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ブラック☆ロックシューター the game <或いはB☆RSもしくは黒岩射手の物語> - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/02(月) 21:24:58.79 ID:5n9oRvCP0

<ブラックロックシューター the game>のSSを書こうと思っています

★更新が亀

★オリジナル設定

★投下数が場合によっちゃ少ない




という注意点があります。


最後に、自分の知る範囲ではBRSのSSは見たことがありません。なので一つ質問があります


需要あるんですかね?




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1333369498(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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さくらみこ「インターネッツのピクルス百科辞典で」大空スバル「ピクシブだろ」 @ 2024/04/13(土) 20:47:58.38 ID:5L1jDbEvo
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暇人の集い @ 2024/04/12(金) 14:35:10.76 ID:lRf80QOL0
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ミカオだよ。 @ 2024/04/11(木) 20:08:45.26 ID:E3f+23FY0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1712833724/

アルミン「どうやら僕達は遭難したらしい」ミカサ「そうなんだ」 @ 2024/04/10(水) 07:39:32.62 ID:Xq6cGJEyO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1712702372/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 21:25:55.59 ID:y29Q+EPSO
しっかりしてくれれば俺得
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [saga]:2012/04/02(月) 21:26:18.58 ID:5n9oRvCP0

追記

★ゲーム知らない人でも分かるように書くつもりです
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 21:35:10.23 ID:RIBa4dp50
曲とアニメしか知らん
5 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 21:35:27.46 ID:5n9oRvCP0


西暦2032年11月16日13時7分54秒66






蒼天から舞い降りた異星人による地球侵略が始まった。混乱の数週間の後、人類は兵力を結集





して反撃を開始。しかし、攻勢に転じることは無く月日が経つにつれ人類はその数を徐々に減らしていった




開戦から19年、人類はその英知を結集して最終兵器を完成させる。





人類の未来は”彼女達”に託された。









6 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 21:52:29.92 ID:5n9oRvCP0


アメリカ:サンフランシスコ


異星人に侵略される以前は高層ビルが立ち並び、常に人々が行きかいアメリカ国民でも一度は訪れたいと
思われるほどに栄えていた場所であったが、今ではその面影も無くほとんどのビルは崩れ
道路には瓦礫が積みあがっていたり陥没しているような有様で、辺りにいるのは人間ではなく
異星人の放ったアーマメントという機械兵器であった


そして現在、そのサンフランシスコのとある一画で戦いが行われていた


「畜生!……起きてくれよ」


地球人が組織していた軍隊「UEF」に所属する部隊「PSS」の隊員ロスコル・シェパードは焦っていた
本来なら地下に保管されていた”最後の最終兵器”をトレーラーに回収し、そのまま何事も無く基地に帰還できるはずだったのだ
が最初に通った道が瓦礫によって防がれていた事に気づいた瞬間、状況は一変した

トレーラーの背後のビルから湧き出てくるかのようにアーマメントが現れたのだ。

罠だと気づいた部隊は応戦、しかし抵抗むなしく既に一人の仲間が死亡。部隊長のモーリス・ベイリーと
指揮官のフランク・マリオンの命令で今この場で回収した”最後の最終兵器”を覚醒させようとしているのだが
マニュアルに書いてある通りに保護カプセルに繋がったコンピューターに入力をしたはずなのに何度やっても覚醒しないのだ


「おい!何をやってるんだ!さっさと起こせ!」


髪を後ろに縛った褐色肌の軍人がロスコルの肩を掴む。部隊長のモーリスである

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りいたします(関西地方) :2012/04/02(月) 21:55:41.63 ID:27yiQKXc0
期待
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/02(月) 22:19:18.76 ID:y29Q+EPSO
ゲームとどう変わるのか楽しみだな 期待
9 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 22:20:46.68 ID:5n9oRvCP0


「手順通りやった!……もう待つしかない」

『王子様がキスすりゃあすぐ起きるって!』

「ふざけるなスパゲティ野郎!」


トレーラーから離れたところで戦っている仲間にモーリスが怒鳴る。『だったら』とまた何かジョークでも
言うつもりだったのだろうが、不意に起こった爆発と同時に悲鳴へと変わる。


『トニオー!!…っああああああああああああああ!!!!』

「おいやめろ!」


倒れた仲間に向かって別の仲間が雄叫びを上げながら、仇をとらんと言わんばかりにマシンガンのトリガーを
引き、モーリスの制止の声を振り切ってアーマメントの群れに突っ込んでゆく

そしてまた、爆発が起こり、今度は悲鳴も無くまた仲間が倒れた


「コウイチ…」

「………」


ロスコルが倒れた仲間の名を言うのと同時に突然モーリスが銃を向けてくる。一瞬錯乱でもしたのかと混乱しそうになるが
違った、自分の後ろにあるトレーラーに向けているのだ。それに気づくと同時に横へと慌てて避ける


「とっとと起きやがれえええええええええ!!」


トレーラーの中にある保護カプセルに当たる危険などお構いなしにマシンガンを乱射する

10 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 22:31:56.98 ID:5n9oRvCP0












そして『最後の最終兵器』は――――――――――覚醒した











11 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 22:42:14.22 ID:5n9oRvCP0


「囲まれたぞ!」

「!」


仲間の呼びかけにモーリスが振り返るとアーマメントの群れが数メートル先まで迫っていた

長方形の箱に小さな四本足にショベルカーのような口という姿をしている”イーター”と呼ばれるアーマメントと
空中飛行する蜂に近い形をした腹部に太い針のような銃身を持った”ホーネット”と呼ばれるアーマメントである

横に隊列を組みモーリス達はマシンガンの弾幕を浴びせる。が、たとえアーマメントのなかでは最も弱いとされるイーターでも
マシンガンではそう簡単には破壊されることは無い。じりじりと徐々に確実に追い詰められていた


「……………」


一方ロスコルは絶体絶命ともいえるこの状況で一人銃も構えずトレーラーを見上げていた




                       ばん!




