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中禅寺秋彦「ここが雛見沢か・・・」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) :2012/04/23(月) 17:02:37.35 ID:eDM2IeS50
中禅寺「すみません。園崎家とはどちらの家になるのでしょうか」

梨花「魅ぃの家なのですね。魅ぃの家はこの先の・・・」

沙都子「ちょっと梨花!見るからに怪しい男ではありませんこと!」ヒソヒソ

梨花「大丈夫なのですよ。きっと道に迷って困ってしまっているのです」

沙都子「・・・このまま真っ直ぐ行った先の大きなお屋敷ですの。行けばすぐ分かりますわ」

梨花「なのです」

中禅寺「有難う。助かります」

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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 17:04:53.75 ID:eDM2IeS50
中禅寺「ご連絡した中禅寺と申します」

魅音「あ、ああ、ばっちゃが言ってた本の買取の・・・こちらへどうぞ」

中禅寺「失礼いたします」


魅音「えっと、この蔵に古い本がたくさんしまってあってですね」

中禅寺「処分したい、とそういう事ですね」

魅音「はい。読む事もないので邪魔になってるんですよねー」


(蔵の中へ入る)


中禅寺「・・・これはかなりの量ですね。全て、ですか?」

魅音「はは・・・この中の物全て処分してくれて構わないとの事です」

中禅寺「分かりました。ではそうですね、一週間程いただいて見積もりをお出しいたします」

魅音「分かりました。そうばっちゃに伝えておきます。ところで中禅寺さん、と言いましたっけ。宿の方はお決まりなんですか?」

中禅寺「いえ、興宮の方で宿を見つけようかと思っていますが」

魅音「ああ、それならウチに泊まってくださればいいですよ。無駄に広いんで空いてる部屋はたくさんありますし」

中禅寺「ふむ・・・ではお言葉に甘えるとしましょう」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 17:07:32.29 ID:eDM2IeS50
羽生「こんな事はいままでなかったのです」

梨花「あの男の事ね・・・一体何者なの」

羽生「私も初めて見るのです」

梨花「干渉する事のない只の異物・・・?それとも何か・・・意味があるのかしら」

羽生「あうあう。ダメなのです。そんな期待をしていたら裏切られた時に悲しむ事になるのです。私は梨花のそんな姿見たくないのです」

梨花「・・・無残に殺された姿なら見るのは構わないとでも言うの?」

羽生「あうあうー。そうではないのですー」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 17:10:30.23 ID:eDM2IeS50
レナ「おはよー梨花ちゃん、沙都子ちゃん。今日もかあいいなぁーはうー」

梨花「おはようございますなのです」

沙都子「おはようございますですわ」

魅音「おっはよー!」

沙都子「魅音さん、そういえば昨日、見慣れない殿方に道で魅音さんの家の場所を聞かれましたわ」

魅音「ん?あ、ああ。中禅寺さんの事かな?うちの古い本の処分を頼んだんだ」

梨花「魅ぃのおうちにはいっぱい古い本があるのです」

魅音「そうそう。いい加減邪魔になってきちゃってねぇ。むっかしの本なんて誰も読まないしさぁ。それでお願いしてるわけ。今古本の鑑定みたいなことをしてくれてるよ」

レナ「鑑定かー。なんだか、宝探しみたいでワクワクするね・・・!」

梨花「レナの宝探し癖が始まったのです」

魅音「宝探しかぁ・・・ よし!」

沙都子「どうしたのです?」

魅音「今日の部活は、中禅寺さんのお手伝いと称して、宝探しだ!」

レナ「宝探し!!・・・でもいいの?邪魔になっちゃうんじゃないかなぁ」

魅音「あーそうだねぇ。一応聞いてみるよ。ダメだったら他を考えよう」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 17:13:51.63 ID:eDM2IeS50
中禅寺「それは構いません、というより有難い。
    実の所、これだけの量とは思っていませんでして。力仕事はどうにも不向きなもので」

魅音「は、はは・・・ま、力仕事ならお任せください」

梨花「頑張るのです、魅ぃ、レナ」

レナ「おー!」

魅音「はは・・・よしじゃああの棚から片付けようか」

中禅寺「棚から下ろして一つずつこちらに渡していただけますか」

レナ「よいしょ・・・うわーすごい古そうな本だねぇ」

魅音「よっと!・・・だいぶ昔からここにあるみたいだからねぇ」

沙都子「埃を被っていますしね。いつの頃の物なんでしょう」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 17:20:34.55 ID:eDM2IeS50
中禅寺「・・・この辺の物は明治期・・・ですかね。この村の表記が雛見沢となっている」

魅音「あぁ、たしかに。もっと昔は鬼ヶ淵村と呼ばれていたんだよね」

中禅寺「この村の歴史は実に興味深いですね。
    伝承によると地獄を追い出された鬼、それも人食い鬼・・・まぁ鬼は概ね人をとって食うものですが、その人食い鬼が村人を襲っていたが『オヤシロさま』と呼ばれる神の仲裁により鬼と人間が共棲するようになった、とか」

沙都子「お詳しいですのね」

中禅寺「それなりに・・・。まあ伝承、伝説の類が好きなもので」

魅音「鬼と人の争いを神様が仲裁ねぇ・・・なんだかすごいファンタジーだよね」

レナ「オヤシロさまは・・・オヤシロさまは・・・本当にいるよ」

中禅寺「・・・?」

レナ「オヤシロさまはずっと見てる。今もどこかで私たち、ううん、この村を見守っていてくれてる」

中禅寺「・・・そうですね。その通りだと思います。
    仲裁する神、というのは大和三山の争いを仲裁する為に出雲から出かけた阿菩大神であったりとか、伊邪那岐、伊邪那美の口論を仲裁した菊理媛神だとか、決して珍しいものではありません。
    その菊理、一説によればククリとは『聞き入れる』という言葉の語源であり、神霊の言葉を聞く巫女の力を司る神ではないかとの推測もされます」

