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魔法少女ほむら☆サヤカ - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 03:59:13.25 ID:/Vg3M2/u0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 教室(見滝原中学校):ホームルーム
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

目の前には沢山の生徒がほむらを見ていた。
今日は転校生という珍しいイベントでほむらはその当事者だった。
そんな現実から逃げるためにほむらは顔を伏せて見ないようにする。

早乙女「はーい、それじゃあ……自己紹介、言ってみよー」

ほむら「あ、あ……あ、あの……あ、あけ、わ、私……暁美、ほむら……です」

   「ど、どうか……よろしく、おねがいします……」

早乙女「暁美さんは心臓の病気でずっと入院してたの」

   「みんな、仲良くしてあげてね」

   「では、これでホームルームを終わります」

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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:00:02.58 ID:/Vg3M2/u0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 教室:休み時間
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

昼休みに入ると周りのクラスメイトが一斉にほむらの周りにやってきた。
そして、一斉に話始める。

生徒A「ねぇねぇ、暁美さんは前はどこの学校だったの?」

ほむら「え、あっと……あ、あの……」

生徒B「部活とかやってた?」

ほむら「あの……その……」

生徒C「すっごく、長い髪だよね? 編むの大変じゃない?」

ほむら「あの、私……」

髪の短い女の子「みんな! ちょっとごめん!」

声のする方を向くと二人の女の子がやってきた。

髪の短い女の子「暁美さん、休み時間は保健室で薬を飲まないといけないんだって!」

生徒A「そうだったの?」

生徒C「ごめんね、暁美さん?」

髪の短い女の子「みんな、ごめんね!」

ツインテールの女の子「暁美さん、保健室の場所わかる?」

          「わたし、保健委員だから……案内してあげるね!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:00:49.63 ID:/Vg3M2/u0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 廊下:休み時間
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

髪の短い女の子「いや〜、転校生が珍しいからって、みんなはしゃいじゃって!」

髪の短い女の子が笑いながら言う。

ツインテールの女の子「さやかちゃんだって、すごくはしゃいでたよ?」

さやか「なにぉ〜! まどかだって話したがってたじゃん!」

まどか「わ、わたしは〜、さやかちゃんほど騒いでないもん!」

さやか「はいは――」

ほむら「あ、あの!」

二人がほむらの方を振り返る。

ほむら「そ、その、あ、ありがとう……ございます……」

さやか「あ〜、そんな緊張しなくていいって!」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:01:19.86 ID:/Vg3M2/u0
まどか「そうだよ、クラスメイトなんだから! わたし、鹿目まどかで隣に居るのが――」

さやか「あたしは美樹さやか、さやかでいいよ」

ほむら「あ、え、う……」

まどか「わ、わたしもまどかでいいよ?」

さやか「暁美さんのことは、ほむらって呼んでいいかな?」

ほむら「え! あ、その……私、あんまり名前で呼ばれた事ないから……変な名前だし……」

さやか「そう? カッコいいと思うけど? ねぇ、まどか?」

まどか「うん、わたしもカッコいい名前だと思うなぁ〜」

ほむら「そ、そんなことないです……名前負けしてますし……」

さやか「う〜ん、だったらさ! ほむらがカッコよくなったらいいじゃん!」

ほむら「……」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:02:20.38 ID:/Vg3M2/u0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 教室:授業中(数学)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむらが黒板の前でチョークを持ち固まる。

ほむら「……っ」

数学教師「あー、君は休学してたあんだっけかな」

    「後でノートを借りとくように」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 運動場:授業中(体育)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

さやか「そいやぁー!」

まどか「さやかちゃんー! 頑張れー!」

野球ボールを打ったさやかがバットを捨て、グラウンドを走る。
そんな、さやかをまどかがベンチで応援している。
ほむらはそんな二人の様子を木陰で見ているのであった。

生徒A「準備体操だけで貧血ってやばくない?」

生徒B「仕方ないよ、半年もずっと寝てたんじゃあさ……」

ほむら(私、カッコ悪いな……)

   (カッコ良くなって……なれないよ……)
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:02:58.94 ID:/Vg3M2/u0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 通学路:夕方
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむらが俯きながら、沈む夕日が赤く染める通学路をゆっくりと歩いていく。

ほむら(あれから、何度か美樹さん達が誘ってくれたけど……うまく、話せなかったな……)

   (結局、友達も出来なかった……)

   (美樹さん達にはいっぱい迷惑かけちゃったし……)

   (人に迷惑かけて……恥かいて……)

   (私、ずっとこのままなの……?)

『だったら――イッソ、死ンダ方ガイイヨネ?』

ほむら(そうかな?)

『ソウダヨ! ダカラ、ワタシガ手伝ッテアゲルネ?』

ほむら「……えっ?」

ほむらが驚き、顔をあげる。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:03:39.62 ID:/Vg3M2/u0
ほむら「な、何?」

『ソウ、死ンデシマエバ……』

ほむらを包む景色が不気味に変っていく。
不安定にありそうなぐらいアンバランスな色合いの空と地面に――

ほむら「ど、どこなのここ!」

『死ンデシマエバイインダヨ……』

目の前には凱旋門に似た何かがこちらにゆっくりと近づいてくる。
門の前には人型をした白い影達がほむらに向かって近づいてくる。

ほむら「ひっ! い、いや! こ、こっちに来ないで!」

人型がこちらに近づく――
ゆっくりと確実に――
ほむらが目を閉じて念じる。

ほむら(い、いやだ! 死にたくないよ! だ、誰か、助けて――)

『――見つけた! 今、助けてあげる!』

女の子の声が聞こえた。
目を開きまわりを見渡す。
しかし、目の前に迫って来ている白い影達以外は何も居ない。
だが、声はまだ聞こえる――

『――暁美ほむら! 助かりたいなら聞きなさい!』

ほむら「え? な、何?」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:04:34.74 ID:/Vg3M2/u0
恐怖で幻聴が聞こえたのかとほむらが思う。

『暁美ほむら――あたしはほむらのどんな願いでも叶えてあげる!』

『だから――助かりたいなら、あたしと契約して魔法少女になってよ!』

ほむら「え? え?」

ほむらは混乱する。
だが、助かるならと口を開く。

ほむら「だ、だったら、助けてください!」

錯乱したほむらが何処に居るかもわからない声の主に叫ぶ。

『――駄目、それはあんたの心からの願いじゃないみたい』

『そんな、軽い気持ちの願いじゃあ叶えられないよ?』

ほむら「そ、そんな!」

『ほむらが心の底から思う願いは何?』

ほむら(わ、私が心の底から思う願い……そんなの……)

白い影達がほむらのすぐ近くまで迫る。
そして、目の前までやって来る。

ほむら「……あっ」

ほむらは自分がここで死ぬのだと理解する。
一体の白い影が両手を上げ振り下ろす。
振り下ろす動作がほむらにはゆっくりとした速度に見える――
その動作を見ながら走馬灯のように今までの記憶が蘇る。
今まで、何もいい事は無かった――
見ている世界は病室の窓から見える外の景色だけで――
人に迷惑をかけて――
恥ずかしいほど情けなく思える自分がいて――
だから、ずっと心のどこかで思っていた――
カッコいい私になれたらと――
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:05:41.46 ID:/Vg3M2/u0
ほむら「――カッコ良くなりたかったな」

もう、叶える事が出来ない願い――だから、最後に思い出してしまった。

――その願い、エントロピーを凌駕したよ!

ほむらの目の前に光を放つ白い宝石が現れる。

『さぁ、手を伸ばして……それがあたしとほむらの契約の印』

ほむらが目の前で光を放つ白い宝石に手を伸ばす。
ほむらの手が触れた瞬間、白い宝石は指輪の形となりほむらの指にはまる。
瞬間、宝石が青い光を放つ――ほむらの服が光に包まれていく。
振り下ろされる白い影の手を片手で掴むと白い影をほむらが蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされた白い影が他の影にぶつかりまとめて吹き飛ぶ。
白い影を蹴り飛ばしたほむらのおさげが解け、ストレートの髪が揺れる。
同じようにほむらの身に着けた白いマントが揺れる。
眼鏡を外ししまうと青い瞳で白い影達の方を見ると口を開く。

ほむら「――サヤカちゃん、華麗に参上!」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:06:34.40 ID:/Vg3M2/u0
ほむら(へっ? えぇぇ!)

   (な、なんで? どうして? わ、私の身体が勝手に!)

ほむら「あ〜、落ち着きなよ、ほむら」

ほむら(こ、これで落ち着いてなんて居られません!)

   (も、もしかして! わ、私の身体に取り付いた幽霊とか!)

ほむら「う〜ん、惜しい! まあ、あれだよ」

   「ほむらはこのあたし! 魔法少女サヤカちゃんと契約して――」

   「魔法少女ほむら☆サヤカになったのさ!」

ほむら(な、え? えぇぇぇ!)

ほむら「あれ? 変かな?」

   「ほむらの中にサヤカちゃんが入ってるから、ほむら☆サヤカなんだけどなぁ〜」

ほむら(そ、そうじゃなくて!)

ほむら「うん? あ〜、話は後でいいかな? さっきの使い魔達に囲まれちゃってるから……」

サヤカに言われ、使い魔達に囲まれている事に気がつく。

ほむら(ひぃ!)
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:07:40.34 ID:/Vg3M2/u0
ほむら「あ〜、怯えない! このサヤカちゃんが憑いてるから安心しなさい!」

ほむら(ど、どっちの意味の『ついてる』ですか!)

ほむら「ほら、来るよ!」

ほむらを囲む使い魔達が一斉に飛び掛る。
ほむらが右手に剣を出現させ、飛び掛る使い魔達に向け剣を振る。
一瞬にしてほむらを囲む使い魔達は切り刻まれ、消滅する。

ほむら(す、すごい……)

ほむら「まぁね〜、あたし達ならこんなもんでしょ!」

ほむら(あ、あたし達って私もですか?)

ほむら「当然! 今のはほむらとあたしの力だよ!」

ほむら(わ、私達の力……)

ほむらが凱旋門のような魔女に向けて剣を突きつける。

ほむら「さ、次は使い魔達と親玉――あの魔女を倒すよ!」

   「あたしと心を合わせて! それがあたし達の力になるから!」

ほむら(は、はい!)

ほむらが剣を構え魔女に向かって駆ける。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:08:23.00 ID:/Vg3M2/u0
ほむら(す、すごい! こんなに速く走れるなんて夢見たいです!)

ほむら「ところがこれはあたし達の力――現実だよ!」

ほむら(はい!)

一瞬にして魔女との距離を詰めたほむらが剣を振るい魔女を切り裂く。
切り裂かれた魔女が身体から金色の糸のようなモノを出し、ほむらを拘束しようとする――
が、糸はほむらの剣によって一瞬にして切り刻まれる。
魔女は何度も糸を出し、攻撃するがほむらの速度を捕らえる事は出来ない。
逆に魔女はほむらによって何度も切り裂かれる。
ほむらが後方へ飛びながら手に持った剣を魔女に向けて投げる――
飛ばされた剣が無数に増え、何十本もの剣が魔女の身体に突き刺さる。
ほむらが華麗に地面に着地し、再び剣を取り出す。

ほむら「さてと……それじゃあ、そろそろトドメといきますかね!」

ほむらが手に持った剣に力を込める。
すると刃が青い光を纏っていく。

ほむら「必殺――」

ほむら(ひ、必殺……)
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:09:07.79 ID:/Vg3M2/u0
ほむら「……」

ほむら(……どうしました?)