と、トレーラーの天井が前触れも無く吹き飛び、続けて一人の少女が飛び出したからである

長い黒髪を左右長さの違うツインテール、ジャケットのような服を身に纏い、腰には小型のブースターが内蔵された
ウィングがある。左手には刀のように細いブレードを持ち、右手には一際目を引く自身の身長くらいはある
(ロスコルの記憶ではロックキャノンという名前だった)重火器が握られている


「あぁ?」


少女はモーリス達の前に着地、地面を蹴りアーマメントの群れに突撃する。目の前に突然現れた
少女の存在に思わず全員が撃つのを止めてしまう

走りながら、少女は重火器を発砲する。青い炎に包まれた、岩を砕いたような弾を一秒間に二十発という
速さで放つ

12 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 22:50:55.98 ID:5n9oRvCP0


ダダダッ!ダダダッ!


重火器の威力はとてつもなく強力でロスコル達の所持してるマシンガンとは比べ物にもならず、手榴弾で
ようやく一発分といったところだった

動きが比較的遅いイーターは次々と破壊され、ホーネットは新たに現れた敵に対応出来なかった数体は同じように撃墜され
辛うじてよけた数体が反撃、腹部の銃身から光弾を発射する
それを少女は右にステップしながら発砲、今度は避けられなかったホーネットが跡形も無く爆発した


数十体の機械兵機は一人の少女によって一分も満たぬ間に全滅した。部隊の目の前にいたはずの脅威は最早おらず
ただ背を向けた少女の姿だけがあった


「ハハッ、すげぇ……」

「期待…出来そうだな」

「勝利の女神ご登場かぁ?」

「ケッ、またガキじゃねぇか」


仲間が感嘆の声を漏らす中、モーリスだけが不満そうに呟く


「助けてもらっておいてそりゃないだろう…なあ?」


こちらに背を向けたままの少女にロスコルは歩み寄るがその足は途中で止まる。なぜなら


ガシャ!


振り返った少女が重火器を向けてきたのだから


「!」

「!?」


モーリス達は咄嗟に銃を構え、ロスコルは手をあげる

少女は小首をかしげながらたずねる


「あなた達も、…”敵”?」

「違う違う!敵は攻撃してくる奴ら。俺達は”味方”、君の仲間だ!」

「…そう、分かった」


がしゃん、と背負うようにロスコル達を狙いからはずす。どうやらこの少女は敵という概念をいまいち理解出来ていなかった
ようだ

13 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:00:27.71 ID:5n9oRvCP0


『こちらマリオン、フォボス、現状を報告せよ』

「師長、『眠り姫』が覚醒しました。……トニオ、コウイチ、ジョンが死亡しました」

『……了解。ただちに当地区を離脱しGGブリッジに向かえ、そこに増援を送る』

「了解、聞いた通りだ、すぐに離れるぞ!」

「トレーラーはどうするんだ?まさか捨てて行くのか?」


ロスコルが半分蜂の巣状態となったトレーラーを見ながら言う


「そんなわけねぇだろう。いまの状態じゃコイツもすぐにぶっ壊されちまう、増援が着き次第また回収すりゃあいい」

「周りには敵がうじゃうじゃいるぞ」

「こっちにはお嬢さんがいる。途中で襲われても平気だろう」

「って言っているけど、どうだい、お嬢さん?」


振り返って、ロスコルは少女に尋ねる


「…うん、大丈夫」

「そ」

14 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:08:23.01 ID:5n9oRvCP0


少女を中心に、部隊は街中の道路を歩いていく。崩れたビルや壊れた車、目に映る景色を
まるで特撮映画の撮影所に来た子供のように、少女はキョロキョロと眺めていた。いやそれどころか
看板に移っている人物を指差しあれは誰か、そこにあるものは何かと尋ね、無知で純粋な子のようだな
と思うのであった


