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巴 マミの聖杯羨愡/せいはいせんそう - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/10(木) 19:20:32.80 ID:V7JBB/hDO
【これは、巴 真美の前にQBが現れない世界での話………】




…………私は………

もっと輝けるんじゃないの?
もっと、明るい存在になれるんじゃないの?


魔法少女……


夢を見た

どこかの世界

悲しい世界、まるで誰かが見ている悪夢が具現化した様な世界……

私と同じ姿、同じ顔……

彼女は可愛い服を着て、次々と悪者を倒していた……

私には分かった

あれは、魔法少女
魔法少女となった私だ


私はおとぎ話を信じているワケじゃない

いきなり夢の国から使いがやってきて、私に魔法をかけてくれるなんてこれっぽっちも考えてない


誰かがやってくれる……

私を魔法少女にしてくれる………

それをただ待っているだけの自分………

今、私が最も嫌いな人間だ!
誰かが手を差し延べてくれるのをずっと待ってる私!!





私は

自分で歩きだす



今ここに、私のこれからの運命の道しるべを求めたい……

私の願いは……

輝ける自分

自信が持てる自分

誰かに必要とされる自分

誰かに………

誰かに必要とされたい!

誰かにお友達になって欲しい!

誰かに今日あった楽しい事をいっぱい話したい!

誰かに明日の予定をメールなんかで聞いてみたい!!


誰か…………

………助けて…………………………

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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/10(木) 19:38:13.77 ID:V7JBB/hDO


「…………な〜んて……ね……」

軽く笑いながら、私は立ち上がった。

私が今している事……

ネットで調べたサイトに書いてあった魔法使いになる方法……

魔法陣を描いて、願いを唱える
後は、個々の体内に宿す魔翌力が勝手に反応する……


しかし、何も起こらない

私には、魔法少女になるだけの魔翌力がもとからなかったのかもしれない……


だが、こんな結果になるのは分かり切っていた事であった


私が、私なんかが………


そう簡単に………




「………あ〜あ……床に変な汚れが出来ちゃった……

拭かないと……」


タオルを手に、私は床に描かれた魔法陣を見つめていた

大きな魔法陣は赤い液体で書かれている

そして、私の手首からも赤い液体が伝って、指先から一滴ずつ床に垂れていた


全く、何を考えてるのかしら……
自分の手首を切ってまで………こんな茶葉を……


まるで他人事かの様に、私の頭の中では処理されていた

私は……

ちょっとおかしいのかもしれない………


「…………ホント………何も起きやしない……」



ぎゅっと拳を握り締めた
挟まれたタオルが手の中でどんどん小さくなって硬くなっていく……








目の前が真っ白になった

これは比喩でもなんでもない

いきなり!
目の前の光景が真っ白になった!!

光?
強烈な光が部屋全体に広がっている!?



「……な………なんなの……!?」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/10(木) 20:10:00.91 ID:V7JBB/hDO


光は消えた



…………何が起きたの………?


私は静かに目を開いた



私の目にはいつも通りの自分の部屋がうつる
これと言って、変化はない………

ただ、私は何かを感じとったか、魔法陣の方に目をやった……




期待通りだった



………あ…………嘘……………?



私の前には確かに異変が現れていた


そこには輝ける存在が出現していた

これは発光を意味しているのではない

私の心を明るくする、私の運命に対する可能性……

それが具現化している様な気がした


それが、その物体が人である事に気が付くのに、そう時間は掛からなかった



金色の髪の毛、その隙間から青く輝く瞳がこちらを見つめていた


………綺麗………
いや、カッコいい……


その姿は、まるで歴史の本の中に登場する神の恩恵を受けた聖なる騎士……

その瞳からは、言葉にはし尽くせない様な力強さが感じられた



「…………貴方が………」

「…………え?」


突然、その口から声が発せられた

力強く、美しい声………


「貴方が、私の主なのか?」


私の目を見つめながら、その人は言葉を投げ掛けてきた
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/10(木) 20:29:38.00 ID:V7JBB/hDO

「……主………?」


どうにも気が抜けた声で、返事をしてしまった

私の頭は今の状況に全く追い付いていなかった



………主………?

私が………?


「…………失礼します……」

その人は、こちらに向かって歩いてきた


「………え………ええ!?………あの……」

いきなりの展開に動揺を隠せない私……

足が自然と後退りをするも、その人が私の目の前まで来る方が早かった


「………あ……あの……」
「手を見せてください。」

「えっ?……あ……」


彼女は私の手を掴んだ


彼女………

そぉ
近くまで来て、はっきりと確信が持てた

その人は女性であった

金色の髪……青いロングドレス……

しかし、一番の決めては匂い……
近づいてきた彼女からは、神秘的でかつ女の子特有の甘い匂いが漂った

………様な気がした


つまり、女の堪である


………ギュッ……

「……え?」

そう言っている内に、私の手首に布が巻かれていた
私の手首の傷のちょうど上に………

「……ケガをされていたので、応急措置を施した。」

彼女は私の顔を見ながらそう言った。

その顔には、若干の優しさが含まれている様な気がした


「………あ………ありがとう………」

「………いえ。大した事ではありません。」


そう言うと、彼女の目が変わった。

「………主よ。」


また、彼女は私の事を“主”と言った
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/10(木) 21:14:50.67 ID:V7JBB/hDO
「…………手の甲を見てください。」

「え?………あ……」


手の甲には何かが書いてある………


紋章……?


