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ゲジヒト「君は人間だ。人間のままでいろ」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 00:54:39.69 ID:kcz0PULc0
低クオリティ遅筆gdgdオリキャラ満載注意
SSWiki :
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1.5 :
荒巻@管理人★
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい 安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 00:58:32.43 ID:kcz0PULc0
『そんな……! あたし……! あたし……!』
『やれやれ、真実を告げると人間は決まってそんな反応をする』
『いやぁ!! いやぁぁぁ!!』
『わけがわからないよ』
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:01:52.10 ID:kcz0PULc0
見滝原、日本
2011年――
QB「ワルプルギスの夜を放って行くのかい?」
ほむら「まどかは死んだ。もうこの時間軸に用は無い」
QB「そうかい」
ほむら「ええ、私の戦場はここじゃない」カチッ
QB「消えた……やれやれ、最後まで謎の多い魔法少女だったよ」
QB「ワルプルギスの夜と戦う魔法少女は、もうここにはいない。この街も終わりだね」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:06:50.20 ID:kcz0PULc0
デュッセルドルフ、ユーロ連邦
現在――
ユーロポール・ドイツ支局――
リーマン「今月に入ってもう2人目かぁ」
ゲジヒト「例の、連続少女失踪事件ですか?」
リーマン「ああ、多感な時期の子どもが突然いなくなっちまう、なんてこと別に珍しくもないが、この件はなぁ」
リーマン「自発的な家出なのか、事件に巻き込まれたのか。生きてるのか? 死んでいるのか? 何も結論がでてないときたもんだ」
ゲジヒト「私も市警の捜査情報を見ました。少女の足取りを追って市内の監視システムを調べても」
ゲジヒト「いずれのケースでも肝心の所で、最後に少女が居た地区のカメラが故障を起こして真相はわからずじまい……」
リーマン「そして、少女がいた場所周辺は何故か破壊の跡が残っていて、少女は二度と監視システムには引っかからない。こつ然と姿を消してしまう」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:08:11.83 ID:kcz0PULc0
リーマン「どう考えても事件だよなぁ、こりゃ」
ゲジヒト「その可能性が高いですね」
リーマン「とにかくこんなケースが、ノルトライン=ヴェストファーレン州だけでも、この半年で6件。ドイツ国内なら11件だ」
リーマン「そろそろウチも捜査に乗り出すことになるかもなぁ」
ゲジヒト「そうですね……」
ベッカー「ゲジヒト! ちょっと来てくれ!」
リーマン「おっ、部長がお呼びだ。頑張れよ」ポンッ
ゲジヒト「ええ」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/07(土) 01:08:54.91 ID:VK4pxd+BP
プルートか?
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:10:34.43 ID:kcz0PULc0
ゲジヒト「――連続少女失踪事件を私がですか?」
ベッカー「そうだ。被害者の住んでいる場所も、失踪場所も全てバラバラ」
ベッカー「だが全員、十代半ばの少女ということ」
ベッカー「そして、失踪の直前、監視カメラが必ず故障するという点から、これを連続犯罪だと書き立てるマスコミも多い」
ベッカー「しかし、これらの事件に連続性を認めたとしても、地元警察では州や国境を越えて捜査はできない。もう地元警察に任せてはおけんのだ」
シュリング「今や世間のこの事件への関心は非常に高い」
ゲジヒト「シュリング局長……」
シュリング「捜査に君を投入するだけでも、我々が本気だということをアピールすることができるだろう」
ゲジヒト「アピール、ですか……」
ベッカー「そういうことだゲジヒト。全力でこの件の捜査に取り組め」
ゲジヒト「……了解しました」
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:14:34.22 ID:kcz0PULc0
リーマン「――それで、結局事件を担当することになったんだ?」
ゲジヒト「ユーロポールの宣伝などに興味はありません。が、犯罪の影があるのなら、私は全力で事件を解決したい。それだけです」
リーマン「ああ、がんばれ。それでこれからどうするんだい?」
ゲジヒト「とりあえず市警の捜査情報をもう一度洗い直してみます。何か新しい発見があるかもしれない」
リーマン「助けが必要だったら言ってくれ」
ゲジヒト「ええ、ありがとう」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:19:57.64 ID:kcz0PULc0
ゲジヒト(ドイツ国内で起きている11件の失踪事件、いずれも深夜にかけて繁華街で起こっていることが多い)
ゲジヒト(だが、少女達は別に夜遊びをするようなタイプではなかったということだ……何故そんな時間に出歩いていた?)
ゲジヒト(人の多い繁華街……誰かに会う用事があった……? それとも、たまには羽目を外してみたくなった……いや、違う)
ゲジヒト(少女が失踪する直前、特殊な電磁波が発生して近くの監視システムを無効化している)
ゲジヒト(電磁波、か。まさかロボットの犯行なんていうことは……)
ゲジヒト(鑑識の結果は、直前までその場に被害者以外の人間もロボットもいなかったとある)
ゲジヒト(なら周辺に破壊をもたらしている力は何だ……? 何故失踪の瞬間、電磁波が発生するのか……)
ゲジヒト(監視カメラが映らなくなる直前、いずれの少女達も力なく歩いてきて……そして膝をつき、倒れることが多い)
ゲジヒト(まるで……何かに絶望しているように)
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:21:20.80 ID:kcz0PULc0
ゲジヒト(絶望……? 私のシステムはこの少女達の様子を絶望していると判断した)
ゲジヒト(絶望、ひどく人間的な感情だ。だが)
ゲジヒト(ロボットだって絶望する。ロボットだって愛を覚える、そして)
ゲジヒト「ロボットだって憎しみを覚える……」
ゲジヒト「……ハっ」
ゲジヒト「市内で電磁波が渦巻いている……? これは……!」
ゲジヒト「捜査資料をインプットしたからわかる! この電磁波のパターンは!」ガタッ!
リーマン「どうした!?」
ゲジヒト「また失踪です! 今、例の事件と同じ監視システムの故障が起こっています!」
リーマン「何だって!?」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:25:03.22 ID:kcz0PULc0
W−13地区、デュッセルドルフ市内――
警官「あ、警部!」
ゲジヒト「この先か!?」
警官「はい! 例の連続失踪事件と同じように、まず監視カメラの無効化、次いで周辺建物や地面の破壊が起こっています。ただ……」
ゲジヒト「ただ?」
警官「今回は死体が一体残っています。そしてすぐ隣に生存者が一人倒れていました。身元もすぐわかりました」
ゲジヒト「何だと!? 何か知っていたか!?」
警官「それが、生存者の方は意識不明で……病院に搬送されました」
ゲジヒト「そうか……もう一人の方の死因は?」
警官「外傷はありません。心臓麻痺かもしれませんが、詳しいことは解剖してみないと」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:27:14.29 ID:kcz0PULc0
ゲジヒト「目撃者は?」
警官「今周辺の聞き込み中ですが、現場が路地裏ですからね……望みは薄そうです」
ゲジヒト「これが被害者の死体か」
ゲジヒト(確かに外傷は無い。だが心臓麻痺で死んだわけでもなさそうだ。死因は……)
ゲジヒト(不明だと……!? 私の捜査システムでも判別不能とは……)
ゲジヒト(被害者の服にガラスの様な破片が付着している。素材は……)
ゲジヒト(これも判別不能!? 一体どういうことだ……?)
