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フィアンマ「右手が恋人なんだよ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 20:06:55.32 ID:kHR/M80AO

・フィアンマさんが『聖なる右』=『第三の腕』といちゃいちゃするお話


・時間軸不明、少なくとも16巻よりは前

・このスレにおいて『右方のフィアンマ』は聖ピエトロ大聖堂『奥』に部屋を持ち、居住している

・一日1レスを目指して

・ほぼ全て会話文(台本)構成

・キャラ崩壊注意


※注意※
エログロ・ホモ(?)描写が入る可能性があります。
安価スレではありませんが、書き込みに呼応した内容になる場合があります。




フィアンマ「酷い雨だな。雷まで鳴っている」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ん? 寒いか」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「残念ながら此処に毛布は…これで良いか?」

『第三の腕』「…」ゴキリ


フィアンマ「そうか。良かった」ニコ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうだな。…すまない」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「別にそういう訳でもないが」

『第三の腕』「…」ゴキッ


フィアンマ「まだ早いだろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そういえばそうだな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「根に持つなよ。悪かったと言っただろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうだ。良い子だ」ナデナデ

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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 20:19:18.96 ID:OYd1N6uO0

フィアンマ「お前と二人きり…いや、一人きりで居る時間が一番安らぎを得られる」フゥ

『第三の腕』「…」ゴキゴキ

フィアンマ「照れているのか? 可愛いヤツだ」ヨシヨシ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そう否定する事もあるまい」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「何だ、『ツンデレ』とやらに感化でもされたのか? 努力せずともお前は充分魅力的だよ。少なくとも俺様にとってはな」

『第三の腕』「…」ゴキリ

フィアンマ「ふと思ったんだが、やはり俺様も右手のケアをするべきか?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうか。魔術的加護を施すまでも無くお前は『神の加護』を受けているからな」ウーン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「『幻想殺し』は是非欲しいものだな。そうすればお前はしっかりと受肉出来る」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「いやいや、不貞行為ではない。俺様の行動はお前の為のものだよ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「何だ、その責める様な雰囲気は」ウグ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ロシアの修道女? 必要だからこそ確保を考慮しているだけだ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…俺様が愛しているのはお前だけだよ。昔からそうだろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「食事にするか」ウン



フィアンマ「空中分解は苦しいだろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「いつか受肉させてやる。今はその瞬間を待つ時だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様が人間の身であるが故に…お前には苦労をかける」シュン

『第三の腕』「…」ギュウ

フィアンマ「お前を抱きしめ返していると安心するよ」ギュウ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「済ませてある。問題は無い」ウン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「しかし、淋しいだろう。お前を寂しがらせるのは本意ではない」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「受肉したらアレだよ、結婚式でもするか」ニコ

『第三の腕』「…」ゴキリ

フィアンマ「狙ってやっているとは思っておらんよ。本当に可愛らしいヤツだ」ギュウウ
3 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/29(火) 20:31:45.33 ID:kHR/M80AO
+
4 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 20:52:52.67 ID:OYd1N6uO0

フィアンマ「…」カリカリ

フィアンマ「……」イソイソ

フィアンマ「…疲れたな」ポツリ



『第三の腕』「…」

フィアンマ「お帰り、と言うべきか」ギュウ

『第三の腕』「…」ギュウ

フィアンマ「失礼なヤツだ。真面目にやっていたさ、真面目過ぎる程にな」

『第三の腕』「…」ゴキ

フィアンマ「やはり寂しかったのだろう?」ニヤ

『第三の腕』「…」ペチ

フィアンマ「照れ隠しが暴力的過ぎるだろう。まぁ、構わんが」フー

『第三の腕』「…」

フィアンマ「薬局辺りに行ってみるか。お前に効果があるかどうかは別としても」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「それなりには…だが、お前が現出出来る時に触れあっておかねば。一分一秒とて時間が惜しい」ウン

『第三の腕』「…」ゴキッ

フィアンマ「ペットか。考えた事もなかったな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「必要無いな。お前が居ればそれで良い」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そういう意味ではない…お前は俺様の恋人だよ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「何だ唐突に。何処か行きたいところでもあるのか?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「むやみやたらとお前を他人に見せる訳にはいかんからなぁ…」

『第三の腕』「…」ゴキッ ゴキ

フィアンマ「そう落ち込むな。その内したみたいとは思っている」ヨシヨシ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様は嘘は吐かん。お前に対して、だが」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「要らん」キッパリ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…必要無い。何度言えば分かる」チラ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…お前が俺様に優しくするのは歓迎だが…それは、聞けんよ。最早、そんな事が出来る立場でもない。分かっているだろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「お前のせいって訳じゃない。これは俺様が選んだ道だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…そうだとも。だからこそ、俺様はお前だけをこよなく愛しているよ」
5 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/29(火) 20:54:39.76 ID:kHR/M80AO
+
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 21:07:07.20 ID:ezlik/dIO
イーモバイル対策…
またおまえか支援
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/05/29(火) 21:14:34.96 ID:WN/JhJqQ0
このフィアンマが上条に説教された上にアレイスターに右手ちぎられるのか……


支援
8 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 21:16:00.76 ID:OYd1N6uO0
フィアンマ「理由? …お前だけは、俺様を裏切らず、傷つけないからだ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「身体的な事ではない。もっと深層の部分での話だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そういう解釈もあるか。しかし、正解は三分の一だよ。俺様を構成する要素の一つではあるが」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…ふん、臆病…か。…否定しておこう」フフ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「嘆く事は無い。俺様はそれで構わないと思って過ごしているのだからな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「お前が思っているよりは、そうでもないよ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「どうかな。分かり合えるとは思えん。本質の部分では、少しばかり違う気がするよ。同じように振る舞っていても、な。他人と完全に同一等気味が悪…ん?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ははは、それ、それは…くっ、はは! 聞いてみたいものだよ、俺様も」フフフ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「異常なものか。愛する事に何のおかしさがある」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「自信が無いのか」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「文字通り俺様の右腕なんだ、もっと自信を持て」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「んん? お前をあまり疲弊させたくないからな」ウン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「お前を使うのは簡単だが、何でもかんでも任せきりでは、お前に申し訳ない」ウン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そんな事を言ってくれるな。俺様はお前を授かって、こうして出合えて、良かったと…少々気恥ずかしい話だが、心底からそう思っている」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「悩んだ事はあったが、それ以上に幸福だよ。お前が俺様の傍に居てくれる限り、俺様は至福の愛情に満たされると共に幸運を得られるのだから」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「最終的に俺様が生き残ればそれで良い」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「昔の話だろう。子供ならばそれなりに夢も見るさ。現実的な案ではないものを」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様はお前に感謝しているよ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「……、…ありがとう」

『第三の腕』「…」ゴキリ

フィアンマ「そろそろ就寝するとしようか」ノビー
9 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/29(火) 21:31:08.32 ID:kHR/M80AO
+
10 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 21:37:35.30 ID:OYd1N6uO0

フィアンマ「…眠れんのか」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…お前を『完璧な状態』にして」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「いつか、世界を『救った』ら」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうしたら、何の拘束もなく、共に過ごそう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「この世界が滅ぶ…いいや、俺様の精神が『神上』となり荒廃しきってしまっても」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…傍に、居てくれるか」

