は全てを壊すのです」

レヴィアの瞳から光が消える。

それは完全に「ギャスパルク」の僕となった証拠。

破壊に身を捧げ、善の心を捨てーー

悪に身を堕とした証拠。

レヴィア「だからーー死になさい。妹よ」

イシュラ「……っ!!」

ドラゴンが口を開き、煉獄の炎を吐く準備をしている。

私達は街を後にする。

夜空「くっ!! 爆発しろっ!!」

例え、この瞬間を生き延びたとしても生き残る術など無いのだから。
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/20(火) 05:58:03.09 ID:4zkzuASAO
【瓦礫の下…聖騎士】

全て終わる。

私は直感的にそう感じた。

例え、どんな奇跡が起きたとしても回避できない死が迫り来る。

ナツキ(…………命を懸けて、少しは正義を貫けたかな……)

私はあの時、見送った後ろ姿を思い出す。

とても、頼もしいと感じたあの背中を……。

だから、あいつに会って自分の正義を話したい。自分の偽善を話したい。卑怯者を撤回して貰いたい。

残りが殆どない自分の赤いバーを見る。

私(…………あたしはまだっ、[ピーーー]ないっ)

剣を杖代わりに立ち上がる。

そして、私はあの背中を再び見たーー
158 :うわっ、一人称間違った…… ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 06:02:39.63 ID:4zkzuASAO
【瓦礫の街…戦乙女】

あたしはーー

あいつの事を一度だってそう呼んだ事は無い。

けど、やっぱあいつはあたしに剣を教えてくれた人でーー

あたしにとって一番、頼りになって、

どこにも行って欲しくなかった、ただ一人のーー


あたし「ますたぁっ!!」






あたしの大好きな師匠。




159 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 06:14:07.10 ID:4zkzuASAO
【俺】

足ががくがく震え、涙で視界が滲む。

竜「…………何故、我輩の前に立つ弱きものよ」

俺「わかんねぇよ……わかんねぇ」

竜「不思議なことを言う。そんなちゃちな剣では我が輩に傷をつけることすら出来まい、弱きものよ」

俺「それでも……逃げたら駄目だって思った。みんなが俺の幻想を見てるならーー俺がその幻想を超えなきゃならないと思った。だから怖くても、弱くても、俺はーーお前から逃げちゃ駄目だと思った!!」

竜「…………そうか、弱きものは訂正しよう。強きものよ」

俺「っ!! 違う!! 弱いから一人になるのが嫌なんだ、弱いからかっこつけてんだ!!」

竜「人間よ、見よ。神々が貴様を祝福している」

俺「っ!!」

竜「敬意を持って我が輩の必殺の一撃で貴様を消し炭にしようっ!! 我が名はヴァイオン!! 貴様を[ピーーー]竜の名だ!!」

羽を動かし上空に飛ぶ。

そして、業火をーー


俺(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)

脳裏に浮かんだ一言を無我夢中で叫ぶーー











『コレクションっ!!』








160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/20(火) 06:16:14.26 ID:4zkzuASAO
【コレクション】

絶対的な自信、絶対的な強さ。そして弱さを兼ね備えた強さを知った時にその力は第三段階に移行する。
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/20(火) 06:24:58.32 ID:4zkzuASAO
【時間概念の無い世界】


???「クスクスクスクス」

俺「っ!?」

周りの景色が止まっていた。

???「ここはあなたの因果の世界」

俺「いん……が?」

???「そう因果。世界には因があり果をもたらす。そしてあなたは強さを超えて弱さを経験し再び強さを手に入れた」

俺「強さ…………」

???「コレクションはあなたの因果。あなたの因果を思い出して」

俺「思い出す?」

???「あなたはーー嘗て竜殺しだった。例えあなたが死んだとしても○○○○の因果は消えない」

俺「?」

???「祈って。あなた自身にあなたの因果は竜殺し」

俺「……」

???「高らかに告げて、嘗てあなたがーー竜殺しであった事を」










『我が名は竜を[ピーーー]理由と成るっ!!』








162 :こっから厨二タイム ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 06:28:20.53 ID:4zkzuASAO
【竜殺しの因果】