青く光る剣を持っていない方の手を顎に当てる。

ほむら「……必殺、何にしようかな〜」

ほむら(無いんですか!)

ほむら「いや〜、その場のノリでついね! てへへ」

ほむら(無いなら、無しでいいじゃないですか……)

ほむら「いやいや……必殺技は重要よって、魔法少女の先輩に教わったからさ!」

   「トドメの時は必殺技の名前を叫びながら攻撃したら確実に魔女を倒せるわ……って」

ほむら(なんというか……その、すごく羞恥心がないというか、カッコつけな方なんですね……)

ほむら「う〜ん、言われてみれば……そうかも! まぁ、いいや!」

ほむら(いんですね……)

ほむら「いいの! とりあえず、必殺! ……ほむらも一緒に」

ほむら(えぇぇ!)

ほむら「さぁ、はい! 必殺!」

ほむら(ひ、ひっさつ……)
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:09:39.96 ID:/Vg3M2/u0
ほむら「元気ないけど、最初はまぁ、いいかな! うん!」

   「必殺! サヤカちゃん斬りぃぃぃ!」

ほむらが青い光の剣を構え魔女に向かって駆ける。

ほむら(さ、さやかちゃん斬り……は、恥ずかしい)

横をすり抜けながら、魔女に必殺の一撃を叩き込む。
魔女の身体が真横に真っ二つに切り裂かれ――魔女の身体が消滅した。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:10:05.46 ID:/Vg3M2/u0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 通学路:夜
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむらが気がつくと周りの景色は元の通学路に戻っていた。
自分の身体は自由に動かせるし、サヤカと呼ばれる女の子の声も姿も見当たらない。
ほむらはため息を一つ、そのまま自宅を目指し歩みを進める。
どこか現実味の無い経験は今日の失敗を後悔している自分の妄想だったのだろうと……。
暗くなった道を急いで進み自宅を目指すのであった。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/16(金) 04:10:37.77 ID:/Vg3M2/u0
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 暁美家:夜
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ほむら「ただいま……」

部屋の鍵を開け、中に入ったほむらが暗い部屋に電気をつけるとそう言った。
現在、ほむらは実家から離れ一人暮らしをしている。
両親曰く、入院生活で臆病になってしまった娘が逞しくなる様にという理由での一人暮らし。
娘の将来を考えてのことらしいが、ほむらとしてはそんな事で逞しくなれるはずが無いと思っている。
部屋に入り明かりが灯る。
暁美ほむらは現在、一人暮らしである――いや、一人暮らしだった。

「うん? おかえり、ほむら!」

ほむらの言葉に返事が返ってくる。

ほむら「えっ?」

一人暮らしの家で返事が返ってきたことに驚き、ほむらが明かりのついた部屋を見る。

サヤカ「あ、勝手に電気つけたらまずいかなっと思ったから、ずっと待ってたよ?」

ほむら「……」

口が開いたままの状態でほむらが固まる。

サヤカ「うん? どうしたの?」

ほむら「な、な……」

見滝原中学の制服を着た美樹さやかにそっくりな女の子がソファーに座っていた。

サヤカ「な?」

ほむら「なんで、居るんですかぁぁぁ!」

ほむらの声が部屋中に響き渡るのであった――つづく
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 07:24:53.67 ID:bePZxU4DO
これは続きが楽しみ
乙!!
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/16(金) 07:28:41.30 ID:M3ICdK4IO
超期待
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/17(土) 01:01:19.57 ID:hwNGmQuDO
視覚とかは共有してる別人格か
遊戯王の表と裏みたいだな
なにはともあれ続き待ってる
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2012/03/19(月) 17:56:26.51 ID:ZT1gZ/7M0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ???
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気がつけば、真っ白な世界に居た。
私以外の色は存在せず、視界に映る色は白色だけだった。
そんな世界でスーパー美少女な魔法少女美樹サヤカは膝を抱え座っていた。
多分、私はこの世界でずっと眠っていたのだと思う。
何故、この世界に来たのかは思い出せないし、こんな何も無い世界で眠っていた理由も思い出せない。
ふと、耳元で声が聞こえた。それは懐かしい声だった。
姿を確認する事は出来ないけれど、声だけは聞こえてくる。
 『――お願いがあるの』 『――サヤカちゃんにしか出来ないことだから』
『――ヒザヲカカエテスワッテルサヤカチャンカワイイヨォォォ』
 『――世界を救って欲しいの』 『――世界は0になってしまったけど』
『――サヤカチャンペロペロ』
『――だからこそ、1からはじまる世界は守りたいから』
『――みんなを助けて欲しいの』
声の主はわからないけど、私は声の主の願いを聞かなければいけない気がした。
だから、私は立ち上がり歩き始めた――
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 17:57:18.80 ID:ZT1gZ/7M0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 暁美家:夜
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明後日の方向どころか、外宇宙空間にありそうなデザインセンスの暁美夫妻がコーディネートした謎空間(リビング)
そもそも、天井から吊るされてる巨大な振り子は何?
この謎デザインな空中浮翌遊している絵画は何?
何処から持ってきたの?というより何故浮いているの?
などなど、ほむらが引っ越してきた当初、疑問に思っていたことも今ではどうでもよくなっていた。
人間、自分の生命や精神を脅かすモノで無ければ、何日かで慣れてしまうものである。
そんな謎空間(リビング)にある一人暮らしの家には、どう考えても大きすぎるソファーに
ほむらとさやかが向かい合い座っている。
サヤカは自分自身の話を終え、テーブルに置かれた湯飲みを取りお茶を飲む。
サヤカの話では、この家に居るときはサヤカは実体を得ることが出来るらしい。
だから、お茶を飲む事も出来るし、ほむらに抱きつく事も出来る。
しかし、家の外に出ると実体を失ってしまい幽霊のような存在になってしまうとか……。

ほむら「――えっと、じゃあ、美樹さんは……」

   「自分の事は名前と魔法少女だったことは覚えていて、過去の記憶とかは覚えてないと?」

湯飲みをテーブルの上に置き「そうそう」とほむらの言葉を肯定する。

サヤカ「あと、この世界であたしがやらなきゃいけない、使命的なことも理解してるんだけど……」

   「それ以外の記憶は思い出せないかな」

ほむら「使命的なって……まぁ、そうなんですか……」

ほむらはサヤカの話を、とりあえずは信じる事にした。
自分の命を救ってくれた相手を疑うのも悪い気がしたこと、
何より、ほむら自身、サヤカが嘘を言っているようには思えなかった。
そんな事を考えているとサヤカが突然、呟いた。

サヤカ「……サヤカ」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 17:58:04.30 ID:ZT1gZ/7M0
ほむら「へ?」

サヤカ「美樹さんじゃなくて、サ・ヤ・カ! はい、りぴーとあふたーみー?」

ほむら「え、でも! あの、その……」

サヤカ「サ・ヤ・カ、はい!」

ほむら「えっと、サヤカ、さん……」

サヤカ「サ・ヤ・カ! 『さん』はいらないよ?」

ほむら「え、あ、その……」

サヤカ「サ・ヤ・カ!」

ほむら「――さ、さ、さや、サヤカ!」

   「あぅぅ……」

恥ずかしかったのか、ほむらが赤くなった顔を伏せる。
そんなほむらにサヤカが言った。

サヤカ「うむ、よろしい! 友達なんだから名前で呼び合わないとね!」

ほむら「え、友達?」

サヤカの言葉に驚いたほむらがサヤカの顔を見る。

サヤカ「うん、友達! あー、ほむらは嫌? あたしと友達になるの?」

ほむらがブンブンと首を横に振りサヤカの言葉を否定すると口を開く。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 17:58:33.83 ID:ZT1gZ/7M0
ほむら「ち、違います! あの、その! 入院生活が長かったから、私……」

   「それに臆病で人と話すのも苦手だから……」

   「今まで友達とか、居なかったから……」

サヤカ「ふむ、あたしがほむらの記念すべき友達第一号になるわけだ! いや〜、これはなかなか嬉しいものがあるねぇ〜」

ほむら「私のはじめての友達……」

サヤカ「そう! ほむらの友達第一号はこの美少女魔法少女である美樹サヤカちゃんなのだ! 誇りに思え〜!」

ほむら「あ、あの!」

サヤカが首をかしげる。

ほむら「わ、私なんかと友達になっても……その楽しくないと思う。根暗だし、口下手だし……」

サヤカ「う〜ん、確かにほむらって、どこか自信なさげにオドオドしながら話すよね? 発言もなんかネガティブだし……」

ほむら「……あぅぅ」

サヤカに言われ、ほむらが俯く。
そんなほむらを見ながら、「……だけどさ」とサヤカが言葉を続ける。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 17:59:25.74 ID:ZT1gZ/7M0
サヤカ「そんなに気にしてることなら、これから治していけばいいことだし!」

   「な・に・よ・り! あたしはそんな、ほむらと友達になりたいと思った!」

   「だったらさ! そんな小さな事なんて、あたしにとっては、どうでもいい事なの!」

そんな言葉を自信満々にサヤカが言う。
ほむらはそんなサヤカの顔を呆気にとられ見ていた。
サヤカは「ほむらもそれでいいよね?」とほむらに笑顔で言う。
そんな曇りのない笑顔を見て、ほむらは頷いてしまう。
ほむらの返事にサヤカは「よろしい!」と元気に答える。

サヤカ「で、友達としての最初の頼みなんだけど……」

ほむら「はい?」

サヤカ「ここで一緒に暮らさせて! あと、手伝って!」

ほむら「その、一緒に住む事は構いません。命だって助けて頂きましたし、何より悪い人には思えませんし……」

   「ただ、手伝いって何を手伝えばいいんですか?」

サヤカ「簡単に言えば、あたしの使命達成を手助けして欲しい」

   「この世界であたしが与えられた使命は2つ」

   「一つは今日みたいに人を守る正義の魔法少女として、魔女とその使い魔達と戦うこと」

ほむら「今日みたいに……」

ほむらは今日の出来事を思い出す。
サヤカと契約し、サヤカと一緒に魔法少女として奇妙な化け物と戦ったことを……。
サヤカが続きを話し始める。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 18:00:45.73 ID:ZT1gZ/7M0
サヤカ「で、もう一つの使命なんだけど……」

   「『どんな願いでも叶えてくれる魔女の卵(グリーフシード)』の話って知ってる?」

ほむら「えっと、持ち主の願いを卵の中に居る魔女が叶えてくれるっていう――」

誰が最初に話し始めたのかわからない都市伝説
この世界のどこかに居る『魔女の使者』から貰える魔法のアイテム
持ち主が卵を強く握り願いを伝えると卵の中に居る魔女が持ち主の願いを叶えてくれる。
叶えられる願いは3回だけでそれ以上は叶える事が出来ないらしい。

ほむら「――でも、それってよくある都市伝説ですよね?」

   「私が聞いた話だと、『魔女の使者』の正体は実はこの地球を狙う宇宙人なんて、突拍子もない話でしたし……」

   「そんなの根も葉もない、ただの噂話じゃあ――」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 18:01:48.55 ID:ZT1gZ/7M0
サヤカがほむらの言葉に被せるように言う。