『第三の腕』「…」ゴキリ

フィアンマ「そうか。杞憂だったな」フフ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「お前が空中分解してしまうと、俺様は世界に一人になってしまう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「孤独を好む程マゾヒストでもなければ世捨て人でもないからな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「信用するのも、信頼するのもお前だけだ」

『第三の腕』「…」 ギュウ

フィアンマ「何があっても、お前だけは守り抜いてみせる」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「勿論世界を救済するのも大事だ。兼ねてからの夢だしな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そんなに高尚な呼び名でもないだろう。俺様は免罪符止まりだよ。人間としては」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…俺様の本名?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…とりあえず、今は秘密だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「明日は早い。寝るぞ。…おやすみ」

『第三の腕』「…」





フィアンマ「朝か」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…おはよう」ニコ

『第三の腕』「…」ゴキゴキ

フィアンマ「今日は書類がたんまりとあるからな…」フー
11 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/29(火) 21:39:20.87 ID:kHR/M80AO
+
12 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 21:50:28.46 ID:OYd1N6uO0

『第三の腕』「…」

フィアンマ「いや、それなりには元気だよ。まだ仕事はこなさねばなるまい」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そろそろ聖別も終える。貯金が溜まってきたな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「心配してくれているのか?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「はは、大丈夫だよ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様は独りでも、お前さえ居てくれれば世界を『救える』」

『第三の腕』「…」ゴキゴゴ

フィアンマ「…なるべく早く『プロジェクト=ベツレヘム』を進めたいとは思っている。しばらく休め。そうそう現出している状態は辛いだろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「大丈夫だ。仕事を終えたら散歩にでも行く」ニコ

『第三の腕』「…」




フィアンマ「……」テクテク

子供「あっ」


ボール<コロン… コロン


フィアンマ(サッカーボールか)ヒョイ

子供「あの、ごめんなさい。脚とかっ、当たってませんか?」オロオロ

フィアンマ「当たっていないから、そんなに泣きそうな顔をするな」

子供「…」オロオロ

フィアンマ「これは、お前の物か?」っサッカーボール

子供「! うん!」ウケトリ

フィアンマ「公園の敷地内であまり派手に蹴るな。こうして予想外に飛び出す場合もある」

子供「はーいっ」タタタッ

フィアンマ「……、…下らん。個人に優しくして、何が生まれるというのか」ポツリ




フィアンマ「…」ギュウ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ふん、揶揄のつもりか?」フイ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「……そうだな。…だが、充分だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「孤児で虐げられる立場だった俺様を救ったのはお前だろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…大規模な恩返し、といったところだ。俺様は嫌いだが…お前は、この世界を愛しているからな。俺様がこんな汚らしい世界と人々を救う理由は、それだけで充分だ」
13 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/29(火) 21:51:59.70 ID:kHR/M80AO
+
14 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 21:59:54.22 ID:OYd1N6uO0

『第三の腕』「…」

フィアンマ「この世界は俺様の存在と愛情とを拒絶した」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「辱め、踏みにじり、唾を吐きかけ嘲笑った」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「人は醜い。人は汚い。ノアの大洪水を経て尚、月日を過ごす内に再び人間は穢れた」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様が例外だと言うつもりはない。だからこそ、『神上』の域に足を踏み入れるのは怖くないんだ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様は…本当は、あの『事故』で死んでいるべきだった」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「だからこそ、死んでしまっても、悔いはない」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「神とお前だけは、俺様を愛してくれる」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様は、お前に愛を返したい」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「……、…お前も、俺様は歪んでいると、そう思う時があるか?」

『第三の腕』「…」ギュウウ

フィアンマ「…そうか」スリ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「何と言われても、最早構わない。お前の愛する世界と人々を、正しく救うよ。あるがままに、あるべきままに」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「だからどうか、協力してくれ」

『第三の腕』「…」ゴキ

フィアンマ「楽しみだ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様を拒絶し怯えさせた世界が、俺様によって支配され怯える、その日が」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 22:01:34.62 ID:nXruhcgK0
てっきり美鳥の日々とのクロスだと思ったのに・・・・・
俺の期待を返せ!
とりあえず支援はする・・・・
16 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 22:13:52.96 ID:OYd1N6uO0
《クロス物書けないのです…申し訳ありません。御支援ありがとうございます》




『第三の腕』「…」

フィアンマ「気付けば昼か。どうにも力が出ない」フー

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…」ブン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「何だ、食べさせてくれないのか?」ニヤニヤ

『第三の腕』「…」ゴキリ

フィアンマ「…ん…」モグモグ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「気持ち的な問題だとは思うが、お前に食べさせてもらった食物の方が、普段の料理よりも美味だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「照れるのは良いが、食べさせる手が止まっ、んぐ」

『第三の腕』「…」グイグイ

フィアンマ「ん…」モゴモゴ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「……」モグモグ ゴクリ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「無理矢理詰め込むなよ、喉に詰まったらどうしてくれる」ヤレヤレ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そういう事を言っている訳ではないのだがね」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「キスでもするか?」ニコ

『第三の腕』「…」ゴキ

フィアンマ「固まるな、し辛いだろう」

『第三の腕』「…」モゾ

フィアンマ「…、…」チュ

『第三の腕』「…」ゴキゴキ

フィアンマ「何度しても慣れんな、お前は」フフ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「初々しい反応は好きだ、責めている訳じゃあない」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ふん、結構な評価じゃないか。何とでも呼ぶがいい」フフン
17 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/29(火) 23:11:45.83 ID:kHR/M80AO
+
18 : ◆H0UG3c6kjA [sage]:2012/05/29(火) 23:22:44.96 ID:OYd1N6uO0


誰かが助けてくれるだなんて、そんな甘い夢を見ていた。
神様は絶対に苦しむ人を見捨てたりなんてしないのだと。
呑気で、どうしようもなく腑抜けていて、馬鹿馬鹿しい考え。
人を救うのは神ではなく人なのだ。それか、金銭か。どちらにせよ、現実的なもの。
人間は生まれつきその心身に絶対的な悪を宿し、親に養われる内に、教わる内に、道徳という名の偽りの善意の仮面を身に着けていく。

高翌齢者に席を譲りましょう。
弱き者を助け、強き者に立ち向かいましょう。

こういった善意の一言達をスムーズにそのまま行える人間は、世界にどれだけ居るだろうか。
きっとほとんどの人間が面倒臭がるか、怖がってやめてしまうはずだ。
自分の身の回りの人間も、遠くの国で内戦に参加している人間も皆そうだった。
俺様自身にもそんな汚く暗い部分が、あるべきではない部分が存在するのだろう。
そもそも全ての人間が『大洪水』によって清められたのならば、通貨など存在しなくても良い。分け合えば良いのだから。
人間の心に美しいものが本当に心底から生まれつき本質的に存在するのならば、世の中の夫婦は離婚しない。男女で争う事は無い。分かってもらえないと嘆くことはない。
人種で差別することも、されることもない。
今のこの世界で誰かが幸せそうに笑う為には、誰かが血反吐を吐く程に苦しむという事に等しい。
こんな世界は間違っている。人間含めて、自分もひっくるめて大嫌いだ。憎らしい。
しかし俺様の所有する『聖なる右』がこんな世界こそ愛おしいと思うが故に、『救ってやる』心づもりではいるが。

