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勇者「食べるか?」少女「・・・・」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 02:55:26.51 ID:C/HiMjr40

その昔、「神様」と呼ばれる「種族」がいた

崇められることもなく、貶される事の無い種族

正確には種族といっていいのかも分からない

神様達は元は人間、「神器」と呼ばれる物を手にして神様となった

それぞれがそれぞれの理由を持ちながら神様となった

その時代のその地域ではむしろそれを同情した者が多かった

なにせ、神器を手にした人間は「大切なものを一つ失う」のだから

どうして失うのか、何を失うのかわからない

そんな得体の知れない物を手にしていた神様を、みんな同情していた


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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 02:56:42.46 ID:0T3aZ2joo
アンパンマンかと思った
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 03:02:58.59 ID:C/HiMjr40

勇者「・・・・」

目の前には倒れている少女、ここらの地域では見ない種類の人種だ

傷だらけで、死に掛けの少女だ

各地を旅していた勇者が始めてみる人種、それに興味がわきながらも傷の手当てをして少女の回復を待った

少女「・・・・」

勇者「起きたか」

少女「・・・・」

勇者「俺が助けてやらなかったら死んでたんだぞ」

少女「・・・・」

勇者「喋りたい時になったら喋ればいい、ただ礼くらいはしろよ」

少女「・・・・」

勇者「はぁ、まあ行く宛てないなら着いて来い、それくらいの余裕はある」

少女「・・・・」

黙ってうなずく少女、その顔には感情はまったく無く、人形のようだった

もし仮に人形だったとしたら大恥だ、人形に話しかけている俺はどれだけ可哀想な人間なのだろうと

でも、喋らなくとも表情を変えなくともちゃんと息をしているし、心臓も動いている

人形で無いだけまだましだ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 03:10:47.59 ID:C/HiMjr40

勇者、簡単に言えば文字通り勇気のある者だ

それに選ばれた俺は魔王討伐の命を受けた

それは過酷な道程だった、時には死にかけ、時には仲間が死に

そしてその過程で新しい仲間を見つけてついに魔王の元へたどり着いた

魔族を操る魔王、彼を倒せば魔族に襲われることもなく、全ての民が平和に暮らせる

そう信じて戦い、そして殺した、そして手に入れたものは・・・・地獄

そうとしか言い様が無かった、人を支配していた魔族が今度は支配される立場になっているのだから

歴史の繰り返し、これでは魔族と同じだった

絶望した、彼が望んだ平和とはこんな、こんな汚れた物ではなかった

旅の途中で何人の戦友が死んだだろうか

魔族とも平和にやってゆきたいと言った仲間は魔王に殺された

殺された仲間はこれを見てどう思うのだろうか

だから俺は仲間の後を追いかけるように、世界を捨てた
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/08(日) 03:13:00.92 ID:3ZAw7QpDO
期待
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 03:20:57.94 ID:C/HiMjr40

少女「・・・・」

勇者「起きたか、食べるか?」

少女「・・・・」

いつも通り感情無くうなずいた

彼女と旅を続けて一週間は経つが、出された食べ物には文句を言わずに食べてきた

虫、草、木、魔物の死骸、もちろん調理して食べたがとてもお世辞にも美味しいとは思えない

もちろんちゃんとした調理法法をすれば美味しいものもあるのだが、そんな設備は整っていない

だが今回は町で仕入れた食材でちゃんと調理をする、こう見えて料理は得意

勇者「さ、出来たぞ」

少女「・・・・、」

一瞬、一瞬だが驚きの様子を見せた、俺はその様子を見逃してはいなかった

少女はゆっくりと俺に顔を向けた

その顔は戸惑っていて、何を言おうとしているのか分からなかった

勇者「・・・・俺は見たぞ」

ビクッ、と少女はあせった様子を隠しながら食事を続ける

が、バレバレなので逆に可愛く見える

勇者「・・・・もっと感情を表に向けろ、喋らなくてもいいから」

少女「・・・・」

そして、「わかった」と彼女は呟いて食事を続けていた・・・・

いや、そんな気がしただけで実際は声を出していない

それでも、俺にはそう聞こえた
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 03:28:46.38 ID:C/HiMjr40