サヤカ「今日、あたし達が戦ったあの化け物、魔女って言うんだけど……」

   「あれはそのグリーフシードから生まれた魔女なわけ」

   「『どんな願いでも叶えてくれる魔女の卵(グリーフシード)』の話はただの噂話じゃない」

   「確かに存在していて、今もどこかでグリーフシードをばら撒く『魔女の使者』も存在する」

   「あたしに使命を与えた人の話じゃあ、宇宙人って言ってた気がするしね」

   「あたしのもう一つの使命はその『魔女の使者』を探し出し、『魔女の使者』の企みを阻止すること」

ほむら「探し出すって、どんな姿をしてるとか名前とか判らないんじゃあ……」

サヤカ「それについては大丈夫! 話を聞いてた時はぼーっとしてたけど――」

   「ちゃんと名前も特徴も覚えてるから大丈夫! 確か名前はイ――」

ほむら「……」

ほむらが黙ってサヤカの言葉を待つ。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 18:03:35.10 ID:ZT1gZ/7M0
サヤカ「いや、最初が『キュ』からはじまったような……」

ほむら「……」

サヤカ「そうだ! 確か複数の名前を持ってたんだ! そうそう、確かそう2通りぐらい! いや、72通りだ!」

   「彼には72通りの名前があるから何て呼べばいいか……」

ほむら「……」

ほむらのサヤカを見る視線がだんだんと冷たくなってくる。

サヤカ「えっと、確か『イ』何とかさんか『キュ』何とかさん! だったと思います。はい……」

ほむら「……」

サヤカ「いや! でも、大丈夫だって! 特徴は間違ってないから!」

   「聞いた特徴通りに人相書を描いたら『サヤカちゃんは絵の天才だね! ハァハァ』とか言ってたから大丈夫!」

ほむら「……ホントですか?」

ほむらがどこか疑ったような目でサヤカを見る。

サヤカ「大丈夫、大丈夫、このサヤカちゃんに任せなさいって! いや、ホント自信ありますので、はい……」

ほむらがため息を一つ吐き「じゃあ、お願いします」とだけ言うと紙とペンを用意しサヤカに渡す。
それを聞いたサヤカは元気よく「よし! このサヤカちゃんに任せなさい」と言い特徴を口に出しながら絵を描く。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 18:05:03.47 ID:ZT1gZ/7M0
サヤカ「えっと、確か全体的に丸くて……円らな瞳だけど、目の色が怪しげで……」

   「猫の様な口元……耳から長い耳毛が生えてて……」

   「で、口癖が『きゅっぷい! わけがわからないよ!』」

人相書を書き終えたサヤカがペンを置く。
そして会心の出来と言わんばかりの誇らしげな顔でほむらに絵を見せた。


               r'゚'=、
               / ̄`''''"'x、
          ,-=''"`i, ,x'''''''v'" ̄`x,__,,,_
      __,,/    i!        i, ̄\ ` 、
  __x-='"    |   /ヽ      /・l, l,   \ ヽ
 /(        1  i・ ノ       く、ノ |    i  i, <きゅっぷい! わけがわからないよ!
 | i,        {,      ニ  ,    .|    |  i,
 .l,  i,        }   人   ノヽ   |    {   {
  },  '、       T`'''i,  `ー"  \__,/     .}   |
  .} , .,'、       },  `ー--ー'''" /       }   i,
  | ,i_,iJ        `x,    _,,.x="       .|   ,}  『イ何とかさん』もしくは『キュ何とかさん』
  `"            `ー'"          iiJi_,ノ



サヤカ「どうよ?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/19(月) 18:06:17.90 ID:ZT1gZ/7M0
ほむら「……えっと、ホントにこんな生物が存在するんですか?」

サヤカ「いや、あたしも思うけど、教えてくれた人はこれであってるとか……」

   「見た目はこれだけど、口が上手くて人を騙す詐欺師だって……」

ほむら「色んな意味で恐ろしい相手ですね……」

サヤカ「だよね……」

   「まあ、その協力してくれると嬉しいです、はい……」

サヤカのお願いについて考える。
自分に出来るのかと考えたが、実際に戦って勝つことが出来た。
その結果がほむらに自信を与えた。だから、ほむらは答える。

ほむら「その、私なんかで力になれるのなら、その、協力させてください」

サヤカ「ホント? こんなおぞましい化け物を探さないといけないよ?」

ほむら「た、たしかにその人相書の相手を探すのは怖いですが……さ、サヤカと一緒なら大丈夫です!」

   「友達と一緒だから……」

サヤカ「ほむら……うん、ありがとう! よーし、明日から本格的に活動開始だよ!」

ほむら「はい!」

そうして、次の日に備え二人は就寝することにした――つづく
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/19(月) 22:41:28.05 ID:e8gk8QuG0
乙です。

後まど神自重www
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 03:32:32.49 ID:grROW4w3o
乙!
まどかさん・・・
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:42:55.13 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 暁美家:朝
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サヤカ「おはよう、ほむら! もうすぐ、朝ごはん出来るからちょっと待っててね!」

朝――目覚まし時計の電子音に起こされ、朝食を取る為に寝室から外に出ると
台所で朝食を作っていたサヤカがほむらに挨拶をしてきた。

ほむら「――おはよう、サヤカ」

サヤカ「朝食作ろうと思ったら、冷蔵庫に材料なくてビックリしたよ」

   「おかげで朝からコンビニまで買いに行くことになったんだからね」

サヤカが手に持ったフライパンを振り、フライパンの中でウィンナーを転がす。
外に出ると実体を保てなくなるサヤカがどうやって買い物に行ったのか、ほむらは疑問に思い聞いてみる。

ほむら「外に出ると幽霊みたいになるのにどうやって?」

サヤカ「あー、ほむらが寝てる間に身体勝手に借りてね……あ、でも、ちゃんと制服に着替えて行ったから!」

サヤカの言葉を聞き、ほむらは自分の格好を確かめる。
寝る前、ちゃんとパジャマに着替えていたほむらの格好は見滝原中学の制服になっていた。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:43:26.76 ID:x9SeDFBx0
サヤカ「その、勝手に使った事は謝るよ! その、ごめんなさい……」

ほむら「……はぁ」

ほむらは溜息をつくと「今度は許可とってください」とだけ言ってテーブルについた。
サヤカは食器棚から皿を四枚取り出し出来上がった朝食を盛り付けていき、盛り付けた皿をテーブルに並べていく。
朝食の完成度は高く、ほむらにはどれも美味しそうに見えた。

ほむら「料理、上手なんですね」

サヤカ「へへぇ、まぁね!」

テーブルに朝食を並べ終えたサヤカが席につく。
席についたサヤカが「いただきます!」と手を合わせ食べ始めたのを見てほむらも食べ始めるのであった。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:44:36.46 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 教室(見滝原中学):朝(3限目)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

黒板に書かれた数式をノートに写しながらほむらが視線を横に向ける。
そこには半透明なサヤカが座るような姿勢で宙に浮き、教師の話を聞いていた。
たまに頷いたり、『あー、ここ難しいんだよねぇ』などの声が聞こえてくる。
魔女のこともあり、ほむらはサヤカと一緒に学校へ向かった。
幸い、霊体状態のサヤカはほむら以外に姿を見ることも声を聞くことも出来ないようである。
1限目の古文の授業から同じ反応を繰り返していたサヤカは3限目の数学の時間でも同じ反応であった。
もしかした、今日は一日中同じ反応なのかなっと考えていると急に教師に指名される。

数学教師「それじゃあ、この問題は……暁美!」

ほむら「は、はい!」

数学教師「解いてみろ……」

ほむら「あ、えっと……」

授業に集中していなかったほむらに対して、注意の意味を含めた指名
その為、黒板にはあえて難解な問題が書かれていた。

ほむら(どうしよう、わからない……結局、昨日は予習できなかったし……)
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:45:18.86 ID:x9SeDFBx0
ほむら「そ、その」

数学教師「暁美、ちゃんと話は――」

サヤカ『……ほむら、身体借りるよ?』

ほむら「え?」

サヤカの霊体がほむらの身体にスッと入る。
すると、ほむらのおさげ髪がストレートに変化する。
眼鏡を外し周囲を見渡すと周りのクラスメイトは少し驚いた顔をしていた。
ほむら(サヤカ)は周りの反応は気にも留めずに黒板の前まで歩いていく。
黒板の前に立ち、しばらく黒板に書かれた問題を眺めた後、心の中でほむらに話しかける。

サヤカ(……これなら解かるよ)

ほむら(解かるんですか?)

サヤカ(ここは前にホムラに教えてもらったところだからね!)

ほむら(え?)

ほむらがチョークを手に持ち、スラスラと答えを書いていく。
書き終わった後、チョークを置き、数学教師の方を向き口を開く。

ほむら「先生、これで答えあってますよね?」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:45:49.20 ID:x9SeDFBx0
数学教師「あ、あぁ、正解だ……ただ、授業中に余所見はしないようにな?」

ほむら「はい! 以後、気をつけます!」

数学教師「う、うん、判ればいいぞ! 判れば! よし、席についていいぞ!」

ほむら「はーい!」

振り返るとクラスメイト達がほむらに対して驚いた顔や尊敬の眼差しを向けていた。
ほむらは別に気にも留めない様子で自分の席に戻っていった。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:49:48.64 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 運動場:昼(4限目)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

見滝原中学校、体育の時間――

生徒A「美樹さん、がんばれー! 暁美さんに負けるなー!」

生徒D「そこだ、暁美さーん! あー! あと少しだったのにー!」

まどか「ほむらちゃん頑張れー!」

仁美「さやかさん! そこですわ!」

さやか「いい加減! 観念しろー!」

さやかが飛んできたボールを受け止めて、すぐに投げ返す。

ほむら「そ・れ・は! こっちの台詞だー!」

飛んできたボールを綺麗に受け止め、それをさやかに投げ返す。
今日の体育の授業内容はドッジボール――しかし、その日は異常なまでの盛り上がりをみせていた。
クラス内で一番に運動が得意な少女――美樹さやか
さやかと同等の実力を発揮する転校生――暁美ほむら
他のメンバーはすでにボールに当り退場しており、現在、二人による一騎打ちがコートの中でおこなわれていた。

仁美「それにしても、すごいですわね!」

まどか「そうだね! まるで、さやかちゃんが二人居るみたい!」

二人の試合はまるで対戦ゲームでいう所の同キャラ対決の如く――同じ技術、同じ思考、同じ行動だった。
クセや決め手まで同じなそれは、まるで鏡に映る自分自身と戦っているような感覚――言うなれば、ミラーマッチだった。
故に決着はなかなかつかず、ほむらとさやかの攻防が何十分にも及び続いていた。
この異常なまでの盛り上がりも、現実では絶対に拝めない現象を目の当たりにした結果だった。
結局、授業の終わりを告げるチャイムが鳴るまでこの光景が続き、試合に決着はなかった――
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:53:08.36 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 教室:昼休み
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら(つ、疲れた……)

暁美ほむらは自分の机に突っ伏して疲れをとっていた。
原因は先ほどの体育の授業であった。
確かにサヤカがほむらに憑くことでサヤカの思い通りに動く事はできる。
しかし、体力は本来の暁美ほむらと同じである。
結果、サヤカが動きすぎた分の疲労をこうして回復する必要があった。
そんな、ほむらの様子をサヤカが心配そうに見ている。

サヤカ『大丈夫、ほむら?』

ほむら「だ、大丈夫じゃない……シンドイ……もう、一歩も動けない……」

サヤカ『あははっ……いやぁ〜、ごめんごめん! ほら、同キャラ対決? なんて、そう簡単に出来る事じゃないからさ!』

   『ついつい、夢中になってしまいました、すみません……』

ほむら「うぅ、動きたくない……サヤカ、お願い……代わりに動かして……」

サヤカ『う〜ん、あたしはそれでもいいけど……余計に疲れが溜まるよ?』

ほむら「……やっぱりいいです」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:53:47.11 ID:x9SeDFBx0
まどか「ほむらちゃん、誰と話してるの?」

