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【Fate】私「聖杯戦争?」小津「はい、そうです」【四畳半神話大系】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 20:59:48.92 ID:fmkelLGt0
目の前の人間の成れの果て、もしくはなり損ないの妖怪もどきの言ってる事を把握するのに私は小一時間も要した

私「要するに、小津、お前の言っている聖杯戦争なるものはお前の師匠とお前が行っている自虐的代理代理戦争とは似ても似つかない本物の殺し合いだとでも言うのか?」

小津「はい、その通りです…参加者はアナタと僕を含めて七人です、審判役も既に僕チンが捕まえているので準備は万端です、いつでもスタートおっけーな状態です」

私「…」

小津「どうです?日々、無駄にストレスを無尽蔵に作るアナタにはピッタリなゲームですよ?」

私「…面白そうだが私は遠慮しておく、貴様が殺し合いなどと物騒なことを言うと真に受けてお前を本当に殺してしまいそうだからな」

小津「何を言ってるんですか?真に受けてもらわないとこっちが困るんですよ、ゲームとは言っても殺し合いなんですよ、殺し合い♪」

小津はそういって私の顔をなめ回すようにジロジロと目を這わせてきた
やめろ、ただでさえインパクトのある容姿でこっちも目の置き場に困っているのだ、勘弁してくれ

小津「まぁ、いいでしょう、アナタがそういうおつもりなら仕方ないですね……それなら…」

私「……」

どうやらこの妖怪もどきに私の思いが通じたようだ、正直本当に通じてしまうのは御免被るのだが、
これで小津との妖怪大戦争が行われること心配は無くなったようだ

だが小津は私の思いとは裏腹に、歪んだ焼きナスのような口から聞き逃せられないセリフを奴は吐いた

小津「僕が明石さんの身を守ることを誓いましょう、文句はありませんね?」


その時、私の中にある五山の送り火に火がついてしまったようだ

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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 21:04:09.04 ID:fmkelLGt0
大学三回生の春までの二年間、実益という二単語とはほど遠いくらい、惰性に過ごしたことをここに宣言しておこう
だが、そのような道のりを辿ってしまったのにはある大きな理由があるのだと、これも宣言しておく

過去を省みる気は毛頭無いのだが、それでは話が始まらないと思われるので、思う存分、私の後悔の念でいっぱいなネガティブメインの過去回想を楽しんでもらいたい


二年前、私はピッカピカの一回生であった

大学構内を練り歩けば、光源を見つけた蛾の如く、先輩方が私に群がってきたのを思い出す
そう、その蛾の正体は自分たちのサークルへの勧誘をするための先輩方たちなのである

そんな光の権化たる私が一番気になったサークルは...


オカ研「黄泉からの使者」である


私のような光ある一回生がこのような陰気なサークルに足を向けるのはいかがなものかと思案したが、
光の反対は陰、お互いがお互いに惹かれ合うのは必然だと私は自分の中でよく分からない解釈をし、決断をした

そう、その決断こそが私のこの無益な二年間を送るハメになった原因であるのは言わなくても分かることであろう
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 21:06:51.76 ID:fmkelLGt0
私は苦悩した、足りない頭で精一杯に苦悩した
サークルに行く気力が無くなっていくのを日々、感じていた


もはや大学に通うという概念さえも、そして自分の中にある理性という概念さえも崩れだしそうになっていた
それくらい、私は苦悩していたのであった


数日前までは覇気のあるオーラを全身に纏い、私は光源であると高らかに妄言していた私が、数日経っただけでドブ川に潜む捨てられた亀の甲羅のような姿をしていた


そう、私はついていけなかったのだ
サークルのメンバーに
サークルの雰囲気に
サークルの儀式的なものに



私は、ついていけなかったなのである
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 21:11:03.19 ID:fmkelLGt0
私の思いを感じてくれたのか否かは今更知ることはできないだろうが

サークルのメンバー全員が私とは距離を置き、私とは隔絶した謎の世界を繰り広げていた
私も努力をした、彼らの世界を理解しようと一心不乱に彼らの儀式めいたモノに積極的に参加していった


だが、無理であった


あのような気の狂ったサークル活動を理解できるはずがない
儀式などという妄想を自分の中で制御できない軟弱な奴らの考えを、この私が理解できるはずがなかったのである


そう、私がおかしいのではない、周りの世界がおかしいのだ
と、夜の鴨大橋の上で一人嘆いていたのはよい思い出である、そう思えないとやっていられない

そしてあるとき、そのサークルの中で私と同じ思考を持つ、ある意味救世主であり悪魔的存在である者と出会った

その者はオカルト研の象徴と言っても過言ではない容姿をした妖怪のような男だったが私となぜか息が合い、共にオカルト研究部を抜け出したのである



そう、それが私の部屋で平然とカステラを貪り食っている、小津その人である
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 21:17:58.62 ID:fmkelLGt0
ここは猫ラーメンの屋台

そこで私は小津と二人で猫ラーメンをすすっていた
猫ラーメンはスープを本物の猫でダシをとっているとの噂だが、その味は何度も言うとおり、無類である

そしてもちろん、今回は小津の奢りである、そこは抜かりない

小津「それにしても、まさか参加するとは思っていませんでしたよ」

私「嘘をつけ、お前は最初から私を参加させる気であったのだろう?」

小津「まぁ、そう言われればそうですよ、一番の親友を遊びに誘わないような教育は受けていませんので」

私「一度でいいから、私はお前にそのような教育をした親の顔を見たいものだ」

小津「うふ、そんなに僕のことが気になりますか?」

私「気持ちの悪い目でこっちを見るな、にらめっこならその煮卵とでもしていろ」

小津「…表情に変化は見られませんね」

私「本当にするな、気色の悪い」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 21:19:42.81 ID:fmkelLGt0
どんぶりの底が見えだした時、小津が話を振ってきた
そう、私が一番気にしていた話である、聖杯戦争の話である


小津「僕らは一人につき一体、使い魔を召喚するのです」

私「召喚?…小津、お前もとうとうあのサークルの毒に犯されたのか、だがいくらなんでも遅すぎないか?」

小津「断じて違います、そういう冗談はやめてください、話を続けますよ...そしてその使い魔にはクラスというものが振り分けられているのです」

私「クラス?」

小津「セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーです」

私は頭が痛くなった

とうとうこの男までもよく分からない世界を構築してしまったようである
始めからよく分からない男であったが、今回を以て理解のできない男として私の中でこの男はクラスアップした

小津「そのかわいそうなモノを見る目をやめてください、それに今回のこの戦争は私の妄想では決してありません、ね?マスター?」

私「は?」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 21:22:01.45 ID:fmkelLGt0
小津の説明を一通り聞いた私はまとめてみることにした