嘗て竜王を殺した際に得た因果。登場人物である『俺』は竜と戦うという因を為す時、莫大な力を得るという果をもたらす。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 12:08:27.58 ID:7aOaYaego
厨二最高!!!
164 : ◆tMXUWfc6dfaK [sagasage]:2012/03/20(火) 17:25:14.79 ID:4zkzuASAO
【俺】


竜「…………」

俺「…………」

睨みあう。

灼熱を消す為に翳した腕からは荒れ狂う吹雪が吹いた。

俺「はぁっ!!」

大地を蹴り上げ、竜の眼前まで飛ぶ。

腕を振るい殴りつける。

竜「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

大地に叩きつけ、それを追撃する為に地面に下り立つ。

落とした場所は村の外。

俺「…………っ!?」

振るわれた尻尾に薙払われる。

俺「がっは…………」

錐揉みしながら森林まで吹き飛ばされる。

頭の中に響く。決して、竜相手だから無敵なのでは無いと。
頭上の赤いバーが四分の一、減っている事に気づく。

俺(…………っ!!)

両手を前に翳す。

俺「我が名は、竜を殺すもの也っ!! 深淵より吹き出し息吹よ!! その全てを凍らせよっ!!」

竜「この程度っ!!」

業火が吹雪を押し返す。

俺「っ!!」

灼熱に身を焦がされ。

俺「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

絶叫する。

竜「終われっ!! 強き者よ!!」

膝をつきそうになる、死にたくなる苦しみが全身を襲う。

俺「それでもっ!! 終わらないっ!! 終われないっ!! 俺は俺である為にーーお前に勝つんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

身体を燃やす煉獄の炎を腕に集結させる。

俺「我が腕は竜を食い破る剣!! 我が腕の必殺をその刹那で味わえ!! 我が名は竜を殺す為にあり、我が生は竜を絶やす為にあるっっっ!!」

身体中の骨が砕ける。皮膚は切り裂かれて、腕は黒ずみ、視界もぼやける。

けれどもこの一撃は外せないっ。

この一撃に全てを込めるーー

竜は腕を振るう。

その腕よりも遥かに早く叩きつける俺の一撃っ!!

俺『我流天成っ!!』

その一撃は竜の臓物を喰い破るーー
165 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 19:56:43.74 ID:4zkzuASAO
【俺】

俺「…………っ!!」

腹に穴が空いているにも関わらず、赤いバーはまだ存在していた。

竜「強いな…………」

もう立っているのもやっとだ。

視界がぼやける。涙が出そうになる。

死ぬのは嫌だと後悔する。

竜「…………喜べ、人間。貴様の勝ちだ……」

ぐらりと竜の図体が倒れる。

そして、赤いバーは真っ白に染まる。

間抜けな音が頭上で何度も響く。

俺(あ、マズい…………)

血が足りない。頭が重い、吐き気がする、息が出来ない。

迫り来る虚無感に身を任せたーー
166 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 20:16:21.74 ID:4zkzuASAO
【復興の街ー俺】

俺「っ!? い、生きてる……っ!!」

目覚めた時に思ったのは目覚めた事に対する安堵。

俺「よかった……っ、生きてるっ……」

シーツの上に涙を落とす。

俺「っ…………」

握りしめた拳に手が重なる。

星奈「…………ありがと」

俺「…………」

その言葉を受け入れるにはあまりにも勇気が足りなかった。

星奈「あたしは知ってる。あんたはあんただって……」

その言葉がどれだけ嬉しかったか、どれだけ救いになったか……。

今の俺が俺であることを認めてくれる。

そのことがありがたくて泣き続けたーー
167 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/20(火) 23:55:01.61 ID:4zkzuASAO
俺「…………えと」

旭日騎士団を始め、俺の周りには異端審問をするが如く集まっている。

パール「あの力は……一体?」

俺「…………恐らくあんたらが思ってる通りだと思う」

あの時が止まった世界で聖女のような彼女が告げた。

(かつてあなたは○○○○であった)