私にはこんなものを書いた覚えがなかった

「それは貴方が聖杯戦争の主、マスターとなった証。
貴方は我が主として、聖杯戦争に参加したのです。」


「聖杯………戦争………?」


戦争?
物騒な言葉………

……え?どうしてそんな言葉がいきなり出てくるの?

「戦争………って……どういう事なのかしら………?」


苦笑いをしながら、私は彼女に問い返した……


「……………

やはり、貴方は何も知らずに私と契約してしまったのですね…………」


「………え?」

「……マスター。今から話す話は、今後のマスター自身の命運を左右する重大な事柄です。
……真剣に、取り入ってください。」


彼女は静かに言った

彼女の目は、物凄く真剣そうな気持ちを訴えていた
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/10(木) 21:51:09.12 ID:V7JBB/hDO
「貴方は私を召喚した。」

「………え……召喚?」


…………あ……
でも、魔法陣を描いて念じたら彼女が現れたんだし……

我が召喚したって事になるのかな……


「貴方の様に、他にも私の様な英霊を召喚した者達が6人居るはずです。」


「6人?……私と同じ様にした人が……」


「はい。
そして7人のマスター、そのマスター達と契約した7人の英霊、サーヴァント達は戦うのです。

その命をかけて……」



……………え……?


「………戦……う……?」

「はい。7人のマスターとサーヴァントが最後の一組になるまで殺し合い、残ったマスターとサーヴァントに聖杯が与えられるのです。」


「……………」


…………あれ?
これって、なんの話なの?


「…………あなたは……誰なの?」

「私は英霊。7人のサーヴァントの中でセイバークラスとして召喚された者です。」

「………つまり……戦士……?」

「はい。貴方と共に戦う者です。」


「戦う………って………

殺し合い………?


え?
誰と?」

「ですから、他のマスター達と……」

「他のマスターって、人間じゃないの?私みたいに……」

「はい。貴方以上に魔翌力に通じた者の可能性はありますが……」

「つまり………人同士の殺し合い………?」


………え?
何がどうしたの?

この人、何を言ってるの?


「…………あはは……」


「マスター?どうかされましたか?」


自分でも分からない
突然、私は笑いだしていた
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/05/10(木) 21:58:26.88 ID:rDhhVfKjo
期待する
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/10(木) 22:02:33.47 ID:V7JBB/hDO
「あはははははははは……

なんなの?
私は何をしたっていうの?

ちょっと日常に飽きたから、ほんの出来心で、ほんの遊びで、こんなおふざけを行っただけなのに………」


「マスター………。
完全に状況を呑み込むことが出来ないのですね。

やはり……こんな若い少女では………」


「…………あなた……」

「はい?」

「名前は?なんて言うのかしら?」

「私も名前を持っていました。しかし、今は貴方のサーヴァント。セイバークラスなので、セイバーとでもお呼びください。
以前も、そう呼ばれてました………」


「そぉ………。ねぇ、セイバーさん。」

「はい。どうなさいましたか?」

「私、何が出来る?」

「はい?それはつまり……

「あなたのマスターとして、私は何が出来るの?ただ、あなたにマスターと呼ばれるだけなの?」

「……強いて言うなら、私に絶対服従な命令を出せます。数が限られていますが……。
しかしそんな事をしなくとも、非人道的ではない限り、私はマスターの指示には従いますから。」


「命令を出す………。


………私自身は、何かできないのね…………」

「………マスター……?」


………違う……

私は何にも変わってない……



「………あなたは?セイバー。あなたは何が出来るの?」


「私は…………」



ビュン!


部屋全体に風圧が舞って、彼女の手の中に巨大な剣の様なものが握られていた


「この剣で、マスターの為に戦います!」

剣を構えて、力強く声を発した



………カッコいい……

まさに、私が理想としていた輝き………


これ………

私はこんな風になりたかった…………のに………
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/11(金) 09:04:06.38 ID:2JuitilDO
彼女……セイバーさんの戸惑う表情がうかがえる

今、私はどんな顔をしているのだろうか?

悔しさに唇を噛みしめている?

それとも本当に気がおかしくなった様な顔で笑ってるの?

それとも、ただどこを見つめるでもなく、ただ呆然と気の抜けた顔で立ち尽くしているのだろうか?