神様は絶大な力を持っていた、人とは違う絶大な力

神器にはそれぞれ固有の能力がある

炎を操る、心を見る、さらに身体を強くするなどのさまざまな能力

一つの神器で手に入れられる能力は三つまで

何を手にするかは、神器を手にしてからしか分からない

そもそも、身体を強くしたところで神器の代償として体の一部を失ってしまったら意味が無い

だから誰も手にしない、よほど行き詰った者以外は

所詮はその程度の代物、だが神様を名乗るほどの力を手に入れることが出来るのは事実

そうして大切なものを手放すものが後を絶たない
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 03:42:11.31 ID:C/HiMjr40

勇者「何?極東の子?」

店主「ええ、一度この店に来たことがあるんですよ」

勇者「どんな格好だった?」

店主「綺麗な服でしたね、あれが極東の民族衣装だと思うと極東は実に良い国だ」

勇者「それで?」

店主「一人は綺麗な着物の女、一人は大きな変わった剣を持った男、そして変な仮面をした女が一人でした」

勇者「どこに行った?」

店主「何でも王国の方へと・・・・」

勇者「そうか、ありがとう」



少女「・・・・」

勇者「どうした?今度は王国を目指すぞ」

少女は木の棒を持って地面に何かを書き始めた

それが「文字」だというのに気がつくのは容易だった

勇者「待て、今読む・・・・『言語解析』」

違う地方の言語でも読めるようにする魔法、相当な高等の呪文だったがそれを詠唱無しで唱えた

もっとも、それの凄さは少女には分からない

少女『店主さんの言った人たちは私の知り合いかも』

勇者「何?じゃあお前・・・・」

少女『もしかしたら、私帰れるかも、元の居場所に』

勇者「・・・・そうか、良かったな、いや嬉しい、二つの意味で」

少女『・・・・二つの意味?』

勇者「ああ、一つは帰れることもう一つはお前と初めて会話できたことだ」

少女はそれを聞いて素早く書いた文字を消して、

最後に『ありがとう、今まで会話できなくてごめんなさい、お礼は今度必ず』と書いて宿屋に走っていった

勇者「・・・・はは、可愛いところあるな、そうだよな、まだ少女だからな」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/04/08(日) 03:45:14.96 ID:BWsf5Khyo
おk期待
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 03:50:47.76 ID:C/HiMjr40

勇者は剣を腹に刺して自殺した

後を追う、そう決めた自殺なのに死ねなかった

勇者なにがなんだた分からなかった、地獄となった世界では死ぬことさえも許されない

そうして絶望した勇者はまず感情を殺し、かつての仲間を殺し、目に見える魔物を殺し

故郷の村を焼き、仲間と初めて出会った町を壊し、魔王討伐の命を出した国を壊滅させた

その姿は勇者ではなく狂者、これが勇者の姿だという人間は誰も信じられないだろう

一人瓦礫の上で勇者は泣いた、地獄の続いた世界を救っても地獄、その事実を受け入れることができずに

そうして勇者は旅をすることにした

地獄とは、どれだけ広いのだろうかと言うのを知るために

全てをリセットした後に
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/04/08(日) 04:00:17.93 ID:1P6xolko0
期待
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 04:05:45.77 ID:C/HiMjr40

勇者「まるで遊戯、終われば虚しさだけが残る出来の悪いゲーム」

少女「・・・・?」

少女は俺が「もっと感情を出してみろ」と言った日から少しずつ感情を出していった、だがそれは俺の知らないところでだ

この前少女におつかいを頼んだときに、その店の店主に「お宅の少女可愛い顔するじゃないか」と言われて野菜をサービスしてくれたところから気がついた

そのことについてを聞いたら「・・・・!・・・・!」と喋らずに口パクで手を振って慌てながら部屋に篭ってしまった

その晩、俺は宿屋の部屋に入れず廊下で寝て風邪を引いたのは別の話だが

勇者「昔の話さ、必死で勝ち上がったゲームが終わって、景品の中身を見たら何も無くてな」

少女「・・・・」

勇者「だからゲーム壊して旅という名目で逃げた」

少女「・・・・、」

何かを言いたそうな顔をしているが何も喋らない

いや、そもそも彼女は「喋れない」のだろう

勇者「無理するな、俺はただ独り言を話すだけだ」

よくよく考えてみれば独り言を人に向かって話すのはすでに独り言ではない

勇者「俺は、村一番の勇者だったんだ」

そして俺は語り聞かせるように話し続けた

俺が勇者として認定された話、俺が魔物と戦った話、仲間とであった話、死にかけた話、敵との共闘話、魔王との決戦話

飽きることなく俺は話、飽きることなく少女は聞き続けた

二時間以上は経った、今思えば二時間で語れる人生だったのかと思った

少女「・・・・・・・・」

勇者「ワクワクしすぎだ、結末は――――」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 04:23:23.05 ID:C/HiMjr40

