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魔王「世界をまっぷたつっ!」勇者「このポンコツ!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:28:48.27 ID:fG9IX8Mu0

   「世界の半分をお前にやろう!」

その瞬間、世界が揺れた。
激しい衝撃に魔王城の壁も崩れ、崩壊していく。

突如として訪れた浮遊感。
それが、オレの意識が失われる最後の瞬間に感じたものだった。

気がつくと、瓦礫の中で魔王に膝枕をされていた。
耳と尻尾が垂れ、申し訳なさそうな表情を浮かべる顔は涙と鼻水でグチャグチャになっている。

オレが目を覚ますと魔王がオレの胸に顔をうずめて泣きじゃくった。
鎧に鼻水がついて糸を引いている。 なんともシュールな。


勇者「あのさ」


なんとか落ち着かせて事情を聞きだすことにした。

どうやら、この世界は真っ二つになってしまったらしい。
この馬鹿が、馬鹿正直にはんぶんこにしようと考えたからだ。
……冗談交じりで「はい」、と答えたのがまずかった。

地球のへそと呼ばれる洞窟のある辺り、地球の丁度半分のところで大地が裂け、その衝撃が世界を襲った。
そして、世界を最大最悪の災害が遅い、今に至る、と。


魔王「うん」


いや、そんなにあっさり頷かれても。
おそらく、世界中が今混乱の極みにあるだろう。
魔物とか人間とかそういう事を言っている場合じゃない。
ある意味、共存の道が開けたということになる。 良かった良かった。

って、良いわけねぇだろうが!
どこに本気で世界を滅亡させる魔王がいるんだよ!
世界を征服したいんじゃなかったのかよ!


勇者「馬鹿じゃないの!?」


世界を真っ二つ煮する程の力を持つこの少女に、誰も説教などしたことがなかったのだろう。
軽く叱っただけで哀れなほどシュンとなり、泣きそうな顔でこちらの様子を伺っている。
……上目遣いにそんな潤んだ目をされると、その、ちょっとドキッとする。


魔王「ごめん…………」


ちょっと可哀想に思い始めたが、目の前にいるのは世界を滅亡に追いやろうとしている犯人。
そしてこのオレはそうさせた元凶。
……あれ? これ、オレも共犯じゃね?


勇者「……どうすんだコレ」


世界中に阿鼻叫喚の悲鳴が轟く中。
少女と二人、世界を救う旅が始まる。

世界の半分のついでに、この少女の罪も半分貰ってやろうじゃないか。



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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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2 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:31:10.76 ID:fG9IX8Mu0
某スレで立てろと言われたから立てた、反省はしていない。

本作の注意点は以下となります。

・エロ表現? 未定です。
・鬱要素なんてなかった
・不定期更新。 飽きたら終わり。

以上を踏まえ、宜しければ駄文ですがお付き合い下さい。
3 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:32:18.70 ID:fG9IX8Mu0




第一章 魔王城再建




4 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:32:52.05 ID:fG9IX8Mu0

見渡す限り瓦礫の山。山。山。
所々黒い煙が立ち昇っているのは、料理でもしていたのか、ドラゴンが助けを求めて口から狼煙でもあげているのか。

前者だったらもったいないことをしたものだ。


勇者「さて、どうしたもんだか」


魔王を倒しに行って世界を滅ぼしました、なんて口が裂けても言えない。
むしろ口を裂かれる。 身体ごと真っ二つに。

しかし、流石に何から手をつけたらいいのか、さっぱり思いつかない。
とりあえず、背負った鞄から綺麗な布を取り出して魔王の顔を拭いてやる。


魔王「ん……くすぐったいよぉ」


くそ、不覚にも萌えた。
しかし、どんなに可愛くても、魔王。 しかも世界を滅亡させた凶悪犯。

恐らく、エロいことをしたらビンタで首が飛ぶ。
比喩じゃなく、多分隣の大陸まで。

5 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:33:32.84 ID:fG9IX8Mu0

とにかく、一応責任があるわけだし、出来る限りの事はしなければ。


魔王「うん、がんばって♪」


お前が言うな。
無言でコメカミをグリグリしてやると、涙目でやめてー! とか言ってる。
最初出会い頭に切りつけたら、キョトンとした顔で剣を弾き返した癖に。
あれ、一応伝説の剣だぞ?
折れたら代えが利かないんだぞ? 折れたけど。

プクーっと頬を膨らまして抗議する魔王に今の状況を講義してやる。
イマイチ理解しきれてなさそうな顔だが、大丈夫だろうか?