「ははははは…………

………こんなの違う……

私が望んだものじゃ…………ない………」


「……マスター……。あなたは何を望んだのですか?」

「………輝ける自分になりたかった………

ただ………今の自分じゃ、イヤなの………」


「自分を、変えたい。そういう事ですね。」


突然セイバーさんは床に膝を付いた

頭を下げて、目線を床に向けている


「マスター。」

「………何……?」


「その願い、私が必ず叶えてみせます。」

「………え……?」


力強い言葉が私の胸に突き刺さり、響いていった


「聖杯戦争。その勝者のマスターとサーヴァントにはあらゆる願いを叶える聖杯がもたらされます。

マスター。貴方は何も知らずにその過酷な運命の渦へ巻き込まれてしまった。
私とて、貴方の悲運さには同情致します。

しかし、運命の道に立ち入った以上、ご自身の運命を受け入れて貰いたいのです。

聖杯戦争に勝って、さすれば貴方の願い事は聖杯の力で満たされる事でしょう。」


「………………」

セイバーさんはそう言って、ただ頭を下げ続けていた

何か、私の返事を待っているようだ……
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/12(土) 01:09:36.94 ID:bRbcGrSDO

「………セイバーさん………」

「はい?なんでしょうか………?」


「私はその運命から逃れられない……
受け入れるしかないのよね………?」

「………はい。
……非常に申し上げにくいのですが………」



……………もぉ………

どうなってもいい………




「……………分かったわ。」

「……マスター。
今の言葉、我が主として、この聖杯戦争を生き抜く事を決意したと受け取ってよいのですね?」


「セイバーさん。あなた……いちいち表現が重苦しいわ………」



その時の私の顔は、何故か明るい笑顔になっていた


「今日から、あなたは私のパートナーなのでしょ?
もう少し親しみのある喋りの方が、お互い気が楽になるわよ?」


そう言って、口元がクスッと緩んだ


私は………
どうして笑っていられるのだろうか………?



「………マスター……
……失礼致しました。従者として、無礼がないようにと気を遣っていました。」


「もぉ!まだそんな堅苦しい喋り方をするの!?
私の事をマスターなんて呼ばないで。
私の名前、マミって呼んでちょうだい。」


「え?………」


セイバーさんが若干戸惑った
しかし、気持ちを切り替えた様子で……


「………マミ。」


力強く声を張った。


「はい。セイバーさん。」


それに対して、私はにっこりと笑顔を返した




………………

私は……どうして笑っているの………?

こんな状況で……
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/13(日) 05:03:13.09 ID:0dS5BuTDO
聖遺物はどうした。それがないと召喚出来ないのではないのか?
とどうでもいいツッコミ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/13(日) 09:11:33.35 ID:IaKxPTqco
>>11
んなこたぁない
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/05/14(月) 22:10:00.60 ID:7lEqisCN0
遺物なかったら自分に似た性質のが召喚されるだけ。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/15(火) 17:50:09.41 ID:Cmx1OfsDO
今私に起きている事を確認すると………

セイバー、彼女が私の前に現れた……

彼女は綺麗だ
私なんかよりも……


「……それで……マミ。」

「は、はい。何かしら…?」

「聖杯戦争への参加を承諾してくれた事は結構なのですが………。
その………これは命をかけた戦いです。」


「……そんな事は分かってるわ。」

「では、その……もしも、万が一にマスターの身に何かあった場合の為に、まずは身内の方に相談を……」


「……そうね。でも、必要ないわ。」


微笑みながら、軽くあしらう私……


「あなたが、私を守ってくれるのでしょ?」

「マミ………。はい。そうですね。
……ですが、私は今日からこの家に住む身となります。
せめて、マミの両親に私が家に住む許可を取らないと……」


「必要ないわ。


私……独り暮らしだから………」


セイバーさんの目を見つめる……

セイバーさんは、私の軽くも重い言葉を聞いて、また少し戸惑っている


「……申し訳ない。立ち入った質問をしたようですね……」


「セイバー。どうせすぐ分かる事なのよ。
私が死んだって、悲しむ人なんか誰一人居ないんだから………」


「マミ?
あなたにだって、日頃共に過ごす友人の一人や二人……」


「…………」


無言でセイバーさんを見つめた
どんな顔で?分からない………
自分でもどんな表情をしているのかが分からない……

ただ、セイバーさんに、私の重いを視線にのせてぶつけた



「……………。マミ。
また……余計な発言をしてしまいました……」



「セイバー。もういいから…………
私の事は気にしないで………」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/15(火) 18:11:35.95 ID:Cmx1OfsDO
私には誰もいない……

大切な家族も……大切な友達も……



「マミ。」


「!……な、何かしら…?」


だけど……今はセイバーさんが居る……

私の部屋に……私以外の人が初めて来た……


「私はこの聖杯戦争を過去に経験しています。
マミは全く知識がないようなので、出来れば私の経験を元に助言などを申したいのですが……」


「……そうね……」


………えっと……
他人のお話しするのって………
とりあえず…リビングのテーブルに座って貰って
お菓子を用意して……


え〜っと…………



グゥ〜………

「!!?」


あ………そう言えば、もうとっくに夕御飯の時間を過ぎてるんだっけ……


「………え〜っと…///」


………やだ……
いきなりこんな恥ずかしいの………

セイバーさんに嫌われる……?


