このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

裡沙「もう、隠しヒロインだなんて言わせないもん!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:12:03.96 ID:SoTCbUQ50
裡沙「橘君……決心したんだね。あの日のことを振り切って、楽しいクリスマスを過ごす

事」


裡沙「彼にとって大きなトラウマのはずなのに、それを振り切ろうとするなんて……やっ

ぱり、凄いよ」


裡沙「……私は、どうするの?」


裡沙「影からじっと見つめているだけの私。他の女性を自分の所為で蹴落として、安心し

ているだけの……臆病な私」


裡沙「……ダメだ! そんな調子だったら、私……あの人と一緒に歩く資格すらないよ!




裡沙「そんな私も……勇気を、出さなくちゃ。橘君だって勇気を出したんだから!」


裡沙「……でも、私が仮に告白しても、彼はOKしてくれる?」


裡沙「彼に振り向いてもらうように、家事とかはある程度頑張った。でも、私にはそれだ

け……森島先輩のようにすっごく綺麗なわけでもないし、あの人のクラスメイトである絢

辻さんのように優等生なわけでもない……」


裡沙「だから、陰でこそこそと動いてきたんだ……嘘の情報を流して、色々な女子に、あ

の人のことを諦めてもらって……」


裡沙「今考えると、私、ひどいことをしてたんだね。あの人から勝手に女子を遠ざけて…

…彼もそれを少し望んではいたけど、それでも、私がそれをされるとなると……すっごく

傷つくね」


裡沙「……ますます自己嫌悪が強くなっちゃった。……ダメだ、今の私のままだったら…

…絶対にあの人に認めてもらえない」


裡沙「……でも、私がそばにいなかったら……二年前の時と同じようなことが起きないっ

ていう保証もできない。そうだよ! 私だったら絶対にそんなことしない! あの人を愛

している気持ちだったら、誰にだって負けない!」


裡沙「でも、状況はかなり危ないような気がする。彼に近しい女子をピックアップしてい

ったけど……まさか全学年で6人の女子とも仲良くなってるだなんて……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1334517123(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:14:13.48 ID:SoTCbUQ50
裡沙「しかも、私と比べものにならないぐらい、すっごく綺麗だったり、可愛い子だったり……この一年の子なんて、学校でトップ5に入るぐらいの胸の大きさじゃない!?」

裡沙「幼なじみである桜井さんは……すっごく優しいって評判だし、何より彼と学校の中で一番長い付き合い、つまり、彼のことを一番知っているであろう人物」

裡沙「彼と同じクラスの絢辻さんは……絵にかいたような優等生で、しかも年相応に綺麗で、同学年からの憧れの存在」

裡沙「彼の中学時代からの親友である棚町さん……同じ中学だったから分かるけど、あの人、私と違って目立つし、行動が出来るし、ある意味、彼と一番近しい存在だよね」

裡沙「一年生の後輩、水泳部の七咲さん……スレンダーな体型に、他の子にはないクールな感じはポイントが高いかも。でも謎なところも多いから、要チェックだね」

裡沙「もう一人の後輩、お嬢様だって有名な中多さん……さっきも言った通り、あの犯罪級のバスト、そして凶器にもなり得るおしとやかな雰囲気。彼って胸の大きい人が好きだから、油断ならないね」

裡沙「そして、学校中の男子の憧れ、森島先輩……あの笑顔、雰囲気、仕草、性格、まさに男殺しとして生まれたような人だよ。正直、あの人には勝てそうにない」

裡沙「…………う〜、ダメだ、データ化してみたら、もっと自信なくなっちゃった。このメンツには、私、勝てそうにないよぉ……」

裡沙「やっぱり、いつものように……ダメダメ!! これじゃいつもの私でしかない! 私だって、勇気を出して変わるんだって決心したんだから!」

裡沙「……よく考えろ、私! 私が、この人達の中でも勝てそうな要素……要素……」

裡沙「そうだよ! 愛だよ! 私、橘君のためだったら何でもできる! 死ぬことだっていとわない! そう、幼なじみでも出来ないような、あ、あ、あんなことだったり……こんなこと……///」

裡沙「だったら、橘君にとにかく尽くせばいい! まずは友達から! そして私なりのアプローチを続けて、彼を振り向かせるんだ!」

裡沙「でも彼、超がつくほどの鈍感さんだから、一筋縄じゃいかないことだってわかる。だから、あえて焦らずに、じっくりとアプローチをすればいい」

裡沙「よし! 私、上崎裡沙は! 今までの私を捨てて、彼の恋仲となるべく! 積極的な私を目指すんだから!」

裡沙「待っててね……橘君!」
3 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:15:26.40 ID:SoTCbUQ50
【学校・二年生トイレそば:休み時間】

純一「しまった……またハンカチをなくしちゃった」

純一「とはいっても、今回は美也のハンカチなんかじゃないんだけれど……」

純一「偶然そばにあったイナゴマスクのハンカチだからなぁ……あまり女子とかには拾われたくないなぁ」

純一「子供っぽい、とか、そんなことを言われるのだろうか……はぁ。いや、その前にハンカチ、ハンカチ……」

???「あ、あの、橘君?」

純一「え?」

???「どうしたの、かな? トイレのそばできょろきょろして」

純一「え!? あ、ああ、ちょっと落し物を探しててね。ごめん、邪魔だったかな?」

???「う、ううん! 全然そんなんじゃなくて……何か、困ってるような感じだったから」

純一「ああ。まぁ、落とすと困るものだったから」

???「……ねぇ、落し物って、もしかして、これ?」

純一「ん? ……あっ、それは!?」
4 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:16:13.31 ID:SoTCbUQ50
???「さっき廊下を通った時、これが落ちてたんだ。もしかしたら、って思ったんだけど……正解だった?」

純一「あ、うん。探してたハンカチだ……」

純一(ああ、まさか女子に、それもポニーテールの可愛い子に拾われるなんて……出会いがしら、微妙なイメージを抱かせてしまった)

???「はい、ハンカチ。よかったね、早めに見つかって」

純一「は、ははは。ありがとう」

???「それって、確かイナゴマスク、だよね?」

純一「う、うん」

純一(あれ? 予想外の反応だな)

???「へぇ、あまり知らないんだけど……かっこいいね。男の子が憧れるのも、少し分かるような」

純一「そ、そう! 悪を挫き、正義を貫く! そのヒーローたる姿勢は、永遠の男の憧れだよ!」

???「ふふっ、それは確かに憧れちゃうなぁ。……イナゴマスクについて、詳しいの?」

純一「う、うん! 初回から欠かさずチェックしてるし、続編である『イナゴマスクG3』もしっかり見てるよ」

???「へぇ……じゃあ、さ。教えてくれないかな? イナゴマスクについて、色々と」

純一「……へ?」
5 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:17:02.52 ID:SoTCbUQ50
???「いやね、実は少し前から興味自体は持ってたんだけど、なかなか見るきっかけがなかったんだ。でも、人から教えてもらったら、私ももっと興味を持つようになると思って」

純一「珍しいね、女子でそう言ってくれる子は、なかなかいないよ」

???「そうかもね。あ、あと……」

純一「あと?」

???「橘君と、話してみたかったから、かな」

純一「えっ!? ぼ、僕と!?」

???「うん。たまに、橘君が、男子何人かと、楽しそうな顔で話してるところをみかけるんだけど……その様子を見ると、私も混ぜて欲しいなぁ、って思うようになってね」

純一(うっ!? こ、心当たりはあるけど……おそらくお宝本会議の時だな)

???「わ、私、男友達とかいないから……よかったらでいいんだけど……」

純一「?」

???「と、友達に、なってほしい、です」

純一「……僕と?」
6 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:18:47.14 ID:SoTCbUQ50
???「う、うん! 変、かな? こんなことをお願いするなんて……」

純一「ううん! むしろこっちがお願いしたいぐらいだよ!」

???「ほ、ほんと!? ありがとう!」

純一(随分と喜んでくれているな……それにしても、わざわざ友達になりたいって言うのも珍しい。それもポニーテールのこんな可愛い子が)

???「え、えっと! 私の名前は上崎 裡沙。2−Cなんだ。よろしくね」

純一「あ、うん。よろしく」

裡沙「……ふふ」

純一「? ……なんだか、随分と楽しそうだね」

裡沙「ふぇっ!? あ、そ、その……嬉しくて、つい」

純一「は、はぁ……」

裡沙「じゃ、じゃあね! 暇な時は、話しかけてくれると嬉しいな!///」

タッタッタ

純一「え!? あ、ちょっと……すごい勢いで行っちゃった」

純一(恥ずかしがり屋なのかな? ……それにしても、友達になってくれないか、か……。なんだかむずがゆいセリフだけど、結構勇気が必要だよな。……上崎 裡沙さんか)

純一「可愛かったな……」

純一(でも、気のせいかなぁ? かすかに見覚えがあったような顔だったけど)
7 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:21:40.17 ID:SoTCbUQ50
裡沙(はぁ……はぁ……すっごくドキドキした。こんなにドキドキしたのは久しぶり)

裡沙(……ちょっと強引だったけど、これで橘君と友達になれた! やった! 長年の望みの一つが叶っちゃった!? それも案外あっさり!)

