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サガフロンティア2SS - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/05(土) 16:46:38.26 ID:RSiLCa+R0
―――サンダイル

万物に宿る魔翌力の元アニマを持つ者持たない者が存在する世界

この世界ではアニマが力であり、価値であり、権力であった

これは彼らが生き、また続いていく物語である


〜〜〜ヘンリー・ナイツ〜〜〜

―――1227年 ヴェスティア

キャサリン・ナイツ(42)「あなた……本当にあの人たちと行くの?とても堅気の人たちには見えないのだけど……」

ヘンリー・ナイツ(42)「メガリスに挑戦するんだ。他に人がいないんだよ」

キャサリン「でも……」

ヘンリー「大丈夫。ゼルゲン兄弟はお金にはうるさいけどね。お金さえ払えばしっかり働くという話だよ」

キャサリン「そう……気をつけてね。私はあなたさえ無事ならそれでいいから」

ヘンリー「ああ」

チュッ

ウィリアム・ナイツ(7)「んんぅ……お父さん出かけるの?」

ヘンリー「あちゃー。起こしちまったかー」

ウィリアム「ディガーのお仕事?僕もいくぅ」

ヘンリー「だめだめ!今回はとっても大事なお仕事なんだから。なっ」

ナデナデ

ウィリアム「うぅー……」

キャサリン「ほらっ、ウィル。お父さんにいってらっしゃいって」

ウィリアム「……また棒術教えてくれる?」

ヘンリー「ああ、約束だ。その時にはきっとアニマの結晶も見せてやれるかもな」

ウィリアム「クヴェルだね!僕見てみたい!」

ヘンリー「ははは、楽しみにしてるんだぞー」

キャサリン「ほらっ、ウィル」

ギュッ

ウィリアム「お父さんいってらっしゃい!」

ヘンリー「いってきます」ニコッ

バタンッ

キャサリン「……あなた、気をつけてね……」

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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 16:48:43.85 ID:RSiLCa+R0
本編に出たキャラも出なかったキャラも混ぜて書いてみようと思います
正史とか関係なしで書いていく予定です
3 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 16:59:01.03 ID:RSiLCa+R0
―――酒場

アレクセイ・ゼルゲン「旦那ー。遅いですぜ」

ヘンリー「悪い、少し遅れてしまった」

ニコラ・ゼルゲン「まぁまぁ兄貴、へへへ、旦那ご無沙汰でしてます」

ピーター・ゼルゲン「おひさしぶりっす」

アレクセイ「へへっ、で、旦那、例の件は考えてくれたんですかい?」

ヘンリー「料金の前払いのことか?それはできない」

アレクセイ「そんなぁ、俺らを信用してくだせえよ」

ヘンリー「料金の半分は仕事のあとだ。そういう約束だったはずだ」

アレクセイ「ちっ、頭かてぇな」

ヘンリー「何か言ったか?」

アレクセイ「へへっ、なんでもないですぜ」

ニコラ「で、どこに向かうんでしたっけ、旦那」

ヘンリー「砂漠のメガリス、ここから海を渡って西に行ってナ国を超えた向こうだ」

ニコラ「そ、そんな遠くに?」

ピーター「世界の端の傍じゃないっすか!?」

アレクセイ「文句いってんじゃね!へへっ、旦那気を悪くしねえでくだせえ」

ヘンリー「危険な仕事だ。嫌なら降りてくれても……」

アレクセイ「と、とんでもない!へへっ」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/05(土) 17:08:20.99 ID:RSiLCa+Ro
―――船

アレクセイ「寝たか……」

ニコラ「兄貴!なんでこんなやつの言いなりに。さっさと身包み剥いじまやいいじゃないか」

ピーター「そうっすよ。見たところ棒くらいしか持ってねーみたいっすし」

アレクセイ「馬鹿、あいつのことしらねーのか?」

ニコラ「は?有名人?」

アレクセイ「有名ってほどでもないが、結構名のあるディガーだ」

ニコラ「だからって3対1なら……」

アレクセイ「焦るなって。こいつはメガリスに挑戦するって言っている」

ニコラ「んな夢みたいな話成功するわけないだろ」

ピーター「そうっすよ」

アレクセイ「だが、もしもってこともある。駄目そうならコイツを殺して帰ればいい」

アレクセイ「もし、成功したならクヴェルを奪って帰ればいいって寸法よ」

ニコラ「おおー、なるほど」

ピーター「さすが兄貴」

アレクセイ「だが、もし強そうだったら……」

ニコラ「だったら?」

アレクセイ「逃げるぞ。スタコラッサッサよ、がははは。俺たち弱いからな」

ニコラ「まともに術が使えるの兄貴だけだからなー」

ピーター「お、俺もちょっとは……」

ニコラ「うるせえ!俺だけ使えないって言いたいのか?」ボカッ

ピーター「いたっ、そ、そんなんじゃないっすよ……」

アレクセイ「とにかく俺が指示するまでおとなしくしていろよ」
5 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 17:14:38.91 ID:RSiLCa+Ro
―――砂漠

ニコラ「あつー……み、水を……」

アレクセイ「おい、ニコラお前さっきも飲んだだろうが!」

ニコラ「だってこう暑くっちゃ……」

ピーター「んぐっ……んぐっ……」

ニコラ「おいこら!ピータ!」グイッ

ピーター「へへっ、も、もうないっすよ」

ニコラ「てめぇ……」

ヘンリー「あった……」

ニコラ「へっ?いえ、旦那もう俺の水はないですよ?」

ヘンリー「これが……メガリス……」

ズオオオオオッ

アレクセイ「なっ……なっ……」

ニコラ「で、でけぇ……」

ピーター「すげー……」

ヘンリー「入り口を探そう」
6 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 17:25:11.76 ID:RSiLCa+Ro
スタスタ

ピーター「やっべ、俺メガリスの中に入っちゃってるっすよー」

ニコラ「本当にあるなんてな」

アレクセイ「さすが旦那だぜ。へへへっ」

ヘンリー「うーん……この先か?」クンクンッ

アレクセイ「旦那、何をしてるんで?」

ヘンリー「ああ、アニマの臭いをな……」

アレクセイ「アニマに臭いなんてあるんですかい?」

ヘンリー「いや、そんなものはないんだが、癖でな……感覚的なものなんだが……ん?」

アレクセイ「?」

ヘンリー「おかしい……何も感じない?大地や空気中のアニマさえ感じないとは……」

スタスタッ

ヘンリー「こっちか?」

アレクセイ「だ、旦那ぁ待ってくだせえ」

ヘンリー「こ、この部屋は……」

アレクセイ「なんだぁこりゃあ」

ニコラ「なんか植物の根?で覆われてるようですぜ?」

ヘンリー「いや……違う……この根のようなものは……鉛か!」
7 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 17:34:23.86 ID:RSiLCa+Ro
アレクセイ「鉛?」

