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紬「りっちゃんに恋愛相談されてしまった…」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/05/29(火) 20:13:56.88 ID:GR4bDPU30
☆ムギちゃん主人公の選択安価式SS
☆カプは唯憂のみ確定。他は未確定
☆噛ませ等の展開が苦手な方はご注意を

◇安価について
 →多数決+3なら、下3レスの有効投票のうち一番多い選択肢を採用
 →無効票は原則安価下

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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/29(火) 20:14:51.87 ID:GR4bDPU30
唯「むーぎーちゃん」ガバッ

紬「わっ!」

朝一番、唯ちゃんに飛びつかれてしまった。
理由はわかってる。昨日メールで教えてもらったから。
やっと唯ちゃんは憂ちゃんと結ばれたのだ。

唯「ムギちゃんムギちゃん。ムギちゃんが色々相談にのってくれたおかげだよ〜」
唯「ほんとにありがとね」

律「お、唯のやつムギに抱き着いちゃって、何かあったのか?」

唯「あ、りっちゃん。実は…」

唯ちゃんはりっちゃんの耳元で何かささやいてる。
流石に実妹と結ばれたことを大声で言いまわるつもりはないみたい。
唯ちゃんにもそこら辺のバランス感覚がちゃんとあるってわかって安心してしまう。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/29(火) 20:16:42.80 ID:GR4bDPU30
唯ちゃんは澪ちゃんの耳元でも何か囁いていた。
梓ちゃんにもいつものように抱き着いた後、何かを囁いていた。
どうやらけいおん部のみんなにだけ、憂ちゃんと結ばれたことを伝えてるみたいだ。

その日の唯ちゃんは終始楽しそうだった。

紅茶を飲んでいる時も、お菓子を食べているときも、練習の時も、
唯ちゃんはニコニコ楽しそうに笑っていた。
そんなに楽しそうにしてくれていると、協力した私まで嬉しくなる。

実は唯ちゃんと憂ちゃんの恋愛はスムーズに進んだわけじゃない。
相談されたときはお姉ちゃん大好きな憂ちゃんのことだから簡単にいくだろうと考えてたけど、
憂ちゃんにとって実の姉との恋愛は、超えてはならない一線だった。

私は唯ちゃんの家に泊まり憂ちゃんを観察し、
どうやれば憂ちゃんが唯ちゃんになびくのか徹底的に研究した。

その甲斐あって、なぜ超えてはならない一線だと考えているのか分かり、
唯ちゃんと憂ちゃんをくっつけることに成功したのだ。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/29(火) 20:17:32.86 ID:GR4bDPU30
次の日も唯ちゃんはニコニコだった。
でも、私はそれどころじゃないかった。

りっちゃんに呼び出されてしまったのだ。
それも放課後、校舎裏指定で。

私は平静を装っていたけど、実は気が気じゃなかった。
何を隠そう、私はりっちゃんが大好きなのだ。
いつかのデート以来、私はりっちゃんの虜。
ちょっとボーイッシュで、いつも楽しそうで、実は責任感が強く、優しいりっちゃん。

でも…期待しないでおこう。
だってりっちゃんは澪ちゃんのことが好きだから。
教えてもらったことはないけれど、見ていればわかる。
りっちゃんが澪ちゃんを見る目は、乙女のそれそのものだから。

だからきっと、りっちゃんが私を呼び出したのは、私に恋愛相談するため。
唯ちゃんの恋愛を成就させた私に相談するだけ。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/29(火) 20:18:35.08 ID:GR4bDPU30
☆放課後ー校舎裏

紬「じゃありっちゃんは澪ちゃんが好きなんだ」

律「へへへ」

予想通りだった。
…どうしよう。
私は、自分の心を殺して、りっちゃんと澪ちゃんをくっつけることができるのかな?