案の定、お前も世界を救う旅に付いて来いと言ったら、なんで? と返されてしまった。
いや、お前が壊したんだろうが。
というか、良く今まで無事だった。 頑張ったな、世界。


魔王「その前に、私のおうち直さなきゃ」


そういえば、魔王城って一応こいつの家になるのか。
ダンジョンって認識しかなかったから、すっかり忘れていた。

確かに、門のノブはかわいらしいフリルのカバーついてたけど。
廊下に所々ぬいぐるみが転がってもいたけど。
魔王がいたのもピンクで可愛らしい部屋だったけど。

そんな中をおどろおどろしいトロルとかが闊歩していたのだからシュール。
一歩間違えば屋敷に侵入した変質者のおっさんだ。

6 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:36:08.65 ID:fG9IX8Mu0

男「じゃぁ、まずは瓦礫を片付けるか」


だんだん黒い煙も収まってきたが、瓦礫は勝手に収まってはくれないし。
手近な瓦礫を拾っては片付け、拾っては片付けしてみたものの、このペースでは瓦礫の片付けで人生が終わる。
瓦礫片付け職人の勇者、ここに眠る……縁起でもない。

やめだ、やめ!
大体、犯人の家の修理なんて一番最後だろ。

と、突然目の前の瓦礫が吹き飛んだ!


 「アンタ! 人が狼煙あげて助けを求めてるんだから、いい加減助けてくださいよ!」


あ、やっぱり狼煙だったんだあれ。
というか、自分で脱出出来てるじゃねぇか。


魔王「あ、ドラゴンくん! 無事だったんだ!」ニコニコ


目の前に現れたのは最強と呼び声高い、ブラックドラゴン。
と思ったけど、よく見ると煤で汚れてるだけのただのドラゴン。

話を聞くと、トイレで用を足しているときに例の地震が起きて瓦礫に埋もれたらしい。
……汚いなさすがドラゴン汚い。
こいつ汚いドラゴン、略して汚ラゴンだ。

というか、魔王と勇者が対峙してるときトイレにいたのかよ。
仕事はどうした、仕事は。


汚ラゴン「いや、どうせ魔王さまに勝てる者なんかいないし」


妙に納得した。
7 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:36:58.34 ID:fG9IX8Mu0

汚ラゴンと一緒に仲良く瓦礫を片付ける。
単調作業を進めるうちに、種族の隔たりを超えた奇妙な連帯感が生まれた。
こんな些細なことでも、共存への一歩を歩んでいると思うと感慨深い。


汚ラゴン「……アンタ、良いケツしてるじゃん」ナデナデ


共存の道は途絶えた。

こいつ腐った汚いドラゴンだ。
略して汚ラゴンゾンビ。

突如馴れ馴れしくなった上、後ろの処女を狙い始めた汚ラゴンゾンビに注意を払いながら作業をしていると、退屈そうにしていた魔王が袖を引っ張りながらつぶやく。


魔王「お兄ちゃん、手伝おっか?」クイクイ


そもそもお前が一番働くべきところだろ、ここは。
とはいえ、年端もいかない少女にこんな肉体労働をさせるわけにはいかない。

なにより、また何かしでかしそうで怖い。
隅っこで遊ばせることにした。


魔王「〜♪」

8 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:37:48.19 ID:fG9IX8Mu0

日が傾き始めた頃。
ようやく一区画の瓦礫を片付けたと思ったら、片付けたはずの瓦礫が消えた。
横一列に並べたせいだろうか? 同じ色同士でくっつけたせいか?