そんなやり取りを二人でしていると突然、近くで別の声が聞こえた。
慌てて起き上がると、そこには美樹さやかと鹿目まどかが立っていた。

ほむら「そ、その、ひ、独り言です……」

さやか「独り言って、脳内友達的な何か?」

さやかがそんな事を言ってくる。
それに対してサヤカは『おぉ〜! ある意味、今の状態ってそうなるのかな?』などと言っていた。

ほむら「い、いえ! ほ、ホントにただの独り言で……」

まどか「もぉ〜、さやかちゃん! 駄目だよ、突然、変なこと言ったら!」

さやか「まどか、ちょっとした冗談だよ。ほむら、ごめんね? 気分悪くした?」

ほむら「い、いえ、その……き、気にしてませんので……」

さやか「そう、それならよかった」

ほむら「あの、それで私に何か……」

まどか「うん! ほむらちゃん、お昼ごはん一緒に食べよ?」

ほむら「え、その! わ、私、今日は食堂だから……」

サヤカ『……』

まどか「そうなんだ……じゃあ、また、次の機会にするね!」

ほむら「うん……」

まどかはさやかに「屋上にいこ?」と言って、二人で教室を出て行った。
嘘――ホントは今日、サヤカが作ってくれた弁当がカバンに入っていた。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:54:47.34 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 帰り道:放課後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

サヤカ『――どうして、一緒に食べなかったの? そしたら、友達になれたかもしれないのに……』

夕方――昨日、魔女と戦った場所に向かっていた時、サヤカが言った。
サヤカの言葉にほむらが急に口を開いた。

ほむら「鹿目さん達は優しいから、クラスに溶け込めない私に気を使ってくれてるだけだからだよ……」

サヤカ『そうかな? そんなことないと、あたしは思うけどなぁ〜』

ほむら「私はサヤカと違うから……」

そう、俯きながらにほむらは言った。
俯いているほむらを見ながら、サヤカが何かを考える。

ほむら「えっと、ここであってるかな?」

サヤカ『え? あ、うん』

いつの間にか、昨日、魔女と戦った場所に到着したようである。

ほむら「どうやって、グリーフシードの持ち主を探すの?」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:55:27.97 ID:x9SeDFBx0
サヤカ『指輪をソウルジェムにしてもらえる?』

ほむら「……うん」

サヤカに言われた通りに指輪をソウルジェムに変える。
白い宝石を金色の金属で覆ったアクセサリーが手に収まる。

サヤカ『見てみて、ソウルジェムが少し光ってない?』

サヤカに言われ、手に収まったソウルジェムを見てみる。
すると、白い宝石が僅かに輝いている。

ほむら「ホントだ……」

サヤカ『それは魔女が残した魔力にソウルジェムが反応してる』

   『魔女や使い魔、グリーフシードが近くにあれば、その反応は大きくなる』

   『その反応を頼りに地道に探すしかないね』

ほむら「そうなんだ……結構、大変なんだね……」

サヤカ『まぁ、正義の味方も楽じゃないってこと! じゃあ、頑張って探しますか!』

ほむら「うん!」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:56:11.16 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 廊下(見滝原中学校):放課後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

反応を頼りに歩き回った結果――学校へと戻ってきてしまった。
現在、ソウルジェムの反応を頼りに学校内を歩き回っていた。

サヤカ『いやぁ〜、まさか、学校にあるとは……』

ほむら「これから、学校に居る時も探ってた方がいいね……」

サヤカ『だね……』

ふと、ソウルジェムの反応が強くなる。

ほむら「あ、これって近いのかな?」

サヤカ『だね……しかも、この反応はグリーフシード、あたりだよ!』

反応を頼りに廊下を歩いていると美術室の前で反応が強くなる。
ほむらがソウルジェムを指輪に戻す。

サヤカ『……ここだね』

ほむら「ここって……美術室?」

扉についたガラス窓から中を覗き込む。
中には一年生の女生徒が一人でキャンパスに向かった絵を描いていた。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:57:14.79 ID:x9SeDFBx0
ほむら「……あの子かな?」

サヤカ『状況的に考えると、あの子が持ち主か……それとも、美術室に置いてあるかのどちらかだね』

   『とりあえず、あの子にそれとなく聞いてみてよ』

ほむら「……えっ? み、見ず知らずの人に?」

サヤカ『うん!』

ほむら「む、無理だよ、そんなの……」

サヤカ『大丈夫! ほむらはやれば出来る子!』

ほむら「な、何を根拠に言ってるんですか……」

サヤカ『根拠? う〜ん……』

ほむらに言われ、考える仕草をするサヤカ
そして、自分自身を指差し自信満々に答えた。

サヤカ『根拠はあたし!』

ほむら「……」

サヤカの言葉に一瞬、フリーズするほむら
しかし、すぐに「そんなの根拠になりません」と言い、美術室から帰ろうとする。
そんなほむらの態度にサヤカは「おっと、足が滑った」と言って憑依する。

ほむら「よし!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:58:20.39 ID:x9SeDFBx0
ほむら(か、勝手に入ってこないでください!)

ほむら「大丈夫! このサヤカちゃんが臆病者なほむらの背中を押して進ぜよう……」

そういうと、美術室の扉を開けて大声で言った。

ほむら「たのもー!」

ほむら(あわわわ!)

美術部員C「へ?」

ほむら「ちょっと、いいかな?」

美術部員C「え? は、はい……」

ほむら「そして、憑依解除!」

そういうと突然、サヤカがほむらの中から出て行く。

ほむら「……え? えぇぇ!」

   「こ、こんなタイミングで変らないでください!」

霊体サヤカの方を向いてほむらが抗議する。

サヤカ『だから、言ったじゃん! あたしが背中を押してあげるって!』
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:59:16.08 ID:x9SeDFBx0
ほむら「何が背中を押してあげるですか! 突然、人の身体を奪っただけじゃないですか!」

サヤカ『……ほむら、ほら! 話しかけないと、一年生の子、不審に思ってるよ?』

ほむら「不審に思ってるって……あ!」

サヤカに言われ視線を美術部員の方へ向けると、変なモノを見るような目でほむらを見ていた。

美術部員C「あの〜、私に何か用ですか?」

ほむら「え、あ、その……」

サヤカ『ほらほら! 話しかけた理由を説明しないと変な子扱いされちゃうぞ?』

ほむら(だ、誰のせいでこんなことになったと……)

ほむらがサヤカに対して視線で抗議する。
しかし、もはや逃げることが叶わない状態であることを自覚し覚悟を決める。

ほむら(よ、よ〜し!)

ほむら「あ、あの!」

美術部員C「はい?」

ほむら「その、ぐ、グリーフシードって知ってますか!」

美術部員C「……なんで、そんなこと聞くのですか?」

美術部員の顔に一瞬だけ変化があったことをサヤカは見逃さなかった。
サヤカはほむらに話しかける。

サヤカ『……ほむら、あたしの言う通りに聞いてみて』

ほむら「え?」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 20:59:54.88 ID:x9SeDFBx0
サヤカ『そうだなぁ〜』

サヤカが何かを考えるように手を顎に置く。
そして、何か思いついたのか口を開く。

サヤカ『実は私、耳毛の生えた魔女の使者からグリーフシードを貰って……はい、言って!』

ほむら「え? え?」

美術部員C「?」

サヤカ『ほむら、言って!』

ほむら「う、うん! あ、あの……じ、実は私、耳毛の生えた魔女の使者からグリーフシードを貰って」

美術部員C「……」

サヤカは美術部員の顔に変化があったことを確認して言葉を選びながら言う。

サヤカ『私はその、オカルトとか苦手で……』

ほむら「わ、私はその、オカルトとか苦手で……」

美術部員の視線が動く――

サヤカ『経験者の方に怖くないか、聞いてみようかなっと……』

ほむら「け、経験者の方に怖くないか、聞いてみようかなっと……」

美術部員の視線が一瞬だけ制服のポケットに向く。

サヤカ(そこに隠してるんだね……)
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:00:48.22 ID:x9SeDFBx0
サヤカ『ほむら! この子がグリーフシードの持ち主だよ! 取り押さえるから身体貸して!』

サヤカの言葉にほむらが答える。

ほむら「は、はい!」

サヤカがほむらの中に入り、美術部員を取り押さえようとする――
美術部員がそれに気づき、グリーフシードを取り出し、ほむらから距離を取る。
黒い種の様な形をしたグリーフシードを両手で包みながらほむらに向けて言う。

美術部員C「――あ、あなたが人の願いを邪魔する魔法少女なのね!」

     「魔女の使者さんが気をつけるように言ってた!」

ほむら(ほ、ホントに持ってた……)

ほむら「まだ、少ししか穢れてないみたいだから……一回しか願いを叶えてないよね?」

   「それをこっちに渡して、今ならまだ間に合うから……」

美術部員C「い、嫌です! これで何でも手に入れる! 何でも思い通りにする! 理想的な結果を私は得るんだ!」

ほむら「過程のない結果なんて後悔するよ?」

美術部員C「そんなことない! 無駄な過程なんていらない! 世の中、結果が全てなのよ!」

ほむら「……それ、こっちに渡して、今すぐ」

ほむらが手を突き出しながら、前に進んでいく。
ほむらが前に進むたびに美術部員が後ろに下がる。
それを繰り返していると美術部員の背中が壁にぶつかる。

美術部員C「来ないでください、こ、来ないで!」

突然、美術部員が持っていたグリーフシードから黒い霧の様なモノが溢れ出す。
その黒い霧は美術部員の身体を包み込み、やがて美術室全体を覆っていた。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:01:43.56 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 魔女の結界(芸術家の魔女):放課後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

美術室だった場所――絵の具のように赤い空とねずみ色の地面
黒い線で描かれた木や建物が辺り一面に描かれている。
そこはまるで絵画の世界――ほむらはそんな世界に立っていた。

ほむら(……な、なんで? あの美術部員の女の子は!)

ほむら「グリーフシードの防衛プログラム……」

ほむら(……防衛プログラム?)

ほむら「うん、持ち主の感情に反応して起動するんだけどね……」

   「持ち主を守る為にグリーフシードが一時的に持ち主を魔女に変えるプログラム……」

ほむらが視線を前に向ける。
そこには昨日、戦った魔女とそっくりな凱旋門のような魔女が居た。
しかし、大きさは昨日よりも大きくなっていた。

ほむら(そ、そんな!)

ほむら「失敗した、起動しないように注意したんだけどな」

ほむら(あ、あの子は助けられるんですか!)

ほむら「まだ、助けることは出来るよ……あの魔女をあたし達が倒して、グリーフシードを壊せればね……」

   「いくよ、ほむら?」

ほむら(はい!)