裡沙(はぁ……もう、陰でこそこそせずに、顔と顔をあわせてあなたと話せるなんて……夢みたい)

裡沙(うれしい……こんなに嬉しい。でも、ここで満足できない……最終的には、あの人のそばで、ずーっと愛することなんだから)

裡沙(チャンスは掴みとれた。最近のお宝本の傾向を見て、髪形をポニーテールにしてみたし、実際、橘君も髪に目が行ってたし)

裡沙(ふふっ……明日からが、すっごく楽しみだな)

裡沙(でも、さすがに私のことは覚えてくれてなかったか。そうだよね、私地味だし、ずっとこそこそとやってきたんだから)

裡沙(そうだよ! 今度こそ、しっかりと私のことを、橘君に刻み込むんだから!)
8 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:23:55.45 ID:SoTCbUQ50
【翌日:学校・屋上:休み時間】

純一「ふぅ……この季節の風は冷たいけど、眠気覚ましにはもってこいなんだよなぁ」

純一「世界史の授業は本当に眠くなって困まっちゃうよ」

ブルル……

純一「……さすがに寒いな。教室にもどる――」

???「偶然だね、橘君」

純一「え? ……あ、確かあなたは……」

裡沙「他人行儀に『あなた』なんていいよ。普通に裡沙って呼んで」

純一「え、でもさすがに失礼じゃ……」

裡沙「ううん、全然失礼なんかじゃないよ。むしろ、私が頼んでるんだから」

純一「う〜ん……じゃあ、間を取って、裡沙さん、で」

裡沙「ちょっと強情だね。まぁ、それでもいいよ」

純一(け、結構積極的なんだな。いきなり呼び捨てでいい、だなんて)

裡沙「ふふっ……それにしても、どうして屋上に? この季節は寒いと思うんだけど……」

純一「ああ。いやね、今朝からどうも眠気が覚めなくてね。……ふぁ〜」
9 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:27:55.04 ID:SoTCbUQ50
裡沙「あ、大きなあくび。あまり夜更かしすると、体に悪いよ?」

純一「そうだね。いやはや、昨日はゲームに夢中になっちゃってさ」

裡沙「へぇ……どんなゲームをしたの?」

純一「え? ああ、知ってるかな、『イナゴマスク倶楽部』っていうゲーム。ちょっと古いゲームなんだけど」

裡沙「イナゴマスクって、ゲームも出してたんだ。はじめて知った」

純一「うん、とはいっても、結構シンプルなレーシングゲームなんだけど……そのゲーム、少し曲者でさ」

裡沙「く、曲者?」

純一「そう。……全ステージクリアするのに一日以上はかかるであろうボリュームなのにもかかわらず、途中にセーブできる箇所がないんだよ」

裡沙「……つまり、どういうこと?」

純一「全ステージクリアするには、一日以上画面の前に食らいつく必要があるってこと」

裡沙「え、ええ!? ただのゲームで、そんなに……!?」
10 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:31:13.15 ID:SoTCbUQ50
純一「子供泣かせだよねぇ。俺はなんとか三分の一まで行ったんだけど、やっぱり全クリアは無理だったよ。これじゃあ文字通り骨折り損だ」

裡沙「……ふふっ」

純一「? どうしたの? 何か、楽しいことでもあった?」

裡沙「え? あ、いやね。結構、子供っぽいところもあるんだなぁって思って」

純一「……時たま言われる、様な気がする」

裡沙「あはは。……ね、ねぇ。橘君」

純一「うん? 何?」

裡沙「え、えと……今日の昼って、弁当とか持って来てるのかな?」

純一「? いいや、基本食堂で食べたりだけど……」

裡沙「よかった! そ、それじゃあ、さ。実は私、毎日弁当を作ってきているんだけど、その、よかったら……一緒に、その弁当食べない?」

純一「……へ? べ、弁当を?」
11 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:31:40.91 ID:SoTCbUQ50
裡沙「そう! その、久しぶりに張り切って作ったら、いつもより倍ぐらいの量作っちゃってて、私だけじゃ食べきれないの。で、でも、女友達に頼んでも食べてくれないだろうし、この機会にせっかくだから、男の子に味見、してもらいたいなぁ……って」

純一「いいの? ほんとに僕が?」

裡沙「う、うん! 私、今料理の練習をしてるから、丁度いいし。感想、聞かせてもらいたいなって」

純一(お、女の子の、手作り弁当といえば……男子学生の、永遠の憧れではないか!?)

純一「よ、よろこんで!」

裡沙「そう! よかったぁ〜。じゃあ、昼休みにまた会おうね! ……またっ!」

タッタッタ

純一「あ、また逃げるように行っちゃった……嫌われてる、わけでもないだろうし……でも、手作り弁当か……なんだか、妙に緊張するのはなぜだろう」

12 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:34:15.27 ID:SoTCbUQ50
【学校・教室:昼休み】

純一「はぁ、やっと昼休みだ」

梅原「よっす! 大将、今日も食堂に行くんだろう?」

純一「ああ、梅原。今日もラーメン……と、行きたいところだが、すまん、用事があるんだ」

梅原「用事? 昼食よりも優先することなのか?」

純一「いや、なんというか、う〜ん……」

???「橘君!」

純一「え? その声って……」

裡沙「え、えへへ……来ちゃった」

純一「裡沙さん! 僕がそっちに行こうと思ってたのに……それに、手元の大きな物体は何?」

裡沙「え? これ、橘君と一緒に食べる弁当だけど」

純一「まさかの重箱!? しかも三段重ね!?」
13 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:39:32.34 ID:SoTCbUQ50
裡沙「えへへ……じゃあ、屋上にでも行きましょうか!」

純一「う、うん。……と、言うわけだ、梅原。すまん、今日は同行できん」

梅原「な、なん、だと……!? ま、まさか大将、こんな短期間で、しかも一緒に弁当だとぉ!? お、恐るべし!」

純一「ど、どうした、梅原? いきなりうなだれて」

梅原「いや……なんだか、妙に敗北感がな。まっ、楽しんでこいや!」

純一「? う、うん」

裡沙「行きましょう!」

タッタッタ

梅原「あの顔、確実に脈ありって感じだな。……けど、あの顔、どっかで見たことあるような……う〜ん。ポニーテール……」

14 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:42:39.73 ID:SoTCbUQ50
【学校・屋上:数分後】

純一「こ、これは……!?」

純一(なんだ!? この男子高校生の好みを的確に押さえたレパートリーは!? しかも、僕が好きなものばっかりだ!? さらに野菜の彩りもバッチグーのバランスOK! こ、これが、女子の手作り弁当の……威力!?)

裡沙「……橘君?」

純一「へ!?」

裡沙「どうしたの? さっきからぼーっとして……もしかして、おいしそうじゃなかった、のかな?」

純一「ううん!? すっごくおいしそうだよ! いや、ね。なんだか、感激してたんだ。本当においしそうで」

裡沙「そ、そう!? よかったぁ……朝の四時から作り始めた甲斐があったってことだね」

純一(朝四時!? そ、そんなに気合が入ってたのか……そんな気分の日だったのかな?)