まぁ、処分する手間も省けたので気分良く魔王の所に戻ると。
瓦礫を積み木代わりにして城を造っていた。


魔王「あ、お兄ちゃん! ほら、お城できたよー!」


無駄に凝ってる上に大きさも貴族の屋敷並み。
そこら辺から拾い集めてきたらしい残骸を集めて、内装に家具まで揃っていた。

オレの一日はなんだったのか。
失われた後ろの処女は何のための犠牲だったのか。

とにかく、一日の疲れを癒すべく魔王と共にその中で床についた。


魔王「お兄ちゃん、なでなでして?」


ベッドは一つだったので一緒に就寝。
魔王を撫でながら眠りにつく。

9 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:39:02.86 ID:fG9IX8Mu0

翌朝。
目覚めるとそこは棺おけだった。

魔王の蘇生呪文で目覚めたすがすがしい朝。
存在しない窓から差し込む朝の直射日光が網膜を焼く。
ドラゴンのさえずりが心地よい。

どうやら、寝ている間に城が崩れたらしい。
所詮、瓦礫で作った積み木の城だった。 いわば砂上の楼閣。

なぜあの中で寝ようなどと思ったのか。
立ってたのに。
フラグがビンビン立ってたのに。
無論、少女と二人で寝られるという期待にアソコが起ってたからだが。

結局、崩れないよう監修を入れつつ、魔王に城を再建させた。
夏は涼しく、冬は涼しそうな城になったが、まぁないよりはマシだろう。

名残を惜しみながら、後を汚ラゴンゾンビに任せて次の目的地へ向かう。

まずは、オレの生まれ故郷。
旅立ちの城下町からだ。

10 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:40:04.58 ID:fG9IX8Mu0



次回、第二章 城下町復興



☆今日の勇者
・1回死亡 死因:圧迫死



11 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/07(土) 23:41:35.76 ID:fG9IX8Mu0
とまぁ、こんな感じで暇を見つけて書いて行こうかと。

前スレ程の速度やエロは期待しないで下さい。
所詮思いつき。

では、またいつか!
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/07(土) 23:47:50.68 ID:1gDxZ4gQo
おつん
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/04/07(土) 23:58:59.33 ID:dDbVUXLu0
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 00:35:22.19 ID:LBOT397SO
いいではないか

魔王たんちゅっちゅ
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/04/08(日) 02:31:48.21 ID:A+KdyPBFo

良いじゃないか
にしても色んなジャンル書けるんだなこの>>1
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/04/08(日) 12:21:03.89 ID:tTLNRJfWo
乙 期待
17 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:12:40.26 ID:9LtpMGpX0




第二章 城下町復興(前編)


18 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:13:29.96 ID:9LtpMGpX0

魔王城(跡地)で移動呪文を唱えて、向かった先は旅立ちの城下町。
2年前、皆に勇者として涙ながらに送り出されたのが懐かしい。

……嘘つきました。
母親からいきなりお前は勇者だと叩き起こされ。
王様からは鉄の剣すら買えない端金で追い出され。
ガキだからと誰も仲間になってくれず。
一人寂しく、スライムを突付いて日銭を稼ぐ日々。

クソ、あんな町滅びた方がいいような気がしてきた。

19 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:14:06.77 ID:9LtpMGpX0

魔王「わぁ……お兄ちゃん、凄いよ! お空飛んでるの!」


オレの背中で魔王が楽しげな声を上げている。

どうやら魔王様は移動呪文は初めてのご様子。
上空からの眺めにご満悦のようだ。
オレも背中越しに伝わる柔らかい感触にご満悦だ。

ふと下を見ると、これまではなかった巨大な崖。
……魔王の一撃で割れた世界の傷跡だ。

オレの推測では、この直線上に町や村はなかったと思われるのが唯一の救い。
でも、海の部分では海水が崖下へ凄い勢いで流れ落ちている。
これ、海の水無くなったりしないよな?

海は生命の源と呼ばれていると聞く。
もしかしたら、世界は見た目以上に滅亡に近づいているのかもしれない。

20 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:15:23.09 ID:9LtpMGpX0

勇者「もうすぐ着くぞ。 手を離したらダメだからな!」


ふいに背中が軽くなった。 タイミング的には「手を離したら」の辺りで。

本来、移動呪文は目的地の寸前で降下速度を落とし、ゆっくりと着地する。
しかし。 
オレの背中に積まれていた弾頭は、速度が落ちるその直前に背中から解き放たれ、速度を緩めぬまま高速落下していく。

おおー! という楽しげな声がどんどん離れていく。
あのポンコツ、また早とちりしやがった!
最後まで聞かず「手を離したら?」と勘違いしたに違いない!

こちらの速度はゆっくりとなっていくため、魔王が大地に勢いを緩めぬまま突き刺さるのがはっきりと見える。
なぜか、最後はスローモーションで見えた気がする。
むしろ、オレの人生の走馬灯まで見えてきた。

魔王が突っ込んだその先。
それは、以前と変わらぬ雄大な姿を残していた、王城だった。

21 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:18:03.95 ID:9LtpMGpX0

勇者「……この辺りは、被害が少なかったんだな」


降り立った先は城下町の入り口。 そう、本来移動呪文は大体が町の入り口に降り立つよう設定されている。

丁度二つに裂けた世界の割れ目から離れた所に位置していたせいだろうか。
辺りを見回すと、多少屋根が崩れたりはしているものの建物への被害はそれほどないように見える。
……今、崩れ去ったばかりの王城を除いては。

とにかく、あの爆弾娘を放置しておくわけにはいかない。
城(の跡地)へ急ぐ。

あら、勇者ちゃん帰ってきたの?
あらあら、勇者くん、逃げ帰ってきたんだって。
あらあらあら、弱虫勇者くん、泣きながら尻尾丸めて逃げ出してきたんだって。

事情を知らない町の人の声はこの際無視する。
どことなく、嘲笑が混ざっていたような気がするけど、気にしたら負けだ。
べ、別にいじめられてたとか、そういうのじゃないんだからねっ!

