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葛葉ライドウ「八十稲羽からの依頼?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:23:54.26 ID:pfxCVfUDO
深夜の方でやってて途中でグダグダになったのでこっちで再チャレンジします。

ちなみにこの葛葉雷堂は顔に傷跡がある異世界の“雷童”です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1332969834(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:28:15.47 ID:pfxCVfUDO
〜 帝都 名もなき神社 〜

…カランカラン…カランカラン…

…パンパン…スッ…

ヤタガラスの使者「お久しぶりですね、14代目葛葉雷童…」

ヤタガラスの使者「あなた宛に依頼が来ています…これから八十稲羽に向かって下さい。」

ライドウと呼ばれた青年はその端正な顔の鼻を横切るように刻まれた傷跡をさすりながら口を開いた。

ライドウ「八十稲羽…聞いた事のない地名だな…」

ヤタガラスの使者「それはそうですよ…八十稲羽は…未来のこの国のとある地方の地名なのですから…」

ライドウ「…なんと!…しかし未来になどどうやって行くのだ!?」

ヤタガラスの使者「築土町の異界にあるアラカナ回廊を使えば可能です。」

ヤタガラスの使者「…ただ、かなりの危険が伴うのも事実…」

ヤタガラスの使者「…故にこの依頼を受けるか受けないかはあなたに任せます。」

ライドウ「では喜んで引き受けよう。俺も葛葉の端くれ…この国の守護者たる悪魔召喚士だからな…」

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:29:50.49 ID:pfxCVfUDO
ヤタガラスの使者「…分かりました…。」

ヤタガラスの使者「…それではあなたにこの者を同行させましょう…」

???「久しいな…ライドウよ…何だその顔は?よもや我の事を忘れたのではあるまいな…??」

〉忘れた…。
 いや、覚えている。

ライドウ「…俺に言葉を話せる猫の知り合いなどおらん…」

ゴウト「…友達甲斐のないヤツめ…我は業斗童子、ナリはこんな格好だが、我も葛葉の端くれよ…」

ライドウ「あぁ…良く知っている…」

ゴウト「おい…ならば最初からそう…まぁ良いわ…今後ともヨロシク頼む。」

ライドウ「あぁ…それでは行こうか…。」

ゴウト「うむ。」

ヤタガラスの使者「それではお二人とも…気を付けて…」スッ…

ライドウ「あぁ…」

ゴウト「何、心配はいらん…我もついているからな…」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:31:52.99 ID:pfxCVfUDO
〜 八十稲羽商店街 神社 〜

ライドウ「…何とか着いたな…。」

ゴウト「流石のお前でも、アラカナ回廊の強力な悪魔には手こずらされたな…」

ライドウ「あぁ…。さて、依頼書によると依頼人との待ち合わせはここのようだが…」

???「あなたが、14代目葛葉ライドウさん…ですか?」

ライドウ「…そうだが…貴殿は??」

直斗「僕は白鐘直斗…あなたと同じ探偵です。」

ゴウト「ライドウ…!…こやつは…!!」

ライドウ「あぁ…!!」

 俺と雰囲気が似ている
〉俺の服装真似するな…

ライドウ「俺の服装を真似するな!」

直斗「あなたは…何を言って…。」

ライドウ「冗談だ…気にするな…それより依頼の内容を詳しく聞かせてくれ…」

直斗「はい…僕があなたに依頼したいのは……」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:34:09.22 ID:pfxCVfUDO
〜 白鐘邸 〜

ライドウ「なるほど…事情は分かった…“マヨナカテレビ”か…」

ゴウト「ふむ…また面妖な話だな…」

直斗「…!…猫が喋った!?」

ゴウト「ほう…我の声が聞こえるか…普通の人間には聞こえんのだがな」

ライドウ「…これはゴウト、俺の助手みたいなものだ…」

ゴウト「我を助手扱いするな!…まったく…我は業斗童子…ゴウトとでも呼んでくれ…」

直斗「は…はい…よろしくお願いします。」

ゴウト「うむ…こちらこそよろしく頼むぞ。」

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:34:59.39 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「そういえば…直斗殿…貴殿は何故俺に依頼を?」

直斗「直斗でいいですよ…実は依頼を出したのは僕じゃないんです。」

ゴウト「…ほう…では誰が?」

直斗「僕のおじいちゃんです…今度僕が担当する連続殺人事件は危険過ぎるから強力な助っ人を呼んでおいたって…」

直斗「…それで僕は商店街の神社に行くように言われたんですよ…」

ライドウ「そういうことか…」

ゴウト「ライドウ…今度直斗の祖父と話してみる必要があるな」ボソボソ…

ライドウ「あぁ…そうだな、直斗の祖父が何者なのか俺も気になる…」ボソボソ…

直斗「…?…あの…二人とも??」

ライドウ「いやすまぬ…気にしないでくれ…」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:35:41.48 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「ふん…これが“テレビ”という物か…」

直斗「はい…その黒い画面に映像が写し出されて、横のスピーカーから音が出るんですよ…」

ライドウ「どれどれ…」

…スッ……ズブッ…

ライドウ「…!…手が!!」

直斗「!?」
ゴウト「!?」

ライドウ「ぐっ…抜けん…!!…何だ!…吸い込まれる!?」

直斗「ライドウさん!」
ゴウト「おい!ライドウ!!」

ライドウ「来るな!二人とも!!…巻き込まれるぞ!…うぉ!?」

…ズルズルズル…ズブン…

ゴウト「ライドウが…」

直斗「テ、テレビの画面に飲み込まれた!?」

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:36:24.92 ID:pfxCVfUDO
― テレビ内の世界 ―

〜 商店街 〜

…ヒュウゥーッ…スタッ…

ライドウ「ぐっ!…入口から随分と落ちてきてしまったようだが…」

ライドウ「先程直斗と待ち合わせをした商店街にそっくりな景色だ…それにしても…」

景色が全体的に暗い…

空が夕焼けの様な赤と黒い影の様な縞模様に覆われている…

そして何やら視界を奪う不気味な黄色い霧が出ている…

ライドウ「あの霧は…“よくないもの”だ…」

この世界について景色を眺めながらあれこれ考察していた時だった…

ライドウ「…!…何かが来る!!」

周囲の景色に所々歪みが生じて、そこから異形のモノが現れた。

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:37:20.33 ID:pfxCVfUDO

シャドウ「………ッ」

歪みから現れた異形のモノどもは、
丸い球状の体に大きな口があり、そこから長い舌をだらしなく垂らしている。

その体はまるで影を集めて作られたかのように黒一色だ。

それら異形の者どもはふらふらと宙に浮きつつも徐々にライドウ目がけてにじり寄ってくる…

ライドウ「どうやら話が通じる相手では無さそうだな…」

彼らと一戦交える事にしたライドウは、自身が纏っている漆黒の外套の内側に手を伸ばし、
銀色の“召喚管”を二本取り出した。

それは一本につき一体、彼と契約を結んだ“悪魔”…“仲魔”が納められている代物だ。

ライドウは取り出した二本の銀の管を胸元に掲げ封を解き放った!

ライドウ「…!?」

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:38:24.13 ID:pfxCVfUDO
…だが何も起こらない…。

ライドウ「…!?」

ライドウは再び外套を捲り、召喚管を確認した…。

どの管も見た目は何ともないが、魔翌力が感じられない…

ライドウ「どういうことだ…?」

愕然とするライドウ…しかし数ある管の中から、微量な魔翌力を放っている一本を見付けた…。

ライドウ「これは…メタトロンの…!!」

彼は急いで大天使メタトロンの召喚管を取り出し、封を解いた。

ライドウ「来いッ!…メタトロン!!」

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:39:10.86 ID:pfxCVfUDO
メタトロン?「ぷっはぁ〜…やぁっと出られたよ〜…久しぶりだねっ!らいどー!」ヒラヒラ

召喚には成功したが…

ライドウ「…」

メタトロン?「ちょっとちょっとぉ〜!もっと喜んでくれてもいいでしょ〜!」

ライドウ「……。」

やけに小さい…というか…

メタトロン?「んもぅ!もしかして私のこと忘れちゃったの〜?ひどいよ!らいどー!」

ライドウ「お前は…モー・ショボー…なのか…?」

モー・ショボー「えへへ〜あったり〜!…モー・ショボーちゃんだよっ!葛葉の里以来だねっ!」ダキツキッ…ピト…

ライドウ「何がどうなってるんだ??」

モー・ショボー「う〜んとね…正直私もわかんない…」

ライドウは軽く頭を抱え込みたくなった…。

モー・ショボー「魔翌力はかなり弱っちゃったけどぉ〜、…覚えた術はちゃんと使えるんだよっ!」

ライドウ「それは本当か!」

モー・ショボー「うんっ!…だからほめてほめて〜」

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:39:56.10 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「あぁ…」

ライドウは期待に目を輝かせる悪魔の少女の頭を撫でてやった。

モー・ショボー「えへへ///らいどーの手、あったか〜い」パタパタ…

そんなやりとりをしている内にも異形の者達はジリジリと距離を詰めてくる…

ライドウ「お互い積もる話もあるが、まずは奴らをなんとかするぞ…」

ライドウ「やれるか?」

モー・ショボー「もっちろん!いつでもいけるよっ!!」

長い髪を翼のように羽ばたかせ宙に浮く少女はライドウに満面の微笑みで応えた。
そして自身の背後、ライドウの正面から近付く敵にゆっくり振り返る。


正面に敵の姿を捉えた少女は、先程とは全く違う、背筋が凍りつくような笑みを浮かべ、
先程と変わらぬ無邪気な声色で喋り出した。

モー・ショボー「ねぇ…らいどー。あいつらみ〜んなぶっ殺しちゃっていいんだよねっ☆」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:40:41.06 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「…そうだ。」

モー・ショボー「んっふふ〜…じゃあ…全部殺っちゃおっと☆…いっくよ〜!」

少女はゆっくりと息を吸い込んでゆく…

モー・ショボー「真空刃!…ふうぅ〜〜ッ…!!」ビュオォォ…!

そして胸いっぱいに吸い込んだ空気を吐き出すと、
真空の刃を含んだ強烈な疾風が巻き起こる。

シャドウ「ギギッ!?」

少女が放った疾風をその身にうけた怪物は全身を斬り刻まれ霧散した。

モー・ショボー「まだまだいくよ〜!ふうぅ〜〜…ッ!!」ゴオォォ…!

うろたえる怪物どもなどおかまいなしに、少女は再び疾風を吐き出し、辺り一面を薙ぎ払う。

シャドウ「ギッ!…ギィ…!!」

少女を中心として発生した嵐によって異形の怪物どもはことごとく八つ裂きにされ消え去った。

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:41:17.95 ID:pfxCVfUDO

モー・ショボー「みんなもう壊れちゃったの?…つまんな〜い!…なんかよっきゅうふまんだよぉ…」パタパタ…

少女は不満気に呟く。

モー・ショボー「あ!そうだ!…ねぇねぇ!らいどー!ちょっと遊ぼーよ」ワクワク

ライドウ「遊びに来たわけではない…それにまずは出口を探さなければ…」

モー・ショボー「…もぅ!相変わらずマジメさんなんだから…」

モー・ショボー「でも…そんなとろもカッコイイぞ…///」

ライドウ「…置いて行くぞ…」スタスタ…

モー・ショボー「や〜ん!まってぇー!!」パタパタ…


15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:41:55.65 ID:pfxCVfUDO
〜テレビ内商店街 酒屋前〜

ライドウ(しかし何なんだここは…巫蟲るつぼのような幻覚?…いや異界のようなモノか??)スタスタ…

ライドウ(…あるいは結界か…もっと別の…)スタスタ…

モー・ショボー「ねぇらいどー!…らいどーってば!」グイグイ

ライドウ「…なんだ?俺は今、色々と考え事をしているんだ…少し静かに…」

モー・ショボー「やだやだー!構ってよ〜!もっとなでなでしろ〜!!」パタパタ…フリフリ…

???『ち…違う!お前なんか…お前なんかァ!!』

ライドウ「…!…人の声…!?」

???『…俺じゃねぇ!!』

モー・ショボー「あの建物の中から聞こえてくるよ!」

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:42:56.37 ID:pfxCVfUDO
〜 テレビ内 小西酒店 〜

ライドウ「これは…!?」

モー・ショボー「おんなじ人が…二人??」ほぇ…

??『ククク…ハッハハハ!…そうさぁ!…俺はお前なんかじゃない!俺は…俺だァ!』ゴゴゴゴ…

???「はぁはぁ…何だよ…何なんだよこれ!?」ゼェゼェ…

ライドウ「危ない!」

ライドウは呆然と立ち尽くす少年を抱えて左後方に飛び退いた。

???「うぁッ!!」

…ガシャン!…バリーン!…

先程まで少年がいた場所に棚に積まれていた酒瓶が降り注いだ。

ライドウ「おい!…しっかりしろ!」

???「うぅ…!…化け物じゃない!?…あんた…人…なのか…?」

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:43:38.87 ID:pfxCVfUDO
 実は化け物なんだ…
〉あぁ!俺は人間だ…!