・参加者は一人につき一体使い魔を持ち、その使い魔同士を戦わせ、聖杯を得る
・聖杯というものは持ち主の願いをかなえてくれる代物である
・参加者には令呪というものが手に浮き上がり、それが参加者の証明であり、使い魔を使役できる証である
・サーヴァント・魔術は聖杯戦争無関係者に干渉することは不可能
・参加者も令呪が発現したとき魔術を行使できるようになる、だが個人差はある
・相手に勝つ方法は、相手の使い魔を倒し、消し去る、もしくは参加者全員に与えられる魔術を敵参加者に行使する
・その魔法は相手の令呪を抜き取る魔術であり、令呪をすべて使用した者、令呪をすべて抜き取られた者は戦争から脱落
・令呪は三つまで使い魔に絶対の命令をくだせる物であり、一つ命令するたびに令呪の模様が一つ消える
・令呪は持っているがサーヴァントは使役しておらず、マスターは不在だが令呪を持つサーヴァント同士は主従関係になることが可能


私「……」

私は猫ラーメンの屋台で小津と別れ、下鴨幽水荘にある四畳半の自室へと戻ってきた

私「まさか…猫ラーメンの屋台の店主が聖杯戦争の監督役だったとは…」

私の唯一の楽しみ、猫ラーメンを食いに行くたびに小津の奇妙な話を思い出すと思うと、胸がいっぱいになり、
猫ラーメンはホントに猫でダシ取ってるのでは?と、あらぬ疑問を抱き、まともに麺をすすることが出来なくなりそうであった

まぁ、正直な話、私は聖杯戦争などというものを完全に信じきったわけではないのだ

だが、あの猫ラーメンの店主が小津の冗談に付き合えるとも思えまい

そう考えると
やはり、聖杯戦争というのは本当なのだろうか…
本当、ならば…
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/11(水) 21:23:59.81 ID:fmkelLGt0
私「…明石さんも参加するのだろうか」

そこが重要である、最重要項目である
明石さん、その彼女とは私の部屋の上の部屋に住んでいる、小津が師匠と仰ぐ男の弟子であり、たまに顔を合わせる仲である

私「小津め、彼女にまでその毒牙を…許さんぞ」

怒りの炎で闇鍋をぐつぐつと煮込み、その中に昆布のような顔をした小津を放り込み、ダシをとる想像しながら私は眠りについた




声が聞こえた

麗しい黒髪の乙女とは違う、凛々しく、まるで王のような女性の透き通った声が聞こえた


「貴方が、私のマスターか」


その時、私はなんと答えたのであろう

思いだせなかった…
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/11(水) 22:02:15.06 ID:5U5CMzboo
僕なりの支援ですよ
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/11(水) 22:10:54.86 ID:qmS9xYbco
この発想は無かった



本当にこの発想は無かった
京都の大聖杯ってか、まあ納得できる話ではあるけど
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/11(水) 22:16:46.90 ID:zEm2xBOAO
物凄く予想外だ乙

一体何がきっかけでこの組み合わせを思い付いたのか本当に気になる
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/12(木) 00:04:04.83 ID:YWV+sPRSO
>>1の慧眼に脱帽した
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/12(木) 20:40:05.27 ID:9ig8GKG30
明石「ええ、その話なら私も小津先輩から聞きました」

私「何っ!?もう小津の魔の手がそこまで伸びていたのか…何とも忌々しい」

明石「でもおもしろそうじゃないですか、聖杯戦争」

私「ですが、明石さんはそんな下らない物に参加してよかったのかい?」

明石「はい、私のサークルは最近、特にすることもなくて暇を持て余していたので」

私「そうか…」

明石「それで先輩も参加するんですか?聖杯戦争」

私「……」

私「明石さんが参加するなら私も参加しないわけにはいきません、たとえそれが小津の冗談であっても」

明石「ふふ、そうですか、それは楽しみです」

私「それではお互いがんばりましょう、明石さん」

明石「はい」

その後、私と明石さんは握手をした、お互いの健闘を祈る堅く結ばれた握手であった


堅く結ばれたはずの手だったのだが、明石さんの手は餅のようにやわらかく、私の顔の筋肉ものびる餅のように崩れていった
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/12(木) 20:40:32.27 ID:9ig8GKG30
明石「ええ、その話なら私も小津先輩から聞きました」

私「何っ!?もう小津の魔の手がそこまで伸びていたのか…何とも忌々しい」

明石「でもおもしろそうじゃないですか、聖杯戦争」

私「ですが、明石さんはそんな下らない物に参加してよかったのかい?」

明石「はい、私のサークルは最近、特にすることもなくて暇を持て余していたので」

私「そうか…」

明石「それで先輩も参加するんですか?聖杯戦争」

私「……」

私「明石さんが参加するなら私も参加しないわけにはいきません、たとえそれが小津の冗談であっても」

明石「ふふ、そうですか、それは楽しみです」

私「それではお互いがんばりましょう、明石さん」

明石「はい」

その後、私と明石さんは握手をした、お互いの健闘を祈る堅く結ばれた握手であった



堅く結ばれたはずの手だったのだが、明石さんの手は餅のようにやわらかく、私の顔の筋肉ものびる餅のように崩れた
15 :連投しちまった :2012/04/12(木) 21:16:13.54 ID:9ig8GKG30
その後私はまた四畳半の空間へと返り咲いた

私「はぁ…なんと柔らかい手なんだ…明石さん」

私はこの感動を忘れられなかった、忘れる気は毛頭なかった

明石さんには悪いと思ってはいるのだがその手が猥褻図書館に伸びてしまった

私は必死に自分を制御したのだが、私のジョニーは準備万端らしく、ホルスターからワルサーを抜き取り、弾の装填をとっくに終えていたのである

これでは仕方ない、ジョニーのために私はこの数十年で作り上げた良心の棚からなけなしの罪悪感を取り出し、禁断の生贄の祭壇に捧げようとした

だがそのとき


私の体に異変が起こった
いや、正しくは私の右手の甲に異変という名の激痛が走ったのである


私「あっ…つい…」

この右手はついさっき、明石さんと手を結んだ右手だと思い出した

まさか、聖杯戦争というものは既に始まっており、明石さんからの手痛い先行攻撃の贈り物?
と勘違いしたが違ったらしい

私「……まさか……これが…令呪?」



そう、私の右手の甲に血で描かれたような模様が浮かび上がったのである
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/12(木) 21:39:08.59 ID:9ig8GKG30
今日も今日とて猫ラーメンを吟味する私である
小津のせいで猫ラーメンの味に問題が出ると思案していたのだが、特に問題もなく、いつも通りの猫ラーメンであった