指輪をソウルジェムに変え、ほむらは魔法少女へ変身する。
宝石が青い光を放ち、ほむらの姿を白いマントを羽織ったおとぎ話の剣士の様な姿へと変える。

ほむら「――サヤカちゃん、華麗に参上!」

   「……さて、今からあたしがあんたの邪魔をする」

手に剣を出現させ魔女に向かって歩き出す。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:02:37.81 ID:x9SeDFBx0
芸術家の魔女「私ノ願イヲ邪魔シナイデ!」

ほむら「そんな過程のない願いで得た結果……あんたはいつか、その結果を後悔する」

ほむらに向かって魔女が金色の糸を飛ばす。
それを手に持った剣で切り裂き、魔女へと近づいていく。

芸術家の魔女「来ナイデ! 来ナイデ! 来ナイデ!」

ほむらを囲むように空中に無数の刃が現れる。
その刃が一斉にほむらに向かって飛んでくるが、全てほむらの剣で落とされる。
ほむらが魔女へと近づいてくる。

芸術家の魔女「私ハ絶対ニ後悔シナイ! 後悔スルハズガナイ!」

ほむら「絶対後悔する、これは経験談だから……あたしが断言できること」

魔女がほむらの足を止める為にひたすら攻撃を繰り返す。
しかし、ほむらはそれを全て受け流し、前へ前へ進んでいく。

ほむら「今はよくても、そんな過程のない願いの先にある結果……あんたは認められなくなる」

   「世の中、常に自分にとって都合のいい結果ばかりじゃない……いつかは不都合な結果が与えられる」

   「そして、あんたは後悔する……なんで、願いを叶えたのかと……」

魔女が攻撃するもほむらによって全て失敗に終わる。
足止め目的の攻撃――しかし、ほむらの足は止まらない。
ほむらの持つ剣が青い光を纏い始める。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:03:17.14 ID:x9SeDFBx0
ほむら「自分で考えて、選んで、努力して、そんな過程で願いを叶えて……」

   「そんな過程があって、はじめて与えられた結果を受け入れられる、揺るがない強い心が手に入る」

芸術家の魔女「来ルナァァァ!」

魔女が自分の力の全てを込めた攻撃をほむらに向けて放つ。
たくさんの巨大な石像がほむらに向けて飛んでくる。
そして、巨大な粉塵を巻き上げる――
粉塵の中から青い光が走る――

ほむら「あたしは今のあんたの願いを断ち切る――あんたに後悔させない為に!」

そして、粉塵の中から現れた青い魔法少女によって魔女は真っ二つに切り裂かる――

切り裂かれた魔女の中から美術部員とグリーフシードが落ちてくる。
ほむらは剣を捨て、美術部員を抱きかかえながらグリーフシードを右手でキャッチする。

ほむら「よっと!」

ほむら(だ、大丈夫かな?)

サヤカが美術部員の様子をみて答える。

ほむら「うん、気絶してるだけみたい」

ほむら(よ、よかった……)

右手に持っているグリーフシードに目を向ける。

ほむら(これがグリーフシード?)

ほむら「うん、これがグリーフシード」

ほむらが右手に魔力を集中させる。
すると、手の中にあるグリーフシードが霧の様になり消滅する。
グリーフシードが消滅するとほむら達を包む魔女の結界も消滅していった――
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:04:25.97 ID:x9SeDFBx0
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 帰り道:放課後
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その日の帰り道――
気を失っている美術部員を保健室に運び、保健室の先生に任せて今日は帰ることにした。
ほむらの隣で浮遊していたサヤカが話しかけてくる。

サヤカ『実はさ、さっきの戦闘で3つほど思い出した事があるんだ』

ほむら「……どんなのこと?」

サヤカ『2つはグリーフシードについて、もう一つはあたしについて……』

ほむら「……」

ほむらは黙ってサヤカの言葉を待つ。
今のサヤカの顔がいつもと違い辛そうに見えたから……。

サヤカ『グリーフシードには依存性があるの、手に持った瞬間、手放せなくなる……らしいよ?』

ほむら「らしいって……あの、姿が見えなかった声の人さんの情報ですか?」

サヤカ『うん……あと、これも声の人情報で』

   『こっちはグリーフシードは絶対に3回願いを叶えたら駄目とか……』

ほむら「叶えたら駄目って……叶えるとどうなるの?」

サヤカ『それなんだけどさ……あの時、あたしもそれを疑問に思って声の人に聞いたんだけど……』

   『「まさか、わたしにバレないようにこんなカードを用意してたなんて……」って、悔しそうな声で言うだけで』

   『3回叶えた後のことは聞けなかったんだよ……』

   『その後、「だから、サヤカちゃん! 急いで止めに行って!」って追い出されるようにこっちに飛ばされたし……』
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:05:52.43 ID:x9SeDFBx0
ほむら「う〜ん、3回願いを叶えたら駄目……とりあえず、それまでに止めればいいって事かな?」

サヤカ『うん……あと、あたしの過去で思い出したこと……』

ほむら「過去ですか……って、思い出したの!」

サヤカの言葉に驚き、大きな声を出すほむら
ほむらの言葉に頷き、サヤカが話し始める。

サヤカ『あたしさ……あの一年生の子と同じように誰かに大切な願いを叶えてもらって』

   『その代償として魔法少女になったの』

ほむら「……」

サヤカ『最初はすごく嬉しかったけど……やっぱり、何もなしで願いなんて叶わないんだよ』

   『あたしは騙されてただけだった……願いを叶える代わりに魔法少女になる』

   『魔法少女になるってことは人間じゃなくなるってことだった……』

   『あたしはその事実に耐えられなかった……当たり前だよね?』

   『楽して叶えた願いの後、自分の決断が原因で不幸になりました……そんな結果、受け入れられるはずがない』

   『結果、事実を受け入れなくて、あたしは死んだんだと思う……途中で記憶が途切れてるからね……』

   『……これがあたしの過去』

サヤカの過去話は終わり――あたりが静かになる。
そして、家に向かって黙って歩いている時、ふと、ほむらが口を開く。

ほむら「――にして」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:06:25.10 ID:x9SeDFBx0
サヤカ『ん?』

ほむら「私の願い、無かったことに出来ないかな?」

サヤカ『えっと、「カッコ良くなりたい」ってやつ?』

ほむら「……うん」

ほむらが立ち止まったのでサヤカも止まりほむらを見る。
そして、ほむらが真っ直ぐサヤカを見て力強く言った。

ほむら「やっぱり、自分で努力して叶えたいから!」

ほむらの目には迷いがなかった。

サヤカ『そっか、うん!』

ほむら「で、その、無かったことにって……」

サヤカ『ん? あー、願いね、うん』

ほむら「?」

サヤカ『あれさ、実はあれは……サヤカちゃんの演出でした! なんちゃって!』

サヤカがそんなことを笑いながら言った。

ほむら「……」

ほむらが無言で家に向かって歩き出す。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:07:25.12 ID:x9SeDFBx0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 暁美家:夜
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サヤカ『ほむら様、ごめんなさい!』

ほむら「……」

サヤカ『こ、これでも駄目か……えっと、美人で優しくて、あとえっと……』

黙って家の鍵を開け家に入っていくほむら
その後ろにはひたすら謝り続けるサヤカの姿があった。
そして、ほむらに続いてサヤカが室内に入った時、ほむらが急に振り返りサヤカを殴り飛ばす。

サヤカ「――へぼぁ!」

殴り飛ばされたサヤカはそのまま、家の外に飛ばされ実体が霊体に戻る。

ほむら「し、死ぬかと思ったのに! 演出って何ですか!」

サヤカ『うぅ、ご、ごめんなさい……』

ほむら「まったく、結果的に助けてもらいましたので、この話はこれでおしまいにします!」

サヤカ『あ、ありがとうございます、暁美様……』

ほむらの許しを得たサヤカは家の中に入る事にした。
部屋に入る前に宙に浮いていたサヤカがゆっくり地面に足をつく。
浮いたまま部屋に入ると、実体を得た瞬間、落っこちないようにする為である。

サヤカ「……あのさ、ほむら!」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:08:16.39 ID:x9SeDFBx0
ほむら「?」

サヤカが急に真面目な顔で言った。

サヤカ「明日、まどか達を誘いなよ! お弁当、一緒に食べようって!」

ほむら「そんなこと出来ないよ……」

サヤカ「怖い? 勇気が出ない?」

ほむら「……っ」

サヤカの言葉にほむらの顔が俯く。
サヤカが両手でほむらの肩を掴み、ほむらの顔を自分の真正面に向ける。
そして、真剣な顔でほむらに言うのだった。

サヤカ「ほむらはまどか達と友達になりたいよね? ……答えてほむら」

ほむら「……うん」

サヤカ「だったら、行動しよ? 拒絶されるのが怖いのは分かるよ?」

   「でも、行動しなかったら……ほむら、絶対に後悔しちゃうから!」

ほむら「サヤカ……」

サヤカ「これもさ、あたしの経験談! だから、あたしが断言できること!」

ほむら「……」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:08:50.61 ID:x9SeDFBx0
サヤカ「大丈夫! ほむらはもう、美樹サヤカという友達がいるんだもん!」

そして、サヤカがほむらを優しく抱きしめる。

サヤカ「ほむらは一人じゃないよ……ほむらが足を一歩出すのを躊躇ってるなら、あたしがその背中を押してあげるから!」

ほむら「ありがとう、サヤカ……」

ほむらもサヤカの背中に手を回す。

サヤカ「うん! だって、ほむらとあたしは友達だから!」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:09:39.16 ID:x9SeDFBx0
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 屋上(見滝原中学校):昼休み(次の日)
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ほむらは屋上へと続く扉の前で立ち止まっていた。
その手にはサヤカが作ってくれた弁当の入った袋を持っていた。
今日もまどか達はほむらを誘うつもりだったようだが、心の整理の為にほむらは昼休みになってすぐに教室を出て行った。
その為、誘う相手が居なくなってしまった為、まどか達はそのまま屋上に向かったのであった。

サヤカ『行くよ、ほむら?』

ほむら「う、うん……」

ほむらが屋上のドアノブに手をかけ、扉を開ける。
屋上のベンチに二人の姿があった。
ついさっき来たところなのか、ちょうど弁当の蓋を開けようとしているところだった。
サヤカの話では「まどか達が弁当を食べ始めたよ! 急がないと!」とのことだったが――
どうやら、それはサヤカが最高のタイミングで屋上に来れるようについた嘘のようであった。

ほむら(……ありがとう、サヤカ)

ほむらはサヤカに心の中でお礼を言うとそのまま二人の所へ歩いていく。
二人がほむらの姿に気がついたようで声をかけてくる。

まどか「あ、ほむらちゃん!」

そのまま、二人の前まで行き、弁当袋を両手で掴んで立ち止まる。
「一緒にお弁当食べませんか?」――言葉が喉元まで来るがそこで止まってしまう。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/03/20(火) 21:10:27.82 ID:x9SeDFBx0
さやか「お、ほむらは今日は弁当なんだね」

ほむら(さ、誘わないと……一緒に食べよって言うだけだから……)

ほむらが最後の一歩を躊躇していた。
そんなほむらの背中に暖かい手が触れたような気がした。

サヤカ『大丈夫! あたしが『ついてる』から!』

初めてサヤカと出会ったときに言ってくれた言葉――
いつだって自分は一人じゃない、そんな事実をほむらに教えてくれる魔法の言葉――

ほむら(……そうだね、私にはサヤカが憑いているから!)