ライドウ「…あぁ!俺は人間だ!…俺の名は葛葉ライドウ…君は??」

陽介「あ…あぁ。俺は花村陽介…ってかそんなことよりあんたも逃げねぇとヤバイって!!」

陽介はこの世界に来たいきさつをかいつまんでライドウに伝えた…。

大好きな先輩が殺害され、その犯人を探していたこと。

学校が終わり、今日も犯人を探しに出かけるために家を出ようとしたこと…

ふと気が付けば何故かこの世界に居て、化け物から逃げてここへ駆け込むと“もう一人の自分”がいた事を…。

陽介「…それでさ、そいつがあんまりにも見透かしたようなこと言いやがるから…」

陽介「俺、ついカッっとなって…お前なんか俺じゃねぇ!…って言ったら…」

シャドウ陽介『あぁそうさ!俺はもうお前とは違う!』

シャドウ陽介『俺は退屈だったんだよ!こんな田舎に来るハメになって…商店街の人達からは疎まれて…大好きな先輩にまで嫌われてさぁ…!!』

陽介「…!…ち、違う…やめろ…やめてくれぇ…!!」ガタガタ…

シャドウ陽介『ウゼェウゼェウゼェ!…全部ウッゼェんだよ!!…だから俺が全部ぶっつぶしてやんだよ!!』

シャドウ陽介『んでさぁ!…お前もぶっつぶして俺が本物になってやるよォ!!!!』

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 06:44:25.37 ID:pfxCVfUDO
モー・ショボー「来るよ!らいどー!!」

ライドウ「あぁ…いくぞ!」ジャキッ

陽介「いくぞって…どうやって戦うんだよ!?…ってかその女の子空飛んで…!??」

モー・ショボー「あれ?あなたも私が見えるの?…もしかしてあなたもサマナーさん??」

陽介「サマナー?」

ライドウ「集中しろ!話は後だ!!」

モー・ショボー「はーい!」

シャドウ陽介『うおおぉぉぉーッ!!!』ズズ…

もう一人の陽介の咆哮を合図に黒いドロドロとした影のようなものが彼に集まっていく…

陽介「…!?」

そして背中から人間の上半身を生やした大きな蛙の姿の怪物に変貌した!

シャドウ陽介『我は影…真なる我…』

シャドウ陽介『退屈なモンは全部…ぶっ潰してやる!』
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:18:45.37 ID:pfxCVfUDO
ライドウは腰の鞘から刀を抜いて構えた…

モー・ショボー「ね〜ね〜、らいどー!アレやろうよア・レ・っ!」ゴゴゴ…

…モー・ショボーは何かを繰り出そうとしている…

ライドウ「連携か…。いいだろう…まずは小手調べだ」

……「「疾風忠義突ッ!」」……

シャドウ陽介『!?』

怪物と化したもう一人の陽介に風を纏った電光石火の乱れ突きが襲いかかる…

シャドウ陽介『ぐあぁぁ…!』

陽介「やったか!?」


シャドウ陽介『…なぁ〜んてな!…効くわけねぇだろ!バ〜カ!!』ククク…

モー・ショボー「うそ!?何で??」

ライドウ「疾風は効かんらしいな…お前は陽介を守れ…ヤツは俺がなんとする!」

モー・ショボー「うぅ…ごめんね、らいどー…」

ライドウ「気にするな…お前のお陰でヤツの特性は大体分かった。」

20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:19:47.17 ID:pfxCVfUDO
シャドウ陽介『おいおいおい!お前…もしかして俺に勝てるつもりになってんのかよ?』

ライドウ「元よりそのつもりだが?」

ライドウは左手で腰のホルスターからリボルバー式の拳銃、コルトライトニングを取り出し、弾丸を放った!

…ドドン!…ドン!…ドンドン!…

シャドウ陽介『ぐッはァ…!!』ブシュ!

弾倉に込められた鉛弾を全弾腹にぶち込まれた怪物は思わず退け反った…

それを好機と見たライドウは一気に距離を詰める!

シャドウ陽介『ナメんなァ!!』ビュオォォ―ッ!!

だが怪物も負けじと凄まじい衝撃波を放った!

陽介「避けろ!葛葉ァッ!」

全力疾走する今のライドウは真正面から迫り来る衝撃波に対して回避行動をとれない!

…直撃か?

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:20:52.87 ID:pfxCVfUDO
…ドゴッ!…ギュウゥゥーン…

モー・ショボー「ふっふ〜ん!ぜんっぜんきかないよ〜だ」ベー…

シャドウ陽介『き…吸収しやがった!?』

モー・ショボー「わたしはと・く・べ・つだからね〜…さぁ!あとは仕上げだよっ!らいどー!」フレーフレー!

ライドウ「あぁ…良くやった!」ダッダッダッ…

モー・ショボー「えへへ…ほめられちった///」イヤンイヤン

シャドウ陽介『く…来るな…来るなぁーッ!!』

ライドウ「―ッ!」

ライドウはうろたえる怪物の懐に駆け寄り、容赦なく斬りかかった。

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:21:32.39 ID:pfxCVfUDO
…ザンザンザンザン!…

シャドウ陽介『ぐ゙ッ…あぁ…があああぁぁぁぁッ』

流れるような斬撃をその身に受けた怪物は、
大小様々な大きさの光の粒を撒き散らしながら弾け飛んだ…

ライドウ「…フン」チャキンッー

その眩い光を背に受け、ライドウは静かに刀を鞘に納めた。

モー・ショボー「きゃ〜!カ〜ッコイイぞ〜!らいどー!!」キャッキャッ…

陽介「葛葉…何者なんだ…お前??」

ライドウ「俺か?俺は…見ての通りの学生だ。」

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:22:16.52 ID:pfxCVfUDO
モー・ショボー「ねぇねぇ…ちょっと…あ、あれ!」パタパタ…

シャドウ陽介『…』ユラリ…

少女が指さす方に目をやると、そこには元の姿に戻ったもう一人の陽介が立っていた。

ライドウ「…しぶといな」バッ

陽介「待ってくれ!葛葉!…あれは!…あれは間違いなく俺だ!」バッ

ライドウ「…」チャキ…

ライドウは再び鞘から抜き放った刀を納めた。

それを見た陽介は、もう一人の自分に向かって歩き出す…。

陽介「そうさ…俺は…ッ」

そして苦しい胸の内を誰にともなく語りだした…

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:25:02.19 ID:pfxCVfUDO
自分の父親がオーナーを務める百貨店が地元商店街の経済を圧迫してしまったせいで商店街の人々から疎まれ、
これ以上嫌われないようにと人の目ばかり気にして行動していたこと…

また、大好きな先輩である小西早紀の実家の酒屋もまた経済的に困窮し、
彼女は家計を助ける為にやむを得ず商売敵である百貨店でアルバイトをしていたこと…

そんな小西を見かねて影から彼女の支えになろうとするも、
人目を気にするあまり中途半端な立ち回りしかできなかったこと…

そしてその中途半端な立ち回りが結果的に彼女の心を苦しめる事にしかならなかったことを…

陽介「だからッ!…小西先輩を殺したヤツを捕まえられたら…何もかも中途半端な自分も…」ブルブル

陽介「先輩の無念を晴らせたら…こんな俺でもヒーローになれんじゃねぇかって…ッ!!」ボロボロ…

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:25:49.96 ID:pfxCVfUDO
陽介「…なのにッ!!…グス…ホント、何もかも中途半端すぎてダッセーよなぁ…俺…」ポロポロ…

ライドウ「顔を上げろ、陽介…男たる者、そう簡単に泣くものではない…」ガシッ

陽介「…葛葉?」グス…

ライドウ「中途半端の何が悪い…欠点のない完璧な人間などどこにいる…」

ライドウ「中途半端であろうがなんであろうが、それもお前だ…」

ライドウ「…ならばそれを受け入れた上で、お前らしく小西殿に誇れる人間になってみせろ…!」

陽介「…ッ!…あぁ…そうだな…そうだよな!」

陽介「お前のおかげで何かこう…心のつっかえが取れたような気がするよ…ハハッ…ありがどな…葛葉」

ライドウ「気にするな…それより出口を探さなければ…」

陽介「あー…そういや、すっかり忘れてた!…俺らこっから脱出しないといけないんだよなぁ…」

???「そ、そこに誰かいるクマ?」ヒョコ…
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 07:28:21.61 ID:pfxCVfUDO
キリは悪いがこの辺でいったん止めます。

続きはまた今日の夕方くらいに
27 :名無しNIPPER [sage]:2012/03/29(木) 08:02:22.02 ID:xV9j0P7DO
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/03/29(木) 10:12:00.03 ID:YvX2PwFAO
これ番長がいない世界なのか?
ならなんで陽介がテレビの中入れたのか不思議ではあるけど
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 10:21:27.52 ID:pfxCVfUDO
>>28
ジュネスが出来た事によって地元のテレビの取材を受ける

そして小西を殺した犯人を一人で探してて家を出ようとした時に例のあの人に…

という流れだ
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/03/29(木) 10:46:05.41 ID:YvX2PwFAO
>>29
なるほど
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/29(木) 17:18:24.02 ID:H9z0bBwDO
それを作中で説明してほしかったな
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:03:38.37 ID:pfxCVfUDO
声がした方を見るといつの間にか大きな熊の縫いぐるみのようなモノが立っている…

ライドウ「…!…お前は何者だ?」スッ…

クマ「クマの名前は“クマ”クマ。」

陽介「まんまかよ!?」

クマ「それよりキミたちこそ何者クマ?」

ライドウ「俺は葛葉ライドウ…学生だ…」

陽介「俺、花村陽介…ってかお前…クマ…だっけ?…こっから出る方法知んない??」

クマ「知ってるクマよ…ただし条件があるクマ!」

陽介「マジで!?じゃあ早速出口に案内してくれよ!」

ライドウ「…しかし、その条件とは?」

33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:04:24.65 ID:pfxCVfUDO
クマ「うん…それは…」

クマの言う条件とは…

最近テレビの中に人が良く迷い込むのでその原因を探って欲しいこと…。

そして自分自身が何者なのか…どこから来たのかを一緒に考えて探して欲しい…ということだった。

ライドウと陽介はクマと約束を交し、彼が用意してくれた出口から脱出した…

34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:05:16.92 ID:pfxCVfUDO
〜 ジュネス 家電売り場 〜