警官「あのぉ……警部?」
ゲジヒト「あ、ああ。この件はユーロポールの管轄になった。現場検証が済んだら遺体は科学捜査局にまわしてくれ」
警官「了解!」
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:31:23.40 ID:kcz0PULc0
ユーロポール
科学捜査局・検死課――
ゲジヒト「夜中にどうも先生」
検死官「ああ、これがガイシャの遺体だ。外傷は無し。性的暴行の跡も無い」
ゲジヒト「……それで、死因は何なんです?」
検死官「不明だ」
ゲジヒト「不明って……」
検死官「本当にわからんのだ。こんなケースは初めてだよ」
検死官「遺体は綺麗なもんだよ。死に至る要因は一つも無いし、ガイシャの健康状態に何の問題も無かった」
ゲジヒト「そのようですね……」
検死官「肉体に全く異常は見られない。にもかかわらず、ある瞬間を境に肉体そのものが急に活動を停止してしまっている」
検死官「まるで魂だけが抜け落ちてしまったかのようだね」
ゲジヒト「魂……」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:35:31.71 ID:kcz0PULc0
検死官「おっと失礼。まぁロボットだけじゃなく、我々人間にだって魂が本当にあるかどうかなんてわかったもんじゃないがね」
検死官「とにかく、こっちとしても死因の項目に『不明』と書く他無いのさ。一応、検査は続けるがね」
ゲジヒト「そうですか……」
検死官「それと、ラボに送ったガイシャの服に付着していたガラス片の解析の結果が届いているよ」
ゲジヒト「素材は……!? 私のシステムでも判別不能でしたが」
検死官「不明だ」
ゲジヒト「何ですって……!?」
検死官「解析不能! 少なくとも自然界に存在する物質では無いそうだ。全く、一体全体どうなってるのかね、このヤマは」
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:40:05.08 ID:kcz0PULc0
翌朝
被害者宅、デュッセルドルフ市内――
ゲジヒト「――それじゃあ、娘さんに変わった様子は無かったんですね? フォルトマイヤーさん」
被害者父「ああ! だからそうだって他の刑事さん達にも何度も言ってるよ!」
被害者父「昨日だって、ギムナジウムから帰ってきて部屋にいたハズなんだ!」
被害者父「なのに何で……何であんな時間に家を抜け出してあんなところにいたのかなんてさっぱり……!」
被害者母「あなた……」
ゲジヒト「それと、この写真の少女に見覚えはありませんか?」
ゲジヒト「お嬢さんのご遺体の隣に倒れていたのですが、お嬢さんのお友達ではないかと……」
被害者父「いや、知らないな」
被害者母「すみません、私達、あの子の交友関係なんてろくすっぽ把握してなくて……」
被害者母「あ、そういえば……」
ゲジヒト「どうしました?」
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:44:00.38 ID:kcz0PULc0
被害者母「いえ……たいしたことじゃないんですけど、あの子、最近独り言が多かった様な気がするんです」
ゲジヒト「独り言?」
被害者母「ええ、最初は友達と電話でもしてるのかって思ったんですけど、壁や誰もいないところに向かって話かけてるのを一度見たことがあるんです」
被害者母「確か、『魔法』がどうのって言ってたかしら……」
ゲジヒト「魔法……」
被害者母「昨日も……あの子の部屋から叫んでる様な独り言が聞こえてきて……」
被害者母「思えばその後すぐだったんです……あんなことになったのは」
ゲジヒト「奥さん……」
被害者母「あの子、何か悩みでもあったのかしら……私達が気付いてやれてれば……」
被害者父「ああ……」
被害者母「どうして……! どうしてこんなことに……!」
被害者母「あっごめんなさい……」
ゲジヒト「いえ、大変参考になりました」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:45:44.52 ID:kcz0PULc0
被害者父「刑事さん、絶対に真実を暴き出してください……!」
ゲジヒト「……」
被害者父「謎の連続失踪事件! なんて世間は騒ぎ立ててるけど、私達に必要なのは真実なんです!」
被害者父「アンナの死は、世間を喜ばせる為のエンターテインメントなんかじゃないんだ……!」
被害者母「お願いします刑事さん……このままじゃあの子も浮かばれませんわ……」
ゲジヒト「……全力を尽くします。それと」
被害者母「はい?」
ゲジヒト「お嬢さんの部屋を見せてもらってよろしいですか?」
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 01:52:10.00 ID:kcz0PULc0
アンナの部屋――
ゲジヒト「普通の少女の部屋だ……精神状態が異常にあったとは思えない」
ゲジヒト「家族と撮った写真……家族仲は良好だったのか」
ゲジヒト「これは……手書きの封筒か。今時珍しいな。宛名は……ローザへ?」
ゲジヒト「パソコンに日記の類は残ってないか……これは?」パラッ
ゲジヒト「紙のメモ帳とはこれまた珍しいな。最後のページに何か書いてある……?」ペラッ
――あいつは私を裏切っていた。もう何もかもがどうでもいい
ゲジヒト「これは……!?」
ゲジヒト「“あいつ”とは一体……?」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 02:00:16.64 ID:kcz0PULc0
─────────── … ……
_________
ゲジヒト「独り言……魔法……裏切り……か」
被害者友「刑事さん!」
ゲジヒト「え?」
被害者友「あんた刑事さんだろ? 今アンナの家から出てきたよね?」
ゲジヒト「君は?」
被害者友「アンナのダチさ。あいつ最近悩んでたみたいなんだよね」
ゲジヒト「悩むって、何を?」
被害者友「色恋沙汰さ。あ、これ事件に関係あるかどうかは知らないけどね」
被害者友「一人の男を親友と取り合ってたみたいだよ」
ゲジヒト「三角関係ってやつかい?」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 02:02:42.71 ID:kcz0PULc0
被害者友「そっ。まっ詳しいことは知らないけどね」
被害者友「噂じゃ、その親友と男、もう付き合ってるなんて言われててね……」
被害者友「なあ刑事さん! アンナがもし殺されたっていうんなら、あいつの仇討ってくれよ!」
ゲジヒト「ああ、ところで」
ゲジヒト「その親友って、もしかしてこの写真の子かい?」
被害者友「ああ! そうだ、こいつだよ、ローザだ!」
─────────── … ……
_________
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/07(土) 02:06:47.63 ID:kcz0PULc0
今日はここまで
>>6
そうです
でもプルートウキャラはゲジヒト周辺しか出ないです
あと、まどかキャラもキュゥべえしか出ません
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山陽)
[sage]:2012/04/07(土) 02:12:07.15 ID:L+j7tO+AO
モンブランとかも出てきちゃう?