だから、ほむらは最後の一歩を踏み出した――

ほむら「そ、その、あ、あの! わ、わ、私も一緒にお弁当食べていいですか!」

自分でもちょっとカッコ悪い言い方だと思うけど――
今はこれでいいとほむらは思った――
これは自分にとって大切な過程の一つだから――

まどかとさやか「「うん、一緒に食べよ!」」

楽しそうにほむら達が話している。
サヤカはそんな三人の姿を微笑ましく思うのであった――つづく
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/03/20(火) 21:11:54.24 ID:0zItyKxAO
いいなあ
お疲れ様
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga sage]:2012/03/20(火) 21:19:45.86 ID:x9SeDFBx0
これで『ほむら編(仮)』は終わりです。
>>1~>>29までが『ほむら編(仮)』の前編
>>32~>>58までが『ほむら編(仮)』の後編になってます。
次回からは前後編で新章が始まります。
そちらの方も、よろしくお願いします。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/20(火) 21:40:05.19 ID:grROW4w3o
乙です!
積極的なほむらちゃんかわいい
サヤカちゃんに寺生まれが活躍する場面はありますか
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/03/21(水) 10:24:39.56 ID:drH99fUjo
乙なんだぜ
更新が早くて嬉しい
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/03/21(水) 16:47:41.03 ID:i1UBqRJ6o

続きが楽しみだ
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/19(木) 15:30:29.43 ID:EMw5IQDuo
まだけ?_?
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:47:38.77 ID:cxVByYxF0
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 使い魔の結界(工事中のビル):夢の中
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夢を見ていた――
身体を動かさなくても、勝手に自分じゃない誰かが身体を動かす――
喋らなくても、勝手に誰かが喋ってくれる――
まるで、スクリーンに映る映画を観ているように物語が自分の意思とは関係無しに進行していく――
だから、これは夢なのだと、暁美ほむらは理解した。
夢の中で自分が立っている場所は歪な空間――結界内だった。
最近まで知らなかった光景で、魔法少女になってから深く関わる事になった場所――
夢の中の自分は美樹さやかと鹿目まどかを庇うように使い魔達の前に立つ。

『あなた達、危ない所だったわね。でも、もう大丈夫よ』

恐怖で顔を歪めている二人を安心させる為に自分が言った。
そして、自分の近くに無数の銃を出現させると使い魔に向けて引き金を引く。
使い魔達は銃から発射された無数の弾丸で蜂の巣になり、消滅するのであった。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:48:31.09 ID:cxVByYxF0
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 マンション:夢の中
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『私、一人暮らしだから遠慮しないで』

場所と時間が変わる。
今度は見知らぬマンションの一室だった。
自分はさやかとまどかをリビングにあるテーブルへと案内すると、紅茶の準備をする為に台所へと向かう。
紅茶の葉を取り出し、ポットからティーポットから熱々のお湯を注ぎ、葉を蒸らした後に人数分のカップへと注いでいく。
冷蔵庫からケーキの入った箱を取り出し、人数分の皿に一つずつショートケーキを乗っける。
人数分のケーキとカップをお盆に乗せ、さやか達の元へと持っていく。

『あまり、良い物じゃないけど、遠慮しないで食べて』

そう言うとさやか達の目の前にケーキとカップを並べていく。

さやか「ありがとうございます!」

さやかがお礼を言うと、ケーキを食べ始める。

さやか「う〜ん! すごく美味しいですよ、マミさん!」

まどか「さやかちゃん、がっつき過ぎだよ〜」

どうやら、夢の中のさやかもあまり遠慮しない性格のようだ……。
まどかはそんなさやかに釣られるように食べ始める。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:49:32.35 ID:cxVByYxF0
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 魔女の結界(病院):夢の中
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また、場所と時間が変わる。
再び、歪な世界へと景色が変わる。
どうやら、また結界の中にやってきたようだ。
目の前にはぬいぐるみのような魔女――
自分の後ろにはさやかとまどかの姿があった。

『出てきて、すぐのところ悪いけど……一気に決めさせてもらうわ!』

そう言うと、手に持ったマスケット銃をぬいぐるみに向けて撃つ――
銃口から放たれた弾丸がぬいぐるみに命中する――
種から出てくる植物の芽のように命中した弾丸から無数のリボンが飛び出し、ぬいぐるみの動きを封じる。

『……これで終わりよ』

手に持ったマスケット銃を大きくすると、その巨大な銃口を拘束された魔女に向ける――
だが、その前にぬいぐるみの口から黒く大きな水玉模様の蛇が飛び出す――
そして、目の前まで黒い蛇の様な魔女が迫り――
その大きな口を開く――
尖った牙が見える――
蛇の顔が近づく――
逃げないと――だが、足が動かない――
逃げないと――だが、恐怖で思考が麻痺する――
逃げないと――だが、逃げられない――
逃げないと――ニゲラレナ――逃げないと――ウゴケナイ――逃げないと――コワイヨネ――逃げないと――シニタクナイ――
逃げないと――アタマガハイル――逃げないと――クチガトジテイク――逃げないと――キバガクイコム――逃げないと――クビガイタイ――
逃げないと――チガフキダス――逃げないと――クビガイタイ――逃げないと――ホネガクダケル――逃げないと――クビガイタイ――
逃げないと――イタイ――逃げないと――イタイ――逃げないと――イタイ――逃げないと――イタイ――
痛い――イタイ――痛い――イタイ――痛い――イタイ――痛い――イタイ――痛い――イタイ――痛い――イタイ――痛い――イタイ――痛い――イタイ――
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:50:27.01 ID:cxVByYxF0
死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い
痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ
死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い
痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ
死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い
痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ
死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い
痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ
死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い
痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ
死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い
痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ
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痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ
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死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い
痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ――ゴメンナサイ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:51:16.69 ID:cxVByYxF0
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 暁美家:夜
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ほむら「――ッ!」

目を開ける――

ほむら「ハァッハァッ……ッ」

恐怖で呼吸が荒くなる。
ほむらは上半身だけ起こし、周りを見渡す――
すぐ傍で聞こえる寝息と自分の呼吸音以外は聞こえない静かな寝室――
寝息の聞こえるほうを見ると同じベッドで寝ているサヤカが幸せそうな顔で寝ている。

サヤカ「むにゃむにゃ……サヤカちゃんの待ちガイルに敵はいない……すぴー」

サヤカの顔を見て、精神的に落ち着いてくる。
ベッドの近くに置いてある目覚まし時計を見る――液晶画面には2時44分と表示されていた。

ほむら「起きるには早すぎるわ……」

起きるにはまだ、早い時間だったので再びベッドに寝転がる。
ぼーっと天井を見上げながら、さっきの夢を思い出してしまい暗い室内が怖くなる。
暗がりにさっきの蛇が潜んでるかも……。
ほむらは隣で寝ているサヤカの手を握る。

サヤカ「……むにゃ? ぐーすぴー」

ほむらがサヤカの手を握りながら目蓋を閉じる。
ここに来てはじめて出来た大事な友達で――
サヤカと一緒なら、どんな困難も恐怖もへっちゃらで――
サヤカと一緒なら、どんな事だって、なんだって出来る――
一緒にこの部屋で暮らす、ほむらの大切な家族――

そして、ほむらの思考は眠りの中へと沈んでいく――
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:54:31.03 ID:cxVByYxF0
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 サヤカちゃんの夢:夢の中
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サヤカ「――ようこそ、サヤカちゃんの待ちガイル道場へ!」

ほむら「……え?」

サヤカ「ここではサヤカちゃんが操作するガイルと実際に戦って貰います!」

ほむら「……え?」

サヤカ「この道場でほむらは最強のストリートファイターを目指して修行して貰います!」

ほむら「……え?」

サヤカ「では、さっそく開始します! カモン、ガイル先生!」

サヤカの声と共にほむらの目の前にブラシっぽい金髪のマッチョな外人が現れる。

ほむら「……え?」

サヤカ「では、ガイル先生! お願いします!」

ガイル「OK!」

ほむら「……え?」

ガイルと呼ばれた外国人はサヤカに返事をするとほむらに向き合う。
そして、自らの腕をを交差させると手から黄色い光がブーメランのように回りながら、ほむらに向かって飛び出す。

ガイル「ソニックブーム」

ほむら「……え、ちょ! へぶわっ!」

ソニックブームと呼ばれる黄色い光がほむらに直撃する。
ほむらの身体は後ろへと飛び――地面へ落下し身体を打ち付ける。
そして、ほむらは意識を失うのであった。

ほむら「きゅぅ〜……」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:55:45.29 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 暁美家:朝
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ほむら「――ッ!」

目を開け、勢いよく上半身を起こす。

ほむら「何? さっきの夢は……」

ほむらが困惑していると隣で寝ている同居人からこんな台詞が聞こえたのだった。

サヤカ「くにへ、かえるんだな……おまえにも、かぞくがいるだろう……むにゃむにゃ……」

ほむら「……」

ほむらはとりあえず、サヤカの両頬を両手でひっぱる。

サヤカ「ふにゃ? ……いひゃいひゃい、にゃに? にゃにが起こったの?」

すると、すぐにサヤカが目を覚ます。
ほむらはそんなサヤカを見ながら溜息をつくのであった。

ほむら(……変な夢見たのはサヤカが原因ね)
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:56:50.89 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 暁美家:朝
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サヤカ「ほむらの夢の話聞いて思い出したよ、その夢、あたしが魔法少女になる前の話だわ」

支度を終え、朝食を食べながらほむらが見た夢の話をしてみると、予想外の答えが返ってきた。

ほむら「サヤカの過去ってことですか?」

サヤカ「うん、その後だったかな? あたしが魔法少女になったのは……」

サヤカ「魔法少女の先輩だったマミさんが死んでしまって……この街を代わりに守らないとって考えてたら」

サヤカ「そんな時に入院してた幼馴染の弱音を聞いちゃってね……で、幼馴染の腕を治す為に願いを叶えて魔法少女になったんだよ」

ほむら「願いを叶えて魔法少女に……」

サヤカ「ほむらは願いを自分で叶えるって言ってたからね、あたしはその方がいいと思うよ」

ほむら「願いは自分で叶えるもの?」

皿に盛り付けられた出汁巻き卵を一つ取り口に運ぶ。

サヤカ「うん、誰かが代わりに叶えるものじゃない……それが自分にとって大切な願いであるほどにね」

ほむら「それにしても、なんでサヤカの過去の体験を夢で見たのかな?」

茶碗に入った真っ白いご飯を口に運びながら疑問を口にする。
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:57:32.32 ID:cxVByYxF0
サヤカ「……それなんだよね、う〜ん」

サヤカが顎に手を当てながら考え込む。
そして、何か仮説を得られたのか口を開く。

サヤカ「もしかしたらだけど……この間から、あたしがほむらに憑依してるのが原因で、あたしとほむらとの間に何かしらの繋がりが出来ていて、それの影響とか?」

ほむら「繋がりですか?」

サヤカ「うん、繋がり」

ほむら「繋がり……」

ほむらはサヤカが言った『繋がり』という言葉が自分とサヤカを繋ぐ『絆』のように思えた。
だから、少し嬉しくなって――頬が緩むのだった。

サヤカ「ほむら、どうした? なんか嬉しそうだけど?」

ほむら「え? あ、え、その、なんでもないです!」

ほむらは恥ずかしくなり、それを誤魔化すようにご飯を口に押し込んでいく。

ほむら「〜〜〜っ!」

そして、ご飯を喉に詰まらせるのであった。

サヤカ「あー、いくら、サヤカちゃんの料理が美味しいからって言っても、そんなに急いで食べない! ほら、麦茶!」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:59:13.16 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 見滝原中学校(運動場):3限目
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

3限目の体育の時間――
いつものように、運動大好きなサヤカによって憑依されたほむらは走り高跳びの最中であった。

ほむら「よし!」

ほむら(サヤカ)がバーに向かって走り出す。
バーの近くで飛び上がったほむら(サヤカ)は軽々とバーを飛び越え、マットに綺麗に着地する。

体育教師「……」

さやか「おぉ、また飛んだ……」

仁美「すごいですわ、ほむらさん」

まどか「次って県内記録だよね?」

さやか「……マジで?」

ほむら(サヤカ)がマットから離れ、再びバーの前に立つ。

ほむら(次は県内記録……うぅ、目立ってる……すごく、目立ってるよ……)

ほむら「目立ったらダメ?」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 18:59:45.05 ID:cxVByYxF0
ほむら(サヤカ)が小声でほむらに話しかける。

ほむら(は、恥ずかしいです……)

ほむら「あぁー、この子はまだ慣れないか」

ほむら(あ、当たり前です!)