22 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:19:23.50 ID:9LtpMGpX0

王様「おお、勇者よ。 お前が次のレベルになるには……」


いや、今それどころじゃないでしょう、王様。

どうやらお休み中だったのか、ピンクの寝巻きで枕を抱えたまま、王様は城の外へ避難していた。
というか、昼まで寝てるなよ。 仕事しろ、仕事。

城の兵士の皆さんも遠巻きに城跡を監視している様子。
まぁ、そりゃそうだ。 突然城が崩れ去ったんだから、誰だって警戒する。

魔王を回収する為に調査を名乗り出て城の跡地へと潜り込んでいく。
瓦礫を掻き分けながら進むと、あっさりと魔王は見つかった。

人型の穴の奥で楽しそうにケタケタ笑っている魔王。
衝撃で破けたのか、所々ローブに穴が開いているので目のやり場に困る。

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 23:19:51.31 ID:mv5NnSNDO
ホントに建てたのかよ…期待するしかないな
24 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:20:50.99 ID:9LtpMGpX0

魔王「あ、お兄ちゃん! 移動呪文って凄いね! ビューン、ドッカーンって!」


いや、普通はビューンだけだから。
ドッカーンがあると普通は死ぬから。

穴の奥に手を伸ばして魔王を引っ張り出してやる。
ポンポンと埃を払ってやりながら一応怪我がないかチェック。
さすが伝説の剣すら折る魔王。 傷ひとつない。 というか、こいつ怪我することあるのか?

次は背中側……と後ろに回った瞬間、目に飛び込んできたのは肌色一色。

どうやら、こいつ背中から突っ込んだらしい。
魔王の着るローブとはいえ、衝撃に耐え切れなかったようで背中側は千切れ飛んでしまったようだ。
パンツも。 いや、元から履いてなかったのかもしれないが、とにかくない。

25 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:21:57.78 ID:9LtpMGpX0

魔王「お兄ちゃんのえっち!」


どうやら、オレの視線が可愛らしいお尻に釘付けになっているのに気づかれたようだ。
定番の言葉と共に唸りを上げて近づくのは、定番を通り越して殺戮兵器と化したビンタ。
いや、これはもうビンタじゃない。 ビンタらしきもの、だ。

あ、死ぬ。 これは死んだ。
昔近所のガキにいじめられたこと。
勇者になっても町の人にいじめられたこと。
旅をして行く先々でもいじめにあったこと。
人生が走馬灯のように脳裏をかけめぐる。 というかいじめられた記憶しかないのかよ。

気がつくと、荒野の真ん中で魔王に膝枕されていた。
目が覚める瞬間ピロリロリロ♪って蘇生呪文の効果音が鳴ったところを見ると、どうやらまた死んでいたらしい。
オレが着ていた服はいつの間にか赤い服に変わっていた。
青色だった鎧も、呪われたかのように真っ赤に染まっている。 ロト紋かよ。

26 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:23:12.47 ID:9LtpMGpX0

魔王「お兄ちゃん、ごめんね?」テヘペロ


可愛いから許す。

と、周りを兵士に取り囲まれている事に気づく。
屋外で半裸の少女に膝枕されている勇者。 
それを殺気立った目で見つめる兵士と、なぜか少女の後ろ側に回り込もうとする王様。

鞄からやはり赤く染まった魔王の寝巻きを取り出し魔王に被せながら、状況を確認する。
どうやら、オレが城跡に潜り込んだ後、激しい衝撃とともに残っていた城が吹き飛んだそうだ。
町でも、城に近くに建っていた建物には少なからず被害が出ているという。

はい、終わった。
まただよ。 またやっちまったよ。
救いに来たつもりで、逆に被害だしてやんの。
世界の次は、故郷ですか。 もう何もしない方が平和なんじゃね?