「……気が変わりませんように」

ぽつりと呟いて、そっと祈る。神様に、だろうか。自分でもわからない。
世界を救える程の力とは、それすなわち、世界を一瞬にして破壊出来る程の力とも言える。それほどに強大過ぎる力だ。
うっかりと世界を破壊してしまったら、『聖なる右』は嘆き悲しむだろう。
もしかすると、俺様の事を嫌いになってしまうかもしれない。
それだけは回避したい。俺様を絶望から救いあげてくれた、或いは掬いあげてくれた『聖なる右』に嫌われてしまう事は、そのまま、俺様の死を意味する。
身体的な死ではない。そんなもの、怖くも何ともない。
本当に怖いのは、この悪意と醜悪に満ち溢れた世界で唯一美しく神聖な愛に満ち溢れた『聖なる右』に見限られてしまうことだ。

「…主よ。哀れなる子羊をお導き下さい」

アーメン、とぼやいて目を開ける。
戦争を起こせば、沢山の人間が嘆き悲しむだろう。
その悪意を利用する。かつて俺様を傷つけた絶望を、今度は俺様が傷つけてやる。
かつて『神の子』はこう言った。

『敵を愛し、迫害する者のために祈れ』と。
『人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい』と。
『心をつくし、精神をつくし、思いをつくし、力をつくして、主なるあなたの神を愛せよ』と。

しかし、その御言葉を守って尚、幼き頃、俺様は絶望の沼へ叩き堕とされた。
醜い策略と、搾取と、八つ当たりとのために。

「…俺様は、この世界を救う」

何をどうしても救わねばならない。
それが俺様に課せられた使命だ。

「…そうだろう? 『聖なる右』。愛しい俺様の右腕よ」




―――勿論、『天使の力』によって形作られた魔術の術式が、言葉を返す訳もなく。
   しかし、フィアンマは嬉しそうに微笑んだ。自らのみに聴こえる想像上の声に従って。
   青年は背信者ではない。敬虔でもない。まるで別方向の、『狂信者』であった。
19 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/29(火) 23:29:29.24 ID:kHR/M80AO
+
20 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/29(火) 23:38:53.41 ID:OYd1N6uO0

フィアンマ「…間食もした事だし、昼寝をしてみたいものだ」フゥ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「分かっている。しっかりとやるさ」イソイソ カリカリ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…そろそろ読書に切り替えても問題は無いと思うのだが」チラ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「やはりそうか」ズーン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「別にサボタージュを求めている訳じゃあない。『怠惰』の罪を進んで犯す程、俺様は愚かではない」カリカリ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ん? …そうだな、ジェラートを食したい」シミジミ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「はは、別に求めてはいないさ。外出する気力もない」ノビー

『第三の腕』「…」

フィアンマ「思い出せんが…一応探してはみるか」ガサゴソ

『第三の腕』「…」ゴキッ

フィアンマ「…俺様に作れと言っているのか」チラ

『第三の腕』「…」ゴキゴキ

フィアンマ「仕方がないな…」ガサゴソ



フィアンマ「美味かったのか?」カリカリ

『第三の腕』「…」ゴキ

フィアンマ「…そうか」ニヘ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「………」イソイソ

21 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/30(水) 14:30:21.05 ID:13r+MCCAO
+
22 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/30(水) 14:40:42.50 ID:HUV671k80

フィアンマ「俺様はロマンチストでな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうだ。だから、婚約指輪をどうするか悩んでいる」ウーン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「それが悩み所だ。先んじて用意しておけば不備もなかろう?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そこまで覚えていられるだろうか…」シュン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「それはそうだが…言い訳はしたくない」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「往来の性格だよ」フー

『第三の腕』「…」 ゴキリ

フィアンマ「…まぁ、拘っている…という程のものでもない」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「まぁ、そうか。そうだよな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「近頃は口煩いな…」フフ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様のせいか?」ムー

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうか」フフフ






フィアンマ「随分と夜も更けたな」クァア

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…どちらが良い?」ニコ

『第三の腕』「…」ゴゴキッ

フィアンマ「そんなにつれない事を言ってくれるな、悲しくなる」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「好意に伴うものだ、致し方あるまい」ウン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「それは寂しいだろう。せっかく恋人が隣に居るのに自分の手で空しく解消しろと言うのか? 意地の悪い」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「あくまで『元』だからなぁ。今はカウントされないだろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「優しいな、愛しているぞ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…昔の事を引きあいに出すものじゃない」ウウ

『第三の腕』「…」
23 :イーモバイル対策 [sage]:2012/05/30(水) 15:37:21.79 ID:13r+MCCAO
+
24 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/30(水) 19:47:32.56 ID:FRdWAQpX0

いまいち実体を持たない『第三の腕』を熱っぽく見つめながら、フィアンマは自らの下衣に手をかける。
『第三の腕』は特に反応を返す事もなく、ただそこにゆらゆらと存在していた。
幸運にも、未だ空中分解は起こっていない。攻撃や防御に使用していないからだろうか。
性的興奮に乾く唇を自らの舌と唾液とで潤し、下衣を脱ぎ捨てたフィアンマはそわそわとした様子で『第三の腕』を抱き寄せる。瞳には欲情の色。
『第三の腕』は怯えた様に僅かばかり身動いた後、大人しくフィアンマの腕の中へとほんの少しながらも収まった。
靄がかった『第三の腕』に数度か軽く口付け、愛でる様に指の外側を優しい手つきで撫でる。
戦闘では大剣を握らせているため、やや不安げな表情でフィアンマは『第三の腕』の指の腹や手の平を撫でていく。そんな慈しむ手つきに対して、『第三の腕』はこそばゆそうに震えた。
そんな動きに、誰にも見せた事のない無邪気で、可愛らしさまで帯びた笑みを浮かべながら、フィアンマは『第三の腕』を抱きしめた。
ギチギチ、と奇怪な音でさえ、フィアンマにとっては照れている様子に見えた。
自分のソレには一切触れず、不揃いな『第三の腕』の指先をぺたぺたと撫でていく。
満ち足りた気分だった。至福の時間に自然と表情は弛み、気をつけても常の様には引き締まらない。

「『聖なる右』、」

自らが『神の如き者』に因んで命名した名前を呼んで、黒い爪のあまり尖っていない部分に舌を這わせる。
『天使の力』によって構成されたその術式は、ギチリ、と不気味な音を立てた。
そんな音を聞きながらも機嫌よく爪を舐めた。
特に味はしないものの、その行為そのものが、フィアンマの興奮を底上げする。
猛禽の羽の如き形をじっくりと視姦しながら、骨ばった指を触る。
他の人間にはおどろおどろしい見目でしかなかったが、フィアンマにとっては魅力的なフォルムだった。出来ることならば受肉をした『第三の腕』とセックスをしたいとは考えるものの、まだまだ道のりは遠い。

「『聖なる右』、愛しているよ」

世界中の誰よりも、何よりも。
どこか恍惚とした表情でそう囁き、フィアンマは愛おしい恋人へと飽きずに何度も口づける。
半勃ちのソレを『第三の腕』に擦りつける様にして、フィアンマの腰は自然と揺れていた。

「…」

無言のままに咎める様な雰囲気を『第三の腕』から感じ取ったフィアンマは困ったような笑みを見せ、『第三の腕』に頬を寄せた。
赤褐色の手全体に抱きつく形で、フィアンマが甘える。
フィアンマの意のままに動く『第三の腕』は拒否をする事もなく、ただ静かに受け入れた。
爪の無い部分にソレを押し付け、淫靡な雰囲気を纏いながらフィアンマは目を細める。
唇を噛んでどうにか抑え込もうと努力はしてみるものの、性的快感に自然と甘さを帯びた声が漏れていく。息が乱れ、背徳的な快感が背筋をかけのぼる。