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/07(土) 02:13:24.28 ID:Js+vytnSO
まさかのクロス
期待
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/04/07(土) 03:02:37.02 ID:JXM/v5VWo
エプシロンは出るのか、それが問題だ
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/07(土) 12:16:53.57 ID:m4KHt8Mm0
これは期待
QBはゲジヒト達、感情を持つロボットをどう判断するだろうか
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/04/08(日) 01:49:57.75 ID:X15eVu7R0
ユーロポール・ドイツ支局――
リーマン「よっ、捗ってるかい?」
ゲジヒト「リーマン刑事。いえ……」
ゲジヒト「現場に倒れていた生存者は、死んだ少女の親友でした。そして……」
ゲジヒト「被害者の少女はどうも失恋していたみたいなんです」
リーマン「失恋?」
ゲジヒト「ええ。被害者は、親友と一人の少年を取り合う、所謂三角関係にありました」
ゲジヒト「その親友と被害者は、同じ少年を好きになった……」
ゲジヒト「そこで、お互いに抜け駆けしないよう紳士協定を結んでいたんです」
リーマン「ほーぅ、最近の若い娘にしちゃ純粋だね」
ゲジヒト「ところが、親友の方が協定を破ったんです」
リーマン「え?」
ゲジヒト「今日、想い人の少年を訪ねたら、だいぶ以前からその親友と交際していたことがわかりましたよ」
ゲジヒト「被害者の少女には、一昨日そのことを知られたようです」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 01:52:33.89 ID:X15eVu7R0
リーマン「じゃあ何か? 今病院で意識不明の親友が何か関わってるのかもしれないってことか?」
ゲジヒト「その可能性はあります」
ゲジヒト「しかし、彼女が何故死んだのか、何故周辺の監視システムが無効化され破壊されたのか」
ゲジヒト「この事件が、連続少女失踪事件と繋がっているのだとしたら、何故今回に限り遺体が残されていたのか……」
ゲジヒト「それらについては、まだ何も……」
リーマン「ふーん……それにしても、死因不明な上に、解析不能の物質か……こいつは厄介だ」
ゲジヒト「ええ……」
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 01:56:22.87 ID:X15eVu7R0
リーマン「まっ、あまり思い詰めるなよ。昨夜から帰ってないんだろ? 奥さんも心配してるぞ」
ゲジヒト「そうですね……」
ピーピー
ゲジヒト「っと、コールです。失礼」
ゲジヒト「はい、ゲジヒトです」
ゲジヒト「意識が戻った!? すぐに行きます!」
リーマン「意識が戻ったって、例の親友か!?」
ゲジヒト「ええ! 彼女は何か知っているかもしれない! 病院に行きます!」
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 01:58:46.61 ID:X15eVu7R0
アイスラー記念病院、デュッセルドルフ――
医師「意識は戻ったが、彼女は何か強いショックを受けたらしく……まともに話せる状態にはありません」
ゲジヒト「強いショック?」
医師「そう、例えば……とても恐ろしい体験をした、とかね。何にせよ精神的な要因ですな」
医師「脳の損傷なら、脳外科の分野で世界一を誇るうちのスタッフが力になれたでしょうが……」
医師「今、彼女に必要なのは心理カウンセラーです」
ゲジヒト「彼女と話せますか?」
医師「お勧めはしませんがね。身体の容態は安定しているので……五分だけなら」
ゲジヒト「十分です」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:11:27.97 ID:X15eVu7R0
ガラガラ
ゲジヒト「はじめまして。ユーロポールのゲジヒトです。君がローザだね?」
生存者「いや……あ……!」ガタガタガタ
ゲジヒト「落ち着いて……! もう何も怖くない。ここは安全だ」
ゲジヒト「ほら、今呼吸して」
生存者「はぁ……はぁ……」
ゲジヒト「昨夜、アンナと何があったんだい?」
生存者「アンナ……!? アンナ……!?」
ゲジヒト「落ち着いて! 何があったんだ?」
生存者「ごめんなさい……! アンナ……! ごめんなさい……!」
生存者「わたしだよアンナ! わたしがわからないの!?」ガタガタガタ
ゲジヒト「大丈夫だ! 落ち着くんだ!」
生存者「ひぃっ!? わたしが約束破ったからぁーー!!」ガタガタガタ
ゲジヒト「おい、しっかりするんだ……!」
生存者「ひっ……あっ……来る……!」
ゲジヒト「来る……?」
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:12:32.97 ID:X15eVu7R0
生存者「来るの……みんな死んじゃう……」
ゲジヒト「来るって、何が?」
生存者「ワルプルギス……」
ゲジヒト「ワルプルギス……?」
生存者「いやっ、いやっ! いやぁぁぁぁぁぁ!!」ガタガタガタ
ゲジヒト「おい! しっかりするんだ……! ワルプルギスとは何だ!?」
医師「はい、そこまでです!」
ゲジヒト「しかし……!」
医師「五分経ちました」
ゲジヒト「くっ……! わかりました……」
_________
___ _
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:19:11.07 ID:X15eVu7R0
W−13地区、事件現場、
デュッセルドルフ市内――
ヘレナ『今日も帰ってこれないの?』
ゲジヒト「ああ……事件が立て込んでてね……」
ゲジヒト「今も何か見落としていないか、事件現場をもう一度見にきてるところなんだ。すまない」
ヘレナ『ううん。お仕事なら仕方ないもの。頑張ってね?』
ゲジヒト「ああ、おやすみ、ヘレナ」
ヘレナ『おやすみ、ゲジヒト』
プツン
ゲジヒト「さてと……」
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:21:14.40 ID:X15eVu7R0
ゲジヒト「被害者が倒れていた現場……何か見落としていることはないか……?」
ゲジヒト「ん……? 何だ?」
ゲジヒト「この電磁波のパターン……」
ゲジヒト「微弱だが少女達が失踪する瞬間に放出されるものに似ている……!?」
ゲジヒト「こっちの方向からだ……!」タタタタ
グォォォォォォォン……
ゲジヒト「うぅっ……!」
ゲジヒト「何だ……!? 何が起こっている!?」
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:24:04.88 ID:X15eVu7R0
イヌカレー空間、デュッセルドルフ――
ゲジヒト「何だ? ここはどこだ?」
ゲジヒト「人工知能に働きかけている幻では無いのか……!?」
ゲジヒト「現在位置……GPSは……馬鹿な!? 全ての回線が遮断されている!?」
ゲジヒト「私はさっきまで街中にいたハズだ!」
魔女「……」
ゲジヒト「何……?」
魔女「ゴァァァァァ!!」
ゲジヒト「なっ……!? 何だこの怪物は!?」
魔女「グァァァァァァ!!」ドォーン!!