裡沙「それじゃあ……どうぞ」
15 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:45:48.65 ID:SoTCbUQ50
純一「い、いただきます。じゃあ、まずはから揚げ……」

ぱくっ

もぐもぐ

裡沙「……ど、どう、かな?」

純一「……うん、僕の好みの味付けで、すっごくおいしい!」

裡沙「ほんとっ!?」

純一「ほんとのほんと。この香辛料が強めで、かつ鶏肉によく染みた濃い味が、男子高校生の心をわしづかみしたね。それにこのから揚げ、脂っこくないし、おかげで白飯にもよく合う。うん、ばっちりだよ!」

裡沙「え、えへへ♪ そんなに褒めてくれるなんて///」

純一「御世辞はなしに、ほんとにおいしいよ。じゃあ、次はこの卵焼きを――」

16 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:49:54.41 ID:SoTCbUQ50
純一「うん、全部のおかずがすごくおいしかったんだけど……さすがにこの量は多かった」

裡沙「でも、こんなに食べてくれるなんて。すごくうれしいよ」

純一「いや、ほんとはもっと食べたいんだけどね。そういえば上崎さんはあまり食べてないようすだったけど、大丈夫?」

裡沙「ふぇ!? あ、いや、その……ほら、私小食だから」

純一「いや、それでもから揚げ一つとミートボール二つは少なすぎだよ……もしかして、あまり食欲がないとか?」

裡沙「そ、そういうわけではないんだけれど……あ、そうだ。この残りのおかず、もしよかったら家に持ち帰ってよ」

純一「え? だって作ったのは上崎さんだし……」

裡沙「私より、誰かにおいしく食べてもらった方がうれしいよ。橘君の食べてる時の顔、ほんとに幸せそうな顔してたから、もっと食べて欲しいな。それに、橘君の家って、交代制で夕飯を作ってるでしょ? 楽もできるし、一石二鳥じゃない」

純一「う、うん。まぁ……わかった、遠慮なく持ち帰らせてもらうよ」

17 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 04:58:38.50 ID:SoTCbUQ50
裡沙「ありがとう。はい、これが持ち帰り用のタッパー。念のために持ってきてよかったよ」

純一「準備がいいんだね。料理もできるし、実は、なんでもこなせるようなタイプなのかな?」

裡沙「ううん。私だけじゃあ、何もできないよ。そう、私の力じゃ、まだまだ未熟なの」

純一「そ、そう……」

純一(気のせいかな? なんだか、一瞬だけ上崎さんの顔が陰ったような……)

純一(その後は、いくつかのおかずをタッパーに詰めて、解散した)

純一(弁当、ほんとうにおいしかったな)

純一(……あれ? でも、なんて裡沙さん、僕の家の事情を知ってたんだろう? 確かに夕飯は交代制で作ってるけど……誰かから聞いたのかな?)
18 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:03:32.55 ID:SoTCbUQ50
【学校・校門:放課後】

純一「やっぱ、この季節の夕方は寒くてたまらん。はぁ〜……息もこんなに白いし」

梅原「よーすっ! 大将も帰りか?」

純一「ん? おお、梅原か。ああ、今から帰るところだけど……なんだ、今日も部活行かないのか?」

梅原「ははは、まぁ、今さら、ねぇ。……しっかし、この季節は寒くて寒くて、温かいお茶が欲しくなるところで」

純一「いいなぁ、お茶」

???「橘君!」

純一「あれ? この声は……」

裡沙「よかったぁ。まだ帰ってなかった」

純一「あ、うん。今から帰るところだけど……ん? その手に持ってるのって……」

裡沙「あ、そうそう。……はい、あったかーいお茶。さっき学校の自販機で買ってきたんだ」

純一「え? もしかして、僕にくれるの?」

裡沙「うん。ほら、この季節の夕方って、寒いでしょ? これを飲みながら、一緒に帰ろうかなぁって」

純一「い、一緒に? 帰りの道って、同じ方向だっけ?」

裡沙「いや、橘君の家の方向に、用事があってね。それに、一緒に帰った方が楽しいじゃない」

純一「うん、まぁ、そうだけど……」

純一(家の方向も知ってるなんて……薫から色々聞いたのかな? 準備がいいというか、なんというか……)
19 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:08:10.63 ID:SoTCbUQ50
純一「じゃあ、どうせだから一緒に帰ろうか」

裡沙「うん!」

純一「ははは、随分と楽しそうだね……ん? 梅原、随分と沈んでるようだけど……何かあったのか?」

梅原「は、ははは……一緒に弁当を食べる次は、一緒に帰宅デートってか。大将、早い、早すぎるよ。しかも、大将にだけあったかーいお茶とわね……」

純一「う、梅原?」

梅原「……ちっきしょー! 今から部活行ってくる! 大将、たっしゃでなぁ!!」

タッタッタ

純一「梅原!? な、なんだったんだろう……まぁ、部活にやる気を出したのはいいことだが……」

裡沙「梅原君、行っちゃったね。……じゃあ、帰ろうか」

純一「そうだね」

純一(梅原、明日には元気になってるといいんだが……)

20 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:11:09.72 ID:SoTCbUQ50
【数分後】

純一「ありがとね、お茶。おかげで体がぽかぽかしてるよ」

裡沙「そうですか。ふふっ……だって、風邪ひいたら困っちゃいますもん」

純一「そうだね。……そういえば上崎さん、コートとかは着ないの?」

裡沙「……一応、あるにはあるんですけど……サイズが合わなくなっちゃって」

純一「ああ、何年かずっと使ってるとそういうこよあるよね。でも、大丈夫? 制服だけじゃ、さすがに寒いんじゃ……」

裡沙「う〜ん……確かに、体は冷えますね。でも、カイロもありますし、お茶もあるので、まだ……」

純一「それでも、僕が気にしちゃうよ。……はい」

パサッ

裡沙「え? これ、橘君のコートじゃ……」

純一「これなら寒くないでしょ?」

裡沙「でも、今度はあなたが寒くなって……」

純一「僕は男だから大丈夫。それに……」

裡沙「それに?」

純一「女の子に寒い思いなんて、させたくないからね」

裡沙「……///」
21 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:18:43.54 ID:SoTCbUQ50
純一「あ、あれ? ちょっと、気障っぽかったかな?」

裡沙「ううん。……ありがとう」

純一「どういたしまして。ジャンパーはそのまま持って帰っていいよ」

裡沙「え? でも、明日の朝とか……」

純一「家にコートがあるから大丈夫。……あ、もしかして、男のジャンパーを着るなんて、嫌かな?」

裡沙「う、ううん! 全然嫌じゃない!」

純一「そ、そう……」

純一(な、なんだか必死だ。よほど寒かったのかな?)

純一「あっ! そうだ。遅れたけど……ありがとね、お弁当」

裡沙「あ、あれは、その……こちらこそ。あんなにおいしそうに食べてもらって、うれしいです」

純一「あはは、そう言ってくれるとありがたいよ。……そのお礼、でなんだけどさ。肉まんでもおごらせて」

裡沙「い、いいんですか? そこまでしてもらわなくても……」

純一「いいのいいの。好きにやることなんだから。むしろ、これでも足りないぐらいだよ」

裡沙「えへへ、じゃあ、遠慮なく。……そんなにおいしかったのでしたら、また、お弁当を持ってきていいですか?」

純一「え? つまり……また一緒に食べるってこと?」

裡沙「はい。……その、一緒に食べると、楽しいので」

純一「でも、大変なんじゃ……」

裡沙「いいえ! むしろ、食べてくれる人がいるだけで、こっちがうれしいんですよ。だから、その……お願いします」

純一「い、いや! むしろ頼むのはこっちのほうだよ! ……僕でいいのなら、よろしくお願いします」

裡沙「えへへ、やった! よーし、明日も気合入れて作っちゃうぞ!」

純一「き、気合を入れるのはありがたいんだけど、普通の量でお願いね?」

裡沙「はいっ!」

純一(その後、コンビ二で肉まんをおごった後、それぞれ自分の帰路についた。……とはいっても、上崎さんは僕の家のそばまでついていってくれたが)

純一(それにしても……上崎さん、優しいし、料理もうまいし、気も利くし……絶対もてると思うんだけど、彼氏とかいないのかな?)

純一(一緒にお弁当食べて、一緒に帰って、まるで恋人みたい……って、僕が言っちゃ失礼かな)

22 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:21:07.10 ID:SoTCbUQ50
裡沙「……すごい、すっごい大躍進なんだよ! 一緒にお昼を共にして、挙げ句には帰り道も共にして、そしてこの本人ご使用済みジャンパー入手……これだったら、後百年戦える!」

裡沙「やっぱり、話し方とか仕草とか、この漫画のヒロインのまねをしたおかげかな? あの人に対して、敬語でしゃべらないのは気が引けたけど、かえって好印象だったのかな?」

裡沙「……あの人が、登下校、肌に離さず着るジャンパー」ごくりっ

裡沙「ちょ、ちょっとだけなら、そう! ニオイを嗅ぐくらいなら、いいよね!?」

裡沙「……」くんかくんか

裡沙「……はぁ〜……ちょっと男の子っぽい香り……腋のところからは、なんだかむずがゆい感じの匂いがする……これが、あの人の香り」

裡沙「……心が満たされてくる。なんだか、しあわせだぁ……///」

裡沙「今日は、これを着ながら寝ようかな? あの人に、ベッドで抱かれ続けて……///」

裡沙「明日からは、これを着て学校に行って……あ、でも、いざってなれば、あの人のそばにはいれるんだ」

裡沙「……後ろから抱きついてみようかな? いや、これじゃああの人が驚いちゃうかな……」

裡沙「……うふふ」
23 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:22:32.65 ID:SoTCbUQ50
【三日後:学校・屋上:昼休み】