ヘンリー「ああ、アニマを通さない金属の中でも特に伝導率が低いものだ……」

ピーター「兄貴ー、旦那ー、真ん中に棺のようなものがあるっすよー」

アレクセイ「本当か!お宝か?クヴェルか!?」ダダダッ

ヘンリー「待つんだ!この部屋はアニマを通さないための……」

アレクセイ「大丈夫だって。俺らだってクヴェルの危険は知ってますぜ。おい、ニコラ」

ニコラ「おう」

アレクセイ「へへっ、クヴェルはちょっとしたアニマの暴走で人に危険っつーんだろ?大丈夫。こいつは術が不得意でろくにアニマを扱えねえ」

アレクセイ「暴走してもたかが知れてますぜ」

ニコラ「じゃあ、開けるぞー」ギギィ

ヘンリー「待……」

パァァ

ニコラ「あった!クヴェ……」スッ

ブシュー

ニコラ「」バタッ

アレクセイ「へ?」

ピーター「あ、あ……兄貴の上半身が……ひ、ひぃ!」

アレクセイ「な、なんで……触れただけで?」
8 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 17:41:03.31 ID:RSiLCa+Ro
ヘンリー「危険だ!ここは……」

アレクセイ「お、おい……ピーター取って見ろ」

ピーター「え」

アレクセイ「クヴェルだぞ。一生遊んで暮らせるぞ」

ピーター「で、でも兄貴が……体が吹き飛んで……」

アレクセイ「逃げるなよ、ピーター」ジャキンッ

ピーター「あ、兄貴……」

アレクセイ「ほらっ、行け!大丈夫だ。ニコラは運が悪かっただけだ」

ピーター「う……うう……」ビクビクッ

ピーター「うわあああ!」ガシッ

ブシュー

アレクセイ「う、腕が……」

ヘンリー「だからやめろと……」

ピーター「……」ガシッ

パァァ

ピーター「ふふふっ」

ヘンリー「なっ……もう片方の腕で……」

アレクセイ「よ、よくやった!ピーター!」ダッ

アレクセイ「すげぇ……卵みたいなクヴェル……」

ピーター「ピーター?馴れ馴れしいぞ。おい」ドガッ

アレクセイ「ぐあ!な、何をする」

ピーター「ふんっ、この体は長くはもたない。帰るぞ」

スタスタッ

アレクセイ「ま、待て……」

ヘンリー「いったい何が……」
9 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 17:48:16.51 ID:RSiLCa+Ro
―――フォーゲラング 酒場

ピーター「……」クルクルッ

アレクセイ「ど、どうなっちまったんだ……ピーターのやつまるで別人みたいに……」

ヘンリー「分からない……」

アレクセイ「くそぅ!当て付けみたいにクヴェルをいじりやがって……」

ヘンリー「片腕からの血も止まっているな……見事なアニマ操作だ……」

アレクセイ「あいつがそんな上等な真似できるわけがねぇ……」

ヘンリー「別人……?いや、まさかな」

ピーター「おい!兄貴」

アレクセイ「は、はい!」

ピーター「今日はもう休む。宿に行くぞ」

アレクセイ「……くそっ……くそっ」

ピーター「早く来い」

アレクセイ「……」

スタスタッ

ヘンリー「心配だな……」ガタッ
10 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 17:54:34.30 ID:RSiLCa+Ro
スタスタッ

ピーター「おいどうした。早く来い」

アレクセイ「お前……いつからそんな偉くなったんだ」

ピーター「……」

アレクセイ「ええ!いつからクヴェル独り占めにできるほど偉くなったよ!」ジャキンッ

ピーター「ふんっ、くだらん」クルクルッ

アレクセイ「それをよこせ!」

グサッ

ピーター「うぐっ……」

「キャアアアアアアア!人殺し!」

「どうした?うおっ!」

「腕……腕を斬られてるわ!」

アレクセイ「ま、待て、お、俺じゃねえ!」ダッ

「逃げるぞ!」

アレクセイ「俺じゃねえ!」ダダダッ

ピーター「」ガクッ

コロコロッ

ヘンリー「このクヴェルが元凶か……」スゥ

ヘンリー「確かに強い力を感じる……少し調べるか」

ヘンリー「アニマを落ち着けて……暴走させないように波長を合わせて……」ガシッ

ヘンリー「大丈夫……か?何ともないな」
11 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 18:00:14.12 ID:RSiLCa+Ro
アレクセイ「くそっ!くそくそ!何で俺がこんな目に!」

アレクセイ「しかもクヴェルはヘンリーが持っていっただと!ふざけやがって!」

アレクセイ「殺してやる……殺してやりてぇが……俺一人じゃ……」

アレクセイ「だが、クヴェルが……絶対取り返してやる……」

アレクセイ「見てろ……見てろよ!ヘンリー!」

アレクセイ「お前を絶対に殺してやるからな!」
12 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 18:05:20.04 ID:RSiLCa+Ro
―――ヴェスティア

ヘンリー「ただいま……」ガシャッ

キャサリン「あなた!お帰りなさい!」

ヘンリー「ああ……」フラフラッ

キャサリン「ど、どうしたの?大丈夫?」

ヘンリー「何でもない……ちょっと気分が悪いだけだ」

キャサリン「いけないわ……すぐにお医者様を……」

ヘンリー「やめろ!」

ビクッ

キャサリン「あ、あなた……」

ヘンリー「す、すまない……私は何を……」

キャサリン「探索中になにかあったの?」

ヘンリー「そんなことはない。ほらっ……クヴェルも……」

キャサリン「まぁ!これが……」スッ

ヘンリー「触るな!」

キャサリン「え……」

ヘンリー「き、気分が悪いんだ……もう休むよ……」スタスタッ

バタンッ
13 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 18:13:18.65 ID:RSiLCa+Ro
???『私に従え』

ヘンリー「うううっ、だ、誰だ……」

???『無限の力と快楽を与えてやるぞ』

ヘンリー「あああ、そ、そんなものは……」

???『いらないとでも?分かるぞ。お前の欲望が』

ヘンリー「や、やめろ」

???『いつまでも耐えられると思うな。お前はもう私の……』

ヘンリー「やめろおおおおおおおおおおおお!!」ガバァ

キャサリン「あ、あなた……そんな大きな声を出して……」

ヘンリー「ゆ、夢?はぁ……はぁ……」

キャサリン「すごい汗……着替えを持ってきますね」

タタタッ

ヘンリー「ほ、本当に夢……なのか」クルクルッ

ヘンリー「……」

ヘンリー「この卵型のクヴェル……美しい……」ポォ

バタンッ

ウィリアム「父さん!おかえりなさい!」

ヘンリー「……」

ウィリアム「わぁ、それがクヴェルだね!僕にも見せて」スッ

ヘンリー「何をする!」ドガッ

ウィリアム「わあ!」ズダーン
14 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 18:18:55.41 ID:RSiLCa+Ro
タタタッ

キャサリン「あなたタオルを持って……」

ウィリアム「いたたっ……と、父さん?」

キャサリン「あ、あなた!ウィルに何を!」

ヘンリー「うううっち、近づくな!」

キャサリン「ウィル、下に行ってなさい」

ウィリアム「???」キョトンッ

キャサリン「ほらっ、はやく」

ウィリアム「う、うん」

トテテテテ

キャサリン「あなた……何があったの?」

ヘンリー「出て行けといっているだろう!」

バシッ

キャサリン「きゃあ!」

ヘンリー「一人にしてくれ!」

バターンッ
15 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 18:24:35.57 ID:RSiLCa+Ro
ヘンリー「わ、私はいったい何を……」クルクルッ

ヘンリー「やはりこのクヴェルが……」

ヘンリー「こ、こんなもの捨て……捨て……捨てられない……」

ヘンリー「誰にも渡すものか!」
16 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 18:31:16.29 ID:RSiLCa+Ro
―――酒場

