完璧な彼、不完全な私 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 03:46:47.96 ID:ZbNZsaHno

sage進行不定期更新
ageは別に気にしないんで、神経過敏に怒らんでくださいね
のんびりやりますがそんな長くない予定です

気ままに暇な時眺めてください

では

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1.5 ：荒巻＠管理人★(お知らせ) [Twitter]： ID:???

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旅にでんちう ＠ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず ＠ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 ＠ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 ＠ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい　　安部菜々編 ＠ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 ＠ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ？」 ＠ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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エルヴィン「ボーナスを支給する！」 ＠ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
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2 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 03:47:15.42 ID:ZbNZsaHno

「……先輩、また寝てらっしゃるんですか？」


私の言葉に、目の前に横たわっていた彼が起き上がる。
普段からボサボサの髪が、寝起きで更にボサボサになってしまっている。

「ありゃ、また寝てた？ボク」

私が無言で頷くと、先輩はあちゃーと額に手を当てた。
このやりとりも慣れたものだ。

3 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 03:48:08.14 ID:ZbNZsaHno

「今何時？後輩ちゃん」

「いつも通り、昼休みが終わる15分前です」

この返答も慣れたもの。私が書記になったその日から、ずっと続くやりとり。
そして、先輩はこう言うのだ。

「あー、書類やるの忘れ……」

だから私はこう返す。

「書類整理は終わらせておきました、先輩」

4 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 03:48:36.21 ID:ZbNZsaHno

成績は普通。運動も中の中。視力は１．０。
そんな先輩は表向きでは、ごく一般的な男子生徒。
ただ、一般生徒と違う部分が一つある。それは……

「会長！うちの部活に回す費用、0が一つ違いますよ！子供のお小遣いじゃないんですから！」

「あはは、ゴメンゴメン……後輩ちゃん、手直しお願いできるかな」

「分かりました。書類を見せて貰えますか？」

「……ほんと、会長は抜けてますよね……後輩ちゃんの方が、よっぽど会長っぽいですよ」

「……」

ほとんどの人は、先輩のことをよく過小評価する。
抜けてる人、とか……私の方が会長に向いてる……とか

「いやぁ、面目ない……」

そんな言葉にも、先輩は嫌な顔一つしない。
むしろ嫌な顔してるのは私の方。

5 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 03:49:24.81 ID:ZbNZsaHno

「……」むすー

「あはは。後輩ちゃん、機嫌を直してよ」

「……別に、先輩に怒ってるわけじゃありませんから」

もちろん、手直しが必要になった書類に怒ってるわけでもない。
その手直しを申し出た、バスケ部主将の魅力的な身体つきに怒っているわけでも、断じてない。

6 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 03:49:45.85 ID:ZbNZsaHno

「……先輩は、優しすぎですよ」

「んー？」

またこれだ。自分を褒める言葉だけは知らんぷり。
今まで何度も繰り返されてきたことだが、たまには別の反応をしてくれてもいいのではないだろうか。
ついつい溜息が出てしまいそうになるが、また先輩が誤解しそうなので我慢しておく。

「……よし、と」

「いつも任せちゃってゴメンね、後輩ちゃん。今度ケーキを奢ってあげるから！」

目の前で手を合わせ、頭を下げる先輩。私の答えはイエス。
だけど、本当はケーキが食べたいわけじゃない。
それを先輩がちゃんと理解してくれてるかは知らないけれど。

7 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 03:50:57.79 ID:ZbNZsaHno

とりあえずここまで

続きはまた後日いつか

8 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]：2012/04/08(日) 04:11:47.64 ID:1P6xolko0

期待&乙

9 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/04/08(日) 04:24:44.50 ID:k8DgDXWH0