純一「ふぅ……ごちそうさま。今日もおいしかったよ」

裡沙「おそまつさまでした。ふふっ、よかった」

純一「今日は比較的あったかいし、ぽかぽかして眠くなってきたよ……ふぁ〜」

裡沙「お腹一杯になったからかな?」

純一「多分ね。次の授業までまだ時間があるし、少しだけ寝ようかな……」

裡沙「……だ、だったら、さ」

純一「ん?」

裡沙「……膝、貸そうか?」

純一「膝?」

裡沙「うん、膝枕!」

純一「ひ、膝枕!?」
24 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:23:30.15 ID:SoTCbUQ50
裡沙「……嫌、かな?」

純一「い、いや! むしろお願いしたいぐらいだけど……いいの? 足しびれると思うし……」

裡沙「私のことは気にしないで。それに、眠いままだったら、授業にも集中できないだろうし。それに、この前のジャンパーのお礼ってことで」

純一「いや、あれは弁当のお礼のつもりだったし……」

裡沙「じゃあ、これはどうかな? いつもおいしくお弁当を食べてくれるあなたへのお礼ってことで」

純一「う、う〜ん……まぁ、せっかくだから。膝枕、してもらおうかな?」

裡沙「うん。それでは、よいしょ……はい、どうぞ///」

純一「うん」

純一(……ああ、女子の膝って、こんなに柔らかかったんだ。枕っていうより、まるでクッションだな)

純一(それに、垣間見える膝先が、なんか妙にエロいような……くすぐったいような、女の子の香り? がするし……)

純一(待て!? このすぐ後ろは、考えてみると……スカートの中)

純一(いや、待て!? せっかく善意で膝枕してくれる女子の無抵抗なスカートを覗くなんて、僕の紳士の鉄則に反する!)

純一(ここは自重して、おとなしく目をつぶろう。眠いのは本当なんだし……)

純一「……zzz」

裡沙「あ、あっという間に眠っちゃった。よほど眠かったのかな?」

裡沙「……うふふ、橘君の寝顔だぁ。これを見るだけで、私、すっごくしあわせになってる」

裡沙「写真、撮りたいなぁ。でも、さすがに起きるよね。……いいや、ここはしっかりと頭に記憶して、夜、思い出すんだ」

裡沙「で、あのジャンパーを抱きしめながら、この寝顔を重ねて……はふぅ」

25 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:24:05.65 ID:SoTCbUQ50
【授業開始十分前】

裡沙「……君、橘君」

純一「……んあ」

裡沙「おはよう、橘君。丁度いいごろ合いだと思うんだけど」

純一「……うん、そうだね。ありがとう上崎さん。すっごく寝心地がよかったよ」

裡沙「えへへ。それはよかった。……じゃあ、橘君は先に帰ってて。私はもう少しゆっくりしてから戻るよ」

純一「え? う、うん。わかった。……ありがとうね」

裡沙「どういたしまして。……あ、あと……はい」

純一「……水筒?」

裡沙「あったかい紅茶。これであたたまってね」

純一「あ、ありがとう! ……なんか、ごめんね。いつも世話になりっぱなしで」

裡沙「ううん、好きにやってることだから」

純一「いや、それでもありがたいよ。……じゃあ、またね」

裡沙「うん」

タッタッタ

裡沙「……行ったかな? ……うぅ、足がしびれた。こんなところ見られたら、無用の心配をかけさせちゃうからね。橘君、優しいから」

裡沙「うぅ……でも、これはちょっと辛いかも」

裡沙「……でも、いいものも見れたし、あの人に『ありがとう』って言われたし……えへへ♪」

26 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:38:30.97 ID:SoTCbUQ50
【放課後:とある公園そば】

純一(なんだかんだで、知り合ってから毎日、こうして帰り道を一緒に歩いている)

純一(こっちが誘っているんじゃなくて、いつの間にか校門とかに裡沙さんが待ってるんだよな。まぁ、こっちも一緒に帰るのが楽しいから好都合なんだけど)

純一(……そのたびに、梅原が半泣きで部活に行くんだよな。なんだ? 最近悩みでも抱えているのだろうか? 親友として話ておくべきなのか?)

純一(……でも、たまには帰るだけじゃなくて、変化が欲しいところだ。……そうだ!)

純一「ねぇ、上崎さん」

裡沙「? どうしたの?」

純一「えーと……たまにはさ、寄り道してみない?」

裡沙「寄り道かぁ……いいね! どこに行くの?」

純一「そうだなぁ……あっそうだ! 本屋に行ってみない? 実はこの前、友達におすすめされた小説があってさ。せっかくだからそれを見てみようかなって」

裡沙「いいね! じゃあ、行ってみようか」

純一「よろこんでもらえてなによりだよ」

27 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:42:23.26 ID:SoTCbUQ50
【数分後:本屋】

純一「へぇ、記憶喪失の女の子が、主演女優として映画の撮影を進めていくうちに、次第に謎が謎を呼ぶ夏のサスペンスか……このヒロインもかわいいな」

純一「元はゲームだったのか……このゲーム、探してみようかな? へぇ、シリーズ化もされてるんだな」

純一「これは、教えてくれたマサに感謝だな。お、エビ通も最新号が発売されてるし……お小遣い、足りるかな?」

純一「……裡沙さんがいなかったら、お宝本コーナーに行くところだが、今日はガマンガマン」

裡沙「お探しの本、見つかりましたか?」

純一「あ、上崎さん。うん、おかげさまでね」

裡沙「なんていう本なんですか? ……『ダブル・キャスティング』?」

純一「うん。記憶喪失の女性を巡って展開されるサスペンスドラマ、らしい。ゲームが元になってるとか」

裡沙「へぇ……『プレイドラマティックシリーズ』の作品の一つ。ふむふむ……あ、これも同じシリーズですね」

純一「ん? なになに……『季節を捕まえて』。ほんとだ、これも同じシリーズだね」
28 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:44:31.58 ID:SoTCbUQ50
裡沙「記憶喪失の女の子を巡って展開される、甘酸っぱい青春のドラマ」

純一「作風が少し違ってるね。こっちもおもしろそうだ」

裡沙「……決めた! この本、私買います!」

純一「思い切ったね」

裡沙「で、お互いにそれぞれの本を読んで、読み終わったら本を交換して、お互いに読みあいっこしましょう。最終的には、感想も言いあって……」

純一「……うん、いいね。そっちも気になるし」

裡沙「では、決まりですね! えへへ///」

純一「? 随分と楽しそうだね」

裡沙「ええ。橘君と色々な話が出来ることが楽しみで、つい」

純一「そうか」

純一(よほど本を読むのが楽しみなのかな? あ、そうだ)

純一「じゃあ、景気づけに、さ。もう一か所行きたいところがあるんだけど、いいかな?」

裡沙「私は構いませんよ」

純一「それはありがたい。……途中で、肉まんも買っていこうか」

裡沙「賛成です!」
29 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:50:04.42 ID:SoTCbUQ50
裡沙「ここは……」

純一「僕が小さい頃によく遊んだ公園。なんだか、妙に懐かしくなる時があってさ。時たまここに来るんだ」

裡沙「……夕日、綺麗ですね」

純一「そうだねぇ。……そして、それをバックに食う肉まんはなかなかいいね」

裡沙「そうですね」

純一「……あれ? もしかして、上崎さんもここでよく遊んでた筋かな?」

裡沙「……へ?」

純一「あ、いやね。なんか、懐かしむような目だったから」

裡沙「……ばれましたか。はい、私もよくここで遊んでましたね」

純一「へぇ。じゃあ、案外同じ小学校だったと――」

純一(……あれ? なんだか、妙にデジャブを感じる)

純一(……夕日が沈むかける中、この公園で、こうしてとなりに、美也と……)

純一(……変な感じ。いや、懐かしい感じ……?)