「マミ。まずは食事にしましょうか。」


「…………そ、そうね……」



セイバーさんは優しい笑顔でそう言ってくれた……

セイバーさん……


なんていい人なの………
16 :>>1 [sage]:2012/05/16(水) 17:57:02.01 ID:ecv8kFaDO

台所に立った私……

ただぼーっと、キッチンを眺めていた

「マミ?何をしているのですか?」

「……………いえ……
何を作ろうか、考えていただけ……」


本当は何も作る気にはなれなかった
お腹は減っていたのだけれど、今の私にとって食事などはどうでもよかった……


………でも………

セイバーさんの為に、何かを作らなければならない……

私自身の為にでなく、セイバーさんの為に……


そう思うと、余計に料理をするのに気が引けた


私の作る料理……
私なんかが作る料理で、セイバーさんは果たして喜んでくれるのかしら……

気を悪くさせる様なものを作ってしまったら………





「マミ。ひょっとして………料理が苦手なのか……」


「………いえ………そういうわけじゃなくて……」


「………私が作りましょうか?」



………驚いた
私はハッとして、セイバーさんの方を振り向いた

セイバーさんはまた優しそうな顔をしていた

「マミ。今日の貴方は疲れているのです。
………色々、急過ぎたのでしょう……。
今はゆっくり休んでください……」


セイバーさんは、にこりと軽く微笑みながら言った。
17 :>>1 :2012/05/20(日) 22:38:19.95 ID:HxkvrSnDO

「……………」


セイバーさんは台所でじっと立っている


「…………
ま、まずは食料の確認ですね……」

セイバーさんは思い付いた様に、冷蔵庫の扉を開けた

「…………

マミ?」


「は、はい……」

「食材………
何も入ってないのですが………。ジュースのペットボトルやケーキなどしか……」

「…………。
私、最近は簡易レトルト製品ぐらいしか食べないから………」


…………
作るの面倒だし………

やっぱり、女の子として最近かな………


「そ、そうですか……
レトルトとは、つまりお湯をかければすぐに完成する、と言う事ですね。」


「え?えぇ……まぁ……」


「……それなら、私でもなんとかなりそうですね。

すいません、マスター。私、実はあまり料理が得意ではないんです………」


「え!?そうなの!?」



……何を驚いてるんだろ……私……
料理が苦手な人だって、普通に居るわよ……

ただ……
セイバーさんなら、てっきりなんでも出来ると思ってた……

私なんかと違って……



「申し訳ございません。
少し、見栄を張ってしまいました……」

「……………。

………ふふっ」

「?マスター、ここは笑うところなのでしょうか?」


「ふふふ。いえ……なんか、さっきまでのたくましいあなたと違ってて……
今のあなたがなんだか普通の人に見えちゃって……」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/20(日) 22:49:28.04 ID:HxkvrSnDO
「…………すいません。ご期待を裏切る結果となって………」


「もぉ〜。そんな堅苦しい喋り方はやめてって言ってるでしょ?

いいのよ。料理ぐらい。
また、私が教えてあげるから………」


…………!?
私、今何て言葉を!?
セイバーさんに教えてあげる!?
私が……セイバーさんに……上から目線………

調子に乗っちゃった……

怒ってないかな……?
セイバーさん………


「………ありがとうございます。マミ。
いつか、貴方に喜んでいただけるような料理を必ずやお作りします。騎士の名誉にかけて!」



セイバーさんが真剣な目付きで私に言葉をぶつけてきた

………凄い……なんて力強い言葉……
なんて……頼りがいのある………


「………ふふっ。ありがとう。
期待してるわね。騎士さん♪」




セイバーさんなら……すぐに料理なんてマスターしちゃうわ……

私なんかより遥かに上手に………





「…………マミ……」

「は、はい。なにかしら……」


セイバーさんが私を見ている……

「…………

………その……」

また戸惑った様子だ
何かを言いたげなのか、口をもぞもぞさせてる……


「セイバーさん?何かしら?
言いたい事があるなら、何なりと申してくれればいいんだけど……」


「……………はい……。


マミ。あなた、最後にお風呂に入ったのはいつですか?」




………………


…………………


「………すいません。マスター。
女性に対してはかなり失礼な発言でしたね。」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/20(日) 23:06:40.34 ID:HxkvrSnDO
「……………