分からない。
ここで手伝うと言うならば、自分の気持を完全に隠してりっちゃんを手伝わないと失礼だ。
…そんなことできるのかな?
分からない。

私は……

安価多数決+3
1:りっちゃんに自分の気持を伝える
2:りっちゃんの恋に協力すると伝える
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/29(火) 20:29:52.10 ID:S/E6JCqoo
1
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/05/29(火) 20:41:28.15 ID:d2vDipcoo
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/05/29(火) 20:54:14.35 ID:NbMssr72o
1
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:07:35.16 ID:yvRGlFtG0
やっぱり自分の気持を隠したままりっちゃんの恋のお手伝いをするなんて無理。
きっとどこかで手を抜いてしまうだろうし。

私はりっちゃんに自分の気持を伝えてしまうことにした。

紬「ねぇ、りっちゃん。一つお願いしてもいい?」
紬「お願いを聞いてくれたら、りっちゃんに協力してあげるから」

律「ホントか。いやー、助かるよ。自分じゃどうすればいいのかわからなくてさ…」
律「で、お願いってなんだ?」

紬「これから買い物に行くんだけど、りっちゃんも付き合ってくれない?」

律「これから? でも部活が…」

私は手早くケータイを操作し、唯ちゃんにメールを送信した。

紬「大丈夫。唯ちゃんに今日はお休みするって伝えたから」

りっちゃんは苦笑いしてくれた。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:08:22.14 ID:yvRGlFtG0
☆放課後ーアーケード街

紬「さっき買った服本当に似合ってた?」

律「ムギは心配性だなー。ムギならだいたいどんな服着ても似合うのに」

紬「むーっ、それってどの服着ても似たり寄ったりだって言ってるのと同じじゃない?」

律「…………そんなことないって」

紬「むむむ、その間が怪しい…」
紬「あ、次はゲームセンターに行きたい!」

律「はいはい」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:10:06.77 ID:yvRGlFtG0
りっちゃんと一緒に遊ぶのはやっぱり楽しい。
りっちゃんの前では、素の自分でいられるから。

けいおん部に入ってから、私はどんどん素の部分を出せるようになった。
いつも前向きに、素のままの自分で体当たりしていくりっちゃんを見ていると、
私も素のままの自分で向かっていかなきゃならないって気がしてくる。

もしもあの時りっちゃんと出会わず、合唱部に入っていたら、
こんな風にありのままの自分をさらけだすことはできなかったと思う。

そう考えると、りっちゃんには感謝してもしきれない。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:11:13.82 ID:yvRGlFtG0
律「む、このゲームは」

紬「ドラムマニアね!」

律「以前は煮え湯を飲まされたけど、今日の私は一味違うぞ」

りっちゃんは張り切ってゲームに挑戦したけど、
しばらくして画面には「BAD」と大きく表示されてしまった。

紬「所詮ゲームよゲーム」

律「そうは言っても悔しいよ」
律「私のドラムの腕も随分上がったと思うんだけどなー」

紬「これはゲームだから、配置だって本来のドラムの位置とはちょっと違うし」
紬「こういうのは、ゲームに慣れている人向けに作られているのよ」
紬「だから、りっちゃんができなくても、なんにもおかしくないんだからっ」

律「そうかな」
律「じゃあ次は…」

紬「あれ、あれやってみたいな!」

私は『プリント倶楽部』と書かれた機械を指さした。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:12:31.06 ID:yvRGlFtG0
律「えーと、フレームは」

紬「これがいい!」

私は小さなハートがたくさん散らばってるフレームを選んだ。
流石に大きなハートは恥ずかしいから。

律「じゃあフレームはこれで」
律「ムギ、もっと近寄ってくれ」

紬「はい! りっちゃん!!」

パシャっという音がなり撮影が終わる。
私は取り出し口からプリクラを取り出した。

紬「これ、全部貰ってもいい?」

律「私と二人でとったプリクラ持ってても面白くないだろうに。ムギって変なやつだな」

これは大切な想い出にしよう
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:13:27.84 ID:yvRGlFtG0
☆夕暮れー見晴らしの良い公園

最後に公園にやってきた。ちょっと景色のいい公園。
どうせ負け試合なんだから、場所ぐらい選んでもいいよね?