裡沙「……どうしましたか?」

純一「え?」

裡沙「急にボーっとして……具合が悪いとか?」

純一「い、いや。大丈夫だよ。……帰ろうか」

裡沙「そうですね。暗くなりかけましたし」

純一「ごめんね、この時間まで付き合わせて」

裡沙「いいえ。今日も一緒に過ごせて楽しかったです。……それでは、また」

純一「うん」

タッタッタ

純一(こうして、放課後を上崎さんと過ごした)

純一(途中で感じたデジャブが気になるが、それよりも、まずはこの買ってきた本を読破しなくちゃな。上崎さんが買った本も気になるし……)

純一(なんというか……充実しているって、こんな感じなのかな)

30 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:52:22.12 ID:SoTCbUQ50
【四日後:学校・テラス:昼休み】

純一「で、こうやってこの二冊の本を、それぞれ読破したわけだけど……うん、どっちも面白かったね」

裡沙「ま、まさか、あんな展開になるなんて、思いませんでした」

純一「うん。まずこの『ダブル・キャスティング』。雰囲気はまさに本格ミステリー&サスペンスって感じで、何より読者へのミスリードがすごくうまかったね」

裡沙「はい。完全に騙されました」

純一「僕もだよ。これは書き手がすごくうまい。……そして、最後のシーンの緊張感は、まさに手に汗を握るものだったよ」

裡沙「あのタイミングで出たあのキャラ! そして明かされた謎と、屋上でのヒロインの葛藤!」

純一「何より、HAPPY ENDで、本当心の底からホッとした」

裡沙「あの二人には幸せになってほしいです!」

31 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:54:02.83 ID:SoTCbUQ50
純一「そうだね。……そして、雰囲気を一変させて『季節を捕まえて』」

裡沙「私、全部読んだ後、号泣してしまいましたぁ……」うるっ

純一「か、上崎さん!? 涙目になってるけど……」

裡沙「だって、だって……結局、ヒロインと主人公は、結ばれない運命だったんですよぉ。短い間だけど、絆を一層と深めて、最後には無慈悲にも別れを決意させられて……」

純一「……確かに、消えていったヒロインのことを考えると、HAPPY ENDとは言えないかもしれないね」

裡沙「私、あの子のことを考えて、何より、自分を重ねちゃうと……涙が……」

純一「……確かに、二人は永遠の別れをしてしまった。けど……最終的に、主人公と妹が、運命的に巡り合うことが出来て、主人公も、過去を振りきれた。あれは、主人公は次のステップを踏むために、必要なことだったんだと、僕は思うんだ」

裡沙「次の……ステップ、ですか?」

純一「うん。あのまま、あの騒動が起こってなかったら、主人公は永遠にあの過去を勝手に背負ったまま生きていったと思う。けど、改めてヒロインと過ごして、自分の気持ちに従って、なんとか、なんとかがんばって……主人公の人生の中で、あれは大きなターニングポイントだったんだよ」

裡沙「ターニング、ポイント……」

純一「それに、別れもあったけど、大きな出会いもあったんだ。よくよく考えると、あのENDは、一番すっきりしたENDだと、自分は思うけどな」

裡沙「……次の、ステップ……でも、そう考えると、なんだか素敵ですね。出会った主人公と、妹さんのこれからを考えると」

純一「そうだね。……冷えてきたね、何か温かいものでも飲もうか」

裡沙「じゃあ、午後のティータイムということで」

純一(こうして、その後も小説談義を続けていた)

純一(久しぶりに小説を読んだけど、案外いいものだな。上崎さんも、何かを感じ取れたようで何よりだ)

32 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 05:56:58.03 ID:SoTCbUQ50
【二日後:学校・教室前・休み時間】

純一(ふぅ、体育の授業は疲れるし、何より着替えが面倒なんだよな)

純一(それに、空腹が限界でしょうがない。……上崎さんのお弁当、今日はどんな感じなんだろうな)

純一(それにしても、女子からおいしいお弁当を毎日もらうなんて……僕は幸せ者だよなぁ。梅原から毎日のようにうらやましがられるし)

純一(それに、あんなに可愛い子が一緒に帰ってくれるんだもん。『女の子と一緒のクリスマスを目指す』って宣言してから、とんとん拍子に物事が進んでいく)

純一(……あれ? 上崎さんのことを考えるたびに、なんでこのことが思い出すんだろう。……もしかして、僕、意識してるのかな?)

純一(でも、上崎さんは優しいし、料理もうまいし、時々見せる見とれたような顔が、印象に残って……)

純一(……うん、やっぱり。そうだよ、僕、上崎さんに惹かれてるんだ)

純一(……上崎さんは、僕のこと、どう思ってるのかな?)

純一(最初は『友達になってください』って言われて、少し驚いたけど……あれ?)

純一(……なんでだろう、記憶のどこかで、何かがひっかかってるんだよなぁ)

純一(この前、公園に行った時から、ずっとこんな感じだ……一体、なんなんだろう)
33 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:00:45.29 ID:SoTCbUQ50
???「ねぇ! 上崎さん、どういうことなの!?」

純一(……女子の怒声だ。2−Cの方からだな。それに、上崎さんって、確かに……気になるな)

タッタッタ

裡沙「だ、だから、それは誤解で……」

女子A「誤解なんかじゃない! 屋上でお弁当を一緒に食べてるところとか、放課後一緒にデートしてるところとか見かけたんだからね!」

裡沙「でも、付き合ってるわけじゃ……」

女子A「でも、あの様子だったら、彼に彼女なんていないじゃない! どうして私に嘘の情報を流したの!? まぁ、大体は察しつくけど……」

裡沙「う、嘘だって、知らなくて……」

女子A「いや、あなたは嘘をついた。嘘をついて、私から自発的に彼のことを諦めさせたんだ! そして……あなたが、のうのうと彼を誘惑した!」

裡沙「誘惑、だなんて……」

女子A「いや、たぶらかしたんだ! 私だって、彼のことが好きなのに……あなたが、私の心を傷つけた!」

裡沙「っ……」

女子A「なんとか言ってよ! じゃないと――」

純一「待って!」

裡沙「あっ……」

女子A「た、橘君……!」

純一「……事情はわからないけど、ここで喧嘩はさすがにまずいよ」

裡沙「……」

女子A「あ、うん……」

純一「ここは、静かに話し合いで解決はできない、かな? いきなり部外者が介入して、こんなことを言うなんてどうかと思うけど……」

裡沙「……」

女子A「……わかった。あなたが言うなら……じゃあ、上崎さん。この件については、後日話し合いましょう」

裡沙「……うん」

女子A「……またね、橘君」

純一「う、うん」

タッタッタ

純一「……大丈夫? 上崎さん」

裡沙「そ、その……」

純一「詳しくは聞かないけど、多分、あの子と何かトラブルがあったんでしょう? 上崎さんは優しいから、多分、食い違いとかかな?」

裡沙「……」

純一「そんなに落ち込まないでよ。僕でできることなら、お手伝いするから」

裡沙「……橘君」

純一「何?」

裡沙「……今日の放課後、一緒に帰ってくれる? ちょっと、行きたいところがあるから……」

純一「……わかった」

34 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:03:35.90 ID:SoTCbUQ50
【放課後:公園】

純一「ここは……この前の公園?」

裡沙「はい。話をするには丁度いいと思ったので……」

純一「そう……」

裡沙「……橘君。これから私の言うことに対して、黙って聞いてくれるかな?」

純一「……わかった。しばらくは何も言わない」

裡沙「ありがとう…………私、上崎裡沙は……橘純一さんのことが、大好きです」

純一「!!?」

純一(……え? 今、上崎さんはなんて言った? ……好き? 誰が? ぼ、僕のことが?)

純一(……いきなりの展開に置かれちゃってる。いや、まずは全部の話を聞いてからだ)
35 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:07:41.69 ID:SoTCbUQ50
裡沙「……笑顔のあなたが大好きです。時々見せるちょっとエッチな顔も大好きです。困った顔も、寝顔も、泣きそうな顔のあなたも、全部、ぜーんぶ! あなたの全てが、愛おしい」

純一「……」

裡沙「……ずっと大好きだった。でも、あなたと知り合ったのは、ここ最近。じゃあ、なんでずっと好きでいたのか」

純一「……」

裡沙「私、実はずっとあなたのことを見ていました。……そう、ずーっと」

純一「……」

裡沙「……実は、ここ最近まで、あなたのことを追いかけてました。……ストーキング、してました」

純一「!」

裡沙「私、あなたのストーカーだったの。……笑っちゃうよね。おかしいよね。きもいよね、こんな女の子なんて……」

純一(ストーカーってことは……そうか、やっと合点がいった。だから、妙に僕のことについて詳しかったんだ。僕の家の方向とか、家の事情とか……)

36 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:13:45.91 ID:SoTCbUQ50
裡沙「あなたについて、本当に色々と知ってるよ。家の場所とか、交友関係とか……学校にある、秘密の部屋とか。あの部屋に隠してあるお宝本、とか。あの部屋に入ったりもした」

純一(そ、それまで!? ま、まさか、あのお宝本……上崎さんに、見られてたのか? かなり……いや、すっごく恥ずかしい。うわぁ……)

裡沙「あっ、そんなに落ち込まないで。私が勝手にやってたことだし、そ、その、別に、ああいう本を持ってたり、隠してたりとかで、あなたのことは嫌いになったりはしないから」