それはつまりーー俺は違う誰かだったことを裏付ける証明。

俺「けど……俺はっ!! 俺はあんたらが想像している人物じゃない……因果とか何とか俺もわかんねぇんだよ!!」

夜空「…………しかし、現に貴様はっ」

俺「確かに訳のわからない力を無我夢中で使った。けど、それが何だよっ!! 俺は俺なんだっ!! 夜空さんの恋人じゃない!! あんた達の知り合いじゃない!!」

夜空「っ!!」

俺「俺は星奈を捨てたりしないっ!! 誰が何て言っても、俺は前の事なんか思い出さない」

夜空「ふざけるなっ!!」

乾いた音がテントの中で響く。

夜空「どれ……だけ……私が辛いか、わかるか……」

俺「知らない。そして知る必要も無い。俺は確かに聞いたんだ『前』の俺は死んだって」

夜空「嘘を言うなっ!! お前は私を思い出す義務がっ……」

俺「はなせ……よっ」

腕を無理矢理、払いのける。

俺「…………やっぱり言うんじゃなかった。黙ってれば良かった。希望に現をぬかしてれば良かったんだ」

イシュラ「っ」

俺「俺はあんたらを思ってーー」

パール「違う」

俺「っ」

パール「それは貴方が安心したかったからだろう。私達のせいにしないでくれ」

俺「…………」

パール「主の顔で主と同じ声で主を汚すな。目障りだ……頼む、どこかに行ってくれ」

俺「…………」

俺はテントを出る。

星奈「俺っ!!」

俺「少し散歩してくる……」

星奈「…………うん、わかった。待ってるから」
168 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/21(水) 02:44:42.95 ID:e2ql912AO
俺「…………」

瓦礫の街を眺める。

破壊と蹂躙の跡がその恐ろしさを物語る。

ウィンディ「まっぱー」

俺「っ!!」

ウィンディ「あははっ、どうしたの〜?」

幼いからこの悲惨さがわからないのか、それとも心の何かが壊れているのか。

ウィンディ「ありがとー、まっぱー」

俺「っ!! 俺は……俺は何もしちゃいないっ!!」

ウィンディ「ウィンディは知ってる。まっぱーが竜を倒した!」

俺「違う、あれは……俺の力なんかじゃない」

ウィンディ「違うの〜?」

俺「あぁ……」

ウィンディ「でもかっこよかったよ? びゅーんってお空飛んで、バーンってドラゴンたたいて」

俺「…………」

ウィンディ「よくわかんないけど……ありがと」

俺「え?」

ウィンディ「まっぱーが戻ってきたから救われた人もいるよ?」

俺「…………」

ウィンディ「それもまっぱーじゃないの?」

俺「俺はっ」

ウィンディ「おれはー?」

俺「俺は誰かを助ける為なんかじゃ無かったっ……俺は俺を守る為に……」

ウィンディ「うーん。むずかしいこと、わかんない。でも、まっぱーはえらいっ!!」

俺「…………偉いかな」

ウィンディ「うん、まっぱーじゃないとできないよ」

俺「…………俺じゃなきゃ出来なかった」

心に響く。

ウィンディ「バイバーイ、まっぱー」

俺「ん? あ、あぁ……」

ウィンディもどこか行った事だ。

俺も散策をするかーー







1 孤児院である教会を見に行く。

2 竜の死体を見に行く。

3 森の方へ向かう。

4 宿屋に一度、戻ってみる。


安価+2
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 02:49:57.85 ID:cDdp3c44o
ksk
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/21(水) 04:04:36.15 ID:bWwgVHD60
2
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/21(水) 21:29:53.16 ID:e2ql912AO
【俺】