「そういえば」


とロスコルが少女に話しかける


「自己紹介がまだだったな、俺はロスコル・シェパード、元情報系の学者だよ
 それで前にいるのが仕切り屋のモーリス・ベイリー」

「フォボスだ」


本名で呼ばれるのが嫌そうに顔だけこちらに向けながらそう言う


「何で?いい名前じゃない」

「フォボス」

「…だってさ、まぁいいよね」


そこから次々と仲間が自己紹介を始める


「シャオミン・リーだ、シャオミンさん、リーさん、どっちでもオッケー!」

「ラーズ・ヨハンソン、よろしく」

「ボブだ、ロバートでもいいがボビーとだけは呼ばないでくれ」

「……ドガエフ、アレクセイ・ドガエフ」

「YO!YO!YO!DJダリー、だりぃぜヨロシク!」

15 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:14:14.74 ID:5n9oRvCP0


ロスコルがポケットからイヤホンのような通信機を差し出しながら言う


「俺は戦闘中以外は君のケアを担当するよ。コレを耳にはめておいて、チャンネルは常にオープンだから」

「わかった」


通信機は少女の耳にもぴったりとはまり、重さは感じないほど軽かった

しばらく歩いていると、指揮官から通信が入る


『PSSコール、エリアA3 CPF5に敵ジェネレーターを確認。直ちにこれを排除せよ』

「…って訳だ、エリアA3のC5ならすぐそこだな。GGブリッジに向かうには少々寄り道にはなるが」


十字路の真ん中、そのまま真っ直ぐ進む予定だった道の左側を見ながら言うフォボスに


「待てよ」


とロスコルが言う


「ジェネレーター一機潰すのにミサイル10本必要なんだぞ」

「お嬢ちゃんの破壊力はそんなもんじゃねぇんだろう?」

「データにあった通りならね」

「やる!お嬢ちゃんならやる!な?」


やや心配そうに言うロスコルに対し、ボブは先ほどの戦闘を見て期待しているようであった

16 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:23:21.33 ID:5n9oRvCP0

そして、当の本人は


「わからない」

『やってみなくては分からない。そういう意味だな?』

「どっち道ここでチンタラしてる暇はねぇ、お嬢さん、並びにPSS、タリー・ホウ!」

「………」


そう締めたフォボスを少女が何か問いたげにじっと見る。それにロスコルが気づいたようで


「タリー・ホウってのは突撃とか出撃とか…そんなノリ。元々の意味は違うみたいだけどPSSじゃその辺
 テキトーでさ」

「……なんだか変」

「チッ、気が抜けるぜ……」


とにもかくにも、部隊はジェネレーターがあるエリアに向かうことになった

17 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:27:21.97 ID:5n9oRvCP0


「こりゃジャンヌ・ダルクって言うより、サフィアガールって感じだな」

「いや、ナイトゴッデスだろ」

「知らねぇよ、そんなの」


シャオミンとラーズが先頭を行く少女の背中を見ながら暢気に話すが、フォボスがそれを許さなかった


「そこの二人、口を閉じろ」

「だって、なぁ」

「あぁ」


シャオミンやラーズが思っている通り、いやもしかしたらほぼ全員が思っていることなのかもしれないが


どちらかといえば、やることがないのだ


最初こそビルの上や瓦礫の陰を警戒したり、敵を発見すれば即座に戦闘態勢に入ったりしていたのだが
前を走る少女が実に頼りになる

立ちふさがる、あるいは物陰から飛び出し噛み付いてきたイーターを全てロックキャノンで撃ち抜き
宙に浮遊し弾幕を放つホーネットもこれまた撃ち抜き、ビルの上から狙撃して来た物もいたが後ろに目でも付いている
のかと思わせるように体を軽く反らしてかわし、腰についた小型ウィング内臓のブースターと少女自身のジャンプ力により
ビルの四階ほどの距離をあっという間に距離を詰めブレードによって真っ二つにするのだ

自分達はもっぱら攻撃は出来なくとも辛うじて動ける程度のアーマメントに止めを刺すか、少女が撃ち漏らした
アーマメントの不意打ちに備える位しかない


「止まって!」


敵の群れを蹂躙し突っ走って行く少女にロスコルが通信で呼び止める

18 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:37:35.42 ID:5n9oRvCP0

ぴたりと立ち止まった少女にようやくロスコルが追いつく


「あそこに刺さってるのがあるだろ、あれがジェネレーターだ……ちっ、景気良くアーマメントを吐き出してやがる」


ロスコルガ指差す方向、堂々と道路の真ん中にまるで可変する剣のようなものがある。上部には補助武器のように
マシンガンが取り付けられていた。そして、ジェネレーターが刺さっている付近にはアーマメントが次々と
転送され続けていた


「そりゃいつものことだな。ま、そっちのタイミングで行けや」

「だってさ、行けるかい?お嬢さん」

「やってみないとわからない」


敵と分かった途端、容赦なく次々とアーマメントを破壊していた割には意外と慎重な面もあるらしい、そうロスコルが
思っていると少女はこちらに顔を向けてくる


「………」

「?」

「………ホウ?」

「……あ、あぁそうか、あれね!お嬢さん、タリー・ホウ!」

19 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:46:36.49 ID:5n9oRvCP0


ロスコルがそう言うと少女はダッっとジェネレーターに向かって一直線に駆け出す


「おら!お嬢ちゃんにばっか任せてねぇで援護だ!大人の良い所を見せてやれ!」


フォボス達も後から続き、付近にいるアーマメントを強襲する。

急接近する少女に気づいたジェネレーターはマシンガンを発砲しながらアーマメントの転送スピードを上げ
物量で圧倒しようとする。

ジェネレーターのマシンガン、転送されてきたホーネットの射撃に進行を駆使止められ、ロックキャノンで応戦する
強力な火力と素早い連射性能により、総合的な攻撃の面においてはアーマメントの火力を上回っているが、ジェネレー
ターによって転送されてきたアーマメントは怯むことなく少女に攻撃を続ける。

接近戦型のイーターは一斉に飛び掛るのではなく、個体によって時間差で近づいてきたり、かと思えば突然ジャンプ
して上から降りかかってきたり、ホーネットはジェネレーター自身を盾になるように取り囲むものが存在し
他にも特攻攻撃を与えてくる物や挟み撃ちなど、数による戦術を展開し少女の火力と互角に渡り合っていた


「………モード変更」


が、その均衡も崩れ去る

呟きと同時に少女はロックキャノンを肩に担ぎブレードを構えアーマメントの群れに突撃する
ホーネットの放つ弾幕を右へ左へと華麗なステップで回避し、目の前に接近しシャベルのような口で噛み付こうとしていた
イーターを大きく跨ぐ


ガシャン!