ゲジヒト「襲ってきただと!? くっ……!」ダッ
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:26:22.68 ID:X15eVu7R0
ゲジヒトは状況を冷静に確認すると、横に飛んで、怪物の体当たりを避けた。
目の前にきた怪物が触手を伸ばしてくる。それらが、避けきれなかったゲジヒトの両腕に巻き付いた。
ゲジヒト「くっ……!」ギシッ
直後に、バリバリと流れる電気の様な音と共に、未知の衝撃がゲジヒトの体を襲った。
何かの攻撃の様だったが、ゲジヒトの体には傷一つついていなかった。
ゲジヒト「私の体はゼロニウムで出来ている! 熱戦や磁力線は役に立たない!」
そう言いながら、ゲジヒトは両腕に力を入れる。すると、巻き付いていた触手が千切れ飛んだ。
千切れ飛んだ断面から、血液の様なものが飛び散り、ゲジヒトのスーツに付着する。
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:28:25.04 ID:X15eVu7R0
ゲジヒト「回線が遮断されていては、SAAWの使用申請が下りないか……! しかし……!」
ゲジヒト「パワーは私の方が上の様だな!」グィッ
ゲジヒトは、右腕に力を込めると、怪物の胴体に向かって思い切り叩きつけた。
魔女「ギャァァァァァ!!」グジョル
その後も何回も化物の身体を叩きつけてゆく。
ゲジヒト「何者なんだ……何者なんだお前は……!」
それを繰り返してるうちに、やがて怪物は悲鳴をあげながら消滅していく。
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:32:17.29 ID:X15eVu7R0
魔女「ギャァァァァァァァ……」シュゥゥゥ
ゲジヒト「消えた……」
ゲジヒト「それにこの空間は一体……私の捜査システムでもどれくらいまで広がっているのか測定できない……」
そう呟きながら、怪物の消滅した跡を見ると、刺がついた球体状の物体が残されているのに気付いた。
ゲジヒト「この物体は……?」
ゲジヒト「これは……! アンナの遺体に付着していた、ガラス状の解析不能の物質と同じ……!?」
ゲジヒト「それに、この怪物から飛び散った血液……馬鹿な!! 何だこのスキャン結果は!?」
ゲジヒト「アンナと同じDNA構造だと……!?」
ゲジヒト「どういうことだ? あの怪物は……アンナ……?」
「やあ、よくここまで辿り着いたね。人間の警察権力が魔女の結界に辿り着くなんて、滅多にあることでは無いんだけど」
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:37:14.26 ID:X15eVu7R0
ゲジヒト「誰だ!?」
「さすがは世界最高水準のロボットの一人、言ったところかな?」
ゲジヒト「な……!? お前は一体……?」
QB「僕の名前はキュゥべえ! 魔法少女を生む者さ!」
ゲジヒト「魔法少女……?」
QB「魔法少女に関係するケースを調べる刑事は珍しくてね。興味が湧いたから、君の後をずっと尾行させてもらっていたよ」
ゲジヒト「どういうことだ! お前は連続少女失踪事件について何か知っているのか!?」
QB「その答えはイエスだよ。ここまで辿り着いたご褒美に教えてあげよう」
QB「僕達インキュベーターと魔法少女の歴史を!」
ゲジヒト「何だ……? 何を言っている……!?」
QB「と、その前に」
QB「魔女は倒されたからね、ここはもうすぐ通常空間に戻るよ」
ゲジヒト「……?」
_________
___ _
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:40:36.00 ID:X15eVu7R0
気象予報センタービル
ニューワシントン、トラキア合衆国――
アーノルド「ん? このデータは……?」
気象予報士「おいおい、アーノルド。欧州の気象観測データを見てる暇なんてあるのか? もうすぐ番組始まるんだろ?」
アーノルド「ん? ああ、そうなんだが。このデータ、とても気になるんだ」
気象予報士「気になる? どれどれ……」
気象予報士「ノルトライン=ヴェストファーレン州にシビアウェザー!?」
気象予報士「おいおい! ここ最近そんな兆候無かったハズだぞ!」
アーノルド「ああ、突如沸いて出たように発生している……それも気になるんだけど、もう一つ」
気象予報士「何だ?」
アーノルド「このスーパーセルの発生の仕方、どこかで見覚えがある気がするんだ。確か……とても古い記録で」
気象予報士「おいおい曖昧だなぁ。 お前ロボットだろうに」
_________
___ _
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/08(日) 02:48:18.69 ID:X15eVu7R0
今日はここまで
俺にミステリーとかサスペンス書くのは無理があった
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/08(日) 10:08:21.50 ID:LBOT397SO
乙
まだまだ君には頑張って貰わなくてはならない
完結をみたいからな
てかイヌカレー空間ってwwwwwwwwwwww
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/08(日) 11:57:44.77 ID:mv5NnSNDO
乙
次も待ってるぜ
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/08(日) 21:29:06.97 ID:j9yIk0Oso
乙
難しいと思うが、がんばれよ
モンブランはでるかな?
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(山陽)
[sage]:2012/04/09(月) 01:48:12.35 ID:XxvwQ7GAO
私はアブラーだ!
私はアブラーだ!!
オツーーー!!!
45 :
色々おかしいところは補完よろしく
[saga]:2012/04/09(月) 22:49:42.45 ID:ZTQYB2VA0
W−13地区、事件現場、
デュッセルドルフ市内――
ゲジヒト「うわああああああああああ……!!」
ゲジヒト「ああああああああああああ……!!」
ゲジヒト「ぐはっ!」ドサッ
QB「――とまぁ、魔法少女とはこういう存在さ。君の電子頭脳に直接情報を流させてもらったよ」
QB「魔法少女が魔女になるということや、ソウルジェムが魂であるという点は、普通はこちらからは明かさないんだけどね」
ゲジヒト「ハァ……ハァ……」
ゲジヒト「ハァ……ハァ……くっ……」
ゲジヒト「契約と願い……祈りと呪い……」
ゲジヒト「魔法少女と魔女……感情エネルギー……人類の歴史の影にはインキュベーターの存在があった……」
ゲジヒト「馬鹿な……! これを……全て信じろと言うのか……!?」
QB「僕は嘘はつかないよ。説明を省略することはあってもね」
ゲジヒト「私のシステムは、お前が嘘をついているかどうか判別できない」
QB「では僕の存在や、先ほど君が倒した怪物はどう説明するんだい?」
QB「まさか、どこかの狂科学者がバイオテクノロジーで生み出した珍生物、とでも片付けるつもりかい?」
QB「僕の話を信じるなら、辻褄が合うだろう?」
ゲジヒト「何故……このことを私に教える……?」
QB「言っただろう? 人間社会の捜査機関が魔法少女に辿りつくのは珍しいからね。僕からのご褒美だよ」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 22:53:12.67 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「アンナはこの街で魔法少女をやっていた……ところが何らかの原因で絶望した……?」
QB「その通りだ。君にはその原因に心当たりがあるんじゃないのかい?」
ゲジヒト「……」
QB「どうしたんだい?」
ゲジヒト「いや……」
ゲジヒト「なら、他の連続少女失踪事件の被害者達も……?」
QB「その通りだよ。ソウルジェムがグリーフシードに変わる際、特殊な電磁波が放出されるからね」
QB「君達の街に設置されている監視システムが、たまたまその電磁波に弱くて、故障を引き起こしていたのさ」
QB「現場が破壊されていたのも、魔女が生まれる瞬間の副産物さ」
ゲジヒト「アンナの遺体……身体にはどこも異常が無かったのも……!」
QB「文字通り、魂が抜け落ちただけだからだね」