俺「…………」

竜の死体は解体されていた。竜の肉は高価値である。

わかってはいたが…………

老人「あ、あの勇者さま……」

俺「お、俺ですか?」

老人「えぇ、この度は街を救って頂き、ありがとうございます」

俺「…………いえ」

老人「…………これだけの被害……我々は竜の肉を捌いて他の街に売りに行きます…………本来なら勇者さまの許可なくそんなことをすべきではないのでしょうが……」

俺「…………いえ、是非そうしてください」

老人「……ありがとうございます……勇者さま、実は」

俺「?」

老人「竜の骸からこれが……」

渡されたのは老人が持っていた槍。

俺「これはあなた方が持って売った方が…………」

老人「……我々はもう武具を目にするのもおぞましいのです。どうか、勇者さま、お収めください」

俺「…………そう……ですか……」

槍を受け取る。

老人「…………それでは」

俺「はぁ……では」

槍を握りしめる。

老人「勇者さま、あなたはこの街を救ってくださった……何を言われたとしてもそれはあなたに対する恨みではありません」

俺「………………」
172 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/21(水) 23:53:13.57 ID:e2ql912AO
【瓦礫の街…俺】

ナツキ「……ねぇ」

俺「えっと……」

さっきの事もあってか色々、気まずい。

ナツキ「剣の稽古したいから……付き合って」

俺(し、シメられる……っ)







俺「ま、参った…………」

槍が弾き飛ばされ、手を上げる。

ナツキ「三十二連勝目っと……」

木に棒を一本継ぎ足して数を記載する。

俺「…………よ、弱いもの苛め反対っ!!」

ナツキ「うっさい、次よ、次」

俺「う、うげぇっ…………」

ナツキ「あー、すっきりした」

俺(この女、鬼かよ……)

ナツキ「…………少し君と話がしたかった」

俺「?」

ナツキさんは隣に座り込む。

ナツキ「あたしのいる旭日騎士団って今、考えてみればーー凄く踊らされてた」

俺(聞くとか言ってないのに……)

ナツキ「でも、そんな中で君に出会った事だけは……微塵も間違いじゃなかった」

俺「…………だから」

ナツキ「前の君でも、後の君でもよ」

俺「え?」

ナツキ「最初ね、君が逃げ出した時、あぁ、やっぱりって思った」

俺「…………」

ナツキ「最初から強い人間なんていない。だから、ほっとした」

俺「ほっとした?」

ナツキ「あいつね、あたしに何て言ったと思う? 卑怯者よ、卑怯者」

俺「…………」

ナツキ「弱かった私は強くなってその力を振るうのを楽しんでいた卑怯者だったの」

その言葉を俺は否定したかった。誰だって分不相応な力を持てばそうなる。

ナツキ「たくさん卑怯者って言われた。その度に悔しくて泣いた。その姿を君に重ねてーーほっとしちゃったの。本当に卑怯者だよ」

俺「そんな事無いですよ……俺だって、逃げ出したかった、何も見ていない事にしたかった……だけど大切な人がいたから」

ナツキ「うん、君は君なんだよ。前とか何も関係無い。一度目は君の強さに救われた。二度目は君の勇気に救われた」

俺「…………」

ナツキ「だから、ありがとう。今の君は前のあんたと比べても遜色ないよ。むしろ、優しい分、素敵かな?」

ナツキさんのその笑顔は劣等感を吹き飛ばすには充分な破壊力があったーー
173 :寝る ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/22(木) 02:36:29.76 ID:S56bV1RAO
【俺】