セイバー………。
その………」


……………

私が最後にお風呂に入ったの……


何日前……
いや、何週間前だっけ……


「…………。

その………別にマミの身体が汚れていると言うわけでは……

ただ……一応、健康面で……」


「…………どうして………

どうして……分かったの………?」


「………………」


黙り込むセイバーさん……


「………セイバー……。
私の質問に、答えてくれる………?
やっぱり、臭ったの……?」


「………申し訳ございません。マスター。
マスターの私生活にとやかく言うつもりはありません………」


「…………そぉ………。

やっぱり、他人には分かるんだ……
分かっちゃうんだ………


……………」


私は自分のスカートの端を握りしめて、歯を食い縛る……

……………

………駄目……駄目だ……


私…………
もう、セイバーさんから信用を失った……


いや、最初から……セイバーさんは私の事に気付いてたんだろうし………


私………最初っから………



「………マスター。
………その……」

「…………………」

頬を温かい涙が伝っていく………

悔しい……
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/20(日) 23:26:03.60 ID:HxkvrSnDO
「………マスター。

今からお風呂に入られませんか?」


セイバーさんが私に告げた言葉……

…………優しい……



「……………えぇ……


そうね………」


弱々しい私の返事……


気がつくと、私の身体のあちこちがガサガサしてかゆくなっていた

今すぐにでもお風呂に入りたくなっていた……

こんな気分……何週間ぶりだろ……





「マミ。
この衣類の山は……」



………ことごとく、私の汚れた生活の実体が露となっていく……

セイバーさんはお風呂場の洗面所に詰まれた衣類を見て、少し驚いた様子で言った


「……………うっ……」


セイバーさんが少し顔を歪ませた
しかし、横に居る私に気を遣ってか、すぐに表情を手で隠した


そんなに酷い臭いなの………?

私には分からない……
いつも通りの臭いしかしない……


「マミ…………」

「………そうね……
洗い物も、もう1ヶ月以上してなかったわ……」


「…………1ヶ月の量にしては少ないですね。
下着も積まれてる様ですが………

ひょっとして、今貴方が身に着けているのは……」


「………そんなにたくさん衣服を持っていないから……
5種類の衣服を循環させながら毎日着替えてた……
下着も………

でも……3日前から、それすらも面倒になっちゃった…………」


「マミ………どうして……」


………だって……

一々服やら身のこなしに気を使う必要なんてなくなったから………


外に出て、人と会う事なんてないのだから……
21 :>>1 [sage]:2012/05/21(月) 16:03:48.39 ID:IgI3PEhDO
「…………マミ。
私は食事の用意をしてきます。その間に、入浴を済ませておいて下さい。」


「え………?一人で……?」

「はい?私にも水浴を手伝えと?」



………何言ってるの私……

お風呂ぐらい一人で入ればいいじゃない……


出会ってすぐの人に……例え相手が女性でも、一緒にお風呂に入ってだなんて……

コミュ力が落ちたわね……それもドン底に……

さすがにセイバーさんには引かれたわよね……


でも……

なんか今、セイバーさんと離れたら……

今一人にされたら……


いや……今セイバーさんを一人にしたら、私の事をただの汚い女って思われちゃう……

嫌だ……
早く弁解しないと……


「マミ。
マスターの入浴を邪魔するのは、いくらなんでもと思ったのですが………。」


「……………」



………
違う………かな……

単純に、私が一人になりたくないだけか………


今………私を一人にされたら………



「マミ?
…………分かりまし」

「いえ。なんでもないわ。
セイバー。私がお風呂に入っている間に、料理を作ってきてくれるかしら?」


「………はい。分かりました。

どうぞ、ごゆっくり。」



………………

セイバーさんはお風呂場から出て言った

このまま……私の前から消えちゃったりしないわよね……
22 :>>1 [sage saga]:2012/05/22(火) 13:48:47.18 ID:EkcnThnDO
………寒い……

久しぶりに浴びた40度のシャワーが熱湯に感じたから、35度近くまで下げてぬるま湯を浴びた

身体が冷えてきた……


でも、久しぶりに身体を洗った
身体からセッケンの匂いがほんのりとしてくる

正直、凄く気持ち良かった……

ただ、私はまだ汚れてる……
身体ではなく心が……



「……セイバー?居るの?」

居間に戻ってくると、やけに静かだった
部屋中に不快な臭いが漂って……

……いや、この臭いはいつもの臭いだ
私の腐敗した生活がもたらしたものだ

今まで、私自身も汚れてたから気にはならなかったが、身体を洗って少し清潔になった今の私には十分に感じる……

………酷い臭いだ……
私は自分の臭いだから仕方ないと思えるが、セイバーさんはどうだったのだろう?

他人の部屋がこんなに臭かったら………



部屋が静かだ
人気が感じられない……


やっぱり……セイバーさんは部屋から出て行った……?