少女「・・・・!!・・・・!!」

服をつかんで泣いていた、言葉の喋れない体で必死に服をつかんで揺さ振っていた

彼女の姿を見て「それじゃいけない!!幸せじゃない!!」そう聞こえた

いや、違う、それはそう「聞こえた」のではなく「重なった」

仲間を殺す前の俺の姿と殺される前の愛していた仲間と

旅を続ける俺と声の出ない彼女が重なった

だから俺は同じ言葉を彼女にかける

勇者「・・・・いいんだ、それが俺の幸せ、自分が絶望すれば他人の不幸を踏みにじって自分をリセットする、それが俺の今でこれから先もずっと」

そうして、愛していた仲間は俺が殺す前に「・・・・そう、なら好きにすればいいわ」そう言って死んだ

なら、声の出せない彼女はいったい何を見せてくれるのだろうか

少女「・・・・」

黙って俺の腕を引いて宿屋の外に連れて行った

そして地面に字を書き始める

『あなたがこれからもそういう人生を歩むなら』

必死で、細い腕で地面に字を書き続ける

『不幸になったら私を踏みにじって』

僅かに怒りと悲しみが混ざった感情を出しながら

『そして、その後のあなたを私が幸せにする』

そして最後の文字を書き終えて

『今のあなたも、過去のあなたも、未来のあなたも、全部』

笑顔で俺に顔を向けた

『それが私からの最大のお礼、あの日拾ってくれたあなたへの』

勇者「・・・・それは愛の告白か」

少女「!!!!!?!?!?」

勇者「あはは、可愛いなチクショウ、チクショウ・・・・」

俺はその日、声の出ない少女の腕の中で一晩中泣いてしまった

こんな小さな幸せを俺は忘れていた

あの日から、俺が求めていた物はこれだったのかもしれない
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 04:34:43.40 ID:C/HiMjr40

少女「〜♪」

勇者「・・・くそ」

弱みを握られた気分だ、一晩中泣いたあの日から何か俺と少女の立ち位置が変わっている気がした、だが

勇者「・・・・はぁ、告白か」

と呟くとビクッと体を振るわせる、そして立場が逆転

なんとも楽しい旅になってきた

女「そこの男と少女、道を聞きたいのだが」

勇者「ん?道か?道は・・・・」

綺麗な服を着ている女が道を聞いてきた、これは見覚えの無いはじめてみる服だ

その綺麗な服で思い出した、いつの日か店主から聞いたことを

少女は嬉しそうに女に急に抱きついた

勇者「お、おい少女!」

女「ふふ、いいよいいよ、可愛い子だな・・・・お主」

勇者「ん?」

女「この子を何処で・・・・」

勇者「・・・・まさかお前が極東の?」

女「少し込み入った話になりそうだのう、この先の町の酒場でいいかな?」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 04:36:35.13 ID:C/HiMjr40

勢いでなぜか急に書いたけどまた今日か明日辺りに書こう

クオリティーの高いものでもないけど見てくれた人に感謝
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/04/08(日) 05:15:10.23 ID:1P6xolko0
おつおーつ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 08:24:04.36 ID:mHoPRKBDO
期待できそう
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/08(日) 08:40:59.77 ID:tkbU7/WAO
このロリコン勇者め これは目が離せん
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/08(日) 09:28:18.46 ID:9ADF8xdFo
クオリティは結構高いよ
>>1の思い浮かべてるものとは違うかもしれないが
それでもこの文章はこっちに世界観を視覚化させるような文章だ

期待している
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 13:31:11.44 ID:C/HiMjr40