アレクセイ「へへへ、奥さん。あんたから俺に連絡してくるなんてな」

キャサリン「お聞きしたいことがあります」

アレクセイ「へへっ、情報には見返りが必要なんですぜ?」

キャサリン「お金なら……」

アレクセイ「そんなものいらねぇよ。金より欲しいものがあるんでな」

キャサリン「い、いったい……」

アレクセイ「まぁ俺は気前がいいんだ。先に情報をやろう。へへへっ」ニヤニヤッ

キャサリン「主人がおかしいんです……」

アレクセイ「おかしい?」

キャサリン「旅から帰ってから急に乱暴になったり、叫んだり……」

アレクセイ「へぇ、やっぱ卵型のクヴェルを持ってから?」

キャサリン「何か知っているんですか!」

アレクセイ「ああ、知ってますぜ?話がはえーや。原因はたぶんそのクヴェルだ」

キャサリン「クヴェルが……?」

アレクセイ「とりあげりゃ元に戻るぜ」

キャサリン「ほ、本当に……?」

アレクセイ「本当も本当よ、俺に任せなって」

キャサリン「それで報酬は……」

アレクセイ「そのクヴェルでいい」

キャサリン「え、でもそれを持つとおかしく……」
17 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 19:09:42.05 ID:RSiLCa+Ro
アレクセイ「いいんだよ!あんたも自分の旦那を助けたいんだろ?細かいこと気にするなよ」

キャサリン「……」

アレクセイ「だが、ヘンリーは死ぬまでクヴェルを離さないだろうけどな」

キャサリン「そんな!」

アレクセイ「安心しろ、殺したりしねーよ。でもあんたにも手伝ってもらわねえとな」

キャサリン「私が?」

アレクセイ「自分の意思で離したりはしねーだろうけど、持てなくなりゃ話は別よ」

キャサリン「持てなく?」

アレクセイ「ああ、あんたがヘンリーの腕の腱を斬ってくれりゃよ」

キャサリン「そ、そんなこと!」

アレクセイ「じゃあ、今のままの旦那でいいのか?あのクヴェルさえ離せば元通りになるんだぜ?」

キャサリン「……」

アレクセイ「どうする?子供も小さいんだろ?このままじゃヘンリーに子供が……」

キャサリン「やめて!」

キャサリン「や、やります……」

アレクセイ「へへへ、毎度」

キャサリン「だから……終ったら……もう私たちの目の前に現れないで!」

アレクセイ「ありゃりゃ、嫌われたもんだな。あいあいさー。終ったらそれでおさらばよ」
18 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 19:28:54.97 ID:RSiLCa+Ro
―――ナイツ家

キャサリン「ウィル、ウィル起きなさい」

ウィリアム「んぅ……何?母さん」

キャサリン「ほらっ、すぐ着替えて」スッ

ウィリアム「え?なんで?」

キャサリン「いいから言うことを聞いて」」

ウィリアム「どこか行くの?」

キャサリン「ええ、ニーナ叔母さんのところよ」

ウィリアム「叔母さんのところ?ひさしぶりだねー父さんと母さんも」

キャサリン「ううん、あなた一人だけよ」

ウィリアム「え?なんで?」

キャサリン「叔母さんには話してあるから、ねっ」

ウィリアム「でも……いやだよぅ」

キャサリン「ウィル、分かって、ねっ」

ウィリアム「なんか、行っちゃ駄目な気がするんだ」

キャサリン「ウィル!」

ウィリアム「ううっ……」トテテ

キャサリン「……ウィル愛してるわ」
19 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 20:22:48.51 ID:RSiLCa+Ro
コンコンッ

ヘンリー「入るな!」

キャサリン「あなた……」

ギィ

ヘンリー「く、来るな!殺されるぞ!」ブルブルッ

キャサリン「え?」

ヘンリー「[ピーーー]ぞ!近づくな!」

キャサリン「聞き間違い?いえ、また……正気が!」

ヘンリー「誰にも渡さない!誰にもこれは渡さない!」クルクルッ

キャサリン「あなた!あなたは操られているのよ!」

ヘンリー「操られている?」

キャサリン「そのクヴェルを捨てて!きっとそれのせいなの!」

ヘンリー「クヴェルを……捨てる?あはっ、あはははははははっ!」

ヘンリー「誰が誰が誰が!捨てるものか!わ、分かったぞ!この悪魔め!キャサリンの姿をして現れやがって!」

キャサリン「あ、あなた……」グッ

ヘンリー「な、なんだい?キャサリン……そんなナイフなんて持って……」

キャサリン「ごめんなさい!あなた!」ダダッ

ザクッ

ヘンリー「ぐああ!」ポトッ

コロコロコロッ

キャサリン「あなた!」

ヘンリー「」

アレクセイ「よくやった、奥さん」スタスタ

キャサリン「あなた!しっかり」ユサユサ

ヘンリー「」

キャサリン「どうしたの!?あ、あなた……体のアニマが……ない!?」

アレクセイ「へへへっ、これがクヴェル……やっと手に入れたぜ」クルクルッ
20 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 20:30:04.02 ID:RSiLCa+Ro
キャサリン「アレクセイ!クヴェルを話したら正気に戻るんじゃないの!」

ヘンリー「」

アレクセイ「くくくっ、こりゃあすげえや……アニマが体に溢れてきやがる」

キャサリン「アレクセイ!」

アレクセイ「ああ、心配するなよ、奥さん。旦那ならここにいるぜ」クルクルッ

キャサリン「ど、どういう……」

アレクセイ「あんたの旦那のアニマは大地にもどこにも帰ることはねー、くくくくっ、あーっはっは。こりゃあ愉快じゃねーか」

キャサリン「説明して!」

アレクセイ「うるせえな、自分の旦那ナイフで刺した女がよ」

キャサリン「そ、それは……」

アレクセイ「うるせえな。あんたはさっさと大地に帰りな」グサッ

キャサリン「うっ……」ボタタッ

アレクセイ「さーって、くくくっ、この溢れるアニマ……何が出来るか楽しみでしかたねーぜ」

アレクセイ「くくくくっ、あーっはっはっは!」

ザッザッ

バタンッ
21 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 20:40:41.48 ID:RSiLCa+Ro
キャサリン「ううっ……あなた……」ギュッ

キャサリン「いないのね……ここにはもう……あなたのアニマは……」

ボタボタッ

キャサリン「ウィル……ごめんなさい……」

キャサリン「あなたに辛い思いをさせて……」

キャサリン「ニーナさん……ウィルを……お願いします……ごめんなさい」

キャサリン「ウィル……強く……生きて」

バタッ
22 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 20:50:45.89 ID:RSiLCa+Ro
―――翌日

ニーナ・コクラン「まったく、子供を突然預けてくるなんて義姉さんはまったく」

スタスタッ

ウィル「ごめんなさい」

ニーナ「あんたが謝ることじゃないよ」

ポール・コクラン「まぁまぁ、いいじゃないか。なっ、ウィル」

ニーナ「どうだい?ウィル、あんないい加減な兄さんの家出て、うちの子になっちゃうってのは」

ポール「はははは、それはいい。なぁウィル」

ウィル「うーん、でも僕はやっぱりうちがいいなぁ」

ポール「あはは、そりゃそうだ。振られちゃって残念だな、お前」

ニーナ「う、うるさいよ///」

ポール「お、もう着くぞ」

ニーナ「ちょっと文句言ってあげないとね」

ギィ

ニーナ「兄さん!ちょっと兄さ……」ビクッ

ウィル「ニーナ叔母さんどうしたの?」トコトコ

ニーナ「ウィル!!くるんじゃないよ!」

ウィル「え……これって……」

ウィル「……」バタンッ

ポール「な、なんだ、これ……なんなんだ、これは……」

ニーナ「キャサリン義姉さんが兄さんを……そんな……」

ポール「し、死んでる……二人とも……」

ニーナ「な、なんで……なんで……」

ニーナ「なんででえええええええええええええええ!!!」

〜〜〜ヘンリー・ナイツ〜〜〜 (1185〜1227)