紬「ねぇ、りっちゃん。私、りっちゃんのことが好き」
紬「友達としてじゃなく、一人の女の子としてりっちゃんが好き」

律「え?」

りっちゃんは何を言われたのかわからないような顔をした。
しばらくしてから、私の目をみてこう言った。

律「ごめんムギ。気持ちは嬉しいけど私は…」

紬「わかってる。りっちゃんは澪ちゃんのことが好き」
紬「ずっと前から知ってたから」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:14:08.59 ID:yvRGlFtG0
律「ずっと前から?」

紬「うん。初めてあったときから」
紬「それでもりっちゃんのことを好きになってしまったの」
紬「本当はこの気持を伝えるつもりはなかったんだけど」
紬「気持を隠したままりっちゃんのお手伝いはできないと思って」

律「…ムギの気持ちも知らずに相談なんかしてゴメンな」

紬「ううん。相談してくれたこと、嬉しかったから」
紬「ねぇ、りっちゃん」

律「うん?」

紬「これからも友達でいてくれる?」

律「もちろんさ!」

私の初恋、終わっちゃったな。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 00:14:39.26 ID:mmC0z/poo
むぎちゃん…
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/30(水) 00:15:26.02 ID:yvRGlFtG0
☆深夜ー琴吹邸
菫「紬お姉ちゃん?」

紬「あ、菫じゃない。どうしたの」

菫。私のかわいい妹。
執事の斎藤の孫娘だから血の繋がりはないんだけど、
私たちは本当の姉妹のように育ってきた。
菫はいい子だ。
唯ちゃんの自慢の妹憂ちゃんはなんでもできる子だけど、うちの菫だって負けてないと思う。
丁寧で、礼儀正しく、それでいて思いやりのある優しい子。
なんでも熱心に取り組む頑張り屋さんでもある。

菫「なんだか今日のお姉ちゃんは元気がない感じがしたから」

紬「そんなに顔に出てる?」

菫「お姉ちゃん…ひょっとして泣いてた? 目元が赤いよ」

さて、どうしようかな。
りっちゃんに振られたことを菫に話してしまおうか。
別に教えてしまっても構わないと思うけど…。

◯安価多数決+3
1:菫に教える
2:ごまかす
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 00:21:32.12 ID:mmC0z/poo
2
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 00:42:24.68 ID:xKHnPXKQo
1
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 00:49:33.96 ID:Lw5pOkjno
1
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 00:55:47.79 ID:qoDGU7Zt0
1
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/05/30(水) 03:34:38.00 ID:JJfQhRzpo
期待
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/05/30(水) 10:01:21.91 ID:ABTxE04so
面白そう
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/31(木) 00:11:46.57 ID:yR52hRdh0
話してしまおう。秘密にする必要ないものね。
菫との間にあまり秘密を作りたくないし。

紬「実はね、お姉ちゃん振られちゃったの」

菫「え? お姉ちゃん、告白したの?」

紬「うん」

菫「え……お姉ちゃんいつのまに男の人を好きになったの?」
菫「女子高に通ってるから出会いなんてほとんどないと思ってたのに」

紬「ううん。同級生の女の子に告白したの」

菫「お姉ちゃん………」
菫「女の子同士が付き合うなんて漫画の中だけだよ…」

紬「でも私が告白した女の子も、別の女の子が好きなの」

菫「そんなことあるんだ…」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/31(木) 00:12:32.52 ID:yR52hRdh0
菫「でもさ、それならお姉ちゃんの告白受けてあげればいいのにね」
菫「お姉ちゃんの良さがわからないなんて…」

紬「ありがとう。菫は優しいのね」

菫「お姉ちゃんの妹だもん!」

優しく菫の頭を撫でてあげる。菫は「えへへ」と笑って微笑んでくれた。
本当に姉想い優しい子。
菫は恋をしたことあるんだろうか?