どんな場所でも必ず朝がくる。

例え、滅んだ国の跡地であろうと、何も見えない深い洞窟の中であろうと。

夜が明けないことに気づかなくても必ず朝はやってくる。

俺「…………ナツキさん。何してるんですか」

ナツキ「え? いや、何でもないわよ?」

目を覚ました時に何故か眼前に顔があった。

星奈「おっは…………よ…………」

テントの入り口が意気揚々と現れる。

今の俺の状況を説明するならーー

床に毛布で寝てる俺。隣に座り込み顔を覗きこんでいるナツキさん。

星奈「…………へぇ」

あ、ヤバい。これはヤバい。多分、死なないだろうけどーー凄く痛い目に遭う。

どこからか取り出したスペルスクロールをーー

星奈「ファイヤークラッカー!!」

俺「あんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」










星奈「むっすー」

如何にも怒ってますアピールをする星奈。

俺「あ、あのさ、何でも無いよ……本当に」

星奈「わかってるわよ……ただ、少し胸の奥がむずむずするだけ」

唇を尖らせて不満げに呟く。

星奈「触る?」

胸がむずむずするという言葉のせいで凝視をしてしまっていた。

俺「…………ごくり」

星奈「いいよ、俺なら……」

目を閉じる星奈。俺は肩を掴み、その唇に唇をーー





ジロー「うーっす………………あ、すいません」

星奈「…………」

俺「…………」

ジロー「あ、いやナツキの奴が三人に話したいことがあるって……あはははははは……はははは…………はは……ごめんなさい」

結局、そのまま向かう事にしたーー
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/03/22(木) 02:54:16.32 ID:/6FHgzyWo
乙おやすみー
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 07:45:44.90 ID:vbCr1toIO
乙おはよー
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/22(木) 22:46:42.15 ID:D0ni5jCSo
前スレのタイトルって何?
面白いが途中からだからよくわかんねえ
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/23(金) 10:39:59.71 ID:owNAQv6SO
支援
178 :>>1通りだよ ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/23(金) 21:12:46.15 ID:gqQjN3jAO
【俺】

俺「…………は?」

耳を疑った。

俺「な、なんで俺がそんな危険な旅を?」

夜空「…………いいだろう、別に」

俺「良くない!! 好ましくない!! 断じてお断りする!!」

星奈「そ、そうよね……まぁ、俺はそういうと思っていたわよ」

だから、はいと渡された書類。

俺「!!?」

『奴隷契約書

何らかの原因で破棄された場合、奴隷市場商館に七百万ゴールドをお納め、更にその破棄が第三者による破棄であった場合、再契約書を発行いたす』

俺「は、図ったな……」

万が一、逃げでもしたら商館で買い物所か教団の傘下国であろうが非教団の国であろうが全ての国で生活はできない。

それ程、財力は世界を動かしうるのだ。

涙目で睨む。

俺「し、信じてたのに……」

星奈「あ、あたしだってこういう形は不本意なの……」

俺「…………うぁっ。うわぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁん」

星奈「い、いや!! あのね、愛してるから離れ離れになりたくないのよ!! ねっ!?」

ジロー「あの俺が泣いてる……なんか見たく無かった」

そりゃ、泣くだろう。恋人に裏切られたんだぞ。泣くに決まってる。

星奈「そ、それに」

俺「俺が戦えるのは竜相手だけなのぃぃぃぃぃぃ教団とかぁぁぁぁぁ死にたくないぃぃぃぃぃうわぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁん」

星奈「あ、あたしが守るからねっ!! ねっ!!」

ナツキ「あたし『が』守ってあげる」

星奈「むっ」

ナツキ「ふふん」

パール「大の男がみっともないっ!! 泣くでない!!」

俺「泣くわぁ!! 泣いたるわっ!! 泣いたったわ!! うわぁぁぁぁぁぁんうわぁぁぁぁぁぁん」

この三日は涙腺が本当に緩くなっている。そりゃあ、命をかけたりしたくない。

夜空「…………俺」

呼ばれて振り返る前にーー

俺は手刀で意識を刈り取られた。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/03/24(土) 01:40:00.75 ID:YCvlzk4AO
売られていく子牛の気持ちはわからなくもない。