ゲジヒト「殆どの被害者の遺体が残されていないのも……!」
QB「大抵は生まれた魔女の結界に、そのまま引きずり込まれるからね。普通なら二度と発見されないよ」
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 22:58:45.19 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「今回に限り、遺体が残っていたのは……」
QB「アンナが魔女になる瞬間、ローザが近くにいたからね。彼女が結界に巻き込まれないように、亡骸を引っ張ったんだろう」
QB「僕はローザも魔法少女に勧誘していたからね。彼女もある程度の事情には通じていたんだ。生憎、契約はしてもらえてないけど」
ゲジヒト「契約の段階では、魔女化のことは話さないと言ったな……?」
QB「そうだよ。余程のことが無い限り、こちらから教えることは無い」
QB「アンナが突然魔女になったから、ローザはさぞ驚いただろうね」
QB「生まれたばかりの魔女に彼女が殺されなかったのは、単に運が良かっただけさ」
ゲジヒト「貴様……! 貴様は人の命をなんだと……!!」
ゲジヒト「人の絶望を喰いものにするなどと……!」
QB「何か思うところでもあるのかい?」
QB「まぁ、第39次中央アジア紛争にも従軍した君だ。色々と経験があるのかもしれないけど」
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:02:33.25 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「くっ……! お前の話が本当だとするなら私は……!」
ゲジヒト「私は人間を……! アンナを殺した……!」
QB「それは少し違うね」
QB「彼女は既に人間ではなく、君が殺したのはあくまで魔女だ。君が負い目を感じる必要は無いよ」
QB「君のシステムも彼女を人間だと判別していなかった。だから君は彼女を攻撃することができたんだ。違うかい?」
ゲジヒト「くっ……! 私は……! 私はっ……!!」
ゲジヒト「くぅっ……!?」ドクン
『一体500ゼウスでいいよ――』
ゲジヒト「何だ……!? このイメージは……」
QB「どうかしたのかい?」
ゲジヒト「い、いや……何でもない……」
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:06:15.72 ID:ZTQYB2VA0
QB「しかし、人間に造られた紛い物の命である君が、人間の命の心配をするなんてわけがわからないよ」
QB「もっともそこに興味を持ったんだけどね」
ゲジヒト「何……?」
QB「いや、こっちの話さ。それよりもう一つ有用な情報を教えてあげようか」
ゲジヒト「何だと……? ん?」
ピーピー
ゲジヒト「病院からコール? はい、ゲジヒトです」
ゲジヒト「ローザが? 私と話したいと? わかりました、すぐ行きます」
ゲジヒト「お前とは、まだ話をしなければならないが……」
QB「行くのかい? 僕に用がある時はいつでも呼んでね!」
_________
___ _
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:09:53.12 ID:ZTQYB2VA0
気象予報センタービル
ニューワシントン、トラキア合衆国――
気象予報士「よっ、番組お疲れさん」
アーノルド「いやいや、それ程でも。それにしても気になるなぁ」
気象予報士「何だ? さっきの話か?」
アーノルド「ああ、スーパーセル……スーパーセル……」
アーノルド「うーん……と」
アーノルド「あっ、そうか」
気象予報士「思い出したか?」
アーノルド「ミタキハラだ……」
気象予報士「え?」
アーノルド「二十一世紀初頭、ニッポン」
アーノルド「ミタキハラのケースとそっくりなんだ……」
_________
___ _
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:14:42.34 ID:ZTQYB2VA0
アイスラー記念病院、デュッセルドルフ――
ゲジヒト「晩くにすみません」
医師「いえ。彼女の方からあなたに会いたいと希望だったので」
ゲジヒト「彼女と二人にしてくれませんか?」
医師「それは……」
ゲジヒト「お願いします……!」
医師「わかりました……容態が急変したらすぐ呼んでください」
ゲジヒト「ありがとうございます」
ガラガラガラ
ゲジヒト「やあ。もう具合は大丈夫かい?」
生存者「はい……」
ゲジヒト「魔法少女のこと、聞いたよ。キュゥべえからね」
生存者「え……! その……信じるんですか?」
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:15:58.82 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「実際に魔女を見たからね。君は魔法少女の真実は知っているのかい……?」
生存者「全ては知らないと思います……でも、魔法少女は魔女になるんですよね……?」
ゲジヒト「そう……絶望すると、そうなるらしい」
生存者「絶望……」
生存者「それじゃ……! わたしのせい……!」
生存者「私が彼の告白受けたから……! それが、一昨日アンナに知られて……!」
生存者「でもっ……! でもっ! 彼女、何も言わずに……!」
ゲジヒト「……」
生存者「昨日、アンナが繁華街の方にふらりと行くのを見かけたんです……」
生存者「だからわたし、追いかけて……謝りたくて……」
生存者「そうしたら……そうしたら……あんなことに!!」
生存者「きっと私のせいでアンナが絶望しちゃったんです……!!」
ゲジヒト「そのことなんだが……一つ引っかかることがあるんだ」
生存者「え……?」
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:18:25.90 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「この封筒、アンナの部屋にあったものなんだが」
ゲジヒト「インクの具合から見て、一昨日の夜に書かれたものだ。君宛になっているだろう?」
生存者「ええ……?」
ゲジヒト「アンナは今時珍しく、手書きにこだわりがある子だったんだね。この封筒の中に便箋があったんだ。読んでみるかい?」
生存者「えっ、でも……きっとわたしへの恨み言が書いてあるんじゃ……」
ゲジヒト「大丈夫。親友を信じるんだ」
生存者「はい……」ガサッ
生存者「……」
生存者「えっ!? これって……!」
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:21:16.84 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「そう。君と彼とのことを祝福する文面だ。彼女は君を恨んでなんていなかったんだ」
生存者「そんな……」
ゲジヒト「実は彼女、彼に対する熱は冷めていたみたいだね」
ゲジヒト「君と紳士協定を結んで盛り上がっていた手前、何となく言い出せないでいたようだ」
ゲジヒト「直接言うのは気恥ずかしかったんだろうね」
ゲジヒト「一昨日、君達の関係を知った彼女は、いい機会だと思って手紙を送ろうとした。このEメール全盛の時代に手書きでね」
ゲジヒト「とても君のせいで絶望していたようには見えない」
生存者「じゃあ……! じゃあ、何でアンナは……!?」
ゲジヒト「そう、彼女を絶望させる出来事が他にあったということだ」
生存者「それって一体……」
ゲジヒト「インキュベーター! いるんだろう?」
生存者「キュゥべえ……?」
QB「やぁ、なんだい?」ヒョコ
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:23:13.63 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「お前は私に、アンナが絶望した理由の心当たりがあるんじゃないかと言ったが」
ゲジヒト「その理由については、お前の方こそ何か知っているハズだ」
QB「ふむ」
ゲジヒト「彼女は家族や友人とも友好な関係を築いていて、そうそう絶望する理由があったとは思えない」
ゲジヒト「だが、魔法少女を絶望させる一番簡単な方法なら私も思いついたよ」
QB「それは?」
ゲジヒト「真実を伝えることだ」
QB「ほう、興味深いね」
生存者「真実……」