気がつけば二人は家電製品売り場らしき場所の大型テレビの前にいた…

陽介「まさかここに繋がっるとはなぁ…」

葛葉「ここは…?」

陽介「ジュネスっつう百貨店。さっきちょうど話してたじゃん」

陽介「…にしても、今日は色々あったなぁ…向こう側でお前が来てくれてなきゃ、今頃は…」ブルブル

陽介「あ〜!考えたら怖くなってきた!!…ホントありがとな!…葛葉!」ガシッ

ライドウ「気にするな…困った時はお互い様だ」ガシッ

硬い握手を交し、フードコートで少し世間話をした後、二人は別れる事にした。

陽介は自宅へ帰る為に。

ライドウは白鐘邸へ自身の無事を報告する為に…。

35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:06:08.49 ID:pfxCVfUDO
〜 八十稲葉郊外 白鐘邸 〜

― 夕方 ―

ライドウは白鐘邸に着くとテレビの中での出来事の詳細を説明した。

直斗「そんなことが…にわかには信じられませんが…いえ…僕も実際にあなたがテレビに吸い込まれるのをこの目で見ましたし…」

直斗「…全て事実…なんですよね…」

ライドウ「あぁ…この“マヨナカテレビ”の噂…明らかに一般人の手に負えるものではない…俺が担当になったのは正解だ」

直斗「そういえばライドウさんはその、過去の…世界から来たんですよね?」

ライドウ「あぁ…そうだが…」
直斗「最初、おじいちゃんからそう聞かされた時は冗談か何かかと…」

ライドウ「それは当然の反応だ…普通ならこんな話は信じられまい…だが、少しは信じる気にはなったか?」

直斗「はい!」

ライドウ「そうか…では改めて…直斗、二人で情報を交換しつつ、それぞれの事件を解決するぞ!」

直斗「はい!僕も連続殺人事件の解決を目指して頑張ります!」

36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:06:46.32 ID:pfxCVfUDO
直斗「あ!それと、おじいちゃんからライドウさんへ伝言があります」

ゴウト「ライドウに伝言?」

直斗「はい!自分はしばらく家を空ける、と…」

ライドウ「…。そうか…」

直斗「それからこの家の空き部屋を自室として使ってくれとの事です…」

ライドウ「それは有難いな…」

直斗「そして、明日から学校に行けとの事です…」

ライドウ「…なんだと!?」

ゴウト「こういう経験も大事だぞ?ライドウよ…」ニヤ

ライドウ「…。」

37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:07:46.36 ID:pfxCVfUDO
〜 白鐘邸 ライドウ自室 〜

― 夜 ―

ライドウ「学校…か…」

ゴウト「一応高等師範学校の生徒だというのに、今までまともに通えていなかったのだから、ある意味いい機会ではないか」

モー・ショボー「えー!やだよー!らいどーが構ってくれる時間が減っちゃうよ〜」ボンッ

ライドウ「勝手に出てくるな…管に戻れ」

モー・ショボー「むーッ! ――― のケチ〜!!」ムゥッ!

ライドウ「俺をその名で呼ぶな…、ん?…そう言えばお前はどうして俺の真名を…??」

モー・ショボー「…!…そ、それは、ほらアレだよアレっ!…あははは…おやすみっ!」ポンッ!

ライドウ「お、おい!」

ゴウト「大方、我がお前の真名を呼ぶのを聞いたといったところだろう…」

ライドウ「…そう、だったか…?」

ライドウ「…?…まぁいい、今日はもう寝るとしよう」

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:08:28.10 ID:pfxCVfUDO
― ???? ―

イゴール「ようこそ…ベルベットルームへ…私はこの部屋の主、イゴールと申します」

マーガレット「私はイゴール様の助手のマーガレットと申します…あなたはここへ来られるのは初めてですね…」

…え?何ここ?ベルベットルーム??…

イゴール「左様…あなたから大いなる力が感じられます…あなたはここに来る資格をお持ちのようですな…」

…しかく?わたし、そんなのもってないよ??…

イゴール「いいえ…あなたは確に持っています…大いなる力…“ワイルド”の力を…」

…わいるど?そんなの知らないよ…

イゴール「今は分からなくとも良いのです…」

イゴール「しかし、この先あなた方に降りかかる災いに対抗するために必要な力です」

…さっきからなんのことかさっぱりだよっ!…

イゴール「契約は果たされました…それではまた近い内にお会いしましょう…」

…ちょっと!まって!まってよぉ〜!!…

39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:09:04.92 ID:pfxCVfUDO
― 翌日 朝 ―

〜 八十神高校 二年教室 〜

諸岡「…え〜、今日は転校生が来ている…ほれ、入って来なさい。」

…ガラッ…

陽介「…ッ!」

転校生「…一身上の都合で弓月の君高等師範学校から転校してきた、葛葉ライドウだ…今後ともよろしく…。」

諸岡「…だそうだ、何でも東京の方から越して来たいわゆる落ち武者だが…みんな仲良くしてやるんだぞ!」

 誰が落ち武者だ!
〉誰が鋭いモミアゲだ!

ライドウ「誰が鋭いモミアゲだ!」

諸岡「な、何を言っとるのかね君は…これだから都会育ちの若者は…」ブツブツ

諸岡「とりあえず席に着きなさい!」

ライドウ「あぁ…。」

…ツカツカツカ…ガタ…スッ…

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:09:42.53 ID:pfxCVfUDO
陽介「こんな偶然ってあるんだな〜!今日から同じクラスか…よろしくな葛葉!」ニッ

ライドウ「あぁ…よろしく頼むぞ…陽介。」

千枝「なになに?二人とも知り合い?」ズィ

諸岡「こら!そこッ!静かにせんか!!」

千枝「やっば!」バッ

陽介「葛葉…昼休みに屋上に来てくれ、話があるんだ」ヒソヒソ…

ライドウ「…?…あぁ、構わんが…」

陽介「詳しくはまた後で!」バッ…

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:10:25.89 ID:pfxCVfUDO
― 同日 昼休み ―

〜八十神高校 屋上〜

四月の暖かい日射しを浴びながら、ライドウと陽介は屋上で昼食を摂っていた。

陽介「…モグモグ…なぁ、葛葉…昨日は適当に誤魔化してたけど、お前、絶対ただの高校生じゃないよな?」モグモグ…

ライドウ「そんなことはないぞ…ムグムグ…見ての通り、俺はお前と同じ高校生だ…」モグモグ…

さて…どう誤魔化したものか…。

そんなことを考えながらライドウは梅干し入りのおにぎりを取ろうとして手を伸ばす…

ライドウ「…む?」

だが、おにぎりを掴もうとした彼の手は何も掴めなかった。

モー・ショボー「えへへぇ〜…隙あり〜!いっただきま〜す!」サッ!…モグモグ…

モー・ショボー「…!…うわ!何これ!?しゅっぱいよ、らいどー!?」ジタバタ…

陽介「なぁ…普通の高校生はこんな空飛ぶ女の子を連れてないと思うぞ…?」ジー

ライドウ「…」

ライドウは軽く頭を抱えた…

モー・ショボー「…ふぇ?」パタパタ…

42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:11:06.42 ID:pfxCVfUDO

モー・ショボー「どーしたの?らいどー?あたま痛いの?」アセアセ…ナデナデ…

ライドウ「あぁ…お前のせいでな…」

心配そうな面持ちの少女に頭を撫でられるライドウはすこぶる仏頂面だ。

突然現れたこの無邪気な少女のお陰で誤魔化しきれなくなった彼は、

過去から来たことはふせて自身の身の上を陽介に簡単に説明した…。

陽介「…悪魔召喚士(デビルサマナー)…?」ジー

ライドウ「その名の通り契約を結んだ悪魔を召喚し、その力を行使する者のことだ…」

ライドウ「それと同時に俺は怪異専門の探偵でな…ある御人からこの町で起こっている“マヨナカテレビ”という怪現象の解決を依頼されて来たんだ…」

陽介「お前…やっぱただ者じゃなかったんだな…!…じゃあそのコは…その、悪魔ってやつなのか?」ジー

モー・ショボー「そーだよ!わたしモー・ショボーっていうの!よろしくね!ニンゲン!…え〜とぉ…たしか、よーすけだっけ??」パタパタ…

陽介「あ、あぁ…よろしくな…」

陽介「…にしてもすんげー高校生もいたもんだなぁ…とても同い年だと思えねぇよ…」

ライドウ「まぁ、な…」モグモグ…

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:11:47.80 ID:pfxCVfUDO
しばらく食事をする事も忘れて呆けていた陽介はハッと思い出したように口を開いた。

陽介「そうだ!あんまりの事ですっかり飛んでたけど…俺、お前に聞いて欲しい事があるんだ!」

陽介はその“聞いて欲しい事”を矢継ぎ早に話し出した…。

もう一人の自分と向き合って改めて小西早紀を殺害した犯人を追う決意をしたこと…

そして昨日帰宅した後、テレビの画面を触ると手が吸い込まれそうになったことを。

陽介「この変な力を手に入れたのも何かの縁だと思うんだ…だから俺もお前の手伝いをさせてくれ!」

ライドウ「かなり危険だぞ?…それに陽介が探している連続殺人犯と俺が担当している事件は関係ないのではないか?」

陽介「ぜったい関係あるって!!」

ライドウ「何を根拠に…」


陽介「それは…」

陽介は、二つの事件に何らかの関係があると思う根拠について喋り出した…。

44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:12:53.66 ID:pfxCVfUDO
4月12日に殺害された山野アナと数日後に殺害された小西早紀。
両者の遺体が発見された状況に明らかな共通点があること…

そして昨日、テレビ内の世界でライドウが駆け付ける直前に、
先日殺害されたはずの小西早紀の声をハッキリと聞いたことを…。

陽介「…だから俺はあのテレビの世界と連続殺人事件は間違い無く繋がってると思うんだ!」

ライドウ「ふむ…なるほどな…」

ライドウ(確かに何らかの関係があるかもしれない…謎の怪現象に…連続殺人事件…か…)

ライドウ(まさか直斗が担当している事件に直接関係しているとはな…今日帰ったら話しておくか…)

陽介「なぁ…頼むよ葛葉!…このとおりだから!!」バッ

ライドウ「…協力してくれるのは構わないが、絶対に無茶はするなよ。」

陽介「…!…あぁ!ありがとな!…ライドウ!!」ガバッ

???(うわぁ…何かすっごいこと聞いちゃったな〜…まさか葛葉君にそんな秘密が…)ソーッ…

45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:14:17.95 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「それはそうと…だ。…いつからそこにいるのかは知らんが…そろそろ出て来たらどうだ?」

???「!?」ギクッ

陽介「どうしたんだよ、ライドウ?」

しばらくすると屋上の入り口から一人の少女が姿を現した。

陽介「…!…里中!?」

千枝「あ…あはは…ごめんッ!…盗み聞きするつもりはなかったんだけど…」

ライドウ「…」

千枝はライドウに軽く自己紹介した後、
先程の二人の会話をほぼ最初から、ほとんど聞いてしまったことを素直に白状した。

46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:17:05.72 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「…まぁ聞いてしまったものは仕方ない…」

…ライドウの寛容さが上がった♪…

千枝「あはは…ごめんね葛葉君…」

モー・ショボー「むぅ!らいどーになれなれしくするなニンゲンっ!」プン!

千枝「おぉー!これがさっきの話の悪魔っ娘かぁ!よ〜しよしよし…」ワシャワシャ…

モー・ショボー「えへぇ〜、なでなで///…じゃなくてぇ!子供扱いするな!ニンゲンっ!!」プンプン!