俺はあの日から子牛だったのだから。

馬車に荷台に座り外の風景を眺める。

俺「…………うぅっ」

ジロー「ま、まぁ、大丈夫だって高レベルが集まってるんだから」

ザッパー「そ、そうそう、戦闘は俺達がやるから」

俺「お前ら……そ、そうだよな!! 例え『ドラゴンにボロカスにされてた奴ら』でも『こえ見えても』高レベル集団だよ……な……」

何故か二人の頬は引きつっている。

俺「?」

モコ「天然って一番、たちが悪いよね〜」

のんびり寝ながらモコさんはそう言った。






俺「手綱をひく」

夜空「…………そうか」

次の街までは逃亡を諦めて大人しく従事することにした。

夜空「…………魔物が出たら貴様にも戦ってもらう」

俺「はぁ!?」

星奈「ちょ、ちょっと、夜空!? あたしはそこまで許してないわよ」

夜空「うるさい、肉。もしかしたら……記憶が戻る」

その瞬間、乾いた音があたりに開く。

打たれた夜空さんは星奈を睨みつけた。

夜空「何をする!?」

星奈「あんたこそ何を考えてんのよ!?」

夜空「……この世界だってこいつよりもーー」

星奈「それ以上言ったら絶対に許さないから」

夜空「…………」

星奈「今の俺の何がいけないの?」

夜空「そりゃあ……貴様には都合がいいだろうさっ!!」

星奈「っ!! あたしはそういう意味でーー」

夜空「ならば!! どういう意味だ!! 貴様は選ばれたからそうやって、私を哀れんでっ……っ」

俺「あ、あのさ!! た、戦うから、役に立つかどうかはわかんないけど……だから、その、喧嘩は……」

罵り合いを聞きたくなくてそんな言葉を俺は口に出したーー
180 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/26(月) 02:26:31.11 ID:LDE/8xPAO
【馬車内ー星】

あたし「ね、ねぇ、夜空」

あたしは気まずさに耐えきれず尋ねる。

あたし「あ、あんたの気持ちはわから」

夜空「わからなくもない……か」

セリフを先にいわれて口ごもる。

夜空「私だってわかっているのだ……あいつを個人として認めねばならない事を……」

あたし「……」

夜空「けれど……あいつの影を追うことをやめれば私は私でなくなってしまう!!」

あたし「……」

夜空「私はっ…………」

あたし「ねぇ、夜空……記憶ってそんなに大事なのかな?」

夜空「っ」

あたし「今から積み上げていく事は出来ないの? そりゃあ、あたしらはあいつのカッコいい所しか知らない……けど、あいつにだって弱かった時もあると思う。夜空は幻想を抱きすぎなんじゃない?」

夜空「そうだとしても……っ、今更」

星奈「別に大丈夫よ……あいつは脳天気だし」

手綱を鼻歌混じりで持っている俺の姿を荷馬車の穴から覗く。

星奈「…………本当に昨日あんだけ泣いたなんて思えないわよ」

夜空「…………少し貴様が羨ましいな……」

星奈「ん?」

夜空「いや、何でも無い……ただ、私は待つよ」

星奈「……」

夜空「奴があのままでも構わない。ただ俺の奴が戻ってきた時に私が居場所になってあげてもーーいいだろう?」

星奈「そうね……」

ゆらゆらと荷馬車にゆられながら私達はそれぞれの道を決めたーー
181 :明日から小旅行wwwリア充ですいませんwww一人で寺巡ってくるわwww ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/03/26(月) 22:16:35.69 ID:LDE/8xPAO
【俺】

野営のキャンプを抜け出し、大きく息を吸う。

俺「…………ふぁぁっ」

欠伸をかみ殺しながら考える。

さて、どうしようかなーー



1こんな所にいられるか。俺は一人で帰る。

2何があるかわからない。槍の練習でもしようかな。

3そういえば荷馬車に魔術書があった……魔術の練習でもしようかな。

4冷えるな、さっさとテントの中に戻ろう。


安価+3
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 22:19:52.45 ID:5mDC7LCVo
マwwwwwwジwwwwでwwwwwwwwwwww

行ってらっしゃい(´;ω;`)ブワッ
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/26(月) 22:35:31.08 ID:Hwl0Z7YIO
ksk
りあじゅうおつ
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/27(火) 02:33:29.58 ID:X9tGwWkro
4
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/03/30(金) 23:15:26.66 ID:NizwZAYoo
俺も旅に出るか…
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/31(土) 15:38:46.04 ID:LyBOM8ASO
まだ和尚タソとイチャイチャしてんの?
187 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/04/01(日) 09:17:32.16 ID:4xKGHylAO
ふざけんな、仏像といちゃついてたんだよ。

と、いう訳で夜行バスで帰ってきたので寝直します。

今日の夜か明日の朝かに投下する。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 21:59:17.15 ID:dk80qyASO
>>187
キター
189 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/04/02(月) 01:20:24.59 ID:gC7NXYqAO
【俺】