乙

10 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:09:39.19 ID:ZbNZsaHno

「ねぇ女、ちゃんと聞いてる？」

「……ん」

放課後の教室で、対面から私を呼ぶ声がした。
普段後輩ちゃん後輩ちゃん、と呼ばれていると、普通に自分を呼ぶ声への反応が鈍くなるから困り者だ。

「ちゃんと聞いてるよ……で、なんだっけ？」

「はぁ……それでちゃんと聞いてるって言い張れるのが凄いわ……まぁ、いいけど」

11 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:10:39.65 ID:ZbNZsaHno

「最近あんた、疲れてるんじゃない？」

「……別に」

「……あのぐーたら会長に、仕事たくさん押し付けられてんじゃないの？」

「……」

まただ、また会長の悪口だ。
私の数少ない友人である友には日頃から感謝しているのだが、いくら言ってもこれだけは直してくれない。

12 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:11:57.42 ID:ZbNZsaHno

「……会長は、ぐーたらなんかじゃない」

「はいはい、お腹一杯……いくら惚れた弱みとは言ってもね、尽くすことが全てじゃないと思うよ？」

「……」

これも大きな勘違い。
私は会長のために尽くしてなんていない。
むしろ逆。会長はいつも私のために尽くしてくれている。
友への反論が私の口から突いて出そうになったその時、

「後輩ちゃーん」

教室のドアが開け放たれ、間延びした声が私を呼んだ。
その声を聞いた瞬間、友が立ち上がりドアへと急ぐ。
制止する間もなく、友が先輩の胸ぐらを掴む。

「……おい、女に仕事大量に押し付けたりしてねぇだろうな……？」

「あは、は……」

13 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:12:45.62 ID:ZbNZsaHno

「友！」

「……チッ」

先輩は優しい。ここまでされても何も言わない。
友はそんな先輩を「へなちょこ野郎」なんていうけどそうじゃない。
先輩は喜ばないと思うから、友に本当のことは絶対言わないけれど。

「ゴメンね友ちゃん、今日も後輩ちゃんを借りてくね」

「……さっさと行けよ、めんどくせぇ」

「友……！」

私の言葉を遮るように、先輩が友と私の間に入った。
先輩の表情はいつも通りの、よく分からない表情。
私はこの表情に弱い。何も言えなくなってしまうから。

14 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:13:17.20 ID:ZbNZsaHno

「……」

「……おいしい？後輩ちゃん」

目の前に座った先輩が、こちらに笑顔で語りかける。
私が今食べているのはお気に入りのモンブラン。おいしくないわけがない。
ちなみに先輩の前にはコーヒーが一杯。その他に注文の品はない。

「……」ﾊﾟｸ　ﾊﾟｸ

私は素直に答えるのがなんだか悔しくて、無言を貫いてみる。
そんな私の様子に、先輩の表情がさらに困ったな、と言いたげな表情になる。
注文を追加しようとする先輩を目で射竦める。そうじゃない、そうじゃないんですよ先輩。

15 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:14:39.87 ID:ZbNZsaHno

「……おいしいです」

私の返答に、先輩は「よかったぁ」と呟いて笑顔になった。
そんな先輩を見て、私はやっぱり申し訳なくなる。

「……先輩も、何か食べればいいのに」

「うーん……ボクは後輩ちゃんがおいしそうに食べてるのを見れればそれで満足かなぁ」

「……」

16 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:15:10.30 ID:ZbNZsaHno

私は知っている。
実は先輩が、甘いものがあまり好きじゃないことを。
知っててこういう質問をしている。
私はふいにこうして先輩を困らせたくなる。
あの表情が、好きだから。

「おかわり、いる？」

「……いえ、大丈夫です」

笑顔の先輩の申し出を、私は丁重にお断りする。
先輩はこういう部分に関しては無頓着で、たまに普段とは違う溜息が出そうになる。
遠慮しなくてもいいのに……とでも言いたげな先輩をほんの少し睨み、私は立ち上がる。
わたわたと立ち上がる先輩を尻目に、私は会計へと向かう。
こうでもしないと、毎回全額払ってしまうのだ。今日は奇襲成功。

17 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:15:38.68 ID:ZbNZsaHno

「後輩ちゃん、はい」

先輩の手から差し出された金額は、料金のきっちり二分の一。
私の食べたケーキと、先輩の飲んだコーヒーの分の、二分の一。

「このぐらいは、出させてもらって構わないよね？」

「……」

本当は受け取りたくないのに、無言で頷いてしまう私。
あぁやっぱり、私はこの表情に弱いのだ。

18 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/08(日) 17:16:17.31 ID:ZbNZsaHno