と、口を閉じたイーターを踏みつけすぐさま跳躍、そしてまたイーターの上に乗ってまた跳躍する

アーマメントには元々、設定された”敵”に攻撃したり、攻撃を回避することが可能だ。それだけでなく
人間の住処に必要な”火”や”光”に集まるという習性(プログラム)があるがその精度は種類によって異なるのである

通常、人間なら(……いや、ここで人間をたとえに出すのは少しおかしいかもしれないが)上に不審物があろうものなら
振り落とすなりそれ相応の対応が出来るが、イーター自身にはそこまでの思考プログラムは無く
ただ踏まれるまま、最早少女の足場となっている

20 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:50:24.50 ID:5n9oRvCP0


足場にするという相手の性能の隙を突くことでイーターの脅威から逃れた少女は飛び移る傍ら、宙に浮遊する
ホーネットを切り落とし、ジェネレーターに接近して行く

ジェンレーターの役割はあくまで転送、なので他のアーマメントに比べて装甲は厚いが代わりに攻撃手段に乏しく
上部に取り付けられたマシンガンもホーネットのソレに比べれば威力も劣る

転送したアーマメントに対して指揮の能力があるわけでもないので、ただひたすらに、無闇に転送し数で対抗しよう
としかできないのだ。あくまで他のアーマメントのプログラムに任せるしかない


だから


”突然敵が自身の全長を有に超える跳躍を見せてもイーターはおろかホーネットも蜂というその姿から真上の敵に対しては
攻撃手段を待たないため動きをを一瞬止め敵が再び地面に降りるのを待つ”しかなく

唯一上空の敵に対抗手段を持つのは、ジェネレーターただ一機だけなのだ


「……チャージ完了」


ジェネレーターの真上を取った少女が担いでいたロックキャノンを構える。狙うのは真下にあるジェネレーター


「ファイア!」


ロックキャノンから青い炎に包まれた巨大な弾丸が発射される。ロックキャノンに搭載された一定時間のチャージによって
速度は通常よりやや劣るがその威力は倍以上にする機能、【チャージショット】


ズドン!


放たれた巨大な弾丸はジェネレーターに直撃マシンガンが跡形も無く消し飛び、それにとどまらず弾丸はなおも破壊を
続ける。そして、弾丸は文字通りジェネレーターを貫いた


「やったぁ!」


誰かがそう叫び、勝利を確信した。幾度かの破壊部分からの漏電の後、ジェネレーターは爆発。完全停止する

21 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:54:13.13 ID:5n9oRvCP0

着地と同時に少女はロックキャノンを発砲。ジェネレーターが停止した今、このエリアにアーマメントが転送されて
来ることは無い、一機、また一機と確実に仕留めてゆく

そうして少女が全てのアーマメントを全滅し終わった瞬間、部隊から歓喜の声が上がる


「グレイト!スーパー!エクセレーント!」

「ジェネネレーターが一撃とはな……」


誰もが少女の力を認めそして思った、もしかしたら叶うのではないのだろうかと、異星人の侵略によって奪われた
今は無き70億人の仇が夢ではなくなるのではないのかと


―――――ずしん


「敵襲!タイプ:ビック・マウス!」


そんな想いを消し去るように、大きな地鳴りとともに巨大なアーマメントが現れる

ビック・マウスとよばれたアーマメントは巨大な四足歩行で軽トラックほどもある前足と長く太い円柱の頭を持っている

ダリーとラーズが接近し先制攻撃を仕掛け、部隊が戦闘態勢に入っているなかフォボスは少女の方を向く

ビック・マウスはその体躯ゆえ動きがどのアーマメントよりも劣る。そのため距離を保ち部隊全員でマシンガンを撃ち続ける
だけでも破壊することは可能だ。しかし、こちらにはミサイル10本以上の火力を持つ少女がいる

いつもならその堅牢な装甲に手こずるところだが今は違うのだ、無駄に弾を消費することも無いだろう

22 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:55:23.24 ID:5n9oRvCP0


しかし


「………」

「え?」

「おい、どうした!?」


少女はその場から一歩も動かず戦闘をじっと見ていた。フォボスに怒鳴られても返事もしない


「無視!手伝ってくれないのか!?」


ロスコルが問いかけても、少女の口は閉じたままだ


ズゥウウウン!


ビック・マウスは太く長い円柱のような頭をアスファルトの地面に叩きつけ砂埃を巻き上げる


「ワァオ!」

「くっ!」


不意を突いた目潰しに思わず動きが止まってしまった二人にビック・マウスがずしんずしんと接近。再びその頭を高く上げる

今度は目潰しなどというではない、目の前にいる敵に己の頭の重量を乗せたハンマーを振り下ろすために

二人が接近に気づいた頃にはもう遅い


「ダリー!ラーズ!」

23 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/02(月) 23:57:35.68 ID:5n9oRvCP0

すいません。今回はここまでです。

次回からオリジナル要素がバンバン盛り込まれてゆきます。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 00:00:39.00 ID:IKtg8RdD0
乙、アニメしか知らないけどかなり期待している。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/03(火) 00:41:25.39 ID:GYSIw6hSO
期待 ホント最初のジェネレーターとか固くてたまらないよな時間かかるし
26 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 21:22:50.54 ID:D4K62VGG0

お久しぶりです。投下します

27 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 22:07:28.31 ID:D4K62VGG0


ドォオオオオオオオン!!!!