「……セイバー…さん……?」


恐る恐る声を出す……

静かな部屋に若干響いた様な気がした



「……どこなの……?」



居間に入っても、やはり人気はなく静まりかえっている……


「…………

………え………」



言葉にならない驚きって、こういうのを指すんだろうな……


居間の中心にセイバーさんは居た

居てくれた……


でも、ただ居るだけではない

床に正座して、目を閉じている
背筋をのばしてジッとしている
私が部屋に入っても、全く微動だにしなかった


まるで絵画みたい……
美しい……綺麗……
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/22(火) 14:09:55.63 ID:EkcnThnDO
綺麗だわ………
静かに目をつぶったその表情……

輝いてる……

こんな汚れた部屋の中心で、セイバーさん………あなたは輝いてる……





「…………マミ……」

「!?は、はい!」


目をつぶったまま、その小さな口が静かに開いた


「すいません……。少し、精神を休ませていました………」

「…………

こんな汚れた場所で、十分に休めたの………?」


私の卑屈で自虐的な発言……

セイバーさんはゆっくり目を開けた
そしてゆっくりこっちに振り向く


「貴方が住んでいる場所です。
人はわざわざ住みにくい場所には住みません。
誰かが住むという事は、その場所にはその人を惹き付ける魅力があるという事なのです。」


そう言って優しく笑顔を見せてくれた


「…………

……ごめんなさい……こんな場所で……」


「断りもなく上がり込んでいるのは私の方です。マミ。」


「………そうは言ったって、こんな部屋……」


「………マミ。
お風呂はどうでしたか?」


「………。とりあえずシャワーを浴びたわ。」


「そうですか。

マミ。綺麗になりましたね。」


「………え……」


「マミも年相応の魅力を持つ女性ですから。女性は誰でも綺麗になれます。」


「………つまり、さっきまでの私は綺麗じゃなかったの………?」

「……………。
そのご判断は、マスター自身の考えにお任せします。」

セイバーさんは静かに言い放った……

さっきまでの私……
誰がどうみても汚らしい姿であったはず……

それをあえて指摘しないのは、セイバーさんの優しさなのだろうか?
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/05/22(火) 14:24:30.44 ID:EkcnThnDO
「しかし、マミ。
着る服はなかったのですか?裸体にただタオルを巻いているだけというのは……」


「………いいのよ。どうせセイバーさんしかいなし……」

「ですが、女性として……」

「私、今洗っている服以外に持ってないの。
下着も……」


「……………。

お身体を冷やさぬようにお気をつけ下さい。
寒さを感じたら、申してください。」


「分かったわ。
お気遣いありがとう。」



もう既に寒気を感じてきているけど………

セイバーさんと話していると、心の中から暖まる様な気がした



「………では、食事にしましょうか。マミ。」


「何か作れたの?」


「はい。“ぱすた”を作ってみたのですが……」


「………あぁ……
確かに、インスタントパスタを溜め買いしていたわね……」


「………それで、茹でたパスタ麺にソースをかけてみたのですが……」


「ソース?何かあったかしら………?」

「この紫のソースしか残っていなかったので、熱湯で茹でてかけてみました。」


「紫………?
え………?


これって……小豆汁?」


「はい。個人的には自信作と思っていますが………」


「……………


……パスタとぜんざい………


………………」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/22(火) 20:09:38.66 ID:EkcnThnDO
「…………………」


「マミ?食べないのですか?」


「………えぇ……いただくわよ。………」



パスタにぜんざい汁……


え〜と………
なんかパフェにパスタを入れてるのは見た事あるし……
お菓子としてなら食べられる………?


「………………」


麺の塊にフォークを指す
黒紫な液体と小豆の粒が麺に絡む……


……………
………セイバーさんが作ってくれた物だもの……


きっと………



「……………


…………甘い……」

「甘いのは、疲労回復に最適だと聞いてますが……」


「…………

………セイバー。
これはデザートにしましょう。」

「………え?ですが食事は……?」


「麺はまだ余ってるわよね。
それなら、私がソースを作るわ。」

「マミ。しかし、他にソースは………。
………作る?ソース自体をですか?」


「ふりかけがいくつかあったわね。後、だしの素も。それらでなんとかなるわ。

ちょっと待ってて……」



私は立ち上がって、キッチンに向かった


料理なんて久しぶりだわ………

しかも、バスタオル一枚での料理なんて………



まぁ、ソースぐらいなら数分で出来るわ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/05/22(火) 20:19:20.13 ID:EkcnThnDO
「………………