レナ「・・・・・・」

中禅寺「また、鬼といえば本邦では角の生えて虎柄の腰巻をして金棒を持った姿が一番に浮かびますが、中国において鬼とは死者の事を指しますね。死んで鬼籍に入る、とも言いますように。
    この雛見沢において鬼と人との仲裁を行った神、言い換えると死者と生者との仲裁を行った巫女、つまり、死んだ者の言葉を聞き入れ、それを生きている者、残されていった者に伝える、口寄せを行う巫女の事をオヤシロさまと呼ぶようになったともとれます」

レナ「・・・」

中禅寺「これが概念として今も存在しているのは何も不思議な事ではない。それは正しく、『いる』のでしょう」

魅音「・・・へ、へぇ」

沙都子「なんだか・・・ちんぷんかんぷんですわ」

中禅寺「これはすみませんでした。さて、仕事の方に戻りましょうか」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 17:22:45.62 ID:eDM2IeS50
魅音「ふぅ。今日はこんなものかな?そろそろ暗くなってきたし」

レナ「そうだねー。埃でだいぶ汚れちゃったや」

魅音「でも何だか晴れ晴れした顔してるねぇ、レナ」

レナ「うふふー」

沙都子「何か掘り出し物は見つかりました?中禅寺さん」

中禅寺「そうですね。いくつかちらほらと・・・特にこの村の歴史についての本など」

レナ「お宝?お宝!?」

中禅寺「学術的にはあまり価値はないのですが、こういう、郷村の歴史、伝承が書かれた物を欲しがる蒐集者がいるのです」

魅音「へぇー。私らには全く価値のない物でも欲しがる人がいるなんてねぇ」

中禅寺「何はともあれ助かりました。後は私一人で何とかなりましょう」

レナ「私達も楽しかったー!こんな事あんまり経験できないしね!」

魅音「じゃあ今日は解散!」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 17:31:26.49 ID:eDM2IeS50
羽生「あの中禅寺という男、何だか異質な物を感じるのです」

梨花「・・・異質?そりゃ外部の人間だもの。雛見沢の神である羽生がそう感じるのは不思議でもなんでもないんじゃない?」

羽生「いえ、そうではないのです。何というか、梨花と同じ感じを・・・」

梨花「私と?・・・真逆あの男も同じ時間を繰り返してるとでも?」

羽生「いえ、そうではありません。只、何か普通ではない物を・・・」

梨花「中禅寺・・・敵なの?味方なの・・・?」

羽生「敵でないとしても、過度な期待は禁物なのです」

梨花「・・・でもあの男の知識は相当なものだったわよ。あんたの事も解説されてたじゃない」

羽生「あうあう、私は本当に神なのです。巫女ではないのです」

梨花「それに・・・レナが何か憑き物が落ちたかのように・・・」

羽生「・・・はい。オヤシロさまという存在がレナの中では大きすぎたようでした。
   それが中禅寺の解釈を聞いた事により何かこう・・・心が晴れたとでもいうのでしょうか」

梨花「・・・あんたとしては少し悲しいんじゃない?」

羽生「あうあう、そんなことないのです」

梨花「でもまぁ仲裁の神様なら何とかしてよ。私とどこの誰かもわからない敵との仲裁を」

羽生「あうー・・・それができたらとっくにしているのです」

梨花「役立たずの神様ね」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2012/04/23(月) 18:28:17.04 ID:DbWyqzMco
期待
山奥の村なら多々良先生も出てくるのか
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 18:43:33.25 ID:qBFFKOXSO
ちゃんと終わるのか?
不安なクロスだけど期待
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 18:49:04.81 ID:eDM2IeS50
魅音「えっ!沙都子のおじさんが!?」

梨花「そうなのです・・・帰ってきてしまったのです」

レナ「それで今日は沙都子ちゃん来ないのかなぁ」

梨花「大変なのです、魅ぃ、沙都子を助けてあげてなのです」

魅音「う、うーん・・・でもほら、一応家族な訳だし、外部の人間がとやかく言うなんてのもねぇ」

梨花「レナ!」

レナ「うぅん・・・沙都子ちゃんも叔父さんが帰ってきて嬉しかったりしないのかな・・・かな?」

梨花「っ・・・そんな事ないのです!このままじゃ沙都子が!沙都子がっ」

魅音「帰りにでも様子を見にいこうか?ほら、宿題を渡しついでにさ」

梨花「・・・分かりましたなのです」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 18:51:33.17 ID:eDM2IeS50
魅音「沙都子ー!」

鉄平「誰じゃ」

魅音「あ、えっと、沙都子の友達です。宿題を届けに・・・沙都子ー?」

鉄平「沙都子は今寝込んどるわ。それ置いてとっとと帰れ」

レナ「あ、ちょっとだけ顔を見せてもらいたいなぁなんて・・・」

鉄平「だぁほ!寝込んどる人間に顔見せぃなんて酷い事言うのう!このだらずが!」

レナ「はぅ・・・」

梨花「ならボクたちがいくのです」

鉄平「だーめじゃ!帰れったら帰れ!」




魅音「ふぅ・・・取り付く島がないね。これは出直した方がよさそうだ」

レナ「怖かったぁ。沙都子ちゃん大丈夫かなぁ」

梨花「沙都子・・・」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 18:59:31.37 ID:eDM2IeS50
富竹「こんにちは。あなたが園崎家にやってきたという古本屋さんですね?」