「は、ぁ…っ…『聖なる右』、っあ…」
「…」
「ん、っく…」

その竿を扱く事は無く、直接的な快感はないものの、空想(神聖なものに対する愛情からきているため、妄想とは敢えて表記しない)による快感に、フィアンマの身体はびくつく。
ぴくりとも動かない『第三の腕』の靄の中で幾度も腰を動かし、調度『第三の腕』の手の内にぶちまける形で、フィアンマは絶頂に達し吐精した。

「っは…はぁっ…、…すまない」
「…」

急激に興奮が落ち着き冷静になると、後片付けをしながらフィアンマはしょんぼりと落ち込んだ。
長らく恋人関係にある以上セックスはしたいと思えど、『第三の腕』を穢す事はフィアンマの本意ではない。
今にも灰を被って真剣に自殺を検討し兼ねないフィアンマの頭を、『第三の腕』がそっと撫でる。優しく、壊れ物を扱うかのように。
後片付けを済ませ着衣を終え落ち込むフィアンマはしばらく『第三の腕』を見つめた後、安堵の表情で口元を弛ませる。
ぎゅう、と抱きついて甘える様は、少し幼さを感じさせるものの、世間一般の青年と何ら変わらない。

「『聖なる右』…」
「…」

ぎゅうぎゅうと『第三の腕』…正確には虚空を抱きしめつつ甘え、フィアンマは心底幸せそうに笑む。

何も要らない。
要らないから、この幸福が永遠に渡って続きますように、と祈りながら。
25 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/30(水) 22:08:31.70 ID:13r+MCCAO



フィアンマ「……朝か」パチリ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ん…」ノビー

『第三の腕』「…」

フィアンマ「腕枕をしてくれていたのか。道理で眠り心地が良いはずだ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「あぁ、頑張るよ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「もうそろそろその『時』が来る。案ずる事は無い」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「一段ずつ木材を積み上げ階段を作る様に、念入りに準備をしてきた。失敗する訳がなかろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…ネックは、やはりそこかな。しかし、イレギュラーさえ連発しなければ問題は無い」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…『計画』の一部且つ短い期間とはいえ、お前と一人きりで城に住むのか…」ソワソワ
『第三の腕』「…」

フィアンマ「前に言った通りだ、否定は出来ん」フフ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「勿論だとも」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうだな、まずは『前方』を使うとしよう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ん? …順から言えば、『左方』だな」コク

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そちらの方が楽ではあるが…出来るならば失敗してくれた方が戦争を起こすのは容易い。大義名分さえ作ってしまえば、後は叩くだけで引き起こせる」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「大掛かりだがな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「警戒すべきは『幻想殺し』、か…」フム

『第三の腕』「…」

フィアンマ「お前の力を完全に引き出す為にはどうしても必要だからな…」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「だからそういう訳ではないと…ヤキモチ妬きめ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…あぁ」ニコ
26 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/30(水) 22:20:45.37 ID:13r+MCCAO





















































『前方のヴェント』は重傷。戦闘不可。失敗。

『左方のテッラ』は死亡。失敗。

『後方のアックア』は負傷。戦闘不可。失敗。

よって、これより『プロジェクト=ベツレヘム』を開始する事にした。
27 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/30(水) 22:30:25.17 ID:13r+MCCAO

フィアンマ「また派手に壊したな。大聖堂、今頃は滅茶苦茶だぞ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「はは、そうだな。教皇さんが優秀過ぎたのが原因だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ん? …イギリスに行くよ。議会を通し圧迫したからな、そろそろクーデターか何かが起こるだろう」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「いいや、基本的にそちらには不干渉の方向だ。俺様は件の『秘蔵の品』を浚いに行くだけで良い」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「あぁ、知識で補強しただけでも、お前の空中分解頻度は多少下がるかもしれんな」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「無論、それだけでは足りん。…だが、ひとまず、一日中一緒に居られるな」ヘラ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「あまり面倒事にならなければ良いのだが」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「緊張しているのか?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「お前は俺様の最強の矛にして最強の盾だ。必ず勝利をもたらしてくれる、必殺の術式」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…大丈夫だ。俺様が、お前を守る」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…行こう」コク
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/05/31(木) 19:48:40.42 ID:Uwj01XPI0
このフィアンマには幸せになって
もらいたい
29 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/31(木) 21:07:11.14 ID:olaiyl4AO

フィアンマ「『幻想殺し』。無鉄砲なヤツだったな。概ね俺様と同様と言い切ればそうだが。ヤツは他人や知り合いの為に、俺様は自分とお前の為に闘争を続けているというだけで」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…、…やはり、世界を救わねば…ならない、か?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「分かった、もう弱音は吐かん。吐かんから、怒らんでくれ」シュン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「あぁ、この遠隔制御霊装を握っている間はそうだな」コク

『第三の腕』「…」

フィアンマ「『禁書目録』なら、現に時折俺様の意識へ割り込みをかけているよ。無駄な事だ。修道女らしく"過ちを犯す前にやめろ"等と」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「俺様が自らのみの欲望に従って行っている訳ではない以上、今更止まる訳にもいくまい」


禁書目録『あなたは、何がしたいの?どうしてこんな、』

フィアンマ(『世界の救済』。その一言に尽きる)

禁書目録『止まってくれそうに…ないみたいかも。…私の魔法名は"dedicatus545"。その意味は献身的な子羊は強者の知識を守る、なんだよ』

フィアンマ(そうか。…否応無しにといった形だが、しばらく知識を借りるぞ)

禁書目録『仕方がないから、貸すんだよ。私の価値は、魔術図書館であることだから。魔法名に従い、強者たるあなたの知識を守る。…でも、私個人のお願いは…とうまを、殺さないで欲しいんだよ』

フィアンマ(善処はしてやろう。必要とあらば、レベルだ。ヤツが粘らなければ、俺様とて無闇に傷付けるつもりは無い)

禁書目録『あなたは、優しいんだね』

フィアンマ(俺様が優しい? 馬鹿を言え、利用されている側としては不適切な発言だぞ。気でもやったのか)

禁書目録『失礼しちゃうかも。…優しいからこそ、あなたは傷付いて、傷付けられて、心がバラバラになって…歪んでしまったんだよ』

フィアンマ(…そう、だな。そうだよ。俺様は生き延びる為に精神を狂わせた。そこに悔いは無い)

禁書目録『もっと違う形で会ってたら、私ととうまとあなたは…友達になれたのかも、しれないね』

フィアンマ(下らんな。宗教が違う時点で敵視しあうだろう、特にイギリス清教(そちら)とローマ正教(こちら)では。友人など、必要無い)

禁書目録『友達はいいものなんだよ?』

フィアンマ(下らん)キッパリ
30 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/31(木) 21:23:38.20 ID:olaiyl4AO

禁書目録『取り付く島も無いとは正にこの事かも…』

フィアンマ(それはイギリスが島国である事にかけた洒落のつもりか?)