23 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/05(土) 21:00:54.04 ID:RSiLCa+Ro
〜〜〜宮廷術士シルマール〜〜〜

―――1206年 グリューゲル

ドンドンドンッ

シルマール(10)「はいはいはーい」タタタッ

父「シルマール、私が出る」

シルマール「え?」

父「どうせ徴兵の催促だ」

ガチャッ

兵「いたか。王からの礼状はもらっているな」

父「ですから、お断りしているはずです。私は兵士などになる気はありません」

兵「それほどの術の才を持ちながら、もったいないとは思わないのか」

父「術は人を傷つけるために使うものではありません。お引取りを」

兵「ナ国はどこかと戦をしているわけではない。それでも駄目なのか?」

父「お引取りを!」

兵「引き受けるなら今だぞ。今、この平穏が誰による恩恵なのか良く考えろ」

父「……」

兵「それでも断るか!では覚悟しておくんだな!」

バタンッ

シルマール「お父さん……大丈夫ですか?」

父「ああ、お前が気にすることではないよ」ナデナデ
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/06(日) 11:07:11.81 ID:U+cPV63/0
サガフロ2好きだから期待してますぜ
25 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/06(日) 17:03:52.10 ID:9JY6b9+ko
シルマール「はぁぁ……」パァァ

父「いいぞ、もっと木の葉に精神を集中させて」

シルマール「はぁ……」キィーン

父「いいぞ、木の葉のなかアニマの『鋭さ』を引き出すんだ」

シルマール「はぁ!」スパーン

父「!」

シルマール「やりました!木の葉で石を斬れました!」

父「見事だ」ナデナデ

シルマール「えへへ……」

父「私がそれだけの術を極めたのは20歳を超えてからだ……。シルマールお前には術の才能があるな」

シルマール「本当ですか?」

父「ああ、自信をもて」

シルマール「ねぇ、お父さん。これ友達に見せてもいいですか?」

父「それは……駄目だ。外で術を使ってはいけない」

シルマール「なぜです?外で使わないのなら何のために術を使うんですか?」

父「外で使えばお前ほどの術師はきっと……」

シルマール「きっと……なんです?」

父「……」

父「シルマール。私にも術の師がいる」

シルマール「お父さんの先生?」

父「ああ、ルナストル先生だ。私は途中で師事することをやめてしまったが、先生はこういっていた」

父「何かをなすために術があるのではなく、術を極めるために人生がある、と」

シルマール「どういう意味ですか?」

父「術師の本分は術のみを極めることにあるということだよ」

シルマール「へぇ……変わったことをいう人ですね」

父「ははは、確かに変わり者だ。人里はなれた山奥に篭りっぱなしだからな」

父「だから、シルマール。何かのために術を使おうなどとは考えないことだ」

シルマール「……」

母「ご飯ができましたよー」

シルマール「あ、お母さんだ!」タタタッ

父「ふふっ、まだあの子には早かったかな」
26 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/06(日) 17:26:16.54 ID:9JY6b9+ko
シルマール「術を極めるっていってもなぁ……」

シルマール「実践に勝る修行はないと思うんだけどなぁ」スタスタ

シルマール「いや、まだそんなこと考えてもしかたないか」

子供「きゃっきゃっ、それー」パチャパチャ

子供「やったなぁー」パチャパチャ

シルマール「水遊びか……楽しそうだなぁ」

シルマール「術のことはちょっと忘れよう!少し気分転換だ!」

シルマール「おーい!私も仲間に……」

ドドドドドドドッ

男「暴れ馬だああああ!」

馬「ブルウウウウウウウウゥ!」

ドドドドドドドッ

シルマール「えっ」

女「きゃああ!子供が!」

シルマール「危ない!このままじゃ!」ダダダッ

子供「あ……わああああ!」

シルマール「水よ……水のアニマよ……」パァァ

シルマール「水の『柔」の特性を引き出して……周りを『硬』の特性に……」キィン

シルマール「子供達の周りに集めて……」ググン

馬「ヒヒィーーン!」ドガッ

ズターンッ

馬「」

シルマール「はぁ……はぁ……間に合った……」

女「よかった……ありがとう!君」

男「小さいのにすげーな、坊主」

シルマール「え、あの……」

女「ありがとう……本当にありがとう……」

シルマール「え、えっと……いやぁ……えへへ」
27 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/06(日) 17:33:23.95 ID:9JY6b9+ko
ドンドンドン

父「はぁ、またか」ガチャ

父「何度言われても私は兵士になんて……」

兵「今日はその件ではない」

父「は?じゃあ何のようで……」

兵「お前の息子、確かシルマールとかいったか?おるか?」

父「シルマールが何か……?」

兵「何、類まれな術の素養を持っているということなのでな」

父「な、何のことですか!息子は術の才など微塵も……」

兵「あれだけの素養であれば今から軍で鍛えれば将来は安泰だぞ」

父「な、なんのことですか」

兵「昨日、お前の息子が術を使って人を救ったという話だ。ただの水を盾としたとな」

父「!?」

兵「何も悪い話ではないぞ?お前の息子は超エリートの士官候補生として扱おう。そしてお前の兵役も免除してやる」

父「なっ……誰もそんなこと頼んで……」

兵「ふーむ、いないようだな。また来るぞ。それまでに考えておけ」

兵「いや、考えるまでもないだろう。がははははは」バタンッ

父「そ、そんな……そんなことは……」グッ
28 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/07(月) 20:22:12.92 ID:NFvcvqB9o
シルマール「お父さん……ごめんさい……」

父「謝らなくていい。お前は立派だった」

母「そうよ、シルマール。あなたは何もわるくないの」

シルマール「いえ、私が軽率だったせいです。お父さんは外で術を使うなといっていたのに……」

父「人を助けるためだろう。もし、お前がそれで人を見捨てていたなら、そのほうが私は許せない」

シルマール「お父さん……」

父「だが……どうすればいいんだ……」

シルマール「私が軍にいけば……」

父「そんなことは駄目だ!軍属となれば戦争で術を人殺しのために使うこともあるのだぞ」

シルマール「……」

父「お前は術をそんなことのために使いたいのか?」

シルマール「私は……」

母「戦争のない国と聞いていたのに、10歳の子にそんなことを言ってくるなんて……あなた、もう……」

父「そうだな……出るか。国を」

シルマール「え?」

父「いつか出ようとは思っていたんだ。これがいい機会だろう。もっと田舎に行ってのんびり暮らすのもいい」

母「そうね、シルマール。あなたは嫌?」

シルマール「ううん、でも私のためにそんな……」

父「いっただろう。いつかは出て行こうと思っていたんだ。それが早まっただけさ」

父「そうと決まれば、早いほうがいい。また兵がやってきてお前を連れて行かないとは限らない」

母「そうね、じゃあもう今夜のうちに……」

父「ああ、シルマール。お前も準備をしなさい」

シルマール「は、はい」

バタバタッ
29 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/09(水) 20:59:10.98 ID:bKnp860to
父「さぁ、行くぞ。夜中ならば人目も少ないだろう」