とにかく、オレたちが原因であることだけは伏せなければ。

27 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:24:22.92 ID:9LtpMGpX0

魔王「あ、それ私のビンタ 勇者「世界を新しい恐怖が襲おうとしています!」


無理やり誤魔化した。

筋書きはこう。
魔王を倒したら、突然大魔王と呼ばれる存在が現れた。
過去に大魔王と共に封じられた少女(魔王)を救う為この城に来たが、大魔王の攻撃を受けた。
今回の被害は全部大魔王のせい。

なんで少女がここに封じられていたとか、大魔王ってなんぞ? とか、そういう質問には一切お答え出来ません。


……あっさり受け入れられた。

とりあえず、城と城下町の復興に手を貸すことを王様に約束する。
さすがに、このまま放置するのは心が痛むし。
28 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:25:22.36 ID:9LtpMGpX0

その日は家に我が家で夜を越そうと思い、魔王と手をつなぎながら家路に向かう。
というか、やたら周りの視線が痛い。

血塗れのいじめられっこが、血塗れの寝巻き姿でなぜか羽や尻尾の生えてる少女と仲良く手をつないで歩いている姿が目撃されているからだ。 シュール。


魔王「えへへ、お兄ちゃんのおうち、楽しみだねー♪」ニコニコ


だが、期待は裏切られるもの。

ようやく家につくと、家がなかった。
……な、何を言っているのかわからねーと(ry

お隣のおばちゃんに話を聞くと、例の世界真っ二つ事件の衝撃で我が家は崩れ落ちたそうだ。
なぜか我が家だけ。 今話してるおばちゃんの家なんて、ヒビひとつないのに。
幸い、母親は浮気相手(道具屋のおじさん49歳)とデートしていたそうで難を逃れたらしい。
そのまま転職して勇者の母から道具屋の内縁の妻になったそうだ。

……家が壊れたことより家庭が壊れたことのほうがショックだよ!
29 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:27:12.38 ID:9LtpMGpX0

しょうがないから、急遽宿屋に泊まることにした。
宿泊拒否しようとする親父に伝説の剣(折れてる)をちらつかせ、なんとか1部屋借して貰えることになった。

とにかく何もするなと1時間言い聞かせてから、止むを得ず道具屋へ。
案の定、出てきたのはオレの母親。 その後ろにいるのは道具屋のおじさん(49歳)。
……気まずい。

オレと母親の視線が交差する。
一瞬でアイコンタクトを交わし、他人の振りをすることで同意。
母親は、店員スマイルを浮かべて商品の案内を始めた。

しかし、問題はこれからなのだ。
想定していたとはいえ、あまりに困難なこのミッション。
わずかな逡巡の後、オレは勇気を振り絞って口を開いた。


勇者「その、女児用の布の服と木綿のパンツ下さい」


終わった。 オレの家庭は完璧に終わった。
汚い物を見るかのような母親の視線に見送られながら、トボトボと宿屋への帰路を辿る。
30 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:28:20.67 ID:9LtpMGpX0

宿屋に帰ると、主人が気を利かせてくれたのか、単に汚してほしくなかったのか。
桶いっぱいのお湯が二つ用意されていた。
これで全身を赤く染めている血を落とせ、ということだろう。

汚さないように買ったばかりの服とパンツを渡して部屋を出る。
さすがに、同じ過ちは二度と繰り返さない。

しばらくして部屋に入ると、魔王がどうやら落ち着かない様子。
何かが足りない気がする。
あ、翼と尻尾だ。

どうやら、人間用の服では穴が開いていない為、翼と尻尾が出せなくて困っていたらしい。
しょうがないので、一度服を脱がせて背中とパンツに穴を開けてやる。 折れた伝説の剣で。

勢いがつきすぎて貫通した。
丁度桃色の突起や敏感な割れ目に相当する部分にまで穴が開いている。
これを着せる訳にはいかない。 着せたら終わる。 多分世界が。

再び道具屋との間を往復。


勇者「……女児用の布の服と木綿のパンツ下さい」


とうとう、母親は姿を見せなくなっていた。
31 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:29:46.62 ID:9LtpMGpX0

宿屋の親父に鋏を借りて穴を開け、魔王に渡してやる。
どうやら、お気に召したようだ。

すでに冷たくなったお湯でようやく血糊を落とし、遅めの夕食を済ませ就寝の準備にとりかかる。
ベッドは二つあるが、なぜか魔王はオレのベッドに潜り込んできた。
裸を見られるのはイヤなのに一緒に寝るのは良いとか、こいつの羞恥心はよく分からない。