ほむら「……じゃあ、これを飛んだら適当に切り上げますかね」

そう言うとほむら(サヤカ)が走り出す――が、飛ぶ直前、急に身体の動きが鈍くなる。
そして、バランスを崩したほむら(サヤカ)がバーを飛び越えきれず、バーを落としてしまう。

ほむら「……あれ?」

ほむら(……サヤカ?)

ほむら「さっき、感覚が鈍くなったような……何かした?」

ほむら(……私は何もしてないです)

ほむら「う〜ん、気のせいかな……」

腑に落ちないようすで、ほむら(サヤカ)がマットから離れるのであった。
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:00:38.93 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 見滝原中学校(教室):4限目
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

体育の授業が終わり、古文の時間――
ほむらの近くで浮いていたサヤカが声をかける。

サヤカ『――ほむら!』

ほむら「?」

サヤカ『……魔女か使い魔が出たみたい』

ほむらが左手に嵌めてある指輪を見ると、白い宝石が淡い光を放っていた。

サヤカ『光の感じから、かなり遠くに使い魔が現れたみたい……』

ほむら「……えっと、授業中だからどうやって抜け出すんですか?」

近くに居るサヤカ以外、誰にも聞こえないような小声でサヤカに話しかける。

サヤカ『とりあえず、お腹が痛いのでトイレ行ってきますでいいじゃん!』

ほむら「……それは、は、恥ずかしいかと」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:01:15.23 ID:cxVByYxF0
サヤカ『とにかく、気分が悪くなったとか、何でもいいから出て行くの!』

ほむら「う、うん」

ほむらがサヤカに言われた通りに行動する。

ほむら「――あ、あの!」

古文教師「どうしましたか?」

ほむら「えっと、気分が悪くなったのでお手洗いに行ってもいいでしょうか?」

古文教師「わかりました、保健委員の方」

ほむら「あ、だ、大丈夫です! 一人でも、問題ないです」

ほむらはそう言うと、そのまま教室を出て、トイレの方向へと向かって歩き出す。
そして、トイレの横を通り過ぎ、急ぎ靴箱を目指す。

サヤカ『とりあえず、誰かに見られると不味いから、靴だけ履いて裏門からこっそり出るよ!』

ほむら「うん」

靴箱に到着し、下穿きを隠し、靴を持つとそのまま裏口を目指す。
そして、靴を履き裏口から外へと出て行くのであった。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:02:23.79 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 街中(駅前):昼
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら「……制服のまま、ウロウロしてて問題ないのかな?」

サヤカ『……まぁ、ちょっと補導されると面倒だし、早めに見つけて教室に戻るのが一番だね』

ほむら「ですよね……」

街中へとやってきたほむら達はソウルジェムの反応を頼りに使い魔を探す。
徐々に反応が近くなってきたので、この近くに居る事は間違いないだろう……。
そして、反応はとある建物で強くなるのであった。

ほむら「……ここは」

サヤカ『……銀行?』

見滝原銀行――この街で一番、大きな銀行だった。
そんな、銀行を黄色いテープが囲んでおり――テープの周りを沢山の人が囲んでいた。
テープの中では警察官が何かを探すように地面や銀行の入り口を執念に見ている。

サヤカ『これは何か事件でもあったみたいだね……』

ほむら「この近くに反応があるって事はグリーフシードを使った犯行ってことですね……あの様子だともう、犯人は逃げた後と考えていいですね」

サヤカ『だね……結構、厄介な事になってるなぁ……とりあえず、使い魔か魔女だけ潰して犯人探しは後回しかな』

ふと、周りの野次馬が話が聞こえてくる。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:03:00.48 ID:cxVByYxF0
野次馬A「犯人、忽然と消えたらしいぜ?」

野次馬B「そんな、馬鹿なことあるかよ。人が忽然と消えるとか神隠しか?」

ソウルジェムを見ると銀行の裏手の方に反応があった。

ほむら「ですね、反応だとこっちみたいです」

ほむらとサヤカは警察に見つからないように銀行の裏手へ回っていく。
裏手には警察の姿どころか人の気配が無く、薄暗く、生ぬるい空気が漂っていた。

サヤカ『……ここだね』

ほむら「……行きます、サヤカ!」

サヤカ『OK、ほむら!』

サヤカがほむらに憑依する――お下げ髪がストレートに変化する。
眼鏡を外ししまうと、ソウルジェムを使い変身する。

ほむら「――サヤカちゃん、華麗に参上!」

魔法少女の姿へと変わったほむら(サヤカ)は右手に剣を取り出し、何もない空間を切り裂く――
すると、結界に入るための入り口が現れる。
ほむら(サヤカ)は結界の入り口へと入っていくのであった。
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:03:46.68 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 魔女の結界(金貨の魔女):昼
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そこは一面、黄金の輝きで満たされていた。
床一面に金貨が敷き詰められている――
そんな金貨の床――ある場所では金貨が天へと昇り、別のところでは金貨が雨のように降り注いでいる。

ほむら「いかにも、お金好きが作りましたって感じの結界だね」

ほむら(……グリーフシードに叶えた願いはお金絡みってことですかね?)

ほむら「そうなんじゃないかな? ここまでお金お金してて、お金関係なかったら色んな意味ですごい……」

周りを警戒しながら先へと進んでいく――
すると、成人男性と同じぐらいの大きさでボロボロな服を着たマリオネットに似た使い魔と
2メートル程の大きさで海賊の格好をしたぺらぺらな紙人形のような魔女が現れる。

ほむら「よし、魔女発見っと」

ほむら(さっさと倒して、授業に戻りましょう!)

ほむら「だね!」

ほむら(サヤカ)が使い魔に向かって走り出し――そして、一瞬にしてマリオネットのような使い魔を全て斬り裂く。

ほむら(サヤカ、後ろ!)
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:04:31.64 ID:cxVByYxF0
ほむらの声にほむら(サヤカ)が反応して後ろを振り向く――
そこにはほむら(サヤカ)に向かって刃が大きく反り返った剣――海賊剣を振りかぶる魔女の姿があった。
とっさに剣を両手で構え、魔女の剣を受け止める。
キィィィンと金属と金属がぶつかり合う高い音が辺りに響く。

ほむら「後ろから不意打ちって――卑怯な魔女だね!」

そのままほむら(サヤカ)は手に力を込めて、魔女の海賊剣を押し返す。
剣を弾かれた魔女へ向けて真横に斬り返す。
黄金の魔女は真後ろへと飛び、ほむら(サヤカ)の剣を回避しようとするが、それよりも速く魔女の身体を斬る――
しかし、攻撃は浅く致命傷には至らなかった。
ほむら(サヤカ)から十分な距離を取った魔女はこちらを値踏みするように一定距離を取りながら様子を窺っている。
そして、ほむら(サヤカ)に勝てないと判断したのか、ほむら(サヤカ)に背を向けて逃げ出す。

ほむら(サヤカ、魔女が逃げるわ!)

ほむら「ちょっと、逃げるな!」

手に持った剣を魔女に向けて投げる為に振りかぶる――が一瞬、手に感覚が無くなる。

ほむら「――あっ!」

それが原因で剣は魔女の背中に当たることなく飛んでいく。
魔女はそのまま逃げ出してしまい、ほむら(サヤカ)は結界の外へと追い出されてしまうのであった。
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:05:11.97 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 見滝原銀行裏口:昼
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

結界から出てきたほむら(サヤカ)は変身を解除する。
そして、ほむらの身体からサヤカが出てくると――ほむらの姿はいつもの三つ編みお下げと眼鏡になっていた。

サヤカ『……』

ほむら「ここに居て、見つかったら不味いから一旦離れませんか?」

サヤカ『……うん』

ほむら達は誰にも見つからないように学校へと戻るのであった。
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:05:46.90 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 見滝原中学校(教室):放課後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

放課後――ほむらは帰り支度をしながら、サヤカ顔を窺う。
サヤカは何か納得がいかないのか、教室へ戻ってきてからずっと考え込んでいた。

まどか「ほむらちゃん、一緒に帰ろう!」

帰り支度をしているとさやか達がほむらの席までやってくる。

ほむら「あ、はい」

仁美「ほむらさんはこの後、予定はありますか?」

ほむら「予定ですか?」

さやか「いやぁね、この後、一緒に喫茶店でもどうかなぁって」

ふと、考える。
昼間、逃がした魔女はグリーフシードの持ち主が変身した姿で間違いないだろう。
願いを叶えて生み出された魔女なら危なくなったから『逃げる』という選択肢は出てこないはずだ。
まだ、持ち主は一回も願いを叶えてないと考えてもいいかもしれない……。
なら、自分がすべき事は? そう考えて、ほむらは仁美の質問に答える。

ほむら「すみません、ちょっと、今日は予定があって……」

さやか「う〜ん、それは残念」

まどか「また今度、一緒に行こ?」

ほむら「はい、また次の機会に必ず行きますね」

そのまま、ほむらは途中までさやか達と一緒に行き、駅前で別れる。
ほむらは指輪を宝石に変えると魔女の反応を探し始めるのであった。
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:06:29.52 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 街中(駅前):放課後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら「サヤカ、どうしたの? さっきから、何か気になってるみたいだけど……」

サヤカ『う〜ん、ちょっとね……今日さ、何か調子悪くない?』

ほむら「調子?」

サヤカ『いやね、さっきからほむらとの憑依が上手くいかないような気がして……』

ほむら「前に気持ちを合わせるとか言ってましたよね? それが原因とかは……」

サヤカ『あたしとほむらの気持ちにズレがあったとか?』

ほむら「はい、今日は変な夢を見たのが原因で、私も自覚しない所で魔女に対して臆病になってるとか……」

サヤカ『そうなのかなぁ〜、というより、臆病になってるの?』

ふと、サヤカに言われて悪夢の内容を思い出す。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:07:01.68 ID:cxVByYxF0
ほむら「うん、実はかなり怖い夢だったから……」

悪夢の内容を思い出して、少し不安そうにそう言うと、サヤカがほむらの前に回る。
足を止め、サヤカの顔を見ると『……手を出して』とサヤカが言った。
言われたとおり、サヤカの前に手を出すとサヤカはほむらの手を包み込むように覆う。
幽霊状態な今のサヤカの手はほむらの手に触れる事が出来ないが、何となくサヤカに手を握ってもらってるような気がした。

サヤカ『あたしは常にほむらの傍に居るからさ……大丈夫だよ! 何かあったら、あたしがほむらを手伝うから!』

サヤカ『二人ならどんな壁だって魔女だってへっちゃらだよ!』

ほむら「……そうだね」

さっきの不安が嘘のように無くなる。
その事が改めてサヤカが自分にとって一番の友達である事を自覚させてくれた。

サヤカ『……さて、あたしも変なことに頭を悩ましてないで、魔女探しに集中しますかね!』

ほむら「うん!」

二人は魔女を探す為にソウルジェム片手に街中を歩く。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:07:38.56 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 街中(ショッピングモール:立ち入り禁止区域):放課後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ソウルジェムの反応を頼りにほむらとサヤカが急ぐ。