小津「やっと出ましたか、これで全員ですね」

私「……お前もなのか小津」

小津「はい、ほら」


どうやら小津にも出ているらしい
ミミズがのたくったような模様をしている


小津「さて、それじゃあ次は使い魔召喚の儀式ですかね」

私「……儀式」

小津「ああ、あのサークルのようなものではありませんので安心してください」

こいつが言うとどうにも安心はできない


そう思いながら猫ラーメンをすする私であった
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/12(木) 21:41:30.91 ID:9ig8GKG30
私は久々に読書に耽っていた
それは夏の頃、古本市場で購入した伝記本である
その名も「アーサー王物語」である

アーサーペンドラゴンの伝説やすごい剣を抜いたなどの話が載っていたのだが
私にはこういった類の本は合わないようだった

私の周りのファンタジー物はあのサークルだけで十分である


そして私は無造作にその本を投げ捨てた


それが私の運命を狂わすとは知らずに
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/12(木) 21:49:15.84 ID:9ig8GKG30
私は驚きと疑問で頭をいっぱいにしていた

今は夜の二時…そのような時間帯に私は目が覚めてしまったのだ
決して大学をサボリ、昼時に惰眠を貪ってしまったため中途半端に起きてしまったのではない

私が夢の中を妖精のごとく彷徨っている時に現実世界で異常な出来事が起こったのである


そう、私のこの四畳半に現れたのだ
彼女が


ある時夢で聞いた、透き通った王のような声の持ち主

その彼女は私に問う

あの夢の時の同じセリフを...

セイバー「問おう、貴方が私のマスターか」


これが私と彼女の出会いであり、戦いの始まりであった


四畳半金髪乙女騎士王召喚…

19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/13(金) 13:28:14.83 ID:ByOi8iYN0
この発想はなかった、期待している
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/13(金) 19:01:08.56 ID:IYNXV3PAO
乙した方がいいのは言うまでもない
小津は幸せにならなくてもよい!
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/14(土) 21:32:45.30 ID:7wxRft4oo
明石さんとのいちゃらぶ期待
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/16(月) 20:29:01.40 ID:+ffWbKmX0
こんな時間帯であれ、猫ラーメンは通常運行のようである

私の目の前には猫ラーメン、最近の私の栄養価を担っているのがこの一杯だけなんかじゃないかと思ってしまうくらい

私はこのラーメンを食べている気がする……だが、今回は明らかな相違点がある

最近の私小津のおごりで猫ラーメンにありついていたのだが、今回は私のおごりなのである

おごる相手は小津でない、小津でなければ明石さんでもない

であれば、私は一体誰にこの猫ラーメンをおごっているのだろうか?


答えは明白である、私の隣で猫ラーメンの屋台の横長のイスを半分陣取っている金髪美女である

セイバー「これが……マスターの好物」

彼女、名はアルトリアという少女である

私「いやぁ、今の私にはこのような物しか振舞えませんが……どうぞ」


店主の表情が少し変わったようだが、紳士モードを貫く私は全く気づいていなかった
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/16(月) 20:30:25.47 ID:+ffWbKmX0
セイバー「んっ……大変美味です、これは何という料理なのですか?」

私「これは猫ラーメンという食べ物だ、猫でダシを取っているという噂をバックにもつ謎のラーメンだけれど、味は無類の一言であろう?」

セイバー「はい、無類です」

私「そうか、よかったよ、連れてきて」

セイバー「はい、こちらこそありがとうございます、マスター」

私「………」

セイバー「ネコラーメン…おもしろい名前ですね……あむっ…はふっ…」


ラーメンの麺をちゅるちゅる吸う彼女の姿も無類の極みであるのだが…


セイバー「うん……やはり大変美味です」

彼女は一体何者なのだろうか?



だがそれも、答えは明白なのだが…
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/16(月) 20:38:36.98 ID:+ffWbKmX0
私と彼女は猫ラーメンを堪能し、我が城、四畳半に戻る途中である

その帰路、彼女は私に自己紹介をしてくれた

セイバー「私のクラスはセイバー、騎士の英霊…真名はアルトリア」

その説明は行く時にも聞いた
どうやら私は本当に聖杯戦争なる物騒なお祭りに参加することになったようだ

自分でも分かるくらい足取りが重くなる…
猫ラーメンを食したせいなのか、それとも今後の不安によるものかは、今の私では判別できる状態ではなかった

何せ、こんな美少女を前にして上がらないわけがないのだ

今だって次に繋げる言葉を捜すのに一苦労なのである

それにしてもどうして私がこのような境地に立たされなければならないのか
責任者に問いただす必要がある
責任者はどこか

だがここは一先ず、気になっていたことを聞いてみることにした
我ながら気になるようなことに気が付くとは流石の一言である

私「それで…私はセイバーと呼べばいいのだろうか…」

セイバー「はい、そう呼んでくれて構いません、マスター」

セイバー…ふむ

紳士たるもの、レディが自分をアピールしたのならば
それに応えるのが義務であり礼儀であろう

私「なるほど、君が小津の言っていた最優のクラスか…どうやら私は当たりを引いたようだ」

セイバー「はい、必ずや聖杯はこの私が手に入れて見せます、マスター」

精悍な顔つきのセイバーは胸を張って答えてくれた


小ぶりな胸が私の目の前で僅かだが揺れた…気がする
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/16(月) 20:44:29.81 ID:+ffWbKmX0
真夜中の京の街にまるで計ったように妖怪のナリをした男が姿を現した

その背にはさらに不気味な姿をした男も立っている
白い髑髏の仮面で顔面を覆っており、全身はまさに闇を纏っているかのように黒一色であり、


その雰囲気はまるで人のそれとは程遠いものである

暗闇の中で妖怪の男は白く光るギザギザの歯をまるで見せ付けるかのように口を歪ませ、声を発した

小津「どうやら彼、セイバーを引き当てたようですよ、運のいい……真名のほうは確認できましたか?」

アサシン「いいえ、ここからの距離では…」

小津「ふーん、まぁいいでしょう、聖杯戦争もここからですし、焦ることもありませんね」

小津「………いや『前回』よりは急ぎましょう、じゃないと…」


ニヤ…
そんな擬音が聞こえてしまうほど、男の笑みは嫌味っぽく、そして嬉々としていた
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/16(月) 22:16:43.74 ID:Bb14+hKSO
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/04/17(火) 00:34:38.18 ID:yvEfnqfAO

はてさて他にどれだけの阿呆が参加してくるのやら
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/04/17(火) 04:00:13.66 ID:WEZ1rbjZo
アサシン似合いすぎだな
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/21(土) 20:18:42.80 ID:x2oJCdzS0
セイバー「っ!?」