禁書目録『違うんだよ! 私はそんな変なギャグは言わないんだよっ』

フィアンマ(ほう。ギャグセンスが壊滅的なのかと思ったのだが)

禁書目録『いじわるは感心しないんだよ?』

フィアンマ(多少の意地の悪さが無ければ、『神の右席』リーダーなぞとてもではないが務まらんよ)

禁書目録『…あ、何だか今の掛け合い、ひょうかとの会話に似てたかも! 私とあなたはもう友達だね』

フィアンマ(要らん)

禁書目録『あまりにもつれないんだよ…』

フィアンマ(…さて、食事にしようと思うのだが、ローストビーフとボロネーゼならどちらが良いかね)

禁書目録『全部食べるのをオススメするんだよ!』

フィアンマ(知識を別として馬鹿だろう)

禁書目録『ば、ばかとは失礼しちゃうんだよ! うっかり思っても面と向かって口に出しちゃダメっ』

フィアンマ(知らんよ)キッパリ

禁書目録『うぅ…真面目に答えるとね、頭を使ったりして働くのなら持久力重視のボロネーゼ、パスタ系統がいいんだよ。ローストビーフは美味しいし一見力が出そうだけど、単品で食べても消化が悪いだけかも』

フィアンマ(ならばそうするか…)

禁書目録『ところで両方食べる事は絶対に不可能なの?』

フィアンマ(『暴食』はいかんよ)

禁書目録『ぎくっ』

フィアンマ(何だ)

禁書目録『…私は反省した方が良いかもしれないんだよ』シュン

フィアンマ(はは、図書館維持の為ならば仕方あるまい)

禁書目録『とうまに迷惑かけっぱなしなんだよ…』ショボン

フィアンマ(『幻想殺し』なら、お前を世話する事を苦とは思っていないだろう。…実に愉快な事実を、教えてやろうか)

禁書目録『事実…?』

フィアンマ(ヤツは記憶喪失だよ。恐らく、お前の『首輪』を部分的に破壊した時の弊害によるものだ。お前の『首輪』に破損を与えられるのはヤツ位しか居らんだろう)

禁書目録『………』

フィアンマ(…ふん、黙りか。つまらんな)

禁書目録『…とうまは、私に嘘を、ついてくれていたんだね』

フィアンマ(ついてくれて、"いた"?)

禁書目録『記憶が無くなって、つまりはもう見知らぬ私を傷付けないために、ずっと記憶のあるフリを、してくれていたんだね…』
31 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/31(木) 21:41:43.80 ID:olaiyl4AO

フィアンマ(お気楽なヤツだ。騙されていたんだぞ? お前は)

禁書目録『私を想っての嘘なら、神様もお赦し下さるんだよ』

フィアンマ(……、…やはり馬鹿か)

禁書目録『一々失礼すぎるかも!』ムムッ

フィアンマ(…人の心に、本当の善意等あるものか。それは所詮自己満足と偽善だよ)

禁書目録『…あなたは、怖がりなんだね』

フィアンマ(そうだよ、俺様は臆病者だ。臆病だから勇敢にも転じる)

禁書目録『そんなにボロボロになって、得られるものは僅かなのに』

フィアンマ(今まで傀儡として愛された。もう充分だ。もう、嫌われてしまっても構わん)

禁書目録『………寂しく、ないの?』

フィアンマ(神に愛されているからな。恋人も居るし、孤独は無い。今後、俺様の事はフィアンマで良いぞ)

禁書目録『…ふぃあんまだね、分かったんだよ』ニコ

フィアンマ(…さて、『素材』の回収と…何はともあれまずはロシアに行かねばな)ウン

禁書目録『そんなに薄着で大丈夫なの?』

フィアンマ(大丈夫だ、問題無い)








フィアンマ(やはり寒かった)ガタブル

禁書目録『知識を貸し出すから、急いで術式を構成した方が良いかも』

フィアンマ(言われんでもそうするよ)ガタガタ

禁書目録『死にかけかも?! はりー! はりーあっぷなんだよー!』アワワワ



フィアンマ(『基地』は暖かいな)カキカキ

禁書目録『通信用霊装…本の形なんだね? 有りがちだけど、何だかメルヘンチックで素敵かも』ソワソワ

フィアンマ(話し易いからなぁ。ほら、パタリと切れるし)

禁書目録『ガチャ切りならぬパタ切り前提なの?!』

フィアンマ(そうだよ。頭が悪いのと無駄に話していてもな…)

禁書目録『見下したりするのはよくない事かも』

フィアンマ(頂点に立っていれば嫌でもそうなるさ。往来の性格や気質も影響はしているがな)

禁書目録『…』ムム

フィアンマ(さっさと済ませて、さっさとお前を解放してやりたいところだが…まだまだ道のりは長いな)ハァ カリカリ

禁書目録『補式がしっかりしているね』

フィアンマ(盗聴されると、俺様ではなく相手が危ういからな)

禁書目録『思いやり?』

フィアンマ(いいや、計画に不備を出さない為だ…よし)デキター
32 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/05/31(木) 22:56:13.57 ID:X+6OU+TD0



禁書目録『世界を救うって、具体的にはどんな事を…』

フィアンマ(言ったところで責めるだけだろうに…)フゥ

禁書目録『……』

フィアンマ(聞こえるだろう、砲撃の音が。嘆き叫ぶ声が。これが戦争だよ)

禁書目録『何度も経験したことのあるような口ぶりだね』

フィアンマ(そうだとも。幾度も経験した)

禁書目録『…私の知識だけで全部は説明のつかない術式だけど、ふぃあんまの『聖なる右』はあなたに千年の安息なる生を保証するんだね』

フィアンマ(あぁ。お陰で俺様だけ、いつも死にそびれてしまった。無論、『聖なる右』に感謝はしているが)

禁書目録『死ぬのは神様の御許に一時魂を預ける事だから悪い事じゃないけど…でも、生きる事は良い事なんだよ。だから、死にそびれただなんて言っちゃいけないかも』

フィアンマ(ふん、お前には分かるまい)

禁書目録『………』ムゥ

フィアンマ(さて、エリザリーナのところに『素材』を回収しに行くとするか)ヨイショ

禁書目録『『天使』を意図的に『堕ろす』なんて恐ろしい事をするね』

フィアンマ(必要だからな。歪みを正さねば、『聖なる右』はその力を発揮し辛い。今の世界では駄目だ)

禁書目録『もしかして、『聖なる右』が、ふぃあんまの恋人なの?』

フィアンマ(あぁ、そうだ。右手が恋人なんだよ。何か問題でもあるのか?)

禁書目録『世の中には様々な愛の形があるからね、私は蔑まないんだよ』

フィアンマ(そうか。流石は修道女と褒めておこう)

禁書目録『嬉しいような、嬉しくないような…』ウーン

フィアンマ(ところでお前は『幻想殺し』が恋人だとばかり思っていたのだが、修道女としてはアウトなんじゃないか?)