頭をなでてやると、ふにゃぁっと力を抜いてオレの胸に顔をうずめる。
くそ、可愛いけどこいつ魔王なんだぜ。
オレの理性に世界の命運がかかっているかと思うと、責任重大だ。


翌朝、目覚めたのは再び棺おけの中だった。
どうやら、魔王が寝言で即死呪文を唱えたらしい。 しかも、集団向けの奴。
今日のオレの一日は、魔王と蘇生呪文をかけて回ることから始まるようだ。

32 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:30:57.08 ID:9LtpMGpX0



次回、第二章 城下町復興(後編)



☆今日の勇者
・2回死亡 死因:頭部喪失、即死呪文による窒息死

累計死亡回数:3回

☆町の被害
・城消失
・家屋17件粉砕
・住民と旅人計8人死亡(後に蘇生)


33 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/08(日) 23:32:53.11 ID:9LtpMGpX0
本日はここまで。

習作ということで普段と書き方を変えています。
まぁ、>>1の書き方に合わせてるだけですが。

特にプロットもなく、思いつくままに書いていくので、まぁ、こんな感じ。

では、またいつか!
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 23:34:46.93 ID:mv5NnSNDO
乙!!

俺の戯れ言が本当になるとは…
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 01:11:20.78 ID:OvU0dGQSO
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/09(月) 09:43:50.21 ID:IzwZkroE0
乙。

俺の台詞拾ってくれてありがとう!
張り付くよ!
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/04/09(月) 20:27:42.46 ID:utfcXTet0
これ相当面白いぞ

>>1万能だな、有名大学の文系出身だったりする?
38 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:18:06.79 ID:ymWzynGY0
>>37
残念ながら>>1は理系だったり。
39 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:18:39.58 ID:ymWzynGY0






第二章 城下町復興(後編)





40 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:19:20.58 ID:ymWzynGY0

宿屋の死体に蘇生呪文をかけまくり、昼前になったところでようやく朝食兼昼食にありついた。

なぜか集団殺人事件は魔物の仕業とされてしまい、オレと魔王は宿屋の人々に賞賛を受け豪勢な食事を奢りで頂く事になっていた。
……罪悪感はあるが、まぁ真実を伝えれば損するだけだし。


魔王「おおー! 人間のご飯って、美味しいね!」


どうやら人間の食物は、魔王の舌にフィットしているらしい。
どんな食生活を送っていたのか聞きたい所だが、腐った死体とか人肉食べてた、とか言われると困るから敢えて聞かないことにした。

……もしかして、オレのアレもこいつからしたらソーセージに見えたりするんだろうか。
ポークビッツとか言われたら立ち直れないかもしれない。
いや、見せる機会があるとも思えないが。

41 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:20:08.52 ID:ymWzynGY0

魔王「うにゅ、くすぐったいよぉ」


テーブルマナーを教える者もいなかったのか、口やテーブルにカスを撒き散らしながら笑顔で食事を続ける魔王。
口元をハンカチで拭いてやりながら、今日の予定を頭の中で検討する。

まずは、王城の周りの建物の再建。
王城も直したいところだが、瓦礫すら吹き飛んでしまった今、材料を集めるだけでも時間がかかることだろう。

幸い、きちんと支持を出してやれば魔王は何十人分の働きをする。
以前瓦礫の城を作った時のように自分の身体の数倍の建材を運べるし、恐らく真空魔法で木材を切ったりすることも可能だろう。
……魔王の力って、そんなことに使ってもいいものなんだろうか。

対してオレは力もないし、魔法も限られたものしか使えない。
そもそも、魔王の元までたどり着いたのは、過去の経験から身に着けた逃げ足に頼る所が大きい。
……あれ? オレって役立たず?

ふと我に返って魔王を見ると、笑顔でバリボリと骨を齧っていた。
いや、そこまで食わなくていいから。
後で気がついたが、皿も何枚か消えていた気がする。

42 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:21:30.20 ID:ymWzynGY0

せっかくだし、お詫びの気持ちも兼ねて倒壊した城付近の建物は、階数割り増しで大きく建て直すことにした。
大工を連れて近くの森へ。
必要な分の木材を切り出すのだ。


勇者「よし、やってくれ」


先ほどのアイデア、魔王の真空魔法による木材の切り出しを実行してみる。
必要な木材が取れそうな辺りに魔法を撃たせてみることにした。


魔王「それじゃ、いっくよー!」


気合を入れて詠唱を始める魔王。
……まて。 普通、魔法は詠唱なしで唱えるよな?