とりあえず書けた分だけ

それじゃまた次いつか会おう

19 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/04/08(日) 21:28:16.99 ID:j9yIk0Oso

達者でな

20 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:43:30.02 ID:pT8EU2gRo

「あ、もう後輩ちゃんの家だね。それじゃ、ここでお別れかな」

先輩は名残惜しそうに微笑み、私に告げた。
夕焼けをバックに、先輩の黒髪がサラリと揺れる。
私はいつも、この時が嫌いだ。
先輩の胸に飛び込んで、思いの丈を全て伝えてしまいたい衝動に駆られる。
だけどきっとそれは、先輩を困らせてしまうことだから。
だから私は、精一杯の笑顔を作って言うのだ。

「……先輩、また明日」

21 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:43:56.42 ID:pT8EU2gRo

「ごっほ……ごほごほ……」

「あー……また変な時期に風邪にやられちゃったなぁ……」

母親が私の体から離した体温計には、３９℃の表示。
平温があまり高くない私からすれば、母親が学校を休むことを勧める体温だ。
だけど私は休みたくない、休むわけにはいかない。
そんな私に母親は、こんな時ぐらい不真面目でもいいのよ？と不安げな表情を見せた。
……先輩以外の困ったような表情も、実は苦手なのかもしれない。
ごめんなさい先輩。私は不真面目な後輩です。

22 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:44:43.89 ID:pT8EU2gRo

あの日までの私は、周りのその他大勢と同じだった。
会員を集めようともせず、いつもぐうたら寝てばかりの会長。
決して自分がヒーローになろうとかそういう感情ではなく……と言いたいが、結局の所それに近いものだったかもしれない。
人間の本質的な勧善懲悪と言うか、ジャパニーズ的連帯勤労というか。
まぁ要するにサボってる人間を許せないって感情。
今考えれば、くだらないことをしたものだ。
あの時の先輩の困ったような……それでいて少し、嬉しそうな……

23 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:45:20.92 ID:pT8EU2gRo

（今思えば、あの時から……っ？）

突然肌に感じた冷たさに、私の思考が途切れさせられる。
それと同時に反射的に目を開くと、そこにはさきほど思考の波で見たばかりの少し困ったような表情。

「ぜん……ばい？」

「あ、ごめん後輩ちゃん。起こしちゃった？」

どうやら突然感じた冷たさの原因は、冷えピタ８時間（子供用）だったらしい。
私はそこまで子供に見えますか？先輩……じゃなくて。
そもそもなぜ先輩がここにいるのだろうか……私は夢でも見ているのだろうか？

24 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:45:46.50 ID:pT8EU2gRo

「後輩ちゃんが休みだって、友ちゃんから聞いてさ……いてもたってもいられなくて、さっさと帰ってきちゃった」

ああ、なるほど。
一言多かったみたいだけど、ここは友に感謝。

「友ちゃんからは怒られちゃったよ。『お前があいつに仕事を押し付けてばっかだからだろ！』ってね」

「……確かに、少し君に仕事を押し付けすぎてたかもね……ごめん」

前言撤回、友大嫌い。

25 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:46:08.42 ID:pT8EU2gRo

「……あ゛の……ぜん……ばい」

声が枯れて大変なことなってるけど、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。
全身に力を込め、体を起き上がらせる。
先輩の心配そうな顔が、私のすぐ近くになる。
……熱が２℃ぐらいあがりそう。

「……ぜんば……ごほっごほっ」

言葉を繋ごうとするけど、上手く出てこない。
伝えなきゃいけないことほど、なぜこうも伝わってくれないんだろう？

26 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:46:39.18 ID:pT8EU2gRo

「……大丈夫だよ、後輩ちゃん」

そんな私の額にそっと先輩の手が当てられ、ゆっくりと力が込められる。
せっかく起こした私の体が、またベットの上へ逆戻り。
先輩の顔も遠のいてしまった……少し、残念。