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:25:57.12 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「ソウルジェム自体が魔法少女の魂であること。穢れが溜まると魔女になること」
ゲジヒト「そして何より、いままで自分が倒してきた魔女は、元は魔法少女だったこと……!」
ゲジヒト「正義感が高ければ高いほど、それを知らされた時のショックは大きいだろう」
ゲジヒト「そしてアンナの部屋にあった、このメモ用紙に殴り書きされた文字」パサッ
――やっぱりあいつは私を裏切っていた。もう何もかもがどうでもいい
生存者「これは……?」
ゲジヒト「この文字はインクの状態から見て、昨日アンナの遺体が発見される二時間程前に書かれたものだ」
ゲジヒト「アンナの母親に聞いた……昨日の丁度そのくらいの時間、彼女の部屋から独り言が聞こえていたと」
ゲジヒト「インキュベーター。お前の姿と声は常人には認知されない」
ゲジヒト「お前と会話している魔法少女は、傍から見たら独り言を言っている様にしか見えないだろう」
QB「だろうね」
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:30:49.15 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「昨日のアンナの部屋から聞こえた独り言、ちょうどその頃に書かれた殴り書き」
ゲジヒト「お前がアンナに魔法少女の真実を全て話し、その結果彼女は絶望した……」
ゲジヒト「そう考えればしっくりくるんだ……!」
ゲジヒト「ここに書かれている“あいつ”とは……インキュベーター、お前のことじゃないのか?」
QB「きゅっぷぃ!」
QB「その通りだ! さすがは最高性能を誇るロボット刑事だね!」
生存者「そんな……」
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:33:50.30 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「お前の目的はエネルギーの搾取……人間の命など、どうとも思っていないのはわかる」
ゲジヒト「だが、何故だ……? お前の話を信じるなら、お前が直接的な行動にでる事は滅多に無いハズだ」
ゲジヒト「何故、このタイミングで急に真実を話すような真似をした? そこに潜む作為は何だ……?」
QB「まぁ、僕にもいろいろ思惑があったことは認めるよ。でも理由を明かすわけにはいかないな」
ゲジヒト「何だと……?」
QB「こういうの、人間は何て言うんだっけ……あっ、そうそう……」
QB「黙秘だ」
ゲジヒト「貴様……!」
QB「だけど一つだけ言える。僕達インキュベーターも時代に合わせて変わっていくのさ」
ゲジヒト「時代だと……?」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:39:55.37 ID:ZTQYB2VA0
QB「ついでに、もう一つ有用な情報を教えてあげよう。さっき言いそびれたからね」
ゲジヒト「何……?」
QB「この街にワルプルギスの夜が来る」
生存者「あっ! そうだった……!」
ゲジヒト「何だそれは?」
QB「最大級の魔女だよ」
ゲジヒト「最大級の魔女?」
QB「普通、魔女は結界の中に身を潜めているものだけど、ワルプルギスの夜は結界に身を隠す必要が無い程強力なんだ」
QB「君が倒した魔女とは比較にもならないよ。この街が壊滅するくらいにはね」
ゲジヒト「何だって!?」
QB「この街には今、魔法少女はいない。いたとしても一人や二人で太刀打ちできるわけがないけどね」
QB「しかも、普通の人間は魔女を認知できないから、自然災害による被害だとしか思われないよ」
ゲジヒト「自然災害? 待て……」
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:44:03.27 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「今、気象データにアクセスした」
ゲジヒト「デュッセルドルフにスーパーセル警報が発令されている……これも魔女のせいだというのか!?」
QB「その通りだ。しかしゲジヒト」
QB「君は一度魔女の結界に侵入したから、ワルプルギスの夜を認識できるハズだ」
QB「君なら勝てると思うよ」
ゲジヒト「……」
QB「なんせ君は、今まで存在したどの魔法少女よりも強い戦闘力を持っている。君は言わば……」
QB「今までで一番強力な大量破壊兵器なんだから」
QB「それじゃあね。ワルプルギスの夜が来るのは明日だ。せいぜい頑張っておくれよ」
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:47:03.73 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「くっ……」
生存者「……あの」
生存者「わたし……契約します。わたしなんかが、ワルプルギスの夜に立ち向かえるかはわからないけど……」
生存者「それで、願いでアンナを生き返らせてもらいます。結局、彼女にひどいことしちゃったことには変わらないから」
ゲジヒト「……彼女はひどいことされたなんて思っていないさ。それに」
ゲジヒト「仮に君の願いでアンナが蘇っても、いずれ君は魔女となって消える」
ゲジヒト「そんなこと彼女も望んじゃいない」
生存者「でも……」
ゲジヒト「君に一つ謝らなければならないことがある」
生存者「え……?」
ゲジヒト「私が倒した魔女は……アンナだった」
生存者「それは……! でも……仕方のないことです」
ゲジヒト「でも……私は心が痛いんだ」
生存者「心……?」
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:50:05.22 ID:ZTQYB2VA0
ゲジヒト「ロボットが心なんて言うと変に思うだろ?」
ゲジヒト「でも本当なんだ。私が魔女を一体倒しただけでもこの痛みなんだ」
ゲジヒト「君の様な優しい子が魔法少女なんてやるもんじゃない」
生存者「うう……あたし……」
ゲジヒト「君は人間だ。人間のままでいろ」
生存者「うぁ……ぁぁ……」
ゲジヒト「そうだ。人間は悲しい時、泣くもんだ」
生存者「うわぁぁぁぁ……ぁぁ……」グスン
─────────── … ……
ゲジヒト「落ち着いたかい?」
生存者「はい……」
ピーピー
ゲジヒト「ん……署からコールだ。はい、ゲジヒトです」
ベッカー『ゲジヒト、スーパーセル警報が出てるのは知ってるだろう? 一旦帰って来い』
ゲジヒト「すみませんベッカー部長。今は無理です」
ベッカー「何!?」
ゲジヒト「今は……捜査中ですから……」
ベッカー『おいゲジヒト!? おい! 応答しr……』プツッ
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:55:36.86 ID:ZTQYB2VA0
生存者「刑事さん……一人でワルプルギスの夜に立ち向かう気……?」
ゲジヒト「魔法少女に魔女……今回の件、どう決着を着けたら良いのか、正直私にはわからない……」
ゲジヒト「いや……もしかしたら、そんなことできないのかもしれない……」
生存者「え?」
ゲジヒト「でも、そんなこと悩む前に、私はこの街を守りたい。守らなければならない」
生存者「でも……一人で戦うなんて無茶だよ……」
ゲジヒト「大丈夫! 私はただの刑事じゃない」ニコッ
ゲジヒト「スーパーロボット刑事だぞ! 負けるわけが無い」
生存者「うん……」
ゲジヒト「そんな顔するもんじゃない。君は安心して避難するんだ。家族も心配している」
_________
___ _
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/09(月) 23:59:24.11 ID:ZTQYB2VA0
今日はここまで
何かもう、意味不明な話ですまぬ……
あと、ゲジヒト以外の最高水準のロボットは出ないんじゃ。すまぬ……
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/10(火) 00:25:22.84 ID:A1ITJ+jSO
乙
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/04/10(火) 00:39:47.26 ID:EtE8E55x0
乙ですたー!