禁書目録『ちっ、違うんだよ! 私ととうまはそんなふしだらな関係じゃ…でも、その…あう…えぇと…』アワワ

フィアンマ(着いたな。仕掛けるぞ)ウン

禁書目録『はーなーしーをーきーくーんーだーよー!』







フィアンマ(意外にあっさりと『回収』できたものだ)ノビー

『第三の腕』「…」

フィアンマ「今から作業するよ」ニコ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…大天使さえ堕ろしてしまえばさほど困るまい。早く準備を済ませよう」イソイソ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…俺様が禁書目録とばかり会話していたから妬いているのか?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「あまり可愛い事をしてくれるな、作業出来なくなる」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…さて、と」
33 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 01:22:35.43 ID:lkQFgm5AO

フィアンマ「俺様が築いたとはいえ、流石は『ベツレヘムの星』。完璧だ」ウンウン

『第三の腕』「…」

フィアンマ「後は『幻想殺し』を回収して、それで『救える』」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「一緒に戦ってくれるだろう?」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「そうか。…お前に見捨てられないためにも、頑張るよ。情愛そのものだな」フフ





フィアンマ「イレギュラーな事態だ、すまない」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…まぁ、大天使等居なくても、属性の布陣にあった歪みは既に正した。お前さえ居てくれれば勝利は確実だよ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ありとあらゆる人間が絶望している。お前はそれに伴って強さを増す」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「だいぶ完全な姿になってきたな、綺麗だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「この世界を救う。今一度宣言をする。俺様は引き下がらない。引き下がれない。何が何でも、死に物狂いで勝利しなければならない」


『第三の腕』「…」

フィアンマ「負ければ、死だ」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「ありがとう。勇気が出てきた」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「苦戦するかもしれない。が、世界が悪意に満ちる限り、俺様達の勝利は確定している」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「約束してくれ。この世界を救ったら、俺様を見捨てる事は絶対に無いと。言い切って、くれないか」

『第三の腕』「…」

フィアンマ「……あぁ」ニコ

『第三の腕』「…」

フィアンマ「…上条、当麻、か」ボキリ



フィアンマ「正しい力とは、正しい世界でこそ万全に振るえるものだ」

禁書目録『とうま…』

フィアンマ(これが最後の知識利用になる。短い付き合いだったが、達者でやれよ。禁書目録)

禁書目録『ふぃあんま、私のお願い、きっと叶えて欲しいんだよ』

フィアンマ(あぁ。だが、俺様も幻想殺しに勝たなければ死ぬ。故に手加減はあまり出来ない)

禁書目録『わかったんだよ…とうま…、』

上条「……、」

『聖なる右』「…」

フィアンマ「さあ、正しい力の意味を知ってもらおうか」
34 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 15:43:31.81 ID:lkQFgm5AO
母親。一人。父親。温情。似ている。似ていない。悪魔の子。『神の子』。本名。苗字。後付け。ミハイル=プリギエーラ。出て行け。追い出される。放火。孤児。いじめ。虐待。暴力。搾取。助け。祈る。右手。なぎ払う。教会。神父様。笑顔。愛情。善意。幸福。信頼。おとうさん。老衰。子供達。慕ってくれる。育てる。優しい。大人。祝い。寿命。祈り。看取る。死に損ない。独り。死ねない。死にたい。力。狂信。『神の右席』。『赤』。『炎』。絶対的な力。『右方のフィアンマ』。才能。『聖なる右』。確立。幸せ。心的乖離。教皇。暗殺。権力。内戦。戦争。利益。汚い。悪意。虚偽。指示。収束。『前方のヴェント』。『左方のテッラ』。『後方のアックア』。死にそびれる。千年の安息。独り。生きる目的。皆無。天命。恋人。願い。叶える。力ある者。罪悪感。堅実。教皇選挙。権力闘争。戦い。誰かに笑ってもらうために。誰かを救うために。『聖なる右』に愛してもらうために。自分が、自分を愛するために。準備。イギリス。禁書目録。遠隔制御霊装。第三次世界大戦。やりたくない。殺りたくない。見捨てられる。嫌だ。『幻想殺し』。『素材』。回収。ロシア。大天使『神の力』。歪み。正す。正した。上条当麻。学園都市。悪意。醜い。善意。欲しい。正す。『神上』。強化。
35 :幸か不幸か  ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 15:46:00.23 ID:lkQFgm5AO
>>+1のコンマ以下1桁で勝敗判定。

0〜4 原作通り

5〜9 フィアンマの勝利
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/06/01(金) 15:51:17.68 ID:Z5EYX69Qo
てい
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/01(金) 16:08:05.75 ID:nsZpOQwDo
これは期待
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/06/01(金) 18:04:49.69 ID:cETve+fx0
これは幸せになってもらいたい
期待
39 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 20:19:02.68 ID:4EQZeCPk0


突如、大剣が跳び、その勢いのまま。トン、と。
実に軽い音と共に、上条当麻の右肩から先を切断した。
宙を舞うフィアンマは自分の方へ飛んできた『幻想殺し』…上条当麻の特殊な右腕をダンスにエスコートするかの様にそっと手を差し出し、見事にキャッチした。
予定通りの事態運びに満足そうな表情を浮かべた後、フィアンマはその右腕を軽く握る。
風船の様に弾け、血管や何やらが空気中に飛び散り、かき消えた。
余裕を失わずに戦闘行為を行っていたフィアンマの表情が、僅かながら苦痛に歪む。
如何に自らの体内に『天使の力』の多大な量が眠っているとはいえ、その源を『幻想殺し』で削られるのは多少の苦しみを伴う。
喘息患者が苦痛に耐える様に、かひゅ、と空気を吸い込み、どうにか堪える。

「…はは、流石は俺様の『幸運』。実力と運は、俺様に味方するらしい」
「が、ッあ…!!」
「…光栄に思え、肉塊。お前の肉体の価値は、無事刈り取れたぞ」

フィアンマの中に眠る力が、『聖なる右』へ移行していく。
血肉を伴った『聖なる右』は『幻想殺し』の…正確にはその特殊な右腕、つまりは『出力用の器』を手に入れた事で、最高に強化されていた。
上条が腕を切断された痛みと身体的ショックに耐える様を酷薄な笑みで見つつ、フィアンマは上条に近寄っていく。もう反撃のしようが無いと知っての行動。
段々と自分との距離を詰めてくる右方のフィアンマに絶望しながら、上条は歯を食いしばり俯いた。
インデックスを散々苦しめた彼にせめて一発でも喰らわせたかったな、などと。
此処で死ぬのか。それにしても長い期間戦ってきたな、などと。
記憶を失い、それでも周囲の知り合いに為に。ひいては一人の少女を守る為に闘って戦って争ってきた少年の顔を覗き込む様に、フィアンマはそっと『ベツレヘムの星』の床に膝をついた。
間近に訪れる死の予感に思わず目を閉じる少年らしい上条当麻の行動に、フィアンマは小さく笑った。嘲る様に、といった調子では、ない。
彼がした事は、『禁書目録』を用いた魔術による虐殺でも、その『無敵』となった必殺の腕を振るう事でもなかった。
むしろ、そういった『殺害』とは真逆の行動。
『禁書目録』の知識を総動員し、自らの膨大な魔力を用いた『回復術式』だ。
『幻想殺し』を失った上条は、最早特別ではない。本当にただの高校生の『無能力者』の少年で、魔術を拒む術を持たない。
馴れた手つきで『回復術式』を行使するフィアンマの姿を視界に捉え、失血による吐き気に耐えながら、上条は閉口した。どうかしている。
気まぐれに放置する、というのならば、まだ理解も出来る。
しかし、殺さないばかりか、あれだけ『幻想殺しを現世に繋いでおくための肉体(アダプター)』扱いしていた少年を助ける義理は、フィアンマには存在しないはずだ、と。
上条にはそう思えた。
『回復術式』でどうにか傷口が塞がったのを見、大量出血をしたことにより青い顔をしている上条に、フィアンマは困った様な顔で微笑みかける。
その右手に握った、禁書目録の遠隔制御霊装を軽く振って見せながら。