「君が本当に辛ければそう言うだろうし……まぁ、君が無理しやすいのはほんとだから、ちょうどいいお休みだと思ってゆっくり休みなよ」

「……はい゛」

案外全部伝わってた。
ほんと先輩には敵わないみたい。
……これでもう少し、女心が分かってくれればいいんだけど……それは求めすぎかな？

27 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:47:17.91 ID:pT8EU2gRo

「……あ゛の」

「ただいまー」

私が口を開くと同時に、下から母親の声が響いた。
それを聞いた先輩が、私の額から手を離し立ち上がる。残念極まりない。

「それじゃ、僕はこの辺で……」

どうやら先輩とはここでお別れらしい。
学校でのお別れとは、なんだか少し違う気分。
ゆっくりと遠ざかる背中を引き留めることなんて、今の私には出来るわけがなくて。
だから今は少しでも早く先輩に会えるように、病気を治すのことに専念するとしよう。

28 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]：2012/04/09(月) 05:47:53.11 ID:pT8EU2gRo

意外と書けたから続き更新
続きはまた書けたら

29 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/09(月) 05:49:59.78 ID:pT8EU2gRo

sage忘れてた
まぁいいや寝よ

30 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/04/09(月) 09:55:27.38 ID:iBqA6VSD0

期待

31 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/04/09(月) 10:52:56.10 ID:DG+U4MX4o

うむ

32 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]：2012/04/09(月) 12:17:04.83 ID:keN4VISE0

�C

33 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/17(火) 10:02:54.15 ID:tSO3sHdfo

「……いただぎまず」

「いただきます」

「はぁい、たんと食べてね？」

少しでも早く先輩に会えるようにと願っていたら、本当にすぐ会えた。
いつもは出されていない来客用の席にいる先輩の唐翌揚げへと伸ばされた箸を目で追う。

34 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/17(火) 10:03:19.54 ID:tSO3sHdfo

「……後輩ちゃん、唐翌揚げ食べたいの？」

先輩が箸で唐翌揚げを取り、私のご飯茶碗へ乗せる。しまった、勘違いさせてしまった。

「ほんとこの子、こういうこと全然言わないから……」

こっちでも変な勘違いをしてる人がいる。
ぎゅーっと太ももを抓ってあげると、イテテといった表情で黙ってくれた。素直でよろしい。
いつもと変わらない唐翌揚げだけど、なんだかいつもよりおいしい気がする。

35 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]：2012/04/17(火) 10:03:45.71 ID:tSO3sHdfo

「この唐揚げ、おいしいですね」

先輩も同じこと考えていたらしい。ついつい頬が緩む。

「本当？それならこの子に今度作り方教えておくわね、お弁当で楽しめるよぅ……イテ、イテテテテ」

いつもは余計なこと言わないくせに、来客が来るとすぐおしゃべりになるんだから。
……まぁ、唐揚げの作り方は今度教えてもらうつもりだけど。

36 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/17(火) 10:04:13.01 ID:tSO3sHdfo

またsageミスったしにてぇ

ここで止め

37 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/04/18(水) 19:28:46.82 ID:sbr/o0E+0

おつ

38 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/04/25(水) 20:06:16.13 ID:OnWOmOgi0

　　　　　　 ...|￣￣ |　＜ 続きはまだかね？
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39 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:10:26.69 ID:jnJ5jLSIo

「……」

カチャンカチャンと食器同士がぶつかる音以外、今この部屋に音はない。
余計なことを言い出しそうな母親は、部屋に押し込めておいたから安心だ。

「……」

とはいえ、意外と二人きりだと会話が上手く進まない。
学校ではそれなりに会話が出来るのに、家だと会話する内容が無い。
今思えば、先輩と私の繋がりなんて……会長と書記、ただそれだけなわけで。

「……遠いなぁ」

「何が？」

40 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]：2012/04/26(木) 01:11:08.84 ID:jnJ5jLSIo

「っ！？」

ボソッと呟いたはずの言葉が先輩に届いた理由は、今先輩の顔が私の目の前にあるせいで。
半ばBGMと化していた食器の音も気付かぬ間に止まっていた。

「あはは、やっぱり後輩ちゃんは面白いなぁ」

「……」

先輩に褒められ……たのか？これは。
可愛いとかならまだしも面白いって……
反論の代わりに少し睨んでみたけど、先輩はいつものように少し笑った表情のまま。
先輩は余裕綽々で私が超緊張してるなんて、今のいる場所を考えたら普通逆だと思うのだが。