ガシャ

兵「こんな夜遅くにどこにいくつもりだ?」

父「なっ……」

兵「随分多い荷物だな?」

父「これは……」

兵「念のために張っておいて正解だったな」

父「お願いです!見逃してください!」

兵「駄目だ。ここでおとなしくしている分にはそう強くは言わなかったが、別の国に行くとなれば話しは別だ」

父「……」

兵「お前たちのような優秀な術士は通常の兵の何倍何十倍もの脅威となりえる。敵国にでも行かれては困る」

父「そ、そんなことはしません!」

兵「ん?そこの女の後ろにいるのが息子か?」

シルマール「え?」

兵「なぁ、坊主。シルマールと言ったな。この国のために働いてみないか?人のためになる仕事だぞ。待遇もいい」

シルマール「あ、あの……」キョロキョロ

父「息子に馬鹿な事を言わないでください!」

兵「馬鹿はお前だ!これが最後だぞ!国に従え!」

父「お断りします」

兵「そうか、残念だ……」

兵「やれ」

「はっ!」ザクッ

母「きゃああ!」バタッ

父「な、何を……何をする!!」

シルマール「お母さん!」

兵「他国へ渡るくらいならここで処刑する!」ジャキンッ

父「な、なんてことを……なんてことを……」

兵「家に火をかけろ!」

父「シルマール!逃げるぞ!」パァァ

父「土のアニマよ……散れ!」ドパァン!

兵「ぐあ!土煙が……」

父「さあ、こっちだ!」グッ

シルマール「あ……お母さん……」ダダダッ

兵「逃がすか!」ドスッ

父「うぐぅ……い、行くぞ!」ダダダッ

兵「逃がすな!追え!追うんだ!」
30 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/09(水) 21:06:47.23 ID:bKnp860to
父「ごほっ……ごほっ……」

シルマール「お父さん!血が……」

父「シルマール、よく聞け。この先の森を真っ直ぐ北に行くと巨木が立っている……ごほっ」

シルマール「そ、そんなことより傷を……」

父「そこに……ごほっ……ルナストル先生が……ごぼっ……」

シルマール「お父さん!」

父「先生のところには……アニマは……見え……だけでは……ぐぅ……」

父「……」

シルマール「お父さん!お父さん!」ユサユサ

父「」

「どこへいった!」

「分からん!しらみつぶしに探せ!」

ザッザッ

シルマール「と、とにかく進まないと……」ズルズルッ

シルマール「お父さん、しっかり……」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/09(水) 21:25:36.43 ID:PIB8pd+Bo
ギュス様の歴史が見たいな
32 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/10(木) 19:25:11.19 ID:4uUsskpWo
シルマール「はぁ……はぁ……ここはどこだ?」

「まだ見つからんのか!」

「確かこちらのほうへ……足跡が……」

シルマール「森の中でも足跡が消せないか……それに気配も……」

シルマール「どうする?どうすれば……」

シルマール「気配……森……」

シルマール「そうだ、周りの大気や土、葉っぱ、それに服も……周りのアニマと同質にすれば……」

シルマール「樹の特性に……樹の特性に……」パァァ

「駄目だ!見つからん!あっちをさがすぞ」

ザッザッ

シルマール「行きました……か」

父「」

シルマール「お父さん……」

ガザガサッ

シルマール「!!」

シルマール「だ、誰……」

???「お主こそ何者じゃ、殺し屋か?」

シルマール「ど、どこに……」キョロキョロ

???「ここじゃ」スゥ

シルマール「うわぁ!木から顔が……」

???「なんじゃ、子供か。ん?大人も一緒か?」

シルマール「な、なんで木から首が……」

???「木から首?その程度の殺し屋か?」

シルマール「殺し屋なんかじゃありません!あ、あなたこそ何者ですか」

ルナストル「わしか?わしはルナストル。ただの術士じゃ」

シルマール「ルナストル先生!?」
33 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/10(木) 19:28:32.39 ID:4uUsskpWo
ルナストル「わしをしっておるのか?」

シルマール「先生!お父さんを!お父さんを助けてください!」

ルナストル「むっ、そういえば見た顔じゃな」

シルマール「お願い……お願いします……」

ルナストル「ふんっ、まぁいいじゃろう。来るがいい」ガシッ

シルマール「うわぁ……あれ?木の中……じゃない?」

ルナストル「アニマだけを見る者には私の家にはたどり着けんよ。ほれっ、こっちじゃ」スタスタ

シルマール「ま、待ってください……」ズルズルッ

父「」
34 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/10(木) 19:35:50.62 ID:4uUsskpWo
シルマール「こんなところに家が……」

ルナストル「ほれっ、お前も持て」ポイッ

シルマール「えっ、これは……」

ルナストル「シャベルじゃよ。若木のな」ザクッザクッ

シルマール「そ、それよりお父さんを!」

ルナストル「もう、そやつは大地に帰っておるよ」

シルマール「えっ……」

ルナストル「もう休ませてやれ」

シルマール「そ、そんな……そんな……お父さん……」ガクッ

ルナストル「ほれっ、お主も掘らんかい。父親じゃろう」

シルマール「うううっ……」ザクッザクッ

ルナストル「……」ザクッザクッ

シルマール「……」ザクッザクッ

ルナストル「こんなもんかの」

シルマール「お父さん……」トサッ

ルナストル「そして、これを」チャリーンッ

シルマール「それは?」

ルナストル「金属じゃよ。金属はアニマを寄せ付けず、打ち消す。他で死んだ迷いアニマが死者を操らないように入れておくんじゃ」

シルマール「ありがとう……ございます」

ルナストル「さて、わけを聞かせてもらおうかの」
35 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/10(木) 19:46:21.35 ID:4uUsskpWo
ルナストル「そうか、国を追われたか」

シルマール「はい……」

ルナストル「ふーむ……しかしあやつの息子が暗殺者とはのぅ……」

シルマール「違います!なんですか、さっきから暗殺者っていうのは」

ルナストル「さっきの隠身の術じゃよ。周りのアニマに自分を溶け込ませる技じゃ。西方の暗殺者集団の技じゃが、違うのか?」

シルマール「いえ、あれはとっさに……」

ルナストル「自分で考えたというのか?」

シルマール「はい……」

ルナストル「ふふふっ、面白いやつじゃな」

シルマール「それより、この家の周りのことのほうが私は不思議です」

ルナストル「ほほぅ」

シルマール「先生は突然、木の中から現れました。あれはどういうことです?アニマだけを見ているというのは……」

ルナストル「そのままじゃよ。シルマールといったか。お主の目は何を見ている?」

シルマール「え……それは……光の反射とかそういったものでは……」

ルナストル「いや、違う。世界中の人間は全てがアニマを見ておるに過ぎんのじゃ」

シルマール「アニマを?」

ルナストル「物体を見ているのではなく、その内包しているアニマのみを見ている」

シルマール「アニマのみを……」

ルナストル「じゃから、わしが木の周りのアニマに細工しただけでそこに木があると、そしてないと思い込む。実際はあるのにじゃ」

シルマール「アニマを……ずらしたと?そんなことが……?」

ルナストル「わずらわしいのは術の研究の邪魔じゃからの」

シルマール「すごい……」

ルナストル「それより、シルマール。お主はこれからどうするつもりじゃ?」
36 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/10(木) 20:20:56.88 ID:4uUsskpWo
シルマール「あの……できればここで術を……」