千枝「ごめんごめん…じゃあ仲直りしよっ!…そうだ!この肉ガムあげよう!」テレッテー

モー・ショボー「なにそれ?おいしいの??」ワクワク…

陽介「おいおい!…そんな変なモンあげんなよ!!」アセアセ

千枝「変なもんとは何よ!…これ結構イケるんだから!!」

モー・ショボー「らいどー、らいどー!おやつもらっちった!!」ニコニコ…

ライドウ「ちゃんと礼を言うんだぞ」

モー・ショボー「うんっ!ありがとね、ちえ!…あ!これおいしいよ!!」モグモグ…

陽介「うそだろ…」

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 19:17:51.99 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「しかし…二人ともこいつの姿が見えているのだな…」

陽介「え?」

千枝「普通に見えるけど?」

ライドウ「普通の人間の目には悪魔は見えないのだが…」

モー・ショボー「そういえばそうだよね…二人ともサマナーなの?」ほぇ…

陽介「いや…俺はちがうぞ?」

千枝「あたしも…」

ライドウ「二人には何らかの素養のようなものがあるのかもしれんな…」フム…

モー・ショボー「ふあ〜ぁ…おなかいっぱいになったら、なんか眠くなってきちゃったよぅ…」ポンッ!

少女は欠伸をすると、その姿を小さな光の玉に変え、
ライドウの外套に潜り込んだ。

千枝「何、今の!?手品!??」ビクッ

陽介「なんか改めてスゲーよなお前って…」

ライドウ「…」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:30:01.96 ID:pfxCVfUDO
〜 八十稲羽 白鐘邸 〜

― 夜 ―

ライドウは夜遅くに帰宅した直斗にお互いが担当している事件が関連している可能性があることを伝えた。

直斗「そんなことが…」

ライドウ「あぁ…それより直斗…その制服は…」

直斗「そう言えば話してませんでしたね…僕も八十神高校に一年生の生徒として通っているんです…」

直斗「…僕が探偵であることは学校では伏せてますけどね…」

直斗「それよりライドウさん!これを!」スッ

直斗は小さな紙袋をライドウに手渡した。

直斗「プリペイド式のPHSですよ。持っていた方が便利でしょうから…」

ライドウ「プリペイド?…ぴーえいちえす…??」

直斗「はい…要するにこれは電話です」

ライドウ「電話…これがか??」

直斗「使い方はこんな感じです…」

直斗はPHSの使い方を説明した。

49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:30:44.01 ID:pfxCVfUDO
直斗「ちなみに僕の連絡先は既に登録済みなので何かあったらいつでも呼んで下さい。」

ゴウト「ふむ…何とも便利な世の中になったものよ。」

ライドウ「わかった…ありがとう直斗。」

直斗「いえ…どういたしまして」

ライドウがぎこちない手つきでおっかなびっくりPHSを操作していると外套の中の召喚管を落としてしまった。

…ボンッ!…

モー・ショボー「よっと!…呼んだ〜?…らいどー」キョトン…

直斗「うわっ!…何なんですかこれ!?…ライドウさん!?」ビクッ


ライドウ「すまない直斗…、こいつは…」

ライドウは自分のことを改めて直斗に説明した…

50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:31:28.44 ID:pfxCVfUDO
直斗「そ、そうですか…おじいちゃんから聞いてはいましたが…これが…悪魔…」ジー

モー・ショボー「わたし、モー・ショボー。よろしくね!」

直斗「は…はい!…よろしく…」

ライドウ「…直斗もこいつの姿が見えるのか…」

直斗「えぇ…そうみたいです…確か普通の人間には見えないんですよね…」

ゴウト「その通りだ…。まぁごく稀に見える人間もいるが…。直斗も悪魔が見える資質があるのやもしれぬな…」

直斗「僕に…悪魔が見える素質が…」

ライドウ(直斗もか…。悪魔が見える人間が身近にいすぎる気がするな…)

ライドウ(…偶然…か?)

直斗「ライドウさん…?」

ライドウ「いや…何でもない…俺は部屋に戻る。」

直斗「…?…はい…おやすみなさい。」

51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:32:07.97 ID:pfxCVfUDO
〜 白鐘邸 ライドウ自室 〜

― 午前0時前 ―

ライドウ「先ほどから何やら雨が降って来たな…」

ゴウト「ライドウよ…覚えているか…件の“マヨナカテレビ”の事を…」

ライドウ「あぁ…雨が降る日の深夜0時に何も映っていないテレビに“何か”が見えるんだったな…」

ゴウト「幸いにも今宵は条件を満たしている…もうすぐ午前0時だ…」

ゴウトが言い終わり、部屋の時計の短針がちょうど12時の位置に止まった時だった…

…ザ…ザザザ…ザザ…

ライドウ「これは…!?」

電源を入れてもいないはずの部屋のテレビに突然“何か”が映った!

写し出されたそれは人影のようだが、
映像と音声の乱れが激しく、イマイチよく分からない…。

ゴウト「ライドウ…!」

ライドウ「今のは…何だ!?」

52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:32:44.36 ID:pfxCVfUDO
― 翌日 朝 ―

〜 八十神高校 二年教室 〜

陽介「なぁ、ライドウ…見たか?昨日のマヨナカテレビ?」

ライドウ「あぁ…見た。」

陽介「やっぱ見たか!…テレビに映ってたヤツってさぁ…昨日学校休んでたうちのクラスの天城に似てたような…」

ライドウ「天城…?」

千枝「はぁはぁ…雪子!…そんな!…今日も来てないなんて!?」ゼェゼェ…

陽介と件の怪現象について話していると、真っ青な顔をした千枝が教室に飛込んできた…

陽介「ど、どうしたんだ里中?」

ライドウ「何かあったのか?」キリッ

千枝「花村!…葛葉君…」

千枝は二人の姿を確認するやいなや彼らの手をつかんで教室の入口へ歩き始めた。

陽介「ちょ!…何なんだよ里中!?」

ライドウ「どこへ行くつもりだ…?」

千枝「いいから!…二人ともちょっと来て!!」

53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:33:21.98 ID:pfxCVfUDO
千枝は道すがら昨日のマヨナカテレビに雪子の姿がはっきりと見えたことを二人に伝えた…

千枝「昨日から雪子に連絡がつかないの!…家の人に聞いても分からないって…」

千枝「それに昨日の葛葉君と花村の話だと、マヨナカテレビに映った人は死んじゃうんだよね!?」

ライドウ「落ち着け…まだ確実にそうと決まった訳では…」

千枝「でも!雪子はもうテレビの中かもしれない…お願い!雪子を助けたいの!」

千枝「二人はテレビの中に入れるんでしょ??あたしも連れてって!」

陽介「なぁ…ライドウ!俺からも頼むよ!」

千枝「花村…!」

ライドウ「…分かった…ただし危なくなったら直ぐに戻れよ?」

千枝「葛葉君…ありがとう!」

54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:34:05.26 ID:pfxCVfUDO
〜 ジュネス 家電売り場 〜

陽介「なぁ…なんでわざわざここのテレビから…」

ライドウ「ここ以外の場所から入ったとして…」

ライドウ「あの世界の知らない場所に入ってしまったら帰れなくなる恐れがあるからな…」

陽介「…!…そうか…それもそうだな…」

ライドウ「ではいくぞ…二人とも、準備はいいか?」

陽介「あぁ!いつでもいいぜ!!」

千枝「あたしも!」

ライドウ「よし!」

…ズズズ…ズプン…

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:34:40.94 ID:pfxCVfUDO

〜 テレビ内 広間 〜

千枝「ここが…テレビの中の世界…」

クマ「また会ったクマね!センセー!ヨウスケ!」

陽介「なんだよ…その“センセー”って…つか俺は呼び捨てかよ!?」

クマ「センセーはクマのお願い聞いてくれたし、シャドウも倒しちゃうスゴイ人だからセンセークマ!」

千枝「しゃべった!?」ビクッ

クマ「およ?今日は見慣れない子も一緒クマね…」ジー

ライドウ「それよりクマ…今この世界に俺たち以外の人間が入り込んではいないか?」

クマ「さっすがセンセー!良く分かったクマね!」

ライドウ「…!…いるのか!…早速だが案内を頼まれてくれるか?」

クマ「わかったクマ!…案内するからクマについて来てクマ!」

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:35:16.26 ID:pfxCVfUDO
〜テレビ内 雪子姫の城〜

クマの案内で先に進む三人の目の前に、
童話の話の中に出て来るような大きな城が見えて来た。

クマ「着いたクマよ。」

千枝「あの中に雪子が…。雪子〜!!」ダダッ…

陽介「待てって!…おい!…里中ァ!」

ライドウ「急いで後を追うぞ!」

クマ「二人とも待つクマ!…」

クマはメガネを取り出して二人に渡した…

陽介「おぉ…スッゲー!…景色が良く見える!!」スチャ…

ライドウ「俺は集中すれば普通に見えるからいらないんだが…とりあえず頂いておこう…」

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:36:19.64 ID:pfxCVfUDO
〜 雪子姫の城 回廊 〜

ライドウと陽介は一人で飛び出した千枝を追って走っていた…。

陽介「ったく!里中のヤツ!どこまで行ったんだよ!」


そんな彼らの前方の床から異形の怪物が現れた!

ライドウ「…!…陽介!…俺の後ろにさが…」

陽介「いや…たぶん大丈夫だ…」ゴゴゴゴ…

ライドウ「お前…何を言って…!?」

陽介の胸元に光るカードのようなものが現れ…

陽介「来いッ!ジライヤ!」

― カッ! ―

彼はそれを手に取り、人型の何かを召喚した!!

58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:36:55.38 ID:pfxCVfUDO
ジライヤ「……ッ」ビュオォォッ!

シャドウ「…ギィィ…!」ブシャア!

陽介に召喚されたモノ…ジライヤは怪物達を疾風で薙ぎ払った!

ライドウ「陽介…お前、それは…!?」

陽介「何かさ…声が聞こえたんだ…ペルソナ、って言うらしい…」

ライドウ「ペルソナ…」

ライドウ(今のは…紛れもない悪魔召喚…。だが何かが違うような…)

陽介「そんなことよりだ…ライドウ!今は里中を追わねぇと!」バッ!

ライドウ「そうだな!」バッ!


…ダッダッダッダッダッ…

59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:37:38.10 ID:pfxCVfUDO
先を急ぐ二人の目の前に大きな扉が見えて来た…

陽介「はぁ…はぁ…まだ追い付かねぇのかよ…あいつどこまで…」ゼェゼェ…

ライドウ「無駄口を叩くと余計に息が切れるぞ…」

陽介「こんだけ走って…息一つ乱れないって…どんな…体してんだよ?」ゼェゼェ…

千枝『…やめて!…やめてよぉ!あたしは…あたしはそんなこと思ってない…!!』

千枝?『…隠しても無駄よ…あたしはあなたなんだもの…』

千枝?『かわいい雪子…あたしに無いもの何でも持ってる雪子…でもあたしがいないとな〜んにもできない雪子…』

千枝?『…あの子と友達面してつるんでたのも自分のちっぽけな自尊心を満足させる為なんだよねぇ?』

ライドウ「あれは…千枝の声か!!」

千枝『違う違う違う!!…あんたなんか…あんたなんかァ…ッ!!』

陽介「やめろおぉ!里中ァ!!」


…あたしじゃないッ!!!…


…………………。

60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:38:13.99 ID:pfxCVfUDO
〜 雪子姫の城 大広間 〜

観音開きの大扉を開けて広間に入った二人の目には…
顔面蒼白で床に座り込む込む千枝と、
今まさに異形のモノに姿を変えていくもう一人の千枝の姿が飛込んできた。

シャドウ千枝『我は影…真なる我…』ズズズ…

シャドウ千枝『アッハハハハハ…アナタ達にもキッツ〜イお仕置きしてあげる!!』ドン!

ライドウ「陽介!」ゴゴゴゴ…

陽介「あぁ!!」ゴゴゴゴ…

二人「「…来いッ!」」

― ボンッ! ―

― カッ! ―

ライドウ「モー・ショボー!」

陽介「ジライヤッ!!」

61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:39:54.03 ID:pfxCVfUDO
モー・ショボー「んっふふ〜!さっそくだけど手加減しないよ?…死んじゃえっ!ふうぅ〜〜…ッ!!」ゴオオォォ!