41 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:11:41.06 ID:jnJ5jLSIo

「あは、は……ごめんごめん、怒らないでよ後輩ちゃん」

「……別に、怒ってなんか」

ただ少し、悔しいだけ。
でも、悔しいだけでは癪なので……少し先輩を焦らせてみよう。
と思い立ったが吉日。先輩が反応出来ない速さで、私は先輩に顔を近づける。
絡まった唇。初めての味は……唐翌揚げの味。

42 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:12:07.37 ID:jnJ5jLSIo

先輩を驚かせるための作戦のはずが、私の方から先輩を押し離してしまった。
少し赤い先輩の顔。その100倍……いや、1000倍は私の方が赤いかな……？

「そ、それじゃ……お、おやすみなさいですっ！」

もう一度先輩の表情を見たら死んでしまいそうな気がして、私は自分の部屋へ急ぐ。
鈍感な先輩でも、これで気付いてくれただろうか？
……不安で押しつぶされそうな胸を、先に枕でぎゅーっと押しつぶしておく。

「……明日、どんな顔して会えば……ほんとバカだな、私」

43 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:12:35.29 ID:jnJ5jLSIo

その日私は、授業が終わってからすぐにその部屋へ向かった。
規律にもっとも厳しいはずのその部屋の主は、この学校でもっともだらしないと思われる人。
まぁ、今は恐らく無人のは……ず？

「やっほー、後輩ちゃん」

「……」

私の予想に反して、部屋の主はすでにそこにいた。

44 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:13:03.26 ID:jnJ5jLSIo

「……サボり、ですか？」

「心外だなぁ。授業終わってから走ってきたのさ」

そう言っている割には、汗一つかかずソファーに横たわっている姿に説得力は皆無だ。
だがそんな問答をする時間も勿体ない。きっと仕事は山積みのはずだから。
そう思いながら目を通した目の前の書類。
数字はすでに整理されている。では次の書類は？
次、次、次……

45 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:13:40.82 ID:jnJ5jLSIo

「……あれ」

「はい、後輩ちゃん」

コトン、と私の前に差し出されたのは駅前でそこそこ人気のケーキ店のモンブラン。
誤魔化そうとしてるのだろうか……？だが、私はそんな手に引っかかるつもりはない。

「未整理の書類は、どこですか？」

「そんなのないよー。今日のお仕事はもう終わってるからー」

「……え」

「それよりモンブラン、嫌いだった？」

そう言いながら、先輩は少し困ったような表情でこちらの様子を見てきた。
……なぜだか、断りづらい
私は手渡されたスプーンでモンブランを掬い、口へ。

「……おいしい」

「それはよかった」

46 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:14:20.83 ID:jnJ5jLSIo

「じゃなくて……未整理の書類がないなんて嘘ですよね？」

「心配なら、全部確認してもらってもいいよー？」

「……」

結局その日の私の作業は、全部無駄だった。
本当に書類は全て整理済みで、私がやるべきことなどなかったのだ。
その間終始先輩は寝ていて（なぜこの部屋に来たのだろうか？）私が部屋を立ち去ると同時に帰ってしまった。
次の日も、その次の日も、私が放課後部屋に来る頃には全て仕事が終わっていた。
その頃から、少し先輩の事を……見直し始めていた。

47 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]：2012/04/26(木) 01:15:03.13 ID:jnJ5jLSIo

この辺でさいなら

sage忘れるぐらいならsage無くていい気がしてきたが更新おせーからなぁ

48 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]：2012/04/26(木) 01:53:16.07 ID:IT/oLH5ko

乙

49 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/05/07(月) 16:05:41.20 ID:8LIbq5kgo

乙ー

50 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]：2012/06/06(水) 23:08:57.23 ID:GTbr7EIAO

待ってる

51 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]：2012/06/24(日) 19:46:07.57 ID:1IKEGeRAO

まだかな