ゲジヒトかっこいいぜ
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/04/11(水) 20:13:39.00 ID:eKgMcr3A0
テレビ『昨夜から発令されているスーパーセル警報に伴い、デュッセルドルフでは避難勧告が出され、警官が誘導にあたっています』
テレビ『今回のスーパーセル発生には気象学的にも謎が多く、専門家は……』
デュッセルドルフ、ユーロ連邦――
ヘレナ『今どこにいるのゲジヒト!? あなたと連絡が取れなくて署は大騒ぎってホフマン博士が……!』
ゲジヒト「大丈夫。ヘレナ、心配いらない」
ヘレナ『大丈夫って……嵐が来てるのに……避難だって始まって……!』
ゲジヒト「ヘレナ、大丈夫だから。君はちゃんと市外に避難するんだ」
ヘレナ『でも……』
ゲジヒト「それと……愛してるよ、ヘレナ」
ヘレナ『ゲジヒト……?』
ゲジヒト「それじゃあ」
ヘレナ『あっ……待ってゲジヒt……!』プツッ
ゲジヒト「……」
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/11(水) 20:21:53.45 ID:eKgMcr3A0
ゲジヒト「この辺りの住民の避難は完了したが、デュッセルドルフ全体では避難は半分しか進んでいない……」
ゲジヒト「何とか……ここで食い止めなければ」
QB「やぁ」
ゲジヒト「インキュベーター……」
QB「愛してる、か。伴侶がいるということは素晴らしいことだね」
ゲジヒト「心にも無いことを言うな。お前には理解できない感情だ……」
QB「戦う気になったんだね」
ゲジヒト「私は刑事だ。この街を守る義務がある」
QB「武器無しでかい?」
ゲジヒト「……」
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/11(水) 20:22:55.51 ID:eKgMcr3A0
QB「君の最大の武器である、SAAW特殊重火器は、当局の許可が無ければ発砲できないんだろう?」
QB「君は今回の件、上司には報告してないようだしね」
ゲジヒト「例えそうでも、私は全力を尽くす。それだけだ」
QB「ちょっと待っておくれよ……それっ」パァァァァァ
ゲジヒト「これは……! SAAWの使用制限が解除された?」
QB「それで存分に戦うといい」
ゲジヒト「何故、私に手を貸す……? お前の目的は何だ?」
QB「言っただろう? 黙秘権を行使するよ」
ゲジヒト「まぁいい……そろそろか」
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/11(水) 20:25:03.17 ID:eKgMcr3A0
D
QB「一応、この言葉を送っておこうかな」
C
ゲジヒト「何だ?」
B
QB「幸運を祈るよ」
A
ゲジヒト「ロボットに幸運、か……」
@
ワルプルギス「アハハハハハハハハハッ! キャハハハハハハハハッ! 」
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/11(水) 20:27:49.93 ID:eKgMcr3A0
ゲジヒトは、逆さまの人形と歯車が連結している様な姿で空に浮かぶ、巨大な魔女を見据えた。
ゲジヒト「これが……ワルプルギスの夜……!」
多数の使い魔が押し寄せてくる。ゲジヒトはSAAWを起動すると、それらに相対した。
ゲジヒト「退くんだお前達……! 私が用のあるのはお前達ではない!」
ゼロニウム弾を数発放つと、押し寄せてきた使い間の大半が吹き飛んだ。
ゲジヒトは、がら空きになった場所からすかさず突入し、一気にワルプルギスの夜本体との距離を詰めた。
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/11(水) 20:31:08.18 ID:eKgMcr3A0
暴風と瓦礫が襲ってくる。
避けきれずに、飛んできた多数の瓦礫がゲジヒトを直撃したが、彼は物ともせずに本体を目指した。
ゲジヒト「くっ……! こんな攻撃で……!」
巨大な魔女に向かって、ゼロニウム弾を数発発射する。弾頭が歯車部分に吸い込まれると、何度も爆発を起こした。
ワルプルギス「キャァァッァァァァ」
ゲジヒト「効いている……!? 攻撃の手を休めるな……!!」
そう叫び、自分を奮い立たせながら、ゲジヒトはゼロニウム弾を撃ち続けた。
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/11(水) 20:34:26.69 ID:eKgMcr3A0
ワルプルギス「アァァァァァァ……」
やがて、ワルプルギスの夜が地面に墜落する。
ゲジヒト「戦闘力1500000から150000に低下……」
ゲジヒト「やったか……? いや……」
直後、ワルプルギスの夜が再び宙に浮き、体制を立て直す。
ゲジヒト「まだか……」
そして人形部分と歯車部分が入れ替わるように、魔女の本体が上下反転し始めた。
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/04/11(水) 20:37:46.64 ID:eKgMcr3A0
ゲジヒト「何だ……!? 戦闘力2000000……3000000……まだ上昇中!?」
ゲジヒト「これは……」
ゲジヒト「こいつを放っておいたら……デュッセルドルフどころじゃない……」
ゲジヒト「地球が……!!」
ワルプルギス「アハハハハハハハハ! アハハハハハハハハ!」
ゲジヒト「させない……!」
ゲジヒト「この世界は……!!」
ゲジヒト「私の命に代えても……!!」ダッ!
右手を構えながらゲジヒトが跳躍し、ワルプルギスの夜の歯車部分に取り付く。
75 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 20:53:06.25 ID:eKgMcr3A0
ゲジヒト「もう……終わりにしよう」
ワルプルギス「キャハハハハハハハハ!!」
ゲジヒト「お前だって、悲しいハズだ……」
ワルプルギス「アハハハハハハハハ!!」
ゲジヒト「うぉぉぉぉぉぉ……!!」
ゲジヒトは、至近距離からゼロニウム弾を全て撃ちつくした。
そして、ゲジヒトの体から閃光が奔る。
そして、辺りは轟音と光に包まれた――
─────────── … ……
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76 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 20:58:02.67 ID:eKgMcr3A0
ゲジヒト(ぅ……)
ゲジヒト(どうなった……? 魔女は……?)
ゲジヒト(街は……被害状況は……?)
ゲジヒト(行かなければ……)
ゲジヒト(足が……動かない……!?)
ゲジヒト(足だけじゃない……手も……体も……)
ゲジヒト(私はどうなった……!? 私の体は……?)
『そうだ、すごいぞ。もう少しだ!!』
ゲジヒト(何だ……?)
77 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:00:05.32 ID:eKgMcr3A0
『私達の子供なのね……』
『ああ、僕達の子だ』
ゲジヒト(おかしい……思考の制御がきかない……)
『生きてる……この子生きてる……』
『生きているという言葉の意味が、今本当にわかった……』
『生きるってこういうことなんだ……』
ゲジヒト(このイメージは一体……?)