中禅寺「・・・そうですが」

富竹「(カシャ)・・・っと失礼、私はフリーのカメラマン。富竹と申します」

中禅寺「申し訳ないが仕事の最中でして。あまり構ってもいられない。何しろこれだけの量の本の査定をしなくてはなりませんから」

富竹「これはすみません。いやぁこの村で外部の方にお会いできるなんて珍しくてですね。
   僕はたまにこうやってこの村の景色、自然、建物などをこのカメラに収めに来ているのです」

中禅寺「そうですか。用がないのでしたら私は作業の方に戻りたいのですが」

富竹「あっはっは。ところで中禅寺さんでしたっけ、この村であった事件の事はご存知です?」

中禅寺「興味がありません」

富竹「そうですか。いやぁ怪事件でしてね。実に不思議な・・・」

中禅寺「不思議・・・ですか」

富竹「ええ。知りたいですか?」

中禅寺「富竹さんでしたね。この世には・・・
    不思議な事など何もありません。そして不思議といえば全て不思議なのですよ」

富竹「・・・はは、ははは・・・」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 19:17:28.43 ID:16L9Pzw2o
京極とひぐらし好きな俺得スレ
支援
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 19:33:40.31 ID:eDM2IeS50
梨花「だめよ!今回は沙都子が!」

羽生「あうあうー、落ち着くのです、梨花」

梨花「これが落ち着いていられるっての?せっかく・・・新しい風が入ってきたと思ったのに・・・」

羽生「あうあう・・・梨花・・・だから期待しすぎるのは良くないといったのです・・・」

梨花「・・・そうね。そうする事にするわ。期待なんてしない」

羽生「梨花・・・」

梨花「期待せずに、あの男、中禅寺にすべて話してみるわ」

羽生「?」

梨花「もし敵だとしてもどうせこの世界は終わるのだから関係ないわ。
   全て話す事によって何か分かれば、次の世界でまたあの男が現れた時にあんたが覚えておいてくれればいい訳でしょ」

羽生「梨花・・・」




梨花「・・・と言う訳なのです。急にこんな話をしても信じてもらえないのはわかっているのです。でも真実なのです」

中禅寺「・・・なるほど。外部の人間、この村とは関係のない人間ならばその輪廻というのですかね、それを断ち切る事ができるのではないかと、そう考えているわけですか」

梨花「なのです。でも今回の世界はきっと手遅れなのです」

中禅寺「沙都子、さんでしたか。叔父さんが帰ってきているとか」

梨花「はいです。鉄平は沙都子を虐待するのです・・・沙都子はかあいそかあいそなのです・・・」

中禅寺「まずはそれを解決する事なのですね」

梨花「・・・できるのですか?」

中禅寺「どうでしょうか。・・・あなたの言う繰り返される六月というのが私に理解はできませんが、沙都子さんを保護しなくてはならなそうだ、という事だけは分かります。
    やるだけやってみましょう。力仕事を手伝って頂いたせめてものお礼です」

梨花「(敵・・・ではないの?)」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 19:36:30.06 ID:eDM2IeS50
魅音「いってきますー。あ、中禅寺さん、お早いですね」

中禅寺「おはようございます。これから学校ですか」

魅音「はい。あ、中禅寺さん今日興宮まで出るんでしたっけ?」

中禅寺「はい。ちょっとした用事が。
    それとちょうど友人が来てるようなので少しだけ顔を出しに。まぁ放っておいてもいいんですが、何かと煩いもので」

魅音「あはは。了解ですー。あ、ばっちゃには言っておきましたので」

中禅寺「有難うございます。ではお気をつけて」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 19:41:36.30 ID:eDM2IeS50
(興宮にて)

中禅寺「あれは・・・魅音さん・・・?」

詩音「や、やめてください」

チンピラA「あ゛ーっ!?んだおらー!?」
チンピラB「あ゛ーっ!?っめてっとー!?」
チンピラC「あ゛ーっ!?っちまうぞー!?」

中禅寺「・・・ではないのか。よく似ている」

詩音「いやっ!はなして!」

中禅寺「君たち」

チンピラA「あ゛ーっ!?んだてめぇー!?」

中禅寺「いや君たちの事を思って言うが、もう間もなく警官がやってくる」

チンピラB「んだとー!?てめぇ呼びやがったのかよォー!?」

中禅寺「私が呼んだ訳ではないのだが・・・ほらサイレンが聞こえてきたろう」

チンピラC「んぁーっ!?んでだーっ!?」

チンピラA「っべー!っげろー!っげろー!」

チンピラB「っぉいてくなー!まてよーォ!」

中禅寺「・・・・・・」

詩音「・・・あれ、パトカー通りすぎていった」

中禅寺「この先で強盗事件があったらしくてね。といっても犯人は何も盗らずに逃げたようだが。野次馬が話しているのが耳に入った」

詩音「それでパトカーが・・・」

中禅寺「ああ。そうしたら君が襲われている所に出くわしたので、彼らに警告したまでだ。嘘は言っていない」

詩音「あはは・・・ありがとうございます。助かりました・・・」

中禅寺「いや、ところで君は魅音さん・・・園崎魅音さんの姉妹か何か?」

詩音「お姉を知ってるんですね! はい。魅音は双子の姉で、私は詩音といいます」

中禅寺「なるほど。私は園崎家に古書の買取を依頼された古書肆です」

詩音「そうなんですか。お姉に宜しく言っておいてください。あ、私すぐ近くのエンジェルモートっていうお店でアルバイトしてるんです。もし良かったら助けてくださったお礼にご馳走いたしますから来ていただけませんか」