慌てて中止を呼びかけるが、夢中になった魔王の耳には届かない。
あんなエルフみたいな大きな耳をしているのに。

オレと大工が最後に見たのは、勝ち誇ったような魔王のドヤ顔だった。

43 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:23:50.42 ID:ymWzynGY0

目が覚めると、毎度変わらず魔王の膝枕の上。
30分かけて泣きじゃくる魔王を宥めすかして何がおきたのか聞き出す事に成功した。

どうやら、詠唱を入れたせいで真空魔法が荒れ狂い、付近にいたオレと大工を巻き込んだとのこと。
うん、洋服が切れ端のようになって身体に纏わりついただけの格好になってしまっているから、そんな気はしていたんだ。
目を背けてはいるが、恐らく目が覚めるまでにじっくりと観察されたに違いない。
主に股間とか。
それが果たして異性としてか、食材としてかは触れないでおく。
だが、魔王の口元に光った涎をオレは見逃さなかった。

どうやら、魔王はオレ以外の人間はどうでもいいらしく、大工(だったもの)は散らばったままになっていた。
申し訳ないので、魔王の代わりにオレが肉片を集めて蘇生呪文を唱える。
どうでもいいが、ぼっちのオレが覚えた回復呪文がなぜ蘇生呪文と集団回復呪文だけなんだ。

ピロリロリロ♪
肉片が集まって次第に人の形を取り戻していく。
オレが生き返るときもこんな感じなんだろうか。 キモい。
おっさんに膝枕する趣味はないので、替えの服を横に置き、情けでタオルを股間にかけておいてやる。
黒光りしていてゴツく、真珠まで入っていたがオレは何も見ていない。

44 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:25:40.61 ID:ymWzynGY0

魔王「よいしょ♪」


幸いというかなんというか、木材は予定以上に伐採出来たので魔王に担がせる。
……森一つ無くなったけど。 あちこちに血の跡があったけど。

丸太50本程担がせたところで魔王が嫌そうな顔をしたので、町へ。


魔王「キャッ!」ズコッ


概ね無事に材料の調達は終わった。
途中でコケて、背負っていた木材が家1件潰したくらいなものだ。
いつの間にか別人に代わっていた大工が、城付近の家を再建していく。

その様子を暫く見学していると、いつのまにか魔王がいなくなっていた。
ヤバいパターンだ。 監視していても災害並みの危険度なのに。

慌てて魔王を探すとあっさり見つかった。
木材を積み木代わりにいつの間にか巨大な塔が建設されていた。
その頂点には、なぜか仁王立ちでふんぞり返った魔王の姿が。
その塔の下では、なんとかスカートの中を覗き見ようと王様がウロチョロしていた。
アンタ、何やってんだよ。


魔王「愚民共よ、我が前にひれ伏せー」


どうやら、魔王ごっこでお楽しみの最中らしい。
いや、お前魔王だろうが。
こちらに気づくと、とびきりの笑顔でオレの胸に飛び込んでくる。
……まて! その塔、すでに馴染の塔以上の高さになっ


再び、いつもの効果音を目覚まし代わりに目が覚める。

涙目の魔王をナデナデしてから、今回の被害状況の確認。
良かった。 地面に小さなクレーターが出来ただけですんだ。
と思ったが、着ていた鎧が粉々に砕けていた。
これ、一応伝説の鎧だぞ?
壊れたら代えが利かないんだぞ? 壊れたけど。

まぁ、着ていても即死だったわけで、どうせ意味がないからあまり惜しくなはい。
ないが、次第に勇者の装備を失いただの一般人への道を辿っている気がしないでもない。

45 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:27:44.65 ID:ymWzynGY0

その夜。
今日一日の働きを労うべく、魔王の頭を普段の5割増しで撫でてやる。
蕩けたような笑顔ですりよってくる少女。


魔王「ふにゃぁ……」クテン


猫のような鳴き声を上げてオレの胸に顔をすりつける。
こうしているとただの甘えん坊な妹みたいなもので、恐ろしい魔王だとはとても見えない。

……そういえば、なんでこいつはオレに懐いているんだ?
正直、オレの方も勇者の宿敵である魔王とはいえ個人としてはこいつの事が嫌いではない。
可愛いし。
いつかは、こいつと家庭を持つようなことにでもなるんだろうか。