78 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:01:34.30 ID:eKgMcr3A0
『パパ……ママ……』
『おお……』
ゲジヒト(何故かはわからない……)
『この子、名前をつけなくちゃ』
『そうだね。ロビタ……どうだい?』
『ロビタ……素敵な名前……』
ゲジヒト(でも、この感情……)
『僕らは地球が終わっても、おまえを離さないぞ……』
ゲジヒト(とても懐かしい気がする……)
79 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:06:21.08 ID:eKgMcr3A0
───── … ……
QB「ロボットも走馬灯を見るのかな?」
ゲジヒト「インキュ……ベーター……」
QB「大したものだよ。自らの動力部を暴走させ、ワルプルギスの夜を倒すなんてね。人間の科学力もついにここまで来たんだね」
ゲジヒト「街は……どうなってる……」
QB「無事さ。君のおかげでね」
ゲジヒト「そう……か……」
QB「しかし、君も無事では済まなかったようだね」
QB「君は体のほとんどを失ったし、電子頭脳は致命的な損傷を受けた。さらに動力部はもうすぐ停止しようとしている」
QB「『心臓が息の根を止めるまで真実に向かって直走る。それが刑事だ』とはよく言ったものだね」
QB「もって、あと数分の命だろう」
ゲジヒト「後悔は無い……それが……私の……任務だ……」
80 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:08:38.07 ID:eKgMcr3A0
QB「最後に教えてあげよう。僕の目的をね」
ゲジヒト「な……に」
QB「僕達は感情エネルギーを目的に地球に来ているわけだけど、最近面白い発見をしたんだ」
QB「すなわち、ロボットの感情さ」
QB「これは驚くべきことだよ!」
QB「感情を持つ生き物自体、宇宙では珍しいというのに、その人間自ら生み出した機械が、感情を持ちはじめたんだ」
QB「本来僕達は、第二次性徴期の少女の絶望が、最も効率の良いエネルギー源だと考えて行動しているわけだけど」
QB「実はロボットの感情の方が、より効率的にエネルギーを採取できる可能性が出てきてね」
QB「その研究の為、優秀な人工知能を持つロボットに、史上最大の魔女と全力で戦って貰いたかったのさ」
ゲジヒト「き……さま……その、ため……に……」
81 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:11:18.11 ID:eKgMcr3A0
QB「そろそろ、ユーロポールが連続少女失踪事件の捜査に乗り出すとは思っていたけどね」
QB「案の定、このデュッセルドルフで死体が発見されれば、君が捜査に投入されて、魔女結界まで辿りついてくれた」
ゲジヒト「く……ぅ……」
QB「さて、そろそろお別れかな?」
QB「最後に礼を言うよ。ありがとう、HRS0288型ロボット、ゲジヒト警部」
QB「君の感情の変遷は、実に有意義なデータを残してくれた」
QB「さすがは人間を殺した“完璧”な人工知能の持ち主だ」
ゲジヒト「な……」
ゲジヒト「…」
ゲジヒト「」
QB「さようなら、ゲジヒト」
QB「さて」
82 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:13:44.23 ID:eKgMcr3A0
QB「準備は良いかな?」
生存者「……うん」
QB「君は変わっているね。真実を全て知ったのに、尚契約しようとするなんて」
QB「それじゃあ、ローザ。君はどんな祈りでソウルジェムを輝かせるんだい?」
生存者「その前に、本当にできるんだよね?」
QB「ああ。君の素質では、人間を生き返らせることはできないが、機械を修理することならできるよ」
QB「彼の魔法少女に関する記憶を消したいという君の希望も、願いに組み込んであげられる」
QB(もっとも、人間達が消した記憶までについては干渉しないけどね)
83 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:14:57.57 ID:eKgMcr3A0
生存者「私の願い……」
生存者「ゲジヒトさんを……魔法少女や魔女のこと、わたしやキュゥべえのことを知る前の状態に戻してほしい」
QB「君の願いはエントロピーを凌駕した!!」パァァァァァァ
生存者「ありがとう、ゲジヒトさん……でもやっぱりわたし、契約しちゃいます」
生存者「結局は、わたしの自己満足かもしれないけど……」
生存者「この街を魔法少女として守っていたアンナの後を継いでいきたいと思うんです」
生存者「魔法少女のことを知っていたらゲジヒトさんは……きっと、また壊れるまで戦っちゃうから……」
生存者「わたしのことは忘れて、あなたは表の世界で、この街を、この世界を守ってください」
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84 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:18:18.69 ID:eKgMcr3A0
Dr.ルーズベルト「それで? その少女はどうなったの?」
Dr.ルーズベルト「電子を操る魔法か……なるほど、ロボットを助ける願いを叶えたんだから妥当かな」
Dr.ルーズベルト「しかしおかしな話だね。科学を必要とする魔法なんて」
Dr.ルーズベルト「まぁもっとも、人間には科学による奇跡と、魔法による奇跡の区別はつかないだろうけど」
Dr.ルーズベルト「それより可哀想なのはその少女だよ。順調に計画が進めば、彼女の祈りは全くの無駄になるんだから」
Dr.ルーズベルト「うん。人間は、祈りの数だけ呪いも生まれることがわからない生き物だからね」
Dr.ルーズベルト「そうだね。いや……それ程でもないよ」
Dr.ルーズベルト「君の話は、いつも実に面白いね。また聞かせておくれよ」
Dr.ルーズベルト「うん。それじゃまたね。バイバイ」
85 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:19:56.65 ID:eKgMcr3A0
プシュゥゥゥゥ
Dr.ルーズベルト「やあ」
アレキサンダー大統領「今、誰かと話していましたか?」
Dr.ルーズベルト「独り言だよ」
アレキサンダー大統領「ロボットなのに独り言を?」
Dr.ルーズベルト「おかしいかい?」
アレキサンダー大統領「あっいえ……別に」
Dr.ルーズベルト(そう……おかしいかな……)
Dr.ルーズベルト(ロボットだって独り言を言う。怒ったり悲しんだり憎んだりする)
Dr.ルーズベルト(そして嘘だってつくんだよ)
_________
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86 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:25:53.87 ID:eKgMcr3A0
一年後
デュッセルドルフ、ユーロ連邦――
テレビ『この大規模な山火事の中から……』
テレビ『スイス林野丁所属のロボット、モンブランさんが……バラバラの状態で発見されたとのことです』
テレビ『モンブランさんは、山案内ロボットとしても世界的に知られており――』
ヘレナ「あなた、昨日はとんでもない所に行ってたのね」
ヘレナ「見たの?」
ゲジヒト「何を?」
ヘレナ「あのモンブランってロボット、バラバラになってたって……」
ゲジヒト「ああ……」
ゲジヒト「バラバラの破片になっていた……」
ゲジヒト「はいもしもし、私です」
ゲジヒト「はい……わかりました、すぐ行きます」
ゲジヒト「仕事だ。出かけるよ」
ヘレナ「あ……でも朝食できてるのに……」
ゲジヒト「ヘレナ……」
ヘレナ「?」
ゲジヒト「今度休みとって、どこかに行こうか」
ヘレナ「え?」
ゲジヒト「ちょっと休んだほうがいいんだろ?」
ヘレナ「あなたがそんなこと言うなんて……」フフ
ワルプルギスの夜の巻
完
87 :
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[sage saga]:2012/04/11(水) 21:28:56.52 ID:eKgMcr3A0
短いけど終わり
色々おかしいけど読んでくれてありがとう
頭悪いくせに真面目な話書こうとしてすんませんした……
あとゲジヒトはすごくカッコいいfigma化して欲しい
88 :
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[sage]:2012/04/11(水) 21:30:20.16 ID:uxNKvkZSO
こうしてプルートゥの話に……か
乙
89 :
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[sage]:2012/04/11(水) 21:45:21.65 ID:n04ffItPo
乙
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