純一「……」

裡沙「……でも、私の罪はこれだけじゃない」

純一「?」

裡沙「……橘君は気付いてなかっただろうけど、実は、橘君のことが好きな女子って、結構いるんだよ。高校に入学してからずっと、そういった女子がいた」

純一(……え? き、気付かなかった……自分では、そういった視線を感じなかったけど……でも、考えてみると、今まで、どうも女子と疎遠になってた感じだったな。そう、二年前のあの日から)

裡沙「……でも、私にとって、その子たちは、邪魔、だった」

純一(……言い方は悪いけど、確かに、僕の好きな人に近づく男子は、僕もどうもないがしろにしちゃうし、気持ちはわかるな)

裡沙「……だから、その子達を、自発的に諦めさせたんだ」

純一「?」

裡沙「……あなたに彼女がいる、っていうデマの情報を流して、そういった子達に諦めさせたの。……今日の、あの子との言い争いも、それ関係。嘘がばれて、問い詰められてた」

純一「……」

裡沙「ひどいよね。あの時は、とにかく言い訳を言い続けて、納得しながらやってたけど……私がそれをさせられたら、傷つくにきまってる。なのに、私はそれをしてた」

純一「……」
37 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:15:59.29 ID:SoTCbUQ50
裡沙「……そして、まだ私の罪はある。……私の、最初の罪」

純一(最初? つまり、きっかけみたいなものなのか?)

裡沙「……二年前のクリスマス。丘の上公園で、あなたは彼女のことを待った」

純一「!!」

純一(二年前のクリスマス……忘れるはずがない。あの時から、今までがあるんだから)

純一(あの時、僕は蒔原さんにすっぽかされて、傷ついて……)

裡沙「……実は、蒔原さんは約束をすっぽかしたんじゃないんだ。あなたのこと、待ってたんだよ」

純一(! え? でも、あの時、来なかった……)

裡沙「……あの公園じゃなくて、行く予定だった映画館で、だけどね」

純一(え、映画館!? そ、そうだ。確かに、あの公園で合流したあとに、映画館で映画を見る計画だったんだ)

裡沙「……そして、その映画館で待たせたのは、私の所為。私が、彼女の嘘の伝言を伝えて、あなたと彼女をすれ違いさせたんだ」

純一(!? そ、それじゃあ……二年前のことの発端は、上崎さんってこと、なのか? なんで、なんでそんなことを!?)

裡沙「……でも、あなたを守るにはしょうがないことだった」

純一「?」

裡沙「……彼女、あなたの告白は断る気だった。彼女は、あなたが告白する気だって分かってたから。……それだけならいい、そう、それだけなら。でも、問題はそこじゃなかった」

裡沙「……その待ち合わせ場所、彼女のすぐそばには、女子のグル―プが待ち伏せしてたんだ。なんでかって? ……あなたが振られるところを見て、学校でからかうために」

純一「!?」

純一(……え? つ、つまり、僕があの日、蒔原さんに会って、告白したら……碌な目にあってなかったってことなのか……そんな、蒔原さんが、そんなことを……)

38 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:18:30.06 ID:SoTCbUQ50
裡沙「全部真実なの! 信じて! 私も、その女子のグループに誘われて……知った時、私、すごく怒った。あなたの純粋な気持ちを踏みにじるなんて、許せなかった! だから、あなたを守ろうとして……けれど、結果的に、あなたはトラウマを抱えることになった。私の、せいで……」

純一「……」

裡沙「……そして、この時から、私は考えた。『あなたを守ろう』って。もう、あなたをあんなめに合わせないようにしようって……だから、あなたから幾多の女子を遠ざけた」

純一「……」

裡沙「けれど、冷静になって考えると、ひどい話だよね。自分に都合のいいことばかり自己暗示して、あなたのプライベートを勝手に覗いたり、女子達を傷つけて、挙げ句には、トラウマを作って……そんな罪深い私に、あなたを……好きになる資格なんて、なかった」

ぽろ……

純一(……泣いてる。上崎さん……)

裡沙「……今まで、あなたのこと、好きでいさせてくれてありがとう。優しくしてくれてありがとう。あなたのそばにいさせてくれてありがとう。……そして、ごめんね」

純一(そんな……つらそうな、悲しそうな顔で、言わないでよ)

裡沙「……もう、あなたの前に姿を見せないから。もう、大丈夫だよ。こんな薄気味悪くて、地味な女に付き合わなくていいから。……さよ、なら」

タッタッタ!
39 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:22:53.69 ID:SoTCbUQ50
純一「待ってくれ!!」

ガシッ!

裡沙「あ……」

純一「……いきなり手をつないでごめん。けど、これぐらいしなくちゃ、止まってくれないっておもったから」

裡沙「……なんで……」

純一「……」

裡沙「なんで! 私に優しくしてくれるの!? こんな、こんな私に……」

純一「そんなこといわないでよ!」

裡沙「……へ?」

純一「……確かに、上崎さんが告白してくれた色々なことは……はいそうですか、で済まされるようなことじゃない」

裡沙「……」

純一「あの女子のように傷ついた子だっていることは確かだし、僕もトラウマを抱えることになったのは事実だ」

裡沙「……だから……」

純一「でも!」

裡沙「……?」

純一「それでも! ……君が、上崎裡沙が……僕は、大好きなんだ!!!」

裡沙「!!」

純一「君は不器用で、ちょっとの勇気がなかっただけなんだよ。でも、今までの言葉で、君が、どれだけ僕のことが好きなんだってよくわかったんだ! ストーキングしたのだって、僕のことをよく知りたかっただけなんだし、方法は間違ってたけど、君は僕から色々なものから守ってくれた」

裡沙「……」

純一「確かに、君の所為でトラウマを背負うことになった。けど、君がその時動いてくれなかったら、僕、そんなことが起こったら、もう立ち直れなかったかもしれない」

裡沙「……」

純一「……でも、僕は、たとえ君がそんなことをやっていても、君が好きなんだ!! 優しいところや、料理がうまいところとか、さっき言ったように不器用なところも、時々見せる赤らめた顔とか、嬉しそうな顔とか、笑顔とか、とにかく、君が大好きでしょうがないんだ!」

裡沙「!」
40 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:30:38.58 ID:SoTCbUQ50
純一「……でも、少しだけ君は道を間違えたことは確かだよ」

裡沙「……」

純一「だったらさ。僕は、それもすべて、受け入れるよ!」

裡沙「え?……」

純一「今までやってきたことも、君のすべても、僕は受け入れる! だって、君が大好きなんだから!」

裡沙「あ、あ……」

ギュッ

純一「君が少し盲目になった時には、僕が胸を貸す。手も貸す。君に尽くす。君が今まで、僕のことを守ってくれたように、今度は君を守りたいんだ」

裡沙「た、たちばな、くん……!」

純一「……そして、やっと思い出せたよ」

裡沙「おもい、だした?」
41 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:32:33.71 ID:SoTCbUQ50
純一「こうやって、髪をほどくと……」

ぱさっ

裡沙「あ……」

純一「……君と最初に会ったのは、小学校の時だったかな」

裡沙「あ……!」

純一「転校してきた君が、そう、あれは給食のときだね。牛乳だけ残して、困った顔で、昼休み、教室で一人になってて……それを見た時、僕、放っておけなくて、声をかけたんだ」

裡沙「うん、うん……」

純一「そして、君が大の牛乳嫌いだって聞いて、僕が『だったら僕が飲むよ』なんて言ってね。あの時はとにかく、牛乳が大好きだったからね。よく他の人からもらってたよ」

裡沙「そう……あの時から、私の初恋が始まったんだ」

純一「そうか、あの時にあってたんだ。……そのあとは、たびたび遊ぶ仲にはなったけど、次第に疎遠になっていったっけ」

裡沙「うん……」

純一「確か……美也と、僕と、君で遊んでたら、急に強い風が来て……その時に、君のスカートが思いっきりめくれちゃってさ。僕、目の前にいたから完全に見えちゃって、そしたら、君が顔を赤くして、すごい勢いで逃げちゃってさ」