紬「ねぇ、菫は誰かに恋、したことある?」

菫「まだだよー。私も女子高だからほとんど出会いの機会なんてないし」
菫「私は女の子のこと好きじゃないから」

紬「それは残念ねぇ」

菫「それより今はお姉ちゃんのことだよ。何かして欲しいことはない?」
菫「私にできることならなんでも言ってよ」

紬「大丈夫! 菫とお話してたら元気になっちゃった」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/31(木) 00:13:44.27 ID:yR52hRdh0
それから暫く話をして、菫は自分のお部屋に戻った。
菫と話をしていたら元気が出たというのはホント。
あの子の笑顔には本当に助けられる。


寝具に着替え、電気を消して、ベッドに潜り込む。
真っ暗な部屋に一人でいると、りっちゃんのことを思い出してしまう。
この恋が叶わないなんて最初からわかっていた筈なのに、こんなにも涙が溢れてしまう。

りっちゃんと結ばれることは永遠にない。
それをハッキリ知ってしまうことが、こんなにも辛いことだったなんて。

紬「ひぐっ…ぐすっ」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/05/31(木) 00:15:08.10 ID:yR52hRdh0
その時、ドアをノックする音がした。
入ってきたのは……菫。

菫「お姉ちゃん?」

紬「菫、どうかしたの?」

平静を装ったつもりだけど、きっと泣いていたのはバレてると思う。
声が震えてしまったから。

菫「お姉ちゃん……」
菫「今日はお姉ちゃんと一緒に寝たいなって思って!」

紬「菫…」

菫「マイ枕も持参してきたんだから」

そう言うと、私の布団に潜り込んできた。
菫はそれから一言も喋らなかったけど、ずっと抱きついていてくれた。
その体温のおかげで、私はぐっすり眠ることができた。
本当にこの子には救われる。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/05/31(木) 23:34:54.11 ID:QL1YUcBJo
せつない
29 :>>27訂正 [sage saga]:2012/06/01(金) 00:10:26.34 ID:LvkKsTQe0
その時、ドアをノックする音がした。

菫「お姉ちゃん?」

紬「菫、どうしたの?」

平静を装ったつもりだけど、きっと泣いていたのはバレてると思う。
声が震えてしまったから。

菫「お姉ちゃん……」
菫「今日はお姉ちゃんと一緒に寝たいなって思って!」

紬「菫…」

菫「マイ枕も持参してきたんだから」

そう言うと、私の布団に潜り込んできた。
菫はそれから一言も喋らなかったけど、ずっと抱きついていてくれた。
その体温のおかげで、私はぐっすり眠ることができた。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/01(金) 00:11:23.64 ID:LvkKsTQe0
☆早朝ー部室
律「あ、ムギ……」

昨日の夜、私はりっちゃんにメールした。
明日の朝部室にきてちょうだいって。
りっちゃんは約束したより早い時間から待ってたみたい。
ちょっとばつが悪そうな顔をしてる。

紬「りっちゃん!!」

律「は…はい!」

紬「これから澪ちゃん陥落に向けた作戦会議をはじめます」
紬「おー!!!」

律「おー、ってえ? ムギ、なんで…」

紬「だって約束したじゃない。買い物付き合ってもらう代わりに、りっちゃんの恋のお手伝いするって」

律「ムギ…でも…」

紬「いいの。りっちゃんとはこれからも友達だから」
紬「友達が恋をしているんだもの。応援してあげなきゃ!」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/01(金) 00:12:27.53 ID:LvkKsTQe0
律「でも、やっぱり悪いよ…」

りっちゃんの歯切れが悪い。
当然と言えば当然なんだろう。
りっちゃんは優しい女の子だから、自分のことを好きな子に、自分の恋のお手伝いなんてさせられないって思ってる。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。だって…。

紬「りっちゃん!!」
紬「りっちゃんは私の協力断れる状況じゃないの」

律「え? どういうことだ…?」

紬「だって、だってりっちゃん一人だけじゃ、りっちゃんの恋は絶対叶わないから」
紬「澪ちゃんはりっちゃんのことを恋愛対象として見てないから」

りっちゃんの顔色が変わった。
少しだけ俯いて、りっちゃんはぽつりと呟いた。

律「やっぱりそうなのかな…」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/01(金) 00:13:40.66 ID:LvkKsTQe0
紬「…うん。私は誰が誰に対して好意を持ってるか、だいたいわかっちゃうの」

私は普通の人よりほんの少しだけ、他人の感情を読むのが上手い。
目線、仕草、瞬き、声色、癖……ちょっとした動作から心の中身は見えてくる。
それは幼い頃からの英才教育で培った能力。