少女はその優雅な仕草とは裏腹に、強烈な疾風を吐き出した!

シャドウ千枝『ギャアアァッ!!』ズバズバ…!

真空波に斬り刻まれた怪物は思わず体勢を崩す…。

陽介「チャンスだ!」

>Yes
 No

ライドウ「たたみかけるぞ!」カッ

陽介「あぁ!いくぜ!ライドウ!!」

身動きがとれない怪物にライドウとジライヤ、そしてモー・ショボーはここぞとばかりに一斉攻撃を仕掛けた!

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:40:34.30 ID:pfxCVfUDO

シャドウ千枝『ぐッ!?…よくも…よくもおぉぉッ!!』

起き上がった怪物は、壁を背にして座り込む千枝に向かって冷気を伴った氷塊を放つ!

陽介「危ねぇ!里中ァ!」

……ドンッ!……

陽介「うああぁッ!」

千枝「は、花村!?…あんた…」

陽介はジライヤを千枝の前に立たせ、彼女をかばった。

ライドウ「陽介!」

陽介「…俺なら…ぜぇ…ぜぇ…平気だ…ライドウは…アイツを…ッ!!」ガクッ

外傷こそ無いものの、陽介は胸を押さえてうずくまり、
脂汗を流しながら肩で荒い呼吸をしている。

ライドウ「それのどこが平気と言うのだ!?」

63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 20:41:40.82 ID:pfxCVfUDO
モー・ショボー「らいどー!ここはわたしにまかせて!」スッ…

少女はライドウの胸元を指さした。

それに従ってライドウは外套の内側に目をやった…

そこにある複数の召喚管の内の一本が光っている…

ライドウ「…ティターニアの管が!?」

モー・ショボー「らいどー!」

ライドウ「承知した!」

ライドウは召喚管の封を解き放った。

放たれた幾重もの光の筋が悪魔の少女に集まっていく…

ライドウ「おい!…大丈夫なのか!?」

モー・ショボー「うんっ!平気だから見てて…えいっ!」パアァ…

少女が陽介に向けて手をかざすと彼は暖かな白い光に包まれた。

陽介「はぁはぁ…。…!?…あれ?…胸の痛みが??」スクッ…

苦しそうにうずくまっていた陽介は何事もなかったかのように立ち上がった。

ライドウ「それは…ティターニアの癒しの術!?」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:27:20.77 ID:pfxCVfUDO
モー・ショボー「どう?…すごいでしょ〜!後でいっぱいよしよししてね!らいどーっ!」ニパッ!

モー・ショボー「いたいのなおった?…よーすけ?」パタパタ…

陽介「あぁ!バッチリだぜ!…サンキューな!!」ニッ

ライドウ(モー・ショボーの属性が疾風から技芸に変わった!?)

シャドウ千枝『だったらもう一発…!』ズズッ…

陽介「させるかよ!…こいつはさっきのお返しだ!!…くらいやがれッ!!!」カッ!

再び千枝に襲いかかろうとする怪物の前に、陽介のジライヤが立ちはだかった…

ジライヤ「―ッ!」ビュン!

…ガッ…ドズ!…ドゴッ…バキィ!…

顔面…下っ腹…胸…顎…

ジライヤは風を纏った拳で執拗に怪物を殴りつける。

シャドウ千枝『あ゛あぁぁぁぁッ!!』

たまらず倒れ込んだ怪物は全身から、
ドロドロした影のようなモノを吹き出して元の姿に戻った…。

65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:28:24.54 ID:pfxCVfUDO
千枝「…!…は、花村…葛葉…くん…」ヨロ…

怪物が消え、再び我に返った千枝は震える足を押さえながら立ち上がった…

ライドウ「大丈夫か?」

千枝「うん…ありがと…」

陽介「つかまれ…里中。」

千枝は二人の肩をかりて、もう一人の自分の前に立った。

千枝「あんたは…やっぱりあたしなんだよね…」

シャドウ千枝『…』コクッ

千枝「あたしってさ…汚いよね…」

千枝はもう一人の自分に向かって親友である雪子に対する思いを打ち明けた…

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:29:20.40 ID:pfxCVfUDO

雪子とは幼い頃からのかけがえのない親友であること…

しかし、自分とは違い人見知りではあるが、おしとやかで女らしく、
その上家柄も良い彼女に対して、
いつからか嫉妬するようになったこと…

そして、最近ではそんな彼女の保護者を気取ってどことなく優越感に浸っていたことを。

千枝「あたしってホント嫌な女だよね…どの口で雪子に親友だ、なんて言ってんだか…」ハァー…

陽介「里中…」

ライドウ「人と人との関係など所詮そんなものだ…良い方へも悪い方へも簡単に移りゆく…」

千枝「……。」

ライドウ「だが、変わりゆく中で確かに変わらぬものもある…」

ライドウ「優越感に浸って…しかしその事をひどく後ろめたく感じていたのは…」

ライドウ「今も変わらず彼女を大切な友だと思っているからに他ならないのではないか?」

千枝「…!!」

ライドウ「その証拠にお前は彼女の為に危険も省みず助けようとした…」

ライドウ「千枝…お前には彼女の親友を名乗る資格がある!」

67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:30:26.32 ID:pfxCVfUDO
千枝「葛葉君…」ウルウル…

陽介「ライドウ…」

千枝は涙が溜った目を隠しもせず今一度自分の影と向き合った。

千枝「…そうだよね…雪子の親友だっていうなら…あんたから目を反らしちゃダメだよね!」

千枝「あんたは…あたしの一部だ…」スッ

シャドウ千枝『』ニコ

千枝に抱き締められた彼女の影は穏やかな微笑みを残して、
あるべき場所へと還った…

千枝「さ〜て…んじゃあこのまま雪子を助け…に…!?…」フラッ…

陽介「おっと…無理すんなって!」ガシッ!

ライドウ「そうだな…一旦ひき返した方が良いだろう…」

一同は心身共に消耗が激しい千枝を連れて退却することにした…

68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:31:14.04 ID:pfxCVfUDO
ライドウはジュネスのフードコートにて二人と雪子の救出を約束し、
別れ際にそれぞれの連絡先を交換して家路に着いた…

そして白鐘邸で直斗と互いの捜査状況の確認をして自室へ向かった…

〜 白鐘邸 ライドウ自室 〜

ライドウ「お前のあの力はなんだったんだ?」

モー・ショボー「むむっ?らいどーってば珍しくわたしに興味深々?…じゃあなでなでしてくれたら教たげるっ!」キラキラ…

ライドウ「…」ナデナデ…

モー・ショボー「えへへ///…実はわたしもよくわかりませんっ!」フンス!

ライドウ「…」ペシペシ!

モー・ショボー「うぅ…、ほんとに良くわかんないんだもん…ただ…」

ライドウ「…ただ?」

モー・ショボー「何かこう…声みたいなのが聞こえたの…」

ライドウ「声…」

モー・ショボー「そう…誰かの声。」

ライドウ(確か陽介も似たような事を言っていたな…)

気になる事が増えたものの今日は体をゆっくり休める事にした。

69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:31:54.80 ID:pfxCVfUDO
― 翌日 午後 ―

〜ジュネス フードコート〜

そこにライドウ達の姿があった。

ライドウ「では天城雪子を助けに行くか…」ガタッ

陽介「あぁ!」ガタッ

千枝「うん!…行こっ!」ガタッ

三人が席をたとうとしたその時…

モー・ショボー「ちょっと待って!らいどー!」ボンッ!

三人の前に唐突に悪魔の少女が現れた。

ライドウ「一般人には見えないとは言え、管から勝手に出てくるな…」

モー・ショボー「昨日、いいわすれてたことがあるの!」

ライドウ「言い忘れていたこと…?」

モー・ショボー「うん!…ちょっと見てて!…それっ!」ボワンッ!

掛け声と共に少女は煙に包まれた。

しばらくして煙が消えると少女は短い黒髪になった。…だがそれ以外の変化は無い…

70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:32:28.49 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「これは…技芸属の力か!?」

モー・ショボー「うんっ!この姿だと、こんな事もできるよ!」スッ…

…トテトテ…テクテク…

モー・ショボー「こんにちわっ!」ニパッ

おばあさん「あらあら…お嬢ちゃん、こんにちは!」ニコッ

ライドウ・陽介「「…!?」」

千枝「おぉー!…何か微笑ましいねぇ〜」ホノボノ…

ライドウ「なるほど…その姿だと人に見えるようになるんだな…」

モー・ショボー「そうだよ!…違うものに化ける“擬態”はさすがにできないけどね〜」ボンッ!

少女は人目につかないように注意しながら元の姿に戻った…。

千枝「よく分からんけど、なんかすっごいね!」ナデナデ…

モー・ショボー「えへへ…もっとほめてほめて!」パタパタ…

ライドウ「すっかり話がそれたが…そろそろ行くぞ…」

千枝「おー!!」

71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 21:33:26.10 ID:pfxCVfUDO
〜 テレビ内 雪子姫の城 入り口 〜

クマ「はい、これ!チエチャンの分も作ったクマ〜!」スッ

千枝は黄色い眼鏡を受け取った。

…スチャッ!…

千枝「ありがと!…おぉ〜、何これ!景色が良く見える!!」キョロキョロ…

クマ「それは良かったクマ!…でもセンセーは相変わらずクマのメガネかけてくれないクマね…」シュン…

ライドウ「すまんな…どうも眼鏡をかけると目が疲れるんだ…」

ライドウ「それに俺はその眼鏡がなくても意識を集中すれば見えるからな…」

クマ「それなら仕方ないクマね…クマはここで皆の帰りを待ってるクマ!」

陽介「さて、と!…んじゃあ天城んところに行くか!」

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:11:17.73 ID:pfxCVfUDO
〜 雪子姫の城 F5回廊 〜

三人は雪子の元へ急いでいた。

クマ『気を付けて!何かが近づいてるクマ!』

ライドウ「この声はクマか?」

クマ『クマもみんなの力になるクマ!それよりシャドウが来るクマよ…センセー!!』

クマの言葉通り、回廊の壁から複数の怪物…シャドウが姿を現した。

陽介「来やがったな…」スッ…

ライドウ「…」チャキ…

千枝「二人とも…あたしに任せて…」ゴゴゴ…

千枝の手には陽介の時と同様にカードが握られている…

― カッ! ―

千枝「来て!…トモエ!」

トモエ「…!」

…ヒュッ!…ズバズバッ!…

千枝に呼び出されたトモエはナギナタでシャドウ達を撃退した。

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:11:53.09 ID:pfxCVfUDO
クマ『チエチャンすごいクマ〜!』

陽介「里中…お前も…!?」

千枝「どう?これがあたしの力よ!」ニッ

ライドウ「ペルソナ…か…」

ライドウ(…この世界で自分自身の影と向き合った者には異能の力が身につくとでもいうのか…??)