ルナストル「まぁ、弟子の息子ということじゃから、しばらくはここにおっても良いが、わしは忙しいからの……」

シルマール「……」

ルナストル「ただ生きてゆきたいというのであれば、グリューゲルに戻って兵でもやるといえば歓迎されるじゃろう」

シルマール「彼らはお父さんを!お母さんを殺したんですよ!」

ルナストル「それが嫌なら他の国でもお主ほどの術士ならどこでも歓迎してくれるじゃろう」

シルマール「それも……兵としてですよね……」グッ

ルナストル「人を傷つけるために術を使いたくないか?」

シルマール「……」ググッ

ルナストル「父を母を殺したやつらに復讐がしたくはないのか?」

シルマール「なんでそんなことを……」ギリッ

ルナストル「いや、お主の話を聞いている限り、父や母が本気でやつらに術で攻撃していれば殺されずに済んだのではないか?」

シルマール「何が言いたいんですか!!」

ルナストル「それともお主が本気で相手を殺そうと思えば……」

シルマール「いい加減にしてください!なんでそんな質問をするんですか!」

ルナストル「わしじゃったら相手を傷つけてでも逃げる、いや、勝つじゃろうがな」

シルマール「えっ……それは……」

ルナストル「大切な人を守るためでも、大事なものを守るためでもないぞ?」

シルマール「……」

ルナストル「術士として最高の高みを目指すためじゃ」

シルマール「お父さんだってそれを目指していました。それに私だって……」

ルナストル「シルマール。お主は才能はあるかもしれぬが、甘いのぅ」

ルナストル「つまり、わしはそんな善人ではないということじゃ」

シルマール「ここで術を教えてはいただけないと……」

ルナストル「ああ、何も教えんよ?」

シルマール「そうですか」

ルナストル「お主が勝手に覚えるだけじゃ」

シルマール「え?」

ルナストル「ほれっ、そこらにあるどんな道具でも武器でもよいぞ?わしに向かってくるがいい。[ピーーー]つもりでな」

シルマール「どういうことですか」

ルナストル「修行だけで術の高みまではいけんよ。実践で証明せねばな」

シルマール「!」

ルナストル「つまり、わしを倒してみよ、といっておるのじゃ、くふふ」

ルナストル「なぁに、お主なんぞここから動かず倒して見せるぞ?」

シルマール「うっ……ううっ……」

シルマール「うああああああああ!」

カッ
37 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/10(木) 20:47:49.45 ID:4uUsskpWo
シルマール「はぁ……はぁ……どうして……なんの武器・道具(ツール)も使ってないのに……私のツールが効かない……」

ルナストル「教えて欲しいか?」

シルマール「教えてくれるんですか!?」

ルナストル「当たり前じゃ。お主には強くなってもらわねばならんからの」

シルマール「そ、それも?」

ルナストル「ああ、わしが術の高みを目指すためじゃ。はっはっは」

シルマール「ぷっ……ははっ……なるほど、お父さんの行ってたとおり変な人だ」

ルナストル「変とはなんじゃ、教えてやらんぞ」

シルマール「それでも教えてくれるんでしょう?」

ルナストル「まあの。お主の攻撃が効かないのはわしのツールを硬化させておるからじゃ」

シルマール「しかし、何もツールなんて持ってないですよね?」

ルナストル「持っておるよ。見えんのか?」

シルマール「え……ま、まさか……先生の体を……?」

ルナストル「その通りじゃ」

シルマール「で、でもツールは消耗品です。それを自分の体なんかを使ったりしたら……」

ルナストル「ツールが消耗品などと誰が決めた?」」

シルマール「え?」

ルナストル「アニマの扱いが雑なものが扱えば、ツールはその内包するアニマを失っていくじゃろう」

ルナストル「じゃが、内包するアニマを完全に使いこなしたとしたら?」

シルマール「完全に?」

ルナストル「大地に返さず、それをそのまま使い続けることが出来るのではないか?それも最高の状態で」

シルマール「す、すごい……」

ルナストル「わしはな……最高の術士というのが何なのかそれを知りたいんじゃよ」

シルマール「最高の術士ですか」

ルナストル「そのためにも修行と実践じゃな。はっはっは」
38 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/10(木) 21:10:50.70 ID:4uUsskpWo
―――1211年

ルナストル「ごほっ……ごほっ……」

シルマール(15)「ルナストル先生、大丈夫ですか?今、薬を……」

ルナストル「いい、わしのアニマも大地に帰るときが来たのだ」

シルマール「そんな弱気な……」

ルナストル「……ことをわしが言うと思うのか?」

シルマール「いえ」

ルナストル「分かるんじゃよ、わしのアニマが大地に帰ろうとしておるのがの」

シルマール「……」

ルナストル「その前に言っておくことがあるのじゃ。ごほっ……ごほっ……」

シルマール「言っておくこと?」

ルナストル「とりあえず礼を言っておこうかの。シルマール、お主のおかげで術の技量を高めることができた」

ルナストル「そして、お主はもうわしを超えておるな。見事じゃ。ふふっ」

シルマール「そんなことはありません。先日も負けたばかりで……」

ルナストル「まったく……手を抜かれて戦っても意味はないというのに……」

シルマール「……」

ルナストル「まったく最後まで甘い……いや、優しいのぅ。それで高みを目指せるのかの?」

シルマール「人に優しく……そして同時に高みも目指します!」

ルナストル「贅沢なやつじゃ……じゃが、お主なら……」

シルマール「先生……」

ルナストル「そして、言っておくこととは今のことではない」

シルマール「え?」

ルナストル「わしの……いや、わし達の術の流派についてじゃ……」

シルマール「流派?そんな話は始めて聞きましたが……」

ルナストル「ヴァイスランドの北……ラウプホルツの郊外に2つの塔が建っておる……」

シルマール「塔?いったい何の話を……」

ルナストル「いいから聞け……その塔は町からは見えるが決して近づけない、向かっているはずが戻っている」

シルマール「……それってこの家の周りの……」

ルナストル「ああ、元は同じ流派じゃからの……と言っても向こうは初代のままじゃが……」

シルマール「向こうだけ初代?どういうことです?」

ルナストル「お互いに数万年の歴史のある流派じゃ……」

シルマール「数万年!?向こうは初代!?どういうことですか!」

ルナストル「行けば分かる……行けば……」

シルマール「先生!」

ルナストル「これは……他言はするな……お主だけ……お主だけに教える」

シルマール「先生!先生!」

ルナストル「ふふっ、もしお主が弟子を持ったらその弟子に教えるがよい……」

ルナストル「」

シルマール「ルナストル先生ーーーーーーー!」
39 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/11(金) 19:21:02.59 ID:0zjg1pTMo
シルマール「母なる大地よ……先生のアニマを迎えたまえ……」スッ