女「さて、あの少女のことだが・・・・」

少女「・・・・」

勇者「あー少女」

少女「・・・・、」

少女は女の服を引っ張ると女の手を触りだした

それは文字だったらしく、女はすぐに理解して「ああ、分かった」と言った

それを聞いた少女は安心して酒場の外に出て行った

勇者「じゃあ話を続けよう」

女「そうだな、まず少女は極東の地である日本に住んでいた女の子だ」

勇者「どうしてこんな所にいるんだ?」

女「彼女は、親に売られたんだ」

勇者「なっ・・・・」

女「私達・・・・先に城に行った仲間も売られる寸前まで気がつかず、気が着けば彼女は船の上」

勇者「・・・・」

女「仲間の一人は泳いで海を渡ろうともしていたよ、それほどまで少女は私達の中で大切だった」

勇者「なあ、お前らはいったい何者なんだ?」

女「この地で簡単に言えば神様だ」

勇者「神様・・・・神器の所有者」

女「ええ、でもこの地の人たちは神器を理解していない」

勇者「何?」

女「別に神器を手にしても失われない、失われるのは神器を壊したときのみ」

勇者「壊したとき?」

女「神の物を壊せば、罰が当たるのは当然のことでしょう?」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 13:44:56.39 ID:C/HiMjr40

勇者「・・・・だが、興味は無いな」

女「どういうこと?」

勇者「神器の所持者がどうしたんだ?今はそんな話するつもりは無い」

女「・・・・ふぅ、彼女のことにも関係があるのよ」

勇者「どういうことだ?」

女「彼女は神様、そして私が知る限りでは三回神器を壊している」

勇者「さ、三回・・・・?」

女「言ったろう?神器は手にした瞬間失われるのではなく、壊した瞬間」

勇者「ある意味性質が悪いな」

女「彼女が何を失ったまで話すつもりは無い、それは彼女から聞かせてくれるさ」

勇者「・・・・あの子は」

女「ん?」

勇者「あの子は、日本とかいう国にいたときはどんな子だった」

女「・・・・元気のある、可愛い子だったよ、全てに絶望していた私達を元気付けてくれた」

勇者「絶望・・・・」

女「君も同じ目をしている、私達と」

勇者「そうだな、俺も一度全てに絶望した、でも少女は受け入れてくれた」

女「少女はそんな子だ、好きな人の悪や悲しみを受け入れて、希望を与えてくれる」

勇者「・・・・俺は救われたが、あの子は救われていない」

女「そうだな、私は救おうとしたが間に合わなかった」

勇者「・・・・なら俺がやることは一つだな」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 13:52:05.54 ID:C/HiMjr40

少女「・・・・!」

勇者「さっき酒場でもらってきた、食べるか?」

少女「・・・・」

少女は食べ物を受け取って黙々と食べ始めた

嬉しそうなのか、悲しそうなのかわからない表情をしながら

勇者「少女」

少女「・・・・」

勇者「俺は、これからお前を幸せにする」

少女「!?」

勇者「お前が俺の為に踏みにじられるのなら、俺はそのお礼にお前の幸せを約束しよう」

少女「・・・・」

勇者「お前が俺を幸せにしてくれるのなら、俺もお前を笑顔に出来るようにしよう」

それが、それが全てに絶望して何も持っていない男の出来る唯一のこと

果ても無く、ただ幸せにするといった胡散臭い話

でも、俺は今何も持っていない訳じゃなかった

俺は気が着かないところで彼女に感情を、幸せを、そして愛をくれた

なら、俺は彼女が失った物を与える、夢を、幸せを、愛を
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 14:06:07.80 ID:C/HiMjr40

少女「・・・・!!」

女「ああ、本当だ、私は城に着くまでは一緒に旅をしよう」

少女「!!!」

女が着いてくるといった瞬間、少女の顔はこれ以上が無いくらいに笑顔で光り輝いていた

正直ここまで笑顔になれると思うと色々と・・・・

勇者「やばいな」

少女「・・・・?」

女「そうだろう?私ですら目覚めかけた」

勇者「それはお前がやばい・・・・とも言えない」

可愛さが尋常じゃなかった、正直俺が好きだった人よりも数倍可愛い

いや、何を言っているんだ、俺は大人だぞ、子供に手を出すつもりは無い

・・・・ない、よな?