私「?どうかしたのか?セイバー?」

突然セイバーの顔つきは険しいものとなっていた
まるで今から戦へと赴くような凛々しいものだった

セイバー「…マスター…どうやら近くに他のサーヴァントの気配が」

私「なっ!?」

なんと、近くに敵の気配をセイバーは感じ取ったようだ
恐るべしセイバー、彼女が本当に人間であったのだろうかと疑ってしまうほどである

だが今の私にそんなことを深く考え込む余裕は無く、頭の中はすぐに恐怖と困惑で一杯になってしまった

私「!ま、まだ心の準備が…」

セイバー「この近くならあちらも気づいているはずです……私はもう戦える状態にあります、マスター…」

私の情けないセリフを流したのだろうか、セイバーはもうとっくに臨戦態勢に入っていた
しかもものすごい熱い視線でこちらを見てくるのだ

セイバー「………」

私「………」

そして状況から考えて、もしセイバーの願いを断れば熱い視線がレーザービームのような物騒なものに変わってしまいそうな
気がしてきた


私「………わかった、ならば共に行こう、セイバー」

セイバー「感謝します、マスター」


仕方なく了承してしまったが、視線に怯むぐらいの私がセイバーと共に行って邪魔にならないだろうか

そんな情けない疑問が浮かぶが、深夜の謎のテンションともしかしたら魔法で敵を蹴散らすことが出来るのではないかという期待のおかげで、なんとかなるのではないかと思えてきた


そう、この時までは
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/21(土) 20:40:10.17 ID:x2oJCdzS0
ここは鴨大橋
もう朝の三時過ぎだというのにそのサーヴァントが本当に居るのか
些か不安であったが、その不安は悲しくも杞憂で終わってしまった、何で終わったのだ、もう少し居座ってもよかったのに

そこには赤い外套を身に纏った浅黒い肌の男と
セイバーに負けず劣らずの凛々しい顔つきの明石さんが居た

まさか初戦から彼女と対峙することになるなんて思いもよらなかった
相手があの小津なら本気でいける気がするのだが…

アーチャー「さて、君は一体何のサーヴァントだろうな、風体からしてセイバー辺りか」

セイバー「そういう貴様はアーチャーか…」

アーチャー「ああ、その通りだがどうして分かったのだろうか、お聞かせ願おうか」

セイバー「ただの直感だ、それ以外に無い」

アーチャー「フッ…騎士の直感か、それはまた曖昧なものに頼ったものだな…セイバー」


サーヴァント側は楽しく談笑をしているようだが、こちらはそうもいかない
知り合いと今から命を削りあう闘いを行おうとしているのだ、楽しくお話できるわけがない

ああ、もし違う状況で彼女とこの場で出会っていたらどうなっていたのだろう
そしたら夜の街から二人で逃げ、朝日の見える丘でゆっくり昇ってくる太陽を二人で観賞することが出来たかもしれない

そんな甘い展開

だがあの明石さんがそんなベタな展開に興味があるわけがない、見ていれば分かる

ならば一体どういう展開が彼女は好きなのだろうか


もし大学の先輩と殺しあい、血まみれの体を朝日が照らすなんて展開をお望みならば、私はこの場から即刻去る、即刻である


私「明石…さん」

明石「………」

明石「やっぱり、先輩とはこうなるんですね…残念です」

確かに残念である、非常に残念である、本当に残念だ
どうやらお互い戦いあうことを残念に思っているようだ、これでは仕方ない、戦うことなんてできるわけがない
よし、ここは中止の旨をセイバーに伝わねば

私「セイバー!今回の戦いはなしだ!相手側のマスターも拒んで…」

セイバー「マスター、剣を持った敵が私の目の前にいる以上……引く気は毛頭ありませんっ!」

アーチャー「そうだ、それでこそ聖杯戦争だ……行くぞセイバー!」

セイバー「来い!アーチャー!」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/21(土) 20:51:37.22 ID:x2oJCdzS0
私の申し出を無視し、セイバーはアーチャーとの戦闘を始めた

どうやら私と明石さんの思いはあのケンカ好きの二人には届かなかったようだ
嘆かわしい、なんとも嘆かわしい


そして鴨大橋の上で
金髪の美少女が褐色の男とお互いの刃と刃を交える

アーチャーは両手に短剣を持ち、セイバーは……何も持っていなかった
いやだが、アーチャーの剣がセイバーの元へと届いていない以上、セイバーも剣を持っているようであった

見えない剣…なのだろうか

そして短剣と見えない剣の鍔迫り合いはさらに激しさを増していった
剣同士の斬りあう音は黒板をひっかく音よりも鳥肌が立つものであった

そしてその光景はこの私が今この鴨大橋に存在しているのか
分からなくなってしまうほどに現実離れしていた

明石「すごいですね……私も召喚したものの、本当に殺し合いなんて物騒なことするのか半身半疑でした」

何を言っているのだ明石さん、私はいまだこの光景は小津の趣味の悪いドッキリなのではないかと疑っているというのに
というかドッキリであってくれたらよかったのに、小津の頭を丸刈りするくらいで許してやったというのに


セイバー「はぁっ!」

セイバーの一振りがアーチャーの目の前で停止する
アーチャーが両手に持つ短剣によってその動きを止められているようであった

アーチャー「ふっ…動きが鈍いぞ!セイバー!」

セイバー「なっ!」

そしてアーチャーは短剣を十字に重ね、セイバーの見えない剣をはじき、セイバーの体は宙に浮いた、一体アーチャーの筋力はどれほどなのだろうか

アーチャー「軽いな!……セイバー、お前のクラスが泣いているぞ?」

セイバー「くっ……舐めるなぁ!」

私「………」

そしてセイバーは空中で体勢を作り直し、アーチャーに向かっていった

あんな動きを人間の体がこなすことが出来るということに驚きが隠せなかった

32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/04/24(火) 08:08:12.66 ID:6T++4zqy0
うむ、よきかなよきかな
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/04/26(木) 01:00:02.42 ID:mkxBf4gZ0
あれ、まともに戦闘してる?
てっきり能力の無駄遣いな阿呆をすると思ったものだが
34 :前回から文が乱れてますがスルーで :2012/04/27(金) 23:36:08.51 ID:W6TCZhS80
だがアーチャーはその動きを呼んだかのように飛んだ
そう橋からその下の川へと

セイバー「っ…くっ!」

そしてセイバーもアーチャーを追って、鴨大橋から落ちていく…

私「………」

だが私はそれをただ静観することしかできなかった
彼女のマスターはこの私だというのに

私は見てることしかできないのだろうか

それに紳士が女の子の危機にボーっとすることしかできないというのもカッコが悪いな、実にカッコ悪い

だがこの橋からあの川へと飛び込みでもしたら確実に無事ではすまないだろう
いつも不摂生な生活を送っている私だから骨の一つや二つ、折れても仕方ないだろう


だから私はもう一度願う、ドッキリであってくれ、お願いだから
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/27(金) 23:38:52.59 ID:W6TCZhS80
明石「先輩…私たちはどうしましょう?」