突如、ビック・マウスのすぐそばにあったビル壁が砕け散る。ガラス片や砕けたコンクリートの塊が降りかかる
ビック・マウスは長い顔を横に曲げる。飛び散る破片や塊が体中に当たるが、その程度では傷一つ付かないビック・マウス
にとってのその行動の意味は、突然現れた脅威を確認し対処するためである

そして、ビック・マウスが捕らえたのは


「ハイヨーーーーー!」

「きゃぁあああああああああ!!!!」

「な!」

「えぇ!」


クモのような節足動物型の大型の機械獣が牽引する馬車戦車である。

その大きさはビック・マウスにも引けをとらず、荷台には二人の
少女が乗っていた。ビルをぶち破るスピードで飛び込んできた馬車戦車は停止などする気も感じさせずそのまま突撃


ドガァアアアン!!!


鈍重なビック・マウスは文字通り吹き飛ばされ、隣のビルに体を埋める。自身と同等の物体を吹き飛ばした機械獣は
それでも止まりきらず再びビック・マウスにその巨体をぶつける。二度、側面からの衝撃を受けたビック・マウスの体には
深刻なダメージを与えたようで、半分ひっくり返った状態でビック・マウスは停止した

そして、荷車から二人の少女が降りてくる


「ほら見なさい、私が言ったとおり近道になったじゃない。アーマメントも駆除出来たし、一石二鳥ね!」

「ま…街を一直線に突き抜けるなんて聞いてないよぉ!」


二人の少女の手には手甲がはめられていたが、その容姿は異なる

一人は黄色い髪を腰まで伸ばし西洋人形のような服装をし、頭にはとげとげした冠を被った小柄な少女
少女の両足は機械の足であり、脛から下はバイクのような車輪になっていた

もう一人の少女は縦ロールの髪にベールを被ったウェディングドレスのような服を着ており黄緑色の眼鏡を掛けている
こちらの少女も頭にライトグリーンの骨のような角という二人とも非常に特徴的な外見を持っている

28 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 22:28:32.28 ID:D4K62VGG0


「ぞ、増援って君達だったのか!」


アレクセイが驚いた様子で二人の少女に駆け寄る


「そうよ。情けないあなた達のためにこのアタシが直々に参上してやったのよ、感謝なさい」


ふふん!と胸を張り、さながら権威と財力を思いのままに振るうお姫様のように尊大な態度をとる小柄な少女
眼鏡の少女はお姫様の機嫌を損ねないように日々おどおどと怯える召使いのような様子で諭すように言う


「オ、オットちゃん、そんな言い方しなくっても……」

「何?家来の癖にアタシに意見する気なんだ?ふ〜ん…」


じろり、と腰に手を当て目で横にいる眼鏡の少女を睨む


「えっ!…ち…違うよオットちゃん、私は…ただ」

「問答無用!お仕置きよ!」


どこからともなく紙を山おり谷おりを繰り返しガムテープを巻きつけて作れる武器、所謂ハリセンを取り出し
フルスイング、眼鏡少女の背中やお尻を叩く


ぱぁん!

ぱぁん!

「あぅっ!いたいいたい!オットちゃんやめて〜!」

「待ちなさい!」


眼鏡の少女は後頭部を両手で守り目に涙を浮かべながら、ハリセンを振り回す少女に追い掛け回される

29 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 22:53:41.63 ID:D4K62VGG0


「はは、ありゃお礼を言うのは後になりそうだな」


偶然とはいえ自分の命の守ってくれた少女二人を見ながらラーズが呟いていると


「てめぇ!どういうつもりだ!」


和やかムードに包まれていたと思いきや、己の耳に入ってきた爆弾のごとき怒鳴り声に思わず身を震わせる
振り返ってみると、フォボスが少女に今にも掴みかかりそうな勢いで怒鳴り散らし、ロスコルがその間に立って制していた


「さっきのは見過ごせねぇぞ!何考えてやがった!」


さっきの、とは敵を見ても身動き一つとらず傍観していたことだろう。アーマメントの群れを容易くねじ伏せられるだけの
力を持っておきながら、援護どころか戦おうという素振りすら見せなかったのだ。あのままあの少女達がダイナミックに乱入
していなければ、ダリーとラーズの命は無かっただろう

少女は仲間を危機にさらされて激怒するフォボスに対し、当たり前のことをしただけとでも言う風な口ぶりで


「私は攻撃されなかった。だから、敵じゃないと思った」


少女のまるで己の我侭を通そうとする子供の屁理屈にも似た言い分に、フォボスは怒りどころか殺意すら
覚えかける。たったそれだけのことで、己は戦わず仲間を失うことになりかねなかったというのに


「言い訳のつもりか!また仲間が死ぬところだったんだぞ!」


詰め寄るフォボスをロスコルが押さえる


「落ち着けって、誰かが死んだわけじゃないだろ?」

「黙れ学者崩れ!」

「!……それを言う!?じゃあ学者が戦場(こんなところ)にいるのは何でだ!?軍人が不甲斐無いからだろ!!」

「てめぇ!」

「あ〜もう、やめろよ二人とも!」


このまま言い争いが続けば最悪(ロスコルが一方的にやられる)殴り合いにまで発展しそうな予感を感じ取った
シャオミンが止めに入る。しかしそれでもまだ収まるには少々時間を要するようだった

30 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 23:06:55.18 ID:D4K62VGG0