………私は、美味しいと思ったのですが……
マミの口には合わなかったのですね……
面目ありません。」


「…………いいえ。意外と美味しかったわ。
ただ、ちょっと甘いのばかりじゃ、お箸が進まないかな………って……

セイバーのは、また後で食べましょう。」


少し落ち込んだ様子のセイバーさんに
私は優しく笑いかけた

こんな表情を他人にしたの……
何日ぶりだろ………



さっきからそういうのばっかり…………






本当に
ただ、ふりかけやらだしやらを混ぜただけの手軽なソース

それを残っていた麺に絡めた


「…………はむ……

!?……さすがです。マミ。とても美味しいです。」


「………ん………。本当に美味しい……。まだまだ腕は鈍ってなかったのね……」


「あの少ない材料の中からこの様な料理を生み出すとは……。
マミ。貴方は素晴らしい腕の持ち主だ。」


「ふふ……。ありがとう、セイバー。
でも、こんなの慣れたら誰にでも出来るわよ。
あなただって、練習さえすればすぐに。」


「………………。
やはり、さっきの私の料理は酷い物だったのですね。
確かに、こちらのマミの料理には劣っていますよね………」


「………セイバー……。別にそこまでは言ってないわ……。」


…………さっきのお風呂場での会話と、立場が入れ替わってしまった
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/05/22(火) 20:58:16.30 ID:SLvsCfMYo
なんだろう、この柔らかい温かい世界は
28 :>>1 [saga sage]:2012/05/23(水) 18:13:35.61 ID:v7HRqalDO
「あ、後片付けは私が……」

「いいわよ。セイバーは休んでいて。」

「いえ、マミこそ休まれるべきです!」



…………

楽しい……
こんな些細な会話だけで……
私の何かが満たされていく………


「マミ。大体、服は何もないのですか?いつまでそんな格好でいるつもりですか?」


「あら、この方が涼しいし、あまり不自由ではないわよ。」


さっきまでは寒さを感じていたが、温かいパスタのおかげで身体は芯から暖まって、むしろ暑さも感じ初めていた


「だからといって……はしたなくはないのですか?」

「……そぉ……私の身体って、そんなに綺麗じゃないのね………」

「!?そ、そういう話ではなくて……」


「じゃあ……私って、綺麗なの……?」


「!!ですから、そういう話では………!!」


「もぉ、セイバー!
今、目を反らしたわね!
そういう事は、ちゃんと人の顔を見て応えてくれる?」

「え?……あ……いえ……」


セイバーさんの頬は赤みをおびて、目は明らかに泳いでいる……

恥ずかしがっている様だ……


「…………」

「セイバー?」

「は、はい?」

「どぉ〜なの?はっきり答えてくれる?」


私はセイバーさんの顔に顔を近づけた

目を見つめるが、彼女は視線を反らし続けている



「………私……本当は自分の体に少し自身があるんだぁ……
どう?私、女として魅力ある?」

「……………マミ。
わ、私はそんな事を言う立場じゃ……」


「…………ひょっとして、私ってまだ汚ないの………?」

「そ、そんな事はないです!!」


「じゃあ〜……、私は綺麗なのね………?」

「……………
……はい。とても綺麗な、可憐な少女です。」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/23(水) 21:47:51.43 ID:v7HRqalDO
………………
何をやってるの私……


「……………そぉ……
ごめんなさい……無理に答えを強要して……
本当……ごめんなさい……」

「………いえ……
ただ、私は嘘をついていません。思った事を口にしただけです。
マミ。貴方は確かにキレ…」

「いいのよ。セイバー。
私の事なんか………」




何をやってるんだろう……


私なんかが綺麗なワケがないじゃんか……




「…………そうですか。

…………マミ……。決して無理をなさらないで下さい。」

「私は……無理なんてしてないわ……」

「………分かりました。

では、マミ。いや、マスター。
これから、聖杯戦争についての話し合いを致したいのですが………」


セイバーさんの口調が堅くなった
キツく鋭い声を私に積み乗せてくる


「…………そうね。
私も引き受けた以上、匙を投げるつもりはないわ。」

「結構な心掛けです。
ですが、これは本当に危険な事なのです。
真剣に命に関わります……」


命…………
私の命って、一体どれくらいの価値があるんだろう……

この戦争に参加する他の人達の中で、一番安っぽいんじゃないかしら……



「まず、令呪について話しておきます。」

「れいじゅ?」

「マスターが持つ絶対命令権、という様なものです。
マミの手の甲に書かれた紋章がそれです。
それを使えば、三度までサーヴァントである私に命令を出せます。」


「絶対的な命令……って事。セイバーに……三回……」

「ですが、これはあくまで切り札です。
通常のマスターとサーヴァントの関係においてなら、令呪はサーヴァントとマスターの服従関係を明白にするために、マスターに与えられた特権の様なものです。
実際、マスターを裏切る自我の強いサーヴァントも中には居ます。
そういった場合に、マスターは令呪を使って、サーヴァントを押さえ込むのです。
しかし、私はマスターの命令には常に応じるつもりです。ですから、マミが私に命令を下す時は、令呪を使わなくても結構です。