律「澪は私の彼氏疑惑の時すごく焦ってただろ?」
律「ちょっこしぐらいは芽があるかなーと思ってたんだけど」

そうなのだ。
澪ちゃんの中でりっちゃんの存在が小さいわけではない。
りっちゃんに彼氏ができることが、澪ちゃんの中で大事件になるぐらいには。

でも、私は知ってる。
澪ちゃんがりっちゃんを見る目が、乙女のそれではないことを。
きっと澪ちゃんの中でりっちゃんは、恋愛対象とは無縁の存在として位置づけられているんだと思う。

私にとってどれだけ菫が大切でも、恋愛対象にならないように。
澪ちゃんにとってりっちゃんはとても、とても大切だけど、恋愛とは無縁の存在。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/01(金) 00:14:27.93 ID:LvkKsTQe0
紬「りっちゃんから澪ちゃんへの恋心を10とするでしょ」

律「うん?」

紬「澪ちゃんからりっちゃんへの恋心は0よ」

律「へ?」

紬「ちなみに澪ちゃんから唯ちゃんへの恋心は1、梓ちゃんへの恋心は2かな」

律「むぎー、いくらなんでも冗談キツイよ」

紬「りっちゃんにも思い当たる節があるんじゃない?」

律「……この前さ、澪がうちに泊まりにきたんだ」
律「ちょっと強引に誘って一緒にお風呂入ったんだけどさ」
律「終始『律は仕方ないなー』って顔してるんだよ。ちっとも照れた様子もないし」
律「こっちはまともに顔を見るのも恥ずかしかったぐらいなのにさ」

りっちゃんたら、結構ごーいん。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/01(金) 00:15:01.63 ID:LvkKsTQe0
律「じゃあやっぱり澪は…」

紬「うん。現時点では、ね」

律「はぁ〜」

紬「ため息つくのはまだ早いわ。りっちゃん!」
紬「そのために私がいるんだから」

律「でもさ、どうやって」

紬「最善手か分からないけど、一つだけ案があるの」

律「どんなだ」

紬「りっちゃんが告白しちゃうの。澪ちゃんに『好きです』って」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/01(金) 00:17:00.24 ID:LvkKsTQe0
律「でも澪は私に恋愛感情ないんだろ?」

紬「そうだね」

律「じゃあ振られちゃうじゃないか」

紬「振られちゃうね」

律「むーぎー…」

紬「振られていいの」
紬「振られたとしても、澪ちゃんはりっちゃんをそういう対象として見ないわけにはいかなくなる」
紬「その後どう転ぶかはわからないけど、今よりは確実に意識してもらえるはずだから」

律「……ムギは凄いな。私だけだったら絶対にそんなこと思いつかないよ」

紬「リスクもあるのよ。告白した後、すぐに今の関係に戻れるとは限らないし」
紬「ぎこちない関係がずっと続いてしまうかもしれない」
紬「だから、よく考えてから、ね」

律「むむむ。確かにそうか」
律「でも今よりは前進できるよな」
律「おかげで少しだけ光が見えたよ。やっぱりムギに相談してよかった」

紬「そう言ってもらえると嬉しい」

りっちゃんがやっと明るい表情をしてくれた。
やっぱりりっちゃんは笑ってるほうが似合ってる。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/06/01(金) 00:17:49.82 ID:LvkKsTQe0
紬「そろそろ教室に行かなきゃいけない時間ね」

律「今日はありがとう、ムギ」

紬「気にしないで、りっちゃん」
紬「私も色々作戦を練っておくけど、りっちゃんも検討しておいてね」

律「澪に告白してみる件だな。わかったよ」

律「……」
律「……」
律「……」
律「ムギ。どんだけ言葉にしても足りないと思うけど」


律「ありがとう」


………………うれしかった。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/01(金) 03:06:45.98 ID:fwII1MdSo
面白い
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/01(金) 08:01:11.46 ID:1oN2KCZio
へんなムギ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/06/02(土) 20:51:04.89 ID:kqfawBZVo
期待
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