ほむら「――はぁはぁ……た、確か、み、美樹さん達は、きょ、今日は、こ、ここの喫茶店に来るって……ぜぇぜぇ、げほ」

サヤカ『……大丈夫?』

ほむら「だ、大丈夫です……ま、万が一ってことがありますから、い、急ぎましょう!」

サヤカ『う、うん……』

ほむらは日頃の運動不足を恨みながら、シャッターの下りた店舗が並ぶ道を走る。
その横をサヤカが空を飛びながら着いていく。

ほむら「……はぁはぁ、あ、あれ! あそこに結界が!」

ほむらが走りながら前方を指差す。
前方には空間が歪んでいた。

ほむら「……ぜぇぜぇ、い、行きます!」

サヤカ『う、うん、なんか、すごく心配だけどね……』

サヤカがほむらに憑依する。
すると、ほむらの姿が眼鏡の無いストレート髪に変る。
そして、そのまま結界内へと続く入り口へと入っていく――
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:08:31.84 ID:cxVByYxF0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 使い魔の結界(金貨の魔女の手下):放課後
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

結界の中へ入ると、金貨の使い魔に囲まれるさやかとまどかの姿があった。
二人はお互いを庇うように互いの肩を抱き合っている。

ほむら「――でりゃぁ!」

それを見たほむら(サヤカ)が、飛び――そして、一体の使い魔を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた使い魔が何度か地面にバウンドしながら吹っ飛んでいく。
綺麗に着地したほむら(サヤカ)は二人を自分の背後に庇うよう立つ。

ほむら「大丈夫、二人とも!」

さやか「へっ? えっ、ほむら?」

まどか「ほ、ほむらちゃん?」

二人は普段のほむらと違う、ほむら(サヤカ)を見て少し困惑するが、すぐにほむら(サヤカ)に話しかける。

さやか「あ、あんた、何でわざわざ……」

ほむら「あたしが来たからもう大丈夫! このサヤカちゃんに全部任せなさな!」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:09:20.74 ID:cxVByYxF0
まどか「へ? さやかちゃん?」

さやか「え? あたし? あたしが何とかするの? あれを?」

ほむら「あー、いや、あたしが何とかするから下がってなって!」

ほむら「いくよ、ほむら!」

ほむら(うん!)

ほむら(サヤカ)がソウルジェムを取り出し変身する。
姿が白いマントを纏った、おとぎ話の剣士の様な姿へと変る。

さやか「……へ?」

まどか「へ、変身しちゃった!」

白いマントを手で翻しながら、ほむら(サヤカ)が高々に宣言する。

ほむら「――サヤカちゃん、華麗に参上!」

ほむら(サヤカ)が両手に剣を構える。

ほむら「……さてと、ほむらの友達に手を出すなら、このサヤカちゃんが許さないよ?」

そんな、ほむら(サヤカ)を見てまどかがさやかに尋ねる。

まどか「どういうこと?」

さやか「まったく、わからん!」

ほむら(……)
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:10:06.02 ID:cxVByYxF0
5体の使い魔がこちらに攻撃すべく飛び掛ってくる。

ほむら「――甘い!」

ほむら(サヤカ)が一瞬にして飛び掛ってきた5体の使い魔を切り刻む。
バラバラになった5体の使い魔だったモノが砂のようになり消滅する。

まどか「す、すごい……」

さやか「強い! ほむら、強い!」

ほむら「よし、ほむら! 必殺技で一気に数を減らすよ! ちなみに正式な必殺技名が決定しました!」

ほむら(え? いつ?)

ほむら「昨日! マギカ斬りって名前だから!」

ほむら(……また、一緒に?)

ほむら「当たり前! いくよ、ほむら!」

ほむら(サヤカ)が両手に持つ二本の剣に魔力を溜める。
青色の光が二本の剣を包んでいく。

ほむら「必殺!」

ほむら(必殺! は、恥ずかしい……)

ほむら「マギカ斬りー!(マギカ斬りー!)」

ほむら(サヤカ)は声と共に両手の剣を振るう。
青色の二つの波が使い魔達に向けて飛んでいく。
そして、二つの青い波は使い魔達に命中し青い光の大きな爆発が起きる。
爆発により、使い魔はその数を一気に減らし、残り一体になっていた。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:11:30.17 ID:cxVByYxF0
ほむら「ありゃ、一体残った……必殺技で決めきれないと何かカッコ悪い……」

ほむら(確かに……)

ほむら「まぁ、とりあえず! 残り一体は普通に斬り伏せますかね!」

そう言うとほむら(サヤカ)は剣を構え使い魔に向かって走る――が……。

サヤカ『……あれ?』

ほむら「……えっ?」

二人の憑依が突然、解除されてしまう。
そして、ほむらの変身が解除されてしまい、ほむらは学校指定の制服へと戻ってしまう。
ほむらはその場で立ち止まる。
何が起きたのか理解できない……。
憑依が解けた? 変身が解除された? 何で? 何で? 何で?

ほむら「……あ、さ、サヤカ!」

サヤカ『う、うん!』

サヤカは急いでほむらに憑依しようとするが――その身体が何かに弾かれる。

サヤカ『……ちょ、ちょっと待って! も、もう一回!』

再び、ほむらに憑依しようとするが――弾かれる。

ほむら「……な、なんで?」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:12:02.70 ID:cxVByYxF0
何で? 何で? 何で?
自分がサヤカと気持ちが合ってない?
違う、この二人を守りたい……その気持ちに偽りはない……。
じゃあ、どうして? 何が原因? わからない……理解できない……。
こうしている間にも使い魔がこちらに向かってくる。ほむらがサヤカに叫ぶ――

ほむら「さ、サヤカ! もう一回! もう一回、お願い!」

ほむらがサヤカの方を向く――サヤカは先ほどと同じように何かに弾かれ吹き飛ばされたところだった。
憑依できなくなった……魔法少女になれなくなった……何故? どうして?
ほむらの思考が混乱する。

サヤカ『ほむら! 危ない!』

ほむら「……あっ」

サヤカの声に視線を前に向けると――使い魔がほむらを襲う為に飛び掛っているところだった。

「――動かないで!」

急に後ろから声が聞こえて、身体の動きが止まる。
そして、一つの銃声が聞こえ――目の前まで迫っていた使い魔が一つの弾丸に打ち抜かれ消滅した。
最後の使い魔が消滅した事で結界が砕け、周りの光景がショッピングモールへと戻る。

「――危ないところだったわね、見知らぬ魔法少女さん」

声のした方を振り向く――
そこには右手にマスケット銃を持った黄色い魔法少女が居たのだった――つづく
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:15:03.06 ID:cxVByYxF0
【魔女図鑑】

名前:金貨の魔女

外見:海賊の格好をしたぺらぺらな紙人形
   他者から奪った物で外見を着飾っている。

金貨の魔女。その性質は貪欲。
人の持ち物を欲しがり、誰よりも自分を良く魅せたいが為に
他者の持ち物を全て自分の持ち物にし、奪った物で自分を着飾ることしか考えていない。
所詮は他者から奪った物しか持っておらず、中身がないので、それほど恐れる魔女ではない。


名前:金貨の使い魔

外見:ボロボロな服を着たマリオネット

金貨の魔女の手下。その役割は搾取。苦労して得た物を魔女に奪われるだけの奴隷。
欲に釣られた人間を金品に変え、将来の為に蓄えるが、頭が悪いのですぐに魔女に騙されて全部奪われてしまう。
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:32:27.55 ID:cxVByYxF0
【登場人物】

・暁美ほむら(メガほむ)
サヤカの力を借りて変身する魔法少女
臆病で弱虫な性格で、基本的にサヤカに翻弄される苦労人
変身する際はサヤカが憑依することで、白いソウルジェムが青色になり変身する。

[美樹サヤカ(美樹さやか)]――サヤカちゃん、華麗に参上! 必殺! マギカ斬りー!
剣を華麗に扱う剣士の魔法少女
ほむらに憑依するとソウルジェムが青色に変わる。
本来は『美樹さやか』と書くが、この世界の美樹さやかと区別する為に『美樹サヤカ』と表記されている。

・鹿目まどか
ほむらの友人で一般人

・美樹さやか
ほむらの友人で一般人

・志筑仁美
ほむらの友人で一般人

・イ何とかさん(もしくはキュ何とかさん)
グリーフシードをばら撒く『魔女の使者』
何故、グリーフシードをばら撒くのか、その目的は不明である。
72通りの名前を持っているらしく、なんて呼べばいいかわからない……らしい。
口癖は『きゅっぷい! わけがわからないよ!』
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:40:47.62 ID:cxVByYxF0
【用語解説】

・グリーフシード
グリーフシードが人の願いを叶えることで魔女を生成するアイテム。
防御プログラムが備わっており、持ち主に危険が迫っていると持ち主の姿を一時的に魔女に変えることが出来る。
依存性があり、グリーフシードを手に入れると捨てる事が出来なくなってしまう。

・魔女
グリーフシードの持ち主が願いを叶える事で誕生する怪物
姿や性質は持ち主の叶えた願いの形に影響する。

・使い魔
魔女が生み出した魔女の僕

・白きソウルジェム
美樹サヤカが暁美ほむらと契約する際に使用した魔法のアイテム
白い状態では魔法少女になることが出来ないが、サヤカがほむらに憑依することで
ソウルジェムの色が白から青に変り、魔法少女になることが出来る。

・魔女
グリーフシードの持ち主が願いを叶える事で誕生する怪物
姿や性質は持ち主の叶えた願いの形に影響する。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:42:25.81 ID:cxVByYxF0
>>94ミス
【用語解説】

・グリーフシード
グリーフシードが人の願いを叶えることで魔女を生成するアイテム。
防御プログラムが備わっており、持ち主に危険が迫っていると持ち主の姿を一時的に魔女に変えることが出来る。
依存性があり、グリーフシードを手に入れると捨てる事が出来なくなってしまう。

・魔女
グリーフシードの持ち主が願いを叶える事で誕生する怪物
姿や性質は持ち主の叶えた願いの形に影響する。

・使い魔
魔女が生み出した魔女の僕

・白きソウルジェム
美樹サヤカが暁美ほむらと契約する際に使用した魔法のアイテム
白い状態では魔法少女になることが出来ないが、サヤカがほむらに憑依することで
ソウルジェムの色が白から青に変り、魔法少女になることが出来る。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/23(月) 19:43:47.00 ID:cxVByYxF0
これで第二話(前編)の更新は終わりです。
後半は執筆途中ですので今週中か来週中になりそうです。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:05:29.92 ID:LVdnwIkCo
乙乙きゅっぷい!

待ってたよ!!
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/24(火) 00:58:55.77 ID:7zHmZ/YMo
さやかちゃん!!!!
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/05/27(日) 09:48:40.86 ID:l4nR4JM90
後半待ってます。
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/11(月) 17:20:16.84 ID:1PPNrMpSo
マダカー!
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/11(月) 20:37:51.79 ID:lEBhsuNKo
ロムレチャン!
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage saga]:2012/06/13(水) 20:05:59.47 ID:QbH40Scu0
なかなか、執筆時間が取れておらずまだ三分の二程しか書けてないです。
今週の土曜日か来週の土曜日までには更新したいと思います……。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/06/25(月) 12:02:14.89 ID:EoSB7ZR+o
無理しなさんな。ゆっくりまったり待ってるよ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 22:06:19.63 ID:nKxE8FEUo
まだかよ?
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/08/06(月) 16:17:18.29 ID:xtFbAQ0n0
待ってます
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/29(水) 01:21:27.29 ID:ZeCdsB4+o
マダカァー
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/09/04(火) 03:00:41.89 ID:TKQI8la/o
生存報告だけでもいいのよ?
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/04(火) 21:54:39.99 ID:Oz/o+j7Ro
>>1がレスしないと三か月でスレが落ちる…
そしてもうすぐ>>1がレスしなくなってから三か月…
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/13(木) 00:40:11.87 ID:IiME/YLUo
スレタイがほむら☆ヤサカに見えた
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