千枝「それより急ぐよ!…雪子が待ってる!!」ダダッ…

陽介「…だな!」ダダダッ…

ライドウ「…」ダダッ…

74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:12:25.10 ID:pfxCVfUDO
〜 雪子姫の城 最上階 〜

モー・ショボー「だいぶ奥まできたね〜」パタパタ…

クマ『この先に人の気配がするクマ!』

ライドウ「この大扉の向こうか…」

クマ『…それと、近くに似たような気配がもうひとつあるクマね』

陽介「…!…それってまさか…もうひとりの天城も一緒ってことか!?」

千枝「そんな…雪子ッ!!」バッ

千枝は目の前の大扉を開け放った。

75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:13:06.14 ID:pfxCVfUDO
〜 最上階 大広間 〜

そこにはドレス姿雪子と和服姿の雪子が対峙していた…

シャドウ雪子『アハハハ!…何が伝統よ!家柄よ!あんな旅館なんて、クソくらえなのよォッ!』

雪子「…!!…なんてこと言うの!?」

千枝「雪子!!」バッ

雪子「千枝!?」

陽介「天城!…あれは…やっぱりもう一人の!!」

モー・ショボー「ねぇらいどー…今のうちに殺っちゃう?」ギラッ

ライドウ「待て…」スッ

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:13:41.40 ID:pfxCVfUDO
シャドウ雪子『ウフフフ…私を連れだしてくれる王子様が三人も…』ニヤ…

千枝「三人って…あたし女なんだけど…」

シャドウ雪子『いいえ…千枝は私の王子様…』

雪子「…やめて!」

シャドウ雪子『千枝は私にないものい〜っぱい持ってて…』

シャドウ雪子『な〜んにもできない私をいつだって守ってくれる…』

雪子「いいかげんなこと言わないで!」

ライドウ「…。」

シャドウ雪子「隠しても無駄無駄…!…だって私は、あなただもの…」

雪子「違うわ!…あなたなんて…あなたなんて…ッ!!」

陽介「おい!天城!!」

千枝「…!…ダメ!雪子ッ!!」バッ!

―…私じゃないッ!!…―

…………………。

77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:14:18.79 ID:pfxCVfUDO
シャドウ雪子『キャハハハハ…そう!…私は…もうあなたとは違う!…私は私よ!!』ズズズズ…

もう一人の雪子は黒い靄を取り込んでいく…

陽介「やっぱこうなっちまうのかよ!?」ザッ

ライドウ「話し合いでの解決は失敗か…」スッ

そして大きな赤い鳥の化け物に姿を変えた!

シャドウ雪子『我は影…真なる我…』ズズズズズ…

シャドウ雪子『アナタ達はワタシにふさわしい王子様か試してあげる!!』ドン

雪子「千枝!私…私ッ!!」ガチガチ…

千枝「いいの、雪子…」ニッ

千枝は動揺のあまり震えている雪子の肩を抱いた…

千枝「あたしもね…雪子に言わなきゃいけないことがあって…ここまで来たの…」

そして大きな怪鳥と化したたもう一人の雪子に向き直り睨みつけた。

千枝「だからまずは…ここでアンタを止める!」キッ!

ライドウ「いくぞ…」チャキ…

78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:14:54.60 ID:pfxCVfUDO
シャドウ雪子『…フフフ…』バサッ

怪鳥はその羽を広げ、小さな王子様のような姿をしたシャドウを呼び出した…

小さなシャドウ「…」

しかしライドウ達はそちらには目もくれず怪鳥に攻撃を集中させた…

小さなシャドウ「ギヒヒ…ッ」パァ…

しかし、呼び出された小さなシャドウが怪鳥の傷を癒してしまう!

千枝「もう!…なんなのよ!アイツ!!」キッ!

陽介「まずはあっちをなんとかしねぇと…!」ダダダ゙ッ!

シャドウ雪子『そう簡単にやらせないわ!…まとめて焼き払ってあげる!!』バサッ!バサッ!

赤い怪鳥は自身の両翼をはばたかせた…

巻きおこった突風に乗って無数の紅色に輝く羽が舞う…

それらは部屋の壁や床、天井に触れると熱波を伴って爆ぜた。

千枝「きゃあぁッ!」

陽介「うおッ!!」

79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:15:35.28 ID:pfxCVfUDO
ライドウとモー・ショボーはそれを難無く避けるもジライヤとトモエは直撃を受けた。

ライドウ「…くッ!」

ライドウは踵を返し苦しそうな陽介と千枝の元に駆け寄った。

シャドウ雪子「次は耐えられるかしら…?」バサ…

怪物は再び翼をはばたかせた…

千枝「それが…どうしたってのよ!!」ダッ!

迫り来る無数の紅蓮の煌めきに向かって千枝は走り出す…

ライドウ「待て!千枝!!……ッ!?…これは……、モー・ショボー!!」

モー・ショボー「ふぇ?」

ライドウはふいに胸元から魔翌力の反応を感じとり、外套を捲った。

そして輝きを取り戻した一本の召喚管…紅蓮属ヒノカグツチの管の封を解いた。

管から解き放たれた光は悪魔の少女に集まっていく…。

モー・ショボー「これって…あ〜、そういうことかぁ…わかったよ!らいどー!」カッ

光を纏ったモー・ショボーが何やら詠唱を始めるとライドウ達は赤色の障壁に包まれる…

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:16:22.57 ID:pfxCVfUDO

再び嵐のような爆炎の連鎖がライドウ達を襲ったが、
彼等を包む障壁が炎を相殺した。

その間にも千枝は怪物の元へ全力で疾走する。

小さなシャドウ「ギヒヒ…」スッ

そんな千枝の前に主を守るかのように小さなシャドウが踊り出た。

千枝「邪魔…すんなあァッ!!」

千枝は飛び出してきたシャドウに対して駆け抜けざまに、その勢いと全体重をのせた強烈な回し蹴りをくらわせた!

小さなシャドウ「…ッ!??」

千枝はシャドウの腹にめり込んだ足を振り抜くと、
小さなシャドウは吹き飛ばされて壁に激突し、動かなくなった。

シャドウ雪子『アハハハハ!…スゴいスゴい!!…でもまだまだよッ…!』バッ!

怪物は動きが止まった千枝に大きな火球を放った。

千枝「…!!!」

避ける事がかなわないと悟った千枝は思わず顔を伏せる…。
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 22:18:30.58 ID:pfxCVfUDO
またキリが悪いけど腹が減っからちょっと休憩します…

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:44:47.87 ID:pfxCVfUDO
だが、放たれた火球は千枝に触れることはなかった。

後ろから千枝に追い付いたライドウが刀で斬り払ったからだ。

ライドウ「無茶しすぎだ…」

千枝「葛葉君…」

ライドウ「だがよくやった…後は任せろ…」チャキ…

…ドン!…ドドドドンッ!…

シャドウ雪子『きゃあッ!』ドサ

ライドウの銃撃を受けた怪物は体勢を崩して床に叩きつけられた。

彼は、上体を起こそうと必死でもがく怪物に刀を振り下ろす…

シャドウ雪子『嫌ああぁぁぁぁぁッ!!!』

刀で胸を貫かれたもう一人の雪子は、
取り込んだ影を撒き散らしながら元の姿に戻っていった。

83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:45:36.30 ID:pfxCVfUDO
雪子に迫った危機が去り、しばらくすると、
落ち着きをとり戻した彼女は皆に頭を下げた。

雪子「本当にありがとう…千枝、花村君……」

そこまで言って彼女の中で当然の疑問が浮かび上がってきた…

雪子「それと…あなたは?」

陽介「あ〜、そういやそうだったな…天城、こいつは…」

ライドウ「俺は葛葉ライドウ…おとといから八十神高校に通う事になった転校生だ…」

千枝「葛葉君はね…雪子が休んでる時に転校してきたの!…ちなみにあたしらと同じクラスだよ!」

雪子「そうだったんだ…ありがとね…葛葉君」

ライドウ「あぁ…それより千枝…雪子に話したい事があるのだろう?」

千枝「う…うん…。」

なんとなく気恥ずかしそうにしている千枝を見てライドウは扉に向かって歩き出した。

ライドウ「二人でゆっくり話すといい…俺達は扉の外で待っている」

それだけ言い残して彼は広間を去った。

少し間をおいて陽介もライドウに続いて広間から出ていった。

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:46:13.28 ID:pfxCVfUDO
…ガチャ…ギィ〜…バタン…

千枝「お待たせ〜!」ニッ

雪子「ごめんね二人とも…遅くなっちゃって…」オズオズ…

陽介「や〜っと出て来たか…こっちゃあ待ちくたび…」

ライドウ「構わん…二人にとってはそれほど大事な話だったんだろ?」

雪子「葛葉君…」

……スタスタスタ……

ライドウは腕組みを解いて無言で階段の方へ向かっていく…

千枝「あ…葛葉君…待って!」アセアセ…

85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:46:57.82 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「…先行して雑魚を掃除してくる…お前達は疲れているだろう?…少し休んでから戻って来るといい…」

ライドウは振り返らずそう答え、漆黒の外套をたなびかせながら階段を下っていった。

雪子「…葛葉君ってなんか…かっこいいね」

千枝「そうだね〜…“誰かさん”と違って大人な感じだしねぇ」ジトー

陽介「な、何だよ…二人してこっち見て…」

千枝「べっつに〜」ニヤニヤ…

陽介「…ったく!…ちょっと休憩したら俺らも入口に向かうぞ!」

千枝「はいよ〜。」

千枝「花村も…ありがとね!葛葉君を説得して、一緒に来てくれて…」

陽介「…おう…」

86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:47:33.84 ID:pfxCVfUDO
〜 テレビ内 入口広間 〜

クマ「みんな無事で良かったクマ!…これはクマからのささやかなプレゼントクマ!!」スッ

陽介「おい!ちょっと待て!お前それ…どう見ても鼻眼鏡だろ!!」

雪子「…どう?似合う?」スチャ

千枝「かけんのかよ!?」ズビシ!

雪子「面白いよ、これ…!…そうだ!葛葉君…これかけてみて」スッ…

千枝「ゆ、雪子!?…葛葉君…嫌だったら別にかけなくてもいいからね?」アセアセ

ライドウ「…レンズがない…伊達眼鏡か…」スチャ…キリッ…

陽介「もっと他に気になるとこないのかよ!?」

陽介「ってか鼻眼鏡かけても伊達男だなお前は…」

千枝「あはは…葛葉君はモトがいいからねぇ〜」

雪子「伊達眼鏡の伊達男…プッ…プフッ…あはははははは!」

陽介「あ、天城?……何これ??」

千枝「出た!!雪子のバカ笑い!」

ライドウ「…。」

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:48:07.67 ID:pfxCVfUDO
ライドウ達は雪子を救出した後、ジュネスのフードコートで休憩してから、
彼女を家まで送ることにした。

― 夕方 ―

雪子の実家である温泉旅館に着いたライドウ達には、彼女を助けた礼として、

女将から懐石料理がふるまわれた上に温泉にも入らせてもらった。

― 夜 ―

〜 八十稲羽 商店街 〜

陽介「じゃあ俺、そろそろ帰るわ」

ライドウ「そうだな…すっかり遅くなってしまった。」

ライドウはPHSを取り出し時間を確認した。

画面右上に22:17と表示されている…

千枝「うん!二人ともまたね〜」


ライドウは二人と別れて家路についた。

88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:48:50.21 ID:pfxCVfUDO

〜 八十稲羽 河川敷き 〜

モー・ショボー「まっ暗だね〜…わたし夜目があんまり効かないからやだなぁ〜」パタパタ…

ライドウ「あぁ…やけに暗いな…」

ライドウはふと夜空を見上げた。

ライドウ「今日は新月か…」

???「左様…今宵は新月…このような夜に、我に出会ったことを幸運に思え…人間…」

ライドウの何気無い呟きに対して背後から返事が返ってきた。

ライドウ「…何者だ?…姿を見せろ。」

ライドウが振り向くと声の主は暗闇の中からその姿を現した。

モー・ショボー「ひぃ!…死神!?」ゾクッ!

ライドウ「貴様…ホワイトライダー…!」

ホワイトライダー「ほう…我を知っているか…いかにも…我は魔人ホワイトライダー…」

89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:49:48.45 ID:pfxCVfUDO
体中に目玉が付いている不気味な六本足の白馬に跨った髑髏の騎士は手にしている剣を掲げた!

ホワイトライダー「我が使命に基づきお前のその命…刈り取ってくれようぞ…」ジャキッ!