「禁書目録と、約束してしまったものでな。魔導図書館としての本分を果たしたあの女への褒美、といったところか」
「インデックスと…?」
「あぁ。エリザリーナのところで、お前にはこう言ったはずだ。俺様の意識は、あの女の意識と繋がる事がある。俺様の見聞きした情報が、あの女に伝わる事もあり得る、と。意識が直接繋がる以上、嘘をついたらバレてしまうからな」
「何…言ってんだよ…テメェ、が…インデックスを、傷つけたんだろうが…」
「そうだ。否定はせんし、出来ん。しかし、あれは『首輪』が不自然に壊れていたから、という理由もある。全てが全て、俺様に責任がある訳じゃない。そこは誤解だよ」
「……、…」
「地上の『浄化』は滞りなく行われている。じきに『綺麗』な『元あるべき世界』へと変わっていくだろう。禁書目録の周囲の魔術師は別として、あの女は助かるんじゃないか?『自動書記』であれば、莫大な『天使の力』…『浄化作業』にも対抗できるだろう」
「何で、こんな事…しようと、思ったんだよ」

失血のせいか凍えんばかりな血色の悪い上条を見兼ね、フィアンマは宙から柔らかな毛布の様な物を掴み取る。
魔術的な何かだと察し警戒する上条を温める為に、毛布の様なソレは、フィアンマの手によって上条の身体に巻きつけられた。

「お前が禁書目録の為に闘う理由と同一だよ。大切なものの為に、一生を、全力を尽くして努力する。願いを叶えてやる。そこに理由が必要なのか?」
「ふざ、けんな…お前は、それで良くても…周りの人間は、どうなんだよ…酷いとばっちりじゃねぇか、そんなの…」
「知らんよ、そんなこと」
「ッ…」
「俺様とお前の本質に変わりはない。やり方にも、特に差異は無い。規模が違う以上、多少方法の相違はあるが。…本当に大切なものを守る為ならば、世界を敵に回しても成し遂げなければならん。それが何かを愛するという事だ。…十字教の概念からは少し…いや、だいぶ外れてしまうが」

宗教画のごとく美しい黄金の天空の下、美しい青年は寂しそうな声色でそう口にした。
世界のほぼ全てを掌握し、戦争の引き金を引いた上流れを自らの都合の良いように導いてきた、右方のフィアンマ。
彼は敬虔過ぎたのだろうか。それとも、背徳者なのだろうか。
宗教に詳しくない上条には分からないものの、フィアンマは思考回路に歪みこそ発生しているが、本当に自分とほとんど似ているのだな、と理解した。
40 :イーモバイル対策 [sage]:2012/06/01(金) 20:19:09.49 ID:lkQFgm5AO
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41 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 20:19:35.86 ID:4EQZeCPk0

フィアンマだって、俺と同じ、その右手以外は何でもない、平凡な少年だったはずだ。
普通に笑って、普通に泣いて、普通に怒って。
面倒臭がったり、嬉しそうに取り組んだり。
思えば、表情は作りものの様な事を除けば、人間的な発言も多くしていた。
本物の善意を信じる事の出来ないこの男は、きっと長い間、酷い悪意に晒されてきたんだろう。
勿論それは、他人を傷つけて良い理由には、決してならないけれど。
俺が、一方通行を殴って実験を止めた事で、間接的に誰か…例えば、あの実験で働き、飯を食っていた人を傷つけ、遠まわしに迫害した事と、コイツが右手を振るい『世界を救う』事で、今一生懸命生きている人を遠まわしに迫害することとは、一緒なんだ。
何ら変わらない。救われる者が居れば、救われない人間がその分出る。

「お前は、こう言ったな。この世界で、どれだけの人間が笑っているのかと」
「あぁ、…間違ってるつもりはねぇ」
「…俺様からは、こう返そうか。先程は戦闘中の事もあり考えを後回しにしたが、今ならば言っても構うまい。まだ時間はある。……この世界で、どれだけの人間が泣いているのか。嘆いているのか。苦しめられてきたのか。虐げられてきたのか。…分かるか? 先進国の出身且つ学園都市で育ったお前には分からんだろう。所詮ディスプレイ外の悲劇に過ぎん、リアリティーが持てなくても当然だ。それを責める訳ではない。だがな、俺様はお前よりもずっとずっと、この世界をよく見てきたよ。長い年月、沢山の人を見てきた。それでも、笑っている人間より、泣いている人間の方が多かった。助けに応える声より、見捨てる声の方が多かった。世界は、俺様やお前の様な人間で満ち溢れている訳じゃない。そうだったらどれだけ良いか。俺様やお前が同じく、また、完全に善で満ち溢れた人間だとは言わん、言えないからな。だが、力を持つものらしく、…いや、持っていなくても。お前も俺様も、目の前の誰かを救いたいと願い、行動する。そのことに変わりはない。全員が全員そうではない。少数の善意で、多数の哀しみが無視されるということは、あってはならない。…等と言うのはかなりの建前で、俺様は一番苦しむ身近なものを助けたかっただけなのだがね」

建前と言うにはとても真剣な表情でフィアンマは語り、俺から離れた。
そのまま一度ため息を吐きだし、伸びをする。疲れた、といった様子で。
すっきりとした様子。先程までの残酷さは、そこにはなかった。
普通の人間の、普通の態度。普通の動き。

『警告。知識の閲覧及び譲渡が完了しました。『情報移行』モードから『自動書記』モードへと再起動します』 
「早かったな。さて、もうお前は不要か…元気でな、禁書目録。最初で最後の、俺様の友人よ」

ぼやいて、フィアンマは『聖なる右』を揺らす。
やんわりと右手を握ったり開いたりした後、フィアンマの手の内にあったインデックスの遠隔制御霊装が、唐突に破壊された。
俺が異能の力に触れた時と同じ様に、バラバラに砕けた遠隔制御用霊装の破片が、床に散らばる。フィアンマはそのままの流れで、破片を投げ捨てる様に右手を振った。


―――いつの間にか、遠くから聞こえていた砲弾の音や、叫び声といった、戦争関係の音は全て止まっていた。
静かな空間、『ベツレヘムの星』は、修復を終えたらしい。
真っ二つになっていたはずの床や壁は、綺麗な状態に戻っていた。
何の音もしない空間で、フィアンマは目を閉じていた。呟きから読み取る辺り、『地上の浄化』とやらが終わったらしい。
42 :イーモバイル対策 [sage]:2012/06/01(金) 20:19:43.28 ID:lkQFgm5AO
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43 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 20:23:08.85 ID:4EQZeCPk0


目を閉じるだけという行動。どの様な調査でその結果を知り得たのかはフィアンマ当人しか分からないが、事実をもって、フィアンマはこくりと頷いた。

「…あるべき状態に戻った、ということか。さて、長々と付き合わせてしまって申し訳なかったな、上条当麻。そろそろお前を病院に送らねばなるまい。とはいっても俺様はまだ準備がある以上、此処からは動けないのだが」

肩をすくめてそう告げたフィアンマは徐に上条の身体を右手で掴み、野良猫を自宅へと持ち帰る様に気軽な様子で『ベツレヘムの星』内を歩いた。
向かった先は、脱出用のコンテナが並ぶ場所。
ほとんどのコンテナは破壊され、或いは潰れ、使用できない状態に成り下がっていた。
無論、上条とフィアンマの戦闘の影響である。