裡沙「だ、だって……あの時、いきなりだったから、すごく恥ずかしくって」

純一「僕が止める暇もなくて、そのままわかれちゃって。僕も、君に嫌われたな、って思って、それ以降ぱったりだね。中学校に入って、別のクラスだったし」

裡沙「うん……でも、ずっと会えなくて、私、寂しくて……」

純一「……そうか、だからこの前、懐かしく思ったんだ。夕日をバックに、この公園にいる君が…………今度は、離さずに済んだ」

裡沙「あぁ……たちばな、くん……」

純一「……僕は、上崎裡沙が好きだ。どうしようもなく好きだ。君が僕をストーキングしてたって聞いた時も、少しうれしくなってしまったほど、どうしようもなく好きだ」

裡沙「たちばな……くぅん……」

純一「……僕の気持ち、受け取ってくれるかな?」

裡沙「……よろこんで。橘君は、ほんとに、私でいいの?」

純一「同じセリフを言うだけだよ。僕は、君が、大好きでしょうがないんだ」

裡沙「……さっきまで、この涙は悲しむ涙だったんだんだ。でも、今、この涙は喜びの涙に変わってる。うれしい、うれしいよ……しあわせ、だね」

純一「うん、そうだね……裡沙」
42 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:34:25.26 ID:SoTCbUQ50
その後は、お互いに『好き』と言う気持ちを、これでもかとぶちまけた後に帰路についた。

一時はどうなるかと思ったけど、これでやっと、スタート地点に足をそろえることができたんだ。

今まで彼女がやってきたことは、確かにほめられたものではない。

けど、こう考えた。

彼女がやってきたことは、僕とこうして、気持ちを通わせる間のプロセス……いわば、ターニングポイントの一つである、と。

僕と裡沙が、こうして愛を共にするために、必要な経過であった、と。

今までのすべてがなかったら、裡沙と出会えてなかっただろうし、こうして愛を語ることもできなかったはずだから。

でも、悪いことをしたのは事実。

後日、学校の各所で、謝りに回る裡沙の姿が見えた。

僕も付き添おうか、と言ってみたが、彼女はあくまで一人で決着をつけたかったらしい。

これで、やっと、君と……。
43 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:34:59.21 ID:SoTCbUQ50
純一「……僕の腕って、そんなに寝心地がいい?」

裡沙「うん……純一の香りがするから安心するんだ。それに、今日の陽はすごくあたたかい」

純一「そうだね」

裡沙「……ねぇ、純一」

純一「ん?」

裡沙「……これで、私は、あなたと同じ場所に立てることができたんだね」

純一「そうだね」

裡沙「……恋人、なんだよね」

純一「う、うん。なんだか、言葉にするとむずがゆいな」

裡沙「そうかもね。……でも、今までと同じように、お昼を一緒に食べて、帰り道を共にして……変わってない、かもしれない」

純一「そんなことはないよ」

裡沙「そう?」

純一「うん。だって……」

ちゅっ

裡沙「あっ……///」

純一「こうして、『恋人』の顔な裡沙を、見れるようになったじゃないか」

裡沙「……うん、純一も、ね///」

純一「え……?」

ちゅっ

純一「ん……」

裡沙「う、ううん……///」

ちゅるっ……

純一「んん……」

裡沙「……んあっ。……これでおあいこ、だよ///」



END
44 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:37:27.44 ID:SoTCbUQ50
――――後日談

裡沙「日曜日に、デートですか?」

純一「うん。実はさっき、梅原から遊園地のチケットをもらったんだ」

裡沙「う、ウメちゃんがですか? また突拍子のない話ですね」

純一「そ、そうだね」

純一(剣道部の先輩と一緒に行く予定だったらしいが、どうやら一足遅かったらしい……梅原、お前はよく頑張った)

純一「ほら、僕たち、晴れて、その……恋人、になったわけだから、さ。初デートに丁度いいって思って」

裡沙「いいですね! 遊園地! もちろん、OKですよ」

純一「よかったぁ。じゃあ、待ち合わせ場所は……あの公園でいい?」

裡沙「分かりました。それじゃあ、二時に公園で」
45 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:38:00.90 ID:SoTCbUQ50
【公園】

純一(待ち合わせ時刻の三十分前……うん、やっぱり男として、女の子を待たせることなんてあってはならないからね)

純一「って、もう裡沙、来てたのか……あれ? もしかして、あのベンチで……寝てる?」

純一(確かに、ここ最近あったかい日が続いてるから、つい眠くなるのも分かるけど……大丈夫かな? 風邪をひいたら大変だ。早く起こしてあげよう)

純一「裡沙、裡沙」

ゆっさゆさ

裡沙「んあ……へっ!? じゅ、純一さん!? あれ!? 今何時ですか!?」

純一「あ、大丈夫だよ。待ち合わせの三十分前だから。それよりも、さっきまで寝てたよ? もしかして、ねむかったり?」

裡沙「い、いえ! 陽気がなんだか、眠気を誘う感じだったので、つい」

純一「……体、冷えてるよ? 顔色も悪いし……もしかして、結構前から待ってたとか?」

裡沙「い、いえ!? 一時間ぐらいしか待ってませんから、大丈夫です!」

純一(……大体裡沙については分かってきた。おそらく何時間も前から待ってた様子だ。それも、多分ここ最近寝不足気味だな。だったら、こんな寒い中で寝ないし)

純一「……だったらいいけど」

純一(でも、かたくなに否定するだろうから、ここは敢えて言わないでおこう)

裡沙「で、では、遊園地に行ってみましょうか」

純一「うん……その前に、はい」

裡沙「これは?」

純一「カイロ。待つ間、随分と寒かったでしょ? これで体を温めて、ね?」

裡沙「あ、ありがとう、ございます……///」
46 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:38:31.94 ID:SoTCbUQ50
【遊園地】

裡沙「遊園地だぁ!」

純一「休日だから、やっぱり人が多いね」

純一(まさか、恋人と一緒に来る日が来るとは……僕って、幸せ者だなぁ)

裡沙(まさか、純一さんと、恋人になってここに来るなんて……幸せ者だぁ)

純一「じゃあ、順々に回って行こうか」

裡沙「はい!」
47 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:41:33.51 ID:SoTCbUQ50
純一「張り切ってコーヒーカップを回し過ぎた……」

裡沙「だ、大丈夫ですか?」

純一「うん、これぐらいでへばっちゃ、男じゃないって。じゃあ、裡沙は次、どこがいい?」

裡沙「えーとですね……やっぱり、ジェットコースター……」

純一「あ……」

裡沙「あ、でも、そうか……純一さんって、高所恐怖症でしたよね。ごめんなさい、無理なお願いをして」

純一「……行こうじゃないか」

裡沙「へ?」

純一「女の子にこんな顔させちゃ、僕の紳士としてのプライドがだまってないよ! 行こう、ジェットコースターに!」

裡沙「で、でも……大丈夫?」

純一「橘純一! 裡沙の恋人として、尽力させてもらう!」

48 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:42:50.19 ID:SoTCbUQ50
裡沙「じゅ、純一さん!? く、口から何かが出かけてるよ!?」

純一「じ、ジェットコースター……あなどるべからず、だった……」

裡沙「ごめんね、私のせいで……」

純一(はっ!? また裡沙に悲しそうな顔をさせてしまった!? 俺の馬鹿! 男、橘純一! これぐらいで根を上げる器じゃないだろう!)

純一「い、いや! 楽しかったよ!」

裡沙「で、でも、さっきまで死にかけてた……」

純一「いやね、もう、魂が出かける程スリル満点だったんだよ。いやぁ、久しぶりに乗ると、なかなかスリリングだね、あはは」

裡沙「そ、そうだね! 思わず、純一さんを抱きしめかけちゃったし///」

純一(よかった、なんとか切り抜けた)

純一「じゃ、じゃあ、次はあっちの方に行ってみようか)

裡沙「うん!」

49 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:43:16.95 ID:SoTCbUQ50
純一「『ファラオ謎の入り口』? ホラーハウス系のアトラクションかな?」

裡沙「な、なんだか怖そうだけど……行ってみよう」

純一「だ、大丈夫? 裡沙、さっきから体が震えているような……」

裡沙「……ちょっと怖いから、手、つないでくれると、うれしい」

純一「……もちろんさ」ニコッ

ギュッ

裡沙「あ……///」

純一「行こうか」

裡沙「う、うん///」

50 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:45:24.74 ID:SoTCbUQ50
グゴガアアアアアアアアア!

裡沙「きゃあっ!?」

ダキッ!

純一「わおっ!? け、結構凝った作りだね」

裡沙「そ、そうだね///」

裡沙(きゃああ! 無意識だけど、やっと純一さんに抱きつけられた!///)

純一「……広いところに出たね」

裡沙「何か大きな仕掛けとかあるのかな……怖いぃ」

純一「だ、大丈夫! 裡沙は、僕が守るから」

裡沙「う、うん///」

オオォォ……

裡沙「きゃあ!!?」

純一「のわっ!?」

キングファラオ「我の領域に踏み入った罪深きものよ! その身で、千年の呪いを思い知るがいい!」

しゅあああ!