シャオミンだけでは止まらず他の仲間も駆けつけ始め、フォボスの怒りを納めよとする

その様子をじっと少女が見ていると


「ちょっと、そこのあんた」


いつの間にか目の前に車輪の義足の小柄な少女がいて、品定めするようにじろっとこちらを見ていた
すぐ後ろには、くすんと涙をぬぐいながらお尻を撫でている眼鏡の少女もいた


「……何?」


純粋な疑問にそう問うと、小柄な少女はムスッとした表情で


「何よその態度、あたしはこう見えてもあなたの大先輩なのよ、立場を弁えて敬語を使いなさい」

「オ、オットちゃん…初対面なんだから…いきなり先輩とか…そういうの強要するのって良く無いと思うな」

「黙りなさい、お仕置きするわよ」

「ひぅっ!」


さっと取り出したハリセンを構えた瞬間、眼鏡の少女はびくりと怯え何も言えなくなってしまう。どうやらこの二人には
眼鏡の少女は小柄な少女に逆らえないという分かりやすい上下関係が成立しているようだ


「あんた、結構ヤるみたいじゃない。そこのジェネレーターもあんたがやったんでしょう?」


小柄な少女が指を刺した破壊されたジェネレーターを見ながらうん、と答えると「そう」といってあごに手を当て目を閉じ
考えるようなポーズをとる。そして再び目を開くと

ピッっと指を刺し


「それじゃあ、あんたは今からアタシの家来ね」

「………?」


31 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 23:14:25.05 ID:D4K62VGG0


幸いにも口喧嘩が殴りあいに発展することは無く、二人が落ち着いたところで部隊はトレーラーを回収に向かった

さすがに穴だらけのまま走るのは余りにも無用心では無いかと皆不安に思ったが、小柄な少女が作戦があると
自信満々に名乗り出た。

作戦といってもその内容は単純で馬車戦車が先頭を走ることで敵を蹴散らすだけだったので
余計に不安になっていたがどうやら杞憂だったらしい

ジェネレーターを破壊してからというもの敵に遭遇することは無く、警戒こそ怠ってはいないもののこの調子なら
無事に本部に帰還できるだろうと、ロスコルはほんの少しだけ緊張の糸を解く

隣には『最後の最終兵器』の少女が座っている、初陣であるにも拘らずアーマメントの群れを全滅させる戦闘能力
ジェネレーターを一撃で破壊する火力をロスコルは、否、皆がそれを見せ付けられた

正直、ロスコルは今起こっていることが夢ではないのかと思いたくなる。地球は異星人に侵略されてなどいなくて
人類は数えるほどになっているわけでもない、ましてやこんな女の子が最終兵器だなんてSF映画でもあるまいに…
きっと自分は交通事故で長い間眠りについているだけなのだ、だからこんな長い夢を見ているのだと


「……まぁ、そんなわけないんだけどな」


はぁ、とため息をつき、現実という重みがずっしりと肩にのしかかる。人類は滅亡寸前で、自分達が今生きているだけでも
奇跡なのだ、たった数十機のアーマメントに部隊は反撃もままならず、それでも生きているのは彼女達のおかげなのだと

大人が情けない、自分の無力さが嘆かわしく思える。と暗い気持ちになっているとハッと思い出す
そういえばさっきこの少女は自分が攻撃されなかった故に、(本人は全くそのつもりは無いとはいえ)仲間を見捨てかけた
だった。今思い出してよかったとロスコルは少女の肩を叩く


「?」

「あのさ、さっき言ってたろ…攻撃されなかったから敵じゃないと思ったって」

「うん」

「ごめん、俺の説明不足だったよ…正しくは仲間の敵は君の敵でもあるんだ。…だから次にあんなことがあったら
 その時はお願いね」

「うん。わかった」

「他に何か今のうちに聞いて置くこととかあるなら聞いてよ、分かる範囲で答えるからさ」


まぁ、あっても取るに足らないことだろうと思う。しばらく少女は考え


「ねぇ、ロスコル」

「ん?何だい?」

「家来って何?」

「え?…え〜っと…なんでそんなこと」

「私、家来になっちゃった」

「は?」


どうやら大人も自分も決して無力ではないのかもしれない
家来の意味をなるべくあたり障り無く教えている間、興味深く聞いている少女を見ていると
なぜかそんな気がしたロスコルだった

32 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 23:21:43.96 ID:D4K62VGG0


―UEF本部:PSSベースキャンプ―メインルーム

メインルームといってもそれはどちらかと言えば広めの倉庫のにも思える内装で、違いがあるとすればトレーラーが丸々入る
巨大エレベーターがあることと、内部にパイプ椅子にホワイトボードやテント、仮設トイレがあるくらいだ

そして今ここには三つの棺があり、周りをPSSのメンバーが囲んでいた

棺、といってもそれは金属でできている、造りも厚い金属板をねじでとめて作った簡素なもので
死者を収めるに相応しい装飾も施されてもいない。大型部品を詰めてあるといえば何の疑いも持たないだろう