少女「・・・・?」

勇者「だぁああ!そんな純粋無垢にこっちを見るなぁあああああ!!」

女「あらあら、君はこんな小さな・・・・」

勇者「うるせえよ!いや別に手を出す気は無いよ!」

少女「・・・・?」

女「・・・・いいなぁ」

勇者「あー純粋無垢だなぁ!可愛いなぁ!チクショウ!!」

少女「!?」

と、可愛いという言葉に反応して少女は顔を赤くしながらあたふたして顔を手で隠した

いや、それがいけないんだ、それが俺の何かを揺さ振っている

別に少女に欲情するわけじゃないのだが・・・・

これはそれを抜きに反則だと思う
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 14:36:39.73 ID:C/HiMjr40

勇者「俺は先に寝てるぞ」

女「ああ、ゆっくり休むといい」

少女「・・・・」

勇者「ああ、オヤスミ」

俺はそう言って目を閉じた

こんなにも幸せな気持ちは久しぶりだ

これが幸せなのだろうか、誰かが近くにいるだけでこんなにも幸せになれるとは

少女と女が話している、多分日本の話だろう

少女「・・・・♪」

女「――――」

少女「・・・・!」

女「――――♪」

少女「・・・・!・・・・!」

女「――――」

楽しそうに話している、相変わらず少女は喋れないから女が一方的に話しているだけだが

それでも会話は成立している、少女は楽しそうなので何よりだ

そしてしばらくすると灯りが消え、少女と女も寝始めた

二人とも可愛い寝息を立てながら寝ていると思ったが

女「起きてるか・・・・起きてないならそれでいいさ」

と、急に女が一人で喋り始めた

女「ごめんな、少女・・・・あの時私は君の言葉に反応していればあんなことにはならなかった」

悲しそうに、悔いるように一人で喋る

女「ただ私は謝ることしか出来ない、許してくれ私は・・・・」

女の言葉を聞くのは耐えれなかった、ただの一言でも相当な重みがあった

悲しみがあり、悔しさがあり、女の過去がどれほど辛かったのかが分かるほどに

女「少女・・・・」

それを耐えられなかったのか、少女は女の下に行き女の頭を抱きしめていた

女「ああ、すまない、そうだな・・・・今こうやって話せることを幸せだと思おう」

それっきり、女は何も話さず寝てしまった
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 14:57:42.40 ID:C/HiMjr40

女「む」

勇者「どうした?」

少女「・・・・?」

女「いや、目の前のあれは私の連れ二人だ」

と、前を見ると仲良さそうに歩いている面をつけた女と大きな剣を持った男

女「そうだな、一回合流してみるか・・・・」

勇者「どうした?」

女「いや、不意打ち食らわせようかなって」

少女「・・・・!?」

勇者「あいつらに何の恨みがあるんだ?」

女「イチャイチャしてて気に入らない」

勇者「そこかよ」

少女「・・・・」

女「ああ、ここの二人も気に入らないな、イチャイチャしていて」

勇者「なっ」

少女「〜!」

頭が沸騰しそうになった

俺と少女が?似合わない、似合うはずが無いのだが・・・・

勇者(この前告白紛いのこと俺言っちまったしな・・・・)

「お前が俺を幸せにしてくれるのなら、俺もお前を笑顔に出来るようにしよう」

勇者(何言ってるんだ俺)
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 15:22:40.34 ID:C/HiMjr40

少女「・・・・、」

少女はワクワクしながらこちらを見ていた

不意打ちをくらわせてボコボコにするという意味も無い作戦を実行しようとしていた

その為に女はヨボヨボの婆さんに変身していた、それも神器の力で

女「さて、行くとするかのぅ・・・・」

勇者「力の無駄遣いだな」

少女「・・・・!」

勇者「ああ、頑張ってくる(?)」

何をがんばるのだろうか、不意打ちに頑張るもくそもない

そして草陰に隠れてタイミングを見て

勇者「おらぁああああ!!」

と殴りかかるが見事に避けられる

男「何だ?盗賊か?」

面の女「いいじゃない!私達で逆にぶん取りましょ」

そう言って面の女は何も無いところから剣を取り出して俺に振るってきた

が、剣戟は透明の板に阻まれる

勇者(これが神器の力・・・・って女はあくまで出るつもり無いのか)