シルマール「いままで……ありがとうございました!ルナストル先生」

シルマール「私も……術の高みを目指してみたいと思います」

ザッ

シルマール「先生の最後の言葉……ヴァイスランド、ラウプホルツの2つの塔……か」

シルマール「行って見ますか。しかし、ヴァイスランドには海を渡らないと……」

シルマール「どうしたものですかね」

ガサガサガサ

シルマール「むっ?このアニマの流れは?」

シルマール「魔獣の群れ……ですか?」

???「はぁ……はぁ……しつこいな!食らえ!フレイムナーガ!」ゴゴォ

ギュアアアアアアアア

シルマール「誰か襲われているのか!いけない!」

ダダダッ

???「まったくナ国の連中め、まさかこれが狙いだったのか?」ザクッザクッ

ガサッ

???「むっ、誰だ!」

シルマール「水よ……樹よ……そして音のアニマよ……」ゴゴゴゴゴゴ

シルマール「天雷!!」ピカッ

ドゴゴゴゴーン

ギャアアアアアアアアアアアアア

???「な、なんだ今の術は!?」

シルマール「大丈夫ですか?」

???「何者だ」

シルマール「私ですか?私はシルマールといいます。えっと……ただの術士です」

???「ナ国の術士か!?」

シルマール「いえ……違います。私は……」

???「……なるほど、確かに雰囲気が違うな」

シルマール「あなたは?」

グルルルルル

???「まだ来るか……」

ギュスターヴ(12世:鋼のギュスターヴの父)「我が名はギュスターヴ・フォン・フィニー!力を示せ!ファイアブランド!」カッ

シルマール「それは……クヴェルの剣!?」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 15:49:42.73 ID:anpXER7Do
続きはないのかね?
41 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/15(火) 21:49:01.07 ID:yGUsecOEo
書きますのでもうちょっと貯まったらよんでくだされm(__)m
42 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/16(水) 21:06:03.25 ID:EWx9OjXjo
ギュスターヴ「ふぅ……全部片付いたか」

ギュスターヴ「それにしてもすごい……自然のアニマだけでこれだけの術を使いこなすとは……」

ギュスターヴ「シルマールと言ったか?お前は……」

シルマール「……」ジー

ギュスーターヴ「ん?」ヒョイッ

シルマール「……」サッ

ギュスターヴ「……」ヒョイッ

シルマール「……」サッ

ギュスターヴ「この剣に興味があるのか?」

シルマール「初めて見ました。これがクヴェル……しかもこれほど見事な……まるで意思が宿っているようです」

ギュスターヴ「そこまで分かるのか?」

シルマール「触ってもいいですか?」

ギュスターヴ「駄目だ」

シルマール「そんな、ちょっとだけ……」

ギュスターヴ「駄目だと言っているだろう。いや、そうだな……」

ギュスターヴ「では先ほどの術を教えてくれ」

シルマール「術を?」

ギュスターヴ「先ほどの術……まことに見事であった。あなたほどの術士は今まで会った事が無い」

シルマール「いえ……私などまだまだ未熟。世界の広さも知りません」

ギュスターヴ「何を馬鹿な。あれほど強いではないか」

シルマール「では私があなたよりも強いと?」

ギュスターヴ「むっ……」

シルマール「気分を害されましたか?」

ギュスターヴ「これでも私は武人だ。自分が弱いといわれて黙ってはいられない」

シルマール「私は術士の頂を目指す者。あなたにそれほどの自信があるのであれば、私も試してみたい」

ギュスターヴ「私と手合わせしたいと?」

シルマール「ええ」

ギュスターヴ「私は強いぞ?」

シルマール「勝ったらクヴェル見せてくださいね?」ニコッ

ギュスターヴ「行くぞ!」

カッ
43 : ◆IZLwGhF6Cg [sage]:2012/05/23(水) 20:50:23.69 ID:QQ5DDrh/o
ギュスターヴ「ぜぃ…ぜぃ…負けた…」バターン

シルマール「はぁ…はぁ…ギリギリです…」

ギュスターヴ「いや、私はこのファイアブランドを使ってだ……お前……先生は自然のアニマだけであれだけ強力な術を完成させた」

ギュスターヴ「術士として私の完敗だ」

シルマール「先生?」

ギュスターヴ「シルーマール先生と呼ばせてくれ。あなたの術は見事と言うしかない」

シルマール「やめてください。そんな……」

ギュスターヴ「さあ、約束だ。ファイアブランド……好きなだけ見るといい」スッ

シルマール「……」フルフル

ギュスターヴ「ん?いいのか?」

シルマール「先ほどの戦いでじっくり見せていただきましたから。それはあなたにしか扱えない。主人を選ぶクヴェルといったところですか?」

ギュスターヴ「ははははは。さすがシルマール先生だ。ほんと参った参った……すごく悔しいぞ!」

シルマール「ところであなたは?」

ギュスターヴ「なんだ?クヴェルに夢中で聞いてなかったのか?私はフィニー国王のギュスターヴだ」

シルマール「フィニーの国王!?こ、これは失礼を……」ガバッ

ギュスターヴ「やめてくれ先生。私は強い術士をそれだけで尊敬している。シルマール先生、よかったら私の国に来ないか?」

シルマール「え」

ギュスターヴ「ナ国の術士ではないのだろう?どうだろうか?」

シルマール「いえ……私は兵士には……」

ギュスターヴ「戦いは嫌いか?では友人としてはどうだ?」

シルマール「友人……」

ギュスターヴ「ははは、まぁ考えておいてくれ。歓迎するぞ。さて、そろそろ行くか」

シルマール「あ……ギュスターヴ様はなぜ魔物に追われていたのですか?」

ギュスターヴ「フィニーの国王といってもまだまだ若造でな。外交に来たのはいいが、この有様だ」

ギュスターヴ「大方、私の命を狙って魔物でもけしかけてきたのだろう」

シルマール「……」

ギュスターヴ「ははは、そんな顔するな。ナ国のやつらめ、私が生きて戻ったと知ったらどんな顔をするのか楽しみだ」

シルマール「私にもいかなければいけないところがありますので……」

ギュスターヴ「そうか、残念だ。だが、門戸はいつでも開けておくぞ。また会おう!」ダッ

シルマール「フィニー国王のギュスターヴ様か……」
44 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/05/26(土) 21:33:41.85 ID:9JI61XMZo
シルマール「世界を回るにしてもとりあえず海を渡るしかありませんね」

シルマール「ここから船が出ているはずですが……」

シルマール「ん?あれですか」タッ

シルマール「ヴァイスランドに直接渡りたいところですが、さすがにありませんね……」

シルマール「ヴェスティア経由で陸路で行きますか」

船員「おっ、お客さんかい」

シルマール「ええ、この船がヴェスティア行きですか?」

船員「ああ、船代と身分証をお願いできるかい?」

シルマール「身分証……?」

船員「国境を越えるんだから当然だろう?」

シルマール「いや、それが……なくしてしまって……」

船員「は?無くした?じゃあ領事館ででも発行してもらってから来てくれ」

船員「ん?あんたどっかで見たような……グリューゲルの……」

ヘンリー・ナイツ「ああ、ここにいたのか。待たせたね。悪い悪い」ドンッ

船員「おっと。知り合いか?」

ヘンリー「ああ、私の知り合いだよ」

シルマール「え」

船員「なんだ、国なしディガーか。そうならそうと言ってくれよ」

船員「ああ、ちゃんとディガーの免許もあるな、さっ乗ってくれ、出発するぞ」

シルマール「あ、あの……」

ヘンリー「ほらっ、乗った乗った。私が置いてかれてしまう」グイッ
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/26(土) 22:29:11.83 ID:Iq2RH3ODO
ウィル編はないのかい?
46 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/06/02(土) 08:13:28.44 ID:kZZNVZxKo
シルマール「どうもありがとうございました」ペコッ