私「!……どうしましょうと言われてもだな、明石さん」

本当にどうするのだろうか、こんな状況で一体私たちはどうすればよいのだろうか
お互いのサーヴァントの健闘でも祈るのであろうか

明石「なら交渉といきましょう、私のアーチャーになんとか先輩とセイバーさんをこれ以上傷つけさせないように言います……その代わり」

まさかの明石さんからの提案である
うむ、穏便に済むのであれば飲もう、一気飲みする所存である
…だが

私「……その代わり?」
そうだ、彼女はこの私に提案と同時に条件を突きつけている

明石「簡単なことですよ、先輩の令呪を私にください、すべて」
そう、この私の令呪をすべて譲渡するというのが条件らしい

私「………は?…すべて?」

明石「はい、三つすべてです」

私「………」
三つすべて…それでセイバーは傷つかず、誰もイヤな思いをしないで朝を迎えることができる
だが…

明石「先輩にとってもいい条件のはずですよ……さぁ、その右手を私に差し出してください」

私「………」

確かに明石さんの言うとおりである
令呪さえ渡せば、私はこんな争い事から身を引くことができる

だが、やはり…

明石「でなければ……私が魔術で実力行使といきます…それでも?」

私「………」
だが、私にはこの右手の令呪を渡すことができない…
なぜなら…

―――――はい、聖杯は必ず私が手に入れて見せます―――――

凜とした表情のセイバーが発した言葉は自信に満ち溢れていた
まるで、本当に聖杯なるものを手に入れると思っているかのように

いや、彼女は本当に手に入れるつもりなのだろう
でなければあんな顔はしない

この私でも分かる、あの時のセイバーは本気だったのだ
なら答えは一つだ、明石さんの要求は飲めない

もし、私が明石さんの要求を飲めば私はセイバーのことを裏切ることになるだろう
彼女の自信、覚悟をマスターであるこの私が壊すことになるのだろう

だから、私は今だけでも、セイバーを信じてやりたい
だから、私は明石さんの要求を断る

明石さんには素直に謝ろう、私は…

セイバーを裏切ることはできない

ドクンッ…

明石「決まりましたか?先輩?」

私「……すまない明石さん、私は…」

私「セイバーを信じることに…する」

明石「………」
明石「そうですか……なら…」

私「……なら?」


明石「なら…死んでも構わないのですね…先輩?」

私「ッ!?」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/27(金) 23:41:14.70 ID:W6TCZhS80
小津「うわぁ、なんてことでしょうねぇ…まさか初っ端からあの二人が…」

アサシン「気になりますか?マスター?」


小津「ええ、なにせあの明石さんがあんな大胆不敵な感じになっちゃうなんて驚きですよ〜、いやホントに」

アサシン「……マスター、今ならセイバーとアーチャーのマスターを狙うチャンスでは?」

小津「ええ、標的はできるだけ減るほうがいいですけど、僕らはまだまだ傍観する方向で行きましょう」


アサシン「………承知致しました」

小津「ふひひひひひ…夜はまだまだ長いんですよ、アサシンさん」

アサシン「………」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/04/27(金) 23:46:49.80 ID:R3e63Rqi0
サークルの数だけある平行世界にサーヴァント達も付き合わされるんだろうか。
いずれにせよ期待する。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) :2012/04/27(金) 23:50:02.06 ID:W6TCZhS80
セイバー「はぁ!」

セイバーの見えない刃がアーチャーの持つ短刀と削りあう
時に火花が散り、時に地がえぐれる

セイバー「ぐっ…」

アーチャー「どうしたセイバー、剣が重くなったのか?随分と動きが鈍く見えるぞ!」

セイバー「ッ…」ギリッ…

アーチャーの双剣がセイバーを推していく
セイバーも見えない剣でアーチャーの双剣をさばいているが、アーチャーの動きは早く、セイバーの剣では間に合っていなかった

アーチャー「……セイバー、君への魔翌力の供給が足りていないのではないのか?はぁぁっ!」

ズバンッ!

セイバー「くっ…」

アーチャーの一振りがセイバーの見えない剣と鎧を切り裂く
その一閃はセイバーの外装である鎧にはまるで傷一つ付いていないかった、だが

セイバー「…はぁ……はぁ…」

セイバーの体力を大きく削いでいた
結構な体力を奪われたのだろう、セイバーは見えない剣を地に突き刺し、剣の柄に両の手を乗せ、息を整えている

アーチャー「フッ…確かにあのマスターでは致し方ないだろうがな」

セイバー「…はぁ…はぁ…」

アーチャー「今頃この私のマスター、アカシの手によって地に這いつくばっているだろうな……あのような脆弱なマスターでは」

セイバー「………はぁ…はぁ…アーチャー…」

アーチャー「ん?」

セイバー「この私を…招いたマスターだ……愚弄することは…」

息を整えたセイバーは再び剣を握る
目の前の敵を打ち砕くために

己のマスターを侮辱した敵を叩きのめすために

セイバー「許さないっ!」
39 :訂正 :2012/04/27(金) 23:51:49.67 ID:W6TCZhS80
セイバー「はぁ!」

セイバーの見えない刃がアーチャーの持つ短刀と削りあう
時に火花が散り、時に地がえぐれる

セイバー「ぐっ…」

アーチャー「どうしたセイバー、剣が重くなったのか?随分と動きが鈍く見えるぞ!」

セイバー「ッ…」ギリッ…

アーチャーの双剣がセイバーを推していく
セイバーも見えない剣でアーチャーの双剣をさばいているが、アーチャーの動きは早く、セイバーの剣では間に合っていなかった

アーチャー「……セイバー、君への魔翌翌翌力の供給が足りていないのではないのか?はぁぁっ!」

ズバンッ!