ホワイトライダー「だが我も鬼ではない…お前が連れているその悪魔の娘の命を差し出すと言うなら…見逃してやらんでもないぞ…?」

モー・ショボー「…!…ら、らいどー…」ガタガタ…

ホワイトライダー「お前にとって悪い提案ではあるまい…」

 どうぞ…。
〉断る!

ライドウ「生憎だが…俺は自分のモノをそう簡単に他人に触らせたりしないクチでな…」

ライドウ「…ましてやこいつの命を貴様にくれてやるなど言語道断ッ!」

モー・ショボー「らいどー…」ウルウル…

ライドウは恐怖に震え、すくみあがる少女の前に悠然と進み出た。

ホワイトライダー「…愚かな…」

ライドウ「愚か者は貴様だ…」

ホワイトライダー「…何?」

90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:51:35.92 ID:pfxCVfUDO
ライドウ「貴様は力の差というものも分からぬのか…」

ライドウは学生帽を深くかぶり直して白い死神ににじり寄る…

ホワイトライダー「…ッ!!」

目の前からゆっくりと近付いて来る男の学生帽から覗くその双眸は、
この暗闇において鋭く光っているように錯覚してしまうほど、
尋常ではない色をたたえている…

ライドウ「死にたいのならかかって来い…その安っぽい命、貰い受けてやろう…」

ライドウ「命が惜しいのなら今すぐ去れ…背を向ける者にまで手を出したりしない…」

ライドウ「さぁ…好きな方を選べ…」ゴゴゴ…

ライドウは“好きな方を選べ”と言ったが死神に選択の余地は無かった…

ホワイトライダー「……。」スッ…

黒ずくめの男の常軌を逸した迫力に負けた死神は無言で去っていった。

魔人ホワイトライダーが去ると辺りを覆う暗闇が晴れ、周囲が少し明るくなった…

91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:52:18.14 ID:pfxCVfUDO
モー・ショボー「ゔえぇ〜ん!ごわがったよ゙〜!らいどー!!」ダキツキッ…ギュ…

ライドウは泣きじゃくる少女の頭を撫でながら落ち着くのを待った。

……………。

ライドウ「落ち着いたか?」

モー・ショボー「うん…ありがとっ」ニコッ

ライドウ「では帰るか…」ザッザッザッ…

モー・ショボー「うんっ!」ヒョコヒョコ…

少女は夜道を歩き出したライドウに従い後を追う。

モー・ショボー(えへぇ…らいどーに“自分のモノ”だって言われちった…///)イヤンイヤン

ライドウ「何か勘違いしているようだな…」

モー・ショボー「ふぇ!?読心術!?」ギク!

ライドウ「そうではないがお前の考えていそうな事くらい大体分かる…」

モー・ショボー「そっか〜…らいど―ってばそんなにわたしのこと大事にしてくれてるんだ〜!」キャッキャッ

ライドウ「………」ザッザッザッ…

モー・ショボー「あ〜ん!まってよ、らいどー!!置いてかないでー!」パタパタ…

92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:52:57.76 ID:pfxCVfUDO
〜 白鐘邸 ライドウ自室 〜

ゴウト「何!?魔人と遭遇しただと!?」

ライドウ「あぁ…何らかの要因でこの土地の運気が低下しているのかも知れん…」

ゴウト「ふむ…この八十稲羽の人々に特に変わった様子は見られないが…」

ライドウ「ではなぜ魔人が…」

モー・ショボー(……。)

ゴウト「また厄介事が増えたな…」クシクシ…

ライドウ「そうだな…やはりこの事件、一筋縄ではいかんようだ。」

モー・ショボー(………。)

ゴウト「まぁ今は考えても仕方あるまい。後々調べるとしよう…今日はもう休め。」

ライドウ「あぁ…そうさせてもらう」

ゴウト「ほれ!小娘、お前もだ…」

モー・ショボー「…は〜い」ボンッ!
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:53:38.00 ID:pfxCVfUDO
― 翌日 日曜日 朝 ―

〜ジュネス 衣類品売り場〜

現代社会において、普段から旧学生服に身を包みその上に外套を着込んだ全身黒ずくめでは、
探偵として流石に目立ってしまうという直斗の指摘を受け、
ライドウは渋々、普段着用の服を買うことにした…。

ライドウ「どうだ?」ガチャ…

直斗「…まぁ、これなら…いいんじゃないですか…」

モー・ショボー「うんうん!…らいどーは何着てもカッコイイね!」キラキラ…

試着室から現れたライドウは学ランのように襟の高いミリタリージャケットとポケットの多いカーゴパンツに姿だ。

ライドウ「この服なら収納が多くて何かと便利だ。」

ようやく決まった普段着に満足気なライドウだが、
それらの色は残念な程に黒一色だった…

直斗(黒から変えるつもりはないんですね…)

…あと学生帽を脱ぐ気もないらしい…。

直斗はこの日、ライドウの妙なこだわりと、彼の頑固な一面を知った…。

94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:54:14.47 ID:pfxCVfUDO
― 同日 午後 ―

〜 八十稲羽 商店街 〜

買い物をして直斗と別れた後、ライドウはゴウトを伴って町の様子を探っていた。

ゴウト「やはり変わった様子はない…魔人の出現は偶然…か?」

ライドウ「だといいんだが…」

ゴウト「ふむ……。…ん?…あれは…。」

ライドウは急に立ち止まったゴウトの視線の先に目を向けた。

ゴウト「なぁライドウよ…何故だろうな…我は別の意味で嫌な予感がしてならぬのだが…」

ライドウ「それは奇遇だな…俺もそんな気がしてならん…」

その嫌な予感の元凶はやけにカクカクとした動きで二人に近付いてくる…

メイド「あのー、すみません、うぉまえらに道をお尋ねしやがりたいのですが…」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/29(木) 23:54:52.22 ID:pfxCVfUDO
ゴウト「逆に聞きたいのだが、…お前、ヴィクトルのところのイッポンダタラであるまいな?」

メイド?「…ッ!…うぉ…うぉ…うぉれに中の人などいなぁアァい!!」クワッ!

メイド?「正体バレは強制悪魔合体の刑イィッ!!ヴィクトルいけない愛のムチぃいぃ!!!」ガクガク…ブルブル…

ゴウト(やはりか…大方あのマッドサイエンティストの妙な実験に付き合わされてこの時代に飛ばされてきたといったところか…)ヤレヤレ…

ライドウ「どうでもいいが、擬態の術が解けかけているぞ…」ジー

メイド?「うぉ…うぉれを見るなァ!!…穴が開いてしまうぅ!!!…汁が…穴から汁があぁぁあああ!!!」アセアセ…
ライドウ「…」

とりあえずこの不審極まりない人物が落ち着くのを待つと、鍛冶屋を探していると言うので、
商店街の金属細工店“だいだら.”を紹介してやった…

メイド?「うぉまえらいいヤツだなぁ!!…しかしうぉれはなぜこんな格好を強いられなければならないぃぃぃッ!!!」

ゴウト「…嫌なら自分でやめればいいものを…」

ライドウ「案外あの格好を気にいっているのかもしれんぞ…」

ゴウト「!?」

96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/30(金) 00:03:23.32 ID:OxD3EAODO
書き溜めのストックはここまでです…

ここからは書くのがかなり遅くなりますが

また追い追い書いていきたいと思います
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/03/30(金) 00:44:29.80 ID:vKzJpDoAO

しかしマーガレットとな
魔人といい原作とは色々違うのな
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/30(金) 01:01:50.23 ID:OxD3EAODO
>>97
ペルソナ4のベルベットルームの助手ってマーガレットじゃなかったっけ?

魔人は話をより厄介にするために出しました…

99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/03/30(金) 09:49:59.48 ID:0pp/tcRSo
P4はマーガレットさんですな

1乙
何だか厄介な展開のわくわくが止まりません
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/30(金) 21:41:10.79 ID:OxD3EAODO
― 数日後 四月末 朝 ―

〜 八十神高校 二年教室 〜

…ガラッ……

千枝「…!…雪子!」ガタッ

陽介「天城!」

雪子「おはよう…心配かけてごめんね」

事件の後しばらく体調を崩していた雪子が登校してきた。

ライドウ「気にするな…それより元気そうでなによりだ…」

雪子「葛葉くん…」

千枝「あっ!そうだ!雪子…あのね…」スッ…

諸岡「一時間目の授業を始めるぞぉ〜…みんな席に着きなさい!」ガラッ

千枝「もぅ!…タイミング悪いなぁ…」ボソ…

陽介「シッ!モロキンに聞こえるって…!」スッ…ガタッ…
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/30(金) 22:36:30.24 ID:OxD3EAODO
―同日 昼休み―

〜八十神高校 屋上〜

ライドウ「手伝ってくれるのは有難いが…危険だぞ?」

休み時間の間に千枝と雪子は二人で話し合った結果、ライドウの捜査に協力を申し出てきたのだった…

千枝「お願い葛葉君…あたし雪子をあんな目に遇わせたヤツを絶対放っておけない!!」

雪子「私もお願い!自分が誰かから殺したいと思うほど憎まれているとしたら…その理由を知りたいの!」

ライドウ(どうしたものか…)

ライドウ(戦闘になった時、彼等がいると全力を出せなくなる…正直足手まといだ…)

ライドウ(しかし召喚できる悪魔がモー・ショボーしかいない以上…情報収集の為に協力者が欲しいところではあるな…)

陽介「なぁ、ライドウ…里中も天城もこの事件に関わって色々考えたんだと思うんだ!」

陽介「俺も…そうだったしさぁ…」

ライドウ(…この二人にも退けない理由がある…か…)

ライドウ「…分かった…二人の思いを尊重しよう」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/30(金) 22:53:15.75 ID:EpGBYzDeo
テレビの外でも召還できない設定なのか
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/30(金) 23:03:16.89 ID:OxD3EAODO
>>102
それは可能。

このスレを最初からもしくは少し前の内容を読んで頂ければところどころにショボーが出てる場面があります
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/30(金) 23:05:32.72 ID:EpGBYzDeo
>>103
言葉が足りなかったな、すまん
テレビの外でもモーショボー以外召還できなくなってるって事だよね?
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/30(金) 23:14:11.01 ID:OxD3EAODO
>>104

その通りです。

なぜ召喚できるのが彼女だけなのか…その辺はまだ内緒です

ちなみにライドウの相棒がショボーになったのは以前深夜VIPでやってた時に要望があったからです
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/03/30(金) 23:23:21.01 ID:EpGBYzDeo
>>105
理由まではさすがに聞かないよwww
話の要かもしれないし、これからあかされるのを楽しみに読むよ
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/30(金) 23:37:50.51 ID:OxD3EAODO
ありがとう

基本思い付きでダラダラ書くのでえらく遅筆で申し訳ないが、暇潰しにでもなれば幸いです
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/31(土) 11:20:29.23 ID:UNJC2e5DO
ライドウ「千枝、雪子。この事件の真相を追う仲間として今後ともよろしく頼む」

千枝「やったぁ!」

雪子「ありがとう!」

陽介「こんな事件じゃ警察はアテにできないし、ライドウと俺らで解決してやろうぜ!」

ライドウ「あぁ!」
雪子「うん!」
千枝「おーー!」

陽介「掛け声バラバラだな、おい!」

千枝「こういう時はおー!って決まってんじゃん!!」

雪子「プフっ…あははははは!」

ライドウ「…」

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/31(土) 11:22:55.00 ID:UNJC2e5DO
千枝「まぁ、なにはともあれ葛葉探偵団、結成だね!」