それでも、これが精一杯の死者を収めるに作られたものであることには変わりは無い
叶うなら、せめて故郷の土に埋めてやりたいとも思ってもいる。

だからこそ皆、心のそこから祈る


「ジョン、トニオ、コウイチ、汝らの生と死は我らが語ろう

 散りゆく戦士達に、生まれ来る子らに―――

 ――――我らは忘れない、安らかに眠れ」


黙祷を終え、ロスコルが切り出す


「それじゃあ皆集まってるし、紹介しとこうか」


この場に集まったPSSの残りのメンバーを少女に紹介する

石油の国から来た無愛想な男、ハッサン
地中海料理ならお手の物、テオ
考える人と呼ばれる寡黙な男、アルベルト
元船乗り、クリス

それぞれが簡単な自己紹介をしてゆく

33 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 23:25:57.18 ID:D4K62VGG0


自己紹介が終わると、指揮官のフランク・マリオンがテントから現れる

PSSの中では一番の年長者である。片目に傷が付いており、髪もやや白髪交じりではあるがその経験や知識は豊富である


「ようこそ、UEF本部へ。私が指揮官のマリオンだ」


そういって、右手を差し出す。少女がその動作の意味が分からず首をかしげるのを見てロスコルがフォローする


「握手だよ、手を出して」


それを聞いて、右手に持ったロックキャノンを地面に置き手を差し出すが、マリオンの手が急に戻り
少女の手は握ることは無く空をきる


「いや、やはりやめておこう。記憶野が狭いのだろう?余計なことを覚える必要は無い」


それはどういうことなのだろう、そう思い少女は質問しようとすると


「いやいやいや!それはちょっとヒドイやろ〜、マリオンのおっちゃん」


だだっ広いメインルームに良く響く明るい声が聞こえる。マリオン師長に向かい合う形でいた全員が
後ろを振り返る

テクテクと歩き、がしゃがしゃと金属音を鳴らしながら四人の少女が近づいてくる


「自分から手ぇだしといてそんなんされたら傷つくで、女の子はデリケートなんやで?」

34 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/09(月) 23:32:12.51 ID:D4K62VGG0


先頭にいるのはフードを被った少女だった、橙色の目に白い短髪、褐色の肌色で
背丈はあの小柄の少女より頭一つ上で眼鏡の少女より低いといったところ
しかしその両手は。いや手甲はとてつもなく大きかった。少女にはアンバランスなほどで肘までとどいている
まるで手だけ巨人のようだ。それだけでなく腰にまるで骨のような尻尾が生えており歩くたびにフリフリと揺れている

その後ろにいるのは、先ほど出合った二人、とげとげ冠を被った車輪足の西洋人形風の少女がビニール袋一杯に入った
マカロンを食べながら、黄緑色の眼鏡をかけたウェディングドレス風の服を着た頭に骨のような二本の角を
生やした少女が三歩下がって付いてくる

そして、最後尾には四人の中で一番身長が高く、おそらく年長者であろう黒髪長髪の少女がいる
眼鏡の少女と同じようにすらっとした角が生え、手には手甲、黒のジャケットを羽織り足には
騎士の鎧のような赤いブーツを履いている


「ほなウチとしようや、はい、握手」


フードを被った少女がその巨大な手甲から手を抜く。別に義手というわけではないようだ
握手を交わすと再び巨大手甲に手を入れ、がしょんと動かす。その動きは人間のように滑らかだ


「ウチの名前は”ストレングス”。気軽にあだ名でレンって呼んでくれてえーよ」


そして、振り返って残りの三人を紹介する


「あの冠被ったおじょーさま気取りの子はチャリン子「チャリン子ってゆーな!!」あぁゴメン
 ”チャリオット”って言うんや、あだ名はオットや」

「さっきも言ったけど、アンタはもうアタシの家来だからね!」


ふん!、とチャリオットは胸をはる。ほっぺにマカロンのクリームが付いているのには気づいていないようだ


「で、その後ろにおる眼鏡っ娘は”デッドマスター”、あだ名は”デッド”で、オットのメイドみたいなモンや。いつもは
 おどおどしとるけど料理、洗濯、掃除と結構”出来る女”やねんで」

「そ、そんなこと無いよレンちゃん…あああああの、よよよろしく…ね」


あたふた慌ててぺこぺこ頭を下げるデッドマスター


「最後にウチらの中の年長者であんま喋らんけど戦闘能力はピカイチの”ブラック★ゴールドソー”
 あだ名は…最初は”ゴルド”やったんやけど、不評やったから”ソラ”って呼んだって」

「………ゴルド呼んだら…殴る」


腕を組んで壁に寄りかかり、ぼそりと聞こえるか聞こえないかの大きさで言う

35 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/10(火) 00:01:57.87 ID:/06H1bRE0


自己紹介が終わるとマリオンが咳払いをする


「さて、人類はもう数えるほどになってしまった。我々が再び繁栄する未来は創造さえ難しい状況だ
 しかし、それでも地球にあのエイリアンどもを野放しにするわけにはいかない。よって、我々の目的は単純に
 して明快、エイリアン共を殲滅することだ。今は亡き、70億人の仇を討たずして、UEFが敗北することは許されない
 早速だが」

「師長」


マリオンを遮ったのはフォボスだった


「俺達には休息が必要です」

「常に敵に先んじることが重要だ、時間は無い」

「師長、何度も言わせるな俺達はマシーンじゃない!」

「そうやでマリオンのおっちゃん。それに見てみいや」


ストレングスがトレーラーを指差す


「あんな穴だらけなトレーラー乗ってっても装甲なんて無いに等しいで、せめて修理してからでも遅ないやろ?」

「……ふん、よかろう。トレーラーの修繕が完了しだい次の作戦に移行する。それまで体を休めておけ」


そういうと、テントの中へ入ってゆく

36 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/10(火) 00:08:10.38 ID:/06H1bRE0