セイバー「くっ…」

アーチャーの一振りがセイバーの見えない剣と鎧を切り裂く
その一閃はセイバーの外装である鎧にはまるで傷一つ付いていないかった、だが

セイバー「…はぁ……はぁ…」

セイバーの体力を大きく削いでいた
結構な体力を奪われたのだろう、セイバーは見えない剣を地に突き刺し、剣の柄に両の手を乗せ、息を整えている

アーチャー「フッ…確かにあのマスターでは致し方ないだろうがな」

セイバー「…はぁ…はぁ…」

アーチャー「今頃この私のマスター、アカシの手によって地に這いつくばっているだろうな……あのような脆弱なマスターでは」

セイバー「………はぁ…はぁ…アーチャー…」

アーチャー「ん?」

セイバー「この私を…招いたマスターだ……愚弄することは…」

息を整えたセイバーは再び剣を握る

己のマスターを侮辱した敵を叩きのめすために

セイバー「許さないっ!」
40 :さらにさらに訂正、すいません [saga]:2012/04/27(金) 23:52:50.43 ID:W6TCZhS80
セイバー「はぁ!」

セイバーの見えない刃がアーチャーの持つ短刀と削りあう
時に火花が散り、時に地がえぐれる

セイバー「ぐっ…」

アーチャー「どうしたセイバー、剣が重くなったのか?随分と動きが鈍く見えるぞ!」

セイバー「ッ…」ギリッ…

アーチャーの双剣がセイバーを推していく
セイバーも見えない剣でアーチャーの双剣をさばいているが、アーチャーの動きは早く、セイバーの剣では間に合っていなかった

アーチャー「……セイバー、君への魔力の供給が足りていないのではないのか?はぁぁっ!」

ズバンッ!

セイバー「くっ…」

アーチャーの一振りがセイバーの見えない剣と鎧を切り裂く
その一閃はセイバーの外装である鎧にはまるで傷一つ付いていないかった、だが

セイバー「…はぁ……はぁ…」

セイバーの体力を大きく削いでいた
結構な体力を奪われたのだろう、セイバーは見えない剣を地に突き刺し、剣の柄に両の手を乗せ、息を整えている

アーチャー「フッ…確かにあのマスターでは致し方ないだろうがな」

セイバー「…はぁ…はぁ…」

アーチャー「今頃この私のマスター、アカシの手によって地に這いつくばっているだろうな……あのような脆弱なマスターでは」

セイバー「………はぁ…はぁ…アーチャー…」

アーチャー「ん?」

セイバー「この私を…招いたマスターだ……愚弄することは…」

息を整えたセイバーは再び剣を握る

己のマスターを侮辱した敵を叩きのめすために

セイバー「許さないっ!」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/05/01(火) 21:55:34.66 ID:qzLwo1XAO
続きはまだかい
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/08(火) 20:36:11.43 ID:2r/cvOIf0
私「………」

明石「……先輩、死にたいのですか?」

私「いやそう言われてもだな明石さん……私は…」

明石「私は…何ですか?」

私「私は…」

君と戦いたくないなんて臭い台詞、口が裂けても言えるわけがない、いやこの状況なら言わねばならないのだろうが
なにせ自分の体が四方八方に裂けて飛んでしまう可能性があるのだ、今も明石さんの異常な雰囲気のせいで体が縮みそうである、夜中にSOS信号を出して助けてくれるような心優しい京都人は居るのだろうか?
居たら早く顔を出してほしい、耐魔法を得意とする奇妙な人のみであるが


それにもしこの私が戦うにしてもこの私には戦う術を存じていない
いや、そんなの明石さんも同じではなかろうか?


あの物騒な言葉も自分の後ろにあのサーヴァントがいるから言えたことであって…

もしそうであるならばハッタリを言ってまで背伸びする明石さんも中々に愛らしいと私は…


ズガンッ!

私の中で垂れ流されているしょうもない心の声を消し去るほどの衝撃が風となって私のほうに飛んできた

明石「………」

私「あ、明石さんは何の力も無い筈じゃ……」

明石「何を言っているんですか先輩、私はちゃんと戦う力を有しています……ほら、この通り」

ズガンッ!

私「ひっ!?」

彼女の指先から魔力を帯びた弾丸が射出される
その一撃は私の5メートル後ろにある建物の壁をえぐるほどである

いや、その調子では京都住民に迷惑が掛かってしまうのでは明石さん!?

それにしても私という人間は自分の身が危険だというのに暢気なことである
今にも明石さんが第三射を射出しようとしているのに

明石「この魔術はガンドと言って、北欧の魔術らしいです」

私「そ、そうなのか…」

明石「本来は呪いの魔術らしいのですが、強力なものは直接的にダメージを与えることができるらしいですよ」

私「な、なるほど…ということはその強力なものが…?」

明石「はい、今私が行使してるガンドです」


私「!?」

明石「確実に避けてくださいね先輩…じゃないと」


明石「腕の骨一本、簡単に砕けてしまいますから」

ズガンッ!
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/08(火) 20:42:55.13 ID:2r/cvOIf0
アーチャー「アカシの奴、容赦が無さそうだな」

セイバー「ッ…」

アーチャー「フン、行け……自らのマスターが心配のはお互い様のようだ」

セイバー「……良い闘いでした、アーチャー…あなたと剣を交えられたことを嬉しく思う」

アーチャー「フッ…剣士の英霊相手に弓兵が出過ぎた真似をしたようだ、だがその言葉、素直に受け取ろう」

セイバー「…それでは」タッ

アーチャー「………」

アーチャー「セイバー」

セイバー「…はい?」

アーチャー「この聖杯戦争、ただでは済みそうにないぞ」

セイバー「………」

アーチャー「アカシが会っていた男、名をオズと言った……そいつには気をつけろ………何か企んでいるはずだ」

セイバー「…はい、承知しましたアーチャー…それでは」ザシュッ

セイバー(オズ…)
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/08(火) 20:49:54.80 ID:2r/cvOIf0
私と明石さんは夜の木屋町通に差し掛かった

私「はぁ…はぁ…」

流石にまともに運動という運動をしてこなかったせいか、全身で呼吸をしなければこの激しい動悸を止められそうにないようだ
後ろを振り返り明石さんのお顔を拝見してみたが、私程ではないけどもうっすら汗のようなものが見える


私「はぁ…はぁ…」

いまだに調子が戻らない体を有する自分に嫌気がさしてきた、
運動という行為が人間には必須だということが分かる瞬間であると同時に私の体は堕落しきって、立派な大学四年生とは言えないような体であると自覚した瞬間であった


そんなことを考えているうちに、明石さんはとっくに両の手で銃を作り、その人差し指をこちらに向けていた

私に向けられている明石さんの指先は吸い込まれてしまいそうなほどに、白くきれいであった

私「………」

命の危機であるというのに、こんなことを考えている私はきっと、劣情のみなら成人男性の規定値をはるかに超えた猿学生であるのだろう


私「まだ…やるのか…?」

明石「当たり前ですよ、私たちはマスター…お互いを殺しあわなければ聖杯に手は届かないんですから」

私「………明石さんは」

明石「?…はい?」

私「明石さんは聖杯に…何を願うのだ?」

無粋な質問であっただろうか

だが今の私には時間を稼がなければならない
こんな私でも自分の命は惜しいからである、巡回中のおまわりさんよ、早く来てほしい切実に

明石「…そういえばまだ考えていませんでしたね……そうですね…」

私「………」

やっと体の調子が戻ってきたようだ
これで後500メートルは走れそうな気がする、いや、500メートルでこの状況が好転するかは難しいところであるが…

明石「……ならこういうのはどうでしょう?」


私に聞いてきた
自分の願いを、提案するかのように聞かれてもだな…


明石「世界中の蛾を死滅させるというのは?」



私「………」

明石さん、聞いた私がおろかであったよ
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/08(火) 20:55:32.82 ID:2r/cvOIf0
私「それが…君の願いなのか…?」

明石「まぁ、暫定的ではありますが……それでは」

私「!?」

明石「私の願いのために……倒れてください、先輩っ!」

ズガンッ!