テントの中は意外と広い。女性と男性を区切る仕切りだけである事から夜這いを期待されているのか、男として期待されていないのか。

数年使っているというこのテントからはジローやザッパーの男としての立場がわかってしまう。

それに準じて俺も同様、草食動物のように大人しく振る舞う義務が生じるだろう。

俺「……いや、その理屈はおかしい」

一人ごちる。

隣の部屋に恋人がいる。ならば夜這いを仕掛けるのが礼儀ではないだろうか。

俺「……」

足音を消しながら、視覚阻害のマジックアイテムに触る。

商人の奴隷として生きてきたおかげでわりかし、マジックアイテムの知識には自信がある。

俺「……ここを。こうこうこう」

手早く器用に解除する。

俺「しつれーしまーす」

小声で呟きながら足から向こう側に入る。

そして仕切りの向こう側についた瞬間。
モコ「ん〜んにゃんにゃ」

イシュラ「……」

パール「……」

ナツキ「……」

夜空「……」

星奈「……」

俺「……先に言い訳させて貰えば俺は星奈に会いに来ただけでそれっぽっちも期待してた訳じゃないんだ。うん。そんなスケスケの服で寝ているなんてわかんないし。いつもは甲冑やらローブとかだからさ。わかんない訳。うん。あと、イシュラ。その下着はどうかと思うよ? それ、下着じゃなくてもう、そういう代物だしさ。うん。見て楽しむというか……あわわわわわわわわわ」

その日、俺は朝まで近くの木に吊されていた。

ジローとザッパーから何故か心の底から仲間だと受け入れられた。
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 05:42:57.31 ID:vFi225CMo
おかえり乙
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 07:32:46.36 ID:9fdMWgoIO
やっとだ乙
192 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/04/02(月) 14:58:12.29 ID:gC7NXYqAO
【俺】

俺「…………」

星奈「…………謝ってよ」

俺「あ、謝っただろ!!」

星奈「…………ぐすっ」

俺「だ、大体、こんな馬車の中で……そんなネックレスを落とすなんて踏むに決まってーー」

星奈「もういいっ!!」

俺「…………」






割れた銀装飾のネックレスを見る。

星のような物だったのは覚えているが、どんな形だったかは覚えていない。

出会った頃は毎日のように付けていたのに、今じゃ付けている姿を余り見かけない。

それでも大事なもののようでこれを踏んで割った時にはショックを受けていた。

俺「…………」

がさつに冒険者用のローブのポケットに直す。

明日には街に着く。

その時、俺のこの色々な思いに向き合わなくてはならない。
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/04/03(火) 18:32:56.02 ID:phzOrF6AO
【教団の支配下の街ー俺】

俺「…………ひでぇ」

正義感なんてこれっぽっちも無い。

けれど首輪を付けられて飼う側と飼われる側をハッキリと区別していたその街は腐っているという表現以外に言葉にしようが無かった。

俺「…………」

星奈「一応、宿は取ったわ」

素っ気なく呟かれる。多分、昨日の事が関係しているんだろうが、今の俺には一切関係が無い。

目の前の理不尽を俺は唾を飲み込む事すら忘れて見ていた。

嘗て、奴隷だったとは言えーー

このような地獄絵図を俺は見た事が無い。

人が道端で売られている。

そしてーー

俺「っ!!」

一人の少女と目があう。

その目はどこまでも深く、どこまでも黒い。

幸福も希望も絶望も不幸すらも見えないような虚ろな瞳だった。

星奈「俺?」

俺「…………」

何か大事な事を忘れている。

結局、俺は女の子から目を逸らしてその場を後にする。

そうする事で何も出来ない弱さから逃げ出した。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 07:03:39.12 ID:gss3M2pIO
うむ
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 00:11:04.74 ID:Ip5wojZSO
支援
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 01:44:00.55 ID:Donlc4fDo
リアルが忙しくなったか
197 :>>196が正しい ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/04/10(火) 15:50:20.05 ID:0eBhy9gAO
俺「…………」