中禅寺「ふむ・・・そういえば今日はまだ何も食べていなかった。・・・ご好意有難くお受けいたしましょう」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 19:50:17.16 ID:eDM2IeS50
詩音「双子といっても似てるのは顔だけで。性格はかなり違うと思いますねー」

中禅寺「そうですか」

詩音「中禅寺さんご兄弟は?」

中禅寺「妹がおります。だいぶ歳は離れていますが」

詩音「妹さんですかー。私にはお姉だけですから男の兄弟欲しかったなぁって思う事もあります。それに女同士で歳も同じだから結構喧嘩も多くて。あ、だからってお姉が嫌いって訳じゃないんですけどね」

中禅寺「姉妹とは得てしてそんなものなのでしょう」

詩音「そうなんですかね。・・・私はお姉に嫉妬してしまいます」

中禅寺「・・・・・・」

詩音「なんで私が、なんでお姉が・・・って・・・」

中禅寺「・・・・・・この国の昔、大昔の話ですが、石長比売と木花之佐久夜毘売という姉妹の神がいました」

詩音「姉妹の神・・・」

中禅寺「退屈かもしれませんが、戯言だと思って聞いてください。
   姉妹の神のうち・・・姉の石長比売の方は、まぁ細工が宜しくない。だが永遠の命を象徴する神。妹の木花之佐久夜毘売は美しいが薄命である。天津神、ニニギの元へその両方の女神が嫁にいった訳ですが、石長比売の方だけ送り返されてしまう。怒った父神であるところの大山祇神は、石長比売を差し上げたのは天孫が岩のように永遠のものとなるように、木花之佐久夜毘売を差し上げたのは天孫が花のように繁栄するようにと誓約を立てたからである、石長比売を送り返したことで天孫の寿命は短くなるだろうと告げた訳です」

詩音「・・・・・・」

中禅寺「木花之佐久夜毘売を主祭神としているのは富士山を神体山としている富士山本宮浅間大社など。石長比売は雲見浅間神社や大室山の浅間神社などが主神としています。この大室山がある伊豆地方では、石長比売の化身である大室山に登って木花之佐久夜毘売の化身である富士山を褒めると、怪我をするとかの俗信があるようですね」

詩音「あはは、きっと神様が怒っちゃうんですね」

中禅寺「そうです。神々ですら姉妹の間には難しい事情があるのですから、我々人間にも嫉妬や羨望などあって当然とも言えます」

詩音「確かにそうですね。神様だって完璧じゃないんですもんね」

中禅寺「私の友人などは、先ほど会ってきたのですが、自分が神だとのたまっていますがね。まああれほどじゃないにしろ本邦の神々はどこか人間臭い所があるものです」

詩音「あはは・・・ なんだか心が軽くなった気がします。当たり前・・・の事なんですよね」

中禅寺「そうですね」

詩音「・・・なんだか中禅寺さんには助けられてばかりのような気がしますね」

中禅寺「いえ・・・さて、興宮での用事も済んだので、そろそろ私は雛見沢の方へ戻ります。ご馳走様でした」

詩音「はい。今日はありがとうございました」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 19:57:44.36 ID:eDM2IeS50
ドンドン ドンドン

鉄平「あー? 誰じゃ!何の用かい!沙都子なら寝込んどると・・・」ガラッ

木場「北条だな」

鉄平「な、なんじゃお前ら・・・どこのもんじゃ」

木場「警察だ」

鉄平「な、け、警察が何の用じゃ」

木場「そりゃお前さんが一番よくわかってるんじゃねぇのかい。ま、色々やっててわからねぇか。一例を挙げるとだな、恐喝容疑、詐欺容疑・・・こりゃ美人局ってやつかい」

鉄平「そ、そりゃ何かの間違いじゃ」

木場「間違いかどうかは俺ァ知らねぇよ。そりゃ署の方でやってくれや。俺ァ東京の刑事なんでな」

鉄平「東京の刑事がなんでこんな所まで・・・」

木場「お前が知る事じゃねぇよ。おら、連れてけ」




木場「これでいいのかい」

中禅寺「叩けば出る埃が思いの外大きかったという訳か」

木場「叩かなくてもヤツぁ埃塗れだったんだよ」


木場「しかしなんで礼二郎のやつまで興宮に来てるんだ」

中禅寺「さぁ・・・またいつもの思い立ったがというやつでしょう」

木場「アホだな」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:06:51.36 ID:eDM2IeS50
ここまでお読みくださっている方ありがとうございます。
本当に短編の予定です。
なお、作中の京極堂の薀蓄はどこかの受け売りだったりパクりだったりもしますが、
考証等しておりませんし、間違いもあると想いますのでご了承ください。

ひぐらし側の詳細設定等も違う部分があると思いますが、ご容赦願います。


>>9
多々良先生は出て来る予定はありませんww
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:24:32.92 ID:eDM2IeS50
梨花「・・・沙都子が帰ってきたのです!何をしたのですか中禅寺」

中禅寺「いえ、私は別に何も」

梨花「もしかしたら・・・抜け出せるかもしれないのです・・・」

中禅寺「ふむ・・・まだあるのですね」

梨花「詩音・・・園崎魅音の妹なのです」

中禅寺「ああ。あの方ですか。興宮でお会いしました」

梨花「!?・・・すでに面識があったのですね」

中禅寺「ええ。何を気にしているのかは分かりかねますが、問題はないでしょう」

梨花「・・・すごい・・・本当に抜け出せるかもしれない」

中禅寺「・・・・・・」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:29:09.65 ID:eDM2IeS50
梨花「沙都子、大丈夫なのですか」