難しい顔をしていたせいか、いつの間にか魔王に撫でられていた。
いい子だな、おい。

46 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:29:28.45 ID:ymWzynGY0

勇者「……なんとか、ここまで形になったな」


あれから数日。

ご都合展開な気もするがオレが幾度となく魔王の手から世界を守っていた裏で、倒壊した家17件は無事棟上と屋根工事まで終わり、後は外装を残すのみ。
なぜか魔王の強い要望で、うち1件は城下町最大の料理屋として再建されてしまった。
そんなにここの食事が旨かったのか、魔王。

この数日、色んな事があった。
涙なしには語れない日々。
寝ぼけた魔王に食いちぎられ、寝返りを打った魔王の一撃で内臓破裂し、建設したまま忘れてた積み木の塔の倒壊に巻き込まれ、石材を掘り出そうとして魔王の爆発呪文で吹き飛ばされ、魔王の着替え中に部屋に入って頭が吹き飛び、魔王につきまとっていた王様が行方不明になり、母さんが真珠入りの大工と宿屋から出てくるのに鉢合わせ、挙句に町の人から二度と帰って来るなとまで言われてしまった。

そんな苦難の日々を乗り越え、再建した家屋が再び破壊されることもなくここまで来れたことが素直に感慨深い。

朝焼けと共に、照らし出される新築の家々。
鏡のように輝くその屋根が、暖かい日の光を反射してきらめく。
魔王と共に、復興の兆しを見せるそんな風景を希望に満ちた目でずっと見つめていた。


魔王「ふぇ……クチュン!」


あ、壊れた。


後の世、この町は世界最大の食の故郷、として有名となることは誰も知らない。

47 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:30:30.94 ID:ymWzynGY0



次回、第三章 村長の頼み



☆今週の勇者
・8回死亡

死因:
・真空呪文による全身断裂
・魔王のSLCダイブによる圧迫死
・局部を食いちぎられたことによる失血死
・寝返りの際の腹パンによる内臓破裂
・倒壊した木材による頭部陥没
・暴走した爆発呪文による爆砕死
・ビンタらしきものによる頭部喪失
・町民(主に大工)によるリンチ

累計死亡回数:11回

☆町の被害
・西の森消滅
・大工死亡(後に蘇生)
・家屋倒壊
・国王行方不明
・宿屋消滅
・石切り場崩壊
・棟上中の家屋17件倒壊
・勇者を私刑にかけた住民(15名)行方不明

48 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/09(月) 22:33:16.35 ID:ymWzynGY0
こんな感じで。

もしかしたら、この話なろうに移すかも。
章ごとの構成とか、地の文とか相性がよさそうなので淫魔の話の代わりに。
なにより、あっちだと荒れないから、と今日一日を振り返って考えてたり。
まぁ、また決まったら報告します。

移ったとしてもURL張って誘導しますので。

では、またいつか!
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 00:46:17.96 ID:A1ITJ+jSO
何かと平行してるのか?
50 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/10(火) 00:53:12.32 ID:rf4CDNwo0
>>49
許嫁スレとイケメンNTRスレですね、今は。
酉で検索かければ出てくると思います。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 00:55:39.04 ID:A1ITJ+jSO
ちょっと探してみるか
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/10(火) 01:06:37.40 ID:ezsJrFp1o
おつん
向こう荒れてるなあ
>>1に注意書き書いてるんだし見なきゃいいのにね
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/10(火) 13:36:23.28 ID:rc1yR2Rmo
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
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.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/04/11(水) 17:42:03.79 ID:NiR4XgNE0
私はこの物語を待っています···

うま、かゆ、
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/04/14(土) 16:11:23.86 ID:faG+o7A60
遅い、遅いゾおおおおおおお!
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/04/14(土) 22:43:03.17 ID:faG+o7A60
さあ胸糞悪いNTRスレも終わったことだしもうそろそろ帰ってくるかな?
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/14(土) 23:35:48.17 ID:ffLwFfbvo
イケメンと女の後日談を書いてくれたら嬉しい
58 : ◆vF1GrLS8msUg [saga]:2012/04/15(日) 03:39:39.66 ID:+W4N9WxQ0
加筆修正の上、なろうに投稿してきました。
ついでに1話新規分も投稿してあります。

本スレをお楽しみの皆様、良ければ以下にて続きをお楽しみ下さい。

http://ncode.syosetu.com/n0505be/

というわけで、本スレはHTML化依頼をかけておきます。

では、また次の更新にて!
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/15(日) 22:15:42.95 ID:yijX/+lAO
読んできたぞ、続きはよ!
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/15(日) 22:16:28.12 ID:yijX/+lAO
ageすまそ
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