例えば、マミが1人のときに危険が迫った場合などに、令呪を使って私を呼んで下さい。令呪の力で即座に助けに現れますので。」


「………分かったわ。日常生活では安易に使わないようにするわ。
その代わりに、私のお願いはちゃんと聞いてくれるのね?」

「はい、もちろんです。」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/26(土) 09:09:09.89 ID:R1KVLOWDO
「………なら、一つ、重要なお願いがあるの。」

「はい。なんでしょうか?」


「私の……お友達になってくれる………?」




セイバーさんの目はきょとん、としてる………


「………はい?友達……?戦友という意味でしょうか?」


「友達……。
一緒にお話したり、買い物に行ったり、お昼ご飯食べたり………一緒に笑ったり………一緒に泣いたり…」


「…………食事なら、先ほど食べましたよね。
一緒に。
……それならば、我々は既に交友関係にあると思われますが……」



「………友達に……なってくれるの……?」





「……………

マミ。貴方は一つ誤解をしていますね。
私は貴方の従者です。私は貴方の武器であり、盾であり、また貴方の日頃の行動を共にして問題事なども共有するつもりです。

私の考える従者とはそういう物を指します。」


「………まるで友達みたい……」


「えぇ……。ただ型上の上下関係に縛られるのではなく、互いに意見のやり取りをする事で互いに近づき、互いを理解し、信頼関係を築くのです。

むしろ、友情などよりもさらに高位なものですね。


マミ。これで、納得されましたか?」


「……………うん……。」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/02(土) 21:34:47.98 ID:xiR0AXADO
「ならば、更に話を続けたいと思います。」


セイバーさんはまた少しかたい口調に戻って、話を始めた


……私が………セイバーさんと………

そつかぁ……


「まず、明日からのマミの行動を教えていただきたいのですが……」


「………?私の行動…?」

「はい。マスターである貴方は命を狙われる立場でもあります。出来れば、私と一緒に1日中居て貰いたいのですが、マミにも学業や予定があると思いますので……」


「………それなら安心して。」

「はい?なにがですか?」

「明日、いや明日からはずっとあなたの側に居ればいいのでしょ?
分かったわ。そうする。」


「!!………」


セイバーさんは明らかに驚いた様子で私の目を見た

私自身は何も無理を言ったつもりはない
学校に最後に通ったのは、いつだったかすら忘れてしまうぐらい前である
当然、明日の予定なんかもない

恐らく、また1日中家の中で一人過ごすはずであった


「マミ……。…………

………いえ。分かりました。私としても、その方が都合が良いですし…」


セイバーさんにも私の事情が読めてきたようであった

それ以上、何も聞こうとは考えてないようだ


「……明日からは、私がマミの近くで警護をします。よろしいですね?」

「ええ。もちろん構わないわ。」



私としては凄く楽しみであった

明日からは一人じゃない……

横には、セイバーさんが居てくれる……



「では、マミ。次の話なのですが……」

「……ええ。何かしら?」

「マスターでありマミは、常にサーヴァントである私に魔力を供給しています。」

「………魔力……?」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/06/02(土) 21:56:08.82 ID:xiR0AXADO
「はい。今こうしている間でも、私の中にマミの魔力が流れています。」

「………そうなの?私には実感がわかないのだけれど……」

「そうですね。今はまだ私も魔力を乱用してはいませんので。
しかし、例えば私のこの服装は魔力で作った身を守る為の戦闘服。この状態をこれ以上続ければ、マミの魔力を無駄に消耗する事になります。」


「………それって、いけない事なの?」


「はい。さすがにマミの魔力にも限界はありますし、あまりに魔力を消耗し過ぎるとマミの身体にも影響がでるでしょう。
それに、魔力を使っての鎧を使用しては、他のサーヴァントに魔力を嗅ぎ付けられる可能性もあります。

つまり、私はそろそろこの鎧を解除しようと考えています。」


「……解除?つまり、鎧を脱ぐって事なの?」

「はい。そういう事ですね。正確には戦闘状態を解除するので、今着ている服はすべて消えます。」

「え!?それじゃあ、裸になるわよ!?あなた、替えの服は?」

「………持ち合わせていません。できれば、マミにお借りしたかったのですが……」

「そ、そんな……」



私の服に使えるのはないし……
セイバーさんの身体に合うサイズなんか……


「………ごめんなさい。今の私には……」

「…………分かりました。」


セイバーさんは静かに言った


「え?どうするの?」

「……これ以上、マミの魔力を浪費するワケにもいかないので………解除します。」

「え!?でも……」



セイバーさんがそう言うと、セイバーさんの身にまとっている服が輝き出した

白い光は薄くなっていき、やがて消えていった

そして、今までセイバーさんの身体を覆っていた衣服は消え去っていた
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