沙都子「何がですの?心配されるのは梨花、あなたの方ではなくて?わたくしがいない間、炊事洗濯ちゃんとできてましたの?」

梨花「・・・してないのです」

沙都子「全く梨花は・・・わたくしがいないと何もしないのですから!」

梨花「・・・にぱー」

沙都子「誤魔化そうたってそうはいきませんことよ!」

レナ「あはは! ・・・そういえばそろそろ綿流しだねー」

魅音「そうか、そんな季節かー」

レナ「そうだ、中禅寺さん」

魅音「中禅寺さんが何か?」

レナ「きっと綿流し見たいんじゃないかなぁ。ああいうの好きそうだし」

魅音「あぁーそうかもねー。誘ってみようか」

梨花「中禅寺にも僕の舞を見てもらうのです」

レナ「はうぅー。梨花ちゃんの晴れ姿、楽しみだなぁー」

魅音「あっはっは。よし、そうと決まれば早速伝えに行こう!」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:32:50.80 ID:eDM2IeS50
中禅寺「綿流し・・・ですか」

魅音「はい。毎年この季節にこの村で行われるお祭りですね」

レナ「梨花ちゃんの晴れ舞台もあるんですよ!鍬もって踊るんだよねー!」

魅音「鍬もって踊るって・・・まぁ間違ってはいないけど」

中禅寺「ああ、梨花さんは古手神社の・・・」

梨花「そうなのです。良かったら見にきてほしいのです」

中禅寺「わかりました。・・・であるならば・・・そうですね、一つお願いがあります」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:42:43.19 ID:eDM2IeS50
(綿流し当日)

詩音「あ、中禅寺さん!お久しぶりです」

中禅寺「これはこれは。詩音さんもこの綿流しに?」

詩音「はい。今年はお姉たちと一緒に見てまわろうかと」

中禅寺「そうですか。魅音さんたちはあちらにいるようですよ」



鷹野「あなたが園崎の家に泊まり込んでいる本屋さんね?」

富竹「ああ、中禅寺さん、ご無沙汰してます。詩音ちゃんもお久しぶり」

詩音「富竹さんに鷹野さん。こんばんは」

中禅寺「ああ富竹さん。・・・こちらは?」

富竹「こちらは入江診療所で働いてらっしゃる鷹野さんです」

鷹野「初めまして。中禅寺さんは何でもこの村の歴史についてお詳しいとか?」

中禅寺「特にそういう訳ではないのですが、誰から聞いたのでしょう」

鷹野「子供たちがそう話していたものでしてね。実は私も依然から興味がありまして、調べているのです」

中禅寺「ほう」

鷹野「これから・・・この雛見沢の真実の姿を見にいくのですが・・・宜しかったらどうですか?」

富竹「鷹野さん、それは・・・」

鷹野「あら、いいじゃないの。中禅寺さんにも見てもらいましょうよ・・・クスクス」

中禅寺「この村の真実の姿・・・ですか」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:49:05.94 ID:eDM2IeS50
中禅寺「まぁ大凡予想はついていますが、見せたいものとは数ある拷問器具といった所でしょうか」

鷹野「!?・・・」

中禅寺「それはどちらに?・・・あぁ、古手神社、なのですかね。忍びこむというのはあまり褒められたものではありませんよ」

鷹野「・・・なぜそれを・・・」

中禅寺「綿流し・・・といいましたね、このお祭りは。
    鬼ヶ淵、つまり旧雛見沢にあった伝承によると、村に村民を縛り付けておくため、村の戒律を破って外に出ようとする者を捕え、わた、つまりは腸ですね。を引きずり出す・・・腸流しの儀式があった」

鷹野「・・・その通りよ。よくお調べになったのね」

中禅寺「園崎家の書物の中にもありましたが、まぁありきたりです。
    そのような儀式自体はあまり見かけない物であるかもしれませんが、村人を流出させたくない、縛り付けておきたいという村の掟自体はそう珍しい物ではありません。この村ではその掟を破った際の罰の方法が少々残酷じみていただけなのでしょう」

鷹野「・・・・・・」

中禅寺「綿といえば、一反木綿という妖怪をご存知ですか。こちらは木綿になりますが」

鷹野「一反・・・木綿?・・・それが何か」

中禅寺「はい。九州は鹿児島、熊本のあたりに古くから伝わる白い布のような妖怪です。そこの権現山にて多数の目撃情報があるようなのですが、興味深いのは現場付近にダムの建設現場があり、特にその工事のさなかの目撃情報が多いという事なのです」

鷹野「ダム・・・建設・・・」

中禅寺「そうです。この雛見沢も一度ダム建設の騒ぎがあったそうで」

富竹「あ、ああ。そうです」

中禅寺「世に言う不可思議な事象というのはそういった混沌の最中に多く生まれる物なのですよ、富竹さん」

富竹「あ・・・・・・」

中禅寺「人がいなければ妖怪は目撃されません。当たり前の事です。人が多くなればその分怪しい物事も増えるのですね」




中禅寺「そうそう、そろそろ古手梨花さんの奉納演武が始まる頃です。宜しければご一緒に観に行きましょう」

鷹野「・・・え、ええもちろん。行きましょう」

富竹「・・・」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 20:56:29.21 ID:eDM2IeS50
レナ「梨花ちゃんに打ち明けられた時はびっくりしたけど、話してくれて嬉しかった」