星奈「どうしたの? 急に黙り込んで?」

俺「そりゃあ……黙りたくもなるよ……こんな光景……」

星奈「光景?」

俺が見つめる先々には首輪をされた人々。

俺「普通じゃねぇよ!!」

星奈「ど、どうしたのよ、急に……。のどかな街じゃない。まぁ、街に家畜を放し飼いするのはーー」

その瞬間、俺は星奈の胸ぐらを掴んだ。

俺「家畜だ……と!? ふざけんなっ!!」

星奈「は、はぁ? どうしたのよ」

腕を振り払われる。

俺「…………もういい」

星奈「?」

俺「ここで俺は下りる。奴隷として逃げ出した罰でも何でもーー受け入れてやるよ」

その瞬間ーー

ぐにゃりと視界が歪んだーー
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 22:43:11.21 ID:UeUeqflIO
やめてもいいぜ
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/04/12(木) 01:00:07.63 ID:O0VvB8JVo
待ってるぜ
200 : ◆tMXUWfc6dfaK [sage]:2012/04/18(水) 15:29:34.63 ID:zFH4fEXAO
響くのは鎖の音。鳴るのは手錠の金具。

俺「……っ」

目が覚めると見知らぬ世界が広がっていた。

広い荒野の世界に蟻の大軍のようにひしめき合う人々。

その光景を見て、記憶なんて一年しかないのにも関わらず懐古の念が湧き上がる。

あぁーー

確かにここは始まりの世界だと

名前を失うーー

記憶を無くすーー

人格を亡くしたーー
なのに魂が覚えていたーー
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/04/18(水) 15:31:43.08 ID:zFH4fEXAO




第あpuゅ1aj章 「1あjtm728tゃagたtpっま2k」





202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/04/18(水) 15:45:09.46 ID:zFH4fEXAO
女「あら、新人さん。目が覚めまして?」

俺「っ!?」

蒼い瞳の女性が隣で同じようにボロキヌを着て、手錠をはめられ、壁から伸びた足枷の金具を鳴らさないよいに気をつけて話しかけてきた。

女「ここがどこだかわかります?」

俺「いいや」

女「そう。ならばお教えさしあげますわ。ここは奴隷牧場。奴隷を、家畜を育てる為に生み出された世界ですわ」

煤に汚れているにも関わらず綺麗な金髪と整った顔立ち、蒼い瞳は奴隷というには余りにも美しい女性だった。

女「わたくしの名前はーー忘れてしまいました。何せ、この世界に時間の概念は無いのですから」

俺「時間の概念が無い?」

女「えぇ、この世界で老いることは無く、死ぬことも無い。ただ、ゆっくりと人格が壊れるのを待つだけの世界」

俺「……」

女「貴方がどのような世界から来たのかわかりませんがーーこの世界に救いも無ければ喜びもない。絶望しか知らなければ悪意しか無い。お気をつけてくださいね」

俺「あんたは親切だな」

私「気紛れですわ」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/04/18(水) 17:12:39.82 ID:398rqTyxo
来てたー
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/20(金) 09:55:52.32 ID:7/IszweIO
止めるならhtml依頼出せや
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/21(土) 02:10:44.97 ID:P0esknv0o
別に失踪してないんだからいいじゃねえか
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/05/03(木) 17:43:13.68 ID:EHxzpdnuo
ほい
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/10(木) 23:59:16.39 ID:MpEgbWROo
ほしゅ
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/18(金) 02:25:28.46 ID:AIXqB4HGo

209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/05/27(日) 00:35:51.81 ID:5XVNiVKqo
終わりなのか?
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/02(土) 01:47:40.71 ID:70WwKQO8o
生きてる?
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 22:17:28.63 ID:J6I2Z5dEo
タヒんでる
212 : ◆zemCWucttw [sage]:2012/06/07(木) 02:50:03.48 ID:QVe92xK6o
こいつ、タヒんでやがる...!
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 07:16:37.70 ID:9CgWkqFIO
腐ってやがる
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/07(木) 21:32:04.76 ID:JnWyUtf0o
早すぎたんだ…
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/21(木) 02:05:28.12 ID:4WCiLLZio
来ないな...結構好きだったんだが残念だ
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