チラリと後ろを見ると少女と女がワクワクしながら親指を立てていた、殴りたい

だが仕掛けたものは仕方が無いのでとりあえず戦う

勇者「剣をこの手に」

軽く呪文を唱えて剣を手に出現させる、魔王を倒して仲間を斬った剣を

相手は出した剣に戸惑うことなく動いてきた

男は長い剣の鞘を抜いて俺に振るって来る、俺はすかさず剣で受けようとするが剣が折れてしまった

勇者「なっ・・・・」

男「なまくらじゃ俺達からは物の一つも奪えないぞ」

勇者「そういうことか、その剣の性質なのかお前の性質なのか分からないが魔術は効かないらしい」

折れることのない剣が一瞬で折れた、これに関しては何回か体験したことのあるのですぐに理解できた

おそらく魔術を無効化することの出来るのだろう、そしておそらく神器も無効化できる

勇者「・・・・だったら簡単だ」

俺は剣を掴み、顔面に向って掌底を当てた

男はそれっきりよろけて倒れてしまった

面の女「男、あんた弱いわね・・・・」

そう言いながら面の女は剣をしまい

面の女「いるんでしょ、女」

女「バレていたか」

面の女「当たり前でしょ、私の刀を受ける透明の板なんてあなたの神器くらい・・・・よ」

面の女は女の横にいる少女を見て震えていた

面の女「少、女?」

少女「・・・・」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/08(日) 15:36:11.44 ID:C/HiMjr40

今日はここまでかな

クオリティー高いといってくれたり乙と言ってくれる皆様に感謝

ちなみにこれは厨二な俺が考えている世界観の中での話しなので厨二くさいです

ちなみにそろそろこの物語は終わります
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/04/08(日) 15:52:41.31 ID:1P6xolko0
おつって終わるの
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 18:47:38.55 ID:DOAg+x4IO
文章が残念
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/08(日) 21:26:21.27 ID:j9yIk0Oso
かわいそうに
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/10(火) 13:50:41.43 ID:rc1yR2Rmo
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/12(木) 21:41:03.72 ID:/kMaREs90

面の女「しかし、君は強いね」

勇者「まあな、一応魔王を倒したからな」

男「魔王・・・・一人でか?」

勇者「流石に仲間がいたさ」

面の女「そっか、私達もそれなりに強い敵と仲間とともに戦ったことがあるよ」

勇者「どれくらい強いんだ?」

男「一撃で村が一つ沈んだ、正直死ぬかと思った」

勇者「それは死んでもおかしくないんじゃ」

女「私達は不死身だからな」

勇者「いやいや、不死身なんて・・・・」



少女「・・・・」

面の女「元気?」

少女「・・・・」

面の女「私達と同じ匂い、もしかして願いを・・・・」

少女「・・・・」

面の女「勇者には話した?」

少女「・・・・」

面の女「話しておきなさい、私でも無理だわ・・・・神様が決めたことを覆すことは」

少女「・・・・」

面の女「・・・・それと、最後にこれだけ、ごめんね、あなたの性格知ってるからこれだけしか言わないわ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/12(木) 21:49:02.75 ID:/kMaREs90

少女「・・・・」

勇者「どうした?」

少女「・・・・、」

勇者「着いて来いって?」

少女は勇者の腕を引っ張って女達が見えないところまで歩いた

少女は身近にある木の棒を手にとって地面に文字を書き始めた

少女『私の失ったもの』

勇者「・・・・」

失ったもの、それは少女がこれからの人生で絶対に返ってこないものを教えてもらえる

それは夢であり、憧れであり、誇れるものだ

失った自分のことを話すのは辛い筈だが、彼女は話してくれる

それだけ勇者を信用していた

勇者「いいのか?俺は信用できないぞ」

少女『あなたは私に過去を教えた、だから私も教える』

勇者「俺はそういうつもりで教えたつもりは・・・・」

少女『ただの自己満足』

勇者「・・・・お願い」

少女『私の失ったものは、まず声』
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/12(木) 21:59:32.18 ID:/kMaREs90

勇者「声・・・・?やっぱりそのせいでだったのか」

少女『うん、私の声は神器で失った』

文字は崩れていて、彼女の体は震えていた

声をかけようとしたが『大丈夫』と小さく書いて書くのを続けた

少女『私は、小さいころ・・・・女さん達と会う前まで親から虐待を受けていた』

少女『家も貧しく、夢も希望も無いそんな私が誇れるものは歌でした』

少女『女さん達に会ってはじめてほめられて嬉しくなりました』

少女『その後に、私は神器を手にして、神器を壊されました、お父さんに』

勇者「・・・・っ」

少女『その後、私は二度壊された・・・・その二度で失ったものは』

少女は棒を手から離して刃物を首に当てた

勇者が止める前に少女はすでに首を切っていた、紅い血が噴出して辺りを染めた

だが、彼女は平気で何事も無かったかのように経っていた

それどころか、少女の首の傷は少しずつ治っていた

少女『私は、老ける事と死ぬことを神様にとられました』
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/12(木) 22:05:53.57 ID:/kMaREs90