梨花「こんなことならもっと早くに話していればよかったのです」

魅音「水臭いなー。同じ部活のメンバーが困っているとあれば他のみんなはまず第一に助けるよ!」

梨花「魅ぃ・・・」

レナ「そうだよそうだよ!」

沙都子「そうですわよ。わたくしにも相談しないだなんて、そんな事許される訳ありませんことよ!」

梨花「みー・・・」

沙都子「でも本当にこんな事をしているだけでよろしいのでしょうかね」

魅音「うーん、主だった村の者を梨花ちゃんの演舞舞台に集めろ、だもんねぇ」

レナ「そりゃ梨花ちゃんの舞の舞台には村のほとんどの人が集まるし、別段やることもないねぇ」

梨花「ボクもこんなことは初めてのことなので分からないのです・・・ではボクは準備もあるのでそろそろ行きますのです」

レナ「頑張ってね!」

沙都子「心配ですのよ・・・」

魅音「おー!オジさんも応援してるからね!もし何かあったら大声で呼ぶんだよ!」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:03:48.48 ID:eDM2IeS50
レナ「わー・・・辺りも暗くなって、雰囲気出てきたねぇ」

魅音「おっ、とうとう出てくるのかな?梨花ちゃま」

沙都子「あー上手くやれるのかしら・・・心配ですわ」

鷹野「あら、魅音ちゃん達じゃない」

富竹「やあみんな揃って」

詩音「お姉!」

魅音「鷹野さんに富竹さん!詩音も!来ていただけたんですね」

鷹野「ええ。魅音ちゃん達が是非に、って念を押すものだから・・・
   それと、途中でこちらの中禅寺さんと・・・ってあら?」

詩音「あれ?さっきまでいたと思ったんですけど・・・はぐれちゃったかな?」

魅音「中禅寺さんが?」

富竹「いたんだけどねぇ・・・あ、そろそろ始まるみたいだよ」

鷹野「・・・ちょっと失礼するわ。すぐ戻ってきます」




鷹野「・・・小此木、聞こえる?状況はどう?」

小此木「各隊配置についてます。いつでも行動は起こせる」

鷹野「これから奉納演武が始まるわ。それが終わったら作戦を開始する」

小此木「了解」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:05:14.47 ID:eDM2IeS50
鷹野「・・・あら、梨花ちゃんの演舞はまだ始まらないの?」

富竹「ああ鷹野さん、おかえり。まだなんだ。何かあったんだろうか・・・」

魅音「どうしたんだろうねぇ・・・真逆・・・」

レナ「あっ、誰か出てきたよ!」

魅音「ってあれ?・・・中禅寺さん!?」

レナ「黒い・・・装束?」

沙都子「・・・それに黒い手甲・・・なんですの?あの格好」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:08:15.10 ID:eDM2IeS50

中禅寺「・・・今宵お集まり頂きましたここ雛見沢村の皆様方。古手神社の巫女、古手梨花様による奉納演武をご覧頂くに先駆けて私、武蔵晴明社の神主でもあります中禅寺秋彦が僭越ながら、まずは修祓の儀を執り行わせて頂きたいと思います」

魅音「・・・え?中禅寺さんって神主だったの?」

レナ「へぇー・・・たしかに似合ってそうだけど・・・」

中禅寺「皆々様、ご起立願います。斎主、祓詞奏上の間は御頭をお下げくださるようお願いいたします」

魅音「な、なんだか本格的だねぇ・・・」

沙都子「こちらまで緊張してきてしまいますわ・・・」

中禅寺「・・・掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 
    禊ぎ祓へ給ひし時に 生り坐せる祓戸の大神等 諸々の禍事・罪・穢 有らむをば 
    祓へ給ひ清め給へと 白すことを聞こし召せと 恐み恐みも白す

    …御頭をお上げください」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:14:05.59 ID:eDM2IeS50
中禅寺「・・・さて。綿流し、といいますれば、皆様ご承知の通り、これから巫女様により頂く綿に各々災厄、疾病、はたまた豊穣祈願など様々な概念、想いを乗せ、川に流していただく訳で御座いますが、その前に一つ私の方からお話差し上げたい事があります」

魅音「・・・一体何を・・・」

鷹野「・・・・・・」

中禅寺「話は少し変わりますが、皆様、昔この村に齎された恐ろしい厄災の事はご存じでしょうか。ご長老の方々はもしかすると親御様、はたまた自信が幼子の頃の長老から聞かされた覚えがあるかもしれません」

魅音「・・・厄災?」

中禅寺「雛見沢に御座います鬼ヶ淵沼、地獄を追われた人食い鬼が這い出して来、人々を襲ったと言われております。そして」

鷹野「・・・・・・」

中禅寺「オヤシロ様の祟りがあったときには生贄がこの沼に沈められたと伝えられています」

魅音「・・・」

レナ「・・・」

鷹野「そ、そうよ。オヤシロ様の祟り。綿流しの日に一人が殺され・・・そして一人が隠されるの!」

中禅寺「・・・なぜオヤシロ様は祟るのでしょう」

鷹野「それはこの村の歴史に関係があるわ」

中禅寺「そうです。鬼ヶ淵からやってきた鬼と人との仲を取り持ち、厄災を退けた巫女ことオヤシロ様。その後村人達は異質な存在であるオヤシロ様を迫害し始めます。・・・人にとって自分と異なる存在、理解不能な存在は恐怖そのものなのです。オヤシロ様はそうした中で人に祟りを齎す存在となります」

鷹野「・・・」

中禅寺「雛見沢連続怪死事件。皆さんご存知ですね。これもオヤシロ様の祟りと言われておりますが。
    そもそも本邦における神々は本来祟るものであり、また祟りの語源は神の顕現を表す『立ち有り』が転訛したものと言われています。
    流行り病、飢饉、天災など災厄そのものが神の顕現であり、それを畏れ鎮めて封印し、祀り上げたものが神社祭祀の始まりであると一説にあります」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:20:29.51 ID:eDM2IeS50
中禅寺「ですが、雛見沢連続怪死事件で亡くなった方々、私には祟りによって殺されたものとは思えません」