純一「わっ!? な、なんだ、この霧は!?」

裡沙「きゃああっ!!?」
51 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:47:45.97 ID:SoTCbUQ50
純一「り、裡沙!? そ、そんな、姿かいつの間にか……消えてる?」

裡沙「わ、私はここだよ?」

純一「やっと霧が晴れて……あれ? 姿が見えないよ?」

裡沙「ここにいるよ! ……あれ? 純一さん、こんなに背、大きかったっけ……」

純一「……え?」

裡沙「え、え? ど、どうしたの? 唖然とした顔で私を見つめて……顔に何かついてる?」

純一「いや、そのぉ……」

裡沙「え? な、何があったの!?」

純一「……大変言いにくいんだけど……裡沙、君……カメラになってる」

裡沙「……へ?」

純一「だから……なぜかは知らないけど、裡沙の声が、今僕が持っているビデオカメラから聞こえるんだ。つまり、裡沙が、カメラになっちゃった」

裡沙「え? ……えええええ!!?」

純一「僕もすっごく驚いてるよ。いやぁ、遊園地のアトラクションって、こんなに進歩してたんだなぁ」

裡沙「現実逃避しかけないで!? ……ど、どうしよう。まさか、ビデオカメラになるなんて……」

52 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:48:56.36 ID:SoTCbUQ50
純一「……うん、完全にビデオカメラだ。このプレビュー画面とか」

パカッ

裡沙「んあ///」

純一「……ん? もしかして、感覚があるのか? このボタンとか」

ポチッ ポチッ

裡沙「あ、じゅ、じゅんいち、さぁん……んっ///」

純一(え、エロい! すっごくエロいぞ! って、そういう場合じゃないよ)

純一「ごめんね、裡沙。ちょっと隅々まで調べさせてもらうよ」

裡沙「そ、そんな!? は、恥ずかしい、ですよぉ///」

純一「でも、もしかしたら元に戻るボタンとかあるかもしれないし……ごめん、我慢して」

裡沙「わ、分かりました///」

純一「……う〜ん。あれ? このカメラ、映像が保存されてるぞ?」

裡沙「え、映像? ……あっ!?」

純一「手掛かりになるかも……再生、と」

裡沙「それはだめぇ!」
53 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:50:24.03 ID:SoTCbUQ50
純一(10歳)「はい、このチョコあげるよ)

裡沙(10歳)「あ、ありがとう///」


純一「こ、これは……小さい時の、僕?」

裡沙「あ、ああっ」


純一(14歳)「やっぱりこの女優可愛いよな!」

梅原(14歳)「大将もそう思うか! お互い、気が合いそうだな!」


純一「こ、これは、河原でお宝本を読んでた時のぼ、僕……」

裡沙「ああ〜///」


純一(16歳)「いや、実にいい空間だよな。学校にこんなところがあるなんて……さて、今日もお宝本を……」


純一「こ、これは、例の隠し教室を見つけて間もない時の、去年の、僕……」

裡沙「きゃあ〜///」


裡沙(16歳)「はぁ……私もあのアイドルぐらい胸が大きかったら……どうやったら大きくなるんだろう。いっそ、あの人に頼んで、も、もんで、もらう、とか///」


純一「そして、時折入る裡沙のナレーション……」

裡沙「いやああああ!!」
54 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:52:16.66 ID:SoTCbUQ50
純一「なるほど、裡沙の記憶が、映像として残されてるわけか。……それにしても、ほとんど僕の映像だったところが、さすがと言うべきか」

裡沙「……すっごく、死にたい……」

純一(しかもその都度の心境が、本人の肉声で再生されるから……完全に羞恥プレイだよなぁ。いや、僕もかなり恥ずかしかったけど)

純一「でも、結局手掛かりが見つからぬまま、出口目前だ」

裡沙「……ねぇ、純一さん」

純一「な、何?」

裡沙「……もし、私がこのまま、元に戻らなかったら……別の人と、付き合っていいですからね」

純一「え!?」

裡沙「だって、この体じゃあ、私、手を繋ぐことも、抱きしめることも、あ、あんなこともできない……こんな女の子なんて……」

純一「いやだ!」

裡沙「……え?」

純一「たとえ元に戻らなくても、僕は裡沙が大好きなんだ! もう、裡沙以外の女の子なんて、好きになれないよ。たとえカメラのままでも、僕はずっと君のそばにいるから……」

裡沙「じゅ、純一、さん……///」

ボォン!

純一「わっ!? けほ、けほっ」

純一「り、裡沙!?」

裡沙「……あ」

純一「あ、元に……」

裡沙「元に……元に戻った! 純一さぁん!」

ダキッ

裡沙「よかった……体温を感じれる、抱きしめられる……よかったぁ」

純一「……これで一安心だな」
55 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:53:01.40 ID:SoTCbUQ50
【公園】

純一「今日のデート、楽しかったね」

裡沙「ほんと、夢みたいな時間でした。……一時は、どうなるかと思いましたけど」

純一「ははは。僕は、今まで裡沙が僕のことをどう思ってきたか、聞けたから、いい機会だったな」

裡沙「あ、あぅぅ……///」

純一「……ねぇ、裡沙」

裡沙「はい?」

純一「……裡沙は、今まで、本当に頑張ってくれたんだね。僕を振り向かせるためだったり、守るために」

裡沙「あっ……///」

純一「こんな可愛い子が、僕に一途に思ってくれていたなんて、早く気付きたかったなぁ」

裡沙「か、かわいいっ!?///」

純一「うん、時々、自分のことを地味っていったり、体が僕の好みじゃないって、自分で言ったりするけど、そんなことはない。小柄で、スレンダーで、一途で、優しくて、不器用で、色々な顔を見せてくれる、僕に笑いかけてくれる裡沙が、僕は大好きなんだ。……おかげで、お宝本を梅原に全部あげちゃったぐらいだよ」

裡沙「え!? そ、そうだったんですか?」

純一「うん。だって……」

ダキッ

裡沙「あ……///」

純一「僕は、君がいれば幸せだからね。いつも身近に感じたい。いつもそばにいてあげたいって、毎日思ってる。……まるで、知り合う前の裡沙みたいに」

裡沙「///」

純一「だから、さ……僕に、気軽に話していいんだよ? 同級生なんだし、恋人なんだ。さん付けじゃなくて、純一って、普通に」

裡沙「……じゅん、いち」

ぎゅっ

純一「うん」

裡沙「純一……じゅんいちぃ!」

純一「うん……ここにいるよ。今まで君が、僕を遠くで見てきた分も、そしてこれからも……ずっと、僕は、君と共にいる」

裡沙「……しあわせ、だぁ」

純一「……裡沙、顔を合わせて」

裡沙「え? うん――」

ちゅっ

裡沙「あっ――///」

純一「……ファーストキス。君にあげた」

裡沙「わ、わたし、も///」

純一「そして、これからも、セカンドも、サードも、永遠に、君に捧げる」

裡沙「……わたしも、よろこんで」



後日談END
56 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 06:53:29.98 ID:SoTCbUQ50
次回、クリスマス編&正月編。

ご期待されるといいな。

何時立てるかは不明。
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/04/16(月) 06:59:32.49 ID:ouENQmJ5o
早朝からがんばるなぁ!真っ直ぐな裡沙ちゃんも良いものだ。乙ー
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/04/16(月) 07:16:07.30 ID:Aqxvi/yDO
理沙ちゃんが真ヒロイン

>>1
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/04/16(月) 11:30:06.96 ID:6SG/TXuAO
乙!
なかなか良かった!
次も期待
60 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 17:04:54.28 ID:SoTCbUQ50
やばい、次回のネタが思いつかん。

今週中に上げたいけど……難しいか?


>>57

>>58

>>59

どもども。

スト子の可愛さは正義。
61 :VIPにかわりまして橘純一がお送りします :2012/04/16(月) 18:10:01.85 ID:SoTCbUQ50
あ、後、多分次回は別スレにすると思われ。

さすがに長くなっちまう。

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/17(火) 04:17:30.08 ID:bBff2t6DO
この裡沙ちゃんなら、裏表の無い素敵な人に〆られることもなかろう
幸せそうな裡沙ちゃんが読めて、非常に俺得スレだった
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/18(水) 15:56:24.19 ID:gTPpn0Aco
おつおつ
素晴らしかった。

次スレタイトルどんな感じになる予定?
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/04/23(月) 08:49:51.92 ID:O9Aihi2Io
すごい遅いが今読み終わった!乙だ!!
こういうルート、誰かが書いてくれたらいいなあと思ってたからすげえよかった!
裡沙ちゃんかわいかったし

自分も裡沙ちゃんで何か書くわ
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 15:53:05.61 ID:lq7YZVoDO

次作も期待してるよ
64.07 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)