ヘンリー「何やら事情がありそうだったからね。それに……」

シルマール「それに?」

ヘンリー「君は何か面白いアニマの色をしている」

シルマール「人のアニマが見えるのですか!?」

ヘンリー「ん、まぁね。誰も信じてくれないけど」

シルマール「それで私のアニマの色はどうでした?」

ヘンリー「とても素直でいい色でしたよ。だからついつい声をかけてしまったんだ」

シルマール「本当に助かりました」

ヘンリー「わけを話してくれるかい?」

シルマール「ええ、全部は話せませんが……」
47 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/06/02(土) 08:14:26.10 ID:kZZNVZxKo
>>45
ウィル編含めて全部書くつもりはあります
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/02(土) 10:40:15.19 ID:jTH+qnzBo
ずーっと前にやってラスボスで詰んでたけど
つい最近やっと全クリしたんだ

やっぱりジニーは最高だと思いました
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 03:35:42.34 ID:AScwpm6oo
続きがあるといいな
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/06/10(日) 09:56:26.67 ID:KVg0sjuno
サガフロ2面白いよね
続き期待してます
51 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/06/10(日) 20:51:59.50 ID:kEKqSQo0o
ヘンリー「そう、ご両親を……」

シルマール「はい……」

ヘンリー「大変だったね。それじゃあ普通にナ国の国籍は名乗れないわけだ」

シルマール「まだ私を覚えてる人がいるとは思いませんでした」

ヘンリー「んー、そうだな。じゃあこういうのはどうだい?私のヴィジランツになるっていうのは」

シルマール「ヴィジランツ?」

ヘンリー「ディガーを守るための冒険者さ。そうすれば国境なんて関係ない」

シルマール「そういえばさっき国なしディガーって言われてましたけど……」

ヘンリー「ああ、ディガーはどんな国にも秘境にも足を運ばなくちゃいけないからね。ギルドに登録してあれば身分は保証されるんだ」

シルマール「しかし私は……」

ヘンリー「大丈夫。私が紹介してあげよう」

シルマール「そんなことができるんですか?」

ヘンリー「これでもディガーとしてはちょっと顔でね。大丈夫」

シルマール「ありがとうございます」

ヘンリー「ところでヴァイスランドに行くんだってね。私もそちらの遺跡には興味があったんだ」

シルマール「えっ!?」

ヘンリー「ふふっ、よろしく頼むよ。ヴィジランツとしてね」

シルマール「いや、あの……しかし……」

ヘンリー「さぁー、がんばって稼ごうな」ポンッ
52 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/06/10(日) 20:59:53.82 ID:kEKqSQo0o
―――ラウプホルツ

ヘンリー「いやぁ、やるねぇ。シルマール。まさかこんなに早くつけるとは思わなかったよ」

シルマール「いえ、ヘンリーさんのおかげです」

ヘンリー「これほどの術の使い手とはね。どうだい?この後もコンビを組んで一緒にディガーをしないかい?」

シルマール「すみません。行かなければならないところがありますので……」チラチラッ

ヘンリー「あの2つの塔かい?」

シルマール「!?」ビクッ

シルマール「なっ、なんで……」

ヘンリー「だってそんなチラチラ見ているんじゃあ、つっこんでくれって言ってるようなものだよ。ははは」

シルマール「あぅ……」

ヘンリー「でもあの塔に挑むと言うのかい?誰も行き着くことさえ出来ないというのに」

シルマール「ご存知なんですか?」

ヘンリー「見るのは初めてだけど噂はね。こんなに近くに見える双子の塔。でもそこまで行けた人間はいない」

ヘンリー「今じゃ、ただの幻術って思ってる人がほとんどだよ」

シルマール「しかし私は……」

ヘンリー「行くんだね。ではご一緒に」

シルマール「あの……」

ヘンリー「駄目だよ。こんな面白そうなこと独り占めしちゃあ。ははは」スタスタ
53 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/06/10(日) 21:05:00.17 ID:kEKqSQo0o
ヘンリー「おかしい……さっきから同じところを回っているような気がする」スタスタ

シルマール(これは……ルナストル先生のところと似た……)

ヘンリー「目の前……森の向こうに塔は見えているのに」スタスタ

シルマール(いや、それよりもずっと高度だ……いったいどこから入ったらいいんでしょうか)キョロキョロ

ヘンリー「シルマール。何か分かるかい?」

シルマール「え、ええ……いえ、まだ分かりません」

ヘンリー「まだ……ね」

シルマール(自然のアニマと道を調和させながら外へ外へ視界をずらしているんですね……)

シルマール(これは……逆にアニマや術に頼るのではなく、アニマを押さえることで見えるものがあるのでは……)フッ

ヘンリー「ん?シルマール?」キョロキョロ

ヘンリー「あれ?どこいった?」
54 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/06/10(日) 21:09:30.42 ID:kEKqSQo0o
シルマール「見えた……アニマを押さえたからこそ見える真実の道」スタスタ

ズオオオオオオオオオオ

シルマール「高い……これが……二つの塔」

シルマール「中から恐ろしいほどのアニマを感じる……」

シルマール「ルナストル先生……ここに……いるのですか」

シルマール「先生の流派の片割れが……」

シルマール「……」ギギィ

シルマール「誰かいますかー?」

「ゲタゲタゲタゲタ」

「ヤメテーヤメテー」

「イタイヨーイタイヨー」

シルマール「こ、これは……」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 22:21:05.14 ID:uKov7ihro
来てたー!
56 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/08/05(日) 05:26:01.88 ID:Tya6vd7co
シルマール「その格好は……魔術師ですか?」

ゾンビ兄「ゲタゲタゲタゲタ」

ゾンビ弟「ニイチャン……ニイチャーン!イタイヨー」

ゾンビ女「イヤアアア!イヤアアアアアア」

グオッ

シルマール「なっ…襲ってくる!?」

ゾンビ女「アタシヲ殺シテエエエエ」ガッ

シルマール「くっ……迷いアニマに魅入られた死者か!?フレイムナーガ!」ゴゴゥ

ゾンビ兄「アハハハハハハハ」

シルマール「効かない!?術に耐性がある!?ゾンビではない!?」

ゾンビ弟「アアアアアアアアアアア」ガバッ

シルマール「まさか……まさか……人間?生きながらこのような状態に……!?」

シルマール「くっ……なんでこんなことが……」

ビクッ

シルマール「!?」

シルマール「何ですか、これは……上のほうから強いアニマを感じます……」

シルマール「こっちか!」ダッ
57 : ◆IZLwGhF6Cg [saga]:2012/08/05(日) 05:34:28.85 ID:Tya6vd7co
シルマール「この扉の奥ですか」

ギギィ

シルマール「……え?これは……ミイラ?」

シルマール「随分古いもののようですね。僧侶か何かでしょうか。両脇の仏さんはお弟子さんかな?」

シルマール「この立派な装飾品から見てこの方がこの塔の……」

死せる賢者「そう、私がこの塔の主だ」

シルマール「!?」

シルマール「だ、誰です!?どこに!?」キョロキョロ

死せる賢者「ここだ。目の前におるであろう」

シルマール「なっ……まさか……でも死んで……」

死せる賢者「死んでいると?このようななりでは仕方ないか。だが、死んでおるのであればどんなに良いことか……」

シルマール「生きたミイラ!?」

死せる賢者「名乗るのが遅くなったな。もう自分の名など忘れてしまったが……死せる賢者とでも呼ぶがいい。私の両脇にいるのは高弟達だ。もう言葉を失っておるが正気までは失っておらん」

死せる賢者「よくここまでたどり着いたな。お前は……」

シルマール「シルマール。シルマールと申します」
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