鷹野「そんなことないわ!祟りよ、祟りなのよ!」

中禅寺「もしオヤシロ様の祟りであるならば何故古手夫妻をも祟る必要があったのでしょう」

鷹野「それは!」

中禅寺「祟りというならば、古い掟に捕らわれ続ける事こそ祟り。
    自らを祀る神職者を呪い殺してしまう神などそれはもうすでに神ではない。むしろ怨霊、魍魎の類でしょう」

レナ「・・・そうだよ・・・オヤシロ様はそんな悪い事するはずない・・・」

鷹野「オヤシロ様が怨霊だとでも言いたいの!?」

中禅寺「・・・真逆。そうではありません。オヤシロ様は歴とした神。それは皆様が一番良く分かってらっしゃるはずです。
    この雛見沢で起きたいくつかの怪死事件。・・・それはオヤシロ様の仕業によるものではないとするならば誰が・・・そう、そこに残されるのは人間です」

魅音「・・・人間・・・」

32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:25:48.36 ID:eDM2IeS50
中禅寺「但し、いくつか不幸な事故があったようです。そうですね・・・鷹野三四さん。いや、鷹野三佐・・・いや田無美代子さんとお呼びした方が宜しいか」

鷹野「!?・・・な、なにを」

中禅寺「少し・・・調べさせていただきました。旧陸軍・・・今の自衛隊にも多少知り合いがいるものでしてね。それと・・・」

榎木津「一体いつまで待たせるんだ!僕はもう飽きたぞ!」

中禅寺「ああ榎さん、何か視えましたか」

榎木津「京極、お前がながーながと喋ってる間に色々視たよ・・・変な瓶に入った薬、注射器、スーツを着て真面目くさった顔した連中、それに軍隊・・・自衛隊というのか?今は。それと・・・なんだか物騒なヤツらが見えたな」

中禅寺「・・・そうか。やはり木場刑事に応援をお願いしておいてよかったようだ」

榎木津「あの四角男か。この僕がいればあんなのは必要ない!」

鷹野「・・・なに、一体・・・何の話・・・」

中禅寺「・・・雛見沢・・・症候群」

鷹野「!?・・・どこまで知っているの・・・」

中禅寺「入江診療所では・・・いえ入江機関ではすでに治療薬が完成しているようです。これ以上のあなた方の作戦も必要ないはずでは」

鷹野「っく・・・全てバレてるのね・・・ 山狗!聞こえる!?・・・小此木!今すぐに作戦を開始するわ!」

中禅寺「やはりそう簡単には折れていただけませんか・・・」

富竹「た、鷹野さん・・・なにを!?」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:31:30.41 ID:eDM2IeS50
鷹野「クスクス・・・ジロウさん・・・私は神になるの!研究者はその研究成果がずっと残り続け、認められることで永遠に生き続ける!彼らに認めさせるにはこうするしかないのよ!」

中禅寺「・・・山狗・・・でしたか。反応はありましたか」

鷹野「!?・・・山狗!応答しなさい!・・・小此木!?小此木!」

中禅寺「・・・組織的な動きだというのは端から感づいておりました。であるならば大凡あなたの私設軍隊のようなものもあるのだろうと」

鷹野「一体、何をしたの!」

中禅寺「いえ、私はただ国家権力に応援をお願いしたまでです」

鷹野「・・・警察ごときに山狗が止められる訳が・・・」

中禅寺「今回は少しばかり大変ではありましたが東京警視庁の友人と、この榎木津礼二郎の父親、榎木津幹麿元子爵の伝手をお借りしまして、さらに上の方に掛けあってもらったのですよ」

鷹野「・・・・・・真逆、山狗までが・・・」

中禅寺「残るはあなただけです」

鷹野「・・・っく!なら!私だけでも成し遂げてみせるわっ!!」

中禅寺「榎さん!」

榎木津「おっと、そんな物騒なもの持って、それでどうしようというのだ!」

鷹野「!!離して!いやっ!やめて!」

榎木津「暴れるな!僕は女は殴らないんだ!
    ・・・その銃で人を殺して、あんたは気が済むかもしれないがな、その白衣のジジイは本当にそれを望んでいるとでもおもっているのか!」

鷹野「!?・・・な、何を!?」

榎木津「そのジジイはお前にそんな事をして欲しいなんて思ってないと思うぞ」

鷹野「・・・な、何が分かるっていうの!」

榎木津「だってそんなに優しい顔をしているじゃないか。それはあんたに向けたものなんだろう」

鷹野「!?・・・・・・・・・」

富竹「た、鷹野さん・・・」

鷹野「・・・アハ・・・アハハ・・・もうダメね・・・何もかも・・・上手くいかない・・・こんなはずじゃなかったのに・・・」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:35:36.88 ID:eDM2IeS50
中禅寺「・・・・・・古来より、この国の人々は自然物や火・雨・風・雷などそれら自然現象の中に、神々しい何かを感じ取り、それを神と置き換えました。
    自然は人々に恩恵を齎すとともに時には危害を及ぼす。昔の人々はこの自然災害を神の怒り・祟りと考え、その怒りを鎮め、恵みを与えてくれるよう祈願し、それを崇敬するようになったのです」