「個人用が一台か。お前が乗って脱出する分には問題ないな。とりあえず、俺様にやられた、助けてくれと言えば、魔術師の大概は助けてくれると思うぞ。ある程度の実力を持ち合わせた数人は残っているだろう。もし居なかった場合は…これを使え。電波は周辺のものを勝手に拾う。知り合いの声があれば応答すれば良い。禁書目録は今頃イギリスで問題なく目を覚ましているはずだ」

完全に戦意を喪失した上条は、渡されるままに、魔術的な加工の施された無線機を左手で受け取る。
そのままコンテナに押し込まれ、フィアンマの手により、ガチャリと錠前が閉められた。
流れる様に、安全な軌道を辿って『ベツレヘムの星』から消え去っていったコンテナを視線だけで見送り、フィアンマは欠伸を噛み殺した。
そうして儀式場へと戻り、丁寧に作業をする。

作業を終えて。
完全な姿―――最早『神の如き者』と入れ替わりそのものと化した自らの恋人たる『聖なる右』を見、フィアンマはいつも通り、幸せそうな笑みを浮かべた。
男性とも女性ともつかぬ神秘的に美しい、どちらかといえば男性的な天使に、フィアンマはそっと寄り添う。
『聖なる右』―――『神の如き者』は拒否をするでもなく、ただ静かに従った。
天使はその身を火で。
つまりは純粋な霊体、霊質で構成され、肉体、物質よりも高貴(光輝)であり優れている。
その身を与えられた天使は神を絶対の存在として崇め、その身を神の手足をなって従事する事を至福とし、それによって愛されていると感じる存在。
『神の如き者』にこれといった意思は宿っていなかったが、フィアンマが愛すれば愛する程、『神の如き者』もフィアンマを深く愛した。
至福に満たされていた。そういう意味では、『聖なる右』を愛した彼が完全に狂っていたとは、何人にも断言することは出来ない。
例えどんなに形や呼称が変わっても、『神の如き者』はフィアンマに仕え、意のままに動く。
分かりやすく言えば、『聖なる右』という一部分ではなく、その力が天使の形をとったということ。
自分の身長を遥かに凌ぐ『神の如き者』にすり寄り、フィアンマは無邪気にはにかんだ。
『神の如き者』はそっと腕を伸ばし、フィアンマの頭を撫でる。
よくやったと、父親が子を褒めるかの様な手つき。
『神の如き者』が仕えるは、神のみ。
しかし、フィアンマの状態や身体は神聖過ぎるがために、神の状態を逸脱している。
狂信者且つ救世主が目指した結果。つまりは、『神上』。
『神の如き者』は『光を掲げる者』の双子の弟、もしくは弟とされている。
そして『光を掲げる者』は神から溺愛されるが故に、その神によく似ていた。
当然、そんな『光を掲げる者』と、弟たる『神の如き者』はよく似ている。
つまり、自らによく似た造形の『神の如き者』を抱きしめ、それでも尚、フィアンマは満足そうに微笑んだ。
もうこれで離れる事はない。
何かに怯える必要もない。
世界は救った。約束は果たされた。

此処からの歴史は、新たなる『新約聖書』として記すべき事項だろう。
また、右方のフィアンマ…『神上』となった彼には、元々聖書を記すという奇跡が赦されている。

『ミハイルの福音書』。




そう名付けるのであれば、救われた『後の』世界は福音に包まれ――――。
44 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 21:23:46.52 ID:lkQFgm5AO

フィアンマ「皆幸せそうだ」ホンワカ

『神の如き者』「そうだな」


フィアンマ「あれは上条当麻…だったか? 左腕のみで不便そうだが、幸せそうで何よりだ」

『神の如き者』「あぁ」


フィアンマ「…そういえば、本名を教えていなかったな。とはいえ、本名も自らが付けたソレ、通称とあまり違いは無いが」

『神の如き者』「本名?」

フィアンマ「人間を超えた俺様にはもう必要の無いものだが」

『神の如き者』「与えられるべきものを受け入れる」

フィアンマ「そうか。…ミハイル=プリギエーラ。ミハイルはお前から取った。プリギエーラは…孤児だったからな。自ら名付けた苗字だよ」

『神の如き者』「その名が示すは、天使と祈り」

フィアンマ「そうだよ。…しかし、まぁ、『神上』でありながら人間としての知識…ん? 違うな。記憶を保全出来るとは思わなかった」ウン

『神の如き者』「分別の問題だ」

フィアンマ「そうだな。案外、気が狂い擦れきる様なものでもないな。人々を見下ろし見守り、祈りを受け、天啓と天恵を授けるだけの簡単なお仕事だ」ウン

『神の如き者』「…途方も無い時間を過ごせば、また変わる」ギュウ

フィアンマ「はは、そうかもしれんな。…既に過ごしてきた、四百年を過ぎる長き歳月を思い起こすと…憂鬱になる」

『神の如き者』「共に居た。これからも共に居る」

フィアンマ「あぁ、お前さえ居てくれればいい。世界はお前が望んだように幸福で満ち足りている」

『神の如き者』「絶望の死に絶えた惑星」

フィアンマ「あぁ…しかし、平和で良い」

『神の如き者』「そうだな」
45 : ◆H0UG3c6kjA [saga]:2012/06/01(金) 21:38:04.35 ID:lkQFgm5AO

フィアンマ「そういえば結婚式がまだだったな」

『神の如き者』「ッ…まだそんな事を」

フィアンマ「…ダメなのか?」ショボン

『神の如き者』「…天の御使いは、主に対する拒否権など無い」

フィアンマ「もっと分かり易く言ってくれても良いんじゃないか?」

『神の如き者』「…私様は貴男を愛している。結婚式は、構わない」

フィアンマ「そうか」ヘラ

『神の如き者』「…幸せそうだな」

フィアンマ「勿論だとも。さぁ、完成した福音書を人々に授けるとしようか」

『神の如き者』「了解」

フィアンマ「『神の如き者』」

『神の如き者』「?」


フィアンマ「未来永劫に渡って、愛しているよ」

『神の如き者』「…私様も、未来永劫に渡り、貴男を愛しているよ」







おわり
46 : ◆H0UG3c6kjA [sage]:2012/06/01(金) 21:45:28.97 ID:lkQFgm5AO


インデックスさんと仲良く話したり第三の腕たんといちゃいちゃするフィアンマさんがネット世界のどこを探しても居なかったので、カッとなって書きました。短い内容でしたが、書き切れて幸せです。
需要は物凄く少なかったと思いますが、フィアンマさんが幸せそうなので後悔はしておりません。
こんな裏背景があったら、旧約フィアンマさんがまた違う角度で見えてきませんか?
彼が世界を救おうとした理由がちょっと納得いかなくて…かまちーは新約で突っ込んで描いてくれたり…しないのでしょう。
コンマ判定にご協力頂き、本当に本当にありがとうございました。正直自分でやらなければならないかな、と思っていました。




…第三の腕たんをペロペロしたり、エロい事がしたいのは自分です。


閲覧いただき、ありがとうございました。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/06/01(金) 21:51:48.20 ID:cETve+fx0
1乙。楽しめた!
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/02(土) 20:11:54.72 ID:sLGS+5uDO

発想と雰囲気がすごくいい
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/02(土) 21:24:27.44 ID:Ftk+W6bg0

フィアンマさんが幸せそうでよかった
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