勇者「・・・・」

少女「・・・・」

勇者「じゃ、じゃあお前は夢を失ったままこれから生きていくのか?死ねずに・・・・この世界で!!」

少女「・・・・」

勇者「ふざけんな・・・・ふざけんな!!俺はお前を幸せにするって言った!なのに、なのにどうして・・・・!!」

少女『私は、私は・・・・』

少女の体の震えは止まっていて、最後の文字を書いた彼女が顔を上げた

その笑顔は満面の笑み、彼女は棒を捨てて勇者に抱きついてきた

勇者は戸惑いながらも小さな体を受け止めた、そして勇者は地面の文字を見た

そして、彼は決心した、一度夢を捨てたがもう一度夢を持ち、そして彼女を一生をかけて幸せにすると誓った



『ありがとう、わたしは幸せだから、あなたも幸せになって・・・・大好きだよ、勇者』


36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/12(木) 22:10:40.14 ID:/kMaREs90

面の女「・・・・いいわねぇ」

女「そうね、少女は幸せを得られたみたい」

面の女「それは長くは続かないわ」

女「・・・・いや、彼女は勇者が死ぬそれまで幸せに生きる、その後もきっと」

面の女「勘?」

女「そうだな、私の勘だ」

面の女「ふふ、そっか・・・・私達と同じにならなくてすむかもね」

女「私と男と面の女、そして少女・・・・神様に終わりを取られて不老不死となった哀れな人間」

面の女「そうね、哀れ、でも私は哀れでも何でも醜くても生きるわ、それしか道は無いもの」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 18:18:34.35 ID:wvHyAdGSO
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/14(土) 18:20:43.49 ID:XmAZTgAN0

39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/14(土) 19:41:12.25 ID:2aGNgzgw0

勇者「ここが、この国の中心だ」

面の女「大きい城ね・・・・」

男「ここはどこの都市よりも発展してると俺は思うよ」

女「町も活気づいてる・・・・」

男「だが、それ以上に問題もあるだろう」

勇者「なんだ?」

男「人の領域を超えた行き過ぎた発展があると聞いた」

少女「・・・・?」

女「そうだな、神器持たずに神様と同じ力を得ようとしている者たちがいると」

勇者「なに?神器を持たずに?」

女「私たちはそれの調査のためにここに来た、私たちは各自で別々に行動するが」

少女「・・・・」

勇者「俺は少女にこの町を紹介するよ」

面の女「そう、なら別行動ね、また会いましょう」

少女「・・・・」

男「元気でな」

勇者「そっちこそ」

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/04/14(土) 19:49:50.50 ID:2aGNgzgw0

勇者「・・・・それで、ここが大聖堂だ」

少女「・・・・!」

勇者「別にあせらなくてもなくならないよ」

この町一番の大きい教会、神秘的なそこはどの教会よりも素晴らしいものだ

少女はキラキラと目を輝かせながら教会のいたるところを見ていた

すると、少女は祈りをささげている人たちを見て真似始めた

少女「・・・・」

勇者「何に祈ってるんだ?」

少女「・・・・?」

勇者「こうやって手を合わせてるのは、みんな神様に祈ってるんだ」

少女「・・・・、」

勇者「俺はもう神様に祈ったからいいよ」

少女「・・・・?」

勇者「いやいや、神器を持った者は神様になる、少女も神様だろ」

少女「・・・・」

と、少女はあたふたしながら、顔を赤らめて祈り始めた

少女「・・・・」

勇者(・・・・確か、初めて仲間・・・・好きな人と出会ったのはここだったな)

勇者(「汝に尽くし、魔王の元まで助けてあげよう、喜びなさい)

勇者(上から目線だったけど、たまにあたふたしてるのがまた可愛かった)

少女「・・・・」

一瞬だが、勇者は少女とその女を重ねようとしていたが

少女と重なることはなかった
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 12:35:59.30 ID:Bb14+hKSO
続きはまだかね(AA略
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/04/21(土) 22:55:38.73 ID:u7RrKwpf0
続き頼んます
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/17(木) 23:55:47.10 ID:CTy64wuSO
マダー
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/05/18(金) 00:06:39.19 ID:1N7J1cPNo
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
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