鷹野「・・・・・・」

中禅寺「概念。この国におけるヒトでないもの、つまり神であるとか、妖であるとかは全て概念と置き換える事ができます。
    誰もいないのに自分の後ろで足音が聞こえる。誰もいない建物の中で何かの音が聞こえる。そこに誰かがいたように見えた。
    これらは全てそう聞こえた、見えたといった概念です」

レナ「・・・・・・」

詩音「・・・・・・概念」


中禅寺「神様や妖などいないと言っているのではありません。確かにそこにいます。その時代時代によってその姿形は変わっていますが、歴としてそこにはあるのです。
    いないけれど、いる。 これがこの国の神との付き合い方なのではないかと思っています」

鷹野「・・・」

中禅寺「あなたは神になりたい、とおっしゃいました。研究が永遠に生き続けることにより、認められ、神になる、と」

鷹野「・・・」

中禅寺「あなたが、というより高野一二三博士が、といった方があなたにとっては大事なのでしょうが」

鷹野「・・・」

中禅寺「あなたはすでに高野博士を崇敬しているはずです。尊敬、畏敬、何でも構いません。
    それは人々が神に対して感じる想いと同じではないのですか。
    盲信というのではありません。あなたの中で、高野博士はすでに神と等しい、いや神以上に大きな存在となっているはずです」

鷹野「・・・・・・」

中禅寺「それで十分ではありませんか」

鷹野「う、うぅっ・・・うううっ・・・うわあぁぁ」

富竹「鷹野さん・・・」




中禅寺「・・・・・・」

梨花「・・・中禅寺・・・全て・・・終わったのですね」

中禅寺「・・・・・・はい。憑き物は全て、落ちました」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:39:17.45 ID:eDM2IeS50
レナ「・・・良かった、のかな」

魅音「良かった・・・んだよ。きっと」

レナ「あの後の梨花ちゃんの舞もかあいかったしねぇー!はうーお持ち帰りしたかったよおー」

梨花「ありがとうなのですよーにぱー」

沙都子「でも中禅寺さんのお話は一体何の事だかよく分かりませんでしたけど・・・」

梨花「沙都子はお子様だからわからなくていいのです!」

沙都子「なんですってー!梨花もお子様じゃないですの!」

レナ「あははは!」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:41:38.42 ID:eDM2IeS50
魅音「中禅寺さん、もう帰られるのですね」

中禅寺「はい。見積もりの明細台帳の方はお祖母様の方にお渡ししておきました」

魅音「寂しくなっちゃいますねー」

中禅寺「はは。たかだか一介の古書肆が来、そして帰るだけです」



レナ「中禅寺さん!帰るって聞きました!」

沙都子「もう帰られるんですのね」

中禅寺「皆さん、わざわざ御見送り有難う御座います」

梨花「中禅寺・・・本当に・・・ありがとう」

中禅寺「いえ・・・私は何も・・・全て梨花さんの皆を信じる心があったからでしょう」

梨花「・・・・・・中禅寺」

中禅寺「それと、オヤシロ様にもお伝えください。出すぎた真似をいたしましたと・・・」

梨花「!?まさか羽生を・・・?」

中禅寺「はは、私には見えませんがね。あの榎木津という男、彼は人の記憶が視えるのです。
    あなたの周りには角の生えた可愛らしい神様が視えたのだと、そういう事です」

梨花「・・・そう・・・だったのですね」

中禅寺「それではそろそろ私は失礼します・・・そうそう」


中禅寺「・・・この世には不思議な事など」

――何もないのです

37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 21:44:24.69 ID:eDM2IeS50
ありがとうございました。

半ば強引だと自分でも思いますが完結優先としてご了承ください。
そういう解釈は違う、このキャラはこんなじゃない等あると思いますがご容赦を・・・
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2012/04/23(月) 21:50:41.71 ID:DbWyqzMco

面白かったよ。さあ、多々良先生と沼上が雛見沢で酷い目に合うSSを書くんだ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 21:51:50.44 ID:qBFFKOXSO
いいぞいいぞ。クロス作品的に長くなるかと思っていたが、予想よりあっさりだ

とあるゲームとのコラボで魍魎だけ読んだけど他のも見ようかな……

ともあれ乙!
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/04/23(月) 22:06:19.24 ID:eDM2IeS50
>>38
酷い目wwwwww確かに読んでみたいですがww

>>39
是非読んでみてください。そう思ってくれた人が一人でもいるだけで何か書いた甲斐があった気がします。
別に京極先生の回し者でもないんですが。
とあるゲームはアレですね。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 22:28:45.81 ID:16L9Pzw2o
乙!
面白かった
関口先生も来ると思ったけど、彼が来るとややこしくなりそうだなwww

京極とのクロス物は少ないからもっと書いてくれると嬉しい!
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2012/04/23(月) 22:30:09.74 ID:DbWyqzMco
関君は即日L5を発症しそうだなwwwww
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/04/23(月) 23:06:20.77 ID:95JAWdYO0
>>1
乙!
wwktkしながら読んだ!

さすが京極堂!
お見事!
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/23(月) 23:54:48.87 ID:gH0gqsoKo
>>39
ネネ彼か
鉄鼠がオススメ

ルーガルー2は邪魅を読んでから読むこと
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/04/24(火) 00:07:08.37 ID:vjPVgGgao
>>44
ルー=ガルーこの前読み終わった!
今までの作品とは雰囲気が違っていたけど面白かったよ
元刑事が駄目かっこいいぜ
46 : ◆M6R0eWkIpk [sage]:2012/04/24(火) 02:37:26.27 ID:NbR5J8qSO
当方リンカレだがコラボ本は全部買ったんです

色々見てみる、アドバイスサンクス

作者さん、もう終わりならhtml依頼だしてくださいね
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