私の腹部にガンドが直撃した
猛烈な痛みが腹から上へと昇っていく


私「かっ…はっ…」


ぱたた、と、地面に私の吐血が零れた

そして全身からぷつぷつと毛穴が開き、体中から蒸気という蒸気が放出されるのを感じ取れた

汗が吹き出る、涙も出てきた
無様に血が混じった涎がたらりと口から落ちるのが私の両の目で見えた

なんとも無様である

明石さんはこんな私の情けない姿を見てどう思っているのだろうか

私「あっ…ぐぅ…っ」

想像すると悲しくなってきてしまった


本当に悲しくなってきた

そして、それと同時に

焦り
痛み

そして、後悔

私の中でそんな負の感情が渦を巻いていく
大きくなっていく…膨らんでいく…

私「はぁ……げほっ…はぁ…」


私は、死ぬのか?
こんな惨めな終わり方で

こんな

私「くっ……そぉ…」

こんな、しょうもない結果を残して

死んで、しまうのか?
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/08(火) 21:29:49.56 ID:2r/cvOIf0
イヤだ
まだ死ぬ気にはなれない

今までの人生、無駄という二文字の語句で片付けられるほどにちっぽけで平凡で誰からも評価されないものであったが

その人生を、こんな所で幕を下ろすのは早すぎるはずだ

まだだ、まだ私は生きたい
無様に抗ってみせる、命乞いだって必要ならば見事に決める自信がある

だから、私はまだこの灰色な人生の中で生きていきたい


たとえ、明石さんと血で血を洗う抗争になったとしても

たとえ、あのいけ好かないキザサーヴァントに斬られそうになったとしても


たとえ、この世界中で一番カッコ悪い姿になっても、私は、まだ生きたいっ!


ドクンッ―――


「問おう、貴方が私のマスターか」


私「………」

私「……」

私「…」


ああ、こんな頼りない男だが、セイバー、私が君のマスターだ



先輩は未だに立っていた
ガントを直接腹に決めたのに、立っているのである

全く信じられない、信じることができない、だから私は問うしかなかった

なぜまだ私の前に立っていられるのかを

明石「……どうして…まだ立っていられるんですか?」

明石「どうして…倒れてくれないんですか」

明石「どうしてですか先輩……自分が死ぬことよりも叶えたい願いなんて…」

先輩は一言も答えなかった
まさか立ちながら死んでいるのかもしれない

なら、後一発で終わりにしよう

明石「………でも先輩、これでもう最後ですよ先輩」

アーチャー『………』

明石「………」グッ…
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/08(火) 21:31:52.89 ID:2r/cvOIf0
彼の姿がちらつく

様々な苦痛を耐え抜いてきたかのように疲弊している彼の姿が

そんな彼の後ろで、私は彼にある問を投げようとしていた

重要な問であった

そう、この聖杯戦争の根幹にある、願いを叶えることである

明石『………アーチャー…あなたの願いって何なんですか?』

そう言った私のほうに彼は振り向いた
心なしか、顔の表情がいつもよりも険しく思えた

アーチャー『私の願いか?……君が聞いてもきっと幻滅するだけだ、そのくらい、無謀で、意味の無いことをしようとしているのだから』

明石『それでも、いつか私に話してもらえますか?……少なくとも、私はあなたのマスターなんですから、聞く義務はあるはずですよ』

アーチャー『フッ…何とも聞きたがりなご主人様だ……分かった、話そう、その時が来たのであればな』

明石『その時って…一体何時になるんでしょうか?』

アーチャー『さあね、私にはさっぱり分からないよ』

明石『……話す気、無いんですよね?』

アーチャー『フッ…どうだろうな…でもこんな私にも確立した願いがあるんだ……それを叶えるために力を貸してくれないか?我がマスター、アカシよ』

明石『……はい、私でよければ』


彼の最後の笑顔を私は忘れることが出来なかった

その笑顔には、私への期待、自分の願いを叶えたいという思いが詰まっている笑顔であった

こんなにも無力な私に期待し、そしてあんな笑顔を向けてくれた

そんな彼に、私は報いたい

まだ会って大して日数は経っていない、だから今まで彼がどんな戦いや、苦痛、そしてどんな思いをしてきたかも全く知らない
ただの形だけの主従関係である
赤の他人である

だが

それでも、今にも倒れてしまいそうな程に弱っている彼を支えられる力が私にあるのであれば
私は彼を、その力で救いたい


そして、私が、身を粉にしてでもこの聖杯戦争を勝ち抜き、彼が懇願とする願いを叶える機会を作れるのであれば
私は彼と、戦いたい


だから


明石「彼のために…倒れてください!先輩!」


ズガンッ!

そして放たれたガンドは

魔力を帯びながら先輩の目の前まで飛んでいき


虚空を滑っていった


ズガンッ!

私の目の前で盛大にコンクリートが破裂し、粉々になった

だがそんなことよりも私は目の前の光景を信じることが出来なかった


明石「………先輩が消えた…」

そう、先輩の姿が私の目の前から消えてしまったのだ
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/08(火) 21:38:59.50 ID:2r/cvOIf0
目が覚めて見た最初の光景はいつもの我が城四畳半の天井であった
いつの間にやら自分の城に舞い戻っているとはまことに驚きであったが

あの辛い現実から逃げれたというのは幸いであった

チリッ…チリッ…

頭の上で音がするので顔を上げてみたら、部屋の唯一の光源に蛾が数匹群がっていた
見ているこちらは大変気分が悪い、大変である

チリッ…チリッ…

普段はあまり気にしないタチなのだが普段の倍の量はあるので
流石に見過ごすことはできなかった

私にも潔癖という概念は少なからずあるのである

それに我が城に居座っても大したもてなしはできないので、気は引けるが追い出すことにした

私「このっ!このっ!」

傍にあった新聞などで追い出しを図ってみたが彼らはどうも私の四畳半の電灯を気に入ったらしい
どうもその場を離れる気が無いらしい

チリッ…チリッ…チリリッ…

私「むぅ…中々やるなこやつ等め」

何故だかこの蛾達はこの四畳半の唯一の光源である電灯にそうとうご執心のようだ
この少々頼りなく光っている電灯を愛してくれるのは私としても嬉しいのだが

私「………」

私「邪魔したくないのだが…ここは我慢してくれ」


チリッ…チリッ…


そして私は、蛾の群れの中から数匹手で捕まえて逃がすことにした
少々、ばっちい気もしないではないが
というか蛾を手で捕まえる今の私にはもう潔癖という概念は消失してしまったようなので、ばっちいも糞もないのであるが

私「さて、逃がして………」

そういえば、明石さんはちゃんと自分の家に帰ることが出来たのだろうか?
いや、私がちゃんと帰り着くことが出来たのだから、あの明石さんが帰れてないわけがないか

カッ!