堅物と呼ばれるマリオン師長が思いのほか容易く食い下がり、言い争いになるかと思っていたロスコルはほっと
胸をなでおろし、トレーラーの修理が出来るアレクセイに尋ねる


「なぁ、アレクセイ、トレーラーの修理はどのくらいかかる?」

「そうだな……穴を塞ぐのは時間が掛からないだろうけど、一応メンテナンスもして置きたいからな
 ……たぶん一日もあれば十分だと思う」


それを聞いてそっか…としばらく何かを考え…


「じゃぁ、デッドマスターちゃん、修理の間にお嬢さんを案内してやってくれないか?お嬢さんの部屋にも連れて
 いって欲しいんだけど」

「え!わわわ私ですか!?」


かたかた震える手で自分を指差す。まさかいきなり自分が呼ばれるなんて思っていなかったのだろう


「うん、まぁ無理なら構わないよ?」

「えと…や、やります!やらせてください!」


その返事は積極的な姿勢にも見えるが、不安をかき消すように自分に言い聞かせるようにも聞こえた

がちがちとした歩き方でデッドマスターは少女に近づく


「じゃ、じゃあ付いて来て!……えっと」

「あぁそういえばアンタの名前ってなんて言うん?」


ストレングスがそう聞いてくる。確かにこの少女が目覚めてからここまでお嬢さんとしか呼んでいない、それには
ロスコルだけでなく全員が思っていたのだが、少女自身が名乗らないし、道中そんな余裕も無かったのでまさに今
さら気づいたようなものである


「そういえばそうだったね。いつまでもお嬢さんのままで呼び続けるわけにも行かないし…なんていう名前なんだい?」


シャオミンが少女にそう尋ねる

37 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/10(火) 00:11:22.09 ID:/06H1bRE0


「…わからない」

『え?』


少女のその言葉にその場にいた全員が同じ反応で同時に声を漏らす


「ちょ…冗談でしょ?自分の名前を忘れたって言うの?」


チャリオットがつい落としてしまったマカロンの詰め合わせの袋を拾い、驚きと呆れた様な声で問う


「わからない。忘れたのかもしれないし…元々無かったのかも…」


少女の答えに、チャリオットは肩を落とす。自分の名前さえ知らない無知な者を自分は家来にしようとしていたのだろうか…
もしかしたらこの少女は頭が悪いのだろうかと


「え〜っと…せ…せやったらさ、皆で考えよぉや!PSS入隊記念〜ってかんじでえぇんとちゃう?」


ストレングスの提案にロスコルは同意する


「あぁ、確かに良いかもね。思い出したりするまで名前が無いっていうのは色々不便だろうから」


そうして

38 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/10(火) 00:15:09.42 ID:/06H1bRE0


一番手・ストレングス

「ほなツインテールにちなんでツインなんてどーや?」「……」「お、おぉう…イマイチみたいやな…」

不評

二番手・チャリオット

「レトリバーで良いんじゃない?アタシの第二の家来、即ち忠犬なわけだし」「…やだ」「何よ!ふんっだ!」

不評

三番手・ゴールドソー

「…クロ」「……」「…安直で悪かった」

不評

四番手・デッドマスター

「目が蒼いから…あ、アオイちゃん…とか」「………」「うぅ…」

不評

五番手・ラーズ 不評

六番手・ダリー 不評

七番手・ハッサン 不評

八番手・シャオミン 不評

39 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/10(火) 00:22:22.96 ID:/06H1bRE0


なかなか決まらず皆が首を曲げて考え込んでいると、ロスコルが少女の持つ武器が目に入る。名前は確か【ロックキャノン】


「…ロック」

「え?」

「え?あ、いやその武器の名前がさ、ロックキャノンっていうからそこから」


つい口から漏らしてしまった事を後悔する。いくらなんでもこれはなかった、武器から名前を取るなんて
安直過ぎるし名前も女の子っぽくなかった…ほら、チャリオット達やアレクセイ達も呆れ顔だ、ダリーなんて
鼻で笑っている


「それがいい」


え?


「え?」

「ロックでいい…かっこいい」


なぜだろう、むしろそれが自分の趣味にあっているといいたげだ


「いや、なにも無理して決めることなんて無いんだよ?ホントにそれで言いの?」

「うん」


きっぱりと気持ちのいい返事をしている。面倒になった訳ではないようだが…

いや、この年頃の女の子はこんな物なのだろう

深く考えることがよくないのこともある

そう信じよう


こうして、名無しの最終兵器ちゃんは”ロック”という名前を与えられた

40 : ◆NBqxtzZQDs [saga]:2012/04/10(火) 00:26:39.66 ID:/06H1bRE0

のだった―――

を付け忘れた…

そんな訳で今回はキャラ紹介が目立ったり目立たなかったりした回でした
B★RS名前はマンガからとりました

本日はここまでです

また次回
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 07:53:29.84 ID:CGxwwe6SO
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/28(土) 01:05:44.30 ID:gjTVkAeNo
更新はまだかのう
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/19(土) 20:25:50.18 ID:Wbw6PoAeo
待ってるおー
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/31(木) 23:48:47.57 ID:eOHspipGo
まだかのう
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/06(水) 01:44:44.77 ID:NBBo8mnmo
諦めよう(提案)
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/15(金) 21:22:12.00 ID:so+eaREpo
俺はいつまでも待つぞ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/16(土) 10:19:48.86 ID:CBoEtPtSo
俺も待とう
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