陽介「なに勝手に変な名前とかつけてんだよ…ライドウも何とか言ってやれって」

ライドウ「葛葉…探偵団」フム…
陽介「…まんざらでもなさそうだな…」

雪子「そういえば今日の休み時間に千枝から聞いたんだけど、葛葉君って本物の探偵さん…なんだよね?」

ライドウ「あぁ…俺は…」

ライドウは陽介と千枝に説明した時と同様に、
自身が過去から来たことは伏せて、
雪子に身の上を説明した…

雪子「そうだったんだ…葛葉君は探偵で…その…悪魔を使役する悪魔召喚士(デビルサマナー)でもあるんだ…」

雪子「あ!…じゃあ私を助けてくれた時に葛葉くんと一緒にいたあの女の子って…」

ライドウ「雪子も見えていたのか…」

ライドウは外套を捲って小さな銀色の筒…
モー・ショボーの召喚管を手に取り何かを念じるように目を閉じた。

モー・ショボー「よっと!…どうしたの?らいどー?」スタッ…

しばらくするとライドウに町の見回りを命じられていた悪魔の少女が空から舞い降りてきた…

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/31(土) 11:23:40.11 ID:UNJC2e5DO
モー・ショボー「お空から町を見てきたけど、かわったことはなかったよっ!」パタパタ…

ライドウ「そうか…ご苦労だったな」

モー・ショボー「どーいたしましてっ」

雪子「…!…この子…あの時の…」

ライドウ「こいつはモー・ショボー…俺と契約を交した悪魔…“仲魔”だ」

モー・ショボー「よろしくね!ニンゲン!…え〜とぉ…」キョトン…

雪子「私は天城雪子…よろしくね」ニコ

モー・ショボー「うんっ!」

111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/03/31(土) 11:24:26.25 ID:UNJC2e5DO
《キーンコーンカーンコーン…》

陽介「さってと…予鈴鳴ったし教室に行くか」

ライドウ「あぁ…その前に、雪子。」

雪子「なに?」

ライドウ「お前の連絡先を教えてくれ。」

千枝・陽介「「!?」」

陽介(あぁ…“天城越え”の新たな犠牲者が…)

雪子「うん…いいよ」スッ…

陽介・千枝「「!??」」

ライドウと雪子は互いの連絡先を交換した!

千枝(天然の雪子のスルーをものともしないなんて!?)

陽介(前人未踏の“天城越え”…達成しちまいやがった!)

ライドウ「再び犯人とおぼしき人物に狙われたり、不安な事があったらいつでも呼べ…すぐ駆け付ける」

雪子「う…うん…ありがとう///」

モー・ショボー「むー!らいどーのばかぁ!!」ムス…!
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/01(日) 00:29:40.31 ID:xahVA1ADO
― 同日 夜 ―

〜白鐘邸 ライドウ自室〜

《ピリリリリ…ピリリリリ…》

ライドウ(む?…電話が…)スッ…

…カチャ…ピッ…

陽介『もしもし?ライドウ…俺だ…陽介だけど…』

………
………………。

ライドウ「…あぁ…そうだな…分かった…」ピッ…カチャ…

モー・ショボー「ねぇねぇ…誰とお話してたの?」

ライドウ「陽介からだ…今後の事についてちょっとな…」
モー・ショボー「ふーん…」ツンツン…

ゴウト「…zzZ」ピクピク…

ライドウ「お前には引き続き町の見回りと情報収集を頼む」

モー・ショボー「はーい!まっかせてっ!」ニパッ

113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/01(日) 00:44:53.70 ID:xahVA1ADO
― ???? ―

…ん…ここってたしか…

マーガレット「今日はあなたに伝えておく事があって私の方から呼んだのよ…」

…あのお鼻のながい人、いないね…

マーガレット「主は今少し席を外しているわ…」

マーガレット「それより前に主があなたにお話された事を覚えているかしら?」

…え〜っと…大いなる力とかって話?…

マーガレット「えぇ…あなたに宿る力の源は絆…」

マーガレット「…そのことをゆめゆめ忘れないで…」スッ…スタスタ…

…絆?それってどぉいう…あ、行っちゃった…

…なんかむずかしくて良くわかんないなぁ…

…あれ?…そういえばわたしって、なんで………
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/01(日) 09:21:35.41 ID:NQpwJtCDo
雷堂は結構フランクなんだよな。
逆にゲームやコドクノマレビトとかのライドウだとSSは書きにくそうだ。
そういえば、雷堂なのに誰も顔の傷に触れないね。目立つと思うんだけど。
115 :以下、名無しにかわりまして いとう たかふみ がお送りします [sage]:2012/04/02(月) 11:58:40.92 ID:6qEpkKSX0
>>1
おつ
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/02(月) 18:40:05.49 ID:jUJ3EIhDO
>>114
顔の傷はまだその事をライドウに聞けるほどの親密度(コミュレベル)ではないから…追い追い書いていくつもりでしたが不自然だっただろうか?

>>115
ありがとう
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/02(月) 18:40:53.02 ID:jUJ3EIhDO
― 翌日 午後 ―

〜 八十稲羽 ジュネス 〜

町の様子を観察するため、技芸の術で姿を変えた黒髪の少女は、
正午から商店街を一回りしてジュネスを訪れていた

モー・ショボー「♪あ〜る〜ぷ〜す〜いちまんじゃ〜く〜」
モー・ショボー「♪こ〜や〜ぎのう〜え〜で…」

モー・ショボー「あれ?こやぎじゃなくてこやりだっけ?…でもこやりって何だろ?」

モー・ショボー「こんどらいどーに聞いてみよ〜っと…。♪あ〜る〜ぷ〜す〜…ん?」

???「ど…どうしよう…お買い物のメモ、無くしちゃった」ふえぇ…

118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/02(月) 18:41:41.38 ID:jUJ3EIhDO
モー・ショボー「どうしたの?」

???「お買い物のメモ無くしちゃって…。…!…おねえちゃん…誰?」

モー・ショボー「わたしモー・ショボーっていうのあなたは?」

菜々子「…菜々子」

モー・ショボー「そっか…ななこちゃんって言うんだ。良かったらお姉ちゃんも一緒に探してあげよっか?」

菜々子「いいの?」

モー・ショボー「うん!」

菜々子「あ、ありがとう」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/02(月) 18:42:12.82 ID:jUJ3EIhDO
陽介「あ〜、品出しやっと終わったぁ…ん?あれって…」スタスタスタ…

陽介「よっ!一人でおつかいか?」ニッ

学校から帰宅し、家業の手伝いをしていた陽介は見覚えのある後ろ姿に声をかけた

モー・ショボー「あ!よーすけ!ちょうどいいとこに…あのね…」

少女は陽介に事情を説明した…

陽介「なるほどな…メモの落し物を探してるのか」

陽介「事務所に届いてないか確認してみるよ…ちょっと待っててくれ」

モー・ショボー「うん!」

………………。

陽介「今日の分の落し物はこれだけだから多分間違いないハズだ」

モー・ショボー「ありがと!」

少女は陽介からメモを受けとって礼を言った

陽介「お客さんが困ってるのを放っておこないから俺も行くよ」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/02(月) 18:42:43.07 ID:jUJ3EIhDO
菜々子「ありがとう、おねえちゃん!…店員さんも!」

モー・ショボー「どういたしましてっ!」

陽介「見付かって良かったね」

菜々子は二人に頭を下げると食品売り場に向かった。

陽介「お前もありがとうな…うちのお客さん助けてくれて」

モー・ショボー「お礼なんていいよ!よーすけはらいどーのお友達だからわたしもよーすけとお友達だもん!」

陽介「そっか…」ナデナデ…

モー・ショボー「えへへ…」

陽介「そうだ…さっき品出してたら惣菜が余ったんだ…良かったら持ってってくれ」

モー・ショボー「いいの!?」

陽介「あぁ…残ったらどうせ廃棄されちまうからな」
モー・ショボー「じゃあどれにしよっかなぁ…」

少女は数ある惣菜の中から、ライドウの好物である大学芋を2パック頂くことにした。

121 :以下、名無しにかわりまして ささづか がお送りします [sage]:2012/04/03(火) 00:15:48.54 ID:rifhX9V/0
乙乙乙
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 09:37:44.46 ID:UKYku8wxo
乙!
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/04(水) 11:36:45.72 ID:Lr1coGzDO
支援サンクスです

今もう一つ書いてるやつがあってそっちをもう少し書いたらまた書きはじめます
…しばしお待ちを…
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/04(水) 11:40:34.01 ID:UKYku8wxo
なにをかいているのかなううん?おじさんにおしえてごらん?
125 :以下、名無しにかわりまして 伸恵の友達 がお送りします [sage]:2012/04/04(水) 22:53:09.01 ID:aG8psDFU0
今北
面白かった
まさかの女神転生とペルソナ4のコラボ
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/04(水) 23:49:36.13 ID:xJ9+bO/so
女神転生じゃなくて、ライドウだな
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/05(木) 00:17:19.73 ID:7YvgdHnDO
>>124
ACシリーズのラストレイヴンを題材にしたマニアックなやつです。
どうしても一度メカ物をやりたかったので

少しだけ続きを投下します
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/05(木) 00:18:19.29 ID:7YvgdHnDO
― 夕暮れ ―

〜 白鐘邸 リビング 〜

モー・ショボー「たっだいま〜」

直斗「…!…お、おかえりなさい…」

ライドウ「遅かったな。それより怪現象について何か気になる情報はあったか?」

モー・ショボー「特にはなかったね〜…。はい、これおみやげ!」

少女はジュネスのレジ袋をライドウに差し出した。

ゴウト「ほう…これは大学芋ではないか。」

ライドウ「………」ワナワナ…

直斗「ライドウさん?」

ライドウ「ゴウト!…今すぐ熱い茶を所望する!!」クワッ!

ゴウト「頼む相手を間違っておるぞ…」

直斗「お茶なら僕がいれますよ」

ライドウ「ありがとう」

モー・ショボー「あー!私には感謝してくれないんだー」ブーブー
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/05(木) 00:44:42.63 ID:7YvgdHnDO
― 夜 ―

〜 白鐘邸 ライドウ自室 〜

好物の大学芋の報酬(?)として存分に頭を撫でられた少女は、
すこぶる上機嫌でライドウの背中にしがみついている…

モー・ショボー「ねぇねぇ!らいどーらいどー!今日はよーすけと一緒にニンゲンの女の子助けてあげたんだよっ!」ユッサユッサ…

ライドウ「そうか…良く…やったな…」ピッ…ピ…

モー・ショボー「さっきからなにやってるの?」ほぇ…

ライドウは先ほどから畳に座って、おぼつかない手でPHSを操作している…

ライドウ「あぁ…“メール”というやつをだな…」

モー・ショボー「ふーん。…えい!」ポチ…

ライドウ「!?」

半時間かけて打ったメールの文面が消えてしまった!

ライドウ「…」

ライドウはおもむろに頭を抱えだした…

モー・ショボー「どうしたのらいどー?…頭、痛いの??」

ライドウ「あぁ…お前のお陰でな…」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/05(木) 01:11:18.21 ID:7YvgdHnDO
―翌日 五月上旬 朝―

〜 八十神高校 下足室 〜
一条「おはよう!葛葉!明日から連休だな!」

ライドウ「あぁ…そうだな」

一条「お前がうちの部活の助っ人になってくれて助かったよ!ありがとな!」

昨日の午後、千枝のお節介でライドウはバスケットボール部の臨時の助っ人頼まれ、
夜にその返事のメールを打っていたのだった。

一条「葛葉の返事がなかなか来ないからてっきり断られたのかと思ってたよ」

ライドウ「…。」

ライドウは昨晩の事を思い出して腹が立ったがグッと堪えた。

…ライドウの寛容さが上がった♪

一条「それよりさ、昨日のニュース見た?」

ライドウ「いや…見ていないが」

一条「うちの高校の一年のさ…巽完二ってやつがニュースに出ててさぁ…」

ライドウ「そんなことが…」

131 :以下、名無しにかわりまして ジョン がお送りします [sage]:2012/04/06(金) 18:02:58.76 ID:WV3WxgJP0
>>126
そうだったメガテン系色々やり過ぎて
分からん様になってたorz
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