私「なっ!?」

そう思った瞬間、我が城四畳半全体が白く光りだした

私「っ―――」

その光に私は、数匹の蛾を捕まえたまま、飲み込まれていった
49 :明石さんの地の文がまんま私だった、お恥ずかしい [saga]:2012/05/08(火) 21:50:03.86 ID:2r/cvOIf0
明石「イヤあああああああああああああああああ!!!」

私「………ここは」

私が目覚めて最初に聞いた音は明石さんの悲鳴であった
そしてたった今さっきまであった四畳半の面影は空の彼方にまで飛んでいったのか
真夜中の木屋町通であった

明石「蛾っ!?蛾っ!?い、いやあああああああああああああああ!!!」

私「……私は確か…四畳半に…」

だが私今寝そべっていた場所は使い古した布団ではなく、木屋町通のコンクリートであった
やはり、我が城四畳半が消えてしまった

私「………夢…であったのか…?」

明石「い、いやああああああああああ!」

明石さんの悲鳴が夜の京の町に響き渡るが全く気にも止めることが出来なかった
そのくらい、今の状況に私は困惑していた
やはり、今さっきの四畳半は夢であったのだろうか

出来ることなら、この状況が夢であってほしかったのだが


パタパタ…

その時

私「っ!?」

私の目の前を数匹の蛾が飛んでいた

そう、あの四畳半の光源である電灯に群がり、優雅に舞い踊っていたあの蛾たちであった

私「………」

私「!ち、違う、夢ではなかったのか…」
私はやっとこのとき、あの四畳半が夢でないことに気がついた

何故なら

私「あの時の蛾……そして私の手のひらに残る鱗粉…」

私の手にはべったりと鱗粉が残っていた
どうやら消去法で選んだあの行動が功を奏したようだ

だが、ここでまた一つの疑問が浮上してきた

私「なら…あの四畳半は一体…」

明石「イヤあああああああああああああああああ」

白んできた空の下、明石さんの悲鳴がこだましていた
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/08(火) 22:20:51.58 ID:je56CUdso
私すごいな
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/22(火) 19:55:45.20 ID:aonpplDp0
明石「分かりました、休戦を呑みましょう」

私「よかった…」

本当によかった
あの時蛾を掴まない選択をしていたら私の体は今頃どうなっていたのだろうか


アーチャー「セイバー、どうやら私たちの決着は当分先のようだな」

セイバー「ああ、そのようだな…アーチャー」

アーチャー「………楽しみにしているぞ」

私「……はぁ…ふわぁあぁああ…」

安堵から来たせいなのかそれとも寝不足だったのかは知らないが思わず私は大きなあくびをしてしまった
なんとも空気を読めないタイミングである、我ながらなんと阿呆な体を所持してしまったのだろう

アーチャー「ふっ…緊張感の欠片もないマスターだな」

私「なっ…」

明石「いかにも先輩らしいです」

私「………」

ここまで情けない私が明石さんにとっての私らしい

かなり精神的に来てしまった、かなりである


その後、明石さんとアーチャーは共に朝日が昇ってきた時間帯に帰っていった
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/22(火) 20:05:36.68 ID:aonpplDp0
お互い会話の無いまま下鴨幽水荘への道をひたすら歩いていた
時折ゴミ出しに出ているおばさんなどに不審な目で見られた
当分、この道は利用できなくなるかもしれない

そして廃墟同然の下鴨幽水荘が見えてきた時

妖怪のようなものがもう朝だというのに顔を出してきた
迷惑である、せっかくこの心地よい眠気と共に眠りに付こうと思ったのだが完全に醒めてしまった

小津「おはようございます、そして、聖杯戦争第一戦お疲れ様でした〜」

私「………」

へらへらと笑っている、なんとも暢気な奴である
こっちは生死の境目を京の町と平行しながら走っていたというのに

小津「勝てるとは思いませんでしたが、まさか休戦に持ち込むとは中々やりますね、感心しましたよ」

私「お前に褒められても不愉快なだけだ」

小津「あぁ〜ん、そんな寂しいこと、い・わ・な・い・で」

私「気色が悪い、寄るな」

小津「夜風が冷たいの」ピトッ

私「もう朝だ」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [saga]:2012/05/22(火) 20:06:35.29 ID:aonpplDp0
セイバー「……マスター、この方は?」

私「ああ、私の人生最大の汚点である男、小津だ」

小津「そういうセリフは結構響くもんですね、こ・こ・ろ・に♪」

セイバー「………」

小津「あ、もうセイバーちゃん、剣は納めて収めて」

私「!?」

なんと、セイバーが小津相手に剣を向けようとしていたらしい、全くその剣は見えないが
まあ確かにこのナリでは襲われても仕方が無いと思うが…

だがやはり知り合いが目の前で切り刻まれるのは心が痛いと思う私が居た

なので仕方なく、全く気は進まないが、小津を助けることにした

私「待ってくれセイバー!こいつはお前の戦う相手ではない!サーヴァントではないんだ!確かにこの姿では勘違いされても致し方ないであろうが…」

小津「ちょっと失礼じゃないですか?アナタ」

私「だからその剣は収めてくれ!」

セイバー「……マスター、私達の敵はサーヴァントのみではない…分かっているのですか?」

私「だが目の前で私の知り合いが殺されるのは見過ごせん!ここは落ち着いてくれセイバー!」

セイバー「………仕方ありません…だがオズとやら」

小津「?はい、何でしょう?」

セイバー「次に私の前に立った時、その足で立っていられるとは思わないでください……次は必ず…」

小津「………」

セイバー「我が剣で貴方を斬ります」

小津「……それではまた今度」

私「………」

小津「頑張ってくださいね…本当に」


そういい残して小津は消えていった

そして空も黒から青へとシフトチェンジを済ませていた
もうそろそろ帰らねば睡眠欲の限界まで来ていた

私「…帰ろう、我が家に」

セイバー「……はい、マスター」


そういう彼女の表情は僕らの上の景色とは対照的に

ひどく、曇っているように見えた
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 02:17:26.49 ID:dizlTscTo
他のマスターとサーヴァントの組み合わせが気になるな
期待
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